衆議院

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第7号 平成29年4月12日(水曜日)

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平成二十九年四月十二日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 白須賀貴樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    小倉 將信君

      尾身 朝子君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      金子 恭之君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    工藤 彰三君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      島田 佳和君    助田 重義君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      中川 俊直君    福山  守君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      簗  和生君    山際大志郎君

      山田 美樹君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    田嶋  要君

      中根 康浩君    福島 伸享君

      中野 洋昌君    畠山 和也君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           増子  宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 繁広君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)         青木 昌浩君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     福山  守君

  梶山 弘志君     金子 恭之君

  佐々木 紀君     青山 周平君

  山際大志郎君     山田 美樹君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     黄川田仁志君

  金子 恭之君     梶山 弘志君

  福山  守君     石川 昭政君

  山田 美樹君     山際大志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     佐々木 紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官金子修君、文部科学省大臣官房審議官増子宏君、経済産業省大臣官房長高橋泰三君、経済産業省大臣官房総括審議官田中繁広君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長松尾剛彦君、資源エネルギー庁長官日下部聡君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、環境省大臣官房審議官室石泰弘君、環境省大臣官房審議官早水輝好君及び原子力規制庁長官官房審議官青木昌浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。世耕経産大臣には初めて質問させていただきます。民進党の篠原でございます。

 原賠機構法の問題については、一番最初の代表質問、北神圭朗議員がやりましたけれども、ここにほとんどの問題が集約されていたんじゃないかと思います。その後、立派な同僚議員の皆さん、ここの委員会の皆さん、質問されていまして、問題点はもう明らかになっていると思います。

 私は、経産委員会にも所属させていただいて数年になるんですけれども、経産省の行政、見ていますと、私がずっと三十年間いた農林水産省の様子と比べると華やかなんですよ。ですけれども、よく見ていますと、民間企業がしっかりしておるので、産業政策については、何かそんなにきちんとやらなくても、ビジョンを打ち上げて何か言っていれば済む。農林水産省でいうと、私はそこの総務課の総括補佐、企業振興課の総括補佐というのもやっているんですが、今でいうと食料産業局、それがでっかくなったところのが経済産業省だと思うんです。

 だけれども、経済産業省の行政の中で、私は、エネルギー政策については相当きちんと役所自体がやってもらわないと困る行政だと思っているんです。あと、製造業については、東芝でがたがたしていますけれども、原発絡みで、後でちょっと触れますけれども、がたがたしているので、うまくいっている業界がほとんどですし、そういったところの政策についてあれこれ経産省が口出ししない方がいいみたいなところがある。

 ところが、これを見ていますと、もうほかの人たちも指摘していますけれども、いつも出てくる表、八兆円や何かの表がありますけれども、そこのところに、この表というのは有識者ヒアリングの結果報告を引用したもので、「経済産業省として評価したものではないことに留意。」とかいって、こんなただし書きがついているんです。私はそれはわかるんですよ。いろいろ予測しているけれども、こんな予測がそのとおりになるとは限らない。

 農政と比べたって、米は余るか足りなくなるか、将来予測をミスってばかりいますよ。そして農家に迷惑をかけているわけです、減反しなくちゃならない。農家もいろいろ事情があって、つくりたい、田んぼがあるからつくる。だけれども消費が減っていく。だけれども、これだけ減るんですからこれだけつくってもらっちゃ困るというのを責任を持ってやっていますし、そのときに出す数字に、いやいや、これは農林水産省としては余り関与していない数字だけれども、それに基づいてやりますよなんてそんなことを言ったら、さもなくたって、この霞が関農政は現場の感覚とずれているとか言われているのに、そのことをやれないですよ。

 どうもここのところがきちんとしていない。もっと自信を持って、狂ったってしようがないんだ。だって、原発行政なんか狂いっ放しなんですから、相当狂ってこんな状況になっているわけですから、絶対安全だと言っていたのにそうじゃなかった。それはあるんですよ、しようがない。だけれども、それは反省して、違いました、見通し狂いましたでいいんです。現に今、廃炉費用だとか賠償の費用とかいうのは見通しが狂っているわけですから。

 だけれども、今のところ見通すと八兆円なんだ、資源エネルギー庁、経産省としてはこれなんだといってやっていただかないと困るんですけれども、どうしてそういうことができないんでしょうか。

世耕国務大臣 残念ながら現時点では、ボトムアップ型で、こういう機械がかかるとかこれだけ人件費がかかるという形で廃炉費用というのは、残念ながら算定ができないわけです。それができれば明確にできるわけですけれども、それはできない。

 しかし、一方で、東電改革を議論する中で、一定の規模感というのは示さなければいけない。そういう中で、やはり数字は何かきちっと示した上で議論をしていかないと、東電にこれからどれだけの改革をしてもらうかという議論が進められないわけであります。

 本当は、合理的に見積もれないから数字はありませんと言うのも一つ手なんです。廃炉費用については、今までは、見積もれるところを積んできて二兆円だったわけです。残りは、何かたくさんかかりそうだけれども、わからないというままでずっと来ているわけであります。

 だけれども、やはりそこで規模感を示して、東電にこれぐらいの改革をやってもらわなきゃいけない。では、その数字は、ボトムアップで政府が責任を持ってこれですという予測は非常に難しい中で、東電委員会の委員長が、議論する上でやはり数字が要るという中で、原賠機構を経由して有識者に聞いて、スリーマイルを一つのモデルケースにして、それに比べて何倍かかるかという算定をしてもらった結果、八兆円という数字が保守的ではないかと言われたので、それをベースにして、では東電にはこれだけ、これからどれだけの改革をしてもらわなきゃいけないかという議論を進めていった。

 その議論のための数字であったということは御理解をいただきたいというふうに思います。

篠原(孝)委員 事情はいろいろあるんでしょうけれども、米の行政とか年金とかいうのは国が相当やっているわけです。こちらは、東電という立派な企業があって、それでそこに経産省も絡んでいるということで、責任の分担のやり方が違うと思いますけれども、僕は、エネルギー行政については、エネルギー政策については、もっと国がびしばしやっていいと思います。やらざるを得なくなっていくんじゃないかと思います。

 それで、次の問題なんですけれども、では誰が一体負担していくかというと、やはり、事故を起こしたそれは企業ですよ。今、東電改革と言われましたが、東電が第一ですよ。ですけれども、新電力にも負担をさせるというふうになっているわけです。やはり、これは余り理屈が合わないような気がします。それはいろいろ理屈をつけてやっています。託送料金にも上乗せするというようなことです。

 そういったルールは、見ていると、何だかんだで突き放したようなんだけれども、国が責任を全部持っているようであるけれども、持っていない。だけれども、やはり東京電力にきちんとしてもらわなくちゃいけないからバックアップしよう。特に原発事故については、とても東電一社ではできないだろうと。それはある程度仕方がないんですよ。ですけれども、自分たちの努力というよりも、国がそこのところになると何だかんだ言いながらバックアップする。そういう姿勢が強過ぎるような気がするんです。

 ほかの国はどうかというと、アメリカなんかは残酷なんじゃないか。国なんかほとんど面倒を見ていないんじゃないか。だから、ウェスチングハウスやゼネラル・エレクトリック社も皆もう自分たちは原発事業から撤退する。あっちでもシェール革命なんかあったりして、天然ガスの発電、火力発電なんかが安くなったから採算が合わない。もうその前からそうなんです。だからやらない。

 向こうはどこも大問題を抱えているわけですけれども、使用済み核燃料、高レベル放射性廃棄物の処理がままならないから、それをちゃんとしなかったらだめだ、そっちに金がかかり過ぎる。だから、突き放して、もう市場ベースでやってくれと言ってやっているはずなんですけれども。

 だから、アメリカでは、国がどうこう言わなくたって、今、東芝が絡んでいるのが四基、全体で八基、新しくつくろうという動きがあるかと思いますけれども、スリーマイル島の発電所の事故の後、一基も新しい原発はないわけです。そうやって突き放しているんだ。

 そういうのを見ると、日本は余りにも手厚過ぎるような気がするんですけれども、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 手厚いかどうかというのは、なかなかちょっと、各国、エネルギー政策というのは濃淡がありますので、特に今はアメリカの例を出されていましたけれども、例えばアメリカも、州によって違うんです。自由化を物すごく進めている州もあれば、今回、実はウェスチングハウスが絡んでいるジョージア州とサウスカロライナ州というのは、実はまだ電力が規制料金のもとにあるわけでありまして、その辺はいろいろ濃淡があるのかなというふうに思っています。

 日本はやはり、手厚いというよりは、自由化をしっかり進めながら、しかし、一方で、これは国民の生活にかかわる問題でありますから、安全とかエネルギーの安定供給には国がしっかりと関与をしていくという、今のところ、バランスのとれた政策になっているんではないかなというふうに思っています。

篠原(孝)委員 大臣の認識はそうかもしれません。我々は、世界の常識からいったら、多分、よく聞いているだけでわかると思います。日本とフランスが一番手厚いです。手厚いというか、政府がてこ入れしなければ原発はもう採算ベースに合わなくなってきているんじゃないかと思います。特に福島第一原発事故の後はそうなっていると思う。それで、フランス政府もアレバ社に相当入れ込んでいます。相当巨額の支援をしています。ですけれども、見ていると、ちょっとまずいことが起きているんじゃないかなという気がするんです。

 政府がどこまで絡むかということですけれども、三菱重工と日本原燃がアレバ社にそれぞれ二・五億ユーロ、全体で六百億円ぐらいの投資をする。東芝がウェスチングハウス社で困っている。それとちょっと性格が違うかもしれませんけれども、同じように、外国企業に投資して、そして経営にがたが来るというようなことも私はあり得るんじゃないかと思いますけれども。

 これを日本国政府は放置していた方がいいんでしょうか。だから不明確なんです。国が相当指揮官先頭主義でやっているかというと、そうでもない。何か、こそこそなんて言っちゃ悪いですけれども、話をして、やるならどうぞというような、ふわっと見ている。ここは余りそんなことはしない方がいいんじゃないの。いやいや、六ケ所村なんかでさんざん協力しているのはわかりますよ。ですが、そこは突き放してやっていくべきだと思うんです。特に東芝がこういう状況になっているときに、わからないわけですから。

 それで、もう原発は将来性がないと世界じゅうの企業が断を下しているんだろうと思うんです。それを、日本が相当そこにこだわっている。これはけがを大きくするだけだという気がするんですけれども、いかがでしょうか。もっとここは政府がびしっとアレバ社との協力なんかについても意見を言っていっていいと思いますけれども。

世耕国務大臣 今、原発にかかわる国の大きな政策の方針というのは、まず、国内向けに関しては、エネルギー基本計画というのを策定をして、やはり、依存度は減らしつつも一定の原発は必要だということで、これは安全最優先で、規制委員会が認めたものに関しては再稼働していくというのが方針です。

 あと、海外向けに関しては、これはやはり質の高いインフラの輸出という中で、この原発も一つのその中に入るという考え方で、安倍総理もいろいろなところへ行って、あるいは海外から、一Fの事故を経験した日本の技術を使いたいという要望があって、それに対応してきている。それぞれの個別の投資案件については、これは個別の企業が経営判断として行うべきだというふうに思っています。

 今御指摘のアレバ社へ投資とおっしゃいましたけれども、これはアレバの子会社であるニューアレバへの投資なんです。このニューアレバのやっている仕事というのは燃料加工と再処理関係事業ですから、そういう意味では、いわゆる原発建設に係るリスクは生じないというふうに考えております。

 今回の三菱重工と日本原燃によるアレバグループへの出資決定というのは、これはあくまでも、民間企業としてリスク、リターンをよく勘案をして経営判断として行ったものであるというふうに思っていまして、それを政府としてやれとかやめろというのは言うべきではないのではないかというふうに思っています。

 ただ、フランスとの原子力技術での提携というのは、これはいろいろな意味で重要です。特に、一貫して核燃サイクル政策を推進をしている国でもありますし、長期にわたって原子力分野では協力関係を構築をしてきているわけであります。

 一般論として申し上げれば、日仏企業間の協力強化は望ましいことではないかというふうに思っています。

篠原(孝)委員 大臣、それは僕もちゃんと子会社の方だってわかっていますから。だけれども、それはアレバ社でちゃんとそこに投資しているんですよ。だから、それは子会社だからいいなんて、そういう言いわけは成り立ちませんよ。

 同じように世界的な企業で、シーメンスなんていうのは厳しいですから、福一の事故が起きたらその時点でドイツ政府が原発から撤退したのと似たようなものだと思いますけれども、あっちは、国民の安全、ドイツの国土をこれ以上汚してはならない、ドイツ国民の生命財産を守るんだ、そういう観点からメルケル首相が断を下したんです。だけれども、シーメンス社は全くビジネスライクで、これはもう将来見通し立たないなということでさっさと撤退していったんです。私はそういう潔さが必要だと思うんです。それが日本にはなくて、ぐだぐだしていて困るんじゃないかと。

 だから大臣にはお願いですけれども、経産大臣、原発第一でやっていかなくちゃならないなとおっしゃいますけれども、私は柏崎刈羽原発の隣の長野県で、それとすぐ近くなわけですよ。初めてなので申し上げますと、免震棟のことでまたちょろまかしがあって、ごたごたしているわけですよ。

 あのあたりは地震の巣窟なわけですよ。二〇〇四年の中越地震、二〇〇七年の中越沖地震、二〇一一年の長野県北部地震、それから二〇一四年の神城断層地震、四つのプレートがひしめき合って、そして押しくらまんじゅうみたいにしているわけですよ。地震の活性期に、この百年か二百年、知りませんけれども、地震学者の藤井教授が言っています、石橋教授もいろいろ言っています。危ないんですよ。僕はあんなところでやってもらいたくないんですよ。そういう決断をしていっていただきたいと思います。

 あと残された時間、冒頭、経産省の政策のやり方とか、雰囲気がちょっと違う。各省によって違う。大臣は総務省の大臣政務官をやられて、今経産省におられて、省の雰囲気というのが大分違うというのをお気づきになっているんじゃないかと思います。同じ霞が関の役人だって結構違ってくるんですよ。いる本人たちは気がつきませんけれども、外へ出たりして客観的に見るとよくわかる。

 その中で、経産省は思い切ったことをされて、これは国会でも杉尾さんが参議院で質問されているようですけれども、部屋に鍵をかけて、そしてやると言う。私は余りしっくりしないんですけれども、こういうやり方。これは週刊誌や新聞のネタで、こういうのは僕はこれだからどうかというのは余り聞きたくもないんですけれども、GPIF、あそこの資金を、カナダの州の基金がどこに投資するかというそれと連動して、七兆円か八兆円、トランプ大統領は公共投資をすると言っている。金がないわけですよ。金がなくてほかのいろいろな予算を削っていますけれども、それでは助けてあげましょうというので、なかなかへんちくりんなものですけれども、考える人はいるんだなと。金がどこかにたまっていると、悪用しようとする人たちがいる。僕なんかそういう卑しいのは全然思いつかないんですよ。そういうことを考えつく人がいる。

 これがばれたのは経産省の誰かがしゃべったからだとか言われた。それで、それをきちんと管理しろと言われて、そしてやった。そんなことはないんだろうと思いますけれども、そういうふうに疑われている。

 経産省だけが何でそんなことをする。外務省にも防衛省にも秘密はいっぱいある。私がいた農林水産省には大した秘密はないと思いますけれども。だけれども、そんなことまでする必要があるのか、これについて。

世耕国務大臣 ちょうど、逆に説明する機会をいただいてありがたいと思います。何も、新しく鍵を取りつけたわけじゃないんです。経産省のビルというのはもともと電子ロックになっていまして、扉を閉めれば自動的にロックがかかる。それをわざわざあけていたというのが現状でありますので、そんな何か予算をかけて大したことをやったわけではないということはまず御理解をいただきたいと思います。

 あと、GPIFの話ですが、こんなの考えてもいませんよ。私も、当日、日経新聞の記事を見てびっくりしましたね。経産省でこんなことを考えている人がいるわけがない。少なくとも、課長、局長以上でこんなことを考える人は。法律をちょっとでもわかっていれば、経産省がGPIFに対して、アメリカのこれに投資しろとか、するななんてことは、するなということも含めて言えないわけですから、そういうことはもう絶対にあり得ない。我々、全く考えてもいない。

 ですから、一部週刊誌で言われているように、GPIFのことがあった、それがあったから私が総理から怒られてアメリカに同行できなくなった、それに腹が立った私がいきなり全部施錠しろと言った、これはもう全く想像の産物以外の何物でもありません。

 私は逆に、就任直後から、経産省というところがいろいろな企業の情報を扱っているわけです。特に私が気になったのは、例えば、中小企業の下請たたきのいろいろな情報も収集しているわけです。それがもし万が一、この会社がこういうことを経産省に相談しているとか、こういう情報を提供しているなんてことが発注元にばれたりしたら、これはもうその会社の生き死ににかかわるわけですよ。

 ほかの民間の人からも複数言われました。経産省へ行ってみたら、誰にも何にも聞かれないで、入り口さえ通ればあとは出入り自由だし、いろいろな人が入っていて、本当に大丈夫かということも言われました。私、大臣就任直後から、これは問題だなというふうに思っていて、何かやり方がないのかということをずっと省内で話していて、それでロックをかけた。

 だけれども、来る人に不便があってはいけませんから、当然、内線電話があって、座席表があって、そこに電話をすれば、今、誰々さんはいますかと言ったら、出てきて会える。そのためのミーティングスペースも、最初は二十カ所ぐらいつくりました。今はもっとふやしていると思いますけれども、ミーティングスペースもしっかりつくって、外の人との交流には支障がないようにしているわけでございます。

篠原(孝)委員 大臣に大事な弁明の機会を与えちゃったので、今度は私の意見をちゃんと述べさせていただきたいと思います。

 それはわからないではないですけれども、では大臣は、議員会館に行って、大臣で、大事な秘密もいっぱいある。それは一議員としてというものもありますけれども、経済産業大臣です。世耕大臣の議員会館の部屋は、相当厳しく鍵をかけて、入れないで、インターホンで聞いて、それから入ってこい、絶対そういうふうにされていますか。

世耕国務大臣 うちの部屋はそういうふうにはしていません。議員室によってはされている部屋もありますけれども、うちの部屋はしていません。

 ただ、私自身の執務室に関しては、勝手に人が立ち入れないように、きちっと秘書が常に前にいて、部外の人が私の部屋には勝手に出入りできないようにしています。

篠原(孝)委員 そうですか。人によって価値観が違うんですけれども、私はちょっと冷た過ぎるような気がします。

 鍵をかける云々というと、皆さん、当然と思っておられるかもしれませんけれども、私が農林水産省に入ったころなんというのは、そんなものは全然、入り口なんか誰でも入れますよ。私は、途中、三十代の中ごろから物を書いたりしていたので、全国各地、私のファンがあちこちにいまして、篠原に会いたいとか、まあ、会いたいというか文句を言いたいというので長靴履きで入ってくる。それで、そこで話をして、そこでいろいろな政策というか、直したりしたこともあります。

 それで、霞が関で次々と入り口でチェックしてという、皆さん御存じないと思いますけれども、農林水産省は徹底的にあれに反対したんですよ。多分、一番遅くあの仕組みが入ったと思います。農民が入ってこれなくなる。入り口でメモを書いて、どこのところに行くとか言ってやって、そして首にカードを下げて、そんなことはやっていられない。もちろん、地方農政局や何かに行ったりしたらなおさらそうなるというのですよ。

 やはり秘密があったりしても、入ったのもわかるし、課の中で、ではよくいらっしゃいましたと言って話して、そしてざっくばらんに話す。そういうところからいろいろなことが生まれていくんじゃないかと私は思うんです。どうもそういうところが、TPPの交渉も秘密だと言う。

 では、一つエピソードを話します。私の大学の同期で、一人、通産省に行ったんです。彼は長崎県に出向しました。それで、重油の価格、石油の価格が上がると漁業者が困ります。それから、温室栽培をしている農家も困るわけです。それで、何だかんだいろいろ話をする。農協のみんなが、農協の重鎮が来て陳情する、広い部屋でやって。九州農政局長も一緒に来た。そうしたら、夜、一杯、その場所で懇親会になった。彼も参加した、重油の云々で通産省から行っていまして。彼がその後会って僕に何を言ったかというと、九州農政局長が一介の農民と、農政問題だけじゃなくて、外交問題から教育問題まで酒を酌み交わしてやっている。びっくりした。九州通産局長は博多の料亭で企業の幹部と一杯やっているだけで、さっき話しました、中小企業のおやじさんたちと会合で行ってこんなざっくばらんなことはしていない。おまえはおまえにぴったしの役所に行ったなあと言った。そう言ったんです。

 この違いがあると思うんです。行政に血が通っているか通っていないか。いっぱい間違いはしていますけれども、そういう姿勢が私は必要なんじゃないかと思います。

 それをみずからシャットアウトして、自動ロックをして、鍵をかけて、そして、では、会いたい人は言ってください、ミーティングルームもいっぱい設けますよというのは、それはどこかほかの国の世界であって、温かい日本の社会のやり方では私はないと思うんです。これはやはり直した方が僕はいいと思うんです。原発の方も直した方がいいのはいっぱいあるんですけれども、そっちよりも、私はきょうはこっちをしつこくやります。やはり僕はよくないことだと思いますよ。日本の風土には合わないと思います。

 世耕大臣はそんなに偉くなられたのか。昔より議員会館が広くなった。気のいい秘書はみんな入れてくれるけれども、大臣のところはガードがかたくて入れない。このお、生意気になりやがってと。いや、多分思われないと思いますけれども。背もちょっと低いですが、腰ももっと低い。よくしゃべる竹下元総理みたいな感じがします。政治家としては非常に重要な資質を持っておられるわけです。せっかくそういういいキャラクターを持っておられるのに、いや、部屋になかなか入れない。やはり大臣の評判も落ちてくるんじゃないかという気がするんですけれども。

 それよりも何よりも、経産省の行政、姿勢の問題ですよ。私はこれはよくないと思いますけれども、改められる気はありませんか。

世耕国務大臣 今は篠原議員のお話を伺っていて、私も自分のサラリーマン時代を懐かしく思い出しました。あのNTTでもいろいろな人が出入り自由でしたし、恐らく農水省もそうだったと思いますけれども、以前は職場で酒も飲めましたですよね。夕方、暗くなってくると冷蔵庫からビールが出てきてとか、こういう地酒が来たよなんと言って、紙コップで、柿の種を机の上に広げて、飲んだなんということもあったと思います。

 でも、やはりそういうことももう今はだめですよね、役所の中では。お酒を飲むというのは、私も経産省では余り行われていないんじゃないかと思いますけれども……(発言する者あり)そうそう、私もありました。ベランダでしちりんで魚を焼いたこともありますよ。

 だけれども、やはりそういうのは時代とともにだんだん変わっていく。私も古きよき時代が懐かしいなと思いますけれども、残念ながら、やはりセキュリティー管理というのは厳しくなっていく。倫理観というのも世間の目も厳しくなっていくという面があるんだろうと思います。

 特に、今はネットでつながっているわけです。みんなスマホも持っているわけです。机の上の書類の写真を撮る、そんな人はいないと期待したいけれども、撮ろうと思ったら撮れる。パソコンにウイルスを仕込もうと思ったら幾らでもできるわけです、USBを持ってきて差し込めば。やはり、そういういろいろな時代の変化とか技術の変化に合わせてやっていかなきゃいけない。

 ただ、私も、今御評価いただいたように、人と話すのは大好きですし、経産省の人はもっともっと民間とつき合ってほしいと思いますよ。今おっしゃった、中小企業と酒を酌み交わしていないというのは、これは私はゆゆしき問題だと思いますから、今、例えば下請いじめ対策をやっていますけれども、現場のヒアリングをやれということを今は徹底しています。ことしも一年で二千件ぐらい、しっかりとしたヒアリングはやってもらおうと思っています。

 そういう形でコミュニケーションはしっかりふやしていかなきゃいけない、そのための知恵もいろいろと出していかなきゃいけないというふうに思っておりますが、セキュリティーはしっかりやっていく。もうそういう時代の要請ではないかなというふうに考えています。

篠原(孝)委員 セキュリティーのことはわかるんですけれども、役所の中で勤務時間が終わってから一杯飲むというのは、また私のことばかりで済みませんけれども、農林水産省に三十年いたんですけれども、三回水産庁に勤務しているんですけれども、いいところでして、刺身包丁を持っている人もいる。魚を焼き出して、臭いにおいが八階じゅうに広まるんですよ。なかなかいいところだと思いますよ。だから、農林水産省からほかの省庁へ出向した人が、懐かしがっては来るんですよ、どこかでやっているからというので。それはまたセキュリティーと違って、そんなことまでやめさせるというのは僕はよくないんじゃないかと思います。

 それで、どうしてそうなるか。さっきちょっと雑談で申し上げておきましたけれども、経産省の立派なお役人と総務省のお役人と農林水産省のお役人、やはりカラーが出てきますよ。経産省のお役人さんたちの陥りがちな落とし穴ですけれども、中小企業はあるかもしれません、だけれども、企業の幹部と若いころから接する。その人たちとしか話をしないんですよ。

 例えば、こんなことを言ってはあれなんですが、東京電力の方が我々の党の部門会議に来て話します。同じように話しています。だけれども、腰の低さとか、言葉は丁寧ですよ、両方とも、役人も。だけれども、東京電力の人の方が苦労がにじみ出た話し方だと僕なんかはわかるんです。上から目線はないんです。経産省の幹部は、口は丁寧ですけれども、わかっているのは俺たちだ、おまえらばかは聞けとか、こういうことは言い合いませんけれども、そういう雰囲気がにじみ出ているんです。やはりよくないと思う。

 それで、やはり経産省の役人をもっと懐の大きい役人に育てるためにも、記者が入ってきたって、インチキするような人も適当に、あしらってなんて言ったら悪いんですけれども、やって、コミュニケーションをする。そういうコミュニケーション力、人間力の豊かな経産官僚をつくらないと、この人たちがいつも上から目線で何かやるとよくないと思いますよ。近藤洋介さんが午後、その上から目線の経産省のお役人のことを追及されるようですけれども。

 だから、身近で考えてみたけれども、例を示します、経産省出身の国会議員の皆さん方はどういう人たちがおられるか。あそこに立派な人もおられますけれども。何か、人は悪くないと思いますけれども、友党の悪口ばかり突然言い出す変な人とか、非常に能力があって党の幹部になっていくんですけれども、どこか人間力、人心掌握力が足りなくて途中で挫折しちゃう。まあ、完璧に挫折しているとは言いませんけれども、そういう方とか。だから、そういうふうになっちゃう。

 隣の役所の農林水産省は、変なのはあれかもしれませんけれども、変なことを言って質問している、ばかかと思われるかもしれませんけれども、何となく許される雰囲気というのがあるんじゃないでしょうか。

 こういう人をつくるような、もっと懐の深い経産役人をつくるためにも、施錠などというけちなことはやめられた方がいいということを提言いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

浮島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時二十五分開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大畠章宏君。

大畠委員 民進党の大畠章宏でございます。

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきますが、その質問に入る前に、先ほど、この委員会のところで篠原委員といろいろなやりとりがございました。

 篠原委員のおっしゃりたいことは、決して、農水省は人間味の豊かな人が多くて、経産省は厳格で理詰めで冷たい人が多いんじゃないかということを言おうとしたんじゃなくて、まさに大臣に、経済産業省に鍵をかければいいというものではないよ、こういうことを言いたかったと思うんです。

 私もいろいろ心配はしておりますが、私も企業出身でありますから、鍵をかければ情報を外に漏らさないということじゃないんですよ。結局は、一人一人の心のありようというか心構えの問題なんだと思うんです。厳格にすればするほど、逆に反発等もあって、そういうことから、それではというようなことになっては困りますので、大臣も、十分そういうのは御認識されていると思うんですが、時代がかなり変わってきたことは事実ですけれども、ぜひそこら辺は、職員の方を信じて、要するにこういうことなんだというのは改めて大臣としてお話をしておかないと、そういうものだけが展開してしまったのでは困りますから。

 ちょうど、先ほど部屋に帰ってこの本を持ってまいりました。「官僚たちの夏」。これは経産省の前身の通産省の先人たちがどんな思いで戦後の経済復興を遂げたかというものでありますけれども、そういう経産省の中核は、やはり通産省だったと思いますよ。そのDNAはしっかりと未来に対して継承しなければなりませんし、そういう意味では、経産省というのは何のための省なんだ、この根本のところをよく経産省の官僚の皆さんにも御認識いただかなければならないと思うんです。

 したがって、もう一度、先ほどの篠原委員とのやりとりの中でのものを振り返りながら、経産大臣として、何のために鍵をかけたのか、その真意は何なのか、こういうことをしっかりとしておかないと、私は、萎縮してしまうんじゃないかと思うのが一つと、経済産業省というのは何のための省なのかという根本を、省の官僚の皆さんにもわかってもらうことが必要なので、そのことについて、冒頭、これは事前の質問通告をしておりませんが、これは基本ですから、この二つについて、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 まず、施錠した理由、これは役所の中でも徹底をしております。どういう理由でかけているのかということは、私からも、あるいは幹部からもしっかり伝達をしていると思いますけれども、やはりこの情報化の時代であるということ、そして、経済産業省の扱う情報というのは、やはり個別の企業にかかわる機微な情報であるとか、あるいは通商交渉にかかわる、特に今、これからアメリカとの経済対話というのも始まっていく、その中身のかなりの部分は経済産業省でありますし、ロシアとの経済分野協力というのも経産省がいろいろ案件をつくっていくというような部分もたくさんありますので、そういう意味でやはり、そこに人が自由に出入りして、スマホがある時代、いろいろと情報をすぐ、そういう人はいないと信じたいですけれども、でも、悪意を持ったそういう人が出てくるかもしれないということで、そこは、セキュリティー上、施錠はさせていただいた。

 ただ、施錠するしないにかかわらず、やはり経済産業省というのは、産業界の現場の声というのはしっかり聞かなきゃいけないと思う。これは、やや最近は萎縮ぎみだと私も思います。特に、後で近藤議員がお尋ねになるかもしれませんけれども、公務員倫理法との関係があったり、そういうことがあって、飲み食いなんかも昔ほど活発に行われていないんじゃないかと思いますけれども、その倫理規程の範囲内であれば、私は飲み食いもしっかりとやるべきだと思います。これは、大企業だけじゃなくて、中小企業の現場とか、そういうところともよく飲み食いをして、今何に困っているのかということを吸い上げるべきだと思います。

 そして、そうやって産業界、現場の声をしっかり吸い上げて、それを産業政策に反映していくというのが私は経済産業省の一番根本的なところではないかというふうに思いまして、職員に対しては、外部との交流は積極的にやるように、日ごろから口を酸っぱくして言っていますが、今、大畠委員の御指摘でもありますので、もう一度その辺は徹底をしていきたいと思います。

大畠委員 二点目の質問の、いわゆる経済産業省というのは何のための省なのか、このことについて、お考えがあったらお話しいただきたいと思います。

世耕国務大臣 やはり、日本の経済を成長させる、そのための戦略を立て、そして、産業界がその戦略にのっとって元気に頑張れる環境をつくっていく、それが経済産業省としての一番の仕事ではないかというふうに思っています。

大畠委員 この本の中の通産省の官僚の皆さんはそうではなかった。戦後、日本人がどうやって食っていくかということで、仕事をふやそうと。自動車産業というものを、アメリカが、アメリカ車があるんだから買ってくださいよと言ったら、それをはねのけて、いや、自前でつくりますからと。あるいは、コンピューターがあるから日本でも買いなさいと言ったけれども、いや、それはちょっと待ってください、日本人の手でコンピューターをつくっていきますからと。この根本は何かというと、産業を発達させるというのではなくて、戦後はみんな仕事がなかったんですよ。その日本人が戦後食べていくための仕事をふやそうというのが大目的だったと。城山三郎先生のこの本を見れば、そこなんですよ。

 経済を発展させると言うけれども、何のために経済を発展させるのか。あるいは、産業を発展させると言うけれども、何のために産業を発展させるのか。それはあくまでも、日本人の雇用の場をふやして、一人一人が手に職をつけて食べていける、そして家庭を持って子供を育てて、次の世代をしっかりと担う子供たちを育てようという哲学があったから、私は、偉大なる先人たちが今日のベースを築いたと思うんですよ。

 ところが、今大臣のおっしゃるのは、産業を発展させたい、経済を成長させたい。では、何のためなのかと、ここが私は、大臣、抜け落ちているんじゃないかと思うんですよ。

 そういうことを指摘しながら、この話をしていると時間がなくなってしまいますので、本来の原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと存じます。

 この問題は、私も、原子力に携わる仕事を十五年間してまいりました。そういう意味では、三・一一の地震と津波等で福島県民の皆さんに大変な思いをさせて、今日も、調べてみますと、震災のときには、亡くなられた方が一万五千八百九十三名、現在でも二千五百五十三名の方が行方不明。それで、避難生活の方は十二万三千百六十八名ということでございますが、特に、福島の事故によって避難生活をされている方が七万七千二百八十三名、こういうことでございまして、そういう意味では、私も、原子力の関係者の一人として大変申しわけなく思いますし、おわびをしなければと考えているところであります。

 そういう視点に立って今回の法律改正案についてお伺いをしたいわけでございますが、まず、地元の方から福島県民の方々のいろいろなお話をいただいているんですが、事故から六年が過ぎた、保管中の汚染廃棄物、除去土壌を今後どうしたらいいんだ、これが相変わらず、この委員会の中でもやりとりがされておりますが、一つ事務方にお伺いしたいのは、なかなか難しい課題でありますが、福島県内における除去土壌の保管量と今後の方針、それから福島県外の除去土壌の保管量と今後の方針についてお伺いしたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 福島県内の除去土壌の保管状況でございますけれども、国が直轄で除染をする地域と市町村が除染をする地域で若干、集計の方法とか集計時期が異なっておりますけれども、最新の集計値によりますと、国直轄除染地域におきましては、約七百五十六万袋、これはおおむね一袋一立方メートルに当たりますので、体積にしますと約七百五十六万立方メートル相当となります。それから、市町村除染地域におきましては、約六百九万立方メートルの除去土壌等が保管されております。

 福島県内では、除染により発生した除去土壌等は中間貯蔵施設に搬入するということになっておりまして、現在、順次輸送しているところでございます。

 福島の復興に向けまして、中間貯蔵施設の整備、それから継続的な除去土壌等の搬出に全力を尽くしまして、仮置き場などの早期解消に努めていきたいと考えております。

 一方、福島県外でございますけれども、福島県以外の七県では、これも最新の集計値によりますと、合計で約三十三万立方メートルの除去土壌が保管されております。

 福島県外におきまして発生した除去土壌は、今後、国が定める処分基準に基づきまして、除染実施者である市町村等が処分をすることとされております。

 この除去土壌の処分基準につきましては、昨年十二月に有識者による除去土壌の処分に関する検討チームを設置いたしまして、今後検討を進めていくこととしております。

 安全性を確保しつつ、市町村等が地域の実情に合わせた対応が可能となるよう、検討を進めていきたいと考えております。

大畠委員 非常に地域の方々にとっては、毎日目にする除去土壌、または御自宅の、自分の田んぼとか畑のところに山積みにされているものが重くのしかかってきていて、一体これはどういうことになるんだろうかと、こういうもので大変心を痛めていると同時に、先の展望が見出せない。こういう状況が続いていると思いますので、そういう声も聞いておりますので、今、現状についてはお話しをいただいたわけでありますが、これは大臣の方にお話しした方がいいと思うんですが、これは大臣としても日々頭を痛めていると思いますが、大臣としても、この除去土壌については、事務方と連携しながら、中間の貯蔵施設、あるいは、これからどうするのかという見通しを、難しい課題ですが、つけるように、さらに一層力を入れていただきたいと思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

世耕国務大臣 私も、大臣就任後も何回も現場を見に行っていますけれども、やはり、フレコンバッグというんですか、山積みになっているような状況、これは帰還への障害としてなかなか大変だと思いますし、汚染土壌もまだまだ帰還困難区域はこれからということになるわけでありますから、これはしっかりと取り組んでいかなければいけない課題だというふうに思っております。

大畠委員 世界展開、経済を成長させようという仕事も大事かもしれません。でも、その先には、やはり国民のためのというのがつくわけですから、そういう意味では、なかなか経済成長のところにたどり着けない、避難されている方もいますし、福島県民の方もいますので、ぜひそういうところを常に頭の中に入れて対策をしていただきたいということを要望しておきます。

 それから、私の出身の茨城県の中にも汚染廃棄物がありまして、これをどうするのか。今は、とりあえずということで置いておいたところに保管されているわけでありますが、この汚染物質の現状と今後の方針について。そして、六年たちますので、大分放射能レベルも下がってきていると思うんですが、そんなことも踏まえて、茨城県内における汚染廃棄物の現状と今後の方針についてお伺いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 茨城県内の八千ベクレルを超える指定廃棄物等につきましては、昨年二月に保管市町長会議を開催いたしまして、現地保管継続、段階的処理という方針を決定しております。

 これを受けまして、保管者と御相談の上、個々の保管場所ごとの状況に応じた保管強化等の対策を実施いたしますとともに、指定廃棄物の再測定を実施いたしました。

 先月公表いたしましたこの再測定結果によりますと、放射能濃度はおおむね理論値どおり減衰をしておりまして、県内に約三千六百トン保管されております指定廃棄物等のうち、約八割が既に八千ベクレル以下となっておりますし、また、十年後の平成三十九年には〇・四トンになるというふうに推計しております。

 こうしたことも踏まえまして、指定廃棄物の段階的処理に向けまして、今後、県や保管市町とよく御相談の上、対応してまいる所存でございます。

大畠委員 ただいまの現状報告によると、当初三千六百トンあったけれども、それの八割ぐらいが八千ベクレル以下になった、そういうことで見通しが出されましたが、これについても、よく地域の方々にも、その現状報告というのは非常に大事だと思うんです。ですから、そういうものを市町村を通して、あるいは直接、そういう場があれば、現状についてしっかりと地域の方々に報告をしていただきますよう、それは要請しておきます。

 それからもう一つ、これは、帰宅困難地域の土地、田んぼ、畑、宅地、この方々が大変苦労されていまして、今後どうするか、こういう、自分の人生の設計上、今後の方針等が明らかにならないと再起の糸口がつかめません。そういうことから、この帰宅困難地域の土地を持つ方々に対する対策の現状と今後の方針についてお伺いします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 帰還困難区域の取り扱いの件でございます。この件につきましては、昨年の八月三十一日に、原災本部それから復興推進会議におきまして、「帰還困難区域の取扱いに関する考え方」というのをまとめております。その中で、「帰還困難区域のうち、五年を目途に、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す「復興拠点」を、各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定し、整備する。」という方針を決めております。

 この考え方に基づきまして、今通常国会におきまして、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を提出しているところでございまして、現在、御審議をまさにいただいているところでございます。

 本法案が成立いたしますと、その枠組みに基づいて復興拠点の整備に向けた取り組みが進んでまいりますので、地元にも丁寧にその中身を御説明しながら、しっかりと取り組みを進めてまいりたいと考えております。

大畠委員 六年は経過いたしましたが、ニュース等でお話を伺ったり、現地でいろいろなお話を伺うと、その心中というのはとても推しはかることはできないわけであります。私が、例えば、帰宅困難地域に土地を持ち、住宅を持ち、農地を持ち、仕事をしていたとして、突然、退去しなさい、こういうことで、ちょっとしたらまた戻れるんじゃないかというので、一応鍵をかけて、着のみ着のままで退去したら、そのままもう帰れないという実態があるわけです。

 そういう意味では、丁寧に説明しますというお話でありましたけれども、もう本当に、そういう方々の立場に立って、丁寧に説明すると同時に、現状についてはこうですよというのを常に説明を尽くして、かつ、その方々のこれからの人生の歩むべき道筋ができるように対処していただきたいと考えますので、よろしくお願いをいたします。

 さて、地域の課題ということについて質問をさせていただきましたが、今回のこの法律案、非常に私は大事な法律案だと受けとめております。原子力発電所を所有する原子力事業者が原子力発電所の賠償に伴う費用を事前に積み立てておくという制度がこの機構法でございますが、これに加えて、原子力事故を起こした事故事業者が、廃炉計画を提出し、廃炉等積立金を積み立てるとともに、必要な資金を受け取り、着実に廃炉を実施する、こういう法律の内容になっていると考えますが、この受けとめ方で間違いがないかどうか、お伺いいたしたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおりでございまして、本法案は、事故を起こした事業者がその事故炉廃炉を計画的、確実に実施していくことを確保することを目的としたものでございます。

大畠委員 そういうことでございますが、お手元に、委員の皆さんにも一枚の参考資料をお配りさせていただきましたけれども、これは、この法案に関する説明を受けたときの経済産業省からの参考資料でございますが、ここにさらりと書いてございますが、これは大変な作業だろうと受けとめております。

 上の方には、廃炉の主な作業ステップというのが表記されており、その下には、汚染水対策の三つの基本方針と主な作業項目というのがございます。特に、デブリの取り出し等々で今後四十年ぐらいかかるということでございますが、当面する一番頭の痛いといいますか重要な作業は、この汚染水対策だと私も受けとめております。

 この資料を見ると、タンク設置エリアというのがありまして、タンクが随分たくさん表記してございます。現在千基のタンクが設置されているということでありますが、それに加えて、従来は一日四百トンと言われていたわけでありますが、いろいろ対策を講じた結果、現在百二十トン程度増加し続けている、こういう現状と報告を受けております。

 まずは、全ての対策は、凍土方式ですとかいろいろ対策はとっておるんですが、とにかく汚染水の増加量を限りなくゼロに近づけないと、もう無限にタンクをつくり続けることになって、際限がなくなってしまう。ですから、どうにか増加量をゼロに抑え込む、それが大事でありますし、かつて総理大臣がコントロール下にあると言ったんだけれども、これだけ毎日汚染水が増加しているという現状を考えると、決してコントロールされている状態にあるということは言い切れないと思うんです。

 ですから、この汚染水の問題を、これも難しいんですよ、難しいんですが、何とか日量の増加量をゼロに抑え込む方法を、考えていると思うんですが、さらに工夫して、ゼロに抑え込むものを講じていただきたいと思うんですが、現状、このことについてどのような状況にあるのか、お伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 汚染水の発生量の抑制、これはもう大変重要な課題でございまして、中長期ロードマップに基づいて、現在、地下水バイパス、サブドレーンによる地下水のくみ上げ、さらには敷地の舗装、凍土壁など、さまざまな対策を予防的かつ重層的に今進めているというところでございます。

 こういった取り組みによりまして、今し方御紹介ありましたように、対策実施前に一日当たりおおむね約四百トンぐらいの水が建屋に入っていたのが今は約百二十トンぐらいまで低減をしているというようなことがございまして、着実に対策の効果はあらわれてきているということではあります。

 ただ、一方で、もちろん、百二十トン入っているということでもありますので、今後とも、この建屋流入量をさらに低減させていくということが大事でございます。

 この観点では、一つは、そもそも、建屋周辺に入ってくる地下水の言ってみれば流入量全体を抑制するという目的を持って、凍土壁をしっかりと凍結の完了まで持っていくというようなこと、それから、建屋の中に今、滞留水というのがありますけれども、この処理をしっかりと進めながら、一方で、サブドレーンと呼ばれる井戸でくみ上げをしておりますけれども、井戸の強化というのを今進めておりまして、これによって建屋周辺の地下水の水位というのをだんだん下げていくといったような取り組みをこれから重点的に進めることで、汚染水をさらに減らしていきたいというふうに思っております。

 一方、今、どうしても注水冷却というのをやらざるを得ませんので、一定の水が入ってくる。あとは、建屋の屋根が今は壊れておるものですから、雨という形でどうしても水が一定程度入ってくる。それから、建屋の中にある水が外に漏れないようにするために、ある程度、外から建屋の中に水を入れることがむしろ安全の観点から必要ということもございまして、厳密にゼロになるということはむしろ難しいわけですけれども、ただ、いずれにしましても、建屋流入量がさらに低減していくように、引き続き努力をしっかり進めてまいりたいと思っております。

大畠委員 今、ゼロに近づけるように努力しているというお話をいただきました。

 当初、台風が来て、タンクのところから表面を伝って、堰のところに流れ込んだけれども、その堰からオーバーフローするとか、あるいは、栓を抜いておいたので、そこから汚染水が流れてしまったとか、もう雨が降るたびに、私なんかも、大丈夫かな、大丈夫かなと。それは国民の皆さんもみんな心配したと思うんです。

 幾つか対策をとって、タンクの上にはテントをかぶせて、汚染水にならないような方策を実施したり、いろいろ、今でも、福島の現地では、六千人の方が、廃炉といいますか、汚染水対策とかさまざまな作業に当たっているんですが、本当に頭が下がるというか、本当にありがたい作業をしていただいております。

 それで、たしかタンク一基で千トンでしたよね。それで千基あるわけですよね。だから、そのタンクにたまったトリチウム水だけを何か有効利用しながら、水位の調整なんかもして、結局、できるだけ増量を抑える工夫を、皆さん優秀な人がたくさんいるわけですから、ぜひそこら辺は工夫していただきたい。

 と同時に、凍土壁方式というのを、賛否両論ありましたよね、本当か、大丈夫なのか、そんなものできるのかと言ったけれども、とにかくその方式に切りかえて始まりましたが、この凍土方式の導入の今日の成果と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 凍土壁でございますけれども、まさに汚染源に水を近づけないための予防的、重層的な対策の一つとして、しっかりと今取り組みを進めております。

 海側につきましては、昨年十月に凍結が完了し、その結果として、護岸部から、地下水のくみ上げ量というのが、凍結が開始される前には、これも一日当たり約四百トンぐらいの水がくみ上げが必要だったんですけれども、それが約三分の一にまで減少するといったような形で、遮水の効果というのがあらわれてきております。護岸からくみ上げた地下水というのは、結果的に、その一部が建屋に移送されて汚染水になっておりましたので、この対策によって、汚染水そのものの増加も抑制をされております。

 それから、山側の方でございますけれども、こちらも今段階的に凍結を進めておりますけれども、現在、約九八%まで凍結が進展をしております。この壁の内外で地下水の水位がしっかりと差がつくという形になっておりまして、遮水効果そのものもあらわれ始めているということでございます。

 ただ、建屋周辺の水位が急激に低下をして建屋の中の水が出てくるということがないように、これは原子力規制委員会からの御指導もあり、今、未凍結の七カ所のうち一カ所を残した六カ所を凍結を開始しているという段階プロセスを踏んでおりますけれども、残り一カ所についても建屋周辺の井戸のくみ上げ量の変化なんかを確認しながら判断するという方針が打ち出されているところでございます。

 この地下水の流入抑制のためには、先ほど申し上げましたように、凍土壁が完成すれば建屋周辺への流入の総量というのが減ってまいりますので、井戸が故障したり、あるいは大雨が降るといった不測の事態になったときも、地下水の管理がより安定的にできるということかと思っております。

 したがいまして、今、凍土壁全体はまだ造成途中でありますけれども、引き続き、山側の凍結完了に向けて、できるだけ早期に認可を取得し、安全かつ着実に作業を進められるよう東京電力を指導してまいりたいと考えております。

大畠委員 ぜひ、全力を尽くして、とにかく汚染水の増加量をコントロールできるように、ゼロを目標にしながらコントロールできるように力を入れていただきたいということを申し上げておきます。

 それから、廃炉対策についてでありますが、原子炉格納容器の、原子炉の下のところまで、グレーチングというところがあって、私もあそこはよく仕事で歩いていたところなんですが、あそこがあそこまでなってしまったというのは本当に見るにたえない気持ちでありますが、ロボットを投入してとにかく現場の調査を開始したということは一歩前進だと思います。

 ただ、高線量のために思ったような作業もなかなかできていないというのも事実でございますが、今後、どういう形で燃料が溶け落ちているだろうというところのデブリの調査を行って、これからどういう展開をしていくのか、このことについてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 燃料デブリの取り出しに向けましては、今現在、中長期ロードマップに基づきまして、特に格納容器の中の状況をしっかりと把握するということと、それから、燃料デブリの取り出しのために必要な工法の開発ということが特に大きな、主要な課題になっております。

 まず、炉内状況の把握につきましては、今も御言及ございましたように、例えば二号機につきましては、もちろん、中の映像、なかんずく、原子炉圧力容器の真下の部分の状況というものが初めて直接確認ができたという点は、非常に大きな情報の獲得だったと思っております。

 また、一号機につきましても、格納容器の底部付近の幾つかの地点で放射線量を初めとするデータが取得をできましたので、これによって、デブリの分布等を判断していく、そういった材料を得られたと思っております。

 また、三号機につきましても、これは、今後、宇宙線のミューオンですとか、あるいは遠隔操作ロボットをまた入れてさらに調査をしていくというようなことを具体的に予定しているということでございます。

 もう一方の燃料デブリの取り出し工法の開発ということにつきましては、やはり何よりも作業の安全性等を確保するということが大きな課題になりますので、その関連では、例えば、放射性物質のダストと呼ばれるものが飛散をしていかないようなどういう方策、技術があるのか、あるいは、再臨界が絶対に起こらないような、そういった確保するための方策として何がさらにまた技術として使えるのかといったようなことを今取り組みを進めておりまして、こうした調査とか、あるいは研究開発の成果なんかも踏まえながら、本年夏ごろをめどに号機ごとの燃料デブリの取り出し方針を決定することにいたしております。

 この方針が決定された以降も、燃料デブリの取り出しの実現に向けましては、炉内状況の把握のためにさらに調査をしたり、あるいは分析をするということを進めてまいりますし、また、研究開発も進めながら必要な技術の確立をやっていく、それが当面大きな課題であると認識をいたしております。

大畠委員 とにかく、世界の原子力事故を見るときに、例えばチェルノブイリ事故ですとかTMI事故というのも国際的にも大きな衝撃を受けたわけでありますが、さまざまなことを勘案すると、福島の、三基の原子力発電所が同時にこのような状態になったということは世界的にも初めてだと思いますし、もう日本のメンツなんかは横に置いておいて、あらゆる国際的な、ロシアの方とかフランスの方とかアメリカの方とか、韓国でも原子力発電所をつくっているメーカーもありますから、国籍を問わずみんな集まってもらって、最適な対策はどうすべきなのか、そういうチームでもつくって、もちろんやっていらっしゃると思いますけれども、対応すべき事故だ、私は残念ながらそう感じております。

 このことについて、今どういう形で国際的な力をかりているのか、それについてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、まさにおっしゃられたとおり、世界に前例のない取り組みでございますので、国内外の英知を結集した取り組みを進めることが極めて重要だというふうに考えております。

 海外知見の活用ということにつきましては、例えば、今、廃炉に関するいろいろな豊富な経験、知見を持っているイギリス、アメリカ、フランス、ロシアといったような国々と政府間の対話の枠組みを事故後に構築をしておりまして、福島第一原発の廃炉に関する意見交換を定期的に行っております。

 それから、原賠機構でも、これは廃炉等技術委員会という組織がございますけれども、ここに四名の海外特別委員という方を委嘱しておりまして、こういった方々から、技術戦略を策定するに当たりましてさまざまな御助言をいただいているということがございます。

 また、国が財政支援を行っていろいろな研究開発を行っておりますけれども、こういう中にも海外の研究機関とか企業にも大分参加をしていただいておりまして、これまでにも延べ十二社がそういった研究にも参加をいただいているという実績がございます。

 それから、実は国際機関との関係でも、例えばIAEAのレビューミッションといったような方をお招きいたしまして、今の廃炉の状況の評価なんかをしてもらいながら助言いただくということもしております。それから、OECDのNEA、原子力機関がございますけれども、こういったところにも、例えば、事故後のいろいろな炉内の状況の解析をする手法などにつきまして、国際研究プロジェクトというのを立ち上げてもらって、そこにいろいろな有識者が集まって議論する場をつくるといったような形で、国際機関との関係でもいろいろな協力関係を構築しております。

 さらには、内外の専門家とか学生とか、いろいろな方が集まって議論できる場として廃炉国際フォーラムというのを、去年の四月、また、ことしの七月に開催をするというようなことも予定しておりまして、いろいろな機会をつくりながら外の知恵を取り入れるという努力を続けておりますので、今後ともしっかりとやってまいりたいと思っております。

大畠委員 今のお話、答弁を聞いていて思い起こしたんですが、当時、民主党政権下でありましたが、私が、事故を踏まえて今後どういうエネルギー政策をとるべきかというので、約一年間かけて内外の方々の協力を求めました。

 そのときの一人に、アメリカの方で、原子力規制庁ですか、アメリカのその担当の方も一人お見えになりまして、彼はもと、原潜の原子炉を操作していた、非常に経験豊かな方のお話でありましたが、私は、今お話しのように、この問題については、国籍を問わないで、とにかく経験と知恵がある人はみんな集まってもらって、汚染水だけではなくデブリ取り出しも含めてとにかくみんなの経験と知恵をおかりしたい。こういう姿勢で対応していただきたいと考えるところでございます。

 それから、今回の法律案では、廃炉費用それから事故対策の費用の捻出ということでありますが、世界ではどういう形でこのような廃炉ですとかの対策のお金を工面しているのか、そのことについて、わかりましたら教えていただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 諸外国における原子力発電所の廃止措置に要する費用につきましてでございますけれども、これは国によってさまざまな面はございますけれども、例えば、アメリカでありますと、その施設を持っている所有者が電気料金から回収いたしまして外部積み立てをしている。それから、フランスでいいますと、同じように、電気料金から回収をして、これは内部引き当てをしていくというような仕組みをとっていたりいたします。また、イギリスでありますと、一部、そもそも原子力事業が国営であったということもありまして、国費を投入しているような側面もございます。

 このように、外部積み立てであったり内部引き当てであったり、資金の管理の方法など制度の詳細には国によってさまざまな差異はありますけれども、原則としまして、当該発電所を設置した事業者が、運転期間中に電気料金によって回収をいたしまして、あらかじめ積み立て等を行うことによって確保しているというのが各国の制度の状況だということでございます。

大畠委員 基本的にはそういうことなんだと思います、これは電力会社の所有する発電所ですから。各国とも大体同じような形で廃炉費用等も捻出しているというのを確認させていただきました。

 次に、実は、廃炉も汚染水対策もそうですが、経済産業省も各関係省庁も一生懸命取り組んではいますが、実際にやっているのは民間企業なんです。民間企業の方々、特に原子力に携わってきた技術者は、申しわけないと率先してこの事故後の対策にみんな力を注いでいるのも事実であります。

 そこで、それはそれとしながら、事故炉の燃料デブリの取り出し作業というのは、アメリカの例もあるかもしれませんが、しかし、これは複雑になっちゃっているんです、日本の原子炉の燃料棒の溶融によってのデブリは。

 したがって、民間企業も、先ほど御答弁がありましたが、なかなか実態がわからないので苦労はしているわけでありますが、民間企業のそういう技術支援に対して、やはり何らかの、国がこうしますよ、こういうことが必要だと思います。

 それから、原子力研究開発機構、あそこに四千人ぐらいの優秀な人がたくさんいるわけです。「もんじゅ」ですとか日本の原子力開発に大変力を注いでいただきましたが、あの方々のノウハウも大いに活用させていただく。これは、日本のエネルギー政策の重大な局面に来ていますから、そういう意味では、原子力研究開発機構の研究者の皆さんにも大いに力を注いでもらうということが大事だと思いますが、この件について、現状をお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原発の廃炉は、まさに世界に前例のない困難な取り組みですので、技術的な難易度も非常に高い。結果として、国が前面に立って取り組む必要があるような研究開発も多々ございますので、そういった面を中心に財政支援も行ってきているということがございます。

 具体的にも、特に燃料デブリの取り出しに向けましては、格納容器の中の状況把握、あるいは、燃料デブリを安全に取り出す工法の確立に必要な技術開発、さらには、廃棄物対策のための研究開発といったような面を中心に支援をしているということでございます。

 また、今御言及がございました日本原子力研究開発機構、JAEAさんにつきましても、福島第一原発の廃止措置に資する研究などを重点的に実施するための福島研究開発部門というのを設置していただいておりますし、また、国が支援している研究開発事業の一部にも御参加をいただいております。

 具体的には、例えば、燃料デブリの模擬体を製作してその性状を調べるといったような研究があります。そういったものにも御参加いただいておりますし、そのほか、瓦れき等の固体廃棄物を安全に処理、処分できる技術の開発などをJAEAさんの御参加でやっていただいております。

 さらには、JAEAさんに国から出資を行いまして、楢葉町に楢葉遠隔技術開発センターといった開発実証が行えるような施設をつくりましたり、あるいは、大熊に放射性廃棄物や燃料デブリの分析が行えるような分析・研究センターというものの整備などを進めておりまして、まさにJAEAさんの技術や知見を生かしながら、廃炉・汚染水対策に貢献をいただいているということでございます。

 引き続き、廃炉の実施主体である東京電力とともに、JAEAさんを初め多くの関係企業等の参画も得ながら、必要な研究開発を進めて、しっかりと廃炉に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

大畠委員 さっき、原子力研究開発機構にはおおよそ四千人ぐらいの職員の方がおられると申し上げましたが、大体その半分ぐらいの方は、ドクターを取っておられるような非常に優秀な原子力の研究者なんです。ですから、彼らの力を大いに、国際的なという話を先ほど申し上げましたが、国内にも優秀な人はいますから、ぜひ活用して、実績を上げていただきたい。

 それからもう一つは、これから四十年ぐらいかけて廃炉作業がある、デブリ関係も対策しなきゃならないんですが、二十の人が六十歳になるわけです。ですから、今やっている人はほとんどが定年退職になってしまうので、若い人がこの仕事にどうやってついてもらえるか、こういうことになるだろうと思うんです。

 残念ながら、全国の大学の原子力という名前のつく部や科等も少なくなってしまったんですが、まだ、日本の原子力のために若者を教育したい、あるいは、若者も、こういう国難のときだからこそ原子力の分野に入って力を尽くしたいという学生もいるわけです。そういう工学部の原子力関係の大学に対してどういう支援を現状行っているのか。さらにしっかり力を入れないと、どんなにここで、委員会でこうしよう、ああしようと言ったって、実際にやるのは、民間企業の方々の力をかりたり、未来を担う学生さん、若い人が入ってくれないと仕事ができませんから、ここら辺、大学等に対する支援策について、現状をお伺いしたいと思います。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、研究機関、大学等の原子力分野における基礎、基盤的な研究開発や人材育成を推進しているところでございます。具体的には、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業を通じまして、大学や高等専門学校において、福島第一原発の廃炉に係る遠隔技術あるいは分析技術等の基盤研究を推進するとともに、先生御指摘のとおり、若い人材を育てるための産学連携講座あるいはワークショップの開設など、教育プログラムについても実施しているところでございます。

 また、先ほど、経済産業省から原子力機構の取り組みについて御答弁ございましたが、一つつけ加えさせていただきますと、原子力機構においては廃炉国際共同センターというのを設置しておりますが、この国際共同研究棟が今月の二十三日に福島県の富岡町に開所する予定になってございます。

 このセンターにおきましては、国内外の若者も含めた英知を結集した福島第一原発の廃炉に係る研究開発、人材育成を実施するための拠点といたしまして、全国の大学の研究者との共同研究の取り組み、こういうものをさらに推進していくということにしております。

 文部科学省といたしましては、これらの取り組みを通じまして、福島原発の廃炉に向けた研究開発、若者も含めた人材育成に引き続き努めてまいりたいと考えております。

大畠委員 こういう国難のときだからこそ、原子力に関係する勉強をして、この対策をしたい、こういう若者もおりますので、ぜひそういう対策をとっていただきたいと思うんです。

 私の出身大学でも、原子力安全工学科というのを新しくつくって、そこで一生懸命、大畠さん、長い目でこれはやらないとだめだからと、学生さんを募って、学生さんもそれに応じて、今この瞬間にも勉強しています。ぜひ、文部科学省としても、そういう意味での支援策をしっかりやっていただくよう要請しておきます。

 それから、時間がちょっとなくなってきましたので、少し予定した質問を割愛することがあるかもしれませんが、お許しいただきたいと存じます。

 先ほどの汚染水対策にちょっと戻りますけれども、結局は、千基もある一千トンのタンクを、これは毎日ふえているわけですが、どうするのか。これが最大の課題になっています。

 それで、ボルト締めタイプのタンクから漏れ出したというのがありましたよね。ボルト締めタイプというのは、言ってみますと、仮設のタンクという受けとめ方。これは当時の方の話によると、とりあえず、とにかく早くタンクをつくらなければというので、簡単にできるものはボルト締めタイプだということでどんどんつくったのは事実です。

 しかし、六年たって、これからのことを考えると、やはり溶接型タイプの方がより安全性が高いですから、いつになったらボルト締めタイプのタンクは全部取りかえて溶接タイプのタンクになるんだろうという声がありますので、これについての見通しをお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、タンクにつきましては、そもそも、汚染水発生量をしっかり抑制するという対策を講じながらではございますけれども、必要な容量を計画的に確保していくというのが基本的な方針でございまして、現時点でも、二〇二〇年までに約五十五万トンのタンクが新たに確保できる予定でございますので、全体的な量の逼迫ということは想定されておりません。

 一方で、今御指摘があった、ボルト締めのフランジ型から溶接型への切りかえということにつきましては、現場のいろいろな作業的な制約とかがありまして、一部おくれているところはございますけれども、現時点では、二〇一八年十一月に完全な切りかえができるという見込みで作業を進めております。

 一方で、フランジ型タンクを利用し続けていても漏えい等のリスクが生じないように、例えば、漏えい防止策としての、堰を二重につくる、あるいは堰のかさ上げをする、あるいは、雨どい、堰カバーをつけるといったような対策は、これはもう既に万全を期しておりますのと、あと、一日四回のパトロールとか、あるいは、水位計でタンク内の水の状況を常時監視するといったような仕組みをつくっております。

 したがって、そういったことによって漏えいするリスクというのをしっかりと抑えながら、リプレースの方もしっかり進めてまいりたい、かように考えております。

大畠委員 一日も早く、より信頼性の高い溶接型タンクに取りかえることがまずは大事だと私は思うので、しっかり力を入れてやっていただきたいと存じます。

 残り時間が少なくなってきたんですが、ここでちょっと大臣にお伺いしたいのは、電力の再編の問題についても言及したいと思います。

 私が調べたところ、戦前は、電力会社というのは一社体制だったんですね。しかし、戦後、GHQ指令等もあったんだと思いますが、沖縄電力まで含めますと十社体制の民営化になった、こういうことでございます。現在は、さらに進んで、電力自由化、ガスも自由化になりましたけれども、発電、それから送電、小売、これの完全分離、自由化が進んだわけでございます。

 こうなってきますと、例えば四国電力ですとか、九州電力ですとか、中部ですとか、東北とか、北海道とかと、地域ごとに分けていることが本当に必要なのかなと思うんです。よく、かつて、四国の管内では電力が不足してきたので九州に応援をもらいたいとか、時々、渇水化等で水力発電の発電量が下がってきて、かつ電力需要が増した場合には、そういうことがここ十年来、何回かありますよね。こういうのはもう時代ではないんじゃないか。

 要するに、送電線さえつないでおけば、そこに発電会社から系統をつないで、再生可能エネルギーもどんどんふえ始めました、風力発電もふえ始めました。そういう意味では、四国だ、九州だ、中部だ、東北だ、東京電力だと、こういうふうに分けておくことを前提として戦後七十一年来ましたが、そろそろ大胆な電力の再編というものを考える時期が来ているんじゃないか。

 これは決して福島の事故があったからということじゃなくて、日本の国として、フランスだって一社ですよね、そういう意味では、安定的に国民の要求を満たす、あるいは産業界の要求を満たすという意味では、何かそういう発想の転換というのも必要なんじゃないかと思いますが、この件について、大臣の所見をお伺いします。

世耕国務大臣 私も地元和歌山を回っていますと、年配の方々なんかは鉄塔とかを指さして、関西電力と私は思っていたのが、あれはカンパイの持ち物なんだと。カンパイ、カンパイと言うので、何だろうと思って調べてみたら、やはり、昔、関西配電という会社で、当時、全国的に、日本送配電が分社化をされて、それぞれの、各九ブロックの配電会社と統合されて今の電力会社になって、そこに沖縄電力があって十社ということになるわけで、いろいろ歴史があったんだろうというふうに思っています。

 あくまでも統廃合は各会社の経営判断によるものだということは前提にしなければいけませんけれども、今御指摘のように、今、電力に関しては大きな変革の時期だというふうに思っています。

 例えば、再生可能エネルギーがどんどん入ってきている。そこに、今IT技術がすごく進歩をして、系統、グリッドの制御の技術というのがすごく進んできて、これと再生可能エネルギーとか、あるいは水素を中心とする蓄電池が組み合わさっていくと、新たな電力の形態なんというのが出てくるんじゃないか。あるいは、これから海外展開もしていかなければいけない。今まではメーカーさんが発電機を受注するということはあったんですけれども、系統も含めて、電力システムそのものを海外へ輸出していくということも考えていかなければいけない。こういう中で、それぞれ個別の電力会社で対応できるテーマとしては大きくなり過ぎているんじゃないかという点があります。

 それともう一つは、やはり、我が国はこれから人口が減っていくわけであります。そういう中で託送料をどうやって抑えるか。そして、当然、安心、安全で、常に、世界で一番停電の少ない国ですから、この状態をどうやって維持していくか。あるいは、原発に対してかなり規制基準が厳しくなっている中で、投資もかなり要ります。そういった原資をどう確保していくか。あるいは、先ほどから御議論になっている人材をどう確保していくか。それぞれ、個別の社ではなかなか対応し切れない問題が出てきているのではないかというふうに思います。

 これは東電に限った話ということになりますが、東電改革を議論していただいた有識者の委員会でも、送配電事業や原子力事業について、これは電力産業が共通して抱える課題を解決するという意味で、できる限り早く共同事業体を設立して、事業の再編統合を目指すべきだという助言もいただいているわけであります。

 そして、現実問題として、東京電力と中部電力は、火力発電に関しては完全統合を目指すという方向になっております。あるいは、今、西日本では原子力の防災に関して各社が連合してやっていくという取り組みも既に始まっています。

 最終的には個別の社の判断ということになるかと思いますが、やはり、今先生御指摘のような流れというのはあるのではないかというふうに思っています。

大畠委員 ぜひ、将来を見通して、戦後七十一年たつ今、どうあるべきかというところについてはぜひ検討いただきたいと思います。

 もう残り時間一分となってしまったわけですからこれは次回にしますが、実は皆さんのお手元にも資料を配らせていただきました。世界の総人口の動向が上でありまして、下には世界のエネルギー消費量と人口の推移。これは、一九九〇年のころ私が見た図なんですが、地球総人口は百億はやはり突破できない、水と食料とエネルギーが百億以上の地球人を養うことができないから、こういう印象深いグラフであります。

 下は、エネルギー消費量と人口の推移なんですが、やはりエネルギーの消費が非常にふえていまして、これから、日本国内の問題だけを考えるんじゃなくて、地球環境問題も、今、嵐といいますか、降雨等もあって、非常に世界的にも乾燥とか洪水とかの繰り返しになってきていますから、日本国としても、そういう世界の状況をよく見ながら、これからのエネルギー政策はしっかり考えなければならないと思います。

 これについては、時間が来ましたので、また次回でもこの問題についての大臣の所見をお伺いしますが、私の質問は以上で終わります。

浮島委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案の審議を続けさせていただきたいと思います。

 まず、福島第一原発の事故処理費用が約十一兆円から二十一・五兆円に倍増し、国民負担増を提案した東電改革・一F問題委員会、これは平成二十八年の十月から十二月にかけて八回開かれたそうでありますが、この委員会は非公開で行われて、録音もされていない。議事録も作成されていない。

 これは、たまたま四月八日、先週、地元に帰って地元の中日新聞、ちょっとことし中日ドラゴンズは調子が悪いんですけれども、中日新聞で報道されたものなんですけれども、この報道が事実であるかどうかということなんですが、二十一・五兆円にも上ることに関する議論が全く記録されずに終わってしまっては、後世の人、あるいは私たちだってそうなんですけれども、国民負担増の経緯がどんなことであったか、的確に検証することができないということになってしまうわけであります。

 この、議事録をつくらないということについての事実関係を御説明いただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘いただきました東電委員会につきまして、東電委員会は、経済産業省設置法に基づいて設置されて、東電改革について御議論いただくための委員会でございます。

 この委員会につきましては、かなり詳細な議事要旨を作成しておりまして、これを公開しているところでございます。政府が定める規定にのっとりまして適切に対応している、このように認識しております。

 さらに、記事にある、議事の記録、いわゆる議事録につきましても、現時点ではこれは未作成でございますけれども、今後、公文書管理法に基づく行政文書の管理に関するガイドラインにのっとりまして、作成することにしております。

 これとは別に、制度改革についての詳細を御議論いただくために、総合エネルギー調査会、これは審議会でございますが、そのもとに電力システム改革貫徹に関する政策小委員会というものが設置されて、そこでいわゆる託送制度の議論を行われていたわけですけれども、この審議会につきましては、公開のもとで行われておりまして、議事も公開されているということでございます。

中根(康)委員 改めて確認しますけれども、議事録と議事要旨ではどう違うのか。要するに、議事要旨というのは、誰が具体的にどういう発言をしたかということが逐一正確に残されているものではなくて、大体こんなことが議論されたということが議事要旨だという感じがするんですけれども、後日議事録がきちんとつくられる、こういう御答弁でございましたので、これはもう半年近くたつことでございますので、速やかに作成をされた方が、こういう中日新聞の報道などは、これが誤報であるのか、事実を十分把握していない上での報道だったのかということはよくわかりませんけれども、しかし、こういう報道につながらないように、議事録というもの、あるいは必要に応じて議事要旨でもいいのかもしれませんけれども、国民に対して、国民負担も伴うことでありますので、いつでも正確に国民に説明ができるように整えておくということは必要なことだと指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、原賠法のことなんですけれども、原賠法の第三条のただし書きの異常な天災地変というものを今回適用せずに、東電の無過失責任という形にしたわけなんですね。

 それで、東電の責任を免責しなかったということは、私が思うには、原子力事業の存続ということよりも、むしろ重きは、賠償を最後まで責任を持って担ってもらうというところにあるんだろうというふうに思います。つまりは、東電の無過失無限責任ということで無限大に広がりかねないこの東電事故の被害者を最後まで救っていくというところに、この原賠法の第三条ただし書きを使わなかったという心があるんだろうというふうに思っております。

 それで、無過失無限責任でどこまで賠償するか。当然、上限なく全てを賠償するということになるわけでありまして、この全てをというところの中にいろいろなケースが入ってくるんですが、誰一人置き去りにしない、泣き寝入りをするようなことにしてはいけないということなんです。

 また、人の命とか健康とかにかかわることというのはなかなか金銭で評価するということは難しいわけでありますし、あるいは、ずっと長期間経過した後に、被曝したことによって発症するがんというようなことに対しても、検証することはなかなかこれから困難をきわめていくんだろうというふうに思います。あるいは、住みなれた大切なふるさとを失った喪失感、あるいは離れざるを得ないということ、こういうこともお金には換算しにくい。

 しかし、それでもなおかつ、東電が事故を起こさなければ今起こっているようなことは全て起きなかったわけでありますので、本来、みんな救われて全て原状に戻されるという方向性で物事が進んでいかなければならないというふうに考えたときに、いじめの問題もその中に入ってくるんだろうというふうに思います。

 原発事故がなければいじめられることもなかった。避難先でいじめに遭い、避難生活といじめの二重の苦しみを味わうというとても気の毒な状況に向き合うということも、事故がなければなかったということであります。

 きのう、きょうと文科省が調査をした結果が報道されておりますけれども、あくまでも文科省の調査というのは氷山の一角ということであろうと思います。

 法務省が出した通知の中の例示として、福島から避難した子供が名前に菌をつけて呼ばれる、あるいは、放射能がうつると言われるという事案が起きている、こういう文言も見受けられるわけであります。

 避難者のいじめの問題については、今も御紹介申し上げました。法務省は二月十四日に、適切に対応することを要請する通知を出しております。文科省も、調査に加えて、数次にわたっていろいろと通知を出しているわけであります。

 このいじめという問題も、東電の無過失無限責任、賠償の対象となるのではないかというふうに私は考えさせていただいておりまして、このことについて、東電とか、あるいは国、経産省というものも当然無関心であってはいけないし、何かできることがあるんだろう、文科省とか、あるいは法務省とかと、関係省庁と連携してということであろうと思いますが、このいじめの問題について経産省としてどのように考えておられるか、御答弁をお願いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましても、避難指示にかかわる組織といたしまして、これは、震災の直後から、自治体あるいは住民の方々と対話をする過程で、まさに今お話しがあったようなことから、あるいはもっと厳しい事例まで、さまざまなお話をこれまでも聞いてきております。そういう意味では、このいじめの問題というのは大変に深刻であるということは、私ども重々認識をいたしております。

 さらに加えまして、こういったいじめの問題、あるいはそういったことが存在するということ自身が、被災されている方々が自立をしていく、あるいは生活の再建に向かって努力をしていく、そういった意欲をそぐということにもまたなっていきますので、そういった意味でも非常に重大な問題だということで、何かできないかという思いを常にまた持っております。

 こういったものを見ますと、その根底には、やはり、福島の現状が正しく認識されていないということがそれも一つの大きな要因としてあるというふうに思っておりまして、また、風評被害が継続しているということも、ある意味そういったことと同根ではないかというふうに思っております。

 そういう中で当省といたしましても、これは他省庁とも連携をしながらですけれども、特に、復興の現状、あるいは廃炉・汚染水対策なんかの進捗について、これをわかりやすく国民の方に発信をするというようなことを、例えば、動画をつくる、あるいはいろいろなデジタル掲示板を使った発信をするとか、あるいはパンフレット、あるいはもっと短い資料とか、いろいろなものをつくって、全国にそういったものを通じた広報ということをまたやっております。

 それから、東京電力にも、例えばいろいろな報道が出るときに、やはり、いろいろないたずらな混乱が生じないように丁寧に発信をしていくというようなこともまたお願いをしております。

 それから、リスクコミュニケーションと言われる、いわゆる放射線に対するいろいろな懸念とかということがあるわけですけれども、こういったことについても、文科省とか環境省とかいろいろな役所と連携をしながら発信の面でまた協力をしておりまして、できるだけ正確な状況を伝えながら、そういった問題が緩和に向かっていくようにしたいというふうに思っております。

 また、賠償との関係については、こちらは、精神損害賠償という形で、特にいじめとかに特化しているわけじゃありませんけれども、心の負担とかいろいろなことも踏まえた形での制度面での対応ということも行われているということでございます。

 以上でございます。

中根(康)委員 世耕大臣もいろいろと発言の発信の機会があるわけでありますので、これは文科省とか法務省という担当だということではなくて、発信力のある世耕大臣、とても滑舌がよろしくて、やりとりしていてもすごく聞きやすいというふうにいつも感じがしておりますので、その滑舌のよさというか発信力の強さで、そういう記者会見とかいろいろな機会を使って、いじめは絶対にだめなんだと、政府を挙げてぜひ訴えていただきたい。

 被災者に対するいじめは、今回のこの東電事故だけではなくて、あらゆることにおいて最悪ですよね、もう最悪。こういうことは絶対だめだということを、ぜひ大臣も、何かの機会というか、折に触れて御尽力賜りますようによろしくお願いを申し上げます。

 被災者に対する不条理な差別や偏見ということでありますけれども、今は世耕大臣にこれからの御尽力をお願いしたわけでありますけれども、大変残念ながら、先頭に立っていただくべき今村復興大臣が、自己責任論で被災者を切り捨てるというような、これは、後で謝罪をしたり、あるいは取り消したり撤回したりということでは済まないと思うんです。

 四月四日の記者会見で、自主避難者をめぐる記者とのやりとり、改めて別に紹介する必要もないかもしれませんけれども、その問題になっているところだけを少し申し上げますと、確かにこれは問題だと思うんですよ。

 「福島県外、関東各地からも避難している方もいらっしゃるので、やはり国が率先して責任をとるという対応がなければ、福島県に押し付けるのは絶対に無理だと思うんですけれども、本当にこれから母子家庭なんかで路頭に迷うような家族が出てくると思うんですが、それに対してはどのように責任をとるおつもりでしょうか。」という問いに対して大臣は、「いや、これは国がどうだこうだというよりも、基本的にはやはり御本人が判断をされることなんですよ。」ということ。

 それから引き続いて、「国の役人がね、そのよく福島県の事情も、その人たちの事情も分からない人たちが、」そもそも、国の役人が福島の事情やその人たちの事情もわからないというふうに、復興大臣が自分の部下をそういうふうに決めつけちゃだめですよ。よく知っていないといけないと思うんですけれども、「国の役人がやったってしようがないでしょう。」というふうに答えておられるし、また続いて、「大臣御自身が福島県の内実とか、なぜ帰れないのかという実情を、大臣自身が御存じないからじゃないでしょうか。」ということに対して大臣は、「御本人が要するにどうするんだということを言っています。」「でも、帰れないですよ、実際に。」「えっ。」と。「えっ。」と言っているんです。「実際に帰れないから、避難生活をしているわけです。」という問いに対して、「帰っている人もいるじゃないですか。」というふうに言っておられる。

 そういうやりとりが続いて、大臣は、「それはそれぞれの人が、さっき言ったように判断でやれればいいわけであります。」それで記者が、「判断ができないんだから、帰れないから避難生活を続けなければいけない。それは国が責任をとるべきじゃないでしょうか。」ということに対して今村大臣は、「いや、だから、国はそういった方たちに、いろんな形で対応しているじゃないですか。現に帰っている人もいるじゃないですか、」というようなことを言って、記者がさらに「帰れない人はどうするんでしょうか。」という問いに対して、ここでその自己責任発言が出てくるんですけれども、「どうするって、それは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう。」それで、「自己責任ですか。」という問いに対して「えっ。」というふうに言っておられて、「それは基本はそうだと思いますよ。」こういうやりとりなんです。

 再三念を押しながら確認をして、それで、今村大臣は自己責任論をまた再三答えておられるわけであります。

 このやりとり、今問題になっているんですが、一議員なら、いろいろな見解があって、その発言が次の選挙で有権者から審判されてということはあろうかと思いますけれども、やはり今村さんは復興大臣でありますし、復興を担当する大臣がこうした考え方を確信的に御発言されておられるということは、これは内閣全体がそうだということになりかねないし、そうすると、内閣の一員でもある世耕大臣も同じ考えでやっておられるということにもなりかねないわけでありますので、世耕大臣の、この今村復興大臣の自己責任論という発言に対してどうお考えになっておられるか、お聞かせをいただければと思います。

世耕国務大臣 今村大臣の御発言に関しては、御本人が誠心誠意おわびになっているというふうに思っています。

 具体的には、今村大臣の発言として、私の発言で皆様に御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。記者会見の場において感情的になってしまいました。今後は冷静、適切に対応してまいります。引き続き、誠心誠意職務に当たり、被災者に寄り添い、復興に全力を尽くしてまいります。というふうにおっしゃっています。

 もうこのことに尽きるんじゃないかというふうに思いますし、総理も、これは福島の現場視察という中でこの今村大臣の発言に関して、政府を代表する立場でおわびをしておられるわけであります。もうこのことに尽きるんだろうというふうに思っております。

 経産省としては、避難者の方々がみずからの判断で福島に帰還することができるように、インフラ復旧ですとか、復興、医療、そして教育、鳥獣害対策、いろいろ政府が取り組んでいくわけですが、その中でも経産省は、特になりわいの再生、仕事ができて、雇用があってちゃんと帰れるという環境を整えていくということが何よりも重要だということで、省を挙げてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っています。

中根(康)委員 確かに、謝罪をしたり撤回をしたり、これから全力で取り組むということはおっしゃっておられますけれども、しかし、こういう自己責任論みたいものがやはりくすぶっているから前段のいじめというようなことにもつながってしまうわけでありますので、間違っても言ってはいけないと思うんです。繰り返し申し上げますけれども、後で取り消せばいいという話じゃないわけで、だめなんですよ。こういうことは絶対だめなんです。

 今村大臣、今おっしゃっているんですが、けさの新聞にたまたま目についたんですけれども、十一日というわけですから、きのうの衆議院の東日本大震災復興特別委員会で、原発の避難者が故郷に帰れないことを本人の責任としていた発言を改めて取り消し、自主判断と言い直したと。自主判断にも当然責任はある、こういう発言をしておられるわけでありまして、あくまでも自己責任論的なものを繰り返しておられる。こんなことでは、いじめ問題も根絶することはできなくなってしまうと思いますよ。

 こういうことは、先ほど大臣にお願いしましたけれども、もうほかの大臣はいいです、世耕大臣はぜひ、自己責任じゃないんだ、東電が事故を起こしたから、国の国策として進めてきた原発が事故を起こしたから、本来幸せに、平穏に暮らしているはずの人たちが、いじめに遭うはずもなかった子供たちが今こういう状況になっているのは、彼ら被災者の責任は全くないんだということをぜひいろいろな場面で御発信をいただけますように、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 原賠法なんですけれども、第一条の目的規定に、「原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、もつて被害者の保護を図り、及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。」というふうに書いてあるのはもう御承知のとおりでありますけれども、ここにある「被害者の保護」ということと「原子力事業の健全な発達」、この二つが併記されているということ、これは、一九六一年にこの法律がつくられたときには、原子力事故が起きても、なお原子力事業を健全に発達させることができるというふうに考えていた。それは、その当時の考え方としては、楽観的過ぎると言えるのかもしれませんが、原子力事業に夢を抱いていた国として、あるいは国民もそうだったかもしれません、そういう状況の中でおかしなことではなかったのかもしれない。

 しかし、今私たちは、今回の東日本大震災で、一旦原発事故が起きたら、もはや健全な発達など原子力事業においてほぼ不可能だということを教訓として学び取っているのではないかというふうに思います。

 それと、今審議中の原子力損害賠償・廃炉等支援機構法にも第一条の目的に、「原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図る」というふうに、ここも、賠償のことと原子力事業の円滑な運転ということが両論で併記されているわけであります。

 こういうたてつけの法律が賠償に関してほかにあるかどうか。私も厚生労働委員会の経験が長いものですから、そっちの方に賠償の法律が幾つかあったような気がしたものですから、いろいろ見てみて、石綿による健康被害の救済に関する法律だとか、あるいは水俣病被害の救済に関する特別措置法だとか、カネミ油症の法律だとか、それから公害健康被害の補償に関する法律だとか、こういった幾つかの賠償に関する法律を見たときに、当然、賠償に関しての規定はあるわけなんですけれども、例えば石綿による健康被害の救済に関する法律なんかで、及びとか、石綿事業の健全な発展を図るとか、そういうようなことは一切書いていないわけで、賠償に関する法律はあくまでも賠償のことが書いてあるわけであります。

 いまだに賠償が完了していない、緒についたばかりである今回の東電事故、さまざまな疑問とか、あるいは課題が十分解決していない。特に使用済み核燃料の処分の問題なんかは、どう答えを出していっていいのかわからない。こういう状況において、原賠法あるいは原賠機構法、「原子力事業の健全な発達」とか「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営」とか、こういうことが賠償の法律の中に堂々と書き込まれているということについては、本来両立し得ないものがここに書き込まれているのではないかという違和感も感じないわけでもないんですけれども、大臣はこのあたりのところをどうお考えになるでしょうか。

世耕国務大臣 まず、福島第一原発事故の賠償については、これはもう今、決まった方針に基づいて、今回も、風評で被害が長引いている部分をカバーするという対応も決めさせていただいているわけですが、その方針にのっとってしっかりと着実に賠償を行っていく、もうこれに尽きるんだろうと思います。

 今後起こってほしくはありませんけれども、今後万が一起こったときの原子力損害賠償のあり方については、今、制度の見直しということで、原子力委員会の専門部会で一昨年五月から検討が行われております。昨年八月には、これまでの議論を踏まえて、中間的な論点の整理が行われたところであります。

 今後、今御指摘の法律の目的規定のあり方も含めて、具体的な制度設計の見直しについてはまだ結論が得られていないというふうに認識をしています。引き続き検討が行われるんだろうと思います。

 では、現行の法律でなぜそうなっているのかという点でありますけれども、迅速で適切な賠償で被害者を保護するためには、やはり、万が一の事故に備えて賠償するだけの資力を持っていることが非常に重要であるということ、そして、実際、原子力事業は民間事業者が担っているわけでありまして、この原子力事業の健全な発達や円滑な事業運営のもと、原子力事業者が、必要な体制、組織、資金、技術、人材などを維持していくということが迅速かつ適切な賠償にもつながる。

 その辺が、原子力事業者というかなり限定される事業者とその賠償というのがかなり明確な対応関係になっているものですからこういう表現になっているんじゃないかというふうに思いますけれども、原賠法や原賠機構法に定められている今御指摘の二つの目的規定というのは、そういう意味で私は両立し得るものなんではないかというふうに思っております。

中根(康)委員 そうはおっしゃいますけれども、東電が自分の力で賠償できないということで、国民負担が今審議されているわけでありまして、「原子力事業の健全な発達」ということの中に例えば廃炉とかいうことが意味合いとして含まれているということであるならば一定の理解ができるんですけれども、一旦原発事故が起きたら、もう健全な発達とかというふうに言っていられないんじゃないかというふうに思うんですけれども、それは今後の議論にしたいと思います。

 私は、これまでの日本の経済成長に必要な電力を安定的に供給してきた原発というものを全否定するつもりはありません。むしろ、そこにかかわってこられた技術者の方々や、あるいは立地地域の地元の方々の御理解とか、さまざまな関係者の皆様方に敬意を表するわけでありますけれども、他方で、例えば、自動車会社がこれまでのガソリンエンジンから電気あるいは水素というふうに変わるように、電力事業もどんどん変わっていっていいと思うんですよ。

 実際に、車の工場ができると、その周りには関連工場ができたり雇用が生まれたり、その地域に住む人のためにサービス業が集まってきたり、いろいろな波及効果があるんですけれども、原子力発電所ができたところは、原子力発電所ができて相変わらずそのままで、残念ながら、その周りに関連の事業所ができたり商店街が生まれたり、そういうことがなくて、いつまでも入り江の奥にひっそりと原発はたたずんでいるということで、どうも原発というのは、確かに最先端の技術なのかもしれないけれども、何十年か前と今と、技術の革新というものが余り生まれていないんじゃないかとか、あるいは、地域の、周りの経済に対する波及効果や雇用の創出効果ということでいうと、車と比べては気の毒なのかもしれませんけれども、少ないんじゃないかなという感じがするんです。

 輸出も、原発システムだけではなくて、例えば経産省としても、これから再エネのシステムをインフラ輸出するということであれば、途上国は工業団地をつくっても電気がなくてなかなか操業できないだとか、あるいは、PKOなんかで状況的に厳しいところに橋や道路をつくるだけじゃなくて、その再エネのインフラを整備してあげるというようなことによって国際貢献できるというようなことにもなるんだろうと思いますけれども、原発輸出ではなくて再エネ輸出ということについて大臣はどう考えるか、経産省はどう考えるか、御答弁いただければと思います。

世耕国務大臣 再エネの輸出も、特に途上国なんかは、いきなり再エネだけでというのはなかなか難しいですよね、やはり電力の安定性がなきゃいけませんから。

 そういう意味では、日本はいろいろな種類の発電技術を持っておりますので、特に石炭火力なんかは、他に比べてCO2を余り発生しない高効率の石炭火力の技術も持っていますから、そういうものをいろいろ組み合わせる中で再生可能エネルギーの輸出というのも、一つ、質の高いインフラの輸出のメニューの中に入っている。

 特に寒冷地では、風力発電だと氷がついちゃって回らなくなったり、あるいは、その氷が回って飛んできて危なかったりするんですが、日本は氷のつきにくいプロペラをつくる技術とかそういうのもありますから、日本の持てる特性をうまく生かしながら、ただ、再生可能エネルギーを海外へ持っていこうと思ったら、日本の場合、まだやはり高いですよね。

 日本の場合、国土が狭いので、太陽光発電にしても、非常にレベルの高い、効率の高いものじゃなきゃいけませんが、場所が幾らでもあるような国とか砂漠が広がっているような国は、逆に、そんな高品質じゃなくてもいいからもう一気に引きたいみたいなのがありますから、なかなか海外の需要と合わせるというのは難しい点もあるかもしれませんけれども、再生可能エネルギーについても、メニューの一つとして頑張っていかなければいけないと思っています。

中根(康)委員 次の質問に移りたいと思います。

 原発費用を国民負担とする閣議決定は去年の十二月二十日になされたと聞いております。それに対するパブコメはというと、十二月十九日からことしの一月十七日に行われている。パブコメよりも閣議決定の方が先に行われている、この順番も逆じゃないのかなという感じがするわけなんですが。

 賠償費と廃炉の一部を、二〇二〇年から四十年間、託送料に上乗せして国民から回収するこのやり方なんですけれども、これに対して、総理が消費者委員会に諮問をして、消費者委員会が答申を出した。あるいは、河野前消費者担当大臣も、それから今の松本消費者担当大臣も、経産大臣に対して申し入れがなされているわけであります。

 その申し入れというのは、いろいろありますけれども、廃炉、賠償に関する費用の一部を託送料金等で回収する件につきましては、消費者に過度な負担を求めることにつながるため、極力慎重であるべきだというような言葉で申し入れがなされているわけであります。

 今回の廃炉、賠償費の上乗せ、特に、賠償費の過去分の上乗せについて消費者の意見を十分酌み取っているのかどうか。

 例えばパブコメの中においても、「「事故に備えて積み立てておくべきだった過去分」という理屈は通常の商取引ではありえない。契約通りに支払った消費者に、過去に遡って不足分なるものを請求する法的根拠はない。この理屈に従えば、東電の過去の事業で利益を得た株主や債権者さらに給料や退職金を受け取った東電社員からも相応の「過去分」を取り立てなければならない。」というようなパブコメも寄せられているわけであります。

 こういう、消費者とか、あるいは消費者担当大臣から、あるいは消費者委員会から出されたさまざまな意見を今回の仕組みの中に反映されているのかどうかということでいえば、余り反映されていないんじゃないか、聞きおくだけにとどめているのではないかという感じがするんですけれども、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 まず、松本消費者担当大臣からのコメントについては、これは当然我々も真摯に受けとめて、この賠償の備えの不足分を託送料金の仕組みを利用して広く消費者から回収する際に、消費者の負担の内容を料金明細書に明記するように求めていくことを審議会の報告に盛り込むなど、消費者委員会の答申や松本大臣の御発言も踏まえた対応をさせていただいたというふうに思っています。

 これを受けて松本大臣からは、本件が消費者の利益に大きくかかわるということを御理解の上の対応だろうと受けとめておりますという発言もいただいているところであります。

 また、パブコメに関して、今、一般の方から来たパブコメを一つ引いていただいております。

 一番の問題は、通常の商取引じゃないんです、これは。規制料金という制度の中で過去分を請求することを、我々も、安全神話に寄りかかって、いざというときの備えをしてこなかったということがありますので、それについては、やはり、当時原子力から裨益を受けていた国民から広くいただく、それをいただく最も適切な方法が託送料金だという判断をさせていただいた。

 そういったパブコメに対しても、できる限り丁寧な回答をさせていただいてきたつもりでございます。

中根(康)委員 まだ残した質問がありますけれども、時間が参りましたのでこれで終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案ということで、それと関連する問題もあわせて質問をさせていただければと思います。

 まず大臣に伺いたいのですが、ことしの三月十一日の震災の追悼式典の式辞で、ことし初めて総理の式辞の中に原発への言及がなかったということがございました。もし世耕大臣が総理大臣だったら、ことしの三月十一日、式典の式辞で福島の原発について言及しますでしょうか。

世耕国務大臣 自分が総理であったならというような想像は、私、一回もしたことがありませんので、仮定の質問にはお答えは控えさせていただきたいと思います。

落合委員 一年に一回の節目の式典での式辞、そして総理大臣の式辞、これは大変大きい、重みがあるものだと思います。

 見てみますと、原発の部分以外はほとんど同じような文章なんですけれども、原発の部分がなくなって、新たなステージに入ったというような感じの文章が入っているということでございます。

 しかし、二月末の時点でも、福島県の避難者数というのは七万九千人まだいるわけでございます。多くのなりわいも震災前の売り上げまでは全然回復をしていない。そして、今回審議されている廃炉だってまだまだ何十年もかかる問題で、そして、その廃炉の負担の問題、これもずっとつきまとうものでございます。

 原発事故の金額も巨額であり、年数もかかる、そして関係者がたくさんいる。これはこの国にとって本当に重要な問題であって、決して六年で消えるような、その程度の問題ではないということをまず申し上げたいと思います。

 これは安倍内閣の、今内閣を組閣している方々の仕事として、大変重要な問題がこの福島の原発事故の問題だということを申し上げて、具体的な質問に入りたいと思います。

 改正案の条文なんですが、新設される規定を見ますと、例えば三十六条の三では、廃炉等積立金管理業務に係る事業計画の作成や認可について規定がされていますが、ここに「主務省令」、それから「主務大臣」というふうな書かれ方をしています。私の感覚としては、これは経済産業大臣、経済産業省令でいいんじゃないかなと思うんですが、具体的に主務とは何を指しているのか、教えていただければと思います。

世耕国務大臣 ここの原賠・廃炉等支援機構法の中で言っている主務大臣は、これは内閣総理大臣と経済産業大臣そして文部科学大臣、この三人の大臣の共管という形になります。

 ただ、これは曖昧に共管というわけではなくて、それぞれ分担がありまして、具体的には、まず、内閣総理大臣、内閣府は賠償支援業務や機構の組織、人事などについて担当して、そして経済産業省は賠償支援業務や廃炉等支援業務全般を担当し、そして文部科学省は、機構の組織、人事や廃炉等支援業務のうち廃炉を実施するために必要な技術に関する研究開発業務などについて担当と、それぞれの所掌事務に照らして原賠・廃炉機構の業務を所管することになっているわけでございます。

 今回措置する積立金制度は、まさに電気事業者たる事故事業者が実施する廃炉に係る資金の管理に関する制度でありまして、その範囲は電気事業の範囲に限定されるものであることですから、このことに関しては主務大臣は明確に経済産業大臣ということになります。

落合委員 次のあれに行きますが、五十五条の七は積立金の運用について書かれております。まず一として「国債その他主務大臣の指定する有価証券の保有」、「二 主務大臣の指定する金融機関への預金」、そして「三 その他主務省令で定める方法」とあるんですが、これは具体的には省令で決めるんでしょうけれども、この三番の「その他主務省令で定める方法」というのは、大体どんなことを想定していますでしょうか。

世耕国務大臣 これは、積立金の趣旨からいって、廃炉事業に必要なお金を積み立てて、それを必要になったらすぐ取り崩して、現金として使って、廃炉作業に充てていくということでありますから、基本的には、現預金、国債という流動性の高いものになるんだろうというふうに思います。

 ましてや、これは、何か運用してもうけるとかそういうことは考えていませんので、そういう意味では、ほかに何か選ぶとしても、安全性の高いもの、そして、速やかにキャッシュにかえられる流動性の高いものということになるのではないかというふうに思っておりまして、具体的に省令の中で、その範囲で定めてまいりたいというふうに思っています。

落合委員 念のための質問ですが、万が一、積立金が思ったよりもどんどんどんどんたまってきてしまった、実際には余り考えられないですが、そういう場合に、念のための質問ですけれども、何かある程度長期で保有するものを買っていこうということで、電力株ですとか原子力関係の株、また、そういうものに投資している金融商品等にこのお金が回る、それで長期で保有するというようなことはないと考えてよろしいですね。

世耕国務大臣 運用ということは考えておりませんので、金融商品を購入するということは基本的には考えにくいのではないかと思っています。

落合委員 ここは、万が一のあれですが、しっかりと管理をしていかなければならない、しっかりお金の出と入りを見ていかなければならない問題だと思います。長期にわたりますので、この法案が通った後、何十年、三、四十年続くわけですので、一つのポイントであると思います。

 条文の最後に、最後のというか、五十五条の九は、取り戻しについての規定がされております。取り戻しができる場合は、廃炉の費用に実際に充てる場合というのがまず一つと、もう一つが、「廃炉等積立金を積み立てておく必要がないものとして主務省令で定める場合」というふうにあります。

 この「廃炉等積立金を積み立てておく必要がないものとして主務省令で定める場合」とは、具体的にどんな状況を想定していますでしょうか。

世耕国務大臣 廃炉等積立金は、廃炉を着実に実施するため、事故事業者に対して原賠・廃炉機構への積み立てを義務づけるものでありまして、まず大原則は、廃炉作業に充てる場合だけ取り崩すことができるということになっています。

 その上で、今御指摘の第五十五条の九で「廃炉等積立金を積み立てておく必要がないものとして主務省令で定める場合」という表現が出てきます。

 これは具体的にどういうことかといいますと、例えば、この積立金の総額が、これはなかなか、大分先の話になると思いますが、残っている総額が、そこから必要になる、廃炉に必要な資金を大きく上回っているというような場合は、廃炉に充てなくても、取り崩して自分のところへ戻すことができる、そういう趣旨でできているのかなというふうに思っています。

 さらに具体的に言えば、恐らく、最終局面に差しかかった際、三十年後か四十年後かわかりませんが、最終局面に差しかかったときに、大体総額が見えてきた、終わりが見えてきて、明らかに超えているということが確定したとか、あるいは、技術革新によって廃炉に係る必要な資金の見積もりが今思っているよりもぐっと少なくなって、もう積み立てておく必要がないということがはっきりしたとか、そういった事態を想定させていただいております。

落合委員 それにプラスして、可能性があるものとして、将来的に、このスキームじゃないスキームにちょっと組みかえようということになった場合に、この規定を適用するというようなことはありますか。要は、一回お金を取り崩して、違う廃炉のスキームをつくっていくということの想定はありますでしょうか。

世耕国務大臣 基本的には今考えている枠組みの中でやっていく。その上で、もう明確に余るということがはっきりしたときは、取り崩して事故事業者に戻すということだというふうに思っています。

落合委員 ありがとうございます。

 では、条文のことから、大枠の部分についてお伺いができればと思います。

 まず大臣に伺いたいのですが、この電気料金というのは、大臣のお考えとして、電気料金はできるだけ低く、負担は抑制するべきだというふうなお考えはお持ちでしょうか。

世耕国務大臣 電気料金というのは、これは公共料金でありまして、広く国民に負担をいただくものでありますから、当然安い方がいいと思います。

 また、産業政策の観点からいっても、日本企業の国際競争力を考えたとき、あるいは、海外へ行かないでなるべく日本に残って日本の雇用を守っていくという観点を考えた場合でも、やはり、産業向けの電気料金というのも安い方がいいだろうというふうに考えています。

 ただし、安ければいいというものではなくて、やはり電気事業者がきちっと、安定的な電力供給のために投資もできる、人材も確保できる、そういうことを前提にした安さというものが求められていくのかなというふうに思っています。

落合委員 今回、東電改革によって、できれば年間五千億ぐらいは捻出していきたいですというような計画でして、これは、本来であれば、一部、積立金がなければ値下げに回すこともできるものであると思います。

 今回、いろいろな答弁を聞いていて、経産省として、東電改革による費用の捻出なので、実質負担増じゃないかという質問に対しても、負担増ではないというような言い方をしているんですが、経営改革の努力によって余剰分が生まれて、一部は、やろうと思えば値下げにも回せるものを廃炉に回しますということで、これは実際には負担増になっているのではないでしょうか。

 これは、国民に、負担増ですが廃炉のためにお金を回させてくださいというような言い方の方が理解が深まると思うんですが、そこはいかがですか。

世耕国務大臣 この辺はちょっと若干神学論争的になるんですけれども、我々が目指しているのは、この廃炉費用が発生することによって東京電力管内の人々が支払う毎月の電気代が値上げになることがないように、そういう意味で、負担増にならないようにということを言わせていただいています。

 ただ、御指摘のように、では、それだけの改革をやるんだったら、その分電気料金を下げてくれ、あるいは下げられるんじゃないかという御指摘があるのは事実であります。

 しかし、一方で、今回やはり、事故対応を契機に東京電力が非連続の改革をやっていくという趣旨もありますから、そういう意味で、具体的に、料金値上げをしないという範囲の中において東京電力のコストダウン分を廃炉の方へ回していくというのは、合理的に説明ができるし、国民にも御理解がいただけるんじゃないかというふうに思っております。

落合委員 去年の議論を振り返りますと、選択肢としては、託送料金に廃炉費用も乗せるという選択肢も、とろうと思えばあったことはあったとも思うんですけれども、どちらにしても、今回のコストカット分を廃炉に回すということにしても、やはり少しわかりにくい面があると思います、どこからどこにお金が行っているかという点で。

 ことしの予算委員会でも取り上げさせていただきましたが、そもそも原子力予算というのは、開発、それから商業用のものもありますし、それから、廃炉の前にバックエンドもあるわけで、開発やバックエンドは税金が一部投入されているわけでございます。これは、いろいろな省庁に多岐に原子力関係予算がわたっているので、実際、合計すると毎年幾らぐらい税金が投入されているのかと麻生大臣に伺ったんですが、麻生さんは、きっぱりここからここまでが原子力予算だというふうに切るのは大変難しいんだけれども、大体これぐらいだというのを五年分ぐらい言ったところ、大体一兆円前後でございました。私もなるべく細かく自分で調べまして足し算したんですが、私の計算でも、大体一兆円前後ぐらいは税金で原子力関係予算が使われているわけでございます。

 今回の予算で、今まで汚染者負担と言われていた除染の費用も一部環境省の予算につくということで、それにプラスして、今までの除染費用は国が持っている東電の株の売却費用を充てる。これは大変複雑な、いろいろなところからちょっとずつとってきているわけでございます。

 そもそもの、もとの電気料金も、託送料金を初め小売の料金もそうですけれども、発電用だけではなくて、送配電の費用にも小売の費用にも今、原発に関する費用が入っている。これはいろいろな方が話に出しますけれども、再エネの場合は賦課金で大体幾らというふうに出ているわけですが、原発の費用のために自分が幾ら払っているのか、これは大変わかりにくい状況です。

 これは、これからの理解を深めていく上でも、簡潔にしていく、わかりやすくしていく、こういった必要があるのではないでしょうか。大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 広く国民からいただいている電気料金でありますから、原発のコストに限らず、電気料金が一体どういう費用で構成をされているのかということについては、当然、国民に丁寧に説明をし、理解を求めていくという姿勢は重要だというふうに思います。

落合委員 例えば、大臣が税金、電気料金で幾らぐらい原発のためにお金を払っているかというのはわかりますか。

世耕国務大臣 それはわからない。原発だけではなくて、石炭火力もLNGもどれだけかはわからないわけでありますが、電力構成比からある程度推測ということもできるかもしれませんが、それがまた正確なのかどうかという議論もあろうかと思います。

落合委員 やはり、これだけの事故を起こした、それから、電力市場がどうあるべきかということが議論になっているという中で、どれぐらい国民が負担している、消費者が負担しているということが全然わからない。私も調べようと思ったら結局はわからなかったんですが。私自身も、計算しようと思っても、幾ら自分が払っているかということがわからない。それぐらい複雑になってしまっているのが今の現状だと思います。

 これは、今までの答弁にあるように、請求書にもある程度わかりやすくしますとか、ホームページとかありますけれども、やはり説明していくことが原発、原子力行政への理解にもつながっていくと思いますので、しっかりと議論が国民の中でもかみ合っていくように、経産省としても工夫をしていく必要があると思います。

 それで、次に行きます。

 いろいろと電気料金の仕組みの歴史を調べていくと、託送料金にいろいろと入っているのというのは、かなり何回も何回もいろいろと入っているわけで、託送料金の費用の追加のされ方というのは、これから注視していかなければならない問題だと思います。

 電力自由化が完全に実施されますと、小売料金も発電料金も自由競争になりますので、規制料金というのは送配電網の託送料金だけになるわけでございます。ですから、公益的な費用だからということで追加するとしたら、この送配電網の託送料金にどんどん追加されることもあり得るわけでございます。

 今、電力システム改革や電気料金のあり方の見直しを担当している大臣として、託送料金に今後も追加する上でのルールや歯どめというのはしっかりとやっているんでしょうか。

世耕国務大臣 まさに、今御指摘の言葉の中に歯どめがかかっているんですね。

 全ての消費者が広く公平に負担すべき費用を託送料金により回収できる、これが電気事業法の解釈であります。その根源は、二〇〇〇年に電力小売を部分的に自由化したときに、やはりそういった費用が取れなくなっていく可能性があるということで、当時、審議会で議論をしていただいて、託送料で回収をするというメカニズムを入れていったわけであります。

 ただ、それは、常に全ての需要家が公平に負うことを原則とする、このことが大前提になるわけであります。現在も、例えば離島の発電費用とか、こういうユニバーサルサービスコスト、こういったものは託送料金にいただいています。

 ただ、特定の会社が何かちょっと経営が苦しいからとか、そういうことで託送料に上乗せをするなんということは基本的にできませんし、当然、全ての消費者が本当に広く公平に負担すべき費用なのかどうかというのは、これは経済産業大臣が認可をすることになるわけですから、その際に厳しく査定をしていきたいというふうに思いますし、どんどん何でもかんでもここへ盛り込んでいけば、それはすなわち消費者の電気料金の値上がりということにもつながるわけですから、そこをのべつ幕なしにやるということは、これは政策的なスタンスとして、やることはない。

 厳しく査定をして、全ての人が負担すべき費用をここで回収するしかないという限定的な場合にのみ託送料金に乗せていくということになろうかと思います。

落合委員 これは種類が違いますけれども、同じように公共的な性格を持っているNHKの予算は国会で審議がされて、一応、多数決もとられているわけでございます。

 やはり電気料金も、電気を使わない人というのはほとんどいないわけですので、公平公正に決められていかなければならないということで、今までのような決め方から、やはり電力自由化ですので、国民がある程度わかるように、それから政治家もチェックができるように、そういった体系に見直していく必要があると思います。

 それで、託送料金、なぜちゃんとルールを決めているのかということを確認したかといいますと、福島の原発事故に関しても、追加の費用、そもそもまだ入っていない費用があるわけでございます。それをどうするかということは、これから議論がされるわけです。

 お配りした資料の一枚目を見ていただければと思いますが、これが、福島事故及びこれに関する確保するべき資金の全体像と東電と国の役割分担ということで、金額の試算がなされたわけですが、まさに右側の合計のところに注の七がついておりまして、この注の七は、「帰還困難区域の復興拠点の整備、燃料デブリ等の取り出し以降に生じる廃棄物の処分、中間貯蔵後の除去土壌等の最終処分等に要する資金は含まれない。」というふうに書いてございます。要は、これは、上振れするか、しないかという議論ではなくて、入っていないわけでございます。

 特に、燃料デブリの取り出し以降に生じる廃棄物の処分というのは、これは、廃棄物、デブリを取り出した後にそのまま放っておくわけにはいきませんので、必ず資金がかかる。そして、今の技術ではかなり巨額の資金がかかる可能性が高いわけでございます。

 この燃料デブリの取り出し以降に生じる廃棄物の処分の負担、これはどうやって、いつ決めるんでしょうか。三十年後、四十年後に決めますとなったら、まさに子孫にツケを残すことになってしまうと思います。いつ決めるんでしょうか。

世耕国務大臣 今御指摘のように、今八兆円と見込んでおります廃炉・汚染水対策費用の中には、デブリの、取り出した後の、最終的にどう処分、保管するのかということについては、資金は含まれておりません。

 これはなぜかというと、まだ今なかなか見通せない、デブリの状況も今ようやく初期的な情報がとれ始めているという状況の段階で、実際にデブリがどんな形で、どれだけの分量があるのかというのがまだわからない段階で試算するのはちょっと難しいという事情がありますので、出しておりません。

 しかも、デブリの最後の処分をどういうふうにしていくかということは、ある程度廃炉の作業が進んでいった三、四十年後に大体はっきりしてくるのではないかというふうに思っておりますので、将来的に、資金がどれぐらい必要かということがある程度見通せるような段階になって、その時点でお示しをすることになるんだろうと思います。

 しかし、これは誰がどう負担するのか。

 これは、あくまでも廃炉の費用の一環だというふうに思っています。廃炉費用ということは、すなわち事故当事者である東京電力が負担をする、具体的には経営改革によって負担をする、これが大前提だというふうに思っていまして、デブリ取り出し後の費用についても、東京電力が経営改革、合理化努力によって捻出をしていくことになるんだろうというふうに思っております。

落合委員 三、四十年後からやっと議論を始めるという問題ですので、やはりこの事故というのは本当に大きな問題なんだと思います。

 これだけ巨額にお金がかかって、それから、金額も三、四十年後にやっと最終的な議論が始まる。それから期間も、もちろん今の時点では確定しないわけでございますから、電力会社も経営努力をして負担をしていくわけですし、その原資となる売り上げは消費者が払っているわけですし、それから、今も株主がいるわけです。それから債権者もずっといるわけでございますので、相当いろいろな方の責任の分かち合いがないと、この廃炉というのは行っていくことができないわけでございます。誰か一人の負担でやりましょうというのは無理な話だと思います。

 それで、今申し上げた中で、債権者、とりわけ金額が大きいのはメガバンクですけれども、銀行の責任、これについて大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。

世耕国務大臣 いわゆる銀行の貸し手責任ということになるんだろうと思います。これは、二〇一一年の発災直後から与野党でも大分議論をしたテーマかなというふうに思っております。はっきり言って、貸し手責任というものを一〇〇%やってもらおうと思えば、東京電力を破綻させて、貸したお金が返ってこないようにするというのが一つの方法であったわけですが、当時、これは、野党であった我々も含めて、その選択肢はとらなかったわけであります。

 だからといって、では、金融機関が何の責任も果たしていないかといいますと、やはり今の東京電力の経営を支える責務は果たしてもらっているわけであります。特に貸付金、これをちゃんと、借りかえなどの対応は積極的に行ってもらって、東京電力に対する貸出残高を維持してもらっている、あるいは、場合によっては追加の貸し出しにも迅速に協議に応じる、こういったことが金融機関には要請をされておりまして、こういったことを通して金融機関は一定の責任を果たしているのではないかというふうに思っています。

 先日、原賠機構と東京電力が発表した新々総合特別事業計画の骨子においても、金融機関に対してはそのような要請を行うという表現が入っているわけでありますから、引き続き、金融機関の責務というのは重いと思いますし、経済産業省としても、金融機関がしっかりと責任を果たして、機構と東電が特別事業計画をしっかり履行できるように注視をしてまいりたいというふうに思います。

落合委員 参考までに参考人に伺えればと思いますが、有価証券報告書には年次ごとの支払い利息というのが明示されていると思います。

 東電の福島の事故以降に払った利息というのは、合計で幾らなんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機関からの借り入れに対する支払い利息に加えまして、金融機関や機関投資家からの社債に対する支払い利息も合わせまして、全体の支払い利息につきましては、東京電力の有価証券報告書によりますれば、平成二十三年度以降、平成二十七年度までの五年間で、累計で約五千四百六十億円となっているところでございます。

落合委員 これだけ経営が、傾いていると言ったらあれですけれども、厳しい中で、五千億円、二十三、二十四、二十五、二十六、二十七の五年間で払っているわけでございます。

 これは、大臣がおっしゃった、事故直後に金融機関の責任のあり方を議論したということで、私もそのときのものを見させていただきましたら、事故があった年の十月ぐらいに方針が決定をされていると思います。そのときはまだ、三月に事故があって十月ですから、半年ちょっとしかたっていないわけで、事故のあった原子炉自体も収束宣言がされていないときでございます。だからこそ、やはり金融機関には引き揚げられたら困りますし、責任の話をしているような余裕もなかったわけでございます。

 今、冒頭申し上げたとおり、総理大臣が福島の事故について言及しないぐらいの新たなステージに入ったという状況の中で、もう一回金融機関の責任というのは議論するべきではないですか。少なくとも、全部債権放棄というのはやり過ぎですけれども、金利を五年間で五千億金融機関に払っている、この状況をしっかり議論しなくて、国民の税金や電気料金や、そういったものを充てていいんでしょうか。

世耕国務大臣 国民の電気料金とおっしゃいましたが、金融機関の貸しているお金も国民の預貯金なんですね。ですから、一定の利息を払うという合理性はあると思いますよ。

 これは私、今ちょっと具体的な数字は持っていませんが、東京電力が五年間で五千億ちょっとということは、一年平均の支払い利息が一千億ですから、あの規模の会社で、あれだけ借入金をやっている会社で、決してすごく高い利息ではない。恐らく震災前はもっと払っていたと思いますよ。銀行から見たら、東京電力というのは結構いいお客さんだったと言われていますね、大体。電力会社というのは、長期資金を貸し付けるには非常にいいお客さんだというふうに言われていますから、それと比べれば、恐らく、借りかえ等を行って、最低限の利息というレベルになっているのではないかというふうに思います。

 東京電力はこれからも、賠償、廃炉を含め、それ以外にも、首都圏に安定的に電力を提供するという意味でいろいろな投資資金が必要となるわけでありますから、そこをやはり金融機関が低い金利でお金を貸し付けて、安定的に資金面でバックアップをするというのは、これこそが金融機関にこれから果たしていただく責任ではないかというふうに思っています。

落合委員 これだけ大きい規模ですけれども、そもそも大企業向けの貸出金利は、かなり今、さらに低くなっているわけでございます。

 やはりこれは、非常事態というか、普通の会社ではない状況なわけですから、責任の問題というのは、事故直後に話し合って決めたことでいいということにならないように、ある時期にもう一回考え直すべき問題だと思います。

 東電のメーンバンクは、実は私がもともと在籍していた銀行なので非常に苦しいところなんですが、銀行の社会的な責任というのはやはり大きいわけですので、しかも、メガバンクだからこそリスクを吸収できるという点もあると思います。ですから、そういった意味で、メガバンクも公の役割も担っているわけですから、ぜひ何らかの時点で債権者の責任についても再び議論を始めるということを求めたいと思います。

 それでは、次の話題に入らせていただきます。

 昨年も質疑で取り上げさせていただきましたが、昨年、送電線の火事があって、東京を中心にそれなりに大きな停電がありました。いろいろ調べてみると、三十五年だかたっている電線で、そういうインフラをかえていく需要がかなりあるんだ、電力の面だけではないですが、電線もそういう時期が来たんだということがそのときも言われておりました。

 それから、これも私は質問で取り上げましたが、昨年の四月から電力自由化が始まって、新電力に小売をスイッチするということに当たって、最大で恐らく二万件ぐらいシステム障害が起こったと思います。これもそれなりに大きな障害が起きたわけです。

 まず、このシステム障害、去年の秋ぐらいの状況では二万件ぐらいもあったわけですが、今、それから半年たってどうなっていますでしょうか。

中川大臣政務官 今、落合委員に御指摘をいただきました、昨年四月から発生をしました、東京電力のパワーグリッド社の電気使用量の通知が遅延した件についてですけれども、その二カ月後の昨年六月に電力・ガス取引監視等委員会から業務改善勧告を行いまして、正常化に向けて指導してまいったところでもあります。

 その結果なんですけれども、昨年九月には、新規の検針分は七営業日以内の通知がほぼ実現をされまして、また、過去分の未通知もほぼ解消されたところでもあります。

 さらに、本年に入りまして、二月以降は、需要家のお申し込み内容の確認に時間がかかるケースなど、やむを得ない場合を除きまして、本来のルールである四営業日以内の通知がおおむね実現しつつある状況でもあります。

 引き続き、正常化に向かってしっかりと指導してまいりたいと考えております。

落合委員 老朽化による電線の火事もありましたし、こういうシステム障害もあったわけでございます。

 電力完全自由化になりますので、これからもそういうスイッチングですとか競争が激しくなる。発電分野も、それから小売分野も、新規参入が出てくるわけでございます。送電線への負荷というのはよりかかるようになるわけです。

 設備投資、システム投資、これは、ある程度というか、これまで以上に確保しなければならない問題だと思うんですが、これまで東京電力の送配電網会社、送配電部門が、システム投資また全体の送配電網への投資、どれぐらい投資を行ってきたか。どう把握されていますでしょうか。

中川大臣政務官 今御指摘いただいた点につきましては、本来でしたら東京電力の方が答えていただくべき話なんだろうというふうに思いますけれども、東京電力の公表資料によりますと、流通設備への設備投資額、二〇〇〇年以降ですけれども、年間およそ二千億円から三千億円程度の間で横ばいで推移をしております。

 一方で、東京電力のシステムへの投資額については公表されておりませんで、また、いわゆる東京電力パワーグリッド個社の、例えば経営事項にかかわる事項でもあるので、私どもの方からお答えすることは困難であると考えております。

落合委員 まあこれは本来東京電力に質問するべき問題ではありますけれども、こういった東京電力の経営改革の計画、それから、電力システム全体の制度をつくっていく上で大変重要な問題ですので、その制度をつくっている側がしっかり把握しているかという面で質問させていただきました。

 今後、二千億から三千億の投資をふやしていく計画になっているのか、減らしていく計画になっているのか、それはどのように把握されていますでしょうか。

世耕国務大臣 それこそ、東京電力が事業計画としてみずから考えていく問題だというふうに思っています。

 ただ、この間の火災による停電事故を受けまして、私もずっとケーブルをやっている会社にいましたから、その感覚でいくと、例えば、少し防火対策の投資が足りないんじゃないかなという気はしたものですから、これは、東京電力グループに対してしっかりとそういう対策は打つようにということを指示しているわけでありますから、それに対応した対策が東京電力によって行われることだというふうに思っています。

落合委員 対策を行うべきというようなことでございましたが、先ほどの繰り返しにもなりますけれども、やはり規制料金というのは送配電網会社しか残らないわけで、その中で年間、全体で五千億の利益を出していきますということになると、送配電網に対して過少投資になるリスク、懸念というのは大変あると思います。

 それで、それをしっかり審議会等が認識しているのかというふうなことでいろいろ調べたんですけれども、それも認識がされていまして、二〇一五年度中間レビューをもとに作成したという東京電力改革・一F問題委員会の第一回資料の中に、自由化を支える業務、システム基盤に脆弱性があるというふうに書いてあって、送配電のネットワーク利用環境の高度化が取り組み不十分というふうに、一Fの委員会がそういうふうにしっかりと書いているわけです。

 ですから、これは、しっかりと注視して、投資もして、システムも整備していかなければいけないという御認識でよろしいですね。

世耕国務大臣 まさにその一F委員会の議論は、火災が起こった割と近接した時期にたしか開かれたというふうに思っていますから、そういう問題意識で御指摘もあったんだろうというふうに思います。

 いずれにしても、この託送料金というのは、総括原価主義で我々が認可する料金でありますから、この総括原価には、当然そういったネットワークの維持保全の費用というのは入っているわけであります。しかし、一方で、その部分を合理化することによって利益を生み出した場合は、その一部を廃炉費用に回すことができるという仕組みになっているわけです。

 ただ、それは、合理化といっても、本来保安上やるべきことをやらないような、これははっきり言って合理化ではなくて手抜きだと思いますから、真の意味での合理化、例えばロボットを使うとか遠隔監視のメカニズムを充実させるとか、そういうことによる合理化は我々は歓迎し、そして、それで生まれた分は廃炉費用に回るということはいいことだというふうに思いますが、本来やるべきことをやらないようなこと、そういうことは絶対に起こらないように目を光らせていきたいと思いますし、去年の火災による停電事故を受けて、特に東京電力に対しては、東京電力だけではなくて他電力も含めて、そういったところの投資を怠ることがないようにということは厳しく指導しているところでございます。

落合委員 これは、中長期的な電力システムを考える上でも非常に重要なことだと思います。したがって取り上げさせていただいたんですが、先ほど政務官から、二、三千億ぐらい投資をしていますということですが、重要な問題なので、東京電力が出している実際の投資金額を資料でつけさせていただきました。重要なので説明をさせていただければと思います。

 まず、二番の資料です。

 これは、二〇一一年に事故があったので、投資額は、その一、二年は微増をしています。これはちょっと色が見にくいんですが、一番下にある濃いものが発電設備への投資、その上にあるのが流通系の送配電への投資でございます。

 ただ、発電設備への投資がかさんでいるので、送配電設備への投資はふえていないのが現状でございます。実際の金額は流通計というところに書かれていて、微減してきているということでございます。一五年度は微増していますが、震災後、一二年から一四年は減ってきている。二〇〇〇年を見てみますと、二倍ぐらい送配電網に投資をしているわけでございます。

 もっと前はどうだったのかということで、三枚目の資料ですけれども、これも色が見にくいんですが、下の段が発電系への投資、その上の、真ん中のところが流通系、送配電網への投資です。二十年前と比べると、数分の一まで今減ってきているわけでございます、この流通設備への投資。これぐらい中長期的には減ってしまっている状況の中で、さらに経営の合理化をしていくというのが今課されている現状なわけでございます。

 今、サイバーセキュリティーの問題も、これから恐らくもっともっと出てくると思います。それから電力自由化も進んでいきます。これは、どんどん投資をしていかないと、電力システム自体の不安定化も生んでしまう。

 こういう中で、どんどん利益を積み立てていきましょうという今回のスキームと、電力自由化、それから電線、送配電網の公平性、この二つは両立できるんでしょうか。どうですか、大臣。

世耕国務大臣 当然、自由化と両立をしていかなければいけないと思います。

 東京電力は、昔、いわゆるケーブルにたくさん投資をしているじゃないかという御指摘であります。それは、数字として、事実こうなんだろうというふうに思います。

 ただ、これもよく要因を分析しなきゃいけないと思います。やはり、地域独占にあぐらをかいて少し冗長な投資をしていた面もあるのかもしれません。それはちょっとまだ私も今要因分析はできませんけれども、ようやく競争が入ってきて、あるいはあの過酷な事故を経験して、その処理のための費用を捻出しなきゃいけないということで、その辺をぐっと絞ってきているという可能性はあると思います。

 ただ、やはり電力の安定供給に支障があってはいけません。競争環境の中でも託送料金に認可制を残したというのは、そういう趣旨も含んでいるというふうに思います。

 ですから、東京電力がやるべき合理化はしっかりやりながら、しかし、電力の安定供給に悪い影響が出ないように、この間の火災を受けて、我々の方も厳しく指導しています。ケーブルを難燃性の新しいものにかえるとか、あるいは難燃カバーでカバーして、火が燃えても大丈夫なようにするとか、万が一火災が起こったときに、すぐバックアップに切りかえられるようなバックアップルートをつくるとか、スプリンクラーを置くとか、いろいろな対策をこれから東京電力もやっていくと思います。

 そういったことは、当然、電力自由化の流れの中でもしっかりと担保されなければならないというふうに思います。

落合委員 東電から利益を捻出していくことと電力の自由化、これは本当に状況をしっかり見ていかなければならないというような、バランスが非常に難しい問題だと思います。

 そもそも、電力自由化の議論に当たって、送配電部門だけが競争にさらされない、ほかは競争にさらされてしまうので、送配電部門だけ分離した方がいいんじゃないかというような議論もあったわけです。所有権分離の議論もあったわけですけれども、これは、我が国の電力システム改革においては、法的分離ということで決着をいたしました。持ち株会社の下に発電と送配電と小売をぶら下げていくということで決着をしたわけでございます。

 送配電網会社がしっかりと電線を整備して、なおかつ新しい発電会社それから小売会社にどんどん開放していって、そういう状況をつくらなければいけないんですが、まあ、大臣はそうならないようにするとおっしゃいましたが、いろいろと難しい問題がある。先ほどのシステム障害、火事、それから、電線が足りないから発電業者が新規参入が難しいというような問題も起きているわけでございます。

 最近、北海道の風力がなかなか建設が難しい状況であるということで、私もいろいろ調べたんですが、本州に北海道から流す連系線、これはもう容量がいっぱいで使えないのかなというふうに思ったら、調べてみますと、震災の前の年に北海道から本州へ広域連系線を使って流した電力が九万七千二百キロワットなんですが、今はその六分の一以下で、一万四千六百キロワットしか北海道から本州に送電がされていません。

 本当はどれぐらい流せるのかなというと、震災の年は、二〇一〇年と二〇一一年で比べると、四倍多く二〇一一年は流している。一方で、二〇一〇年の六分の一以下しか、今、北海道から本州へは流していないわけです。

 ただ、これは容量がいっぱいだから流せないというような話もあるんですけれども、何で北海道から本州に電気が流せないのか。流せるようになれば、北海道の発電施設をいっぱいつくれるわけですけれども、これは何で使っていないんでしょうか。

中川大臣政務官 今、落合議員御指摘いただいたのは、やはり本当に、これから風力というものが、どんどん再生可能エネルギーがふえていく中で、そういった北本連系線のことについての御指摘なんだろうというふうにも存じております。

 私たちは、系統制約というのを解消しつつ、地域間での連系線も利用しながら、広域的な融通を行うことは非常に重要だろうというふうに考えております。

 その上で、今御指摘をいただいた、北本連系線の利用量が低下しているという御指摘についてなんですけれども、震災後の電力不足というのは当然ありまして、そのときにはやはり、緊急時に電力の融通をすることで停電を回避するために必要な送電網を利用したために、平常時に比べて東日本大震災のころは相対的に利用量が多くなっているものだったと承知をしております。

 なお、その上で、平常時である平成二十八年度においては、およそ七〇%の利用率となっておりますので、必ずしもその利用率が低いとは認識をしておりません。

 その上で、加えてなんですけれども、この北本連系線につきましては、来年度中をめどに、現状の六十万キロワットから九十万キロワットに拡大をするべく、現在、増強を進めているところでもあります。また、一昨年の電力広域的運営推進機関を設立しまして、二〇二七年度をめどとして、東北と東京間及び東京中部間の連系線の増強も行っているところでもあります。

落合委員 これは、今答弁で微妙に、利用量と利用率と両方出てきているわけですが、要は、利用量は少ないのに利用率がふえているというような、おかしい事態が起きている。これは恐らく、運用の仕方とか計算の仕方とか、そういうものを微妙に変えたんだと思います。

 特定の発電のために送配電網がうまく使われるようなことがあってはならないのが本来の筋ですから、これは重要な問題だと思います。だから、これを例にとったわけです。

 更問いするとちょっと時間がかかってしまうので、これは重要な問題として、何で広域連系線の利用量が減っているのか、それなのに、一方、何で利用率がふえているのか。これについては改めて取り上げたいと思います。

 こういう意味で、なかなか東電にもうけさせることと公平公正な電力市場というのは難しいんですよ。だからこそ、厳しくチェックをしなければならないと思います。

 それから、企業価値について質問したいんですけれども、大臣の答弁を見てみますと、二〇三〇年代前半に株を売却できたらいいな、それが目標ですと。時価総額が今七千億ぐらい。もともとは五兆円ありました。それを七・五兆円にするのが目標ですということです。

 これは、五千億の利益を外に出す、積み立てとして外にどんどんどんどん出していくのに、どうやって株価を十倍にするのかというのが一つの大きな論点だと思います。

 今まで、株価を十倍にした企業はたくさんありました。そもそも資本市場が乱高下していて十倍になったところもありますし、しっかりリストラして、しかも売れる商品をつくって十倍にした、カルロス・ゴーンさんの例も出されていましたけれども、そういう例もあります。でも、それは、利益を外に出すといったような仕組みのある会社ではありません。利益を出したらそのまま会社に内部留保でためることができる、だから株価を上げることができたわけです。

 今回は、同じようにコストカットをしたとしても、その利益は外にどんどんどんどん出ていくわけで、企業の中にはたまっていかない。そんな中でどうやって十倍にするんでしょうか。これは、感覚として、無理だというふうに思いませんか。どうですか。

世耕国務大臣 この委員会でも何度も答弁させていただいていますが、かなり野心的な目標であることは間違いないというふうに思います。しかし、無理だとも思いません。

 東京電力が五千億を捻出して、それを廃炉費用に充てていかなければいけない、廃炉、賠償に充てていかなければいけない。

 一方で、東京電力には、私は、まだ五千億円を上回る利益を生み出すだけの能力、技術があるというふうに思っております。ほかの電力会社とのいろいろな共同事業や、あるいは、これから、今まで全く手つかずの分野ですが、日本の電力システムそのものが海外へ出ていく、これもまだ全くやっていないんです。これをやり出せば、途上国向け、特にこれから成長著しいアジアのマーケットというのは非常に日本がとっていける可能性がある。

 そういうことにチャレンジすることによって、この野心的な目標をぜひ東京電力に達成してもらって、これから、まだはるか先ではありますが、二〇三〇年代前半には、もともと五・六兆円の時価総額をつけていた会社でありますから、その会社が七・五兆円になるのは、野心的ではあるけれども、あながち無理なことではないというふうに考えています。

落合委員 それで、法的分離の状況で公平公正な競争もしながら利益も上げて株価も上げていくと。目指さなきゃいけないですけれども、本当に可能性が低いところを目指している、本当に野心的なことをおっしゃっているんだと思います。これは、金額が大きいですので、失敗したらまた新しい負担のあり方も考えなきゃいけないわけですから、非常に重要な問題だと思います。

 最後に、今回の審議で何人かの方が取り上げていらっしゃいましたが、財界ともかかわりが深い日本経済研究センターが、事故処理費用が二十一・五兆ではなくて、五十兆から七十兆になるおそれがありますというレポートを、財界とのかかわりの深いシンクタンクでさえも出しています。このレポートは、事故処理費用の問題だけじゃなくて、広範に発電コストの試算についても述べていまして、しっかり計算すると原発は石炭火力やLNG火力よりも高いんだ、最安ではないというふうに書いています。

 今まで政府は、原発は最安ですと言ってきました。今回、これだけいろいろな方々に負担をお願いするという状況なわけですから、せめて原発の発電コストぐらいは、大体こんな感じではなくて、しっかりと説得力ある形で発電コストを見直すべきじゃないですか。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘の日本経済研究センターの試算でありますけれども、これは国が今示している試算とは相当異なる前提になっていまして、単純に比較はできないというふうに思っています。

 特に違いが大きいのは汚染水処理費用です。日本経済研究センターは、何と二十兆円かかると試算をされているわけでありますが、その前提として、汚染水処理に際してトリチウムを分離することにしているんです。ただ、トリチウムの分離については、昨年、国の有識者会議が取りまとめた報告書において、直ちに実用化できる段階にある技術が確認されなかったというふうになっておりまして、国がお示しした数字においては、トリチウムの分離は前提としていないわけであります。

 何で日本経済研究センターがこういうのを出されたかというのは、はっきり言って私も若干クエスチョンマークでありますけれども、ここは大きな乖離があるというふうに我々は認識をしている、基本的に考え方が違うというふうに思っております。

 その上で、原発が高いのか安いのか。これは、我々は、民主党政権時代にも試算をされた方法を踏襲しながら、今、キロワットアワー当たり十・一円以上という結果を得ておりますし、ここからさらに、いわゆる感度分析といって、この後費用がふえたらどうなるのかということも調べましたけれども、費用が一兆円増加した場合にキロワットアワー当たり〇・〇一円から〇・〇三円増加する、こういう試算も提示をさせていただいています。

 その上で、やはり引き続き、原発というのは、キロワットアワー当たりの費用は他の発電源に比べて安いという形になっているというわけでございます。

落合委員 もう一問更問いしたかったんですが、残念です。

 これは、稼働率七〇%で計算がされている等、いろいろと前提条件が政府の試算もおかしいところがたくさんあるわけです。だからこそ、負担をお願いするのと同時に、しっかりと計算をし直すべきだということを私は求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民進党の近藤洋介です。

 早速質問に入ります。まず最初に世耕大臣に伺います。

 安倍政権が策定した現行のエネルギー基本計画では、原子力は重要なベースロード電源とこう位置づけられています。これまで、我が国の原子力事業、すなわち、燃料の調達から原子力発電、そして、再処理を含めたバックエンドなど一連の原子力の事業は、政府が推進し、民間事業が運営する、いわゆる国策民営と呼ばれてきました。現時点でも安倍政権はこの方針に変わりはございませんか。

世耕国務大臣 日本においては、原発の運営に関しては、国がまず安全性や適切な事業運営を確保するという観点から、制度の整備ですとか規制の実施を行う、そして政策の方向性の決定の役割を担う。一方で、原発の運営自体は民間事業者が責任を持って行うとしてきたところであります。これを政府として国策民営と言うわけにはいかないんですけれども、今後もそうした役割分担を変える必要はないと考えております。

近藤(洋)委員 電力関係者はこのやり方を称して、いわゆる国策民営方式、こういうふうに広く意識をし、この言葉を使っているということをあえて委員会の場で私は申し上げたい、こう思うわけであります。

 さて、続いて大臣にお伺いします。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、エネルギー基本法では、別紙にございますように、基本計画について、少なくとも三年ごとの検討、見直しを定めております。

 これまで、東日本大震災など非常時を除けば、三年間で基本的に見直し作業を進めてまいりました。現行計画は平成二十六年四月スタートでありますから、本来ならことし四月から新計画が始まってもよいわけでありますが、現在はそうではありません。

 さて、そこで伺います。現在、具体的に審議会等でこのエネルギー基本計画の見直し議論を始めているかどうかという確認と、未着手であると私は認識しておりますが、それならば、いつ、どのような形で策定に着手をするのか。

 そして、加えて伺います。現行計画では、二〇三〇年の原子力発電の比率を二〇から二三%、こういうように規定しておりますが、世耕大臣は現時点で原子力発電のこの比率について見直しをする必要性を感じていらっしゃるかどうか、お答えいただけますか。

世耕国務大臣 ちょうどきのうが、エネルギー基本計画、前のものを策定してから三年、ジャストきのうが三年ということになります。そういう意味で、法律上の検討の時期に来ているというふうに思います。

 御指摘のように、まだ着手していません。というのは、どういう体制でどういう方々の御意見を伺いながらやるのがいいのか。今、特にエネルギーを取り巻く情勢としては、資源価格がかなり前から変動をしております。あるいは再エネの導入も、これは世界的に拡大が進んでおります。それと、やはりもう一つ大きいのは、パリ協定発効による温暖化対策、これに関してもきちっとした視点を持っていかなければいけない。そして、きのうもあの閣僚会議で決めさせていただきましたが、やはり、水素社会という大きなテーマが前面に出てきている。

 こういった情勢を幅広く視野に入れながら、まずしっかりとどういう体制で検討するかということを少し今検討を、検討をどういうふうにやればいいかということを検討しているという段階であります。

近藤(洋)委員 そうすると、検討のための検討、こういうことでありますが、加えて聞きますが、基本的にこの基本法では、少なくとも三年ごとに検討を加え、必要があると認めるときは変更しなければならない、このように法文で書いておるわけであります。

 ですから、そうなると大臣、やはり、新年度になりましたから、ことしの秋ぐらいにはある程度具体的なものを出して、来年度の四月に向けての策定に動き出すのかなと想像するわけですけれども、そういうスケジュール感なのか。それもまだお答えられない状況なのかということと、あと、加えてもう一点、先ほど伺いましたが、原発の比率でございます。

 現時点では、原子力発電所は数基しか稼働していない現状であります。三年前の計画では二〇から二三ということでありますが、そこにはまだ至っていないわけであります。

 三年前計画した数字、二〇から二三というのは、これは二〇三〇年の数字ですけれども、それにしても、足元は原発の稼働状況は非常に低いわけでありますが、三年前から現在に至って、この原子力発電所の比率について見直すべきかという現時点での大臣の御方針があれば、お答えいただけますか。

世耕国務大臣 エネルギー基本計画の検討については、いつ着手し、いつごろ結論というのは、これはまだ今の段階ではちょっと明確に時期はお答えできない。いずれにしても、法律に沿ってしっかりとやっていきたいというふうに思います。

 それとあと、原発の依存度も含むエネルギーミックスでありますけれども、これはまだ一年半前に決めたばかりでありますから、まずはその実現に全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

 ただ、当然、エネルギー基本計画の見直しの中で何か最終的結論として大きな変更とかがあった場合は、それは、見直す可能性は否定はいたしません。

近藤(洋)委員 あえて言うと、我々民進党は、やはりこの原子力については政府とは大きく違うわけであります。具体的な数字も、野党ですから数字についてはなかなかデータを持ち得ないわけでありますけれども、しかし、方向としては政府とは明らかに違う。

 すなわち、原子力発電所の比率は低減していくというベクトルは相当明確に示しているわけでありまして、ただ、政府・与党の、与党というか政府の姿勢は、低減すると言いながら低減していない。どちらを向いているかよくわからない言いぶりをされているものですから、やはりそこははっきりと国民に対してもお示しする必要があるのではないかということを、きょうの時点では強く申し上げておきたいと思います。この議論はまたさせてもらいたいと思います。

 さて、原子力についてもう一点大事な話、機構法は原子力の話ですから伺いたいんですが、資料の二であります。

 原発の再稼働をめぐって各地で裁判が起きているわけでありますが、その中で、大阪高裁はことし三月二十八日に、福井県高浜町にある関西電力高浜原子力発電所三号機、四号機の運転を差しとめた大津地裁の仮処分決定を取り消す判決を下しました。新規制基準について判決は、最新の科学的、合理的基準、知見に基づいていると合理性があると認定し、両基が新規制基準に適合していると安全性を認めたわけであります。

 まず大臣にお伺いしたいのは二点です。この判決をどう受けとめているかということと、あわせて、そもそもこの本件でありますけれども、地方裁判所によって、民事保全法に基づいて、審尋、いわゆる審査が行われて裁判所の運転停止命令が下されたわけでありますけれども、そもそも、専門家の知見を集めて定めた政府の規制委員会の基準が、まず一審において真っ向から否定をされたわけであります。それによって発電所の稼働が停止になった。

 私は、司法の判断というのはこれは重要だと思いますが、しかし、この民事保全法というものが、そもそもこういう原子力発電の再稼働という極めて専門的なものを想定しているのかというと、どうかと思うわけであります。これは制度上の問題ではないかとも思うわけであります。

 これはやはり、知的財産もそうなんですけれども、知的財産は、知財高裁ということで最初から高等裁判所からやる、こういう制度になっているわけでございまして、例えばこういった問題も、やはり、高等裁判所からきっちり時間をかけて専門家で審議するという、しっかり制度も整えるべきではないかとこのように考えるわけですが、大臣いかがでしょうか。

世耕国務大臣 まず裁判への受けとめということでありますけれども、これは民事でありますので国が直接の当事者ではないということで、司法判断に対するコメントは差し控えたいですが、事実として、その決定の中で、新規制基準は不合理なものとは言えないというふうにされたというふうに承知をしております。

 関西電力におかれては、この原発の再稼働に向けて、安全最優先で、立地自治体を初めとした関係者の理解を得ながら、最善の努力を尽くしてほしい、まずそのように考えております。

 その上で、今回の裁判のそもそも枠組みですけれども、民事保全法に基づく仮処分制度そのものに関しては、経産省としてはちょっとお答えするには権限を越えてしまいますのでコメントは差し控えたいと思いますが、やはり今回のような差しとめ訴訟においては、当事者である電力事業者が訴訟で十分な説明を行うことが重要ではないかというふうに思っております。

 その上で、今回の高浜の三、四号機を初め、最近、運転差しとめ訴訟がいろいろと提起をされていますが、そういった裁判については特定の裁判所の専属管轄にすべきだというような議論、今御指摘のような議論ですとか、あるいは、行政訴訟に一元化すべきだという意見があることは承知をしております。

 しかし、一方で、一連の差しとめ請求は、憲法上の人格権を根拠に訴えられているという面がありますので、手続面も含めてこうした憲法上の権利の制約ということについては、極めて慎重な扱いが必要であるという意見もあるということには留意をしておく必要があるのではないかと思います。

近藤(洋)委員 大臣がおっしゃるとおり、それは憲法上の留意は重要、しかし権利の濫用でも困るわけで、それはやはり交通整理をして、しかし、しかるべきところでしっかりとやはり裁判をするということが必要だ。多分、問題意識は共有していただけるんじゃないか、このように思うわけであります。

 さて、話題をかえたいと思います。けさの新聞を見ますと、一面記事はもう全て東芝一色であります。各紙、朝日、読売、毎日、日経、全て東芝の決算を取り扱っております。

 そこで、やはり大臣にも伺います。

 昨日、東芝が、監査意見なし、いわゆる意見不表明のまま決算なるものを、私に言わせれば、決算なるものを発表いたしました。二度の決算の延期をしてこの事態は、極めて異常であります。これは非常に異常事態だ、こう思うわけであります。

 ライブドア事件では、有価証券報告書への虚偽記載、証取法違反の罪で刑事事件となり、上場を廃止されたわけであって、そして経営者は有罪、こうなったわけであります。

 東芝のいわゆる不正経理、場合によっては粉飾の疑いが濃厚なこの問題も、なぜこのようなことになったのかというわけであります。

 今回の東芝の不適切な会計は、長期間に及び、かつ、額も二千億円を超えるということであります。これが粉飾と呼ばれず、刑事事件にもならず、しかも現在に至るというのも極めて不透明、不自然であるとの指摘が市場関係者からも高まっております。法律の運用のあり方としても、投資家保護の観点からも、日本市場の信頼性の観点からもこれは問題ではないかという指摘もございます。

 そこで大臣にお伺いします。

 経済産業省も、世界から投資を呼び込むということから、日本の市場改革を訴える立場だろう、こう思います。安倍内閣の重要閣僚として、東芝の決算をめぐる状況、どのように受けとめていらっしゃいますか。

世耕国務大臣 まず、東芝が今回の事態に至った原点には、長期にわたって有価証券報告書などに多額の虚偽記載が行われるというような問題があったわけであります。これはまさにガバナンス上の問題でありまして、日本企業のコーポレートガバナンスという点については、これは、外国の投資家を初め、いろいろな問題点が指摘をされてきたわけであります。

 その中でも東芝は、比較的早い段階から委員会設置会社になるなど、コーポレートガバナンスに関しては先進的な取り組みをしているというふうに私も理解をしておりましたが、その会社においてこういうガバナンス上の問題が発生をして今日に至っている、こういう事態に至っているということは、極めて遺憾であります。

 やはり、日本の企業に対する海外からの信頼にもかかわる問題だというふうに思っていまして、こういう企業においては、十分な情報開示ですとかガバナンスの実効性の確保、形だけ委員会設置会社になるのではなくて、本当に実効性のあるガバナンスをしっかりやっていくということが重要だというふうに考えております。

近藤(洋)委員 大臣、これは企業のガバナンスの問題でもあると同時に、これは金融庁の世界でもあるのであえて大臣に申し上げませんが、そういう企業の上場をずっと許していていいのかという問題、また、こうした状況を、ある意味でいえば、野放しというか、放置していていいのかという問題、これは、市場の健全性の問題、日本市場の問題、そして、その市場を管轄している政府の問題にもなる。それは日本政府のガバナンスの問題も問われているのではないかという問題意識を私は持っているということであります。

 これは経済産業省の所管外でありますから、まさにこれは麻生金融担当大臣の話でありますので、あえてここでは問いません。

 さて、先日の東芝に関連してですけれども、経済産業委員会で取り上げさせていただきました。今井総理大臣秘書官と東芝幹部社員田窪昭寛氏との関係について質問をいたしました。四月十八日号の週刊文春に、その関係について先週号の週刊文春に大きく報道をされております。資料にもございますように、見出しは、東芝原発大暴走を後押ししたその背景についてということで書かれておるわけであります。

 さて、この見出しのとおり、今井秘書官が東芝の海外原発事業を強力に後押ししたというのは事実かどうか、ここを確かめたいわけであります。残念ながら水曜日は確かめることができませんでしたので、長官、改めて伺います。

 田窪氏と今井総理秘書官がエネルギー庁次長時代に何度面会し、何度会食し、どのような内容を話し合われたのか。聞き取り調査の上、この場で事実関係を明らかにしていただけませんか。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 原発輸出の件ですけれども、当時、民主党時代に、震災前、菅内閣において、原発輸出は、これは日本の貢献として推進しようという方針が一回確認されました。

 その後、震災後、政府の中で、私も携わっておりましたけれども、いろいろな議論があり、最後は、相手国の方の要請があるとするならば、それに対して、日本が福島事故後の教訓あるいは経験を浸透させる上で応えていくという形での方針が明らかになったというふうに記憶をしております。

 したがいまして、この原発輸出につきまして、今御指摘ありましたけれども、当時の資源エネルギー庁は、個々人がどうかということではなくて、その政権の中の基本的な方針に沿いながら、資源エネルギー庁の組織として、原発輸出につきましてさまざまな行政の遂行に取り組んできたという事実はあろうかと思いますし、今御指摘のあります今井総理秘書官も、当時エネ庁の次長でございましたから、当然、そうした政府の方針の中における原発輸出の関連業務について取り組んでいたという事実はあるかと思っております。

 ただ、一方で、この週刊誌の記事について、私は真偽のほどを確かめるすべもないので個別具体的に申し上げることはできないんですけれども、個々具体的なプロジェクトについて具体的に当該国がどの企業をどう選ぶのかという局面になりますと、これはあくまで相手国と経営者の判断という議論になっておりますので、我々としては、エネ庁として特定の企業を特に支援して後押ししたという事実認識はございません。

 したがいまして、要すれば、原発輸出を含む原子力政策は個人的なやりとりが左右したというふうには認識しておりませんし、それから、今井秘書官と田窪氏とのさまざまなやりとりについてそうした報道があるという議論は、私も読ませていただきましたけれども、御指摘のような根拠も示されていない中で、個別具体的に面会等について確認するという必要はないというふうに考えてございます。

 いずれにしましてもエネルギー政策は、組織として、政権の方針に従いながら誠実に遂行しております。そうした原理原則の中で、我々は今この問題についてはそういうふうに認識をしているということでございます。

近藤(洋)委員 長官のおっしゃるとおり、方針としてそのように取り組まれていたのは全くそのとおりだと思うんです。

 ただ、確認です。今井秘書官に、田窪氏と何回次長時代に会われて、どのような会合をしたのかということは、問い合わすすべもないとおっしゃいましたが、今井秘書官は政府内の人間でありますから、特別職とはいえ国家公務員でありますから、すべがないというのはどういうことですか。問い合わせをされたのですか、されないのですか。された結果、答えなかったのかどうか。その事実だけでもお答えいただけますか。どうぞ。

日下部政府参考人 すべがないというよりも、先ほど申し上げましたように、この会食によってどうした問題が生じたのかということについて具体的な根拠も示されていないというふうに認識をしておりますので、そうした状況の中では、今井秘書官に対して、個別に会食を何回したのかとか、そうした議論について調査をする必要はないと考えて、結論から言いますと、その今井秘書官に対する調査はしておりません。

近藤(洋)委員 必要がないというのは長官が判断するんじゃなくて、私が判断して、委員会として聞いているんですよ。何をおっしゃっているんですか。勘違いされておりませんか、長官。これは前回の委員会でも聞いているんですよ。そして、週刊誌報道でもされているから、加えて聞いているんです。

 では、加えて言いましょうか。今井総理秘書官は、この週刊誌の報道が出たその後に、番記者、いわゆる総理担当記者に対して、数社集めて、このようにオフレコ懇談という形で答えていることが流れております。

 それによりますと、この会談、田窪氏と三十回会ったこと自体は認めておられます。ただし、彼は、確かに原発輸出にはかかわったが、審議官時代までであって、自分はエネルギー庁次長時代は震災対応に忙しく、原発輸出にはかかわっていない。そもそも東芝が破綻したのは、原発のみに頼ったからであって、これは経営の問題である等々、弁明をされているようであります。

 随分文春のストーリーとは違うわけでありますが、ただ、いずれにしろ、今井総理秘書官がマスコミに対して、オフレコという形にせよ、対外的に発言しているらしいということが流れているのは事実であります。国会に対して答えずに、なぜ番記者に答えているのか。

 長官、そもそも私は長官に対して、この国会の場でも、調査をするように要請をしました。なぜ要請をしなかったのか、問い合わせもしていないのか、理由をもう一度答えてください。隠蔽ですか。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のこの件につきましては、先ほど申し上げましたように、原発輸出の政策自身はエネルギー庁全体の組織として対応してきており、かつ、個別のプロジェクトがどこにどういう形で決まっていくのかという議論については、我々の認識はあくまで経営判断だという考えでおりますし、その事実は変わらないと考えております。

 一方で、今井秘書官がどういう形で何回会食をしたのかという点につきましては、具体的に、どうした問題が生じて、どういう根拠でそれが述べられているのかということが明らかでない以上、それについて調査の必要はないと我々は考えたということでございます。

近藤(洋)委員 だから、必要がないと長官が考えるのは、そちらが考えるのであって、こちらは、事実関係を問い合わせしてくださいと申し上げているのであって、今井秘書官はそのことを対外的におっしゃっているわけで、なぜ国会で答えられないんだという当たり前のことを私は聞いているにすぎないわけであります。

 それでは長官、伺います。

 二〇一一年に東芝が米国のウラン濃縮会社USECを買収しましたが、この買収について、当時の今井エネルギー庁次長の強い要請の結果、東芝が買収に踏み切ったとされますが、エネルギー庁が要請したという事実はございますか。お答えください。

日下部政府参考人 今御指摘の件ですけれども、東芝が二〇一〇年にアメリカのウラン濃縮会社USECという会社に対する出資契約を締結した事案だと思っております。二〇一一年ではなく、二〇一〇年です。

 それで、これにつきましては、東芝が当時、燃料事業の強化という文脈の中で、USEC社と協議を行い、関係者との間で合意に至ったというふうに認識しております。

 東芝による資本参加がなされたこの当時、経産大臣は直嶋大臣で、大臣名で、東芝の判断を評価するという談話がなされていることは事実でございます。

 ただ、一方で、今御指摘がありました今井秘書官との関係について言えば、まだ今井秘書官が次長に就任する前であったという事実を申し上げたいと思います。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 当時は、ですから、今井氏からの働きかけがあったとは認識していないということですか。そういうことですね。(日下部政府参考人「はい」と呼ぶ)そういうことですね。わかりました。

 では、加えて伺います。トルコの原発輸出プロジェクトについて今井次長はどのように関与したか、具体的にお答えをいただけませんか、長官。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 今井次長がというよりも、トルコの原発輸出についての当時の状況について申し上げたいと思います。

 トルコとの原子力協定は、二〇一〇年当時から政府同士での対話が始まっております。二〇一〇年の例えば十一月、G20サミットにおいて菅総理からエルドアン首相との会話が始まり、それから、二〇一〇年の十二月には官房長官と先方の担当大臣との会話が行われたというふうに認識しております。その後、原発事故が起こり、二〇一一年の十一月、G20サミットにおいて、今度は野田総理とエルドアン首相との間で、福島の教訓を踏まえて進めていきたいというような会話がなされているというのが記録は残っておりますし、私にもそういう認識でおります。

 したがいまして、今井秘書官自身は、二〇一一年、これは事故が起こった年の六月から二〇一二年の十二月までエネ庁次長として着任をしておりますので、この一連のトルコの原発の輸出に関する政府間の協議というところについて、経済産業省のエネ庁の職員の一人として参画をしていたというふうに考えております。

近藤(洋)委員 参画をしていましたね。

 では、二〇一一年の十一月に、米国のウェスチングハウス本社にエネルギー庁次長だった今井氏と東芝の田窪昭寛氏が訪問しておりますけれども、その際、どのような話し合いをされたか。長官のところには報告が上がっていますか。

日下部政府参考人 今個別に御指摘のあった点については私のところに報告は上がってきておりませんけれども、一般論で申し上げれば、こうした原発の政策に関連して、さまざまな関係の方々と忌憚なく意見を交換をしながら政策を遂行していくということがあることは一般的なことだと考えております。

 その個別の案件については、私自身は報告を受けた事実はございません。

近藤(洋)委員 これは重要な会談だったので、あえて伺います。

 高橋官房長、高橋官房長はその会合に御出席されていると思いますが、いかがですか。お答えください。

高橋政府参考人 私、出席した記憶はございません。(近藤(洋)委員「ないですか」と呼ぶ)はい。

近藤(洋)委員 そうですか、御出席はないんですか。わかりました。では、また改めて関係者に伺っていきたいと思います。

 いずれにしろ、このウェスチングハウス本社に今井次長が十一月に、私が関係者から伺っている範囲では、具体的な事例がないから、必要がないからこれは調べる必要がないと長官おっしゃったのであえて申し上げれば、今井エネルギー庁次長は二〇一一年十一月、まさにこのとき、福島第一原発の震災の事故を踏まえて、当時民主党政権でございました。原発事故を受けて、慎重に案件を取り扱おうという時代の中で今井次長はウェスチングハウスを田窪氏と訪問し、強力に原発輸出を進めていきたいという旨の会談を行い、さまざまな国策としてのプロジェクトを進めていきたいといった形で強力に推進をしていったという話を私は関係者から伺っている。こういった話をやはりきちんと調べていきたい。

 もう時間なのでやめなければいけませんが、大臣、ドイツのシーメンスというのは今非常にいい会社になっているわけでありますけれども、シーメンスと東芝を比べたときに、見事に原発からまさに三・一一以降撤収をしたドイツ・シーメンスは、東芝から比べるともう全く違う。東芝の時価総額の今十三倍になっているわけであります、原発から撤収をして。アレバの株も売却してですね。他方、東芝は、三・一一以降も原子力発電にどんどん突っ込んでいった。これは東芝の経営陣の判断のミスでしょう。経済産業省が全て悪かったと言うつもりはありません。

 しかしながら、やはり国策として経済産業省は、ある意味で、それは私も政務官として、また、副大臣として原発輸出にかかわりました。進めました。ですから、当時、当然、原子力ルネサンスとして原発システム輸出をやってきた人間です。しかし、三・一一以降は、まさに長官がおっしゃったように、是々非々で進めるという状況下だったはずであります。

 しかし、少なくとも外形的に私が入手したさまざまな情報の中では、今井秘書官が相当中心人物として東芝と深くかかわり、進めていったと思われる、関係と思われるところがたくさんあるんです。ですからそこを確認していきたい、こう思っているわけであります。

 少なくとも長官は今井秘書官に、これだけ国会で問いながらも、接触もしない、問いただしもしないというのは、私は不自然だと思います。国会の質問に対して不誠実だと言わざるを得ません。なぜそこまで徹底的に無視をされるのか。

 私は、東芝の株主に対しても不誠実な対応だと思いますし、国会に対しても極めて不誠実な対応だということを申し上げて、時間ですので質問を終わります。

浮島委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 原子力賠償機構法改正案について質問をいたします。

 まず、午前中の中根議員への答弁で村瀬電ガ部長が、東電委員会の議事録は今後作成すると言われました。大臣にお聞きしますけれども、この作成した議事録、当然、公開されますよね。

世耕国務大臣 これは、公文書管理法の規定、それに関連する各種取り決めに基づいて議事録というものをつくるわけでありまして、これを公表するしないは別問題であります。公表は、今までやってきましたとおり、議事要旨、そして、委員長が会議の後に開いてきた記者ブリーフィング、これによって我々は公表をしているというふうに認識をしております。

真島委員 納得いきませんが、次に進みます。

 政府は、福島第一原発の事故処理費用が十一兆円から二十一・五兆円に倍以上に膨らんだ、うち、廃炉費が二兆円から八兆円に四倍になったと試算を出しました。

 これまで廃炉費用として見積もられていた二兆円の根拠と内訳を示してください。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発の事故、これは経験したことのない未曽有の原子力災害でありまして、事故発生直後間もない段階では、限られた知見の中で、廃炉に要する資金を予測をすることは極めて難しい状況にあったと考えております。

 ただ、こうした中でもやはり廃炉の作業は絶対必要だということで、東京電力は、当初の知見を総動員した上で、福島第一原発の廃炉費用として、平成二十三年の十二月、原子炉の冷温停止の達成までに約〇・二兆円、中長期の廃炉のロードマップ対策として〇・六兆円、通常の状態に回復した以降の対策として〇・二兆円の計一兆円を要すると見込んでいたというふうに承知をしております。

 先生御存じのように、その後、平成二十五年になりまして汚染水問題という議論が顕在化をいたしました。平成二十五年九月の段階で、これを受けて東京電力は、それに要する資金も含めて一兆円を確保することが必要だと考えて、平成二十六年一月に認定をいたしました新・総合特別事業計画において、当該一兆円を今後十年間で確保すべき資金として総額を示した、こういう経緯がございます。

真島委員 今回、原賠機構が行った有識者ヒアリングで、デブリ取り出しには、スリーマイル島のデブリ取り出しから輸送までの直接費用の五十倍から六十倍の約六兆円と見積もって、これを評価もせずに上乗せしております。合わせて二兆円と六兆円で八兆円の廃炉費は東電が負担するということになっていますけれども、その原資は送配電事業の合理化で賄うということですから、実質的には電気代への転嫁です。

 送配電事業の合理化で出た費用は本来託送料金の引き下げ原資に充てるべきですが、本法案は、その費用を機構に廃炉積立金として積み立てをさせ、託送料金の引き下げには回さなくてもよいとするものです。

 そもそも、この事故炉の定義は何でしょうか。

日下部政府参考人 事故炉の定義でありますけれども、原子炉等規制法、それの第六十四条の二第一項で、特定原子力施設として指定された発電用原子炉施設に係る実用発電用原子炉というのが法的な定義でございます。

真島委員 それでは、現在対象となっているその事故炉の原発名を具体的に挙げてください。

日下部政府参考人 具体的に特定されておりますのは、福島第一原子力発電所に設置する一号機から六号機までを指すものと認識をしております。

真島委員 汚染水処理というのは、この廃炉という中に含まれているんでしょうか。

日下部政府参考人 今先生御質問の、廃炉という広義の概念の中に汚染水に対する処理対策は含まれているのかという御質問であるとするならば、それは含まれておるということでございます。

真島委員 原子炉等規制法の廃止措置というのは、解体をして更地にするまでということになっていますが、この規定は、通常炉の廃炉だけではなくて、事故炉の廃炉も想定しているのか。そして、事故炉の廃止措置の終了は一体どこまでを指すのか。お答えください。

青木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど紹介がありましたように、東京電力福島第一原子力発電所は、事故後の改正されました原子炉等規制法の規定に基づきまして、現在、特定原子力施設に指定されております。

 現行法令上の特定原子力施設の廃止措置の取り扱いですが、当該発電用原子炉施設の解体、保有する核燃料物質の譲り渡し、核燃料物質の汚染の除去、その他の原子力規制委員会規則で定める措置を講じることが求められております。

 また、廃止措置の終了ということでございますけれども、廃止措置の終了につきましては、原子力規制委員会規則で定める基準、こちらに基づきまして、原子力規制委員会の確認を受けた段階で廃止措置の終了ということになります。

真島委員 今、通常炉の廃炉について説明されたんですけれども、実際は、事故炉と通常炉、区分がされていないんです。同じのはずがありません、実際の作業としては。それで、廃止措置に必要な期間や費用も、通常炉の廃炉と事故炉の廃炉は全く違うはずです。

 だから、果たして廃炉費用が八兆円で済むのかという問題があるんですけれども、大臣は、先日来、上振れすることは想定していないとおっしゃっています。

 しかし、先日の私の本会議質問に対する答弁の中で、将来的に、必要となる資金が見通せるようになってくれば、その時点で追加するものは追加する、また、デブリ取り出し後の処分費用、きょうもおっしゃっていましたけれども、今回の廃炉費には含まれていないというふうにもおっしゃいました。

 今後、汚染水処理を含めた事業の進捗に伴って、状況が変化して費用が変動する、あるいは、新たに見積もりが可能になった費用が追加されるということがあり得るということですね。

世耕国務大臣 まず、今八兆円としているのは、いわゆるデブリを取り出すところまでというところであります。そこまでを有識者にお諮りをして、これは東電改革委員会の委員長がお願いをするという形で試算をしてもらって、スリーマイルアイランドの五十倍から六十倍ということで八兆円という数字を出して、そして、その数字をもとに、東京電力にこれから非連続の改革をやっていってもらうということであります。

 ですから、そこまでの所要資金の見通しについては、有識者からもかなり保守的な見通しだというふうにも言っていただいておりますので、現時点において最新の得れる情報に基づいて、一定の蓋然性を有するものとして示したものであって、上振れることは想定していません。

 今後、汚染水処理も含めて、事業の進捗や技術進歩に伴って、所要資金の見通しが変動することもあると思います。ただ、それは、上に変動するだけではなくて、イノベーションなどによって費用が減るということも十分あるというふうに思っておりまして、費用の低減に取り組むことで、福島の復興の加速化、充実を図ることが重要だと思っています。

 それで、デブリを取り出した後のこのデブリ後の費用、資金というのは、これは入っていません。これは恐らく、これから三十年後、四十年後、もう廃炉の作業が終局に向かっていく中でようやく試算ができるようになってくるんだろうというふうに思っています。この辺は、私が本会議で申し上げたのはまさにそのところでありまして、将来的に、必要となる資金が見通せるようになってくれば、その時点でお示しをするというふうに考えております。

 いずれにしても、この廃炉費用については、東京電力の経営改革によって捻出した資金で賄うのが大原則でありまして、このデブリの取り出し後の費用についても、東京電力の経営改革によって賄っていくことになると思っております。

真島委員 今後見積もられたものは追加していくというふうに繰り返し言われているわけです。

 東電が引き当て済みの一兆円も、現時点で合理的な見積もりが可能な範囲の金額とされています。だから上限じゃないんです。先日の委員会でも、この間何度も紹介されているあの日本経済研究センターの試算ですね、先ほど大臣も言われましたように、汚染水処理費用だけで三十二兆円という見積もり、私は非常にリアルだと思うんです。

 先日、本会議で、汚染水対策やデブリ取り出しが難航すればその費用はさらに膨らむんじゃないかと大臣に聞きましたけれども、この点について大臣は答弁しませんでした。

 そこで、もう一度確認します。汚染水対策やデブリ取り出しが難航すればその費用はさらに膨らんでいく、このことを確認したい。そして、汚染水処理がうまくいかなければその先の廃炉作業にも進んでいけない。この二点、確認したいんですけれども。

世耕国務大臣 まず、汚染水対策も含む費用として、我々は八兆円というのを蓋然性のある数字として今見込んでいるわけであります。これが上振れをするということは考えておりませんし、今後、将来的な事業の進捗や技術進歩に伴って所要資金の見通しが変動することもあり得ますけれども、廃炉技術におけるイノベーションや除染の加速化、効率化などによって費用の低減に取り組むことで、福島復興の加速化、充実を図ることが重要だと考えています。

 また、汚染水対策については、今着実に凍土壁の遮水効果があらわれてきております。現実、着実に進捗をしているわけであります。加えて、予防的、重層的な対策を進めているため、仮に汚染水対策の工程の一部に遅延が生じたとしても、直ちにその他の廃炉の工程に影響を与えるものではないと考えております。

真島委員 またちょっと答弁がなかったですけれども、汚染水処理がうまく進まなければ廃炉作業全体がおくれていくんじゃないかということを聞いているわけです。もうこれはいいです。

 福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ、この中でも、汚染水問題の解決が一番の緊急の課題だ、廃炉の前提だというふうに位置づけているわけです。だから、地下水の流入量を減らすために、海側遮水壁、地下水バイパス、フェーシング、こういった、国と東電が切り札とする対策が次々にとられてきましたが、どれも決め手にはなっていません。しかも、汚染水地下処理場からの汚染水漏れ、フランジ型タンクからの汚染水漏れ、タンクの傾き、K排水路からの汚染水の海洋流出と、トラブルが相次ぎました。

 そして、最後の切り札として出てきた陸側遮水壁、通称凍土壁で、建屋への流入量が日量三百トンから約百二十トンに減った。目標の百トンをおおむね達成したと経産省は言っていますけれども、しかし、平均値でさえも目標に届いていない。

 そして、二〇一六年、昨年の八月、九月には、台風が来て、地面よりも水位が高くなって、地下水が地面から噴き出したんです。次の大雨の時期を待たなければ効果は評価できないと言われています。とうとう原子力規制委員長も、凍土壁は本質ではないとまで言い出しています。

 現時点で、凍土壁にかわる次の案というのは全く検討していないですよね。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御答弁がございますように、凍土壁というのは、単体の対策ではなくて、地下水バイパス、あるいはサブドレーンによる地下水のくみ上げ、あるいは敷地舗装などの施策とともに、重層的、予防的にさまざまな施策を進めるということになっておりますので、その総合的な結果として、例えば先ほどおっしゃられたように、建屋内に流入してくる水の量が四百トンから百二十トンに下がってきているということが……(真島委員「次を検討しているかどうかだけ答えたらいいです」と呼ぶ)はい。

 それで、その上で今後の検討策としては、例えばサブドレーンの強化ということを今取り組みを進めておりまして、これは例えば、サブドレーンの新設をする、あるいは既存のものを強化をする、浄化設備の系列をふやす、集水タンクといった途中プロセスのタンクの増強を図るといったようなことによって処理量をふやすというようなこともやっておりまして、そういうことを含めることで汚染水対策をまたしっかりと進めていく、そういう所存でございます。

真島委員 何かもう後手後手に見えるんですよ。

 先ほどでも、凍土壁が九八%程度凍っていると。しかし、九八%凍ってこれほど効果があらわれないものかと、地質や地下水の専門家の皆さんはおっしゃっています。もしかしたら、建屋の底部から水が湧き出している可能性もあるんじゃないかという指摘もあります。

 凍土壁については早くから、陸水学会や地盤工学会の研究者が問題点を指摘していました。東北地方の地質調査業協会の方々は、従来型の工法で敷地を囲む規模に広げて、根入れをもっと深くして遮水をする方法を提案しておりました。

 汚染水問題というのは、もう東電一社では太刀打ちできないと思うんですよ。何か今、最初に工法ありきでやっているような気がする。地質や地下水の専門家の英知を本当に結集しているのか。

 それで、専門家の方々に私はお会いしていろいろ聞いてきました。英知を結集するために欠かすことができないのが、ボーリングや地下水の調査の生データ、これがなかなか東電に要望しても出てこないんだ、これが一番の問題だとおっしゃっているんです。

 大臣、国が前面に出る、内外の英知を結集すると繰り返しおっしゃっています。そうであれば、地質、地下水に関するデータ、ボーリングコア、気象や地下水のリアルタイムの観測データ、こういうものは公開できるものですから、東電に対して公表を求めて、いろいろな地下水、地質の専門家の方が知恵を寄せ合えるようにすべきだと思うんですが、どうでしょうか。

世耕国務大臣 おっしゃるように、英知を結集するということは非常に重要だと思います。

 そもそも、この凍土壁という工法をとるに当たっては、まさに、建築、土木、あるいは地質の専門家の英知を結集して、いろいろな案を比較検討した上で、凍土壁が一番ベターだということでやらせてもらっているんだろうというふうに思います。これからもぜひいろいろな御意見は耳を傾けていきたいと思いますよ。

 福島第一原発の地形や地質構造、地下水のデータといった基礎情報は、効果的な汚染水対策の立案にもこれは不可欠だというふうに思います。

 このため、廃炉・汚染水対策関係閣僚会議のもとに設置された汚染水処理対策委員会における検討に当たって、東京電力から提供され、そして外部の専門家の方も利用できるように、こういったデータは公表をされているわけであります。

 また、当然、議論する上で降雨量なんかも重要ですから、降雨量などの気象データですとか、あるいは建屋への地下水などの流入量についても、東京電力が毎週データを公表しているわけであります。

 こういったデータで外部の方にもいろいろ御議論をいただいて、いただくべき御意見はいただきたいというふうに思いますし、そういう議論を活発にできるように、東京電力がしっかりとデータを公表するように今後とも指導していきたいと思います。

真島委員 ぜひよろしくお願いします。

 ロードマップでは、号機ごとのデブリ取り出し方針の決定を今年度をめどに行うとなっていますけれども、現実は、デブリの状況もまだよくつかめていない。汚染水対策の効果もまだあらわれていない。このままで方針が決められないんじゃないかと思うんです。廃炉を三十年から四十年としているけれども、本当にそれだけで済むのか。チェルノブイリは百年かかると言っているんです、まあやり方は違いますけれども。

 だから、本法案は、これから先、青天井に膨らみ続けていく廃炉費用を託送料金にツケ回しし続けるという仕組みを今のうちにつくろうとしているんじゃないかというふうに、首を振っていますけれども、私は思います。

 賠償費の過去分二・四兆円、この根拠が何かということなんですが、原子力事業者が原賠機構に納付する一般負担金の額が、各事業者が保有する原発の設備容量等を基準に決定されていることを踏まえて過去分の総額を算定すると三・八兆円。ここから、二〇一一年から二〇一九年度までに納付されるであろう一般負担金の額一・三兆円を控除すると二・四兆円。これを二〇二〇年から四十年かけて回収すると年間六百億円となって、一キロワットアワー当たりの負担額は〇・〇七円。これが貫徹小委員会の説明ですよね。

 先日の本委員会で大臣は、二〇一六年十二月二十日に閣議決定された福島復興加速化指針で二・四兆円を上限としたので、これ以上膨らむことはないとおっしゃって、託送料金に乗せる場合には、消費者庁からの意見も聞いて、独立した専門委員によって構成される電力・ガス取引監視委員会等による第三者のチェックをしっかり受けて、そしてその結果、明細票にも載せていくことが重要だとおっしゃいました。

 上限を決めたからこれ以上膨らまない、明細票に書くから透明性がある、そう言わんばかりの理屈に私は聞こえるんですけれども、これまでも、過去分と称した電気代へのツケ回しは行われてきました。

 最初の過去分は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律、いわゆる最終処分法によるもので、二〇〇〇年に法律が制定される前の、一九六六年から一九九九年末までの分を十五年かけて回収するとされました。

 この最終処分法の過去分について確認したいんですが、過去分の拠出納付義務者はどのように規定され、その中に新電力は含まれているでしょうか。

日下部政府参考人 今御指摘のいわゆる最終処分の過去分の拠出金につきましては、二種類ございます。

 まず、第一種特定放射性廃棄物、いわゆるガラス固化体、これにつきましては、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律、いわゆる最終処分法の附則第四条、ここにおきまして、法律の施行の前年、すなわち平成十一年末となりますけれども、それまでの発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済み燃料の再処理後に生ずる、このいわゆるガラス固化体がある発電用原子炉の設置者が納付しなければならないと規定されている。要すれば、原子力事業者が納付するということです。

 もう一つ、第二種特定放射性廃棄物、いわゆるTRU廃棄物というものもございます。これにつきましては、平成十九年の最終処分法の改正法の附則第三条におきまして、法律の施行の前年、すなわち平成十九年末までの、使用済み燃料の再処理等に伴い生ずる、このいわゆるTRU廃棄物がある再処理施設等の設置者、これが納付義務者となっております。要すれば再処理事業者ということでございますので、日本原燃かJAEAということになります。

 したがいまして、これらの納付義務者の中に、いわゆる新電力は含まれておりません。

真島委員 そうなんですよね。新電力にはこのときは過去分を負担させておりません。

 その理由を当時の細田政務次官は、二〇〇〇年五月九日の衆議院商工委員会で、二〇〇〇年三月から二千キロワット以上の特別高圧の自由化がスタートしたことに伴い、原子力発電を行っていない電力会社から電力を購入する需要家に対し、電力を使っている面では同じだから、原発に係る経費をあなたも負担しなさいと御負担していただくのは適当でないと説明をしています。

 最終処分法の過去分は、〇・〇八円キロワットアワー、二〇〇〇年以降の積み立て分は〇・一四円キロワットアワーというのが当時の政府答弁でしたが、結果として電気代に転嫁された額は幾らでしょうか。

日下部政府参考人 今の御指摘のいわゆる最終処分法に基づくガラス固化体に関する拠出金につきましては、これまでに、原子力事業者等が累計で約〇・九兆円を拠出しております。

 この金額につきましては、電気料金の原価に算定し得るものでございますけれども、この〇・九兆円の金額全額が料金に転嫁されるかどうかという議論になりますと、部分自由化の世界でありますので、そこは一概に言えないということでございます。

 ただ、仮に、この制度が措置された平成十二年度から平成二十七年度までの拠出金額、いわゆる〇・九兆円でございますが、それをその間の販売電力量で案分した場合には、〇・〇七円パー・キロワットアワーとなるものと認識をしております。

真島委員 過去分の、もう一つ、原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律、いわゆる再処理積立金です。法律が制定された二〇〇五年以前の二〇〇四年度までの分を十五年かけて回収する。これも託送料金に転嫁されています。ちなみに東京電力でいえば、〇・一一二円キロワットアワー。

 再処理積立金の積立金残高は二〇一五年度末で二兆二千四百二億円。電気料金に転嫁されておりますけれども、このうち、過去分が幾らで、法律の施行後分は幾らですか。累積額をお示しください。

日下部政府参考人 御指摘の再処理の方の積立金でございます。平成十七年に施行されました再処理等積立金法に基づきまして、平成二十七年度末現在で、累計で五・二兆円の積立金がございます。これを少し分けていきます。

 このうち、平成十七年、二〇〇五年の同法施行前に発生した使用済み燃料の再処理等の費用として原子力事業者がこの法律に基づいて積み立てた金額は、平成二十七年度末時点で累計四・二兆円となっております。

 したがいまして、その差し引きの約一兆円でございますけれども、これは、同法の施行後に発生した使用済み燃料の再処理費として積み立てが行われたものだということになります。

 この過去の四・二兆円の内訳なんですけれども、この法律の前に措置されていた再処理等の引当金制度に基づいて事業者が積み上げてきた金額が約三兆円ございますので、残りの一兆円、これがいわゆる過去分として託送回収の対象となっている、こういう計算になります。

真島委員 今紹介していただいた二つの過去分には、最終処分法と再処理積立金法という法的根拠があるんです。

 今回の賠償費の過去分の法的根拠は何でしょうか。

日下部政府参考人 今回の法的な根拠というお尋ねでございました。

 今回の賠償の制度につきましては、原賠機構法という制度ができております。この原賠機構法に基づきまして一般負担金、特別負担金という仕組みが制定されておりますので、一つの根拠法令はそちらになるというふうに思っております。

真島委員 私、この機構法は法的根拠にならないと思うんですよ。この法律ができたときには、賠償費の過去分というのはありませんでした。そして、電力全面自由化の環境も想定されていないときにこの法律ができたんです。

 このほかにも、ほとんどが原発向けに使われてきました電源開発促進税、一キロワットアワー当たり〇・三七五円が託送料金に転嫁されております。二〇一四年度からは、福島第一原発事故の除染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設の経費にこれが使われています。

 電源開発促進税法第一条、課税の目的には、「原子力発電施設、水力発電施設、地熱発電施設等の設置の促進及び運転の円滑化を図る等のため」と。原発事故の除染廃棄物の中間貯蔵施設がこの中に入るというふうに読めますか、この法律。

日下部政府参考人 御指摘のとおり、電促税の課税目的を定めているのが電源開発促進法第一条でございます。そこでは、御指摘のとおり、原子力発電施設、水力発電施設などの「設置の促進及び運転の円滑化」、これを「図る等のための措置に要する費用に充てる」ということを課税の目的としております。

 一方でこの中間貯蔵でございますけれども、その費用の確保を含めて国が万全を期するために、原賠機構法六十八条に基づきまして、電源開発促進勘定から原賠機構に資金交付をさせております。この中間貯蔵施設に関する資金交付によって事故後の賠償が迅速かつ適切に行われることが担保されておると考えておりまして、これは、原発立地地域を含めた住民の安心を醸成する上で、非常に重要な施策となっていると考えてございます。

 この原賠機構法六十八条に基づくこの資金交付でございますけれども、要すれば、原発の運転の円滑化という電源開発促進法第一条で定めている目的規定に合致するものだと考えておりますので、御指摘の点につきましては、お答えを申し上げれば、この電源開発促進法の目的規定の中で読み得る、読めるというふうに考えてございます。

真島委員 費用の見積額が当初総額一・一兆円、毎年三百五十億円ずつ三十年間というものが、総額一・六兆円、毎年四百七十億円ずつ三十五年間に膨らんでいます。これを使える、法律の目的外の税金の流用はオーケーとしたのは、一片の閣議決定なんです。私、もう本当にこういうことを見過ごしていけば、立法府の自殺行為になっていくと思うんです。

 原発コストの電気代の転嫁はこれにとどまりません。賠償費用の原資となる原賠機構一般負担金は小売規制料金へ転嫁されています。賠償過去分を託送料に転嫁することについて、大臣はさきの本委員会で、原賠機構一般負担金を例に挙げて、電力自由化を進める中で、既存の電力会社に残っている人だけの負担で、残りの人には負担しなくていいのか。今新電力を使っている方であっても、一定程度原発から過去裨益した部分があるんだ。だから、全ての人から公平に取れる方法として託送料金を選んだんだとおっしゃいました。

 送配電事業に必要なコストを積み上げた原価をもとに料金を算定するのが総括原価方式です。転嫁するための手段ではありません。過酷事故を想定しないで、安全神話にどっぷりつかって原発を推進してきたことへの責任をどう考えているのか。資本主義の商取引の原則にも反する、電力システム改革にも反する、そして、国民や消費者の理解を得られないと私は思います。

 大臣の先ほど言った論立てならば、現在小売規制料金に転嫁している原賠機構一般負担金を、電力自由化の進展を口実にして託送料につけかえていくということもあり得るということになるんじゃないですか。

世耕国務大臣 電力システム自由化の中で、託送料金というのが唯一残った規制料金ということになるわけであります。もともと電気事業法で、広く国民が負担すべきコストは託送料金に乗せていいという形になっているわけでありますから、その仕組みを使って、過去分という、過去国民が原子力エネルギーから裨益をしていたということを踏まえて、過去積み立てておくべきだった賠償の費用については託送料金からいただこうということになったわけです。

 これはもうのべつ幕なしにやるつもりは全くありません。本当の意味で全国民からいただかなければいけないものに関して、厳しく査定をして、いただくということであります。

 今回だって歯どめはしっかりかけておりますので、例えば回収金額の上限、これは本当に二・四兆円という上限を定めさせていただいておりますし、そしてこの託送料を決めるに当たっては、消費者庁の意見も聞き、独立した電力・ガス取引等監視委員会によるチェックも受け、しかもさらに、毎月消費者に届く料金明細票の中で、託送料金の中に幾ら上乗せをされているかということも明示するということで、透明性と適正性を確保してまいりたいというふうに思います。

真島委員 とにかく経産省が、原発は公益的なんだ、国民全体が裨益してきたんだと言ったらそのコストをどんどん上乗せできるという前例を今回つくろうとしているわけです。電気代は経産省の打ち出の小づちではありません。

 電気事業法を先ほどおっしゃいましたが、託送料金を値上げする場合は大臣の認可が必要です。据え置き、引き下げは届け出でいいという仕組みになっています。

 先日のこの委員会で大臣は、今回の措置により転嫁される過去分を足しても、トータルとして料金は上がらないとおっしゃいました。ならば、この電気事業法の規定によって過去分を転嫁したとしても、認可ではなく届け出でできるということになるんでしょうか。

世耕国務大臣 確かに私は、過去分が託送料に転嫁される、それを上回る合理化を電力事業者に求めていくことによってトータルとして値上げにならないということを説明させていただいているわけであります。

 では、具体的にこの託送料金の仕組みを利用してどうやって回収していくかについては、現在検討中でありまして、現時点で、どういう手続でやるかも含めて、まだちょっと詳細は決まっていないということでございます。

真島委員 さらに、電気事業法第十八条第七項、同条八項では、他の法律の規定により支払うべき費用の額の増加に対応する場合として経産省令で定める場合には変更届け出でよいと規定しています。

 賠償過去分は値上げ認可を受けなくてもいい場合に該当すると経産省が判断した場合、値上げでも認可は要らない、届け出でできる。これはどう対応されるんですか。

世耕国務大臣 今おっしゃっている話は、例えば、税金が何か追加をされた場合とか、そういったときはもう自動的にその分が乗っかってくるわけですから、届け出でという形になっているわけであります。

 今回、託送料の上乗せ分をどうするかということについては、先ほど申し上げましたように、現在検討中でありまして、詳細についてはまだ決まっておりません。

真島委員 いや、検討中でというままでこういうことを決めていいのかと私は思いますけれども。

 大臣は、託送料金に乗せる場合は、消費者庁から意見も聞いて、独立した専門委員によって構成される電力・ガス監視委員会等による第三者のチェックをしっかり受けるんだと明言されています。

 しかし、電気事業法の条文では、経産省の判断次第で、認可によらずに届け出でできるというふうになっているから確認しているわけです。

 届け出でも消費者庁からの意見を聞く仕組みになっているでしょうか。

日下部政府参考人 電気料金に関する届け出に際しましては、電気事業法上は、事業者は、消費者庁等から特段の意見聴取は求められておりません。

 ただ、今回の件につきましては、この審議の中でも何回も御議論され、こちらもお答えさせていただいておりますけれども、今般の、賠償の備えの不足分を託送料金によって回収するに当たっては、法律では求められていないんだけれども、消費者庁の当然意見も聞くし、電力・ガス取引等監視委員会のチェックも受けるし、さらに料金明細書への記載も考えるということを、政府の方針として明言をさせていただいたということでございます。

真島委員 二〇一二年七月に、東京電力の電力料金値上げ認可申請にかかわる査定方針、この中にこう書かれています。なお、委員会における議論の中では、福島第一原発安定化費用、賠償対応費用のいずれについても、競争的市場を想定した場合に、本来、事業者はこうした将来のリスクに備えて保険に加入すべきである。保険に入らず生じた損失リスクについては、事業者、ひいては株主が負担すべきものであるとの意見があったと記述されています。私は当然の意見だと思うんです。

 このとき、東電は、プラントの安定状態維持継続、発電所全体の放射線量低減、汚染拡大防止、使用済み燃料プールからの燃料取り出し、燃料デブリ取り出しの四つの計画を、中長期ロードマップ対応費用として五千百二十二億円の特別損失を計上しています。

 事故を起こした加害事業者が事故処理費用を負担するのは当たり前です。過去分と称してこの先四十年間、国民の電気代に転嫁するというのは、私はとんでもないと思うんです。

 四月七日の参考人質疑で廣瀬東電社長が、東電が破綻処理を免れ、存在を許されているとおっしゃいました。機構法による資金援助がなければ、東電はとっくに破綻しています。

 東電委員会の委員も務める遠藤典子参考人は、原賠機構法は、地域独占、総括原価の喪失をもたらす電力システム改革を想定していなかったと指摘をしておりましたけれども、政府も同じ認識でしょうか。

世耕国務大臣 原賠機構法が、被害者への迅速かつ適切な損害賠償のための万全な措置などを確保するため、平成二十三年八月に制定をされたものであります。これは、震災直後のかなり混乱した時期だったのかなというふうに思います。

 一方で、電力システム改革の議論というのは、平成二十三年十二月の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会の論点整理の中で垂直統合や地域独占の見直しの必要性が指摘をされて、そして、平成二十四年二月から電力システム改革専門委員会において具体的な検討がされてきたわけであります。

 もちろん、機構法の制定時点においても、将来的にさらなる自由化が行われるということは、念頭にはあったんだろうというふうに思いますけれども、実際に今措置されているような徹底的、抜本的なシステム改革までは必ずしも想定をされていなかったのではないかというふうに思います。

 また、特に震災後の混乱の中で、やはり被災者にしっかりと賠償を届けることの方の重要性が優先されたという面も、あの時点では、二〇一一年八月時点ではあったんだろうというふうに思っております。

 今回の原賠機構法の改正によって、徹底した自由化が進展した中においても、事故炉廃炉の確実な実施を確保することを目的として、事故事業者に対して、廃炉に必要な資金を積み立てることを義務づけていきたいというふうに思います。

真島委員 おっしゃるとおり、原賠機構法というのは電力システム改革を想定していなかったんです。貫徹小委員会の中間取りまとめ、二〇一七年二月に出されていますが、この中でも、「現行の一般負担金は、従来、総括原価方式の下で将来にわたって回収することを前提としていた」と指摘をしております。

 原賠機構のスキームについて大臣は、六年間の歴史がある、一秒たりともとまれない、スキームを変えるという議論はどうなんだというふうに先日おっしゃっていました。電力システム改革を想定していない原賠機構の制度に無理やり合わせろと言っているような、電力システム改革のもとで、それを想定していない原賠機構のシステムに無理やり合わせなさいと言っているように聞こえたんですよ。総括原価方式が残っている託送料金に転嫁する、答えはそういう方向にしかならないんです、その理屈で言えば。

 一般家庭の消費者は、過去分、過去分と言われていますが、もう何度も言われているように、過去には電力会社が選べませんでした。原発の電気は欲しくないと思っていても、原発で発電した電気を買うしかなかったんです。一般家庭の消費者は、電力システム改革でようやく電力会社を選べるようになったんです。原子力以外の電源を選択した消費者に対して、あなたたちも過去の裨益があるんだ、そう言って託送料に原発事故コストを転嫁していくというのは、先日も私申し上げましたけれども、消費者の選択権の侵害だというふうに思うんです。

 経産省の電力小売自由化に関する消費者選択行動アンケートというのがありますよね。この中で、「電気の購入先または料金プラン変更後の満足理由」という問いがあります。全体のこの答えの中では中位ぐらいなんですけれども、回答の多さで言うと真ん中ぐらいなんですけれども、「原子力発電以外で作られた電気を購入できること」と答えた方が七・六%いました。

 賠償過去分を初め、託送料に原発コストを転嫁するということは、こうした消費者の思い、選択するという行動を尊重しているというふうに言えるんでしょうか。

世耕国務大臣 ですから、託送料で広く国民からいただく分というのは過去分に限定をし、上限も課している。二・四兆円分だけは回収をさせていただきたい。確かに、当時は選択の余地はなかったわけであります。だけれどもそれは、地域独占という中で安定的な電力が供給をされて日本が経済成長したというメリットは何らかの形で全国民受けているわけでありますから、ここの分については、やはり視点は、福島の皆さんへの賠償をどうやって負担するか、これを責任を持ってきっちり継続できるようにどうするかということでありまして、ここはやはり、国民に託送料を介して負担をお願いしなければいけない。

 当然、原発が嫌で新電力を選択している方もいらっしゃるかもしれない。ですから、これからの分に関しては新電力は負担をしていないわけでありますから、これから先の分としての賠償積み立てについては新電力は負担をしていない、再生可能エネルギーだけの新電力は負担をしていないわけでありますから、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。

真島委員 一応、通告していた質問が今ので終わってしまったんですけれども、時間がちょっとありますので、ちょっと何点か大臣に聞きます。

 本会議で私が、福島の方々の苦しみや青天井の事故処理費用を直視しても、なお原発は低廉な電源だと言えますかと聞きました。そうしたら大臣は、福島の事故処理費用を勘案しても低廉な電源だとおっしゃった。

 私が聞いた本意は、お金に換算できないような福島の苦しみを直視しても、安ければいいと思いますかみたいな意味で聞いたんですけれども、伝わりませんでした、大臣には。

 それで、このときのやりとりを聞いていた方から私のところに、事故を起こしても安いと言うのなら、東電が払えばいいじゃないか、国民にツケ回しするなという声が幾つか届きました。

 この点はどう思いますか。

世耕国務大臣 安いか高いか、済みません、私は、それは金額を聞かれていると思ったので単価でお答えをしたわけでありますけれども、やはり事故を起こしたということは、これは真摯に反省しなきゃいけない。そして、安全神話に寄りかかって、そういう事故が起こったときの積み立てを怠っていたこと、このことについてもやはり真摯に反省をしなきゃいけない。

 その上で、福島の皆さんに関しては、賠償をしっかりやる、廃炉・汚染水対策をやって復興をしっかり進めていくという責任を果たしていかなければいけないんだろうというふうに考えております。

真島委員 もう一つ、貫徹小委員会の中間取りまとめのパブリックコメントに約千四百件を超える意見が寄せられています。その圧倒的多数が、事故処理費用の託送料金へのつけかえなどに批判的あるいは反対の意見だった。

 このパブコメが出たのが二月六日なんですけれども、このパブコメで問うている内容が、既に昨年の十二月二十日に閣議決定されているわけですよ。福島復興加速化指針で、賠償費の過去分は広く需要家全体の負担にする、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行うと。

 これはおかしいと思いませんか、パブリックコメントよりももう何カ月も前に方針を決めちゃっているというのは。

日下部政府参考人 福島復興加速化指針、この閣議決定は、福島の全ての諸問題について政府の基本方針を定めるという意味合いで、大きな方針を定めさせていただきました。それとは別途、制度的な側面につきましては、よりきめ細かく、制度の特性に応じてパブリックコメントを求めていく。この二つのプロセスを踏んだというふうに考えてございます。

 政府は、福島復興加速化指針の中で述べた基本的な方針に基づきながら、最終的に制度的にはこういうふうにしたいというパブリックコメントを年明けにさせていただいた上で、今回、こういう形で制度を構築しているということでございます。

真島委員 私も、やり方が、東電委員会の議事録非公開というのもあるんですが、国民の声に聞く耳を持たない、本当に強権的なやり方でこんな大事な問題が進められているというふうに非常に思うんです。

 公害健康被害補償法の基本原則は汚染者負担原則、私はこの点に反しているんじゃないかなと思います、このやり方です。消費者基本法には消費者八つの権利というのが明記されています。その中の一つが、商品を選択できる権利なんです。私は、この託送料のつけかえはこれを踏みにじるものだと思います。

 そして、今申し上げたパブリックコメントの扱いも含めて、消費者が契約の同意もしていない過去分を、国民の声も十分に聞かず、理解も得られないまま、あるいは、立法府の承認も経ずにこういうことを閣議決定とか経産省でどんどん決めていくというのは、私はどうなのかなと。やり方が違う。

 そして、先ほど来というか、今国会、この審議の中で世耕大臣は、福島のためだ、だから誰かがこうやって負担するしかないんだということを繰り返しおっしゃいますけれども、福島のために資金をつくらなきゃいけないというのは、もう全国民が思っていますよ。だけれども、そのやり方が今議論されているわけです。福島のためにはこのやり方しかないということはない。いろいろなやり方がある。

 私たちはこの法案の審議の中で繰り返し言っていますように、負担の順番が間違っていると思うんです。まず、東電の経営責任、株主の責任、メガバンクなどの貸し手責任、そして原子炉メーカーの製造者責任、個々に責任にふさわしい負担を求めた上で、それで足らない分を、消費者の皆さん、国民の皆さん、みんなで負担しましょうという順番でいかなければ、私は国民の理解は絶対に得られないと思います。

 こういうやり方をして順序を追ってやっていくのが、福島復興のための資金づくりに、また、消費者が負担するということに対して国民的合意が得られる唯一の道だというふうに思います。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。

浮島委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。本日もお時間いただきましてありがとうございます。

 きょうは久しぶりの長丁場ということで、もうしばらく、あと三十分ほどですので、御辛抱いただきまして、おつき合いいただきますように。私もなるべく早く終わるつもりで頑張りますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、そうはいいながら、前回の質問から、今回、続けて私質問させていただいているので、前回の質問の流れ、それから間に参考人質疑も挟まりましたので、その辺も含めて、ちょっとおさらいをしながら話をさせていただきたいなというふうに思います。

 一番最初に大臣に前回聞いたのが、コストの算出方法。六兆円かかるというふうに言いながら、実際に具体的な積み上げによる、想定作業を積み上げてやるというのは、今の時点ではやはりできないと。ただ、その中で最適と思われる方法でコストを見積もったんだというふうなこと、これを大臣の口からしっかり言っていただくことが今回の法案に関して一番重要なのかなということで、しっかりとお話しいただいたというふうに思っているんです。

 その次に話したのが、電力システム改革、電力の自由化、この加速と、積み立て計画、この積み立て計画の履行というものの関係性。要は、自由化がどんどんどんどん進んでいったときに、今までの独占状態であった東電管内の電力、これがそうではなくなってくる、経営が合理化されて、そのほかの会社が入ってくる。そうなったときに、実際にこの積み立て計画をしっかり履行できるような、東電がそういう経営ができるかどうかというような観点でお話をさせていただきました。

 その点について大臣が言われていたのは、確かに東電はイノベーティブな環境というものに今までなかった、一番苦手とされていたと。そうはいいながら、海外にも市場を広げていくようなことも考えたりして、何とかやっていかなければ、当然、その裏にあるのは何かというと、東電がしっかりと経営を継続していくことによって、こういうお金を、補償、賠償もそうですね、除染対策なんかもそうですけれども、そういったものも含めて、東電がしっかりといわば生きていなければ、そういう負担分もできない、今までの仕組みと違うことを考えていかなければならないのでという話だったと思うんです。

 ちょっとそこでとまろうかなと思うんですけれども、そういう話をしていて、間で参考人質疑があったんです。参考人の方々、来られていたのが、五人ほど来られていましたけれども、東電の廣瀬社長、それから電事連の会長、勝野会長ですね、それから労働組合の方がいらっしゃったり、大学の先生がいらっしゃったり、そして株式会社エネット、新電力の社長がおられたんです。

 私、同じような話を聞いたんです。電力の自由化といったときに、当然、今までの東電の管内であったところで、まず最初にエネット、新電力の社長に聞いたんですけれども、あなた、今後どれぐらいのシェアを元の東電管内でとられようと思っていますかというふうに聞いたんです。その後に東電廣瀬社長に、シェアをどれぐらいは維持していきたいと思いますかと。十年後、二十年後、三十年後でも別に構わないです。何年でも構わない。それからもう一つ、電事連の会長には、中部電力の社長でもいらっしゃいますから、好ましいシェアって、どういうふうになれば自由化というのにとって好ましいと思いますかと聞いたんですけれども、今大臣に聞くのも申しわけないのでそのまま言っちゃいますけれども、三人ともしっかりしたことを言われなかったんです、何%ですとかということは。

 当然言われないでしょう。当然言われないでしょうけれども、それが当然であっては私はいけないんじゃないかなと思ったんです。

 というのは、この特殊な電力業界、だから言わないということになるんだろうと思いますけれども、普通は、株主を当然皆さん抱えている。それで、何年後、どれぐらいのところでシェア何%は確保したいというのは、当然目標として掲げていくものであってしかるべきだと思っているんですけれども、まだまだ、そういうことを考えると、電力システム改革自体が好ましい方向に進んでいないんじゃないかなというふうにちょっと思ってしまったんです。

 ここでちょっと大臣に聞きたいんですけれども、では、好ましいのは何%ぐらいですかとか、例えば東電がどれぐらいシェアを維持していたらいいと思いますかということを、これは大臣には聞かないです、後で聞きたいと思うので、ちょっと考えていただきたいんですけれども。

 ただ、そういう指標というのがあってしかるべきだと思うんですけれども、実際になくてもいいと思われますか。やはり、近い将来、各社が何%というシェアを自分たちが言うような、そういう市場ができなければ本当のシステム改革が進んでいないというふうに思えると思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

世耕国務大臣 私は、通信という、もともとNTT独占のところから競争が導入された世界から、今、その経験をもとに電力を見ているんですが、競争という面、自由化という面から見ると、まだまだ電力は始まったばかりだなと。通信は大分競争も進んで、NTT、もう携帯電話も含めてシェアは大分落ちていますし、かなり完全な競争に近い状況になっているのかなというふうに思います。それに比べたら、まだ何周もおくれているなという感じがします。ただ、国が何%ぐらいがいいなんと言うのは適当ではないと思います。

 ただ、これは、既存の電力会社も、あるいはこれからどんどんユーザーを拡大していく新電力の経営者も、やはり、何年後にはこれぐらいということを、逆に、既存の電力は受ける立場ですから、これぐらいまでなら何とかしっかり経営がやっていける、あるいは、ここ以上は絶対に失わないようにお客さんサービスを充実させて、今いるお客さんをしっかりつなぎとめておこうとか、そういう戦略は当然経営者である以上持っているべきだというふうに思います。

木下委員 すごくきれいにまとめていただいたかなと。

 私も、前回ちょっとお話しさせていただきましたが、出向等々で六年ほど隣にあるNTTドコモさんにいましたので、そうしたら、毎月、純増、純減というふうに、加入者が何人いるか、何人出ていって何人入ったか、そればかりなんです。毎月、月初めになったら机に置いてあります、こうなりました、こうなりましたと。どんどんどんどん減っていく時期を体験したので、そういうことにすごくキーンに、熱心に、キーンにと言うとまた、速記で、何て書いたと、この間怒られた。熱心に、熱心というのかセンシティブ、またセンシティブと言うとあれですね。そういうふうな感じで見ていたんです。

 やはりそういうふうに電力の業界もならなきゃいけないんだろうなと思っているので、そういう感覚を持っていらっしゃる大臣なので、ちょっとそういうふうに聞かせていただきました。

 ちょっと後で教えてくださいねと言ったのはどういうことかというと、これも通告にないのでわかればでいいんですけれども、この積み立て計画を計算するときに、積み立て計画でこういうふうにして、これぐらいの金額に将来していくんだと計算するときに、東電がこの時間軸でどれぐらいのシェアを持っているから売り上げがこれぐらいあって、だからこれぐらい積み立てられるよとか、そういう想定というふうなことは、私はある程度はされていると思うんですけれども、そういう観点で何かしら根拠というのがあるのかなと。

 これは難しいと思うんですけれども、例えば、一つは託送料金の部分で大体これぐらいと。それで、大まかに見て、今売り上げがこれぐらいあるけれども、これぐらいに減ってくるから大体これぐらいは積み立てられるよねと計算しているのか、その中に綿密に、大体、例えば電力システム改革はこのぐらいの時期にこう進むから、シェアがこうなっていって、当然のことながら価格競争もあるだろうし、そういうことも含めてある程度計算されているのかどうか。この辺、実際どうなのか教えてください。

村瀬政府参考人 お答えを申し上げます。

 法律の関係でいいますと、第五十五条の四で「廃炉等積立金の額」ということが規定されております。その二項で、二つ、一号、二号がありまして、廃炉等の積立金の額は、「次に掲げる要件を満たすために必要なものとして主務省令で定める基準に従って定められなければならない。」とあります。

 一号は、もちろん、長期的見通しに照らして廃炉等を適切かつ着実に実施するために十分なものであることという視点でございますが、もう一つ、二号において、廃炉等実施認定事業者、これは、この場合で言う東京電力でございます。東京電力の収支の状況に照らし、「電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼすおそれのないものであること。」ということで、この場合であれば、東京電力の収支の状況に照らして判断がされるということになります。

 したがいまして、シェアがどうかはともかく、この積立金の額を決める機構は、東電の支援者として東電の収支の状況、経理の状況について把握する立場にございますので、そういった東電の収支の状況も踏まえた上でこの額が決められていく、こういうスキームになっているところでございます。

木下委員 わかったようなわからないようなあれだったんですけれども、要は、目標金額はこういうふうにして決めていますよ、でも、実際にどうなるかわからないから、どうなるかわからないと言ったらあれですけれども、そのときそのときの状況をしっかり機構が見た上で、積み立ての計画を、前も言われていましたけれども、見直しもするし、もしかしたら増加させることもあるかもしれないというふうに、それをやっていくんだという形の、そういうまとめでいいんですよね。今うなずいていただいたから、そうだと。

 それが私は重要だと思っていて、そのときに、やはり本当は、今のこの目標で六兆といったときに、どれぐらい精緻なものがあるのかなということだったんですけれども、なかなかちょっと難しいんですかね。ありますか。(村瀬政府参考人「はい」と呼ぶ)では。

村瀬政府参考人 今、新・総合特別事業計画というものがございまして、これは、東電と機構が共同で作成をいたしまして、大臣の認可を受けているものでございます。

 現在、これは新々総合特別事業計画ということで、改定プロセスがございまして、その中で、当然、東京電力の収支の状況についても踏まえて認可がされていくという中で、今議員御指摘のような、当面の東京電力の収支の見通しといったようなものを確認されていくということになるかと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 準備していたものじゃなくて、今ここで立って聞いた方がいいなと思ったことに全部答えていただいたので、これ以上は聞かないようにして、また個別で教えていただければというふうに思います。

 そういう話をしていて、おもしろかったです、参考人の方々の状況を見ていると。ちゃんと答えられなかった。

 それからもう一つ、前回言わせていただいたことなんですけれども、またきょうも手元に持ってきたんですけれども、「廃炉の大切な話」という、資源エネルギー庁が出されている冊子がありまして、これはすごくよくできているなと。よくできているなというのか、いいことを書いてあるんですよ。丁寧に書いてあります。非常にいいこともたくさん書いてある。

 ただ、私がちょっと前回言わせていただいたのが、汚染水の話。汚染水について、セシウムとかストロンチウムについては除去していますよ、多核種除去装置等々で除去ができている。ただ、トリチウムが残っていますということがあって、それをタンクにためているんだという話。

 「これまでの対策の効果」というふうに下に書いてあって、建屋への地下水の流入量が減っていますであるとか、当初より周辺の海域の放射性物質の濃度は格段に減っている、非常に抑えられていると。これはすごくいいように書かれています。

 ただ、この右側のところにちっちゃく「トリチウムとは?」というふうに書いていて、これも何度も言わせていただいて、あしたもちょっと別の委員会で話をしようと思っているんですけれども、「タンクに貯蔵された水に含まれたトリチウムは、自然界にも存在し、私たちの飲む水道水にも、私たちの体内にも存在します。」と。ちなみに、水道水には一ベクレル・パー・リッター、人体には数十ベクレル・パー・リッターというふうになっている。それで、下に、「こうした水の取扱いについては、現在、技術的観点のみならず、社会的観点も含めて、総合的な検討を丁寧に進めています。」こう書いてある。

 前回御答弁いただいて、では、今時点でタンクにためられている、タンクにためられているというのか、汚染源を取り除いて、ストロンチウムであるとかセシウムだとかが取り除かれて、トリチウムだけが残った水が今出てきている分、昔にたまった分はすごく多かったということですけれども、今出てきているので一リッター当たりどれぐらいベクレルあるんですかというふうにして言うと、御答弁で三十万ベクレルぐらいというふうに言われましたか。三十万ベクレルなんです。

 でも、これを見ていると、三十万ベクレルと全然書いていなくて、いかにも、もう安心。安心なのかもしれません、そのトリチウムがあったからどうなのかわからないし。ということで、書いていない。

 これは、せっかくいいことを書いているのに、よくないですね、もうちょっと今度検討してくださいねという話をさせていただいたんですけれども、これはぜひそういうことをやっていただきたいなと。だから、あえてちょっとこういうふうな話をもう一度させていただいています。

 ただ、何で私はここで言いたいか。これも重ねてなんですけれども、今、四月になって、避難されていた方がたくさん帰ってこられている。戻ってこられた。戻ってこられたことの一番の心配事とは何ですかというと、やはり、放射能の汚染がまだあるんじゃないかとか、福島第一原発の近くだと何が起こるかわからないというそこはかとない不安があると。それを何とか解消していってあげること、それから、普通の生活ができるようにしていくことというのが一つ大きなところだろう。

 ただ、この今の問題、だからこそ、技術的観点のみならず、社会的観点も含めて総合的に丁寧な検討をしていくというふうに言われているんだと思うんですけれども、これをちゃんと解決しておかないと何が起こるかというと、あの例の豊洲と築地の問題のように、不安だけをあおられてしまって非常に問題になる。本当に技術的にはこういうふうなことは安心なんですよということが言えるような状況になったとしても、そういう問題が残っていくと思うんです。だから、ここに今の状況というのは明確に書いておくべきだったんじゃないかなと私は思ったわけです。

 ただ、ちょっと事前にいろいろと話を聞いたときに、この冊子をつくられるときに、福島、被災者の方々と綿密に打ち合わせをした上でつくられたというふうに聞いているんですけれども、これは間違いないですか。それで、間違いなかったら、何か、実際にそのタンクにたまっている汚染水が何ベクレルとかということをここで書かなかった理由とか、そういうこともあったのであれば、それを教えていただければと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のパンフレットでございますけれども、まさに福島第一原発の現状を地元の皆様方にわかりやすくお伝えをするということを主眼につくってまいったものでございまして、とりわけ、まさに避難指示解除が進んで、これからまたいろいろな方が戻るかどうかというような御判断をされる、そういったことにも参考にできるようなものをつくりたいということがあったものですから、実は、その際に、被災市町村を含めました地元関係者の方々に、まず私どもの原案をつくって、それをお示ししながら、いろいろ御意見をいただいたりしながら作成をしたというのが作成の経緯でございます。

 その中では、こういうことも書いてほしい、ああいうこともとかといって、いろいろな意見がある一方で、非常に重要な点といたしまして、やはり広くいろいろな方に読んでいただくためには、余りいろいろなことを詰め込み過ぎると伝わらないよ、特に役所の方はいろいろなことをたくさん書こうとするけれどもということを大分厳しく御指摘をいただきまして、ページ数のようなことも含めまして、情報を絞り込む重要性ということも大分ありまして、そういういろいろなことの判断の中で今の形に至ったということがございます。

 ただ、このパンフレットは、実はこれは二回目でございまして、今後とも定期的な見直しをしていくというふうに思っておりますので、まさに御指摘をいただいたような点も踏まえながら、また地元の御意見も丁寧に伺いながら、今後とも必要に応じて見直しを行っていければというふうには思っております。

 以上でございます。

木下委員 ありがとうございます。

 言いながら、結構、細かくいいことが書いてあると思うんですよ。全部書けていないとは当然思いますけれども、でも本当に、これはぜひともここにいらっしゃる委員の方々も見ていただきたいし、一番後ろにも出ているんですよね。「動画で知る福島の現状」というところで、第一原発の現状、廃炉に向けた各種対策の進展、廃炉作業現場での労働環境の改善とか、住民の皆様への支援、食の安全の確保等々、そういったさまざまな角度から福島の今をわかりやすくお伝えしていますと書いてあるんですけれども、この動画を見ても非常におもしろい、おもしろいと言っちゃだめですけれども、勉強になります。

 ぜひこれは、私がここでかわりに宣伝しておきますけれども、本当にいいなと思っているので、だからこそ本当に正確に、将来にわたって不安を呼び起こさすようなことがないようにやはりしていっていただきたいなということなんです。

 どんどんどんどんしゃべっていると時間が過ぎていってしまいますが、次に、では、きょうの話、ほとんどこれはおさらいだったと思っているんですけれども、きょう用意してきた話を一つさせていただきます。

 一つなんですけれども、これは今まで、四年前、五年前ですから、茂木元経産大臣から含めて、歴代の経産大臣に私はいつも聞く話なんです。

 きょうもお話があったんですけれども、例の遮水壁、凍土壁と言われる部分であるとか、それから多核種除去装置、ALPS等々のもの、それ以外も、きょうも御答弁されていましたけれども、サブドレーンの話であるとかそういうのも、総合的に汚染水対策をやられています、廃炉の対策もやられていますというふうに言われている。ただ、これの大半の部分が政府から補助金という形でやられている、ほとんどの資金が。ということはどういうことかというと、こういった、例えば凍土壁それから遮水壁であるとか、ALPSであるとかそういう除去装置云々ありますよね、こういうものの資産は国の資産じゃないということなんです。

 さっきもどなたかが質問されていましたけれども、例えば、凍土壁が実際にパフォーマンスが思っていたようにできなかったとか、そのために、調べるときに、ボーリング調査をしたような数値が出てこないであるとか。ただ、大臣がお答えされていたのが、そのときそのときでベストだと思うことをやっていたんだろうというふうな感じのことを言われたんです。

 これは私、言葉の揚げ足をとって申しわけないですけれども、だろうじゃだめだと思っているんですよ。だろうというふうに言わないで、こうこうこうだったと言うためには何が必要かというと、これは補助金というふうな扱いでやるのではなくて、政府が全部資産として、どうせお金を出すんだったら政府の資産としてやるべきなんじゃないですかということを今までの大臣に聞いたんです。

 そうしたら、そのときには、おのおのの大臣、ちょっとずつ違います。特に最初のころ、茂木大臣なんかは、まだ事態が収束していない中で、とにかく国も一丸となってやっていくんだ、そのうち前面に立ってやっていくんだというふうな話になっていった。では、皆さんがそれなりに収束したと考えられているんじゃないですかとか言ったんですけれども、大体が、まだそういうふうなところまでは至っていなくて、いろいろな意見がある中で検討しながらやっているというようなお答えだったんです。

 大臣に聞きたいんですけれども、何で私がこういうことを言うかというと、一つは、今言ったみたいに、総合的にやろうとしたときには、やはり政府が資産をしっかり持ってやるべきだと。ただ、これは資産を持つだけじゃ私はだめだと思っております。実際にしっかりとしたチームをつくってやっていかなければならない。これを今の東電に任せられるかというと、任せられない。なぜ任せられないかというと、大臣もおっしゃられていたと思いますし、総理なんかもよく言われていましたけれども、廃炉の技術というのをちゃんと一つの産業として世界に誇れるものにしていくんだ、唯一のこういう経験をした、そういうものをちゃんと世界の中で活躍ができるようにしていくんだというふうな感じのことを今までもいろいろなところで言われている。

 では、例えば近隣諸国でこんな痛ましい事故が起こったときに、東電が行くんですか。廣瀬社長はそんな行ける状態じゃないというようなニュアンスのことを言われていたと私は思うんですよ。それだったら、行くために誰がやるかというと、政府がしっかりとしたチームをつくって、そういうことを旗振り役としてやっていく。そのために一つ必要なのは、私はこういう資産をしっかり持つことなんじゃないかなと。

 それから、そうやってチームをちゃんとつくるということはどういうことかというと、これから先、ともすれば原発技術というのは衰退していく可能性がある。学校でしっかり勉強しても、なかなかそういう就職口がない。技術が発達していかない可能性が高いというふうに言われています。それを抑えるのは、どうやって抑えるかというと、そういうチームを政府がしっかりとつくっていくことなんじゃないか。

 そういう背景があった上で、これは補助金じゃなくて、そろそろ資産で持つかどうかというふうな検討をしっかりやっていただきたいと思うんですけれども、大臣、今の時点でどう思われているか。

世耕国務大臣 私は、委員と全く、そういう技術をしっかり日本に蓄積していくべきだという点、それは全く賛成です。だけれども、私は、そのことがイコール施設、装置、設備を国が持つということにはならないんだというふうに思っています。

 私は、これは東京電力が主体でやって、現場では、東京電力の人というよりは、各メーカーの技術が持ち寄って使われているという形でありますから、こういう技術を日本のメーカーに蓄積をしていくということが非常に今後に役に立つというふうに思っています。

 これから世界じゅうで廃炉が起こってきますよ、こういう事故だけじゃなくて。廃炉の作業のときに、当然、汚染水を処理するノウハウとかそういうのが求められてくるときに、そのとき日本のメーカーが非常に役に立つような状況になってくれれば一番いいなという思いで、国は研究開発とかそういう支援をしっかりやりながら、装置そのものは民主導でやってもらうことの方が私はいいんじゃないかなというふうに思います。

木下委員 私もそうなればいいと思うんです。

 ただ、柱がないとどんなことが起こるかというと、ちょっと違いますけれども、ちょっと違うというのか、違わないと思っていますけれども、談合がありましたよね。ああいうことが起こるんです。補助金を目当てにいろいろ談合が起こって、ああいうことをしていたら、いざ何かあったときに柱がないと、そういう人たちはついてくるかといったら、わからないですよ。

 やはり今、柱というのがおぼろげなんです。そういう技術を持ち寄ってやっていても、やはり東電のあの中に入って、福島第一原発のあの中に入って、その中で仕事に従事している、もしくはそこを向いて仕事をしている、そこに何らかの柱が必要だなと。何も全てがそうする必要はないかもしれないですけれども、やはり形をつくっていくことというのが大きなものになるんじゃないかなと思っているので、引き続きこれは検討していっていただければいいかなと思いますので、ぜひとも御検討いただければと思います。

 最後、一つだけ。早目に終わると言いながら、なかなか終わらずに申しわけございませんが、デブリの処理、処分についてなんです。

 これはなぜかというと、きょうも出てきていましたけれども、経産省のホームページの中でも、「「廃炉」の主な作業項目と作業ステップ」、これは大畠委員が出された資料ですけれども、これを見ていても、燃料デブリの取り出し、それから保管、搬出というふうに言っているんですけれども、さっきのトリチウムの話とすごく似ていると私は思うんですけれども、どうするのか。実際に、どういうふうに、どこに持っていって、どういう保管方法にするか、これは今考えられていると思うんですけれども、早く決着つけるべきだと思うんです。だって、今回の積み立てのほとんどがそういうところの作業に投じられるわけです。でも、その作業の決着、着地点がどこなのかというのがわからない。私、こっちは結構問題だと思っているんです。

 どういうやり方でどうやればいいか、今の時点ではわからないけれども、何とかこれぐらいの金額だったらできるだろうというのはわかります。でも、最後に、取り出したものをどこに置いてどうするか。これは技術的な問題と、もう一つ問題なのが、地域の問題であったり国民の感情であったり、そこはかとない不安だ。幾ら技術的にこういうふうにして安心だと言っても、では、そのものを置くのが自分の家の地下だったら、みんな嫌なんですよ。という状態がある。その上、それを政治利用しようとする人も出てくるでしょう。東京都知事の小池さんはそういう感じの人だと私は思っていますけれども。

 そういうことを考えたら、これはどうしようと思っているか。今わかる範囲内で結構ですので、最後、答えてください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 燃料デブリにつきましては、中長期ロードマップの中で、本年夏ごろをめどに号機ごとの燃料デブリ取り出し方針を決める、さらに、来年度上半期に初号機の取り出しの方法を確定するということが予定をされております。

 当然ですけれども、どういうふうに取り出しをしていくのかということの検討を踏まえた上で、その保管場所でありますとか、あるいは保管方法ということの検討が必要になってくる。そういう順番を追ってのことになってまいりますので、そういった過程の中であわせて検討していく、そういった考え方でおります。

木下委員 なかなか難しいですよね。大臣もうなずいていらっしゃいます。これは本当に難しいと思います。

 ただ、やはりこれは政治的な決着をつけるように進んでいっていただきたいんですよ。これを先送りすることなく、常に、継続してでも構わないです、大臣、この辺、旗を振っていただいて、ぜひとも早い決着、もしくは、何としてでもその結論に結びつくようなところまでのアプローチというのを不断に続けていっていただきたいと思いますので、それをお願いしまして、以上とさせていただきます。

 ありがとうございます。

浮島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。畠山和也君。

畠山委員 私は、日本共産党を代表して、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改正案に対し、反対の討論を行います。

 原賠機構法は、もともと、福島第一原発事故の加害者である東京電力を債務超過にさせず、何度でも資金援助するとの閣議決定に基づき制定し、この間、八兆円以上の資金交付と出資によって、東電をいわば虚構の黒字決算にして救済し、延命させてきました。事故の加害者、原因者である東電は事故処理費用負担の全責任を果たすべきですが、本改正案は全くそれに逆行するものです。

 反対理由の第一は、本改正案が新たな東電救済、原発延命策だからです。

 本改正案は、機構に廃炉積立金制度を創設するものですが、事故炉廃炉の実施責任は形の上で東電が負うとしながら、巨額の廃炉費用、債務認識を回避して東電を債務超過にさせず、経営破綻を免れさせる一方で、その費用負担は託送料金の実質値上げ等で消費者にツケを回す仕組みをつくり、一切を経産省令に白紙委任するもので、容認できません。

 第二は、新総特の二倍にもなった事故処理費用二十一・五兆円は、その根拠も責任の所在も曖昧で、将来天井知らずに増大するおそれが大きいものなのに、国会も国民もチェックできる仕組みがないものだからです。

 とりわけ、資本主義の商取引の原則を覆し、改正電気事業法の趣旨に反して消費者の選択権を奪う賠償費の過去分なるものは、一片の閣議決定による国家の不当請求です。これを認めることは立法府の自殺行為であり、国民の、また消費者の理解と納得は到底得られません。

 第三は、本法案の土台にある東電改革提言は、財界人中心の東電委員会による密室談合を国民に押しつけるものであり、提言が示す三段階の収益拡大のシナリオは、福島県民と国民の民意に反する原発再稼働と原発輸出を実現の条件とするもので、絵に描いた餅です。

 廃炉・汚染水対策を国民的な合意と英知のもと確実に実施するためには、法制定時には想定されていなかった電力システム改革の環境下における原賠機構法の検証と総括が不可欠です。その上で、国の法的責任を認めた前橋地裁判決を真摯に受けとめ、原点に立ち戻ることこそ求められており、危険な原発を安全神話と国策民営で推進してきた歴代政府と国の責任、反省を明確にし、事故被害者に謝罪することです。

 東電は法的整理して一時的に国有化し、賠償と廃炉の主体を再構築して、株主、メガバンクなど貸し手の責任を問い、原発利益共同体に応分の負担を求めて、国民負担の最小化を図ることを強調し、討論を終わります。

浮島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、吉川貴盛君外二名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。北神圭朗君。

北神委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下「機構」という。)における積立金制度の運営について、機構における廃炉等積立金の額の決定、廃炉等実施認定事業者による積立て、廃炉等積立金の厳格な資金運用や区分経理、取戻し、実際の廃炉等作業に関する使用等の各段階における状況を公開・説明する等、制度運営に関する透明性の確保に万全を期すよう監督すること。

 二 法律第五十五条の四に定める廃炉等積立金の額は、当該事業年度の前後の廃炉等の実施状況、東京電力ホールディングスの経営状況、廃炉等積立金の使用状況及びそれらの見込み等を勘案して、合理的な額を柔軟に設定するとともに、その設定方法を定める法律第五十五条の四第二項に基づいて主務省令で定められる基準を予見可能な明確なものとすること。

 三 機構は、今後の廃炉等の実施の管理・監督を行う主体としての責任を果たすことが求められていることから、廃炉等の技術に係る機構職員の専門人材の育成等、今後の廃炉工程の進展等を踏まえて組織体制の一層の充実・強化を図るよう指導すること。

   また、廃炉等の技術について、政府が積極的に研究開発支援を行う等、政府、機構、東京電力ホールディングス、原子力企業等による密接な連携の下でそれぞれの役割を果たし、今後の廃炉工程の一層の進展が図られるよう取り組むこと。

 四 東京電力ホールディングス及び政府は、レベル七の原発過酷事故を受けての事故廃炉という、人類が経験したことの無い困難な課題を克服する上で、国民負担の現状と今後の見通し、技術的解決策の開発状況や展望、燃料デブリ取り出し・廃炉のロードマップ更新をはじめ、可能な限り、国民と国際社会とに対する正確な情報開示・情報発信に努めること。

 五 廃炉の確実な実施のためには、廃炉作業に当たる関係作業員の高い意欲と認識が必要不可欠である。安全第一を基本とする作業員の労働環境の充実と確立に努めること。

   また、東京電力ホールディングス及び政府は、事故廃炉・燃料デブリ取り出しを今後実行して行くに際して、遠隔ロボット等を最大限に活用しつつ、作業員等の被曝対策と安全管理・健康管理には万全を期すこと。

 六 東電改革の成否は、今後の福島第一原発事故の対応に係る道筋に極めて大きな影響を与えることから、政府、機構において、東京電力ホールディングスの改革の取組状況については、定期的に評価を行い、筆頭株主としての責任を貫徹し、必要に応じてその立場を最大限に活用する等により、改革の完遂を図ること。

   なお、改革の成果が、東京電力ホールディングス株式に対する市場の評価に繋がるよう、市場関係者に対する十分な情報提供を図ること。

 七 託送原価を低減した場合の託送料金の設定について、電気事業法上の諸規定と整合性を保ちつつ、他の送配電事業者の託送料金とも公平性を担保しながら、託送原価の低減努力が着実に廃炉等費用の捻出に繋がるような明確なルールを設定すること。

 八 大胆な経営改革による合理化は、事故廃炉に取り組む東京電力ホールディングスはもとより、自由化を受けて全ての旧一般電気事業者に期待されていることに鑑み、政府は、今後の東京電力ホールディングスの改革の取り組みをベンチマークとし、電気料金や託送料金の引き下げなどにより、国民・需要家に対して改革の果実が十分にもたらされるよう、当該事業者の適切な対応を促すこと。

 九 今般の廃炉等費用の試算額については、今後の廃炉等工程の具体的な進展に伴い変化する可能性もあることから、廃炉等工程の進展具合や廃炉等積立金の使用状況等も踏まえて必要に応じ適時適切に見直し・公表することとし、今後の着実な廃炉の実施等の観点から、処理済水の取扱い方法についても決定し、その費用の合理的見積りを行い、電力需要家のみならず国民に対して十分な説明責任を果たすこと。

 十 一般負担金に係る過去分の回収にあたっては、その事実を需要家に確実に伝えるための措置を講ずるとともに、過去分回収に係る考え方や回収額等について需要家がより具体的な情報が得られるよう、政府及び送配電事業者等により提供されるよう措置すること。

   なお、新電力からの回収については、本来事故とは関係の無い第三者に対して政策実現に係る義務等を負わせることとなるため、政府において新電力に対して十分な説明を行うとともに、所要の支援措置等を講じること。

 十一 送配電会社の託送料金に上乗せして回収する措置について、賠償の備えの不足が生じた中での政策上の要請があるとしても、今後同様の措置が安易に導入されること等が無いよう、措置に係る十分な情報公開を行う等、第三者によるチェックが可能となるよう措置を講じるとともに、福島第一原発事故の対応に要する資金の確保に関し、国の財政負担のあり方について検討すること。また、「公共財」的性質を帯びる送配電網が過少投資にならないよう政府が必要な措置を講じること。

 十二 原子力損害賠償支援機構法附則第六条第一項に基づく「原子力損害の賠償に係る制度における国の責任の在り方、原子力発電所の事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任の在り方」について、本年秋までに検討を加え、その結果に基づき、財務健全性や自律的な事業運営が可能となるような国の関与の在り方や、費用負担等のルールをすみやかに整備すること。

 十三 低レベル放射性廃棄物の処分場確保にあたっては、発生者責任の原則の下、事業者が実施するが、その際、地域の理解の増進など、国としても責任をもってその確保に協力すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、世耕国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。世耕国務大臣。

世耕国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

浮島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浮島委員長 次回は、来る十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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