衆議院

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第14号 令和元年5月24日(金曜日)

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令和元年五月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 梶山 弘志君 理事 小林 鷹之君

   理事 國場幸之助君 理事 西村 明宏君

   理事 簗  和生君 理事 落合 貴之君

   理事 斉木 武志君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      井林 辰憲君    石崎  徹君

      岩田 和親君    尾身 朝子君

      大隈 和英君    神山 佐市君

      神田  裕君    小寺 裕雄君

      佐々木 紀君    武井 俊輔君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      野中  厚君    百武 公親君

      船橋 利実君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    細田 健一君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    山際大志郎君

      菅  直人君    田嶋  要君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山崎  誠君    浅野  哲君

      泉  健太君    太田 昌孝君

      笠井  亮君    足立 康史君

      笠  浩史君

    …………………………………

   国務大臣         宮腰 光寛君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       森 美樹夫君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     粕渕  功君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   東出 浩一君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        南部 利之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          安居 孝啓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           風木  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           柴田 裕憲君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    米村  猛君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     根本 幸典君

  岡下 昌平君     小寺 裕雄君

  神田  裕君     百武 公親君

  山際大志郎君     船橋 利実君

  吉川  赳君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     大隈 和英君

  武井 俊輔君     井林 辰憲君

  根本 幸典君     青山 周平君

  百武 公親君     神田  裕君

  船橋 利実君     山際大志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     吉川  赳君

  大隈 和英君     岡下 昌平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣情報調査室内閣審議官森美樹夫さん、公正取引委員会事務総局官房総括審議官粕渕功さん、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一さん、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長東出浩一さん、公正取引委員会事務総局審査局長南部利之さん、法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾さん、法務省大臣官房審議官保坂和人さん、外務省大臣官房審議官高橋克彦さん、財務省主税局国際租税総括官安居孝啓さん、経済産業省大臣官房審議官風木淳さん、経済産業省大臣官房審議官柴田裕憲さん及び特許庁総務部長米村猛さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。簗和生さん。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 一昨日、対政府質疑と、それから参考人の方々に来ていただきまして質疑を行ったという経緯がございますので……(発言する者あり)

赤羽委員長 御静粛にお願いします。

簗委員 そこで取り上げられていない事項について、重複を避けて質問をするとともに、参考人からいただいた貴重な意見に対して政府に確認をする、そういった形で質問をしたいと思います。

 まず、課徴金減免の適用者数の上限の撤廃について確認をさせていただきたいと思います。

 今般の課徴金減免制度の見直しでは、これまでは五社に限定されていた適用者数の上限を撤廃することというふうにしております。

 確かに、減免申請を受けられる事業者数の数をふやせば、公正取引委員会に対しより多くの情報が集まることが期待をされ、独占禁止法違反行為の抑止という観点からは望ましいようにも思われます。他方で、申請順位を競う必要性というものが薄れて、できるだけ早く公正取引委員会に報告しようとするインセンティブが低下するおそれがあるというふうな指摘もなされております。

 このように、課徴金減免の適用者数の上限の撤廃が、インセンティブについて両方の方向に作用する可能性があると考えられておりますけれども、改めて公取の見解を伺いたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 調査協力インセンティブを高めて、より効率的、効果的なカルテル、入札談合の真相解明を図るためには、できるだけ多くの調査対象事業者に真実の報告と資料の提出の機会を与えることが課徴金減免制度の改正の趣旨に沿うものと考えております。そのため、減免申請者数の上限を撤廃することとしているものでございます。

 他方、減免申請者数の上限は撤廃いたしますものの、従来と同じく、減免申請順位に応じた減算率も維持しまして、これに差を設けております。また、調査協力度合いに応じた減算率の上限につきましても、調査開始日前の減免申請者と調査開始日以後の減免申請者との間には、二倍の差を設けております。

 このようなことから、事業者が早期に減免申請を行うインセンティブも確保されるものと考えております。

簗委員 わかりました。

 それでは、次の点について確認をしたいというふうに思います。

 今回、参考人の方々から、依頼者と弁護士との間の通信秘密保護制度、いわゆる秘匿特権に係る対応について幾つか重要な指摘があったというふうに思います。

 そこでまず、改めて確認をしたいと思いますけれども、この対象を不当な取引制限、すなわちカルテル、談合に限定している理由と、それから、法定化ではなく規則、指針等で整備をする、そうした理由について確認をしたいと思います。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 独占禁止法で禁止しておりますカルテル等の不当な取引制限、カルテル、談合等を含む取引制限と申しておりますが、こういった行為は、例えば密室等で秘密裏で行われるようなものでございますので、物証が乏しく、違反事実を明確に示すようなものを得ることがなかなか困難な、そういう案件でございます。

 こういったカルテル、談合等の不当な取引制限の固有事情に鑑みまして、今般の法改正によりましては、公正取引委員会に対する事業者の調査協力インセンティブを高めるため、事業者の自主的な調査協力度合いに応じて課徴金の減算額が決定されるような、課徴金減免制度を見直すこととしておりますが、このように課徴金減免制度が見直されることになりますと、調査協力を行うかどうかを判断するために、また、調査協力を効果的に行うために、外部の弁護士さんに相談するという事業者のニーズが高まると予想されます。

 そうしたことから、お尋ねの制度は、このようなニーズに対応いたしまして、新たな課徴金減免制度をより機能させる等の観点から新たに整備することを考えているものでございます。そういった観点から、その対象を、同制度の対象違反行為であるカルテル、談合等の不当な取引制限の行政調査手続とすることを考えているところでございます。

 また、仮にお尋ねの制度を独占禁止法に規定した場合、その権利が一般的なものとして位置づけられることになり得るため、その場合には、我が国では、いわゆる弁護士・依頼者秘匿特権を認める明文上の規定がないこととの整合性が問題になると考えております。さらに、その他の行政手続や司法手続に及ぼす影響も大きく懸念されるところでございます。

 このため、独占禁止法七十六条におきまして、公正取引委員会は、事件の処理手続等につきまして規則を定めることができると規定されていることから、お尋ねの制度を審査手続の一環として規則、ガイドラインによって整備するということを考えているものでございます。

簗委員 その理由を今もまた改めて聞いたわけですけれども、参考人の御意見の中で、この対象を不当な取引制限、すなわちカルテル、談合に限定しているがゆえに、一方では積極的な調査への協力を事業者に促すような仕組みを導入しているものの、例えば、これはカルテルに該当するのかどうかという判断に迫られて、もしこれが私的独占の行為類型に該当した場合は弁護士に相談した内容が秘匿されないために、弁護士への早期の相談をためらって、結果的に積極的な調査への協力が期待できなくなるといったことも懸念されるんじゃないかというような趣旨の指摘もありました。

 この指摘に対して公取はどのように考えるか、見解を聞きたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの制度の対象範囲、これは、議員御指摘のとおり、カルテル等の不当な取引制限ということでございまして、不当な取引制限以外の独占禁止法に関する弁護士の相談は本制度の対象とならないということでございます。不当な取引制限に関する法的意見についての文書ということでございます。

 しかしながら、公正取引委員会は、不当な取引制限の行政調査におきまして、違反被疑行為に関係する資料の提出を求めるということでございまして、不当な取引制限の調査ということであれば、調査に必要のない不当な取引制限以外の違反行為に関する事業者と弁護士との例えばその通信を記載した物件、これも対象以外の物件ということでございますので、通常、提出を求めることはないということでございます。

 御懸念のような点を懸念して事業者が弁護士への相談をためらうことがないよう、本制度の施行の際には、今申しました運用、これをしっかりと明らかにしていきたいと考えております。

簗委員 そうした懸念にはしっかりと対応していく、事前にも、制度が始まってからも、それをしっかりお願いしたいと思います。

 それから、参考人の方からの意見としてもう一つ重要なこととして、この秘匿特権への対応としての、規則、指針等で整備して対応するということについてでございますけれども、この制度設計において、三点求める意見があったと思います。

 一つが判別手続についての訴訟に関するものでございまして、事業者による還付請求に対する公取の判断については取消し訴訟で争えること、これを対外的にしっかりと明確化するというものでございました。

 二つ目が、対象物件の範囲についてでございまして、相談、回答文書に含まれる事実が唯一の証拠となる場合であっても、弁護士等の評価、整理が介在するものは制度の対象とするということについて、これも対外的に明確化をする必要があるという指摘でした。

 そして三つ目ですけれども、電子データの取扱いについてでございます。弁護士とのやりとりの大半が電子メールで行われているということに鑑みて、電子データを制度の対象とした上で、その数の膨大さ等から生じる実務面への配慮として、プリビレッジログ、すなわち秘匿特権の対象物であることを示す文書ですけれども、この提出時期や記載内容については、電子データが持っている特殊性というものをしっかりと踏まえて取扱いを求めるというものでございました。

 この三点の指摘は重要だと思うんですが、これから制度設計をしていくに当たって具体的にどんな対応をしていくか、見解を問いたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 一つ目の点でございますが、御指摘のとおり、判別手続におきまして、事業者による還付請求に対する公正取引委員会の判断について取消し訴訟で争うことができるものと考えておりまして、これについては既に関係者にも説明しているところでございますが、こうした公正取引委員会の考え方を対外的に明らかにしていきたいと考えております。

 また、二つ目につきましては、本制度では、その回答の基礎となる一次資料でありますとか事実調査資料は対象とはなりませんが、法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した物件でありますその事業者に対する弁護士の回答文書であれば対象となります。仮にその中に含まれている事実が唯一の証拠になるものであったといたしましても、一次資料や事実調査資料でない限りその点に違いはございません。違いないというのは、つまり対象になるということでございます。今後、議員御指摘の点を踏まえまして、具体的な取扱いについて指針などで示していきたいと考えております。

 また、三つ目につきましては、本制度では電子メールを含めた電子データについても対象とすることといたしております。電子データの具体的取扱いにつきましては、その性質などを踏まえまして、関係団体、関係者などと意見交換を行うなどして検討して、これも指針などで示していきたいと考えております。

簗委員 今の答弁に関連するお話で、より総括的にお伺いをしたいと思いますが、この新たな制度というもの、これは非常に、これからやっていく中で、例えば事例を蓄積して、しっかりとした明確な基準のようなものができてくるとか、そういったものも含まれていますので、幾つかちょっと指摘をしたいと思います。

 まず、一つが、事業者の協力内容の評価方法に関するガイドラインの整備というものでございます。これは、透明性とか予見可能性というものをどのように確保して、事業者の調査協力を促すという今回の法改正の目的においてその実効性を高めていくかという点で非常に重要な点であるという指摘だと思います。特にこれについては、今申しましたように、ある程度の事例を蓄積して客観的な判断基準というものができてくるのではないか、そういう指摘も、参考人の方から指摘をいただいたという経緯もあります。

 二つ目が、秘匿特権への対応としての規則、指針等の整備、今さっき質問した件でございますけれども、この新たな課徴金減免制度を機能させる上で、適正手続を確保するという点において、実効性を伴った制度設計を行うに当たっては、さきに触れた三点、それに加えて、判別手続における判別官と審査官の独立性の確保に関する懸念等にもしっかり対応していかなければいけないというふうに思っています。これは制度の運用の中でしっかりとした対応を示していくということが重要だというふうに思います。

 三つ目ですけれども、秘匿特権への対応に係る対象範囲の拡大についての検討というものでございます。これは、本制度の対象範囲の拡大については、早急に検討するというふうな形で付議されておりまして、検討に当たっては、本制度の運用開始後の状況を踏まえて、中小企業に不当に不利益を与えることとならないよう、また、他法令への影響を及ぼすことがないよう留意するというふうにされています。

 これらについて、新たな制度が開始された後にしっかりとした検証を行っていくことと、それを可能にする体制も必要になってくるというふうに思いますけれども、これらの対応についての見解、そして意気込みを伺いたいと思います。

杉本政府特別補佐人 御質問ありがとうございます。

 本法案において導入されます調査協力減算制度に対するガイドライン、この整備、それから、秘匿特権への対応としての規則、指針等の整備、こういうものは初めて導入するものでございます。そのため、運用開始後、その実績を踏まえて、見直すべきところがあればしっかりと見直しを行っていきたいと思っておりますので、先生おっしゃるように、しっかりと検証を行った上でやってまいりたいと思っております。

 それから、秘匿特権への対応に対する制度の対象範囲の拡大につきましては、中小企業の利益の迅速な確保が困難となるおそれ、他の行政調査手続や司法手続に及ぼすおそれなどがございます。そのため、こういうことを踏まえつつ、また、本委員会の御審議においても各般の点を指摘されましたので、そういう点を十分踏まえながら、本制度の運用状況も踏まえて検討してまいりたいと考えておるところでございます。

 さらに、先生に御指摘いただきましたような検証を行う体制についても、私どもとしては、各方面の御理解を得ながら必要な体制整備ということを図る努力をしてまいりたいと思っております。

簗委員 しっかりと対応をお願いしたいというふうに思います。

 今回のこの独禁法の改正の領域から少し外に広がって、今回、参考人質疑も踏まえて重要な指摘を幾つかいただいたと思っています。

 それが、やはり公取としての今後の対応というところでございますけれども、秘匿特権の法定化、それから対象範囲を拡大してほしいといった議論ですとか、あるいは、国際市場分割カルテル等の売上額が国内にない事業者に課徴金を課せないことに対する不公平だとか、そういった指摘もありました。

 こうした制度の国際的な不公平や不均衡の是正に係る要請というもの、これはもう従来からあります。この議論と、それからあとは、我が国の独禁法の改正等も含めた歴史的な経緯、それから我が国の法体系全体のあり方、これも指摘を、答弁でいただいていますけれども、そういったものに対して整合を図りながら進めていかなければいけない、そういった事情もあることは理解しています。

 そうした視点も含めて、今後、こうしたさまざまな国際的な制度との均衡や公平感を保つという要請に対する対応と、それから、今までの経緯とか国内法全体への整合というものを図りながら、どのように公取としてこの大きなテーマに継続的に取り組んでいくか、ちょっと見解を聞きたいと思います。

杉本政府特別補佐人 委員が御指摘されましたように、経済活動がグローバル化することに伴い、事業者は多くの国の競争法を遵守することが求められております。そうした中で、国によって従うべきルールが異なることとなりますと事業活動の妨げになりかねないことから、各国の競争法、競争政策のハーモナイゼーションを積極的に図る必要があると考えておりまして、私どももそういう方面からいろいろ努力をしているところでございます。

 他方、これも委員御指摘のように、これまでの独占禁止法の歴史的経緯とか我が国法体系全体との整合性というものの確保も当然必要となってくるわけでございますので、これらの両者のバランスを図りつつ、今後とも、公正かつ自由な競争の促進、我が国経済の発展及び消費者利益の確保に向けて、必要な取組を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

簗委員 中長期的な課題として、公取にはぜひ引き続き検討又は取組を進めていただきたいと思います。

 最後に、きょうは経産省と法務省にも来ていただいております。より大きな議論をちょっとしてみたいと思います。

 近年、企業活動のグローバル化等に伴って、企業を取り巻く法的環境も大きく変化していると言われております。企業のリーガルリスクが多様化、複雑化しているというふうに言われておりまして、実際に、日本企業が外国で行政手続や裁判で多額の制裁金を支払いを余儀なくされたり、訴訟対応のために外国弁護士事務所に多額の報酬の支払いを要するなど、日本企業のいわば富の流出が法律サービスの面で生じているというふうにも聞いています。

 そのような日本企業にとってのリーガルリスクやコスト負担の現状について、経産省としてどのように現状を認識しているか、確認したいと思います。

風木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、グローバルな経済活動の拡大に伴って、日本企業が海外での法令違反を指摘された場合に、海外の当局による調査や訴訟に高いコスト、弁護士費用をかけて対応して、さらに罰金や損害賠償を支払うケースが大変ふえていまして、法的なリスクやコストの負担が高まっているというふうに認識しております。

 例えば、海外競争法について言えば、執行の強化や罰金等の高額化の傾向がありまして、日本企業が米国などの競争当局から高額な罰金等を科される事例もふえています。

 一方で、国際的な競争に打ちかつためには、リスクを恐れる余り事業活動が過度に萎縮してしまうこともまた問題であります。

 こうした認識のもとで、経済産業省としましては、昨年、国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会を開催いたしました。戦略的に取り組むことの重要性を示してきたところでございます。

 現在も、高度な法務機能を発揮するための組織や制度のあり方、あるいはそれらを支える人材の育成、こうした観点から、法務機能を強化するための具体的な方策を議論しているところでございます。

 本日、御指摘もいただきました。引き続き、法務機能の強化に努めてまいりたいと考えております。

簗委員 では、最後に法務省に伺いたいと思います。

 今回、秘匿特権の、規則とか指針という形で一部対応は図られたということが、この独禁法の枠の中ではありました。ただ、今の議論の流れで伺いますけれども、国際競争下にある日本企業がリーガルリスクにより適切に対応していくに当たっては、この秘匿特権に関しての対象範囲のあり方ですとか、それから法定化も含めて、より抜本的な議論をするべきじゃないかという声もあります。

 こうした点について、現状をどのように法務省として認識をして、今後、検討のあり方も含めて具体的にどのような対応を図っていくのか。法務省の見解を伺いたいと思います。

赤羽委員長 法務省西山大臣官房政策立案総括審議官、申合せの時間が経過しておりますので、答弁を簡潔に、よろしくお願いいたします。

西山政府参考人 委員御指摘の海外進出する日本企業につきまして、秘匿特権との関係で、安心して日本の弁護士に相談できない状況があるというような指摘があることは承知しておりますけれども、具体的にそのような状況が生じている事実というのは把握しておりません。

 また、外国の裁判手続において、我が国の弁護士と依頼者との通信の秘密がどのように保護されるかにつきましては、もとより当該外国の法令に従って、また、個々の事案ごとに判断されることでございますので、一概に問題の有無、内容を把握することはなかなか容易ではないということは御理解いただいた上で、もっとも、海外進出する日本企業にとって不安なく日本の弁護士に相談できる状況があるということは重要でございますので、法務省といたしましても、その観点から、日本弁護士連合会とも意見交換をしながら、海外進出の隘路について、個別事例を通じて現状や原因の把握に努めるなど、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

簗委員 まず、現状把握をしっかりやっていただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、太田昌孝さん。

太田(昌)委員 公明党の太田昌孝でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 これまで、質疑また参考人質疑などにおきまして、独占禁止法改正案の内容また運用などが私にとっても随分明らかになってきたかなというふうに思っております。

 この独占禁止法ですが、調査協力減算制度の対象であるカルテルあるいは談合の取締りのほかに、いわゆる優越的地位の濫用など、中小企業に不当に不利益を与えるそうした行為を取り締まるものでもあります。

 今回、中小企業保護の観点からちょっと何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今申し上げましたとおり、独占禁止法、優越的地位の濫用等の、中小企業に不当に不利益を与える行為もこれは規制対象としておりまして、課徴金を課すものもあるわけであります。

 今般の改正法案では、それらの課徴金について、算定率はそのまま維持をしているものの、算定期間を延長するなどというような形で改正を行うこととしております。

 今般の改正が、優越的地位の濫用等の、中小企業に不当に不利益を与える行為に対してどのような効果があるものか、まず見解をお伺いしたいというふうに思います。

杉本政府特別補佐人 先生御指摘のように、独占禁止法の優越的地位の濫用等は、特に、中小企業等に対して不当な不利益を与えるものに対して発動しているというところがございます。

 今般の改正によりまして、優越的地位の濫用等、不公正な取引方法に対しましても、課徴金の算定期間、これが延長されますし、除斥期間も延長されることになっております。

 また、中小企業が被害を受ける私的独占につきましても、同様に算定期間及び除斥期間が延長されることになるほか、課徴金の算定基礎の追加も行われているところでございます。

 したがいまして、中小企業が被害者となるような案件に対して更に幅が広がるといいますか、対象行為を更に広げて対応することが可能になるとともに、課徴金が強化されますことによりまして、抑止効果にもつながっていくんだと思っております。

 そういった意味で、中小企業に不利益を与える行為に対しても、違反行為の実態に応じたより適切な課徴金を課せるようになることから、違反行為に対する抑止効果が高まるような改正になるんじゃないかと考えているところでございます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 算定期間あるいは除斥期間が延びるというようなことの形の中で、そうした優越的地位の濫用についての抑止力は高まる。違反行為があった場合に、しかし、そうした抑止力というのは、結果としては、公取委がそれに対してしっかりと対処する姿と相まって、法と相まって初めて効果を発揮するものであろうかなというふうにも思います。

 今回、制度をつくることでありますが、それに加えて、その制度をどのように運用するかということが重要であろうというふうに思います。

 そこで、この優越的地位の濫用等の、中小企業に不当に不利益を与えている行為に対して、公正取引委員会としての対処についてお伺いをしたいというふうに思います。

杉本政府特別補佐人 公正取引委員会といたしましては、中小企業を取引相手方とする取引行為の実態調査の実施、それから講習会等の開催によりまして、優越的な地位の濫用、それから下請法という法律もございますが、下請法違反行為の未然防止に力を注いでいるところでございます。違反行為については厳正に対処することとしてきております。こうした、違反行為に対する適正な対処及びその未然防止については、ますます努力を傾注してまいりたいと考えているところでございます。

 また、公正取引委員会は、中小企業、小規模事業者が抱える諸課題の実態を把握いたしまして対応策を検討するために、中小企業、小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議に参画しているところでございまして、そうした議論を踏まえつつ、中小企業の取引環境の改善を支援してまいりたいと考えているところでございます。

太田(昌)委員 せっかくの制度、抑止力が最大限の効果を発揮しますように、運用に際しましても御配意をお願いをしたいというふうに思います。

 こうした改正案によりまして、今回、調査協力減算制度も導入されるわけでありますが、この制度は事業者の調査協力を促すものであって、このことは独占禁止法違反行為の排除、抑止に資するものと考えておりますが、他方で、その調査協力について、中小企業によっては、その協力を行う余力がないという、協力したくてもできないというような可能性もあるわけでございます。

 この調査協力減算制度について、中小企業にとってもこれは利用しやすいものにしなければいけないと考えるわけですが、そのための方策等についてお伺いをいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正にあわせて作成する予定であります調査協力減算制度に関するガイドライン、ここにおきまして、事業者が提出する資料などの内容などによりまして事件の真相解明に資する程度を評価するということ、また、その評価方法など、これを、具体例を記載しつつ、中小企業にもわかりやすく明らかにしていきたいと考えております。

 また、この調査協力減算制度の導入を含む課徴金減免制度の改正点につきましては、改正法の公布がされましたら、その日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとされておりまして、公正取引委員会としましては、この期間内におきまして、中小企業向けの説明会なども開催いたしまして、ガイドラインの内容を含め、改正内容の周知、これを徹底して、制度への理解を深めていきたいというふうに考えております。

 公正取引委員会といたしましても、調査協力減算制度、これが中小企業にとって利用しやすいものとなるよう努力していきたいと考えております。

太田(昌)委員 中小企業は、人であったり資産であったりとかそういったところで苦労しているところが多いものですから、協力したくてもそういったところに人、金をなかなか割けないというようなところもあろうかというふうに思います。

 公正取引委員会自体が直接そこに手を出すわけにもなかなかいかないのかもしれませんが、中小企業庁とか、そういうところと連携をとっていただいて、中小企業に対する、調査協力減算制度を活用できるような支援策、こんなものもぜひ検討をしていただきたいと思いますので、この点は要望をさせていただきたいというふうに思います。

 現行の課徴金制度におきましては、中小企業に対しては課徴金の算定に当たって低い率を適用することとされていますが、今回の改正ではこれを改めて、低い率の適用対象を、これは実質的な中小企業と限定することとされております。今般の改正に当たっては、中小企業の事業活動を萎縮させるような過大な課徴金が課せられるようなことがあっては私はならないというふうに思うわけでございます。

 現行の中小企業算定率が設けられている趣旨及び今般の改正がその趣旨に反するものではないということ、まずは先に説明をいただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業算定率、これは、平成三年の改正時に課徴金の算定率を引き上げる際、事業規模の大小を区別せずに算定率を引き上げますと小規模企業にとって相対的に大きな経済的負担が課されることなどを踏まえまして、当時の法人企業統計による中小企業の平均的な売上高営業利益率に基づきまして、通常の算定率を軽減するものとして設けられたものでございます。

 この中小企業算定率の適用対象は資本金の額と従業員の数によって定義されますので、近年の独占禁止法の執行におきましては、大企業グループに属する違反事業者でありましても中小企業算定率が適用される事案が見られております。

 しかし、大企業グループに属する違反事業者につきましては、そのグループ内に違反事業者の経済的負担を共有する大企業があるなど、その趣旨に必ずしも合致しないと考えられますので、中小企業算定率を適用することは適当ではないと考えられます。

 このため、中小企業算定率の適用を受ける事業者の範囲を、違反事業者及びその全ての子会社等が中小企業に該当する場合、すなわち、企業グループ内に大企業が存在しない場合に限定することによりまして、実質的な中小企業に限定することとしております。

 これによりまして、大企業グループに属する違反事業者は中小企業算定率の適用対象から除外されることとなる一方、大企業グループに属さない実質的な中小企業に対しては、引き続き中小企業算定率が適用されることとなります。このため、実質的な中小企業に対して、違反行為によって得られる不当利得、これを過度に超えて、違反行為の抑止に必要な水準以上の課徴金が課されるようなことにはならないものと考えております。

太田(昌)委員 今回、実質的なところというふうに限定したわけですが、そこら辺、しっかりと、中小企業の事業活動が萎縮するようなことがないように運用の方をよろしくお願いをいたします。

 次に、ちょっと観点を変えまして、一昨日の参考人質疑において話題になったデジタルプラットフォーマーに関する質問をちょっとさせていただきたいと思います。

 本当に、この第四次産業革命下で情報通信技術が急速に発展をしています。データの利用が拡大される中で、いわゆるGAFAと言われる巨大IT企業の影響力が増しておりまして、先日も、時価総額世界トップテンが変化して、それまでは石油、製造、通信、金融だったのが、昨年のランキングでは、ベストテンのうち、GAFAを含む六社がデジタルプラットフォーム企業であったというようなことで伺っております。

 こうしたデジタルプラットフォーマーと取引のある事業者、特に中小企業との間で、参考人質疑などでもありましたが、不透明な取引慣行があるとも聞いております。

 そこでまず、現在、政府においてはデジタルプラットフォーマーについてのルール整備について検討していると伺っておりますが、政府はデジタルプラットフォーマーを規制すべきと考えているのか、検討の経緯も含めて教えていただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年六月に閣議決定されました未来投資戦略二〇一八におきまして、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備のために基本原則を定め、これに沿った具体的措置を早急に進めるとされたことを踏まえまして、同じ年の七月、経済産業省、公正取引委員会と総務省は、多様な知見を有する学識経験者などから成るデジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会を立ち上げまして、検討が進められてまいりました。

 この検討会におきまして取りまとめられました中間論点整理を踏まえまして、経済産業省と公正取引委員会と総務省が共同して、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備の基本原則を作成しております。ここでは、プラットフォーマーは、革新的なビジネスの担い手とされる一方で、その利用者との関係で不公正な取引慣行の温床となるおそれがあるとも指摘されております。

 今後、過剰な規制によって未知の新たなイノベーションに対する抑止となることのないよう留意しつつ、公正かつ透明な取引環境の実現のためのルール整備を進めていくため、政府において必要な検討を進めていきたいと考えております。

太田(昌)委員 そうなんです。デジタルプラットフォーマーと取引事業者との間の取引慣行が、これが不透明というふうに聞いております。そのために、デジタルプラットフォーマーの取引慣行について、透明性あるいは公正性の確保が重要であろうかなと。基本原則にもある、透明性及び公正性を実現するための出発点としての、大規模かつ包括的な実態調査による取引実態の把握というのが必要じゃないかというふうに思っております。

 現在、公正取引委員会としてはデジタルプラットフォーマーについての実態調査を行っているというふうに伺っております。その調査の内容、また目的などについてちょっとお伺いをしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、大規模かつ包括的な徹底した調査によって取引実態の把握を進める、このようにされたことなどを踏まえまして、公正取引委員会は、平成三十一年一月から、デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査を行っております。

 この実態調査は、アンケート調査や、デジタルプラットフォーマーそしてその取引先事業者に対するヒアリングなどを実施することによりまして、デジタルプラットフォーマーの取引実態を把握しようとするものでございます。

 そして、四月には、オンラインモールやアプリストアにおけます事業者間取引に関するアンケート調査結果などを取りまとめた中間報告を行ったところであります。例えば、オンラインモールの利用事業者に対するアンケート調査結果では、運営事業者でありますデジタルプラットフォーマーによって規約が一方的に変更されたでありますとか、規約の変更の中に不利益な内容があったなどといった回答が多かったところでございます。

 公正取引委員会としましては、第一に、運営事業者がプラットフォームを利用せざるを得ない利用事業者に対して不当な不利益を与えていないかどうか、第二に、運営事業者が利用事業者の立場を兼ねる場合に、競合する商品を販売する利用事業者を不当に排除していないか、そういった観点から引き続き調査を進めているところでございまして、デジタルプラットフォーマーの取引実態を十分に把握して、競争政策上の考え方を整理していきたいと考えております。

太田(昌)委員 さきの参考人質疑などでも、売上げの三〇%が取られてしまうでありましたりとか、デジタルプラットフォーマーを使って事業を起こし、あるいは展開するということ、ある意味でいえば割と簡易に行えるという部分もやはりあるわけでございますが、それがある程度順調に軌道に乗った段階でそういったような変更が加えられて、その後のいわゆる商取引がなかなか難しくなっていくなんという話もちょっと聞くわけでございます。

 そうした、今は調査等々も含めてなかなか規制というのが難しいというふうにも聞いておりますけれども、こうしたデジタルプラットフォーマーについて、今そうした調査を行っている、それについてのルール整備、今後どのようなスケジュールで進めていくのか。ちょっとそれについてお伺いをしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今月二十一日に、経済産業省と公正取引委員会と総務省で、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会、これをずっと開催しておりますが、ここにおきまして取りまとめられました、一つは取引環境の透明性・公正性確保に向けたルール整備のあり方に関するオプション、それと、データの移転・開放のあり方に関するオプション、これを公表しております。

 また、三十一年三月には、デジタル市場に関する競争政策について議論を行うための体制整備に向けて内閣官房に準備室が設置されたところでございまして、当面は、この準備室を中心に、専門組織のあり方や今回公表されたオプションなどについて具体的な検討が進められるものと承知しているところでございます。

太田(昌)委員 本日、質問させていただきました。基本的には、とりわけ地元の中小企業の方々が今回の改正によって不利益を得ることがないように、あるいは、今のデジタルプラットフォーマー、こうしたものを利用して新たに事業を起こすに際しても、そういう中で心配がないように、あるいは、そういう中で更に発展できますようにというような思いを持って今回は質問させていただいたわけでございます。

 そういう意味で、今さまざま説明あった取組などによりまして中小事業者の利益がよりしっかりと守られるようになりますようにと念願をしているところでございますが、この点について、最後に大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

宮腰国務大臣 中小企業、小規模事業者は、地域の雇用や経済を支える重要な経済主体であると考えております。

 議員御指摘のとおり、独禁法は、優越的地位の濫用等の、中小企業に不当に不利益を与える行為を禁止しておりまして、公正取引委員会は、そのような行為に対して厳正に対応し、公正な取引慣行を確保しています。

 今般の法改正による中小企業へのメリットとして、例えば、優越的地位の濫用に対する課徴金算定期間の延長によりまして違反行為に対する抑止力が向上することや、課徴金減免制度の申請者数の上限が撤廃されることにより当該制度を中小企業も活用しやすくなることが想定をされます。

 今般の改正及びプラットフォーマーに対する取組を進めることにより優越的地位の濫用等に対する抑止力が高まることによりまして、中小企業を取り巻く取引慣行がより適正なものになると考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございました。

 終わります。

赤羽委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時九分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田嶋要さん。

田嶋委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの田嶋要でございます。

 きょうは、宮腰大臣、初めて御質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 独禁法ということなわけでございますけれども、最初に、既に法案審議が終わってしまいましたが、意匠権のことを少しやらせていただきたい理由は、いろいろと日本の現状を考えて調べておりますと、非常に、どこにも似たような現象が起きているなということを私は強く思っております。

 そういう問題意識から、まずは大臣、そして杉本委員長を始め皆様にも、独禁法だけのことを見ずに、日本の当局のアプローチ、課題、そうしたことに通底する問題ということをぜひ御理解いただきたいなという思いを私はきょう持っております。

 お配りしております資料の一、先週か先々週、宗像特許庁長官とやりとりさせていただきまして、法案はもちろん可決されましたよ、私たちも賛成したんですが、私の質問に対しての御答弁で、資料一に載せている日韓の話が出ました。これはどういうことを言っているかというと、当時の宗像長官の議事録では、まさに日本は意匠権の登録件数は減っている、他方で韓国はふえていると。

 この表をまずごらんいただきたいと思います。下に手書きで、どのぐらいの変動があったかということでありますが、前回、法案審議をして、意匠権の拡大、保護される領域の拡大を我々はやったわけでありますけれども、日本は、そもそもが意匠権の登録件数が過去十年減ってきている。他方、韓国は一・九倍、倍近くふえている。

 そして、この間審議をしたのは画像に関する意匠なわけでありますが、インターネットとかで、画面にあらわれる、物体とは一体化していない、画面にあらわれる画像意匠ですね、あるいは、自動車会社が地面に投影するような、離れたところに投影するようなものの意匠でありますが、そうした画像意匠に関しては、ごらんいただくと、やはり日本は一・五倍とふえていますが、その間に二・七倍に韓国はふえているといったようなことを宗像長官御自身が御説明をされたわけでございます。

 どうしてこういうことになっているのかということを、まず御答弁をいただきたいと思います。

米村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お話ありましたが、我が国におきましては、今通常国会で先日成立いたしました意匠法の改正によりまして、物品に記録、表示されない画像デザインの保護を開始することとなりました。他方、韓国では、二〇〇三年に物品に記録されない画像デザインの保護を開始をしてございます。

 日本で保護の開始がおくれたわけでございますけれども、これは、産業界ですとか有識者から幅広く意見をお聞きをしまして、クリアランス負担の増加などに係るさまざまな懸念点にしっかりと丁寧に対応した上で、今回、画像デザインの保護対象を拡大したという面があったかと思います。

 今後でございますけれども、引き続き、産業界や有識者の声をしっかり聞きつつ、世界の先進的な取組の調査分析に絶えず努めまして、日本が国際競争を勝ち抜けるよう政策判断を行ってまいらねばならないと思っているところでございます。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

田嶋委員 ありがとうございます。

 一番最後に、日本が国際競争に勝ち抜けるようにということをおっしゃいましたけれども、この意匠権や知財のことも、きょうの議論の対象である独禁法も、まさに我が国の、一人一人というよりも企業ですね、国際競争力を左右する非常に重要な分野であるわけでありますが、もう、この表一、資料一をごらんいただいたとおりです。

 これはどういうふうに理解したらいいんですか。韓国はどんどん意匠権の登録がふえている。日本は余り伸びていない、あるいは全体数はむしろ十年間で減ってしまっている。これ、日本と韓国でどっちが、この点に関して言えば国際競争力が上がってきているというふうに読んだらいいんでしょうか。いかがですか。

米村政府参考人 お答えを申し上げます。

 意匠権、これは大変国際競争力に重要なことでございますので、先生おっしゃったとおりだと思います。

 韓国の画像意匠登録件数につきましては、物品に記録されない画像意匠の件数の内訳が不明など、いろいろちょっと違うところがございまして正確に分析することは困難なんですけれども、日韓の画像意匠の保護開始時期の相違、これが日韓の画像意匠登録件数に差が生じていることの要因の一つであるということは否定できないものだと思ってございます。

田嶋委員 大臣も、それから杉本委員長も、今、違う分野の話ではありますが、聞いていただいたと思います。そうした当局の決断のタイミングの遅い結果として日本の企業の国際競争力に影響が出ているという、これは一個の実例なんですね。

 次のページの資料、資料の二をごらんください。

 先々週、私が意匠のことを取り上げたときにも配付をさせていただきましたが、この資料を持って特許庁が私の部屋に説明に来た。恐らく、与野党の多くの委員の先生方にも同じ説明をしたんだと思います。ほかの国ではもうこうやって拡大して保護しているので、今回ぜひ法改正してくれということを、二〇一九年に我々のところに来たわけですね。

 それでは、お尋ねをもう一個だけさせていただきますけれども、韓国が二〇〇三年に導入してから我々は法改正のチャンスは何度あったんですか。

米村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回を含めて三回でございます。

田嶋委員 これも説明いただきましたけれども、二〇〇三年の後、確かに専門家同士で、韓国がどういうふうにして保護の拡張をしたのかという意見交換もしている。そして二〇〇六年、私たちが実際に意匠法の改正をやっているんですよ、日本で平成十八年に。しかし、この論点は入らなかった。そして、また更に平成二十六年にももう一度チャンスがあったけれども、そのときは意匠法の改正にすら至らなかった。

 日本の国会の、立法府の中でもチャンスが二回到来しそうだったけれども、この点が入らずに、その間、まさに十年、十五年の間、韓国が先にそうした保護の強化をした結果として、こうした大きな数字の差があらわれてきたということであります。

 そして、先々週、宗像長官はこういうふうにおっしゃっています。結果として、それこそ、GAFAであるとか、中国でもアリババとかテンセントであるとか、そういうネットワークを活用した企業が成長しておりますので、彼らが、つまりこういう拡大を急いだ韓国が、彼らが失敗をしたということはなかった。むしろ、日本が失敗をしているんですよ、日本が。

 だから、これはぜひ杉本委員長も大臣も、これは別に意匠の問題だけじゃないです。私が心配するのは、二週間前、世耕大臣も、同じ心配を共有するとはおっしゃっていましたけれども、日本の国柄じゃないかというぐらい、恐らく、官僚の、霞が関の体質として、どこにも起き得る問題を内在しているんじゃないかなという気がするんです。

 私、かつてアメリカに住んでいたときに、こういうことを言われたことがあります。何か新たなビジネスチャンスが生まれたときに最初に動くのは中国の華僑とアメリカのユダヤ資本だ、一番最後に重い腰を上げてその事業に参入するのは日本の企業だ、でも、日本の企業が参入したときにはおいしいところは全部なくなっていると。そういう感じがいたしませんか、大臣。

 例えばきょうの新聞にも、石炭火力、有名な石炭火力ですよ、いまだにこだわっているのは日本ぐらいでしょう。ようやく日本の金融機関も、こんなことをやっていたら自分たちが危ないと思い始めていますよね、きょうの記事なんか。だけれども、いまだに石炭火力にこだわっているのは日本ぐらいですよ、先進国で。気づいていないのは日本だけ。こういうことが本当に多いんですよ、日本は。

 そして、産業界も反省しなきゃいけないけれども、当局も、行政府も、そうした産業界を応援する規制体制とかルールの見直しにめちゃくちゃ遅いのがこの日本だと私は強い危機感を持っているんです。

 この意匠に関しては、きょうはこれで結構でございます。ありがとうございます。

 いずれにしても、私がきょう取り上げる独禁法の問題も、独禁法ユニークの話じゃないんですよ。やっていることは一緒です。二回チャンスがあっても改正しなかった。

 そして、私申し上げたいのは、今回のこの独禁法に関しても、二回チャンスがあったのに、やることを行ってこなかったようなことがあるじゃないかということを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、もしよろしければ退席いただければ結構でございます。ありがとうございます。

 それでは、独禁法に行きたいと思います。

 まず委員長にお尋ねしますが、法案の説明に来られた資料の中に、今回、課徴金の減免制度、改正したい、深掘りをしたいという話がありましたけれども、私が今の意匠法とになぞらえて最初に素朴な疑問として思うのは、今回改正するというのは、何か最近の環境等の変化があって今の課徴金減免制度が最適ではなくなったということがあったので今回の改正にこぎつけているのか、それとも、最初から我が国の課徴金減免制度の制度設計がよくなかったから今改正をしようとしているのか、どちらですか。

杉本政府特別補佐人 カルテル、談合入札は発覚しにくく摘発が困難である、いろいろなところで秘密裏に行われる話合い等が原因行為でございますので。そのために、十七年の改正で課徴金減免制度を導入して、違反事実をみずから申し出た事業者に対して課徴金を減免することにより、違反行為から自発的に離脱するインセンティブを付与しまして、違反行為の発覚、摘発を容易にしてきたというものでございます。

 現に、これまで多くの減免申請が寄せられまして、カルテル、入札談合等の発見、摘発につながっていると考えております。課徴金減免制度の機能である端緒情報の収集と証拠情報の収集のうち、端緒情報収集については十分機能していると考えるところでございます。

 一方、証拠収集機能の点では十分でなかったことが、制度を運用していく中であらわれてきたと思っております。事業者が一定以上の対応を行わないという、非協力的な事業者が少なからず発生する問題が生じております。この点では、制度導入当時には予期しないものであったと考えております。

 このため、事業者の調査協力インセンティブを高める仕組みを導入いたしまして、証拠収集能力について発揮させることができるよう、本法律案の改正を行うということをお願いしているところでございます。

 先生のおっしゃる観点から私ども心して考えてみますと、恐らく、こういう課徴金減免制度ということを導入する際に、それがどういうふうにワークしていくのか、その過程でこういう問題が発生するんじゃないかということを予期すべきだったという議論だと思います。

 ただ、残念ながらと申しますか、私どもにそこまで予測できるといいますか、洞察力といいますか、いろいろな予測が不足していたということであれば、そういうことかと考えます。

 その上で、制度を運用してみまして、制度の運用の上で不都合が出てきたので、これに対して改正しようというふうに至ったものでございます。

田嶋委員 今、洞察力ということを委員長はおっしゃいましたけれども、私は先々週、世耕大臣とキャッシュレスの話もしたんですね。キャッシュレスもドイツと日本が一番おくれてしまっているということを一年前に取り上げて、最近は何か大慌てで、消費税引上げに合わせていろいろなことをやっていますよ。やっていただいている努力は多としたいと思うんですけれども、大臣おっしゃったのは、おくれて始めるからには、今あるものよりもいいものにしたい、乗り越えられるような。私は当たり前のことだと思うんですね。

 そういう意味で、私が思うのは、今、洞察力の話をされましたが、もう既におくれているんだから、先行事例を学べばいろいろなことがわかるんじゃないのかと。

 例えば今回の課徴金の減免について、EUはいつ導入しているんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 EUにおきましては、一九九六年にカルテル事案における制裁金の免除又は減額に関する告示が定められまして、導入当初から、事業者による情報提供の度合いに応じた減額の制度というものになっていると承知しております。

田嶋委員 ということは、EUが一九九六年に行った課徴金制度を今回やろうとしているということですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 EUの場合は、当局のいわゆる裁量というものがかなり広いものでございます。今回の法改正で導入を予定しておりますのは、EUほどには至っておりませんが、日本の法制度の中で、いわゆる不当利得をベースとした課徴金制度という中で、協力による減算という仕組みができる仕組みを今回入れようとした、それに近づこうとしているものでございます。

田嶋委員 委員長にお尋ねしたいんですけれども、一九九六年、二十世紀の終わりにEUはもう既に同じような制度を導入している、課徴金の柔軟な減免制度。そして、日本が課徴金減免制度を導入したのは平成十七年、つまり、今から十四年前に導入しました。つまり、もう既にそのときにはEUは、課徴金減免制度を導入してから十年たっているんですよ。

 私が素朴に思うのは、先々週も世耕さんも言いました、世界じゅうに日本の役人が二百名以上配置されている。いろいろな国の動きを見て、例えば、規制のルールが変わるとか、先ほどの意匠権に関しての保護が拡大したとかいうときには、すぐさま両国の専門家が意見交換をするなどして、何がすぐれているのか、日本ではできないのか、そういうことをちゃんとやらなきゃいけない。やれているかどうか心配だということを世耕さんもおっしゃっていましたけれども。

 私は素朴に、もう一九九六年からEUはずっとやっているわけですよ。当然、その後、蓄積があるわけですね。蓄積がある。だから、洞察力も何も、それ以前の問題として、先進国、EUでどういうふうに蓄積がなされているのか調査すれば、導入時点の十四年前、すなわち平成十七年にこの課徴金の減免制度を導入するときに、今回のような制度設計の減免制度を始めることは僕は十分できると思うんですよ。それは終わったことだから仕方がないということじゃないんですよ。

 私が心配するのは、どこでもこういうことが起きているということを懸念しているんです、日本は。それが、世界の国際競争力がずるずると下がってきている一番の根っこにある問題じゃないかと考えているんですが、委員長いかがですか。

杉本政府特別補佐人 課徴金減免制度について申し上げますと、課徴金減免制度は、事業者が自身の違反行為を申し出ることによりまして行政処分が軽減される、課徴金が減免されるというメリットを得ることができるという点において、我が国で初めて導入された制度でございます。

 一方、課徴金減免制度を導入するか否かというときには、その検討段階で、同制度は密告を奨励する制度であるというような批判や、我が国になじまないという意見も非常に強く出されたわけでございます。

 そうした批判を踏まえまして、制度の簡明性を確保しつつ、事業者が減免申請を行うインセンティブを高めるために、事業者の高い予見性を確保するという慎重な制度設計が必要だったと思っております。

 したがいまして、我が国の課徴金減免制度は、EUとは異なりまして、一定の要件を満たす資料等を提出すれば一定率の減額を受けることができる制度として導入されたものでございまして、そういう意味で、EUの制度とは異なっていると思っております。

 私どもの導入しました課徴金減免制度、そもそも課徴金制度というものが、基本的には、カルテル、談合等のやり得を許さないということから、不当利得に相当するもの、不当利得を基準として課徴金を徴収する、そういう制度の中で課徴金を減免するという制度でございますので、EUのように、制裁金を課す、不当利得の剥奪ではなくて、いろいろな抑止効果等を考えて行政から制裁金を科すという制度として仕組まれているものではございませんので、そこでの制度の成り立ちというのが基本的に違っているんだと思っております。

田嶋委員 制度の成り立ちから始まると、それぞれの国がそれぞれユニークだとは思いますよ。しかし、私はそれでも、大変お詳しい杉本委員長に失礼ですけれども、やはり専門家のそういうお話を聞けば聞くほど、大局を見ていない可能性もある。意匠権も同じですよ。こういうふうに違うから日本は今回なんですというふうに言われても、本当にそうなのかなと。政治家の目から見ると、やはりどこか日本がいろんな意味での決断、遅くなってしまっているのはあるのじゃないかというふうに思います。

 いろいろインターネットで調べてみたら、皆さんの先輩ですよ、公取の方で今大学の教授の方がこういう論文で書き出していますよ。

 日本の独占禁止法は、今、深刻な手詰まり状態にある。制度的には、平成十七年及び平成二十一年改正により、ようやく諸外国並みの課徴金制度及び課徴金減免制度を整備できたように見えるものの、サンクション制度の設計に大きな制約があり、実効的なものと言うにはほど遠い。

 こういう論文の書き出しまであるんですよ。

 だから、専門家の方だって、こういう問題意識を持っている方は少なからずいるということを私は思うんですね。それは私だけの意見じゃないということですよね。やはり外から見ていて、本当に日本の競争力を高めるために皆さん方が役立っているのかということを常に厳しく問わなければいけないと私は思うんです。

 では、次にお尋ねしますけれども、次に資料三をごらんをいただきたいというふうに思います。

 金銭的な不利益処分、一般に言う金銭的不利益処分でありますが、事業者の払う金額を、丸をつけたところですけれども、日本が非常に少ないですよね、やはりEUとかアメリカに比べて。私なんかは素人で、これをぱっと見たときに、やはり日本のペナルティー制度は十分機能しない可能性がある、こんなことをやっていたらなめられる。EUやアメリカは一桁、二桁大きいわけですよ、ペナルティーが。

 そして今回は、その計算する期間を三年から十年に延ばすという話があって、当然、十年になればこれがふえるんだというふうに思うんですけれども、この点一つとっても、やはりこの金銭的不利益処分がようやく今回欧米並みに引き上がることを意図しているものだというふうに、そうして理解していいんですか。

杉本政府特別補佐人 この法案によりまして、課徴金の額の算定期間が延長されることにより、課徴金の水準が上がり、違反行為の抑止効果は高まるものと考えております。他方、本改正により、課徴金の金額が必ずしも欧米諸国水準並みになるものとは考えておりません。

 それは、先ほど申しましたように、外国の競争法におきましては、違反行為者に対して制裁金や罰金の措置がとられますが、その額の算定に当たり、競争当局が広範な裁量を有することが許容されている。事案によっては高額となる場合があると考えております。

 そもそも、先ほど申し上げましたように、EUの場合は制裁金でございますし、アメリカの場合は罰金という制度設計になっております。

 それに対しまして、私どもの独禁法制度の課徴金は、当初仕組んだところから、不当利得の没収だ、不当利得を基準としてそのサンクションをかけていくんだというような制度的な成り立ちになっておりますので、私どもとしては、その中でできるだけその課徴金の水準を上げていくということによって独占禁止法における課徴金制度の抑止力の向上に努めていくということで、最大限の努力をしているつもりでございます。

田嶋委員 ありがとうございます。

 そういう御評価を御自身されているのかもしれませんけれども、先ほどの、意匠に関しての日韓の数字ですね、結果的にああいうふうに数字となって後々あらわれてくるということであります。独禁法に関しての数字というのはまだ手元にございません。これからいろいろとやはり検証もしていかなきゃいけない。自分たちの政策決定のタイミングも含めて、あるいは、政策の制度設計の中身が本当に最適なものになっているのかということを不断に検証していく必要があろうかというふうに思います。

 先ほどの、同じ元公取の方、大学の先生がおっしゃるのは、パッチワーク的な改正を繰り返し、周回おくれとなった日本の独禁法や運用が東アジア法域における競争法の発展にとって制度設計や理論面で貢献できる領域は乏しいように思われる。非常に辛辣ですよね。こういうことを言っているんですよ、皆さんの先輩が。

 韓国の公取法は、日本の独禁法の影響を大きく受けており、その運用も日本の公取の実務に範をとることも少なくなかったと言われる。しかし、一九九〇年代に入ると、韓国の公取法は、独自の改正を重ね、特に課徴金制度の強化やリーニエンシー制度の導入において日本よりも先行し、精緻な規制制度を構築している。また、韓国の公取委員会は、日本の公取委員会よりも国際的に高い評価を受けている。

 これは反論もあるかもしれませんけれども、こういう声があるんですよ、皆さんの先輩の中に。恐らく、中にも今でもいらっしゃる。

 だから、もっと組織として、やはり、相手にしているのが常にグローバル企業なわけですよ。大臣もぜひ御理解いただきたいですね。やはり当たり前、釈迦に説法ですけれども、特許に関しても独禁法に関しても、国の枠を超えていろいろ活動している人たちにとってのことですよね。そうなってくると、当然、どの国の制度がどうだということを常に相対的に意識をしなければいけない側面が大変強いというふうに思います。

 次の質問、お尋ねしますけれども、もう一点、今回、判別官という制度を組み込むわけでございまして、これももういろんな委員から質問が出ておりますが、判別官が本当に審査官とちゃんとファイアウオールで分けられているのかは、当然やはり多くの人が心配をするわけでありますが、人事の異動はあるんですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 判別官と審査官との間での人事異動、これは行われることはあり得るわけでございますが、そのような場合でありましても、判別手続の中立性、公正性を確保するために、調査に従事したことのある職員について、みずからが従事した事件の判別手続には従事しないことなど、そうした運用をしっかりと行うことを考えておりまして、また、こうした運用につきましても、今後整備します規則又は指針などで明らかにしたいと考えております。

田嶋委員 公取の方が幾らそれをおっしゃっても、やはり僕は、世の中の企業は、それをああそうですかとそのまま受け入れることはなかなかできないと思いますよ。

 きょう、委員会でもいろいろ議論が出ましたね。事業者からすると、そもそも弁護士に相談するときにカルテルだと明確にわかって相談する人ばかりじゃない。むしろ、わからない方が普通なんじゃないのか。そうすると、話し合った結果が持っていかれるかどうかはっきりしなければ、ちょっとやめておこうという話にもなるわけですよね。

 そして、今のこの判別官と審査官の話も含めて、今回の法改正は半歩前進という評価もできるかもしれませんが、やはりこれは非常に中途半端、そして、これまで同様、弁護士相談に前向きになれない理由がたくさん残っている内容だというふうに、私はそのように考えております。

 そこで、時間も来ましたので最後にお尋ねしますけれども、今回のいわゆる減免制度の深掘りに伴って弁護士相談のニーズが高まるという想定を置いているわけですが、私はやはり、グローバルな企業の活動に対応したこうした法制度、制度設計は、我が国の企業の利益と、そして日本の国益を考えると、世界の主要国と足並みをそろえる必要性が非常に高い分野だというふうに考えます。先ほどの意匠と同じですね。

 したがって、カルテル以外についても、今後速やかに通信秘密保護制度の実現を検討すべきだ。

 また、加えて、やはり世の中から見たら、法律にしっかり書き込むということが何より大事なんですよ。それを、公取の理論、公取の中の理屈、霞が関の理屈で国民に説明をしようとしたって、やはり国民から見たら、立法府の法律事項としてきちんと書き込まれることが何よりも一番透明性を高くするアプローチだと思いますよ。

 そういった意味では、今後の拡大ということと、そして法律事項にしていくということに関して積極的に今後取り組むべきだというふうに考えておりますが、最後に御所見を、これは大臣にいただくということになりますね。大臣、よろしくお願いいたします。

宮腰国務大臣 今御指摘の弁護士・依頼者間秘匿特権を始めとして、関係者においてさまざまな意見があることは承知しております。一方、我が国において、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権を認める明文上の規定はありません。このような状況において、お尋ねの制度は、現時点において適切な内容として取りまとめられたものと考えております。

 本制度の対象範囲の拡大につきまして、本制度の運用開始後の状況を踏まえ、中小企業に不当に不利益を与えることとならないよう、また、他法令への影響を及ぼすことのないよう留意し、早急に検討されるものと承知しております。

 本委員会の御審議において指摘されたさまざまな論点も真摯に受けとめて、今後、公正取引委員会において検討が行われるものと承知をいたしております。

田嶋委員 今の大臣の御答弁は、大臣、まことに申しわけないですけれども、公取の枠から一ミリも外に出ない御答弁ですね。ちゃんと資料に書いてあるのを読み上げているだけですね。

 ただ、政治家としてやはり考えたときに、本当にそれでいいのかという危機感を私は持っているんです。大臣もいろいろ考えていただけるんじゃないかと思うんですよ。やはりこれ、世界の中でおかしいですもの。

 最後の資料の四、ごらんください。これは弁護士会からいただいていますよ。弁護士会の言っていることが全部正しいかどうかわかりませんけれども、しかし、意匠の話と同じです。やはりこうなってくると、ハーモナイズしていかないと、結局、日本の企業に迷惑をかけるんじゃないですかね。

 やはりこれは、大臣の読み上げた文章の、公取が、ここは絶対押さえてもらわなきゃ困るというような文章を大臣にお渡しをされているのかもしれませんが、やはり、世界の大きな流れの中で、グローバルな企業の関係のこうした法制度を世界と調和をとる形でやっていかなきゃいけない、アメリカもEUも、いろいろな国々が既に導入をされているようなところまで、今回の中途半端なような制度改正では決して拡大はしていかない、企業のためにはならないということを私は申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長代理 次に、斉木武志君。

斉木委員 国民民主党の斉木武志です。

 宮腰大臣、よろしくお願いいたします。

 本日は、五月十五日の当委員会の質疑、そして、前回のこの独禁法審議の参考人質疑に引き続いて、海外デジタルプラットフォーマーにどう日本として向き合っていくのかという視点で御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 前回の参考人質疑でも新経連の吉田理事から再三提起されましたけれども、スマートフォン、日本の国民、かなりの部分に今普及をしました。ただ、日本の国内市場で実際にアプリを国民が買おうとしたときには、アイフォンにインストールされているアップストアを経由して買うか、若しくは、アンドロイド携帯にプリインストールされているグーグルプレーを通して購入するか、実際はほぼ一〇〇%、この二つしかスマートフォンでアプリを購入する手段がないんだと。

 そのときに、中小企業がほとんどですので、日本のゲーム開発会社、アプリ開発会社は、売上げの三〇%を必ずアップルかグーグルに対して納めなければいけない。事実的な寡占市場にある中で、この三〇%というコミッション、手数料が非常に日本のアプリ開発であるとか中小企業の研究開発を阻害しているという訴えがるるございました。

 ですので、これは優越的地位の濫用に当たるのではないか、ぜひこの三〇%のコミッションを二五パーであるとか二〇パーであるとか少しでも引き下げていただいて、日本の中小企業を応援していただきたいというような発言がございました。

 これに関して、まず公取当局の方にお聞きいたします。

 現行のこの独禁法令で、新経連の理事から、参考人から提起のありましたような手数料の引下げというものは可能なんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の具体的な案件をちょっと離れて申し上げますけれども、一般的に申しますと、取引条件の設定というのは基本的には自由でございますので、手数料の設定につきまして、手数料が幾らか、高いかどうかというだけでは直ちに独占禁止法上違反とは申し上げることはできないということでございます。

 一方、自己の取引上の地位がアプリベンダーに対して優越しているアプリストア運営事業者、これが取引の相手方に対しまして不当に不利益を与えるようなやり方で取引条件を変更する、そういう場合には優越的地位の濫用として問題となり得るということでございます。

斉木委員 まさにそれが、公取さんが調査に入ったことのあるアマゾンであるとかエアビーアンドビーであるとか、調査に入るということで自発的に事業者側が規約の変更を取りやめたであるとか、そういった事例は前回の質疑でもお伺いをいたしました。そうした現行の独禁法の枠内で、不利な競争条件を課すということはやめさせることができる。だけれども、手数料に関しては、民民の契約条項になるのでなかなかというような御答弁だったと思います。

 一方、この三〇%の手数料が高いという声は、グーグルやアップルの本国であるアメリカでも実は今非常に大きくなってきております。それが、民民の訴訟が提起されておりまして、直近、今月の十三日なんですが、アメリカ最高裁が判断を下しました。アメリカの消費者団体が、アイフォンにプリインストールされているアップル社のアップストアを相手取って、アップストアが三〇%のこの手数料をアプリ開発会社から取っているのはおかしいと。

 それはどういうことかといいますと、消費者がアプリ開発会社からそのアップストアでダウンロードするときに、五ドルとか十ドルという形で課金されて購入をする。その五ドル、十ドルの課金に、アップルに支払う三〇%の手数料を上乗せして業者は国民に販売しているんだ。だから、結局この三〇%という高い手数料は国民負担になっているんだから、消費者の視点から見て、それは払い戻すべきではないか、三〇%の手数料は引き下げるべきだという訴訟を、二〇一一年でしたか、アメリカ国民、消費者団体が起こしました。

 それに対して、今月、アメリカ最高裁は、原告はその訴訟を提起する原告適格性が争われたんですが、原告適格である、訴訟はオンゴーイング、このまま継続をいたしますという判断を下して、アメリカでも非常に大きなニュースになったところでございます。

 これはまさに、日本では日本国民がアップルを提訴するというような事例でございますので、単に事業者だけではなくて、お金を課金されている国民、地球上の市民からもデジタルプラットフォーマーに対して、ちょっと高過ぎじゃないかという声がまさにアップルの本国であるアメリカでも提起をされてきておるんですけれども、こうした動きというのは、これは訴訟ですので何とも言えませんが、仮に三〇%のコミッションは高いというようなアメリカ最高裁の判断が出た場合には、日本の今公取さんがおっしゃったような判断、これも影響を受けるかどうかというのをまずお伺いしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の裁判、まさに今裁判が行われているところでございます。また、アメリカでの裁判ということでございますので必ずしも詳細をまだ把握しているところではございませんが、まさに今、消費者に原告適格がある、消費者が訴えることができるかどうかというところで、訴えることができるという判断が示されたものでございます。

 最終的に、最高裁判所がこれに対してどういう判断を下すのか、また、どういう条文を当てはめてどのような論理で判断するのかというのはわかりませんので、ちょっと今の段階では何とも申し上げようがないかと考えております。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

斉木委員 私どもは日本の国会議員ですので、日本国民の国益そして日本国民の利益を守っていくのが第一義の仕事でございます。

 それから見ると、やはり海外デジタルプラットフォーマーに私たち国民の負担している課金が一方的に流れていて、しかもその三〇%が、本国アメリカのグーグルであるとかアップル社に納められている。これをやはり引き下げるということは国益にもかなうな、消費者保護の利益からも、国民の利益を守るという観点からもこれはやるべきだろうと思っておるんです。

 宮腰大臣にお伺いいたしますが、今までの議論をお聞きになって、こうした海外デジタルプラットフォーマーがアップストアやグーグルプレーで三〇%の手数料を課していること、アメリカの消費者団体からも、高過ぎるという、最高裁が認める訴訟が提起されていること、これに対して、公取のかじ取り役として宮腰大臣としては、こうした手数料の高さに関して高いとお思いなのかどうか、そして、今後、公取に関してどのような御助言をなさるおつもりなのか。お聞かせ願えますか。

宮腰国務大臣 GAFAに関しては、公取の担当大臣としても、あるいは消費者担当大臣としても、あるいはまた個人情報保護担当の大臣としても、強い関心を持っております。

 当初は個人情報の漏えいということがあったり、それから、漏えいだけでなくて、いろいろなところで、利用というのか悪用というのか、そういう例があるのではないかというところの関心も持っているわけでありますけれども、今のこの三〇%のマージンの問題についても、やはりちょっと高いなという感じは持っております。

 政府全体で、デジタルプラットフォーマーの問題についてあらゆる観点から今検討を始めたところでありますので、手数料の問題なども含めて、これから、公取だけではなくて総務省あるいは消費者庁なども含めて、トータルな検討を行っていく必要があると思います。その際には、やはり国益というものもしっかりと視点に置いて検討していく必要があるのではないかというふうに考えております。

斉木委員 宮腰大臣は消費者担当大臣も兼務されておりますので、非常に前向きな答弁をうれしく拝聴しております。

 私は、やはり公取がアクションを起こすことの重要性というのも、ぜひ宮腰大臣の御所見を伺いたいんですが、一つ、前回五月十五日の質疑で公取当局の方から答弁があったんですが、アマゾン、そしてアマゾン・ジャパン・サービシズ・インクですか、それとエアビーアンドビー、こういったものに対して、契約条項が一方的に不利な形で変更されたのではないかということで公取が調査に入る、調査に入った結果、エアビーやアマゾン側が自主的にその規約の変更を取りやめたという事例がございます。

 これはやはり、公取が見逃さないぞというアクションを起こしたことがきっかけになったと私は判断するんですけれども、やはり手数料に関しても、ちょっと漏れ聞こえるところですと、アマゾンとかは、ジャパンはイージーだ、日本は取り組みやすしみたいな発言をしていると各全国紙などでは報道が出ております。それは要するに、イギリスやアメリカの当局に比べて日本は意外と動いてこない。だから、一方的に規約を変更するであるとかセット販売をするであるとか、そういったことを誘発してしまいかねないと私は危惧するんです。

 やはりこれは交渉事でもありますので、しっかり規制当局が、現行法令を適用するぞ、調査に入るぞというアクションを起こすことも重要だと思っておるんですが、宮腰大臣としては、今のデジタルプラットフォーマーに対する公取のアクションの重要性、そして、今までのアクションの量で足りているかどうか、どのような御所感をお持ちでしょうか。

宮腰国務大臣 独禁法違反行為に対しましては、公正取引委員会において厳正に対処するものとまず承知いたしております。

 デジタルプラットフォーマーに関するルール整備についてでありますが、過剰な規制によりイノベーションを阻害することとならないよう留意しつつ、取引環境の透明性、公正性を確保するためのルールや、データの開放、移転を促すためのルールを検討していく必要があります。その際は、必要に応じてデジタルプラットフォーマーやその利用事業者の意見も聞くこともあるというふうに考えております。

 規制ということもありますが、やはり過剰な規制という問題もあるのではないかというふうに思っておりまして、先ほど申し上げた、内閣官房において今政府全体で検討していくということの中で、このルール整備をどうやっていくかということが一番大きな問題になろうかと思っておりまして、公取はもちろんでありますけれども、そのほかの立場の大臣としてでも、しっかりと議論に参加していきたいなというふうに考えております。

斉木委員 今、過剰な規制という一つ論点が出てまいりましたけれども、これはまさに世界じゅう、イギリスやアメリカでも今非常に議論が、ここ数年盛んになってきている分野でございます。

 過剰な規制なのか、それとも、今のデジタルプラットフォーマーというのはもっと独禁法の枠組みそのものをいじるような根本的な対策も求められているのではないかという論考が非常に今盛んになってきておるんですけれども、今、宮腰大臣がおっしゃったのは、競争法によって制限がかけられることによって、技術革新、イノベーションが鈍化したり、実際には存在しない市場競争が存在するかのような印象が与えられかねないという、これまでの従前の独禁法の議論だったと思います。

 ただ、今、欧州そしてアメリカでのどういう論調になってきているかといいますと、これはワイアード・ドットジェーピーというインターネットマガジンからの引用になりますが、課徴金では足りないんじゃないか、制裁金では足りないんじゃないか、事業の強制売却も含めて根本的な治療が必要ではないかという論考が今起きてきております。

 どういうことかと申しますと、グーグル社が今欧州委員会と係争中でございますけれども、四十三億ユーロの制裁金命令を受けまして、今、欧州の普通裁判所で係争中だというふうに承知をしております。グーグル社はこれまでも、十四億ユーロであるだとか今回の四十三億ユーロであるとか、いろいろと、百億ユーロに迫るかのような、日本円で一兆円超に迫るかのような、何度も何度も制裁金を課されてきているけれども、グーグル社の寡占と、そしてグーグル社のコミッション、そしてグーグル社の抱き合わせ販売、こういったところがなかなかおさまらない。

 やはりこれは、アップル社にしてもグーグル社にしても、本当に支配的な、特にスマートフォンでは二巨頭、二社寡占状態に陥ってしまっているので、イノベーション、先ほど申し上げたような技術革新の鈍化であるとかそういったものよりも、やはり事業の強制売却も含めた対策が必要ではないかというような論考が出ております。

 一つが、イギリス当局、イギリスの公取の三月半ばに公表した百五十ページの報告書があるんですけれども、これは、テック大手、要するにGAFAですね、GAFAがイノベーションと消費者の選択の自由を阻害することを避けるために、現行の独禁法を見直す必要があるというふうに指摘をしている。

 アメリカ当局ですら、これはイギリス当局と同じような論考を示してきております。

 ほかにも、これは政治の場からの発言なんですが、来年、アメリカでは大統領選挙がございます、そこに出馬を表明している民主党の上院議員、エリザベス・ウォーレン氏なんですが、これはGAFAの強制分割を訴えております。同じく民主党下院議員のデービッド・シシリーニ氏は、アメリカの連邦取引委員会に対してフェイスブック社の調査を行うよう求める書簡を送付をいたしました。

 これは、アメリカ本国ですら、そしてイギリス規制当局ですら、やはりここまで巨大になってしまうと、事業の一部強制売却も視野に入れたような、制裁金だけではなくて、より強い消費者の利益保護というものも必要なのではないかということが当局そして政治の場でも提起され始めておるんです。

 こうした流れに対して、イノベーションを阻害してはならないという独禁法の精神と、そして一方で、まさに消費者保護を図っていく、消費者に選択の機会を与え、そして、かつてアンドロイドOSがiOSに対抗して殴り込んでここまで成長してきたように、競争を促す。iOSとアンドロイドOSに固定化してしまった世界でどのようにイノベーションをまた起こし、かつ消費者を保護し、三〇%という高くなってしまった手数料を下げていくのか。

 宮腰大臣としては、このような、イギリス当局やアメリカの政治の場から提起されているようなちょっと過激とも言えるような論考に対して、どのような御所感をお持ちですか。

杉本政府特別補佐人 ありがとうございます。

 いわゆる巨大プラットフォームに対してどう対応していくかというところで、私ども競争当局としてどう考えているかということでお答えしたいと思いますけれども、私どもの競争当局、公正取引委員会というのは、独占禁止法の執行を担っている当局でございます。したがいまして、既存の制度的枠組みの中で考えていかなければならないと思っています。

 その際に、巨大プラットフォームは、ディスラプティブテクノロジーというんでしょうか、技術革新によりまして非常に多大な利便を消費者に与えているところだと思っております。

 例えば私の個人的な生活を考えましても、グーグルを検索しない日はないだとか、それから、私の家内などはアマゾンを頻繁に利用しているだとか、そういうことで非常に多大な利便も与えていますし、また、中小等の事業者に対しましても、マーケットを開発するといいますか、ビジネスチャンスを与えるものとして非常に多大な利益を与えているんだと思っております。

 ただ、私どもの観点からしますと、そういう巨大プラットフォームはネットワーク効果がございますので、どうしても独占、寡占になりやすい。独占、寡占になった場合に、それがイノベーションを逆に阻害する。いろいろな情報の不当な取得を行うとか、情報を不当に囲い込むとか、取引の相手方に対して不当な不利益を与えるとか、そういういわゆる独占禁止法の観点から反競争的行為というものを行っていないのかということを絶えずモニターしていく必要があるんだと思っております。

 それが一つの観点でございますが、同時に、私どもの問題意識としては、いかにして、レベル・プレーイング・フィールドといったらいいんでしょうか、を確保していくということを考えていくのかということも必要だと考えているわけでございます。

 そのためには、例えば、巨大プラットフォーム取引の透明性を確保する、そのためにどういう措置を考えていくのかというようなことを検討していく必要もあるでしょうし、また、巨大プラットフォームに情報が独占されるということもありますので、そういう情報に対する情報の流通、当然、個人情報の保護がきちっとされた上での情報の流通でございますけれども、そういう情報の流通とか利用に対するアクセス、そういうものをどう考えていくのかということを、レベル・プレーイング・フィールドの確保という観点から考えていく必要があるんだと思っております。

 そこは今大臣からも御答弁ございましたように、内閣において、内閣においてといいますか、各省横断的にどういうふうに考えていくのかというのを検討会で検討していただきまして、それがまた内閣全体として検討されるということになると思いますので、その検討に対して、いかにしてレベル・プレーイング・フィールドを確保していくというものの制度的な担保が必要なのかということを検討していただきたい。私どももその検討に参加したいと考えているところでございます。

斉木委員 ありがとうございます。

 今ちょっと私が興味深く思ったのは、おっしゃられていることの中の一つが、欧州委員会とグーグルが今欧州の普通裁判所で係争中ですけれども、そこでグーグルのCEOが述べている反訴の理由にちょっと通ずる部分があるなというのを私は思いました。

 グーグルのCEO、サンダー・ピチャイ氏が、アンドロイドは、ハズ クリエーテッド モア チョイス、ノット レスという声明を公開しております。

 要はどういうことかといいますと、我々は、かつてこのアンドロイドを開発するときにはアップルのアイフォンが支配をしていて、iOSしかなかったんだ。そこにアンドロイドが後発組としてどんどん討ち入っていくために、今回欧州委員会が問題としたような、グーグル検索であるとか、クロームであるとか、グーグルプレーとか、グーグルマップであるとか、Gメールであるとか、そういったアプリをプリインストールするオプションを用意して、それらをプリインストールすることで間接的に収益を得られるモデルを採用して、このアンドロイド開発費を調達してきたんだと。

 だから我々は寡占ではないんですよということを、このまさに欧州委員会との係争の中でグーグルのCEOのピチャイ氏が述べております。

 私は、それも一つあるな、論理としては筋が通っているなと思うんですが、それを懸念するのは今なんですね。昔じゃなくて今なんですよ。今、iOSとアンドロイドの二巨頭の寡占に地球上がなってしまったというときに、じゃ、ここにもう一回イノベーションを起こしましょう、もう一回消費者保護をしましょう。

 大臣にお聞きしたいんですが、消費者が払う手数料を下げ、より便利なOSが登場してくるものを規制当局としても阻害せず促しましょうというような視点は必要だと思うんです。

 かつては後発組だったアンドロイドが今や寡占と言われるような側に回ってしまって固定化している。この状況に対してどうすれば、それにいら立ちだと思うんですよ。強制分割とか、アメリカからも政治家が発信し始めているようなもの、そして消費者が最高裁まで提訴して争っているもの、この消費者のいら立ちがあると思うんです。

 大臣、ちょっとこの辺に関してどのような御所見をお持ちですか。もう一回、競争状態、イノベーションが起きるような道に政府として導く必要が私はあるかなというふうに思うんですけれども、御所見をお持ちでしょうか。

宮腰国務大臣 先ほど公正取引委員会からも御答弁がありましたけれども、諸外国において、デジタルプラットフォーマーに対して、競争法違反を理由とする提訴が相次いでなされている状況であると承知をいたしております。

 公正取引委員会におきまして、引き続き国際標準にのっとった独占禁止法の執行を行い得るように、そうした動向に引き続き注意していくべきものというふうに考えております。

 現時点で、私の方から御答弁は以上です。

斉木委員 公取の側からはいかがでしょうか。

杉本政府特別補佐人 先生のおっしゃるような基本ソフトの関係で申し上げますと、オペレーションソフトと言っていいんでしょうか、かつてはマイクロソフトの独占だったわけでございます。

 ただ、そこがいろいろなまたやはりイノベーション、技術革新がありまして、スマホといいますか、そういうシステムがどんどん普及しまして、逆に今、おっしゃるようにiOSとアンドロイドの寡占状態ということになっているんだと思います。したがいまして、そういう状況に対して更にイノベーションが起こってくる可能性というものをどう考えるかということも念頭に入れなきゃいけないんだと思っております。

 したがいまして、そういうこと、また新たなイノベーションが起こってくることを阻害することがないように考えなければなりませんし、同時に、ある意味では、逆に寡占状態が定着しちゃって動かしようのないものになっているのかどうかというような観点というのも必要なんじゃないかと思っております。

 それをどういうふうに認識した上でどういうふうに対応していくかということは考えていく必要があると思いますけれども、今申し上げましたように、私どもの執行当局の観点からいたしましては、既存の制度のもとで反競争的行為、すなわち、巨大化したプラットフォーム事業が優越的地位の濫用というものを行っていないかどうかとか、それから、情報を不当に囲い込んでいるのじゃないかとか情報を不当に収集しているんじゃないかとか、そういうところが執行当局の既存のとり口になると思いますけれども、それを上回って、じゃ、どういうふうに制度的に考えていくのかというところは、今申し上げましたように、私どもだけで対応できる話じゃございませんでして、政府全体で各省庁横断的に検討しなければ、考えていく必要があることなんじゃないかと思っているところでございます。

斉木委員 ありがとうございます。

 これは非常に今日的かつ地球的な課題でございますので、ぜひ活発な議論、これから必要だなというふうに思っております。

 もう一点、トランプ大統領が来日を間もなくされますので、ちょっと米中間に関しても、今、ファーウェイのスマホが日本でも取扱いをキャリア側がやめるという発表をするなど、影響が広がってきております。

 これに対してお聞きしたいんですが、グーグル社は中国のファーウェイ社に対して、今後、OSの更新であるとかグーグルプレーなどアプリストアの利用ができなくなる可能性というのを示唆しております。これは、プラットフォーマーのサービス提供制限というものがいかにスマートフォンのメーカーにとって影響が大きいかを示唆する事例なんですけれども。

 これは国際間交渉でございますが、今回のグーグル社のOS更新、サービス提供ができなくなるというような措置というのは、事実上、地球上で今iOSとアンドロイドの寡占状態ですので、ファーウェイ社はアンドロイド陣営です、それがOSの更新ができないというのは優越的地位の濫用に当たるのかなというふうにも解釈できるんですけれども、国として自国が寡占する産業分野の供給制限、戦略的利用というものをすることを縛るような条例、法規というものは、国際的に地球に存在するんでしょうか。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論として、民間事業者であるプラットフォーマーがサービス提供を停止すること自体を直接的に規律する国際協定があるとは承知しておりません。

 一方、仮に、政府がプラットフォーマーに対して規制を行い、それが貿易関係などに影響を与える場合には、WTO協定などとの関係が論点になる可能性もございますが、第三国間の個別具体的な事案についてのお答えは差し控えたいと考えておるところでございます。

斉木委員 事前の、きのうレクもお願いしたんですけれども、経産省さんの御見解としては、今回は、エンティティーノートですね、アメリカが示しておるものは、安全保障上ファーウェイは懸念があるんだ、だから供給しないんだ、したら罰則を科すぞ、当局に許可をとれということだと思います。

 ですので、安全保障に関するものはWTOの適用除外だったと私は記憶しておるんですが、というような理屈ということでしょうか。

柴田政府参考人 個別具体的なこの事案については、どのような法的な整理をしているかということは我が国としては承知しておりませんが、一般的に申し上げますと、まさに委員御指摘のとおり、WTO上の安全保障に関する事柄についての例外規定はございますので、一般的に申し上げますと、そのような規定は適用し得る可能性はございます。

斉木委員 もう時間が参りましたのできょうはこのぐらいにしたいと思っておりますが、財務省さん、済みません、今回も時間がなくなってしまいました。

 課税をどうするのかを含めて、この海外プラットフォーマーを、どういうふうにイノベーションをもう一度起こる状態にさせ、国民に利益を還元し、手数料を引き下げるかというのは、非常にこれは大きな課題ですので、また折に触れてトピック等を議論をさせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

赤羽委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 本日は、課徴金減免制度、リーニエンシーについて質問いたします。

 この制度は、カルテルや談合を行っていた事業者が違反行為を自主的に公取委に報告してきた場合に、その時期や順序に応じて、本来課せられる課徴金を減免するものであります。

 そこで、まず宮腰大臣に伺いますが、二〇〇五年の改正で導入されたこのリーニエンシーの趣旨というのはそもそもどういうことだったか、端的にお答えをお願いします。

宮腰国務大臣 カルテル、入札談合は、発覚しにくく摘発が困難であるという特性があります。このため、平成十七年の独占禁止法の改正により、現行の課徴金減免制度、リーニエンシー制度を導入をいたしました。

 その趣旨は、違反事実をみずから申し出た事業者に対して課徴金を減免することにより、事業者が違反行為から自発的に離脱しようとするインセンティブを付与し、違反行為の発覚、摘発を容易にすることで、事件の真相解明を効率的、効果的に行うというものであります。

笠井委員 重要で、立証に十分ふさわしい情報に対する課徴金の減免、カルテルや談合への牽制力ということであります。

 そこで、杉本公正取引委員長に伺いますが、このリーニエンシーの適用事業者数というのは、二〇〇九年に三社から五社へと拡大をされました。命令ベース、すなわち実際にカルテルや談合に対して法的措置がとられた件数中、どれだけリーニエンシーが適用されているかを確認したいんですけれども、二〇〇六年から二〇一七年まで、この間の法的措置の件数は何件か、うち、リーニエンシーが適用された件数は何件でしょうか。

杉本政府特別補佐人 課徴金減免制度が導入されました平成十八年、実行に移されたときでございますが、いわゆる二〇〇六年から平成二十九年、二〇一七年までにおける公正取引委員会による不当な取引制限に対する法的措置件数は百六十件でございます。

 また、この期間におきまして、課徴金減免制度が適用されることが公表された事件数は百二十九件でございます。

笠井委員 約八割でリーニエンシーが適用されていると。直近三年で見ると、法的措置件数とリーニエンシーの適用件数がほぼ一致しているという状況だと思います。

 宮腰大臣に伺いますが、カルテルや談合に加担しないのが一番でありますけれども、社内で不正が明らかになった場合、リーニエンシー制度の活用というのは、解明につながる、あるいはつなげるインセンティブになっているようでありますけれども、大臣の所見はいかがでしょうか。

宮腰国務大臣 今ほど公取委員長、公取から答弁があったとおり、課徴金減免制度が導入されて以来、この制度の適用対象となり得る法的措置のうち、約八割において同制度が利用されているということであります。

 このように、現行の課徴金減免制度は、事業者が自主的にみずからの違反行為を申し出る機会として機能しておりまして、違反行為の排除に貢献しているものというふうに考えております。

笠井委員 杉本委員長に伺いますが、二〇〇六年の一月の施行以降、リーニエンシー適用事業者の数というのは延べ何者になるでしょうか。

杉本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 このリーニエンシー制度、課徴金減免制度、現在は適用を受けた事業者の名称等を一律に公表する運用を行っておりますが、平成二十八年五月三十一日までの申請者については、公表を希望する者についてのみ公表を行っていたところでございます。

 そういうことを前提に件数を申し上げますと、平成十八年、二〇〇六年一月以降、平成二十九年、二〇一七年度末までにおける課徴金減免制度の適用が公表された事業者数は三百二十七名でございます。

笠井委員 今お話ありましたけれども、制度スタート当初というのは、政策判断として、申請者が公表してくれと言ったときのみ名前を公表していた。制度発足から十年たって、検討した結果、法運用の透明性の確保の観点から、免除事実と減額率等を一律に公表するとしたということでありますが、EU等では、事件を発表するとき、本人同意の有無にかかわらず、事業者の名前を公表しております。談合事件では、リーニエンシーを使うことで、指名停止の期間が短くなるものもある。何より、運用の中身について国民に説明責任を果たすことが重要だと考えております。

 そこで、次に杉本委員長に伺いますが、では、今回の改正案ではどうかということなんですけれども、現行のリーニエンシーは、一着だと課徴金が一〇〇%免除、二着は五〇%で、三から五着は三〇%減額というように、申告の順番に応じた一律の減免率となっております。それに対して、改正案の方は、これに加えて、事業者の実態解明への協力度合いに応じた減算率を付加するということで、協力減算制度を導入しようとするものであります。

 研究会の報告書によりますと、減免申請者の中には非協力的な対応をとる者も少なからず存在している、こう指摘をして、公取調査に協力すればいわば得になり、そして、調査を妨害したら逆に損をする、双方から見て効果が高い制度にすべきだというふうに報告書は述べております。

 そこで伺いますけれども、減免申請を行っているにもかかわらず非協力的な行為をとる事例としてはどういうものがあったのか、紹介いただけるでしょうか。

杉本政府特別補佐人 リーニエンシー申請者が公正取引委員会の調査に非協力な態度をとった例についての御質問でございますが、例えばでございます、事業者として課徴金減免申請を行っているにもかかわらず、担当者の供述聴取において担当者が黙秘をする、あるいは、課徴金減免申請の際に報告があった事実について記憶がないと主張しまして、ほぼ否認に終始するといった例や、ほかの証拠等から複数の物件に関与していたことが明らかであるにもかかわらず、自社が受注していた一物件以外への関与を否認するなどの非協力的な行為が行われた例がございます。

笠井委員 この新たな協力減算制度を導入するに当たって、減免申請者の継続協力義務と、それから、義務違反者への減免失格というのは盛り込んだんでしょうか。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 調査協力減算制度、今回新しく導入しようとするものでございますが、これにおきましては、公正取引委員会と事業者の合意で定める調査協力行為の一つとして、公正取引委員会の求めに応じ、調査により判明した事実に関し、資料の提出等を行うことが含まれております。

 仮に事業者が公正取引委員会のこのような求めに応じない場合には、合意内容に反するものとして減免失格になり得るものでございます。

 したがいまして、事業者には公正取引委員会の調査に対して実質的に継続的な協力をしていただけると考えておりまして、そういう意味で、協力義務というものが内包されているものと考えております。

 それから、減免失格の関係でございますが、減免申請者が合意に反して合意で定めた調査協力行為を行わなかった場合には、協議において事業者が提出する旨申出を行った資料等の提出がなされないだけでなく、協議の時間も浪費される。その結果、早期に事件の解明を行うことが困難になるため、減免失格制度というものを導入することにしております。

 したがいまして、合意内容に反して合意で定めた調査協力を行わなかった場合を、新たに減免失格事由として追加しているものでございます。

笠井委員 諸外国では、事業者に対して誠実に、全面的に、継続的かつ迅速に協力する義務を課しているわけで、事業者の協力が不十分な場合には法律でしっかり義務づけることも含めて、制度の運用実態を見ながら、引き続き検討していただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 そこで、この協力減算制度ですが、公取委の調査への協力度合いによって減算率を付加するものでありますけれども、どういった協力でどれだけ減算されるのか、価値ある証拠とはどういうものか、評価のための判断基準が必要となってくると思うんです。

 そこで、杉本委員長に伺いますが、この判断基準となるガイドラインを整備すると伺っておりますけれども、その中にはどんな内容が盛り込まれるということになるんでしょうか。

杉本政府特別補佐人 調査の度合いにより減算率を追加する制度とすることによりまして、公正取引委員会の調査に協力するインセンティブを高める減免申請制度の改正の目的に照らして、また、運用の透明性及び事業者の予見性を高めるという観点から、御指摘のガイドラインにおきましては、事業者が提出する資料の内容等により事件の真相解明に資する程度を評価すること、その評価方法等についてわかりやすくすることを明らかにするということを考えております。

 より具体的に申し上げますと、違反行為の対象に関するもの、違反行為の態様、内容に関するもの等の評価対象となる事項について、事件の真相解明に資するかどうかという観点から、それらの全てについて情報が具体的かつ詳細に含まれている事実や、資料を提出する場合には、調査開始日前の減免申請者であれば四〇%、調査開始日以降の減免申請者であれば二〇%という法定された最大の減算率となること、他方、一部の事項に関して資料の提出がなかった場合や事実の報告が不明確であった場合には、その内容に応じて減算率は最大よりも低くなるとともに、それらの具体例を示すことにより、できるだけわかりやすく明らかにしてまいりたいと考えております。

 ガイドラインの具体的内容につきましては、今後、関係者の意見も聞きながら更に検討を進めまして、パブリックコメントを実施して広く意見を求めた上で制定したいと考えているところでございます。

笠井委員 恣意的な運用を排除するとともに、透明性、予見性のある制度とするためには、証拠の価値の評価基準とか、あるいは減算率の決定方法というのはできるだけ明確にされるべきだと思うんですけれども、その点はそういうことでよろしいですね。

杉本政府特別補佐人 そういうふうに努力していきたいと考えております。

笠井委員 判断基準の策定に当たっては、おっしゃったように、パブリックコメントなどを通じて広く国民の意見を聞くことを求めておきたいと思います。

 この協力減算制度の運用実績もきちんと公開をして、透明性を持った制度にする必要があると思うんです。

 リーニエンシーの適用事業者名を全て公表することにしたということと同様に、協力減算制度についても、事業者の同意の有無にかかわらず実績を評価して検証に生かす、こういう立場で臨む必要があると思うんですけれども、その点はどうお考えでしょうか。

杉本政府特別補佐人 法運用の透明性確保等の観点から、現在の課徴金減免制度の適用を受けた事業者につきましては、各事件の報道発表等において免除の事実又は減額の率を一律に公表しているところでございます。

 今般の改正案におきましては、公正取引委員会の調査に協力するインセンティブを高めるという観点から、減免申請者の調査協力の度合いに応じて減算率を算定する仕組みを導入することとされております。

 改正法施行後に、調査協力減算制度を活用した事業者名等の公表のあり方については、このような調査協力インセンティブの確保のほか、法運用の透明性確保等の観点も勘案して、先生の御指摘を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。

笠井委員 本改正の施行とあわせて運用で措置するとしているのが、いわゆる弁護士・依頼者間の秘匿特権でありますが、これは、新たなリーニエンシー、協力の度合いに応じた減算率を付加したものを効果的に機能させるために認めるものということであります。

 秘匿特権の具体的な手続は独禁法の七十六条に基づいて規則や指針等で定めると、この間の委員会でも杉本委員長が御答弁されているわけでありまして、あくまで、審査手続の一環なんですから、公正取引委員会の実態解明機能を阻害しない、これが大前提だと思います。

 そこで伺いますけれども、新たなリーニエンシーの対象というのはカルテル、談合ということでありますから、秘匿特権についても対象はカルテル、談合であって、優越的地位の濫用のような単独の独禁法違反行為は対象外ということになるわけですね。

杉本政府特別補佐人 先生御指摘のように、今般の独占禁止法改正により導入することとしている新たな課徴金減免制度は、事業者の調査協力の度合いに応じて課徴金の減算率が算定されるものでございます。この改正案によりまして、調査協力を行うか判断するために、また、調査協力を効果的に行うために外部の弁護士に相談するニーズは高まると考えられます。

 したがいまして、こうしたニーズに対応するものとして、新たな課徴金減免制度をより機能させる観点とともに、外部の弁護士の相談に係る法的意見等について、秘密を実質的に保護し、独占禁止法七十六条二項に基づいて適正手続を確保する観点から、審査手続の一環としてお尋ねの制度は整備するものでございますので、今回の制度においては、課徴金減免制度の対象になります不当な取引制限というものが対象になると考えております。

笠井委員 不当な取引制限ということですが、その対象というのはカルテル、談合であるということでよろしいわけですね。

杉本政府特別補佐人 おっしゃるとおりでございまして、基本的にはカルテル、談合でございまして、不公正な取引方法等には適用することは考えておりません。

笠井委員 中小企業団体からは、秘匿特権の拡大に慎重な検討を求める声が出ております。複数の事業者が行うカルテルや談合とは異なって、事業者が単独で一方的に行うものにまで認めたら、違反事実が全く明らかにならない、下請など弱い立場の中小企業に泣き寝入りを強いることになる。対象はカルテル、談合に限定すべきだというふうに思います。

 中小企業団体だけではありません。消費者団体からも強い懸念が寄せられております。

 そこで、杉本委員長に伺いますが、全国消費者団体連絡会、消団連が、去る三月十二日、公正取引委員会と経済産業省に提出した意見書の中で、秘匿特権的な制度の導入には慎重であるべきというふうに述べて、仮に導入されるとしても、その範囲がカルテル、談合以外に拡大することについて懸念があると述べているわけですけれども、この懸念についてはどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

杉本政府特別補佐人 仮に、カルテル等の不当な取引制限が新たな課徴金減免制度の対象となるといった独禁法固有の事情を離れまして、お尋ねの制度の対象範囲を独占禁止法の他の違反行為類型、不公正な取引方法等でございますが、これに拡大した場合、本制度は、一般的、普遍的なものとして位置づけるものとなります。

 しかし、その場合には、全国消費者団体連絡会の御意見のとおり、例えば、他の行政調査手続において、調査の相手方が本制度を理由に資料の提出を拒むなど、調査実務に影響が生じ、消費者の利益が損なわれるおそれがあると考えられるところでございます。

 公正取引委員会は、本制度の対象範囲の拡大について、本制度の運用開始後の状況を踏まえまして、中小企業に不当に不利益を与えることにならないよう、また、他法令への影響を及ぼすことがないよう留意いたしまして、早急に検討していくこととしておりますが、御指摘の意見書の内容も踏まえて検討していくことが必要と考えております。

笠井委員 この消団連は、カルテル、談合以外の拡大には反対と明確に述べております。

 そこで、最後に宮腰大臣に伺いますが、大臣は消費者担当大臣でもあられるわけですね。秘匿特権が拡大することで、今でも不十分な消費者行政の後退をもたらすことになるのではないかという消費者団体の懸念というのは十分御理解いただけるはずだと思います。

 今後の運用に当たっては、この意見を当然尊重されるということになるんですよね。よろしくお願いします。

宮腰国務大臣 いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権へ対応するための新たな制度を導入することによって、消費者や中小企業に不当に不利益を与えることはあってはならないと考えております。

 公正取引委員会におきましては、本制度の対象範囲の拡大について検討するに当たり、御指摘の意見書も含めた関係者の御意見も踏まえて適切に検討していくものというふうに考えております。

笠井委員 この秘匿特権というのは、リーニエンシーを効果的に機能させるための取決めなんですから、対象はカルテル、談合に限定すべきだ。

 五月二十二日の参考人質疑で、独禁法研究の第一人者である泉水参考人は、秘匿特権は、欧米を中心に判例の蓄積によって各国で形成されたものであり、世界的に統一した制度があるわけではないと指摘をされております。

 独禁法にとどまらず、我が国司法制度全体にもかかわる問題だということでありまして、何よりも、公正取引委員会の実態解明機能を阻害することのないように慎重に対応すべきだということを強く求めまして、質問を終わります。

赤羽委員長 次に、足立康史さん。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 おとついの参考人質疑等に引き続いて独禁法をやりたいと思いますが、その際にも少し、刑事、民事の制度も含めた議論、独禁法にかかわらない、独禁法のちょっと外も含めて議論させていただきました。その延長で、スパイ防止法の話も少しさせていただきました。

 きょうは二十分と限られていますので、まず先に、ちょっと独禁法以外のところを先に終わらせてから独禁法に入りたいと思います。

 再び、森内閣審議官にお越しをいただいています。恐縮です。

 インテリジェンスについて議論しました。インテリジェンス活動をやっているかどうか、日本国家として。ちょっともう一度、御答弁お願いします。

森政府参考人 インテリジェンス活動についてのお尋ねがございました。

 各政府機関におきましては、関連する法令に基づきまして、所要の情報収集、それから分析を行っているところでございます。

 例えば、私どもの内閣情報調査室におきましては、内閣法それから内閣官房組織令に基づきまして、外国に関するものも含めて、内閣の重要政策に関する情報の収集、分析を行っているところでございます。

足立委員 内閣官房は、内調の中にカウンターインテリジェンス・センターという組織を持っていらっしゃって、国民に対しても、カウンターインテリジェンス・センターということを書いて、公表されていますね。

 だから、インテリジェンスという言葉は、これは内閣官房、内調が使っている言葉です。日本が、日本国政府が使っている言葉ですね。その言葉の意味におけるインテリジェンス、カウンターインテリジェンス・センターはあるわけですけれども、インテリジェンスに係る業務はやっているかやっていないか、ちょっと、もう正面から答えてください。

森政府参考人 インテリジェンスを行っているかという御質問がございました。

 委員確かに御指摘のとおり、カウンターインテリジェンス・センターというのは存在しておりますが、いわゆる法令に基づき行っておる活動の中に、法令にインテリジェンスという言葉が、用語がないものでございますから、あえて情報の収集という用語を使わせていただいた次第でございます。

足立委員 いや、だから、もう与党の先生方も御理解いただいていると思うけれども、やはり日本は、何かカウンターインテリジェンスという言葉は使うんだけれども、インテリジェンスという言葉は今、森内閣審議官も使わないわけですね。これ、おかしくないですか。

 やっているのに、それをやっていると言わない。やっているのにやっていると言わないことで何が起きるかというと、民主主義が阻害されるわけですよ。国会が国会の役割を果たせないわけですよ。そうですよね、梶山筆頭。ああ、これ、聞いたらあきませんね。

 いや、こういう討論をやりたいんですよ、こういう討論を。だから、党首討論もいいけれども、この経産委の中で自由討論、それは別に、自民党に対してだけじゃありません、全ての政党の総当たり戦をこの委員間でやりませんか。

 ちょっと委員長、一回検討いただけませんか。

赤羽委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議させていただきます。

足立委員 そうしないと、これは政府に聞いたって答えないです。

 だから、憲法九条を改正しなければいけない理由はこれですよ。憲法九条がうそをついているから、だましだまし、日本は、自民党政権は戦後七十年、自民党ができてから六十数年、そんなことばかりやってきたから、全てあやふやで、インテリジェンスをやっているかどうかも答えられないんです、内閣審議官。ねえ。まあいいや。

 例えば、アメリカにはCIAがあります。CIAだけじゃありません。アメリカには複数の、たくさんの情報機関が、相互監視をし合いながら、情報機関がロシアに寝返らないように、中国に寝返らないように、別の情報機関が情報機関を見張っているわけです。重層的なインテリジェンス構造がアメリカにはでき上がっています。それは、統治の仕組みとしてそういうのをつくってきたんですよ、民主主義のもとで、国会議員が、連邦議員が。イギリスでも、MI6がありますね。いろんなものを公開して、民主的にやっています。もちろん、秘密のことはたくさんありますよ。

 だから、ぜひ経産委で、いや、何でこれを経産委でやるかというと、安全保障も大事なんだけれども、経済戦争をやっているわけですよ、中国と経済戦争。中国と経済戦争をやっているわけですよ。

 だから、不正競争防止法も大事だし、貿易管理も大事だから、私はこの経済産業委員会でやっているし、余りに独禁法が被疑者の権利をないがしろにしているから、その延長線上でこの議論になっているわけですね。

 そこで、きょう、外務省にもお越しを再びいただいています。

 ちょっと時間が先日はなかったので、もう一度、中国で何が起こっているか。

 日本人がスパイ容疑で拘束をされています。ちょっと概要を紹介してください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 一昨日、委員より言及のありました十五年という事例でございますけれども、こちらの方は二〇一七年三月に拘束された五十代邦人男性に対するケースでございまして、二十日、中国海南省第一中級人民法院において、中国の国家秘密を不法に入手、分析し、海外に不法に提供したなどとして、懲役十五年、十万元の個人財産没収等の判決が言い渡されたと承知をしております。

足立委員 日本国としてこれは妥当なことなのか、あるいは外務省としてこれは問題だと中国に抗議をしているのか、どっちですか。

高橋政府参考人 本件に関しましては、現在司法プロセスが中国において進んでおりますので、コメント等は差し控えたいと思いますけれども、一連の事案に関しましては、日中首脳会談、日中外相会談等の機会を通じて対応を求めているというところでございます。

足立委員 とにかく、中国はもともと国家安全法というのがあって、余り僕は詳しくまだ勉強していませんが、それが二〇一四年に反スパイ法ということで発展的に拡充をされているわけです。その法令が、法律が背景となって日本人が取っ捕まっているんですよ。外務省は抗議もしていない。それはなぜかといえば、安全保障上の観点からスパイを取り締まるのは、現代の国家においては当たり前だからですよ。

 だから、私は中国の法令をもう一回分析しますけれども、中国の反スパイ法が問題かどうか、私はまだ確証を持っていませんよ。でも、なぜ、中国が反スパイ法で日本人を拘束し、そして日本はそれをほったらかしにしているんですか。それはいいですよ、慰安婦問題も大事だし、徴用工問題も大事ですよ。大事だけれども、これはスパイですよ、スパイ。

 そこで、再び森内閣審議官、日本に中国の反スパイ法に相当する法律はありますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 中国の反スパイ法に相当する法律がないかという御質問でございますが、お答えとしては、ございません。

足立委員 だから、ちょっと与党の皆さん、しっかりしてください、与党。

 これは、やはり我々は憲法改正が必要であると。我々は、三つの憲法改正事項を国会でこれまでも申し上げてきていますが、憲法九条についても、これは安倍総裁のリーダーシップのもとで、もっともっとちゃんと議論した方がいいと思っているんですよ。ところが、この無責任野党たちが反対するから、議論しないんですよ。議論しないから議論できない。

 でも、本当は立法府で、国会議員が先導する形で、というか国会議員の責任ですよね、これ。憲法九条を議論することだけが目的じゃないんです、僕らがやろうと言っているのは。教育無償化も憲法裁判所も地方分権も、憲法改正自体が目的じゃないんですよ。憲法九条にまつわるさまざまな日本国の課題があるわけです。その一つがスパイですよ。何で日本人が中国の反スパイ法に取っ捕まってぼうっとしているんですか、日本の国会議員は、自民党は。まあ、公明党も与党だけれども。ねえ、委員長。まあいいや。

赤羽委員長 続けてください。

足立委員 だから、私は、これはもうとんでもないことだと思いますよ。中国の反スパイ法が間違っているんだったら猛攻撃しないと、政府を挙げて。正しいんだったら、日本もスパイ防止法をつくらないと。

 そして、インテリジェンスに係る、やっているんだから、それは。インテリジェンス、やっていなかったら問題ですよ。インテリジェンス、やっているんだから、しっかりと民主的統制、国会がそれを管理して監督できるような、特定秘密保護法だって当然必要だけれども、それでは足りないんです。

 スパイ防止法を早急に制定するべく、我々は、憲法九条に絡んで、こうしたことも参院選に向けてしっかりと訴えていきたいと思っています。もちろん、安全保障だけじゃありません、夫婦別姓の問題とか家族の問題も含めて、自民党とは違うビジョンを示していくことをお誓いしておきたいと思います。

 さて、後半は独禁法に戻りたいと思いますが、大変有意義な参考人質疑をおとついさせていただきました。

 私が中心になって御質問した山本晋平弁護士、彼は、参考人は、秘匿特権について、法務省に配慮するのはちょっとおかしい、こう言っています。法務省との、法務省の法体系との均衡というか、バランスというか、整理を気にし過ぎているんだ、それは必要ない、独禁法には独禁法独自のロジックがあるんだから、ちゃんと被疑者の権利を守るべきだということを声高に、声高にというか、説得力のある形でおっしゃっていただきました。それを法務省に、何でそれをやらないんだと言ったら、いやいや、バランスですって言うんです。

 宮腰大臣、宮腰大臣にお聞きします。

 公取委は法務省としっかり調整したんですか。御答弁お願いします。

杉本政府特別補佐人 本改正法案の検討におきまして、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権をめぐってさまざまな御議論がありまして、意見もあります。

 平成三十年一月から与党内で議論が行われましたし、この過程では、法務省等の関係省庁や経団連等の関係団体等からのヒアリングも実施されまして、公正取引委員会もこれらの関係者との協議は進めてきたところでございます。

足立委員 いやいや、だから、何もやっていないんですよ。何もやっていない。あうんで、ちゃんと、だって、日弁連だけじゃない、山本晋平弁護士だけじゃない、さまざまな方が、あるいは日本企業もそうですよ、秘匿特権については法定するのが一番いいに決まっているんですよ。だって、ヨーロッパやアメリカの競争当局が、日本にも秘匿特権の制度ができたんだ、あるんだということを知る一番の方法は、それは何か、おとついは、広報するんだとか、広報するとかそういうお子ちゃまみたいなことを言っているんじゃなくて、法律に書くのが一番いいんですよ。ところが、公取委に何で法律に書かないんだと言ったら、いや、刑法だ、民法だ、法務省だと言っているわけです。

 ところが、例えば、私が質問した山本弁護士は、そんなものは独禁法のロジックをつくればできると言ってくれているわけですよ。だから、独禁法独自のロジックを組み立てて、内閣法制局や法務省と折衝したんですかと言っているんです。これは公務員の仕事じゃありません、政治家の仕事です。だから大臣に聞いているんです。

 大臣、そういうリーダーシップをとっていないんですか、今回。

宮腰国務大臣 本改正法案の検討におきまして、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権をめぐってさまざまな意見があり、平成三十年一月から与党内で議論が行われました。この過程では、法務省等の関係省庁や経団連等の関係団体からのヒアリングが実施されました。公正取引委員会もこれらの関係者と協議を進めてまいりました。

 その結果、本法案により導入される新たな課徴金減免制度をより機能させる等の観点から、事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の取扱いについて、独占禁止法七十六条に基づく規則、指針等により整備することとしたものであります。

足立委員 僕は、この独禁法の一連の審査で宮腰大臣に初めて質問しました。なぜ初めて質問したか。質問しても仕方ないからですよ。読むだけ。自民党の大臣の半分はこんな大臣ですよ、読むだけ。大臣、要らないじゃないですか、そんなだったら。大臣というのは何のために要るかといったら、政治のリーダーシップですよ。

 今、この競争政策は、まさに世界の中で日本企業が欧米の企業と戦争している中で、日本が繁栄を続けるために、当然、世界の中で遜色のない制度をつくらなあかんということでやっているんですよ。

 公務員は、官僚は、それは無理ですよ、バランスとらないと。でも、それを政治のリーダーシップでしっかりと引っ張るのが大臣の役割でしょう。宮腰大臣は独禁法について何もやってないんですよ。やってないから、読むしかできない。大体、自民党の閣僚の半分はそんな閣僚ですよ。三分の二かもしれない。

 私も、安倍政権は悪夢の民主党政権の百倍いい政権だと思っているから、思っているから余り悪く言うつもりはないが、しかし、この国は、憲法九条の問題であれ、スパイの問題であれ、安全保障だけではありません、きょう、こうやって経済産業委員会で議論している経済競争。だって、なぜ今、中国が力を増しているか。何でですか。中国がなぜ今、力を増しているんですか。これは経済力ですよ。軍事力で走ってきているんじゃないんです。中国がなぜ国力を増してきているかといえば、経済力なんですから。だから、経済力がベースにあって国力というのが膨らんで、そして軍備が増強され、南シナ海で、米中でやっているわけでしょう。日本の国会議員、何遊んでいるんですか。

 自民党の国会議員もいいかげん国会の中で、いや、それは野党の質問もつまらないから眠たいのもわかるけれども、しかし、今、日本が直面しているこの二〇一九年というのは、令和のこの新しい時代というのはそういう時代です。アメリカがファーウェイのことも含めて大変な経済戦争を中国としかけているときに、日本だけがぼうっと遊んでいる場合じゃないんです。

 北朝鮮の問題、ロシア、中国、まあ、ロシアは、うちもいろいろ不祥事があって謝らなあかんことも多いんですが、しかし、ロシアだってひどいことをやっているわけですから、そうしたことについてもしっかりと日本維新の会として発言をし、そして、繁栄を続けていくにふさわしい経済政策、社会政策、そして、安全保障に係る、憲法に係るビジョンを僕らもしっかり言っていきますから。

 だから、ぜひ憲法審査会の場で、あるいは経済産業委員会の場で、安全保障委員会の場でそういう論戦を、だから、与党の皆さん、梶山筆頭、委員長にはきょう申し上げました、自由討論をやろう、総当たり戦でやりましょうよ。すぐ党首討論を総当たり戦でやろうと僕は言っているんですよ。でも、党首討論を総当たり戦でやろうと言ったってできないでしょう、すぐに。辻元清美さんが邪魔してくるから。

 だから、僕は、まず経済産業委員会で、経済戦争の最前線で議論しているこの経済産業委員会で全政党総当たり戦の自由討論を提案をし、梶山筆頭にもぜひ前向きな御検討をいただくようお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 次に、笠浩史さん。

笠委員 どうもお疲れさまです。未来日本の笠でございます。

 最後の質問となりますので、幾つか総括的にお伺いをしたいと思います。

 先般の参考人質疑も含めて、確かに、今回のこの法改正については、一定の前進、あるいは評価できる点もあろうかと思います。ただ、この法改正で消費者の利益を、きちんと増進に資することが期待されているわけだけれども、そのような成果が本当に上がっていくのかどうか。そういった点で、参考人の方々も、反対をされる方はいないけれども、やはり今後の検討課題というものをそれぞれに指摘をされているところでございました。

 それで、冒頭、大臣の方に、これまでの議論、あるいは、恐らく参考人の方の議事録等々もお読みになっているかとも思いますけれども、今後、検討課題として早急に取り組んでいかなければならないということで認識をしていることがございましたら、具体的にその問題意識、伺っておきたいと思います。

宮腰国務大臣 これまでの委員会の御議論の中で、例えば秘匿特権の問題、それから対象範囲の問題等々については、この法律の施行後、いろいろな課題について検討するということになっておりますが、今回、今委員から御質問いただいた中で、特に本改正によりまして新たに導入する調査協力減算制度の運用面について今後十分な検討を行うべきである、施行に向けて十分な検討を行うべきであるというふうに考えております。

 調査協力減算制度につきましては、公正取引委員会が、本法案の施行までに、事業者の協力内容の具体例や減算率の評価方法に関するガイドラインを整備するとしております。その際、運用の透明性、事業者の予見可能性の確保という観点は大変重要であると考えております。

 公正取引委員会は、今後、関係者の意見も聞きながら、パブリックコメントを実施して広く意見等を求めた上で検討を進めていくとしておりますので、わかりやすいガイドラインの公表に向けた作業を進めることが重要ではないかというふうに考えております。

笠委員 今大臣おっしゃったようなことを、わかりやすく、しっかりと、しかし、やはりある程度の期間を、スピード感も持ってやっていただかなければならないと思います。

 先ほどもあったように、その中でも、秘匿特権を本来法律で規定をするべきではないかと私自身はやはり考えております。先ほど足立委員も言っていたように、参考人の方からも、いろいろとるるこれまでも委員会では公正取引委員会の方の主張というか見解は伺っておりますので、そのことはもう改めていいですけれども、やはり、海外で独禁法だけで導入をされているという例もある、可能ではないかというような御指摘もございました。

 特に、この点について、今後法律で規定するということについても検討はしていく考えはあるのかどうかということを、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

杉本政府特別補佐人 委員御指摘のように、秘匿特権は公正取引委員会の規則で対応したいと考えているところでございます。

 仮に秘匿特権そのものを独禁法に規定した場合は、繰り返し申し上げましたように、その権利が一般的なものとして位置づけられることになり得るため、その場合では、我が国では秘匿特権について認める明文上の規定がない、法体系上の話でございますが、ことで、法体系上の整合性がとれない。私ども、独占禁止法も全体としての法体系の中で位置づけられている法律でございますので、そこの整合性がとれないという問題がございますし、他の行政手続や司法手続に及ぼす影響についても懸念されるというところでございます。

 すなわち、他の行政手続、司法手続におきましても、やはり、真相究明のためのミッションというものと、それからそういうものとのバランスを考えていかなければなりませんので、そういう観点から、私ども自身もそういう真相究明とのバランスを考えて今回こういう規則で定めるという制度を考えたところでございますので、その関係で今後とも対応したいと思っております。

笠委員 ちょっと、端的に確認をしたいんですけれども、今回はわかっているんです。では、もう今後、法的に、法律で規定するということはあり得ないということか、しかし、いろいろな形で、この運用等々見ながら、今後の状況次第では法律に定めていくことも検討する可能性はきちっと残しておくということなんですか。

杉本政府特別補佐人 今申し上げましたように、私どもはこの問題は法体系上の問題だと思っておりますので、独占禁止法だけで対応できる、法律上、法文上対応できる話ではないと考えております。

 したがいまして、独占禁止法のみならず、全体を含めて、全体的にどういう秘匿特権のあり方ということが検討されることになるのかどうか、私どもはその辺については存じませんし、そういう検討の中で対応されるということはあるかもしれませんけれども、それを、私どもの立場からして、法文上に規定するということは考えてはおらないところでございます。

笠委員 大臣、今のに関連して、ちょっと一点。

 これは確かに、今、公取の方に聞けばそういう答えしかないわけで、大臣、これは法務省も含めて関係省庁と、やはりもう一度政府一体となって、しっかりと法的に、総合的に検討していく、そういうようなお考えがあるのかどうか。あるいは、大臣の方からそういう問題意識を持ってリーダーシップを発揮していきたいというようなおつもりなのかどうかをお答えをいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 今ほども申し上げましたけれども、この法定に関しましては、関係者においてさまざまな意見があるということであります。一方、我が国におきまして、いわゆる弁護士・依頼者間秘匿特権を認める明文上の規定はありません。

 このような状況において、お尋ねの制度、現時点において、今の改正案の制度は適切な内容として取りまとめられたものと考えております。

 対象を拡大すべきではないかという御議論もありました。対象範囲の拡大について、本制度の運用開始後の状況を踏まえ、中小企業に不当に不利益を与えることとならないよう、また、他法令への影響を及ぼすことのないように留意し、早急に検討されるものと承知しております。

 本委員会の御審議において指摘されたさまざまな論点も含めて、今後、公正取引委員会において検討が行われるものというふうに考えてはおります。

笠委員 もう一点、今度、参考人の方の私の質疑の中で、独占禁止法研究会報告書で取り上げられていたものの幾つか採用されなかった点については今後も前向きに検討してほしい、検討すべきではないかという意見がございましたけれども、その中でも、国際市場分割カルテルについて、これは、日本に売上額がない外国事業者について売上額を推計して課徴金を課す提案がされたけれども、今回見送った。さらに、第二に、この国際カルテルにおいて、同じ売上額について外国の競争当局と公正取引委員会との両方が課徴金か制裁金をあわせて課そうとする場合に、課徴金を減額するなどして調整する制度も提案されたけれども、これも見送られた。

 そういう意味においては、やはり我が国の独占禁止法を外国企業に適用する上で重要な制度であり、また、日本に売上額がない外国事業者について売上額を推定して課徴金を課すことはEUでは行われていて、これまでにも、実際、複数、日本企業が高額な制裁金を支払っているという現状があるわけで、ここについては今後どのように検討していくのか、今後改正する方向で臨まれるのかをお答えをいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、報告書には記載され、公正取引委員会としても今回の改正の中で検討したわけでございますが、例えば国際市場分割カルテルにつきましては、現行の課徴金制度が、実際に得た不当利得というのをベースにその課徴金の率を決めていく、そういった考え方が基礎になっているものですから、そことの関係でなかなか法制上難しい点があったということでございます。

 ただ、問題は意識しておりますので、公正取引委員会としては、引き続き、何らかの方策がないか考え続けていきたいというふうに考えております。

笠委員 もう一点、今回のこの法改正の議論を受けて、先ほど来、中小企業に不当に不利益が及ぶことのないようにというような議論も随分行われたわけですけれども、更にもう一点。

 やはり、中小企業の皆さんというのが、独禁法そのものをしっかりと法的な課題として認識をしておられる方がいる一方で、かなりの方がなかなかよくその辺がわからない。あるいは、どうしても中小企業は法務部隊が弱い側面がございますし、外部の弁護士に相談せざるを得ないようなところが多いかと思うんです。

 そういった中で、独禁法への対処に弁護士を活用していくための中小企業に対する支援というものをどのように行っていくのかということをお聞かせいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに導入された課徴金制度につきましても、中小企業の方々にもぜひ活用していただきたいと考えております。まずは、今後作成するガイドライン、これを具体例も示しつつわかりやすく作成することによって、中小企業の方々にも使いやすいものにしていきたいと考えております。

 加えまして、法が仮に成立した場合には、その後一年六月を超えない範囲内で施行されるということになっております。この間に、中小企業向けの説明会なども開催いたしまして、このガイドラインの内容、また独占禁止法の内容等も含め、しっかりと周知をし、理解を深めていただくように努めていきたいと考えております。

笠委員 やはりこうした制度、大企業は本当に、ある意味ではさまざま会社の中の体制もいろいろな形で備えておられる、そういった取組が進められているわけですけれども、やはり、どうしても中小企業というのは、弁護士が常に接することができ、またアドバイスを受けることもできる、あるいは自分たちが知らないうちにいろいろと当事者になってしまうこともあるわけで、そういったことについて、今回の全体の法改正に向けた議論の中で、中小企業の方々がどういった懸念を持ち、また、それに対してどういうような形で取り組んでいこうとされているのかということを、最後に大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。

宮腰国務大臣 中小企業、小規模事業者は、地域の雇用や経済を支える重要な経済主体であると認識しております。

 議員御指摘のとおり、独占禁止法は、優越的地位の濫用等の、中小企業に不当に不利益を与える行為を禁止しておりまして、公正取引委員会は、そのような行為に対して厳正に対応し、公正な取引慣行を確保しております。

 先ほども御答弁で申し上げましたけれども、今般の法改正による中小企業へのメリットとしては、例えば、優越的地位の濫用に対する課徴金算定期間の延長により違反行為に対する抑止力が向上することや、課徴金減免制度の申請者数の上限が撤廃されることによりまして当該制度を中小企業も活用しやすくなるということが想定をされております。

 今回の法改正によりまして優越的地位の濫用等に対する抑止力が高まることによって、中小企業を取り巻く取引慣行がより適正なものになるものというふうに考えております。

笠委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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