衆議院

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第14号 令和3年5月19日(水曜日)

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令和三年五月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君

   理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君

   理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君

      畦元 将吾君    穴見 陽一君

      井出 庸生君    池田 佳隆君

      石川 昭政君    上野 宏史君

      神山 佐市君    神田  裕君

      黄川田仁志君    工藤 彰三君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      繁本  護君    鈴木 淳司君

      武部  新君    辻  清人君

      冨樫 博之君    西村 明宏君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      伊藤 俊輔君    小熊 慎司君

      逢坂 誠二君    落合 貴之君

      田嶋  要君    松田  功君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山崎  誠君    高木美智代君

      吉田 宣弘君    笠井  亮君

      美延 映夫君    浅野  哲君

      石崎  徹君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   経済産業大臣政務官    宗清 皇一君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  成田 達治君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   田辺  治君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            伊藤  豊君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            石田 晋也君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           井上  卓君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 洋子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 多田 明弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三浦 章豪君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          新原 浩朗君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     風木  淳君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山本 和徳君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    奈須野 太君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君

   経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     井出 庸生君

  武部  新君     繁本  護君

  逢坂 誠二君     田嶋  要君

  菅  直人君     小熊 慎司君

  高木美智代君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     黄川田仁志君

  繁本  護君     武部  新君

  小熊 慎司君     伊藤 俊輔君

  田嶋  要君     松田  功君

  吉田 宣弘君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     池田 佳隆君

  伊藤 俊輔君     菅  直人君

  松田  功君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小林 鷹之君

    ―――――――――――――

五月十八日

 新型コロナ危機打開のため持続化給付金の再給付の実施に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九七七号)

 同(笠井亮君紹介)(第九七八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九七九号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第一〇〇九号)

 小規模事業者に対する社会保険料負担軽減支援策等に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一〇二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、内閣官房内閣審議官成田達治君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長田辺治君、金融庁総合政策局審議官油布志行君、金融庁総合政策局審議官伊藤豊君、金融庁総合政策局参事官石田晋也君、金融庁総合政策局参事官井上俊剛君、総務省統計局統計調査部長井上卓君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、厚生労働省大臣官房審議官小林洋子君、経済産業省大臣官房長多田明弘君、経済産業省大臣官房審議官河西康之君、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、経済産業省大臣官房審議官三浦章豪君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省経済産業政策局長新原浩朗君、経済産業省通商政策局長広瀬直君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長風木淳君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山本和徳君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁次長奈須野太君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君及び中小企業庁経営支援部長村上敬亮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田裕君。

神田(裕)委員 おはようございます。自由民主党の神田裕でございます。

 時間が限られてございますので、早速、産業競争力強化法の一部改正法の審議に入らせていただきます。

 この法律は、我が国における経済社会情勢の変化に対応すべく、これまでに数次にわたって改正をされてきたとおり、文字どおり、我が国の産業競争力を強化することが目的の大変重要な法律であると承知をしております。

 現在のコロナ禍において、引き続き多くの企業の皆様が大変厳しい状況にあります。こうした中で、一番重要なことはもちろん事業と雇用を守ることでありますが、一方で、新たな日常と言われる将来を見据えて、中長期的な視点に立って我が国の産業競争力を強化していくために、コロナ禍のこの大変なときこそ、今だからこそ、将来の成長に向けた投資を行うことも大変重要だと思っております。

 そこで、大臣に伺います。

 この法律によりまして、コロナの影響が続く中で、どのように我が国の企業の変革と将来に向けた成長投資を進めて、日本の競争力を向上させていくのでしょうか。伺います。

梶山国務大臣 神田委員にお答えをいたします。

 ウィズコロナ、ポストコロナにおいて日本の競争力を向上させるためには、デジタルやグリーンといった成長の可能性がある分野に積極的な成長投資を進めるとともに、委員御指摘のとおり、コロナ禍で経営環境が厳しい企業に対し、ウィズコロナ、ポストコロナに向けた新たな取組や業態転換といった事業再構築を支援することが重要であると考えております。

 このようなコロナ禍の経済への多様な影響を踏まえて、本法案では、カーボンニュートラルを進めるための設備投資に対する税額控除一〇%等の投資促進税制や、全社レベルのデジタルトランスフォーメーション計画に基づくデジタル関連投資に対する税額控除五%等の投資促進税制、厳しい経営環境の中で、赤字でも努力を惜しまずに事業再構築等に向けた投資を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限額の拡大などを講じることとしているところであります。

 今回の法案だけでなく、予算、税制による措置を総動員することによって、コロナ禍の厳しい事業環境の中であっても、グリーン社会への転換、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築などへの集中投資を促すことでイノベーションを後押しし、ウィズコロナ、ポストコロナにおいて我が国経済が再び力強く成長できるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

神田(裕)委員 梶山大臣、ありがとうございます。苦しいときに抜本的な改革を実行できるかどうか、将来の成長に向けて極めて重要なことだと思っております。そして、三年後、五年後に、一つでも多くの企業がコロナ前より成長できている、そういった状況に、梶山大臣がおっしゃられるように、この法案によって、グリーンやデジタルという成長分野への投資、あるいは事業の再構築を大胆に進めていただきたいと思います。

 次に、ベンチャー企業の支援についてであります。

 産業の競争力を高めていくためには、イノベーションの促進が不可欠であります。そのためには、今ある企業からの投資を促進するだけではなく、イノベーションの担い手であるベンチャー企業を成長させていくことが重要であります。一方で、アメリカや中国に比べまして、我が国のユニコーン企業の数が低調にとどまっております。

 改めて伺いますが、政府はこれまでどのようなベンチャー支援策を講じてきたのか、そしてまた、これまでのベンチャー政策、あるいはコロナ禍におけるベンチャー企業の現状を踏まえまして、今回の法案にどのようなベンチャー施策を盛り込んだのかを伺います。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 神田先生御指摘のとおりでございまして、ベンチャー企業は我が国経済におけますイノベーションを生み出す主体として極めて重要な存在であると認識をしております。特に、ウィズコロナ、ポストコロナの世界におきまして、グリーンやデジタルといった成長戦略を進めるためにも、未開拓の分野に進出をいたしまして、成長の担い手となるベンチャー企業をつくっていくことが不可欠でございます。

 一方で、我が国では、ベンチャー企業の数は年々増加はしているものの、企業の年齢、二年未満の企業が全体に占める割合は一三・九%にとどまっておりまして、アメリカの二〇・五%やイギリスの二二・四%に比べましても低い状態でございます。また、日本の上場企業は、ソニーやホンダなど、戦後直後の十年間に創設された企業が百十九社と最多となる一方で、アメリカの場合は、アマゾンやフェイスブックなど、一九九五年から二〇〇四年に創設された企業が百二十四社と最多となっております。

 実際に、先生のお話にもございましたが、我が国で成長するベンチャー企業は少ない状況でございまして、時価総額十億ドル超の未公開企業でありますいわゆるユニコーンの数は、アメリカの調査によりますと、これは三月一日のものでございますが、日本は四社、それに対してアメリカは二百七十四社、中国で百二十三社、欧州六十七社と、我が国の状況というのは非常に低い状況でございます。

 そのために、政府といたしましては、これまでの産業革新投資機構によりますベンチャー投資や、オープンイノベーション促進税制によりまして、大企業からベンチャー企業への資金提供を加速させているところでございます。

 一方で、コロナ禍でベンチャー企業の資金調達の環境は大変厳しくなっていると認識をしておりまして、こうした状況を踏まえまして、本改正法案では、ベンチャー企業の大型資金調達を支援すべく、民間金融機関からの融資に対する債務の保証制度の創設、オープンイノベーションのグローバル展開を促進するために、国内ファンドにおける海外投資拡大に向けた特例措置の創設などを盛り込んでいるところでございます。

 また、今夏の成長戦略では、ベンチャー企業を生み出し、かつ、その規模を拡大する環境の整備を重要課題として検討する必要があると考えておりまして、経済産業省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

神田(裕)委員 宗清政務官、ありがとうございます。

 ただいま政務官からの答弁にもありましたように、今、世界における企業の時価総額ランキングを見れば、上位には、グーグルやアマゾン、そしてアリババなどの米国や中国のIT系の新興企業がランクインをしているわけでございます。こうした現実を見ても、ベンチャー企業は非常に重要でありますので、経産省が中心になって、是非今後もベンチャー育成に努めていっていただきたいと思います。

 ただいま、将来に向けた成長投資やベンチャー企業の成長支援について答弁いただきましたが、大企業を始めとする既存の企業とベンチャー企業は、まさにイノベーションの両輪であります。ベンチャー企業の成長のためには、経営資源が集中している企業から人、物、金、これを供給することが不可欠であります。それとともに、今ある企業が持続的に成長発展していくためには、ベンチャー企業が持っている革新的な技術や斬新な発想、これが必要とされております。

 そこで伺います。既存の企業とベンチャー企業が連携をしてイノベーションを起こすために、これまでにどのような施策を講じてきたのでしょうか。また、コロナ禍でベンチャー企業への出資が滞っている中で、そうした支援をもっと進めていくべきだと思います。いかがでしょうか。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、イノベーションを推進するためには、大企業などが有する資金などの経営資源を、イノベーションの担い手でございますベンチャー企業に供給し、連携、協業を進めていくことが重要でございます。

 しかしながら、事業会社によりますベンチャー投資は、アメリカの場合年間三兆円程度に、中国が一兆円程度になるのに対しまして、我が国の状況は二千億程度にとどまっておりまして、後押しが必要な状況でございます。

 政府といたしましては、これまで、大企業などからベンチャー企業へ投資を行う場合に二五%の所得控除を行うオープンイノベーション促進税制を創設するなど、既存の企業からベンチャー企業への資金提供を加速させてきたところでございます。

 一方で、コロナ禍でベンチャー企業の資金調達の環境が大変厳しい状態であると認識をしておりまして、今後も、あらゆる政策を総動員いたしまして、大企業等に閉じ込められております経営資源を解放することで、大企業等とベンチャー企業のオープンイノベーションをしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。

神田(裕)委員 ありがとうございます。

 コロナ禍にあっても、アメリカにおいては、ベンチャー企業への出資が増加していると聞いております。ベンチャー企業と大企業のオープンイノベーションは一朝一夕には実現できませんので、先ほど御答弁いただいた税制を始めとする施策は、アフターコロナを見据えて、今後も、更に強力に、長い目線でもって取り組んでいただきたいと思います。

 次に、中小企業支援についてであります。

 中小企業も足下では、コロナ禍で経営環境の厳しい状況が続いております。事業継続や雇用維持のために資金繰り支援などが重要となっておりますが、今のうちから、ポストコロナを見据えた中長期的な中小企業政策をしっかりと考えておかねばならないと思っております。

 中小企業においては、経営者の高齢化や人手不足など構造的な課題も抱えておりますが、まさに地方の経済や雇用の担い手であり、将来にわたって地方経済を維持発展させていく上でも不可欠な存在であります。

 ポストコロナを見据えた中小企業政策の方向性、そして今回の法案の位置づけについて、どのように考えているのでしょうか。伺います。

宗清大臣政務官 お答えさせていただきます。

 中小・小規模事業者の在り方というのは多種多様でございまして、業種や地域ごとに役割も、その在り方も違うために、ポストコロナを見据えて、それぞれの役割に応じた支援を行っていくことが重要でございます。

 今回の法案では、海外での競争を目指す中小企業の中堅企業への成長を後押しするため、資本金によらず、中小企業の定義よりも従業員基準を引き上げた新たな支援類型を創設することとしております。具体的には、中小企業の成長を後押しする経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画の三つの計画認定制度につきまして、規模拡大の事例が多い企業群を支援対象とするよう見直し、日本政策金融公庫の融資等の金融支援等を講じることとしております。

 他方で、地域の経済や雇用を支えていただいております中小・小規模事業者の皆様方について、持続的に発展ができるようにすることも重要でございます。このために、地方自治体と連携をいたしまして、地域課題の解決とビジネスの両立を図る事業などを応援してまいりたいと考えております。

 このように、中小企業のそれぞれの役割に応じてきめ細かく支援をしていくことによりまして、中小企業の足腰をしっかりと強化をしてまいりたいと考えております。

神田(裕)委員 今御答弁のあったとおり、ポストコロナの社会において地域の経済を支えていくためにも、政府が中小企業の足腰の強化を図っていくことが非常に重要であります。

 その際に支援をしていただくに当たっては、単に中小企業の生産性を高めるだけではなくて、災害などに負けない強靱な企業をつくる、そして危機への対応力を高める、こういった視点も必要ではないかと思っております。私は、大臣と同じ、私の地元、茨城県では、二〇一九年秋の豪雨によりまして大変な被害を受けまして、中小企業の事業の継続が、まさに大変な支障を来した、そういったことが強く記憶に残っているわけでございます。

 今回の法案では、中小企業の事業継続力の強化についても措置を講じておりますが、その概要と狙いを、どのようなものでしょうか、伺います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、最近、自然災害は甚大でございますけれども、これに備えて中小企業の事前対策を促進するということは重要だと考えております。二〇一九年の七月から中小企業が策定する防災・減災対策に係る取組を事業継続力強化計画として認定する制度を開始いたしました。本年三月までに約二万六千件の認定を行っております。また、昨年十月からは、計画の対象に感染症対策も追加しているところでございます。

 こうした事業継続力強化に係る取組は一定の進捗があるわけでございますけれども、一方で、ハザードマップの周知でございますとか、中堅企業を中心とするサプライチェーン全体の事業継続力強化は引き続き課題となっております。

 まず、このハザードマップの周知でございますけれども、本法案におきましては、地方自治体がハザードマップなどを活用して行う中小企業に対する災害リスクの周知を促進するということを考えております。

 また、連携事業継続力の強化ということでございますと、やはりサプライチェーンの核となる中堅企業がしっかり中小企業と連携して取り組むということは大事だと思っておりますけれども、現行の経営強化法では、中堅企業に対する支援措置が講じられておりませんで、これが連携事業継続力強化計画の活用が進まない要因の一つではないかと考えております。したがいまして、本法案におきましては、中小企業と連携して事業継続力強化に取り組む中堅企業に対する災害発生時の金融支援などについても盛り込んでございます。

 これらの取組を通じまして、中小企業を含むサプライチェーン全体における事業継続力の強化をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

神田(裕)委員 時間となりましたので終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、石川昭政君。

石川(昭)委員 おはようございます。同じ茨城の石川でございます。

 たまたま今日は茨城県が続くわけですけれども、県民の日ではございませんので。また、大臣、御指導、まずよろしくお願いいたします。

 まず、昨日公表されました内閣府のGDP速報値でございますが、二〇二〇年度、昨年度は、残念ながらマイナス四・六%ということで、戦後最悪の値になりました。これは、経済産業省を始め各省庁の皆様が大変頑張って、様々な補助金もつくっていただき、給付制度もいろいろやった結果、それでもやはりマイナスに、戦後最大に落ち込んだ。

 この結果、大臣、率直にどう思っているのか、十分やったけれどもこれだけの数字しか残らなかったのかと思っていらっしゃるのか、まだまだやれる、やれたんじゃないかとか、いろいろ御感想をお持ちだと思いますので、まず率直な御感想をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 昨年のGDPは通年でマイナス四・六%ということで、大きな需要が消失してしまった、蒸発をしてしまったという言い方もありますけれども、業種によってはほとんどそれらの需要がなくなってしまったということもございます。そういった中での数値であると思います。

 私どもも企業存続のためにできる限りの支援策というものもしてまいりましたし、雇用の存続ということでの政府としての雇用調整助成金等もしてまいりました。そういったことも含めて、しっかりとした支援策をまた考えていくことと併せて、これからの中で、やはり、賃金を上げていくこと、個人消費に直結をする賃金というものをしっかり上げていくような環境づくりというものも大変重要であると考えております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 やはり、政府の役割は、中小企業の事業者の皆様に、是非頑張ってくれ、この暴風雨の後は必ず明るい日本が待っているんだということを、是非大臣の方からも励ましのコメントをどんどん発信していただいて勇気づけていただきたいと思います。

 コロナ禍の前、以前から、私はちょっと問題意識を持っております。これだけ膨大に積み上がった内部留保が適正に回っていっていないのはなぜなのか。そして、民間の貯蓄が過去最大級まで膨れ上がっている。その一方で、やはり人件費というのがずっと低迷してきているわけですね。

 その中で、配当金、これが年々増加しているんですね。九七年から比べますと、当時に比べますと六倍にも、配当金が株主の方に回っている。一方で、人件費は据え置かれているということであります。ちょっと古い数字ですけれども、二〇一九年三月期の配当金総額は、総額ですよ、十一兆六千七百億円に上るわけですね。それだけの金額が株主の方に渡っております。

 私の感覚としては、やはり、この株主資本主義、株主至上主義と言ったらいいんでしょうかね、こちらにちょっと傾き過ぎているのではないかという問題意識を持っておりまして、これは、大臣先ほど御答弁いただきましたけれども、人件費に回していく、適正に配分していく、こういうふうに、どのように大臣、取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 まず、今委員がおっしゃったような内部留保また配当金額ということになっていると思っております。

 なかなかやはり投資の判断がつかないという企業もあるでしょう。そういった中で、税引き後の利益が出てくる、そういった中での今度は配当金の要求ということにもなっているのではないかと思っております。

 投資先をしっかりと明確にしていくということも重要だと思いますし、雇用の中で、今度は賃金が上げられる環境整備というものも我々としてしっかりとしていかなければならないと思っております。

 正規雇用者と非正規雇用者の同一労働同一賃金制の適用を進めるとともに、最低賃金については、より早期に全国加重平均が千円となることを目指して引き上げることに政府としてはしているところであります。

 経済産業省としても、中小企業が生産性を向上して賃上げできるような事業環境の整備に全力を挙げていく。このため、ものづくり補助金、IT導入補助金等の中小企業生産性革命推進事業により、デジタル化のための設備投資など、中小企業の生産性向上に向けた取組を支援してまいりたいと思っております。

 加えて、総額一・一兆円の事業再構築補助金により、思い切った新分野展開や業種、業態転換による生産性の向上も後押しをしてまいります。

 さらに、生み出した付加価値が着実に中小企業に残るように、下請取引におけるしわ寄せ防止など、大企業等との取引環境の改善、これまでずっと続いてきたものなんですけれども、これは大企業にも理解をしていただく、そして、中小企業もしっかりとこれをまた従業員等にお支払いいただく、そういった環境づくりというものをこの一年続けてきているわけでありまして、大企業にもしっかり理解をしていただくことが重要なことだと思っておりますし、早くこの状況を脱して、企業が投資できるような目標づくり、また、そういった環境づくりというものもしていかなければならないと思っております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 政府は、賃金上昇のためにいろいろやっていただいています。その中で、最賃、最低賃金の引上げなんかもそうだと思いますけれども、一ついいなと思うのは、所得拡大税制も入れていただいて、給与を上げたところにはその分差し引く、こういういい税制もつくっていただいていますので、是非それをより拡大して使っていただけるようにPRをお願いいたします。

 それで、最賃の話なんですけれども、最近のニュースでは加重平均千円に向けて議論をスタートするという一方で、一方でですよ、それは、賃金を上昇する、上げるのはいいことである一方で、地元の中小企業の事業者さんからお話を聞くと、やはり、このタイミングでそれをやるかという驚きの声も入ってくるわけですね。これについて、どう政府は考えて、タイミングなどもどう考慮すべきなのかということも含めてお答えいただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 最低賃金の引上げにつきましては、厚生労働省の審議会で議論されることとなっておりますけれども、今大臣御答弁申し上げましたとおり、経済産業省としては、賃上げできる環境を整備するということが大事だと考えておりまして、タイミングなどにつきましても、今後、政府の中で議論してまいりたいと考えております。

小林政府参考人 今経産省の方からも御答弁ございましたけれども、今年度の最低賃金については、六月以降の公労使の三者の最低賃金審議会において議論をして引上げ額を具体的に決定するものでございますけれども、より早期に千円になることを目指しつつという方針を持ちつつも、新型コロナによる雇用、経済への影響にも配慮しながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 次に、ガバナンスについてお伺いしたいと思います。

 今の業績評価制度は、四半期ごとに企業は公表することになっておりますけれども、そうしますと、やはり、長期的な付加価値の創造に経営者はなかなか二の足を踏んでいるのではないか、そういう声も上がっております。EUでは廃止という方向も出ております、やっておりますけれども、この在り方を私は見直すべきだ、もっと長期的なスパンで経営に取り組めるような、そういう業績評価の在り方というのを考えるべきだと思いますが、金融庁のお考えをお伺いします。

井上(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁としては、企業に対する投資家の理解が深まるよう、二〇一九年に内閣府令を改正いたしまして、記述情報の充実を図り、先生御指摘の、中長期的な企業価値向上に向けた投資家と企業との対話を促してきたところでございます。

 御指摘の四半期開示については、中長期の視点で投資を行う観点から企業の業績の進捗確認として意義がある、あるいは、四半期開示義務を見直した場合、開示の後退と受け取られて、我が国の資本市場の競争力に影響を及ぼしかねないといった御指摘もあると承知しております。

 四半期開示の在り方につきましては、その利用者である投資家を始めとする様々な関係者の御意見を踏まえまして、市場への影響を見極めつつ検討を行う必要があると考えております。

石川(昭)委員 是非、検討、見直しをお願いいたします。

 最後に、ちょっとまとめてお伺いします。

 今、事業承継時は個人保証を外すという、禁止をしておりますけれども、これから事業再生が進んでいく中で、既存の債務についてもそれを外して、より柔軟に事業再生をやれるように、再チャレンジを応援すべきだと考えております。それについての御見解。

 それから、ただいま事業者さんの中から、繰上げ返済をやりたいんだけれども、今、コロナ禍で、繰上げ返済は金融機関で受け付けていない、そういうお声も上がっております。これは、金融庁さん、どういう指導をされているのかということ。

 最後に、今、どんどん外資が、技術力を持っている中小企業を、外資が買収に入ってきております。この海外資本を、日本の高い技術力、機微技術をどう守っていくのか。

 この三点についてお伺いして、終わります。

飯田政府参考人 まず、私の方から、個人保証の関係について御説明申し上げたいと思います。

 経営者による個人保証でございますけれども、これは一方で、経営への規律づけ、あるいは信用補完としての資金調達の円滑化に寄与するという側面もございますけれども、一方で、経営者の早期の事業再生の決断を阻害する要因にもなっているということでございまして、非常に事業再生の局面においても重要な課題だと認識しております。

 平成二十五年に策定された経営者保証に関するガイドラインでございますけれども、ここでも、個人破産ではない方法で保証債務整理を行う際の考え方や手続などを整理してございます。

 これを受けまして、中小企業再生支援協議会では、このガイドラインに基づきまして、弁済計画の策定、金融機関との調整についての支援も実施しております。件数も増えてきております。

 さらに、今後、コロナ禍の影響により、事業再生を必要とする中小事業が増加するということでございますので、人員の拡充も行うこととしているところでございます。

 引き続きまして、関係省庁とも連携しながら、経営者の個人保証への対応も含めて、中小企業の事業再生に万全を期してまいりたいと考えております。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機関の取引先事業者におきましては、それぞれの状況によりまして、例えば新規融資の実行のほか、あるいは既存融資の返済据置きを希望する、こういう希望のほかに、委員御指摘いただきましたように、既往の債務につきまして繰り上げて返済したい、そういう御希望の方もあると思います。様々なニーズがあると思います。

 そうした中で、金融機関におきましては、顧客に寄り添い、顧客それぞれのニーズを適切に把握してしっかりと対応していくということが基本だというふうに考えております。

 御指摘のように、顧客が繰上げ返済を希望しているにもかかわらず、金融機関が特に合理的な理由というのもなく一方的に何かこういったものを認めないということがあるならば、それは改善を図らなきゃいけない話だというふうに考えております。

 私どもといたしましては、今後とも、様々な手段で幅広く、情報やこういった問題を収集して、関係省庁とも連携しつつ、モニタリングを通じまして各金融機関の取組の実態を把握して、問題が認められる場合には改善を図らせていきたいというふうに考えております。

風木政府参考人 私の方からは、中小企業の海外資本による買収についてお答えしたいと思います。

 中小企業の買収等を通じて国や企業にとって重要な技術が海外に流出するおそれがあるという御指摘、全くそのとおりでございます。したがいまして、経済産業省では、外為法それから不正競争防止法などで技術流出防止対策をしっかり実施しております。

 具体的には、外為法につきましては、外国投資家が安全保障上の重要な技術や事業を保有する非上場企業の株式を取得する場合は、一株であっても事前届出審査の対象としております。それから、昨年六月に施行された外為法改正でございますが、上場企業についても、事前届出審査対象を株式の一%以上に拡大をしているところでございます。

 こうしたことでしっかり対応していくとともに、不正競争防止法では、営業秘密につきまして、不正な取得や使用などに対して刑事罰が科されることになっていまして、とりわけ平成二十七年改正がございました、ここにおいては、海外での使用、不正な行為、これを重罰化しております。こうしたことで、技術者を通じた先端技術の流出に関しても、抑止力が強化されているところでございます。

 こうした制度を通じまして、適切に運用して、我が国にとって重要な技術を有する中小企業の買収、あるいは技術者の流出については、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

石川(昭)委員 以上、ありがとうございます。

 CCUSの残りの質問は、また次回させていただきます。御準備ありがとうございました。

富田委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、四年ぶりに経産委員会に戻ってまいりまして、久方ぶりに質問させていただきますが、梶山大臣には初めて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、一時支援金につきまして、島根県の我が党の議員から話がございました。それは、申請期限の延長をしてほしいという話でございまして、島根県については、これまで隠岐だけだったのが、四月十四日、松江市始め九市町が追加をされました。

 この周知が遅れていることから聞き取りをしたところ、制度自体を知らない、また、税理士から対象外だと言われた、そしてまた、去年持続化給付金から外れたので諦めていたという状況だったそうで、確かに、四月中旬から周知しても、通常一か月以上はかかるというのが考え方だと思っております。

 このことを中小企業庁にお伝えしたところ、速やかに御対応いただきまして、昨日公表をされました。その詳細を伺いたいと思います。

 また、あわせて、引き続きこの周知に努めていただきたいと思います。特に、これから始まります月次支援金につきましては、業種、地域を問わずということになっております。この周知、特に、中小・小規模事業者にはなかなか伝わりにくいという、これは是非とも、税理士さんを使ったり、またいろいろな形で活用していただきながら周知をすべきではないかと思っております。対応について伺いたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 一時支援金あるいは月次支援金につきまして、周知につきましては、周知が不足しているという御指摘を多々いただいております。私どもとしても、これまでも新聞広告などもやってまいりましたけれども、今後も全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

 その上ででございますけれども、ただいま委員から御指摘ありましたように、申請に必要な書類の準備に時間を要する方もいるということで、一時支援金の書類の提出期限を、昨日、二週間程度延長するということを発表させていただいております。この延長を希望される場合でございますけれども、これは持続化給付金や家賃支援給付金の申請延長のときと同じように、五月の三十一日までにまず申請IDの発行をしていただくということ、それから、マイページ上から延長の申込みを行っていただくという、この二つを行っていただきたいというふうに考えております。

 期限内に申請をしていただくことが大事だと思っておりますので、制度の概要をまとめたチラシだけでなく、新しく申請延長に伴う手続に関するチラシも作成をして、これを全国の登録確認機関でございますとか商工団体を含めた団体に設置することなどによりまして、必要な方に必要な支援をお届けできるよう、事業者の立場に立って、分かりやすく周知、広報に努めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 例えば厚労省では社労士さんにダイレクトにメールを送るとか、そういうこともやっております。というような形で、例えば税理士さんに送っておけば、税理士さんが抱えていらっしゃる団体、また事業者には届くということもありますので、そうしたことも活用していただきながら、工夫をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 実は、私、党でデジタル社会推進本部長も務めておりまして、この一年数か月、コロナ対策事務局長に追われておりましたけれども、今日はデジタル社会推進につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 コロナ禍によりまして、デジタル技術の利用拡大は加速度を増しております。特に、デジタル改革関連法が成立をいたしましたので、デジタル庁の設置に向けましても、秋に向けて急ピッチで進むこととなると思っております。

 ただ、そこで解決すべき課題が多く残っております。そこで、私は、先日、IT業界を代表する方と意見交換をさせていただきました。本法案では、デジタル化の推進につきまして、DX促進税制が盛り込まれておりまして、非常に重要であると思っております。その上で、例えば先端人材の確保、また、データセンター、半導体、こういった、我が国として課題解決に向けてもうそろそろ結論を出さなければいけない、方向性をはっきりさせなければいけないという課題が残っているというところを指摘させていただきたいと思います。

 そこで、初めに、先端技術を担うデジタル人材の確保について伺いたいと思います。

 この先端技術を担う人材確保、育成が我が国のポストコロナ時代の経済成長を決定づけるとともに、デジタル庁の今後、成否の鍵を握ると言っても過言ではないと私は思っております。

 そこで、今日は資料を用意させていただきました。御覧いただきたいのですが、これはIT人材白書二〇二〇年版です。「スキルアップ意欲と活かす場」ということで、先端IT従事者と先端IT非従事者、この双方に対しまして、先端的なIT領域のスキルの習得状況、また今後の予定を尋ねた。その結果、非従事者、いわゆる非先端人材については、いずれの項目についても習得する予定はないという回答が九割に上る結果となった。恐らく、仕事が忙しいからとか、今十分食べていけるからということが多いのかと思います。

 次のページですが、スキルアップに関して、非先端人材は先端人材に比べて時間も費用もかけていない。この下の図ですが、例えば職場以外、業務外ではほとんど勉強しない、これが五一・六%という状況です。また、必要な内容があれば勉強するというのが三二・四%という状況で、更に下の図でいきますと、どのくらい負担をかけていますかというところで、七一%の方がほとんどお金をかけない、こういう状況です。

 さらに、三ページのところですが、ここでは、スキルアップに向けた勉強に関する課題ということで、業務が忙しく、勉強時間が確保できない、これが先端、非先端とも多いわけですが、その下、新しいスキルを習得しても、それを生かす場がない、また、勉強の必要性は余り感じない、そしてまた、意欲が湧かないというのがずっと続いております。

 こういうデータを見ますと、やはりこれをどういうふうにしていくか。例えば、今デジタル庁に関しましても、まさにグーグルとかマイクロソフトが先端の技術を提供しよう、また、それを教えよう、持ち込もう、このようにしているわけです。それに対応できる先端人材の上澄みみたいな方たちが今デジタル庁に集まっているわけでありまして、そうしたエンジニアの方たちが一万人以上は必要だ、このように言われている中で、人材の供給がこれからも継続して果たしてできるのか。特に、民間の先端人材は企業に採用されております。その意味では、もう何としても、この国の先端のIT人材を国を挙げて育成しまして、底上げしていくことが重要だと考えます。

 今現場で起こっていることは、お客様から依頼される仕事は増えているというんですね。依頼者が望むのは先端技術、しかし、それに対応する側は非先端技術者、こうしたミスマッチが生じている。企業が先を走るのは当然ですけれども、エンジニアが従来型の考え方でいるのでミスマッチになっている。従来のエンジニアが勉強する気がないというのが、最大の課題だと思っております。

 そのための一案ですけれども、例えば、企業に選抜組をつくって、その方たちにしっかり勉強してもらって、仕事があるとまた忙しくなりますから、仕事は余り与えずに、お給料が取れる、スキルアップの時間を与える、こういうことを進めることも大事かと思います。

 ただ、今まで企業はそうしたことをやってこなかったんですね。どうしていいか分からないというのも今の状況かと思います。そういうことに対して、何らかの補助、支援、そしてまた企業の積極的な後押しをどういう形でできるか、これはもう国も民間も一緒になって早急に検討すべき課題だと思っております。

 先端人材の育成策について、大臣の御所見を伺います。

梶山国務大臣 非常に重要なテーマであると考えております。

 企業のデジタルトランスフォーメーションを推進していく上で、先端技術を担うデジタル人材を育成、確保していくということは重要でありますし、企業としても、そのことによって事業の幅が広がりますし、それぞれの個人につきましては、スキルを高めることによって、やはり別の企業での雇用というものの可能性も出てくるということでありまして、今IT企業に人材の七割が集中をしているということ、欧米においては大体四割ということで、一般企業に散らばっているんですね。そういったことも含めて、新たな事業の開発も含めてしっかりと対応していくということの重要性はあると思っております。

 経済産業省では、独立行政法人情報処理推進機構においてAI、IoTの先端分野に対応した若手人材を育成する未踏事業や、先端分野の民間講座を認定することで社会人の学び直しを促す第四次産業革命スキル習得講座認定制度を通じて、高度IT人材の育成政策を進めているところであります。

 また、議員御指摘のとおり、社会人の学び直しを更に進めるためには、認定された講座の活用を促す仕掛けが必要であります。このため、厚生労働省と連携をして、本年四月から、認定講座を人材開発支援助成金の対象と位置づけることにより、認定講座を活用して労働者の職業訓練を行う事業者に対して、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成することとしております。

 これらの施策を総動員して、先端技術を担うデジタル人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 また、関連しまして、人材ということで、今後一番の課題は、恐らく地方自治体のシステムをどう維持、管理していくかということだと思っております。

 いずれはエンジニアも、自分の市町村のプラスアルファで作るシステムは自分たちでメンテナンスしていかないといけないというふうになると思います。もしこれが先端技術で作られてしまったら、能力的にメンテナンスできないということが生じてしまいます。地方の自治体のシステム関連企業の方たちの技術をどのように伸ばしていくか、これは火急の課題と思います。

 先ほどの先端人材育成と併せまして、地方も先端人材をどう育成していくか、ここも含めて政府全体で取り組むべき課題ではないでしょうか。その意味では、経産省とデジタル庁、また総務省、必要なら文科省も含めて、協力してやっていくべき課題だと思います。

 その意味では、先端人材の今後の需給状況を見極めながら、将来計画をどう策定をしていくのか。例えば先端人材確保戦略会議とか、こうしたことを急ぎ設置していただきまして、検討を開始してはどうかと御提案をいたします。大臣に是非リーダーシップをお取りいただきたいと願っておりますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

梶山国務大臣 デジタル庁が発足予定でありますけれども、民間企業や海外の先行事例を参考に、政府職員によるデジタル人材育成のための研修制度を充実するとともに、この研修制度を自治体職員にも活用していただくことの検討も含めて、自治体職員の支援に取り組むものと承知をしております。

 全体のデジタル化をしっかりと執行できるようにしていくということも含めて、人員配置また人材の総数、どういう配置がいいかということも、議員の御指摘をまた参考にさせていただきたいと思っております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。自治体の職員、またあわせて、いわゆる管理しているベンダーの方たち、そこもしっかり視野に入れていくべきかと思いますので、お願いをいたします。

 次に、データセンターについて伺います。

 やはりこれから考えなければいけないのは、デジタルガバメントにおきましては、官と民が一体となって仕事をしていく、そのデータセンターをどうするのかというところも結論を出していく必要があるかと思います。

 クラウド・バイ・デフォルト原則を踏まえましてクラウドサービスの利用を促進するわけですが、官と民のデータの蓄積における役割分担を考える必要があるのではないかと思っております。やはり、民間のサービスはできるだけ活用しながら、国民の皆様の利便性をアップさせていく、そして、国としては、本当に重要なデータを、これを果たしてどうしていくのか、それを民間に持たせていいのか、重要データはバックアップも含めて官が持つというような、官と民のやるべきところを切り分けるという作業が必要かと思います。

 このことを踏まえますと、果たして国としてデータセンターを持たなくていいのか。やはり、合弁とか半官半民でもいいのですが、日本の重要なデータに対しまして、データを持つ会社を官民で起こすべきという、こうした御意見も多くいただいております。この点につきましては、大臣と内閣官房のIT室に伺いたいと思います。

梶山国務大臣 データセンターというのは、デジタル社会の基盤となるインフラでありまして、大変重要であります。そして、国内立地を進めていくことも不可欠であると考えております。

 足下を見れば、国内のデータセンターの八割が東京、大阪に立地しており、災害に強いデジタルインフラの構築という点、また、日本全体のデジタル化推進のためには、データセンターの立地をほかのところにも進めなければならないと考えております。

 こうした観点も含めて、また委員から今御指摘のあった観点も含めて、今年の三月に新たな検討会を立ち上げて、大学教授、通信事業者、ITベンダーなどデジタル関係有識者に集まっていただき、今議論を進めているところであります。

 例えば、データセンターの新規立地には複数系統の電力、通信回線が必要であり、これらの早期整備に支援すべきとの意見、また、省エネにつながる技術開発を積極的に支援すべきということ、これは半導体の開発も含めてということになろうかと思いますけれども、検討会の議論やガバメントクラウドの議論も踏まえて、今月末を目途に、データセンターの国内誘致や国内での最適配置に向けた今後の政策の方向性について取りまとめて、早急に実行に移してまいりたいと考えております。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府のシステムの方でございますけれども、政府といたしましては、クラウドサービスの選定におきまして二点、一つは、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度というものがございますが、これに基づいて安全性が評価されたクラウドサービスから調達すること、それからもう一点は、我が国の法律及び締結された条約が適用される国内データセンター、それから我が国に裁判管轄権があるクラウドサービスを採用候補とする、こういったことを基本方針としており、こうした対応によって、契約、それから開発、運用などを含めて国によってしっかりと統制できる、このことが非常に重要だというふうに考えております。

 それから、データセンターにつきましても、先日、成長戦略会議におきまして、平井大臣の方から、現在、各府省がある種それぞれ独自のシステムを整備している状況から、グリーン社会の実現、事業継続計画、BCPの観点、それからセキュリティーの確保の観点から、段階的に最適化を図るといったような方針を打ち出しております。

 こういったことを踏まえながら、クラウドサービスの活用を原則としておりますけれども、クラウドへの完全移行までの工程をどうするか、それから、御指摘のありました機密性の高いデータの管理をどうするのか、それに対してのバックアップの方式、こういったことについて、データセンターの最適化に向けてしっかりと具体的に検討を進めていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、特に重要なデータにつきましては、契約、開発、運用、この点についてしっかりと国が統制できる、こういう形を目指して万全の対応を図っていきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 やはり、官民連携、そしてまたどう切り分けていくかというところを考えますと、ここは省庁縦割りではなくて、経産省そしてまた内閣官房IT室等を含めまして、しっかりと協議をしていただきながら全体像を明らかにしていくということが早急な対応として求められることかと思いますので、是非御対応をよろしくお願いいたします。

 時間がなくなってきましたので、ちょっと半導体の質問は、済みません、飛ばさせていただきまして、ベンチャーについて伺いたいと思います。特に、その中でも、ベンチャー企業、これはもう既に多くの委員が質問されておりますので、今回の支援策につきましては質問を割愛させていただきます。

 一方で、今回のコロナウイルスワクチン開発におきまして、創薬ベンチャーの果たす役割は大きなものがありました。ファイザーとか塩野義とか、ベンチャーを買収していて運よく新たなシーズを持っていたから早かったというふうにおっしゃっているとおりに、一気に開発、実用化を進めることができているわけでございます。

 我が国企業における国産ワクチンの開発は、我が国の安全保障に関わり、また国際貢献にも関わり、ひいては海外ワクチンを買ってばかりいる我が国の財政にも関わるものだと。国産ワクチンの開発を急ぐというのは重要なテーマと思っております。

 そこで、この創薬ベンチャーが他のいわゆるIT系ベンチャーなどと同じ支援策でいいのかというと、ちょっと違うんじゃないかと思います。時間がかかる、また外れる確率も高い、そしてまた使う資金も膨大である。また、国際的な視野に立ちまして、日本だけではなくて海外の創薬ベンチャーの買収なども進めていくべきと考えます。その支援策をどのようにしていくのか、お考えいただきたいと思いますが、大臣の御所見を伺います。

梶山国務大臣 今回のコロナ禍において、創薬ベンチャー企業の役割、大変大きなものがあると思っております。

 一方で、新薬の開発は、今委員からもお話がありましたように、候補物質の探索のための研究開発だけでなく、薬事承認に必要な治験も含めた実用化開発が不可欠であることから、実用化までの開発期間は長く、開発費用も大きいということであります。

 このような課題を踏まえて、政府の健康・医療戦略推進本部ではワクチンの開発、生産体制の強化に向けた議論を進めておりまして、その中では創薬ベンチャーの育成も論点として挙げられているところであります。

 経産省としては、株式会社産業革新機構を通じた資金提供や、創薬ベンチャー向けの上場基準の準備に向けた検討等の取組をこれまで行ってきておりますけれども、引き続き、創薬ベンチャー特有の課題を踏まえて、リスクマネー供給の強化など、我が国の創薬ベンチャーエコシステム全体の底上げを図ってまいりたいと考えております。関係省庁と連携をして、しっかりと取り組んでまいります。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 質問が残りまして恐縮でございますが、これで終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、松平浩一君。

松平委員 おはようございます。立憲民主党、松平浩一です。

 先日の委員会で、証券代行業者である三井住友信託であるとかみずほ信託銀行であるとかが議決権行使を適切にカウントしていなかったという問題を取り上げさせていただきました。こちらの問題を今日は少し深掘りさせていただきたいと思っています。

 その前提として、証券代行業の業界、この構造なんですけれども、これはどういうふうになっているかというと、上場会社は証券代行業者に証券代行業を委託するわけです。そして、この委託というのは上場規程で義務づけられているんですね。だから、上場会社は必ずどこかの証券代行業者に委託しなきゃならないということになっているんです。

 それで、じゃ、受託した証券代行業者は何をするかというと、これは資料一を用意させていただきました。これは信託協会のホームページの図の抜粋なんですけれども、まず、株主の情報というのは証券保管振替機構で、保振ですね、保振が持っています。それで、この図でいうと二と三の部分なんですが、信託銀行が保振に株主の情報をもらうという作業があって、それぞれの株主に会社の配当金を支払う作業、これは図でいうと四と五なんですけれども、こういう作業があります。これが年に大体、多くの会社では二回ぐらいですね、作業として。それから、株主総会の作業ですね、招集通知発送などをする作業。主にこういった仕事を行うわけなんです。

 それで、この証券代行業、これは、先ほども言いましたように、必ず上場会社は委託しなきゃいけない、そして、この証券代行業をできる業者というのも上場規程それから規則によって定められていまして、上場会社の株主名簿管理人、証券代行業者のことなんですけれども、これを一定の業者に限定しているんです。

 そこで、まずお聞きしたいのは、こういった形で一定の業者に限定した趣旨というものを教えていただけますでしょうか。

    〔委員長退席、関(芳)委員長代理着席〕

油布政府参考人 金融庁でございます。

 取引所の方では株式事務代行機関というふうに上場規程上呼んでおりますけれども、上場企業に対しまして、株主名簿の管理や株主総会招集通知の発送などの事務をこの株式事務代行機関に委託するということを定めております。現在、六社を承認しております。

 この制度の趣旨でございますが、当然のことではございますけれども、こうした事務の独占や寡占を図ろうという趣旨のものではございませんので、新たに仮に申請があった場合に、取引所としては、こうした株式事務を適切に行う体制の整備状況あるいは財務や業務の継続性などについて審査を行いまして、業務の遂行体制等が認められる場合には機関として承認を行うと考えております。

松平委員 じゃ、実際に何社がこの業務を行っているか、それから、グループ会社の関係についてもちょっと教えていただいていいでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、この事務代行業、証券代行業を行っている事業者は、先ほど申し上げました東京証券取引所が承認をしております六社でございます。三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、東京証券代行株式会社、日本証券代行株式会社、株式会社アイ・アールジャパンということでございます。

 それで、このうち、申しました三井住友信託銀行、東京証券代行及び日本証券代行、この三社は三井住友トラスト・ホールディングスの一〇〇%子会社でございますので、ここはグループの中に三社あるということでございます。

松平委員 ということは、そのうち二社は実際は一社のグループ会社ということで、事実上四社ということなんですけれども、この事業者は、じゃ、シェアを教えてもらっていいでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 証券代行業務の業界シェアでございますけれども、ヒアリングをしましたところ、受託社数のベースでございますが、昨年の九月末時点の数字で恐縮でございますけれども、先ほど申し上げた三社のグループ、三井住友信託銀行、東京証券代行、日本証券代行を合算した三井住友トラストグループで約四割、それから三菱UFJ信託銀行が、これも約四割、みずほ信託銀行が二割弱、アイ・アールジャパンがおおむね一%ということになってございます。

松平委員 今のお話を聞くと、アイ・アールジャパンが約一%ということは、九九%が残りを占めているわけですよ。非常に、まさに寡占化されている業界だと思います。

 そして、この証券代行業、これは非常に高収益な業界となっているんです。この証券代行業者に支払う株式事務委託料というものがあるんですが、これは一株主当たり年間千円から千五百円程度というふうに言われています。

 物理的に株式を発行していた時代、これは株主名簿のデータ打ち込みとか非常に大変な作業が発生しておりました。でも、今、上場会社、株券発行会社はゼロです。当然のことながら、保振に株式を全部預託していて、電子化も実施されています。だから、株主の情報をもらうという作業は、データをもらうだけなんですよね。

 これは、私の元に実際に届いた声があります、会社さんからですね。大した作業ではないはずなのに、何から何まで追加料金を請求されて、本当にぼったくられている。我々のような小さな企業にとって証券代行費用は物すごく負担が大きいと。もう本当に不満がすごいんです。

 上場コストで大きいのは、やはり監査費用と証券代行費用、この二つだと言われているんです。だから、上場コストの負担を減らすためには、ここは私は減らさなきゃいけないと思っています。

 去年の有価証券報告書、これを私は確認したんですけれども、三菱UFJ信託銀行と三井住友信託銀行、この二つをちょっと確認したんですよね。この二社の証券代行事業の粗利率、これを計算しました。そうしたら、三菱UFJ信託銀行、こちらの粗利率は六〇%、それで、三井住友信託銀行に至っては八二%だったんです、粗利率八二%です。

 九九%の業界という、もうあり得ない寡占化ですよ。それから、規制業種なので、会社としてはもう絶対に契約せざるを得ないという状況です。それで、こういった非常に高収益な業界となっているということ。この状況について、金融庁、どう受け止めているか、教えてください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 証券代行業務につきましては、信託銀行を含めまして、この業務を行う事業者は、事業者としては、個々の事業戦略、経営判断に基づき、手数料水準を決定しているということでございます。

 金融庁といたしましては、一般にはということで恐縮でございますけれども、金融機関が顧客ニーズを踏まえた上で提供するサービスの内容及び対価等について、顧客に適切に説明を行うなど、適切な業務運営が行われることが必要であるというふうに考えております。

 当然、証券代行業務についてもこうした観点から業務運営が行われる必要があるというふうに考えておりまして、私どもとしてもよく見てまいりたいというふうに考えております。

松平委員 本当によく見ていってほしいと思います。

 更に言うと、普通、こういうブルーオーシャン的な事業は、新規参入、競争がやはりあるはずなんですけれども、この新規参入、なっていないんです。二〇一二年に、今から九年前、一社が参入しただけなんです。

 この新規参入が難しいという理由は、解約手数料にあると言われているんです。これは、私、ロイターの報道で知ったんですけれども、この証券代行業者、だから、委託する証券代行業者を替える場合、業界の慣習があって、商慣習があって、株主一人当たり二千円の解約手数料が請求されるらしいんです。なので、会社が委託先を替えようとする場合、五万人の株主がいたら解約料は一億円かかってしまうと。

 記事によると、この費用は、委託会社を替える、新しい委託先が肩代わりすることになっているんですね。だから、携帯みたいになっているわけですよ、新しい会社が払う、替えた先が払うという。

 既存の、九九%のシェアを持っている証券代行業者は、新規を取っても既存の客を取られてしまう場合もあるので、この解約手数料に関しては、取られたり、取り返されたりという関係で、行ったり来たりの関係があるので、だから、そういった形で、平均すれば同等にあるので、解約手数料の負担も余り痛くないわけです。しかし、新規の会社が参入しようとした場合は、新しい顧客を取るだけなので、全ての解約手数料を自分が負担することになって大変なんです。なので新規参入は増えない、そういう構造があるわけです。

 こういう業界の慣習、この高過ぎる解約手数料も含めて、これが新規参入の妨げとなっているこの状況について、まず、金融庁は把握されているか、そしてこの状況についてどう考えるか、教えていただいていいですか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 企業が証券代行の委託替え、解約を行うに際しては、旧証券代行事業者から新証券代行事業者に対して、株主名簿、配当金情報等の、株主、発行会社に関するデータを引き継ぐ必要がございまして、旧証券代行事業者である信託銀行は、企業と合意の上、当該引継ぎに関する対価を解約手数料として企業に請求する取扱いがあるということを承知をしております。そうした中で、解約手数料を企業の代わりに新証券代行事業者が負担するケースもあるということで、委員御指摘のとおり、承知をしております。

 金融庁といたしましては、解約手数料が新規事業者参入の妨げになっているかどうかにつきまして一概にお答えすることは難しいかなというふうに思っておりますが、一般論といたしまして、各金融機関におきましては、各種の法令を適切に遵守して業務運営を行うことが重要であるということも認識しておりますので、そうした観点から、よく見てまいりたいというふうに考えております。

    〔関(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

松平委員 今、御回答で、データの引継ぎ作業があるとおっしゃいましたけれども、例えばアメリカでは、やはり解約手数料はまちまちで、解約手数料を請求しない会社もあるんですね。それはなぜかというと、株主データの電子化はもうされているので、日本もされていますけれども、委託を替えるときの引継ぎ作業コストは事実上発生しない、そういうことも言われているんです。

 だから、きちんと考えて、きちんとやはり見ていただきたいなと私は思います。合意がされているとおっしゃいましたけれども、先ほど言ったように、必ずどこかの会社を選択しなきゃいけないので、そういう状況なので、しかもこれだけの寡占化なので、合意がちゃんとなされているか、事実上の強制になっていないか、そこの部分をきちんと見ていただきたいなと私は思います。

 実際、顧客である会社さん、この問題に踏み込みにくいとおっしゃっていたんです。なぜかというと、銀行だから、グループ会社に銀行があるからです。融資を受けているんです、会社は。だから、やはり融資を受けている会社なので言いにくいらしいんですよね。そういう状況もあるので、ちょっと優越的地位の濫用的なにおいもしますけれども、見ていただきたい。(発言する者あり)ありがとうございます。今、大いにすると、お声もいただきましたけれども。

 ちょっと公正取引委員会にもお聞きしたいんですけれども、取引実態調査をされる場合があると思うんですが、一般的にでいいんですが、どういった場合に調査されるか、教えていただけますでしょうか。

田辺政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会では、例えば規制改革が進んでいる分野など、特定の分野における公正な競争を促進するため、その競争実態や競争政策上の課題について調査を行っているところでございます。

 その結果、競争政策上問題となるおそれが見られた場合には、その旨を指摘して自主的な改善を促すとともに、調査結果を公表しているところでございます。

松平委員 ありがとうございます。

 もし金融庁が動かないのでしたら、ちょっとやはり調査をやってもいいんじゃないかなと私は思います。

 先般申し上げた、株主の議決権の行使がきちんとカウントされていなかったという問題、これは、よく、いろいろな記事を見ると、二十年以上にわたってきた業界慣行のせいだと。それが、もう本当に、東芝の件、株主総会、これが話題になりました。なので、注目されたので、たまたま明るみに出たということなんです。

 だから、これは、余りにも守られた、閉ざされた業界で、やはりガバナンスが利いてこなかった、そういうことなんだと思います。寡占化されて、競争されなくて、顧客が声を上げにくいということです。

 これは経産省に聞いたんですけれども、イギリスとかアメリカでは、機関投資家はもう九割がネットで議決権行使している。ただ、我が国では二割ぐらい、個人投資家に至っては二・五%ぐらいしかまだネットで議決権行使していないと聞きます。

 やはり、私は、ガバナンス、これをしっかり前に進めるためにも、まず、最後に金融庁に聞きますけれども、監督する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の、長年にわたり議決権行使書が適切に集計されていなかったという問題につきましては、私どもといたしましても、大変問題が大きいというふうに考えております。

 現在、三井住友信託銀行及びみずほ信託銀行におきましては、集計業務の適正化、内部管理体制の強化などの再発防止に取り組んでおりますけれども、金融庁としては、引き続きしっかりとフォローアップをしてまいりたいというふうに考えております。

 それから、優越的な地位の濫用でございますけれども、これにつきましても、私ども繰り返し、こういうことがあってはならないということで指導してきておりますけれども、今後も引き続き、こうしたことがないように、よく見てまいりたいというふうに考えております。

松平委員 ありがとうございます。前向きな答弁をいただきました。

 今のやり取りをお聞きになられていて、コーポレートガバナンスを推進する立場から、大臣、いかがでしたでしょうか。

梶山国務大臣 まず、株主総会での議決権行使というのは、本当に、コーポレートガバナンスの基礎となるものであります。上場会社から株式に関する業務を受託している事業者が議決権行使書の集計事務を的確に行うことは重要であると考えております。

 今、金融庁からお話がありましたように、この件の再発防止と、そして、今委員が御指摘のあった件も多分フォローアップされていくものだと思っておりますけれども、やはり、時代が進展をして、特にIT企業であるとかそれに関連する事業者が上場していくということになると、もうほとんどが多分株主総会等もそういった形で行われるのではないかと思っておりますし、ただ、今、はざまのところですから、端境期のところですから、そういったものを両方使えるような仕組みもしっかりやった上で、移行がしやすいような対応というものも必要になってくるのではないかなと思っております。

 いずれにしましても、委員がおっしゃったような事項、疑念がないようにしていく、そして優越的地位の濫用がないようにしていくということが、健全な株式市場、また投資環境を生むものだと思っております。

松平委員 大臣、ありがとうございます。御答弁いただきました。

 次のトピックへ参りたいと思います。

 先日、台湾のTSMC、二月九日の取締役会で、日本にRアンドD拠点、3DIC材料の研究所を一〇〇%子会社で設立するということを発表しました。資本金は最大で百八十六億円と言われています。

 このTSMCの進出について、これはまさかTSMCが独自に、勝手に判断して日本に来ると決めたとは思えないので、経産省としてはどのような狙いで誘致活動を行ったのか、聞かせていただいていいでしょうか。

梶山国務大臣 デジタル化やグリーン化が進む中で、自動車から家電、コンピューターなど、あらゆる機器に頭脳として使用される半導体は、経済社会を支える極めて重要な基盤部品であると考えております。さらに、経済安全保障や産業全体のサプライチェーン強靱化の観点から、その重要性は増してきております。

 経済産業省としても、半導体製造基盤の国内確保に向けて、NEDOに基金を設置し、先端的な半導体の製造技術開発の支援に向けて取り組んできたところであります。

 これは、先端半導体の研究開発拠点が国内に立地することで、国内半導体産業の活性化や将来的な製造拠点の立地にもよい効果を生むことを期待して進めてきたものであります。その際、日本企業が持たない技術やノウハウについて、海外企業の誘致も視野に入れて進めてきたということであります。

 こうした中、本年二月に半導体製造大手のTSMCが日本に研究開発拠点を設置することを発表したことは歓迎をしたいと思っております。

 経済産業省としては、NEDOの基金や様々な施策を通して、引き続き国内の製造基盤の強化を図ってまいりたいと思っておりますし、これは次世代の半導体ということですから、ここまでは、今現状はなかなか、やはり半導体の事業、国内企業、日本の企業は難しいところに来ておりますけれども、次世代についてしっかりと先行している企業たちに追いつく、またそれを追い越すような開発をして、国内の工場立地等につなげていくような取組にしたいと思っております。

松平委員 このTSMCの取締役会決議のリリースには、3DICの材料研究とあって、これは後工程の話だと思うんです。

 三月二十三日、経産省は前工程の方の採択事業者を発表しました、補助金の話ですけれども。一方で、今は、これと別に、NEDOは後工程の公募も行っています。こちらについてお聞きしたいんですが、国籍的な視点も含めて、このTSMCの後工程のRアンドDですね、補助金の対象となり得るのかという点、お聞きさせていただいていいでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 NEDOの基金では、半導体製造の後工程に関する研究開発も支援対象となっておりまして、TSMCの日本の拠点で実施する研究開発もNEDOの補助金の支援対象となり得るというふうに考えられると考えております。また、日本法人で国内に研究開発拠点がある場合は、親会社が海外企業であってもNEDOの補助金の支援対象となり得るということでございます。

松平委員 では、今のこの募集についてのステータス、それから採択の決定はいつかということも教えていただいていいでしょうか。

三浦政府参考人 NEDOにおきまして、本年二月五日から四月八日にかけて公募を実施しており、現在審査中ということでございます。採択事業者については六月上旬に公表予定でございます。

松平委員 済みません、度々ちょっとなんですけれども、じゃ、金額規模、こちらはどの程度か教えていただけますか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 高性能コンピューティング向けの半導体製造の後工程に関する研究開発項目については、一件当たり最大二百五十億円の補助金額となっております。

松平委員 はい、分かりました。公募開始が二月五日で、このRアンドD拠点の開設の役会の決定が二月九日なので、TSMCとしてもこの補助金をやはり踏まえて決定した可能性が高いと私は思っていますし、そういうことなんだろうなと思います。

 この拠点誘致の経緯について報道がありまして、資料二で日経新聞の記事を配っていますけれども、これ、網かけの部分ですね、まず、前工程のファブ建設、これを狙った、波及効果も大きいので、これを狙ったが、期待はあえなく破れたと。それで、断られて、後工程でどうかと。それで、それでも駄目で、もうちょっと後半の部分ですけれども、まずは研究開発からでもと食い下がったということのようなんです。非常に頑張られたのかなとこの記事を読んで思うんですけれども。実際の工場の進出先というのはアメリカのアリゾナ州を選んだということも書いてあります。

 TSMCがやはりこの選択をしたというのは分かる気がします。アメリカはアップルとかクアルコムとかロジックの半導体の重要なお客さんが多いということなのですね。そういうところに比べたらちょっと仕方ないかというところもあるんですけれども、これ、日本に研究開発拠点を開設するということで、逆に、じゃ、TSMCにとってどういう狙いがあるのかなと思ったときに、大臣、先ほど御答弁で、よい効果を期待したい、歓迎したいとおっしゃられたんですが、ちょっとやはり懸念もあります。

 というのは、外資の大手の半導体メーカー、日本に研究拠点を置く実際の目的というのを聞いたことがあって、こういう声もあるんですね。日本の企業や大学からの情報収集、それから新規装置とか産業の調達の交渉、それから日本の技術者のリクルート、これが実際の目的なんだという話があるんです。

 だから、私、今回の件、技術とか人材の単なる流出の拠点になってしまわないかというところ、先ほど、補助金の対象にもなり得るという話もありましたけれども、補助金を与えてまでというところで、本当にこれは単に手放しで喜んでいいものなのかどうかというところ、どうお考えか、お聞きさせていただいていいでしょうか。

梶山国務大臣 技術の流出、人材の流出というのは、かなり留意をしなければならないと思っております。

 日本の半導体製造装置、素材の強みを生かして海外企業との間で技術開発の連携を進めていくことは、半導体産業の競争力維持、強化にとって大変重要なことであります。そして、次世代の半導体ということで、さらに、この次世代の半導体でしっかり主導権を握っていくという大きな目標もあるわけであります。

 他方、協力連携をすることで、逆に、我が国が持つ最先端技術や人材の流出により、かえって競争力が損なわれるようなことがあってはならないと考えております。

 このような観点から、国による機微技術の輸出管理はもちろんのこと、各企業において個社の競争の源泉となる技術については適切に管理されていくことが重要であります。NEDOの基金でも、海外企業との連携を前提とした事業を支援しておりますけれども、公募の審査基準として、適切な情報管理体制の確保を求めており、技術流出にも気をつけるように、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 また、人材流出の対策についても、海外企業との連携にかかわらず、それぞれの企業が取り組むべきことでありますが、人材こそが技術力、競争力の源泉であるということを認識した上で、適切な報酬やポストを用意することが重要であると考えております。

松平委員 それぞれの企業が取り組むというふうに、本当に、企業任せにしないでもらいたいなと思っています。

 四月七日付のワシントン・ポストの記事がありまして、それを資料三でお配りしました。これは記事の抜粋なので、私、この場でちょっと解説させていただきますね。

 フェイテンという中国の会社、これはアメリカの商務省のエンティティーリストに載った会社なんですけれども、こちら、人民解放軍の極超音速ミサイルをシミュレートするスーパーコンピューターの会社なんです。このフェイテンのチップを、TSMCの工場で生産されているという報道なんです。同時に、TSMCのチップが米国と中国の軍用に使われている、そういうことも述べられているんです。これについては、TSMCは否定しています。

 ただ、こういった報道もあるんですが、やはり安全保障上の懸念ですね、そこの部分についてもお聞かせいただいていいでしょうか、どう受け止めているか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道については承知をしておりますが、事実関係について承知をしていないので、お答えは差し控えさせていただければと思いますが、一般論として申し上げれば、安全保障上の機微な技術の海外移転などについては、外為法に基づき適切に対応していくということかと思います。

松平委員 ちなみに、この記事が出た後、四月十三日のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙では、TSMCは、今後のフェイテン向けのチップ出荷は行わない、取りやめたというふうな報道もありました。

 次、外為法上の輸出制限の話、今御答弁いただいたので、韓国への輸出制限についてもお伺いしたいなと思います。

 二〇一九年七月から、半導体製造に使う素材、フッ化水素とかフォトレジストとか、この韓国向け輸出について包括許可を個別許可にしました。まず、前提として、この個別許可にした理由、簡単に教えていただいていいでしょうか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の二〇一九年七月に公表した韓国向けの輸出管理の運用見直しでございますが、これは、安全保障を目的に、輸出管理を適切に実施する観点から、その運用を見直したものでございます。

 具体的には、フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの三品目につきましては、韓国の輸出管理の運用及び体制の脆弱性への懸念、これがあること、それから、製品や取引の特性から短納期で発注がなされる、輸出管理が不適切になる傾向がある、こうしたことから、韓国向けの輸出については、包括の輸出許可の対象から外しまして、個別の輸出許可申請を求めることとしたものでございます。

松平委員 では、この見直しについて今も継続しているのか、今の状況について教えていただいてもいいでしょうか。

風木政府参考人 運用見直しの対象、先ほど三品目申し上げました、そのうち、レジスト、このうちの一品目につきましては、安全保障上問題がないと認められる同一取引先との反復継続的な取引がある輸出者に限定しまして、二〇一九年十二月に、一括して申請することができる、これは特定包括許可というものですが、この適用を認めたところでございます。

 このレジスト以外の品目につきましては、これまでどおり、現在も見直し後の内容、すなわち個別許可を継続しているところでございます。

松平委員 まだ継続されているということなんですけれども、韓国のフッ化水素の輸入量、こちらを見ると、日経新聞の、資料四を御用意させていただいたんですけれども、まず、これは、二〇一九年七月に輸入の運用を変えて、その年の十二月に輸入再開されたけれども、一九年の七月に減ったままやはり回復していないということのようなんです。これは網かけした部分ですけれども。韓国の輸入は回復していない、じゃ、どうしているのかというと、補ったのは、韓国国内の素材企業、サムスンの関連会社とかSKマテリアルズ、そういった会社が量産を始めたということなんです。つまり、もう本当に大ざっぱに言うと、日本が強かった素材、これを韓国が育てるきっかけとなってしまったということなんですね。

 この後の記事では、やはり、韓国政府はサプライチェーン全体で日本依存脱却のために幅広い素材や製造装置で国産化を推進するというふうに続いていくんです。だから、結果的に、日本が強かった分野で競争相手を増やしてしまっているんです。だから、私は、産業政策としての観点からすると、この輸出制限というのは副作用が大きかったんじゃないかなと思います。

 そこでお聞きしたいんですが、この輸出制限についてこのまま継続していくことになるのかどうか、教えていただけますか。

風木政府参考人 お答えいたします。

 この韓国に対する輸出管理でございますが、日韓の輸出管理当局間の政策対話を通じて、韓国の輸出管理の状況、先ほど不備な点を申し上げましたけれども、そこを総合的に評価しまして、実効性を見極めたいというふうに考えていたところです。

 しかし、二〇二〇年の七月に、WTO紛争解決機関において、韓国の要請により、三品目の韓国向け輸出管理の運用見直しに関するWTOのパネルが設置されているところでございます。こうした状況では、政策対話を通じた韓国における輸出管理の実効性確認が困難となっているという状況でございます。

 それから、この韓国向けの輸出管理の運用見直しにつきまして、輸出制限というような御指摘もございましたが、これは安全保障目的の輸出管理の一環でございまして、これは禁輸措置でもございません。厳正な審査の上で、正当な民間取引、民生用と確認されれば、これは輸出を許可しているところでございます。

 いずれにせよ、引き続き適切な輸出管理の実施に努めてまいりたいと考えております。

松平委員 分かるんですが、産業政策としての観点からちょっと申し述べさせていただいたことになります。

 どうこの半導体産業を育てるかということなんですけれども、残り時間がもう少なくなってきたんですが。

 ちょっと、諸外国、皆さんも御存じのことかと思うんですけれども、アメリカでは、半導体業界向けに五百億ドル、約五・五兆円投資するということを表明されていますし、EUは、今後の二、三年で、半導体を含むデジタル分野ということですけれども、千三百五十億ユーロ、約十八兆円投資するという話なんです。

 それで、翻って、我が国ではどうか。

 先日、梶山大臣も御答弁いただいて、十年間続けられる基金二兆円、組ませていただいたということでありますとおっしゃいました。ただ、やはり二兆円の基金も、十四分野の、半導体は一分野にすぎないんです。だから、単純に割ると、二兆円で計算できないです。二兆円を十四で割らなきゃいけないです。

 あと、梶山大臣、御答弁で、NEDOに二千億の基金を設置しましたとおっしゃられているんですけれども、この二千億の基金も、ちゃんと見ると、ポスト5Gの情報通信システムの開発、これも含まれているんですね。済みません、一問飛ばしますけれども。これ、聞くと、半導体だけだったらこれの半分ぐらいですよ。

 あと、サプライチェーンというものを考えながら五千億の投資をさせていただいておりますという御答弁がありましたけれども、これもやはり、サプライチェーン全体の日本回帰ということで、半導体に限ったわけじゃないんですね。そう考えると、やはり少ないと思います。

 プラス、やはり資金援助的な補助金という形だけじゃなくて、企業を育てるという観点から、産業革新投資機構みたいなところを使った投資というところ、本当に投資というところも考えられると思います。

 ですので、もっと半導体業界に特化した支援というところ、国を挙げた支援というものを考えるべきだと思います。その点の御感触について、大臣、最後に一言よろしいでしょうか。

梶山国務大臣 これまでも答弁で述べてきておりますけれども、必要であれば予算の措置もしていくということであります。

 さらにまた、研究開発で二兆円ということでありますけれども、さらに、投資の段階になったときには別の予算を組んでいくということにもなろうかと思います。

 現状でということでしたので、サプライチェーン補助金で二十件を超える半導体関連の採択がありましたということですけれども、また次の段階の、新しい半導体というのは投資額も大変大きくなると思いますので、民間の投資も含めて、どういう形で国が役割を担っていくかということも大切だと思っております。

 それらについてしっかりと行うことと、あとは、出資ですね、今言ったような、例えば産業革新投資機構についてのことでありますが、企業側が投資を必要とするか、投資後の成長ストーリーを描けるかということも含めて産業革新機構が投資判断を行う中で、状況に合致する適切な案件があれば、支援策の一つとなり得ると思っております。

 いずれにしましても、十四分野で割るんじゃないかというお話がありましたが、半導体は特に重要な分野であると思っております。特にやはり我が国がリードしている分野もイメージセンサーなんかでもありますから、そういったものをいかに伸ばしていくか。次世代半導体で、3Dのお話がありました。これらもいかに開発していくことができるかということを視点に置いて、しっかりとした予算措置、また、支援もしてまいりたいと思っております。

松平委員 どうもありがとうございます。

 質疑時間がちょうど終了しましたので、これにて終わります。どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 衆議院議員の山岡達丸でございます。

 本日、産業競争力強化法案ということで、この改正案ということで、質疑の時間をいただいております。前回に引き続いて、ちょっと、前回質問し切れなかった部分から伺いたいと思うんですが、前回、脱炭素技術のことで、苫小牧のCCS、CCUSという地域、物づくり産業の町、そういうところの努力のことについていろいろ取り上げさせていただきましたが、水素についても、やはり北海道で様々努力している地域がありまして、私が政治活動として活動させていただいているエリアには北海道の室蘭市というところがございますが、この室蘭はこの度、協議会もつくり、水素輸入拠点の誘致をしていきたいということを強く打ち上げました。

 室蘭は元々、鉄の町とも言われて、ずっと物づくりが盛んだったわけでありますが、早くからこの水素ということに着目をされ、経産省が水素ステーションを全国に普及させようという措置をする前から、市独自に水素ステーションを設置して水素燃料の自動車を入れたりとか、地域住民を巻き込んで水素ということにすごく皆さんで勉強をして、そして、いろいろな産業をこれからまた活性化していくに当たって、必ず次の時代は水素になっていくんだということも念頭に置きながら、この度、政府がそうしたことに大きくシフトする、もちろん元々力を入れておられましたけれども、大きくシフトする方向になったということで、まさに、海外からも含めて水素を輸入する、そういう、港湾の町でもありますから、港の機能を生かしていきたいということを強く考えているわけであります。

 まず、大臣にお伺いしたいんですけれども、こうした地域としての様々な努力をしている中で、この室蘭の取組、大臣、率直に、どのように感じられるか、伺いたいと思います。

梶山国務大臣 室蘭市においては、早期より水素ステーション整備やFCVの導入を行うなど、先進的な取組を進めてきた地域であると考えております。さらに、今年に入ってからは、水素輸入拠点誘致を目指して、民間企業を巻き込んだ新たな協議会を設立する動きもあると伺っておりまして、こうした前向きな取組は大変心強いと思っております。

 特に、今、従来の港があり、重要港の港があります。そして、国交省においても、カーボンニュートラルポートというような取組もあります。港近辺での水素の活用ということも考えております。さらにまた、海外からの水素の輸入ということ、さらにまた、いずれはやはり自前でということも含めてお考えなのかもしれませんけれども、こういった取組、二〇五〇年に向けて水素を大きなプレーヤーに育てていくためにも重要な取組だと思っておりますので、私どもはしっかりと応援をさせていただきたいと思いますし、室蘭は先行例だと思っておりますので、しっかり対応してまいりたいと思います。

山岡委員 大臣から先行例というお話もいただきましたが、是非これは、実現に向けてこれからまた着実に進んでいかなければならない中で、心強く、応援していきたいというお話もありましたので、様々な課題が見つかってくるだろうと思います。そのときにいろいろな形で支援をしていただきたいということを思いますので、この場でもお願いさせていただきたいと思います。

 経産省に伺いますけれども、室蘭という町はこの水素というのを早くから着手をしてきたんですが、北海道という地形の中でこれから洋上風力もかなり国が力を入れていかれるということで、洋上風力設置に当たってのバックヤードを含めたそうした拠点港も目指していこうということも並行して考えてきたという経過がございました。

 この中で、資源エネルギー庁がこの度、洋上風力等からつくった電気をまた港に持ってきて、そこでまた水素を生成してそれを地域の中で循環させていくという、かなり将来に向けたビジョンではありますけれども、そうした地域構想というのも打ち出されまして、例えば、室蘭というこれまで鉄鋼の町としてずっとやってきた町がどういう方向にこれから行けばいいかということを考えたときに、極めて魅力的なビジョンにも映ってくるというわけであります。

 ですので、この構想に基づいた特に地方都市、そうした港湾の町、その方向には是非導いていただきたいなということを思うわけでありますが、今現在、この辺り、どういう取組をされておられるのか、ここを伺いたいと思います。

茂木政府参考人 北海道は、今議員御指摘のとおり、再エネ資源が大変豊富でございまして、洋上風力を含む再エネ由来の水素、こうしたものも室蘭のような工業地帯で利活用されるということは、北海道全体のカーボンニュートラルの実現にとっても極めて重要であるというふうに考えています。

 経産省としては、この水素の社会実装を効率的に実現していくための、需要と供給が隣接する地域におけるモデルというのをつくっていくために、供給コストの低減と水素利活用の拡大に向けた取組を進めているところであります。

 具体的には、水素コスト、水素の製造コストを低減していくというために、水電解装置のコスト低減に向けた大型化とかモジュール化、こうした技術開発を進めてまいりますし、それから、再エネの、余剰再エネを活用した柔軟な運転技術の実証や制度整備、こういったものも進めていきます。

 また、供給と併せまして、利活用のサイドということで、発電や輸送や産業などの技術実証、こういうのも進めてまいります。

 それから、加えまして、地域における水素の利活用モデル、こういったものもつくっていくということが必要でありますので、これは、港湾の周辺地域に立地する民間の企業の皆様や、あるいは自治体などが中心となって、水素を利活用するためのポテンシャルの調査ですとか、あるいは新しい計画の策定の支援、こうしたものも継続して行ってまいりたいというふうに思っています。

 こういった取組を通じて、水素の社会実装を加速化していきたいというふうに考えています。

山岡委員 今、お話の中で、北海道全体のカーボンニュートラルにも大きく資するということで、社会的な意義も大きい取組だと思いますので、地域の中で、資源エネルギー庁にも、様々これから、いろいろな課題解決のための質問もあるでしょうし、あるいはアドバイスをいただきたいという話もあるでしょうから、いろいろ、様々な形で支援を賜りたいということを強く申し上げさせていただきたいと思います。

 今日はさらに、この話から、エネルギーの話を少し先に伺いたいと思います。

 産業競争力強化法案は、いろいろな分野の企業の競争力、活力向上ということもあると思いますが、その中で、エネルギーのことについてもかなり法案の中で含まれているところであります。

 この委員会でも、そこに関連して、この間の冬のいわゆる電力の需給の逼迫、それに伴って、スポット市場という、その日の取引の電力市場が大きく高騰したということがございました。私も、私の立場から、私の視点を持って、このことについてお伺いしたいと思います。

 北海道では、二〇一八年、胆振東部地震がございまして、私自身の活動エリアが胆振ということもあって、多くの人が災害に見舞われて亡くなられた地域でもあります、災害の復旧復興ということ、あるいは、今後災害があったときに被害を最小限にしていくということは、私自身の活動としても応えていかなきゃいけないという思いであります。

 この地震で、人命に関わる被害も多数あったわけでありますが、しかし、大きな事象としてあったことは、皆様御存じのとおりなのでありますけれども、北海道全体の停電でございました。すなわちブラックアウトが起こったということであります。

 極めて、やはり電気がない、電力がないという暮らしが地域にとっていかに不安を広げるか、そして、幸い、様々な関係者の御努力の中で、それなりに早く復旧があったわけでありますが、しかし、起こった当初は、先が見えない中で非常に地域不安が広がっていたということを、私自身も北海道の中におりましたので、そのことを自分の身をもっても体験させていただいたという状況でもございました。

 こうした中で、昨年から今年にかけての冬においては、停電にはならなかったんですが、電力の需給が逼迫し、特に燃料が不足した中で、結果として市場が高騰したということがあったわけであります。このことを取り上げようと思っていたんですが、大臣からこの度、皆様にお配りした資料の、済みません、四番目のページからなんですけれども、最近発表があったお話で、このことをまず伺いたいんですけれども。

 これは、前回の冬だけじゃなくて、この夏も、安定供給に必要な供給力は辛うじて確保できるものの、ここ数年では最も厳しい見通しだということが発表されました。あわせて、次の冬については、現時点では、東京エリアにおいて安定供給に必要な供給力が確保できない見通しだと、かなり衝撃的な中身の発表をされたわけであります。

 資料五にその具体的な数字もつけさせていただきましたけれども、大体三%予備率が最低限必要な安定供給のための供給力が、夏に関しては三・七、八%程度の余力、そして、冬については東京ではマイナス〇・二、〇・三になっているという状況であるということでございました。

 本当に電力全体の状況は一体どうなってしまっているのかということを強く感じるわけでありますが、大臣、このままだと、この間のような逼迫みたいな状況が繰り返されるのかということがあろうかと思いますし、どう対処するのかということでいえば、この資料四につけさせていただいた中身に幾つか書いてあるんですけれども、小売事業の供給力確保とかいっても、もうすぐ目の前の話であると思うんですよ。そうすると、事実上は需要家に対する協力要請、つまり節電のお願いをするということが主題になった対応ということになってしまうのかなということを思うわけでありますが、大臣、この対応等をどう考えておられるのでしょうか。

梶山国務大臣 現状、このままでいけばということでお話をさせていただきました。その上でしっかりとした対応をしていくということで、今委員からお話があったような対策について、今議論をしているところであります。

 この夏は辛うじて大丈夫だと思っております。というのは、火力で市場から退出をしていく電源というものは結構あるわけですね。そういったものも含めて、どう扱っていくか。カーボンニュートラルを目指す上で、その過程において、そういう形が出てくるということであります。それらを、例えば休止の形ではメンテナンスの費用がかかるということで、やはり完全に退出させたいと思う事業者側もいるということであります。そういったことについて、発電事業者に対する供給力の確保の働きかけということで、暫定的に、どのくらいか、供給確保をしっかりしていただく。次の予定ができるまで、次の置き換えができるまでにそういったものをしていただくということも重要かと思っております。

 そして、需要家に対する協力要請というのも、今委員がおっしゃったとおりでありますけれども、需要、供給に関するタイムリーな情報提供、その他の必要な制度的な措置の検討といったことについて、早急に対策をまとめるように指示をしております。

 全体の電力量が足りなくなること、あと、市場への影響ということも含めて、総体的にしっかりと考えてまいりたいと思っております。

山岡委員 大臣、ちょっと確認したいんですが、夏は辛うじて大丈夫だということをおっしゃられましたが、これは節電要請をされない、されなくても大丈夫だということでいいんでしょうか。

梶山国務大臣 つい目先のことであっても将来のことですから、断定はできませんけれども、そういう思いで今想定をしております。

山岡委員 この発表資料には需要家に対する協力要請ということが書かれているわけでありますが、夏は、これが開催されるのかどうかは別にして、オリンピックということが、少なくとも今、政府が予定されているという状況で進んでいるわけでありますが、需要家に対する協力要請というのは、この夏にかかる協力要請というのは、当然、理論上、オリンピック組織委員会、そこに対する要請というのも含まれてくるということでよろしいんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 詳細な話でありましたので私の方から御答弁申し上げますけれども、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、今年の夏、冬につきましては、先般、電力広域的運営推進機関の方で発表されました需給の見通しでは厳しい状況となっております。夏について申しますと三・七から三・八というところでございますが、三%のラインは今のところ確保できてございますが、この数年の中では一番厳しく、その状況については注視していかなきゃいけないというふうには考えております。

 節電要請というものを法律上なすのは三%を切ったレベルからになってくるわけでございますが、長期になってきますと、節電の呼びかけ、効率的な利用の呼びかけというのは例年どおり行っていくというのが、今の状況について言うと、考えられるところだと思います。

 ただ、これは予断を許さないところでございますので、大臣の指示を踏まえまして、どのような策を、発電側、小売側、そして需要家の皆様方による御協力、やっていかなければいけないことを今検討中でございます。

山岡委員 今部長から、節電の要請は、呼びかけは考えていくんだというお話もありましたが、この大臣の少なくとも発表された中では協力要請をしていくということが書かれているわけであります。

 私は、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、今、オリンピックを開催するかどうかという議論は置いておいて、開催するということになったときに、例えばワクチンの接種をどういうふうな優先順位にするのかとか様々な議論があって、オリンピックの優先順位はどうするのかという議論があろうかと思います。この中で、夏の電力が逼迫して、いわゆる国民に節電の要請というところまでいくのか、あるいは呼びかけなのか。少なくとも、厳しいからお願いしますということに当たったときに、そこに同時に開かれるオリンピックに対して、これに節電というようなことを同じように行わなければ、国民の生活を犠牲にしてでも電力をオリンピックに提供するのかという同じ批判が起こると思うんです。

 ですから、大臣に改めて伺いたいんですけれども、これはオリンピック組織委員会等も含めて節電を要請していくんだと、場合によってはですね、そのことをちょっとここではっきり申し上げていただきたいんですが。

梶山国務大臣 需要家に対する要請というのは、例えば工場の稼働をどうするかとか、そういう大口の需要家に対するものもあるわけであります。そういったことも含めて段階的に考えていきたいということ。

 そして、例年ですと、夏の一番の需要期というのは、甲子園の野球、高校野球大会のところに皆さんがやはりテレビをつける、そしてクーラーをつける、そういった中での節電要請というものもした時期があったかと思いますけれども、オリンピックもそういう形で、もし開かれるということであれば国民の耳目を集めるということでしょうから、そういったことも考えていかなければならないと思います。

山岡委員 大臣にお答えいただきましたが、これは本当に、私たちはみんな、議員たちも、経産委員会ということでありますから、電力というのをいかに国民の皆様に公平に、きちんと享受していただけるものを考えていかなきゃいけないときに、この点というのは極めて重要だと思いますので、是非、もし仮にそうなったら、そういう対応をすべきだということを私からも申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、スポット市場の高騰について伺いたいんですけれども、資料の八番目に、この委員会でも再三再四取り上げておられますけれども、一時期、以前の冬に燃料が足りなくなり、日頃の価格にしてみたら異常とも言われますけれども、最大二百五十円までつけたということで、その後、二百円の上限規制をつけた中では二百円ということで推移しているわけでありますけれども、こういう高騰が生じているわけであります。

 いろいろな答弁、これまで経産省の方はされているわけでありますけれども、当然、自由化という制度を入れるに当たって、経済産業省は、資源エネルギー庁としては、こういう高騰というのがあり得るということは予見されていたということで理解していいんでしょうか。伺います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事前に、今般のようなスポット市場の高騰があり得るかどうか予期されていたかどうかという御質問をいただきました。

 災害等により供給力が減少した場合には、スポット市場価格が高騰し、それが一定期間継続することがあり得ることにつきましては、有識者や新電力などの事業者から成る私どもの審議会におきまして、具体的な期日で申しますと、二〇一九年九月から十二月にかけて計四回、また資源エネルギー庁の審議会におきましても、二〇一九年六月から二〇年三月にかけての計五回、今御指摘いただきましたような想定も踏まえまして議論が行われてきたと承知をしております。

 具体的に申し上げます。

 審議会におきましては、二〇二二年度以降のインバランス料金制度設計に際して、スポット市場がある程度の期間高騰することが不可避となる計画停電の場合に市場を閉じるかどうかの議論がございました。計画停電は、御承知のように、三・一一の後、三月十四日から二十八日まで二週間実施されたことは周知の事実でございますので、計画停電時に市場を閉じるということは、数週間程度、スポット市場の高騰を容認する、予想することにほかなりません。それで、その結果といたしまして、審議会での議論の結果、計画停電の場合にも市場は閉じぬことになりました。

 また、あと、御指摘でもございました、そういったことに関して説明はどのようにしたのかどうかということでございますが、当委員会といたしましては、審議会での議論の経緯及び結論につきまして、二〇一九年の十月から二〇年の一月にかけて計四回、新電力も対象といたしました説明会を実施いたしまして、計画停電時にも卸電力市場は閉じないことや、継続的な卸電力市場の価格高騰もあり得ることなどについて、説明を行ってきたところでございます。

山岡委員 私は、そういう説明をきちんと行ってきたのかということは質問項目に加えていたんですけれども、今、図らずもそのことまで御答弁をいただいたという理解でありますが。

 私は、この後触れますが、きちんとした説明を少なくとも国民に対して行ってきたとは思わない。その結果が、この委員会の中で、今回の高騰をめぐって、数々の議員、あるいは与野党含めてだと思いますけれども、一体どうなっているのかということになったということの結果だと思っております。

 問題は、今の話の審議会の議論の中で、この高騰に対する評価、どういう位置づけなのかということを、私も過去の審議会をいろいろ確認してきて、自由化の中での議論を確認してまいりましたが、これは皆様にお配りした資料でありますが、特に一番から二番にかけては審議会の資料であります。

 平成二十八年ですから二〇一六年頃、容量市場等を導入するかしないかとか、そうした議論のさなかでありますけれども、審議会で、今でも審議会に所属され、かなり長くこの問題に関わっておられますが、松村委員の御発言として、黄色に引いておられますけれども、供給力を超える需要が出てきたときに、スパイクが、つまり卸市場の価格なりがすごく高い価格になれば、そこで固定費が回収できるということになりますと。つまり、今まさに起こっている状況なんですけれども、卸市場がすごく高くなるという状況は発電事業者の固定費が回収できる状況だからよいではないかというスタンスでお話をされておられます。下のネガワットというのは国民の皆様が節電をした量でありますけれども、これが高くなるんだと。要は、節電もするしということを述べておられるという発言であります。

 次、佐藤オブザーバーの発言というところがあります、電力広域的運営推進機関理事。今御発言いただきましたが、これは当時の佐藤局長の肩書でございますよね。佐藤局長は、いわゆる、いろいろ今後起こり得る電力不足というものの懸念を表明されているという状況であります。これが五年前であります。

 その次のページですが、更に時代を遡って二〇一二年頃、電力自由化の議論の最初の頃ということかもしれませんけれども、八田委員、この方は今、電力・ガス取引監視等委員会の委員長をお務めであられますね、この方は、リアルタイム市場がきちんと動くということは、需給が逼迫したときにリアルタイムの価格が上がるから停電の可能性が減るんです、だから家庭のためになるという言い方をするんですよ。

 何で家庭のためになるか、私はちょっと理解し難い部分があるんですが、それは何でかというと、電力が高くなれば家庭が節約するから、そうしたら自動的に停電も防げるじゃないか、そして自家発もみんなつくるようになると。つまり、市場を導入して価格が高くなることによって、御家庭がみんな使わなくもなるし、あるいは自家発もやるようになるからいいじゃないかという、この、極めて高騰をよしとするという状況で議論が進んでいます。

 その下の松村さんというのは、カリフォルニアで、様々、停電の需給逼迫の問題が起きたという事例があったときに、そんな事例をここに例に出すなと。いわゆる小売事業者が発電能力を持っていればそんなことは防げるんだから、この価格というのはこのままでいいんだということをお話しされているという状況であります。

 三ページ目なんですけれども、これはつい最近です、四月二日。今、先ほども御答弁いただきましたが、資源エネルギー庁の電力・ガス事業部長の松山部長の御答弁でありますけれども、この電力システム改革で、いわゆるスポット市場の高騰についてのお答えでありますけれども、これは改革の、ある意味成果でございますという御発言をされているわけであります。

 部長に、この成果でございますということの趣旨を伺いたいのでありますけれども、これは、これまで自由化の議論でずっと行われてきましたけれども、価格高騰によって、発電事業者が固定費回収にもなるし、消費者の自動的な、高いことによる節電にもなるし、小売が発電能力も持つということのきっかけにもなるし、そうしたこと、あるいは国民全体の電力逼迫のリスク等も含めた、この自由化で起こるであろう様々なことを容認していくことも含めて評価し、そして、ここの御答弁にあるように、歩みを止めていかない、歩み続けるんだというお話であるんでしょうか。その趣旨を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先日のこの委員会で御答弁申し上げた内容についての御確認の質問でございますけれども、まず、電力の自由化というものはこの産業競争力強化法の話にもつながるわけでございますが、我が国の電力サービスというものが、低廉で、かつ多様で、そして安定的なものとしてサービスできるような事業、産業が育っていくためにはどうするべきかということについて申し上げますと、産業に対する、事業に対する参入者が増えて、その競争を通じることによって、より質が上がっていく、より多くの参入者の競争を通じた競争力の強化といいますか、そういうのを促進するためのものだと認識してございます。

 そうした場合に、先日申し上げた御答弁は、多数の事業者が小売事業及び電力事業に参入してきていて、しのぎを削って事業の競争力の強化に向けて動いてきている、こういう状況について、まず、大きな成果ができているなというふうに認識してきているところでございます。

 一方で、委員御指摘のように、この自由化というものについては、負の側面、すなわち、安定的な事業を運営して単一事業者が提供していく場合であれば、コストも価格も安定的ということになるわけでございますが、市場を通じるわけでございますので、そこには一定の価格の変動、若しくは、場合によっては価格の上昇、時には高騰ということもあり得るわけでございますし、また、先ほど申し上げておりましたような、火力事業についての撤退、停止ということにつながるような、卸市場の低下、卸市場の拡大ということを通じた事業の採算性、安定供給への懸念ということも生じるわけでございます。

 私どもとしましては、自由化、これによりもたらされる恩典というものを、それをより拡張していくためにこの自由化の取組を進めていかなければならないと考えておりますが、そこから出てまいります様々な課題に対しましては、その都度、安定供給というものとバランスを取り、事業者の方々の予測可能性を確保しつつ、対応していくための対応策、こういうことはしっかりと取り組んでいかなければならない、このように考えてございます。

山岡委員 今、こうしていろいろな事象が発生し、そして、大臣が夏、冬も電力が足りないということを表明するに至り、その上で、今、部長に問いますと、今お話しいただきましたけれども、今るる答弁いただいたようなリスクとかそういうことというのは、私は、これまで自由化という正義の名の下に積極的に説明してこなかったという印象を強く持つわけであります。

 当然、自由市場になればリスクが伴うというのは原理的に当たり前のことでありまして、今のスポット市場は、FIT制度もありますから、既に制度で利益を得ている発電事業者も極めて安い金額でこれは入れているという事情もありますし、大手の電力会社は、余剰電力がある場合、いわゆる固定費を乗せない、変動費用で拠出するということも、これは資源エネルギー庁が求めてきていたということは過去に世耕大臣の御答弁からも明らかになっていることでありますから、日常的にスポット市場というのは極めて安く推移するということが続いてきたということを思うわけであります。

 電力というこの特性としては、例えば農家さんであれば、作った農作物を小売に売ったときに、小売がレストランとかで付加価値をつけて販売するとか、そういう様々な工夫ができるわけでありますが、じゃ、電力に小売が付加価値をつけられるのかといえば、これはつけられない。言うなれば、リスクを取って安売りするということをいかに許容できるかというビジネスになっていくし、そこに引っ張られて、発電事業者は余分な、余力の電力を持つのは難しいということが、ほかの産業よりも極めて顕著に出やすい性質なんじゃないかということを強く思うわけであります。

 この話について、やはり、きちんと説明をして、そして、今日の部分のことを、懸念を、過去の審議会でこういうふうに議論されているわけでありますから、このことを踏まえて対処してきていれば、少なくとも、今日の電力逼迫、もしかしたら、やるのであればですけれども、オリンピックにまで節電を呼びかけなければならないかもしれない、協力を依頼しなければいけないかもしれないという状況は、私は回避できたんじゃないかということを強く思うわけであります。

 これで、いわゆる、今回、スポット市場の高騰ということで、この余剰分の利益、特に送配電事業者の黒字分については今後の託送料金の引下げという形で需要家に還元したらいいんじゃないかというような議論もあるやに聞いているところでありますが、しかし、その場合においても、現在の制度において送配電事業者もそれなりの制度上の赤字を抱えていることだと承知していますから、こういう部分はきちんと精算した上でこの後の還元の仕方の検討はすべきだということも併せて申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、これは二つの話が混同するわけでありますが、これから夏と冬の電力不足というのは、設備容量全体の不足ということが懸念されるという中での起こっていることでありまして、これは、資源エネルギー庁の立場、説明によれば、これから容量市場がきちんと稼働していって、四年後には容量、設備に対しての投資も促進されるはずだと。まあ、この四年間空くというのも極めて重大な問題ですけれども、そういうたてつけになっているわけでありますけれども、しかし、昨年の冬、今年の一月にかけての冬に起こったことは、容量の問題ではなくて、いわゆるその瞬間の燃料が足りなくなった問題だと思うんです。容量、設備はあっても、そこでたくLNGが足りない、一時的に足りなくなったということであると思っています。いわゆるキロワットの問題ではなくて、アワーの問題だと。この認識で間違っていませんか。伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねございました、今年の冬、年初の電力需給逼迫については、審議会でいろいろ検証を進めてまいりました。結論から申し上げますと、様々な、複合的な要因の結果だというふうに考えてございます。

 一つには、断続的な寒波による電力需要が、もちろんこの数年の中にもいろいろ濃淡がございますけれども、かなり高いレベルであったということ、そして、委員御指摘のように、LNG在庫の減少によります、火力発電の稼働率が非常に高くなったことによりましてその在庫が非常に減って、稼働抑制によって供給力が弱くなってきたということ、そして、これまで御質問を頂戴しましたけれども、火力発電所の休廃止等によりまして、若しくはトラブル等による休止、停止ということによって供給力が低下傾向にあったという、様々なものの重なった結果だと考えてございます。

 これについては、審議会によって、対策を講じる必要があるということで結論を得ておりまして、特に委員御指摘のキロワットアワーの問題について申し上げますと、前もっての予防策といたしまして、燃料の確保状況を発電事業者のサイドにしっかり確認していく仕組み、そして、ガイドラインを示して、何を調達、どの水準にしていくということを示していく、こういった対策とともに、いざこういうことが起こったときに、電力事業者相互間で、燃料を含め、火力の発電量を含めて融通する仕組みの構築、さらには、ベースとなる、自由化の後に起こったこの事象に対して制度的にどういう対応をしていくべきか、こういったことを複層的に対応策を講じていくという結論を得ておりまして、これを着実に実施していきたいと考えてございます。

山岡委員 今御答弁いただきましたが、この中には、いろいろ外的な要因はありますけれども、しかし、その瞬間的に起こったことはLNG燃料が不足していたということもお話にあったわけであります。そしてその対応もしていくというお話がありましたが、じゃ、そこの部分をどなたが負担していくかという部分もあるわけであります。電気事業法上は供給能力の確保義務を小売事業者にも求めているわけでありますから、その辺りは、安易な考え方ではなくて、ちゃんと制度にのっとった、公平性のある適切な対応をしていただきたいということを強く求めさせていただきたいと思います。

 話は、アワーの話じゃなくて、設備容量全体の話に戻りますけれども、資料四の中にしれっと書いてありますけれども、いわゆる、「近年、発電を巡る事業環境の悪化等による火力発電の休廃止が相次いでおり、」と。だからこういうことが起こったんだということも発表されておりますけれども、これはまさに佐藤局長が過去の中でも議論で懸念を示されていた、自由化の中で、事業者の合理的な判断として予備力を持たない、その結果、それが思いのほか早くなった、早かったんでしょうけれども、今回の状況が生まれているわけであります。

 せっかくなので、当時お立場で、今この価格を監視する立場にあられる佐藤局長、今の状況をどう御覧になっておられますか。伺います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど松山部長からも答弁がありましたように、例えば容量市場といったものをしっかり入れることが具体的には肝要ではないかというふうに考えております。

山岡委員 その容量市場は四年後ということなんですよね。もう四年以上前に局長は懸念を表明されている、恐らくそういう声もあったんでしょう。でも、先ほど、松山部長が過去の答弁で自由化は絶対に正しいというような趣旨をお話しされたことを取り上げましたけれども、私は自由化そのものを否定しているわけじゃないんですが、絶対に正義だという旗頭に、様々な懸念の説明も十分にしてこない、あるいはそれに対しての対策も何となくしてこない、その結果、現在があるのであるんだとすれば、やはり、一度立ち止まって、もちろん過去の規制料金の頃に戻せばいいということは申し上げませんけれども、一番大事なのはやはり国民の皆様が電力をきちんと安心して安く使える、このことはお話もありましたけれども、今回、オリンピックにも影響するのかしないのかとか、様々なことを生じ、また、本当に冬には足りなくなるような状況になってしまったことを踏まえれば、私はそこの部分がすごく欠け落ちているんじゃないかということを強く思うわけであります。

 新電力と言われている小売の方々の将来をどう導いていくのかという視点だって、例えば、くしくも、松村さんが、自分たちで発電能力を持てば回避できるのだというお話もありましたけれども、目下この国では再エネの電力をどうやって増やしていくかということもある中で、小売の発電能力を持たない方々にこういう分野への進出を政策誘導していくような措置だって十分あり得るんだろうと。小売と発電を同時に持てば、今回のような一方的に負担をしょうようなことにもならなかったんだろうと思うこともありますし。

 そうしたことも含めて、このスポット料金も大高騰しました。そしてまた、この夏、次の冬、設備が非常に厳しい。そして、先ほど佐藤局長は容量市場が入ればと言いましたけれども、キロワットの問題じゃなくてアワーの問題、その瞬間に燃料がどこまであるかという問題の議論については、私は昨日も資源エネルギー庁の担当者に確認しましたが、過去にそういう視点での議論はしてこなかったというような趣旨のお話がありました。いや、全くしてこなかったかどうかは分かりませんが、少なくともそこがメインではなかったという趣旨のお話もありました。

 最後の残り時間でありますが、大臣にこのことを総じて伺いたいと思うわけでありますが、繰り返しになりますけれども、国民の皆様の利益が生み出されるという意味で自由化にした方がよいだろうということの、そういう流れがあったことは否定しないわけでありますが、しかし、先ほども申し上げましたが、電力というものは、付加価値もつけにくい、サービスを、安売りをすることのリスクをどう取るかという方向に走りやすい。そこに発電事業者もいろいろ巻き込まれていく中で、予備力を持つことも非合理的になり、そして小売もまさにリスクヘッジをしないままビジネスをしていくことによって大きな問題が生じてしまった、そのことを強く思うわけでありますが、大臣、総じて最後に御見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 自由化は流れであったと思っております。そういった中で、今の自由化、そして、部門間の調整をするのが市場であると思っておりまして、その市場が健全に機能することが求められるわけであります。

 私は、事業者の情報開示のほかにも、経産省のこれまでの議論についてしっかり開示していくということが必要でしょうし、実際に、じゃ、足りないときにはどうしていくのかということの議論も透明にしていかなければならないと思っております。

 一つ、自由化の中で、もう一つ加わった要素として、カーボンニュートラル、そして非効率石炭火発のフェードアウトという問題があります。そういった中で、他国とは違うような状況の中で、今回また、退出が早まっている火力発電所というものがありますし、そういった中で起きてきていると思っております。

 これは、それぞれの立場側からの知恵ではなくて、みんなの知恵を合わせながら、これからのカーボンニュートラルを目指す上でどういう電力の制度がいいのかというものをしっかり議論をして、実行していかなければならないと思っています。

山岡委員 二〇三〇年、二〇五〇年、それぞれ目標はありますけれども、目の前のことも極めて重要だと思いますので、そのことを申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 今日は、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案の審議ですので、法案について、それから、産業競争力強化や中小企業政策について質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、自動車産業について、産業競争力強化の具体例として、今置かれている状況と、政府が結構やらなきゃいけないことがたくさんあるんじゃないかなということで取り上げさせていただきたいと思います。

 残念ながら、日本経済を見渡してみますと、あらゆる産業の世界シェアというのがどんどん下がってきてしまっています。今、日本の貿易黒字を支えている数少ない産業の一つが自動車産業であるという現状でございます。海外との、今あるこの貿易黒字というものがもしなくなったら、海外から必ず買わなきゃいけない化石燃料ですとか食料の輸入、決済、それから為替相場にもかなり影響があるわけで、ある程度、現状は、貿易を黒字にしておかないといけないというのが今の日本の経済の現状です。

 一方で、各国が、環境対応で、あと十年とか二十年でガソリン車の新車の販売を禁止をしますと。日本の強い産業であるにもかかわらず、それが、電気自動車に替えてくださいというふうにルールが急に変わってきてしまっているわけです。

 日本の産業は、元々、環境対応しようということで、自動車も、電気自動車とガソリン車の間のハイブリッド車というところにかなり力を入れていて、世界をリードしてきたわけです。でも、今回はそれを飛び越して、すぐ電気自動車に替えてくれというようなルールづくりが始められているわけで、これは我が国としてもどうするかを考えていかなきゃいけない状況だと思います。

 例えば、ハイブリッド車の中でもプラグインハイブリッドはほとんど電気自動車に近いわけですので、最低でもプラグインハイブリッドは環境性能車として電気自動車と同じ位置に、各国のルールに入れてもらうべきであるというふうに私は思います。

 これは各国政府が決めているわけですので、日本政府の外交努力で、各国の政府にそれを入れてもらう必要がある。じゃ、それを誰が交渉するのかといえば、経済産業大臣の役割というのは物すごく大きいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 EUの担当大臣、またアメリカの担当大臣とも何度かお話をさせていただいております。

 政府としては、二〇三五年までに乗用車の新車販売で電動車一〇〇%を実現する方針である。そして、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、電気自動車や燃料電池車等の普及促進に加えて、燃料の脱炭素化、当面は様々な技術の選択肢を追求することが不可欠であると思っております。委員のおっしゃったプラグインハイブリッドもその一つであると思っております。

 今、EUの中でも、イギリスは、英国においては、電気自動車や燃料電池車しか販売を認めないという動きがありますけれども、EUの中でもこれは今議論しています。

 そして、Eフュエルの扱いがどうなんだと。例えば航空機でも、Eフュエル、バイオ燃料を使って飛ばしているじゃないかと。さらにまた、内燃機関という点では、水素を燃料とした水素エンジンというものも技術開発の可能性ありということで、EUのある国がやはり提案をしている。そういったことも含めて、今、議論の最中。

 アメリカにおいても、一部の州においてはもう電動車というのはEVだということで決めているところがありますけれども、様々な議論があって、なかなかやはり決め切れないというのが現実だと思っております。

 そういったものをしっかりと、国際間の標準化、ルール化というものに対して、外務省とも連携をしながら、また、自動車メーカーそれぞれとの連携というものを、方向性というものも見ながら、対応してまいりたいと思っております。

落合委員 この分野は様々な技術革新が求められているわけですけれども、プラグインハイブリッドのようなものはもう商用化を日本が実現していて、すぐに、今でもできている技術なわけです。なので、これは、経済外交の結果というのがかなり日本経済を左右する問題ですので、是非本気で取り組んでいただきたいと思います。

 今後、多かれ少なかれ、電動化の方にかなり世界中が進んでいくという中で、車載用の電池が、かなりこの分野が、世界のどこが握るかということが重要なことになっていくと思います。元々は、日本企業はここに優位性を持っていた。しかし、だんだんとシェアが低くなってきている。今、そういう状況です。

 これはどう考えても世界での販売が車載用の電池についてはかなり増えるわけですから、ここに思い切って集中的に政府の資源も投入していくべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 落合委員御指摘のとおり、世界の自動車産業が電動化に大きくかじを切っております。車載用蓄電池をめぐる競争が激化しており、例えば欧州や中国では大胆な支援策が展開されております。我が国としても、蓄電池産業の強化に向けて積極的に支援策を講じていくことが必要ということで、サプライチェーン補助金等での今採択というものを考えているところであります。

 ただ、これは、自動車メーカーと電池のメーカーは別々なので、その組合せなんですね。ですから、その車が売れているかどうか、さらに、そこの地域で、生産をしている地域での市場がどうなのかということも大きく影響をするわけでありまして、そういった面もしっかりと考えながら、自動車メーカーとのやり取り、また電池メーカーとのやり取り、そして、できれば、国内メーカーがしっかりとこれらをリードできるような取組にしてまいりたいと思っておりますけれども。

 グリーン成長戦略の実行計画では蓄電池を重要分野の一つとしておりまして、先ほど申しましたように、サプライチェーンの強化、技術向上に向けた国内投資の支援のほかに、グリーンイノベーション基金による次の時代の電池、全固体電池などの次世代電池の開発を始めとした野心的な研究開発に対する支援なども取り組んでまいりたいと思いますけれども、自動車メーカーの動向、どこと組むかという動向も含めて、注意深く見守ってまいりたいと思っております。

落合委員 もう何十年も成長分野の支援というものはやってきているわけですが、今まで失敗したものも、政府も力を入れていたのに世界市場で全然広がらなかったということもありました。ただ、どう考えても車載用の電池というのは広がることはもう確実ですので、思い切ったことをやっていく必要があると思います。

 バイデン政権が、先日、電動車が広まるので充電設備をもう政府がやっちゃいますという計画を発表しました。その数が、五十万か所をつけると。ガソリンスタンドは何か所あるのかなと調べてみると、十一万か所なんです。ガソリンスタンドの五倍も計画を発表している。もう既に取りかかりますということを発表している。

 これは、ちょっとしたことをやっているのではなくて、本気で本腰を入れて各国はやってきています。ですから、こういった確実に伸びる分野、そして日本が強い分野に集中的に政府が投資をしていくということは絶対に重要だと思いますので、その指摘をさせていただければと思います。

 では、次の話題で、MアンドAなどについてなんですが、これは、私はここ二回ぐらい、MアンドA自体の効用は全否定はしませんけれども、余りにも外国人投資家のロビーイングを聞き過ぎると、株主還元に傾斜し過ぎたり、MアンドAをやりやすくし過ぎて、全体を見てみると、投資ですとか人件費が削られるような経済になってしまっているのではないかということを指摘させていただいてまいりました。

 今日、日経新聞の記事を配付させていただいております。ちょうどこの前の日曜日の日経の一面に、MアンドAで企業の規模が拡大したけれども、それによってインセンティブがなくなって、研究開発費の伸びは半減しているということが、日経がわざわざ一面に載せて指摘をしているわけです。中身を読んでみると、私が前回、前々回取り上げてきた内容とそんなには違わなくて、特に、リーマン・ショック以降MアンドAが加速し、自社株買いなど株主還元も加速し、研究開発に資金をつぎ込む意欲は低下しているということを日経も一面に書いているわけです。

 大臣、これについていかがお考えでしょうか。

梶山国務大臣 個別の例を挙げれば、そういった、委員がおっしゃるような例もあろうかと思いますけれども、MアンドAの推進で研究開発費が必ずしも落ちるとは思っておりません。

 企業の寡占度と投資の関係につきましては、競合企業が乱立をして価格競争が激しく行われる環境では、投資が進みません。他方、寡占が進み、競争がなくなると、投資が減退をいたします。すなわち、過度に競争が行われている環境において企業の投資が最も促進されることが学術的には実証されているということであります。

 実際に、製造コストの何倍の価格で販売できているかを示すマークアップ率を見てみますと、企業の寡占度を見る指標としても使用されますけれども、マークアップ率と投資の関係を分析したIMFの研究によりますと、マークアップ率が低過ぎても高過ぎても投資が減少する、マークアップ率が二程度の場合に投資が最大になると指摘をされております。

 この点、日本企業のマークアップ率は、コストに対して三割増しの価格づけである一・三倍にとどまっており、G7の中でも最も低く、多くの分野で激しい価格競争が続いています。これが、下請企業の取引改善が進まない一因にもなっているところでありますけれども、日本の場合、一・八倍の米国、一・七倍の英国と異なり、MアンドAを通じて寡占度が高まることで投資が下がる懸念はないとは思っております。

 ただ、やはり企業の資源をしっかりと集中していくということも必要ですし、その企業にとって、企業の発展、付加価値を上げていくということも含めて、本来のMアンドAの在り方という考え方に基づいてやっていくことは悪いことではないと思っておりますし、事業承継の面でも、中小企業が第三者承継を考える場合に、親族であるとか第三者承継ができない場合に、企業のMアンドAというのも一つの手法であると思っておりますし、事業部門を残す、雇用を残すという条件付で行われているものも数多くあると承知をしております。

落合委員 この三十年、企業の規模は大きくなっているけれども、設備投資は余り増えていない。それから、最も問題だと思うのは、デジタルへの投資は、アメリカもフランスも、三十年で大体三倍ぐらい、同じような伸びをしているのに、日本だけ一・何倍ぐらいしか伸びていない。結局、設備投資が増えていないわけです。

 これは、IMFのお話もありましたけれども、三月十五日に報告書を出していまして、コロナ危機で、どう考えても弱い者は淘汰されてしまう、なので、各国、強い者が弱い者を吸収して、大企業の市場支配が強まらないように、政策を打ってください、打つべきだということを、三月十五日に報告書を発表しています。

 世界の政策の趨勢は、危機だからこそ小さい企業が残っていくようにしなきゃいけないということに意識を置かないといけませんよとやっているのに、危機だからこそ小さいところに、これを機に淘汰というか退出をしてもらおうという考え方がこの我が国の政府で出てくることは、私は時代が合っていないというふうに思っています。

 これは別に、何十年か前だったら、強い者を強くするという政策も有効だったときも私はあったと思います。この百年ぐらいを振り返っても、例えば、百年前は、もう規制も何もなくて、自由放任が当たり前で、規制をつくるということ自体がおかしいと言われていて、でも、一九三〇年あたりに金融恐慌が起こって、ケインズが、もうちょっと公的な部門が役割を担いましょう、再分配して、公共投資もやりましょうと言って、中間所得層も増えていって、一九七〇年代ぐらいに、今度は公的部門が肥大化し過ぎだと言って、一九八〇年代から、もっと市場原理主義に基づいた改革をしましょうということになりました。しかし、二〇〇〇年を過ぎて、特にリーマン・ショック以降は、格差が広がり過ぎている、だから政策を打っていきましょうということで、特にバイデン政権が象徴的ですけれども、格差を是正する、強い者を強くする政策から完全に転換をしているわけでございます。

 今回の法案の改正の内容、これも、否定、全否定はしませんけれども、これはもっと昔にやっておくべきだったんじゃないかなと私は思いますし、今このコロナの下で行うんだったら、もっと違う内容、小さい企業がしっかりと事業を継続していけるようにする、そういう法案を私はばんと出して、そして国民に訴えていくべきだと思います。

 この、時代がずれているんじゃないかということについて、大臣、いかがですかね。

梶山国務大臣 全てがそうあるべきだということを申し上げているわけではありませんでして、小さくて強い企業はそのままやはりしっかり残っていっていただきたい、小さいままでいいと思う企業もそのまま残っていっていただきたいと思います。ただ、企業と合併、買収することによって、その企業の持っている強みというものが更に生かされるような場合には、MアンドAという手段もありますねというのが私どもの考え方であります。

 先ほど、ちょっと、一つ、私、言い間違いをしまして、訂正をさせていただきたいんですけれども、企業の寡占度と投資の関係について、企業の投資が最も促されている環境を過度な競争と申しましたが、適度な競争の間違いでございましたので、訂正をさせていただきます。申し訳ございません。

落合委員 済みません、私も気づきませんでした。

 もう一点、経産省の姿勢について指摘をさせていただきたいと思うんですが、前回、我が会派の逢坂委員が、この十年、特に非正規雇用が増えて、働いている方の四割以上がもう非正規になってしまった、やはり、経済の好循環を実現していくためには、正規雇用が増えるような、そういう経済にしなきゃいけないんじゃないかということを申し上げました。そのときに、政府参考人の方から、最近は、非正規が減って、正規雇用が増えているんです、そのための様々な施策をしていて成果が出ているんですというような感じの答弁だったんですけれども、これは、私はもう少し真摯な答弁をするべきだと思います。

 なぜなら、雇用全体は減っていて、雇用が減るときは、まず最初に切られるのが非正規である。日本の場合は人手不足の産業がたくさんありました。特に福祉の分野が足りなかったということで、医療とか福祉に雇用が移っています。そういう分野は、人手が足りなかったのでしっかり正規雇用で雇ってくれているんですけれども、お給料が高いわけではありません。非正規雇用の方々がばっさり切られて、全体の雇用は減って、ちょっと増えている部分は、そんなに賃金が高くない正規雇用に流れている。だから、今、非正規が大きく減って、正規雇用が増えているんです。これは、経産省の政策が功を奏して経済の好循環が生まれているわけでも全然ないんです。

 やはり、私は、今までの政策の間違いは認めて、しっかりと正規雇用が増えていくような経済循環を実現していくために経産省もしっかりと力を尽くすべきである。前回のような答弁の仕方では全然分かってないなというふうに思うんですが、大臣、びしっとやるべきじゃないですか。

梶山国務大臣 まず、事実関係から申しますと、二〇二〇年三月から二〇二一年、今年の三月にかけて、正規雇用は五十四万人増加する一方で、非正規雇用は九十六万人減少しているということで、雇用全体で四十二万人減少しているということであります。コロナ禍において、大変厳しい雇用環境にあるというのが現状だと思っております。

 正規雇用で増えているところは、情報通信、不動産等で、今までの成果もあるかもしれませんけれども、人が必要なところということ、そういう正規雇用になってきたということでありますけれども、非正規は、やはり一番危ういところ、宿泊、娯楽、飲食といったコロナ禍の影響を一番受けているところでありまして、ここがやはり一番非正規がマイナスになっているところであります。

 こういったものを雇用調整助成金等で対応をしているところでありますけれども、大変厳しい状況であるということと、やはり、一歩間違うと、さらにまた非正規雇用の数が、非正規雇用からこういった雇用が減少するような形が増えていきかねない状況かもしれませんので、しっかりと状況を見た上で対応してまいりたいと思います。

落合委員 大臣、その答弁書も、成長分野の情報通信で雇用が増えているという答弁を書かれているんですけれども、一番増えているのは先ほど申し上げた福祉の分野なんです。なのに、その答弁書には書いてないんです。福祉の分野で三十二万人増えて、情報通信は十一万人、ほかの分野は、残念ながら、結構減っているんですけれども、これは総務省が四半期ごとに出しています。一番増えているのが福祉の分野だということも答弁書に書いていない。それから、この前の答弁では、雇用全体が減っているということも答弁書に書いてないんです。それを裏で指摘したら、失業率も下がっていますしと言っているんですが、求職者数も減っているから、失業率も下がっているんです。

 こういうことで、大臣の答弁書を作る姿勢も、やはり全然事実を表していないですし、一番問題のところを一番隠しているのが私は今の経産省の問題だと思います。是非そこは大臣の指導で正していただきたいと思うんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 答弁書も、その都度、私が見て直していますけれども、今、福祉関係、介護関係が入っていなかったというのは、私もちょっと知りませんでした。事実関係を確認した上で、また次回に訂正をさせていただきたいと思います。

落合委員 うそはついていないんですけれども、言うべきことが入っていないんですよ。なので、私はそれが問題だと思います。

 それから、次の話題ですけれども、中小企業等経営強化法の改正で、政府参考人に伺えればと思うんですが、前回は時間がなくて大臣に事実だけを申し上げました。

 この法改正の中で、細かいところの改正だけじゃなくて、目的自体が改正されています。この目的の中に創業支援とあったのもなくなっていますし、それから、目的の中に支援という言葉が四つあったのが、一個だけに目的の中で減っています。それから、特定事業者という言葉ができて、支援する対象が変わっちゃっている。それから、信用保険法の特例もなくなっている。これは、全体として支援が狭まっているということでよろしいですね。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からは大きく三点、条文上の御指摘をいただいております。

 まず一点目は、特定事業者についての支援対象でございます。

 今回の法案では、規模拡大に資する支援措置に限って、規模拡大のパスに沿った企業群を新たに対象に加えて、規模拡大の実例に乏しい企業群を含まない、新たな支援対象類型として特定事業者という類型を創設しております。

 これは、中小企業から中堅企業に成長した企業の多くが、まず資本金を増加させてから事業を拡大して、その上で従業員を拡大、増加させるという実態を踏まえて、こうした企業規模拡大のパスに沿って、中堅企業に成長する企業を応援する趣旨のものでございます。中小企業者という意味での定義は従来どおりということになっております。

 したがって、今回の特定事業者という意味での支援対象に含まれない中小企業についても、従来どおりの中小企業支援策で引き続き支援を行っていくということでございます。

 もう一つは、第一条の目的規定にございました多数の「の支援」という部分の数が減っているということでございます。

 今回の法案では、従来のような、経営革新、経営力向上、先端設備等導入、それから事業継続力の強化の文言の後にそれぞれ「の支援」と規定するのではなくて、末尾にまとめて「の支援」というふうな規定をする改正を行っております。これは、専ら条文の簡素化、文字数の観点から行ったものでございまして、中小企業への支援を減らすというものではございません。

 それから最後に、創業に係る規定の整理でございます。

 御指摘の創業に係る規定や中小企業信用保険法の特例の削除でございますけれども、今回の法案では、経営強化法上の信用保険法の特例と産業競争力強化法上の信用保険法の特例、二つあったわけですけれども、それに関して、保証限度額を両制度の限度額を合算した三千五百万円に引き上げて、それを産業競争力強化法の下に一本化したものでございます。

 これは、二つの法律にわたっていた制度の内容はおおむね同一だったんですけれども、両制度を利用しようという方がおられた場合、二回に分けて申込み、申請を行う必要があるということで、事業者にとって甚だ利便性に欠く状況となっていたことを踏まえて、一つにまとめて整理したということでございます。これは、創業支援が後退するものではなくて、むしろ事業者の方の利便性がこれによって改善するというものではないかというふうに考えております。

落合委員 今の一本化の部分は、実際に運用されたときに範囲が狭まっていないかということは私も確認をさせていただきたいと思います。

 それから、この目的の簡素化をして、目的を簡素化したら、削減された文字が支援という文字ばかりだったということなんですが、これはいろいろと今まで法律を作ってきた元官僚の方々とかにも確認しましたが、これはただ形式的な話でもないんじゃないかなというふうに私は思います。

 ほかの分野でも、しっかりと予算をつけたりするんだというような答弁で、今までも大臣もそういうふうな答弁をしているわけですが、この法案が通って、その後、いつか補正予算をやるか分かりませんけれども、それから、来年度予算も含めて、これから、この法案が通ったことで、特に小規模事業者等の支援が削減をされるということは絶対にない、ここの法案の中で狭まっているけれども、しっかりと予算の部分等では埋め合わせするんだということをここで明言をいただければと思います。いかがですか。

梶山国務大臣 中小・小規模事業者は多種多様であり、業種、地域ごとに役割も在り方も違う、それぞれの役割に応じてきめ細かく支援を行っていくことが重要であると思っております。

 予算については、当初予算であるとか補正予算においていろいろ議論もあろうかと思いますけれども、当初予算で足りない分はしっかりと補正予算で補っていくということも含めて、予算が少なくなることはないようにしてまいります。

落合委員 これも、今後の審議、いろいろな審議で私も注視をさせていただきたいと思います。

 今回の法案は、集約化して規模を大きくして生産性を上げていくというようなところも多々強調されているわけですが、例えば今回の、この一年のコロナの危機を見ても、各町を見ても、チェーン店の方が先に撤退をしている。個人店は撤退できないというところもありますけれども、結局、危機になると先にいなくなっちゃうのは、生産性が高い集約化した方の企業なわけです。危機になるたびにどんどんどんどん撤退をしてしまう、集約化することで危機に弱い町ができていくというデメリットも私はあると思います。

 これはやはり、しっかりと地元にへばりつく、そういう小規模事業者がやる気があるうちは続けられるように、こういったことにも、今回の法案とは別につくっていく必要が私はあると思いますので、是非それを指摘させていただきます。

 最後にですが、一時支援金についてでございます。

 これは、持続化給付金が残念ながら年明けに終わってしまいました。それに似たような形で一時支援金が引き継いでいますということを説明しているわけですけれども、一時支援金は分かりにくいと。そもそも持続化給付金みたく間口が広いということさえも知らない人が多いわけです。

 調べてみましたら、実績が、持続化給付金は五兆円出しているんですけれども、一時支援金は七百億円です。これは全然引き継いでない、間口が全然違うわけです。七十分の一です。GDPの速報値も出ましたが、かなりの急ブレーキがかかっています。だからこそ、我々は、持続化給付金二回目、七兆円給付する案をもう既に国会に提出しています。

 一時支援金では不十分である、私はそう思うんですが、大臣はこれで十分だとお思いなんですかね。

梶山国務大臣 昨年の持続化給付金というのは、全国、業種を問わずということで給付をさせていただきました。

 コロナ禍の中でコロナの対策というものも変わってきているわけでありますけれども、地域限定という中で緊急事態宣言が出され、蔓延等防止措置が出されているということで、それに対応した形で支援もさせていただいているということであります。

 ただ、周知につきましては、皆さんのおっしゃるとおりでありまして、なかなかやはり周知が図られていないということもありますので、もう一度そこは徹底して今指示を出しているところでありますし、これにつきまして、周知をしていただくことと併せて、締切りの延期というものも含めて考えてまいりたいと思っております。

落合委員 これで終わりますが、去年よりか今年の方が波が大きいわけです、第四波の方が。第五波がどうなるかもまだ分かりません。

 こういった中で、もう経済対策が収束に向かっていっているような形である、それから、先日の経済財政諮問会議でも、効果が出ないところは引き揚げてもいいんじゃないかというような意見も出てしまうぐらいのこの状況は大変危ないことだと思います。我々は、国民の生命財産を守るべき立場にあるわけですから、本気で取り組むべきであるということを申し上げて、終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮川伸君。

宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 今日は、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案について質問を引き続きさせていただきます。

 今、二〇二一年三月期の決算発表が行われています。私、元々、この新型コロナウイルスの関係で多くの企業が非常に厳しい結果が出てくるんじゃないかというふうに懸念をしていたんですけれども、必ずしもそういう状況ばかりではないという報道が流れています。

 例えば、ソフトバンクグループでありますが、純損益が四兆九千八百七十九億円の黒字で、国内企業で過去最高となったというようなニュースが出ております。あるいは、ソニーグループも、純利益が前期比約二倍、一兆一千七百十七億円となり、初めて一兆円台の大台に乗せた。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、巣ごもり需要でゲーム事業などが好調に推移、東宝と共同で配給したアニメ映画「鬼滅の刃」の大ヒットも収益を後押しして、過去最高益を更新したというような、こういう明るいニュースも出ているわけであります。

 一方で、例えば航空関係の大手のANAホールディングスは過去最大の四千四十六億円の赤字であるということ、あるいは大手のデパートさん、今も大変だと思いますが、三越伊勢丹ホールディングスさんなんかは、最終的な損益が四百十億円、過去二番目の赤字であるというような報道もされています。

 この資料一に絵がありますけれども、今こういったK字型回復とか、K字型、増益がどんとあるものと、赤字でどんと下がっているものと大きく二極化をしているというようなことが指摘をされていますが、これは私は大きな格差ができてしまっているというふうに考えていますが、大臣、この格差についてどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

梶山国務大臣 今回のコロナ禍は、過去の経済危機とは異なりまして、全ての産業に一律に影響を与えているわけではありません。今委員が御指摘のように、K字回復とも言われるように、悪影響を受けている企業がある一方で、利益を伸ばしている企業もあると承知をしております。

 例えば、日本、米国、欧州の上場企業の利益率の変化を見ると、日米欧いずれも、悪化している企業と改善している企業が左右対象に近い形で存在をしているということであります。

 具体的には、利益率が五%以上向上した上場企業は、日本で一四・二%、米国一九%、欧州二三・八%となっており、デジタル化や巣ごもり需要等に対応した企業を中心に、利益率が向上しているという企業があるわけであります。

 消費支出の推移を見ますと、コロナ禍の影響によりサービス業の消費支出の減少幅が大きく、特に飲食や宿泊の落ち込みが激しいということであり、利益率が五%以上悪化した上場企業は、日本で一〇・七%、米国一九・七%、欧州二四・八%となっておりまして、飲食や宿泊を中心に悪影響が生じているということであります。

 今委員がおっしゃったように、格差がここで企業間で出てくるということもこの状況を見るとあるわけでありますけれども、今コロナ禍の対応をまだ抜け切れていないわけでありますから、当面やはり事業をしっかりと支えていくということは重要なことであると思いますし、また、このコロナ禍が終わった、その抜け切れたときにどう対応していくかという支援策というものも大変重要になると思っております。

 そういった形で、経済産業省としては、政府全体で連携しながら対応を図ってまいりたいと思っております。

宮川委員 私は、この格差が広がり過ぎる、大き過ぎると、やはり大きな問題である、将来的にも日本の経済に大きな問題になってくるというふうに思います。

 伸びている会社はもちろんこれはどんどん伸びていっていただいて、それで日本経済を引っ張っていってもらいたいと思いますが、逆に、コロナの影響で赤字で非常に厳しいところに関しましては、やはり私は、政治がしっかり動いて、再分配の部分を含めて、政治がしっかり、こうならないように抑えるのが極めて重要な、今、ステージなのではないかというふうに思っております。

 そういう中で、ちょっと私、一枚資料をつけ忘れてしまったんですが、先ほどの内部留保の問題がありました。この利益剰余金に関してちょっと調べてみたんですけれども、例えば、この会社が悪いわけではなくて、これは例示なわけですけれども、例えばソフトバンクグループ、先ほど、大変利益を上げたということでありますが、二〇二〇年三月期の利益剰余金が三兆九千億円だったのが、今回、二〇二一年三月期は八兆八千億円と増えている。あるいはソニーも、前回が二兆七千億が、今回三兆八千億円と増えているということであります。

 ですから、以前から、この内部留保の問題、ずっとこの委員会でも取り上げられていますが、しっかりこのK字のような形になってしまっているわけですから、政治主導で、大臣もしっかり、この内部留保の問題について、もう一歩踏み込んで取り組んでいただければなというふうに思っております。

 それと、資料の5と書いてあるところを見ていただきたいんですが、以前から、例えば去年は5Gに関する政策減税がありましたが、この政策減税に関しましていろいろな御意見もあります。こうやって政策を推し進めていく上で、やはりこれは一つの方法だということでありますが、しかし、この記事は東京新聞の記事ですが、安倍政権になってから、法人税の減税が巨大企業に集中していると。それで、こういった租税特別措置に関して、大企業が相当、利益といいますか恩恵を受けているというような記事でありますけれども。

 今回の産業競争力強化法の改正の話になりますが、この大きな話が、グリーン社会への転換、デジタル化への対応ということであり、その中で、やはり投資減税が大きな柱の一つになっているわけであります。これが本当に、これはこれで進めていくという意味で否定はしませんけれども、これだけで足りるかということをしっかり議論をしないといけないと思っているわけでありますが、例えば、先ほど申したように、これは、ちゃんとお金がある企業でないとなかなか投資をしていけないわけですね、デジタルにしろ、グリーンにしろ。

 じゃ、今、このK字型で下に落ちてしまっているような企業さんがどうやってグリーンやデジタル、これはポストコロナを見据えて成長していくということが柱になっているわけですが、今非常に厳しい企業さんがどうやってグリーンやデジタルに入っていくのか、あるいは、中小企業、小規模事業者がどうやってこういったところに入っていくのか。こういったところをどう後押しするのか、ちょっとお答えをいただけますでしょうか。

梶山国務大臣 御指摘の、コロナ禍で経営状況が厳しい企業に対して、経済産業省として事業継続を支援するため、持続化給付金による支援、政策金融による資金繰り支援等に取り組んでいるところであります。

 また、本法案において、赤字でも努力を惜しまずにカーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション等に向けた投資を行う企業に対して、というのは、やはり業態を転換していかなければ先行きなかなか回復は難しい、また利益を得るのは難しいと思うところもあるわけであります、そういったところに対して、繰越欠損金の控除上限を、実際に行った投資額の範囲内で、最大一〇〇%まで引き上げる措置も講じているということであります。

 さらに、中小企業や小規模事業者の後押しとしては、本法案で措置しているカーボンニュートラル投資促進税制やDX投資促進税制は、小規模事業者も含めて御活用いただけるものとなっております。

 加えて、コロナを契機とした新分野展開などを支援する総額一・一兆円の事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金を含む総額七千六百億円の中小企業生産性革命推進事業、中小企業経営強化税制などによって、グリーン、デジタル等にも資する未来投資を後押ししているところでありまして、やる気のあるところというか、やりたくてもなかなかできないところもあろうかと思いますけれども、今の状況を変えていかなければこの会社の未来はないと思うところもありますし、また、従業員のために、しっかりとやはり、赤字を覚悟でも投資をしていかなくちゃならないと思うところもある。そういったところにしっかりとした支援をしてまいりたいと思いますし、そのことによって新たなビジネスが生まれるチャンスもある。

 ただ、やはり厳しいところにはしっかりとした支援を続けていかなければならないと思っております。

宮川委員 今、中小企業等にも力を入れているということでありましたが、再構築補助金とか、重要なものが提案されているというふうに思っていますが、前回、参考人質疑のときに、中小企業家同友会の会長がいろいろ御提言を下さっていました。

 それが一つの中小企業の方々の目線なんじゃないかと思うんですが、そのときに配ってくださった資料の中に、成長戦略会議には、菅総理のブレーンとして中小企業再編論を展開するデービッド・アトキンソン氏が起用されていて、出版やマスコミなどを通じて持論を展開しています、また、同理論に乗るように、大手経済紙でも識者のインタビュー記事などで、中小企業は多過ぎる、生産性の低い中小企業は退出を、中小企業は不要などの、厳しい経営環境で苦闘している中小企業に冷や水を浴びせるような報道が展開されていますというようなこと。それとともに、今回のこの産業競争力強化法の改正に関しては、やはり、中小企業を中堅企業にというように、大きくしていくというところに予算が、視点が置かれているんじゃないかというようなコメントもされていたわけであります。

 その一方で、何度も申しておりますが、我々は、事業規模を考慮した持続化給付金の再給付ということを何回もお願いをしているわけでありますが、やはり、中小企業、小規模事業、今、K字の非常に厳しいところにいる方々から、本当に厳しいという声がたくさん聞こえてきているわけです。こういった状況の中で、MアンドAだとか、中小から中堅にというようなものが大きく目立っているということで、本当に中小企業を支える気があるのかという不安がやはり出てきているんだと思います。

 今、グリーンとかデジタルとかいうことですが、一つだけ例として、この二ページ目を見ていただきたいんですが、これはちょっと古いデータで、二〇一二年のデータなんですが、ICT化がどういう状況かということですけれども、横軸がICTがどのぐらい進んでいるかということで、一番左の隅っこの方に、保健、医療、福祉関連の中小企業と書いてあるわけです。ですから、IT関係が遅れていて、デジタル化が遅れていて、そういう効果が非常に少ないところが例えば介護の分野にあるということが以前から分かっているわけです、今はもう少し改善しているかもしれませんが。

 じゃ、それでは、中小企業を支えるとか、デジタルというキーワードがあるんだとすれば、例えば、介護事業所等に関してのデジタル化に関してどのようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がありました介護事業所におけるデジタル技術の導入につきましては、業務の効率化や生産性向上の観点から大変重要だと考えております。

 経済産業省におきましては、IT導入補助金によりまして、介護事業所を含む中小・小規模事業者の生産性向上につながるITツール導入の支援を進めておりますが、このIT導入補助金を活用しまして、介護事業者に対しましてはこれまでに約二千五百件、約十九億円の支援を実施してきております。

 具体的な取組の事例としては、介護保険請求業務や給与計算など、会計業務の効率化を図るITツールや、ケア内容の記載にかかる時間の削減のため、本部への報告やスタッフとの情報共有に関するITツールの導入、こういった取組を支援してきておるところでございます。

 今後とも、厚生労働省を始め関係省庁とも連携しながら、介護事業所を含む中小・小規模事業者のデジタル化支援に取り組んでまいる所存でございます。

宮川委員 ここに、デジタル化、DXというのが書かれていまして、ここ何年もこういう議論をしてきていると思います。そういった中で、二〇二五年の崖、あるいはレガシーシステム等、一つの会社の中でもシステムが違っていてうまく機能しないとか、こういったところをしっかり直していかなきゃいけないという議論を今までしてきたというふうに思います。

 こういったところにしっかり新しいシステムを入れていくというのを誘導していくというのは重要なことだと思うんですが、例えば、今、介護でいいますと、利用者さんがいたとして、この利用者さんがデイサービスを一つだけじゃなくて二つやっている、あるいは訪問介護も受けている、そしてケアマネさんもいる、幾つかの事業者とやり取りをしている場合がよくあるわけです。それが、それぞれの事業所が違うシステムを使っていたら、やはり情報交換がしにくくて、結局電話でやり取りしていることが多いわけですが、それを、例えばクラウドを使って全部きちっとつないでやる。これは、一つの企業ではないかもしれませんが、大きな企業と同じような感じで見える、中小企業あるいは小規模事業者に対する対策の一つだと思うんです。

 こういうようなものを、やはりこういうものとセットに打ち出していけば、これは今介護の例を言いましたが、ほかにもいろいろアイデアがあると思うんですね。こういうものを打ち出せば、やはり中小企業さんに関しても生産性向上につながっていくと思うので、是非もっと知恵を出して、中小企業、小規模事業者が伸びていけるような、そういった施策を入れていただければというふうに思います。

 ちょっと大臣、その点に関して一言何かいただけますでしょうか。

梶山国務大臣 今、介護事業の例を出されたわけでありますけれども、通常の中小企業のほかの業務に関しても、それがDXというものだと思っております。

 機器の導入のみならず、会社の変革、事業の変革ということをやっていく、そのためにIT人材というのはそれぞれの組織内にやはり育つようにしていかなくちゃならないという課題を認識しております。

宮川委員 それで、引き続き中小企業で、広浜参考人が御指摘をされたわけですが、私もいろいろ大臣の答弁も聞いておりますのである程度理解をしているところがありますが、改めて、先ほど申しましたが、中小企業は多過ぎると思われているのか、あるいは生産性の低い中小企業は撤退すべきと考えているのか、こういう懸念を参考人が示されたわけであります。どのように考えているか、お答えください。

梶山国務大臣 これまでに何度も申し上げていますけれども、中小企業にはそれぞれの地域であったり仕事に関しての多様性というものがあり、それぞれの役割を果たしていると思っております。

 私は、どんどん中小企業、小規模事業、出てきたらいいと思っております。その中で、社会での役割を持った上でその事業を進めていくということになろうかと思います。

 先ほど成長戦略会議の委員のお話がありましたけれども、持論を持っているのは確かかもしれません。でも、一人の委員ということで、その反論をする委員も何人かいるわけでありまして、そういった中でまとめていくということでありますけれども、この持論、今委員が御指摘になった淘汰されるというような考え方は、政府としては持っておりません。

宮川委員 まず、中小企業が多過ぎるかということに関して、この参考人は、人口当たりで見れば必ずしも多くないと。私もこのデータを見たんですけれども、それはそうだというふうに今認識しているんですけれども、そういった見方を、人口当たりに考えた場合に、中小企業が本当に多いのかどうかということがあると思います。

 もう一つ、生産性の問題に関して、この参考人が、日本の中小企業の実質労働生産性、あるいは物的労働生産性は世界でもトップクラスだということをおっしゃっていました。

 よく付加価値の方の生産性のことが議論されて、生産性が低い低いと言われていますが、労働生産性、特に物的労働生産性について、どのような認識をお持ちでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の実質労働生産性につきまして、済みません、国際比較のデータについてはちょっと持ち合わせておりませんけれども、国内の製造業の大企業と中小企業の実質労働生産性の伸び率につきまして、二〇二〇年版の中小企業白書において分析を行っております。

 それにおきましては、今委員御指摘ありましたように、製造業の中小企業の実質労働生産性の伸び率は大企業と遜色のない水準だ、伸び率につきまして遜色のない水準だというふうに認識しております。

 ただ、実質労働生産性の伸び率が高い期間にも、価格転嫁力を示す指標は大きくマイナスとなっておりまして、白書の中の解説を御紹介いたしますと、中小企業の実質労働生産性の伸び率は総じて年率三から五%程度となっており、大企業と遜色のない水準である、しかしながら、価格転嫁力指標の伸び率が、九五から九九年度以降、一貫してマイナスであるがゆえに、中小企業の生産性の伸び率が、名目付加価値額の伸び率が一%程度に低迷しているということが分かるということでございまして、中小企業の労働生産性の上昇を図る上で価格転嫁は非常に重要な要素であると分析しております。

宮川委員 大臣、今すごく大事なことをおっしゃっていて、この価格転嫁ができない、これが中小企業の生産性向上の大きな問題になっているということを今おっしゃったと思います。

 この参考人も、缶の蓋を作っているというふうにお話をされていましたが、今回、ブリキが、材料が高騰したんだけれども、その高騰分を価格に転嫁できない、なかなかできない、やはりその交渉が難しいということを例として挙げていらっしゃいました。

 ですから、MアンドAとかあるいは中小企業から中堅企業、こういうことも必要だとは思いますけれども、やはり一番重要なポイントというのはこの価格転嫁の部分にちゃんとメスを入れていくということだと思いますが、こういった取引環境の公平性に関してどのように取り組むおつもりでいらっしゃいますか。

梶山国務大臣 この件につきましては、私の就任前から、前任者も含めて取り組んできたところであります。価格の転嫁がしっかりできるように、そして、中小企業の様々な地位の保全と申しますか、例えば、知財も含めて、支払い条件も含めて、そして働き方改革のしわ寄せ等も含めて、なくなるようにということで対応をしてきているところであります。

 これらのことを実現するために、全国で百二十名の下請Gメンによる取引実態の把握を強力に進めるとともに、振興基準に照らして問題となる事例については所管大臣による指導助言につなげていきたいと思っております。

 このような指導助言に加えて、振興基準を踏まえた自主行動計画やパートナーシップ構築宣言などを活用し、大企業と中小企業との適正な取引を促してまいりたいと思いますし、この議論の中で、大企業からも、またその協力企業、下請企業からも出てきてもらって、一堂に会して何度か話合いもさせていただいておりますし、その場で大企業に対しての指摘というものも下請企業からしてもらっていますし、私どもも取りまとめの中でしっかりと指摘をさせていただいているところであります。

宮川委員 下請Gメンも含めて、評価してくださっているところも参考人はありましたが、やはり、中小企業で今やられている方々の中にはまだまだ不十分だと思われている部分があると思いますので、そこにしっかり力を入れていただきたいと思います。

 それと、この4というページを御覧いただきたいんですが、これは、資本装備率が載っているもので、中小企業白書から取ってきたやつですが、中小企業と大企業と比べて、やはりこの資本装備率も中小企業の方が低い。先ほど私、介護に関して、クラウドを使って同じような整備をすればいいみたいな話をしましたが、そういうことを推し進めればやはり生産性が上がるわけであります。

 ですから、そういった、もっと、今、中小企業でコロナで苦しんでいる方々は、特に、MアンドAとか、そういうふうに大型化みたいな話で、それで切り捨てられるんじゃないかというふうに不安に思っている方々がやはり多いわけでありますから、こういうときだからこそ、今言ったような、取引の問題を公正化しますよとか、あるいはこういったところの資本装備率が上がるようにもっと投資していきますよとか、そういう発信を私は大臣としてすべきなんじゃないかというふうに思っているんですが、一言いただけますでしょうか。

梶山国務大臣 折に触れて取引環境の改善というものは発信をしているつもりでありますけれども、やはり、都度、そういう変化があった場合にはまた出してまいりたいと思いますし、このコロナ禍において、例えばデジタル化というところで、サプライチェーンの中でデジタル化をどうしてもやらなくちゃならないというようなときの中小企業や小規模事業への対応というものもしっかりと対応してまいりたいと思っております。

宮川委員 是非よろしくお願いいたします。

 次に、非正規雇用の問題、今日も別の委員からも質問がありましたが、ちょっとお伺いしたいと思います。

 これは前回、逢坂委員が質問をされて、局長いらっしゃいますが、御回答されていましたが、私もやはり、あの回答を聞いていて、今の非正規雇用の問題をしっかり御認識されていないんじゃないかというふうに思いました。

 やはり、おっしゃっていたように、パートで働きたい、短い時間働きたい、一時期だけ働きたいというような、育児、家事もあるということで、そういった非正規雇用の方もいらっしゃるというふうに思いますけれども、やはり、この非正規雇用の問題の本丸といいますか一番重要な部分は、不本意非正規雇用、本当は正社員になりたいんだけれども不本意で非正規雇用になってしまっている、これが本当の問題なわけです。

 それを、逢坂委員の質問に対して答えないで、答えないというかその説明をしないというのは、先ほどの落合委員からのお話もありましたが、私は不誠実だというふうに思ったので、ちょっとこれは取り上げさせていただきます。

 全国の不本意非正規雇用者は、今、大体何名で何%ぐらいというデータをお持ちでしょうか。

井上(卓)政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が実施しています労働力調査の結果から見ますと、非正規の職員、従業員のうち、非正規の雇用形態に就いた主な理由が、正規の職員、従業員の仕事がないからとした方は、令和二年平均で二百三十万人となってございます。

 また、これらの方々が非正規の職員、従業員に占める割合でございますが、一一・五%となっているところでございます。

宮川委員 逢坂委員は、こういった方々をしっかり救っていかないと、結婚したくても結婚できない、子供をつくりたくても子供がつくれない、こういう社会ではいけないんじゃないかということをお話をしたかったわけですから、私は、真正面からやはりこの不本意非正規雇用の話をしていただきたかったというふうに思っております。

 その上で、これは厚生労働省や人事院もメインなので、じゃ、それでは経産省をメインにお聞きしますが、経産省の中で非正規雇用の方は何名で何%でしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方経済産業局も含めまして、私ども経済産業省の非常勤職員の人数につきましては、人事統計報告に関する政令に基づきまして非常勤職員の在職状況統計表を毎年作成いたしまして、内閣人事局にて取りまとめの上、公表させていただいているところでございます。

 この最新のものが令和二年七月一日時点でございますけれども、そこに示されております人数、審議会の委員などを除きまして、合計で二千三百八人となります。この二千三百八人が全体に占める割合は二三%となります。

宮川委員 ごめんなさい、一緒に聞けばよかったんですが、このうち五年以上働いている方、ちょっと答えられれば、その不本意非正規雇用の方、これはどのぐらいいらっしゃるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 同じ任命権者の下で連続して五年以上働いている非常勤職員の数、こちらについては私ども把握ができておるんですけれども、一般的な事務補助に携わる職員は、そういった方はおられません。

 他方で、私どもにも経済産業診療所という仕組みがあるんですけれども、そちらにおきまして、医師、看護師、薬剤師といった形で勤務をされている方が現在十五人おられるところでございます。もちろん、この方々は、専門性を有し、ほかの本業というのを持っておられる方々であります。

 なお、お尋ねございました不本意かどうかというところでございますけれども、私ども、不本意非正規雇用につきましては、ほかに、要するに、正規になりたいのかどうか、そういう希望があるからどうなのかといった点につきましては、これは個人のプライバシーにも関わるということで、私どもが非常勤職員として採用する時点でも、それから採用後におきましても、そのような調査はしておりませんので、そのような数字は把握をしていないというところでございます。

宮川委員 私はハローワークの職員の方の問題を取り上げています、これは厚生労働省になるわけですけれども。

 このコロナで失業してしまって、ハローワークに多くの方が仕事がないかと来ている。その窓口で、何とかその人に職を見つけてあげようと思って一生懸命やっている方々がいるんですね。この方々が非正規雇用で一年間ずつ更新なんです。それで、二月の終わり頃になっても四月以降の新しい契約が結ばれるかどうかが分からないと。それで、さすがにもうこんな心境ではハローワークに来ている人たちに職の紹介が心からできないというようなことが私のところに届いてきているんです。

 ハローワークで働いている方々の非正規雇用の問題は非常に大きな問題だと思っていますが、同じようなものが経産省の中にあるかどうか、私もちょっときちっと調べていないんですけれども、是非、大臣、答弁の中で、この不本意非正規雇用の話がきっちりと出てこないような状況なわけですから、自分の経済産業省の中でこういったものがどういうものがあるのか、しっかり調べていただければというように思います。

 ちょっと、時間があと五分になって、エネルギーの問題を前回に引き続き少しさせていただければと思います。

 先ほど山岡議員の方からも、夏と冬に電力不足になるのではないかという大臣の記者発表がありました。ここの部分もちょっと御質問しようかと思ったんですが、先ほど質問があって、十分答弁されていたので、少し飛ばしますけれども。

 この報道が出て、やはり新電力の方々が大変心配をしております。十二月、一月、あれだけの高騰をして、それで、私が前回、前々回、質問をしていきましたが、必ずしも自然災害の問題だとかあるいはコロナの問題でそういうふうになっただけではなくて、やはり市場そのものに問題があるのではないかということを、この間、質問してきたわけであります。このような、市場にまだ問題があるかもしれない中で、大臣が、夏、特に冬の東京管内、非常に厳しいという発表をされたので、大変新電力の方々が懸念をされているわけですが、十二月や一月のようなことが今年起こるというふうに、大臣、予想されているんでしょうか。

梶山国務大臣 昨年度の冬季の市場価格高騰の検証を踏まえて、今年の冬までに講ずる対策としては、例えば需給が逼迫する場合におけるでんき予報の情報発信の拡充、市場価格の需給逼迫状況から乖離して高騰するような事象を防ぐ、抑止するためのセーフティーネットとして、今年一月に導入した一キロワット当たり二百円という精算金の上限価格に加えて、一キロワットアワー当たり八十円という二段階の上限価格の設定などの課題について検討が進められているところであります。

 この発表をした後に、私自身も、そこは今年の冬までの対策ということで大分心配をしまして、その対策をしっかりと進めろという中で、先ほどのやり取りの中でもお話ししましたけれども、発電、小売事業者に対する供給力の確保の働きかけということ、さらに、需要家に対する協力要請、需給状況に関するタイムリーな情報提供、その他の必要な制度的な措置の検討という事項について、対策をまとめるように事務方に指示をしたところであります。

 ただ、状況からしてなかなか難しい、こういうことですよというのを前広に報告する必要があると思ったのは私の方でありまして、しっかりするということと、それと、夏場については、太陽光エネルギーの部分が発電が可能であるということも含めて、この可能性は低いとは思っておりますけれども、冬までにしっかりとした対策ができるように検討してまいりたいと思っております。

宮川委員 大臣のこの発表を受けてかどうかあれですけれども、私のところにある事業者さんから問合せもありまして、再生可能エネルギー、特に木質バイオマスをやられているんです。ですから、太陽光や風力のように必ずしも変動をしていないと。定常的にカーボンニュートラルを目指して、こういった社会のためにということで再エネに力を入れているわけでありますが、こういった再エネ事業者が、二〇一六年から始まっているわけなんですが、再エネ事業者の再エネのエネルギーを売っていこうという新電力さんもいるわけですが、こういった新電力さんも市場価格に連動して影響を受けるようなシステムに今なっています。

 それとともに、今まで特例があって、激変緩和措置があって、多くの再エネを扱っている企業さんが、十二月、一月はあの高騰では影響を受けなかったところがあるんですが、その事業さんが、四月から、この激変緩和措置がなくなって、対象になるんです。ですから、もし同じようなことが起こったら、再エネ、相対契約で再エネのエネルギーを買って売っているのにもかかわらず、市場連動で事業が続けられなくなるかもしれないという懸念をお持ちの企業もあるんです。

 それで、今、やはり大臣の答弁を聞いていると、私、まだもう少し議論しなきゃいけないと思うんですが、市場に問題、欠陥があるということをしっかり認識されているのかというところに不安感があるんです。

 市場に欠陥がある。私がずっと言っていたのは、大手の旧一電さん等がまずは自分たちの経営を、ルールは経産省が作っているから企業が悪いわけじゃないんです、大手さんは自分たちのまず利益を確保して、確保できて余れば市場に電気を入れる、そういうシステムになっているから、自分たちがもうからない場合は市場に電気がなくなってしまうわけであります。

 こういう市場自体の設計に問題がある中で、大臣が電気が逼迫するかもしれないと言って、それで、新電力さんを守りますよというメッセージを出さなければ、やはり私は足りないというふうに思うんですが、ちょっと時間が来たんですが、最後、新電力さんに市場の問題で大きな損害が出ないようにするというところをお話しいただけないでしょうか。

梶山国務大臣 昨年から今年の事象も踏まえて、市場の制度の見直しということも考えております。そういった中で、可能な限り新電力に状況が偏ることがないように対応してまいりたいと思っております。

宮川委員 これで質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党、田嶋要でございます。今日は差し替えで質問の機会をいただきました。古巣に戻った感じがしますけれども、富田委員長、そして両筆頭、各理事、委員の皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 今日は産業競争力強化法ということでございますので、お手元に資料を配っておりますけれども、一ページ目の、せんだっての日本経済新聞の記事をお時間、お暇のある方は読みながら、この三十分を過ごしていただきたいと思いますけれども、事態は非常に私は深刻だと思っております。

 大臣、この法案のような中身というのは、私が筆頭理事をやっていた頃から思うんですけれども、余り反対できないんですよ。そうですよね。大体、経産委員会の法案というのは、結構みんな賛成しますよね。これはよく言われている。これはなぜか。なぜかというと、私なりに思うのは、主役は民間だし、やってみないと分からないからなんですよ。だから、今回も、税制だとか何だかんだいつものパターンというか、いつものパッケージの中身になっていますけれども、やらせてみないと分からないから、まずは賛成して様子を見る、私はそういうことだと思うんですよね。

 であれば、大事なことは、いろいろ真新しい法案を出すのもいいんですけれども、今までやってきたことはどうだったかという検証をしないと、何だか毎回毎回、通常国会が来るたびに新しい法案が出てくるんですけれども、今までやったことはどうだったのという話が余りないんですよ。役所の人もそれは余り面白くないのかもしれないけれども、ここはやはり大事ですよと私は本当に思うんです。今日はそういうテーマをやりたいと思いますが、大臣に、総括的に、やはり振り返って検証して、ここは失敗した、まずかった、三十点だった、そういう評価をきちんと毎回していただきたい。大臣、その覚悟をお願いします。

梶山国務大臣 これまでの議論の中でも、ほかの委員からもその御指摘がありました。

 当然、やはり政策というのは検証して、その成果というものもはっきりさせなければならない。また、成果が出ていないものも皆さんにしっかりと透明性を持って公表しなければならないと思っております。その教訓を生かしながらしっかりとした政策をつくっていく、そのとおりだと思っております。

田嶋委員 それをお約束いただきまして、最初の資料一ですけれども、ついに日本経済新聞もはっきりこういうことをおっしゃるようになってきたわけですよ。私は、三年前の新年会から地元では言い始めています。本当に大丈夫か、日本、勝てる分野があるのか、そういう気持ちです。

 そういう中で、今日はワクチンのお話をまずさせていただきますけれども、地元に帰るとよく聞かれますよね、何で日本はワクチンを作れないのと。みんなに聞かれますよ。私も最初は、当然、いいタイミングで出てくるのかなと期待していました。だけれども、鳴かず飛ばずですよね。今、イギリス、アメリカ、ドイツ、加えて中国、ロシアと、大きい国はみんな自分で作っているんですよ。次のページを御覧いただきたいと思います、三ページ。三ページを見れば、上の方には全然日本の会社は存在しない。何だか変だなという感じがするのでございますけれども。

 最初に、厚生労働省にちょっとお尋ねします。

 昨年の、立憲民主党、長浜参議院議員の御質問のやり取りで、六月ですけれども、厚生労働省の答弁を読んでいると、やはり輸入ではなく国産開発ワクチンを軸に考えていた、だけれども輸入も考えているよ、こういう言いぶりなんですね。ということは、やはりこれは大きな誤算があったということでいいんですか。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のやり取りの件でございますけれども、当時、六月十五日の決算委員会でのやり取りだと思います。長浜委員から国産ワクチンの開発状況についてお尋ねがあった上で、それに対する加藤大臣からのお答えをさせていただいているということでございます。国民の皆様に一日でも早くワクチンが提供できるように、国内発のワクチン開発の支援をやる、それとともに海外で開発されたワクチンの国内生産、さらには海外で開発されたワクチンの確保、そういったことをやることによって新型コロナワクチンの確保を進めていく旨答弁されたものというふうに認識をしております。

田嶋委員 短くお願いします。

 それは今、ファクトを言っている。そうじゃなくて、誤算があったのかと聞いているの、認識が。

こやり大臣政務官 国産ワクチンについても様々支援をやってまいりました。そうした中で、国内外のワクチンについて、安全性あるいは有効性等を検証しながら、結果として、現時点では、欧米の企業三社から合計三億六千四百万回分の供給を受ける契約の締結に至ったということでございます。

田嶋委員 こういうふうに答弁されていますね、加藤大臣は。まあできれば国内ワクチンということで頑張るということも当然でありますけれどもということなんですよね。鳴かず飛ばずじゃないですか。こうやって身内の、資料の二ですけれども、こういう自衛隊のお方も、言いたかないけれども、しゃあないと言っているわけですよね。これは本当に恥ずかしいことだと思いませんか。

 これは、国内外に、そして日本の国民もショックですよ。何だ、日本はワクチンを作れない国なんだということが分かっちゃった。不都合な真実なんですね。私も非常にがっかりしました。最初、アビガンとか何とか名前があったから、あれはワクチンじゃないけれども、やはり日本のメーカーも強いなと思って、ちょっと誇らしげだったんですよ。何にも出てこない、何をやっているんだろうなと。

 それで、タスクフォースというのがつくられましたけれども、最近、厚労省が文科省と経産省とセットでタスクフォースができましたけれども、じゃ、我々の政権の後、十年ぐらいやっていますけれども、何回ぐらいこういうタスクフォースをつくったんですか、国産ワクチンのために。

こやり大臣政務官 まず、国産ワクチン、新型コロナのワクチンの進捗状況でございますけれども、現在、国内で製薬企業四社が臨床試験を行っているところでございます。

 我が国のワクチン開発、生産体制における課題を整理、検討するために、今まさに委員が御指摘をいただきましたワクチン開発・生産体制強化タスクフォースを本年四月から開催することといたしました。

 調べた限りにおきましては、過去十年間で、省庁間の垣根を越えて、我が国のワクチン開発、生産体制における課題を検討するためのタスクフォースが設置されたのは今回が初めてであるというふうに承知しております。

田嶋委員 私、三十分なので、委員長、ちょっと、余計な答弁は要らないですから。何回と言ったんだから何回だけ言ってくださいよ、最後のところだけ。もういいですよ。

 それで、私、それはびっくりしましたよ。御自身、びっくりしませんでしたか。私は、何度も何度もやった努力はあったのかなと思ったんですけれども、結局は、非常時になって慌てて泥縄でやっているだけなんですよ。ふだん何にもしていなかった。だからこういうことになっているんですね。

 それで、資料の六番、新型インフルエンザ対策総括会議報告書、平成二十二年、二〇一〇年、これは民主党政権なんですね。実は、新型インフルエンザは、前の自民党政権のときに始まって、そのさなかに総選挙があったんですよ。だから、終わったときは民主党政権なんですけれども、当然、それまでの経験もないし、いろいろな反省もしながら、レポートの抜粋を三ページつけました。六ですけれども、下線を引いたところを読み飛ばしていただいて、最後の裏の九ページに、わざわざ、ワクチンという立派な提言があるんですね、これは長浜先生に教えていただきましたけれども。

 こういうのを見るにつけ、悲しくなりますよ。ここまでやっていたんですよ、前政権が。別に我々が立派だとかそういうことじゃなくて、そこから十年たっているんですよ。十年たって一回も、ずっとその間、深刻な感染症はなかった。幾らだってやるときはあったじゃないですか。平時にできないことは非常時には絶対できない、よく言われますよね。一体全体、今頃慌てて何やっているんですかという気が私はするんですね。このレポートですけれども、要するに、これは質問しませんが、そういう意味では全く危機感がなかったということだと私は思っております。

 それで、経産大臣に戻ってお尋ねしますけれども、じゃ、経産省はどうなのかということですね。

 私は、要するに、製薬業界の競争力とか安全保障に関わる問題なんだから、経産省が目の色を変えて厚労省にけしかけて、こういうレポートが出ているんだからやろうぜというふうにするべきだと。今回、タスクフォースがそうやってできているわけですよね。じゃ、この十年間どうだったのかという質問を役所に聞いたら、組織法がどうのこうのとおっしゃるんですよ。

 組織法上、手出しができないんですか、製薬には。いかがですか。

梶山国務大臣 設置法上、一義的には厚労省が所掌しているということでありますけれども、私どもも、これまで、国立研究開発法人日本医療研究開発機構を通じたバイオ医薬品の製造基盤技術等の開発ということで、生産拠点設備の支援等を行ってきております。

 私どもも、これは私自身もまた見てまいったところであります。特定のメーカーが今そこを使っているということでありますが、それとあわせて、今ありました会議体にも私どもも積極的に参加をしているということ、更にまた言えば、臨床、認可の過程における仕組みというものも、この遅れている原因の一つであると思っております。

田嶋委員 写真つきで、視察されているのも見ましたけれども、それは事が起きてからですよね、五年前とかじゃないわけだから。

 だから、やはり私は、このテーマは、厚労省はそれは薬の専門かもしれないけれども、産業ということになってきたら経産省の方が一日の長がありますよ。よく、かつてドラッグラグとかデバイスラグと言われていたでしょう。だから、何か、薬とか医療機器は何でもかんでも日本は輸入しちゃっている、不思議だなという話がよくあったんです、製造業が強いはずなのにと。そういうことで、武田薬品なんというのは一番日本では大きいけれども、世界の中では十位に入るかどうかだという話で、ほかの国は圧倒的な研究開発力があるんだよという話はもうずっと聞いていましたよ。だけれども、まさにこういう事態になるときに、ほかの国に頼らないと国民の命を守れないなんて、本当に悲しいことじゃないですか。それは、私、厚生労働省だけじゃなくて、経済産業省、歴代の責任があると思います。

 だから、そういう意味では、視察に行っていただいたのは結構なんですが、ちょっと十年間ぼうっとしていたんじゃないかなと思いますよ、ふだんから。平時にぼうっとしていたから、こういうときに大慌てになって、国民が恥をかくということにもなっていると思います。

 是非、大臣、一義的には厚生労働省なんて言わなくていいから、そんなの、みんなでやるんだから誰でもいいんですよ。だから、もっと本気になって、日本で確実に次に命が自分の国で守れるようにしていただきたい。そのことをお約束いただきたいんです、大臣。

梶山国務大臣 昨年来のコロナ禍の中で、数々、そういうことを私自身も感じております。委員おっしゃるように、私どもの役割の中で、しっかり厚労省と連携をしてまいりたいと思います。

田嶋委員 それで、今回、やはり一つ印象的だったのは、我々が買っているファイザー、ファイザーは世界一位か二位ですよ。ところが、それにくっついているすごい会社がありまして、ビオンテックというんですよ、知っていますよね、英語ではバイオンテックと言うらしいんですけれどもね。このビオンテックはドイツの会社で、二〇〇八年か何かに夫婦がつくった会社ですよ。トルコの移民だそうです。そういう意味でもすごいですよね。

 私は、改めて、起業家を育成するということをいつも私は取り上げていますけれども、議事録を振り返ったら、六年前に質問をして、三年後に聞くぞと言って、三年後に世耕大臣に聞きました。そのときに、三年後にまた聞きますからねという議事録があるんですが、それが今日ですから、大臣。いや、こういうのは本当に定点観測が大事なんですよ。だって、言いっ放しで終わることが多いんだから。だから、是非、これは大臣、ビオンテックが生まれるような国にしたいんですよ、やはり。(発言する者あり)そうでしょう。

 大臣、クエスチョンです。ユニコーンベンチャーは今、日本に幾つあるんですか。

梶山国務大臣 数社あると思っておりますけれども、ただ、基準をちょっと違った形で見ている部分もありますので、政策上見ている部分もありますので、またそっちは後でお知らせします。

田嶋委員 意地悪じゃございませんので、七社というふうにネット上は出ていますね。どんどん増えるかもしれませんけれども、残念ながら少ないなという印象ですね。プリファードネットワークスとか、それから山形のスパイバーとかありますけれども、そういう会社だけですよ。

 この間頑張ってくれたのかなということで、三年前、六年前、ベンチャー育成には現場の、本物の起業家たちを教育現場にもっと入れるんだ、金はかからないよ、彼らはお金で動かないから、心意気で動いてくれるんだと。そうしたら、自民党から拍手喝采でしたよ、六年前。ありがとうございます。そういう状況だったんですよ。やってくれているのかなというのが私は不思議なところで。

 今日は文科省もいらっしゃっているし、お尋ねですけれども、ちょっとはしょりますけれども、結論から言うと、数十社しかやっていないんですよ、これは。毎年数千万円つけて、経産省が高校生、文科省は小中校生。これではいつまでたっても生まれないって、ユニコーンベンチャー。日本全体に、小学校が二万校、中学校が一万校、高校は五千校、分かりやすいですよ、全部で三万五千校あるんだから。全部やってください。そのぐらいできるでしょう。これを世耕さんに言ったんですよ、三年前に。その前も言っているんです、広島の先生に。だけれども、いまだに数十校ですよ。やる気あるんですか。そういう感じが私はするんです。

 文科省、どうですか。文科省、どうぞ。

鰐淵大臣政務官 お答えいたします。

 これまでも委員におかれましては起業家教育の推進に御尽力いただいていますこと、感謝申し上げたいと思います。

 委員御指摘のとおり、起業家の育成、大変に重要ということで、文科省におきます役割も大変に重要と認識をしております。

 具体的には、起業家教育の取組といたしまして、小・中学校等における起業体験推進事業を平成二十八年度から実施をしておりまして、これまでに延べ二百五十七校の小中学校におきまして実施をしております。今年度におきましては、これまでの実践を基に、先進的な実践事例や授業展開例等を収集しまして事例集として取りまとめ、配布することで、全国の小中学校で取り組まれるよう支援をしていきたいと思っております。

 しっかりと経済産業省と連携を取りまして、文科省としても起業家教育、しっかりと推進してまいります。

田嶋委員 三年前も六年前もそんな答弁なんですよね。

 だから、これは本当に私、我ながらいい提案だと思っているんですよ。第一に予算がかからないんですよ。だから、私、地元でやってみたんです。ちゃんとできたんです。蘇我中学校にも送り込みました、幸町第一小学校にも送り込んだんですよ、自分がこの人はと思う経営者を自分で説得して。みんな喜んでやってくれますよ。だって、たった一時間のこまを取るだけじゃないですか、忙しい人だけれども。みんなやりますよ。

 だから、経産省は僕は評価する点がある。それは、私が言った後、リストを作ってくれて、今、七百社のベンチャー企業が経産省中小企業庁のホームページにちゃんと載っています。それは確認しました。ありがとうございます。しかし、何かちょっとやったふりで終わっているね。

 経産省より文科省の方がもっと問題だと僕は思っているよ。だけれども、最終クライアントは経産省側だから。だって、創業率を上げたいんでしょう。ほかの先進国の半分で問題だと書いてあるじゃないですか。こんなことをやっていたらいつまでたっても上がらないよ。ビオンテックなんか生まれないよ。

 だから、クライアント側は経産省なんだから、やる気のない文科省をもっとせっついてくださいよ。早く一万校以上のレベルに持っていく。だって、一つの地域で、僕が千葉市でやった、たった三つの学校にやりましたけれども、起業家を三人説得して。それを全国でやるだけだって、掛ける三百ぐらいできるでしょう。みんな国会議員だって頑張って動けばいいじゃないですか、与野党超えて。あのとき、だから、みんなからすごい拍手も出たんですよ。

 だから、もう一回言いますけれども、これは三回目ですから、今回、国会での質問。三年後にもう一回聞きますからね。だから、是非、全国の小学校、中学校の子供たちに一回は起業家の夢、情熱、熱いものを感じさせる授業を受けてもらってほしいんですよ。僕自身がそうだったから。ソニーをつくった盛田さんの話を私は聞きました、高校のときに、愛知県の高校ですけれども。だから、そういう経験をやはり僕もしているので、是非みんな一回は、その中からビオンテックは生まれますから、それを信じて頑張りたいと思うんですね。

 経産省、是非、数十校じゃ困ります。毎年数千万の予算と言うけれども、予算じゃないんですよ、情熱なんですよ。説得してください、起業家を。お願いします。

梶山国務大臣 この仕組みとは別に、それぞれに行っている高校も幾つか私も知っておりますけれども、やはり大量の高校でみんながそういう創業者の話を聞くことは非常に重要だと思っております。

 一度、私、一年前ぐらいですかね、アンケート結果を見せてもらいましたけれども、身近なところに創業者がいないというのが、やはりそういう、自分で創業してみようという思いに欠けるところだというアンケート結果も出ておりますので、各県の自民党の組織も含めて働きかけながら、また各県の教育関係者に働きかけながら、できる限りの努力をしてみたいと思います。

田嶋委員 私も一回やってみて、教育委員会のお力はあったんですけれども、やはりちょっとやったふりだったのかなと思って。もう二年目から消えちゃいましたよ。その人が人事異動したら次の人は引き継がれていないし。私もちょっと息絶えましたよ、そこで、一回。

 だけれども、これはやはり国が旗を振れば大分違いますよ。だから、文科省が本気になって、経産省の力をかりて。これはワクチンと同じなんですよ。中心は文科省と思っているでしょう。さっきの中心は厚労省と思っているでしょう。経産省がクライアント側なんだから、経産省が川下からプッシュかけないと。私はそう思います。

 是非、もっと多くの人が夢を追っかけて創業できる国にしましょうよ。大企業だけじゃ日本の未来はないですよ、はっきり言って。そう思いますよね。サラリーマン社長ばかりだから、それじゃ駄目だから。お願いいたします。

 テーマを変えます。ちょっと原発事故の話もさせていただきたいんですけれども。

 三・一一の関係でテレビ番組がありまして、そうしたら、東京電力の勝俣会長が、自衛隊に原子炉の管理を任せる、そういう旨の申出がありましたというのを、当時の自衛隊の幹部、広中雅之氏が顔を出してテレビでおっしゃっていたんですね。私、びっくりしました。びっくりしましたというか、そうなんですけれども、これは事実なんですか。

梶山国務大臣 政府事故調の報告書や国会事故調の報告書では、そのような内容は含まれていないと承知をしております。

 また、東京電力に確認したところ、社内関係者に確認したが、そのような趣旨の発言があったという事実は確認できなかったということであります。

 ほかの作者の著書などでは、別な表現も出てきているところであります。

田嶋委員 本人は言わないんでしょうけれども、しかし、総合的に考えると、やはりもう民間の企業には耐え難い状況にあるのは容易に想像ができるわけですよ。だから、それは、私はそういうことを会長が言ったことを責めるわけでもないし、それは本当に限界状況だなと思います。当時も、私も、政務官として、日本沈没かなという本当に恐怖感、あの一週間、三・一二からの一週間ですね、爆発が起き始めた、そのように感じました。

 そこで、実は私どもの委員会にかつておられた近藤洋介先生が二度ほど取り上げておるんですけれども、要するに、ほかの先進国は、過酷事故が起きたときに、その国の、フォースというんですか、自衛隊とかそういう軍隊が入り込む、オペレーションのやはり訓練も受けているという説明もあったわけでございますけれども、私は、今、だんだん再稼働が増えている中で、当然、あのときに菅内閣の面々が大変苦労した、要するに民間に対して決死隊で行けみたいなことというのは、なかなか矛盾があるわけですよね。やはり最後に頼るのは、勝俣さんがこういうことをおっしゃろうがおっしゃるまいが、自衛隊ということにもなるわけでございますが、その点は進展があるのでしょうか、今は。

 自衛隊がしっかり、もうすごい線量になっちゃってとんでもない、今日もニュースで、福島第二原発もテロ対策が問題があるというニュースが今流れていますよね、そういうときに、大丈夫ですか、最後は自衛隊も原発を動かせる訓練は済んだんですか。どうですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 万が一の際の原子力発電所事故への対応につきましては、オフサイトとオンサイト、それぞれの対応を決めて対応しております。(田嶋委員「規制庁ですよね。これは規制庁答弁。規制庁ね」と呼ぶ)いえ、資源エネルギー庁です。全体としての御答弁をまず申し上げます。

 オフサイトにつきましては、原子力災害対策特別措置法に基づきまして、事故時の住民避難や迅速な初動対応等をシミュレートしながら、毎年度、これは原子力総合防災訓練というものを関係機関の連携、これには自衛隊も含めてでございますけれども、実施しているところでございます。

 オンサイト……(田嶋委員「簡潔にお願いしますね、もう五分だから」と呼ぶ)ええ。オンサイトについて申し上げますと、福島事故の反省を踏まえて制定されました新規制基準に基づきまして、万一の重大事故を想定しまして、瓦れき等の除去、事故時に対応に必要なアクセスの確保、また放水によりその放射性物質の放出を低減すること等につきまして、これも規制庁の審査、規制委員会の規律の下で対応策を講じているところでございます。

田嶋委員 要は、ポイントは、瓦れきのうんたらとかという話じゃないんですよ。普通の民間人とかが恐れおののいて行けないような状況のときに、最後、自衛隊にお願いをして、自衛隊が原子力のオペレーションに関われるのか、近藤先生が二回聞いています。原発事故から二年目と三年目に聞いています。それで、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの状況も私も調べてみました。それぞれに軍が関係しているんですよ。瓦れきの処理の話はしていないから。

 大丈夫なんですか、どんどん原発を動かして。また過酷事故になったら誰が触りに行くんですか、その機械を。私、福島の現地本部長をやっていましたけれども、あのとき、オフサイトセンターだって近づけなかったんですよ。だから、使い物にならなかったんですよ、線量が高くて。誰がやるんですか、大臣。

梶山国務大臣 事業者自身ということになると思っております。それで、前回のときも、これは、事業者もそうですけれども、今委員がおっしゃったような話がありますけれども、メーカーも含めて民間の方たちが収束に向けての努力をしていただいたものだと思っております。

 他国の例でありますけれども、軍というのは、やはり核兵器などでの汚染の除染とか、そういうことも含めて訓練をしているという前提で多分そういう形になっているのだと思っております。

田嶋委員 今日、委員長、いらっしゃいますよね。

 いや、もちろんそうですよ。だから、海外のそういう国は、核兵器の関係もあるから、ふだんから、より備えがあるんですよ。日本はふだんから備えがないから、だから格別の努力をして用意しておかなかったら、今度、過酷事故のとき、どうするんですか。規制庁、委員長はどうなんですか、それ。いいんですか、こんな状態で。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 事故に遭って、非常に厳しい事故であっても、まずはその事業者が責任を持って対処に当たること、これは、その事業者自身が、個別のプラントについて最もよく知るのは事業者自身でありますので、事業者が当たることが原則であります。

 その上で、事業者の手に余る、ないしは政府の機関の調整が必要となる、そういったような場合には、基本的には事業者の要請等を受けて、原子力災害対策本部が実動組織を含む関係省庁との調整を行って、十分な安全確保を行った上で、それぞれの実動組織が対応可能であると認めた活動の範囲内において実動組織が出ていくという形になります。

田嶋委員 何となく分かったような、分からないようなね。だから、あれですよね、手に余ると。だから、こうやって勝俣さんが言いに来ているんじゃないですか。もう自衛隊しかいないということですもの。これは分かるじゃないですか、普通、考えたって。今の答弁で確信を持てますか。平時にできないことは非常時にできないとワクチンで学んだんですよ。ワクチンの失敗をまた繰り返さないでくださいよ。失敗ばかりしているんだから、本当に。いつも信頼のある御答弁の多い委員長ですから、私、ちょっとそこは不安ですけれども。

 宮沢大臣のときに、近藤洋介先生に、まさに有事のときのシミュレーションというものを政府部内でもう一度我々はやってみてもいいのかな、こういうことをおっしゃっているんですよ。経産大臣の責任の下に、防衛省がどの程度、自衛隊がどの程度入るかは、それはいろいろあるかもしれませんけれども、オペレーションの一端を担えるような訓練も含めて私は考えるべきだと思いますよ、大臣、改めて。今原発が増えていますから、再稼働が。そうしたことを最後に申し上げたい、質問抜きで。

 次に、最後の質問ですけれども、汚染水というか処理水というか、この問題の肝は、丁寧な説明と真面目な、正直な情報公開に尽きますね、これは。だから、反対していても賛成していてもいいけれども、きちんと事実を伝えないと、そして、その努力は本当に粘り強いものが必要だと僕は思いますよ。一回言ったから終わりじゃないんですよ。ホームページを見ろじゃないんですよ。

 だから、お尋ねしますけれども、大体、あっちでもこっちでも捨てているから大丈夫だよ、そういう言説が多いですよね、最近。じゃ、あっちでもこっちでも捨てている、事故を起こしていないところから捨てているものと、一Fから捨てられようとしているものは、同じ中身なんですかという問いなんですよ、何度も聞いているかもしれませんけれども。要するに、これは検出限界以下か以上かという意味では別物を捨てようとしている、そういう理解でよろしいですね。

梶山国務大臣 ALPS処理水に含まれるトリチウム以外の核種につきまして、検出限界値を上回る放射性物質等々の、どういう表現をしたらいいかということだと思うんですけれども、ALPS処理水については、検出される頻度の高いトリチウム以外の放射性物質は九種類あるわけであります。これらの中で事故炉に特有な核種というのは、コバルト60と炭素14を除いた七種類ということになります。こういったものをしっかりと広報してまいりたいと思っておりますし、その濃度につきましても、安全基準ということで、しっかり広報していくところであります。

田嶋委員 不安の多くは、やはりきちんとした正しい情報をコミュニケートすることで解消される面も多いと思うんです。今の御答弁は、処理水といってもいろいろ入っているよという、検出限界を超えているよということですけれども、同時に、普通のオペレーションしている、あるいは事故を起こしていない原発から捨てるものは、トリチウムだけが検出される。トリチウム以外は検出されないんですよ、基本で。聞いています、そういうふうに。だから、そういう違いも含めて、国民にはよく理解できない。

 もう時間が来ていますよね。じゃ、やめますけれども、あと、どこで捨てるのかも、何か福島で捨てることが前提になっているような議論で、本当にいいのかなと。平時から負担を福島に集めてやってきているわけなのに、こんな予期せぬ事故の汚染水というか処理水というか、それを何で前提として福島だけで捨てるんですか。むしろ、みんなで負担を分かち合うという議論を経産省が先頭に立ってやってほしいんですよ。大臣、最後にそこのところ、お願いいたしたい。

梶山国務大臣 福島の負担を軽減するためのことはいろいろ考えてきたわけでありますけれども、例えば、トリチウムの除去装置等も含めて、もし技術が進展していれば、そういったことも対応したいと思っておりますし、今言われたようなことにつきましては、これは全国の許可を取らなくちゃいけないということになりますので、そのときに風評の広がり等も考えながら対応していかなくちゃならないと思っております。

田嶋委員 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 まず初めに、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案についてお伺いをいたします。

 今、コロナ禍で、GNPが大変落ち込んでいる。アメリカ、中国は持ち直してきていて、ヨーロッパも、またいろいろな国で海外の観光客も再開するというような国も出てきていて、これもいずれ回復するだろうという段階ですけれども、日本は、今ほども議論があったワクチンの遅れの中で、まだまだ先行きが見通せないところであります。

 そうした中で、経済をしっかりウィズコロナの中で維持をしていく、そしてアフターコロナでしっかり回復をしていくための準備はしていかなければならないという点においては、この法律案というものはそれに寄与するものであろうというふうに、一定の評価をするものであります。

 この法律案のいろいろなコンセプトの中に、狙いの中に、グリーン社会に転換していかなきゃいけない。これは、脱炭素という問題もあります。これは、細かな施策を見ていけば、原発は入っていかないんですけれども、時にやはりグリーン社会また脱炭素という話をすると、いや、だから原発だという議論になってしまう。残念ながら、与党の中にも、これは考えの違いですから完全に否定するものではありませんが、原発のリプレースの議連も立ち上がり、安倍さんがそこに就任をしたということは、常日頃、総理のときに福島に寄り添うと言っていたことが、やはり言葉だけだったなというふうにも見られかねなくもない状況でもあります。

 確認しますが、このグリーン社会への転換という点について、原発の位置づけはどうなっているのかをお聞きいたします。

梶山国務大臣 脱炭素電源ということで、再生可能エネルギー、そして、安全の確認された上で、地元の信頼を得た原子力発電所の再稼働ということで入っております。

小熊委員 グリーン社会への転換という哲学の中には、やはりSDGsの持続可能な社会というのもきっちり入っていなきゃいけないというふうに思っています。

 今の菅総理の政治の師匠は大臣のお父様とも言われていて、その梶山静六先生の言葉の中に、常に志は高く、仕事は活発に、されどふだんは質素にという言葉があります。

 原発というのは、今の利益のためだけであって、不幸にして、事故がなくても、この使用済核燃料は、数万年にわたって、人類の歴史を超えるぐらいまで負担を残すものであって、利益の先食いとも言えます。責任のたらい回しです。

 これは、梶山静六先生の言葉に立ち返ってみれば、やはり未来に禍根を残しちゃいけない、しっかりと生活をしていかなきゃいけないということがありますので。グリーン社会への転換を推進はしていかなければなりませんけれども、その柱の一つに原発をしていくことはあってはならないというふうに思います。

 また、この法律の中には、新たな日常、ニューノーマルに向けた事業転換、構築をしていくという狙いもあって、海外投資の促進もこの細かな政策の中に入っていますけれども、もう既に各種委員会、各議員がいろいろな立場で議論していますが、日本の原発輸出政策は破綻をしています。各メーカーも、これはもう得を取れないということで撤退もしているところでありますけれども、改めて、この海外展開を推進していくという狙いの中で、原発の輸出というのはどういうふうに変わってきますか。

梶山国務大臣 まず、現状という点で、これまで我が国企業が関与した具体的な海外での原発建設プロジェクトは、英国におけるホライズン原発の建設、トルコにおけるシノップ原発の建設が挙げられております。

 この英国のホライズンにつきましては、二〇一九年に、経済合理性の観点からプロジェクトを凍結し、二〇二〇年には、新型コロナ感染症拡大の影響等により投資環境が厳しさを増していることを考慮して、プロジェクトからの撤退というものを決定しております。

 トルコのシノップ原発プロジェクトにつきましては、現在、両国政府間で協議を行っている状況であります。

小熊委員 トルコの現状もこれは失敗と言わざるを得ないというふうに思いますが、原発輸出戦略というのはもう撤退したらいいんじゃないですか、やめたらいいんじゃないですかね。失敗だと思いませんか。まだそういう評価の段階に当たっていないですか。どうですか、大臣。

梶山国務大臣 世界におきましては、エネルギー安全保障、気候変動対策、発電コストといった観点から原発建設の計画を進めている国は数多くございます。世界で建設中の原子炉は十九か国で五十二基であります。その上で、IAEAの分析によりますと、原子力は世界の電源構成において長期的に重要な役割を果たす見込みであり、今後も拡大が予想されているという分析がございます。

 こうした中、福島第一原発事故においても、日本の原子力技術に寄せる国が存在をしており、日本としては、このような各国のニーズに応えるとともに、原子力の人材、技術、産業基盤の維持強化をしていくことを通じて責任を果たしてまいりたいと思っております。

小熊委員 日本の責任という点においては、この福島の事故、東電の事故を踏まえて、どう新しい社会をつくっていくかということが、その先頭に立たなきゃいけないと思っています。

 脱炭素社会に向けても、例えば、洋上風力、二〇四〇年までかなりの量をやると言っていながら、残念ながら、国内でそれをやれるメーカーが少ない、海外のメーカーに頼らざるを得ないというところでもありますし、今、世界で原発が造られていると言いましたけれども、中国も建設ラッシュですが、全て計画のものが完成したとしても、中国の総電力量の一部でしかなくて、ベースロードとしては位置づけていないんです、中国でさえ。やはり再生可能エネルギーをどうしていくかということが世界のメインになってくるわけですよ。

 だから、そういう意味では、日本の果たすべき役割は、この不幸な事故を踏まえて、再生可能エネルギーに一生懸命やっていく、それを輸出戦略に変えていく。でも、今、国内産業、育っていませんから、こういうのをしっかりやっていくということが求められていますし。

 原発の世界においては、やはり、造っているということは、廃炉に向かっていく原発が世界中出てくるわけです。これをどうしていくかというと、廃炉の技術というのは進展させていって結構ですけれども、原発そのものは、もうこれは退場していいはずなんですよ、日本は。そう思いませんか、大臣。

梶山国務大臣 政府の考え方としまして、今ある原子力発電所、安全を確認した上で、そして、地元の御理解を得られれば再稼働していくという取組であります。

 そして、原子力の技術につきましても、安全性の観点からはかなり研究開発というものが進んでおりまして、そういったものにも参加することで逆に安全性が高まるという、現状の、ある原子力発電所の安全性が高まるということもありますし、日本の技術者において、そういった取組もしていく必要があると考えております。

小熊委員 そういう意味では、プレーヤーの一人が東京電力です。ほかの電力会社には今、言及はしませんが、東京電力、今、田嶋議員の質疑にもあったとおり、事業者として、私は失格だと思っています。テロの対策も取られていなかった。新潟でのこの不祥事があった後、今回、福島がまた出てきた。度々こういうことが起きているんですよ。

 先日も、県内に東電の役員が来て、各市町村を回って、おわび行脚していましたけれども、生まれ変わったつもりでやりますと言っていましたけれども、ある首長が、何回生まれ変わればいいんですかと言うんです。本当にそうですよ。

 私も、十五、六年前、県会議員のときに、東電がデータ改ざん、不祥事隠しがありました。情報はもう遅れるだけでも罪だと思って社内改革していきます。全然なっていないんですよ。もはや改善ができない、いびつな企業だと言わざるを得ません。そうした企業が担う原発政策というのは、これはもう信頼が構築できないし、何度も同じ失敗をしているということで、これはその任にあたわないわけであります。

 ですから、次の質問もあるので移りますけれども、今回のこの法案、これは非常に重要な法案だと思いますけれども、ここに原発といったものが入ってこないようにしなければならないというふうに思います。ほかの産業でしっかりグリーン社会への転換も図っていき、ほかの技術によって新しい道を構築していく、そういうことが大きな柱になるということを、大臣、約束してもらえませんか。

梶山国務大臣 可能な限りの再生可能エネルギーを導入していくということであります。

 ただ、日本は資源がない国だということで、一つの電源、また、幾つかの電源を放棄するということが、今の現時点であってはならないと思っております。

 そういった中で、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて努力をしてまいりたいと思っております。

小熊委員 現状の話をすれば、それはいろいろなことが出てきますよ。あしたからすぐ原発が全部なくなるというわけでもないのは我々も承知をしているところでありますし。

 ただ、これは常に議論が避けられていますけれども、また次の質問に移りますが、いわゆる原発由来の使用済核燃料や、また、この事故の起きた東電の福島の原発の瓦れき、処理水の問題というのも片づいていません。

 これはお隣の県の大臣も重々承知をしていると思いますけれども、これはやはり手に余るものなんですよ。責任を持ちますと言うこと自体が無責任な発言で、責任持てませんよ、これは。高速増殖炉で処理したって三百年かかるんですよ。三百年先の負の遺産なんて、責任を持つと言うこと自体が不見識だというふうに思います。

 この処理水についてですけれども、お手元の資料のとおり、県内の世論調査を県内紙が行いましたけれども、七割を超える方が理解が深まっていないというデータが出ました。

 政府の説明責任、いろいろな情報発信をしていますけれども、これが結果として達成されていないという現状が浮き彫りになりましたけれども、この県民世論調査、七割の人が理解が深まっていない、理解しないんじゃないですよ、政府がやっていることに対して理解が世の中で深まっていないという評価です。

 このことについて、まず見解をお伺いします。

梶山国務大臣 この記事もそうですけれども、そういった御指摘があることは大変重く受け止めているところであります。菅総理からも、ALPS処理水に関して、国民に広く周知するように、広報を徹底するようにとの指示を受けているところであります。

 政府一丸となって取り組むこととしておりまして、基本方針の決定以降、自治体や議会、水産事業者、そして流通業者への説明会を実施しているところであります。御説明や情報発信に努めているところでありますけれども、今後、実際の放出が始まるまでに、設備の工事や規制への対応に二年程度時間が必要になってくると見込まれることから、引き続き、放出までの時間を最大限利用して、徹底的な広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 これは、ずっとこの十年間そうでしたけれども、一生懸命説明します、努力します、関係者の説明会を開きますと。その後、各省庁を交えて中間取りまとめがなされるんですけれども、方針が。だけれども、これ、結局は、抽象的な言葉で始終するので、ここでしっかり数値目標を立てて、何割の人の理解を目標、それは一〇〇%ですけれども、それはなかなか難しいですから、八割ぐらい理解を求める、理解が深まったというまでは放出はしないといった、どう判断するかは別として、数値目標は必要じゃないですか、理解度の。そうじゃなければ、一生懸命説明しました、何回説明会やりました、関係者と懇談会やりましたということだけでいつも終わっているんですよ。数値目標を決めませんか。

梶山国務大臣 関係者に対する理解のための説明というものは、これまでもしてきているということであります。一言で理解と言っても、それぞれの方の居住地や職業など、置かれている立場や状況により、求める情報、また情報の解釈の仕方は異なってくるものだと思っております。

 例えば、ALPS処理水の安全性について理解はしているが、風評を懸念する方もいれば、放出には反対であるけれども、風評対策については理解しているという方もいるなど、理解の在り方は千差万別であると考えております。

 こうした状況を考えれば、理解度を数値化したものを新たに放出の可否の判断の指標として設定することは適切ではないと考えております。

小熊委員 これは、我が党の復興本部の中で、私もゴールデンウィーク前の質疑でもやりましたけれども、今、田嶋議員でもありましたように、福島だけにしわ寄せが来ている、そういう中で、薄めて飲めるほどの水になった処理水を、トラック一杯でも全国で引き受けてくれないかという話が出ました。

 そのときに、経産省の言葉は、各地で反対運動が起きます。科学的に大丈夫だ、飲める水だと言ったって反対運動が起きるという認識を持っているんです。大臣のところだって、大臣のところの川にトラック一杯分引き受けてもいいよなんて言えないでしょう。反対運動が起きると分かっているじゃないですか。科学的に大丈夫でもですよ。科学的に大丈夫だと何回説明会を開いたって、そういう反対の声というのは少なくないですよ。多くあるわけですよ。

 それは、大臣が自分のところに持っていこうと想像したって、想像できるじゃないですか。そこをどう乗り越えるのかが、この十年間何も示されてこなかった。できないんですよ、だから、これ。それを踏まえて、これを福島で進めるということなんですよ。大変なことですよ。

 大臣、何か見解ありますか。

梶山国務大臣 それぞれが負担をするということ、ある政党からも提案がございました。心情的には分かるわけでありますけれども、ただ、水の移動に関しましては、少量であろうが大量であろうが許認可が必要であるということ、そこの通路の自治体に対しての御理解をいただくという手順も必要なことも考えると、なかなか現実的には不可能であると思っておりますし、そうなったときの今度はタンクの容量の問題、処理水の発生状況も含めて、福島の皆様には大変御負担をかけて申し訳ありませんけれども、こういう方法を取らせていただいたということであります。

小熊委員 大臣言ったとおり、飲めるほどの水にしたって、通行するだけで大変だと言っているわけです。それを流すんですよ、福島の海に。どれだけ大変なことかということですよ。ただ通るだけでも駄目だというんでしょう。じゃ、流すのなんか到底駄目ですよ。そういう課題ですよ、これ。でも、粛々と進めていくんでしょうけれども。

 時間が来ましたので、最後に申入れだけしますけれども、過日の委員会でもやったとおり、今回のこの風評被害の対策の方針についてはかなり幅広でやっていますけれども、具体的にどうなのか。方針は幅広であっても、具体的にやったら結局みんなはねられたということのないように、早めに数値的な判断基準をお示しをいただいて、理解を得られるようにしてください。

 以上で終わります。

富田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 本改正案は、生産性向上特措法を廃止して、規制のサンドボックス、この制度を産業競争力強化法に移管をして恒久化しようとするものであります。

 規制のサンドボックスは、主務大臣が認定した新技術等実証計画、これについて、既存の規制を一時停止、凍結をして、実施を可能とするものです。そもそも、規制のサンドボックスが、子供が砂場で自由に砂遊びするようにという意味であることからも、まさに国民生活に関わるあらゆる分野を実験場にしようとするものにほかなりません。

 そこで、梶山大臣に伺いますが、この制度は、当時の安倍総理を議長とする未来投資会議で竹中平蔵氏が提案をして、未来投資戦略二〇一七に速やかな創設が盛り込まれて、二〇一八年に成立した生産性向上特措法によって導入された、そういう経過のものだということはよろしいですね。

梶山国務大臣 サンドボックス制度は、IoTやビッグデータ、人工知能の活用など、新たな技術やビジネスモデルの実用化に向けた社会実証を幅広い分野において進めていくことが必要となっていることに対応するために、政府として導入する必要があると判断をし、生産性向上特別措置法に盛り込んだものであります。

 御指摘の未来投資戦略二〇一七にも、プロジェクト単位の規制のサンドボックス制度の創設が明記されているものと認識をしております。

笠井委員 二〇一八年の法案審議で、日本版サンドボックスには分野の限定がないことを確認いたしました。当時の世耕大臣は、経産省が確認している十八か国では、フィンテック、金融分野を中心に特定の分野において実施をしている、日本のように分野を限定していない国はないというふうに、明確に答弁をされました。

 梶山大臣、現在、規制のサンドボックス制度を実施しているのは何か国あるのか。分野限定はなしで実施している国はその中にあるんでしょうか。

梶山国務大臣 前回の法案審議の際に、規制のサンドボックス制度を採用していることを当省として確認したのは十八か国であるものと認識しております。制度創設以降、正確な件数は把握しておりませんけれども、サンドボックス制度の採用は拡大しているものと承知をしております。

 また、サンドボックス制度の対象分野については、例えば、サンドボックス制度を最初に導入した英国においても、金融分野に加えてエネルギー分野が対象に加えられており、さらに、フランスや韓国では、金融やエネルギーだけでなく、日本と同様に幅広い分野で実証が可能とされております。

笠井委員 分野限定なしでこれを実施している国はあるんですか。限定なし。幅広いかどうかじゃなくて。

梶山国務大臣 フランスはそうであります。

笠井委員 全体はまだ十分に、正確に把握していないということもありまして、三年間の期間限定で実施してやった異次元の規制緩和策を恒久化しようとしているのに、きちんと調べてもいないのかという問題が大問題になってきます。フランスも本当に全部ないのかということを、私は、それはちょっと証拠がよく確認できないんですが。

 当時、世耕大臣は、三年後に制度をどうするか、三年間の成果やその時点での経済情勢などを踏まえて必要な施策を講じるというふうに答弁をされておりますが、この間、何件を認定して、どんな成果があったんですか。

梶山国務大臣 規制のサンドボックス制度は、期間や参加者を限定することによって、規制の適用を受けずに、革新的な技術を活用した実証を迅速に行い、規制改革や社会実装の実現を図る制度であります。規制当局においても、法律に基づいて行った実証の成果をもって、規制の見直し等の検討が可能となります。

 生産性向上特別措置法が施行された二〇一八年六月以降、二十件の新技術等の実証計画の認定を行い、百三十九の事業者が実際に実証に参加をしております。

笠井委員 それで、どんな成果があったんですか。

梶山国務大臣 本制度に基づく実証を行った結果、電動キックボードに関する道路交通法関係省令等の特例措置の整備等が実現し、さらに、本法案においても債権譲渡の通知の電子化に関する民法等の特例措置が盛り込まれるなど、実際に規制改革が実現をしております。

 本制度は、規制改革を実現するための重要なツールとして有効に機能しており、産業競争力強化法に移管して恒久化を図ることとしたところであります。

笠井委員 今、それは、どういう措置を取ったかというのはその結果としてのことであって、個々の実証の結果というのは当然公表されていますね、実際こうやってやってきたわけだから。

梶山国務大臣 サンドボックス制度が新技術や新たなビジネスモデルの実証を行うための枠組みであることを踏まえれば、実証で得られた各種生データを含め、実証の成果を公表することは事業者の競争上の利益を損なう可能性があることから、非公表としております。

 他方で、サンドボックス制度を活用した実証事業の内容を国民に広く理解していただき、制度の幅広い活用につなげていく観点から、主務大臣は、実証計画を認定した場合に、その内容を直ちに公表をしています。

 制度の利活用促進は重要な課題と考えており、引き続き、精力的に取り組んでまいりたいと考えております。

笠井委員 実際、こういうことで導入して、個々の実証の結果は非公表だと。その結果としてやったことについては明らかにしている、この措置についてはということですが、成果はあったと言うんですけれども、いつからいつまで、誰を対象に、どんな実証を行ったのか、実証する中で問題はなかったか、問題をどう解消したか、その実証内容が個々に具体的に分からなければ、チェックすべき国会が評価しようがないじゃないですか。これでは、本当に、経産省に白紙委任せよと、こういうことになるんですか。

梶山国務大臣 制度の利用開始から三年弱経過をしておりますけれども、本制度は幅広い分野での実証に利用されております。実証に当たっては、生命や身体の安全確保が重要であることは言うまでもありません。

 サンドボックス制度は、事業者に対し、期間、場所、方法を限定し、参加者の同意を得ること、実証実験の管理監督を行うことなど、実証を適切に実施するために必要となる措置を講ずることを求めております。サンドボックスの計画認定については、主務大臣において、こうした措置が適切に講じられていることも確認した上で認定を行っているということであります。

 実際にこれまでサンドボックス制度を活用した実証の中で、委員が御懸念のような、生命や身体の安全に影響がある実証は行われていないものと認識をしております。

笠井委員 今のを伺っていると、とにかく私を信頼してくださいという話になっちゃって、実際どんなことで実証ということで認定をしたのか、その結果どういうことがあったのかということがなければ、幅広く実証に利用されましたと言われても、それこそ、分野限定なくやっている、さっきフランスという話があったけれども、全てやっているのかというと、私はそうじゃないと思いますよ、フランスは。そういうことでやっている日本が、結局、結果どうだったのかということについても検証しようがない。その上でこれを恒久化するというのが今度の法案だと思います。

 日本版サンドボックスは、対象分野が限定をされておらず、雇用や労働に関わる分野も実証の対象にし得る。法制定時に、この問題は、私自身、本会議や当委員会の質問でもただしてまいりました。

 労働者が人たるに値する生活を営むための最低基準すら引き下げることを可能にするという、これはもう重大な問題になりかねない。だからこそ、あのとき、参考人質疑で連合の神津会長からも、雇用、労働に関する諸規制に適用して、労働基準を後退させるようなことがあってはならない、同様に、社会の質に関わる規制は除外をすべきだという厳しい指摘があったわけです。

 大臣、労働法制や社会の質に関わる規制を後退させるようなことがあってはならない、この指摘というのは、今回の法改正で恒久化するというのに当たってどのように生かされたのか、どう検討されたのか、その点はいかがですか。

梶山国務大臣 サンドボックス制度は、IoTやビッグデータ、人工知能の活用などにより、新たな技術やビジネスモデルの実用化に向けた社会実証を幅広い分野において進めていくことが必要となっていることに対応するために導入したものであります。

 制度創設時の法案審議の際に、笠井委員から、雇用や労働に関わる規制も実証の対象になるのかと御質問があり、当時の世耕大臣から、排除されないということになると思いますとお答えをさせていただいております。

 他方、サンドボックス制度において、法律上、事業者から申請される実証計画を主務大臣である事業所管大臣と規制所管大臣が認定する際に、この法律及び法律に基づく命令その他関係法令に違反するものではないことを確認することになっております。例えば、今委員がおっしゃった労働法制については、その主務大臣が確認をするということになっております。

 また、実証を行う事業者についても、実証の期間、場所、方法を限定させ、参加者の同意を得ることを課すなど、実証を適切に実施するために必要となる措置を講ずることを求めた上で、主務大臣としても実証計画の実施状況の管理監督を行うこととしております。

 このため、現行の規制法令が保護しようとしている権利利益が損なわれることがないことは法律上担保されているものと承知をしております。

 引き続き、こうした規定を踏まえて、適切に運用してまいります。

笠井委員 主務大臣が確認する、認定するということでやるから大丈夫ですと言われても、法案の改正の議論をしていて、実証結果も個々に明らかにせずに、このままこんな異次元の規制緩和を恒久化すれば、国民の安心、安全、命を脅かすことになる。ましてやコロナ禍であります。日々の暮らしの場を将来にわたって企業の実験場にすると。サンドボックス恒久化は断じて認められないと強く申し上げたいと思います。

 次に、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、三・一一から十年、東京電力福島第一原発事故の反省と教訓をどう生かすかが根本から問われております。

 産競法の改正案では、グリーン社会への転換のための事業者の取組を主務大臣が支援する仕組みを新設するとあります。

 そこで、梶山大臣に改めて確認しますが、法案の第二条第十二項三号にある非化石エネルギー源ということに含まれる電源というのは何でしょうか。

梶山国務大臣 今回の改正法案に規定する非化石エネルギー源の電源とは、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、原子力発電といった、化石燃料以外のエネルギー源を用いた電源を指すものであります。

笠井委員 非化石エネルギー源に原発も含まれるということであります。

 では、条文にある需要開拓商品生産設備の支援対象、これには、脱炭素効果が高い製品として、原発部品の生産設備も含まれるということになりますか。

梶山国務大臣 カーボンニュートラル投資促進税制は、脱炭素化効果が高い製品の生産設備であって、早期に市場投入することで新たな需要の開拓に寄与することが見込まれるものや、生産工程上の脱炭素化を進める設備を対象としております。

 御指摘の原子力発電関係の設備は、既に市場が確立した製品であり、また、生産工程等の脱炭素化を進める設備にも該当しないと認識しておりまして、税制の対象として想定はしておりません。

笠井委員 該当しない、税制の対象として想定していないということでありましたが、グリーン成長戦略には、原発を、確立した脱炭素技術であって、最大限活用していくと位置づけた上で、重要分野の一つとして掲げて、次世代炉の開発を行っていくことが必要ということまで明記をしております。確立した技術じゃなくて、次世代、これからの開発ということまで、必要ということが明記されている。この戦略の中には、革新的イノベーション戦略で社会実装を目指す三十九のテーマが設定されているともありまして、その一つに、革新的原子力技術があります。

 大臣、そういう点から見ると、その部品の生産設備は支援対象にならないということではっきり言えるんですか。

梶山国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けては、再生可能エネルギーはもちろんのこと、安全性が確認された原子力を含め、使えるものは最大限活用して、水素、アンモニアなど新たな選択肢も追求していくというのが政府の基本的な考え方であります。

 こうした中で、原子力を最大限活用については、カーボンニュートラルという高いハードルの実現に向けて、必要な限りにおいて、原子力も含め、使えるものは最大限活用していくという趣旨であり、可能な限り依存度を低減するというこれまでの政府の方針に反するものではないと考えております。

 また、今委員から御指摘ありました、次世代炉の開発を行っていくことが必要については、原子力利用を進めていくために安全性向上を絶えず追求することが必要であり、こうした観点から安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくという趣旨であります。

 新型炉の研究開発を進めていくことで、足下の安全性の向上のために活用できる技術が生まれることも想定をされ、例えば、新型炉の研究開発を通じて、事故時に水素を発生しない燃料被覆管など、既存の軽水炉の安全性向上にも貢献し得る技術が開発をされております。したがって、現時点において、原発の新増設、リプレースを想定していないという政府の考え方に反するものではないと考えております。

笠井委員 新型炉の研究開発ということでは、この点では、先ほど、原発は確立した技術だから支援の対象じゃないと言ったけれども、新型炉はこれからやるということで、研究開発を進めるということで位置づけているんだと。だったら、確立していないんですから、それは、じゃ支援対象になり得るということになるんですか。そこはどうですか。

梶山国務大臣 今回の税制の対象には入れておりません。

笠井委員 今回のは入れていないけれども、入り得るということですか。

梶山国務大臣 将来の仮定の話にお答えすることは適当ではないと認識をしておりますが、その上で、今申し上げられることとして、本税制は三年間の措置として定められており、御指摘の次世代炉については研究開発段階にあり、少なくとも三年間のうちに市場に投入されることが想定をされません。したがって、先ほど申し上げたとおりですけれども、次世代炉が本税制の対象となることは想定をしていないということであります。

笠井委員 五月十四日の外務委員会で私質問に立ちまして、江島副大臣は、日本は世界に冠たる技術立国で、日本企業の優れた設計や製造技術に対して海外からの期待の声があるのは事実だと、安全、安心な脱炭素技術の最右翼の一つであります小型モジュール炉技術の実現に貢献するため、これからも支援したいというふうに答弁をされました。

 法案の第二条第十四項に、対象となる製品は主務省令で定める設備をいうというふうにあります。グリーン成長戦略の中で、小型モジュール炉などの部品もそういう意味では対象に入ってくるんじゃないかと。

 除外するんですか。除外するとはっきり言うのか。いかがでしょうか。

梶山国務大臣 本法案の税制には入っておりません。

笠井委員 省令で具体的に定めるというわけですから、本法案といっても、そこには除外するという項目はありませんね。そこでもう追加できる仕組みになっているんじゃないか、省令で定めると。結局、グリーンや脱炭素を名目にして、原発を温存する、支援するという余地を残している、こういうことになるんだと思うんですよ。

 今や、気候危機ともいうべき、一刻の猶予もない状況であります。菅総理は、今年四月二十二日の気候変動サミットで、二〇三〇年に、二〇一三年比四六%削減という目標を掲げました。日本はパリ協定の目標達成のために六二%削減が必要という、国際研究機関クライメート・アクション・トラッカーの試算があります。この四月、高校生、大学生たちが、経済産業省前でこの六二%というプラカードを掲げて、とにかく日本のもっと思い切った目標を掲げてやるべきだということを求めておりましたが、梶山大臣、今の三〇年の削減目標で、五〇年ゼロに向けた軌道に乗れるというふうにはっきりおっしゃれるでしょうか。

梶山国務大臣 先月、地球温暖化対策推進本部、気候サミットにおいて、菅総理は、二〇五〇年目標と整合的で、野心的な目標として、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指す、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けていくことを表明いたしました。

 今回打ち出した削減目標は、二〇一三年から二〇五〇年まで直線的に温室効果ガス排出量を削減していくと想定した場合に、二〇三〇年時点で必要となる削減量を踏まえたものであることから、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的であると考えております。また、四六%削減という水準は、IPCCなどの科学的知見に照らしても整合的であると考えております。

 新たな削減目標は、これまでの目標を七割以上引き上げるもので、決して容易なものではありませんけれども、世界の物づくりを支える国として、次なる成長戦略にふさわしいトップレベルの野心的な目標と考えております。

 今後、新たな目標に向けた施策を具体化すべく、検討を加速してまいりたいと考えております。

笠井委員 ドイツは、温室効果ガス排出削減目標を二〇三〇年までに一九九〇年比で五五%減というふうなのがあったんだけれども、それを六五%減というふうに引き上げて、さらに、排出量を実質ゼロとする期限を二〇五〇年から五年前倒しして、二〇四五年とするというふうに明らかにいたしました。

 そこで、梶山大臣に伺いますが、ドイツ環境省が、今年三月十一日、東京電力福島第一原発事故から十年の機会に、脱原発の完遂を目指す行動指針というのを公表しましたが、それについては御存じということでしょうか。

梶山国務大臣 御指摘のとおり、本年三月にドイツ環境省が、二〇二二年の末に全ての原子力発電所を停止した後、同国の原子力リスクを抑えるために必要な国内の取組と欧州、国際レベルへの働きかけをまとめた、脱原発を完了するための十二項目を公表したことは承知をしております。

 その上で、エネルギー政策の検討に当たっては、こうした他国の事例を参考にしつつも、我が国の資源の保有状況や自然状況などを考慮し、戦略的に検討がなされるべきと考えております。

 例えばドイツは、森林を除く平地面積や着床式洋上風力発電の設置可能面積が日本の約二倍あるといった比較的優良な立地条件を有しております。このように、再エネの更なる導入拡大を進めていくに当たっては、克服していかなければならない土地の制約は日独で異なっております。

 また、ドイツは、日本と異なり、大陸にあるため、送電網が他国と網目状に、メッシュ状に連系をしており、天候によって変動する再エネをバックアップするために必要な、地域を越えた電気の融通が容易であります。その上で、再エネ導入に伴う負担により家庭用電気料金が先進国の中で高水準となっている現実もあると認識をしております。

 こうした再エネをめぐる状況の違いもある中で、安定かつ安価な電力供給や気候変動問題への対応などを考えれば、安全確保を大前提とした上で、原子力の利用は現状では欠かせないものと考えております。

笠井委員 他国の事例を参考にしつつもと言われたんですけれども、私はまず参考に大いにしなきゃいけないんだと思うんですよ。なぜドイツが、じゃ、三月十一日、今年、福島原発事故から十年に当たってそういう行動指針を明らかにして、そして、ドイツ自身は来年原発全廃の見込みでありますけれども、依然リスクが残るという形で、欧州の志を同じくする国と協力をして、他の国々が脱原発に加わるように積極的に働きかけていると表明したのかと。その辺のところはよくやはり参考にするということが大事だと思うんですね。

 同じ東京電力福島第一原発の事故を見ながら、じゃ、どうするのかということを考えている、日本は日本の条件があるんですということで、ずっとるる述べられたけれども、しかし、まず事故にどう向き合っていくかということでのやはり在り方については、大いに参考にして、呼びかけられたんだから、それについても検討して、どうするか、向き合うかということが大事だと思うんです。

 その点で、梶山大臣、福島事故から十年たってなお、あの事故の収束の見通しもなくて、被害は一層拡大している現状を目の当たりにしている、目の前にしているというのが日本ですから、日本こそ原発のリスクの深刻さについては最も体験しているということは言えますよね。

梶山国務大臣 当然、その教訓を生かしていくということであります。

笠井委員 そういう点では、いまだ八万人もの福島県民がふるさとに帰れないというのが事故の現実であります。一たび事故が起これば取り返しがつかないのが原発だ。世界最高水準と言われましたけれども、それどころか、テロ対策を怠っていても見抜けずに、老朽原発の再稼働まで認めてしまう、安全でも何でもないという問題はやはり直視する必要があると思います。

 また、ドイツの行動指針では、原発を気候変動対策に位置づけることはコストが莫大で将来世代に負担をかけるというふうに言っております。福島原発事故が起こり、収束にも安全対策にも莫大なコストがかかる、これが原発だということをこの点でも痛いほど知ったのが我々日本ではないか、我が国ではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。

梶山国務大臣 日本は島国でありますから、ほかの国との連系線というものはございません。ですから、一国だけで完結する電力というものを考えていかなければならないということであります。

 さらに、資源が少ない中でどう対応していくか。再生可能エネルギーに関しても、やはりこれは立地の条件、適性というものがありますので、そういったものも含めて日本が今できることというものをできる限り提示をしていく、そしてできる限りのことをやっていく、そして二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指すということであります。

笠井委員 いろいろな条件が違うと話していました。私が今聞いたのはコストの問題です。コストの問題でいうと、とにかく、収束にも安全対策にも、事故があったことに直面したときには本当に莫大なものがかかる、これが現実ですねということを聞いたんですが、その点はどうですか。

梶山国務大臣 莫大な費用がかかっていることは現実であります。かといって、ドイツが原子力発電の電力を使わないということではないと思っております。

笠井委員 ドイツは、原子力発電の電力はもう来年で全部やめてしまいますので、そういうことではもう使わなくなるということは明らかです。二〇二二年ですから。全廃するということになっています。

 いまだに、そういう点では、原発のコストの問題だって本当に正面から向き合わないということになっているというのは、本当に福島県民の苦しみを考えたらどういうことなのかということだと思います。

 日本経済研究センターは、福島第一原発事故の処理費用については、最大で八十一兆円にも達するというふうに推計しております。電源別コスト比較を見ても原子力だけが上昇傾向にあって、二〇一三年に原発の競争力は喪失していると言っております。

 そういう点では、原発は、経済的にも成り立たず、CO2は少ないけれどもクリーンではなくて、避けられないリスクを抱えていて、その結果、コストは莫大で将来世代に重い負担をかける、こういうことになるんだ。そうしたら、それではなくて違う道をきちっと考えるべきだ、こういう立場に立つのが、やはり我が国の原発エネルギーに責任を持っている大臣のやるべきことじゃないですか。

梶山国務大臣 今の技術力ではそれに代わるものというのは、二〇三〇年、二〇五〇年のゴールを目指すという点ではなかなかないというのが現実であります。

 技術開発をしていくということで、二〇三〇年に向けてしておりますけれども、今は、現状の九年後には、今の技術の中でどう再生可能エネルギー、また脱炭素のエネルギーを生かしていくかということが、二〇三〇年の目標達成につながるということであります。

 二〇五〇年に向けては、二〇三〇年以降にイノベーション、技術開発の成果が出てくるものもあろうかと思いますけれども、そういったものも含めて対応していくということでありまして、ドイツの場合は、隣国フランスとの連系線というものがしっかりしておりますので、買うばかりじゃなくてお互い融通し合うということができるということも含めて対応ができるということであります。

笠井委員 日本だって、国内でいろいろなやはり条件違うところはあるけれども、連携しながら融通し合うということを大いにやる、その中でどういうエネルギーでやっていくかということについては、本当に真剣に考えるべき、必要だと思うんですよ。

 二〇三〇年はあとちょっとしかない、九年後だ。二〇五〇年はまだあるという話を言われるけれども、もう五〇年だってそんなに先じゃないですからね。そこまでに本当にやり切れなかったら、五〇年カーボンニュートラルが実現しなかったら大変なことになるということなんだから、そこで本当に今、切替えをやらなきゃいけないということに来ているんじゃないかと思うんですよ。いつまで原発にしがみついていくのか、原発重要だとやっていくのかということになる。

 ドイツでいいますと、石炭と原発中心の電源構成から、東京電力福島第一原発事故を機に、再エネ中心へと更に急転換をいたしました。二十年前は再エネ比率が僅か六%だったのが、二〇二〇年には四六%へと急速に拡大しているわけです。今からだって切り替えれば、二〇三〇年、五〇年に向けて大いにそれは転換できるというところにあると思うので、原発最優先のエネルギー政策の下では再エネの導入は進まない、世界最悪の原発事故を起こした日本こそ率先して脱原発へと進む責任があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 今の時点で、何の手法もないままに退路を断つことはできないと思っております。

 そういった中で、再稼働の安全を確認をされたものに関して、地域の理解を得ながら再稼働をしていくという方針ということであります。

 ドイツにつきましては、先ほど申しましたように、各国との連系線、大陸でありますから連系線があるということ、そして、そういったものも含めて、あとは、再生可能エネルギーの立地条件も含めて恵まれているということでありますけれども、ちなみに、太陽光の発電量というのは、日本はドイツより倍近くあるわけであります。

笠井委員 日本だって、今、倍近くあると言われたけれども、再エネの可能性にも本当に恵まれているところはあるわけですよ。そこを脱炭素で再エネと原発を一くくりにされますけれども、原発が動けば動くほど再エネの受入れ量が減るような原発最優先給電ルールの下では、再エネの導入は進まない。現に、原発が四基稼働している九州電力では、今年四月以降で、既に三十九回の再エネ抑制を指示しているわけです。ほぼ連日のペースです。

 再エネのコストは高いとよく言いますけれども、これまで日本が真面目に取り組んでこなかったからだと思うんです。

 元々、太陽光発電では、高い物づくり技術を持つ日本の企業が世界市場で大きなシェアを占めてまいりました。二〇〇六年までシャープが世界第一位の生産量を誇って、一時は、世界上位五社のうち四社を占めるほどだったわけですよね。ところが、二〇一二年にはトップテンから姿を消して、ついに、三菱電機が自社ブランドの製造販売から撤退をし、パナソニックも今年度中の撤退を発表しています。

 エネルギー政策の中心に再エネを据えなければ、その産業も発展せずに、導入も進まない。やはりここでは、本当に再エネ中心に、最優先にかじを切るべきではないか。

 これは本当に大事なところに来ていると思いますよ。どうですか。

梶山国務大臣 これまでも、再エネを最大限導入をしていくということを宣言しているわけであります。

 そういった中で、現状、先ほども申しましたけれども、ほかの手段もない中で、全てを放棄して退路を断つということは、安定供給への責任というものを国として放棄するということになるかと思います。

 そういったことも含めて、今の時点で原子力を放棄するという選択肢は、私はないと思っております。

笠井委員 原子力、今の時点といったって、原発の比率、電力の中で比率は六%ぐらいですからね。非化石だということで再エネと原発双方を支援すれば、再エネ分が減ってくるということになります。

 ドイツのシンクタンクのアゴラ・エナギーヴェンデCEOのパトリック・グライヒェン氏は、日経新聞のインタビューにこう答えております。二十年前、変動の大きい再エネがこんなに増やせるとは思っている人はいなかった。ここまで増えてきても、電力供給は安定し、停電も起きない。再エネは高い、電力網を不安定にすると考える人がいるようだが、技術の進化を見るべきだと。ドイツ環境省で気候、エネルギー政策の責任者を務めた方が、このように、化石燃料と原発中心のエネルギーから一〇〇%再エネへの転換が戦略の出発点だと明言しているわけですよね。

 こうした経験、教訓というのも大いにやはり参考にする。さっき他国も参考にするとおっしゃったけれども、大臣、こうした見地で我が国のエネルギー基本計画も根本的に見直すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 他国のよいところは見習おうと思っております。

 今、停電がないとおっしゃいましたけれども、これは大陸の中で各国との連系線を結んでいるということでありまして、いざというときにはその連系線経由で電力が来るということであります。

 日本は島国でありますから、一国でしっかり完結をしなければならない。隣の電力会社があるじゃないかというけれども、その連系線もありますけれども、全体でのエネルギーの割合というものも考えなければいけないと思っておりますので、現時点では、私どもは、やはりこれは放棄すべきではないと思っております。

笠井委員 日本だって、島国とおっしゃいますけれども、北から南まで様々な条件がある中で、一遍に全国が停電になるわけじゃないです。

 それで、そこのところは、北本連系だって、もっとちゃんと強化すればいいという話があるけれども、そうなっていない。九州との関係だってそうだということがあるわけだから、そういうことを大いに努力する必要があると思うんですよ。

 世界の流れは省エネ、再エネです。とりわけ再エネは、世界的には、事業で使用する電力を一〇〇%再エネとするRE一〇〇の宣言が大きく広がっております。

 ところが、日本は、企業による一〇〇%再エネへの転換が最も困難な市場トップテンに挙げられているということになるわけで、やはり、そうした再エネ利用が取引条件になる場面というのが今後確実に世界的に増えてくる中で、それに本当にシフトする、そのためにも原発とは本当に手を切るとやらないといけないということになってくると思います。

 法案は結局、グリーン社会、脱炭素を名目にして、原発の永久活用を狙うものであり、断じて容認できないと申し上げたい。

 野党が共同提出している原発ゼロ基本法案、再エネ四法案の方向にこそ進むべきだということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

富田委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 先日は、中小企業向け資金繰り支援につきまして、中小企業庁の環境部長さんより、中小企業の資金繰り支援について日本政策金融公庫のラインナップを中心に御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 本日は、視点を少し変えまして、信用保証協会の融資にスポットを当てて、中小企業者への資金繰り支援に関して質疑してまいりたいと思います。

 まず最初に伺いたいのは、事業者がこのコロナ禍で資金繰りに不安を感じることがあり融資を申し込もうとした際、コロナ特別融資枠を利用するとして、公庫と民間の金融機関、あるいは同時並行的に調達することは可能なのでしょうか。

 もちろん、事業者の事業規模で融資実行額は決まってくるものと思いますが、例えば、公庫と保証協会の合算でコロナ融資枠に制限がかかるということはあるのでしょうか、ないのでしょうか、教えていただけますでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたけれども、民間金融機関による実質無利子融資、これは保証でございますけれども、これは、上限額六千万円まで借りておられる場合でありましても、日本公庫の国民事業の無利子の上限額六千万円、それから日本公庫の中小事業の無利子の上限額の三億円、それから商工中金の無利子の上限額三億円は、いずれも併用が可能でございます。

 また、金融機関による伴走支援などを条件に、信用保証料を〇・二%まで引き下げる伴走支援型の特別保証制度、これも四月一日より開始をしてございます。こちらも、民間による実質無利子融資とは別途、四千万円を上限にお使いいただける、こういったものでございます。

美延委員 ありがとうございます。

 私がここで申し上げたいのは、中小企業が今回のコロナ禍で資金繰りに困った際に真っ先に駆け込むのは、既存で取引している金融機関になろうと思うのです。その際、既存の金融機関から提案されるのは、やはり保証協会の制度融資です。金融機関伴走型での支援を利用するなどして、資金繰りにお困りの皆様に積極的に活用していただくよう、本当に、広報もよろしくお願いいたします。

 あわせまして、先ほどの私の質問で、公庫と保証協会の合算でコロナ融資枠に制限はかからないと答弁をいただきましたので、例えば、保証協会の現在六千万の上限に張りついている企業で、それでも資金繰りが厳しい事業者は、伴走型制度を使うなり、大阪市内の事業者であれば、日本政策金融公庫が市内に六店舗ありますので、そこで新規であっても申込みするようにすればよいという認識でよろしいのでしょうか。

飯田政府参考人 御指摘のとおりでございます。お申し込みいただければと思っております。

美延委員 ありがとうございます。環境部長さん、一つの事業者も倒産させないという強い信念の下で、地域の雇用を守り、懸命に踏ん張っている中小企業の皆さんの資金繰り安定にこれからも尽力いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

 あわせまして、長引くコロナの影響で、事業者の資金繰りは非常にタイトとなってきております。各金融機関において審査を迅速に行うよう指導をいただきますよう、これも併せてお願いしておきます。

 次に、四月二十五日からの緊急事態宣言を受けて、大規模施設等に対する協力金の見直しが行われました。

 御承知のとおり、今回の緊急事態宣言の一番の要諦は人流の抑制であり、ロックダウンとはいかないまでも、変異型ウイルス対策として強力に抑え込まなければならない状況であると言われています。

 そのような中で、都道府県によっては、百貨店や関係する商業施設、大規模商業施設に対し休業を要請しておりますが、例えば、生活必需品を販売するという名目なのでしょうか、駅前に立地しております大手家電量販店の中には、休業要請を受け入れず、通常の営業時間を本当に気持ちだけ、少しだけ短くした時短営業のみで対応している事業者もいると私は承知しております。

 大手家電量販店の店舗のたな子の中には、当然ですが、百貨店や関係する商業施設と同じ業種で営業している店舗もあり、休業を余儀なくされている事業者もある一方、この大手家電量販店の店舗に入っている事業者は、その分、売上げが増加する等の事象もあるようで、休業している事業者と不公平感が出ておるのも事実であります。まさに、緊急事態宣言において、行政の指導を忠実に守っている事業者と、そうでない事業者の間の機会の不平等とも言える事象であります。

 繰り返しになりますが、国や政府、都道府県が人流の抑制のために協力を呼びかけ、忠実にその協力に応えている事業者の間に不公平があってはなりません。更に言うならば、自分たちの身を切って忠実に協力に応じている事業者に対して、きちんとした補償をするべきだと強く感じます。

 資料を今日配らせていただきました。これは一枚物、日本の地下街の面積をまとめたものであります。御覧いただけましたでしょうか。

 まさに人流を抑制すべきと考えられる都市部の駅や商業集積地の地下にある地下街についてですが、御覧のとおり、ほぼ全てが緊急事態宣言や蔓延防止措置に当たる地域となっています。

 飲食店は補償されていますが、飲食以外の物販などの事業者は補償が薄いという現実があります。当然、好立地のため賃料が高いというのも、これは見落としてはなりません。一店舗十坪ほどのスペースで事業を行う事業者がほとんどで、今回の協力金の対象にはならないのではないかと危惧をされております。

 今回の協力金の見直しについて、追加で是非このような事業者に対しても何らかの手当てを検討していただきたいと考えますが、御所見を伺います。

梶尾政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急事態措置区域あるいは蔓延防止等重点措置区域におきます大規模施設などへの協力金につきましては、今般、事業規模に応じたものにしようということで見直し、拡充を行いまして、千平米を超える大規模施設につきましては、休業面積千平米ごとに一日二十万円。テナントにつきましても、休業面積百平方メートルごと、また百平方メートル未満も含みますけれども、一日二万円を支給するということで、緊急事態措置を実施すべきとされた四月二十五日からの適用としてございます。

 今、地下街の図がございましたけれども、休業要請がなされた地下街にあります店舗につきましても、このテナント等というところに該当いたしますので、店舗面積が百平米未満の場合につきましても一日当たり二万円ということでの協力金という形で整理させていただいてございます。

 休業要請等に応じていただきまして、実際、東京、大阪につきましても人の流れは大分、昼も含めて減っている、ゴールデンウィークの期間、減っているというようなことで、事業者、国民の皆様に大変感謝申し上げるところでございますけれども、しっかりと支援をしてまいりたいと思ってございます。

美延委員 ありがとうございます。これは非常にいいことだと思います。是非続けていっていただきたいと思います。

 それから、次に、新型コロナウイルスの感染者数、一昨日、五月十七日の時点で、東京で四百十九人、大阪で三百八十二人と、緊急事態宣言の効果も出始めているのか、少し減少してきてはおりますが、まだまだ変異株が蔓延しており、予断を許さない状況であります。

 ワクチン接種も、一部システム障害があったり、接種券が未発送であったりして、思うように進んでいない状況であり、コロナ禍はまだまだ続くのではないかと思われます。

 そのような中で、政府のコロナ緊急対策の目玉として、一兆千四百八十五億円の予算を投じて事業化した事業再構築支援の一回目の申請受付が五月七日に締め切られました。

 この一回目の申請について詳細な報告を求めたいと思います。受け付けしたセグメント別受付件数と金額、現時点で、総数で結構ですが、既に審査済み、承認され交付予定となる件数と金額を教えていただけますでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 電子申請システムに到達している速報値ベースでございますけれども、通常枠が中小企業で約一万七千件、中堅企業で七十一件、緊急事態宣言特別枠が中小企業で約五千二百件、中堅企業で十四件、全体で約二・二万件の申請という状況でございます。

 金額にいたしますと、通常枠が中小企業で五千三百億円、中堅企業が約二十五億円、同特別枠につきましての中小企業分が三百五十二億円、中堅企業で約一億円、全体で五千七百億円分の申請ということになってございます。

 全て審査はこれからでございますので、採択予定ということについては現時点で御説明できることはございませんけれども、一応六月中旬頃にお返事が出せるようにという見積りで今作業を進めているところでございます。

美延委員 ありがとうございます。採択の詳しいことが分かりましたら、また教えてください。よろしくお願いいたします。

 五月二日の毎日新聞デジタル版に、政府は、新型コロナウイルス感染防止を強化するために、飲食店が講じた対策を第三者が認証する制度を導入するよう、全国の都道府県知事に通知したと報道がありました。

 こうした制度は大阪府なども運用しておりますが、菅総理が全国に導入するように指示されましたコロナウイルスの感染を抑えるための通達であろうかと考えております。

 そこで、伺います。

 現在、緊急事態宣言や蔓延防止重点措置で休業要請や時短営業を受けて営業を制限されている外食産業の業界についてスポットを当てた場合、今回締切りの全体の申請件数中での割合、金額総額に対してその金額の割合はどの程度になっているのでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの二・二万件のうち飲食業を営む事業者と思われる方々の比率が、約三千二百件で一四・五%。金額にいたしますと、同五千七百億円のうち約六百億円で、比率としては約一〇・五%。ちょっと正確には全部見てみないと分かりませんが、おおよそそんなあたりではないかというふうに見てございます。

美延委員 ありがとうございます。

 この事業再構築補助金の件で、地元からもいろいろな御意見や御相談を受けております。今スポットを当てさせていただいた、営業の制限を受けている地元外食産業の方からお声をいただいたことを一つ御紹介したいのですが、お酒を出さず、そして行政のガイドラインに沿って店舗運営、時短営業を行っているが、必ずしも全ての店舗がそのようにやっているわけではない。ガイドラインを守らずお酒を提供している店舗もある中で、行政の指導どおりに店舗運営している事業者に対して不公平感がないような業界的な規制も検討すべきではないかとの御意見であります。これはもちろん経産省の管轄ではないと思いますが、政府として、是非、こういう声もあるということを御認識いただければと思います。

 一方で、既存店舗の売上げが抑えられる中で、このコロナ禍でも事業としてやっていけそうなキッチンカーでの新事業を検討していたが、公道を走る車は今回の事業再構築補助金は使えない、どうすればいいのかという内容でした。

 そこで、まず伺いたいのですが、意欲のある事業者が制度上の問題でこの補助金を使うことができないことは非常に残念なことで、何とか柔軟に対応していただき、この事業再構築補助金で公道を走る車両も対象にして事業展開の後押しをすべきと思うのですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、中野委員長代理着席〕

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、本補助制度というよりも、補助金適正化法でルールづけられました補助金全般の考え方でございまして、転売を伴うリセールバリューのある資産性の伴うものはそもそも補助制度の対象外というところからきている整理でございます。

 応援したい気持ちは先生御指摘のとおりではございますけれども、残念ながら、公道を走る車両につきましては、汎用性も含めて高いということで、本補助金の対象経費にはしていないというところでございます。

美延委員 補助金適正のということであれば、これはなかなか見直しというのは難しいと思います。

 じゃ、例えば、キッチンカーでも、ナンバープレートのない、いわゆる牽引されるようなタイプのキッチンカーであればこの補助金の対象になるということでしょうか。いわゆる新たな日常に向けて事業環境の整備を促進するために、しっかりこういうところに対応していただきたいと思いますが、もう一度見解をお伺いできますでしょうか。

村上政府参考人 若干細かい話になろうかと思いますが、実は、牽引されるタイプのキッチンカーでございましても、牽引される車両の方も実は道路運送車両法上の車両に該当いたしますので、そちらの自動車であるということの整理学から、牽引されるものであっても、残念ながら、ちょっと横並びのルールで、それ自体は対象にできないところでございます。

 ただし、キッチンカーとして改造する、例えば厨房機器や換気、排水設備などを車の中に持ち込む等の改造費用の方は、これは転売性もございませんし、本補助金の対象経費になります。

 それから、ここまで御説明したのは補助金としてのルールというところからきているものでございますが、車両そのものにつきましても、日本政策金融公庫の融資対象ということでは、事業再構築に向けた設備投資の利率を当初二年間〇・五%引き下げる制度というのを三月一日から始めておりまして、こういったものの対象にはなりますので、うまくその辺りを組み合わせるように、認定支援機関の皆さんにもよくその辺をアドバイスしていただけるようにできればというふうに思ってございます。

美延委員 今そういう柔軟な運用についてもお話しいただいたんですけれども、今おっしゃったように、そういうことを逆に経産省からも、そういう機関に、こういうことはできますよということをしっかり申し上げていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、イノベーションの促進のためには、革新的な技術やアイデアがスピーディーにビジネスや社会に実装できる環境整備が必要です。そのためには、イノベーションを阻害するような過剰な規制、形骸化された規制はなくすべきだと思います。

 今回の法案では、サンドボックス制度が恒久化されるとのことですが、新たな技術やビジネスモデルの社会実装という観点で、サンドボックスはこれからどういった成果を上げていくのでしょうか。また、単に恒久化するだけではなくて、規制のサンドボックスの制度的見直しが必要ではないかと思うんですが、政府の見解を伺います。

新原政府参考人 お答えいたします。

 まず、累次答弁させていただいておりますが、この成果については、二〇一八年六月以降で二十件の計画の認定を行って、百三十九の事業所が実際に実証に参加しております。

 これのいい点なんですけれども、この計画は事業所管大臣と、それから規制を所管している大臣の双方が同意をして認定をしないと動かないスキームになっております。したがって、この計画を作る段階でかなりコミュニケーションが取られますので、その結果として、その実証結果として、累次申し上げている電気用品安全法の通達改正であるとか、道路交通法の関係省令等の特例措置の整備であるとか等々の規制改革が実現しているということになっております。

 今後でございますけれども、法文上の見直しとかそういうことでは必ずしもないかもしれません。同僚が先生とコミュニケーションさせていただいたときにそういう議論もあったと聞いていますけれども。我々としては、やはりそこをきちんと規制所管省庁と事業所管省庁の間のコミュニケーションを取っていくことはすごく大切だと思っておりますので、そこの運用について不断の意見交換をしながら見直しをしつつ、より結果が出るように取り組んでいきたいと思っております。

美延委員 しっかりよろしくお願いいたします。

 次に、中小企業についても、足下では、新型コロナウイルスの影響で経営環境の厳しい状況が続いておりますが、アフターコロナに向けては、成長できる中小企業が成長する環境を整えること、これは重要だと思います。

 危機を乗り越えるために支援が必要な中小企業がある一方で、先日も申し上げましたが、中堅企業に成長する力がありながらも、手厚い中小企業支援を受けられるよう、あえて成長せずに中小企業にとどまっている企業もいるのではないかという指摘もあります。私としては、成長を阻害する要因を徹底的に排除して中小企業の成長を促すとともに、成長する企業へ人材が移動するような成長の姿を描くことが必要だと考えます。

 今回の法案で、資本金基準によらない新たな支援対象類型を設けるのはどのような考えに基づくのか、大臣、御答弁をお願いいたします。

梶山国務大臣 ポストコロナを見据えて中小企業の経営基盤を強化することで、中堅企業へ成長をし、海外で競争できるような企業を増やしていくことが重要であると考えております。

 実際に中小企業から中堅企業に成長した企業の多くは、まず資本金を増加させつつ事業を拡大し、その上で従業員を増加させております。本法案では、そうした規模拡大のパスに沿って、中堅企業に成長する企業を応援するため、資本金によらず、中小企業の定義よりも従業員基準を引き上げた新たな支援対象類型を創設することとしております。

 具体的には、中小企業の成長を後押しする経営力向上計画、経営革新計画、地域経済牽引事業計画の三つの計画認定制度について、規模拡大の実例が多い企業群を支援対象とするように見直し、日本政策金融公庫の融資等の金融支援等の措置を講じてまいります。

 このように、中堅企業への成長を目指す企業がちゅうちょなく成長できるように力強く後押しをしてまいりますし、このことによって、また雇用も増える可能性もあるということであります。

    〔中野委員長代理退席、委員長着席〕

美延委員 また、先日も申し上げましたが、大企業の中には、中小法人となると法人税率の軽減、欠損金の繰越し、還付等、優遇措置が受けられるため、中小法人の要件とされる資本金一億円まで減資して中小企業になる動きが相次いでいると聞いております。このような中、現在の基準で一律に中小企業として支援を受けることに対しては、公平性を欠くのではないかという意見もあります。

 中小企業基本法における定義、税法上の要件も含めて、中小企業の基準の在り方について政府の見解をお聞かせください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の範囲についてでございますけれども、中小企業基本法について今御指摘がありましたけれども、資本金額と従業員数を用いておおむねの範囲を示しております。これは基本法でございますので、具体的な施策の支援対象は個別に定めるという形になっております。

 例えば、今回の法案で措置するものにつきましては、今も御審議にございましたけれども、規模拡大ということでございますので、新たな類型として、資本金によらずに、従業員基準で対象を画するということでございます。

 ただ、そのほかにも様々な中小企業施策がございます。例えば、地域コミュニティーを支える事業者への支援、それから取引の適正化、あるいは災害危機対応支援、こういったものがございまして、こういった個別施策ごとの目的に応じて、支援対象は様々でございます。少なくとも、現時点では、外部からの把握が容易で、安定的に対象を画することができる資本金額も引き続き基準として用いることが適切であると考えております。

 一方で、今、減資のお話がございました。減資につきましては、個別の企業によって様々な御事情がもちろんあるんだと思っておりますけれども、中小企業支援策の対象が本来の目的に沿ったものになっているかということにつきましては、経済の実態でございますとか技術進歩の状況なども踏まえて、今後とも適切に検証を行ってまいりたいと考えております。

美延委員 ありがとうございます。

 中小企業のMアンドAに際して大きな役割を果たしている機関として、産業競争力強化法上の認定支援機関である事業引継ぎ支援センターが挙げられます。しかし、現状において、認知度が低いことや、都道府県によって支援体制に差があると聞いております。また、この事業引継ぎ支援センターは、昨年の産業競争力強化法の改正により、本年四月に、親族内承継を扱ってきた事業承継ネットワークと統合され、事業承継・引継ぎ支援センターとして再出発したと聞いております。

 また、他方、中小企業の事業再生を支援する機関として、中小企業再生支援協議会があります。

 この中小企業再生支援協議会と事業承継・引継ぎ支援センターは、事業継承機関という、性格が似ているように思えますが、両者の違いを教えていただけますでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました中小企業再生支援協議会と事業承継・引継ぎ支援センター、これはどちらも産業競争力強化法に基づく認定支援機関でございます。全国本部である中小機構の助言等を受けながら、都道府県の単位ごとに中小企業への支援を行っているという点では同じでございます。

 しかしながら、中小企業再生支援協議会につきましては、主に、収益性のある事業はあるんだけれども財務上の課題を抱える事業者に対して事業再生の支援を行うというものでございまして、その一方で、事業承継・引継ぎ支援センターにつきましては、主に、後継者不在の事業者に対して事業承継、引継ぎの支援を実施しているということでございまして、両者が対象としている事業者、あるいはその目的が異なっております。

美延委員 今、違いを教えていただいたんですけれども、これを一緒にするというお考えはないんでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御答弁申し上げましたように、両機関が対象としている事業者、あるいはその目的が異なるわけでございますけれども、支援のプロセスも異なっております。

 再生支援協議会につきましては、取引金融機関の意向も踏まえながら、事業再生に必要な金融支援の調整を行うということでございますが、一方で、事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者不在の中小企業の経営者ときめ細かにコミュニケーションしながら、中小企業の意向などに沿った譲受け事業者とのマッチングを行うということでございまして、両機関が対象としている事業者や目的、支援プロセスが異なるということでございますので、両機関を統合したからといって必ずしも事業者の利便性が向上するわけではないと考えておりますけれども、一方で、連携が有効な案件も出てきてございます。両機関の連携強化には取り組んでまいりたいと考えてございます。

美延委員 よろしくお願いします。

 中小企業がアフターコロナに向けて事業を再構築する際にもこのMアンドAは効果的な手段の一つだと考えます。実際に、中小企業のMアンドA件数はここ数年で増加傾向にあると聞いておりますが、実際の件数を教えていただけますでしょうか。

 また、経営者の高齢化により後継者不足も深刻化する観点から、経営承継円滑化法において会社法の特例が設けられておりますが、このような手当てを行う背景や具体的な措置の内容はどのようなものか、併せて教えていただけますでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、近年、中小企業を当事者としたMアンドAの件数は増加してございます。非公表のものも含めますと、年間三千件から四千件程度実施されているという推計もございます。

 先ほどありました事業承継・引継ぎ支援センターでございますけれども、この成約件数も二〇一四年度に百二件でございましたけれども、二〇二〇年度には千三百七十九件、十倍以上に拡大をしております。また、例えば、民間MアンドAの仲介大手三社における成約件数も、二〇一四年度二百四十一件であったものが二〇二〇年度に七百六十件と、年々増加をしている状況にございます。

 他方で、やはり経営者の高齢化あるいは新型コロナウイルス感染症の影響などによって廃業が増加しているという現状を踏まえますと、中小企業がMアンドAを円滑に行える環境を速やかに整備するということも大事だと思っております。

 今回の法案で措置している会社法の特例についての御指摘でございますけれども、これは、相続いたしますと株主がどんどん分散していくという傾向がございます。株主名簿に記載はあるけれども連絡が取れない所在不明の株主が存在するため、MアンドAを含めて事業承継の手続が速やかに進められないということがあるという現場での課題に対応しようとしたものでございまして、少し具体的な話を申し上げますが、会社法では、五年以上連絡が取れない所在不明の株主の株式を買い取ることが認められているわけでございますけれども、本法案では、非上場の中小企業を対象に、会社の代表者が高齢などの理由で事業活動の継続に支障が出ていること及び一定の株主の所在が不明であることにより円滑な事業承継が困難となっていることにつきまして、経済産業大臣の認定を受けた場合に、五年を一年に短縮できる措置を盛り込んでいるところでございます。

 本法案の措置も含めまして、あらゆる施策を総動員することで、引き続き円滑な事業承継を後押ししてまいりたいと考えております。

美延委員 最後に、大臣に、バーチャルオンリー型株主総会の実施に向けて政府の見解、それから大臣の御見解を教えていただきたいんですが。

梶山国務大臣 我が国の会社法では、株主総会を招集する場合に、その場所を定めなければならないこととされており、バーチャルオンリーの株主総会は認められておりません。

 こうした中、現行法の下でもできる取組として、経済産業省では、インターネット等からの出席もできるハイブリッド型のバーチャル株主総会について、昨年以来、実施ガイドや事例集を作成をしてきたところであります。

 さらに、新型コロナウイルス感染拡大等も踏まえて、株主等が物理的に一切集まらず株主総会が開けるよう、本法案において、場所の定めのない株主総会に関する会社法の特例を創設し、バーチャルオンリーの株主総会の実施を可能といたしました。

 具体的には、上場会社が経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合には、バーチャルオンリーの株主総会を開催できることとしており、その活用に向けて、関係省庁とも連携をして対応してまいりたいと考えております。

美延委員 ありがとうございました。終わります。

富田委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日最後の質疑者として、これから三十分間よろしくお願いいたします。

 まず、今回は産業競争力強化法改正の議論ということで、これまで様々な論点から議論を深めさせていただきました。本日は、少し視点をやや高く持ちまして、この法案、法改正の内容にとどまることのない企業支援策全般について取り扱っていきたいというふうに思っております。

 まず最初は、現在、新型コロナ感染症の拡大によって、事業者の皆様、大変苦しい状況に置かれております。こうした方々を支えるために、これまでに持続化給付金や一時支援金、そして現在は月次支援金という新しい制度も、昨日ですか、制度詳細が公表されました。その中で、一時支援金について本日はまず質問をさせていただきたいと思っております。

 今日の配付資料の一を御覧いただきたいと思いますが、一時支援金というのは、今年の一月に緊急事態宣言、二度目の宣言が発出されたことを受けて設けられた支援策でございますが、この一時支援金を受給するためには書類の事前確認が必要だと。この事前確認を手伝った事業者に対して一定の手数料を国が支払うという規定があるわけですけれども、その規定の部分を抜き出した文書をこちらの資料に掲載してございます。

 黄色くマーカーをつけたところを見ていただきますと、登録確認機関の確認後受給者数が三十者以上の場合には、この受給者数に千円を乗じた額を国が支払う、こんなことが書かれているわけであります。さらに、その下に目をやっていただくと、ただし、この事務手数料は辞退することもできます、辞退する場合には、確認した事業者が依頼した人から直接その報酬を受け取ることもできますよと。要するに、国から事務手数料を受け取るか、依頼した方から直接報酬をもらうかというのを事業者が選択をできるというような制度になっているわけであります。

 ですけれども、やはり今コロナで、依頼する側もかなり経営状況が厳しい中でこういう制度を活用するわけですから、余り高い報酬を要求してしまうと依頼した側も困ってしまうということで、配慮規定もここに明記されております。

 まず最初の質問なんですが、まず伺いたいのは、国から支払われる事務手数料、一者当たり千円という水準になります。これがなぜ千円として決まっているのか。一部事業者、事前確認をする事業者からの声としては、この千円という水準は余りにも安いんじゃないか、こんな不満の声も漏れ聞こえているわけでありますが、この千円というものの根拠について教えていただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 一時支援金の事前登録の事務手数料でございますけれども、御指摘のとおり、国から事務手数料として、一件当たり千円の事務手数料を支払うということにしてございます。

 この事前確認における具体的な作業でございますけれども、事務局が定めた書類の、帳簿などの有無の確認や、宣誓内容に関する質疑応答などの形式的な確認ということでございます。その金額につきましては、事務局においてこのような事前確認作業をシミュレートした際に要した時間、それから各府省等申合せの謝金の単価、こういったものを勘案した上で算定したものでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今御答弁の中には具体的な数字は出ませんでしたけれども、事前に事務方からも教えていただいたら、実際にその作業をシミュレートしてどのくらい時間がかかるのかというのも検証した上で、ある程度、千円というのを出したというふうに伺いました。是非、確認している事業者からは、この千円という水準に対してやはり不満の声が多いのも事実でありますので、その辺りはよくよく丁寧に説明をしていただきたいと思います。

 次の質問なんですが、今度はちょっと立場が変わりまして、依頼する側の立場になって質問させていただきます。

 国からの事務手数料の給付を辞退した場合には、依頼した側から直接報酬を受けられるというルールになっているわけですけれども、中には一件当たり数万円単位の報酬を要求した例もあるというふうに聞き及んでおります。今度は、依頼する側からしたら、やはりできるだけ報酬は低い方がいいわけです、少額な方が利用しやすいわけですから、この辺りの是非配慮をという声も届いております。

 国のこの規定、文章によれば、柔軟に対応するようお願いしますという非常に抽象的な文章になっておりまして、どれくらいの報酬水準が妥当なのか、許容されるのか、こういったところについては情報がございません。この報酬を直接事業者が設定する場合の考え方について、改めてその考え方をお示しください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 国からの事務手数料を辞退する登録確認機関において、その機関自身で設定した手数料を求めている場合もあるというふうに承知をしております。

 これは、個人の士業の方などの場合、申請書類のコンサルティング、あるいは申請手続のサポートなど、事前登録で、先ほど申し上げましたことに加えまして、追加的な支援を行っている場合もあるためというふうに承知をしてございます。

 中小企業庁といたしましては、申請者が登録確認機関を選択するに当たっては、それぞれの申請事業者方々の御自身の状況に基づきまして、日頃おつき合いのある士業の先生方とかあるいは金融機関といったようなこともあると思いますので、様々な要素を踏まえて選択するものと承知しておりまして、なかなか、一義的なあるべき姿、あるいは一義的なあるべき料金水準というものを決めることは困難であるとは考えてございます。

 ただし、御指摘のとおり、これらの機関が社会通念上不当に高額と思われる手数料を要求するということは、本制度の利用を予定している事業者が非常に厳しい経営環境にあるということも踏まえると、制度趣旨に反しており、不適切なものと考えております。

 したがいまして、私ども、事業者の利便性という観点からは、登録確認機関を見つけることが困難な方を対象ということでございますけれども、三月の二十四日より事務局において無料の登録確認機関を設置して対応しているところでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 ここまでは一月の緊急事態向けにつくられた一時支援金の内容についてでありましたが、今度は、現在まさに検討がされている月次支援金について質問させていただきます。

 この事務手数料の考え方、一時支援金のときには、基本的に申請するたびに書類の事前確認が必要でしたのでこういう関係者の協力も必要だったわけですけれども、今回、月次支援金に関して言えば、一月のときに一回書類を提出していれば、今回は毎月の売上伝票だけでいいんだと、提出書類の簡略化も検討していただきました。そこについては非常に評価をしております。

 一方で、ということは、書類の事前確認の回数がかなり大幅に減るのではないかというふうに思っているわけでありまして、これは、今回、三十者以上という最低ラインを超えないと事務手数料の給付対象にならないといったような要件もありますので、この辺り、月次支援金になったときにはこの事務手数料の運用方法が変わるのか変わらないのか、その辺りをお示しいただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御指摘ありましたように、月次支援金の手数料につきましては、一時支援金と同様のスキームを前提にということでございますけれども、現在検討中でございます。

 月次支援金につきましては、緊急事態宣言などの発出状況を踏まえまして、一月ごとに支援金を支給するというものでございますため、登録確認機関に対する事務手数料の支払いにつきましても、一月ごとに一定件数以上の事前確認を行った場合とする方向で検討してございます。

 一方で、まさに一定件数以上ということでございますけれども、今委員御指摘のとおり、月次支援金におきましては、一時支援金や月次支援金を受給したことがあるという事業者は登録確認機関による事前確認自体を省略されるということになりますので、事前確認の総数は私どもは減るというふうに考えてございます。

 こうした状況を踏まえまして、事前確認の件数につきまして、三十者の基準値につきましても今後改めて検討してまいりたいと考えております。

浅野委員 是非お願いします。

 この月次支援金については最後の質問になりますが、先ほどからこうやって質疑をしていまして、一時支援金、月次支援金、似たような制度なのに一々言い換えなければいけないのは大変ですし、また、実際に事業者の方々からも、持続化給付金、一時支援金、月次支援金、毎回毎回名前が変わるし、書類の提出もしなきゃいけない、今回そこは改善されますけれども、非常に分かりづらいという声をいただいております。

 是非、今後は、月次支援金でも一時支援金でもいいので、名前を恒久的に運用していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、持続化給付金は、昨年、十二か月分の支援ということで実施したものでございます。他方で、一時支援金につきましては、本年一月から三月に発令された緊急事態宣言に伴うということでございまして、三か月分の支援ということでございます。

 この度の月次支援金でございますけれども、今度は、四月以降の緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置に伴う影響を受けた事業者を対象として、これは一月ごとに支援金を支給するというものでございます。いずれも制度が違いますので、制度趣旨、支援内容が異なりますので、名称を変更したわけでございます。

 この月次支援金の制度の下では、今後は、宣言が行われる地域や時期が変わっても、現在の制度や名称によって支援金の給付を行うことが可能となるのではないかというふうに考えてございます。

 御指摘のとおり、名称の違いによって申請者が混乱されるということ、これは避けなければならないと思っておりますので、分かりやすい制度、仕組みとなるようにまず取り組んでいきたいと思っておりますとともに、その時々で申請可能な制度につきまして、しっかり私どもとして周知広報も実施してまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございました。

 では、続いて次のテーマに移りたいと思います。

 産業競争力という言葉を言ったときに一つイメージするのは、産業競争力を強めたいと思ったときには、まずやはり技術力の強化だったり製品の魅力を上げよう、こういうアプローチが広く知られて取られておりますが、もう一方で、取引を行う力、取引を継続する力というのも、これは産業競争力のうちに入るのではないか、このように思っております。

 そういった観点でいいますと、最近、日本にとどまらず世界中で人権問題というのが注目をされておりまして、人権問題を抱える国やその地域との取引、事業活動というものに対しては、一種の経営リスクとしてみなされるような機運が高まっております。

 日本国内においても人権デューデリジェンスという言葉を最近よく聞くようになったわけですけれども、次のテーマは、この人権デューデリジェンスについて経産省の考え方を伺っていきたいと思いますが、まず、そもそも人権デューデリジェンスというのはどういった意味なのか、その定義を含めて、政府の見解を教えていただけますでしょうか。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 人権デューデリジェンス、どういうものかということでございますけれども、国連のビジネスと人権に関する指導原則、ここにも記載がありますとおり、企業が、その企業の活動とか取引関係に関しまして、人権への悪影響を特定して、予防して、軽減し、対処方法を説明すべく、人権への影響評価、調査結果への対処、そして対応の追跡調査、対処方法の周知などを実施することであるというふうに理解しております。

浅野委員 ありがとうございました。

 その人権デューデリジェンスに関する動きといいましょうか、対応が世界各国で今進んでいるというふうに伺っております。

 例を挙げれば、ウイグル地区で生産をしたものを輸入しないとか、あるいはその地域に輸出をしないとかいった対応をしている国もあるやと聞いておりますし、それに関する法整備も世界各国で進んでいるという状況を聞いております。

 改めて、今世界でどのような対応がされているのか、諸外国における法整備の状況について、簡単に教えていただけますでしょうか。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しました国連のビジネスと人権に関する指導原則を踏まえまして、これまでは世界各国、様々な方法でこの企業の人権デューデリジェンスの促進を図ってきたものと承知をしております。

 そうした中で、近年、欧米諸国を中心に、企業に対しまして、人権デューデリジェンスの導入、あるいは関連する取組の開示などを義務づける法整備の動きが進んでいるというふうに認識をしております。

 例えば、イギリス、フランス、オーストラリア、こういった国々では、一定の売上高あるいは従業員数以上の企業に対しまして、人権デューデリジェンスの実施や開示を義務づける法令を設けているというふうに承知をしております。また、ドイツ、EU、カナダ、こういった国々でも、同様の法案が準備されているというふうに認識しております。

浅野委員 ありがとうございました。

 今るる御開示いただきましたけれども、本日の資料の二の方にも、併せていただいた資料を少し掲載させていただきました。

 これを見ますと、既に、今御紹介いただいた英国、フランス、オーストラリア、さらには米国、EUといったところが、その法整備を既に進めてきている。さらには、現在、法整備の最中なのが、ドイツやカナダなども法整備を進めている状況だということであります。

 そして、最近、近年の特徴としては、この表の真ん中あたりになるんですが、「義務違反に対する罰則」という行を見ていただきますと、最近制定された法案あるいは今検討されている法案には罰則規定が盛り込まれているということで、諸外国においてはかなり強い意思で、この人権問題に、人権デューデリジェンスに取り組んでいることがうかがえると思います。

 対して、では、日本、我が国はどうなのかということなんですけれども、今度は、国内におけるこの人権デューデリジェンスに関する取組の状況、制度の整備状況等を含めて教えていただきたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 この人権デューデリジェンスの実施も含めまして、サプライチェーンにおける人権への配慮、これにつきましては、先ほど申し上げました国連のビジネスと人権の指導原則あるいはOECDのガイドラインなどを踏まえまして、企業が自らの経営判断として適切に取り組むべき課題であるというふうに認識をしてございます。

 日本政府は、昨年十月に、ビジネスと人権に関する行動計画といったものを策定しましたけれども、ここにおいても、企業に対して、人権デューデリジェンスの導入促進を期待する旨を表明しております。

 そうした人権デューデリジェンスの実施方法でございますけれども、既にOECDの責任ある企業行動のためのデュー・デリジェンス・ガイダンスなどにおきまして、人権に関するリスクの特定、評価、対策実施といった一連の実施手順についての実務的な方法が具体的に示されておりますし、また、そのほか、衣類・履物、鉱物、こういった一部のセクターにつきましては産業特有のリスクがあるものですから、こういったリスクを踏まえまして、詳細な手引書が存在をしてございます。

 日本政府としては、こうした国際的なガイダンス、あるいは昨年十月に策定しました行動計画の周知啓発を行って、産業界の意識向上、取組の促進を行っているところでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 今、政府としての取組状況について教えていただきました。

 時間の関係で私の方から紹介をさせていただきますが、日本の産業界においても、この政府からの働きかけに応じて、近年、経団連を始めとして、この人権に、コーポレートガバナンスに関する新たな方針を発表しておりますし、こうしたことが徐々に広がりを見せておるんですが、大臣に、このテーマでは最後にお伺いいたします。

 ただ、そうはいっても、人権デューデリジェンスという言葉自体がまだまだ広がっていない状況がございます。そして、国内企業の現場で、今、人権に対する取組というと、例えばハラスメント対策であったりとか男女共同参画だとか、あくまでも職場内での人権問題の解消というところにまだまだとどまっているのかなと。グローバルなサプライチェーン全体に目を向けて、そのサプライチェーン全体の、人権を、リスクを低減する、撲滅していく取組というのがまだまだ私は弱いと感じております。

 大臣として、この人権デューデリジェンスの必要性に対して今どのようにお考えか。そして、今後に向けたお考えがあれば、是非お聞かせいただきたいと思います。

梶山国務大臣 国際社会において人権問題への関心が高まる中、海外事業を展開する企業にとって、企業行動が国際基準に照らして評価される国際的な流れとなってきております。このため、企業は、その原料の調達を始めとするサプライチェーンも含めて、自ら事業における人権に関するリスクを特定し、対策を講じる必要に迫られているのが現状であります。

 こうした中、日本政府は、昨年十月、ビジネスと人権に関する行動計画を策定しました。この行動計画では、企業に対して、人権デューデリジェンスの導入促進を期待する旨を表明しております。まずは、本行動計画の周知啓発を行い、産業界の意識向上、取組の促進に努めていくことが重要であると考えております。

 経産省としても、昨年十月の行動計画策定後の企業の取組状況についての実態の把握に努めるとともに、国内外の情報も収集しながら、今後どのように対応すべきかについて、関係省庁とも議論をしてまいりたいと思っております。

浅野委員 是非お願いいたします。

 最近、エネルギーの分野では、カーボンニュートラルに取り組んでいる企業に投資が集まるような動きが出てきております。それと同時に、人権デューデリジェンス対策をしている企業にこれからは投資が集まる、若しくは取引が集中する。逆に、人権問題を軽視しているような企業には、取引の機会を失ってしまうような、そんなリスクも含まれているというふうに私は考えております。

 産業競争力の強化に向けて、今回、産競法の改正を議論してまいりました。技術や人材への投資、そして、様々な、そのほかの施策を通じて国内企業の競争力を高めるのはいいんですけれども、是非やっていただきたいんですが、高めた結果、一方で、人権問題が原因となって、取引機会を失ったり、グローバルな取引ネットワークから排除されてしまうようなことがないように、是非こちらの観点でも経産省には陣頭指揮を取っていただきたい、そのように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 最後のテーマに移りますが、最後はエネルギーの部分についても伺っていきたいと思います。

 特に本日は、産業用の電気料金に着目して質疑をさせていただきたいと思うんです。

 我が国は産業用の電気料金と家庭用の電気料金という二つの料金体系を持っております。産業用に関して言えば、現在の日本の電気料金はどのくらいなのか、そして、諸外国と比べたときに、我が国の産業用電気料金がどのような水準にあるのか、改めて政府に最新状況を教えていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災以降、火力発電の割合が非常に増えてございますので、燃料費の増大、また、再エネの導入拡大ということを最大限導入ということで、FIT法によって進めておるわけでございますが、これによる賦課金の増加等がございます。

 こういうことを踏まえますと、二〇一九年の日本の産業用電気料金単価は、震災前に比べて約三割上昇しておるところでございまして、一キロワットアワー当たりで約十七・九円となってございます。

 これにつきまして、諸外国と比較した場合、日本の国際的な位置づけということをお問合せでございますので、IEAのデータに基づきまして御答弁申し上げますと、日本の十七・九円に比較した場合、ドイツが十五・九円、イギリスが十六円という水準でございます。

 もっと安い国という意味で申し上げますと、化石燃料が自国内で生産されますアメリカの場合は七・四円、また、公社が電力小売を担っております韓国の場合十・三円、また、原子力発電が安定的に供給されているフランスの場合十二・八円という状況でございます。

 なお、日本よりも産業用電気料金が高い国といたしましては、イタリアが二十・二円という状況でございます。

 今後、再エネ導入のための賦課金の負担ですとか、脱炭素、安定供給確保のためのシステムとしての追加コストの増加等ということが想定される中で、システム改革による競争の促進ですとか、低コストな電源の活用といったことによりまして電気料金の最大限の抑制に努めていきたい、このように考えてございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今の答弁からも分かるように、我が国の産業用電気料金というのはかなり高いという印象がございますし、やはり大震災以降、火力発電の割合が増えて、電気料金が相対的に高くなった結果、特に電力多消費産業の負担が増えて、経営にも大きな影響を及ぼしている状況がございます。

 是非、政府には、電力コストに対する意識をもっと強く持っていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 次、大臣に伺いますが、今答弁にもありました、これから再エネの導入拡大や系統への投資がかさむことによって、電力コストの増加というものが予想されております。これをできるだけ抑えていきたいというような答弁がありましたけれども、政府が第五次エネルギーミックスを策定したときの資料を見ますと、電力コストについては、策定当時の現状よりも引き下げるという政策目標が設定されておりました。当時の水準よりも引き下げるという政策目標に従って策定されたのが第五次エネルギー基本計画でございます。

 現在第六次が検討されている中ということなんですけれども、じゃ、今はどうなのか。電力コストについては現状よりも下げるという政策目標なのか。先ほどの答弁を聞くと、これから上がることをある程度許容しながらも、その上がり幅を最小限に抑えるんだという政策目標なのか。私は、当然前者、あくまでも前者を支持したいと思うわけですけれども、現在はどのように考えているのか、御答弁をいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、今現状におきまして申し上げますと、再エネの導入による賦課金の増大の面もございますし、今後の導入に伴いますシステムコストの増大の面もございます。ある程度時間軸で考えていく必要はあろうかと思っております。

 最終的には、カーボンニュートラルな社会を実現していくためには、脱炭素の電源が日本に定着していくことが必要かと思います。しかし一方で、安定供給も非常に重要なことでございまして、私どもの経済、暮らしというものを維持していくためのものというのは不可欠な電力でございます。この部分のコストというものを我々は考えなければならない。

 最終的な目標からいたしますと、これまでのエネルギー基本計画に定めてございますような、コストを上げていかないということになってくるわけでございますが、今現状においては、その将来に向けての投資ということをある程度している局面にございますので、ある程度の上昇の局面はあるかと思います。

 しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたけれども、システム改革を進めていくということ、さらには低コストな電源ということを活用していくこと、競争を促進していくということ、様々なことを通じまして、最終的には、産業界、経済界、そして国民の皆様方が、安いコストで電気料金を負担いただき、利用いただけるような仕組みにしていくということが目標かと考えてございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 もちろん、投資がこれから進んでいく段階においては多少電気料金が上がるかもしれないけれども、その先を見据えてということだと思います。

 これから、じゃ、そのコストがどのように動いていくのか、エネルギーミックスをどのように設計するとどういうふうに影響が及ぶのかというのを、先日、このシミュレーション結果が政府から公表されております。

 本日、資料の四と五の部分に、そのまとめの部分のみ抜粋して表示をさせていただいたんですが、これは先日出たばかりで、私もよくヒアリングができておりませんが、この分析結果をどう見るのかというところを政府の方から簡単に御説明いただけますでしょうか。

小野政府参考人 これは二〇五〇年におけるカーボンニュートラルを目指す上でのシナリオ分析ということでございまして、まず前提といたしまして、このシナリオ分析というのは、二〇五〇年におけるいわゆるエネルギーミックスを定めるものではございませんでして、幾つかの複数のシナリオ、これを考えまして、それに基づく政策的な課題、それから、それを解決するための政策、これを考えていくよすがとするというためにシナリオ分析をしているものでございます。したがいまして、複数のシナリオ分析をしているということでございます。

 その幾つかの、まず、このシナリオをどうやって選んだかということでございますけれども、まず参考値のケースということでございまして、これは昨年十二月に、大まかですけれども、大体こういうエネルギーミックスにしたらどうなのかと、再エネが五から六割、原子力と火力を合わせて二から三割、それから水素、これを一割というのが参考値ということでございまして、この参考値のケースを実現すると、総発電電力量、再エネ、原子力、水素・アンモニア、CCUS、この割合がどうなるかということで、これが出てきたものでございます。

 その過程で、いわゆる電力コスト、これも一応目安が出てくるということでございます。そこは、例えば、参考値のケースの右に書いてございますけれども、電力の限界費用は二十四・九円になります。ただ、これは、今の電力コスト、今答弁を申し上げた電力コストではございませんでして、これにシステムコスト、大体十円というイメージをしていただければと思いますけれども、ですので、参考値のケースですと、電力コストは三十五円ぐらいになる、こういうものでございます。

 これは、参考値のケース以外に、例えば再エネを一〇〇%にするとどうなるかということでございまして、この場合は再エネだけに頼るわけでございますので、限界費用のコストが、限界費用が上がりまして五十三・四円、これに十円を乗せる、こういうことでございます。

 再エネが飛躍的に増大する場合、それから、それ以下の場合は、原子力の活用は、参考値の上では一割で計算したんですけれども、原子力を仮に二割使ったらどうなるかということでございます。水素・アンモニア、CCUS、カーシェアリング、これは、いろいろな技術が進展して、例えば、水素、アンモニアの価格が下がると、当然、これに依存するわけですから、これの比率が上がるということで、複数のシナリオをやりまして、電力コストがどうなるかということを試算した、こういうものでございます。

浅野委員 ちょっと時間が来てまいりましたので、残りの議論はこれからも行わせていただきたいと思うんですが、最後にお願いしたいのは、産業用電気料金というものに着目をして、ここの負担をいかに減らすのかという議論、政府内でも是非積極的に行っていただきたいですし、今後の委員会でも取り上げていきたいと思いますので、本日はこれで終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表し、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に対し、反対の討論を行います。

 産競法は、その前身である産活法以来、株主資本利益率、ROEの向上を最優先とした、大企業のリストラ、人減らしを支援することで、株主資本主義、株価資本主義を推し進めてきました。

 本法案は、この間の構造改革と規制緩和によって、多国籍企業の競争力が強化される一方、国民の暮らしや雇用を破壊してきた実態に何の反省もないばかりか、さらに、コロナ禍に乗じた惨事便乗型リストラを推進するものであり、断じて容認できません。

 反対理由の第一は、規制のサンドボックスの恒久化が、将来にわたり、国民の日々の暮らしの場を企業の実験場とし、際限なき規制緩和をもたらすことになるからです。雇用や労働に関わる労働法制の引下げや、国民の安心、安全、命に重大な危険を及ぼすことにもなりかねません。

 第二は、コロナ禍を奇貨とした大企業のリストラ、事業再編の促進が、一層の雇用破壊と中小企業、地域経済の切捨てを招くからです。規模拡大を目指し中堅企業に成長する事業者への支援の重点化も相まって、地域経済の担い手、雇用の支え手として必死に頑張る小規模事業者の淘汰をもたらしかねません。今やるべきは、一社も潰さない、一人も路頭に迷わせない、誰一人取り残さないための支援を拡充強化すること、そして、コロナ禍のしわ寄せが集中するフリーランスが人間らしく働く権利を保障することです。

 反対理由の第三は、グリーン社会への転換、脱炭素を名目に、原発の永久活用を進め、再生可能エネルギーの導入を阻害するものとなっているからです。東京電力福島第一原発事故から十年、事故は終わったどころか、被害はなお深刻で、一層拡大しています。今政治がなすべきは、原発事故の痛苦の反省と教訓を踏まえ、再エネ中心の原発ゼロの道に踏み出すことです。老朽原発の再稼働や新型原発の開発など、一体いつまで原発にしがみつき続けるのですか。省エネ、再エネ中心のエネルギー政策への転換を強く求め、反対討論とします。

富田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、佐藤ゆかり君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。斉木武志君。

斉木委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 我が国が国際的に遜色なくカーボンニュートラルの実現及びデジタルトランスフォーメーションを進めることができるよう、今回追加される支援措置の他にも様々な政策手段を総合的に活用し、官民の投資の一層の促進を通して目標達成を可能とする方策について、更に検討を進めること。

 二 カーボンニュートラル及びデジタルトランスフォーメーション等の先進分野において我が国が国際競争力を失うことなく、コロナ後の事業再構築を迅速に進めることができるよう、今回措置される新たな計画認定制度の運用に当たっては、迅速かつ効率的な事業者支援に努めること。

 三 新たな計画認定制度を含む多数の計画認定制度を通した事業者支援については、時代状況への適合性や利用者の利便性、その政策効果等の観点からその在り方を不断に検証し、我が国の産業競争力の強化のため真に実効性のある制度となるよう、引き続き整理統合等について検討を行うこと。

 四 中小企業に関する制度改革に当たっては、中堅企業への成長を図る企業への支援だけでなく、中小企業にとどまらざるを得ない事業者や地域に根差した小規模事業者が切り捨てられることなく、また従業員の適切な賃金水準が確保されるよう、必要な予算措置も含め、引き続き十分な支援措置を講じること。

 五 中小企業・小規模事業者であっても新たな計画認定制度を負担感なく利用することができるよう、認定支援機関による支援や周知の徹底、手数料の適正化等の必要な措置について検討すること。

 六 我が国のイノベーション促進に向けて、産業革新投資機構の機能強化も含め、ベンチャー企業への投資拡大に目標を持って取り組むとともに、ベンチャー企業支援策の一層の充実を図ること。

 七 相対的に立場の弱い中小企業・小規模事業者及びフリーランスの労働者等の権利が不当に侵害されること等がないよう、引き続き、その地位の向上、適切な労働環境及び公正な取引環境の整備に向けた検討を進めること。

 八 下請中小企業取引機会創出事業者の認定制度の運用に当たっては、自由かつ公正な取引機会が確保されるよう、認定事業者による取引の公平性や透明性の確保に努めること。

 九 債権譲渡における情報システムを利用した第三者対抗要件の特例の運用に当たっては、債権譲渡通知を受けた債務者による新旧両債権者に対する二重払いの危険を防止するとともに、詐欺等の犯罪行為の手段として利用されることにより善意の者に不測の損害を与えることのないよう、認定対象となる情報システムに係る厳格なセキュリティ要件等の設定、二重払いの事前防止措置及び過誤払い発生時の返金の確保に向けた対策の検討、当該情報システムを利用する者全てに対する本制度の周知及び注意喚起の徹底を通じた悪用防止、運用状況の継続的な監視等による利用者保護のための有効かつ適切な措置を講じるとともに、その実効性について不断に検証し、適時適切に見直すものとすること。

 十 本改正案の条文等に多数の誤りがあったことを深く反省し、再びこのようなことが起こらないよう再発防止策を徹底すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略をさせていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、梶山経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。梶山経済産業大臣。

梶山国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

富田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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