衆議院

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第7号 令和2年4月15日(水曜日)

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令和二年四月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 大岡 敏孝君 理事 神山 佐市君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 淳司君

   理事 武藤 容治君 理事 田嶋  要君

   理事 山岡 達丸君 理事 鰐淵 洋子君

      畦元 将吾君    穴見 陽一君

      安藤 高夫君    石川 昭政君

      石崎  徹君    岡下 昌平君

      神田  裕君    高村 正大君

      國場幸之助君    武部  新君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      穂坂  泰君    星野 剛士君

      細田 健一君    三原 朝彦君

      山際大志郎君    吉川  赳君

      和田 義明君    浅野  哲君

      落合 貴之君    柿沢 未途君

      斉木 武志君    宮川  伸君

      山崎  誠君    中野 洋昌君

      笠井  亮君    足立 康史君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 黒田 岳士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 海老原 諭君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 森  源二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 赤澤 公省君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         田原 康生君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官)      田口  康君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     中原  淳君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案(内閣提出第二二号)

 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案及び特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官安居徹君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣府大臣官房審議官黒田岳士君、内閣府大臣官房審議官海老原諭君、内閣府大臣官房審議官村手聡君、総務省大臣官房審議官森源二君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、総務省大臣官房審議官赤澤公省君、総務省総合通信基盤局電波部長田原康生君、財務省大臣官房審議官住澤整君、財務省主計局次長宇波弘貴君、文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官田口康君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、経済産業省大臣官房審議官河西康之君、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省商務情報政策局長西山圭太君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君及び国土交通省大臣官房建設流通政策審議官中原淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柿沢未途君。

柿沢委員 おはようございます。

 新型コロナウイルスの感染拡大に関する問題、後でかなりの時間をとってお聞きをいたしますが、私がなぜこんなマスクをしているのかも後でわけをお話をしたいと思いますけれども。

 ここまで、数々のことが私の言ったとおりになっています。私、ためにする追及をするつもりはありませんので、直面している問題の解決のための真摯な提案をするつもりです。私の提案にもぜひ皆さんに真摯に向き合っていただきたいというふうに思います。

 先に法案の審議をさせていただきたいと思います。

 5Gのスタートに当たって、皆さんのお手元の資料、質問順を入れかえましたので、一番最後のページなんですけれども、ごらんのとおりなんですけれども、まあ、こんな状況なんですよね、日本のベンダーは。

 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案、この策定と提出の前提として、NECや富士通といった基地局の国内ベンダーがここまで技術力と導入競争において退潮してきた。二〇一六年、二〇一七年、二〇一八年を見れば、一目瞭然なわけです。こういうことについて、いわば敗因分析をした上でこの法律案を策定をしたということでなければならないというふうに思うんです。

 これを見ればわかるとおりですけれども、どんどんどんどん国内ベンダーのシェアは落ちているわけですよ。これで、5Gに強みを持っている中国系企業にとって、そういう移行が進むとすれば、国内基地局における海外ベンダーの比率はますます高まることになってしまうんじゃないかと思います。

 このまま放置していると、5G対応の基地局の国内シェアがどういうふうになっていきかねないのか、こういうことを示しながらこの法律案を提出するということでなければ、何か一種の精神論だけになってしまうのではないかというふうに思います。

 ですから、国内ベンダーの割合や、また、中国ベンダーをこれだけに抑えるというような、こうした数値目標を持っていなければいけないというふうにも思いますけれども、こうした点、経産大臣、まず御答弁をいただきたいと思います。

松本副大臣 済みません、まず私の方から。

 今回、今委員御指摘のとおり、通信基地局市場で海外ベンダーが世界シェアで上位を占めていて、国内ベンダーが厳しい状況に置かれているという御指摘がありましたけれども、私の方からは、まずこの敗因分析についてお答えをさせていただきたいと思います。

 一般論として述べますと、情報通信分野における国際競争が激しさを増す中におきまして、国内ベンダーは、長期的な視野に立った研究開発に十分な投資を行うことができていなかった、また、ビジネスがしやすい国内市場に注力するのみで海外市場への積極的な展開を行わなかった、一方、海外ベンダーは、海外市場を席巻していく中、厳しい国際競争で力をつけた結果といたしまして、我が国の市場にも進出してくることとなったと認識をしているところであります。

梶山国務大臣 国内の通信基地局市場における国内ベンダーのシェアは、現在三〇%程度であります。減少傾向にあると承知をしております。5Gへのシフトが進む中で、このままの状況が継続すれば、委員御指摘のとおり、海外ベンダーのシェアはますます高まり、国内のベンダーは減少していくものと予想をしております。

 一方で、各国の主要通信キャリアを中心に、力をつけ過ぎた海外ベンダーに対する危機感から、情報通信システムを単独のベンダーに任せるのではなくて、複数のベンダーに対してオープンにする取組が本格化してきております。こうした中で、日本市場のみならず、海外市場においても、世界的に強みを持ち得る分野を中心に日本企業が入り込めるチャンスが広がっているものと承知しております。

 また、市場シェアは民間企業同士の競争により決まるものであるため、政府としては、特定の国のベンダーによる市場シェアの数値目標は設定していませんけれども、今般の税制措置により、携帯キャリアの基地局整備について、事業者が既に策定している整備計画に対して年間千件強前後の前倒しが見込まれるとともに、さまざまな主体が構築するローカル5Gについても、今後数年で数百件程度の整備が見込まれているところであります。そういったことを勘案しながら、産業界との連携を通じて、さまざまなユースケースを提示していくことでそうした整備が更に促進されることを期待をしております。

 国内ベンダーには、こうした市場の広がりをチャンスと捉えて、市場シェアの拡大に向けてしっかりと取り組んでいくことを強く期待をしておりますし、私どももそれに寄り添った上で支援をしてまいりたいと思っております。

柿沢委員 副大臣また大臣から、大変率直な御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 ただ一方で、富士通さんもNECさんも、この十年間何やってきたかといえば、自分たちの部門の切り売りと人員削減をして、シュリンクしてそれで何とか利益を出してきた、これが実態ですよね。もう万単位の人員削減をして、会社としてはどんどん小さくなって、NECだってパソコンの事業も中国の企業に売っちゃっているわけですよ。こういう状況である中で、反転攻勢してシェアをふやしていくんだ、この状況で本当にできるのかということはやはり考えなければいけないというふうに思います。

 中国ベンダーの話を、もう率直にさせていただきます。

 アメリカは、すこぶるラジカルな、また乱暴な形で、ファーウェイやZTEを調達から排除しました。イギリスは、排除こそし切れないですけれども、コア分野から排除、非コア分野でも三五%のシェアに抑えるということを決めました。

 一方で、今回の日本のこの法案ですけれども、しかし、いわゆるハイリスクベンダーの定義を明確化して、国内のネットワークインフラから、コアにしろ非コアにしろ、その担い手から中国ベンダーを排除する、こういう中身にはなっていないというふうに見受けられます。まさか、ドイツやフランスのように容認しますということではないんだろうというふうに思うんですけれども、しかし、先ほど申し上げたような法案のたてつけになり切っていないのは一体なぜなのかというふうに思います。

 先ほどの資料を見ていただけばわかるとおり、5Gになれば、もっと優位性を持つ中国ベンダーが伸びることが想定をされます。ですから、排除方針を日本としてもやはり示し切れないのかというふうに思ってしまいます。

 この法案のたてつけを見ますと、そういう意味でいえば、極端なことを言いますが、結果的にファーウェイでもZTEでもサムスンでも、この法律に基づいて、特定高度情報通信技術システム開発供給計画というのを、認定を求めてきたら、政府はそれを拒絶できないんじゃないですか。拒絶できるとすれば、これはどんな根拠に基づいてそうできるんでしょうか。

 この法律を、仮に、中国ベンダー、アジア系ベンダーが活用するようなことになったら、全くつくった意味がないということにもなってしまうというふうに思うんです。ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

梶山国務大臣 状況については先ほど申したとおりでありますが、日本の国内の会社についてもラストチャンスだと思って私はまた臨んでいただきたいと思っております。

 今の問いにつきましては、5Gやドローンに関する本法案は、あくまでも安全、安心な5G等のシステムの早期の普及を後押しする振興法であり、特定の国の企業や製品の排除ありきのものではありません。

 その上で申し上げますと、本法案の開発供給計画の認定に当たっては、国が安全性、信頼性、供給安定性などの基準を盛り込んだ指針を策定した上で、その指針に基づいて事業者から申請される計画を適切に審査をし、認定することを考えております。こうした基準を満たす計画であれば海外企業も認定を受けることが可能であり、内外無差別などの国際ルールに整合的に運用をしていくということであります。

 現段階において、いずれの企業から申請される個別の計画についても、あらかじめその是非をコメントすることは適切でないと思っております。

柿沢委員 余り、何というか、批判的なことを言いたいつもりで言うわけじゃないんですけれども、今お聞きいただきましたとおり、この法律案を利用して、ファーウェイやZTEやサムスンが開発供給計画の認定を求めて、実際に要件を満たせば認定されるということになってしまいかねないんですよ。これ、私、どうなのかなと率直に思います。

 もちろん、逆に言えば、内外無差別だろうということで、彼らはそんたくなんかしませんから、政府が訴訟を起こされるみたいなことも起きかねないわけですけれども、実際にどういうふうに認定の基準をつくって当てはめていくのかということをしっかり考えていかないと意味をなさなくなる可能性があるのではないかというふうに思います。

 話をちょっとかえます。

 テレワーク等、呼びかけにより、インターネットを経由したテレビ会議システムの利用が広がりつつあります。幅広く使われているのはZoomとかですよね。私もZoomで会議をやってみましたけれども、まあ本当に便利ですよね、これで大半の用事は済んでしまうなという感じがしました。

 しかし、このZoomの使用については、トラフィックが中国を経由する、また、情報がどこかから抜き取られているんじゃないかとか、あるいはコンピューターに侵入されちゃうんじゃないかというような懸念が指摘をされています。現に、アメリカの連邦議会上院では、もうZoomの使用は禁止だということを通達したと言われています。台湾の行政院も、政府の中ではもうZoomを使わないということを決めたというふうに報じられています。ドイツの外務省も、セキュリティーとデータの保護の弱点のために、リスクが高過ぎるという見解を示して、外部とのコミュニケーションのためにやむを得ない場合を除いて、もうZoomの使用は制限をした。グーグルも、社内のラップトップパソコンでZoomのデスクトップ版を利用することを禁止したそうであります。

 しからば、日本政府なんですけれども、テレワーク、やらなきゃいけないですよね。出勤七割減です。そういう状況の中で、テレビ会議システムを使わなきゃいけないことが出てくると思います。日本政府は、政府部内、あるいはその他におけるZoomの使用についてどう考えているのか、お伺いします。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のZoomと呼ばれるインターネット上の会議サービスでございますけれども、報道機関、それからセキュリティーの機関によって複数の脆弱性が指摘をされているということは承知をしております。これらの脆弱性に対しまして適切な対策がなされない場合に、Zoomボミングと呼ばれる、第三者による会議への侵入、それから情報漏えいなどが発生するおそれが高いというふうに私ども思っております。

 NISC、内閣サイバーセキュリティセンターにおきましては、このZoomに限りません、一般のインターネット上の会議サービスを利用する上で、リスクを踏まえて適切に運用することなどを含めまして、SNSで国民に周知をすること、政府機関、重要インフラ事業者に対して注意喚起を発出するなど適切な対応を促しております。

 これも委員御指摘のとおりでございます、テレワークの重要性が非常に増しておりますので、テレワークの利用を標的とした攻撃ということも増加をするということも想定をされるところでございます。政府としても、引き続き状況の把握に努めるとともに、必要な対応を行ってまいりたいと思っております。

 なお、このZoomの使用を禁止しないのかという御質問でございますけれども、この種のサービスを利用する場合に、潜在するリスクについて導入前に十分に調査をして、リスクの程度、情報が漏えいしないのか、システム上に問題がないのかということを適切に考えて運用することが大切であるというふうに私ども思っております。

 このZoomに関しまして、同社の発表を見る限りでは、脆弱性についての対応も随時行われているというふうに私どもも見ております。

 これらのことも含めまして検討をする中で、秘匿性の高い情報についてはこのサービスを使用しないという判断もあり得るというふうに考えております。

柿沢委員 いろいろ言いましたけれども、何を言っているかわからないんですよ、結局は。Zoomを使っていいということはわかりました、逆に。それでいいのかというふうにも思いますし、政府がそれを言わなければ、リスクに配慮して何でもいいから使ってくださいねみたいなことで本当にいいのかと私は思いますし、結果的に、こういうことで、このテレビ会議、ウエブ会議のシステムにおいても中国系のプラットフォーマーに持っていかれちゃっているんじゃないかということになるんだと思うんですよね。

 結局、日本がこの十年、二十年立ちおくれてきたそのツケが今のこの非常事態的状況で如実にあらわれてしまっているということではないかと思いますし、世界的にも、Zoomの使用について政府内で禁止、制限をする、こういうことをやっている国があるんですから、まあ、日本が先陣を切るというのは日本の体質からいってできないのかもしれませんけれども、ほかの国はやっているんですから、ここは私は考えてみてもいいんじゃないかというふうに思います。与党の筆頭理事もうなずいておられますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 プラットフォーマーの法案であります。

 私、公取委員長、杉本委員長が、検索等でユーザーが入力するデータは、それ自体が価値を有する財であるから、グーグル検索の利用によって財とサービスの交換という取引が成立をしている、こういう考え方を示したことは大変画期的だというふうに思います。相当積極的に対応してきた公取委員長だったというふうに思います。

 しかし、一方で、杉本委員長にしてここまでかという感じも少々持たざるを得ない。さっきから申し上げているとおり、私はかなり乱暴な議論をしますのであえてそういう言い方をさせていただきますけれども。例えば、EUでいえば、欧州委員会は昨年三月に、独禁法に基づいて、グーグルに、優越的地位の濫用で、制裁金十四億八千万ユーロ、一千九百億円の課徴金を課徴しております。欧州委員会は、グーグルに対しては、これまで三度にわたって一兆円もの制裁金を課している。しかし、日本の公正取引委員会はこのような対応はとったことはありません。もちろん、踏み込んだ、今までとは全然違う、そうした対応を今の公取がとられるということはよく承知していますが、しかし、それでも、EUと日本では大きな違いがあるように思えます。そこはどうしてなのかということについて、杉本公取委員長に御答弁いただきたいと思います。

杉本政府特別補佐人 委員御指摘のように、EUにおきましては、昨年三月、オンライン広告における支配的地位の濫用事件におきまして約十五億ユーロの制裁金の支払いを命ずるなど、これまでグーグル社に対しまして計八十億ユーロの、日本円にしますと約一兆円になりますが、制裁金の支払いを命じたことは承知しております。

 他方、日本でも、いわゆるGAFAと言われるような巨大プラットフォーム事業者に対しましては積極的に事件調査を行ってきておりまして、例えば、アマゾンジャパン合同株式会社が、アマゾンジャパン社のマーケットプレイスの出品者との間で価格等の同等性条件を定めることによりまして取引先事業者の取引を制限した件や、同社が、アマゾンマーケットプレイスの出品者との間でアマゾンポイントサービス利用規約を変更いたしまして、出品される全ての商品に対して最低一%のポイントを付与し、その原資を出品者に負担させる旨とした件、それから、アップル社が大手携帯電話会社との間の取引における事業活動を制限した件、こういう件につきまして積極的に事件調査を行ってきたところでございます。

 いずれにしましても、巨大プラットフォーム事業者の行為について独占禁止法に違反する事実が認められた場合には、今後とも厳正に対処していく方針で、積極的に対応していく必要があると考えているところでございます。

 なお、EUの場合には巨額の制裁金というものが科されます。先ほど申し上げましたように、グーグル社に対しまして、三件の案件で合計一兆円に相当するような制裁金が科されておりますが、これは、EUを始めとする外国の競争法におきましては、違反者に対しまして制裁金や罰金等の措置がとられますが、その額の算定に当たりまして、不当利得相当額にとらわれず、競争当局が広範な裁量によってそういった制裁金や罰金等を決定することができるということになっているためでございます。

 他方、我が国の課徴金制度は、違反行為に対して、不当利得相当額をベースといたしまして、不当利得相当額以上の金銭を徴収するものであるため、EU等と算定方法が異なっているという制度の仕組みの違いに発するものと考えております。

 ただ、我が国におきましても、独占禁止法においては、違反行為の実態に応じ、違反行為の抑止に必要な水準とする観点から、こうした課徴金の水準の見直しが行われてきているところでございまして、今後とも、その必要に応じて見直しを検討していくことを考えているところでございます。

柿沢委員 ヨーロッパでは、デジタルサービスタックスということで、それこそGAFAに対して独自に課税してしまおうというようなことをやっている国も出てきている、まあヨーロッパにとどまりませんけれども。

 日本は、麻生財務大臣がよくおっしゃっていて、この議論をG20とかいろいろな場で引っ張ってきたんだ、牽引してきたんだというお話をされますけれども、しかし、いざその伝家の宝刀的なものを抜こうというときにはとてもいわば抑制的になるということで、そこが私は非常に口惜しいなということを感じるわけであります。今回の法案のたてつけにもそこが私は少しあらわれているのではないかというふうに思います。

 公取委員長に、この四月のタイミングでぜひお伺いをしておきたいことがあります。

 このコロナウイルスの陰に隠れて、発送電分離がこの四月からスタートしております。しかし、いわゆる法的分離を採用して、持ち株会社の下でのグループ企業として発電小売会社、送電、配電会社がぶら下がっている形か、あるいは、発電小売会社が親会社になって、送配電会社が子会社になるというような、こういうグループの中での形式的な分離という形になってしまっています、それにとどまってしまっています。

 それで、ここからなんですけれども、これまで自然エネルギーの新電力等に対して大手電力会社は一体何をやってきたか。送電系統への接続工事費として億単位の、しかも中身不明の高い費用を課してきたり、系統接続まで、これもほとんど説明なしに半年以上も待たされる、こういう不当とも言える差別取扱いをしてきた、これが実態だというふうに思います。

 経産省と公取で昨年公表した適正な電力取引の指針において、公正かつ有効な競争の観点から問題となる行為というのがいろいろ列挙されているんですけれども、こう書いてあります。一般送配電事業者の特定関係事業者と他の電気供給事業者で、系統アクセスの検討に関して、検討に要する期間、検討の内容云々、費用負担等々が不当に異なる場合、これは問題になるということがここに書かれているんです。

 今、先ほど申し上げたとおり、新電力に対して大手電力は、系統接続の増強費用を何億円も課すようなことをやったり、あるいは、ほとんど説明なく半年以上も待たせたり、こういうことをやってきているわけです。まさに差別的取扱いではないかというふうに思います。

 この四月の発送電分離以降、送配電事業者が、自分たちのグループの発電事業者と、あるいは外側の新電力等に対して、このような区別した、差別した取扱いをすることは私は許されないというふうに思いますし、もしこれが続くような状況があるとすれば、ここはもっと踏み込んで、EU同様の所有権分離の発送電分離、つまり資本関係も断ち切って別々の会社にする、これを更に考えなければいけない、その選択肢を持っているということを今示さなければいけないと思います。そのことをぜひこの四月の段階で答弁をしておいていただきたいというふうに思います。お願いいたします。

杉本政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますと、一般送配電業者が発電事業者に対しまして送電系統への接続工事等に係る費用の負担を求めること自体は独占禁止法上は問題にならないと考えておりますが、一般送配電事業者が、接続工事に係る費用につきまして、自己と資本関係のある発電事業者と他の発電事業者を合理的な理由なく差別的に取り扱い、当該他の発電事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合には、独占禁止法上問題になるおそれがあると考えております。

 いずれにせよ、その接続工事に係る費用については、そのような問題が生じることがないよう、資源エネルギー庁が定められるガイドラインに基づいて一般送配電業者によって設定されることになっていると承知しておりますが、もし、独占禁止法上問題となるようなそういった行為があるという事案に接することになれば、公正取引委員会としては厳正に対処することとしたいと思っております。

 それから、制度的な問題について私どもの考えを申し上げれば、送配電網は、新電力を含め電力供給にかかわる事業者が共通して利用する設備でありますから、利用者に対する開放性、中立性、無差別性を確保することが重要であると考えているところでございます。

 こういった電力市場における事業者のあり方については、今申し上げましたような観点も踏まえまして、制度を所管する経産省において判断されているものと考えているところでございます。

柿沢委員 これを聞いている電力業界に対して、この杉本公取委員長の御答弁はアナウンス効果が高いというふうに思います。

 経産大臣にも通告をさせていただいておりますが、ちょっと時間の関係もありますけれども、この発送電の分離に当たって、今私が指摘したような、過去に行われてきたような慣行がこれから続いていくとすればこれは看過できないし、そして、そういうことが続くのであれば、電気事業法にも見直し規定が入っているわけですから、この発送電の分離のあり方について、法的分離からEUと同じような所有権分離、資本関係を断ち切るということも選択肢として持っているということだけ、ぜひ答弁をしていただきたいと思います。

梶山国務大臣 私も一般質疑の中で再三申し上げておりますけれども、所有権分離の採用の可能性については、まずは法的分離を含めた電力システム改革の効果を見きわめることが重要であると考えております。

 あるべき電力システムの姿について、所有権分離の選択肢も排除はしないということで、将来的な検討課題として考えていく必要があると承知しております。

柿沢委員 御答弁ありがとうございました。

 さて、新型コロナウイルスの対策について伺いますので、法案審議にかかわって御出席をお願いをしました内閣官房の山内審議官、あるいは杉本公取委員長、皆さんはお引取りをいただいて構いません。本当にお疲れさまでございました。

 では、新型コロナウイルスの対策についてお伺いをいたします。

 布マスク二枚の全世帯への配付に四百六十六億円。要らないからほかに回してくれという声があちこちから上がっています。

 私は、余りやゆするつもりはないんです。とにかく皆さんが、自分は感染者だというつもりで、飛沫を散らさずにマスクをしてほしい、一般の人は布マスクで飛沫の飛散防止には十分だから布マスクにしてほしい、それはわかるんです。ですから、私も布マスクをしています。

 これは、南三陸ミシン工房という、津波被災者の、家をなくしたお母さんたちが、仮設住宅でミシンをもらって、ミシンを習って、そして一流の技術を身につけて、今や、一流のファッションブランドや、あるいは分身ふなっしーという縫いぐるみとか、あと、SMAPが応援してくれたりとか、物すごい一流の縫製工場になっているんですね。今回、三・一一の恩返しだといって、がんばっぺしマスクといって、この布製のマスクをつくっているんですよ。

 私、この間ずっと交流してきたので、手に入れて、国会質問でこうやってさせていただいているんですけれども、私だってこんなマスクをするのは恥ずかしくないわけじゃないんですけれども、でも皆さんに見てもらいたい。これはSMAPのファイブスターのスターなんですよ。ぜひ皆さんも、まだ使い捨ての不織布マスクをつけている方がほとんどのように見受けられますので、布マスクを使ってもらいたいというふうに思うんですけれども。

 医療現場ではN95とかサージカルマスクも足りない、福祉や保育の現場で必要なのに、使い捨てマスクの不織布マスクもない、一般の人が使って、使い捨てで何億枚も消費してしまうぐらいなら、その分をそういう現場に回したい、これは切実な声だというふうに思うんですね。

 ならば、こういうのがあるんです。これなんですけれども、ポリウレタン製の当て布なんですね。マスクの内側にこうやって当てるわけです。

 皆さんの資料の一枚目につけておきましたけれども、これはカバーフィットというふうにいいまして、今回発明されたものです。これを内側に当てていただくと、ずれずに、また非常に通気性がよくて呼吸が苦しくない。しかも、書いてあるとおり、花粉の捕集率は九九%。これは洗えば何度でも使えるんですね。使い捨ての不織布マスクの内側にこうやって当てると、飛沫が直接当たらなくなりますから、不織布マスクを使い捨てにしないで、何度でも使えるようになるんです。このペーパーには使い捨てマスク一枚が三日間使用可能と書いてありますけれども、私はこれは大変控え目な書き方で、恐らくもっと、何日間も使い続けることができると思います。きょう、資料には、生々しいので値段はマスキングさせていただきましたけれども、五枚で三百六十円です。とても安いです。

 そういう意味では、これは商売でつくったわけではなくて、マスク不足でみんな困っている、中にティッシュを当てて使い捨てマスクを何日も使っている、ティッシュだからずれるし息苦しい、こんな思いをしている人を見て、何とかしたいということで、設備投資までして、工場をつくって生産を始めたということなんですね。ドラッグストアに並べればいいじゃないかということを、ドラッグストアが飛びつくじゃないかと言ったら、そんな包装なんかしている余裕はないので、皆さんのところへ早く届けたいということなんですよ。

 みんな困っていますよね。マスクを買いに、ドラッグストアに朝から長い行列になっています。えらい値段のつり上げも起きています。みんな、ないから、ティッシュを当てて、さっき言ったように、息苦しい思いで生活をしています。ならば、これを私は広めればいいんじゃないかと思うんです。

 マスクの不足では、厚労省さんも大変御苦労されているところだというふうに思います。私は別に回し者でも何でもなくて、ここでテレビショッピングをやろうと思ってやっているわけじゃなくて、本当に、これが出回るようになれば、今のマスク不足の一つの救世主になり得ると思って言っているんです。

 厚労副大臣にきょうは御出席をいただいていますので、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 まず、今議員から御紹介のありました、使い捨てマスク、不織布等の中に、もちろん布マスクもそうですけれども、これを当てて、汚れ等、また、実際に、布マスクにしても、また不織布にしても、洗って使っている方も大勢いらっしゃって、今御紹介いただいたことはしっかり認識をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、布マスクについて、議員から最初に御指摘ありましたので、若干だけ触れさせていただきますけれども、一般用のマスクがなかなか手に入りにくい、そういう状況の中で、今回、その対応としてこの施策になったというふうに承知しておりまして、今回は、布マスクの一定の確保の見通しがついたということで、国民の皆様に幅広く配付することを目的として、一住所当たり二枚の配付を行うものにしたものというふうに理解をしております。

 予算についても、今お話がありました。

 そしてもう一方で、実際に、医療現場あるいは介護福祉施設等でもマスク不足ということは言われておりまして、厚生労働省といたしましても、今全力で、医療用マスク等について、確保に取り組んできております。

 具体的には、細かなことは申し上げませんけれども、例えば、医療機関のニーズをしっかり把握した上で、これまで、三月、それから四月の初めに、合計で三千万枚を確保して配付をさせていただき、更に今週には一千五百万枚、これを追加で配付をさせていただきたいというふうに思っておりますし、こうしたことを通して、しっかりと、医療機関等へのマスクの配付、ニーズに応えていきたいと考えて取り組んでいるところでございます。

 こうした取組を通じて、今後とも、マスクの必要性の高いところにしっかり必要な量を確保していきたい。また、一般用のマスクについても、国民の皆様に幅広くこれが市場で入手できるように取り組んでいきたいと思っています。

 繰り返しになりますが、委員から今御指摘のあったことをしっかりまた受けとめさせていただいて、いずれにしましても、マスクの確保というのはこれからも引き続き重要なことでございますので、しっかりとそうしたマスクの確保に取り組んでいきたい、このように考えております。

柿沢委員 これ、質疑が始まる前に、稲津副大臣、梶山大臣にお渡ししましたけれども、物の流通ということに関しては経産省も、マスクの流通に関して一緒に取り組んでいるところだと思いますので、マスクがこうやって出回るように頑張っています、稲津副大臣、御答弁されて心強いですけれども、残念ながら市中ではなかなか手に入らない状況が続いていて、結局どうなっているんだという状況になっているわけです。

 これ、一つの有効な方策だと思うので、梶山大臣に御感想だけお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 私もふだんは布マスクをつけているんですけれども、答弁が息苦しいものですから、きょうは使い捨てをつけさせていただいて、そして、先ほど委員からいただいたものも入れさせていただいておりますけれども、非常に使い心地がいいなという感想を持っております。

 三日間使い捨てのものをもたせるということは、三倍の製造をしているのと同じようなことですから、今、物が足りない中で、例えば、私どもは、現在、この耳のひもも含めてマスクの原材料の手配から、製造、流通ということで、今市場を追っておりますけれども、こういったものの活用というものも検討してまいりたいと思っております。

柿沢委員 ぜひ、大臣、副大臣、現場におろして検討していただきたいというふうに思います。

 続きまして、医療崩壊についてお伺いをいたします。

 私、東京の人間ですから、都内は大変深刻です。きょう、資料の二枚目に、新型コロナウイルス対策ダッシュボードをつけておきました。これを見ると、全国の感染者収容にベッドがいかに逼迫をしているか、その状況が手にとるようにわかります。感染症指定の二種の医療機関、全国五百三十七病院、その一般病床や精神科の病床を全部使ってのこの状況ですよ。

 それで、きのうの朝の時点では、都内はもう病床の二倍のオーバーフローです。きょう数字を確認しましたけれども、この二千六十四というのが二千二百二十になっています、千ベッドに対して二千二百二十。首都圏、近畿圏、福岡、見たとおりです。

 これでどうなっているかということなんですけれども、私のところに、毎日、都内の病院の方から悲鳴が入ってきます。五十床に満たない地域の二次救急病院ですけれども、毎日コロナとしか思えない肺炎症状の患者が何人も来ると。昨夜来た重症のコロナのおじいちゃん、六時間かけて神奈川、千葉まで探しても、受入れ病院なし。探しているうちに、うちの病院も満床になってしまった。六時間たった深夜二十四時でも諦めずに、もう二時間、東京消防庁に探してもらいましたが、だめだった。八時間ですよ。結局、息子さんに亡くなるリスクを納得してもらって、自宅に帰ってもらいましたと。ちなみに、帰宅してもらうのも、民間救急は十六万円かかると言われて、タクシーも断られて、息子さんがレンタカーを借りて午前三時に帰りました。医療崩壊寸前どころか、もう医療崩壊しています、こういう話であります。

 重症の高齢者を自宅に帰しているんですよ、コロナの確定診断が出ないまま。これでどうやって感染拡大が防げるんでしょうか。

 三枚目、これは成田空港の写真をつけておきましたけれども、これはロイターの報道の写真ですけれども、入国者はPCR検査の結果が出るまで空港で一日か二日、段ボールベッドですよ。実際に経験した人から写真をもらいましたからもっとたくさんの写真が私の手元にありますけれども、個人の写真は出せないのでこの報道の写真にしましたけれども、これが今の成田空港の状況です。

 何でこうなるのか。ホテルがないんですよ。ホテルが確保できていないからこうなるわけです。リスクもある、差別と偏見もすさまじい、近隣からクレームも言われる、これはホテル側がちゅうちょするのも無理はないんですよ。都内でも軽症、無症状の感染者はホテルにと言っていますけれども、ようやく東横イン一つが三つになって、きのうは都知事みずから、公募します、こういうことを言っているわけです。

 つまり、必要数が確保できていないんです。だから、病床がオーバーフローしちゃって、あふれちゃっているから受け入れられない、受け入れられないから確定検査しない、結果、感染者が自宅に帰されて市中を闊歩したりしている、だから感染拡大がおさまらない、こうした状況になっているのではないですか。私が話した医師はみんなそう言っています。ここが問題の根源だと思うんです。ここを私は解決をしなければいけないというふうに思います。

 そのためには、特措法の四十八条、四十九条なんだと私は思います。次のページの資料でありますけれども、ホテルや宿泊施設を四十八条における臨時の医療施設として、土地や建物を四十九条の権限を背景に使わせてもらえば、感染者を収容する施設が確保できるではないですか。

 新型インフルエンザ特措法が制定された直後の平成二十四年、有識者会議で専門家が議論をしたとき、これを見てください、ホテル等を臨時の医療施設として使う場合を想定しているんですよ。現行法令上の対応が困難であるので特措法での対応が必要だということがこの資料の一番下に書いてあります。

 四月六日にこのことを加藤厚生労働大臣に国会質問でお伺いをしたんですけれども、あたかも、ホテルや宿泊施設の使用は自宅療養の延長線上だということで、臨時の医療施設としてみなすことはできないかのような、そうした答弁を行っておられます。しかし、ごらんのとおり、これはそもそも特措法ができたその後の議論としても、私はそうではないというふうに思います。

 特措法の法令を所管をしている内閣府から政務官にお見えをいただいていますので、ホテルや宿泊施設が臨時の医療施設に当たらない、そんな法的根拠があるのかということをお伺いしたいと思います。

神田大臣政務官 お答え申し上げます。

 お尋ねの宿泊施設の件ですが、重症者を優先する医療体制への移行に伴いまして、入院措置以外の宿泊療養や自宅療養で対応する者についての考え方が厚生労働省が四月二日に示した事務連絡によって整理をされているところでございます。

 先生御指摘のホテルにつきましては、先ほど東京都の例をお引きになりましたけれども、例えば東京都においては、四月七日から都が確保した民間ホテルにおいて宿泊療養が開始されておるわけでございます。

 今回の宿泊療養ですけれども、一般的には症状等から入院が必要な状態ではないと考えられる軽症者に対して提供されるものでありまして、臨時の医療施設において提供される医療とは必ずしも性質を同じくするものではないために、特措法との関係は生じないと考えておるところでございます。厚労大臣の方が決算行政監視委員会の第三分科会で答弁されましたのはそのような趣旨の発言だと考えておるところでございます。

柿沢委員 軽症を収容するから医療は関係ないという、そんなことないんですよ。この資料を見ていただければ、この上の方に書いてあるじゃないですか、臨時の医療施設で収容する、あるいは診る人はどんな人か、軽症の人だと書いてあるんですよ。

 こういうふうに、特措法の解釈を私はあえてゆがめる必要はどこにもないんじゃないかというふうに思います。逆にそれをやっているからこそ、施設の確保が進まない状況に突き当たってしまっているんではないかと思うんです。

 私が選手村のことを何度も何度もいろいろなところで言ってきたんですけれども、それなんですよ。東京都中央区にある選手村については、十七階建て三十一棟のマンション、そして部屋数は三千六百四室あります。それで、オリンピック、パラリンピックは延期されましたから、現在使われていないわけです。周辺には、聖路加もあれば、国立がんセンターもあれば、がん研有明病院もあれば、昭和大学豊洲病院もあれば、医療リソースに取り囲まれているわけです。使わない手はないんですよ。

 先ほども言ったように、全国各地で、病院のベッドも医療体制も、これは限界なんです。院内における集団感染も多発していて、このままだと通常の診療も崩壊をしてしまいます。だから、受入れ容量を十分持った施設を確保して、一カ所集中で他県からもオーバーフローした感染者を受け入れる、こういうことをすべきだというふうに思うんです。

 私だって知っていますよ。ディベロッパーさんを通じて、晴海フラッグというマンションとして、もう売却や、使っていて、資産価値を考えると、この新型コロナウイルスの感染者を受け入れることは困難だ、こういうことを言われていることは知っています。だからこそ、そこに特措法があるわけじゃないですか。接収権限を持っているわけじゃないですか。このときに、お国のために何とかお願いします、やらないでどうするのかというふうに思うんです。

 四月七日の総理の記者会見で、今月中をめどに五輪関係施設を改修して軽症者を受け入れるということをおっしゃられて、おおっと思ったんですけれども、これは選手村に当たるのか、確認をしたいと思います。

 そして、こんなことをやっていて、さっき言ったように、重症の方ですらも自宅に帰しているということが起きると一体どうなるかということなんですけれども、自宅に帰って感染者が家族と接して家族にうつす、家族がそのまたほかの人に広げる、こういう形で、自宅療養を行ったことによって感染爆発が生じてしまったのが中国やイタリアなんですよ。中国やイタリアはそれで慌てて方針を転換して、徹底的に隔離収容をするという方針に転換をして、それでようやく感染爆発が抑制されるようになったんです。

 今、ベッドが足りない、検査ができないということで感染者が自宅にどんどん帰されている、これは極めて危険だと私は思っています。ですから、今からでも大規模な収容施設を確保して、軽症、無症状の人たちはそこで受け入れる、ばらばらになると医療リソースが分散されますから、ここをやらなきゃいけないというふうに思うんですけれども、御答弁をお願いをしたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が進んでいく中で、入院患者の増加が今見込まれています。今議員から御指摘があったとおりだと思います。

 そういう中で、やはり、より重症化するそうした患者さんに対して医療資源の確保が大変重要になってくる。もう一方で、例えば、無症状ですとかあるいは症状の軽い方を自宅で療養するということを、これを基本的な考え方として、ただ、その際に、家庭でそれでは療養すると、例えば高齢者の方がいらっしゃったりあるいは基礎疾患のある方がいらっしゃったり等々で、やはりそういったおそれがあるということで、感染のおそれがあるということで、別途滞在できる施設を確保するという観点から、東京都においてもこの宿泊施設の確保に今取り組んでいただいております。

 それから、議員から今御指摘もありましたけれども、東京都が今最も感染者が多い中で、その対応を国としても支援するために、東京都における民間ホテルの借り上げとともに、東京オリンピック・パラリンピック大会のために準備した、例えば警察派遣部隊用のプレハブ施設ですとか、ここを今緊急改装し、滞在施設として活用することとしております。

 詳細については、現在、東京都等と協議や御説明を行っているところでありまして、その詳細について現在検討中、このように承知をしております。

 もちろん地元や住民の皆さんの御理解をいただかなければならない、このようにも考えておりまして、これが払拭できるように説明に努めていかなければならないと思っています。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている現下の情勢に鑑みて、改修を急いで、東京都等に御活用いただけるように準備をしたいと考えておりまして、議員の御指摘も踏まえて検討してまいりたい、このように考えております。

柿沢委員 早晩足りなくなりますよ。ですから、私は、もう一歩踏み込んだ対応をお願いをしたいと思います。

 残された時間で、テークアウトのことをちょっと、一個やりたいと思います。

 深川テイクアウトといって、私の地元で、自然発生的に飲食店の皆さんが、苦しいけれども頑張ろうといってテークアウトのサービスを始めて、共通のロゴとハッシュタグをつけてSNSで拡散して、みんなに広がっています。大変なやはりセンスだというふうに思います。

 これを、商店街の個店とか、そういうところもネットワーク化して、自治体と、できれば国が一緒になって展開をしていくということが私は望ましいんじゃないかと思うんですよ。ピザのデリバリーとかすしのケータリングとか、そんなチェーンの企業ばかりがこの国難の時期に荒稼ぎするなんて私は非常にしゃくだと思うんですね。

 ですから、こういう枠組みをぜひ支援をして、いつまで続くかわかりません、しかも個店がテークアウトやデリバリーで、これを通じて地域の皆さんとローカルにつながる、このネットワークはアフターコロナでも残るわけです。これを私は強力に支援することが、結果的に地域経済の振興、商店街の振興にもつながると思いますけれども、経済産業委員会にふさわしい御提案だと思いますが、ぜひ経産大臣に御答弁をいただいて、終わりたいと思います。

梶山国務大臣 大変すばらしい、自発的な取組だと思っております。

 地方においても、商工会や商工会議所が、飲食店紹介サイトを開設をして、持ち帰り、宅配ができるところを紹介をしたりしているということで、いろいろな知恵が集まってそれぞれの取組をしているということでありますけれども、その大前提として、地域の中小・小規模事業者がIT化を進めることが前提となるということで、それらも含めて、持続化補助金、従来の小規模事業者持続化補助金等で応援をしてまいりたいと思っておりますし、今回の地方創生の臨時交付金などもそういった形で、自治体の発想も含めて使えるような形にしていければいいのかなと思っております。

 今お話を聞いて、そう感じたところであります。

柿沢委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。

 まず冒頭、稲津厚労副大臣や吉永審議官、厚労関係の方にも来ていただいております。着席時間を短縮するために、まず、新型コロナの医療体制に関して、感染拡大防止策についてお聞きしたいというふうに思います。

 実は、きのう、福井県、地元ですけれども、杉本県知事が緊急事態宣言を発令いたしました。お隣の石川県も今緊急事態宣言しておりまして、実は、北陸は、人口当たりの感染者数で見ると、福井、石川、東京が感染率ではワーストスリーをこのところ競い合っているような、非常に憂慮すべき状態が続いております。

 政府として、福井県の現在の医療体制や感染状況、どのようにごらんになっているでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 これまで、北海道、それから、その後に東京、大阪始め緊急事態宣言が既に発せられた七都府県、急速な感染拡大が認められております。

 そういう中で、今御紹介のありました福井県ですとか北陸地域については、当初はそれほどの感染者数の増加というのはございませんでしたが、しかし、今議員から御指摘のとおり、福井県での県としての緊急事態宣言を発せられたということで、人口規模に比して感染者数の拡大というのが顕著になっている、そのように認識しているところでございます。

斉木委員 石川県や福井県のように、また愛知県のように、県として独自に緊急事態を宣言される知事さんがふえております。そこの当該地域に居住する県民の方というのは、じゃ、知事が緊急事態を宣言した、何が変わるんだという疑問を持つと思うんですが、これは何が変わるんでしょう。法的根拠に基づいて何か指示が出せるようになるということなんでしょうか。

安居政府参考人 お答えを申し上げます。

 自治体が独自に行う緊急事態宣言は、特措法第三十二条に基づき七都府県に発出された緊急事態宣言とは異なりまして法的な根拠はございませんが、特措法に基づく緊急事態措置を講じることはできません。

 具体的には、例えば、四十五条における施設の使用制限に係る要請、公表、さらには、より法的に強い形になりますけれども指示、公表というものがありますが、こういった緊急事態措置を講じることはできないというふうに考えております。

斉木委員 福井県の場合、杉本県知事ですので、私が拝察するところは、この感染者数の日別推移を見ると、ここ数日頭打ちになった、きのうはゼロでした、二桁でふえていたものがここでゼロに抑え込むことができたので、やはり、日本政府として、また気の緩みです、三月末に連休でK―1の大会が開催されたりとかありました、少し増加ペースが鈍ったところで、いかに県民の接触を減らせるか、また行き来を減らせるか、こういったところをやはり勝負どころと見て出されたのかなと。今も、法的根拠はないということでしたので、こういった狙いが背景にあるのかと拝察いたしますが。

 内閣官房に伺いますけれども、福井県から、国の緊急宣言指定地域に加えてほしいというような要望はありますか。

安居政府参考人 お答えを申し上げます。

 現時点におきまして、福井県から要請は受けていないものと承知しております。

斉木委員 厚労関係に伺います。

 これまで、福井県の場合には、第一号の発生者の方から非常にクラスター感染経路が追えております。ある中小企業の経営者の方が東京からの出張でお戻りになった、その方が陽性でして、福井県の繁華街で二つほど、やはり夜の飲み屋です、こちらでクラスターをつくってしまって、そこの経営者の女性であるとか、そういった方々から大きく広がっていったというのを、クラスター追跡班を国から県知事も要請して、今、追えている状況でございます。

 国としてもこのクラスター追跡というのを感染抑止の大きな柱に据えておりますけれども、福井県、国全体もそうですけれども、クラスターを追うことで感染抑止ができているというふうにお考えでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 クラスター対策が感染拡大防止になっているのかという御質問だと思いますけれども。この感染拡大防止のためにさまざまな施策が今取り組まれていますけれども、やはり、一つは、早期にクラスターの発生を把握して、そしてその上で、積極的疫学調査によりまして感染源と濃厚接触者を同定して、感染拡大を防止するための対策、これを実施していくことが大変重要なことであるというふうに認識しております。

 このために、厚生労働省では、国内の感染症の専門家の方々で構成されるクラスター対策班、これを設置しまして、実際にクラスターが発生した自治体と連携して、専門家チームの派遣、またデータの収集、分析、対応策の検討、こうしたことを行っております。

 今お話のありました福井県の事例につきましても、三月、これは二十八日以降ですけれども、専門家を現地に派遣させていただきました。そして、福井県と連携して、感染拡大の可能性についてのリスク評価に関する助言、こうしたことを行いながら、感染拡大防止に向けて専門的な助言を行ってきたところでございます。

 こうしたことによって、一定程度感染の拡大防止がなされているものというふうに認識しておりまして、引き続きこの取組はしっかり進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

斉木委員 思料するに、要は、クラスター感染者、例えば一家の世帯主や奥さんが感染したら、その家族にも外出自粛を要請するであるとか、その職場にも波及しないように配慮を促していく、こういった、いわゆる二次感染、三次感染の抑止というのがクラスター追跡の狙いだろうというふうに思います。

 これは、特効薬やワクチンができていない現段階においては、やはり、ここを主眼にして感染拡大抑止を、福井県のような北陸地域、また全国で図っていく、柱にしていくというお考えということでよろしいでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 もちろん、今、厚生労働省としても、また各省とも連携とりながら、治療薬それからワクチン等の開発、治験を含めて取り組んでいるところでございまして、それと同時に、今議員から御指摘のあったように、やはりクラスターを見つけて、それを封じ込めていくということは非常に、大変重要なことでありまして、その実例として、例えば北海道が、全国的に見ると早い段階でこの感染拡大が見られて、その対応として、福井県と同じように専門家を派遣させていただいて、クラスターの発見、そしてその対策、封じ込め、これに取り組んでまいりました。その結果として、緊急事態宣言を独自に発出して、そして、合計で三週間ぐらいだと思いますけれども、このことによって一定の効果を得て、そして発生者数を減らしていったというのがあります。残念ながら、現在また少しふえてきているという状況でございますが。

 そうした意味で、さまざまな対策も講じていきながら、このクラスター対策についても引き続きしっかり取り組んでいかなければならない、このように考えております。

斉木委員 医療体制、特に院内感染の防止に関して伺います。

 先ほど柿沢委員からも指摘があった点、私も懸念を共有しているところです。福井県においても、まさに感染症対策の中核病院である県立病院、ここで四十代の女性看護師が院内感染を起こしました。これは日本の医療の全般的な課題だと思うんですが、北海道から沖縄までの各都道府県で、一般病棟と感染病棟が混在をしているということが挙げられます。例えば、この関東地方でも、一度も外に出ていない妊婦さんと赤ちゃん、新生児が感染をしていた。どうも助産師さんから院内感染でうつったんじゃないかと報道が出ております。

 この東京でも、やはり一般病棟と、看護師の方、医師の方はシフトを組んで、ぐるぐるローテーションで回っております。ですので、感染病棟で重症者の対応に当たった看護師や医師が、一般病棟の泌尿器、婦人科、小児科、そういったところにシフトで入って、そこの患者さんに感染するのではないのか、国民も、だから医者には行きたくない、やはりそういった懸念が広がっております。

 こういった、一つ院内感染の拡大を抑止するという目線に立てば、やはり、一般病棟と感染病棟が混在する今の医療体制ではなく、コロナ専門の感染症指定病院化をして、一般外来とは分けるという機能分化を徹底する、こういうことも一つ考えられると思います。

 ただし、これをやると、医療従事者の負担はすごく重いと思います。看護師や医師の方も、ローテーションを組んでいるから息が抜ける。重症者やコロナの感染者の方、二十四時間、非常に気が張りますので、こればかりやらされると、とてもじゃないが摩耗してしまって、逆にミスをしてしまう、そういう懸念もあると思いますが、この点、今後、日本の医療体制、院内感染抑止のために専門病院化していくのか、一般病棟混在の診療体制を続けていくか、お考えはどうでしょうか。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 院内感染で感染者がふえているという事例も出ておりまして、大変憂慮しているところでございます。

 それから、この新型コロナウイルスに限らず、医療機関における院内感染防止というのは、平素から各医療機関に取り組んでいただいておりますけれども、大変重要なことで、とりわけ今回のこの新型コロナウイルス対策の中で、やはり医療機関、治療を施す医療機関で感染が拡大するということは、大変これは憂慮すべきことですから、この院内感染対策、防止を徹底していくというのは非常に重要なことで、さまざまな取組があると思います。

 そうした中で、議員御指摘のような、新型コロナウイルス感染症の患者を重点的に受け入れる病院の設定については、三月の二十六日に発出しました事務連絡におきまして、各都道府県に対して、専門性の高い医療従事者を集中的に確保する、それから十分な院内感染防止対策を効率的に実施しやすくする、こうした観点から、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関の設定を検討するようお願いしたところでございます。

 ただ、とはいえ、それでは、今御指摘のとおり、医師、看護師、それからさまざまな技術者の方々の医療従事者をどのように確保するのかという、大変これは難しい問題もございます。

 また、重点的に受け入れる医療機関については、病棟単位ですとか医療機関単位で入院する体制がとれる、そうした医療機関を設定することが望ましい、こういうことから、そのことについても明記をさせていただきました。

 厚生労働省といたしましても、議員からの御指摘もございましたように、それをしっかり受けとめながら、福井県ともよく連携して積極的な支援をしてまいりたい、このように考えております。

斉木委員 院内感染というのはなぜ起こるかという視点を持つことが、医療従事者の目線で持つことが非常に重要だろうというふうに思います。

 福井県の例を見ても、また東京で起きている例を見ても、やはりケアレスミスなんですね。やはり、連日連夜、重症患者への対応をしておりますと、非常に疲弊してくる。睡眠時間が削られたりであるとか、やはり精神的なストレスが連続していたりで、ふだんはこの看護師の方も、感染症の専門家の、四十代ですから経験豊富なベテラン看護師です、そういう方が、例えば着衣を脱いだ後に外側にうっかりさわってしまうとか、手袋の外側にさわってしまうとか、こういったケアレスミス。

 これがなぜ起きるか、ヒューマンエラーですので、なぜ起きるかということを徹底的に原因を考えて、そこを排除していく、起こらないようにする。一言で言いますと、いかに負担を軽減してあげられるか。いかに睡眠時間をとり、できれば一週間ローテーションを組んでいただいて、週休二日ぐらい、無理かもしれませんけれども、なるべく休んでいただく、なるべく八時間の睡眠時間をとっていただく。こういった医療従事者の目線に立った、いかに頭がフレッシュな状況で、体が疲れていない状況で病院に来ていただくか、こういった体制をいかに組めるかというのが非常に院内感染の抑止には重要です。

 厚労省の方と、参事官と事前レクで話しましたけれども、やはり、ニューヨークやイタリアのような状況というのは、ある意味もう医療崩壊状況であって、次から次に重症患者が運ばれてくる、これではケアレスミスが頻発して、やはり、院内感染や医師、看護師の死亡事故というのもどんどん起きていっているというふうに思います。日本は、まだ瀬戸際でそれが踏みとどまれている状況である。福井県もそうだろうというふうに思います。ただし、もうほぼ限界に近いということは、県立病院の病院長さんが会見で述べられております。

 県立病院というのは、各県、皆さん、御地元でお持ちですけれども、地域の拠点、中核病院なんですよ。何でもかんでも、高度医療であるとか、あらゆる手術、あらゆる透析、そして高度医療、こういったものも県立病院の機能としては期待をされていて、ふだんやっております。そこと並行して診ていくのはもう限界だろうというのも、正直、北海道から沖縄までそういう状況だと思います。

 ですので、なるべくそういった、感染症の指定病院のような拠点病院、県立病院、都立病院、こういったところは、一般外来とかそういったものは分担で、開業医の方とか各私立の総合病院であるとか、そういったところに振っていく。やはり何でもかんでも機能を求められるともうもちませんということを、病院長さんが、県立病院とかが言い出して、記者会見で言っておりますので、やはりそういった外出しをしていくというのも非常に重要な、ヒューマンエラーの抑止に、負担軽減になると思うんですけれども、どのようにお考えですか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 まず初めに、全国で今、新型コロナウイルス対策で奔走していただいている医師、看護師、医療従事者の方々に対して、その御苦労に対して、議員からも今お話がありましたように、私どもも大変そのことに対して意を重くしておりまして、また、そうした現場で働いている方々に心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。

 そして、同時に、そうした医療従事者に大変な御負担が増しているということも事実でございまして、それをどのようにしてこれから緩和していくのか、どういう対応ができるのか、これは、私どもも、関係者の方々また専門家の方々からの教えもいただきながら、全力で取り組んでいきたい。議員もそういう上に立っての御指摘だというふうに理解をさせていただいております。

 先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、三月の二十六日に事務連絡をさせていただいて、専門性の高い医療従事者、こうした方々を集中的に確保していくということ、それから、当然、院内の感染防止をどのように効率的に実施していくか、これも重要ですから、その対策も講じていく。

 こうしたことを事務連絡によって発出させていただいたんですけれども、その上で、今議員からも御指摘のあったような、例えば、医療機関をどういうような役割で機能的に持っていただくか、これはもちろん、地元の医師会ですとか医療機関の御協力をいただきながら、またそれぞれの地域で御検討いただくことが非常に大事だと思っておりますが、厚労省としても応援をさせていただきながら、そのような観点から、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れられる医療機関の設定、これも検討するようにお願いをさせていただいているところでございます。

 先ほど冒頭も申し上げましたけれども、新型コロナウイルスの感染症対応の最前線で働いていただいている医療従事者の方々の負担を少しでも軽減をさせていく、そのために、そうした取組を通じて、さらに、これがまた一般病床の方の患者さんの感染を防ぐということも含めて、医療従事者の皆様の院内感染の防止に全力を挙げていきたい、このように考えているところでございます。

斉木委員 ありがとうございます。

 厚労副大臣そして厚労省の審議官の方々、非常にお忙しいと思いますので、離席していただいて結構です。どうもありがとうございました。

 では、残余、閣法審議に入りたいところなんですけれども、私は、昨年、前々任の世耕経産大臣のときに、過去の質疑録を見ましたら五回も、五月四回、六月一回、このデジタルプラットフォーマー対策をしろしろと、一年前にも議論し尽くしておりますので、そのあたりに入る前に、ちょっと、今回のコロナ、今、国民の生命に関して伺いました、財産を守る対策、これについても、やはり当経産委員会でいろいろ施策が出てまいりましたので、経産大臣また財務副大臣にも来ていただいておりますので、財政面からもお伺いしていきたいというふうに思っております。

 まず、一言で申しますと、遅過ぎ、みみっちいという声が国民から非常に多く出ております。

 アメリカの場合には、三月二十七、二十八に、二兆ドル、二百二十兆円の財政出動を行うということを民主党、共和党が連邦議会で可決をし、トランプ大統領が署名をし、発効しております。

 日本はどうかと申しますと、安倍首相がマスク二枚を配ります、まだ来ていません。そして、経産省は二百万円、中小事業者に配ります、一円も来ていません。雇用調整助成金、九割積み増します、今週から申込みを受け付けます。要するに、一円も来ていない。やっと来たというのは、無利子無担保融資。三年間の利子補給をして、無利子無担保で政策金融公庫、商工中金から貸しましょう、これが今徐々に裁決がおりているような状況。

 ほぼ九割以上の国民、中小事業主にとって、何だ、安倍さんは、マスク、アベノマスクを配るけれども来ないじゃないか。二百万配ると言うけれども、五月連休明けです。もしかして五月中に配れれば何とか。雇用調整助成金も、一旦事業主が払ってね、二カ月後に払い込むけれども、コロナだから頑張って一カ月に短縮しますよ。これが厚労省や経産省の答弁です。非常に遅いわけです。

 ドイツの例も、今よく国会でも話題になっております。ネットで、今回の日本の持続化給付金や生活支援金に相当するものを申し込んだら、わずか二日若しくは翌日に交付される。六十万円が振り込まれました。日本人の個人事業主が、ドイツで活動している方が、六十万も入ってきた、助かったと。非常に今SNS時代ですので、瞬時に広まります。

 それと比較して、我が国日本国政府の対応はどうなんだ。日本って先進国だったの、日本っていつの間にこんなに遅くなっちゃったのという悲鳴が、今国民の間に充満しておるんですね。

 財務副大臣来ておりますが、今回これだけおくれている要因というのは、要は、なぜこんなにおくれてしまっているんですか。財源がないからですか。

遠山副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 ちょっと、御通告を事前にいただいていた質問と若干趣旨が違ったところもありますので、意を尽くした御答弁になるかわかりませんが。

 先生御承知のとおり、これはやはり政府といたしましては、昨年度の総合経済対策、そしてその後の、予備費を使っての緊急対応、これは第一弾、第二弾で合計約二兆円ということをやりました。また、その前には補正予算も四兆円台、通しておりまして、それらの、これまで国会で御審議をいただいて成立した、財源を使ってやれることは今やらせていただいている、このように思っております。

 斉木委員が今御指摘になった一部の施策につきましては、まさに来週、衆参の予算委員会で御審議をいただいて速やかに成立をする、その法律に基づいて財源を手当てして実施していこうとしているこの緊急経済対策の中身の一部だと思っております。

 諸外国と比べて、日本の制度、いろいろ違いはあるかと思いますが、法治国家として、やはり予算につきましても、国会で成立をさせる、それに基づいた財源で措置を行っていくということが原則だと思っておりますので、それに従って、政府としては速やかに実施できるように努力をしていきたい、このように思っているところでございます。

斉木委員 まさに来週、やっと補正の予算委員会が立つわけです。ちょっと遅過ぎませんか。我々は早く出してくれと。

 まず、本予算を修正して。二月末に衆議院を通過しましたね。三月に参議院に送付して、三月末に成立をした。本予算を修正することもできたし、財務省主計局に調べさせたんですが、過去、本予算が成立する前に、衆議院を通った後、参議院に送付した後、速やかに補正を審議を始めて成立させた例は幾らもあるんですよ。

 例えば、古いところでいきますと、昭和二十五年度、これは、本予算が衆議院で可決したのは三月十日です。補正を三月十五日に提出をして、本予算成立の四月三日と同時に補正を上げています。

 要するに、衆議院を二月末に、二月二十七、二十八に通した、可決した段階で、安倍さん、どうぞ閣議決定をして、今の百八兆円、よくわかりませんよ、公称百八兆円の補正をさっさと衆議院に出してくれれば、それは三月末には本予算と同時成立をさせて、四月、今月は配れたわけですよ。何でそのタイミングで出さなかったんですか。

遠山副大臣 お答え申し上げます。

 令和二年度、今年度の予算を衆議院で可決いただいた二月二十八日当時を若干振り返ってみたいと思いますが、この二十八日の翌日、二十九日に、安倍総理から、令和元年度予備費二千七百億円を活用し、学校の臨時休校への対応、医療体制の強化、雇用と事業の維持のために緊急対応策第二弾を取りまとめるよう御指示がございました。

 この総理の、まさに本予算が衆議院で可決した翌日の指示に基づきまして、三月十日に緊急対応策第二弾を策定をいたしまして、委員も御承知だと思いますが、四千三百八億円の財政措置を講じるとともに、資金繰り対策等に万全を期すため、総額一・六兆円の金融措置を講じ、雇用の維持と事業の継続を当面最優先に、全力を挙げて取り組もうということで臨みました。

 また、新型コロナウイルス感染症による経済への影響につきましては、経済の下振れリスクに確実に備えるために策定した総合経済対策の実行のための令和元年度補正予算、これが既に一月三十日に成立しており、まずはこうした各種施策を着実に実施していくことが重要であると当時考えておりました。

 したがいまして、令和二年度予算が衆議院を通過した時点においてすぐに令和二年度の補正予算を国会に提出するべきだったとは考えておらなかった、こういうことでございます。

斉木委員 ちょっとそれは、今ネットで見ている国民の皆さんもがっかりしたと思いますよ、今の御答弁。

 アメリカで二百二十兆円ですよ。三月二十七、二十八です。それまで、はっきり言って、国民の方があきれている部分もあったと思いますよ、アメリカ国民。民主党と共和党がやり合って、共和党案に対して、民主党案がより家庭重視の修正をして、連邦議会で議決されました。

 でも、三月二十七、二十八ですよ。きょうは何日ですか。きょうが四月十五日ですよ。今週閣議決定して、週明けに補正を上げてくれと。四月二十二とか二十四になりますよね。これは、要するに、丸々一カ月おくれちゃっているじゃないですか。

 要するに、リーダーの認識が、二千七百億円の指示を衆議院通過の翌日に出した、三月一とかですよね、三月一に出した、遅過ぎませんか。我々が何を言っていたかといいますと、本予算をまず修正しろと言ったんですよ。本予算、コロナ対策ゼロのまま、二月二十八日に衆議院を無理やり通しましたね。

 政府修正、国会修正は過去八回もあるんですよ。政府がそのときの状況を見てみずから修正したのは、昭和二十三年度、昭和四十七年度本予算、昭和五十二年度本予算、平成三年度本予算、四回、政府が修正しております。国会の我々の議論を経て修正した例が、昭和二十八年度、二十九年度、三十年度、平成八年度、四回あります。八回も修正している。

 まず、ここで修正もできたのに、じゃ、翌日に指示を出すぐらいだったら、それを盛り込んで本予算を出せばよかったじゃないですか。何で修正しなかったんですか。

遠山副大臣 お答えを申し上げます。

 今委員がおっしゃった、翌日に指示を出すなら何でそのときに組み替えをというお話でしたが、二月二十八日に衆議院を可決した令和二年度予算は、その後、参議院で審議をされて、可決して正式に成立という運びになっているわけでございますので、衆議院を可決しただけで、いわば、国会の二院制の、我が国の国会の制度上、参議院でこれから審議するものを修正するというのは、少し、現実的にはあり得ないのではないか、このように思っております。

斉木委員 ますます不安になってきました、今の御答弁。

 制度上、いいですか、財政法とかをよく見ていただきたい、副大臣、国会法を見ていただきたいんですけれども。衆本で、衆議院で可決して参議院送付されたものは修正できませんよ、それは答弁でいいんですよ。だけれども、二月二十七日以前、衆議院で可決されるまでは幾らでも修正できるんですよ。それは知らなかったんですか。

遠山副大臣 いや、委員の先ほどの御質問の中で、翌日に指示をするなら、なぜそのときにやらなかったのかとおっしゃったので、先ほどのような答弁になったということでございます。

斉木委員 御存じだったということにしますが。要するに、二月中に、もうコロナの事態、首相も何度も会見されて、たしか二月二十六か七ですよね、学校を休めと言ったのは。二月末に、もう来週から、学校、全国休校だというぐらい危機感があるんだったら、本予算、幾らでも修正できたんです、そのとき、まだ衆議院で可決していませんから。

 だから、安倍さんがそれだけ危機感があるんだったら、何で経済対策も盛り込まないのか。ここはやはり、危機意識の欠如、経済に対する、アベノミクスの安倍と言っている割には、中小事業主や、低所得層で個人事業主の方、今回最も被害を受ける方々、全く配慮とか目線が足りなかったのではないですか。

遠山副大臣 お答え申し上げます。

 委員の御主張は御主張として認識をし、またしっかり受けとめたいというふうに思っておりますが。

 二月のお話がありました。衆議院の予算委員会で審議して、本格化している最中だったと思いますけれども、安倍総理は、二月一日土曜日に緊急対応策第一弾の取りまとめの指示を出しております。その後、二月十三日にその第一弾を策定をいたしまして、帰国者等への支援、国内感染対策の強化、水際対策の強化、影響を受ける産業等への緊急対応、国際連携の強化等を策定をして、実行に移しております。そして、二月二十五日、これは学校の臨時休校の要請の二日前でございますけれども、ここで新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が策定されたということでございます。

 私自身も、財務副大臣として、当時、衆議院の予算委員会に参加をさせていただきましたが、与野党の先生方からさまざまな御提言、御指摘がございましたが、私の記憶が間違っていなければ、この衆議院予算委員会における審議の後半の方でかなりそういった議論が深まって、そしてこの二十五日の政府の基本方針に結実をしていったというふうに理解をしております。

 その直後に本予算が衆議院で可決をしたわけでございまして、当時の環境下におきましては、冒頭に私の答弁にございましたように、すぐさま令和二年度予算を組み替えるという時間のかかる作業をするとか、あるいはすぐに補正を打つというよりも、まずは、予備費が前年度五千億円ありまして、その余剰金が結構ありましたので、それを使って緊急対応策として第一弾、第二弾を打たせていただいた、その判断は適切だったと当時の文脈で考えているところでございます。

斉木委員 何というか、泥縄式というか、全部後手を踏んでいるなという印象は、だから国民が持ってしまうのではないのかなと思います。

 一つ付言しておきたいのは、この対応を安倍総理がちょっと政治的に利用し過ぎではないかと私は思うんですね。

 今、野党側に対して、衆議院一日そして参議院一日の予算委員会で上げろ、四月二十二日までに上げろと言っていますけれども、四月二十四と二日しか変わらないわけですよ。要するに、二日間早く、一日も早く上げたいからと、一カ月以上おくれて出してきて、いやいや、予算委員会は一日だ、それに野党が二日と言ったら、いや、野党は怠慢だとか、何かそういう政治的パフォーマンスの意図を感じざるを得ないんですね。私はちょっとがっかりなんですよ、為政者として。こういうリーダーでは、ちょっとコロナを政局に利用し過ぎでしょうと。

 我々はもう一カ月以上前、二月の段階から、早く出して、本予算を修正してくださいと。補正は成立前も出せるんですよ。御存じですか。衆本で可決した二月末、二月二十八日の前に可決している例があるんです。昭和三十四年度は衆議院で本予算が可決したのは三月三日ですけれども、補正を提出したのは二月三日。一カ月も前に出せるんです。本予算と並行審議もできる、補正というものは。

 だから、幾らでも、二月中、予算委員会に立って御答弁されましたけれども、裏で、じゃ、もう一回、補正も練って、予算委員会から帰ったら官邸に帰って、財務省へ帰って補正を練ってさっさと出してねと、我々言っていたじゃないですか。だから、今さらになって、二日間早くしろ、それに抵抗したらけしからぬとか、こういう国会戦術に利用してほしくない。どう思われますか。

遠山副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 まず、安倍総理の立場を代弁する立場に私自身がございませんので、それはまた総理に直接おっしゃっていただく機会があればおっしゃっていただきたいと思います。

 その上で、委員が何度か御指摘されておりますとおり、本予算を予算修正、いわゆる組み替えをした事例というのは、御指摘のとおり、政府修正が過去に四回、国会修正が過去に四回あるわけでございます。ただ、それぞれの当時の国会状況というのを私今ここでつまびらかに存じ上げているわけではありませんので、立ち入った御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、やはり委員が先ほど言及されました、予算委員会をどれぐらいの審議時間数でやっていくのか、あるいはいつ本会議を立てていくのか等々の国会運営につきましては、やはりこれは与野党間の合意形成あるいは国対間の調整、そういったものにかかわってくるんだろうというふうに思っております。

 私ども財務省及び政府の立場といたしましては、一日も早く緊急経済対策を実行に移していくために早期の審議と成立を望む、これに尽きるところでございます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

斉木委員 一カ月、一カ月半もおくれて出してきたわけですから、ぜひしっかりと、二日ですよ、一カ月から見れば二日なんて本当に爪の先ほどの時間差です。それを殊さら、戦術等に、政局に利用しないように私からは政府に申し上げたいというふうに思います。

 では、各論、詳細について御質問したいというふうに思います。

 今回、ドイツの例を私申し上げました。皆さんも御存じだと思います。六十万円とか、個人事業主が申請翌日にもらえたとか、日本じゃ考えられないとか、いろいろなツイッターとかSNS上で反響が起きております。要するに、まだ国民はニンジンをぶら下げられた状態で一円も受け取れていないからです、日本国民は。なぜ彼我で、ドイツと日本でこんなに違うんだ、いつの間に日本は後進国になっちゃったんだ、こういう考えを持たざるを得ません。

 何で、じゃ、ドイツでは二日で出せるのということをレクでもお聞きしました。総務省三十万円、そして経産省二百万円、それぞれ生活支援金と持続化給付金ですけれども、なぜなのか、それはドイツの例はちょっとわかりませんということなので、調べてみました。

 今回、ドイツでこれだけ早く即応できたのは、平時の労働者保護者制度が大分違うなというのがわかってまいりました。ドイツの場合には、例えばリーマン・ショックのときにも機能した、労働時間口座制度と言われるシステムがあります。これはどういうものかといいますと、こういう不況のときに休業を余儀なくされた従業員が景気を回復した後に労働時間をふやすことで雇用を維持できる制度、要するに、休んだ分、後ずらしで貯金できますよ、これで雇用は維持されますというスキームがもともとありました。

 それともう一つ、これはドイツ名でクルツアルバイトという制度なんですけれども、これはどういうものかといいますと、操業短縮手当制度です。日本で言う雇用調整助成金に当たります。ここから所得補償が恒常的になされます。今回は、この操業短縮手当制度、クルツアルバイトから、全従業員の一〇%、要するに百人の企業であれば十人、労働時間が短縮された場合には、この操業短縮手当制度から支給されるという制度がございます。

 こういった手厚い労働者保護の制度が既に走っていた、だから、これを使って、翌日給付であるとか二日後給付であるとか、迅速に対応しているという記事が多数あります。

 こういった恒常的な労働者保護者制度というものも、日本はやはりドイツ等に比べると、サラリーマン、労働者、働いている人の目線から見ると、申請して一カ月後、二カ月後という、雇用調整助成金を何とか一カ月後に出しますというのは、ちょっと彼我の差が大き過ぎる気がするんですね。

 この今回の事象から見て、やはり、日本、我が国もこういった、労働時間を貯金して景気が回復したら返すことで雇用を維持するであるとか、全従業員の一〇%が時短を要請されたら自動的に雇用調整助成金が出るとか、こういった制度というのは学ぶべきだと思うんですが、政府の御見解はいかがでしょうか。どなたか答えられる方いらっしゃいましたら。総務も来ていらっしゃいますので。

    〔委員長退席、武藤委員長代理着席〕

武藤委員長代理 厚労省いますか。いないね。

斉木委員 厚労省はお帰りになったようですね。

 では、総務、せっかく来ていただいていますので。

 三十万円の生活給付金、まだ出せていませんね。これに関しても、こういった制度を、なぜ払えるんですかと、事前にレクのときに申し上げました。わからない、わからない、ドイツのことはわかりませんという御答弁でしたけれども。こういった制度というのは、しっかり今回出せなかった、遅いのであれば、やはり改善すべきですよ。そういった生活給付金を今後出していく上で、ドイツのような、欧州、G7の事例というのは参考になさった方がいいのではないですか。

森政府参考人 まず、生活支援臨時給付金の方の話をさせていただきますと、これは現在の状況でございますが、迅速にお届けするために、できるだけ申請のための手続を簡便なものとするとともに、給付対象世帯の範囲や申請に必要な書類等をわかりやすく周知することが重要であると考えておりまして、現在、そのための作業を進めておるところでございます。

 ただ、これは手続として、給付金が市区町村に対する十分の十の国庫補助事業ということでございまして、国の補正予算が成立し、これを受けた各市区町村の補正予算にも計上していただくことが必要であるということでございますので、補正予算成立後に各市区町村で補正予算を早期に決定いただいた上で、できるだけ迅速に届けるということを目指して現在作業を進めているというところでございます。

 他方、ざっくりとしたあれで恐縮でございますけれども、ドイツの方は、中小企業向けに、会社の税務識別番号だとか会社の銀行口座とかこういったものを把握をする、そしてその中で所得を捕捉できているというようなことが、給付にかかる日数が短い要因というふうに理解をしているところではございます。

斉木委員 今回の事例というのは余りにもドイツと日本で差が出てしまったので、そういった、即レス、即時レスポンスするためにはどういった制度にしていくべきなのかというのは、ぜひ国会で継続的に御議論すべきだなというふうに思っております。

 もう一つ、じゃ、それだけ給付が遅いんだったら減税してくれよという声も非常に多いんですね。

 まずは消費減税、五%をやってくれないか。財務省ともレクいたしました。やはり値札をつけかえなきゃいけないから遅いんですと。わかりました、じゃ、所得税と住民税はどうですかと。所得税は国税、住民税は地方税、これは毎月毎月、日本のサラリーマンはお上に対して払っているわけですよ。

 江戸時代を思い出してください。今回は、大干ばつ、大飢饉です。突然の天災。こういうときに、お代官様、庄屋さんが何やるか。年貢の減免ですよ。ことしは大干ばつだから百俵のところを十俵でいい、まけてあげる、だからそれで、うちから立ち去らないでくれ。国民が疲弊しないように、よその藩に行っちゃわないように。そういうことをやって維持するんですよ、国は。

 だから、住民税とそして所得税、すぐ減税できるじゃないですか。累進課税制でしょう。所得税も住民税も、前年度収入は税務署が国税庁が把握をして、累進課税でやっているわけです。では、高額所得者は所得税減税なし、五百万円以下だったら五〇パー減税、三百万円以下だったら一〇〇%減税とか、できるじゃないですか、すぐに。低所得の方に厚く、累進制でせっかく把握されているんだから、五月から、四月から、減税すればいいじゃないですか。もっと言えば、自動車税や軽自動車税だって五月、納付時期でしょう。これは、都道府県の抵抗もありますけれども、こういったこれから払う税金、特に住民税や所得税という、給与天引きで引かれている税金はすぐ減税できるんじゃないですか。なぜやらないんですか。

    〔武藤委員長代理退席、委員長着席〕

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった事態におきまして、スピーディーな対応が必要であるという御指摘はごもっともだと存じております。

 その上で、政府といたしましては、確定申告の時期につきまして、本来であれば三月十六日の予定だったところを四月十六日まで延長した上で、さらに十六日以降も弾力的に受け付ける等の対応を速やかに行っております。

 また、御指摘のような減税を行うためには、法律の成立が前提となることは予算と同様でございます。その上で、おっしゃったような源泉徴収義務者において減税を実施していくためには、システムの改修を始めとした多大な事務負担をこういった中で必要とする。

 また、所得に応じた減税額を計算するためには、年間の所得の見通しが立つ必要がございます。そのためには、年末調整の時期まで少なくとも待つ必要がございまして、速やかに給付をするといった対応と比べるとスピーディーさに欠ける対応となる嫌いがございます。

 また、橋本内閣の時代に行いました定額減税のようなスタイルでしたらもっと早く減税できるのではないかという御指摘もあろうかと思いますが、これにつきましては、源泉徴収義務者において、月々の源泉徴収税額から差し引く減税額の管理が必要になるといった手間暇が生じますほか、現在問題になっておりますフリーランスですとか個人事業主の方々については、そもそも源泉徴収が行われていないケースが多うございますので、こういった方々については、給付による対応よりも非常に遅い対応になるという問題がございます。

斉木委員 確かに源泉徴収されていない方もいるでしょう。

 でも、ちょっと皆さん、お子さんをお持ちの方、皆さん、私もいますけれども、三人。いつも家にいますね、子供たちは。学校の休校いつ終わるのかわかりません。昼御飯、食べるわけですよ。食費が全世帯で今非常にウナギ登りになっていて、スーパーの売上げは上がっています。ということは、所得の多寡にかかわらず、子供たちが家にいることによって家計支出は増大しているんですよ。でも、収入はこれから上がりっこないんですね。下がることは予見されます。でも、昼間の口がふえて、食費、エンゲル係数がどんどん上がっているのに、なぜ給付にこだわるのか。

 だから、まずは全員一律に給付の十万円を配るか、一律のまず減税をする、そして、低所得者層には今やっている三十万円のようなものをプラスで配る。こういう組合せをしていかないとスピード感が出ないと思うんですけれども、こういった減税や給付、一律給付と所得の低い人に対する重なる給付、二次給付、こういったものを組み合わせるべきだと思うんですが、それに対する御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

遠山副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 先生御指摘のお考えは、減税と給付を組み合わせろというお話かというふうに思いますが、委員御指摘のように、非課税世帯に給付を行って納税者には減税を行うという仕組みにする場合は、納税額が少ない低所得者は減税による恩恵が小さくなるといった課題がまずあろうかと思います。また、仮に、これを是正する仕組みとする場合は、減税額に応じて今度は給付金を調整するといった複雑な設計にする必要が、公平性を重視した場合に生じるというふうに考えております。

 先ほど事務方からも御答弁ありましたように、所得税の減税に当たりましては、源泉徴収義務者の事務負担が大きく、その準備に必要な時間を考えると、残念ながら効果が出るまでに一定の時間を要するという課題もあろうかというふうに思います。

 いずれにいたしましても、一言で申し上げますと、所得税減税と給付を組み合わせると、より複雑な制度になり時間もかかるということを考えておりまして、その上で、今回、給付金で対応する方が合理的ではないかと考えているところでございます。

斉木委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ御忠告申し上げたいのは、江戸時代のまるで血も涙もない庄屋だ、悪代官だと言われないように、慈悲の心を持って接する為政者であると国民は今感じておりませんので、そこを重々留意されて対応されることを御進言申し上げまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 こんにちは。立憲民主党、衆議院議員の山崎誠でございます。質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日も、さまざまな課題がありますので、私も、いただきました時間を有効に使って多方面で質問をしてまいりたいと思います。

 質問の順序をちょっと変えまして、まず法案のお話をさせていただこうと思います。四番、五番の質問から先にさせていただければと思います。

 まず、5Gに関する、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案、この法律について議論をさせていただこうと思います。

 聞いておりましたら、柿沢未途委員からも、私は全く同じ問題意識で質問を組み立てておりまして、やはり、私、資料をつけました四番を見ていただくと、これは経産省の資料ですけれども、「移動通信インフラ機器市場の状況」ということで、4Gのレベルだと思うんですが、この世界における位置づけですね、日本企業は本当にもうかすかに事業をやっているという状況かと思います。

 隣の、国内市場を見て、いや、日本の富士通、NECさんも頑張っていますと経産省の方はおっしゃいますが、市場規模を見ていただいたって全然違いますし、まあ、日本の中で日本のメーカーが頑張るのは当然として、世界の中でこれだけやはりおくれをとってしまった、これについては、先ほど柿沢委員からも質問があって、理由なども御説明があったところですけれども。改めて私も、この現実を受けとめて、どういう対策を本当に抜本的に打っていくべきかというのをこの法案の審議を通してやはり明らかにしなければいけないと思います。

 改めて、ちょっと重複になるんですけれども、私も、どうしてもこの理由、どうしてこういうふうに今の日本の産業がおくれてしまったのかという抜本的な理由について、ぜひお聞きをしたいと思います。

梶山国務大臣 現在のモバイル用途の情報通信システム市場では、海外ベンダーが世界シェアで上位を占めて、国内ベンダーは大変厳しい状況に置かれているというのは、委員御指摘のとおりであると思っております。国内市場に目が向き過ぎていたということもありますでしょうし、そういった研究開発の投資ということもあったと思っております。この現状というのは認めざるを得ないと思っております。

 現在、各国の通信キャリアを中心に、力をつけ過ぎた海外ベンダーに対する危機感から、情報通信システムを単独のベンダーに任せるのではなくて、複数のベンダーに対してオープンに取組が本格化している中で、世界的に強みを持ち得る分野を中心に日本企業が入り込めるチャンスが広がってきてはおります。

 ただ、本当にラストチャンスだと思うんですね。これは、4Gまでは今までの延長で来た、今度は、5GというのはBツーBで使うものもある、そして新たなビジネスが生まれる可能性もあるという中で、このチャンスをしっかりと生かしていきたい、最後のチャンスだという中で国内産業にも頑張ってもらいたいという思いがございます。

 こうした状況も踏まえて、法律案に基づく指針はオープン性の観点も盛り込んで策定をしてまいりますし、これにより、国内外の企業がそれぞれ強みを持ち寄る、国際連携を促進する中で、日本企業の育成を進め、我が国産業の国際競争力を図ってまいりたいと思っております。

 自前主義がずっと来てしまった、その中で、今度は、餅は餅屋というか、得意の分野をしっかりと連携をしていくということも含めて5Gに臨んでまいりたい、そう考えております。

山崎委員 ありがとうございます。

 私は、今の御答弁の中で、では、何で国内市場にやはりこだわってしまったのか、あるいは何で投資が伸びなかったのか、研究開発の投資などが伸びなかったのか。例えば、この後もちょっとお示ししますけれども、ファーウェイのような会社があれだけの膨大な技術開発投資をしているんですよ。そういう実績が隣であるのがわかりながら、日本は一桁額が違う、そういう状況がやはり続いてきたことがこれだけの差を生んだのではないかというふうに私は考えます。

 ぜひとも、今お話があったとおり、5G、あるいは二〇三〇年からの6Gですか、そういった新しい動きをやはり先取りをするなりして、日本企業の復活のチャンスにしなきゃいけないと思います。そのために何が必要かというのを本当にこの経産委員会でも議論をしていかなきゃいけないんだろうと思います。

 私は、これは言い古された言葉かもしれませんけれども、日本産業、これは経産省も同じだと思うんですけれども、いわゆるかつての成功体験、日本はものづくり大国なんだ、日本の製品は品質がよくて世界の市場で非常にいいポジションをとれるんだ、そういう、言葉はちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、幻想にしがみついていることが、今起きているこういう日本産業の衰退につながってしまったのではないかと思っています。これと同じプロセスを、同じマインドを持ったまま5Gに行っても変わりません。私は同じだと思います。

 今回提案されている法案、これを見て、細かいところを議論する前に、私は大変残念なんですよ。経産省の手法というのは全く変わらない。指針をつくって、計画を提出していただいて、認定をして、支援をする、このステレオタイプの枠組み、これで果たして、今お話ししたような大変激烈な技術開発の競争、新しいイノベーションを生まなきゃいけないというこの状況で、この枠組み自体が対応可能なのかどうかです。この枠組みで、一生懸命説明があります、国際標準のオープン化をするのでその部分で日本企業が伸びていくんだ、そういうお話でこの日本産業の危機が私は救えるとは思えないんですよ。この点、いかがですか。

梶山国務大臣 まずは5G、基地局という基盤をしっかりしていくということでありますが、その先のアプリケーションをどう開発していくかという中で、半導体であるとかそういったところで外部の血も入れていくということが重要になってくると思っております。

 今まで日本企業にないところをどう取り組んでいくか、そして、全体として5Gをどう方向性を持っていくかということも含めてしっかりと対応してまいりたいと思っております。また御意見があれば伺わせていただきたいと思っております。

山崎委員 大臣、私が聞いているのは5G云々の話じゃないんですよ。経産省の産業政策、経産省がリーダーシップをとって進めていく施策が、この旧態依然たる、いいですか、繰り返しますよ、指針をつくって、計画を提出していただいて、認定をして、認定事業者に支援を与える、支援をする、このステレオタイプのスキームで、今のこの日本産業の危機を救えるのかどうかと聞いているんです。

西山政府参考人 まず私からお答えを申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたとおり、この法案の骨格を見ますと、おっしゃられるとおり、指針があって、計画を認定して、措置を講じるというスタイルにはなっております。

 ただ、これも委員がおっしゃられるとおり、内容において、これまでの、簡単に申し上げれば、産業政策の単純な延長上で、5Gも含めて現代の産業や経済の中で競争力を高めるというのは、簡単に言えば難しい、無理だというふうに思います。

 それで、幾つか発想を変えて我々も取り組もうとしておりますが、二つ申し上げますと、一つは、もう既に御議論がございましたけれども、かつての産業政策は、まさに日本の企業のみで日本の国内市場を相手に育成をしていってという発想をとりました。

 ただ、既に指針の中でも御議論にあらわれておりますとおり、現実のこれからの5Gの市場のことを考えますと、今の日本企業の実力で、例えば日本の中のシステムであったとしても、日本の企業のみでその全てを供給をするということは難しいというのが率直な評価であります。

 したがいまして、かつてのようにフルセットで日本の企業が供給するということではなくて、日本の企業がある種のアライアンスの中の一角を担うこと、それを実現するためにまさに国際的なオープン化の動きを支援しようとしているわけですけれども、それを進める必要があるというのが一点目でございます。

 それから、二点目は、今のお話ともかかわるんですけれども、そういうオープン化を実現をしようとしますと、ある種、国際的なものも含めて大きな意味での同じ仕様の上に乗っからないと、自前主義のやり方ではこういうチーム編成はできてまいりません。

 したがいまして、私どもとしては、これは臨時国会で御審議をいただいた法案ではございますけれども、日本企業がこれまでは不得意だった、企業を超えた協調領域でプラットフォームをつくっていくという発想をぜひ、これは国際的なプラットフォームという意味でありますけれども、取り込むべきだということで、そういうことを促進するための、我々はアーキテクチャーと呼んでおりますけれども、そういう俯瞰図を提案できる、国際的に提案し参画できるような後押しをぜひこの5Gの仕組みの中でも考えてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

山崎委員 今のお話をぜひやっていただきたいんですよ。本当にオープン化、国際的なそういう仕様の議論をリードをする、日本企業が海外へ出ていくチャンスを広げていく、そういう施策はこれではなくて、もっと別にあるんじゃないかという話ですよ。この枠組みでやる以上にもっと効果的な、直接的な支援の方法とか、そういったものもあるんじゃないか。

 もちろん、この法案だけで5Gが完結するわけではないと思いますけれども、私は、この法案自体が逆に言うと足かせになってしまうんじゃないか、産業界の、ある意味、経産省にすり寄って、言葉は悪いですけれども、この減税措置で国内の導入を進める、それに注力をしてしまうことによって、大臣がお話しした、国内市場にこだわっているうちに、ビジネスが小さく展開していくうちに、海外の市場をとれなくなっちゃう、もっと国際的なアーキテクチャーあるいはプラットフォームという視野を大胆に取り入れた施策にしないといけないと思うんですよ。

 私は、経産省こそ変わらないと日本産業は変わらないですよ、同じ手法をとり続けて、日本産業はよくなりませんよ、失敗に学ばなきゃいけないと思います。

 例えば、この法案を見ていると、結局、大企業目線なんですよ。国内の基地局をスピーディーに入れなきゃいけない。応援するのは大企業ですよね。ローカル5Gになればいろいろな企業が出てくるかもしれない。でも、これだけの手続をやって投資をしていく企業というのは、やはりある一定の規模の会社だと思いますよ。私は、そういう大企業目線のこの施策はおかしいと思います。

 今何が一番求められているかといえば、中小企業であったり、あるいは企業ベンチャーのような新しいアイデアを持っているところを発掘をして応援をする。押しつけではなくて、経産省が伴走していくような、ともに走っていくような、そういう支援に切りかえていかないと、いつまでも、経産省が指針をつくって、このとおりやりなさい、ついてきた人には支援をします、そういうスキームでは、この激変する、そして新しいものを生み出していかなきゃいけない産業界をリードするような日本企業を育てることはできないと思いますよ。大臣、どうですか。

梶山国務大臣 この政策とあわせて、スタートアップ企業の支援、また、ベンチャーをどう育てていくか、そして、新たな分野をどう開発をしていくか、そういった視点も当然加えていかなければならないと思いますし、委員おっしゃるように、これまでの政策の反省の上に立って、その組合せというか合わせわざで、しっかり対応をしてまいりたいと思っております。

山崎委員 ぜひお願いしたいんですよ。私はそっちの方が主だと思いますよ。それが見えないで、こればかりが見えるということが、私は日本の産業をミスリードすると思いますよ。今までと同じです。

 もう一つ、これも先ほど柿沢委員も取り上げていたファーウェイ。

 ファーウェイをどういうふうに見るかというのは、この5Gを見る間、やはり大変重要だと思うんですよ。世界でいろいろな動きが起きている、米国の排除のお話だとか、ヨーロッパの対応だとか、繰り返しませんけれども、さまざまな対応がある中で、日本はどういう対応をとっていくのか。これはやはり、政府が決めることでは私はないと思いますが、各企業、さまざまな事業者が創意工夫する中でいい関係をつくっていかなければいけない、私はそれを後押しをしていくのが政府の役割だと思います。

 資料の五番にもつけましたけれども、繰り返しになりますけれども、本当に巨額の研究開発投資をしていますよね。二〇一八年度、売上げの約一五%、一兆六千億円を研究開発に投資をしている。補助金が一千百億円とか、そういうレベルではやはりないわけですよね。今回のこの法案の措置でも減税額は百三十億円と聞いていますけれども、もうそういうレベルではない動きをしているわけですね。

 特許の数もこれは書いてありますけれども、ファーウェイは五千四百五件という数字になっています、二〇一八年。第二位が三菱電機で二千八百十二件というのは大変うれしいと思うところではありますが、圧倒的な差があります。基礎研究にも一層力を入れると言っている。

 ここにも書いてあるんですけれども、何でこのファーウェイの基地局が売れるのかというと、統合チップをつくって、その中にいろいろな機能をうまく集約をしているから、もう基本的な、部品から違う。小型で、低価格で、電力消費も小さい。いいものをつくっているから売れる。当然のことなんですね。こういうファーウェイの位置づけをやはりちゃんと見た上で、日本の対応を決めていかなきゃいけないと思います。

 私は、いろいろな考え方があると思いますけれども、ファーウェイを敵にするのか、味方にするのか、一緒にやる仲間とするのか、その戦略というのも考えないといけないと思うんですよ。アメリカ追従だけではなくて、やはりさまざまな可能性を、関係性をつくっていかなければいけない。場合によっては、本当に、韓国半導体メーカーに材料を供給する日本メーカーのような、ある意味そういう位置づけでも、やはり世界の市場の中で産業が生きていく道をつくらなきゃいけないと思います。どうお感じですか。

梶山国務大臣 委員が先ほどおっしゃったように、この5Gの基礎技術の中で、特許というのは、中国、韓国、そして欧米、そしてずっと離されて日本という形になっておりまして、そういったものもしっかり取り入れていかなければならないと思っております。いいものはいいということで、国際連携を組んでいく必要があるんですけれども、ただ一方で、リスクも考えなければならないという中で、それをどう評価するかということも課題であると思っております。

 技術の評価は別にして、また、ほかの要因も含めたリスクというものもしっかりと見きわめていかなければならないと思っておりますけれども、委員がおっしゃるように、いいものはしっかりと、取り入れられるようなものであれば取り入れていくという姿勢であることに、内外無差別ということの考え方に変わりはございません。

山崎委員 ちょうど、今、この五番の資料の中には、研究開発でのエコシステムづくりを進めるという図もあります。やはり、ドイツだとか、アメリカのインテルだとか、さまざまな会社がファーウェイとの共同のいろいろなプロジェクトを起こそうとしています。日本は恐らく、ちょっと調べていませんけれども、そういう動きというのはほとんど聞いておりません。日本こそ、やはり隣国として中国と関係をつくっていく、積極的にそういう関係で新しい技術分野を一緒に開くというような、そんな取組をすべきだと思うんですよ。

 もちろん、国内のインフラをどう整備するか、国のセキュリティーの問題だとか、ございます。ファーウェイは、どちらかというと一気通貫で大きなシステムとして導入するのを得意にしていて、今、日本が考えているような、技術のセグメントを切っていくような導入とは相反するかもしれませんけれども、でも、そのファーウェイの技術や考え方というのは学ばなきゃいけないと思います。ぜひともそういう後押しをしていただきたい。

 そして、この法案があるからといって、計画がどうの、指針が、もちろん指針は大事ですけれども、それがそういう国際連携の足かせになっては困ると思うんですよ。ぜひそういう配慮はお願いをしたいというのが私の思いでございます。

 ぜひとも、私、一番初めに言いましたけれども、このままでは日本産業はよくなりません。やはり、国際競争力を本当につけるためには、この法案では足りないところ、どう補うのか、この法案が本当に生きるところはどこなのか、見きわめて法施行、運用をしていただきたいと強くお願いをしておきます。

 では、次の、デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案についてもお話を進めさせていただきたいと思います。

 まず、この法案の枠組み、これも大きく捉えるお話をしたいと思うんですけれども。昨日も、参考人で、東洋大学の生貝先生からありました、この法案の枠組みというのは、共同規制という考え方だ、当事者と、あと、間に入る政府、国が形成し合って全体の最適化をつくっていくんだ、そういうお話がありました。そういう意味では、この法案でやろうとしていることというのは、とても先進的な、新しい部分があると思います。非常に私はそこは評価をしたいと思います。

 自主性の尊重、規制とイノベーションをどう両立させるのか、それからプラットフォームの提供者と商品等の提供利用者とのウイン・ウインの関係をどうつくっていくのか、この課題を共同規制という枠組みで実現をするんだということで理解をしています。

 大臣、よろしいでしょうか、政府の役割が私は非常に重要になると思います。この法律を施行していくに当たっては、どんな、まだこれからかもしれませんけれども、組織の体制であったり、あるいは、どんな理念で政府はこの法案の目標とするところ、実現に向けて動いていくつもりなのか、お考えをお聞きできればと思います。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、御質問を二点に分けさせていただきますと、まず、体制の整備ということでございますけれども、今も委員のお触れになった、あるいは、昨日も参考人質疑の中でも取り上げられましたけれども、なぜ共同規制的なことを採用するかといいますと、それは、デジタルプラットフォーマーのような新しい業態について、政府、施策を執行する側の専門性が十分でないので、あるいは情報が十分持てているわけではないので、それを補っていかなければならないという考え方が基本的にございます。これは、そういう意味では、先行例でありますEUも同じ考え方に立っております。

 したがいまして、まずは、この法案の立案に当たりましても、内閣官房にデジタル市場競争会議、あるいはその下部組織としてのワーキンググループを設置したり、あるいはそれを担当するデジタル市場競争本部というのを設けておりますが、そこで一定の専門性を持っている方を集めるということを行っております。これはどちらかというと企画の方でございますが。

 あわせまして、この法案の成立した暁に、施行ということになりました場合には、それぞれ経済産業省あるいは公正取引委員会に専門の部署を設けまして、これは、今それぞれの組織で働いている人間に限らず、外部の有識者に常勤、非常勤を問わず参画をしていただいて執行するという体制を整えるということを考えております。

 それから、もう一点、施行に当たっての理念ということでございますけれども、これは法案の中に、委員も御案内のとおり、基本理念ということがはっきり書かれておりますので、基本的にはそれにのっとってということになります。基本的には、自主性を尊重しながら、ある意味で、デジタルプラットフォームを提供している側と利用する方の間の相互理解を促進するという考え方で、規制的な手法については必要最小限度で行うという基本理念で運用してまいることになります。

 以上でございます。

山崎委員 お考えとしてはいいと思うんですけれども、資料六を見ていただくと、現状、これは楽天ユニオンさんから、楽天のさまざまなやり方に対してやはり反発があって、困っているということでお話を聞いています。かなり強引なやり方が残念ながら行われているという事例が数々ございます。それに対して、やはり自主的な取組だけではどうなんだ、十分ではないのではないか、やはり、力の差もありますし、プラットフォーマーの今の考え方というのはビジネス中心、そういった面もあるのではないかという危惧をいただいています。

 今お話しいただいたような政府の対応をしっかりとるのはわかるんですけれども、実際にこういう事案をある種きちっと整理をしていかなきゃいけない。事前に、こういったことが起こらないように、報告をいただいて、透明化をして、いろいろなレビューもしてというプロセスは法案にあります。

 これに魂を入れるのは、私は、やはり政府の姿勢であり、取組であり、本当にこういうものをしっかりと点検をして見ていくんだぞと。プラットフォーマーに対する影の規制というお話がきのうあったと思いますけれども、やはりそういったことがきちっと見える形で、影の姿が見えるというのはおかしいんですが、でも、そういうことがわかる体制をつくっていく、それが良好なシステムづくり、全体の、いいプラットフォーム、このデジタルプラットフォームのビジネスの展開につながっていくんだと思います。

 そういう意味では、私は、政府の取組が非常にやはり重要だということでございますので、これは期待しているということをお伝えしておきますが、具体的な施行の中で、ぜひ前向きな、積極的な関与をお願いしたいと思います。

 私は、このビジネス自体はやはりすごい可能性があって、利用者の、商売をされている方々もビジネスチャンスが広がって、もちろんすばらしいお話だと思うんです。なので、これをうまく共同規制の中でコントロールしていくという考え方には賛成をします。

 もう一つ私が思うのは、そういう規制の側面と、あとは育てていく側面。要するに、このデジタルプラットフォームの事業を多くの方々がやっていく、今あるメガデジタルプラットフォーマーがデパートであるならば、専門小売店みたいなものがたくさん出てきて、それぞれが特徴を持って切磋琢磨していく、商売をしたい人もいろいろなプラットフォームを選べるような環境をつくっていくのがやはり大事だと思います。

 これは言うまでもないと思いますけれども、そういうデジタルプラットフォームの競争環境をつくるための施策、そういったものはどういうふうにお考えでしょうか。この法案はどちらかというと規制側で、現状の問題を修正をする、未来に対してさまざまなビジネスを応援していく、そっちの側面はどうお考えですか。

梶山国務大臣 デジタルプラットフォームのおかげで、中小企業、小規模企業のビジネスの視野が開けたというか、展開が大きく変わってきているという現実がございます。

 プラットフォーム事業者は二〇一九年の世界の時価総額ランキングトップテンの大半を占めるなど大きく成長しているところでありますが、また、事業領域を、電子商取引、検索などのサイバー領域から、自動運転などのフィジカル領域にまで拡大をし、さらなる成長を目指していると思っております。そういった意味でも、やはり国内のプラットフォーム事業者というものも、しっかりとこの法律の中で、また進展をする中で育成をしていかなければならないと思っております。

 こうしたサイバー領域とフィジカル領域の融合が急速に進む中で、これまでものづくりを始めとするフィジカル領域に競争力を有してきた日本企業も、デジタルトランスフォーメーションを進めて、製造現場における豊富なデータを活用して新たなビジネスを生み出していくことが必要であります。これは、大企業、中小企業、小規模企業にかかわらず、やはりここはしっかりとIT化をしていくということ、大変重要なことであると思っております。

 経産省としては、プラットフォーム型のビジネスの展開を含め、企業のこうした取組を支援をしてまいりたいと思っております。

 具体的には、今回の5G、ドローン法案で、安全、安心な高度情報通信インフラを整備するとともに、昨年の臨時国会で成立をいたしました情報処理促進法に基づいて、デジタル技術やデータの活用を前提とした企業のデジタル経営改革の実現による我が国の企業の競争力の強化、新たな産業やサービスの前提となる、異なる事業者間や社会全体でのデータ連携、共有を容易にするための必要な共通の技術仕様でありますアーキテクチャーの策定等に必要な支援策を講じていきますが、まず、やはりリアルデータをどう活用するかということが大変重要な鍵になってくると思いますので、そういったものが共有できるようなシステム、仕組みづくりということをしっかりと支援をしてまいりたいと考えています。

山崎委員 ありがとうございます。

 私は両輪だと思うんですね。この法案でお考えいただいているようなそういう共同規制のような考え方と、新しいプラットフォーマーをやはり育てていくんだという考え方、これは両輪だと思います。私は、これは相互に行き来があると思いますので、当然、今ある既存の大きなデジタルプラットフォームの提供者が持っているいろいろなノウハウとか技術とか、それは特定のものはなかなか出ないとは思いますけれども、できるだけ共有をして、次の市場をやはり育てていくというような動きはぜひとも起こしていただきたいと思います。

 以上で、一応、法案に関する御質問は終わりまして、ちょっと残りの時間で、幾つか研究課題についてお話をしたいと思います。

 二番に行きまして、新型コロナウイルス感染症対策、お聞きをしたいと思います。

 私は、大臣、とても残念なんです。例えば、今、これからお話しする衛生材料、マスクの話とか、これ、経産省の人と今一生懸命私はやろうとしています。厚労省の方はなかなかお忙しいのでお呼びするのもはばかられるところもあります。なので、経産省の方をお呼びをしてやるんですが、どうしても経産省の皆さんは、これは厚労省の話なんですよと、自分たちに聞いてほしくないなという顔を残念ながらされます。

 私は、本当に、今、国の緊急事態で、それこそワンチームで当たっていかなきゃいけない、国の、総理を筆頭にする対策本部もできている中で、やはり国を挙げて取り組まなきゃいけない課題だと思うんです。経産省だの、厚労省だの、内閣府だの、そんなことを言っている場合じゃないと思うんですけれども、大臣、どうですか。

梶山国務大臣 共同チームをつくりまして対応しておりまして、経済産業省、原料の供給から製造業、そして流通の過程、そして小売、消費者への窓口も含めてどうしていくかということについて御支援をさせていただいておりますけれども、委員がおっしゃるように、これはもうチームを組んだ以上は全部一つの課題ということでの認識で取り組ませていただきます。

山崎委員 マスクのお話、ずっと私も、何度も御質問して、この経産委員会でも、厚労省の政務官に来ていただいて質問もしたこともあります。

 現状、やはりまだまだ改善されていないし、医療現場は大変厳しい状況にあります。

 資料の一をつけました。これはN95という医療用の高機能マスク、これは本当に足りないんですよね。厚労省から通達ですか、通知が出て、再利用に努めることと言われている。この記事を読みますと、交換は一日一回とし、使用後は手術器具用の滅菌器を使ってN95を滅菌する方法を示した、滅菌器を使う場合はN95の利用は二回まで、それから、医療者一人に対して五枚のN95を配付し、五日間で順番に使う再利用方法を提案をした、七十二時間でウイルスが死滅するということを受けてそのような方針を出した。

 これは、確かにこういう使い方があるのかもしれませんが、医療現場のストレスといったら、私は、本当にひどいと思いますよ。こんなマスクの使い方をしなければいけないのか、こんなマスクの管理をしなければいけないのかというのが今の日本の医療の現状だと思います。

 N95のマスクの増産というのは、経産省、どうですか。どうなっていますか。予備費を使った予算でも対応したはずです。補正予算でも今後対応していきます。このN95のマスクの増産についてのお考えを聞かせてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。N95マスクについてでございます。

 今委員から御指摘ございましたように、足元、N95に対する需要が大変高まっている状況にございます。政府としても、需要それから供給、両面の対策をしっかりとっていく必要があるというふうに思っています。

 特に、供給面の対策ということで今お尋ねございました。

 これまで、我々としては、マスク全般に関しまして、設備投資の補助金ということで支援を行ってきておりますが、これまで支援してきた十三件の中にはN95の生産というものを扱うプロジェクトは入ってございません。

 昨年の予備費事業に関しましては三月までに生産開始ということが必要であったわけでございますが、今般の設備支援では九月までの導入支援ということを予定しているところでございますので、こういったN95をやっていらっしゃる事業者の方、特に、これは国際規格もございまして、やったことのない事業者ではなかなか手がけにくいという事情もございますので、こういった生産者を中心にしっかりと増産に向けた働きかけをしてまいりたいと思います。

 また、別途、海外で生産されるマスクの調達ということにも全力を尽くしてまいりたいと思っております。

山崎委員 経産省、だから、結局、今、このN95については、増産について支援は一件もないんですよ。これからどれだけ支援できるか、私は今の言い方では本当にめどが立っていないと思いますよ。

 一つは、これは先ほどありました、ラインを増設したような場合には認証を取らなきゃいけない、なので、サージカルマスクなどとは違って難しいんだという話を聞きました。認証を取ることが大事なんですか。マスクを供給することが大事なんですか。私は、平時だったら、それはラインについて認証を取ってちゃんとしたものを出す、もちろんちゃんとしたものを出さなきゃいけないんだけれども、そういった手続は大事です。緊急事態ですよ。その中で、いまだにそういうことを言って、増産ができないというのは、私はやはり緊急対応としてはおかしいと思います。

 医療現場、先ほども言いました、本当に危機的な状況です。医療崩壊の話も何度も出ています。そういう中で、N95の供給を急がなきゃいけない。非認定のN95だってしようがないと思います。もちろん一定の品質は確保しなければいけません。でも、正規の、例えばアメリカから担当者が来て認証したもの、ラインが認証できたものとは違うかもしれないけれども、これだったら大丈夫だというものを私は経産省の責任でつくっていただきたいんですよ。そういうラインをふやしていただきたいんです。それが私は経産省にできることだと思うんですけれども、ぜひ取り組んでいただけませんか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のN95マスクというのは、NIOSHと言われる米国労働安全衛生研究所の規格に合格したマスクということでございます。

 こうした規格に準拠しているということは、実際に使われる医療現場で医療者の方がそれを使われるに当たって、やはりそういった規格を通っているということで安心して使っていただけるということがございますので、基本的にはその規格というのは非常に大切なことではないかと思っています。

 一方で、先生御指摘のように、N95というのはアメリカの規格でございますが、ほぼ同等の性質を持つ、別の規格でございますが、KN95という規格もございます。

 それで、今海外から調達しようとしているものについては、N95はかなり品薄になっているという状況もございますので、こういったKN95という規格でもいけるのではないかということで、こちらの調達も進めてございます。

 いずれにしても、現場の医療者の方の御意見を聞いて、これなら使えそうだというようなことも踏まえて、調達をしっかりしていきたいと思います。

 それから、国内の設備投資ということになった場合には、やはりN95規格というのを満たしていただくということが基本ではないかというふうに思っておりますが、これについても、今後、事業者の皆さんとよく話し合いながら検討してまいりたいと思っております。

山崎委員 今、医療者の皆さんと検討してまいりますというお話ですけれども、医療者の皆さんが今どういう状況かわかりますか。経産省に呼ばれて、このマスク使えますかね、これでいいですかねという議論をしている場合ですか。何でそういう危機感がないんですか。医療現場の人は本当に命がけで闘っているんでしょう。皆さんそう言うじゃないですか。そういう人たちに相談をして、規格外ですけれどもいいですかというような話をするんですか。もっと責任持って、経産省、これを使ってくださいと、責任持って届けるようなそういう政治が何でできない、そういう行政が何でできないんですか。梶山大臣、何かお答えありませんか。

梶山国務大臣 これは医療という特殊なユーザー側の意向もあると思うんですね。

 ただ、今言いましたように、輸入品でも、ジェトロを総動員して世界各国から今集めようとしております。まずは、この規格、米国労働安全衛生研究所規格に合格をしたものということで、医療現場は求めているということですので、これをやっているということと、今、既存のメーカーに対しても、増設可能かどうかということも含めてしっかりやりとりをさせていただいておりますので、そういったことを今、政府参考人も言っておりますので、あとは、私ども政治家のやる気を見せなくちゃいけないということだと思いますけれども、しっかりとそういったことができるように私どもも指導してまいりたいと思っております。

山崎委員 本当に、もう日々命がけなんですよ。本当に不安で、医療崩壊の現場、そのただ中にいる方々を救うのは、もう皆さんしかいないんですよ。ぜひそういう思いで、やはりいろいろな壁を越えて、やってください。

 もう一つ、私はやはり経産省にもっと動いていただきたいと思うんですよ。

 次の質問で、たまたま、私も資料二、マスクのインナーの開発というお話を持ってきました。先ほど柿沢委員も提案をされていましたけれども、私が提案するのは、光触媒技術を使って、ウイルスが来ると、触れると不活性化するという高機能なインナーです。こういったものがもう開発をされていて、実用化になっている。こういう技術こそ、本当に経産省が音頭をとって、応援をして、製造して、現場に届ける。もちろん現場の声も聞くでしょう。でも、これを使ってみてください、いいですよというぐらいのやはりプッシュ型の支援をしていただきたいんですよ。

 介護現場に布マスクを二千枚配られましたね。もちろんこれ自体は一定の効果はあるのかもしれない。でも、さまざまな議論があって、本当に効果があるか、大変不安もあります。

 例えばこういったもの、これは、私が聞いたところによると、メーカーは問いませんが、幾つかのメーカーがある。あるメーカーは五千枚の単位で製造することができますと言っています。十分に二千枚の介護現場に配った布マスクとセットでお届けすることができるぐらいの力があるんです、日本には。抜群に効果がありますよ。こういう埋もれた技術を発掘をして、製造を促して、そして物流に乗せるというのは、経産省、得意じゃないですか。

 これは一例だと思います。さまざまなやはり技術提案があって、コロナでこのうちの技術を使いたい、使ってほしい、そういう声は、日本じゅう、中小企業から、個人事業主から、ベンチャー企業から上がっています。そういった声を経産省が受皿になって集めて、応援して、日本の困っている現場を救ってもらえませんか。日本だけじゃありませんよ、これ、世界に打っていける、提案をしていける、世界への貢献にもなるんですよ。

 ぜひ、こういうプロジェクト、こういう技術を拾って、応援をして、現場に入れていくというプロジェクトを、経産省、立ち上げてもらえませんか。

梶山国務大臣 従来の素材だけではなくて、いろいろな素材を今試行的につくったりしておりまして、少しでもやはり多くのマスクを現場に投入したいと思っております。

 ただ、この光触媒に関しては、性能の問題というよりも、消費者庁から表示の裏づけみたいな話がありまして、逆に、別な袋に入れてそういうのを現場に届けるということも含めて、その方法を検討してみたいと思っております。

山崎委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、これに限らずですけれども、いいものをとにかく発掘してくださいよ。もちろん玉石混交かもしれません、それは大変かもしれない。でも、緊急事態ですから、やはり、皆さんの総力を挙げて、いいものを見つけて現場に届ける。全力を挙げていただきたいと思います。

 最後に、時間がなくなったと思いますが、GIS、地理情報システムを使ってこの感染拡大の状況を把握をするという仕組み、この活用についてお聞きをしたいと思います。

 私、聞いたところによると、自民党さんの本部の一階に大きなディスプレーがあって、そのシステムで集計した状況が掲示されていると聞きました。地図があって、そこに感染の状況が表示されます。本当は、GISというのは、感染者がどこにいて、位置と時間がきちっと把握をできる。海外では感染把握にもう標準的に使われています。日本では全然使われていないんですよ。

 きょうは内閣防災に来ていただきました。内閣防災は災害時の情報把握にGISを使っているはずです。これを何でコロナに使わないのか、コロナへの適用を考えていないか、お聞きしたいと思います。

村手政府参考人 お答えを申し上げます。

 内閣府防災担当では、大規模災害時に地方公共団体などの関係機関が情報認識を統一して迅速かつ的確な災害対応を行うことができるように、防災科学技術研究所が持ちますGISに関する技術的知見を活用いたしまして、現地で災害情報を集約、地図化して関係機関に提供するISUTという現地派遣チームを昨年度から運用し、また、災害対策に活用しているところでございます。

 御指摘の、感染症に関する情報管理におけるGISの活用につきましては、感染症対策を推進している部局で活用について検討していただくことと考えますが、チームを組んで政府で取り組んでいる課題でもございます、具体的な相談があれば、防災科学技術研究所とも連携しつつ、活動を通じて得られた知見をもとに可能な限り協力してまいります。

 以上です。

山崎委員 終わりますけれども、まさに他人事なんですよ。厚労省から言われて、相談を受けたらやりますよと。下請じゃないんだから。お話ししましたとおり、もう危機なんですよ。皆さんの持てる知識とか技術とか、もう総動員しなきゃいけないときですよ。

 内閣府防災、ぜひ、GISを使った感染の把握はもう世界で行われています。全然、日本、おくれている。特殊なことではありません。ぜひ研究をして、こういう情報管理が必要だと厚労省に提案をして、人を出して、厚労省を支援してあげてください。

 強くお願いをして、終わります。

富田委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立国社の宮川伸でございます。

 冒頭、ちょっと、先ほど斉木議員と遠山副大臣の議論で、政府の方は今までもきちんとやってきたんだと、だけれども補正予算、まあ、そのときおっしゃっていませんでしたけれども、補正予算を一日で仕上げろと。ただ、我々は、本予算のときから、しっかりと、早く大きな予算をしっかりやらなきゃいけないということを言い続けていたわけですから、改めて、何も言っていなくて補正予算を一日という話ではないということをお伝えをしたいと思います。

 その上で、ちょっと大臣、通告していなかったんですが、コロナウイルスの問題で、今、私、千葉県の議員でありますけれども、千葉県も感染がどんどん拡大をしてきて、非常に不安な状況になってきています。

 そういった中で、皆さんの中で、商業施設、飲食店等をもう閉じた方がいいんじゃないかと、そういう要請をしていくという話が出てきているわけですけれども、もちろん、その二百万円、百万円というのもそうなんですが、この感染拡大防止協力金、店を閉めてくれるかわりにしっかり補償するから早く閉めてくださいと、しっかりと店を閉めるということを早くやることで感染拡大をとめるというのが非常に重要だというふうに思っておりますが、これは今すごく議論されていますが、大臣、これはどう思われますでしょうか。

梶山国務大臣 さまざまな事業者からヒアリングをする中で、やはり現金の給付が必要であるという声も数多くありました。そういった中で、今回の持続化の給付金ということで百万円、二百万円という形になっておりまして、しっかりとこれらの制度を執行していくことが重要であると思っております。

 今議員からありました協力金の話につきましては、今後の課題であるかと思っております。

宮川委員 先ほど申したように、遠山副大臣が、ちゃんと政府はやってきたという答弁をされていましたが、即効性なんですよ。今本当に拡大をしてきてしまっているから、早くとめなきゃいけないんですね。そのために、連休明けの二百万円、百万円というペースではなくて、もうすぐにでもこういうものを出していくということを国の方が約束していくというようなことをして、この感染拡大をとめていくということを本当に真剣に即効性を持ってやる必要があるんじゃないかということを改めてお伝えしたいというように思います。

 そういった中で、先週も質問させていただきましたが、最初に、このデジタルプラットフォームの法案に関してちょっと質問をしたいと思います。

 これはもともと、GAFAを始めとした大きな巨大プラットフォーマーに対して、出店、出品者だとか、そこにアプリを出している人たち、この中でのいろいろなトラブルがある、このトラブルを何とか解消できないかということで今回の法案が出てきているというふうに認識をしております。

 それで、では、この法律ができたときにどういうふうな形になるのかというのを、もう少し国民にわかりやすく、理解をしたいなと思って、具体的に少しお聞きしたいと思います。

 例えば、オンラインモールにおいて、トラブルの一つとして、検索結果が恣意的、不透明というような問題があります。例えばオンラインで何かを買う、例えば、今だったら、マスクをオンラインで買おうとしたときにマスクというふうに検索すると、何十件も何十種類ものマスクがわあっと出てくるわけですね。

 だけれども、それが最初の方に出てくれば、やはり最初の方に出てきたものを消費者としては買いたくなる、後ろの方の、何十件も後だとなかなか買ってもらえないということで、では、その上に出てくる順番というのはどういうふうな順序でこれがつけられているのかというのが不透明だというようなトラブルがあるわけですが、例えば、この法律が成立した場合、こういうような問題というのはどういうふうになるのかというのを御説明いただけますでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御指摘がございましたとおりのことでございますけれども、まず、オンラインモールについてのさまざまな課題について、二〇一九年に公正取引委員会が取引実態調査というのを実施をいたしましたけれども、その中でも、そのオンラインモールの取引先事業者から、商品が表示される位置、今おっしゃりましたランキングを決定する基準あるいは検索結果の順位を決める基準が不透明であるとか、あるいは、場合によっては、有利な位置に表示してもらうためにオンラインモール運営事業者に費用を支払う必要があるなどの回答が多数寄せられたというふうに承知しております。

 したがいまして、こうした検索順位等に関する課題を改善していくことは、デジタルプラットフォームの取引の透明性や公正性を高めていく上で重要な課題だというふうに認識をしております。

 こうしたことから、今御提案をしております法案におきましては、特定デジタルプラットフォーム提供者に対して、検索等によって商品等の情報に順位をつけて表示する場合には、その順位を決定するために用いられる主要な事項、要するに、主にどういう要素でその検索順位が決まるのかということについて情報開示をすることを求めております。この違反に対しては、もししなかった場合には、勧告や命令あるいは公表といった行政措置を定めているところでございます。

 こうしたことを通じて、特定デジタルプラットフォームにおきます商品の検索順位等に関する恣意性や不透明さの改善が図られるものではないかというふうに期待をしているところでございます。

 以上でございます。

宮川委員 今の御説明を聞いていると、この法律ができるとかなりこの部分はクリアしていくのかなというように受けとめております。

 では、例えば、もう一つほかの問題で、アプリストアの手数料が高い、三〇%だという話があります。以前も、この経済産業委員会の中でも、参考人質疑でこういう御意見をいただいたことがあります。

 ですから、例えば、アプリストアだとかグーグルのところにアプリを入れるときに三〇%手数料でとられてしまう、そうすると、日本の企業がいろいろなものを開発しても、三〇パーとられてしまうからさらなる開発費用が出せなくなってしまう、さらなるイノベーションがつくれなくなってしまう、だけれどもGAFAの方はお金があるから、だからどんどん新しいものをつくっていけるから、これはもうイノベーションの競争において不平等だ、しっかりとこの手数料は下げて、日本のそういう開発業者がイノベーティブな仕事ができるようにしてほしいということを、以前参考人の方もお話をされていたということがあります。

 そうだとすると、じゃ、この法律ができた場合に、この手数料の三〇%というような問題はどのようになるんでしょうか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、一般論として申し上げれば、民間企業がそのみずからのサービスの内容や料金を決めることそのものは自由でございますので、先ほど御紹介をさせていただきました、公正取引委員会がこのデジタルプラットフォームについて実施をいたしました実態調査報告書においても、手数料の設定自体が直ちに独占禁止法上問題となるものではない旨書かれている、示されているというふうに承知をしております。

 こうしたことから、この法案においても、例えば手数料の額、率、そのものについて一律の規律を及ぼすことは適切ではないと考えておりまして、そうした事項は含まれていないということでございます。

 他方、デジタルプラットフォームの取引の透明性や公正性を確保する観点から、手数料などのサービスの提供条件がわかりやすく示されることは重要であるというふうに考えてございます。

 そのために、この法案におきましては、例えば、手数料を含む特定デジタルプラットフォームの提供条件について、その条件を変更する場合、簡単に申し上げれば手数料ないし手数料率を引き上げる場合については事前通知が必要である、あるいはその開示方法についての規定を設けているほか、例えば、決済サービスなどのその事業者が提供している別のサービスを有償で使うということを要求する場合については、その決済サービスのような有償サービスの内容、そしてなぜそれを利用しなければならないかという理由を開示をするということを求めることとしております。

 この法案としては、そうした開示を通じて、デジタルプラットフォームの運営者と利用者との対話をまず促すこととした上で、その上で、仮に、その事案の中で個別の取引において優越的地位の濫用を含めた不公正な取引方法が用いられている場合には、この法案にも規定されておりますけれども、公正取引委員会と連携をすることによって独占禁止法で対処することになるというふうに考えております。

 以上でございます。

宮川委員 なかなか今の御説明だと、すぐにどうなるのかがわかりにくいという感じでありますが。

 例えば、今このアプリ、三〇%で、例えば表示で、サービス手数料はアプリやアイテムの価格の三〇%となります、支払い総額の七〇%をディベロッパーが受け取り、残りの三〇%は配信パートナーへの配当金及び手数料として処理されます、このぐらいの文章でこれはもう妥当だというような判断になるのか、もう少し突っ込んで議論されるのか。この法律ができるとどうなるんでしょうか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、先ほどの御説明をちょっと順番を逆にさせていただきますけれども、手数料そのものの水準についての規律はございませんが、一旦設定された、例えば、一旦合意された手数料について、それを簡単に引き上げるような条件変更をする場合については、事前にそれをきちんと開示をする、一定の期間を置いて伝えるという必要があるということと、それから、今委員が御指摘になっておられるような業態で指摘をされる事項でありますけれども、デジタルプラットフォームのサービスを使う際に、決済サービスのような付随サービスをあわせて有償で使ってくださいという場合には、その有償で使ってくださいという条件づけだけではなくて、なぜそのサービスを使わなければならないのかという理由を明示することが必要になるということでございます。

 以上でございます。

宮川委員 時間の関係もあるのでこの辺でやめますが、昨日の参考人質疑の中でも、公平性に関しての議論があったというように思います。

 それで、何かトラブルになってお互いに主張し合った場合に、じゃ、どうなるのか、そのときに公平性がどうなるのかという中で、今回の法案は公平性の部分が弱いんじゃないかというような御指摘もあったと思うんですが。ただ、この中には、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公平性について大臣が評価を行うというようなことが書かれていると思うんですね。

 大臣、先ほどの三〇%の問題も含めて、公平性について、どのように、この法律ができた後どういうふうにやっていくか、少しわかりやすくお話しいただけますか。

松本副大臣 今委員から御指摘をいただきましたように、本法案は独禁法に違反するような取引が生じにくい環境の整備を目指しているものでありまして、デジタルプラットフォーム事業者に対しまして、取引の透明性また公平性を高めるための情報開示、また自主的な手続、体制整備を求めるものであります。

 また、当然その有効性というものを我々としては確保していかなければいけないわけでありまして、各社の取組状況をレポートをしていただき、取引先事業者等の声も聞いた上で経済産業大臣が評価をし、その結果を公表する仕組みを設けさせていただいております。

 利用者が増加すればするほどデジタルプラットフォームの利便性が増すというネットワーク効果を競争力の源泉とするデジタルプラットフォーム事業者にとりまして、社会的な評価は極めて重要であると考えております。こうした措置によりまして、事業者による自主的な取組を十分に促せると考えております。なお、社会的評価によって実効性を確保する仕組みは、既にEUなどでも取り入れられているところであります。

 その上で、議員より御質問のありました本法案の評価制度の運用に当たりましては、現場のビジネスの実態や課題を最も把握している取引先の中小企業、ベンチャー等や消費者から十分に意見を吸い上げるようにすること、デジタル技術、ビジネス、経済学、競争法等の専門知識を有するさまざまな分野の有識者の意見も聞いた上でバランスのとれた評価を行うこと、評価結果を公表し、事業者の自主的な取組を促すとともに、その進捗についても継続的に評価をすること、これらを通じまして、取引の透明性、公正性の向上に向けた実効性を確保してまいりたいと考えております。

宮川委員 大臣も評価することになっておりますので、利用者もそうですし、プラットフォーマーの方もイノベーションが絶えることがないように、透明性、公平性、ぜひリーダーシップをとってやっていただければというふうに思います。

 では、次に5Gの方の話にします。

 5Gの話に関しては、基本的に総務省さんがかなりの部分をやられているというのが理解です。総務省さんがやられている中で、なぜ経産省から今回のこういう法律案が出てくるのかというところが、なかなか私はまだしっかり理解ができていないところがあります。

 まず最初に大臣にお聞きしたいんですが、今回の法律を通すことで、経産省として、5Gの世界、どういうような社会をイメージしてこの法律を出されているんでしょうか。

梶山国務大臣 5Gは、携帯電話だけではなくて、スマート工場や建機の遠隔操作、自動農場管理、河川の管理、災害対応ですね、さまざまな用途としての活用が見込まれております。ソサエティー五・〇の基幹となるインフラであると考えております。

 例を挙げますと、例えば、ジェットエンジンの製造工場において、センサーの情報を5Gにより即座に伝送、AIなどによって解析することで、ロボットを高精度で制御し製品の歩留りを押し上げることや、5Gにより臨場感のある映像をどこでも遠隔で受信できることを生かした上で、リアルな観光案内や教育コンテンツ配信などを実現するなど、5Gの活用が進み、生産性向上や市場拡大につながっていくことを期待をしております。

 それだけでなくて、5Gインフラを活用することで、地域を循環する無人バスを実現することなど、地域が直面する社会的な課題、地方に特にある大きな課題が解決にもつながることも期待をしております。今回のコロナウイルスの感染の拡大などによっても、このインフラとしての利用というのは十分期待が高まっていると思っておりますし、こういったものを活用しながらこれからのさまざまな事態に対応していくことが重要になってくると思っております。

 5Gがもたらす変革は、経済のみにとどまらずに、地域活性化や安全保障を始め、社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼすと認識しております。安全、安心な5Gインフラの導入を後押しすることで、デジタル技術やデータ利活用をあらゆる産業や社会生活に取り入れるソサエティー五・〇の早期実現を目指してまいりたいと思いますし、これは段階的に、基地局の整備であるとか、その後のローカル5G、アプリケーションをどうするかというような課題も含めて、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

宮川委員 全体としてこんな社会というのは何となく今伝わってきたところはあるんですけれども、今回、先ほど申したように、もともと総務省がちゃんとやっているわけですね、それを前倒すというか、税の優遇があるということで、前回も申しましたが、消費税が上がっている段階でそういったものが本当に必要なのかどうかをしっかり国民に説明をする必要があると思うんですが、今のこのもやっとした説明だと、だから要るんだというところが、やはりすとんとは落ちないところがあります。5Gはやはり進めていかなきゃいけないなというのは通じるんですけれども、だからといって、じゃ、この法律が本当に必要なのかというところがいまいちまだ、すぐには落ちてこないんですけれども。

 では、もう少しちょっと細かく聞きたいんですが。

 きょうお配りした一枚目、これが総務省の方からいただいた今現在の計画であります。四社さんが書かれていて、それで、基地局が幾つつくられるというようなことが目標として二〇二四年計画として書かれています。これを前倒すとどう変わるのか、前倒す意義について御説明いただけますでしょうか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 前倒しの意義でございますけれども、意義としては二つあろうかと思っております。

 一つは、昨日の参考人質疑でも御議論があったかと思いますけれども、この5Gそのものは、インフラをまず整備して、その利用状況が整った中でさまざまなユースケースを開発していくという、行ったり来たりというのがどうしても必要になるわけでございます。したがいまして、総務省を中心として、我が国の5Gの計画の考え方としては、できるだけ早く全国に、具体的には、十キロ四方メッシュに区切った際に、もともとの計画ではですけれども、二〇二三年度末までに九八%の地域において5Gの基地局、そのうちの親局を設置するという計画になっていると理解しております。

 ただし、どうしても、計画そのものは二〇二三年度までといっても、後ろに集中しがち、要するに、計画そのものが、毎年均等にやっていくというよりは後ろに集中しがちということもございますので、できるだけ早く、さらに全国でそうした利用環境が整備できるように前倒しをするというのが意義の一点目でございます。そのことを通じて、まさにユースケースの開発を進めようというのが一点目でございます。

 二点目は、今回の法案は、前倒しということのみならず、法案の目的にも、あるいは、先ほど御質疑もございましたけれども、我が国の産業競争力の強化ということもうたっております。今回は、この法案を通じて、特に、これは先ほど御質疑ございましたとおり、我が国の国内の事業者に限っているということではございませんけれども、当然、私どもの期待としては、我が国の企業も当然含めて、信頼できるベンダーとして、この5Gに具体的な機材、資材、サービスを提供するということを加速させたいということもございます。

 したがいまして、そういうことをしていく上では、その導入が国内において加速されることが、結果において、信頼できるベンダーとしての我が国企業の事業の急速な立ち上げにつながるということになりますので、この二つの点において、前倒しを、税制を通じて狙っているということでございます。

 以上でございます。

宮川委員 例えば、この1の資料をちょっと見ていただくと、NTTドコモさん、これ、幾つつくるか。親局と子局があるんですが、下に子局の数が載っていますが、一万三千局ぐらいだと。隣のKDDIさんを見ると、四万二千局ぐらいなんですね。だから、これはかなりの数が違っているわけです。

 それで、先ほど大臣が、例えば無人バスだとか、こういう社会を目指すという話をされていますが、じゃ、こういう社会をつくる上で、この基地局が適当な数なのか。あるいは、これを前倒すことで、例えばこの無人バスが早く本当に走るようになるのか。この辺がいまいち不明確なんですね。

 ちょっと時間がないので、少し私の方で先に言うと、4Gの基地局は二十万局ぐらいあるというふうに私は聞いています。だから、今4Gを皆さん使っているから、4Gだとどのぐらい使い勝手がいいかというのはわかると思います。今回の5Gに関しては、更に周波数が高いもので飛びにくいということだから、恐らく4Gと同じぐらい使おうと思うのであれば、4Gよりもっと基地局が必要なんじゃないかなというふうに直観で感じられるわけですが、それが今の計画だと一万とかというような数しかないわけですけれども。

 今前倒すみたいな話をされていますが、これで、一番最初に大臣が申したような、そういった社会が本当につくれるんでしょうか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 これも昨日の参考人の御質疑の中でもあったかと思いますけれども、5Gというのは、大ざっぱに申しますと、二〇二〇年代に段階的に導入をされユースケースが拡大をしていくということになりますけれども、その十年の間で、もちろん基地局の展開もそのシステムとしての中身も、委員からの御質問ともかかわりますけれども、当初は今4Gと5Gを組み合わせて提供するような形になりますが、後半では、スタンドアローンと言っていますけれども、5Gそのものがコアネットワークという制御ネットワークを自立して持つような段階に至るなど、技術的にもさまざまな変化がございます。

 また、そういう意味では、今、5Gの中の後半戦のことを我々はポスト5Gと言っておりますけれども、それに向けても、ただいま現在、足元で、多数接続あるいは超低遅延も含めて、あるいはそれを中心に、技術がきちんと確立をされているわけではございません、したがって、基地局を展開しながら技術も開発をしてということになります。

 申し上げたいのは、先ほど大臣からも御説明をさせていただいたような、例えば、もちろん同じ自動走行、遠隔走行といっても程度がいろいろございますけれども、要するに、本格的な自動走行や遠隔走行を実現をしようとしますと、当然、5G側においても、今申し上げたような、技術の開発、あるいは、さらに規格そのものをより具体化すること、それから、先ほど申しました、大ざっぱに言えば、今4Gと組み合わせているシステムを5Gに順化した仕組みに展開をするということが必要になってまいりまして、今の基地局の足元の計画は、そこまでのものを視野に入れたものではございません。したがいまして、先ほど申し上げたような社会を実現するためには、当然、今の足元で行われている計画だけでできるものではございません、ないというふうに承知しております。

 ただ、他方において、先ほどの繰り返しになりますけれども、特に、御質疑もございましたとおり、4Gの世界では振るわなかった我が国のベンダーが活躍の機会を得る、いわばロケットスタートをしていくためには、やはり、5Gの初期において、きちんと信頼できるベンダーとして参画できる機会を十分確保する必要がある。そうでないと、十年間を通して活躍をしにくいということもございますので、そういう意義があるというふうに考えております。

宮川委員 今、少しお話がありましたが、ですから、今回、これを数年前倒したからといって、5Gのすごい未来が開けるかというと、そういうことではないというふうに私は理解をしています。

 ちょっと、ここも少し、私の方から話しますが、ですから、この4Gをどうしていくのか。4Gの基地局もたくさんあるわけですから、これをどうしていくのか。それで、もう一つ、インフラシェアリング、これはちょっと前回もお話が少し出ていましたが、世界に勝っていくために、オール・ジャパンでどういうふうにやっていくのか。各社がばらばらに建てるのか、それとも、そういうことも計画的に、しっかり戦略的に、インフラシェアリングみたいなこともやっていくのか。いろいろな課題があると思いますから、ぜひ世界に負けないように進めていっていただければと思います。

 そういった中で、前回もちょっと話しましたが、私が大きな問題意識を持っているのは、基地局をつくって5Gを飛ばせばそれでいいわけではなくて、アプリケーションの方と車の両輪で、私はやはり両方進めていかなきゃいけないと思っているんです。特に、総務省が電波の方をやっているわけですから、経産省が力を入れなきゃいけないのはそのアプリケーションの方なわけで、このアプリケーションの方の話をしっかりせずに、何か総務省の方にすり寄っていく感じで、ちょっとこう、後押ししますよみたいな、それでは私は世界に勝てないと思うんですね。

 それで、じゃ、そのアプリケーションの方ですけれども、例えば経産省ということでいえば、ベンチャー育成ということで、例えばJICさんだとか、あるいは産業革新投資機構とか、あるいは今のINCJとか、こういうものがあって、一年くらい前に問題になりましたが二兆円規模の予算も持っていたわけですね。では、こういうところで、こういう5G関係のアプリケーション開発というのは、どういうのが進められているんでしょうか。

中原(裕)政府参考人 委員の御指摘にございますように、5Gと申しますのは、ビジネスを行う上でのインフラでございまして、さまざまなビジネスに関係しますことから、5G関係の投資、とりわけアプリケーション関係の投資等々につきまして何件というのを明確にお答えするのは必ずしも容易ではございませんが、例えば、INCJの投資先であるダイナミックマッププラットフォームといいますところは、自動運転の実現に向けた高精度三次元データの提供を行う会社でありまして、5G技術の活用が期待される自動運転の領域において重要な地位を占めるのではないかというふうに考えております。

 ほかにも、ウィル・インクという会社は、次世代パーソナルモビリティーである電動車椅子の開発、販売を行う会社でございまして、こうした会社におきましても、5Gのインフラを活用したナビゲーション機能が整備されることによりまして、より安全な自動走行が可能となる、こういった事例を通じまして、アプリケーション分野での進展も進んでいくように私どもも努力をしてまいりたいというふうに思っております。

宮川委員 ちょっと私、レクの段階で聞いたときには余り具体的なものが出てきていなかったんですね。かなりの予算を持っているわけですからしっかりとここをやっていただきたいということと、もう一つ、じゃ、もう少し基礎的なところで、経産省、NEDOの予算があると思いますが、NEDOのプロジェクトで5Gに絡めるようなアプリケーションのプロジェクト、どういうものが走っているんでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 これも5G、直接かどうかというのはちょっと区分が難しいところがございますので、とりあえず、今の先生の御質問のダイレクトなお答えではないかもしれませんけれども、まずNEDOの事業という観点からは、5Gに関係しましては、まさに昨年度、令和元年度の補正予算に基づきまして、先ほど申しましたような5Gの後半戦をにらんだような情報通信システムの基盤強化研究開発事業というのを実施しております。

 これは先ほども申しましたような今の日本企業の強みを前提としながらも、その延長線上にある、例えば高周波数帯化していったときに必要になる技術、あるいは光技術を活用した非常に高速な伝送路の開発に役立つものですとか、あるいはそれを支える先端半導体の製造技術などに使われるものとして一千百億円を昨年度の予算として計上しております。

 よりアプリケーションに近いものとしましては、御案内のとおり、5Gの一つの用途としてはいわゆるAI、人工知能を使うというのが非常に大きな分野として期待をされているわけでございますけれども、これについては、NEDOということではございませんけれども、産総研も含めてセンターをつくりまして、さまざまな研究開発をつくりながら、例えば介護ですとか医療の分野でのアプリケーションの開発を企業とともにやっているというふうに承知をしております。

 以上でございます。

宮川委員 今おっしゃった半導体とか光技術とか、非常に重要なので、ここもぜひ頑張って伸ばしていっていただきたいと思うんですが。

 大臣もちょっと今聞いていて思ったと思うんですけれども、総務省がやっている基地局をもっと早くつくれと、何かこれはすごい前のめりでやられている感があるんですが、じゃ、本当は経産省がもっとやらなきゃいけないアプリケーションの部分、ちょっと何か頼りない感じを受けませんでしたか。やはり、基地局をつくる以上に、アプリケーションをやっているけれども、総務省が遅いから、だから経産省からもう総務省に関与して基地局をつくるよというのだったらいいんですけれども、明らかにここはちょっとアイデアがアプリケーション系は足りないんじゃないかというように思います。

 そういった中で、私、やはりヘルスケアの分野、これはGAFAがすごく今いろいろなエリアを占めていますが、でも、ヘルスケアの分野はもっとやれるんじゃないかというのを前からレクを受けています。だけれども、ヘルスケアの分野に関してまだまだ、いいアイデア、あるいはこういうことで世界に勝てるんだというアイデアが私は全然出てきていないという認識を持っています。

 そういった中で、ちょっとコロナの話に戻りますが、私、千葉県と申しましたが、今、東庄町という町で、これは障害者の福祉施設なんですが、集団感染が起こっています。これは利用者さん八十二名のうちの七割近くが感染して、職員さん六十七名のうちの六割ぐらい、半分以上の方が感染をしてしまったんですね。このときに、医療チームに関しては、例えば災害派遣医療チームのDMATだとかとDPATだとか、そういうのがあるので、私の理解は、医療はそれなりにきちんとやられているだろうというふうに思っています、今。なかなか中に入れないので、私も見られてはいないんですが。

 だけれども、大きな問題が出ているのは介護の方なんですね。この施設は入所施設で知的障害の方がいらっしゃるんですが、介護の方がこういうチームがないから、それで、感染している人たちがいるから応援に入ってほしいと言っても、応援に行っていただける方がなかなかいないんですね。それは感染の問題もあるし、あるいは、今別の施設から行くと自分の施設が困ってしまうかもしれないし、家族の問題もあるかもしれないし。

 だから、今議論に少し出ているのは、DWATではないんですけれども、災害派遣福祉チームみたいなものをやはりつくって、何かあったときに、ばっと福祉の分野も入らなきゃいけないんじゃないかという、これも以前から議論はあったんです。これは、東庄町、千葉県だけではなくて、高齢者福祉での集団感染なんかも出てきています。

 ですから、こういうところは非常に重要だと思うんですが、そういったときに、じゃ、例えば、そういう部隊が行ったときに、遠隔でいろいろなことができないかどうか。例えば、給配膳なんというのはかなりロボット化ができるわけです。あるいは、掃除なんかもロボット化できるわけですね。

 特に私がこの分野の方から言われているのは、例えば、医師が診察をするときに、突然知らない人が来ると動揺してしまう、だけれども、その近くにロボットみたいなものがあって、それで例えば親御さんだとか身近な人が声をかけてあげながら診療するとか、ちょっとパニックになりそうになったときに、そうやって身近な人が遠隔で声をかけてあげれば、それで気持ちがすごく休まるとか、そういうことがあるというふうなことも聞いています。

 ですから、例えば、こういう分野にしっかりと、これは厚労省の分野だと先ほどの話みたいに思うかもしれませんが、ロボットだとか、こういう通信の問題もあるわけですから、もっと経産省がアイデアを出して、それで、こういうようなところに、これはもう日本は世界一だというようなことをぜひやっていただきたいなというふうに思いますが、大臣、ちょっとコメントをお願いします。

梶山国務大臣 委員おっしゃったように、いろいろな形でいろいろな分野でアプリケーションの開発というものが出てくると思いますし、全ての分野でそういったことが必要だと思っております。

 介護の現場というのも、私も導入しているところを何カ所か見てきましたけれども、それらをどう整合性をとるか、トータルで考えるかということもありますし、会話ができるロボットの中で、そういう開発をしている企業も私も見てきておりますので、ぜひ、5Gを活用した上で、アプリケーションの開発、そして、それのベースとなる先端技術の半導体の開発というものもあわせてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

宮川委員 前回、私、マスクマップの話とかもしたと思うんですが、4Gでやれることはたくさんあるんですよ。

 それで、きょう、もう一つ、介護の分野の、書類が物すごい書類で、ペーパーワークでもう埋もれちゃっているという話もしたかったんですが、ちょっと時間がないからやめますが。

 今、4Gでやれるいろいろなことがあるわけだから、そこをどんどん投資をして、やはり経産省が中心になってアプリケーション関係を開発してほしい。4Gの部分でいろいろなことをやっていくと、その中で、もっとスピードが必要だとか容量が必要だとか、それが5Gにつながるわけですから、私は、4Gでやれることがたくさんあるのに、何か、これは厚労省の問題だとか、国交省の問題だとか、文科省の問題だとかで、進んでいないことがいっぱいあると思いますから、ぜひ、大臣、リーダーシップをとって、じゃ、最後、お願いします。

梶山国務大臣 大企業のみならず、スタートアップ企業そしてベンチャーへの支援というものもここで考えていかなければならないと思いますし、JIC等でベンチャーファンドをつくるというような方向性もありますし、しっかりとそういった企業のアプリケーション開発というものを支援してまいりたいと思っております。

宮川委員 ありがとうございました。

 私の質疑を終わりにします。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、現在療養中の方々の一刻も早い御回復をお祈り申し上げます。

 また、今、医療の現場を始め、世の中のインフラを動かしてくれている多くの方々、そして、この経済産業分野において日々現場に寄り添う対策を検討いただいている省庁の皆様にも冒頭感謝を申し上げながら、本日は質疑をさせていただきたいと思います。

 本日は、5GそしてGAFAの規制に関する法律の審議ですけれども、この状況に鑑み、冒頭、新型コロナ対策について質問をさせていただきたいと思います。

 本日準備した資料の一をごらんいただきたいと思います。

 こちらは、令和二年度の補正予算案の中でマスク、アルコール消毒液等の生産設備導入補助事業について記載をされている資料を抜粋したものでありますが、これについて、最初、質問させていただきたいと思います。

 この左側の下に成果目標というところがございます。ここに書いてあることとしては、マスク、アルコール消毒液等の生産設備の導入を支援することで不足の状況を速やかに解消することというような記載がございます。

 ただ、現場の人たち、あるいは我々から見てもそうなんですけれども、これは目標というよりは目的だと思います。目標というのは、あくまでも定量的な目標が望ましいと思っております。

 これまで委員会の質疑の中でも、マスクの需要量に対して供給が不足しているということは、皆さん、誰の目からも明らかですけれども、じゃ、一体どれだけ必要なのか、どのくらいをつくらなければいけないのか、その見通しすらつかみ切れていないような状況であります。

 ここで、まず最初の質問は、マスクそして人工呼吸器の想定需要、また目標生産数を定めるべきではないかと思うんですけれども、この点に関する政府の見解をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 マスクにつきましては、足元の需要が急激に拡大し、供給が追いついていない状況であると認識をしております。小売店舗の店頭では品薄状態が継続するとともに、入荷したマスクがすぐに売り切れとなる状況であります。

 通常、今まで、平年、ドラッグストア等の市場に出るものは大体月二・八億枚ということでありますけれども、今、先月六億枚の生産をする、そして今月は七億枚を目標にしておりますけれども、そういったもの、途中の流通での在庫もない状態から始まりましたので、全てがやはり消費にすぐ消えてしまうというような状況であります。

 こうした中で、さらなる増産、輸入を通じて、先ほど申しましたように七億枚を超える供給を目指しておりますが、品薄感を解消できる水準になるまでにはなお一定の時間を要するものと思っております。

 マスクに関しましては、なかなか想定できる需要そして生産目標というものを立てられませんけれども、とにかく増産をする、そして市場に送り込むということで、今は十三社が導入補助金を使い、そして、月間で、三月からでいうと四千八百万枚の増産体制もできてきたということで、さらに、今回の補正予算で予算を組んでおりますので、さらに手を挙げてもらう企業に支援をしてまいりたいと思っております。

 マスクの供給拡大に当たっては、厚生労働省とも連携しつつ、今申しました設備導入補助や、サージカルマスクや布製マスクの緊急輸入等を通じて、さらなる供給拡大を図ってまいりたいと思っております。

 人工呼吸器につきましては、今後の感染者数の増加度合い、そして、その中で重篤化する患者数の比率を見通すことがなかなか難しいのではありますが、今、まずは目標数として一万五千台を確保したいと思っております。この中で、従来配備してあるものが八千三百台、そして、さらに国内の在庫があって、残りの一万五千に届かない部分が大体二千台ということで、こういったものの積み増しを図ってまいりたいと思っております。

 今後も、マスクの需給の状況や新型コロナウイルスの国内における感染拡大の状況を見きわめつつ、適切に支援をし、対応してまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 少なくとも、需要が正確に見通せないというのは我々も理解はしております。ただ、この後議論しますけれども、本当に、マスク生産能力そして人工呼吸器の確保を一刻も早く実現しなければいけない中で、企業に対してしっかりとその指針を示していくのも経済産業省の役割だと思っておりますので、これは随時、ぜひ、この状態を把握していただきながら、目標数を具体的に示していただくようにお願いをしたいと思います。

 続いての質問なんですが、この資料一の右側をごらんいただきたいと思います。これは事業概要ということで、この補助事業の対象、補助率、そして補助上限額というのが記載をされておりますけれども、対象者の部分をごらんいただきたいんですが、「国からの増産要請を受けて、」というところがございます。そして、補助率は、中小企業は四分の三、大企業、中堅企業は三分の二、また、補助上限額は製造ラインごとに原則三千万円という数字がございます。

 きょう二つ目の質問なんですが、まず、マスク製造装置というのは、今、大変世界的に需要がありまして、品薄、そして価格が高騰している状況にございます。ただ、その一方で、現場にはマスクが足りないということですから、非常に重要性、緊急性ともに高い状況であります。

 こういう状況に鑑みれば、まず、国からの増産要請をするわけですから、補助率については、四分の三とか三分の二ではなく十分の十とすべきではないか、そして、品薄で製造ラインをつくることに非常にお金がかかる状況になっていますから、原則ということは確かに書いてありますけれども、この三千万円という水準では不十分なんじゃないかというふうに感じております。

 私が聞いたところによると、製造装置も安いものから高いものまでいろいろあるんですけれども、高いものだと一億円近くするものもあるそうであります。そして、当然ながら安い装置はどんどん売れてしまって、今、品がまず手に入らないという状況ですから、このあたりは、現状を踏まえて、補助率そして補助上限額ともに、より手厚い補助内容とすべきじゃないかと思うんですが、これに対する見解を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 マスクの供給量が不足をする中で、国内の生産能力を拡大するために、二月から設備投資支援を行ってきたところであります。先ほど申しましたように、十三件採択をいたしまして、三月から大体一カ月で、最初の一カ月では四千八百万枚の増産の数になっているところであります。

 マスクの製造装置につきましては、設備の納入時期のおくれに関する声は多く聞いておりますけれども、設備の価格が高騰しているという声は少ないと承知しております。補助上限額の引上げが必要な状況にはないと現時点では認識をしております。

 一方で、御指摘の補助率について、例えば、人工呼吸器は設備支援の補助率を十分の十としているところであります。これは薬事審査もありますし、これはいずれ省略をしていくということになりますけれども、薬事審査であるとか、また、部品供給も含めて大がかりな形になるので、企業の決断を促すために十分の十ということにさせていただいております。

 他方、マスクにつきましては、感染拡大の終息後も、国内における風邪や花粉症対策、保湿などを目的とした通常の需要に加え、これまでマスクを着用する文化のなかった欧米の需要など、引き続き高いニーズが想定をされるわけでありまして、このことから、マスク製造装置に対する補助金につきましては業者にも一定の負担をお願いをしているものであります。

 ただ、今度の補正予算におきましてもこれは予算を組んでおります。マスクの製造、そしてマスクの部材、素材も含めてということでありますし、また、アルコール消毒液等についても増産の予算を組んでいるということでありまして、企業と連携をしながら、一社でも多くの企業に参加をしていただきたいと思っております。

 十三件につきましては、今までの企業で、余地がある、スペースがあるところ、そして、既設のクリーンルーム等の設備があるところ等、程度の問題はありますけれども、そういったところで設備投資をしているということでして、機械の一台当たりの値段、今委員の方からもありましたけれども、平均的には二千万から三千万ぐらいの間であると承知をしておりますので、そういった点も含めて、経済対策による支援をしっかりと進めてまいりたいと思いますし、今後の補正予算の中で手を挙げてくるところにはしっかりと応援をしてまいりたいと思っております。

浅野委員 今大臣もおっしゃいましたけれども、できるだけ多くの企業に参加をしてほしいと。そうしないと、今の需要と供給のアンバランスが解決されないというのは共通認識かと思います。

 私が今聞いているところですと、確かに、クリーンルーム、防じん施設を持っていて、そして、マスク生産をする、あるいはアルコール生産をする技術力のある企業というのは、実はこの十三社以外にもまだ多くあると感じております。実際、私の地元ですとか、大臣の御地元に大きな半導体工場があると思いますけれども、そこも、今実際、こういうところに興味を持っております。

 何がネックになっているかというと、やはり、あくまでも企業サイドとしては、社会の課題解決に対して貢献をしたい、そういう意識から、協力はしたいんだけれども、自己負担が発生してしまうとなかなか重い腰が上がらない。つまりは上司を説得する材料に欠ける。いろいろな要素がありまして、スピードが出せないというのが現場の実態だというふうに思っています。

 ですから、確かに市場の価格の今の現状というところは二千万から三千万というのがメーンの価格帯なのかもしれませんが、一刻も早く判断をさせる、そして、あくまでも実費を支給するというような工夫をすれば、上限額が幾らであっても政府が余計なお金を払うということにはならないと思いますし、ぜひそこは柔軟な御対応をお願いしたいと思います。

 その上で、この補助対象者の設定の方法について、この点に関しては、最後、質問したいと思いますが、資料にありますように、補助対象者の前提として、「国からの増産要請を受けて、」という限定がついております。

 今、議論にありましたように、ほかにも協力できる能力がある企業、そして関心を持っている企業というのは世の中にたくさんあるんですけれども、補助を受ける前提として国からの要請が必要になってしまうと、要請を受けるための手続に時間を要するんですね。ですから、企業が自主的につくった場合でも、申請を出して届出で認定を受ければこの補助事業の対象になるとか、そういった柔軟性も必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 既存の事業者に対して、まずはその増産ということでお願いをしてまいりました。そして、新規で手を挙げていただいているところも十三件のうちにもございます。それらも含めて柔軟に対応をしてまいりたいと思っております。

浅野委員 一刻を争いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 では、続いて、本日、参考人の方にも来ていただいておりますが、独立行政法人等でのテレワーク環境整備の状況について伺いたいと思います。

 まず、独立行政法人等のテレワーク環境整備に係る予算がどのくらいこのところ確保されているのか。とりわけ、きょうちょっと議論したいのは、資料の二にございますように、これは令和二年度の補正予算案の中で、原子力規制委員会のネットワークシステム整備事業として一・四億円程度が措置される案になっております。

 中身を見ますと、テレワーク可能なモバイル端末の整備ですとか、それに必要なネットワークシステムの構築というのが予算の目的でして、四行の最後の一行ですね、「原子力事業者との審査会合や面談を継続的に実施できる体制を維持する。」ということが書いてあります。問題は、きょうこの質問をする際の背景としては、規制委員会はこの予算で環境が構築できたとしても、会議をする相手側にその環境がなければ何にもならないわけです。

 ただ、私が調べたところでは、今回の補正予算の中に、相手側、つまり独立行政法人等の、原子力関係事業者の方にそういう予算はありませんでしたが、この点について着目した、まずは近々の予算状況について教えていただきたいと思います。

田口政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省所管の独立行政法人等におきましては、これまで各法人の規模や特性等に応じてIT環境の整備に努めてきておりまして、その中でテレワークを実施可能な環境も整備されつつあるところでございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症対策に当たりましては、各法人において運営費交付金等の中で弾力的な予算執行を進めてございまして、特に緊急事態宣言対象地域に所在する職員については、例えば、原子力機構の場合にはほぼ全員、九七%がテレワークを実施しているほか、理化学研究所や科学技術振興機構においてもおおむね八割以上がテレワークを実施しているなど、既に取組が進められているところでございます。

 引き続き、感染拡大の防止や災害時等における業務体制の維持、確保の観点から、各法人においてテレワークを更に推進していくことが重要と考えてございまして、文科省としても、各法人におけるテレワーク環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

浅野委員 ぜひその取組は行っていただきたいんですけれども、働く現場から私のもとに届いている状況としては、例えば、東京都内や関東近郊に事務所、事業所がある独立行政法人については、一部閉鎖して、そこに勤務している方々が今約二百名程度いるそうなんですが、テレワークを実施しているそうなんです。海外の事務所も含めて二百名ということなんですが。ただ、テレワークするときの例えばパソコン類、モバイル端末というのは貸与をするんですが、二百名でも足りていないということなんですよ。今、実際、そういう現状があって、その場合には個人のパソコンを使ってもらったりスマートフォンを使ってもらったりして、自己負担の部分もありながら対応していただいているという状況らしいんですが。

 私は、この資料二にあるように、こういう状況下でしっかりと円滑な業務を進められるための環境整備というのは必要だと思いますが、原子力規制庁のみならず、しっかりそういう独立行政法人、外郭団体、関係団体にも目を配っていただいて、適切な状況把握と適切な措置というのを行っていただきたいと思うんですけれども、文科省、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

田口政府参考人 文科省としましては、先ほど申し上げたとおり、各法人におけるテレワークを更に推進していくための予算措置も含めた環境整備を進めてまいりたいと考えてございます。

浅野委員 よろしくお願いいたします。

 では、続いて、コロナ関係はこれで最後になりますが、フリーランスに対する支援策についてもお伺いさせていただきたいと思います。

 本日、資料三をごらんください。これは、フリーランスの方を取材した新聞記事になるんですが、本当に、これを読みますと、フリーランスの方々が今厳しい状況に置かれているというのが読み取ることができます。

 感染拡大を受けまして、安倍首相は二月末に大型イベントの自粛を要請した結果、四月ころには、ほぼ全てのイベントが中止や延期になって、この取材を受けた方の場合は二十三本の仕事がなくなったそうであります。問題なのは、興行主や主催者がイベントを自粛しても、出演予定者への配慮は見込めないそうなんですね。

 真ん中あたりに書いてありますが、日本俳優連合という組織の理事長を務めている俳優の西田敏行さんの声としては、生活に困窮する事態、若手の中だと思いますが、そういう事態が見えている、私たちにとっては仕事と収入の双方が失われ、生きる危機に瀕する事態だということであります。

 きょう、この後質問させていただくのは、今回の補正予算案の中に、今後の振興策として、例えば旅行券の割引ですとかというものが盛り込まれておりました。ただ、これだけだと、旅行会社やイベント主催者は収入がふえるかもしれませんが、それが直接、そこに出演する出演者の方とかフリーランスの方々の収入、仕事に直結するかどうかというのは、これは保証されていないわけですね。

 ですから、新型コロナウイルスの感染拡大を食いとめるためのイベント自粛要請のあおりを受けている方々、特にフリーランスの方々には、直接的に支援をできるような施策を考えるべきだと思っております。その中の一つが、今回、持続化給付金なのかなというふうにも思っておるんですけれども、ぜひ今後政府の中で検討いただきたいこととして、例えば、企業やイベント会社がこれから行う広告宣伝、プロモーション活動、こういったところにこういう芸能界の方ですとかフリーランスの方々というのが雇われて出演をされるわけですけれども、こういうところを後押しすることで、企業の後押し、なおかつフリーランスの方々の仕事を後押しするような施策を求める声が上がっております。

 ぜひ、こういった支援策を考えていただけないかというふうに思うんですけれども、政府の御見解を伺いたいと思います。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員からも御指摘がございましたとおり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う大規模イベントなどの自粛によりまして、それを主催しております中小・小規模事業者のみならず、コンサートなどに出演する方々、あるいは制作に携わっている方々など、フリーランスを含む個人事業者が、収入を失うなど極めて困難な状況におられるというふうに認識しております。

 こうした現状を踏まえまして、もう既に委員から御指摘がございましたけれども、これはそういう意味では業種を限定しているということではございませんけれども、こうした極めて厳しい状況にあられる個人事業者については、百万円を上限に、今おっしゃられました持続化給付金の制度を創設するとともに、また、融資についても、これも御議論がございましたとおり、個人事業者の方も念頭に、日本政策金融公庫など政府系金融機関で実施している実質無利子無担保、最大五年間元本据置きの融資制度を実施するとともに、更にこれを信用保証制度を活用して民間金融機関にも拡大するという措置を講じたところでございます。

 さらに、今委員から御意見ございました、こういうフリーランスの方々の事業の継続や、あるいは、将来的には再開と申し上げてもよろしいんでしょうか、そういうことについても、いろいろ、きょうの御意見も踏まえて、直接さまざまな方の御意見を伺いながら、支援策の検討、実施を進めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

浅野委員 この点に関しては、確かに今、持続化給付金による一時的な収入の確保と、あとは資金繰り支援によってその方の事業継続性の後押しというのがあるんですが、一番大事なのは、仕事が今なくなっているわけですから、仕事をつくり出すような施策、支援というのが大事なんですね。

 きのう、地元でフリーランスをやっている方から少し話を聞いたところ、そういう方々が今どういう過ごし方をしているか、どういう思いを持っているかというのをちょっと、一点だけ紹介しますと、仕事がほとんどゼロになって収入がなくなってしまったので、パートをやって収入を得ようかと考えていたんだけれども、この事態が終息をしたら、例えば司会業ですとかセミナー講師だとか、冠婚葬祭のそういう仕事もまたふえてきて、仕事が一気に来るだろう、そういうときに、もし何かパートやアルバイトをやっていたときにはすぐにやめるわけにもいかないから、今すぐにパート、アルバイトにつくこともちょっとはばかっているような状況らしいんですね。

 ですから、今、彼ら、彼女らに必要なのは、当面の生活を維持するための経済的支援と、その後の、仕事がまたもとに戻る、そう見通せるような環境をつくってあげること。それによって、彼ら、彼女らのことをとても強く後押しすることができると思いますので、ぜひ、資金繰り支援や補助金のみならず、仕事をつくり出していくという部分についてもよくよく御検討いただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 では、残りの時間は、法案の中身についても議論をさせていただきたいと思います。

 まず、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案について質問をさせていただきます。

 これは、非常に基本的な質問になるんですけれども、そもそも、デジタルプラットフォームビジネスであっても通常のビジネスであっても、公正取引の法律にはしっかりと守られているというのが前提なんですが、公正取引の部分についてはあくまでも事後規制なんですね。

 今回は事前の自主規制というような性格が強いわけですけれども、改めて伺いたいんですが、なぜ事後規制ではなく事前規制にまで踏み込む必要があったのか、この部分の背景について御答弁を求めたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございましたデジタルプラットフォームというものでございますけれども、これは、この委員会でもるる御議論ございますけれども、まさにビジネスのモデルとして非常に新しいモデルだというふうに認識しております。そうした中で、もちろん一面においてイノベーションの担い手でありまして、また、それを利用される中小企業の方々を含めて、国内外の新規顧客の開拓の機会を提供するなどさまざまなメリットがあるのは事実でございます。

 ただ、他方において、この新しいビジネスモデルとしてのデジタルプラットフォームは、利用される事業者あるいは消費者の方がふえればふえるほどその利便性が増す、ネットワーク効果が非常にほかの民間のビジネスモデルに比べて著しいという特徴があるということが一般的に言われておりまして、その結果として独占的、寡占的な状況が生じやすく、その結果において、中小企業など、これを利用される方々が、利用しているデジタルプラットフォームを利用せざるを得ない、他の選択肢がなかなかない、いわゆるロックインと言われるような状況が生じやすいという点が指摘されておりました。

 こうしたことを踏まえまして、二〇一九年に公正取引委員会が特に国内のオンラインモールやアプリストアについて取引実態調査を実施したわけでございますけれども、その中においても、例えば、事前の説明がないままに規約が一方的に変更される、あるいは、取引が拒絶される場合にその理由が示されないなどの取引環境上の懸念、課題が明らかになったわけであります。

 それを受けまして、さまざまな政府組織にかかわりますことから、また新しい知見を要しますことから、内閣官房のデジタル市場競争本部を中心にこうした現状を分析しました結果、デジタルプラットフォームの公正かつ自由な競争を実現するためには、もちろん今委員からもお話ございましたように、独占禁止法で対処するべき問題、つまり、優越的な地位を濫用したような事態に対応するといういわゆる事後規制に加えて、規約の変更や取引拒絶の理由の開示などについて不透明さがある点が指摘されていることから、これは事後的には対応できない、しにくい問題であるということで、取引の透明性や公正性の問題についても、今の委員のお言葉で、それを事前の対応として、事前規制として対応すべきだということの判断に至ったわけでございます。

 そういうことから、いわば事後規制として個別の行為を排除し是正する独占禁止法とは別に、今回の法案を策定するという判断に至ったものでございます。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 やはり、事前にしっかりと対応しておかないと取引の透明性、公正性が担保できないからということなんですが。

 次の質問に行くんですけれども、であれば、本日の資料四をごらんいただきたいと思いますが、この法案では、特定デジタルプラットフォーム事業者に指定をされた場合に、情報開示と手続、体制を整備することというのが定められております。

 とりわけこの資料でいうと、(3)のaとbの部分、「取引条件等の情報の開示」、そして「自主的な手続・体制の整備」というふうに書いてありますが、右側の赤い四角で囲っている内容を見ますと、極めて、適切な取引を行うためにはどれも必要なものであります。言い方をかえれば、これは特定デジタルプラットフォーム事業者だけでなくて、デジタルプラットフォームを提供する事業者は全てがここはカバーをしなければいけない項目なのではないかなというふうにさえ思えるわけであります。

 そこで質問ですけれども、この情報開示と手続、体制の整備という部分については、あくまでもデジタルプラットフォーム事業者、特定ではない一般のデジタルプラットフォーム事業者も自主的に取り組むべき責務があるんじゃないかと思うんですけれども、そこに対して政府がどういう見解をお持ちなのか。

 そして、ちょっとこれは事前通告できていませんけれども、関連ですから、今回の法案の中で、このaとbの部分については一般の事業者に適用されないような読み方ができるんですけれども、そのあたりの解釈について、どういう理解をすればよいのか、お答えいただきたいと思います。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、大きな考え方としましては、委員がきょうの御質問の冒頭でおっしゃられましたとおり、基本的には、民間と民間のビジネスについては原則自由で、不公正なことがあった場合に独占禁止法で、競争政策の領域であれば、対応するというのが基本だというふうに考えております。

 今回、こういう法案を御提案を申し上げているのは、デジタルプラットフォームについては他の一般の民間のビジネスモデルとは異なる特徴があるので、あえて一般のビジネスとは違う規律を導入しようという考え方に立っておりますが、あくまでその範囲は、この法案の基本理念にもうたわれておりますように、必要最小限のものとするという考え方に立っております。

 その際、では、なぜデジタルプラットフォームという業態に着目をして透明性や公正性を高める必要があるのかということについて申し上げると、やはり、先ほども触れさせていただきましたけれども、デジタルプラットフォームというのが、いわゆるネットワーク効果が働きやすい、つまり多くの人が使えば使うほど便利になるので、一旦大きくなり始めるとどんどん大きくなるということがあり、結果として、それを利用される方からごらんになると、今利用しているデジタルプラットフォーム以外に切りかえることが非常に難しいという、いわゆるロックインのような効果が働いているというのが大きな背景にございます。

 したがいまして、今の御質問に戻らせていただきますと、こうした背景から、特定デジタルプラットフォームとして指定をし、規律を導入するものについては、やはり、今申し上げたようなことが性格上存在して、なおかつそれが実態で確認されているということが必要だというふうに考えております。

 そういう意味において、先ほど御質問のございました、さまざまな情報開示や自主的な手続の体制の整備については、その対象になるデジタルプラットフォームの、あるいはその業態が、国民生活や国民経済への影響が非常に大きく、先ほど申し上げたようなことを含めて、ネットワークの効果の結果として利用の集中が進んでいて、それを利用している中小企業などの保護の必要性が高いような一定の規模があるなどなどの事情を勘案して対象とするという考え方に立っております。

 したがいまして、そういう背景のないもの、つまり、利用の集中が進んでいない、切りかえようと思えば別の相手方があるようなものについては、事実上、一般のビジネスと差がないようなものとして取り扱われることができるということで、あくまで先ほど申し上げたような実態が確認できるようなものに限って今回の規律を導入しようという考え方に立っております。

 以上でございます。

浅野委員 今、答弁の中でもおっしゃいましたけれども、まさに、これは、一旦大きくなり始めると、どんどん大きくなるんですね。大きくなった後にこういう規制、事前規制を適用する。これまではなかったわけですから、導入することは私はいいことだと思いますが、問題は、大きくなった後からこういう事前規制のようなものをやるというやり方でいいのかという話なんですよ。

 やはり、デジタルプラットフォームのビジネスというのは非常にスピードが速い、そして、どの事業者も今後大きくなる可能性はあるわけでありまして、大きくなった後でこの規制を導入するのでは、大きくなっている過程の取引というのはこの網ではかけられないわけですよね。

 ですから、私が言いたいのは、デジタルプラットフォームの事業を行う方々は、まずは自主的に情報開示をし、そして相談体制、手続体制を整備した上でこのデジタルプラットフォーム事業に参入していただく、その方が産業全体としての透明性、公正性は確保できますし、あるべき論としてはそちらの方が適切ではないかというふうに考えておりますが、改めて、それでもやはり大きくなった後からでいいんだという理由があるのであれば、ちょっと御答弁いただきたいと思います。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどのやや繰り返しになりますが、この法案の議論の過程を通じて、他方において、このデジタルプラットフォームが、まさに今委員がおっしゃられたとおり、あるいは私が先ほど御答弁を申し上げたとおり、懸念があるのは、一旦集中度が高くなって大きくなるとそれを使わざるを得ないということが片やある。他方において、デジタルプラットフォームということそのものは、イノベーションを生むものなので制約をすべきでないという議論がいろいろございました。

 それをあわせて考えますと、大きくなったデジタルプラットフォーマーに、今は小さいデジタルプラットフォーマーが競争上ある種チャレンジして、大きい人がどんどん大きくなるような状況をつくらないというのも、ある意味では競争環境を維持するためにはプラスに働くわけでございまして、そうしたような議論を経まして、この法案の判断としては、先ほど申しましたとおり、利用の集中度や規模が大きいものに限って規律を導入することを通じて、結果において、そうでない、小さいデジタルプラットフォーマーの方は、ある意味ではさまざまな活動が過重な負担なく活動することができて競争も促進されるといった点も含めて、こうした判断に至っているわけでございます。

 ただ、もちろん、他方、この法案そのものは、EUの規則を参考にしておりますけれども、EUの規則と比較しますと、幾つか特徴がございますが、その一つは、先ほど委員から、まさにこのデジタルプラットフォーマーというのは日進月歩で、非常に状況がすごくよく変わるという御指摘がございましたが、EUの、デジタルプラットフォーマーに相当する、この法案に相当する規則は、デジタルプラットフォーマーについて規則で限定列挙をしているんですけれども、この法案自身は、実態をいろいろ調べながら、必要に応じて追加ができるような体制をとっておりますので、運用に当たっては、その柔軟性の確保については十分配慮をして行ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

浅野委員 ちょっとこの件に関してはまだ議論を本当はしたいんですけれども、時間の関係で次の質問に移りたいと思いますが、今、最後に、今後、対象の追加はあり得るという話がございました。

 やはり、このデジタル分野は非常にスピードが速くて、もう一年、二年たったら、その分野をリードする事業者が入れかわっているなんてことはよくあるわけですね。ですから、この業界の動向調査というのを政府としてはしっかりとやる必要があると思います。しかも、その行う頻度も、ある程度頻度を考えてやっていかないと業界に置いていかれてしまう懸念があるというふうに思っております。

 きょうの資料にはちょっと間に合わなかったんですけれども、今回、主な規制対象としては、オンラインモールとアプリストアという二つのものが指定されました。どういう過程でこれが指定されたのかというのをちょっと、私、さかのぼって調べてみたところ、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会というものが、公正取引委員会、経済産業省、総務省により立ち上げられて、これまで検討を行ってきたということであります。

 私が調べた限りでは、オンラインモールとアプリストアというものが対象にいつからなり始めたのかなというのを調べたら、実は、この検討会は、平成三十年の十一月に二回、そして平成三十一年の二月に第三回目が行われておりまして、この第三回目で初めて、業界調査をしましょう、そして、その調査対象としてはアプリストアとオンラインモールという言葉が出てきておりました。

 私が言いたいことは、この対象を絞り込む過程が資料の中で見つからなくて、では、有識者が考えてこの二つに決めたのか、それとも何らかの事前情報があって絞り込んだのか、そのあたりが不透明です。ぜひお願いしたいのは、今後の継続的な調査に当たっては、どの範囲を対象として調査をするのか、そして、どの程度の頻度で調査をすべきなのか、調査のあり方についてしっかりと検討する委員会のようなものをつくっていただいて、専門的知見、そしてリアルタイムな状況を踏まえた上での調査をしていただきたいというのがこの質問の趣旨なんですけれども、それに対する政府の見解をいただきたいと思います。

西山政府参考人 ありがとうございます。お答えを申し上げます。

 我々経済産業省、あるいは公正取引委員会なども含めて、この検討に当たりましては二つのこと、今委員から御指摘がございましたけれども、まず実態がどうなっているかという調査と、それから有識者の方々の意見を踏まえるということをやってまいりました。

 特に前者について申し上げますと、公正取引委員会が、報告書を、公表されている報告以外にも、結果については公表しておりますけれども、さまざまな、ウエブアンケートなども含めて、かなり広い業態についてさまざまな、懸念があるかないかということについて調査も行ってまいりました。そうした調査全体を踏まえまして、先ほど申し上げたような、利用の集中度が進んでいて取引上の懸念があるという声が非常に大きかったものが、結果として見ると、オンラインモールやアプリストアであったということでございます。

 その選定に当たりましては、もちろん有識者の議論、特に、例えば、先ほど諮問委員会というふうにおっしゃられましたけれども、もちろんそういう名称ではございませんけれども、これもEUの規則の立案に当たって行われたのを参考にして、先ほども申し上げましたけれども、内閣官房にデジタル市場競争会議、あるいはその下部組織としてワーキンググループを設けて、そこにデジタルプラットフォーマーの動向にかなり通暁している方々に参画をいただいて御意見をいただくという体制をとってまいりました。

 そうした御議論を踏まえて、今般、当面対象としようというふうに考えておりますのは、繰り返しになりますけれども、実態調査の結果、懸念が多数表明されたかどうか、あるいは、その有識者の方々の御意見を踏まえて、オンラインモールとアプリストアというふうにしておりますけれども、もちろん、継続的に、その場、すなわちデジタル市場競争会議の場などを使いながら、あるいは、当然、具体的に特定デジタルプラットフォームを指定するとなると政令で指定するということになりますので、さまざまな公のパブリックコメントなども受け付けながら指定の作業を進めることを通じて、さまざまな意見の反映を図ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 時間もわずかですので、最後の質問にさせていただきます。

 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律案で、5G、ポスト5G活用システムと先端半導体技術の開発支援という部分について取り上げますが、これは、開発した後の展開戦略というのが非常に重要だと思っています。

 総務省が出しているビヨンド5G推進戦略の中で、きょうの資料六のページをごらんいただきたいんですが、右下の赤い四角で囲っている部分、「一つの街を「リビング・テストベッド」として自由かつ柔軟な実証を実施できる環境を整備。」する、そして、括弧書きで「「スーパーシティ」構想など国家戦略特区を活用。」すると書いてあるんですが、ちょっと時間がないので質問を簡潔に言いますと、特区だけではなくて、地方都市においても環境整備を推進すべきではないかというふうに思っております。そっちの方が展開戦略としては現実的なのではないかと考えておりますが、最後に政府の答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gの普及、展開という意味では、委員御指摘のとおり、特区に限らず、地方の隅々までいろいろ使われるということが非常に大事だと私ども認識しております。

 私ども総務省の方では、この5Gの導入に向けて、いろいろ開発実証を全国各地で行ってきているところでございますけれども、今年度以降も、ローカル5Gの活用というのを念頭にしながら、ローカル5G開発実証というものの予算を確保しておりまして、これは戦略特区云々に限らず、さまざま地方において、農業ですとか製造業あるいは観光業の方々と連携しながら、さまざまな分野の実証を行っていきたいと考えているところでございます。

 私どもといたしましても、この5Gのインフラ整備とこういった利活用というものを一体的に推進することで、5Gの地域を含めた展開というのが加速されると考えているところでございます。

 以上でございます。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、5G法案でありますけれども、経産省に伺います。

 本法案は、安倍政権が国家プロジェクトとして進める5Gの通信基地局の開設計画前倒しに対して、設備投資額の一五%もの破格の法人税減税を行うものであります。

 そこで伺いますが、二年間の時限措置ということで、二百三十億円の減税が見込まれております。この時限措置の延長はないということでよろしいんでしょうか。

西山政府参考人 今御質問の5G設備投資減税でございますけれども、この税制の適用の期間は、今御質問のように、二〇二〇年度から二カ年ということになっておりますが、この趣旨は、その期間を限定することを通じて、全国キャリアが行う基地局の前倒し整備を進めること、あるいは、いわゆるローカル5Gも含めて、5Gのインフラの早期の普及を促進していくために措置されるものでございますので、現時点では、この二年間の適用期間を延長することは想定しておりません。

 以上です。

笠井委員 現時点では想定していないということですが、延長はない、それを延長する可能性はないということもはっきり言えるようなことなんですか。

西山政府参考人 この税制の適用期間を延長することは想定しておりません。

 もちろん、二年後になったときに、その時点においてこの5Gを、この制度かどうかは別にして、どのように支援するかという議論は当然あろうかと思います。

 以上でございます。

笠井委員 そういう意味では、延長はあり得る、可能だということであります。

 これまでも、例えば二〇一七年に期限切れを迎えるはずだった研究開発減税を延長して、六千億円もの減税額の約九割が大企業向けでありました。しかも、その九割を上位十社が占めるということで、総務省行政評価局も、国民への説明責任が果たせていないと指摘したほどの大盤振る舞いであったわけであります。今回も延長ということを繰り返すことになれば、減税規模は二百三十億円にとどまりません。

 そこで、総務省に伺いますが、当初5Gの投資促進税制として要望していたのは五%の税額控除だったんじゃないかと思うんですが、その確認をお願いします。

赤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の二〇一九年八月末の令和二年度税制改正要望における5G投資促進税制の法人税、所得税の税額控除率でございますが、御指摘のとおり、五%ということでございます。

笠井委員 それがどういう経緯で一五%の税額控除になったのかと。

 経済産業省に伺いますが、これは政府内の議論の結果ということになるんでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大きな考え方でございますけれども、この税制の意義については、まさに今回の法案で御提案を申し上げているとおり、5Gの整備というのは、それが5Gを整備する個社のメリットということにとどまらず、我が国の経済社会や国民生活全般の基盤をなすような性格のものであるということに加えて、特にサイバーセキュリティーの確保など、いわゆる安全性や信頼性をきちんと確保した形で行うことが非常に重要である、喫緊の課題であるということの議論があり、理由としてはそうしたことを踏まえて、税額控除率が最終的に一五%となったということでございます。

 手続的には、本税制の創設に当たっては、与党の税制調査会における真摯な御議論も踏まえた上で決定されたものであるというふうに承知しております。

 以上でございます。

笠井委員 手続的にはということで、与党税調の議論もありということが今最後に言われましたけれども、二〇一九年、昨年十二月十一日の日本経済新聞ではこう報道しております。

 「政府・与党は十日、」つまり去年の十二月十日ですが、「次世代通信規格「5G」の通信網の整備を促す税制支援策について、投資額の一五%を法人税から税額控除する方向で最終調整に入った。」、「自民党税制調査会(甘利明会長)は九%の税額控除か、三〇%の特別償却かを選べる案をいったんまとめた。5G通信網の早期整備と経済安全保障を重視する政権の姿勢を示すため、税額控除の割合を一五%に引き上げることにした。」、こうあるわけでありまして、破格の設備投資減税は自民党の要求、政治決断である意味決まったということではないかと思います。

 本法案が閣議決定されたのはことし二月の十八日で、その後に新型コロナウイルスの感染が日本全国に広がって、七都府県に緊急事態宣言が出される事態に陥っているわけであります。

 そこで、大臣に伺いますけれども、こんな減税措置をしないとむしろ政治決断をして、コロナで苦しむ中小企業や小規模事業者支援にこそ本当に力を注いで、それを充実させるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 まず、新型コロナウイルスへの対応としては、既に中小企業向けには、固定資産税の減税、繰戻し還付の適用拡大など、そして個人向けには自動車税、軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長など、緊急経済対策に減税措置を盛り込み、緊急に必要な措置を講じることとしております。さらに、第一弾、第二弾、第三弾ということで、しっかりとした対応もしているということであります。

 こうした中で、そもそも5G投資促進減税は、5Gインフラの早期導入を後押しすることが目的であり、新型コロナウイルスの流行により、今後テレワークが当たり前となる社会が求められるなど、社会全体のデジタル化を進める必要性がより一層高まる中で、この税制の意義はますます増していると考えております。

 5G税制では、全国キャリアが行う基地局の前倒し整備を支援することとしており、二〇二三年までに全国約七万局の整備をする大手通信事業者の開設計画に対し、今後二年間の期間限定で税制上のインセンティブを講じることで、地方も含む全国各地の基地局整備の前倒しを誘導してまいりたいと思っております。加えて、スマート工場等のローカル5Gも税制の対象とすることで、地域の製造業など、全国各地で5Gを活用した新たなサービス、また地域の課題解決のためのサービスなどが生まれることが期待をされております。

 このように、5Gの税制は、デジタル技術の恩恵を誰もが享受できる社会に向けた動きを加速させ、国民に広く裨益をさせるものとして必要であるものと考えております。

笠井委員 新型コロナ対策の緊急経済対策、今また議論もこれからやると思うんですけれども、やはり中小企業を始めとして国民に対する補償とか支援とかというのは、さまざま今政府の案に対して問題点が指摘されて、政府自身も与党とまたどうしようかと言っている段階で、やはり規模についても内容についてももっと充実させる、抜本的切りかえが必要という政治判断が必要だというところなので、私は、やはり何を本当に政治決断するかというのが大事になっているということを改めて申し上げたいと思います。

 そして、5Gの基地局を前倒しで整備ということでありますが、それをやればその設備投資額が減税の対象になるわけで、つまり、全国5Gの減税対象となるのは大手通信四社でありますが、ローカル5Gの対象も莫大な内部留保を持つ大企業であります。

 その中で、大手通信の四社について、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の二〇〇六年以降の内部留保と設備投資額を調べてみました。

 そうしますと、内部留保の合計というのは、二〇〇六年度の五兆三千億円から毎年積み増し、右肩上がりで、一七年度には十三兆円に迫る規模にまで膨れ上がりました。一八年度には、楽天も加えた四社分で九兆六千億円にもなっております。

 ところが、設備投資額の合計というのは、毎年、四社で見ますと、合計額で二兆円前後にとどまっていて、一八年度は四社で一兆六千六百七十八億円と、内部留保額の一七・四%にすぎないんですね、これは。

 総務省に伺いますけれども、二〇一八年四月に周波数を割り当てた際に、通信のこの大手四社が5G展開用の特定基地局を設置するための設備投資の計画額というのはそれぞれ幾らだったでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月に5Gの周波数割当てに当たりまして、その認定した携帯電話事業者四社の開設計画によれば、二〇二四年度末までの特定基地局の設備投資額につきましては、NTTドコモが約七千九百五十億円、KDDIと沖縄セルラー、これはグループをつくっていますけれども、こちらについては四千六百六十七億円、ソフトバンクが約二千六十一億円、楽天モバイルが約千九百四十六円ということになっております。

笠井委員 このNTTドコモの設備投資額は内部留保の一八・六%、KDDIは一一・八%、ソフトバンクは二五・九%、楽天は三六%ということになります。

 破格の設備投資減税などを行わなくても十分な体力はある、体力についてはそうだということについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

梶山国務大臣 これはインフラの早期導入を後押しすることが目的ということでありまして、体力については、今委員から御指摘がありましたけれども、一時的に集中的に投資をさせるということの後押しだということで御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 後押しということがありましたけれども、通信四社はそれぞれ、他社よりも早く5Gサービスを開始をして顧客を囲い込んで有利に事業を展開しようということで、四社同士が競い合っているライバル同士ということで、それ自身が競争の原理が働いているわけですよね。

 それで、楽天の場合でいいますと、三月末の基地局というのは四千四百局で、総務省に出した計画を三割上回りました。自社のスマホがあれば、楽天市場や金融などのアプリを標準で搭載できて、一億人の会員を抱える楽天経済圏の起爆剤になるというふうなことを位置づけているわけでありまして、減税をして後押ししなくたって設備投資を進めるわけですから、結局、その分は減税してもまた内部留保を積み増すだけにしかならない、こういうことになっていくんだと思うんです。

 目前で国民の暮らしや中小企業の経営が危機に陥っております。そこを支えずして、世界の5G競争に勝て勝てと言っている場合かということが問題になってくる。特定大企業の破格の減税を行って国際競争力を高めるのが今やるべきことか。外出の自粛や休業要請で深刻な打撃を受けている国民、中小企業、小規模事業者に緊急に補償、減税を行って、暮らしと経済を支えることにこそ力を注ぐべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 そこで、次にデジタルプラットフォームの法案について伺いますが、今回の法案については、オンラインモールそれからアプリストアを対象にして、取引の透明性、公正性を高めるというふうにしております。

 象徴的なのは、インターネット通販大手、楽天市場をめぐる問題であります。

 そこで、梶山大臣、楽天は、三千九百八十円以上の買物について、沖縄、離島などを除いて、全店舗一律に出店者の負担で送料を無料にするという送料無料ラインというのを三月十八日から強行いたしました。出店する中小企業から、一方的な規約変更で独占禁止法違反だと強い訴えが上がってきたということでありますけれども、そういうことについては御存じですね。

梶山国務大臣 存じ上げております。

笠井委員 公正取引委員会は、二月二十八日には東京地裁に対して緊急停止命令の申立てを行いましたが、行ったものの、三月十日には取り下げてしまいました。

 杉本委員長、どうして取り下げたんでしょうか。

杉本政府特別補佐人 委員御指摘のように、楽天は、楽天市場におきまして、一回の合計金額が一定額以上の場合に商品の販売価格とともに送料無料と表示し、出店者が一律に別途送料を収受し得ないこととなる施策を導入することを予定しておりました。

 公正取引委員会は、この施策が独占禁止法の規定に違反する疑いがあるということから調査を行っていたところでございますが、その実施が三月十八日に予定されていたこともございまして、これを一時停止することに緊急の必要性があると考えまして、本年二月二十八日に東京地方裁判所に対して緊急停止命令の申立てを行ったところでございます。

 なお、この申立ては、緊急停止命令の申立てを公正取引委員会が行いましたのは平成十六年以来のことでございまして、約十六年ぶりのことでございます。

 その後、楽天は、三月六日、出店事業者が参加するか否かをみずからの判断で選択できるようにすること等を公表いたしまして、東京地方裁判所における緊急停止命令の申立てに係る手続においてもその旨を表明したところでございました。

 こうしたことを受けまして、公正取引委員会といたしましては、出店事業者が参加するか否かをみずからの判断で選択できるようになるのであれば、当面は一時停止を求める緊急性が薄れるものと判断いたしまして、三月十日、東京地方裁判所に対しまして行っておりました緊急停止命令の申立てを取り下げたところでございます。

 なお、公正取引委員会といたしましては、緊急停止命令の申立ては取り下げましたが、実際に出店事業者が参加を強制されていないかという点も含めまして、引き続き、本件違反被疑行為について審査を継続することとしているところでございます。

笠井委員 今、委員長の方から、みずからの判断で選択できるようになるのであればという話があったんですが、みずからの判断で選択などできないというのが実態であります。

 楽天は、送料無料ラインに参加する店舗だけを対象にした検索機能をつくって、不参加店を排除したと。愛知県の出店者は、参加しないとコンビニや郵便局での商品の受取をお客さんが選べなくなる、不参加を選択する自由がない、楽天の卑劣な策略ですというふうに怒りを持って語っておられます。

 楽天は、送料無料ラインの不参加の出店者を差別して不利益を与え、参加に追い込んだと。事実上の送料負担の強要だと言わなければいけないと思うんですが、杉本委員長、どこに、ここの中で、みずからの判断で選択できる余地があるんでしょうか。

杉本政府特別補佐人 繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、楽天は、三月六日、出店事業者が参加するか否かをみずからの判断で選択できるようにすることを公表いたしまして、東京地方裁判所による手続におきましてもそうした趣旨を表明したところでございます。

 したがいまして、私どもは、そういう表明を受けまして、一時停止を求める緊急性は薄れるものと判断したわけでございまして、その上で、緊急停止命令の申立てを取り下げたわけでございます。

 しかしながら、先ほども申し上げましたように、実際に出店事業者の参加が強制されていないかという点も含めまして、引き続き、本件違反行為について審査を継続しているところでございます。

笠井委員 もう既に深刻な影響が出ていると。送料無料ラインに参加しなかった別の店舗は、検索順位が従来と比べて極端に下がりました、検索で不利にさせられた影響が出たのだと思います、楽天が算出する売上高の週間ランキングやデーリーランキングで数年にわたって一位を獲得してきた人気商品まで下位に沈んでいますということで、異常ですというふうに訴えられておりまして、実際には現場で深刻な影響が出ているということであります。

 そこで、梶山大臣に伺いますが、公取委が立入検査、東京地裁への緊急停止命令を申し立てても、楽天は姿勢を変えずに、中小企業は深刻な被害を受けているわけでありまして、楽天が中小企業いじめをしないように、明確なルール、禁止行為の規定というのがやはりそういう実態から見ると必要なんじゃないかと思うんですが、そこはいかがですか。

梶山国務大臣 まず、杉本委員長がおっしゃったとおりに、公正取引委員会が独占禁止法に基づく審査を継続しているという認識であります。

 個社についてのお答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、本法案は独占禁止法に違反するような取引が生じにくい環境を整備するためのものであります。その観点から、本法案は、取引の透明性や公正性を高めるための事前の情報開示や自主的な手続、体制整備を求めることにしており、イノベーションとのバランスも考慮して、それらを超えて特定の行為を禁止する規定を設けることはしていないということであります。

 他方、公正競争を阻害する行為については、独占禁止法に基づいて、公正取引委員会により排除措置命令や課徴金納付命令も含めた対処がされるものと承知しておりまして、本法案でも、必要な場合には同委員会に対処を要請する仕組みになっております。

 このように、本法案と独占禁止法の執行によって、透明、公正な取引を実現をしてまいりたいと思っております。

笠井委員 内閣官房のデジタル市場競争会議では、昨年十二月十七日の会合まで「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案(仮称)の方向性」という文書がありまして、その中で、四つの禁止行為と。一つは競合商品を拒絶、二つ目に自社サービスなどの利用強制、三つ目に自社の商品を有利に表示、四つ目に事業の運営に重大な支障が生じる一方的な不利益変更、この四つを掲げてきました。ところが、法案からはこの禁止行為が削除されてしまったわけですが、これはなぜ削除したんですか。

梶山国務大臣 特定デジタルプラットフォーム透明性、公正性向上法案は、独占禁止法に違反するような取引が生じにくい環境を整備するためのものであり、イノベーションとのバランスも考慮して、情報開示や自主的な手続、体制整備を超えて特定の行為を禁止する規定を設けることとはしておりません。

 特定の行為を禁止する規定は、昨年十月のデジタル市場競争会議において法案の検討内容に盛り込んでいたところであります。しかし、その後、法案の概要について意見公募をしたところ、イノベーションの阻害の懸念、独占禁止法執行との二重行政の懸念といった理由から、特定の行為の禁止規定を設けることについては強い懸念の声が寄せられたということであります。

 こうした意見公募の結果や専門家で構成されるワーキンググループ等での議論を踏まえて、ことし一月のデジタル市場競争会議において、事業者のイノベーションの阻害につながる懸念があることから、本法案に特定の行為の禁止規定は設けないことを決定をいたしました。

 なお、公正な競争を阻害する行為については、独占禁止法に基づいて公正取引委員会により排除措置命令や課徴金納付命令も含めた対処がされるものと承知をしており、本法案でも、必要な場合には同委員会に対処を要請する仕組みを設けております。

笠井委員 意見公募の結果も踏まえということで、その中でイノベーションを阻害する懸念ということも言われたということでありますが、そこで、杉本委員長に伺います。

 公正取引委員会のデジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査というのがございますが、そこでは、オンラインモール事業者に規約を一方的に変更されたと答えたのは、楽天市場の出店者で何%になっているでしょうか。

杉本政府特別補佐人 公正取引委員会は、デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査の一環として、オンラインモール運営事業者の取引実態に関するアンケート調査を行いました。このアンケート調査につきましては、平成三十一年四月、昨年の四月に中間報告として公表したところでございます。

 この中間報告におきましては、楽天市場の出品者のうち、オンラインモール運営事業者によって規約が変更されたことがありましたかの問いに対しまして、一方的に変更されたと回答した出品者の比率は九三・二%でございました。

笠井委員 九三・二%と極めて高いわけであります。出店者が楽天との契約内容に納得していないことは明白であります。

 楽天市場の出店者でつくる楽天ユニオンが行ったアンケート調査でも、楽天は出店者の声に誠心誠意耳を傾けているかの問いに対して、実に九五%以上もの出店者が、全くそう思わない、そう思わないということで、合わせて回答しているところであります。

 そこで、大臣、楽天に一方的な規約変更をやめさせて出店者との関係を是正するというのは、これはイノベーションを阻害するということになるんでしょうか。

梶山国務大臣 先ほど申しましたように、事前の環境整備と、事後において公正取引委員会の監視という形で公正な競争を阻害する行為については、独禁法に基づいて公正取引委員会により排除措置命令や課徴金納付命令も含めた対処がなされるものと承知をしております。

 本法案でも、必要な場合には、繰り返しになりますけれども、公正取引委員会に対処要請をする仕組みを設けているということであります。

笠井委員 昨日の参考人質疑で、川上参考人は、プラットフォーマーと出店者との間に契約の合理性、対等性がないというふうに指摘をし、法案で一方的な契約変更を規律しないと公正性が担保できない、こう強調されておりました。これはやはり重く受けとめる必要があると思うんですが。

 禁止行為を明記することというのは、私は、イノベーションを阻害するどころか、公正な取引関係をつくる上ではむしろ不可欠ではないかと思うんですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、参考人質疑でも御議論がさまざまあったかと思いますけれども、いわゆる委員がお触れになっている禁止行為というものは、それは合理的理由なくやってはいけないということで、そのやった側、実施をした側、この場合ですとプラットフォーム運営事業者側が基本的には立証責任を負うという形になります。

 今回のパブリックコメントを含めてさまざまな議論の中で、そうしたものを法律で定めようとすると、簡単にいいますと抽象度の高いものになる、つまり具体的にどういうものがそれに当たるかわかりにくいといったことを通じて、結果において、イノベーションを阻害する、つまり、何をやってはいけないかというのがわかりにくいのではないかというような御指摘もありましたので、一つはそういう判断があったということでございます。

 それから、もう一つは、委員からいろいろ御指摘をいただいております、出店者を含めて、この法案の中で申しますと、商品等提供者がそのプラットフォーム運営事業者に対して、もともとさまざまな苦情を申し立てたいんだけれども窓口がはっきりしないということについては、先ほどおっしゃられたあの公正取引委員会の実態調査も含めて、ずっと指摘をされてきたことでございます。

 したがいまして、そうした苦情等があるんだけれどもプラットフォーム側が受け付けないという事態を回避するために、そうした体制や手続の整備を行うように、この法案の中では規定しているということでございます。

 以上でございます。

笠井委員 抽象度のとかじゃなくて、現実に起こっている楽天をめぐる問題で、具体的にどうすべきかということが問われているんだと思うんですが。

 そこで、杉本公取委員長にもう一問伺いたいと思うんですが、この検討段階で掲げていた四つの禁止行為というのは、これは全て独占禁止法上の問題になる、このように考えられますよね。

杉本政府特別補佐人 委員御指摘の四つの不当行為というものは、競合商品を拒絶、自社サービスなどの利用強制、自社の商品を有利に表示、事業の運営に重大な支障を生じる一方的な不利益変更というふうに承知しております。

 これらについては、先ほど申し上げました当委員会が行いましたデジタルプラットフォーマー取引慣行等に係る実態調査報告書、この報告を昨年の十月に公表しておりますが、その中において、いずれも、一定の条件を満たした場合には、独占禁止法上問題となるとの考え方を示しているところでございます。

 例えば、競合商品の拒絶につきましては、運用事業者みずから又はその関連会社が販売する商品と競合する商品を販売する利用事業者を排除する、又は当該商品の価格を維持するなど独占禁止法上不当な目的を達成するために、当該利用事業者の出店、出品を不承認する場合、独占禁止法上問題になるおそれがあるというふうなぐあいに、それぞれ、自社サービスの利用強制、それから、自社の商品を有利に表示、三つ目の、自社商品を有利に表示、四つ目の、事業運営に重要な支障が生じる一方的な不利益変更、こういったものについても、一定の条件を満たした場合には、独占禁止法上の問題となるとの考え方を示しているところでございます。

笠井委員 今、一定の条件を満たした場合と言われましたけれども、四つの禁止行為というのは、独占禁止法の問題となる行為だということでありまして。

 大臣、この独占禁止法をきちんと守ることが、この前、イノベーションの問題にいろいろ議論ありましたけれども、イノベーションを阻害することになるんでしょうか。

梶山国務大臣 この件に限らず、いろいろな制限をつけるとイノベーションの阻害につながるという御意見があったということであります。

 そして、これからイノベーションというものも大事にしていかなければならない、また、その市場というものも、どう発展していくかというのはまだ見えないところもありますけれども、しっかりと育てていかなければならないということでありますから、事前と事後で公正取引委員会と連携をしながら、こういった事態がなくなる、委員御指摘のような事態がなくなるような連携をして、努力をしていくということであります。

笠井委員 まあ、事前と事後ということでありますが、公正取引委員会でいうと、優越的地位の濫用のおそれということで、それに対してどうするかということで、結局、事後規制ということで、それも調査をしていってということになってくるので、そこにはまた時間がかかってくる。そこで、現実にこういう問題が起こっているのに対して、法整備する段階になったら、それに対してどうするかということは、やはりしっかりと見なきゃいけないと思うんですね。

 楽天ユニオンの方から話を伺いますと、楽天がやっていることは本当に無法行為のオンパレードだと。送料の無料ラインなどの強制、強要、それから送料や消費税に手数料課金など値上げによる搾取、それから一方的な罰金徴収や個人情報の漏えい、嫌がらせなどの人道的問題、楽天の自社店舗のレビュー操作など自社優遇など、挙げれば切りがない。

 こういうことが言われているような、実際そういうことがプラットフォーマーによってやられているという現実があって、やはりそういう中で禁止行為をきちっと規定する、事前に禁止するということで、事前にもやるということで規定することは、私は、過剰な規制ではなく必要な規制だと思うんですが、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 再度になりますけれども、個社についてのお答えは差し控えさせていただきます。

 公取とあわせて、事前、事後の環境整備、そして対応ということで、しっかりと、こういったことがないような形で運用をしてまいりたいと思っております。

笠井委員 個社について控えるといっても、今は、問題になったプラットフォーマーというのは、実際、じゃ、どこが対象になってくるかというと、実際起こっている問題に対してきちっと対応できなかったら法律としては本当に効果がないんだろうと思うし、そこのところはやはり運用の問題ではなく、今は法を整備するという段階ですから、そのところはきちっと徹底してやる必要があるんだろう、やらなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 日本経団連は、ことし一月二十日に、不当行為をしてはならないとの規定を定めるべきではないということでパブリックコメントに回答したことを発表しておりますが、その直後に、一月二十八日のデジタル市場競争会議で、禁止行為の四項目を削除してしまったということですが。

 大臣に伺いますが、このときの、一月二十八日の会議の議事録というのはあるんでしょうか。

梶山国務大臣 デジタル市場競争会議は、内閣官房のデジタル市場競争本部のもとに設置をされた会議体でありまして、私、経産大臣は構成員の一人であります。

 議事録の扱いも含めた運営については、同本部が所掌しており、経済産業省としてはお答えする立場にないということですから、お答えは差し控えさせていただきます。

笠井委員 私、いろいろ調べてみた経過の中では公表されていないんですね。重大問題なのに議事録もないということで、これはちゃんと、やはりきちっと、構成員であるという大臣であれば確かめていただきたいんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 それは確かめさせていただきます。

笠井委員 議事録がなければ、どういう経過で、議論の結果、削除したのかも、きちっと国民の前に明らかにならないということで、やはり、そういう中で、結局のところ、日本経団連がパブリックコメントで取れといって要求したので、それに屈服して禁止行為を削除したと言われても仕方がないということになると思うんですけれども、大臣、どうですか。

梶山国務大臣 先ほどから申しているとおり、事前の環境整備と事後のしっかりとした監視ということで、二本立てでしっかりと運営をしていきたいと思っております。

 そして、これから育成をしなくちゃならない市場でもあるということで、そういった事態が起これば、これはまた市場の育成にも支障があるわけですから、しっかりと事案を捉えて、そういったことが起こらないような努力をしてまいりたいと思っております。

笠井委員 事前と事後があるということでおっしゃったんですが、今、事前をどうするかということで、法律をどういうふうに整備するかが問題になっているところで、ここは、徹底してやはり検討して議論をする、そして結論を出すことが大事だと思うんです。

 法案の第三条では、「国の関与その他の規制を必要最小限のものとすることによりデジタルプラットフォーム提供者の創意と工夫が十分に発揮される」とありますけれども、このことで、本当に、じゃ、プラットフォーマーを健全に発展させられるのかということが問題になってくると思うんですね。

 それで、他方で、結局、共同規制ということも、参考人質疑のときもそうですし、また政府の答弁でも繰り返しあったんですけれども、結局、政府の情報を補う必要がある、それはやはり民間の方が持っているんだという状況の中で、双方で規制をきちっとやっていくという話になっているんだけれども。しかし、片っ方でいうと、規制に対してはプラットフォーマーの側はなるたけ緩めてほしいという立場であって、そういうプラットフォーマーと共同したら、今の必要最小限というふうに言っている上に規制をやはり薄めるという方向で共同でとなると、政府がやろうと思っても、プラットフォーマーが、いや、もうここまでにしてくれとなったら、そこは、実際には必要な規制が国民との関係では弱まる結果になるんじゃないか。こういう問題点があるということについては、しっかりとやはり議論が必要だと思っております。

 時間が来ましたので、きょうは終わります。引き続き、また法案については議論させていただきます。

富田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、大臣、大臣には恐らく御質問しませんので、気楽にというか、実際、外していただいても。ただ、きょうは、奈須野部長に、私としては大変重要だ、新型コロナに係る重要な話だと私が考えていますことをちょっと議論をさせていただきますので、聞いていていただいても結構だし、事後、奈須野部長とまた御議論をいただきたい、こう思います。

 まず、きょうは法案の審議ですが、法案の質問を幾つか通告をしてまいりましたが、ほぼ前の委員の方が質問を終わられましたので割愛をして、新型コロナに集中をさせていただきます。西山局長も、もう大丈夫ですから、自由にしていただければと思います。担当法案ですからあれですけれども。

 今報道をにぎわしている一つのニュースが、別の委員会ですが、野党筆頭の不祥事が非常に取り沙汰されて、離党届を出された、こう報道をされています。

 別に、歌舞伎町に行くのはいいと思うんですよね。しかし、タイミング、今これだけ国民の皆様に自粛を、また休業をお願いしているときに、みずから感染の可能性の高い場所に行くというのは、まず市民としてもあり得ないし、国会議員にもとる行為だと思いますから、それは非難はされると思います。

 ただ、私たちはもう一つやはり違和感を持っていることは、その前に、実は、その野党筆頭の方は、私、もう一つの委員会で御一緒しています。総務委員会ですけれども。一緒にずっとやっているので、その方の質疑はずっと聞いています。その方が総務委員会で何を言っていたかというと、安倍総理をずっと批判してきたわけです。安倍総理の何を批判してきたかというと、人と飯を食っていることを批判してきたわけです。

 いや、いろいろ僕は、安倍政権、今問題あると思いますよ、このコロナ対策、課題があると思う。だから、野党として提言も、三たび提言を出し、今週中にも四たび、四回目の緊急提言を政府に出しますが。飯を食うなと言いながら、歌舞伎町に行くというのは、やはりそれは言っていることとやっていることが違うということで、私は批判するわけです。

 なぜ私たちが言っていることとやっていることという話をするかというと、身を切る改革ですよ。立憲から共産まで身を切る改革と言っているけれども、自民党から共産まで身を切る改革と言っているけれども、言ったことをやっていないのは、維新以外の野党だけです。

 自民党と公明党は、まあ公明党はちょっと微妙なところがあったけれども、この間の選挙で。そやけど、おおむね、自民党さんと公明党さんは、言ったことはやっています。自民党なんか、はっきりしています。絶対やらないと言ったことは絶対やらないからね。

 そやけども、維新以外の野党がここに来てやはり国民の支持を失いつつあるのは、私は理由があると思いますよ。言っていることをやらないからですよ。

 だから、身を切る改革、与党と野党で今、私たち維新の会が今まで十年にわたってやり続けてきた身を切る改革、給与の、歳費の二割カットを、全ての国会議員、政党に私たちは賛同いただきたい、ともに国難を乗り越えていきたい、こう思っています。

 与党と野党で、何か与党筆頭と野党筆頭でやっているようでありますが、自公が恐らく提案されているんですよね。あの十万円の話も、やはり公明党代表がおっしゃってくださるから総理も動くわけで。本当は私も地元で公明党と連携したいんですけれども、全然していただけないですけれども。

 話が飛びましたが、言ったことをやる、やらないなら言わない。こういう国民の皆様の不信、信なくば立たずですよ、信用していただける政治をつくりたいと思って、私も初当選から七年やってきましたよ。それを野党の皆さんに本当のことを言うと、懲罰動議が六回出たんですけれども。でも、言ったことをやりましょう。

 今回は、身を切る改革、与党と野党で議論して、どうも与党が提案されて、それを野党が嫌だと言ってもめているそうですけれども、でも、野党も何とか国対委員長会談でまとまりつつあるようですから、それはやりましょうよ。さきの参院の六増に伴う身を切る改革は、結局、与党と維新以外の野党はやっていません。でも、今回はやりましょう、それだけはね。何か失礼はなかったですね、公明党の皆さん。本当は地元で一緒にやりたいんですけれども、なかなかうまくいっていません。

 さて、そういうことでありますが、先ほど申し上げたように、法案はちょっと割愛をさせていただいて。賛成ですから、局長。大賛成ですからね。経済産業省の幾多の法案の中で、今回の西山局長が策定されたこの二本の法案は、やはり時代の変化に即した大変重要な分野でありますので、大賛成でありまして、ますますこの分野は、競争政策のみならず安全保障政策の観点からも強化をしていくべき分野であると、僣越ながらエールを送らせていただきたいと思います。

 きょうは奈須野部長にお越しをいただいています。毎度、経済産業委員会で御答弁をいただいていて恐縮です。

 今、国民の皆様が注目している施策が二つあります。

 一つは、先ほど出た、山口代表が、一人十万円を早く国民に届けるべきだとおっしゃっていただいた。これは本当に大事だと思います。

 公明党の先生方、一人でいきましょうね、世帯じゃなくて。世帯十万円だとやはり苦しいですよ。やはり一人十万円なら、足元、一息つくことができると思います。迅速に、一人十万円。橋下家なんか、お子様が七人だから九十万円。余りそういうことを言うと後で怒られるから、ちょっとやめておきますが。

 やはり、お子様のいらっしゃるところ、いろいろあります。だから、やはり、世帯ではなくて一人十万円を迅速にということで、一息ついていただく、これは大事だと思います。

 ただ、加えて、私がこの委員会でも奈須野部長と討論させていただいて、所管外でありますが、大事だと思っているのは生活資金です。きょう、これから事業資金の話をやります。でも、さきの経済産業委員会で、奈須野部長の御答弁もおかりしながら私が訴えたことは生活資金です。貸金業者を利用してでもいいから、事業資金だけじゃなくて生活資金の分野で政府一〇〇%保証の資金融通をしていかないと、今回の新型コロナの長期戦を国民の皆様に踏ん張っていただく、協力をしていただくことはできないということで、これは、今週中にも出します、先ほど申し上げた維新の提言第四弾の柱の一つとして、生活資金に係る信用保証制度、信用保険、これを提案をしてまいりたいと思います。

 そして、もう一つ国民の皆様が注目をしているのが、いわゆる持続化給付金であります。これも大変ありがたい制度であります。ちょっとこの制度の狙いを御紹介いただきたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの累次の対策パッケージにおきまして、政府系金融機関による実質無利子かつ元本返済が最大五年間不要の融資であるとか、雇用調整助成金、国税、地方税、社会保険料、公共料金などの延納により、中小企業の事業継続を支援してまいりました。しかしながら、先行きが不透明な中で返済を伴う借入れをちゅうちょする声とか、あるいは家賃などの支払いが負担となる事業者がいらっしゃるということも承知しております。

 こういった点を踏まえまして、今回、売上高が半減する事業者に対して、使途の制限なく、中小・小規模法人に上限二百万円、個人事業主に百万円ということで現金給付を行うというふうにしたものでございます。

 この使途でございますけれども、今回、限定は設けておりません。しかしながら、人件費というのは、先ほど申し上げたとおり、雇用調整助成金で補填されることになっております。それから、売上げが立たないということであれば、当然仕入れもないわけです。それから、減価償却費、これはローンの返済に回るわけですけれども、借金の返済は繰延べが可能になっております。光熱費、これは延納が可能でございます。

 そうすると、残りは家賃などの固定費ということでございまして、使途に制限はないんですけれども、これが入りますれば、多くの方が家賃などの固定費に充当するということが予想されております。

足立委員 ありがとうございます。

 今聞いていただいたように、一部野党の皆さんは、安倍政権のことを、安倍総理を取り上げて、何かアベノマスクとかひどい誹謗中傷をネットとかでもしています。私も、今回の安倍政権のハンドリングは課題があると思っているので、四たびの提言を申し上げてまいりますが、梶山経産大臣始め経産省の皆様が、私は、奈須野部長、同期なのでいろいろ教えて、あ、余り接触はしていない、していると言ったら怒られますから。たまに電話して嫌がられているんですが。本当によくやっていただいていると思う。だから、中小企業の事業資金は、本当に、これまで築かれた経営資産がこの新型コロナで崩壊をして、V字回復のときにその経営資産が散逸をしている、潰れている、なくなっている、そういうことがないように万全を期していただきたいと思います。

 その点で、幾つか御提案があります。

 一つは、きょうのニュースかな、まず、持続化給付金を支払う、これももちろん受け付けはまだ始まっていませんが、補正予算を速やかに成立させて、その後、一週間程度で受け付けを開始し、申請後二週間程度で何とか給付するべく急いでいると。こういうQアンドAがホームページにも出ていますので、頑張っていただきたいんですが。

 加えて、電子申請を用いるという話もあります。非常にいいことで、これからはもう窓口に並ぶ時代ではありません。電子申請でやっていただきたいと思いますが、そうであればなおさら、きょうニュースで、あるクラウド会計ソフトの業者さんが、予測機能の提供開始ということで、要は、この中小企業庁の持続化給付金、自分たちの経営情報を入れると、給付金を受けられるのかどうか即座に返事してくれるという機能を追加しますというアピールをされて、日経新聞にも出ていました。

 せっかくだから、こういう、どうせ電子申請をするなら、ちょっと詳細な情報は事業者の方も中小企業庁に出したくないかもしれませんので、自己診断ができるちょっとした機能なんかをホームページなんかで御用意いただくと、ますます新しい時代の経済産業政策、中小企業政策というのが実現すると思うので、急に、ちょっとこれは通告なしです。通告はありませんが、きょう新聞で見たので、奈須野部長、検討ぐらい、ちょっといただけないでしょうか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の持続化給付金でございますけれども、給付金をできるだけ早く事業所の方にお届けするということを目指しております。そういう観点から、委員御指摘のように、電子申請ということを基本にしたいと思います。そのときに、クラウド会計システムを御利用の方であって、そのシステムの中で売上半減を示せるというような方があれば、それをそのまま申請につなぐことができれば確かに便利でありますので、何ができるか考えたいと思っております。

 一方で、スタートをできるだけ早くするということもまた重要でございますので、システムをいろいろつくり始めると時間がかかっちゃってスタートが遅くなっちゃう、これもまた避けなければならないことでございますので、そういうところも踏まえながら考えていきたいと思っております。

足立委員 ありがとうございました。

 緊急事態ですから。

 私はかねがね、このIT回りというかクラウド回りは、総務委員でもありますので、ミスターマイナンバーと最近はやゆされるんですが、マイナンバーがあれば十万円の話ももっと迅速にできるわけだから、やはり、そのときに。今からマイナンバー云々というのはできません。だから、総務委員会でよく言っているのは、やはり平時が大事でしょうと。平時から大事なことは大事だということでやっていなかったから、今、マイナンバーは不評を買っているわけというか、関係者は悔しがっているわけでありまして、ぜひ平時から改めてそういう目で精査をいただければ幸いでございます。

 もう一つ、この持続化給付金、幾つか課題がありますが、課題というか、ちょっと気づきの点があるんですけれども、一つ、ちょっとこれは細かいといえば細かいですが、創業者の話。

 もちろん、経済産業省中小企業庁奈須野部長のところでやっていただいているものを拝見すると、さすがに昨年同月比だけではかわいそうだという議論があって、一昨年はまだ立ち上がっていなかったけれども昨年末ぐらいから立ち上がっている方はそれでもいいよということで、ぐっと足元までは助ける努力を、助けるというのは僣越だけれども、施策がちゃんと困っている方にリーチできるように工夫をいただいているのはわかります。

 が、そもそも売上げが一回も立っていないけれども、いや、極端な話ですよ、でも、この四月から開業に向けて準備万端の人たちもいるんですね。どうやってその方々に手を差し伸べるかは確かに難しいんだけれども、じゃ、ほっておいていいのかというと、私はかわいそうだと思うんですね、単に新型コロナにぶち当たっただけなんだから。

 何か御検討いただけないですか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、昨年のいずれかの月の売上げが立てば、月平均の数値をもって前年同月比ということでみなして判断することはできると思うんですけれども、さすがに昨年のものがないと、こういった、前年比で五〇%売上げが減ったということの証明は難しいというふうに思っております。

 さはさりながら、創業間もない事業者さんについては、一般的に、どんな経営環境にもかかわらず、新たに顧客を獲得して売上げを上げるという販売促進活動が必ず発生するわけでございます。そうすると、既存の仕組みではございますけれども、販路開拓を支援する持続化補助金というのがございまして、これは持続化給付金と名前が似ているんですけれども違うものでございまして、通常時は上限五十万円なんですけれども、今回、産業競争力強化法に基づく支援を受けた場合については、その二倍に当たる最大百万円までを補助するということは可能でございます。

 こうした仕組みで、個別具体的な事案に即して柔軟に対応してまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 中小企業庁は、前田長官の多分御指導だと思いますが、わかりやすいパンフレットを逐次リバイズをして、ネットにも上げていただいているので、私もよく拝見をしています。そこにも、今奈須野部長からあった補助金、似て非なるというか、全く違う趣旨から出てきている、違う枠組みの補助金でありますが、それも使えるぞということで、これも周知をしていきたいと思いますが。

 ただ、奈須野部長、今おっしゃったように、使途が一応はっきりしていますね、それは。給付金と補助金の違いの最たるものは、やはり、そこの狙いが、新型コロナ対応で出てきた持続化給付金は、使途は、だから、まあいいよとなっているわけですよ。それは、この現下の情勢の中で私はありがたい、当然だけれども、それはありがたい、そう思っていますよ。しかし、今奈須野部長が御紹介くださった持続化補助金の方は、販路開拓です。

 では、今、補助金をいただいて、二倍はありがたいけれども、その補助金をいただいて、今、販路開拓できるかといったら。だって、するなと言われているんだから、今。しないでくれ、休業してくれと言われているんだから。だから、奈須野部長、これも検討した上で、ぜひ施策に反映していきたいということで御提案したいんだけれども。

 おっしゃるように、まだ売上げが立っていない方を全て救うというのは、私もアイデアが思いつきません。十万円配るのを百万円配ったらいいぐらいの話しか言えないんで、それはちょっと言いませんが。例えば、私の知り合いで、ある事業、飲食系あるいは宿泊系の事業なんですけれども、立ち上げて、この四月から開業するということで全ての許可をとっている方がいらっしゃいます。いろいろありますね。旅館業とか、あるいは調理のそういうのとか、いろいろ許可、要は、経済産業省は許可はいろいろ、貿管ぐらいで失っていますが、厚生労働省、国土交通省には山と許可があるわけです。彼らは、検査官たちが、とにかくいろいろ見て、ちゃんといろいろな設備が整っているか全部見て許可を出しているわけです。

 せめて、国の役所がゴーサインを出しているところまでいろいろなものがたどり着いた創業者、この方は、経済産業省が、創業頑張れ、創業を支援するから頑張れといって、その経産省の旗振りの中で、そうだ、日本の未来のために新規事業をやろうということでチャレンジをしてくださった方が、立ち上がる前にくじかれているわけです。でも、今申し上げたように、関係省庁のチェックのもとで、事業を開始する準備は万端なんですね。それぐらいの人は、私は中小企業庁の、経済産業省の力を持ってすれば、判断できると思うんですよ。

 御検討だけでもお願いできますか。御検討だけじゃないや、検討いただけないですか。

奈須野政府参考人 検討だけというわけではなくて、何ができるか検討していきたいと思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 やはり持つべきは同期ですね。ありがたいと思います。

 さて、きょうは、もう奈須野部長は気楽にしていただいたら結構ですが、国土交通省から中原審議官においでをいただいています。他委員会で恐縮でございます。

 今、奈須野部長の御答弁を聞いていただいて、釈迦に説法ですが、今回の持続化給付金は、まさに今週から始まった休業要請に対応できるようになっているわけです。まさに休業要請するときに。東京都はいいですよ、東京都はお金持ちだから。だから、この持続化助成金、でも、東京のことを余り言うと、今目黒の選挙が始まっているんでちょっとやめておきますが。

 今あったように、この持続化給付金の主たる狙いは家賃なんです。今、休業要請で、本当に困っている。そのときに、奈須野部長おっしゃったように、雇調金、税の猶予、いろいろなものが手当てされているが、唯一残っているのは家賃ですよ。もちろん審議官、全部勉強してきていますから、今までこういうことをやったというのはもう結構です、僕は議論がしたいので。事務所で聞けることはもう聞いてきています。

 既に、三月十一日、四月九日に、不動産関係団体に通知を出されています。その中で、例えばこれは金融庁が、そもそも、返済猶予等の条件変更を迅速かつ柔軟にしろという通知を金融庁が出してくれていますね。では、大事なことは、家主さん、オーナーさんに金を貸している民間金融機関は、その返済の猶予等の条件変更をどれぐらいしているか。現場のこと、今足元で何が起こっているか。

 だって審議官、東京も大阪も休業、法律に基づく、国法に基づく休業要請がもう始まっているんですよ。もう今始まっているんです。将来やるんじゃないんです、今始まっているんです。現場のこと、御存じですか。

中原(淳)政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ビル賃貸事業者の中には、飲食店等を始めとする入居するテナント事業者から賃料の支払い猶予、減免の要請を受けているところも数多くあるものと承知しております。

 国土交通省としても、さまざまな機会を通じて、新型コロナウイルス感染症の影響による賃料の支払い猶予、減免の状況について把握に努めており、事前にテナント側に賃料減額を提案し協議済みになったところとか、飲食店等から賃料の減免要請を受けて対応を検討中のところ、あるいは、店舗、テナントの売上げ減少に伴って賃貸条件の緩和要請を受けて、一定期間賃料支払いを猶予する予定であるところ、あるいは、逆に、賃料減免要請を受けているけれども交渉が進展せずに苦慮しているところなど、さまざまな意見を把握しているところでございます。また、今後の見通しを憂慮する声も数多く上がっている状況と承知しているところでございます。

 今後も、随時、事業者へのヒアリングなどを通じて実態把握に努めてまいりたいと考えております。

足立委員 これはまさに国土交通省の、これは何局になるのかな、国交省がちょっと頑張ってもらわないとね、ここは。うちはオーナーしか知りませんとか、そういう縦割りの、しようもないことを言わずに。私が建設残土をお願いしたときも国交省が一肌脱いでくださいました。やはり最後は、頼りになるのは国交省ですよ。だから、ぜひ、この賃料の問題、やってほしいと思うんですよ。

 よくあるのは、まさに四月九日に不動産業課長さんの通知が出ていまして、金融庁もちゃんと条件変更するからという通知が出ていますが、本当に金融機関が全部やってくれるんだったら、本当にやってくれるんだったら、それで一息つくかもしれませんよ。でも、それも要請ベースです。本当にやるんだったら、中小企業金融円滑化法をやったようなモラトリアム法案を金融庁が出すべきですよ。でも、通知一個ですよ。そんなことで経済がとまりますか、いや、配慮し切れますか。みんな、生きるために一生懸命なんです。

 だから、私はやはり、モラトリアム法案、でも、どこでモラトリアムするか。一部に、家賃の支払いを猶予してあげるよとか言っている野党の議員もいますが、猶予したら困るのはオーナーですよ。だから、サプライチェーンの中でどうやってそれを救っていくかというのは、大変、そんな通知一個でできるような事態じゃないんです、新型コロナは。だから国交省を呼んでいるんです。

 私たちは今、維新の会松井代表とそして国民民主党玉木代表が直接、といってもツイッター上でコミュニケーションをとりまして、きのう私、玉木代表と代表の名代としてお会いをして、野党で連携してこの家賃モラトリアム法案を出そう、補正予算と一緒に仕上げようということで、今、立法作業を急いでいます。

 大臣も今聞いていただいて、あるいは審議官も今聞いていただいて、私の問題意識は一定御理解いただけると思います。これは、なるようになるよじゃなくて、これはなるようになりません。だから、ぜひ野党が補正予算、与党の補正予算は私は賛成です、法案も賛成です、でもやはり漏れがあるんです、そこは私たち暇な野党が作業しますから、だから、ぜひ政府・与党、野党、緊急立法協議をして、お困りの国民の皆様にしっかり支援を届けていくことをお誓いし、またお願いし、質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

富田委員長 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十四分散会


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