衆議院

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第2号 平成28年10月19日(水曜日)

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平成二十八年十月十九日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 白須賀貴樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    小倉 將信君

      尾身 朝子君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      小松  裕君    佐々木 紀君

      島田 佳和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    中川 俊直君

      橋本 英教君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    阿部 知子君

      大畠 章宏君    落合 貴之君

      篠原  孝君    鈴木 義弘君

      田嶋  要君    中根 康浩君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    小沢 鋭仁君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   国土交通大臣政務官    根本 幸典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          末松 広行君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    宮本  聡君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 正田  寛君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     秋本 真利君

  佐々木 紀君     小松  裕君

  塩谷  立君     橋本 英教君

  白石  徹君     田畑 裕明君

  福島 伸享君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     穴見 陽一君

  小松  裕君     佐々木 紀君

  田畑 裕明君     鬼木  誠君

  橋本 英教君     塩谷  立君

  阿部 知子君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     白石  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通保安審議官住田孝之君、経済産業省大臣官房審議官中石斉孝君、経済産業省産業技術環境局長末松広行君、経済産業省商務情報政策局長安藤久佳君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、中小企業庁長官宮本聡君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君及び環境省大臣官房審議官正田寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋(要)委員 田嶋要でございます。

 冒頭、トップバッターで質問させていただくことに感謝を申し上げたいと思います。

 まず、世耕新大臣、御就任おめでとうございます。また、副大臣以下、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今、同じ釜の飯ということを近藤先生から言われて、やりやすい面、やりにくい面、いろいろございますが、いずれにしても、建設的に、そして、僕は大変期待していますので、本当に期待していますので、改革を前に進められる、そういう大臣であっていただきたいと、まず御希望を申し上げたいと思います。

 冒頭、つい先日のことでございますので、お尋ねをしたいと思いますが、新潟県で知事選挙がございました。ある意味、予想以上に大きな差でああいう結果になったわけでございますが、私は、まず大臣の受けとめをお伺いしたいというふうに思います。

世耕国務大臣 会社の一年先輩で、独身寮でも御一緒させていただいた田嶋委員からの御質問でございますが、新潟県知事選挙において米山氏が当選をされました。これは、あくまでも新潟県民が選択をされた結果だというふうに思っております。

 これから機会を見て、お互いの日程が合えば、新知事にお会いをして、お考えもしっかりと伺い、いろいろな面で協力をしながら、新潟県の発展にも私として力を入れてまいりたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 新潟県の発展ということは、もちろんそのとおりだと思います。世論調査をすれば、常に六割、七割の方が原発はもう勘弁してほしいという意思表示をされているわけでございますけれども、やはりあのような首長選挙で結果が出ますと、それは大きなインパクトがあろうかなと。鹿児島の知事選挙もせんだって行われました。そして、福島のお隣でもあり、福島県から、恐らく山形県と新潟県に一番避難もされておる、多くの方が避難をされている新潟県でございます。そういった隣県で、今回こういった意思が出たわけでございます。

 私ども民進党は、前から、原発に関しては明確にスタンスを決めて取り組みを続けさせていただいておりますけれども、もうそろそろ自民党政権においても政治決断をしなければいけないんじゃないのかなという感じを非常に強く持っているところでございます。

 その一つとして、お手元に資料でお配りをいたしました。資料の一をごらんいただきたいと思います。

 私どもは、さきの通常国会までの間に、エネルギー関係で五本の議員立法を提出させていただいておりますが、そのうちの一本、この一の法案は、環境委員会の方で継続審議になっているものでございます。きょうは質問はいたしませんけれども、新大臣にぜひ改革を進めていただきたいという思いで、私ども野党が考えていることを少しだけ共有させていただきたいという思いで資料をつけさせていただきました。

 これは、恐らく鹿児島の方も新潟の方も、安全といったときに、オンサイトだけの安全で納得する人はいなくて、事故が起きた場合にどう逃げるんだ、大丈夫なのか、渋滞で動きがとれなくなるのではないのか、みんながそう思っている。しかし、今日まで、残念ながら、資料に載っていますように、共同で策定することは今の与党あるいは政府の取り組みでも当然行われているわけでございますが、よく言われている法的な根拠はなく、国の責任が明確ではない、その点に関して私たちは問題意識を持っております。

 多くの新潟の県民があのような意思表示をしたということは、原発というのは事故の可能性があるから、一たび起きたときの避難がちゃんとできるのかということに関して、これは新潟県でもない、やはり国が責任を持って本当はやっていくべきだ。ちょっとの違いかもしれないけれども、そのちょっとの違いを法的に位置づけることが国民にとっての大きな安心につながる。だから、再稼働できるかどうかはわかりませんよ。しかし、これはやはり必要なんだという思いで私たちは法案を提出させていただいたところでございます。

 何かコメントができれば、新大臣にコメントいただきたいと思います。

世耕国務大臣 原発の再稼働に関しては、まずオンサイトの安全が最優先である、このことはしっかりと規制委員会が新規制基準に基づいて判断をされることだと思います。そしてまた、それにあわせて、防災対策を通じて地元住民の御理解をいただくということも非常に重要だと思っています。

 特に新潟のことに関しましては、避難計画に関しては、全国知事会の代表という形ではありますけれども、泉田知事に原子力関係閣僚会議に御参加をいただいて、防災対策の考え方などについて新潟県の見方というのも随分取り入れさせていただいているところであります。ただ一方で、今回、選挙の出口調査で原発反対の方というのが非常に多かった、そういう方が米山さんに投票をされている、この事実は重く受けとめなければいけないというふうに思います。

 避難計画とか防災対策というものには終わりはありませんので、我々はこれは粘り強く改善をして、地域の皆さんに御理解いただけるものにしていきたいというふうに思います。

 そして、いわゆる避難計画を、国が関与する部分を法律化するかどうかということについて、これは世界でもいろいろ例があります。民進党の御提案の法律のような枠組み、国がしっかりと法律的に関与する、これはアメリカがとっております。しかし一方で、英国やフランスでは法定化をしないで、それぞれ地域の事情に合わせながら、地域と対話をしながら、国も関与しながら避難計画をつくっている、そういう国もあるわけでございますので、我々としては、地域との密接なコミュニケーションを通じていい避難計画をつくっていくという今のやり方で進めてまいりたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 自分の言葉で語っていただき、ありがとうございます。

 いろいろなやり方がある、そのとおりだと思います。

 ただ、アメリカとドイツ、フランスの違いは、やはり大事故が起きたのは、アメリカ、ソ連、日本です、七九年、八六年、そして二〇一一年ということでありますから。そういう意味では、スリーマイルという同じ大事故を経験したアメリカ、そして私たち日本、習うものがあるのではないか、私たちはこういう立場で、引き続き、この法案をベースとした実現を目指していきたい、そのように考えております。

 次の質問をいたしたいと思います。

 これも最近でございますけれども、パリ協定でございます。もう予算委員会等々でいろいろな御指摘があるわけでございますけれども、またかという感じでございまして、世耕大臣ももちろん無関係な大臣ではないわけで、外務大臣、環境大臣、そして経産大臣。

 なぜこんなことになったのか。なぜ閣議決定がこんなにおくれたのか。そのことを、今の時点で問題の所在に関してわかることがありましたら共有いただきたいと思います。

世耕国務大臣 政府としては、パリ協定の署名が可能となりました四月二十二日にまず署名を行いました。そしてその上で、パリ協定と国内法の整合性の確認などを行ってまいりました。これは経済産業省も整合性の確認を行ったわけであります。その作業を終えて、臨時国会後の審議日程の見込みなどを踏まえて、十月十一日に閣議決定を行ったわけであります。

 政府としては、外務省を初めとする関係省庁が一体となって、可能な限り迅速に作業、調整を行った結果として、十月十一日の閣議決定になったというふうに認識をしております。

田嶋(要)委員 精いっぱい頑張ってやむを得なかった、そういう認識ですか。

世耕国務大臣 精いっぱい頑張って十月十一日という認識でございます。

田嶋(要)委員 国益を損なったという認識はありますか。

世耕国務大臣 締結がおくれたことによって国益を損ねたという御指摘が一部あるわけでございますけれども、パリ協定の実施指針策定に係る交渉は、パリ協定の一種親協定のような形になるんでしょうか、我が国を含む国連気候変動枠組み条約の全締約国の参加を得て行われておりまして、協定発効後も、引き続き、COP22を含む国連気候変動枠組み条約の全締約国が参加する場で行われる見込みでありますので、何かこのスケジュールが、日本の閣議決定の日程によって国益を損ねるということにはつながらないのではないかなというふうに思っています。

 いずれにしても、国会において御審議をいただいて、早期の締結を目指して頑張ってまいりたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 国益は、私の認識は、パリ協定の実際の現場で行われることの詳細をわかっている人たちの間での国益ではなくて、むしろ、詳しくわからない、世の中の、世間の人がどういう印象を持つかということがやはり国益にとって重要だと思います。

 その意味で、あの中国も、どういう国内手続か知りませんけれども、早々と批准をした。アメリカに関しては、議会の承認が必要がないということで大統領が決断をした。EUも、それぞれの国はとても間に合わないと言っていたら、それぞれの国を飛ばしちゃって、EUそのものとしての決断をした。それぞれに最後には合わせてきたわけでありまして、完全に日本だけがバスに乗りおくれた、みっともないことに私はなっているというふうに感じております。

 そういう意味で、この分野は、私は、いろいろ御説明ありましたけれども、余り乗り気じゃないという気持ちがどこかにあるから、こういうことになっているんだろうというふうに思うんです。

 これは温暖化の問題ですから、当然、火力発電にも関係しますからね。原子力、火力発電。火力は、よく日本が今、これも大臣、もう学ばれたかと思いますが、石炭火力を唯一、一生懸命推進しようとしている変な国だというようなことまで国際社会では一部言われているわけであります。

 そういう意味で、どこかにそういう優先順位としては少し低いような位置づけを持っていることが、私は、結果として、外務省からも経産省からも環境省からも、タイムリーな形での動きが十分出てこなかったんじゃないか、閉会中であったとしても、議会も含めてやれることはもっとあったのではないのかなというふうに感じますが、大臣はそうは思っていないということでよろしいですか。

世耕国務大臣 厳しい御指摘ではありますけれども、地球温暖化対策に関しては、経済産業省、極めて前向きに捉えております。

 この地球温暖化対策をやることによって、日本に新たな産業、そういったものも育てていくことができると思っていますし、また、日本はそれにつながるいろいろないい技術を持っているわけですから、それをしっかりと育てていくことで、地球温暖化、日本の対策だけではなくて、世界の対策にしっかり貢献をしていきたいというふうに考えています。

田嶋(要)委員 サウジアラビアやらロシアやらいろいろなところに行かれて、そういう話もされているわけでありますから、残念ながら、せっかくいいアクションをとっていながら、こういうところで悪いメッセージとして、国際社会に後ろ向きなメッセージが伝わってしまったと私は言わざるを得ないというふうに思っております。

 資料二でお配りをいたしておりますが、これらに関しましても、関連法案として前回の通常国会に出し直しを三本いたしまして、加えて四本目のエネルギー協同組合法案を新法として、今四本、この委員会で継続審議になっているということを御説明させていただきたいというふうに思っております。

 一向に与党からは動きがあるような感じはいたしませんが、長々説明はいたしませんが、一言ずつ言っていきますと、分散型エネルギー利用促進法案は、大規模でやってきたものに加えて、これからは中規模、小規模、そういうエネルギーの発電が必要になってくる。つまり、集中型から分散型の社会にしていこうということであります。

 そして、熱エネルギーの法案は、電気だけに着目していてはいけない、熱に関してももっと強化をしていかなければいけない。これは後ほど出てくる省エネの部分でも少しそういう取り組みをやっているのは理解しておりますけれども、法律として私たちは提出をしました。

 また、三つ目の公共施設の話は、まず官から始めよということで、民間の動き、マーケットの形成を促進する上で、公共の建物に関して、これはドイツやシンガポールが先行していると思いますが、省エネ、再エネを推進していこう。

 そして最後は、今、ドイツで六百ぐらいあると言われておりますエネルギー協同組合、こういったものを日本でも実現していくための枠組みを提示し、そして、大きな企業が中心プレーヤーとなるのではなくて、個人や農家やあるいは小規模企業が新しい自然エネルギーの中心プレーヤーになるべきだという思いの法律を提出させていただきました。

 大臣御案内のとおり、今、ドイツでは、自然エネルギーのプレーヤーの大体五%が既存の電力会社でありまして、残り九五%はそうじゃない人たちがオーナーシップを持っている、そういう状況にありまして、個人と中小の企業、あるいはここで出ている協同組合なるものが五割を超えている、そういう状況であります。

 私どもがこういう法案を提言させていただいておりますので、ぜひとも前向きに与野党でそういった協議ができるように、そして政府に関しましても、こういった自然エネルギーの背中をさらに押す。今は、やる気のある自治体でしか進んでいないんですよ。跛行的なんです。これでは私はいけないというふうに考えておりますが、大臣、一言お願いします。

世耕国務大臣 民進党の御提案になっているこの四法案については、取り扱いは国会で決めていただくことですので、大臣としてコメントは控えさせていただきたいと思いますが、私も分散型の再生可能エネルギー利用というのをしっかり進めていくということは大変重要だというふうに思っています。

 経済産業省もいろいろな補助金とか助成のシステムはあるんですけれども、どうしても、例えば、バイオマスだとバイオマス発電機のところへぐっと集中をしてしまう、太陽光だと太陽光パネルのところへ集中してしまう。それをどういうふうにそれぞれの地域でエコシステムを組み立てていくかということが重要なんです。

 バイオマスでしたら、バイオマス発電機だけではなくて、例えば林業の担い手をどうするのか、その間伐材の運び出しをどうするのか、そういうことを踏まえて、どこにバイオマス発電所を組み立てればいいのかとか、そういう地域のエコシステムを考えながら再生可能エネルギーというのを考えていくということがいわゆる分散型エネルギーにつながるのではないか。

 民進党から法律を提案いただいているわけですが、私としては、法律じゃなくて、政府としてやれるところをしっかり点検して取り組んでまいりたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 法律を出すことのインパクトもやはり言うまでもなくあると思います。

 今、全国を私も回っておりますけれども、北海道の下川町や徳島県や長野県や、やる気のあるところはどんどん前へ行っている面は確かにあって、法律なんかなくても、ほっておけばやっていきますという感じもあるんです。ただ、やはり意識の低いところは意識の低いところで残ってしまっているし、そして、可能性を発見するためにも、私たち国が旗を振って、こういうような国会レベルで法律もつくっていきたいというふうに考えておるところであります。

 今、いいことを御指摘いただきました。経産省の弱点というか、やはりハード、一個一個の物の性能をぴかぴかにするということはこれまで取り組んできて、冷蔵庫の性能、エアコンの性能、車の性能。しかし、エコシステムとおっしゃいましたが、全体としての性能というか、あるいはエネルギー効率とか、そういうことを上げていくということが大いにこれから大事になってまいりますし、その点では、経産省のみではやっていけない側面がたくさんある。今おっしゃった林業との関係なんかも私は農村部にとって極めて重要だと思いますけれども、ぜひとも、これからさらに連携を強めた取り組みにしていただきたいというふうに考えております。よろしくお願いします。

 次に、これもホットではありますけれども、現在進行形の首都圏での大停電、そして、その後何が起きたのかの調査が進行形ということでございますが、大臣、この大停電は想定外だったという理解でよろしゅうございますか。

世耕国務大臣 今、警察、消防、あるいは我が省も少し入りまして原因の究明中であります。東京電力も今原因の究明に努力をしているところでありますので、まだ原因が未確定ということを前提で申し上げたいですが、ケーブルで火災が起こって、燃えて、ケーブルが切れた結果、停電が発生をしたということであります。

 田嶋委員も私も勤めていた会社で世田谷ケーブル火災というのがあって、世田谷方面の電話が数週間にわたって完全に通じなくなったというようなこともあります。やはり、ケーブルというのは何らかの形で、火災とか事故で切れることもある、こういうふうに想定をしておかなければなりません。首都圏でも一度、船のクレーンが送電線を切って、長期間停電が起こったという例もあります。

 そういう意味では、今回は想定外ではなかった。想定の範囲の中のものだったというふうに思いますし、だからこそ、バックアップの体制もあって、停電は起こりましたけれども、一定の時間で切りかわって給電が復旧をしたということにつながっているんだろうというふうに思っております。

田嶋(要)委員 私も、テレビだけではございますけれども、五十万世帯以上が停電をしたという大きな停電でありながら復旧が非常に早かった印象も同時に持ちまして、現場の方々の御努力に本当に敬意を表したいというふうに思います。

 ただ、こういった一個のことが起きたら、これを前提として、当然、再発防止をしなければいけないし、そしてまた、もう一つは、なぜこれが東京電力の管内で起きたのかということに関して、やはり二通りの感じ方を持ちました。

 一つは、これが十電力共通のプラクティスというか、メンテナンスのやり方の中で起きたのであれば、そういうやり方を改善するという方向で持っていかなければいけない。しかし、一方、そうじゃなくて、原発事故が起きてしまった東京電力が、例えば経済的にも人的にも逼迫した状況にあって、何らかこちらに余波が来たという形でこういうことになってしまった可能性があるのかないのか。

 その辺も今後の調査の一つとしてあるのではないのかなと思っておりますが、現時点で御答弁いただけることがあれば、お願いしたいと思います。

世耕国務大臣 東京電力については、まず私の方から、広瀬社長を経産省に呼びまして、早期の原因究明と再発防止、そして国民への自発的かつ丁寧な説明と情報提供について、直接指示をさせていただきました。

 また、全ての電力会社についても、再発防止に向けて、古いケーブルの緊急点検を行うこと、目視での点検に限界がある場合、常時監視のための工夫を行うこと、さらに、その保守、交換などを適切に行うということを指示したわけであります。

 また、これが東京電力特有の問題なのかどうかという点、私もまだいろいろなデータを見ているところではありますが、震災とは関係なく、東京電力は、ケーブルへの投資というのは大分長期的に下がってきていた傾向はあるなというふうに思っています。あるいは、メンテナンスに関しても、近年大分低く抑えられてきた傾向はある。その辺の原因というのは、これからよく東電とも話をしながらチェックをしていきたいというふうに思っています。

 少なくとも、我々としては、総括原価方式で電気料金を算定するときには、ケーブルの減価償却は大体二十五年で見ておりますし、メンテナンスコストについても過去五年の平均値をとるというやり方をとっていますので、我々が何か点検コストを、ケーブルにかかわるコストを落としてというようなことは政策的にはやっていないということだけははっきりしているというふうに思っています。

田嶋(要)委員 報道によれば、世耕大臣も、この三十五年超のケーブルに関して年に一回、目視による検査をしているということに少し驚かれたような、そんなようなニュースも流れておりましたが、もしそれが共通のプラクティスであるのであれば、そのこと自体を全体でレベルアップする必要もあるのではないか。

 やはり一般論として、日本のインフラは、二十世紀にたくさん投資をしてでき上がったものですから、二十年、三十年、四十年と、古いものが多々あるわけでございますから、思わぬところで油に火がついて、あのように真っ黒な煙が立ち上がるというようなことが今後もあるという想定のもとにアクションをぜひとっていただきたいというふうに思います。

 私どもも、部会であすからのヒアリングを行っていきたいというふうに考えております。

 何かございますか。

世耕国務大臣 経産省としても、このような事態をもう二度と起こさないために、電気事業者に何を行わせて、そして、政府として何をなすべきかということをしっかり考えていきたいと思います。省内にタスクフォースをつくりました。きのう第一回会合をやらせて、精力的に政府としての対応もしっかり決めていきたいと思います。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、やはり一つ起きたら氷山の一角という心構えで見ていくならば、経産省の所管のもう一つ、ガス事業の方も、一たび何かが起きれば、想定外で人命にかかわるようなこともあるというふうに思います。

 余分なことかもしれませんが大事なことだと思います。やはり安全にかえられるものはないわけでありまして、思わぬところで大きな事故が起きるなんということがゆめゆめ起きないように、そのこともぜひアクションにつなげていただきたいと思いますが、何か御答弁をいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 いろいろなインフラをしっかりと守っていくというのは非常に重要なことだと思います。

 我々の所管している、特に生活にかかわるもう一つのインフラということになると、都市ガスということになるわけでありますけれども、ガス事業者は、大分年齢のたったパイプの取りかえの目標年度を定めたガス安全高度化計画に基づいて、順次、ガス導管の取りかえを進めているところであります。特に、人口密集地など優先的な取りかえを要するガス導管については、二〇二〇年度末までに取りかえを完了する予定になっております。

 その上で、全てのガス導管についても定期的に健全性を確認して、ガス製造設備についても温度、圧力の日常点検を行うなど、平時からガスインフラの安全確保に努めてもらっているところであります。

 その上で、今回の大規模停電を踏まえて、ガス事業者としてもさらなる必要な対策について検討を始めるというふうに聞いております。経産省としては、電力、ガスを含めて、インフラの安全点検が確実に行われるように、関係事業者をしっかりと指導してまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 きょうは、後ほどのテーマにも入れておきましたけれども、今やIoT、こんな言葉も飛び交っている時代でございまして、五年前、十年前だったらできないような、そうしたリモートでの情報収集、そういったことも可能になってきているわけでありますから、ぜひ、そういった技術革新も活用しながら、安全には御注意をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、次のテーマでお伺いしますが、福島第二に関してお伺いしたいというふうに思います。

 余りふだんは俎上に上がらないかもしれませんけれども、今、福島第二というのはどういう状況になっておりますでしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 福島第二原子力発電所についてでございますけれども、平成二十三年十二月に、原子力災害対策特別法に基づく緊急事態解除宣言が発出された後、東京電力が同法に基づき策定した原子力事業者防災計画に基づく復旧計画書に沿って復旧を進め、平成二十五年五月までに、全ての号機で冷温停止の維持に必要な設備等の復旧が完了し、本年、平成二十八年六月十三日に、原子力規制庁により復旧内容の妥当性の確認が完了したものと承知してございます。

 現在は、協力会社も含めて約千七百人の体制で、燃料の安全な保管などを含め、同発電所の保守、管理を行っていると承知してございます。

 また、同発電所については、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査の申請はなされていないというふうに認識してございます。

田嶋(要)委員 出されていないということでもございますし、今回の世耕大臣の所信の中の三ページに、福島に関して言及がございます。さらに、福島を未来のエネルギー社会を開く先駆けの地とすべく、新たな社会モデルの構築に取り組んでまいります、こういうふうに書いてありました。

 行間を読み過ぎかもしれませんけれども、これは再生可能エネルギーを頑張るということだけじゃなくて、やはり今までのあり方も、ここら辺で政治的にも区切りをつけていかなければいけないんじゃないか。やはり福島県民が一丸となって、議会からもそういった声が出ている中で、福島第一はもちろん事故対応で大変でございますけれども、福島第二に関して、今、物理的にはそういう状況にあるということは確認いたしましたけれども、そろそろ廃炉ということをきちんとやっていく必要がある。

 もちろん、決めるのは電力会社かもしれませんが、福島第一の五号機、六号機のときの行政指導のような形で、やはり経産省としてもそろそろ腹を決めた方がいいんじゃないか。あるいは、何らか、今のような状況にしておくことの方が好都合な点があるのかどうか、その辺に関して御回答いただきたいと思います。

世耕国務大臣 まず、私が所信で申し上げました今御指摘の部分は、これは福島イノベーション・コースト構想というのがありまして、これから再生可能エネルギーのメッカにしていこう、あるいは、これから水素社会というのを日本が進めていく中で、一つの重要な拠点にしていこう、その思いを語らせていただいたわけであります。

 福島第二原発につきましては、福島県の皆様の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合性審査を申請している他の原発と同列に扱うことは難しいと認識をしております。

 ただし、今おっしゃったように、この原発の扱いについては、まずは、東京電力が地元の皆様の声に真摯に向き合った上で、東京電力が判断を行うべきものと考えております。

田嶋(要)委員 それに対して、国として、福島第一の五号機、六号機の決断と同じように、何らかの行政指導のような働きかけをする意思はないのかということをお尋ねしています。

世耕国務大臣 福島第一原発五号機、六号機は現在も緊急事態宣言がなされているという状況でありまして、これは内閣総理大臣が、原子力災害対策本部長として、そういう必要な指示を法的に行うことができるようになっているわけであります。

 福島第二原発は、平成二十三年十二月二十六日に緊急事態宣言が解除されておりますので、政府が廃炉その他の判断を行う法的根拠はないわけであります。

 ただ、先ほども申し上げたように、福島県の皆様の心情を察すると、新規制基準への適合性審査を申請している他の原発と同列に扱うことは難しいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 この所信の意図は先ほどおっしゃったようなところにあるというのは、私もそう思っておりますけれども、やはり先駆けの地というところに、そういった新基準への申請を控え、そして、同列に扱えないようなものが物理的にはそこにずっと何年も置いてあるということも、いつまでこういう状況が続くのかな、それが本当に県民の悲痛な声に応えている姿なのかなということに関しては、若干違和感を感じるということを申し上げたいというふうに思います。

 次の質問でございますが、関連でございますけれども、さきの新潟の知事選挙の結果も踏まえて、原発事業を本当にどうしていくのかなということを、改めて、これから長い期間、大臣をやっていただきたい世耕さんに考えていただきたいんですよ、本当に。

 大変ですよね、再稼働したくてももうできないような状況になってきて、東電も。それから、原子力依存度の高い関電も大変今追い込まれて苦しい状況にあると思いますが、いろいろな識者の方から、やはり国策民営を本当の意味での国策民営にしていかなきゃいけない、いろいろな負担を全部会社側に押しつけて、少し政府が逃げているような感じに見えるということを日に日によく聞くようになっております。いろいろな提言が出されております。

 私も、技術的ないろいろなオプションは詳しくは説明できませんけれども、やはりそれぞれの事業者がだんだんお荷物に感じてきているというふうな印象を持っております。それは電力会社によって温度差はあるかもしれませんが、いわゆるカーブアウトというんですか、要するに事業の切り出しですね、そういったことを誰がやるかといったら、やはり経済産業省がやるしかないわけであります。

 本当の意味での国策事業としての原子力のあり方、今後、どこでどう再稼働されるかされないかはともかく、やはり国民の安心という観点でも、今回の新潟からもそういうメッセージが発せられているというふうに思いますけれども、大きなところとして、大臣、その点に関しては研究会を開始するとか、そういうようなお考えはございませんか。

世耕国務大臣 今、原発を国有化すればどうかという御提案だと思いますけれども、原発を国有化すると、行政の肥大化ですとか事業の非効率化などいろいろな問題が逆に起こってくるというふうに思っております。ですから、政府としては、現時点では御指摘のような国有化という対応は考えていません。

 あくまでも、原発は、民主党政権時代にも計算をされても、我々の政権のもとで計算をしても、発電コストがやはり遜色なく低廉な電源である、そしてCO2の発生もないという電源であります。それをどういう形で使っていくかというのは、炉の設置者であり現場に精通をしているそれぞれの事業者がみずからの責任のもとで担っていくべきだというふうに思っております。

 一方で、今、電力会社でもいろいろな動きが出てきています。例えば、どのような体制で原子力事業を行うかというのを、各社いろいろ判断を今始めています。西日本方面の六つの電力事業者は、既に、防災に関しては連携をするという動きが出ています。また、これは原子力ではありませんけれども、火力発電で、東京電力と中部電力が共同で運用するという例も出てきています。

 やはり、それぞれの電力事業者が知恵を出す中で、この原子力発電にもどう対応して、全社としてのコスト管理をどういうふうにしていくかということを考えていくべきではないかというふうに思っています。

田嶋(要)委員 私は国有化という言葉は使っておりませんので、決めつけていただきたくなくて、オプションは官僚が考えていただきたい。さまざまないろいろな組み合わせがあると思います。その中の一つが、民主党政権時代にも国有化ということを言っていた人もいると思いますが、それはオプションの一つであって、国有化には今おっしゃったような欠点も恐らく考えられるだろう。

 その中で、やはり、私の危機感は、このままいくと、ずるずると原子力と一緒に今の電力会社の体力がどんどん弱っていくのではないか。ドイツなどを見れば、私はかつての委員会でも何度か指摘をしておりますけれども、株価もどんどん下がってきている状況があって、やはり方針転換、方向転換をどこかで決断しないと、みんなが、最終的には国益を損する、マイナスになっていくんじゃないかという危機感を持っております。

 これは民間の電力会社がみんなで知恵を出すことだとおっしゃいますけれども、余りそう突き放さずに、これは国策ですから、始まった経緯が国策ですよ、これは。やらされているのは電力会社ですけれども、言ってみれば、経産大臣には言わないけれども、嫌々やらされていたかもしれませんよ。今はもう嫌々やらされているのかもしれない。

 ただ、投資しちゃった額が巨額だから、全部それがサンクコストだからとにかく動かしたい、そういう思いも片っ方ではわかりますけれども、これは民間がやっているんだから皆さんで知恵を出してなんて冷たく言わずに、こちらでもいろいろなオプションを考えておくべきだということを、これは私だけが言っているんじゃないですよ、そういうことを申し上げているんですが、大臣はそれ以上の答弁はできないでしょうか。

世耕国務大臣 私も全部突き放しているわけではなくて、当然、国は安全で、そして安定的なエネルギーを供給する、これは国の仕事でありますから、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 原子力発電に特化した議論ではありませんけれども、電力システムの改革を貫徹するための、外部有識者に入っていただいた小委員会というものを立ち上げて議論をしていただいています。あるいは、東京電力のあり方についても、東電改革の委員会を立ち上げまして、今、これも精力的に有識者に御議論をいただいているところであります。

 そういったところの議論を通して、国としてもしっかりと方向性は出していきたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 ぜひよろしくお願いします。次につながる電力産業ということをやはり考えていかなきゃいけないと思っております。

 次に、これも電力の関係ですが、二年半前、安倍総理に御質問をさせていただきましたのは、いわゆる国際連系線の件でございます。

 何かというと、日本は島国だからドイツとは比較ができないなんということをおっしゃる方がおりますけれども、それはつなぐ意思があるかどうかの違いであって、別に、陸続きだろうが陸続きでなかろうが、イギリスの例を見れば、つながっているわけであります。

 当時、二年半前は、安倍総理の方からは、まず二国間の信頼関係が大事だ、そういう御答弁でありましたが、同時に、私の最後の質問に対して、多面的かつ十分な検討をする必要がある、今後とも、もちろんそういう検討をしながらというようなことも言っていただきました。自来二年半がたっております。

 世耕大臣は、ロシア何大臣でしたか、そういう名前を背負っておりますね。ロシア経済分野協力担当大臣、どんぴしゃでありまして、我が意を得たりという思いでございます。ロシアにも行かれて、いろいろなお話もされたようでございますが、これまでのいろいろなメニュー、十一月までに何かメニューをしっかりまとめるという話も聞いております。

 この国際連系線、総理もおっしゃっておりますけれども、悪いことを考え出すと、供給途絶などの懸念や大規模停電の影響が伝播する、安定供給の課題、何か悪いことが起きることを前提にいろいろ言い出せますけれども、私は逆だと思っているんですよ。そういう関係をつくることがほかの面でも、日ロ関係、これは韓国にも言えることだと思いますが、プラスの影響を逆につくっていかなきゃいけないし、つくる弾としてこの連系線のことを考えるべきだし、何も我々の生命線を握らせるような、そんなことをするわけはないのであって、それはイギリスだってどこのヨーロッパの国だって、隣の国に自分の電力を全部握られるようなことは考えていないわけでありまして、それは言わずもがなであります。

 そういう意味で、共同プロジェクトをやるべきだと私は思っておりますが、検討していただいているはずの検討が今どういう状況にあるのかをお尋ねしたいと思います。

世耕国務大臣 まず、今御指摘のロシアとの経済協力の話でございます。経済分野協力担当大臣として、今、いろいろなプロジェクトについて、事務方を通しながら、ロシア側と折衝しています。

 個別の案件については、いろいろな提案が来ていますけれども、エネルギーブリッジというような話も出ているわけですけれども、個別の案件の状況については、少しお答えをまだ今の段階では差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 一方で、一般論として、いわゆる国際電力網へ日本を接続するということを考えるとなると、まず、セキュリティー面も含めて、電力が安定的に供給できるのかどうか。安定供給が確保できるのかどうか。あるいは、日本の国内法では海外から電気を持ってくることはできません、ですから法律を、国内法あるいは国際法の制度整備をどういうふうにしたらいいのか。そして、そもそも事業として成り立つのかどうか。海底ケーブルをずっと長い距離引っ張ってくることになる、短い距離のところもありますけれども、あるいは、それをどこに上げるかによって全然経済性も変わってくるわけでございまして、そういったことをさまざま検討していかなければならないわけであります。

 その中で、二年半何をしていたのかという厳しい御質問でございますけれども、経産省としては、まず、これまで海外事例の分析調査を行ってきております。日本エネルギー経済研究所というところに委託をしまして、NAFTAですとかEUですとか南米あるいはアジアで、国際間で電力ケーブルの接続が行われているようなところが一体どういうふうにビジネスとして成り立たせているのか、安定供給をどう確保しているのかなどを鋭意研究しているところであります。

 こういった調査結果も踏まえながら、引き続き、国際連系線をめぐる課題について、丁寧に検証していかなければいけないというふうに思っています。

 ロシアとのことについては、まだ、今これから、交渉中でありますので、今の段階ではわからないということでございます。

田嶋(要)委員 その委託調査のレポートを私も読みましたけれども、これは余り時間ばかりかけていても、むしろ鎖国のような状況で、よそと全くつながらない中での需給の調整の方が苦しい部分もあるわけですね。もちろん、蓄電池とか、これからのいろいろなイノベーションもあろうかと思いますが、ちょっとスピード感を持ってやってほしいし、四十キロですよ、稚内も、御存じのとおり。

 だから、そんなに遠い距離じゃないというふうにも言われておりますし、もっと遠い距離をヨーロッパなんかではやっているわけでありまして、私が言いたいのは、二国間の関係がまだ心配だからやらないじゃなくて、こういうことに取り組むことで二国間の関係をよくすることが今後の日ロ関係や日韓関係にもいい影響を及ぼすんじゃないかということを問題提起させていただきたいというふうに考えています。

 民間は結構やる気なんです、どことは言いませんけれども。やる気なんですけれども、政治がやはり背中を押さないと、さっきの分散型と同じで、なかなか最後踏み切れない部分はあるのではないかというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、バズワードのIoTに関して、最後に少しの時間、お尋ねしたいと思います。

 所信の中で、何か珍しい文章を世耕さんは読まれて、世界で加速する第四次産業革命の波に日本は乗りおくれているのではないかと悲観する声もありますと。なぜこんな言葉をわざわざ言わなきゃいけないのか私はよくわかりませんけれども、大臣はそうじゃないということを言っているんでしょうか。いや、悲観する必要はないよ、日本は大丈夫だよということをおっしゃっているんですか。

世耕国務大臣 これは総務省の情報通信白書では、企業を対象にしたアンケートをとると、IoTの導入意向について、アメリカ、ドイツ、イギリスなどに比べて我々は低い値になっているという問題はあると思っています。ただ、私は悲観する必要はないというふうに思っています。

 IoTといっても、結局はT、物のところは日本は非常に強いわけですから。インターネットの世界では少し乗りおくれた感が、これは田嶋委員もよく御承知のとおり、ありますけれども、逆にIoTというのはそれと物を組み合わせるわけですから、我々は半分の方の物の技術あるいは物を動かす技術については高いレベルのものを持っているわけですから、私は逆にIoTをチャンスと捉えて取り組んでいきたいというふうに思っています。

田嶋(要)委員 おっしゃるとおり、余り悲観してもいいことは一つもありませんから、楽観的にいきたいと思うんですが、ただ、先行しておっしゃっていただきました、配付資料の三番。情報通信白書で、今大臣がお取り上げになられたアンケートですが、私が若干気になるのは、これまでの取り組みで少し差が開いたとか、グーグルが出てきた、あれが出てきたという話じゃなくて、このアンケート調査は、今の経営者にこれからのことをどう考えるかというアンケートなんです。

 これをごらんいただくと、資料三の縦軸、横軸、IoTというのは、プロセスの部分への導入とプロダクトの導入というのがあるというふうに記述があるわけですが、いずれにしても、売り上げを伸ばすために導入する、それから、コストを削減するために導入する。

 ついせんだっても、日本経済新聞トップに、「GE、東電と効率発電 IoTで運転監視」、こういうのも出ておりますが、これもコストをどう下げていくか、発電効率をどう上げるかという一例だと思います。

 私が気になるのは、これからの経営者の意思として、IoTに関する意識が極めて低くて、これを見ていただくと、日本は明らかにこれからそういったものに対して取り組む意欲が一番低い、韓国や中国にもうんと差をあけられてしまうということが、近未来の予測としてこういうふうに挙げられているということが、私は世耕大臣のおっしゃっている悲観ということなのかなと思っておるんですが、ここをどうしていきますか。これはやはり意識の問題ですね、リーダーの。

世耕国務大臣 まさにその経営者の意識を我々は刺激をしたいというふうに思っています。

 ですから、安倍政権として、未来への投資という言葉を大きなキーワードとして、こういったIoT、IoTだけではありません、いろいろな分野に関して、企業経営者がやはり前向きの投資をしていってもらう、お金も人材も前向きの投資をしていってもらうという枠組みをしっかりと育てていきたいと思います。

田嶋(要)委員 投資がなかなか伸びないといって久しいわけでございますが、きょうはちょっと時間がなくなっちゃって、固定資産税に係る話も私は何か遠慮し過ぎだと思うし、日本は相当普通じゃない、ほかの国と大分違う状況にあるということを資料八につけさせてもいただいております。

 韓国やシンガポールなどでも償却資産に関する固定資産税というのはないということで、去年に続いてことしもこれから要望したいということでありますので、総務省からいろいろ言われているということも聞いていますけれども、ぜひここは強く言っていただきたい。

 それから、質問は、もう時間がありませんが、やはり保証の問題ですね。いわゆる保証の問題に関しても、これも、政府もいろいろなポジションでその知見を得ようとしております冨山和彦先生もおっしゃっておりますけれども、本当に日本が相当いびつな中小企業金融になってしまっているということを以前指摘もさせていただきましたので、きょうは時間がございませんが、お願いをしたいというふうに思って、次回につなげていきたいと思います。

 最後に、私と世耕さんは、以前インターネットの選挙運動の解禁法案というのをやらせていただいたとき、官邸におられて、大分応援をしていただいて実現したんですが、うれしくもあり悲しくもありなんですよ。

 それはなぜかというと、実現したからうれしいけれども、実現するのに二十年かかっているから悲しいんです。法案を五回出して、民主党がです。法案を五回出してやっと実現したのがインターネット選挙運動の解禁、今やここにいらっしゃるみんながインターネットで、当たり前のようにツイッターで選挙運動もやっていると思いますよ。

 しかし、二十年かかっているんです。これが日本の弱いところなんですよ。だから、私はぜひ世耕さんにそういった流れを変えていただいて、インターネット選挙運動も、世耕さんの頑張りで私は実現した面もあろうと思っています。ぜひ、こうしたエネルギーや経済産業の分野でも、これまでとは一線を画して、大臣でいる間に、結果を出せる、政治決断のできる、そういう大臣であっていただきたい、そのことをお願い申し上げ、同じ釜の飯を食った田嶋からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、うえの賢一郎君。

うえの委員 自由民主党のうえの賢一郎でございます。

 きょうは、質問の機会をお与えいただきまして、本当にありがとうございます。

 世耕大臣におかれましては、本当に今、経済産業行政はこれからの日本の中でも大変重要な位置づけでございます、そうした中にあって、大変精力的に公務をこなされていることに心から敬意を表したいというふうに思います。

 所信に対する質疑ということでございますので、まず最初に、所信表明の中で冒頭お話しいただきました、廃炉・汚染水対策それから福島の復興、これにつきましてお伺いをしたいと思います。

 申すまでもなく、この問題につきましては、我が国が取り組むべき最重要の課題の一つだというふうに思っております。大臣所信におかれましても力強くその思いをつづっていただきましたし、また、現地に何度も足を運ばれ、現地に寄り添う、そうした姿勢を示していただいていることに心から敬意を表させていただきたいというふうに思います。

 また、経産省自体も、この課題に対しましては二百人規模で職員を配置いたしまして、現地にも、各市町村あるいはセンター等々に八十人、まさに現場に根差しながらこの問題に取り組んでいただいている、そのことに本当に感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、改めてお伺いをさせていただきたいと思いますが、この廃炉・汚染水対策や福島の復興について、今後のことも含め、どういった思い、どういった決意で取り組まれるつもりなのか、その一端をお示しいただければと思います。

世耕国務大臣 大臣所信で申し上げましたとおり、廃炉・汚染水対策と福島の復興というのは経済産業大臣にとって最も重要な課題だというふうに考えております。

 その意味で、着任以来ということになりますが、私は福島を三回訪問いたしました。

 そして、福島第一原発の作業現場の中にも入ってまいりました。また、今廃炉になっております五号炉の中にも入りまして、炉心近くまで入って、ほかの一号機から三号機のいわゆるデブリの取り出しというのがどんな形になるんだろうかというのを、同じ型でありますので、そういったところも見てまいりました。

 また、周辺の七つの町村の被災状況を自分の目で確認してまいりました。そういう中で、みずから、復興の決意を新たにしているところであります。

 福島第一原発の廃炉・汚染水対策というのは、世界に前例のない困難な取り組みだというふうに思っています。世界の英知を結集して、そして日本の技術を結集して、そして国も前面に立って、安全かつ着実に取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。

 また、住民の方々の帰還でありますけれども、帰還困難区域以外の区域については、来年三月までに避難指示を解除できるよう、インフラ復旧などにしっかりと取り組んでいきたいと思います。また、帰還困難区域についても、八月末に決定した考え方に基づいて、関係省庁と連携をして、一日も早い復興を目指して取り組んでまいりたいというふうに思います。

 また、新たな産業、雇用の創出や、福島相双復興官民合同チームなどと連携をして事業、なりわいの再建にも取り組むなど、ふるさとに戻りたい方が一日も早く戻れるように、被災自治体への現地派遣者を含めて、経済産業省を挙げて福島の復興に取り組んでまいりたいと思います。

 私も、経産省から現地の市町村とかあるいは官民合同チームに派遣されている職員と何人も会いました。みんな生き生きとして、使命感を持って頑張ってくれています。経済産業省で得た知見をこういう復興にしっかりと生かしていく、こういう若い職員がいてくれることを私は大変心強く思っていますし、また、彼らの活動を大臣としてしっかりとサポートしていきたいというふうに思っています。

うえの委員 力強いお言葉をいただきまして、どうもありがとうございました。現地の職員の皆さんを大臣みずからが督励していただくということは本当に大切なことだというふうに思います。また今後ともそうした姿勢でお願いをしたいと思います。

 与党といたしましても、この復興や廃炉・汚染水対策等については、やるべきことをしっかりとやっていく、そういった姿勢で取り組ませていただきたいと思いますし、また、大臣みずからお話しいただきました世界に前例のない大変困難な課題、また、廃炉については長期に及ぶ課題ということでもございますので、そうしたものに、先を見据え、着実に取り組めるように、政府・与党一体として協力しながら頑張らせていただければというふうに思っております。

 それでは、次の課題に移らせていただきたいと思います。次は、先ほど田嶋委員の方からもお話のございました第四次産業革命についてでございます。

 私も、先般、大臣の所信を聞いておりまして、悲観する声もありますという表現があって、これはどうなのかなというふうに一瞬戸惑いました。先ほどのお話を聞いていて、なるほどなと思う部分もあるわけでございますが、やはり、これから、我が国が第四次産業革命の波に乗りおくれることなく、むしろ主導していくということが大事だというふうに思っております。

 先ほどいみじくも大臣がおっしゃられたように、ものづくりの分野におきましては、やはり、我が国というのは、これまでの積み重ねの長い歴史、伝統の中で、非常に高い、すばらしい技術力があるわけでございます。そうしたものも十分に発揮していきながら、この第四次産業革命に対してしっかりと取り組んでいくといいますか、やっていくことが必要ではないかなというふうに思っております。

 まずお伺いをしたいのは、現在の我が国の立ち位置ですね。第四次産業革命で各国が激しい競争をしているわけでございますが、その中で日本の立ち位置というのは今どういったものかということにつきましてお話をいただきたいと思います。

中川大臣政務官 うえの委員にお答えさせていただきます。

 私も本当に、第四次産業革命に向かっては、悲観する声というのを数多く耳にするんですけれども、確かに、先ほど来ありますように、インターネットのバーチャルデータ等々では、アメリカ企業に、どっちかといったら日本が本当に小作人化をしていったという背景があろうというふうに思っていますけれども、次の第四次産業革命に向かって、やはり、本当にこれから、頭の体操ですけれども、十年、十五年先には自動車が自動運転になって、さらには人工知能つきのロボットが私たちの生活や社会、暮らしに密接にかかわり合ってくる時代を迎えるわけでもあります。

 こうした中で、日本国内において、ものづくりとか医療ですとか介護といった幅広い分野で、IoTですとか人工知能といった技術革新と新たなビジネスモデルとが結びつき、革新的な製品やサービスが本当に今生まれつつあるということを、現場を見させていただきながらも、実際問題、本当にすごいな、日本の技術はすごいなということを私は思っているわけでもあります。

 そこで、健康情報ですとか、また走行データ、さらには工場設備の稼働データなど、実世界での活動に関するリアルデータの利活用が付加価値の源泉でもあるわけでもありまして、今委員が御指摘のとおり、現場に非常に強みのある日本国でもありまして、こうした強みのある分野に集中的に資源を投資していく、必ずやそうした中でグローバル競争に勝ち抜いていくんだという、ネガティブな側面ではなくて、本当にポジティブな側面で進んでいかなくてはいけないということを私も考えております。

 他方で、中小企業の方のいろいろな事例なんですけれども、例えば福井の中小企業などでは、ネット上で洋服のデザインとか色とか柄とか自分の好みをしっかりと発注すれば、わずか三週間以内に手元に届くといったサービスもあります。また、私の地元の広島なんですけれども、ドローンを活用して、測量やインフラ点検などをやっていく、災害時には人が立ち入れないところにも入っていけたということで、広島の北部豪雨災害でもしっかりとそういったものが活用されたというサービス。こういったものが本当に全国の中堅・中小企業からも生まれつつあるところでもあります。

 そうした中で、経済産業省といたしまして、第四次産業革命の実現に向かっては、とにかく、人や物の移動ですとか、健康維持ですとか、ものづくりといった戦略分野において官民のロードマップをしっかりと策定していく、突破口となる具体的なプロジェクトで、規制ですとか制度改革を抜本的に進めていかなくてはいけないんだろうというふうに思っています。

 そのためにも、本当に時間は限られていますので、世耕大臣のもと、本当にスピード感を持って岩盤規制等々も改めていかなくてはいけないというふうな不退転の決意で我が国も歩んでいかなくてはいけないんだろうというふうに思っていますので、ぜひその辺のところも、委員におかれましても引き続き党の方で応援を賜りますように、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

うえの委員 中川政務官の非常に力強いお話をいただきまして、こっちも勇気をいただいたような気がいたします。

 最後におっしゃったスピード感というのは、やはり非常に大事だと思うんですね。そこのところを十分意識していただければというふうに思います。

 先日、坂村健さんという東京大学の教授でトロンプロジェクトの発案者でもありますが、お話をお伺いする機会がありました。

 先ほど来、日本の強みというお話があります。日本のコアコンピタンスということだろうと思いますが、これに関連して坂村教授がおっしゃっているのは、例えば、日本人、日本が得意なことは改善で、不得意、苦手なのはイノベーションだと。得意なことはクローズあるいはすり合わせ。こうしたものが得意。一方、苦手なのがオープン、あるいは先ほども言いましたけれどもイノベーション、あるいは連携。こうしたことが苦手だと。

 そうしたことは、一言で言えば、日本のコアコンピタンスというのは職人わざだというふうにおっしゃっているんですが、世界全体は、職人わざではなくて、もっと違う方向に進んでいる。そうすると、これまでのクローズドな日本社会というのは、これからの第四次産業革命の中で十分に立ち回れるか、あるいは先導できるかというと、それはひょっとしたら、社会性であったり国民性であったり、そうしたものに根差すような課題というのがやはり大きいんじゃないかというお話を聞きまして、私は、なるほどなというふうに思ったわけでございます。

 例えば、イノベーションということを考えても、何かをやろうと思っても、その結果がはっきりしているわけではなくて、千三つという言葉がありますが、千回チャレンジをすれば三回いい、それぐらいの確率かもしれないわけですね。あるいはもっと低いかもしれない。

 でも、そうしたイノベーションをやっていくためには、先ほど申しましたクローズドな仕組みではなくてオープンな仕組みにしなければいけないし、あるいは、あらかじめ何らかの目標を決めて、ターゲットを決めてやっていくというよりは、何でもいいからやってみて、オープンなチャレンジングの中で何かすばらしいものがそれこそ千に一回、二回あらわれてくれば、それが今後の日本や世界を変える、そういったことも十分考えられると思うんですね。

 例えば、今、IoTの話でも、それぞれ家電メーカーがやっています。それが、家電メーカーそれぞれの規格でやってしまったら、汎用性がなければ意味がないわけであって、例えば、今我々が日常的に使っているICカードも、エリアを越えると使い勝手が非常に悪いというようなことがありますね。

 ですから、日本の社会というのは、ひょっとしたら、クローズドな中でこれまで頑張ってきたかもしれないけれども、それをオープンな中で、それでオープンイノベーションにどういうふうに取り組んでいくかということがやはり大きな課題でもあると思うんです。

 いろいろな課題があると思います。人材の話であったり、資金の話であったり、あるいは、先ほど申し上げました国民性の問題であったり社会の構造の話であったり。これまでのやり方を大きく変えるようなチャレンジをしなければ、この第四次産業革命で日本が成功するというのはなかなか難しい、そういった意見もひょっとしたらあるかもしれません。

 その点につきまして、オープンイノベーションという観点から、どういった取り組みを今後されていくつもりなのかということにつきましてお話を頂戴できればと思います。

中川大臣政務官 うえの委員の今のお話というのは、私どもも本当に賛同いたします。

 そういった中で、今、第四次産業革命のもとで、ビジネス環境の変化はかなり加速をしているんですけれども、企業が一単体の自前でイノベーションを起こすということはますます困難になりつつあるのではないかなということを思っております。

 このために、よく語り尽くされているのが、産学官連携というものでオープンイノベーションの推進をしていきましょうとか、また、機動性に富む研究開発型ベンチャーの育成によるイノベーションエコシステムの構築が重要だということをよく言われております。

 しかし、実際問題、調べてみますと、海外と比較をして、例えば、企業から大学への研究費の拠出額が極めて我が国日本は少ない、さらには本格的な産学官連携が不足しているというような問題点にぶち当たります。さらには、リスクマネー供給が不足しているなど、研究開発型のベンチャーを育成する環境がまだまだ不十分なのではないかな、そういった中でのイノベーションエコシステムの構築は今道半ばではないかな、今、経産省としてもそういった立ち位置に立っております。

 そういった中で、今後、産学官連携の推進については、日本再興戦略二〇一六におきまして、企業から大学、研究開発法人への投資額を二〇二五年までに現在の三倍にしましょうということを設定しています。

 その実現に向かって、本年の七月からなんですけれども、経済産業省と文部科学省とが、産学官の対話の場ということで、イノベーション促進産学官対話会議というのを、文部科学省の中なんですけれども、今現状で設置させていただいております。本年の秋に向かっては、大学や国立研究開発法人などの課題に対する処方箋や考え方を取りまとめたガイドラインというのも策定をさせていただく予定です。

 そういった中で、産業技術総合研究所においても、みずからの有する技術と企業などのニーズのマッチングの取り組みを強化するなど、革新的な技術シーズを迅速に事業化につなげる橋渡しというのを一層強化していきたいというふうに考えております。

 そういった中で、今、日本も、例えば川崎の方にライフイノベーションセンターというので、iPSで本当に世界のてっぺんをとりましょうといったところがことし開所いたしましたし、AIセンターなどもこれからもっとしっかりと配置して、そういったものを応援していこうということで、国内外の英知を集めた産学官の研究拠点というものもしっかりと設置していきたいというふうにも考えております。

 また、研究開発型ベンチャーについては、ベンチャーキャピタルなどの出資などと連動する形で、実用化の開発などを支援する取り組みを行っております。

 いずれにいたしましても、第四次産業革命に係るグローバル競争を勝ち抜くべく、我が国の強みに重点投資をしていく、その上で、産学官で総力を挙げイノベーションを創出してまいりたいということで、経産省としても、しっかりと、先ほどのスピードというものを大事にしながら進めていきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

うえの委員 ありがとうございます。

 そのような方向性でぜひ頑張っていただきたいと思いますし、また、霞が関の中もオープンにしていただいて、霞が関の中もオープンイノベーションで、省壁も取り払ってもらって頑張っていただくということが非常に大事だと思いますので、それも含めて、今のような決意も込めて頑張っていただければというふうに思います。

 それでは、今政務官からお話しいただきましたが、日本再興戦略の中でGDP六百兆円というのを我々は当面の目標として掲げているわけでございますし、また、さらなる成長へということで大臣所信の中にも触れられているところでございます。

 このGDP六百兆円の中で、今現在でも、例えばサービス産業、これは金融等も入れた上ででありますが、GDPの七五%はサービス産業で生じているということでございます。そして、その規模は年々拡大する、そういった傾向にあるわけでございます。

 一方で、国内の需要ということを考えると、これから長期的に見た場合には、人口減少による需要の減少というのが具体的にやはり想定されるわけであります。そうなった場合に、今後のサービス産業の振興というのは非常に大事だと思うんですが、その一つの切り口は海外展開、海外でどれだけ勝負できるかということだと思っています。

 そうした意味で、海外展開について今後どういった方向性で取り組まれるのかにつきましてお話をいただきたいと思いますが、とりわけ私が大事だと思っておりますのは、これまでほかの役所でもいろいろ仕事をさせてもらっていましたが、やはり、そのきっかけづくりというのはGツーGなんですね。政府対政府、国対国でまず動き出すということが民間ベースの活動を後押しするということにつながっていくと思いますので、GツーGの関係をどういうふうにつくっていくか。あるいは、世界全体を視野に入れるのも大事だと思いますが、とりわけ、これから日本のサービス産業がどのエリア、どの地域、どの国で勝負ができるのか、勝負をしやすいのかということについても十分意を用いて戦略を高めていくことが必要だと思います。

 そうした観点から、サービス産業の海外展開について経産省としてはどうやって後押しをしていくかにつきましてお話をいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 サービス産業の重要性は、今先生がおっしゃられたとおりであります。

 政府、経済産業省といたしましては、サービス産業の生産性の向上ということで、一つは、新たなサービス産業をどのように創出していくのか、そしてまた、大宗を中小企業が占めます皆様方の底上げをどうしていくのか、そして三番目といたしまして、需要が旺盛な海外の需要をどのようにとっていくのか、この三本柱で取り組ませていただきたいと思っております。

 今、GツーGというお話がございました。今、政策実務当局者同士の話でございますけれども、中国との間で、政府間で、今後、例えば中国における介護サービスとか、こういったもので日本の良質なサービスの展開をどのように図っていくのか、こういったようなことも含めまして、中国との間でできれば年内に実務者間の政策協議というものを進めさせていただければ、このように思っております。

 また、今後は、インドネシア、タイ、ベトナム、こういった需要の旺盛なASEAN諸国を対象としてこういった議論の展開が可能かどうか、さらに模索をさせていただきたいと思っております。

 そして、重点国を含めて全体をどのように攻めていくのかということでございますけれども、今先生おっしゃいました日本再興戦略二〇一六の中に、サービス海外展開のグランドデザイン、こういうものを年度内にしっかりつくれという御指示をいただいております。

 今いただきましたようなお話を含めまして、重点国を一体どこに置いていくのか。これは一時的なお話というよりも、むしろ、親日の度合いとか、あるいはその国民の皆様方の嗜好とか、こういうものを深く掘り込んで重点地域というものをしっかりと見定めた上で、従来のサービス産業にとらわれない形で、場合によっては事業者向けのBツーBのようなサービス産業も含めまして、一体どういったサービス産業に需要があるのか、こういうことをしっかりと見きわめた上でグランドデザインの作成とその御支援をさせていただきたい、かように考えております。

うえの委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、GツーGあるいはBツーBの関係、そしてグランドデザイン、やるべきことはたくさんあると思います。我々もしっかりと勉強をして、政府とも協力しながら進めることができればというふうに思っております。

 その中で、国内の需要に今度目を転じますと、やはりフロンティアを拡大するということが大事かというふうに思っております。

 先ほどの日本再興戦略の中でも掲げられているんですが、例えばスポーツ産業ですね。例えば、アメリカであれば自動車産業とほぼ同じ規模だということでありますし、ヨーロッパに行けばスタジアムを中心にしてまちづくりがあって、そこに学校とか保育所とかあるいはさまざまな商業施設などがあったりして、それがまちづくり全体にいい効果を上げているというような例がたくさんあります。

 そうしたことも踏まえて、スポーツ産業あるいは健康産業ですね。これは変な話なんですが、これからどんどん超高齢化社会を迎えていきます。この間聞いてびっくりしたんですが、今百歳以上の人は六万人なんですが、これが五十年後には六十万人になっているんですね。そうすると、百四十人に一人が百歳以上ということになって、そうした健康な人がさらに健康になって長生きをしていく。そこにも、もちろん社会保障の面だけではなくて、いろいろなビジネスチャンスがあるだろうというふうに思っております。

 そうしたことも考えあわせて、これからのサービス産業のフロンティアというのをどうやって後押ししていくか、その点につきましてお話をいただければと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 スポーツ産業におきましては、主要国は大体、GDP比の三%がスポーツ産業ということでカウントできる規模でございますが、日本は残念ながら今一%程度ということで、総額が五兆円強ということでございます。三%ということでならしますと、あと十兆円は上積みができるのではないか、このような数字もあるわけでございます。

 スポーツにつきましては、今委員御指摘のようなスタジアム、アリーナ、これを地方の創生ということも絡めましてどのように展開をしていくかということにつきまして、スポーツ庁を含めまして御関係の省庁と今協議会をつくって、具体的な資金調達の方法とか、あるいはどういった立地条件、どういった需要予測に基づいてスタジアムを展開していけるのか、こういったことについての一つのガイドラインのようなものを年内に向けて作成させていただきたい、このように思っております。

 また、スポーツ産業を支える人材も大変重要でございまして、アメリカを初めとしたさまざまなスポーツの経営人材の育成の仕方、これを日本の教育機関にどのように展開していくのか、こういったことについての検討を今行っておるところでございます。

 また、ヘルスケアにつきましては、御案内かどうかはあれでございますが、健康経営銘柄というものを、今、東京証券取引所と一緒にそれぞれの業種の代表的な企業を選ばせていただいております。こういった企業の皆さん方が健康経営に投資を行っていただくことによって需要が喚起をされるということが大変期待をされます。また、そういうことを中小企業の皆様方の世界にも広げていきたいということで、健康経営優良法人認定制度というものを進めさせていただいております。

 また、それを担われるサービス産業の皆様方が、御案内のとおり、ヘルスケアはどうしても従来あるさまざまな規制、ルールとの抵触が心配をされますので、私どもといたしましては、グレーゾーン解消制度というものを活用させていただいて、心配のない形で事業展開を御支援させていただく、このようなことを進めていきたいと思っております。

うえの委員 ありがとうございました。

 今最後におっしゃった規制、ルールも、さまざまな規制があって、それがひょっとしたら障壁になっている場合もあるかもしれませんので、それは経産省だけの話じゃないと思いますが、そうしたことも意識をしていただきたいと思いますし、今おっしゃったスポーツ産業やあるいは健康産業、それ以外にもさまざまなフロンティア分野があると思いますので、そうしたことも含めて、ぜひしっかりと頑張っていただきたいというふうに思っています。

 それから、もう時間が余りありませんが、中小企業につきまして若干お話をお伺いしたいと思います。

 事業承継はこれまで政府・与党も相当力を入れてやってきたわけでありますが、ただ、現場でいろいろなお話を聞くと、なかなか使い勝手が悪いという話も実際にやはりあります。事業承継税制はこれまで、制度発足以来、この税制の対象は千五百件ぐらいだったかと記憶をしておりますが、まだまだ規模としては少ないと思いますし、この間資料を若干拝見させていただきましたが、本当は事業承継をしっかりやりたいけれども、いろいろな要件、ハードルが高過ぎてなかなか踏み出せない、踏み込めない、あるいは具体的に考えられないというようなケースもたくさんあるというふうにお伺いをしています。特に五人以下の小規模企業、小規模事業者の皆さんにとっては相当ハードルが高い面もあるのではないかなというふうに思っております。

 事業承継の実態も含めて、税制も含めてですが、どういったパッケージで今後中小企業の承継というものを推し進めていくのかということにつきましてお話をいただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業経営者の高齢化が急速に進んでおりまして、中小企業の事業承継の円滑化はまさに待ったなしの課題であると認識しております。

 委員御指摘の事業承継税制につきましては、平成二十七年の一月から一部制度の適用要件の緩和を行い、その結果もありまして、利用件数も大幅に増加しております。

 他方で、やはり委員御指摘のとおり、さらなる見直しを求める声があることも承知しております。

 中小企業庁といたしましては、うえの部会長の御指導もいただきながら、来年度の税制改正に向けて、まず、事業承継税制について、人手不足などの経済状況を踏まえた雇用要件の緩和などの見直し、それから、取引相場のない株式につきまして、中小企業等の実力を適切に反映した評価方式への見直し、こうした事業承継を促進する税制措置の強化を要望しているところでございます。

 これに加えまして、来年度の概算要求におきましては、まず、地域の支援機関が結集して事業承継の支援体制を構築することによりまして、中小企業経営者の早期かつ計画的な取り組みを促進する、また、事業承継を契機に経営革新などの新たな取り組みを行う後継者に対しましてその設備投資などの支援をする、さらには、後継者不在の中小企業に対して後継者のマッチングなどを行う事業引継ぎ支援センターの機能も強化する、こうしたことの予算要求もさせていただいているところでございます。

 こうした措置を通じて、引き続き、中小企業の事業承継の円滑化に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思います。

うえの委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますが、信用保証制度の見直しも質問させていただこうと思いましたが、時間切れで大変申しわけございません。これも年末に向けてしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは、終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 きょう、久しぶりの質問で少し緊張しております。

 まず、世耕大臣また政務の皆様におかれましては、御就任、大変におめでとうございます。特に世耕大臣におかれましては水を得た魚のような感がございますが、こうした重要な局面を切り開くために、どうか一致結束をしていただきまして、さらなる御活躍を心から期待するものでございます。

 まず初めに、大規模停電について伺わせていただきます。

 十月十二日、新座市にある東京電力の送電設備の火災によりまして、東京都内で延べ約五十八・六万戸の大停電が発生をしました。電車、信号を初めとする国民生活だけではなく、霞が関、またさらには経産省も影響を受けたと聞いております。改めて、重要インフラである電力の安定供給の必要性を実感した次第でございます。

 また一方で、OFケーブル老朽化対策、政府においてのICTシステムの確保、また、こうした停電のときにいわゆるウイルスが送られやすい等のサイバーセキュリティー対策など、図らずも、さまざまな教訓を与えたと思っております。

 電力事業を監督する立場にある経産省におきましては、このような事態が二度と生ずることのないようしっかりと対応いただくことを公明党として強く要請したいと思います。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 今回の事故を受けて、経産省としてどのように対応されたのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、御見解を伺います。

世耕国務大臣 延べでいうと五十八万六千戸もの大規模停電が発生したということは、本当に遺憾だというふうに思っています。

 霞が関でも、一時、電気が途絶えるという事態になりました。経済産業省は幸い、瞬時にバックアップ電源、自家発電に切りかわりましたので、ほとんど、目に見えて停電という形にはなりませんでした。他省庁の状況、バックアップ電源の確保がちゃんとできているのかどうかといったことについては、経産省としても、いろいろな省庁が参加する会議でも問題提起をして、霞が関全体で問題のない体制をしっかりと構築していきたいというふうに思っています。

 今、警察、消防、あるいは東京電力自身によって原因究明の作業が行われているわけですが、今回のこの国民生活に与えた影響、そしてまた東京オリンピックをも間近に控えているという状況であるということを考えますと、原因究明結果を待たないでも進められる対策については、どんどん何でも実施していくべきだというのが私の考えであります。

 まず、発生当日、私、実は国会に呼ばれていた最中だったんですが、すぐ役所に帰りまして、事務方に指示をして、まず早期の原因究明と再発防止、そして国民への丁寧な説明、情報提供を東京電力に要請してほしいということをやりました。また翌日には、私の方からも広瀬社長を経済産業省に呼びまして、同様の指示をかなり厳しくやらせていただいたところであります。

 そして、同じ日に、全国全ての電力会社に対して、再発防止に向けて、古いケーブルの緊急点検をやってくれ、そして、目視での点検で限界がある場合は、常時監視のための工夫、これはIoTをまさに使ったりあるいは感熱センサーを入れるとか、そういう工夫をやってほしい、そして、保守、交換を適切に行ってほしいということを指示したわけであります。

 さらに、経済産業省としても、こうした事態を二度と起こさないために、電気事業者に今後何を行わせて、そして政府として何をなすべきかという具体的な検討を行うために、昨日、省内にタスクフォースを設置して第一回の検討を行っているところであります。

 このような事故が二度と起きないように、経済産業省としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 この夏、八月五日から十日間、経済産業委員会の調査団といたしまして、六名、私が団長を務めさせていただき、廃炉及び再生可能エネルギーの視察にヨーロッパ四カ国に行かせていただきました。

 ドイツ・グライフスバルト原発の廃炉の状況、ウクライナ・チェルノブイリ原発、デンマークのボーンホルム島の再生可能エネルギー及びフュン島の風力発電設備、また、フランスでは、ラ・アーグ核燃料再処理工場、メロックスMOX燃料工場、ITERなどを視察いたしました。

 移動の連続でございましたが、大変実り多いものでございました。派遣していただいたことに改めて感謝を申し上げる次第でございます。

 この視察を踏まえまして、再生可能エネルギーの導入拡大につきまして順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この再生可能エネルギー導入拡大は、安倍政権におきましても重要な課題でございまして、国会でも先般FIT法が成立し、施行に向けての準備が進められているところでございますし、また、パリ協定が来月四日に発効になるということから、国会としても早期批准に向けて努力をしているところでございます。

 この再生可能エネルギーの導入目標につきましては、もう皆様御承知のとおり、二〇一四年発電電力量に占める割合約一二・二%、そのうち水力九%とされておりますが、これを二〇三〇年のエネルギーミックスで示された二二から二四に、約二倍にするというのが目的でございます。

 この目標を達成するには、なかなか、全ての総点検、そしてまたコストとの見合いで、進めるべきものはしっかり進める、ただ、二〇三〇年が終着だけではなくて、必要なものはその先も視野に入れながら、どうすることが国民に資することなのかという大きな観点から進める必要があるかと思います。

 そこで、デンマークで訪れた日本企業の方たちから、国としての風力の導入目標を明確に示していただきたい、イギリスは非現実的な目標を提示したけれども、それであっても目標が明確になれば企業として投資がしやすいんだ、アジアにおける風力発電設備の拠点にぜひ日本をしていきたい、また、なってもらいたい、こういう話がありました。

 また一方で、我が国の環境に適した、高風速ではなく、クラス3の低風速の、しかし台風に耐えられる風力発電設備の開発も進められているところでございます。

 こうした我が国の産業を育て、投資を進める意味からも、二〇三〇年の風力発電の導入目標について、今より高い目標を設定すべきではないかと考えますが、経産省の見解を伺います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、二〇三〇年に向けまして、風力に関しましては、陸上九百十八万キロワット、洋上八十二万キロワット、合わせて一千万キロワットというのをエネルギーミックスの中で示しているところでございます。

 この水準をさらに引き上げるべきではないかという御質問でございますけれども、既にこの一千万キロワットというのは、現状、三百万キロワット強から三倍以上の導入量ということになります。

 また、この水準を達成するに当たりましては、単に風車を建てるというだけではなくて、例えば、系統問題をどうするのか、環境アセスを初めとする規制との調和をどう図っていくのか、それから風車自体のコストダウンであったり、あるいは技術開発であったり、今御質問にありました次世代の風車開発をどうしていくのかといったさまざまな課題に取り組んでいくことが必要だというふうに考えておりまして、まずは、この一千万という見通しに向けまして、こうした諸課題にしっかり取り組んでいくということが重要なことではないかと考えているところでございます。

高木(美)委員 それでは、それぞれの持つ可能性を追求することも必要かと思っておりまして、今、藤木部長から課題として挙げられました点につきまして、一つずつ伺っていきたいと思います。

 まず、課題になりますのが、系統接続という話がありました。

 我が国の風況のいい地域は、北海道、東北地域に集中しておりまして、系統制約の解消が喫緊の課題であるわけです。新たな発電設備の導入に合わせた北海道などの系統増強をすることも重要ですし、またあわせて、既存系統枠の最大限の活用、北本連系線などの活用によりまして、系統制約の解消を一日も早く進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 御指摘のように、系統制約の解消に向けましては、送電網の容量強化だけではなくて、既存系統の最大限の活用との両面から取り組んでいく必要があると思っております。

 送電網の容量強化に関しましては、例えば、系統増強工事を行う場合の発電事業者と送配電事業者の費用負担のあり方ということについてガイドラインを策定いたしまして、再エネについても、いわゆる一般負担、送配電事業者の負担部分というのを入れることにしたわけでございます。

 また、複数の事業者がそれぞれの発電規模に応じて工事費を負担するという電源接続案件募集プロセスというものも新たにルール化いたしまして、これまで既に二十五地域においてこうした取り組みも進んでおります。

 また、既存系統の活用に関しましては、本年四月に、出力抑制を行う前の回避措置として、地域間連系線の空き容量を利用してほかの地域へ送電を行うという運用ルールを定めたところでございます。

 また、今後でございますけれども、地域間連系線の利用ルール、現在、先着優先ということになっているわけでございますが、こういうものについて競争的なものに見直していくという検討、あるいは、既存のローカル系統設備の利用率を向上させるといった仕組みの検討ということにも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 この解消は早期解決が求められるところで、現実に、日本で洋上風力を展開したいと思ったけれども、やはりそうした制約があるために海外に行かざるを得なかった、こういう企業もございましたので、ぜひとも早期の解決を求めたいと思います。

 今またもう一つお話がありました環境アセスメント。風力発電の導入の一つの大きなハードルになっておりますのが、FIT法の導入と同時に施行されました環境アセスメントになっているわけでございます。この規模要件ですね。

 現在、一万キロワット以上となっております。欧米では、例えばイギリスは五万キロワットとか、韓国は十万キロワットとか、また、ほかのところは高さ五十メートルとか、さまざまな違う要件をつけている国もあります。

 こうした国際基準を参考に規模要件の見直しをすることも必要ではないかと考えますが、環境省に答弁を求めます。

正田政府参考人 お答えいたします。

 風力発電は、再生可能エネルギーの中でも導入ポテンシャルが大きく、低炭素社会の実現のために重要と考えております。自然環境や生活環境への影響を回避、低減しながら、可能な限りその導入を促進する必要があると認識しております。

 一方で、風力発電の設置に際しましては、騒音やバードストライクなどの環境影響が懸念され、苦情等が多く生じていた経緯がございまして、平成二十四年より環境影響評価法の対象事業としたところでございます。

 この環境アセスメント手続を進める中で、環境を保全し、風力発電の立地に対する地元等の理解を得ていくことが風力発電の円滑な立地のためには必要と考えておるところでございます。

 御指摘のございました環境アセスメントの対象となる風力発電の規模要件につきましては、我が国における騒音等に対する苦情等の発生状況、バードストライクを初めとする動植物、生態系への影響、発電施設設置に伴う土地改変面積などの観点から総合的に鑑みて、第一種事業につきまして出力一万キロワット以上としておるところでございます。

 また、お尋ねのございました諸外国との比較につきましては、環境影響評価の仕組みや自然環境、社会的状況等が異なることから、一概には比較が困難と考えておりますが、例えば、諸外国におきましても、小規模な事業に対して、個別事業に応じて環境アセスメントを行うか否かを決めるスクリーニングという判断を行うとされているなど、風力発電施設の設置に対して、各国の状況に応じた環境配慮がなされていると認識しております。

高木(美)委員 今、経産省では、風力発電の環境アセスメント手続に要する期間の半減、大体二年とか三年とかかかる話ですが、長ければ五年ぐらいかかるとも聞いておりますが、実証事業を実施しております。この実証事業も相当苦労しながら環境省と一緒にやられていると聞いておりますが、実証事業だけではなく、その成果を一般的なルールにしていくことが重要ではないかと思います。

 そこで、導入した環境アセスメントの方式というのをしっかり展開していただきたいのですが、いかがでしょうか。

住田政府参考人 アセスメントの期間半減についてでございますけれども、環境アセスメントの手続の中で最も時間がかかりますのが環境影響調査と呼ばれるもので、これが二年から二年半ぐらいかかっておるわけでございます。

 そこで、この環境調査を前倒しで開始して、ほかの手続、例えば配慮書とか方法書といったようなほかの手続と同時並行で進めるということをやった場合にどういう問題が出てくるかということについて実証事業を現在行っておるところでございます。

 実際に、この実証事業の中では、先ほど申しました二十四カ月、二年から二年半といったような期間が、配慮書の前の段階からその手続を始めることによりまして、方法書と呼ばれるものの終了以降、八カ月程度でできるといったような事例が出てきておりまして、成果が出つつあるわけでございます。これによって、全体の半減が可能になるある種の前提条件がクリアになるのではないかというふうに考えております。

 この実証事業の成果を踏まえまして、前倒しで行います環境調査の一般化ということにつきましてもこれからしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。

高木(美)委員 お願いいたします。

 今後、風力発電のポテンシャルを広げて、将来には風力発電を自立化させていくためには、いわゆる風況のいい地域が限定されている陸上風力だけではどうしても限界があります。我が国におきましても洋上風力発電の導入拡大が必要ではないかというのが、今回視察に伺いました大きな、それぞれの結果としての実感でございました。

 我が国の洋上風力発電の課題とその対応策について伺います。

藤木政府参考人 御指摘のように、洋上風力発電は我が国においても大きなポテンシャルがあるものと考えております。

 一方で、課題としては、一つは、地元や海域利用者との調整という問題でございます。

 これに関しましては、港湾法がさきの通常国会におきまして改正されまして、港湾区域内の占有ルールというのが整備されたということでございますので、現在、国交省と経産省におきまして、港湾区域の占有手続と電気事業法の工事計画届け出の審査というものについて統一的な考え方で審査基準をつくり、審査手続を合理化、事業者負担を軽減するということをやっているところでございます。

 また、一般海域における調整につきましては、福島沖、銚子沖等、これまで行ってきました実証事業の事例を取りまとめまして、どういうような利用調整をしていくのかということについて発電事業者が参考にできるガイドを作成していきたいというふうに考えております。

 それからもう一点は、コストという面でございます。

 コストをどう削減していくのかということでありますが、一つは、採算性を左右する要因としては、水深、海底地質、風況などの調査をしなければならないということでございまして、これに多大な費用がかかるということがございます。そのため、これらの情報をまとめて参照できる洋上風況マップというものの作成に取り組んでいるところでございまして、今年度中の公開を目指して今作業をしているところでございます。

 またさらに、この公開後は、関連するさまざまな規制の情報等々を載せましてさらに充実を図って、そういうことを通じまして導入コスト低減ということにも取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 国交省のこうした港湾法の改正等も大きかったと思いますが、一方でまた洋上風力につきましては、その後莫大な、風車の設置であるとか、また、保守管理を行うには、特殊なSEP船という船を港に設置しておいて、そこに曳航するなり、またSEP船が出かけていってそこで作業するなり、こうした設備の整備というのも必要かと思います。

 そうした点につきましても各省連携でしっかりと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。うなずいていただいておりますので、改めての回答は求めません。

 行きまして思いましたのは、デンマーク、ドイツは、大臣よく御存じのとおり、海の沖合三十キロ、四十キロと浅瀬がずっと続いて、どこを見渡しても洋上風力の風車が至るところで回っている、こういう立地条件。日本は、風況のいい地域には、先ほど環境アセスメントとありましたが、猛禽類が生息するとか渡り鳥が通るとか、こういうことを勘案しながらゾーニングに苦労している。

 そういう意味では、さまざまな課題がありますけれども、ただ、洋上風力、陸上風力、両方ともやはりどこまで進められるのか、そこのコストをしっかりと踏まえながらも進めていく必要があろうかと思います。短期的に見るとどうしてもコストが高くなる、しかし、それがぎりぎりの耐用年数まで見るとどうなっていくのかという具体的な数字の開示というのも必要かと思います。

 そこで、これから水力発電について少し申し上げさせていただきたいのですが、昔、グラハム・ベル、地質学者でもあるようなんですが、グラハム・ベルが、日本は豊かなエネルギーを保有していると言いまして、エネルギーのない、資源の乏しい日本につきましてこういうことを述べています。それは、日本は雨が多い、この雨が豊富なエネルギーをもたらすというのが彼の考え方であったようです。

 川の傾斜も諸外国と異なりまして、多摩川は一日で東京湾に流れますし、利根川も二、三日あれば降った雨はあっという間に海に流れる。こういう我が国の地形を生かしたものがやはり水力発電と言えると思います。

 きょうは、根本大臣政務官、ありがとうございます、お越しいただいておりまして、お待たせいたしました。

 少し説明をさせていただきたいのですが、中でも、我が国は水力発電の占める割合が、二〇一四年度電力供給量の九%、また、これから二〇三〇年のエネルギーミックスも八・八から九・二、ほとんど変わらないわけです。ボリュームは省エネで少し下げますので、全体量もほとんど変わらない中でパーセントは変わらない。果たして、その中で、水力発電の可能性はどこまで可能なのだろうかということを私どもは考える時期に入っているのではないか。

 実は、この夏、オーストリア、そしてまたニュージーランドの国会議員にもお会いをいたしました。ニュージーランドは五四%、オーストリアは六五%、水力を生かしたこうした発電形態というものを日本ももっと検討する必要があるのではないかと考えてまいりました。

 そこで、先日、公明党の総合エネルギー対策本部におきまして、元国交省の河川局長、竹村公太郎先生にお越しいただきまして、水力発電が日本を救う、こういう提言を伺ったところでございます。

 そこで、お手元の資料をごらんいただきたいのですが、こういう紙をお配りさせていただいております。

 まず、この一をごらんいただきたいのですが、ここで、その提言の内容といたしまして、「新規ダム建設は考えない。」と。以前、コンクリートから人へというようなお話もありましたが、これは活用する話でございます。

 そこで、1として、「施設改変を伴わず、ダム運用を変更して発電能力を高める。」ということで、この下のところをごらんいただきたいのですが、ここに治水容量、利水容量という線が書いてあります。点線が治水容量、実線が利水容量。しかし、現実的には、この三角印のところまで安全のために二十メートルから三十メートル下げている、こういう状況でございまして、この空きスペースを容量と呼んでいるわけでございます。

 この根拠は、特定多目的ダム法、ここに二つの目的が記されておりまして、治水と利水ということになっているのでこういう形になるのですが、この法律は昭和三十二年に制定されまして、それから変わらず今も同じように運用をされております。今は天気予報の精度も向上しておりますし、そうした現在の科学技術の基準に合わせてさらに水をためられれば、これは当然のことながら水力発電にも大きな効果をもたらす、ここをさらに検討する必要があるのではないか。

 そしてまた、裏に行っていただきまして、今度はダムのかさ上げでございます。このかさ上げによりましてどうなるか。

 ここにシャンパングラスのような形が書かれておりますが、これによって湛水面積が変わります。これは夕張のシューパロダムとなっておりますが、ここで、最初は八千七百万立米だったのが四億二千七百万立米まで、三十七メートルかさ上げすることによってこんなに容量がふえた。

 現実に、この下の、津軽ダムのかさ上げ工事も行われておりますが、これも、小さな字で恐縮ですが、三千八百万立米から一億四千百万立米まで、このように、プラス三十九メートルによって大きく改善をされている。このような既存ダムの活用というのが二点目でございます。

 こうした点を考えますと、さらに、竹村先生から、現在発電に使われていない砂防ダムなどに発電させるとか、また、逆調節池ダムといいまして、ダムの下に小さなダムをつくって、必要なときには、少し水を流して、指一本でピーク需要のときの電源を確保することもできるとか、こういう活用を進めていくべきではないかという話を伺ったわけでございます。

 これも、ダムは百年、二百年もつ、日本はそうした大事な資源を活用していくべきだ、こうしたお話でございまして、竹村先生の試算では、恐らく、こうした手法を取り入れますと、コストは約六兆円かかる、しかし、将来、百年、二百年見渡していったときには二百兆円の富を生むと。こうした試算をされたのが元河川局長でございます。

 そこで、きょう、政務官に幾つか質問を用意させていただきまして、もう時間が参っているわけでございますが、両方をあわせて質問させていただければと思います。

 こうした既存ダムの活用による水力発電の拡大、特に治水容量の発電への積極活用につきまして、国交省はどのように検討されているのか。また、あわせまして、こういうダムのかさ上げによりまして発電量の容量を拡大することは可能かどうか。また、そういう事業を実施しているダムは幾つぐらいあるのか。簡潔に御答弁をいただければと思います。

根本大臣政務官 まず最初に、既存ダムの治水容量の活用の部分でありますけれども、既存ダムの操作を工夫して水力発電を拡大する方策として、洪水調整容量を発電容量に活用することが考えられますが、洪水が予想される場合には、貯水位を事前に所定の水位まで速やかに低下させる必要があります。

 貯水位の低下に当たっては、下流河川の安全管理を行いながら長時間をかけて放流を実施することなどが必要とされますが、現在の降雨予測の精度等から、技術的制約があります。このような制約を踏まえつつ、国土交通省としては、さまざまな用途にダムの容量を活用できるよう、個々のダムの状況を勘案しながら、ダム操作の弾力的な運用について開始しているところです。

 また、国土交通省としても、再生可能エネルギーの導入については積極的に推進すべきと考えており、小水力発電の促進や管理ダム等におけるダム管理用発電設備の積極的な導入など、未利用エネルギーの活用を進めてきております。

 続きまして、かさ上げでありますが、ダムのかさ上げについては、ダムの型式や地形、地質条件によっては技術的に可能ですが、その実施に当たっては、他の利水者や地元などの関係者との合意形成を図っていくことなどが必要です。国土交通省所管のダム建設事業のうち、電力事業者の意向を確認した上で、先ほど述べた課題を解決できた二ダムにおいて、かさ上げによって発電容量の拡大が図られているところです。

 以上です。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 こうしたダム建設に携わってこられた先輩たちの大変大事な御提言と思いますので、ぜひ、国交省におきましても、勉強会などを進めていただきまして、これをどのように受けとめ、また前に進めていくのか、お願いをしたいと思います。

 最後に、大臣にお伺いいたしますが、やはり本来であれば、こうした水力の最大限の活用という話になりますと、国交省の持っていらっしゃる河川法、ここを本来は改正して、治水そしてまた利水とあわせて、水力エネルギーの最大限活用というところを入れていただきたいところではあるのですが、いかんせん、国交省はダム事業者等に許可を与える立場のお役所でいらっしゃるので、それをやれというふうにはなかなか言えない、むしろ、ダムの可能性を追求する立場というのはとりにくいのではないかと推察しております。

 ですので、政治主導のこうした再生可能エネルギーに係る関係閣僚会議でございますが、この果たす役割は大きいと思っております。政府全体として、再生可能エネルギーのそれぞれの電源の持つポテンシャルを最大限活用するんだ、まずこうした政策目標を一つ大きく共有していただいて、その旗のもとに、国交省におかれましても、こうした水力エネルギーの最大限の活用、ダムの活用ということの検討を進めていただきたいと思っております。

 先ほどの風力もそうですが、こうした検討を進めていただき、その作業を通して、数値目標また課題解決のスケジュール感をきちんと、数字を入れた工程表を作成していただきたいと思うんです。今、工程表は、作業の工程表はありますが、数値目標は二〇三〇年までのばくっとした内容になっておりまして、企業が、いつ、どの時点で参入できるのか、そこがはっきりしないというところがございます。

 エネルギー所管である経産大臣のリーダーシップ発揮を期待したいと思っておりますが、大臣、お考えはいかがでしょうか。

世耕国務大臣 今委員御指摘の竹村公太郎さんは私も現役時代からよく存じ上げていますし、「水力発電が日本を救う」、この御著書も公明党の太田元国交大臣のお薦めで私も読ませていただきました。水力発電というのは重要なベースロード電源でありまして、それを新たなダムをつくることなく利用を拡充していくというこの御提言は、私は傾聴に値するところがあると思います。

 ただ一方で、今国交省からもお話がありました、国交省所管の話になりますし、水害が起こるたびにダムの放流が原因じゃないかみたいな話もあって、やはり、下流の方々にしっかり納得をしていただく、御理解をいただくということも重要だというふうに思っています。

 事ほどさように、水力もそうですけれども、再生可能エネルギーというのは、いろいろな省庁が調整を行わなければいけないという面があるわけであります。そういった調整については、今御指摘の再生可能エネルギー等関係閣僚会議で、官房長官のもと、政府一丸となっていろいろな調整をこれからも進めていきたいと思います。

 例えば、水力発電については、国交省と経産省も連携をして、水力発電の有望地点を調査するために必要な、全国の流量データを一元的に提供するポータルサイトの構築なども行ったところであります。

 今後、閣僚会議において、委員に御指摘をいただきましたスケジュール感も含めて、関係省庁が連携をして解決する課題についてのアクションプランを取りまとめることになっております。

 経産大臣はエネルギー政策を所管する大臣であります。再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、関係省庁の連携を図りながら、リーダーシップも発揮しながら、引き続き、責任を持って取り組んでまいりたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございました。

浮島委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十六分散会


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