衆議院

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第3号 平成28年10月21日(金曜日)

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平成二十八年十月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 白須賀貴樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      池田 道孝君    石川 昭政君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    熊田 裕通君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      島田 佳和君    田畑  毅君

      高木 宏壽君    星野 剛士君

      前田 一男君    牧原 秀樹君

      三原 朝彦君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      簗  和生君    山際大志郎君

      大畠 章宏君    落合 貴之君

      篠原  孝君    鈴木 義弘君

      田嶋  要君    中根 康浩君

      福島 伸享君    中野 洋昌君

      藤野 保史君    真島 省三君

      小沢 鋭仁君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業副大臣      松村 祥史君

   経済産業大臣政務官    井原  巧君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 嶋田 裕光君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 籠宮 信雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     鍜治 克彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 茂明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小林 一久君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            嶋田  隆君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (特許庁長官)      小宮 義則君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    宮本  聡君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    木村 陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 隆正君

   政府参考人

   (観光庁次長)      蝦名 邦晴君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     金子万寿夫君

  小倉 將信君     田畑  毅君

  塩谷  立君     青山 周平君

  白石  徹君     熊田 裕通君

  中川 俊直君     牧原 秀樹君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

  簗  和生君     前田 一男君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     塩谷  立君

  金子万寿夫君     穴見 陽一君

  熊田 裕通君     池田 道孝君

  田畑  毅君     小倉 將信君

  前田 一男君     簗  和生君

  牧原 秀樹君     中川 俊直君

  宮内 秀樹君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     白石  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官嶋田裕光君、内閣府大臣官房審議官籠宮信雄君、経済産業省大臣官房長高橋泰三君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官鍜治克彦君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官田中茂明君、経済産業省大臣官房審議官小林一久君、経済産業省通商政策局長嶋田隆君、経済産業省貿易経済協力局長寺澤達也君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君、経済産業省商務情報政策局長安藤久佳君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長松尾剛彦君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、特許庁長官小宮義則君、中小企業庁長官宮本聡君、中小企業庁次長木村陽一君、国土交通省大臣官房技術審議官廣瀬隆正君及び観光庁次長蝦名邦晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 おはようございます。民進党衆議院議員の中根康浩でございます。

 大臣の所信的挨拶に対する質疑ということで、きょうは三十分いただきました。

 まずは、世耕大臣、御就任おめでとうございます。

 世耕大臣は、もう自他ともにというか、誰もが認める安倍内閣の中枢、安倍総理の側近だというふうに言われているわけであります。安倍内閣そのものが経産省内閣というふうにも称されているわけでありますが、そのトップにお立ちになったということは、安倍総理と同格のようなお立場だということだと思いますので、きょうの世耕経産大臣の御答弁は安倍総理の御答弁だというようにも受けとめてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 まず、所信的挨拶の中に、日本のスポーツ産業を成長産業にするため、スタジアムを核としたまちづくりの支援や、経営人材の育成を進めるとあります。このスタジアムを核としたまちづくりの支援ということについては、経産省から資料をいただいて把握をしておるところでございますが、きょうお尋ねをしたいのはスポーツ産業というところでありますけれども、スポーツ産業については、ことし六月二日に閣議決定された日本再興戦略二〇一六の中には、成長産業以上の表現という形で、スポーツ産業を我が国の基幹産業に成長させるという記述が見受けられるわけであります。

 ここで、まずお尋ねしたいわけでありますが、例えば自動車産業は、出荷額約五十二兆円、主要製造業の約二割を占める。自動車の輸出額は十五兆円で、やはり二割。自動車関連産業の就業人口は約五百五十万人で、約一割を占める。これは文句なく基幹産業と言えるのだろうと思います。

 では、スポーツ産業を基幹産業にするということは、何年までに、GDPをどれぐらいこの分野を通じてふやすか、あるいは雇用をどれぐらいふやすか、こういう具体的な、数字的な目標をどのように持っておられるか、このことについて、まずお尋ねをしたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 スポーツ産業の市場規模でございますけれども、二〇一五年時点で、日本はGDPの約一%、五・五兆円ということでございます。今先生おっしゃいました二〇一六におきましては、スポーツの市場規模を二〇二〇年までに十兆円、二〇二五年までに十五兆円に拡大をする、このような目標を掲げさせていただいております。

 御案内かと思いますけれども、アメリカ、韓国、こういった国々はスポーツ産業の市場規模が対GDPの約三%近くになっており、こういったものを一つの目標値として掲げさせていただいております。

 また、単なる数値だけではなくて、成人の週一回以上のスポーツ実施率を現状の四〇%強から二〇二一年までに六五%に向上する、このような目標も掲げさせていただいております。

 言わずもがなでございますけれども、スポーツ産業、それ自体の成長性に加えまして、スポーツの振興を通じて国民の医療費などの社会保障負担を減らしていく、こういった効果が大変期待をされる重要な産業だというふうに認識をしております。

 今のところ、雇用についてはこういった試算なり目標値というものを提示をしている状況にはございません。

 いずれにいたしましても、規模はまだ小さいわけでございますけれども、今後の成長の伸び代という点、そして社会保障、医療費などの削減という大きな効果に期待をいたしまして、基幹産業という位置づけをさせていただいております。

中根(康)委員 今御答弁されたような数字を達成すると基幹産業だと言い得るということなんでしょうか。基幹産業というのは、そもそもどの程度の規模感を持つと基幹産業ということになるんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 基幹産業自体の定義というものはないと思います。

 ちなみに、十五兆円規模の産業ということで申し上げますと、建設が約十五兆円の産業でございます。そして、鉄鋼が十六兆円、こういったようなものに類するぐらいの生産額といいましょうか、販売額、売上高、こういったものを目指していくということだという認識をしております。

中根(康)委員 雇用についてはまだ数字的な目標が定まっていないという話なんですが、それでよろしいんでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 スポーツ関連産業ということになりますと、これは大変裾野の広い産業になると思います。また、各地域地域で今御指摘のございましたようなスポーツのアリーナのようなものが展開をしていくと、地方における雇用創出ということがございまして、ひとえに、なかなか雇用についての数字の算出が難しい点はあるかと思いますが、今後の産業の発展の動向を捉えまして、適切なタイミングで、必要があれば、そういった目標値なりメルクマール、こういったものを講じていく、あるいは設定をしていく、こういう御議論になるかと認識をしております。

中根(康)委員 やはり雇用についても目標をしっかり定めていかなければ、成長産業だとか基幹産業だとか、あるいは日本再興戦略に位置づけるとか、こういうことに責任を持った戦略ということにはなっていかないわけでありますので、このあたりのところも十分これから経産省で検討してもらいたいと思います。

 なぜこのようなことを聞くかといえば、安倍内閣の悪い癖として、国民受けするようなことを打ち上げるだけ打ち上げて、今もスポーツ産業、目標が十五兆円ですか、これは建設業よりも大きい数字だと。確かにそうなればすばらしいことだとは思いますけれども、果たしてどのような工程表で、道筋でそれを実現していくかということは、まだ余りというか、ほとんど明確になっていないような御答弁ぶりであったわけであります。

 こういう国民に期待を抱かせるだけ抱かせて、後は野となれ山となれ、選挙前になると国民に耳ざわりのいいことを打ち上げて、こうしますよ、だから自民党に投票してくださいよ、安倍内閣を支持してくださいよ、こういうことを言って、選挙の後になると、そんなことを言いましたかという感じで尻すぼみになってしまうということがどうも散見されるようでありますので、私はあえてこのことを取り上げているわけであります。

 スポーツ産業が成長産業であるということは、私もそう思いますけれども、無理やり基幹産業とまで位置づけて支援するということが、ひいては補助金のばらまきであるとか、あるいはスタジアムをあちこちにつくって、施設に必要以上にお金をかけることを正当化されたり、あるいは、それが官製談合あるいは関係団体に対する天下りであるとかという利権の温床にもなりかねない、こういうことを懸念しているわけであります。

 この懸念に対して、大臣、どのようにお答えいただけるでしょうか。

世耕国務大臣 安倍内閣は、何か選挙前に、今が選挙前なのかどうかわかりませんけれども、ぶち上げて、その後尻すぼみなんということは決してありません。我々は、やはり国民にお約束したことはしっかりやっていかなければいけないというふうに取り組んでおります。

 その上で、今スポーツ産業を、いわゆる補助金とか箱物とか、そういうもので我々は育てようと思っているわけではありません。やはりビジネス中心でしっかりと育てていくことが重要だというふうに思っております。

 例えば、野球でも、日本のプロ野球とアメリカの大リーグ、今は売り上げで物すごい差がついてしまっています。しかし、一九九〇年ぐらいまでは大体同じぐらいだったんですね。その後、アメリカの大リーグはいろいろな経営者が入ってきて、経営改革をやって、そして観客、ファンを非常に大切にしてということをやった結果、産業として育っていった。

 日本のスポーツ界も、野球に限らず、そういうアプローチが非常に重要なのではないかなというふうに思っております。

 あくまでも民主導で、しっかりとスポーツ産業の振興をやってまいりたいと思っています。

中根(康)委員 今大臣が御答弁されたような方向性でスポーツ産業が成長していくということであれば、これは民進党としても十分支援をしていく、これにやぶさかではないということでありますが、スポーツ産業分野は基幹産業、こう言うと、ちょっと、やはりまだまだ違和感があるような、そこまで大上段に振りかぶって箱物をつくるのではないかというようなことよりも、もっと地道に、地域においていろいろなニーズをきめ細かく酌み取って、着実に支援をしていくということであろうと思いますし、所信の御挨拶の中にも人材という言葉がありますが、人材支援であったり、あるいはこの分野におけるベンチャーの支援であったり、あるいは医工連携的な異業種間の連携であったり、そういうところを中心としてスポーツ産業を発展していくということであれば、これは中小企業支援ということにもなる。

 まさに、スポーツ産業の成長ということは中小企業の成長ということとも表裏一体ということになろうかと思いますので、こういう観点から、ぜひスポーツ産業を支援していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、先ほども触れましたけれども、自動車は紛れもなく我が国の基幹産業である。十月十三日の参議院の予算委員会では、我が党の礒崎議員に対して、高市総務大臣でさえも、自動車産業は我が国経済を支える重要な基幹産業であり、国内市場の縮小に歯どめをかけることは非常に重要であると御答弁をされておられるということであります。

 この予算委員会には世耕大臣もいらっしゃいまして、聞いておられたと思いますけれども、国内市場の縮小に歯どめをかけることが重要だということであるならば、つまりは、車を買いやすく、売りやすくするために、ユーザー目線で車体に関する、自動車に関する税制の抜本改革が必要であると、民進党はかねてから重ねて重ねてお訴えを申し上げているわけであります。

 例えば、自動車取得税、本来は課税根拠がもう既になくなっている。車を買うときに消費税も払わなくてはいけない、加えて自動車取得税も納めなくてはならない、こういう意味で二重課税状態になっている。ユーザーに必要以上に負担させている。納めなくてもいい税金を納めてもらっているということ。税制抜本改革で車の値段をもっと引き下げることができるはずだ、そのことをもって国内市場の縮小に歯どめをかけるということになるはずではないかと考えております。その意味では、自動車取得税は直ちに廃止をしなければならない税金であるというふうに思います。

 しかし、消費税の引き上げが二年半延期になったから、自動車取得税の廃止もそれにつられて延期になってしまうということ。本来、自動車取得税の存廃というものは、消費税と絡める問題ではないはずでありまして、消費税にかかわらず、自動車取得税は、課税根拠がなくなっている、あるいは二重課税状態になっている、こういうことからも、直ちに廃止をされるべきであると考えております。しかも、その上、自動車取得税廃止の際には、代替財源と称して、自動車税に環境性能割を導入することまで検討されているわけであります。

 財源確保のために、国民は課税根拠のない税金を、自動車に関して言えば九種類、合計年八兆円も押しつけられている。世耕大臣、車体課税を自治体の財源にするためにユーザーに税金を押しつけるこの状況をやめるべきだというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、先ほど、高市総務大臣も国内市場縮小のためにということを言っておられるわけでありますので、そういう御理解のある大臣が総務省におられる間に、ぜひ世耕経済産業大臣、高市大臣と徹底的に議論していただいて、自治体の財源の穴埋めのためではない、本来あるべき自動車に関する税制のあり方に変えていくということを徹底的に総務省と、総務大臣と議論をしていただけないでしょうか。

世耕国務大臣 お答えします。

 今、国内の新車販売台数というのがずっと下がってきている状況、特に二〇一四、一五と二年連続で減少しておりまして、ことしもなかなか厳しい状況だという報告を受けております。

 自動車関係税制というのは、地方の安定財源等としての役割を果たしている一方で、課税根拠が失われているものがあるんじゃないか、自動車重量税など、当分の間の税率というものは廃止すべきではないか、自動車を購入するときにいろいろな税金がかかっていて負担が重い、こういう自動車ユーザーの声があることは承知していますし、私自身も、一人の自動車ユーザーとして、なかなかこういう税の負担というのは重いなということを感じております。

 経済産業省としては、自動車関連産業が生み出す消費や雇用、生産基盤などの実体経済をしっかりと支えていくという視点に立って、平成二十九年度税制改正において、財政当局と高市大臣も含めてしっかりと議論をしながら、車体課税のユーザー負担の軽減などに取り組んで、そして自動車の国内需要の喚起を図ってまいりたいというふうに思っております。

中根(康)委員 今大臣が自治体の安定財源の役割を担っていただいているというようなことを御答弁されましたが、私はそこが間違っていると思うんですよ。自治体の安定財源のために、自動車ユーザーに、本来納めなくてもいい税金をお願いしているという状況が間違っていると思って、これを議論してほしいということを申し上げているわけであります。

 例えば、自動車取得税の七割が自治体に行くという話なんですけれども、それを穴埋めするために環境性能割を導入する、車の税金の中だけでつじつまを合わせようとするから、いつまでたってもユーザーの御期待に応えられない状況が続いてしまっているわけでありますので、ここは何とか、世耕大臣がいらっしゃる、在任中が私はもう結構デッドラインだと思っておりますので、大臣が在任中に何とかしてほしい、ことしの年末の税制議論の中でその道筋をぜひつけてほしいなというふうに思っておるわけであります。

 私は愛知県なんですが、愛知県の大村知事なんかは、もちろん自動車産業の盛んな地域だということもあるんですけれども、知事は、損して得とれというような言い方をしているわけでありまして、車体課税を引き下げることによって、車産業が活性化し、雇用が守られるということになれば、ひいては、これは自治体の税収にもつながるということであります。決して、総務省と相反するものではないということでありますので、経産大臣、ぜひその観点から、高市大臣と徹底的な議論を重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 このことについてはここまでといたしますけれども、自動車に関する税金のあり方ということでいうと、これから自動運転車というものがどんどん普及していくということになりますが、この自動運転の車が普及していくというようなことを名目に、あるいは何かへ理屈をつけて、またそこに、車に関して税金をかけるというようなことがあってはならないと今から私は予防的にくぎを刺しておきたいと思います。これは、ぜひそういうことがないように、頭の片隅に置いておいていただければ幸いでございます。

 次に、格差の問題について少し取り上げていきたいと思います。

 安倍内閣が幾ら笛やかねや太鼓を打ち鳴らしても、景気が一向によくならない、低迷したまま、実質賃金はむしろマイナスである。このことによって格差が拡大している。そして、その格差が拡大していることがまた景気低迷を長引かせているということであろうと考えております。格差は景気回復の重い足かせになっていると考えます。

 とかく経済成長を語るときには、格差の問題は軽視をされたり、あるいは無視をされたりということになりがちだと思います。例えば、高額所得者に累進的に課税をすると意欲が低下をしたり、所得再分配政策を強めると社会保障費が増加するとか、こういう格差解消策は経済成長の阻害要因になると考えられがちではないかと思います。

 しかし、格差が拡大するということは、消費の主役である中間層が薄くなるということでありまして、GDPの六割を占めると言われている内需が回復せず、景気がよくならない、こういう悪循環になるわけであります。

 所得の格差は将来の教育格差にもつながって、将来の人材育成という観点からも弊害を生じかねないということでありますので、格差の問題というのは、ここに取り組むということは経済政策にも極めて重要なものであるというふうに考えております。

 しかし、安倍内閣は、労働者派遣法の改悪を強引に押し通したりして、非正規の労働者をさらにふやして、格差がさらに拡大する政策をとり続けているのは明白でありまして、そういいながら、一方で、安倍総理は非正規という言葉をこの国から一掃すると大見えを切っておられるわけであります。

 冒頭申し上げましたように、安倍総理と世耕大臣は一心同体ということでありますので、非正規という言葉をこの国から一掃する、こういうふうに言っておられる安倍総理の約束をどのように実現していこうとしておられるのか。

 格差の問題が、今申し上げましたように、私は経済政策にとっても大変重要な観点だというふうに思っておりますが、大臣の所信的挨拶の中には格差のカの字も盛り込まれていなかったわけでありますけれども、大臣としては格差の問題をどのように考えておられるのか。格差については、置き去りにしていっても全く構わないというふうに考えておられるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

世耕国務大臣 二点、お答えいたします。

 別に一心同体というわけではありません。上司、部下の関係でございます。

 非正規という言葉をこの国から一掃すると安倍総理は所信表明演説で述べたわけであります。

 これは、働き方の選択によって、不合理な処遇の差を受けることがなくなるようにすること、そして、働く人が、自分のライフスタイルに合わせて、多様な働き方を自由に選択できるようにすることが重要と考えております。

 そもそも、この非正規という名前がよくないですね。労働者の分類で非正規というような使い方をしているのは、恐らく先進国の中では日本だけではないかというふうに思っています。

 そして、具体的な方策としては、やはり同一労働同一賃金という考え方。働き方改革実現会議で議論の上、厚生労働省を中心として、どのような賃金差が正当でないと認められるかについて、年内をめどにガイドラインをまとめて具体的に明らかにする方針です。

 働き方改革実現会議に私自身もメンバーとして参加をしております。年度内を目途に、包括的な働き方改革実行計画を取りまとめることになっておりまして、加藤大臣、塩崎厚労大臣と連携をしながら、全力を傾注してまいりたいというふうに思います。

 あと、格差の御指摘であります。

 格差はいろいろな数字の見方があるわけでありますけれども、国民の所得格差に関しては、世帯毎の所得格差をあらわすジニ係数の動向を見ますと、日本の場合、税や社会保障による再分配後の所得の格差というのは、平成十一年以降、おおむね横ばいという状況であります。

 ですから、必ずしも所得格差が今景気の低迷の原因に当たっているという御指摘は当たらないんじゃないかなと思っています。

 ただ、一方で、委員御指摘のとおり、やはり中間層の消費が動いていません。この間も流通業界の人たちと懇談をしましたが、やはりここ何年も中間層の消費が動いていないという現実もあります。

 そういう中で、格差が固定化したり、あるいは将来格差になるんじゃないかという不安を持たせたり、あるいは、その格差が人々の許容の範囲を超えないようにするということは重要だと思っています。そのための方策は、まさに、デフレから脱却をして経済再生を図っていくという課題にチャレンジする、そのことに尽きると思っています。

 経産省としても、成長と分配の好循環を経済成長の面から支えるべく、成長戦略をしっかりと前に進めていきたいと思います。

 また、格差の一つとして、やはり、大企業と中小企業、零細企業の給与の格差というのは、厳然としてあると思います。こういうものに関しては、下請取引の条件改善に切り込んで、我が国の雇用を支える中小企業の賃上げを実現することによって、そういった賃金格差もなくしていきたいというふうに考えております。

中根(康)委員 非正規という言葉をなくすためには、全ての労働者を非正規にしてしまえば非正規が正規になる、こういう発想がどうも見え隠れする安倍内閣の姿勢であるわけであります。

 今、大臣の、最後に御答弁をいただいた大企業と中小企業の格差。内部留保が三百七十七兆円ですか、大変大きく膨れ上がってしまっている。これを下請企業、中小企業にしっかりと活用してもらうとか、あるいは設備投資に回してもらうとか、こういうことが必要なわけであります。

 今、大臣が中小企業の賃上げということをおっしゃられたわけなんですが、これはどのように実現をしていかれるお考えでしょうか。

世耕国務大臣 内部留保はかなり大きな金額になるんですが、決して、これは企業の金庫にキャッシュがそれだけあるというわけではない。ただ一方で、やはり企業の保有するキャッシュも大分増加傾向にある。これを投資とか賃金とか下請の支払いに回してもらうということが重要だというふうに思っています。

 中小企業での賃上げをしっかりと実現していくためには、やはり、中小企業自身の生産性の向上ということに取り組むことがまず一つありますが、もう一つ、日本で大きな問題としては、やはり大企業と中小企業の間の下請取引の慣行、これがどうもフェアでない部分がある。

 例えば、今、下請の中小企業は、長期的に見るとまだ円安ですから、材料代が値上がった分、あるいは電気代の上がった分、あるいは賃上げをやろうと言っているその賃上げ分、それを取引価格でなかなか大企業から認めてもらえないというような状況、あるいは、もうつくり終わったモデルの古い金型をずっと保管させられているとか、あるいは、支払いがまだ手形で一〇〇%行われている、その割引料は中小企業が負担している。こういうところを改善することによって、中小企業の経営環境をよくして、そして中小企業の賃上げにつなげていくということが重要ではないかというふうに思っています。

中根(康)委員 中小企業を取り巻く状況というのは、例えば、消費税が上がった、あるいはマイナンバー制度が導入される、あるいは、今月から、これはいいことなんですけれども、最低賃金が引き上がる。中小企業の経営にとって、いろいろ困難な状況があるわけであります。

 その中で、中小企業がこれから発展をしていくためには、安定的な人材を確保する、優秀な人材を確保する。そのために、中小企業が、本当は正社員を雇いたいんだ、正社員を雇ってしっかりと社内で育てていきたいんだ、頑張ってもらいたいんだということなんですけれども、しかし、正社員を雇うときにハードルになっているのが、社会保険料負担なんですね。これは赤字であっても、社会保険料は負担をしなければならない。このことによって、中小企業は正社員雇用にちゅうちょをしてしまうということがいろいろなアンケート調査の中でも明らかになっているわけでありまして、日本経済の屋台骨を支えていただいているのが中小企業であるということであるならば、経産省として、あるいは中小企業庁として、中小企業を全力で応援していただきたい。

 その意味で、私たち民進党は、前の通常国会においても、中小企業の社会保険料負担軽減法案、これは決して、いわゆるゾンビ企業と言われるようなものを生き長らえさせるためのものじゃなくて、私たちの法案は、中小企業が、例えば、今十人正社員がいる、これを十二人にする、正社員を積極的に雇って、これから積極的にビジネス展開をしていきたい、そういう企業を支援していく、こういう内容になっているわけであります。

 経済産業省としても、前国会で、例えば、設備投資をした場合に固定資産税を二分の一軽減する、こういうことを、これはある意味、総務省と十分協議をしていただいた上でそういう法律をつくっていただいたと思いますけれども、固定資産税の二分の一軽減からさらに踏み込んで、中小企業経営者にとって一番負担感のある社会保険料負担、ここを支援していく、こういうことを私たちはぜひ実現したいと思っているんです。

 これは民進党から議員立法という形で提出をしておりますが、別に民進党の法案をそのままのんでくれということではありません。もしよろしければ経済産業省の方に差し上げますので、ぜひ私たちの法案をたたき台として、社会保険料部分を御支援いただくような法案をつくっていただくということは、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 雇用をふやしたり、経営改善に取り組んでいる、投資を行おうとしている、そういった中小企業に対する助成の措置というのは、たくさんいろいろなメニューがあります。そういったものを使いながら、しっかりと中小企業の経営環境をよくしていくことが重要だというふうに思っています。

 民主党御提出の法案については、これは国会でお扱いを決めていただきたいと思います。

中根(康)委員 終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 おはようございます。民進党の鈴木義弘です。

 時間がないので、すぐに質問に入りたいと思います。

 ある製造現場でアンケート調査を実施した結果、その中で興味深い結果が得られた。見通し、風通し、見える化というキーワードで行った調査なんだそうです。見通しというのは、職場のあらゆる階層で、十年後の会社の姿や十年後の自分の姿が前向きに描かれているかというものです。もちろん、十年後に彼らが描いたとおりになるとは限りませんが、それでも、この職場は十年後も続いていて、こうしたことをやっており、その中で自分はこんな役割を果たしているだろうというイメージが見えているのかという問いかけなんです。御案内のとおり、風通しはコミュニケーションがとれるか、見える化は標準化、ルール化ができているかどうか。よい職場はこの三つとも高かった、こういうことなんですね。

 さて、大臣、このアンケートの問いをお尋ねしたら、経済産業大臣として、十年後の経済産業省の今言った三つのキーワード、ぜひお答えいただければと思います。

世耕国務大臣 今突然聞かれましたのであれなんですけれども、経済産業省、今は大きな変革の時期でありますね。なかなか見通しが立たないというのは、今はそれだけ速いスピードで世の中が動いているんだろうというふうに思います。

 経済産業省も、そういう世の中の動きをしっかりと、ついていくだけではなくて先導していくような、そういう役所に十年後もなっていてほしいなというふうに思います。

 十分なお答えでなくて済みません。

鈴木(義)委員 これは大臣の所信に対する質問なので、これをずっと見ていったときに、十年後を見ているのかなと思うと、何となく、足元しか見ていないような、そんな雰囲気がしたものですから、やはりこういったところの会社が、中小企業でも大手さんでも生き残っていくんじゃないかという一つの事例なんですね。

 だから、役所としても、今も大事ですけれども、十年後をどう描いていくか、二十年後をどう描いていくか、そこが大事なんだと思うんです。その意味での見通しということなんだと思うんです。

 もう一度、もしお考えがあれば、整理してもらえれば。

世耕国務大臣 これから本当に社会は大きく変わっていく。例えば、やはりITがこれからもっと一歩進んでいって、IoT、ビッグデータ、そして人工知能という形になってくる。そういう中で、日本の産業構造がどういうふうに変わっていくのかということもよく見通していかなければいけない。

 今まで我々は、垂直統合ですり合わせて、そしてすばらしいものをつくる、そういう産業の形態で、世界でかなりいい地位を占めてきたというふうに思います。

 ところが、これからの世界は、どちらかというと、横に、水平に組んでいく。例えばグーグルでもそうです。アップルでもそうです。そういうところが世界のビジネスを押さえていくというモデルになってくる。こういう中で日本の産業構造をどう変えていくか、そういったことをしっかりと見通しながら経済産業行政をやっていかなければいけないというふうに思っております。

 いろいろなイノベーションが起こってきます。もう第四次産業革命という状況になっているわけですけれども、そういう中でも、日本の経済がしっかりと世界の中で輝いていけるように頑張りたいと思っています。

鈴木(義)委員 私が学生時代のときに使っていたパソコンは88というものだったんですね。同世代だと思うんですけれども、98が出る前の世代だったんです。そのころは、NECの98を買うというと、一台で二十万も三十万も、下手をすれば、ハードディスクが四十メガといえば四十万もした時代です。ディスプレーも何もついていない状態です。そのころ世界の先端を行っていたコンピューターはやはりNECだったわけですね。それがいつの間にかウィンドウズに負けちゃった。その後、グーグルが出てきたという話なんですけれども、たかが三十年、三十五年ぐらいしかたっていないんです。

 トヨタのハイブリッドが世の中に出て、まだ二十年です。当時言われたのは、すぐそのままみんなハイブリッドになっちゃうと。でも、二十年たっても、ハイブリッドを出しているメーカーさんは何社もないんです、大概の車は。そうしたら、今度はハイブリッドじゃなくて、ダウンサイジングのエンジンの方が、それだけのコストをかけてやるよりは、ターボをつけて、小さい車で、小さいエンジンで、出力は大きいもの、燃費もいい車、そういう形に変わったんです。

 ですから、これが一ついいんだというふうに、IoTだとかICTだとかいうふうにおっしゃるんですけれども、実際、それで御飯を食べているところは、日本全体の中で一部なんです。でも、そうじゃない人たちが今景気が悪くてどうしようかという話なんです。

 大臣の所信を聞いていても、いつもこの上の方の人の話。確かに、そこからしみ出てくるんでしょうけれども、実際、困っている人たちは、八割方、そうじゃない仕事をしている人たちが一番困っているという話なんです。では、その人たちをどうするかというのを、いきなりIT、IoTだとかICTと言ったって、それは無理な話なんです。そこが見てとれない、この所信の中では。そこのところを、もしお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

世耕国務大臣 今、委員が同世代とおっしゃったので、委員の生年月日を確認しましたら、昭和三十七年十一月九日と十一月十日ということで、私と一日違いだということに今気づきました。しかも、NECのパソコン、私も若いころからパソコンは非常に使っておりまして、自分で手に入れたのは9801からでありましたけれども、当時、パーソナルコンピューターという世界では日本が先頭を走っていた。だけれども、その後すぐアップルとかが出てきて、どんどん逆転をされていったということを本当に印象深く思っております。

 私は、決して、イノベーションの最先端を走る企業のことだけを考えているわけではありません。やはり日本は、中小企業、零細企業、このものづくりの技術、サービスの技術、こういったものが日本経済の根幹を支えているというふうに思っております。

 ですから、まず一つは、この中小企業がアンフェアな取引慣行で苦しまないように、今、大企業との間の取引慣行の是正というものにも汗をかいております。

 また一方で、幾ら中小企業、零細企業といっても、やはり世の中の変化にある程度ついていかなければいけないというところもあります。そういう変革のための投資とか、あるいは人材の確保に努める企業に対しても、しっかりとした応援をしていかなければいけないというふうに考えているわけであります。

 その辺の思いは所信の中で私も述べたつもりではありますけれども、十分に伝わっていなかったらおわびをしたいと思います。

鈴木(義)委員 大手さんがなぜ下請、孫請に仕事を出すかといったら、リスクをとりたくないからですよね。安く使えるから、それの慣行を変えられるものなのかどうか。

 例えば、スーパーも同じです。大手のスーパーさんなんて、名前を挙げちゃうと語弊があるから挙げませんけれども、ほとんど不動産屋さんです。賃料を取ってやっているわけです。そこの店の売り上げがうまく上がらなければ、違うお店を持ってくればいいだけの話。名立たるスーパーさんはみんなそうですよ。自分のところの売り場よりも、全然そうじゃないテナントを入れて商売されている。これはスーパーじゃない。不動産屋さんですよ。そういうところが、地方だとかちょっと都市部から離れたところの商店街を食い潰してきたんです。

 そこをどう変えていくかというのは、これは至難のわざだと思いますよ。特に、消費者である国民は、やはりいいものを安くという消費者心理は変えられないでしょうから、どうしてもお客さんはそっちに流れてしまう。そういったことをぜひ取り組んでもらえたらなと思います。

 ちょっと質問が前後するんですけれども、所信の中で、働き方改革は一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジなんだ、こういうふうに述べられているんですね。だったら、役所が先にお手本を出したらどうですか、同一労働同一賃金。だって、週五日制の土曜日閉庁を導入したのは、一番最初は民間じゃないですよ、行政が先にやったんだ。そこまで働き方改革をするんだというんだったら、行政側が最初にお手本を見せた方が、国民、民間企業はみんな納得するんじゃないですか。どうでしょうか。

世耕国務大臣 私も、委員御指摘のように、やはり隗より始めよの精神で、霞が関が率先して働き方改革の手本を示すことは重要だというふうに思っています。

 まだまだ取り組みは十分ではありませんけれども、去年からゆう活という形で、早く来て早く帰るというような取り組みをやりました。経産省でも、幹部から職員への働きかけを行うなど意識改革を行った上で、無駄な業務を行わせない厳格な時間管理を徹底するとともに、私自身へのレクとか審議会の資料、こういったものも全部ペーパーレス化、今、幹部も全部タブレット端末を持って、そこで全部資料を見るというような、IT利活用による合理化も進めるなどの努力をしているところであります。

 また、テレワーク、これもぜひ私が大臣でいる間にかなり進めたいと思います。用事がある場合は自宅でも仕事ができる、場合によっては子供の面倒を見ながら、あるいは病気の両親の面倒を見ながらでも仕事ができるようなことも取り組んでいきたいと思いますし、もう制度化をされましたフレックスタイム制の積極的な活用を促すことで、働く時間と場所の柔軟化に取り組んでいきたいというふうに思います。加えて、職員が意欲的に自己研さんを行うための勉強会を開催するなどの人材育成にも取り組んでいきたいと思います。

 こうした取り組みを率先して進めることで、長時間労働を前提とした働き方から、限られた時間で成果を上げる働き方へ改革をしていきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 ぜひ、隗より始めよで頑張ってもらいたいと思います。

 では、次の質問に入りたいと思います。

 GDP、よくいろいろな経済指標が出てくる中の一つだと思うんですけれども、GDPの中に、医療サービスや介護サービスは民間最終消費支出や政府最終消費支出にカウントされているということで、医療費や介護費が増大していくとGDPが自然と増大していくんだそうですね。ですから、行政がよく指標に用いられるGDP比何%、いろいろな指標で使われると思うんですけれども、もしかしたらGDPの指標自体が実体経済と合っていないんじゃないかというふうにも言われているところもあるんです。

 その中で予算配分を決めてみたり、政策を総動員していろいろなことをやっていくんですという言い方をされるんですけれども、漠然とした目標を出すのであれば、分野ごとの詳細、その後の検証が必要になってくるんじゃないかと思うんです。

 ちょっと意味がわかりづらかったですかね。(世耕国務大臣「いや、大丈夫です」と呼ぶ)大丈夫ですか。では、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

世耕国務大臣 GDP統計というのは、これは我が国の経済の全体像を国際比較可能な形で体系的に記録することを目的に、国連の定める国際基準に準拠した上で作成をされています。従来から、経済の実態を反映すべく、GDPの算出に用いられる基礎統計について、消費に関する新たな調査を導入するなど、改善の努力を行ってきたと承知をしているわけであります。

 ただ、一方で、今委員が御指摘のように、本当に実体経済を反映できているのかどうか。これはいろいろな説があるわけでありまして、例えばインターネットでの取引が十分に反映されていないのではないかとか、あるいは、この間も日銀の有志が計算、試算をしましたけれども、そうするともっとプラスになるんじゃないか、税金から全部逆算してGDPを計算すると実はもっと日本の経済はGDPが大きいはずだとか、いろいろな数字が、いろいろな説があることは承知をしておりますが、我々としては、一方で継続性も重要です。ずっと長いトレンドを見ていかなければいけませんので、今のこのGDPでいろいろな経済の議論をしていくべきではないかというふうに考えています。

 もちろん、我々はGDPの目標を掲げているわけでありますけれども、委員御指摘のように、その中を全部細かく分類をしてというところまではまだ至っていないと思います。ただ、一つ一つの産業が元気になっていくことでこの六百兆を目指すということをしっかりと頑張ってまいりたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 そこで、問題なんですね。

 今六百兆というお話が大臣から出たんですけれども、大臣も所信の中で、特に安倍総理もおっしゃられるんですけれども、生産性を上げるんだ、こういう言い方をよくされるんです。経済が成長するということは、GDPが成長することなんだ。GDPが成長するということは、国内における付加価値の生産が拡大するということ。

 一般には、経済成長のためには生産性の向上が必要だと大臣もおっしゃられる。総理大臣も同じようにおっしゃられるんです。でも、日本経済の屋台骨である中小企業の生産性を高め云々とこの所信の中でお述べになっているんですけれども、では、生産性とは何ぞやというひもときをしたら、労働生産性、資本生産性というのがあるんだそうです。

 私は経済学者でも何でもないので、ただ並べているだけの話なんですが、付加価値で見た労働生産性イコール生産された付加価値の総額割ることの投入された労働の量。人数だとか時間で割るんだそうです。もう一つ、付加価値で見た資本生産性、生産された付加価値の総額を割ることの投入された資本設備の量、労働の量、こういう言い方をされるんだそうです。

 ということは、幾ら生産性を上げても、売上高もしくは付加価値生産の総額そのものがふえていなければ経済の成長にならない、うなずいていただいているのでおわかりだと思うんですけれども。では、労働コストを削減したり固定資本を削減して生産性を上げたとしても、付加価値がふえなければGDPの拡大にはならないんです。

 だから、大臣がおっしゃられたり総理大臣がおっしゃられる、生産性を上げろ、生産性を上げろ、農業も生産性を上げろと。今いっぱいいっぱいやっていますよ。もっと生産性を上げろ、では、労働時間を減らせばいいのかといえば、GDPは拡大しない。今働いている人が、生産労働人口の二%ぐらい第一次産業に従事していますけれども、それを半分にして生産性を上げろと。でも、GDPは拡大しない。

 六百兆にしたいわけですよね。だから、そういった声高々に生産性の向上と一口におっしゃられても、需要と供給がともに拡大していかない限り、経済成長につながっていかないという考え方なんです。もう当たり前の話だと思うんです。

 その刺激策をお尋ねするのと、私は何度も、農水委員会でも申し上げたんです。売り上げを上げるという売り上げは、単価掛ける数量なんです。人口減少に入ってきている今の時代で、数量を上げろと言ったって無理。

 先ほど前任者の質問の中で、車が売れなくなってきていると。確かに、車体に係る税金もその一つの要因だと思います。私も地元を回って、整備工場のところへ行って、どうですかと。いや、車はもうやめちゃう、もう乗らないという人が意外とふえてきているんだよ。みんな七十五歳以上の人です。そういう現状の中で、もう乗らない人がふえてきている。生産労働人口も含めて、人口分布が極端に変わってきているんです。ということは、外に売っていかなければできないのに、海外で勝負できる企業さんはいいですよ。でも、先ほどの話じゃないんですけれども、実際は八割方、そうじゃないので生活をしている、仕事をしている人が日本の国内にいっぱいいらっしゃる。それで、生産性を上げろ、売り上げを上げろと言っても、単価をいきなり上げたら競争の中で勝てない。では、どうしますかというのがお尋ねなんです。

世耕国務大臣 大変いい御議論だと思います。今のお話の中にはいろいろな論点が入っていたと思います。

 もちろん、これからいろいろな革新を進めていくんですが、例えば、あるものづくりの企業が売り上げが全く同じままで全部ロボット化したら、当然、その雇用はなくなってしまう。それがまさに今御指摘のところだと思います。でも、そこにどう付加価値を生んでいくかということが非常に重要だと思っています。

 例えば、自動販売機を設置する企業があった。その企業は、定期的に自動販売機を見て回る、そういう作業員の方も社員として雇用をされている。ところが、今自動販売機は、その状態とか売り上げ、そういったものは全部ネットで遠隔で見られる時代になってきている。そうすると、そういう巡回点検をしていた人たちの雇用というのは失われます。しかし、そこでもう一歩考えて、遠隔で自動販売機の状況を見られることによって、今度また新たなサービスが生まれる。もうすぐ壊れそうだから次を買いかえた方がいいですよとか、おたくの商品は今これが売れ筋だから、もっとこういうものを中心に自動販売機の中に並べていったらどうでしょうかという提案をするビジネスとか、そういうことをつくっていくということが重要だと思います。

 あるいは、今高齢の方がもう車を買わない。私の母親もこの間免許を返上させました。ちょっと危ないなと思いましたので、免許を返上させました。そうすると、当然車は売れないということになるんですが、そこに技術革新で例えば自動運転が入ってくる。もう既にレベル2のレベルの自動運転の車は既に売り出されていますから、そういう車であれば、危ないときはブレーキを踏んでくれる、そういう機能がもうついていますし、これが完全な自動運転になれば、高齢者の人でも、そのまま乗っていろいろなところへ移動できる。では、そういう車は買おうということになるわけでありまして、まさにそこが付加価値を生み出すということにつながっていくのではないかなというふうに思っています。

 経産省としては、これから、ともかく医療、介護、自動走行、ものづくり、サービス、いろいろな分野で、IoTや人工知能、そしてまた、近年目覚ましい発展を続けている新しい技術はほかにもいっぱいあります。それとビジネスモデルを結びつけることによって、革新的な製品やサービスが生み出されて、そして未来への投資がふえて、企業の生産性が増進をして、付加価値がしっかりとふえて、我が国全体が豊かになっていく、そういう姿を目指して頑張っていきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 ちょっと質問は前後するんですけれども、第四次産業革命、インダストリー四・〇ということに入っていくんですけれども、その中で、あらゆる流行がそうであるように、熱狂期が終わって幻滅期が来ると言われているんだそうです。今の自動運転もそうでしょう。人工知能もそうだと思います、もしかしたら。今みんな世界はそっちに向いているんです。熱狂的です。自動運転もそうですし、医療もそうでしょう。

 では、その中で、結局流行をつくり出していこうという国もあるわけですね。例えば、隣の中国もそうでしょうしドイツもそうでしょう。そういったプロパガンダの上手な国もあるんです。それで世界を引っ張っていって、自分たちのもとに集まってくるようにするんですけれども、実際、その国にみんな集まってきて、わっと集まってきた途端に、実際は改革だとか革命だとか、合従連衡して、マスコミがそれをあおるんです。五里霧中の中に入って、本質をみんな見誤ってしまう。日本の得意なところです。日本は今までずっとそれで翻弄されたところもあったと思うんです、過去に。だから、結果的に無駄な浪費や時間を費やしてしまって、結局、経済の再生につながらないんじゃないかという考え方です。残るのは借金だけ。

 だから、トレンドがこっちを向いているんだからといって、本当にそれが、先ほど一番冒頭に申し上げた、十年先どうなりますか、二十年先どうなりますかというところを見据えましょうというのはそういうことなんですね。

 だから、インダストリー四・〇が第四次産業革命だ、何かITで全部、全て幸せになっちゃう。一番AIになって困る立場の人たちは、私は知的財産で御飯を食べている人たちだと思います。だって、考えなくていいんだから。違いますか。そこら辺のところを含めて、大臣の、ちょっと今の質問に対しての御助言をいただければと思います。

世耕国務大臣 今、委員おっしゃるように、過去、いろいろな熱狂したネタというのはたくさんありましたね、経済政策、産業政策で。振り返ってみたら、あれは何だったんだろうというのは、ちょっと今は具体的に出せませんが、幾つもあったと思います。

 しかし一方で、やはりIT革命とか、本質的に世の中を変えてしまった、そういうトレンド、ブームというものもあったというふうに思っています。

 ですから、今我々が進めている第四次産業革命、これは決してインダストリー四・〇のまねをしたわけではありませんが、こういったものも冷静に進めていきたいと思います。決して、お祭り騒ぎでやるのではなくて、きちっと状況を見て、これは違うなと思ったら軌道修正をする、そういうことをやりながら、地に足のついた形で、一過性のブームで終わることがないようにやっていきたいと思います。

 ただ、私は、これから十年を見通したときに、やはり人工知能は確実に世の中に浸透してくるだろうと思います。今おっしゃるように、人工知能で一体何が起こるかというのは非常に難しいですね。もともとの産業革命は、我々を肉体労働から解放してくれた。この間の情報革命は、我々をまさに机の上の雑用から解放してくれた。今度、人工知能革命は、いよいよ我々を考えることから解放する。その考えることから解放された世の中というのは、はっきり言って、ちょっと私も想像はつきません。つきませんが、私が十年先を見通して思っているのは、人工知能が幾ら立派でも、考えているだけでは何にもできないわけであります。今、囲碁で人間に勝ったというんですけれども、それは、コンピューターは強いですよ。今でも百メートルを走るのは車の方が絶対速いわけだけれども、オリンピックでは人間がちゃんと走っているわけですから、そういう面もあると思う。

 だから、人工知能というのは、考えているだけではだめで、最終的にはやはり物を動かさなきゃいけない。その物を動かす技術は日本は非常に強いし、あるいは職人わざの物がいっぱいある。これと人工知能を組み合わせるところに、この十年先の日本の展望があるのではないかという思いで私は取り組まさせていただいております。

鈴木(義)委員 先ほど私が申し上げましたように、人工知能がどんどん、本当に考えるということをコンピューターがし始めたら、人間は要らないんです。だって、何が問題かというのを考えられることがAIなんですから。人間はそれを今できているんですけれども、それをどんどん機械がやるような形になっていくと、末恐ろしいんじゃないかなというふうに私は思う一人なんです。

 だから、それにどこまでの範囲で何をやったらいいかというのをある程度初期の段階で決めていかないと、とんでもないことになってしまうんじゃないかな。これはひとり言で聞いておいてもらいたいんです。

 それと、あとGDPの話に一回戻らせていただきたいんです。

 経済財政運営と改革の基本方針二〇一六、ことしの六月の上旬に閣議決定された、ちょっと分厚い本ですね。この中に、GDPはおおむね二〇二〇年ごろに六百兆円と目標数値を掲げてきました。内閣府経済社会総合研究所より、平成二十一年度県民経済計算についてというのが六月の一日に発表されているんです。北海道では十八・三兆円、埼玉では二十兆七千億、東京では九十三兆、鳥取で一・七兆、これが全体で六百兆の目標を掲げてやるんだと思うんです。

 政府参考人の方で答弁していただけると思うんですけれども、各県ごとのGDPの速報値が出ているわけです。今、それを大体積み上げていくと五百三兆円ぐらいだったと思います、一番直近のGDP。では、これを六百兆にするのにあと四年、五年の間でどの県がどのぐらいふやしていくのかという目標数値がなければ、六百兆と漠然といっても、何の分野のGDPをどのぐらい上げていくのかという目標数値がないのに六百兆という数字は出てこないと思うんです。そこをまずお尋ねしたいと思います。

嶋田(裕)政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、二〇二〇年ごろにおける名目GDP六百兆円の経済の実現に向けて経済財政運営に取り組んでいるところでございますけれども、名目GDP六百兆円につきましては、日本全体の達成すべき目標として捉えておりまして、委員御指摘のように、あらかじめその内訳として、都道府県別にここが幾らといったような積み上げを行っているものではございません。

 なお、六百兆円と整合いたします現時点の実績値、これも名目GDPの数字は内閣府で推計しておるGDP統計からくるものでございますが、これも日本全体の数値として推計をお示しされているものでございます。

 ただ、この六百兆円を達成する道筋ということにつきましては、今後、いろいろなことが経済情勢に応じて弾力的に考慮されるべきものでございまして、その時々の成長の実績とかそういうものを適宜点検、フォローアップすることによって、とるべき施策を検討していくことが重要ではないかというふうに考えます。

鈴木(義)委員 きょうはデータはお出ししていないんですけれども、個人消費だとかいろいろジャンルがありますよね。それで六百兆円、五百兆を六百兆に、百兆上げていくというのは容易じゃないと思うんです。それで、都道府県別には全然目標数値もない。では、産業別にあるのかといえば、それも漠然としていてよくわからない。

 農林水産委員会で私は質問に立ったときに、当時、輸出で四千億ぐらい。十年後、一兆円を目指して頑張るんだ。単純に計算して六千億上げるわけです。年間六百億ずつ上げていかなければ、十年で六千億上がらないんだ。一兆円頑張りましょう。では、四千億の中に、青果物と言われる生の果物だとか米だとかいったものはどのぐらい出ているんですかという話になったら、八十億ぐらいしか出ていないんです。全部加工品、その中で原材料はほとんど外国から輸入したもの、では、国内の農業生産の向上にはならないじゃないか、こういうお尋ねをしたことが過去ありました、答弁はちょっと私も覚えていないんですけれども。

 それと同じような話なんです。六百兆の経済成長をさせていくんだといったときに、経済産業省としては、ここの分野はどのぐらいふやしていくんだという目標数値がないにもかかわらず、どうやってそれを積み上げていくのかという話です。

 それともう一つ、これも、ああ、なるほどなと思ったんですけれども、二〇一六年のハロウイーン、今何か一生懸命やっているんですね、私は余りよくわからないんですけれども。これが昨年度よりも一〇%増で千三百四十五億円市場になっているんだそうです。これは、私も義理チョコしかもらったことがないんですけれども、バレンタインデーを上回る規模になっているんだそうです。

 それとか、先ほどスポーツの振興の話もあったんですけれども、ことしの野球場の入場者数というのは過去最高なんですね。サッカーも同じなんです。

 では、これは何を意味しているのかといったときに、若い世代の人が多いんでしょうけれども、結局、物を買うということよりも体験をしようという人がふえているということですね。そうすると、産業政策もどっちかというとそっちに向けていかないと、昔のままの、物をつくって物販すればいいという考え方ではもう消費の拡大は望めないということなんだと思うんです。

 ですから、そこのところも取り入れて、これからの、すぐには難しいかもしれませんけれども、それこそそういった旗も立てながら、ぜひ中小企業の育成のために御尽力いただければと思うんですけれども、最後に総括でお尋ねしたいと思います。

世耕国務大臣 六百兆円というマクロで計算したこの目標、これはなかなか、達成は本当に努力が要るというふうに思います。そこへ向けて、安倍政権としては、ありとあらゆる政策をやっていきたいと思いますし、今委員御指摘のように、物だけではないと思います。物以外のものの方が私はかなり可能性があるというふうに思っていますので、そういう視点で取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は、先日の大臣所信に関しまして質問をさせていただきます。

 今回の内閣改造で、大臣がロシア経済分野協力担当大臣も兼務ということになりました。これは、特定の国の名前がついた大臣というのは非常に珍しいことではないかと思います。

 改めて伺いますが、なぜ今ロシアなのでしょうか。御所見を伺えればと思います。

世耕国務大臣 お答えいたします。

 正確に申し上げますと、八月三日の内閣改造で私は経済産業大臣になりまして、その後、九月一日に追加的にロシア経済分野協力担当大臣という担当大臣も拝命をいたしました。

 これは、実は、ロシア向けの経済協力というのは経産省所管のものだけではないんですね。例えば農業、あるいは医療分野での協力、インフラの整備、大学間交流、こういったものも全部メニューに入っておりまして、これは、残念ながら、経済産業省ではそういったところを所管する省庁との調整機能を果たすことができないわけであります。そのことに途中で総理がお気づきになって、それだったら、私は官房副長官時代にまさにそういうことをやっておりましたので、世耕に引き続きやらせようということで、ロシア経済分野協力担当大臣という大臣を発令されたというふうに思います。

 たまたまそこに国の名前が入っていまして、私もそのときは知らなかったんですが、日本で過去、国の名前が入った大臣の名前というのは初めてということであります。

 なぜロシアかということであります。

 これはあくまでも経済分野協力担当大臣として申し上げますが、日本とロシアは隣国であり、ともに大国であります。それぞれいろいろな技術とかいろいろなポテンシャルを持っているわけですが、しかし、これまで、平和条約が締結されていなかったというのが大きな原因かもしれませんけれども、両国間の経済交流は、その本来の可能性に比べると極めて小さいものにとどまっておりました。今、日中間の貿易額は年間大体二千九百六十八億ドルです。それに対して、日ロの貿易額というのは二百八億ドルにとどまっているわけです。

 私は、ここに物すごい日本の経済成長のフロンティアがあるというふうに思っておりまして、ロシアとともにいろいろな経済プロジェクトに取り組むということは日本の成長にもつながる、特に伸び代が大きい相手国であるという意識で、このロシアとの経済協力にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 新たなフロンティアの一つとしてロシアを重視されているということでもあると思います。

 資料を配付させていただきました。ことしの五月、ソチで安倍総理からプーチン大統領宛てに提案がなされています。「ロシアの生活環境大国、産業・経済の革新のための協力プラン」ということで、概要ペーパーを資料でつけました。

 一番目が「医療水準を高め、ロシア国民の健康寿命の伸長に役立つ協力」、二番目が「快適・清潔で、住みやすく、活動しやすい都市作り」、三番目が「日露中小企業の交流と協力の抜本的拡大」、四番目が「石油、ガス等のエネルギー開発協力、生産能力の拡充」、五番目が「ロシア産業の多様化促進と生産性向上」、六番目が「極東における産業振興、アジア太平洋地域に向けた輸出基地化」、七番目が「日露の知恵を結集した先端技術協力」、八番目が「両国間の多層での人的交流の飛躍的拡大」となっています。

 この協力プランの取りまとめは大臣のところで行うと思いますが、協力プランをこれら八項目とした背景、理由をお聞かせください。

世耕国務大臣 この協力プランは、五月にソチで行われた日ロ首脳会談で、安倍総理からプーチン大統領に手渡されたものであります。その中身は、今御指摘のように、医療、都市環境、中小企業、エネルギー、産業多様化、極東の産業振興、先端技術、人的交流、多岐にわたっています。どうやってこの八項目を選んでいったのか。

 普通は、ここまでは、日ロの経済関係というと、四番目のエネルギーがほとんどだったわけです。これはこれで非常に重要なものでありますから、これも重視をしておりますが、今回のこの八つのプランの考え方として、いろいろな切り口がありますが、やはりロシア国民の生活の向上につながるもの、こういったものをやっていこう、あるいは、プーチン大統領がいろいろなところで演説をしたり、テレビ番組に出演して国民に語ったり、いろいろなところがあります。

 そういうところでプーチン大統領が、ここは問題だな、ここはロシアとして何とかしたいなと思っている分野、そして、そういった分野に対して日本側が企業を中心にそれを解決できるいろいろなノウハウを持っている、そういう分野について、みんなで議論をして、各省集まって議論をして、最終的にこの八項目の分類という形に整理をさせていただいたところであります。

落合委員 では、個別の項目についても少し伺えればと思います。

 今までもあったという石油、ガス等の協力についてですが、概要ペーパーの下のところに「上流から下流まで従来の協力を超える連携強化、」というふうにあります。この「従来の協力を超える連携強化、」というのは、実際にはどういったことを想定しているんでしょうか。

世耕国務大臣 今、かつてはエネルギーばかりだったと申し上げましたが、引き続きエネルギーは非常に重要です。特にロシアは我が国に近接をして、かつ豊富な石油、天然ガスの埋蔵量を持っております。我が国の資源の安定的な供給確保を図る上で極めて重要な国だというふうに思っています。これまでも、我が国企業とロシア企業とが参画する形でサハリン周辺での石油、天然ガスの生産を行うなど、エネルギー分野における協力はしっかりと進めてきたところであります。

 五月のソチの首脳会談で安倍総理から提示をした八項目の協力プランは、九月のウラジオストクの日ロ首脳会談等において、これを今後具体化していこうということで日ロの首脳が一致をしたわけであります。

 ですので、今御指摘のポイントについても、今ロシア側と鋭意話し合っているところであります。日本側もどういう取り組みができるか、いろいろと検討を進めているところでありますけれども、これは個別のプロジェクトであります、企業が関係する部分もありますので、最終的に結論が出るまではお答えは控えさせていただきたいと思います。

落合委員 この下に、象徴的な代表プロジェクトをつくろうということも書かれています。そして、JOGMEC法改正案の閣議決定もされているということで、これは実際に具体的にそれなりの案件がある、今は言えなくてもあるというふうに考えてよろしいですね。

世耕国務大臣 まず、JOGMEC法は、特定の国とか特定の案件のためにやる改正ではありませんので、そこはお断りをしておきたいと思います。

 そして、エネルギー分野は、先ほども申し上げましたように、日ロ経済協力における大変重要な分野の一つでありまして、その中で両国間の経済関係強化を象徴するようなプロジェクトをぜひ実現させたいという思いで取り組ませていただいています。

 具体的な案件があるのかないのか、それも含めて、今ロシアとの交渉中の案件でありますので、個別プロジェクトに関してお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

落合委員 では、もう一点、二番の下のところに、国交省関係ですが、都市交通網というものが、インフラについて記載されております。都市交通網の中には例えば鉄道といったものも入っていると考えてよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 都市づくりは、まさにロシア国民の生活環境の改善に非常に資する、プーチン大統領も、そしてロシア国民も非常に関心の高い分野です。しかも、我が国企業の技術がまさに生かされる分野でありまして、これはしっかり進めていきたいと思います。

 御指摘の都市交通網整備の中には、当然、鉄道網の整備の可能性もあると思っています。ただ、これは、これからロシア側の要望も聞いて、お互いによく話し合って合意をしていかなければいけないものであります。まだ具体的にどれということはありませんけれども、鉄道網も含まれているという可能性は排除いたしません。

落合委員 これを伺わせていただいたのは、経協インフラ戦略会議、これは内閣官房長官を議長に、財務、総務、外務、経産、国交、経済再生担当大臣らで構成する会議で、これがことしの五月二十三日にインフラシステム輸出戦略というのを出しています。

 これを読んでみますと、大臣も所信の中で、「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」という言葉で言及されていますけれども、ロシアのところに、「シベリア鉄道等の鉄道事業、空港等について検討を深度化。」というふうに、具体的にシベリア鉄道などの名前が書かれていましたので、伺わせていただきました。

 これは、周りをいろいろ調べてみますと、ロシア側の計画、構想としては、大陸と樺太に橋をかける、そこに鉄道を通すというような構想もあるように、調べたところ見つけました。それから、あくまでも想定の範囲ですが、そこから北海道まで何らかの形でつなげて、そこに鉄道を通すということもその延長線上として考えられないことではないとは思います。

 そういった話も、一応可能性としては、日ロで協力をして進めていく可能性もあり得るということでよろしいですか。

世耕国務大臣 可能性は排除しません。

 ただ、私も、これはもう私の個人的な夢でありますけれども、本当に樺太と橋でつながって、サハリンと橋でつながって、そしてサハリンと稚内がまた何らかの形でつながって、東京から電車でヨーロッパへ行けるようになったら楽しいなというふうには思いますが、これはやはりフィージビリティーのチェックというのは入念に必要であります。やはり、例えば沿海州とサハリンの間にそれだけ交通の需要があるのかどうかとか、そういったことはよく点検をしていかなければいけないと思います。

 また、どうしても鉄道というと、乗客、いわゆる人を乗せて運ぶことを考えるわけですけれども、私は、貨物の輸送というのも可能性としては十分あり得るのではないかというふうに思います。

 ただ、いずれにしろ、まだ個別のプロジェクトについては、外交上のやりとりでもありますし、企業が関係する分野にもなってまいりますので、ここについてお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

落合委員 本日、こういったロシアとの協力について大臣に伺いまして、大臣の言葉の中にも、ロシア国民の生活の向上という言葉が先ほどございました。日本企業が解決できるような分野について協力をどんどんしていければということでございました。

 これは、人によっては、日ロ協力じゃなくて、こっち側から一方的にお金を出す援助なんじゃないかと言うような一部専門家もいるわけです。この意見については、大臣、どう思われますでしょうか。

世耕国務大臣 それは全く違うと思います。これはお互い協力し合う。あの誇り高きプーチン大統領が、一方的に日本から協力してもらうなんというプランを評価するわけはないわけであります。これは、日ロがお互いウイン・ウインで関係をつくっていくということだと思います。

 例えば、ロシアはサイバーセキュリティーに関しては非常に高い技術を持っているわけであります。あるいは、原子力関係に関しても、廃炉の技術とかいろいろな技術を彼らは持っています。そういったものを逆に日本が活用していく。

 そしてまた、もう一つは、これは何もいわゆるODAみたいな形で進めるわけではないわけですね。日本の企業が、それぞれビジネスとして、しっかりと資金調達もして現地で展開をしていくということになるわけでありますから、何よりも、ただロシアに上げるという話ではなくて、日本企業のビジネスチャンスにつながるという面でもウイン・ウインの側面があるというふうに思っています。

落合委員 これは一方的なロシアへの経済的な援助ではない、経済的なメリットを我が国の企業も得るものだということでございました。

 我が国が得るものというのは経済的なメリットだけなのか、もしくは、ほかのものも期待をしているのか、それについてはいかがなんでしょうか。

世耕国務大臣 私はロシア経済分野協力担当大臣でありまして、私の所管は経済的なものばかりですから、私の範囲で考えているのは経済的なこと、そのほかのことは安倍総理や岸田外務大臣がお考えになることだというふうに思っております。

落合委員 この経済協力はそれなりの金額になると思います。これには、日本企業のメリットがあるものではありますが、一方で、国民の税金も多く使われることとなると思いますので、やはりこれは国民にも透明性があるように、そしてメリットがあるように、決して個別の利権の問題とかにならないように、ぜひ大臣も目を光らせていただければと思います。

 先ほど、最先端の技術においても、サイバーテロへの対策ですとか、それから廃炉技術ということもありました。やはり、私は、大臣も所信で触れられた福島の件もありますが、チェルノブイリというのをもう三十年以上前にロシアは経験しているわけでございます。三十年間の健康被害のデータもそうですけれども、いろいろなデータが蓄積されているはずですので、そういった面でも、我が国の原子力政策、それから福島に関する政策の中でも生かせるように、ぜひ協力をしていただければと思います。

 予定ではここで福島のあれに入る予定だったんですが、ちょっと先に電力の自由化について触れさせていただければと思います。

 電力自由化を貫徹させるための小委員会も開かれましたし、大臣も所信の中で、これをやっていくんだ、成功させるんだということを強くおっしゃられております。

 この四月から小売の自由化が始まりました。この半年で新電力に契約を移した件数が約三%、それから電力会社は変えなくても料金プランを変えて契約をし直した方が同じように約三%いるということです。

 資料の二番目につけたんですが、八月二十四日の日経新聞に、東京電力傘下の送配電事業者である東京電力パワーグリッドからのデータの通知がおくれていたり間違っていたりして、電力小売会社が消費者に料金の請求等ができないような事態が起きてしまっているという報道がなされています。

 私も幾つかの新電力の会社にヒアリングに行ってきましたが、やはりこういった事例というのは実際に起きているということでございます。

 この状況を経産省は把握していますでしょうか。

世耕国務大臣 ことしの四月以降、東京電力パワーグリッド株式会社から小売電力事業者への電気の使用量の通知の遅延が最大で二万件以上生じておりまして、依然として、一部の小売電気事業者が最終需要家に対して電気料金を請求できなくなるなどの深刻な影響が出ているというふうに承知をしております。

 まさにこれは、ここの部分がしっかりしていないと新電力はお客さんからお金がもらえないわけでありますから、こういったところで遅延が生じているということは極めて遺憾だというふうに思っております。

落合委員 遅延ということでございますが、どちらにしても、電事法の改正案の審議の際に、電力自由化を達成させるには送配電会社の位置づけというのが重要だということは言われていました。送配電会社が中立的でないと、公正でないと電力自由化が達成できないということを何度も私も審議で取り上げさせていただきました。送配電会社のそういった中立性、公益性、公平性を担保するために、この電事法改正案によって第三者の監視機関をつくりますというような経産省、経産大臣の回答でございました。

 今回の事態に対して、この監視機関はどのような対応をしてきたんでしょうか。

松尾政府参考人 私ども電力・ガス取引監視等委員会といたしましては、東京電力パワーグリッド株式会社から今回の問題につきまして報告を受けまして以降、一日も早い解消に向けて指導しております。

 まず、五月の二十日及び六月の三日にシステムのふぐあいの詳細と対策等を求めます報告徴収を行いまして、六月十七日には、改善計画の策定、それから計画実現のための体制整備、さらにはその計画の的確な実施と定期的な報告徴収、この三つを内容といたします業務改善勧告を発出いたしました。当該勧告に基づきまして、同社は七月一日に改善計画を策定しております。

 その後も、この勧告に基づきまして、改善計画の実施状況について月二回ほどの報告を求めておりますほか、八月二十六日には、同社の武部社長にも委員会での説明を求めるなどいたしております。

 さらに、七月以降、当委員会事務局の職員が同社を、つまりPG社でございますけれども、計九回訪れるなど、状況を随時把握し、必要に応じて追加的な対策を求めるなど、問題の解決に向けまして全力で取り組むよう指導を行ってまいりました。

 引き続き、事態の正常化に向けてしっかりと指導してまいりたいと存じます。

落合委員 勧告を出して報告書を出してもらっていますということで、私の事務所にも、これ、百三十八ページも資料をいただきました。やりとりをされているということはしっかり私も確認させていただいたんですが、東京電力が契約件数が一番大きいですので、重要な問題であると思います。

 大臣、この件に関してどう行動されたか、そしてどう思いますか。

世耕国務大臣 これは、事態自体は私が大臣に就任する前に起こっていましたが、私は、大臣に就任した直後にこの事態について報告を受けているところであります。本当に遺憾だと思います。公正競争が全く成り立たないということになってしまうわけでありますから、本当に遺憾だと思います。

 今回の問題に対しては、今答弁がありましたように、電力・ガス取引監視等委員会から業務改善勧告が行われて、そして一日も早い解消に向けて指導をしてきたところであります。

 九月中旬以降、少し状況は改善をしてきています。使用量を確定できなくて小売事業者との協議に移行したケースなどを除きまして、新しく検針をした分はほぼ七営業日以内の通知を実現しております。過去の通知遅延分も未通知をほぼ解消しているということであります。ただ、もともと四営業日以内の通知というのがルールでありますから、引き続き、着実に改善するよう指導をしていきたい。

 まだまだ正常化に向けては道半ばであります。システムの安定とかそういったこともしっかりやっていかなければいけないと思いますので、正常化に向けてきちっと指導をしてまいりたいと思います。

落合委員 九月中旬に改善は見られる、ただ、まだ道は半ばであるということでございます。

 大手でないような小売の新電力の会社にとっては、資金繰りが、要は収入が遅くなるわけですから、かなり重要な問題であると思います。これは、競争市場、自由市場の中で新規参入を阻害しかねないような問題だと思います。

 私は、去年の電事法の審議のときにも質問で取り上げているんですが、勧告を出したり報告を求めたりするというのはこの電事法の中に規定が入っているんですけれども、罰則規定というのが設けられていないわけでございます。もしも小売の会社が何かやらかしてしまって、勧告を受けました、報告を求めます、それがニュースになりましたとなると、ライバル会社の方にお客さんが行ってしまうかもしれないので、それなりの抑止がきくと思います。しかし、送電会社は選択肢が一つしかないわけで、送電会社に対して、罰則規定がなくて、勧告、報告だけでいいのかなというのは去年も取り上げさせていただいているんです。

 率直に考えて、大臣、どうですか、送電会社だけはもうちょっと厳しくした方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 今おっしゃるように、本当に競争上の大きな問題だと思います。ですからこそ、まずは東京電力自身に事態をしっかりと収拾してもらわなければいけませんから、私は、まずそのことを最優先に取り組みたいというふうに思っています。

 また、今委員御指摘の点ですけれども、私は情報通信の世界からこの政治の世界へ入ってきたわけですが、やはり市場の競争のルールとか環境というのは、電力はまだ何周か通信に比べたらおくれているというふうに思います。ですから、通信の分野でのいろいろな、通信はもう二十数年前から自由化をしておりますので、自由化の歴史、公正競争上いろいろな問題も起こって、その都度解決をしてきた歴史がありますので、そういったことも参考にしながら、電力の自由化はこれで終わりではなくて、今後も、きちっとしたフェアな競争が行われる環境を整えるための研究、検討はしっかりと続けていくべきだというふうに思っています。

落合委員 大臣は電力自由化等についてはかなり理解が深い大臣だと思いますので、ぜひ、そういった、もしかしたらこれはルールの不備かもしれないという部分は改善を検討していただければと思います。

 それでは、廃炉費用の問題に入らせていただきます。

 これは改めて詳しく取り上げさせてもらえればと思うんですが、まず、冒頭の部分だけ入らせていただきます。

 最近、託送料金に廃炉費用を上乗せしようという検討がいろいろなところで報道等されております。きのうの日経新聞では、福島第一原発以外の原発の廃炉費用は新電力には負担をさせない方針だというふうに書かれていました。ただ、既に廃炉を決めた原発に限っては新電力にも負担を求める方針であると。これはまだ報道ベースですけれども、今話し合いがなされている状況であると思います。

 この託送料金というのは送電事業者に小売事業者が払う料金でありまして、これはもともと電力自由化のときに、原発は安いと言ってきたわけですから、託送料金にわざわざ乗せるのではなくて、原発の発電事業者に負担をさせて、もしその原発の発電事業者の財務状況に問題があるようであればまた個別の対策を考えればいいのではないかなと思います。

 これから電力自由化を進めていくためには、電気料金の透明性、特に託送料金のように送電事業者に全小売事業者が払っていくような、そういった料金は透明性を高めていくべきだと思うんですが、この点に関して大臣の所見を伺えればと思います。

世耕国務大臣 まず、事実関係について申し上げておきたいと思いますが、電力事業で全面自由化が始まって規制料金がなくなりました。そういう中で、安全、防災対策、あるいは廃炉への備え、CO2の削減、再エネ拡大など、さまざまな課題への対応が必要となっている。こうした課題への対応について、今、外部の有識者の意見をいただきながら徹底的に検討しています。

 その中で、廃炉に関する会計制度の一部については、制度維持の観点などから、送配電部門の料金、託送料金の仕組みを利用した費用回収の枠組みも検討することになっているということでありまして、今の段階では何か方向性が決まったわけではありませんが、国民が納得できるような解決策、国民の納得というのが非常に重要だというふうに思っております。

 また、電気料金の透明化ということについては、小売事業者が他事業者の協力なしでは把握できない可能性のある情報については、制度として情報提供を求めるのではなく、国として消費者に対する情報提供を充実させるべきという審議会での方向性もありますので、こういうことも踏まえながら、また今もホームページ等でもいろいろな情報提供をやっております、電気料金の透明化には一生懸命努力をしていきたいと思います。

落合委員 具体的にはまた改めて取り上げさせていただければと思います。

 本日はありがとうございました。

浮島委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 大臣、よろしくお願いします。また、役所の皆さんもお久しぶりでございます。私、四年間ちょっと冬の時代が続いてまいりまして、やっと戻ってまいったんですが、その冬の時代の中でぬくもりを与えていただいた方々がいて、その中に中小企業の方もたくさんおられまして、そういった人たちの声を踏まえて、きょうは質問をしていきたいというふうに思っております。

 中小企業関係が中心なんですが、ちょっと最初に、冒頭、国交省の方にお願いしたいんですが、地元で今、LRTの導入を考えている方たちがいる。路面電車ですね。これは、昔からそういう構想はあったんですが、特に最近、世界人気観光都市で京都が二年連続一位だったのが、六位に転落しちゃったんですよ。都人たちが非常にこれに心を痛めている。その理由を分析すると、やはり交通渋滞というのがかなり原因になっているということで、難しい言葉で言えば、供給制約がある、需要はあるんだけれども供給制約がある。今の日本の経済に類似したような状況なんです。

 だから、そういった意味で、路面電車だったら、もちろんこれは地元の了解とか交通規制とかいろいろな問題はありますけれども、こういったことをしたいという動きがありまして、これについて地方創生加速化交付金を使えるかどうかとちょっと確認したら、難しいという話。なぜかというと、ほかに似たような補助金がある場合には創生加速化交付金は使えないということですので、国交省にお尋ねしたいのは、仮にこういったことが地元でまとまれば、LRTの導入で、なかなか自前の財政では厳しいので、国からの支援というのはあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 本格的な少子高齢化社会を迎え、持続可能な都市、地域の形成を図るに当たりまして、近年、乗りおりが容易で環境にも優しい公共交通機関として、LRT、いわゆる路面電車でございますけれども、その整備を検討する動きが見られるようになってまいりました。

 国土交通省といたしましては、LRTの整備に対しまして、社会資本整備総合交付金による、走行路面や停留所などの各種の施設整備に対しての支援、さらに、地方公共団体あるいは事業者さんへの技術的な助言などによりまして、総合的な支援を行っているところであります。

北神委員 ありがとうございます。

 またお願いに上がるときがあるかもしれませんけれども、その際にはよろしくお願いしたいというふうに思います。もう国交省さんは結構ですので、よろしくお願いします。

 さて、中小企業の方なんですけれども、私の問題意識は、アベノミクスの大きな話はきょうは議論しませんが、中小企業というのは多種多様で、なかなかこれは、景気をよくするとかいっても、政策の力だけでは非常に難しいところがあるというのはよくよくわかっています。

 ですから、問題は、やはり一つは、できるだけ政策によって足を引っ張らないこと、もう一つは、できるだけ、これは格差の問題にもつながるかもしれませんが、やはりある程度の再分配で中小企業を支えていかないといけないというふうに思っています。これが問題意識としてございます。

 資料をお配りしておりますが、資料の一、そして裏の資料の二というのがございますけれども、これを見ていただくと、多分、政府そして日本銀行の判断は、中小企業もなかなか景気がよくなっているということだというふうに思います。

 日銀の方を見ていただきますと、これは(二)、(三)の方に中小企業のグラフがございますけれども、製造業の方はそんなにいいという感じはないですね。ゼロよりも業況判断が下がっておりますし、リーマン・ショック前に比べるとまだまだ厳しい状況だということもわかります。意外と非製造業の方がまだまだリーマン・ショック以前に比べると健闘している。

 二枚目を見ていただきますと、これは中小企業白書の方ですが、経常利益が過去最高の水準だということが書いてあります。これは皆さんも非常に素直に分析されているんですけれども、確かに経常利益は非常に上がっている、過去最高水準だ、ひょっとするとこれは本格的な景気回復なのかと思わせるような数字ですが、下半分の分析を見ていただくと、これは大企業と中小企業、左の方の棒グラフで要因分析がございますが、経常利益がどうやってふえているのかという要因分析です。

 中小企業の方を見ていただくと、実は売上高要因はマイナス〇・九兆円、経常利益はプラス二・五兆円ということです。二〇〇九年から二〇一五年を比較した場合の増加額なんですが、経常利益が二・五兆円ふえたといっても、肝心な売上高要因はマイナス〇・九兆円。

 何でプラスになっているかというと、一つは人件費要因がプラス一・六兆円。これは恐らく合理化ですね。多分、正規雇用から非正規雇用に比重を移した、それで人件費が安くなった。これも決して、必ずしもいいことではないというふうに思います。

 二つ目が変動費要因ということで、これがプラス一・七兆円。この原因は、原材料、あるいはエネルギー価格、原油とか天然ガスとかそういうエネルギーの価格が低下したということが挙げられているわけです。必ずしもこれは政策の結果よくなったとかいうことではなくて、こういった要因で経常利益が最高水準になっているということでございます。

 これで本当に景気が中小企業にとってよくなっているのかというと、私は非常に難しいなというふうに思いますが、その辺の政府のお考えをお聞きしたいと思います。

木村政府参考人 議員の御指摘いただきましたとおり、中小企業の経常利益でございますけれども、白書の分析、御紹介いただきました二〇〇九年から二〇一五年にかけて、変動費それから人件費の減少を主たる要因として増加をしております。

 この背景は、原油、原材料価格の低下でございますとか、中小企業における人手不足がやはり一番顕著でございます。退職者が出た場合にそれをなかなか補うことができないということで、特に非正規化が顕著に進んでいるということは必ずしも把握はしていないんですけれども、そういったことが背景にあると考えてございます。

 また、同じ期間の中小企業全体の売り上げは、確かに大企業に比べて伸び悩んでおります。

 他方、例えば、資金繰りのDIとかを見ますと二十六年ぶりの高水準にある、あるいは倒産件数でございますと二十五年ぶりの低水準であるというようなこともございます。あるいは、生産設備の過不足DIというものもとっておりますけれども、こういうものを見ましても、やはり不足感が強まっているということで、かなり前向きにお考えになられている向きがあるのかなというふうに思っております。

 したがいまして、中小企業の業況判断は改善基調にあるということでございますので、全体として、やはり取り巻く状況は改善傾向にあるのではないかというふうに思っております。ただ、こういう傾向を今より定着させていく必要はあろうかな、最終的には稼ぐ力に一層結びつけていく必要があるというふうには考えてございます。

北神委員 ありがとうございます。

 売上高が下がっていることはお認めになりますけれども、資金繰りとか倒産とか、設備投資の不足感があるというところで改善の兆しが見られるという話ですが、資金繰りは当然マイナス金利もやっていますし、倒産もすごく変動する数字ですし、設備不足というのも設備の老朽化みたいな話も一方であると思いますので、ここは私はやはり慎重に見て、必ずしも悲観する必要はないと思いますけれども、そんなに景気がいいとまで言える状況ではないということをぜひ大臣も含めて認識をいただきたいというふうに思います。

 次に、原材料、エネルギー価格の低下というのが今回の経常利益の増加に非常に寄与しているんですけれども、これは別に必ずしも悪くない。中小企業に限らず、過去の経済の推移を見ても、大体、原油安になるときには経済はよくなるというのは当然のことであります。ですから、それは別に悪いことではないんだけれども、いつ変動するかわからない。国際機関の見通しによると、これから原油の値段も少しずつじわじわと上がってくる状況ですので、必ずしもここも楽観できないということでございます。

 私が問題意識としてあるのは、アベノミクスの円安政策という部分です。一ドル百二十円までいった。これは当然、輸出企業にとっては、思ったほどの効果は出なかったけれども、ある程度いい環境になったということです。

 一方で、光があれば闇もあるということで、中小企業というのはやはり原材料に非常に依存して、これも海外の輸入だ。円安というのはそれの値段が上がるということですので、多少売り上げがふえても、費用がふえる分、利益がなかなかひねり出しにくいという状況ですので、この円安政策は、皆さんは多分手放しでいいものだというふうに思われるかもしれませんけれども、中小企業からしてみると非常に厳しい。

 その辺の分析あるいは評価について、見解を伺いたいと思います。

木村政府参考人 為替の影響は個別企業によりもとより異なるところでございますけれども、現在よりも円安の水準でございました二〇一五年に、中小企業約二万社を対象として、中小企業景況調査を実施しておりますけれども、輸出は円安により増加、あるいは海外向け製品の受注増につながっているというプラスの声も聞こえてはきてございます。

 中小企業の景況全体につきましては、円高基調でございました二〇一二年の十―十二月期とそれから円安基調だった二〇一五年の十月―十二月期の業況判断を比較いたしますと、やはりDIで九・四ポイント改善はしております。

 いずれにいたしましても、為替レートだけを切り取った分析というのはなかなかございませんけれども、中小企業の業況はさまざまな要因が非常に複雑に絡まり合って判断されるものだというふうに思いますので、為替相場の円安方向への動きが直ちに中小企業にとって負担増となって、マイナスの影響を与えているとまでは一概には言えないというふうには考えてございます。

北神委員 当然、企業の業種によってもいろいろ変わると思います。ただ、私は、率直に、地元の中小企業の人の話を聞くと、結構そういう声が多いということだけお伝えしたいと思います。

 先ほど、業況判断で、二〇一二年の円高のときと比較をされましたけれども、これはリーマン・ショック直後の部分の影響もあったわけですので、それこそ、簡単に、円高、円安だけのせいで業況判断が変わったとは言えないということだけ指摘すべきだというふうに思っております。

 だから、私が怖いのは、円安、一ドル百二十円をやって、モルヒネを打ったら、それは輸出関係の人たちは喜ぶかもしれませんけれども、永遠に政府、日銀の力でずっとその為替水準を維持できるんだったらいいですよ、でも、そうではないということはもう皆さんおわかりのとおり、国の使えるお金、資金というのはもう限られています、外国のファンドに比べると。ですから、そうしちゃうと、今一ドル百円ぐらいになって、一昔前だったら一ドル百円といえばまあまあ普通の常識的な水準だったのが、これもしんどい、モルヒネを打った後の禁断症状が出てくるということはやはり非常によくない傾向だというふうに思いますので、そこをぜひ安定した、ある程度常識的な水準で推移させるというのが正しい為替政策だと思います。

 次に、先ほどお話があったとおり、中小企業の慢性的な人手不足の問題はそのとおりだというふうに思います。

 これは資料にもありますけれども、三ページ目、生産年齢人口、十五歳から六十四歳、これが、一九九四年、九五年、九七年は大体八千六百九十七万人ぐらいで頂点だったんですが、そこからずっと下り坂で来ている。

 次のページをごらんいただくと、これは将来の推計も含まれているんですが、大体、一九九五年、この緑のところが労働力人口、十五歳から六十四歳の現役世代の人口ですが、八千七百十六万人いた。今、二〇一五年の数字で見ると、これが七千五百九十二万人に減っている。一千二百万人ぐらい減っている。さらに、これは究極の二〇六〇年、まだ先と言っても、あと四十五年、五十年ぐらい先を見ると、四千四百十八万人と、これは激減していくわけですね。

 半分ぐらいに減ってしまうという状況の中で、必ずしも経済成長というのは労働力人口だけじゃない、技術革新、生産性が大事だというのはよくわかるんです。しかし、それは大きなマクロの話であって、地域地域の中小企業にとってみて、京都で、例えば人口が半分減る、労働力人口が半分減るということは非常に厳しい状況で、工場も外国に行かざるを得ない、中小企業は、行けない、外国に展開できないところは非常にそこで苦しまないといけないという状況ですので、人手不足というのは非常に構造的な問題として、為替よりも、こういうことこそ政府が取り組むべきだと思いますが、その辺の対策についてお伺いしたいと思います。

木村政府参考人 中小企業は、確かに、御指摘のとおり、人手不足が非常に深刻化をしてございます。

 経済産業省といたしましては、これまでも、中小企業と例えば若者、それから女性、高齢者といったさまざまな人材とのマッチングの支援でございますとか、あるいは人材確保のためのセミナーでございますとか、そういったもので中小企業の人材確保を支援することをやってまいりました。

 また、厚生労働省を初めといたしまして、他省庁のさまざまな人材確保支援策がございます。そういったもののハンドブックをまとめまして、これを四万部ほど全国に配布いたしまして、中小企業の人手の確保にお役立てをいただいているということはございます。

 他方、今後、こうした地道な取り組みに加えまして、やはり中小企業・小規模事業者の働き方改革を進めるということで、例えば非正規の社員の方の底上げでございますとか、あるいは女性、高齢者の皆様の活躍、そういうことを通じまして、職場の魅力をやはり高めていく必要もあろうかなと。それによって、さらなる人材確保でございますとかあるいは生産性の向上につなげていく、そういう視点が重要であるというふうに思っております。

 私どもでも、研究会を開催して、今後、好事例をさまざま収集、分析をいたしまして、今年度中を目途に周知をしていきたいということで、経営者の皆様方に気づきの機会を提供するとともに、必要な施策を私どもとしても考えていきたいというふうに思ってございます。

北神委員 マッチングをするということが多分今の主眼だったと思うんですけれども、これは、皆さん、前から頑張っておられるというのはよくわかっています。ただ、マッチングの人材が、絶対数がこんなに減ってくるとこれも限界があるということで、これは中小企業庁とか経済産業省の所管を外れる話でありますが、国務大臣として大臣も、経済産業だけじゃなくて内閣の一員として、一億総活躍とかいろいろやっておられますけれども、少子化対策ですから相当な予算とかかかる話でありますけれども、では、選択肢は、外国人労働者を入れるのか、それとも、そのまま減っていって、AIとかロボットという話もさっき出ましたけれども、そういう生産性だけで本当に勝負していっていいのか。

 それは、経済成長の数字だけを見たらそれでいいのかもしれないけれども、全体の国力という観点からいえば、これは最もゆゆしき問題で、自衛隊に入る人たちもおのずと減っていくわけですし、非常に国力が弱まってくるということを、ぜひ大臣、これも大臣の話として頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、私は京都ですから関西電力の地域なんですが、これは京都というか近畿全体の特殊な状況かもしれませんが、原発が動いていないという状況の中で、電気料金が、一般消費者は二割ぐらい上がっている、企業は三割も上がっている。これもやはり非常に厳しい。

 景気がいいとか言われますけれども、私も、三社ぐらい、割と大きい工場があるような企業でも海外に転出をしておりますので、いろいろな対策を打っていると思いますけれども、やはり安全なものは早急に再稼働していって、これは裁判の問題とか、いろいろと皆さんは皆さんで努力されていると思いますけれども、安全確保の上で、万全の対策をした上で、やはり電力というのは低廉で安定供給というのが大原則ですから、ここは強力に皆さんに推進していただかなければ。

 その間は、できるだけ、これはある意味では増税ですから、人頭税みたいなものですから、そういうところにやはり配慮して、さっき冒頭申し上げた、中小企業に再分配的な部分も含めて支援をしていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 議員御指摘のとおり、震災以降、家庭向けの電気料金は約二割、それから産業向けの電気料金は約三割上昇しております。特に関西電力エリアでは、原発停止などの影響もありまして、産業向けは約四割上昇しております。御指摘のとおり、このような電気料金の上昇は、中小企業を初めとする企業収益の圧迫要因になっているものと考えられると思います。

 かかる認識に立ちまして、電気料金上昇による影響を緩和するための補助制度として、例えば、いわゆる省エネ補助金などといった措置を講じておるところでございます。その際、申請手続の簡素化それから採択審査時の加点措置などを講じることによりまして中小企業への配慮を行っておりまして、その結果、採択件数に占める中小企業の比率は約七割に上っているという状況でございます。

 また、本年四月に電力の小売全面自由化が実施されたところでございますけれども、さらなる競争活性化に向けまして、ベースロード電源市場の創設などを目指しまして、審議会で、電力システム改革貫徹のための政策小委員会、こういうものを立ち上げて検討を進めているところでございます。これらの競争活性化措置によりまして、競争が促進されて電気料金が抑制される、こういうことにつなげていきたいというふうに思っております。

 さらに、議員御指摘のように、今後安全性が確認された原発が再稼働していきましたならば、電気料金の抑制という観点からも資するものと考えてございます。

 今後とも低廉かつ安定的な電力供給に向けた対策に万全を期してまいりたい、このように考えております。

北神委員 ぜひよろしくお願いします。

 電気料金が四割上がるというのはこれは本当に厳しい話で、なかなか一般家計にはこういう話が通じないのは、一般家計の電気料金というのは安いから、企業に比べれば。ですから、そこで二割上がったとか言われても、そのぐらいは我慢するという話ですけれども、特に中小企業にとってはこれは死活問題ですので、ぜひ、その点の支援もよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、ちょっと電力関係で、この前の停電の話です。

 これは、一つ、先ほども話が出た託送料金の話がありました。これは規制料金です。皆さんにしてみたら、規制料金というのは、どちらかというと業界が過剰設備投資をしたがるので、抑えよう抑えようという努力はわかるんですが、今回の事件がそうであるかわかりませんけれども、業界の一部から、この託送料金がちょっと安過ぎると。そうなっちゃうと、修繕も、設備の整備もなかなかやりにくいという声もあるんですが、その辺のお考えはどうでしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 電気事業者に対して効率化を求める一方で、安全確保や電力の安定供給のために必要となる投資はしっかり確保されるべき、この点についてはおっしゃるとおりだというふうに認識してございます。

 かかる考え方に立ちまして、託送料金を査定する際には、人口減少の中で、どうしても大きなトレンドの中で電気事業者の投資が減少傾向にはありますけれども、個社ごとに過去の修繕実績等を勘案しまして適切な基準を設定するなど、そういった手法で丁寧な審査を行っておりますとともに、効率化努力とあわせて、今後想定される安全投資などの増加については、これを個別に考慮した上で査定するということを行っておりまして、政策的に安全投資を必要以上に抑制するということは行っていないというふうに認識しております。

 今回の東京電力の停電事故につきましては、早期の原因究明を行いまして、再発防止を徹底すべく、全電力会社に対して大臣から緊急点検などの具体的指示を行っていただいておりますけれども、省内にタスクフォースを立ち上げまして、今検証を進めているところでございます。ここでの検証を踏まえまして適切に対応を進めたい、このように考えております。

北神委員 政策的に安全費を抑える、そんなことは思っていませんけれども、そこは今後、電力自由化の流れで、どうしてもみんな電気料金を下げるというところに注目をして、それはそれで結構なんですけれども、やはりよしあしがありますね。規制料金にはいい面と悪い面とあるし、自由化して何でも万歳なわけではなくて、規制料金の場合は過剰投資の傾向が強くなりがちだ。自由化になっちゃうとやはり過少投資になりやすいということで、外国の例でも自由化した後に停電になりやすいとか。

 だから、そういった意味で、ぜひ、この自由化の中で、これは発電の方だと思いますけれども、修繕、改修の方もちゃんと踏まえて、そこはしっかり注視していただきたいと思います。どうでしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 送配電投資につきましては、電力システム改革の中でも規制部門として残しておりまして、ここについては総括原価主義が残ってございます。一方、今御指摘のあったとおり、発電部門につきましては、自由化の中で競争部門ということで整理をされたところでございます。

 自由化の中でも、国民の生活に不可欠なライフラインとなる電力の安定供給を確保することはおっしゃるとおり大事だというふうに認識しておりまして、かかる観点から、電力システム改革に際しましては、小売事業者に供給力の確保義務を課す、こういうことにしておりまして、これにより発電投資が促される、このような仕組みとしているところでございます。

 また、昨年四月には、全ての電気事業者の需要それから供給の計画を把握して、我が国全体の中長期的な電力需給を見通す役割を担う電力広域的運営推進機関を設立しているところでございます。このいわゆる広域機関は、需給状況が悪化した場合には、電気事業者に対して電源のたき増しですとか地域を越えた電力融通の指示ができる、このようになってございますし、また、必要となる電源投資を促すべく電源建設者を募集する、こういうことによって長期的な安定供給も確保できる、こういう機能も持っているところでございます。

 さらに、今後、再生可能エネルギーが大量導入されることに伴いまして火力発電の稼働率が下がりまして、この結果、中長期的な発電投資が確保できないということが生じないようにするということが大事だと考えてございます。このため、発電能力の容量に応じて投資回収が確保される仕組みである容量メカニズムの導入などにつきまして、自由化の中でも安定供給が確保されるためのさまざまな仕組みのあり方について、先月新たに設置された電力システム改革貫徹のための政策小委員会において検討を開始しているところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、自由化のもとでもしっかりとした十分な発電供給力を確保して安定供給が保たれるよう、しっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

北神委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 中小企業の方に戻りまして、もう一つ地元の声をお伝えしたいんですけれども、ものづくり補助金、これは評判がいいんですよ。非常に使い勝手がいいという話なんですが、ただ、申請書、手続が煩雑だと。これは、皆さんも努力されているのはよくわかっているし、彼らも認識しているんですよ、大分ましになったと。

 しかし、これは、資料に私は設けていますが、ものづくり補助金ということで、資料五になりますね。皆さんにしてみたらこのぐらい書いてほしいという思いがあるし、私もまあそうかなというふうに思いますけれども、具体的に言えば、資料五の右上の方に、五番目ですけれども、「革新的な試作品開発・生産プロセスの改善の具体的な取組内容」、こういう文章を書くとか、こういうのも彼らにしてみたら、なかなかどう書いたらいいのかわからぬとか、「その二」の「将来の展望」とか、あるいはその下の「事業計画」、売上高とかこういうのも、皆さんにしてみたら当然こういう情報も必要なんでしょうけれども、なかなかこういうのでも難しいということ。だから、さらに改善してほしいという要望です。これが一つ。

 もう一つは、ものづくり補助金だけなのかな、これは前に六ページぐらいあるのを半分に減らしたという努力は非常に評価するんですが、これは中小企業庁、経産省の全てのこういう関係が簡略化することはすごく大事だ。もっと言えば、政府全体が簡略化することは大事だ。

 せっかくいい制度があるのになかなか使えないというのでは問題がありますので、ぜひそのところをお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。

木村政府参考人 まず、ものづくり補助金でございますけれども、御指摘のとおり、申請する中小企業の方の利便性をしっかり高めていくという努力は、引き続き、私どもとしても取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 おっしゃっていただいたように、これは相当簡素化はしてきております。また、どういうことを書けばよいかというようなことにつきましても、例えば公募要領に明記するとか、そういった利便性を高める工夫はしておりますし、また、支援機関と連携をとっていただいて、そちらの御指導、助言をいただいていただくというようなこともしております。

 他方、みずからお取り組みになります新たなビジネスを考えていただくということが一番基本でございますので、一定程度、文章なりでそれを開示していただくということはやはり必要かなというふうに思っておりますけれども、ただ、やはり中身であくまでも審査をしてくださいということで、例えば文章の巧拙ですとか、そういったものに過度に偏らないような審査を私どもとしてもお願いしておりますし、引き続き、そういうものを追求していきたいというふうに思ってございます。

北神委員 ぜひお願いしたいと思います。

 昔の言葉で、一利興すは一害除くにしかず、一つの新しいことをやるよりは悪いものを取り除いた方がいいという話でありますけれども、やはりこういう努力は物すごく大事だというふうに思いますので、ぜひお願いしたいと思いますし、大臣も、ほかの分野でも全てのそういう手続を、そういう声が出ているし、認定支援機関の話でも、知らない人たちが結構やはり多いんですよね。ですから、その周知徹底も含めて、さらなる努力をお願いしたいというふうに思います。

 次に、もう時間がなくなってきていますので、ちょっと最後は大臣にお聞きしたいんです。

 今ざっといろいろな話をさせてもらって、中小企業はまだまだ厳しい段階にある、大企業の方はかなり、一つ違う水準に上がってきているというふうに思いますけれども、そういった中で、これはアベノミクスの矛盾だと思うんですけれども、物価を上げようとしている一方で消費もふやさないといけない。だから、しゃかりきになって賃金を上げろ、賃金を上げろと言うんですけれども、これは社会主義国家じゃないし、安倍総理のおじいちゃんは昔は商工官僚で統制経済がお好きだというふうに思いますけれども、隔世遺伝かもしれないけれども、総理大臣が賃金を上げろと言ったって、個別の企業は個別の実態があるし、基本給を上げるということはずっと永遠にその企業のコストにつながるわけですから、では、状況が変わって人件費で企業が厳しくなったときに、政府あるいは総理大臣は責任をとれるのかというと、とれないわけですよ。

 ですから、促すことはいいけれども、指示をしたり、最後の資料にありますけれども、黄色で塗っておりますけれども、平成二十八年六月二日の閣議決定ですが、「最低賃金については、年率三%程度を目途として、名目GDPの成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が千円となることを目指す。」と。これは上を見ると、「個人消費の喚起」というふうにあるわけですが、そもそも最低賃金というのは、一義的には消費をふやすための制度ではないわけですよ。これは、経営者が従業員にちゃんとある程度人間的な労働環境、生活を保障するための制度であって、これをしゃかりきに消費をふやすために上げるというその発想が私はそもそもおかしいと思う。

 これで大企業はいいかもしれないけれども、さっき申し上げたような、特に近畿の電気料金が四割も上がったり、そういう状況の中で、厳しい中小企業にとって、京都の場合は、数字でいえば、最低賃金の金額がたしか二十四円上がったんですよ。二十四円上がったんですけれども、それでもかなり厳しい。彼らの率直な声は、景気をある程度もう少し安定的によくしてから、別に賃金を上げるのはやぶさかじゃない、それはしたいと。働いている人たちだって賃金が上がることはいいことだと言うけれども、やはり経営がちゃんと安定的な中で上がるのが当然の話なので、そこをぜひ中小企業の実態を踏まえて考え直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 今委員おっしゃるように、我が国は自由主義経済でありますから、賃上げというのもわざわざ政府が働きかけなくても自然と行われていく、そのために業績もよくなってという形で行われるのが一番いい姿であることは間違いないと思います。

 ただ、やはり長年続いたデフレマインドがありまして、これは大企業ということになりますが、内部留保はずっとふえていっている、キャッシュはふえていっているのになかなか従業員の給料がふえないという実態があるのも事実でありますので、やはり我々としては、地道に賃上げの働きかけも進めていきたいと思いますし、そして、それをお願いする以上は、やはり賃上げしやすい環境をしっかり実現していく、これもあわせてやっていくことが非常に重要だというふうに思っております。

北神委員 デフレマインドの話が出ましたけれども、これはまた大きな経済政策の話になりますから、きょうはやめます。また後日議論したいと思います。

 デフレを脱却するのは大事なことだと思います。しかし、それをしようとする余り、いろいろな副作用が出てくるわけですよね。本当にそれが実現できるんだったらいいけれども、私は、コアコアの消費者物価指数などとかを見ると、それなりに上がっているとは思いますよ。しかし、二%といったって、原材料とか原油のこんな値段なんか、安倍総理はコントロールしたいと思っておられるかもしれませんけれども、できないわけですから、こういった状況の中で、ここはどういう方策がいいかというのをまた議論していきたいと思います。

 きょうは、ひとまず、地元の中小企業はなかなか厳しい状況にあるということをもう一回認識していただきたいし、賃上げ賃上げと言うけれども、これはまず、やはり経営者が一番現場をわかっているし責任があるわけですから、そこはある程度配慮しながら見ていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 きょうは、熊本地震で被災した中小・小規模事業者のなりわいの再建への支援について質問をいたします。

 本日は、世耕大臣とともに、被災地の商工業者の皆さんの復興の願いを背負っておられます松村副大臣にもおいでいただいております。

 熊本地震の発災から半年、今、被災地の皆さんは、国や自治体の支援制度なども活用して、生活となりわいの再建のために懸命に頑張っておられますけれども、本当にこれからが正念場というときになっていると思います。

 きょうは、現場の事業者の皆さんの状況を共有して、今後なすべきことを率直に私も提案させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 その前に、TPPの国会審議にかかわることで一言述べさせていただきます。

 十六日の新潟県知事選では、原発再稼働とともに、TPPにノーの民意が下されました。総理は、さきの参議院選挙で、東北五県でTPPが争点となり、与党候補が敗れたことを指摘されまして、同じ農業県の熊本や宮崎で勝ったと言われました。

 しかし、私はこの間、熊本県内、被災地を訪ねる中で、いろいろなJAの幹部の方にお会いしましたが、こうおっしゃっていました。何としても立ち上がって後継者に手渡していきたい。しかし、三十年、四十年先の展望が持てなければ、若い人は継がない。その夢と希望を奪うのがTPPだとおっしゃいました。

 そういう中で、農水大臣が議運委員長に対して強行採決を期待するような許しがたい発言をいたしました。我が党は、大臣の辞職を求めております。あわせて、総理の任命責任も厳しく問われていると思います。

 加えて重大なのは、TPP特での採決の日程ありきでのやり方、進め方、動きがあることです。国会審議を単なるセレモニー化する、これはもう議会制民主主義の自殺行為だと言わなければなりません。断じて容認できません。徹底審議を求めたいと思います。

 そこで、熊本地震からのなりわいの再建への支援の問題に入ります。

 きょうお配りしております資料の一枚目の写真、右上、これは益城町の文具店、三愛というところの潰れた写真なんですが、ここを経営しておられる尾塚三夫さんはこうおっしゃっていました。一度目の震度七の後、隣近所、裏の年寄りに声をかけて回った。応答がないので、戸を蹴破って助け出した。灯油缶が倒れ、商品が散乱し、地盤のコンクリートも割れ、非常に危なかった。妻が家の中で寝るのは怖いと言うので、車の中で寝た。二度目の震度七の本震は、車が跳び上がるくらいで、煙が上がった。隣の家が倒れて、うちにもたれかかっていた。

 この尾塚さんは役場や学校にも文具を卸しておられる方です。私は非常に感動しました。役場が被災して、文具がなくて大変だろうと、この潰れたお店の中に入って、在庫を運び出して無償で届けたというんですよ、地震の直後に。その後も、この方は、みずからのお店、自宅が全壊しながらも、御近所の事業者の皆さんを訪ねて歩いて、相談に乗って励まし続けているんですね。

 私は、こうした本当に地域に根差して、地域のために貢献することを第一に頑張っておられる小規模事業者の皆さんのなりわいが再建されてこそ、地域の復興ができるんだと思うんですけれども、この点について、まず世耕大臣と松村副大臣、同じ思いかどうか、お聞きしたいと思います。

世耕国務大臣 全く同じ思いでございます。

 委員の御指摘のとおり、我が国の企業の約九割を占める小規模事業者は、地域の特色を生かした事業活動を行い、また就業の機会を提供していただくなど、地元の需要に応えて、雇用を担うなど、地域経済の安定と地域住民の生活の向上、交流の促進に寄与する極めて大きな役割を担っていると認識をしています。

 小規模事業者の担う役割の大きさは、平成二十八年熊本地震の被災地においても変わりはなく、小規模事業者のなりわいの再建なくして地域の復興はないというふうに思っています。私も、就任直後、現地を訪問して、中小企業の状況をつぶさに見てきたところであります。

 そして、平成二十八年度熊本地震復旧等予備費において、小規模事業者持続化補助金を措置いたしました。小規模事業者の経営計画に基づく販路開拓等の取り組みを支援しているところであります。

 こうした施策により、被災地域の小規模事業者のなりわいの再建に全力を尽くしてまいりたいと思います。

松村副大臣 お答えいたします。

 大臣からも御発言がございましたけれども、小規模事業者は、やはり地域経済を支える重要な存在であると強く認識をいたしております。現実、私も小規模事業者の代表でもありましたし、国政でもそういう立場でやらせていただいておりました。

 特に、今回、熊本の小規模事業者の皆さん方、やはり地域経済を支えるお一人お一人でございまして、後継者の方々は、消防団であったり、まちづくりであったり、先生が今おっしゃったような、こういう震災のときに地域の方々のコミュニティーの中核となって御活躍をいただいております。

 そういう意味では、小規模事業者の再生なくして地域経済の再生なし、復興なし、このように思っております。

真島委員 熊本県が九月二十八日に、熊本地震による県内の被害額が三兆七千八百五十億円に上ると試算を発表しました。その内訳は、家屋や宅地の被害が最も多くて二兆三百七十七億円、次いで、商工関係が八千二百億円、公共土木施設が二千六百八十五億円、農林水産業が千四百八十七億円などとなっています。県は、これらの金額は市町村や企業などへの聞き取りから試算したもので、被害状況を調査中のものがあるので、総額はまだ膨らんでいく可能性があると言っています。

 二枚目の資料二に、熊本県が出しました、これは五月二十七日の推計なんですね。ところが、商工関係、半年たって今出ているんですが、五月二十七日の推計額と一円も変わっていないんですね。これはなぜでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 熊本県では、発災後に、商工関係の被害概要を把握するため、速やかに企業への聞き取り調査等を実施いたしまして、これに基づきまして、五月二十七日に、製造業、商業・サービス業、観光業の被害額の推計を公表したところでございます。

 一方で、このうち、熊本県全体の被害推定額については公表していなかったことから、九月二十八日に、既に公表済みの商工関係の被害推計額も含めまして、県全体の被害推計額を公表したものであります。このため、商工関係の被害額の推計については五月時点のものと変わっていないということを聞いております。

 なお、熊本県では、被災中小企業、小規模事業者における復興に向けた個別のニーズについては、日々の支援策などを通じて、つぶさに把握に努めていると承知しております。

真島委員 この推計といいますか、試算には営業停止による被害額とか宿泊予約のキャンセルなどの間接的な影響は含まれていない。しかし、五月二十七日の発表のときには、仮に被災した製造業の企業が二カ月間営業停止を強いられたと想定した場合には出荷額で千九百億円程度損害が生じる、また観光業で宿泊キャンセル等による損失額は、五月二十七日時点で三百八十億円に上ると推計がされています。

 この間接的な影響額を含めた推計額は九月二十八日時点では言及されておりませんけれども、これはどうなっているんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 熊本県では、今回の地震による製造業、商業・サービス業、観光業の間接的な影響額につきましても、九月の二十八日時点以降、改めて推計を行ってはいないと聞いております。

真島委員 例えば、農林水産業の被害額は、五月の時点の千三百四十七億九千万円から、九月では千四百八十七億円にふえているんです。これは、農林水産業とか公共土木施設、この被害額は、現地調査をもとに被害額を算定して積み上げていっているんですよ。

 ところが、中小企業の被害額というのは、熊本県がやったのは、発災直後、四月二十七日から五月十一日に製造中小企業、商業・サービス業、宿泊業、それぞれ百社ずつの聞き取り調査をして推計したというものなんですね。熊本地震では、県の推計でも二万二千四十二社が被災しているとなっております。そのうち、たった三百社に聞き取りした推計額なんですよ。私は、中小企業の被害額というのも、農林水産業とか公共土木施設のように、やはり現場の被害額を調査して積み上げていく、そういう努力が必要なんじゃないかと思うんです。

 私は熊本の商工会議所をお訪ねしました。発災直後から全会員訪問、職員の方も、みずから被災しているにもかかわらず、避難所などから通って、全会員訪問で安否確認をしたと言われました。何と五千余社、九一・九二%の会員さんに発災直後に直接お会いしてお話を聞いて励ましたというんですね。会員は何とか持ちこたえてくれているけれども、これからどうなるのか、地震前の蓄えを取り崩していっている、息の長い支援をしてほしいというふうにおっしゃっておりました。

 もう一つ、宇城民主商工会の松尾会長からお聞きしましたが、四月十五日に全商連が対策本部をつくって全会員の安否確認を進めていった、訪問すると、何でこんな大変なときに来るのかと文句も言われたけれども、百三十人の聞き取りをやって、そこで聞いた声を国や県に伝えてきたとおっしゃっておりました。こういうふうに、現場では各商工団体の皆さんが必死に頑張っています。

 私は、本気でなりわいの再建に寄り添って支援するというのであれば、国が県や市町村、あるいはあらゆる商工団体の皆さんの力もかりて、個々の事業者の皆さんの被害を聞き取って、聞き取るだけではなくて、そのとき、その場でいろいろな相談にも乗り、そして再建に役立つこういう補助制度、融資制度がありますよと紹介していく、こういう取り組みをやったらどうかと思うんですよ。どうでしょうか、大臣。

世耕国務大臣 今御指摘のとおり、いろいろなニーズをしっかり聞き取って、そしてすぐ対応していく、これは重要だと思いますし、我々もそういうふうに取り組んでおります。

 経産省としても、発災直後から政府系金融機関、今御指摘の商工会議所、商工会などに特別相談窓口を設置して被災中小企業、小規模事業者からの相談に応じるとともに、当時の中小企業庁次長を現地に常駐させまして、職員数名に被災地域の企業や支援機関を訪問させて、被災している中小企業の現状やニーズの把握に努めてまいりました。

 それに加えて、特別相談窓口にお越しいただけないような方、インフラが壊れているとかいろいろな事情があって来られない方、こういう方に対しては、現地の商工会議所や商工会などが個別企業への訪問相談などを実施しておりまして、きめ細やかな対応を行っているところです。

 なお、中小企業者から寄せられる相談の中には、補助制度、融資制度の照会、申請といった相談も数多くあります。このような相談にも丁寧に対応を行っているところであります。

 今後とも、このような取り組みを通じて、被災中小企業、小規模事業者の状況をきめ細やかに把握して、そして把握するだけではなくて、ニーズにしっかり対応して、早期の事業再開、事業継続に万全を期してまいりたいと思います。

真島委員 きめ細やかに対応するべく頑張っているということなんですが、それならばなぜ被害額がずっとつかまれて積み上がっていかないんだろうかというふうに思うんですね。

 いろいろな補助制度の支援が始まっていまして、それを活用する方がふえています。益城町でグループ補助の手続をしている商工業者の方が、グループ補助というのは書類審査になっていくわけなんですけれども、行政の人たちには、書類審査だけではなくて、ぜひ被災した我々の工場とか店舗に足を運んで、その場で一緒に見ながら相談に乗ってほしいというふうなことをおっしゃっておりました。

 本当に被災の実態を正確につかんで、それぞれの事業者が抱えている悩みにも耳を傾けていく、商工会議所とかが頑張っているんだとおっしゃいましたけれども、これは本当に、国、県、市町村、商工会議所や商工団体が一丸となってそれをしていただきたいと思うんです。そうやって被害額も農林水産業のようにつかんでいかなければ、今後どれだけの内容と規模で支援策をやっていくのかという政策判断ができないんじゃないですか。

 まず、そういう姿勢から転換していただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 議員御指摘のように、中小企業者の被災の状況を正確に把握し、適切な措置を講じていくことが重要だと思っています。

 私自身も、先ほど申し上げましたが、八月に熊本を訪問して、被災中小企業の現状や取り組み、お悩みについて直接話を伺ったところであります。

 また、特別相談窓口での相談対応、現地の常駐者からの情報等を通じてニーズの把握などにも努めてきているところでありまして、被災中小企業、小規模事業者に対する日々の支援を実施していく中で被害の実態やニーズ等を把握し、これらを踏まえて、資金繰り支援や事業再建に関する補助、販路拡大支援といった措置を講じているところであります。

 今後とも、被災地に寄り添ってきめ細やかな対応を行うことで、被災地の復興に万全を期してまいりたいと思います。

真島委員 本当にその言葉どおりにやるとおっしゃるならば、私は全部の事業者の実態をつかむというぐらいの気概と取り組みをやはり形にしていただきたいなということを要望しておきます。

 それでは、個別のグループ補助金や持続化補助金の活用の問題についてちょっとお聞きしたいんです。

 熊本市内でおすし屋さんに行きました。そうしたら、ネタケースのガラスに大きなひびが入ったまま営業をされていました。リースの契約書には地震による被害は何の補償もない、リース代は通常どおり払い続けなきゃいけないんだというふうに嘆いておられました。

 こうしたリース物件というのはグループ補助の対象になるでしょうか。また、どういう手続が必要になるでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 リース物件が、リース契約者である使用者の事業継続のために不可欠と判断された場合は、リース事業者に対して当該リース物件の復旧に必要な範囲でグループ補助金の対象とするということは可能でございます。

 なお、その場合、実際には、リース物件を補助対象とするに当たって、リース物件の所有者であるリース事業者とそれから使用者が同一のグループの構成員となりまして、リース事業者が補助金の交付申請の手続を行うこととなります。

真島委員 資料の三に、熊本県がホームページに掲載しておりますグループ補助事業のQアンドAをつけております。十月四日時点で、問いが六十五載っているんですね。それで、問いの後の方に、括弧して、追加とか一部修正とか書いてあるんですよ。

 私はこれを数えてみたら、一部修正が十四、追加が二十一、合わせて三十五、実にQアンドAの五三%が一部修正、追加されているんですね。

 これは、被災事業者の方々のいろいろな要望や実情が寄せられる中で、それに応じて要件を緩和されてきたというところもあると思うんですけれども、私も、この間いろいろな御相談に乗ってきて、グループ補助金は使えないのかということでやりとりしてきましたけれども、以前は、それはできません、だめですと言われていたものが、できるとなっているQアンドAがあるんですよね。

 だから、そういう意味では、これは相当丁寧に、今の到達点を、要件の緩和、ここまでできますよというのを周知徹底していかないと、以前言われたままのことで、そうだと思って諦めてしまう方が出てしまうんじゃないかと非常に心配しております。

 そういう意味で、よく皆さんは、周知徹底しろと言ったら、説明会をしていますとか、ホームページに載せていますと言うんですけれども、丁寧な周知というならば、本当に被災事業者の皆さんにこういうQアンドAを印刷して届けるぐらいのことをやっていただきたい、これは要望だけしておきます。

 一方で、このグループ補助は、まだまだ申請にも至っていない事業者の方がいらっしゃるんですね。

 先ほどの県の五月時点の推計でも、被害甚大と思われる二十二市町村内に所在する被災したと思われる製造業、商業・サービス業、宿泊業は二万二千四十二社、そのうち、第一次公募の一次、二次の締め切りで認定されたグループに入っている事業者は四千三十二者ですから、これでいくと、まだ被災事業者の約一八%しかグループ補助を使っていないんですね。

 また、県が二百七十二社に聞き取った被災企業緊急調査結果概要というのを見ますと、建物の被害状況、傾き、ゆがみに至るが二六・一%、壁等クラック、落下が五七・七%で、合わせて八三・八%の企業が建物の被害を受けている。

 それで、お伺いしたいのは、先に認定されたグループに後から個々の事業者が追加申請できるというふうに聞きたいんですが、それはそのグループの復旧事業がもう完了してしまった後でも可能なんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、被災事業者がグループ補助金を申請する際には、既に復興事業計画で採択されたグループに新たに構成員として加わることも可能でありまして、実際に、熊本県の方では、グループの参加を促す意味もありまして、既採択のグループを紹介しているところでございます。

 また、その際、御質問いただいたとおり、その既採択グループの復旧事業が執行され、完了した後でも可能であります。

 なお、その場合は、既に採択されたグループの復興事業計画の内容を変更し、改めて県庁の認定を受ける必要はあります。

真島委員 冒頭に紹介しました益城町の文具店の尾塚さんの話によりますと、商工会の集まりで、ここで商売が続けられるのか、人が住めるのかという声が出たそうです。尾塚さん自身も、県道四車線化とか区画整理の計画があるそうで、それにかかっているわけですよ、自分のお店のあった場所が。だから、復興の青写真を示されない限り、復旧にも取りかかれない。復興計画がいつになるかわからないような状態では、事業者が待たされてやる気をなくしてしまうというふうに心配されていました。

 大臣にお聞きしますけれども、このように、いまだインフラ、コミュニティーさえ回復できていない、復興計画の青写真も見えないという中で、もとの場所で果たして持続的に営業できるのかということでちゅうちょして、グループ補助の申請に至っていない方も間違いなくいるわけですね。

 東日本大震災では、今でもグループ補助の公募が続いています。大臣にお聞きしたいのは、自治体や商工会、商工会議所の皆さんからも、ニーズがある限りグループ補助の公募を続けていくとはっきり約束してほしいという声を聞いたんです。どうでしょうか。

世耕国務大臣 グループ補助金につきましては、熊本地震復旧等予備費を使用して、発災後速やかに四百億円を措置いたしました。今、その執行に全力を注いでいるところであります。被害の状況や復旧の状況を踏まえて、先日成立しました第二次補正予算では、さらに四百億円の追加的な措置を講じたところであります。

 まずは、現在の予算の執行に全力を傾けることが重要でありまして、地元自治体とも連携をして説明会を機動的に開催しているほか、商工会や商工会議所、よろず支援拠点などの中小企業支援機関による申請のサポートに取り組んでいるところです。

 引き続き、地元自治体や中小企業支援機関との連携を密にして、被災された中小企業、小規模事業者の方々の一日も早い復旧に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

真島委員 ぜひ本当に、東日本のように、そういうニーズのある限りやるんだと言っていただきたいんです。

 宇土市に百席の宴会場を持っている創業四十年の中華料理店宝友をお訪ねしました。そこの代表の末野博子さんは、お母さんの跡を継いで二代目のおかみです。一ページ目の写真の左側、底を見ているところなんですが、四月十四日の地震では、午後九時二十六分に、宴会が行われているたけなわでしたが、お客さんを慌てて避難させた。十六日の本震では、壁が落ち、柱がゆがみ、足の踏み場もない半壊状態になった。厨房も客間もめちゃくちゃになっていました。営業ができなくなった。お客さんたちから踏ん張ってねという言葉をかけられると、はいつくばってでも、もう一花咲かせたい、何としても再建して、跡を継いでくれる息子の嫁に渡したいというふうにおっしゃっていました。

 末野さんは、今、御近所の本町通り商店街の店舗の皆さんと老舗のれん会というグループをつくって補助金の認定を受けております。解体費用、設備関係、建物の再建で、合計約一億五千万円かかるそうです。補助金は、これから地震保険と家財保険、そして消費税八%分を差し引いた中の四分の三なんですね。四分の一の自己負担といっても、約四千万円になるんですよ。そのうち、何と消費税分が一千万円を超えるんですね。これは控除の対象になって後から還付されるということなんですけれども、一旦はそれを自己負担しなければなりません。営業ができない、収入ゼロということは、時間がたてばたつほど損失や負債が積み上がっていくんですね、被災地の業者の皆さんに。その中での四分の一の自己負担は重いと思うんです。

 少しでも事業者の皆さんの負担を軽くするために、せめて復旧事業にかかる消費税分とか、あるいは必要な登記などの行政手続の費用、こういうのにも補助ができないかという声があるんですけれども、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、グループ補助金が対象となっている復旧事業における資材調達等にかかっている消費税につきましては、税制上、税額控除または還付の対象となっていることもありまして、グループ補助金の補助の対象とはなっておりません。

 また、登記等の手続の費用でございますが、これも、グループ補助金では、施設等の原状復旧に直接必要となる費用を見ていること、また行政手続の手数料という性格もありまして、グループ補助金の対象にはなじまない性格となっております。

 一方で、その四分の一部分の自己負担について資金繰り等の問題があるのは承知しておりまして、そこについては、例えば県と国が協力した形で無利子融資、それから民間の方でもつなぎの融資、こうしたものを可能な限り御用意しているところでございます。

 いずれにしても、税務とか行政手続、そういうさまざまな対応につきましては、現地で税理士、行政書士、あるいは私どものよろず支援拠点、あるいは商工会、こうしたところでいろいろな相談を真摯に承っていきたいと思います。

真島委員 生活、なりわいの再建には、行ってお話を聞けば聞くほど、また何年もかかるなというふうに感じます。

 そういう中で二年後に消費税一〇%に再増税するのは、本当に被災地の皆さんの復興の努力をくじくことになると思うんですね。特に、お客さんに対して身銭を切るような状況が現実にある、そういう小規模事業者の皆さんにとっては非常に厳しいと思います。ぜひ、そういう点でも、再増税延期ではなく中止を求めたいと思っております。

 ちょっとお聞きしたいのは、各事業所の補助金が、概算が確定した後に建築材料費とか人件費などが高騰していく、経費が膨らむということが考えられるんですが、その場合、補助額の変更というのは後からでもできるんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 グループ補助金というのは、まず、委員御承知のとおり、グループを構成する個々の事業者の補助金見込み額を記載したグループ全体の復興事業計画というものを県が認定し、その後、それに基づきまして、個々の事業者が補助金の交付申請を行う、こういう手続になっています。

 御指摘のように、建築資材あるいは人件費が高騰して補助対象経費が増額した場合に、まず、復興事業計画に記載した補助金見込み額を超えた金額となった場合でも、実際の個々の事業者の補助金申請を行うことは可能でございます。

 さらに、一方、個々の事業者の交付決定が行われた後につきましては、資材が高騰した場合でも、原則、交付決定した補助額で実施することとなります。ただ、補助金の一般ルールといたしましては、交付決定後の事情変更により特別の事情が生じたときは、交付決定の内容の変更ができるということになってございます。

 これは、個々の事情によりますので、事業者の責に帰さない理由で高騰したとか、そういう事情を踏まえて判断されることになると思います。

真島委員 とにかく、業者の方を見つけるのが大変という状況の中で、十分、今後そういう費用が膨らむと考えられるわけで、ぜひ柔軟に対応していただきたい。

 先ほどの宝友さんの店舗のある敷地は、最大で十五センチぐらい地盤沈下しているんですね。

 また、私は熊本市南区の市立日吉小学校周辺をお尋ねしました。長さ五キロ、幅五十メートルから百メートルにわたる液状化が発生して、道路沿いの商店がそのことによって全半壊しておりました。

 こうした、どうしても建物の再建のために必要な地盤改良の費用、これは補助対象になるんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 グループ補助金は、グループで復興事業を行うことによって被災地域の復興を促進し、その復興事業を行うために必要となる範囲で各事業者の建物や設備などの復旧を補助していくことから、地盤の改良そのもの、これは補助対象にはなりません。

 ただし、今委員御指摘のように、各事業者のこうした建物や設備などの復旧のためにその土地を整備することが必要不可欠な場合には、整地の費用も建物などの復旧費用に含めて補助対象とすることはできます。

真島委員 資料一の右下は、益城町の漬物製造販売業、有限会社吉原食品さんなんですけれども、今、御近所の十一軒でグループ補助金を申請して、グループの認定が出まして、個人の対象額の認定手続をしている。私はまだ食べたことがないんですけれども、倭播椒という非常に名物の漬物をつくっているそうです。御近所の方も、吉原食品の再建は益城復興の一つのシンボルだとおっしゃっていました。

 被害額は約三億円、見積もり約五億円。益城町にあるこの工場は大破をしておりまして、五棟のうち四棟が全壊、一棟が半壊。販売店もあったんですが、益城町の販売店はもう全壊して解体。大津町の店舗は無事だけれども、観光客が減って売り上げが半減している。

 この工場を更地にして、ここに再建するとなると、二年間は休業が必要になって、従業員の雇用を守れない。また、ここも県道沿いなんですね。県道の拡張計画が工場にかかっているので、移転、再建したい。益城町の中で移転、再建したいんだというふうにおっしゃっていました。

 この吉原さんは、従業員の雇用を守って、取引先に必要な納品をするために、今もこの壊れた工場でだましだまし操業して六割生産をしているそうなんですけれども、ちょっとお聞きしたいのは、移転先の新工場で操業開始ができるまでの間、旧工場での操業を続けてもいいんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 グループ補助金の補助対象となった新工場で本格的な操業を開始するまでの間、当該事業者が事業を継続するために、旧工場において操業を続けること、これは可能でございます。

真島委員 もう一つ、この吉原食品さんは、塩漬けの野菜を発酵させる地下タンク、これはなかなか一遍にこっちからこっちに持っていけない、新しいタンクをつけて、発酵させるから、なじませていかなきゃいけないから、これを移すのに二年ぐらい必要なんだとおっしゃるんですね。

 グループ補助を使って移転、再建する場合、完全に移転してしまうまでに、いつまでにやらなければいかぬという期限みたいなものはあるんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、グループ補助金の対象である新施設の方は、グループ補助金の予算が活用できる期限内に当然建設する必要はございますが、現在の予算では、予算の繰り越しが基本的に認められる形で来年度も利用可能となります。

 また、その被災した旧施設の方でございますが、こちらは、旧施設での復旧が困難だったので、グループ補助金を使って新しい施設を補助してつくるということですので、いずれは新施設の方に行っていただく必要はあると思いますが、その新施設への円滑な移転に必要な範囲、今委員が言われたような範囲であれば、特に移転までの期限の制限というのはございません。

真島委員 もう一つお伺いしたいのは、今壊れた工場でやられているわけですね。再建する新工場に完全に移転するまでの間、今の工場を修繕して操業したい、続けたい。そのために、小規模持続化補助金を使って、壁の穴というか、工場は丸ごと壁がなくなっていて、ブルーシートで覆っているような状態なんですよね。食品を扱っているので、少しでもきちっとして操業したいということでおっしゃっていたんです。

 小規模事業補助金を使った場合、これまでの話と関連があるんですけれども、最低どのくらい使った施設というか、工場を動かさなきゃいけないということになるんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、小規模事業者持続化補助金、これは、委員も御存じのように、商工会、商工会議所と一体となって策定した経営計画に基づく販路開拓等の取り組みを支援する事業でありまして、事業に取り組んだ小規模事業者の売り上げ増加あるいは新規顧客の獲得、こうしたものを期待しているものでございます。

 そして、事業に取り組んだ後の活動は小規模事業者それぞれの経営判断により行われるものでありますので、特段に制限はかけておりませんで、御指摘の工場の修繕を仮に行った場合も、最低何年間操業するといったルールを設けているわけではありません。

 ただ、補助金一般のルールというのはやはりございまして、補助金等により取得し、または効用の増加をした財産の処分については一定の制限がかかっておりまして、持続化補助金については、五十万円以上の機械、設備等について、取得から五年以内に廃棄、売却などの処分を行う場合には、あらかじめ事務局に申請をして、未償却分に当たる金額を返納しなければならないということになっております。

 ただし、この場合もさらに、例えば再建した新工場への移転に伴って、取得した設備を単に移動するなど、引き続き補助金交付の目的の範囲内である場合とか、あるいは、道路の拡張など、先ほどの問いと若干関係しますが、補助事業者に責任のない事由によって、やむを得ず廃棄する場合、こうした特別な場合には、この返納を求められない場合もあるわけでございますが、いずれにしても、個々の事情によって判断させていただくということになります。

真島委員 被災事業者の方はいろいろな事情があるわけで、ぜひ制度の柔軟な運用をお願いしたいと思っています。

 もう一つ、持続化補助金で聞きたいんですが、グループ補助で再建ができて営業開始する。そのときに、この小規模持続化補助金が生きるんですね。つまり、商売道具まではグループ補助金で出ないので、先ほど御紹介した、中華料理の宝友さんの場合は、グループ補助の対象にならない商売道具、料理皿とかテーブルとか、こういうのは全部だめになっていまして、買いかえるのに二百万円ぐらいかかると言っていました。

 これが、何といいますか、持続化補助金というのも、ずっと継続した制度として国が設けているわけじゃなくて、その都度、補正予算でやっていっているので、ぜひ、これも息の長い支援という点で、本当に営業が再開するという段階でも、熊本対策の上限二百万円を使えるようにしていただきたいという声があるんですけれども、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘の、小規模事業者持続化補助金につきましては、平成二十八年度熊本地震復旧等予備費において、熊本地震の被害を受けた事業者に対して、補助上限を通常の四倍の二百万円に引き上げまして、約千四百の小規模事業者の販路開拓等を支援したところであります。

 益城町のとある食料販売品店では、補助金を活用して移動販売車を購入して、町内外の出張販売やイベント等で地元の食材を使った新商品を販売するなど、町のアピールにも貢献する好事例も出てきております。

 平成二十八年度第二次補正予算においても、被災地の要望も踏まえまして、同様の措置を継続することとしております。

 こういった施策も御活用いただきながら、今後とも被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいりたいと思います。

真島委員 最後、時間がなくなってきましたが、観光産業についてもちょっとお聞きしたいんです。

 資料四に観光庁の資料をつけております。

 観光庁は、熊本地震で九州で約七十五万人の宿泊キャンセルが出たけれども、七月のふっこう割の事業開始に伴って着実に回復しているんだとおっしゃっています。熊本地震に伴う県ごとあるいは観光地ごとのキャンセル数、ふっこう割実施後の宿泊者数の推移というのはわかっているんでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 熊本地震に伴いまして、九州全体では約七十五万三千人泊の宿泊キャンセルが出ております。キャンセルが多かった県から、大分県では二十万人泊、熊本県で十九万人泊、長崎県で十二万三千人泊、鹿児島県で十万五千人泊、宮崎県で六万三千人泊、福岡県で六万一千人泊、佐賀県で一万一千人泊でございます。

 九州の観光復興をいち早く遂げるために、九州ふっこう割のほか、中小企業等のグループ補助金、あるいは九州の地方の魅力的な地域産品等の海外発信などの施策を盛り込みました九州の観光復興に向けての総合プログラムを五月に決定いたしまして、省庁横断的に幅広い支援を行ってまいりました。

 こうした取り組みや交通インフラの復旧なども伴いまして、熊本地震があった直後に比べまして、九州における延べ宿泊者数は、七月の前年同期比で約三%減ということになっておりまして、回復傾向にあるものと考えております。

 今後とも、九州への観光客が着実に回復されますよう、回復に努めてまいりたいと思います。

真島委員 時間が来ましたので、最後に、ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、私は阿蘇市の内牧温泉の旅館業の方をお訪ねしたり、阿蘇市の観光協会の方もお訪ねしてお話を聞いてきました。

 いろいろな努力をされているんですね、現場でお互いに助け合って、グループ補助も今までつき合いのなかった旅館組合の十一軒と温泉療養の病院三施設と共同浴場が一緒になって申請して。温泉がずれているんですね、泉源が。それをまた掘り直して温泉を復活させるという取り組みで、年度内に全部復活させたいとおっしゃっていましたけれども、問題は、御存じのように、交通インフラがなかなか見通しが持てないという厳しさがあるんですよ。

 もう本当に皆さんが口をそろえておっしゃっていたのは、まさに……(発言する者あり)はい、終わります。

 ふっこう割が出たけれども、阿蘇市以外の温泉地とかにはかなり観光客が戻っているけれども、一番大変な阿蘇市が戻っていないんだというふうにおっしゃっていました。

 ちょっともう時間がないので質問はしませんけれども、ぜひ、このインフラが回復したときに……

浮島委員長 簡潔にお願いします。

真島委員 使えるようにしてほしいという要望を受けておりますので、その点も政府内で働きかけていただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 大臣所信に対する質疑ということで、どうぞよろしくお願いします。

 まず、世耕大臣、御就任おめでとうございます。官邸から今度は経産省、こういうことで忙しい毎日だと思いますが、どうぞ頑張ってやっていただきたいと思います。

 まず、我が国に対する対内直接投資について御質問させていただきます。

 お手元に、皆さんのところに資料を配らせていただきました。対内直接投資残高対GDP比、こういう話でございます。これは、実はTPPの特別委員会でもやらせていただいたんですけれども、時間が少ないものですから、少し深掘りをしたいと思って、この委員会でもやらせていただきたいと思います。

 この数字を見ていただいて、皆さん、知っている人はいいんですけれども、初めて見る方は驚かれるんだろうと思います。石原TPP担当大臣も驚いていました。桁が違うんですね。要は、日本は三・八%、ほかの国はばらつきがありますけれども大体二桁、そういう中にあって、シンガポールは二五二%、三桁、こういう数字ですね。

 TPPとバッティングしちゃっていて、大臣所信を私は聞けなかったので、読ませていただきました。所信を読ませていただきましたが、こういった話は基本的に余り出ていなかったと思います。「トップ人材・企業を世界から呼び込むため、日本版高度外国人材グリーンカードの実現と行政手続コストの削減を進めます。」こういう話はありましたけれども、いわゆる日本にお金とか企業を呼び込む発想というのが余りないんじゃないかな、こう思っています。どちらかというと、大臣の所信も、外に出ていく、こういう話が多く出されておりますけれども、これが一つです。

 それから、もう一枚つけさせていただきました。これに関連する話だと思ってつけさせてもらったんですが、これも世銀の資料ですけれども、ビジネス環境ランキングというのがありまして、見ると、日本は総合順位が三十四位、先ほど対内直接投資トップだったシンガポールが一位、こういう数字ですね。

 これは、僕も全てわかるわけじゃありませんけれども、ずっと見ていって、日本の数字がいいところというのは、電力供給とかあります。あと、これはもう笑っちゃうのは、破綻処理が二番。要は、日本にはなかなか入ってこられない、でも、入ってきて失敗したらすぐに処理してやるよと。

 これはちょっと本当に笑えない笑い話じゃないかと思っているんですが、大臣、所感をお聞かせいただけますか。

井原大臣政務官 小沢先生にお答えを申し上げます。

 まず、対内投資についてということでありまして、先生から資料を提出していただきまして、対内直接投資残高について確かに非常に低い数字で、三・八%ということでございました。

 そこで、対内直接投資残高の対GDP比率は二〇一五年の末で四・九%、わずか一・一%の増ではありますが、最新では四・九%となっております。諸外国と比較して低い水準にとどまっているということでございますが、安倍政権発足以降、我が国に対する対内直接投資は、そうはいいましても、一・一%ほどは伸びているというふうなことが言えようと思います。

 昨年ジェトロが実施した外資系企業に対するアンケート調査によりますと、お話にもありましたように、行政手続、許認可等の複雑さ、人材確保の難しさ、外国語によるコミュニケーションの難しさ等が日本でビジネスを行う上での阻害要因と指摘もされております。

 また、御指摘のとおり、世界銀行が二〇一五年に発表したビジネス環境ランキングにおきましては、事業設立等の項目で評価が低かったことが影響し、我が国は世界第三十四位と低い水準に位置づけられております。

 他方、外国企業から見たアジアの投資先の関心度調査では、政権交代前には全ての項目で中国が一位でございましたが、政権交代後には、RアンドD拠点、いわゆる研究開発拠点と販売拠点の両項目について二回連続で我が国が一位を獲得することができた等、我が国の投資先としての魅力は徐々に高まっているというふうには考えております。

 ぜひ、こうした流れを逃さず、アベノミクスによる経済成長の実現や規制改革のさらなる実施等により対内直接投資の拡大を図ってまいりたいと存じております。

小沢(鋭)委員 若干伸びているということは慶賀でございます。しかし、依然として水準は極めて低いですから、ここは頑張りましょうね。こういう問題はやはりもうちょっと感応度を高めてもらって、意識を持ってもらった方が私はいいと思います。

 これはTPPのときに総理も言っていましたけれども、やはり対内直接投資がふえると、いわゆる投資開放度が一%ふえるとGDPが三%ふえる、こういうGTAPモデルもあったりしまして、いわゆる成長戦略という意味では極めて重要だ、こう思うものですから、ぜひそれをお願いしたいというふうに思います。

 シンガポールの例を出させていただきましたけれども、シンガポールというのはちっちゃな国だ、こういうちっちゃい国だから何でもできるんだよね、こういう議論がありますけれども、私は、かつてからこのシンガポールという国の政策のありようというのに大変興味を持っております。と申しますのは、今や一人当たりGDPは日本を抜いていますね。アジアの中で、一人当たりGDPは日本を抜いています。あの小さな国で一人当たりGDPが日本を抜くような国になっているその政策というのは一体何なのだろう、ずっとこう思っていました。

 例えば、よく話題になる食料自給率、これはシンガポールは限りなくゼロに近いですよ。限りなくゼロに近い。しかし、やっていける。それは、いろいろな国際環境、マレーシアがそばにあるとかがあるんですけれども、やはり発想が極めて豊かだし、政策の実験場になっていますよ。

 ちょっと前まではフリーポート、こういう話でやっていました。フリーポートがなかなかうまくいかない、こういう話になると、後ほど質問させていただきますけれども、IRを使って、国際会議場だとか、いろいろな展覧会だとかをばんばんやる、人を呼び込んでいく、こういう話で、極めてダイナミックな政策を打っていますね。

 ですから、私は、ぜひ役所の皆さんたちにはシンガポールのいろいろな政策展開を勉強した方がいいぞとよく言っているんです。

 ということを申し上げた上で、大臣、対内直接投資拡大に向けた政策が必要だと思っておりますが、いかがでございましょうか。

世耕国務大臣 本当に我が国への対内直接投資は低い水準にありまして、もう本当に何とかしなければいけない、これは安倍政権としても先生と同じ思いでございます。

 大分環境はよくなってきているというか、円安でビジネスコストは大分安くなりましたし、あるいは法人税も下げたりもしました。そういう条件を一つ一つ解消していけば、日本は非常に治安もいいですし、また、通信インフラとかそういったものもきちっと整っておりますし、また、食事が大変おいしいとか、そういう意味では、世界からの投資とか人材を呼び込む余地はたくさんあるんだろうというふうに思っています。

 我々は、今、成長戦略で、まず規制、行政手続の抜本的簡素化、そして世界で一番速いスピードで永住許可申請を可能とする日本版高度外国人材グリーンカードの創設、あるいは外国人患者の受け入れ体制が整備された医療機関の拡充など、外国企業や外国人のビジネス、生活環境の整備を進める方針を打ち出しております。

 また、我々は国家戦略特区というのをやっていますが、東京の特区はまさに世界のビジネスを呼び込むという戦略のもとでやっておりまして、例えば、都市計画法の特例の活用ですとか、外国人医師に関する特例、エリアマネジメントに係る道路法の特例、あるいは東京開業ワンストップセンター及び雇用労働相談センターの設置とか、これは外国の企業が入ってくるに当たって障害になるようなことをこの特区では全部解決していこうということで、東京はまさに、国際金融センター構想、そしてライフサイエンスビジネス拠点というのも掲げておりまして、こういう外国の投資を呼び込もうと努力をしているわけであります。最近でも、アップルが大型の研究所を日本へつくるという動きもあります。

 いろいろな努力を重ねながら、日本への対内直投をしっかりとふやしていきたいというふうに思います。

小沢(鋭)委員 ぜひ積極的に進めていただきたい、こういうふうに思いますし、一回、そういった外国企業の皆さんたちを集めて勉強会でも開いたらどうでしょうか。率直な意見が出てくるんじゃないでしょうか。そのときに、日本に出ている企業を呼んでもしようがないので、出ていない企業を少し見繕って意見を聞いたりしたらいいんだろう、こういうふうに思います。

 かつては、幕張という都市があって、あそこをアジアのいろいろな拠点、ベースにするんだ、こういう話がありましたけれども、一時期入ってきていた企業が、外へまた、香港の方へ出ていってしまうとか、都市間競争でも何か負けているんですよね。ですから、ぜひそういったところを御検討いただければと思います。

 それから、シンガポールの話でついでに申し上げたいんですが、また対内直接投資にもなりますが、私あるいはまた維新の会は、IR、インテグレーテッドリゾートをとにかく日本につくろうということで、これは最初のころから選挙公約にして、ずっと頑張っているんですね。

 このシンガポールというのは、さっきも申し上げましたように、最初はフリーポートで売っていましたけれども、いろいろな国がやるようになった、こういう話の中で、昨今ではIR、これで大変ないわゆるお金とそれから人を呼び込んでいます。

 日本でも、ある通信インフラの会社がSMAPさんを使って広告をやって、棟が三つあって、その上に船が浮いているという、これはマリーナ・ベイ・サンズという会社ですけれども、その姿を見て若い人たちも含めて本当に押し寄せて、何年先までもう満杯だ、こういう話になっているし、もう一つはリゾート・ワールド・セントーサという、やはり統合リゾート施設を持っているわけですね。

 これをつくるに当たって、リー・クアンユーさん、お亡くなりになりましたけれども、リー・クアンユーさんの有名な言葉があって、私はカジノは嫌いだ、しかし、カジノを含むそういった統合リゾート、まさに国際会議場とかショッピングモールとか、そういった施設で人を呼び込むという話は極めて戦略的に重要だ、それをやらなければシンガポールはパスされてしまう、トータルに考えて私は賛成をすることにいたしました、こういう演説があるんですね。

 いろいろな問題点があって、依存症の問題とか、青少年への悪影響だとか、暴力団等の介入の問題とかあるんですが、大方、先進国、百国を超える国が今もうカジノを導入していますから、そういった先例でいろいろな対応もしてきている。日本の例えば依存症に対応しているNPOの皆さんたちは、日本は今でもいわゆるパチンコを含めて依存症がいっぱいある、このIRの話になって初めて依存症の問題が焦点になって、それで対応してくれるということだったら大いに賛成だ、こう言ってくれる人たちもいるんですね。

 でありますので、こういった統合リゾートをぜひ呼び込むべきだ、経産省にも頑張ってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 今御指摘の二カ所のシンガポールのIRは、私も安倍総理にお供して視察に行ってまいりました。マリーナ・ベイ・サンズのあの空中のプールはすごかったですね。そこに背広で立っている自分が本当に悲しくなりました。

 あそこで見て思ったのは、カジノ自体の面積は極めてごくごくわずかなところで、しかも、何重にもゲートがあって、いろいろなセキュリティーチェックがある。実は、大半の面積を占めているのは、マリーナ・ベイ・サンズの方ではいわゆるコンベンションセンターですし、もう一つの方ではユニバーサルスタジオがあったり巨大水族館があったりということで、非常に、そういうふうになっているんだなということを実感いたしました。

 今、IRについては、日本再興戦略二〇一六において、IR推進法案の状況や国民的な議論を踏まえて関係省庁において検討を進めることとしております。

 経産省としては、まず、施設の建設、運営による直接的な経済効果、これが海外からの投資ということにもなるんだと思います。そして、観光客の増加による地域経済の活性化にもつながると期待をしております。

 その一方で、犯罪防止、治安維持、青少年の健全育成、また今御指摘の依存防止などの観点から、問題を生じさせないための制度上の措置は検討しておく必要があるというふうに思っております。

 今後の国会での御議論やIRに関する国民的な議論を踏まえて、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいと思います。

小沢(鋭)委員 推進という明快な旗印を立ててもらいたいんですね。これはやはり反対意見もある案件なものですから、なかなか経済界も賛成までいかないんですね。様子見しているんです。みんな様子見しているんです。

 今、私は、二段階に分けさせてもらって推進法を議員立法で出していますが、推進法が通れば一気に動くんだと思います。役所もそうだと思います。だけれども、今が一番しんどいときなんですよ。

 でありますので、ぜひ大臣には賛成、推進の旗を立てていただきたいと思いますし、これは委員長のところが極めて重要なので、本当は高木さんや委員長にも質問をしたいくらいなんですが、それは差し控えさせていただきますが、どうぞよろしくお願いをしたい、こういうふうに思います。

 二つ目で、私は、統合リゾートの話に関連してサービス産業のこと、特にまたその中でもリゾートということに焦点を絞って質問させていただきたいと思います。

 サービス産業に関しては、大事であるという所信の中の表現はありました。しかし、恐らく経産省の中の組織でこれはほんのわずかなんだろうと思うんですね。

 おとといの大臣の答弁の中でIoTの話が出たときに、IoTのインターネットや何かのところは少し出おくれたかもしれませんが、Tの部分の製造業のところは日本は強いんだから大丈夫だ、こういうお話があって聞かせていただきましたが、サービス産業は今や日本のGDPの七五%ですよ、七五%。

 経産省の組織の中で七五%の人材配置をしていますか。

世耕国務大臣 ちょっと御通告がなかったので、数字は明確に持っていませんが、今、局や課の構成を見ていると、やはり製造業にかなりウエートを置いた人材配置になっているのではないかと思います。

小沢(鋭)委員 僕は細かい数字に余りこだわりませんから、大いに大臣の所感をおっしゃっていただければありがたいのでありますが、本当にそこにやはり目が向いていない、あるいは人材の配置が足りないというふうに私は思いますね。

 経産省にはサービス政策課というのがありますけれども、ここの人数とか役割とかはどんなになっていますか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私の今おります商務情報政策局の中にサービス政策課というのがございます。今、人数をちょっと正確に申し上げられませんが、サービス政策課に所属をしている人間が大体二十数名ぐらいというふうに認識をしております。

 ただ、先生も御案内のとおり、広義のサービスで流通とかあるいは物流関係がいろいろございまして、これはまた別のセクションのところに流通をつかさどっているグループがございますので、今大臣がお答えしましたように、広義のサービス産業全体に従事している職員の数はちょっとまた改めて御説明をさせていただきたいと思っております。

小沢(鋭)委員 旧知の安藤さんが頑張っていただくように、ぜひお願いします。

 それで、要は、ざっくり言って、食べるものとか使うもの、物の生産は恐らく生産人口の一割あれば十分だろう、今こう言われているんですね。では、残りの九割は何をするかというと、いわゆるお金を回していくそういう産業に入っていくわけです。サービス産業ですよ。

 ですから、実際に物をつくるというところはもうそのくらいの人口で済むし、なおかつ、どんどん機械化されたりしていくわけですから、では残りの人たちをどうやって食わせていくのか、どうやって生きていくのかという話は、やはりそれはサービス産業だという話にならざるを得ないんだろう、こういうふうに思います。

 そういった目でいろいろ資料を見ていますと、安倍総理もかなりいいことを言っているんですね。これは、都内で開催された生産性本部主催のパーティーで、今こそサービス生産性革命を起こすときであります、こういう言い方をしています。日本再興戦略にサービス産業の生産性向上を経済成長の切り札の一つと位置づけました、それから、地方創生の鍵も握っていますと。まさにそうなんですよね。

 ですから、ここのところに、まさに大臣にはこういった視点で大いに取り組んでいただきたい、こういうお願いを申し上げます。

 それから、その中でもリゾート産業、これは経産省所管にロングステイ財団というのがありまして、私はそこのささやかな会員の一人なんですけれども、考えてみると経産省の仕事だなと。ロングステイというのは楽しむ側の話、リゾートというのはそれを受けとめる側の話、こういう話で、きょうはそのリゾートの側の話をさせていただきたいと思います。

 特に地域創生という話を考えたときに、地方の最大の比較優位は自然ですよ、環境ですよ。ですから、まさにリゾートをしっかりつくっていくというのは、本当に地方の創生のためには極めて重要だと思っているんです。

 サービス政策課の中にサービス産業室というのがあります。リゾートを対象にしていると思っておりますが、今どんなことで仕事をしていただいているでしょうか。

安藤政府参考人 今御指摘のリゾート産業を含めた観光サービス業の振興ということでございます。

 御案内のとおり、観光全体につきましては観光庁がございますので、私どもは観光庁と連携をしながら仕事をさせていただいているわけでございますけれども、経済産業省といたしましては、リゾートを含めます観光産業の面的な開発をしっかりやっていこうということで、そこに投資を誘導するためのマスタープランの作成、これの予算をいただきまして、これから重点的に、御要望のあるところ、意欲のおありの自治体の皆様方と組ませていただいて、有望地域のリゾート開発の大きなグランドデザインをそれぞれの地域で策定していただこうと思っております。

 また、最近の例でございますけれども、瀬戸内全域を占めます、せとうち観光活性化ファンドというものが地域の皆様方の御努力によって形成をされました。そちらの方に、総額で官民合わせまして九十億円の出資をしております。その中で、私どもが担当させていただいておりますクールジャパン機構からも十億円を出資させていただく、このような形でもって広域のリゾートを含めます瀬戸内の観光開発に御支援を申し上げている、このようなことをさせていただいております。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 経産省はサービス産業室、それから国土交通省は観光産業課、この二つが切磋琢磨してというか、競い合ってというか、縄張り争いをし合ってというか、やっている、こういう話ですが、やはりこれは本当にトータルにやっていっていただかないといけないので、よくそこのコミュニケーションがとれるように大臣もぜひ目配りをしていただきたい、こういうふうに思います。

 ロングステイ財団というのが経産省の所管でありまして、そこがどんな活動をしているかということをちょっとお聞かせいただけますか。

井原大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生も会員ということでお聞きしましたが、ロングステイ財団ということで、ロングステイという言葉がかなり昔から言われていますが、国内では一週間以上、国外では二週間というような定義というふうに捉えております。

 ロングステイ財団は、海外で生活する際の不安を解消するため、地域ごとの過ごし方に関する情報提供等を行うセミナーとかあるいは個別の相談会を開催するなど、ロングステイに関する普及啓蒙活動の実施を通じて、国民生活の向上及び国際交流に寄与することを目的に、一九九二年二月に当時の通産省の認可を受けて設立されたということでございます。

 当初、あの当時、ロングステイというのはリタイア層が海外で老後を豊かに過ごす取り組み、こういうふうに認識されておりましたけれども、昨今の捉え方では、グローバルマインドのある若者層やファミリー層も対象として、比較的長い期間、当初の海外だけではなくて、今では国内も含めて、滞在することを通じて、現地の文化、慣習や芸術等を学ぶなど、自己研さんとしての役割を期待されているというふうにお聞きをいたしております。

 ロングステイ財団からは、先般、三月三十日に策定いたしました明日の日本を支える観光ビジョンで定めた目標を実現するため、先生が先ほどおっしゃっていただいたように、国内のロングステイ市場の拡大に向けて、普及啓発、調査研究などを引き続き行っていくというふうにお伺いしておりまして、今後の活動に期待をいたしているところでございます。

小沢(鋭)委員 ここはすごくおもしろいところですから、ぜひ注目して力を入れていただきたいと思います。

 今、答弁の中で、国内という話がありました。もう時間もないので、時間オーバーだと叱られるのも嫌なので、海外の話はちょっと飛ばしまして、最後の質問に。ただ、海外へも百五十六万人が出ているという話なので、意外と多いな、こう思っているんですが、問題は国内です。

 今や海外も、例えばハワイなんかは物価が高いですし、アジアのマレーシアとかタイが人気があったんですが、その辺も物価が高くなってきているのと、それから、海外に出ていく人たちが、一般の人たちがどんどん出ていきますから、そういった意味では、もともとの所得水準がそんなに高くない人たちも出ていくということで、それだったら、国内が、地方が今かなり安くなっていますから、あるいは空き家なんというのがいっぱいありますから、そういった意味では、国内でやったらいいじゃないの、こういう話になるんです。

 問題は、週単位の料金設定というのがなかなかないという話と、キッチンつきの宿泊施設というのがなかなかないというような話があって、では、今言った空き家を有効に活用しようといったときに、旅館の皆さんたちとどういうふうにバッティングするのかとかがあるんですね。

 大臣の白浜なんてすごくいいところですよ。僕は、この間、ゴルフに行きまして、マンションが二DKで百五十万とか二百万で売っているんですよ。だから、よっぽど帰りに買ってこようかと思ったんですけれども、やはりさすがにそれはかみさんに怒られてやりませんでしたが、例えばそういうところをそういう視点でいけば、すごく伸びると思います。一番伸びているのは北海道のニセコですよね。これはもう最高に今伸びています。

 そういった法的問題点とかを含めて、国内のロングステイ先を充実させていく、これはいかがでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘のように、国内のロングステイ先を活性化させていくというのは重要だと思います。

 ただ、そのためには、白浜でも旅館が大分老朽化しているとか、そういう状況もありますので、やはりそういうところを、例えばクールジャパンファンドを中心に投資するメカニズムをつくっていくとか、あるいは、今、空き家の活用と言われましたが、これは、今、民泊の法律を検討中でありますけれども、こういう枠組みをつくっていくことによってあいている家をしっかりこういうロングステイに使ってもらえるようにする、こういう活動をしっかりと進めてまいりたいと思います。

小沢(鋭)委員 時間のようなので終わりますが、ぜひここは国交省とも一緒になって力を合わせてやってもらいたいし、例えば旅館の皆さんたちに空き家の運営をお願いするとか、相互乗り入れでやっていったらいいんですよ。そうしたら消費者は喜びますから。ぜひそういった形で、私は山梨ですけれども、山梨は八ケ岳というところもあるし、大臣の白浜もあるし、本当にそういったところで、地方創生の柱になるように、ぜひ産業政策として取り組んでいただくことをお願いして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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