衆議院

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第11号 令和3年5月7日(金曜日)

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令和三年五月七日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君

   理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君

   理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君

      畦元 将吾君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    上野 宏史君

      神山 佐市君    神田  裕君

      工藤 彰三君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    鈴木 淳司君

      武部  新君    辻  清人君

      冨樫 博之君    西村 明宏君

      福田 達夫君    福山  守君

      穂坂  泰君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    菅  直人君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山川百合子君    山崎  誠君

      高木美智代君    笠井  亮君

      美延 映夫君    浅野  哲君

      石崎  徹君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   経済産業大臣政務官    宗清 皇一君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房成長戦略会議事務局次長)        野原  諭君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 江島 一彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三浦 章豪君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          新原 浩朗君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    奈須野 太君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  冨樫 博之君     福山  守君

  山崎  誠君     山川百合子君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     冨樫 博之君

  山川百合子君     山崎  誠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房成長戦略会議事務局次長野原諭君、財務省大臣官房審議官江島一彦君、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、経済産業省大臣官房審議官三浦章豪君、経済産業省経済産業政策局長新原浩朗君、経済産業省製造産業局長藤木俊光君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、中小企業庁次長奈須野太君及び中小企業庁事業環境部長飯田健太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。工藤彰三君。

工藤委員 自由民主党の工藤彰三です。

 経済産業委員会に所属させていただきまして初めての質問でございます。委員長、理事、皆様各位に対して、本当にこの発言の場をいただきましたことを深く感謝申し上げます。

 順次質問させていただきます。

 菅内閣総理大臣は、昨年、就任後、令和二年十月二十六日の衆議院本会議場での所信表明演説の中で、グリーン社会の実現に最大限注力してまいりますと発言されました。この発言に、正直、総理、今のお言葉は本当なんでしょうかと私は戸惑いました。

 なぜなら、私が当選したのが平成二十四年でありますが、初当選後にある先輩議員がやってまいりまして、工藤、これからは再生可能エネルギーや脱炭素化の時代がやってくるぞ、その一つが水素エネルギーだから、研究会をつくるから参加してほしいと言われ、入会しました。会を開くごとに、参加者は三人から四人、説明者や官僚の皆さんの方が人数がはるかに多く、当初は、水素社会実現、この議連は大丈夫なのか、もつのであろうかと言いながら、ほど遠いなと思っておりましたが、それが、この発言、その前からですが、変わってきました。

 この水素というのは、長年、私が生まれる前から研究をされておりまして、学者の皆さん、研究者の皆さん、そして役人、産業界の皆さんが取り組んできた永遠の課題と言われる再生可能エネルギーの一つであります。そのことが、転機が起こり始めて、国内では様々な県や都市で水素の実証実験が行われたり、震災復興の福島では、皆さん御存じの、太陽光発電システム由来の水素を利活用しました東京オリパラ大会の実施、要は、福島ででき上がった太陽光からの水素、それを持ってきて、選手村やトラック、そして東京都のバスそのものに利活用しようという試みでありますが、是非とも、これは東京オリパラ、今コロナで大変な時期でありますが、成就していただきたいと願っております。

 コロナ禍中のヨーロッパにおいては、EU、イギリス以外で、水素利活用から経済を再生するということを打ち出してまいりました。水素発電にかじを切るという大胆なエネルギー政策の転換を発表。本当にこれはびっくりしたんですが、この金額は本当なのかと思ったのが、桁違いな予算や、発電量、これはメガじゃなくてギガワットであります、を大陸内で発送電し、計画をしながら経済を立て直す、これがヨーロッパの計画と言われております。しかも、実行期日を切っている。何年先までに必ずやり切るんだ、こういう発表をしたということに、これは力強さを感じますけれども、そんなことに我が国も負けてはいけないと思っております。

 我が国も、再生可能エネルギー化に向けて先頭を走る技術、研究力の更なるレベルアップや、政策転換を行うのが急務と私は考えております。

 そこで、梶山大臣にお尋ねしたいと思いますが、菅総理や関係閣僚は、二〇五〇年カーボンニュートラルや、二〇一三年度比で二〇三〇年度の温室効果ガス四六%削減といった野心的な政策課題を次々に打ち出されています。これは、単に目標として掲げるだけではなく、本当に実現させるのだという意気込みや姿勢が求められるとともに、具体的かつ実効性の高い施策を導入し、着実に実行に移していくことが重要であると私は考えます。

 そこで、二〇五〇年カーボンニュートラル等の実現に向けた梶山経済産業大臣の決意を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルは、並大抵の努力では実現できないと思っております。様々な課題があるということであります。エネルギー産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組を大幅に加速することが必要であります。温暖化への対応は、国際的にも、もはや経済の制約ではなく、成長の機会と捉える時代に突入しております。カーボンニュートラルへの挑戦の道のりは、我が国の成長戦略そのものであると捉えているところであります。

 昨年末にまとめましたグリーン成長戦略では、産業政策、エネルギー政策の両面から、成長が期待される分野、産業を見出しました。具体的には、十四の重要分野ごとに実行計画を策定し、国として高い目標を掲げ、可能な限り具体的な見通しを示したところであります。

 例えば、自動車については、二〇三五年までに乗用車の新車販売を一〇〇%電動車にすることが政府の方針であります。これを進めるに当たって、今後、蓄電池の大規模投資支援、購入支援そして事業転換支援、インフラ整備などの施策パッケージを具体化してまいります。

 また、委員から御指摘のありました水素につきましても、二〇五〇年に二千万トン程度の導入を目指しているところであります。このため、安価な水素供給に必要な大規模の海上輸送技術、需要拡大に必要な大型の水素発電、水素還元製鉄の技術などの確立に向けて研究開発や実証を後押しするとともに、液化水素を運搬船から受入れ基地に移す関連機器の国際標準化にも取り組んでまいりたいと思っております。

 さらに、この水素や、またCO2の分離、回収につきましては、日本企業の技術というものが、EUであるとか中東であるとか、さらにまたアメリカであるとか、そういったところでも活用をされているということでありまして、世界中とやはり連携をしながら、こういったものをリードしてまいりたいと思っております。

 そして、特に気をつけなければならないのは、事業の転換がありますから、雇用というもの、そして雇用の移動がある、そういったものも細心の注意を払いながら、こういった実行計画を実施してまいりたいと思っております。

 政府としては、予算、税、規制改革、標準化、国際連携など、あらゆる政策を総動員してこの成長戦略を実行し、そして企業の前向きな挑戦を全力で後押しをしてまいりたいと考えております。

工藤委員 梶山大臣、丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 成長戦略のことを事細かに、そして年数のこともお話しいただきまして、心強く感じました。そして、何よりも、この後の質問に入りますけれども、二〇三五年、一〇〇%自動車をEVそしてFCVに替えていくという意気込みが強く感じられました。

 人口が減る中で、そして今、コロナ禍の中で、大変な中での取組だとは思いますが、精いっぱい頑張って、私ども政治家も後押しして、よい国をつくっていきたいと思います。

 続いて、質問に入ります。

 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、今話しましたが、自動車分野において、走行時にCO2、二酸化炭素を出さないEV、FCVの導入が求められております。

 EV、FCV自体は、自動車メーカーにより市販が進められておりますが、その燃料となる電気や水素を供給するEV充電スタンドや水素ステーションの整備はまだまだ足りていない、遅れていると私は思っております。

 EVステーション、普及はありますけれども、特に、水素ステーションの値段が下がったといっても、三億五千万円かかるということであります。まだ日本海側には数少ないということもありますし、水素ステーションを造ったところで、じゃ、それでランニングコストが足りるのかという話もありますし、じゃ、例えば今、ゴルフがはやっている、ゴルフで遠出したときに帰りの水素がない場合はどうするんだ、そういう不安もある。

 販売台数が増えなければ生産的にコストが下がらない、コストが下がらないと売れない、こういう悪循環を打破するためにはやはり水素ステーション、EVスタンド、こういうものを全国津々浦々に設置する、これが大切だと思いますが、これを自動車メーカー、そして、ほかの販売店に今求めるのは非常に酷な話でありますので、そのことに対して政府としてはどのように後押しするのか、そして、ステーションをどのように増やしていくのか、お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がありましたように、これからEV、FCVの導入を進めていくためには、そのための充電インフラや水素ステーションの整備が不可欠でございます。

 これまでも、整備に必要なコストを一部補助するということで支援を行ってまいりまして、例えば充電インフラについては約三万基、水素ステーションについては百四十六か所の整備が進んできているところでございます。

 こうした中、先ほど御指摘がありましたけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラル、二〇三五年までの新車販売での電動車一〇〇%の実現、こういう目標に向けて、更にこれを充実させていかなければならないというふうに考えてございます。

 まさに、この目標の実現に向けまして、今、関係の事業者の方々、団体から、いろいろ御要望、御意見を伺っているところでありますけれども、その中でも、関係の業界からは高速道路やガソリンスタンドにおける急速充電器の拡充といったような要望もいただいているところでございますし、また、水素ステーションにつきましては、今委員から御指摘のように、コスト低減というのが非常に重要でございます。このためには、機器の長寿命化に資する技術開発でありますとか、あるいは規制改革、こういったことにも取り組んでいく必要があると思っております。

 まさに、電動車の普及とインフラの整備、車の両輪でございますので、関係者の意見もよく伺いながら、しっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

工藤委員 ありがとうございました。津々浦々に配置してほしいという話からはまだちょっと遠いと思いますけれども、是非ともお願いしたいと思います。

 私も、水素のことに携わってまいりましたので、新車は買えないんですけれども、トヨタの最初の型のミライを中古で買いました。買ったのはいいんですけれども、前からこれは危惧しておったんですけれども、実は、ステーションは休日休みなんです。これをいろいろお願いして、せっかくですから、休日は四か所あったら、第一から第四日曜日、休日、祝日を開けてもらいたい、こうしないとやはり普及はできないよ、こういうことを常々申し上げております。

 もう一点は、これは技術改良の面でありますけれども、タンクが三分の一ぐらいになって、不安になって、半分ぐらいにしたいなと思っても、この充填というのは、実は、水素ガスタンクというのは満タンしかできない。ということは、それだけの金額を持っていないと途中で足すことができない、こういう問題点もあるわけでありますので、是非ともその辺の改良も含めて、そしてまたトラックの物流網で是非ともステーションを、これは国家として広げていただきたいことを要望申し上げます。

 続いて、太陽光パネルのことでございますが、カーボンニュートラルに向けて発電時に二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギー、特に太陽光発電の導入、拡大が進められております。これはすばらしいことだと思うんですが、よくこの委員会の中でも先輩方の質問を聞いておりましたら、雪が降ったら太陽光を使えない、突風が吹いたら飛んでいってしまう、水につかったらもうそれは廃棄しなければいけない。

 これからどんどん太陽光パネルを普及させなきゃいけない。FITの問題もいろいろありますけれども、全国に普及していく。でも、これは普及した後の問題があります。終わった後の太陽光パネルを、当然、物でありますから、製品は使えば、何年かすれば、減価償却の後、廃棄ということになります。この廃棄予定が二〇四〇年頃ではないかと今言われておりますけれども。

 実際、この太陽光パネル、屋根なり、ビルの屋上なり、公園等、いろいろなところに設置されております。でも、これを廃棄する場合の廃棄処理能力、これは産業廃棄物になりますが、これを、どこに、どのように捨てるのか、そしてその処理をする技術者というのはどれだけ育成しているのか、そのことについてお尋ねいたします。

茂木政府参考人 発電終了後の太陽光発電の廃棄ということでございます。

 当然、これは廃棄物処理法に基づきまして事業者が事業者の責任において行うということでございますが、太陽光パネルの中には、種類によっては、鉛とかセレンとか、こうした有害物質が含まれている場合もございます。

 したがって、その処理の際には、基準にのっとってしっかり、例えば、破砕の際にこれが飛散しないとか、こういった流出防止措置をしっかりしたり、埋立てするときには、処分場から水が出たりしますので、そういった水の処理設備をしっかり備えた最終処分場に埋立てをするとか、こうした措置をしっかり事業者責任でやっていただくというのがまず原則でありますが、一方で、太陽光発電自身は参入障壁が低くて、いろいろな事業者がこれをやっています。

 したがって、将来、放置ですとか不法投棄とか、こういったものも懸念されますので、これは、昨年六月に、改正再エネ特措法で積立て制度というのをつくりまして、廃棄物費用を外積みさせています。来年の七月から積立てを開始させていただきますけれども、基本的には、源泉徴収で、事業終了前の十年間で積み立てていくという形で外積みをして、これによってしっかりとした処理資金の確保をするということを進めてまいりたいと考えています。

 こういった対応によって、事業者が責任を持って太陽光発電設備をしっかりと廃棄処理するように促してまいりたい、こういうふうに考えています。

工藤委員 答弁ありがとうございました。

 メーカーによって、責任ある、そしてきちっとしたところならいいんですけれども、よく苦情があるのは、造るだけ造って、設置するだけ設置して、気づいたら、その業者は、メンテのときは電話をかけても不通であり、もうけるだけもうけて逃げてしまった、そういう苦情が寄せられてくるのが実情であります。

 また、自然災害、今の気象状況で何が起こるか分かりません。線状降水帯で土砂災害が起きた、そういう場合に埋まってしまったものはどうするんだ、そういう話も出てありますので、今、積立ての話が答弁の中にありましたけれども、しっかりその辺を把握していただいて、地域の住民に迷惑がかからないように、そのようなエネルギー形態をつくっていただきたいと思います。

 最後の質問でありますが、DXについて質問させていただきます。

 今回の法改正案では、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革の計画について認定を受けることを前提に、DX投資促進税制を創設することとされています。DXは、脱炭素化と同様に世界的な潮流であり、ポストコロナを見据えて我が国の産業競争力の強化を図るために重要な取組であると考えています。

 しかし、DXの概念自体がまだまだ浸透しておらず、クラウド技術を活用するとの要件については、ぴんとこない事業者が多いのではないでしょうか。また、全社的な意思決定に基づくDXに取り組む必要があるとされていますが、企業の意識も完全にDXに向いているとは思っておりません。中小企業も含めた我が国の企業の皆さんに対して、もっと分かりやすく、このDXについて、私は思うんですが、DX丸分かり集みたいなものを出したらどうか。

 私も、この質問を思いついて、考えて、いろいろ経産省のホームページを見させていただきました。DXを開いた後に最終的に自分が腑に落ちるまで、かなり読み返さないとできない。やはり書面、まあ、今電子化ですから、それに逆らっちゃいけないんですけれども、書面にして何回も見直せた方が、中小企業の方々は、特に御年配の社長さんたちは分かりやすいんじゃないかなと思いますが、そのことについてお考えがあれば、述べていただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、我が国企業のDXに向けた意識、まだまだ必ずしも十分とは言えない、こういう状況であろうかと思います。DX促進に関する企業の意識改革、重要な政策課題だというふうに認識をしております。

 このため、経済産業省においては、従前から、例えば、自社のDXの推進状況について各企業が簡易な自己診断を行うというような仕組み、DX推進指標の提供でありますとか、若しくは、東京証券取引所と共同で行うDX銘柄の選定というものを通じた優良事例の紹介といったようなことで、企業の意識改革に取り組んできているところでございます。

 お尋ねの中小企業まで意識したような取組ということでは、御指摘のとおり、我々はちょっと努力不足で、なかなか十分分かりやすく説明できていないのかもしれません。今後、DXの進め方、例えば、具体的な事例も交えて、分かりやすく中小企業の経営者に向けて示したような手引といったようなもの、おっしゃっていたようなDX丸分かりに近いイメージのものにしていきたいと思いますけれども、こういったようなものも策定するといったようなことにも取り組み、施策の活用を通じて一層の普及啓発というものを図ってまいりたいと考える次第でございます。

工藤委員 ありがとうございました。

 時間も迫っておりますので、最後、要望させていただきます。

 DXの話を今させていただきましたけれども、先輩方も覚えていらっしゃると思います、テレビが、地デジと言われて、アナログからデジタルに変わるときに、私、当時名古屋で市会議員をしておりましたが、地域の年配の方から、一体全体何が起こるんだ、今自分の使っているテレビは映らなくなるんじゃないか、どうしたらいいんだという質問を多々受けました。

 今回のこのDXもそうです。若い方、ベンチャー企業の方、そういう方はすぐ、DXというと、当たり前じゃないかというふうに思われるんですけれども、年配とは言いませんけれども、私どものアナログで育った世代から、このDXというのは非常に頭の切替えが難しいと考えておりますので、分かりやすく、そして、納得していただいて中小企業の方に広めていただいて、新たな産業そしてコロナ脱却に向けた新たなDX活用というものを広めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、鬼木誠君。

鬼木委員 自由民主党の鬼木誠でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速、今議題の産業競争力強化法の質問をさせていただきます。

 まず、経済産業省さんが作ってくださいましたポンチ絵、非常に分かりやすく、しかも、たくさんの施策について盛り込んであります。

 背景というところを見ますと、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、我が国経済は戦後最大の落ち込みを記録、危機に直面していると。他方、古い経済社会システムから脱却し、新たな日常への構造変化を図るチャンスであると書かれております。

 これを背景に、法案の概要というところを見ますと、新たな日常に向けた取組を先取りし、長期視点に立った企業の変革を後押しするため、ポストコロナにおける成長の源泉となる、一、グリーン社会への転換、二、デジタル化への対応、三、新たな日常に向けた事業再構築、四、中小企業の足腰強化等を促進するための措置を講じるというふうに、簡潔にまとめてあります。

 この大きく分けて概要のところに書いてある一、二、三、四、これらの柱につきまして、まず、今、工藤議員からは、グリーン社会への転換、そしてデジタル化への対応について質問がありました。その続きというわけでもありませんが、まず、私もデジタル化の部分から質問を進めていきたいと思います。

 私の問題意識なんですが、このデジタル化というもの、政府もデジタル庁をつくって推進をしておりますが、根本的な質問をしたいと思います。産業競争力強化法におけるデジタル化、このデジタル化の目的は何か、お答えいただきたいと思います。

梶山国務大臣 本法案では、デジタル化への対応として、デジタル技術を活用した企業全体の変革をデジタルトランスフォーメーションと位置づけた上で、こうした取組を後押しするための支援措置を講ずる予定であります。

 デジタルトランスフォーメーションの本質は、単に部門ごとの縦割り、あるいは自前主義でITシステムを導入することではなくて、部門や会社間をまたいだデータ連携を進めることで、新商品、そして新サービスの開発や、新たな生産、販売方式の導入、また、新たな他社との連携も含めて市場拡大を実現していくことであると認識をしております。

 こうした観点から、本法案に基づくDX投資促進税制では、経営戦略と連動し、取締役会等で議決を必要とする全社的なデジタルトランスフォーメーション計画の策定や、一定以上の生産性向上といった企業変革要件を設けることとしております。これらを通じて、デジタル化の先にある経営改革や生産性改革を促してまいりたいと思っております。

 そういった中で、まずはデジタル化ということで、先ほど政府参考人からも説明がありましたけれども、人の派遣も含めて、こういったことの理解を深めていただく、そして、企業を変革していただくということを周知していただく必要があると思いますので、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

鬼木委員 ありがとうございます。

 まさに、この法案で言うところのデジタル化というのは、単なるデジタル化、単なるツールの導入などよりも、その先にあるデジタルトランスフォーメーション、根本的な、デジタルを用いた経営改革、生産性の向上、そういったところに目的があり、最終的には日本の企業の競争力、競争上の優位性を確立するといった意味では、まさに産業競争力強化という法案の目的に沿った目的があるものと私も考えております。全くそのとおりだと思います。

 しかし、現実には、デジタル化によって本当に日本企業が優位性を確立できるのか、そういう疑問を感じている部分も、今の日本の社会を見ていると不安に思うところがあるわけです。

 それは、ITインフラであるソフトウェア、デジタルプラットフォーム、OS、アプリといった、こうしたソフトウェアが海外製のもの一色なんですね。非常に席巻されているという中で、その中には情報の安全性に疑問があるものも少なくないということに、大変な不安を感じております。

 例えば、LINEのサーバーは韓国にあって、情報の安全性に疑問があるというふうな話は聞いておりました。私も、どうなんだろうなと思って、自分の携帯にインストールすることをためらっておりまして、そういう中で、LINE社の関係者に、これ、大丈夫なんですかということを聞いてみても、大丈夫ですよ、セキュリティーには問題ありませんとその社の方は確かにおっしゃいますけれども、結局のところ、そこには何の担保もなかったわけですね。そして、後から報道を見て、こんなことがあっていたのかというところ、情報の安全性の担保がないというところを何とかしなければならないと思います。

 中小・小規模事業者は、生産性を高めるためにITを利用しようと思っても、こうした基礎になるアプリ、これらを用いているわけです。普及しているものは無料のものも多くて、そしてさらに、別のアプリを使おうとすると、それらのアプリやプラットフォームの上に乗っかっているということですね。

 例えば、私が、スケジュール管理アプリを使って、事務所のみんなが統一したスケジュールを共有しようということで、そのアプリを、さあ、どれを使おうかなと思って見るんですけれども、それを導入しようとすると、LINEを使っていることを前提に、その上にこのアプリが乗っかりますというふうなものがいろいろあるわけですね。ほかにもいろいろなアプリがあるわけですけれども、これ以上、どの社がどうとかいう話は余りするべきではないと思いますので、個別の社の名前は出しませんけれども、そういうものを見ますと、非常に脆弱な基盤の上にあるなということを感じております。

 日本が戦争に敗れた原因の一つに、暗号が解読されていたということが指摘されておりますけれども、情報の安全性が担保されないソフトウェアを土台として、その上に楼閣を造り上げるということは、非常に危険なことなのではないかと感じております。国民生活を支えるようなアプリケーションについて、情報の安全は担保されるのか。ITインフラとも言えるソフトウェアは、もっと国産のものを強くすべきではないかというふうに考えます。

 国の規制が届くという意味でも、やはり、規制が届くというのも、そして安全性が担保されるというのは規制が届くということと表裏でありますから、規制が届くという意味でも、やはり国産のものであるというのは大きな違いがあると思います。どの国のものがいいとか悪いじゃなくて、やはり、ITというのは、非常に、国際環境も一気に飛び越えるからこそ規制が利きにくいという世界でもあるわけですね。ですから、やはり、そういう意味でも、国産化に力を入れるということが必要だと私は考えております。

 そこで、経産省にお伺いします。

 国産のソフトウェア開発について、経産省の取組をお聞かせください。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 国内におけるソフトウェアの開発支援の話でございます。

 LINEなどの通信アプリ、若しくはZoomといった会議アプリといったソフトウェアでございますけれども、今後、更なる成長が期待される市場でございます。日本企業の競争力を高め、新たな市場獲得を目指していくということは、経済成長という観点からも非常に重要であるというふうに認識をしております。

 このため経済産業省といたしましては、ソフトウェア産業の競争力強化に向けまして、今後、遠隔医療でありますとか、若しくは大人数のバーチャル展示会、スマート工場といった新しい様々なサービス、このために必要となる大容量、低遅延、同時多接続というようなことを実現するITインフラの需要が増大していくというふうに考えておりまして、これを可能とするようなソフトウェア技術の開発支援というようなものを行っております。

 また、それを支える人材、高度人材育成のための教育訓練講座の認定でございますとか、イノベーションを担う突出した人材の発掘、育成を行う、いわゆる未踏事業の実施といったようなことに取り組んできております。

 今後とも、こうした施策を通じまして、社会のデジタル化を支えるソフトウェア産業の競争力強化に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。

鬼木委員 ありがとうございます。

 まさに、私は安全性の話を主にしましたけれども、今答弁の中には、市場の獲得ということもありましたね。やはり、そうしたデジタルプラットフォームも、海外は巨大な市場を世界に持っていますけれども、そこに日本だって、かなりの差がついていますけれども、追いつけ追い越せ、市場を獲得していくという意味でも、また、人材ですね、おっしゃったとおり、人材を育てていくということがまたその一つだと思います。

 さらに、今日、時間が、たどり着けばもう一問質問しますけれども、MアンドAによってそうした力をどんどん大きくしていくということもこの法案の中に入っていますので、やはり、技術が集積して、そして市場を獲得していくというものを目指して、是非頑張っていただきたいと思っております。

 次に、中小企業に移りたいと思います。

 この法改正に至る背景といたしまして、中小企業の生産性向上の議論がありました。昨年設置された成長戦略会議におきましても、有識者の一人として出席したデービッド・アトキンソン氏から、現在の半分くらいまで企業数を減らすべきという発言があったということが、非常に衝撃的に日本の中小事業者には捉えられております。ただ、これは、言葉だけを見ると中小企業を減らすというふうに聞こえてしまいますけれども、もう少し読み込んでみると、違う文脈も読めてまいります。

 デービッド・アトキンソン氏の主張は、日本の人口が減少する中、我が国の経済成長率を考える前提として、GDP成長率より生産性向上を目標にすべきだという旨の提案を行われたと。そして、生産性向上は労働参加率と労働生産性の二つの要因で決まるが、近年、日本では労働参加率がかなり高い水準まで上昇しているので、残された手段は労働生産性を高めることである、また、企業規模が大きいほど労働生産性は高まるので、企業規模の拡大が必要であると主張をしたということなんですね。

 その中で、日本の人口に対して三百六十万社という企業数は多過ぎ、企業規模と生産性は強い相関があるため、一社当たりの従業員数が多くなるように現在の半分くらいまで企業数を減らすべきといった主張もしているという文脈ですので、必ずしも減らすということが目的ではないし、淘汰していくということが目的ではないのかなというふうに読み取れるわけでございます。

 目的は、日本の個々の企業の生産性を高めていこうということだと私は捉えておりますが、多くの事業者が、中小・小規模事業者は不安に思っているところがあると思いますので、これらの議論、そして今回の法改正に当たっての基本的な考え方は、小規模事業者の淘汰や排除を目的とした議論ではないということを確認したいと思います。経産省の見解を問います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今後の中小企業施策、中小企業の淘汰や排除を目的とするのかということでございますけれども、経済産業省、中小企業庁といたしましては、この法案も含めて、中小企業の数が多過ぎるために合併や淘汰を進めるべきとは考えておりません。中小企業の生産性を高める、足腰を強くする、このための施策を推進するということでございます。

 具体的には、やはり中小企業、小規模事業者は非常に多種多様でございまして、業種や地域ごとに役割も在り方も違います。したがって、支援の体系ですとか施策についてもいろいろ異なると考えております。海外での競争を目指す中小企業については中堅企業への成長を支援していくということですし、地域の経済や雇用を支える中小・小規模事業者については持続的に発展できるようにするということが大切だと思っております。

 このように、中小企業のそれぞれの役割に応じてきめ細かく支援を行うことによって、中小企業の生産性の向上、足腰の強化に努めてまいりたいと思っております。

鬼木委員 やはり、減らすことが目的じゃなくて、生産性を高める、強くしていくということが目的であるということで、なおかつ、強制的なものでもないわけですね。

 事業承継で困っている企業もたくさんある、そういったところのMアンドAが進むことで事業規模が大きくなるという案件、私の地元にもたくさんあります。事業承継という、雇用や技術を継承しつつ、吸収する側の会社は規模も大きくなるということ、こうしたMアンドAをスムーズにしていくということがこの法案の中にもしっかり盛り込まれていると思います。

 続きまして、中小企業の中で、取引適正化について質問いたします。

 重点五課題というものが示されておりまして、その第一に、コスト負担の適正化についてというものが挙げられております。これはとても大事なことだなと私は常日頃考えておりまして、コストというものがきちんと価格に転嫁できない社会が日本は続いていないかということを私は物すごく感じています。

 これは私が子供の頃、昭和の高度経済成長期、よいものをより安くという感じで、昭和の高度成長期のビジネスモデルがそうだったんですね。定価販売だったものが、流通革命で、流通業者がバイイングパワーで安く買って安く売る。消費者はうれしいわけです。薄利多売で消費者はうれしい。

 大量生産、大量消費の時代で、それが成り立ったわけでありますけれども、この価格破壊というのは、高度成長時代はよかった、消費者には歓迎された、だけれども、その中でたくさんのコストカットが行われていきまして、中間業者とかいろいろな業者が泣かされてきたということもないとは言えないわけですね。そして、やっている本人も、体力勝負、体力勝負がずっと続いていって、ばたばた流通業者も倒れていったわけですね。そして、今残ったのは、デフレの社会が残ってしまったというようなことがないだろうかということを私は感じております。

 人口減少、需要減少が起こった日本では、もっと、海外に向けても国内に向けても、高付加価値のビジネスモデルに転換すべきじゃないか。よいものなら高く売ろう、高付加価値をどうやってつくるか、そういう社会にするということが大事だと考えております。

 本当に、私が物心ついたときから、日本においてサービスという言葉は、ただと同義語なんですよ。サービス、サービスって、ただ。いやいや、サービスはただじゃないですよ、おかしくないですかと。サービスとは、役務の提供であり、付加価値なんですね。それがただと同義語になっている日本というのがどうかしていると思うんですね。

 なので、日本では、サービスもコストも、コストさえも価格に転嫁できなくなっていないですか、そうして過剰な競争の中で、タコが自分の足を食べながら結局死んでいくみたいに、みんなが体力を失っていないですかというのが私の問題意識なんですね。なので、まずは、コストについて適正に転嫁できる社会をつくるということが必要だと考えております。

 コスト負担の適正化について中企庁の取組をお尋ねいたします。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の、先ほどもお答え申し上げた生産性向上のためにも、適正な価格、それからコストを適正に転嫁できるということは非常に大事だと思っております。

 今委員御指摘ありましたように、その重点五課題の中に入っておりますコスト負担の適正化につきましては、下請振興法という法律に基づく振興基準の中にも、定着に向けて盛り込んでまいったところでございますが、これを実現していくために、まず全国百二十名の下請Gメンによる取引実態の把握、それから所管官庁に対する改善への指導助言を要請といったこともやってまいっております。

 それから、事業者自らの取組を促すという観点からは、自主行動計画でございますとか、あるいはパートナーシップ構築宣言、こういったようなものを通じまして、更なる企業の取組を促してまいりたい、このように考えてございます。

鬼木委員 ありがとうございました。

 是非、これは文化的な、日本人がサービスをただと言っているのは、もう文化的な側面もあると思いますので、やはりまずはコストがきちんと転嫁できる事業の考え方を普及して、そしてさらには、きちんと付加価値を乗せて、よいものを高く売って強い国をつくるということを是非進めていただきたいと思います。期待しております。

 自社株対価MアンドAという、非常にまた面白いといいますか価値のある取組も、この法案の中で実現されておりますが、時間が参りましたので質問はここまでとさせていただきます。是非頑張ってください。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 いよいよ産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案、これの法案審議ということであります。今回のこの産業競争力強化法の改正、大きく柱でいいますと、グリーン、そしてデジタル、新たな日常に向けてということで、そしてまた中小企業の足腰の強化、その他様々、規制緩和等も行っていくんですけれども、大きく分けるとこういう四つの柱かというふうに思っております。

 今回、法案審議の最初の質問でもございますので、少し総論的に、特にデジタルという柱とまた中小企業ということで二つ、大きくこの観点から質問をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 日本経済、現在、新型コロナの影響が大変に大きい、落ち込みも大きい状況ではありますけれども、新しい成長に向けてということで、このグリーンとデジタルというのが二つ、やはり大きな大事な観点かというふうに思っております。

 グリーンは、先ほど来議論にもなっておりましたカーボンニュートラルということで、大きな目標も掲げて、政府全体で、とにかく成長戦略として取組を進めていくということであろうと思っております。

 他方で、デジタル、これをどのように成長につなげていくかということは、これもまた非常に大事な観点かというふうに思っております。特に政府だと、例えば今、デジタル庁みたいな議論もしておりますけれども、デジタル庁をつくりますという、それだけ現場でお話をしますと、それが実際暮らしに、じゃ、何かどんな影響があるのかみたいなのが余りぴんとこない、そういうことも多々あるわけでございまして、やはりデジタルというのは、それはあくまで手段であると。

 デジタル化を通じて、じゃ、実際どのように暮らしが便利になるのか。例えばデジタル庁をつくったら、どういう形で手続が便利になったりサービスがよくなったり、そういう何が目的なのかということをやはりしっかり説明していかないと、政策の効果としてなかなか、じゃ、何を目指しているのかというのが分からないということを痛感するときがございます。

 そういう意味では、今回、デジタル化への対応ということで大きく柱が立っておるわけでございますけれども、これについて、この法案の中では一体何を狙って、何を目的として、そしてどういう取組を進めていくのか、冒頭まずこのことについて宗清政務官から答弁いただきたいと思います。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 本法案では、コロナ禍で加速をしておりますデジタル化への対応といたしまして、デジタル技術を活用した企業全体の変革をデジタルトランスフォーメーションと位置づけた上で、こうした取組を後押しするために、税制や金融による支援を行う枠組みを創設しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、例えば、既存のシステムの単純な入替えであるとか単なるソフトウェアの導入だけではなくて、新商品やサービスの開発や新たな生産販売方法の導入による市場拡大を図る取組を対象といたしまして、ソフト、ハード双方のデジタル関連投資につきまして税額控除五%などを措置するとともに、財政投融資を原資といたしまして低利融資も利用できることとしております。

 あと、企業のDXを支援するための要件といたしまして、産業競争力強化法に規定される計画の認定を受けることを前提にいたしまして、経営戦略と連動いたしましたデジタル投資を促すために全社レベルのデジタルトランスフォーメーション計画を策定すること、また、レガシーシステム化を回避するためにクラウド技術を活用すること、こういったことを規定することとしております。

 本制度によりまして企業変革に向けたデジタル関連投資が活発に行われまして、世界的なデジタルトランスフォーメーションの流れに乗り遅れることなく、我が国の事業者の皆様方の競争力の向上を図ってまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 宗清政務官に御答弁いただいたとおり、デジタル化への対応、あくまでデジタル化を通じてビジネスモデルの変革をしていく、デジタルトランスフォーメーションをしっかりしていくということが非常に大事なんだということをおっしゃっていただいたかと思っております。

 そういう意味では、成長戦略として、生産性の向上みたいな議論は今までもずっとしてきておりまして、例えば、私の記憶している、いろいろな取組をやってきたかと思うんですけれども、デジタル化という意味では、経産省として、例えばIT補助金のようなものもかなり大々的にやっております。当時の議論を思い返しますと、やはり中小企業の生産性を向上させないといけない、どうしても生産性が低い、こういう議論の中で、何を通じて生産性を向上させるのかという中で、やはりデジタル化であろうということで、IT補助金ということでかなり多くの方が活用されたんだというふうに思っております。

 他方で、先ほどの、デジタル化というのはあくまで手段であって、それが自己目的ということではないというふうに思っております。ですので、IT補助金にしても、例えば、顧客の管理とかレジとかそういうものをIT化するということを通じて新たなサービスを生むことができたであったり、そういう価値を新たに付与することができる、そういうところまでしっかり踏み込めていろいろなことをやっていけば、やはり生産性の向上ということになるとは思うんですけれども、どうしても、単に、ITを使って少しバックオフィスの業務などが効率化をされましたね、コストが少し削減されましたねという、そこで止まっているようなケースというのもやはりかなり多いのではなかろうかというふうに思っているんです。

 私、DXについては経済産業省の方が研究会をずっとやっておられて、このDXのレポートというのもかなり興味を持って読ませていただいておりました。平成三十年に、最初、DXレポートということで、二〇二五年の崖があるんじゃないか、今のレガシーシステムが残ったままではDXが進んでいかないんじゃないかみたいな、そういうレポートも出されましたし、昨年の年末にも、デジタルトランスフォーメーションのレポートの第二弾ということで、DXが、じゃ、どうやって加速していくのか、こういう議論もされておられます。

 私はこれは非常に興味を持って読ませていただいておりますけれども、企業が、じゃ、このDXの取組というのを果たしてどのくらいできているのか、今までの、経産省はいろいろな取組もしてきたかと思うんですけれども、本当に企業のビジネスモデルの変革みたいなところまでしっかり踏み込んでそういう取組を今進めていけているのか、こういう現状の評価について、まず経済産業省は今どう考えているのかということを答弁いただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXというものにつきましては、御指摘のレポートにおいて、企業がデータとデジタル技術を活用し、業務そのものや企業文化、風土などを変革して競争上の優位性を確立することというふうに定義をしておりまして、レガシーシステムというようなシステムの問題にとどまらず、企業文化を変革していくということが極めて重要であるというふうに考えております。

 経済産業省において、昨年、企業のDXに向けての取組状況というのを分析しておりまして、その結果、全社的な取組ということが推進できているという企業は五%程度にすぎないという現状が明らかになってきております。多くの企業においてDXに対する取組というのが十分とは言えない状況と考えている次第でございます。

中野委員 DXのレポートの第二弾のところでそういういろいろな分析もされていたかというふうに思います。

 先ほど、全社的な取組をされている企業がまだまだ非常に少ないというふうな御指摘もあったかと思います。やはり、デジタルトランスフォーメーションといっても、DX、第二弾のレポートにも書いてあったんですけれども、どうしても、レガシーシステムさえ更新をすればいいんじゃないかみたいな、そういうどうもシステムだけの議論になってしまって、それを通じて全社的なビジネスモデルの変革みたいなところまでなかなか結びついていかないというふうな、そういう評価なんだろうというふうに思うんです。

 ですので、それをどういう形の支援をすれば、じゃ、後押しをしていけるのかということがやはり大事だというふうに思うんです。これはレポートの中にも書いてありますけれども、やはりコロナ禍の中でも、いろいろな企業文化を、変革をなかなかしていけないというふうな文化が根強い。ですから、こういう危機の状況にあって素早く変革をするような、そういう能力をしっかり身につけた企業がやはりこれを乗り越えていくことができる、こういうこともレポートの中には書いてあったかというふうに思います。まさにそのとおりだと思うんですけれども、それをどうやって仕組みとして後押しをしていくのかということを、経済産業省の方に是非工夫をしていただきたいというふうに思うんです。

 ビジネスモデルも、変革を続けるというのは、簡単なようで、一度成功したシステムで安定をある程度しているという状況にあって、なかなかそれを更に変革を問い続けるというのは容易なことではないというふうに思います。

 こうしたDXを進めるための今までの取組というのはどうだったのか、そして今後の支援の在り方としてはどういう形で変えていくのか、こういうことについて答弁をいただきたいというふうに思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、多くの企業において、例えば、システムの問題だということでIT部門に丸投げをしてしまう、若しくは一部門で何か考えて持ってこいということで、なかなか全社的な取組に広がっていかないというようなことがあるかと思います。そういうことではなくて、企業文化の在り方、全社的な文化の在り方にまで踏み込んだ変革を促していくということが非常に重要だと考えております。

 その際、非常に経営者の役割というのが大切だというふうに考えておりまして、一昨年に改正された情報処理推進法に基づきまして、DXに向けた例えばビジョンを策定する、戦略を描く、若しくは推進体制ですね、きちっと事業をやる部門とIT部門が一緒に働けるような環境を社内でつくっていくというような、経営者に求められる事柄ということをデジタルガバナンス・コードという形で取りまとめまして、さらには、そのコードをきちっと実践をしていくという企業を認定するDX認定制度の整備というのを行っております。この認定制度につきましては、昨年十一月にオンライン申請というのを開始してございまして、これまでに九十八社を認定しているところでございます。

 さらに、企業が実際にDXに、じゃ、その戦略を実施に移していくという際には、ソフト、ハード双方のデジタルの投資というのもやはり重要になってまいりますので、今回の本法律において、税制や金融による支援を行う枠組みというのを創設しているところでございます。

 今後とも、これらの施策を活用しながら、我が国企業のDX促進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 DX、言葉はだんだん皆さん聞き慣れた言葉になってきたかとは思うんですけれども、やはり取組を後押しをするということが大事だと思います。結局、今、事業再構築ですとかいろいろな形で新たな日常に向けて取組をされている方をどんどん支援をしておりますけれども、それもある意味、DXもその大きな柱の一つだというふうに思います。しっかりといろいろな形で後押しができるように、是非、経済産業省としての様々な取組をやっていただきたいと改めてお願いを申し上げます。

 ちょっと時間も大分あれですので、中小企業の支援についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほどもやや議論があったんですけれども、確かに、この中小企業の成長力、生産性の向上、成長という議論をしていく中で、やはり日本の中小企業は少し規模が小さいのではないかとか、全体的にやはり数を減らした方がいいのではないかみたいな議論もありました。私も、中小企業がやはり生産性を上げていくためには、ある程度、規模の経済が必要だというふうなことは、それはそういう側面はあるかというふうに思います。

 他方で、じゃ、全部の企業がそうなのかというと、必ずしもそうではないんだろうというふうにも思います。成長志向の企業もありますし、あるいは、その地域に根差している企業もありますし、いろいろな中小企業の裾野が広い中で、今回、中小企業の足腰の強化ということで、成長志向の企業を支援する取組というのが一つの大きな柱かなというふうにも感じてはいるんですけれども、大臣の方に今回の産業競争力強化法の改正も含めて、中小企業政策の全体像と、その中でどういう位置づけをして議論をされているのか、これについてお伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 中小企業の生産性を向上させて、足腰を強くしていくための施策を推進していくことが政府の役割であると考えております。

 先ほど、委員からも御指摘がありましたように、中小・小規模事業者は多種多様であります。業種、地域ごとに役割も在り方も違う。そして、海外で競争し、規模拡大を目指すような中小企業については、本法案で資本金基準によらない新たな支援類型を創設することなどにより、中堅企業への成長を後押ししていくということで、心配がないように、なりたての中堅企業もしっかりと支援をしていく。さらにまた、規模の拡大、また質の向上というものができるように後押しをしていくということであります。

 あわせて、地域の経済や雇用を支える中小・小規模事業者については、持続的に発展できるようにすることも重要であります。このため、地方自治体と連携し、地域課題の解決とビジネスの両立を図る事業などをしっかりと応援をしてまいりたいと思っております。

 このように、中小企業のそれぞれの役割に応じてきめ細かく支援を行うことにより、中小企業の足腰を強化してまいりたいと思います。小規模事業者は一概にこれだということは言えないと思います。それぞれの地域によって、また認知の仕方も違うし、その役割もあると思います。そういったことにしっかりと対応していくのが我々の役割だと思っております。

中野委員 ありがとうございます。大臣、非常に明確な御答弁だと思います。

 そうした中で、今回、特に一つ、制度として、先ほど大臣からも御説明ありました、中堅企業へ成長、促進をしていくような企業に対して新たな支援対象類型を講じる、こういう制度の改正があるわけであります。

 企業の規模がどんどん大きくなってまいりますと、もちろん、途中でいろいろな補助金を活用して成長したら、突然、この中小企業類型からあなたは卒業ですからもう出しませんよと。それはひどいじゃないかというのは、これはまさにおっしゃるとおりだというふうに思います。こうした新たな支援対象の類型を追加していくというのは非常に大事だというふうに思っております。

 他方で、党内でいろいろな議論をしたときにも、今までは支援を行ってきたけれども、今回対象に含めないような形の類型も新しく出てくるということで、こちらの方は大丈夫なのかという議論もありました。資本金の金額が一定以下でありまして、従業員数、従業員は物すごく多いけれども資本金が少ないというふうなところは、従来、中小企業類型で支援をしておりましたけれども、これは、そういう意味では、こういう支援対象の類型からは今回外れる部分もあるということでありますので、少し心配の声が上がったことも事実であります。

 こうしたところについて、問題はないのか、どういう程度の影響があるのか。あるいは、どのくらいの規模の方がこういう支援対象から外れてくるのか。あるいは、補助金にしても、全ての補助金が今回の支援類型の対象ではないということであると思いますので、通常の例えば災害であるとか、あるいは、通常の補助金のようなものはどうなるのか等も含めて、少し詳しく説明をしていただければと思います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正でございますけれども、ポストコロナも見据えますと、やはり中小企業の経営基盤を強化して、中堅企業に成長して、海外で競争できるような企業を増やしていくことも大事だということでございまして、こういった方々の実態を見てまいりますと、やはりまずは資本金を増加させる、それから従業員だということでございますので、今回の改正では、こうした規模拡大のパスに沿いまして、中堅企業に成長する企業を応援するという形で新たな類型を創設したということでございます。

 御指摘のとおり、その結果で、結果的に今回設ける新たな支援対象類型から外れる企業というのもございます。ただ、こうした企業も地域の中で多くの雇用を抱えているということで、こうした企業に対する支援ももちろん大事だと思っております。

 したがいまして、まずは、このような対象から外れる企業への影響を緩和するために、二〇二三年三月末まで引き続き支援が受けられることとする経過措置を設けております。

 その上で、ただいま委員からも御指摘ございましたように、取引の適正化でございますとか事業承継、それから災害、危機対応、こういった一般的な中小企業支援、これも引き続きお使いいただけることになっておりますので、こういった形で引き続き御支援申し上げたいと思っております。

中野委員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の審議ということで、質問させていただきます。

 まず、大臣に、分かりやすく本法案の趣旨、目的について伺えればと思います。

梶山国務大臣 現在のコロナ禍においても、全産業に今一律の影響を与えているわけではなくて、大きな悪影響を受けている企業がある一方で利益を伸ばしている企業もあるというのは、まず現実であります。

 例えば飲食や宿泊など悪影響が出ている分野については、ポストコロナに向けた新たな取組や業態転換といった事業再構築を支援する必要があります。同時に、コロナ禍の下でも経済を牽引しているデジタルやグリーンといった成長の可能性がある分野については、将来に向けた積極的な成長戦略を進めていく必要があります。

 このようなコロナ禍の経済への多様な影響を踏まえて、今般本法案を提出したものであります。

 具体的には、カーボンニュートラルを進めるための、省電力性能に優れたパワー半導体、電気自動車向けのリチウムイオン電池などの脱炭素効果が高い製品の生産設備、工場の生産ラインへの最新設備の導入や最新鋭の熱ボイラー設備の導入などの生産工程等の脱炭素化を進める設備に対する税額控除一〇%の投資促進税制を創設するとともに、全社レベルのデジタルトランスフォーメーション計画に基づくクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対する税額控除五%等の投資促進税制、厳しい経営環境の中で赤字でも努力を惜しまずに事業再構築等に向けた投資を行う企業に対する繰越欠損金の最大一〇〇%への控除上限額の拡大、さらには、中小企業から中堅企業へ成長する企業を支援策の対象に追加するための措置などを講じることとしております。

 今回の法案だけでなく、予算、税制による措置を総動員することによって、グリーン社会への転換、デジタルへの対応、新たな日常に向けた事業再構築などへの集中投資を促すことでイノベーションを後押しし、ウィズコロナ、ポストコロナ時代において我が国経済が再び力強く成長できるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。

落合委員 今回、束ね法なので、主に大企業には、グリーンとかデジタルとかウィズコロナの時代に合わせて投資をどんどんしてもらって、企業の体質を改善していく。それから、中小企業に関しては、改正の中身を見てみますと、成長の意欲のある中小企業については成長を促していく。それから、どんどんフリーランスが増えているということで、フリーランスも、しっかり下請取引の企業のような位置づけを今回前進させて、こういう時代に合わせて取引の適正化を図っていくというようなことも入っています。

 特に、フリーランスの部分、大臣も今まで答弁で、新たにやっていかなきゃいけないんだというふうにおっしゃっていました。これは半歩ぐらいですが、少し前進をし始めているということは、私は評価をしたいと思います。

 では、産業競争力というのは重要なんですけれども、前々回の質疑で取り上げた、ちょっと根本的な部分から、認識を共有というか、議論をさせていただければと思います。

 三十年間で、産業競争力は残念ながらどんどん落ちてしまってまいりました。何回も取り上げていますが、この三十年で、半導体の生産の世界シェアも、三十年前は世界の半分あったのが、今一割ぐらい、あと、太陽光パネルも、十数年前まで四割ぐらいあったのが、今一%以下ということになってしまっています。多くの分野で、残念ながら、びっくりするほど産業競争力が落ちてしまっている。これは政府として何とかしないといけない問題だと思います。

 今問題になっているのは、残念ながら、将来を担う人材が各企業にもそんなに多くない。それから、いろいろな減税措置もしていますが、中長期的な観点になった投資も、今まで必ずしも政策の効果が上がってこなかったという問題があります。

 今日も、配付資料、前々回と同じものを配らせていただきました。一九九七年、大臣のお父様が活躍をしていた改革の時代を一〇〇として、企業のお金の使われ方、流れはどうなりましたかというこの四半世紀をまとめたものでございます。これは財務省の法人企業統計から取っています。

 九〇年代から、グローバルスタンダードに日本型経営を合わせていこうということで、コーポレートガバナンス改革が始まりました。会社の経営のルール、お金の使い方、こういうルールを変えていったわけです。九〇年代後半には金融ビッグバンがありました。小泉内閣で会社法ができました。安倍政権が始まってから、経産省がROE経営ということを提唱しました。

 ROE経営というのは、一株当たりの利益率を上げることを経営の最もな目標にしようというようなことを経産省がはっきりと掲げたわけです。一年半前にも、会社法の改正、会社法は法務省の所管ですけれども、後ろで経産省が旗も振りまして、こういうROE経営のような考え方を基にした会社法の改正も行われています。

 一年半前に、私は当時の森法務大臣に、どう考えてもこの改正の内容が私はおかしいと思うと。この表もそのとき出しましたけれども、配当金がもっと増えるような改正をこの一年半前に法案で出してきたわけですけれども、そういえば、大臣は会社は何のためにあるというふうに考えて答弁されているんですかという質問をしました。そうしたら、思ったより森法務大臣の答弁が短くて、会社は株主のためにあると思いますというはっきりとした答弁をされました。私はそうじゃないかと思って質問したんですが、余りにもはっきり言ったので私もびっくりしたんですけれども、これは、やはり、経産省が提唱した一株当たりの利益を上げていくことを目標にしていこうというROE経営が日本中に、日本の制度上にしっかりと根づいて、特に安倍政権下で改革が行われてきたわけです。

 結果、これで、このグラフにあるように、これまでの傾向が加速をしました。九〇年代後半と比べて、売上高は一〇七でそんなには伸びていないんですが、経常利益は三倍になりました。配当金は六倍になりました。配当するためには利益を出さなきゃいけないということで、売上げは上がっていないのに利益が三倍になったわけです。

 これはどうやってやったのと言いますと、黄色ですとか水色の部分、将来への設備投資を節約して、人件費も節約して、それから、これは経産省の分野ですが、下請に無理をお願いして利益を出す、そういうことがされてきたわけです。

 四半世紀のコーポレートガバナンス改革、会社の経営の基本ルールをこのように決めていった、それをちょっとずつちょっとずつ四半世紀でやってきた、これが決定的に、私は、日本の産業競争力を弱めた、イノベーションが起きない社会を築いてしまったと思います。

 大臣、これは改めていかがでしょうか。

梶山国務大臣 まず、会社の役割というのは、私は社会のためにあるものだと思っておりまして、これは自分で作ったり売ったりするものも社会のために役に立つ、そして雇用で、また雇用の受皿として役割を果たしていく。大きな企業、小さな企業ありますけれども、雇用が少ない企業は税を納めて社会に役立つ、また大きな企業は雇用としてしっかり社会に役割を果たしていくということだと思っております。

 今委員がおっしゃったようなことですけれども、あと、これは市場獲得のための投資が余りできていなかったということだと思っております。このときに金融のショックがあって、さらにまたリーマン・ショックもあった。そして、九〇年代というのは特にまた、東西の壁が崩れて世界の市場が一つになったということでもありまして、そういった市場に対する予見可能性も含めて、なかなかやはり日本の企業が資本投下をすることができなかったのではないかと思っております。

 そういった中でコーポレートガバナンス改革ということでありますけれども、コーポレートガバナンスはあくまでも経営者の指針ということでありまして、こういったものをどうバランスよく扱うかというのは経営者の資質によるものだと思っております。

 ただ、みんながみんなそういう方向に行ったということではないとは思っておりますけれども、やはり技術開発まではいいんですけれども、その次の市場獲得のための大変大きな金額の投資というものができないでいた。それを後押しするために今回いろいろな手法を講じてまいりたいと思っておりますし、民間の資本もそういった形で利活用してまいりたいと思っております。

落合委員 会社は社会のためにあるという大臣の思いを、経産省の仕事の方針、政策をつくるときの方針にも是非していただきたいと思います。

 二十年前の会社法の作られ方を見ましても、明らかにそれよりか前よりは株主というものの力が強くなっています。

 それから、株主の利益のために会社は働くべきだということをはっきり示したROE経営というのを広めたのは、経産省のところから伊藤レポートというのを出して広めています。それが二〇一四年です。これは明らかに経産省が旗を振って、大臣の言った、社会のためではなくて、それこそ二十年前、三十年前は社会のためだとみんな思っていたわけですけれども、いや、社会のためじゃなくて株主のために会社があるんだということを経産省が旗を振って、この政策がどんどんいろいろな省庁の政策まで波及をしていっているわけです。これは、経産省が変わるべき根本的な問題だと思います。

 役所の中でも気づいている人たちはいるんですが、役所の方向性を百八十度に近く変えていくというのは、やはり政治がやらないと役所は変わりませんので、重要な大臣の仕事だと思いますので、ここに念を押しておきたいと思いますが、大臣、改めていかがですか。

梶山国務大臣 ROE、自己資本利益率であるとか一株当たりの利益ということですが、これはあくまでも指標であって、これを株主のためにやっているわけではないわけなんですけれども、やはり利益が出ても将来に対する投資ができないでいたということが問題であると思っております。

 そういったことも含めて、やはり会社の在り方、経営陣の在り方というものは変わっていくべきだと思っております。

落合委員 それでしたら、投資をする企業はいい企業だ、そういう指標を掲げる経営の在り方というのをしっかり経産省から出すべきだと思います。株当たりの利益率が高い企業がいい企業だというのを経産省は出してきたわけですから、これは変えるべきだと思いますので。これは重要な問題で、ここを変えないと、幾ら五%税額控除しますよとかやっても、全然投資が増えないわけです。重要な問題ですので、強調させていただきたいと思います。

 それでは、これは企業全部のお金の使い方を足したものなので、大企業中心の話でしたけれども、中小企業の方に入らせていただきたいと思います。

 今回、中小企業の関連の法案も束ねで変わりますが、分かりやすく言って、中小企業の支援の在り方というのがどのように変わるのかを大臣から伺えればと思います。

梶山国務大臣 中小・小規模事業者は多種多様であります。業種、地域ごとに役割も在り方も違う。このために、中小企業のそれぞれの役割に応じてきめ細かく支援を行うことにより、中小企業の足腰を強化していくことが重要でありますし、その地域での中小企業の役割というものの強化にもつながると思っております。

 本法案では、海外で競争を目指す中小企業の中堅企業への成長を後押しするために、資本金の規定によらずに、中小企業の定義よりも従業員基準を引き上げた新たな支援類型を創設することとしております。

 具体的には、中小企業の成長を後押しする経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画の三つの計画認定制度について、規模拡大の実例が多い企業群を支援対象とするように見直しをし、日本政策金融公庫の融資等の金融支援等の措置を講ずるということであります。

 他方、地域の経済や雇用を支える中小・小規模事業者について、持続的に発展できるようにすることも重要であります。このため、地方自治体と連携して、地域課題の解決とビジネスの両立を図る事業などを応援してまいります。

 ここでは新たな類型は加えましたけれども、それでほかのところに影響があるようなことにはしておりません。やはり予算も増やして、さらにまた、対策もきめ細かくしていくということであります。

落合委員 生産性だけではなくて、地域にも配慮するんだ、社会的な役割にも配慮するんだというその後半の部分は、特に大臣の思いが入っているところだと思います。私もそこは重要だと思います。

 先ほども少し話がありましたが、菅内閣が発足した去年の秋は、経済全体の生産性を上げるために中小企業政策は変えるべきだという意見も出ていたわけでございます。支援する企業を、満遍なく支援するんじゃなくて、もっと絞るべきだというような意見が出てきました。

 絞るということは、結果どうなるかというと、そこから漏れた企業は、立ち行かなくなったら、悪く言えば、いなくなってもらうというようなことになっていってしまうんですが、これは前も取り上げたんですが、中小企業白書が小規模企業の数というのを二〇二〇年度版でも発表しています。二〇〇九年と二〇一六年を比べても、小規模企業というのは日本では三百六十七万社が三百五万社まで、二割、その間でもう減っている、既に減っているわけです。

 ちなみに、地域金融機関が多過ぎるという話も出ているんですが、この三十年間で、有名な地銀の数は六十四行で変わっていないんですが、第二地銀、信用金庫、信用組合は大体約半分になっています。

 三十年前に冷戦が終わってグローバル化が始まったときに、地域金融機関が多過ぎるとか中小企業が多過ぎるので生産性を上げなきゃいけないという議論をするならまだ分かりますが、特に、リーマン・ショックが終わってからもう十年以上もたっているわけです。世界の状況は大きく変わりました。日本の経済も大きく変わりました。もうほっておいても、支援をしても小規模企業は減っているし、地域の金融機関は減っているんです。

 結果、今どうなっているかといいますと、大臣も御自身の選挙区がありますからよく分かっていると思いますが、例えば、商店街がなくなれば、町の電灯は作る人がいなくなるのでなくなります。消防団もなり手がいません。それから、お祭りも、寄附が集まりにくくなって、縮小し始めています。町から買物をするところもなくなっちゃったですとか、どんどんどんどん、小規模企業がなくなったことでインフラもなくなって、住む人もいなくなってしまうということが加速をしているわけです。生産性にこだわる時代は逆にもう終わってしまったと私は思います。全国のインフラを支えて整備しなきゃいけない時代が今やってきているというふうに思います。

 これは確認ですけれども、先ほどの質問でも似たようなものがありましたけれども、今回の、今年の経産省の目玉のこの産業競争力強化法、これは中小企業関連も含まれていますけれども、これは中小企業政策を絞って縮小させていくスタートであるのではないということでよろしいですね。

梶山国務大臣 先ほども申しましたように、中小企業、特にまた小規模事業者に対しては支援が必要だと思っております。

 今回は、ある意味、選択と集中も必要なんですけれども、しっかり全体の予算も確保した上でこういう対策をしてまいりたいと思っております。

落合委員 大臣はそう指示をされているんだと思いますが、先ほどの質問でもありましたけれども、概要ペーパーにもはっきり書いているように、支援の対象は、資本金がある程度大きくても対象は増えている部分もあるんですが、資本金が一定以下のところは減っている部分も既にはっきりとあります。

 これは概要ペーパーにもしっかり書いてあるんですけれども、もし大臣、お気づきじゃなかったらと思うので、一応申し上げておきますけれども、これは分かりやすい部分で、中小企業等経営強化法の新旧対照を見てみますと、例えば、目的のところに、旧の方は創業の支援というのが書いてあったんですけれども、新の方には創業支援というのがなくなっています。それから、また目的のところに、七行しか目的がないのに、そのうち四か所も支援という文言が入っているんですが、新になると、支援という言葉は一個だけになります。これは、かなり、創業もなくなっているし、支援もなくなっている。それから、例えば、中小企業信用保険法の特例も丸ごと削除がされてしまっています。これは、概要ペーパーに書いていなくても、ところどころ、ちょっとずついろいろなものがなくなっているんです。

 大臣の指示もちゃんとしているとは思うんですが、ちょっとずつ文言が消えていっているということは確かですので、これは一応指摘をさせていただきたいと思います。

 これで、もう大臣もしっかり分かっているというふうに思いますが、やはり金融の、私も金融で働いていましたけれども、マクロでお金の流れを見る金融の方々の言うことばかり聞いていると、生産性を上げるということを大ざっぱにやると、例えば、町の頑固おやじのおすし屋さんは回転ずしに替わった方が生産性が高いんです。それから、夫婦でやっている居酒屋は、チェーンの居酒屋の傘下に入った方が生産性が高いんです。八百屋と魚屋は、別々にあるより、スーパーに統合された方が生産性が高いんです。そういう社会をつくっていく政策を行うことになってしまう。これは、やはり、生産性以外の部分でマイナス面がある、日本社会自体が無機質なものに壊されていってしまうおそれがあるわけですので、私は、もうこの路線での改革は限界に来ていると思います。はっきり転換するべきだと。

 それが、この法律を作るときの文言にはまだ残念ながら表れていない。大臣の答弁には変化が表れつつあるんですが、法律の作り方には表れていませんので、ここは更に大臣の指導力を発揮していただきたい点である、根本的に重要な点であるというふうに考えています。

 それから、この中小企業向けの支援策で、いろいろなところから声があるのは、やはり、毎度そうなんですけれども、手続が煩雑である、それから支援メニューがあり過ぎで何をやっていいのか分からないと。これはもうずっと言われていることです。

 何年か前に省エネ法の改正もありましたけれども、これは、もう五十年間ぐらい、オイルショックから省エネのいろいろな支援策をやってきて、私、今残っている省エネの支援策ってどれぐらいあるのかというのを調べたら、A4で何ページにもなるぐらい、今でも支援策がたくさんありました。じゃ、実績というか、今どれぐらい使われているのかというのを調べたら、ほとんど使われていない状況でした、数年前の時点では。

 あと、この前も、DXについて認定制度が始まりましたけれども、三月の時点でまだ二十五件ぐらいしかない。これは、日本経済全体をDXに対応できるようにすると意気込んであの法律を通したにもかかわらず、二十五件しか認定されていないという、残念ながらそういう状況です。

 せっかく支援策をつくっても、使われないのであれば全然国のためにならないわけですが、これについて、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 DXにつきましては、今回のコロナ禍において、やはり日本の脆弱な部分というのがよく見えてまいりました。DXの部分、そしてグリーンの部分、そしてヘルスケアの部分、さらにはまた、全体に言えることですけれども、レジリエンス、強靱化、しなやかさということで、この四つが欠けているということが言われております。

 その中で、DXは本当に産業の基礎基盤なんですね。ということも含めて取り組んでいかなければならないということでありますけれども、企業として取り組んでいるところは、自主的に取り組んできているところは結構出てきているとは思っておりますけれども、やはり人材が足りないという部分があります。IT企業に七割が集中しているということで、海外の例を言えば大体四割ぐらいということで、ほかの企業でもIT専門人材というのがそれぞれの企業にいるというのが現状だと思いますけれども、そういったことも含めて、体制も変えていかなければならないと思っております。

 この四つの件に関しては、今後の日本の産業が本当に伸びていくかどうなのかということ、さらに、先ほど申し上げた点でいえば、多額の投資ができるかどうか、その金融の仕組みも含めてしっかりつくっていくことが、これからの日本の経済、二〇三〇年、二〇五〇年につながるものだと思っております。

落合委員 DXは一つの例なわけですが、経産省がせっかくつくったいろいろな分野の支援策が、煩雑で数が多過ぎるという共通した問題があると思います。コロナの支援策もそうですけれども。

 そういう声が出てきているわけですけれども、それについては、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 通常の支援策につきましては、申込みの要件、申請の要件につきましては、できるだけ簡素にということを、私、就任以来ずっと言っておって、心がけてきているところでありますけれども、多種多様なものは、やはり、企業の在り方、中小企業、小規模事業の在り方も含めて、ある程度多種多様なものでやらないと対応できないということもありますので、その辺は時代に合わせてやはり整理をしていくことも必要だと思いますけれども、実際に使われているかどうか、また、周知がされていなくて使っていないという場合もありますので、そういったものも含めて、一度整理をしたいと思っております。

落合委員 これは結構重要なことだと思いますので、政府参考人からも答弁いただければと思いますが。実際につくるのは役所ですので、お願いします。

飯田政府参考人 中小企業庁でございますので、中小企業施策について特に申し上げたいと思います。

 中小企業施策も、御指摘のとおり、メニューが多過ぎるとか、使い勝手が悪いとかいったような御指摘は受けることがございます。私どももいろいろ、走りながらにはなりますけれども改善をして、新しい技術を取り入れて、PRなどにも努めてまいりたいというふうに思っております。

 幾つか取組の事例を御紹介させていただきたいと思いますけれども、まず計画認定、今回もいろいろございますけれども、成長段階に応じた体系に整理統合する、三計画を廃止するというのを昨年の中小企業成長促進法でやっております。

 それから補助金の関係でございますけれども、計画認定を申請要件としていた三つの補助金について、この計画認定とのひもつきを切り離すことで、そういった申請の手間なく補助金申請ができるというようなこともしております。

 それから、ものづくり補助金でございます。たくさん使われておりますけれども、最大十六点ありました応募申請書類を、最大七点まで減らすというようなこともやっております。それで、補助金共通申請システムのJグランツというのがございますけれども、この中で事務手続をペーパーレスで行えるようにということも始めております。

 また、これは令和五年度までの目標でございますけれども、中小企業庁関係の全ての行政手続をオンラインでも可能にするように、手続の簡素化を含めて見直していきたいと思っております。

 逆引きの辞書でございますとか、ミラサポでございますとか、様々なツールを通じまして、中小企業の皆さんに分かりやすく政策をお届けできるようにこれからも努めてまいりたいと思います。

落合委員 ちょっと当てる順番がちぐはぐになってしまっていますが、是非、大臣、私がちょっと思いついたのを調べた限りでも、使われていないのはいっぱいあります。これは何らかの問題があると思いますし、そういう制度ができたときは必要だからできたわけですので、是非指示をしていただいて、見直していただいて、改善をいただければと思います。

 それでは、MアンドAについて入らせていただきます。

 経産省は、中小企業の経営資源集約化等に関する検討会というものを立ち上げていまして、三月に取りまとめ骨子案も出ております。昨年十一月から、企業の合併、MアンドAを強力に普及させようということで立ち上げたわけですが、MアンドA関係者がずらっと並んでいるわけです。

 事業承継を考える上でもMアンドAは重要であるということを大臣もおっしゃっているわけで、それは私も重要だと思います。例えば、ある地方に、同じ地域に自動車教習所が二つあったとしまして、少子化で自動車教習所がやっていけなくなったと。両方潰れちゃったら教習所がその地域になくなっちゃうわけですけれども、どっちかがどっちかを買って、教習所を一つに集約をすると。そうすることで、その地域の教習所は残るわけです。

 そういった形で、特に地方においてそういうMアンドAは重要なわけですが、それは別に外資がお金を出さなくたって、地方銀行ができる。地方銀行の収益源になるわけです。わざわざ外に開放して、どんどんどんどんMアンドAを、市場を開放しますということをやる必要が私はないと思います、本当に必要なMアンドAは。

 一方で、経産省が今までやってきたのは、ジェトロを通して海外に、日本のいい中小企業を、こういうのがありますよ、買いませんかというのを、経産省がわざわざ海外に情報提供しているのを一生懸命やっているわけですし、それから、前も取り上げましたが、合併後の雇用要件も経産省は緩和をしています。私はそれも、先ほど取り上げた、短期利益ばかりにとらわれたMアンドA、要は外資のファンドが飛びつくためのMアンドA、こればかりのルールを整備することに力を注いでいるから有意義なMアンドAが行われないんだというふうに私は思っています。

 私も、二〇〇〇年代前半に、金融業界のごくごく末席ですが座らせていただいていました。関理事の後輩ですけれども。その頃、二〇〇〇年代前半に何が行われていたかというと、まさにMアンドAが本格的に始まったときです。いろいろな大企業が切り刻まれて外資に買われて、企業価値を高めた上で売られていきました。企業価値を高めるというのは何ですかというと、製品力を高めることでも、サービスを高めることでもなくて、その売られた会社をリストラして、投資を抑制して、短期利益を出して、そうしたら企業価値が上がるので、また売られたわけです。こういうMアンドAが完全に短期利益を追い求める経済をつくりました。これを旗振った、片棒を担いだのも経産省なんです。

 私は、本当に完全にこれは変えていかないと、全部外資のファンドに収奪されていく。もう収奪されるものがなくなってきているにもかかわらず、更にそれをやろうとしていることは大変問題だと思います。

 二十年前は、MアンドAの市場というのは大企業だけが対象でした。じゃ、今回何をやろうとしているんですかというと、そのMアンドA市場を中堅とか中小企業まで広げるということを、今回の法改正でもうたっていますし、最近経産省がやっているのはそういうことなわけです。

 これは金融がどんどんどんどん強くなって、売買されるのが株だけじゃなくて、会社とか事業まで投資案件として売買が簡単にされるようになった。どんどんどんどんMアンドAを簡単にできるようにしていっている。これはわざわざ何のためにやるんですかということです。先ほど申し上げたように、地域に重要な企業であれば、その地元の金融機関がやろうと思えばできるんです。それを政策としてやるべきであって、わざわざ外資を呼んでくる必要はない。

 ちなみに、ある有名な外資系のファンドが日本の事業承継ファンドに参入するということを先日発表しました。またああいう時代が来る可能性があるということを私は危惧しています。

 この法改正はそういう方向にまた進める一端を担うわけですけれども、大臣、もうこれは方向転換するべきじゃないですか。

梶山国務大臣 あくまでもMアンドAを希望する中小企業を支援対象としているということであります。そして、先ほども申しましたように、事業承継であるとか、地域の資源をいかに有効に活用していくかという視点で、MアンドAという、合併とか買収というものが非常に重要なツールとなってくるんじゃないかということであります。

 今まで中小企業の場合は、そういうことはそれほどありませんでした。私が知っている範囲でも、多分後継者がいなくて、この部門を買い取ってほしい、雇用も引き継いでほしいという形で、中小企業同士が合併をしたり買収をしたという例は幾つかあります。そういったことを想定しながらこの対応をしていきたいということで、そういったときのリスク管理ということで今回の法的な措置をしているということであります。

落合委員 つまり、それが、会社を売買するということを海外のファンドによりやりやすく開放するというようなことを今回やろうとちょっとずつしているわけです。これまでもいろいろな法改正でやってきました。

 私は、先ほど申し上げたように、国内の金融機関に、金融庁とかと協力しなきゃいけないですが、こういう案件は国内の金融機関がしっかり扱えるように国が力を尽くすべきだと思います。地方の金融機関も貸出しだけじゃもうやっていけないわけですから、地方のために金融を使うのであれば、地方の金融機関を使うべきであるというふうに思います。

 このままやっていくと、金融というのは国境がないですから、どんどんどんどんおいしいところだけ外資のファンドに持っていかれて、おいしくないところだけ日本に残っていくということになりかねないんですが、これは本気でやるべきじゃないですかね。

梶山国務大臣 内外の差別をつけるということだと思うんですけれども、なかなかやはり難しい部分もあろうかと思います。

 それとあと、金融機関が地方の金融機関の目利きという点でこれから力を蓄えていただかなくちゃいけない部分だと思いますし、地方の企業の企業価値というものをしっかりと地方の銀行が、また金融機関が把握した上で、こういった事業に取り組んでいくことの後押しをしてまいりたいと思っております。

落合委員 MアンドAというのは、強い者をより強くするための手段としては私は有効だと思います。

 ただ、特にこの十年ぐらい、特にコロナ以降は、強い者を強くしていく経済政策だけでは駄目だ、経済全体が駄目になってしまう。だから、ヨーロッパもアメリカも政策を変えつつあるわけです。我が国だけがいつまでたっても二十年前、三十年前の強い者を強くしていこうということの路線から外れることができていないことが私は問題だと思っています。これができるのは、役所はなかなか方向転換、難しいですから、政治の力しかないと思いますので、これからも大臣のリーダーシップに期待したいと思います。また次回取り上げさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日も貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは早速、今日のテーマであります産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案、質問したいんですが、ちょっとそれに先立ちまして、前回の経済産業委員会で、四月の二十三日でありましたが、原子力発電所の安全性について議論させていただいて、原子力規制庁の皆さんとちょっとお話をしたんですが、私としては非常に納得いかない点がありました。今日は更田委員長に御足労いただいていますので、冒頭、少しそのお話をさせていただきたいと思います。

 原子力発電所の安全性についてということで、原発の耐震性について、これは基本だと思うんですがお話をいたしました。そして、今日、資料でもおつけをしたんですが、資料の五にそのときの質疑の議事録、速記録があります。

 質問の問題意識は、原発の基準地震動が新規制基準下でも、上方修正されているのではありますが、低いのではないか。日本の地震が多発している、千ガルを超えるような地震が多くのところで記録がございます。今、新規制基準にのっとって申請が通っているものとしては、例えば玄海だとか川内原発は六百二十ガルですか、それから伊方原発は六百五十ガル、高浜は七百ガルということで変更申請が通っていて、はるかに、千ガルというのが頻発している中では低いのではないかというふうな問題意識で質問させていただきました。

 議事録、見ていただいて、下線を引いたんですが、原子力規制庁の山形氏からは、基準地震動を超える地震が発生することというのは、その場合どうなるんですかと私はお聞きしたんですが、十分な余裕を有して設計をしているから大丈夫、一定の範囲であれば直ちに危険な状況になるとは考えていないというような答弁があったんですよ。

 私は、ちょっとこれは想定していなかったので、愕然としました。これは、私は、二つ問題があって、一つは、山形政府参考人は、これは基準を超えることがある、私が今お示しをした六百二十とか六百五十、七百ガルというものを超える地震があるということをまずお認めになった上で、原発というのは、十分な余裕を有して、一定の範囲であれば大丈夫と。それが、私は原子力規制庁が原発というものを規制するに当たっての考え方、基準の設定の仕方なのかと思って唖然としました。

 これは、そもそも基準地震動を超えるということを想定するならば、基準地震動を上げるというのが最優先すべき判断であって、一定のとか十分な裕度を持つというようなお話で基準を、何というんですか、曖昧に作り替えて、それで安全ですというのは成り立たないと思うんですが、更田委員長、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 まず、加速度をお挙げになっての議論ですので、いわゆる私たちが基準地震動と呼んでいる、御承知と思いますが、解放基盤表面における加速度と、それから地表面で観測される加速度の大小関係というのは一概に言えるものではありません。

 一般に、硬い地盤に建設されている原子炉の場合は、解放基盤表面で想定される加速度よりもはるかに上回る加速度が地表面では観測をされます。

 一方、この大小関係が一概に言えないと申し上げたのは、非常に軟らかい地盤であって、例えば液状化しているような地盤であると、解放基盤表面での加速度よりも地表面の加速度の方が小さくなる場合もありますが、そもそも、そんな液状化するような地盤に原子力発電所というのは建設をされておりません。

 その上で、私たちの設計基準地震動というのは、原子力発電所が事故に備えるに当たって十分な、十分と考えられる加速度というのを、加速度というか地震波というものを設計基準地震動として想定しているものです。

 その上で、山形が、済みません、正確な肩書が出てこないのですが、山形がお答えしたのは、安全裕度の部分、これを仮に安全裕度と呼んだ場合の、裕度というのは、ストレステストなどで出てくる、事業者が事業者の責任において公表をしているものであって、原子力規制委員会としてその数値を確認しているものではありません。

 繰り返しになりますけれども、設計基準地震動を超えたから直ちに重大な事故に至るわけではないというのは、仮に設計基準地震動をどれだけ引き上げたとしても、その地震動を超えることがあり得るという前提に立って考えるというのが規制委員会の思想ですので。ただし、青天井で基準地震動を定めるわけではないので、適切なレベルに基準地震動を定めているというのが現状であります。

山崎委員 ありがとうございます。

 慎重に御答弁されているんだろうなとは思うんですが、今お話があった、例えば、地下と地上の震度の、ガル数の差というのは、一般的に今御説明したようなお話だと思うんですけれども、いろいろな記録を見ると、必ずしも地下が、例えば上よりも極めて小さいということではなくて、非常に近いときもあります。逆転することもたまにはある。

 だから、例えば、今の基準で、地上でやはり千ガルのような地震が起きているときに、地下が安全だから六百二十、六百五十ガルでいいという、これは、私はやはりそのロジックは成り立たないと思うんですよね。

 要は、やはり千ガル、こういうものが頻発をしているという事実、もっと大きな、三千ガルあるいは四千ガルという地震も起きています。例えば、これは比較するのが正しいかどうかもあれなんですが、ハウスメーカーは、少なくともそういう最大の地震波を想定して、その上で安全を検討していますよ。ある意味、それを売りにして、何度も何度も耐震性のチェックをして売っているわけですよね。

 私は、だから原発を青天井にしろと言っているわけじゃないですよ。それにしても、この千ガルが頻発している中で、六百二十、六百五十、七百、こういうガル数が妥当なのかどうか。

 もう一回、先ほどの、山形さんが言った、一定の、あるいは一定の範囲では安全だとか、十分な余裕だ、こういう尺度が許されるんですか、規制の中で。

更田政府特別補佐人 二つのことをお答えいたします。

 一つは、同じガル数という単位であるために、あたかも比較できるような値であるというふうに加速度が捉えられているところに議論の難しさがあろうと思っています。解放基盤表面での加速度、地表面での加速度、それから機器が実際に受ける加速度、住宅メーカー等が公表する加速度、それぞれ条件が異なるものですから、これらの間の比較というのは極めて難しいというかほとんど不可能と言ってよいと思います。

 もう一つ、裕度の部分で、山形がお答えした裕度の部分というのは、これは規制が要求している範囲を超える範囲のものですから、その評価方法の妥当性について私たちは確認をしていますけれども、値を規制当局として担保しているものではありません。

山崎委員 そういいますと、山形さんの主張というのはおかしいんですよ、私に言わせれば。基準地震動は、十分に、高くはないけれども、裕度を見ているから大丈夫です、基準動を超える地震が来ても安全なんですというのが山形さんの主張ですよ。だから、今の、私、更田さんの言っているロジックとは全然違うことを規制庁の山形さんは責任を持って国会で答弁されているんだと思いますよ。

 今のお話で、例えば、それは比較は難しいかもしれませんけれども、これは物理現象ですから、どれだけの加速度で揺れたかというのは比較できるんじゃないですか。地下と地上の揺れの違いというのは明らかに数字で出ているわけですよね。今、基準地震動というのはそれに従って設計をしているわけだから、それを超える地震が来たときには、それに耐えられないことだってあるということですよね。裕度が例えば五〇%あったとしたって、それを超えるものが来たときには安全だと言い切れるんでしょうか。

更田政府特別補佐人 改めて基本姿勢を申し上げますけれども、私たちの規制は、事故が起きることを前提にして、その上の対策を求めています。どのような裕度を設けたとしても、それを超えることがあり得ると考えるのが基本思想です。

 したがいまして、裕度が一・五倍であろうが二倍であろうが、二倍まで安全だということを見られるというのは、それは工学的な判断としてあろうかと思いますけれども、それでもなお、それを超えて地震が来たときにどうするかというのを考えるというのが基本思想ですので、基準地震動というのは一つの線にすぎませんし、また、ストレステストにおける加速度も、それは一つの線にすぎません。

山崎委員 それではお聞きします。

 多分、想定で、福島の原発事故を想定すれば、冷やすという意味では、地震を超えてしまって、水が止まってしまうようなことが起きても、あるいは電源が喪失しても、今、大丈夫なようにはなっていると。それをもっておっしゃっているんだと思いますけれども、例えば、制御棒を挿入して、スクラムをかけて原発を止めるという操作を、基準地震動を超える大きな地震が来たときに、これは本当に安全にできるんですか。基準地震動を超える、例えば、六百二十ガルのものが、千五百ガルの地震が来たときに、このスクラム、これはちゃんとできるんですか。

更田政府特別補佐人 今の委員の御質問は、基準地震動の約二・五倍の加速度に原子力発電所が襲われたとき、そうすると、六百二十の二・五倍ではなくて、制御棒の位置であったらもっとはるかに大きくなります。五千なのか一万なのか分かりませんけれども。そのような加速度に襲われたときには制御棒の挿入に失敗すると思います。停止操作に不具合を生じると思います。

山崎委員 ごめんなさい、ちょっと私の例がよくなかったんですかね。いや、六百五十ガルの基準地震動の原発で千二百ガルの地震が来たときにどうなるんですか。伊方原発です。

更田政府特別補佐人 委員の御指摘の千二百が解放基盤表面での値であるとしますと、制御棒の挿入に失敗すると思います。

山崎委員 はっきりとそうおっしゃられるということは、制御棒が挿入されずに、スクラムに失敗したときの原発の制御というのは可能なんでしょうか。スクラム、当然、同じように電力あるいは水にも影響が出ているかもしれませんよ。水が半分しか、半分入っているかもしれないけれども、半分止まっちゃうかもしれない。そういう中で制御棒が入れられず、止まらなかったという想定で、これは過酷事故をどうやって防ぐんですか。

更田政府特別補佐人 解放基盤表面での加速度六百五十、これを設計の想定値として設計されたのが、解放基盤表面において千二百ガルの地震に襲われたとすると、制御棒の挿入にも支障を生じると思いますし、配管の破断であるとか様々なものを生じて重大な事故に至ることは避けられないと思います。

 その上で、そういった事故を可能性ゼロとするのではなくて緩和するための手段というものを重大事故等対策ないしは大規模損壊対策として求めているのが現在の規制であります。

山崎委員 私の質問に答えていただきたいんですよ、専門家として。

 制御棒が入らなかった、ブレーキがかからなかった、原発が止まらなかった、ほかにも損傷があるかもしれない、そういう中で過酷事故が起きない。どうやってそれを防ぐんですか。

更田政府特別補佐人 失礼しました。過酷事故は起きるというふうにお答えしたつもりであります。

山崎委員 ちょっと、私はもうこれから先質問する力がないです。

 過酷事故が、福島のような過酷事故が起こるということですね。これはどうやって止めるんですかね。(発言する者あり)だから、本当にそうですよ。基準はやはり上げなきゃいけないし、上げられないのであればやはり動かせないんじゃないですか。

 今私が出した例というのは、六百五十の基準地震動に対して、例えば倍、千二百ぐらいでどうなのというお話をしました。これは起こらない話ではないと思いますよ。

 これは気象庁の方にもお話を聞いた。ここの地域で、この原発の敷地でこれ以上の地震が起きないという保証はできますか、できませんと。それで、過酷事故が起きるような原発が今動いているということですよ。

 大臣、いかがですか、今の。感想でいいですからお聞かせください。

梶山国務大臣 今、委員の方から、ある一定の想定の下に状況を説明をされて、専門家である更田委員長がお答えしたものだと思いますので。想定というのは上にいけば幾らでもいけるということでもありますので、そういった現実的な、逆に想定の中であり得ないことはないので、やはりそういったことの中で安全基準というものは作られていると思いますし、その審査というものもされていると思っております。

山崎委員 前回もお話をさせていただいて、やはり福島の教訓を我々忘れちゃいけないんですよ。やはり過酷事故で、もう一歩間違えば、日本、本当に破滅のような危機が迫ったというその前提で、じゃ、原発の安全はどうあるべきなのかということで議論させていただいているので。

 現実的な想定かどうか。私は相当現実的な想定をしているつもりですよ。今の地震の状況、起こり方を見ながら、相当現実的な危険というもの、状況というのを想定した上で御質問したつもりでありまして、ちょっと、この続きはまた、今日はほかのテーマもありますので、今日の議事録を読み直してもう一回質問を続けたいと思いますので、更田委員長、今日はありがとうございました。

 それでは、気を取り直しまして、産業競争力強化法の議論に入りたいと思います。

 ちょっと私、辛口で申し訳ないんですが、法案の説明の中で大臣が、旧態依然とした経済社会システムから脱却するという言葉を使われた。この法案の説明の中にも、古い経済社会システムから脱却と書いてあるんですよ。私はすごくびっくりしました、正直。

 大臣が言うこの旧態依然とした経済社会システムというのは、そもそもどういうものを指していらっしゃって、それはいつから根づいて、こういう旧態依然たる状況にあるんだという認識をいつからお持ちですか。

梶山国務大臣 我が国の在来の経済社会システムの大きな問題点は、近年、日本企業が付加価値の高い製品やサービスを十分に生み出せていないことであり、また、労働生産性が十分に伸びていないことであります。

 例えば、二〇一〇年代の日本の労働生産性の伸び率は、年平均で〇・三%にとどまっています。G7の諸国の中でイタリアに次いで低い数値であります。また、労働生産性の絶対値も、G7諸国の中で最も低くなっております。コストの何倍の価格で販売できているかを示すマークアップ率を見ても、日本は一・三倍にとどまり、一・八倍の米国よりも低く、日本企業は十分な売値が確保できていないというのが現実であります。また、OECDによると、新製品や新サービスを投入した企業の割合は先進国で日本が最も低い、そして、日本企業は付加価値の高い製品やサービスを十分に生み出せていないという評価であります。

 今、コロナ禍で、他国と比較をしてみて日本が脆弱である点というもの、また改善しなければならない点というのが明確になってきております。その一つの例が、デジタルの普及、また浸透ということでもあろうと思います。これは、産業の基盤であり、社会の基盤であり、また経済の基盤でもあると思っております。

 日本企業が付加価値の高い製品やサービスを生み出し、労働生産性を向上させていくためには、コロナ禍の中でも経済を牽引しているデジタルやグリーンといった成長の潜在可能性のある分野において積極的に未来への投資を進めることが必要であると考えております。このため、今般の法案では、グリーン、デジタルなどへの集中投資を進めるための投資促進税制や金融支援などを措置をしているということであります。

 日本の社会の仕組みが先行しているときもあったと思います。しかしながら、そのままずっと来ている。そのことは、新たな社会構造の中で日本が先ほど言ったようなことが実現できないでいるという状況をつくっていると思っております。

 デジタルについても、いち早く取り組んだことは取り組んだんですけれども、やはり、今までの人によるサービスというものが意外と心地よいということもあって、なかなかそこは転換ができなかったということでありますけれども、これは待ったなしだということも含めて、こういう表現を使わせていただきました。

山崎委員 今、率直にお話しされたんだと思うんですけれども、改めて大臣の口からそういう数字を聞くと、本当に危機なんだということを改めて感じるんですよ。

 私は前から思っているんですけれども、経産省が提案している事業というのは、いつもステレオタイプなんですよ。計画、認定、そして優遇。計画、認定、優遇、このやり方で、今言っているような危機を脱することが本当にできているのかという、この振り返りが私はどうしても必要だと思うんですよ。

 今日、ちょっと資料を作りました。一枚目の資料は、IMDの世界競争力年鑑。これはよくいろいろなところで引用されているデータのようでございます。国際経営開発研究所が作っているもので、二〇二〇年版を、これは野村総研がまとめてくださっている資料から取りました。

 見てください、図一。日本は、一九〇〇年代は、一位、一位、二位、ずっといい線をいっていた。それが、いろいろなショックを受けて、だんと落ちて、そのまま沈んだままです。若干の上がり下がりはありますけれども、今三十四位まで落ちちゃっている。六十三か国中三十四位。

 下は、日本の競争力順位の変移ということで、四大分類とありまして、青い線が、太い線が総合、赤い線が経済状況、ちょっと見にくいですが、その下が政府の効率性、それからビジネス効率性、インフラということになっておりまして、一番低いのは、ビジネスの効率性が五十五位。そして、政府の効率性というのが四十一位ということで数字が出ています。このデータを見ても、明らかに日本は衰退してしまっていて、立ち直りのきっかけをつかめていない。

 二ページ目は、資料の二は、これは同じくIMDの世界デジタル競争力ランキングという数字ですけれども、これで見ると、日本のこのランキングは総合で二十七位です。隣に書いてある強み、弱みというのは、これは経済財政諮問会議の民間委員の皆さんが作ってくれた資料ですけれども、見ていただいて、例えば、将来への準備度合いで、企業の変化迅速性、六十三位。ビッグデータ活用、六十三位。これは最下位です。こういう状況であるわけですよ。

 私は、今、先ほど言いましたように、経産省はこれまでいろいろな手を打ってきたはずですよね。ずっとデジタルにも力を入れてやってきているはずだし。でも、数字的には全く、悪いですけれども効果がないんですよ。こういう現実で、では、今これからやろうとしている施策をやはり考えないといけないと思うんですよ。

 一つ私はお願いをして、では、今までの計画認定制度で、例えば、それぞれどういう実績が上がって、どんな企業が参加をし、どんな計画を作り、その計画をどういうふうに達成し、それがどういう効果に結びついたか、この検証のデータが欲しいとお願いしたんですけれども、ちょっと時間的にもなかったのでしようがないのかもしれないですけれども、資料三です。それぞれの事業は、これだけの企業が新規認定件数で上がっているということなんです。

 これ、ちょっと説明いただけますか、手短に。これが、どういう効果がこの事業で見えているのか。あるいは、この事業の中で、うまくいったものはこうだし、うまくいっていないものはこうなんだ。手短には難しいかもしれないですけれども、御説明いただけますか。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お示しになったデータのとおりなんですが、まず、そこに載っておりますが、産業競争力強化法、今御審議いただいているものでございますが、この事業再編計画というのがございます。事業再編を進めるためのもので、二〇一八年から二〇二〇年度の直近三年間で見てみますと、出光興産と昭和シェル石油の統合、それから日立化成の昭和電工への統合、あるいはソニーのパソコンのVAIOの譲渡とか、趣旨が大企業同士の合併や分割でございますので、物すごい数が出てくるものではありませんけれども、三十一件の認定をしているということで、私どもとしては、大企業の事業再編を促進する上で一定の成果が出ているものというふうに考えております。

 それから、中小企業等経営強化法でございますが、これも、経営力向上計画というのを認定をして、経営強化税制というのを適用しております。直近三年間、二〇一八年の四月から二〇二一年の二月末までで六万五千六百八十八件を認定しております。中小企業の設備投資などで一定の成果が出ております。金額で申しますと、税の適用額で、二〇一九年度単年度で六千億円程度に上っているものでございます。

山崎委員 私は来週も質問の機会をいただけそうなので、是非それまでにきちっとまとめてもらいたいですよ。

 例えば、私、幾つかこの計画認定制度で問題を感じているのがあります。

 一つはスピードです。それから、二点目は計画の質、中身。それから、利用する企業のばらつきというんでしょうか、どういう企業が利用できているのか。是非、そういう観点で、このデータをもう一回精査していただきたいなと思っています。

 まず一つ、スピードについて。

 例えば、デジタル化に関して、先ほども質疑の中でありました、二〇一九年の十二月ですか、情報処理促進法改正があって、組織のガバナンスについての計画制度ができました。昨年の五月に施行されて、十一月頃から計画申請が来て、二百件ぐらい申請を受けたという話ですが、認定をされたのは今年に入って二十五件ということですか。

 それで、今、五月に産業競争力強化法等の改正ということで、このDXに対する、デジタル化に対する設備投資などの支援をしようということがスタートをして、これが通れば、八月にスタートをして、そして秋には認定というような話になるんだと思いますよ。

 だけれども、考えてください。スタートしたのが二〇一九年で、二〇二〇年、二〇二一年で、計画そして認定、計画そして認定、二年かかっているんですよ。

 デジタル化の、このスピード感の大切な世界で、この二年で果たして、皆さんが言っているようなデジタル化、目標としているデジタル化が進むんでしょうか。こういう計画認定制度、こういう運用を繰り返している限りは、いつでも日本は後追い、後追いですよ。

 それから、二つ目。

 これは計画の質の問題です。どんな計画を策定してもらおうとしているのか、それをどういうふうにサポートし、支援をしていくのかという話です。

 今回の法改正で、実施指針は法律に書かれていて、そこに大項目があります、詳細は告示によるという話を聞いていますが、告示にはどういうことを書く予定ですか。誰がそれを作る予定ですか。どういう手順でその告示を作るんですか。

新原政府参考人 今御指摘をいただきました指針でございます。

 これから内容を定めるわけでございますが、これは基本的には、年末、政府の中で税の適用要件を議論しておりまして、その適用条件を中心に規定、そのまま書いていくことを想定しております。

 具体的に申し上げますと、カーボンニュートラルの、脱炭素化を進める設備については、付加価値額をエネルギー起源のCO2の排出量で割った炭素生産性という概念がございますが、これを三年以内に一〇%以上向上した場合には税額控除一〇%、三年以内に七%以上という場合には税額控除五%といったふうに規定をしてまいります。

 デジタルの方につきましては、経営戦略と連動した、取締役会で決議された全社レベルのデジタルトランスフォーメーションの計画を策定する、あるいは、先ほども議論がございました、レガシーシステム化を回避するためのクラウド技術の活用、ROAを五年以内に一・五%以上向上させるといったことを規定することを想定いたしております。

 要は、その税の適用について、あらかじめ年末に決めておりますので、それがこの法律に書けませんので、指針にきちんと書いて、認定をした上で税務署に行くと減税がかかるというような形を想定しております。

山崎委員 私も、一定それは、税優遇をする以上は一定の基準があって、それを定めて、適用するというのは分かりますよ。だけれども、今のお話を聞いて、じゃ、グリーン社会のために自分は何をやったらいいのか、どういう計画を立てたらグリーン社会に貢献できるのか、分かりますか。

 デジタル化に対応する、先ほども御質問の中で、デジタル化の何でも分かるブックみたいなのがあればいいのかもしれませんけれども、そういうものがある前提なのかもしれませんけれども、どうやって、いい計画を作ってもらって認定をして、成果を上げて、今、日本が残念ながら大変スコアが悪い、これを上げていくのか。私は全然、今の御説明は、税の優遇適用の基準を決めただけだというふうに感じるんですよ。

 それで本当に、今の日本はこの危機を乗り切れるんですか。

新原政府参考人 委員の御指摘は非常に、御主張として私も共感できるところがございます。

 ただ、注意しなければならないのは、普通に要件を書かないで認定制度を入れないと、そういう税制もあるんですけれども、それは税務署に普通に持っていって、ただ減税をするという形になります。つまり、かなり薄く広く減税をかけるということになるわけでございます。

 今日も御議論いただきましたように、例えばデジタルであれば、ある部署がコンピューターを買ってきただけで減税をするというようなことも、そういう税制もあったわけでありますけれども、私どもが目指しているのはそこから先で、全社でちゃんとデジタルトランスフォーメーションをかけて経営改革をしていくというようなもの。なので、そこまでのところについて税務署で判断するというのは難しいので、認定をさせていただくという形にいたしました。

 ただし、委員の言われていることは非常によく理解できますので、非常に簡素な形でやる、あるいはデジタルで、通常に、来なくてもオンラインで申請ができるようにするとか、そういうところは最善の判断を、善処していきたいと思っております。

山崎委員 私は、この告示、誰が作るんでしょうねと。誰が作って、どういう指針、道筋をつくるのかというお話がやはり大事だと思うんですよ。

 さきのデジタル化の基準などは、たしか専門家が議論をして基準を作って、それに基づいて計画を作りなさい、そんなプロセスがあったと思うんですよね。今回はそういうのはないんですかね。

 やはり、デジタル化全体の、会社の中でどういうことを念頭に置いてやりなさい、こういう取組、工夫が世界では進んでいるよ、そういったものをきちっとお伝えしながら計画を作ってもらうんじゃないんですか。

新原政府参考人 今のこの税の要件については、済みません、プロセスで申し上げますと、去年の夏ぐらいから与党の税制調査会の中でかなりいろいろな議論をいたしまして、その中でヒアリングとかもされて、そして議論した上で今の要件を決めてきたという経緯がございます。

 それから、税法の審議においても、こういうやり方でやるということで審議させていただいて成立しているという状況にあるということでございます。

 そのプロセスの中で、いろいろな意見については私どもも聞きましたし、与党の先生方も聞いているという状態だと理解しております。

山崎委員 何か私と考えていることが全然違うので、レベルが。どっちが高い、低いじゃないですけれども。

 私が問題にしたいのは、大臣も共有した、日本社会の遅れですよ、残念ながら。日本産業の課題ですよ。それをどうやって、この計画制度で、計画認定してもらうことで支援をして、前に進めていくのか、ブレークスルーしていくのか、その視点が全く私は今の答弁からは見えないんです。

 私は、もっと言うならば、例えば告示を作る、それは、税制改正の中で基準をこうやって書くのは簡単でしょう。でも、そんなものを、そんなものというよりも、それも大事ですけれども、それプラスアルファのいろいろな工夫や、計画をいいものにする、ちゃんと実効性のある、そして成果が上がるものを作ってもらう工夫というのは要るんじゃないかと思うんですよ。

 もう一点は、私は、この制度をどういう企業の皆さんが使うのか、中小企業、大企業、それぞれの制度の趣旨もあるでしょう、それぞれの方がうまく使うように、先ほどありました、制度が複雑で使いにくい、そういうことがなくて、きちっと当てはまって、成果がすぐに、やはりスピーディーにつながってくる、そういう制度にすべきだと思います。

 だから、私は、問題意識としては、スピード感、計画の中身、そして、誰がどういうふうに適用してこれを使っていけるのか、この三つだと思うんですよ。もういいかげんに、私は、この計画認定制度というのはちょっと見直した方がいいんじゃないかと、これは毎回思っています。

 私は、ちょっと今提案なんですけれども、例えばですよ、まず投資や改革というのを先に進めてもらう、何らか手を挙げてもらってからでもいいですが、投資や改革を先に進めてもらって、その成果を評価して優遇措置を実施するような設計にできないでしょうか。

 だから、成果評価型の支援に変えられないかなと。例えば、成果に応じてですよ、優遇措置にもランクをつけて、ここまでできたらこう、ここまでできたらこう、いろいろな努力目標を設定する、あるいはタイミングも、一年以内だったらこのぐらいの優遇措置、一年半だったらこのぐらい、そこもスピード感、優遇をしながら、大企業から中小企業まで使いやすいような、そういう制度設計というのを検討していただく可能性、ございませんか。

 今の皆さんは、計画認定で事業があって、成果は分からないんですよ。じゃなくて、初めに行動ありきで、それをしっかりフォローして成果を上げてもらう、成果には優遇措置をしっかりと打っていく、その方がいいと思いませんか。大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 テーマによってだと思っております。というのは、先行したものについて補完をするような制度もありますし、ある程度の概要が決まって、先行実施という形で、少し遡った上で対応するものも出てきているということですから、物によって、例えば今回のようなもの、デジタルに関しては、やはり技術の進歩というのは恐ろしく速く進んでいくわけでありまして、できるだけ早く、こういった今の仕組みでの認定というものをしなければなりませんし、今後、委員が言ったようなことも、どういった形で実行できるかということも考えていかなければならないと思います。

山崎委員 是非、スピードが求められるからこそ、やはり実行ありき、行動ありき、改革ありきだと思うんですよ。

 この提案をしたら、担当者の方は、優遇を受けることができるかできないか分からないと投資をちゅうちょしちゃうと言うんですけれども、本当ですか。一定の融資なんか条件にしなきゃいけないかもしれないですけれども、経営上のニーズがあれば、経営者はやはり投資したいわけですよ、やりたいわけですよ。だけれども、経産省の制度がこのくらいで始まる、こういう制度だから、それを待って投資しよう、そうなっているんじゃないですか。

 そうでなくて、まずやってみなさいよ、とにかく成果を上げたらちゃんと後から評価するからどんどんやってくださいと。そういう制度設計の方が、私は、投資も促進されるし、スピードも上がる。今こそ、これぐらいの発想の転換をしないと日本は元気にならないと思いますので、よろしくお願いします。

 あとは、続きはまた次回お願いします。ありがとうございました。

富田委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。

 今日は、梶山経産大臣、そして更田原子力規制委員長にも来ていただきました。

 四月二十七日に大臣が福井県の杉本県知事と会談をされて、そして翌日、杉本知事が同意をされました美浜三、高浜一、二の四十年超えの原子力の再稼働に関して、エネルギー政策、今回も法案に束ねられておりますので、お聞きをしたいというふうに思っております。

 その四月二十七日の会談の中で、これまでの国会での梶山大臣、そして菅総理の答弁とどうも何か違うようなことを言われたのではないかと私は感じております。

 そのことが、まず、四月二十七日、オンラインで杉本知事と会談されたと思いますが、その中で原子力に関して大臣はこうおっしゃっております。菅総理は昨年、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すとの方針を表明をしております、この達成に向けては将来にわたって原子力を持続的に活用していきますというふうに冒頭述べられております。

 翌日に杉本知事は、この四十年超えの三基に関して同意を表明されたわけですが、その同意を表明された記者会見の中で、その梶山大臣の発言を理由に挙げられております。これは二十八日、翌日の知事の会見の文字起こしなんですが、昨日、二十七日ですね、オンライン会談で梶山大臣から、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、将来にも原子力を活用していく、持続的に活用すると言い切りの形で表明をされた、なので同意をしましたというふうに、同意の理由の一つに挙げられております。

 当日の福井新聞でどういうふうにこれが表現されておりますかといいますと、二十八日付、梶山大臣と杉本知事のオンライン会談を受けて、この将来にわたって原子力を持続的に活用していくという梶山経産大臣の発言は、温室効果ガス排出を実質ゼロにする二〇五〇年カーボンニュートラル達成には原子力の持続的な活用が必要との認識を示した形である、国のエネルギー基本計画では、原発依存度は可能な限り低減させるとしており、方針の転換となりそうだというふうにしております。

 要は、これまでリプレースも新増設もありませんよと言っていたものが、二〇五〇年に向けても原子力は持続的に活用していくんだということを明言された、言い切っていただいた。そして、こういったエネルギー政策担当大臣のトップが、将来にわたってこういう覚悟を示したことは、知事はこれを国の覚悟と評価して最終判断に至ったというふうに地元紙では評価されております。

 これは、これまで、予算委員会でも菅総理は二度にわたって、新設もリプレースも想定していない、梶山大臣もそうおっしゃっております、これを大きく方針を転換したのではないかというふうに地元紙は評価しておるんですが、梶山大臣はどのような趣旨でこの発言をされたんでしょうか。

梶山国務大臣 地元の各社がどのような報道をしているのか網羅的に把握はしておりませんけれども、先日の杉本知事との面談では、これまでに福井県からいただいた要望事項について、政府としての対応をお答えさせていただきました。

 こうした中で、知事との面談において、将来にわたって原子力を持続的に活用していくという発言については、カーボンニュートラルの達成に向けて、再エネはもちろんのこと、安全性が確認された原子力を含め、使えるものは最大限活用し、水素、アンモニアなど新たな選択肢も追求するという、これまでも繰り返し申し上げている政府の基本的な考えをお伝えしたものであります。

 また、新設、リプレースも含め、様々な議論をしているという発言につきましては、現時点において、新増設、リプレースは想定していないという政府の考えに変わりはありませんが、エネルギー基本計画の見直しに向けて議論を進める中で、タブーなしで全ての議論を受け入れて議論をしましょうということで、そういう考えの下で審議会の中で議論をしていただいております。一部の有識者からは、原発の新増設、リプレースについても議論すべきという意見が出されているという趣旨で申し上げたものであります。

 その上で、エネルギー基本計画の見直しに向けて、引き続き、様々な御意見に耳を傾けながら議論を深めて、結論を出してまいりたいと考えております。

斉木委員 将来にわたって持続的に活用していくという、その将来にわたってというのはいつのイメージなんでしょうか。

梶山国務大臣 現時点から将来にわたってということであります。

斉木委員 その前文で、今、冒頭申し上げたように、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すと菅総理が表明していると。この達成に向けて、将来にわたって原子力を持続的に活用していく、この文脈を素直に読むと、これは、二〇五〇年というのがこの将来ということなんだろうなとしか読めないんですが、そうではない、二〇五〇年と限っているわけではないということでしょうか。

梶山国務大臣 将来は将来にわたってということであります。

 二〇三〇年も当然入ってまいりますし、二〇五〇年時点でも入って、あると思っております。

斉木委員 私がこれをわざわざ取り上げるのは、立地地域にとっては、これは非常に重要な話だからなんですね。

 原発特措法の改正案では申し上げました。これは内閣委員会で井上大臣と議論させていただきましたが、梶山大臣も菅総理も新設、リプレースがないと言うのであれば、では、立地地域で、敦賀市にとっては原子力事業というものは豊田市におけるトヨタ自動車と同じだというふうに敦賀市ではおっしゃっております。最大の雇用の場であり、最大の税収源であるということ。地域最大の産業である。だから、古くなっても建て替えは許さない、新しい工場も造っては駄目ですという、民間企業ではあり得ないたがを政府がはめるのであれば、だったら、ほかの生きる道、今、バーチャルパワープラントとかやられております、そういった仮想発電所で、AIの産業、そしてITの産業、コントロールするシステム産業を敦賀は欲しいと言っている。こういった情報産業、テックの産業ですね、立地地域に誘導したらどうかと。

 そういうことで、新エネルギーであるとか関連産業、水素も含みますけれども、それを固定資産税や事業所税の優遇対象に加えたらどうかということを御提案し、附則に盛り込んでいただきました。

 それは大前提なんですよ。上に政策あれば下に対策ありという故事があります。当然、これは、政府、国として、大方針を掲げるのであれば、地方には、じゃ、それに応じて地域振興の絵を描かなければいけない。

 今月、私も今推しております、立地地域の将来へ向けた共創会議、始まりますね。福井県知事杉本知事、そして立地自治体首長、これは敦賀、美浜、おおい、高浜の一市三町の首長さん、そして電力事業者、関電、日本原電、北陸電力等々に今投げかけをされていると思います。

 その議論の前提となるのが、これ、共創会議で何をやるかというと、立地地域の将来像を描いた上で、二十年、三十年後ですね、実現までの工程を示すという会議だとうたってあります。

 ということは、リプレース、新増設がある、原子力発電所が三十年後も、いや、二〇五〇年を超えても将来にわたってあるのであれば、じゃ、それを主軸とした絵の描き方もあるでしょう。でも、リプレース、新増設がないというのであれば、今使っているもので終わりですよと政府が言うのであれば、じゃ、その後のことも見据えた、ほかの産業もまさに多軸化、複線化でつくっていかなきゃいけない。これは、入口が右と左でどっちの道を行くのかということ、大きくこの共創会議の議論にも影響を与えることなんですね。

 なので、私としては、国会で言うことと杉本知事、福井県に言うことがどうも違って聞こえるし、この福井新聞の論調もそうなっているんですよ、地元紙が。要するに、国として、エネ基では原発依存度は可能な限り低減させると言っているにもかかわらず、大臣が将来にわたって原子力を持続的に活用していくと強調し、リプレースに関しても言及している。だから、これは方針の転換なんだと。で、杉本知事も受け入れた。

 やはり、こういう、ある意味二枚舌とも受け取られかねないようなことを言われてしまうと、この十年の繰り返しになるんじゃないかと私は非常に危惧しているんです。新設するのか、しないのか、そういった根本的なことを言ってくれないから、この十年間、じゃ、その原子力を今後も地域産業の柱に据えていこうという選択肢もあります、でも、それは無理だというんだったら別の選択肢も考えなきゃいけない。判断ができない十年間、宙ぶらりんがずっと続いているんですよ。

 それが、今回の大臣の発言でも、地元では転換だ、大臣は、いや、そうではない、変わっていないとおっしゃる。これは、立地地域の一住民としては、ちょっと軽く考えているんじゃないのかなという憤りを禁じ得ないんですけれども。

 大臣としては、そこを言っても、いや、これはあくまでリプレース、新設も、第三人称で、委員会で審議している、審議会でやっているからということを申し上げたまでですと、第三人称だからいいんだみたいなことをおっしゃいましたけれども、そういう姿勢でよろしいんでしょうか。

梶山国務大臣 私が申し述べたことは新聞等にも書かれているわけでありますけれども、私が言ったものはその言葉どおりであります。私も、将来にわたって原子力技術を活用していくということは申し上げました。

 そして、新増設、リプレースについては、私の考え方としては、全てを議論しましょうという中で、総合資源エネルギー調査会の中で議論をしているわけであります。これを省いてというか、これを除いてということではなくて、全ての意見をお聞きしましょうと。例えば再エネ一〇〇%という考え方もお聞きしましょうと。これにはいろいろ反論がある方もおいでになります。そういった議論をしているということであります。

 そして、どこが動く、動かないということではなくて、やはり脱炭素電源として何が必要かという議論もしているということであります。

斉木委員 もう少し地元の感情を申し上げますと、例えば「もんじゅ」の一件がございました。高速増殖原型炉ですけれども、核燃サイクルの肝となる一つの施設です。

 これは、いわゆる夢の国産エネルギーということで、この「もんじゅ」の開発がずっと進められてきた。これが、二〇一六年の年末、十二月だったと思いますけれども、当時の菅官房長官の鶴の一声で廃炉ということに決まったというふうに承知をしております。

 それまで、これは国策だから、これは与党の議員の方も地元でおっしゃっていましたけれども、絶対潰れないんだ、潰さないんだと。これは地域振興の要で、国策だから、潰れることは「もんじゅ」はあり得ないというふうにおっしゃっていたのが、一晩で、「もんじゅ」は廃炉ですということを二〇一六年の年末に言われてしまった。

 代わる、じゃ、雇用とか産業はどうするんだということで、いまだにまだ確たる方向性というのは決められてはおりません。試験研究炉であるとか、私も産業用であるとかいろいろ申し上げているけれども、あの規模のものではありません。

 だから、国策によって非常に翻弄されている地域なんですよ、今、立地地域どこもだと思いますけれども。主力産業は、古くなって、もう将来はないですよと言われたら、それは当然別の道を描かなきゃいけないから。

 分かりますよ、大臣のお気持ちは。同意を、評価されている、今回。同意をしてほしいからそういうふうに、杉本知事が同意しやすいように、いろいろと、甘い言葉といいましょうか、条件を御提示なさる気持ちも分かるけれども、国会で言っているのが、リプレース、いや、新設も想定していないと言いながら、地元の知事と前日に会談をしたら、いやいや、議論していますとか。こういうことをすると、地元紙の論調としても、福井新聞は福井県内の八割の方が読んでおります、地元紙の論調としても、いや、もう国は転換したんだと。杉本知事も、大臣が覚悟を示したから同意したんだとおっしゃっているけれども、じゃ、変わっていない、特に今回杉本知事と会談した中で、御自身の国会答弁と何ら変わっていない、覚悟は不変であるということでよろしいですか。

梶山国務大臣 新増設、リプレースを含め様々な議論をしているというのは事実でありまして、これは私はずっと記者会見でも申し上げております。今回出てきたわけではありません。記者会見で、総合資源エネルギー調査会の中でタブーなく全てを話しましょうということで私が提案をして、そういう話合いをさせていただいているということであります。

 そして、虚心坦懐、全てを、やはり皆さん本音を言っていくということが物事が進むことになるわけでありまして、そういったことも含めて、立地地域は大切であり、立地地域のおかげで電力の供給もできてきたというこれまでの経緯もあるわけであります。そこに対して、今日、先ほどの共創会議も含めて、地域の在り方というのを考えていきましょうと。

 今の時点で、例えば、年限が残って再稼働していたとしても、ほかの産業もやりたい、またエネルギー産業全般に手を出したい、そういった町にしたいという思いもあるでしょう。そういったことも含めてしっかり議論をしていきましょうということで申し上げさせていただきました。

斉木委員 私がこのことを申し上げたのは、以前、敦賀三、四号機の新増設に関しても、当委員会かな、議論をさせていただいたと思います。日本原電は、御地元でもあるのでよく承知されていると思いますが、敦賀市において、三、四号機、埋立地に新増設をする二基、これはホームページにも今年の変わらぬ目標として掲げられております。

 ただ、以前これをお聞きしたときには、新増設を考えていると承知していないというような御答弁をされたと思うんですが、この敦賀三、四号機、千六百億円の投資をして広大な港つきの土地を造りました。日本原電が、敦賀三、四号機、この新増設計画を持っているということに対しての大臣の御認識というものはいかがでしょうか。

梶山国務大臣 たしか別の名目で土地を取得していたというようなお話だったかと思います。

 あのとき、ちょっと私、今、急な話なのでやり取りできませんけれども、資料がありませんけれども、半年前ぐらいの委員とのやり取りだったと思いますけれども、こういう土地を手当てしているのにという言い方だったと思いますよ、たしか。もしあれが間違っていれば確認をいたします、後で。

斉木委員 いや、別の名目と言われてしまうと、十年間これを追求している日本原子力発電が余りにもかわいそうかなと思います。(梶山国務大臣「いや、そういうお話だったと思います」と呼ぶ)はい。是非ここはちょっと確認を、帰ってしていただきたいなというふうに思います。

 要は、申し上げたいのは、大臣、事ほどさように、立地地域というのは、政府のこの十年間の政策に、政策を決めないことに対して翻弄されてきているということなんですよ。ですので、大臣はおっしゃるけれども、杉本知事におっしゃることとこの場で私におっしゃることが余りにも違うんじゃないかなというふうに、新聞報道を見ても、字起こしを見てもちょっと受け取られるので。そこは、動機は分かります。思いは分かります。ただし、立地地域はそれで、共創会議で、じゃ、リプレースありの将来なのか、それともなしの将来なのか、今月から議論を始める大前提なんですから、入口が違っちゃうわけですよ。

 だから、そこは是非決まったことを言ってほしいということなんです。決まったこと、エネ基に書いたんだったらエネ基に書いてから言ってほしいし、新増設、リプレースはありませんだったらありません、あるんだったらある、決まってから言ってくださいということなんですね。御趣旨、お分かりいただけますでしょうか。

梶山国務大臣 どの新聞でどういう表現をされているかというのは全て網羅的に理解しているわけではありませんけれども、私は、将来にわたって原子力を持続的に活用していくという言葉以外には申し上げておりません。そういった中で御理解をいただいたと思っております。

斉木委員 今日は、更田委員長にも来ていただいたので、私も、美浜三は恐らく私の在所のUPZに入っていると思います、この三十キロ圏内の一住民としても、寝起きをこれからしてまいりますので、その安全性に関してはやはり無関心ではいられません。その観点から、安全性に関してちょっと議論させていただきたいなというふうに思っております。

 たしか高浜の三、四号機、特に四号機で、伝熱管、いわゆる蒸気発生器があります、あそこはPWRですので、伝熱管がたしか数千本、スリーループ、フォーループのような形で、厚さ三ミリの薄い鋼鉄管が一次系と二次系を遮断して、要するに、一次系から二次系に熱を伝えなきゃいけないので、極薄の鋼鉄管が何千本も通っていて、それが一次系の水から二次系の水に熱を伝えてタービンを回すというのがPWR、加圧水型原子力発電所の特徴です。まあ、ウィークポイントでもあるんですね。過去、破断事故も起きております。これに関して、高浜のこの四号機で減肉、外側に傷がついて管が薄くなっていた、三号機も傷がついていた、これで再稼働が遅れたという事案がございました。

 この事案は、その伝熱管の外側に、長い停止期間、たしか五年から六年止まっていたと思います、F一の事故から。その間にさびがついて、デブリとか申しますけれども、さびが厚く堆積をしていて、二十年取り替えていなかったそうです、厚く堆積をしていたものが剥がれて、これが高圧でぐるぐる回ったり振動する中で伝熱管を外側から傷をつけて、傷がついたり肉厚が薄くなってしまっていたというのが発見をされました。

 こういったことは、やはり地元住民としては、これからの四十年超の稼働は更に古い原子力発電所を動かすので、起きてほしくないし、絶対そういったものはチェックで事前に発見してほしいと思っておるんですが、この高浜の四号機で発見をされた減肉の原因というのは、事前に分かったのか、それとも事後に分かったのか、どのような経過だったのか御説明願えますか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 事前、事後というものの意味が、不具合が起きた前か後かという意味であれば、事後に分かったものであります。

 さらに、そういった蒸気発生器での割れであるとか穴が空く、減肉するというのは、これまでにも事例はありますけれども、必ずしも今回の高浜の四号機の、スケールによるものというのは、事例が起きてから原因調査を行って、これが原因であろうというふうに判明したものであります。

 そういった意味で、事後に分かったものであります。

斉木委員 これが私は非常に心配なんです。後から分かりましたというのは、要するに、事前に原子力規制委員会の、更田さんが傘下とするチームの方々がチェックをし、現場にも行って、いろいろチェックをしたにもかかわらず、実はさびが、長期停止している間、水、化学薬品を入れて、腐食防止のためにpH調整して入れてあったり、また、若しくは気化とか、N2、窒素を入れて保管してあると思いますけれども、その間にそのさびがぱこっと剥がれて傷つけるなんてことは想定していなかった。それが事後に、実はそのいっぱいあるさびが悪さをして伝熱管を傷つけていたんだということが後から分かった。地元民としては、後から分かったじゃ駄目なんじゃないのかというのが私の地元民としての率直な意見なんですよ。

 要するに、事故を起こしてくれるなよという意味で我々は、規制委員会に、更田委員長に、チェックしてねということで国民は委員長にお任せしているんです。それが、いやいや、実は、蓋を開けてみたら、さびが悪さをしていたなんて想定していませんでした、想定していない原因で傷がついちゃって破断の危機にありましたなんてことが後から分かるというんじゃ、これも、じゃ、また、美浜三、高浜一、二を起動した後に、後から想定外のことが起きて、同じような、過去、美浜二号機でたしか伝熱管の破断があって、大気中への放射能漏れがありましたね。今回、美浜三を動かすわけですけれども、美浜三でも二次系の配管が破断をして五人亡くなっている事故が起きております。

 要するに、伝熱管が一本破断するだけで大気中への放射能漏れが起きるわけです。起きたわけです、美浜でも。ですので、こういうことが後から分かるという審査体制では、そもそもいけないんじゃないか。なぜ事前にこういうことが発見できなかったんですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 後から分かるようなことはないというのは、一種、安全神話であると思っています。

 なお、私たちは、審査でベストを尽くしますし、また検査も厳正に努めますが、しかしながら、原子力発電所で起きるトラブルの中で、その原因が後から分かるものというのはどうしても起こるものだというふうに認識をしています。

斉木委員 原子力の安全を担う長として、私は、それでは不十分だなと、国民としては、地元民としては、寝起きしている者としては、正直、申し上げざるを得ないと思います。

 じゃ、我々地元民は何を信じればいいんですか。誰の言うこと、安全だという、杉本知事も、そして梶山経産大臣も、規制委員会、規制庁、更田さんの判こをもらったものは粛々と再稼働していきますというのが、梶山大臣もずっとおっしゃっている答弁です。でも、それをすり抜けて、さびが、コンカンカンカン、百六十気圧の流体の中で、三百度以上の水の中で傷つけていましたということが後から分かっちゃいましたというのでは、また破断するんじゃないのかというふうに思わざるを得ないわけなんですね。

 根本的な、判この価値がないじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

更田政府特別補佐人 私たちは、厳正な規制に努めますけれども、しっかりやったので、どうぞ御安心くださいとは決して申し上げません。どれだけ人知を尽くしても、なお事故は起きるものとして考えて、であるからこそ、御地元に対して、防災計画の立案ですとか、そういったお願いをしているわけですし、深層防護の考え方は、前段は倒れるということを考えます。ですから、私たちはトラブルは起きるものとして考えますし、また、そのトラブルの中には、私たちがこれまで知り得ていない要因によるトラブルというのも今後はあるというふうに考えております。

斉木委員 梶山大臣に伺いますけれども、今の更田規制委員長の、長の答弁で、地元としてはちょっと納得し難いなと思うんですよ。

 人知を超えた、確かに人間の知力というのは限界がございます。想像力にも限界がございます。なので、事故も起きてまいりました。でも、その更田委員長たちが判こをついたものは安全だから起動するということを、ずっと梶山大臣も答弁を維持していらっしゃって、でも、それもすり抜けることは起きるんですよ、人知には限界があるんですよ、だから避難計画を作りましょうでは、ちょっと我々としてはその話に乗れないと思うんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 稼働中の原子力発電所においては、原子炉等規制法に基づいて、まず、原子力事業者が定期的に施設を検査し、技術基準に適合していることを確認した上で、そうしたプロセスを原子力規制委員会が監視するという枠組みの下、安全確保が行われているものと承知をしております。

 御指摘の高浜四号機で発生した事象につきましても、そうした事業者による検査の中で、事故に至る前に発見をされ、原子力規制委員会において、原因及び対策など必要な確認がされているものと承知をしております。

 関西電力を始め各原子力事業者においては、引き続き、原子力規制委員会の監視の下、原子力発電所の安全確保に万全を期してもらいたいと思っておりますし、何重ものチェックという形で、事業者と規制委員会との関係も含めて、そして、もし、こういった事象が起きれば、同様の箇所をやはり検査するというような手法も通じて、未然に事故を防ぐということだと考えております。

斉木委員 いみじくもおっしゃいましたけれども、事業者が、この減肉も含めて、例えば中性子脆化も含めて、照射検査とか探査を行っていると思います。

 更田委員長にお聞きしたいんですが、我々としては、地元としては、当然、規制側が、これは事業者に任せちゃいけないと思うんですよ。事業者が出してくるものが不完全だったから、若しくは、そこに規制委員会が気づけなかったから、この減肉が見過ごされていたわけですよね。

 事前に規制委員会が立ち会って、関電と一緒に三号機や四号機の減肉チェックであるとか、そういったことを規制委員会側が事業者と一緒になってチェックすることは不可能なんでしょうか。

更田政府特別補佐人 新しい検査制度のこれは一つの考え方でありますけれども、そこまで信用できない事業者であったらば原子力施設を運用する資格はないという考え方を取ります。事故やトラブルに関わる一義的な責任は事業者にあるものであって、またその事業者は責任を負えるような体制であるべきです。

 さらに、規制によって原子力発電所でのトラブルがゼロになるわけでは決してありません。トラブルなく運転をするのは事業者の一義的責任であって、私たちは、トラブルが起きることを前提にして、それが重大な事故につながることのないように規制を進めていくことが肝要だというふうに考えております。

斉木委員 やはり我々は、常に自分の暮らしと共にあるものですので、やはり、その安全性というのは常に安全であってほしい、事故は起きてはもう論外というスタンスなんですね。そこは是非分かっていただきたいし、やはり、今日の質疑を通じても、規制委員長、更田委員長が判こを押したサイトであっても、号機であっても、やはりそれは事故は起き得るという答弁も規制委員長もずっと維持されておりますし。

 じゃ、我々としては、何をよすがに、同意、受入れということを地元民の方、我々は判断すればいいのかなというのは、率直に、まだやはり腑に落ちない部分があるなというのは申し上げさせていただきます。

 そこはどう担保するのかというのは、規制側も推進側も知恵を出して、もうちょっと地元住民の方々が納得するような、説得力のある、これで大丈夫だよ、この美浜三と高浜一、二に関してはこういう理由で見過ごしはないですよと本当は言ってほしいんです、私としては、地元としては。だから、そういう体制になるようなやはり努力を求めたいし、マンパワーが足りないというのであればそういった増員も考えざるを得ないかなと。規制の在り方の根本議論に多分入ってきておりますので、ちょっとここは再考を促したいなというふうに思います。

 もう一つ、バックエンド、中間貯蔵の話に関しても、やはり伺わなければいけません。

 というのは、これで、日本の、我が国の原子力は、十二基中七基は福井県、私の地元で稼働するという状況に入ってまいります。

 当該福井県においては、燃料プールがもう逼迫しておりまして、最短で五年、最長で九年後には満杯になるという試算が出ております。

 これを一九九六年、当時、栗田県知事が、使用済燃料は県外に持ち出すんだということを表明をされて、求められてから、ずっと関電さんが、外に造るということを、決意表明はされているけれども、できないまま、ここまで来ました。

 二三年末までにこれを、青森県のむつのことも事前に言及されましたけれども、県外の候補地を確定させる、確定させられなければ、この三基に関しては、たしか、停止も辞さないという覚悟で臨んでまいりたいというふうに発言を、森本社長が杉本知事に対してされていると思います。私は、初めてだと思うんです、停止も辞さずということで探しますと決意表明されているのは。そこは評価いたします。

 ただし、もうオオカミ少年になっているんですね、地元は。二十五年ですよ、約束をほごにされてきたのは。

 たしか、大飯三、四号機の再稼働のときにも、当時の岩根社長、今被告ですけれども、地元に、一八年までに示しますから、西川知事、認めてくださいと言って、ごめんなさい、できませんでしたと。杉本知事には、二〇年までに示しますから、できませんでしたと。今度は、二〇二三年ですよ。

 毎年毎年、この再稼働の議論があるたびに、関電の社長さん、お願いしますと来るけれども、県外候補地、示します、できませんでした、示します、できませんでしたを延々二十五年間やってきていて、もうプールがいっぱいになりそうだと。

 その中で更に三基動かすということは、どう見ても、これは使った燃料を冷やさなきゃいけませんから、危なくて。冷やさなきゃいけないプールが満杯になりそうなので、これは、県外候補地というのは国が前面に立って支援しますみたいなことをおっしゃいましたけれども、この国が前面に立ってというのは、じゃ、これまでと、大臣に伺います、何が変わるんですか、どこまで国が責任を持ってくれるということなんでしょうか。どこまで進んでいるんでしょうか。

梶山国務大臣 使用済燃料の県外搬出につきましては、今委員から御紹介がありましたように、関西電力は、二〇二三年末までに計画地点を確定するべく、不退転の覚悟で取り組む旨を表明されているものと承知をしております。

 四月二十七日の杉本知事との面談においては、私からも、二〇二三年末までに計画地点確定に向けて、国も政策当事者として前面に立って主体的に対応し、関係者の理解確保等に事業者とともに最善を尽くしてまいりたいという旨を申し上げたところであります。

 使用済燃料対策については、貯蔵容量拡大に向けて、各社の取組強化に加えて、電力業界全体での連携協力を具体化するとともに、近く使用済燃料対策推進協議会を開催をし、官民の取組強化策を決定する考えであります。

 今後の具体的な進め方について、現時点で決まったものはありませんけれども、国として事業者と連携しながらしっかりと対応してまいりたいと思いますし、昨年に続いて二回目のこういった協議会を開くということであります。

斉木委員 その協議会の回数を年一回から二回に増やしますというような御説明もありましたけれども、それだけではなかなか、このバックエンドの問題というのは決まらないと思うんですよ。

 むつ市長が今何を心配されているかというと、要は、再処理工場、これが稼働しないうちに中間貯蔵施設を受け入れることは、青森、むつ市が事実上の最終処分地になってしまうと市民に受け止められる懸念がある、アメリカと同じような状況になるということなんですよ。ユッカマウンテンが倒れて、中間貯蔵地という名の最終処分場にアメリカはなっております。日本も、むつも同じような状況になるのではないか、まず再処理工場を稼働させる方が先でしょう、要するに、しっかり管が流れるようにしてから中間でしょうということをおっしゃっている。

 でも、そこのところも非常にまだ心もとない状況ですし、これはなかなか、やはり、今までの年一回の会議を二回にしたからといって解決するような話ではありませんので、ちょっと時間が参りましたので、これに関しては、まさに、リップサービスではなくて、二回開いたからいいというようなレベルの話ではありませんので、ここは本当に汗をかいていただくことをお願い申し上げて、今日の質疑は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 冒頭、コロナ対策における中小企業、個人事業主向けの支援に関して幾つか質問いたします。

 政府は、三度目の緊急事態宣言について、東京、大阪、兵庫、京都、この四都府県で五月三十一日まで延長するとともに、愛知県と福岡県ということで加えて、更に蔓延防止等重点措置の地域も八道県に拡大するとしております。

 そこで、梶山大臣、前回、四月二十八日の当委員会で、私は、人流抑制につながるこれまで以上に強い措置に見合う補償、支援を求めたわけですが、その後、新たな支援策として発表された、今度は月次支援金ということについて、入札可能性調査中としていた事務委託先については、これはもう決まったんでしょうか。

梶山国務大臣 前回の委員会でやり取りをしたことだと思いますけれども、月次支援金の執行に当たりましては、事務局業務の円滑な執行確保の観点から、現行の一時支援金の事務局であるデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社との委託契約の変更により、同社に事務局を担っていただくことといたしました。

 事前に入札可能性調査等を実施して、入札意向を持つ事業者がいなかったということでありまして、その結果、こういう形で決まりました。

笠井委員 既に四月三十日から事務局相談窓口がホームページ上で案内をされておりますが、この申請について相談した事業者に対して、この窓口のところで、詳細が発表されるまで分かりません、お待ちくださいというアナウンスのみだったというわけなんですね。これでは相談窓口の意味がないんじゃないかと思うんですが、これはどうなっているんでしょうか。

梶山国務大臣 システムの構築ということで、まだ詳細が決まっていないこともありまして、今言えることが余りないということだと思っております。

笠井委員 ちょっと遅いんですね。

 四、五月の減少分も補償されないうちにまた宣言が延長となる。先の見通しも見えず、どうやって頑張れというのかということになってまいります。直接支援を心待ちにしている事業者からは、どうも見ていると、この月次支援金について活用しにくい、それからとても足りないと、既に悲鳴が上がっております。持続化給付金、家賃支援給付金は半年、それから一時支援金の場合は三か月間というこの間に、どこかで五〇%減少が一月でもあればまとまった金額が支給をされるということだったわけですが、今度は、月次支援金について見ると、四月、五月の月ごとで売上げ五〇%減少しないと対象にならない。これまでと明らかに違うと思うんですけれども、なぜ変えたんでしょうか。

梶山国務大臣 今回の月次支援金は、緊急事態宣言又は蔓延防止等重点措置の影響により、とりわけ厳しい経営状況にある事業者に使途に制限のない現金を給付するという、従来の補助金などによる支援を超えた対応であります。このため、売上高五〇%減を要件としたものであります。売上減少要件につきましては、前年のみならず、前々年の同月との比較も認めることとしております。

 なお、売上げが五〇%以上減少していない事業者も含めて、売上高の減少率に応じて多様な支援策を講じているということでありまして、様々な支援策、いつも申し上げていることでありますけれども、事業再構築補助金の特別枠の創設であるとか、また、売上高が五%、一五%、又は二〇%減少した事業者を対象に利子補給を行うということで実質無利子無担保の融資を実施するということ、さらにはまた、地方創生臨時交付金において、新たに今年度の予備費の中から五千億円の事業者の支援の特別枠を創設することで、自治体が地域の実情に応じて事業者に対してきめ細かな支援を行えるようにしているところであります。

笠井委員 その給付金なりあるいは支援金、一時支援金とかいうものについても、そのときも大臣は、それ以外の措置もありますよということを言われたんですが、今度は結局、今までの持続化給付金や一時支援金と違って、それぞれの月で五〇%減少でないと申請できない。月ごとに申請するんですね、しかも。ということになると、対象事業者は限られる。結果として支援を狭めることになるんじゃないか、この給付金の制度、支援金の制度について言うと。これはどうですか。

梶山国務大臣 月単位での措置を取っておりますので、その月に関して協力金は飲食店そのものには行くわけであります。その飲食店と取引をしている事業者に対して、休業したことによる影響で所得が減った、収入が減ったという事態に対応して支払いをするわけですから、そういう形になっているわけであります。

笠井委員 短期集中とした宣言というのがうまくいかなくて、そして延長してゴールが見えないという状況の中で、直接支援は月単位の細切れで、支援額は最大二十万円、十万円と少ないわけで、これでは事業者はこの先やっていけない。政治の姿勢として、先が見通せるような支援策こそ必要だと思います。その点では、いよいよ第二弾の持続化給付金、家賃支援給付金の実施、再支給に踏み出すべきだということを改めて強く申し上げておきたいと思います。

 そこで、産業競争力強化法の改正案についてでありますが、政府が今国会に提出した六十一法案のうち四割に当たる二十三法案と一条約の条文や参考資料に誤りというのは、まさに前代未聞の事態であります。

 中でも、産業競争力強化法改正案は、条文の三か所に誤りということで梶山大臣が所信表明の冒頭に謝罪をされた後、更に条文に一か所、要綱、新旧対照表、参照条文に二十か所もの誤りが新たに判明した。あってはならないミスが二度も重なったことは言語道断であります。

 大臣、法律というのは国家権力が国民に対して権利や義務を課すものでありますので、条文の誤りを重ねた法案というのは、本来、撤回が筋じゃないかと思いますが、改めて伺います。

梶山国務大臣 本日御審議いただいている産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案につきましては、条文案に四か所の誤りがあることが判明をしました。また、参考資料についても二十か所の誤りがあることが判明しました。

 国会に法案を提出し、御審議を仰ぐ立場の政府として、法案に誤りがあったことは大変遺憾であると考えていますが、前例なども踏まえて、正誤で対応させていただいているところであります。

 今回の誤りの原因について、条文案の確認が不十分であったことが原因であると考えておりまして、再発防止等について最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。

笠井委員 正誤表対応で審議せよというのは、やはり国会軽視と言わなければなりません。

 去る三月三十一日の当委員会で法案撤回を求めた際の梶山大臣の答弁も、形式的なものだから正誤表で対応したというものでありましたが、やはり形式的などということがあってはならないことだと思うんですが、その点はどうですか。

梶山国務大臣 誤りは誤りであります。

笠井委員 あってはならない条文ミスの対応の先例がある、前例があるということを言われましたが、それ自体がおかしいと思わないといけないと思うんですね。全く納得できない、正誤表の対応でよしとした与党の責任も大きい、立法機関である国会の足場を掘り崩すことになると言いたいと思います。

 梶山大臣は、この間も、なぜ閣議決定し直さないのかという度重なる同僚委員の国会質問に対して、正誤表対応でやらせていただきたいと言うだけで、なぜ閣議決定し直さないのかということについては明確な答弁をされませんでした。

 そこで、改めて問いますが、なぜ閣議決定し直さなかったのか。決定し直すと時間がかかるからですか。

梶山国務大臣 誤りについては謝罪を申し上げなければならないと思っておりますけれども、前例についてもいろいろ調べてみました。そういった中で、正誤表の対応というものもありましたので、この件については、大変申し訳なく思うとともに、正誤表で対応させてほしいということで、皆さんの協議をいただいたところだと思っております。

笠井委員 法案を撤回もしない、閣議決定もやり直さない。そこまでして今国会での成立を急がなければならない理由があるのではないかと思わざるを得ません。

 本法案をもって廃止される生産性向上特措法は、政府が生産性革命・集中投資期間とした二〇一八年度から二〇年度までの三年間、集中的な規制緩和を行うというものでありました。

 経産省に伺いますが、この特措法は施行から三年以内に廃止することになっていますが、施行日はそもそもいつですか。

新原政府参考人 お答えいたします。

 生産性向上特別措置法のそもそもの施行日は平成三十年六月六日でございます。

笠井委員 二〇一八年六月六日施行ということであります。今から一か月後の六月五日で丸三年になる。

 それまでに廃止法が成立しなかったらどうなるんでしょうか。

新原政府参考人 「廃止するものとする。」と書いてございますので、途端に失効するわけではございませんが、法的には不安定な状態になるということでございます。

笠井委員 もう一つ経産省に伺いますが、法案の施行期日は五段階に分かれておりますけれども、今回の法案、公布日即施行となる改正部分というのはどこでしょうか。

新原政府参考人 お答えいたします。

 本法案によって公布日に施行されるものは、産業競争力強化法におけるバーチャルオンリーの株主総会の実現のための特例が主要な改正事項でございます。

笠井委員 昨年十二月の成長戦略実行計画と規制改革推進会議の当面の規制改革の実施事項の中に、今通常国会に関連法案を提出するという内容が盛り込まれているんじゃないかと思うんですが、そうですか。

新原政府参考人 詳細にちょっと今あれですが、そのような規定が盛り込まれております。

笠井委員 現行制度では、会社法第二百九十八条第一項第一号で、株主総会を開催するためには総会の場所を定めなければならないと規定をされております。株主が質問し、説明を聞く場所を確保するために、物理的に入場することができる場所を必要とする規定であります。物理的な会場を設けずに株主や取締役などが全てインターネット等の手段により出席するバーチャルオンリーでの開催はできないというのがそもそもの今の規定です。

 大臣に伺いますが、この規定の規制緩和を求める要望というのはどこから出ているんでしょうか。

梶山国務大臣 我が国の会社法では、株主総会を招集する際には、委員御指摘のとおり、その場所を定めなければならないとされておりまして、バーチャルオンリーの株主総会は認められておりません。

 諸外国の例を見ますと、米国のデラウェア州では、恒久的な制度としてバーチャルオンリー株主総会の実施が認められております。また、他の国も、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて、イギリス、ドイツでは立法措置により、フランスでは行政命令により、バーチャルオンリーの株主総会の実施が認められたということであります。

 こうした状況や新型コロナウイルス感染拡大も踏まえて、株主等が物理的に一切集まらずに株主総会が開けるよう、本法案において、場所の定めのない株主総会に関する会社法の特例を創設し、バーチャルオンリーの株主総会の実施を可能とすることとしております。

 これは複数の経済団体からの提言、要望もありましたけれども、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて、政府として必要な措置であると考えたために、今回の法案を提出、提案をさせていただいているところであります。

笠井委員 複数の経済団体というのは、具体的にはどこでしょうか。

梶山国務大臣 大きなところで言えば、経団連、新経連等であります。

笠井委員 今年六月の株主総会に間に合うように法改正と言いたいのかもしれないんですが、本法案については理事会で、過去最大級の審議時間を取る必要というふうに言われております。充実した徹底審議こそ必要だと申し上げたいと思います。

 その上で、梶山大臣、安倍前首相の下で昨年七月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針二〇二〇と、その施策を具体化するために十二月に実行計画が取りまとめられました。本法案は、この実行計画に基づくものという理解でよろしいんでしょうか。

梶山国務大臣 この法案は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響下において、新たな日常に向けた取組を先取りし、長期視点に立った企業の変革を後押しするために、グリーン社会への転換、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築、中小企業の足腰の強化を図ることが大きな柱であります。

 カーボンニュートラルやデジタル化を促進する税制、バーチャルオンリー株主総会など本法案で措置されている施策の一部については、成長戦略の実行計画に盛り込まれております。

笠井委員 梶山大臣は、西村経済再生担当大臣とともに、実行計画を取りまとめた成長戦略会議の副議長をされております。

 この会議の民間委員として新たに任命された三名の中には、菅首相のブレーンとされるデービッド・アトキンソン氏がおります。著書「日本企業の勝算」、私もこの委員会で紹介したことがありますが、その中ではこう言っております。

 中小企業は無駄にたくさんの人を雇うので、現在のように労働生産性の向上が求められる時代では邪魔な存在でしかない。中小企業をふるいにかけて、国として応援すべき企業と応援する必要のない企業を分けて扱うべき。このようにアトキンソン氏は主張されております。

 昨年十一月十八日の当委員会で、梶山大臣のこの発言に対する受け止めを伺ったところ、大臣の御答弁は、主張や著書は存じ上げているけれども、成長戦略会議では御持論は披瀝されていないということで、御答弁でありました。

 その後、成長戦略会議でアトキンソン氏はこの持論をるる披瀝されておりますけれども、それに対して、大臣は副議長でどのように受け止められたでしょうか。

梶山国務大臣 ほかの有識者委員との議論の中でこういうお話が一部あったかと承知をしております。あくまでも、これは有識者であるアトキンソン氏の私見、自分の考え方ということでありまして、これを採用するということではありません。

 私としては、中小企業の数が多過ぎるために合併や淘汰を進めるべきとは考えていないということであります。中小企業の生産性を向上させ、足腰を強くしていくための施策を推進していくことが政府の役割であると考えておりますのと、昨年十月に私が就任するに当たって、総理にもこれは確認をさせていただきました。総理の考え方も、中小企業が少しでも前向きになって一歩ずつ成長していくこと、そして中小企業であっても海外で活躍できるような企業をつくっていくこと、そして、さらにまた雇用の受皿になること、そういったことを自分の考えの趣旨としているというお話でありました。

笠井委員 成長戦略会議でほかの委員というのは、三村日本商工会議所会頭とのやり取りだというふうに思うんですけれども、菅首相のことを言われましたが、菅首相は、日本の中小企業がこれから国際化の中で進んでいくには中堅企業になった方がいいという私の考え方と、アトキンソンさんが本の中で書いていることが非常に近かったというふうに三月八日の参議院予算委員会で答弁をされて、アトキンソン氏の考えに共感、共鳴をされているというふうにその答弁で明らかになったわけですが、大臣は違うんですか。

梶山国務大臣 一部を取れば、中小企業が中堅企業に成長していくということは非常にすばらしいことだと思っております。そして、その後押しもしなければならないということでありますけれども、数を少なくしたり、無理やりMアンドAまた淘汰をさせる必要はないと思っておりますし、中小企業、小規模企業にはそれぞれの役割がありますし、地域や業種においての役割というものもあると思っております。

笠井委員 アトキンソン氏は、成長戦略会議で何度かにわたってこのように言っております。成長する企業を中心に応援する形に政策を変える必要がある、生産性を上げるために十分な企業規模まで、各社にその成長を促進する政策に切り替えていって実行するべきもの、中堅企業を増やすようなインセンティブ制度をつくった方がいいということで、中小企業政策の見直しの必要性を何度も力説をしているわけであります。

 先ほど梶山大臣が、その一部が法案の基になっているというふうに答弁された実行計画には、この主張がまさに反映をして、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業を応援することが重視をされていると。アトキンソン氏の中小企業淘汰論がまさに法案の土台になっているというふうになっているんじゃないですか。

梶山国務大臣 それは、淘汰によって中小企業を中堅企業に押し上げていくということではなくて、中小企業の中で意欲ある中小企業を中堅企業に押していく制度があった方がいいという中で、そういう制度になったものと思っております。

 アトキンソン氏の主張が全て通るような会議体ではありませんでして、それぞれの意見を聞きながら、日本で必要な政策というものを決めていくということであります。

笠井委員 私が今申し上げたみたいに、アトキンソン氏の主張があって、そして菅首相のブレーンという形で言われていて、成長戦略会議の中で委員に任命をされて、その中でまた、会議の中でもやり取りもされて、何度も主張されている。そうした一番ポイントになっている点が、結局のところ、実行計画に反映をして、また法案に反映してきている。四月二十八日に公表された中小企業の経営資源集約化等に関する検討会の取りまとめの冒頭にも、中小企業の淘汰を目的とするものでないことは当然であるという形だけれども書かれているということでありまして、問題は、結果として小規模事業者を淘汰するものになることだということだと思うんですね。

 二〇二一年度の中小企業対策費というのは、政府全体で千七百四十五億円です。政策経費の〇・二六%にすぎません。

 梶山大臣、伺いますけれども、中小企業政策を見直して、そして、中堅企業に成長しようとする事業者を重視して予算を重点化していったら、そうしたら、ますます小規模事業者には支援が届かなくなるということになるんじゃないでしょうか。

梶山国務大臣 小規模企業への支援というものもしっかりと対応していくということで、予算も確保しているということであります。そして、中小企業から中堅企業へ成長しようとする企業というものを支援しないと、やはり、そのはざまに落ちてしまう可能性があるということなんです。盤石なものにするまでの間、中小企業から中堅企業になった企業に対しては支援をする必要があり、そしてそれらが雇用の受皿や日本の競争力にもつながるということだと考えております。

笠井委員 小規模事業者に対する予算をしっかり確保する、こう言われました。

 先ほどの同僚委員とのやり取りの中で、そのための予算を増やしていくということも何度か言われたと思うんですけれども、中小企業予算はどれだけ増やすと、じゃ、そのために。どういうことになりますか。

梶山国務大臣 委員がおっしゃったような、例えば、集約をして、中堅企業の方に全ての資源を集中するということではなくて、やはり、小規模企業、中小企業に対する支援というものもある程度しっかりと対応していく、しかも予算も確保していくということであります。

笠井委員 ですから、千七百四十五億円という中小企業予算というのがあるわけですね。それは、結局、政策経費の〇・二六%にすぎないわけです。我々はもう一兆円規模に増やせということをずっとるるこの間も中小企業予算については言っていますが、増やすと言うんだったら、確保すると、小規模に対しても給付するんだと言うんだったら、じゃ、具体的にどれぐらいに増やしていくのかというのがないと、結局、パイが決まっている中で、中堅企業に成長しようとするところに手厚くすれば、その分、中小、小規模に行くところが減っちゃうじゃないですか、こういう話なんです。どれだけ増やすということですか。

梶山国務大臣 小規模事業者の目的別にいろいろな支援をしておりまして、販路開拓をする持続化補助金やものづくり補助金を含んで、企業生産性革命推進事業については、令和元年度補正から令和二年度の三次にわたる補正予算で総額七千六百億円の支援を行ってきております。これは純増の部分であります。小規模事業者に支援が届かなくなるとは考えておりません。

笠井委員 補正というのは補正なので、問題は、政府の姿勢を示す当初予算が問題なんですよ。だって、これは、法案を出して、それで産業競争力強化法ということで改正する、その中で中小企業についてどうするかということがあって、今、方向性として中堅企業を目指していくところには手厚くしますよと言っていて、その分、小規模が減っちゃうんじゃないですか、薄くなるんじゃないですかということに対して、補正でやっていますという話じゃないんですよ。当初予算でどうするかということなので、そこは、じゃ、どうやって経産大臣としてはこの予算を増やす、これだけ増やすんだというふうに言われるのかと聞いているんです。

梶山国務大臣 当初も補正も合わせて年間の予算でありまして、小規模事業者に対する支援ということでこれは限定しておりますので、しっかりとした予算が取れていると思っております。

笠井委員 結局、今の規模でいくということになれば、それはもう結局、しっかりとした予算が取れているということで今おっしゃるんだったら、その分やはり小規模事業者に対するものが薄くなるということになります。抜本的に増やすこともせず、幾らと言っても出てこないわけで、規模も。規模拡大を目指して、そして経営資源の集約や事業の再構築を進めるということで中堅企業に成長しようとする事業者に支援策を重点化したら、それは圧倒的多数の小規模事業者は施策の外に置かれることにならざるを得ないじゃないかという問題があるんだと思うんです。

 コロナ禍の中で必死に事業と雇用を支える中小・小規模事業者、個人事業主を一社も潰さない、一人も取り残さない、そういう支援が求められる中で、逆にコロナ禍を奇貨として中小企業淘汰を進めるという人が大きな発言力を持ってやりながら、それに沿ったような形で今進んでいるということになると、これは大変なことになる。

 時間が来ましたので、引き続きこの問題はまた議論したいと思います。

 終わります。

富田委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。

 早速質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案の狙いについて教えていただきたいと思います。

 先日、梶山大臣、法案の趣旨説明にもありましたとおり、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界各国で新たな日常への模索が続く今こそ、我が国が旧態依然とした経済システムから本格的に脱却し、グローバルな経済変化へと一気に適応していくチャンスだと思われます。この大変革の時代に、我が国の産業、企業の構造改革を実行することを逃してはならないと考えております。今回提出された産業競争力強化法の改正提案が産業、企業の構造改革を進めるものであるのかということが一番重要な視点だと考えますが、そこで梶山大臣にお伺いをいたします。

 果たして本法案はそのような内容になっているのでしょうか。この法律が成立することによって何が変わるのでしょうか。これで世界と戦えるようになるのでしょうか。大臣に教えていただけますでしょうか。

梶山国務大臣 コロナ禍は、全産業に一律の影響を与えているわけではなくて、大きな悪影響を与えている企業がある一方で、利益を伸ばしている企業もあります。

 例えば、飲食や宿泊など悪影響が出ている分野については、ポストコロナに向けた新たな取組や業態転換といった事業再構築を支援する必要があります。

 同時に、コロナ禍の下でも経済を牽引しているデジタルやグリーンといった成長の可能性がある分野については、将来に向けた積極的な成長戦略を進めていく必要があります。

 このコロナ禍において世界を見回してみて、ほかの国よりも日本が脆弱であるという点が明らかになってきたということであります。先ほども申しましたけれども、グリーンであるとか、またデジタル、さらにはヘルスケア、これは創薬なんかも含めてということになりますけれども、それとレジリエンス、強靱性、サプライチェーンということでありますけれども、この機会に今この経済の環境というものを変えていく、そして世界に伍することができるような体制づくりというものも必要な時期ではないかなと思っております。

 このようなコロナ禍での経済への多様な影響も踏まえて、今般、法案を提出したものであります。

 具体的には、カーボンニュートラルを進めるための、省電力性能に優れたパワー半導体、電気自動車向けのリチウムイオン電池などの脱炭素効果が高い製品の生産設備、これは世界の大競争になると思っております、工場の生産ラインへの最新設備の導入や最新鋭の熱ボイラー設備の導入などの生産工程上の脱炭素化を進める設備に対する税額控除一〇%等の投資促進税制を創設するとともに、全社レベルのデジタルトランスフォーメーション計画に基づくクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対する税額控除五%等の投資促進税制、厳しい経営環境の中で赤字でも努力を惜しまずに事業再構築等に向けた投資を行う企業に対する繰越欠損金最大一〇〇%への控除上限額の拡大、さらには、中小企業から中堅企業へ成長する企業を支援策の対象に追加するための措置などを講じることとしております。

 今回の法案だけでなく、予算、税制による措置を総動員することによって、グリーン社会への転換、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築などへの集中投資を促すことでイノベーションを後押しし、ウィズコロナ、ポストコロナ時代において我が国経済が再び力強く成長できるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

美延委員 今、大臣の方から、世界の大競争になるというお話をいただきましたけれども、そこにしっかり、やはり日本の産業が打ちかっていかなければならないと思うんです。その中で、お話で出たグリーン、それからデジタルに関する認定制度についてお伺いしたいんですけれども、事業者が作成した計画を国が認定して支援措置を実施する認定制度は、これまでにも様々なものが実施されてきました。

 本法案の、改正案の関係でいえば、産業力強化法の特別事業再編計画は、平成三十年の制度開始以来、実績が一件もないと聞いております。下請中小企業振興法の振興事業計画は、昭和四十五年の制度開始以来、承認案件はたった十二件にとどまっているとのことです。情報処理促進法のDX認定制度は、昨年開始されたものでありますが、四月一日現在で累計六十九件となっていることを承知しております。

 本改正案で新たな認定制度を新設する前提として、これまでの様々な認定制度について、利用の進まなかったものがないのか改めて検証する必要があるのではないでしょうか。必要な認定制度を大いに活用されるべきとの観点から、政府の見解を教えていただけますでしょうか。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、この計画認定制度については、不断に検証を行って見直しを行う必要があると考えております。

 今御指摘のとおり、現行法、産業競争力強化法の特別事業再編計画については、今回、廃止をさせていただいております。これも先ほど委員が言われたようにゼロ件なんですけれども、事業者にヒアリングをしてみますと、まず、認定を得るために国に計画を提出する必要があるんだけれども、株式の公開買い付けをこれはやるわけですけれども、マーケットに与える影響に配慮する必要性が高くて、企業として機微情報を政府とはいえ社外に流す、出すリスクを特に考えざるを得ないということ、あるいは、認定の要件として、株式対価とすると対価が全て株式でなければならないというふうにしているといった要件について、使いづらいという御指摘がありました。という検証の下に、今回、世界的に株式を対価としてMアンドAの事例が増えているということで、この計画認定を不要としたということでございます。

 今後とも、今御指摘のところも含めて不断に見直しをしていきたいというふうに考えております。

美延委員 そこはしっかり見直しをしていただきたいと思います。

 次に、新設される認定制度の実効性及び支援の在り方について質問をさせていただきます。

 本改正案では、グリーン社会への転換、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築について、事業適応計画の認定制度を新設し、認定を受けた事業者が支援を受けることができるとされています。

 こうした認定制度が効果を上げるためには、要件や手続の支援措置のバランスが重要であり、現実と余りにもかけ離れた目標が課され、認定を受けるために大きなコストがかかる一方で、支援措置の効果が余り見込めないとなると、制度の幅広い利用は期待できないと思います。

 新設される認定制度では、カーボンニュートラルに向けた野心的なKPIの達成やDX認定の取得等、それぞれの類型で意欲的な認定要件が想定されているところではありますが、こうした認定要件の妥当性について、政府の見解を教えていただけますでしょうか。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、カーボンニュートラルの方でございますけれども、三年以内に七%以上の改善というKPIについては、二〇五〇年八〇%削減という従来の長期目標とマクロの経済成長見通しに照らして設定をさせていただいております。それともう一つ、ハードルの高い方、三年以内に一〇%以上という数値は、今般の二〇五〇年のカーボンニュートラルという更に高い目標と経済成長見通しに照らして設定させていただいているものでございます。

 デジタルトランスフォーメーションの方でございますが、ROAを五年以内に一・五%ポイント改善するというところについては、現在の日本企業のROAが三・三%程度でございまして、欧米並みの四・八%まで向上させるということで、差の一・五%ポイント向上を目標にさせていただきました。

 という等々でございまして、事業者にとって、御指摘のとおり、一定のハードルであることは承知をしておりますけれども、是非、支援を申し上げて、これぐらいの高いところを目指していきたいというふうに考えております。

美延委員 次に、中小企業の脱炭素化、デジタル化に向けた支援の在り方及び効果についてお伺いをいたします。

 菅内閣の大きな柱となっているグリーン社会とデジタル化を進めるには、大企業だけではなく、企業全体の九九・七%を占める中小企業の協力が不可欠であります。しかし、中小企業の中には、脱炭素化やデジタル化に対して、費用対効果の面で難しかったり、必要性を認識していても、大企業のようにすぐに対応できなかったりする企業も少なくないと思います。

 中小企業の脱炭素化、デジタル化を進めるためには、これに向けた支援措置が十分合理的かつ魅力的であることが必要だと思います。本改正案における支援措置は税制及び融資が中心ですが、併せて予算措置による直接支援も更に大胆に措置していくべきでないかと考えます。予算措置における直接支援に関してはどのようにお考えでしょうか。政府の見解を教えていただけますでしょうか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 生産設備のグリーン化やデジタル技術の活用といったものは、中小企業の生産性を向上するという観点から非常に重要でございます。

 今御指摘のあった税制、それから金融面での支援に加えまして、ものづくり補助金やIT導入補助金を含む中小企業生産性革命推進事業を令和元年度補正以降の補正予算で総額七千六百億円を措置して、中小企業によるエネルギー効率の改善を含む生産プロセスの改善やバックオフィス業務のデジタル化などの取組を支援するとともに、中小企業デジタル化応援隊事業によるIT専門家への補助を通じて、昨年九月以降、延べ一万二千者を超える事業者のデジタル化を支援しております。

 また、中小企業の新分野展開や業態転換などを支援すべく、令和二年度第三次補正において約一・一兆円を措置した事業再構築補助金では、低炭素技術やデジタル技術を活用して日本の経済成長を牽引し得る案件は審査において高く評価するということで、その旨公募要領に明記しております。

 これらの補助金を活用して、生産性向上や事業再構築に取り組む中小企業による低炭素技術やデジタル技術の活用を更に促してまいりたいと考えております。

美延委員 よろしくお願いいたします。

 グリーンとデジタルの投資促進税制の税額控除の上限がそれぞれ一〇%と五%とされていますが、それぞれこれは重要な政策目的であることは変わりありません。なぜこのような差が設けられているのでしょうか。さらに、こうした案件及び支援措置の下、本認定制度はどの程度の利用件数を見込んでおり、その結果として、脱炭素化、デジタル化の実現にどのような効果が期待されているのか。併せて教えていただけますでしょうか。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの税制については、御指摘のとおり、最大で税額控除一〇%、デジタルトランスフォーメーションの税制については、最大で税額控除五%の措置を講じるという差を設けております。

 この差でございますけれども、DXの方については、会社全体でのデジタルトランスフォーメーションの実行を通じた事業変革によって、ある程度短期的に利益の向上に資する可能性が高いというふうに考えております。他方で、カーボンニュートラルの方については、中長期的には脱炭素化と利益の向上を両立させる投資ではありますが、必ずしもすぐに短期的な利益の向上に直結しないものを前倒しして促進する必要があるというふうに考えておりまして、したがって、こちらについてはより高い一〇%という水準の税額控除とさせていただきました。

 二つ目の御指摘の、利用件数の見込みでございますが、最終的には実際に民間企業においてこの投資が実行されるかどうかというのは様々な要因で決まってくるものでありまして、現在、コロナによって事業面への影響の見通しも不透明である中でございますので、具体的な数値を目標として設定はしておりません、事務的にはいろいろな議論はいたしておりますけれども。

 より多くの事業者において、本法案に盛り込んだ制度も活用して、グリーン社会への転換、デジタル化への対応が進むよう強く期待をしておりまして、この利用を促進すべく、説明会の開催、制度の周知徹底あるいは電子申請など、計画認定実務のスピーディーな執行に努力をしてまいりたいと考えております。

美延委員 今、利用件数については具体的な数値を設定されていないとのことでしたんですけれども、やはり目標という数値は私はやはり設定すべきだと思いますので、これは、大臣、また考えていただきたい、是非、省庁で考えていただきたいと思います。

 次に、中小企業の政策の基本的な考え方についてお伺いしたいんですけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束されない中、今後、コロナの影響を受けた企業倒産が増加することが懸念されております。

 先日、私、この委員会でも質疑させていただきましたが、帝国データバンクの調査によれば、新型コロナウイルス関連倒産は、感染第三波や緊急事態宣言再発出の影響により、昨年十二月以降急増しております。また、東京商工リサーチの調査でも、事業環境の回復見通しに不透明感が漂う中、コロナ関連破綻は、息切れや諦め型のほか、休業していた企業の債務整理などが進み、引き続き増加の勢いを強める可能性が高いとされています。

 全国の中小企業にとって、まずこのコロナ禍をいかに乗り切るかが喫緊の課題と考えられていますが、本改正案の内容を見ると、全体として、大企業や中堅企業、そして中堅企業に成長しようとする企業を対象とした施策が多く、小さいながらも生産性の高い企業や地域に貢献する企業が置き去りにされてしまうのではないかという懸念が払拭できません。

 我が国企業の八四・九%は、いわゆる製造業等では従業員二十人以下、商業、サービス業では従業員五人以下の小規模企業が占めております。とりわけ、今般のコロナ禍の影響によって、経営基盤の脆弱な小規模企業への支援の必要性が高まっているところ、中小企業政策の基本的な考え方について、梶山大臣の見解を教えていただけますでしょうか。

梶山国務大臣 地域の経済や雇用を支える中小企業、小規模事業者は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化により大変大きな影響を受けていると拝察をいたします。厳しい経営状況にあるこうした事業者を支援することは大変重要であると認識しておりまして、これまで、持続化給付金や実質無利子無担保融資を措置するなど、前例にとらわれることなく手厚い支援策を講じてまいりました。

 また、小規模事業者の販路拡大を支援する持続化補助金や、中小・小規模事業者の設備投資を支援するものづくり補助金を含む中小企業生産性革命推進事業により、コロナ禍を乗り越えようとする中小企業、小規模事業者の前向きな投資を支援してきているところであります。これらについても、具体的には、令和元年度補正から令和二年度の三次にわたる補正予算で支援をしてきているところであります。

 このほかにも、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた事業者に対する一時支援金や月次支援金の支給、事業再構築補助金による支援など、様々な支援により、切れ目のない対策を講じてきているところであります。

 小規模事業者も、それぞれの地域やそれぞれの業種によってまた役割を果たしており、そういったことが雇用につながっているということもありますので、最大限の支援をしてまいりたいと考えております。

美延委員 この後、政策資源の配分についてお伺いしたかったんですけれども、今、質疑時間が終了と来ましたので、次回に繰越しさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 本日は、産業競争力強化法の改正案に対する質疑、特に、本日、二つのテーマ、いわゆるカーボンニュートラル投資促進税制とDX投資促進税制、この二つに絞って質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、この二つの制度の中身の議論に入る前に、これまで運用されてきた制度についての総括をさせていただきたいと思います。

 まず、今回、カーボンニュートラル社会の実現に向けて投資促進税制を創設することにされていますが、これまで、省エネ法の中で連携省エネルギー計画認定制度というものが運用されてまいりました。これは簡単にどういう制度かをおさらいしますと、今日の配付資料の一枚目、表面を御覧いただきたいんですが、ちょうど二〇一八年の経済産業委員会で改正をした内容になりますが、省エネに取り組む事業者、それまでは単独事業者で省エネに取り組んで認定、評価を受けるものだったものが、三年前の改正の際に、複数事業者で一緒に省エネに取り組んでも適正に評価されるような制度内容に変更がされました。

 これは、私、当時、非常にいい制度だということで評価をしていたんですけれども、今回これが廃止になり、そして、次、カーボンニュートラルを目指していく新たな制度に移っていくわけですが、この連携省エネルギー認定制度の実績と、そしてそれに対する政府の評価をまずは伺いたいと思います。よろしくお願いします。

梶山国務大臣 省エネ法では、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対しましてエネルギー消費効率の改善状況等の定期報告を求めていますけれども、複数事業者が連携して省エネに取り組めるよう、平成三十年の省エネ法改正において連携省エネルギー計画認定制度を創設し、同年十二月から施行したところであります。

 この制度では、複数事業者が連携して行う省エネの取組に関する計画を国が認定をし、認定された事業者に対しては、省エネ法に基づく定期報告において、連携による省エネ量を事業者間で分配して報告することを可能としております。

 また、認定計画に基づく省エネ投資については、補助金による支援、省エネ税制による支援のいずれかの支援を活用できることとしてきました。令和三年三月三十一日時点で六件の連携省エネルギー計画を認定していますが、この六件については、いずれも補助金による支援が活用されています。

 この結果、省エネ税制自体の活用はゼロ件でありましたけれども、連携省エネルギー計画の認定を通じて約五百億円もの大規模な省エネ投資がなされており、事業者間連携による省エネ投資を促す枠組みとして一定の効果があったものと考えております。

 引き続き、省エネ補助金等と組み合わせながら、実績の積み上げに向けて取り組んでまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 この連携省エネルギー計画認定制度の実績は六件、計五百億円の投資ということで、この規模が多い少ないというのは今日は議論いたしませんが、若干やはり、一桁というところからすると、何らかの課題があったのではないか、そういうふうな印象を受けましたので、是非これは別の機会にも議論を深めさせていただきたいというふうに思います。

 この連携省エネルギーの認定制度の実績を踏まえた上で、今回、カーボンニュートラル投資促進税制の話に移っていきたいと思うんですが、資料二を御覧ください。

 委員の皆様はもう既に内容は御承知かと思いますが、今回、この投資促進税制、二つの類型を持っておりまして、一つは、脱炭素効果を持つ製品を造る製造ラインを造る場合。もう一つは、それ以外に生産工程全体の脱炭素化に貢献をする設備を導入する場合。後者の場合は、例えばなんですが、ソーラーパネルを設置して再生可能エネルギーを事業所でより多く活用するようにしたりだとか、蓄電池を導入してうまくその再エネを使うとか、こういったことで二酸化炭素、温室効果ガスの排出量を削減していく、こういう効果が望めるわけです。

 二問目にお伺いしたいのは、我々委員に配付されている資料を見ますと、私が今申し上げたような、事業所にパネルをつけたり蓄電池を収めたりというようなイメージで、これはやはり事業者単独で利用するような制度かのように理解をしてしまいがちなんですが、これも、やはり、連携省エネ認定制度と同じように、複数の事業者でこの制度を共同で活用できるようにした方がより効果が高まるのではないかというふうに思うんですが、まず、制度上、複数の事業者間で一緒にこの制度を活用することは可能なのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

矢作政府参考人 お答えいたします。

 このカーボンニュートラル投資促進税制でございますけれども、これを利用するに当たりまして、事前に認定を受ける事業適応計画、これにつきましては、連携省エネルギー計画と同様に、複数事業者による共同申請も可能な仕組みとなってございます。

 例えば、複数の事業者が連携して共同利用していくような設備の導入などを想定しておりまして、この場合、炭素生産性などの省エネ要件を満たせば本税制の対象となる、そういうものでございます。

浅野委員 もう一つ関連して確認をさせていただきたいんですが、仮にこれは、サプライチェーン上で一緒に製造行為を行っている下請企業と発注側のある程度規模の大きな企業が共同でそういった取組をするといった場合にも、認定の対象になるという理解でよろしいでしょうか。

矢作政府参考人 お答えいたします。

 要件につきましては今申し上げたとおりでございますけれども、今先生から御指摘のあったような場合、これも基本的に、連携省エネルギーと同様に、連携した申請としてこの新しいカーボンニュートラル投資促進税制の対象となるというふうに考えてございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今日の配付資料二の真ん中の右側に赤枠で囲ってありますように、ちょっと今、事前に、複数事業者間で共同申請できるという点は事務方の皆さんにも確認させていただいて、ただ、これは、政府が作成したこういう絵を用いた説明資料の中では、複数事業者でも一緒に申請ができますというのがどこにも書いてないんです。

 ただ、条文を読むと、第二十一条の十五の第二項に複数事業者での申請も可能だというのが一文書いてあるだけで、これでは恐らく誰も気づけないだろうというふうに思いますので、今後、これは、運用段階に入った際には、できればそういったところは是非分かりやすくしていただきたいと思います。

 なぜかというと、こういった認定制度は往々にしてそうなんですが、規模の小さな事業者、中小企業の方々が使おうとした場合に、やはり申請の手間であったり、あるいはその下準備のいろいろな計算だとか情報収集の負担が高くて、なかなか利用に行き着かない場合が多いです。ですから、取引のある大きな企業の力をかりながら一緒に申請をすることで両者が恩恵を受けられる、こういったことは十分にあり得る話ですので、是非その辺りは御配慮いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

矢作政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘がございましたように、この法案の第二十一条の十五の第二項で、「二以上の事業者が事業適応を共同して行おうとする場合にあっては、当該二以上の事業者は共同して事業適応計画を作成し、前項の認定を受けることができる。」このように明記されてございます。

 ただ、御指摘ございましたように、事業者に分かりやすく周知していくといったことにつきましては、しっかり対応していきたいと思ってございます。

浅野委員 よろしくお願いします。

 そして、今回、この税制、先ほどもほかの委員の方も話題に上げておりましたが、この税額控除の水準について少し質問させていただきます。

 その前に、海外の事例をちょっと御紹介させていただきたいんですが、資料の三を御覧いただけますでしょうか。

 これは、アメリカにおける投資税額控除制度の概要をまとめたものになります。太陽光ですとか、あるいは風力発電、地熱発電、ヒートポンプ類、こういったものに設備投資をした場合に、こちらの表にありますように、最大三〇%の税額控除を受けることができるような制度が米国にはございます。

 これを活用して、アメリカでは、現在、非常に大規模な太陽光発電と蓄電池を組み合わせたエネルギー貯蔵プロジェクトというのが動いておりまして、まさに三ギガワット級とか、そういうとても大規模な再エネ発電所兼エネルギー貯蔵施設を今カリフォルニアに建設中であります。これを建設する際に活用された政府支援策は、税額控除三〇%というこの制度のみを使ったようなんですが、やはり海外に目を向けますと、こういうエネルギー転換のために政府もかなり大胆な支援策を打っております。

 是非日本においても、今回、税額控除最大一〇%というものなんですが、それでも、財務省の方に聞くと、特例中の特例だという答えが返ってくるんですが、やはりそれでも世界には見劣りしてしまうような今印象を受けておりまして、ここは、是非、今後、更に大胆な支援を打っていくべきではないか、そんなふうに思うんですが、政府の御見解を伺いたいと思います。

新原政府参考人 まず、財務省の方が言われたようですが、最大一〇%の税額控除率なんですが、我が国の税制の中では、特定の地域とか、復興支援とか、インフラ整備とか、そういうものを除きますと、個々の私企業が行う設備投資の税制としては前例のないものになっております。我が国の税制ではそうなっておりまして、正直、企業の投資判断における効果や意義は大きいというふうに考えてはおります。

 それからもう一つ、今、再生可能エネルギーの関係の設備を挙げられましたけれども、この税制は、御案内のとおり、それだけに限られたものではなくて、脱炭素化に資する設備投資を広く対象としているというところは是非御評価をいただければというふうに思っております。

 その上で、再生可能エネルギーについては、この税制のほかに、御案内のFIT制度、あるいは予算措置なんかもございますので、そういうところで総合的に政策パッケージを組んで振興していきたいというふうに考えております。

浅野委員 対象が非常に広いからということも御答弁にありましたが、大臣の、この法案趣旨説明の際にも、本日も触れられておりましたが、これまでの延長線上ではない、既定の枠を超えたような産業界の大きな転換を生み出すためには、やはり、これまでの延長線上ではない支援策の在り方というのは是非御検討を継続していただきたい、そういうふうに思います。

 先ほどはアメリカの例を挙げましたが、ドバイでは更に大規模で、二〇三〇年までに五ギガワット級のソーラー発電、蓄電池併設型のエネルギー貯蔵設備、そして、二〇五〇年までには七五%を再生可能エネルギーで運用するというような、かなり壮大な目標を掲げて、今まさに五ギガワットクラスの発電設備を建設しておりますし、やはり、こういった世界のダイナミズムというものは日本も学ぶべきではないか、そのように思いますので、是非、今後とも議論をさせていただきたいと思います。

 次のテーマですが、次はDX投資促進税制の方に移っていきたいと思いますが、こちらの税制についても、これまでは、いわゆるIoT税制と呼ばれていたデータ利活用のための投資促進税制というのがございました。これは事前に確認したところ、令和二年の三月に廃止をされておりますが、廃止時点での認定件数は二百十件ということでありました。これもやはり私としては、これだけDX、DXと言われていて二百十件かという印象を受けているんですが、この実績に対する評価、そして、これからDX投資促進税制を使って更にDXを推進していこうという中で、どのようにこれを進めていくつもりなのか、見解を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 委員御指摘のIoT税制、製造現場におけるデータ連携、利活用などを促して生産性を向上させることを目的として、平成三十年度に措置した制度であります。制度開始から終了までの二年間で、延べ二百十件の投資計画が認定をされました。

 IoT税制の認定件数については様々な評価があるかもしれませんが、認定計画に含まれる投資額の合計は約六千百二十九億円に達しており、企業のデジタル投資を後押しする効果があったとは考えております。

 また、IoT税制では、サプライチェーン上の社外データを活用した取組や他の法人と連携した取組に係る投資計画の認定が行われました。例えば、工具や備品の市場において、ユーザーの購入予定情報やサプライヤーの在庫情報など、双方が有するデータを連携させて市場全体の効率化等を実現する計画、自社で行う設備の日常点検記録と請負業者が行う精密点検記録をデータ連携させることで予防保全の精度を向上させる計画などが認定をされました。

 このように取組が広がることで、申請企業のみならず、サプライチェーンや業界全体にもデータ連携、利活用が広がっていく効果があったものと認識をしております。

 また、こうした取組のほかにも、産業の現場に蓄積されているデータの利活用を促進するために、デジタルを前提として新しい社会システムの見取図を描くデジタルアーキテクチャーの整備などの取組を進めているところであります。

 今般の法改正で措置するDX投資促進税制の活用を含め、様々な政策を動員して、データ利活用を促進してまいりたいと思っております。

浅野委員 それを伺った上で、DX投資促進税制について質問させていただきたいんですが、データの連携や利活用環境を多くの企業に持っていただく、これは非常に大事なテーマだと思いますし、そこは今回、DX投資促進税制の中にも盛り込まれている理念になりますが、さらに今回は、加えて、クラウド技術を活用することというのがこの要件に含まれているんですね。

 クラウド技術を活用するという要件は、慣れている方からしたらそんなに難しくもないのかもしれませんが、これから情報のデジタル化だとか初めてDXに取り組むという企業からしたら、まずはデータの利活用や連携だけでも大変なのに、更にクラウドまで使わなきゃいけないのかと、むしろ門を狭めているような印象にも映るわけですが、なぜこのクラウド技術の活用というのが要件に含まれたのか、その経緯や必要性について教えていただきたいと思います。

新原政府参考人 御指摘のとおり、クラウド技術というのを要件にしております。これは、インターネットを介してオープンにデータの処理、保管を行うことができる技術をクラウド技術として位置づけて、その活用を税制の適用の一つの要件といたしました。

 その理由でございますが、これもいろいろな議論があると思うんですが、日本の場合、これまで、社内でITシステムを導入する場合でも、部門ごとに割れている、課とか事業部とかですね、それがつながっていないということが、今回のコロナ禍でもそうですが、きちっと連携ができていないというところが非常に問題になってまいります。ということで、部門ごとの縦割り、あるいは自前主義ということを何とか打破をしたいということで、そういう自前主義、縦割りがレガシーの要因ともなってきたものですから、この税制については、特段に支援する対象として、オープンなものということで、このクラウド技術ということを要件にさせていただきました。

 これを入れること、設計が促されることによって、社内外とのデータ連携、共有が容易になって、また、全社的な経営の視点での改革が進んで、将来における我が国社会全体でのデータ利活用が後押しされるものというふうに期待をしているところでございます。

浅野委員 時間が参りましたので、続きはまた次回以降にさせていただきたいと思いますが、やはりこれは、大企業とか技術を知っている方だけではなく、中小企業、これからDXやカーボンニュートラルに取り組み始める方の背中を押す制度でなければいけないと思います。そういう意味では、門をできるだけ広くしていただきたいと思いますので、今後も是非議論させていただきたいと思います。

 本日は終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次回は、来る十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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