衆議院

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第2号 平成29年12月1日(金曜日)

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平成二十九年十二月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 稲津  久君

   理事 城内  実君 理事 平  将明君

   理事 辻  清人君 理事 冨樫 博之君

   理事 吉川 貴盛君 理事 落合 貴之君

   理事 田嶋  要君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      泉田 裕彦君    上野 宏史君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      大見  正君    岡下 昌平君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      神田  裕君    国光あやの君

      小寺 裕雄君    小林 鷹之君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      佐藤ゆかり君    田畑  毅君

      穂坂  泰君    星野 剛士君

      松本 洋平君    三浦  靖君

      三原 朝彦君    八木 哲也君

      中谷 一馬君    松平 浩一君

      山崎  誠君    浅野  哲君

      吉良 州司君    斉木 武志君

      山岡 達丸君    太田 昌孝君

      國重  徹君    菊田真紀子君

      笠井  亮君    谷畑  孝君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            井藤 英樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    福島  洋君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木村  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中川  勉君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          末松 広行君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            多田 明弘君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          寺澤 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (特許庁長官)      宗像 直子君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    安藤 久佳君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          片岡  洋君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     小寺 裕雄君

  神田  裕君     泉田 裕彦君

  八木 哲也君     三浦  靖君

  國重  徹君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     国光あやの君

  小寺 裕雄君     神山 佐市君

  三浦  靖君     八木 哲也君

  太田 昌孝君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     神田  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

稲津委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官井藤英樹君、経済産業省技術総括・保安審議官福島洋君、経済産業省大臣官房審議官中石斉孝君、経済産業省大臣官房審議官木村聡君、経済産業省大臣官房審議官中川勉君、経済産業省産業技術環境局長末松広行君、経済産業省製造産業局長多田明弘君、経済産業省商務情報政策局長寺澤達也君、資源エネルギー庁次長保坂伸君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、資源エネルギー庁資源・燃料部長小野洋太君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、特許庁長官宗像直子君、中小企業庁長官安藤久佳君、原子力規制庁原子力規制技監櫻田道夫君及び原子力規制庁長官官房審議官片岡洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城内実君。

城内委員 自由民主党の城内実でございます。

 吉川筆頭理事のもと、自民党会派の理事を拝命いたしました。今後とも、稲津委員長初め与野党の委員各位の御指導、御鞭撻のもと頑張ってまいる所存でございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 本日は、先般の世耕弘成経済産業大臣の所信的挨拶に関連する質問もさせていただきたいと思いますが、本題に入る前に、世耕大臣が、経済産業大臣だけでなく、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、原子力損害賠償及び廃炉等支援機構の内閣府担当大臣をされていることに、改めて敬意を表したいと思います。

 一人で五役という超人的な仕事をこなしていらっしゃるわけでありますので、また、海外出張も多いでしょうから、どうか、国家国民のために今後とも御自愛ください。

 それでは本題に入らせていただきたいと思います。

 名目GDPが過去最高となるなど、多くの経済指標が示すとおり、我が国の経済は、安倍内閣のアベノミクスによって確実に回復しております。このアベノミクスをさらにより確かなものにしていく上で目下最大の課題は、生産性革命と人づくり革命、これらを車の両輪として推し進めることであります。

 そのための政策パッケージの策定が現在進められていると伺っておりますが、やはり、その中で経済産業省がどのような施策を打ち出していくか、これが極めて重要であることは言うまでもございません。

 私は自民党の経済産業部会長として、今後とも野党の皆様のさまざまな御意見や各種団体の生の声もしっかり拝聴し、参考にさせていただきながら、我が国の経済産業政策に党の経済産業部会長として貢献していく考えであります。

 そこで、世耕大臣にお伺いしたいことがございます。

 生産性革命と人づくり革命を進めるため、経済産業省としてどのように取り組み、政府全体の施策に打ち込んでいくのか。マルチプレーヤーでいらっしゃる世耕大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

世耕国務大臣 ありがとうございます。

 今御指摘の生産性革命と人づくり革命に関しては、第四次安倍内閣が発足するときの初めての閣議で総理の方から、生産性革命の実現に向けて、二〇二〇年までの三年間を生産性革命・集中投資期間と位置づけて、大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員して、中小・小規模事業者も含めて、企業による設備や人材への投資を力強く促すようにという指示をいただいたところであります。

 この指示を受けて、まさに経済産業省というのは、生産性革命、そして人づくり革命の両方にまたがる仕事をやっているその担当閣僚として、まず一つは、企業による人材や設備への力強い投資を促すために、賃上げですとか、あるいは設備投資に積極的な企業に対して、しっかりと国際競争において十分に戦える税その他の環境の整備を進めるということ、そしてもう一点は、逆に、赤字など非常に厳しい経営環境の中でも、中小・小規模事業者の設備投資をしっかりと後押ししていくために、生産性向上のためのロボットやITツールなどの導入支援を、これも予算、税制で大胆に支援をしていくという点、そして三つ目は、日本企業は国内で競争し過ぎな面がありますから、協調領域などをしっかり決めて、そしてそういったところでは、データを企業を超えて共有をしていく仕組みなど、これまで進めてまいりましたコネクテッド・インダストリーズのさらなる具体化をしっかりと図っていきたいと思いますし、また、イノベーションの担い手になる有望なベンチャーに関しては、リスクマネーの供給ですとか、あるいは突出した人材を確保しやすくするとか、そういった支援策も集中投入していきたいと思います。

 さらに、人づくりという意味では、リカレント教育ですとか、あるいは兼業、副業の推進など、第四次産業革命に対応した人材の育成、活用にも取り組みたいと思っています。

 最後に、人の生産性について偉そうなことを言っているんですが、実は、企業の生産性の結構足を引っ張っているのは私は行政だと思っています。行政の手続が本当に面倒くさい。行政と仕事をすると、例えばテレビ会議もできないし、一々役所に足を運ばなきゃいけない。そういうことが結構ベンチャーの人たちを中心に言われております。ここを、まず隗より始めよということで改革をしたい。

 行政手続のデジタル化ですとか、あるいは、同じ情報についての、何度も入力をするようなことを求めない。これはワンスオンリーといいますが、これをしっかり実現していく。あるいは、役所が持っているデータは結構宝の山でありますから、こういう公共データをしっかりオープンにしていくというようなことも進めていきたいと思います。

 政府全体のシステムを統合的に変えるといったらまたいろいろと時間がかかりますので、それはそれでしっかりと我々も提言をしてやっていきますけれども、まず経産省単独でできることということで、中小企業向けの補助金申請、これは物すごい、年間何万という数があるわけですけれども、こういった手続から今申し上げたデジタル化、ワンスオンリー化を進めて、まさに、企業の生産性向上に役所としてもしっかり貢献をしていくということもやっていきたいと思います。

 こういった課題を中心に、新たな経済政策パッケージを十二月上旬に策定するべく、しっかりと貢献をしてまいりたいというふうに思います。

城内委員 今大臣がおっしゃった行政手続のデジタル化あるいは公共のデータベースの利活用、これは本当に大事なことだと思いますのでぜひ進めていきたいというふうに思っておりますが、また、企業による人材への投資あるいは設備投資、今海外にどんどん投資が向いていますが、しっかりと国内にそういった投資を進めていくことが雇用にもプラスの影響を与えますので、ぜひ予算、税制の面でしっかり後押ししていくと大臣の決意が述べられましたので、ぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 また、生産性革命を実現する上では、世界で動いている第四次産業革命、日本としてどう対応していくかということが重要であります。

 現在、私、日独議員連盟の事務局長をしておりますが、先日、衆議院議員会館の国際会議室、多目的ホールをお借りしまして、第一回日独デジタル化社会へ向けての対話というシンポジウムの開催のお手伝いをさせていただきました。このシンポジウムには、きょういらっしゃっている大串政務官も出席されて挨拶いただきました。この場をかりて改めて御礼申し上げたいと思います。

 このシンポジウムで私が感じたことは、日本は、ドイツを初めこの分野で、やはり、若干というか結構おくれているんじゃないかなということであります。安倍総理がことし、ドイツのハノーバーのCeBITに出席いたしましたが、ドイツの、インダストリー・フォー・ポイント・オーと言ったらドイツ人に怒られましたのでドイツ語で言いますと、インドゥストリー・フィア・プンクト・ヌルと言ってくれ、これはイギリスのものじゃなくてドイツだからと言われて怒られましたが、このドイツのインドゥストリー・フィア・プンクト・ヌルに負けないくらいの第四次産業革命を達成しなければなりません。

 こうした動きの中で、世耕大臣はさきの所信的挨拶の中で、「コネクテッド・インダストリーズの実現に向け、人、金、データの三方向から具体的施策を進めます。教育現場におけるテクノロジーの活用、いわゆるエドテックやリカレント教育を推進するなど、第四次産業革命を支える人材を育成します。」などと述べられました。

 ただ、正直に言ってこのコネクテッド・インダストリーズとはどういう考え方か、それによって世の中がどう変わるのかよくわからないという声が私の地元でも多々あります。

 例えば、コネクテッド・インダストリーズの五つの重点取り組み分野として、一つは自動走行・モビリティーサービス、二つ目はものづくり・ロボティクス、三つ目にバイオ・素材、四つ目にプラント・インフラ保安、五つ目にスマートライフということが述べられているんですが、全体が今後どうなっていくのかというイメージがなかなかつかないわけでありまして、IoT、ビッグデータ、AIの技術革新を踏まえてどのようにコネクテッド・インダストリーズの取り組みを推進し、日本社会をどう変革していくのかということについてお聞きしたいと思います。

世耕国務大臣 ちょっとドイツ語で言えなくて済みません。ドイツのこのインダストリー四・〇というのは、これは非常に注目すべき政策だというふうに思っています。

 まさに日本とドイツはともにものづくり大国であるわけでありまして、ドイツとの連携は非常に重要でありまして、そういう意味で、安倍総理がことしのCeBITに参加をされ、日本がパートナー国として久々にCeBITに本格的に参加をして、多くの企業が出展してくれたというのは、非常に大きな動きだというふうに思っています。

 ドイツとは、今後も、ものづくりのIT化ということで、いろいろな連携をしていきたいと思います。特に、ドイツはEUの中の中心国でありますから、そういう意味で、国際標準化をとっていくとか、そういう面でドイツの役割は非常に大きいと思っています。

 ただ、日本は少しドイツとは違うアプローチをしたい。ドイツは、基本的には製造ラインのIT化というのは、一社のシステムで進んでいるわけであります。あるいは企業間の連携も、ある特定の一社のシステムに依存をしている。日本はそうはなっておりません。

 しかし、一方で日本は、中小企業の現場も含めてかなり製造の自動化というのは進んでいて、データがたくさんたまっています。それらのデータが、ただ、残念なことに工場に置いたままになっている。完全に置いてあるんです。

 例えば今、データ偽装が大変問題になっていますが、何で全部わかるかというと、正しいデータはちゃんと工場の中に残っているんですね。だから、こういう宝の山をしっかりとビッグデータとして活用していくということが重要だ。しかも、これは企業を超えてやっていかなければいけないということで、競争ばかりしているんじゃなくて、協調領域もしっかり特定をしていってほしいというふうに思っています。

 具体的には、例えば自動走行の分野では、各自動車メーカーでセンサーなどを全部共通化をさせて、そしてデータのフォーマットも共通化をさせれば、日本の自動車メーカーがつくっている自動車の数はこれはもう世界一なわけですから、この車のデータが全部集約をされて、そして自動走行にどんどんつながるデータを生かしていくことができる。

 あるいは、プラント・インフラ保安といった面では、例えば機械が、今までですと、壊れるとラインをとめて一旦製造をとめて修理をするという形になるんですが、例えばこれをビッグデータで、潤滑油がこういう温度になってきて、振動が、周波数がこうなってくるとこの部分が壊れるぞというのがわかれば、ラインをとめることなく、その日の夜とまっている間に修理をしてということで、日中の製造活動に影響を及ぼさないとか、そういうことも可能になると思っていますし、あるいは、これは今ちょっと省内に宿題を出しているんですけれども、いわゆるデータ偽装の問題も、一々ユーザー用のデータを書きかえて出しているからああいうことが起こるわけで、例えば、鉄鋼メーカーの製造ラインとそれを使う自動車メーカーのラインがしっかりもう連携をされていて、出てくる鉄鋼とかアルミのデータを自動車メーカーがそのまま自分のところのモニターでしっかり見られれば、こういうことも起こらないし、手間も省けて生産性も高まる。そういうことも考えていきたいというふうに思っています。

 中小企業は置いていかれるんじゃないかという心配の懸念の声も聞くんですが、日本の中小企業は何だかんだ言って、これまでのいろいろな投資減税とかの効果もあって、ものづくり、自動化された機械も結構入っていますし、あるいはそういう機械がないところでも、ちょっとした装置をつけるだけで、例えば温度とか周波数とかいったデータはしっかりとれるようになりますので、中小企業もしっかり参加をしてもらうようなコネクテッド・インダストリーズをしっかり実現をしていきたいというふうに思っています。

城内委員 今の大臣の御説明でかなりイメージがよくわかってまいりました。

 また、ドイツとの連携が重要という御発言をされました。私、ドイツに十年間生活して、日独議連、先ほど言いましたように事務局長をやっていますので、ぜひドイツにもしっかり目を向けて、お互い競争相手であると同時に、両国とも中小企業を非常に大事にしている国ですから、そういった意味でお互いが切磋琢磨していろいろな分野で協力していく、これが大事だというふうに思っております。

 さて、第四次産業革命やコネクテッド・インダストリーズが、私の子供のころ、今から四十年前でしたら、いずれも夢のような、鉄腕アトムの世界のような話であります。しかしながら、やはりこれまでも、そしてこれからも、日本の強みはものづくりであります。ロボットではなくて、生身の人間が汗とほこりと油にまみれて長い間ものづくりをしてきた、そういった経緯がございます。

 したがいまして、ものづくりの強みを生かしながら第四次産業革命の道筋をつくっていくのが、私はこのコネクテッド・インダストリーズの本来あるべき姿だと思っております。

 一方で、足元で起きている神戸製鋼や東レを初めとする製造業の不祥事があり、私は本当に心配でなりません。ものづくり産業は我が国を支える基幹産業である。そして、ものづくり産業の重要性をどのように経済産業省として認識しているのか。そして、ものづくり産業をめぐって、最近、今申しましたように頻繁に不祥事が起きておりますが、それに対します受けとめ方、及びそれに対する対応についてどのように考えているのか。お聞きしたいと思います。

大串大臣政務官 お答えいたします。

 ものづくりを基盤とする製造業は、我が国のGDPや雇用の約二割を占めまして、付加価値の波及効果が高い、重要な基幹産業であります。また、都会に集中しがちなサービス業と異なりまして、製造業は人口の少ない地域にも立地をしている。そういう貴重な雇用の場を提供できることからも、今後ともしっかりと取り組むべき分野であるというふうに認識をしております。

 これまでの製造業の現場を多く視察してまいりましたけれども、日本のものづくり産業が生み出す製品は非常に高品質であり、世界からも強い支持、評価を受けていると認識をしております。

 こうした中、御指摘のように、製造業のうち、とりわけ複数の素材メーカーの製品検査データの書きかえの不正事案が次々と判明しているということは極めて遺憾であります。

 こうした事案は、公正な取引の基盤を揺るがす不正な事案でありまして、経済産業省としては、関係する各社に対して、適切な顧客対応、再発防止策の実施等をしっかりと進めるよう指示をしているところであります。

 現在、産業界におきましては、みずからの会社で類似の事案がないかどうかを確認する動きがあると承知しております。万が一そうした事案が確認された場合には、速やかに公表し、社会からの信頼回復に全力を注ぐことを期待しているところでもあります。

 特に、これまでの事案で、公表が五月雨式に行われ、かつ時間がかかっていることは問題であります。産業界においては顧客との調整や安全確認が必要だという点は理解いたしますけれども、不正事案などのうみがあるならば、一日も早く全部出し切っていただきたいと呼びかけているところでございます。

 現在、コネクテッド・インダストリーズの推進を通じて、高い技術力や高度な現場力を生かした製造業のソリューション化を目指しているところでもありますので、人手不足の解消や技術の継承に加え、サプライチェーンをつないで部品などのトレーサビリティーを強化し、品質管理の向上を図ることも可能となるというふうに考えているところでもございます。

城内委員 こういった不祥事は、その会社だけの問題じゃなくて、日本の製造業全体のやはり信頼にかかわる問題ですので、その点、しっかりと指導というか、経済産業省を中心に指導していただいて、こういうことが二度と起こらないように、どこかの国と比べられたらたまったものじゃありませんので、それは想像に任せますけれども、日本企業というのはやはり信頼が世界からこれまであってやってきたということがございますので、ぜひともその点、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、ものづくりと並びまして、地域経済を支えているのが中小企業であります。中小企業の生産性向上などの課題にどのように取り組むのかが、日本経済、特に地方の経済の活性化、地方創生にとって極めて重要であります。

 そうした中、中小企業の経営者の高齢化が大きな課題であり、深刻な社会問題となっております。

 そこで、事業承継税制の問題について取り上げたいと思います。

 確かに現行の事業承継税制は、当初は大きな風穴をあけたという意味で、評価するにやぶさかではありません。ただ、時代の変遷とともにこの制度が使い勝手が悪くなっていることは、もうこれは明らかであります。

 現行の我が国の事業承継税制では幾つか問題点があります。

 一つは、自主廃業や要件不達成の際に、さかのぼって課税される納税猶予制度の減免割合が約五三%と、諸外国と比べても著しく低いことであります。先ほど、ドイツという話をしましたが、ドイツでは、賃金維持要件のもとで八五%もしくは一〇〇%の軽減割合であり、しかも、課税猶予ではなく、課税免除であります。

 二つ目に、我が国のこの制度、五年間で平均八割の雇用維持を達成させるというかなり厳しい要件であります。今現在、各企業、人手不足で悩んでいるのにこういった要件があるというのは、これは非現実的であります。

 さらに三つ目に、一人の現経営者から一人の後継者への相続及び贈与のみを対象にしているということであります。これに対しまして日本商工会議所初め各種団体が、例えば兄弟間など、複数承継が認められるようにしてくれないかという強い強い要望が私のところにも来ております。

 いずれにしましても、我が国でこの制度を利用している法人は年間たった五百件です。これでは、何のためにこの制度をつくったのかわからないと思います。

 今後十年の間に、平均引退年齢の七十歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約二百四十五万人となり、そのうち約半数の百二十七万、これは日本企業全体の三割でありますけれども、何と、後継者が未定であるということであります。

 さきの総選挙における自民党の公約の中にも、「中小企業・小規模事業者の円滑な世代交代・事業承継に資するよう、税制を含めた徹底した支援を講じます。」「徹底した」と書いてあります。

 事業承継税制については、もう今や待ったなしの抜本的な改革が必要であります。中小企業の後継者不足が喫緊の課題となる中、事業承継を支援するため抜本的な対策を講じるべきだと繰り返し申し上げますが、これについての政府の見解をお尋ねしたいと思います。

大串大臣政務官 事業が承継されずに、よい技術を持った企業や生産性の高い企業が廃業してしまうことは、我が国の競争力にとっても極めて深刻な問題であります。

 こうした問題に対応するために、事業承継税制については、事業承継を一層進めるために、対象となる株式上限の撤廃や優遇を受けられる対象者の拡大など、抜本的に見直し、真に使われる制度にしていきたいと考えております。

 加えて、事業承継の重要性についての気づきの機会の提供やMアンドAを通じた事業承継のマッチング支援などを行う、事業引継ぎ支援センター等の体制を強化してまいります。また、承継された後についても、新たな担い手となる後継者が経営革新や新事業展開を行うための支援も強化してまいりたいというふうに考えております。

 このような切れ目のない事業承継の支援を、今後編成する補正予算も活用し、今後十年間に集中して実施してまいりたいと考えております。

 城内委員におかれましては、自民党の経産部会長として、中小企業・小規模事業者の円滑な世代交代・事業承継に資する支援策の抜本拡充を求める決議を取りまとめいただき、連日、税調との議論をリードされていると伺っております。そうした与党の議論を踏まえながら、政府としてもしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

城内委員 実は私、注射が非常に大嫌いなんです。いつも国会で健康診断を受けるときも、横にならないとちょっとふらふらしてしまうぐらい注射針が、何かもう恐怖感で気を失いそうになるんです。私の唯一の弱点です、あとは余り怖いものはないんですけれども。

 そういう私が本当にびっくりしたのは、痛くない注射針を開発した日本の中小企業がございました。これは世界的に話題になりまして大変な反響があったそうですが、この会社が何と、この事業承継税制が非常にハードルが高いために承継ができなかった。そして、残念ながらそのすばらしい技術が、テルモという会社が買ってくれたようでありますけれども、そういった例があるんですよ。びっくりしました。

 ですから、この事業承継税制については、本当に抜本的に使い勝手をよくしないと、黒字企業であって、世界的な有名な技術を持っても、廃業するかどこかに買われちゃうというそういう話になったら、何のためのものづくりかわかりませんので、ぜひこの点はしっかり対応していただきたいというふうに思いますし、野党の皆さんも多分事業承継税制については同じ立場であると思いますので、野党の皆さんの声もしっかり聞いた上で対応していきたいなというふうに思っております。

 さて次に、経済産業省におきまして下請等中小企業の取引条件改善に取り組んでこられたというふうに承知しておりますし、いわゆる世耕プランというものがございます。

 そこには三つの基本方針が挙げられております。一つは、親事業者による不適正な行為に対して厳正に対処し、公正な取引環境を実現する。二つ目は、親事業者、下請事業者双方の適正取引や付加価値向上につながる望ましい取引慣行を普及、定着させる。三つ目が、サプライチェーン全体にわたる取引環境の改善や賃上げできる環境の整備に向けた取り組みを図る。この三点でありますし、さらに、三つの重点課題として、価格決定方法の適正化、コスト負担の適正化、支払い条件の改善、こういったものが挙げられました。

 下請中小企業の取引環境の改善は中小企業における働き方改革にとっても重要でありますので、ぜひしっかりとこれは進めていきたいというふうに思います。

 経済産業省としてどのように取り組んでおられるのか、お伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 私が就任以来、下請取引を適正化しない限り、地方にアベノミクスの果実は渡らないというそういう思いでこの下請取引の適正化にずっと取り組んでまいりました。私自身も各種業界団体に足を運んで、やはりサプライチェーン全体で取引慣行を適正化してほしいということを申し入れまして、今のところ、自動車、情報通信機器、そして繊維、運送業、建設業など、八業種二十一団体に自主行動計画を策定、公表をしていただいているところであります。

 今、決めるだけでは意味がありませんので、それがちゃんと浸透しているかどうかのフォローアップをしてもらっていまして、その結果は、取りまとめて、年内には公表をさせていただきたいというふうに思っています。

 そういった中で、今、働き方改革を進めているわけですけれども、中小企業の現場からは、大企業が働き方改革をしたら結局自分たちのところへしわ寄せが来るんじゃないか。何か納期が間に合わないというようなときに、自分たちのところでたくさん残業をさせられるような結果になるんじゃないか。あるいは、生産性革命が進んでいって、中小企業自身も一生懸命自動化、ロボット化を進めたら、では、もう生産性が上がったから単価を下げますよということになって、結局、大企業や発注元企業に全部吸い上げられてしまうんじゃないか。そういう不安の声も聞こえてくるわけであります。

 そういう意味で、現場の声をしっかり把握しなきゃいけないということで、今、下請Gメン、八十名規模で二千社の下請企業のいろいろなヒアリングをさせてもらっていますが、そのメニューの中に、働き方改革の影響についてもしっかり含めて聞いていきたいと思っています。

 今まで経産省は、中小企業の現場の声を吸い上げろと言うと、はい、商工会議所に聞きましたとかそういう形になるので、それはだめだと。必ず直接中小企業から聞け。そしてまた、中小企業の経営者の方はやはり忙しいので、政策の深い意味がなかなか御理解いただけていない場合があります。だから、簡単に聞くとああいいよとなっちゃうんですけれども、そうじゃなくて、働き方改革でこういうことが起こりますよ、生産性革命でこういうことが起こりますよということをしっかり説明した上で、中小企業経営者としてどう考えるかということを聞いてこい。今、きめ細やかなヒアリングを徹底をさせていきたい。

 それで、現場の声をしっかり吸い上げた上で、働き方改革を具体的に行っていく上でしっかりとそういった声を反映をしていきたいと思っています。

城内委員 今、大臣から、現場の声をしっかり直接聞いているというお話がありましたけれども、ぜひそれを進めていただきたいと思いますし、また、大企業が働き方改革を進めて、そのしわ寄せを中小企業が受けるというのは全く本末転倒でございますので、その点しっかり対応していただきたいと思いますし、また、優越的地位の濫用というものがまだまだ随所に見られるわけですから、中小企業庁におかれても、公正取引委員会と連携しながらしっかり対応していただきたいというふうに思います。

 また、これまで述べてきましたように、事業承継、下請中小企業に対する施策について今質問させていただきましたけれども、一方で、地元の中小企業・小規模事業者の皆さんとの意見交換の中で感じるのが、なかなか施策に関する情報が現場の、先ほど大臣もちょっと触れましたけれども、中小企業まで届いていないという、そういうことであります。都道府県や市町村など、自治体を通じた情報提供というのはなされているようでありますが、どうもタイムラグがあったりとか、いろいろな問題があると思います。

 全国の経産局、そういったものを活用するなどして、国の施策の情報が速やかに、そして全国津々浦々、隅々まで、これは私、行き渡ることが重要だと思っています。

 本当に、こういう何か助成措置があるよ、えっ知りませんでしたと。中小企業庁のホームページぐらいはやはり見てほしいというのもあるんですけれども、どんどんこれはやはり発信しないとなかなかそういう情報にたどり着けない方もいるということを踏まえて、政府のお考え方をお伺いしたいと思います。

大串大臣政務官 中小企業庁におきましては、中小企業庁のホームページや中小企業支援ポータルサイト、ミラサポへの情報掲載、さらに、メールマガジン、ツイッターなどによる情報発信、こういったものを行っております。また、よろず支援拠点や商工会、商工会議所、中小企業団体中央会等の関係機関の窓口へのパンフレットやチラシの配備などによって、適切なタイミングでわかりやすく施策情報の周知、広報を心がけて、引き続き進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、中小企業施策の相談体制につきましては、全国四十七都道府県によろず支援拠点、これを整備するとともに、商工会、商工会議所、金融機関、士業等の地域の支援機関の見える化や連携強化を図ることで、きめ細かな相談体制を構築してまいります。

 また、中小企業庁や各経済産業局に相談窓口を設置し、中小企業電話相談ナビダイヤルの開設なども行うことによって、中小企業者の皆様にとって親切丁寧で統一的な相談が受けられるように相談体制を構築しておりまして、引き続き親身な相談対応に心がけてまいりたいというふうに考えております。

城内委員 ぜひきめ細かい対応をしていただきたいと思います。

 最後に、目を転じまして、通商政策について取り上げたいと思います。

 この秋の外交では、日米、TPP11など、さまざまなフロントで成果がございました。特に日米では、トランプ大統領が来日し、首脳会談が行われたところであります。報道では北朝鮮問題が大きく取り上げられましたが、経済分野でも、首脳間で有意義な意見交換がなされたと承知しております。今や、日米経済を両首脳の信頼関係を軸に大きく動かしていくべきタイミングであると考えます。

 今後の日米経済関係の深化に向けて、例えば第三国の不公正な貿易慣行に対する通商法のエンフォースメントやインフラ分野の協力を初め、経済産業省として、日米協力に、経済分野の協力にどのように取り組むのか、お尋ねしたいと思います。

大串大臣政務官 先月六日の日米首脳会談では、アジア太平洋地域に広がる貿易・投資における高い基準づくりを主導し、法執行面での協力を進めることや、エネルギー、第三国のインフラ整備といった分野における協力を強化していくことで一致しております。

 御指摘の通商法のエンフォースメントに関しては、日米が共通の関心を有するWTO紛争案件について、法的主張の検討に当たって、緊密な連携を行ってきております。

 今後も、WTO紛争解決手続や貿易救済措置の担当当局間の連携強化を図るべく、米国商務省やUSTRとの議論を深めてまいりたいというふうに考えております。

 また、インフラに関しては、トランプ大統領の訪日にあわせまして、経済産業省と米国貿易開発庁との間で、また、日本貿易保険などと米国海外民間投資公社の間でそれぞれ協力覚書を署名したところでありまして、こうした当局間の連携を通じて、第三国におけるインフラ開発支援を進めてまいりたいと思います。

 今後も、日米経済対話を通じて両国の協力関係の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

城内委員 安全保障分野での日米関係はますます重要になっておりますが、他方で、日米経済摩擦などが起きたら非常に困るわけでございますので、ぜひ日米が協力して経済分野でも協力を進めていくことが重要だと思いますので、この点を指摘させていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

稲津委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 世耕大臣に御質問させていただきたいと思います。

 今、城内議員の方から事業承継税制について御質問がありました。私もまずこの点から取り上げたいと思うんですが、実は、十月二十六日に長野県の松本市で、全国中小企業団体の全国大会がありました。党を代表して行かせていただいて、この全国大会の大きなテーマが、やはり事業承継税制の抜本的改革ということでありました。

 昨日の参議院の予算委員会でも、世耕大臣の方からこの点について我が党の西田議員に丁寧な御説明をいただきましたけれども、やはり大変な状況にある。中小企業庁や中小企業団体の説明によりますと、先ほど城内議員からもありましたが、今後十年の間に、七十歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者が二百四十五万人だ、そのうちの半数、百二十七万人について後継者が決まっていない、このまま放置すると、中小企業廃業の急増により、今後十年間、累計で約六百五十万人の雇用、そして二十二兆円のGDPが失われるんじゃないか、これはきのう世耕大臣も言われていました。

 こういう現状を踏まえて、やはり今後十年間で集中的な取り組みが必要だと思うんですが、大臣はどのように認識されて、どのように取り組もうとされているのか、まず教えていただきたいと思います。

世耕国務大臣 やはり、今御指摘のとおり、本当に危機的な状況だというふうに思います。単なる企業の後継ぎの問題ではなくて、やはり、二十二兆円のGDP、六百五十万人の雇用が失われるという、経済全体の問題として把握をしなければいけないと思っています。

 先ほど城内委員の御質問にもあったように、ああいういい技術を持っているのに継承できない。ただ、大企業にMアンドAされるというのは必ずしも悪いことではないとは思いますけれども、いい技術を持っているのにしっかり会社が継承されない。あるいは、黒字なのに廃業に追い込まれるというようなこと、これも本当に深刻だと思いますし、また、私の地元の和歌山のようなところでもそうですけれども、過疎地においては、例えば、そんな黒字ではないんだけれども、小さな町のスーパー、それが廃業してしまうと、その地域の生活そのものが成り立たなくなるというようなことも、事業承継がうまくいかないことによって、これから頻発してくるんではないかという危機感を持っております。

 そういう意味で、まず税の面からは、これはお答えしていいんですかね、今考えていることを。税の面からは、平成二十一年から事業承継税制というのを入れて、毎回毎回少しずつ改善しながらやってきているんですが、もう十年近くたっているのに、まだ利用した人は、相続、贈与、両方足して二千件程度という状況であります。これは、明らかに使い勝手が悪いわけであります。

 幾つかの視点があるんですけれども、まず、全額猶予されるわけではない、三分の二の八割までということですから、実質五〇%ちょっとしか猶予されないということ。あるいは、猶予されたとしても、その後いろいろなことが起こるわけですね、その条件が厳し過ぎる。例えば、同族で常に過半数持っていないと、それを割り込んだら直ちに税金を払ってもらいますよということになるわけですが、当然、第三者割り当て増資とか、いろいろな選択肢があるんですが、それが縛られてしまっている。

 あるいは、最終的に、先ほどの注射針の会社のように、十年頑張ってみたけれども、どこかに売却をする、そのときに、親から引き継いだときは一億円の価値のあった会社が、売却したときにはもう二千万円でしか売れなかったというときに、いきなり税務署がやってきて、はい、十年前の一億円分の相続税を払ってくださいね、これでは怖くて使えないとか、あるいは、雇用条件、八割を維持しなければいけない。これも、これからいろいろ、自動化とか生産性革命とかをやっていく中で、人手不足に対応して、退職した人を補充しないで機械化を進めるというような選択肢が縛られる。

 こういうやはり使い勝手の悪さがあって、二千件にとどまっています。

 毎回毎回建て増しのように改善はしてきていますが、ことし、来年度へ向けての税制改正では、抜本的な対策をぜひとりたいというふうに考えております。

富田委員 質問しようと思ったことを全部言われちゃったんですが、問題意識は全く同じだなというふうに思います。

 やはり、使い勝手が悪いという点で、何点か、今大臣が言われたように、承継後五年平均で雇用を八割維持しなきゃだめだと。先ほど城内議員も言われていましたけれども、これは小規模事業者にとっては本当に大変なことで、例えば、五人の従業員しかいないところ、二人やめちゃったらもう終わりなわけですから、そういったところを、やはりきちんとここを撤廃した方がいいんじゃないか。

 また、五年経過後も事業継続がこれは必要なんですね。免除となるのは破産や特別清算といった特別の場合のみだという、ここの部分がやはり大問題だと。

 先ほどお話しあったように、対象となるのが発行済み議決権株式の三分の二、これも問題で、しかも、代表者かつ筆頭株主の先代から代表者かつ筆頭株主の後継者への承継のみが対象だと。すごく限られている。三分の一が承継されない、あるいは、もとの親族がみんな株式を分散で持ってしまって、なかなか株式を集計していくということができなくなっている。

 こういったところを全部今回の税制改正でぜひ撤廃をしていきたいと思いますし、我が党の方も、財務省の主税局と一生懸命この点を詰めております。主税の理解もだんだんいただいていますので、何とかしていきたいなとは思うんですが、一番の問題は、先ほど大臣が言われた、猶予から、実際の相続、あるいは承継後の廃業、第三者への譲渡時に、承継時の事業資産の評価と異なる場合、今一億円が二千万と言われましたけれども、この評価がえを認めることができれば、事業を引き継ぐ方にとってかなりのインセンティブになるんじゃないか。ここが今回の肝だと思うんです。

 ここをぜひ財務省の方ともしっかり打ち合わせをした上で、この点をかち取っていきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 まさにそこが一番私も重要だというふうに思っております。

 一部団体の方ではもう完全に免除という声もありますけれども、やはり、売却したときの実際の売却価格に沿った形で納税をしてもらえるような形にするのが現実的ではないかというふうに思っております。

 これは今、政府内でも財務省と折衝をしておりますし、また、与党の税調でもいろいろ御議論をいただいているというふうに思いますが、ぜひこれは実現をしたい、経済産業省としてはそのように考えております。

富田委員 先ほどの城内議員の方から、ドイツにずっと暮らされていたのでドイツに詳しいということでお話しありましたが、ドイツの一〇〇%免除というのをいろいろ調べてみたんですが、やはり限定されている。かなり限定されていて、現預金の相当部分とか株などの金融資産、また、貸付不動産は猶予、免除の対象外になっているんです。これを日本にそのまま当てはめるというのはやはりなかなか難しいなと。

 中小企業団体からは免除を望む声が確かに我が党にも寄せられていますが、猶予からいきなり免除というのは、やはり一般の相続の納税者との公平性を考えたときにも、ちょっと難しいんじゃないか。みんなで集めれば、相続税を、脱法とは言いませんけれども、一切納めないで済むというような形ができることもありますので。

 今、評価がえをすれば、これは事実上、一部免除になるんです。一億円をもし二千万となれば八千万の免除になりますから、ここがやはり、大臣言われるように、本当に肝だというふうに思いますので、ぜひ経産省の方でもここを取り組んでいただきたいというふうに思います。

 また、会計の専門家団体から、事業承継税制の抜本的拡充に向けて、現在あります経営改善計画策定支援事業とか早期経営改善計画策定支援についても、新たな事業承継政策の中で活用できるようにしてもらえないか、自分たちの能力をきちんとその事業承継の面でも生かしてもらいたいというような提言がされております。この点については経産省はどのようにお考えでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣も御答弁させていただいておりますように、事業承継の前と、そしてまた、事業承継をした後の企業の磨き上げというものが大変大事だというふうに認識をさせていただいております。

 今委員御指摘のように、金融機関あるいは税理士、中小企業診断士、さまざまな支援にかかわっておられる方々がおられます。こういった方々に御協力をいただきまして、金融支援を伴いますような経営改善計画の策定支援、これはまだ今始めつつあるところでございますけれども、この事業承継に当たりましても集中的に実施をさせていただきたい、このように思っております。

 また、ことしの五月から、本格的な経営改善計画が必要となるさらにその早期の段階におきまして、資金繰り計画を中心とした、より簡易でスピーディーな経営改善計画を策定する、こういうことに対する御支援も始めております。

 このようなことも含めまして、総合的に企業を引き継ぎやすいような状況にさせていただく、こういった御支援を集中的に実施をさせていきたい、このように思っております。

富田委員 ぜひ集中的にやっていただきたいと思います。

 ある税理士さんから、経営改善計画と同じように、事業承継計画、十何年にわたって、やめていく方と新しく引き継ぐ方がどんなふうにやっていくかという計画書のサンプルを見せてもらいました。なかなかよく考えていらっしゃるなと。会社の資産がどういうふうに異動していくかとか、そういったものを全部含めて考えているというような御提言をいただきましたので、こういったものもぜひ中小企業庁の方で活用していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場問題について御質問をさせていただきます。

 大臣は、八月の二十三日から二十五日、フィンランドを訪問されて、オンカロの施設内にも入られ、また、立地自治体であるエウラヨキの関係者とも会談をしてきたというふうにお伺いをしております。

 実際にオンカロの地下施設に入ってみてどのような感想を抱かれたか。また、エウラヨキ自治体の皆さんと会談をされて、ここはポシヴァという会社が入ったんですが、四十年近く前からずっと関与してきて、今実際に始まっているというような状況だと思います。私も、今、民進党の幹事長をされております増子輝彦さんと二〇一三年の九月に二人で行ってきたんですが、大変感動しましたので、ぜひちょっと大臣の感想をお聞かせ願いたいと思います。

世耕国務大臣 まさに最終処分施設になるオンカロの現場を見させていただきました。私は、地下四百二十メートルまで入れていただいて、まさに掘削が進んでいく最先端のところも見ましたし、すぐその横で、キャスクをどういう形で収納するかということ、いろいろなテストの穴が掘られて、ここへキャスクを入れるんですというようなところも実際の現場を見てまいりました。相当慎重に慎重を重ねて、そして、あらゆる事態を想定してつくられているということを改めて感じたわけであります。

 そしてまた、一つ穴を掘るといっても、穴それぞれによって地層の走り方とか水の出方が違って、そのデータを細かくとりながら調査研究を進めているという姿にも大変参考になる思いがいたしまして、やはり百聞は一見にしかずで、これから最終処分の問題を担当して進めていかなければいけない大臣として、この現場を見れたということは非常に大きかったと思います。

 それともう一つ私が非常に関心を持っておりましたのは、地元自治体がどういう気持ちでいるのかということを知りたかったわけであります。そういう意味で、立地自治体であるエウラヨキ市を訪問して、市長ですとか市議会の皆さんと懇談をさせていただきました。

 このエウラヨキ市というのは、原発の立地というか、最終処分場自体がほぼ原発のサイトのそばにつくられているものですから、長年原発とともに生きてきた町でもあるわけですが、そういった中でも、特に、地域の理解を得ていく上で、事業者が非常に丁寧なコミュニケーションを長年にわたって積み重ねて、そして、信頼関係を構築してきたということを痛感いたしました。

 日本においても、そういうことをこれから、今ようやく科学的特性マップというのを示して最初の一歩を踏み出したわけでありますが、そういうコミュニケーションの重要さということを改めて感じたわけでありまして、今ちょっとNUMOでお騒がせをする事態が起こっていますが、これも直ちに厳正に対処をしながら、フィンランドの経験にも学びながら、一歩ずつ着実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

富田委員 今大臣言われたように、我々も見に行ったときに、オンカロについては、その前にスウェーデンのエスポ岩盤研究所の地下にも潜ってきたんですが、これはかなり大きな施設でした。このエスポと異なって、そのまま放射性廃棄物について処分するということで、将来の埋め戻しに向けて、トンネルの大きさとか壁面とか路面の処理についてもかなり考えながらやっている、必要最低限のことだけやっているんだというようなことでありました。

 実際に処分を行う予定の場所でさまざまな試験を行っており、こうした試験の積み重ねが信頼性や安全性につながっていくということを実感してきましたので、大臣も見ていただいて大変よかったと思います。

 また、エウラヨキの自治体、大臣が会った市長さんは多分我々のときとかわっているようですが、やはり同じ話をされていて、ポシヴァが入ってきて立地自治体としてどういうふうに感じたんだという質問をしましたら、一言で言うなら透明性だと。四十年前に初めてやってきたときから、透明性が重視されている、全部明らかにしてもらっていたということと、自治体のトップと事業者と規制機関のトップ、この三者が年に二、三回必ず会って、直接いろいろな話をしてきた、もし何か不祥事が生じた場合には自治体に必ずすぐ連絡する、そういう体制ができているので我々はうまくやっているんだと。

 こんなふうにも言っていました。一般住民が関心を持つのは経済的メリットと安全であり、安全については規制機関に依存している、規制機関に対する信頼がしっかりしていることが日本との大きな違いではないかと。規制機関は何でもきちんとやるんだということに対して、ここの自治体の住民の皆さんは物すごい信頼性がある、日本はそこがちょっとまだ心配だということで、なかなかうまくいかないのではないかというような提言もしていただきましたので、ぜひこういったことを参考にして、今後の最終処分場の設置に向けて活動をしていただきたいというふうに思います。

 今大臣言われた科学的特性マップ、この件でちょっとまた御質問をしたいんですが、七月に公表がされました。この科学的特性マップの公表について、どのような意義があるというふうに大臣は考えているでしょうか。

世耕国務大臣 まず、高レベル放射性廃棄物の最終処分は、今の世代の責任として解決をしていかなければいけない重要な課題だと思っています。しかし、今まで、処分地選定の最初の段階である文献調査にも入れていないという状況が長い間続いてきたわけであります。

 平成二十七年五月に最終処分法に基づく基本方針を改定しまして、最終処分の課題に国が前面に立って取り組むこととしました。それまでは自治体の手挙げ方式みたいな形になっていたわけですが。その具体的な取り組みの一つとして、専門家の検討や国際機関のレビューなどを経て、ことし七月に科学的特性マップを公表させてもらいました。

 このマップは、地層処分について広く国民の皆さんの関心と理解を深めていくことを目指しまして、地域の科学的特性について、全国一律の客観的で科学的な基準に基づいて、一般の方にもわかりやすいように、全国地図の形で示したものであります。

 今回の特性マップの提示というのは、あくまでも最終処分の実現に向けた長い長い道のりの最初の一歩ということになるわけでありますが、しかし、一方で、重要な一歩だというふうにも思っておりまして、このマップの提示を契機に、きめ細やかな対話活動を丁寧に行って、広く国民の皆さんの理解を得られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

富田委員 国民の理解を得るために意見交換会をずっと全国各地で行っているわけですが、その意見交換会の中で、ことしの十一月の六日ですか、埼玉会場での意見交換会で、出席していた学生から、謝金の提供があると知人から聞いて参加したという、ちょっと信じられないような発言があって、NUMOの皆さんも驚いたようです。

 その後、いろいろなやりとりがあり、また、大臣への報告もあり、大臣からもきちんと事実関係を調査しろというような指示があって、NUMOの方としては、委託先、その再委託先、そういうところでこういう問題が発生したということで、委託契約を解除して、過去の対話活動も含めて事実関係を徹底的に調査しようというような動きになっているようですが、どうも、新聞報道によると、去年もそういうふうにお金をもらったんだという学生が出てきたり、学生に対して直接調査するというのはなかなか難しいと思うんです、徹底調査というふうに言っても。NUMOの方で担当されると思うんですが。

 今後どういうふうにこの意見交換会を運営していったらいいのか、また、その徹底調査をどういうふうにしていったらいいのか、大臣はどのようにお考えでしょうか。

世耕国務大臣 まず、謝金を払って参加者を動員するなんということは、これはあってはならないことでありまして、NUMOは経産省の監督下にある組織でありますし、また、この意見交換会自身、NUMOと経産省の共催という形になっているわけでありまして、これは経産大臣として、国民の皆さんに本当に深くおわびをしたいというふうに思います。

 この意見交換会の動員が行われていたという報告は、私には十一月十四日に上がってきました。これは、うちの役所に上がってきたその日のうちに私に報告が参りました。

 私は、まず最初に指示をしたのは、NUMOから、そういう謝金での動員はしちゃだめだよという指示をして、まず委託先に委託をしていた、そして、その委託先がまた、そういう指示があるよということを言って再委託先に委託をしていたにもかかわらず、そこの社員が謝金を払って動員をする、何かそういうことをビジネスにしているような会社であるような気もするわけですけれども、そういうことを行っていたということでしたので、まず私が指示をしたのは、直ちにこの再委託先は仕事から外せということを言いました。これはもうその日のうちに外されております。

 さらに、その直接の委託先、これについてもできるだけ早く契約を解除しろという指示をしました。できるだけ早くというのは、もう既に人が動いてしまっているとか、支払いが発生しているようなことはちゃんと手当てしなければいけませんから、そういったことについては頼むけれども、そこを一日も早く整理をして、これも契約を解除しろ、指示が貫徹しなかったということで解除しろということで、これも十一月二十四日に解除をされています。

 私は、こういった意見交換会を、そもそも、ほぼ運営そのものを業者に丸投げしていたということが問題だというふうに思っています。これは実は、平成十九年、第一次政権のときにタウンミーティング問題というのがありまして、実はあのとき、収拾に、私、当時補佐官として当たりました。このとき、一つのルールとして、丸投げはだめだ、こういうタウンミーティングの類いの運営を丸投げ、当然、例えば照明とか新聞広告とか、単発の委託というのはあり得るわけですけれども、運営そのものを丸投げするのはだめだということで、それは実はもう政府のルールとしてあるわけですが、それが守られていなかったということです。

 そもそも、私、意見交換会を何も派手にやる必要は全くないと思っていまして、公民館にパイプ椅子を並べてやればいいんです。ちゃんと告知だけは、それぞれ地元の新聞に告知をし、あるいはウエブでも載せ、そしてソーシャルネットワークでもしっかり告知をして、後、それで人が来ないなら来ないで、それが今の最終処分に関する現実だとしっかり受けとめてやることが私は大切だと思っています。

 NUMOも今、基本的に広報が一番重要な業務なんです。それを丸投げするということ自体あり得ないので、全部手づくりでやれということを今指示して、次回の意見交換会から、もう契約は全部解除しましたので、手づくりでやってもらいたいというふうに思っております。

富田委員 大臣がおっしゃるとおりだと思うんです。なかなか国民の関心は高くありませんから、多分、意見交換会をやっても、本当に関心のある人はずっと注視していて来られるでしょうし、その中で新しい理解者をふやすということも大事だと思うんですが、こういったことをしてまでやる必要はない。

 国会の方で、超党派で、高レベル放射性廃棄物最終処分場問題を考える議連をつくっています。なかなか入っていただけません、やはり国会議員の中でも。ずっと取り組んでいる人間は、みんな一緒になって世界じゅうの施設を見て回っているんですが、最終的に、トイレなきマンションをつくるわけにはいかないわけですから、必ずどこかでやらなきゃならない。でも、オンカロは四十年かかりました。今やっておかないと大変なことになるということで議連としても取り組んでいますので、今大臣が言われたように、本当に手づくりでやって、理解を広げていくということが大事だと思いますので、ぜひ、大臣のリーダーシップで今後の意見交換会をそのようにとり行っていただきたいというように思います。

 最後に、ちょっと地熱発電の取り組みについて御質問したいというふうに思います。

 ことしの八月二十四日、アメリカ・カリフォルニア州のガイザースという地熱発電所を視察してきました。自費で行ってきましたので、これは強調しておきたいと思うんですが。

 ここは、一九六〇年に世界最大の地熱地帯であるガイザース地熱発電所をつくったと。順調に地熱発電を行っていたんですが、一九八〇年代半ばから蒸気の減衰によって発電量が低下して、どうしようもなくなってきた。そういう中で、実は、一九九七年、生活排水の処理水を地熱貯留層に注入するリチャージということを実施して、以降、発電能力は回復したということで、これを見せていただこうということで現場に行って、つぶさに見てきました。タービンとか発電機は富士電機製でした。やはり日本のタービンや発電機がしっかり地熱発電所で活動しているというのを見させていただきました。

 実は、このときに、JOGMECが、人工涵養技術、地熱の発電量維持のために人工的に外部から地下に注入する技術について、米国電力研究所、EPRIというらしいんですが、ここと共同研究をやっていると。すばらしいことだなというふうに思いました。日本でもやはりこういったことをどんどんやっていかなきゃいけないんじゃないかな。

 実は、イタリアのラルデレロという、地熱発電を初めて百十年前にやったところも、先ほどの増子さんと一緒におととし見に行ってきたんですが、ここもやはり、発電量が落ちてくることに備えて、バイオマスの発電所とコンバインにして新しい発電所をつくっていたんです。残念ながら、これはラルデレロからまた一時間行かなきゃならないのでその現場は見れなかったんですが、やはり世界はそういうふうに、一番先にやったところでも新しい技術を開発してそんなふうに取り組んでいるんだなというのを見てまいりました。

 今回の視察を踏まえて、実は八月三十日に菅官房長官にこのような提言を申し入れさせていただきました。「地熱発電について、地熱資源量の調査等を支援するとともに、従来型地熱発電の開発期間の短縮・開発コストの低減に資する技術開発や、大型化が期待される次世代地熱発電に関する技術開発等に取り組むこと。」

 これは、これまでもずっと、リードタイムを短くしろということをこの委員会で質問させていただいて、随分取り組んできていただいているんですが、やはり、安定的な電源ということで地熱というのは日本にとっては大事になると思いますので、経産省、資源エネルギー庁として、今後この地熱発電にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。

小野政府参考人 お答えします。

 地熱発電は、他の再生可能エネルギーと比較いたしまして、開発期間が長い、それから開発コストないし開発リスクが高い、加えまして、発電出力を長期間維持するための管理が難しい、今議員御指摘のように、運営している間に出力が落ちてしまう、このような問題が存在しております。

 議員御指摘の技術開発は、これらの課題を抜本的に開発し、地熱発電拡大の切り札になるものというふうに考えておりまして、これまでもいろいろな取り組みを行っているところでございます。

 例えば、掘削期間の大幅な短縮やコスト低減につなげるものといたしまして、より精度の高い探査技術の開発、それから高温の地盤を掘削する技術の開発、加えまして、今ありました人工涵養、人工的に地下に注水し蒸気量を維持することで安定的な発電量を確保するという技術開発に取り組んでいるところでございます。

 さらに、次世代の技術、これも御指摘ありました技術でございますけれども、通常よりもさらに深い地層からより高温高圧の蒸気を取り出すことで発電出力を飛躍的に高める、超臨界地熱発電というふうに呼んでいますけれども、これについても開発に着手しているところでございます。

 今後とも、地熱発電のさらなる導入拡大に向け、これらの技術開発を強化してまいりたいというふうに考えております。

富田委員 ぜひ、資源エネルギー庁にも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 もうあと時間がありませんので、ちょっと大臣に提言をしておきたいと思うんですが、実は、この地熱発電所を見に行ったときに、ニューメキシコ州のカールズバッドというところに行きまして、核廃棄物隔離試験施設、WIPPという軍の核廃棄物の隔離施設を見せてもらいました。ここは実は三年前に火災を起こして、三年前にも行こうとしたんですがちょっと見せてもらえなくて、今回初めて入れたんですが、火災を起こしたということによって、そういう地下に入るのが本当に大変なんだということで、一時間近く防毒マスクのつけ方とかいろいろなことをやらされた上で中を見せていただいたんですが、こういった知見もきちんと得るということは大事だなというふうに、一つ、この施設を見させていただいて思いました。

 もう一つ、このときに、シリコンバレーでSAPという会社に行ってきたんですが、ここは世界四位、ITの産業では一挙に大きくなった会社で、このシリコンバレーの支社には四千人働いていて、その中に日本人が、小松原さんという、一人だけいたんです。彼からいろいろ、今アメリカでITがどういうふうに進んでいるかといろいろなことを教えてもらったんです。

 先ほど、自動走行の話とかありましたけれども、UPSという本来配送業の会社が、全米は広いものですから、本当は物を運んでいるのに、自分たちが受けたものを、3Dプリンターを各地域に置いておいて同じものをつくっちゃう、そこから配送する。だから、ずっと大陸を運送する必要がないような、そこまで考えてやっているというのを見せられて、ちょっと、日本、もう少ししっかりやっていかないと、自動走行を今どうするんだみたいなところはちゃんとやった上で、そこまでやっていく必要があるなというのを見せられましたので、ぜひそういったことも参考にして今後取り組んでいただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。終わります。

稲津委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、先日の大臣所信につきまして質疑をさせていただきます。

 早速ですが、大臣所信の中で、「商工中金は、今回の不正事案を踏まえ、解体的出直しをすることが必要不可欠です。」というふうに大臣ははっきりと言及をされています。

 それで、この商工中金についてですが、商工組合中央金庫、政府と民間が共同で出資をしていて、半官半民の政府系の金融機関である。規模は、メガバンクよりは小さいですが、地銀と比べたらトップクラス規模の人員も抱えて、資産規模もある。

 十年前に、行政改革の一環として完全民営化をすることがまず一旦決まりました。その後、リーマン・ショックが起こってしまった。それで、民間の金融機関の融資が収縮していきましたので、危機対応業務をどんどんやっていかなければならないということで、完全民営化が延期になりました。危機対応業務を行うことになったわけでございます、利子を税金で補填するというような融資でございますが。このリーマン・ショックでも、商工中金が危機対応業務をしっかり行ったことでかなりの企業が救われたというのは確かなことだというふうに思います。

 その後、今度はまた、東日本大震災が起こってしまいました。これで二度目の、完全民営化の期限が延期をされた。

 そして、二年前にまた法改正があって、そのときの根拠として、危機対応融資はまだまだやらなければ日本経済はうまくいかないんだということで、商工中金の危機対応業務への需要はたくさんあるんだということで、完全民営化が期限を区切らず延期を二年前にまたされたわけでございます。

 そして、危機対応融資に関する不正の融資が発覚をしたわけでございます。本来は危機対応融資に該当しないのに、書類を改ざんしたりして、これは危機対応融資だということにして融資をどんどん行っていったということでございます。

 これは、検査をしているうちに、かなりの数あるぞということになりまして、衆議院の経済産業委員会でも私も取り上げましたけれども、その後、参議院では決算委員会でかなり、議事録を調べましたら、取り上げられていました。

 大臣は、全件検査をきっぱりと行います、金融庁、財務省とも協力をして全部あぶり出しますということで、十月二十五日に、全件検査の結果、それから、処分、再発防止策等が発表されたわけでございます。

 これは内容がそれなりに長いですので、きょうは、その発表しているものは資料で配付をさせていただきました。全部で七ページでございます。

 一ページ目を見てみましても、不正があると判明した口座が四千六百九、営業店数が九十七、融資実行額が二千六百四十六億四千九百万、不正行為者数四百四十四名。まだ判定不能だというふうに言われているものもあるわけでございます。

 例えば、九十七店舗というのは、国内の商工中金の店舗数は百店舗ですので、ほとんど全部の店舗で不正が見つかったということです。

 それから、二千六百四十六億円という不正融資の金額も、この商工中金の資本金は二千億ちょっとですから、それよりも大きい金額が不正融資されてきた。

 それから、職員数が三千八百八十六人、前年度末はそのぐらいの人数ですけれども、四百四十四名も不正行為に加担をしていた。これは、営業にかかわった職員は延べ約二千三百人だそうですから、二割ぐらいの人たちが不正にかかわっていたわけです。

 これは、ちょっとした不祥事どころではない、本当に大きな問題だと思います。しかも、税金も投入されている。それから、半分近くは政府が出資している政府系金融機関なわけでございます。

 これは、このままで組織はいいのかどうか、そもそも組織自体が続けていていいのかというような大きな問題だと思うんですが、大臣、これだけ大規模な不正の発覚を受けて、いかがお考えでしょうか。

世耕国務大臣 一連の経緯を御説明いただいて、ありがとうございました。

 まさに、私が何度も申し上げているように、これはもう本当に大変な事態だというふうに思っておりまして、商工中金はまさに解体的出直しが必要だというふうに思っております。

 今、私の指示で商工中金の在り方検討会というのを立ち上げました。ここには、学者の方、あるいは地域金融の専門家の方、あるいは企業のガバナンスに精通をしている方々にお集まりをいただきました。私の方から、第一回目には、ともかく予断を持たずに、ゼロベースで徹底的に議論をしていただきたいということも申し上げました。この検討会のまず検討結果を待ちたいと思っています。

 私も議事録を読んでいますが、いろいろな角度から御意見が出ております。この検討会で取りまとめていただいたことはしっかりと受けとめて、それを踏まえた改革にしてまいりたいというふうに思っております。

落合委員 解体的出直しというのは、出直しが前提になっているわけですが、私は解体も含めて検討するべきだというふうに思います。

 きょうは金融庁からもいらしていただいていますけれども、金融庁は、民間の金融機関も検査をしています。これは、民間の金融機関、しかも、地銀のレベルで考えてみると、トップクラスの規模があるようなそういう金融機関が、ほぼ全店舗で、しかも、営業をしている方の二割ぐらいが不正にかかわったと。こんな大きい不祥事を、私も元銀行員ですけれども、聞いたことがないんですが、今まで、金融庁は検査していて、こんな大きな不祥事というのはあったんでしょうか。

井藤政府参考人 過去の事案との比較というものは、なかなか一概にはコメントでき得ないかと思いますけれども、今回の事案につきましては、金融庁といたしましても、大変大きな、重大な問題であるというふうに受けとめておりまして、大変遺憾であるというふうに考えてございます。

落合委員 気を使わなきゃいけない部分もあると思うんですが、民間の金融機関であれば、私はもっともっと金融庁が厳しくがんがんやっていた事例だと思います。民間の金融機関でしたら、どんどんどんどん処分が発表されていますので。

 これは、あともう一つ問題だと思うのが、資料の二ページ目の下の方に、今回は危機対応業務の危機対応融資についての全件検査をしたわけですけれども、調査中に危機対応業務以外の改ざん、不正行為が確認されている。主な例が四つ出ていますが、これだけ出てきているんですから、今回、全件検査といっても、危機対応融資に関するものしかしていないわけです。

 これは大臣、監督責任がある官庁のトップとして、全件検査をやったといっても危機対応融資に関するものだけなんですから、それに派生して、これだけ大きなほかの問題も出てきている。危機対応融資だけじゃなくて、もっと全体的な検査をしないと国民は納得しないのではないでしょうか。いかがですか。

世耕国務大臣 危機対応融資は、これはまさに国の補助金が入っている業務ということで、これに関する不正ということですから、我々は、全件調査を行って、そして、当然、不正に使われた補助金についてはしっかり返してもらう。そういう意味で、この危機対応業務に関する検査、調査をずっとやってきたわけであります。

 今御指摘のように、今回、当然、立入検査を行ったわけであります。立入検査はまさに金融機関としてのチェックも含まれていますから、かなり金融庁が中心になった立入検査だったというふうに認識をしておりますけれども、その立入検査の中で、危機対応業務以外にも多くの分野で不正行為ですとか不適切な行為が判明したということ、これも非常に重大な問題だというふうに思っています。

 これらの不正行為などについては、必ずしも補助金とは関係はしないわけでありますけれども、これはやはり、金融機関として不適切ということになるわけですから、商工中金が、そういった不正行為の概要ですとか今後の対応方針というのは今御指摘の資料で既に表明をしているわけでありまして、現在調査中の案件については、今後とも、しっかりと調査をして、適切に対応をしていってほしいというふうに思っております。

落合委員 今大臣から、金融機関としても不適切だという発言もございました。

 金融庁に伺いたいんですけれども、金融機関を監督する立場である、ある意味、監督のプロであるわけでもあります。今大臣に伺ったことを金融庁にも伺いたいんですが、全件検査に準ずるような検査を危機対応融資の案件以外にもする必要があるのではないか。これがまずお伺いしたい一点目。

 それからもう一つは、これまでも金融庁は商工中金に対して何回も何回も検査をしてきたんです。それなのに、今回発覚するまで、はっきりとこういった事例が出てこなかった。でも、危機対応融資のこれだけの割合、しかも、ほぼ全部の店舗で不正が行われたことを見抜けなかったんです。これは何でですか。金融庁の検査に問題があるんじゃないでしょうか。

 この二点、お聞かせください。

井藤政府参考人 先生御指摘のとおり、商工中金に対しましては、過去におきましても、直近でいいますと平成二十四年から二十五年にかけて、また、平成二十年、十七年から十八年にかけて、十六年とやっておりますけれども、今回のような点について必ずしも十分な指摘ができていないということについては、我々もしっかりと反省すべきところは反省していきたいというふうに考えてございます。

 それで、今回の検査でございますけれども、まさに非常に大きな問題だというふうに考えている事象が出てきたものですから、我々といたしまして、危機対応業務に関する不正行為の根本原因でありますとか、商工中金の法令遵守態勢、内部管理態勢及び経営管理態勢の状況について検証をさせていただきました。

 この検証につきましては、私どもが民間金融機関に対して通常行っておりますような深度以上というか、それは状況に応じましてですけれども、決して遜色のないような形でしっかりと検査させていただけておりまして、今回のような根本原因の特定等にもつながっているものだというふうに承知しております。

落合委員 それは、要は危機対応融資に対する検査の答弁だと思うんですけれども、派生して、ここに書いてある四つのいろいろな、資料の改ざんとか自作とか、チェックシートの自作ですとか、具体的に出てきているわけです。これに対して検査を徹底的に追加で行うのかどうかということが一点目。

 それから、反省するべきところは反省するとおっしゃりましたけれども、反省するだけでは、同じ間違いを繰り返す可能性があるわけです。しかも、今回、ほとんどの店舗で、二千億もの融資額で、しかも二割の人がかかわっている不正さえも何年も見抜けなかったという失態をしているわけです。これは、反省するべきところは反省するだけじゃ組織の存在意義がないんじゃないですか。これはどう行動するんですか。それをお聞かせください。

井藤政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしまして、個別に、危機対応融資以外についてもいろいろ問題点が出てきたということでございますが、そうしたことにつきましては、必ずしも検査するかどうかということについてはこの場でなかなかコメントをすること、言及することはできませんけれども、私ども金融庁といたしましては、金融機関については、立入検査も含めて、オン、オフ一体という形で、さまざまな必要な形でモニタリングをやっております。

 したがいまして、必要な形でしっかりとモニタリングをしていきたいというふうに考えてございまして、商工中金のガバナンスというもの、あるいは、こういった法令遵守態勢といったものがどのように改善していくのかということにつきましては、非常に力点を置いてと申しましょうか、しっかりとモニタリングをしていきたいというふうに考えてございます。

落合委員 はっきりとした言及がなかったので、経産委員会ですので、これは改めて財金かどこかで取り上げさせていただければと思いますので、これは引き続き継続をさせてもらいます。

 では、大臣に伺いたいんですが、これだけ大きな、単に反省しますでは済まされないような今回は不祥事だというふうに思います。これは、監督責任、それから中小企業庁に関係するものですので、大臣がリーダーとしてしっかりと責任をとらせるということが重要だと思います。

 これは、問題に対して責任はしっかりととらせるということでよろしいですね。

世耕国務大臣 私が出した二度目の業務改善命令に基づいて、商工中金は、今の役員の報酬を四月の第三者委員会調査結果の公表時と比較して、最初ははっきり言って甘い処分だったと思いますが、大幅に減額する処分を実施しています。さらに、もう既に退任をされている役員についても同程度の大幅な自主返納を要請したという形になっています。安達社長、これはもういずれかわっていただくことになると思っていますが、安達社長は、任期中、残りの任期はもう無報酬で働いてもらう、解体的出直しの準備に取り組んでもらいつつ、後任の人選はいろいろな形で進めていくという形になっています。

 また、職員についても、実際に手を染めた人だけではなくて、支店での監督者ですとか本部の関係部署の職員も含めて、全職員の二割に当たる八百十三名に上る処分を行っております。

 その上で、人事面での刷新が必要だというふうに思っていますし、安達社長からも、適切な時期に退任をしたいという意思表明もいただいているわけであります。

 その上で、今、検討会で御議論をいただいている解体的出直しの方向性というのをしっかり定めていきたいと思います。

 また、経産省にも責任があるというふうに思っています。我々は、具体的には、業務報告書ですとか中間業務報告書、あるいは業務運営委員会による点検結果などによって状況を把握しながら商工中金に対して適宜指導を実施してきましたし、二、三年ごとに定期的に商工中金の本支店に対して数カ月にわたる長期の立入検査ということもやって、業務の実施状況の確認ということをやってきたわけであります。

 人のお金をどこかへ流していないかとか、情実融資が行われていないか、そういうチェックをやってきたわけですが、帳票そのものを偽造しているということを見抜けなかった、これは結果として経産省にも責任がある、監督責任があるというふうに受けとめておりまして、私自身も俸給の二カ月分を自主返納させていただきました。そして、事務次官と中小企業庁長官に対しては、厳重注意処分を行うとともに、彼らも俸給の一〇%、二カ月分をそれぞれ自主返納という対処もさせていただいております。

落合委員 商工中金に対しても処分を下して、関係する経産省の各役人に対しても、自分も含めてしっかりと対応したということで、今回のこの発覚した問題に対する罰則、罰としては、最大限の罰をしているというふうに言ってよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 いわゆる処分という観点では、最大限の処分は行われて、一定のけじめはついていると思います。

 ただ、やはり、商工中金のあり方そのものを見直すという本格的な改革というのは、まだ今、検討会で御議論をいただいている段階であります。そんなに時間をかけるつもりはありません。早く結論を出して、解体的出直し、これは、たとえ商工中金の役職員に痛みが伴うものであっても、しっかりとした解体的出直しをやっていただきたいというふうに思っています。

 そういう意味で、今回の事案を完結させるには、その解体的出直しをしっかりやるところまで見届けなければいけないと思っております。

落合委員 処分について、大臣、所見を伺いたいんですけれども、資料のところの何行目かに、商工中金法五十九条に基づいて行政処分を行いましたと。

 五十九条というのは何が書いてあるのかなというふうに見てみると、今回のような不祥事があったときにいろいろな措置を行うことができるということが書いてあるんですが、よく見てみると、処分については六十条というものもあるんです。五十九条より六十条の方が厳しいんですけれども、これは五十九条が妥当なんですかね。それから、六十条に基づいて処分を行うことも、今後、何かほかに出てきたらあり得るのか。どうでしょうか。

世耕国務大臣 もともと、これは法律の考え方として、まず、この五十九条に基づいて業務改善命令を出す、それによって自主的な業務の改善、見直しを求める、その上で、それに従っていない、違反をしているというような場合には、業務停止命令ですとか、あるいは取締役の解任命令を発出する、これが基本的にこの法律のたてつけだというふうに思っています。

 業務改善命令を経ないでいきなり業務停止命令を発出するケース、これが想定されるのは、例えば、今すぐ業務を停止しなければ預金がどんどん流出をして破綻をしてしまうような場合ですとか、あるいは、業務を継続すると顧客への悪影響が拡大をする、そういう意味で、緊急的に差し迫った事情があった場合は業務停止をいきなり行うという例外的なケースもあるというふうに思っています。

 今回のケースでは、現時点では、中小企業向けの指定金融機関というのは商工中金しかないわけであります。業務停止命令とか役員の解任をやって事実上業務ができないという状況になって、その最中に例えばリーマン・ショックのようなことが起こって、危機対応業務を本当にやってもらわなければいけないというようなことがあったときに支障が出るというふうに、中小企業の資金繰りに支障が出かねないという状況であります。

 これは、指定金融機関が複数あればそういうことも考えられるのかもしれませんが、今は唯一ということでありますので、まずは、厳しい人事上の処分はしっかりやった上で、業務改善命令もしっかり出して、そして、その上で解体的出直しを、外部の有識者の御意見も伺いながらやっていくというのが妥当なやり方ではないかというふうに思っています。

落合委員 今答弁していただいた内容は、法律の条文を読むと、答弁よりかもうちょっとバーが低いと私は思います。なので、これも、六十条という選択肢もあるということは今後も注視しながら見させていただきたいと思います。

 もう一つ確認なんですけれども、今の社長に何でこんなことをやったんだと追及しても、これは何年も前のものもあるわけですから、過去の責任というものも問うていかなければならないと思います。

 これも質問させてもらえればと思うんですが、資料の四ページ目、退任済みの役員に対しても処分を行いますということで発表がされているんですが、これは「自主返納の要請」というふうにあります。これはもう退任された方ですからいろいろと難しい問題があると思うんですが、自主返納の要請ですから、やってくれなかったらどうするのか。どれぐらい厳しく迫るんですか。

世耕国務大臣 退任された役員の方は、もう既に自主返納を完了されています。

落合委員 もう完了されているということでございます。

 いろいろと、監督が甘いんじゃないかとか監査が甘いんじゃないかとか言われる原因は、まあ、一時期は違いますけれども、歴代の事務次官が、天下りというか、天下りと見られる、社長に就任してきたというような問題、問題というかそれが指摘をいろいろなところでされてきたわけでございます。

 次は、社長は交代するということですが、経産省OBでない方がつくように、大臣からもそういう要請をしていくのかということと、これは、一回民間人になります、ただ、その後また経産省の歴代事務次官が社長になりますというのでは、一回間を置いただけで、ちゃんと反省したのかという問題になります。

 ここの問題については、大臣、ちゃんとリーダーシップを発揮するんですか。いかがですか。

世耕国務大臣 これは、商工中金というのは、商工中金法という法律もあるわけですが、それ以前に、商法に基づく株式会社でありまして、そこの役員の選任手続というのは、まず社内で行われるわけです。私が持っている権限というのは、特に代表取締役を認可するという権限であります。

 そういう意味で、商工中金の中で、これから、私のつくっている検討会から出てくる解体的出直しの方向性なども含めて、その方向に沿ったふさわしい人を商工中金の最終的には株主総会でしっかり決めていただくということが重要だというふうに思っていますけれども、いずれにしても、今回は、こういう事案も起こったわけでありますし、民間の中小企業を助ける役割を果たしているという商工中金の使命から考えれば、当然、民間からしかるべき人が選ばれていくべきだというふうに思っています。

落合委員 人事は会社で決めるべきだ、それはごもっともなんですけれども、株の四六%は政府が持っている、これは財務大臣が持っているという形になっていると思いますけれども、半分近くは、要は、政府の意見が言える立場にあるわけです。やはりここは、しっかりとけじめをつけさせる、そういう姿勢を示して政府も行動していかなければならないというふうに思います。

 それから、天下りか天下りでないかという議論は何回も、私もさせてもらっていますし、予算委員会ですとか決算委員会でもそういう事例、取り上げられて議論がされているので、きょうはそれはおいておいたとしても、歴代の経産省の事務次官が、要は、中小企業庁長官の上司だった方が監督される側の金融機関の社長に歴代ついてきたこと、それから、ほかにも経産省のOBがいろいろな役職についている。役員の中にもいます。そういうことで、天下りではなかったとしても、そういう人事が歴代行われてきたことで監督が甘くなったということはありませんか。

世耕国務大臣 そういうことはないというふうに思っています。今回の不正事案も、かなり過去までさかのぼって見た結果、経産省OBの人が社長をやっているときだけではなくて、民間出身の人が社長をやっているときもたくさん起こっているわけでありまして、社長の出身がどこであるかということに関係なく、不正行為というのは継続して発生をしているというふうに思います。

 そういう意味では、まさに社内のガバナンスが非常に大きな問題だと思います。今回も、いろいろ我々も調査をしていますけれども、例えば、実質的な業務は副社長以下のプロパー組の人が集まって決めていたというようなこともあるようであります。こういうところも直していかなければいけません。当然、社長には、そういう改革がしっかりとやれる、そして、民間においてそういった改革を経験してきた人にやってもらうのがふさわしいというふうに考えております。

落合委員 社長は民間のときもあったということですが、歴代、役員の中にもOBが入っていますし、ほかの役職者の中にも入ってきた。歴代、人事の交流が行われてきたわけでございます。それから、危機対応業務を行うという経営方針も、政府が決めているわけです。これは、自由度というのがかなり低い中で経営が行われているわけですから、経産省、経産大臣の責任というものは大変大きいものがあると思います。

 最後の質問ですが、これは、危機対応融資のための予算というのが毎年ついてきたわけです。予算消化しないと次の年の予算がつかない。だから、経産省側から商工中金に対して無言のプレッシャーも含めてあった、それが行内のプレッシャーにつながっていった、こういう関係というのがあったんじゃないですか。大臣はどう認識されていますでしょうか。

世耕国務大臣 危機対応融資に必要な予算額、その事業規模というのは、その時々の経済金融状況を反映した経済対策に従って、業況が悪化している中小企業の資金繰りに万全を期す観点から額が判断をされて、措置として講じられてきているわけであります。

 そういう意味で、何か予算があったからそれを消化しなければいけないというのではなくて、経済状況に合わせてその予算を決めさせてもらっている。逆に、商工中金の中でそれを何かノルマのようにしたところが今回の問題の本質ではないかというふうに思います。

 しかしながら、今回の不正事案を踏まえて、この危機対応融資そのものについて、本当の危機のときに機能するように、要するに、今はリーマン・ショックの後遺症がまだ続いているからということで危機対応業務が続いてきたわけですが、本当にそれでいいのかどうかということは、これは抜本的に見直していく必要があるというふうに思っています。

 そういうときに、危機対応融資の対象となる危機とは何か。危機事象として認定をした後でも、経済動向や中小企業の資金繰りの状況、危機対応融資の実施状況などを踏まえて、その時々、継続の必要性をしっかりと検証していく必要があるというふうに思っています。

 これも、いずれにしても、あり方検討会の場で有識者の皆さんにしっかり御検討をいただきたいというふうに思っています。

落合委員 また改めて取り上げさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 立憲民主党の山崎誠でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私ども、立憲民主党、まず基本的なスタンスをお話をしたいんですが、原発ゼロを一日も早くと。それから、省エネを深掘りをし、再エネの普及をとにかく進めていく。そして、パリ協定がございます。気候変動対策については、脱炭素社会をやはり目指していくんだろう。

 前提として、東京電力福島第一原発事故の処理、被災者の皆さん、まだまだ避難生活を余儀なくされている方もたくさんいます。そういった方々にしっかりと手当てをしていく。原発ゼロということであれば、今まで立地自治体の皆様、本当に多くの協力をいただいています。そういった皆様の今後の生活、あるいは地域の活性をしっかりと支えていく。そういったものも全部パッケージにして、一つの社会変革としてこれを実行していきたいということを考えています。

 これは、今までの中央集権的な大きな巨大システムによったエネルギーあるいは社会の構造ではなくて、再生可能エネルギーが象徴します地域分散の、本当に地域創生につながるような社会変革だと思っています。

 そういった意味で、ここは非常に、原発をとめるというと、電力料金が上がるんじゃないかとか、経済の足を引っ張るなみたいな議論がありますが、私は全く逆でございまして、原発をとめて、再エネ、新しいシステムをつくっていくことが日本の経済を引っ張っていくんだという前提で今後議論をしていきたいと思っています。

 ちょっと世耕大臣にお聞きをしたいんですが、「日本と再生」という映画がございまして、副題が「光と風のギガワット作戦」という、河合弘之、原発の訴訟なんかでも有名な弁護士さんが監督をされて、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんが企画、監修しています。今、各地で自主上映の形でどんどんどんどん見ていただいています。この映画、ごらんになりましたか。

世耕国務大臣 見ていません。

山崎委員 ぜひ見ていただきたいというのをまずお話をしたいです。

 これは、ドキュメンタリーで、世界各地の再エネの取り組み、再生可能エネルギー、自然エネルギーの取り組みを網羅的に解説をしています。これは原発をどうするこうするという話ではなくて、事実として、やはり、経済産業大臣としてエネルギーの問題を取り扱っていただく限りは、批判的な見方でも構いません、ぜひ見ていただきたいと思います。

 この中で語られているのはヨーロッパだけではありません。アフリカもあれば、中国もあれば、アメリカもあれば、どこの国もやはり再エネにかじを切ろう、スピード感とかいろいろ違いはあるけれども、そういうことをきちっと語られています。日本でも、各地で再生可能エネルギーで地域活性化に取り組もうという事例が、私もお手伝いしていましたから、全国ご当地エネルギー協会という仲間がいまして、皆さん、地域で立ち上がっています。

 そういう流れが、私が今一番初めにお話しした、立憲民主党が目指す社会像の一つの流れだということで、これは単なる思いつきではなくて、世界の潮流なんだということをまずお話をさせていただきたい。ぜひごらんいただきたいと思います。

 質問通告をいたしました内容についてお聞きします。

 NUMOの科学的特性マップの意見交換会についてということで、公明党の富田委員からも御質問がありましたので、引き続く形でお話をしますが、謝金はけしからぬという、世耕大臣ありました。この事件をどうやって見抜きましたか。どうしてわかりましたか。

世耕国務大臣 私のところに報告が上がってきたのは十一月の十四日でありましたけれども、それの数日前ですか、実際に、意見交換会の現場で、学生が後でお金がもらえることになっているという発言があって、それが報道されたことが我々が知る端緒でありました。

山崎委員 先ほど言いましたよね、こういうことはあってはいけないんだと。謝金など払ってはいけませんよ、そういう集客はだめだということをお話をされた、あるいは、こういう丸投げはいけないんだということをお話をされている。その中で起きた事件ですよね。

 今、見抜いたきっかけというのは、たまたま参加した方がそういう話を聞いて、その方がたまたま報道の方にお話ができたから発覚したんですよ。組織として、こういうものをチェックして抑止する機能というのはあったんですか。

 もう一つは、こういうことをやっちゃいけないというのを、では、例えば、仕様書に書いてNUMOが委託先に出したか確認させていただきましたが、ありません。口頭でお話をしたと言いますが、それで本当に責任を果たして、先ほど言った丸投げはだめだよ、こういう謝金を払ったというようなことはだめだよということを組織として担保していると言えますか。

世耕国務大臣 ちょっと一点、私の先ほどの答弁を訂正させていただきたいと思いますが、この事案は、NUMOの方からみずから発表、公表をしたということで、報道はその後ということであります、時系列としては。

 その上で、今御指摘の点でありますけれども、一応指示はしていたわけです。NUMOの方から、まず、委託先である地域力活性化研究室ですか、ここには、そういう謝金を払って動員をするようなことはだめだよと言っていた。そして、その会社もさらに、再委託先のこのオーシャナイズという会社に対しても、こういう指示が来ているから絶対だめだと言っていた。ところが、そのオーシャナイズの、会社としてか社員としてかはわかりませんが、オーシャナイズが実際に学生を動員する際に、謝金を払うということを約束をして動員をしていたというのが今回のケースだと。

 今御指摘のように、反省点としては、そういう指示を発注のときの仕様書の中へ入れておくとか、当然、そんなことは、公平な意見交換会なんだから、やってはいけないのは当たり前だというのは我々やNUMOの感覚でありますが、このオーシャナイズというような会社は、例えば、民間でやるイベントに若い人がたくさん集まった方がいいからというようなときに動員をするのをビジネスとして請け負っているような会社ですから、そういう会社には我々とはまた違う感覚があったのかもしれません。そういうことも含めて、書面でしっかり指示をしておけばよかったという反省点はあります。

 ただ、これからは、意見交換会は私の指示で、全部手づくりでやります。NUMOが直接やります。それで人が集まらなかったら集まらなかったで、それも現実として受けとめるという姿勢でやっていきたいというふうに思いますので、今後はそういった、そもそも動員といったこともないし、ましてや、謝金を払うというようなことも絶対起こらないというふうに考えております。

山崎委員 世耕大臣、答弁が長いので、私ができるだけ説明します。できるだけ説明して、核心だけお答えいただけますか。

 今のお話、わかりました。今、この問題については調査委員会を立ち上げて、第三者というか評議委員ですか、調査委員会を立ち上げて調査中ですね。十二月いっぱいで結果が出るというふうにお聞きしました。ですよね。ということは、今までの、オーシャナイズだとか、元請のところ、地域力活性化研究会でしたか、そこが発注して作業した内容については、今、検証がこれから始まって調査をしているということだと私は認識をしているんですが、その認識なんですが。

 プレスリリースをつけました、資料に。この中に計画が書かれています。一ページ目の方には十二月の予定が入っていますよね。裏面を見ると、実施した結果が書いてありますよ。見ていただくと、十一月の、発覚してから、例えば十六、十七、二十、二十一、二十九、三十。発覚後ですよ、これは。謝金を払ったということが発覚後、実施をしています。

 それで、担当者に聞くと、これはもう関与させていませんから大丈夫ですと言うんですが、少なくとも、この十一月の会の皆さんは、オーシャナイズが声をかけて集めていたときに申し込んだ人たちが入っていますよ。オーシャナイズとか、今までの委託先が集めた人たちが参加した会を実施をしたんですよ、大臣。十二月も同じように、そういう方々が、セットをした会に人が入っている可能性もあると思いますよ。

 それで、大臣、委託先、今後は一切やりませんからもう大丈夫ですとしらを切るのはやめてください。もうやっているんですよ、今までの体制で。いかがですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁いただいたように、十一月十四日の時点で、事案の確認後直ちにNUMOは、一次委託先及び今回問題となった採択に対しまして……(山崎委員「それは知っているよ、わかっていますよ」と呼ぶ)その上で、一切かかわらせない旨を通告をし、再委託先の関係を断ち切っております。

 その再委託先、今固有名詞で申し上げますと、オーシャナイズは、みずからが誤った形で募集を行ったことを、関係する学生団体に周知をしております。周知をした上で、謝金の提供等は一切ないということを伝えたといった報告を受けておりまして、したがいまして、謝金の提供を受けて参加する学生が存在するというようなことは考えてございません。

山崎委員 では、調査会が調査したって意味ないじゃないですか。その話を真っ当に受けて、その説明を受けて、会は続行ですよ。それで調査しますと。

 では、調査は何なんですか。調査は、三十九人今払ったけれども、それ以外にもいろいろな問題があるんじゃないかというので調査するんでしょう。調査結果が出るまでは会はとめなきゃいけないじゃないですか。

村瀬政府参考人 先ほども大臣から御答弁いただいたかと思いますけれども、この科学的特性マップの説明会につきましては、長い道のりの一歩ということでございますけれども、貴重な意見をいただく機会だというふうに理解をしております。国民の方々の声を直接お伺いしていただく貴重な機会でございまして、細心の注意を払いながらも、これをしっかり続けていくということで対応させていただきたいというふうに考えてございます。

 もちろん、先ほど私が申し上げたような事実関係も含め、外部の有識者に入っていただいて、これは法曹界、具体的には弁護士の方にも入っていただいた調査チームを昨日立ち上げまして、第一回会合を早速開催してございます。ここの中でしっかりと事実関係を含め徹底的に調査をいただいて、年内をめどに報告をいただく、このようにお願いをしているところでございます。

山崎委員 時間がもったいないのでやめますが、この取り組みは、原発賛成、反対、関係ありません。どうしてもやらなきゃいけない大事なプロセスですよ。科学的特性マップをお出しになって、いい流れができたんじゃないですか、ある意味。大事な取り組みを始めた途端に起きた不正だから、ここは一回とまってやらないと。

 今の答弁にあったとおり、大事な合意形成の一歩なんでしょう。そこを踏み違っているから、注意しなさいという話なわけでしょう。長い道のりなんでしょう。急いだってしようがないじゃないですか。一カ月、二カ月とめて、きちっとやり直した方がいいんじゃないですか。最後、大臣。

世耕国務大臣 ただ、多くの方々は、オーシャナイズが関与しない形で、新聞広告とかそういうのを見て来られているわけですね。既にもう告知をして、それぞれ御予定も調整しながら参加をするという方々が、関心のある方々がほとんどだというふうに思います。

 そして、まずこのオーシャナイズに対しても我々は取り急ぎ調査をしたところ、発言内容に関して何か依頼をするというようなことは行っていない、謝金も現にまだ支払われるという段階ではなかったわけであります、今回の件に関しては。

 だから、そういう意味で、我々は既に告知したものについてはやるし、できるだけ早く、オーシャナイズは即刻外しましたし、委託関係もなくして、手づくりの説明会にさせていただくという改革に直ちに手をつけているわけであります。

山崎委員 本当にやめたいんですけれども、今の答弁も納得いきません。

 新しい参加者の、今回開く……(発言する者あり)うるさいな。今開く参加者の皆さんにも失礼だと言いたいんですよ。場合によっては、周りを見渡して、この人は一万円もらった人かな、そういう会になってしまうかもしれないじゃないですか。(世耕国務大臣「払ってないです」と呼ぶ)調べてないじゃないですか。そんな証明はできてないから、だから調査をかけるんでしょう。まあ、やめます。

 とにかく、この会を全部一回キャンセルして、調査がしっかりと一段落して、新しい体制で、手づくりでやってください。強く要望させていただきます。

 次の話題に行きたいんですが、いろいろあります。

 エネルギー基本計画に絡む、そして再生可能エネルギーに絡むお話をしたいんですが、エネルギー基本計画には、今、現行ですよ、再生可能エネルギーの目標、二二%から二四%、二〇三〇年、電源構成比でございます。これはキャップですか、あるいは目標設定、どういう意味合いのものですか。

保坂政府参考人 二〇三〇年を目標とする、エネルギー政策の大方針としてお示しをした数字でございます。

山崎委員 質問は、キャップですか、要するに、上限として設定しているものですか。

保坂政府参考人 その意味では、キャップではございません。

山崎委員 原発はどうですか。原発は今二〇から二二という目標がありますが、これはキャップ、あるいは目標値みたいなものですか。

保坂政府参考人 キャップではございません。

山崎委員 原発については目標値ですか。

保坂政府参考人 二〇三〇年を目標とする、全体の予想されている数字でございます。

山崎委員 今、再エネはキャップではないというお話がありましたね。ということは、いろいろな条件があると思いますよ。諸条件があって、諸条件が整えば、これは三〇%でも四〇%でも入れてもいいという、入れるべきだ、入れることができれば、そういう目標に、目標ではない、キャップではないんだから、どんどん伸ばしてもいいという意味ですね。

保坂政府参考人 この数字は、二〇三〇年度におけるエネルギー需給構造のあるべき姿として、エネルギーミックスとしてお示ししたものでございますので、これを踏まえて政府が各種の施策を実行していくものでございますが、再生可能エネルギーに係るミックスの、目標以上の、さらなる再エネ導入を阻害するものではございません。

山崎委員 阻害するものじゃないですね。この基本計画が、この数字、エネルギーミックスの数字を掲げているから、再エネを阻害するものではないということですね。

 次のページ、資料の二ページ目を見ていただきたいんですが、これは今全国で問題になっています、空き容量ゼロの問題と言われていますが、再生可能エネルギーを高圧でつなごうとすると、系統がいっぱいなのでつなげませんということを言われます。これは東北電力のホームページから、きのう、どうなっていたかなと思ってチェックしたんですが、変わっていませんでした。図の二を見ていただくと、黒刷りのところが今接続ができませんという回答が返ってくる地域で、平成二十八年の五月三十一日発表とありますが、そこからずっとこの状態で続いているという意味ですね。

 つなごうとすると負担金を要求される場合もあります。この事例だけではありません。負担金を言われる。例えば、数億のプロジェクトに対して十億円払えとか、あるいは、工事期間がかかるんだ、十年待ってくれと言われて、今地域で自然エネルギー、だから伸ばしたい、いいプロジェクトがたくさんあります。太陽光だけではありません。バイオマスの発電の話とか、小水力とか、いろいろいいプロジェクトがあるのに、この問題で今頓挫している。

 この問題について、今、経産省としてはどういうふうに対応されようとしていますか。

世耕国務大臣 送電線の運用ということになってくるわけですけれども、系統への接続というのは、電源が再生可能エネルギーなのか火力なのか、そういうことも問わずに、あくまでも接続契約の受け付け順に送電容量を確保するということになっているわけであります。

 仮に、ある時点で実際に流れている電気が少ないことをもって新たな電源の接続を認めるという運用にすると、もともと送電容量を確保していた電源が稼働した時点で、新たな電源の運用に制約が生じるということになります。

 ただ、我々も、再生可能エネルギーは可能な限り導入をしていくというのが我々の方針です。原発も、可能な限り原発依存度を下げるというのも我々の方針であります。そういう意味で、既存の送電線をどうやって有効に活用していくかということもよく考えていかなければいけないと思っています。

 例えば、イギリスなどでは、空き容量はないんだけれども、一定の制約を受ける約束をしてくれる事業者にはつながせてあげる。例えば、もう既に前から約束している人が、今とりあえず電源は稼働させていないんだけれども、その間だったら使っていいですよとか、そういう柔軟な運用、コネクト・アンド・マネージと言うそうですが、こういう考え方もあるというふうに思っていまして、いろいろな、送電線を最大限にどうやって活用していくかという仕組みを、実際に具体的な検討を進めてまいりたいと思っています。

山崎委員 ありがとうございます。大事な取り組みだと思って、それ自体を否定するものではもちろんありません。

 今のお話で、オープンアクセスとなったんです。なので、早い者勝ちで、どんどん系統を予約しておくというか、使うということですよね。

 では、先ほど言いました、エネルギー基本計画でも定めている数字の意味というのは違うんですよね。

 再エネについては、これはキャップではありませんと答弁がございました。伸ばしてもいいんですよ。三〇%、四〇%、それはいろいろな条件があるでしょう。伸ばしてもいい数字ですよね。

 原発は、エネルギー基本計画にもありますよね、依存度をできるだけ下げるという目標。これはもうありますから、ですから、場合によっては二〇%、必要がなければ一〇%、一五%と、あり得ますよね。

 そういうふうに認識したときに、今の空き容量の確保の仕方は、原発はフルにとるんですよ。そして、再エネが今入れなくなっているんですよ。わかりますか。

 また、例えば石炭火力についてもいろいろ議論はしたいんだが、二六%という目標があって、それに向けて、石炭火力発電所が実は今過剰なぐらい新規があって、計画があって、そのために容量がとられていて、再エネが入らないんですよ。こういう事態は、エネルギー基本計画の認識、定め方が悪いから、系統の運用もゆがめられているんじゃないですか、大臣。

 基本的な、今お話ししたような、再エネを伸ばす、原発依存を下げる、この方針に合っていないんじゃないですか。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 特定の電源を優先して接続を認めることとした場合には、後から接続を申し込んだ電源が先に接続を申し込んだ電源を排除してしまうことになり、事業の予見性を確保することを困難としてしまうと考えられます。このため、既に接続を申し込んでいる事業者との公平性を保つ観点から、慎重な検討が必要と考えてございます。

山崎委員 だから、それでオープンアクセスなんでしょう。それではエネルギー基本計画に言っていることが実現できないじゃないですかと言っているんですよ。エネルギー基本計画をたがえていいんですか。エネルギー基本計画に合っていないから言っているんです。

 それで、もう一つ言いましょう。

 世耕大臣、コネクト・マネージをやると言ってくださいましたよね。ぜひやっていただきたいんですけれども、ちょっと次の資料三を見ていただけますか。これは経産省の資料です。

 再エネ大量導入・次世代電力ネットワークの課題と検討の方向という資料で、見てください、系統制約のところの右に、日本版コネクト・アンド・マネージをやると書いてあるんです。いいですよ、これは。上を見てください。二〇三〇年に向けての取り組みとなっているんですけれども、これはどういうことですか。二〇三〇年までにこういうことをやるということですか。私はもっと深読みすると、ほかの資料にも出てくるんですが、二〇三〇年に二二から二四%を目標にした数字を掲げてこういう政策を議論しているんですよ、皆さん。これはキャップじゃないんですか。

世耕国務大臣 まず、送電線については、これは何も原子力に色をつけて先にという意味ではなくて、順番にということなんです。予約した順番にということでありますから、そういうルールでやっている。何も原子力を優先して再エネを差別しているという話ではありません。

 ただ、再エネは後発の人が多いですから、後発の発電所が多い。そういう問題に関しては、系統線の増強ということで対応していくとか、あるいはコネクト・アンド・マネージのような柔軟な対応をしていくということで考えているということでありますから、何もエネルギー基本計画に反しているということはありません。

 そして、コネクト・アンド・マネージに関しては、これは二〇三〇年と書いてありますが、二〇三〇年を待たずに、きちっと、成案したものから、成立したものから導入をしていくことにしております。

山崎委員 ぜひここは、要するに、既存の設備としてもう原発はできているから、だから、それを優先して入れているわけですよ、今。(世耕国務大臣「火力も」と呼ぶ)火力も。だけれども、それは、エネルギー基本計画が定めている依存度をできるだけ低減させようという方針と反する量が今予約されているんですよ。私はそう思いますが。これをまた議論すると時間がなくなっちゃうので、やめます。

 とにかく、今、再エネのピンチを救ってください。地域で本当にいいプロジェクトがたくさんあります。例えば、農林水産省の地域活性化のプロジェクト、ちょっとお手伝いしたことがございますが、再エネを入れて、農業も元気にして地域を元気にしよう。非常にいいプロジェクトがたくさんあるんですよ。みんなここでとまっているんですよ。みんなここでとまっているんです。待っているんですよ、みんな。

 なので、二〇三〇年なんて言わないで、できることはどんどん前倒しでやっていただく。あいている容量があるんですから、それをきちっと使うように指導してください。お願いします。

 もう時間がないので、ちょっと最後、もう一点だけ。

 いろいろやりたいことはあるんですけれども、再稼働問題で、私はどうしても気になる言葉がいつもあるんです。

 安倍総理も、世耕大臣の所信にも出てきました。世界最高水準の新規制基準で再稼働を認めていくという話。世界最高水準というのを非常に強調されていますが、いろいろ聞きたいことはあるんだが、例えば、飛行機のテロで、墜落、突入みたいな話がありますよね。これに対する対応、九・一一がありましたから、具体的なリスクとしてやはり考えなきゃいけないと思うんですが、この飛行機の対応をどう考えられていますか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 飛行機の墜落を原子力発電所の審査においてどのように扱っているか、こういう御質問だと思いますが、新規制基準の中におきましても、航空機の墜落、これは通常の事故による墜落も当然でございますけれども、それに加えまして、意図的な墜落ということが起きたときにも耐えられるように、そういう趣旨の基準を設けておりまして、それに従った審査を今までも行ってきている、こういうことでございます。

山崎委員 ちょっと素人なのでお聞きしたいんですが、使用済み核燃料のプールはどうやって守るんですか。使用済み核燃料のプール。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 飛行機の墜落がありますと、場合によっては、備えられている設備が損壊する、損傷する、こういうようなこともあり得ると考えてございます。

 その際においても災害の防止ができるように、備えの設備というものを別に設けるということを求めておりまして、これによって、使用済み燃料プール、あるいは、もちろん原子炉そのものもそうですけれども、ここの中にある放射性物質の大量の拡散が起きないような備えをするということを求めておるということでございます。

山崎委員 使用済み核燃料のプールを見たことがありますか。あれに突っ込んで、プールが破損して壊れたら、あの福一の事故で大変なことになったじゃないですか。

 それは、炉本体は確かに強固かもしれないので、突っ込んでも大丈夫かもしれない、コンクリートに守られているかもしれない。でも、使用済み核燃料のプールはそういうふうになっていないですよね。突っ込んで、破損してから、周りの設備で水を送るのか何か知らないが、それで復旧できるんですか。

 大臣、どう思いますか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済み燃料プールに直撃するというようなことを御心配なのかもしれませんが、当然、建物もございますし、水がある限りにおいては使用済み燃料が……(山崎委員「だから、プールが壊れるでしょう」と呼ぶ)プールが壊れるとおっしゃいますけれども、いきなり水が落ちる、なくなるということはなかなか考えがたいですし、水がなくなるというような状況が起きる場合におきましても、そこに対して水をまた注入する、こういうような設備もございます。

 加えまして、万が一の場合、どうしても放射性物質の放出が防げなかったという場合におきましても、その放出をなるべく緩和させる、その影響が大きくならないように水を遠くからかける、こういうような設備も要求してございまして、これによって、周辺の住民の方々に影響が及ぶことがないような措置を講じることを要求している、こういうことでございます。

稲津委員長 山崎君に申し上げます。

 申し合わせの時間が経過しておりますので、まとめてください。

山崎委員 終わります。

 もう、世界最高水準とか、そういう言葉を使うのをやめてくださいよ。危なくてしようがないじゃないですか、全然。今のお話で誰も納得しませんよ。また、規制庁とかをお呼びして、徹底的にやりたいと思います。

 世耕大臣、使わないでくださいよ。よろしくお願いします。世界最高水準という言葉は使わないでください。要望です。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 希望の党の浅野哲です。

 私は、これまで、電機産業の一企業で研究者として働きながら、日本のものづくり、そして、グローバル市場における厳しい競争現場に身を置いてきました。また同時に、労働組合の活動や国会議員の秘書としての仕事を通じて、懸命に働く人々の生の思いを聞いてまいりました。こうした現場の声を政治に反映させて、誰もが将来展望とやりがいを持って働き、安心して暮らせる社会の実現に貢献していきたいと考えております。

 きょうは、こうした思いのもと、これからの産業発展の鍵を握る第四次産業革命、そして、これまで日本のものづくりを支えてきた中小企業の後継者問題について質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、ソサエティー五・〇の実現に向けた対応について質問をさせていただきます。

 国内産業が再び活力を取り戻すための最大の鍵は、第四次産業革命の実践、すなわち、コネクテッド・インダストリーズの構築を通じてソサエティー五・〇を実現することであると認識をしております。ここで乗りおくれますと、成長と分配の好循環サイクルが構築できない。つまり、少子高齢化対策や社会保障政策などの社会政策を拡充するためにも、第四次産業革命を通じて着実な経済の好循環を実現しなければならない。この取り組みの役割の一つは、稼ぐこと、言いかえれば、グローバル競争の中で勝ち得る産業を創出することであると認識していますが、まず、大臣の認識を伺いたいと思います。

世耕国務大臣 第四次産業革命が進んでいく中で、本当に産業が大きく構造転換していく時期だというふうに思っています。そういう中で、日本のものづくり、あるいはサービス産業が国際的に競争力を持って、しっかりと世界のトップランナーとしてやっていけるように、いろいろな取り組みをしていかなければいけないと思っています。

 ドイツはインダストリー四・〇というのを掲げているわけでありますが、日本はコネクテッド・インダストリーズという考え方で、特に製造、サービスの現場に日本はたくさんのデータが蓄積をしています。そのデータが、まさに品質の高いものづくりから生まれてきたデータであるわけであります。それが、ただつながれずにそれぞれの現場に宝の山が置いたままになっておりますので、これをコネクテッド・インダストリーズの概念のもとでつないでいって、ビッグデータとして活用してさらなる製品の品質向上につなげていって、世界に勝っていくというのが我々の基本戦略であります。

 経産省としては、企業と企業、そして企業と個人、そして日本と海外とか、そういったものを全部データでつないで、新たな連携を起こすことによって、リアルなデータから付加価値の高い製品、サービスをつくって、それを社会課題の解決につなげる、コネクテッド・インダストリーズを通じてソサエティー五・〇を実現していきたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 コネクテッド・インダストリーズという概念を通じて、さまざまなリアルデータを有効に活用して、より生産性の高い産業を実現していこう、そういう考え方であるというふうに理解をいたしました。

 先ほど、これまでの質疑の中でも、例えば、自動運転、データの共有、そういうデータ共有プラットホームをつくったり、あるいはプラントでいえば、予兆診断技術、こういうことにも活用可能であるというような言及がありましたけれども、こういうコネクテッド・インダストリーズという考え方、そしてデータ利活用の環境を整えれば、必ずしもそういう産業の活性につながるかというと、実は、現場レベルではそうは認識がされておりません。

 それをこれから質問させていただきたいんですけれども、配付させていただいた資料の図一、図二をごらんください。これは、出願特許の観点から、日本と米国の特許の内訳を可視化したものになります。

 例えば図一を見ていただきますと、日本において、当面のビジネスと無関係な新技術の研究による発明、いわゆる革新的な技術、これが占める割合は約八%とされているのに対して、アメリカは、これが二四%であるというデータが出ております。

 また、出願件数自体においても、図二を見ていただきますと、中国や米国、日本、韓国、欧州といった各地域の出願数の推移としてあらわしておりますけれども、中国の右肩上がりの程度が極めて著しくて、直近でも、日本の約三倍以上の出願をしているという状況にあります。

 こういった現実を踏まえる中で、日本がどうやってこのグローバル競争の中でイニシアチブをとっていこうとしているのか。知財戦略の観点から、競争優位を実現するための考えについて伺いたいと思います。

宗像政府参考人 お答えいたします。

 日本の特許出願の数が海外に凌駕されているという御指摘がございました。

 日本から、しかも革新的技術がなかなか生まれにくくて、改良が多いのではないかという御指摘もあります。ただ、つぶさに見ますと、もちろん、ノーベル賞も出ておりますし、LEDとかiPSとかオートファジーとか、そういう画期的な技術が生まれていることは事実ではあります。

 ただ、日本でそういう基本技術がせっかく開発されたにもかかわらず、特許出願に対するサポートが不十分だったため、日本からの出願よりも外国からの出願が多くなってしまったというような、もったいない事例もございます。

 そこで、特許庁といたしましては、遺伝子の組み換えであるとか燃料電池、ナノカーボンなど、産学連携などによります最先端の研究開発プロジェクトに、知財紛争など経験豊富な専門家を派遣をいたしまして、事業で勝てる特許の取得に向けて支援をいたしております。

 中心となる特許だけを取って周辺を取らないで済ませてしまうと、そこにわっと海外の企業が出願をしてしまうとか、そういう事態が起こっておりますので、そういうことにならないように、戦略をアドバイスをする、紛争の経験豊富な専門家を派遣するというようなことをやっておりまして、その効果が上がるように努めてまいりたいと思っております。

 また、創業間もないベンチャー企業の中には、革新的な技術を持ちながら知財まで手が回らないとか、あるいは、そもそも知財を経営者がよく御存じないといったような例もあります。

 そこで、来年度から、ベンチャー支援経験のある弁護士、弁理士、あるいはベンチャーキャピタルの出身者など、ベンチャーの事情に詳しい専門家のチームによりまして、そういう革新的技術を持つベンチャー企業がしっかりした知財戦略を立てられるよう支援できますよう、予算を要求しているところでございます。

 そのほか、中小企業も、長年技術を磨いたところが革新的な技術を生み出している例がございます。しかし、国内からの特許出願に占める中小企業の割合が一五%程度となっておりまして、これはアメリカなどよりも低いということで、中国も中小企業のイノベーションをしっかり支援していくということを政策として掲げておりますので、日本といたしましても、これまで赤字企業に限定をされておりました特許料金の半減というものを、全ての中小企業を対象に半減をするということを検討しております。これによって、財務諸表の提出も不要になるなど、手続も大幅に簡単になると思っております。

 さまざまなところから革新的な技術は生まれておりますので、これが無駄にならないで、イノベーションとして結実するように、知財の面からもしっかりと支援をしてまいりたいと存じます。

浅野委員 どうもありがとうございました。

 確かに、要素技術の基本特許化というのは極めて重要なんですけれども、近年、グローバル化が進む中においては、応用技術の特許化、これをしっかり押さえていかないと、民間の企業も含めて、このグローバルマーケットの中で、この第四次産業革命の中で勝っていくことは非常に難しくなると思っておりますので、今おっしゃっていただいたような点での支援は、引き続き御検討いただきたいと思います。

 加えて、中小企業、今特許に占める出願の内訳は一五%という数字を挙げていただきました。中小企業の皆さんが、いろいろな応用特許につながるさまざまな技術を持っていらっしゃるんです。こうしたことを戦略的に特許化できるような、例えば、国の責任で、そういう特許インテリジェンスのような集約をして、こういう分野の特許がこれから強くなる、育っていく、そういったインテリジェンスの提供のようなこともぜひ御検討をしていただきたいと思っております。

 それでは、続きまして、研究開発税制についてお伺いをしていきたいと思います。

 今お話をさせていただいた、日本企業が、日本の産業がグローバルな中でしっかりと勝っていける、そういう環境をつくっていくためにも、今、研究開発税制といった視点でさまざまな国の施策が行われております。

 ただ、先ほど申し上げたような特許の出願内訳を見ますと、必ずしも諸外国をキャッチアップするような成果につながっているのかどうか、こういった部分でいささか疑問が残るものもあります。

 そこで、今の研究開発税制がしっかりと狙った効果を発揮できているのか、利用実績を含めたその実態についてお聞かせください。

末松政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、企業の競争力を強化して経済成長を実現していくためには、中長期的な安定的な研究開発投資が不可欠であるというふうに考えております。

 研究開発税制でございますが、企業の研究開発投資の一定割合を、法人税額から、税額から控除する制度でございまして、企業の規模とか業種を問わず、企業の研究開発投資を後押しするものでございます。

 本税制の適用額の実績でございますが、平成二十七年度で六千百五十八億円というふうになってございます。また、活用企業数は九千三社というふうになっているというのが実績でございます。

浅野委員 ありがとうございます。今、九千件近くの利用実績があるということでお答えをいただきました。

 私の本日の配付資料の図三をごらんください。これは、平成二十六年度及び二十七年度の研究費の主体別構成比というのを示しております。これを見ていただくとわかりますように、企業が全体の七割以上を占めるような現状があります。こういうことを踏まえますと、この研究開発税制をしっかりと有効に活用することが研究開発力の増進につながることは間違いないと思っております。

 そこで、これからの第四次産業革命という時代のうねりにしっかりと追従していくために、この研究開発税制が今のままでいいかと言われると、やはりこの特許の状況を見ればまだまだ改善の余地はあると思うんです。現在の税制に対して今後の動向を踏まえた課題認識、あるいは検討している内容がありましたら、お答え願います。

末松政府参考人 先ほど提出いただいた資料でもございますとおり、研究開発において企業の占める役割というのは非常に大きく、かつ重要でございます。企業がより革新的な研究開発に取り組めるよう環境整備をしていくということは、税制、ほかの制度を含めて、いろいろなことをしていくことが重要であると認識しております。

 この観点から、研究開発税制においては、企業が自前主義にとらわれることなく、外部からも新たな技術や知見を取り入れた技術革新を起こすことを促進すべく、平成二十七年度より、特別試験研究費税額控除制度、いわゆるオープンイノベーション型というものを拡充してきてございます。こういうことも活用していければというふうに思っています。

 さらに、委員御指摘のとおり、平成二十九年度税制改正におきましては、新たな分野の研究開発も支援していくということで、従来の支援対象に加えて、第四次産業革命型のサービスの開発を支援対象に追加したところでございます。

 また、さらなる改善に向けては、きょうの御指摘も踏まえて、現在用意されている税制の利活用状況を正確に把握するとともに、有識者や実務者の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えておりますし、なお、これらに加えて、委員御指摘のコネクテッド・インダストリーの推進に向けて、産業データを活用する取り組みについて必要となる情報システム、センサー、ロボット等のIoT投資を促進する税制措置の創設について税制改正要望を行っているところでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 これは意見として述べさせていただきますけれども、今、研究開発税制をサービス分野にも幅を広げていくというお話をしていただきました。ただ、第四次産業革命をしっかりと実践していくための産業をつくっていくためには、必ずしもサービスだけではないと思うんです。すぐれたサービスを実現する陰には、必ずすぐれたプロダクトも必要になります。

 例えば一例を挙げますと、アメリカのアップル社の場合は、もともとアイポッドですとかアイフォンというすぐれた革新的なプロダクトと、あとはアイチューンズですとかアップストアという極めて革新的なソフトウエア、プラットホームがあったからこそ、これだけの世の中の変革をもたらしたというふうに言われています。

 ですので、日本もこれから、サービスだけじゃなくて、しっかり、ものづくりというリアルな現場での積み上げがありますから、このプロダクト分野に対する税制面での拡充といったものもぜひとも前向きに検討していただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 次は、第四次産業革命に伴う就業構造転換について質問させていただきます。

 お配りした資料の図四をごらんいただきたいんですけれども、この図四には、これは、経済産業省が発表した新産業構造ビジョンの資料の中のワンスライドでございます。これは、各職業別に、二〇一五年度と比較して、二〇三〇年になったときにどの職業がどれぐらい従業者数が変化するのかというものを見積もった資料であります。

 例えば「製造・調達」という職業を見ますと、AIやロボットによる代替が進み、変革の成否を問わず、このまま、第四次産業革命が起こらないまま進んでも二百六十二万人の従業者数が減ります、もし第四次産業革命が軌道に乗った場合には二百九十七万人の従業者数の減となる、こういうことが書いてあるんです。ただ、これを素直に見ると、物すごい失業者数があふれるんじゃないかとか、そういう率直な不安を持つ方も少なくありません。

 ですので、ここではまず、この数字をどういうふうに解釈すればよいのか、ぜひ国民の皆様にわかりやすい説明をお願いいたします。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

中石政府参考人 お答えします。

 委員御指摘の「職業別の従業員数の変化」につきまして、これは、独立行政法人労働政策研究・研修機構が二〇一四年五月に公表した二〇三〇年における労働力人口の推計に基づき、経済産業省におきまして、さらに職業別従業員数の内訳を予測したものでございます。

 同研究機構の推計に基づき計算しますと、人口減少の中で現状放置をしていますと、労働力人口が年率〇・八%全体で下がってしまい、そして、経産省の予測を加えますと、ほぼ全ての業種で従業員数が減少するという結果が、まさにお配りいただいた資料に書いてあるとおりでございます。他方で、産業、就業構造の変革を進めていけば、労働力人口の減少は年率〇・二%程度にとどまるということで、職業別に見ますと、従業員数を減らす分野がある一方で、従業員数をふやす分野もあると予測しております。

 この中で、委員が御指摘のとおり、「製造・調達」については、変革が行われたとしても、二〇三〇年に二百九十七万人減少と私ども試算いたしました。しかし、これは同時に、この表の上下を見ていただきたいんですけれども、例えば製造の「上流工程」、すなわち研究開発や商品企画の業務、あるいは製造ラインのIoT化、セキュリティー対策等の「IT業務」、さらには、人工知能、ビッグデータを活用したソリューションビジネスとも呼んでおりますが、営業、企画、販売といったような分野におきましては、従業員者数の増加を見込んでおります。

 このように、製造業全体としてもし見た場合には、第四次産業革命に対応する中で、必ずしも失業者を生むのではなくて、従業員数の、職種を多角化していくことが重要というふうに考えておりまして、この構造変化に円滑かつ迅速に対応するために、まさに人材育成に取り組んでいくことが急務の課題というふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 今のお話ですと、実際に特定職業の従業者数は確かに減るんだけれども、そのかわり、ほかの職業分野への変換を推進していく、そのための人づくりが重要だという答弁であると理解をしました。

 それに関連して、今、第四次産業革命スキル習得講座認定制度という、そのスキルチェンジに備えた新しい制度の創設が検討されていると思います。これについて質問させていただきたいと思うんです。

 この第四次産業革命スキル習得講座認定制度についての事前相談が、ことしの八月十四日から九月二十二日の期間に受け付けられたということを聞いております。これに対してどのぐらいの相談があったのか、及び、こうした講座を今後運用していくに当たって、どれくらいの予算規模を国としては見積もっているのかについてお聞かせ願います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、第四次産業革命のもとでいろいろな新しいニーズが出てきて、それに対応する新しいスキルが必要になってくる。このために、ITとかデータ分野を中心に、社会人の学び直しが必要になってくるということでございます。

 こうした観点から、御指摘があった第四次産業革命スキル習得講座認定制度というのをことしの七月に創設をしております。制度としては創設しています。

 この制度は、AIとかデータサイエンスとかセキュリティー等のIT分野と、製造業等の個別業務分野、個別業界におけるITの利活用分野、この二つの分野について、社会人向けの専門性、実践性の高い教育訓練講座を経済産業大臣が認定するものであって、ことし十二月、今月ですけれども、講座の初回の認定を行い、来年四月から第一回の講座の受講を開始する予定でございます。したがいまして、制度はできているわけですけれども、認定はこれからで、受講はこれからです。

 数について御相談があったんですが、今審査中でございますので、ちょっとこの段階で数字についてコメントするのは控えさせていただきたいと思います。

 なお、本制度により認定を受けた講座のうち、厚労省が定める一定の要件を満たし、厚生労働大臣の指定を受けたものは専門実践教育訓練給付の対象となり、受講者が支払った費用の最大七割が助成されます。これについては、昨年度の初回受給者数は、専門実践教育訓練給付を受けた者は、約一万人となっているところでございます。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

浅野委員 ありがとうございます。

 専門実践教育訓練給付制度ですか、昨年の受講実績としては一万人ということで、恐らく、この第四次産業革命に対応した講座もこの枠組みの中でやられるということなんですけれども。

 先ほど、図四の表でお示ししたとおり、一万、二万の話じゃないんです。第四次産業革命というのを実践するに当たって、二〇三〇年までの間に何十万人、何百万人という規模での従業員数への影響があるわけです。

 ですから、既存の枠組みを応用した、そういう一万人、二万人規模の施策というのでは、とてもじゃないけれども間に合わないんじゃないか、そんな危機感を持っておりますので、ぜひとも、多くの働く人々の不安を払拭して、なおかつ、将来に向けて、しっかりとした安定した雇用、そして安定した生活を実現するためにも、こういった部分についても、国として責任ある計画的な対応をお願いをさせていただきたいと思います。

 そして、最後に、この件について大臣にお伺いをしたいと思います。

 今お話をさせていただきましたように、第四次産業革命、コネクテッド・インダストリーズの構築、そしてソサエティー五・〇の実現に向けては、知財分野でも、また就業構造転換に関しても、かなりの大きな日本の産業界の変革が求められていく、そんな時代が目の前にやってきていると思います。

 そういった中で、特に、働く人たちの暮らしを守って、しっかりと継続的に国民生活の安定を維持することも国の重要な役割だと思っておりますけれども、例えばスキルチェンジということが起こったとしても、雇用の安定や生活の安定を守らなければいけない。繰り返しになりますが、これは国の責任で行わなければいけないと思います。ですから、労働市場の流動健全性を担保するような雇用法制あるいは雇用ガイドラインの整備も当然ながら必要になっていくと思います。

 ですので、これは厚生労働省の範疇にも入っていくと思いますけれども、ぜひとも、こういったテーマに対しては、組織横断型の対策チームを組織して、時間軸を意識した着実な検討を進めていただくように大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

世耕国務大臣 今御指摘のように、AIとかロボットによって、かなり非定型業務まで自動化されていくという形になっていくんだろうと思います。

 この間もコンピューター雑誌を読んでいましたら、RPAといって、ロボティック・プロセス・オートメーション、エクセルの表づくりとかパワポの資料づくりとかウエブの検索とかは、もうワンクリックで全部人工知能を中心としたコンピューターがやってくれる。今、残業規制問題に悩んでいる大企業が続々とそのシステムを導入しているということでありまして、本当に、人の要求されるスキルというものがこれから大きく変わっていくということを実感していますし、もう一つ大きいのは、スキルの賞味期限が短くなってきているということだと思います。

 きのう、官邸で、人生百年構想会議、人づくり革命の会議がありまして、そこでプレゼンされた有識者の方が、今までの人生というのは、学校、仕事、引退となっていて、学校は文科省が面倒を見て、仕事は経産省と厚労省が見て、そして老後、引退後は厚生労働省が見るというようなことから、これからは仕事と学びがまだら模様に出てくる時代になってくる。だから、人の人生そのものもかなり変わってくる。

 そういう中で、我々も、今までみたいな画一的な省庁縦割りではなくて、省庁が連携をしてスピード感を持って取り組まなければいけないというふうに思っています。

 先ほど寺澤局長が答弁した第四次産業革命スキル習得講座というのは、これは実は画期的でして、厚労省の予算を使うものを経産大臣が認定するという、霞が関の常識では今まで考えられなかったことも始めておりまして、その辺、いろいろな柔軟な取り組みもしたいと思います。

 今委員から御言及のあった労働法制も、いろいろとこういった時代の変化に合わせて、人が生きやすいように、人がより豊かで幸せな人生を送れるように考え直していかなければいけない。これはぜひ与野党で建設的な議論をして、単に首切り法案だとか残業青天井法案と言わないで、どうやって働きやすい環境を第四次産業革命の中でつくっていくかということを、ぜひ野党の皆さんとも議論ができればというふうに思っています。

浅野委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、この第四次産業革命のうねりというのは、大きな時代を変え得るうねりだと思いますので、それに向けて今後も建設的な議論をさせていただきたいと思います。

 残り時間もわずかになってきましたので、続いて、中小企業支援について質問をさせていただきたいと思います。

 国の試算によれば、今後十年の間に、経営者の年齢が七十歳を超える中小企業・小規模事業者というのは約二百四十五万者、うち約半分の百二十七万者、これは日本企業全体の約三割を占める数字ですけれども、が後継者未決定という状況にあるということです。この現状を放置すると、先ほども出ましたけれども、二〇二五年までに約六百五十万人の雇用、そして約二十二兆円のGDPが失われる可能性があるということでありますから、事業承継については本当に喫緊の課題であると認識をしています。

 そこで、改めてお伺いしたいんですけれども、現在検討が進められている事業承継税制の見直し、来年度に向けた見直しの内容について、改めて概要をお伺いしたいと思います。特に、事業承継後の雇用維持要件、条件つき撤廃という部分がございます。この詳細についてぜひとも知りたいという声を私も地元から聞いておりますので、その部分について特にお伺いできればと思います。

安藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在の事業承継税制は、先ほど来大臣からも御答弁いただいておりますけれども、まだまだ利用率が大変低いという問題でございます。私ども、いろいろな形で中小企業の皆様方の生の声を聞きますと、一つは猶予のお話等々ございますけれども、やはり雇用の五年平均八割ということが大きな制約になっておるというお声もございます。

 委員御案内のとおり、現在、中小企業におきましては、まず、近年の深刻な人手不足問題、これはもう大変重たい問題でございます。努力をいたしましても、結果としてこの雇用要件を切ってしまって猶予が切れてしまうということによって、事業承継そのものをちゅうちょする大きな要因となっているというお声がございます。

 中小企業・小規模事業者の事業承継を円滑に進めるため、承継そのものをしっかりと確保していただくということが雇用の受け皿となっていくであろうというふうに考えております。五年平均八割というものをどういう形で緩和をさせていただくのか。撤廃を含めて、現在、今政府内で検討させていただいている、このような状況でございます。

浅野委員 どうもありがとうございます。

 この事業承継税制については、本当にかなり多くの、百二十七万者を超える多くの中小企業の経営者の方々が固唾をのんで見守っているような現場の状況もございますので、ぜひとも、より中小企業の経営者の方々の立場に立った制度としていただきたいと思っておりますし、それに向けて我々も建設的な議論を重ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間が参りましたのでこれで最後にいたしますけれども、後継者を育成するという観点で、中小企業大学校という制度がございます。

 現在、全国に九カ所あるんですけれども、ただ、きょうお配りした資料の図八及び図九を見ていただくと、立地地域の近郊で働いている方は比較的受講されている一方で、少し離れた場所で働いている方々はなかなか受講できないという現実がございます。それに受講料も、二日間研修だと二万二千円というのもありますが、経営管理者研修というコースになると、六十日間、五十四万七千円という、極めて長期間、高額な時間的、経済的コストを求められることになります。

 中小企業の後継を育成する必要性はわかりながらも、こうした時間あるいはコストを負担できずに泣く泣く諦めてしまったという実際の声も私は聞いております。

 ぜひとも、こうした部分で、今後、より使いやすい制度、より通いやすい助成制度といったものを検討していただきたいと思いますが、最後に、これについてよろしくお願いいたします。

稲津委員長 申し合わせの時間が経過していますので、答弁は簡潔にお願いします。

安藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今のアクセス改善の問題、また小規模事業者の方々も含めた利用のしやすさ、こういうものをしっかりと検討し、実施に移させていただければ、このように思っております。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

稲津委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 御質問の機会をいただきましたことにまずもって心から感謝を申し上げさせていただきながら、限られた時間ではございますので、先ほど浅野委員からは、グローバルの中で企業がいかに勝っていくか、そうした世界を見据えたさまざまなお話もございました。

 私は、地元の話も含めさせていただきながら、こうした企業が、合理化とかあるいは合併、効率化を進めていって力強くなっていく一方で、地域の中でそうしたさまざまな問題といいますか、波紋を呼ぶこともあるということも実例をもってお伝えをさせていただきながら、そのことについて、また、地方経済への影響とか、どう対処していくか、そしてまた大都市や地方との調和のあり方、こうしたことについて、大臣を初め皆様に御質問をさせていただければと思います。

 実例なんですけれども、私は北海道の南側を選挙区として活動させていただいている中でありますが、ことし九月末、そちらの地域の北海道室蘭市という、南側にあります港湾の町、港の町なんですけれども、こちらで、JXTGエネルギーの室蘭製造所が製造を中止するということを発表されました。

 JXTGエネルギーは、石油元売の国内最大手の企業でございます。合併を繰り返しながら今に至っているわけでありますけれども、北海道のこの室蘭は、先ほど申し上げましたけれども、立地上、大変昔から恵まれていたということもあって、一九五六年、六十年以上前でありますけれども、日本石油精製株式会社室蘭製油所を建設されて以来、非常に地元の企業として、何と言うのでしょうか、親しまれてきたというか、そうした企業でありましたので、そうした企業が縮小していくというのは、非常に、まず精神的なショックも大きかったという実情がございました。

 あわせて、経済的なショックも非常に大きかったということがございました。現段階で発表されている限りにおいても、直接的な雇用が二百三十人から三十人にまで縮小するだろうと。企業の中では、もちろん、配置転換ということで働き手の皆様は対処されるというようなことを表明されておられますけれども、いずれにしても、地域からは人がいなくなるだろうという可能性が今非常に懸念をされているところであります。

 そして関連企業も、当然、大企業でありますから非常に多くございますし、また、家族も含めれば、これは一つの試算でありますけれども、千五百人から二千人の人口減少につながるのではないかというような調査もあるということになっています。室蘭市という町は九万人を切る、そんな状態でありますから、千五百人から二千人程度の人口減少というのが、これは非常に大きなインパクトになるという可能性が今取り沙汰されているところであります。

 市の税収も、固定資産税、直接二億円以上は減るだろう。住民税もさらに減る。こうした影響は非常にはかり知れないということでもございますし、企業がいなくなるということは、あわせて、それの定期的な工事といいますか、メンテナンスも含めて二十億円以上のこうした経済効果があったということも失われるというような事態になってしまいました。

 こうした問題は、今、室蘭市の事例でお伝えをさせていただいたところでありますけれども、まず、大臣にお伺いする前に、私は、この事例は、特に石油をめぐるさまざまな情勢に関しては、この室蘭市に限ったことではないと思っております。

 例えばこの十年間でありますけれども、現実的に起こっている我が国の製油所の立地状況について、どんな変化があって、廃止された製油所がどれぐらいに上っているのか、まずそのことについてお伺いさせていただきたいと思いますけれども、こちらは資源エネルギー庁の皆様にお伺いさせていただきます。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇六年から二〇一六年までの直近十年間で、石油製品の需要は約二六%減少してございます。

 こうした需要の減少に伴い、この期間中に室蘭製油所を含む六カ所の製油所において、原油処理機能が停止され、化学品製造所や石油製品の配送拠点などへの転換ないしは製油所そのものの閉鎖が行われたものと承知しております。

山岡委員 ありがとうございます。

 今、六カ所ということがございました。全国二十八カ所あるという中で二十二カ所まで減ったということでありましょうから、少なくともこの業界だけでも二割の製油所が、こうした、生産しないという方向になったというのがこの十年間であるというお話でございました。

 国内需要も二六%減ったというお話もございました。そしてまた、別の業種に転換されている例もあるということでありますけれども、しかしながら、それぞれの地域で非常に痛みが広がったというのがこうした合併、合理化の流れの中で生まれているということは想像にかたくないというのが、私たちの地元の例をとっても言えることなんだろうと思っております。

 今後もまた大きな流れとして、もちろん、国内需要に二六%減というのが本当に大きなインパクトでありますから、これからもこういう流れは続いていくのかもしれませんが、これは、この十年間の中で製油所自体をどうしていくかという流れを決めていくに当たっては、この後述べさせていただきますけれども、経済産業省も非常にそこに、音頭をとったとまでは言えませんけれども、かかわってこられた中で、こういう状況をつくって流れをつくってきたものだというように私は理解をしているところであります。

 大臣にお伺いさせていただきます。

 大臣は所信表明の中で、生産性革命とか人づくり革命とか、そうしたワードをお使いになりながら、世界に向けて日本を大きく成長させる、そしてまた国際社会の中で戦っていくんだと、きょうの御質問の中でさまざまな委員からのお話もありましたけれども、そうしたお話、前向きなお話もたくさんございました。

 こうした中で、石油をめぐっては、例えば、平成二十六年に成立した産業競争力強化法に基づく調査において、国内おおむね供給過剰にあるということも示されている中で、国際社会の中で戦っていくという観点でいえば、これは、業界を大きく再編していかなければならないというような方向になるのではないかというような見通しもあるわけであります。

 まず総論として、こうした国際社会に立ち向かっていく中で、地方で起こっておりますこうした影響、波紋ということについて、大臣としてどのようにお考えか、そのことについてまずお伺いさせてください。

世耕国務大臣 製油所の合理化ですとか廃止というのは、民間の石油会社が国内需要の減少を踏まえて経営判断として進めている、生産設備の最適化や供給網の再構築の取り組みの一つだと理解をしています。

 パリ協定への対応ですとか、あるいはハイブリッドやEVがこれからふえてくるという環境を考えると、これからも石油需要に関してはかなり下押しの圧力が強いというところは否めないわけであります。

 そうやって国内市場が縮小する中にあって、国民生活や経済活動に不可欠な石油について、将来にわたって安定供給を確保するためには、やはり、サプライチェーンを支えるインフラですとか、あるいは担い手といったものをある程度効率化しながら維持をしていくというのが必要だというふうに考えておりまして、民間企業による取り組みというのは、これは避けられないものだというふうに考えているわけであります。

 一方で、私も実は和歌山県の有田市という地元の町は、これはJX、東燃の製油所が立地をしております。一時期これは高度化で閉鎖されるんじゃないかという話もあって、三万人ぐらいの町ですから、この工場が一つ閉鎖するともう町が本当に死んでしまうというぐらいの危機、そういう大規模な閉鎖には結果としては室蘭のようなことにはならなかったわけでありますが、地域の皆さんの気持ちは本当に痛いほどよくわかるわけでありまして、こういう製油所は長きにわたって、立地している地域の経済や雇用を支えてきた重要な存在だというふうに思っています。

 廃止、合理化に際しては、地域経済への影響をしっかり見ていかなければいけないと思いますし、影響を緩和する手段についてもよく配慮をしていく必要があるというふうに考えています。

山岡委員 ありがとうございます。

 今、その手段についてもしっかり考えていかなければならないということもお話ししていただきましたが、また後ほど、そのことも具体的なお話も伺えればと思っているんですけれども、国内需要のことが今はもうさんざん取り沙汰された中で、パリ協定もある。そうした中で、民間企業が進められたものということをお立場からお話しをいただいたところでございました。人口減少が本当に大きく進んでいく中で、企業みずからも考えていかなければならないということは、それはもう間違いのない事実であろうと思っております。

 ただ、これまでの経済産業省のさまざま出してきた、政府提案してきた法案や、そしてこれまでの御議論の経過を見るに当たっては、一概にこの石油精製をめぐる業界の再編というのは、私は、民間企業のみで進められたものではなくて、やはり、経済産業省も相当程度かかわってきたということを非常に感じているところであります。

 それが、これから中身のこともお伝えしていきたいんですけれども、一つ、先ほど高度化法の影響でということを大臣が一言おっしゃいましたけれども、二〇〇九年七月に政府提案により成立したエネルギー供給構造高度化法という法律でございます。これは、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用促進や、あるいは、化石エネルギー原料の有効利用の促進ということが法案文の中にうたわれていた。それを目的にされているものでありますけれども、非化石エネルギーとか、こうした利用促進をするんだとか、あるいは有効利用だとかということを言っているわけであります。

 私は、こうしたさまざまな法律が、具体的な話はまたこの後申し上げますが、業界の再編を促すことになったということを思っていることについて、まずはこの点について御質問させていただきたいんですけれども、この法律の目的について資源エネルギー庁の方からお願いさせていただけますか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のエネルギー供給構造高度化法、簡単に高度化法と申し上げておりますけれども、この目的は、エネルギー供給事業者による化石エネルギー原料の有効利用を促進する等を通じまして、エネルギーの安定かつ適切な供給を図ること、これを目的としております。

 これは石油供給について当てはめてみますと、石油会社に対して、比較的価格の低い重質原油から、より多くの付加価値の高い石油製品、例えばガソリンでございますけれども、これを生産する能力、より少ない原油から必要な石油製品を生産する能力、こういう能力の向上を求めることにより、原油の有効利用及び製油所の生産性、ひいては国際競争力の向上を促してきたというところでございます。

 民間の石油会社では、今大臣からもありましたように、国内需要の減少を踏まえて、経営判断として、生産設備の最適化、それから供給網の再構築、こういうふうに取り組んできたわけでございますけれども、こういう取り組みを行う中でこの高度化法にも対応してきたものというふうに考えております。

山岡委員 ありがとうございます。今部長から御答弁いただいたのは、あくまでも民間企業の経営判断としてというお話もございました。

 ところが、この高度化法の法文の中身を見てみますと、有効利用ということを書いているんですけれども、法文の中には、例えば化石燃料については、これは化石燃料だけじゃなくて幅広い分野への法律でありますから、化石燃料についてはということが書いてあるわけでありますけれども、生産設備の効率化などを通じて有効利用を促すということを法文に明記されている中身になっています。

 ですから、説明では有効利用ということになっているんですけれども、中身には、生産設備の効率化というのを明記しながらこれを進めていくんだという中身の政府提案の法案になっています。

 さらに法文上では、第九条に、目的や、計画的に取り組むべき措置、事業者の判断基準を経済産業大臣が定める、そして、公表してそれを明確にしていくんだということを書いている上に、第十九条以降には、目標に向けてそこに著しく伴わない場合に関しては罰則規定もつくるという、私個人にしてみればこれはかなり強烈な中身だなと思うわけでありますけれども、繰り返しになりますけれども、設備の効率化を進めるんです、それの計画は経産大臣が進めます、そして、それに著しく成果を出せないところに関しては罰則もありますという、そうした中身になっていることが法文を読むだけでも書かれているという中身になっています。

 この法文が成立したのは、法案が二〇〇九年の七月になりますけれども、大体このあたりから、この室蘭の事例をもっても恐縮ですけれども、こうした再編合理化の話はかなり加速度的に進んでいるんだろうという印象を持っております。

 そして、二〇〇九年七月に成立しているということは、事前に、提出の前の時点で与党の審査の段階もございましたでしょうし、この中で、法文の中に罰則規定も盛り込まれている、経済産業省はこうした法案を提出しようとしているという動きがあれば、業界としてはこれは非常に大きな関心事になるというのは、行政の方の皆様の理屈は別にしても、こうした背景があるということはやはり容易に想像できるものじゃないかということを考え得るわけです。

 そして、その中には生産設備の効率化が少なくとも盛り込まれるんだということも情報として伝わっていくことは、これは本当に状況としては十分起こり得ることだと思っております。

 私は、経済産業省がこうした法案をつくって無理やり、無理やりという言い方はよくないんですけれども、こうした流れをつくっていくこと自体を否定しているつもりはないんですけれども、この後も述べさせていただきますが、であるならば、なおさら、民間企業の判断で進めたことだとか、民間企業のこうした取り組みだということではなくて、一定の責任を持っていただきたいという思いを、地方に目配りをしていただきたいという思い、その問題意識を持って質問をさせていただいているところであります。

 この高度化法で実際実績も上げられたことなんだろうと思っております。この高度化法をやった中で、今、現時点に至って結果としてどんな状況がこの目的にのっとって生まれてきたのか、このことについてもあわせて部長にお伺いさせていただきたいと思います。

小野政府参考人 高度化法につきましては、今御指摘ありましたように、二〇〇九年の法律に基づきまして、第一次、第二次と二期間にわたって既に運用してきているところでございます。

 第二次について申し上げますと、二〇一四年四月から二〇一七年三月までの期間に当たりますけれども、この期間中、残油処理装置、先ほど、重質油からガソリン等のより付加価値の高いものに転換する装置というふうに申し上げておりますけれども、この装置の装備率、これは四五%から五〇%に引き上げられているということを見ますと、一定の効果はあったものというふうに認識しております。

山岡委員 ありがとうございます。

 今御説明をいただきましたけれども、告示の中身については、装備率を上げる、分母に対して分子を上げればいいということになっているわけですけれども、分母そのものを減らす企業が大変多くなったという結果を生んだばかりに、その分、総量を減らす、つまり企業を撤退させるという流れができたんだろうということを、先日、経済産業省の担当の方からもお話もいただいたところでございましたが、目的に対しては非常にこうした合理化が進んだということはお話をいただきました。

 そして、最初のお話にもございましたけれども、こうした体質強化ということは、やはり国際市場をにらんだときに、あるいは日本の国内市場をにらんだときに、必要なことであったということについては理解をしながらも、その結果、痛みが出ているわけであります。

 大臣は経済産業大臣という立場でもありますけれども、これはローカルの話で恐縮なんですけれども、和歌山が残って室蘭は厳しい思いになったという中で、室蘭は努力をしてこなかったわけではないんです。この六十年間の中で、当然、製油所というのはさまざまなトラブルもございます。火事が出たりもします。こうした中でも地域住民も理解をしてきた。

 そうした状況もありましたし、あるいは、何とか町として観光ともつなげられないか、夜間の風景というのをどうにか工場とともに生かせられないかという、観光のスポットにもしていこうという取り組みも先駆けて行ってきた。そんなエリアでもございました。

 上から眺める景観は非常にすばらしいものがございました。このライトが、これが明かりがつかなくなってしまうということは、これは本当に大きい精神的な影響があるんだということも十分御理解をいただきたいと思っておるんです。

 非常にローカルな話で恐縮なんですけれども、こうした、室蘭、実際の痛みのある地域に対して改めて思いをお伝えをいただければと思いますので、大臣から御答弁お願いします。

世耕国務大臣 和歌山が残ったのは、何かたまたまとか私に政治力があったとかそういう問題ではなくて、これは、自動車の潤滑油をかなり多品種につくる能力があるということで非常に他に代替がない工場だったということで、たまたま和歌山は余り大きな縮小にはならなかったということだと思っています。

 こういう製油所が立地している地域というのは、私も地元にあるものですからよくわかるんですけれども、港湾などのインフラの維持とか、あるいは消防、防災での地域との連携とか、あるいは、やはり地元から優秀な人材を供給する、さまざまな面で立地地域に支えていただいたおかげでこういったビジネスというのは成り立ってきたということは、室蘭市も、まさに長い期間にわたって日本のエネルギーの安定供給に大変な貢献をしていただいた町だということだというふうに思っています。

 室蘭では、一九五六年に製油所が建設をされて、六十年以上にわたって本当に北海道地域のエネルギーの安定供給を支えていただき、また、地元自治体や住民の皆さんに協力をいただいたこと、これはもう心から我々は感謝を申し上げなければいけないというふうに思っています。

 製油所の廃止、合理化に際しては、室蘭のような、立地する自治体とよく協力をして、地域経済や雇用への影響を緩和するよう検討をしていかなければいけないというふうに思っています。

 今回の室蘭製油所の廃止についても、発表された後速やかに経産省の幹部が室蘭市長とお会いをして、どういう対応をできるかということについて意見交換も始めさせていただいております。

 いろいろな支援メニューもあるわけであります。別に室蘭のためにというメニューではありませんけれども、革新的ものづくり・商業・サービス開発支援事業ですとか、あるいは、この間の通常国会でこの委員会で御審議いただいた地域未来投資促進法、これは、まさに地域中核企業を定めて、その企業にしっかり地域経済を率いてもらう、室蘭にも有力な企業があるというふうに伺っておりますけれども、そういった体制をしっかりつくって、室蘭市の経済の活力が低下しないように、しっかりと経産省としても応援してまいりたいというふうに思っています。

山岡委員 ありがとうございます。

 決して情緒論の中で甘やかしてほしいということではないんですけれども、そうした努力をしていける町だということも十分大臣に御理解をいただいているということを力強く思いながら、今後も、先ほどもお話しありましたけれども、アドバイスも含めて、さまざまな御指導も含めて、こうした町に、地域にかかわっていただきたいという思いをお伝えをさせていただいて、また次の質問に移らさせていただきたいと思います。

 あわせて、この室蘭もかかわっているお話なんですけれども、北海道で今非常に期待が高まっているのが、水素エネルギーの技術の、この日本政府としての取り組みのことでございます。

 大臣は所信を述べられました。水素エネルギーのことにも触れられておられました。これはCO2を排出しない非常にクリーンなエネルギーで、安全保障の問題や、あるいは産業政策の観点からも非常に重要だということで推進されているお立場だというのが経産省でもあり、その旗手でもあるということを理解させていただいているところであります。

 北海道も、先ほど申し上げましたけれども、非常に強い関心を抱いているところでありますけれども、水素の中でも、とりわけ今回は、水素の燃料自動車のことについて少しお伺いさせていただければと思います。

 水素の燃料自動車というのは、日本が各自動車メーカー、次世代の自動車として非常に力を入れているという一つであろうということは理解しているところであります。政府も、水素基本戦略を策定する中でこの自動車についても力を入れていかれるということを理解しているところでありますけれども、ただ、国際的には、電気自動車であったり、こうしたことをさらに普及させていくんだというお話があったり、あるいは、経済性という観点では、ハイブリッド車もあるわけであります。

 あえて伺うんですけれども、その中で、水素燃料の自動車を普及させよう、そのところに力を入れていこう、その意義というのをこの中でまたお伺いできればと思うんですけれども、大臣からお願いできますか。

世耕国務大臣 今、急にEVブームみたいなことが起こってきているわけであります。また、日本は、世界に先駆けてハイブリッドの普及が非常に進んでいるわけでありますが、私は、今、自動車産業は大きな曲がり角に来ていると思っています、自動運転だけではなくて。

 そういう中で、一本足打法はだめだと思っています。いろいろな技術にしっかり目配りをしながら、どういう方向へ行こうとも、しっかり日本の自動車産業がリードしていけるような政策、戦略をとっていく必要があるというふうに思っています。

 ハイブリッドは、御存じのようにガソリンを一部使いますから、ゼロエミッションではないわけです。EVについては、これは見かけゼロエミッションに見えますが、電気を充電しているわけですから、もともとのその発電所が石炭火力だったらゼロエミッションとは言えないし、EVの場合は、やはり充電にすごく時間がかかるとかバッテリーの問題とかいろいろあります。

 それに比べてFCVは、かなりそういったところのデメリットを克服できる。充填時間も非常に短いですし、航続距離も長いですし、ほぼ完全なゼロエミッションと言える車だということであります。

 ただ、一方で、なかなか価格が高いのと、水素ステーションを普及させるのは、電気自動車であれば、極端な話、コンセントがあれば何とかなるわけですが、水素自動車の場合は、やはり水素ステーションというものを一定のお金をかけて整備をしていかなければいけないという問題があるわけであります。

 ハイブリッド、プラグインハイブリッド、EV、FCV、これをじっくりと眺めながら、きちっとどのようなものにも対処できるようにしながら、最終的にはFCVにつなげていく。

 しかも、FCVは、単に車を走らせるというよりは、水素社会、家庭のエネルギー源も水素に変えていくということで、社会全体を水素社会に変えていくという長期的な視野を持ちながら、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

山岡委員 ありがとうございます。大臣から、今、最終的にはFCVにつなげていくんだというお話もございました。

 これは、非常に勇気のあるというか、大きな、本当に、会社でいえば社運をかけて取り組んでいかなければならないぐらいの事業なのではないかなということを感じさせていただいているところでありますけれども、もう時間も限られているので、簡潔に少し伺えればと思うんです。

 計画では、二〇二〇年までに燃料自動車を四万台普及させると。二〇二〇年といえば三年後なんですけれども、現在、この普及状況がどうなっていて、そしてまた水素ステーションの整備状況もどうなっていて、その普及をどういうふうに進めていくのか。この点ちょっとお伺いさせていただいていいですか。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 ことし十月末時点におきまして、燃料電池自動車は約二千二百台が普及しております。水素ステーションにつきましては九十一カ所が開所しておりまして、来年三月末までに新たに九カ所が開所し、合計で百カ所開所する予定でございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 三年後までに四万台と言っているんですけれども、現時点では二千二百台ということでありますから、非常に目標も野心的なものを感じるわけです。もちろん、メーカーのこれは技術に頼るところも大きいんだろうと思いますし、こうした中で、水素ステーションもまだまだ整備していかなきゃならないという状況であります。

 経産省もいろいろな補助事業をつくっておられると思うんですけれども、実は、先ほどお話しさせていただいた室蘭市のお話で恐縮なんですけれども、ここは、経産省の補助事業に頼らないままに、北海道で初めて唯一水素ステーションをつくり、水素燃料自動車を町として入れた、そうした地域でございました。

 政府がそう動くのであるから私たちはこう動こうということで町として取り組んでいるわけでありますけれども、これはお配りしている資料じゃないんですけれども、経済産業省の取り組みとしていただいた資料で、水素ステーションの整備状況というのがちょっとあったんです。この中に室蘭市は、経産省に先立って入れているのに、ここに入れていただいていないんですよ。この示しているデータにも、経産省の中に認識されていないという非常に悲しいことがわかりました。

 これはフォローしますと、あくまでも経済産業省の取り組みということを書いていますから、町が独自にこうやってやっていること、もっと言いますと、環境省さんとかとやっていた部分もあるんですけれども、こうした新たに先行してやっている町もあるんだということもお伝えをさせていただきながら、もう時間もかなり限られているところでありますので、大臣に最後、これから水素の全国展開をしていこうという中で、水素ステーションを先立って入れている、しかも、経済産業省に頼らず入れていてこういうふうに走り出しているところに対しての、こうした思いと評価をお伺いさせていただきたいと思います。

世耕国務大臣 実は、私の地元和歌山はまだ水素ステーションがなくて、これどうするんだと言っていて、お金がかかるからといってなかなか進まないんですけれども、それを独自に先にやっておられる室蘭、さすがだなというふうに思います。

 また、水素は、再生可能エネルギーともいろいろなコンビを組んでいろいろなことができるわけであります。北海道は、御存じのように非常に風力発電の適地でもあるわけでありますから、室蘭市でぜひ、JXの製油所は閉鎖になりますけれども、こういう水素という新しい切り口で新たな産業のステップを踏み出していただくこと、そういうおつもりがあれば、いろいろな形で支援をさせていただきたいと思います。

山岡委員 ありがとうございます。国際社会の中でも、それぞれの地域、努力しておりますので、ぜひ目配りをしていただきながら、またさまざまな御議論をさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

稲津委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

稲津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。世耕経済産業大臣。

世耕国務大臣 先ほどの落合委員への答弁の中で、商工中金の退任済み役員についてはもう既に自主返納を完了されていますとお答えをさせていただきましたが、この点について訂正をさせていただきたいと思います。

 今回の処分によって過去の自主返納を求めている退任済み役員は六名であります。このうち四名についてはもう返納、入金が完了しておりますが、残り二名につきましては、十二月二十日までに返納いただくことについては本人に了承をいただいていますが、入金状況を確認しましたところ、本日時点においてまだ入金されておりませんので、おわびをして訂正をさせていただきます。申しわけありませんでした。

稲津委員長 質疑を続行いたします。菊田真紀子君。

菊田委員 御苦労さまでございます。無所属の会の菊田真紀子でございます。

 改めまして、先日、大臣の所信的挨拶を聞いておりまして、経済産業大臣という大変重い責任を担うと同時に、産業競争力担当大臣、そしてまたロシア経済分野の協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、あるいは内閣府の特命担当大臣ということで、本当に喫緊のたくさんの課題を抱えておられるということで、その精力的な活動に心から敬意を表したいと思います。

 その上で、私も、このたびの選挙におきまして新潟四区の地元のただ一人の代議士とならせていただきましたので、地元の皆さんの声を精いっぱい届けるために全力で頑張ることをお誓いいたしまして、質問に入らせていただきたいと存じます。

 若干、午前中の質疑とかぶるところもあると思いますので、通告と順番が変わるようなところもあるので、御了解いただきたいと思います。

 まず、さきの総選挙に関してでございます。

 安倍総理は、公示日の十月十日、第一声を福島市内で行いました。しかし、原発の再稼働については一言も語りませんでした。また、十二日、東京電力柏崎刈羽原発に近い新潟県長岡市で街頭演説を行いましたが、安倍総理はここでも再稼働について言及されませんでした。

 新潟県では、どの選挙区であろうとも、世界最大級の、しかも、事故を起こした福島第一原子力発電所と同じ型の炉である柏崎刈羽原発が、事故を起こした当事者である東京電力によって再び稼働されるのかどうか、県民は大いに注意しておりますし、有権者にとって関心の高い争点の一つでありました。にもかかわらず、安倍総理はなぜ何も語らないのか。争点を隠そうとしたのではないかという違和感を、私だけでなく、多くの有権者が感じました。

 公明党や野党が原発ゼロを目指すと公約に掲げた一方で、自民党は原発をベースロード電源と位置づけ、原発再稼働を進めると公約し、選挙戦を戦ったのですから、本来、安倍総理は有権者に対して真っ正面から堂々と再稼働について語るべきだったと私は思いますが、世耕大臣は、この点、どのようにお考えになられますでしょうか。まず御質問いたします。

世耕国務大臣 総理が選挙の街頭演説でどこでどういうふうな話をされたかというのは、ちょっと残念ながら、私もつまびらかに存じ上げているわけではありません。

 ただ、よく御存じのように、選挙の演説というのは大体街頭演説でありますから、原稿とかない中で、その場その場の考えとか雰囲気を受けながら語っているんだというふうに思います。

 安倍政権のエネルギー政策というのはいろいろな形でオープンになっていますし、選挙中にテレビ討論やそういったところでも議論をされているわけですから、何かそれで、どこかで街頭演説しないことによって隠し立てなんということはないんじゃないかと思っております。

 私も応援で、福島と新潟、菊田委員のところには行っていませんが、新潟に応援に入らせていただいていますが、その際には、安全最優先で取り組んでいくということと、地元の理解を大切にしたいということは明確に述べさせていただいているところでございます。

菊田委員 非常に答弁しにくいところでも、大臣は、どうだったかということをきちっと御説明をいただきました。

 私は、世耕大臣がもし総理大臣であれば、ここは逃げずに、その県民にとって一番関心のあること、原発再稼働というのは、今だけでなく次の世代にどういう影響があるのかと有権者が最も関心を持っていること、ここから逃げずに訴えていくことは、与党であっても野党であっても、政治に携わる者、とりわけ総理大臣という立場にある者は、逃げずにやるべきだというふうに思ったところでございます。

 衆院選挙の結果でありますが、全国的には自民党が大勝しましたが、我が新潟県においては、六つの選挙区のうち、我々野党が四勝、与党が二勝という結果となりました。私自身も、第一の公約に柏崎刈羽原発再稼働ノーを掲げ、小選挙区において大差で当選をさせていただきました。昨年の県知事選挙においても、柏崎刈羽原発再稼働反対を掲げた新人の米山隆一氏が勝利をし、知事に就任をしていますが、この県知事選挙、衆議院選挙で示された新潟県民の意思は、再稼働に反対です。

 言うまでもなく、原発を再稼働するには地元の同意が必要です。知事選に続き、今回の総選挙の結果を受けて、大臣は柏崎刈羽原発を再稼働すべきとお考えでしょうか。お伺いをいたします。

世耕国務大臣 再稼働すべきかどうかについては、これはあくまでも国の方針は、原子力規制委員会によって新規制基準をクリアしていると判断されたもののみを再稼働させるという方針でありまして、柏崎刈羽原発については現在審査が行われている段階でありまして、この件に関してはコメントは控えさせていただきたいと思います。

 ただ、いずれにせよ、政府としては、再稼働に当たっては、引き続き、立地自治体を初め関係者の声にしっかりと耳を傾けて、そして丁寧な説明を尽くして、幅広い理解が得られるよう、粘り強く取り組んでまいりたいと思っております。

菊田委員 ありがとうございます。

 前の泉田県知事は今国会議員になられましたけれども、その後を受けて就任された米山知事も、福島第一原子力発電所の事故の検証をしっかりしなければならない、それがなくて再稼働について議論するということはあり得ないんだということを再三言っておりますし、そして、今回の選挙の民意ということをしっかり重く受けとめていただきたいというふうに思います。

 これまで大臣は、記者会見等さまざまな場面で、東電が地元にしっかり向き合うように、信頼を得るように監督指導します、こういうふうに述べられておられますけれども、東電に対し、地元の信頼を得るために、何か具体的な方策について実際に指示していることはあるのでしょうか。お聞かせをください。

世耕国務大臣 まず、東京電力改革・一F問題委員会から御提言をいただいているわけであります。そのいただいた提言を踏まえて、ことし五月に策定されました新々総合特別事業計画において、新潟の皆様からの信頼回復に向けて、地元本位確立のための行動計画を策定するということが盛り込まれておりまして、これを確認した上で計画の認可を行ったところであります。

 また、東京電力は、ことし八月に原子力規制委員会に対して、経済性を優先して安全をおろそかにすることは決してなく、終わりなき安全性を追求すること、そして、地元の方々に対して主体的に説明責任を果たしていくという考えを示しました。

 経産省としては、ことし十月に東京電力に対して、この約束をしっかりと果たしていくため、経営陣のリーダーシップのもと、社内体制の整備ですとか、地元の声を踏まえた取り組みの具体化を進めていくよう、指導を行ったところであります。

 今後とも、東京電力が地元の方々に真摯に向き合いながらしっかりと責任を果たしていくよう、適切に指導監督してまいりたいと思います。

菊田委員 東電に関しましてはさまざまなトラブルが続いておりまして、新潟県民、これは完全に信頼を取り戻しているという状況にないということ、改めて認識をしていただきたいというふうに思います。

 北朝鮮のミサイル発射に関して御質問いたします。

 十一月二十九日の午前三時十八分ごろ、北朝鮮は弾道ミサイルを日本海に向けて発射し、日本海の我が国の排他的経済水域内に落下をしました。我が国及び国際社会の平和と安全を脅かす暴挙であり、断じて許すことはできません。日本政府は、引き続き、米国を初め国際社会と連携して、北朝鮮に対して圧力を強めていくことが必要だと考えます。

 北朝鮮がミサイルを発射するのではないかという報道は数日前からありました。当然、政府は高度な情報収集を行い、米国、韓国等と緊密に連携をとりながら警戒を強めていたというふうに思いますが、経産省として北朝鮮のミサイル発射に対してどのような対応をとられたのか、具体的にお聞かせください。

世耕国務大臣 北朝鮮からのミサイル攻撃に対しては、日ごろから、経産省の所管している電力やガスなどのライフラインですとか産業への影響を迅速に情報収集する体制を構築をしています。

 また、万一、武力攻撃事態というようなことに該当する事態になった場合は、その事態の状況に応じて、電力、ガスなどのライフラインへの安全確保措置の要請、そして、危険物を取り扱う事業者に対する停止命令、あるいは、避難された住民への救援物資の提供などの措置を行うこととしておりまして、そのための体制も構築をしております。

 いずれにしても、いかなる事態に対しても、国民の安全を守るため、経産省としても万全を期してまいりたいと思います。

菊田委員 今回、弾道ミサイルは青森県の西方約二百五十キロの海域に落下しましたが、仮に日本の領土に着弾した場合、想像を超える破壊と人的被害、悪影響が予測されます。

 我が国においては、稼働中の原子力発電所が五基あります。廃炉決定済みも含めて全部で六十基の原子力発電所があります。我が国の原子力発電所はミサイル攻撃に耐え得る対策がとられているのかどうか教えてください。

世耕国務大臣 まず、ミサイル攻撃に対して、政府としての対応でありますけれども、これは、原子力発電所というか我が国をどう守るかという意味でありますけれども、原子力発電所へのミサイル攻撃も含めて、政府として、まずは海上自衛隊のSM3搭載のイージス艦による上層での迎撃、そして航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層での迎撃を組み合わせて、多層防衛によってそもそも着弾させないように対処する、これが基本方針であります。

 また、武力攻撃事態などに該当する事態であれば、事態の状況に応じて、国民保護法等の関係法令や国民保護計画などに基づいて、警報の発令や住民の避難などの措置を迅速かつ的確にとることになっています。

 並行して、原子力発電所については、こうした事態に至れば、これは原子力規制委員会の所管になりますけれども、規制委員会が、関係法令や計画などに基づいて、原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命ずることになっています。

 加えて、日ごろからさまざまな事態を想定して、関係機関が連携して各種シミュレーションを行って、国民保護のための訓練などを実施することで、いかなる事態に対しても、国民の安全を守るために備えているところであります。

 経産省としましても、これまでも、関係機関及び事業者との連携を密にして、こうした事態に際して事業者が迅速に対応できるよう指導をしてきていますが、万が一、原子炉の運転停止などが生じた場合には、直ちに電力の安定供給の確保に必要な対応を講じてまいりたいと思います。

菊田委員 本当にこういうことはあってはならないことなんですけれども、しかし、北朝鮮というのはある種狂っていますので、こちらが迎撃するつもりでも、それができなかった場合のリスクについても、やはり常日ごろから備えていかなければならないというふうに思っております。

 エネルギー基本計画についてお聞きをいたします。

 安倍政権は、二〇一四年、国のエネルギー政策の方針を定めたエネルギー基本計画において、民主党政権が掲げた脱原発を転換し、原発をベースロード電源と位置づけ、翌一五年には、二〇三〇年度の電源構成で原発比率を二〇%から二二%とすることを決定しました。基本計画はエネルギー政策基本法で三年ごとの改定が定められており、経産省は改定に向けた議論をされています。ところが、大臣は早々に、計画の骨格は変える段階にないと御発言をされておられます。

 現在、再稼働されている原発は五基ですが、仮に、計画を変えることなく三〇年度の原発比率を二〇%から二二%という目標に達成するためには、原発をあと何基稼働する必要があるのでしょうか。また、そのうち、二〇三〇年時点で建設から四十年経過していない原発は何基でしょうか。

世耕国務大臣 まず、今ちょうど、エネルギー基本計画の検討を経産省の審議会の方で有識者の皆さんに行っていただいております。

 今御指摘の骨格を変える段階にはないという発言、私、その第一回に出席をして申し上げましたが、正確には、骨格を変える段階にはないと私は考えていますが、どうぞ白紙で議論をしてくださいということを申し上げております。

 また、それと並行して、パリ協定発効を受けまして、二〇五〇年に向けてどういう考え方が必要かということも、これは別の懇話会をつくって議論をしていただいていまして、必要があれば、これもエネルギー基本計画の中に反映をさせていきたいというふうに思います。それがまず前提であります。

 エネルギーミックスの原発比率二〇から二二%というのは、原子力規制委員会の審査を経て既存の原発を再稼働して、そして、原発の稼働率が、今、点検とかそういったことで七割程度になっているわけですが、これを八割程度まで稼働率を向上をさせて、そして一部の炉については、法令で定められた四十年を超える運転期間延長を行うことによって達成可能だというふうに思っております。

 原発ごとに出力規模や実際の稼働率も異なってきますので、確定的なことはなかなか申し上げられないわけですが、例えば二〇三〇年度に原発比率二〇%を達成するためには、一定の仮定のもとで試算をすれば、三十基程度が動いていることが必要ということになるわけであります。これは、計算上、例えば四十年未満の炉と、あと、運転延長が、四十年を超えて運転するものが六基ぐらいあれば達成できるのではないかというふうに考えております。

菊田委員 多分余り言いたくなかったと思うんですけれども、でも、今こういうふうにきちっとお話をいただきました。

 今、五基動いている、さらに二十五基動かしていかなければ到底この目標には達成できない、加えて、例外で認められている四十年をさらに延長して六十年、二十年延長して六十年、こういう原発六基も含めて達成していかなきゃいけない、こういうことでありました。

 国民の反発が非常に根強い原発再稼働を進めてまで原発の電源比率を達成しなければならないということは私は甚だ疑問でありますし、強く反対をいたします。三年前と比較しましても、再生可能エネルギーの可能性や実用性は格段に増してきているのですから、原発に固執せずに、もう一度、ここで立ちどまって考えるべきです。脱原発、原発ゼロはもはや単なるスローガンではなく、東日本大震災、福島第一原発事故を経験した日本がとるべき道です。

 ドイツは、三・一一、日本の被害を見て、本当にさまざまな立場、政党政派を超えて、脱原発政策にかじを切りました。ドイツの方からすると、我々はやったのに、その事故が起こった日本でなぜやらないのか、こういう疑問を私も直接受けたことがあります。

 大臣、エネルギー基本計画の大幅な見直しを求めたいと思いますが、改めてお考えをお聞かせください。

世耕国務大臣 我々も原発に固執をしているというよりは、我々だって依存度はできる限り下げていきたいと思いますし、再生可能エネルギーの導入も最大限進めていきたいと思います。

 今ドイツの例を挙げられましたけれども、ドイツでは、まだ原発が動いている状況の中にもかかわらず、かなり今電気代が高い。日本も震災後高くなっていますが、その一・五倍ぐらいと言われています。そして、かなり風力発電に依存をしているところもあるので、それをカバーするために、国内の石炭火力の比率というのが大変上がっている。

 これはこれで、今度は地球温暖化、気候変動対策という意味で少し問題が出てくるわけでありまして、ドイツでも何か全員が賛成で原発ゼロになっているというよりは、かなり政治イシューになっていて、今、メルケルさんのちょっと苦しい状況の背景にも、それがあるんじゃないかというふうに言われています。

 いずれにしても、これも一本足打法ではなくて、それこそベストミックスという考え方で、一番安定的で安価な電力を提供するにはどうすればいいか。また、地球環境の問題に対応するということは、ゼロエミッションのエネルギー源をふやしていくにはどうすればいいかということをしっかりと議論をしていきたいと思いますし、今、審議会で二〇三〇年、そして懇話会で二〇五〇年を視野に入れた御提言をいただきたいと思いますので、その有識者の皆さん、特に二〇五〇年の方は、割と原発に対して反対の方にも入っていただいて御意見をいただいていますので、そういったことも含めて、余り予断なく、しっかりと議論してまいりたいというふうに思っています。

菊田委員 この原発の問題は大変複雑で、また根深く、国民の合意を得て進めていかなければなりませんので、たびたびこの委員会で大臣と議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 今度は、科学的特性マップに関する意見交換会について質問をいたします。

 先ほど来いろいろ質問があるのでちょっとはしょって質問しますけれども、この説明会ですが、福島県を除く全国四十六都道府県で開催しているということなんですけれども、なぜ平日の日中に開催しているんでしょうか。

 幅広く国民の理解を得るためにやっているのであれば、働く人たちも参加しやすい土曜日であるとか日曜日に開催する方が合理的だと思いますし、また、各会場の定員を上限百名程度としていること、それから、事前に経産省からレクを受けましたけれども、対象者を、主婦とかリタイアした人たち、そういう人たちを対象にしているんだというような説明がありましたけれども、私はいま一つ納得ができません。

 どうも見ていると、既成事実、これだけやっていますということを積み重ねて、一生懸命やっているというふりにしか見えないような、残念ながら、今回の事案を見てもそう感ずるところがありました。

 これは政府参考人で結構でございますので、御答弁いただければと思います。

世耕国務大臣 菊田委員の御指摘に私も全く同感であります。ちょっとここまで私もよく細かく見ていなかったことは、これは反省しなければいけないと思っていますが、今回の事案を受けて、まず手づくりでやれという指示もしました。

 あと、開催会場も、もう少し工夫をしろという指示をしています。例えば、学生を集めたいんであれば大学でやればいいわけでありますし、あるいは、働く方のことを考えたら、今おっしゃるように、土曜、日曜もやらなければいけないし、あるいは、駅の上にあるターミナルビルですとかショッピングセンターでやるとか、いろいろな工夫をしながら、いろいろな層の方々に、この問題に意識を持っていただくという取り組みをこれからも手づくりでやって、まさに今御指摘いただいた点は改善しろという指示をして、できるだけ早く、いろいろな多彩な場所でやるという形をとりたいというふうに思っています。

菊田委員 どうもありがとうございました。

 二〇〇〇年に、法律に基づいて、このNUMOが設立をされました。それからもう十七年たっているわけですけれども、今に至っても処分地の選定は一歩も進んでおりませんし、見通しも立っておりません。そもそも、十七年かけてやってきたけれども、国民の理解は進んだというふうにお考えでしょうか。

 大臣の見解を伺いたいとともに、もう一つ、お時間がありませんのでお答えをいただきたいと思うんですけれども、そもそもこのNUMO、役員の方は電力会社出身の方、経産省からの出向者がおられて、電力会社からの拠出金が百三億五千万円、これは平成二十九年でありますけれども、百三億五千万円、電力会社から拠出をされている。そしてまた、拠出金の積立残高は一兆四百五十億円、もう一兆円を超えるという積立金を持っておられる、こういうところでありますけれども、しかし、大事な目的には全然達成できていないということであります。

 そもそも、大臣にもう一つお聞きしたいのは、最終処分地が決まらない状況下で原発の再稼働を進めていくということは、まさにトイレのないマンションをこれからもつくっていくというようなことではないのかと私は疑問に思うんですけれども、御見解をお聞きしたいと思います。

世耕国務大臣 確かに、おっしゃるように、平成十二年に発足をして十七年たっているわけですけれども、まず最初は、処分地選定調査に応じてくれる自治体を全国で公募するというスタイルでやってきた。ところが、現時点で一カ所も調査を開始できていない。これはやはり、特定の地域から手を挙げてもらうのを待っているという待ちの姿勢に問題があった。みずから前に出て、国民の支持をいただくための努力が足りなかったのではないかというふうに思っております。

 安倍政権となって、この最終処分地問題を最重要課題の一つとして捉えまして、平成二十五年に最終処分関係閣僚会議を設置しました。また、平成二十七年には、単に自治体から手が挙がってくるのを待つだけではなくて、国が前面に立って取り組むべく、基本方針を改定をしました。そして、その具体的取り組みとして、ことし七月に科学的特性マップを公表したところであります。

 私も、トイレのないマンションでいいとは全く思っておりません。核燃サイクル、いろいろな形で進めながら、ただ、フィンランドはやはり三十年かかっております。

 今回、非常に小さな一歩ではありますが、重要な一歩を踏み出しましたので、最終処分の問題解決には近道はないという考えで、国もNUMOも、国民や地域の皆さんと正面から向き合って、さまざまな声にしっかりと耳を傾けて一つ一つ真摯に応えていくことで、信頼関係を構築し、国民理解を広げていく以外に方法はないと思いますので、地道にやっていきたいというふうに思いますし、私も広報の出身でありますから、こういう国民理解を醸成するために、しっかりと今回の事案を契機にNUMOを指導してまいりたいと思います。

菊田委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

稲津委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 日産やSUBARUなどの不正に続いて、神戸製鋼所、そして三菱マテリアルなど、検査データの改ざんの問題が連日報じられております。十一月二十八日には、日本経団連の榊原会長の出身企業東レの子会社でも改ざんがあったということが明らかになりました。

 日本が誇ってきたものづくり、製造業に不正が蔓延しているのではないか、国民の命と安全は大丈夫なのか、こういう国民の不安や懸念が広がっております。私は、深刻な事態だと思います。

 そこで、世耕大臣に伺います。

 一昨日の所信的挨拶の中で、これらを「特異な事案が発生した企業」というふうに述べられましたけれども、もはや特異な事案では済まされないのではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 私、経産大臣に就任して以降、あるいは就任する前も、日本じゅうのものづくりの現場を見させていただいています。本当に、そこで働く人々の現場力というのは非常に高くて、非常に、品質の改善に日々取り組んで、その結果、日本の品質、ジャパン・クオリティーというものが世界から高く評価をされているということだというふうに思っております。

 今回、こういった事案が幾つか出てきていますけれども、日本のものづくりへの信頼というのは、私は揺るぐものではないというふうに思っています。

 ですからこそ、幾つか出てきている事案が、非常に公表のタイミングが遅いとか、五月雨式に次々と出てくるというようなことはいけないと思っていまして、今、産業界に対して、産業界もまずみずからチェックして全部出すべきものは出すという動きをとっていただいているようですけれども、できるだけ早く出すべきうみは出し切っていただきたいというふうに思っております。

笠井委員 国際的信頼という点では、アメリカの司法省まで動き出しているということがあると思うので、大変な問題になっている。

 そこで、日本経団連は、会長出身企業からも出てきたということで、慌てて一昨日二十九日に、約千三百五十社会員企業に対して品質問題の実態調査の徹底を要請しました。大臣、これ自体、特異な事案ではないということの証明ではないか、幾つかの企業と言われましたが。

 大臣は十一月二十四日の記者会見の中で、当該企業とは別に、広く素材産業とか産業界全体に経産省として調査しないのかと問われたのに対して、経産省がわざわざやらなくても、物をつくっている会社は当然内部調査をしていると思っているというふうにお答えになりましたが、そうなっていないからこそ、経団連が、全ての会員企業に実態調査を徹底しろ、こういうふうに要請したんじゃないんですか。

世耕国務大臣 これはあくまでも、今回出ているものは、何か法律違反があるとかそういう話ではないんですね。民民の取引の中で約束していたデータと違うものを納めていたという事案であるわけでありますので、あくまでも、これだけ今、世の中を大きく騒がせている話でありますから、ものづくりに携わっている企業であれば、それは、自分のところにこういうことはないだろうなと点検をされるのは当然のことだと思います。経団連はそれを念を押すような形で呼びかけられたのではないかというふうに思っています。

笠井委員 当該の企業はまだ調査の途上であるわけで、そういう点では、法律違反がないなんということを断定できる話じゃないと思うんです。

 東レでいうと、日覚社長は、神鋼の問題がなければ公表しなかったと言いのけているので、私は驚愕しました。しかも、榊原経団連会長が社長、会長の時代に、長期にわたってみずからの企業で不正があったのに見抜けなかったということであります。

 ものづくりの技術と信頼の根幹にかかわる問題なのに、不正を許してきた企業風土そのものが厳しく問われている、そういう認識がないんじゃないか。それを正すのが経産省、そして大臣の仕事じゃないかと思います。

 神戸製鋼では、これまで何度も不正が繰り返されてまいりました。申し上げるまでもないかもしれませんが、一九九九年、総会屋への利益供与で元役員らが商法違反での有罪判決、二〇〇六年には環境基準を超えるばい煙データの三十年近い改ざんの判明、二〇〇八年にはグループ会社で製品データ改ざんが発覚をする、二〇〇九年には政治資金規正法違反で社長と会長が引責辞任、二〇一六年にはグループ会社でJIS法違反が発覚と、枚挙にいとまがないほど、そのときいろいろ問題になってもまた繰り返されている。世耕大臣、こんなに続いている、長年問題があるんです。

 経産省はなぜこのような長年の不正を正せなかったんでしょうか。正せていないわけですよね。また起こった。

世耕国務大臣 昨年の子会社によるJIS法違反など、神戸製鋼所が不祥事を繰り返しているということ、これは本当に遺憾だというふうに思っています。

 今回の問題についても、神戸製鋼所は、十一月十日付のみずからの報告書の中で、「経営として工場において収益が上がっている限りは、品質管理について不適切な行為が行われているような状況にあるか否か」、「諸問題を把握しようという姿勢が不十分であった。」とみずから述べているわけでありまして、自社の経営に問題があったと分析をしているわけであります。

 さらなる原因究明も含めて、こうした分析の最終的な評価は外部調査委員会の報告を待つべきだと思いますが、あくまでも民間企業でありますから、当然、株主を初め、各種ガバナンスの中でみずから襟を正すべきは正していただきたいというふうに思っています。

笠井委員 あくまで民間企業と民間企業です。しかし、こんなふうに繰り返されている、しかも、そういう製造業に対して監督責任があるのは経産省ということで、いろいろな形で、鉄鋼連盟がガイドラインをつくったとか、いろいろな経過がありました。でも、それをまた守らずにこんなことが繰り返されているんですから、自主性、自主性、みずから自浄機能と言っているのでは済まないということで、繰り返されてまた起こっているということになるので、そこは本当に政治の責任、そして行政の責任が大きいと思います。

 先日、私は神戸に行って神戸製鋼の現場の声を聞いてまいりました。神戸製鋼では、たび重なるリストラで人減らしが進んで、従業員はピーク時には三万五千人いた、そこから今、三分の一の一万一千人に激減をして、非正規の方がふえて、過密労働が横行している、特に、四十代から五十代という会社の基幹を担う世代の労働者が不足しているということでありました。本当に大変な状況なんだなと痛感いたしました。

 かつては、品質は現場でつくってきた。原料、一次、二次という形で、各工程を知り抜いているプロがいて、そして、さわったり、においを嗅いだり、あるいは音を聞くということで、文字どおり五感を使って品質をチェックしていた。その職人世代が薄くなって、そして、現場の技術と経験を生かしたものづくりがなかなかできないという現実にあるということでありました。

 さらに、現場には、その上に、最大生産、最大受注という目標達成が経営者から迫られてくる。こうした経営者による短期の、目先の利益追求の方針と利益至上主義が労働者を全体として追い詰めている。

 そんな中でも、神戸製鋼でプライドを持って働き続けたい、うみを出し切りたい、それはもう働く人も経営者も一緒じゃないかということで、安全で高品質なものづくりを取り戻して、英知を集めて会社を立て直したい、これが本当に労働者の方々の共通の思いでありました。

 そこで、世耕大臣、経産省には、こうした痛切な現場の思いに応える、そういう責任があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 どういう体制でどういう品質のものをつくるかというのは、これはあくまでも、企業経営の問題であったり、あるいは労使の問題だというふうに思います。

 当然、人を減らして品質が下がれば、その分マーケットから手痛いしっぺ返しも食うわけでありますし、今御指摘の、今回起こっているような問題を起こせば、当然、会社の評価というものが下がって経営上も大変厳しいことになるわけでありますから、その辺は経営の問題として会社側がしっかりと考えていただく問題だというふうに思っております。

笠井委員 しかし、そういう現実があるということについては、やはり、経営の問題を、製造業を監督する経産省の立場から、きちっとそこの点を、物を言っていくということは大事な問題だと思うんです。労働者あっての製造業、ものづくりだと思います。

 そして、検査でいうと、先ほど、午前中も自動化という話もあったりしたけれども、でも、その自動化自体も、職員の技術力を一方で落として問題を拡大する要素を持っているとも言われている。いろいろな問題が絡んでいる。そこはやはり、現場の労働者の思いをしっかり受けとめながら、会社はもちろん仕事をやる、しかし、やっていないんだったら、それに対して行政、経産省としてもしっかりと監督するということが必要ではないかと思うんです。

 そういうふうに、経営者の問題だというふうに今大臣も言われましたが、ところが、この神戸製鋼の場合には、その経営陣に全く危機意識がないというのが率直に言ってあると思います。

 ここに、会社側が全従業員一万二千四百三十九人、これを対象にした「コンプライアンス意識調査アンケート」というのがあって、そのレポートが会社側から出ております。冊子になっております。今回の不正が公表される前の、ことし五月時点のものでありますけれども。

 例えば、その中で見てみますと、質問一というので、「最近一年間で、あなたの職場において、以下のコンプライアンス違反が疑われる問題がありませんでしたか?」、こういう問いがされておりまして、その問いに対して、製品やサービスの品質に関して、JIS法違反等ということで、それに対しては二百六十人の方がそういうふうに回答しているんです。

 それに対して川崎社長がコメントしたというコメントが載っています。こう言っています。「問題が起こった時には「早く見つけ」て、そして「早く消す」ことが肝要です。」と。これは一体何なんだと私は思いました。

 さらに、質問の三というのがありまして、これはそれに関連するんですけれども、「今後、職場において、以下のコンプライアンス違反行為のうち新たに発生するかもしれないものはありますか?」ということで聞かれて、その中で、JIS法違反等がということについて今後新たに発生するかもしれないと答えたのが、六百三十人の職員の方々、従業員でありました。こんなにいた。

 それだけでも重大だと思うんですけれども、六百三十人という回答に対する川崎社長のコメントは、「まずは問題を「起こさない」ことが肝要です。」と。そして、コンプライアンスの法務部の室長の方は、コメントがこの冊子に載っていますけれども、「皆さんの危機意識がどこにあるのかが見てとれます。」何かもう人ごとみたいです。そして、「教育等を含めた予防策を検討していきます。」と、まるで他人事のように経営陣やあるいは管理職の方々が言っている。

 これが神戸製鋼の経営陣の実態。危機意識がないと思うんですよ。

 経営の問題、会社の問題と大臣は言われたけれども、こんな経営陣任せにしていて、ちゃんとやりなさいよと言っているだけで、そして、繰り返して長年あるということに対して、そういう経営陣任せでは根深い不正の原因究明も再発防止もできないんじゃないかと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 やはり、今聞いたようなお話の中で、経営陣をしっかりさせるまず一義的な役割を担っているのは取締役会でありまして、そして、最終的には株主がやはり経営陣をしっかりさせなきゃいけない。しっかりしない経営陣のもとでは、株主は、やはり株価が下がる、今回も神戸製鋼はかなり株価が下がっていますけれども、そういうはっきり言って打撃も、ダメージも受けるようになっている。ですから、そういう意味では、株主、そして株主から選ばれた取締役会がしっかりと経営陣を監督していくということが重要だと思います。

 国ができることというのは、これは法律に基づいたことであります。今お話しのJIS法違反というのがありました。今回の神戸製鋼のケースでは、当然、我々は法令でできることは全部やっています。JIS法に関しては、認定の取り消しということもやらせていただいております。

 そこは、国として、法律に基づいたことはきちっとやっていきたいというふうに思っております。

笠井委員 企業の不祥事が相次ぐ中で、経団連が改定をしました企業行動憲章というのが最近発表されましたけれども、この十原則の最後で、経営トップの役割について、万が一緊急事態が発生した場合には、経営トップみずからの指揮のもと、速やかな事実調査と原因究明、再発防止に努めるというふうに手引に書いてあります。

 しかし、神戸製鋼のような、お気楽な経営トップと言ってはあれですが、そういうトップのどこに自浄能力を期待すればいいのか。今、取締役会やそれから株主の話もありましたけれども、経営がそういう姿勢にある中で、世耕大臣、当該企業や経済界任せにせずに、今こそ監督官庁として、産業界全体に対して責任を持った調査をすべきではないか。ものづくりというのは日本の本当に宝ですから、そういう態度をきちっととるべきではないんですか。

世耕国務大臣 当然、我々は、この神戸製鋼の事案に限らず、今回出ている事案に関しては、きちっと会社を呼んで、どうなっているのか、そして、どれぐらいで調査が終わって、どれぐらいで公表できるのかということを、しかも、それをなるべく早くやれということ、そういうことは、ぎりぎり我々の法律の中で、経産省の権限の中でできることとして、やらせていただいております。

笠井委員 今おっしゃったような対応では、本当に製造業に対する国民の信頼も取り戻せないし、不正も正せない。労働者や下請中小企業、あるいは消費者も守れないと思います。外部調査委員会についても、当該企業が依頼したものであって、国民から見たら内部でありますから、外部と言うなら、監督官庁こそ正面から乗り出すべきだと強く言いたいと思います。

 そこで、神戸製鋼はオンリーワンの技術で原子力産業に貢献してきたとPRをしております。ホームページにも大きく出ています、全国の原発の重要な部材の供給を長年担ってきたと。その原発を動かして大丈夫かと、国民からの信頼は根本から揺らいでいる状況だと思います。

 そこで、原子力規制庁に確認をいたします。

 一つは、神戸製鋼のパンフレットで、原子炉中心部で使用され、その安全性と性能を支えている、国内トップのシェアを誇っている燃料被覆管というのがありますが、この全国の原発での使用状況というのは、神戸製鋼のものについてはどうなっているでしょうか。

片岡政府参考人 原子力発電所で使われております燃料被覆管につきまして、神戸製鋼の関連会社でございます株式会社ジルコプロダクツが製造した燃料被覆管が全国の原子力発電所で使われているという状況でございます。

 今回の問題を受けまして、原子力事業者の方で問題があるのかどうかということを調査している中で、この燃料被覆管につきましても、引き続き調査を行っているという状況でございます。

 これまでに受けた電気事業者からの報告によりますと、現段階では、不正が行われた製品は燃料被覆管に使用されているという事実は確認されていないということでございます。

笠井委員 これまでのところということで、引き続き調査中、まだ未解明ということであります。原発の中核部分でも未解明だということであります。

 もう一点、規制庁に確認しますが、原子力規制委員会は電力事業者に神戸製鋼等の製品の使用状況の報告を今求めているわけですよ。その中で、ミルシート、鋼材検査証明書の改ざんが、いつからいつまで、どの範囲でどれだけ行われたかは、結局のところ、その点については、言いますと、これは納入した事業者の方から申し出があってこそ初めてわかるということは間違いないですね。

 つまり、今、電力事業者から使用状況を聞いている、報告を求めているけれども、もともとミルシートの改ざんがあったかどうかということについては、やはり神戸製鋼なり納入した側の事業者の申し出がなければわからない、申し出があってこそわかるという関係は、そのとおりでよろしいでしょうか。

片岡政府参考人 現在、原子力事業者の方で行っている調査の中で、ミルシートについては、元データが確認できるものにつきましては、元データとの突き合わせということも含めて実施されているというふうに認識しております。

笠井委員 確認できるものについてはそうやって実施しているということですが、結局のところ、突き詰めて全部やろうと思ったら、やはり、納入した側の神戸製鋼なりがこういうデータ改ざんがあったからどうかというのがわからないとその辺が突き合わせができないということは間違いないですね。その点、確認したいんです。

片岡政府参考人 もちろん、元データが存在しないものについては確認ができないという部分がございますと思いますけれども、いずれにしましても、神戸製鋼が公表している不正の有無にかかわらず、現在、原子力事業者の方では、神戸製鋼関連の製品が使われているかどうかという確認をしているところでございまして、これまでのところでは、不正が確認されたものはないということでございます。

笠井委員 今言われたように、元データがないもの、そして、はっきりしないものについては確認できないということです。

 神戸製鋼は、十年前から改ざんがあったということを、明らかにしたときの記者会見の中で、幹部が、副社長だったと思うんですが、示唆をして、さらに、四十年近く前からという証言もあります。三菱マテリアルの子会社の改ざんが判明したOリングについて言いますと、原子炉のシール材としても使われている製品でありますけれども、使用状況の確認はこれからであります。まだやっていない。

 世耕大臣、そこで伺いますが、まずは、私、神戸製鋼や三菱マテリアル等から、全国の原発、それから、その中でも、事故を起こした東京電力ですが、先ほどの柏崎刈羽、あるいは廃炉にする福島第一を含めて、納入した部材の改ざん状況の総点検というのが必要だと思うんです。製造責任を問うて、洗いざらい調べて、うみを出させるのが監督官庁たる経産省の役割ではないかと思うんです。安全上の問題が生じてからでは遅い。

 人命に直結する問題でありますが、使用状況の確認も終わらずに、原発の稼働を続けたり、あるいは再稼働をするなど、これはまさに安全神話そのものだと思います。あってはならないということだと思うんですが、その点いかがでしょうか。

世耕国務大臣 原発の安全性の確認、判断については、これは炉規法に基づいて原子力規制委員会が行うものですので、ちょっとそのコメントは控えさせていただきたいと思いますが、神戸製鋼に対しては、三菱マテリアルに対しても同様ですけれども、まず、顧客と協力をして、一刻も早く全ての製品について安全検証を終えること、そして調査をしっかりとやること、再発防止策に関して、着手できるものから直ちに着手すること、こういった指示を経産省としてもしっかりやらせていただいております。

 そして、経産省としては、問題のある部材を使用していることが判明した自動車ですとか航空機ですとか、そして、この中にも電力事業者も含まれますけれども、そういったユーザー企業に対しては、担当部局から連絡をとって、安全性の検証加速を促してきたところであります。

 個々の原発についてどう判断するかということは、これは規制委員会の方でお決めいただくことだと思っております。

笠井委員 今伺っていても、何のために経済産業省があるのかというふうに思います。改ざんを繰り返す企業任せで安全がとことん確認されるなどとは到底言えない。

 先ほどの大臣の答弁の中でも、原発は安全最優先と言われましたけれども、そうなっていない。関西電力と九州電力は、神戸製鋼の部品の使用を確認したけれども安全に問題ないなどと一旦報告したものの、やはり、調査、点検には時間がかかるということで、昨日、再稼働については延期せざるを得なくなったということであって、それもいつまでかかるかわからない。

 そして、調査範囲も電力事業者の自主性に任せている。外部調査委員会ということで再三この問題を政府は言われますけれども、これも、調査委員会、年内にめどと言っているけれども、それは神戸製鋼の取締役会に報告をするということになっている。では、それが全て公開されることになっているかというと、結局、神戸製鋼の判断任せになりますよね。

 事は国民の命と安全にかかわる。東京電力福島第一原発の事故の痛苦の反省を踏まえて、もう事故は絶対に繰り返してはならない。だから、このまま原発再稼働などあり得ない、とめて廃炉に向かうべきだ、こうした政治の決断が本当に今必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。

稲津委員長 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 日本維新の会の谷畑孝でございます。

 世耕大臣、大臣、本当におめでとうございます。同じ関西人としてうれしく思います。また、近畿大学は私の居住区の隣町というもので、私の地元の市長さんも近畿大学のOBということで、いつも敬意を表しております。ぜひひとつ頑張っていただきたいな、こう思っております。

 それでは、まず最初に大臣から。

 私も、物心つき、いろいろな不況とかそういうことも幼いころ経験をしたり、そしてまた、小学校、中学校へ行くときには、ズボンに継ぎを当てたり兄貴のお古を着たり、そういうような時代も暮らしてきましたけれども、しかし、池田勇人さんじゃありませんけれども、所得倍増論ということで、高度経済成長というのか、本当に物心ついてずっと高度経済成長がおかげさまで続いてきた、こう思います。

 私は、そういう意味では、やはり景気がいいということは、人の心を穏やかにするし、家族も平和で暮らせる大事な条件だ、こう思っています。

 それでは世耕大臣、この景気を持続させて、さらに豊かにする、そういうことについての決意というのか、経済を持続させる、そういうことについての今の経済の現状と課題ということについて、コメントをいただきたいと思います。

世耕国務大臣 まさにアベノミクスはまだ道半ばということでありまして、うまくいっていることと、まだ課題として残っていることがあるんだろうというふうに思っています。

 まず、三本の矢の取り組みで、デフレではないという状況をつくり出す中で、ことし七―九月期の名目GDPは五百四十五兆八千億円と平成二十四年の十―十二月期から五十三兆円増加をして、過去最高水準となっております。

 足元で企業は、中小企業も含めて過去最高の好決算ということになっています。また、就業者数が増加をして、賃金も上昇しています。きょうも雇用統計が出ましたけれども、有効求人倍率も失業率も、非常にいいレベルで横ばいという形になっているわけであります。

 こうやって見れば、総じて、景気は穏やかな回復基調が続いているんだろうというふうに思いますが、あとはやはり、消費と企業の投資がもっと動いていくようにしなければいけないということであります。

 ですから、我々は、さらなる賃上げもお願いしていきたいというふうに思っていますし、いろいろな消費喚起策もとっていかなければいけません。また、企業に対しても、非常に利益が積み上がってきているんですが、それが何か現預金に積み上げられているような状況が続いていますので、それも賃上げや投資にしっかり回るようにやっていくことで、アベノミクスの好循環がしっかりと回り出して、完全にデフレから脱却したと言える状況を築くまで頑張らなければいけないと思っております。

谷畑委員 そのようにしてまた頑張っていただいて景気をずっと継続して発展する、そういうことが非常に大事だ、そういうふうにもう一度申し上げておきたいと思います。

 それでは政府参考人にお聞きします。

 何と申し上げましても、中小企業が九九・七%ということで、やはり日本の経済というのは、もちろん大企業も大事だけれども、圧倒的多数は中小企業が頑張って、そして、そこで雇用を、たくさん人を雇っていく。そういう現実の中で日本がここまで元気でおれる。私はそういうように思うわけであります。

 そこで、そういう状況の中で中小企業は、最近、企業数の減少という傾向が少し続いてきておるということなんです。それはどういうような条件でそうなるのか。本来なら、景気がいいから、ずっと中小企業も大企業に負けずにもっとふえてもよさそうだと思うんだけれども、そこらの状況というのを少し教えていただけますか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業につきまして、まず倒産の動向でございますけれども、二〇一六年でございますけれども、倒産件数は八千四百四十六件ということで、二十六年ぶりのこれは低水準になっておる。このような数字が出ております。

 他方、休廃業、解散というこういった数字を見ますと、傾向的に増加傾向になっておりまして、二〇一六年は二万九千五百八十三件、このようになってきております。

 この背景といたしまして推定されるのが、やはり経営者の方の高齢化が進んでいるのではないか、このようなことでございます。

 一例を申し上げますと、経営者の年齢が六十歳以上の企業、休廃業、解散の中の八二・三%、八割を超える、休廃業、解散件数の企業の中の経営者年齢が六十歳以上の企業が占めておられる、このようなことでございます。これは、約十年前と比べますと約一〇%ポイントが増加をしておる、このようなことでございます。

 また、帝国データバンクの調査でございますけれども、六十歳以上の経営者のうち半数が後継者が不在である、このような御回答をいただいているということでございます。

 さまざまな要因が絡んでいると思いますけれども、休廃業、解散の背景には、経営者の高齢化と後継者不足があるのではないか、このようなことが強く推定されるわけでございます。

谷畑委員 今、高齢者という状況があるという話なんですけれども、やはり、中小企業に対する魅力というか、そういうものがあれば若い人だって、時には大企業もいいだろうけれども、一回中小企業の門をたたいて、自分もさらにその後継者として努力していこう、こういうような条件が必要だと思うんだけれども、そういう若い人たちを雇用していく、そういう条件というのはどういう点、あるいは、もちろん福利厚生だとかいろいろな要素があると思うんだけれども、そこはもう一度、何かありましたらコメントをいただけたらと思います。

安藤政府参考人 中小企業の行っておられる仕事とか、あるいは今後の展望については、やはり、その先行きあるいは明るい見通しがある、こういうものを持っていただくということは大変大事ではないかというふうに思わせていただいております。

 他方、さまざまな事業の承継を行うに当たりましても、委員御案内のとおり、さまざまな承継に関する負担なり、あるいは制約というものが存在をしております。こういうものがうまくその事業承継の際の負担の軽減、あるいは事前、事後のケアというものがしっかり行われることによりまして、引き継がれるべき事業がしっかりと次の世代に引き継がれていく、こういう環境整備を整えていくこともあわせて大切ではないか、このように思っております。

谷畑委員 事業承継をしていくのには、もちろんそういう税制というのか、優遇と言ったらいいんですけれども、それなりに、承継がしやすい環境が私は必要だと思うんです。

 そういう意味では、相続・贈与税、それからそういうものの猶予、そういう点についてはさらに条件を緩和していくということが大事だと思うけれども、今も相当頑張ってやってはると思うけれども、今後ともさらにそれを継続して、それを発展させる気持ちがあるのかないのか、政策として。そこらはどうなんですか。現状で、そのままでいいと思っておるのか。そこらをもう一度参考人の方に質問します。

安藤政府参考人 事業承継税制の扱いにつきましては、大臣も御答弁させていただいておりますように、この十年というのはとりわけ大事な期間であるということも踏まえまして、思い切った対策、そしてまた事業承継の前の準備、あるいは、事業承継をした後の企業がしっかりと飛び立っていけるようにということで、切れ目のない御支援、このように大臣が御答弁を申し上げているとおりだと思っております。

谷畑委員 そういうことで、事業承継を容易にしていくための、さらに税制等を含めて努力をされて、スムーズに継続して、後継ぎがスムーズにいくように、ぜひひとつ強力なる指導をしていただきたいということを最後に申し上げておきたいと思います。

 次に、ものづくりなんですけれども、やはり日本がここまで成長してきたのはものづくりだと思います。また、日本人の性格上、手抜きをせず、非常に研究熱心というのか、現場の中から学んでそれを発展させたり、それをまた承継をさせたりして、そういうようにやってきたと思います。

 そういうことの中でぜひものづくりをさらに発展させるために、もうこれで最後にしたいと思うんですけれども、大臣の所見といいましょうか、ものづくりに対する、さらに力を入れて光を当てていく、そういう点がありましたら、一言決意をお願いします。

世耕国務大臣 最近いろいろな不祥事が出ているわけではありますけれども、私は、やはり日本の製造業というのは、現場で働く人たちの努力のおかげで日々改善が重ねられて、品質が上がって、世界から高い評価を受けているというふうに思っています。単に製品が評価を受けているだけじゃなくて、そのものづくりに対する姿勢とか、そういったところが、ある種、例えばアジアの国とか途上国から見て、やはり日本に対する憧れにつながっているわけであります。

 タイなんかへ行って日本企業の工場なんかを見に行くと、やはりそこで働く人たちは、単に労働者として雇われているというよりは、何か日本の価値観に触れたいという思いでいて、また会社側も、日本のものづくりの価値観をしっかり外国の人にも伝えていきたいというそういう思いで職場が構成されているという感じで、ただ単に何か海外進出して物をつくっているという感じではないというのをいつも感じているわけであります。

 ただ、一方でものづくりは、これから第四次産業革命の中で大きな変革を迎えてきます。今までの日本のものづくりのいいところはしっかりと引き継ぎながら、しかし一方で、この第四次産業革命で起こってくるいろいろな人工知能とかIoTとか、そういったこともどんどんものづくりの中に積極的に取り組んで、第四次産業革命の中でも日本のものづくりが世界をリードできるような、そういう政策をぜひ推し進めていきたいというふうに思っております。

谷畑委員 これをもちまして、早いけれども終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三分散会


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