第7号 令和7年12月5日(金曜日)
令和七年十二月五日(金曜日)午前十一時開議
出席委員
委員長 大串 正樹君
理事 井上 信治君 理事 鬼木 誠君
理事 勝目 康君 理事 岡本 充功君
理事 酒井なつみ君 理事 早稲田ゆき君
理事 伊東 信久君 理事 浅野 哲君
東 国幹君 安藤たかお君
大岡 敏孝君 加藤 鮎子君
草間 剛君 栗原 渉君
古賀 篤君 後藤 茂之君
塩崎 彰久君 田野瀬太道君
田畑 裕明君 田村 憲久君
根本 拓君 藤丸 敏君
吉田 真次君 東 克哉君
石川 香織君 市來 伴子君
大塚小百合君 小山 千帆君
齋藤 裕喜君 柴田 勝之君
下条 みつ君 宗野 創君
中島 克仁君 宮川 伸君
山井 和則君 阿部 圭史君
猪口 幸子君 梅村 聡君
岡野 純子君 日野紗里亜君
沼崎 満子君 浜地 雅一君
八幡 愛君 田村 貴昭君
…………………………………
厚生労働大臣政務官 栗原 渉君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 村山 誠君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
十二月三日
辞任 補欠選任
田野瀬太道君 柴山 昌彦君
同日
辞任 補欠選任
柴山 昌彦君 田野瀬太道君
同月五日
辞任 補欠選任
山際大志郎君 吉田 真次君
同日
辞任 補欠選任
吉田 真次君 山際大志郎君
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十二月四日
介護保険制度の抜本改善、大幅な処遇改善を求めることに関する請願(たがや亮君紹介)(第一七二号)
同(中谷一馬君紹介)(第一七三号)
同(長谷川嘉一君紹介)(第一七四号)
同(福田玄君紹介)(第一七五号)
同(三角創太君紹介)(第一七六号)
同(八幡愛君紹介)(第一七七号)
同(笠浩史君紹介)(第一七八号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一九二号)
同(志位和夫君紹介)(第一九三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一九四号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一九五号)
同(田村貴昭君紹介)(第一九六号)
同(田村智子君紹介)(第一九七号)
同(藤原規眞君紹介)(第一九八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一九九号)
同(本村伸子君紹介)(第二〇〇号)
同(奥野総一郎君紹介)(第二二九号)
同(橋本慧悟君紹介)(第二三〇号)
同(西川厚志君紹介)(第二五八号)
同(柳沢剛君紹介)(第二五九号)
国保加入者に傷病手当、出産手当を給付する制度の確立に関する請願(篠原孝君紹介)(第一七九号)
社会保障制度改革に関する請願(田畑裕明君紹介)(第一八〇号)
国民の医療と介護を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇六号)
同(志位和夫君紹介)(第二〇七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二〇八号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二〇九号)
同(田村貴昭君紹介)(第二一〇号)
同(田村智子君紹介)(第二一一号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二一二号)
同(本村伸子君紹介)(第二一三号)
地域住民の医療を受ける権利を保障するために医療機関の維持存続への支援を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一四号)
同(井坂信彦君紹介)(第二一五号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第二一六号)
同(黒岩宇洋君紹介)(第二一七号)
同(許斐亮太郎君紹介)(第二一八号)
同(志位和夫君紹介)(第二一九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二二〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二二一号)
同(田村貴昭君紹介)(第二二二号)
同(田村智子君紹介)(第二二三号)
同(中谷一馬君紹介)(第二二四号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二二五号)
同(松尾明弘君紹介)(第二二六号)
同(本村伸子君紹介)(第二二七号)
同(八幡愛君紹介)(第二二八号)
同(篠田奈保子君紹介)(第二六〇号)
同(西川厚志君紹介)(第二六一号)
同(西川将人君紹介)(第二六二号)
同(藤原規眞君紹介)(第二六三号)
同(牧義夫君紹介)(第二六四号)
お金の心配なく、国の責任で安心して暮らせる社会とするための社会保障制度の拡充に関する請願(辰巳孝太郎君紹介)(第二八二号)
保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(酒井なつみ君紹介)(第二八三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
厚生労働関係の基本施策に関する件
高次脳機能障害者支援法案起草の件
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○大串委員長 これより会議を開きます。
厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、去る十二月三日、厚生労働関係の基本施策に関する実情調査のため、委員十八名が参加し、国立障害者リハビリテーションセンター及びハローワーク池袋サンシャイン庁舎の視察を行いましたので、参加委員を代表して、私から調査の概要を御報告申し上げます。
まず、埼玉県所沢市の国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、芳賀総長、内山管理部長及び今橋高次脳機能障害情報・支援センター長から業務の概況等について説明を聴取し、生活訓練及び肢体機能訓練を視察した後、高次脳機能障害者への支援の在り方、医療機関等における認知度の向上の方策、支援拠点の今後の在り方等について質疑応答を行いました。
次に、東京都豊島区のハローワーク池袋サンシャイン庁舎において、高橋所長から業務の概況等について説明を聴取し、マザーズコーナー等の職業紹介の現場を視察した後、ハローワーク業務のデジタル化、民間職業紹介より選ばれるような取組の必要性、看護師の就職支援の現状等について質疑応答を行いました。
以上が視察の概要であります。
最後に、今回の視察に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。
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○大串委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局長村山誠君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大串委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○大串委員長 高次脳機能障害者支援法案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、田畑裕明君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、高次脳機能障害者支援法案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田畑裕明君。
○田畑委員 高次脳機能障害者支援法案につきまして、趣旨説明を行わせていただきます。
本起草案の趣旨及び内容につきまして申し上げます。
高次脳機能障害とは、疾病の発症又は事故による受傷による脳の器質的病変に起因すると認められる記憶障害、失語等の認知機能の障害をいい、令和四年の調査では、その患者数は全国で約二十三万人と推計されています。
この障害は外形上判断しづらく、その特性の理解も進んでいないなどの理由で、患者とその家族は、日常生活や社会生活に困難を抱えているとの声がございます。
このような現状を踏まえ、超党派による高次脳機能障害者の支援に関する議員連盟を設立し、その場において関係者からのヒアリングを行いつつ、議員間で真摯な議論を積み重ね、高次脳機能障害者の自立及び社会参加のための生活全般にわたる支援を図る本起草案を取りまとめたところでございます。
その主な内容は、第一に、基本理念として、自立と社会参加の機会が確保され、また、尊厳を保ちつつ他者と共生することが妨げられないこと、社会的障壁の除去に資すること、個々の事情に応じ、また、関係者の連携の下に、あらゆる段階で切れ目ない支援が行われること、居住する地域にかかわらず等しく適切な支援を受けられることの四つを定めております。
第二に、基本的な支援施策として、まず、高次脳機能障害者やその家族に対する支援施策について、地域での生活支援、就労の支援、相談体制の整備等を、また、その他の支援施策について、国民や医療従事者等に対する普及啓発、地方公共団体や民間の団体への支援、専門人材の確保等を、それぞれ定めております。
そして、これらの施策を計画的に策定、実施し、さらに実施した施策を公表させることで、体系的、実効的な支援を確保するものとなっております。
第三に、このような支援施策を実施する体制として、高次脳機能障害者支援センターの設置、専門的な医療機関の確保、当事者や関係機関等から構成される地域協議会の設置について定めております。
第四に、法施行後三年を目途として見直しを行う旨の検討条項を設けております。
なお、この法律は、令和八年四月一日から施行するものとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容となります。
何とぞ御賛同いただきますようお願いを申し上げます。
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高次脳機能障害者支援法案
〔本号末尾に掲載〕
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○大串委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本起草案について発言を求められておりますので、順次これを許します。岡本充功君。
○岡本(充)委員 立憲民主党の岡本充功でございます。
本日は、高次脳機能障害者支援法案の審議であります。これまで、法案の成立に向けて御努力いただきました今日の提出者の方を始め、私もメンバーの一人ではありますけれども、議連の皆さん方が御努力をされた結果だと思います。そういう意味では、私も大変感慨深いものがあるわけであります。
先ほど委員長から御報告がありましたように、一昨日ですか、国立障害者リハビリテーションセンターにお邪魔をして、高次脳機能障害をお持ちの皆様方の支援をする取組を見てまいりました。大変積極的に、そしてまた意欲的に取り組まれているという印象を持ったわけでありますし、生活支援また就労支援を通じてこの法律がしっかりと生きていくことを私も願ってやみません。
そんな中で、確認をしておきたいと思います。
高次脳機能障害という障害はどういうときに起こるかというと、主には、一番多いのは恐らく脳血管障害ではないかと思うわけでありますが、脳血管障害。そして、それに次いで、ほぼ同じぐらいで交通事故などの事故、そしてまた脳炎などの疾病やCO2中毒、こういったものもあると承知をしています。
こうした中で、その原因のいかんを問わず支援をしていくことが必要だと私も思ってはいるわけでありますが、様々な疾病対策の支援法があります。一つが循環器病対策についての支援、そして、もう一つはがん対策についての支援があります。
例えば、加齢に伴う脳梗塞でも高次脳機能障害は生じ得るわけでありますし、こうした加齢に伴う脳梗塞や脳卒中などにおいては、若しくは認知症の方については、介護保険やまたオレンジプランなどほかの支援策があります。また、脳腫瘍、その中でも悪性腫瘍の場合には、がん対策基本法での支援もあると思います。
そういう意味では、まずはこういった疾病に対する支援の制度を利用しながら原疾患に対して対応していく、そして、その暁には、残念ながら高次脳機能障害があるということになれば、診断されたということであれば、疾病の治療が落ち着いた暁にはこうした支援が行われる。こういう整理でいいかということについて、政府側の確認を求めたいと思います。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
この度、熱心な御議論の積み重ねによりまして、高次脳機能障害者支援法案が提出されるに至ったわけでございますけれども、その中で、お尋ねのありました各個別の疾患対策法関係との関係でございます。
例示として循環器対策基本法のことを御指摘ありましたので、そことの関係で御説明申し上げたいと思いますけれども、循環器対策基本法は、国が対策推進基本計画を策定し、その計画に基づいて、循環器病の後遺症としての高次脳機能障害のある方の支援に取り組むこととされていると承知をしております。
一方で、今回の法案におきましては、事故による脳外傷でございますとか脳卒中以外の脳の疾病による場合など、原疾患を問わず、高次脳機能障害のある方の支援を対象としているものと承知をしております。
循環器対策基本法では、循環器病という疾患に着目をした上で、予防を含む各段階に応じて、保健、医療、福祉における支援でございますとか、あるいは、居住する地域にかかわらず等しく総合的にこういった支援が受けられる体制づくり、さらに関係機関の連携体制などなど、必要な施策を講じるように定められていると承知をしております。
一方、本法案では、高次脳機能障害という障害、状態、これに着目をいたしまして、あらゆる段階で切れ目なく支援が行われるように、生活、教育、就労などの支援や御家族の方々への支援を定めようとしているものと承知をしております。
そうした関係に立ちますので、個別疾患対策法とこの法律の中では、法で規定されている支援によりましてはその目的、役割などが重なる部分もあり得るものとは思いますが、一方で、既に各法に基づいて講じられている支援策であるとか支援体制について変容が強いられる、何か変化が強いられるようなものでもないというふうに受け止めております。
厚労省といたしましては、本法案が成立した暁には、それぞれの関係法の規定でありますとか関連施策を活用しつつ、支援体制の構築、強化に努めていきたいというふうに考えております。
○岡本(充)委員 もう一度確認なんです。
例えば、がん対策基本法については触れられませんでしたけれども、疾病の治療が優先されて、まずは疾病をちゃんと治療してくださいね、それについてはがん対策支援法で支援をしていくという整理であり、例えば、脳腫瘍があって、若しくは悪性リンパ腫で、全脳照射、放射線照射をして高次脳機能障害が生じたような方の場合には、まずはがん対策をきちっとやっていただく、その上で、がんの治療が一段落した、治癒したと言われた暁に、高次脳機能障害が残っている、その中でこの法律がまさに支援に生きてくる、こういう整理でいいですねということを確認しているので、そのとおりですと言っていただければ結構です。
○野村政府参考人 御指摘のとおり、治療の段階のときはそれぞれの疾病対策法に基づいた体制の下で支援が行われ、障害が残ったときにこの法律で支援をしていく、そういう関係になろうかと思います。
○岡本(充)委員 私もそうであるべきだと思っています。
そういう意味で、原因を何かに特定するわけではないというところは重要だと思う一方で、疾病対策をしっかりやっていかなきゃいけないと思います。
さて、残された時間で、同じく視察でハローワークに行ってきたわけですけれども、今日は安定局長にもお越しいただいていますが、ハローワークで大変大きなニュースがありました。いわゆる求職者に成り済ましたハローワーク墨田の職員が四件の内定を得ていたという話であります。
これがどのくらいの広がりがあるかとか原因が何なのかというのは調査中だと思いますが、今言える範囲で御説明をいただきたいと思います。
○村山政府参考人 お答えを申し上げます。
本年九月、ハローワーク墨田の若手職員が、自ら定めた就職件数の目標を達成する意図で、架空の名前で求人企業に応募し採用面接を受けるなど不適切な行為を行っていたことが判明をいたしました。
この職員は、先ほど委員からも御指摘ございましたとおり、九社で合計十三人の求人に応募して、そのうち四つに関しましては内定を得ていたということが判明をいたしておりまして、これら九社の求人企業の皆様方に対しましては、事案の説明と謝罪を行っているところでございます。
また、今般の事案を受けまして、緊急の全国会議を招集をいたしまして、都道府県労働局を通じ、全国のハローワークに公務員倫理の徹底や適正な目標管理を指示をいたしました。あわせて、全国における同様の不適切事案の有無を現在鋭意調査しているところでございます。
この度、ハローワークの職員によるこのような不祥事が発生したことに関しましては、誠に申し訳なく、この場をかりて深くおわび申し上げます。
引き続き、再発防止の徹底を含め、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
○岡本(充)委員 局長、もう一回確認です。
どういう調査を全国の労働局長に指示をしているのか。同様の事案がないかということはちょっと抽象的だと思います。どういう指示で調査をしているか、明言をしていただきたいと思います。
○村山政府参考人 調査は、視点として二つの点について行っております。
一つは、求職者をかたって成り済ましのような行為をしているという事案がないかどうか、また、そういうことを同僚等が行っているのを見聞きしていないかどうかについて厳正に調べているということが一点。それともう一つは、この事案の背景にある目標設定の在り方、これにつきまして、各所におけます就職件数の目標を職業相談等の部門でどのように設定しているのか。この二点について調査をしているところでございます。
以上でございます。
○岡本(充)委員 今回の事案も、必ずしも誰かが気づいたということでも、所内で気づいたということだけでもないようですし、調査の仕方はやはり工夫しなきゃいけないと思います。
是非、この件については当委員会の方に、委員長、報告を求めたいと思いますので、調査結果、そして調査の途中経過も含めて、理事会の協議事項としていただきたいと思います。
○大串委員長 理事会で協議いたします。
○岡本(充)委員 終わります。
○大串委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
趣旨説明でも、先ほどありましたように、日本では、高次脳機能障害者への支援が立ち遅れておりました。高次脳機能障害という言葉も一般的にはまだまだ十分に知られているとは言えないと思います。
そことも関連してくると思うんですけれども、先日、私も参加させていただきました厚労委員会の視察先であります国立障害者リハビリセンターでは、自立支援局を利用する高次脳機能障害の方の人数は僅か十一人というデータを見させていただきました。すごく立派な施設で、取組も本当に熱心にやられていて、もっと本当は利用したい方がたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思ったんですが、聞くところによりますと、高次脳機能障害の方に寄り添える、対応できる職員が少ないということも利用者数が少ない理由だったということを聞いております。
こうした状況を改善することを目指して十年近く前から動いてこられた議員の方々、そして団体の皆様には敬意を表します。
その後、今年五月にできました超党派の議連に、れいわ新選組からは参議院議員の天畠大輔議員が参加をしまして、今回の議員立法の作成にも尽力させていただきました。
高次脳機能障害の支援法の成立によって、予算が生まれて、施設やスタッフが拡充されていくということを期待しつつ、この法案について発言をさせていただきます。
まず、今回、これまで制度として扱われてこなかった家族支援が、独立条項として第十六条に明記をされました。これは、長年家族に過度の負担が集中してきた現状に正面から向き合うものであり、大変画期的だと受け止めております。
ところで、高次脳機能障害者支援における当事者を支える柱は、ピアサポート、つまり、当事者同士の支え合いです。けれども、今回の法案では、ピアサポートは条文に明記されておりません。当事者同士の支え合いというのは、治療から社会参加まで切れ目のない支援を構築するに当たり、非常に大きな意味を持っていると思います。
国立障害者リハビリテーションセンター内に設置されました高次脳機能障害情報・支援センターが主催する令和三年度第一回支援コーディネーター全国会議では、高次脳機能障害者のピアサポート活動の実態調査の報告が上がっております。
ピアサポートやセルフヘルプグループの活動は、当事者の孤立を防ぎ、社会適応だけでなく、社会参加、居場所づくりにつながる効果が示されております。とはいえ、高次脳機能障害者の支援は、現在は家族や支援者が主導しておりまして、当事者によるピアサポート活動がほかの障害に比べると全国に広がっていないという現状も明らかになっております。
このような現状がある中で、国は、高次脳機能障害者に対する生活支援や相談支援におけるピアサポート、イコール当事者同士の支え合いです、これの重要性についてどのように認識しておられますでしょうか。また、今後、地域格差の是正に取り組む中で、ピアサポートが全国で広がっていくよう取組を進めていく考えはありますでしょうか。お願いいたします。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
高次脳機能障害は、早期に発見し、治療、リハビリの支援につなげることが重要であると言われております。一方で、外見上判断しづらくて、周囲による理解が必ずしも十分ではないとか、あるいは御本人もなかなか気づきにくいことなどの特性を踏まえますと、当事者同士の支え合いであるピアサポート、これは重要な機能を果たすというふうに認識をしております。
そのため、都道府県に設置を進めております支援拠点機関というのがあるんですが、こちらの方で、当事者も含めた高次脳機能障害の正しい理解を促進するための普及啓発でありますとか、保健所を始めとする支援コーディネーターによる相談支援に加えまして、ピアサポート活動などの当事者同士の支え合いによる支援にも活用できるように、支援者に対して高次脳機能障害の支援手法などに関する研修などといったことを行っているところでございます。
厚生労働省といたしましては、こうした事業の実施などを通じて、当事者同士の支え合いを含めた高次脳機能障害者に対する支援体制の構築に努めていきたいと考えております。
○八幡委員 ありがとうございます。
ピアサポート活動の重要性を認識されており、そして、その拡充に取り組む姿勢があるということを確認ができました。
本法案には明記されておりませんが、生活支援や相談支援の中にピアサポートも含まれるということは、こちらで法制局に確認済みでございます。支援センターや相談支援体制の整備と同時に、ピアサポートが実装されてこそ、支援の多様性が担保され、当事者が主体的に生活を組み立てていけると考えております。本法案が成立した暁には、是非、ピアサポートを重要な政策と位置づけ、きちんと予算をつけて、全国に広げていけるようにお願いをいたします。
次に、今後の支援の在り方の枠組みについてお伺いいたします。
ピアサポートを全国に広げ、当事者が主体となって支援を進めていくためには、高次脳機能障害者の支援の在り方を検討する会議体に当事者やピアサポートの知見のある障害者団体などが参加することが非常に重要だと考えております。国レベルでの検討会はもちろん、支援体制が自治体ごとに大きく異なる現状を踏まえると、自治体レベルの会議体にも当事者参画を進めていく必要があると考えております。当事者が参加することによって、地域ごとの支援の方向性の違い、当事者不在の施設の設計、ピアサポートの軽視といった課題を埋めることにつながっていくと思っております。
厚労省にお伺いいたします。
ピアサポートなどを後押ししていくためにも、国レベル、自治体レベルの会議体への当事者の参画を促す、又は後押しをしていくお考えはありますでしょうか。お願いいたします。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
各都道府県に設置をされました支援拠点機関、こちらの支援の充実を図るために、国立リハセン内に高次脳機能障害情報・支援センターを設置をしております。そこでは、都道府県職員でありますとか支援拠点機関の支援コーディネーターを対象とした全国会議の開催であるとか、研修事業を含む啓発活動などを実施しているところでございます。
この支援センターの運営委員会、こちらの方には、高次脳機能障害の当事者団体であるとか、あるいはその支援に関わられる関係団体の方々、さらに学識経験者などの委員で構成をしているところでございます。全国の支援拠点機関と当事者団体等の関係機関との一層の連携が図れるように、高次脳機能障害者に対する相談支援や普及啓発方法などの必要な事項について協議をこの運営委員会で行っていただいているところでございます。
厚生労働省といたしましても、引き続き、当事者団体の方々の御意見なども伺いながら、高次脳機能障害の方々への適切な支援が広がるように努力をしてまいりたいと考えております。
○八幡委員 お答えありがとうございます。
本当に、今回の議員立法は、私、すごく前進する、すごい前向きなものだなと捉えております。ですので、いい議員立法なんですから、当然、これから進めていくに当たって、当事者の声をどんどん聞いていただきたいなと思っております。是非、引き続き前向きに御検討よろしくお願いいたします。
最後に、一つお伺いいたします。
高齢になって高次脳機能障害を発症した方が、介護保険を優先するという原則の下で、障害福祉サービスの利用につながりにくくなっているという声をたくさん伺っているんです。そもそも、高次脳機能障害についての理解が窓口でも十分ではない中で、介護保険優先という原則がハードルに重なって、結果として支援にたどり着けない、そのような実態があるようです。
本法案の基本理念では、切れ目のない支援を掲げております。制度の縦割りのために支援に格差が生じてしまう状況というのは、これは理念とも整合していかないと思っております。
厚労省は、高齢期に高次脳機能障害を発症した場合にも必要な支援が受けられるようにする観点から、自治体に対する周知の徹底を含めて、制度改善に向けた検討を進めていくように考えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の社会保障全体の体系の中では、あるサービスが、公費で負担される制度でも、あるいは社会保険制度でも、いずれでも提供されているという場合には、保険料を納付いただいて国民が互いに支え合うという社会保険制度によるサービスをまず利用するという、いわゆる保険優先の考え方を原則としております。障害福祉施策と介護保険施策の間においても、同様のサービスを利用できる場合には、まずは介護保険制度を利用していただくという形になっております。
ただ一方で、その運用に当たりましては、一律に介護保険サービスが優先されるというものではなくて、お一人お一人の個別の状況を丁寧に勘案しながら、その人が必要とされている支援を受けられることが重要であると考えておりまして、介護保険サービスでは十分なサービスが受けられない場合には障害福祉サービスを利用できるといったような取扱いをお示しをしているところでございます。
各自治体で適切な運用がなされるよう、御指摘の高次脳機能障害の課題、特性なども含めながら、自治体への周知に取り組んでまいりたいと考えております。
○八幡委員 ありがとうございます。
本来は、れいわ新選組としては、介護保険の優先の原則というのを廃止をして、年齢に関係なく障害福祉サービスを利用できるようにすべきだと考えております。
しかし、まずは、今回、本法案の成立後、改めて高次脳機能障害者に対する窓口の対応など実態を把握した上で、支援につなげることができずに取り残されているという方が起きないように、自治体に対しても引き続き、先ほどおっしゃいました、具体的な内容の伴った周知徹底をお願いいたします。
質問を終わります。ありがとうございました。
○大串委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
高次脳機能障害者支援法案について質問します。
最初に提案者に質問します。
高次脳機能障害は、傷病による脳の器質的病変によって起きるものとされています。しかし、画像所見がなくても、神経学的な診断などで医学的に脳に器質的病変があると診断される患者さんについても高次機能障害に含まれると認識していますけれども、いかがでしょうか。
もう一点。あわせて、軽度外傷性脳損傷、MTBIの患者さんについても質問します。
MTBIは、交通事故や転倒等で頭を打ったり揺さぶられたりした場合に、脳がダメージを受けて記憶障害などの認知機能障害を発症する病気であります。神経学的診断などで医学的に脳の器質的病変があると診断されれば、本法律案の対象になると考えますけれども、いかがでしょうか。
○早稲田委員 田村委員にお答えいたします。
高次脳機能障害、本法案では脳の器質的病変に起因すると認められる認知機能の障害を言い、器質的病変の確認方法としては、MRI、CT、脳波等の検査所見によることが原則であると承知をしております。
もっとも、交通事故など受傷や、脳卒中、脳梗塞といった疾病の事実が確認され、かつ、認知障害を主たる原因として日常生活や社会生活に制約があるとの症状、例えば失語、失認、失行など、そうした症状を呈しながら、MRI等による検査所見で脳の器質的病変を明らかにできない症例がございます。そうした症例につきましては、慎重な評価によって脳の器質的病変が存在しているとの確認ができる場合には、高次脳機能障害と診断され得るものと承知をしています。そして、その場合には、当然ながら本法案の対象になるものと考えております。
なお、お尋ねの軽度外傷性脳損傷、MTBIにつきましては、脳損傷により三十分以内の意識消失や二十四時間以内の外傷性健忘等を来すものであると言われていることは承知をしております。その上で、高次機能障害は、先ほども申し上げたとおり、脳の器質的病変の原因事実が確認されて一定の認知障害の症状があること、器質的病変の存在が検査所見において確認されること等を診断基準としており、意識消失の時間の長短にかかわらず、高次機能障害と認められるものであれば、当然、本法案の対象に含まれるものであるということを申し述べておきます。
いずれにしましても、高次脳機能障害は、外見上判断しづらく、その特性の理解も進んでいないことから、本法案の制定を機に、周知啓発を図り、そして広く社会の理解を得ていくこと、そして何より、当事者と家族の皆様に寄り添ったその支援を進めていくことが必要であると考えております。
○田村(貴)委員 非常に重要なポイントが確認できました。ただ、今までの患者さんがなかなか認定されていないという事実も踏まえて、これから法律ができるとなりましたら、ここを進めていかなければならないと思います。
画像所見の認められない高次脳機能障害の患者さんが労災保険の障害給付を受けようとした場合に、各労働局は本省協議をすることになっています。厚労省から資料を見せてもらったんですけれども、過去十三年間の結果を見ると、協議件数百七十一件に対して支給決定は三十八件、二割弱となっています。
高次脳機能障害の診断ガイドラインでは、脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得るとされています。
厚労省、お伺いしますけれども、慎重に診断を行い、患者として認められるようにしてほしいと考えますが、今後いかがでしょうか。
○野村政府参考人 今、労働災害の認定において、慎重に診断して判断できる場合には診断名がつくというようなことをお示ししておりますが、そういった運用については、今後もそれを遵守をしていきたいというふうに考えております。
○田村(貴)委員 提案者にお尋ねします。
労災給付や障害年金を受けても、高次脳機能障害者やMTBIの患者は、所得保障は十分でなくて、療養や社会生活を送る上で非常に困難となっています。
一昨日、国立リハビリテーションセンターを訪問しました。高次脳機能患者さんの機能回復訓練について伺いました。機能回復訓練は、入寮して行うならば月に八万円の負担が、また、通所だと月に二万円の負担が必要だということでありました。
法案では、支援内容として所得保障は明文化されていませんが、本法律に基づく調査研究や三年後の見直しに向けた検討で、高次脳機能障害者の生活やあるいは経済状況の実態を踏まえて、必要な施策を取っていくとされています。今後、患者の経済的生活的支援が必要であると考えますけれども、提案者はどのようにお考えでしょうか。
○田畑委員 お答えをいたします。
本法案は、高次脳機能障害に関する国民の理解を促進するとともに、高次脳機能障害者の自立、社会参加のための生活全般にわたる支援が、どの地域に居住されていても切れ目なく、あらゆる段階で切れ目なく受けることができるよう、必要な施策、支援体制の整備について定めてございます。田村委員御指摘のとおり、所得保障、また経済的生活の支援について直接定めているものではございません。
なお、高次脳機能障害者に関しては、現在においても、その症状、程度に応じて、障害年金、障害者総合支援法に基づく各種のサービスの対象となり得ることは委員御承知のとおりでありますし、今ほどの参考人の答弁にあるように、慎重かつしっかりとした審査体制もあるというのも現実でございますが、何よりも、この本法案を成立をさせていただいた後、高次脳機能障害者に対する支援を更にどのように充実させていくかについて、この施行状況をしっかり見定めて検討されていくというふうに承知をしております。
高次脳機能障害者に対する経済的生活支援に関して、現行のこの体制の制度の趣旨、またその実施状況、障害者支援体系全体とのバランスを見ながら、本当に適切に検討が行われていくものというふうに考えております。
以上です。
○田村(貴)委員 やはり経済的な支援というのは必要だというふうに思いますので、そこが促進されるように、私たちも引き続き要望していきたいと思っております。
厚労省にお尋ねします。
高次脳機能障害者の診断、治療に当たる専門医の数が十分ではありません。国立リハビリテーションセンターに行っても、高次脳機能障害者の患者の利用はさして多くないということでありました。その理由の一つに、専門医が少ないということでもありました。
高次脳機能障害者の専門医の育成を、また養成を増やすことが必要だというふうに思っていますけれども、今後どのような対応をされていくのでしょうか。養成を行う医療機関などの増加や、あるいは必要な支援などが肝要と思いますけれども、いかがでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の高次脳機能障害の診断、治療に当たる専門医であるとかあるいは医療機関、これをどのように養成し確保していくかというのは重要な課題であると考えております。
そのため、都道府県に設置をしております支援拠点機関において、医師や専門職の方々を対象とした高次脳機能障害に関する研修、こうしたものを実施していくほか、医療従事者に対する相談支援や普及啓発を実施しているところでございます。このようなことを通じて、知ってもらうということ、あるいはその方法論などについて知見を深めてもらうこと、こういった体制をまずはつくっていくことが大事かなと思っております。
加えて、令和五年度からは、各都道府県におきまして、地域における協力医療機関、これは診断をする医療機関であったり、リハビリ、療養を行う医療機関であったりしますけれども、こういった協力医療機関を確保しつつ、関係機関が相互に連携、調整をしながら、高次脳機能障害者やその御家族への支援に資するような情報提供を行うといった取組などによる地域支援ネットワークの構築を推進しております。
こうした体制を構築することを通じまして、専門的な知見を持ったドクターの方であるとか、あるいはその治療に当たることのできる医療機関、こうしたものの確保を進め、高次脳機能障害の方々に対する支援体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
○田村(貴)委員 専門医とそして専門の医療機関と巡り合って初めて、高次脳機能障害の患者さんが患者として分かるわけなんですよね。ですから、そこの点も前に進むことを強く要望して、質問を終わります。
○大串委員長 以上で発言は終わりました。
お諮りいたします。
お手元に配付いたしております草案を高次脳機能障害者支援法案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大串委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大串委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会

