衆議院

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第13号 平成29年5月17日(水曜日)

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平成二十九年五月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 白須賀貴樹君 理事 吉川 貴盛君

   理事 北神 圭朗君 理事 近藤 洋介君

   理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      島田 佳和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    柿沢 未途君

      木内 孝胤君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    中根 康浩君

      福島 伸享君    中野 洋昌君

      畠山 和也君    真島 省三君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            天谷 知子君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 井上 裕之君

   政府参考人

   (国税庁徴収部長)    田中 光史君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    宮本  聡君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    吉野 恭司君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     海堀 安喜君

   参考人

   (株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長)    安達 健祐君

   参考人

   (株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁)    細川 興一君

   参考人

   (一般社団法人全国信用保証協会連合会会長)    村山 寛司君

   参考人

   (長島・大野・常松法律事務所弁護士)       小林 信明君

   参考人

   (一般社団法人全国地方銀行協会一般委員長)    柴田  久君

   参考人

   (全国中小企業団体中央会会長)          大村 功作君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  塩谷  立君     田畑 裕明君

  田嶋  要君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     塩谷  立君

  柿沢 未途君     木内 孝胤君

同日

 辞任         補欠選任

  木内 孝胤君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長安達健祐君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局審議官天谷知子さん、金融庁総務企画局審議官西田直樹君、財務省大臣官房審議官井上裕之君、国税庁徴収部長田中光史君、中小企業庁長官宮本聡君、中小企業庁次長吉野恭司君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君及び国土交通省大臣官房建設流通政策審議官海堀安喜君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民進党の近藤洋介であります。

 きょうは、参議院の質疑の関係で、ちょっとイレギュラーでありますけれども、民進党の方からトップバッターに立たせていただきます。御配慮いただきました委員長また与党理事の皆様におかれましては感謝を申し上げたい、このように思います。

 まずもって、きょうは中小企業の信用保険にかかわる法案の改正案の質疑であります。

 経済、産業社会にとってやはり金融は血液でありますから、この血液がきちんと回ることというのは非常に大事なことであります。ここが一部に偏ってしまうとか、また、回らないとなると、もう産業、経済自体が全体が死んでしまう、こういうことでありますから、偏らないようにする、また、きれいに循環するということをつくることが、これはやはり、経済政策をつかさどる行政の大きな役割でありましょうし、経済産業省、中小企業庁、また金融庁等々、政府の経済政策の大事な仕事であります。

 その観点から、今般の信用保険法、時宜にかなった改正だということを申し上げた上で、まず冒頭、金融といいましょうか、経済をめぐる問題で非常に重要な案件が出てまいりましたので、法案の質疑に入る前に一つお伺いをしたい、こう思っております。

 それは、かねてからこの経産委員会で私取り上げておるわけですが、東芝の問題でございます。

 委員長のお許しを得て資料配付をさせていただいておりますので、ぜひごらんをいただければと思うのですが、これは十六日付の日経新聞の朝刊の記事であります。これは各社大きく取り上げていますが、東芝の決算発表なるものを、発表を東芝がしました。

 決算発表なるものと申し上げましたのは、これは監査意見のつかない数字を仕方なく会社側が公表したから、これは私は決算発表と認めていないので、数字の公表、こういうふうに申し上げたいと思います。数字を公表されました。非常に驚くべき数字でございました。

 ここに書いておりますとおり、会社側は、二〇一七年三月期で五千四百億円の債務超過に陥ったと発表をいたしました。赤字規模は約九千五百億円、通期ですね、連結決算で。この赤字規模は、東京電力、東日本大震災を受けた東電の赤字規模、一兆二千億円の赤字になっておりますけれども、それに次ぐ規模、歴代第二位の大変な赤字であります。

 これもまだ確定はしておりません、決算の監査意見がついておりませんから。会社側の自主発表であります。いずれにしろ、五千四百億円の債務超過に陥ったと発表しております。

 そこでお伺いをしたいと思うのですが、東芝側は、五月十九日にも、同社の半導体子会社東芝メモリの売却を予定しておって、ここに各社が入札をするということを公表しているわけであります。債務超過を解消するために半導体子会社を売却したいという旨は、これはもうかねてから公表しているわけであります。

 各紙報道では、政府系ファンド産業革新機構が日本政策投資銀行とともに米国コールバーグ・クラビス・ロバーツ、KKR社と共同で参画すると報じられております。産革機構の出資額は、報道では四千億円と報じられております。

 まず大臣にお伺いしたいのですが、この報道等は事実でありますでしょうか。金額は答弁できないとしても、既にいよいよこの入札が目前、こうなっております。現時点で、半導体部門の売却に産革機構が参加するという方針に変わりはないか、お答えいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 東芝の半導体事業、これは世界的に見ても非常に高い競争力を有していますし、特にあの四日市工場では多数の雇用があるわけでありまして、雇用維持の観点からもこの東芝の半導体事業というのは、日本にとって非常に重要だと思っています。

 また、情報セキュリティーという観点からも、これからデータセンターなどにこの東芝メモリのつくっているフラッシュメモリーが活用されていくということですから、情報セキュリティーの観点からも今後重要性が増していくというふうに考えております。

 そういう中で、東芝が御指摘のような非常に苦しい経営状況の中で、既に、東芝メモリという形でこの半導体事業を分社化しています。今のところ一〇〇%子会社ですが、この株を、マジョリティーを譲渡することも含めて、外部資本の導入を検討しているというふうに承知をしております。

 先ほど申し上げたような観点もありますので、政府としても、その売却がどういう形になるか、東芝がどういう対応をしていくかということについては、注視をしているという状況であります。

 ただ、産革機構が出資するのかどうかも含めて、金額も含めて産革機構が出資するのかどうかということについては、これは産革機構が個別の投資案件として判断すべきことでもありますし、また、東芝という個社の経営に関することになりますので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げれば、産革機構が投資をするのは、これは、法律上、オープンイノベーションを通じて日本の産業構造の革新につながる案件を支援する、これが産革機構の法律上のミッションでありますから、こういう趣旨にかなうと産革機構が判断をすれば、制度上、投資という形で支援を行うことは可能ではありますけれども、今私が、産革機構が出資するかどうかについては、コメントは控えさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 大臣、御答弁いただきました。オープンイノベーションであれは参加は制度上できる、こういう御答弁でありましたが、では、あえてまた伺います。制度上の話を大臣に伺いたいと思います。

 産革機構は経済産業省の所管の法人でありますし、また、産革機構の原資は、これは公的なお金でありますから、投資判断の個別の判断は産革機構としても、やはり大臣はこの国会で答える必要があろうかと思うのでお答えを伺いたいと思うんですけれども、まず、監査法人の意見が付されない異常な数字を出し続ける、すなわち、上場企業として極めて異様な状態にあるわけです、東芝は。この会社の事業売却に対して公的資金を投入するということは、少なくとも現時点では、現時点では、少なくとも会社のガバナンスが著しく劣後している、こう見られている会社です。この会社に対して、結果としてそのお金が、半導体という事業のイノベーション性は、それはオープンイノベーションはあるとしても、お金の流れが、結果としてその資金がガバナンスが著しく劣後しているところに流れるということは、結果として救済ではないか。結果としてです。これは企業救済ではないか、こういうことだと思うんです。

 これは、大臣が以前この場でも答弁されました、産業革新機構は企業救済機構ではないとおっしゃっていた答弁とやはり矛盾するのではないか、こう考えるんです。また、法令からも違反するのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 産革機構の個別の判断について、個別の案件について今具体的なコメントは控えさせていただきたいというふうに思いますが、いずれにせよ、最終的に産革機構が、これはこの案件に限らず、投資の判断をした場合は、それが私のところへ上がってきて、経産省として認めるかどうかという判断になるというのが法律上のたてつけということでございます。

 そういう中で、救済かどうか、これは一般論ですけれども、株を買って、それがもう全くオープンイノベーションもない、日本の産業革新にも役立たない、そういう会社に投資をして、その親会社にお金を渡してということであれば、それはまさに今おっしゃるように、産革機構が投資できる案件ではありませんし、そういう形で上がってきたものは私は認可はしないわけであります。

 ただ、その投資自体が、やはり、かなり成長性のある分野である、親会社の経営が苦しいかもしれないけれども、その子会社の事業というのが非常に成長性があって、そこに産革機構が投資することによってオープンイノベーションが進み、日本の産業革新が進むということであれば、これは認可をするということはあり得るだろうというふうに思っております。

近藤(洋)委員 大臣、ちょっとしつこくて恐縮なんですが、僕は苦しい答弁だと思うんです。

 事業は確かに将来性がある、そこに投資をする、これはいいでしょう。しかしながら、この半導体メモリーの売却は、そもそも動機は、債務超過を解消するための売却なんですよ。目的は債務超過を解消するための目的、この目的のために政府が資金協力をする、こうなってしまうんですよ。だとすると、やはり、目的が債務超過を解消するという目的だとすると、そこに手をかしたことになりませんかということなんです。

 これはやはり、その目的に手をかしたとするならば、東芝がせめても、大臣、くどいようですけれども、ちゃんとした会計をしているという、監査法人の意見が付された会計が行われたという時点でやはり政府は判断すべきだと思うんです。監査法人の意見も付されていない、こんな状況で、大臣、やはり政府が認可すべきではないと思うんです、公的資金の使われ方として。私はここを言いたいんです。

 私は、半導体事業は、それはイノベーションはあると思っていますよ。機密性も機微もある事業だと思う。しかしながら、本体の会計がこれだけずさんで、しかも私は非常に残念なのは、前回、決算なるものを発表したときと比べて、ウェスチングハウスの貸倒引当金が何と一千四百億円もまたふえているんです。驚くべきことであります。

 こんなずさんな決算発表なるものを次から次と発表されている。しかも、まだ監査法人の意見も付されない。一体どういう決算をやられているのかというのは闇のままなんです。少なくともこれが確定していない状態で、果たして公的資金を投入していいのかということを申し上げているんです。

 くどいようですが、やはり、きちんとした会計がされたところに政府は公的な資金を投入すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 東芝本体の問題については、今御指摘のように、長期にわたって有価証券報告書等の多額の虚偽記載が行われるなど、種々のガバナンス上の問題が指摘される事態になったことは極めて遺憾であります。また、上場企業においては、当然のこととして、十分な情報開示やガバナンスの実効性確保が重要だと考えておりまして、東芝においては、こうした点において今後適切な対応が行われることを期待したいと思います。

 なお、産革機構の投資というのは、あくまでも、オープンイノベーションにつながるかどうか、日本の産業構造の革新につながる案件であるかどうか、そこで純粋に判断されるべきことだと私は考えております。

近藤(洋)委員 産革機構の判断がきちんとある意味で政治から独立して行われること自体、私は異を唱えるものではありません。しかし、結果がどうだったかということもきちんとフォローしなければいけない、こう思っているんです。

 あえて言うと、ジャパンディスプレイという会社がありますが、そこに対して政府も投資している。この決算が今どうなっているか。残念ながら、はかばかしい数字だと私は聞いておりません。これもやはりどうだったかと。

 私は、委員長、きょうは時間がないのでまたにしたいと思いますが、やはり、公的な資金の使われ方としてきちんとその状況を随時国会に報告すべきだ、こう思うんです。東芝の問題についてもそうですし、産革機構の投資がどのようなプロセスでどのように決定されたのか。判断する中身について、ルールがどのようなルールでされたのかというのをきちんと説明すべきだとこう思うんです。

 やはり、仮に出資する場合、きちんとした説明を改めて国会の場でもすべきだとこう思いますが、大臣、お答えいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 産革機構の出資する場合とそれを認可する場合については、これは、私もちゃんと理由を付して認可をしていますから、そういう意味ではきちっとした説明責任は果たしているというふうに思いますし、国会でお問い合わせがあれば、それは私も、どういう理由で認可をしたのかということについては、当然答弁をしなければならないというふうに思っております。

近藤(洋)委員 本件は極めて私は、仮にこういった中途半端なというか、このような東芝の決算の状況で出資が行われたとしたら、やはりその状況については私は疑問を持つものであります。

 いずれにいたしても、本件、産革機構の状況についてきちんと当委員会で集中的な質疑をお願いしたいということを委員長に申し上げたいと思いますし、少なくとも、委員会でなくても、理事会においてきちんとした報告がなされるということを要請したいと思います。

浮島委員長 理事会で協議いたします。

近藤(洋)委員 続いてもう一つ、資金の流れについてなんです、全体について。東芝の問題はこれで終わります。

 金融全体の話について、今度は中小企業金融なのでありますが、これは残念な事件が一つございました。商工中金であります。商工中金の不正融資問題についてお伺いをしたいと思います。

 委員長のお許しを得て配付されている資料の二枚目以降に、不正行為に関する対応についてということで、商工中金側の資料を添付させていただいています。

 事件の概要、事案の概要については、もう委員各位御案内のとおりでありますので説明は必要ないかと思いますが、簡略に申し上げますと、災害や経営危機に苦しむ中小企業に設備投資の資金を貸し出す危機対応融資で、相手先の企業の書類を改ざんして、本来なら対象とならない企業に融資をしてきた。これが、確定しているだけで三十六の支店に及んでいる。全社的に広がりを持って、長期間にわたり行われてきたということであります。金融機関の信用を揺るがす、あってはならない不祥事であります。

 まず、商工中金の社長に来てもらっていますが、社長として、本件、どのように受けとめているのか。また、なぜこのような不祥事が過去隠蔽をされてきたのか。隠蔽というか、公表されずにこのような事態に陥ったのか。その要因について簡潔にお答えいただけますか。

安達参考人 お答え申し上げます。

 国費が投入されている危機対応業務において不正行為を発生させてしまい、危機対応業務の指定金融機関としての信頼を大きく損ねてしまったことにつきまして深く反省しております。この場をおかりして、心よりおわびを申し上げたいと思います。

 事案の発生以降、調査の客観性、中立性、専門性を確保するため、第三者委員会を設置し、その調査に全面的に協力してまいりました。四月二十五日に調査結果をいただきました。

 報告書によりますと、危機対応業務の要件確認において、長年にわたり、全国的な広がりを持って、試算表等の改ざん行為が行われてきたことが確認されました。また、二年半前、池袋支店において不正行為を把握する機会があったにもかかわらず、当時の管理部門が不適切な対応を行った結果、問題事案が適切に把握されなかったことが判明いたしました。こうした事態を生じてしまったことを厳粛に受けとめてございます。

 その原因、要因でございますが、まず、危機対応業務の要件確認手続におきまして不正は起こるものというリスク認識が足りなかったことに起因して、危機対応業務の要件確認を営業担当者に専ら任せ、チェックする体制が設けられてなく、編成が不十分だったことがまず第一でございます。

 第二でございますけれども、危機時に備えて設置された危機対応業務の予算を営業店の業務評価に組み込んで配分したことによって、本部から現場に過度なプレッシャーを与えてしまったこと、それから、コンプライアンス意識が低下したことがございます。

 また、池袋支店の事案に関しましては、第三者委員会から指摘されているように、同質性やもたれ合いにより、問題を過小評価する対応につながったことを主な要因と認識してございます。

 今後、調査をまだしておらない案件について全数調査をいたしまして、問題の所在と根本原因を特定し、全容を解明し、その上で、ガバナンスの抜本的強化を含めた再発防止の策定や、役職員の責任の明確化等の必要な対応にしっかりと全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

近藤(洋)委員 安達社長、非常にこれは、公的資金を預かる金融機関としては、やはりあってはいけないことであります。

 私もこの調査報告書を読みました。いろいろ書いておりますけれども、実際起きた支店、全社的に三十六支店、グレーのところを含めればもっと多いわけでありますけれども、多少ばらつきはあります。

 例えば、東北地方は少ない。例えば山形県の支店でも、今のところはないわけです。ところが一方で、西の方は比較的多く発生している。鹿児島などは大変広範にわたって行われてきた。おっしゃった池袋などは相当広くやられているという意味では、かなり地域的なばらつきはございますが、しかしながら、全社的に行われてきたということであります。

 これは、言葉の使い方はありますが、これを組織ぐるみという言葉がいいかどうかは別にしても、やはり、組織的に広がりを持って行われてきたことは間違いない。一人や二人、数人の行員の方が行ってきたことではないということだけは間違いないわけであります。

 ですから、これはやはり相当深刻な事態であることは間違いありませんし、あえて言うと、二年半前の、この報告書にもあるわけですが、発覚したときにこれを、しかも社長まで上がっているわけです。社長まで上がっている。当時の社長の杉山社長は、これはどういうことだ、この報告書によればですよ、杉山氏は問題だと指摘をして、これを公にすべきだと指摘をした。もう一度整理をしろと指示をした、調査をしろと。そうしたら、調査をした結果、問題ありませんという結果が上がってきている。こういうことなんです。

 ここで確実にこれは、平たく言えば隠蔽をされた、こういうことであります。社長の指示で再調査をし、それが隠されたということでありますから、こうなってきますと、やはり、トップの指示で調査しろということが隠されたわけですから、二年半前のこの隠蔽は決定的であります。

 そうなってきますと、やはりその担当役職員も含めて、かなり深刻。この二年半前の池袋事案が発覚したときの問題は、これは決定的であります。やはり第三者委員会報告を見ると、身内に甘い人事処分ということ、これも指摘をされております。

 具体的に社長に伺います。いつまでにどのような対策を打ち出すんですか。これが第一点。第二点、経営トップとして、御自身の進退も含めてどのように身を処すお考えですか。お答えいただけますか。

安達参考人 お答え申し上げます。

 今回の業務改善命令を重く受けとめて、一から出直す考えでしっかり対応していきたいというふうに考えてございます。

 今後、業務改善命令に従いまして調査を継続するわけでございますか、それによって問題の所在やその根本原因を特定した段階で、法令等遵守態勢、経営管理態勢及び内部管理態勢の整備強化等を行って、二度とこのような事態を起こさないよう、再発防止に努めていきたいと思ってございます。

 今御指摘の池袋事案については、大変重く、深刻な問題と受けとめておりまして、これにつきましても、調査を継続して、全容を解明したいというふうに思ってございます。

 そのように調査を、解明した上で再発防止をきちっとし、役職員の責任を明確にし、厳正に対処する、今後これをやることが私の責任のあり方だと思ってございます。

近藤(洋)委員 大臣に伺います。

 大臣は、所管大臣として今回の不祥事をどのように受けとめ、今後どう商工中金のあり方を指導するお考えなのか。また、商工中金の歴代の社長も含めて、現社長も含めて、対処、責任のあり方についてどのようにお考えを持っているか。お答えいただけますか。

世耕国務大臣 まず、商工中金において、危機対応業務の融資の際に職員が試算表などの数字を改ざんしていたという事案が発覚した。もうこのことは、本当に遺憾だというふうに思っております。

 この事案については、商工中金において第三者委員会を中心に調査が進められてきて、四月二十五日にこれまでの調査結果の報告を受けました。

 しかし、一方でこの件は、過去何年にもわたり、先ほども御指摘あったように、何年にもわたって、複数以上の現場で延々と続けられてきた問題でありまして、商工中金がこれまでみずからの調査に基づいて役員の減給処分などを発表していますが、今の役員を減給処分するだけで解決できる問題ではないというふうに思っています。この問題を根絶すべく、安達社長を初め現経営陣には、まず、徹底した問題の洗い出しと全容の解明を求めていきたいというふうに思っています。

 これまで行われている調査は、その報告書でも報告されている調査は、危機対応貸し付け全体の一二・六%です。異動などで、この支店が怪しいんじゃないか、この案件がこの人が担当したから怪しいんじゃないかということと、あと、無作為抽出の一万件ということで、それでもまだ全体の一二・六%ですから、五月九日に私の方から商工中金に対して業務改善命令を出させていただきまして、全部調査をしてくれ、未実施の部分も含めて、危機対応貸し付けについて全件調査を実施をして、問題の所在とその根本原因を特定してほしいというふうに求めているところであります。

 その全容解明の結果も踏まえた上で、直接関与した職員の処分をどうするか、そして、社長も含め、担当役員の管理責任の明確化といったこともしっかりやっていきたいと思いますし、ガバナンスの抜本的な強化、こういうことを二度と起こさないための組織体制の見直しの検討など、商工中金に対して、全容解明の調査結果を受けて、さらなる対応を求めてまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ、きちんと調査をした上できちっとした対応をとっていただきたい、このように思います。

 私は、安易に、別に天下りだからどうだというステレオタイプ型の批判をしようとは思いません。調査結果を受けてどういう対応をしたかを受けて、その中身を見て判断、指摘をさせてもらいたいと思います。ですから、その中身次第では、けしからぬということも言おうと思います。

 この起きた事案はとんでもない事案だと思います。ですから、しっかり調査をしてしっかりした対応をとってもらいたい、このように思いますので、ぜひ安達社長におかれては、安達社長は就任をされてまだ一年たっておられないわけでありますけれども、いずれにしろ、歴代の社長にどうだったということは、現社長としてはつらいかもしれませんが、しかし、それは歴代の社長に対してもきちんと聞く。

 また、現役の中小企業庁長官は、現社長なり歴代社長に対して監督官庁として聞くのは、これまたきついかもしれませんが、きついも何も職務ですから、そこでいいかげんなことをやったら、それこそ公的な資金を預かる者としては、それは国民に対する背信行為だということの観点に立って徹底的な調査をお願いしたいというか、やるべきだということを指摘をして、本件を引き続きまた折に触れて伺っていきたい、こう思います。

 さて、法案でございますが、まず今回の法案は、第五号保証の保証割合を八〇%として、新たなセーフティーネットとして危機関連保証、一〇〇%保証を創設したわけであります。この危機関連保証を一〇〇%保証、これは世界的にはないんです、あえて言うと。世界まれなる一〇〇%保証なんです。これを残したという理由をあえて伺います、大臣。

世耕国務大臣 今回の信用保証制度の見直しにおいては、金融機関がより前面に立って中小企業の経営改善や事業転換などが促されるものとするために、不況業種向けのセーフティーネット保証五号については、御指摘のとおり、保証割合を八〇%に引き下げることとしました。

 一方で、リーマン・ショック級の経済危機、東日本大震災のような大規模な災害などの突発的な事態によって著しい信用収縮が全国レベルで生じた場合においては、金融機関がリスクをとって融資を行う機能を失って、中小企業の資金繰りが滞って倒産等が多発する事態となりかねないわけでありまして、こういった事態を回避するために、政府は直ちに、金融機関のリスク負担を減らすべく、八〇%保証ではなく一〇〇%保証を実施して、金融機関が融資をしやすい万全の環境を整える必要があると考えています。

 このため、将来発生し得るこうした事態に備えて、セーフティーネット機能を強化をして、直ちに業種、地域を問わず一〇〇%保証を実施することができる危機関連保証を創設するわけであります。

 ただ、御指摘のように、これは異例の措置でもありますので、危機の状況が去った段階で速やかに終了しなければ、政府の過度な支援となり、マーケットをゆがめることにもつながりかねないことから、原則一年以内とあらかじめ期限を切ることとしております。

近藤(洋)委員 今回、そういうことで一年以内ということで新たにつくった、こういうことであります。

 改めて政府参考人に伺います。

 一〇〇%保証制度というのは、まさに金融機関の目きき能力を鍛えるという意味では、やはりこれは阻害要因になった、要するに貸し倒れというのがないわけでありますから。私でも貸せるわけです、あえて言えば。近藤洋介でも貸せるわけです。近藤洋介は率直に言ってバンカーではございませんから、目きき能力はございません。私でもできる、こういうことですから、鍛えることへの阻害要因となってきたという指摘がありますが、これに対して金融庁参考人、どのように受けとめていますか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 一〇〇%保証は、大規模災害とか金融危機発生時において民間の金融機関だけでリスクを十分にとれない状況にある中で、中小企業に対する円滑な資金供給を確保するという観点から重要な役割を果たしてきたと思っております。

 他方、議員御指摘のように、こうした災害とか金融危機が一段落といいますか、落ちついてきた後も金融機関がこの一〇〇%保証を長期にわたって利用したことによって、結果として、金融機関の目きき能力でありますとか、企業の経営改善、生産性向上等の支援を行うインセンティブの低下を招いた面もあったものではないかと考えております。

 金融庁といたしましては、金融機関が、この信用保証も含めまして担保、保証に過度に依存することなく、目きき能力を発揮して、取引先企業の事業の内容であるとか事業の成長可能性などを適切に評価した上で、企業の経営改善あるいは生産性向上等に資する融資、あるいは向上支援等を行うことが重要であると考えております。

 金融庁といたしましては、検査監督を通じて金融機関のこうした取り組みを促してきたところではございますが、今後も引き続きこのような対応を行っていきたいと考えております。

近藤(洋)委員 今おっしゃったように、まさに一〇〇%保証というのは、危機のときには非常にこれは大事。危機のときは誰もが収縮するわけですから、これはやはり政府しかいないわけで、これは大事だ。

 しかしながら、平時においては、今の大臣の御答弁も含めて、また参考人のお話も総合すると、これは弊害の方がむしろある、こういうことだと思うんです。私も同じ思いであります。

 余り平時のときにこれが続くといかがなものかということであり、また、そういうことも踏まえて金融庁自体は、後ほど伺いますけれども、逆に金融機関を変えようということで、森ドクトリンと言われていますけれども、新たな方針を打ち出した。これはこれで結構今大騒ぎになっている部分もあるんですが、それはともかくとして、後ほど伺います。

 では、この危機関連保証でありますけれども、ではどういうときに発動するのかということだと思います。期限は一年間、こういうことで区切られましたが、資料の七ページ目に法案を出しておりますが、危機関連保証について条文上は、「内外の金融秩序の混乱その他の事象が突発的に生じたため我が国の中小企業に係る著しい信用の収縮が全国的に生じていると経済産業大臣が認める場合」ということですが、まず手順を伺います。

 具体的にはどういう手順で決まるのですか。手順を教えてください。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の危機関連保証の発動に当たりましては、今般改正を行います信用保険法の規定に基づきまして、全国的な資金繰りの状況を示す資金繰りDIなどの客観的な指標が、リーマン・ショック時あるいは東日本大震災などと同程度に短期かつ急速に低下するといった著しい信用収縮が全国的に生じていると経済産業大臣が認めた場合に、大臣告示により発動することを想定しているところでございます。

近藤(洋)委員 長官、ありがとうございます。

 大臣告示で出すわけだけれども、そこの具体的な指標は、資金繰りDI。せっかくなので、大事なことなので、資金繰りDIのほかに何があるんですか、具体的な指標がもしあればお答えいただけますか。

宮本政府参考人 新しくつくります保証については、基本的に資金繰りということでございますので、やはり資金繰りDI、これはいろいろな形で出ているものでございますが、これが最も適切なものだと思っております。それは定期的に行われるものはありますが、状況に応じては、緊急で行うこともあります。

 そのほかは、ヒアリングに応じて、実際に中小企業側でどのような資金のショートが起きているかということをつぶさに調べることも必要かと思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 基本的には資金繰りDIだ、そして大臣告示だ、こういうことなんですね。

 今までは、かなり手続が広範の改正も場合によっては必要でありましたし、その都度その都度決めてきたからかなり政省令の改正も必要であったし、逐次投入であったから時間がかかった、こういう反省に基づいて今回の改正になったわけであります。

 ただ、問題は、ここで大臣にお伺いしたいんですけれども、危機関連保証が機動的に迅速に発動できるということは、やはり、危機的状況においてはこれは大事なことだと私も思います。しかし、他方で一〇〇%保証というのは、これは世界に類を見ない制度ですから、やはりこれを使うときは、非常に大事な判断だと思うんです。やはり時々の大臣でこの判断がぶれるとなると、これは問題だと思うんです。一定の基準というのは、ある程度客観的な基準をあらかじめこの法案の審議に当たってはやはり示すべきではないか、このように思うわけであります。

 こういう指摘でこういう条件だから発動するんだというように、この法案の質疑に当たってはやはり示していただきたい、このように思うわけでありますが、大臣いかがですか。

世耕国務大臣 御指摘のとおり、その発動に当たっては、厳格かつ客観的な判断が求められるというふうに思っています。

 このため、過去の大規模な危機を分析した結果、全国的な資金繰りの状況をあらわす資金繰りDI等の客観的な指標が、リーマン・ショック時などと同程度に短期かつ急速に低下をするという著しい信用収縮が生じた場合に限定をして発動することを考えております。

近藤(洋)委員 今の大臣の御答弁、これは議事録に残りますから、一つのメルクマールになった、こう思うわけでありますが、やはりここはきちんと何らかの形で、今後の質疑もありますでしょうから、お示しをいただきたい、このように思うわけであります。これは非常に大事なことだと思うんです。

 リーマン・ショック時並みのショックというのはやはり相当なショックでありますので、そういうことで発動するということが今確認はとれました。

 次に、もう時間も迫ってきているので、大臣に伺います。マイナス金利が中小企業金融に与えている影響についてお伺いしたいと思うんです。

 地域金融機関の収益がある意味で相当弱くなっているんじゃないかと僕は懸念しているんです。しかも、大臣に伺うよりも、金融庁に伺いますかね、大臣もうなずいているので。地域金融機関の収益の話ですから、せっかく金融庁の西田さんに来ていただいているので、伺います。

 森ドクトリン、森ドクトリンというのは、森総理じゃありません、森金融庁長官です。今、事務次官いろいろいらっしゃいますけれども、霞が関の事務次官ではっきり言って一番有名なのが森長官じゃないかというぐらい、財務省の佐藤事務次官よりも有名だと思うんです。我が経産省の次官の名前を知らなくても森長官のことは知っているという経済界の人は多いぐらい、森長官はかなり有名人になられました。森ドクトリンです。すなわち、金融検査の方法を大幅に変えたい、こういうことですね。

 この森ドクトリンによって、私は基本的にはいい考えだと思うんです。資産、土地や、そういう担保だけではなくて、金融事業の中身に着目して貸し出しを変えろ、こういうかねてから言われてきたことを言っている、こう思うわけでありますが、検査のあり方を変えたということであります。

 こういうことで中小企業向け貸し出しをふやすよう指導していくと聞きますが、他方で、マイナス金利は中小企業の金融機関の収益を著しく、著しく低下させております。ここを金融庁はどう見ているのかということを伺いたい。

 森ドクトリンでせっかく中小企業金融を出せとふやしても、マイナス金利の収益の低下でこの森ドクトリンは実行されないのではないかという懸念を持つのですが、金融庁はどのように受けとめておりますか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 今、議員からは二つの点が御指摘ありましたので、まず、収益を減少させて経営体力が低下して中小企業への貸し出し余力が弱くなっているんじゃないかという点につきましては、マイナス金利政策のもとで、御案内のとおり、貸出金利は引き続き低下をしております。

 そうした中、中小企業にとりましては、借り入れ負担の軽減であるとか資金調達の円滑化につながると思いますけれども、他方、地域金融機関においては、貸し出し利ざやが縮小していまして、貸出業務の収益性の低下を招いていると思っています。

 ただ、一方、地域金融機関の健全性については、今懸念される状況ではなくて、中小企業向け貸し出しも増加していることを踏まえますと、地域金融機関による中小企業への貸し出し余力に問題が生じているとは認識はしておりません。

 もう一方の、中小企業向け貸し出しをふやすよう指導しているというお話でございますけれども、金融庁では、人口の減少であるとか長短の金利の低下など、地域金融の経営環境は大変厳しさを増しております。そうした中で、横並びで単純な量的拡大競争に集中するようなビジネスモデルというのは、限界に近づいてきているのではないかと思っています。

 地域金融機関における持続可能なビジネスモデルに関しては、先ほどとも繰り返しになるかもしれませんけれども、担保、保証に過度に依存することなく、顧客企業の事業の内容とか成長可能性を適切に評価して、企業の生産性あるいは経営改善に資する融資とか本業支援を行うことで、金融機関自身も安定した顧客基盤と収益を確保するといったそうした取り組みというものが、一つの有力な選択肢ではないかと考えております。恐らく、それが地域経済の活性化にもつながるのではないかと思っています。

 実際の地域金融機関の中には、厳しい経営環境の中にありましても、こうしたいわゆる顧客本位の金融仲介の取り組みによって持続可能なビジネスモデルを構築している先でありますとか、あるいは、持続可能なビジネスモデルを構築しよう、あるいは転換しようと目指している先もあると承知しております。

 金融庁といたしましては、地域金融機関のこういった取り組みをより一層促進するため、まずは、地域金融機関の融資姿勢に関する実態把握であるとか、企業の声を聞くための企業アンケート調査を行って、それらの結果でありますとか金融仲介機能のベンチマーク等の客観的な指標も活用しながら、金融機関の経営陣との間で、顧客本位の金融仲介の取り組みについて、深度ある、建設的な対話を行うなどの施策を進めていきたいと考えているところでございます。

近藤(洋)委員 審議官、非常にこれは大事なことですし、僕は、金融庁が去年末出した森ドクトリンというのは非常に画期的だと思っているんです。森長官のリーダーシップで出されたとこう聞いておりますし、二年間金融庁長官をやられて三年目やられるかどうかは、それは政府が判断されることでしょうからともかくとして、ぜひ進めていただきたいなと。

 ただ、これをやろうとしてずっとこれまでできなかったことですから、なかなか容易じゃないと思います。ここは中小企業庁とも連携をして、そうした文脈の中で今回の法案の改正もあるのだろう、こう受けとめておりますから、ぜひ、今回の信用保証の法案の改正も含めながら、金融行政と中小企業行政がうまくタイアップをして進めてもらいたい、このように思うわけであります。

 本来なら、きょう午後の参考人で私は森長官に来てもらいたい、こう申し上げたわけであります、有識者としてです。なかなか、長官になると殿上人になって国会に来てもらえないものですから、しかし、これは事務次官だからといって国会答弁しないというのはおかしな話でございまして、建設的な議論のときにはぜひ森長官にも時々国会に来てもらいたいな、発言すべきじゃないかなということを最後申し上げて、時間ですので質疑を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 さすがに野党筆頭理事の近藤洋介先生の質問で、今も維新の木下さんとも、ほとんど質問すべきことは近藤先生がやっちゃったね、こんな話をしておったわけでありますが、厳しくも愛のある近藤先生の質疑に引き続いて、ちょっとすき間をお尋ねするような質問ばかりでありますけれども、お時間をいただきましたので、質問していきたいと思います。

 きょうの質問に当たって、一度地元の信用保証協会、何とはなしに、訪ねておかなければいけないなと思って行ってまいりましたら、その入り口の壁に、反社会的勢力とは取引をいたしません、こういう大きなポスターが掲示をされておりました。信用保証協会への保証申し込みやあっせんなどの名目で、不正に会費や調査料や手数料や賛助会費などを要求する悪質な仲介者や暴力団関係者などがいるということでございます。

 このことに対する保証協会あるいは経産省の取り組みであるとか、あるいは、被害が生じているのかどうか、こういう実態についてまずお伺いをしたいと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 信用保証を利用する中小企業から手数料を徴収するいわゆる金融あっせん屋でございますけれども、この被害は、平成十二年ごろ、金融安定化特別保証を通じて金融システム不安への対応を実施していた時期に多く発生したものと承知をしております。

 このため、監督官庁としては、保証協会に対しまして、金融あっせん屋が介在する場合は保証承諾を行わないこと、新規に保証を利用する経営者には面接や実地調査を行い、金融あっせん屋等の第三者介在がないことを確認することといった対応を徹底することを指導してきているところでございます。

 最近はその被害がほぼないものと承知しておりますけれども、引き続き、指導を行うとともに、状況を注視してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

中根(康)委員 平成十五年ごろこういう事例が頻発をしたということでありますが、もう十年以上たっていて、なお一番真っ正面にポスターが掲示されていたということは、引き続き警戒態勢をとり続けている、こういうことであろうと思いますが、そのおそれがまだあるということであるならば、最近特に暴力団の活動が活発になってきたという報道もありますし、なかなかシノギを集めるのが大変だというような話も聞きますので、こういうことに対する警戒心は引き続きとっていくということであろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 生産年齢人口が減少しているということがいろいろな経済社会に対して悪影響をもたらしているということは、これまでもたび重ねて議論をしてきたわけでありますけれども、総理も世耕大臣も、有効求人倍率が高くなったことをアベノミクスの成果だと誇っておられるわけでありますが、これは、人口減少が、生産年齢人口の減少が大きな要因ではないかとも我々は見ているわけでありまして、必ずしもアベノミクスの成果のみではないのであろうというふうに思っております。

 安倍総理の答弁で目立つのは、自分の都合のいいところだけ焦点を当てているということ。例えば、百万人雇用をつくった、こう言うわけでありますけれども、内訳で見ると、東日本大震災以降の二〇一二年から二〇一五年で、正規雇用は三千三百四十万人から三千三百十三万人と二十七万人減っているという数字もあるわけであります。非正規は一千八百十三万人から千九百八十万人と百六十七万人ふえているということで、百万人雇用がふえたふえたと言っても、その中身が重要なことであるということは、世耕大臣はわかっていて安倍総理に平仄を合わせている、こういうことであろうと思います。

 希望出生率一・八%はなかなか実現する見込みが立たない。介護離職ゼロなどは、介護報酬の引き下げなどによって、全くこれは逆行するような政策が打たれている。物価上昇率二%も実現する見通しが立たない。こういうことでありまして、こういう数字に対する誠実な発言は、安倍総理を初めとする安倍内閣からは聞こえてこないというのが大変残念だということをまず申し上げておきたいと思います。

 人口減少で人手不足、だから生産性の高い産業構造への転換が不可欠だ、つまりは新陳代謝が必要だということでありますが、これは、言うのは簡単でありますけれども、実際に行うのはかなり難しいことだというふうに思います。

 赤字法人は退出を願いたいと言うことは簡単ではありますけれども、もうここにいらっしゃる議員の皆さん、同じように感じ取っておられると思いますが、地元を回っていても、赤字法人であっても、それぞれの企業の社長さんは日々油まみれになって、汗まみれになって、最前線で頑張っているということは理解できるわけでありますし、それで技術を支え、雇用を担っているわけであります。

 まさにここに、中小企業こそ地域発展の核であり、中小企業あってこそ、地域が豊かになり、にぎわいを創出できるということを実感できるわけでありまして、こういう姿を見て、やめたらどうですか、そろそろ引き際ではないですかということを私は言えないと思っているわけであります。大臣はそれでも、生産性向上のため、あなた、やめた方がいいんじゃないですか、金融機関の貸し渋りや貸し剥がしも仕方ないんじゃないですかということを言えるのでしょうか。

 あわせて、それでも新陳代謝が日本経済にとって必要だとするならば、生産性の低い事業が退出しやすい環境を政府は整えていかなければならないわけでありまして、それは、経営者にとっても、従業員にとっても、取引先にとっても、あるいはサービス業の場合であれば利用者にとっても、十分配慮されたものでなくてはいけない。それが、たとえ赤字であったとしても、果敢にリスクをとってチャレンジし、日本経済を支えてこられた中小企業経営者に対する尊敬と感謝の気持ちをあらわすことであろうというふうに思います。

 退出支援はこの保証制度の中でどうなっているか。その他の支援策とあわせて、先ほど申し上げましたように、頑張っている中小企業経営者にやめたらどうですかと本当に大臣は言えるのかということと、退出支援策がどうなっているかということ、あわせて御答弁をいただければというふうに思います。

世耕国務大臣 私も気軽に、頑張っている中小企業の皆さん、やめればいいなんということを冷たく考えているわけではありません。

 私、いろいろな各国の経済担当閣僚と議論する中で、やはり日本の中小企業はすごいねということを非常に言われます。中小企業、もっとうちの国へ進出してくれとか、日本の中小企業のノウハウを教えてくれなんということを言われますが、そういうときに私が必ず答えるのが、そんな甘いものじゃないですよと。日本の中小企業の経営者というのは、何もぽこっとうまくいっているわけではなくて、本当に生活の中でずっと二十四時間経営のことを考え、自分の給料を減らしてでも社員の給料を上げる、それぐらいの努力をやって初めて、日本の中小企業というのは日本のものづくりを支える基盤となって活躍しているんですよということを必ず説明をさせてもらいますし、最近、日本の中小企業、SME、スモール・ミディアムサイズ・エンタープライズということで言われるわけですが、余りにも気軽に言われるので、少し英語の冊子でもつくろうかなと思っている。それは、日本の中小企業経営者というのはどういう頑張りをしているかというのを。

 というぐらい、私は、中小企業の経営について、非常に汗水垂らして大変な御努力をいただいているというふうに思っています。

 ただ、一方で、明らかに数字上、日本は廃業率というのはOECDの他の諸国に比べて非常に低いです。この廃業率をただ単に上げるということを私は言っているのではなくて、もうこの仕事は今後将来性がないなという場合は、それにしがみつくのではなく、一旦廃業をして、新たに開業する。日本の場合は開業率も低いんです。廃業率も下位。だから新陳代謝が進んでいない。日本の場合は大体五%前後ですか、廃業率も開業率も。これが他のOECD諸国の場合は十数%いっているわけでありますから、やはりその程度の新陳代謝ということは考えていかなければいけない。ただ、自分はこの事業に非常に将来性があると思っておられて頑張りたいという方々に関しては、我々は極力支援をしていきたいというふうに思います。

 そういう中で、やはり、やむを得ず廃業するという方々に関してはいろいろな支援を考えていきたいと思いますし、今回の信用補完制度の見直しの中で、新たに撤退資金も支援をしていくことにしておりますし、経営者保証に関するガイドラインの活用を促して事業者への周知や相談対応、専門家の無料派遣なども行っていますし、よろず支援拠点において廃業に関する相談対応ですとか、あるいは小規模企業共済からの廃業資金の貸し付けといった、さまざまなやむを得ず廃業される場合の支援策というのも講じているところであります。

 今回の見直しでは金融機関とのリスク分担も進めていくことにしていますけれども、これは、中小企業と密接な取引関係にある金融機関が、廃業の支援も含めて、経営者と対話をしながら進めていくことを期待しているところであります。

 また、一方で、廃業というのは必ずしも負の側面だけではなくて、大変厳しい選択肢ではありますけれども、早目に廃業の決断をすることによって、本当にひどいところまでいかないで、その後の生活資金を確保できるとか、あるいは、幾ばくかの余裕資金が残って、その資金で、規模は縮小するけれどもまた新しい仕事にチャレンジをするとか、そういった、廃業を前向きに考えるケースもあり得るというふうに考えています。

 政府としては、経営者の皆さんに、日本はやはり廃業というと何か失敗したというレッテルが張られて再起不能という感じになるわけですけれども、逆に、早目に自分の事業の将来性というものを見詰め直して早目の気づきを促すとともに、本当の支援を必要とする中小企業には、先ほど申し上げたような廃業支援の施策というのをしっかりと温かい気持ちで行っていきたいというふうに思っております。

中根(康)委員 今大臣が、日本の中小企業を紹介する英語版でもつくりたいなと。これはもうぜひ実行していただいて、政府がそういうものをつくることによって、日本の中小企業の信用、信頼が高まって、どんどん海外にも展開できるし、日本の中小企業製品の販路開拓ということにも結びつくのであろうというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 今やっている事業が、今はだめだけれども、でも、もしかしたら、こだわり続けていけばいずれまた認められることがあるかもしれないという思いもあったりして、日本の中小企業経営者は職人かたぎであったりするものですから、ある意味、そういうかたぎが、日本の中小企業というか日本の企業は国際的に比較してもかなり長寿だというようなことにもつながっているというふうにも思いますし、なかなか、今はだめだから撤退してもう一度再起をというようなことは言っても、これも言うはやすく行うはかたしというようなところもあるんだろうと思いますので、温かみを持ってというお言葉も今ありましたので、ぜひ寄り添う形で経営支援を行っていただく、また、退出支援というようなことも行っていただきたいと心からお願いを申し上げます。

 あわせて、これは、人手不足だからというようなことで、今働いている会社がなくなってもすぐに別の会社が見つかる、就職口が見つかるというようなことでもないんだろうと思います。中小企業の従業員は、その技術を専門的にというか、まさにたくみのわざとして担っておられるわけでありますので、そのことについては得意だけれども、では、ほかのところで求人があるからそこへ行けばいいというようなことでもないわけでありまして、だからこそ、セーフティーネット保証などでこういう事業所を守ってきた、雇用を守ってきたということであろうと思います。

 この生産性向上あるいは新陳代謝という側面から見て、では、働いている人に対する配慮はどうか、どういうふうに雇用を守っていくかというようなことについてどう考えているか、お聞かせいただければと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの御指摘の点でございますけれども、今年度の中小企業白書におきましても分析されているとおり、中小企業が廃業ですとか事業譲渡を考える際には、従業員の雇用、その生計が経営者にとっても重要な課題であると認識されているということでございます。こうした課題に対応するためにも、経営者が早期に廃業等に係る気づきを得て、必要な判断を行うことは鍵になるというふうに考えてございます。

 こうした経営者の取り組みを促すためにも、金融機関が中小企業に寄り添い、廃業支援も含めて、対話をしながら進めていくことが大事だというふうに思います。

 これは一例なんでございますけれども、これは関東にありますある金融機関の例なんですが、自社の事業の実態を客観的に把握するためのチェックリストを用意しまして、行員の方がそれを持って中小企業を訪ねて、中小企業の経営者と廃業について冷静に話し合う。経営者自身の気持ちを整理して、自社の次なる形をどうしていくのかということを親身になって議論される。その結果として、計画的に廃業を進め、取引先に事業とともに従業員も引き取ってもらう、こういうふうになったというケースもあったというふうに聞いております。

 ただし、私ども、今回の保証協会の信用保証制度の見直しに当たりましても、金融機関によるそうしたサポートがさらに促されるように配慮していきたいと思っておりますし、また、私ども自身が、先ほど大臣の方から御紹介がありましたようなさまざまな支援を進めるに当たりましても、事業者による雇用の配慮ということについてしっかりと御議論願いたいというふうに考えているところでございます。

中根(康)委員 次に、自治体の関係についてお尋ねしたいと思いますけれども、保証協会つき融資のうち、代位弁済に至った場合には自治体が保証協会に対して損失補償を行うこととされているものについては、自治体が回収納付金を受領する権利を有することとなるため、その求償権放棄等に際しては個別に地方議会の議決が必要となる。

 これは、地方自治法の第九十六条で、「地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。」というものの中で、「法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。」という項目があることに基づくものでありますけれども、このため、迅速な再生支援の妨げや再生の対応を諦めるといった行動につながりかねないことから、国から自治体に対して求償権放棄に係る条例の整備について要請を行い、検討がなされているところということになっておりますけれども、その状況について御説明をいただければと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、事業再生の局面では、スポンサー企業、金融機関や保証協会などの債権者が債権カットを含む再生計画に迅速に合意することが非常に重要であるということでございますけれども、その際、保証協会が保有する債権の中に地方自治体からの損失補填を受けているものが含まれる場合には、保証協会がその債権を放棄するために地方議会の議決が必要になるということでございます。

 地方議会の議決が必要となりますと、個社名の公表によりまして、その会社の評判が悪化するおそれがあることですとか、手続に時間がかかり迅速な再生の妨げになるということもございまして、一部の自治体においては、地方議会の議決を経なくとも、首長の権限で債権の放棄を認めることができる条例を整備しているということでございます。

 こうした条例の整備を促すために、平成二十年七月に中小企業庁から、その後、二十七年六月にも総務省、金融庁とともに文書による要請を行いまして、それ以降も条例が未整備の自治体に対して継続して働きかけを行ってきております。

 その結果、これまでに全国で半分程度の自治体において条例が整備され、残りの自治体についても、これは二十一自治体残っているんですが、対応を促すために、さらに昨年七月から、中小企業庁と金融庁の管理職がこれらの自治体を個別に訪問しまして、趣旨を説明し、要請を行ってきたところ、この四月でございますけれども、香川県、奈良県で条例が制定されるなどの動きが見られ始めているということでございます。

中根(康)委員 これは、そういう条例があれば企業立地、誘致にもメリットがあるような気がしますけれども、今なお、まだその条例の制定に二の足を踏んでいるという自治体があるということなんですが、それは、なぜ、どういう理由でそういうふうになっているんでしょうか。重ねてお尋ねして申しわけありませんが。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 この件に関しましては、先ほど委員の方からも御指摘がありましたように、地方自治法で定められた県議会等の権限に属するものということでございまして、それを具体的に進めるに当たりまして、当然ながら、各県ごとの、自治体ごとのお考えがありますので、それはそれとして尊重せざるを得ないと思うところでございます。

 実際、私どもがお伺いするところですと、過去の債権放棄の具体的なケース、例えば、第三セクターの解散等に当たりまして、難しい議論があった上にそういうふうな議決に至ったというなかなか苦々しい経験を有していらっしゃる自治体もあるというふうに聞いておりますので、そうしたところから抵抗感をお持ちのところもありますけれども、私どもとしては、引き続き、しっかりとこの必要性を説明してまいりたいというふうに考えるところでございます。

中根(康)委員 引き続き自治体に関することなんですけれども、私の地元の愛知県岡崎市というところにおいては、岡崎市創業資金保証料補助金というような制度がありまして、この内容は、信用保証料額の五〇%、上限二十万円、ただしということで、以下に該当する場合は五〇%に上乗せして八〇%、かさ上げした補助を行う。以下に該当するというものは、中心市街地に事業所を有する場合、シビックコア地区に事業所を有する場合、岡崎市の伝統工芸品に属する事業を行う場合、三十歳未満の創業者である場合。

 こういうように、岡崎市が掲げる政策実現に資するような場合には補助のかさ上げを行いながら保証料額を補助している、こういうような事例もあるわけでありますが、企業にとってメリットの大きいものであれば、まさに岡崎市が狙っているように、その自治体への企業立地の促進にもなるわけであろうと思います。

 こういうように、自治体独自で保証料に対する補助を行っているというようなものがどれぐらいあるかというようなことを、全国的にどういうふうになっているかということを経産省が把握していればぜひお聞かせをいただければと思いますし、また、岡崎市の場合が好事例と言えるかどうかわかりませんけれども、こういった好事例を全国の自治体あるいは企業が情報を共有すること、これも必要なことであるし、重要なことでもあるというふうにも思いますけれども、中小企業庁、経産省としてどういうふうに把握をしておられるか、お聞かせいただければと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 信用保証制度における保証料につきましては、全国の中小企業がそれぞれの信用リスクに応じて定量的な評価のもとでの公平な保証料負担となるように運用、整備が進められてきておりまして、これによりまして、保証料のベースは、全国において九区分ごとに同率の設定となっております。

 他方で、多くの保証協会では、今御紹介のありましたように、自治体からの財政支援を受けて、その重点施策等に基づく保証料率の引き下げが行われていると聞いております。

 同じ愛知県の例でございますけれども、県の支援によりまして、小口資金ですとか創業資金等の保証料引き下げを講じるといった対応が行われているなど、各地域の特色に応じた措置が行われているものと承知をしております。

 こうした保証料の補助でございますけれども、平成二十七年度には、全国で、金額にしますと百七十三億円となっておりますし、これは保証協会の会計上把握できないんですが、これ以外にも、自治体が直接事業者に補助をされるというケースもあるというふうに聞いているところでございます。

 このように、地域に根差した保証協会が自治体と連携して、地域の課題を資金面から解決すべく保証メニューを開発していくということは、地域経済の活性化にとっても有効であると考えておりますので、引き続きこうした対応を促してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 次に、これは先ほど近藤先生が指摘をされた点でもありますけれども、保証割合について、これは調査室がつくってくれた資料を見ての数字なんですけれども、アメリカは七五%、ドイツは六〇から八〇%、フランスは四〇から六〇%、イギリスは七五%、韓国は五〇から一〇〇%であるのに対して、日本は八〇から一〇〇%と、国際的に比較しても高いものになっておりますし、保証残高も、二十六兆円ということでしょうか、大変多いものになっておりますけれども、こういう国際比較をした場合の保証割合であるとか保証残高、こういう点についてはどういう見解を持っているか、御説明をいただければと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 まず、信用保証制度の保証割合につきまして、日本では、今御紹介ありましたとおり、一般保証では八〇%ということでありますけれども、アメリカでは七五と八〇、韓国では五〇から一〇〇ということで幅がありまして、若干高いかもしれませんが、数値だけを比べても、日本が特別に高いというものではないと承知をしております。

 また、日本の信用保証の残高は、対GDPで見れば五・二%。アメリカの〇・四%といった数字に比べれば高い水準にあるのは事実でございますけれども、信用保証制度を評価するに当たりましては、それぞれの国の金融慣行、日本の場合には間接金融が非常に多いですとか、それから中小企業向けの貸付残高の多寡でございますとか、あと、各国の中小企業金融全体における信用補完制度の位置づけといったさまざまな考慮すべき要素がある。その数値だけをもって日本の信用保証制度を評価することは適切ではないと考えております。

 こうした点は、中小企業政策審議会において信用保証制度の海外比較をテーマに議論したことがあるのでありますけれども、有識者の方々からは同様の考え方が示されているということでございます。

中根(康)委員 改めて信用保証制度のことについてお尋ねいたします。

 私なりに信用保証制度の目的をまとめれば、技術や経営力はあるけれども、残念ながら資金がない、担保がない、そういった事業所への支援を行うということ。

 確かに、保証協会も、税理士連携短期継続保証というようなものなどで税理士や金融機関と経営支援を実施してきた実績もあるわけでありますけれども、やはり信用保証協会に求められているのは、柔軟な保証の実行であったり、あるいは、今もお触れいただいたような保証料の引き下げであったりというところで頑張っていただくということであろうと思いまして、必ずしも保証協会に対して経営支援が求められているというふうには今まで思っておりませんでしたけれども、今回、この改正法案の中に、保証協会の役割として経営支援というものが盛り込まれたということでありますけれども、保証協会からの経営支援を受ければ保証を受けやすくなるということがあったり、あるいは保証料を低くしてもらえるというようなことがあったりというメリットがあれば、それは保証協会からの経営支援も素直に受けとめることができるということになろうかと思いますけれども、今般の改正で保証協会が経営支援を行うということの意味合いを改めて御説明いただければと思います。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の経営支援につきましては、まず、中小企業と密接な取引関係にある金融機関が、過度に信用保証に依存せずに、事業性評価融資、その他、期中管理、コンサルティング機能の発揮といった本来の機能を果たしていくことが重要と考えております。

 このため、今般の見直しにおきましては、金融機関がより前面に立って中小企業の経営改善、生産性向上を促していくという観点から、保証協会と金融機関の適切なリスク分担を促す措置を講じることとしております。

 しかしながら、何らかの理由によりまして金融機関による十分な支援がなされない場合には、保証協会みずからも支援に積極的に乗り出すことが重要であると考えておりまして、このため、中小企業庁としましては、リスケ状態などの中小企業の経営改善を進めるべく、保証協会が外部専門家を派遣して行う経営支援に補助を行うですとか、それから、今般の改正法案におきましても、先ほど御指摘になりましたとおり、保証協会における経営支援の業務、これを法律上明記したところでございます。

 保証協会による経営支援、経営改善が進められた一例を挙げれば、経営が行き詰まりつつあるレストランについて、保証協会は採算分析をし、外部専門家は外装、内装の改善をアドバイスしてリニューアルオープンにこぎつけたですとか、それから、六つの金融機関から多くの借り入れをしていた金属製品の製造業の方が、追加融資がなかなか受けられなかった、金融機関と調整に苦労していたところ、保証協会がメガバンクと協議の上、他の金融機関を一斉に集めて、経営改善計画の合意形成を図り、黒字転換を果たしたところでございますけれども、こうした経営支援を行った結果として、もちろんでございますけれども、保証協会もしっかり保証をつけて対応しているということでございます。

中根(康)委員 次に、きょうは、お忙しいところ財務省にもお越しをいただいておりまして、北神理事の直接の上司であったということで、きょうは久しぶりの面会というか、ということで、僕はいい機会をつくったなと思っておりますけれども。

 赤字企業でも納めなくてはならないのが社会保険料や消費税だということでありますが、消費税は事業者にとっては預かり金ということではありますけれども、実態は、中小企業は消費税分を受け取っていない場合も多いわけであります。それは、付加価値を十分価格に転嫁できなくて、結果的に消費税分を受け取っていないということになるというふうにも僕は考えておりますし、あるいは、経産省も転嫁Gメンというようなことで御努力をいただいておりますけれども、まだまだそのGメンの目の行き届いていないというようなところもあろうかと思います。

 そういうことになると、本来あるはずの消費税分がないわけでありまして、建前は消費税として預かっているお金を運転資金に回さざるを得ないという実態があるのであろうと思います。そうすると、消費税納税のために金融機関から借り入れを起こさなくてはならないとか、あるいは、消費税の場合は分割払いをすると滞納扱いになってしまって、納税証明ができずに金融機関の審査で評価が下がるというようなこともあると伺っております。

 財務省にお聞きしたいのは、まずは数字なんですけれども、消費税の滞納状況はどれぐらいか、うち中小企業分はどれぐらいかということ。そして、これはぜひお願いなんですけれども、消費税の納付方法は年一回か二回ということになっておりますが、一回か二回だと、期間が長いと、それまでの間に運転資金としてどうしても使ってしまう、使い込んでと言うとおかしいんですが、使ってしまうということになりますので、滞納を予防するために、毎月払いを可能にするとか、納付方法を、中小企業の現場の声を聞いて選択肢をふやしていくというようなことを御検討いただければというふうにも思いますけれども、いかがでしょうかということでございます。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、消費税の滞納額についてお答え申し上げます。

 平成二十七年度末の消費税の滞納残高につきましては、三千三百四十億円でございまして、対前年比で百三十八億円の減少となっているところでございます。

 なお、消費税の滞納残高は、平成十二年度以降、十六年連続の減少となっておりまして、ピークであった平成十七年度末の五二・八%まで減少しているところでございます。

 お尋ねのございました中小事業分に係ります消費税の滞納残高につきましては、把握していないところでございます。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 何点か御指摘を頂戴いたしました。

 先生御指摘のとおり、消費税につきましては、価格に転嫁することによって消費者の方に御負担いただくというのがまず大原則でございます。そういった意味では、御指摘いただきましたけれども、転嫁対策の特別措置法がございますので、これは中小企業さん等々と一緒になって引き続きしっかりと対応していきたいというのがまず一点目でございます。

 その上で、納付の利便性向上ということについても御指摘を賜りました。

 これについても、先生御承知のとおりだと思いますけれども、中間申告の義務のない事業者の方にも、今、自主的な中間申告の制度というのを二十六年の四月から導入させていただいております。

 今先生からも御提案いただきましたけれども、中小事業者が納税しやすい環境整備をするということは、我々としても必要だと思っています。その際に、ただ、一方で、事業者の申告納付事務が負担増になるということになってもいけませんので、さまざまな観点から、よく事業者の方の意見を十分踏まえる必要があると思っております。

 ありがとうございます。

中根(康)委員 ありがとうございます。

 ところで、やはりこれも調査室のつくってくれた資料を見ておりまして、「信用補完制度の関係図」というものを見ていたんですけれども、政府の監督下にあって、補助金が出ている全国信用保証連合会というものがあるということなんですけれども、これは、全国五十一の保証協会のほかに、これを束ねるような形なんだろうと思いますけれども、この連合会の存在というか、この連合会の役割はどのようなものかということを教えていただければと思います。

吉野政府参考人 お答えします。

 全国信用保証協会連合会でございますけれども、信用保証協会の健全な発達を図り、もって中小企業者等に対する金融の円滑化に資することを目的として運営されている組織でございます。

 具体的な業務としましては、信用補完制度の運用に関する主務省庁や日本政策金融公庫との連絡調整、保証制度の新設、改廃時における関係機関との連絡調整、それから保証協会業務に関する統計、データの取りまとめ、さらには保証協会職員向けの研修を通じたスキルアップ支援、こういったところを行っているところでございます。

中根(康)委員 必要のないものではないということでありますが、こういうものが大体、先ほどステレオタイプというふうに近藤先生が表現されましたけれども、天下りがあったり、必要のない補助金が出されていたりということにつながるケースも多々あるわけでありますので、十分役割を、責任を果たしていただけますように、期待を申し上げるところであります。

 もう時間がなくなってまいりましたので、少し急いで質問いたします。

 先般の地域未来投資法案でも議論したわけでありますけれども、これからはサービス産業が成長の柱となる。ただ、サービス業は製造業に比べて事業性評価が難しい。したがって、金融機関からのプロパー融資が確保しにくいということもあろうかと思います。サービス産業の生産性向上を進めるため、信用保証制度、あるいはほかの施策も含めて、どういうふうに支援をしていくかということ。

 あわせて、二〇二〇年のオリパラに向けて、まちづくりにおいても商品づくりにおいても、バリアフリー化であるとか、あるいはユニバーサルデザインというものが促進をされていくということになると思います。ここに新たなビジネスチャンスが発生し、起業、創業もふえていくと思われます。企業のバリアフリー化あるいはユニバーサル事業というものも、ぜひ事業性を正当に、あるいは高く評価して、積極的に保証してほしいというふうにも思うわけであります。このような分野に取り組むNPO法人への支援もしっかりと行っていただければというふうに期待をするわけであります。

 こういうサービス産業、あるいはサービス産業を担うNPO法人、あるいはユニバーサルデザイン、バリアフリー化に取り組む事業者への保証というものに対する取り組みをどのように考えているか、お聞かせをいただければと思います。

世耕国務大臣 今回の法改正では、信用保証によって中小企業の資金需要にきめ細かく対応するとともに、信用保証協会と金融機関が連携して中小企業への経営支援を強化することによって、中小企業の経営改善、生産性向上につなげるとなっております。サービス産業はまさにこの中小企業の比率が非常に高い業種でありますので、そういう意味で、今回の法改正がサービス産業の生産性向上に資するものだというふうに考えています。

 また、特に先ほど、日本全体は開業率、廃業率が低いと申し上げましたが、サービス産業は割と身軽に開廃業が行われていて開廃業率が非常に高い業種でありますので、創業関連保証という分野の拡充も今回行われますので、より生産性の高いサービス分野への開業というのも促すことができるのではないかというふうに思っています。

 また、バリアフリーですとかユニバーサルデザイン化、あるいはNPOの資金需要といった、多様な資金ニーズにも適切に支援を引き続き行っていけるようにしていくことが重要だというふうに考えております。

中根(康)委員 時間が来たので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 中小企業信用保険法の一部改正案の危機関連保証の創設について本日は質問します。

 法案で、この危機関連保証、経産大臣が認める、内外の金融秩序の混乱その他の事案が突発的に生じたために我が国の中小企業に係る著しい信用の収縮が全国的に生じている場合に発動し、一般保証やセーフティーネット保証とは別枠のいわゆる三階部分となるもので、一〇〇%の全額保証にするとしております。

 大規模な経済危機や災害時に発動するといいますが、この規定に該当する過去の経済危機や災害、どのようなものがあるでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般創設することを検討しております危機関連保証は、大規模な経済危機や災害等の突発的な事態により著しい信用収縮が全国レベルで生じた場合に対応するものでありますので、想定される過去の事象としては、例えばリーマン・ショック、あるいは東日本大震災などが挙げられると考えております。

真島委員 それでは確認ですけれども、阪神・淡路大震災や熊本地震クラスの災害は対象となりませんか。もう一つ、昨年は台風や大雨、大規模火災などが相次ぎましたが、これらのレベルの災害で被災した中小企業は危機関連保証の対象外ですか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、このたび創設を検討しております危機関連保証は、リーマン・ショックや東日本大震災のような大規模な災害等の突発的な事態により著しい信用収縮が全国レベルで生じた場合を想定しているところでございます。

 そういう意味で、例えば、委員御指摘の阪神・淡路大震災や熊本地震、さらには、昨年の台風や大雨、糸魚川の大規模火災といった災害であれば、地域に大変甚大な影響を及ぼしたものではありますが、著しい信用収縮が全国レベルで生じたという状況にはなっていなかったことから、これらの場合にはセーフティーネット保証四号などにより支援を行っているところでございます。

 このため、仮に、今後同様の事象が生じた場合には、危機関連保証の対象とはならないものと想定しております。

真島委員 災害によって、個々の中小業者の被害は同じでも、災害による影響が全国レベル、大規模でないと対象にならないと。

 しかも、今回、適用期間が原則一年と、極めて短期間の設定になっています。なぜ原則一年なんでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の危機関連保証の適用期限については、リーマン・ショックなどの過去の危機を分析した結果といたしまして、全国的な信用収縮、これは、基本的に一年程度でこうした事象の発生前の水準まで戻っているということがわかってきましたので、これを踏まえまして、原則一年以内とあらかじめ期限を区切って実施することといたしております。

 他方、危機によっては、信用収縮、これが一年で収束しない場合もあり得ることから、経済産業大臣が認める場合には、さらに一年の延長が可能とすることを考えているところでございます。

真島委員 確かに、DIは一年程度で発生前に戻っているわけなんですが、DIそのものがあくまでも感覚であり、受けとめ、その傾向ということですよね。

 それで、ちょっと大臣にお聞きしますけれども、東日本大震災、阪神・淡路大震災、熊本地震は、一年でセーフティーネット措置を終了できる、通常の状態に回復したと言える実態なんでしょうか。

世耕国務大臣 今御指摘になったような自然災害への対応については、既存のセーフティーネット保証によって、それぞれの災害による影響を勘案して、一年を超えて保証を実施している状況であります。

 今回導入する危機関連保証は、原則一年でありますけれども、経産大臣が認める場合には、一年延長することが可能になっています。

 さらに、二年を超えても影響が残る地域ですとか業種においては、先ほど申し上げた、従来からあるセーフティーネット保証制度の仕組みによって、その実態を踏まえたきめ細かい支援を継続していくということを想定しております。

 いずれにしても、発生する災害や経済危機による影響に応じて、事業者に寄り添ったきめ細やかな対応をしてまいりたいというふうに考えております。

真島委員 現行でも、実は三階部分として東日本大震災復興緊急保証というものがあるわけなんですが、この実態について次に質問します。

 東日本大震災は、ことし三月十一日で発災から丸六年、七年目を迎えておりますが、今なお、被災前の状況を取り戻し、事業の再建、なりわいを回復したとは言えない状況だと思います。

 東日本大震災復興緊急保証は、特別法の制定により、発災二カ月後に運用開始されましたが、当初予定していた適用期間、その後の延長の経緯について簡潔に御紹介ください。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の東日本大震災復興緊急保証、これは、まさに御指摘のとおり、特別法に基づきまして措置されたものでございまして、東日本大震災により被災した中小企業に対して、信用保証協会が通常とは別枠で借入額の一〇〇%保証を行うという制度でございます。

 適用期限についてでございますが、政令で規定されておりまして、制度当初、これは、全国規模で適用される措置として、その年度末、平成二十四年三月三十一日までの期限とされていました。その後、これを一年限り延長しております。

 その後は、平成二十五年度になりまして、適用区域を岩手、宮城、福島等の特定被災区域に限定し、そういう意味で、全国的な措置ではなくして、以降、被災地の復興の状況や資金ニーズなどを踏まえて、これまで毎年度延長を行っているところでございます。

 引き続き、被災地の状況を注視しながら、復興復旧に取り組む被災中小企業者に寄り添って、資金繰りに万全を期してまいりたいと思っております。

真島委員 参議院の経産委員会でも、我が党の岩渕友議員の質問に経産省は、被災地のニーズを踏まえて毎年延長を繰り返してきたと答弁されています。つまり、資金繰り支援が必要な実態があるから繰り返し延長してきたわけで、東日本大震災復興緊急保証の仕組み上も、繰り返し延長することが可能になっています。

 ところが、今回創設する危機関連保証は、この東日本大震災のそういう仕組みがなく、最初から、期間は原則一年、延長しても一年限り。だから、東日本大震災の復興緊急保証よりも仕組み上は後退していると私は思うんです。

 なぜ最初から一年、二年という期限を決めるんでしょうか。大臣が認めるほどの著しい信用の収縮が全国的に生じているという大変な事態を受けて発動するのに、資金繰り支援が必要な実態があっても合計で二年しか使えないというこの仕組み、おかしいんじゃないでしょうか。

世耕国務大臣 危機関連保証においては、措置の発動に関しては、例えば、リーマン・ショックと同程度に資金繰りDIなどの指標が短期かつ急速に低下をしているなど、著しい信用収縮が全国レベルで生じた場合に直ちに発動することを想定しております。

 一方、措置の終了に関しては、リーマン・ショック等の過去の危機を分析しても、信用収縮、つまり資金繰りDIの水準ということになりますけれども、これは基本的に一年程度で危機の発生前の水準まで戻っていることを踏まえて、原則一年とあらかじめ期限を区切って実施をするということにしております。

 一方で、危機によっては信用収縮が一年で収束しない場合もあり得るわけです。その場合は、経産大臣が認める場合はさらに一年の延長を可能としています。何も、これで一律に打ち切るということを言っているわけではなくて、二年を経過しても、災害からの復旧などに引き続き時間を要する地域、今回措置する危機関連保証というのは、これは全国を考えていますが、当然、全国の影響が二年を超えてということはなかなか想定できない。

 ただ、やはり東日本もそうだったように、地域によってはまだ影響が残っている可能性がありますから、そうした地域に対しては、自然災害等を対象とするセーフティーネット保証四号、これは関東・東北豪雨や熊本地震で使われた保証でありますが、これを使っていく。

 また、経済危機は去ったんだけれども特定の業種とか地域に影響が残っている場合は、事故などを対象とするセーフティーネット保証三号、これはナホトカ号の油の流出災害のときに使われておりますけれども、こういったものを使って、二年経過以降も必要があれば対応をしていくということでございます。

真島委員 現実の今まで起きてきた大災害が、わずか一、二年ではとてももとの状態には戻っていない。それで繰り返し延長されてきているというこの現実を踏まえて、新しい制度もそういうふうにすべきだと思うんです。

 そういう点で、次に、発災から二十二年たちました阪神・淡路大震災の中小企業向け緊急災害復旧資金融資の現状を見てみたいと思います。

 阪神・淡路大震災では、国の復興基金を活用した緊急災害復旧資金融資が創設をされまして、兵庫県と神戸市、西宮市など九市で、利子補給を行う実質無利子融資が実行されました。

 当時は、中小企業の事業再建の支援措置は、グループ補助金などの直接支援はありませんでした。融資しかありませんでしたが、しかし、この制度によって多くの中小業者の皆さんが助けられました。

 保証承諾件数と金額、直近の保証債務残高の件数と金額、また、融資先の破綻などで返済を肩がわりした代位弁済の累計の件数と金額、幾らでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 阪神・淡路大震災に対応した災害復旧融資制度に関する、まず信用保証の実績でございますが、本年三月末時点までで、累計で四万七千十一件、金額にいたしまして五千四百二十一億円となっております。また、債務保証残高につきましては、件数で五百四十二件、金額で三十五億円となっております。さらに、同じ時点までの代位弁済、この累計は、件数で七千八十九件、金額で五百四十二億円となってございます。

真島委員 ことし一月十八日の神戸新聞は、「震災復旧融資の代位弁済十一年ぶり増 県信用保証協」という記事で、被災企業の重荷が続いていると報じています。

 また、兵庫県信用保証協会が昨年十二月に公表しました「阪神・淡路大震災にかかる災害復旧融資の状況」では、二十二年たってもなお返済に苦しんでいる中小企業者の皆さんがいることを次のように指摘しています。

 保証債務残高は、震災五年後には、被災中小企業の返済努力によりピーク時の半分以下になった。その後も償還は進んだが、景気低迷で代位弁済が高水準で推移したことも影響し、二〇一六年度末の保証債務残高は、二〇〇七年度末実績の一〇%にまで減少した。

 飲食店は、代位弁済の割合が他の業種に比べて高く、また、残高が多く残っていることから、依然として厳しい経営環境が続いていることがうかがえる。小売業は、震災融資の残高が多く残っていることから、個人消費の低迷など震災後の長引く景気低迷の影響を受け、多くが現在も返済を継続している。

 ここで、小規模事業者の具体的な実態を紹介したいと思います。神戸市長田区でケミカルシューズの会社を経営していた男性の例です。

 工場が全壊し、被災直後に災害復旧資金融資を四千万円以上借り入れています。その後、一九九八年、二〇〇〇年にも追加で融資を受けましたが、二〇〇二年に、取引先の倒産のあおりを受けて、総額三千七百万円、代位弁済になったと。連帯保証人の妻と息子が何とかやりくりしながら返済していたものの、息子さんのマンションが差し押さえを受け、売却されました。年金をやりくりして返済しているが、月八万円の返済がしんどいと言いますと、信用保証協会からは、Aさんの自宅マンションの売却を暗に勧められた。軟着陸という言葉を使いながら、生きているうちに解決しましょうと何度も言われた。遅延損害金だけで六千万円にもなるとの額も示され、返せるのかと追い込まれていると。

 震災当時七十三歳だったAさんは、現在九十五歳。九十四歳の奥さんは要介護二でほとんど寝たきりで、自宅を売って転居することは家族の命の問題にもなる。災害復旧資金融資は、弾力的運用ということで、兵庫県も神戸市も二〇二〇年まで返済期間が延長されているのに、代位弁済をした途端に通常債権と同様に扱われて、厳しい回収が迫られていると。

 震災時にこうした緊急融資を活用して何とか営業再建を試みたいと挑んだ多くの中小企業者の皆さんが、今なおこうした厳しい状態にあるということを大臣は御存じでしょうか。震災後二十二年を経過してなお、いまだ返済の苦しみが続き、また、代位弁済の多くが、保証人である、事業を承継する世代にまで及んでいる。こうした負の連鎖を断ち切っていくことが今求められているんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 二十二年前に発生した阪神・淡路大震災によって被災をされた上で、二十二年がたった今日においても返済等で御苦労されている方々が少なからずいらっしゃるということについては、本当に心が痛む思いでありますし、お見舞いを申し上げたいと思います。

 この阪神・淡路大震災への対応として、兵庫県では、信用保証が付された低利融資である緊急災害復旧資金制度が設けられまして、累計で約四万七千件、約五千四百億円もの保証実績となるなど、多くの中小企業の資金繰りを支えたというふうに考えております。

 一方で、その後、代位弁済という状況になって、保証協会が当然求償権を有しているものが現状でも二百七十三億円残っているという状況で、この返済を続けられている方々も少なくないと認識をしております。

 また、今御指摘の、事業承継時において、この経営者保証の取り扱いについては、経営者保証ガイドラインに基づいて、前経営者の保証債務を後継者に当然のように引き継がせるのではなくて、必要性について改めて検討することとなっております。

 また、これは阪神・淡路大震災時の緊急災害復旧資金制度に限るわけではありませんけれども、政府は、保証協会に対して、回収先である債務者の再起を支援する対応や、回収時において債務者の資産、収入を踏まえたきめ細やかな対応を行うことを監督指針等を通じて求めてきております。

 これを踏まえて、各保証協会においては、代位弁済後も事業を継続しながら誠実に返済を行っている場合には、事業再生を支援して金融機関との取引を再開してもらうような対応ですとか、あるいは、事業を継続されなかった場合についても、誠実に返済をいただいている債務者からの申し出であって、その資力に応じた一定の弁済がなされた場合には、残りの債務保証の免除を行うなど、個々の債務者の実情に応じた柔軟な対応を進めてきているところであります。

 阪神・淡路大震災への対応についても、これまで保証協会において、できる限り被災者に寄り添った対応がなされてきたものと認識をしておりますけれども、今御指摘のような実態があるわけでありますから、いま一度よく検証して、必要があれば適切な対応をさせていただきたいというふうに思っております。

真島委員 もう一つ紹介しますと、クリーニング屋さんの事例ですが、店舗兼住宅が全壊し、災害復旧資金千三百万円を受けた。売り上げが減少する中でも、長男が週三日アルバイトをかけ持ちし、家族が力を合わせて、借り入れ条件を変更しながら必死に返済を続けてきた。ところが、ことし三月に御主人が亡くなった途端に、銀行と信用保証協会が代位弁済の手続を進めたいと連絡をしてきて、一方的に進めようとした。奥さんや長男は、商売を続けて返済する意思があることを伝え、抗議をし、代位弁済の手続をやめさせたということなんですが、銀行と信用保証協会は、このように、災害復旧資金融資を早く終わらせたいという、もうとんでもない姿勢をとっていると思うんです。息子さんが債務を引き継いで返済するという意思も確認せずに、金融機関と信用保証協会が、納得できる説明もないまま代位弁済を勝手に進めて、そして遅延損害金を一四%も課そうとしていました。

 こういう事例を私はたくさん聞いているんですが、これを放置していいのか。今大臣も調べなきゃいけないとおっしゃいましたが、直ちに実態を調査して、必要な指導監督をしていただきたいと思いますが、よろしく……。

世耕国務大臣 先ほども申し上げたように、事業承継時の取り扱い、あるいは、誠実に返済の対応をしようとしている方々への対応については、きめ細やかにやるというのが我々のガイドラインでありますので、今御指摘のような実態がもしあるとすれば、もう一度調査を行って検証して、必要であれば適切な対応を検討させていきたいというふうに思います。

真島委員 時間が来ましたので続きは次回にさせていただきたいと思いますけれども、こうした過去の震災の実態を見ても、一、二年で危機関連保証が終わりというのは明らかに短い。被災者に最後まで寄り添うと繰り返しおっしゃっているわけですから、実態をつかんで必要な手だてを講じていただくように求めまして、私の質問を終わります。

浮島委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日もお時間いただきまして、ありがとうございます。

 大臣、この後、参議院本会議があるということなので、切りのいいところで途中で出ていただいて結構ですので、短い時間ですが、ぜひよろしくお願いいたします。

 きょうの審議の法案ですけれども、先ほど中根委員などもおっしゃられていましたけれども、聞くことは余りないなと。余りないなと言うと本当に申しわけないんですけれども、それだけできのいい法案だというふうに私は思っております。

 なぜそういうふうなことを言うかというと、やはり、セーフティーネットをうまいぐあいに強化していこうという話であるとか、創業チャレンジ、これについてもより一層しっかりとやっていきたいというところ。それからもう一つは、信用保証協会の役割、これを、経営改善の支援をするというところの役割を追加しよう、これは非常に理にかなっているんじゃないかなと。ただただ保証するだけではなくて、経営改善をしっかりと支えていくという話。それからもう一つは、私が一番注目しているのは、不況業種については、金融機関がより前面に立って経営改善していく。保証の割合、現行一〇〇%というところを八〇%にしていく。こういったところも非常に理にかなっているんじゃないかなというふうに思っているんです。

 そういった意味では非常に評価できる部分があるというふうに思っているんですけれども、では、一番根幹にかかわるところ、中小企業対策、これについても、今までの中小企業対策、ずっと政府が毎年毎年いろいろな形で中小企業に対する法律の改正という形をやってきた。そのやり方を見ていると、だめなものもあるし、いいものもあるのであれですけれども、概して、どうしても後ろから注射を打つ、今までは。要は、資金繰りが苦しいところ、その企業の内容がどうであれ、助けてやるんだ的なそういうことになりがちだった。これは政治家の方も反省をしなきゃいけないところなんだろうなと。

 というのは、やはり、支援される人の、まあ言えばそんたくする、肩を持つというような形から、これから生産性が向上していくような形の施策に変えていく。経営改善をしっかりして、本当に伸びるところは伸びるようにしよう、だめなところは下がってもらって、新たに労働の流動性を高めていこう、こういうふうな政策に変わりつつある。それがしっかりとこの法案の中で盛り込まれているんじゃないかなというふうに思いました。

 ただ、そこまでのことを見ると、私の頭では大したことはないのかもしれないですけれども、しっかり行間を読んでいかなければ、そうなかなか捉えにくい。ぱっと表面的に見たら、割といいことだけを書いてあるような感じに思うんです。

 本来であれば、これはもうほかの方々は余り声を大にして言われないので毎回毎回私が言わせていただいているんですけれども、特に企業の再生、それから、産業の発展のためにこれから一番必要なところは生産性向上、これは言われています。

 では、生産性の向上ということでどういうことをするか。ここに書いてあるところでは、直接的には、経営の改善発達というふうな話をされています。法案の範囲内なのでそういう表現にせざるを得ないのかもしれませんが、実際に、では、特に中小企業の生産性向上ということを考えたときに、当然、経営内容の改善を促していく。

 ただ、もっと直接的な話でいうと、これも政府が言われていますけれども、集約化をしていく、集約化をすることによって生産性を向上していくんだ。では、集約化はどうやってやるのかということなんです。さまざまなやり方があります。

 ただ、必要なこと、私が特にこれは声を大にして言わなければならないのは、もう成長が見込まれないような産業、それから、成長が見込まれないような事業をされている方には、緩やかにですけれども、そこから退出を願って、そしてそういったところで、ある雇用、こういったものを解き放って新たな労働の流動性を確保していき、そして、そういう人たちは新しい成長をする産業に移動してもらう、こういうことをしっかりとやっていかなければならないんじゃないかなというふうに私は、これはもう何度も今までも言わせていただいていますが、これをもう少し声を大にして言うべきなのではないかなと。なかなか今まで政治家がこれは言いにくかったところだと思うんです。

 それをこの法案の中ではちりばめられているけれども、やはりなかなか直接的な言葉では言いにくい。これはわかるんですけれども、こういった考え方をしっかりともう少し表現の中で書いていっていただきたいというふうに思っているんです。

 ちょっとそこまでの話で、私の言っているところが間違っているのかどうか。それとも、ちょっと過度かもしれませんけれども、そういう方向性で今政府は動いているというふうに思っていいのかどうか。この辺を大臣に言っていただけますか。

世耕国務大臣 基本的には同じ考えだと思うんです。後で申し上げますけれども、この法律にはそういう趣旨のことがちりばめられています。

 ただ、一律で言うと少しまずいのかなという気がしています。幾ら縮小していく分野であっても、その事業が継続していないとその地域の生活が成り立たない、これは大阪だとなかなかわからないかもわからないですが、和歌山だとやはりそういうのが、例えば小さな小売店で、人口が減っていっていて売り上げが下がる一方だ、だけれども、廃業されたらその地域の人たちが困る、だから何とか存続してもらわなきゃいけない、そのための資金の手当てを考えていく。

 あるいは、そういう人たちに、はっきり言って、お父さんとお母さん二人でやっている小さなスーパー、幾ら経営改善と言ったってなかなかそういうのはできないですから、そこは何とか存続をしてもらうような手だてを考えてあげるというようなことも必要だと思いますから、一律に言うといけないと思いますが、でも、おおむねやはり先ほども申し上げたように、日本は廃業率が非常に低く、開業率も非常に低いという状況の中で、新陳代謝を進めていく、あるいは場合によっては、MアンドAによって統合して生産性を高めていくということは考えていかなければいけないというふうに思っています。

 今回の法改正による措置の中でも、例えば、撤退資金の支援ですとか、あるいは、一方で創業関連の付保限度額を拡充するなどやっていますし、あるいは信用保証協会が、例えば、創業ですとか中小企業の経営改善を支援をすることを目的とするファンドにお金を出資することもできるようにした。

 まさにそういう意味で、委員今御指摘の、流れをつくるための施策はこの中に幾つか盛り込まれているということでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 当然バランスは必要ですし、地域の実情に合わせて、全体が死んでいかないようにしなければならないということはもう当然ですから、そこはしっかりと確保した上で、新たな成長戦略の中の一環という考え方でそういうことを取り組みしていただければいいかなというふうに思っているんです。

 これは話をすると法案から少し飛び抜けてしまうのかもしれませんけれども、今みたいな話をしていて私思うんですけれども、これから先、特に経済産業省さんは、もっとめり張りのある政策をしていっていただきたいと思うんです。これがやはり一番大きなところだろうと。

 そこでちょっと考えなきゃいけないのは、私も本当にこれが正しいのかどうかというところはまだ悩むところで、話をしたいんですけれども、今の世界情勢の中で、お隣の中国なんかは相当いろいろな形で産業振興をされています。過去には韓国なんかも、今はちょっと大変な状態にありますけれども、特定の産業に対して相当肩入れをして、それによって産業を伸ばしていった、国の国力も伸ばしていった、そういう状態にあると思っているんです。

 やはりそういう意味では、伸びるところに対して、よりもっと大きな支援ということも私はこれはしていくべきなのかなというふうに思っていて、ここの中ではそういうことはある程度書かれていると思うんですけれども、そういうめり張りというのをどこまで今の成熟した日本の経済の中でやっていくべきなのか、そういうことを本当に考えられているのかどうかというところについてひとつちょっとお話をいただきたいというふうに思うんですけれども、この辺はどう考えればいいですかね。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 めり張りということに関しまして、今回の法律に鑑みて申し上げますと、一つには、先ほども少し御指摘のありましたセーフティーネットの五号保証、不況業種向けの保証でございますけれども、これに関しましては、現行一〇〇%の保証割合になっているものを八〇%にする。銀行の対応を促して、構造改善、経営改善が進む方向でやっていこうとしているという点がございます。

 それから、廃業に関しましても、廃業の資金を保証の対象に追加するということでそれを促していこうとする部分もございます。

 一方で創業に関しましては、創業保証の枠をふやすといったことで、撤退する側、創業を促す側、それぞれに関してインセンティブが働くような新たな仕組みを講じているところでございます。

木下委員 まあわかるんです。私が言っているのは、特定の産業に対してもうちょっと肩入れするべきなのかどうなのか。これをしたらいいのかどうかというところの議論はあると思うんですけれども、そこをちょっと聞きたかったんです。

 ただ、なかなかそういうお答えしにくいと思うので、きょうは時間がないのでそれぐらいにしておこうかなというふうに思うんですけれども。

 もう一つ、今のところで言っていた、不況業種に対するものというところをお話しされたので、もう少しそこだけ最後お話ししたいなと思うんです。

 今回、五号に当たるものというところは、現行一〇〇%の保証をしていたところを八〇%にする。評価に値すると私は言わせていただきましたけれども、でも結局は、言うとあれですけれども、不況でもう衰退産業だというところを保証するということ自体は、二〇%減らして八〇%だといっても、残るわけですよ。いい、悪いという話ではないです。

 ただ、そうせざるを得ない、さっき大臣がちょっとそういうような感じのことも言われましたけれども、そうせざるを得ないというふうなそういう明確な理由というのは、これは何かしっかりとした理由というのはあるんですか。一〇〇%だったのを、でも二〇%減らして八〇%は残すんだと。結局は八〇%は残る。ゼロにしていいのかどうかという話もあるので何とも言えない、なかなか難しいところだと思うんですけれども、その理由づけをやはり明確にしておくべきだと思うので、その辺の理由をちょっとお話しいただけますか。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 保証割合が一〇〇%のままでございますと、まさに金融機関が基本的に責任を負わない形になる。そうしますと、融資をしても期中の管理をしっかりやらない。結果として、構造不況に置かれた状態が放置されてしまう。

 その点、今回、保証割合を入れることによって、銀行がその企業の経営改善にしっかり責任を持つ形を促していきたいということで今回の措置をとっているということでございます。

 他方で、構造不況業種でございますので、先ほど来議論がありますような、退出を促すことも大事だと思いますし、事業転換を促すことも大事でございまして、そういうところに関しても、信用保証協会の御支援でございますとか、あと、金融機関による支援、これがしっかり促されるように対応していきたいと思っております。

木下委員 バランスが大事だということだと思います。

 きょうは五つ用意していたんですけれども、実質一つぐらいしか質問できませんでした。また金曜日、委員会があるかと思いますので、そのときに続きを聞かせていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

浮島委員長 次に、勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は中小企業信用保険法の改正ということでございまして、質問させていただきたいというふうに思っております。

 ふだんトップバッターなんですけれども、きょうは本当に多々皆さん質問をされておりましたので、実は私、前職が、十一年間銀行員をやっておりまして、平成十二年に地元の銀行に入ったんですけれども、入行後三年間、中小企業融資の営業マンとして信用保証協会つきの融資をやっておりました。当時、金融危機、九〇年代の後半でございまして、その金融安定化資金というものの最後の年でございまして、先ほど近藤委員から、保証協会つき融資は、一〇〇%だったら誰でも営業ができるという話でしたけれども、まさにそのとおりでございまして、確かに、入行したての銀行員も、この一〇〇%融資というのが、保証協会つき融資が営業できたということは事実であったわけでございます。

 そういう観点からきょうはちょっと質問させていただきたいなというふうに思っております。

 我が国の経済成長にとって中小企業の成長というのは、重要性は言うまでもございません。先ほど来からありますように、まさに血液である金融のあり方というのが我が国は特徴的でございまして、間接金融という手法をとっているわけでございます。

 この間接金融という手法が非常に他国とは違うわけでございまして、前回のこの委員会でも、個人の金融資産、もう一千七百兆円を超えたという議論がありましたけれども、もうこの十年間で五百兆円ぐらい個人の金融資産がふえているわけでございます。この個人の金融資産一千七百兆円の内訳というのが大変重要だというふうに思っております。この一千七百兆円の内訳というのは、大体七割ぐらいは我が国は預貯金で占めているわけです。アメリカなんかはこの逆で、株式等々の投資が七割ぐらいを占めているということでございますので、そもそも他国とはかなり金融手法が違うということでございます。

 逆に言えば、この間接金融によって集められたお金を金融機関がしっかりと融資していくという部分では、私は、経済成長にとって、中小企業のまさに成長の部分では、金融機関の目ききですとか事業性評価というのは、この日本経済の再生にとっては大変重要な役割を占めているというふうに思っております。

 そういう中でこの信用保証というのは、我が国の九九%を占めるとも言われている中小企業の資金繰りを支える重要な制度でもあるわけでございます。逆に言うと、銀行が信用保証に依存し過ぎると、メーンバンクとしての姿勢が失われ、もはや顧客の事業を見なくなる、こういう副作用が出てくるわけでございます。

 例えば、私の銀行員時代の十数年前は、一〇〇%保証協会つきの融資であれば、毎年大体二回、自己査定というのが行われるんです。これは、金融庁の検査に備えて自己査定ということを行うんですけれども、まさにあの「半沢直樹」の世界を思い出していただければと思うんですけれども、この自己査定のときには、一〇〇%保証協会つき融資であれば、もはや保全がとれていると見て査定すらしないです。要は、企業の事業評価というのはほとんど見ていない状況でした。

 それが、平成十九年の責任共有制度の導入で、金融機関がリスクを負担することによって、事業評価や目ききといった企業に対する対応が随分変わってきたのは確かでございます。

 これをさらに改善をして、金融機関が一手間かけて中小企業を育て、そして地域経済が活力を取り戻すというように、我が党としても、「中小企業・小規模事業者に寄り添う金融の実現に向けて」という提言を大臣にも申し入れを行ったところでもございますけれども、まずは、今般の改革の趣旨をお伺いしたいというふうに思います。

高木副大臣 今御指摘いただきましたように、信用保証は中小企業の資金繰りを支える重要な制度であり、中小企業の多様な資金需要に一層対応できるものとしていくことが重要であると考えられますが、金融機関が過度に信用保証に依存することとなると、事業性評価融資やその後の期中管理、経営支援への動機が失われるおそれもございます。

 こうした問題意識から、中小企業政策審議会におきまして議論が進められ、昨年末に見直しのパッケージが取りまとめられました。そのうち、法的手当てが必要なものについて本法案を提出させていただいたところでもございます。

 これは、過度な保証依存を回避し、金融機関の一手間かけて育てる対応を促すことで、中小企業の経営改善、生産性向上、地方創生に一層貢献する制度とするものであり、昨年十二月に、今御指摘いただきました、自民党が世耕大臣に申し入れをしていただきまして、その提言を十二分に踏まえたものになっていると認識をしております。

 具体的には、中小企業の多様な資金需要に一層きめ細かく対応するための措置といたしまして、大規模な経済危機等に備えたセーフティーネット保証の創設、また、創業者、小規模事業者向けの事業承継時の支援措置の拡充を行うこと、また、一方で、保証協会と金融機関との間で規律を確保しつつ、中小企業への経営支援を促すための措置といたしまして、保証協会の業務に経営支援を法律上明記するとともに、保証協会と金融機関が連携する旨を規定し、適切なリスク分担を進めることとしております。

 この法案によりまして全国三百八十一万の中小企業への支援を強化することによりまして、その経営改善また生産性向上を進め、地域経済はもとより、日本経済全体を活性化してまいりたいと考えております。

勝俣委員 次に、事業性評価融資についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 金融機関においては、地道に目きき力を高めていく努力が必要となってくるということでございます。信用保証制度を改革しても、金融機関自身が、晴れた日には傘を差して雨の日には傘を取り上げるというふうによく言われていますけれども、そのままではこの改革は絵に描いた餅になりかねないわけでございます。要は、金融機関が、逆に言うと、リスクを嫌って貸し出しを控えてしまう、そういう可能性もあるわけでございます。

 そのためには、金融庁が従来の検査方針を改め、先ほど来から出ておりますように、金融機関が担保、保証人に頼るのではなくて、顧客の事業を見て融資を行うように誘導していく。要は、将来の事業性評価、例えば割引現在価値とか、返済原資はどのように持ってくるのかとか、そういうことを具体的にしっかりと考えていくことが必要であるというふうに思っております。

 今後金融庁がどのような指導を行っていくのか、お伺いをいたします。

天谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生からもお話しございますように、金融機関においては、企業の経営改善や生産性向上を図るために、担保、保証人に過度に依存することなく、企業の事業内容や成長可能性などを評価して、企業価値の向上に資する融資や経営支援等のサービスを行うということが求められていると考えております。

 こうした事業性評価に基づく融資や経営支援等を適切に行うためには、それを行います金融機関の職員の能力の向上、あるいは、専門性を有する人材の育成、ノウハウの蓄積等の取り組みが重要であるというふうに考えております。

 私ども金融庁といたしましても、平成二十五事務年度より、金融モニタリング基本方針の中で事業性評価融資というものを掲げまして、金融機関の目きき力向上に向けた取り組みについてモニタリングを実施してまいっておるところでございます。

 足元について申し上げますと、例えば、昨年九月に策定、公表した金融仲介機能のベンチマーク等の客観的指標も活用して、目きき力向上に向けた取り組みの状況について、金融機関との間で深度ある対話を進めてまいるということでございますとか、また、取引先企業に対する支援能力の向上のために、金融機関に対して、地域経済活性化支援機構、いわゆるREVICでございます、こちらにまず専門家派遣機能の活用を促すというような施策を進めているところでございまして、こうした取り組みを通じまして、金融機関の目きき力向上、あるいは事業性評価といったものの取り組みを一層促進するために取り組んでまいりたいと考えております。

勝俣委員 モニタリングという言葉が出ましたけれども、金融庁の検査のときに、担保はどうですか、保証人はどうですかといった保全のことばかりではなくて、これからの事業性のことをしっかりとモニタリングをしていただきたいなというふうに思います。

 次になりますけれども、金融機関と保証協会は、両輪でやっていかなければならないんですけれども、リスク分担のあり方について質問をしていきたいと思います。

 プロパー融資等のリスク分担を進めていくことは、金融機関が事業性評価融資を進めていくことと表裏一体の関係であるというふうに考えております。

 銀行の実務においても、一つの中小企業に対してプロパー融資と保証つき融資の両方を融資する場合には、その企業の事業をしっかりと見て融資を行う必要があるというふうに考えます。一定の保全が確保できることもあり、仮に業況が悪化しても、落ちついて支援をできるというこういうメリットもあるわけでございます。

 そこで改めて、今回見直しで、責任共有制度における金融機関の一定割合の負担の改定ではなく、プロパー融資に着眼した理由をお伺いしたいというふうに思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しで、プロパー融資等のリスク分担、これを進めていくことにしたわけでございますが、大変釈迦に説法で恐縮でございますけれども、金融機関にとっては、取引先の中小企業に対して信用保証による保全されていない融資、俗にプロパー融資と言われるものを維持していくことは、みずからの損失につながらないように、やはり適切な期中管理、経営支援、こうしたことを行う強い動機になる。すなわち、プロパー融資が中小企業に対する金融機関の支援姿勢に直結するという実態があるというふうに思っておりまして、その実態に着目したものでございます。

 プロパー融資の現状について若干申し上げますと、ある程度の規模あるいは業歴ある、業況も安定している中小企業に対しては、大体一定程度のプロパー融資を金融機関も入れているところでございますけれども、ただ、金融機関によって、例えばその後業況が悪化した場合に、引き続き一定のプロパー融資を維持して、したがって、経営者と伴走する形でしっかり経営指導をしていくという金融機関もあれば、残念ながら、業況が悪化したときに、プロパー融資を引き揚げていって全て保証つき融資にシフトしてしまって、その結果、経営支援を行わない、こういう機関もございまして、プロパー融資の現状につきましては、まだ全国的にはいろいろばらつきがあるところでございます。

 したがいまして、今般の見直しで、保証協会と金融機関が対話しながら適切なプロパー融資と保証つきの融資のリスク分担を進めていく、こういうことで全国的なばらつきを解消して、中小企業に対する金融機関の支援姿勢を担保していきたいと思っているところでございます。

勝俣委員 ありがとうございます。

 中小企業の状況というのは、百社あれば百通りの状況があるわけでございまして、千差万別であるわけです。さらにその資金繰りは、設備投資資金もあれば、経常の運転資金もあれば、大変複雑なものになってくるわけです。

 一言でプロパー融資とのリスク分担といっても、さまざまな形が考えられるというふうに思います。単純に五〇%、五〇%のリスク分担、半々という場合もあれば、保証協会と金融機関の連携が強化され、金融機関に目きき力がつけば、例えば、長期的なリスクがあるような設備投資は信用保証協会つきの融資で、短期的な運転資金はプロパーでといったような、より高度なリスク分担も可能だというふうに考えますけれども、その辺はいかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、既にプロパー融資とのリスク分担を進めている、こういう保証協会の取り組みを見てみますと、一つは、あらかじめプロパー融資と保証つきの割合を決めて、例えば五対五と決めて、一つのメニューとしてそれを提示するという形で、それを一つの基準として適正なリスク分担をしていくという取り組みもございますし、例えば、金融機関と対話しながら、設備投資のときに、長期資金、これはリスクが高い分、保証つきにする、そのかわり、その追加設備投資に伴ういろいろな運転資金、こういうものは短期のプロパー融資でやるという形で、ポートフォリオの適正化を図る、こういう取り組みをしているところもございます。

 我々としても、こうした保証協会のいろいろな取り組みを見ながら、どういうような形が望ましいか、まずは柔軟な対応を図っていきたいと思いますし、今後、金融庁とともに保証協会と金融機関とのこうした連携を適切にモニタリングして、全体としてのリスク分担の底上げを図っていきたいと思っております。

勝俣委員 ポートフォリオの適正化というのは大変重要だというふうに思います。特に、一企業が一つの金融機関とだけおつき合いしているわけではございません。さまざまなメーンバンクがあって、サブバンクがあって、金融機関と取引をしているわけですので、それをつなぐのがやはり保証協会だというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、保証協会の改革についてお伺いをしたいというふうに思います。

 銀行だけでなく、保証協会も変わっていかなければなりません。これまでの、銀行の持ち込まれた案件をそのまま処理しているような受け身の保証協会では、やはり付加価値は生まれてこないというふうに思います。

 例えば、地域の金融機関とリスク分担しながら中小企業を支えていくこと、メーンバンクの姿勢が失われていく場合には、先ほどありましたように、しっかりと保証協会がリードして相談に乗ってあげるといったような、保証協会自身が一歩前に出て経営支援を行っていくことも重要であるというふうに考えております。

 全国の保証協会、五十一あるわけですけれども、どのように底上げをしていくのかということをお伺いします。

高木副大臣 まず、中小企業の経営支援につきましては、金融機関が過度に信用保証に依存せずに、事業性評価融資、その後の期中管理、コンサルティング機能の発揮といった本来の機能を果たしていくことが重要であると考えますが、このため、今般の見直しにおきまして、金融機関がより前面に立って中小企業の経営支援を促していくという観点から、保証協会と金融機関の適切なリスク分担を促す措置を講じていることとしております。

 しかしながら、何らかの理由により十分に支援がなされない場合に、今委員御指摘のように、保証協会みずからも支援に積極的に乗り出すことが重要になってきます。

 このため、今般の信用保証協会法改正案におきまして、これまでの保証協会ごとの取り組みにばらつきがある経営支援を、全国の保証協会におきまして一層促していくべく、保証協会の業務としての経営支援を法律上も明確化するとともに、業務の運営に当たりましては、保証協会と金融機関が連携する旨を規定いたしました。

 また、当該改正を踏まえまして、今後、保証協会におきまして、金融機関と対話をしながら保証つき融資と保証のつかないプロパー融資の適切な組み合わせによるリスク分担を進め、金融機関における事業性評価融資や期中管理、経営支援を促していくことに加えまして、まず、経営改善の局面で、保証協会が経営者と複数の金融機関を一堂に会したバンクミーティングを開催することで、経営改善計画への合意を円滑に進めること。また、中小企業に対する個別の経営支援は本来はメーンバンクが行うべきものでございますが、何らかの理由により十分な支援がなされない場合には、保証協会が専門家派遣などを行うことを通じて支援を行う。またさらに、創業を促すためのセミナーの開催、都道府県と連携して地域の資金ニーズに応じた制度融資を創設するといった地方創生への貢献などを全国的に一層進めていくことが重要と考えております。

 今後、保証協会向けの監督指針を改定いたしまして、全国の各保証協会における取り組みを促すとともに、各保証協会における取り組み状況を見える化いたしまして、中小企業庁と金融庁が連携してこれを適切にモニタリングしていくことによりまして、今回の、保証協会における対応を底上げしてまいりたいと思っております。

勝俣委員 保証協会においても、目きき力や経営支援の能力を持つ人材を保証協会自身が育てていく、育成していくことが重要であるというふうに思います。

 しかしながら、現実を見ますと、保証協会の職員数には限りがあるわけでございまして、先ほど全国で五十一で、調べてみましたら、審査に携わる職員の数が八百人ぐらいということでございまして、百三十七万者をこの数で見るということは大変なことだというふうに思います。

 金融機関と役割を分担して経営支援を進めていくことが重要ではないかというふうに考えますが、改めて御所見をお伺いします。

宮本政府参考人 委員御指摘のとおり、金融機関と保証協会で適切な役割分担をとることによりまして、中小企業を両者一体となって経営改善すること、これが重要だと思っております。

 そのためにも、また委員御指摘のとおり、保証協会自身も、目きき力、それから経営改善を指導する力、こうしたものを高めていくことで、仮に少ない職員であっても、中小企業のためになるという能力を向上していく必要があると思います。

 こうした観点で、平成十七年の信用保証制度の見直しの際にも、保証協会職員による、例えば中小企業診断士などのこうした人材育成に努める方針、これを掲げまして、これを踏まえた対応をとっておりますし、平成二十六年度から、保証協会の外部専門家事業においても、人材育成につながる取り組み、こうしたものを進めてきております。

 具体的に申し上げますと、例えば、中小企業診断士等の資格取得を奨励し、また、経営支援の専門部署を創設するとか、あるいは、保証協会職員が外部専門家と同行する形で経営支援を行って実践力を高める、さらには、全国信用保証協会連合会、こちらで成功事例等を横展開する、研修を行う、こうした取り組みを進めてきておりまして、結果として、ここ十年間で保証協会の職員の中小企業診断士が約二倍、四百七十人となりまして、これに伴って、経営支援の実績、これも上がっておりまして、例えば二十八年度だと、五千五百企業に対する経営指導を行っているところでございます。

 引き続き、こうした取り組みを強化してまいりたいと思っております。

勝俣委員 保証協会自身が保証するところでございますので、その目きき力というのは大変私は重要だというふうに思うんです。

 そもそも、保証協会自身がなぜできたのかということは、保証協会法にも書いてあるとおり、やはり、中小企業においてもライフステージがある中で、特に創業期ですとか、そういうときに、担保も保証人も自己資金もない、信用力もない、そういう方が金融機関でお金を借りたいというときに、では、そういう信用力もなくて担保力もない、そういう方々が困って保証協会に保証を求めていく、これがそもそもの保証協会のあるべき姿だったはずなんです。

 ところが、私もこれはびっくりしたんですけれども、私が融資を行っていた十数年前には、保証協会に行ったら、保証協会で、保証人をつけてくれ、担保をつけてくれと言うわけです。要は、そういう使途がないから保証協会に行くにもかかわらず、保証協会で第三者保証人をとる、担保をとるというのは、僕はこれはおかしいなと思ったんです。

 平成十八年に、保証協会における第三者保証人徴求の原則禁止というものが出ました。私は、これは本当に直していかなければならない制度だというふうに思っております。その後、第三者保証人取得は大変見直されたということで変わってきてはいるんですけれども、保証協会における経営者本人の個人保証の取得についても私は見直すべきだというふうに思っておりますけれども、その辺はいかがでしょうか。

吾郷政府参考人 恐れ入ります。経営者保証についてのお尋ねでございます。

 御承知のとおり、平成二十六年二月から、経営者保証に関するガイドライン、運用が開始されております。

 運用開始された当時は、やはり、金融機関においてもこのガイドラインの十分な実績がなかったということもございまして、保証協会におきましては、中小企業の自己資本比率などの一定の基準を満たす場合に限って、個人保証を取得しないという運用をしてきたわけでございます。

 他方、昨今、政府系あるいは民間金融機関において個人保証によらない融資の実績、非常に積み重ねられてきているということでございまして、こうした金融機関の取り組みも分析して、今回、保証協会においても金融機関と歩調を合わせた対応を行うということで、その運用を見直すこととしております。

 具体的には、保証協会が審査を行う際に、金融機関の側もプロパー融資をして個人保証を外しているかどうか、あるいは、中小企業の財務基盤が強化されているかどうかといった点を確認して、対話をしながら、個人保証の取得の必要性について個々に判断していくという対応に変えていく所存でございます。

勝俣委員 ぜひお願いしたいというふうに思っております。

 ちょっと時間がもう迫っておりますので、順番を変えて質問したいというふうに思います。

 リスケ先の経営改善、設備投資についてお伺いをしたいというふうに思います。

 保証協会を利用して融資を受け、その後返済が困難となっているいわゆるリスケ企業が十七万者ということでございます。これは先ほど申しましたように、設備投資の資金が三本出て、運転資金が五本出てとか、もう本当にばらばらになってしまって、大変返済に苦慮しているということもあるわけなんです。もちろん、市場のルールによって廃業を余儀なくされる場合もあるんですけれども、まだまだ事業や技術として光るものを持っている中小企業もたくさんあるというふうに思っております。

 保証協会融資に占める設備投資の割合というのは、実は六・六%、約七%しかないということなんです。大変少ないんです。これは私もいろいろ考えたんですけれども、何でこれだけ設備投資の割合というのは少ないのかなというふうに考えたら、そもそも、設備投資をするような前向きな企業は、保証協会つきの融資を必要としなくても借りられるということも言えるわけなんです。

 いずれにしても、中小企業の社長さんは、設備投資をして機械が新しくなると突然結構元気になるんです。社長に次の夢は何ですかと聞けば、やりたいことはたくさん出てくるわけなんです。今、回っていると、大変人手不足のお話がたくさん出ます。もちろん、中小企業は人手不足で、皆さん、私の地元なんかもよく言われるんですけれども、そういう中で今国が進めている第四次産業革命、これは中小企業にも言えることでございまして、人手不足であれば、設備投資をしっかりとして、そして生産性をしっかりと高めていく、そういうことが私は大事なことだというふうに思います。そして、社長に寄り添ってその夢を実現していくのは、私は、地域の金融機関、保証協会の役割であるというふうに考えております。

 そこで、リスケ先でも、経営改善をすれば設備投資が可能であるというふうに私は考えますけれども、どのように進めていくのか、具体策をお伺いしたいというふうに思います。

宮本政府参考人 委員御指摘のとおり、現在リスケ中の事業者の中にも、もともとの事業、あるいは技術そのものは大変可能性がある中小企業、これも多く残されております。金融機関と保証協会、これが連携して支援することで財務面が改善されれば、それによって設備投資が行われ、息を吹き返す中小企業も多くあると考えております。

 まさにこうした観点から、今般の制度見直しにおいては、金融機関と保証協会が対応しながら、保証つき融資とそれからプロパー融資、これを適切に組み合わせ、金融機関の事業性評価融資、あるいは経営支援、さらに、そこが機能しない場合には、保証協会としても、積極的に前に出て経営改善をしていきたいと考えております。

 まさにそういうリスク分担が成功した一例というのを申し上げると、ある二輪車の販売店において、経営者の再建のメーンでない金融機関が逆に経営者の再建の意向を酌み取って、複数行の債務、これを一本化して資金繰りを安定させ、その上でこの金融機関がみずからプロパー融資して運転資金を追加的に提供して、逆にその保証の枠をあける、保証の枠があきますと、それに対しては当然長期の設備投資資金というのが融資できることになりますので、こうした形で設備投資を促して経営を向上させたという例がございます。

 このような事例をまさに全国的にふやしていきたいと思っておりまして、保証協会による専門家派遣事業による経営支援、認定支援機関を活用した経営改善計画の策定支援、その他、中小企業再生支援協議会による再生計画の策定支援、こうした取り組みを含めまして、保証協会の機能を強化していきたいと思っております。

勝俣委員 いずれにしましても、時間が来ましたので終わりにさせていただきたいというふうに思いますけれども、大臣がせっかく来ていただきましたので、本当に、日本の金融手法が間接金融という中で、やはり、日本経済の再生には中小企業の再生というのが大事になってきますし、そのためには、金融機関の目ききというのは大変重要になってくるというふうに私は思っておりますので、ぜひともスピーディーな制度改正をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

浮島委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 信用保険法等の改正。この信用補完制度というのは、私は、中小企業の資金繰りを支える大変重要な制度であるというふうに思っております。経済危機、リーマン・ショックのような、そうした場面でも、あるいは災害の場面でも、さまざまな場面で活用されておると思っております。

 他方で、今の問題意識としては、余りに過度にこうした保証に依存をするような融資が行われて、余りにも進んでいってしまうと、そういう経営改善のインセンティブというものがなかなか働いていかないんじゃないか、こういう問題意識の中で、今回、制度の見直しをしていこうというふうなものだと認識をしております。

 他方で、余りにそこを強調して、中小企業の資金繰りを支えるというそもそもの目的、これが果たせなくなってはいけないというふうにも思っておりまして、そういう意味では、私ども公明党も、大変重要な制度でございますので、この法案の審議の検討の過程で、さまざまなヒアリングも重ねてまいりましたし、視察も行ってまいりました。

 昨年は政府の方にも提言もさせていただきまして、こうしたものについてどのように反映をされているのかということも確認しながら質問をさせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、特に、中小・小規模事業者あるいは創業時、こうした資金ニーズへの対応ということで質問をさせていただきたいんです。

 中小企業の中でも、小規模事業者は、環境の変化の影響も非常に受けやすいということで、なかなか事業が安定をしなくて、何か少し状況が変わると一気に経営が苦しくなったり、状況が変わるとまたすぐ好転をしたりということで、やはり資金繰りを手厚く支えないといけないというふうに思っております。

 他方で、よく伺いますのが、新しくビジネスを開始しよう、こういう創業をしようというときにも、やはり金融機関は新しいものに対してなかなか資金調達をしてくれない、保証であるとかいろいろなものがあれば貸してくれるんだけれども、なかなか事業性、事業だけを見てということが難しい、こういうお声も、私、創業を始めようとされている方から直接伺ったこともよくございます。

 やはり、こういう小規模事業者あるいは創業時、こうした資金ニーズにはさらに前向きに対応していく必要がある、このようにも要望をしてまいりました。

 まず、本法案の改正でどのようにこれに対応をされているのかということについて、冒頭、お伺いをしたいと思います。

高木副大臣 今委員御指摘がございましたように、中小企業、このライフステージにおきましては、さまざまな多様な資金需要に対応することが重要であると思っていますし、特に、事業実績がなく資金調達が困難な創業者、また、規模が小さく経営が急変しがちな小規模事業者につきましては、この信用保証を通じてその資金繰りをしっかりと支えていくことが重要であると考えています。

 こうしたことから、今般の改正で、小規模事業者、創業者の事業をこれまで以上に支えていくために、まず、小規模事業者向けの一〇〇%保証の限度額を現行の千二百五十万円から二千万円まで拡充すること、創業者が手元資金がなく一〇〇%保証が受けられる限度額を現行の一千万円から二千万円まで拡充することとしております。

 これらの施策によりまして、引き続き、我が国の経済成長の源である創業者や、地域の雇用を支えながら持続的発展を行う小規模事業者などの中小企業の資金繰りをしっかりと支援してまいりたいと思います。

中野委員 先ほど、しっかりそうした資金ニーズに、拡大をする、さらに前向きな対応が今回なされている、こういう答弁をいただきました。

 今回の制度改正、この結果がうまくいけば、こうした代位弁済の状況も改善をしていくんじゃないか、このように期待をしておりまして、やはり中小企業にとっては、信用保険の保証料というものが、払わないといけないということで、これの負担の軽減をしていくというのも大変大事なことなのではないか、このように思います。

 この保証料の引き下げ、これについても、昨年、党からも検討をぜひお願いしたいということで要望しておりますけれども、今回の法改正に関連をして、保証料の引き下げについてどのような検討を今後していくのかということについて答弁をいただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業が支払う保証料につきましては、そもそも、個々の中小企業の信用リスクをクレジットリスクデータベースと言われるいわゆるビッグデータを用いて定量的に判定して、きめ細かく適用しているところでございます。この仕組みですと、中小企業が経営改善を進めて信用リスク、これが下がっていくと保証料も段階的に下がっていくという意味で、経営改善に対するインセンティブが働く、そういう体系にはなってございます。

 ただ、一方、現在の保証料の体系というのは、導入されてから相当の期間がたっておりますし、実は、中小企業政策審議会という今回の制度改正を検討いただいた有識者の会議におきましても、その見直しについての議論がなされましたし、また、委員御指摘のとおり、公明党さんからも、中小企業の保証料の負担を減らすべく、今般の制度改正の結果、代位弁済の状況が改善すれば保証料率等を引き下げる方向で検討することという御提言をいただいたところでございます。

 したがいまして、こうした提言等を受けとめながら、まずは、今般の各種の制度改正を進めて、その効果を検証する、これをやる必要はありますが、その上で、中小企業の経営改善に一層つなげること、あるいは、一方で、信用補完制度全体の持続可能性、これも確保すること、こうした点を総合的に勘案して、保証料のあり方についてしっかりと検討していきたいと考えております。

中野委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、中小企業の経営改善に向けて、いわゆる伴走型の支援というものが大事なのではないか、こういうことを主張してまいりました。

 これは、党の方でも、経済産業部会で視察を重ねてきました。例えば、東京の板橋区であるとか、あるいはよろず支援センター、こうしたところにも視察に行かせていただいて、中小企業の社長さんというのは非常に現場の経営も忙しくて、そして一人でいろいろな営業から何から全部やっているという方も非常に多くて、やはり、経営の改善を図っていくにしても、外部のさまざまな経営の改善を支援する機関というものが、中小企業あるいは小規模企業、こうしたところに寄り添って支えていく、こうした体制づくりというものが非常に重要なのではないか、こうした伴走型の支援を強化していってほしい、こういうことでお願いをしていったわけでございます。

 特に今回、信用保証の関係ですと、いわゆる一〇〇%保証のような形で保証を受けていて、なかなか金融機関側も経営を改善しようというインセンティブも働かずにずっと融資、今だけ保証をつけてずっとやっている、こういうところを改善できないか、こういう問題意識の改正がさまざまあるかと思いますけれども、やはり大事なことは、業績が悪化をしてなかなか手を打つのが難しいという状況になる前にも、例えば平常時から、そうした資金管理の状況も含めてしっかりやっていこうということで、支援が受けられるような仕組みをつくっていく、こうしたことが非常に大事なのではないかなというふうに思います。

 もちろん、地域の金融機関あるいは保証協会、外部の支援機関、こうしたいろいろな関係者の方がいらっしゃいますので、しっかり連携をして支えられるような仕組みをさらに強化していく、これをぜひお願いしたいというふうに思っておりまして、こうした伴走型支援の取り組み、今後どのように強化をしていくのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

高木副大臣 中小企業の経営支援に当たりましては、中小企業と密接な取引関係にある金融機関、銀行が、過度に信用保証に依存せずに、事業性評価融資、その他の、期中管理、コンサルティング機能の発揮といった本来の機能を果たしていくことが最も重要であると考えています。

 このため、今般の見直しにおきまして、金融機関がより前面に立って中小企業の経営支援を促していくという観点から、リスク分担を実施していくこととしております。

 他方で、中小企業の側も、みずからの経営状況をしっかりと把握し、ふだんから十分な情報を開示して金融機関と対話しながら経営改善を行うことも重要でございます。委員御指摘のように、悪くなる前にしっかりと見ておくということですね。特に、経営者が資金繰り管理、採算管理など自発的に取り組むことが重要でございますので、本格的な経営改善が必要となる前の早期の段階におきまして、経営者が税理士や中小企業診断士などの認定支援機関を活用して資金繰り計画などの簡易な経営改善計画を策定することに対する支援を開始することといたしました。

 このように、金融機関と中小企業の双方に働きかけることによりまして、中小企業がしっかりと経営改善に取り組むことができる環境整備を進めてまいりたいと思います。

中野委員 そうした資金管理を平常時からということで、まさに支援を開始した、こういうこともあります。しっかりこうした動きも後押しをしながら、やはり伴走型支援というものをしっかり強化していく必要があるというふうに思います。

 これに関連をして、よろず支援拠点の強化というものについてもお伺いをしたいというふうに思います。

 これは、先日、党の方でも視察に行かせていただいて、東京のケースを見させていただきましたけれども、いろいろな好事例が出てきて、かなり経営がよくなった、そういうケースもお伺いをして、これはかなりいい効果を生んでいるのではないかなというふうに思います。

 経済産業省の予算で各都道府県にこうした拠点を置いているということでございまして、他方、視察のときにも意見として出ましたのが、東京は結構いいケースとして効果が出ているんじゃないかと。ただ、では地元でどこまで効果が出ているだろうかということを振り返ったときに、やはり都道府県によって、しっかりやれているなというところと、なかなかうまくそこまで機能していないという、ばらつきがあるのではないかというふうな指摘もございまして、それは、支援の人材がどのくらいいるかというのも地域によって状況がさまざまだということで、それをどう活用するかというところはやはり地域の知恵の見せどころだというふうには思うんです。

 このよろず支援拠点、せっかくいい制度としてできているというふうに思いますので、それぞれの地域でしっかりと効果を生んでいけるように、やはり支援の強化が私は必要なのではないかというふうに思います。答弁をいただければというふうに思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 よろず支援拠点、これは設置から三年経過したところでございまして、利用者にその評価をアンケートしたところ、自社だけで解決できない複雑な問題を整理でき、解決策のアドバイスをもらったなど、八割、九割の方から高い評価をいただいているところでございます。

 ただ、一方で、やはり委員御指摘のとおり、これは全国四十七都道府県にあるわけでございますけれども、地域によって経営支援の質にばらつきがあるといった意見、それから、もっと水準の高い支援を目指していくべきだ、こういう意見も聞かれるところでございます。

 まさに、こうした意見に対応するためには、よろず支援拠点における支援人材の育成を図る、それから、よろず支援拠点の支援水準全体、拠点全体として水準を上げていく、こういうことが必要だと思っています。

 現在、中小企業基盤整備機構というところにこのよろず支援拠点の全国本部というのがございまして、ここで全国のよろず支援拠点の相談員が参加する全国研修あるいはブロックごとの研修を行っておりますし、あるいは、より現場に近いところでOJT研修、こうしたことも行っていますので、これの質を高める、さらには、もっと相談員の方に参加いただけるような、そうした工夫をしていくということが必要だと思っております。

 また、これに加えまして、経営指導をされる方々の中で特にパフォーマンスの高い方、この方々のパフォーマンス、行動パターンをモデルとして、一つ、相談や人材育成のあり方、これをまとめた指針みたいなものをつくりまして、これをベースにして各支援拠点の評価をしていくということで、全国のよろず支援拠点の支援水準を上げて、できるだけ同じ、高いレベルの支援が受けられるようにしていきたいと思っております。

中野委員 やはり支援人材の育成というのが非常に大事だというふうに思います。そしてまた、水準を全国的に、横展開ではないですけれども、上げていくということも非常に大事だというふうに思います。この取り組みはしっかりと進めていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 きょうは金融庁の方にも来ていただいておりますので、少し答弁をいただければと思っておるんですけれども、この法案審議の中でも、ほかの委員の先生方からも、金融庁の取り組みということでさまざま質問があったわけでございます。言わずもがなではありますけれども、中小企業の経営改善、経営力強化、やはり金融機関の果たす役割というのが非常に大きいものがあるというふうに思います。

 やはり、経営者の方から出る御意見としては、どうしても、個人保証がないとなかなか貸してくれない、こうした状況では思い切った事業展開というのはなかなか難しい、こういう苦しい胸のうちというか、そういうことをおっしゃる経営者の方もいらっしゃいましたし、あるいは、先ほども新規事業ということでありましたけれども、新規の事業のときにはなかなか金融機関も貸してくれない、他方で、経営が安定をしているような優良な貸出先にはやはりみんな貸したがって、どうしてもそこに集中をしてしまう、こういう御意見は地元でもよく伺うんです。

 金融庁の方も、こうした状況というのはやはり御認識は十分にされていると思っておりまして、実際に、経営者保証ガイドラインということで、保証や担保に過度に依存しない融資というものをしっかりやっていこう、事業性の評価に基づいてしっかり融資をやっていこう、こういう方向に大きくかじを切っておられるというふうには承知をしております。

 他方で、しかし、金融庁が平成二十七年に事業者向けにアンケートを行って、これの結果などを見ておりますと、地域の金融機関の融資の貸し出しスタンスというものは相変わらず変化がなくて、やはり、保証がないと貸してくれない、担保がないと貸してくれない、こういう声も多くて、実際に、確かに、地域の金融機関の方にお伺いをしても、さまざま経営環境も厳しくなってくる中で、金融機関としても、やはり一定の収益を確保しないといけないというのは当然のことでありますので、なかなか苦しいところもあるというふうなお話もお伺いをしますけれども、この金融庁の事業性評価をやろうということが、必ずしも思うような結果がまだ出ていない状況なのではないかなというふうに思っております。

 この現状の評価というものと、今後の取り組みをどうされるのか、これについてぜひ、今回の法改正に関連をして、金融庁にお伺いをしたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先生の御質問の中で、経営者保証ガイドラインに関連してありましたので、それに関連してちょっとお話をさせていただきます。

 金融機関におきましては、先生がおっしゃったように、取引先企業の経営改善とか生産性向上支援を行うために、まずはやはり、担保、保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業の内容あるいは成長可能性などを適切に評価した上で、企業の価値向上に資するような助言、あるいは経営支援のアドバイス、あるいはファイナンスというものを行っていくことが重要ではないかと考えています。

 金融庁としては、こうした観点から、経営者保証ガイドラインが融資慣行としっかり定着する、あるいは浸透することが重要だと考えておりますので、金融機関に対してはそういった取り組みを促してきているところです。

 ちなみに、民間金融機関の経営者保証ガイドラインの活用状況を簡単に申し上げますと、経営者保証に依存しない融資の新規融資全体に占める割合というのは、平成二十八年度の上半期で約一四%ということで、前半期に比べて二%程度上昇しているところです。

 ただ、数字だけではなくて、金融機関の中を見ていきますと、例えば、個人保証からの回収実績が少ないということを踏まえて、経営トップが無保証融資を積極的に推進する方針というものを明確に示しているとか、あるいは、個人保証の徴求をする判断をする際に本部がその妥当性を再検証するといった、本部のイニシアチブを強化している事例、あるいは、根保証契約に依存しないで融資の審査時に個々に個人保証の必要性を検討しているといった、組織的に取り組んでいる事例がございます。そういう意味では、こういった事例が広がっていくことが重要だと思っています。

 一方、先生御指摘のとおり、金融庁が実施しました企業ヒアリング、アンケート調査におきましては、多くの企業から、このガイドラインにつきまして、知らなかったとか、あるいは、金融機関から説明がなかったという声が多々聞かれるところでございますので、このガイドラインのより一層の周知というものがまず重要じゃないかと思っています。

 金融庁といたしましては、今後とも、引き続きこのガイドラインの活用状況をしっかりモニタリングするということと、金融機関に対して、取引先企業へのガイドラインの周知あるいはガイドラインのさらなる活用というものを引き続き促してまいりたいと考えているところでございます。

中野委員 事業性評価に基づいた融資をふやすためには、やはりそれができるだけの人材が育ってこないといけないということで、これについてもお伺いをしたいと思うんです。

 地銀の方に先日お伺いをしたんですけれども、やはり、事業性評価に基づいた融資で目きき力の強化ということをよく言われるわけですけれども、なかなか一朝一夕に身につくものではなくて、例えば、ある金融機関で年間で仮に二百件ぐらい融資にかかわるとして、それを五年、十年とやっていってやっと一人前の人材に育つんですよというふうなお話も私も先日部会で伺ったこともございまして、やはり、目きき力を強化しないといけないというのは、言うのは簡単ではありますけれども、なかなか一朝一夕には進まない。

 しかし、これを進めていかないとなかなか事業性評価に基づいた融資というのもふえていかない、組織としてそういった方向で取り組むところを評価していくというふうな答弁もございましたけれども、特に人材育成をどうやって進めていくか、こういう点についても非常に大事な観点かと思います。

 これについて、金融庁の今後の方針というものをお聞かせいただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先生のお話にありました、金融機関の行員の人材育成は大変重要な課題だと思っています。金融機関の職員が目きき力を発揮して事業性評価に基づく融資であるとか本業支援等を適切に行うためには、まずもって、やはり職員の能力向上、あるいは専門性を有する人材の育成、さらにはそのノウハウの蓄積と取り組みというのが、やはり不断の努力が必要だと考えています。

 こうした取り組みをやはり組織的、継続的に実施している金融機関におきましては、例えば、営業の現場がみずから開発した評価ツールというものを用いて企業に対して定性面に着目した経営計画の策定支援みたいなものをヒアリングを行ったり、あるいは、地域の主力産業についてサプライヤー等の裾野と企業群まで含めた面的な分析を行ったりするなどして、取引先企業の今後の事業の方向性を検討する能力の向上を図っている事例も出てきているものと承知しております。

 金融庁としては、こうした金融機関の組織的、継続的な取り組みというものをより一層促進するため、例えば、昨年九月に公表いたしました金融仲介機能のベンチマーク等の客観的な指標も活用しながら、目きき力発揮のための人材育成の取り組み状況についても金融機関の経営陣との間で深度ある対話を行っていくとか、あるいは、取引先企業に対する支援能力の向上を図っていくために金融機関に対して地域経済活性化支援機構による専門家派遣機能というものを活用も促すなど、施策を進めていきたいと考えているところでございます。

中野委員 やはりこの信用保険法の改正、これに加えて、金融庁さんの方の、そもそもの金融機関の融資のあり方というか、こうした事業性評価の取り組み、こうしたものが一体となって進んでいくことで、やはり中小企業の経営改善というものが進むというふうに思いますので、しっかりと連携して取り組みを、経産省も金融庁もぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 最後に、セーフティーネット保証の関連の見直しについて質問をいたします。

 大規模な経営危機、リーマン・ショックのようなときには、不況時の、いわゆる五号の保証というものがされてまいりましたし、東日本大震災のときには、こうした一般の制度というよりは、復興の緊急保証ということで、新たな形で制度を臨時につくったわけでございます。こうした危機時の保証、一〇〇%保証でございますけれども、これがなかなか平常時に戻しにくいというか、一〇〇%というのがずっと続くというのは、あり方として見直す必要があるんじゃないか、こういう指摘もあったかというふうに思いまして、これに関連をして、今回、見直し、特に危機時に関しては新しい保証というものもできますし、五号の保証も、一〇〇%ではなくて、不況時八〇%という形になるというふうに思います。

 他方で、確かに、不況時の保証割合が一〇〇から八〇になるということは、ある意味、金融機関が自主性を損なわずにしっかり融資をしていくということもあると思うんですけれども、不況時に企業を支える融資がこれで支えられてきたことも事実ではあるというふうに思っておりまして、これが、保証割合を下げることで、特に副作用というか、そうした資金繰りができなくなってしまうようなことがあってはいけないというふうに思いますし、そのためには、これの実施の状況はしっかり慎重にモニタリングをしていって、必要があれば必要な対策を行っていく、こういう姿勢が大事だというふうに思います。

 この取り組みについて、どうされるのかということをお伺いしたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の信用保証制度の見直しでは、構造不況に対応するセーフティーネット保証、いわゆる五号につきまして、金融機関がより前面に立って経営改善あるいは事業転換等の支援をするように、その保証割合を一〇〇から八〇に引き下げるということでございます。

 ただ、一方で、これに伴いまして中小企業向けの資金繰りに大きな支障が生じては、これは元も子もございませんので、私どもとしましては、例えば、今回、小口向けの一〇〇%保証の限度額、これを千二百五十万から二千万に拡充する。また、仮にメーンバンクが十分な融資を行えないようになる、余りないと思いますが、ようなことがもしあれば、ちゃんと保証協会が他の金融機関を紹介する取り組みを行う。あるいは、保証協会と中小企業支援機関の連携による相談体制を強化するとともに、万が一の場合ですけれども、日本政策公庫、こうした政府系金融機関から丁寧な相談を行うことで最後はしっかりと対応する。こうしたことで資金繰りには影響がないようにしたいと思っております。

 加えまして、委員まさにおっしゃったように、中小企業庁と金融庁が緊密に連絡しまして、中小企業の資金繰りに支障が生じていないこと、これを含めまして、しっかりとモニタリングをしていく、これによって、円滑な資金供給と、一方で中小企業の経営改善の促進、この二つの目的をしっかりと両立できるように努力してまいりたいと思っております。

中野委員 最後に、今回新しく、例えば、大規模な災害時などに危機関連保証ということで制度が創設をされました。従来であれば五号の保証を全国的に適用したりとか、そういう形でやっておられたりするというふうに思います。今回の新たな危機関連保証、具体的にどのような要件で発動されるのかということをはっきりしておくことは大事だというふうに思います。

 この制度の発動される具体的な要件についてお伺いをしたいと思いますし、これは、適用期限を区切った制度になるということで、やはり、平時に戻す際に、地域によって、業種によってさまざま、まだらな状況になってくるということもございますので、こういう形に戻る際の、移行のときにどのように適切な保証を図るのか、こういう観点も重要だというふうに思います。

 最後にこの二点、あわせてお伺いをしたいというふうに思います。

吾郷政府参考人 恐れ入ります。

 今回創設する新たなセーフティーネット保証でございますけれども、業種、地域を問わずに一〇〇%保証を実施するというものでございます。これは、リーマン・ショックと同程度に資金繰りDIの指標が短期かつ急速に低下しているなどの著しい信用収縮が全国レベルで生じた場合に発動するということを想定しているものでございます。

 一方、終了時期でございますけれども、こうして、異例の措置でもあることもございまして、終了が速やかに行わなければ、政府の過度な支援となり、市場をゆがめるということにもなりかねないということで、原則一年以内とあらかじめ期限を区切って実施することとしています。これは、過去の大規模な危機、リーマン・ショック、東日本大震災などの状況を見ますと、資金繰りDIの水準が基本的に一年程度で発生前に戻っているということもあるからでございます。ただ、他方、業種等のばらつきがあることもございます。

 経済産業大臣の認める場合には一年延長することが可能でございますし、さらに、影響の残る業種等がある場合には、既存のセーフティーネット保証などで実態に応じてきめ細かい支援を継続するという考えでございます。

中野委員 今回の信用保険法等の改正は、中小企業の経営改善という点で非常に重要な、充実をする部分もあるというふうに思います。

 いろいろな施策を組み合わせてしっかりと、資金繰りにも対応しながら中小企業の経営改善を進めていくために、経済産業省にはさらに取り組みを進めていっていただきたい、これを最後にお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、株式会社日本政策金融公庫代表取締役総裁細川興一君、一般社団法人全国信用保証協会連合会会長村山寛司君、長島・大野・常松法律事務所弁護士小林信明君、一般社団法人全国地方銀行協会一般委員長柴田久君、全国中小企業団体中央会会長大村功作君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 本日は、御多用のところ、参考人の皆様方におかれましては、本委員会に御出席をいただき、心から感謝を申し上げます。大変にありがとうございます。参考人の皆様方におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたく存じます。どうぞ、本日はよろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず細川参考人にお願いいたします。

細川参考人 日本政策金融公庫の細川でございます。

 このたびは、日本公庫の業務にとって極めて重要な中小企業信用保険法等改正法案につきまして、本会にて御審議いただき、その中でこのように発言する貴重な機会をいただきましたことに対して、心から感謝申し上げます。

 さて、日本公庫は、平成二十年の、国民生活事業、農林水産事業及び中小企業事業、三つの公庫の統合以来、基本理念として掲げております政策金融の的確な実施とガバナンスの重視のもと、統合の実を上げるべく不断の見直しを行いつつ、政策と事業に取り組む方々等をつなぐという使命感を持って業務に取り組んでまいりました。

 このうち、中小企業・小規模事業者等の皆様に対しましては、融資業務と、信用保証協会が行う信用保証について保険を行う信用保険業務等によって支援を行っております。

 融資業務につきましては、リーマン・ショックへの対応、そして東日本大震災及び熊本地震からの復興支援を初めとして、いわゆるセーフティーネット機能の発揮について、腰を据えて、着実かつ機動的に役割を果たすべく努めてきております。

 また、日本経済の持続的な成長に向けて、成長戦略分野等への対応にも力を注いでおり、女性、若者等の創業、新事業、それから、地域金融機関等と連携した事業の再生、NPO法人等のソーシャルビジネス、中小企業等の海外展開及び農林水産業の新たな展開などへの支援に積極的に取り組んでおります。

 このうち、創業支援では、例えば、若い世代の起業マインドの向上を図るため、高校生ビジネスプラン・グランプリも開催いたしております。

 さらに、従来から、統合の実を広く国民の皆様に還元するため、三つの事業の総合力を発揮するとともに、全国百五十二支店というネットワークも生かして、地域活性化のために貢献すべく取り組んでおります。特に近年、全ての地方公共団体、約千七百ですが、に接触した上で、地方版総合戦略の策定とその推進に積極的に協力、支援すべく努めているところであります。

 また、日本公庫は、民間金融機関の補完を旨としつつ、民間金融機関との連携も積極的に進めております。この取り組みは、地域経済の活性化や顧客の皆さんの利便性の向上につながるものと考えており、平成二十九年三月末時点においては、全国四百九十三の機関と、例えば地方銀行、信用金庫で見ますと、一〇〇%近くの機関と業務連携、協力に係る覚書を締結しております。

 さらに、それぞれの機関の融資制度を組み合わせた新商品を創設するなど、具体的な協調融資スキームの構築に重点的に取り組んでおりまして、平成二十八年度の協調融資の実績は一万九千六百七十一件、総額で七千三百二十二億円となっております。

 次に、公庫が担うセーフティーネット機能として重要な役割を担っている信用保険業務に関して、その概要及び本業務を通じて日本公庫が発揮している主な機能を説明申し上げるとともに、今回の制度改正に対する所見等について述べたいと思います。

 まず、信用保証協会が行う信用保証の利用企業は約百三十七万社に上り、全国の中小企業・小規模事業者の約四割が事業資金の調達に利用しております。信用保証協会の保証債務残高は、全国における中小企業・小規模事業者向け貸出残高の約一〇%を占めており、信用保険制度が信用保証をバックアップすることにより、中小企業・小規模事業者の資金繰りを円滑にする役割を果たしております。

 また、経済事情の変動や災害の発生等により資金繰りに支障を生じている中小企業・小規模事業者に対しては、保険条件について特例措置が講じられてきました。例えば、リーマン・ショック等への対応のため、平成二十年に創設された緊急保証に係る特例措置、二十三年の東日本大震災に係る特例措置、平成二十八年熊本地震における災害関係保証に係る特例措置などが挙げられます。

 さらに、企業のライフステージに応じて、創業から再生支援に至るまで、場面に応じた特例措置がきめ細かく講じられております。なお、創業につきましては、当公庫と信用保証協会との連携を進めておりまして、二十九年三月末時点で、四十一協会と創業支援、再生支援等に係る業務連携に係る覚書を締結しております。

 保険引き受けの状況につきましては、リーマン・ショック等に伴う緊急保証制度に係る特例措置が講じられた平成二十年度をピークに十八・七兆円まで増加しましたが、平成二十八年度、速報値でありますけれども、企業の業績回復基調を背景として八・一兆円まで減少してきており、二十八年度末速報値の保険引受残高は二十四・一兆円となっております。

 最近の傾向としては、保険引受残高は減少しているものの、返済条件の緩和を行っている中小企業・小規模事業者も多いことから、保険金支払いの動向について引き続き注視していく必要があると認識しております。

 このような中で、日本公庫では、全国七カ所に保険業務推進室を設置し、信用保証協会等との意見交換を通じて、制度運営の課題を共有するなどの取り組みを行う体制を構築しております。

 今回の主な改正内容についてでありますが、まず、中小企業・小規模事業者の資金ニーズへのきめ細かな対応として、創業者、小規模事業者向けや事業承継時の支援措置の拡充を行うとともに、大規模な災害や経済危機が発生した際には、適用期間を原則一年としつつ、迅速に発動できる危機関連保証を創設することとされております。

 また、規律の確保の面として、保証つき融資と保証のつかないプロパー融資を適切に組み合わせるリスク分担や、不況業種に対するセーフティーネット保証五号の見直しなどにより、金融機関がより前面に立って中小企業・小規模事業者の経営改善を促すこととされております。

 これは、中小企業・小規模事業者のライフステージにおいて、信用力に乏しい局面ではこれまで以上に支援を行う一方、ある程度の成長局面に入れば保証を縮小し、規律を高めていくものとなっていると認識しております。

 最後に、今回の制度改正が中小企業・小規模事業者にとって事業の発展に資するものとなるよう、日本公庫としてもその役割を的確に発揮してまいる所存であります。(拍手)

浮島委員長 ありがとうございました。

 次に、村山参考人にお願いいたします。

村山参考人 ただいま御紹介をいただきました全国信用保証協会連合会の村山でございます。

 私からは、保証協会の業務の現状と私どもの取り組みなどにつきまして発言をさせていただきます。

 私ども保証協会を御利用いただいているお客様でございますけれども、全国の中小企業の約四割、百三十一万者の中小企業・小規模事業者の皆様に御利用いただいておりまして、中でも、従業員五人以下の小規模事業者の方々が全体の約八割を占める状況となってございます。

 私どもの活動の実績でございますけれども、まず、平成二十八年度の保証実績全般についてでございますけれども、保証承諾件数で六十六万三千件、金額で八兆五千億円、その結果、保証債務残高は二十三兆九千億円となってございます。

 この残高は、近年のピークでございました、リーマン・ショックの後の景況悪化時に記録いたしましたピークの三十五兆九千億円に比べますと、十二兆円の減少となってございます。

 これは、信用保証の特徴的な機能といたしまして、経済の状況変化に応じまして信用保証制度が補完的機能を果たしているという機能のあらわれであると思っておりまして、経済危機の際は保証利用が大きく伸びましたけれども、足元では、銀行の貸し出し総体が伸びる一方で、保証の実績は減少傾向となっているということだというふうに認識をいたしております。

 二つ目は、災害関係の保証実績でございます。

 震災あるいは台風、そういった近年多発しております自然災害によって経営に影響を受ける中小企業の皆様に対して、信用保証を通じて、事業の復旧そして復興、これを支援することも保証協会の大きな、大事な使命であると考えてございます。

 東日本大震災復興緊急保証の実績は、平成二十九年三月末までの累計で約十三万一千件、金額で約二兆六千六百五十億円でございます。

 それから、昨年発生をいたしました熊本地震そして鳥取における地震関連の保証承諾実績は、合わせて累計で約九千六百五十件、金額では千三百六十億円となってございます。

 私ども保証協会といたしましては、地域中小企業の皆様に寄り添いながら速やかな対応に努めているところでございますけれども、例えば熊本では、震災の翌日には地域中小企業の皆様のための特別相談窓口を速やかに設置いたしまして、熊本の協会職員の中には自宅が被災した者も多かったわけでございますけれども、避難所からそこに出勤するというような者も多数いたというふうに報告を受けております。危機時こそ保証協会の存在意義が問われる場面であり、現場では、身を粉にして職員が対応したというふうに承知しております。

 また、震災後の混乱で、相談窓口が設けられてもそこへ赴くことがなかなか困難だという事業者の方々のために、協会職員みずから現地に赴きまして親身な相談に乗るなど、事業再建に向け、現在もこうした活動を継続しているところでございます。

 三つ目は、個別事業者に対する金融調整支援への取り組みでございます。

 全国各地の保証協会では、業況悪化局面にある中小企業者が円滑な金融調整を行うための支援を行っておりまして、各地の保証協会が、公的機関としての私どもの立場を生かして事務局的役割を担いまして、中小企業と取引金融機関に呼びかけを行って、意見調整を行う場としての経営サポート会議を開催をいたしております。

 そうした中、平成二十四年度以降、全国で延べ約二万二千件の会議を開催いたしまして、その結果、約一万四千四百の事業者の皆様について金融機関との金融調整の合意を得るなど、地域の中小企業・小規模事業者の早期の事業再生や経営改善を図るべく、金融と経営支援の一体的な取り組みを推進しているところでございます。

 四つ目は、経営支援と金融支援を組み合わせた保証制度の実績についてでございます。

 日ごろより、金融機関との連携を生かした保証制度の取り組みとして、経営支援を組み込んだ形での保証制度の運用を行っております。

 具体的には、中小企業者の事業計画の策定支援あるいは継続的な経営支援を行いまして、中小企業者の経営力強化を図ることを目的とした制度でございます経営改善サポート保証などを活用いたしましてきめ細やかな資金繰り支援に取り組んでおりまして、二十九年三月末時点の累計で、約一万九千八百件、約四千八百四十億円の実績を記録してございます。

 五つ目は、個別事業者のニーズに応じた経営支援の取り組みでございます。

 保証協会は、通常の金融支援に加えまして、事業改善の意欲がある中小企業・小規模事業者への経営支援策といたしまして、企業訪問活動を通じた経営相談、そして、相談内容によっては、専門家派遣を実施するなどの支援策を実施しているところでございます。

 中小企業の中には、経営改善の必要はよく認識しているんだけれども、日常業務に追われてなかなかそこに手がつけられないという方も少なくないわけでございまして、また、明確なメーンバンクが存在しないような場合もございますので、そうした場合、保証協会が企業を訪問し、専門家派遣につなげていくということで、それが有効な手段になっていくのではないかというふうに考えてございます。

 保証協会の限られた人員で何ができるのかというような御疑問を抱かれる方もあろうかと存じますけれども、この間、延べ約三万三千件の企業訪問を行いまして、約九千件の専門家派遣を実施いたしまして、多くの中小企業の実効的な経営改善計画の策定を実現してきてございます。

 この事業に当たりましては、政策的な後押しとして、国の予算で経営支援強化促進補助金を設けていただいておりますけれども、私どもとしてはこれを活用して本制度の運営を行っておりまして、おかげさまをもちまして、地域の中小企業・小規模事業者の皆様方からも大変御好評をいただいているところでございます。

 以上、保証協会の業務の現状につきまして、取り組み状況、実績等々を報告させていただいたわけでございますけれども、このように、金融支援に加えまして経営支援も行ってきておりますけれども、その際、代位弁済を可能な限り回避するという点も大切な点だというふうに考えてございます。これは、信用保証協会みずからの運営もそうですけれども、さらには、国民負担の観点からも重要であるというふうに考えてございます。

 次に、以下では、今回の信用保証協会法等の改正案に関連いたしまして、私どもが今後力を入れて取り組んでいこう、あるいはいくべきだというような課題につきまして、幾つか、改正に伴う期待等も含めて発言をさせていただきたいと存じます。

 まず一つは、創業関連保証への取り組みについてでございます。

 今回の改正案におきましては、創業関連保証の限度額を一千万円から二千万円、引き上げることが盛り込まれてございます。

 例えば創業者の中には、比較的大きな設備投資を伴うケースがございますけれども、これまでは、一千万円という限度があることから御利用を見送られてきたこともありますけれども、今後は、こうしたニーズにも応えることが可能となります。

 また、創業後五年目までは、いわゆる死の谷とも表現されているように、なかなか業況が不安定な時期にございますけれども、スタートアップのときの資金だけではなくて、こういう、徐々に成長、発展を遂げようという時期における資金需要に対しても今後応えていくことができるのではないか、そして、事業拡大のチャンスにもつながっていくのではないかというふうに期待をしているところでございます。

 二つ目は、特別小口保険の拡充に伴う取り組みについてでございます。

 今回の改正案には特別小口保険の限度額拡大を盛り込んでいただいておりますけれども、小規模事業者の皆様は、地域社会に根づいて地域を支えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。他方で、小規模事業者の特性といたしまして、自己資金や、あるいは担保力という面で乏しい事業者の方が多いのもまた事実でございます。

 こうした事業者の皆様の資金ニーズにお応えすることは事業の安心感につながるものだろうと考えてございまして、小規模事業者の皆様は地域にとってもとても大切な存在でございまして、こうした皆様を支えることが保証協会の本分であるとも考えてございますので、引き続きこの面でしっかりと支えていきたい、かように考えてございます。

 三つ目は、信用保証協会法の一部改正に伴う業務の追加についてでございます。

 保証協会の業務は、従来、保証あるいは回収という面が中心でございましたけれども、先ほど、私どもの活動実績の報告の中でも申し上げましたとおり、経営支援に係る取り組みにつきましても、現在、全国の保証協会、一生懸命力を入れて取り組んでおります。

 こうした中、今回、法改正の中で経営支援を協会業務の一つとして正式に位置づけていただけるというふうに伺っておりますけれども、これまで経営支援に取り組んできたものについての一定の評価をいただけたのかなと、私どもといたしましては励みと感じておりますと同時に、今後さらに経営支援に積極的に取り組もうとしております私ども保証協会にとって力強い後押しになるものと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 もう一つの改正点として、金融機関と連携を図ることとされております。

 保証協会の日々の業務におきまして、金融機関と信頼関係を構築し、情報を共有しながらリスク分担あるいは経営支援を行っていくことは、中小企業支援にとって極めて重要でございます。保証に当たりましてはプロパー融資とのリスク分担を図るという考え方は、保証協会の現場で育まれてきた知恵でもございます。これを今回政策として取り上げていただいたことを踏まえまして、今後、全国的に一層この点を進めてまいりたいというふうに決意をいたしているところでございます。

 経営支援の取り組みは、中小企業・小規模事業者を支える上で必要な取り組みでありますけれども、同時に私ども保証協会にとっても、事例をそうやって積み重ねていくことで協会職員のスキルアップにもつながりますし、また、ひいては審査の迅速化にとっても、さらには、再生などの困難な案件に対してさらに一歩踏み込んだ対応を進めていく上でも、大きな役割を果たすものと考えてございます。

 また、今回の法改正を踏まえまして、関連した各種施策に対しましても積極的に取り組んでまいるとともに、再チャレンジを行いやすくする環境整備などにつきましても注力をしてまいる所存でございます。

 中小企業政策審議会金融ワーキンググループの取りまとめにおいても言及いただいておりますとおり、近年では、求償権を消滅させるような保証の実施であるとか、あるいは、経営者保証ガイドラインを活用した保証債務の免除等も対応されているわけでございますけれども、今後とも、再チャレンジ目線に立って、好事例の共有等を図りながら、よりきめの細やかな対応に努めてまいる所存でございます。

 以上るる申し上げてまいりました取り組みを進めていくに当たりましては、地域ごとでの景況感の違い、あるいは地方ごとの地理的事情という物理的な問題もございまして、おのおの置かれている状況、異なるわけでございますが、それぞれ地域の中で、さまざまな工夫を凝らしながら支援関係者の皆様ともさらに連携を深めまして、しっかりと取り組んでまいることが重要であると認識しております。

 と同時に、各地域での優良な取り組みの経験を全国で共有いたしまして全体的な取り組み水準を引き上げていくことが、地域中小企業を現場で支えていく上では重要でございますので、こうした取り組みにつきましては、各地の保証協会を会員とする私ども連合会が負うべき部分が非常に多いというふうに自覚をいたしておりますので、しっかりと、優良事例の横展開あるいは研修等々を通じまして保証協会の取り組み水準の向上に向けて努力してまいりたい、こう決意しているところでございます。

 結びでございますが、保証協会といたしましては、今後とも、地域に根差して地域中小企業の発展を促し、生産性の向上あるいは地方創生に寄与するべく最大限努力してまいる所存でございますので、先生方におかれましては、何とぞ私どもの取り組みに対しまして、一層の御支援、御指導、そして御鞭撻を引き続き賜りますようお願い申し上げまして、私からの発言とさせていただきます。

 どうぞ、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

浮島委員長 ありがとうございました。

 次に、小林参考人にお願いいたします。

小林参考人 弁護士の小林でございます。

 私は弁護士として事業再生に取り組んでおりまして、その見地から、今般の信用保証制度の見直しについて、中小企業政策審議会のワーキンググループのメンバーとして意見を述べてまいりました。

 ワーキンググループでは、一年以上にわたりまして、問題点の把握と改善策の検討に努めてまいりました。そして昨年末、取りまとめを行いまして、それを実現するための法案がきょうここで御審議いただいているものと認識しております。

 改めて私の所見を述べさせていただきたいと存じます。

 今回の見直しにおける目線は、中小企業の事業の発展を支えるということでございまして、中小企業のライフステージという観点から、成長発展していく場合、あるいは、小規模ながらも持続的発展を目指す場合等に分かれますけれども、支援を拡充すべきは拡充し、規律を高めるべきことは高めていくといったことをバランスよく整理されていると思っております。

 私は、ワーキンググループの中で常々申し上げてきたことですけれども、中小企業の経営改善については、我々個人の健康管理と同じことが言えると思っております。

 まず一つ目でございますけれども、まず、日ごろからの予防が大事、二つ目は、体調が悪いと感じたら、初期の段階の対応としてすぐに町医者に相談する、最後に、重病になった場合には速やかに専門医の施術を受けるということが大事だと考えております。この三つの観点から申し上げたいと思います。

 まず、事前の予防策についてでございます。

 中小企業においては、往々にして、会社と個人の経理区分が明確でない、財務諸表類も正確なものではなくて、資金繰り表も作成されていないということがあります。しかし、これでは金融機関としても事業の評価をすることができませんし、企業の中身を把握できない状態になってしまいます。一方、この状態では、経営者自身にとりましても、自社の経営の病状が進んでいることを自覚することの妨げとなります。

 こうしたことを予防するために、やはり最初は、まず正確な財務管理、日々の資金繰り表の作成を行うことから始めることが重要となります。これらの実現が経営者の自覚を促すとともに、金融機関との日ごろのコミュニケーションの基盤をつくる前提となるということからであります。

 その上で、経営者と金融機関の望ましい関係のあり方、日ごろからの関係のあり方についても考えなければなりません。

 中小企業が経営悪化時に最も期待するのはメーンバンクの適切なアドバイスであると思われますが、金融庁の調査によれば、三割の企業がメーンバンクに相談できていないという結果がございます。その理由といたしましては、経営の弱みを見せたくない、数字を正直に見せると融資に悪影響がありそうだということがございました。

 このような、経営者とメーンバンクとの信頼感のない関係は、経営状態をより悪化させるという悪循環を招きかねません。そしてついには、経営が危機状況になっても抜本再生が行われずに、ただ先送りになるか、または突然の事業停止、そういった事態を招きかねません。

 こういった事態を避けるにはどうすればいいのか。経営者が、まず、先ほど申し上げました正確な財務諸表をつくるということが大事ですけれども、その上で、経営者と、融資リスクを分担する金融機関の良好な信頼関係を構築しておくことが重要だというふうに考えております。

 そのためには、経営者は金融機関にどのような情報を開示すべきなのか、それを踏まえて金融機関はどのように対応していくべきなのか、そういったような、両者のあるべき関係の姿を示していくことが重要だというふうに考えてございます。

 次に、初期段階での対応でございます。

 日ごろから経営者と金融機関との間で正確な情報共有がなされていれば、そして、十分なコミュニケーションが図られる良好な関係が構築されていれば、初期段階の経営改善にとって有益であると思います。

 例えば、メーンバンクが経営者とともに原因究明を行い、一部で赤字受注が常態化しているとか、原価管理が不足しているなどのことが判明し、それを改善していくといった対応が可能となります。

 また、時には、複数の金融機関とのリスケなどの調整を行うことが必要となってくることがあります。こうした場合に、メーンバンクや保証協会が中心となって、取引金融機関を一堂に会して経営改善計画への同意を促すといった対応が有効となると考えますが、その場合でも、やはり、経営者と金融機関との信頼関係が重要な役割を果たします。

 実際にその現場を私も視察してまいりましたが、保証協会がこのような経営改善計画への同意を促すといったサポートもしておりまして、今後、こういった対応が一層進むことが期待されるところだと思っております。

 また、保証協会と金融機関との間で融資のリスク分担を進めることによって、金融機関がより積極的にその役割を果たすということも期待されるところだと考えております。

 最後に、重病の場合の施術についてです。

 残念ながら、病状が進行してしまい、債務カットなどが必要となる抜本再生局面になってしまう場合がございます。このような場合には、中小企業再生支援協議会などの専門家の支援が必要になりますけれども、日ごろから経営者と金融機関の良好な関係があれば、これもスムーズに進められると思います。ここでも、融資のリスク分担を進めることにより、金融機関がより積極的な役割を果たすことが期待されるところでございます。

 以上のように、事前予防策、初期段階での対応、重病の場合の施術とステージを分けて述べさせていただきましたけれども、事前予防を普及させ、悪化した場合でも金融機関を通じた初期対応で食いとめ、さらに重病となった場合には速やかに施術するということが重要でありますが、いずれの場合でも、経営者と金融機関との良好な関係が構築されている、これが重要であると考えております。

 この関係で、この法案そのものとは直接な関係がございませんけれども、経営者の個人保証の問題がございます。三年前に私が座長を拝命して、経営者保証ガイドラインを取りまとめました。このガイドラインも、金融機関と経営者の信頼関係を構築する、そういう目的が一つの機能を果たしているというふうに考えております。

 ただ、まだまだそのガイドラインの浸透が不足しておりますし、民間金融機関、保証協会においてもまだまだ対応の余地が残されていると思います。この今回の見直しを機に一層の対応をお願いしたいと考えてございます。

 最後になりますけれども、ワーキンググループの関係で地方視察をする中で、経営状態が厳しい場合であっても、経営者に再建の意思があり、金融機関や保証協会が本腰を入れて経営支援に取り組めば中小企業は元気を取り戻すという実情を見てまいりました。

 ただ、全国の保証協会、各金融機関において取り扱いに差があるものとも承知しております。本法案が審議の上、可決、成立して施行された後も、中小企業庁、金融庁がしっかりとモニタリングを行いまして、全国の中小企業がそのような支援を受けられるようにしっかりレビューしていくことが重要だと考えております。この点もお願いしたいと存じます。

 私からは以上です。どうもありがとうございました。(拍手)

浮島委員長 ありがとうございました。

 次に、柴田参考人にお願いいたします。

柴田参考人 ただいま御紹介いただきました、全国地方銀行協会の一般委員長をしております静岡銀行の柴田でございます。

 皆様におかれましては、日ごろから地方銀行の経営に関しまして格別の御指導、御支援を賜りまして、まことにありがとうございます。この場をかりて厚く御礼を申し上げます。

 また、本日は、中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案について、地方銀行の立場から意見を述べさせていただく貴重な機会をいただきましたこと、重ねてお礼を申し上げたいと思います。

 現在、私ども地方銀行は、政府の成長戦略であります地方創生の実現に向けて、長年にわたって培ってきた地域のネットワークを生かし、産官学金労言士を有機的に結びつけるコーディネーターとしての役割を果たすとともに、技術力や将来性など適切な事業性評価に基づく地域企業への資金供給、地域経済の活力を維持する事業承継支援、次代を担う若手経営者の育成など、地域密着型金融の一層の高度化、深化に取り組んでおります。

 中でも、事業性評価を活用したリスクマネーの供給は、地方銀行にとって大変重要なミッションであるとの共通認識のもと、地域のあらゆる事業者に対して、それぞれのライフステージで求められる資金ニーズに可能な限りお応えできるよう、さまざまな工夫や努力を重ねております。

 この事業性評価に基づく融資の推進は、いわゆる担保や保証に過度に依存しない融資の推進そのものでありまして、その取り組み状況は、足元の中小企業向け貸し出しの実績値にもあらわれております。

 なお、実績値については、後ほど改めて説明をさせていただきたいと思います。

 それでは、今回の法改正について私どもの見解を述べさせていただきます。

 法改正に先立ち、平成二十七年十一月より、中小企業政策審議会基本問題小委員会金融ワーキンググループで信用保証制度の見直しに向けた議論が行われ、私ども地方銀行協会もオブザーバーとして参加し、さまざまな意見を申し上げてまいりました。

 今回、中小企業信用保険法、信用保証協会法、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律及び産業競争力強化法という四つの法律について、その一部を改正する法律案が示されておりますが、結論から申し上げれば、私ども地方銀行は、中小企業の資金需要に一層きめ細かく対応するとともに、信用保証協会と金融機関が連携して中小企業への経営支援を強化することで、中小企業の経営改善、生産性向上を一層進める仕組みを構築するという趣旨を踏まえ、法律改正に賛同させていただきたいと存じます。

 その理由としては、銀行のプロパー融資と保証つき融資の適切なリスク分担が相応に図られていること、また、中小企業において特に信用補完が必要なライフステージにおける保証制度の充実が図られる内容の改正案であることの二点によるものです。

 まず第一点目の、銀行のプロパー融資と保証つき融資の適切なリスク分担が相応に図られていることについて、私どもの中小企業向け貸し出しの実績値をもとに御説明をさせていただきます。実績値につきましては、平成二十九年三月期決算が集計前でありますので、平成二十八年三月末の数値で御説明をさせていただきます。

 地方銀行六十四行の貸出金合計額は約百八十六兆円であるのに対し、中小企業向け貸出金は約七十五兆円と、全体の約四〇%を占めております。この中小企業向け貸し出しの残高は、事業性評価に基づくプロパー融資を中心として年々増加傾向にありまして、平成二十八年三月末には、前年度比較で三・四兆円増加をしております。

 一方、信用保証協会の保証つき融資は約八千億円減少しており、これは、各行が担保や保証に過度に依存しない、事業性評価に基づく融資を推進した結果であり、保証つき融資との間で適切なリスク分担が進んでいることの証左であると認識をしております。

 今回の改正案では、信用保証協会の業務に中小企業に対する経営支援が追加され、その業務運営に当たっては信用保証協会と金融機関が連携する旨、すなわち、銀行のプロパー融資と保証つき融資の適切なリスク分担が求められております。

 この点につきましては、今申し上げましたように、私どもでは、これまでの取り組み実績が示すように、新たな体制に向けた準備が着々と進んでいることから、本法改正は実務的にも問題はないものと考えております。

 また、信用保証協会法の改正を踏まえ、既存のセーフティーネット保証制度のうち不況業種を対象とする五号保証について、金融機関がより前面に立って経営改善や事業転換等が促されるよう、現行一〇〇%の保証割合を八〇%とすることも措置をされております。

 現在の五号保証は、大規模経済危機時の対応と通常の不況業種対応が混在をし、かつ一〇〇%保証であるため、対象企業の経営改善が進まない一因にもなっているとの議論が金融ワーキンググループでもなされてまいりました。

 この点につきまして、今回の改正を踏まえ、不況業種に対しては八〇%保証とすることに加え、中小企業信用保険法の改正により、大規模経済危機時のセーフティーネット保証を新たに創設することとされております。

 本改正案によりまして、よりスピーディーな対応が求められる大規模経済危機時の経営支援には一〇〇%保証の保証つき融資を活用できる枠組みを確保した上で、通常の不況業種への対応においては、金融機関と保証協会の一層の連携強化により、効果的な経営改善につなげられるものと考えております。

 次に、第二点目の理由であります、中小企業において特に信用補完が必要なライフステージにおける保証制度の充実が図られている内容の改正案であることについて申し上げます。

 今回の法改正では、四つの法律の一部改正により、創業期や小規模事業者の一〇〇%保証制度の限度額拡充のほか、事業承継時の株式取得資金を保証つき融資の対象とする措置、創業や経営改善を支援するファンドへの保証協会の出資を可能とする措置が盛り込まれております。

 冒頭に申し上げましたとおり、私ども地方銀行は、地方創生の実現に向けて事業者の経営支援に注力をしておりますが、新たな産業の創出、中小企業の事業継続、経営改善は、いずれも、地域の活性化はもとより、地方創生の実現に向けて欠くことのできない要素となります。

 そうした観点から、今回の法改正は、まさに信用補完を必要とする事業者のライフステージに応じた保証制度の充実でありまして、私ども金融機関にとりましても、事業者の経営支援に向けた活動を後押しするものであるばかりか、信用保証協会との連携を深めることにより、ともに地方創生の実現に邁進する一助になるものと期待をしております。

 以上御説明申し上げました二つの理由から、地方銀行業界としては、今回の改正案について、その趣旨を踏まえ、賛同するものでございます。

 皆様におかれましては、引き続き私ども地方銀行の取り組みについて御理解を賜り、御審議くださいますようお願いを申し上げます。

 以上、簡単ではございますが、地方銀行業界の意見を申し述べさせていただきました。

 最後に、本日はこのような発言の機会を設けさせていただきましたことに、改めてお礼を申し上げたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

浮島委員長 ありがとうございました。

 次に、大村参考人にお願いいたします。

大村参考人 全国中小企業団体中央会会長の大村でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 まずは、中小企業を取り巻く現状等について簡単に述べさせていただいた後に、今回の法改正について意見を陳述させていただきたいと思います。

 最初に、中小企業を取り巻く現状について説明させていただきます。

 全国中央会が四月二十一日に発表した「三月の中小企業月次景況調査」によると、三月のDIは、九指標全ての数値が上昇しています。売上高、収益状況、景況といった主要三指標も好転し、特に売上高DIは、前月比プラス一三・一%と大幅に上昇する結果となりましたが、水面下での一進一退の状況が続いております。

 近時は、継続する為替の円安動向に伴い、輸出関連の競争力が維持されています。加えて、生鮮品の価格高騰と年度末需要が売上高を大きく押し上げています。

 他方では、輸入費用の増大や人手不足等、経営コスト上昇と供給力の減退も逼迫していることから、中小企業の先行きは依然として注視していく必要があると認識しております。

 特に、景気が緩やかな回復傾向にあると言われ続けた中、平成二十六年十月から資金繰りDIは常に二桁のマイナスであり、中小企業の資金繰りは余裕のない状況が継続しております。

 次に、信用保証協会の保証制度に対する私どもの期待を述べさせていただきます。

 信用保証制度につきましては、資金調達力に乏しい中小・小規模事業者の信用力を補完することで、安定的な資金繰りを支え、地域経済のセーフティーネット機能を発揮している役割を果たしており、その存在意義は極めて大きいと認識しております。

 したがって、資金調達力の乏しい中小・小規模事業者約三百八十一万者のうち、約三分の一に相当する百三十七万者の事業者が信用保証制度を利用していることから、制度の見直しに当たっては、まずもって、それらの事業者の資金繰りに支障が生じないようにしていただきたいと考えております。

 また、事業者等がより一層メリットを享受できる永続的な制度となることが必要であると考えておりますので、持続的な発展を図っていく観点から、中小・小規模事業者を金融面、経営面で総合的に支援をしていただきたいと考えております。

 続きまして、今回の法改正につきまして、項目ごとに四点ほど意見を陳述させていただきます。

 一つ目は、セーフティーネット保証制度の維持拡充についてでございます。

 平成二十年十月から平成二十三年三月にかけて、リーマン・ショックに対応したセーフティーネット保証五号、一〇〇%保証の対象業種拡大により、約一万六千百件の倒産が回避されたと推定されており、当保証制度の維持拡充は重要なテーマと考えております。

 中小・小規模事業者の経営は、外部環境の変化や突発的な取引先の倒産、被災等への対応力が非常に弱いものでございます。そのような危機を支える最後のとりでとして、セーフティーネット保証制度の維持拡充は重要な役割を担うと想定されることから、今般の大規模経済危機等に対応する一〇〇%保証のセーフティーネット保証、いわゆる危機関連保証の価値は大きく評価しています。

 しかしながら、適用期限を原則一―二年とすることについては、中小企業の経営基盤、資金調達力が乏しいことを勘案し、実情等を十分に考慮した上で柔軟な運用を行っていただきたいと考えております。

 二つ目は、小規模事業者への支援拡充についてでございます。

 信用保証制度につきましては、零細企業から中堅企業までの一律的な制度見直しではなく、特別小口保険やセーフティーネット保証などの支援制度の内容に応じて、めり張りのついた制度づくりを行うことが重要と考えております。

 資金調達力に乏しい零細企業の資金繰りを支えている小規模事業者への支援制度については、維持拡充することが極めて重要であることから、今般、保証割合一〇〇%を維持しつつ、小規模事業者への支援枠を拡充することは評価しております。

 三つ目は、創業、事業承継についての中小企業信用保険に関する法律の一部改正についてでございます。

 創業支援の必要性を勘案すると、創業関連保証の付保限度額拡充は経済活性化に資すると評価しております。

 事業承継時必要資金の信用保険対象化につきましては、今後増加すると見られる事業承継を円滑に実施することに資すると考えております。

 今回の措置は、中小企業経営者の事業承継を支援していく上で必要な措置として、中小企業団体全国大会においても決議しているものであり、大変喜ばしいことと考えております。

 また、制度を設計することにとどまらず、積極的なPRを実施していただくことで、潜在的ニーズを喚起し、大きな効果を発揮することと期待しております。

 四つ目は、信用保証協会の機能強化でございます。

 保証協会と金融機関が連携して中小企業に対する経営支援を行う取り組みは、総じて中小企業の経営改善意欲向上等に資するものと考えております。

 一方で、両者がリスクを共有することに伴う中小企業の資金調達環境の悪化、審査に要する期間の長期化及び事務コストの上昇等が発生する可能性もあることから、金融機関等に対し格別の配慮を要請していただきたいと考えております。

 なお、実効性を検証する仕組みを調整することも重要であると考えており、制度施行後に定期的なモニタリングを行うこと等により制度の実効性等を持続的に検証することが、中小企業の中長期的な資金調達手段拡充と経営改善意欲の向上等につながると考えております。

 また、保証協会自体の経営支援サポートの向上及び金融機関との連携強化も重要な要素だと考えております。関連団体等との定期的な意見交換や研修会等を実施する等の方法により、積極的な能力向上に取り組んでいただきたいと考えております。

 以上で私からの意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

浮島委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。

佐々木(紀)委員 自由民主党の佐々木紀でございます。

 参考人の皆様におかれましては、大変お忙しいところを当委員会に御出席をいただき、今ほどはそれぞれの立場で意見の陳述をしていただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。これも中小企業・小規模事業者の皆様のためだと思って、ぜひちょっとおつき合いをいただきたいというふうに思います。

 今回の法改正でございますけれども、大規模な経済危機とか災害時におけるセーフティーネット機能を強化していくとか、あるいは、小規模事業者への支援を手厚くしているとか、あるいは、創業関連の保証あるいは事業承継への支援、こういったものも拡充をしているということと、そしてあと、信用保証協会の経営支援というものを法律に明記したということで、こういったことは中小企業・小規模事業者の皆さんにとっては大変ありがたい改正だというふうに思いますし、皆様の御意見を伺っていても、皆さん、反対するものではない、賛成だというふうに承りました。

 ただ、一部、このセーフティーネット保証のいわゆる五号というんですか、不況業種に係る部分でございますけれども、これまでの一〇〇%保証から八〇%保証になったということで、もしかすると、こういった該当の業界の皆さんにとっては、うわ、ちょっと厳しいなというふうに思われている方もいらっしゃるのではないかなというふうに思うわけでございます。

 そこで、中央会の大村参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、借り手の、特にこの不況業種の皆さんの反応というんですかね、はいかがかということを少しお聞きしたいと思いますし、一方、貸し手の柴田参考人にも、貸し手として、この辺、現場が混乱するかしないかとか、その辺の御所見を少しお伺いしたいと思います。

 まず大村参考人からお聞かせいただきたいと思います。

大村参考人 ただいまの意見ですけれども、一応、ワーキンググループで検討してもらったことを検討させていただいて、とりあえずは、特に意見はないんですが、こういうことがなくなるとやはり大変だということで、非常に助かっていることは事実でございますから、その辺はひとつ……。

柴田参考人 今の御質問、貸し手側の私ども銀行側の立場の方が多分主になるのではないかと思いますけれども、今まで、当行に限らず、地方銀行全体に、担保、保証に過度に依存しない融資の推進ということ、それから、企業の将来性を見定めた上での事業性の評価を重視した貸し出しといったものをプロパー融資の方で最近ずっと推進をしておりますので、むしろ今、中小企業貸し出しは増加傾向にありまして、保証協会づきの融資は減少傾向、先ほどちょっとお話ししましたとおり、そういう状況にある中で、この保証が八〇%になったからといって現場のところで大きな混乱が生ずるというようなことはないというふうに思っております。

佐々木(紀)委員 どうもありがとうございます。

 今までの借り手の方も、恐らくそんなに大きな影響はないだろうというふうに受けとめていらっしゃるんだというふうに思います。むしろ、不況業種だからこそ経営者の皆さんの経営に対する改善の意欲とか、そういったものをやはりより求められるということでございますので、今回の改正は、そういったことを強調する意味では、大変事業者の方にとっても受け入れやすい内容ではないかなというふうに思います。ただ、そうはいうものの、やはり小規模事業者の皆さんへの支援は拡充しているわけでございますので、全体で見れば大変いい改正なのではないかなというふうに思っております。

 そこで、信用保証協会の村山参考人に少しお伺いをしたいというふうに思いますけれども、今回の法改正において、信用保証協会の業務に中小企業に対する経営支援というものが追加されたわけであります。業務の運営に当たって、信用保証協会と金融機関が連携してこういう経営支援についても当たっていくということも法律に規定をされたわけでございますけれども、従来は保証、回収業務が主であったのではないかなというふうに思いますけれども、そこに経営指導をするということも求められてくるわけでございます。

 信用保証を利用している中小企業者は百三十一万者ほどあるというふうに先ほどお伺いしましたけれども、経営支援業務に携わる職員は全国五十一協会で約八百人ほどだというふうにも聞いておるので、百三十一万者を八百人の皆さんで見ているということになるわけでありまして、またさらに、この改正でそういった経営支援業務も法律に明記をされたということで、より積極的に取り組んでいかなければいけないわけでございますけれども、十分な支援は可能なのかなと。

 人材確保やその育成について、今の段階で何か御所見というか、計画とかあれば、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

村山参考人 今お話しのように、私ども、全国に六千人ほど協会職員がいるわけですけれども、今、八百人ほどという、だんだんふえてきておりますので、もう少し今年度はふえつつあるかなというふうに思っておりますけれども、いずれにしても、そういう状況であることは確かでございます。

 そういう中ではございますけれども、平成二十四年度以降、特に円滑化法以降、全協会を挙げて経営支援に取り組んできておりまして、その取り組みも年々進化をしてきてございまして、各協会とも経営支援部署を新たに立ち上げていくなど、職員の配置をふやしてきているところでございますけれども、率直に申し上げて、各協会ともなかなか人のやりくりで苦労しているというのが偽らざるところでございます。

 しかしながら、そういう中にあっても、この今日的課題の重要性を私どもも非常に認識はしてございまして、先ほど、冒頭のお話でもさせていただいたように、この間、三万三千件の企業訪問を行い、九千件の専門家派遣を行うなど、計画の策定にも尽力をしてきているところでございます。

 その背景には、ダイレクトに経営支援を担当している人間は八百数十人、こういうことでございますけれども、同時に、そういうことがだんだん年々積み重なってくる中で、例えば、保証部門にいるような職員、あるいは回収部門にいるような職員についても、だんだんその事業の展開の中で、経営支援マインドといいましょうか、そういうものが高まってくる中で、みずからの通常業務の中で経営支援にかかわっていこうという風土が育ってきている部分も多いのではないかというふうに思っております。

 また、平成二十六年度から経営支援強化促進補助金を国の予算で措置いただいているというのも、マンパワーの面では、外からのマンパワーもいただけるというようなこともございまして、非常に国からの強力な後押しをいただいていて、この点も大きな助けになっているというので、大変感謝をいたしております。

 そういった私どものこれまでの積み重ねをさらに発展させて、今後は、お話にございましたように、人材育成、一層頑張る、いろいろな職員の育成にも努めていくということをすると同時に、金融機関と私ども協会の連携の中で支えていくということがやはり今回の一つの大きな趣旨でございますので、この面において、金融機関の皆様方と、日常、また、事あるときも、一層連携を深めながら、お互いにマンパワーを補い合いながら、ともに知恵を絞って、中小企業を支えていくべく頑張ってまいりたい、かように思っております。

佐々木(紀)委員 どうもありがとうございます。

 信用保証協会の中での努力も大事かと思いますけれども、やはり、銀行との協力によって、そのマンパワーも、一足す一が二ではなくて、二にも三にも四にも膨らむ相乗効果、ぜひ期待しておりますので、より一層、金融機関の皆さんと一緒になってお取り組みをいただければなというふうに思います。

 それで、銀行、金融機関との連携について少しお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、連携のあり方、例えば、今ほどの経営支援についてもやはり連携をしていくといったこと、あるいは、先ほど来お話で言っていますプロパー融資との組み合わせによってリスク分担をしていくといった意味では、金融支援においても連携をしていくといったことになろうかというふうに思います。

 そこで、引き続き信用保証協会の村山参考人にお聞きしたいんですけれども、銀行との連携のあり方、先ほどのお話ですと経営サポート会議も二万二千件ほどやっているとか、五十一協会しかないのにそれだけの回数をされていたかと思うと、やはりすごいなと改めて思ったわけでございますけれども、これまでの取り組み、そしてまたこれからの連携のあり方について、今の段階で構想なりあれば、ちょっとお聞かせいただけたらというふうに思います。

村山参考人 金融機関との連携についてでございますけれども、従来から、我々保証協会、個別保証案件が出てまいりますと、当該金融機関との間でいろいろその事業者さんについて、どういう業況におありになるのかとか、あるいは、資金の使途はどういうところにあるのか、資金需要としてはどのくらいのボリュームになるのかというような必要性とか、あるいは、申し込んでいただいている金融機関さんがプロパーで対応できる範囲と、私どもの保証で対応する、どのくらいの形で両々相まってやっていけばいいのかというようなことについて、非常にそういう意味では目線合わせをしっかりやってきているつもりでございまして、そういう役割分担を行いながら保証を行ってきております。

 したがいまして、今の保証つき融資というのがありますけれども、保証つき融資は、全部保証つきだけでやっているというのは、非常に、例外的に少ないことが多くて、もちろん創業期は別でございますけれども、通常の場合には、私どもの保証つき融資とそれから金融機関のプロパー融資とが両々相まって、あるウエートででき上がってくる。業歴が長くなってくると、だんだんプロパー融資のウエートが高くなっていくというふうな、そういう中で、私ども、今までも連携をしてきているつもりでございます。

 そういう、いろいろ現場のこの間の知恵が、今回、一つ、リスク分担という形で、非常にクリアな形で位置づけていただいているわけでございますけれども、そうした中で、私どもとしては、これまで以上に、金融機関のプロパー融資による支援と、私どもの保証のパワーというものとを両々合わせながら、当該企業のライフステージ、いろいろな変動の中で、成長期もあれば、なかなか環境的に厳しい中、いろいろな変化の中でもいろいろあんばいしながら、個々の案件ごとに金融機関さんの支援方針としっかりと調整を図りながら、中小企業への資金繰り支援、支障がないようにやってまいりたい。

 そういうふうに進めていく上では、日ごろからの中小事業者の支援方針についての金融機関さんとのコミュニケーションがとても大事だと思っておりますので、これまで以上に、日常的にも連携を深めながら、各地域の実情に即して、金融機関との連携を一層強めてまいりたい、かように思っております。

佐々木(紀)委員 どうもありがとうございました。

 これまでも連携は十分とれていて、これからやはり、さらにそれを深化させていくということだというふうに伺いました。

 それで、銀行の方にもちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、今ほど保証協会の方は、大変、銀行と連携してやっていますというお話ではございましたけれども、銀行の方は、保証協会との連携についてどのようにお考えでしょうか。

柴田参考人 今御説明がありましたとおり、各地域ごとに保証協会さんとそれから地方銀行との関係というのはそれぞれまちまちですので、私ども静岡銀行とそれから静岡県の信用保証協会との間のことでちょっとお話をさせていただきますけれども、月一回程度、やはり保証協会同士とそれから金融機関との間で情報交換というようなものは密にしてやっておりますし、それからあとは、現場の保証協会さんの支店とそれから静岡銀行の支店との間でも、それぞれの個別の案件ごと、実際にどういう取り組み方針でいくか、そういうようなことを実際に話し合いながら案件に取り組んでいるというようなのが今の既に実態ですので、それを今回の法律、こういう形で明記されましたので、より一層進めていきたいというふうに思っております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございました。

 やはりそこの連携がすごく大事になってくるのではないかなというふうに思いますので、お互いに連絡を密にし、また、信頼関係を強くして取り組んでいただきたいというふうに思います。

 先ほど来、銀行の貸し出しの姿勢というんですか、保証に頼らない、保証人とか担保に過度に依存しないとか、事業性融資をしていっている、目きき力をつけていますというようなお話がありました。金融ガイドラインも発表されて、そういったことが少しずつふえていっているというお話ではありましたけれども、でも、実際やはり、聞くと、まだまだ徹底されていないんじゃないかというような話をよく聞くわけでございますけれども、ぜひその辺、柴田参考人、率直なところをお聞かせいただければというふうに思います。

柴田参考人 少し感覚的な話になってしまうんですけれども、実際にやはりいろいろなお取引先がありますので、必ずしも皆さん、企業サイドの希望される形にそれでは全てがなるのかというと、やはり、財務の状態だとか、そこに置かれている企業のそれぞれの状態も違うというようなことがございますので、一概にはちょっと申し上げられない部分があるんですけれども、基本的には、事業の将来性、バランスシート、それからキャッシュフロー、そういったようなものを見定めながら、その企業の存続性だとかそういったようなものまで含めて、あとは定性的な経営者の考え方とか、そういったようなものまで理解した上で融資を取り上げていこうというような今の金融機関の姿勢を持って取り組んでいるということですので、現場現場で確かにいろいろな点はあるとは思うんですけれども、ぜひ、そういう考え方でやっているというふうに御理解いただければというふうに思います。

 以上でございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、金融ガイドラインに沿った取り扱いがどこでもされるように、また指導をしていっていただければというふうに思います。

 銀行の運営というか業務に関しては、いろいろな御意見はあろうかと思います。手数料に頼らない経営、金融商品ばかり売りに行っているとか、あと、何かちょっと経営が苦しくなると振り込み手数料を簡単に上げてしまうとか、いろいろ言う方もいらっしゃいます。やはり、手数料で稼ぐ経営からの脱却というんですかね、銀行本来の、金融業としての、お金を貸して企業を育てて稼ぐという、ぜひそれを目指していっていただきたいと思いますし、そういった中で預貸率なんかももっと上げていく努力というのもしていただきたいということを思います。

 そういったことが、最終的には、やはり中小企業を育て、日本の経済を下支えしていくことにつながるのではないかなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 それで、一つちょっとアドバイスというか、銀行の皆さんの立場をお聞きしたいなと思うんですけれども、午前中の質疑にもあったんですけれども、よく銀行は、晴れたときには傘を勧めてくるけれども、雨が降ったら傘を返せと言ってくるという、業績のいいときには金を借りてくれと来るんだけれども、ちょっとやばくなると知らぬ顔をするとか、企業経営者にとっては、銀行は大変冷たい存在だというふうにちょっと思われがちなのではないかなというふうに思います。

 そこで、銀行の皆さんの意見を聞きたいんですけれども、どうやって日ごろのつき合いをしていけばいいか。

 先ほどの小林参考人のお話にもありました、日常のつき合いが非常に大事だというようなこともありましたけれども、これは企業経営者の側にも責任はあると思います。業績がいいときは、金融機関、銀行とのつき合いはしないで、金を借りてくれと言ってきても、いや、そんなもの必要ないからとやっていたのに、やばくなると、ちょっと銀行さん、助けてくれと言われても、いや、日ごろどういう事業をやっているかもわからないのに、そんな急に言われてもというようなこともあると思うので、常にやはり情報交換というんですか、信頼関係の構築というのはしておかなければいけないと思うので、ぜひ銀行の立場として、企業経営者の皆さんに、銀行とのつき合い方というんですか、少しちょっと教えていただければと思いますけれども。

柴田参考人 済みません、私の立場で余りそんな偉そうなことをお話できるようなあれじゃないんですけれども、やはり、今お話にも出ましたとおり、日ごろの銀行との間のコミュニケーションというか、これは必ずしも企業さんサイドが悪いわけではなくて、銀行サイドもそうなんですけれども、できるだけお取引先に行って、実際にフェース・ツー・フェースでお話をするというような機会をふやしていくということが必要になってくると思います。

 私どもも、お取引先をできるだけ直接訪問して話をする。お取引先企業の方も、実際に経営者がみずから会ってお話をするとか、それからあとは、やはり開示する決算の内容とか、そういったようなものについて、私ども今、コミュニケーションシートとか、事業性評価を見るためのチェックシートみたいなものを、それぞれの金融機関が工夫をしながらつくっておりまして、企業の強み、弱みとか、事業環境の脅威とか、チャンスがどういうところにあるかということをお互いに話をしながら共通認識としていくというような取り組みをしておりまして、ぜひそういった経営の課題を企業サイドとそれから銀行サイドと両方で共有する、そういう姿勢が必要なのではないかなというふうに思っております。

 以上になります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 日ごろからの良好な、やはり継続的なつき合いが必要だなというふうに思います。

 時間もあれなので、最後に小林参考人にお聞きしたいと思います。

 事業再生に今お取り組みいただいているということでございますけれども、確かに今、景気も少しずつよくなってきて、倒産件数も減ってきて、条件変更を求める企業も減ってきているのは事実ですけれども、とはいいながらも、やはりなくならないわけですよね。いつまでも条件変更を求めている企業というのはやはり常にあるわけでございますけれども、先ほどのお言葉をかりれば、重病になったときには専門家の施術を受けるべきだというようなお話もありましたけれども、もう本当に、企業でいうと、何か危篤状態というんですかね、そんな状況にある会社もやはりあると思うんです。そういったところは、今さら何かてこ入れしてもちょっと厳しいんじゃないかなというようなところもやはりあるのではないかなということも思うわけでありますけれども、そういった企業に対してどうアプローチをしていくか、あるいは退出支援というんですか、そういったことも必要なのではないかなということも思うわけでありますけれども、御意見をお伺いできればと思います。

小林参考人 外科手術が要らない前に回復すれば一番いいとは思うんですけれども、債務が超過していてなかなか新しい設備投資ができないといったような企業がそのままの状態で先送りになると、ますます事業性が悪くなってしまう。そういった段階では、外科手術、例えば、債務カットをしてBSを改善した上で、ニューマネーを入れて設備投資を更新していく、そうすると、生産性も上がっていく、そういったような状態になる。抜本再生というのはそういうことなので、そういうような方法に早目に着手すべきだというふうに思っています。

 そういう抜本再生こそ私は第二の創業だというふうに思っていまして、実質的な創業率を高める一つの手法だというふうに思っております。

佐々木(紀)委員 どうもありがとうございました。

 ちょっと時間が来ましたもので、細川参考人にはお聞きできませんでしたけれども、貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。引き続き、中小企業のためにまた御尽力いただきますようお願い申し上げて、質疑とさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、御多用の中、国会にお出ましいただきまして貴重な御意見の御開陳をいただき、大変にありがとうございました。

 実は、我が党におきましても、昨年十二月、経済産業部会、財務金融部会、中小企業活性化対策本部合同で、世耕大臣、麻生金融担当大臣に申し入れをさせていただきまして、タイトルとしては、金融機関、保証協会等が中小企業に伴走して支える信用保証の確立に向けてということで、伴走ということを我が党は使わせていただきまして、申し入れを行いました。本法案につきましては、そのほとんどの内容が反映されたものと受けとめております。

 この信用補完制度、中小企業・小規模事業者の資金繰りの円滑化であるとか経営基盤の安定化を図るために極めて重要な役割を果たしておりまして、そこは、先ほど参考人それぞれからお話を伺ったところでございます。

 これまでも、党としても、セーフティーネット保証を初め、多くの制度の充実に一貫して取り組んでまいりました。リーマン・ショック、円高、東日本大震災など、矢継ぎ早に対応して、まさに走り回ってきたという実感がありますが、ここから、いよいよ自律的成長支援に力を入れていくという金融庁の対応もありまして、新しい段階に入っていくと思っております。

 ただ、一方で、事業者のライフステージに応じた支援の強化であるとか、事業の経営改善、また、持続的発展に資する支援のあり方など、さらなる見直し、また、これからの改善等々を進めていただかなければいけないと思っております。

 そこで、今回は、むしろ、伴走型の支援体制の整備、また、言いかえれば、中小企業・小規模事業者と金融機関との対話によってともに前に進んでいくという、このことを支援体制の構築として視点に置いておかなければいけないのではないかと思っております。

 そこで、最初に、先ほど佐々木委員からもお話がありましたが、やはり、こうした大きな変化のときは、どうしても中小・小規模事業者は、そんな話は聞いていないとか、そういう制度変更があったら早く教えてもらいたいとか、そういうことによって嫌な思いをされたり、また、手を打つことがおくれてしまったりというようなことがよく生じるわけでございます。

 ましてや、先ほど来お話があります、条件変更の状況が続いている中小企業は今まだ十七万者、財務状況はそのうち四割が悪化傾向という、こうした経営不振企業に対しまして、金融機関とのリスクシェアは柔軟に行わないと、むしろ、貸し渋りというような、また、貸し剥がしにつながっていくのではないかという、その危険性も感じております。

 小口向けの方は一〇〇%保証を二千万円までに拡充するという、これでほとんどが何とか支えられるかなと思っているのですが、いずれにしても、これによって代位弁済にぼんと行ってしまうという、そこは防ぐことに注力しなければいけないのではないかという問題意識を持っております。

 したがいまして、今回のこうした対応につきまして、先般、我が党におきましてもヒアリングをさせていただいたときに、全国中小企業団体中央会からは、こうしたリスクシェアの考え方につきまして、制度を利用する中小・小規模事業者が戸惑うことのないよう、事前に十分な期間を確保するとともに、周知徹底していただきたいという、こうした御要望もいただきまして、私もそのとおりだと受けとめております。

 将来像、これはもう本当にすばらしい将来像で、これはもう政治も、また金融機関、また支えるところも、また企業の側も、力を合わせて、こうした日本型金融排除という、大きな目標も金融庁はお持ちですが、そこも共有しながら前に進んでいくべきと思うのですが、足元でここがぼろぼろとこぼれてしまっては、これは余りに痛ましい話でございます。

 ここまで必死で持ちこたえてきた、こういう事業者もいらっしゃるわけで、また、中にはそこから伸びていく可能性がある事業者もあるわけでございまして、その点につきましてどのようにお考えか。これは大村参考人、よろしいでしょうか。お願いいたします。

大村参考人 近時の中小企業金融における所感等については、当会が四月に各県中央会に実施したアンケートによりますと、マイナス金利導入以降の資金繰り、資金調達状況は、九割近くの会員が変化なしという返事をいただいております。各種コメントを見ると、地域金融機関が積極的にプロパー融資を提供する地域が見受けられる一方で、マイナス金利政策が見直される局面等に対する不安の声が上がってきております。

 意見陳述を述べましたように、二年半ほどにわたって中小企業の資金繰りDIが常に二桁のマイナスになっているということを踏まえて、中小企業の資金繰りは余裕がない状況が続いているのが現状でございます。

高木(美)委員 そうしたことに対しまして具体的にどのように対策を講じていかれるのか、当面の足元のこの対策、そこにつきまして、これは公庫も恐らく関係すると思いますので、細川参考人、また村山参考人、そして柴田参考人、お一言ずつよろしいでしょうか。もしあれでしたら柴田参考人からどうぞ。

柴田参考人 ハンズオン型の取引というか、お客様とそれから銀行との間でフェース・ツー・フェースの話し合いをしながらコミュニケーションをとり、ハンズオン型の御支援というようなこと、そういったことをしていくのが大切ではないかなというふうに思っております。

 先ほどお話しありましたとおり、中小企業、特に小規模事業者さんの資金繰りというものはやはり常に環境変化に大きく左右をされる、そういう状況でありますので、そういったコミュニケーションを常にとりながら、何かあったときにはハンズオンで支えていくというような姿勢が必要なんだろうというふうに思っております。

細川参考人 審議会でまとめられた提言の中にも、万一に備えて、日本公庫等による丁寧な相談対応ということが重要であるということが明記されておりまして、先ほど申し上げましたように、私どもの業務の中でもセーフティーネット機能というのは大変重要な機能だと心得ておりますので、そこのところはしっかりと腰を据えて対応していきたいというふうに思っております。

村山参考人 御指摘のとおり、条件変更先は今十七万者ということで、これは私ども信用保証協会にとって非常に大きな課題でございまして、この間、円滑化終了後の二十五年から、保証協会としても非常に注力をしてきたところでございまして、そういう意味では、経営改善というこのプロジェクト自身が、そうした十七万者と今言われる、これは二十万者から三万者減って今十七万者というところまで来ているんですけれども、まだ高どまり状態でございますので、ここをどうしようかということで、今、ある面では、経営支援の課題自体の取り組みもそこから始まってきているということだというふうに思います。

 したがいまして、私ども、先ほど来申し上げておりますような経営支援の強化の取り組みを進めていくのが、まず足元、とりあえず毎日毎日頑張っていくということが一つでございますけれども、同時に、やはり、その成果を上げて、出口をちゃんとしっかりと確保していくべく、それに関連する新たな保証制度もございますので、そこのところをしっかり活用しながら、金融機関とも一緒に力を合わせながら、そこからさらに上向きに発展できるようにお支えをしていきたい、かように思っております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 まず、周知徹底をぜひとも総力を挙げて行っていただきまして、その上で、一〇〇%を八〇%にすぐに落としていくというものではなく、むしろ、この条件変更先、この先変わらなければそのままずっと維持できるわけでございますが、そこをどう軟着陸させていくか、そこの協議につきましても、企業の側とよく連携をとっていただきながら、丁寧に進めていただければと思っております。

 続きまして、先ほど来、リスク分担のあり方という話がございました。これまた恐縮ですが、これは村山参考人と柴田参考人にお伺いしたいと思っております。

 当然のことながら、リスク分担のあり方を今後どのようにしていくのか、特に、保証がつかないいわゆるプロパー融資をどのように進めていくのか、ここが重要だと思っておりまして、特に信用保証協会におかれましては、金融機関がこうした十分な融資を行えない場合には保証協会の方にはほかの金融機関を御紹介いただくというような、そうしたことまでやっていただけるのかどうか。そうした点も含めまして、このリスク分担のあり方についてお伺いいたします。柴田参考人と村山参考人、お願いいたします。

柴田参考人 リスク分担のあり方につきましては、やはり、銀行のプロパー融資と、それからあとは保証協会つきの融資というようなものとの分担ということになろうかと思います。かねてから、企業の事業の将来性、そういったものを見定めた上での事業性評価を重視した貸し出しということを金融機関の方で進めておりまして、これは引き続き進めていきたいというふうに思っております。

 ですから、今回の、保証が八〇%になったからとかそういったことではなくて、私ども金融機関が小規模事業者さん等の事業をしっかり見定めた上で、適切に保証協会さんと連携しながらリスク分担という形にしていきたいと思っております。

村山参考人 リスク分担の前に、私ども、やはり大事なことは、一つ一つの事業者さんについて、当該融資をされている金融機関さんと私どもとの間で案件ごとのコミュニケーションをしっかりするということが基本だろうというふうに思っております。

 そういう意味では、最初、創業のときは当然一〇〇%創業保証をしっかり活用するわけですけれども、事業が拡大してくる段階では、やはりプロパーがだんだんふえてくるというようなときに、しっかりその辺でプロパーで支えていただくんですけれども、やはり、そこでさらに発展段階になって新たな発展的な資金需要が生まれたときに、例えば設備投資なんかですとリスクという関係がございますので、全部プロパーでは増額分はできないというときには、私どもが保証つき融資を逆にふやしていくということもあろうかと思いますし、また、それよりもさらに発展していくときには、全体としてプロパー融資のウエートがずっと高くなっていくというふうになる場合もある。

 しかし、景況というのは動くものでございますので、ある局面ではまた非常に経営環境が厳しくなってきて、そういうときにやはり私どもが保証つきの融資を、しっかりそこで下支えをしていくことが金融機関さんが継続的に支えていただく上でも大事だという局面もまた出てくる。その辺のコミュニケーションをしっかりとりながら、事業者さんともしっかりお話し合いをしながらやっていくことが、私どもは、リスク分担という上では非常に重要だというふうに思っておりますので、今回の法改正を機に、その辺のコミュニケーションを、日常的にも、あるいは一朝事あったときも含めて、しっかりとそれぞれの金融機関さんと手を携えてやっていきたいと思っております。

 ただ、お話のように、そういう金融機関さんがいらっしゃらないときに紹介というふうなことをどうするんだ、こういうお尋ねでございまして、実は、従来までも、金融機関から借り入れ経験のない創業者さんが直接保証協会にお見えになって、どこか金融機関を紹介してくれませんかというようなことはございます。そういう場合には、私どもはさせていただいております。

 また、メーンで取引をされている金融機関さんがあるにもかかわらず、他の機関を、御関係もいろいろある場合なのかもしれませんけれども、私どもに金融機関を紹介してほしいというようなケースも間々ないわけではないわけですけれども、その際やはり、私どもとすると、そこで私どもがほかの金融機関さんを例えば御紹介するということもあり得るわけですけれども、そうすると、今後の将来に向けて、従来あったメーンの金融機関さんとの関係が、事業者さんとの間がどうなっていくのかというあたりの円滑性みたいなところはよく見きわめながら御紹介を申し上げないと、かえって御迷惑に長期的にはなるということもあるので、その辺、課題としては非常に慎重に対応しなきゃいけないなというふうに思う部分も率直に申し上げてございます。

 しかしながら、そういう中で、リスク分担という過程の中ではいろいろなことがあるわけでございまして、メーンという金融機関さんがなくなってしまったようなときに保証協会としてどう支えていくのかということは、今、金融機関の紹介という御提示をいただきましたけれども、その点についても含めてしっかりと考えなければならないというふうに思っておりますので、今後とも、その辺のさまざまな課題はありますけれども、しっかり検討しながら対応してまいりたい、かように考えてございます。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 やはりここは保証協会も、そしてまた日本政策金融公庫におかれましても、こういう具体的なところにどのように対応していくかという、そこのシミュレーションというのは必要であろうと思いますので、ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。

 地域を支えるという、それはただ単に地域の活性化というだけではなくて、やはりそこしかこれからの日本の成長戦略はないというふうに私も認識しておりますので、創業も大事ですが、廃業を抑えるということも重要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、先ほど小林参考人から、いわゆる企業とそれから金融機関とのつき合い方、また、その区分のあり方、ここについて何かしらのガイドライン等をつくってはどうかという、ずっと一貫して御提案くださっていると伺っているのですが、私もこれは本当に、具体的に、例えば企業の側からの努力、また金融機関の側からの努力、双方の努力が必要だと思っておりまして、その一番のベースになるのは、やはりそれぞれの経営計画、資金繰り計画、これをやはり見える化していく、ここが一切のベースだと思っております。これなくして、どんなにリスク分担とかいろいろ言いましても、やはりそれは絵に描いた餅になってしまうと思っております。

 その意味で、先ほど来お話ありましたが、具体的な、どのような中身を盛り込んでいくべきかという、そのイメージにつきましてお話しいただければと思います。

小林参考人 ありがとうございます。

 今までこの場で議論されていたことは、主に貸し手側がいろいろ工夫していろいろ対処していきましょうというようなことが出されていたと思うんですが、それとともに重要なのは、借り手側、中小企業の方が経営改善に意欲を持って、規律づけに意欲を持って行うということが必要だというふうに常々思っておりまして、両者の努力が相まって、金融機関と経営者の良好な関係が維持されるということだと思っております。

 そして、経営者にとってみると、自分たちが何をやるべきだ、何をやった結果どうなるべきだということについての情報発信が少ないのではないかというふうに考えておりましたので、社会的に何らかのガイドライン的なものをつくって、経営者に対しても、そういう経営改善の意欲を持つ、あるいは規律づけのある経営をする、適切な情報開示をするということの動機づけができたらいいなというふうに思ったということが動機でございます。

 具体的な内容はこれからいろいろな見識を持った方々を集めて考えなければいけないんだと思うんですけれども、私は、基本的なものは、経営者にとっては、まず金融機関に対して正確な情報開示を行うべきだというのが基本にあると思います。もう一つ、金融機関から見ると、正確な情報開示を受けて相談を受けた場合には、傘を取り上げるのではなくて傘を差してあげる、誠実な対応をしてあげるということが前提になるということが不可欠だと思っております。

 経営者の方からしてみると、よく粉飾ということが行われるのが倒産企業に多いんですけれども、どうしてそういうことが起きるのかといいますと、金融機関に正確な情報を流すと傘を取り上げられてしまう、あるいは預金が引き出せなくなってしまう、そういうことが起きているということじゃないんですけれども、そういうことを恐れてなかなかそういう動機づけにならないということなので、少なくとも金融機関の方では、正確な情報開示がなされれば誠実に対応するんだということを示す内容にして、経営者にその安心感を与える、それが必要だと思います。

 それから、その上で、いろいろな、何を情報開示すべきなんだ、こういう情報開示が与えられれば金融機関としてはどういうふうにアドバイスするんだというのを、細かいディテールを決めていく、そんな感じのイメージを持っております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 経営強化法によりまして経営改善計画をつくる場合の支援も、上限二百万、三分の二まで。今度また新たに、二十九日にスタートするようですが、今度は小規模事業者についても、二十万まで、上限補助三分の二、そういう形で出ておりますので、そうしたことをまた周知徹底をぜひとも中小企業団体中央会の方からもしていただきながら、これは商店まで使えるというお話も聞いておりますので、そうしたことを通しながら、やはり手元のお金の見える化をしていくということが重要なのではないかと思います。

 その紙を持って、計画書を持って金融機関に行く、信用保証協会に行くというような、やはりベースをつくり上げていくということも企業の側からの努力として重要ではないかというふうに思っております。

 また、あわせて、今、小林参考人からお話しありましたように、今度は金融機関の側もそれを本当に誠実に対応していただくという点からいきますと、これまでも、金融庁のデータにもありましたけれども、やはり、企業が望む、事業者が望む情報提供とそれから金融機関が提供してくれる情報にすれ違いがある。

 小規模事業者また事業者の側の方たちは、自分たちの業界の情報、動向であるとか、また取引先の動向であるとかというのが知りたいのに、そこがミスマッチで、国際金融情勢とかそうした話が返ってきてしまうという、ここのところも、本当の意味での伴走という、事業者の側に立った視点というところが重要なのではないかと思います。

 これは、私たち政治家一人一人にも、行く会合でとんでもない話をしたら、すれ違ってそれでは話にならないのと同じように、やはり寄り添いながら、そうした視点を持って取り組んでいただきたいと思いますし、また、そのような内容を盛り込んだ、初歩的なもので構わないと思うんです、すごくレベルの高いガイドラインというよりも、小規模事業者の方たちが見ても、ああこうだな、金融機関の一年生社員が見ても、こうだなと、そういう第一歩というところを確認するようなガイドラインでも私はいいのではないかと思っておりますが、今、小林参考人、うなずいてくださっておりますので、どうぞまた、これは経産省の方で御検討いただくことになろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 あともう一つ、これは信用保証協会に伺っておきたいのですが、もう少しお時間があれば柴田参考人から静岡銀行の取り組みの例とか少し伺いながら、本当に明るい話の中で申し上げたかったんですが、ちょっと時間が迫ってまいりましたので。

 今回、信用保証協会におかれましても、「経営の改善発達に係る助言その他の支援」という業務が追加になるわけでございます。具体的にどのように目きき力をつけ、どのような支援を行っていかれるのか、お伺いしたいと思います。

 私は、よろず支援拠点というような、これも静岡銀行さんが展開していらっしゃる内容ですが、このよろず支援拠点、全国都道府県一カ所ではとても足りませんで、事業承継からMアンドAから資金繰りから何から、販路開拓まで、総合的にサポートをする専門人材を集めている、こういうパッケージを、やはり金融機関の中でも、また、信用保証協会の中でもおつくりいただきたいと念願している一人でございます。

 いかがでしょうか。

村山参考人 経営支援の場合、それを実態としてどういうふうに体力をつけて実のあるものにしていくのかというのは、非常に大きな課題だというふうに思っております。

 私どもの協会の職員の中で中小企業診断士の資格を有している者というのが、随分この間ふえまして、今四百七十名なんですけれども、六千人の中の四百七十名を多いと申し上げていいのかどうなのか、なかなか苦しいところなんですけれども、これでも頑張ってふやしてきてそこまで来ているというところでもございます。

 これはもっとふやさなければいけないというふうに思っておりますし、同時に、保証協会連合会、私どもで主催をしております信用調査検定試験などのスキル向上にも努めておりまして、今、四千名ほどの合格者を中で出しているというような取り組みもいたしております。

 そういう意味では、これから体制についてはしっかりしていかなきゃいけないと思うんですが、今回、経営支援が法制化されたというのは、そういう意味では、私ども、仕事としてしっかりそこのところのスキルをアップしていかなきゃいけないんだという、そういう意味では我々にとっても一つの課題になってきているわけなので、それをいわば追い風にしてここはしっかり頑張っていきたいというふうに思っておりますし、また、金融機関さんとのリスク分担、連携をという点も含めて、それはやはり、金融機関との間でのコミュニケーションをしていく上では、それ自体も一つ鍛えられる側面もあろうかと思っております。

 ただ、これは、先生お話しのように、全国的なレベルをしっかり全体として上げていかないと、ある地域だけ頑張っても、ある地域が非常にあれだとまずいじゃないかということだというふうに思っておりますので、そういう意味では、私どもとして、その部分については連合会としての仕事を負うべきところだなという自覚もございますので、横展開を含めて、積極的に、研修なども含めて、これから全体としての力量の向上に向けて頑張ってまいりたい、かように思っております。

高木(美)委員 保証料が高いというお話もございまして、恐縮ですが、ちょっと時間がないので答弁は求めませんが、市場金利も低い、また、金融機関の金利も低い、その中にありまして保証料が高いのではないかというところがございまして、ここはぜひ、よく御相談いただきまして、できるだけ引き下げる御努力もお願いできればと思っております。

 きょうはこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 民進党の北神圭朗でございます。

 本日は、参考人の皆さんに大変貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。大変法案審議の上でも参考になると思いますので、御礼を厚く申し上げたいと思います。

 それできょうは、特に細川総裁は、二十年前に私もかつて大蔵省にいたときに、官邸で小渕総理の総理秘書官をやっておられまして、私はその下の総理秘書官補という立場だったんですが、きょうは私から質問させてもらいますけれども、どうも上司の前にいますと、逆に発言をいろいろ訂正したり詰められたりするんじゃないかと、戦々恐々としながら質問をしたいというふうに思っております。

 まず、きょうは法案がもちろん大事なんですが、我々ももちろん、信用保証だけじゃなくて、いろいろな手法で、日本にとって非常に大事な中小企業をいかに応援するかということが重要だというふうに思っております。

 それで、せっかく現場におられる皆さんなので、それぞれ、細川総裁、それから柴田委員長、さらには大村会長からお聞きしたいと思います。

 小林先生は先ほど、財務管理、これも、帳簿とか本当に基本的なところからやっていかないといけない部分はあると思いますけれども、それ以外の方々にちょっと伺いたいというふうに思います。特に総裁は、現場によく行かれている、中小企業のいろいろなところに行かれているというお話ですので、ぜひその辺、御見識を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

細川参考人 中小企業をめぐる課題につきましては、例えば小規模企業白書等などで分析をされておりますが、日本の中小企業、特に小規模企業につきましては、さまざまな構造変化の影響を受けやすい、あるいは、高齢化や後継者不足等の課題に直面しているという問題がある一方で、大企業が応え切れないニーズを捉えることで、さまざまな商品を開発、提供するといった側面や、地域の魅力を内外に広めてブランド化を進めていくといったような機能も果たしておりますし、そういう意味では、地域の活性化にも大変資する存在であるというふうにされております。

 今おっしゃいましたように、私自身も、副総裁、総裁として、できるだけ現場、何よりも現場が第一という考え方のもとで、これまでも、全国百五十二支店ありますけれども、できるだけ多くの支店を回ろうということで、支店を訪問してきております。

 その際、必ず、取引先といいますか企業等を訪問いたしまして、経営者の皆様方から生のお声をお聞きしながら、工場なんかも見学させてもらっているということでございます。

 その中で、これは個人的な感想になりますが、多くの、たくましくて生き生きとした中小企業の活動あるいは現場というものを見させてもらっております。

 やや、これも本当に個人体験になって申しわけないんですが、最近では、そういう中で、自由でしなやかな発想、価値観のもとに、独自のアイデアで事業を始めて発展され、あるいは地域の活性化に取り組んでいる、特に若い経営者の方々がふえてきているんではないかという印象を持っております。

 ちょっとお時間をいただきますが、例えば私、この一月に視察いたしました山形県鶴岡市のスパイバーという企業がございます。これは、次世代の新素材として期待される人工のクモの糸の開発、実用化に取り組んでいるという企業でありまして、慶応大学の先端生命科学研究所発のバイオベンチャーでございます。

 そういうことでスタートして、現在、従業員は二百人近くにまでなっているんですが、平均年齢は三十歳前半でありまして、多くの若者が都会から鶴岡に移住し、お聞きしますと、最近ではお子さんが皆さん若いのでできてきますので、社内に保育所まで整備する、そういう取り組みを行っていることを見させてもらいました。

 やや大げさに言えば、まさに地方創生の先端事例ではないかというふうに感じたところであります。

 また、これは東京の板橋区で食品用のミキサーを製造している関東混合機工業という会社でございますが、いわゆる百年企業であります。皆、お客様のために長もちする製品をつくること、それをモットーにいたしまして、お客様からの信頼を背景に百年という歴史を積み重ねてきておりまして、新たな展開として、近年ではタイにも進出するというような活動をやっていらっしゃるということをお聞きいたしました。

 今、一つ二つ挙げた例でございますけれども、このように日本の中小企業は、さまざまの課題を抱えつつも、活力を発揮してきている。

 このように、たくましくて、事業に取り組む経営者の方々、そういう方々の事業にかける志とか思いをいかにつかんで、あるいは発露していただいて、それを支援していくかということは、我々の公庫の使命の中では重要な使命ではないかということで、中小企業の皆さんに対応しているというのが私の最近の事情でございます。

柴田参考人 やはり、小規模事業者、中小企業者の方たちの経営資源が不足しているという部分のところはあるかと思います。

 弊行、静岡銀行の取り組みの方をちょっと御紹介さしあげたいというふうに思いますけれども、やはりそういった中小企業者さんを支えるために、私ども、地域密着型金融というようなものをずっと取り組んでおるわけなんですけれども、その中には三つの大きな柱がございます。

 一つは、やはり、販路開拓とかそういったようなものがなかなかできない中小企業者さんに対しまして、ビジネスマッチングといって、その企業者さんと、それから、売り手、買い手も含めてニーズを合わせてビジネスをマッチングするといった取り組みをやっているわけですけれども、例えば、そういったものも昨年一年間で五千三百件を超えるマッチングをやりまして、それに伴っての御融資ということで、七百五十億くらいの融資に結びつけているというようなことがあります。

 それから二つ目としまして、やはり、経営改善それから事業再生といった、事業に苦しんでおられる企業、そういったところを支えるために、本部の専担部署をつくりましてハンズオン型の支援を行っております。平成十七年にそういった取り組みを始めてから昨年までに約百九十者の事業再生を完了させておりまして、それに伴いまして、一万七千人、そこに勤める企業の従業員の方ですね、一万七千人の方たちの雇用を守ったというようなそういった取り組みを二つ目としてやっております。

 それから三点目なんですけれども、後継者とかそういった方たちがなかなか育てられない、中小企業者さん自体がやはりそういった後継者を育成するといったことが非常に難しいというのがございますので、次世代の経営者を育成をするということで、私ども静岡銀行ではしずぎんシップという会員組織をつくりまして、次世代経営者塾という名前にしております。

 ここには、地域の次世代を支える経営者を地域で育てようというコンセプトで取り上げているわけなんですけれども、二十八年の三月末時点で、七百八十七社の企業、それから、会員として一万一千七百七十七名の会員がそれに加盟をしております。

 そういった方たちの人材育成というものを、静岡銀行の行員の人材育成と企業の育成といったものを一体でやっていこうというようなそういった取り組みをしているというところでございます。

 以上でございます。

大村参考人 中央会としては、現状では、金融、人材、事業承継といったような問題は大きな問題になりますが、今の質問に関連しているかどうかちょっとわかりませんが、私どもとしては、働き方改革実現会議においてもいろいろなことを提案してまいりましたが、今回の意見とちょっと違うと思いますが、信用保証協会への要望としては、中小企業が直接保証協会と連携している事例はほとんど余り多くないというふうに聞いております。今般の法改正を契機に、金融機関のみならず、中小企業者と連携も強化し、当会等の関連中小企業団体とも一体となって、中小企業の資金繰り支援を行う体制を構築していただきたいと思っております。

 また、あわせて、審査期間の短縮や提出書類の簡素化というものが中小企業にとりましては大きな問題なので、ぜひ、その辺のところがなかなか前に進めないということも特に小規模企業の場合はありますので、よろしくお願いしたいと思います。

北神委員 どうもありがとうございます。大変参考になりました。

 次に、これも細川総裁単独なんですが、この信用保証というのは、我々政治家も当然これは中小企業を応援していますし、安全網が手厚ければ手厚いほどそれはいいということですが、その反面、当然、モラルハザードの問題とか、あるいはこの信用保証の仕組み自体が、昔、たしか中小企業信用保険関係のいわゆる特別会計から直接保険をしたもので、今は、公庫とさらに信用保証協会に直接これは税金を出している。

 公庫と信用保証協会の関係では、保険契約を結んでいるということで、保険収支が悪化していたんですが、大分改善はしてきていると思いますけれども、依然として赤字になっているということで、私はいまいち公庫と信用保証協会の間のその関係がよくわからないんですが、多分、でも保険者としてやはりこの赤字改善というものをある程度、迫るまではいかないと思いますけれども、相談をしながら、協議をしながら進めていかないといけない。これがひいては、信用保証協会におかれては、より厳格な審査につながる。

 ここは難しいところですけれども、中小企業を応援しながらも、きちっとした、いいかげんじゃない審査につながるというふうに思いますけれども、その辺、日本政策金融公庫としてどのようなお考えがあるのか、伺いたいと思います。

細川参考人 先ほど、陳述の中でも申し上げましたけれども、保険全体につきましては、最近の傾向として引受残高は減少してきておりますが、先ほども申し上げましたように、返済条件の緩和を行っている中小企業・小規模事業者も多いということから、保険金の支払いの動向については、なお注意を要する、注視していくというところが現状でございます。

 そういう中で見ますと、二十八年度末においても、信用補完制度を利用している中小企業者のうち、今申しました条件変更を継続する企業は一二%に上っているということでございますので、現在のような、総じて景況が安定している状況の中では、そういう条件変更中の企業に対する事業再生とかあるいは経営改善、そういうことに向けた取り組みは重要であるというふうに思います。

 したがいまして、信用保証協会においても、同様の認識のもとで、条件変更先に対する経営支援を進められているのではないかというふうに思っております。

 それで、各信用保証協会は地域の自主性を前提として運営されていると認識しておりますけれども、公庫といたしましても、全国で七カ所に保険業務推進室を設置いたしまして、保証協会との密接な意見交換などを通じまして、各地域、各銀行等で事故率の状況も違っているというようなこともよく分析しながら、お互いに課題を共通して、意見を交換し合いながら、また、先ほど言いました経営支援等に対する好取り組みやあるいは好事例、そういうものをお互い情報を共有し合うというような体制をしっかりつくっているというような状況であります。

 我々としても、そういうような対応をしっかりやりながら、各協会のよりよい運営が行われるよういろいろ支援していきたいというふうに思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 今の話に加えまして、今回の法案が通れば、さらに信用保証協会が、先ほど話が出ているように、経営指導とかリスク分担とか、広い意味での審査体制とか経営指導体制、今までも事実上やってこられた部分もあると思うんですが、先ほど、人員が少ないという話もあったあの中小企業診断士の人員が少ない。数もそうなんですが、審査能力というか、ここがやはり非常に重要になってくる。

 そして、総裁の何か文書とか読んでいますと、普通は目ききと言うんですけれども、独自の言語感覚で眼力という言葉を使われていまして、総裁御自身も眼力のある方なんですけれども、そういった意味で、融資をする上でもこの眼力というものは必要だということですが、銀行でさえこれが今問われている中で、いわゆる金融業そのものではない信用保証協会さんがやるというのは大変難しい部分だと思いますけれども、その辺について、総裁、何かお考えがあるのかというのが一点と、あと、信用保証協会にもそこを伺いたいと思います。どういう考えでそういうのを養っていくのかということをお聞きしたいと思います。

細川参考人 今申し上げましたように、信用保証協会において、特に条件変更先の企業を中心に経営指導を強化するとされているというふうに認識しております。今おっしゃいましたように、今回の法改正で業務に経営支援ということが追加されましたので、そのことも一つのきっかけになって、経営指導がさらに強められていくというふうに期待しております。

 今先生がおっしゃられましたように、我々金融機関にとっては、いかに、融資先の経営者の事業にかける志とかあるいは思い、そういうものを掌握して引き出していくかということ、そのためにどういう審査体制をいかに構築していくかということはなかなか難しいんですが、重要なことであるというふうに考えております。難しい問題でもあると思いますが、最も重要な取り組みの一つであるというふうに思っております。

 この点、恐らく信用保証協会においても、さまざまな取り組みや御苦労をなされているのではないかというふうに思います。

 それで、私どもの日本公庫といたしましても、今、眼力というお言葉を言われましたが、その眼力を持った職員をいかに育成していけるのかということを悩みながらも、さまざまな努力と工夫を施していきたいというふうに思っております。

 やや僣越でありますが、ちなみに一例を申し上げますと、我が公庫では、中小企業の現場の状況や生のニーズを肌で捉えてもらいたいということを目的にいたしまして、平成二十五年の十月から、年間二十名ではありますけれども、職員を中小企業そのものに一年間派遣して経験を積む、こうした取り組みによって、できれば職員の眼力を養っていきたいというふうな試みもやっているところであります。

村山参考人 今回、法改正の中で、金融機関とのリスク分担、連携強化、それからもう一つは、経営支援を業務の一つとして正規にお認めいただいた。この二つは、今総裁からも御指摘のあった難しい問題、目きき力、あるいは眼力ですか、そこのところを強化していく上で非常に、ある面では画期的に私どもにとっては支えになる今回の法的な措置だろうというふうに期待をいたしておりますし、また、それだけに、私ども責任がますます重くなっているなというふうに、その点の自覚もいたしております。

 確かに、実際にその事業について支えるという気持ちと、それから、しっかりと見定めるというこの両面を両々相まってやっていくということはなかなか大変な課題ではあるわけですけれども、実際に金融機関さんとのリスクシェアをどうやっていくのかというところについては、では、どこまでなら金融機関さんはプロパーで頑張れるのか、どの部分の資金需要については私どもが保証融資という形でしっかり支えることが、その企業の発展にとっても、持続的な発展につけても成長にとっても大事なのか、そこの見定めるところがとても大事だというふうに思っておりますので、今回の法改正を機に、私ども改めて、全国の協会一致団結してその部分に頑張ってまいりたい、かように考えております。

北神委員 ありがとうございます。

 村山さんも皆さんも頑張っておられると思うんですけれども、例えば、今話があったように、実際に中小企業の経験をするとか、そういうのも一つ参考の意見として聞いていただければというふうに思っております。

 あともう最後に、これは現場の声なんですが、融資というのは、当然、銀行でも、何でもかんでも貸し出しするわけにはいかない。断るときには、普通、プロパー融資だけの場合は、それなりに、こうこうこういう理由で断る。大変そこはつらい場面だというふうに思います。

 しかし、私の経験では、信用保証つき融資になりますと、めおと漫才が行われるときがあるんですよ。つまり、断わられた中小企業、これは中小企業中央会の皆さんも経験されているかもしれませんが、銀行さんは、いや、信用保証協会がどうしてもだめだと言うんだ。信用保証協会に何でだめなのと言ったら、いや、銀行がどうしても首を縦に振ってくれないんだ。これをやるんですよ。

 これはプロパー融資のときだったらちゃんと言ってくれるのに、そういうときには、断るのがつらいのはわかりますけれども、ここは中小企業にとっては誠実にやはり対応してもらわないと、非常にそれに対して悩んでいる企業が、私も現場の声で聞いておりますので、そこら辺、何かできないんですか。どうですか、一般委員長。

村山参考人 個別の具体例のお話ではないとは思うんですけれども、どういう場合に金融機関さんが保証協会が難色を示しているというふうにおっしゃるのか、なかなかそこはあれなんですけれども、お答えしづらい質問ではあるんですけれども、ちょっと一般論で申しわけないというお断りつきなんですけれども、金融機関さんからある中小事業者さんについて保証協会に御相談があるという場合には、申しわけないけれども保証できませんというふうに申し上げるケースとしては、一つは、事業の実態がどうもはっきりしない、あるかないかわからない、あるいは経営責任が明確じゃないというような場合には、これは正直申し上げてお断りするということがあります。

 もう一つは、そういう事業実態は明確で、経営者も明確なんですけれども、相談される金融機関さん以外の金融機関さんも含めてもう相当お借りになっていて、そういう意味では、保証協会としてのいわば上限をルール上超えちゃいそうなというか超えちゃうというか、そういうような量的な問題という面も、両方ございます。この二つのケースがございますというふうに思っております。

 金融機関さんからそういう御相談があった場合、私ども、ほかの金融機関さんからもお借りになっているというようなことも含めて調べさせていただいた上で、そういう場合には、金融機関さんには明確にそういう点を申し上げて、申しわけないですというふうに申し上げることはございます。

 もし、金融機関さんから保証協会がだめと言っているんだといってお話しになって、事業者様が納得いかない、こういうような場合には、ぜひ御遠慮なく私ども信用保証協会においでいただければ、その辺の理由については、はっきりと、説明責任に基づいて説明をさせていただきたいと思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 何かありますか。簡潔にお願いします、もう時間がないです。

柴田参考人 銀行の立場からしますと、融資の申し込みを受けているのはあくまでも銀行ですので、保証協会つきの貸し出しが保証がおりないからといって、それを理由にしてお断りするということは基本的にはないというふうに思っております。

 あくまでも、その保証がおりなければ、その場合には、今度は銀行がプロパーの融資をするという段取りになりますので、ですから、もしそれでもお断りをするときには、保証協会がだめだからというだけではなくて、銀行としてプロパーの融資もできないという理由もあわせて説明をすることが求められているというふうに理解をしております。

北神委員 ありがとうございます。

 要するに、銀行さんがやはり最後に責任を負うというそういう話ですよね。わかりました。これで終わります。

 あと、経済産業省も、今の話、大事なので、制度的にどうできるかということもぜひ御検討いただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 きょう、参考人五人の皆様には、国会の方へ足をお運びいただき、貴重な御意見をいただきましたことに、私からも心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 それでは早速ですけれども、質問をさせていただきたいと思います。法案にかかわることや、全体的な、中小企業と金融機関の関係などについて伺いたいと思っています。

 まず法案ですけれども、今回、新たな保証として危機関連保証が設けられることになります。リーマン・ショックや東日本大震災級の大規模な経済危機、災害に対応するというものですが、適用期間が原則一年、延長できてももう一年、合計二年ということで区切られております。

 この一年から二年という範囲で中小企業、小規模企業がどこまで何が回復できるか。このカバーできる実効性についての判断はどう考えたらいいかというのがあると思います。きょう午前中の質疑でも、我が党の真島議員から、一年ないし二年ということで短いのではないかという懸念の質問も行いました。

 そこで、この点については細川参考人と柴田参考人に伺いたいと思いますが、私ごとで恐縮なんですけれども、私は宮城県石巻市が生まれで、高校まで育ったところなんです。今も両親や親戚が住んでいまして、三月十一日はもちろんなんですが、定期的に石巻市へ行きまして、中小企業などの実態についても、水産加工会社が中心になるのですが、話も伺ってきました。六年が過ぎましたけれども、やはり経営の大変さは続いていることは、皆さん御承知のとおりだと思います。

 ある水産加工会社の例なんですけれども、グループ補助金が活用されて、新たな加工する機械なども導入することはできたんですが、やはり苦労している問題の一つに、販路の回復。失ったものをさらにまた回復するということの大変さはいつもいつも聞くわけです。震災から復旧するのに、一年や二年、間に進んだとしても、その間に失った販路であったり取引先であったり、この回復というものはなかなか大変だし、今も影響を受けているというのが現状だと思うんです。

 こういうような実態を見ますと、そういうのは、業種であったり、都市部なのか沿岸部なのか、また町村部なのか、いろいろ違いはもちろんあるんでしょうけれども、今回のような危機関連保証の一年ないし二年というのは、その実効性として、東北の現状から見てどのように考えたらいいのか。

 また、きょう大臣は、その後はセーフティーネットの四号を使えばいいんだみたいな答弁もあったんですが、結局そういうところの課題が、今回の危機関連保証について御所見があれば、細川参考人と柴田参考人に、地域を支える観点からお伺いしたいと思います。

細川参考人 先ほど申し上げましたように、東日本大震災の復興支援につきましては、私どもの業務の中でも大変重要な業務として、今も基本の業務として、腰を据えてこの業務に携わっているところであります。

 今回の改正につきまして、一〇〇%保証を一年に限って行うという改正が行われて、原則一年でございますが、これは、その審議会の中で、さまざまな議論の中でつくられた制度だというふうに思います。

 したがいまして、そういう議論の中で積み上げられたものは大事にしたいというふうに思っておりますが、その時々の状況におきましては、中小企業庁の方でも御答弁があったと思いますが、単にこの危機関連保証だけで対応していくということではないと思いますので、状況に合わせた形で運用がしっかりなされていくというふうに私としては理解しております。

柴田参考人 東日本の震災の危機の関係ですね。静岡県も、同じくやはりお茶の産業、そういったようなところで影響が出て、実際に対応したというようなところがあるわけですけれども、では、それがどういう状態になったら出口というふうに言えるのかというところは、やはり非常に難しい部分があると思います。

 ただ、事業の中から生まれるキャッシュフロー、事業でその経常収支がプラスになってちゃんと通常の返済ができるようになるかどうかというところは、やはり、個別企業ごとに丁寧に見ていく必要があるというふうに思っております。

 ですから、一律に一年とか期限を区切ってきっちり見れるというものではなくて、やはり、その期限の後に、それが、倒産企業の状態とか、あるいは融資を受けた企業のキャッシュフロー、そういったようなものを丁寧に見ながら、本当に出口という形にできるのかどうかということを判断していく必要があるんだろうというふうに思っております。

畠山委員 ありがとうございます。

 これだけの大きな規模の震災で受けた被害ですから、その後にかかる課題も複合的なんだろうと思うんですよ。

 ですから、大村参考人にもちょっとかかわって、違う角度からお聞きしたいんですけれども、もちろん、こういう災害が起きたときの保証の充実ということは、あったらそれはありがたいことですし、当然ではあるのですが、今述べたように、復旧する上での課題というのは複合的で、販路の回復であったり、取引先との関係も、被災地に取引先があったりすれば、お互いに大変だったわけですから、その後どうしたらいいか、契約の実際の、また一からやり直さなければいけないとか、さまざまなことが中央会の方でも蓄積として、この間、議論や対応がされてきたと思うんです。

 ですから、ちょっと法案から離れますけれども、今後、大規模災害ということは、もちろん心配がされることでありまして、災害に対する、中小企業、小規模企業の立場からしてどのような支援が求められているか。一般的なものでも構いませんので、改めてこの機会にお聞かせいただけますでしょうか。

大村参考人 災害に対して私ども中央会では、グループ補助金が非常に役に立ったという話を聞いておりまして、また、この問題も、この間の熊本地震におきましてもまた適用していただいて、感謝申し上げるところでございます。また、対応が非常に早かったということが、中小企業にとりましては大変ありがたかったなと思っております。

 災害に対する補助金その他は、本当に中小企業としては、今のところ大変感謝しております。

 以上でございます。

畠山委員 ありがとうございました。

 法案にかかわっては、セーフティーネット保証第五号についても一つの焦点だと思いますので、その点もお聞きしたいと思います。

 御存じのように、現行一〇〇%から八〇%に見直すとする理由として、中小企業者による経営の改善発達を促すため、銀行その他の金融機関と連携を図る旨の一環として改定されるもので、これは先ほどから既に議論があるとおりです。

 この点にかかわって、村山参考人と、これも大村参考人に伺いたいと思います。この点についての基本的な考えは先ほどの意見陳述でも述べられたと思いますので、違う角度で伺いたいと思っています。

 金融ワーキンググループの示した考え方にはこのような文言があります。過度に信用保証に依存すると、金融機関が行うべき借り手への経済支援が弱まり、中小企業自身の経営改善意欲が失われるとあります。古くて新しいというのか、新しくて古い問題というのか。ただ、そこはどこの程度の問題かと思うんです。

 実際に、今、この文書で私が読み上げたような実態なんだろうか。そういう中小企業が果たして圧倒的多数なんだろうか。問題意識は、正確に事実を知りたいということであります。

 ですから、保証割合の八〇%見直しのことは、触れることがありましたら述べていただいて結構なんですが、聞きたいのは二つです。一つは、セーフティーネット保証五号がこれまで果たしてきた役割について、改めて、そもそものところが一つと、この信用保証への過度な依存という指摘についてのお考え、この二つの受けとめをお聞かせいただければと思います。村山参考人と大村参考人でお願いいたします。

村山参考人 今回のセーフティーネット保証五号の見直しというのは、セーフティーネット保証五号というものの意義について、問題だからそれを変えるという趣旨としては私どもは受けとめておりませんで、そこはやはり、比較的突発性が少ない、そういうようなこういう不況業種といったような分野のところにつきましては、金融機関の支援姿勢をより促す方向で改善をすべきだ、あるいは、中小企業の経営努力というものも進めていくような形で制度を改善していくべきだという観点だというふうに受けとめております。

 では、その責任共有制度がそういう金融機関における支援姿勢を高めることになるのかという点についてのお話かというふうに思いますけれども、私ども、先般、責任共有制度が導入されてこの間、十年近く今たっているわけでございますけれども、その間の中で、金融機関の中で、従来からもコミュニケーションはしておきましたけれども、こうした中で、金融機関とのその案件についての議論というものがより濃密になったといいましょうか、密接になってきたという事実はこの十年余りの中では確かにあろうかと思いますし、責任、経営支援についても、ともにやっていこうということで、そういう点での効果もあったというふうに思っております。

 また、今回の措置につきましては、比較的経営が不安定な小規模事業者向けには別途の措置も講じられておりますので、その辺を、それぞれの企業さんの状況に鑑みながら、私どもとしても、それぞれの事業者さんがしっかりと立ち至っていくように、しっかりと金融機関と連携しながら頑張っていくということで頑張ってまいりたいと思っております。

大村参考人 法改正の趣旨及びその他の制度の拡充措置が講じられているということを勘案するとやむを得ないなという面もありますが、中小企業の資金調達面から考えると、保証割合が下がるということはマイナス要因だ、それは間違いないと思っております。

 制度後、中小企業が円滑に資金調達を行えるよう、信用保証協会と金融機関の連携強化及び制度趣旨を踏まえ、積極的にリスクを共有するよう、しっかりと監督していただきたいと思っております。

 当会としても、会員の声を数多く拾い上げて、これからもいろいろ意見を聞いた上で、提言、要望等していきたいと思っております。

畠山委員 ありがとうございました。

 責任共有制度の話が出てきましたので、少しその辺にもかかわって伺いたいことがあります。

 二〇〇七年からですからもう十年になりますが、一般保証の部分保証化、責任共有制度要綱ですか、が策定された。このときにも、セーフティーネット保証と特別小口保証は対象外とされておりました。ただ、括弧、当面の間、括弧閉ずという扱いではありました。

 その背景としては、やはり中小企業や小規模企業の実態があるからだと思いますし、これも先ほどからありましたように、日本の中小企業の約四割が信用保証を利用している実態にも明らかで、この五号においては九十何%でしたか、全体の中で占めている割合から見ても当然のことだと思うんです。

 これは細川参考人に伺いたいと思います。小規模企業基本法には、第四条に、「小規模企業の振興に当たっては、小企業者がその経営資源を有効に活用し、その活力の向上が図られ、その円滑かつ着実な事業の運営が確保されるよう考慮されなければならない。」また、第十条には、「政府は、小規模企業の振興に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。」というふうにあります。もちろん、中小企業にも小規模企業にも資金需要はあると思います。

 それで、もちろん経済産業省がしっかりやらなければいけない話ではあるんですが、この法の精神に立った上で、とりわけ小規模企業・事業者に対して有効な信用補完制度という角度についてどのようなことが考えられるか、必要と思われるか、所見をお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。

細川参考人 信用保証制度そのものにつきましては、今、制度の中でいろいろな特例措置も行われておりますし、例えば創業についての創業関連保証とか、そういう制度がありますので、それをいかに適切に運用するかということが大事だと思います。

 我が公庫としましては、特に、先ほど申し上げました三つの公庫が統合した中の一つですけれども、昔の国民生活金融公庫、これは主としてやはり小規模事業者に対する融資を中心に行うということになっておりますし、その中でも、特に我々公庫としては、創業支援についてさまざまなノウハウを蓄積しておりますので、この点については、特に最近でも力を入れて取り組んでいるところであります。

 特に、先ほど民間金融機関との連携の話を申し上げましたが、民間金融機関との連携の中でも特に創業の部門につきましては、我々の持っているノウハウと、それから、民間金融機関とのかかわりといかに結びつけていくかということが大事だと思います。

 私どもの研究所の調査によりましても、まず公庫が出ていって、その後金融機関が融資をしていく、立ち上げのときは我が公庫の創業融資支援を受けながら、事業が回転し出すと、その回転資金をできるだけ民間から出していくということが調査の上でもはっきりしてきておりますので、その辺の連携についてはやはり有効なのではないかというふうに思っておりますので、そういうことも、実際上の運用に当たってはよく頭に置いてしっかり対応していきたいというふうに思っております。

畠山委員 今かかわって大村参考人にも同じようなことをお聞きしたいと思っておりました。

 我が国においては、さまざまな中小企業、小規模企業にかかわる法律はありますし、EUなどともよく比較をしまして、とりわけ小規模事業などが地域の産業、社会において重要な役割を果たしているということは、皆共有する課題だと思います。

 そして、今、細川参考人が話された形で、さまざまな資金のやりくりということが発展の一つの大きな鍵であるということだと思うんですが、改めて大村参考人の立場から、金融機関であったり公庫であったり、こういうような状況にお考えのことがありましたら一言お聞かせいただけたら、言いにくいことがあるかもしれませんけれども、こういう機会ですので、御所見をいただけたらありがたいなと思っています。

大村参考人 私個人としては余りそういう経験がないのでちょっとお話しできないんですが、中央会でもそういう問題がないわけじゃないんですが、話し合われる場が今のところ非常に少ないんですよ。先ほどもちょっとお話ししたんですが、件数が非常に少ないということで、実際はもっとあるかもわからないんですが、委員会等でも余り話が出ないので、極力こういうことはもっと積極的に聞くようにして、発表したいと思っております。

畠山委員 ありがとうございました。

 小林参考人に伺わさせていただきます。事前に調査室が用意した資料などを読みまして、金融ワーキンググループなどでの参考人の御発言も読ませていただきました。見解は全て一致するものではもちろんありませんけれども、ただ、きょうも発言の中心テーマでありました、いわゆる貸し手、借り手の信頼関係についての重要性ということでは、その指摘は大事な点だろうというふうに私ももちろん共有するものです。

 それで、いろいろなケースがあるのでそれぞれだと思うんですが、ただ、きょう午前中に我が党の真島議員があるクリーニング屋さんのケースを紹介いたしまして、これは阪神・淡路大震災のために店舗兼住宅が全壊された方なんですけれども、売り上げが減って、長男が週三日アルバイトをして、家族が力を合わせて、借り入れを条件変更しながら必死に返済を続けてきた。典型的な、本当に小規模事業者なんだろうと思うんです。ところが、御主人が亡くなったときに銀行と信用保証協会が、代位弁済の手続を進めたいという連絡が入った。奥さんや長男からは商売を続けて返済する意思があることを伝えて、この手続をとめさせたなどのことがありました。

 どうしても私たち、こういう場になると金融機関に対してなかなか厳しいことを言う機会が多いんですけれども、ただ、現場ではやはりこういうことが、実際はいろいろなケースがあるんだろうと思いますが、あり得るんですよ。

 その中で信頼関係をつくるということはもちろん大事なわけでありまして、昨年六月に、金融庁の監督局、中小企業庁から出された総合的な監督指針においても、生活基盤は損なわれないようにやはりしなければならないという当然の指摘がありました。

 これも、参考人が先ほど述べられたように、金融庁の調査などでも、小規模企業なんか、回答された企業のうちの特に四五%が、メーンバンクに経営上の対策を相談していないという結果があったことは私も驚きだったんです。ここまでなのかという率直な感想を持ちました。借り手からすれば、何を言われるかという不安がつきまとうのは当然でありまして、小規模ならなおさらだと思います。

 それで、きょうはどちらかというと借り手側についての発言も多かったと思いますが、国の監督であったり、貸し手側に対する信頼関係構築について、参考人の立場から、これをやった方がいいよ、やるべきだよということがありましたら、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

小林参考人 私は、ちょっと次元が変わるかもしれませんけれども、経営者保証ガイドラインの座長をやっておりまして、経営者保証ガイドラインをまとめました。先ほど来ちょっと出ていましたけれども、中小企業のうちの十七万者ですか、信用保証協会で借りていて条件変更をしているというところがございました。

 しかし、問題となるのは、後継者のときに保証債務がどうなるかということは非常に関心が多いところでございます。そもそも、中小企業者では後継者が見つかりにくいというところに加え、後継者が保証を引き継ぐということになりますと、しかも条件変更をしているということは余り経営状態が好ましくないというようなことになりますので、そのようなときに保証債務について厳しく金融機関が対応しますと、後継者が成り立たない、後継者とならないという事態になります。先ほど例が挙がったクリーニング店のところも、世代がかわったというところだと思うんです。

 金融機関に対しては、日ごろもそうなんですけれども、特に後継者のときに、その保証債務をどうするか、こういったことについては非常に弾力的にやらないと、中小企業の後継者不足にますます拍車がかかる、そうすると地域全体にとって非常にマイナスになる、そういうことをちょっと恐れております。

 以上です。

畠山委員 時間ですので終わりますけれども、改めて、五人の参考人の皆さんから貴重な御意見をいただきまして、今後の審議に反映させていきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは早速始めていきたいと思うんですけれども、きょう、冒頭から皆さんの御意見を聞かせていただきました。そして、委員の方からの質問にも答えていただいていたんですけれども、ちょっと私が感じたんですけれども、皆さん、大体、大体ですけれども、今回、法案審議ということで、この法案の審議の内容について、そんなに異論であるとかというのがないのかなと。期待することがあるとかというようなお話であるとか、今もたくさんうなずいていただいているんですけれども、そういう感覚を受けました。各党の委員からもいろいろな質問があったんですけれども、そういった質問というのは非常に少なかったのかなと思ったんです。

 実は私も、この法案の中身については非常に期待する部分は大きいと思っていて、逆に言うと、もっとめり張りをつけてもいいんじゃないかなというような感じで思っているんです。そういう観点なので、特に懸念点が云々というのは実は余り聞いてもしようがないのかなとは思ったんですけれども、あえて皆さんに聞かせていただきたいんです。

 この法案、くまなくは見られていないかもしれませんけれども、きょうの話の流れを見ていて、実質的な懸念点、もしくは、懸念点がない場合は、もっと積極的にこういうところに力を入れていくべきだとか、一〇〇%保証だったところを八〇%と言っているけれども、こんなのは二〇%とか三〇%でいいんじゃないのみたいなことであるとか、いろいろ考えるとあると思うんです。そういったところ、用意していない部分もあるかもしれませんけれども、一人一人にそういった点についてお聞かせいただきたいんです。

 本当は、順番に行くとこちらから、細川さんの方からお聞かせいただきたいところなんですけれども、元財務省事務次官でいらっしゃるので多分一番お手本の御回答をされるかなと思うので、申しわけございませんが、あえて大村参考人の方から順番にお聞かせいただければいいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

大村参考人 先ほどもちょっと申し上げましたが、実際、中小企業、特に小規模事業者の場合は、一応一〇〇%保証ということになっていますけれども、一〇〇%から八〇%になるということはプレッシャーが大きいと思うんですよ。

 また、正直言いまして、なかなか、こういう手続その他について、特に小規模事業者の場合は非常に難しい面が多いんですよね。ということは、もう御存じのとおり、人数が少ないところは、全部社長がやっているようなところも多いし、なかなか対応し切れないという部分もあるので、非常にそういう点では、また、この趣旨がなかなか届かないということもありまして、先ほどもそういう話もありましたけれども、周知徹底するということが、我々もやっているんですが、なかなか難しい。いろいろそういうことを踏まえてやっていかないと、特に小規模事業者の場合は難しいなと。

 いろいろ考えてみますと、八〇%になったのも、これはしようがないなという部分もありますけれども、なかなかその辺が、後のフォローをしっかりやっていただかないと、お互いにリスクをしょって見ていただかないとまずいんじゃないかと思っております。

柴田参考人 冒頭もちょっとお話し申し上げましたとおり、このテーマにつきましては、平成二十七年の十一月からワーキンググループその他に地方銀行協会として参加をして意見を申し述べてきた、そういうような経緯がありますので、その間に、いろいろな懸念事項も含めて、最終的にでき上がってきた法案だというふうに理解をしております。

 ですから、そういった現場での周知の問題だとか、そういったようなものもありますし、それから、私どもとしては、保証協会さんの保証料の問題、こういったようなものについては、昨今の金利情勢とかを考えると、やはり検討課題の一つだというふうには思っております。

 以上です。

小林参考人 私は、そのワーキンググループのメンバーでもございましたので、先ほど申し上げましたけれども、バランスがとれた案になっているというふうには思います。

 問題となっている不況業種に対する五号のセーフティーネットなんですけれども、この中の会社の多くが条件変更先になっているとすると、さっきも申し上げましたけれども、世代がかわる可能性があって、後継者不足になる。その場合に、その前に経営改善をしておかないと後継者が出てこないというふうにもなりますので、今回の改正が、経営者にとっても、事業を改善していく意欲を与えるというきっかけになるのではないかというふうに考えています。

 もう一つ、ちょっと法案とは関係ないんですけれども、私の立場から言うと、事業再生をして抜本再生をするといったときに、新しく設備投資等についての保証制度があれば、私はそれは第二の創業だと思っておりますので、そういう保証制度があればいいのかなというふうには常々思っております。本件の法案とちょっと関係がないところでございます。

 ありがとうございます。

村山参考人 私の立場で申し上げると、懸念というよりは、むしろ、今回の改正そのものが大きな課題そのものを提示しているというふうに受けとめておりまして、それの担い手の一翼を担うべき者としては、非常にこれから責任も大変だな、そういう思いがいっぱいでございます。

細川参考人 余りにも優等生的な答弁をしたらいかぬのかもしれませんが、政策審議会の中で議論がしっかり進められて、基本的には、今回の見直しで、金融機関がより前面に立って、規律の面でも、規律を高めていくという考え方のもとで制度改正が行われていると思いますので、そのことにはぜひ期待していきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、運用がいかによろしきを得るかということが一番大事だと思いますので、我々も含めて、関係者が的確にその役割を果たしていけるように努めてまいりたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 やはり聞いてみるものだなと。自分で言うのもなんですけれども、きょう、最初から聞いていて、自分のした質問が一番盛り上がったような気が自分で勝手にしたんですけれども。というのは、やはりそれぞれの立場に合った形でいろいろな意見があるものだなと。中身を見てみると、確かに私としては本当にいい内容だとは思っているんですけれども、ただ、立場によって、当然のことながら、そういう意見が出てくるというのは本当に感じ取れたと思っております。

 もう一つ聞きたいんですけれども、これはまたそもそも論、これも皆さんに私聞きたいと思っているんです。説明がちょっと長くなってしまうかもしれないですけれども、信用保険というか信用保証の制度自体のそもそものあり方ということをちょっと御意見いただきたいんです。

 というのは、本当に、こういう信用保険制度、ばっちり日本みたいにやっていく必要がどこまであるのか。それとも、こういう信用保険制度が発達していた我が国だからこそ産業の発達がしていったという意見もあるでしょうけれども、他国といろいろと比較をしてみたんです。いろいろな資料等々、インターネット等々にも出ておりますし、中小企業庁なんかも出しております。

 ずっと見ていると、欧米なんかは、信用保証、八〇%以上については委員会組織なんかが認定したようなそういうものでなければ保証をさせないであるとか、あと、ずっとこれを読み上げますと、信用保証の件数と残高。これは二〇一四年の数字ですね、ちょっと書きとめたので正しくない部分はあるかもしれませんけれども。他国をずっと見ていくと、アメリカが大体、信用保証の件数が、二〇一四年、六万三千ぐらい、保証残高が八兆円規模。ドイツが六千四百件で七千億円程度。フランスが八万六千件で一・六兆円。イギリスが二千七百件で千三百億円。韓国が結構多くて、六十六万件、ただ、金額は六千八百億円ぐらい。我が国が七十一万件で、残高は二十七兆円。明らかに我が国が、件数もそれから保証の残高も大きい。これはいいか悪いかというところもちょっとどうなんだろうと思うんですけれども、これもそれぞれのお立場で違うと思うんです。

 ですけれども、これをいいか悪いかというだけ聞くのではなくて、そもそも、この保証制度のあり方の中で、こういう今のような数字が、減らしていくべきものだとお考えになっているか、それとも、いやいや、こういう形で保証制度が充実しているからこそ、中小企業の人たちの活力をしっかりと維持して、それで景気の下支えになって今まで我が国が発展してきたんだと思われるか、こういったいろいろな考え方はあると思うんです。

 これを皆さんはどう思われていて、実際、理想形というのはどういうものなのか。これを皆さんに、ちょっとそもそも論なんですけれども、聞かせていただきたいと思うんです。お答えしづらければ結構ですが、順番にまた、今度はでは細川参考人の方からお願いいたします。

細川参考人 なかなか難しい問題だろうとは思いますが、今の信用制度そのもの、それ自体がそれとしていいというか、百点満点かどうかという問題ではないと思います。

 やはり、中小企業は、日本において、これだけの数の中で活力を持って活躍してきた。先ほど私の拙い経験も申し上げましたけれども、やはり日本経済の中で大きな役割を果たしてきていることは事実だと思いますし、その中で、この信用保証制度あるいはそれを補完する補完制度、それが果たしてきた役割はやはり大変大きいものがあった。その中で、中小企業がある意味では最後のセーフティーネットを持ちながら活躍してきているというのは大切にしていかなければならないというふうに思っております。

 そのバランスをどの程度にとるかということは、今回の見直しもその一つの大きな試み、試みという言い方がいいかどうかわかりませんが、だろうと思いますので、もちろん不断の見直しを重ねながら対応していくということが大事だろうというふうに思っております。

村山参考人 今回の法改正は、日本の社会に根づいてきて、一定の役割をずっと果たしてきているこの信用保証制度、信用補完制度をより適切にワークするようにどうしていくのかという、みんなの知恵が集まってできたものだというふうに思っております。それの担い手としての私としては、やはりそれをしっかりと有効なものにしていくべく、引き続き頑張りたいと思っております。

小林参考人 この信用保証制度が、日本の中小企業にとって非常に有益で、活力を与えてきたという功績は大きいものがあるというふうには思います。そして、その資金繰り支援も中小企業にとっては大きいというふうには思います。ただ、中小企業にとって、安易にお金が融通されるとなると、その経営意欲、改善意欲が減退してしまうおそれ、そういう観点も考えなければならない。

 だから、両方の面を考えなきゃいけないという観点からすると、今の制度を、中小企業がより改善されていくように、そういうようなマインドを持つためにどういうような改正方向がいいのかという観点だと思います。今回のリスク分担という立場は、そういう方向性を目指しているものだというふうに評価しています。

柴田参考人 貸し手側の立場になりますけれども、小規模事業者さんが、かなり環境とかそういった問題の中で大きく経営が揺らぐ可能性があるというところの中で、それを信用補完するという意味からすれば、この中小企業の、保証協会のこういった制度、信用補完制度というのは、やはり一定の役割というものを果たしてきているというふうに思っております。

 保証協会の残高がふえることがいいのか、減ることがいいのかということは、特に我々が何かそういった一定の目線を持ってふやそうとしているとか減らそうとしているとかというわけではなくて、今、担保、保証に過度に依存しない融資というものを金融機関が目指す中で、結果として残高が減ってきているというふうになっていますので、適切なリスク分担というものが図られてきているんだというふうに思っております。

 また、地域の中小企業というのは、やはりその地域において、我々地方銀行においては、やはり地域が元気にならなければ、地域が活力を持っていなければということが大変重要なことになりますので、そういった活力という面での中小企業の役割というのはやはり大きいというふうに思っていますので、引き続き、地域金融機関として、こういった中小企業の資金、金融の円滑化というようなところに、仲介機能、リスクマネーの供給といったところに力を発揮していきたいというふうに思っています。

大村参考人 中小企業が日本経済の発展のもとだということはもうあれだと思いますが、地域経済を支える中小企業が継続して経営できることが大切だということを観点に考えますと、さまざまなリスクは当然しょわなきゃいけないんですが、中小企業の発展のためには、こういったステップを踏まえて、企業が出現するためには必要じゃないかと思っております。

 ただし、状況変化によっていろいろ見直さなきゃいけないんじゃないかという面もありますので、これからいろいろ検討したいと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 これも皆さんのお立場があって、なかなか、本当の解がどこにあるのかは非常にわかりづらいところではあるかなと。

 これは私の意見を言うようなことではないのかもしれませんけれども、景気がよくて、どんどんお金が回っている状態の中では、ある意味で、保証残高もふえてもいいのかなと私は思っているんです。それだけお金が動き、そして、実際にそれがニーズとして上がってくる。ただ、過度に保証に頼るのでは、やっていくのはなかなか難しいところもある、そういう話なので、一概には言えない。

 ただ、経済の内容が違うのかもしれませんけれども、各国から見ても非常に我が国のあり方というのは特徴的だというふうに思っていて、これをどういう形で、これが是となるものなのか非とするべきものなのか、やはり政策を預かっていく者としてはしっかりこれは見きわめていかなければならないというふうに思っておりますので、皆様の大変に貴重な意見であったかなというふうに思います。

 それでは、もうちょっと砕けたところを質問させていただきたいというのか、いろいろともう聞いてしまったのであれなんですけれども、今回の件で特に柴田参考人にお聞かせいただきたいんです。柴田参考人、御経歴を見ると、私の大学、学部の大先輩でいらっしゃるので、こんな話を聞くのもあれなんですが。

 この法案を見ていて、先ほども言われていましたけれども、過度に保証に依存するようなことなく、銀行が頑張っていかなければいけない部分があるというふうにおっしゃられていました。

 ただ、私が実際に貸し出す側であった場合には、そこに保証があるんだったら、保証をつけているところにそれは貸しますよ。リスクをなるべくミニマイズしたいわけですから、それは当然だと思うんです。当然、銀行、金融機関のあり方としては、過度にそういうことはしない、自律性を持ってやっていく。そうやってやることによって利益を最大化できるような形に、そういう好循環が生まれれば、それが理想形なのかもしれません。ただ、保証があれば、当然のことながら、なるべくそういうリスクミニマイズという点では、これは絶対にそういうふうにしていくと思うんです。

 では、こういう法律がもし施行されれば、そういうところへも一定の歯どめはある程度できるかもしれない。ただ、これは自粛をしていくというのか、自律的にやっていくというのが実際にどうやって可能なのか。これが、口で言うのは非常に簡単だし、理想形はそうかもしれないけれども、どうやって、どういう対策をとればそういうことができるのか。

 現場の感覚でいうと、なかなかそういうことをうまく推し進めていくのは金融機関としては難しいと思うんですけれども、何かそういう対策、もしくは、こうやってやればそういうところは自律的にプロパー融資をふやしていくような形になるんだとか、そういう何かアイデアはございますでしょうか。

柴田参考人 金融機関の立場からしますと、中小企業の方から御融資のお話があったときに、今、保証があれば保証に頼るのが当たり前だというようなことでお話があったんですけれども、実際問題としますと、我々金融機関は大切な一般の方からの御預金を預かって、それで御融資をしますので、やはり回収されるということが必要になってくるわけです。

 ですから、保証があればということはあるんですけれども、一方で、やはり民間金融機関として収益も上げていかないとという、その両方をどういうふうにバランスするか、そういう立場の中で経営をしているわけで、一方で、やはり、融資をするときに、お客様に貸し出す金利という部分と、それに伴って保証料もかかります。ですから、逆に言うと、保証が外れることによって、銀行がリスクを負って、その分がちゃんと金利に反映されるのであれば、むしろそれはプロパー融資の方に流れるということになりますので、保証料とそれから実際のお客様との金利、そこのバランスのところ、そこがやはり大切なんだろうというふうに思っています。

木下委員 ありがとうございます。非常にいいお答えをいただいたと思うんです。

 私、そういう意味で、ちょっと最後、一つだけ、もう一度これは柴田参考人にお聞かせいただきたいんですけれども、創業支援ということでもいろいろな形でやっていこうとする。新しい、ここは事業性があるんだという目ききをしっかりできて、これをやはりうちの銀行として注力していくんだ、地元だしとかということはあると思うんです。

 そうなったときに、先ほどの、金利をしっかりあれして、銀行としても利益を最大化して、一緒になって成長していくんだ、こう考えるのが、これが理想形だと思うんです。そんなときに、そんなときにですよ、政府系の金融機関であったり、保証が入ったり。ここの制度の中ではそうなるんですよ。邪魔なんだと思います、私は。どうでしょうか。

柴田参考人 私ども民間金融機関とそれから政府系金融機関というものは、やはり目的も違いますし、それからお互いに役割分担というのがあると思っています。

 我々民間金融機関ができるものは民間でやるというのは基本だと思っていますので、政府系金融機関、それから、保証というのは、民間金融が融資ができないような分野、そういったような分野を補完する、そういうお互いの位置づけというものがやはり大切なんじゃないかなというふうに思っています。

 以上でございます。

木下委員 ありがとうございます。

 そういう観点で、領域を侵さないようにやっていただくように、私の方からも政府に申し入れていきたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございます。

浮島委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 本日は、長時間にわたり、参考人の皆様方におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、心から、委員会を代表いたしまして感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)

 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十六分散会


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