衆議院

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第3号 平成31年3月15日(金曜日)

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平成三十一年三月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 穴見 陽一君 理事 梶山 弘志君

   理事 小林 鷹之君 理事 國場幸之助君

   理事 西村 明宏君 理事 落合 貴之君

   理事 斉木 武志君 理事 富田 茂之君

      安藤 高夫君    石川 昭政君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      小田原 潔君    尾身 朝子君

      大岡 敏孝君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    神山 佐市君

      神田  裕君    佐々木 紀君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      百武 公親君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    細田 健一君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      簗  和生君    吉川  赳君

      菅  直人君    田嶋  要君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山崎  誠君    関 健一郎君

      太田 昌孝君    笠井  亮君

      足立 康史君    笠  浩史君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業大臣政務官    石川 昭政君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉川 浩民君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           風木  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   松永  明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     吉川  赳君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小田原 潔君

  神山 佐市君     宮崎 政久君

  神田  裕君     百武 公親君

  山際大志郎君     大岡 敏孝君

  浅野  哲君     関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     青山 周平君

  大岡 敏孝君     鬼木  誠君

  百武 公親君     神田  裕君

  宮崎 政久君     安藤 高夫君

  関 健一郎君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     神山 佐市君

  鬼木  誠君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

三月十四日

 平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出第一一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官佐々木浩さん、総務省大臣官房審議官吉川浩民さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光さん、経済産業省大臣官房審議官風木淳さん、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長松永明さん及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 きょうは、さまざまな、重要だと私が考える問題について取り上げさせていただきます。

 まず、昨年、障害者雇用の問題が各役所で発生しました。

 障害者を雇用しましょうということは、政府の政策としても今までも推進をしてきたわけでございます。法定雇用率が二・五%ということで、役所もそれから民間もそれを目標に雇用をしていきましょうという施策がとられてまいりました。

 昨年、不正計上というものが発覚をしたわけでございます。経済産業省も正確な数字を調査されました。それまで発表していたのが、経済産業省が、百五十三人障害者を雇っていますというふうに発表していたのが実は五十二人だった、特許庁も、六十五人と言っていたのが十六名だったということが発表されました。

 数件ちょっとごまかしていたというどころの話では今回はありませんで、三倍ですとかにふやしていたわけです。これは組織のガバナンスの問題としても重大な問題であると思います。

 大臣、しっかりとトップとして厳正な処分はされたんでしょうか。

世耕国務大臣 この障害者雇用の問題、法定雇用率の問題というのは、これは政府として民間にお願いをして、ある意味ペナルティーをつけてお願いをしてきたという政策であります。

 にもかかわらず、政府としての、まさに民間企業の窓口ともいうべき経済産業省でこの法定雇用率の達成に関して不適切な事案があったということは、これは深くおわびをしなければいけませんし、反省して出直さなければいけないというふうに思っています。再発防止と早期の法定雇用率の達成に、現在、省全体で取り組んでいるところであります。

 処分ということでありますけれども、まず、厚労省の検証委員会で検証が行われました。その結果を受けて、二度とこのような事態が生じることがないように、私の方から事務次官以下事務方幹部に対して注意を行うとともに、障害のある方の雇用の推進に全力で取り組むよう指導をしているところであります。

 組織として今回の事態を真摯に反省して、基本方針に基づいて、再発防止と障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を着実に進めて、引き続き、法定雇用率の早期達成に全力で取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 再発防止策をしっかりやっていきます、処分というよりというお話でしたが、たびたび原発事故の問題も私も取り上げてきましたが、それも民間はちゃんと責任をある程度とっていますけれども、役所の方は二度と事故を起こさないように頑張りますという答弁なわけでございます。

 これはやはり、何らかの形で、再発防止だけじゃなくて、その去年の責任者、担当者は少なくともしっかり処分するべきじゃないですか。いかがですか。

世耕国務大臣 これはまず検証委員会の中身に少し踏み込まなければいけませんけれども、経産省としては、この検証委員会からまず指示を受けて、省内において可能な限り過去の担当者にさかのぼるなどして調査を行いました。その結果、以下の点が確認をされました。

 身体障害者は原則として障害者手帳により確認するということにされていたわけでありますが、例外について、厚生労働省に確認することなく、担当者で代々引き継がれている対象者名簿をもとに新たに対象者を追加するというような手法をとっていたということがわかりました。

 また、対象者の追加に当たっては、人事当局が把握をしている情報に基づいて、手帳保有者に相当すると考えられる者を障害者としてリストに追加をするというような運用も行われていたわけであります。

 なお、これは、現在も在職をしている秘書課の担当課長補佐経験者五名に確認も行っておりますけれども、少なくとも十年以上前からこうした運用であったということは確認できたわけでありますが、意図的に不適切な対応を行ったという例は、今在職している担当者に関しては確認ができなかったわけであります。

 これは経産省だけではなくて他の省庁もそうだと思いますけれども、今回の事案については、いわゆる国家公務員法上の処分というよりは、しっかり注意をして、再発を防いで、そして法定雇用率にまで達するように努力をするということがやはり責任ある対応ではないかというふうに考えているわけでございます。

落合委員 二・五%、民間も頑張っていますので、頑張っていただきたいというふうに我々も思いますけれども、これは、原則はそうで、例外は意図的じゃないけれども確認していなかったと。しかし、これは実際の三倍も数字を計上していたわけですので、身内に甘い姿勢というのは、やはり世耕大臣のような指導力ある大臣がとるべき姿勢ではないと私は思いますので、ぜひこれは厳しく対処していただければと思います。

 これは、途中経過も含めてまた取り上げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 では、消費税増税がことし行われるということに当たって発表されたガイドラインについて、きょうは取り上げさせていただきます。

 消費税の引上げに伴う価格設定のガイドラインというのが、昨年の十一月二十八日に発表されました。連名で、内閣官房、公正取引委員会、消費者庁、財務省、経済産業省、中小企業庁と、六個も役所が連名でこのガイドラインを発表しているわけでございます。

 これについて、まず経産大臣に伺いたいんですが、ここに書いてあるのが、一番、二番、三番と大きくくくってありまして、一番目が、私が読んだ中でも新しいガイドラインの情報、今までガイドラインとして出していなかったような情報が書かれているわけです。

 これはどういうことが書いてあるかというと、欧米では、付加価値税の引上げの日に一斉に価格を上げることはありませんでした、事業者がそれぞれ自由に判断をしてきました、今回増税するに当たって、我が国でも小売事業者は柔軟に価格を設定してもいいんですよということが書かれているわけです。

 そこから後半、ちょっと私はびっくりしたんですが、大企業も、消費税引上げ後、みずからの経営資源を活用して価格設定を行うことは何ら制約もありませんと。これはかなり思い切ったことが書いてあると思います。

 これは、駆け込み需要、それから反動減ががくんとあったので、これを平準化しようという意図だとは思うんですけれども、マクロで考えたらそうかもしれませんが、中小企業も大企業も、小売業者が、増税、税額は上げられるにもかかわらず価格設定は自由にやっていいですよ、しかも、大企業は体力を、みずからの経営資源を使って価格設定をやって大丈夫ですと言っていて、中小企業はポイント還元で優遇するから大丈夫ですというようなことが書かれているわけです。

 これは、これだけ価格競争を政府が促して、中小零細はポイント還元をやるから大丈夫ですなんというこの書き方は、中小企業政策として間違っていると私は思いますが、大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 今御指摘の去年十一月に出したガイドラインでの文言、驚いたとおっしゃるんですが、「自らの経営資源を活用して値引きなど自由に価格設定を行う」、これは商慣行上、ある意味当たり前の話だというふうに思っています。

 ただし、きょうは公取もお見えですけれども、いわゆる不当廉売とか、あるいは、消費税に関しては、そのしわ寄せを転嫁をさせないで、下請の中小企業、納入元の中小企業等にしわ寄せを行うということは、これは明らかにだめで、自由といっても何でもやっていいわけではなくて、いわゆるみずからの経営資源を、みずからのもうけを少し抑えてでものセールは構わないという当たり前のことを言っているわけであります。

 逆に、これ、八%に上げるときは、当時、非常にいろいろ、特に転嫁対策は厳格にやらなければいけないという気持ちもあったんだろうと思いますけれども、この消費増税のタイミングでの値引きとかポイント還元についてはかなり縛りをかけたわけであります。そのことがあのときの消費の冷え込みにつながった一つの原因かもわからない、その時期に値引きができないということに実質上なっていたわけですから。

 今回は、ガイドラインで明示をして、消費税もらっていませんとか、消費税分還元しますとか、消費税の転嫁しませんみたいな文言はだめですけれども、十月一日以降何%値下げをしましたというのは、みずからの資力の範囲において、そして不当廉売とか下請いじめに当たらない範囲においては、やっていただくというのは通常の感覚ではないかというふうに思っていますし、それに合わせて、資力に不足する中小・小規模事業者に対しては、ポイント還元で国がバックアップをさせていただくということで、バランスもとらせていただいていると思っております。

落合委員 当たり前のことを書いたとおっしゃいましたが、当たり前だったらガイドラインに書かなくていいんじゃないですかね。

 注意しなきゃいけないことを政府が指導するためにガイドラインがあるわけで、しかも、自由な価格競争、大企業も体力を使って価格競争をやっていいと。中小企業にはそのしわ寄せが来るわけです。その対策が、ポイント還元しかここには書いていないんですね。ポイント還元が、大企業が体力勝負したときの中小企業に対するバックアップに見合っているんですかね。どうですか、大臣、これ、政策として。

世耕国務大臣 そのためには、前の八%に上げるときのガイドラインをよく確認をしていただかなければいけないんです。かなり厳しかったわけです。

 こういう表現になっています。「「消費税」といった文言を含まない表現であっても、」ちょっと間を飛ばしますけれども、「実質的に消費税分を値引きする等の趣旨の宣伝や広告を行うことは、通常、本条で禁止される表示に該当」しますということになっていて、基本的には値引き販売をかなり萎縮をさせたわけであります。今回は、消費税還元とか言わない限りはいいですよということにさせていただいています。

 しかも、小売業というのはそんなに利幅の大きい商売ではありませんから、幾ら大企業とはいえ、不当廉売には当たらない、しかも転嫁をしっかりやるということを前提にした場合は、ある程度、値引きといってもそんなに大幅なことはできないわけでありますので、そういう意味では、良識の範囲内で行われていくんだろうというふうに思います。それに対して、中小企業は、ポイント還元という形でこれは十分対応できるものだというふうに思っております。

落合委員 二〇一四年の増税後のいろいろな消費税の価格の問題についても、私はかなり何回もここの委員会でも、それから財務金融委員会でも取り上げさせていただきました。

 これは、前に厳しいガイドラインを出したにもかかわらず、それでもそこそこな数、問題が起きたわけでございます。中小企業の業況の指数も、そのときやはり悪くなったわけでございます。これは、反動減も確かに物すごく大きくあったわけですけれども、マクロで見て反動減は平準化するかもしれないですけれども、ミクロで各企業の経営を見ると、今回のガイドラインは、これでやられてしまう中小零細企業はたくさん出てくると私は思います。ぜひ、そこに目をしっかり向けていただいて、対策を、補正でも何でも打っていただければと思います。

 消費税自体が預り金のような感じはするんですけれども、仕入れ税額控除が実際にはとられていますから、売上げの金額それから仕入れの金額で納税額が決定されるということでございます。要は、価格をどうするかによって納税額も上下するわけでございますから、これは単純な問題ではない、表に出てくる問題ではありませんので、ぜひ注視をしていただければと思います。

 きょうは、お忙しい中、公取委員長にもお越しいただきました。元財務次官ということで、税制にもかなり精通されていることと思います。

 こういうガイドラインを政府が出していることで、勘違いして、大企業の小売業者がいろいろなことをやってしまう可能性も私はあると思います。これは、気合いを入れて、今回は新しい問題として公取も対処しなきゃいけないと思いますが、そこら辺はいかがでしょうか。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 企業が、対消費者の取引において、みずからの経営資源を活用して創意工夫することで費用を削減するなど企業経営を効率化しまして、これを反映して値引き等を行って顧客を獲得しようとするということ自体は本来問題になるものではないと思っておりまして、御指摘のガイドラインの記載は、念のためこういうことを記載したということと理解しております。

 しかし、企業が、効率化によって達成した低価格で商品を提供するのではなく、採算を度外視した低価格によって顧客を獲得しようとすることになれば、これは公正な競争秩序に影響を及ぼすおそれがあるものでございますので、独占禁止法においては不当廉売として規制されているものでございます。

 公正取引委員会におきましては、消費税転嫁対策特別措置法の説明会の場でも不当廉売規制に関する説明もあわせて行うなどしておりまして、こうした場合に違反行為が生じないように注意喚起に努めているところでございまして、また、こうした努力を続けていきたいと思っております。

落合委員 念のため記載したという言い方をされましたけれども、これは、私は記載する必要はないと思います。

 反動減という大きな問題はあるわけですけれども、そもそも価格というのは、近くの大手のスーパーに、地元の小さい小売店だって、八百屋さんだって、スーパーのキャベツの値段が上がったり下がったりしたら、その近くの八百屋さんの値段だって上がったり下がったりするわけで、主導権は大企業の方が持っている。これは、実際の市場というか経済の中で起こっているわけでございます。

 値上げも値下げも大企業が自由にやっていいよということを政府が、実際にはそうなっているんですけれども、政府がそれを後押ししたら、物すごく中小零細は振り回されることになる、自分の判断で経営することができなくなる。これはもしかしたら、本当に各地各地の商店街の中では物すごく大きな問題が出る可能性が高いと私は思います。ぜひ、そこまで考慮した上で組織を動かしていただければと思います。

 二番目に入りますが、このガイドラインの二番目は、前回と同じように下請取引の価格転嫁はしっかりやらなきゃいけませんということが書かれているわけでございます。これはもっともなことです。

 私がなぜこのガイドラインをわざわざ取り上げたかといいますと、ある国会中継を見ていた人に言われたんです。その人は下請取引をしている会社の社長なんですけれども、国会中継を見ていたら、今回は価格を自由に決めていいというふうに大臣が言っていたよねと。今までは価格転嫁しろしろって増税のたびに商工会でも説明して、いろんな税の勉強会でもみんな価格転嫁、価格転嫁と言っていたのに、今、大臣が、柔軟な価格設定と言っていて、一斉に値上げする必要はありませんと言っていて、消費税増税だって大変なのに、これは我々にとって大変なことを政府が今回しているんだけれどもという話がありました。

 これは話が混同されてしまっているわけですけれども、政府は、小売価格は自由にやってください、BツーBの下請取引は今までどおりしっかり価格転嫁しろと言っているにもかかわらず、今回、わざわざ言わなくていいことを言ったことで、今までの価格転嫁の話もまるでないようなことになってしまっているわけです。

 これだけじゃなくて、例えば、商工会で説明会を開いたときに、今までは価格転嫁の話だけだったわけですけれども、今公取の委員長がおっしゃったように、価格転嫁の話だけじゃなくて柔軟な価格設定についても説明していますとおっしゃっていました。それから、今回はそれだけじゃないんですよ。ポイント還元の話もしなきゃいけないし、レジの補助金の話もしなきゃいけないし、複数税率というのはどういう仕組みなんですかという話もしなきゃいけないですし、インボイスの話もしなきゃいけないわけです。

 こんなに一遍に今回言われて、我々だって一個一個全部勉強しないと理解できないのに、ふだん商売していて、商売しながら経理もやっている人たちがこれを理解できるんですか。

 消費税を上げるだけのために、その対策を政府が各省で打っているがために、これだけ複雑になって、五%から八%に上げたときと今回の増税は中小零細企業者にとっては全然状況が違うことになってしまっているわけです。これはつまり、価格転嫁の話が薄まっているということなんですが、だからこそ公取は頑張らなきゃいけないと私は思います。

 ちなみに、公取委員長に伺いたいんですけれども、五%から八%に上げたとき、このときは価格転嫁をやらなきゃいけないということを一本で説明してきたわけですけれども、その上げたときでも、価格転嫁に対する指導に入ったりですとか立入検査に入ったりですとか、そういうことがあったと思います。これは何件ぐらいあったんでしょうか。

杉本政府特別補佐人 消費税の転嫁拒否行為につきましては、消費税転嫁対策特別措置法が施行されました平成二十五年十月から平成三十一年二月までの間でございますが、同法違反が認められた事業者に対しましては、公正取引委員会それから中小企業庁合わせまして四千六百件の指導を行っております。このほか、重大な転嫁拒否行為を行った事業者に対しては勧告を行うことにしておりますが、これにつきましては、四十七件の勧告を行うなどしておりまして、厳正に対処してきたところでございます。

落合委員 怪しいときは調査をして、それでも確かに怪しいというときは立入検査をして、その結果、指導を行う。その結果の指導でも四千何百件あるということで、怪しかったところに入った立入検査も六千件あるわけでございます。

 全国にかなり徹底して価格転嫁しろと言ってもいろいろとこういう問題が起こっているわけで、今回、もっともっと数多く怪しい事例が出てくるはずです。下請取引も柔軟な価格設定をするんだということで企業が対応したら、中小零細は大変なことになるわけです。

 いろいろなアンケートを調べまして、価格転嫁できないという答えが、毎回、消費税を増税するたびにアンケートをとってもいっぱい答えているわけですけれども、日本商工会議所の調査でも、もう既に、価格転嫁はちょっと難しいなというのが半分ぐらい答えているわけです。これは、かなり今回は気合いを入れて公取が対応しないといつもよりも大変なことになると私は思うんですが、しっかり気合いを入れて今まで以上にやっていくということで、委員長、よろしいですね。

杉本政府特別補佐人 先ほどお答えいたしましたように、私どもは、消費税の転嫁拒否行動に対して厳正に対処しているところでございます。

 今回、本年十月の消費税率の引上げに当たりましても、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するために、引き続き、転嫁拒否行為に対しては、監視、取締り、事業者に対する指導、周知徹底に努めることとしております。そうしたことから、三十一年度予算案におきましても、徹底した広報、書面調査の充実、調査官の増員により法執行体制を強化するための経費を盛り込んでいただいているところでございます。

 公正取引委員会といたしましては、引き続き、消費税転嫁対策特別法に基づきまして、転嫁拒否行為の未然防止のための取組に万全を期すという覚悟で、転嫁拒否行動に対して迅速かつ厳正に対処してまいりたいと考えているところでございます。

落合委員 大臣も、それから世耕大臣以外の経済系の大臣も、大企業はアベノミクスの恩恵が数字で出てきています、中小企業にはまだまだ十分に波及していないので、中小企業政策はしっかりやっていくんですというふうなことをお話をされているわけです。だったら、このガイドラインは、私は、その方針と逆でありますし、わざわざアベノミクスの弱点をより攻撃するような政策は私はやるべきではないですし、これは絶対、経済の数字としてことしの後半から出てきてしまう問題だと思います。

 確かに中小零細は生産性も低いんですけれども、そのかわり、何をやっているかといえば、消防団もやっているわけですし、町会長をやって、それから商店会長をやって、町の電灯を設置することからそういう人たちが全部担っているわけで、これは経済性だけでははかれない、この国を支える役割を果たしているわけでございます。こういうところにやはり目を向けていくことが、私は保守政治家がやるべき仕事だと思います。

 こういう方々が商売ができなくなって、事業承継のあれが通るけれども、もうこれを機にやめちゃおう、廃業しちゃおうということが各地域で大量に起きたら、私は、地域の防災も成り立ちませんし、それから地域の防犯も成り立ちませんし、シャッター街もふえてしまうし、大変な問題を起こすと思いますので、ぜひこれは、この状況だと大変なことになりますので、補正も含めて新しい対応をしていただければと思います。

 では、次の問題、時間が限られていますので、一問だけさせていただきます。

 公取委員長にきょうは来ていただいているので、お伺いできればと思いますが、デジタルプラットフォーマーに関する公正性確保のための大規模かつ包括的な徹底調査をするということが発表されました。これは題名に、大規模かつ包括的な徹底調査と、徹底的にやるんだという意気込みが題名にもあらわれているんですが、その意図を教えていただければと思います。

杉本政府特別補佐人 デジタルプラットフォーマーをめぐる取引環境につきましては、経済産業省、総務省、公正取引委員会が共同して策定したプラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則というものがございます。

 これにおきまして、デジタルプラットフォーマーは、革新的なビジネスの担い手でございまして、利用者等に対して多大な利便を提供しているところでございますが、同時に、利用者との関係で、不公正な取引慣行の温床となるおそれがある、また、プライバシー侵害のおそれがあるということも指摘されております。

 こうした考え方を受けまして、私ども公正取引委員会といたしましては、本年一月にデジタルプラットフォーマーの取引慣行に関する実態調査を開始したところでございまして、デジタルプラットフォーマーの取引状況、どうした活動をしているかについて、徹底した、深度のある調査を行いたいと考えているところでございます。

落合委員 公取委員長の立場では踏み込んだ発言は、まだ調査中、調査が始まったばかりでできないと思いますが、経産省のいろいろな報告書、それからいろいろな政府の報告書を見ましても、デジタルプラットフォーマーがいることで独占化とか寡占化は進みやすいということは政府も認識をしているわけでございます。

 優越的地位の濫用は行われやすい環境にあるわけですので、これは重要な問題ですので、次回取り上げさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 東京電力福島第一原発事故から八年、いまだ事故は収束せず、福島県では四万人を超える県民の皆さんが避難生活を送られております、そして強いられている状況です。

 世耕大臣に、まず、福島への責任ということについて問いたい。

 三月八日の大臣の所信表明ですが、昨年の臨時国会では、「福島の復興には、生活の再建と産業の復興が必要です。」というふうに述べておられました。しかし、今回の所信から、生活の再建という文言がなくなった。私、ちょっと驚いたんですけれども、なぜでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘を受けましたので、私が閣僚になってから過去六回の所信表明を確認してみました。三回は生活再建という文言が入っていますが、残り三回は入っていないわけであります。

 今回の所信表明でも、私は、生活再建を軽視しているなんということは全くありません。ことしの所信表明の中で、「本格的な福島の復興につなげていくため、官民合同チームのきめ細かな支援による事業、なりわいの再建や、福島イノベーション・コースト構想の推進による新たな産業基盤の構築を進めます。」ということを明確に申し上げています。

 福島の復興は、これまでと変わらない姿勢で、経産省の最重要課題として取り組みたいと思います。

 まさに、なりわいというのは、これは平仮名で書かせていただいていますが、漢字にすると生業でありますから、まさにここに私は生活再建の思いを込めさせていただいているつもりでございます。

笠井委員 いろいろ言いわけもされましたが、五文字が外れていたのは事実であります。復興の大前提ではないかと私は強く言いたいと思うんです。

 確認したいんですが、生活の再建なしに、産業の復興、なりわいの再建はない、大臣もそういう認識でいいですね。

世耕国務大臣 生活の再建という言葉は用いていませんが、事業、なりわいの再建なくして生活の再建はなくて、福島における事業、なりわいの再建を通じて福島の被災者の皆様の生活の再建を実現して、福島復興をいよいよ本格的なものにしていくという思いを持っているところでございます。

笠井委員 生活の再建なしに、なりわいの再建はないんです。そこははっきりさせていただきたいと思います。

 災害復興住宅に入居された方々を含めて、ふるさと福島に帰りたくても帰れない人が少なくとも十一万人にも上ります。今なお東京電力の原発事故の被害は続いて、生活の再建にはほど遠いのが現実なのに、被害者への賠償や支援策が次々に打ち切られている。

 東京電力が集団ADRの和解案を百二十一件も拒否をして、その人数が一万七千七十三人にも及んでいることは大問題です。国の責任が問われております。

 去る三月八日の参議院予算委員会で我が党の岩渕友議員が東京電力への直接指導を求めたのに対して、世耕大臣は、私自身も、もう一度東京電力の経営陣を経産省に呼んで、落ちついた雰囲気の中でしっかりとそのことを伝達したいと答弁されました。いつ呼ぶんですか。

世耕国務大臣 できるだけ早く呼びたいと思っています。しっかり時間をとって、いろいろなお話もしたいと思っていますので、時間のとれるタイミングをしっかりつくってやっていきたいというふうに思っております。

笠井委員 私、なぜすぐ呼べないのかと。被害者の皆さんの生活、なりわいの再建というのは、切迫をしております。これからに希望が持てるかどうか、復興にとっても喫緊の課題ではないか。

 予算委員会の合間にも、重要だということで、大臣はカンボジアに出張されるなど外遊されてきたわけでありまして、この問題は、いずれしかるべきところでしっかり時間をとってと。いずれしかるべきところでいい、後でもいいという位置づけでは絶対いけないと思うんですけれども、そんな位置づけなんですか。

世耕国務大臣 そんなことはありません。呼んで伝えるのは簡単ですよ、二、三分で済ますんだったら。そういうことをやるよりは、もう私の意思は明確に伝わっているわけであります、集団ADRでお断りした案件であっても個別の事情をしっかり聞くべきである、そのための体制も整えるべきであるというのが私の考えでありますので、これは、しっかり落ちついた雰囲気の中で、一定程度時間をとって東京電力としっかり話をする。そんなに、いつまでもほっておくつもりはありません。

 私の意思はもう伝わっていますから、東京電力は既にアクションもとり始めていると思います。そういったことも、どういうアクションを今とっているのか、これからとろうとしているのかということも含めてじっくりヒアリングをさせていただきたい、じっくり対話をさせていただきたいと思っています。できるだけ早くやりたいと思っています。

笠井委員 私は、二、三分で呼んで、はい言いましたよということをやれなんということを言っているんじゃないんですね。じっくりやるべきだと思うんですけれども、しかし、参議院の答弁では、一連の国会などが落ちついた後に、落ちついた環境でしっかり呼んでと言われているけれども、国会が終わったら、今度は参議院選挙です。そして、すぐまた臨時国会です。落ちついた後に、落ちついた環境でということで後回ししていて、それでもうやらないと言っているようにも受けとめられるわけで、まるで他人事みたいな答弁になっちゃいます。

 東京電力に、「三つの誓い」ということで、最後の一人まで賠償貫徹を始めとして、迅速、きめ細やかな賠償の徹底、和解仲介案の尊重を守らせるのが国の責任ではないか。福島への責任という国の根本姿勢、そして大臣の根本姿勢が、ここにも問われております。

 福島復興には生活の再建が必要というなら、大臣自身が直ちに東電の経営陣を呼んで、しっかり時間をとって、和解案の尊重は当然の責務だと強力に指導すべきだと強く申し上げておきたいと思います。

 さて、そこで、日本原電の東海第二原発の再稼働に向けた安全対策工事費が、従来想定していた千七百四十億円から約三千億円へと、二倍近くにまで膨らむと報じられております。

 世耕大臣は三月八日の記者会見で、東京電力が昨年表明した日本原電への資金協力について、東電の経営陣が、特に福島への責任を果たしていくという、その経営をしっかりと立てていくという観点から等を中心に、さまざまな要素を総合的に勘案して支援の意向を表明したものというふうに判断をしていますというふうに答えられました。

 東京電力が原電を支援することが福島への責任を果たすことになるというのは、どういう意味でしょうか。

世耕国務大臣 まず、報道されているようなことが何か決まっているとか、数字が出ているというような事実は承知をしていないわけでありますけれども、いずれにしても、資金的な協力も含めて、個別の経営判断については、東京電力などそれぞれの事業者がその経営責任において判断すべきものだというふうに思っています。

 その上で申し上げると、昨年東京電力が表明した日本原電に対する資金的な協力については、小早川社長が昨年四月の国会審議において説明をしたとおり、経営陣は、新々・総合特別事業計画の趣旨も踏まえて、低廉で安定的かつCO2の少ない電気を供給していく上で、東海第二発電所からの受電は有効である、有効な電源を調達し、経済事業を通じて資金を確保することにより福島の責任を全うしていくという理由から、資金的な協力の意向表明を判断したというふうに承知をしているわけであります。

 御指摘の私の発言は、この経営陣の、福島の責任を全うしていくという意向に沿って説明をしたものであります。

笠井委員 東電経営陣が判断すべきとか、また、国会質疑の中では、商法上の株式会社だからというようなことを言われますけれども、実質国有化されている、一兆円資本注入されて、そして経営陣を送り込んでいるわけですから、国の意向に反することはできないということになってきて。

 私、確認したいんですけれども、大臣、国も東電による原電支援を了解しているということは、間違いないわけですね。

世耕国務大臣 国が東電の株を持っているのは、これはやはり、賠償、廃炉・汚染水対策を始め、福島に対する責任を全うさせるためであります。その責任を全うする上で行う個別の経営判断については、東京電力が判断すべきもの。これは、福島への責任全うに支障が出た場合には、我々、介入をさせていただく判断をさせていただくということになりますが、東京電力は今、福島への責任を全うするためにやるんだと言っているわけですから、個々の経営判断については、現時点では東京電力の判断に任せるべきだと思っております。

笠井委員 世耕大臣は、規制委員会からの東海第二原発の設置変更許可に関する意見聴取に対して、昨年七月三十一日に、許可することに異存はないと回答されております。十一月二十八日の私の当委員会での質問にも、安全対策工事に要する資金については、受電会社、東電などから資金的協力の意向が示されたことなどを確認し、経理的基礎などが認められたとする規制委員会の判断に対して異存がないという旨の回答を行った、異存ない、こういうふうに認めたわけですが、それはそういうことでいいですね。

世耕国務大臣 昨年七月に、原子力規制委員会から、東海第二発電所の設置変更許可に当たって、経産大臣宛てに、幾つかあるんですけれども今御指摘のところに絞りたいと思いますが、経理的基礎が認められるとする規制委員会の審査書案に対する見解について照会する文書が発出をされました。経産省としても、日本原電とそして東京電力に確認を行った上で、回答を行いました。

 その内容は、経理的基礎については、日本原電が原子力規制委員会の審査において説明しているとおり、安全対策工事に要する資金については受電会社から資金的協力の意向が示されたこと、再稼働後の事業資金については受給契約や借入れ等により確保する見通しがあることなどを改めて確認をして、経理的基礎が認められるとする規制委員会の判断に対して異存はないという旨の回答を行ったところでございます。

笠井委員 福島への責任を言うんだったら、被害者への賠償こそきちんとやるべきで、東京電力は、ADRの和解案を拒否したり、一方的な線引きや打切りで被害者を苦しめておきながら、東海第二原発の再稼働支援を行うなんて、とんでもない話なんですね。それを前提として国が了としていくという話ですから、ふるさとを奪われた同じ苦しみをもう誰にも与えたくないというのが福島の声、これと全く違うじゃないかということを言いたいと思います。

 原電が保有する四基の原発があるわけですが、そのうち二基、東海と敦賀一は既に廃炉が決定しております。敦賀二号も廃炉が迫られて、原電にとっては東海第二しかない。敦賀二号は二〇一一年五月に停止をし、東海第二は東日本大震災後、停止したままです。

 ということは、大臣、二〇一二年度以降、日本原電の原発発電量というのはゼロということでよろしいですね。

世耕国務大臣 そういうことだと思います。

笠井委員 発電ゼロの原電は、五つの電力会社から多額の販売電力料を受け取っております。二〇一二年から二〇一八年上半期の間、日本原電が受け取った販売電力料は幾らか、電力会社ごとに示していただきたいと思います。

世耕国務大臣 各電力会社が日本原電に支払った金額については、現在日本原電が開示をしている二〇一二年度から二〇一八年度の上期までの情報に基づいて申し上げれば、東北電力が六百三十四億円、東京電力が二千九百八十五億円、中部電力が千五百億円、北陸電力が千百三億円、関西電力が千六百二十三億円、これを日本原電に支払っていると承知をしております。

笠井委員 発電量ゼロの卸電力会社がどうやって経営を成り立たせているかといえば、今ありましたけれども、この六年半、電力五社で七千八百四十八億円もの販売電力料、基本料金を払ってきたということであります。その原資は電気代です。

 世耕大臣、東海第二からの低廉で安定的な電気というのは東電にとってメリットというふうに言われますけれども、これでも低廉で安定的な電源なんですか。

世耕国務大臣 これは東電経営陣の判断ということになるわけでありますが、将来受電することも含めて経済性を判断をされているんだというふうに思います。

 東京電力は、福島への責任を全うするために大変な改革をやらなければいけません。一銭たりとも無駄に使っている余裕はないわけであります。そういう中での経営判断だと私は理解をしております。

笠井委員 動いていない、つまり従量料金は発生していない原発に七千八百億円超も電気代を払わされてきた。そして、電力自由化の今、そういうことになりますと、消費者、ユーザーの理解は得られません。その上、更に東海第二を再稼働させるための安全対策工事費まで負担させるのかという問題であります。

 そこで、原子力規制委員会の更田委員長に伺います。

 日本原電は、安全対策工事費、千七百四十億円をどうやって調達するとしているんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の経理的基礎に係る審査におきましては、原子炉等規制法に基づいて、申請者である日本原電が、原子炉の設置変更のために必要な工事に要する資金を調達できるかどうかの見込みについて、調達計画や調達実績等から確認をしております。

 日本原電は、東海第二発電所の新規制基準適合のための工事に要する資金について、自己資金及び借入金により調達するとしておりまして、借入金の調達に関しましては、受電会社である東京電力と東北電力が資金協力を行う意向を表明した書面を提出したものであります。

 また、東京電力が資金支援を行うことにつきましては、電気事業及び原賠機構法を所管する経済産業大臣に対して意見を聴取し、経済産業大臣から、同法の趣旨及び新々・総合特別事業計画の内容に照らして問題はないとの見解をいただいたところであります。

 これらのことから、日本原電にはその工事資金を調達できる見込みがあると認められることから、原子力規制委員会としては、経理的基礎があると判断したものであります。

笠井委員 確認したいんですが、経理的基礎があるということで評価したという、その経理的基礎というのは、原子炉等規制法に基づく原子炉設置許可、そして変更許可の要件、基準の一つということで、これが確認できないと許可できないということでよろしいわけですね。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉設置変更許可における審査は、本体施設についての基本設計について審査をしておりますので、金額の詳細の積み上げのような確認をしているわけではありませんけれども、原子炉を設置する者として資金調達等の見込みがあるかということを確認するものでありまして、仮にですけれども、資金調達ですとか自己資金等を有しない者が原子炉設置変更許可を申請をしても、それは許可に至らないということであります。

笠井委員 この安全対策工事費は、更に三千億円程度に膨らむと報道されているわけですが、いずれにしても、今後膨らむ、千七百四十よりもふえる。その膨らむ工事について、経理的基礎の有無というのは確認しているんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 まず、報道については承知をしておりますけれども、その内容について何らの確認をしているものではありませんので、報道を受けてその内容を確認するということは考えておりません。

 まず、安全対策費用の増加そのものをもって、改めて審査を行うですとか、変更の許可を受ける必要があるというような場合に相当するものではありません。仮にですけれども、安全対策費用などの増加に伴って、日本原電が当初の設計を変更しようとする場合には、原子炉等規制法に基づいて、改めて原子力規制委員会の許可を受ける必要があるものであります。

笠井委員 今後どういうものが必要になってくるか、特定重大事故等対処施設の設置に伴ってということが出てくるわけですね。その点についてはどうなんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 今先生から言及のありました特定重大事故等対処施設につきましては、まだ日本原電はこの申請を行っておりません。

 日本原電がこの東海第二発電所に係る特定重大事故等対処施設に係る設置変更許可を行った場合につきましては、事業者から当該施設の設置に係る設計の内容を聴取をして、原子力規制委員会としては、その経理的基礎を含めて審査を行うことになります。

笠井委員 この特定重大事故等対処施設、いわゆる特重でありますけれども、これは福島第一原発の過酷事故の反省ということがありました。免震重要棟のバックアップというのも必要になってくる。さらには、テロ攻撃等への対処のために設置が義務づけられたものでありますけれども、設置を再稼働の前提条件にしなければ新規制基準は意味をなさないということだと思うんですね。

 今後、設置変更許可が出されれば審査するというふうに今委員長言われましたけれども、もともとは本体の工事計画認可申請と特重設備の基本計画書を同時に提出させて審査していたんじゃないんですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 正直に申し上げますと、当初申請の内容について、現在、私、明確に確認をしているものではありませんけれども、特定重大事故等対処施設、これまでの先行している原子力発電所の例に鑑みますと、本体設計における重大事故等対策は審査の過程でさまざまな変化をしておりますので、本体設計が固まった上で、なお、改めて特定重大事故等対処施設に関する基本設計について審査を受けるというのが通例になっております。

笠井委員 確認したいんですが、もともとは、特重の設置期限を、新規制基準の制定、二〇一三年七月から五年間は猶予して、二〇一八年七月までに設置しなければならないという方針だったんじゃないんですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 特定重大事故等対処施設を求める施行に関しては、先生のおっしゃるとおりです。当初の方針としましては、新規制基準が施行されてから五年間という期間を考えておりましたけれども、その後、工事計画認可を受けた日から五年間というふうに方針を変えたのは事実であります。

笠井委員 なぜ変えたんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、新規制基準適合性に係る審査に関して経験を積み上げている間に、審査に要する期間というのが当初考えていたものよりもずっと長くなったということ。それから、審査の上で、これは事業者との間で技術的な共通理解をつくるために議論を重ねていくわけですけれども、まず本体施設の設計をきちんと考えた上でないと特定重大事故等対処施設に係る要件が定まっていかないといった、審査経験の積み上げもあって方針を変更したものであります。

笠井委員 大体、新規制基準に適合していたら絶対安全などというのは到底言えない、もうこれは福島の教訓から明らかですが、その上に、特重については、今おっしゃったような、審査が長期化したということが大きな要因の一つとなって猶予期間を延長するなどというのは、まさに、電力会社のとりこだったと厳しく批判された原子力安全・保安院の二の舞ではないかと言いたいと思うんですね。

 自然災害、航空機落下事故、テロなどの対策、特重が必要となる事態というのは、五年間の経過措置期間に、その間には絶対起きないということを断言できるんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 そのような断言をするつもりは毛頭ございません。

笠井委員 だったら、本当に一緒になって審査して、それがうまくいかなかったら再稼働できないというふうにしなかったらいけないと思うんですね。規制委員会みずからが規制を先延ばしする、安全を後回しするというのと同じことになってしまう。審査が長引いて、バックアップがないものを動かしてはいけないと強く言いたいと思います。

 経理的基礎の審査もそうです。再稼働したら特重の費用がかかるのはわかり切った話でありまして、その後やるということになるわけですから、千七百四十億円なら大丈夫だけれども、三千億と言われる、そういうことが負担できるかどうか。あるいは、幾らかかるのかということも含めて、これから出てきたら審査するというので、切り分けられないと思うんですよ。

 原電は、これから膨らむ工事費用を負担できるんですか。そういうことを確認できるんですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 改めて申し上げますけれども、特定重大事故等対処施設の設置に係る経理的基礎については、変更申請を受けておりませんので、現時点で確認しているものではございません。

笠井委員 では、いずれにしても再稼働に伴って特重をやらなきゃいけないんだけれども、それは現時点で確認していない。それが負担できるかわからないけれども、その再稼働についてはもうその前段で認めてというか、要するに、それに対しての適合審査はやって、それを受けて再稼働する。しかし、それでも、特重ができないということになっても、再稼働についてはもうやっているということで、そういう状態というのはよしとされるわけですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉設置変更に係る許可は、再稼働するしない、そのものにかかわるものではございません。新規制基準に適合した基本設計がなされているかどうか、そのことをのみ確認するものです。

 また、後段規制の工事計画認可は、設置変更許可で示したとおりの基本設計に沿った工事がきちんと行われるかどうかということを確認するものであります。更に言えば、使用前検査はそれがきちんとつくられているかを見るものであります。

 しかしながら、これまでも申し上げておりますけれども、再稼働させるかさせないかはあくまで日本原電の判断であります。

笠井委員 日本原電は、規制委員会から、そういうことで適合だと言われたら再稼働するんですよ、判断するんですよ。だって、再稼働したいから申請するわけですから。

 千七百四十億円も、最初の設置変更許可申請時に、工事費についても、この千七百四十という数字についても、最初の設置変更許可申請が出された二〇一四年五月二十日の段階では四百三十億だったわけですね。それが膨らんだものであります。

 世耕大臣に伺いますが、日本原電が負担できなければ更に東電が負担分をふやすことになる、こういうことになるんですか。

世耕国務大臣 今、日本原電が示している千七百四十億円のこの安全対策費用が最終的にどの程度上振れるかについては、これはまだわからないわけでありますから、仮定の御質問にはお答えできないと思いますが、いずれにしろ、安全対策費用も踏まえた事業の経済性については、日本原電と、そして東電を始め受電をする電力会社の経営陣がきちっと適切に判断し、説明責任を果たしていくべきものだというふうに思っています。

 東京電力は、これは国が株主になっています。我々は、福島への責任の貫徹ということを厳しく見張っています。他の電力事業者も、これはみんな株式が公開されている上場企業であります。株主に対してきちっと説明ができる、収益性その他、経済性その他、説明ができるものでなければならないわけであります。

 いずれにしても、そういった中で、日本原電と、受電する電力会社が経営判断として行うべきものと考えています。

笠井委員 どれぐらい上振れるかわからないけれども経営陣の判断だと言われるけれども、今大臣言われたように、東電というのは国が株主で、そして東電は日本原電の最大株主です。いずれにしても経営陣が判断するなんて話で逃れちゃいけないと思うんですよ。東電がやるべきことは何より賠償と廃炉であります。それらを後景に追いやって日本原電の原発再稼働を支援するなど論外だ。

 世耕大臣、東電は事実上国有化されているわけですから、国がだめだと言ったらできない。東電が他社の原発再稼働を支援するなど断じて認めてはならない、これこそが、経産大臣としてしっかりと決断すべきではないんですか。いかがですか。

世耕国務大臣 あくまでも、この日本原電に対する資金的な協力も含めて、東京電力の経営陣が個別の経営判断を行うに当たっては、廃炉と賠償の責任貫徹にどのように貢献をしていくかという視点が最も重要だというふうに思っております。

 新々総特においても、廃炉や賠償の費用の捻出に向けて、経営改革をやり遂げて企業価値を高め、国民負担の抑制と国民還元を実現するということになっているわけであります。

 国は、まさに株主として、そういう視点で東京電力の経営をしっかりと見ていきたいと思っております。

笠井委員 福島への責任と言いながら、私、今の答弁、無責任きわまると言いたいと思います。

 原電にとっていえば虎の子の原発である東海第二を、経産省、電力会社、規制委員会も一緒になって守っているのと同じだ。東海第二は、昨年十一月二十八日に四十年運転期限を迎えて廃炉になったはずの原発、それを六十年まで延長を認めた上に再稼働させようとしている。首都圏唯一の危険な原発は再稼働させずに廃炉にすべきだ、発電量ゼロの日本原電は廃炉技術で貢献する道こそ選ぶべきだと主張したいと思います。

 最後に、委員長、当委員会に付託されている原発ゼロ基本法案でありますけれども、昨年三月九日に衆議院に提出されてから一年以上がたっております。東京電力福島第一原発事故から八年、原発、エネルギー問題がいよいよ重要になっているときに、一刻も早く審議入りすることを強く求めたいと思います。

 既に理事会で提起もさせていただいておりますけれども、改めて、理事会でしっかりと協議をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽委員長 引き続き、理事会にて協議をさせていただきます。

笠井委員 終わります。

赤羽委員長 次に、足立康史さん。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 経済産業委員会は、多分、ちょっと、初当選から六年たちますが、先輩方がおられるので余りやりたくないので、今までは、いや、来たことはあるんですけれども、委員として所属したことは多分なかったと思うんですが、初めて経済産業委員会に加わらせていただきました。また、委員長始め皆さん、よろしくお願いします。

 おとついの経済産業委員会、また、きょう今、笠井先生のを伺っていまして、やっぱり経済産業委員会はおもしろいですね。特に原子力。菅元総理もいらっしゃるので、なかなか緊迫した雰囲気ですが。

 ただ、一つちょっと、きょう質問はしませんが、きょう時間が余りないので原発はまた別の機会にしたいと思いますが、今、笠井委員が原発ゼロ基本法案ということで、何か、おとついも大臣と山崎さん、山崎委員との間で無責任論争というのがありまして、どっちが無責任だと。これはまず、野党が無責任ですよね。

 私、原発ゼロ基本法をちょっと読みました。私たち維新の会は、原子力政策について一番大事にしているのは最終処分です。これは皆さんも一生懸命やっていただいている。ちょっと足りないと思うけれども、一生懸命やっていただいている。その最終処分について、原発ゼロ基本法が何を書いているか、ちょっと読んでみたんですよ。すごいですよ。一行だけ。放射性廃棄物の処分は適正な方法によるものとする。これは法案ですか。

 だから、私がまた事前審査してあげますから。だから、一回よく相談に来ていただいて、私たちも実は……(発言する者あり)あ、山崎さん、一回来ていただいたんだけれども、なかなか不十分でした。もう一回やりましょうよ、もう一回。だから、ぜひこの……(発言する者あり)

赤羽委員長 御静粛に願います。

足立委員 そう。御静粛にした方がいいですよ。

 いや、これ、今、笠井さんとか一部の野党委員がとにかく原発ゼロをやるんだと言っているけれども、僕、理事会に入っていますけれども、野党側で相談を受けていないんですよ。野党筆頭が何か与党筆頭とやっているんだけれども、いやいや、筆頭じゃない。だって、僕、相談を受けていないんだから。だから、野党筆頭が野党筆頭の役割を果たしていないんですよ。まあそれは理事会の話だからまた別途やりますが。

 だから全く、その手続、それから内容、論外なので、ちょっと、まず、私にちゃんと相談してから進めるようにということを付言をしておきたいと思います。

 ちなみに、大臣、最終処分は、原発ゼロ基本法案は最終処分は一行ですけれども、これは、私が準備している最終処分のこれだけの資料があります。全体でもこんなものを議論しています。今国会にはちょっと間に合いませんが、またしっかり、経済産業省、世耕大臣とも御議論をさせていただきたいと思います。

 さて、きょうはまず、この後、きょうの最後にも出てくると思いますが、万博ですね。

 まず、世耕大臣、本当にありがとうございました。今回の大阪・関西万博の誘致、これは安倍政権の中でも世耕大臣の御尽力なくして実現しなかったと思います。国、財界、地元自治体、この三者が一体になってなし遂げたものだと思うし、それから、私、かつて直属の上司でありました住田審議官、それから藤木審議官、また飛び回っていただいた武田室長を始め、本当に心から、本当はごちそうしたいぐらいなんですけれども、感謝を申し上げたいと思います。

 実は、大阪というのはオリンピックを誘致しようとしたこともあるんです。でも、そのときは、結局、大阪府と大阪市が反目してできなかった。

 それから、実は一回目の万博の会場というのは吹田市にあるんです。最寄りの駅は私の地元のJR茨木駅なんです。だから、私の地元は一九七〇年の大阪万博の玄関口なんですね。ところが、ある識者いわく、なぜ、北摂というんですけれども、大阪北部になったかというと、大阪市内を嫌ったというんですね。大阪市内にするとまたけんかになるから。だから北摂でやった、そんな議論もあります。

 ただ、今回は大阪のど真ん中で、夢洲というど真ん中で、大阪府市一体で、大阪府と大阪市が反目することなく誘致できたということで、我々も大変そこは、バーチャル大阪都と僕らは言っているんですけれども、知事、市長が一緒になってやった、こう思っていますが、大臣、御一緒というか、リードをしていただいて、その辺、御評価等をいただければと思うんです。

世耕国務大臣 大阪・関西万博の誘致の成功は、やはり国と地元自治体とそして経済界がオール・ジャパンの体制で一致団結して最後まで誘致活動を続けた結果だというふうに思っています。恐らく、万博のいろいろ審査上も、ちゃんと一致団結して盛り上がっているのかどうかというところはチェックをされたんだろうというふうに思います。

 そういう意味で、今申し上げた国、地元、経済界で不協和音が出なかったということは誘致につながった一つの要因だというふうに思っております。

足立委員 大臣、せっかくの機会ですので、大阪府と大阪市、ちょっと触れていただきましたけれども、今かすりましたけれどもね、もう少し、大阪府と大阪市が一体で取り組んだことの意義みたいなものをやはりここは一言いただきたいと思います。

世耕国務大臣 ちょっと時期的になかなか微妙な話題をいただいていると思いますけれども、地元自治体からも不協和音は出なかったというところは大きいというふうに思っています。

足立委員 まさにこの時期でございますので、しっかりこれ、取り組んでまいりたいと思います。

 大阪都構想というのが、これは大阪の話です、でも、もともとこの大阪都構想というのは、大都市法という、自民党さんも含めて、野党も含めて、反対したのは共産党と社民党かな、皆さんに支えていただいた大都市法に基づく大都市政策。大都市法に基づく大都市政策ですから、これは国の政策です。大都市政策、都市政策というのを考えたときに、私たちはやはり既存の自治体の枠組みにとらわれず、大都市ですから都市圏というものをしっかりと意識していくことが必要だと思っているんです。

 そういうふうにいろいろなものを見ていると、経済産業省が都市雇用圏というものを掲げられて、諮問会議等でもそれを取り上げてこられた経緯があります。都市雇用圏というのは何なのか、そういうものをそういうふうに捉えることの意義みたいなものをもし御紹介いただけたらありがたいです。

風木政府参考人 都市雇用圏についての御質問です。

 これは、平成二十六年に経済産業省に設置されました日本の「稼ぐ力」創出研究会というのがございまして、これは平成二十七年六月に取りまとめております。この中で、地域経済の分析の単位として都市雇用圏を採用して、これを活用して、各都市雇用圏ごとの人口動向や産業特性を踏まえた産業振興施策の提示を行ったものです。あくまで分析のツールとして研究して提示したということでございます。

足立委員 私はすばらしいと思うんですね。(パネルを示す)

 これをここにこう置くと誰に見ていただけるのかよくわからないんだけれども。委員長だけしか見えないかもしれない。できればどこかで映してほしいんだけれどもね。ちゃんと映っているのかな。大丈夫、これ。まあ、委員長、ぜひよく見ていただいて。(発言する者あり)あっ、公明党さんもちょっと、富田先生、よろしくお願いします。名前を言っちゃいけないか。

 これは東大がつくったものなんですけれども、ほぼ経産省の都市雇用圏と同じ、都市雇用圏という議論です。

 まさに都市というのはこうやってできているんですね。都市というのは、例えば通勤圏みたいなものを中心にやっているわけですけれども、都市というのはこうなっているわけです。都市政策、大都市政策というものを立案していくときには、これを知っておかないとうまくいかないだろうということです。先ほどの風木官房審議官、これぐらい知っておかないとだめだろうということで、経産省もかつて大変精緻な分析をしていただきました。

 ところが、今の総務省が用意している都市政策というのは、政令市なんです、政令指定都市なんです。全国に二十個あります。全国に二十個あるので、例えばちょっと北海道を見てみましょう、北海道。これも委員長しかちょっと見えませんが、北海道を見てください、北海道。札幌市だけが北海道で政令指定都市です。

 総務省に来ていただいていますよね。余り通告と関係ないけれども、政令指定都市というのは、都道府県の関与を排除する、普通は国、都道府県、市だけれども、政令指定都市というのは、都道府県の関与を排除して、直接、国とやる。都市として、自律的に、一体的にやるためにつくられた特別の制度なんですけれども、そういう理解でいいですね。まあ、おおむね間違っていないなら、間違っていないということで。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 政令指定都市制度につきましては、大都市の課題を一元的に処理するといったような観点から、行政運営の合理化に寄与するとともに、その規模、能力に応じて、住民に身近なところで事務権限を行使できるようにするものということでございまして、委員御指摘のような、国の関与の特例なども定められているところでございます。

足立委員 だから、普通は都道府県のもとでいろいろ調整するんですけれども、都道府県と調整しなくていいんですよ。直接、国とやるんです。

 だから、全国に知事は何人いるかというと、全国に知事は四十七人だとみんな思っているでしょう。違うんですよ。全国に知事は六十七人いるんです。知事級の権力を持った人は、知事四十七人に政令市長二十人、六十七人いるんです。

 例えば北海道。北海道全域は北海道知事が面倒を見るけれども、札幌市の発展は、札幌都市圏の発展は、札幌市長が直接やる。広域行政の権能も持っているわけですね。これは、だから、政令市として北海道に政令市制度を適用するのは正しいんです。

 ところが、大阪。これは大阪の都市圏です。大阪の都市圏というのは、大阪市、堺市のみならず、大阪府をものみ込んで、右の方に奈良県、左の方は兵庫県、広がっているわけですね。当たり前、大都市なんだから。こういうふうに都道府県をのみ込んでいる地域は、これは東京ですね。こうやって都道府県を都市圏がのみ込んじゃっている地域というのは、日本で二つしかありません。東京と大阪なんです。名古屋は違います。

 だから、そこで生まれたのが大都市法という法律で、ちょっともうパネルは出しませんが、大都市法というのを皆さんにつくっていただいた。

 大都市法には、住民投票で決まったら都とみなすという規定があります。この大都市法の、大都市地域特別区設置法の法的効果をちょっと御紹介いただけますか。

吉川政府参考人 大都市地域特別区設置法は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続等について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とするものでございます。

足立委員 もう一度、まさに今おっしゃっていただいたとおりなんだけれども、都とみなすという規定がありますよね。都とみなすということは、東京都に適用されている法律が全部適用されるということですね。そういうことでいいですね。

吉川政府参考人 この法律の第十条に、「特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都とみなす。」という規定でございまして、東京都と特別区の間の事務配分あるいは財政調整の仕組みなどが基本的には適用になるということでございます。

足立委員 だから、先ほど、北海道、東京、大阪というものを皆様にお示ししましたが、一つの都市圏の中に知事が三人いる必要はないんですよ。

 東京都は、ど真ん中の東京都が都区制度をとっているから、見てください、先ほどの図。一都三県と言いますよね。一都三県の三県の知事とその三県にある政令市五都市の全ての予算を足しても二十兆円に足りません。全部ですよ。全ての知事と全ての政令指定市長の予算を足しても二十兆に足らないんですよ。東京都は東京都だけで五十兆を超しているんですよ。だから、東京の大都市政策というのは東京都知事がリーダーなんですよ。その予算規模ではっきりしているんです。

 ところが、大阪は、先ほど大臣からも、ちょっとかすりましたけれども、大阪府と大阪市の予算は拮抗しているんですよ。だから、両方がビルを建てるでしょう、象徴的なビルを建てる、どっちの高さが高いか競争するわけです。棒を一本建てて、こっちが勝ったと競争しているわけです。必ず、イベントをやると、知事と市長がどっちが前かということでけんかが始まる。

 だから、一つの都市政策、大阪の大都市を誰がリードするのかということを、一人にしたらいいじゃないかというのが、東京に適用されている都制度を大阪に適用するという大都市法なんですよ。

 これは反対する理由はないと思いますよ。きょうは公明党の皆さんもいっぱいいらっしゃるけれども、自民党、公明党がなぜこれを反対するのか。特に、あっ、委員長、済みません。

赤羽委員長 どうぞ。

足立委員 公明党さんはもともとこう言っていたんですよ、都構想は議論はあるけれども、住民の意見を聞くことはいいことだ。当たり前ですよね。だって、憲法だってそうでしょう。憲法改正だって、まあ、こちらの方はいろいろまた意見が違うと思いますけれども、憲法だってそうですよ。内容のいかんにかかわらず、国民投票することに、それ自体に意義があるんですよ。その国民投票、住民投票をやること自体に反対をしている、まあ、自民党はもともとそうだから、もう諦めているんですけれどもね。

 私のきょうの話を聞いていただいて、委員の皆さんで、これはそうだなと思わない、いや、やはりそれは大阪府知事と市長が並び立ってけんかしている方がいいんだという人はいますか。

 それから、共産党だ、忘れていた。小池書記局長が、きのう、大阪都構想は自治体そのものの破壊だと言うんですね。ひどいじゃないですか、共産党。笠井先生、ちょっと言っておいてくださいよ。小池晃書記局長、大阪都構想は自治体そのものの破壊だ。共産党は何を破壊しようとしているんですか。ねえ、先生。共産党は、国家ですよ、日本の国の形ですよ、皇室ですよ。だから、何で、破防法の指定対象団体である共産党の書記局長が、大阪都構想は自治体そのものの破壊だと言うんですか。

 違うんです。大阪都構想は、大阪市をなくした上で、特別区をつくるんです。壊すときに一番大事なのは、壊した後に何をつくるかなんです。共産党は何をつくるんですか。共産主義国家ですか。だから、おかしいと言っているんですよ、僕は。真っ当じゃないと言っているんですよ。それを、まあいいや。

 あと最後に、あと五分。消費税は、通告させていただいていますが、ちょっとごめんなさい、時間足らずで、消費税は割愛します。大事な問題なので、またやります。何か野党筆頭が集中審議とか言っていましたけれども、集中とかよく意味がわからないので、どうでもいいんで、普通にこの一般質疑でしっかりと消費税の問題、時間とってさせていただきたいと思いますが。

 最後に、スパイ防止ですね。この国会の中にスパイがいるかどうかはよくわかりませんが、先日、総務委員会で、公職選挙法に絡んでいろんな議論をさせていただいた。経済産業省って、立派な法律を持っているんですね。立派な法律なのか適当な法律なのかわからないですけれども、不正競争防止法。これは、営業秘密に係る刑事罰、民事、刑事の規定がありますが、国家機密は対象ですか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の不正競争防止法でございます。不正競争防止法では、秘密管理性、それから有用性及び非公知性、この三つの要件を満たす営業秘密につきましては、その不正な取得や使用などについて、営業上の利益を侵害された者による差止め請求、それから損害賠償請求など民事措置、それから、委員御指摘の刑事罰も規定されているところでございます。

 この不正競争防止法の営業秘密の制度は、事業者間の公正な競争を確保することを目的としているということで、主に、企業の競争力の源泉になります重要な技術情報などを保護するものであります。他方、その営業秘密の要件に該当するのであれば、もちろん国家秘密についても保護の対象から排除するものではございません。

足立委員 まさに、今あったように、もともと不競法をつくったときは、産業スパイを想定してやっているわけですね、産業スパイを。しかし、これから大事なのは、もちろん産業スパイも大事だけれども、やはり私は、不正競争防止法をしっかりとエンフォースメント、エンフォースして、国家秘密、国家機密に関するものも、要は排除していないわけだから、法律上排除していないんだったら、しっかり内調とかとも連携してエンフォースすべきだと思いますが、審議官、どうですか。

風木政府参考人 お答え申し上げます。

 相次ぐ大型の営業秘密漏えい事件というのが過去にございまして、これを受けまして我々対応しておりますが、平成二十七年に、営業秘密の保護強化を目的とした不正競争防止法の改正を行っております。そこでは、営業秘密侵害罪の罰金額の上限の引上げ、それから、海外で営業秘密を不正使用した場合、これは通常より高額な罰金額の上限を設定する、海外重罰制度を設けているわけでございます。

 執行面については、平成二十七年以降ですが、関係府省庁と連携して官民フォーラムを開催するなどして意識の啓発を図っているということでございまして、取締りを実際に行うのは警察ですから、警察と連携を強化します。

 いずれにせよ、経産省としては、今後とも、関係省庁と密接な連携のもとに、営業秘密の保護の執行面、さらなる強化を図っていきたいというふうに考えております。

足立委員 大臣、ここで振られても困りますよね。

 内調と、だって、カウンターインテリジェンスをやっているのは内調だから、僕は、そこはごめん、所管を分けて、そっちはもうやってくれということなら、法律の所管のたてつけを変えた方がいいと思うんですよ。でも、もし国家秘密を対象にしているんだったら、ちゃんと経産大臣が内調と、情報官と連携して僕は運用すべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。

風木政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 政府の重要な秘密を外国等による情報収集活動から保護する、カウンターインテリジェンスについて御指摘がございました。これについては、内閣官房内閣情報調査室を中核として、政府一体的に取り組まれているというふうに承知しております。

 ただ、もちろん、必要に応じて、我々一省庁として連携することもあり得るものと考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

赤羽委員長 次に、笠浩史さん。

笠委員 未来日本の笠でございます。

 世耕大臣とはこの国会では初めてということで、今週の月曜日、十一日に東日本大震災から八年を迎えたということで、大臣は原子力経済被害担当大臣、あるいは内閣府の原子力損害賠償・廃炉等支援機構の担当ということで、先ほども議論があったわけですけれども、やはり、この福島の復興というのはまだまだ道半ばということで、本当にあらゆる面でリーダーシップを発揮をしていただきたいというふうに思っております。

 来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックもあるということで、私も、ちょうど大臣があの万博のときにすごいガッツポーズでしたけれども、私もあのときブエノスアイレスで、招致団の一員として行っておりまして、本当に早いなというふうに思っております。

 ただ、大事なことは、やはりこのオリンピック・パラリンピックを通じて、きちんとした形で、復興への道筋をどういうふうにつけていくのか、あるいは世界の各国にどういうふうに感謝をしていくのかというような、これが大会成功の大きな鍵だというふうに考えております。

 ただ、大臣が所信で述べたように、福島の復興、この安全かつ着実な廃炉・汚染水対策、そういったことが最重要課題だと、これは当然のことなんですけれども、まず一点、来月にもこの福島第一原発が立地する大熊町役場の新庁舎が完成するということで、原発立地自治体として初めて避難指示の一部が解除をされるということになるわけですけれども、この時期等々についてはどういうふうな形なのか、まずお伺いしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 大熊町でございますけれども、大川原地区、中屋敷地区におきまして、除染やインフラの復旧、それから今御指摘ございました役場の新庁舎の建設、それから復興公営住宅の整備などの帰還の環境整備が進んでいるところでございます。

 また、ことしの六月には、コンビニを始めといたしまして入居する仮設商業施設も開設を予定するなど、生活関連サービスも復旧が進みつつある状況でございます。

 こうした中、大熊町の町議会による議論、それから、三月の九日と十日には国と大熊町が避難指示解除に向けた住民説明会を開催しておるところでございまして、避難指示解除に向けた議論を進めているところでございます。

 引き続き、大熊町、福島県との協議を進め、関係省庁とも連携しながら、地元の御意向を踏まえつつ、戻りたいと考えていらっしゃる方々が安心して御帰還できる環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

笠委員 これは、一部報道では、もう四月に、当初五月が四月に前倒しするんじゃないかというようなことで、そこはまだ決まっていないということでよろしいですか。

松永政府参考人 今、解除の時期につきましては、大熊町、福島県と協議をしながら進めているところでございます。

笠委員 そこで、大臣、やはりいろいろな生活再建のための支援というのは本当に幅広にあると思います。ただ、これは今回ということだけじゃなく、どんなに解除をしても、本当に、そこに住民の方々が戻ってきていただく、そこで生活をきちっと取り戻していくためには、私は、一つ大事なのはやはり雇用だというふうに思っているんですね。

 だから、これは、今回ということじゃなくて、これから、原発立地自治体に、順次この解除をして、そして人が戻ってくるための施策を進めていく中で、特に地元での雇用創出、そこについて、どういうお考えで、あるいはどういう具体的な取組をされるおつもりなのかをお聞かせいただきたいと思います。

世耕国務大臣 おっしゃるように、雇用の場を確保するということがやはり帰還につながる非常に重要なポイントだというふうに思っていまして、事業、なりわいの再建ですとか福島イノベーション・コースト構想の推進ということで、新しい産業でまた雇用をつくるということにも取り組んでいます。

 まず、事業、なりわいの再建については、官民合同チームというのが、今、約五千二百の事業者、千五百の農業者を、これは個別に訪問して、膝詰めでお話を伺って、事業再開の支援を行って、そして雇用の場の回復を進めてきています。引き続き、官民合同チームの個別訪問を通じたきめ細かい支援に取り組んでまいりたいと思います。

 私も、官民合同チームが支援をして事業を再開されたようなところを幾つも訪問をしてまいりました。そこにはやはり新たな雇用が生まれているようなところもありました。しかし、一方で、なかなか商圏が戻ってこないので、昔みたいに営業ができないというような方々もいらっしゃいました。まだまだこれも課題があると思っています。

 また、福島イノベーション・コーストのもとで、新たな企業の浜通り地域への進出も進んでいるところであります。

 先日私がお会いをした、川俣町に進出をしている、これはベンチャー企業でかなり有望な企業でありますが、この企業は、西陣織の技術を使ってウエアラブルのIoT機器を開発しています。これを活用して、まさに川俣町とともに住民の見守りサービスというのを展開しているところであります。このような先端的で若い方にも魅力ある企業を更に呼び込んでいきたいと思います。

 また、福島イノベーション・コースト構想も、水素、再生可能エネルギー、ロボットとか最先端の技術、もちろんこれはとても重要なんですけれども、それに伴う、割とアナログのサービス、例えば制服をつくるとか、給食サービス、お弁当のサービスとか、そうした面での雇用の創出についても地元の方々から大変強い期待が寄せられています。そういうところはやはり地場の産業をしっかりと使っていくということも重要ではないかというふうに思っています。

笠委員 それはしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、先ほどもあったんですけれども、ちょっと話題がかわるんですけれども、原発の問題はやはり最終処分だと思うんです。これは、原発政策について賛成か反対か、その議論はいろいろあったとしても、少なくとも核のごみの最終処理だけは、この必要性ということは、もうこれはみんなが認識が同じ方向で、やはりその必要性については理解しているところですけれども、残念ながら、今の、地層処分、この処分でいこうということからもう半世紀以上たってもめどが立っていないわけですよね、この処理地の。

 大臣が、平成二十七年の最終処分の基本方針が改定されたことを受けて、ちょうど二〇一七年の七月に科学的特性マップというものを出されて、そして、今、順次、住民との対話を、何かもう二巡目に入ったとか、八十カ所ぐらいやっているんですか、これまで。

 ただ、丁寧に説明していく、理解を得るということはいいんですけれども、果たして本当に、私、もう皆さん理解はされていると。福島の第一原発の事故もあったし、原発の恐ろしさ、あるいは最終処理をきちっとどうするのか、その必要性というのは国民の皆さん理解されていると思うんですよ。ただ、自分のところには持ってきてほしくない。

 ですから、今のこの対話をもう一歩踏み込んで、例えば、その必要性はわかるけれども、では受け入れることができるのかどうかというようなこともあわせて聞いていく必要があるんじゃないか。そういった意向というものも、どういう反応なのかを確かめていくような、そういう少し前へ進めていくような形の段階にそろそろもう一歩、大臣、たしか第一歩は長い道のりの第一歩とおっしゃっていたけれども、第二歩目みたいな形で次に踏み込んでいく、そういう予定があるのかどうか。そこの大臣の意向を聞かせていただきたいと思います。

世耕国務大臣 まずは、今、科学的特性マップに基づいて説明をさせていただいています。

 この説明会についてはちょっと、いろいろ紆余曲折もありました。最初は少し、お金をかけて、整えたような説明会という感じもあったんですけれども、今は完全に手づくりにしていますし、できるだけ深くコミュニケーションできるように、集まっていただいた方をまた少人数グループに分けて、意見交換とか質問を聞くというようなやり方もとらせていただいています。

 ただ、なかなか、最終処分の話を聞きに来ませんかといっても、どっと人が集まるという感じではなくて、過去平均で一会場二十人あたり、多くても五十人ぐらい、少ないと四人という回もありました。これも、我々、現実として受けとめなければいけない。ただ、来ていただいた方は大変御満足をいただいているところであります。

 ただ単に科学的な説明をしているだけではどうなんだろうかという御意見もよくわかります。最終処分の実現に向けては、やはり、受け入れていただける地域がもし将来出てくるのであれば、その地域のおかげで社会全体が大きな利益を享受しているんだということについて、国民の理解を得ていくことが重要だというふうに思っています。

 国民や地域の皆さんに最終処分に対する関心や理解を深めていただきながら、受け入れていただける地域に対する敬意ですとか感謝の念といったものが広く共有されるように取り組んでいく必要があると思っていまして、今の対話活動の中でも、そういった取組も強めていきたいというふうに思います。

 そういうことを続けていく中で、今、唯一前進をしている最終処分のプロジェクトであるフィンランドのオンカロも、やはり対話に三十年ぐらい、最初に始めてから三十年ぐらいかかっているわけであります。時間が少しかかるかもわかりませんが、自分の地域での処分事業受入れに関心を持っていただける方々がふえてくることも期待しながら、例えば、今やっている説明会では、地層処分の仕組みとか安全対策だけではなくて、地元に生まれる雇用の話ですとか、あるいは研究や視察による訪問者の増加ですとか、処分事業自体が地域にもたらす影響について、これは海外の事例を客観的に紹介するなどの工夫も行っているところでございます。

笠委員 今、フィンランド三十年ということをおっしゃいましたけれども、これから二十年、三十年これを続けて、その後、調査の段階で二十年、建設で十年ぐらいかかる、そうしたら、もう本当に、次の世紀まで持ち越していくというようなことになると、これは将来に対する責任を我々がどう考えるのかということなので、科学技術のいろんな進歩でひょっとしたら、本当に我が国で地層処分できるんだろうか、現実。果たして本当に受け入れてくれるところがあるのか。それは無人島か何かに持っていくというなら別ですけれども。

 だから、何かそういったことを根本的に考えないと、私は、これは誰が政権を担っていても、将来的にもこの問題というのはずっと、やはりこの今の状況が続いていくんじゃないかという気がしてなりません。

 それで、一点だけ。今、科学的特性マップというのを、大臣、出されているんだけれども、そもそもは基本方針で、国が科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れると。今、この科学的有望地ではなく、いろんな経緯で特性マップになっていますよね。ここの次の段階の、まさにその有望地というような形での踏み込んだマップ等々を、これからまた提示をしていくということになるわけですか。

世耕国務大臣 当然、今後のステップとしてはそういうことになるわけで、今の段階としては、科学的特性マップを提示をして、そして、それを踏まえて、国民の理解、地域の理解を深めていただくための取組を行っています。これで理解が深まってきた段階において、複数の地域に調査を受け入れていただくということをお願いをしていくというステップがやってきて、そして、次、法律に基づく処分地選定調査という形になっていくわけであります。

 過去は自治体から手が挙がるのを待っていたわけでありますが、もう今、方針は大きく変わっておりまして、我々の方から主体的に取り組んでいくという形になるんだろうと思います。

 ただ、いずれにしても、今の段階での理解活動というのをしっかりやっていくことが、今の段階では何よりも重要だというふうに思っています。

笠委員 大臣、もう一度、ちょっとしつこいようなんだけれども、どれぐらい、大臣のスケジュール感では、それが二年ぐらいなのか、五年後ぐらいになるのか、そこのあたりわからないけれども、自治体に幅広に、まずその調査をさせてもらえるか、文献調査ですからね、最初。調査の結果を受け入れなくたっていいわけだから、やはりまずは調査させてくれというようなところの提示というのはどれぐらいをめどにやっていくおつもりなのか、最後にお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 これは、なかなか、今の段階で、そこのスケジュール感というのは少し申し上げにくいかなと。まだ、この理解活動の真っ最中。しかも、理解活動も、今、試行錯誤しながら、なるべくいいものにしていく努力をしているわけであります。

 ただ、いずれにしても、この最終処分場の確保というのは現世代の責任で行わなければいけません。決して次の世代に先送りをしてはいけない、そういう気持ちを持ちながら、いつまでも引き延ばすのではなくて、しっかり前へ進める。

 私も、いつまで現世代でいるのかはわかりませんけれども、現世代の責任としてこの問題を解決する、そういう大きなスケジュール感で進めてまいりたいというふうに思います。

笠委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、内閣提出、平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。世耕経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

世耕国務大臣 平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 平成三十年十一月、フランス共和国で開催された第百六十四回博覧会国際事務局総会において、平成三十七年に国際博覧会を大阪府で開催することが決定されました。

 この大阪・関西万博では、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして掲げ、人間一人一人が自分のポテンシャルを発揮しながら、心身ともに豊かさを感じられる生き方と、それを可能にする持続可能な社会経済の未来像を、参加者全員でともにつくり上げることとしています。

 こうした重要な意義を有する大阪・関西万博を成功させるためには、官民一体となった準備・運営体制を早急に整えることが必要です。

 このため、大阪・関西万博の準備及び運営を行う協会を指定し、博覧会業務を適正に行うことができるよう、資金面、人材面の支援を始め所要の措置を講ずるとともに、政府の準備・運営体制のさらなる充実を図るため、内閣に国際博覧会推進本部を設置する等の措置を講ずる必要があることから、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、内閣に国際博覧会推進本部を設置するとともに、その所掌事務、組織、設置期限等について定めます。また、内閣総理大臣は、国際博覧会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進を図るための基本的な方針を作成し、閣議の決定を求めることとします。

 第二に、博覧会業務を適正かつ確実に行うことができる一般社団法人又は一般財団法人を、博覧会協会として指定し、監督上必要な命令等をすることができることとします。

 第三に、博覧会協会に対し、博覧会の準備又は運営に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができることとします。

 第四に、寄附金付郵便葉書等について、博覧会協会が調達する国際博覧会の準備及び運営に必要な資金に充てることを寄附目的として発行することができることとします。

 第五に、博覧会の準備及び運営を支援するため、博覧会協会の要請に応じて博覧会協会に国の職員を派遣することができることとします。

 第六に、内閣法の一部を改正し、国際博覧会推進本部が置かれている間、国務大臣の数の上限を一名増員します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十四分散会


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