衆議院

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第25号 令和7年6月6日(金曜日)

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令和七年六月六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    井出 庸生君

      加藤 竜祥君    神田 潤一君

      草間  剛君    国定 勇人君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    根本  拓君

      長谷川淳二君    平口  洋君

      深澤 陽一君    福田かおる君

      古川 直季君    牧島かれん君

      松本  尚君    森  英介君

      森下 千里君    吉田 真次君

      池田 真紀君    大塚小百合君

      大西 健介君    酒井なつみ君

      宗野  創君    堤 かなめ君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      長谷川嘉一君    宮川  伸君

      山田 勝彦君    山井 和則君

      柚木 道義君    阿部 圭史君

      池下  卓君    猪口 幸子君

      福田  徹君    森ようすけ君

      沼崎 満子君    浜地 雅一君

      八幡  愛君    田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          水田  功君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 清田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   鷲見  学君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  後藤 茂之君     井出 庸生君

  佐々木 紀君     田野瀬太道君

  塩崎 彰久君     松本  尚君

  長谷川淳二君     古川 直季君

  深澤 陽一君     森  英介君

  山井 和則君     山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     後藤 茂之君

  田野瀬太道君     佐々木 紀君

  古川 直季君     加藤 竜祥君

  松本  尚君     神田 潤一君

  森  英介君     深澤 陽一君

  山田 勝彦君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     国定 勇人君

  神田 潤一君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     長谷川淳二君

  牧島かれん君     小森 卓郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     塩崎 彰久君

    ―――――――――――――

六月五日

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の整備を目指すことに関する請願(柚木道義君紹介)(第一七九八号)

 介護保険制度の抜本改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第一七九九号)

 同(阿久津幸彦君紹介)(第一八〇〇号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一八〇一号)

 同(海江田万里君紹介)(第一八〇二号)

 同(川原田英世君紹介)(第一八〇三号)

 同(高橋永君紹介)(第一八〇四号)

 同(西岡義高君紹介)(第一八〇五号)

 同(宮川伸君紹介)(第一八〇六号)

 同(山崎誠君紹介)(第一八〇七号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一八四三号)

 同(川内博史君紹介)(第一八四四号)

 同(笠浩史君紹介)(第一八四五号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(海江田万里君紹介)(第一八〇八号)

 同(宮川伸君紹介)(第一八〇九号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第一八四七号)

 同(長友慎治君紹介)(第一八四八号)

 同(村岡敏英君紹介)(第一八四九号)

 最低賃金全国一律制度の法改正を求めることに関する請願(青山大人君紹介)(第一八一〇号)

 同(石川香織君紹介)(第一八一一号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一八五〇号)

 同(三角創太君紹介)(第一八五一号)

 同(森山浩行君紹介)(第一八五二号)

 人権を保障する福祉職員の賃金と職員配置基準を引き上げることに関する請願(石川香織君紹介)(第一八一二号)

 精神保健医療福祉の改善に関する請願(石川香織君紹介)(第一八一三号)

 二〇二四年度の障害福祉サービス等の報酬改定の即時撤回と再改定を求めることに関する請願(長谷川嘉一君紹介)(第一八四一号)

 従来の健康保険証を残すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八四二号)

 従来の健康保険証を残すことを求め、マイナンバーカード取得の強制に反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第一八四六号)

 誰もが安心できる年金制度への改善を求めることに関する請願(斎藤アレックス君紹介)(第一八五三号)

 同(三角創太君紹介)(第一八五四号)

 国立病院の機能強化に関する請願(佐原若子君紹介)(第一八五五号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一八五六号)

 同(宮川伸君紹介)(第一八五七号)

 障害福祉についての法制度拡充に関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第一八五八号)

 同(青山大人君紹介)(第一八五九号)

 同(浅野哲君紹介)(第一八六〇号)

 同(荒井優君紹介)(第一八六一号)

 同(有田芳生君紹介)(第一八六二号)

 同(安藤じゅん子君紹介)(第一八六三号)

 同(池下卓君紹介)(第一八六四号)

 同(池田真紀君紹介)(第一八六五号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一八六六号)

 同(石井智恵君紹介)(第一八六七号)

 同(市來伴子君紹介)(第一八六八号)

 同(稲田朋美君紹介)(第一八六九号)

 同(岩田和親君紹介)(第一八七〇号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一八七一号)

 同(岡田克也君紹介)(第一八七二号)

 同(奥下剛光君紹介)(第一八七三号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一八七四号)

 同(小沢一郎君紹介)(第一八七五号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一八七六号)

 同(川内博史君紹介)(第一八七七号)

 同(吉良州司君紹介)(第一八七八号)

 同(斉木武志君紹介)(第一八七九号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第一八八〇号)

 同(阪口直人君紹介)(第一八八一号)

 同(佐原若子君紹介)(第一八八二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八八三号)

 同(柴山昌彦君紹介)(第一八八四号)

 同(鈴木庸介君紹介)(第一八八五号)

 同(たがや亮君紹介)(第一八八六号)

 同(竹内千春君紹介)(第一八八七号)

 同(武村展英君紹介)(第一八八八号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第一八八九号)

 同(辻英之君紹介)(第一八九〇号)

 同(寺田稔君紹介)(第一八九一号)

 同(中谷一馬君紹介)(第一八九二号)

 同(長友慎治君紹介)(第一八九三号)

 同(西川厚志君紹介)(第一八九四号)

 同(根本拓君紹介)(第一八九五号)

 同(野間健君紹介)(第一八九六号)

 同(鳩山紀一郎君紹介)(第一八九七号)

 同(林佑美君紹介)(第一八九八号)

 同(平岩征樹君紹介)(第一八九九号)

 同(平沢勝栄君紹介)(第一九〇〇号)

 同(福島伸享君紹介)(第一九〇一号)

 同(福田昭夫君紹介)(第一九〇二号)

 同(福森和歌子君紹介)(第一九〇三号)

 同(古川禎久君紹介)(第一九〇四号)

 同(星野剛士君紹介)(第一九〇五号)

 同(牧義夫君紹介)(第一九〇六号)

 同(松下玲子君紹介)(第一九〇七号)

 同(松田功君紹介)(第一九〇八号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第一九〇九号)

 同(三角創太君紹介)(第一九一〇号)

 同(宮川伸君紹介)(第一九一一号)

 同(村岡敏英君紹介)(第一九一二号)

 同(森田俊和君紹介)(第一九一三号)

 同(森山浩行君紹介)(第一九一四号)

 同(柳沢剛君紹介)(第一九一五号)

 同(八幡愛君紹介)(第一九一六号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一九一七号)

 同(山田勝彦君紹介)(第一九一八号)

 同(屋良朝博君紹介)(第一九一九号)

 従来の健康保険証を使い続けられるよう求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一九二〇号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(岡本充功君紹介)(第一九二一号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第一九二二号)

 同(古川禎久君紹介)(第一九二三号)

 同(細野豪志君紹介)(第一九二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官水田功君、総務省大臣官房審議官清田浩史君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、医政局長森光敬子君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長鷲見学君、労働基準局長岸本武史君、社会・援護局長日原知己君、老健局長黒田秀郎君、保険局長鹿沼均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。

長谷川(淳)委員 おはようございます。自由民主党の長谷川淳二でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、現下の最大の課題でございます物価高騰、賃上げに対応できる地域医療体制の確保についてお伺いしたいと思います。

 医療機関は、現在、人件費や材料費の上昇により、極めて厳しい経営状況に直面しております。令和六年診療報酬改定でベースアップ評価料が創設されましたが、令和六年春闘では全産業で五・一%の賃上げになり、二・五%の評価料では春闘賃上げに追いついておりません。令和七年の春闘も二年連続で五%を超える高い水準となる見込みで、現状の診療報酬水準ではこれ以上の賃上げを賄うことは困難であり、このままでは看護師さんの離職に拍車がかかり、地域医療が継続的に提供できなくなるのではないか、そういう危機感を持っております。

 人件費や材料費の上昇で著しく逼迫した医療機関の経営状況に鑑みますと、まずは財政による緊急対応が必要であり、その上で、診療報酬で安定的に財源を確保しなければならないと思います。そのために、令和六年補正予算において、人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージが予算化をされたところでございます。医療施設等経営強化緊急支援事業、一千三百億円が予算化をされています。

 ただ、この緊急支援事業でございますが、全国の医療機関からの申請に対して四月に一次内示をされたとお伺いしていますが、十分な内示がないというような声もお聞きをしています。とりわけ、緊急支援事業のうち、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関に対して給付金で支援する病床数適正化支援事業について、申請に対して内示が大幅に不足しているのではないかという指摘が上がっております。

 その上に、自治体病院につきましては、一般会計からの繰入れがあるということで内示がなかったと聞いているところでございます。しかし、自治体病院への繰り出しは、救急医療などの不採算部門を維持するための繰り出しでございます。それが原則でございます。病床削減努力に対しては、自治体病院にもひとしく支援すべきであるという声が強く上がっているところでございます。

 そこで、お伺いいたします。

 医療機関に対する緊急的な支援パッケージとして令和六年補正予算で措置をした医療施設等経営強化緊急支援事業のうち、まず、病床数適正化支援事業の予算枠に対する医療機関からの申請状況と、申請に対する内示状況をお伺いをいたします。その上で、病床数の適正化に取り組む病院に対しては、公立病院を含めて適切に対応すべきであり、この点を強く要請させていただきたいと思います。

 さらに、予算の枠が仮に不足するような事態を生ずるのであれば、更なる予算措置も検討すべきと考えますが、方針をお伺いしたいと思います。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 御指摘の病床数適正化支援事業につきましては、医療機関から当初の想定を大幅に上回る五万床を超える申請があったため、公立病院には行政からの支援が期待できる中で、特に経営的に厳しい医療機関を早急に先行して支援をする観点から、まず、四月の時点では、都道府県に対し、約七千床分の予算配分についての内示を行ったところであります。

 まずは、他の補正予算の事業や融資拡充と併せて、必要な支援が医療機関の現場に行き届くように取り組むとともに、予算の執行状況や足下の情勢変化等も丁寧に把握をした上で、補正予算で計上したその他の予算事業の執行残も活用した予算確保や、更なる必要な対応を検討してまいりたいと思っているところでございます。

長谷川(淳)委員 吉田政務官、ありがとうございます。

 四月の一次内示で七千床分を確保したと。六月中に二次内示をされると聞いていますけれども、先ほど御答弁があったように、五万床を超える申請があるということでございます。自治体病院も含めて、病床数の適正化に取り組む医療機関に対して緊急支援事業による給付金がしっかり行き届くように取り組んでいただきたいということと同時に、やはり予算枠について懸念がございます。医療機関への緊急支援が途切れることがないように、今後の対応について検討していただきたいと思います。

 次に、医療機関の中でも、自治体病院の体制確保に対する地方財政措置について、総務省にお伺いしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症が蔓延した時期に、全国の病院数の一割強にすぎない自治体病院が新型コロナ患者の三割を受け入れたところであります。自治体病院の役割が改めて認識がされたところではございますが、コロナ医療を支えてきた自治体病院がコロナ禍以降も患者数の回復が十分でない一方、人件費や材料費などの費用が急増したことから、令和五年度の経常収支が大幅な赤字になり、実に七割以上の自治体病院が赤字になっているところでございます。

 私の地元の愛媛県の南西部でございますけれども、県立病院が一つ、そして市立病院、町立病院は九つございますが、自治体病院、それぞれ地域医療を支えておりますが、やはり危機的な経営状況になっているところでございます。

 例えば、私の地元の市立宇和島病院は、約四百床の規模で、三次救急医療を始め地域の中核的な医療を担っておりますが、コロナ禍前と比べて入院患者は一五%減、外来患者一〇%減で、依然として回復をしていない。給料を引き上げたものの、看護師の離職によって病棟を一部閉鎖せざるを得ないというような状況で、それに材料費の高騰が追い打ちをかけて、令和六年度決算が十一億円と、四百床規模の病院にしては過去にない巨額の赤字を出してしまっているような状況でございます。

 こうした危機的な経営状況を踏まえた自治体病院への財政支援について、先日、愛媛県の中村知事を始め県議会議長、市長会会長、町村会長、そして私と地元選出の塩崎委員共々、福岡大臣にも強く要請をさせていただいたところでございます。

 そこで、自治体病院の約七割が赤字になっているという危機的な状況を踏まえまして、やはり自治体病院の経営安定のために、特に救急医療、小児医療、僻地医療など、不採算医療に対する財政措置を更に拡充することが不可欠だと思います。普通交付税の病床割の単価の引上げや不採算地区病院への特別交付税の基準額の拡充、これを早急に行うべきと考えますが、総務省の見解をお伺いします。

古川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 総務省では、自治体病院が不採算医療や特殊医療などの地域医療にとって重要な役割を担っていることを踏まえ、これまでも必要な地方財政措置を講じてまいりました。しかし、自治体病院は、今長谷川委員がおっしゃるように、現在、物価高騰や人件費の増加、医師、看護師等の不足、人口減少などを背景とする厳しい経営環境に置かれていると認識しております。このような状況や自治体病院の実態を踏まえ、普通交付税の病床割の単価について検討してまいります。

 また、令和七年度においては、不採算地域における医療提供体制を確保するため、不採算地区病院等への特別交付税措置の基準額の三〇%引上げを継続しております。

 今後とも、自治体病院の状況も踏まえつつ、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

長谷川(淳)委員 古川政務官、ありがとうございます。

 自治体病院は、経営効率化努力は当然ではありますけれども、やはり救急医療に代表されるように、その地域で代わってやっていただける代替医療機関がない中で、やはり最後のとりでとなって、そうした救急医療等を担わなきゃいけないのが自治体病院でございます。是非とも、そうした不採算部門に対する地方財政措置の拡充について御尽力をいただきたいと思います。

 次に、今度は、危機的な少子化状況を踏まえた施策として、出産費用の無償化についてお伺いしたいと思います。

 昨年一年間に生まれた子供の数が六十八万六千人ということで、一八九九年に統計を取り始めて以来、初めて七十万人を下回った。合計特殊出生率も一・一五で過去最低。国立社会保障・人口問題研究所、社人研の人口推計よりも十五年ほど早く七十万人を下回った。少子化に歯止めがかからない状況でございます。

 急激な少子化は、我が国の経済社会に大きな影響を与えます。とりわけ、将来の年金や医療、介護の支え手が減って、保険財政の持続可能性への疑念も大変懸念として出てくるわけでございます。出生数の減少には、結婚の減少やあるいは晩婚化、晩産化など様々な理由があると指摘されていますけれども、主な理由の一つであります子育て世帯の経済的な負担の軽減に向けまして、私も出産費用等の軽減を進める議員連盟の一員として、これまで岸田総理や石破総理にも提言をさせていただいています。

 令和五年に出産育児一時金が四十二万円から五十万円に引き上げられ、こども未来戦略で、出産費用の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるとされたことを踏まえまして、厚生労働省の方で検討会を設置されて議論を重ねた結果、今般、議論の整理として、標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるとされたことは、大変大きな前進であると思います。

 そこで、少子化の主要因の一つである子育て世帯の経済的な負担の軽減に向け、特に出産費用の高騰に対して、子育て世帯が安心して子供を産み育てることができるように出産費用の無償化を早期に実現すべきと考えますが、厚生労働省の議論の整理を踏まえた今後の検討方針を伺いますとともに、特に出産費用の保険適用については、検討会では両論があったと承知していますが、保険適用の検討に当たって具体的にどのような課題があるかをお伺いいたします。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の検討会では、昨年の六月から延べ十回にわたりまして御議論を賜りまして、五月十四日に、先ほど先生からもお話がありましたけれども、今後、令和八年度をめどに、産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら、標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるべきという議論の整理が取りまとめられ、今後、これを受けて、社会保障審議会医療保険部会において具体的な制度設計について御議論がなされるというふうに考えております。

 また、課題について御指摘がございました。特に、いわゆる出産費用の保険適用につきましては、検討会でも様々な御指摘があり、具体的には、妊婦の経済的負担の軽減と地域の周産期医療提供体制の確保、これをどのように両立していくかという点がございました。

 さらに、もう少し言えば、地域や施設によって出産費用の差が大きいという現状が今ございます。こうした中で、一方で、保険適用というのは一般的には全国一律の点数ということになっていきますと、産科の医療機関の中では、経営状況が厳しくなって、こういった保険適用によって経営が続けられなくなるというような懸念も、特に医療側の方から寄せられたところであります。

 それ以外にも、無償化の対象とする標準的な出産費用の対象をどうするかとか、医療保険財政における給付と負担のバランスをどう考えるかなど、いろいろな御指摘をいただいたところでございますので、今後、関係者の御意見を伺いながら丁寧に検討を進めていきたい、このように考えております。

長谷川(淳)委員 鹿沼局長、ありがとうございます。

 保険適用によって、自己負担が生じないかという懸念に対しては、検討会が結論として自己負担無償化ということを打ち出したということは、妊産婦の負担軽減に直接的なメッセージとして大変評価できるんじゃないかと思いますが、御指摘のように、保険適用による一律化あるいは標準化の効果によって、地域の産科診療所が立ち行かなくなるんじゃないかという懸念があるということは、やはりこの後の大きな論点ではないかと思います。安全で質の高い周産期医療提供体制の確保との両立をいかに図っていくかが課題ではないかと思います。

 そこで、地域の産科医療体制の確保についてお伺いをしたいと思います。

 日本では、病院と診療所のお産がそれぞれ五四%、四五%、大体半々、助産所の出生が〇・五%ということでございます。例えば愛媛県ではこれが逆転していまして、診療所が六割、病院が四割ということで、日本は地域分散型の周産期医療体制になっている。この地域分散型の役割分担が、諸外国と比べて妊産婦死亡率あるいは周産期死亡率が共に低い、世界でもトップクラスの周産期医療体制を確保しているのが、正常な分娩は地域の産科診療所、ハイリスクの出産は基幹病院である総合周産期母子医療センター、こういった役割分担が定着していることが、こうした世界でもトップクラスの周産期医療体制を支えているというふうに指摘をされているところでございます。

 一方、そうした医療提供体制が、出産費用の保険適用によって地域の産科診療所が分娩の取扱いを中止せざるを得なくなって、行き場のなくなったローリスクの妊産婦の方が基幹病院に来られてしまう、そうしたら、周産期医療は崩壊してしまうんじゃないかといった懸念も指摘をされているところでございます。

 そこで、やはり、妊婦の費用負担軽減と地域の産科医療体制の確保が両立をするように、まず、現下の産科医療機関が直面している厳しい経営実態等に十分配慮し、令和六年度補正予算の緊急的な支援パッケージにおいて迅速な支援を行っていただきたいと思います。

 その上で、出産費用の保険適用の検討に当たっても、周産期医療の崩壊につながりかねないとの懸念もございますことから、安全で質の高い周産期医療提供体制の確保との両立が不可欠と考えますが、見解をお伺いいたします。

吉田大臣政務官 急激な出生数の減少に伴いまして、分娩取扱施設数が減少する地域も生じてきている中、妊婦の方々が安心して分娩できる周産期医療体制の確保というのは、委員御指摘のように大変重要であるというふうに考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、令和六年度の補正予算により、緊急的な支援パッケージの一つとして、分娩数が減少した施設等への財政支援を行っておりまして、速やかに必要な支援を現場に届けてまいるところであります。

 また、有識者検討会におきまして、標準的な出産費用の無償化と安全で質の高い周産期医療体制の確保との両立を図ることが必要とされたことも踏まえて、周産期医療を取り巻く環境の変化に柔軟に対応しながらも、地域ごとに必要な体制確保に取り組んでまいりたいと思います。

長谷川(淳)委員 吉田政務官、ありがとうございます。

 緊急的な支援パッケージの中で、今御指摘がありました分娩数が減少している産科診療所の支援、あるいは地域での産科医療機能の維持のための支援、これを是非お願いしたいと思います。

 続いて、厚労省の検討会では、出産費用の無償化にとどまらず、妊娠期から産後までを通じた切れ目のない支援の充実の必要性、特に妊婦健診に係る経済的な負担の軽減を指摘をされています。

 妊婦健診は、国で望ましい内容を定めて、国から地方交付税措置を行って、自治体が自治事務として公費助成をしているという状況でございますけれども、自治体間の格差があるということがこれまで指摘をされています。ここ数年、こども家庭庁から各自治体への調査や働きかけを通じて、一定の格差是正の改善は見られているところでございますけれども、依然として格差が大きくなっています。

 そこで、妊婦の負担軽減のために、自治体ごとの公費助成状況の一覧化ですとか、あるいは各医療機関の健診費用の見える化など、これを更に進めていただくとともに、やはり少子化対策は我が国の最重要課題でございます。妊婦健診についても、全国どこでも格差なく実施されるナショナルスタンダードという認識に立って、国と地方の役割分担の在り方も含めて、全国的に格差なく公平に実施される仕組みを検討すべきと考えますが、こども家庭庁の見解をお伺いします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、妊婦健診の自己負担軽減は重要な課題と考えております。

 妊婦健診の公費負担につきましては、妊娠の週数に応じた検査項目等の基準を告示で示し、その健診実施に必要な費用に対して地方交付税措置を講じているところでございます。

 現状、各自治体による公費負担の実施状況は、改善傾向にはあるものの、ばらつきが見られると承知しているところでございます。妊婦健診として必要な検査の実施に当たって、妊婦の方々に自己負担が発生しないよう、各自治体に公費負担の一層の充実を依頼するとともに、総務省とも連携して、個別の都道府県の妊婦健診担当部局長などに対して直接連絡を行い、改善を働きかけるなどの取組を進めているところでございます。

 また、先日公表しました妊婦健診の公費負担調査におきましては、新たに市町村ごとの公費負担状況を公表するなど、公費負担状況の更なる見える化を進めているところでございます。

 今後更に、厚生労働省の出産なび等で、医療機関ごとの健診費用の見える化を行うことも検討しております。

 今回の調査結果を踏まえまして、今後改めて個別の自治体での対応状況を伺いまして、技術的助言や改善の働きかけを行うこととしておりまして、こうした取組をしっかりと行っていくとともに、妊産婦の更なる負担軽減に向けて何ができるか、引き続き検討してまいりたいと考えております。

長谷川(淳)委員 ありがとうございます。

 出産費用の無償化の検討と同様に、望ましい基準内の標準的な妊婦健診についても、妊婦に自己負担が生じないような取組を是非とも進めていただきたいと思います。

 最後に、妊娠期から出産、産後までを一貫した総合的な支援の強化についてお伺いをしたいと思います。

 少子化対策は待ったなしの課題でございます。また、物価、賃金の上昇等によって、出産育児一時金の支給額の増額後も出産費用が年々上昇して、妊産婦の経済的な負担が再び増加をしております。今ほど質問させていただいた妊婦健診の自己負担の問題もございます。また、産後ケアのニーズも増加をしております。

 こうした現状を踏まえますと、やはり出産費用の無償化の早期実現、妊婦健診の格差是正も含めまして、妊娠期から出産、産後までを一貫して、妊産婦本位で、切れ目のない総合的な支援体制の構築に向けて、安全で質の高い周産期医療提供体制の確保との両立を図りながら検討を加速する必要があると考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 昨年一年間の出生数は過去最少の六十八万六千六十一人、合計特殊出生率は一・一五と、少子化に歯止めがかかっていない状況に私としても危機感を感じておりまして、重く受け止めなければならないと感じています。

 こうした中で、妊産婦への更なる支援の強化についてスピード感を持って実現していくことが極めて重要でございまして、私としても、こども家庭庁と連携して、省庁の垣根を越えて対応していく必要があると考えています。

 本日の朝開催されましたこども政策推進会議におきまして、総理からは、標準的な出産費用の自己負担無償化と安全で質の高い周産期医療の確保を進めるよう指示を受けたところでございます。

 令和八年度を目途に具体的な成果が得られますように、産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら、具体的な制度設計を進めてまいりたいと思います。

長谷川(淳)委員 大臣、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。

 今日も、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 早速、一ページ目、今日はちょっとパネルも用意をさせていただきましたが、六月二日の参議院予算委員会で、我が党の石垣のりこ議員が石破総理に対して、これは私も今日、マイナ保険証の問題、そしてそれにまさに直結する資格確認書、その再発行の問題も冒頭にさせていただかざるを得ないわけです。

 これは、石破総理が六月二日の答弁で、資格確認書の再発行に一万円もかかるはずはないというふうに述べられまして、この記事の皆さん、ここの各健保さんの、ポーラさんが一万円、これも見直しを表明されたわけですね、同じ六月の二日の日に。その左側に書いてありますけれども、マイナンバーカード自体の再発行料は千円、特急発行でも二千円なんですね。こういう背景も含めて、恐らく石破総理は再発行に一万円もかかるはずがないと述べられたと思います。

 しかし、この記事に赤線を下につけていますが、厚生労働省は通知を出して、社会通念上、過大なものにならないように留意すると出しているんですけれども、これだけでは健保さんの方も判断つきかねるわけですよ、はっきり言って。五千円は過大なのか、三千円はいいのか。

 お米は、今、皆さん、五千円が高いということで、小泉農水大臣が備蓄米をばあっと流通させて二千円台。コンビニでは小分けにして一キロ三百円台とかで売っているんでしょう。緊急対策をやっているわけですよ。お米の値段も大事ですけれども、命、健康の値段に直結する、まさに保険証代わりのお守りの資格確認書再発行、値段、重要じゃないですか。

 私は是非、厚労大臣、今後、来月以降、この後、渋谷や世田谷方式の国保の全送付の問題というか取組についてもやりますけれども、こういう全額自己負担回避とか混乱回避、そのためには資格確認書をこれからどんどん発行してくれ、再発行してくれというのが増えていくことが想定が容易につくわけですから、是非、再発行手数料、具体的な金額の目安ぐらいは何らかの形で再度通知するなりして、ちゃんと健保の方々も被保険者の方々も納得ができるような状況にしていただきたい。

 そして、同時に、資格確認書の再発行ができることを被保険者にちゃんと周知していない健保さんもあるということなんですよ。この状況をどう把握していて、そして、把握していないなら至急調査、対応すべきだと思いますが、いかがですか、大臣。

福岡国務大臣 御承知のとおり、資格確認書を最初に発行するときは、当然お金がかかりません。また、カードが割れてしまったような、そういった本人の過失によらないところについても無料でございます。

 その上で、なくしてしまったとか、本人の過失により資格確認書を紛失した際の再発行に要する費用につきまして、被保険者に負担を求める場合には、社会通念上、過大なものとならないように留意する必要があること、また、再発行費用については、被保険者代表も参加する組合会で了承を得ることを各健康保険組合に求めているところです。

 資格確認書の材質であったり発行コスト、材質も、紙であったり、はがき、プラスチックなど、様々なケースがあるというふうに承知しています。保険者によって様々でありますため、再発行手数料としてどの程度の金額が妥当か、これは一律にお示しすることは困難ではないかというふうに考えています。

 いずれにしましても、各健康保険組合がその組合会において被保険者に対して丁寧に説明することが重要であると考えていまして、このような考え方について引き続き周知をしていきたいというふうに考えております。

 また、被保険者は資格確認書を紛失した場合などは再交付を申請できること、その場合は、健康保険組合は資格確認書を再交付しなければならないこと、このことが法令上義務づけられておりまして、これは、従来の健康保険証とは取扱いが変わるものではございません。こういった点についてもしっかり周知を図ってまいりたいと思います。

柚木委員 しっかり周知を図ってまいりますということであれば、もう来月、大混乱が各自治体で想定をされているからこそ、渋谷、世田谷が前倒しで、国保の被保険者に、後期高齢者だけじゃなくて全送付を決めたわけですよ。それにも関わる話なので、是非再度、先ほどの再発行できること、こういうことをちゃんと周知するような再度通知を私はしていただきたいし、具体的なその金額を、なかなか目安を示すのがしづらいという趣旨の答弁だったんですけれども、健康保険証そのものの再発行だって、国保とか後期高齢者の保険に入っている方々は無料じゃないですか。無料じゃないですか。決めているわけですよ。何で健保の資格確認書の再発行の金額の目安すら示せないんですか。

 ちなみに、ポーラさんはもう対応されると聞いていますけれども、ポーラさんの再発行手数料をどうされるか、厚労省としては把握されているんですか。

福岡国務大臣 個別の、個社の扱いについては把握をしてございません。

柚木委員 恐らく、まさに国保とか後期高齢者の保険証の再発行無料というのも含めて、そういったものも含めた対応を何かなされるやにお聞きしているわけですよ。ということは、下げるわけですよね。マイナカード発行千円、特急発行でも二千円とか、まさにこういうものが一定の目安に既になっているわけですから。

 じゃ、ちなみにですけれども、私、個別の健保さんに何のあれもありませんよ、ありませんけれども、これは東京新聞さんが独自に取材して、何でかといったら、厚労省が把握していないわけですよ。把握していないんですよ、再発行の手数料。だから、ライク健保さんとかが五千円、森永健保さんとかが三千円。五千円や三千円というのは、社会通念上、過大なんですか。どうなんですか、厚労省としては。

福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、資格確認書の材質であったり発行コストは保険者によって様々でありますから、幾らであれば過大なのかについて、一概にお答えすることは困難でございます。

 その上で、再発行手数料の金額を設定する際には、組合会で了承を得ることが必要でございまして、そこには被保険者の代表者の方も入っていただいているわけですから、そういった方々としっかり合意を得ながら、丁寧な説明を行っていくことが必要だと考えております。

柚木委員 でも、それだと結局、今回、ポーラさんが急遽、総理答弁のあったその日に対応するというのを決めたのも、ちょっと申し訳ないけれども、石破さんにそんな再発行に一万円もかかるはずないだろうと答弁されたら、それは対応しますよ、はっきり言って。大変な騒ぎになりますよ、会社の中だって。言われたからそうなっちゃっていて、じゃ、ほかのところは、今のように厚労省としては何も言えませんじゃ、対応しようがないじゃないですか。

 是非、ちょっと今後の推移を見ていただいて、必要な対応、通知等を含めて、健保の中で会議で決めるにしても、やはり被保険者さんが納得をいただける対応を強く求めたいと思うんです。

 何でそういうことを言うかというと、次の質問なんですけれども、世田谷方式、渋谷方式で、結局、国保の被保険者の資格確認書の全員送付を決めたわけです。

 皆さんの資料の六ページ目におつけしておりますけれども、要は、愛知県各自治体に保険医協会さんが聞き取り調査をしたら、軒並み、はっきり言うと、東京が羨ましい、渋谷、世田谷のようにできてと。我々もやれるものなら全送付して混乱回避したいと。住民の皆さんも不安に思っていて、どんどん問合せも来ている。もっと言うと、川崎市なんかは、補正予算を二十億以上組んで、役所以外のところに対応する場所もつくって、要らぬ税金を使ってやらざるを得ない状況になっているんですよ。神奈川県なんかも、後期高齢者全員送付するなんて聞いていないから、そうじゃない形で、ちゃんと資格確認書をもらえるように届出してくださいよと、要らない税金を使って、人も使っているんですよ。

 だから、私がこれまでもお尋ねしてきたのは、こういう資格確認書の全員送付などに関連して各自治体へヒアリングをして、そして、その意見も踏まえて対応してくださいよと。少なくとも愛知県では九の自治体が、渋谷や世田谷と同じように資格確認書を全交付して混乱を回避したい、治療費、窓口全額自己負担のようなことが起こらないようにしたいと答えていらっしゃるわけですから。

 福岡大臣は、自治体の意向をこの間どのようにヒアリングをして、私、具体的に神奈川とか川崎とか今日は愛知の例も挙げました、そういうところにどのようなヒアリングをして、どういう対応をしていくのか、具体的に、端的に是非お答えください。

福岡国務大臣 先日、個別の自治体の状況を把握しながら必要な対応を行うと答弁させていただきましたが、国民健康保険の被保険者全員に資格確認書を交付するとしている世田谷区、渋谷区に対しまして、その状況を伺いました。両区からは、マイナ保険証の利用率が低い中で、国民健康保険の保険証の有効期限が到来することによって混乱が生じることを懸念して、被保険者全員に資格確認書を交付する方針であるということを承っております。

 御指摘いただきました自治体、川崎市であったり愛知県に対しましても、状況の確認を行わせていただきました。少なくとも、私どもが事務的にお伺いした中では、自治体の現場での大きな混乱が想定され、被保険者全員に資格確認書を交付すべき状況にあるとは伺ってございません。

 引き続き、個別の自治体の状況を把握しながら、患者さんの不利益であったり、自治体や医療機関の窓口での混乱が生じないように、国民の皆様や医療機関等に対して丁寧に、マイナ保険証や資格確認書で医療機関を受診する際の運用について周知を図ってまいりたいと思います。

柚木委員 食い違っているじゃないですか。この資料におつけしている、愛知県の九の自治体で少なくとも私がお聞きしているのは、渋谷、世田谷方式のようなことをやれるものならやりたい、住民の混乱回避、十割の窓口自己負担回避と。

 何でそんなことになるかというと、次のページの五月三十日通知なんですよ、皆さん。これはホームページにもアップされていないんですよ。こっそりと、こういう、都道府県を使って市区町村に圧力をかけているんですよ。全員一律に資格確認書を交付する状況でない、こんなのを出されたら本音を言えるわけがないじゃないですか。異なっているじゃないですか、現場の声が。

 確認しますけれども、今回、五月三十日通知も出していますが、私は、愛知県のこういう九の自治体が東京の渋谷、世田谷区のように資格確認書の全送付をできるのならやりたいと答えていることも踏まえて、やはり来月以降、マイナカードの更新十年とマイナ保険証の電子申請の部分の五年が重なって、今年、来年、再来年と二千万人規模でまさに期限切れ問題、窓口自己負担問題、自治体大混乱問題が続くわけですから、緊急避難的に、お米はスピード感、スピード感とやって一週間もせずにコンビニでは一キロ三百円、備蓄米だって二千円でやっているのに、何でこういう命や健康に関わる問題、何か月もかかっているんですか。

 是非私は、自治体のそういった判断、これを例外的に緊急的に、厚生労働省としてこんな五月三十日通知のような圧力をかけるんじゃなくて、逆に、そういった判断も別に奨励はしないけれどもあり得る、そういう判断を。

 このタイミングでやらなかったらもう間に合わないですからね、はっきり言って。七月末にそういう大混乱が起こるので、既に間に合わないから世田谷、渋谷は前倒しでやっているんです。ただ、八月、九月とかのところもありますから、今ならまだぎりぎり、自治体も固唾をのんで見守っているわけですから。

 私は緊急対応を通知などすべきだと思うのと同時に、そもそも、皆さん、国保は市区町村が所管をしているわけですから、国が、市区町村の渋谷や世田谷のようなやり方、独自に資格確認書を全送付するということは禁止することはできないはずなんです、そもそも。

 禁止することができないかどうかも含めて、緊急対応すると通知を出すということと、渋谷、世田谷方式を全国の自治体がまねしても国として禁止できない、明確に答弁をお願いします。

福岡国務大臣 資格確認書は、法律の上で、被保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときに交付することとしております。

 その上で、特に七十五歳以上の後期高齢者の方々については、新たな機器の取扱いに不慣れである等の理由で、マイナ保険証への移行に一定の期間を要する蓋然性が一般的に高いと考えられることから、マイナ保険証の保有状況にかかわらず、資格確認書を職権交付する暫定運用を行うことといたしましたが、国民健康保険の被保険者は様々な年代、属性の方がおられますので、そうした状況にはないと考えてございます。

 制度の趣旨にのっとって適切に運用がなされるように努めてまいりたいと思います。その上で、今委員おっしゃったように、それぞれの自治体、そういったところの声については引き続きしっかり承ってまいりたいと思います。

柚木委員 ちょっと、ちゃんと通告どおり答弁してくださいよ。

 健康保険上の第十五条で、必要があると自治体の保険者、つまり首長が認めるときは、職権で、まさにこの資格確認書の全交付のことを指しているわけですよ、交付することができると明確に書いてあるじゃないですか。

 国として、渋谷、世田谷方式を全国の自治体がまねして、禁止することはできませんね。明確に答弁してください。

福岡国務大臣 国といたしましては、様々な年代、属性の方が含まれる国民健康保険の被保険者全員に資格確認書を一律に交付する必要があるとは考えておらず、制度の趣旨にのっとって適切に運用がなされるように努めてまいります。

柚木委員 何で答えないんですか。ちょっとおかしいですよ。これじゃ納得できません、この答弁では。ちょっと理事の皆さん、井坂さんはいないけれども、ちゃんと答弁させてくださいよ。

 国は禁止することができないと書いてあるわけですよ。健康保険法上の十五条に、職権交付できる、保険者は。それなのに答えないんですから、これじゃ答弁になっていませんよ。一番のポイントですよ、今の答弁。

藤丸委員長 議事を止めてください。

    〔速記中止〕

藤丸委員長 起こしてください。

 福岡大臣。

福岡国務大臣 委員の御指摘の点につきましては、自治事務でございますので自治体の判断ということになりますが、あくまでも国といたしましては、資格確認書を一律に交付する必要があるとは考えておりませんので、制度の趣旨にのっとって運用していただくように努めていくということでございます。

柚木委員 つまり、自治体の委任事務だから禁止はできないと今答弁したわけですよ。禁止できないという趣旨ですからね、うんとうなずいていますから。

 全国の自治体の皆さんは固唾をのんで見守っていますからね。厚労省は、渋谷、世田谷方式を、全国の自治体の方々がまさに混乱回避、窓口十割自己負担問題回避のために国保の被保険者に全送付しても、厚生労働省は予算を削ったり意地悪しないということですからね。いいですね。ちょっとイエスかノーかだけ、最後、答えてください。イエスかノーかだけ、イエスかノーかだけ。ほかもやらなきゃいけないんだから。

福岡国務大臣 ですから、国としては、法律上、被保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときに交付する、このことを各自治体にお願いをする。最後は、そこは自治体の御判断というのは、そのとおりだということでございます。

柚木委員 とにかく、自治体の事務だったら禁止できないということですから、これは答弁に残りますからね。本当に自治体の皆さんは今日の答弁を注視して見ているわけですからね。今後、五月三十日通知に更に輪を加えて圧力かけるような通知を出すやに、何かうわさも聞くので、そんなことは一切ないと思っていますので、今の答弁は重要なので、是非皆さん、地元の自治体から聞かれたら、そう答えてください。

 介護従事者支援、骨太二〇二五年の部分で、介護と医療とまとめてちょっと聞きますし、もっと言うと、歯科技工士不足問題も報酬改定に関わるからちょっとまとめて聞いちゃいます、時間がないので。これは重要なので。

 資料の八ページ目を見ると、骨太方針二〇二五に医療、介護、賃上げ策検討となっているんです。そして、この以降を見ていただくと、まさに福岡大臣も、もちろん次期報酬改定、十ページ目、もとより、それまでの間も、次期報酬改定を待たずにという意味ですね、それまでの間も必要な対応を行っていくと。

 次のページ、十一ページ目にも、厚生労働省のまさに骨太方針の会議の当日に出している資料にも、次期報酬改定はもとより、それまでの間においても必要な対応を行っていくと書いているんですね。

 ちなみに、十二ページ目、日本介護クラフトユニオンさんの、ここでも参考人でお答えいただきましたけれども、まさに介護報酬カットによって、訪問介護、九割の方がサービス提供を断っている。その結果、四割の方が家族介護、これはもう五年後には家族介護、どんどん仕事を辞めて九兆円の経済損失と言われているわけですよ。そういう状況があるから、次のページに緊急声明を日本介護クラフトユニオンさんも出されていて、まさに減収補填は次の介護報酬改定を待たずして補助金等で対応。

 もっと言うと、さらに次のページを見てもらうと、来年の春にもまさに期中改定も行う、つまり、秋の補正でもやる、来年の春の期中改定もやる、そういう必要があるということを述べている。

 そして、私たちは、十五ページ目に、まさに介護、障害福祉人材の賃上げ法案を出している。

 もっと言うと、次のページを見ていただくと、我々は五月二十八日の日に厚労大臣に、翌日は総務大臣に、まさに診療報酬プラス改定はもとより、交付税措置、補助金等での緊急支援、そして、特に公的病院など全体の七割赤字ですから、その支援をする。

 そして、次の十七ページ目も見ていただくと、病床適正化支援についても、地域の自主性、地域のリソースをちゃんと踏まえた検証、対応をやる。医療法改正がやれないからもう議論できないんですよ、この国会で。

 控除対象外消費税問題も、赤字になっていますよね、この物価高で。だから、当然、補填を維持するし、新たな税制上の早期の措置を講ずる。

 地域医療介護総合確保基金も、我々は国費でしっかりと対応するということも述べている。

 ベースアップ評価料や基本料引上げ、この検証をして、次期報酬改定で、薬剤師さん、看護師さんはもとより、臨床検査技師さんや医療事務等の医療従事者等の更なる賃上げ可能になるようなベースアップ評価料の見直しも行っていく。

 人材紹介業などへの過度な手数料に対する対策も講ずる、医薬品不足に対して毎年薬価引下げ改定はやめる、こういったことももろもろ提案もし、最後の十九ページ目には、何と歯科技工士さんが、私もちょっと余り詳しくなかったんですけれども、本当にもうどんどん辞めていく状況。

 入れ歯を使っている方というのは、私、ちょっとそれも存じ上げず、一千万人ぐらいいらっしゃるんですね。入れ歯難民が大量発生するというような危機的な状況の中で、厚生労働省としてもその状況は把握をしていて、これは歯科技工士さんの報酬を一〇パーぐらい引き上げる必要があると言われていますが、歯科診療所も払いたくても払えないんですよね、その技術料、手数料を。四割ぐらいしか払っていないというのが兵庫県の保険医協会の調査。

 だから、私は是非、この歯科技工士問題については、歯科技工士さんたちのまさに評価報酬を一〇%以上引上げというのと同時に、それが可能となるような歯科の基本診療料、初再診料などの引上げも含めてセットで取り組まないと、歯科技工士さんがもう絶滅危惧種みたいな状況になっちゃっていますから、そのことも併せて、是非それぞれ、医療、介護、歯科技工士問題、ちょっと申し訳ないけれども、併せて答弁をお願いします。

福岡国務大臣 まず、骨太の方針に関する具体的な議論は、まずはこれからというふうに承知をしています。

 介護報酬におけます令和八年度の処遇改善につきましては、これは予算編成過程で検討することとしておりますが、報酬改定で措置する場合には、期中改定で対応することとなると考えております。

 医療、介護の現場を取り巻く厳しい状況につきましては、私自身も現場の関係者の方々から様々なお声をお聞きしていますし、この国会の議論でも様々な御指摘があったところでございます。こうした認識の下、今般講じている措置の効果も把握しながら、財源と併せて必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

 あわせて、歯科技工士の方々に対するお問合せがありました。令和六年度診療報酬改定におきましては、歯科技工士等の人材確保であったり賃上げを図る観点から、初再診料や補綴物の製作の評価の引上げ等を行ったところですが、取り巻く環境が厳しいというのは御指摘のとおりです。

 今後、日本歯科技工士会の協力を得まして、令和六年度診療報酬改定前後の歯科技工所の売上げであったり、歯科技工士の賃金等に対して調査を行わせていただく予定でございます。

 歯科技工士につきましては、歯科医療機関と歯科技工所の自由取引に基づいて料金については設定をされておりますが、歯科医療機関から歯科技工所に対する委託が円滑に実施されますように、標準的な割合として、おおむね七割が歯科技工物の製作に要する費用、おおむね三割が歯科医師が行う設計や調整等に要する費用とすることを告示でお示ししておりまして、こうした考え方について引き続き周知をしていきたいというふうに思います。

 全体のお話もありました。八年度の診療報酬改定に向けて、歯科技工士さんの業務等が診療報酬において適切に評価されるように、中医協でしっかり議論を尽くしてまいります。

柚木委員 それぞれ、期中改定とか様々な対応をするという重要な答弁でした。歯科技工士についても前向きに来年度改定、これをやっていただけると私は今の答弁で受け止めています。

 委員長、問題は、我々がずっと提案してきた介護、障害福祉の賃上げ法案、年間十二万の賃上げ法案を、前の国会で全会派一致で議決しているんですよ、この衆議院厚労委員会で対応すると。全員賛成しているんですよ、この場におられた方が、前の国会で。それなのに、何でこの賃上げ法案、審議、採決すらしないんですか。

 委員長、この国会で、この介護、障害福祉賃上げ法案の審議、採決、委員長職権でもいいぐらいだと思いますよ、私。やってください。是非、委員長、お願いします。

藤丸委員長 今、その決議を確認しております。

 理事会においてもその協議はされておりまして、引き続き理事会で協議をしていきます。

柚木委員 もう私終わらなきゃいけないんだけれども、引き続き協議って、ずっと引き続きじゃないですか。いつまで引き続くんですか。

 この国会中に結論を得ると、委員長としてそこはリーダーシップを発揮してください。約束してください。

藤丸委員長 法律案の取扱いは与野党の理事会で決定しておりますので、私がどうのこうのというよりも、よく両筆頭とも相談して、協議していきます。

柚木委員 これは議決違反じゃないですか。議決違反じゃないですか。よく読んでくださいよ。全会一致で決めたんですよ。この国会ですらやらなかったら議決違反ですよ、この厚労委員会も含めて。

 私、この厚労委員会の案件だけで、はっきり言って、申し訳ないけれども、石破政権不信任ですよ。そうでしょう。だって、審議、採決すらさせないんだったら。医療、介護、障害福祉で全労働者の何割いると思っているんですか。手取りを増やしたって、介護離職していたら手取りゼロになるじゃないですか。

 私、納得できませんよ、今の委員長の答弁じゃ。何か、不信任を出したら採決もせずに石破総理は解散とか言っているみたいだけれども、何もやらずに解散じゃないですか。

藤丸委員長 そもそも、法律案の取扱いは理事会協議になっているわけです。既にその理事会協議もしているわけです。

 引き続き、きちっと理事会協議を詰めます。

柚木委員 じゃ、是非、この国会中に介護、障害福祉賃上げ法案は審議、採決をするということで、もしやらなかったら、私は、もうはっきり言って不信任だ。私は個人的には不信任だし、石破政権。それで解散したら、米以外何もやらずに解散ですよ。何もやっていないですから、厚労の委員会のこと、年金の底上げ以外。何もやらずに解散になっちゃいますよ。

 是非、委員長、この国会での介護、障害福祉法案の審議、採決を強く求めて、質疑を終わります。よろしくお願いします。

藤丸委員長 分かりました。

 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党、早稲田ゆきでございます。

 それでは、早速質問に入ります。福岡大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、失語症の方の復職支援について伺います。

 先日、四月でございますが、高次脳機能障害者の支援のための議員連盟が超党派で設立をされました。失語症を含む高次脳機能障害者への支援のために、この法制化について、今ここにおられます田畑委員を中心として、超党派で議論が行われている最中でございます。

 高次脳機能障害者、余り聞き慣れないとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、脳梗塞であるとか、それからまた脳卒中、その疾病、それからまた交通事故などによって、突然、今まで不自由を感じていらっしゃらなかった皆様が、記憶の障害、それからまた社会的行動の障害、そして失語、それから失行、そうしたことで、認知機能が衰えて大変不自由な生活をされているということであります。

 取り巻く課題というのはたくさんありますけれども、今日は時間もございませんので、失語症の方の復職支援、両立支援に絞って質問したいと思います。

 失語症の方が仕事との両立を図るためには、機能回復訓練の開始、これが退院後早ければ早いほどよいという認識を大臣にも共有していただきたいと思います。そして、退院後、障害者手帳を取得するまでの間であっても、医師の判断により、医療機関内の外来でリハビリを受けることはできます。でも、医療の一環としてでありますので、回数も時間も制限がされているというのが、内容的にも、復職には非常に不十分であります。その中で、五十万人もいるともされる失語症の方が仕事との両立を図るためには、やはり一刻も早く、御自身が生活をしていらっしゃる地域で機能訓練が可能となるようにすべきであります。

 介護保険の優先、こうした原則との調整、それからまた、退院後、障害福祉サービスを受けるのに半年間かかってしまう、これも、待たなければならない実態を改善をしなければなりません。そして、機能訓練事業所数、これが圧倒的に足りていませんので、この訓練事業所を全国的に確保していくべきです。

 これらの失語症の方をめぐる課題について、私たちは超党派の議連の中で、切れ目のない支援という言葉を条文の方で検討しているところでありますが、このことによって、厚生労働省内で、障害部局だけにとどまらず、各局が連携をして前に進んでいくのではないか、そして、このことについてと、失語症の方の長年の要望実現を法制化でやっていきたいと思いますけれども、この法制化の意義について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘の議員立法につきましては、現在、超党派の議員連盟において提出に向けた議論がなされておりまして、その内容といたしまして、議員立法の対象となります高次脳機能障害の定義に失語が含まれること、失語症の方を含む高次脳機能障害の方の支援につきましては、リハビリテーションを含む医療の提供から、地域での生活支援を経て社会参加への支援に至るまで、医療、保健、福祉、教育、労働等を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行われなければならないことなどが盛り込まれているものと承知をしております。厚生労働省としても、法案提出に向けた議論の動向を注視をさせていただいています。

 現在議論されております議員立法がそのような方向で成立した場合には、この法案の趣旨を十分に踏まえまして、失語症の方を含む高次脳機能障害の方ができる限り早期に適切な支援が受けられますように、省内関係部局でしっかり連携を取りながら取り組んでまいりたいと思います。

早稲田委員 大臣、ありがとうございます。重要な答弁をいただきました。

 なかなか、切れ目のない支援というのは、一言で言えばそうですけれども、各局がやはりばらばらであってはそういうふうになりませんので、是非、私たちもこれから、この法制化に向けて、そしてこれが失語症の方を含め、高次脳機能障害の方にとって前に進む政策になるように、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 それから次には、障害年金の不支給問題であります。

 時間がないので二つまとめてお聞きしたいと思いますけれども、私たちは、年金改革法案の附帯決議の中で、この不支給問題が出て、これを契機として、「実態把握のための調査結果を踏まえ、必要な措置を講ずるとともに恣意的な判定がなされないように透明性を確保するための検討を行い必要な措置を講ずること。」といたしました。そして、その調査結果、先ほどもありましたけれども、六月中ということですが、もう最終盤の厚労委員会、最終盤の国会であります。何とかこれは是非、来週でも厚労委員会のところに出していただきたい、そして議論ができるようにしていただきたいと思います。その点について一点。

 それからまた、この検討でありますけれども、機構のいろいろな、様々な問題が、内部告発というような形で今回報道がされております。その中で、機構自身もいろいろ変わろうとして改革をしてきている。例えば地域格差があったものを審査を一元化したり、そういう改革はしていらっしゃることも十分分かりますけれども、やはりこれを契機として、厚生労働省が、障害年金の認定の在り方についてきちんと厚生労働省として検討会を設けるべきと思いますが、この二点についてお答えください。

福岡国務大臣 今まさに、令和六年度におけます障害年金の認定状況について、その実態把握のための調査をしております。この中で、個別の事例について適正に審査されているかどうかを速やかに確認をすることとしております。この国会中の六月中旬を目途に公表すべく現在作業を進めておりますので、その結果を踏まえて必要な対応を行ってまいりたいと思います。

 その上で、検討会を立ち上げて議論すべきじゃないかという御指摘もありました。これについては、今まさに個別の事例について適正に審査されているかどうかを確認しているところでございまして、まずは、その結果を踏まえ、必要な対応を取っていきたいと思います。

早稲田委員 ほとんどお答えになっていらっしゃらないと思うんですけれども。

 六月中は分かっているんですけれども、来週でもなければ、これが議論できません。途中経過でもいいので、是非、今国会中の厚労委員会に出していただいて、ここでの協議ができるということでよろしいですね。

 これを確認をしたいのと、それから、厚生労働省としてやはり検討会を立ち上げないと、これだけの問題ですから。問題があるかないか分からないからというような御答弁ですけれども、きちんと厚生労働省が所管としてやっていただきたいということを強く要望させていただきたいと思います。お願いします。

 厚生労働委員会を開いて、やっていただけますよね、今国会中に。それだけ、もう一度。

福岡国務大臣 厚生労働委員会でどう扱うかについては、まさに現場で御議論いただくことでありますが、今国会中の六月中旬を目途に公表すべく今作業を進めさせていただいている、それをなるべく早くお示しできるように努力をしたいと思います。

早稲田委員 国会の最終日に出してくるというようなことは絶対にないように、途中経過であっても厚労委員会で議論ができるようにお願いをしたいということを強く要望いたします。

 それから、デジタル化についてであります。地方自治体が行う検診のデジタル化についてです。

 今回の法案で自治体検診のデジタル化のモデル事業を進めるということでありますけれども、医療法をなぜ審議しないのかということも、強くこれは抗議をしたいと思います。まだ時間がありますので、しっかりと審議をしていただきたい。お願いします。

 そして、先進的に自治体として検診のデジタル化を進めているところもございます。幾つもあると思いますけれども、私の地元の湘南記念病院では、乳がん検診について独自でアプリを開発して、問診、それから電子化する、それからまた画像も含めてこうしたことをやっていらっしゃいます。非常に有効だと伺っています。

 今後、国全体で進めるモデル事業の中で、こういう地方自治体の例もしっかりと踏まえて進めていただきたいと思いますが、大臣には、今の事例と、事例に対する御見解、それから、国全体での検診のデジタル化を進めるのであれば、まずは広域でやっている、医師会などもやっていらっしゃるデジタル化等々も含めて、これを踏まえながら、実情も見ながらきちんと進めていただきたいと思いますが、見解を伺います。

福岡国務大臣 住民の方々の手間であったり、自治体や検診実施機関の事務コストを軽減する観点から、がん検診などのデジタル化の取組を進めるということは大変重要であると考えています。

 このため、国としましては、今年度より、乳がん検診も対象に含め、自治体検診のデジタル化に向けたモデル事業を実施することとし、マイナポータル上での受診勧奨であったり、問診項目の入力、検診実施機関におけますペーパーレス化等を具体化していくこととしております。

 その上で、デジタル化の取組が広がりますように、今委員からは御地元の例についてもお示しをいただきましたが、既に取り組まれている自治体の実情であったり関係者の方々の御意見も伺いながら進めてまいりたいと思います。

早稲田委員 是非、いろいろやっているところが多くございますので、そうしたことも実情を踏まえて、そして、モデル事業も考えていただきたいというふうに思います。

 順番を変えまして、障害者のグループホームの利用者紹介ビジネスについてであります。

 時間がないので質問を少し飛ばしますけれども、資料の方はつけておりませんが、グループホームの利用者紹介事業というのが有料でやられていて、これが大変問題になりました。旧アニスピというところについての問題でありますけれども、そもそも、相談支援事業所、これが本来の機能を果たしていない。適切に利用者に、利用者のニーズは高いわけなんです、だけれども、利用者の方がそこに行き着かない。そういう選択肢を示していないのではないかと思います。

 それと、問題を重ねますけれども、この紹介事業について、現時点で明確な指針、方針が示されていない中で、旧アニスピのような悪質な事業者に対して、事業者が指導を受けているわけですけれども、何が悪かったのか、今まではどうやって指導してきたのか、なぜここまで放置をしてきたのか、処分ができるのか。

 二つまとめて伺います。

福岡国務大臣 まず、相談支援につきましては、障害者の方々の生活を支えるサービスの利用援助であったり、生活上の課題への相談、情報提供などを行うものでございまして、障害者の方々が希望する地域生活を実現するための大変重要な役割を担っていただいております。相談支援の事業所であったり相談支援専門員が不足しているなど、相談支援体制の強化が必要であると認識をしております。

 このため、令和六年度報酬改定によりまして、基本報酬の引上げや加算の創設、拡充、また、令和六年度補正予算によります相談支援従事者等の養成研修の充実などに取り組んでおりまして、近年は相談支援の事業所数、相談支援専門員数共に増加傾向にあると承知をしております。

 引き続き、地域における相談支援体制の強化に努めてまいりたいと思います。

 その中で、悪質な事業者等についての御質問がありました。個別の事案についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論として申し上げますと、障害福祉サービスは、障害者の方々自らがその内容や質に基づき選択し、利用すべきものでございまして、サービス事業者の紹介であったり選択が公正中立に行われますように、運営基準において、利用者であったりその家族に当該事業者を紹介することの対価として、サービス事業者等に対し金品その他の財産上の利益を供与してはならないこととされております。

 この基準につきましては、御指摘の事業者の報道があった中で、紹介事業者等が禁止される利益供与先に含まれることが不明確であったことから、本年三月に、各自治体に対しまして、このことについて、関係課長会議の場を活用して周知するとともに、運営基準の解釈通知であったり指導監査の通知において明確化を図ったところでございます。この扱いにつきましては、引き続き各自治体に対して丁寧に周知を図ってまいります。

早稲田委員 悪質な事業者に対してということで今お答えをいただきました。自治体にも周知を図ったということであります。

 一方で、ミングルというようなところもございまして、ミングルの場合、自治体に事前相談をしております。そして、指導を受けて、事業を開始して、多数の公的機関もこれを利用してきた、そして実績も上げてきたということでありまして、これは、事業者、利用者、関与してきた公的機関共に違法性の認識がなく、社会インフラとして機能してきたわけであります。

 こういう良質といいますか、きちんと自治体と打合せをしてやってきたところを今になって解釈を変えて遡及的に罰するようなことがあるのか、それはなくしていただきたいと思いますけれども、今後のことは、もちろん運営基準を変えたのであればやらなければなりませんが、こういう良質なところについてはどうでしょうか。

福岡国務大臣 今回、解釈を変えたということではございませんで、今回の対応は、紹介事業者が禁止される利益供与先に含まれるかどうか、これが不明確であったことから、運営基準の解釈の明確化を図ったものでございます。

 三月三十一日付で指導監査の通知を改正いたしまして、禁止される利益供与先として紹介事業者等も含むことを、指導監査に係る着眼点として新たに明確化をさせていただきました。

 こうした経緯も踏まえまして、処分については各指定権者において判断されるものであることが前提となりますが、現段階におきまして、今後の行為を対象とするものであって、過去の利益供与行為についてまで処分することについては想定をしてございません。

 引き続き、状況を注視しながら、適切に運用が図られるように努めてまいります。

早稲田委員 利用者の方が使いやすい、そして、それが安定的に運用がなされるように、是非これからも注視してまいりたいと思います。

 薬価について伺います。

 資料も出しておりますけれども、三ページですね。

 大臣に伺いたいのですが、医療保険に使用できる医薬品の品目とその価格を厚生労働大臣が定めたものと言われておりますから、これは、薬価について、公定価格ということでよろしいですね。

福岡国務大臣 薬価につきましては、薬剤の支給に要する額として保険者から保険医療機関又は保険薬局に支払われる際の医薬品の価格でございまして、中医協で了解された算定基準に基づいて厚生労働大臣が定める公定価格でございます。

早稲田委員 十三日にも骨太方針が閣議決定されるというふうにも聞いておりますけれども、その中に、物価上昇に合わせた公的制度の点検、見直しとして、公定価格、括弧、医療、介護、保健、福祉等の引上げと記載されるとの情報がありますけれども、薬価基準については明記されていないと聞いています。

 国民の命を守るために不可欠な医薬品の安定供給のためにも、そしてまた、医薬品について、労務費を含む適正な価格転嫁の取組を盛り込むべきと考えますが、このことについての御見解、そして、そのために、骨太方針の公定価格の中には薬価もきちんと明記をしていただきたいと考えますが、大臣の見解を伺います。

福岡国務大臣 薬価改定におきましては、国民皆保険の持続性を考慮しつつ、国民負担を抑制することが重要でありますことから、適時適切に市場実勢価格を踏まえた改定を基本としながらも、例えば、保険医療上の必要性が高い医薬品について、薬価が著しく低額で供給が困難である場合は、不採算品再算定により、原材料費や製造経費など直近の原価等に基づいて薬価を引き上げるほか、令和七年度の薬価改定におきましては、最低限の供給コストを確保するため、剤型ごとに薬価の下限値として設定されました最低薬価の引上げを行うなどの必要な対応を行っているものでございます。

 引き続き、国民負担の軽減、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保といった要請についてバランスよく対応できるよう、薬価制度の在り方については中医協で議論を進めてまいりたいと思います。

 骨太についても御質問がありましたが、そこの具体的内容については、今まさに議論が行われている最中でございまして、お答えは差し控えさせていただきます。

早稲田委員 供給不足だから申し上げているんです。安定供給になっていないところがあるから、そして、それがまだ改善をされていないということで、私たちは中間年改定の廃止ということも法案を出しておりますけれども、是非、骨太方針の中に、公定価格ということでありますから、国民のための、そしてまた労務費単価が反映されていない今現状でありますから、これも明記していただきたいと強く要望をさせていただきます。

 その上で、骨太方針について柚木議員からもございました。四ページ目、御覧ください。

 これは、今のですけれども、「「処遇改善推進」明記へ」と書かれています。これが盛り込まれるというふうに書かれているわけですけれども、私たち、今まさに国会で、この厚労委員会でも、介護処遇改善法案、これは一月三十日に、国民さん、維新さんとともに私たちも提出をしております。

 これについて、審議入りについて反対する党があるということが本当に信じられません。これだけ、先ほども柚木先生もおっしゃっていました、介護難民、介護離職、そして経済損失九兆円ですよ。介護を必要なんだけれども受けられない、そういうことであってはならないわけなんです。そして、骨太方針に盛り込んで、選挙では私たちがやりましたとおっしゃるんですか。そんなこと、二枚舌じゃないですか。

 きちんと法案を、野党の皆さん、賛成をしていらっしゃるわけですから、与党も是非これは賛成してください。去年の議決でもやっているものじゃないですか。何でこれをやらないんでしょう。

 藤丸委員長、もう一度、私からもお願いいたします。これは協議事項ですけれども、私も理事の立場でそこへ入っていますが、是非、藤丸委員長のリーダーシップの下、議決も含めて、理事会でこれをしっかりと協議をしていただきたい。処遇改善法案の審議を、まず入りましょう、やりましょうということを言っていただきたいと思いますので、理事会の協議事項でありますが、議決も含めてお願いします。

藤丸委員長 よくよく協議します。

早稲田委員 終わります。引き続きよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

藤丸委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 私も最初に、今の話、介護の問題についてお話をしたいと思います。

 改めて、これだけ介護現場が厳しい状況であり、我々、議員立法を出している中で、このまま国会で審議せずに終わってしまうというのはあり得ないというふうに思います。三人目ですが、私からも、委員長、しっかり理事会の中でよろしくお願いをいたします。

藤丸委員長 分かりました。

宮川委員 そして、先日も私、この介護の問題、大臣とお話をさせていただきました。そのときにも資料をつけさせていただきましたが、介護事業所が過去最高に倒産をしているとか、あるいは、介護士さんが辞めていってしまう、そういう流出の下で介護のサービスが提供できないというような現場の悲鳴を大臣にお伝えをし、その上で、しっかりとここに手を打っていただきたい、この議員立法の審議もしていただきたいということをお話をしたときに大臣がどのような回答をされたかということですが、まず一つは、介護職員の平均給与につきましては、令和六年度処遇改善等調査におきましては前年度比で四・三パー増と、各種取組の効果は反映されているものと考えていますという答弁をされていました。

 そうであれば、この年の全産業の平均給与の上昇率は何%だったんでしょうか。

藤丸委員長 ちょっと止めて。

    〔速記中止〕

藤丸委員長 じゃ、上げて。

 黒田老健局長。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 賃金構造基本統計調査のデータによりますと、全産業平均の数値につきましては、令和五年度が三十六・九万円、それから令和六年は三十八・六万円でございまして、上昇率、ちょっと済みません、パーセンテージは出ませんが、実額で申しますと今申し上げたとおりでございます。

宮川委員 質問通告をちゃんとこれはしていたんですけれども、お答えできないということです。ちょっと困りましたけれども。昨日いただいたデータ、お答えでは五・一%というふうに私は聞いているので、ちょっとしっかりお知らせいただきたいと思います。

 ですから……(発言する者あり)じゃ、もう一回答弁。通告していますので、これは。

福岡国務大臣 全産業の賃上げ率、これは定昇込みの賃上げ率につきましてでございますが、令和六年度は五・一〇%ということでございます。

宮川委員 ですから、この前、大臣は、前年度比で四・三%増だからこれでいいんだというような答弁をされていますけれども、全産業では五・一%。だから、それよりも介護職は低かったという答弁をされていたということだと思います。

 資料の二ページ目でありますが、これの右側の方を見ていただきたいんですけれども、これは全国老人保健施設協会ほか九団体の調査結果でありますが、全産業よりも介護のところの賃金上昇は少ない。令和六年度よりも令和七年度の方が更にこの差が広がっているというような資料があるわけです。

 そして、三ページ目の方でありますけれども、これは介護の方の賃金と全産業平均賃金ですが、これでいうと、差が八万円ぐらいあるんじゃないかということも言われているわけです。

 こういう状況の中で、大臣は答弁として、更にこの賃金差が拡大しているのに、これを答弁の回答としておっしゃられていたということ。

 もう一つ。補正予算による支援が事業所に行き届くのは本年の夏頃というように承知しておりますので、その後、これらの施策が介護職員等の処遇改善に与える効果などについてもしっかりと実態把握を行いながら、財源と併せて必要な対策を進めてまいりたいと思いますと答弁をされていました。

 補正予算で介護士さん一人五万四千円を支給するということだと思いますが、じゃ、これが支給された場合に、全産業の平均賃金上昇に対してどういう状況になると見積もっていらっしゃるんでしょうか。

福岡国務大臣 補正予算の支援につきましては、予算の積算上、常勤の介護職員一人当たり五・四万円相当の支援を行うものでございまして、一時金等の形で人件費にも充てられることとしてございます。

 今般の補正予算に加えまして、処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化などを通じまして、賃上げで先行する他産業との人材の引き合いとなっている介護分野等での更なる賃上げを進めているところでございまして、これらの施策の効果も把握しながら、財源と併せて必要な対策を講じてまいりたいと思います。

宮川委員 ちょっとよく分からなかったんですが、先ほど、この二ページ目の方でこういうデータが出ているわけです。全産業に比べて介護職の方々の賃金上昇がこれだけ低いということが新聞にも出ているわけですね。それに対して厚生労働省としては、夏まで待ってくれとおっしゃっているわけですが、どういうように予想されているんですか。これはちゃんと、全産業よりも平均給与が上がるというふうに予想されているんでしょうか。

福岡国務大臣 まず、前回の答弁について御紹介いただきましたが、全産業平均に比べて介護が低くていいんだということを言ったことはございませんで、私が申し上げたのは、元々、令和六年の報酬改定で予定していた令和六年の処遇改善は二・五%を想定していましたが、かなり事業者の方々も御努力いただいて、四%を超す処遇改善につながっている、その事実を申し上げたわけでございます。

 その上で、今おっしゃったように、ほかの産業の賃上げであったり物価上昇になかなか追いついていない、そういう状況を踏まえまして、昨年の年末に補正予算を成立をさせていただいて、それがまさにこの夏、行き渡るということでございます。

 この行き渡り方、それによって経営の状況がどうなるか、そのことをしっかり見極めた上で、更なる対策が必要だったら必要な措置を講じていくということを申し上げたものでございます。

宮川委員 計算、ある程度予想ができるはずなので、しっかりやっていただきたいと思います。

 そして、五月の十三日の日に参考人質疑がありました。この中で、日本介護クラフトユニオンの村上参考人がお話をされています。これは五・四万円の支給に対してでありますが、私どもは、その効果は軽微なものだというふうに思っています、その効果を秋ぐらいに確認して、そこから来年度予算の処遇改善分を確保して、来年春に介護報酬の改定ということなんですけれども、そんな悠長なことを言っている場合ではもう絶対にないです、現場ではということをはっきりお話しされています。

 大臣は、この村上参考人の言葉に対して、夏まで待っていても大丈夫ですということをおっしゃっているんでしょうか。

福岡国務大臣 まず、先ほど申しましたように、足下の状況をしっかり把握させていただきながら必要な対応を取っていく、このことは大変大切だと思っています。

 その上で、今おっしゃるように、そこまで待てなくて、資金繰りが成り立たなくて事業継続が難しくなる、そういったことが起こらないように、WAMによる緊急融資などによって、融資を受けられるような体制も併せて構築しているところでございます。

宮川委員 もう一度三ページ目を見ていただきたいんですが、私は、この賃金格差、八万円ぐらいになるんじゃないかということですけれども、ここの賃金格差をちゃんと縮めていかないと、介護士さんの流出が止まらないという理解だと思います。だけれども、今のこの議論で、昨年も全産業よりも賃金上昇が低かった、今年も恐らく低い、あるいは同じぐらいだと。ですから、この差は縮まらないような手当てしか今していないというふうに私は思っているんです。

 ここの賃金差を縮めていかなきゃいけないと私は思いますが、大臣、縮めていくということでよろしいでしょうか。

福岡国務大臣 まず、処遇改善の目標の在り方につきましては、他産業との人材の引き合いの状況、職務内容であったり職責、人材に求められる資質、専門性などを踏まえた多角的な検討が必要だというふうに考えております。

 その上で、先ほど来申し上げていますように、処遇改善は喫緊の課題でございます。補正予算等の支援、この状況等もしっかり見ながら、それがどれぐらい現場に行き渡っているか、そして昨今の物価上昇による影響、こういったものを踏まえながら、確実に賃上げにつながっていくような対応を取ってまいりたいと思います。

宮川委員 もう一度、大臣、ここの差なんですね。この差を縮めていくべきだという意見がたくさんあるわけですけれども、大臣は、この差を縮めていく、そういうつもりでいらっしゃるんでしょうか。

福岡国務大臣 ですから、そこは処遇改善が喫緊の課題だということは認識を共有させていただいた上で、その目標の在り方につきましては、他産業との人材の引き合いの状況、職務内容や職責、人材に求められる資質、専門性などを踏まえた多角的な検討が必要だと考えているということでございます。

宮川委員 既にいろいろなデータが出ていて、前回も出しましたが、倒産件数が過去最高であるとか、流出に関してももう既にいろいろな情報が出ているじゃないですか。今の情報が出ているけれども、今の状況では、ここを縮める必要があるかどうかはまだ判断できないという答弁を今されているんですか。

福岡国務大臣 ですから、縮める、縮めるといいますか処遇を上げる、そこの必要性については共有をさせていただいた上で、そこの在り方については多角的な検討が必要だということを申し上げたものでございます。

宮川委員 今の議論で、この前の議論のときにもこういう回答をされていますが、全くきちんとした回答をされていないというふうに思います。

 私はやはり今国会でしっかりと議員立法を議論していただいて、どういう考え方なのか、決議をちゃんとしていただきたい。それぞれの議員がどういうふうに考えているのか。我々はこれは必要だと思いますので、是非委員長、審議を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次のテーマでございますが、四月九日の日の質疑で取り上げましたHPVワクチンに関して、続きをやらせていただきたいと思います。

 改めて、私は反ワクチンの立場ではなくて、これまでの歴史上でも、天然痘やポリオを含めてワクチンの有効性というのは極めて重要だったというふうに考えています。その一方で、やはり副作用で苦しんでいる方々もいますので、そういったところの、どういうふうにやっていくのかということも極めて重要なテーマだと思っています。

 そういう中で、資料の九ページ目にお示しをした、MSD社から三原じゅん子当時の厚生労働副大臣に出された手紙をこの前出しました。この手紙の中で、厚生労働省からもMSD社に対して要請文があったということが書かれているんですが、この文書を出してほしいということを大臣にお願いをして、これが出てきたということであります。ありがとうございました。

 これを一個前の八ページ目に載せさせていただいておりますが、この八ページ目の中では、厚生労働省健康局健康課予防接種室長からMSD社に対しての手紙でありますが、「二〇二二年の四価HPVワクチンの日本向け供給については、以下のような点を踏まえた、可能な限りの数量の確保をお願いいたします。」という文章であります。これは検討部会で結論が出る前に出されている手紙でありますが、かなり発注書のような書き方になっている。

 通常であれば、検討部会でまだ結果が出ていないけれども、できるだけこういう形で準備してもらえないかというようなテンションであればまだ分かりますが、まさに発注書のような文章が出されていたということであります。

 それで、二つ前の六ページ目を見ていただきたいんですが、ここにちょっと年表のようなものを出させていただいています。前回のものにプラスアルファをしています。

 これで、二〇一九年十一月の検討部会で、数人の委員から積極的勧奨に関しての意見が出ています。しかし、その後一年半近く何もなく、二〇二一年四月二十日に、三原じゅん子当時の副大臣とMSD社が面談を行っています。その後、四月の三十日に副反応検討部会が開かれていますが、ここでは再開の議論はされていません。五月の七日の日に、今お出しをした手紙、予防接種室からMSD社に対してワクチンの依頼の発注書のようなものが出されているということです。その後、八月四日に再度検討部会が開かれていますが、ここでも再開の議論はなかったわけです。

 これを受けてか、八月の中で、MSD社が三原副大臣に対して、先ほど、九ページに載せている、ちょっと半分脅しのような、かなり強い文言の文書が出されたということであります。この後、十一月十二日の日に、積極的勧奨が再開する方向で決まっていったということであります。

 これだけを見ると、この副反応検討部会というのが本当にきちんと機能しているのかということ、検討部会よりも事務局の方が前に出ていて、事務局の判断でいろいろなものが決まっているんじゃないかというように見えてしまうわけでありますが、私はやはり、検討部会と事務局の在り方がもうちょっと正常な形であるべきだというふうに思いますが、大臣の見解をお願いをいたします。

福岡国務大臣 HPVワクチンの積極的勧奨につきましては、勧奨再開の議論を開始しました二〇二一年以前より、関連する審議会におきましてHPVワクチンの有効性等を示すデータが十分に蓄積されたこと、子宮頸がんの患者数が増加し、毎年一万人近くに及ぶなどといった疾病負荷があることなどを踏まえまして、積極的勧奨の再開について検討すべきとの指摘が審議会からあったところでございます。

 こうした指摘を踏まえまして、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、積極的勧奨の再開に関する議論を開始するとしたものでございまして、そういった意味では、審議会のそういった指摘に対して、しっかりそこは検討部会においてまた更に検討することとなったということでございます。

宮川委員 今、この年表みたいなのでお示ししましたが、これは厚労省の方から聞いたもので作っていますが、二〇一九年の十一月に、数人の委員の先生方が積極的勧奨に関しての意見は述べておりますが、やる、やらないということは一切、一年半近く何もなくて、ずっとないわけであります。だけれども、二〇二一年五月七日の日に、厚労省の方から、ほぼ発注書のようなものが出されていたわけです。

 今の大臣の答弁はちょっとおかしいと思いますが、もう一度説明いただけますか。

福岡国務大臣 まず、ワクチンの確保につきましては、予防接種法第二十三条第二項に基づきまして、予防接種の円滑かつ適切な実施を確保するため、必要なワクチンの供給の確保等必要な措置を講ずることとしておりまして、HPVワクチンにつきましても、同条第五項に基づき、国の責務の遂行に必要な協力を求めたと承知しています。

 その上で、二〇一九年に審議会から勧奨を再開すべきといった御意見を受け止めながら、そこは、時間が経過したということについては、審議会から積極的勧奨再開に向けまして検討すべきとされた課題とともに、厚生労働省としては、新型コロナウイルス感染症対策など、ほかに審議会に御意見を聞いて進めなければならない喫緊の課題もあったことから、結果として、この時期に議論を再開することとなったものでございます。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣が御説明したとおりでございますけれども、先生の御指摘は少し時間が空いているのではないかという御指摘でございますが、大臣からお話ししましたように、新型コロナ感染症など、他に審議会に意見を聞いて進めなければならない喫緊の課題があったということから、結果として、この時期に議論を再開するということになったところでございます。

 また、先ほど、業者との関係の中でやり取りがあったのではないか、それが不適切であったのではないかということでございますが、こちらにつきましても、予防接種法に基づいて対応しているものでございまして、こちらも大臣がお答えしたとおりでございます。

宮川委員 ちょっと時間の関係があるので今日はこれでやめますけれども、薬機法の改正がありました。その中で条件付承認制度の話もあって、副作用の問題の下で、こういう検討部会をしっかりしてほしいということを私は質疑の中でしたと思いますが、是非この在り方に関して責任を持ってやっていただきたいと思います。

 最後、ぎりぎりなんですけれども、前回、副作用を受けてしまった当事者の方からの要望を大臣にお願いをしました。その中で、どんなタイプの人がワクチンが合わなかったのか調査し、そのタイプの人は接種しないようにしてほしいということ、副作用の治療の研究をもっと早く進めてほしいということをお伝えしました。

 その中で、大臣の答弁の中で、私たちとしては、寄り添いながら支援を行っていくということが大変重要であるというふうに考えてございまして、現在、調査研究に当たり、医療提供体制の強化など、取組も進めていますという答弁でありました。

 ですから、調査研究を進めているということでありましたが、じゃ、この一番目の、どんなタイプの人にワクチンが合わなかったのか、具体的にどういう調査研究をされているのでしょうか。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 既に令和五年度に、ブロック拠点病院を受診した患者ごとに、患者の年齢及び接種回数や出現した症状、経過などといった状況を報告したところでございますが、現在、更に、HPVワクチン接種後の症状につきまして、症例によって発症時期、症状や経過が多様であることから、個別の患者の調査を進めております。

 また、こうしたことを踏まえまして、専門家の意見も踏まえながら、今年度中に診療マニュアルの改定を行うということで進めているところでございます。

宮川委員 ちょっと時間が来てしまったので次にやりたいと思いますが、副作用と闘って強く生きている彼女が希望を持てるように、是非こういう研究、調査、大臣、進めていっていただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、池田真紀君。

池田委員 池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 六月の四日、ニュースが流れてまいりまして、医療法の審議、今国会では難しいのではないかというニュースを拝見をしまして、今日用意をしていたこの一般質疑ですけれども、ちょっと順序を変えてといいますか、この医療法に関わる質問をさせていただきたいというふうに思いまして、まずは、この問題から取り上げさせていただきたいというふうに思っています。

 この審議については難しいということでございましたけれども、大臣も御承知のとおり、病床数の適正化事業につきましては、全国各地からの団体又は自治体からの要望を含め、各党からの要望があったのではないかと思います。私ども立憲民主党でも、公立・公的病院ワーキングチームといたしまして、部会も含めて一緒に、この間、視察をしたりヒアリングをしたりして取りまとめたものを大臣にも要望をさせていただいた次第です。

 加えて、法案の審議入りとなれば、私も、個人的に様々視察をしたりヒアリングをしたり、とりわけ北海道では、大変広域、広大で厳しい状況でございますから、全国一律の基準であれば困るなということもございまして、そういったことをお伝えしたいというふうに思っていました。

 しかし、残念ながら、このような急ピッチでの結論のような形なので、ちょっと取り急ぎでございますけれども、今日、資料に掲げさせていただいています。この三ページになります。御覧いただければと思いますが、この三ページを御覧いただければお分かりのとおりなんですが、まずは、全国で五万三千五百七十六床、約二千二百億円の事業計画、これに対して二千医療機関があった。その結果、内示が七千百七十床、金額では約二百九十四億円ということで、一三・四%が今回の内示となりました。

 そのうち、下の方を御覧いただければお分かりのとおりなんですが、この北海道を見てください。私のところだけ言うのもあれなんですけれども、そういうところを感情等を抜きにして普通に見て、非常に大変な状況になっていると思いませんか。大臣、北海道は七・二%なんですよ。物すごい差なんですね。こちらについて、大臣はどう思われますか。

福岡国務大臣 まず、先般、大臣室にお越しいただいた際に、御地元の状況であったり、置かれている厳しい状況についてはお伺いしたわけでございます。

 その上で、病床数適正化支援事業につきましては、当初の想定を大幅に上回る申請がございました。まず、他の補正予算の事業であったり融資拡充と併せ、必要な支援が医療機関の現場に行き届くように取り組みますとともに、予算の執行状況であったり足下の情勢変化等も丁寧に把握した上で、補正予算で計上したその他の予算事業の執行残も活用した予算確保であったり、更に必要な対応を検討してまいりたいと考えています。

池田委員 まず一つ、予想以上に応募があったということでありましたけれども、そもそも、それ自体が見誤ったのではないでしょうか。私は、地域にいれば、物すごく、地域の実情、ベッド数や、もうどんどん疲弊していく、町が縮小していく状況を目の当たりにしていますので、これは、到底、物すごい基準であろうと思っていました。

 三月までに出せということでございましたから、多くの自治体は、当然、議会での議決もしましたし、そういったことをやった上で、自治体病院がゼロということで、はしごを外されたということで、新聞報道も、物すごい、唐突な方針転換に憤りみたいな形で、大きな見出しをつけての報道もありました。

 ここについて、今度六月の中旬ということでありますけれども、ここをまたどういう基準で行うのか。そして、一次内示のときに、これだけの差のグラフが見えたら、どういう基準で選定をしたのか、どういうものを適正化というのかということ自体を厚労省自体が示していただくべきだと私は思っています。そこにそごがあるのであれば、こういう委員会を通して、あるいは様々な審議会等で議論を重ねていくということが必要だと思うんですけれども、大臣はいかがでしょうか。

福岡国務大臣 まず、四月に実施いたしました約七千床分の都道府県への第一次の内示に当たりましては、国において、配分基準として、公立病院には行政からの支援が期待できる中で、特に経営的に厳しい医療機関を早急に先行して支援する観点から、一般会計の繰入れ等がない医療機関であって、令和四年から六年、連続赤字の医療機関又は令和五、六年の連続赤字かつ令和六年度に病床削減等の医療機関としたものでございます。

 今後についても、今回は想定を上回る応募がありましたのでそういう対応をさせていただきましたが、今後、今申込みいただいている状況も含め、しっかりその内容を精査させていただいた上で、必要な対応を取ってまいりたいと考えております。

池田委員 とにかく、公立のみならず公的というものをどう捉えていくのかということは極めて重要だと思っています。経営状態だけではなくて、日本全国を見て、その病院がどういう地域にあるのかということ自体を、一自治体のみならず、広域、全体像を見て、そこをしっかりと厚生労働省が旗を振って、命を守るんだ、どこに住んでいても医療の心配はないんだと。もちろん、近隣の市町村や都道府県を含めて、創意工夫は必要だと思います。役割分担も必要だと思います。でも、こういった一律のような形になると、大変、極めて厳しい状況だと思っています。

 僻地における医療や緊急、そして小児、周産期、災害、精神などの、不採算、特殊部門に起こる医療を提供している、地域の医療を支えている要です。ここから、この後につながっていく在宅だとか訪問介護を含めて介護の問題にもつながってまいりますので、医療が出発点、ここがなくなったら大変、もう本当に地域は崩壊してしまいます。

 これは本当に、残余で今度やるということでしたから、そうではなくて、もう今既にある、今回については、しっかりと求められた申請に対応していただきたい。今回のもののみならず、物価高、給食、いろいろな問題がありますから、是非ここは、厚生労働省の通知に基づいて行った申請ですから、しっかりこれは対応を求めたいと思います。

 御決意だけ、簡単で結構ですので。

福岡国務大臣 委員の御指摘も踏まえまして、今後、様々、今の執行残とかも利用しながら、まずは対応を進めていくこと、必要な予算の今後の獲得、そういったことも踏まえて必要な対応を行っていきたいと思います。

池田委員 ありがとうございます。

 続いて、私は、今回、医療と介護が本当にセットだと思っているんです。この間、医療法の改正のときに、介護が一緒に審議をされるということがなかった。だから、今回、介護がここまでずたずたになったと私は思っています。

 先ほどの委員の資料にもありましたけれども、介護人材のグラフがあったと思います。平成十二年からのグラフになっていましたけれども、その前から私も現場におりましたから、どれだけ介護の現場が疲弊し、縮小してきているのか。危うい運営や経営や制度になってきている。こういったことはすごく私自身も大変問題視をしているんですが、なかなかそういう声が上がっていかないんです、政治の場に。残念ながら上がらないんです。

 何でも後回し。ワクチンだってそうだった。医療現場、看護の現場まで、ヘルパーさんは密着です。介護現場も密着です。マスクをしないで唾を飛ばさないでと言っても、そうなってしまう方はたくさんいらっしゃいます。それでも後回しでした。こういうことを含めて、この間、介護を後回しにしたツケがここには来ていると思っています。

 ですから、介護を、しっかりとどめていく、ここで今ストップをかけていくというのは、今回の医療法の審議あってこそだと思っているんですね。是非、この医療法の審議、そして介護の審議をお願いを申し上げたいと思います。委員長、お願いします。

藤丸委員長 よくよく協議します。

池田委員 委員長、もうちょっと前向きにお願いしたい。よくよくとか言わないで、さっきもかなりの委員が申しましたけれども、是非、決議まで求めたいと思います。お願いします。

藤丸委員長 検討します。

池田委員 介護のことを具体的に質問する時間がなかったんですけれども、大事なことなので、今回、もう一つだけ質問を最後にさせていただこうと思います。

 昨日、新聞で結構報道されましたね。出生率の新聞です。ちょっとつけさせていただきました。資料を御覧ください。もう皆さん、御覧になるまでもないと思いますが、各紙、一面で報道したということも含めて見ていただければと思います。資料四、そして資料五もそうです。

 こういった状況の中で、厚労大臣にこの間子供のこともお伺いしましたが、残念ながら、こども家庭庁ができたので、こども家庭庁でという答弁がかなり多かったんですね。でも、少子化対策に対して、大臣、子供の少子化問題、厚生労働大臣として、厚生労働省ですべきこと、あるんじゃないんですか。それはどうお考えになりますか。

福岡国務大臣 若い世代の所得の向上であったり、子育て世帯の共働き、共育ての推進、また周産期医療の確保といったところに関しては、厚生労働省も当然所管をしておりますので、しっかり所管省庁とも協力しながら取組を進めてまいりたいと思います。

池田委員 大臣、若者じゃなくて、今、子供のことを話したんですね。前回ですけれども、自殺の対策ということで、子供のことを触れられていました。厚生労働委員会でやりましたよね。いわゆる子供の自殺だとか子供の貧困というところは、大臣はどう捉えているんですか。厚生労働省と、労働省になっちゃったというのもあるんですけれども、厚生省の時代から、しっかり子供に目を向けた貧困対策はしていたはずです。

 大臣、ここはすごく大事なんですけれども、今の答弁の中で全く漏れていたと思っていますよ。貧困対策ということについては、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 まず、こども未来戦略の加速化プランに基づきまして、子育て世代の共働き、共育てを着実に推進しますとともに、貧困の連鎖を断ち切るために、例えば、子どもの学習・生活支援事業によって、生活保護世帯を含めた生活困窮世帯の子供であったりその保護者に対して、学習支援や生活習慣、また育成環境の改善等に関する支援を行うとともに、生活保護世帯につきましては、家庭を訪問して進路選択に関する相談、助言を行う事業であったり、大学等に進学する際の新生活の立ち上げ費用の支援、こういったことも行わせていただいております。

 こういった取組を着実に推進しますとともに、こども家庭庁を始めとする関係省庁とも連携し、必要な支援に取り組んでまいりたいと思います。

池田委員 大臣、実は、何年やっているんだろうと思うんです。

 これをちょっと御覧いただければと思うんですけれども、資料の八は、平成三十年の、過去の資料です。この上の方がちょっと消えちゃってごめんなさい、平成三十年ですね。そして、資料九も二〇一八年で平成三十年なんですね。この後ろも、ちょっと字が潰れちゃって申し訳ありません、こちらの資料十についても、これもそうですね、学習支援という言葉が、全く進んでいないんですよね。

 進んでいないといいながら、実は、この問題というのは、厚生労働大臣が旗を振って、劇的に変えたということがありました。これはまさに、二〇〇九年四月一日に母子加算が全廃されたものを、二〇一〇年に母子加算が復活をしたり、そして、二〇〇五年には高校の就学費が生業扶助ということで創設を新たにされたり、子供の貧困対策というのは、まさにこの間ずっと言われてきて、初めて言われたんですよね、その時代に。でも、劇的に変えているんですよ。それは政権交代だったんです。

 厚生労働大臣、でも、これは政権交代のみならず、そのときに厚生労働省は、当時、生活保護の在り方検討委員会、これもしっかり行っていた。その結果があって、この高校就学費の無償化にもなったんです。

 ですから、貧困をなくすというふうに言われましたけれども、大臣、子供を見捨てないで、妊娠中の子供さんから、医療にも関わってきますから、今日は申し上げることができなかった問題も含めて、この後の国会の審議の中で、委員会審議の中で是非取り組んでいただきたいと思います。そのことを申し上げまして、本日の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、梅村聡君。

梅村委員 日本維新の会の梅村聡です。

 では、早速ですけれども、質問に入らせていただきます。

 まず、今日最初に取り上げる課題は、先週、五月二十八日に、内閣府の規制改革推進会議、こちらの方で、複数の病院で宿直を兼務する体制の検討、これを行うように、そういう答申が出ました。

 これは具体的に何を言っているかというと、今の医療法では、医師が宿直をしなければならない、病院には必ず医師が敷地の中にいなければならない、こういうルールがあるんですけれども、二〇二五年中に、宿直義務の例外規定にオンライン対応を含むことを明確化し、二〇二五年度上期に検討を開始する、遅くとも二〇二七年度中には、複数病院での宿直対応を遠隔かつ兼務で行うことを認めるか否か、認める場合は、その要件などについて結論を得て、必要な措置を講じてください、こういう答申が出たわけなんですね。

 ですから、複数の病院で、片一方の病院にドクターが夜いて、もう一個はお医者さんは空だ、だけれども、オンラインでつなげば、これは宿直規定にしようじゃないか、こういうことが想定されているんだと思いますけれども。

 大臣に、まず一問目お伺いしたいのは、そもそも、宿直の医師が確保できないということで、地域医療を縮小しなければいけないというような声、これが結構たくさん今厚生労働省に集まってきているのかどうか、これをお伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 今、救急搬送が増加している中でございますから、夜間、休日を含む救急医療体制を確保するためには、限られた医療資源の中で、地域全体で役割分担、連携を進め、働き方改革との両立を図りながら必要な医療従事者を確保する、こういったことが課題となっているというふうに承知をしております。

梅村委員 ですから、今ちょっと例で出されましたけれども、救急医療等では、医師の働き方改革もありますから、やはり非常に難しい状況だということをお答えいただきましたけれども、今回の規制改革推進会議の言っていることは、実は救急医療のことを言っているわけではないんですね。

 今おっしゃったように、御存じのように、宿直にはツーパターンあるわけですね。一つは、今おっしゃったような救急医療の場合は、これは夜間にお医者さんが働きますから、当然、この場合は、宿直という言葉は、労働基準法上には当たらないんですね。ですから、その場合は、割増し賃金を払ったり、夜間の労働賃金、これを払って働くということですから、これが一つのパターンなんです。

 もう一つのパターンは、そうじゃないよ、寝ているだけだよ、まあ、寝ているだけということはないですけれども、電話番ぐらいはしますよと。その場合は、労働基準法上の宿直許可というものを取って、ですから、割増し賃金とかは払う必要はないんだよ、一定の安い賃金で雇うことができるよという。労働基準法上の宿直許可を得て、夜間、電話番ぐらいはしますよという、この二つのパターンがあるわけなんです。

 厚労省にもう一つお聞きしたいのは、今回、規制改革推進会議が言っているこの規制緩和は、いわゆる今言った二つ目のことですね。二つ目の、労働基準法上の宿直許可を取った上での話である、こういう認識で検討を求めてきているということなのかということと、そしてもう一つは、その二つ目のパターン、いわゆる労働基準法上の宿直、これで人が足りないんだという声がそれほどたくさん来ているのかどうか、これを教えていただきたいと思います。

森光政府参考人 お答え申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、一点目のお話でございますけれども、労働基準法に基づく宿直の許可というものと、それから、医療法第十六条に定めております、「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。」と書いてございます、これについては、要するに同じ話ではございませんで、この場合の、医療法における宿直をさせなければならないというのは、いわゆる緊急の治療だとか緊急の問合せに答えることができる、そういう医師を確保するという意味がありまして、その勤務体制がどうであるかというようなことについては医療法の方では定めておりませんで、それはまさに労働基準法の方で定められている話で、これとこれは同一のものではございません。

 もう一つ、その上で、いわゆる宿直をしている医師が足りていないという声があるのかどうなのかということでございますが、この規制改革推進会議での議論というものの発端は、本年三月三十一日に開催されました第三回の健康・医療・介護ワーキング・グループにおいて、これは、医療法人などから、医療機関の機能によっては宿直医師が常に対応を求められる状況ではないということで、医師の確保が困難な地域を前提に、宿直対応の遠隔かつ複数医療機関の兼務について提案が出されたというふうに伺っておるところでございます。

 委員御指摘の宿直医師の兼務のニーズというものも含めて、規制改革推進会議で決定されました規制改革推進に関する答申や、それから規制改革実施計画の閣議決定に向けた政府内での検討を踏まえた上で、私どもとしては、患者の安全が確保されることを前提に、地域の兼務に係るニーズ、これの実情や医療技術進歩を含めた医療現場の実態も踏まえつつ、地域で良質かつ効率的な医療を継続的に提供するために必要な検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。

梅村委員 ですから、質問した内容は、今から検討していただくのは分かるんですけれども、厚労省として、ああ、そういう話って確かにあるよね、たくさんそういう声をいただいて、これは課題としてあるよねということですかという質問なんですけれども。

森光政府参考人 私どもとしては、直接、そのようなニーズがあるという話は聞いておりませんが、規制改革推進会議においては、提案された医療機関のところから、そういうニーズがあるという訴えがなされているというところでございます。

梅村委員 だから、厚労省では余り聞いたことがないけれども、そこの会議で三月三十一日に言われたからそれは検討すると、それでいいことだと思いますけれども。

 要は、ニーズは余り聞いたことはないんですよ。それで、例えば、道路を挟んで両方に違う病院があるとか、それだったらあり得ると思うんですけれども、普通は余りそんなことってないんですよね。道路を挟んで反対側に違う病院が競争しているというのは余りないと思います。

 それで、私は、ちょっとこれから検討されるということなので提案なんですけれども、複数の病院で、片一方に先生がいてオンラインでもう一つを診るというのは、多分、余り実用的ではないと思います。もし本当にそれほど過疎地域だったら、そもそもそんな近くに病院が建っているわけないですし、もし本当に過疎地でそういうことが必要だったら、例えば、その周りの開業医の先生だったり医師会の先生方に、ちょっと家におっていただいてもいいから、そこの病院の管理とかをお願いできませんか、こういうことを協力要請することの方がはるかに意味があると思いますので。ちょっとよく分からない答申だったので、今日は取り上げさせていただきました。

 以上です。

 それでは、次の話題に入っていきたいと思います。次の話題は、臓器移植に関して取り上げたいと思います。

 これは、ちょうど一年前、私が参議院の厚生労働委員会で取り上げさせていただいた内容を、今回、衆議院で、ちょっと復習ということで一年ぶりに質問させていただきたいと思います。

 昨年は何を質問させていただいたかといいますと、昨年度、脳死下における臓器移植も過去最高の数が行われたということで、これは非常に大事なことだったと思います。その一方で、昨年、ドナーは現れたんだけれども、移植を受ける側の方が、移植を受けるはずの病院、これは移植施設と呼びますけれども、この移植施設が、例えば手術室が空いていませんとか今日は移植ができませんということで移植を断念した件数が二〇二三年は六十二件あった。

 これはやはり非常に問題じゃないか。なぜならば、移植というのはあくまでも医学的に優先順位を決めているにもかかわらず、受ける病院が今日は手術できないよということで、臓器が次の順位の方に移植されていく。これが六十二件中五十四件あったというふうに、去年御答弁があったかと思います。

 それに対して私からお願いしたことは、じゃ、どれぐらい、その六十二件以外にも移植が受けられなかった案件があるのか、これを是非報告をしてくださいということで、厚生労働省は日本臓器移植ネットワークに聞き取り調査をして、報告をしていただきました。

 これは二〇二三年だったんですけれども、二〇二四年の移植辞退、移植を実施できなかった、これに関しても、統計の集計は現在行っておられるのか、もし集計を行っておられるのであれば、それをまた公表、報告していただけるのか、このことについて教えてください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 移植実施施設が臓器移植を辞退した件数とその理由につきまして、先生から御指摘を受けまして、二〇二三年分につきましては、日本臓器移植ネットワークから情報提供をいただいて、厚生労働省で手作業で集計させていただきまして、公表したところでございます。

 二〇二四年分につきましては、昨年、私どもの方で行った集計方法を基に、日本臓器移植ネットワークにおいて今集計をしていただいているところであります。

 若干、厚生労働省の方でやりましたので手作業の部分が多かったわけですけれども、臓器移植ネットワークにおきましては、手入力してデータを入力していたものを類別化をしていただいて、システムで出せるように効率化を図って、今やっていただいております。

 集計結果、取りまとまりましたら、速やかに公表させていただきたいと思っております。

梅村委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 昨年も、大坪局長の答弁は、臓器移植ネットワークの方から件数や理由を網羅的に厚生労働省に報告するという仕組みにはなっておりませんと。だから、先ほど手作業という話がありましたけれども、やはりこれはシステムとして、厚生労働省がきちっと把握できるような仕組み、これにしていただきたいなというふうに思っております。

 もう一つ、今、日本臓器移植ネットワークの話が出ましたけれども、昨年の六月十八日、私の方からお願いしたことは、移植施設ごとの臓器別待機患者数、それから平均待機期間、どれぐらい待てば移植が受けられるのかということですけれども、それから移植後の臓器の生着率、こういったことを是非JOTがきちんと国民に分かるように公表してほしいというお願いをさせていただきまして、今ちょっとホームページなんかも拝見したんですけれども、昨日の時点ではそういうことがなかった。

 昨年、局長の御答弁の中では、やはりこういう実施施設ごとのデータ、これが公表されることは重要だと考えておりますので、御指摘を踏まえ、国民の皆様に分かりやすい周知、これを心がけてまいりたいと思っております、こういう答弁だったんですけれども、その後の進展状況、予定も教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、先生御指摘のとおり、日本臓器移植ネットワークのホームページでは、日本全体の各臓器の待機患者数ですとか待機期間、移植の実施数、臓器移植後の生存率、生着率などのデータを公表させていただいております。

 患者様が登録を行う移植施設を選択するに当たりましても、移植実施施設ごとの情報、これは先生の御指摘のとおり重要であると考えておりまして、厚生労働省では、昨年、臓器移植委員会に事案をお諮りした上で、既に日本臓器移植ネットワークに対し、施設ごとの臓器別待機者数や移植実施数の公表を依頼をしております。

 今年度のなるべく早い段階で公表できるように努めているところでございます。

梅村委員 これ以外にも、昨年、例えば、移植を受ける方が登録する移植施設、これも複数化をしていただくとか、厚生労働省は本当に去年よくやっていただけたと思っておりますので、さらに、国民にやはり分かっていただける、そのような仕組みをつくっていただければなというふうに思っております。

 それで、次に、今日は移植を受ける実施施設をちょっと取り上げておるんですけれども、実際には、移植を実施する施設、これは認定、選定制になっております。中には、やはり残念ながら移植を辞退する施設もあるでしょうし、あるいは、ほとんど移植が経験できていない、そういった施設も多々あるというふうに思います。

 この施設をどうやって選定、認定するかということについては、「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針、これはガイドラインですけれども、これによりますと、現状は、移植実施施設の選定は、移植関連学会合同委員会という、日本医学会の中に設けられた委員会でそれが選定をされているというふうにガイドラインには書いておるんです。

 そもそも、厚生労働省ではなくて、この日本医学会の中の委員会にこの業務を委託なのか担ってもらった、その歴史的経緯が何かということと、私は、これだけ移植が広がってきたのであるならば、やはりそろそろ厚生労働省がきちんと施設を、そのレベルとかクオリティーを認定して選んでいくというふうに変えていくべきじゃないかと思っておりますが、この二つについて御答弁をお願いしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 移植実施施設の認定の経緯でありますが、平成四年の臨時脳死及び臓器移植調査会、いわゆる脳死臨調でありますけれども、この答申におきまして、臓器移植を進めるための条件として、関係学会等における移植実施施設の特定などの課題を検討することが求められた経緯がございます。

 これらの課題の検討に当たりましては、移植関係学会合同委員会が設置をされまして、移植実施施設に関する基準の検討が始められたわけであります。

 また、平成九年の臓器移植法制定時の国会での審議では、移植関係学会合同委員会が策定した基準により特定された施設において移植を実施することが、移植技術の向上や国民の安心感を高める観点から適切であるというふうにされまして、現在もそれを踏襲し、移植関係学会合同委員会が定める基準に従い、学会が移植施設を認定しているということでございます。

 ただ一方で、先生御指摘のように、令和二年度から令和六年度の五年間において、これら認定施設のうち移植手術を一件も実施していない施設、これは一定程度ございます。臓器移植法成立から間もなく二十八年が経過することも踏まえますと、国として、移植を実施していない医療機関の原因を調査するとともに、現在の移植関係学会合同委員会が定める基準の見直しなども含めて、学会と協議を行ってまいりたいと考えております。

梅村委員 もう年月がたちましたので、一番最初は、恐らく実施施設の数も非常に少ないし、また、脳死は一般的には人の死ではないというところからスタートしましたので、一定、学会の関与が必要だったと思いますが、ここはやはり国が少し先導して、そういった検討を進めていただきたい、選定に関して基準を定めていただければなというふうに思います。

 そしてもう一つは、今日は移植コーディネーターについても質問をしたいと思います。

 この移植コーディネーターという方々、私もお会いしたことがありますけれども、一般的には、医療機関であるとか、それから日本臓器移植ネットワークに直接所属をされている方、こういう方とよくお話をすることはありますけれども、実は、都道府県コーディネーターという方がおられまして、これは各都道府県に地方交付税措置をされた中で雇われているコーディネーターという方もおられるんですけれども、この都道府県のコーディネーターの役割というのはどういうものが期待されているのか、そして、都道府県コーディネーターというのは現時点でどこに所属されているのか、内訳が分かれば教えていただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県臓器移植コーディネーターは、臓器移植法に基づき、各都道府県が実施する臓器移植の普及啓発活動、これを行うとともに、日本臓器移植ネットワークからの委嘱を受けて、ポテンシャルドナーが発生した際の初動対応や、家族に対する臓器提供、臓器移植についての説明などの業務を担っていらっしゃる方々でありまして、地域の臓器移植医療において重要な役割を担っていただいております。

 都道府県臓器移植コーディネーターが所属する機関の内訳でありますが、令和七年二月一日現在で、公益財団法人等が四十三名、医療機関に所属されている方が十六名、都道府県が三名、こういう内訳で、現在、計六十二名ということでございます。

梅村委員 普及啓発であるとか、その地域で突発的なことが起こったときのコーディネーターさんだということでありますけれども、これも昨年の質問の中で、JOT、あっせん機関が、今、眼球以外はJOT一つでありますけれども、これに関しても複数化をやはり検討していくということですから、やはり私は、そういったことを考えると、都道府県コーディネーターというのは、JOT等に、直接雇用の方に持っていって、そこのところは、所属ということも必ずしも都道府県でなくてもいいんじゃないかなということも指摘しておきたいと思います。

 ちなみに、今私が申し上げたような、こういったものをJOT等のあっせん機関で一元管理をしていく、こういうことに関してはいかがでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、都道府県臓器移植コーディネーターのあっせん業務、これは、都道府県に所属していらっしゃる方で、人数ですとか、様々、都道府県の中で担当していただいていますが、基本的には、質の担保というところでは、日本臓器移植ネットワークの行う研修を修了することを必須としておりますので、その辺は標準化が取れているんだろうというふうに思っております。

 臓器あっせん機関の複数化等をこれから進めていくに当たりまして、都道府県臓器移植コーディネーターの役割というものは非常に重要になってまいりますので、今後の担うべき役割分担等について、引き続き検討を重ねてまいりたいと思っております。

梅村委員 必ず都道府県にこだわる必要があるのかどうかということも含めて、検討いただきたいと思います。

 それでは、あと一分ほど残りましたので、大臣、臓器移植、去年は過去最高の数だったということでありますけれども、やはり海外に比べると、まだ、例えばアメリカに比べても何十分の一以下だということで、これを更に進めていかなければならないということで今日は質問させていただきました。何か御所感がありましたら、教えていただきたいと思います。

福岡国務大臣 委員とは問題意識を共有をさせていただいております。

 我が国におけます脳死下及び心停止後からのドナー数であったり移植実施件数は、近年伸びてはいるものの、欧米や他のアジア諸国と比べると、いまだに低い水準となっているというのは御指摘のとおりです。

 こうした現状に鑑みまして、昨年十二月の審議会での取りまとめを踏まえ、臓器提供施設、臓器あっせん機関及び移植実施施設の見直しに係る取組を鋭意進めているところでございまして、善意の意思による臓器提供が確実に移植につながっていくように、国内における移植医療対策の更なる推進に取り組んでまいりたいと思います。

梅村委員 臓器移植、また時々質問させていただきます。

 ありがとうございました。

長坂委員長代理 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 今日は、二十分間という時間ですが、生活保護制度を取り上げていきたいと思います。通告六問してありますので、順次お伺いさせていただきます。

 まず、日本の生活保護制度における利用率は一・七%。貧困層に対するこの一・七%という数字を見ますと、その捕捉率は一〇・八%とされています。OECD諸国の中でも極めて低い水準にとどまっている状況です。申請に対する忌避感だけでなく、複雑な申請手続や過度な資産調査、就労能力の厳格な判断など、制度の設計や現場運用に内在する要因が利用を妨げているのではないかと考えております。特に、自治体の現場での水際作戦によって、申請前に制度から排除される事例が後を絶ちません。

 政府は、捕捉率の低さの原因をまずどのように分析しているか、また、制度に対するアクセス性の改善に向けた見解を伺います。

 例えば、海外の例を見ますと、ドイツでは、生活保護制度を市民手当というふうに名称を改めたり、韓国でも、社会保障給与の利用、提供及び受給者の発掘に関する法律、いわゆる死角地帯解消法と呼ばれているそうなんですが、こうした法律を制定し、申請を受け付ける申請主義から接近主義、アウトリーチ型への転換を図っている事例も紹介されています。

 政府の見解をまず聞かせてください。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘につきまして、まず、生活保護の受給要件を満たす世帯のうち、実際に生活保護を受給されている世帯の割合ということで申し上げますと、生活保護の申請がなされませんと、保有される資産などの調査ですとか、あるいは働いて収入を得る能力の把握などができませんことから、こうした割合を把握することは難しいというふうに考えてございます。

 他方、生活保護が保護の必要な方にとってアクセスしやすい制度であるということは大変重要であると考えておりまして、まず、厚生労働省や自治体におきまして、制度の周知広報に努めてございます。

 加えまして、生活に困窮する方々の支援につきましては、生活困窮者自立支援制度も設けてございます。この制度におきましては、課題がより複雑化、深刻化する前に、就労や家計改善などの自立に向けた支援を実施しますとともに、生活保護が必要な場合には福祉事務所へつなぐよう徹底を図ってございます。

 引き続き、保護が必要な方に対しまして確実かつ速やかに生活保護が実施されるよう、適切な運用を図ってまいりたいと考えてございます。

浅野委員 ちょっと今の答弁を受けて、質問を一つ飛ばさせていただいて、大臣にお伺いしたいと思います。三問目の通告です。

 今、必要な方にできるだけ迅速に生活保護を提供するべきという考え方、答弁の中でもありました。ただ一方で、先ほども指摘させていただいたように、生活保護申請に対して、各自治体の現場では、いわゆる水際作戦と呼ばれている、自治体職員が申請者に対して制度利用を思いとどまらせようとする対応、これに違法性があるのではないかというふうに指摘されているわけですが、こうした水際作戦の対応があるということで問題視がされてまいりました。

 厚生労働省は、申請は書面で受け付けなければならないというふうに既に指導していますけれども、実態としては、申請をする前の相談の段階で排除されているケースも多く確認されているということです。

 政府は、この水際作戦と呼ばれる行動について制度上、構造上の問題と捉えて、指導の徹底はもとより、申請支援の第三者が関与できる制度などを導入し、できるだけ申請者の意向に沿った対応、環境を整えるべきではないかと思うんですが、大臣の見解を伺います。

福岡国務大臣 まず、生活保護が必要な方に対しては、迅速かつ速やかに保護を実施することが重要だと考えております。このため、生活保護の申請権の侵害であったり、また、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むよう、これまでも、全国主管課長会議であったりケースワーカー向け研修において、自治体に対して周知徹底を図ってきております。

 あわせまして、国や都道府県が実施する福祉事務所への指導、監査におきましては、生活保護の申請に当たり、面接相談が適切に行われているか、申請の意思がある場合には申請書を交付し手続に係る助言が行われているかなどを確認し、申請権の侵害が疑われる事例などが認められた場合には是正を求めているところでございます。

 引き続き、自治体に対します周知徹底であったり監査などを通じて、生活保護の適切な運用を図ってまいりたいと思います。

 なお、議員御指摘の申請支援の第三者制度につきましては、現状においても、必要に応じて第三者が支援を行っているという事例もございます。その制度化の必要性も含め、検討が必要だと考えております。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

浅野委員 是非、第三者制度の制度化については引き続き検討を進めていただきたいと思います。

 私は、申請者も、あとはその相談に対応している自治体の職員の方々も、それぞれが相手のことを真剣に考えながら対応しているとは思うんですね。正義の反対はもう一つの正義という言葉がありますけれども、私は、自治体の職員さんの考え方であったり仕事に対する向き合い方に問題があるというよりも、まず申請を受け付けるところがスタートなんだと。

 申請を受け付ける前段階の相談の段階で、安易に、これはちょっと申請には及ばないんじゃないのかとか、もっとやるべきことをやってからここに来るべきじゃないのかとか、いろいろなことを言っては申請をしようとしている方々の思いを諦めさせてしまうような、それもまた、ある意味、その人を思っての発言なのかもしれないんですが、ただ、やはりまず申請を受け付ける、そこが全てのスタートだ、そういう認識を全ての職場で徹底をしていただきたいと思っております。

 続いての質問に入ります。四問目の通告に沿って大臣に伺います。

 日本の生活保護制度は、いわゆる補足性原理というものを基本としています。どういうものかというと、働けるなら働きましょう、そして、資産があるならまずそれを使って生活を成り立たせましょう、いろいろな自分の身の回りにある使えるものを使ってまず生活基盤を整える努力をして、それでもなお難しい状況であれば生活保護の申請をしてくださいというような考え方だと理解をしています。

 ただ、この考え方が、この補足性原理というものが、制度利用に対する強いスティグマをつくり出していると思います。

 海外を見ると、ドイツでは、いわゆる資産調査、ミーンズテストと呼ばれていますが、受給開始から二年間、資産調査は猶予される。その期間、二年間は、資産があってもなくても、取りあえず必要ならその支援を提供する。その上で、資産調査をして、その後に適正な支援策に切り替えていく、こういう対応を取っております。

 日本も、ミーンズテスト、資産調査の猶予であったりあるいは簡素化を導入して、利用しやすい制度に転換するということも考えていくべきではないでしょうか。

 少なくとも、生活保護制度を利用することは権利である、その認識を広めるための研修や広報体制の整備が必要だと考えますが、大臣の見解を伺います。

福岡国務大臣 議員御指摘の考え方については受け止めをさせていただいた上で、その上で私どもとしましては、この生活保護制度、資産調査等については、生活保護法に基づく生活保護制度の基本原理として、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを活用することを保護の要件としておりますことから、生活保護の適正な実施のためには必要な手続と考えているところでございます。

 生活保護の申請が国民に認められた権利であること、このことにつきましては、ケースワーカー向けの研修であったり、厚生労働省のホームページなどで周知をしているところでございまして、引き続き適切な運用を図ってまいりたいと考えています。

浅野委員 この補足性原理なんですけれども、本当に、国内に限らず、海外からも指摘がされています。国連の社会権規約委員会などでも、この補足性原理については問題視されているということであります。

 少し、ちょっと歴史の話をさせていただくんですけれども、私が調べたところ、補足性原理、この歴史をたどっていくと、日本国内では大宝律令の時代ですね、七世紀。大宝律令が施行されて、租税が国民に対して課せられるようになったときに、それが厳しくて、生活に困窮する世帯が出てくることが想定されて、その場合、まずは困窮している人の親族で助け合いなさい、それでも助けることができない場合には国が面倒を見ます、こういう考え方が取り入れられました。七世紀ですね。

 近代でも、いわゆる旧生活保護法あるいはそれ以前、明治時代の恤救規則や救護法の時代ですけれども、このときも、まず本人が働けるのに働かなかったり、あるいは素行不良な者に対しては生活保護を提供しない。つまりは、自分でできるのだったら自分でやりなさい、素行不良の場合には支援を受ける資格もありませんというような欠格条項が含まれていて、旧生活保護法のときまで残っていました。

 今の生活保護法が成立したときに欠格条項はなくなったんですけれども、ただ、それでもやはり、ある種の自己責任ですね、資産があり、あるいは働けるのであれば働いてください、その上で今の生活保護制度を請求してくださいというような考え方を今なお、今の日本の国は取っています。

 これで権利性をちゃんと国民の皆さんに理解してもらいたいと言っても、なかなかこれは、国がこれまでたどってきた歴史と、そして今、補足性原理というものを採用している今の国の姿勢と、一方で、国民には権利があるからそれをちゃんと活用してほしいというその思いが、ある種矛盾していると思うんですね。

 これを解消するための提案として、次の質問に移りたいんですけれども、これは今まで様々な有識者あるいは団体からも提案されているんですが、生活保護という言葉、この言葉が持つ上意下達の響きが制度に対する忌避感やスティグマを助長しているという指摘があります。ドイツでは、生活保護という名前を改め、市民手当という名称に変えました。韓国でも、生活保護法の名前を改め、基礎生活保障法へと名前を変えました。

 日本においても、生活保障あるいは基礎生活支援といった名称、つまりは、国がしっかりと保障するんだ、国民の最低限の暮らしを、憲法二十五条で規定された最低限の暮らしを国が保障するという姿勢をしっかりと示す、そんな名称に改めるべきではないかと思うんですが、政府の見解はいかがでしょうか。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 国民が生活保護を受けることに関する権利性という点で申し上げますと、現在の生活保護法におきましても、例えば第二条におきまして、国民はこの法律による保護を無差別平等に受けることができるとされているなど、国民が生活保護を受ける権利性は既に明確にされているというふうに考えてございます。

 また、生活保護の名称の点についてでございますけれども、この名称が長く使われている中で、御提案のような名称に変更した場合には、ほかの社会保障制度との区別が難しく、かえって制度が分かりにくくなるということも考えられますことから、生活保護の名称を変更する必要性は低いというふうに考えてございます。

浅野委員 それは、非常にお役所的な発想ではないかなと思いますね。

 現に、冒頭、質問で指摘させていただいたとおり、生活保護制度の利用率は一・七%です。しかも、これまで日本がたどってきた歴史を考えたときに、先ほどの補足性原理というのは、明らかに自己責任を国民に求める制度。その一方で、生活保護法第二条、無差別平等原則を取り入れているとはいえ、それに矛盾するような考え方を原則の中に入れている。だから、この制度は、非常に多くの方々に、保護を受けるのは嫌だ、保護を受けるのは恥ずかしい、生活保護を受けずに生活しなければというような、ある種の強迫観念や強いスティグマを生み出してきたんだと思います。

 ですので、私は、日本という国の中では、生活保護というものに対する国民の権利性、権利性は担保されているというふうにおっしゃったんですけれども、事前のレクでもそういうふうに述べられていたんですが、生活保護法第二条では無差別平等原則でこの権利性は確保されていますよ、こういう説明を受けたんですが、これまでの議論を総合すると、やはりいまだに国民に、この制度を使う権利があるという認識はまだまだ広がっていないのではないか、むしろ避けられている、そんな制度のように感じております。

 これは改めて制度の名称を変更すれば、非常に、ほかの制度との区別という意味ではいろいろな工夫ができると思うんですね。でも、それよりも、まずは、この制度の本質的な目的と制度の名称、そして国民の認識というものが一致しなければ、幾らほかの制度と区別のつきやすい名称にしたところで、この制度の意義というものは薄れてしまうというふうに思いますので、是非そこは今後とも訴えていきたいと思います。

 最後の質問になるかと思いますけれども、少し各論に入らせていただきますが、生活保護制度の利用上における自動車保有の制限について伺います。

 皆様はもう御存じのとおり、地方では、自動車がなければ、通勤や通院、子育てや買物、日常生活の上で非常に不便になっております。実際、国内の自動車保有率は八割近く、首都圏以外、地方都市では八割を超えています。もう自動車は地方での生活になくてはならない、そんなツールになっておりますが、生活保護制度では、原則として自動車の保有が認められておらず、特定の条件を満たさなければ認めてもらえないという現状があります。

 二〇二三年の調査では、自動車保有が容認された、認められた割合というのは、生活保護利用世帯数に対して僅か〇・六%、〇・六%です。二百世帯に一世帯ということですね。全国の地方議会からも、五十の議会から、自動車保有制限の見直しを求める意見書が採択されております。

 こういった現状を見ると、国として、自動車保有に関する考え方を改め、自動車保有を認めやすいよう制度の転換をするべきではないでしょうか。答弁を求めます。

福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、生活保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われております。

 自動車は、利用し得る資産に該当いたしまして、また、その維持費が生計を圧迫することなどを踏まえまして、原則として自動車の保有は認められていないところでございます。

 ただし、障害者の方であったり、公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する方が通勤、通院、通所又は通学のために自動車を必要とする場合など、一定の要件を満たす場合には、例外的にその保有が認められています。

 この扱いを緩和することにつきましては、最低生活の需要を満たしつつ、これを超えない範囲で保護するという生活保護法の趣旨に沿うものではないと考えています。

 なお、昨年十二月に自治体向けに事務連絡を発出いたしまして、障害者など、通勤、通院等のために例外的に自動車の保有が認められた場合において、日常生活に不可欠な買物などについても自動車を利用できる取扱いの明確を図らせていただいたところでございます。

浅野委員 今答弁いただきましたように、最近の通知によって、できるだけ制度運用がより適切に運用されるような努力をしていただいていることは理解をいたしますが、ただ、先ほどから言っているように、自動車保有が容認された割合は〇・六%なんですね。一方で、地方で暮らしている方々の八割以上が、自動車を必要としているからこそ持っている。さらには、生活保護法の第一条というのは、自立助長が目的だとうたわれています。自分でしっかり生活をできるようにということですね。

 ただ、こういう永田町や霞が関や東京都心部のような環境であれば公共交通機関が発達していますけれども、地方では、やはり自動車がなければ移動が困難である場合、自動車を持てないことで就職の機会を逃すようなケースもありますので、是非、自動車保有の認定基準については改めていただきたいということを申し上げて、時間になりましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 毎回質問に立たせていただき、感謝申し上げます。

 十分しかないので、早速質問いたします。

 二〇二五年六月現在で、厚労省がマイナ保険証について把握をしているトラブルとその対応を教えてください。お願いします。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 これまでも、資格確認時に表示された情報に例えば黒丸という形で出るという問題ですとか、顔認証つきカードリーダーが起動しないため顔認証がうまくされないといったような問題があるというふうに認識をしております。

 加えまして、マイナンバーカード本体と電子証明書の有効期限が切れて、更新されないまま医療機関等を受診するケースが生じてきており、更新件数については二〇二五年に増加するというふうに見込まれていると承知しております。

 マイナ保険証を利用する方々に確実に電子証明書を更新していただけるよう、有効期限が切れる前に、有効期限前からの更新の案内や、医療機関等を受診した際のカードリーダー画面での更新アラート表示といった対応を行い、更新を促しておりますし、さらに、電子証明書の更新手続を忘れて有効期限が切れた後であっても、有効期限が切れてから三か月間は、引き続きカードリーダーで更新のアラートを表示しながら、お手元のマイナンバーカードで資格確認を可能としたりとか、その期間内に更新手続が行えない方々には、マイナ保険証が使えなくなる前に、申請によらず資格確認書を発行する、こういったことをしております。

 従来どおりの保険診療が確実に受けられるよう、必要な対応を重層的に講じており、マイナ保険証を利用する患者が十割負担とすることがないよう、マイナ保険証によって円滑に保険診療が受けられるように引き続きしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

八幡委員 ありがとうございます。

 マイナ保険証は、二〇二一年十月から全国で本格的な運用が始まりましたが、現場では混乱が続きまして、先ほど、二〇二五年六月現在もトラブルが確認されておる、そしてそれに対して対策を講じられているということが分かりました。ありがとうございます。

 トラブルの歴史を振り返るんですが、先ほどおっしゃっていただいたことに加えて、二〇二三年六月、個人情報の照合ミスによって別人の情報がひもづけ、登録されていたという、緊急時には命に関わるかもしれない、とんでもない事例も発覚し、これは見直し、点検されたということなんですけれども、これらトラブルが相次ぐ中、マイナ保険証で資格がうまく確認できなかったときに十割の自己負担だったのを三割負担にマニュアルを変更するなど、その都度対応はされてきたと思います。さっきもおっしゃいました、二〇二四年になっても、顔認証つきカードリーダーが反応しないなど様々あるんですが、今もトラブルは続いている。

 私が厚生労働委員会に所属するようになってから様々な陳情を受けるんですけれども、いろいろな医療現場の方から、政府は毎年、改善します、改善しますと言うんだけれども、トラブルまみれのこのマイナ保険証をどうにかしてほしい、従来の紙の保険証も使えるようにしてほしいといった声が本当に数多く寄せられているんです。

 そんな中、最近、私もネットなんかを見ておりますと、有名俳優さんがマイナ保険証の利用を呼びかける動画、「私たちをもっと守る、マイナ保険証」が頻繁に広告として登場してくるんです。この動画について、厚労省は、先月、経団連など関係団体に対して、活用してくださいと周知の依頼をされているんですけれども、もっとほかに力を入れなあかんところがあるやろうと、私なんかは現場の声を聞いているので、ずっこけるんです。

 医療現場では、マイナ保険証の利用によって、かえって受付の手間が増える。トラブルが相次いで、政府が言うメリットよりも、やはり不安や懸念事項が上回っていて、今も従来の健康保険証を使っているという現場が多いのが実態です。

 全国保険医団体連合会が全国の医療機関を対象に行った調査によりますと、昨年十二月以降、マイナ保険証に関するトラブルを経験したと回答する医療機関は約九割。この調査結果では、窓口業務に負担を感じるというのが約六割。政府はマイナ保険証のメリットに受付などの事務負担軽減も掲げておられましたけれども、むしろ負担を感じているという人たちが多いという結果が出ております。

 そして、様々なそんなトラブルのとき、どうやって対応したんですかと聞くと、最も多かったのが従来の紙の保険証による資格確認、これは七九・八%、約八割と圧倒的となっております。医療機関、そして患者さんにも、頼りになるのは紙の保険証だったとおっしゃる方が多い現状なんですが、昨年十二月二日から健康保険証の新規発行が終了してしまいました。これに対して、医療機関の七割が従来の紙の健康保険証の復活と併用を求めております。

 今月二日の参議院予算委員会で、福岡大臣は、従来の保険証を発行し続けるということは、マイナ保険証を基本とする仕組みへの円滑な移行や発行事務コスト、こういった観点からも望ましくないんだと考えているとおっしゃっているんですけれども、政府が従来の保険証に対してもこうやって柔軟な対応をもっと取っていって、もし本当にトラブルがなくなるのであれば、自然とマイナ保険証は広まっていくと私は思うんです。

 まず、今のこの現状に適応すべきは政府の方だと私は思います。大臣の耳にも現場の声は届いていると思います。マイナ保険証と紙の健康保険証、どちらも使用できるようにしていただけないでしょうか。お願いします。

福岡国務大臣 マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療を受けられるメリットがあるため、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところでございます。

 その際、保険証の切替えに伴いまして、国民の方々から様々な不安の声があることは承知しています。私もいろいろなお声を聞いています。そういった声に対応するためにも、最大一年間、発行済みの保険証は使用でき、マイナ保険証をお持ちでない方には申請によらず資格確認書を交付するとともに、マイナ保険証をお持ちの方でも、要配慮者には申請に基づき資格確認書を交付するといった措置を講じているところでございます。

 繰り返しになりますが、マイナ保険証を基本とする仕組みへの円滑な移行であったり、発行事務コストの観点からも、従来の保険証を発行し続けることは望ましくないと考えております。マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行する中でも、資格確認書の活用も含め、従来どおりの保険診療が混乱なく受けられるように、引き続き、国民の皆様や医療機関等に対しまして丁寧な周知を行ってまいります。

八幡委員 もう二〇二一年からずっと同じことを言われていますからね。もう今二〇二五年ですから、しっかりと、本当にトラブルのないように改善に努めていただきたいと思っております。

 先ほども話が出てまいりました、証明書の話ですね。東京都、ちょっと時間がないので割愛しますけれども、世田谷と渋谷が独自に資格確認書を発行するに至ったということを受けて、ほかの自治体もしたいかもしれないと。今日は、立憲の柚木委員の質問によって、自治体の判断に対して政府として禁止することはできないし、厚労省が圧力をかけるものではないと大臣も御答弁いただいたと私は受け取っております。だから、ほかの自治体も、世田谷、渋谷のように、もう混乱を分かっているんですから、独自に証明書、資格確認書を発行したいという動きもあるかもしれません。

 でも、ここでもう一回、大臣、お願いしたいんですけれども、なぜ世田谷区、渋谷区の方が独自の対応を検討したのか、決定したのか。これは、ちゃんと寄り添って事実を把握する、市町村の窓口の担当者の声をやはりしっかり聞くべきだったと思うんですよ。いかがでしょうか。大臣、お願いします。

福岡国務大臣 世田谷区そして渋谷区に対しまして状況を伺いましたところ、両者からは、マイナ保険証の利用率が低い中で、国民健康保険の保険証の有効期限が到来することによって混乱が生じることを懸念して、被保険者全員に資格確認書を交付する方針であるという話を承っているところでございます。

 これまでも様々な意見を聞いてきたのかというような御指摘につきましては、これまでも、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する上で、医療関係団体であったり、また地方の三団体を含む委員が参画する社会保障審議会医療保険部会で御議論をいただき、また、令和四年から五年にかけて開催いたしましたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会においても、医療関係団体であったり当事者の団体を含む幅広い方々にヒアリングを行いましたほか、関係団体、患者団体との意見交換、自治体への説明会、医療機関へのアンケートなど、様々な機会を通じて御意見を伺ってきたところでございます。

 引き続き、自治体や医療機関が混乱することがないように、丁寧に意見を聞きながら進めてまいります。

八幡委員 関係者とか関係機関には聞いているということなんですけれども、四月九日の大臣答弁では、厚労省は、窓口業務に当たる全国の自治体で実際に動いて作業される方に対しての意見聴取というのは実施していないという答えを言われているので、やはり現場ですよ、現場の問題意識やニーズということは、厚労省、そして大臣も把握すべきだと私は思います。厚労行政というのは、制度を利用している当事者に大きな影響を与えることが多いため、制度の運用においては、当事者に寄り添うということが絶対大事だと思うんです。

 マイナ保険証、トラブルが相次いでいると言いますが、最後に聞きます。今年三月から運転免許証のひもづけ、そして四月からは複数の銀行口座、一度にひもづけされますけれども、大丈夫ですか、トラブルは。どう捉えておられるのか、一言下さい。お願いします。

福岡国務大臣 それぞれ所管する担当省庁において適切に対応しているものというふうに承知しておりますし、厚生労働省に関する部分については、しっかりトラブル防止に努めてまいりたいと思います。

八幡委員 これは通告していなかったんですけれども、通告していないから何か答えに詰まるとか、何か明確な答えができないんだったら、やらない方がいいと思います。絶対トラブルが私は増えるんじゃないかなと思っていますので、引き続き、私は申し上げます。マイナ保険証と従来の保険証、ハイブリッドでやっていく方が現場も混乱しないと思いますし、これからいろいろなものがひもづいていくと思いますが、先ほども言いました、別の人の情報がひもづけされているとか、情報漏えいとか、様々なことが懸念されていますので、国民が安心して利用できるように引き続き努めてください。

 質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 マイナ保険証の問題について質問します。

 五月十五日、北海道、市立札幌病院で、マイナ保険証による資格確認ができなくなる事態が発生しました。午前八時過ぎから通信回線のトラブルが発生し、十六時頃まで丸一日、マイナ保険証による資格確認ができませんでした。このトラブルの原因は何であるか、厚労省、承知していますか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事象につきましては、顔認証つきカードリーダーの画面上にネットワークエラーと表示されて、一定時間オンライン資格確認が行えなかったものと承知をしておりますが、医療機関に直接事実確認を行ったものではないので、直接の原因は、私どもとして正確なところは把握はしておりません。

 その上で、当省から事務的に社会保険診療報酬支払基金などに確認したところでは、当時、社会保険診療報酬支払基金より配信する資格確認端末、これはウィンドウズPCですけれども、のアップデートを停止しており、自動でアップデートされる状況ではなかったと承知しており、仮にアップデートが原因だったとすれば、医療機関において手動で実施されたPC側の要因として考えられるというふうに承知しております。

 なお、報道によれば、様々な対応を行うことによって、大きな混乱にはつながらなかったというふうに報道されているものと承知しております。

田村(貴)委員 札幌市病院局の市議会議員への説明では、直接的な原因はオンライン資格確認端末の回線認証が削除されていたとし、今答弁があったように、回線認証の削除は、OS、ウィンドウズ11のアップグレード実施が原因と考えられるとしています。

 ウィンドウズ11のアップグレードが原因ということであれば、これは日本全国、どこでも起こり得るんじゃないですか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 本事象につきましては、今先生からもお話がありましたが、医療機関において手動で実施されたPCの更新が考えられる要因の一つとして挙げられておりますが、いずれにしても、医療機関に事実関係を確認できたものではなく、直接の原因についてはまだ把握はできていないと思っております。

 他方で、同時期に同様の事象でマイナ保険証が利用できなくなった医療機関があることは、同じ札幌市エリアを含めて、ほかには確認されておらず、また、コールセンターにも他の医療機関からの照会等は寄せられていなかったというふうに承知をしております。

 いずれにしても、本事象がほかの医療機関で起こり得るものと現時点で判断できるものではないと考えておりますが、これまでも、医療機関等で機器やネットワークの不具合等でマイナ保険証の読み取りができない場合に、従来の保険証で確認する方法のほか、様々な方法を御提示することにより、十割負担とすることなく円滑に保険診療を受けられるようなこととしており、その旨については引き続き医療機関、国民向けも含めて周知徹底を図っていきたい、このように思っております。

田村(貴)委員 事後対策じゃなくて、システムの問題なんですよね。

 こうした大きな病院で、終日、本人確認ができなかったということを、もうちょっと重く受け止めるべきじゃないですか。厚労省や支払基金に報告が上がっていないから承知していない、そういう態度はちょっと認められません。

 厚労省として、調査する考えはないんですか。

鹿沼政府参考人 私どもとして、直接札幌の方の病院についてお伺いをしているわけではございませんが、支払基金を通じて先ほどのようなことでお聞きをしたところでございます。必要に応じて、そうした調査も含めて考えていきたいと思っております。

田村(貴)委員 全国保険医団体連合会によれば、ウィンドウズのアップデートによって認証情報が削除したという相談はあるというんですよ。ですから、あるんですよ。調査ぐらいしたらどうですか。

 全国どこでも起こり得ることを、市立札幌病院の経験は訴えています。市立札幌病院は、六百七十二床の病院で、一日の外来患者は約一千人、入院は約五百人になる大きな病院です。この日、影響があった人数は七人とされ、診療できなかった患者は存在していないとされています。

 終日、オンライン資格確認ができなかったのに、診療に問題がなかったというのはどうしてか、分かりますか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 まず、報道によれば、従来の保険証で資格確認を行ったほか、保険証を持っていない患者に対しては、窓口で保険資格を証明するような書類を配付し、記入をお願いしたというふうに承知しております。

 その上で、これまでも、医療機関等で機器やネットワークの不具合等でマイナ保険証の読み取りができない場合についての対応を私どもも提示をしておりまして、従来の保険証で確認する方法のほかにも、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面を提示することのほか、再診の方は過去の資格情報の口頭確認、初診の方も医療機関にある資格申立て書への記入により、十割負担をすることなく円滑に保険診療を受けられることとしておりまして、その旨を示したリーフレットも作成し、医療機関、国民向けに周知しているところでございます。

 いずれにいたしましても、マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものであることから、利用促進を図っていくとともに、医療機関等で機器やネットワークの不具合等があった場合でも患者が不利益を被ることがないよう、引き続き、医療機関等と国民の皆様に丁寧な周知を行っていきたいと思っております。

田村(貴)委員 ずっと不具合が起こっているじゃないですか。全国各地で、この瞬間にもトラブルが起こっていると思いますよ。物すごい数ですから。それで一本化していいんですか。

 病院が、再診の患者さんの資格情報を、札幌病院は把握していたんですよ。そして、何よりも、患者さんの多くが従来からの保険証を持っていたから診療に問題がなかった、これが真実なんですね。札幌市は、トラブルの当日、旧ツイッター、Xで、マイナ保険証トラブルを伝えると同時に、保険証の持参を呼びかけたんです。そして、北海道放送もトラブルを伝えて、保険証によって対応していることを伝えたんですよね。これも功を奏して、実際、診療に至らなかった人はいなかったというんですよ。

 自治体も保険証が必要だとしているんですよ。大臣、ここが一番大事なところなんですよね。これだけトラブルが続いて、やはり保険証というのが大事だと。

 大臣にお伺いします。

 国が廃止を決めた保険証が本人確認の決め手となっているのは事実なんです。そして、診療につながる重要な役割を果たしているんですけれども、大臣の受け止めはいかがですか。

福岡国務大臣 先ほど政府参考人からもお答えしたとおり、ネットワークの不具合などによってマイナ保険証でオンライン資格確認ができない場合において、紙の保険証がなくても、マイナンバーカードと併せて資格情報のお知らせであったりマイナポータル資格情報画面を提示する方法であったり、再診の場合は資格情報の口頭確認、初診の場合でも資格申立て書を記載していただくことで、窓口で十割負担をすることなく受診を可能としておりまして、御指摘のような不具合が発生した際にもこうした方法で対応することができるものと考えております。

 従来どおりの保険診療が確実に受けられるように必要な対応を講じているところでございまして、マイナ保険証を安心して御利用いただけるように、引き続き、医療機関であったり国民の方々に丁寧な周知を行ってまいります。

田村(貴)委員 トラブル続き、そして不具合だらけのマイナ保険証本人確認。国民が信頼を寄せていると言えますか。

 厚労省、マイナ保険証の利用率、直近で、四月、二八・六五%、そうですよね。そして、マイナ保険証を登録し、活用してくださいと言っている厚生労働省そのもの、厚生労働省の職員の利用率は、厚労第一が三三%、厚労第二が二九%、そして国全体でも、国家公務員の共済で三割。三割にとどまっている。そういうことでよろしいですね。

鹿沼政府参考人 基本的には、先生がおっしゃったとおりでございます。

 つけ加えれば、厚生労働省第一共済組合の中の厚生労働本省支部については三九%という数字でございます。

田村(貴)委員 その程度なんですよ。大臣、利用率、三割にも満たない、国民全体で。制度そのものに問題があって、そして行き詰まっていることの証左じゃないですか。医療機関も患者さんも迷惑を被っている。保険証を取りに帰る二度手間もある。この損失は多大なものですよ。

 リアルな実態を、今日資料でお配りしています。

 直近のマイナ保険証利用率は三〇%未満が七割、医療機関の九割でトラブルが発生している、トラブルへの対処法は、健康保険証で確認しているが八割、そして、七割の医療機関が保険証の復活を望んでいると言っているではありませんか。

 マイナ保険証の強制はやめて、健康保険証を存続させるべきです。少なくとも、当面、国保における資格確認書の全員送付など、万全の体制を講ずるべきだと思いますが、答弁してください。

福岡国務大臣 マイナ保険証については、何らかの事情で医療機関で使えない場合でも、マイナンバーカードと併せて資格情報のお知らせであったりマイナポータルの資格情報画面を提示することであったり、再診の場合は過去の資格情報の口頭確認、初診の場合でも資格申立て書を記載いただくことで、保険証であったり資格確認書がなくても窓口で十割負担をすることなく受診可能としておりまして、こうした扱いを医療機関であったり国民の皆様方に周知をしているところでございます。

 これらの対応を行った上で、切替えに伴い、国民の皆様方から不安の声をいただいていることに対しましては、最大一年間、発行済みの保険証は使用でき、マイナ保険証をお持ちでない方には申請によらず資格確認書を交付する、マイナ保険証をお持ちの要配慮者には申請に基づき資格確認書を交付するといった措置を講じたほか、保険証の切替えに伴いますマイナ保険証や資格確認書の利用の周知広報など、国民の皆様方に不利益が生じないように各種取組を行っているところでございます。

 いずれにしても、混乱なくそういった運用がなされるように、丁寧な周知を行ってまいります。

田村(貴)委員 時間が来ました。終わります。

     ――――◇―――――

藤丸委員長 次に、社会保険労務士法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、森英介君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、社会保険労務士法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田畑裕明君。

田畑委員 社会保険労務士法の一部を改正する法律案につきまして、趣旨説明を行わせていただきます。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。

 社会保険労務士法は、昭和四十三年に制定され、以降、八度にわたり改正が行われてきたところですが、急速な少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い働き方が多様化する中で、社会保険労務士が担う業務や役割の重要性が飛躍的に高まっております。

 本起草案は、このような状況を踏まえ、社会保険労務士の現在の業務や役割にふさわしい規定を整備するため、社会保険労務士法に所要の改正を加えるものです。

 その内容は、第一に、第一条の目的規定を、社会保険労務士は、労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施を通じて適切な労務管理の確立及び個人の尊厳が保持された適正な労働環境の形成に寄与することにより、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上並びに社会保障の向上及び増進に資し、もって豊かな国民生活及び活力ある経済社会の実現に資することを使命とするとの使命規定に改めることとしています。

 第二に、その業務として、労働や社会保険に関係する法令や労働協約、就業規則及び労働契約の遵守の状況を監査すること、すなわち、労務監査が含まれることを明記しています。

 第三に、社会保険労務士が裁判所に出頭し陳述するに当たって共に出頭することとされている弁護士の地位を訴訟代理人から代理人に改めることとし、これによって、訴訟の場面だけでなく労働審判や民事調停の場面でも、社会保険労務士が出頭して陳述することができることを明らかにしております。

 第四に、名称の使用制限について、使用が制限される類似名称の例示として、社労士等を追加することとしています。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容となります。

 何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 社会保険労務士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

藤丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本起草案について発言を求められておりますので、これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 社会保険労務士法改正案に対する質疑を行います。

 我が党は、改正案について反対するものではありません。賛成です。社労士の業務拡大に伴って、適正な労働関係を損なう事件がこれまで少なくないので、質問をします。

 二〇〇二年の社労士法改正以降、社労士の業務拡大が進められてきました。二〇〇五年には裁判外紛争解決手続、ADRの代理権が付与されるとともに、社労士法二十三条に規定されていた労働紛争介入禁止規定も削除されました。したがって、労働紛争に関わる例も増えてきました。ADR代理権を付与した二〇〇六年の施行通知では、適正な労働関係を損なう行為を行った場合には懲戒処分の対象となることが記されています。社労士法が変わっても、労働関係を損なう行為はしてはいけないということです。

 これらの法律の趣旨が企業や個々の社労士に周知徹底されてきたと考えておられるでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の平成十八年発出の施行通達におきましては、社会保険労務士が適正な労使関係を損なう行為を行った場合には、都道府県社会保険労務士会において指導を行うとともに、調査審議を行った上で全国社会保険労務士会連合会から厚生労働大臣に懲戒事由の報告がなされた場合は、厚生労働大臣は厳正に対処し、必要に応じ懲戒処分を行うことが示されております。この通達は、全国社会保険労務士会連合会を通じまして、全国の社会保険労務士に周知をされております。

 また、社会保険労務士等の懲戒処分に関する運用基準におきましても、適正な労使関係を損なう行為は、社労士たるにふさわしくない重大な非行に当たることを明確化し、こうした行為を行った社会保険労務士が懲戒処分の対象となることを示しております。この基準は厚生労働省のホームページにおいて公表しておりまして、一般に広く周知をしているところでございます。

田村(貴)委員 削除された労働紛争介入禁止規定は、正常な労使関係が損なわれることがないように設けられたものです。この規定の削除に当たっては、不適正なことがあればきちんと正すことができる担保措置、懲戒処分等が設けられたんです。

 では、実際、機能しているでしょうか。

 二〇二〇年、宮城県労働委員会によって労働組合に対する不当労働行為の救済命令が出された、佐田不当労働行為事件というのがあります。これは、UAゼンセン佐田労組が、株式会社オーダースーツSADAの不当労働行為の救済を求めた事件です。会社の顧問社会保険労務士が第一組合の組合員に対して組合脱退用紙を配付したこと、そして、この社労士を介して組合員を第二組合に加入させようとしたことなどの事案です。

 第一組合の組合員に対する顧問社労士の行為について、宮城県労働委員会の命令ではどのように認定されていますか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案につきましては、中央労働委員会のホームページにおいて概要情報が公表されているところでございますが、それによりますと、被申立人である企業と業務提携していた社会保険労務士が、当該企業の組合員に対して労働組合の脱退届出の用紙を配付したこと等が、労働組合の弱体化を目的として当該企業と一体的に行われた行為と認められ、労働組合法第七条の不当労働行為に該当するものと認定された事案であると承知をしております。

田村(貴)委員 そうなんですよね。労働組合の弱体化を目的として、そして、七条三号の、労働組合に対する支配介入に該当するという事案だったんです。

 資料を今お配りしています。これが、労働委員会命令データベースからある、この事案の概要です。

 この中で、社会保険労務士が加入させようとしていた第二組合は、この社労士が設立に関与した労働組合だった、そして、この労働組合をめぐっては、東京労働委員会から、労働組合法による救済を受ける資格を有しない、そういう判断が下されています。

 社労士がスラップ訴訟を提起するといった問題もあっています。

 この裁判の判決では、社労士が労働組合の名称を使って、直接の実行行為以外の態様で、対する不当労働行為に関与したと推認される、そういうふうに認定もされています。これは、千葉県の千歳会労働組合に対する事案であります。

 まさに適正な労働関係を損なうものでありますけれども、この社労士は懲戒処分とされているんでしょうか。

岸本政府参考人 個別の事案につきましてお答えすることは、差し控えさせていただきたく存じます。

 一般論として申し上げれば、厚生労働省において社会保険労務士の不正事案等を把握した場合には、社会保険労務士法に基づき調査を実施し、事実関係を確認した上で、懲戒事由に該当する場合には懲戒処分を行っているところでございます。

 引き続き、社会保険労務士制度の適正な運用に努めてまいります。

田村(貴)委員 公開されている処分事案に懲戒処分は含まれていません。

 ほかにも、社労士が労働組合員を追い出すために暴力を振るったり裁判になっている事例もあっています。不適正な行為に対する担保措置が機能していると言えないのではありませんか。いかがですか。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 「社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。」との社会保険労務士の職責を規定しました社会保険労務士法第一条の二の規定に基づきまして、その業務を行うことが重要でございます。

 先ほども局長の方から答弁をさせていただきましたが、厚生労働省におきましては、社会保険労務士の不正事案等を把握した場合には、社会保険労務士法に基づきまして調査を実施し、事実関係を確認した上で、懲戒事由に該当する場合には懲戒処分を行っております。

 今後とも、一人一人の社会保険労務士が社会保険労務士法を遵守し、適正に業務を行うよう、厚生労働省としましても、全国社会保険労務士会連合会に対しまして必要な指導を行うとともに、制度の適正な運用に努めてまいります。

田村(貴)委員 こうやって公表されている労働委員会のデータベースの中でも、法に抵触し、法違反の事例があるにもかかわらず、適正な労働関係を損なう、そういう事例に対して担保措置が機能していない。これはもう事実なんですよね。これはやはり、しっかりと正していかなければならないと考えます。

 最後に、提案者にお伺いします。

 担保措置が機能しているか疑問に思わざるを得ない事例があります。労働組合やあるいは労働弁護団などが今指摘している論点や、実際に起こっている問題、これらを検証しての今度の法改正の提案となっているのか。更に強化策を盛り込む検討はなかったのか。これについてお考えを聞かせてください。

田畑委員 御質問ありがとうございます。

 今般の改正案の提出に当たっては、全国社会保険労務士会連合会におきまして、日本労働組合総連合会、連合さんを始め、関係団体の皆様とも様々な協議を踏まえてきたところでございます。その中で、御紹介ありました日本労働弁護団の声明を始めとして、改正案の内容に対する様々な御指摘があることも承知をしているところであります。

 その上で、今般の改正案は、いずれも社労士が従前から行っている業務について、法律上これを明らかにする趣旨のものであり、社労士の業務範囲を拡大するものではありません。この点について、関係団体との協議においても説明を尽くしてきたものと承知をしているところであります。

 先ほど委員から御指摘があったような一部の社労士による問題事案につきまして、個々の事案に応じて、社労士会において、内部規律の問題として適時適切に対処されてきたものと承知をしております。また、副大臣からも御答弁があったとおりだというふうに思いますが、問題状況とその対処について、今後も精査をしながら、更なる対処が必要となった場合には適切な対応策を検討してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

田村(貴)委員 私も、全部が全部そうなっているとは言っていません。しかし、看過することができない事案が起こっている、そして係争になっている、処分も下っているということは大事にしなければならない。

 私は、悪質な労務管理を指南することがない今の体制が問題があると思います。しっかりとした監督制度をつくっていくことを求めて、質問を終わりたいと思います。

藤丸委員長 以上で発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 お手元に配付いたしております草案を社会保険労務士法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

藤丸委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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