衆議院

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第3号 令和元年11月6日(水曜日)

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令和元年十一月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 大岡 敏孝君 理事 神山 佐市君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 淳司君

   理事 武藤 容治君 理事 田嶋  要君

   理事 山岡 達丸君 理事 鰐淵 洋子君

      あきもと司君    畦元 将吾君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      石崎  徹君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    神田  裕君

      高村 正大君    辻  清人君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      百武 公親君    福田 達夫君

      穂坂  泰君    星野 剛士君

      細田 健一君    三原 朝彦君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      吉川  赳君    和田 義明君

      浅野  哲君    落合 貴之君

      柿沢 未途君    斉木 武志君

      宮川  伸君    山崎  誠君

      中野 洋昌君    笠井  亮君

      足立 康史君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    坂田  進君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    小澤 典明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河本 健一君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      山形 浩史君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     百武 公親君

  國場幸之助君     鬼木  誠君

  山際大志郎君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     國場幸之助君

  百武 公親君     神田  裕君

  務台 俊介君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。

 外務委員会において審査中の日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件について、外務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、外務委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官坂田進君、国税庁課税部長重藤哲郎君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官小澤典明君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦君、経済産業省大臣官房審議官野原諭君、経済産業省大臣官房審議官河本健一君、経済産業省産業技術環境局長飯田祐二君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君、環境省大臣官房審議官上田康治君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監山形浩史君及び原子力規制庁長官官房審議官金子修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。あきもと司君。

あきもと委員 おはようございます。自由民主党のあきもと司でございます。

 きょうは、六年ぶりの経済産業委員会の質問に立たせていただきます。本当に、この機会をいただきました同僚の皆様に大変感謝を申し上げたいと思います。

 また、梶山大臣におかれましては、引き続き、この経済産業行政をとめることなく、また安定した環境の中で頑張っていただきたい、そんな思いでエールを送らせていただきたいと思います。

 また、大分、経済産業省、きのうから明るい話題のようでございまして、ある意味、おめでとうございます。役所の役人としての仕事を全うするといい出会いもあるんだなということを皆さんお感じになったんじゃないかと思いますので、これはこれとして一つの励みとしてもまた頑張っていただきたいな、そんな思いでございます。

 さて、本題に移らせていただきたいと思います。

 きょうは二つです。まず一つはAIの分野、もう一つは環境問題について触れさせていただきたいと思います。

 現在、デジタル社会への対応ということが急務でありまして、今国会も情促法の改正が予定されております。

 御案内のとおり、AI、これは大体二〇一二年以降ですかね、チェスとか将棋、こういったアルファゼロのこれがどっと大きく発展をして、非常にAIへの期待が高まり、この技術が、言ってみれば、人手不足の解消とか、そしてまた生産性の向上等につながればということが期待されておりまして、いわゆるソサエティー五・〇の切り札になればという思いで、それぞれが今追っかけているんだと思います。そして、あわせて、情報産業としても、我が国がある意味グローバルで勝負ができる分野だと私は思っております。

 しかし、一方で、国がその応援体制がしっかり整っているのかというと、まだまだ弱いという声があるのも事実でございます。

 AIというのはなかなか定義が難しいのでありますけれども、日本で一般的にAIといいますと、いわゆるRPA等のIT系とか、そしてまた従来型の機械学習なんかのビッグデータ系、そしてまた最近非常に伸びてきたアルファ碁のようなディープラーニングがあるというふうに言われております。IT系だとか、そしてまたビッグデータ系、これは大変重要な分野であることは間違いないのでありますけれども、実はこの分野、日本が大分IT化がどっちかというとおくれたということが主であって、世界はどんどんどんどん進んでおり、特にアメリカとか中国なんかはもうはるか日本の先に走ってしまったということであります。

 また、一方、IT化がどんどんと日本で進めば進むほど、残念ながら、日本の多くの企業はアメリカの企業にいわゆるロイヤリティー的なものを払っていかなくちゃいけないという現状もあって、非常に日本が出おくれてしまった分野というのは否めない点であろうかと思います。

 よって、やはり日本はもっともっと勝てる分野というものをつくっていく、そしてその支援体制というのをつくっていかなくちゃいけない、その思いでございまして、そのためにはやはり人材育成というのはもう必要不可欠で、これは欠かせないんです。しかし、ちょっと人材育成が日本じゃまだ支援体制が弱いんじゃないかなという声があるのもまた事実でございまして。

 ここでお伺いしたいんですけれども、きょうは文科省にもお越しいただいておりますが、このAI分野、大学での人材育成について、今の体制、どのようになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 本年六月に策定されました政府のAI戦略二〇一九では、二〇二五年度までに、文理を問わず、全ての大学、高専生が初級レベルの数理、データサイエンス、AIを習得することが目標として掲げられております。

 文部科学省では、平成二十九年度より六つの大学を拠点校として整備し、モデルカリキュラムや教材の開発、従来の文系、理系の枠を超えた全学的な数理及びデータサイエンス教育を実施するとともに、本年度からは二十大学を協力校として整備し、全国の大学等への数理、データサイエンス教育の普及、展開を進めているところでございます。

 さらに、来年度の概算要求におきましては、数理、データサイエンス、AI教育の全国展開をより一層加速するため、対象大学が多い地域等について協力校を重点配置するとともに、二十五万人の学生が応用基礎レベルの教育を受けられる環境を整備するため、専用分野別の観点を踏まえた応用基礎レベルのモデルカリキュラムを策定し、その教育を全国展開することとして、必要な経費を要求しているところでございます。

 これらの取組を通じまして、社会に求められるさまざまなレベルに対応した数理、データサイエンス教育を受けることができる環境を構築し、AI時代に必要となる人材育成にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

あきもと委員 恐らく、今の御答弁を概略すると、AI人材、IT人材を幅広く、裾野を広く支援して、それぞれの各専門分野にかかわらず全範囲でこういったデータサイエンスが身につくようなスキルをつけよう、そういった取組であるということが多分今の答弁だと思うんです。

 まあ、それはそれで決して私は否定はしないんですけれども、ただ、過去の情報系の、特に教育関係、特に高等教育をひもといていきますと、東大であっても、この情報関係の研究科ができたというのは二〇〇〇年代に入ってからなんですね。ちなみに、スタンフォードでは、一九六五年からもう情報系の研究科ができていた事実。そして、同じくスタンフォードでは、もう二〇〇〇年に入ってからは検索エンジンのつくり方とか、そしてスマホのアプリのつくり方、こういったことをどんどんと講義で教えてきたという歴史があって、やはり日本はここはもう本当に立ちおくれてしまったという事実は否めないなと思います。

 そんな中で、これからAIの分野で、特にディープラーニングのようなこういった新しい分野というのは、どちらかというと、これは年齢で差別するわけじゃないんですけれども、やはり五十代以下ぐらいの若い人の方が教えがいがあって、そして彼らの柔軟な頭の方がどんどんと研究範囲が広がっていくというふうなことを言う方もいらっしゃって、今現在、日本の大学を見ますと、どうしても三十九歳以下の教授陣といいますか、教える人の数が余りにも比率が低いということが言われております。

 そして、私自身も、実は高校時代は情報科学科の卒業なんですね。私は一九八〇年代後半でありましたけれども、当時私がやってきたのは、やはりアセンブラー言語だとか、私、こう見えても物理系だったものでFORTRANを、笑いが起こっていますけれども、実は物理系なんです、FORTRANとかをやってきまして、高校時代、情報処理二種の資格を取ろうと必死にやってきた思いなんですけれども。

 今現在も、やはり大学の講義を見ますと、昔ながらのコンパイラをつくる授業が大変多いということも聞きますし、あわせて、昔の古い講義の、まあ、言ってみれば看板の書きかえ的なことで進んでしまっている大学も多いやに聞きます。

 私は、もっともっと若い人が教育現場で、特にこういった分野を教える環境というものをもっともっとつくっていき、そして間口を広げていくべきだということを強く思う次第でございますので、ぜひ、文科省としても、積極的にこういった分野に取り組んでいただきたいと思うんです。

 ただ、そうはいっても、なかなか大学も難しいんですよね。新しい人を採用しようと思っても、なかなか教授陣の人事に口出せないという面倒くささがあって、これは大変な分野だと思いますけれども、そこは、副学長等、新しい制度をつくったと思いますので、そういったことを含めて、日本でのいい人材育成について更に進むように私は期待したいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 そして、きょうは大臣にもお越しいただいておりますけれども、お伺いしたいんです。結局、私がきょう言いたいのは、裾野を広げるということも大事ですし、そして現在ITベンダーも生きていますから、彼らも飯を食っていかなくちゃいけないということはよくわかるんですけれども、どうしても、日本の予算の組み方になりますと、従来のスパコンとか、そしてまたデータベース等の、そっちに予算の中心が行ってしまっているという現状があって、やはり新しい分野にぐっと予算が行きづらい環境になっているんじゃないのかなと思うので、ちょっと私の今の質問の関連につきまして、大臣としての御見解をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 あきもと議員にお答えをいたします。

 AIは、大量のデータから学習をし、これまで人間にしかできなかった認識や推論といった知的な行為をコンピューターにより実現をする技術であります。まさに、デジタル社会において、労働力の減少とか、また社会課題の解決や生産性の向上を実現する上で、極めて重要な技術であります。

 経済産業省としましても、議員御指摘のとおり、AIの普及に向けて、戦略性を持って予算を投入していくことが大変重要であると認識をしております。

 こうした中で、当省では、AIという新しい技術の信頼を確保するための基盤的な研究や、AIを使いこなすための人材育成、特にこの人材育成、今、文科省とのやりとりもありましたけれども、データサイエンス等のスキルセットの整備とか、またAI等で突出した能力を持つ若手人材の育成とか、そういうことに着目をしながら人材育成をしていきたいと思っておりますし、AIの社会実装を進めるためのさまざまな取組を進めてまいりたいと思います。

 社会実装ができていないということは、人材不足もありますし、そのインフラができていない部分もありますけれども、さまざまな観点から、そういうことに予算を投入をしていかなければならないと思っております。その際、ものづくりなどの現場における豊富なデータが日本の強みであり、これらのデータを活用したAI開発を後押しすることが大変有意義であると思っております。

 こうした認識に基づき、多くのデータを持つ大企業とすぐれた技術を持つベンチャーがAIシステムを共同で開発する取組などを支援をしてきているところであります。

 実際に、二〇一八年から約四十のプロジェクトを支援をしております。具体的には、LNGのガスから液化する工程において運転を最適化するためのAIシステムや、化学メーカーが過去数十年間蓄積してきた手書き文字を含む技術文書をデータベース化し、資料の探索時間を短縮するAIシステムなどの開発が進んでいるところであります。

 こうした取組に必要な予算は二〇二〇年度も要求中でありまして、引き続き、AI関連予算、戦略性を持ってしっかりと、項目を挙げながら投入をしてまいりたいと考えております。

あきもと委員 ありがとうございました。

 非常に意気込みは感じておりますので、ぜひ、経済産業省として、この新たな分野への挑戦、そして日本が勝てる分野、ここをしっかりと見きわめて、予算の配分等を引き続きやっていただきたいと思います。

 とかく、今後、画像認識の知覚AIとか、そしてまた自動運転等の自律型AIというのが、やはり日本が一番伸ばしていきやすい分野であろうということ、ここは、ある意味、一過性のAIブームで終わるのじゃなくて、更に深めていけるチャンスがあるというふうに言われておりますので、こういった分野も含めて、グローバルで勝てる分野の強化ということをお願いしたいと思います。

 次に、話題をかえます、環境問題です。

 きょうは環境省にも来てもらっていただいておりますけれども、今回、大変、台風等で大きな豪雨災害も起きてしまったということもあって、今なお、本当に災害の爪跡で苦しんでしまった多くの皆様がいらっしゃるわけでございまして、非常に、これはまさしく気候変動の大きな問題が、そしてまた、言ってみればこれも環境問題そのものであるというふうにも言われております。ですからこそ、日本として、更に環境問題には取り組んでいかなくちゃいけないだろうと思います。

 私も、この一年間は政府の一員として、ともに環境省の皆さんと仕事をさせていただきましたけれども、今回、小泉大臣でありますから、情報発信力はすばらしく持っていらっしゃると思うので、ぜひ情報発信力を大いにフル活用して、まだまだ知られていない分野というものをしっかりと攻めていただきたいな、そんな思いでございます。

 その中で、日本の環境問題というのは、特にことし一年で大きくステージが変わったんだと私は思います。それはやはり、パリ協定の批准や、そしてまた我が国で開催したG20、これによって、プラスチック問題については非常に、海洋プラスチック問題を始め日本がイニシアチブをとって、特に東南アジアの国々も含めて、G20で環境問題についてともに共同声明等が発表できたということは、私は大きな日本の成果だと思いますし、これは絶対に実施をしていかなくちゃいけないんだと思います。

 ですから、パリ協定で言われるCO2削減、二〇五〇年までに八割、すごい数字ですよね、これはもう野心的な数字と言っても過言ではないと思います。

 そしてまた、プラスチックにつきましても、プラスチックの代替、これは二〇三〇年までに代替品として二百万トンを目指すという、これもすごい量ですよ。しかし、それを、日本は目標を掲げたわけですから、これだけのマイルストーンを置いたので、しっかりとこれは実現をしてもらわなくちゃいけないと思っています。

 そのためには、やはりこれは行政が相当かじを切っていかなくちゃいけない中に、環境省、相当頑張っていただかなくちゃいけないんですけれども、私が見ている環境省というのは、非常にいいことをやっていらっしゃるんだけれども、ただ、何か、どちらかと言うと自己満で終わっている、そういう形が否めないんです。

 ですから、私は、エネ特の予算も環境省が絡めば広く使える、こういった技術的な面もありますけれども、もっともっと他省庁、経済産業省関連の団体や、又は国土交通省関連の団体、そういったところにどんどんどんどん出向いていってもらって、コラボしていろいろイベントも開き、みずからイベントを開くんじゃなくて、人のイベントに相乗りして、どんどん皆さんの事業というものをアピールをする、そんなこともやってもらいたいと思っておりますけれども、いずれにしましても、CO2の削減やプラスチック代替品など、政府の取組を、まずは環境省からお願いしたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 気候変動問題や海洋プラスチック問題の解決のためには、関係省庁と連携し、事業者も巻き込みながら、環境と成長の好循環を実現していくことが必要であると認識しております。

 このため、例えば再エネについては、経済産業省とも連携し、小売電気事業者、ハウスメーカー、地方公共団体等さまざまなプレーヤーを集めて、取組事例の共有や課題について議論等を行う分散型エネルギープラットフォームを開催するなどの取組を行っているところでございます。

 また、再エネについても、経済産業省や国土交通省と連携し、関係業界に対して情報発信を行いながら、建物の省エネ化に向けた支援を行っているところでございます。

 さらに、プラスチックのごみ問題の解決についても、関係九省庁でプラスチック資源循環戦略を策定し、プラスチックと賢くつき合う「プラスチック・スマート」キャンペーンを通じて、企業、業界団体と連携するとともに、代替素材への転換のためのイノベーションの支援及び国内リサイクル体制構築支援のための事業を展開しているところでございます。

 環境省といたしましては、今後とも、関係各省ともしっかり連携して、企業を巻き込みながら環境政策を推進してまいりたいと思っております。

あきもと委員 取組は多分やっていただいていると思うんです。ただ、残念ながら、一般になかなか広がっていないというのが残念ながら現状で、最近、このSDGsのバッジもつけている方もいらっしゃるんですけれども、これは町に行くとほとんどこのバッジの意味は知りません。

 そしてなおかつ、海洋プラスチック問題。これは、海に関係するそういった皆さんは全て意識を高く持ってもらわなくちゃいけないわけでありますけれども、例えば私も、過去、国交副大臣もやらせていただいて、海洋事業者のいろいろな会に行きますけれども、海洋プラスチックと言うと、みんなぽかんという、これが現状なんですね。ですから、もっともっといろいろなところに出向いていってもらって広げるということ、この努力をしていただきたいと思います。

 そして、大臣に最後お伺いしたいんですが、もう時間もあれなので。

 要は、これまで、環境問題というと、どうしても日本のメーカー、企業系、ここはもうCSRの部分として使いがちで、それで終わり、そういう傾向がありました。これからはまさに、経営の中にぐっと取り込んでいって、環境問題というのはよく、釈迦に説法でありますけれども、単なる新たな負担とかコストじゃなくて、この分野を取り込むことが本当にイノベーションにつながって、成長戦略につながって、企業としても大きな、もうける一つの糧になるんだという意識でもってこの分野を進めてもらわなくちゃいけない、そんな思いでございまして、そういう中で、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 気候変動や海洋プラスチックごみの問題の克服には、どこかでブレークスルーするような、非連続的なイノベーションを起こしていくことが必要であると考えております。その原動力となるのが民間の積極的な投資であると認識をしております。

 民間の投資を大きな流れにしていくには、企業経営者の意識を、環境対策は、今委員がおっしゃったように、コストではなく、むしろ競争力の源泉であるという方向に変えていくことが重要であると思っております。

 実際、世界のESG投資額は、直近六年間で約二千兆円も増加をしているところであります。環境対策に取り組む企業には資金が集まってきており、企業経営にとって大きなチャンスとなっていることも事実でございます。

 こうした意識改革を進めるため、経済産業省は、気候変動関連の企業情報を開示するTCFDの取組を推進をしているところであります。日本企業の環境投資がポジティブな結果を生むことについて、世界の投資家に発信するよう働きかけているところであります。

 この結果、日本のTCFD賛同企業数は二百機関と、世界一になっております。上流から下流まで、関連する企業もあれば、やはりそれに賛同する企業も入ってきているということでありまして、さらに、先月八日、世界の産業界と金融機関の代表者を集めTCFDサミットを開催しまして、さらなるグリーン投資の拡大を働きかけたところであります。

 引き続き、こうした取組を通じて、企業の経営層の意識の変革を促し、日本発の非連続的イノベーションを生み出す環境を積極的に整えてまいりたいと思っております。

あきもと委員 ぜひ頑張ってください。

 終わります。

富田委員長 次に、穴見陽一君。

穴見委員 おはようございます。自由民主党の穴見陽一でございます。

 このような機会を賜りまして、まことにありがとうございます。

 また、大臣におかれましては、これからまた、この国の経済産業政策がますます推進されますことを心から御期待を申し上げて、質問に入りたいと思います。

 本日は、私は、中小企業とキャッシュレスの問題について御質問をさせていただきたいと考えておりますけれども、その前に、まず、大臣の中小企業政策に対するお考え、思いというものをお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

梶山国務大臣 穴見委員から御質問をいただきました。

 全国約三百五十八万者の中小企業、小規模事業者は、雇用の七割を超える経済の屋台骨、私自身、初当選以来、中小企業政策に常に高い関心を持って取り組んでまいりました。

 私自身も企業を起こして経営をしてきた経験がございます。常につきまとうのは、資金の調達、資金繰り、そして雇用ということがつきまとうわけでありますけれども、さらに、今は人口減少に加えて、地方において高齢化、過疎化が深刻さを増す中で、地域の経済社会の核となる中小企業、小規模事業者は、経営者の高齢化、これは事業承継の課題にも通じますけれども、人材不足といった困難な課題に直面をしているというのが現実だと思っております。

 こうした中で、後継者不足の課題を抱える中小企業には、事業引継ぎ支援センターによる第三者とのマッチング支援の強化、人手不足の課題を抱える中小企業には、労働生産性を向上させるための設備投資などの補助を、一つずつ地道に進めてまいりたいと思っております。

 地方の経済を支えているのは中小企業なんですね。ですから、その一代で終わっては雇用が続かない。雇用もその企業も地域の資源の一つであります。それらをどう継続させていくか。同族で継続する場合もある、また第三者に継続させる場合もある。そういった資源を、しっかりと地域の視点で見ながら、どういう支援をすればそれが続くのか、またそれがつながって、地域の経済の活力につながるのかということを考えながら全力で取り組んでまいりたいと思っております。

穴見委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ、御期待申し上げたいと思います。

 私のきょうの質問と申しますのが、今、政府の方も挙げてキャッシュレスの推進ということをしていただいているわけですけれども、私も一事業者としてこの問題には直面しておりまして、その中で感じることがございます。

 それは、特にクレジットカードの手数料の問題なんですけれども、手数料は、今回ポイント還元等をやる際に、経済産業省も、三・二五%をバーにして、それ以下でやって、中小企業向けでも頑張れるということで約束した事業者にはポイント還元の制度を乗っけていけるということでございましたけれども、そういったバーであっても三・二五%の手数料がかかるわけですね。

 これを、例えば地方の場合は特に現金決済者が今でも圧倒的多数でありまして、カード決済者というのはそんなにまだ多くない状況の中で、ただ、国としてはキャッシュレスを進めていこうという中で、これまでのクレジットカードなどの機能が、大きくこの日本社会の中で位置づけが変わってくるんだろうというふうに思います。

 その中で、今、実は、これまでの旧来の仕組みの中で、クレジットカードがやってきた一つの約定として、カード決済した際も現金決済した際も、同じ価格で販売しないといけないということが規約の中に書かれていて、これに違反すると契約違反ということになるんだということなんです。

 この際、地方は大多数の方が現在においては現金決済をする、またカードのときは事業者が手数料を払わなきゃいけないということで、事業者側とすれば、やはりその分コストがアップしますので、カード決済する際は手数料をいただく、手数料分の、それを払わなければいけないわけですから、そういうことをしたいという思いになるわけですけれども、それが約定上できない。できる会社を探したいんですけれども、どこの会社を見ても、これは約定として、同じ価格で販売しなくてはならない、そういう縛りがあって、これが非常に苦しいわけです。

 ぜひ公正取引委員会にお聞きしたいんですけれども、業界を挙げてそういうような約定を決めているということは、これは優越的地位の濫用とか、こういった独禁法に抵触するような問題ではないのかなというふうに疑問を持つんですけれども、いかがでしょうか。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 個別の事案については答弁を差し控えることとさせていただきたいと思いますけれども、まず、優越的地位の濫用に当たるかどうかという点に関しましては、カード会社が加盟店に対して優越的地位にあるか否かについては、加盟店のカード会社に対する取引依存度、カード会社の市場における地位、加盟店の取引先の変更可能性等を総合的に考慮して個別に判断する必要があると考えております。

 一般論として申し上げますと、自己の取引上の地位が加盟店に対して優越しているカード会社が、加盟店に対し正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合には、優越的地位の濫用として独禁法上問題となるおそれはあると考えております。

 それから、業界で一律になっているのはカルテルではないかという観点も御指摘があったと思いますけれども、この点についても一般論として申し上げることとしたいと思いますが、御指摘のような行為が独占禁止法によって禁止されている不当な取引制限、いわゆるカルテルに該当するためには、他の事業者と共同して相互に事業活動を拘束し又は遂行することが必要とされておりますので、こうしたことから、この共同してという要件を満たすため、事業者相互間で意思の連絡が必要である、そういうことを立証しないとカルテルには該当しないということになっていることを御指摘させていただきたいと思います。

穴見委員 御答弁ありがとうございます。

 そういうことになるんだろうとは思うんですけれども、ただ、例えば、キャッシュレスの方法には、クレジットカードだけではなくて、プリペイドカードのようなものもあるわけですね。プリペイドカードの利用に関しても同じように手数料がかかってくることになります。今のQRコード決済などもそうですね。

 ただ、クレジットカード以外のところでは、そういった約定の縛りがない会社もあるんですね。auウオレットさんであるとか、これも調べていただいたんですけれども、ペイペイさんでしたか、そういうところは手数料はなくていいですよというようなところもございます。

 ただ、今現状のプリペイドカードのサービスに関しても、従前のクレジットカード会社の関係銀行の傘下にあるようなところは、大体そういった同一金額で販売しなければならないという約定があって、それがほぼ大多数で、事業者として、自分たちが手数料転嫁したりとか、逆に手数料がかからないとか、そういう選択をしたいと思っても、圧倒的少数といいますか、選択の余地がほとんどない状態なわけですね。

 そういう中で、やはり事業者としては、どうしても手数料の分を稼がないといけないわけですから、その分の値上げをせざるを得なくなるわけですね。そうすると、カード利用者のための手数料のために値上げしたものを現金決済者からも徴収するということになって、これは同じ財・サービスを購入するに当たって、カード利用者と現金決済者との間に、やはり目に見えない、しかもこの利用手数料というのはブラックボックス化しているものですから、現金で決済することで知らないうちにそれだけ損をしてしまうというようなことになるわけですけれども、消費者保護の観点から、消費者庁としてはこれはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

大塚副大臣 済みません、私もいろいろな顔がございまして、きょうは消費者行政担当の副大臣という立場で答弁に立っているわけであります。

 穴見先生御指摘の問題、今回の委員会の質問通告で私も初めて気づいたところがございまして、これはいろいろ考えるべき点がありそうだなというふうに個人的には思っているところでございます。

 いろいろなキャッシュレスを推進することで、消費者としては、多様な決済手段が提供されるということで利便性が向上するということもある一方で、これは何らかの損害が消費者に帰着をしているという可能性も否定し得ないのかなというふうに思っております。

 ただ、これは市場の仕組みとして複雑になっていまして、御存じのように、国際ブランドというのがあって、そこと契約をしているクレジットカードの発行会社があって、その先に加盟店があって、消費者はその先にある、こういう形になっているわけでございます。こういう取引構造の中でいろいろな手数料が発生をしていて、それがそのような規約で縛られている部分もあったりするわけでありますけれども、どういう経路でどのように消費者に損害があるというふうに言えるのかということについてはさまざまな考え方がなし得るわけでございまして、今、確定的にこういう考え方で捉えられるというものを残念ながら持ち合わせているわけではないわけでございます。

 それと、もう一つ考えなければいけないのが、消費者庁が持っているツールを、何を活用すれば損害が生じているとしてこれを解消していけるかどうかというと、これはさっき言った四段階の構造になっている中での消費者に焦点を当てたツールでありますので、そのコストが発生しているのが、そこから離れた、例えば国際ブランドとクレジットカード会社とか、国際ブランドの規約と加盟店の関係で発生しているとすれば、それを消費者行政のツールで直接解決できるかどうかというのは、これはよく、ちょっと研究をしてみる必要もあるわけでありますけれども、そう簡単でもないという気もするわけでございます。

 ただ、いずれにしても、消費者庁としても消費者行政を所管する副大臣としても、クレジットカード決済の利用に当たって、消費者が安全、安心な環境で消費行動を行うことが重要でありますし、不当なコストを転嫁されているということがあってはいけないというふうには考えているところでございます。

 それと、消費者行政の立場で答弁というふうに申し上げたわけでありますけれども、あくまでも御参考までに申し上げておきますと、ことしの三月に、公正取引委員会において、委員が御指摘されているのは国際ブランドと加盟店の関係になると思いますが、国際ブランドとクレジットカード会社の取引の実態に関する調査を公正取引委員会の方でまとめて公表をしております。

 何を意味しているかというと、クレジットカード会社に係る取引についての問題意識を有しているということを意味しているわけでございまして、このような観点から、公正取引委員会においても、問題があれば適切に対応を行っていくものと承知をしているところでございます。

 以上でございます。

穴見委員 御答弁、まことにありがとうございます。懇切な御答弁で痛み入ります。

 これまでは、クレジットカードを使うといっても、これはやはり、カードを使えますよということの、ある意味では会員的なマーケティングのコストとして、会員側も会費を払うわけですし、手数料も、そういったカードが使えますよということが、一つのマーケティング的な、広告的な価値を持つということで是認されてきた部分もあろうと思います。そういう意味では、高額商品とかそういうものを決済する際にカードが使われてきた。

 これが、例えば本当に一般の人たちとか、又は本当に広く国民の大勢がキャッシュレス化に進もうとするときに、ちょっとこれまでの考え方とは違う考え方で臨まなければいけないのではないかなというような思いがございます。

 例えば、クレジットカードの会社の国際ブランドの主力はアメリカに存するんだろうと思いますけれども、例えばアメリカであれば、現金は二十ドルぐらいしか持たなくて、例えば夜、たとえショッピングセンターの中でも、薄暗いちょっと五十メーター先のATMに行くのも周りがとめて、危ないから後で車で行こう、そういうような世界でありますし、普通のスーパーで、みんな決済は手形に、当座の小切手にサインをして支払いをする。

 つまり、できるだけ現金を持たない。それは、強盗が多いから、そういう被害に遭わないためであるとか、又は通貨そのものが不安定な国とか、通貨の流通しているものの偽造とかが起こりやすい国とか、そういうところに関してはキャッシュレスの決済方法というのは利便性が高い方法かもしれませんけれども、日本の場合はそういった問題が一切ない。非常に円滑に現金が流通している社会の中で、本当の意味でこの手数料というものを受容し得る何らかの姿が必要なのではないかなと思うんですね。

 例えば、現金を持とうと思っても、コンビニエンスストアのATMに行って、手数料を払って現金を出して、そして現金で決済しようと思ったら更にカード利用者分の手数料まで払わされてしまうというような構造というのは、正直いかがなものかなと。

 特にやはり中小企業者にとって、ここが一番肝心なんですけれども、そうでなくても値上げをするというのは非常に難しいことである中で、これでカードの手数料を、その分を少しでも、それをエクスキューズにしてお客様から手数料分だけでもいただきたいんだけれども、それができないとなると、これはもう完全にコスト増の構造にしかならない。

 そして、ポイント還元も期限があって、その先続くかわからない。三・二五%でも苦しいんだけれども、小さな店舗であれば七%とか八%とか、実際はそういう約定を結ばされたりしないとカードの利用ができないということになると、ますます中小企業の経営を圧迫しかねないなというふうに感じますものですから、ぜひ、もう時間も参りますのであれですけれども、この問題、何とか中小企業が、少なくともカード手数料の分はお客様に負担を転嫁できるような仕組みを何らかの方法で担保してあげないと、キャッシュレスが進むことによって中小事業者の経営が非常に圧迫されることになりかねないというふうに思います。

 最後に、できれば大臣からも一言、この問題に関しての御感想をいただければと思います。

梶山国務大臣 消費税の導入に伴って、来年の六月までの措置ということで、ポイント付与ということもやっております。そして、キャッシュレスのインフラであります、そういったものを各中小企業にも普及をさせようという思いもございます。

 今委員の御指摘のあった手数料というのは、薄利で商売をしている方たちにとっては大変大きな問題であろうかと思いますので、引き続きこの手数料につきましては検討を重ねてまいりたいと思っております。

穴見委員 大臣、ありがとうございます。

 ぜひ御検討をいただきたいと思いますし、なかなか見えにくい部分の問題かもしれませんけれども、今まさに中小企業者がキャッシュレス時代に向けて直面している大きな問題でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 今国会より初めて経済産業委員会に所属になりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、一連の災害につきまして、政府の対応をお尋ねしてまいりたいと思います。

 ことしは、八月の九州豪雨、九月の台風十五号、台風十九号、そして十月二十五日千葉県の大雨と、自然災害が立て続けに発生をしております。改めまして、お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 昨年の西日本豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震に続きまして、改めて、日本は自然災害から逃れられない、そしてその自然災害は激甚化、多発化、広域化している、また、そういった状況の変化の中で、そのための備え、対策をしっかりとやっていく必要があると、改めて痛感をしているところでございます。

 こうした考え方のもと、私たち公明党といたしましても、それぞれの災害におきまして、被災地に入り、被害の状況や被災者の生活状況をきめ細かく把握し、現場からの要望や必要な情報を政府や自治体に届けてまいりました。梶山大臣も、所信の冒頭で、一連の自然災害に対しまして、「一刻も早い復旧復興に政府一丸となって取り組むとともに、二度にわたる大規模な停電による教訓を生かし、災害に強いエネルギー供給体制の構築など、暮らしを守るための対策に全力を尽くしてまいります。」と決意を述べられております。

 大臣もこのように触れられておりますけれども、特に、ことしの台風十五号では、何十万件に及ぶ大規模停電が数週間も続く、しかもその復旧の見通しが二転三転するという、これまでにない事態が発生をいたしました。被災者の皆様は、長期にわたる停電や二転三転する復旧見通しにより大変な生活を強いられまして、また大変不安な思いをされていたところでございます。

 そこで、今回の台風十五号による大規模停電への対応につきましてお伺いしたいと思いますが、復旧見通しが甘かったなど初動対応や情報発信に問題があったのではないか、そういった指摘もあるところでございますが、経済産業省といたしまして、どのように初動対応を行ったのか、東京電力や自治体との連携などどのように図っていったのか、お伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 まず、冒頭、相次ぐ災害によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災をされ、不自由な生活環境又は事業環境の中で苦労を強いられている皆様に、心からお見舞いを申し上げる次第であります。

 台風十五号による停電への対応の初動につきましては、経済産業省では、台風上陸前の九月八日から職員が省内に泊まり込みで被害情報を収集するなど、災害に迅速に対応できる態勢を構築をしてまいりました。また、東京電力に対しましては、台風通過直後の九日朝に、当時の世耕大臣から、早急な復旧に取り組むことや復旧見通しを迅速に提示すること等について指示するとともに、幹部職員を派遣をし、連絡体制を強化をしたところであります。

 さらに、被災自治体との連携についても、十日には、千葉県庁を始め千葉県内の市区町に計十九名の職員を派遣をしておりました。以後も、順次、派遣職員を増強していくことにより、停電に関する情報の共有や避難所向けの物資の手配、電源車の派遣の調整など、被災地、被災者の要請に円滑に対応できる体制を構築をしてまいりました。

 また、菅原前大臣も、就任翌日には停電が続く被災地を訪問をし、被災自治体の職員の生の声を聞くなど、関係者間の連携強化に努めたと承知をしております。

 これらの一連の取組についても必要な見直しを行いつつ、現実にその復旧情報が混乱をしたということもありますので、次にいつ起こるかわからない災害に備えて、しっかりと初動態勢をもう一度整備いたしますとともに、電力会社や自治体など関係機関との連携強化を検証の上、図ってまいりたいと思っております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 経済産業省としましても、停電だけの問題ではなく、さまざま、今お話ございました、物資の輸送等ある中で、一つの大きな課題といたしまして、大規模停電、長期にわたるものということで発生をいたしました。特にこの課題につきましては、反省する点また課題も山積しておりますので、しっかりとこういったことも含めて、今後、外部の有識者を交えて検証していく、そのように伺っております。

 現在の議論中の主な論点、対応についてお伺いをしたいと思います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 台風十五号による大規模な停電、この際には、委員御指摘のように、復旧見通しが二転三転するなどの混乱もございました。こういったことを受けまして、経済産業省の公開の審議会でございます電力レジリエンスワーキンググループにおきまして、十月三日から検証を開始してございます。この中では、停電の原因やその復旧プロセス等につきまして検証を進めております。

 検証の論点は主に三つでございます。

 まず、初動対応についてでございます。

 停電に対する初動といたしましては、現場の被害状況を的確に把握しまして、精度の高い復旧見通しをできる限り早く発信することが重要でございます。このため、現場における巡視の実施方法あるいは情報共有のあり方等について検討を進めているところでございます。

 第二に、復旧活動の迅速化、効率化についてでございます。

 この点では、電力自社の努力のみならず、他の電力会社、さらには自治体、自衛隊との連携、こういったものが重要でございます。こうした関係者間の連携強化の具体策について検討しております。

 第三に、台風十五号では、千葉県君津市での鉄塔二基の倒壊事故、それから多数の電柱の損壊事故がございました。これを踏まえまして、鉄塔、電柱の技術基準も含めました電力ネットワークの強靱化、さらに電源の分散化によるレジリエンスの強化について現在検討しているところでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 まず最初にお伺いしたかったのが、台風十五号を踏まえた検証ということで、全体の枠組みの中で今の一つの経済産業省としての担当だと思うんですけれども、全体の方の枠組みも改めてちょっと確認をさせていただきたいと思います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁いたしましたのは経済産業省としての検証、停電を中心とする検証でございますけれども、政府全体といたしましては、台風十五号さらには台風十九号もございましたので、停電の復旧プロセス、あるいは、通信機器、こういったものの障害もございましたので、こういったものについての検証、さらには、自治体、政府の初動対応、こういったものについての検証が必要ということで、これは内閣官房の方で政府全体の検証チームをつくりまして、これも十月三日から検討を開始しているところでございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 政府のもと、内閣府のもと全体の検証がされている中で、先ほど答弁いただいた、経済産業省として具体的に三つの項目のもと検証をしていただいているということでございました。

 中間取りまとめということで今発表していただいたと思いますけれども、今すぐできることと、また中長期的課題ということで、そういった分類もできるかと思います。繰り返しになりますが、いつどこでこういった災害が起こるかわからないということで、年内ということが一つの目標にはなっていると思いますが、しっかりと丁寧に、また迅速に、こういった取りまとめを引き続きお願い申し上げたいと思います。

 もう一点、やはり、経済産業省だけではなくて、例えば国交省、無電柱化の話もそうですけれども、いろいろな省庁との連携もあるかと思いますので、そういった意味で、経済産業省もリーダーシップを発揮しながら関係省庁との連携もしっかりと密にとっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、同じく災害による中小企業の支援について引き続きお伺いをしてまいりたいと思いますが、災害時の中小企業に対する必要な支援というのは、前例にとらわれることなく、必要とする事業者に必要な支援を届けるということが大変に重要になってくるかと思っております。

 ただでさえ人手不足、後継者不足で、ぎりぎりのところで事業を行っている中小企業にとりまして、自然災害はまさに脅威でございます。自然災害を機に事業継続を諦める、そういった残念なケースもございます。こうした事態を少しでも回避するためには、被災した中小企業に寄り添った対策が必要でありまして、まずは被災企業の実態をきめ細かく把握することが不可欠だろうと思っております。

 大臣御自身も、十月三十日に茨城の常陸太田市、常陸大宮市を視察されておりますけれども、被害状況を実際にごらんになられまして、被災した中小企業の方や知事等首長の皆さんからもさまざま要望をお聞きになられたと伺っております。

 既に総理からも被災者支援のパッケージ策定の指示が出ておりますけれども、被災事業者の実情に寄り添って、十分な支援策を講じていただきたいと思っております。具体的にどのような支援策を行うのか、お伺いをしたいと思います。また、あわせまして、取りまとめた支援策が被災地の事業者にしっかりと行き届いて利用されるように、しっかりと丁寧に周知等にも取り組んでいただきたいと思いますが、その点も含めてお願い申し上げます。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、大規模災害における被災企業の支援策を検討するには、まず何よりも被災地の実態を把握し、被害額の算定等も綿密に行っていかなければならないと思いますが、被災者の声をまず聞くことが重要であると思っております。

 八月以降、九州北部の集中豪雨、台風十五号、十九号と立て続けに自然災害が発生しましたが、経済産業省は、いずれの災害も職員を県庁を始め被災自治体に派遣し、実態把握に努めているところであります。

 私自身、委員からも御指摘がありましたが、台風被害の実態をみずからの目で確認するため、茨城県や福島県の被災地を訪問をし、被災企業の現状を改めて認識をいたしました。

 被災企業の皆様からも声を伺ってまいりました。金額にあらわれない精神的なもの、やはり心が折れてしまうというような声、また、従来の債務に重ねてまたお金を借りるのかということだけで事業継続をためらっている方もおいでになります。

 また、長野県、茨城県、福島県など、被災した自治体の首長の皆様と意見交換を重ねてきたところでありますが、被害の状況や復興に向けた課題についての認識を深めているところであります。

 被災地の生活やなりわいを支援する政策パッケージについては、現在政府内で取りまとめ、大詰めのところに来ているところであります。私自身が直接伺った被災企業や自治体の生の声も踏まえて、被災企業の一日も早い事業再開に向けた対策を早急に講じていきたいと思っております。

 具体的には、被災した建物や設備の復旧に対する補助、設備、備品の修繕や販路開拓、開拓というよりも販路維持ですね、維持、開拓の支援、商店街のにぎわいを取り戻すための再建支援策、どんなことでも、声を聞きながら、できることは全てやるという方針のもとに、被災地に寄り添って幅広い支援を行うよう取りまとめをしてまいりたいと思っております。

 また、取りまとめた支援策については、被災企業の方々にしっかりと使っていただくことが重要であります。これは方法も重要、そして手続や運用で柔軟に行うこと、そしてスピーディーに行うということが肝であると思っております。

 今後、自治体や中小企業団体と協力をして、各被災地での支援策の説明会を開催するなど、丁寧な情報発信、しかもスピーディーに行ってまいりたいと思っております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 大臣御自身が直接御要望等を伺ってこられて、その上でまた取りまとめということで、間もなくということでございます。こういった中小企業への支援は、時間の経過とともに、また、被災地によってもさまざま変化もしてまいりますので、御答弁いただきましたが、最後までしっかりと現場の状況に寄り添って、また一人一人に寄り添った支援を改めて重ねて要望を申し上げておきたいと思います。

 その上で、周知ということで、今、大臣からもお話がございました。私も中小企業庁のホームページを見させていただきまして、被災中小企業者等支援策ガイドブックというものが県別に掲載をされておりました。これは随時更新されるということで、すごくわかりやすいもので、すばらしいなと思いました。

 例えば、事業継続、再開などを相談したいとか、設備購入の費用などの補助制度について知りたいとか、一問一答という形で、支援対象者、また、どのような手続が必要かとか、連絡先、問合せ先、そういったことも丁寧に掲載をされておりました。

 まず、そもそもこういうものがあるということ自体も御存じない方もいらっしゃると思いますので、ぜひそういったこともしっかりと周知をしていただく。また、被災者はそもそもパソコンを使える状況でない方がほとんどと思いますので、どうすればそういった方々にこういった支援策、支援情報が行くかということで、先ほども御答弁いただきました、例えば商工会の方、士業の方、さまざまな方の御協力もいただきながら、すばらしいものがあってもそこに行き届かなければ全く意味がありませんので、ぜひとも、そういったきめ細かい、そして、迅速にとおっしゃっていただきました、そういったことも含めて最後まで対応をお願いしたいということで、要望を申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 先ほど、停電の話もさせていただきました。改めて、電気エネルギーがいかに国民生活に欠かせないものであるかということで痛感をしているところでございますが、一方で、この重要な電気を供給する、社会でも極めて大切な役割を果たす電力会社で、とても信じられない問題が発生をいたしました。

 電力会社は、電気という、災害時のみならず常に国民生活には欠かせないインフラを供給します。だからこそ、大半は自由化されたとはいえ、引き続き送電料金などは料金認可制度が残っているわけでございます。まさに、公益事業を担う電力会社は、国民からの信頼があって初めて成り立つものと思っております。そういった事業者において発生した今回の金品の受領問題は大変に大きな問題です。関西電力は社会の公器としての企業として、まずはこのような事態に至った背景や原因を徹底的に洗い出し、みずから国民に事実関係をしっかりと説明をしていただきたいと思っております。

 経済産業省としましても、今回の事案を重く受けとめ、国民の信頼回復に向けた取組を進めていくべきと考えますが、改めて本事案への対応方針をお伺いしたいと思います。

 また、電力会社のような公益性の高いエネルギーインフラ企業について、ガバナンス、コンプライアンスの向上に向けてしっかりと指導していくべきと考えますが、どのように対応するのか、御見解をお伺いいたします。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、公益事業を担う事業者であり社会との信頼関係を築いた上で事業を進めていくべき電力会社の役職員が不透明な形で多額の金品を受領していた今回の事案は、大きな問題というように認識してございます。また、関西電力における適切なガバナンス機能を疑わせるものとして、重く受けとめているところでございます。

 このため、経済産業省といたしましては、本件について報道があったその日のうちに、虚偽の報告には罰則がかかる、電気事業法に基づく報告徴収命令を発出したところでございます。また、その上で、外部の独立した第三者のみから成る委員会で徹底的な事実解明等を行い、経済産業省への報告を行うよう求めたところでございます。

 御指摘いただきましたとおり、まずは、この新たに設置された第三者委員会において事実関係の調査と原因究明を徹底的かつ速やかに進め、国民の信頼回復を図ることが不可欠であると考えてございます。経済産業省といたしましても、第三者委員会の徹底検証を踏まえまして、関西電力からの報告を受けて厳正に対処をしていく所存でございます。

 また、御指摘をいただきました公益事業としての電力会社のコンプライアンスにつきましても、株式会社としての電力会社はまさに、国から指導を受けるまでもなく、ステークホルダーに対する説明責任を果たす義務があるわけでございますけれども、今般の事案を受けまして、経済産業省から、他の電力会社も含めて、コンプライアンスの遵守の徹底を改めて指示いたしたところでございます。

 これも踏まえまして、電気事業連合会においても新たな検討の場というのを立ち上げて、他社のベストプラクティスも踏まえつつ、コンプライアンスの徹底に向けた不断の取組の検討を進めている、このように承知してございます。

 当省といたしましては、今後も引き続き、各社に対して、コンプライアンスの遵守に向けたさらなる不断の取組を進め、その結果に基づいて国民に説明責任をしっかり果たすよう、しっかりと指導してまいりたい、このように考えてございます。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 特に、こういった電力会社は、繰り返しになりますが、公益性の高いものでもありますし、しっかりと国民の皆様、信頼回復に向けて、徹底して取組を進めていただきたいと思いますので、重ねてになりますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 今回の問題は、エネルギーインフラ企業にとどまらない、日本産業界の課題を内包しているのではないかと思いました。実際、近年、大企業の不適切会計や検査データ改ざん、役員の報酬虚偽記載問題など、日本の名立たる大企業でも不祥事が起こっております。

 政府全体では、会社法改正法案が提出されるなど、コーポレートガバナンス強化に取り組んでいると承知をしておりますが、広く大企業の経営のガバナンスの改善強化に向けて、経済産業省としてどのような対応をとっているのか、お伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 大企業かどうかにかかわらず、企業にとって、コンプライアンスを徹底をし、消費者を含む多様なステークホルダーの信頼を得ることは、中長期的な企業価値の向上や持続的成長の大前提となるものであります。その上で、一旦不祥事が発生した場合に、第三者委員会を設置して対応することは、ステークホルダーの信頼の早期回復を図るために有効な手段とされているところでもあります。

 近年、御指摘のように、さまざまな企業の不祥事が発生していることを踏まえて、経済産業省としましては、日本企業におけるガバナンスの強化を図るために、現場レベルのコンプライアンス意識の向上や法務・財務部門及び内部監査部門の独立性の確保、そして有事対応における第三者委員会の活用などについて具体的な対応方針を示した実務指針を、本年六月に策定、公表したところであります。

 引き続き、こうした実務指針の周知徹底を図るなど、日本企業のガバナンスの改善、強化に努めてまいりたいと思いますし、企業の評価が低下するということは企業自体の存在意義ということにもつながりますので、しっかりとこういったことを念頭に置いて、企業にも自浄作用を働かせるようにしてほしいと思っております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 この問題は、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたが、企業の存在意義にもかかわるということで、やはり、日本の社会においても大きな影響も与えることにもなるかと思います。経済産業省としても、こういった環境整備を引き続きしっかり整えていただきたいことを改めて申し上げておきたいと思います。

 では、次の質問に入らせていただきたいと思いますが、十月一日から消費税が引き上げられまして、経済産業省におきましても、需要平準化に向けた対策ということでさまざま対応していただいているところでございます。

 公明党としましても、十月に入りまして、各種団体の方々から、幅広く、最近の経済状況やまた関連する施策の実施状況等を現在も伺っております。

 その意見の多くは、前回の消費税引上げのときよりも、各種施策の効果もあって、前回よりも駆け込み需要、反動減は少ない、少ないが今後の動向を注視する必要がある、大体そういうような御意見を伺っております。ですので、今後の動向によっては、次の対応もしっかりとお願いしたいという御意見が多数ございました。

 そのほか、軽減税率の導入につきましても関係者の皆様にお伺いしましたが、確かに準備が大変でありましたが淡々と今対応しております、現場ではやっておりますというような、そういった声もいただいているところでございます。

 消費税が引き上げられて一カ月でございますけれども、日本の経済状況について、中小企業を所管する経済産業省として、どのようにごらんになっているのか、また、各種施策に関する現場の状況をどのように把握しているのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、前回八%への引上げの際は、予想以上に消費が低迷をいたしました。そして、その後の景気回復にも力強さを欠いたと認識をしております。

 このため、今回は思い切ったポイント還元に加え、教育の無償化や軽減税率、プレミアムつき商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対策が講じられていると考えております。

 特に、中小・小規模事業者との関係では、中小・小規模事業者に限ってキャッシュレス決済で支払った消費者へのポイント還元や、インバウンドや観光などの新たな需要を取り込もうとする商店街の取組を支援するなど、中小・小規模事業者に対する需要をしっかりと喚起をする施策を講じているところであります。

 これらの施策の現場の状況については、地域の商店街の声や、商工会、商工会議所といった中小企業団体の報告等を確認することにより、タイムリーに把握するように努めております。その結果、現在のところ、新たな施策により、事業活動に影響を及ぼすような大きな混乱は起きていないと承知をしております。

 今後の日本経済は、堅調な内需と消費税率引上げに伴う各種施策の効果もあり、緩やかに回復すると見込んでおります。一方、消費マインドをあらわす指標には弱い動きも見られていることも事実であります。

 今後とも、ポイント還元事業に少しでも多くの企業や消費者に参加いただくなど、施策の効果を最大限発揮できるよう取り組み、消費税率の引上げが経済の回復基調に影響を及ぼさないように対応してまいりたいと思いますし、経済の動向はしっかりと見守ってまいりたいと思っております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 この間、大きな自然災害もございましたし、また、世界の経済状況の動向もしっかりと注視していかなければならないと思います。

 いずれにしましても、この引上げによる経済状況はどうなるのかということは、今大臣もおっしゃっていただきましたが、引き続き注視をしていくことが重要でありますし、また、特に経済産業省が行っていただいています施策につきましては、最後まで実施状況も追っていただく上で次の手を打っていただくということで、その対応も万全の体制をまたとっていただきたいということで、その点もお願い申し上げておきたいと思います。

 先ほどもキャッシュレス・ポイント還元について質問がございましたが、課題があるということで、またそれもしっかりと私たちも検証していきたいと思いますが、その上で、この十月一日からキャッシュレス・ポイント還元事業がスタートしたということで、さまざま、この件につきましても、団体の皆様、事業者、消費者の皆さんに御意見を伺ってまいりました。

 私自身も、実際に店舗を回ったり利用したりしているところでございますが、その中で、やはりこのキャッシュレスにつきましては、これも、淡々と着実に進んでいます、そういった御意見もいただいておりますし、そういった印象も受けました。しかし、このキャッシュレス決済のメリットとか意義といいますか、そういったこと自体がまだまだ知れ渡っていないというのも一方であるなということも実感をしているところでございます。

 実際に、地元の有名なお好み焼き屋さん、海外の方もいらっしゃるお好み焼き屋さんで、そこではまだキャッシュレス決済をやっていないということで、どうしてやっていないんですかと伺ったところ、そもそも導入の申請とかが面倒くさいとか、あと、それをしなくてもお客さんが現金で払ってくれるから何も困っていません、実際にそういった御意見もございました。

 また、消費者の立場にしますと、やはり、消費者の方もメリットを感じないという声があったり、また、そもそも仕組みがわからない、そういったことをおっしゃる方も今もいらっしゃいます。ですから、現場では進んでいるようで、まだ進んでいない部分もあるということで、改めて、このキャッシュレスを促進する意義といいますかメリットについて確認もさせていただきたいと思いますし、中野政務官にお伺いしたいと思いますが、御自身もいろいろ活用もされていると思いますので、もし感想も含めて何かありましたら、御答弁もお願いしたいと思います。

中野大臣政務官 御質問ありがとうございます。鰐淵先生から、キャッシュレス・ポイント還元事業のメリット、政策的な意義についての御質問でございます。

 キャッシュレスの推進に関しましては、消費者にとりましてはもちろん利便性が向上をする、実際に、売る側の店舗にとりましては、現金管理の手間の削減などの効率化という効果もございますし、またインバウンドの取り込みなどにより売上げの拡大という効果もございます。また、高度なマーケティングを可能とすることでデータの利活用も促進ができる、さまざまなことに資する重要な取組だというふうに承知をしております。

 実際に、消費者からは、今回初めてキャッシュレス決済を使って便利だった、こういう多数の声もいただいておりますし、さらに、先ほどお話がありましたインバウンドの訪日外国人の約七割の方が、クレジットカード等を利用できる場所が今よりも多かったらもっと多くお金を使った、こういうふうに回答しております。

 中小の店舗にとりましては、東京オリパラなど、外国人観光客がこれから増加をしていく、こういう見込みがある中で、外国人観光客にとってなじみのあるキャッシュレスというのが大きな販路開拓の武器になるのではないか、このように考えております。

 私も、今回、今まで割と現金を中心に使っておったんですけれども、キャッシュレスの制度が始まるということで、QRコード決済など新しい決済手段というのも実際に自分で全部使おうということで、いろいろなものを今試しております。一番最初の導入のときに、確かに、どうやったらいいのかわからないということですとか、ちゃんと支払えるだろうかですとか、一番最初はさまざま不安はあるんですけれども、いざ導入をしてみると、やはり非常に便利、現金を持ち歩かなくていいということでございますので、感じております。

 他方で、キャッシュレスになじみのない方々も多くいらっしゃるというのも、まさに委員御指摘のとおりでございます。

 より多くの方々にキャッシュレスのメリットを感じていただけますように、引き続き、個別店舗への働きかけをしっかり行っていくとともに、例えば、全国各地でキャッシュレスの使い方講座、こうしたものを開催をしていったり、また、わかりやすい動画を配信をしていく。さまざまな取組により、キャッシュレスになじみのない方にも丁寧に周知をしてまいりたいというふうに考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 最後、済みません、時間がなくなりましたので、要望だけにさせていただきたいと思いますが、先ほど政務官にも触れていただきました、高齢者の方、なじみのない方また地方の方、そういった方もいらっしゃいますので、本当に十分に利用できるような環境整備も引き続き検討、対応していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 おはようございます。

 立国社を代表いたしまして、梶山経済産業大臣に御質問させていただきたいと思います。

 私の地元は、今回非常に焦点が当たりました関西電力高浜原子力発電所が所在をしております。そのほかにも、大飯発電所そして美浜発電所、関西電力が運営をする十一基の原子力発電所は全て私の地元にございます。福井県嶺南地域の方々というのは、今回のこの関西電力をめぐる資金の還流疑惑、これに関して非常に関心が高うございます。その点について、梶山大臣に御質問させていただければと思います。

 今、嶺南の、福井県の方々が、岩根さんと八木元会長の会見を受けてどういう感想を持っているのかなと、私、高浜、大飯に伺ってきました。あれはないだろうという声が圧倒的でした。森山元助役そして当時の浜田倫三町長、この高浜町で高浜一号機から四号機まで設置をしてきたあれだけの功労者に、森山助役の押しの強い性格に負けて受け取った、小判も受け取りました、金杯もスーツ券も受け取りました、あの会見はないんじゃないかと。あれだけ汗を地元でかかせてきて、全て亡くなった森山さんのせいに、性格のせいに押しつける。受け取らざるを得なかったというのはないんじゃないのという声が圧倒的でした。

 私もそれはそのとおりだなというふうに思いまして、当時、森山助役が現職のころ、上司が浜田町長だったころに、逆に、関西電力が受け取ったお金ではなくて、関西電力から森山さんや浜田町長や高浜側に対してどのようなお金がまかれていたのかということをやはり調べる必要があるだろうということで調べてみました。そこで出てきたのが、きょう配付させていただいた、この非常に興味深い資料なんですね。

 これは、広報たかはま、読んでのとおり、福井県高浜町役場が、当時、これは森山助役が在任中の一九七八年八月八日に出された文書であります。公文書ですね。全世帯に、世帯数が当時、高浜町は三千二百十九世帯に対して配布された公式の広報です。

 表は、これは昭和五十三年度の一般会計予算額二十七億に関して、歳入と歳出が書かれている、非常にごくありふれた広報なんですけれども、裏を見ていただきたいというふうに思います。

 「関西電力よりうけた協力金九億円とその利子二千八百十九万一千円について」という説明の文書が載っているんですね。

 これ、多分まだごらんになっていない方がほとんどだと思いますので、ちょっと読み上げます。

  町民のみなさんに大変御心配をおかけしました関西電力株式会社の協力金九億円とその預け入れた金利二千八百十九万一千円につきまして御説明申し上げます。

  先に福井県当局ならびに監査委員より発表のありましたように、これらの金の使途につきましては、まず最初に漁業振興協力と生活環境の整備及び道路橋梁水路等公共事業の推進、並びに漁業振興対策、更に観光開発など巾広く本町発展のために有効に使っております。ちまたに誤った風評が流れておりますが、町は正しく運用致しておりますので何ら御心配には及びません。

  これから先も引続いて関西電力株式会社の協力を得ながら執行致して参る所存でありますので、どうか御安心の上今後共町発展に御協力御支援を賜わりますようよろしくお願い申し上げます。

  御参考までに今日まで取組んできました事業内訳を図示致します。

というふうに書かれております。

 これは、皆さんお聞きになって、非常に弁解をしているということですね。九億円、これはどういう金なんだということを町民の皆さんが当時大変心配していた、でも、正しく運用していますので御心配には及びませんよということを町側が言っている文書です。

 何でこんな文書を広報に載せなきゃいけなくなってしまったのかといいますと、関西電力から高浜町に振り込まれたはずの協力金九億円、これは寄附金ですね、寄附金が、当時の浜田倫三町長の個人名義の普通預金口座、個人口座に全額入っていたんですよ。個人口座に全額入っていたものを、漁協に三億三千万、一漁協ずつ、七千万、七千万、七千万、七千万、五千万、もう配っちゃいました、三億三千万円は配りましたので、残り五億数千万円と一緒に、町の予算に、ばれたから計上したんですね。

 これはどういうことかといいますと、浜田倫三さんという方は、皆さんまだお聞き及びになっていないかもしれませんが、五期二十年間、高浜町の町長を務められた。まさに高浜原子力発電所一号機の誘致のころから汗をかかれた、高浜原子力発電所の生みの親とも言える最大の功労者です。在任期間が一九六二年十月十日から一九八二年十月九日までの五期二十年間、浜田倫三町長が務められております。

 森山さんとどういう関係だったかといいますと、まさに森山助役をつくった方です。

 森山助役の来歴をひもときますと、森山助役というのは、一九六〇年代、五〇年代、これは京都府の綾部市役所に勤務をされておりました。地方公務員です。

 一九六九年、まさに浜田さんが町長をなさっていたときに、浜田倫三町長から招聘を受け、高浜町役場に奉職しているというふうに事実関係が出ております。その後、わずか七年半で助役にまで駆け上がっていったのが森山栄治さんです。民生課長として入庁されました。その後、総括課長、企画課長、収入役、助役と、わずか七年ちょっとで、まるで光のような速さで昇進をしていった。全て、在任されていたのが浜田倫三町長でございます。

 要するに、浜田倫三町長が森山助役のまさに生みの親であり、最大の恩師、上司であるわけです。

 この浜田町長と森山助役というツートップでこの高浜、特に三、四号機の増設に取り組んでこられたというのが当時の高浜町の構図でした。

 その高浜町に、本来、大臣、関西電力や大臣の御地元、日本原電などございますけれども、電力会社から寄附金というものを、私は、高浜町役場の表の口座に入っているものだというふうに理解しておりますが、そういうことでよろしいですか。今、現代社会においては、電力会社の寄附金というのは、地元の地公団体、町や県の表の口座に入っていますよね。

梶山国務大臣 常識からすれば、そういうことであると思っております。

斉木委員 私もそれが常識だというふうに思っておる。なぜかといえば、個人の口座に入れてしまったら、これも幾ら入ったのか結局わからなかったんですけれども、個人の口座に入れてしまっては、誰に配ったのか記録がとれないんですよ。ですので、これは立地地域の振興のためですから、共生のためですから、立地地域全ての住民に裨益するために、まず町役場や県庁の公的な口座に入れるのが常識だと思うんですね。それが当時、森山助役、浜田町長体制では、まず浜田倫三町長の個人名義の口座に入っていたということ。これは、公平性、使途の透明性ということから、どうお考えですか。

梶山国務大臣 事実の確認はできませんけれども、もし事実であれば、それはおかしなことだと思っております。

斉木委員 では、事実確認をしたいというふうに思います。

 当時の町議会の記録が残っておりまして、県の監査も入っておるんですけれども、まず、浜田倫三町長が七八年、この広報が出された四カ月前の四月の高浜町議会全員協議会で発言をしております。確かにこの九億円は受け取りましたと。

 受け取った時期についても証言をしております。七六年十月、この広報が出されたおよそ二年前ですね、二年前に一億円受け取った、そして、二年前、七六年十二月に一億五千万円受け取った。そして翌年七七年の六月に六億五千万円を受け取ったと、町議会で証言しております。

 そして、その使途についても証言をしております。これは、三億三千万円は、町内に五つあった漁協に配分、既に配りましたというふうに証言しました。具体的には、三億三千万円既に配っていますと、若狭和田漁協に七千万、音海漁協に七千万、内浦漁協に七千万、小黒飯漁協に七千万、高浜漁協に五千万円ずつ、計三億三千万円は既に配ってしまいましたと。ただし、残金の五億数千万円に関しては、町の予算に既に計上したので問題ないでしょうという答弁をされているんですね。

 ただ、私はこれは大問題だというふうに思っておりまして、結局、これに関しては、当時、森山さんは収入役と助役をなさっておりましたので、森山メモに書かれていた数字を見た方がいるんですね。

 当時、浜田倫三町長時代に議長をされていた、一瀬さんという方が町議会議長をされておりました、一瀬さんが後に同僚の町議に語ったところによりますと、いやいや、あれは九億なんかじゃないよ、二十五億だったと森山メモに書いてあったと、当時の議長さんが証言されております。

 要するに九億は、三億三千万円は使っちゃいました、漁協に既に配って、ないです、五億数千万円は町に寄附して移したから問題ないでしょうと浜田町長はおっしゃるんですが、いやいや、十六億円ですね、二十五億引く九億円というのは。十六億円は、ではどこへ行ったんだという話ですよ。

 こういう話が出てきてしまうのも、結局、個人口座に入れているからなんですよ。特定できないんですよ。

 何でそもそも町長が七八年四月に町議会で証言するまでばれなかったのか、それがばれてしまったのか。町長の個人口座に入ったお金というのは、普通はばれないですよね。普通はその個人でしかわかりません。何でばれてしまったかというと、それは、先ほどの漁協に配った金を、漁協が一軒一軒配ったからなんです。一軒一軒、あるA漁協に関しては、一軒当たり五百万円、組合員の家庭に配付をいたしました。B漁協は一軒当たり五十万円配りました。C漁協は、漁協の預金に入れたり漁協の設備更新のために投資をするから、ゼロ円でした。

 要するに、漁師さんの間でも、うちは五百万円もらったよ、いや、うちは五十万だったよ、うちは、いや、もらっていないよ。当然、九割方の町民はもらっていない、漁業権を持っておりませんので、もらっていない。だから騒ぎになったんですよ。

 人口が一万一千人の町、三千数百世帯です。どの家がもらったか、どの家がもらっていないかというのはすぐばれます。ですので、あの金は誰が持ってきたんだ、どこから出た金なんだとうわさになりました。いや、浜田町長が七千万ずつ漁協に持ってきたよという証言もありました。いや、組合長が役場に呼ばれて、判こを持ってこいと、それで七千万円受け取ったという証言もありました。要するに、地元にこういう不透明なまき方をしたがゆえにばれてしまったということなんですね。私は、こういう不透明なまき方というのは非常によろしくない。

 私も地元に帰るとUPZの住人なんですよ。三十キロ圏内に住んでおります。恐らく梶山大臣も東海第二原発のUPZ内に住んでいらっしゃると思います。この高浜やおおいの方々は、五キロ、十キロ圏内、本当に近傍に住んでいらっしゃいますので、ことしもですよ、毎年毎年、避難訓練をしているんですよ。避難訓練というのは非常に本格的でして、高浜町からバスで除染を受けながら兵庫県まで行くんですよ。

 いざとなったら、事故があったら、家も土地も故郷も捨てる覚悟を、皆さんそうやって、毎年毎年、避難訓練で除染も受けながらやっているのに、一部政治家ですよ、浜田さんという特定の政治家の懐に、本来町が受け取るべき九億円とか二十五億円が、一旦町長の口座に振り込まれて、関係者にだけばらまかれていると。うちはもらっていないと。

 これは、立地地域の住民感情からしたら、何のために。それはまさに代償じゃないですか、いざとなったらふるさとを捨てなきゃいけないという代償として、関西電力さんが地元の共生のために、地元に寄附金として贈って、自分たちも裨益すべきですよ、自分たちも裨益すべきなのに、何で特定の政治家の個人口座に振り込むんだというのが高浜町民の圧倒的な声なんですが、大臣、どう思われますか、同じUPZの住人として。

梶山国務大臣 どの立地地域においても漁業補償等がございますけれども、本来、そういった金銭につきましては、正式に漁協に電力会社から行くか、それとも自治体からという形になると思いますので、個人口座にまず入ったこと自体が信じられないということと、それをまたその個人口座から漁業補償という形で資金提供しているということも、これは所得税との関係もあろうかと思いますけれども、実際には信じられない思いであります。

斉木委員 私も全く信じられません。

 ただ、これは残念ながら事実でして、まず、町議会で、もらった浜田さん自身が証言されたという決定的な事実がございます。県当局も、当然福井県側も把握をいたしまして、一九七八年、この広報が出された二カ月前、六月一日に、事実関係の確認を、県の大竹邦実県地方課長が高浜町総務課長の浦賀喜蔵さんに説明を求めました。そのときに、この九億円については、全て一旦浜田倫三町長の口座に振り込まれて町の諸収入と五漁協への振興費に振り分けられたと浦賀喜蔵高浜町総務課長は答えました。

 ただし、総額幾らの協力金が浜田さんの口座に振り込まれたのかわかりません、振り込まれた時点もわかりません、現時点一九七八年時点で口座に幾ら残っているのかわかりません、金利は幾らになったのかわかりません、管理責任者ではないので町側も把握できませんというふうに答弁をしております。

 要するに、個人口座だから、預金通帳を持っているのは町長なんですよ。町長が開示しない限り、誰も、九億だったのか二十五億だったのかすらわからないという極めてずさんな寄附金の渡し方なんです。

 これは、大臣、そもそもどういう意図で関西電力は浜田倫三町長の個人口座に振り込んだんですかね。当時、高浜町役場には歳入歳出現金口座がありました。歳入歳出外現金口座がありました。二つの公の口座があったんです。普通はそこに振り込みますよね。なぜ浜田倫三町長の個人口座を振り込み先に選択したんですか。

梶山国務大臣 振り込んだ電力の真意はよくわかりませんけれども、振り込んだ以上は個人の所得とみなされるのが普通だと思います。当時、もう四十年前のことでありますから、どういう扱いにされたのか、また、しっかりと町の監査機能が働いていたのかどうかということも疑問が残るわけであります。

斉木委員 まさに、これに関しては住民監査請求が起こりまして、ただ、住民監査の町側の結論は、不採択、監査せずということだったんですよ。要は、一年半から二年もたっているので時効でしょうと。それと、あと、適切にこれは執行されている、だから監査しませんという答弁だったんですね。要するに、個人口座に振り込まれてしまうと、もうそこから先、解明しようが全くないという非常にずさんな関係でして。

 森山メモに二十五億と書かれていたという証言も出てきておりますので、これは本当に、森山さんそして浜田町長というツートップで、当時、高浜町の原子力発電所三、四号機の増設が進められておりました。

 要するに、漁協さんに配るときに、実は、これは一、二号機から更に十年近く、七四年ぐらいに運転、運開しておりますので、そのときに漁業権は既に消滅しているんですよ。一、二号機を新設をして運転するに当たり、温排水の影響が出ますので、この五漁協にかかわる当該漁業権というのは消滅をして、まさに漁業補償という形で消滅をいたしました。それになおかつ配るためには、こういった不透明な渡し方をしたのかなというように推測をされるところでございます。

 そして、ここでやはり問題になってくるのは、今回の構図が非常に似ているんですよね。ばれたから、これも要するに、地元で、うちは五百万もらった、うちはゼロだ、おかしいじゃないかという住民たちの声でばれてしまった事例です。一年半、この広報が出される二年間、町長さんは黙っていたわけですよ、もらったことを。

 ばれたから計上するというやり方は、関西電力の今回の調査報告と全く私は同じだなというふうに思っておりまして、調査報告書が出ましたね、今回。平成三十年九月十一日ですよ、調査報告書が出たのが。今は、要するに一年以上たっているわけです。九月二十八日でしたよね、報道が出たのが。要するに、報道でばれたから、いやいや、調査報告書をつくっていましたと。ばれたから、もらっていましたと。これもそうです。浜田さんも、ばれたから、もらっていましたと。こういう不透明なことを、関西電力が配り方をして、全て亡くなった浜田さんと森山さんのせいにするのはいかがなものかなというふうに思うんですね。

 これだけ町長の個人口座に不透明な、要は裏金ですよ、裏金という形で渡して、地元対策というのは、要するに漁協が反対の声を上げそうになった温排水の問題があるから、いや、三、四号機の増設には反対だというふうに言いそうになったら、七千万円それぞれ配っていくとか、それぞれ、反対を言いそうになった方のところに浜田さんや森山さんがこのお金を持っていって、地元の説得を試みていた、その原資になっていたんじゃないのかという非常に不透明感が出てくるんですけれども、大臣はこの点、どういうふうにお考えですか。

梶山国務大臣 昭和五十年代ということで、今さら確認のしようもないんですけれども、当時もう私も社会には出ていましたけれども、そんなずさんな金銭のやりとりがあるのかなというのが正直な心境であります。

 本来は、しっかりと、漁業補償であってもそうでないにしても、協力金とか寄附金という形で処理をするべきであると思いますし、個人でいただけば個人の所得ということで、国税なり地域の税務署が対応するということになろうかと思います。常識的にはそういうことだと思っています。

斉木委員 梶山先生も経済産業大臣に就任されたわけですので、この資金の流れ、まさに電力事業者、旧一般電力事業者の監督者として、こういった不透明な寄附金のまき方を今もしているのかどうか、そして、特に関西電力に関しては国民の関心が高うございますので、過去、こういった、公的口座ではなくて政治家の個人口座に振り込んで、ばれたら町の予算に入れるというような不透明なまき方をしていなかったのかというのは、私は経済産業省、経済産業大臣が先頭を切って調査すべきだと思うんですが、大臣のお考えはいかがですか。

梶山国務大臣 先ほど申し上げましたのは、昭和五十年代の町長と助役のやりとりについての感想であります。

 現時点で関西電力がもしこういうことをやっていれば、大変世間の信頼、またステークホルダーの信頼を失うことにつながっていくと思いますし、そのためにも第三者委員会においてしっかりとした真相究明を行うべきであるという思いを持っております。

斉木委員 第三者委員会、私は、この件は調査すべきだと思うんですけれども、多分調査対象にならないのではないかなという危惧を持っております。

 なぜかと申しますと、今回のこの一連の報告書も、森山元助役から関電の旧経営陣が幾らもらったのか、なぜもらったのか、どのようにもらったのかという、森山さんと関電との関係についての調査が行われております。それで、第三者委員会、岩根社長が任命されたのも問題だと思いますけれども、第三者委員会の今後の調査も、当然森山さん絡みのお金ということに集中されるんだろうなというふうに思っております。しかも、これは一九七〇年代の出来事ですので、まさに森山さんが助役として実権、権力を握っていたときの一番問題なお金の流れなんですけれども、でも、振り込まれたのは浜田倫三町長の口座ですよね。それを理由に、私は調査対象にならないと思うんですよ。

 やはり、そういった意味でも、こういった、もう町長自身が認めて、県も聞き取り調査をし、福井県の公式の文書にも載っている、もうこれは事実ですので、こういった事実が出てきた以上、旧一般電気事業者の監督者として調査すべきなんではないですか。原発マネーがどういうふうに、誰にどのようにまかれているのかというのは、国民は非常に今関心を持っているんですよ。

梶山国務大臣 先ほど委員からもお話がありましたけれども、昨年社内調査をいたしました。そして、社内調査についての報告が、新聞に出たということも含めて、先般記者会見もあったわけでありますが、到底社会の信頼を得ない調査でありましたし、また記者会見でもあったと思います。

 そういった中で、第三者委員会をつくって調べるということで、その第三者委員会をつくる前に、私どもは記者会見の直後に報告徴収命令を出したところでありますけれども、その中身につきましては、森山氏の関係調査、また類似事案があったかどうかの調査もしてほしい、また、当時からこれまでの会社の対応ということで、調査事項についてその報告徴収命令の中で言っているわけであります。

 そういったものが、どこまでやるかということなんですが、但木第三者委員会の委員長は、徹底的にやる、四人の委員がおいでになりますけれども、四人の意見が一致するまでやりたいということを言っていますけれども、後ろの区切りはありますけれども、徹底的な調査の結果を待ちたいと思っております。

斉木委員 今、但木委員長の名前が出ましたので、その点に関しても、私は第三者委員会の客観性が非常に危ういんではないかなと思っております。

 なぜなら、但木さんを任命されたのは岩根現社長ですよね。やめていく経営者、要するに、お金を受け取っていた経営者が任命してくれた、要はお金もくれる任命権者ですよ。任命権者の恥をさらす第三者委員というのはどこにいるんですか。本当に手心なく調査してくれるんですか、そういう人が。

梶山国務大臣 第三者委員会の委員の選定プロセスにつきましては、十月九日に開催された臨時取締役会で決まりました。岩根社長を含め特別の利害関係を有する取締役は退席した上で、その設置が決定されたものと承知をしております。委員の選定のプロセスが不適切であったとは思っておりません。

 そして、第三者委員会は、日弁連のガイドラインに沿った上でしっかりと対応をしていただけるものと思っております。

斉木委員 似たような巨額疑惑事件といえば日産の例であるとかありますけれども、あれも、西川さんの例は、大体、企業は、本当に洗いざらいうみを出そうと思ったら、経営者がまず退任をします。社長も会長もやめて、新経営陣が過去のうみを出すということで第三者委員長を選任し、委員を選任するのが筋ではないですか。

梶山国務大臣 今、日産の例が出ましたけれども、日産の場合には、ガバナンス改善特別委員会ということでして、カルロス・ゴーン氏が東京地検特捜部に逮捕された後に、同社の健全なガバナンス体制のあり方を提言することを目的として設置をされたものでありまして、第三者委員会とは位置づけが異なるものだと思っております。

斉木委員 第三者委員会の客観性に関しては若干押し問答になってまいりましたけれども、要は地元の住民の不満に応えてほしいんですよ。結局、これは闇の中にあるんだろうなと。第三者委員会も、当時の浜田倫三町長、森山助役のツートップに対して、関電から九億円が振り込まれましたというのは浜田さんが認めました。しかも、個人口座で受け取っております。配ったことも認めています。

 では、総額幾ら来ていたのか。二十五億だったという当時の議長の証言もあります、森山メモに書いてあると。では、十六億はどこに配ったのか、それとも着服したのか、それとも政治家に、どういう方に配ったのか、そういった声も現に町会議員さんとか地元区長さんの間では非常に多いです。

 ですので、まさに社会の信用がなければ、特に立地地域の信用がなければ原子力事業は成り立たないと所信でおっしゃいましたよね、大臣は。まさにそこの社会的、特に地元の信用が完全に崩れているわけですよ。それはまさにこの不透明なお金の配り方ですよ。

 本来、私たちはふるさとも捨てる訓練を毎年やらされているのに、何で町長ばかり九億も二十五億も受け取るんだと。そして、一部の関西電力の経営者、その下請の建設業者、そして漁協の役員、そして森山さんや浜田さん、政治家と高級公務員とそして建設会社と関電の役員ばかりが、お金を自分たちで出し合って、ぐるぐるぐるぐる回しているじゃないか、九割方の地元住民には落ちていないじゃないかという非常に大きい不満の声があるんですけれども、どうお応えになるつもりですか。どう社会的信用を取り戻すつもりですか。

梶山国務大臣 四十年前の話が今も不信につながっているということでもありましたけれども、今回の件に関して、まずは第三者委員会で事実の究明をしていただく、その上で報告徴収義務に従って報告を出してもらう、そして、それが不足なものであれば、再度報告徴収を出すことになると思います。そして、それが出た上で厳正な対処をしていきたいと考えております。

斉木委員 では、大臣、もし、この浜田倫三町長に一九七六年から九億円がまかれたということは浜田さんは認めました。一体、総額幾らだったのか。浜田さんが誰に配ったのか。これは調査報告書に、関電が出してくる調査対象ではなかったら、再調査なり経産省独自調査をされますね。

梶山国務大臣 きょうは、委員の資料で初めて私も目にすることでありますので、それはしっかりとまた検討をしてまいりたいと思います。

斉木委員 検討というのは、霞が関用語では、しないというようなこともございますので、これは次回、委員会などで私も継続して質問させていただきますので、まず、この事実確認、しっかりしてください。

 そして、大臣、だってこの委員会でおっしゃったじゃないですか、もし仮に個人口座に振り込まれていたとしたらゆゆしき事態だ、信じられないとおっしゃいましたね、先ほど。まさにそうですよ。地元住民も信じられないんですよ。ゆゆしき事態ですよ。これは、まさに原子力事業を推進する立場として、社会的信頼を取り戻すためにこの調査は必須だと思うんですが、お考えはいかがですか。必須ではないということですか。

梶山国務大臣 今回の事案を追及するに当たって、過去において類似例がないかどうかということも調べていただくことになっております。そういった中で、今、委員からの提示もございました。それが事実であれば大変なことだと思いますし、ただ、四十年前にさかのぼって調べられるかどうかという現実の問題もあろうかと思います。

 私どもは、しっかりと真実を追及をしていく、その上で厳正に対処をしていくという方針に変わりはございません。

斉木委員 これは、まだ今の御答弁だと、高浜町民そして大飯町民、福井県嶺南地域の美浜、大飯、高浜の関西電力の原子力発電所の地元に住んでいる町民の方々は納得しないと思いますよ。

 すごいリスクなんですよ。夜、寝ている間も、今、高浜の三、四号機、大飯の三、四号機は運転しているわけです、動いているんです。夜、寝ながらも事故のリスクを抱えているんですよ。何か夜中でも事故が起きたら兵庫県まで避難しなきゃいけない、除染を受けつつですよ。そういった訓練も日常的にやっているのに、今のような、関西電力の調査を待って厳正に対処していきたいという、非常に包括的、総括的、腰の引けた答弁では地元住民の方は納得されない。

 今の高浜の一、二号機と美浜の三号機、関西電力が所管する四十年超の原子力発電所は来年再稼働を目指しておりますよね、それを推進される立場ですよね、梶山大臣は。まず、推進されるお考えなのかどうか、お聞かせ願えますか。美浜三、高浜一、二に関して。

梶山国務大臣 原子力規制委員会の審査を通ったものであれば、その次の時点で、住民の理解を得ながら再稼働をしていくというのが政府の方針であります。

斉木委員 まさに住民の理解とおっしゃった、そこなんですよ。

 いざとなったらふるさとを捨てるという覚悟を求められているのが立地地域の住民の方々です。私の地元です。その代償として、こういうふうに、共生協力金、地域振興協力金、そして電源三法交付金、電源立地地域対策交付金、さまざまな交付金、税金原資ですね、電力料金を原資とした寄附金、そういったものが地域共生のために、皆様の御理解のために、まさに住民の理解のために行われているというふうに思っています。

 私は、これは地元の、何というか、誇りも思いも極めて大きく傷つけたと思っています。

 何で、そもそも一九六〇年代に高浜の一号機、二号機の建設から、高浜町民の方々、嶺南の方々が原子力発電所を地域に受け入れたのか。これは、当時、非常に、漁村、寒村と言われておりました。道路もないので、道路を半島につくるためには、原子力発電所をつくり、そこに通る道を舗装してもらうためには必要だというふうに言われました。要するに、産業、地域を豊かにするための地域振興策として、やむを得ずですよ、やむを得ず受け入れて、そのかわり地域振興を電力会社や国にしてもらう、注力してもらう、地域振興のために受け入れたんですね。

 それが地域振興ではなくて、これを見てしまうと、浜田町長への九億円の証言を見てしまうと、何だ、何のために浜田さん、つくったんだ、自分が関電から九億円もらうためかと。そして、関電の経営者は何のためにつくったんだ、自分が森山さんから小判をもらうためかと。建設会社は仕事をとるためか、漁協は不透明なお金を町長から、個人口座から受け取るためか。要するに、町民の大多数が知らないところでこういった不透明なお金をぐるぐるぐるぐる、利益を得る人たちだけが回していたという、こういう構図は、今回で、もうこの五十年間のうみは断ち切る必要があると私は思っているんですよ。大臣、そのお考えはないんですか。

梶山国務大臣 ないと断定しないでください。しっかりと調査をしていくと言っておりますし、今出された、急に出されたものに関して、どう評価するかということを問われても、検討するとしか言いようがございません。

 これは、二〇一一年の三月十一日の東日本大震災、福島第一原発の事故以来、国民の思いというのは変わっております。そして、それをもとに規制委員会もつくられたわけであります。そして、その審査基準も変わってきたわけであります。それを通した上で、また、二〇一一年の、意識が変わった国民や住民の理解も得ていくということで、そういう形で原発の再稼働をしていくわけでありまして、簡単に私もできるものだとは思っておりません。

 私も、五キロ、十キロ圏内に住んでおります。そういった思いも含めて、しっかりこの件には対応してまいりたいと思っております。

斉木委員 まさに五キロ、十キロ圏内の当事者としての力強い御答弁を拝受いたしましたので、この件に関しては、ぜひ、持ち帰って調べていただいて、まず事実関係を、本当に、幾らもらっていたのかと、これはもう関電に聞き取り調査された方がいいと思いますよ。

 浜田倫三町長は、当時の住民監査請求とか、野党側とか町議会議員の請求に対して、もう終わったことだ、いいじゃないかそんなことはと言って追い返したそうです。

 これは、私、関西電力のやり方も露骨だなと思っているのは、結局、森山さんも浜田倫三町長も、やめた後、死ぬまで関連会社、子会社の顧問としてお金をもらい続けていたんですよ。この浜田倫三さん、町長に関して言えば、ニュースにもなっておりますけれども、一九八二年十月に退任されました。翌年一九八三年、もう、すぐです、数カ月後には、関西電力の子会社の環境総合テクノスの顧問に就任しております。亡くなられたのが二〇〇五年二月九日です。その二〇〇五年まで、九十か九十一ですけれども、九十歳、九十一歳で亡くなるその日まで顧問として給料を関西電力は払っていた。まさにこれは口封じじゃないですか。

 もう本当に、亡くなるまでずっと給与を与えて、お金を配り続け、要するに、関西電力にとっては、当時、浜田さんが現役の町長のときに、幾ら関西電力からもらって、誰に配って、幾ら配ったのか、これをしゃべられたら非常にまずいわけですよ。

 同じことは森山さんにも言えます。これは、森山さんから高圧的な態度で受け取らざるを得なかったといいますけれども、私はそれは全く逆だろうと思いますね。森山さんにしゃべられたら困ったのは関西電力だと思いますよ。森山さんが助役を退任されたのは一九八七年五月です。高浜町助役を十年間勤めて退任をされております。そして、同じ年に関電プラント、これは関西電力の原子力発電所のメンテナンス、工事を行う一〇〇%子会社の顧問を、亡くなる前年の二〇一八年まで、最近、二〇一九年三月に九十歳で森山さんは亡くなっておられますので、その前年の二〇一八年まで、関電プラント顧問としてずっと給料を払っていたのが関西電力ですよ。まさに同じ構図です。

 お金を個人口座に払って、地元対策としていろいろな人に運動してもらった、しかもそれはお金つきで。運動してもらった見返りに死ぬまで子会社の役員として雇用し、九十歳ですよ、通常、九十歳まで顧問として給料を払って雇用するというのはあり得ないと思うんですが、大臣、浜田さんが亡くなる直前までお給料をもらいながら関電の子会社に雇用されていたのは何のためだと思われますか。社会的常識から見て長過ぎると思いませんか。

梶山国務大臣 予断を持ってお答えはできないと思いますけれども、普通、会社であれば、顧問とか相談役というものも、できるだけある程度のところで退いていただくというような今流れの中で、九十歳というのは、個人の感想としては長く抱えているなという思いがいたします。

斉木委員 要するに、もう私は、今回のこの五十分余りの審議を通じて、関電が、いや、これは森山さんのキャラクターのせいなんだ、押しつけが、非常に押しが強くて、返すと怒ったからもらっちゃったんだという理屈はもう通じないと思いますよ。

 森山さんが助役のときに、これだけの不透明なお金を町長と森山さんに渡して、ばれた分は予算に計上されましたけれども、森山メモにあと十六億あったというふうに記載されているわけですから。これが要するに、もう完全に地元運動、地元工作をずっとこのお二人に依頼をされていたわけです。そのお二人から、当然、もう要するに共犯関係、一蓮託生の共犯関係にあったと私は思うんですけれども、大臣、この五十分お聞きになって、関電の今回の十月の一連の三度の会見、どう思われますか。森山助役のキャラクターだ、高圧的だからもらったのはいたし方ない、森山さんのキャラクターゆえなんだという言い分は通用するんでしょうか。

梶山国務大臣 昨年の関電の社内調査、そしてそれに基づいた記者会見を私も拝見をしました。まだ大臣の就任前でありますけれども、やはりこれは、そういう言い分が通るのかという、世間の方が思うような思いを私もしているわけであります。ですから、経済産業省としても報告徴収命令を出しているということであります。斉木委員とのやりとりの前からそういう思いを持っているということであります。

 ですから、まずは事実の確認ということで、現状は、幾つにも分けて調査をするというよりも、第三者委員会で全ての情報にアクセスできるという前提で、まずは第三者委員会に調査結果を出していただく、そして関電からの報告をいただくということになると思いますけれども、その上でどう厳正に対処していくかということだと思っています。

斉木委員 ちょっとオーバーラップしますけれども、私は、第三者委員会の調査を待つのではなくて、仮に、経産省、梶山新大臣として旗を振って調査をしないということ、まず第三者委員会が先だとおっしゃるのであれば、第三者委員会にこの件も、浜田町長はなぜ政治家の個人口座に振り込んだのか、幾ら振り込んだのかは調査対象に加えるべきだと進言すべきだと思うんですが、そのお考えはないですか。

梶山国務大臣 先ほどから申していますように、この資料をきょういただきまして、きょう初めて見させていただきました。

 その事実関係も含めて、どうなのかということを検討して、また、調査の必要性というものも検討したいと思います。

斉木委員 わかりました。

 この件に関しては、次回の委員会で、まず事実関係を持ち帰って確認をしていただいて、その上でどう対処されるかのお考え、次回、私の質問にお答えいただきたいというふうに思います。

 これをきょう五十分ぐらい御質疑させていただいて明らかになってきたのは、森山メモの重要性ですね。今回、九月二十八日に報道が出たのを金沢国税局が調査をされて、いわゆる課税逃れの調査の一端として森山のメモの存在が報道をされ、そして関電の三度の会見につながったというふうに承知をしております。

 今回の浜田倫三町長への不透明な個人寄附、町に支払うべき寄附金が個人口座に入っていたり、非常に不透明な事案ですけれども、これも二十五億だったと記載されていたという当時の町議会議長の証言もございます。要するに、森山メモというのは、この原子力をめぐるお金が、一体誰に、いつ、幾ら払われていたのかが克明に記されている非常に貴重な物証だというふうに思うんですけれども、国税庁、きょう来ていただいておりますが、私は、国家公務員法の守秘義務もあると思います、そして税務調査上のクレディビリティー、会社経営者であれば、調査対象者からの国税に対する信頼感、資料を出していただくモチベーションを担保する意味でも、通常は非開示になっているというふうに私も承知はしておりますが、事は、非常に国民的関心が高く、原子力行政の今後に、地元の信頼感が得られるかどうかを左右しかねない。今後、高浜一、二号機、美浜三号機の再稼働を含めて、今後の日本の原子力行政に対する国民の信頼感を大きく左右しかねないと私は思っております。

 今回、国側、政府が森山メモをしっかりと出すことができれば、本当にうみを出すという政府の本気の姿勢をアピールする絶好の機会だと思うんですが、国税庁、出す気はないですか。開示するおつもりはありますか。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 今委員からも守秘義務についてのお話等がございましたが、まず、我々国税職員には非常に重い守秘義務が課せられてございます。したがいまして、まず、個別にわたる事項につきましては、調査を行ったかどうかということも含めて、対外的には言及しないということとしているところでございます。

 したがいまして、今お尋ねの件、金沢国税局が調査を実施したのではないかということを前提にお聞きになられていると思いますが、そうしたメモについてお答えすることはまず調査を行ったかどうかといったことにつながるため、お答えをまず差し控えさせていただきたいと思っております。

 したがって、一般論ということでお答えするしかないわけでございますが、私ども国税庁では、申告納税制度のもとで税務の執行を円滑に行うために、納税者の信頼と協力を得ることが必要でございます。もし税務職員が職務上知り得た秘密を漏らすとすれば、納税者と国税当局との信頼関係が損なわれ、ひいては申告納税制度を基本とする税務行政の運営にも重大な支障を来すことにもなりかねないと考えてございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、個別にわたる事柄につきましては従来から答弁を差し控えさせていただいているというところでございます。

斉木委員 今の、開示するつもりはないという御答弁をお聞きすると、本当に現政権は、原子力をめぐる、不透明なというかお金の流れを開示する気があるのかな、うみを出し切る気があるのかなという疑念を持たざるを得ないんですが、過去、こういった政治と金、そしてエネルギー政策、原子力政策と金、いろいろな場面で国会でも問題になりました。

 過去、私はロッキード事件のときにはそういった税務調査資料などは国会に対して開示されたことがあると記憶しておるんですが、そういった税務調査資料、国会の要請に基づいて開示したという事実は日本にはないんでしょうか。

重藤政府参考人 今委員からも言及がございましたが、過去、国会におきまして個別の事例についてお答えした事例といたしましては、昭和五十年に衆参の決算委員会で報告をした事例、あるいは、昭和五十一年それから五十三年にかけて、衆参のロッキード問題に関する特別調査委員会において、個別事例について報告を行ったことがあるというふうに承知してございます。

 ただ、これらの事案につきましては、元総理大臣に係る事案について、政府として極めて慎重な検討を経て、総理大臣から表明された政府統一見解に基づいて報告を行ったもの、あるいはまた、衆参の本会議で、徹底的な真相の解明や米国政府等に要請を行うといったことが決議されたといったことも踏まえて、政府として極めて慎重な判断のもとに報告を行ったものでございまして、極めて特別な事案であるというふうに考えております。

斉木委員 私は、今回も極めて特別な事案ではないかなと思います。

 これは、ここでうみを出し切れるか、うみを本当に政府が出すつもりがあるかというのは、今後の美浜三、そして高浜一、二の再稼働にとどまらず、今後の日本の原子力政策をまさに左右する分岐点ですよ、ここは。本当に過去のそういったお金、原子力をめぐる不透明なお金の流れ、私利私欲のために原子力を地元に引っ張ってきたんじゃないのかと誤解を招かれないような、そして、経営者が自分の私腹を肥やすために推進したんじゃないのかと、これでは疑われてしまいます。

 まさに政府がエネ基でうたっていらっしゃる、今後、二〇%は原子力で賄うという、三十基の再稼働が必要ですよね。ということは、それに向けて、本当に立地地域に信用していただけるかどうかのまさに分水嶺、まさに特別な、非常に重要な事案だと思っておるんですが、大臣にそういった重要な事案であると、仮にこれが事実だとしたら、重要な事案であるという御認識はないでしょうか。

梶山国務大臣 事実の確認また究明は今やっているところでありますけれども、大変大きな、重要な問題であったと思っております。

斉木委員 私は、委員長にも一言申し上げたいんですが、きょう、参考人として岩根茂樹関西電力社長の出席を求めました。残念ながら、与党側が理事会で、この岩根茂樹社長の参考人招致に関しては不同意をずっと貫いていらっしゃるというふうにお聞きをしております。

 私は、これは関西電力が第三者委員会の報告を待ってという隠れみのにしかすぎないだろう、自分がもらっていた岩根さんが、本当に自分のうみも含めて、そして会社の過去の、原子力発電所、高浜一号機からつくってきた歴史も含めて、どういったお金のやりとり、地元とのやりとりをしていたのか本当につまびらかにする気があるのか、つまびらかにする気があるのであれば、この場に出てきて私の問いに答えていただけるものだと思っております。

 ですので、与党側も同意していただけない、それはいたし方ございません。最低限、今、予算委員会でもこの関西電力の資金還流疑惑に関しては集中審議を野党側から要求していると思います、当委員会、経済産業委員会においてもこれは当然、エネルギーを所管する委員会ですから、集中審議を設けるべきだと考えますが、委員長、お考えはどのようでしょうか。

富田委員長 先ほどの質問ですが、関電の第三者委員会で調査中であるからという理由だけではなくて、与党の理事の方から、私企業の参考人招致には慎重であるべきだという理由も付されていましたので、その上で筆頭間協議を続けていただいておりますが、合意に至りませんでしたので、今回の委員会では参考人招致は見送ることにしました。

 今後、この委員会でどのようにしていくかについては筆頭間で協議していただくことになっておりますので、それを踏まえて委員長として判断していきたいというふうに思います。

斉木委員 ありがとうございます。

 この件は、まさに経産委員会の一番の課題と言っても私は過言ではないというふうに思っております。まさにクレディビリティーが損なわれている状況でございますので、まずきょう大臣に再確認していただきたいのは、きょう初めて知ったから、事実関係を含めてちょっと答えられないという部分がありました。ですので、持ち帰っていただいて、しっかり関西電力にもヒアリング、福井県庁であるとか高浜町役場であるとか関西電力であるとか、関係者にしっかり聞き取りを行っていただいた上で、次回、どのようにこの件を経産省として独自に調査する気があるのかないのか、第三者委員会に進言をして調査対象に加えるのかどうか、そういったお考えをぜひ聞かせていただきたいというふうに思いますが、お約束いただけますでしょうか。

梶山国務大臣 先ほど申し上げたのが全てでありまして、きょう初見、初めて見たという形になりますので、この事実関係についても、実際のこの広報紙が配られた時期、そして実際そういうものなのかどうかも含めて検証し、検討してまいりたいと思っております。

斉木委員 そろそろ時間も参りますので、総括的な質問に移りたいというふうに思いますけれども、私は、関西電力は、福井県、特に嶺南地域にとっては絶対に必要な企業だと思っているんですね。地域に大きな雇用を生み、固定資産税収を生み、地域の基軸産業の一つである、これは疑いようのない事実です。

 ですので、関電が要らないとか過激なことをおっしゃる方もいますよ、脱原発を唱える方々はいらっしゃる、だけれども、現実に地域に大きな雇用があるのであるから、これは地域振興のために誘致した。ちょっと、お金の流れは全く地域住民の思いとは違って、一部政治家にしか還流していないとか、いろいろな事案は出てまいりましたけれども、今回は、そういう五十年間のうみを洗いざらい出す絶好の機会だと思っているんですよ。

 これを、この国の原子力にまつわるお金の流れを全部表に出して、特に地元にどういうふうに、会社から、そしてさまざま、そこから政治家ルート、どういう形で流れていたのか、それを全部、森山メモをできれば開示をしていただいて、その上で御納得をいただくという、まさに透明性というのが、社会的信用、地元地域の信頼醸成には欠かせない要件だと思っておるんですが、大臣、その点は御認識は一緒でしょうか。徹底的な透明性に対する御認識。

梶山国務大臣 電力事業というのは公益性を持つ事業でありますので、社会との信頼関係がなければ成り立たないと思っております。

 そういう意味では、しっかりと情報開示をして透明性を持っていくということは大切ですし、これからの、例えば投資が必要になる場合においても、そういった方々に対する、投資家に対しても情報の開示というのは当然必要になるでしょうし、いろいろな意味で、信頼、そうした情報開示というのは重要であると思っております。

斉木委員 本当に重要であるというお言葉をいただきましたので、次回、非常に徹底した、持ち帰り調査をされて、御答弁いただけるものと期待をしております。

 今回の問題は、私は先ほど、ロッキードは元総理の案件だから特別だ、そして、本会議でも非常に時間を費やして開示するかどうかに関しての検討も行われたやに国税庁の担当者からお聞きいたしました。私は、この森山メモを開示するか否かに関しても、これはロッキードと同じように、重要性を持って、本委員会でも、そして本衆議院の本会議でも、参議院でも扱うべき事案であるというふうに思っております。

 これはちょっとお答えいただけないと思いますので、これはそれだけ国民の関心も高く、信頼を取り戻すには全部出し切ることですよ。全部出し切らなければ信頼は返ってきません。そのことを申し上げて、次の質問者に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 皆様、こんにちは。お疲れさまでございます。立憲民主党、衆議院議員の山崎誠でございます。

 私、エネルギー政策をずっと質問させていただいておりまして、きょうも梶山大臣には、就任早々ではございますが、少し突っ込んだお話も含めてお聞きをしたいと思います。私は、内閣委員会でも御一緒、御質問させていただいたことがありまして、大変誠実な方で、信頼を寄せております。ですので、質問の内容によっては参考人の方にお答えいただいても構いません、前向きな議論ができればと思いますので、よろしくお願いします。

 まず、実はちょっと、これは質問通告にはないのですが、一点だけ。昨日の夕方に記事が出まして、ちょっとそれを見たもので、基本的な事項なのでぜひこれはちょっとお答えをいただきたいと思うんですが、原発の新増設に関するお話でございます。

 政府の見解は何度もお聞きをしていまして、原発の新増設については考えていないということで答弁をいただいています。

 宮川委員も以前にも質問していたんですが、上関原発、中国電力、ニュースが飛んできたのが、ボーリング調査を今月の十四日から来年の一月三十日までの予定で開始をするよということ、それも海域での地下を掘るボーリングをやるというお話が出てまいりました。

 御存じの方も大勢いらっしゃると思いますが、この上関原発の立地地域は本当に瀬戸内海の大事な自然が残っている地域でございまして、政府の方針でいけば原発新増設はしないわけですから、この上関原発のボーリング調査をする意味はないはずなんですよ。ですが、重要電源開発のうち一点ということで残っておりまして、中国電力はそれを理由にいつもこの工事をとめようとしないというか、まだペンディングしている、そして今回、このボーリング調査という話も出てきました。

 梶山大臣、申しわけないんですけれども、原発の新増設はやらないという方針を確認させていただきたいのと、今ボーリング調査、そういう政府の見解の中でこのボーリング調査をやろうとしている中国電力に対してのコメントをいただきたいんですけれども。

梶山国務大臣 山崎委員がおっしゃるように、現時点では新増設、リプレース等は考えておりません。

 中国電力のこのボーリングについて、今急に私にもメモが入ってきたんですけれども、設置許可が未取得であります。それで、福島事故後に準備工事は中断をしておりました。

 これまでも、安全対策につながる地質調査、ボーリングも含めて実施をしてきたところであります。今般、これまで収集してきたデータを補強するために異なる手法でボーリング調査を実施するもので、海上でのボーリング調査は初めてということになると聞いております。

 この調査の実施に当たり、中国電力は必要な許認可は取得済みということですので、このボーリングに関する許可に関しては全て取得した上で行っているということでして、これが原発の建設につながるつながらないは別として、この調査については中国電力の責任において行われているものと思っております。

山崎委員 明らかなことは、原発を建設しなければこのボーリング調査はする必要ないんですよ。原発をつくる前提での調査はもう間違いありませんので、これはもうここでやめますが、ぜひ大臣、これは、今の方針、現時点ではということであるならば、現時点ではこのボーリング調査の必要はありません。

 その現時点がいつになるかですよ。私はすごく、いつもその前提をつけてお話をされるから、どこかでこの現時点がとれるのではないかと非常に不安でありますが、現時点で計画がないのであれば、このボーリング調査はやらないようにぜひ指導していただきたい、あるいは延期、見合せを指導していただきたいと思いますが、御答弁いただけますか。

梶山国務大臣 これも今頂戴した質問ということですので、実情をしっかりと調査をしてみたいと思います。

山崎委員 ぜひこれは、現時点では新増設はしないという政府の方針に従えば、貴重な上関の自然を壊してまでボーリング調査を今やる必要はないと思いますので、ぜひ御指導ください。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 関西電力の疑惑のお話。今もずっと斉木さんの話を聞いていて、やはりもうこれは徹底的にうみを出していただきたいのは同感でございまして、私は今までも、いろいろな野党のヒアリングでも経産省のスタンスを聞いてきましたが、その第三者委員会に任せるんだと。それで、報告徴収まではした。これはもう法的に、電事法に基づいた正式なもので、大変厳しいものだと思います。そこまでやっておきながら、何でこの第三者という名目の委員会、決してこれは第三者ではありませんよ、だって関西電力が人選をしているんですよ。

 関西電力の書類の中にはこう書いてあるんですよ。「具体的な調査対象の範囲、調査手法については、本委員会が当社と協議したうえで決定する。」とあるんです。範囲と手法を会社と協議して決める委員会が、何で第三者と言えるのか。私は、これは第三者委員会とは呼べない。社内の調査委員会です。それに結果を委ねる、その結果を待つという姿勢自体が、私は経産省としては間違っていると思います。

 一点、ちょっと具体的にお聞きしたいんですけれども、この調査委員会の委員に対する報酬というのは幾ら払われているか、わかりますか。

梶山国務大臣 これは関西電力から支払われるということで、私自身は存じ上げません。

山崎委員 それで、この委員会が本当に公正中立に、第三者性を持って調査ができるという。私は全然わかりません。

 例えば、極端な話ですけれども、各委員に一億円配られていたとする。いや、極端な話、そういうのがあるかもしれませんよ。そうしたときに、この委員たちが、関西電力に遠慮をして、そういう可能性だってあるじゃないですか。

 だから、私は、ぜひ、経産省として、この委員会が第三者で、その報告を待つに値する委員会だということを言うのであれば、ぜひともそういうところも含めて調査をして、公に、この委員会は問題がないんだ、この委員会を経産省としても認めて、第三者性を確認した上で調査の報告を待っていただきたいと思いますが、いかがですか。

梶山国務大臣 先ほども別な方との質疑の中でありましたけれども、企業のガバナンス、またコンプライアンスというのは、しっかりとそれぞれの会社が組み立てていくものだと思っております。そういった中で、不祥事が起きた場合に、日弁連のガイドラインに従って、全ての情報にアクセスをできるという中で選ばれた第三者委員会の委員であると思っております。ここで徹底的な調査ができると私どもは思っておりますし、まずは、そこからさまざまな対応をしてまいりたいと思っております。

山崎委員 今のは、私は非常に不誠実なお答えではないかなと思います。

 だって、報酬もわからない。報酬を関西電力からもらっている委員が、どうやって中立だって言えるのか。それが幾らかもわからない。もちろん、それは、今回こういう事象ですから、ぜひともそういったところまで明らかにしていただきたい。これは一般の企業とは違うんですよ。電力料金、そしていろいろな公の税金も入っている事業だから、許可を与えている事業だから、だからこういうところは特に求められるのではないかと思います。

 時間がないので、次に行きます。

 吉田開発の、特命発注された受注のお金が環流をしているというのが一つの流れ、それだけではないと思いますが、そういう中で、三億二千万円が関西電力の経営者に戻ってきた、そのお金の三億円は吉田開発からというようなお話があります。

 この吉田開発の、どういう特命の発注があるのかというデータについては、我々、野党のいろいろなヒアリングをしてデータ開示を求めているんですけれども、一切黒塗りなんですよ。項目も金額も、どういう工事内容かは一切明らかになっていません。なので、私たちは、この吉田開発の仕事が適正な仕事であったのかどうかということを検証できません。経産省の皆さんは、その黒塗りになる前のデータをお持ちと聞いています。

 もう一つ言うならば、この電気料金の価格などを審査するに当たっても、経産省の皆さんは、そういう発注をチェックして許可を与えている。だから、この吉田開発の受注の中身、仕事の中身については、皆さんはわかっていらっしゃるはずだ。それを見て、適切だったのかどうなのか、それはどういうふうに今判断されているか、教えてください。

梶山国務大臣 まず、資料の提供の件についてでありますけれども、国会議員からの資料要求は、経済産業省としても可能な限り協力が必要であると感じております。

 他方で、関西電力が黒塗りした箇所は、特定の会社、団体、個人名、発注先、契約価格等に関する記述が含まれておりまして、関西電力が、これを公表するとこれらの特定の方々の利益を害するおそれがあるために公表は控えたいという意向であったと承知しております。

 これらは、情報公開法においても、公にすることで企業や個人の権利や競争上の地位などを害するおそれがあるものについては開示しないことができるとされておりまして、このルールに照らしても、非公表とすることはやむを得ないと考えております。

 他方で、その吉田開発の取引の適切性につきましては、十月九日に設置された第三者委員会において徹底的に調査をし、原因究明を行った上で、速やかに報告をし、公表してまいりたいと思っております。

山崎委員 また第三者委員会に逃げるんですけれども、皆さんはこの吉田開発の発注内容を見ているんですよ。どういう工事を担当されて、単価が幾らで、どういう工数で仕事をしたかというのが見えているはずです。それを見て、この工事は、いわゆる裏金をつくるために水増しされた工事かどうかというのを確認されているはずだと思うんですけれども、その点、いかがですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、料金審査につきましてですけれども、関西電力を始めとする電力会社の料金審査につきましては、経産大臣が公開のプロセスを通じて厳格に審査を行っており、認可をしています。

 その中で、まず、審査のやり方ですけれども……(山崎委員「この吉田開発の話をしてください、時間がありません」と呼ぶ)はい。吉田開発の費用につきましては、まず審査の中で、その後、審査があってから三カ年の費用の見通しについて、これを厳格に審査をした上で料金認可をしているということでございますので、あくまでも、その後三年間で行う工事について、その必要性や見積額の妥当性を確認しているプロセスになります。

 したがいまして、実際の契約相手や契約内容を審査するものではないということでございます。

山崎委員 ちょっと何かわかりにくいお答えなんですけれども。

 私が言っているのは今お手元にある皆さんの資料で、報告書が上がってきているんですよ。三億円の裏金をつくった吉田開発の発注に水増しだとかがありませんでしたかというのを聞きたかったんですよ。でも、お答えがないので。我々は持っていませんので、データ。第三者委員会から出るのを待つんですかね。

 重要なのはここからです。吉田開発は今出ていますが、ほかにもいろいろな会社が同じようにある。同じような裏金をつくっている可能性がある。それで、裏金のつくり方は二つなんですよ。発注の単価を水増しをするとか工数を水増しをして受注金額を上げるか、金額は適正だけれども手抜きをして安く上げるかですよ。ほかにありますか。私はその二つしか、まあ、裏金のつくり方は私は詳しくはありませんけれども、簡単に考えて、この二つだと思うんですよ。

 私がここから次に言いたいのは、では、もし吉田開発にしてもほかの会社にしても、裏金をそうやって手抜きでつくっていたとしたら、この工事の品質を保証できますか。私は、非常にそこが今問われているんだと思うんですよ。

 第三者に委ねるのはいいでしょう。でも、どういう発注があって、そしてそれが適正価格なのかどうなのか。適正価格だと判断されるのに裏金が生まれたということは、工事の内容が適切かどうかじゃないですか。そういうケースのときには、この皆さんがやっている工事、原発に絡む、安全に絡む工事もたくさんありますよ、そういったものの信頼性が完全に崩れるんじゃないですか。

 今、関西電力が、動いている原発、再稼働しているもの、停止中もあるかもしれませんけれども、三基、四基ありますよね。設置変更許可がおりているものもある。これを一回、第三者委員会の結果がちゃんと出て、こういうことがないんだということが証明されるまでとめなきゃいけないんじゃないんですか。大臣、どう思いますか。

梶山国務大臣 裏金のつくり方については、私も存じ上げませんけれども。

 先ほど事務方が申し上げましたのは、向こう三年間の工事、必要な工事について、料金設定のときに査定をするということであります。

 ですから、一つ一つ査定をしている、十億円以上の工事については査定をしているということで、余分な金額の上積み、水増しというのはあり得ないということであります。

 一方で、工事が終わった後の検収というのはしっかりと技術陣が行っておりますので、今の時点で、そういう疑いを持たれるということにはならないと思います。

山崎委員 技術陣がちゃんとチェックをしているのは当然だと思いますよ。でも、それを全てチェックできているとは思えないし、こういったことで手抜きがいろいろなところでちょこちょこちょこちょこ起こっていたとしたら大変危険だという認識はありませんか。

 原発の、今、信頼回復なんでしょう。信頼回復しなきゃいけないときに、いや、手抜き工事はあるかもしれないけれども、それはちゃんと技術陣がチェックしてオーケーだから大丈夫です、そういう話になってしまいますよ。そんなことを国民の皆さんあるいは原発立地自治体の皆さんは信用しないと思いますが、どうですか。

梶山国務大臣 手抜き工事を技術陣が認めているということではなくて、しっかりとした検収作業をしているということなんですね。検収というか、物を納めた、完成後の検収をしているということでもあります。

 そして、吉田開発が関西電力からどういう形でやったのか、それとも、ほかの仕事との関係で捻出をしたのかということも含めて、今、調査を行っているということであります。

山崎委員 ぜひ、もう一回繰り返しになりますけれども、皆さんが言う第三者、私は第三者とは言わないけれども、調査結果がきちっと出るまで、やはり関西電力の原発はとめるべきだ。すぐとめられなくても、次のタイミングでとめて、結果を見て、工事に信頼性があるんだ、契約上もそれが担保できているんだということを確認してからでないと動かせないと思いますよ。それが、私は、原子力行政をつかさどっている梶山大臣の責任だと思いますよ。強くこれは申し上げておきます。

 時間がないので、ちょっと次の質問に飛ばしていただきます。

 東京電力福島第一原発の事故の原因究明について、これは更田委員長に来ていただいていますので、お聞きをしてまいりたいんですが。

 九月の四日ですかね、どこの場でお話しされたかわかりませんが、原発事故の調査を再開するというお話がありました。原発事故から十年を前に、この原因をもう一回明らかに、不明なところを明らかにしていくというお話だと思います。

 どんな点をこれから調査をされるのか、今、どういうところが不安なのか、大変専門的なお話になると長くなりますので、端的にお答えいただければと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、このタイミングで調査を、分析を再開しようとしたのは、これまでアクセスできなかったところに、これまでに比べればやや到達できるようになったことでさまざまな調査が可能になったということです。

 この可能になったポイントを最も有効に生かせるところというのは、当時、耐圧強化ベントをやろうとしました、耐圧強化ベントをやろうとしたことがかえって事故の収束に悪影響を及ぼしたのではないか、可燃性ガスの処理系を通じて格納容器の中のガスを出そうとしたわけですけれども、そのときの設計が当時の視点から見ても妥当であったかどうか、それから、そういった設備類がどのように挙動したのかという点などを調べてまいりたいというふうに考えております。

山崎委員 非常にちょっと、私としては原因究明、国会の事故調査委員会の報告書が出ておりまして、それについて見れば、地震動による事故の発生の可能性も排除できないというのが結論だと思っておりまして、せっかくであれば、私は、やはり規制委員会の皆さんにはもう一回そこの原点に立ち戻る調査をしていただきたいなという思いがあります。

 きょうは、その関係で、これは、文芸春秋に記事が出ました木村俊雄さんという元東電のエンジニアの方で、原子炉に大変詳しい方が実名で投稿されて記事になっているものでございます。

 端的に、これは資料一でございますけれども、炉心流量のデータという、炉心を管理している、操作している皆さんにとっては大変重要なデータがずっと隠されていたというか出てこなかった。それが二〇一三年になって出てきた。その分析をした結果、自然循環という、本当であればとまっても炉の中を冷却水が回っていなきゃいけないものが、データを分析するとほどんどゼロになっているんだということで問題だと。ですから、この原子炉、これはゼロになったのは地震直後でございまして津波到達以前のお話です、なので、木村さんは、津波原因の事故ということではなくて、地震動による何らかの損傷が原発にあってそれが影響した可能性が排除できないのではないかということを訴えられています。

 それで、私もいろいろ勉強させていただきました。資料二なんですけれども。では、この流量のお話というのはどういうことなのかなということで、規制委員会の専門家の皆さんとも何回かお話をさせていただいて、この表をつくりました。

 規制委員会の皆さんは、原子炉の水位と圧力を見て異常はなかったので燃料に異常はなかったというような結論を出していらっしゃいます。

 木村さんの論考からすると、炉心流量のデータというのは、燃料の状況を見るには非常に大事なデータだと。その流量がゼロということ、自然循環がとまっているということは、燃料に問題が発生していた可能性が極めて高いんじゃないかということを結論としておっしゃっています。

 これは真っ向対立します、規制委員会の見解と木村さんの見解。私は、どちらが正しい、どういうふうにつじつまが合うのかなということを皆さんに分析をしていただきたいと思うんですよね。

 緊急時のチェック項目ということで、水位、圧力は見るけれども、炉心流量のデータは見ないということをお聞きしました。緊急事態のときに全部のデータを見ることはできません。なので、水位と圧力で議論をされるのはいいとする。

 燃料の健全性のパラメーターということであれば、この流量のデータが大事になる。最小限界出力比という、専門用語はいいですけれども、要は、発熱する燃料とそれを冷やすために回る冷却水の関係が非常に重要で、これを分析しないと、この健全性、燃料が健全かどうか、ばんとスクランブルで原発が非常停止した後どういうふうにこれが冷やされていったのかというのは、この流量データをきちっと見ないと判断ができないというのが専門家の見解と見ています。この健全性のパラメーターとしては、水位とか圧力ではなくて、この流量なんだというふうにお聞きをしました。

 ここからなんですけれども、この流量データの分析を今まで委員会の皆さんも誰もなさっていない。直後は、事故当時は見ないのはわかります。でも、流量のデータは、今お話ししたように、本当に燃料の損傷ぐあいを見るために大事なデータだということは間違いありません。

 何でこれを分析しないのか、お聞きをしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 地震動を原因とする冷却剤の漏えいの可能性については、原子力規制委員会は、二〇一四年、平成二十六年十月に取りまとめた中間報告の中で調査分析をしております。

 御質問にもありましたが、原子炉の水位、圧力等に大きな変動はなく、地震発生から津波の到達まで原子炉圧力バウンダリーから漏えいが発生したことを示すデータはありませんでした。

 また、御指摘の主張は、炉心流量という一つのパラメーターにのみ着目して展開をされていますけれども、他のパラメーターは、炉心流量の喪失や燃料の喪失があったというようなことは示しておりません。

 原子力規制委員会としましては、これまでの見解を覆すような新事実が示されたとは考えておりません。御指摘の事項について、今後の事故分析の対象とすることも現時点では考えておりません。

山崎委員 私は、それは非常に残念なお話でね。

 いいんです、別に。データはいろいろな解析の方法があって、水圧はオーケーだった、水量はオーケーだった、じゃ、流量のデータはどうだろうと。今後いろいろなところで生きるデータをとるという意味でも、何でこの炉心の流量のデータの分析をしないんですか。

 これは非常に重要なんですよ。炉心の流量のデータは安全審査でも見ていらっしゃる。新しい、新設のプラントの検査でも見ていらっしゃる。もっと言うと、日本原子力学会の標準で、過渡的な沸騰遷移後の燃料健全性評価基準というのもあって、そういうものをきちっとチェックをしないと燃料の健全性がちゃんと保たれているかどうかを判断できないんですよ、これが非常に運転上は大変重要なパラメーターだ、そういうふうに聞いているので、何でそこを分析しないのか。何でそこを分析しないで調査を終わらせようとするんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 御指摘にあります炉心流量というのは、重要なパラメーターの一つであることは御指摘のとおりです。

 しかしながら、炉心の中の流量が喪失したり、要するに燃料が空だきのような状態になったときには、同時にほかのパラメーターもその状態が起きたということを示します。炉心流量のデータの分析が行われていることは記事で承知をしておりますけれども、他のパラメーターは、炉心の流量が喪失したということ、また、燃料の健全性が失われたという状態を示していません。一つのパラメーターだけに着目して仮説を展開することは非常に危険だと考えております。

 したがって、私は、原子力規制委員会は、今回の記事がこれまでの見解を覆すような事実を示しているものとは考えておりません。

山崎委員 更田委員長ほどの方が、更田委員長こそ、水位とか圧力のパラメーターに偏っていないですか。更田委員長こそ、固定のパラメーターに固執して、この炉心の流量データという、あるデータの分析すらしない、その姿勢が私は全く理解できません。

 これだけ、今、更田委員長も流量データは大事だとおっしゃったじゃないですか。それが、この方は素人じゃありませんよ、もう原発をずっと分析をして運転をしてきた方が、こういうデータになったよ、どうなんですかと社会に問いかけているんですよ。それに対して、規制委員会が、いや、ほかのパラメーターは大丈夫だからこのデータは目をつぶるということになりますよ。そういう姿勢で、本当に規制の安全を守れるんですか。

 何でこれを分析しないんですか。分析して、水位、圧力、こういうふうにつじつまが合うんだ、自然循環がとまっている、いや、とまっていないんです、こういうふうに循環が起こっていますから問題ないんだ、何でその説明ができないんですか。説明できないから分析しないんじゃないですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 炉心流量がとまっているかどうかを判断することには、幾つものパラメーターを見て総合的に判断をする必要があります。そのうちの一つが仮に仮説を展開するようなものであったとしても、炉心の流量が失われていれば、例えば周囲の空間線量率は上がってきます、燃料がむき出しになるわけですから。

 その他のパラメーターが明らかにそのような状態が起きたことを示していない中で、一つのパラメーターだけに着目した分析を行うというのは、極めて偏った分析を行うことになると考えております。

山崎委員 木村さんは偏っているかもしれないけれども、私は偏っていませんよ。私は、流量データも一つのパラメーターとして重要だと言われているんだから、この分析をやってみて、分析をやってほかのパラメーターとの整合を確認してくださいと言っているんです。

 一つのパラメーターですよ、流量データは。当たり前です。それをもって事故原因がこれだなんて私は決めつけていませんよ。この人はそういうふうに書いているけれども、私は、その流量データというものを分析しない、何でしないのかというのがわからないんです。

 規制委員会が、ほかのパラメーターで正常だから流量データは見なくても大丈夫だと、何でこの流量データに目をつぶるのかがわからないんですよ。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 目をつぶっているわけではありません。一つのパラメーターだけに着目して展開されているような事実について、私たちはそれを更に深追いする価値がないと申し上げているんです。

山崎委員 今の発言は非常に私は、もうこれは学会にも確認をしたいと思います。

 では、流量データは分析に値しないデータなんですね。(発言する者あり)いや、今、委員長、そうおっしゃいましたよ。私は別に、冷静に今議論をしているんだけれども。まあ、私はもうこれは水かけ論なのでやめますけれども。

 私は、こういう規制委員会の姿勢が残念でならないんですよ。説明をいろいろ聴取させていただいていても、東京電力のレポートにこう書いてあるのでこうです、問題は起きていません、こういうデータはこういうふうに我々は分析したので問題ありませんと。

 私は、規制委員会が一番すべきなのは、あらゆる可能性について、いろいろな問題提起があれば、それを受けて一つ一つを確認をして、それを整合して、新しい基準に反映をさせて、原発を安全に動かす、その責務があるんじゃないんですか。なのに、何でこの流量データに関しては、分析すらしないんですよ。分析すらしないというその意味が私にはわからないんですよ。残念です。まあ、これはもうやめますけれども。

 原発が……(発言する者あり)ちょっと静かにさせてください。

富田委員長 御静粛にお願いします。

山崎委員 原発の中にまだ入れていない段階で、これから調査に入られる、それでもまだ全部には入れない、難しいとおっしゃっている。そういう段階で、さまざまな可能性について検証しながらでなければ、もう原発は再稼働を始めているんですよ。原発が全部とまって、その調査の結果を待っているんだったら、私はこんなことは言わない。もう動き出して、私は暫定的な安全基準で動いているんだと思うんですよ。

 それを、調査をいいかげんに、まあ、いいかげんと言うと言葉は悪いですが、ちゃんと可能性について詰めないまま進んでいく原子力の安全行政、やはり私は問題だと思います。何で、この炉心のこの流量のデータだけ分析してくれないのか。

 本当に、総合的に判断するとか、ほかのパラメーターで整合がとれるから、それでわかるからという話じゃないと思いますよ。だって、炉心にはデータがあるんだから、それを分析すればいいじゃないですか。それをしない理由が私にはわからない。非常に極めて重要なデータですよ。

 もう一回、最後にお願いをしておきますけれども、この最小限界出力比のこの分析はぜひやらなきゃいけない項目だと思うんですが、これをやるつもりはありますか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 ございません。

山崎委員 まあまあ、きょうのところはそれでいいのかもしれませんが、大変、私は今の御発言は問題だと思います。また次で御質問したいと思います。

 では、次の質問に行きたいと思います。

 電力系統についてのお話でございまして、これは梶山大臣にもお聞きしたいんです。

 まず、一番大きな方針のところなんですけれども、きょうお話をしたいのが、発電側基本料金導入ということで、系統の整備や保守のいろいろな負担を発電事業者の皆さんにも持っていただきましょうと。まあ、火力発電所もあるでしょう、原子力もあるでしょう、自然エネルギーもあるでしょう、そういう方々にも負担していただきましょうという発想で、効率的に送配電網を整備しましょうというのが発想ではあります。

 でも、私は、根本的にどういう送配電網をこれからつくっていくのかというグランドデザインをまず前提としてしっかりとつくって、それにはどういう投資が必要で、その投資をどういうふうに負担してもらうのが公平かという議論をやっていかなきゃいけないと思うんですよ。

 今までの大手電力会社の体制の原発や火力発電所中心の系統を、今、自然エネルギー、再生可能エネルギーにシフトしなきゃいけないんですよね。ある意味、分散型の、ネットワーク型の系統に切りかえていかなきゃいけないという認識をお持ちだと思います。部長もうなずいてくださっていますから。そういう今段階にある中で、では系統全体をどういうふうに整備をし、そしてそれに幾らぐらいの投資をするんだということを先に議論すべきだと思うんですよ。その議論はできていますか、梶山さん。

梶山国務大臣 今御指摘のありました発電側の基本料金の導入というのは、昨年七月のエネルギー基本計画の中で閣議決定をされたものであります。

 今後、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて系統制約を克服するために、我が国の電力系統を、再エネの大量導入等の環境変化に対応した次世代型のネットワークへ転換していく必要がございます。国や電力広域機関において今後の系統のマスタープランについて検討を今進めていくところであります。

 その上で、この発電側基本料金は、より効率的な再エネを電力系統に受け入れる効果があり、再エネ主力電源化を進める上でも有益なものであるため、マスタープランと後先の関係にあるものではないと思っております。今現実にさまざまなネットワークの不備が言われている中で、どう整備していくかというのは、このマスタープランと同時並行で今やっていこうということであります。

山崎委員 仕事の進め方として、私はやはり、大きなマスタープラン、議論が先だと思うんですよ。どのぐらい全体像として投資をしなきゃいけないか。今のこの皆さんのお考えをいろいろお聞きしていると、非常に部分的なんですよ。非常に、申しわけないんですけれども、小手先なんですよ。こうやったらどうだろう、ぶつかって、ここはちょっと負担が重いな、じゃ、ここを軽くしようかと。こっちへ行くと、ここもちょっと都合が悪いな、じゃ、こういう制度を組み合わせようかと。そうやって一生懸命今やっているんです。でも、全体で、ではどんなシステムをつくっていくのかという青写真がないから、非常に私は、そういう意味では不整合が多くのところで起きていると思います。

 もともとはエネルギーミックスから出発しているんですよ。再エネを、何度もお聞きしました、二〇か二四、これは目標ではありません、再エネの最大導入というのが目標です。そうしたら、それをベースにしたネットワークのあり方をやはり検討しなきゃいけないんですよ。それができていなくて、今、小手先の議論が、申しわけないけれども、進んでいることについて非常に危惧をしているんですけれども、いかがですか。

梶山国務大臣 昨年の北海道のブラックアウト、また今回の災害等により停電が起きていること、そしてさらにまた、電源も多様化をしなくちゃならないという課題がございます。そういった中で、集中と選択から、今度は多様化と分散化というキーワードも必要になると思っております。その中で再生可能エネルギーをふやしていくためにしっかりと対応していきたいということでありますが、マスタープランをやっていく中で、やはりその費用もあるわけですね。それを全体で事業を進めながらやっていくということになりますけれども、それぞれの地域の連系線も含めてどうあるべきかということは考えながらやっていく、そして、二三年にこの発電者側の料金についても導入をしてまいりたいと思っております。

山崎委員 具体的に不整合の例を幾つか、三つぐらいかな、挙げたいと思います。

 まず一つ、この発電側の基本料金をどういうふうに決めるかというと、設備容量をベースにして、設備容量に対して幾ら課金ということをやっています。わかりますか。御説明するときに、いや、高速道路がこうあって、それに対して負担をこう割り当てていくんですみたいなお話をされています。

 これは、経産省の皆さんが一生懸命やっているコネクト・アンド・マネージの前の世界の話ですよ。コネクト・アンド・マネージ、わかりますよね。つなげて、工夫をして、限られた資源を有効活用しようというコネクト・アンド・マネージの発想をとっているさなかに、この発電側の基本料金は積み上げ方式の昔の考え方に戻っているんですよ。

 それで、これは資料の四につけましたけれども、そうやって積み上げていくと、稼働率、設備の利用率が低い太陽光発電、風力発電は負担が重くなる。稼働率が高い石炭火力、見てください、〇・三円。風力は〇・九円、太陽光発電は一・六円。これは、政府が進めなきゃいけないのと負担が逆じゃないですか。こういう設計になってしまっているんですよ。

 それで、これを説明するときに、ちょっと時間がないので私が先取りしますけれども、一般負担という考え方がありまして、初期投資を、その分、再エネは上限額を引き上げてあげるので初期投資が少し楽になるので、言うなれば、初期に投資をするものを分割払いみたいな形でならしてあげるので、それで我慢してくださいと言っているんですけれども、この差は明らかにおかしいです。

 今言った一般負担というのは、発生するところも発生しないところもあります。発生するところであれば負担軽減になるかもしれないけれども、発生しない接続のものもたくさんあります。もっと言うと、効率的に接続しようとした事業者は、当初の負担は小さいですから、そこはメリットはないんですよ。残るのは負担だけです。ローンだけ背負わされるような形になっちゃうんですよ。

 それが再エネを抑え込むような効果を持つ負担になっている。これはどう思いますか。

梶山国務大臣 委員御指摘のような課題もございます。そして、先ほどお話がありましたように、初期投資の部分をどうするかというような課題もある。そういった中で、二〇二三年に導入を図っていく中で、今、どういった制度がいいかということを議論をしているところであります。

 課題はしっかり捉えた上で、それぞれが納得できるような結論を導いてまいりたいと思っております。

山崎委員 梶山大臣、何か自信なさげにお話をされていますけれども。逆進性と言うと言葉が悪いかもしれない、再エネ逆進性、これはやはり正していただかないと、これでは、再エネ事業者、やはりこれからまだまだ伸ばさなきゃいけないんですよ。本当に後ろ向きになってしまうと思いますよ。これはずっとかかるんですから、これから基本料金として。キャッシュフローは悪くなる。

 もう一つ例を挙げます。

 例えば、この基本料金になっている原価というのは、お話を聞くと、例えば東京電力管内とか東北電力管内の系統を維持する、あるいは増強するための費用を計算をして、それを容量で割っていって当てるという話なんですよね。

 そうすると、例えば、今はやっているのは地域分散型で、例えば自治体が小売の電気事業をやって、地域の発電所を束ねて、ある意味地域で自給自足的な電力供給をやろう、そういう議論をしている中で、このときにも、この大きな系統とは関係ないところでやろうとしているんですよ。ゼロとは言わない、時々つながるかもしれない。でも、大きな系統とは関係ないところで事業をやっているところにも同じ負担をかけようとしているんですよ。

 これを言うと、いや、そういうところには負担軽減策をやりますので大丈夫ですと言うんです。大変、私は、複雑でわかりにくくて、とてもとても事業計画を立てられないと思いますよ。どういうふうにこれが運用されて、どういうふうに例えば負担軽減策がきいてきて。負担軽減策だって、その地域にたくさん発電所ができたら条件が変わってきますから、負担軽減策がなくなったりするんですよ。

 そういうやり方というのは、私は本当に、事業の後押しをするよりは、足を引っ張ると思いますよ。こんな設計では、私は、事業、再エネを応援することにならない。

 もう一つ言いますよ。

 経産省の資料を見ると、要は、再エネは風況に縛られる。例えば風であれば風況に縛られる。地熱発電なんかもそうですよね。そうすると、どうしても立地地域というのは決まってきちゃうわけですよ。必ずしも系統に近いわけではないところにつくらなきゃいけない、そういう事業に対しては非常に冷たい。逆なんですよ。消費地に近いところにつくって、系統が充実しているところの方が安く、負担が小さく。こういうところの事業はやめてくれというのがこの基本設計のコンセプトですよ。これはおかしくないですか。どうですか。

梶山国務大臣 先ほど山崎委員の方から言っていただきましたけれども、配送電網の追加コストが小さい地域は軽減する措置をとっていくということであります。

 さらにまた、風況であるとか、またその土地の有無であるとか、そういうことも含めて電源の地域というのは限られてくるわけでありますけれども、そういったものも含めて、これから二〇二三年度の導入までに、しっかりとした制度にするための検討を続けていくということであります。

山崎委員 一番初めに言いましたけれども、やろうとして考えると、こんなケース、こんなケース、こんなケースといろいろなケースがあって、それぞれぶつかるんですよ。しようがない、じゃ、ここはちょっと安くしようかとか、ここはこうしようかと、継ぎはぎだらけなんですよ、今の制度設計。こういうのをやめてほしいんですよ。

 こういうのではなくて、例えば、これは三枚目につけました、現状でも私はいいと思いますよ。きれいに負担は小売事業者の方に行って、託送料という形で送配電が守られる。

 別な方法で送配電の効率化をやりましょうよ、別な方法で。ちゃんとマスタープランを決めて、国の投資額も決めて、地域、地域でどういう形にするのかを決めて、その負担を考えましょうよ。その発想がなくて、この基本料金を入れると何となく事業者がうまく動いてくれるんじゃないかなみたいな発想で事業設計をやるのはやめてください。これはお願いです。ぜひ見直していただきたい、このお話です。

 それから、最後、残り五分になりましたが、バイオマス発電について触れさせていただきます。

 資料の五番、ちょっと、大変見にくい資料なんですけれども、バイオマス発電を今やっている事業者の多くが、海外からパーム油だとかを輸入をして発電をしているという事業があります。それもFIT、固定価格買取り制度で支援がされている事業なんですけれども。

 これは、経産省のバイオマス持続可能性ワーキンググループの中間報告ということで、経産省がまとめられた資料です。これを見て、私も認識不足で恥ずかしかったんですけれども、ライフサイクルでCO2の排出量、温室効果ガスの排出量を見ると、ライフサイクルというのはどういうことかというと、栽培をして加工をして輸送をして燃やすという、この全体のプロセスで見ると、資料が大変見にくくて申しわけないんですが、図一のように、LNGの火力発電所よりも多く排出するようなバイオマスの発電というのがあると。FITで応援をする事業なのにCO2の排出量はLNG並み、それを超える。だから、これははっきり言って、完全にそのFITの、固定価格買取り制度の趣旨を逸脱しているものに今応援をしようとしています。

 この下線を引いたところなんですけれども、こういった事業を何とか食いとめなきゃいけないということで取り組みされていると思うんですけれども、こういう事業をどういうふうにとめようとしているか、教えていただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘のように、バイオマス発電の中には、輸入燃料、輸入材といったものを使ったようなものも、いろいろございます。もちろんのことながら、できれば国内の地域活性化の観点でというのはあるわけでございますが、一方で、バイオマス発電が安定的に供給できる、続いていくためには、燃料供給の安定性ということが非常に重要でございます。今、現状の実態を踏まえた場合に、燃料供給の限界ということを踏まえますと、これは、海外材、海外燃料を使ったものも一定程度進める意義はあるのかなと考えてございます。

 委員からお示しいただきました資料にございますものは、特にバイオマスでございますが、持続可能性をどう維持するか。これは、FITの調達価格等算定委員会及び私どもの審議会の中でも大きな論点として議論を進めておりまして、昨年度の委員会の意見を踏まえまして、ことし四月からワーキンググループで専門家の方にお集まりいただきまして検討を進めている、その中の資料を抜粋いただいてお配りいただいているものと認識してございます。

 御指摘のとおり、その報告書案の中におきまして、ライフサイクル全体で見ますと、一部の化石燃料よりも温室効果ガスを排出する可能性試算値というものが示されていることは事実でございます。私ども、この議論をする中で、この問題意識をしっかりと共有し提起申し上げるために一定の試算をしたものでございます。

 他方で、今お配りいただいた資料のその下線の下のところにあるわけでございますが、例えば、栽培、輸送、加工の方法等々、それぞれの燃料種、それからどこでつくられるかによってさまざまプロセスがございます。

 それぞれの排出量というのはさまざまでございますし、これは国際的にも議論になっておりますけれども、算定の方法にはなかなか困難性、特にこれは海外でやるものについてのチェックでございますので、執行上、現在、確立したものがなかなか見当たらないというものもございます。

 こういった中で、一律の方法で確認するということではなく、個別の事情を見ていく必要があるというのが、現在、専門家の議論でございます。

 まずは第三者認証というものが現在あるわけでございますが、こういった方式を活用しながら、バイオマス原料の栽培、加工工程での排出を削減するための計画、こういったものがつくられていて、排出が最小限にとどめていられるかどうか、こういったものを個別に見ながら持続可能性というものをチェックしていくというようなことが現在検討されているというふうに認識しております。

 しっかりと検討を進めていきたいと考えております。

山崎委員 ありがとうございます。

 このレポート自体、本当に、経産省から出てきたことは大変評価をできる話だと思います。こういう見方をすると本当に、FITに合わないものがたくさんあるんだということが明らかだと思います。

 いただいた資料では、RSPO認証基準みたいなものを入れてチェックをしようというようなお話も進んでいます。ただ、これはGHGの、温暖化効果ガスに焦点を当てたものではないので、ある意味弱いです。ぜひそういったものを早く確立をさせて、こういうFITの事業を排除していただかなければなりません。ぜひともお願いをいたします。

 もうお時間になりましたので終わりにしますが、私どもは、原発ゼロ基本法案も提出をさせていただいています。それから、分散型のエネルギー社会をつくるための推進法案も出しています。

 委員長、ぜひとも審議をさせていただいて、議論を尽くしてまいりたいと思いますので、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 ただいま両筆頭間で協議いただいておりますので、その上で判断したいと思います。

 次回は、来る八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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