衆議院

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第5号 平成29年4月5日(水曜日)

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平成二十九年四月五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 白須賀貴樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      木村 弥生君    工藤 彰三君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      島田 佳和君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    高木 宏壽君

      中川 俊直君    星野 剛士君

      牧島かれん君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    阿部 知子君

      荒井  聰君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    田嶋  要君

      中根 康浩君    福島 伸享君

      中野 洋昌君    畠山 和也君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   文部科学大臣政務官    田野瀬太道君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  土生 栄二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 増子  宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君

   参考人

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長)     山名  元君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     木村 弥生君

  神山 佐市君     田所 嘉徳君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  山際大志郎君     牧島かれん君

  大畠 章宏君     荒井  聰君

  落合 貴之君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     大隈 和英君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  田所 嘉徳君     神山 佐市君

  牧島かれん君     大西 宏幸君

  阿部 知子君     落合 貴之君

  荒井  聰君     大畠 章宏君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     宮路 拓馬君

  大西 宏幸君     山際大志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     尾身 朝子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長山名元君及び東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、内閣官房内閣審議官土生栄二君、内閣府大臣官房審議官増子宏君、経済産業省大臣官房長高橋泰三君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長松尾剛彦君、資源エネルギー庁長官日下部聡君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、環境省大臣官房審議官早水輝好君及び原子力規制庁長官官房緊急事態対策監大村哲臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。星野剛士君。

星野委員 おはようございます。自由民主党の星野剛士でございます。

 本日は、浮島委員長を初め、理事の皆様方また委員の皆さん方に質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。また、大臣には、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所、一Fの事故から約六年が経過をする中、福島の復興再生を一層加速していくため、政府は昨年末、原子力災害からの福島復興の加速のための基本方針を策定いたしました。必要な対策の追加、拡充を行うことといたしました。

 特に一Fの廃炉は、今後、燃料デブリの取り出しという新たな工程に入ります。そして、必要となる資金の増大が見込まれる状況でありまして、対応措置が必要不可欠でございます。

 事故事業者、東京電力による一Fの廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な実施は、福島の復興再生の大前提でございます。福島復興加速化指針に基づきまして、廃炉の実施をより着実なものにしていく必要があります。

 それは、一つには、一Fの廃炉に要する資金について、東京電力グループ全体での総力を挙げた経営改革によりまして捻出をした資金を確実に廃炉に充てられるように確保すること、さらに、長期にわたり、巨額の廃炉資金需要にあらかじめ計画的に対応し、東京電力が事故事業者たる責任を安定的かつ継続的に果たすことができる制度を整えることでございます。

 一Fの廃炉に必要な資金につきましては、東京電力がこれまで二兆円を準備してきておりますけれども、その資金は、主として燃料デブリ取り出しに向けた準備工程に充てられるものでありました。

 今後、燃料デブリ取り出しの工程が始まるという中で、必要となる資金の規模感を示すため、有識者ヒアリング結果をもとに算出をした金額である約六兆円が示されております。合計で八兆円という巨額の資金となります。

 全ての燃料デブリ取り出しを含めた廃止措置終了は三十年から四十年後を目標としておりまして、東京電力は、毎年の収入の中から、年間、平均三千億円の資金を準備することが必要となることが想定をされております。

 本日は主に、賠償費用及び福島第一原発廃炉費用の負担のあり方について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、賠償費用の負担についてお伺いをしたいと思います。

 閣議決定におきまして、賠償費用のうち事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについて、託送料金の仕組みを利用して回収をするという政府の方針が示されております。

 では、事故前には確保されていなかった分の賠償の備えとは具体的にどのようなものを言うのか、まずお伺いをしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 福島原発事故以前におきましては、政府は、安全神話に陥る中で、福島原発事故のような規模の過酷事故が起こり得るという前提に立っておりませず、福島原発事故当時、賠償の備えは、原子力損害賠償法に基づく賠償措置額であります一千二百億円にとどまっていたところでございます。

 事故後に原子力損害賠償支援機構法の法的措置を行ったわけでございますけれども、仮に原子力事業が開始した当初から原賠機構法による備えがありますれば、事故当時の二〇一一年には、相応の備えがあったと見込まれるところでございます。

 こうした制度がなかったことによって発生してしまった賠償への備えの不足分につきまして、託送料金の仕組みを利用いたしまして消費者から公平に回収させていただきたい、このように考えているところでございます。

星野委員 次の質問に移りますけれども、なぜ、電気事業においては、原賠機構法の制定まで賠償に対する備えができていなかったのか。東京電力を初めとした電力各社は事前に準備を怠っていたわけではないのかという疑問は当然生じてきますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。

世耕国務大臣 当然、一般の企業活動であれば、自分のやっている事業で事故が起こったりした場合の備えをしっかりと積み立てておくとか、あるいは保険に入っておくとか、そういう対応ができたんだろうというふうに思います。

 ただ、電力事業は、長く規制料金のもとで実施をされてきたわけであります。当然、規制料金ということは、政府が認可をするという形であります。そして事業者が、いわゆる総括原価方式ということで、それにかかった原価というのを出して、それに適正な利益を掛けて、そして料金を経産大臣が認可するということをずっとやってきたわけであります。

 そういう中で、当時いろいろな考え方が一つあったと思います。事故は当然起こるかもしれないという気持ちは持っていたかもしれないけれども、起こった場合、一体その処置にどれだけのお金がかかるのかというのは、これはなかなか、起こってみて今ようやくいろいろわかってきているわけですが、では当時それが想定できたのかといったら、とてもできなかった。

 では、できないものを、例えば五兆なら五兆積み立てる必要があるからといって、そのことを電気料金に乗せるということが合理的だったかどうかという議論もあって、そういった事故費用を乗せてこなかったということもあります。

 それともう一つ、これは特に政府として反省をしなければいけないのは、やはり安全神話に陥っていた面がある。事故なんか起こらないだろうと思っていた面もある。そういう意味で、当時、たった千二百億円しか実質積み立てていなかったという問題があるわけであります。

 もし、原発を実際に使い始めるときから、今の、二〇一一年につくった原賠機構法のような法律をきちっとやって積み立てておれば今日のようなことはなかったというふうに思うわけでありまして、この賠償の備えの不足が現に生じてしまったということについては、安全神話に陥っていたことも含めて、政府として真摯に反省をしなければいけない面があると思っています。

星野委員 御答弁ありがとうございます。

 託送料金の仕組みを利用して回収を行っていくというふうに聞いておりますけれども、託送料金の仕組みを利用する、その方法で回収を行っていくというその理由ですね、なぜに託送料金の仕組みを利用していくという判断に至ったのか、また、その背景について御答弁を願いたいというふうに思います。

世耕国務大臣 今、いわゆる賠償の負担というものについては、特別負担金という形でまず東京電力が負担をする。あと、やはり原子力というものを国民全体が裨益をしていたということで、一般負担金という形で各電力会社全てが負担をするという形が、電力会社といっても、いわゆる新規参入の電力会社ではなくて、旧電力会社というんでしょうか、既存の電力会社が一般負担金という形でやってまいりました。

 ところが、電力の小売が自由化をされました。今までは小売料金の請求書の中にその負担金が実質含まれているという形でやっていたんですが、いわゆる既存の電力会社からの請求書が行かない人が出てくるわけであります。まだ今それは数%にとどまっているわけでありますけれども、これから我々はやはり電力自由化をしっかり進めていかなきゃいけない、選択肢を広げていかなきゃいけないというときに、いよいよ既存の電力会社から請求書を受け取らない人が例えば三割、四割になってきたときに、では、既存の電力会社に残っている人だけの負担で、残りの人は負担しなくていいのか。負担しない人がかなりふえてくるという形になるわけであります。

 二〇一一年以降のことについては、それはもう原発事故が起こって、そして、その中で自分は原発に起因するエネルギーは使いたくないという選択肢で新しい新電力に契約をして使っている方もいらっしゃるかもしれませんが、その後のことはいいとしても、そこまでのことですね、そこはやはり、今新電力を使っている方であっても、一定程度過去裨益した部分があるんじゃないか。では、それを全ての人から公平に取れる方法として何があるかといったら、税金にするかほかの方法を考えるかという中で、託送料金というのを選んだんです。

 託送料金のいいところは、いわゆる既存の電力会社ごとに配分をされておりますから、例えば沖縄県のような、過去原発を使ったことがないところには請求が行かない。あるいは、同じ既存の電力会社の中でも、例えば、関西電力のように非常に原発依存度の高いところから、北陸電力のように低いところ、ここもめり張りをつけることができるわけでありまして、託送料金が最もベターな方法ではないかということで、我々はそれを選択をさせていただきました。

星野委員 今、大臣からるる御説明をいただきました。託送料金を利用する仕組みを使って公平に回収をしていく、お願いをしていくという方法としてこれが最も適しているという判断に至ったという御説明だというふうに理解をいたしますけれども、そのような仕組みを措置するにしても、消費者の負担が過大にならないようにすべきだというふうに思います。

 これは非常に重要な点だろうというふうに思いますし、さらに、負担水準の透明性が必要ではないのかなというふうに考えておりますけれども、この点についてもあわせてお伺いをしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘いただきました、負担が過大にならないようにすること、それから、負担水準の透明性を高めること、これは極めて重要な点だと認識しております。

 託送料金につきましては、既に、電気事業法に基づきまして、電気料金の託送料金の大臣認可プロセスにおきまして、独立した規制機関である電力・ガス取引監視等委員会による第三者チェックも受けながら厳格な査定プロセスが措置されているところでありまして、今般新たな負担をお願いすることも踏まえまして、これに加えまして、まず、閣議決定した福島復興加速化指針におきまして、回収する金額の上限、これを明確に決めたということでございます。

 上限を総額で二・四兆円と明記をしたという点、それから、消費者庁からも意見を聞くということ、それから、独立した電力・ガス取引監視等委員会による第三者のチェックを受けるということ、それから、毎月消費者の皆様にお届けがされている料金明細票等におきまして、この御負担について明記していくといったことなどによりまして、透明性と適正性を確保する、このようにさせていただいているところでございます。

 加えまして、消費者の負担増につながらないようということで、電力会社の送配電部門の合理化などによりまして、今回の措置によりましても総じて料金値上げにはならない形ということにしたい、このように考えているところでございます。

星野委員 ありがとうございます。

 今、御説明もありました。この点、非常に消費者の皆さん方にしっかりと伝わっていかないといけないということだ、こういうふうに思います。もちろん、総額で二・四兆円ということも明記をされておりますけれども、重要なことは、毎月消費者に届けられる料金明細等において明記をすることによって透明性と適正性を確保する、担保をするということが非常に重要だというふうに思っておりますので、この表記の方法なども、よくあるんですけれども、書いてはあります、探してもらったらわかるみたいな表記には決してならないように、普通に一覧をして理解ができるような表記の仕方に特に留意してもらいたいなというふうに思います。

 何かやっていると、いやいや、書いてありますよ、小さな文字で書いてありますみたいな、どこかの契約書みたいなことにならないように、しっかりと明示をしてもらえるようにそこはしっかりと努力をしてもらいたいなと思いますけれども、そのわかりやすい表記の仕方という点について何かあれば。

村瀬政府参考人 今御指摘いただきました、消費者にとってわかりやすい表記の仕方という大変重要な点だと認識します。

 毎月事業者から届けられる料金明細票、これもそうですし、あと、経済産業省のホームページといったようなところでも、制度の詳細になると中身が非常に長くなってきますので、そういった長文、長い詳細な説明が必要なものについては例えばホームページでしっかり説明をするといったようなことで、さまざまな手法を使って、透明性の確保、それから消費者の理解の促進ということに努めてまいりたい、このように考えます。

星野委員 ぜひその点、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 送配電事業の合理化分の廃炉費用への充当についてお伺いをしたいというふうに思います。

 福島第一原発の廃炉費用の負担について、閣議決定におきましては、東京電力の小売事業や発電事業に加えて、送配電事業の合理化分についても廃炉に要する資金に充てることを可能とするとの政府の方針が示されております。そのため、特例を措置するとのことでもありますけれども、そもそも送配電部門の合理化分は、現在の制度においてはどのように扱われているんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の電気事業法におきましては値下げ届け出ということになっておりまして、送配電事業者は、一定の範囲内で、経営努力による合理化分を値下げ以外に活用することが認められるということで、合理化のインセンティブを与えるような仕組みになっているところでございます。

 託送料金水準の適正性につきましては、ストック管理方式という、いわゆる経営努力による合理化分がストックとして積み上がってきてしまった場合には、それが一定水準を超えるような場合、基準を超えてくるような場合につきましては値下げを命令することができる、こういった仕組みになっているところでございます。

星野委員 そのとおりなんですけれども、今、東京電力のことについてもあわせて聞かせてもらったんですが、東京電力に関しては、今度はこれまでとは違った形になってまいりますよね。そこの内容についてお伺いもさせていただきたいというふうに思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今回の措置によりまして東京電力の合理化努力を引き出すということで、東京電力がグループの総力を挙げた合理化を行うという中で、発災当時、事故を起こした当時、東京電力は発送電分離をしておりませず、一貫体制のもとで事故を起こしております。このような中で、送電事業部門についても、他の部門と同様に、徹底的な合理化をやっていただく必要がある。その中で、グループを挙げた合理化努力の中でこの資金を捻出してもらうということが必要だということで措置を講ずることになってございます。

 今回の送配電部門の合理化分を廃炉に充てるという措置につきましては、この事故が世界にも前例のない困難な事業であるということを踏まえまして、東電に対して改革のインセンティブを付与するといった観点で措置をするということでございまして、先ほど申し上げた制度の合理化分のうち、廃炉費用に充てる分につきましては、託送料金の値下げ命令の対象にしないといったようなことで措置をさせていただきたい。

 この制度によりまして東京電力グループ全体の総力を挙げた合理化努力を引き出すということで、国民負担の増加を極力抑制していく、こういったことを目指したい、このように考えているところでございます。

 もちろん、国といたしましては、託送料金が高どまりするといったようなことがあってはならないということで、東京電力に対しては、この福島事故関連の資金を捻出するのみにとどまらず、それを上回る消費者還元、具体的には、料金値下げにもつながるような、原資を生み出すような最大限の合理化を求めていきたい、このように考えております。

星野委員 この点については、一般に非常にわかりにくくなっております。非常にテクニカルな部分が多くなってきております。その中でも東京電力には、事故を起こした当事者、事業者としての非常に高い目標設定が課されているわけです。

 そこで一番重要になってくるのは、インセンティブがしっかりと働くことは維持をしつつも、その合理化分が政府からの命令によって値段が下がってしまう、廃炉分にはなかなか行きにくいみたいなことになったら、これはもう本末転倒なんだろうと思いますから、東京電力は大変だと思いますよ。ただ、それだけの責任をしっかりと自覚をしていただいて、この高い目標というか、与えられた使命だと僕は思っていますけれども、それをしっかりと東京電力にはクリアをしてもらえる、そうした形に私自身はなっていると理解をしておりますけれども、今後、関係者や国民の皆さんにも、こういう方式もとっていると。

 ただ、ここはちょっと注意してもらいたいんですが、非常にぱっと見ただけではわかりにくいです。ほかの電力会社とは違うとか、こういうことになりますから、あえて今重ねて聞かせてもらったんですけれども、この上乗せ分を払うのは消費者ですから、利用者ですから、にもしっかりとわかる形で、図表なんかも使いながら丁寧にそこは説明をしていただきたいなというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そして次の質問ですが、この合理化分については本来消費者に還元すべきとの指摘が一部でなされております。本措置は消費者の利益を損なうことになるのか、この点についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 合理化のためのインセンティブを促す措置ということでございますので、この措置がなかりせば合理化がなされなかったものを、この措置を講ずることによって、最大限の合理化によって新たな資金を生み出すということを考えた措置でございますので、これによって新たな廃炉費用に充てるための資金を生み出すということで、追加的な負担にならない、こういう措置だというふうに考えております。

 この措置によって東京電力グループの総力を挙げた改革努力を引き出しまして、負担の増にならない形での廃炉費用の捻出を行ってまいりたい、このように考えております。

星野委員 それでは、よく言われることですけれども、原子力発電のコストについてもあわせてお伺いをさせてもらいたいなというふうに思っております。昨年末に示されました福島事故に対する負担を含めて原子力発電所は経済的と言えるのか、最後に確認をさせていただきたいというふうに思っております。

 このことも常にさまざまな場面で議論になってまいりますけれども、いずれにしても、原子力発電所で起きた事故に対して今総力を挙げてこの廃炉に取り組んでいかなければいけない。それを政府としてもバックアップをし、また、消費者の皆さんにも負担もしてもらわなければいけないという中核の部分でありますので、改めて、今の現状、考え方、これについてお答えをいただきたいというふうに思います。

村瀬政府参考人 福島事故も含めまして、なお原子力発電所は経済的と言えるのかという点だと思います。

 一昨年に行いました直近のコスト検証におきましては、二〇一一年のコスト検証の基本的な考え方を踏襲いたしまして、先ほどの賠償ですとか除染といったような事故リスク対応費用も含め、それから、追加的な安全対策費用、これも含めまして、その他、核燃料サイクル費用、立地対策や研究開発といった政策費用も含めまして、これを全て含んだ形で試算を行いまして、原子力の発電コストとしてキロワットアワー当たり十・一円以上という結論を得ておりまして、この際、感度分析ということで、仮にさらに費用がふえた場合の発電コストへの影響ということも算出できるようにしているところでございますけれども、これに基づきますと、仮に福島事故関連費用が一兆円増加した場合には、事故リスク対応費用のための発電コストはキロワットアワー当たり〇・〇一円から〇・〇三円増加するということになっておりまして、この試算に基づきますと、仮に十兆円この費用が増加した場合でも、原子力発電のコストはキロワットアワー当たり十・二円から十・四円ということになりまして、この賠償費用等を勘案したといたしましても、他の電源と比較しても、なお低廉な電源というように認識をしているところでございます。

星野委員 ありがとうございます。

 私も前の経産大臣政務官を務めさせていただきました。もう本当に数えられないぐらい、あの地に足を運ばせていただきました。そして、この前の予算委員会でも少しお話をさせていただいたんですけれども、福島県の田村市の都路の商工会長さん、渡辺さんが、新たにトレーラーハウスで、都路の名物である、卵を使ったスイーツを販売してくれています。オープンした後にも、私、もう一度その場に足を運ばせていただきました。

 そこに高校を卒業したばかりの若い女性がたくさん生き生きと働いておりました。その理由を尋ねたところ、いいことを聞いてくれました。こうした若い女性がこの場でこの仕事についてくれていたら、それにつられて若い男性もこの町に残ってくれるでしょう。そのうちの何名かは結婚して家庭を築いてくれる。そしてそこにまた子供が生まれる。復興というのは、口で言うのはたやすいけれども、非常に息の長い、二十年、三十年後どういう町をつくっていくのかということを見据えたものであるべきだと思ってこういうふうにしています。こういうことを言ってもらいました。私は涙が出るぐらいうれしかった。

 大変な状況の中でも、二十年後、三十年後を見据えて復興に取り組んでいる方々がいっぱいいらっしゃるということを、ぜひ政府も、そして東京電力も、また、一人一人の消費者の皆さんにも御理解いただいた上で力強く進めていっていただきたいと心から期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 東日本大震災、そして福島第一の原発事故から六年でございますけれども、本年四月一日をもちまして、避難指示区域の約七割、二市四町三村での避難指示が解除されました。さらなる福島の復興に向けて、福島第一原発の廃炉・汚染水対策に必要な費用を安定的に確保していく、これは極めて重要でございまして、そのための本法案の改正であるというふうに考えております。

 他方で、事故に対する対応の費用、全体といたしましては、当初の十一兆ということで考えておられたのが今は二十一・五兆ということでございまして、この費用というのが、例えばさらに膨らんでいかないのかであるとか、あるいは、こういう国民負担の観点からはどうなっていくのかであるとか、この法案審議を通じてこうした観点を国民の皆様にわかりやすく示していくことが大事だと思いますし、また、納得がいくように説明をしていくことがやはり国には求められているのではないかというふうに思います。

 こうした視点から質問させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、福島第一原発の廃炉費用についてお伺いをいたします。

 この廃炉の費用については、今回、事故対応の費用という中では一番金額としては伸びているものだというふうに思っておりまして、もともと二兆円ということで準備をしておられたものが今は八兆円ということでございまして、二兆から八兆ということで、四倍ということでございます。

 他方で、その廃炉に向けた、最終的にどういう工程でやっていくのかということについてはいまだ確定をしていないということでございますので、なかなか現段階において正確な積算を出すのも確かに難しい。これは現状でもございます。ただ、大きな費用がかかるんだろうということは国民の皆さんも漠然とは考えておられるんだとは思うんですけれども。

 ただ、素朴な、よく受ける質問としては、今回二兆から八兆ということになっているけれども、本当に八兆円で済むんですか、こういう御指摘も素朴な疑問として非常によく受けるわけでございまして、こうした試算の考え方についてしっかりと示す必要があると思いますし、また、今後さらにふえていくおそれがあるんじゃないか、こういう声も非常に多いわけでございます。

 こうした点についてどういうふうに答えをしていくのか、答弁をまずは求めたいというふうに思います。

世耕国務大臣 まず、ちょっと包括的にお話をさせていただきたいと思います。

 確かに、二兆円が八兆円にというのはちょっと驚くような数字なんですが、別にこれは、二兆円で終わると思っていたものがふえて八兆円になったわけではないんです。もともと、見積もれるもの、事故発災直後は一兆円ぐらい。建屋の解体費とか、具体的に見積もれるものが一兆円。さらにその後、例えば汚染水対策とかいろいろなものが出てきて、さらに一兆円。残りの部分は、例えばデブリの取り出しとか、幾らかかるかわからないという状況でありました。はっきり言って、今もわからない。わからないというか、合理的にボトムアップで、こういう経費がかかって、これぐらいの人件費がかかるから幾らだという計算は、残念ながら今の段階でもできないわけです。

 ただ、では、そのままほっておいてもいいのか。そのやり方もありますよ。毎年わかった工程の分だけお金を積み上げていくというやり方もありますけれども、だけれどもやはり、東京電力にどれぐらいの改革をさせなきゃいけないのか、毎年どれぐらいの利益を捻出させなきゃいけないのかとか、あるいは、それを託送料金にどれぐらい、託送料金ではありませんけれども、ほか、トータルとしてどれぐらいかかるのかというのがわからないと東電改革の議論ができないわけでありますので、この際、有識者にお願いをして、特にスリーマイルアイランドのケースをベースにしながら、その五、六十倍程度はかかるだろう。特にデブリの落ち方とかがこちらの方がより深刻でありますから、五、六十倍かかるという、それでかなり保守的ですよということで、六兆円追加で見積もって八兆円という計算にさせていただいています。

 基本的には上振れすることは想定していない数字、だけれども、スリーマイルと違うじゃないかと言われていますが、五、六十倍を見ていますし、スリーマイルの当時はロボットの技術とかセンサーの技術は今とは全然比べ物にならない。今は物すごく進歩をしているわけでありますから、逆にコストダウンできる面もあるというふうに思っておりまして、八兆円というのが、上振れする蓋然性のない、妥当な、今見積もれる数字ではないかというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 そうした点について我々もやはり説明責任を持って説明をしていかないといけないというふうに思いますし、こうした費用の負担の問題、これをどこが負担をしていくのかということも、事故後、それは前政権のときも含めてさまざまな議論がございました。東電が負担をする、こういう今の仕組みにそうしていろいろな議論を受けてなっているわけでございますけれども、廃炉の費用は東電であり、賠償については、東電、そうしてまた原子力事業者、その他の人たちも負担をしていく、除染に対しては東電の株式の売却益を充てていこう、こういうさまざまな負担の仕組みというのが出てきたわけでございます。

 今回、今の御説明で、少なくとも、非常に蓋然性が高い廃炉の費用としてやはり八兆円、保守的に見積もってかかるんじゃないか、こういうことで、東電が今まで準備をしてくるはずであったものよりも、さらに今回、では六兆円をどのように企業努力で賄っていくのか、果たしてそれが可能なのか、こういうことも非常によく受ける質問であるというふうに思います。

 一Fのこの廃炉の費用を東電の企業努力で賄う方針ということでございますけれども、具体的にどのような経営改革をするのか。これについても答弁いただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました廃炉の費用でございます。八兆円ということでございますけれども、廃炉の事業は三十年から四十年かけて実施していくということでございまして、東電委員会でも、こういったボリュームでの資金費用が必要になってくるという中でどういう対応が必要かという御議論をいただきました。

 三十年から四十年ということでございますので、廃炉については、八兆円を三十年から四十年で割って、年間、平均すれば保守的に見て三千億円、〇・三兆円の資金が必要とされるだろう。この資金をどう捻出するかということで昨年から精力的に東電委員会で御議論いただきまして、昨年末に、三段階のステップでの改革を示した東電改革の提言をいただいているところでございます。

 その中では、まず第一段階として、現在、年間〇・四兆円の収益水準を、送配電のコスト改革を初めとするさらなるコスト改革によってこれを年間〇・五兆円にしていくというようなことで、廃炉や賠償に係る資金の確保を着実に行っていくことが期待されるということでございまして、具体的には、仮に東京電力の送配電原価を欧米トップ並みにいたしますれば、さらに年間一千五百億円、〇・一五兆円の効果があるという中で最大限の努力を第一段階として求めていく。

 その上で、この対応をさらに確実にするということで、再稼働につきましても、地元の信頼回復を含め、しっかりとこれに取り組んでいくという方針が示されております。

 さらに第三段階として、企業価値を向上させていくということで、先行的に発電部門から始まっている統合再編の動きを送配電事業や原子力といったような分野にも広げて、他の電力会社との間で共通する課題を解決するために、共同事業体の創設も含めまして、さらに再編統合を進めるという方向性が示されているところでございます。

 現在、この提言を踏まえまして、東京電力が、経営計画となります新・総合特別事業計画の改定プロセスにおきましてその対応の具体化を進めているというところでございます。

 国といたしましても、福島への責任を果たすために、この改革を断行していただきたいと考えております。

 水準でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、年間、既に実力収益ベースで四千億円の収益水準がある中で、先ほどの廃炉、年間三千億円というものは、さらなる改革の中で捻出、資金確保することは十分可能と考えているところであり、これを可能たらしめる改革をしっかり実現していただきたい、このように考えているところでございます。

中野委員 確かに、八兆とか六兆とかいう数字が出ると、本当に準備できるのか、こういう感覚もあるわけでございますけれども、三、四十年かけてやっていく、また、東電の事業規模の大きさとして今四千億程度既に利益があって、これをさらに改革していくという中で十分に捻出は可能だという御説明であるというふうに思います。

 そういう意味では、こうした東京電力の企業努力でしっかりとそこは吸収をしていくんだ、こういうことであるというふうに思うんですけれども、やはり消費者の不安としては、これが最終的に電力料金にはね返ってくるんじゃないか、そうして国民の負担がふえていくんじゃないか、消費者の不安としてはこういうものがあるというふうに思います。

 この福島第一原発の廃炉費用に関しては、もちろん、料金といいましても、今自由化で、電気料金、小売の料金そのものは競争環境にあるということでございますので、これが単純に仮に上がったとしても、では、それは競争しているんだからほかの電力に乗りかえればいいじゃないか、こういう議論もひょっとしたらあるのかもしれないんですけれども、こうした小売の電力料金が上がらないのか。

 あるいは、託送料金の部分もございまして、これは認可の料金でございますので、こうした廃炉の費用に関しては託送料金の値上げは行わない、こういうことでいいのか。これも含めてしっかり値上げにならないということなのか。こうした点について御説明をいただければというふうに思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 廃炉につきましては、今回の措置におきまして福島第一原発の廃炉費用につきましては、先ほど申し上げましたとおり、東京電力のグループを挙げた、総力を挙げた改革努力により捻出するという方針で臨むということになってございますので、消費者に直接負担を求める料金値上げで対応するものではない、このように考えております。発電、小売事業のみならず、送配電事業も含めた全体の合理化努力を引き出していって、託送料金の値上げとならない形で必要な資金を確保するということで臨んでいきたいと思っております。

 小売料金につきましては、もうこれは御指摘いただいたとおり、競争市場に移行していっておりますので、小売料金となりますと、この料金の中には、託送料金のみならず、燃料調達、この燃料調達価格というのは国際市場で上下いたします。それから発電費、これも資材価格で変動いたします。小売事業を実施するための運営費、これも人件費等で変動いたします。こういった費用も含まれておりますので、さまざまな要因によりその額が変動することになりますけれども、少なくとも、託送料金の値上げは起こらないため、これを原因とした値上げということはないというふうに考えております。

 さらに、現在、電力システム改革を進めておりまして、昨年から全面自由化ということになっておりますし、さらに、この競争を促進するための措置について今検討を行っているところでございますので、電力システム改革の中で競争を促進いたしまして、小売料金についても最大限これを抑制していくということで取り組んでいきたい、このように考えております。

中野委員 電力料金に具体的にはね返らない、上がらない、こういうことで、また、競争を促進してさらに料金を抑制していく、こういう御答弁であったかと思います。これをしっかりとその方針で進めていくことが大事だというふうに思います。

 除染の費用についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 除染の費用、東電の株式売却益ということになっております。現在予定されている費用が約四兆円ということでございまして、これを今の保有比率で計算をすると、約七兆円、七・五兆円まで引き上げる必要があるというふうに承知をしておりますが、現在の東電の株式の時価総額、最新の数字ではないかもしれないですが、約七千億ということで聞いておりまして、これはかなり株価を上げていかないといけないということなんだろうと思います。

 東電改革、先ほど、政府の方からも説明をしていただきました。三段階の改革をしていく、こういうことであります。確かに、託送の料金の合理化でありますとか、ある程度計画的に進めていけそうだな、こういうような中身から、しかし、柏崎刈羽原発の再稼働、こうなってまいりますと、やはり地元との同意がどうなのか、さまざま不透明な部分も出てくる。あるいは、第三段階、こうしたところになってくると、新分野へ進出をしていかれるですとか、かなり中長期的なこうしたものも非常に多い。中長期的ということは、すなわち、実際どうなるかどうか、現段階ではなかなか正直不透明なところも多いんじゃないか、こういうふうに感じるところもございます。

 果たしてこの七・五兆円まで株価を上げていくというのが本当にできるのか、こういうところが非常に今後の大きな課題であるというふうに思います。

 もちろん、この中長期的な取り組みということでございます、腰を据えて非常にこれは長い時間軸で考えていくんだ、こういう説明もいただいておるわけでございますけれども、これをどのように実現をしていくのか。かなり国としても非常に大きな覚悟を持ってやはり改革を進めていかないとこれは到達をしないんじゃないか、このように思いますけれども、どのように実現をされていくのか。ぜひ、御決意も含めて大臣の御答弁をいただければと思います。

世耕国務大臣 時価総額を十倍ぐらいに上げなきゃいけないというのは、これはもうかなり野心的な目標だということは、これは認めざるを得ないというふうに思います。

 ただこれは、今言っていただいたように、非常に長い時間軸で取り組んでいく。売却をするのは二〇三〇年代の前半ぐらいということになっておりますから、そこまで頑張って企業価値を上げていく、その努力をやってもらうということだと思います。

 もともと、今東京電力が七千億円の時価総額ですが、十年前ぐらいに時価総額がピークを迎えています。そのときは五・六兆円でありました。また、ほかの企業の例でも、経営改革によって時価総額を大きな企業で十倍にしたような例もあります。五倍、六倍は当たり前のようにあります。

 だから、もともと五兆円規模の時価総額だった東京電力であるということ、そして、過去、経営改革で十倍、これは本当に大きな改革だったと思いますけれども、時価総額を十倍にふやした例もあるということを考えたら、あながち、全く実現できない目標ではないんだろうというふうに思っております。

 これからも東京電力、今度新しい経営陣を迎えるわけであります。大畠委員のいらっしゃった会社を、リーマン・ショック後の七千億円の赤字から二年で五千億円の黒字に戻した経営者の方も今度参画されるということでありますから、そういう新体制のもとで抜本的な改革をやって、長い時間で時価総額を上げていくことが重要だと考えております。

中野委員 中長期的な取り組みであることはやはり認めざるを得ないんだろうというふうには思います。そういう意味では、一貫した政府の姿勢、改革をやはり進めていくということが非常に大事であるというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 賠償の費用の関係でもお伺いをしたいというふうに思います。

 この賠償費用、先ほども議論があったかというふうに思いますけれども、これについては、東電だけではなくて、そのほかの原子力事業者に関しても、お互いにこれは負担をするということでやるというこういう仕組みになっておりますけれども、今回賠償について追加で負担をするものについては、過去に賠償の準備として積み立てておくべき費用だったという理屈で託送料金の中から取るというふうな形になっておりまして、これが非常にわかりにくいというふうに思います。

 なぜ、過去に積み立てておくべきだったというものを取るのか、そして、それをなぜ託送料金に乗せていくのか、そして、それが原子力の事業者ではなくて、新電力も含めて全ての需要家からそれをなぜ取っていくのか、こうした点について明確に答えていく必要があるというふうに思います。

 この回収をしていく、幾つか御質問しましたけれども、こうした理由について答弁をいただければというふうに思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁いただいたものと重なるところもございますけれども、通常の企業活動であれば、事業者が自由に費用を見積もって料金を設定できるということでありますから、過去に見積もっていなかった費用を顧客から再度ということにはなかなか想定しづらいところでございます。

 他方で、電気事業におきましては、料金が、政府の規制のもと、託送原価制度のもとに置かれていたという特殊な事情がございます。通常の事業と異なりまして、規制料金のもとでは、政府は料金算定の時点で合理的に見積もられた費用しか原価に算定することが許されないという制度になってございました。

 こうした中で福島事故が起きまして、このような過酷事故が起こり得るという前提に立っていない中でこの事故が発災してしまったということで、事故当時に、賠償に係る備えは、原子力賠償法に基づく賠償措置額であります一千二百億円があるだけだったということでございます。

 仮にこれが事業が開始した当初から措置されていれば相応の備えがあったと見込まれるということで、このような不足が生じてしまったことについては真摯に反省をした上で、いかにこれを公平に回収していくかということを考えた結果、公平に回収をするということで適した手法として託送を活用するということで、先ほど大臣から御答弁いただいたような考え方に沿って、託送制度によって公平回収措置を講じていくということにさせていただいた次第でございます。

中野委員 ここについては先ほどもかなり議論がありますし、公平性というところが説明していただきましたけれども、そうした説明をするにしても、しかし、これも先ほど議論もございましたけれども、これを消費者の皆様にとってわかりやすく示していくということが非常に大事であろうというふうに思います。

 現在でも、バックエンド処理に必要な費用あるいは電源開発促進税、託送料金に乗っているものがございまして、これは請求書を見れば、自分が幾ら負担をしているのかということはわかるわけでございます。

 今回の事故対策の費用についての見える化、これをしっかりと図ることが非常に大事だと思いますので、これについてどのようにされていくのか、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

世耕国務大臣 託送料金については、広く消費者の皆さんに御負担いただくことになるわけですから、その内訳をしっかり透明にしていくということは、非常に御指摘のように重要だというふうに考えております。

 ただ、料金明細書というのはどうしてもスペースに限りがあって、今でももうかなり複雑で、小さいことを書いて、私だって読んだってよくわからないような状況になっていますけれども、そこへさらに加えるわけですから、相当工夫をしていかなければいけないんだろう。それこそホームページとかアプリなんかもうまく組み合わせて、なぜいただかなきゃいけないのかということも含めてやっていかなければいけないと思いますし、そもそも、それが一応内訳としては入っているんだけれども、負担増にはつながっていない、結果としてということもよく説明はしていかなきゃいけないと思っています。

 さらに、過去分といっても、それこそ今回の事故はほとんど備えていなかったわけですから、全体が過去分といえば過去分なんですけれども、そこを、皆さんからいただく過去分というのをしっかりこれは閣議決定をして、上限を二・四兆円という形で決めさせていただいております。

 そして託送料金に乗せる場合は、消費者庁からの意見も聞いて、独立した専門委員によって構成される電力・ガス取引監視委員会等による第三者のチェックをしっかりと受けて、そして、その結果、明細票に載せていくということが重要だと思っております。

 本当に今回の件はわかりにくいです。私だって、自分の言葉でしゃべれるようになるまでは相当勉強しなければいけなかったわけでありますけれども、消費者の皆さんに対しては、粘り強く、かなり何度も何度も繰り返して説明をやっていくということが非常に重要だというふうに思っております。

中野委員 こうした費用について、電力料金というのは、いわばライフラインということで、好むと好まざるとにかかわらず、やはり皆さん負担を支払っていく、享受していくサービスだというふうに思いまして、そこの料金ということで非常に大事だというふうに思います。

 この見える化というところ、大臣からもさまざまの御答弁をいただきましたけれども、どのようにわかりやすい形でやっていくのかということにつきまして、しっかりと検討をしていただければというふうに思います。

 この賠償費用の一部につきましては、東電が負担をするという部分もございますし、こうした託送料金ということで、ある意味、全国の需要家、こうした方々に負担をしていただくという部分もあるというふうに考えておりまして、これは、原賠機構の中でこうした賠償の費用ということでやっていくわけでございますけれども、他方で、今回新しくやっていくこの積立金の制度というのは、福島第一原発の廃炉の費用ということで用いられる費用であるというふうにございます。

 同じ組織の中で勘定は別ではあるかというふうには思いますけれども、この福島第一原発の廃炉をどう処理していくかという費用と、それに、事故によって起きた賠償をどのように支払っていくかというのは、確かに事故対応という意味では一緒といえば一緒なんですけれども、しかし、そもそもの成り立ち、考え方がやはり違うわけでございまして、賠償についてはそれぞれの事業者が負担をするということで、ある意味、全国の消費者の方にもそれは負担になるということでございますけれども、廃炉の費用については東電が負担をするということでございますので、こうした賠償の資金と廃炉の資金というのは明確に立て分けられて、それぞれが行き来をするようなことがないような形でしっかりと管理をされていく。こういう形で間違いないのかということについても確認をしたいというふうに思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正は、事故事業者がみずからの負担によって廃炉を安全かつ着実に実施できるように、事故事業者である東京電力が経営改革によって捻出した資金を確実に廃炉に充てられるよう確保すること等を目的として実施するものでございます。

 したがいまして、御指摘のとおり、原賠・廃炉機構の運営に当たりましては、積立金に関する業務と賠償に関する業務を含むその他の業務に係る資金が、それぞれ別に管理される必要があると考えております。

 このような考え方に立ちまして、本法案の中におきましても、第五十八条の二におきまして、「区分経理」ということで、「機構は、廃炉等積立金に係る経理を、主務省令で定めるところにより、一般の経理と区分し、廃炉等積立金に係る勘定を設けて整理しなければならない。」ということで、積立金についての特別な勘定を設ける旨を規定しておりまして、賠償に関する業務を含むその他の業務に係る資金とは明確に区分されることになる、このように考えております。

中野委員 ありがとうございます。この資金管理というのも非常にまた大事な業務になってまいりますので、適切な管理をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、廃炉作業そのものにつきましてもお伺いをしたいというふうに思います。

 私も復興の特別委員会にも所属をさせていただいておりまして、議員にならせていただいてから、この福島第一原発も何回も行かせていただいております。

 この廃炉・汚染水対策というものが、発災直後の、本当にどうなるのか、こういった状況から、かなりコントロールをされた。そうして作業の環境としても非常に安定をしてきて、そういう防護服みたいなものを着て入っていたものが、今はスーツでバスに乗って第一原発まで視察に入れた。また、作業員の労務環境も、改善で中にコンビニもできてということで、非常に進んでいる。

 こういう感覚は私自身は持っているわけでございますけれども、やはりなかなか国民の皆様の感覚からいくと、いつまでたっても何も進んでいないんじゃないか、こういうふうな感覚を持たれている方も正直多いんじゃないかなというふうに思います。

 やはり、現場でこの作業というものがしっかり進んでいく、また、こういう展望で今後進んでいくんだということを国としてしっかり見せていくことも大事だというふうに思いますし、また、この廃炉についてこれから具体的な工法等も決まってくるかとは思いますけれども、国内外の英知を結集してやっていかないといけない、こういう事業であるというふうに思います。

 この廃炉についての今後の展望、また、大臣の御決意も含めて最後にお伺いをしたいというふうに思います。

世耕国務大臣 今御指摘のように、私もあの一Fの視察に行きましたら、自分のイメージとは全然違った。今はもう九割ぐらいの場所で、防護服を着ないで作業ができるようになっている。こういったことをできればテレビなんかで報道してもらって、国民と共有できればというふうに思っております。

 汚染水対策についても、凍土壁がかなり効果を上げてきております。

 また、廃炉については、これはなかなか難しい作業でありますけれども、年明け以降、二号機、一号機とロボットが入って、中の状況をいろいろと徐々に確認ができ始めている。特に、線量ですとか温度のデータがとれたのは大きかったと思います。また、近く三号機にもロボットが入る予定であります。

 そういった結果を踏まえて、ことしの夏ごろには号機ごとの燃料デブリの取り出し方針を決定するということになっております。着実に前には進んでいるというふうに思っております。

 今後もいろいろな予想できないような事態が起こるというふうに思いますが、世界の英知と日本の技術力を結集して、福島の皆さんの復興、安心につなげるためにもこの廃炉はしっかりと行っていきたいと思いますし、そして、そこで蓄積した技術を今後日本の逆に強みにしていくということも重要だというふうに考えています。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民進党の福島伸享でございます。

 きょうは、野党のトップを切らせていただきまして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案の質疑に立たせていただきます。

 きょうは春休み最後の日ということであって、息子も傍聴に来ているので張り切っていきたいところでございますけれども、その前に、息子もおかしいと言っている森友の問題をちょっと聞かせていただきます。

 これは何で聞くかというと、私もかつて経済産業省にいた者として、非常に問題だと思うことがあるからです。それは、安倍昭恵総理夫人付の職員についてであります。

 これはまず内閣官房に聞きたいんですけれども、これは誰の判断で、なぜ安倍昭恵夫人に二名もの経済産業省職員の出向を求めたんですか。これは経済産業省とピンポイントなのか、ほかも含めて公募した上でのことなのか、どういう意図なのか、ぜひ教えてください。

土生政府参考人 御説明させていただきます。

 安倍内閣におきましては、地球儀俯瞰外交を推し進め、経済最優先を旨とする、こういった方針のもとで、総理夫人による総理の公務遂行の補助に係る活動が国内外を問わず飛躍的に増大するとの認識のもと、体制を強化したという経過でございます。

 内閣官房として判断をいたしまして、その職務内容といたしましては、総理夫人による公務遂行を補助するための活動につきまして、常時、夫人との連絡調整、あるいは次期出張等に向けての日程、活動内容の調整等、こういった職務を行っていただく職員といたしまして、常時の人員二名が必要と判断したものでございます。

 この二名の職員につきましては、外交案件が飛躍的に増大している中で、経済分野での交流等へのサポートが重要と考えられたものでございますので、経済産業省にお願いをしたということでございます。

 あわせまして、外務省につきましては、非常駐の職員につきまして、一名から三名への増加をお願いしたという経過でございまして、内閣官房として判断をしてお願いしたということでございます。

福島委員 内閣官房の誰ですか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 個別の人事の経過につきましては答弁を差し控えさせていただきますけれども、内閣官房として判断をしまして、経済産業省及び外務省にお願いをしたという経過でございます。

福島委員 いや、それはおかしいですよ。個別の名前じゃなくて、職に応じて権能があるわけですよ。

 人事権があって、求めたのはどなたですか。官房副長官ですか、総理の首席秘書官ですか、内閣総務官ですか。どなたですか。

土生政府参考人 制度といたしましては、任命権者は官房長官でございますけれども、内閣官房全体として判断をしたということでございまして、繰り返しになって恐縮でございますけれども、誰が具体的にということにつきましては、個別の人事に関するプロセスでございますので、答弁は差し控えさせていただきます。

福島委員 私も役所にいましたけれども、人事が全体でやるなんてあり得ないですよ、大体。課長以下であったら秘書課長とか、局長以上だったら官房長と決まっているんですよ。そんなわけのわからない答弁をやらないでください。

 経産省側はなぜ内閣官房からの出向要請に応じたんですか。今井秘書官から電話がかかってきたからだとは思わないんですけれども、どういう仕事をすると認識して、どのような人を出そうと思ってお受けになったのか、お答えください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 内閣官房からの要請を踏まえながら、経済産業省としての所要の決裁を経て内閣官房に出向させたものでございます。

 内閣官房からは、地球儀俯瞰外交を推し進め、経済最優先を旨とする安倍内閣において、外交案件が飛躍的に増大している中で、経済分野での交流やこれを行うための必要な情報収集等へのサポートが重要との考え方のもと、経済分野に明るい経済産業省に職員の派遣が要請されたものと承知しております。

福島委員 森友学園の幼稚園に行くような仕事は当然想定されて送られたわけですか。どうですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 内閣官房からは、地球儀俯瞰外交を推し進め、経済最優先を旨とする安倍内閣において、外交案件が飛躍的に増大している中で、経済分野での交流やこれを行うための必要な情報収集等へのサポートが重要という考え方のもとに派遣をさせていただいたものでございます。

 総理の公務の遂行を補助する立場の総理夫人をサポートする業務ということで説明があったと承知しております。

福島委員 読み上げないで答えてほしいんですけれども、森友学園に行くのは、その地球儀を俯瞰する外交と関係あるんですか。経済の何かのサポートになるんですか。

 そもそも、安倍昭恵さんが森友学園に行くのは公務じゃないですよね。そういう仕事をやるということをそもそも想定して経済産業省は送ったんですか。いや、内閣官房に聞いていない。そういうこともやると言われて送っていたのか、そういうことを想定しないで送ったのか、どちらですか、官房長。

高橋政府参考人 内閣官房出向期間中の総理夫人付の職務の内容につきましては、総理の公務を、遂行する補助をする立場の総理夫人をサポートする業務であるというふうに承知をしておりまして、実際の業務内容については内閣官房にお尋ねいただけたらと考えております。

福島委員 この方は、経済産業省と内閣官房の併任ですか、それとも内閣官房にそのまま出向したんですか。どちらですか。

高橋政府参考人 御指摘の職員でございますけれども、内閣官房への出向に当たりましては、本務が経済産業省で、内閣官房の併任発令によりまして、常勤職員として内閣官房に配属されていたところでございます。

福島委員 だとするならば、ちゃんとその職員を管理しなければならないじゃないですか。本務が経済産業省で、併任で出ていったんでしょう。

 例えば、きのうの質問主意書の閣議決定で、この方が森友学園の籠池理事長にファクスを送ったのは職務外だというふうにおっしゃいました。しかし、このファクスの時間を見ると、勤務時間内にファクスを送っているんですね。だとすれば、これは勤務時間内に私的なファクスを送った。

 私は役所にいたとき余り素行のいい方ではありませんでしたけれども、そんなことは一回もやったことないし、やっちゃいけないということぐらいわかっていましたよ。職務専念義務違反になっちゃうんじゃないんですか。そこをちゃんと問わなきゃならないんじゃないんですか。どうですか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の職員でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、総理夫人による公務の遂行の補助活動を支援する、こういった職務命令を受けていたということでございます。

 御指摘のファクスにつきましては、そういった意味から申し上げますと職務以外の行為ということでございますけれども、職務の中で知り合った方からの照会に対しまして、公務に携わる者として丁寧に対応したということでございますので、御指摘のように、職務専念義務違反ということについては問題がないものと考えておりますし、また、ファクスの使用につきましても、一定の社会常識の範囲内であれば私どもとしては問題ないものと考えております。

福島委員 本当ですか。びっくりぽんですね。ここにも役人出身者はいると思いますけれども、多分私的なファクスを勤務時間内に送っている人はいないと思いますよ。あり得ないですよ、そんなの。職務外のファクスを職場のファクスから送るなんて、日下部さんもおっという顔をしていますけれども、絶対ないですよね。部下がそんなことをやったら怒られますよ。今、新入省員が入る季節ですけれども、入ってきた人たちが職務じゃないファクスを職場のファクスから送るように、絶対そんなの教育しないはずですよ。

 さらに、このファクスの中では、工事費の立てかえ払いについて、平成二十七年度予算での措置ができなかったため、平成二十八年度の予算措置を行う方向で調整中と回答しているんですよ。

 僕ら野党議員にとって、こういう情報というのは喉から欲しいんですけれども、絶対教えてくれないんですよ。来年度予算に措置されるか、されないか、どうですかと言っても、閣議決定するまでは言えませんと、絶対教えてくれないですよ。

 これはまさに国家公務員法百条一項の守秘義務に違反しているんじゃないですか。業務上じゃないと知り得ないんですよ、こういう情報は。私的な行為では絶対知り得ないんですよ。これも国家公務員法に違反すると思いませんか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のファクスの内容でございますけれども、その点につきましては、財務省から、一般的な照会があれば答える内容であるという答弁をされているところでございますので、私どもとしては、守秘義務違反の対象になるような情報ではない、そのように考えております。

福島委員 子供に聞かせられないような、びっくりする答弁ばかりです。

 ぜひこれから、経済産業省、大臣におかれましても、予算編成過程で、その過程をぜひファクスで我々にも教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。今そういう答弁ですからね。財務省はそれをいいと言ったわけだから、平成三十年度予算につきましては、閣議決定前に、どのような予算が措置されているか、ぜひファクスで教えていただきたい。それが今回確認されたということを発言で確認させていただきたいと思っています。

 もうけったいな話なんですよ。私は、この若い、将来ある一人の女性職員がこうしたことの対象になるのがかわいそうで仕方ありませんよ。送り出す側としても、こんなことに巻き込まれると思わなかったはずですよ。ほかのインターネットで出回っている写真では、自民党の選挙運動の桃太郎の後ろに一緒について歩かされている職員だっているわけですよ。これだって、国家公務員法違反になるかもしれないような現場に行くような仕事をさせられているんですよ。

 将来ある職員をこうしたことで潰してはいけないし、たとえ官邸の、経済産業省とゆかりの深い方からの願いであっても、そんなのは断るべきなんですよ。そして、何か一旦事が起きたら、この一人の職員のせいにして、それは公務じゃないから知りませんよ、その職員のせいだなんというのは、私は、座布団が経済産業省にある中で、そんなことを絶対言ってはいけないと思うんです。

 今いる出向職員も、こういう仕事だったら引き揚げるべきだと思いますけれども、大臣の御見解をお答えください。

世耕国務大臣 内閣官房の職務に関して経産省としてお答えすることはできないわけでありますが、官房副長官をやっていた立場の者として、やはり、総理の公務をサポートする夫人の役割というのはあるわけです。世界各国でもファーストレディーという呼び名であるわけでありますから、その夫人に対して一定のサポートをするという職務は私は必要だと思います。今回は、内閣官房が地球儀俯瞰外交の中で経済面のサポートという要望があったから我々は応えたわけでありまして、今廃止すべきだとは考えておりません。

 ただ、官房長官が、今、夫人の、世界のファーストレディーのサポート状況も参考にしながら、今後あり方について整理をされるということでありますから、まずはそれを見守りたいというふうに思います。

福島委員 私は、経済産業省の一番の大もとの大臣として、今の答弁は本当に冷たいなと思います。

 私が役人時代に特区をやっているときに、鴻池さんと一緒にやっていて、私と鴻池さんがあることでトラブルに巻き込まれたことがありました。そのとき私は官房長に呼ばれて、おまえ、留学に行かせてやると。わあい、万歳と言ったら、来週から行ってくれと言われました。私は、何にも悪いことをしていないのに逃げるように海外に行くのは嫌だから、私はやめますと言って、それで私は選挙に出るきっかけになっております。私自身がそういう思いをしているから聞いているんですよ。

 ぜひ、若い、将来のある職員を全力で守る姿勢を見せてくださいよ。安倍政権の犠牲にしないでくださいよ。安倍昭恵さんのちゃらちゃらした行動のおつき合いをさせるのはやめてください。全力で守っていただけるようにお願いを申し上げます。

世耕国務大臣 当然、私は、経産省の職員は大臣として全力で守りたいと思いますよ。

 ただ、夫人付の仕事というのは、これは本人の成長にとってもいい面もあると思いますよ。私はずっと夫人付の業務というのは官房副長官として見てきていますけれども、非常に勉強になる側面もあるというふうに思っております。

 いずれにしても、特に今回問題になっている人、私の中学、高校の後輩でもありますので、そういう意味でも、私は、個人的にも、彼女をしっかり、今後も頑張ってほしいと思っております。

福島委員 ぜひよろしくお願いします。

 それでは、本題の福島第一原発の事故処理の話に移りたいと思っています。どうぞ、内閣官房の方、人気者であるようですので、ほかの委員会に御移動ください。

 さて、まずそもそも論なんですけれども、福島第一原発事故に関する国の責任というのはどこにあると思いますか。大臣、まず端的にお伺いいたします。どこにありますか、国の責任は。

世耕国務大臣 これは、今までいろいろな事故調というものが立ち上がって、いろいろな報告書も出ているわけでありますけれども、政策当局を含めて、原子力事業の関係者がいわゆる安全神話というものに陥った、そして福島第一原発事故のような悲惨な事態を防ぐことができなかった、この点について反省をいっときたりとも忘れてはならないというふうに思っています。

 これがやはり一番、安全神話に陥っていた、そのことによって、例えば賠償の備えができていなかったという今御議論いただいているようなテーマにつながっているわけでありますから、そこの反省を忘れてはならないというふうに感じております。

福島委員 今回、東京電力の福島第一発電所自体が事故を起こしたことには全く国の責任はないとお考えですか。

 私はこの議論を与党の一期目のときにもやったんですけれども、原賠法の第三条のただし書きというのがありますよね。結果的に、これを適用したがために、何となく東電に責任があるように思われておりますが、この原賠法というのは無過失無限責任なんです、法体系として。過失がなくても東京電力が責任を負わなきゃならないから東電が今責任を負っているのであって、過失がどこにあるかというのはわからないんですよ。

 今回、事故に当たって、東京電力は何らかの法令に違反していたから事故が起きたんですか。どうですか。

世耕国務大臣 何かの法令に違反していたということではないんだろうと思います。

 ただ、今日に至るまで、やはり、重要な判断が何回か行われてきておりますね。これは、民主党政権下で、それで我々もそれを是としましたからある意味共同責任だと思いますけれども、まず一番最初は、今回の事故を天変地異と見るかどうかというところでありますが、これが天変地異だったら、東京電力はこれはもうしようがなかったねということになって、国が賠償その他の責任を負うということになるんですが、そうではない、天変地異ではないという判断をまずしたわけです。

 その次に、では、これは無限責任なのか有限責任なのかという議論がありました。有限責任ということになれば、その有限を超える部分というのはこれまた国がということになるわけですが、これも東京電力の無限責任ということにしたわけであります。

 最後、三点目、これが非常に重要な判断だったと思いますが、普通に考えれば、賠償とか廃炉の費用とかを考えれば、東電は直ちに債務超過に陥って倒産ということになってもおかしくなかった。東電を倒産、破綻させるのかどうかという判断もあったわけですが、これも、原賠機構という仕組みを入れて、破綻させずに東電を生き残らせて、東電にしっかりと責任を果たさせるという判断。

 それぞれ行っていった結果が今日の形になっているんだろうというふうに思っています。

福島委員 先ほど、共同責任とおっしゃいました。まさにそうだと思うんですよ。無限責任は無限責任です。

 これはなぜ無限責任にしているかというと、この原賠法をつくった当時の過程がありまして、我妻栄さんという有名な東大の教授の方が、これはなぜ無過失責任をやるかといったら、被災者を救助するためには無限責任にしなければ完全にできないからなんですよ。

 原則、原子力事業者が無過失責任を負うとされていますが、過失がなくても責任を負うといっても、しかし、そこにはおのずから限度があるんだ。その限度というのは、質、量、二つあって、質は、異常かつ巨大な天変地異かどうか。これはいろいろ議論があると思います。もう一つ、量というのは、当時の貨幣価値で五十億円ぐらいで切って、それ以上は責任がないと言うべきではないか。当時の貨幣価値で五十億円ですから、今でいったら五百億円とか一千億ぐらいです。それを超えるような被害があるものについては、無過失責任とはいえども国が当然助けるべきだというのを、立法当時の国会の参考人招致のときに我妻さんは言っているんです。

 同年の国会審議で、参議院の復興特別委員会で長沢委員も、ジュリストに書いている我妻先生の説を引用しながら、この法律の思想は被害者を救済することであって、電気事業者が全部補償しろ、もともとの思想がそういう趣旨ではないんだ、そういうことを言っているんですよ。

 無過失だから何となく東電に過失があるようなイメージであるけれども、どこに過失があるかというのはわからないんですよ。そもそも、東電は国の規制に合わせて運転をしていて、津波の基準なんかも、東電が想定したものを国がそれでいいですよと認めてやったものでやったんですよ。だから東電が全て免責されるとは言わないですよ。廣瀬社長が副社長のときにこの議論を国会でさせていただいたんです。ですから、無過失無限責任だから全て東電ということではなくて、私は、国の責任をもっとしっかりと分析して認めるべきだと思うんです。

 その話は今与党の皆さんが野党の時代にこの法案をつくるときにやっていて、きょう議論しているこの法律も、二条の「国の責務」のところで、「国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、」という条文を修正で入れたんですよ。私はこれはいい修正だったと思いますよ。さらに、附則の六条一項というのをつくって、「法律の施行後できるだけ早期に、」「原子力損害の賠償に係る制度における国の責任の在り方、原子力発電所の事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任の在り方等について、これを明確にする観点から検討を加える」とあって、参議院の附帯決議のできるだけ早くというのは、一年を目途にとやったんです。私は、この修正をとった当時の野党の皆さん方は本当に立派だと思いますよ。

 この一年以内に行う検討、国の責任、どのような検討を行ったんでしょうか。大臣、お答えください。

世耕国務大臣 原子力損害賠償制度の見直しということでありますけれども、原子力委員会の専門部会において、一昨年五月、二〇一五年五月から審議が行われているところであります。特に国民負担のあり方については、これまで、国と原子力事業者の責任分担の観点から多くの御議論をいただいているところだというふうに聞いております。二〇一六年八月に、これまでの議論を踏まえて、原子力損害賠償制度の見直しの方向性及び論点に関する中間的な整理が取りまとめられ、この中で、国民負担のあり方に係る課題が整理をされ、引き続き検討するということになりました。

 いずれにせよ、現時点では具体的な制度設計の見直し案について結論は得られていないという状況でありまして、専門部会において引き続き検討が重ねられていくものだというふうに承知をしております。

福島委員 微妙に論点がずれているんです。今大臣は国民負担のあり方と言いました。国民負担じゃなくて国の責任のあり方です。それは本当に議論しているんですか。この法案を出す前に、まず国の責任の議論を。だから一年以内なんですよ。

 この原賠法、この機構法をつくったときにはさまざまな議論があって、私も、当時の与党内で非常に懐疑的に、ずっと最後まで反対していましたよ。私は破綻処理をすべき派でしたから、ずっと反対していましたよ。ただ、その中で、今被災者がそこにいるから、その救助のために応急にやった上で、責任論はもう一度やりましょうということでこの法案を与野党で合意して成立させたんですよ。まだやっていますなんていうことは許されないんですよ。

 まず、さっきも言ったように、無過失だから、誰の責任かは曖昧にしたままこの法案をつくったから、全部国が背負う、全部国の責任、どっちでもないと思いますよ。両方のそれぞれの責任があると思いますけれども、しかし、いずれにしても、国の責任を明確にした上で、ここまでが東電の努力である、ここまでは国が責任を持ってやるというのをやるべきだと思うんですけれども、何でそれをできないのかというのを私は非常に残念に思います。これはまた最後に議論いたします。

 その上で、きょうは廣瀬社長や機構の山名理事長にもお越しいただいておりますので、具体的なことを幾つかお聞きしたいと思っております。

 この原発事故に関する費用、これも先ほど来議論になっておりましたけれども、当初十一兆円が二十一・五兆円に倍増するという見通しを東京電力・一F問題委員会が示しております。この見通しはどのような位置づけなんですか。そもそも、東京電力・一F問題委員会というのは何の法令上の根拠にも基づかない、審議会でも何でもないと思うんですけれども、この費用試算の位置づけというのはどういうものなんでしょうか。参考人でも結構ですよ。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力・一F問題委員会、いわゆる東電委員会は、経済産業省の設置法に基づきまして設置された委員会でございます。大臣からの諮問によりまして、東電改革のあり方について御議論いただいたということでございます。

 その中で、その委員会の審議の過程で、委員長の方から事務局に対して廃炉費用についての検討をしてくれという依頼があり、機構の方で有識者へのヒアリングを行った上で算出したものが今回の試算であります。

福島委員 政府としての公式見解ということですか。先ほど大臣は、今もボトムアップでは幾らかかるかというのは結局わからないんだ、上振れすることは想定していないとか言いましたけれども、それは大臣の個人的な感想なのか、政府としての見解が今の段階で算定したものは二十一・五兆円だということなのか。どちらでしょうか。

世耕国務大臣 これは、ですから、政府として、一定の妥当性のある数字であるというふうに判断をしております。

福島委員 ありがとうございます。

 一方、民間の研究機関は、例えば、七十兆円かかるという試算を最近日本経済研究センターが行っております。これは同じもので四十九・三兆円というのも試算しているんですけれども、これは汚染水の処理の方法によってかなりこの試算は変わるんですけれども、今回の二十一・五兆円の試算は、汚染水の処理はどのような前提で幾らぐらいに見積もっているんでしょうか。

世耕国務大臣 汚染水については、長期的な取り扱いの決定に向けて、風評被害とか社会的な観点も含めた総合的な議論を行うために、去年の九月に汚染水処理対策委員会のもとにいわゆる多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会を設置して、十一月から議論を開始したところであります。

 この委員会では、今、風評被害などの社会的な観点から検討を進めるために、風評被害に関する専門家や福島県など地元の御意見を丁寧に伺っているところでありまして、今検討中ということであります。

福島委員 これは、途中の政府の検討の結果を見ても、汚染水の処理の仕方だけで百倍ぐらいコストが違うんです、試算を見ると。だから、さっき言った、上振れをするとは想定していないとかいろいろおっしゃっているけれども、汚染水対策をどうするか、特に、とりわけトリチウムの問題、これをどうするのかを政府がまず決めなければ、二十一・五兆円だの何だのというのは出せないはずなんですよ。

 東京電力がこの二十一・五兆円を捻出するためにさまざまな努力をするんだけれども、ゴールが二十一・五兆円と決まっていない段階で百倍も変わるとしたら、これは、三十年、四十年かけて廃炉の費用を出すと言っても切りがないわけですよ。

 この法案を出す前に、まず汚染水の処理の問題を政府がきちんと決めて、試算した上で、これもコストによってはまた変わるかもしれないですよ、しかし、処理方法は決めなければならない。これは政府の決定なんですよ。海洋に放出するのか、それとも地中に埋めるのか、蒸発させるのか、いろいろな方法がありますけれども、それぞれで、漁協さんとの関係とか福島県民の皆さん方の関係とか、いろいろありますよ。それは東電にやらせるんじゃなくて、政府がみずから決定して、自分の責任で説明して、漁協の補償なんかも、しっかりとその間に立って政府が汗をまずかかなければならないんじゃないですか。

 なぜそうしたことをまずおやりにならないのか。大臣の御見解をお聞かせください。

世耕国務大臣 汚染水処理の問題というのは、やはり風評被害、地元の皆さんの感情とか、非常に難しいテーマだというふうに思っております。ですから、この汚染水対策については、これは東電任せにするのではなくて、国も前面に立って、安全かつ着実に進めることとなっています。

 処理方法の方針については、今、小委員会で御議論をいただいています。この取りまとめ結果を踏まえて、それを地元の関係者に御理解もいただきながら政府において決定をしていくものだというふうに考えています。

福島委員 なぜこの話をするかと言えば、この原発事故に関する費用がそれじゃないと確定しないじゃないですか。確定しないと、この仕組みというのはきっちりと動かないわけですよ。

 例えば、今、廃炉・汚染水処理には八兆円をかけて、三十年から四十年かけてこの費用を捻出するということを考えていますよね。そのために機構法五十五条の四で廃炉積立金をやるということですけれども、この額はどういうふうに決定されるんですか。どういう額をイメージされているんでしょうか。お答えください。

村瀬政府参考人 事業者の方からまず事業計画を出していただいて、それに基づいて機構が積立金の額を算定していくことになります。この廃炉計画に基づく算定において、必要な情報があれば法律に基づいて報告徴収を行うということになっておりますので、必要な情報を集めた上で、機構が、運営委員会の認定を受けて額を決め、これの大臣の認可を受ける、こういう仕組みになっております。

福島委員 もうちょっと具体的なイメージを教えていただきたいんですけれども、事業者が全体で三十年、四十年、廃炉までにどういうことをやって幾らというのをやって、それを年数で割って年間幾らみたいなイメージで積立金の額というのは決められるんですか。どうやって決められるんですか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 事業者からは、長期にわたる計画と、より足元で、例えば工法が決まったというようなことでありましたら、当面の数年間についてのより詳細な工法に基づく計画を出していただき、それについて算定をすることになりますが、実際に積み立ての義務が課される額につきましては、毎年度ということになっているところでございます。(福島委員「毎年度それぞれ別々の額ということですか」と呼ぶ)はい、毎年度別々です。

福島委員 だから、それだと本当に不透明だと思うんですよ。

 廣瀬社長、済みません。お忙しいところお越しいただいて本当にありがとうございます。落選中は御無沙汰してしまったんですけれども、いろいろ本当にお疲れさまでございました。

 今、汚染水の処理の仕方も決まっていない段階で、これは、事業計画をつくって、できますか。汚染水の対策が変わった途端に汚染水処理の費用が百倍になっちゃって、途端に積立金の額がその年ぼんとふえちゃうかもしれないおそれもあるんですけれども、そうした中できちんとした廃炉の事業計画というのはおつくりになれますか。どうでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 確かに、これからどういうペースでお金が出ていくのか、あるいは総額幾らになるのかというのはまだまだわからないところがございますが、逆に、積立金ということである意味一定のフラットな積み立てをしておいて、多少のでこぼこは積立金の中で運用をしていくという考え方であれば、むしろ我々としてはありがたいというふうに考えております。

福島委員 恐らく事業をやる側としたら、予見可能性のあるものにしたいということだと思うんです。いきなり国のルールが変わっちゃって来年度から十倍出せと言われても困るわけでありますし、予見可能性があるものにしろということだと思うんです。

 ところが、積み立てる額は、五十五条の四の二項で、廃炉積立金の額は、次に掲げる要件を満たすために必要なものとして主務省令で定める基準に従って定めなければならないとなっていて、この基準が曖昧であります。どういう基準を省令で定める予定なんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 その詳細につきましては、法案を可決いただいてからということになりますけれども、この「主務省令で定める基準」につきましては、次の各号、一号、二号とございます。「廃炉等の実施に関する長期的な見通しに照らし、廃炉等を適正かつ着実に実施するために十分なものであること。」それから、二号でありまして、「廃炉等実施認定事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼすおそれのないものであること。」という規定になっておりまして、この規定に基づいて省令等を定めることとなります。

福島委員 これは改正前の法案に同じような用例があって、一般負担金のところですけれども、法第三十九条の二項に求める省令というのがあるんですよ。これも法案のときに議論したんですけれども、何が省令で書かれているかなと思ったら、法律の文言をそのまま省令で同じように書いているんですよ。だったら省令なんて意味がないんですよ。これは不透明だと思いますよ。これから資金を捻出しなければならない東京電力にとっては、ここの省令というのは、もっと具体的に、予見可能なルールを明確に定めないと困ると思うんですよ。

 ぜひこの省令、今までの省令じゃないような形できちっとつくっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今挙げていただいた用例とは今回異なる部分がございまして、今回は廃炉等の積立金ということでございまして、できるだけ省令におきましては具体的な規定にいたしまして、予見可能性が確保できるようにしっかりと手当てしていきたい、このように考えます。

福島委員 事前のレクチャーではその条文を参照につくると言っていたので、参照しないように、前例としないようにぜひつくっていただけたらと思うんです。

 もう一点、ちょっと確認だけしたいんですけれども、現在、東電ホールディングスで確保している廃炉等の費用は二兆円ぐらいあると言われているんですけれども、その取り扱いはどうなるんですか。この法案の積立金に充当されるのか、それとは別口か。どちらでしょうか。

村瀬政府参考人 廃炉のために準備していた資金ということだと思います。そうでありましたならば、基本的には、このスキームに基づきまして、法律に基づいた積立金として積み立てられていくということになります。

福島委員 ありがとうございます。そのように確認させていただきました。

 そして、この廃炉・汚染水対策の具体的なキャッシュを生み出すのは、この新々総特の骨子、先日発表されたのでは、大きく二つの柱であるとされております。一つは、原発の再稼働、もう一つは、託送コストの見直しに伴う効率化を原資に充てる、その二点だと思うんですけれども、まず一つは原発です。

 東京電力、どのような原発を稼働することを想定されているのでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 御存じのように、私どもは、柏崎刈羽原子力発電所の六号機と七号機、今、設置変更許可の申請をして、審査をいただいているところでございますので、まずはその六号機、七号機の再稼働を目指したいというふうに考えております。

福島委員 今すごい控え目におっしゃったと思うんです。原発一基で五百億円のキャッシュが生まれるとこの報告書には書いていますから、六、七で一千億円。つまり、原発を動かすか動かさないかでどうキャッシュが生まれるか、決定的に変わってくるんですよ。

 東電が持っているのは柏崎の七基だけではなくて、福島第二に四基あって、東通にもうすぐ運開ができる一基があって、二基目も待っているという状況なんですね。

 でも、福島第二をどうするか。きのうの本会議の答弁で大臣は、東電がやることだみたいな人ごとのようなことを言っていましたけれども、でも、これは東電から言えないですよ、本来動かせばキャッシュを生むものをみずからやめますと。ただ、私は、福島の人の感情をやったら、稼働は大変難しいと思いますよ。

 ただ、本来資産であるものを廃炉にするときには、当然さまざまな、株主とかの関係もあるだろうし、いろいろな会計上の手当てはあるにしても、本来資産であるものをそうじゃなくしなければならないわけですよ。非常に厳しい経営判断です。

 東通一号も百三十七万か八万キロワットの大きな発電所ですから、これを動かせば多分かなりのキャッシュは出てきますけれども、これは東京電力から言いたくても言えないと私は思いますよ。

 言いたくても言えないことをうじうじさせているのは大変かわいそうだと私は思うんですよ。信頼はやはり回復しなければなりません。なかなかこれは、東通も柏崎刈羽も東京電力の供給区域でもありませんし、東京電力が、福島のために原発を動かしてキャッシュを生むためにやってくださいと言っても、やれないんですよ。

 当然これは厳格な安全審査が前提ですけれども、ある程度やはりこれは再編をして、その再編をした会社が地元のしっかりした理解と納得をいただきながら生んだキャッシュを福島が得るという仕組み、これは東京電力だけに任せていてもできないと思うんです。

 ですから、ここはぜひ大臣、もう一歩前に出る。だから私は最初、国の責任論をやったんです。全部東電に押しかぶせるんじゃなくて、東京電力に原発の再稼働もすごい苦労させて、しかも、それで国民の批判をぼこぼこに浴びるようなことをするんじゃなくて、これは物すごいキャッシュを生む手段なんですよ。もうちょっと国が前に出て、柏崎刈羽だけではなく、東通、そして福島第二の廃炉も含めて、廃炉も、もっと国が前に出てやることによってキャッシュを生みやすいような環境を整えるべきだと思いますけれども、大臣、御認識はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 国としては、キャッシュという立場よりも、やはり再稼働については安全最優先、この立場を堅持するというのが国の方針であります。

 先ほどからお話しいただいていることは、まさに東京電力が経営戦略としてしっかり考えることだというふうに思います。事故を起こした事業者として、地元に再稼働の御理解を得るというのは、これは大変な努力が要るわけでありますから、まずは、東京電力、しっかり努力をしてほしいと思います。

 あるいは、当然、東電改革の報告書の中でも、他の電力事業者との共同事業という話も、原発も含めて出ています。ただ、それも、共同事業をやるときに、では他の電力会社が、その共同事業のお金を福島へ持っていかれるということになったときに、当然、これはなかなか納得はできないわけですね、他の電力会社の経営者としては。その辺をどう整理するかということも、東京電力がしっかり他の電力会社と、基本的には、そこはファイアウオールを立てる、ほかの社の取り分は福島には流れない、そういう整理をするとか、ここも東京電力がやはり真摯に話し合っていくべきだというふうに考えております。

福島委員 私はそれは非常にかわいそうだと思います。

 原子力は、ほかの八電力もありますけれども、日本原電さんとか電源開発さんとかも原発にかかわっているわけですよ。そういう意味では、ある意味国策民営でやってきたわけでありますから、東京電力の原子力部門の再編については、事故を起こした東電に任せるんじゃなくて、だから私は最初、責任論をしたんですよ。事故を起こした原発は東電のものだから全て東電が悪い、そう言い切るのではなくて、ここは責任を持ってやるべきだと私は思っております。

 もう一つ、キャッシュを生む可能性があるのが、廃炉費用を捻出するための託送料金、これで生むということですけれども、欧米トップ並みの託送原価四円程度が実現しても、これは原価があくまでも四円だから、託送料金がどうなるかという保証はどこにもないんですよ。託送料をそれに合わせて下げさせられちゃだめなんですよ。

 電事法の十八条三項の託送供給約款の認可基準では、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものである」とありますよね。適正基準、適正原価、適正利潤。「料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること。」これは三号ですけれども、そういう基準があって、十九条で、料金その他の供給条件が社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障があると認めるときは、託送供給約款の変更の認可を申請すべきことを命ずることと。これは、認可料金ですから、非常に厳格に、明確に書いているんです。

 東電のコストが下がれば、それは日本のほかの電力、東電だけがコストを下げることはないわけだから、ほかのところも下げますよ。そうすると、認可料金というのはおのずとそれに合わせて下がるはずなんだけれども、この電気事業法の条文を読んで、そのときに、東電だけ廃炉費用を捻出するために認可料金を高くするということは法令上できるんですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、託送料金制度でございますけれども、今御指摘いただいたように、合理化分につきましては、超過利潤ということで、これは事業者のサイドで、託送原価として認められたものの範囲内でありますけれども、使えるということになっています。

 他方で、今でも規定がございまして、ストック管理方式、先ほども申し上げましたけれども、一定の基準、これは明確に規定になってございますが、これを超えるものについては料金の値下げを命ずることができる、今御紹介いただいた条文に基づいて値下げ命令を発令できることになってございます。

 今、他の電力が下げるかということでございますけれども、合理化をして、そのまま全部召し上げられるといいますか、値下げに行ってしまうということになりますと、十分なインセンティブが湧かないという側面もございます。

 したがいまして、東電が今回、最大限の改革を求めて、その中で捻出した資金を廃炉に充てていくという中で、託送が下げてくるということになりますと、これをベースに他の電力にも求めていくということを考えておりますけれども、自然発生的に同様の取り組みが行われるかというと、そういったインセンティブが生まれているわけではない、このように考えております。

福島委員 何か全然よくわからない答弁だったんですけれども、東電だけ高くならないと廃炉の費用は出せないんじゃないですか。どうですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 他の比較ではございませんで、東京電力が合理化を行って、その中で必要な資金を捻出していくということでございますので、他の電力がどうかということにかかわらず、合理化をしたもののうち、その一部を廃炉に充てていくことができるような仕組みにするということでございます。

福島委員 東電だけができるようなものがあるとは思えません。

 新々総特では、短期的には、「AI等の最新のICT技術やカイゼン、グローバル調達の導入等により二〇一八年度までに国内トップレベルの託送原価を実現」とあって、こんなことはどこの電力会社だってやるわけですよ、同じようなことは。だから、東電だけが並外れてやるとしたら、よっぽどほかに比べて設備投資を過小にするとかしない限り、あり得ないわけですよ、電気事業なんて会社によって違うわけじゃないんですから。

 さらに言えば、その先の、世界水準の託送原価を実現するために具体的にどうするかというのは、新々総特には何も書いていないんですよ。だから、私はこれも絵に描いた餅ではないかなと思っております。

 つまり、幾ら廃炉・汚染水にかかるのかもわからないし、それを生むキャッシュフローも、原発に対しては国は一歩引いて知らぬ顔、託送料金もどうなるか、具体的な法的根拠もないという中で、東電に努力しろなんというのは、私は極めて無責任だと思っております。

 そしてもう一つ、除染費用の四兆円は再編統合等によって企業価値を上げることで想定していると言いますけれども、東京電力の社長にお聞きしますけれども、本年秋に東電は報告しなきゃならないんですよ、機構にどういう合併の状況か。この機構法のスキームですよ。幾ら処理にかかるかわからない、原子力の再稼働に国がどれだけ協力してくれるかもわからない、託送料で解消される保証もない、そんな中で再編統合の提案は、どこかから来ますか。何か懸念することはありませんか。

 例えば、送電部門の統廃合とか言いますけれども、東電はホールディング会社ですけれども、ほかは送配電会社が親会社で、その下に小売と発電がぶら下がっているわけだから、言ってみたら、本社そのものを合併するという電力会社の統合なんて話を東電がほかの電力会社から提案を受けるとしたら、事故の処理を切り離して、供給区域だけくれて私たちの子会社に東京電力がなってくださいという提案ぐらいで、あり得ないんですよ。

 これは、秋までにこうした再編統合に向けた提案というのが来る見込みなのか。社長、お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるように、再編統合ですので、お相手、パートナーの方、パートナーの電力会社さんがいらっしゃいますので、当然、そうした皆さんとの話し合いをまずはスタートさせなければいけないと思っておりますが、私ども、まさに先生おっしゃったように、同じような事業を行っているというところから、共通の課題が多々ございます。したがって、そうしたことをまずはみんなで考えていく、そのために、みんなで事業体をつくってそうした方向に持っていこうというのは、一つのアイデアでございます。

 ただ、おっしゃったように、二〇二〇年の四月に電力システム改革で送電部門の法的分離が義務づけられている現状ですので、今、他社さんがそうした体制にないのは御指摘のとおりでございますので、それ以降のあたりを目指して、この秋までにそうした話し合いを進める体制をつくっていこうというふうに今考えているところでございます。

 以上でございます。

福島委員 結局、リスクが多過ぎるんですよ、民間の企業にとって。幾ら処理にかかるかわからない、国の関与がどこにあるかもわからない。だって、今、東電の本社に機構の職員が十五人、部屋を持って来ているんですよ。そんな会社ありますか。株主が本社の社長室のそばまで来て監視しているような会社に誰がアライアンスの申し込みをしますか。

 そういうことも含めて、私は、機構の役割というのは、東電本社に人を監視役に送ることではなくて、こうした再編統合にも株主として大きな役割を果たすべきだと思いますけれども、済みません、一問だけで恐縮なんですけれども、山名理事長、どうお考えでしょうか。

山名参考人 私ども機構は、今の東京電力のこれからの改革に対して、共同で新しい経営計画をつくっていくという立場にあります。これが新々総特ということでございますが、東電が、自主的に統合再編を含めた新しい経営計画を今考えているところであります。この前向きの東電の姿勢に対しては、我々が共同でそれをエンドースしながら実現に持っていくことが私ども機構に与えられた任務であるというふうに思っております。

 そういう意味で、株主として、私どもは過半数を持っている株主でございますが、株主の立場から経営自身のあり方にエンドースしている立場にありまして、細かいところについて、例えばどこと統合するとか、そういうところまで私どもは株主として言う立場にはないと思っていますので、今の経営陣、新しい取締役会等を今後私たちはしっかりと応援して、東電が考えている新しい経営方針をプッシュしていく、そういう立場で応援したいと思っております。

福島委員 その経営陣が、自分たちと話せる人がいいからといって今度経営陣をかえるかもしれませんけれども、うちの父親も実は日立で電力の制御関係の仕事をしておりまして、川村さんとはほぼ同期ということで、いろいろ一緒に仕事をすることもあったようであります。

 ただ、これは経営者をかえただけではやはりだめだと思うんです。機構はまさに国と東電の間のつなぎ役の役割を果たすと思っておりまして、やはり、きょうの議論をずっと聞いていると、全てを余りに東電任せにしていないか。そして、東電に不透明な真っ暗闇の中を歩むようなことを強いていないか。

 私も、先週、先々週、福島第一のサイトで一生懸命廃炉作業をやっている現場の皆さんのところに行ってきました。ようやく職務環境は普通になってきたけれども、みんな必死で働いています。でも、三十年、四十年、このために金を稼がなければならない。ことし入社した人がそのことで職場人生を終えなければならないというのは、これは私は本当にかわいそうだと思います。

 夢のある会社にしなきゃならない。そのために、予見可能性を持たないと、どこまでが東電の責任で、どこまでは国がやってくれて、東電の責任はここまでだから、これ以上頑張れば、自分たちの自律性も高まって、ほかとのアライアンスを組むという環境を整理しないとやっていられないですよ。今までの大臣の答弁は、余りにも東電に全ての責任を押しかぶせ過ぎだし、東電に委ね過ぎていると思っております。

 そういう意味では、この法律をつくるとき、野党の皆さん方の修正で国の責任という附則も入れたんですよ。今からでも我々はやりますよ。我が党の中にも何か変なことを言う人もいますよ、原子力に関しては。でも、それは、我が党は我が党の中でしっかりここにいる仲間とともに議論しますから、国の責任から逃げないで、我々も政権を担ったんだから我々にも責任があるんです。国の責任を感じているんです。私は原子力行政も携わってきたから、自分自身も責任を感じているんです。

 東電に全て押しかぶせないで、もう一度、どこに責任があって、国がどこまでのリスクをとってあげて、どこまでを国が支援をして、どこまでを東電にやらせるかというのを根本的なところから議論をしたいと思うんですけれども、大臣、その御認識はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 今のお話は傾聴に値すると思いますよ。

 ただ、やはりこれは、長い、もう六年間の歴史があるわけです。しかも、福島の廃炉・汚染水対策、そして賠償、除染、こういったことは、もう一秒たりともとまることなく前へ進めていかなきゃいけない。そこでスキームを変えるという議論はどうなんだろうか。

 私も、先ほどから何度も申し上げているように、民主党政権時代に決めた大きな判断、これは我々も責任を共有するというふうに思っています。だから、その延長上でしっかりやっていくということが非常に重要だというふうに思っています。今から方針を変更するというのは、私は、逆に混乱を招くだけだというふうに思っています。

 その上で、国は何も役割を果たしていないわけじゃない。もう福島さんよく御存じだと思いますけれども、やはり原賠機構そのものが国の責任なんですよ。これで交付国債という形で七兆円のお金を入れ、そして出資という形で一兆円のキャッシュも入れて、まさに東電をしっかり支えています。そして、東電に任せきりではなくて、今回も、東電改革委員会というのを経産省にしっかりつくって、そこにプロの経営者も集まってもらって、私も議論に参加をして、方向性もしっかり示しました。

 事業統合だって、我々が方向性を示しているからこそ、JERAという、東京電力と中部電力の火力がもう今度完全統合まで合意をしているわけでありますから、そういう意味で、国としての責任もしっかりと果たしていきたいというふうに思います。

福島委員 最後に一言だけ。

 この法案をつくったときにも同じような理由で本質的な議論から逃げたんですよ。改正法が出て、そして、議論にまた正面から応じてくれないのは非常に残念だと思いますし、きのうの今村大臣の態度にも見れたように、どうも国は上から目線で傲慢に見えて仕方ありませんよ。

 東京電力がどう再生するかというのは国のマクロ経済にとっても大変大きな話なわけですから、ぜひ本質的な議論をしていただくことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十四分開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民進党の近藤洋介です。

 若干開始時間がおくれましたが、貴重な時間ですので早速質問に入りたい、こう思います。

 今回の原賠機構法の改正、私は非常に大事な法改正だと思っておるんです。やはり東電福島第一原子力発電所の廃炉というのは、国家にとって日本国という国が試されている大変極めて重要な課題であるし、乗り越えなければいけない。困難であれ、何としても乗り越えなければいけない課題だろう、こう思うわけであります。この安全かつ着実な廃炉は、日本にとって大きな責任であり、また、今を生きる我々の世代の責任において前に進めなければいけない大事業であります。

 その上でこの法の改正案が議論されているわけでありますけれども、まず、たくさんの論点があるので、同僚議員もさまざまな論点をこれから質疑をすると思いますので、私も、多分きょうを含めて機会があると思うので、きょうは論点を幾つか絞って伺いたいと思います。

 まず、根っこになる東京電力の新々総合特別事業計画の実現可能性について、やはり私も大臣に所見をお伺いしたい、こう思っております。

 東京電力は、今後三十年、いや、四十年以上の長期にわたり、賠償、廃炉で五千億円の金を捻出するということになるわけであります。そもそも、この五千億円の収益を上げ続けられると。先ほど福島議員からも、柏崎刈羽の再稼働がなければ絵に描いた餅ではないのかといったことも含めて御指摘がありましたけれども、本当にこの五千億円の収益をならして上げられるとお考えなのかどうか。改めてお伺いします。

世耕国務大臣 そもそもこの新々総特は、その前段階として、私の諮問的機関として立ち上げました東京電力改革・一F問題委員会、ここに経営のプロの皆さんですとかあるいは学者の皆さんに集まっていただいて、そこに東京電力も廣瀬社長がオブザーバーとして参加をし、東電の現状なども適宜報告いただきながら徹底的に議論をして、そしてまとめられた報告書、その報告書をベースにして、逆に、東電側がそれを具体的な事業計画に反映をさせているという内容のものであります。

 プロの経営者の方々は、それはなかなか大変な目標ではあるけれども、実現可能な範囲で当然報告書をまとめていただいていますし、東電自身もコミットをしたということは、少なくとも、東京電力としてもそれをやる意思は示しているんだろうというふうに思っています。

 しかも、五千億円、年間、廃炉、賠償に必要ということになるわけですけれども、四千億円はもう今収益水準にはあるわけでありますから、改革をすれば五千億には到達はできるだろうというふうに思っています。

 ただ一方で、第二段階として、柏崎刈羽、これが再稼働できれば、またそれをさらに確実なものにできていくんだろうと思います。

 そして第三段階としては、やはり経営改革を進めることによって、あるいは他事業との事業統合を進めていくことによって、企業価値そのものを上げていくという形で第三段階というのがあるんだろうというふうに思っております。

 今東電の出している新々総特というのはまだ今骨子でありますから、これから原賠機構がこの骨子を具体化した計画を策定をしていくというふうに聞いておりますけれども、それは改革を実現するまでには一定の時間を要すると思いますけれども、腰を据えて、より長い時間軸の中で粘り強く取り組んでいくことが重要だというふうに思います。

 あらゆる分野でさまざまな取り組みを積み上げ、そして、今までにないコストの合理化や収益拡大を実現することで福島への責任を果たしていってもらいたいと思いますし、そういった経営は十分できるというふうに考えております。

近藤(洋)委員 大臣は今、経営改革すればできる、こういう期待を込めてのお話でございました。

 私は、今、政府は東電の株主でもありますから、ですから、その意味においては政府もコミットしているんだろう、こう思うんです。ですから、これは、一民間企業の経営計画、有識者とともにつくられたということではなくて、まさに経済産業省を中心に政府もこの計画にコミットを、安倍政権がコミットした計画なんだろう、こう思うわけであります。

 その上で、やはり、三十年、四十年かけてこの数字を安定的に出し続けるというのは大変難しい。というのは、企業の寿命は三十年とよく言うわけでありまして、やはり、長い目で見ればいろいろ浮き沈みがあるわけであります。そういう中では、先の見通しというのはどうなのか、やはり不確実性というのは常にあるわけであります。

 そこでお伺いしたいわけでありますが、資料の一、委員長のお許しを得て配付させていただいておりますけれども、一般負担金、特別負担金、そして、今回の法案で盛り込まれました廃炉積立金。被害者賠償に充てられる一般負担金、これは全電力事業者、年間一千六百三十億円、そして、一般負担金のこれは過去分六百億円、特別負担金は東京電力、そして廃炉積立金三千億、それぞれあるわけでございますけれども、お伺いしたいのは、仮に東京電力は、この中で一般負担金、特別負担金を合わせて二千億円、廃炉積立金として三千億円、こういう内訳になっておりますが、三種類のお金を積み立てるわけですけれども、優先順位はどのようになっているのか。

 すなわち、東電の収益が何かの事態で例えば年間一千億円しかお金が出なかった場合、一体何を優先してこの積み立てに配分させるのか、優先順位はどのように決まっているのか、お伺いをしたい。

日下部政府参考人 今お尋ねありました賠償のための負担金と廃炉の積立金の優先順位ということでございますけれども、政府の立場からすると、双方とも優先順位はともに大事だということになります。

 やはり東京電力に対して、今御指摘ありましたように、賠償の年間二千億、それから廃炉の三千億、それをトータルを捻出し続けるだけの改革をしていただき、きちっと両方に備えていただくということが基本的な考え方でございます。

 御指摘のように、万が一収益が下振れしたときにどちらの優先順位があるんだというお尋ねがございましたけれども、我々の現在の立場からすれば、そうした事態にならないように東京電力の改革を推進していっていただくということが大事だということになります。

 ありがとうございます。

近藤(洋)委員 ですから、それは精神としてはわかるんですが、法案として、万が一、例えば東京電力の収益が五百億円しかないとなった場合は、このお金をどちらに優先して積み立てる事態になるのですか。どのように読み取れるように法文上なっているのか、解釈をお伺いしたいのであります。

 長官、お答えいただけますか。

日下部政府参考人 法文上どういう優先順位になっているのかということについては、法文上、明確にそこの優先順位というのはないとは思っておりますが、ただ、資金の性格だけを申し上げれば、賠償につきましては、要するに、原賠機構の方が被災者のための援助をすることが前提になっている資金であります。廃炉につきましては、これは東京電力が捻出をしないと廃炉が滞るという資金でありますので、全般的な考え方でいえば、資金がショートをした場合には、それは廃炉の方が優先するという考え方もあろうかと思いますけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、今回のプランは、年々歳々のこの資金の多寡という議論ではなくて、三十年、四十年全体の中で賠償をやり遂げる、廃炉をやり遂げるという議論だと我々は考えております。

 したがって、例えばある年に若干の収益の低減があったとしても、長い期間かけて最終的には賠償も全うする、廃炉も全うするという考え方でこの原賠機構法はできているというのが我々の考え方でございます。

近藤(洋)委員 長官、まず最初にちょっと話を整理しようと思うんですけれども、三種類ございます。一般負担金、特別負担金、そして廃炉積立金、三種類ございますが、この中で、あえて言うと一番劣後するのは特別負担金であるということで、法文上、こういう理解でよろしいですか。

日下部政府参考人 特別負担金につきましては、その資金の性格上、一般負担金に追加をして東京電力の利益から払うものでございます。その性格からすれば、これは解釈の仕方なんですけれども、そういう性格の資金だというふうに我々も認識をしております。

近藤(洋)委員 この三種類のうちでそうなるとすると、この次の一般負担金と、要するに被災者に払われる一般負担金、特別負担金もそうなんですが、各社で分担してする一般負担金、そして、東電のみが負担する、廃炉における廃炉積立金、この二種類については法文上は特に差はないという御答弁でありました。

 ただし、私、ここであえてお伺いしなければいけないと思っているのは、まさに、一般負担金は既に交付国債で資金の手当てが組まれているんです。ポイントは、お金はあるんですよ。あるんです、キャッシュが。ところが、廃炉資金はないんです。お金がない場合が想定されます。積み立てても、ある計画によって廃炉の費用が急に必要になる。

 例えば一つの事例を申し上げれば、廃炉するために何かの原発、福島の事業所において特別の措置が必要になった、五年後か十年後か知りませんけれども、急遽必要になった、特別の工事が急遽この数年間で必要になったとしましょう。そのときに、年間一千億、二千億の工事が必要になった。ところが、積み立てていた廃炉資金では足りなくなった。運悪く、東電の収益が悪化した。キャッシュがないということが想定されるんです。そういうときには、残念ながら廃炉資金には何の手立てもないわけです。

 だとするならば、そういう事態のときはどうなるのか。法文上、要するに御答弁だと、どちらも明確な手当てはないという御答弁だったわけです。大臣、これはやはりまずいんだと思うんですよ。

 何を言いたいかというと、やはりここは、廃炉というのは非常に重要であるし、何かのときにも備えなければいけないし、ここで万一不足が出たときに何らかの手立てというものをやはりとるべきだろう、こう思うんです。

 廃炉事業に、やはり国の資金、何かの際の資金提供の、交付国債か何かわかりませんけれども、枠組みというのをやはり私は想定しておく必要があるのではないかとこう考えますが、大臣いかがですか。

世耕国務大臣 これから東電、さらに非連続の改革をやっていってもらおうというときに、最初からいざというときは国がお金を出しますよみたいな枠組みがあったら、これは逆に私は、東電の改革のモメンタムを落としてしまうんじゃないかというふうに思っています。

 ですから、現時点では、やはり東京電力がまず全力で改革をして、そして、その資金を特別負担金、一般負担金、そして廃炉費用に充てていくということが大原則だというふうに思っています。

 さらに、本当に万々々が一、不測の事態が起こった、リーマン・ショックみたいなことが起こって電力需要が急激にダウンしたとか、そういうときは、機構が特に間に入っているわけでありますから、機構の運営委員会を中心に、これは政府もある程度参加しながら、では、お金は減ったけれども、その配分をどういうふうにしていくかということを具体的に話し合っていくということだろうというふうに思います。

 まずは東電に改革を進めてもらうことが大重要だというふうに思っております。

近藤(洋)委員 例えば交付国債だって、最終的には東電や電力各社が払うわけです。ですから、私は余り交付国債という方式自体は趣味ではありませんけれども、そういう形で国がかかわって、資金手当てに問題のないようにファイナンスをつけておくということで必要なのではないかということなんです。この廃炉について何の手だてもないというのはいかがなものか、こういうことを私は指摘しているわけでございます。

 むしろ資金的なファイナンスはつけつつ、長官にお答えいただいてもいいですけれども、重要なのは、ただのべつ幕なしお金を流し続けるのではなくて、廃炉作業がいたずらに公共事業化するのではなくて、きちんと技術革新が行われるような競争が適正に行われる、こういった環境を経済産業省は別途つくる。目標を定めて、何年までにこれをやるという具体的な目標をちゃんと定めて、それに向けて民間企業の方々に努力をさせる。企業を幾つかちゃんと用意して、そこに向けて例えば入札制度を設けて努力をさせて、そしてこの値段でちゃんとやってくれというような形で努力をさせるということの努力は経済産業省がやったらいいと僕は思うんですよ。

 ただ、さはさりながら、一方で、やはり大きなお金なわけだから、ファイナンスの手だてのいざというときの構えだけは何か法文として用意しておいた方がいいのではないかということを指摘しておるのですが、その趣旨はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 これはどうしても同じ答えになってしまいますが、そういうフェールセーフみたいな仕組みが最初からあったら、東京電力は、いざというときは国が何とかしてくれるからまあいいかということになってしまうんだろうというふうに思いますので、私は、まずは東京電力に改革の努力をしっかりと求めたいというふうに思います。

 本当にいざということが、しかも東京電力の努力不足ではなくて、何か外部の事情でそういうことが起こったときは、これは国も前面に出て、どう対応すべきかということは当然検討しなければいけないと思っています。

近藤(洋)委員 この話は大事なのでまた別途やらせてもらいたいと思いますが、もう一点、大臣、ここだけは確認させてください。

 賠償の不足分についてなんですけれども、これも託送料による回収方針となったんです。午前中の質疑でも、いろいろ理由は、税方式にするのか託送にするのかということで御答弁ございましたけれども、やはり国民負担を求めると言うのであれば、託送料も、ある意味で電気料金に事実上の税のようなものでございます。税金はまさに税金でありますから、国民への説明責任というプロセスのことを考えますと、やはり私は、税の方がより公平公正で透明性が担保できる、このように考えるわけであります。

 託送になったことについて、例えば配付資料の三枚目をごらんいただければと思いますけれども、わずか一片のこの閣議決定しかないんですよ、国民への周知というのは。ただの閣議決定で「国の行う新たな環境整備」ということで、資料の三枚目でございますけれども、この閣議決定だけで決定をしているということであります。

 税であれば、その税率、内容も国会においてかなりきちんとした議論が行われます。託送料だと、その水準も含めて非常に不透明な決定になってしまうわけであります。

 私は、国民への説明責任も含めて、やはり、過去分であるならば税による決定の方がより正しいのではないかと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 税で過去分を回収した方がいいんじゃないかというのは、これは近藤議員の一つの御見識だというふうに思います。我々も当然そういうことは検討いたしました。

 ただ、税だと全国一律になっちゃうんですね。そのときに、では、今まで原発を全く使っていない沖縄県にもその税を課すのかどうか。あるいは、原発への依存度というのは既存の電力会社ごとによって違うわけでありまして、では、依存度の高い関西電力と依存度の低い北陸電力の管内の人々が同じ金額でいいのかどうかということを考えたときに、我々は、託送料から回収した方がよりベターだというふうに判断をさせていただいたわけであります。

近藤(洋)委員 大臣、これはわかっての御答弁だと思うんですけれども、過去ですから、例えば関西に生まれた方が、育った方が沖縄に住む方もいるわけでありますし、国民である以上、移動しているわけであって、これは余り理屈にならないんですよ。

 ですから、やはりそれは、過去に日本国として受けてきた便益だということで理解は整理できるし、それは沖縄については、特措法なりなんなりさまざまな方策はある。まあこれも水かけ論になってしまうので、ただ、やはり私は、国民への説明責任という大きな課題を残したということを申し上げたいと思います。

 さて、話題をちょっと本題に移したいと思います。

 廃炉は、やはり国と民間とのこれは共同作業だと私は思うんです。その共同作業を進める上で今私が非常に気にしているのは、廃炉をしっかり行う会社、東京電力なんですが、そのもう一つの担い手であるメーカー、誰かといえば東芝なんです。この東芝が今大変な経営危機に陥っている。私は非常に心配をしております。もちろん、原子力分野だけではなくて、日本の産業界に与える影響は大変大きい。売上高が五兆円を超える、そして、連結で二十万人の雇用を擁する名門企業東芝なわけでありますが、この廃炉においても大変な中核の役割を果たしているわけであります。

 まず大臣にお伺いしたいんですが、この東芝の経営危機というのは、日本の我が国の原子力のある意味で中核企業の柱の一つであるわけでありますが、大きな影響を与える、こう考えますが、大臣はどのように受けとめていらっしゃいますか。

世耕国務大臣 今御指摘のように、東芝は、原子力に関して、これまで国内で二十基を超える原発の建設に関与をしてまいりました。原発の安全確保に必要となるような技術、メンテナンス、そういった面でも高い技術力を持っていますし、これまでも貢献をしています。人材も多数抱えているという状況であります。特に福島第一原発では、廃炉・汚染水対策に参画をして、多くの東芝社員が携わって大きな役割を果たしてくれています。

 例えば、ALPS、多核種除去施設ですね、これは大体七五%が東芝製の製品で構成をされているという状況であります。あるいは使用済み燃料プールからの燃料取り出し、これなんかも東芝の技術が使われています。あるいは、かなり注目を浴びましたあのサソリ型ロボット、三号機に入ったもの、この間二号機に入ったロボット、これについても東芝の技術でつくられているものでありまして、この福島の廃炉及び汚染水対策に対して、なくてはならない役割を果たしている企業だというふうに思っています。

 私もそれは大変心配しています。東芝の経営状況は大変心配していますし、経産省としてもどういうことができるかということも含めてよく考えていきたいというふうに思いますが、東芝自身も、国内の原子力事業の方向性については、再稼働、メンテナンス、廃炉を中心に社会的責任を継続していくと明言をされているというふうに理解をしております。

 いずれにしても、福島第一原発の廃炉・汚染水対策や、あるいは、今後ほかの原発で起こってくる再稼働のためには、安全対策工事が非常に重要でありまして、その工事の中核を担うのが東芝でありますので、東芝の今後の対応、あり方についてはしっかり注視をしてまいりたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 大臣がおっしゃったとおり、まさに東芝はこの廃炉にとってもなくてはならない会社、そもそも東芝の持っている技術、技術陣は。そういう会社なんです。間違いないと思うんです。非常に私も心配しているわけです。

 なぜこの東芝がここまで経営危機に陥ったかというその最大の要因は、もう既に報道されていますけれども、一言で言えば、海外の原発事業の失敗になるわけであります。ウェスチングハウスの買収において失敗をした。これはチャプターイレブンを申請したということであります。前回、大臣に質問させていただいたときはまだそういう状況じゃなかったですけれども、ついに破産申請をしたということでありました。

 六千六百億円で二〇〇六年にウェスチングハウスを買収して、その損失はもう既に一兆円を超えている。ほぼ確定した。一兆円では済まないだろう、こう言われているわけであります。既に七千億円を超える損失を計上し、かつ、チャプターイレブンになったことでさらにどれだけになるのかというのも、これはまだでありますけれども、間違いなく一兆円を超える損失がこれは確定した、こういうことが予想されるわけでありますが、なぜここまで失敗したのかというわけであります。

 東芝の原発事業、海外原発展開なんですけれども、この東芝の海外の原発事業に、ここ五年間、ある意味で私は、原発を海外に展開するということ自体が、大臣、私も民主党政権時代に政務官でしたから、海外インフラ輸出、旗を振りました。やった人間です。ですから、それはシステムを売れということで展開をいたしました。民主党政権時代、当時は仙谷さんが担当大臣をやられたりしていましたから、私も政務官で、システム輸出だということで原発輸出は重要ではないかということで、まさに手がけた経験がございます。ですから、それはそれで、その当時やっていた人間です。

 ただ、ちょっと解せないのは、それはそれでいいんですけれども、それでは安倍政権になって、さらにそれはシステム輸出ということで原発輸出をどんどん広げていったというのは、これはもう報道でも明らかなわけでありますが、この五年間、大臣は、東芝の海外展開に対して経済産業省が非常に深くかかわってきたという認識はお持ちですか。

世耕国務大臣 委員御指摘のように、これは別に東芝というわけではなくて、安倍政権は、質の高いインフラ輸出ということで、例えば平成二十六年四月のエネルギー基本計画では、世界の原子力安全の向上や原子力の平和利用に貢献をしていくという書き方をして、しっかりと海外展開も進めていくということを明記しています。

 あるいはインフラシステム輸出戦略、これは平成二十八年五月に決められたものですが、この中でも、高効率火力発電と並んで原子力発電についても海外で活用していくということも述べていますし、今御指摘の民主党政権時代も、これは革新的エネルギー・環境戦略という中で、昨年の事故の経験と教訓を世界に共有することによって、世界の原子力安全向上に貢献していくことは我が国の果たすべき責務であり、諸外国が我が国の原子力技術を活用したいと希望する場合には、相手の国の事情や意向を踏まえながら、世界最高水準の安全性を有する技術を提供して、こういってるるずっと国の戦略として、民主党政権時代も安倍政権も進めてきているわけであります。

 これは、やはりあの事故の教訓を受けて、海外が希望されるのであれば、こういった要望には安全最優先で応えていく責務があるだろうというふうに思っています。

 こういうインフラ輸出戦略とかを初めとする原子力の国際協力についての政策の立案や実施に当たっては、当然、経済産業省というのはエネルギー戦略を見ているところでありますから、政府部内の担当部局としてかかわってきたというのはあるだろうというふうに思います。

 ただ、一方で、こうした政策の大きな方向性を踏まえて、個別で具体的なプロジェクトに関しては、契約を結んで事業を遂行するのは、これはあくまでも民間企業がみずからの経営判断に基づいて行うものだというふうに考えております。

近藤(洋)委員 大臣、もう一つお伺いしたいんですけれども、我々も原発輸出というのはやっていたんですが、もう一度確認なんですけれども、それを安倍政権も引き継いでいる、さらに発展させたと私は思っているんですよ、間違いなく。

 それは、事実、トルコでの原発のプラン、受注されてみたり、イギリスでの原発の受注も実現してみたりと、大臣は官邸にもいらっしゃいましたからよくこの辺御存じだと思うんですが、安倍総理も施政方針演説等々で声高らかに話されたり、また、さまざまな場でおっしゃっているとおり。さらに、安倍政権下において、原発輸出を成長戦略の旗印として、民主党政権時代とは比較にならないぐらいに強く進めたという自負はお持ちじゃございませんか。いかがですか。

世耕国務大臣 何か自負とかそんな肩に力が入った感じではなくて、我が国の持っているすばらしい技術、そして特に一Fの事故の経験、それを海外が評価して要望されるのであれば、それに対して積極的に応えていく。これは、民主党政権時代の考え方とそんなに違っているわけではないと思います。

 あえて言えば、総理が地球儀を俯瞰する外交で積極的に海外へ出張される、あるいは、アベノミクスでかなり日本は今注目を浴びていますから、海外から首脳級の人が訪ねてくることが多い。だから、そういう意味では会談の機会がふえていますから、そういうところで要望を受けるというケースがふえている。トルコなんかはそれに近い形だと思いますけれども、そういうケースがふえてきているというのは事実だと思いますが、何か、思いっ切りこちらが前のめりになって旗を振ってということではないと思います。

近藤(洋)委員 まあいいでしょう。少なくとも、相当力を進めてきたなという印象を私は持っています。

 その意味でちょっと関連してお伺いしたいんですが、ある人物、東芝の社内で非常に原子力発電の分野で力を発揮された人物がおります。田窪昭寛さん、そういう人物です。ことしの三月末まで、東芝の幹部社員、関連会社で原子燃料工業という会社の社長を務めていた人物であります。東芝の原子力事業、特に海外分野での中核を担ったとされる人物でありますけれども、日下部エネルギー庁長官、田窪氏のことを御存じですか。また、お会いになったことはありますか。

日下部政府参考人 今お名前の挙がった田窪氏ですけれども、私は面識はございません。

近藤(洋)委員 高橋官房長、来ていただいていますけれども、官房長は庁内を総括する人物ですけれども、御存じですか。お会いになったことは何回かあると思いますけれども、いかがですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 官房長というよりも、エネルギー政策に携わった経験の中で、いろいろな方々と意見交換する中で面識がございます。

近藤(洋)委員 長官は御存じない、こういうことでありました。

 この田窪さんでありますけれども、では、長官にはこれも質問通告しておるんですけれども、大変エネルギー通の、原子力の世界では大変有名な方のようなんですけれども、今井尚哉総理秘書官と非常にじっこんの方であって、エネルギー庁次長時代に頻繁に会合しているという事実を長官は御存じでしたか。ないしは、通告で調べてほしいというふうに聞いていますけれども、大体どういった頻度でお会いになって、エネ庁時代に会ってやっていたかという回数なりというのはお答えいただけますか、長官。

日下部政府参考人 今御指摘のあった点については我々は承知をしておりませんし、それから、ちょっとどういうお話なのか、我々はまだ詳細を承知しておりませんので、現段階で、事実関係については我々は関知しておりません。

近藤(洋)委員 ですから、長官、事前に聞いていただきたいというふうに言ったんですが、きょうは本当は今井さんに来ていただければ、本人に聞けば一番わかるのであれなんですが。

 この田窪さんというのは、東芝の佐々木社長直属のような人物で、東芝の幹部社員ではありますけれども、この方と今井次長は、少なくとも私が関係者を通じて入手した資料によると、二〇一一年から二〇一二年の十一月末、エネルギー庁次長時代、民主党政権時代しか私どもは資料を入手するすべがないのであれですが、この一年間で三十回以上お会いしているんです。週に二回も会っている。このことがわかっています。

 この田窪さんと今井秘書官が非常にじっこんであるということは東芝の社内では非常に有名な話になっておりまして、この今井さんが総理秘書官に転ぜられたことも、東芝社内では、さらに東芝の海外プラント事業にとって後押しになるということで大変歓迎をされたということが伝わっているわけでございますが、その後の東芝のトルコの原発プラント輸出だとかさまざまな事業展開において、結果として三菱重工がとってしまいましたけれども、ほかの地域の原発商談についてこの田窪氏が活動し、そして、今井氏との関係の中でこれを非常に後押しした、今井氏が後押ししたということが東芝社内で公然の事実となっていますが、このことについては長官は御存じですか。

日下部政府参考人 今のお話を伺っていますと、我々の方ではそういう認識はございません。今のお話はどういう御情報なのか、東芝のサイドのお話ということを今おっしゃいましたが、そういうお話について我々は判断する立場でもありませんので、一般論で申し上げれば、原発輸出は、先ほど大臣が申し上げましたとおり、国の方針として、相手国の要請があった場合に、日本の貢献ができるならばということで話が始まり、経営判断として会社はそれについてコミットするかというプロセスがあり、したがって、国の方針と会社の経営判断と相手国の要請、この三点がないと成立し得ない案件だと我々は考えてございます。

 したがいまして、今のお話、各論各論の話については、我々はそういう話については承知をしておりませんし、政策の遂行に当たっては、公正な形で展開をしているという自負はございます。

近藤(洋)委員 それは、長官の一般論としては全くそのとおりですよ。全くそのとおりですよ、一般論としては。

 ただ、私が申し上げたいのは、この田窪氏と今井総理秘書官が、一年間に三十回も、相当頻繁に会っている。この人は東芝の役員でもないんです、はっきり申し上げて。ただ、原発輸出の世界では、原子力政策課長のポジションにいる人であれば、それなりに知っている人ではあるそうなんですな。エネ庁次長がそこまで深く会う人かというといかがかなという気はするのですけれども、エネ庁の次長までの人がそこまで頻繁に会うかというのは私もちょっと奇異な感じを受けるんですが、いずれにしろ、かなりじっこんな間柄である。

 しかも、ここは官房長の世界なんですけれども、公務員の倫理規程にどこまで触れるかどうかですけれども、会食も複数回やられている。こういうことのようであります。この辺もぜひ調べていただきたいなとこう思うわけであります。

 長官、ですから、そこは調べていただきたいんです、今井総理秘書官から、どういう内容だったのか。これは、経済産業省のエネルギー政策がその今井総理秘書官によって曲げられたのかどうかという重要な問題なので、長官、今井秘書官に話を聞かれましたか、午前中。通告はしているので、ちょっと長官、聞かれたか聞かれていないかだけ、事実を。

日下部政府参考人 今井秘書官には話は聞いておりません。

近藤(洋)委員 これは問題ですよ、通告をしているんですから。

 まさに東芝が重要な会社なんです。今大臣御答弁されたとおり、東芝は廃炉にとってなくてはならない会社なんです。本法案はまさに廃炉のスキームを決める法案ですよ。その担い手の東芝がなくてはならない会社である。今大変な状況になっている。その大変な状況になっているものの原因が何かというときに、その原因が、経済産業省が深くかかわったかもしれないということの中の話なんです。

 ですから、これは今井総理秘書官にやはり聞いてもらわなければいけないし、聞けなければやはり参考人に来てもらうしかないと思うわけですが、参考人にまず来てもらうように要求したいんですが、委員長、お願いします。

浮島委員長 理事会で協議いたします。

世耕国務大臣 原発輸出も含めて原子力政策というのは、経済産業省がエネ庁を中心に組織としてずっとやっている。誰かが個人プレーでやっているわけではないわけでありますから、当然、輸出に対する考え方とか経緯とかそういうことがあれば、これは経済産業省が組織として責任を持ってお答えしたいというふうに思います。

 一体どこに何が悪いことがあるのか、ちょっと不明確だと思います。一年に三十回会う人というのは私も何人かいますよ。それは何か特定のことがあったら別ですけれども、原子力政策にかかわる者は、東芝だけではなくて、日立も三菱重工もやっている中で、事業者と対話をするというのは、これは当然あり得る話だというふうに思います。

 いずれにしても我々は、組織として仕事をやっている、しっかり引き継いでやっていますので、何か御疑念の点があれば、こういうところで政策が曲がったんじゃないかということがあれば、それは、今のエネルギー庁長官を中心に、我々我が省の方でしっかりと答弁させていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 大臣おっしゃるとおり、それはそうですよ。

 ただ、私が奇異に思うのは、日下部さんもエネルギー政策に精通した長官である。エネルギー政策に精通した方が、例えば、だからトップの方が、要は、長官なり次長なり責任ある方が、東芝の社長なり常務なり専務なり、それなりの方と月に一回ぐらい会うのはそれは当然ですよ。ある意味当然です。二、三度会うのもそれはいいでしょう。ただ、そうでもない方と、率直に申し上げてラインでもない方と年間に三十回も会って、しかもそれが社内で、正規の東芝の、いわゆる社長の直属のような形で、首相の意向だという形でこの案件を進めてくれというふうに、海外での原発を進めることに関して過度にプレッシャーがもしかかっているとしたならば、それは不幸なことだなと思うわけであります。

 そうでないことを私も願いますし、ちょっとその田窪氏なる人物が、これは別におかしな人物でもなくて、それなりの人物だと私も思います。ただ、今井さんという、エネルギー庁次長であり総理秘書官ほどの方が頻繁に会うにしては、ちょっとラインじゃない、毛色の変わった方だなと私も外形的に思うわけですよ。だって、長官も一度も面識のないような方なわけですから、はっきり申し上げて。その方とこんなに頻繁に会って、そしてその方が、これは総理案件だというような形で海外の原発事業を進めてきた。

 しかもそれだけではありません。これは、これからももう時間があったので進めなきゃいけませんけれども、東芝の海外展開については、例えば、原発のウランの燃料事業の話もございます。この燃料事業をめぐっても果たしてどうだったのかということも懸念が残ります。これもある意味で国策として東芝が進んでいった部分もある。

 私は、何も東芝が国の方針にのっとってある意味で事業展開を進めたことが全部悪いとは言いませんが、ただ、余りに特定の、社内でも権限を持たない人、かつ、政府内でも、例えばエネルギー庁長官なりなんなり、電ガ部長なり資源・燃料部長でもない、総理秘書官という特別職の方が一定の権限を持ってもし一つの会社を間違った方向に進めることがあったとしたならば、これはゆゆしきことだな、こう思うので、そうでないことを願って、きょう実はその事実を解明したくて取り上げた、こういうことでございます。

 最後に長官、重要な話なので、ぜひ今井秘書官に聞き取り調査を、エネルギー政策の問題ですから、次長時代にどういう会話をしたのか、ぜひそれは聞き取りをしていただきたい、こう思うわけであります。

世耕国務大臣 聞き取るといっても、何が問題なのか、そのことによって何か国の政策が曲げられて国益を害したとか、あるいは、そのことによって何か民間企業の契約がひっくり返されて違う方向へ行った、それを御指摘いただかないと、あんた会っただろうみたいな話だけを聞くということは、これはできません。

近藤(洋)委員 では端的に申し上げます。

 今井秘書官と田窪前原子燃料社長がお会いになって、そして、原発プラントの輸出事業の話をされたのかどうかということだと思います。東芝の海外展開について、政府の約束を、支援を、そこの場でこのお二方で具体的にどんな話をされたのか。二人だけの話でどういう具体的な支援の約束をされたのか。具体的な会談の中身をされたい、こう思います。

 少なくとも私どもの聞いている範囲では、そのことが東芝社内で総理直属のプロジェクトになったというふうに伝わって、ほかの会社が海外事業から、原発から撤収する中で、東芝だけが少なくとも安倍政権以降どんどんと突き進んでいった。外形的にはそう見てとれる姿になっていますので、東芝だけが原子力関連ビジネスに突き進んでいった形になっていますので、そして、その中心人物の一人が田窪氏だということが言われていますので、そこはそうでないということを、今井さんとの会話で、今井さんと原子力ビジネスについての話がなっていないという話を今井さんから聞きたい、こういうことでございます。

 以上です。

浮島委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

近藤(洋)委員 時間ですので終わります。

浮島委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民進党の田嶋要でございます。

 きょう午前中からの委員会質疑をお伺いしておりまして、世耕大臣、答えられる範囲で結構でございますが、質疑のやりとり等を聞いていて、通告なしでございますが、確認でさせていただきたいと思います。

 一つは、きのうの本会議、そしてきょうも、いわゆるイノベーション・コースト構想、こういう言葉が何度も出てきて、ある意味、厳しい状況に置かれている福島で未来志向の胸膨らむ分野なのかなという感じもしておるわけでございますが、浜通り、浜通りという言葉を何度もおっしゃいました。

 私、現地の本部長をやっていたときによく聞いたんですが、会津と中通りと浜通り、福島県というのは三つの地域に分かれている。そこの、地理的にもそうですけれども、やはりこれまでのかかわり方というのも違いがあるし、非常にそこは微妙でセンシティブな問題だという話も聞いておるんですが、一つ確認は、福島の復興に目がけたイノベーション・コースト構想が、コーストと言っているんですから浜なんでしょうけれども、なぜ浜通りということを強調されているのかということを御答弁いただけたら、教えていただきたいと思います。

世耕国務大臣 これは、直接的に避難生活を強いられるなど、そして今ようやく帰還が始まったという状況の中で、やはり浜通りが最もまだ帰れないという状況も続いているということで、浜通りに事業を起こしていく、なりわいをつくっていくという観点から、イノベーション・コースト構想については、コーストという言葉が入っているように、まさに浜通りを対象にしているわけです。

 だけれども、ほかの地域も全然見ていないかというと、そういうことではありません。特に会津地方なんかは風評被害がやはりまだ続いているという状況ですから、これについては事業の補償も含めていろいろな対応もしていますし、官民合同チームなんかは、これは決して浜通りだけではなくて、他の地域の事業の再生とか立ち上げとか、そういったことにも力を注いでいるわけであります。

 当然、福島県全体のことをしっかり見ながら、しかし、まだ帰れていないという状況が続いている浜通りに対してやはり夢のあるプロジェクトをしっかり起こしていくということは、重要なのではないかというふうに考えています。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 そういうことで安心をしますけれども、もちろん福島県とはしっかりと緊密に連携をとりながら、この構想を前に進めていっていただきたいと思います。

 大変横に広い福島県でありまして、我が千葉県からは修学旅行が全国で最も行っていたのが会津だということなんですが、そういったところも大変なダメージを受けている。一番遠く離れた会津ですらそういう状況があるし、そして、福島や郡山のような大きな都市のある中通りもやはりそういう意味では同じように御苦労があるわけでございますから、福島全体をしっかりと応援するというスタンスは、浜通り、浜通りということだけではなくて、見ていっていただきたいというふうに確認をさせていただいています。

 それから、午前中、また別分野でございますが、私もきょう聞いておって、除染にかかわる財源の話として、株価の値上がりの話がございました。これは、世耕大臣、正直におっしゃったんだろうと思いますけれども、いろいろ仕組みを理解するのも自分も大変だったというような話、それから、時価総額を十倍に上げなきゃいけないということなんですが、五倍、十倍になったかのような会社はいろいろあるんだというようにおっしゃっていますけれども、ここは本当に現実的にいけると思っていらっしゃいますか、大臣。どうですか。

世耕国務大臣 はっきり言って、野心的な目標だとは思っています。ただ、時間軸が結構長いということと、過去そういう例が幾つかあるということで、私は十分実現可能だと思います。

 東京電力というのは、今はどうしても、一F事故の処理、そちらの方ばかりスポットが当たりますけれども、これから、成長戦略、日本がもっと成長していくんだという中で、首都圏の電力供給を担っている会社でもあります。

 今のところ、日本の電力会社というのは海外に電気というシステムとして輸出をするということは全くなかったわけでありますけれども、このように、日本というのは世界で一番電力が安定して質が高い国でありますから、これを、例えば、今、中部電力と連携したJERAなんかも火力発電システムの輸出ということにもチャレンジをしております。これは、単なる発電機だけではなくて、グリッドも含めて、そういった管理も含めて、料金収納の仕組みも含めて、これから東南アジアですとか途上国へ輸出をしていく、こういう展開をしてくるとなかなかおもしろい会社になってくるんだろうと。

 そういう中で時価総額を実現する。しかも、今七千億ですけれども、震災前はピーク時五・六まで行っていましたから、七兆円は私は決して夢の数字ではないと思っています。

田嶋(要)委員 五倍、十倍というのは、ベンチャーで、最初に突っ込んだ人が十倍、二十倍はよくある話ですね。しかし、こういう話では私は余り聞いたことはない。

 ただ、一つ言うならば、事故の後、株価が急落した後に入れているお金ですから、いわゆるIPOみたいなものとは違いますけれども、セカンダリーの取引であったとしても、その可能性は絶対ゼロじゃないなと私も思っておる一人でありますけれども、だからこそ非連続の経営改革ということが出てくるわけですよ。

 つまり、電力会社とかガス会社とか電話の会社とかは、基本、アメリカなんかでも、お父さん、お母さんが安心して買える株だとよく言うんですよ。これは何かといったら、キャピタルゲイン狙いじゃなくて、配当が安定しているという意味なんですね。逆に言えば、余り成長性は期待できないし、非連続な経営も期待はできないけれども、まあ、持っていて潰れることもないしというような観点なんです。

 そういうようなことわざもあるとおり、やはり電力の会社が十倍の株価になるなんというのは余り現実的じゃない感じもしますけれども、大臣がおっしゃるのであれば、やはりそこは、私もそうであれば大いに結構だと思いますよ。ぜひ非連続の経営というのをやっていただきたい。

 そして、私はもうこの委員会で何度も申し上げておりますが、ほかの国々の既存の大手電力会社を見ておりますと、例えばドイツの四電力会社の株価は落ちまくっています。落ちまくっている会社はみんな化石エネルギーの発電を主とした事業をやっていて、そして、世の中からは、これじゃいけないというような声で株価が下がってきていると思うんです。

 非連続というときに、今回の新々総特でも、省エネルギーをビジネスとしていく、再エネルギーをビジネスとしていく、スマートグリッドをビジネスとしていく。これまでの東京電力では考えられないようなことを僕はぜひ挑戦してほしいんです。

 僕はいつもこれを言っているんですけれども、守りに入ったらだめだよ、自分たちが再エネの先端に立つ、いかに電力を使わない暮らし方をしていくかということを電力会社自身がビジネスモデルを提供していくということが、逆転の発想に聞こえるかもしれないけれども、これこそが将来の彼らの飯の種を生み出すきっかけになると私は確信をしておるんです。

 その点、大臣、ぜひ思いを共有していただきたいと思います。

世耕国務大臣 全く同じ思いであります。

 今、株価がそんなにふえたところはないとおっしゃいますが、結構大きいところでも若干あります。十倍はなかなかしんどいんですけれども、例えば日立は、それこそ川村社長兼会長のもとで、二〇〇九年から二〇一四年にかけて時価総額を六倍にしておられます。日産もカルロス・ゴーン社長のもと、やはり五倍に時価総額をやっています。新日鉄住金は、これは十三年という長い時間がかかっていますが、十一倍になっています。我がNTTも、一旦四・五兆まで時価総額が落ちましたけれども、これを十一兆円まで戻した。これも二・三倍。だから、結構大きい会社でも思いっ切り時価総額を上げているケースはあると思っています。

 東電は、事故処理という観点で見ると、なかなか重くて将来性がないと思いがちですが、今御指摘のように、各家庭にメーターを全部持っていて、各家庭に料金明細を送る力を持っていて、それは、顧客データからネットワークから物すごい可能性を持っていると思いますし、技術力は私は世界一だと思いますから、これを海外展開することによって、原子力だけじゃなくて、火力とかそういったことも含めてやっていくことによって価値を高めていける会社だと私は考えています。

田嶋(要)委員 おっしゃるとおりですね。

 私も、三・一一のころから、いろいろな方々のお話の中で、経営陣のいろいろな判断、過去の判断はともかく、やはり現場の皆さんの頑張りと技術力があったからこそ踏ん張れたという声はたくさん聞いております。そういう意味でも、ぜひ非連続の挑戦に期待をさせていただきたいと思います。

 今挙げていただいたような企業の株価は、恐らくは、言うまでもなく、過去の延長線上の経営ではなくて、何かリスクをとって新しい事業に入っていった、そういうことがきっかけなんだろう。私も少し研究をしてみたいと思います。

 大きな会社でありますから、リスクも大きくとらなければいけないのかもしれませんが、このエネルギーの分野というのは確かに激変をしている。今月からガスも参入自由化が始まりました。そういう意味で、新しいビジネスモデルを打ち出していただけるような、そういう電力会社に生まれ変わってほしいと思います。

 ただ、それは東京電力だけじゃないですね。電力業界全体が、これまでのビジネスモデルを否定するというか、そこに安住をせずに新しい挑戦を続けていくように、ぜひ経産省からも御指導をいただきたいと思います。

 それからもう一点、午前中に大臣が強調されました。東電をこれからどうするかという話でございます。

 私たちも、与党時代があり、そして、当時悩みながらの今の形になって、基本、それを踏襲する形で今日があるけれども、今から方針転換をするのはいかがなものかと思うと大臣が午前中おっしゃいました。

 私は、本当にそうなのかなという気持ちを持っておるんです。私たちが与党だったときには、目の前でいろいろなことが現在進行形であったので、確かに最善ではないかもしれないけれども、十分検討する時間的余裕もない中で判断を行わざるを得ないこともあった。それが五年目、六年目になり、それは、おっしゃるとおり、今でも現在進行形、刻々変わっていくのは同じでございますが、それでも、一旦決めた方針は変えないということに、本当に日本の将来の国益が正しい方向で向かっているのかなという気持ちを僕は正直言って持っているんです。

 大臣、そこは、安倍政権の方針として、既にこれまで五年間歩んできた道を方針転換することはないということで考えられている、そういうことでよろしいんですか。

世耕国務大臣 これは、やはり六年の積み重ねというのがあると思います。我々も全く変えていないわけじゃなくて、いろいろな軌道修正をやりながら、今回だってこうやってお願いをしているのは一つの改善ということだと思います。状況に応じて少しやり方を変えているということだと思います。

 ただ、根本の、東京電力にしっかりやらせるという大原則、それを国が支える、国も一緒に前面に立つ、ここの原則を変えるとなると、これはやはり議論に相当時間がかかると思いますよ。そうしたら、その間、立ちどまらなきゃいけなくなるわけです。賠償をもらえなくなっちゃうんじゃないかと不安に思う方も出てくるかもしれません。

 今、例えば我々だって、この賠償の見直しというのは、一Fは今までどおりやるけれども、今後起こった場合、起こってほしくないですけれども、万々々が一起こったときの賠償ということを議論してもらっているんですが、この議論だって気をつけてやらないと、今の賠償の枠組みが変わるんじゃないかという不安が走ったりということもあるわけです。

 ですから、私は、立ちどまって抜本的に変えるというのも一つの案だとは思いますが、その立ちどまる期間もしっかり前へ進んでいった方が福島の人のためになるんだろうというふうに考えています。

田嶋(要)委員 全部とめて立ちどまってというやり方だけではなくて、今のやり方は続けるわけですよ。だけれども、同時にそういったプランBを検討することをパラレルでやるということは私は十分できると思いますよ。

 ちまたではいろいろな声があります。何で東京電力が、あるいはいろいろな電力会社も含めて、原子力というのはもう本当に厳しいんじゃないかという声が多々あるのは大臣も御存じのとおりだと思います。

 そこで、例えば今回の東芝、今、近藤先生も取り上げられた東芝の問題なんかでも、会社が大変厳しい。そうすると、ある事業分野を売却するとか、そういったことが検討されるわけですよ。例えば、ちまたでは、なぜ東京電力の火力発電所、火力発電事業を売却しないのか、原子力事業を売却しないのか。これは名立たる有識者の方々もおっしゃっているわけですよ。

 もはや、例えば自分たちのサービスエリアではないところに原発、発電所を置いていて、新潟のようなことがあり、大変困難なのは誰が見ても明らかなわけです。そうなってくると、一つの、決して後ろ向きな選択肢ではなくて、あるいは縮小均衡ということではなくて、非連続の経営判断として、今回の東芝がやったように、特定の事業分野を売り払う、こういうことも、キャッシュフローをつくっていくという意味では、まず一旦は少し後退をするかもしれないけれども、次への新たな非連続の経営展開を行う上での流動性の高い資産に切りかえていくという判断も十分僕はあると思うんですよ。

 なぜ、火力発電所とかそういう発電事業を売却していく、そういった判断を検討しないんでしょうか。

世耕国務大臣 御存じのように、廃炉事業というのは、やはり三十年から四十年かかるわけであります。事業の売却というのはスポットで、確かに一旦お金はぽんと入るかもわかりませんけれども、やはり三十年、四十年かかる廃炉事業をしっかりと資金の手当てをするという意味では、ある意味、その事業を抱えながら、その事業を構造改革して、あるいは、場合によっては他の会社と連携をする仕組みに切りかえてコストをもっと抑えていって、そこで安定的な利益を生み出すということの方が、三十年、四十年、毎年お金がかかる事業を完遂するには、私はそちらの方が選択肢としてはベターなんじゃないかなというふうに考えます。

田嶋(要)委員 いろいろなキャッシュフローの生み出し方、当然それがポイントだと思うんですけれども、非連続の事業に参入することで新たなキャッシュフローを生み出していくということが攻めの経営だと思います。

 と同時に、特定の事業分野や特定の資産を売却するということは、カルロス・ゴーンさんだったらやるかもしれませんけれども、当然検討すべきだと思う。大臣が社長をやっているわけじゃないんですけれども、いずれにしても、そういった選択肢が全く聞こえてこない。

 そういった選択肢を排除すべきではないし、非連続の経営の中に、そういった、火力発電所を売却していくということはどうか。これは大臣も御存じのとおり、いろいろな方がおっしゃっているんですよ。原発に関してはもう売却をして、例えば、送配電事業者として送配電事業に特化した方が将来の東電はおもしろいかもしれませんよ。そういった可能性も検討すべきだと私は思いますけれども、どうですか。

世耕国務大臣 最終的には東京電力が経営判断をしていかなきゃいけないと思いますが、我々としては、やはり一方でエネルギーの安定供給ということも念頭に置いて政策は立てていかなきゃいけませんから、その辺はよく考えていかなければいけない。

 ただ、私も、何も、資産を売らないと言っているわけではなくて、現時点でも、いろいろな資産売却、売れるものはしっかり、売っても本体に影響がないものは売っていくというやり方をとらせていただいています。もう既に東電は八千五百九十億円を超える資産売却をやっています。だから、そういう意味で、売るべきものは売ればいいと思います。

 ただ、火力のような中核事業は、確かにおっしゃるような案もあるかもしれないけれども、やはりキャッシュはある程度安定的に生む事業なんですね。こういう電気事業というのは、これはある程度持って、三十年、四十年かかる事業の一つの資金源としてうまく発展をさせていった方が私は賢いんじゃないかなという気がします。

田嶋(要)委員 コア事業だからこそ検討の例外には、しないという考え方は、私は危険だと思うんですよ。

 おっしゃるとおり、コア事業だったのが東芝にとっての原発ですよ。将来のキャッシュをたくさん生む、キャッシュフローを大変生む。当時、日立と三菱重工と東芝があって、いわゆる利益率が最も低かったのが東芝なんです。そして東芝は、BWRしか持っていなかったということで、シナジーということで海外に買収をした。そういう判断によって、原子力事業を大きな柱として育てようという動きがあったわけです。そういう意味で、大きなコア事業だからそれはもう対象から外すというのは、私はいかがなものかなと。

 ドイツを研究していただきたいと思いますが、ドイツの電力会社の株価は相当落ちたんです。それは、コアであるビジネスが将来性がないと言われているからなんですよ。コアであるビジネスでは将来は国民から見放されていくということを国民、投資家が感じているから株価が落ちるんです。そういうことも、これ以上申し上げませんけれども、ぜひ、東電のために、そして非連続の経営に挑戦するために、検討の選択肢から排除はしていただきたくないというふうに申し上げます。

 次の質問でございますけれども、これはわかったら答えていただきたい。質問通告ではないです。

 大臣、今、世界で風力発電が最も行われている国というのはどの国か御存じですか。わからなくてもいいですよ。

世耕国務大臣 済みません、わかりません。

田嶋(要)委員 これは、ドイツでもない、アメリカでもない、もちろん、ちっちゃなデンマークでもない。

 世界一の発電能力の風力を持っているのは中国なんです。もう圧倒的に中国です。今、世界の風力発電のキャパシティーの三分の一を中国一国で持っています。三分の一というのは、大体原発四十七基分。片や、日本の風力は、原発三基分ぐらいの風力だということでございます。

 何を申し上げたいかというと、風力だ何だという話はもう先進国の中でのブームではないということです。今、何となく、見ていると、アフリカが一番熱くなってきているような感じがいたしますし、それから、インドや中国のような途上国も物すごく投資の加速をしている、そういう印象を私自身は持っております。もうこれは世界的な、ブームを超えた大きな大きな世界の流れになってきているということであります。

 そこで、今度は質問通告してございますが、企業に関して、参考資料の一をごらんください。

 一〇〇%の自然エネルギーの取り組みというものが国際的なイニシアチブでスタートをしてございます。資料の一に書いてある名立たる企業がやっておるわけでございまして、ごらんをいただきたいと思います。私の千葉県の船橋にはイケアという家具屋さんがありますが、有名ですね、自然エネルギー一〇〇%宣言。

 これは、達成したかどうかじゃないんです。そういう経営をやっていくという宣言をするわけです。そして、自然エネルギーを自分の会社の運営、工場やオフィスで一〇〇%にしていくということでございますが、下をごらんいただくと、そういった宣言をした企業の中に日本の会社が一社もない。中国もインドもそういったいわゆるグローバル企業が存在する中で、残念ながら日本の企業だけは一社もない。

 おととい、ソーラーシェアリングの開所式というものに、千葉県の匝瑳市に行ってまいりまして、そこである関係者からお話を聞きましたけれども、日本の現政府の方針として原発をやっていくという基本があるわけだから、したがって、余り会社としてこういったことを発信するのはいかがなものかというひょっとしたら無用なそんたくが行われているんじゃないか、そんなお話も現場で聞かれたわけでございます。

 私はよもやそんな愚かなことはないと思っておるんですが、改めて確認でございますけれども、今、中国とかインドとかアフリカのお話をさせていただきました。国単位で見ても途上国が今大きな動きが、流れができつつある。同時に、グローバル企業それぞれを見ても、ここに書いてあるようなさまざまな企業がそのことを宣言して取り組みをし、そして、その会社が拠点を持っている政府や電力会社にプレッシャーをかけ始める、こういうような流れになりつつあるわけでありますが、ぜひ大臣、そういったことを含めまして、日本企業が一社も含まれていないことと、原発に関する政府の意向に配慮している、そういったことは決してないというふうに私は考えておりますけれども、その点、明確におっしゃっていただきたいと思います。

世耕国務大臣 我々が示しているエネルギーのベストミックスというのは、あれは、二〇三〇年での国全体の姿としてこういう形の依存度になるだろうということを示しているものでありまして、個別の企業が自分の判断で一〇〇%再生可能エネルギーでやるんだという企業があれば、それはどんどんやってもらえばいいと思います。

 日本企業は別に、政府がそういうエネルギーのベストミックスを示しているから、だからそんたくするなんということはないというふうに思っていますし、逆にRE一〇〇に入るようにしなさいと政府が圧力をかけるのもまた変な話でありますから、企業がぜひ自由に取り組んで、店舗単位とか工場単位ではもう既に日本でもそういう企業も出てきていますよね。ですから、企業が独自の取り組みとしてやっていただくことについては、我々としてはぜひやっていただければというふうに思います。

田嶋(要)委員 そんたくというのは、本来無用な気配りを勝手にしちゃうことなんだろうと思いますから、そういうふうにおっしゃったとしても、今はっきりおっしゃっていただいたので、ぜひとも日本の企業が、今八十八社、八十九社ですけれども、残念ながらこういう状況にある。もう今、日本は、こういう企業単位で見ても、国単位で見ても、相当世界の後塵を拝しつつあるということもこれは事実です。私は大変危機感を持っております。

 次の質問をお伺いします。国民負担についてです。

 よく政府は国民負担という言葉をお使いになりますけれども、国民負担というのはどういう定義ですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 国民負担もしくは事業者負担、何負担といったような言葉は、使われる場面によってさまざまな意味になり得るものと承知しておりますが、東電委員会において使われている国民負担という文言につきましては、デブリ取り出しを控えまして、廃炉に要する資金が増加する中で、今般の措置に伴って税金や電気料金が値上げされることはないという意味合いで国民負担の増加ではないという言葉を用いている、このように承知しております。

田嶋(要)委員 ということは、おっしゃった、税の負担がかかるか、そして電気を使う電気の料金が上がるか、それ以外の負担は国民負担ではないという考え方ですか。

村瀬政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、使われる場面によって言葉遣いは、意味合いは変わってくるものと思いますけれども、この報告書で言うところの国民負担の増加ではないという意味においては、先ほど申し上げたように、税金や電気料金が値上げされることはないという意味合いであります。

田嶋(要)委員 国民が負担をしないのであれば、では、そういうケースは誰が負担をするという意味で国民負担と。国民負担をふやさないとよく言いますよね。ということは、国民負担がふえないということは、誰の負担がふえているという意味なんですか。

村瀬政府参考人 これも場面場面によって意味は変わってくると思いますが、例えば、事業者負担と言われるものの中には、事業者がみずからのコストを削減して費用を捻出したといったような場合にそういう意味合いで使われることはあろうかと思います。

田嶋(要)委員 私は、この国民負担という文字を大変よく聞くので、ここはやはり、テレビなんかで国民負担を極力ふやさないためになんて言うと、ああそうか、いいことをやってくれているんだと何か納得しそうになっちゃうわけなんですけれども、ここは今おっしゃったように、場面場面で意味合いが違うんですよね。たまたま今おっしゃった資料はそういう意味で税金と電気の値上げだということなんですけれども、これは努めて、どういう意味で言っているのかということを明確にしていただくのが私は政府の責任だと思うんです。

 そこで、今回、託送料金の話が出ておるわけでございますが、これは北神さんが本会議でも取り上げておりましたけれども、今回は実質的な値上げになるということなんだと思います。つまり、託送料金の値上げはないということなんですけれども、託送料金も値上げしない、電気料金も値上げしない、ということは、イコール国民負担がふえないということなんですか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の措置を講じなければ実際発生しなかったコスト削減分というものが、措置を講ずることによってコストが削減され、それが廃炉事業に充てられるということであれば、国民負担が増加するものではない、このように考えております。

田嶋(要)委員 だから、そこが、わかっておっしゃっているんだと思うんですけれども、国民負担の増加ですね。つまり、国民負担の増加というのは、今まで十円払っていたのが次の月から十五円払うことだけじゃなくて、十円払っていたのが本来八円に下がるのに、八円にせずに十円のまま取り続けていたら、それは国民負担はふえているんですよ、私の感覚は。

 そういうことは政府は認めていないんですか。それは国民負担増には当たらないというふうに考えているんですか。

村瀬政府参考人 先ほどの繰り返しになりますけれども、ここで言っているのは国民負担の増加ではないという文脈で使われております。今先生がおっしゃったとおり、そこを、本来値下げに使われる部分がそうでないところに回ったことが国民の負担になっているという表現が使えるという場面も、それはあると思います。定義次第だと思います。

田嶋(要)委員 いや、これは好みの問題ではなくて、後半の考え方が世界の常識でしょう。

 大臣どうですか、家のお父さんとして。やはり、家庭に住んでいる普通の生活者として、本来だったら来月から減るはずがちっとも減らずに高い値段のままだったら、それは国民負担はふえているんですよ。それを何か、国民負担をふやさないなんという詭弁を弄するようなのは私はおかしいと思うんですよ。大臣いかがですか。

世耕国務大臣 福島第一原発事故の処理に二十一兆五千億かかるという、この世界が経験したことのない事態に対応する中で、我々は、具体的に、国民が毎月支払う電気代が上がらないようにするということを一つの目標にして今回の政策の組み立てをやってきているんです。それは本来、逸失利益みたいなものですよね。今、田嶋さんがおっしゃっているのは、もうちょっと下げられたんじゃないかと。

 だけれども、一方で、この事故の対応をやることによって、非連続の改革をやるからこそ起こってくるコストダウン、それを廃炉の費用等に回していくという考え方でありますから、我々の考え方は確かにそういう定義でいけば国民負担はふえているじゃないかと言われるかもしれませんけれども、実際の電気料金を上げていないというところで一つの政策としての目的は達しているんだろうというふうに思っています。

 でも、やはり東京にお住まいの消費者の皆さんの電気代を安くするというのも東電の使命だと思いますよ。ですから、さらにそれを上回るコストダウンをやって、一部はやはり値下げに回していくということも取り組みとしては重要なんだろうというふうに思います。

田嶋(要)委員 おっしゃったとおり、人類が経験したことのない取り組みをこれからするんだから、そっちにお金を回すんだということを私は否定しているわけではないんです。ただ、口を開けば国民負担をふやさないという言い方は、私は、おっしゃったとおり、逸失利益という考え方が普通なわけですから、それはごまかしの説明に感じるんですよ。

 そうじゃなくて、より正直な説明をすべきだし、それは、電気料金は上がらないけれども、実質的には負担をかけているんですと。

 そして、加えて言うならば、東京電力がそれぞれの家庭に、請求書ですか、明細を送る。その明細の中にはやはりきちんとわかるように書いておいて、人類が経験したことのないような事故の廃炉、これをみんなのお金で支えているということを説明した方が断然いいと私は思いますよ。

 その点いかがですか。

世耕国務大臣 それは料金明細での表現の問題になるかもしれませんけれども、当然、託送料に上乗せされた分というのは明記するわけでありますから、トータルとしては上がっていないんだけれども、託送料というのは明記されますから、ああ、自分の払っている電気代の中にやはり福島の処理費用が入っているんだな、賠償の費用が入っているんだなということは国民はわかるような仕掛けになっているのではないかと思います。

田嶋(要)委員 なっているのではないかというか、これからそうしていくということでいいですか。

世耕国務大臣 だから、託送料に上乗せする部分というのは明記をするわけですから、それがそういう意味だということはしっかり説明していきたいと思います。

田嶋(要)委員 だから、今回の廃炉ということを聞いているんです。

村瀬政府参考人 賠償につきましては、今大臣がおっしゃったとおり、毎月御家庭にお届けされる中で明記をしていくという方針でございます。

 廃炉につきましてですけれども、これは、まず規則が決められます。託送制度の中で、超過利潤のうちどれだけ値下げ命令の対象になるかということを規則の中に明記していきますので、まず、こういったプロセスを経て国民に明らかにしていくということをさせていただきたいと思います。

 そのプロセスにおいて、パブリックコメントをかけるですとか、制度の策定プロセスにおいてどういったルールで運用されていくかということを明確にさせていただきたいと思いますし、その結果起きていることにつきましても、どのような形で、できる限り国民の理解が進むように、先ほど大臣も御答弁の中でおっしゃっておられましたけれども、ホームページですとか、ほかの手法も組み合わせた形で、最適な形で情報提供をさせていただきたい、このように考えております。

田嶋(要)委員 料金は上がらないけれども実質的に負担をかけているわけだから、その部分だけでも非常に見えにくいことになっています。だから、これは世界じゅうで唯一、この福島だけで、人類が初めて挑戦する大変な困難なプロジェクトなわけで、それをみんなが少しずつお金を出し合って支えているんだということをやはり伝える義務があると私は思いますよ。

 そういう意味では、今、料金明細を見ますと、再生可能エネルギーの負担の額がちゃんと出ていますよ。ああいう形できちんと、何のために幾ら取られているかということは伝える必要があると思います。ぜひお願いします。

世耕国務大臣 託送料と違って、廃炉費用となると、では、それぞれのキロワットアワー当たり幾らとか、そういうのがなかなか算定できないですから、これは下手に明細票に書くとちょっと混乱する部分もあると思います。

 ですから、そこはホームページとか広報などを通じて、もちろん、廃炉費用というものが東電の合理化の中で処理をされているということをしっかりとお伝えしていく必要はあるだろうと思います。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。工夫していただきたいと思いますが、混乱のない形で、しかし、正直に情報を共有していただきたいと思います。

 送配電部門の合理化の話でございますけれども、自由な使途充当を認められるか否かの基準はどういう基準ですか。

村瀬政府参考人 お答えをさせていただきます。

 託送料金制度でございますけれども、これは、電気事業法に基づきまして、一般送配電事業者に経営効率化のインセンティブを与えるという目的で、現行制度でございますが、一定範囲まで経営努力による合理化分の活用が認められておりまして、その観点から規則が決められております。

 その基準でございますけれども、これはいわゆるストック管理方式と呼ばれておりますけれども、具体的な基準といたしましては、送配電部門の固定資産の平均帳簿価額に事業報酬率を掛け合わせたもの、これが現行の規定でございますけれども、一定の水準ということで、これを超えるまでは活用が認められる、このような規定になっているところでございます。これに達するまでは自由な使途に充てることが認められているというのが現行制度でございます。

田嶋(要)委員 ということは、その基準値というかレベルまでは電力会社は自分たちの裁量のあるお金をふやせるという意味ですよね。それは全電力会社共通ですか。

村瀬政府参考人 そのとおりでございます。

田嶋(要)委員 そこで私が思いますのは、では、それを超えた部分を東京電力は廃炉に充てるというルールにしたい、そういう話ですよね。そういうことですね。

村瀬政府参考人 基本的にそのとおりでございます。

 合理化により生み出した利潤につきまして、その使途について、これは命令をすることができるということになっているわけですけれども、その対象にはしないということを明確にする、こういう措置を講ずるということでございます。

田嶋(要)委員 ということは、東京電力の場合には対象にしないということで、廃炉のために充てていくということになるわけです。

 そこで、これは午前中の福島先生の質問にも関連するんですが、では、ほかの電力会社に関しては、当然、世耕大臣、非連続の経営というのは別に東京電力だけに期待するものではないと僕は思うんですよ。そうなると、同じように合理化ができる。ただ、東電は重荷を背負っているから、ある一定基準を超えた部分は廃炉に充てさせるということになるわけだから、同じように頑張ったほかの電力会社はその分は値下げの原資として使われる、そういう理解でいいですか。

世耕国務大臣 必ずしも値下げだけではないと思いますよ。いろいろな投資とかそういうところへ使いますから、必ずしも一律に全部が値下げというような扱いにはならないのではないかと思います。

田嶋(要)委員 それは違うんじゃないですか。一定の基準までは経営の裁量を認める。そこまでは自由度のあるお金として彼らに頑張るインセンティブを与える。頑張ったらそれだけ生み出せるわけです。しかし、その一定基準を超えたら、それは本来値下げに回すべき部分だけれども、東電は世界でも最も困難な事業に当たっているから、そこは廃炉に充てるというルールにするわけでしょう、今回。

 ということは、その事業に直面していないほかの、沖縄を除く八電力会社は、同じような非連続な経営改革をしていただいたら、あるところまでは自由度、その自由度の中に投資の判断もあり得ると思うけれども、それを超えたら、廃炉に回すのと等価の部分の、ほかの会社の生み出されたキャッシュは電力利用者の値下げ原資として使われる、そういう理屈じゃないですか。

村瀬政府参考人 今大臣が御答弁されたとおり、合理化をして生み出した資金と、一方で、コストがもし何らかの理由で上がっていれば、相殺される部分も出てきますので、したがいまして、合理化をした部分がそのまま利潤になるわけではないということにおいては、合理化したものがそのまま利潤になるわけではないわけでございます。

 他方で、結果として、コスト増がなく、そのまま仮に利潤になるとするような事態があれば、御指摘のとおり、値下げメニューの対象になり得るということでございます。

田嶋(要)委員 なり得るというか、だからこれは、コストが上がるのは、それはだって、東電も同じじゃないですか、そこは。東電であろうがそれ以外の電力会社だろうが、利潤がちゃんと予定したとおりふえるのか、コストも上がっちゃったから利潤はそんなに上がらないのか、それは同じですよ、状況は。

 ただ、私が申し上げているのは、東電の場合に廃炉に回す費用として認めていく部分と等価の、つまり、一定の努力のところまでは本人たちのインセンティブを与えるけれども、それを上回った部分、超過利潤の部分に関しては廃炉に充てることはほかの会社はないんだから、そこはお客様に利益を返していく、還元していく、そういうことでいいんですよね、そこは。

村瀬政府参考人 そこでございますけれども、先ほどちょっと私が答弁の中で申し上げたかったことの一つでありますが、インセンティブがあるかどうか。

 東京電力の場合は特別だということで、そのとおりなんです。東京電力の場合、この合理化によって利潤を生み出したものが廃炉に充当される。したがって、改革をしようという、逆に言うとインセンティブが生まれるわけです。この制度自体、そもそも、一定程度のものが合理化をすれば自由に使える部分があるというのは、そういったインセンティブを生み出すという発想で設計されているものです。

 一方で、今先生がおっしゃったような形で、東電並みの合理化をするインセンティブが他社に今の制度のもとで発生するかといいますと、先ほど申し上げた、客観基準を超えたものは、御指摘のとおり、値下げの命令対象になるわけですから、そこのインセンティブが湧きにくいという状況があることも一方で事実かというふうに思います。

田嶋(要)委員 ちょっとよくわからないですね。

 これはだから、先ほど来確認している非連続の経営改革というのは、電力が自由化され、ガスも今月から自由化をされ、再エネ、省エネ、新たな可能性というのは、別にこれは東京電力だけの問題じゃないわけですよ。電力業界全体が直面する問題であり、自由化が先に進んだドイツを見ていれば、今までの延長線上の経営事業形態を持っていると、ひょっとしたら将来株価は落ちていっちゃうんじゃないかということを僕は懸念している。だから、非連続の挑戦をみんながしなきゃいけないでしょうと。

 ただ、今回、東電だけは、事故を抱えているから一定程度は頑張って合理化したら彼らの得になるようにしてあげたいというのはよくわかる。だけれども、そこを超えた部分は廃炉に回しましょうと言っているんでしょう。だから、同じように、一定程度まではほかの電力会社も彼らの得になるようにするけれども、しかし、さらに超えた部分、これは、東電がやったと同じ結果はやはりある程度出せるはずだと僕は思いますよ。だって、先ほど来出ている、十電力は同じような事業をやっているわけだから。

 したがって、そこは、非連続の経営は東電以外にもやはり求めていかなければいけないわけだし、その結果として生み出された追加的なキャッシュは、昔はぬれ雑巾という言葉をよく聞いたと思いますけれども、それはお客様の利益に戻していくのが筋でしょう。それが自由競争の中で本来我々が期待していたことでしょう。

 私は、ベンチマークとして、東電のこの非連続の経営改革は大変大事だと思っているんですよ。大臣。

世耕国務大臣 今委員のおっしゃっていることは、全く我々の考えていることと一緒であります。

 電力会社というのは、普通、ほっておけば、先ほどもお話があったように、安定的にキャッシュも入ってくるしということで、割と安定的な会社なわけですよ。ただ、東京電力だけは、この二十一・五兆という金額を前にして、やはり非連続の改革をやっていかなければいけない。

 だから、この東電が、ある意味、昔ヤードスティック競争なんて言っていましたけれども、ほかの電力会社のモデルになって、ほかの電力会社が、それはまたユーザーからのプレッシャーも入って、東京電力はこんなにやっているじゃないか、だからおたくもできるだろうということで、頑張って東京電力並みの努力をしたら、その分は当然値下げに回っていく、それで大きな国民利益になってくる。

 では、今度は、東京の人は不利じゃないかといったら、東京電力はさらに深掘りをした合理化をして、少しでもユーザー還元を確保していくというのが我々の考えているラインで、今まさに田嶋委員のおっしゃっていることと一緒だと思います。

田嶋(要)委員 ぜひよろしくお願いします。

 そういうことで、当然、事故を起こしていないから、その分、我が社はもう少しゆったりいけばいいんだなんて話はないわけです。だから、事故を起こしている会社も事故を起こしていない会社も、同じように非連続の経営をして、最大限の、これまで以上のキャッシュを生み出して、お客様還元もしていただきたいと思います。

 そこで、先ほど午前中も少し出たような気がしますけれども、結果として東電の需要家のみが規制料金下でも不平等な扱いを受けるんじゃないかなと思うんですが、そこはいいんですか、それで。それはもう仕方がない、前人未到の部分をやっているんだから仕方がない、そういう説明になるんですか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の措置でございますけれども、この措置をとった結果、確かに、我々の狙いは、本来生み出されていなかった改革合理化努力部分をこの制度によって引き出そうということでございますが、結果として、一部他の地域と比較して東電管内の需要家の負担がそのために重くなる可能性もあると思います。

 そのことにつきましては、この福島第一原発事故が起きたときに、東京電力は一貫体制であったこと、それから、当時の電気の消費者であったこの関東エリアの需要家に一定程度御負担いただくという部分があるのは許容され得る部分があろうかと思います。

田嶋(要)委員 ちょっとわかりませんけれども。

 要は、将来、本来ほかの地域に住んでいれば、きょうの話で、託送料金が下がって値下げが起きるかもしれない。その部分が東電管内だけは起きない可能性が高いわけですよ、値下げ余力を廃炉に回すんだから。そういうことでいいんですねということです。

世耕国務大臣 ですから、今部長がお答えしたとおり、そういうことは起こり得るというふうに思っていますし、そこが余りに極端な差だったらあれですけれども、やはり福島第一原発に過去裨益をしてきたエリアのユーザーには若干の差があるということは、これは許容の範囲ではないかというふうに思っております。

田嶋(要)委員 時間があと少しになりましたので、一点だけ、違うところに関してお尋ねをします。

 今はお金の話をさせていただきました。資料の二と三をごらんいただきたいわけですが、これは、廃炉を行っていくということで過去に参考になるのは唯一スリーマイルだということで、こうした比較データを党の方にも出していただいたわけでございますが、私は、これを見ていると、非常にやはり今の見積もりというのは、これは合理的にも具体的にも難しいというような答弁がございましたけれども、本当に全く甘い数字なんだろうというふうに考えておるんです。

 大臣、大臣じゃなくても結構ですけれども、スリーマイルの約五年ということに対して十倍ということが、表の三でございますが、記述があるわけであります。そしてまた、お金の見積もりも最大で六兆円というふうにキャップを設けているわけでありますが、ここは、そんなことを今言えるんですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 この追加の六兆円という数字は、原賠、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が内外の有識者にヒアリングをした結果でございます。

 御指摘のとおり、これまで、デブリを取り出した、それで保管まで至ったというケースは世界でスリーマイル島の案件だけでございますので、このスリーマイル島でデブリの取り出しにかかった費用、これは十億ドルなわけですけれども、これをベースにしまして、それから、どれぐらいの規模で、大きなインパクトがあるものかということを試算したということでございます。

 まず、一基当たりのデブリの取り出し量がそれぞれ二倍程度あろう。それから、そもそも取り出しが必要な基数が三倍程度あろう。それから、スリーマイル島に比べますと、デブリの飛散の状態、散らばり度合いが違うといったようなことも加味いたしまして、五十倍から六十倍程度ということで保守的な試算をしたということであります。

 その際、いろいろな数値、見通しがある中で、最大のものをとって保守的に考えてきた結果、五十倍から六十倍程度という結果になっておりますので、このような表現になっている次第でございます。

 十倍というのは、六十のうち、二倍と三倍を除いた部分の十倍ということだと思います。

田嶋(要)委員 具体的な数字を出す効果というのはいい場合と悪い場合とあるんだけれども、何かこれだけ根拠が希薄なレベルの数字を、経産省の責任もない、あるいは機構の責任でもない、ただ誰かが言っていましたといって出して、しかも、最大六兆円と、最大というキャップまでかけるというのは国民に大きな誤解を与えると思うんですよ。どうなんですか、そこは。

世耕国務大臣 しかし、やはり一方で、数字がないと東電改革の議論はできないわけです。これは、もともと東電改革を議論する委員会の議論の中から、これはやはり試算が必要だということになって、そして、どこかの誰かがじゃないですよ、それなりに知見のある、海外の専門家も含めた方々から、保守的に、今ボトムアップで積み上げた金額ではないけれども、スリーマイルの五、六十倍というのがある程度保守的な見積もりだろうということで、その数字をベースにして東電改革の議論というのを進めてきたわけであります。

田嶋(要)委員 では、どこかの誰かは訂正します。立派な知見のある方がおっしゃられたのはわかります。四名ぐらいいらっしゃいましたね。日本人も一人。

 ただ、やはりこれは、将来、民間も言っているとおり、五十兆、七十兆と上がっていく可能性は十分あると僕は思いますよ。大体、一カ所の重さが二百九十トンで大体二倍なんていったって、これはよく言われている、メルトスルーしちゃっているというのは全然違うじゃないですか、困難性が。もう全然これは別世界ですよ、はっきり言って。圧力容器の中にとどまったケースとメルトスルーしちゃったような話を何で単純に比較できるのかなと。そんなことも並べて、とにかく幾らだってこれからふえると思います。

 だからこそ、今おっしゃっているんだったら、そうは言っても具体的数字を出さなかったら話が始まらない、まあ、それもそうでしょう。だったら、こういう可能性、こういう可能性、センシティビティーも含めて、シナリオをやはりできる限り開示していかなきゃいけないと思います。

 気が遠くなるような話ですけれども、これはぜひ、私は最後に大臣に、情報開示、当事者である福島の方々を中心にして、そしてまた、原子力特別委員会でも今度アドバイザリーボードというのをつくって専門家の有識者の方にいろいろとお知恵をいただくことになるんですけれども、これは世界がやはり見ているんですよ。だって、世界でここだけでやる大事業なわけですから。超困難な事業。だから、これはやはり、英語なども含めて多言語で、できるだけリアルタイムで世界に発信をしていくということをやっていただきたい。

 我々も党の方にきょうの参考資料をいただきましたけれども、最初からはすっとは出てこないわけです。いろいろ注文をつけたらこういうのも出てきたわけでありますが、こういうのを見るとやはりびっくりしますよ。入っていったロボットも今まで四十数機……

浮島委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

田嶋(要)委員 はい。

 中に入っても壊れて出てこられない。そして、半導体もいかれてしまうわけであります。

 大臣、そういうことを、事実としてこういう状況なんだということをぜひ多言語で発信していただくということを最後に御答弁いただきたいと思います。

世耕国務大臣 これからデブリの取り出し方針とかが決まってまいりますから、そういった節目節目で、きちっとした情報公開、そして特に多言語による説明ということも、これは風評被害対策にもつながると思いますから、しっかりやっていきたいと思います。

田嶋(要)委員 どうぞよろしくお願いします。

 以上です。

浮島委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 大変お疲れさまでございます。民進党の鈴木義弘です。

 先日、新聞に、三月三十一日付なんですけれども、電気、ガス大手全社値上げという記事が出ていたんです。電気料金の値上げというのは、平均家庭で月百五十三円から二百十三円上がる、こういう記事なんです。その半分ほどが再生エネルギーの賦課金がふえた影響、また、ほかの要因として燃料費調整との報道なんです。これは、電気料金で託送料金は含まれているのかどうか。

 今回の料金値上げの発表は、今議論になっております原賠法の改正に合わせて、いかにもタイミングがいいときに発表しているんですけれども、いかがでしょうか。

村瀬政府参考人 御指摘のデータでございますけれども、これは定期的に出しているものでございます。

 それで、今回の電気料金の値上げにつきましては、ちょっと技術的なんですけれども、一つは燃料費調整制度というものによる値上げでございまして、いわゆる料金認可プロセスとは別の話でございます。

 燃料費調整制度というのは、燃料費が上がれば、その部分が自動的に反映される、下がれば、逆に自動的に一定のラグをおいて反映されてくるという制度でございます。

 今回、五月に発表されたものは、御指摘のとおり、モデル世帯という標準的な世帯の使用料に単価を掛ける形で出しておりまして、前月から見ますと、確かに百五十三円から二百十三円増加しているところでございますけれども、このものと今回の制度措置とは全く無関係でございます。

 では、内数は何かということでございますが、再エネ賦課金が九十円から百一円……(鈴木(義)委員「もういいです」と呼ぶ)よろしいですか。(鈴木(義)委員「いいです」と呼ぶ)

鈴木(義)委員 託送料金が含まれているかどうか聞いただけの話なので、後でまたよく教えてください。

 ところで、原賠法を改正して廃炉や賠償費用を捻出することが目的だというのはまあ当たり前のことだと思うんですけれども、六年前の三・一一以降、東電を初め、原子力発電所を設置している会社は、廃炉やもしものときに備えて内部留保をためるために、人件費や福利厚生面のリストラを断行してこの六年間でどのぐらい積み上げてきたのか。まずお尋ねしたいと思います。

村瀬政府参考人 東京電力につきましては、先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、リストラを大胆な改革というもとで行ってきております。他方、他社も同様に、料金査定のプロセス等におきまして、可能な限りの経営合理化に努めてきているところでございます。

 他方で、原発がとまるといったような中でやむを得ず料金値上げをした企業もございまして、その際には、先ほどの、託送料金の基準であります能率的な経営のもとにおける適正な原価かどうかということをそのプロセスの中で審査をしておりまして、適正な原価であるということを説明する中で改革努力を各社も積み上げてきているというところでございます。

鈴木(義)委員 いや、そういう話をしているんじゃなくて、電気料金や血税で廃炉だとか賠償をしていこうといったときに、電力会社は世界でも有数の優良企業と言われていたわけですよ、三・一一の前までは。株価も高いし、社債を発行しても飛ぶように売れる。そういう会社だったんです。憧れの会社、東京電力。そこが事故が起きちゃった。

 だから、この六年間で、どうすれば廃炉をするとか賠償費用をするとか、だから、先ほど午前中からずっと議論を聞いてきても、自分たちの経営努力を今まで六年間ここまでやってきたんです、それがあって初めて、電気料金を上げさせてほしいとか税金を投入してくださいと言うのが筋じゃないかと思う。その数字をきちっと出していないのにかかわらず、どっちがどっちだかよくわからないで、どこまで負担したらいいのか、七十兆だ八十兆だ、もっといくんじゃないかとかという話になっちゃうわけです。

 だから、今まで電力会社として九電力会社があるんだったら、どこまで廃炉に向けた六年間の取り組み、ここまで自分たちは努力してきたんだというのを数字を示して国民に訴えかけなければ、電気料金を上げるとか血税を入れるとかというふうにならないんじゃないかと思うんです。大臣いかがですか。

世耕国務大臣 特に東京電力は、一Fの事故以降、いろいろなリストラに取り組んできていると思います。社員の給料も一旦大幅に下がりましたし、役員の給与は、特に一部上場企業としては、ええっ、こんな金額なのかというぐらい非常に安いレベルになっている。そういうリストラの努力はここまでやってきていると思います。

 ただ、この間の東電改革委員会の御議論の中では、まだまだだ、もっとやれる改革がある。例えば、他の電力会社と連携をすることによって燃料の調達コストを抑えるとか、あるいは、もっとIT化を導入して、スマートメーターとかを活用した仕組みをつくっていくとか、そういうまだまだやれる改革があるということで、非連続の改革、そして、年間五千億レベルの利益を生み出すという改革のメニューが出てきたわけでありますから、それに沿って非連続の厳しい改革をやってほしいというふうに思います。

鈴木(義)委員 確認だけしたいんですけれども、今回の原賠法の改正をするに当たって、福島の第一原発を指定しているから今回の対象施設になっているだけで、例えば、もし何らかの災害が起きて、どこかで原子力発電所、今とまっているところが被災をした場合に、同じようなことが起こらないとも限らないわけですよ、例えばです。そうすると、またそこの施設を指定するということになると、福島と同じぐらいのお金がかかるかもしれないということでよろしいんですよね。そのたてつけでこの法律の改正があるわけですよね。

村瀬政府参考人 この法律、機構法が、東京電力だけを対象にしたものではなくて、一般的な原子力事業を対象にしているということでございます。

鈴木(義)委員 だから、先ほどから何回か繰り返してお尋ねしているように、どこの電力事業所も、廃炉をもう目前に控えているところもあるし、もう休止しちゃっているところもあるわけじゃないですか。そういったところは結局、廃炉の費用を積み立てなさいよというふうにしていくわけでしょう。違うんですか。

村瀬政府参考人 この原子力賠償機構制度は、事故炉を対象にしたものでございまして、一般廃炉、いわゆる通常の事業者が行う一般の廃炉は対象になってございません。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 では、日本の原子力政策の流れを見ていくと、一九五四年三月に、当時、改進党、どこかで聞いたような名前で、民進党なんですけれども、所属していた中曽根元総理らの求めで原子力研究開発予算が国会に提出されたことが起点とされている、一九五五年十二月十九日、原子力基本法が成立して、原子力利用の大綱が定められたとあります。これで間違いないか、一度、確認だけしたいんですけれども。

村瀬政府参考人 歴史的にはそのようなことです。

鈴木(義)委員 そうしますと、日本の原子力政策というのは国が主導してきたということでよろしいのかなと思うんですけれども、それで間違いありませんか。

世耕国務大臣 今御指摘のとおり、原子力の研究開発及び利用については、一九五五年に成立した原子力基本法において、平和の目的に限って、安全の確保を旨として進めるということにされています。

 この法律が成立した後、原子力利用に係る国の政策が計画的に遂行されることを期して、一九五六年以降、おおむね五年ごとに、当時、原子力委員会において、原子力開発利用長期計画や原子力政策大綱を策定してまいりました。

 ただし、それぞれの原子力発電所の建設や運営、建設の判断も含めてそれらは、こういった長期計画や大綱などを踏まえながら、民間事業者みずからによって進められてきたものだと理解をしております。

鈴木(義)委員 でも、法律をつくって私たちにも責任があると思うんですけれども、それで国のスキームをつくって、さあやりませんかと言って、電気事業者がそこに入ってきたんだと思うんですよ。今まで国が経産委員会なんかでも何回も答弁されていると思うんですけれども、何かというと電力事業者がと言うんだよね。一義的に責任があるような答弁を繰り返されるんです。

 廃炉や損害賠償を行う責任は国にあるというのは、今大臣から御説明いただいたように、流れができているわけじゃないですか。後から電力事業者が入ってきているわけです。最初に電力事業者が原子力政策をやりたいと言ってきて国がスキームをつくったというのならわかるんですけれども、国がつくっておいて後から電力事業者が入ってきたということになれば、一義的な責任は国にあるんじゃないかという考え方です。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 確かに、国が原子力開発利用長期計画ですとか原子力政策大綱などを策定してきた。これは事実であります。

 しかし、そのもとで実際に原子力事業を行うことを選択してきたのは民間事業者です。ですから、結果として、電力会社によって原発の依存度というのは大分濃淡があるわけであります。それぞれの事業者が原子炉の運転主体として炉を安全に運転する責任を有しているわけです。

 また、万が一事故が起きた場合は、迅速な事故収束や被災者への賠償などに対応する必要があるわけであります。炉の設置者であり、そして現場に精通しているそれぞれの原子力事業者が、みずからの責任で原子力発電所については担っていくべきものだというふうに思っています。

 このような事故炉の廃炉や賠償の責任については、関連法令においても、事故を起こした原子力事業者にあると規定をされているところであります。

 それも踏まえながら、三・一一の事故の後、民主党政権のもとで、東京電力がこれを責任を負っていく、責任を果たしていくということを大原則にやっていくということを判断をされ、我々もそれを是認したということがありますから、我々も、政権がかわった後も、そのラインを引き継ぎながら今日まで取り組んできているわけであります。

鈴木(義)委員 原子力発電をするというのは認可でよろしいんですよね。許可じゃないですよね。間違いないか、ちょっと確認だけしたいんですけれども。

村瀬政府参考人 これは、安全規制であります原子炉等規制法に基づく許可だと承知しております。

鈴木(義)委員 認可だったら国の責任を追及しなくちゃいけないですけれども、許可というのは、ある条件が整えば許可を出すというだけの話だから。

 ただ、閣議決定をされているエネルギー基本計画の中で、国が前面に立って問題の解決に取り組むとされているんですけれども、廃炉で出る低レベル廃棄物の処分場はあくまでも電力会社が確保すべきだというふうに国の立場はとっているんです。普通に考えても矛盾していないかということなんです。

 ましてや、二年前から廃炉が進められている東海村。村長が、処分地が決まらない状況が続き、解体作業がストップすることは避けなければならず、ほかに選択肢がない中ではやむなしと感じていると述べて、L3、低レベルの、比較的放射能が余り出ないような廃棄物の処分計画を村として容認する考えを全国の自治体で初めて明らかにしたという記事なんです。

 L3は、敷地内に埋めて最終処分するということなんですけれども、これがまた国の態度が、L2、L1の処分の見通しがどうなっているかと尋ねると、電力事業者全体で今協議しているところなんです、こういうふうにお答えになるんだと思うんです。間違いありませんか。

世耕国務大臣 これは役割分担をはっきりさせておかなきゃいけないと思うんですけれども、低レベル放射性廃棄物については、廃棄物を発生させた事業者が適切に処理、処分する責任を全うする。これはいわゆる、ほかの案件でもそうですが、発生者責任の原則ということになるんだろうと思います。その原則のもとで事業者が処分場の確保など、しっかり取り組むことが必要不可欠だと思います。

 国の役割ですけれども、国は、事業者がその責任をしっかり果たせるよう、制度の整備や監督をするというような役割を担っているということになるんだろうと思います。

 今御指摘の、東海発電所の廃炉に伴って出てくる低レベルの廃棄物ということでありますけれども、これは、L2、L1と区分される廃棄物も含めて、平成三十一年度に予定している原子炉領域の解体撤去までに処分先を確定するということになっています。

 仮に処分先を確定できない場合には、原子炉領域の解体撤去に着手をしないで、安全貯蔵期間を延長するよう、廃止措置計画を変更することになっているというふうに理解をしています。

 いずれにしろ、廃炉に伴って発生する低レベル放射性廃棄物については、L3だけではなくて、L2、L1についても、発生者責任の原則のもと、廃棄物を発生させた事業者が処分場の確保などに責任を持って取り組むことが重要だと考えます。

鈴木(義)委員 教科書どおりの答弁だなと思ったんですけれども。

 福島の原発もさることながら、全国で今、廃炉に着手しているところも含めて五十七基あるんです。これは全て廃棄物を足すと、四十五万トンと見積もられているんだそうです。処分場がない状態が続いていって、今御答弁いただきましたように、解体作業はしない。では、国の見通しはと言っても、今答弁されてしまっていますから、解体作業には着手しないという話になって終わっちゃう話なんです。

 でも、東海村の村長さんのように理解を示してくれる自治体の首長が、いるところはいいでしょうけれども、いやだめだと言ったら、これはどうするんですかね。

 それと、英国のウェールズ地方のトロースフィニッド発電所が、ちょっと発音が悪くて申しわけないんですけれども、一九九三年の作業開始から二十年、この現場の責任者は、既に九九%の放射性廃棄物を除去したと説明しているんですけれども、施設を完全に解体し終えるまでになお七十年の歳月を要すると言っているんです。

 普通に運転をして普通に廃炉作業に入った原発で、なおかつ、二十三・五万キロワットという小さな原発でありながら、現段階での試算で約六億ポンド、九百億円。先ほどの東海原発の解体費用が八百五十億、二〇二〇年度に終了見込み予定。イギリスは廃炉先進国と言われていながら、九十年かかるとこの現場の責任者が言っているんです。

 日本の廃炉技術がそんなにすごい先進的な技術を持っていて、三分の一ほどに期間短縮できるほどの技術を備えているのか。そこをちょっと確認したいんですけれども。

世耕国務大臣 ちょっと今、二点御質問いただきました。

 まず、廃炉に伴って生じる低レベル放射性廃棄物、全てで四十五万トンと見積もられるというわけでありますが、当然、廃炉を進めていく中で、処分場を確保することが必要です。当然、発生者責任の原則のもとではありますけれども、事業者が処分場を確保するためには、やはり地域の理解を得ていくことが必要でありまして、国としても、政策上の重要性を丁寧に説明するなど、適切な対応、支援は行っていきたいというふうに思っています。

 今御指摘の、廃炉に係る作業がどれぐらいかかるのかという話であります。

 いろいろやり方の違いがあるようであります。今御指摘のイギリスでありますけれども、イギリスのやり方というのは、原子炉の線量がある程度下がるまで長期にわたって解体をやらない。ずっとそのままにしておいて、そのまま管理をしておいて、ある程度下がったら解体するというやり方なんです。

 今御指摘のトロースフィニッド発電所、これは六十年間何もしないで、何もしないでといっても、もちろん管理はしているんですが、そのまま置いておいてから解体するというやり方、なので九十年ということになるわけです。

 一方、フランスは、イギリスと同じ型の原子炉であっても、廃炉後比較的短期間で解体に着手をするということになっていますので、廃炉に要する期間は三十年から四十年程度というふうになっているようであります。

 日本の場合は、東海原子力発電所の廃炉作業に当たっては、いわゆるイギリスのような方式はとらない、フランスに近い方式なんだろうと思います。そういう意味で、廃炉に要する期間は三十年程度という計画になっております。

鈴木(義)委員 これは二〇一三年当時というので、今から四年ぐらい前なんですけれども、イギリスで二十九基の原発の廃炉が決まって、廃炉費用も含めた政府負担が八兆八千五百億で、さらに膨らむ可能性があるとの報道があったんです。記事では、二〇〇七年、経産省試算で、国内の五十基の全原発の廃炉、三兆円と試算しているんです、この当時。福島の原発の事故が起きる前の話です。

 二〇一四年十一月に開催された第三回の廃炉会計グルーピングの資料で、廃炉費用、措置費用として、小型で三百六十から五百億、中型炉で四百五十から六百五十億、福島原発規模の百十万キロワット級で五百八十から八百七十億円としているんです。

 解体引当金の見積もりの総額、三兆円になっているんですけれども、数字が合わないんですけれども。

村瀬政府参考人 まずイギリスの件でございますけれども、五百九十億ポンドということで報道がありますけれども、これを円に直すと八兆八千五百億円ぐらい。他方、このうちいわゆる発電炉につきましては、そのうち一兆二千三百億円の部分でございます。

 これが、二十二基の黒鉛ガス炉、これはイギリスのタイプの廃炉でございますけれども、二十二基で一兆二千三百ということでございまして、状況も違いますので日本の軽水炉と比較はできませんけれども、その部分を見ますと、一兆二千三百億円で二十二基というのと、今、廃炉積立金、これは規則に基づいて事業者が積み立てているもののマクロの数字がございますけれども、積み上げた数字でございますけれども、五十基で二・九兆円というのは、オーダーとしてそんなに違わないものかなというふうに考えております。

鈴木(義)委員 三十年、四十年で解体していきますといったときに、東電の方なのか東電から委託を受けた方なのかわかりませんけれども、各地域に出ていって、土地を譲ってください、低レベルの放射性廃棄物の処分場をつくりたいので土地を譲ってもらいたいんだと言ってリサーチをかけた途端に大騒ぎになると思うんですよ。

 でも、それを電力事業者にやれと今大臣はおっしゃったじゃないですか。そこを本当にできると思っておられますか。それができなければ解体が進んでいかないんですよ。

 だから、午前中からずっと議論をしていた二十一兆五千億のその金額がもっともっと膨れていくんじゃないか。その二十一兆五千億の中には、L1もL2もL3も、極端に言えば、処分場の費用はないんです。計上されていないんですよ。でも、順次これから四十年、最長でも六十年で廃炉をしていかなくちゃいけない原発が五十基以上あるわけですよ。幾らになっていくんだ。今、誰が手だてをするんだ。

 九つの給電事業者が、土地を探してこいと言って今からけつをたたいて、普通の一般廃棄物だとか産業廃棄物の処分場をつくるのだって、地元の同意を得るまでに何年もかかりますよ。下手すれば、反対運動が起きればもう全然棚上げで、計画自体がオジャンになっちゃう。そういう状況があるにもかかわらず、東電さんには頑張ってください、中部電力さん頑張ってくださいというのを本当に言えるのかということなんです。

村瀬政府参考人 御答弁させていただきます。

 まず、廃棄物には二種類あるということでございまして、いわゆる低レベルの廃棄物と高レベルの廃棄物でありまして、事故炉と一般廃炉と二つございます。

 今御指摘になった一般の原子力事業者、事故を起こしていない事業者の廃炉につきましては、したがいまして高レベルと低レベルの二つがございまして、低レベルにつきまして先ほど大臣から御答弁いただきましたとおり、発生者責任原則のもと、廃棄物を発生させた事業者が処分場を探してきて、これを責任を持って取り組むということで、L1、L2、L3ということで、レベルによって扱いが違っている。

 その中で、委員御指摘のように、L3について、東海についてはサイト内で処分というような議論も進んでいるというようなことでございます。

 一方で、高レベルの最終処分につきましては、各国、いわゆる原子力を使っている国それぞれで最終処分地の選定というものに取り組んでいるところでございますが、事実としましては、まだ一部の国、スウェーデンとか、限られた国しか最終処分場は決まっていないという中で、日本も最終処分地の選定を少しでも前に進めようということで、科学的有望地を示すということで昨年来取り組みを進めているところでございまして、最終処分の適正地のあるエリアを示しながら、その後、NUMOという最終処分のための機構がございますので、この機構に事業者が資金を拠出をいたしまして、NUMOと国が連携をしながら最終処分地を今探している、そういう状況でございます。

鈴木(義)委員 もう一回だけ確認したいんですけれども、結局、L1、L2、L3だけでも電力事業者にやらせるということが本当にできるかということなんですよ。理念としては、法のたてつけだとか、いろいろそういうふうになっているんだと言うんだけれども、実際は本当にできますかと聞いているの。

村瀬政府参考人 その点につきましては、やはり発生者責任の原則のもと、廃棄物を発生させた事業者が処分場の確保に責任を持って取り組むということはやはり必要不可欠だと思いますし、それをやるということだと思います。

鈴木(義)委員 また機会があったら議論させてください。

 もう一ついけば、廃炉を進める上で最も重要なのが人材の育成だと思っているんです。そのためにも、これは文科省の所管だというふうに言われたんですけれども、研究炉を用いた廃炉技術開発にほかならないと思っています。

 しかし、二十八年三月の日本原子力学会で、「我が国における研究炉等の役割について」としての中間報告書をまとめ、切実な提言をしているんです。

 東日本大震災以前は、毎年千四百人から千七百名の研究炉等の人材育成、教育、実習、研修にいそしんでいたんだそうです。これが、平成二十六年で五分の一の約三百人に激減しちゃっている。原子炉運転のシミュレーターなどを実習等で行っているんですけれども、実際に動いている実機に触れて行うものではないということなんです。シミュレーションなので当たり前。一度も研究炉に触れることなく卒業していって、そういう状態がここ三年、四年、続いているということです。

 大臣はこれは御存じですかね。

世耕国務大臣 実は、私が理事長を務めておりました近畿大学は、数少ない、教育用の原子炉を実際に持っている。出力一ワットですけれども、豆電球をようやくともせるだけの出力でありますが、それでも、全く軽水炉と同じメカニズムでありまして、今、教育用あるいは研究用の原子炉も全てとまっているという状況であるということはよく認識していますし、これは、原子炉にかかわる人材を育成する上で一つ課題だというふうに思っております。

鈴木(義)委員 所管が文科省の所管だからといって経産は関係ないということじゃなくて、そこで育った研究者を、研究者というのか卒業生を現場に配属していって、実際に廃炉に向けた、また、デブリの取り出しに向けた研究でノウハウを蓄積していかなくちゃいけないんだと思うんです。

 そこで、その中間の提言書の中で六項目取りまとめています。それを六項目全部言いますので、やりますと一言で言ってもらえれば、それで答弁は終わっちゃうので。

 一つは新規制基準への対応、それと高経年化対策、もう大分老朽化している。今、理事長をされていた近畿大学のものは御案内だと思います。使用済み燃料の措置、それと、核セキュリティー強化対策及び燃料低濃縮化、廃止措置及び次期研究炉等の検討、運転員の力量と士気の確保。この六つが課題になっています。

 この提言書はもう大臣ごらんになっていると思うんですけれども、一言やるよと言ってもらって答弁していただきたいと思うんですけれども。

 いいですか、文科省でせっかく来てもらったから答弁……(発言する者あり)では内閣府で。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省といたしましても、人材育成の確保というのは非常に重要だと思っておりますし、その過程で研究炉の果たす役割は非常に重要だと思っております。

 できる限り、先生御指摘いただいた項目につきまして適切に文科省としても対応していきたいというふうに考えておりますし、内閣府としても、しっかりサポートしていくということかと考えております。

鈴木(義)委員 サポートしていくと簡単に言うんですけれども、ちゃんとお金をつけるかどうかということです。二十九年度の予算は終わってしまっていますから、来年の今ぐらいというより、もうちょっと前に補正が組めるんだったら補正も組んでもらいたいし、三十年の本予算のときには、やはりそこのところをきちっと確保して人材育成をやっていくという取り組みを、大臣、ひとつ頑張ると言ってもらいたいんですけれども、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 これはなかなか、経産省の所管ではありませんが、やはり人材育成は非常に重要でありますから、文科省ともよく連携をしながら取り組んでまいりたいというふうに思います。

 私は本当に実情をわかっています。教育用研究炉、本当に大変ですよ。近畿大学で新規制基準への対応も、大学にとってはとんでもない負担ですよ。だけれども、これはやらなきゃいけないという使命感でやっています。

 しかも、高濃縮ウランだから、これの取り扱いについても大変ですし、そういう意味で、大学が全部担っていくのはなかなか大変だろうというふうに思いますから、国としてどういう応援ができるのか、よく考えておく必要がある。やはり、実機をいじらないと本当の人材育成というのはできないと思いますから。

鈴木(義)委員 ぜひ来年、こんなに学生がふえたというような資料を出してもらえたらありがたいなというふうに思います。

 また違う質問に移りたいと思います。

 三月十七日に前橋地方裁判所で、国の過失責任を初めて認定した判決に、事故を防ぐことは可能だったと指弾し、国の責任逃れは許さないと三千八百五十五万円の支払いを命じました。国、東電は控訴したそうですが、最高裁まで判断を仰いだとして、もし敗訴したならば、このお金は誰が払うんでしょうか。

村瀬政府参考人 御指摘の事案につきましては、現在係争中、御指摘のとおり、上訴をしておりますので、裁判所の最終的な判断が出ていないことから、賠償についての仮定の話についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

鈴木(義)委員 先ほども申し上げたんですけれども、こういった訴訟を起こされても、私は税金で払うのかなと思っているんですけれども、結局、裁判で負けて税金、東電も負ければ電気料金の上乗せ、国民は一番やりきれないんじゃないかと思うんです。

 この判決に対して記事が、「避難指示区域内からの避難者と比べ、賠償額で大きな開きがあった区域外からの「自主避難者」にも、原告個々の事情に応じた賠償を認めた点は評価できる。」というふうに記事にうたっているんです。「国の指針を基準にした賠償しか認めてこなかった東電の硬直的な対応への戒めといえるだろう。」というふうに述べているんです。

 今部長から答弁があって、係争中だから答えられないという答弁なんでしょうけれども、こういうふうな裁判所の判決が出ていて、だから、これから賠償額もふえていく可能性がなきにしもあらずだろうということなんですよ。どうですか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘の自主的避難者に対する賠償につきましては、原子力損害賠償紛争審査会におきまして、事故との相当因果関係が認められる精神的苦痛や生活費の増加費用等として一律の賠償額を算定し、当事者間における自主的な解決に資する指針等として示させていただいているというところでございます。

 また、その指針等によりまして示された損害額等は目安となっておりまして、個別具体的な事情に応じて、指針等の考え方以外の損害や異なる賠償額が認められるということがあり得るということも示させていただいているところでございます。

 指摘の、拡充すべきかどうかというようなところにつきましては、現時点、先ほども答弁もございましたけれども、判決が確定しておりません。国も上訴をいたしておるということに鑑みまして、この時点での文科省のコメントはちょっと差し控えさせていただきたい、そのように思うところでございます。

鈴木(義)委員 では、もう一つ関連して、原賠法は、この法律をつくったときに、責任集中の原則、三原則というふうに言っているらしいうちの一つなんですけれども、うたっておきながら、機構法では、早期に、事故原因の検証、賠償実施の状況、経済金融情勢などを踏まえ、東京電力と政府、他の電力会社との間の負担のあり方、東京電力の株主その他の利害関係者の負担のあり方等を含め、「法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる」と機構法でうたっているんです。これは矛盾しているんじゃないかと思うんですけれども。

 現在まで利害関係者の負担のあり方について検討されてきたのか、お尋ねしたいと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力損害賠償の見直しにつきましては、原子力委員会のもとに置かれました原子力損害賠償制度専門部会におきまして、平成二十七年五月より、これまで十六回の会合を開催いたしまして、今後発生し得る原子力事故に適切に備えるため、原子力損害賠償制度の見直しに関しまして、専門的かつ総合的な観点から検討が行われているところでございます。

 この専門部会におきましては、御指摘いただいた利害関係者の負担のあり方について、これまで、国と原子力事業者の責任分担の観点から御議論していただいておりまして、例えばその議論の中で、一般税により国民負担を求めることについては、基本的に原子力事業者が賠償責任を負うべきものであり、一般税により負担することは相当慎重に考えるべきなどの意見をいただいているところでございます。

 また、昨年八月に、これまでの議論を踏まえまして、原子力損害賠償制度の見直しの方向性及び論点に関する中間的な整理が取りまとめられております。この中で、国民負担のあり方に係る課題が整理され、引き続き検討することとされております。

 現在、原子力事業者の責任のあり方など、個別の論点について集中的に審議を行っておりまして、利害関係者の負担のあり方を含め、個別の論点について議論が進められる予定になっております。

鈴木(義)委員 要するに、東電さんだけに負担を押しつけるんじゃなくて、その周辺の人、どこまでの責任が問われるかというのはあると思うんですけれども、結局、では、出入りしているメーカーさんだとか、たくさんの企業さんがそれでなりわいにして利益を出してきたわけですよ。そこに全然負担をお願いしないというのもおかしな話で、過去はずっとそれを、結局、安全神話の一言で終わってしまったらそれで終わるんですけれども、利益をずっと享受してきた側の人たちもいるわけじゃないですか。その人たちに対して少し負担をしてもらったらどうだろうかというような考え方なんだと思うんですけれども、その辺は会議の中で討議があったのかどうか、確認したいんですけれども。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたように、八月に中間的な整理をしておりますが、それまでの過程におきましても、さまざまな利害関係者、例えばステークホルダーも含めましてあり方の議論をしておりまして、今も引き続き議論しているところでございます。

鈴木(義)委員 では、ちょっと細かい質問に入らさせていただきたいと思います。

 まず、廃炉の費用の捻出のうち、内部留保についてお尋ねしたいと思うんです。

 東電ホールディングスに二兆円の内部留保を前提として管理運営を行うというふうになっているんですけれども、これが適切に管理できているのかどうかというのを誰がチェックするのかということです。

 それともう一つ、内部留保の二兆円と積立金制度の関係。これは前任の人が質問したかもしれませんけれども、どういう関係になっていくのか、そこの説明をお願いしたいと思います。

 それとあと、東電の売却、四兆円捻出できるかというのは午前中の質問の中にも出てきましたけれども、では、実際、十三年で十一倍になったとかと大臣も答弁されましたけれども、リーマン・ショックが起きてがたんと落ちたところからずっと上がると言うんだったら、それは誰だって何倍になったと言うのはできるんですけれども、通常の中でやっていったときに、では一番問題になってくるのは、これからは人口が減っていくということです。

 三十年先、四十年先になれば、今一億二千万何がしの人口があるのに、九千万とか八千万とか、下げどまりしないように頑張りますというふうには言っていたとしても、今の推計値でいけば九千万ぐらいになってしまうかもしれないんです。そうすると、お金を払う人が基本的に減るということです。だから、電力需要も減れば、払う人も減るということです。

 経済活動がこれまで以上にもっとずっと経済が上向いていくのかといったのも誰も保証できない。それで株価が上がるか上がらないか、将来予測もつかない。払う人が減っていきます。電力需要は、建てかえるとすれば、省エネとか遮光性だとか耐熱性だとか、いろいろ工夫した建物を建てて省力化にどんどんシフトしていく時代の中に、電力の需要自体は減っていくはずなんです。

 だから、絶対数、払う人と需要も減っていく中でコンスタントに五千億を調達していくというのは、あくまでも未来に対する予見にしかすぎないんですよ。そこのところをもう少し詳細な説明をしていただければと思います。

 それともう一つ、託送料金。これが、二年前だったと思います、法改正のときに総括原価方式を撤廃しなかったんです。これは、今回の原賠法の改正も視野に入れて、託送料金を総括原価方式から撤廃しないやり方をとったんだと思うんですけれども、ここで、送配電部門の自助努力を促しながら設備投資の拡大ということを入れて、二頭のウサギを追えるのかということなんです。相矛盾したことをやろうとしているんですけれども、それの道筋がよくわからない。

 それと、総括原価方式が取り入れられていて、チェックしているんだというふうに言っても、託送料金のチェックの仕方と情報公開、これをきちっとやらない限り、そこでもうけさせてもらえれば、廃炉の方だとか除染の方、いろいろな損害賠償の方にお金をシフトするんですという話で終わってしまったんだったら、経営努力も何も要らないんです。

 だから、ある程度、幾ら出せというような大まかな数字を出さない限り、どれだけ努力をしていいのかがもうわからない。では、幾ら利益を出したらいいのかわからない。あとは自分たちの実入りで返ってくるんだ。

 では、その実入りのうち、三分の一、三分の一、三分の一で、利益還元に関しては三分の一は株主さん、三分の一は内部留保、三分の一は従業員の人たちというのが通常の会社の考え方ですよ。そういう指針をきちっと示してやれなければ、東電に努力しろと言ったって、それは無理な話なんだ。

 だから、そこを国がきちっと示してあげないとだめですよということだと私は思うんですけれども、今、その二点について御答弁いただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。複数、御指摘いただいたかと思います。

 まず二兆円につきましては、これまでの工程に必要とされていた二兆円も含めまして今回の積立金制度の対象になりますので、法律が成立いたしましたならば、この機構の中で積立金として積み立てられていくということになります。

 そのために、運用体制につきましても、現在でも負担金の運用等を行っているところでございますけれども、廃炉積立金管理業務を追加する中で、増員体制をとる、それから、内外の地権者を広く取り入れていくという方針で今準備を進める方針だということを聞いております。

 それから、改革ですけれども、先ほどの大臣の御答弁にもありますけれども、ハードルは確かに高い目標ではありますけれども、これをしっかり実現することは可能だと思いますし、これをしっかり東京電力にも実現をしていってほしい、このように考えております。

 それから託送制度、電力システム改革の中でも送配電事業につきましては、御指摘のとおり、総括原価を残し、地域独占を残したということでございます。

 したがいまして、逆に申し上げれば、必要な投資につきましては、投資をしたものについては託送原価の中に入れて、規制料金の中で長い時間をかけて回収していくことは可能ということでございますので、必要な投資については、これはしっかりやっていっていただけるし、やっていくことが事業判断としても可能な仕組みになっているわけでございます。

 他方で、このコストをできるだけ抑制していくという観点も大事でございますので、先ほどの東京電力を、まず、託送原価の深掘りを、取り組みを実現しつつ、他の事業者にもしっかりと託送の原価抑制、つまり、コストを下げる、託送料金を抑制していくという努力をしていってもらいたいと考えております。

 それから、事業者の予見性を高めていくというためのさまざまな情報公開が大事だということは御指摘のとおりだと思いますので、この委員会の審議でもありましたように、ホームページ等も含めましてさまざまな形で情報公開をし、予見性、できるだけ事業者として適切な事業判断が事前に正しくできるような情報提供をしていきたい、このように考えております。

鈴木(義)委員 要するに、物差しをつくってほしいということですよ。何が正しいか正しくないかというのは、情報公開をしたとしても、物差しを当てる物差しも一緒に出してもらって情報公開したんだったら、これはおかしい、高いとか安いとかという話になるけれども、物差し自体がないのに情報公開だけ、これだけかかりましたと出しても、それが正しいか正しくないか誰もわからない。その物差しをつくれるのは経産省だと思います。

 最後に一つだけお尋ねしたいんですけれども、廃炉のための積立金の運用がありますね、これは株でやるのか国債でやるのか。国債も安心なのかというと、何か安心じゃなさそうな話も出ているし、どうやって利益を出して戻してもらうのか。

 機構の方にお金を出しますよね、十三兆円何がし。これを運用して戻すわけでしょう。金利なり利息を合わせて戻すわけじゃないですか。そこのところを何で運用するのかということです。今の時点での考えを示してください。

村瀬政府参考人 運用については、廃炉のための資金をしっかり確保するという目的の法律でございますので、法律の中でも、基本的には安全、安定運用をするという方針で規定が設けられておりまして、詳細はこの後規則として決まっていくことになりますけれども、基本的には、国債ですとか預金ですとか、リスクの低い資産によって運用していくということになるということでございます。

鈴木(義)委員 絶対GPIFには持っていかせないでくださいね。

 終わります。

浮島委員長 次に、阿部知子さん。

阿部委員 民進党の阿部知子です。

 経産委員会で質問のお時間を頂戴して、感謝いたします。そして、ほとんどの質問を世耕大臣にですので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、きょうの論議、全体ではございませんが、幾つか聞かせていただきまして、今回の原子力損害賠償並びに廃炉機構法の改正に当たって、東京電力福島第一原発事故の後の賠償費用は一体幾らかかるんだろうかというところが、不確かというか見えづらい中で、そうはいっても世耕大臣も、とりあえず何かなければということで、有識者会議のを参照されたというような御答弁でありました。

 きょうのお手元の私の資料を見ていただきましても、これはお役所からいただきましたものですが、わざわざ下の方に「経済産業省として評価したものではないことに留意。」と書いてありまして、下の段ですね、国民から見て、経済産業省としてクレジットしたものじゃないことを覚えておけよと言われましても、それでは、これから託送料金等々にかかわってくる費用のあらあらは経産省ではないんだ、どこかとあえて言えば有識者会議だというような曖昧なものでは、やはり国民に説明責任が果たされないと思うんです。かといって、六だ八だ十一だと数値だけをやりとりしても、これもまた豆腐ではありませんから、何兆何兆と言って済むわけではないので、私から大臣に提案がございます。

 大臣は何でもよく御存じでありますから、日本経済研究センターというところが、三月七日に東電の福一の事故の費用について試算をしてございます。大臣はこれをどこかでごらんになったことがおありでしょうか。

世耕国務大臣 報道で読ませていただいております。

阿部委員 先ほど大臣は、有識者がおっしゃったものをそのまま利用されたとおっしゃいますが、この日本経済研究センター、これは一九六三年から非常に歴史のある、経済界では、もともと日経新聞の社長が理事長を務められて、経済全般について分析をされている。そういう意味で信頼性も高いものだと思います。ここの試算をごらんになりまして、有識者の試算に欠けているもの、なぜこれだけの差が出るのか。五十兆から七十兆です、ここの試算には。

 例えばですが、今八兆円と言われております。これは、チェルノブイリ事故を参照して廃炉の費用を算定したと言われておりますものに欠けているのは、廃炉・汚染水対策、特にトリチウムの処理などにかかる費用、そして、薄めたとしても海に流したときにかかる費用、あるいは、三つの原子炉が放射化しておりますので、それがある意味で放射性物質として瓦れきになっておりまして、これを処理する場合には、今の六兆ではなくて十一兆かかるだろうという試算で、すなわち、廃炉・汚染水処理に今回八兆と見積もられたものは、この研究センターの試算では三十二兆となっております。

 私は、ある程度の確からしさで、これとこれを積んでこのくらいだということが書いてあるものを見たのはこれが初めてでありますので、世耕大臣にあっても、ぜひごらんをいただきたい。

 そして当委員会にあっては、そもそもこうした論議をするときに、共有するベースがないということは大変不幸だと思うんです。見えない敵に対してどうやって戦っていこうか、幾ら負担しようかというようなことですので、委員長には、ぜひこの日本研究センターから参考人として人を呼んでいただきまして、この委員会でお話を聞いていただきたいです。

 ちなみに、この日本経済研究センターでお取りまとめになった方は、例えば鈴木達治郎先生、これは前の日本原子力委員会の委員長代理でありますし、あるいは小林辰男さん、そして理事長の岩田一政さんが執筆ということで、それなりの権威ある皆さんだと私は思うんです。

 本来の論議は、エビデンスとは申しません、そういうある程度のバックグラウンドの数値を共有しないと成り立たないと思いますが、まず大臣、いかがですか。それから、委員長へのお願いはいかがでしょう。

世耕国務大臣 民間の研究機関が試算されたもの、そのベースとかは私は報道でしか知りませんので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしろ福島の廃炉というのは、まだ、ボトムアップで、こういった資材が必要になるとかこれだけの人件費が必要になるとか、そういったことを積み上げて計算できる段階にはないわけであります。

 しかし一方で、やはり東電改革を議論するときに、一定の規模感を示して、東電にこれぐらいの改革をしてもらわなきゃいけないということを、しっかりと議論として数字を置いていかなきゃいけない。

 ということで、日本経済研究センターがどうやられたのか知りませんけれども、我々はあくまでもトップダウン方式で、スリーマイルアイランドを一つの参考にしながら、そして、実際に廃炉に関して具体的な知見のある内外の専門家の方々に、スリーマイルアイランドとこれを比べたときにどういうふうに置けばいいだろうかと言って御相談をして、御意見をいただいて、そして、大体五十倍から六十倍見積もっておけば保守的な数字と言えるんじゃないかというふうに言われた。

 その数字をベースに、我々は今回、東電改革の道筋を示させていただいたわけであります。

阿部委員 失礼しました。私がさっきチェルノブイリと申しましたのは、スリーマイルアイランドでした。

 そして、何が違うかというと、やはり汚染水が違います。それから、三つの号炉が放射化したかどうかが違います。

 確かにボトムアップで積んでいけない、これも一理あると思います。ただしかし、今の試算に抜けているものは明らかなわけであります。

 失礼な言い方ですが、大臣もいこじにならずに、やはりあらゆる情報を得て、大臣なんですから、すごく責任があると思うんです。いい情報はお取り入れになって、もっと建設的な論議をした方がいいし、それは、もし国民が五十から七十兆という数値を言われたら大変不安です。でも、それでも覚悟しなければならないのかもしれません。だって、この間、二〇一一年の三月に起きた事故、その年の暮れには五兆から六兆、二〇一三年の暮れには十一・五兆、二〇一六年の暮れには二十一・五兆、どんどんだんだん、天井知らずに上がっているじゃないかと国民は実感しているわけです。

 であれば、幾つかのそうした意見を集めて、ある程度の確からしさで試算する。失礼ながら、たった一つの有識者会議、先ほど大臣は民間が何を言ったか知らぬとおっしゃいましたが、私は同じだと思います。いろいろなその道の研究者を集めて出したものでありますから、そこはこの委員会のために申し上げたいと思います。お金がはっきりしないままで事が進んで、それは負担がどこまでいくか見えないということであります。

 先ほど委員長にお願いしましたが、しかるべく理事会において、参考人のお話を聞くことを御検討いただきたいと思います。

浮島委員長 理事会で協議いたします。

阿部委員 その上で、実はそのよく見えないお金について、昨年の暮れの十二月二十日の閣議で、上限を二・四兆円とする上限額の国民の負担、これはいわゆる賠償にかかわる一般負担金と特別負担金の方についてでありますが、その上限だけは決めたわけです。

 閣議決定で総額はどこにも出てこないで、国民負担は、二・四兆円の、賠償に係る部分だけ決めた。これは非常に奇異なことだと思います。普通は、全体のお金はこれくらいかかる、そのうち国民にはこのくらいを負担していただきたい、これ以上は何とか自分たちで、といったって、自分たちというのが、これが難しいのですが。

 世耕大臣に伺います。閣議決定のこのあり方、逆に言うと、閣議決定で決めていけば、次の閣議決定で国民負担は五・八兆円だとか十兆円だとか決めれば、それで済むことなんでしょうか。お願いします。

村瀬政府参考人 今御指摘の閣議決定でございますけれども、廃炉の部分を除く全体像につきましては、それぞれ、被災者、被災企業への賠償費用は七・九兆円程度、除染特措法に基づく除染の費用は約四・〇兆円程度、中間貯蔵の費用は約一・六兆円程度と見込まれるといった形で全体像を示した上で、これを踏まえて、支援機構に交付する交付国債の発行限度額を、現行九兆円を十三・五兆に引き上げるという全体像を示しているところでございます。

 廃炉につきましては、先ほど来大臣から御答弁いただいていますとおり、現時点で合理的に試算できる状況にないものですから、別途の形で出した上で、その全体像を、それもあわせて、さまざまな場で提供させていただいているということでございます。

阿部委員 今御答弁の除染についても、賠償は、さすが経産省が試算しているので、八兆と、ほぼ変わりませんでした。原子炉の廃炉・汚染水処理に係る費用も除染に係る費用も、この日本経済研究センターのものと大きくかけ離れております。

 私は、きょう皆さんのお手元に示したこの一枚の確からしさ、何のクレジットもない、そんなもので閣議決定していいのか。余りにも国民をばかにしている。そして、先ほど申しました二・四兆円というところの上限額を出しているわけです。

 先ほどからるる申し上げているのは、これらいずれの数値も、環境省が積み上げた数値、ただ、ここには除染とは書いてあっても、除染の後、中間貯蔵があって、さらに最終処分場が要るわけです、放射能は消えるわけではありませんから。そうした全体像がここには組み込まれていないので、大変心配をしています。

 ぜひこの日本経済研究センターのをお読みになって、環境省もそうですし、経産省のは先ほどほぼ同じでしたから、研究をしていただきたい。閣議決定で使った数字にも信頼性が薄い。

 大臣にはもう一つ伺います。閣議決定で国民負担は上限は二・四兆円と決めればそれでいいのか。そしたらまた次に閣議決定で五兆円と決めて、それが国民に付加されるのか。これはいかがでしょう。

世耕国務大臣 閣議決定で二・四兆円というのはどういう意味でおっしゃっていますか。

阿部委員 この閣議決定の文章をよく見ていただきますと、すごく変わった掲載になっていて、閣議決定の本文の下に細かな説明文がございまして、そこに二・四兆円という数字が入った閣議決定でございます。

 私はこんなの初めて見たので、変わったことをするなと思いましたので、今大臣がおっしゃっていただいたとおりです。

世耕国務大臣 わかりました。今おっしゃっている二・四兆円というのは、過去積み立てておくべきだった、こういう賠償に備えて積み立てておくべきだった費用を二・四兆円ということになります。これはもう上限であります。もう過去分でありますから、過去のものがふえることはありませんので、今御指摘の閣議決定したとされる二・四兆円については、これはふえることはないと考えております。

阿部委員 そもそも、過去分という考え方も問題がございます。

 でも私は、法律もなく何もなく、閣議決定で金の多寡を決めて、それを国民に付加するということは、この国の立法府のあり方をないがしろにしていると思います。きちんと法律をつくられるなり法改正をされるなりして国民の負担を明らかにする。そのために私たちの国の憲法があり、法律があり、課税があり、あるいは負担があるんだと思います。

 これ以上上振れることはないとおっしゃいましたが、それについても、全体の費用がありますので、私はペンディングとさせていただきます。

 そして、同じく世耕大臣にお伺いをしたいと思いますが、実は、先ほど来、全て託送料金のことが問題になっております。

 その前にもう一つ伺いましょう。八兆円が十兆円とか十五兆円とかに上振れしてきた場合に、これはあり得ますよね、一応スリーマイルアイランドを例にやったけれども、除染、汚染水の処理もないですし、それが上振れした場合には、今、東電が託送料金で御自分の努力でもうけた、しかし、それを引き下げなくていいという年月はずっと延びていくんでしょうか。今の八兆円で何年で、もし十兆円になれば何年で、十五兆円だったら何年に果てしなく行くんでしょうか。

世耕国務大臣 今御指摘の部分というのは、これは廃炉費用ですから、ということは、廃炉が何年かかるか、三十年から四十年と我々は見ていますけれども、その間、その費用が毎年幾らかずつに分かれた形で計上をされていくということ、それに尽きるんだろうと思います。

阿部委員 それはやはり、非常に終わりが見えませんよね。廃炉が五十年か百年かもしれません。その間ずっと東電は、逆に、託送料金で自分が経営努力しても、それを弁済の方に、弁済というか、廃炉の処理のためにかけていかなければならないわけです。これというのは、本当に長引く、長い長い道を強いることになるわけです。

 大臣、この前、ロボットで中を見て、デブリがどこにあるかわからない。やはり今思っているより長い年月がかかるということは、国民は誰も思っています。三十年、四十年で済むまいということも。だって、チェルノブイリだって石棺をもう一回新しくして、当初より長い年月になっているわけです。

 そこをずっとこの託送料金を、営業努力して、経営努力してでも、それも全部廃炉のために入れなさいというのは、余りに過酷ではないですか。

村瀬政府参考人 今、廃炉のための必要な資金についての御質問をいただいていると思うんですけれども、まず、託送料金かのように説明されていますが、廃炉の費用につきましては……(阿部委員「そんなことはわかっています、そんなこと言っていません」と呼ぶ)

阿部委員 託送料金を本来引き下げるべきところを引き下げないで、それも充てなさいと言われていて、それが何十年、五十年、百年と続くんですかと聞いているんです。ほかのを入れるのはいいですよ。東電だって経営努力するでしょう、廃炉しなきゃいけないんだから。

 だけれども、託送料金のその経営努力分を、料金の値下げに本来はすべきものをそうしなくていいという枠組みをつくるわけですよ。それはずっと続くんですか。

世耕国務大臣 それは当然、廃炉の費用をどうするか、誰が負担するかという問題に尽きると思いますよ。

 ですから、それを東京電力みずからが努力をして、少なくとも月々の一般家庭の電気代が上がるようなことにならないような形で合理化をして、経営改善をして、その分の資金を手当てをしていく。これをだめだとおっしゃると、ではどうすればいいんですかということになりますね。一F廃炉に係る費用は税金でやるんですかということになるわけであります。

 いずれにしても、廃炉の費用というのは、これから三十年、四十年かけて、我々の試算ではトータル八兆円かかる。それを東京電力の合理化努力によってカバーをしていくというのは、私は一番ベターな方法だと思っております。

阿部委員 事は東京電力にとっての負担のみならず、託送料金が高どまるということなんですよ。それは国民にも負担、産業にも負担。

 大臣は今おっしゃいましたね、だったら税金にしたらいいんですかと。私は、どちらかの選択と言われれば、税金の方がいいと思います。そのかわり、まず政府は国民に謝罪すべきです。曖昧にしないで、東京電力も問題ですけれども、国策として進めた原子力政策なんですから、どうにももう立ち行かない、電気料金を上げるよりは税金でお願いしたいと言うべきですよ、もし今大臣が私に御質問いただいたことで言うならば。

 世耕大臣にそもそも託送料金についての認識を伺いますが、昨年の五月二十日、内閣総理大臣の名で消費者委員会に対して、我が国の託送料金についての諮問がございました。七月二十六日に消費者委員会から内閣に対しての答申がございました。当時、大臣は消費者担当が河野さん、そして経済産業大臣は林さんでした。この一連の、内閣総理大臣が消費者委員会に諮問して、その答え、答申をごらんになりましたか。我が国の託送料のプロフィールです。ごらんになったか教えてください。

世耕国務大臣 消費者委員会においては、託送料金は電気料金に転嫁をされて最終的には消費者が負担することになるから、料金の適正性、透明性及び納得性の確保が重要だという趣旨に基づいて、昨年七月に、電力託送料金に関する調査会報告書として、消費者の目線から御提言をいただいたというふうに認識をしております。

阿部委員 そのとおりであって、消費者の目線には残念ながら今回のことはなっていないんです。我が国の託送料金は国際的に比較しても高どまり、おまけに、これから賠償も託送に乗せるんです。我が国の場合、託送料金は電気料金の約三割から四割を占めております。経済産業大臣としては、最もそこは注目、そこに傾注すべき部分だと私は思います。

 企業も電力を使います。家庭も電気を使います。この託送料金が高どまりしている。そして、そこにさらにこれから賠償のための費用も乗る。あるいは、廃炉のためには、東電はそこを値下げしないで、高いまま国民の間接的な負担にするということがこの委員会で論議されるので、私は、それは日本にとって、産業にとって、国にとってよろしくないだろうということで御質問をさせていただいています。

 大臣、そもそも、今おっしゃいました国民目線でということですが、託送料金にいろいろなものが乗っかっているのですが、電気は発電と送電ですが、送電が託送ですが、送電以外、送電の託送料金に乗っているものを御存じでしょうか。

世耕国務大臣 まず、託送料金、国際的に高いという御指摘がありましたけれども、これは、託送料金の範囲、例えばメーターの検針コストは、我が国では託送料金に含まれていますが、英国などではこれは小売料金の方に入っているというようなこともありますし、地理的状況などにも差がありますから、単純に比較はできないんだろうというふうに思っています。

 そうした中で、現行の託送料金というものは、電力・ガス取引監視等委員会において専門的かつ客観的な視点から厳正に審査が行われたものであって、日本にとって適正な水準であるというふうに思っています。

 でも一方で、当然、送配電事業者の効率化に向けた努力というのは、これは今後も重要だというふうに思っています。

 託送料金については、電気事業法、送配電網の維持管理にかかる費用などに加えて、例えば離島の発電費用を含むようなユニバーサルサービス料金など、全ての消費者が広く公平に負担すべき費用を含めることができる制度になっていると理解しています。

阿部委員 それだけの理解では困ります。

 大臣のお手元に、資料、終わりから二枚目を見ていただけますでしょうか。

 ここには、現在、託送料金に乗っておりますものは、使用済み燃料の再処理等の既発電相当費用、それから電源開発促進税、そしてさらに、再エネの費用も乗っております。再エネは、料金表を見ると非常に見えやすいところに書いてございます。

 ところが、この表を見ていただくとわかりますように、電源開発促進税が託送料に乗っていても、その記載があるのは東電だけです。東電を褒めてあげた方がいいかもしれない。ほかは全くない。さすがに使用済み燃料の再処理の方は、これはまだ近々のことですから、皆さん書いてはございます。電気料金の検針票が来たときに、裏側にこういうことが書かれています。

 今の託送料にも、既に再処理の費用も乗っていれば、電源開発促進税も乗っていて、電源開発促進税の七割は原発関係費用であります。そして、今度、賠償のために、一般負担金と特別負担金の一般負担金における過去分、過去原発を使ったじゃないの、だからこれからの託送料で払ってもらいましょうよというところを新たに託送料に付加するということです。

 そして、大臣のさっきの御答弁は、新たに託送料に付加する部分は、これらと同じように、電源開発促進税や再処理の費用と同じように、わかりやすく明示する、見ればわかるようにするという御答弁でしたか。確認です。

世耕国務大臣 託送料が上乗せされた分は、請求書などの中でわかりやすく表示をしていく必要があると思っております。

阿部委員 それは当然過ぎるほど当然で、でも、先ほどの、引き下げられなかった託送料についてはホームページで見ろとおっしゃいましたね。

 では、ホームページというのはどんなになっているのというと、これも下から二枚目の資料で、各電力会社のホームページは、ホームページによる情報提供というのはこういう感じなんです、見ていただいて。託送料が値下がらないのはどこにどんなふうに書くんでしょうね、東電の場合は。言うはやすく、国民がわからない。

 おまけに、何で過去の分を、一旦取引はもう終了した、過去に電気は買った、それが、事故分を入れていなかったからこれから払ってちょうだいね、これから使う子供たちよ、払ってちょうだいねというのは、物事の取引上、あり得ない発想と私は思います。

 大臣いかがですか。見える化の点について、それから、過去分ということの考え方についてです。

世耕国務大臣 結局、廃炉費用が東電の合理化の努力によって賄われていくということは、これはホームページなどでわかりやすく解説をしていく必要がある。国民に御理解をいただく必要がある。廃炉費用を負担するということは、東電が合理化努力で負担するということが福島のためにつながるということをしっかりお伝えしていく必要があるだろうというふうに思います。

 そして、託送料に乗せる過去分については、これは、やはり国民全体が原子力に裨益をしてきた、その経緯を考えたとき、そして、積み立てていなかったということに関しては、やはり安全神話に乗っかっていたというところがありますから、そこは真摯に反省はしなければいけませんけれども、やはり福島のために国民全体で負担をする、二・四兆円分の託送料の上乗せについては明細票等で明確に書いていきたいというふうに思っております。

 年齢が違ってとかそういうことになりますと、これは公共料金というのは、ある程度丸めてつくるというのが公共料金です。これを言い出したら、発電所のそばに住んでいる人が一番電気代は安くならなきゃいけないんです。

 ですから、そこはある程度丸めた形だということは御理解をいただきたいと思います。

阿部委員 そんなこと言っていないでしょう。まだ生まれていない子供まで何でそんなものを負担するんですか、過去分を。これからの子供まで、四十年、ゼロで生まれた子が四十歳まで負担するんですよ、過去分と言われて。そんなことあり得ないじゃないですか。近くに住んだか遠くに住んだかだけではないと思います。

 大臣、もともと無理があるんです。きちんと総括して責任を明らかにして、税でやるなら税でやる、法律をつくる、クリアにする、以上、よろしくお願いします。

 終わらせていただきます。

浮島委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日もお時間をいただきましてありがとうございます。

 きょう、いろいろお話を聞いていて、今、阿部委員からも話があったんですけれども、一番まず聞かなきゃいけないなと。何度もお答えされていることだと思うんですけれども、コストですね。六兆円、これを算出する方法というのが、さっきも言われていましたけれども、具体的な想定作業、そういうものに対する見積もりにはなっていないと。これは、現時点では私はしようがないのかなと思っているんです。

 ただ、それしか計算方法が今の時点ではあり得ない、これが一番ベストな、今の時点でやるべきことだというふうなことだと私は思うんですけれども、もう一度、大臣のお口から、どうして見積もりの仕方がこういう形になっているか。これはすごく重要だと思うんです。

 というのは、これから先、何年もの間、こういうやり方で計画をやっていくことになるわけですから、きょうここでその当時の経産大臣がこういうことを言われたということが後々結構重要になるかなと思うので、ちょっと申しわけないですけれども、もう一度その辺を詳しくお話しいただけますか。

世耕国務大臣 二兆円が六兆円ふえて八兆円になったんじゃないんですね。二兆円というのは、今まで、合理的に見積もれるものを出してきた。だから、二兆プラスあと幾らかわかりませんということをやってきた。一兆円は建屋の解体にかかる費用、残りの一兆円は、我々の政権になってから、特に汚染水対策などではっきりしたものが上がってきていて、今まで二兆円。だけれども、残りは、幾らかかかるけれども、わからないという状態でありました。

 はっきり言って、今もその状態であります。積み上げて、全部、部品とか工程の数を明らかにして、そして人件費を出して、これぐらいだということは、まだ言える状況ではありません。

 でも、そのままだと東電改革の議論ができないわけであります。東電に幾らぐらい利益を捻出させていけばやっていけるのかということを議論するためにも、一定の蓋然性を持った数字をはじかなきゃいけない。ということで、我々は、ボトムアップができない中で、トップダウン型で、スリーマイルアイランドの事故と比較をするという形で、四人の有識者の方々に、これは廃炉に知見を持っている方々です、そういう方々に、大体スリーマイルをベースにしたらどれぐらいで見ればいいだろうかといって、スリーマイルの五十倍から六十倍、これが保守的な見積もりと言えるだろうということを言っていただいたので、それで計算して、八兆円という計算をしたところであります。

木下委員 ありがとうございます。

 やはり、そういう形でやること、特に今回のこの法案自体、そこが一番ポイントだと思うんです。これを是とするのか、これを否とするのか、実際にそれが受け入れられるものなのかどうなのかということの議論だと思っているんです。ですから、大臣が今そういうふうにして言っていただいたことというのが非常に大事なことなのかなと。

 ただ、一つ思っているのは、その中でやはり議論されるところというのは、一番気になるところだと思うんですけれども、今はそうしかしようがないというのはわかるんです。ただ、将来的に、さらに計画が推進されるに当たって見積もりがだんだん精緻化してくるでしょう。当然しなきゃいけません。この精緻化のプロセス自体、これをどうやって時間を切って計画化していくかということだと思うんです。

 今の状態の中では、やはりどうしても、比較をした上でこれぐらいかかるだろうというふうに言っている。ただ、前の政権なんかもそうですし、民進党さんなんかもはっきり今回言われているかどうかというのはちょっと微妙ですけれども、二〇三〇年代にどうこうとか、ある程度は、さっき大臣も大体三十年から四十年ぐらいは廃炉にはかかるだろうというふうに言われていましたけれども、大体これぐらいのところになったらこれぐらいの計画の精緻化をします、これぐらいまでいったらここぐらいまでのことはできるという目標は、ある程度、中では私はお持ちだと思っているんですけれども、そういったことを、期間目標というのを、これはつくっていかなきゃいけないんじゃないかなと思っているんですけれども、その辺はどういう感じで考えられていますか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 廃炉・汚染水対策につきましては、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議というものがございまして、この決定で、平成二十七年に決定いたしました東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ、いわゆる中長期ロードマップというものが策定されております。

 現在の中長期ロードマップにおきましては、ことしの夏をめどに燃料デブリの取り出し方針を決めると。このために今、炉内を調査しているということでございます。この調査を踏まえて方針を決めて、三十年度上半期に初号機のデブリ取り出しの方法を確定するというスケジュールになっております。さらに、平成三十三年度内に初号機の燃料デブリ取り出しを開始する。こういったスケジュールでございます。

 したがいまして、今回提出させていただいている法案でございますけれども、これが通りましたら、今後、各号機の工法が決まっていく中で、事業者の方から機構、国に、より具体化されたスケジュールが出てくる。それを踏まえて、この具体的工法等々に基づいて東京電力が数年単位の計画をつくっていくことになります。これはかなり具体的な、かつ、精緻度が今に比べるとずっと上がったものになるわけですけれども、そのたびごとに原賠機構が廃炉に必要な資金というものを精査していくということで、東京電力が出したものを機構がチェックして確認していくというプロセスの中で、これを繰り返す中で、それぞれ当面必要な資金というのがより具体的、合理的に見積もれるようになってくる、お示しできるようになってくる、こういうことでございます。

木下委員 わかりました。

 ただ、二十七年にそこはロードマップで示されて、これは、私が思っているのは、今回の法案とあわせて、もう少し、もっと前面に出していいんじゃないかなと思っているんですよ。それがある方がより国民にはわかりやすいかなと。国民が一番気になっているのは、やはり、いつまでに廃炉の具体的方法を確定し得るか、ここだと思っているんです。

 だから、やはりこれをどうにかして言ってあげるべき、言うべきことなのかなと思っているので、なかなか苦しいのはわかりますが、そういったところをこれからもう少し詰めていっていただきたいなというふうに思った次第で、きょうそういうことで大臣に先に言っていただいたということです。

 次にお話しさせていただきたいのが、今回の積み立て計画の履行についてなんですけれども、私が一番気になっているところが、東電が経営改革をしながら何とかこういう積み立てをやれる範囲内でしっかり考えていくということなんですけれども、これと考え方によっては相反するようなことがあるかなと思っているのが、端的には言いにくいのかもしれないですけれども、電力の自由化、これが健全に、加速的に進んだ場合、そういった場合に積み立てが履行できるかどうかということは、私は結構重要になるかなと思っているんです。

 できるということは、考え方によってはですけれども、ある考え方によって、電力自由化が健全に進んでいないというふうなことを示してしまうんじゃないかなと、今首をひねっていらっしゃいますけれども、そういうことを言われる方もいらっしゃるわけですよ。

 そういうことを考えたときに、実際にその関係性というのは今経産省さんとしてどう見られているかということを教えていただきたいです。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと御質問の趣旨に合っているかどうかはありますけれども、まず一つは、パイが国内市場だけに閉じているという前提で議論をしていないという点があるかと思います。したがいまして、国内のゼロサムの奪い合いということではなくて、海外のマーケットも含めた市場の広がりを見ているという点。

 それから、国内市場は、需要が減っていくという指摘もある一方で、電化が進んだりする部分もありますので、そういった新しい需要も生まれ得るという可能性もあるという点がもう一つ。

 それから、今回の電力システム改革は、電力事業という市場限りにとどまったものではなく、ガスそれから熱、それからさらにはエネルギーを超えた、通信、さらには見守りサービスといった新たな付加価値を生み出すサービスと一体的な市場の中で勝者になっていく主体が生まれることを狙ったものということ。

 それからもう一つ、前提としましては、プレーヤーの数自体が同じという前提ではない。やはり、切磋琢磨をするという中で、合従連衡もあるかと思います。

 といったような前提の違いの中で、必ずしも矛盾するものではないというように考えております。

木下委員 自由化という部分では、今言われたことはすごく理屈は合っていると思うんです。

 要は、心配なのは東電なんですよ。東電が、そういった、今言われていたようなことに、しっかり波に乗っていける状態がつくれるかどうかということが実は一番大きな問題だと思っています。

 この法案の説明にいろいろ書かれているところでは、当然のことながら、いろいろな形で合理化をしていくんだ、それで競争力をつけていくんだということなんですけれども、これは私の感覚でいうと、サラリーマンを長い間やっていましたからその感覚でいうと、そんなの、どこの会社だって合理化するんですよね、東電だけが合理化するわけではなくて。東電がよいと思ってやったことは、特に東電がやっていることというのは市場の中では指標になりますから、それよりももっとイノベーティブなことというのを考えていく会社が恐らく出てくるでしょう。

 そして、ましてや、ここは難しいところですけれども、これはレッテル張りするのは非常に危険なところなんですけれども、今までの、私の感覚的な、東電の経営手法からして、そういったイノベーティブなことに対しては非常に不得意な会社だと私は思っているんです。そういうところが、今言われたような、いろいろなプレーヤーが出てくる、パイの奪い合いにはならない、外にもエクスパンドになっていくというような、そういう中で、本当にちゃんと期待できるような利益が生まれていくような、そういうことをそのままにしておいてできるかどうかというところも私は議論の一つだと思うんです。これは難しいんです。

 というのは、だから東電を助けろというわけにはなかなかいきません。これは、市場の自由な原則の中でどこまで頑張れるか、そこにかかっているというのが私はこの計画の、これは一部だと思っています。それ以外にもいろいろやらなきゃいけないことがあります。除染であるとか、そういったものもそうです。それが本当に今、これは言葉がいいかどうかわかりませんが、いわば足かせの部分もあると思うんですけれども、それをもってしてでも東電がしっかりとそういう会社になっていけるかどうかということが一番大きなことだ。

 原発事故が起こって東電をどうするかという議論があった。そのときに東電を残したということは、結局、それをちゃんとできるような会社として維持していくことを、これまた言葉が難しいんですけれども、ある意味で見守っていかなきゃいけない部分もあるんだと思っているんです。当然、えこひいきすることではないと思っていますけれども。私は、そういった意識があるので、望む自由化、健全な自由化という話と今のこの計画というのが本当にうまくいくのかどうかという不安がちょっとまだあるということなんです。

 大臣、今の観点で、今の話は私の今の漠とした不安なんですけれども、実際にそうじゃないと打ち消せるような、そういう決定的な何かファクターというのはありますか。これは難しいと思うんですけれども。まあ、決定的なものがなければないで結構ですが。

世耕国務大臣 なかなか、非常に難しいお話だと思いますけれども、しかも、イノベーティブな事業に関しては非常に苦手な組織だというのは、これは私が見ていても同感であります。だからこそ、本当に経営の修羅場を生き抜いてきた経営のプロの人たちに集まってもらって、東電改革委員会というところで徹底的に議論をして、非連続の改革ということをきちっと打ち出してもらった。

 さらに、新聞報道等で出ているように、この間、指名委員会、取締役会では決まったようでありますけれども、新しい会長にはこれまた経営改革で大変な実績のある人、そして、社長以下の取締役は、平均五十三歳と聞いていますけれども、大幅に若返った陣容で改革を進めていく、それも息長く進めていく体制が整ったということで、ここからやはり東電には思い切り生まれ変わってもらって、まさにイノベーティブな人たちが入ってくる中で競争をしていくということが重要だと思いますし、さっき電ガ部長も答えましたように、国内にとどまるんじゃなくて、やはり、海外、特に途上国の電力需要に対して、日本の、東京電力の技術というのはすばらしいですから、質の高い電力網というのを海外へ輸出して、それでお金を稼いでくるというような発想も加えてやってもらうということが重要だと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 そういうふうになれば私はいいなと思っているんです。ただ、皆さんの話を聞いていてじゃないんです、ずっと今までこっちの国会議員の方の人たちにそういう意識がある人たちがどれぐらいいるだろうなと思うと、ちょっとそれに私は疑問を感じているんですよ。

 というのは、今の話だと、やはり東電がなければ今の計画というのはちゃんとできないんですよ。今の計画というのは何かというと、復興をしていく上で、やはりこれは事業者の責任というのがある、事業者がそれなりに負担をして復興のためにお金を生み出していくということをしなきゃいけないという話であるべきだと思っている。そこで賄えない部分については、これは国がある程度は負担をしていくという話だと思うんですけれども、何かまるで、今、東電の経営の部分で、切り離してみたらいいだとか国が税金で賄うべきだとか、これは全部が全部というわけではないと思うんですけれども、何か今の全体的な、東電をどういうふうにしていくことが復興につながるのか、復興のためにどういうふうな貢献をしていくかというふうな感じの認識の中での議論というのからちょっと逸脱しちゃっているんじゃないかなというふうな気が私はしていて、それで今ちょっと確かめさせていただいたということなんです。

 ちょっとこれは蛇足になりますけれども、きのう本会議場で、福島復興再生特措法、あれも話をされていました。あれでは、特定復興再生拠点区域、そこについては東電ではなくて国が除染などの費用は負担する。これもこれから議論になるでしょう。本来であれば、除染費用というのは、国が負担するのではなくて事業者が負担するものだということになっている。

 こういうのを総合的に見てみても、東電をどういう形で生かすか潰すかという形だと思うんですけれども、やはり生かしていって、利益を公正に生み出して、それがしっかりと還元できるということがやられなければいけない。私は、これが今回のポイントだな、長々と話しましたけれども、そういうことなんだろうなという理解をしました。

 では、次に話をさせていただきたいのが、今回のこの積立金、さっき言われました、ある程度、大体これぐらいだろうというふうな形で見積もらなきゃいけない。大体と言うとちょっと語弊がありますけれども、積み上げ方式ではない形で計算しなきゃいけない。

 そうしたら、次に議論すべきことは何かというと、将来、計画が精緻化し、そして最終的に計画が全て完了すると考えたときに、この二兆と六兆、六兆の話をします、これが余った場合、もしくは途中で足らなくなった場合、このときにどうするかということは今回の中ではまだ余り議論されていないと思っております。

 これはどうするというふうに考えられていますか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 この法律のスキームは、毎年度、事業者の方から機構の方に当面のスケジュールとそれから足元の詳細なスケジュールを出した上で、具体的な積立金額を毎年度機構で判断し、大臣の認可を得た上で、積み立て義務が事業者に課されていく、積み上がっていくということになります。

 その過程で、毎年毎年このプロセスがありますので、当面かかりそうな費用がもしその時点で変更があったりしましたならば、当然、積み立てる義務を課す額自体を変更するというか調整をするということによって、積み過ぎたり足りないようになったりとならないようにやっていくということで運用していきたいと考えております。

 もちろん、足りないというようなことがあってはならないので、そういった部分を含めて必要な準備をしていくことになると思いますけれども、基本的には、そういった、余ったり足りなくなったりならない運用をしていくというスキームになっているということでございます。

木下委員 ありがとうございます。そういう形でできるのであれば一番いい。

 考えられるところというのは、六兆かからなくて、一番いいのは、余るぐらいだったらいいなと思うわけですけれども、余ったときにそれをどうするんだという話になってくるかなと思ったんですけれども、今のような見直しがあれば特にその問題は出てこないかなというふうには思いました。

 そうしたら、次の話をさせていただきます。

 現在行われている廃炉事業についてなんですけれども、今、海側の遮水壁はもう既に完了しているということ、それから、おか側の遮水壁については今実行中ということで、ほぼほぼいいところまで来ているというふうに聞いているんですけれども、この辺、どういうふうになっているかということを、今の状況をちょっと教えていただけますか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 陸側遮水壁の状況ということでございます。凍土壁につきましては、昨年三月末から凍結を開始したところでございまして、海側につきましては、十月にその凍結を完了したところでございます。これの成果といたしまして、護岸からの地下水のくみ上げ量、凍結開始前の日量約四百トンから、現在、その約三分の一にまで減少するなどの遮水効果があらわれてきているところでございます。

 山側というところが残っているわけでございますけれども、現在、それにつきまして、約九八%まで凍結が進んでいるところでございます。建屋周辺の水位が急激に低下しないよう、未凍結としていた七カ所につきましても、そのうち六カ所については、先月までに凍結を開始しているところでございます。

 原子力規制委員会から、残り一カ所につきましても、建屋周辺の井戸からのくみ上げ量の変化を確認しながら判断するという方針をいただいているところでございまして、凍土壁全体として見ると、まだ造成の最中ではございますが、山側の凍結完了に向けて、早期に認可を取得しまして、安全かつ着実に作業を進めるよう、引き続き東京電力を指導してまいる所存でございます。

木下委員 そういう形なので、もうほとんどでき上がりつつある。これがうまいぐあいにいけば、汚染水というのは本当にうまく、実質的にコントロールできる状態というのが、今もコントロールしているというふうに言われていますけれども、非常にいいぐあいになってくるのかなというふうに思っているんです。

 それ以外も、今、汚染水、多核種除去装置などで放射性物質の除去をしているということなんですけれども、今の遮水壁なんかを使えばもっと格段にその辺の部分というのは少なくなってくるんだろうと思っているんですけれども、今の状態では、放射性物質の除去というのは、やられているのはセシウムとストロンチウムが主なもので、トリチウムは除去されていないというふうになっています。

 これはきょう理事会で出していないので、ちゃんとは出せないんですけれども、最近出た、資源エネルギー庁さんが出されている「廃炉の大切な話」、これを読ませていただいて、詳しく、非常によく書かれていて、わかりやすいなと思ったんです。

 ただ、トリチウムのところが、これは、タンクに貯蔵された水に含まれたトリチウムについては、「現在、技術的観点のみならず、社会的観点も含めて、総合的な検討を丁寧に進めています。」というふうに書いてあります。

 それで、「トリチウムとは?」というふうなところにそういうことが書いてあるんですけれども、その下にちょっとちっちゃい絵が描いてありまして、普通の水道水には一リットル当たり一ベクレルぐらいトリチウムがあります、人体には一リットル当たり、人体に一リットルというのはあれですけれども、数十ベクレルのトリチウムが含まれているというふうな感じで書いてあるんです。

 ここまで書いているのであえてちょっと言わせていただきたいんですけれども、本来であれば、では、今、福島第一原発の汚染水に、その出てくるものを処理されてストロンチウムとセシウムは除去されている、そうしたら、それが除去された一リットル当たりにトリチウムというのはどれぐらい含まれているんですか。過去と今とは違うと思うので、今どれぐらいなのか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 今現在、ALPS、多核種除去設備で処理された後のタンク内に貯蔵されている水のトリチウム濃度というところについてのお答えでございます。

 御指摘のあったとおりでございまして、貯蔵した時期によってこれはばらつきがございます。事故直後に貯蔵したものは、最大で約四百二十万ベクレル・パー・リットルという値でございますけれども、最近貯蔵したものでは数十万ベクレル・パー・リットルといったような程度に下がっているところでございます。

木下委員 大臣、これは結構私は問題だと思っているんです。

 というのは、せっかくこれは「廃炉の大切な話」と書いてあって、この「トリチウムとは?」と書いてあるところは、大臣も持たれていますね、ありがとうございます、まるで、これだと、水にもありますよ、人体にもありますよ、水には一ベクレル、リッター当たり、人体では数十ベクレル、リッター当たり。今聞いたら、出てきている水は数十万ベクレルだというふうにおっしゃられました。そういう記載はここにないんですよ。これは絶対私は書くべきだと思うんです。これをやっちゃうから、今までと変わらないと言われるんですよ。いいところばかり書いちゃって、本当に懸念されることは書けていない。非常にこれは残念だと思うんです。

 ただ、これがどれぐらい問題なのかというところは、ここで書かれているとおり、「技術的観点のみならず、社会的観点も含めて、総合的な検討を丁寧に進めています。」と書いてある。これは丁寧に進めるべきだし、実際にこれがどれぐらいの問題なのかというところは私たちにはやはりわからないんです。数値的には今の書いているとおりのことをやはり書かなきゃいけないけれども、その上で、このトリチウムを含んだ水というのをこれから先どうしていくかというふうな、これはやはり決めていかなきゃいけないと思うんです。

 これは今どういうふうにしようとされていますか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 問題の、多核種除去設備で浄化処理した水についての扱いでございますけれども、そもそも、昨年までは、こうしたトリチウムが入った水の扱いというようなところにつきましては、トリチウム水タスクフォースというのをやっておりまして、それをどのように扱うかという五つの選択肢というのを示しながら、具体的にその技術的な論点はどういうところにあるのか。そもそも、委員御指摘のような、トリチウム水というのは、どれぐらいのところ、世界でどういった形で排出されているのかといったようなことも含めて、報告書をまとめたところでございます。

 これを受けた後、昨年九月からは、汚染水処理対策委員会のもとで、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会、これを設置いたしまして、十一月から議論を開始したところでございます。

 こちらでは、既に三回委員会を開催させていただいております。そこでは、国及び東京電力から廃炉・汚染水対策の御説明、それから、復興庁から政府全体の風評被害といったような取り組みの説明をした後に、有識者からのヒアリングということで、風評被害のメカニズムやその対策、福島で起こっている風評の実態、それから、福島県においてはいかなる対策、取り組みをやっているのか、漁業の取り組みというのはいかなるものなのかといったようなことについての意見を、もしくは実態を聴取させていただいているところでございます。

 この委員会では、風評被害といった、今申し上げたようなことの社会的な観点からの検討といったことを中心に進めるため、こうした議論をやっているところでございます。これを丁寧にこれから続けて、しっかりと対策をまとめていきたいというところでございます。

木下委員 聞いていると、非常に丁寧にやられているなとは思うんです。

 ただ、今の話を聞いていると、思うのが、社会的な影響というのが非常に私は難しいところだなと思っているんです。あえて何かを追及的に言うのではなくて、ここは非常に私は懸念しているんです。

 というのは、今回のこの法案の中で書いているところでも、大体、計画というと、デブリを取り出すところまでのような、そういう印象を受けてしまうんですけれども、では、取り出してどうするのか、これはきょうやろうと思っていたんですけれども、時間がないのでまた次回に回そうと思っていますけれども、そういうところもそうだし、このトリチウムが含まれた水についてもこれから先どうしていくのか。

 多分、これも計画の中には実際は入っているんだろうというふうに思っているんですけれども、これはうまく議論をしていかなければ、国会内でもそうだと思っているんですけれども、非常に私はまずいことになるなと思っているんです。

 科学的に、もしくは技術的にどうなのか、それから社会的にどうなのか。これをうまい議論をしていかないと、私が思っているのは何かというと、今の東京都の豊洲の問題と築地の問題と同じだと思っているんです。

 築地については、やはり汚いものがいろいろある。豊洲だってある。どっちの方が数値がどうなんだという問題ではなくて、まるで何か、都民の感情の問題だ、不安の問題だみたいな感じになってくる。これは、うまくやっていかないとそういうことになっていくからこそ、これは社会的にとか総合的にというふうに言われているんだと思うんです。

 これは、計画を実行していく中で、こういったことはもう少しこういった場で、委員会などの場でもう少し積極的に議論をしていって、早期にその辺の着地点というのを見つけていかなければならないんじゃないかなというふうに私は思っているんですけれども、これは続きをしますけれども、大臣、今までのところで、この取り扱いはどういうふうにしていったらいいと思われるかということも含めてお話しいただけますか。

世耕国務大臣 本当にこの問題は非常に難しくて、おっしゃるように、科学的観点だけではなくて、社会的観点、特に風評被害につながるようなことがあっては福島の復興をおくらせることになりますから、その辺も慎重に考えていかなければいけないというふうに思っております。

 私も下手なことを言えないぐらい、これは今すごく機微な状況でありまして、まずは専門家の議論をしっかり待ちたいというふうに思います。

木下委員 まだまだこういった話を続けたいなと思ったんですけれども、また次回にさせていただきまして、きょうはこれでおしまいとさせていただきます。

 どうもありがとうございます。

浮島委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 質問の順番を調整してくださった関係委員にまず感謝を申し上げます。経産委員会で初めての質問になりますので、世耕大臣、よろしくお願いいたします。

 早速なんですが、法案にかかわって質問を行います。

 本法案は、もう既に朝から議論がされているように、東電改革提言を受けてのものでありますが、この中身を中心に質問する前に、やはり、東電改革・一F問題委員会での議論の内容、その公開についてを初めに確認しておきたいと思います。

 東電のあり方や、廃炉または賠償、その費用などは、大きな国民的関心事であることは間違いありません。国民負担がふえるのではないかということなどの懸念、報道ももちろんありました。

 世耕大臣も、本会議で、「福島第一原発の廃炉は、世界にも前例のない困難な作業であり、」「廃炉に要する資金を具体的かつ合理的に見積もることは非常に困難」と答弁されました。これまでの、従来の認識だと思います。

 そうであるならば、長期にわたる廃炉や賠償に関する議論を一F問題委員会では行ってきたわけですから、後世の検証にたえ得るべく、委員会の会議録の公開は必須ではないかと私は考えます。

 ですが、この点を我が党が本会議質問を行った際に、大臣は、「検討内容が個社の経営問題に直結することもあり、会議自体は非公開の扱い」と答弁しました。概要や資料は原則公開で、その後ブリーフィングなども行ってきたということなどもこれまでも随時話されていましたが、しかし、事は個別企業の問題にかかわらない、公益性がある事柄だと思います。したがって、公開する重要性の方が大きいと思います。

 大臣に伺います。

 現時点の議論においても、この委員会などで当然必要なことだと思いますし、後世の検証や今後の検証などの点からも、内容を公開する意義はあると思います。そうすべきではないか。大臣の考えをまず伺います。

世耕国務大臣 今おっしゃっていただいたように、この東電改革委員会では、個社に関する情報も扱う、そして委員の皆さんに闊達に議論をしていただくという意味で、いわゆる議事録を全部公開するのではなくて、議事の概要と使った資料を原則公開するという形にさせていただきました。

 結局、後世の評価にたえるべきものというのは、これは私は報告書本体だというふうに思っています。それがまさに、この東電委員会の皆さんが議論した結果としてまとまったものでありますから。

 このように、議論を、例えば国民の関心が高いとか、後世に評価されなきゃいけないというようなテーマの有識者会議で、ほかにも同じようなことになっているのは幾つもあります。例えば、戦後七十年談話をまとめた有識者懇談会は、発言者名を付さない議事要旨のみの公開でありました。安保法制懇も同じく、発言者名を付さない議事要旨の公開でありました。未来投資会議は、議事要旨を公開して、一定期間後、議事録公開というスタイルをとっています。それぞれいろいろなスタイルをとっているんだろうというふうに思います。

 私は、個社の問題にかかわりますから議事録は公開はできないけれども、なるべくどういう議論をしているかということは世の中にお知らせしなきゃいけないということで、委員長にブリーフィングをしっかりやってもらいました。

 九回会議が開かれていますけれども、例えば六回目なんかは、委員会本体よりも長い時間、委員会本体は百十四分ですが、ブリーフィングは百六十九分やっている。これはトータルしても、委員会自体は千百十四分やっていますが、ブリーフィングにかけた時間は九百三十八分。

 だから、ほぼ、かなり正確に中身について、個社にかかわるところはさわらないまでも、議論の雰囲気とか状況ということについては、委員長からのブリーフィングで十分世の中に伝えているのではないかというふうに思っています。

畠山委員 議論の経過や、後でも触れますけれども、さまざま、間に新潟の県知事選挙があったりとか、情勢の変化があったと思います。ですから、ほぼ同じようなことを話しているのであるならば、ますます公開する意味は、該当する部分だけはわからないようにして公開することも可能ではないかと思うんですよ。

 それで、なぜこんなことを私が質問したかといえば、そもそもこの会合が、密室で進めることが既定路線だったのではないかという疑いがあります。

 東京新聞二〇一六年十月二十八日付で、この一F問題委員会が複数回の密室会合を持っていたと報じられました。報道によれば、「廃炉費用試算の前提となる廃炉に要する期間に関しても議論されたもよう」とされて、当時の報道ですが、その会合の主催者や費用負担、議事録の有無については「経産省は回答していない。」とのことでありました。この後も、大臣としても、記者会見で、非公式会合なるものは存在していないと答えつつ、個別の資料配付や事前説明などはあってもおかしくないとも記者に答えています。

 これは事務方で結構ですが、この呼び方が非公式会合なのか事前説明なのか、どちらでもいいんですけれども、そのときの記録というのはきちんと残されているんですか。

村瀬政府参考人 これまで東電改革委員会は、昨年十月五日から本年三月二十八日まで計九回開催しておりますが、これら以外の日程で同委員会を開催した事実はございません。

畠山委員 委員会の正式な会合としては九回だと思います。その呼び方は別として、世耕大臣が記者会見でも言っていたように、資料配付や事前説明などの会合の記録があるのかと私は聞いています。

村瀬政府参考人 もちろん、限られた時間で円滑な議論を行うに当たりまして、参考となるような背景情報の提供等を行うようなことはございましたけれども、公式、非公式を問わず、同委員会を開催した事実はございません。

畠山委員 何かかみ合っていないような感じがするんですけれども。

 公式、非公式を問わず、九回やったというのは、それは公式のものですからもちろんわかります。それ以外にも、大臣も記者会見で、事前説明をするとか資料をお渡しするとかという機会はあるだろうということは答弁されたんですよ。だから、そのときの記録があるんですかというふうに素直に聞いているだけです。

世耕国務大臣 まず明確に申し上げておきますが、非公式会合というものはありません。

 私も記者会見で申し上げたように、各委員のところを回って資料をお配りする。事前にそこで質問されたら、これはこういう意味ですよというぐらいの解説はする。これは、もう本当に資料配付の延長でありますから、当然、記録のようなものは残っていないと思います。

畠山委員 記録のようなものは残っていないと思うという大臣のお考えですが、それでいいんですか。

村瀬政府参考人 そのとおりでございます。残っておりません。

畠山委員 記録は残っていませんが、会合する際は自費でやるわけではありませんので、費用というものは拠出されているんですか。そのことだけ、あと確認しておきます。

村瀬政府参考人 通常の説明等で費用たるものは余り発生しないと思いますけれども、費用というものは発生していないということだと思います。

畠山委員 通常発生していないと思いますが、発生していないと思いますと。よくわかりません。もう一度だけ、わかりやすく答弁してください。

村瀬政府参考人 かかる費用は発生してございません。

畠山委員 さまざまな、この一F問題委員会の議論というものは、この後も触れると先ほど述べましたが、非常に大きな意味があると思っています。

 ですから、我が党としては議事録の公開は要求しておきたいと思っておりますが、いずれにしても、この問題について、透明性や公開の問題などは、先ほど、午前中からずっと託送料金のことも含め、出ているだけに、国民的関心と、東電や国の責任の範疇ということにおいて検証はいつも必要な分野だと思いますので、重ねて要求はしておきたいと思います。

 それで、資料もお渡ししていますが、提言の方で改めて確認をしておきます。

 東電改革は三段階の中身でまとめられておりました。第一段階が、送配電コスト改革による廃炉や賠償費用の確保。第二段階が、柏崎刈羽原発の再稼働。第三段階が、送配電と原子力で他社と共同事業体設立。海外の原子力事業の展開ということも念頭にされています。

 これは、私風にまとめれば、国民へ費用のツケを回すのではないか、なおかつ、書いているとおり、再稼働は柏崎刈羽で前提とされておりますし、さらなる原子力事業の展開ということが特徴であると思いますが、何より本質的には、東電の救済ということにならないのか。事故の当事者である東電が最後まで責任を持って行うというのが大原則と大臣は常々おっしゃっています。ただ、実際にこれをやっていったら有限責任になりはしないかということは、この後議論させていただきたい。

 まず大臣に初めに伺いたいのは、第三段階までありますけれども、全般的に、この提言の特徴はどこにあるとお考えになりますか。

世耕国務大臣 先ほどおっしゃっていただいた三つのステップで成り立っているというところが一番のポイントだというふうに思いますが、これを、まさに経営の現場、特に、厳しい経営の現場を経験してきた経営者の皆さん方が議論をしてつくっていただいた。そして、東京電力の廣瀬社長がオブザーバーとして参加をして、この議論にある程度参加をしながら、必要な東電の経営情報も一定程度出しながら、きちっとしたものがまとまっていった。極めて、実行可能性、実現可能性のあるものができてきたというふうに考えております。

 特に第一段階の、年間五千億円のコスト削減等によって収益を確保して、それを廃炉や賠償の費用に充てていくというところが一番重要なポイントではないかというふうに思っています。

畠山委員 今の大臣の答弁で、実現可能性という言葉をキーワードに、この後、私の方からも質問していきたいと思います。

 それで、まず第一段階。私は国民への費用のツケ回しじゃないかと述べましたが、その点について伺います。

 託送料金への上乗せが提起をされています。これもきょう朝から議論がされてきましたが、実際は電気利用者の負担となるのではないかというふうに思います。

 そこで、きょうは細かく紹介しませんが、読売新聞の二〇一六年十一月十六日付で、一F問題委員会でも託送料金の値上げには慎重意見が多いとの報道がされていました。しかし、経産省から十二月九日にこの託送料金への上乗せ方針が示されたと、これは朝日新聞二〇一六年十二月十日付で報じられました。

 これが、過程が事実として、なぜ託送料金への上乗せという手段を選択したのかについて答弁を願います。

村瀬政府参考人 先ほどの答弁の中にもございましたけれども、賠償に係る費用につきましては、福島事故前に、賠償に係る備えが原子力賠償法に基づく賠償措置、一千二百億円のみであったこと、また、制度上、事業者がこれを超える備えを規制料金のもとで回収し、みずから資金を確保する自由が制度のもとで認められていなかったということなどによりまして、賠償の備えが十分でなかったことにどう対応するかという問題に対しまして、政府といたしましては、この制度が十分でなかったことについては真摯に反省をした上で、この備えの不足分につきましては、福島の復興を支えるという観点、原子力の電気を広く消費者が利用していた実態があることなどを勘案いたしまして、消費者間の公平性の確保の観点から、託送制度を利用した公平回収措置を講ずることが適切と判断したものでございます。

 賠償についてということでよろしいですか。

畠山委員 今の答弁が、基本的な考え方としての答弁として確認をしておきたいと思います。

 今私が質問で述べましたように、報道によれば、一F問題委員会では、託送料金の値上げについては慎重意見が多いとされていたようであります。それで、その慎重意見というものが払拭されたのかどうか。どのような議論をされたのかということはわかりません。

 朝から議論がありましたように、その上乗せということによっては、さまざまな問題が指摘もされてきたことですし、当然、一F問題委員会でも議論とされてきたことでしょう。当然の心配や議論がされていたと私は思います。既に託送料金には電源開発促進税なども乗せられているわけですから、こういうものの上乗せについてのさらなる負担ということについては、国民的な懸念も生じることでしょう。

 そこで、どのような議論がされて、一F問題委員会での委員の慎重意見の払拭はどのようにされたのか。その中身について紹介してもらえますか。

村瀬政府参考人 一F事故に関しましては、東電委員会以外にも、いわゆる審議会、総合エネルギー調査会のもとにいわゆる電力システム改革貫徹小委員会という委員会が立ち上げられて、九月以降、一F事故の費用の問題に対する対応策について審議会で検討をいただいていたところでございます。

 東電委員会は、東電の改革のあり方について審議をいただくということで設置された委員会でございまして、その議論も踏まえながら、この電力システム改革貫徹小委員会の方で制度設計についての議論が行われておりました。

 確かに、その中で慎重な意見、例えば、先ほどもありましたけれども、公平措置は必要だけれども、税によって措置すべきではないかといった意見もあり、さまざまな意見がございましたが、最終的には、電力システム貫徹小委員会の委員総意のもと、委員長に一任がされまして取りまとめられたものでございまして、その点につきましては、東電委員会でも御紹介をさせていただいて、コンセンサスが得られていっている、こういうことでございます。

畠山委員 かかる費用のこのような議論の透明化は必要だというふうに思っています。

 資料二枚目に、さまざまな費用についての一覧表を、これもきょう出てきておりますが、私の方からも改めて、議論の土台ということですので、紹介しています。

 それで、いろいろありますが、賠償不足分、プラス二・五兆円について、これを新たに新電力を含む全電力で負担するということになっています。新電力分は、全体の約一割分である〇・二四兆円、二千四百億円というふうにしていますが、金額の問題とやはり違うと思うんです。考え方であろうと思います。

 そこで、大臣は、賠償費用の考え方について、本会議で私たちが、我が党が質問を行った際に、このような答弁をされました。「福島原発事故以前、原賠機構法が措置されていなかったことから生じた賠償への備えの不足分をどう手当てすることが適当かという問題への対応」と。先ほど来から答弁されていることで、いわゆる過去分として公平に負担してもらうという理由になっています。

 ですが、電力事業者と購入者との間でそのような契約はもちろんしていたわけではありません。契約していなかった分を請求できるということなのかどうかは、私は、法律上できちんと説明してもらわないと、私だけではなく、国民的に納得がいかないだろうと思います。

 契約していないのに請求できる法律上の説明をしてください。

世耕国務大臣 まず、ちょっと誤解があってはいけませんので。

 二・四兆円の託送料。二・四兆円を託送料で回収するという議論をしたのは、これは電力システム改革貫徹委員会でありまして、透明性ということをおっしゃいました。ここは議事録公開でありますので、その経過は全部まとめられていますし、最終的には、御本人も御了解をいただいて、委員長一任のもとで取りまとめられたということは御理解をいただきたいというふうに思っております。

 今、託送料金でなぜ取れるのかということでありますけれども、これは、ユニバーサルサービス料金など、全ての消費者が広く公平に負担すべき費用を託送料金で回収でき、その具体的内容については経産大臣が認可することというふうに決まっているわけです。これは電力事業法の中で決まっています。

 今の託送料金に関する電気事業法の規定は、二〇〇〇年に電力小売化を部分的に自由化した際に設けられました。このときは、当時の審議会の報告書で、供給の信頼度や望ましい電源構成の維持など、公益的課題への対応に必要な負担については、「すべての需要家が公平に負うことを原則とする。」とされたこと、それを踏まえて法改正が行われているわけでありますから、今回、我々は、その趣旨にのっとって、託送料金というものに反映をさせていただくということにしたわけであります。

畠山委員 やはり一般的には、きょうもありましたけれども、過去分として請求されるといいますか、そういうことについては、なかなか国民的な理解というのは得られにくいことだと思います。当たり前のことですよね。

 あわせて、この仕組みが四十年ですか、続くということになれば、これから生まれてくる方に過去分の責任があるのかということももちろん問われてくると思います。そういう仕組みだからということは大臣もおっしゃいましたけれども、ただ、やはりこれは国民的に納得いかない。もう少し説明が必要じゃないですか。

世耕国務大臣 やはりこれは、福島の復興のため、福島の皆さんに必要な賠償金を支払う原資であるということを何よりも御理解いただく必要がある。そして、それを、やはり原子力発電に裨益をしてきた国民全体が、特に過去の分でありますから、これは負担をするということになろうかと思います。

 もちろん、二〇一一年三月十一日以降に生まれた人はそもそもそのころ使っていないじゃないかという話もあるわけですけれども、先ほども申し上げました、公共料金というのはどうしても、ある一定の許容の範囲の中で丸めるということもあるわけです。

 これは、本当に正確にやろうと思ったら、各家庭の世帯構成、年齢を全部調べて、それで全部請求書を調整するなんということ、これをやったら、また逆に膨大なコストがかかって、その分また電気料金に乗っかってくるわけでありますから、その辺は、福島のために国民全体でということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

畠山委員 そこで、いわゆる公共的な意味だとか、そもそも公平性に重きを置かれた説明をされてきたわけですけれども、考え方と先ほど私は言いました。公平性を言うならば、東電の利害関係者に費用負担をまず請求すべきではないかというふうに思います。東電株式会社の責任においては、その責任の重さに応じて順番に負担すべき、応責原則というんでしょうか、そういうふうに思うんですね。

 まず、事故を起こした経営陣の経営責任、それから株主責任、その次に金融債権者、金融機関などの貸し手責任、これら利害関係者がまず順番に負担して、その次に電気の利用者や消費者などの電気料金、そして最後に国民、税金による負担などなどという順番が筋なのではないかと思います。

 事故原因がどうか。その因果関係においていえば、製造物責任としての原子炉プラントメーカーやゼネコンなどもあるでしょうが、今言ったことを私たちとして考えたいと思うんです。

 ですから、今回、過去分としていきなり電気の消費者に請求する前に、本来、まず経営者、株主、金融債権者などなど、利害関係者に負担を求めるべきではないのかと思います。

 そこで、東京電力から、資料も出してくださいとお願いしたら、提出していただいたものがあります。今、過去分として一九六六年からの分を請求というか、しようとしているわけですけれども、では、この間に株主や金融機関などの、どのような配当などがあったかということの資料を出してもらったら、こういうふうになっているんです。

 一九六六年度から事故前の二〇一〇年度合計で、これは資料はありません、私の手元だけのものです、株主の配当収入は二兆五千六百三十三億円、メガバンクなど金融機関の借入金の利息収入が六兆七千二百三十億円、社債の利息が六兆六千四百九十四億円。単純に計算しますと、株主と金融債権者が受益してきた総合計は十五兆九千三百五十七億円です。社債権者の利息については別扱いしても、九兆二千八百六十三億円にもなります。仮に販売電力の三割を原子力分だと考えたとして、今の金額から割ってみると、単純ですが、利害関係者だけでおよそ二兆八千億円を受益した計算になります。

 もちろん、それがそのまま金融資産で残っているかどうかというのは別問題です。ただ、消費者へ請求する前に、これだけの利害関係者が責任に応じて負担するということが筋ではないかというのは、先ほど私が述べたとおりです。

 そこで問います。

 株主責任やこのような金融機関の貸し手責任を問わないままで消費者、国民へ請求することをしていいのか。利害関係者へのそれこそ公平な負担なく、国民的理解が得られると大臣はお考えですか。

世耕国務大臣 今、金融機関が幾らもうけたと。確かに、単純に足し算をするとそういうことになるんだろうというふうに思いますが、一方で、お客さん、ユーザーの側もかなりの裨益をしているわけです。安定した電力供給によって、一九六六年までさかのぼられていますから、その間、日本が電力が良質であることによってどれだけ成長して、それが国民全体がどれだけ裨益をしたかということも私は忘れてはいけないというふうに思っています。

 まず、この問題については、東電を破綻させるかどうかというのは、もう震災直後に判断したんです。これは、破綻をさせて、そうしたら、確かに、貸し手責任とか株主責任、それははっきりしますよ、全部紙くずになるわけですから。ですけれども、そうではなくて、東電にしっかりと責任を果たさせるということを重視して、東電に責任を負わせて、東電がしっかりと頑張るという構図でずっとやってきているわけであります。

 一般の方に負担を回す前にとおっしゃいましたが、一般負担金という形で、全国の電力会社の利用者の皆さんからは、それぞれいただいている分がもう既に賠償に関してはあるわけであります。

 そういう意味では、今おっしゃっていることというのは、もちろん反対かもしれませんけれども、一定、ある程度決着のついた議論なのかなというふうに思います。

 その中で、では株主や金融機関は全く責任をとっていないかといえば、当然、株主に対してはもうずっと無配が継続をしていますし、当面、これからも、政府が一応五〇・一%持っていますから、当然、今後も無配は継続させるということになろうかと思います。株価そのものも大幅に落ちているわけであります。

 金融機関に関しては、これは借りかえなどによって与信を維持することが要請をされていて、その責務を果たしておられるわけでありますから、そういう意味では、株主、金融機関も一定の責任は果たされているのではないかというふうに思っています。

 ただ、今後も引き続き、株主や金融機関の責任がしっかり果たされるよう、特別事業計画の履行確保を通じて、主務大臣としてもしっかり注視をしてまいりたいと思います。

畠山委員 このような指摘があるわけですよ。東京新聞二月九日付、城南信金吉原毅相談役のインタビューがこのように述べています。「経済のルールに従って東電は破綻処理し」、決着済みだと話されていますが、紹介はしておきます。「経営陣、株主、銀行、そして監督指導してきた経産省ら政府に、拠出したり融資した資金が戻らないという形で責任をとらせるのが現代の経済社会のルールだ。」と述べて、「過去の料金が二・四兆円分も誤っていたならば「歴代担当者を処分して私財の拠出を求めるべきだ」」とまで、厳しく指摘はされています。

 それで、広く消費者が受益してきたということを理由に挙げてきていますが、ただ、現実は、ほかの電力会社を選べないいわゆる地域独占という状況だったからでありまして、他の電力会社と契約できない状況だったのに、受益の実態があるじゃないかと言われても、それは国民は納得できないわけであります。

 そこで、先ほどからもありましたが、その備えができてこなかったということについては真摯な反省ということを繰り返されていました。その中身は、今私が申し上げてきたようなことも含めて、かなり重たい中身があるかと思います。改めて、その真摯な反省と言われるものの中身について、大臣の口からしっかりお答えいただけますか。

世耕国務大臣 規制料金のもとでは、一般的な企業の事業と違って、将来的に追加的な費用が発生するリスクを勘案して、それを数字にして料金に盛り込んで回収するということは認められてこなかったわけであります。料金の算定時点で現に発生している費用ですとか、合理的に見積もれるものしか原価に算入することを認めないという運用を行ってまいったわけであります。

 一方で、福島原発事故以前は、やはり政府は安全神話に陥っていたところがあると思います。福島原発事故のような規模の過酷事故が起こり得るという前提には立っておらずに、事故当時、賠償に係る備えは、原子力賠償法に基づく賠償措置一千二百億円のみでありました。この賠償措置を超える損害が生じた場合の措置も講じてこなかったわけであります。この点については、真摯な反省が必要だというふうに思います。

 今回の託送制度の仕組みを利用して回収することとした賠償の備えの不足分というのは、規制料金のもとで、福島事故以前から原賠機構法のような措置を講じなかったことで生じていたものであるため、こうした措置を講じておらず不足分を生じさせたことについて、政府として真摯に反省が必要であるというふうに私は考えています。

 その反省に基づいて、廃炉・汚染水対策も含めた福島の復興に全力で責任を果たしていくということが重要だと思っております。

畠山委員 この問題、長々とやることになりませんが、ちょっと最後にやはり一つ確認しておきたいことがあります。

 今回、過去分というようなことで負担を求めることにしたわけですけれども、今後同じようなことが起きないかということはもちろん懸念される一つだと思います。

 賠償費用は、きょう、上振れの議論もたくさんありましたけれども、被害が続く限り支払われるべきものだと思います。廃炉費用も試算以上に膨らむ可能性があるし、きょうはちょっと出しませんが、そのような試算が出されてきたときょうも議論がありました。

 大臣は本会議で、「将来的に、必要となる資金が見通せるようになってくれば、その時点で追加すべきものは追加するものと考えています。」と、条件つきですが、これは廃炉費用ですか、について答弁もされました。

 将来にまた同じように過去分といって賠償も廃炉も負担増を正当化する前例とならないのか、本来責任を負うべきところに責任が問われないことにならないのかということについては、やはり、こういうことは今後ない、前例ではないということを大臣は言い切れるかどうかは確認しておきたいと思います。

世耕国務大臣 今回、託送料金に過去分を乗せさせていただくというのは、これは電気事業法の規定に基づいて、経産大臣の認可という形でやらせていただくわけであります。

 今時点で、いわゆる賠償の過去分というのは、先ほどから申し上げている二・四兆円という上限を閣議決定もして決めさせていただいています。しかも過去分でありますから、これがまた再び膨らむということはないということは明確に申し上げられるんじゃないかというふうに思っていますが、制度上、今後、託送制度を利用して何か別の、過去分じゃありませんよ、賠償の過去分ではありませんが、何かこの電気事業の中で全ての消費者が広く公平に負担すべきような費用が出てきたときは、それを託送料金を使って回収をするということが否定されるというものではないというふうに思っています。

畠山委員 今回のような過去分という理屈で何でも負担を正当化できるようになっては危険だということは指摘しておきたいというふうに思います。

 我が党は、本会議質問でも、決着済みとおっしゃった東電の破綻処理の問題についても、やはり、破綻処理して一時的に国有化することや、資産を売却し、経営陣や株主、メガバンクなどの貸し手の責任を問うこととあわせて、「原発で莫大な利益を得てきた原発利益共同体にも応分の負担を求めてこそ、国民負担を最小化できる」と述べました。

 このまま国民負担が青天井化することになってはもちろん、その際にこういう理屈で進めていくことは許されないわけでありまして、機構法の枠組みの検証、総括が必要であることは指摘だけしておきたいというふうに思って、次の質問に進みます。

 第二段階、第三段階にかかわって、ちょっと時間がなくなってきているので、手短に大臣の見解などを伺っておきます。

 提言の第二段階では、柏崎刈羽原発の再稼働が東電再建の柱とされています。しかし、御存じのように、新潟県知事選挙において再稼働反対の民意が示されたと思います。

 そこで、大臣が初めに述べた特徴で、私も取り上げたキーワードである実現可能性。新潟のこの状況で柏崎刈羽原発の再稼働に実現可能性があると大臣はお考えでしょうか。

世耕国務大臣 この柏崎刈羽原発の再稼働というのは、先ほども言っていただいたように、改革の第二ステップということになります。これは、これを再稼働することによって送配電事業の合理化による廃炉、賠償に係る資金の確保をより確実なものにするという趣旨のステップだというふうに思っております。

 東京電力は、事故を起こした事業者として信頼回復というのはなかなか大変ではありますが、信頼回復をしっかりやった上で、柏崎刈羽原発の再稼働も含めて、あらゆる分野でさまざまな取り組みを積み上げて、福島への責任を果たすために、今までにないコスト合理化や収益拡大を実現してもらいたいと思っています。

 ただし、当然、原子力発電所については、これは安全最優先でありまして、高い独立性を有する原子力規制委員会によって科学的、技術的に審査をして、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合のみ、その判断を尊重し、地元の御理解を得ながら再稼働を進める。これが再稼働に関する政府の一貫した方針であります。

 御指摘の柏崎刈羽原発についても、東京電力において原子力規制委員会による安全審査にしっかりと対応することはもとより、過去の企業文化と決別をして、地元の方々への丁寧な説明も含めて、国民の信頼を取り戻すべく努力をすることが極めて重要だというふうに思っています。

 実現可能性はその努力の先にあるというふうに思っております。

畠山委員 再稼働の是非については、立場が違いますので、それは今議論しませんけれども、やはり今大臣がおっしゃられた企業文化との決別などで、県民から厳しい目が突きつけられていることを改めてこの場でも述べておきたいと思うんですよね。

 柏崎市の桜井雅浩市長も、東京新聞三月二十日付のインタビューで次のように述べておられました。「二〇〇二年に発覚した柏崎刈羽原発を含むデータ改ざん、福島第一原発でのメルトダウン隠し、今回の免震棟問題と続き、事実を正確に伝えようとしない東電の体質は問題だ」と。隠蔽をしてきたことに国民、県民も怒っている、根底として、知事選の結果にあらわれたと思います。

 そこで、冒頭に質問しました一F問題委員会の議論も、私はここでも明らかにする必要があると思っています。

 ちょうど、日程を追いかけていけば、知事選の終わった後の会合ももちろんありますし、その結果も議題となったことでしょう。今後のステップ、実現可能性においての議論も話し合われたと思います。まして、今度会長につかれる川村隆さんは、この一F問題委員会の委員でもあったわけですよね。

 そこで、これは事務方で結構ですけれども、柏崎刈羽の再稼働について、一F問題委員会でどのように議論されていたんでしょうか。

村瀬政府参考人 御答弁させていただきます。

 例えば、世論調査の結果もしっかりと受けとめて、国民の納得を得ていくことが重要ではないかといったような意見ですとか、再稼働に向けては、技術、安全の確立を含めて国民の信頼を得ていくことが必要ではないかといったような御議論、それから、さまざまなコストダウンだけでは対応できない資金については、福島の費用を確保するという意味でも重要ではないかといったような意見など、さまざまな議論があったと承知しております。

 こうした議論を経まして、昨年末の改革提言におきましては、柏崎刈羽の原発の再稼働は、その賠償、廃炉のための対応を確実なものにするためのステップとして位置づけられた一方で、従来の企業文化とは決別をして、地元との対話を重ね、地元本位、安全最優先の事業運営体制を確立し、地元本位確立のための行動計画を早期に地元に提示し、対話を深めていく、その中で信頼を確保していくべきといった方向性が示されたところでございます。

畠山委員 この問題はまだまだ長く今後取り上げなければいけない問題だと思いますので、この場では改めて、冒頭に述べた会議録の開示をこの点では求めておくことにとどめておきたいと思います。

 それで、第三段階ですけれども、電力、原子力事業の再編統合などを含めて、新たな原子力事業の海外展開も盛り込んでいます。その一方で、今ニュースとしてにぎわっているのが東芝の経営危機問題の重大化です。

 原子力事業の海外展開について、最後、この東芝問題を例に、大臣の情勢認識を伺いたいと思います。

 まず、今の東芝の経営危機の原因についての大臣の見解はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 東芝の発表によれば、今見込まれている大きな損失というのは、アメリカにおける原子力発電所の建設に当たって、現地企業を買収したときには認識されていなかった建設コストの増加、これに伴って巨額の損失が生じたというふうに理解をしております。

 東芝は、我が国にとって、半導体事業ですとか原子力事業など幅広い分野において非常に重要な事業を展開してきた企業だというふうに思います。また、原子力に関しては、国内において二十基を超える原発の建設に関与し、原発の安全確保に必要となる技術、人材を初め、高い技術力を生かして貢献をしてきた企業だと思います。特に福島第一原発では、廃炉・汚染水対策に具体的に参画をして、多くの東芝社員が貢献をしてくれているわけであります。

 このように、我が国の経済、産業にとって非常に重要な事業を担っている企業が多額の損失計上を迫られて苦境に立ち至っているということは、大変残念であります。

 いずれにしても、東芝の今後の対応をしっかりと注視してまいりたいと思います。

畠山委員 一たび過酷事故が起きれば大きな被害が出るのが原発ということで、私たちは大きな教訓を得ました。

 それで、今大臣が述べられたように、東芝が半導体、原子力、いろいろなところで大事な役割を果たしているというのは、それはそれでありつつも、海外における原発の建設計画、後に出るウェスチングハウスを含めて、ここの実態や海外の原子力事業との関係で、本当にこれでよかったのかということは客観的に確認していかなければいけないと思います。

 そこで、これは事務的に確認したいんですが、二〇〇〇年以降、国際的に原発による発電量がどのように推移しているか、トレンドで構いませんから、答弁してください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 IAEA、国際原子力機関によりますれば、世界の原発の発電量は、二〇〇〇年に二・四兆キロワットアワー、二〇一〇年に二・六兆キロワットアワー、二〇一五年に二・四兆キロワットアワーということで、一〇年までは増加しておりましたが、一五年は、日本の原発が停止したこともありまして、若干減となっております。

 なお、二〇三〇年の発電電力量について、同じIAEAの見通しでいいますと、幅でございますけれども、一・二倍となる三・〇兆キロワットアワー、もしくは一・九倍となる四・六兆キロワットアワーとなる見込みだということが記されておりました。

畠山委員 資料の三枚目をごらんください。

 今、IAEAの統計について答弁いただきましたが、私の方でつくった資料は、BP統計に基づいて発電量の推移を示したものです。将来予測については入れておりませんが。若干数字は違いますけれども、大きな傾向としてはそう変わらないものであろうと思います。

 原発の国際的発電量は、このBP統計によればですが、ピーク時、二〇〇六年から漸減、広い目で見ても横ばい傾向にあると思います。停滞の状況が続いてきたところへ、日米両政府が無理やり拡大しようとしているんじゃないかというのが現実ではないかと私は思うんです。

 そこで、東芝が抱えていたこのウェスチングハウス社の問題を見てみれば、工事のおくれが負債の増加につながり、結果として約一兆円もの負債を背負うこととなってしまいました。工事がおくれたのは、ジョージア州のボーグル発電所だったと思います。

 確認ですが、米国にとってスリーマイル事故後の新規原発着工というのは、このボーグルが何基目でしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ウェスチングハウス社による米国のボーグル原発三、四号機建設プロジェクトは、一九七九年に起きましたスリーマイル島事故以降、新規原発の建設としては初めての計画と承知しております。

 なお、その間にも、事故前に計画を許可され、建設を継続し、運転開始に至ったものとしては、ワッツバー原発一号機がございます。

 以上でございます。

畠山委員 今ありましたように、初めてなんです。原産協会の米国の主な新規原子力発電所プロジェクトの一覧表を見ても、そのようにきちんと書かれております。

 スリーマイル事故後初めてのプロジェクトで、ずっと新規の着工建設が凍結されてきたのは、やはり事故においてさまざまな米国内の世論や問題があったからでした。初めての着工になるわけで、この機を逃さないと東芝がウェスチングハウス社を買収したのが始まりでもあった。

 工事がおくれたというのは、追加の安全対策によるだけではないと思うんです。スリーマイル事故から約三十年たった。したがって、その間の技術、ノウハウなどが欠けていくことにもなったのではないか。原子力事業を拡大する米国における客観的状況が成立していなかったのではないかと思います。

 今、私が資料で示したように、原発のエネルギー市場は、将来予測を述べましたけれども、この間停滞してきた状況があります。日本での新規建設は、現状、国民世論が許さないことと思います。そこで、海外に道を開くということもあるようですが、先ほど数字で示したように、この間、原発の発電量は停滞しています。

 そこで、最後に大臣に問いたいと思います。ここでも実現可能性の問題です。

 第二段階の柏崎刈羽も、再稼働は現状においては困難でしょう。第三段階についても、原発市場については、このように停滞しているのではないか。まさに内憂外患というもとで、改めて、この東電改革提案の実現可能性はどこにあるのか。私がきょうずっと述べてきたことに対して、大臣、どのように答弁されますか。

世耕国務大臣 まず、第一ステップについては、これはさらなるコスト削減で目標達成をしっかりやっていってもらいたいというふうに思います。新しい経営陣のもとで、私は十分目標達成は可能だというふうに思います。

 第二ステップの柏崎刈羽の再稼働については、これは、政府としては、あくまでも安全最優先で、規制委員会の判断を待ちたいというふうに思いますが、やはり、地元の理解というのも重要であります。東電は、国民の信頼を取り戻すべく、これももう一度生まれ変わったつもりで信頼を取り戻す努力をしっかりとやっていかなければいけないと思っています。

 第三段階は、いわゆる原発の輸出だけで第三段階をつくっているわけではなくて、他電力との事業の共同事業ですとか事業統合ですとか、あるいは火力の海外展開といったことも想定しています。

 その中で、原子力ということになりますが、これは確かにいろいろなデータもありますけれども、英国は実際に七基新設というようなプロジェクトを進めています。パリ協定発効後、ゼロエミッションの電源であることは間違いない、ゼロエミッションでベースロード電源になる原子力発電に対する需要がまた出てくるという可能性もあるわけでありますから、第三ステップも私は十分実現可能だというふうに思っております。

畠山委員 引き続き議論をさせていただきたいと思っていますが、きょうの質疑で、改めて幾つかの点について最後に述べさせていただきます。

 東電改革提言をまとめた一F問題委員会の議事録について、改めて、公開することを求めます。開示しない経産省の姿勢を改めることを要求します。

 また、原発利益共同体に公平な負担を求めないで、過去分という理屈で国民にツケを回すことは容認できません。

 現実的見込みが見られないと思いますが、この東電改革提言、私たちは、固執するのではなく、先ほど述べた応分の責任を原発利益共同体に求めることこそ必要だということを重ねて最後に強調しまして、質問を終わります。

浮島委員長 次回は、来る七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会


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