衆議院

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第15号 令和3年5月26日(水曜日)

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令和三年五月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君

   理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君

   理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君

      畦元 将吾君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    上野 宏史君

      加藤 鮎子君    神山 佐市君

      神田  裕君    工藤 彰三君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 淳司君    武部  新君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      西村 明宏君    福田 達夫君

      福山  守君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      石川 香織君    落合 貴之君

      松田  功君    松平 浩一君

      宮川  伸君    山崎  誠君

      高木美智代君    笠井  亮君

      美延 映夫君    浅野  哲君

      石崎  徹君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府副大臣       堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君

   経済産業大臣政務官    宗清 皇一君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            油布 志行君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    太田 雄彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           柴田 敬司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩城 宏幸君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          新原 浩朗君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          桜町 道雄君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山本 和徳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木村 典央君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

   経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     福山  守君

  辻  清人君     加藤 鮎子君

  逢坂 誠二君     石川 香織君

  山崎  誠君     松田  功君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     辻  清人君

  福山  守君     神山 佐市君

  石川 香織君     逢坂 誠二君

  松田  功君     山崎  誠君

    ―――――――――――――

五月二十五日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官佐藤暁君、金融庁総合政策局審議官油布志行君、金融庁総合政策局参事官井上俊剛君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官太田雄彦君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官畠山陽二郎君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省大臣官房審議官柴田敬司君、経済産業省大臣官房審議官岩城宏幸君、経済産業省経済産業政策局長新原浩朗君、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官桜町道雄君、経済産業省通商政策局長広瀬直君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山本和徳君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、国土交通省大臣官房審議官木村典央君及び原子力規制庁長官官房審議官金子修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮川伸君。

宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。今日もよろしくお願いいたします。

 最初に、新型コロナウイルス感染症対策に関して質問させていただきます。

 この間、緊急事態宣言が非常に長くなっておりまして、本当に多くの事業者の方々が厳しい状況にあるというふうに認識をしております。そういった中で、東京商工リサーチが四月中旬に行った調査ですけれども、中小企業の三社に一社が過剰債務の状況にあるというような報道も流れています。しっかりと、経済産業省、中小企業を中心に、このコロナの中で支えていくということが非常に重要だというふうに認識をしております。

 そういった中で、昨年から私たちはゼロコロナ戦略というのを、この場でも少し議論させていただきましたが、お話をしてきております。そういった中で、少し振り返りますが、三月に緊急事態宣言が解除されたときも大臣と議論させていただきましたが、私たちは、時期尚早であって、今解除するとまたすぐに変異株が増えてくるのではないかということを御指摘をさせていただいておりました。その後、三度目の緊急事態宣言が出されることになりましたが、このときも、十七日間、約二週間で、短過ぎるのではないかと。これはバッハ会長の来日を配慮されたのではないかというようなことも言われていましたが、これは短過ぎるということを御指摘をさせていただいておりました。

 こういった中で、当時、菅総理は、ゴールデンウィークの機会を捉え、短期間に集中して感染を抑え込むということを強調されていたんですね。このゴールデンウィークが非常にキーだということでした。じゃ、ゴールデンウィークが明けまして、今どういう状況かということでありますが、大阪を始め非常に大変な状況が続いておりますが、それプラス、沖縄や北海道、今全国で厳しい状況が広がっている。そして、昨日もアメリカが、日本に関する渡航情報を四段階の最も厳しい渡航中止の勧告に引き上げたというような状況であります。これは、ゴールデンウィークで抑えるという話だったのが、これが明けて、逆にどんどん厳しい状況になっていると言わざるを得ないのではないかと思います。

 資料一をちょっと御覧をいただきたいんですが、棒グラフみたいなのがありますけれども、これは沖縄の感染者数であります。三月から五月ぐらいのものが描いてあります。これは、新聞に出ていた表題が上に書いてありますが、「まん延防止中のGWでも 那覇空港駅の人出は昨年の七・一倍 国際通りは二・八倍」というようなことが書いてあります。

 沖縄県、最初に蔓延防止等重点措置が四月の十二日ぐらいに出ているわけですね。蔓延防止等重点措置が出てから減ってきている、感染者数が。これは、ゴールデンウィークと書いてありますが、この辺がちょうど谷間で、そこからどっと上がって、この前、緊急事態宣言というような状況になっているわけであります。

 私、これを見ると、やはりゴールデンウィークで人の動きがかなりあって、それでこれが沖縄に影響しているんじゃないかというふうに思っておりますが、大臣はこのゴールデンウィークの対策についてどのように考えられていらっしゃいますでしょうか。

梶山国務大臣 御指摘の沖縄や北海道の新規陽性者数については、ゴールデンウィークを挟んで、例えば四月二十三日の週と五月十四日の週を比較しますと、北海道で三倍強、沖縄で約二倍に増加をしているところであります。

 この理由については、変異株の影響など様々な要因がある中で、人の移動による影響も出ていると西村担当大臣からも発言があったと認識をしております。

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいても、人の動きや変異株の影響と各種対策による感染抑制の効果の影響が複合しているとされていることから、今後の専門家による分析を注視してまいりたいと思っております。

 私の思いということでありますけれども、私は専門家ではありませんし、所管外でありますので、コメントは差し控えさせていただきます。

宮川委員 産業を、事業者を守っていく上で、この感染状況、そして緊急事態宣言をいかに出さないか、あるいは解除するか、これは非常に重要なテーマだと思いますので、大臣も、他の管轄だと言うのではなくて、どうすればいいかということをしっかりリーダーシップを取って発言していただきたいというふうに思います。

 私、やはり、もう長く続いているので、しっかり以前のものも検証をして、反省をするところはして、それを次につなげていくことが重要だというふうに思っています。

 それなので、少し前になりますが、今年の一月の第三波のときのことを少し議論したいというふうに思っておりますが、一月のコロナ第三波でお亡くなりになってしまった方の人数を教えていただけますでしょうか。

宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の人数等につきまして、都道府県のホームページ上の公表情報を収集をして取りまとめた上で公表をしております。

 その上で、お尋ねのいわゆる第三波について、政府としてこの期間を定めているわけではございませんので、第三波により亡くなられた方という形での集計はしておりませんが、御指摘の時期、令和三年の一月前後の月別の新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の数を申し上げますと、令和二年の十二月、千三百二十一名、令和三年一月、二千二百六十一名、令和三年二月、二千百六十五名、令和三年三月、千二百七十四名となっているところでございます。

宮川委員 五千名、六千名、非常に多くの方々が犠牲になられているということであります。これは本当に重く受け止めないといけない。ですから、このときに何が問題だったのか、これをしっかりと検証していく必要があるというふうに思います。

 当時、我々も申しておりましたが、GoToキャンペーンで、GoToトラベル、これがやはり引き金になったのじゃないかということを議論をしてきておりますが、当時、余りはっきりと政府の方から、どういう状況かということを、説明がなかったんですが、あれからかなりたっておりますけれども、閣僚の一人として大臣にお聞きしたいんですが、このGoToトラベルは第三波に影響をしたというふうに考えられていらっしゃいますでしょうか。

梶山国務大臣 感染の拡大の背景には、専門家によれば、気温の低下の影響などもある、また、飲食の場面が主な要因とされるものもあるということでありますけれども、複合的な要因があると思っております。

宮川委員 繰り返しになりますが、しっかり検証をして、反省しなきゃいけないところは反省をして次につなげなければ、同じ失敗をするのではないか。

 このGoToトラベルに関して、私は、やはり影響があったと思っています。これは、しっかり反省をすれば、ゴールデンウィークに人が移動するのではないか、ここをちゃんと止めておかなければ、この後、ゴールデンウィーク後に広がるんじゃないかということが予想できるんじゃないでしょうか。なぜ、そういう経験を生かして、このゴールデンウィークの人の移動をしっかりと止められなかったのか、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

梶山国務大臣 本部の議論がある前に専門家等の議論があるわけであります。そういった中で検証もしてきておりますけれども、今の時点では、なかなか、やはり因果関係というのははっきりいたしません。

 ただ、複合的な要因の中に今委員がおっしゃったようなこともあるという中でいろいろな対策を立てているということでありますので、私どもも、これまでの経緯も含めて、宮川委員、またほかの政党の方がおっしゃることも、エビデンスがあるのかどうかということも含めてということになると思うんですけれども、しっかりと対応をしていかなければならないと思っておりますし、当然、私、経済産業大臣でありますから、経済への影響、観光やほかの業種も含めて、経済への影響というものを十分に考えた上で意見をし、また対応もしていかなければならないと思っております。

宮川委員 経済産業省の管轄で、このGoToキャンペーン、GoToイベントとGoTo商店街がありますが、これを一時停止にした日はいつでしょうか。教えてください。

畠山政府参考人 お答えいたします。

 GoToイベント、GoTo商店街事業の昨年末以降の全国一律の一時停止につきましては、十二月十一日のコロナ分科会の提言を受け、都道府県とも相談をいたしました。その上で、政府として、十二月二十八日以降にフィジカルに開催されるイベントについて、新規販売のチケットに対する支援や、集客を伴う商店街イベント等を一時停止するということを十二月十六日に決定をし、翌十七日に公表をしたというところでございます。

宮川委員 実際に停止した日が知りたかったんですが、昨日のレクでは十二月二十八日以降というふうに聞いておりますが。

 大臣、これは経済産業省の管轄ですから、大臣の管轄ですから、どのように検証されているんでしょうか。

梶山国務大臣 GoToイベントそしてGoTo商店街については、他のGoToキャンペーンと同様に、年末年始を静かに過ごすとのコロナ分科会の提言を踏まえて、都道府県とも相談の上、全国一律に一時停止することを政府全体として判断したものであり、適切に対応したものだと思っておりますけれども、結果論でその因果関係を導き出すというよりも、やはり、この時点では即座に対応したと思っております。

宮川委員 これ、二枚目を見ていただきたいんですが、先ほどの沖縄と同じような図でありますが、棒グラフです。GoTo商店街、GoToイベントを一時停止というのが、十二月二十八日から実際上は止まったということでありますが、その後少したって緊急事態宣言が出ている。

 感染は一週間、二週間遅れて結果が出てくるということでありますが、やはり私は遅過ぎたのではないかというふうに思っておりますけれども、しっかり検証をして、それがなければ、じゃ、次、いつGoToイベントやGoTo商店街を始めるのか、あるいはどういうふうにやっていくのかということにつながらないと私は思いますので、是非しっかりと省内で検証していただければというふうに思います。

 それで、このGoTo商店街、イベント、少し細かく、どういう状況だったかというところをちょっと議論したかったんですが、商店街の方だけでいいので、申請件数、採択件数、そして、十二月二十八日で停止になってしまったので、できていない事業者の数を教えていただけますでしょうか。

村上政府参考人 商店街の方だけということなので、私の方からお答え申し上げます。

 採択は五百三十二件してございます。実施済みとなっているのが二百五十三件、実施中のものでサスペンドに入ったのが十八件、停止中が百十四件、それから、一部、オンラインのものだけ続けてリアルは止めていますというのが百二件、全部を中止若しくは辞退をしていただいたのが四十五件というような内訳になってございます。

宮川委員 止まってしまっているというのがあるわけですが、じゃ、GoTo商店街、これは待っていらっしゃる方々もいると思うんですね、どういう状況になったら再開をしようというように今議論がされているんでしょうか。

村上政府参考人 これらのシリーズの再開に当たりましては、政府全体の方針として、まずは早急に感染状況を収束させ、再拡大につながらないよう、専門家の意見も伺いながら慎重に判断するということにしてございます。

 なお、GoTo商店街につきましても、特に感染状況を踏まえ、都道府県の皆さんが、実際にここで再開をしてほしい、いや、止めておいてほしいというようなところの意向も一つ一つ確認をしながら進めてございます。その辺も緊密に連携を取りながら慎重に判断をしてまいりたい、このように考えてございます。

宮川委員 大臣、繰り返しですが、都道府県の意見ももちろん聞かなきゃいけませんけれども、これは前回のことをしっかり検証をして、どういう状況ならやれるのか、それをやはりきちっとアナウンスをしていく必要があるというふうに思います。

 その上で、私は、GoToイベントやGoTo商店街、こういうことをやることで支えていくというこの施策自体はいいんじゃないかというふうに思っているわけですけれども、今、現状、こういう文化芸術関係の方々、商店街の方々も、長く緊急事態宣言が続いている中で、本当に厳しい状況の方々がたくさんいらっしゃると思います。ですから、こういう事業が一刻も早くできるようにしなきゃいけないわけですけれども、だけれども、できないまま、もう半年以上たっちゃっているわけです。だから、別の支援を入れなければもたない状況になっているというふうに思うんですね。

 それで、私たちは以前から何度も、持続化給付金、事業者規模に応じた持続化給付金をしっかり出してくださいということを、前回も申し上げましたけれども、これは、一時支援金等、やはりかなり制限があって、なかなか申請しにくいという声が、ほかの委員の方々からも質問がありましたが、私はこれでは不十分だと思うんですけれども、持続化給付金のような、もう少し幅広い形での支援というのは考えていらっしゃらないんでしょうか。

梶山国務大臣 持続化給付金そして家賃支援給付金というのは、全国一律の対応ということでさせていただきました。そういった中で、やはり全国一律ではない状況もあるということ、さらに、それぞれの地域において更に特殊な状況等もありますので、地方創生臨時交付金等で対応するということになっておりますけれども、以前から地方創生臨時交付金についての質問もございますけれども、そのたびに知事会とのやり取りをしております。

 四月にまた知事会からの要請があり、その後も予算の手当てをして、向こうからの、また書簡もいただいているところでありますけれども、しっかりとこれらが行き渡るように対応してまいりたいと思っております。

宮川委員 一番最初に過剰債務の話をしましたが、本当に早く手を打たなければ厳しい状況になると思います。GoToキャンペーン、GoToイベントやGoTo商店街も止まっているわけですから、その代わりのものをしっかり出していただくように検討をお願いをしたいと思います。

 次に、今日は東海第二原発の御質問をしたいというふうに思います。

 原子力発電に関する施策ということでありますが、最初に大臣にちょっとお伺いをしたいんですけれども、二〇三〇年の原発の割合と、それを達成するために必要な原発のおおむねの数、これをもう一度答弁いただけますでしょうか。

梶山国務大臣 現行のエネルギー基本計画の中での比率ということになりますけれども、二〇%から二二%ということになります。原子力発電ごとの出力規模や実際の設備利用率も異なるため、確定的なことを示すことはできませんけれども、これらを達成するには、例えば、一定の仮定の下に計算すれば、三十基程度という計算になります。

 その上で、今回表明された野心的な削減目標とも整合的なものとなるように、安全性を大前提に、スリーEのバランスを取りながら、原子力比率を、新たなエネルギーミックスについて検討を進め、結論を出してまいりたいと考えております。

宮川委員 福島の今の状況等を含めて考えている中で、大臣、もう一度答弁いただきたいんですが、二〇三〇年までに本当に三十基も原発を動かすつもりでいらっしゃるんですか。

梶山国務大臣 事故前に稼働していたのが五十六基、そのうち二十基について廃炉の措置をいたしました。六十基ですか、失礼、六十基ですね。そして、廃炉措置をした上で、三十六基が今稼働可能な、また、将来的に可能なものであると思っております。そういった中で、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。

宮川委員 再稼働済みと新規制基準の合格済みの原発の数を教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねいただきました点につきまして、まず、新規制基準に適合しまして、地元の理解を得た上で再稼働した、再稼働済みの原子力発電所は九基ございます。一方、新規制基準に適合すると認められた原子力発電所、その上で、まだ再稼働に至っていないもの、これが七基というふうに承知してございます。

宮川委員 十六基ということです。三十基動かすという中の十六基で、この東海第二原発は、新規制基準合格ということで、七基の中に含まれていると思いますが、政府にとって、これは再稼働させる非常に重要な電源と考えているんじゃないかと思いますが、そういう理解で、大臣、よろしいでしょうか。

梶山国務大臣 原子力発電所につきましては、いかなる事情よりも安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査して、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の方針であります。

 こうした方針に基づいて、新規制基準に適合すると認められた東海第二発電所についても、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいりたいと考えております。

宮川委員 是非、地元の理解を、大臣の選挙区もあると思いますが、地元の理解を丁寧にやっていっていただければというふうに思います。

 そういう中で、まさにこの地元の理解でありますが、東海第二原発は、御存じのとおりで、首都圏に最も近い原発でありまして、三十キロ圏内に九十四万人近い方がいらっしゃる。この方々の避難計画がとてつもなく大変、人数が多いので大変だということであります。

 この間、この委員会でも、逢坂委員が何度かこの避難計画に関しての質問をしているわけでありますが、東海第二原発に関しまして、原子力防災会議の了承が得られた避難計画がなければ東海第二原発は再稼働しないということで、大臣、よろしいんでしょうか。

梶山国務大臣 万が一に備え、避難計画は、稼働するしないにかかわらず、地域住民の安全、安心の観点から策定することが重要であります。

 我が国において、しっかりとした避難計画がない中で、再稼働が実態として進むことはないと考えております。

 避難計画は、一旦策定した後も避難訓練の実施等を通じて不断の改善充実に取り組んでいくものですが、しっかりとした避難計画があるというためには、地域原子力防災協議会において、当該地域の緊急時対応が、原子力災害対策指針等に沿った具体的で合理的な内容であることが確認されていることが必要であり、さらに、原子力防災会議において、委員がおっしゃったように、了承されていることが必要であると考えております。

宮川委員 なかなか分かりにくいとか、委員の方々は御理解されているかもしれませんが、三番目の資料に、このことがまとまったものをつけさせていただいております。これは内閣府が出している資料でありますが、今言っていたのは、一番右側の原子力防災会議、ここで了承が得られなければ東海第二原発の再稼働はされないというように、私は今理解をしたところであります。

 それでは、東海第二原発は今どういう状況にあるのか、このどこの位置にいるのかというのを教えていただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 東海第二発電所が立地する地域につきましては、先ほど議員おっしゃられましたとおり、発電所からおおむね三十キロ圏内に約九十四万人と、原子力発電所立地地域の中で人口が最も多いことが特徴の一つでありまして、避難先との調整や移動手段の確保、要支援者への対応などの課題がございます。

 現在、地域全体の避難計画を含む東海第二地域の緊急時対応、これの取りまとめに向け、東海第二地域原子力防災協議会の枠組みの下、地域の実情を熟知している関係自治体と一体となって検討を進めているところでございます。

 こうした中、内閣府では、関係自治体への支援を行っており、例えば、避難手段としての相当数の車両を確保することも大きな課題であり、県とバス協会との緊急時の協力に向けてのサポートを内閣府も実施しているところでございます。

 引き続き、関係自治体と一体となって、東海第二地域の原子力防災体制の充実強化に取り組んでまいります。

宮川委員 先ほどの三枚目の右から二番目のところを内閣府も入りながらやっているというように理解させていただきます。

 その上で、これは毎日新聞がかなり報道しているんですが、避難所の収容人数の過大算定があって、二万人を超える避難所が不足しているというような報道が流れていますが、これは事実でしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 東海第二地域の避難先確保を進めるに当たり、避難所スペースの算定において居住に適さないスペースを含んでいたため、避難所が不足していたということは事実でございます。

 このため、現在、茨城県では、一つ一つの避難所の図面を確認し、避難所スペース算定の適正化に向けた作業を行っているところでございまして、内閣府としても、茨城県を始め関係自治体の意向を含め、必要なサポートを行っていきたいと考えております。

宮川委員 堀内副大臣にお伺いしたいと思いますけれども、報道を見ていると、一人当たり二平米というような形で、それで避難できる場所を機械的に割ったと。ですので、トイレだとか玄関だとか倉庫だとか、そういうところも全部含めて、ある意味ずさんな計算が行われていたと。これによって二万人近い不足があるんじゃないかと言われていますけれども、内閣府はこれは承知だったんでしょうか。

堀内副大臣 宮川委員御指摘の、先ほどのいわゆる過大算定の件につきまして、避難スペースの算定の不備につきましては、平成三十年の九月十四日にありました茨城県議会において指摘されたということを承知しているところでございます。

 避難所の確保については、避難計画を作成する自治体が自主的に対応していく、そういったものでありまして、茨城県と関係自治体においてその是正に向けた作業が進められて、内閣府といたしましては、その必要な支援を行わせているところでございます。

 また、具体的には、避難スペースの算定の適正化と並行して、更なる避難先を拡充していく、そういったために茨城県が第二避難先とする他県への依頼、交渉を進めるときには内閣府も同席して、そして、避難先自治体の理解、協力を得るためのサポートを行ってきた、そういったところでもございます。

 今後も、避難所確保などの課題に対応した上で、各市町村の避難計画などについて地域横断的にまとめた、いわゆる東海第二地域の緊急時対応、先生のこの資料の三ページの一番右側の原子力防災会議の中にございます緊急時対応、そういったものを策定していけるように、引き続き、政府としても関係自治体と緊密に連携し、東海第二地域の原子力防災体制の充実強化に取り組んでまいる所存でございます。

宮川委員 この資料の五というのをちょっと見ていただきたいんですけれども、地図があります。これ、東海第二がどこかお分かりだと思いますが、丸が囲ってあるのが三十キロ圏内。この中の自治体、左の上の方に自治体で色がついていますが、これが、皆さん、どう逃げるかということでありますが、私、千葉ですけれども、私の選挙区にも、ひたちなか市から一万四千、水戸市から四万四千来るというように、これは色分けされてありますが、これは相当大変な計画を作っていかなきゃいけないということが、この絵を見ると分かると思います。

 今の、内閣府が知っていたかどうかというような話でありますけれども、資料の四の方を見ていただきたいんですが、これも毎日新聞の記事なので、どのぐらい正しいかということではありますけれども、赤線、真ん中ら辺に引いてあります。埼玉県の担当者も、機械的に出した収容可能人数が千人でも、校庭が狭くて五十人分しか駐車場が確保できない場合はどうするのかと質問したが、茨城県と内閣府の担当者は、駐車場の問題は後で協議するとした上で、とにかく避難所の面積を調べ、機械的に収容人数を算定するように求めたと。下の方にありますが、これは大学の先生、不正確で過大になると知りつつ収容人数を算定していたのは明らかだというコメントが出されています。

 これは二〇一四年の会議録にあるというようにこの記事では書かれているわけですが、内閣府、黙認していたんじゃないんですか、どうですか。もう一度、副大臣、お答えください。副大臣、お答えいただけますか。

堀内副大臣 先ほど申し上げましたとおり、避難スペースの、先ほどの御指摘の算定の不備につきましては、平成三十年の茨城県議会におきまして、当時、県議会議員の江尻先生から御指摘いただいた、それにおいて指摘されたことを承知しているといったところでございます。

宮川委員 大臣、こういう状況があるんですね。

 そういった中で、三月に裁判所の判決が出まして、日本原電に対して運転差止めを命じるというものが出たわけであります。これに対して、五月の七日の日に日本原電が控訴理由書を出しております。

 大臣、これを見られているかというのがありますけれども、どのような考えをお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

梶山国務大臣 日本原電が、三月十八日に水戸地裁において判決があった東海第二発電所の運転差止め訴訟に関して、三月十九日に控訴し、五月七日に控訴理由書を東京高等裁判所に提出したものと承知をしております。

 本件は民事訴訟であり、国は本件訴訟の当事者ではないために、訴訟の内容についてはコメントを差し控えさせていただきます。

 ただ、この現実の話、事実関係の話につきましては、平成三十年にそういう御指摘を受けたということで、解消に向けて、現在なお、今、避難計画を立てているということでありまして、不足分二万人という指摘がありましたけれども、現在では六千人台になっているということで、まだ避難計画ができ上がったわけではありません。

 そして、その完成に向けて今努力をしているということでありますが、避難計画というのはやはり可能なものでなければならないと思っております。どういう時間に災害が起こるか分からない。どういう気象状況で起こるか分からない。どういった道を使って、どういったところで、どういった道を通って避難所に行くかということも含めた具体的なものを作っていかなければならないと思っております。

宮川委員 これも新聞記事なんですけれども、裁判では、避難計画やそれを実行する体制が整えられているというにはほど遠い状態、防災体制は極めて不十分、これが理由で差止めが出ているわけであります。

 これに対して、原電の理由書は、これは一番最後のページにつけているんですけれども、判決では放射性物質を異常に放出する重大事故が発生するおそれは認めていないと指摘する一方で、異常放出を想定した避難計画の欠陥を理由に、放射性物質の被曝による人格権侵害の具体的危険性を肯定しており、明らかな矛盾が存在するというような理由なんですが、弁護士さん等、法律的にこういうことはあり得ますけれども、住民の立場で考えてもらった場合に、今、内閣府さんとやり取りしましたが、こういうずさんな計画が立てられているのに即刻十九日の日に控訴しているという状況でありまして、しっかり住民の立場に立って計画を作るとおっしゃっていましたので、やっていただければと思います。

 ちょっと時間の関係もありまして、もう一つ私が非常に気になっているのが、四十年超、古い原発に対して最大二十五億円の交付金を出すというような報道が流れております。その事実関係と、東海第二原発も四十年を超えておりますのでこれは対象になると。大臣は、この東海第二原発に対しても、二十五億円のプラスアルファ、上乗せの交付金を出そうということで今考えていらっしゃるということでよろしいんでしょうか。

梶山国務大臣 訴訟に関しましては、私、コメントいたしませんけれども、事実関係については、まだ避難計画が検討中だということで、でき上がって申請しているわけではないということであります。

 そういった前提でお話をさせていただきますと、電源立地地域対策交付金は、発電用施設の設置や運転による果実は必ずしも地元の経済発展や福祉向上に結びつかないという電源立地に関する受益と負担の関係を考慮し、発電用施設の設置、運転の円滑化を図るため、電源立地地域の自治体に対して交付するものであります。

 一方で、エネルギー基本計画にあるとおり、政府としては、再稼働などの原発を取り巻く環境変化が立地地域に与える影響の緩和に対応することとしております。そのため、既存の立地交付金による支援に加えて、これまでも再稼働等に対して交付金を措置をしてきたところであります。

 こうした中で、運転延長による四十年超運転は我が国においてこれまでに例がないものであるため、四十年超運転という新たな稼働状況の変化が立地地域に与える影響を踏まえて、予算の範囲内で、一発電所当たり最大二十五億円の交付金を措置する方針といたしました。

 政府としては、立地地域が抱える様々な課題に真摯に向き合い、しっかりと支援するとともに、原子力発電の重要性や必要性について丁寧な説明をしてまいりたいと思っております。

宮川委員 ちょっと質問通告できなかったんですけれども、昨日でしょうか、プルサーマルを行う自治体に対しても新たな支援策をということを大臣が検討するとおっしゃっているというようなニュースが流れております。これも東海第二原発が当てはまるんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども。

 いずれにしても、今、東海第二原発で、再稼働できるかどうか、幾つかの問題がありますが、その一つが、周辺自治体が同意するかどうかという大きな課題があるわけであります。これが先ほどのずさんな避難計画の問題とも絡んでいるんです。

 こういう状況の中で、お金を配りますよと。あるいは、最初にコロナの話をしましたけれども、フリーランスの方や中小企業の方々、大変苦しんでいらっしゃるときに、持続化給付金、なかなかやらない状態で、今の、周辺自治体に対して、何十億円というお金を配るわけですか、大臣。こういう状況の中で本当にこういうことをやろうと考えていらっしゃるのか、もう一度、最後、お答えください。

梶山国務大臣 電源立地の交付金はまた別の制度であります。

 そういった中で、御負担をかける自治体に対して交付金をお支払いするということでありまして、仮定の話にはお答えできませんけれども、もしそういうことになれば、交付金をお支払いするということになろうかと思います。

宮川委員 周辺住民のことを第一に考えてやっていただければと思います。

 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

富田委員長 次に、松平浩一君。

松平委員 立憲民主党、松平浩一です。よろしくお願いします。

 本日は、IPOの公開価格が低過ぎるんじゃないか、それによって企業の調達額が少なくなってしまっているんではないかという問題を取り上げたいと思います。

 まず、早速ですけれども、前提を確認させていただきます。

 IPOの公開価格の値づけの方式として、今、ブックビルディング方式が取られているんですけれども、この方式、一九九七年に導入されたということなんです。それまでは競争入札方式であったということなんです。

 そこで、ブックビルディング方式を導入した経緯、理由について、まずお伺いさせていただいてよろしいでしょうか。

油布政府参考人 金融庁でございます。

 平成九年の当時の大蔵省証券取引審議会の報告書を見ますと、理由としまして、発行市場だけではなく、公開後の流通市場まで勘案した需要の積み上げによる価格決定ができる、それから、長期投資を目的とする機関投資家による市場参加を促すことができる、欧米でも一般的に行われている方法であるといった点などが指摘されております。

松平委員 冒頭、今申し上げましたように、このブックビルディング方式を利用した日本のIPOは、公開価格が過小値づけ、アンダープライシングされているのではないかという問題があるんです。

 データをまず見たいと思います。データで見たいと思います。

 資料一ですけれども、日本のIPOの初値騰落率、折れ線グラフの方ですけれども、グラフにしたものです。初値騰落率、つまり公開価格から初値の上昇率なんですね、これがどのくらいかということ。

 この資料一は、投資情報サービスを提供している東京IPOのレポートなんですけれども、去年、二〇二〇年の初値騰落率、これは平均でプラスで一二九・九%、約一三〇%です。その前年は七四・八%、そしてその前の年はプラス一〇四・九%。

 プラス一〇〇%というのは、大体二倍になっているんですね。IPO銘柄が大体二倍になっている。それは買いたいと思いますよ、だって二倍に上がるんですから。すごいです、これ。ちなみに、欧米先進国の初値騰落率、平均は大体一〇%台なんです。一〇%台、それでも高いと言われているんです。

 やはり、明らかにこれは高過ぎるんですよ。この現状、金融庁、どう理由を分析されているか、お聞きさせてください。

油布政府参考人 御指摘のとおり、初値騰落率を見ますと、諸外国に比べては高い状況にあるということを承知してございます。

 この理由でございますけれども、公開価格の方が低過ぎる、あるいは初値が高過ぎる、そしてその双方、こういった要因が考えられるわけでございますけれども、もちろん個別のIPOごとの事情もありますし、上場時の全般的なマーケット環境などもございますので、その点については、金融庁としましては、まずよく実態を把握する必要があると考えております。現時点でこうだというふうに一概にお答えすることは控えさせていただきたいと思います。

松平委員 今、初値がもしかしたら高過ぎるんじゃないかという理由もいただきました。つまり、公開価格が低過ぎるだけじゃなくて、初値が高過ぎるんじゃないかという理由もいただきました。

 そこで、初値が高いという理由については、ちょっと今その理由をいただいたので、資料の二を飛ばして三から見ていただくと、これは慶応大学の名誉教授の金子隆先生の「IPOの経済分析」という本からちょっと引用してきたものなんですけれども、これの棒グラフの方、こちらは平均初期収益率と書いていますね、初値騰落率と同じ意味なんですけれども、今まで入札方式、競争入札方式を取られていたときというのは、平均で一三・一%だったんです、九七年までは。それがブックビルディングに方式が変わってから、いきなり跳ね上がっているんです。

 方式を変えるだけでこれだけ跳ね上がるというのは、やはり初値は市場で決まるので、方式が変わったからって変わることにならないと思うんですね。だとすると、方式の変更でやはり公開価格の設定方法が変わった、だから、ブックビルディングによって公開価格が低くなったということが理由だと考えるのがやはり自然だと思うんです。

 あと、よく海外との比較で指摘されている理由を言いますと、海外の市場はオファリングサイズがもっと大きいよ、日本よりという指摘もされるので、一応それに対してお答えさせていただきますと、それが資料二なんです。

 資料二、その一つ前のページでオファリングサイズの比較のところでの初値の騰落率を比べているんですけれども、こちらは日本証券業協会の非上場株式の発行・流通市場の活性化に関する検討懇談会、そこでJVCAが配付した資料から抜粋しているんですけれども、ここを比べると、カテゴリー2を見ていただくと、日本で十億以上、五十億未満のサイズのIPO、これが三八・二%の初値騰落率なんです。それで、同サイズのカテゴリーを見ると、カテゴリー2ですね、米国、やはり一・二%しかないんですね。だから、オファリングサイズが小さいからという理由も理由にならないということなんです。

 ということで、ちょっと今順序を逆にしましたけれども、公開価格がやはり低いというところ、そういう意見についてどう考えるかというところ、受け止めを金融庁に詳しく聞きたいと思っています。いかがでしょうか。

油布政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃいましたようなことも含めまして、公開価格が特に初値に対して非常に低い傾向にあるということはよく承知してございます。

 他方で、IPO企業の価値といいますか、いわば本来的な価格というべきものと比較してなお公開価格が低いのか、低いとしてどの程度低いのかというふうな点についても、先ほど御指摘のあったようないろいろな可能性も含めまして、よく分析する必要があるだろうと考えております。

 金融庁としましては、関係者とともに、実態把握を行いながら、公開価格決定の在り方について検討を進めてまいりたいと思います。

松平委員 これから実態把握していくということですけれども、ちょっとそんな悠長な話なのかなと思うんです。私、やはり公開価格が低いのは明らかだと思うんです。この点、本当に重要なので、後で経産省にもお聞きしたいと思います。

 一応、指摘されている部分を紹介しますと、公開価格が何で低く設定されているかというと、主幹事の証券会社が公開価格を設定するときに、日本ではやはり保守的に見積もる傾向が強いですよ、あと、低く設定した方が初値が上がるので個人投資家にいい顔ができるとか、そんな指摘もあるということなんです。

 いずれにせよ、公開価格が過小評価されると企業の調達額に影響が出てくるということで、その影響についてちょっと御紹介させていただきますと、一橋大学の鈴木健嗣教授の調査なんですけれども、二〇一三年から二〇一九年におけるジャスダックとマザーズのIPOした企業の想定する経済損失、これを計算されたようなんですが、一社当たり十九・七億円というふうに指摘されているんです。一社当たり約二十億円の損失ということなんです。これは、IPOする企業にとっては、本来入ってくるはずの二十億円が入ってこない、かなり大きな問題ではないかなと思います。

 そこで、じゃ、どこに問題があるのかということで議論を深めたいと思うんですが、ここで公開価格の設定プロセスについて資料を用意させていただきました。資料四になりますね、一つめくっていただいて。

 このプロセス、上のところなんですけれども、ビューティーコンテスト、需要調査、ここにプレヒアリングとありますね、プレヒアリングがあって、そこで想定発行価格が設定されます。で、ロードショーがあって、仮条件の設定があって、ブックビルディングがなされる、そして公開価格が設定される、そういった流れなんです。

 最初の想定発行価格の設定というのは非常に重要でして、想定発行価格の設定というのは、主幹事の証券会社が主に決めるんですけれども、発行会社と協議して決めるということになっているんですね。類似会社と比較したり、IPOディスカウントみたいなことをしたりして決めるんですけれども、どのくらいこの想定発行価格が重要かというと、資料五を用意させていただきました。

 これも金子先生のグラフなんですけれども、想定発行価格と仮条件レンジの中間値との相関関係を表したグラフです。相関係数が、このグラフにあるように、〇・九九一になっているんです。相関係数というのは関係性の強さを表すので、一に近づけば近づくほど正の相関関係が強いということになるんです。〇・九九一というのは相関関係が相当強いということなんです。つまり、想定発行価格は仮条件に非常に強い影響力を持っているということです。

 だから、想定発行価格というのは大変重要なんですけれども、この価格の設定のためのプレヒアリング、つまり機関投資家から需要を調査するという過程がほとんど行われていないと聞くんです。そういった状況をちょっと教えてもらっていいでしょうか、金融庁。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 日本証券業協会を通じて大手証券会社へヒアリングさせていただきましたけれども、先生御指摘のとおり、想定発行価格を決定するためのプレヒアリングについては、実務としてはほとんど実施されていないと承知しております。

松平委員 実施されていないと。やはりそういうことのようなんです。

 私、その理由もいろいろお聞きしました。そうしたら、やはり何か萎縮されているらしいんですね。

 実は、IPOでなくてPO、普通の企業の増資ですとかの場合には、日証協の自主規制というのがあるらしいんです、それでプレヒアリングは禁止されているらしいんです。でも、IPOの場合は禁止されていないんですけれども、そこの部分でちょっと萎縮があるのではないかという意見が結構多いんです。

 私、萎縮されているので行われないという状況は運用上よろしくないと思うので、やはり、想定発行価格の重要性、先ほど申しました重要性を考えると、これは闊達に行われるようにしなきゃいけないと思います。

 したがって、例えば、実施の手続を想定した手引書みたいなガイドラインを作るなり、その環境づくり、これを積極的にすべきだと思うんですけれども、その点、ちょっと金融庁、いかがでしょうか。お願いしていいでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 金融審議会において、有価証券届出書の提出前に市場における需要見込みを調査するいわゆるプレヒアリングにつきましては、届出前勧誘の禁止行為の対象とする必要はないとされたことを受けまして、二〇一四年に企業内容等開示ガイドラインを改正して、その点、明確化しております。これにより、IPOの際にプレヒアリングを実施することは制度上は可能となっております。

 適正な価格決定のため、企業や証券会社が必要なプレヒアリングを実施することを期待しております。

松平委員 期待しているだけじゃやはり動かないので、現状こうなっているので、是非、監督官庁としての立場から、運用の見直し、指導なりを行っていただきたいなと思っています。

 このプレヒアリングに関してですけれども、諸外国では、引受シンジケート団以外のアナリストがレポートを作成して機関投資家に配付したりとか、そういったこともされているようなんです。日本では、やはりシ団外のアナリストのレポート、これは配付されていないので、同じようにこの届出前レポートの作成、配付というものを明確に許容すべきじゃないかというふうにも思うんですけれども、こういった点についてはいかがですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 金融商品取引法上、有価証券届出書の提出前に有価証券の取得勧誘を開始することは、届出前勧誘の禁止ということで禁止されております。

 議員御指摘のプレヒアリング段階でのレポート配付については、対象企業の発行する有価証券の取得勧誘に関する未公表の情報の伝達から遮断された、いわゆる一般的な企業情報の発信であれば届出前勧誘に該当しないものと考えておりまして、その場合は届出前の配付は可能であると考えております。

松平委員 では、次のトピックとして、このフローでいうとロードショーの次、仮条件が設定されるというところについてお聞きしたいんですけれども、この仮条件と公開価格の関係というものを、私、資料六としてお配りさせていただきました。こちらも金子教授の論文を基に作成させていただいています。これを見ると、一番大きなところ、八九・九%、約九割が、仮条件のレンジの上限で公開価格が決まっているということになっているんです。我が国では、仮条件のレンジを超えた公開価格というのが零%、ゼロ件となっているんですね。

 ただ、これはフローをよく見ると、この仮条件の設定、この後にブックビルディングが行われるわけです。投資家の需要を聞くはずなんですよ。だから、公開価格が仮条件のレンジを超えられないのであれば、ブックビルディングして投資家の需要を聞く意味がないように思えちゃうんですね。だから、これはおかしいと思うんです。資料六を見ると、これは、一方でアメリカでは、米国では、公開価格を仮条件レンジの上限を超えて設定している割合がやはり二二%もあるんですね。だから、ちゃんと投資家の需要というものを公開価格に反映させているんです。

 私は、何でここまで、このレンジに縛られているというのが不思議なんです。我が国で公開価格が仮条件の範囲を超えてはならないという法律でもあるんですかと。

 一応聞きます。法律で決まっているんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 法令上、仮条件の範囲内で公開価格を決めなければならないという規定はないと承知しております。

松平委員 じゃ、ないということにもかかわらずやはりこうなっているのは、あれですか、金融庁は何か指導されているんですか。若しくは過去に指導したことがあるということなんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点において委員御指摘のような指導は行っておりません。また、これまで調べた限りは、過去にそのような行政指導があったということについては確認できておりません。

松平委員 ということですね。今はっきりおっしゃっていただきました。そういう指導はしていないというふうにおっしゃっていただきました。

 やはり、私、ブックビルディングをする意義ということですね、その趣旨からいうと、仮条件のレンジに縛られずに、需要に応じた公開価格の設定ができるようにすべきだと思います。需要に応じて仮条件のレンジ外でも公開価格の設定ができるかどうか、できるようにすべきだと。その点について、金融庁のお考え、お聞かせいただいていいでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 仮条件を設定後に変更することは、訂正届出書を御提出いただければ可能と考えております。そのような形でブックビルディングに応じた投資家の需要を反映した公開価格の設定も可能と考えております。

松平委員 訂正届出書とおっしゃいますけれども、訂正届出書、効力発生までにやはり時間がかかっちゃうわけですね。中十五日、基本かかってしまう。そうなると、やはりその間にいろいろな条件の変動があるかもしれない。なので、やはり問題も生じると思います。私、やはりそもそもこの仮条件のレンジ内というものが公開価格を低くしている要因の一つだと思いますので、ここはしっかりと検討してもらいたいと思います。

 そういう意味で、私、今、中十五日の話をさせていただきましたけれども、この仮条件のレンジ外で公開価格を決めるということになる場合にどういった制度改正の影響が出るのかという点、確認させていただいていいですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、制度としては、公開価格の決定をした場合、公開価格を記載した訂正届出書を速やかに御提出いただく必要がございます。そのような訂正届出書につきましては、一般に、投資者に判断の時間を与えるために、変更の内容が投資者に容易に理解でき、注記によってその内容が開示されている場合に限りまして、訂正届出書の提出日又はその翌日にその効力を生じさせるものとしております。

 個々の事例に即して判断する必要がございますけれども、仮に公開価格を記載した訂正届出書の内容が今申し上げました要件に当てはまらない等の場合には、訂正届出書の効力発生日は提出日の翌々日以降となる、そういう制度になっております。

松平委員 やはり、私、根本的に、何か今おっしゃったような訂正届出書の問題になるのかどうかというところも含めて、もう一度これは御検討いただきたい部分であるなと思っています。

 次のトピックに行きますけれども、個人投資家へのIPO株の配分というもの、これは全体の実は七割ぐらいを占めていまして、機関投資家の購入可能割合というのは非常に少なくなっているということなんです。

 この割合、比率というのは、ブックビルディングの前に決められてしまっていて、変更できないようになっているんです。だから、機関投資家としては、割当てが少ないので購入できない、しかし、購入できないにかかわらず、証券会社とのつき合いで公開価格の決定プロセスに参加している、そういう場合も少なからずあると聞きます。

 それは、じゃ、どういう結果につながるかというと、ロードショーの形骸化なんです。どうせ割当てが少ないので買えない、だから、証券会社が決めた想定発行価格のとおりでしか回答しない、そういうことも行われている。実際、ロードショーでの機関投資家回り、これが挨拶回りの儀式でしかなかったという声もよく聞きます。

 つまり、ブックビルディング後も、個人投資家の需要を反映させて、機関投資家との配分比率を修正できるようにするということも必要なんじゃないかと思います。それが公開価格の適正化につながると思います。

 これはアメリカでは、ブックビルディングの投資家の需要、これを発行会社と共有して、それで、配分について協議が行われたりしているということも聞きます。

 したがって、ブックビルディング後にも配分比率の修正を可能とすることについて、現状、可能なのかどうか、また金融庁の考え、お聞かせいただきたいと思います。

油布政府参考人 日証協の規則などでは、ブックビルディング後に配分比率を修正することは特段禁止されてございません。ただ、実務的に、ブックビルディング後の日程はかなり窮屈でありますので、ブックビルディング終了後に配分比率を修正することは難しいかもしれないという声もあるようでございます。

 したがいまして、現時点で一概に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、金融庁といたしましては、発行会社と証券会社との間でしっかり意思疎通が図られた上で比率が適切に決まっていくということが大事だと思っております。

松平委員 今、しっかり発行会社と証券会社の間で意思疎通とおっしゃっていただいたんですが、その観点についても今からちょっと質問させていただきたいと思います。

 この配分比率について、ブックビルディングの価格別需要情報、ブックビルディングの需要情報が配分前に、現状では、証券会社から発行会社に共有されていないんです、今。

 ここはやはり問題だと私は思っていまして、今、現状では、事後的には発行会社に配分先情報の共有はなされているんです。ただ、事後的にその情報共有がなされたとしても、もうそれは配分は終わっているわけですから、この配分比率の適正化にはつながらないんですね。

 したがって、配分の前にこの価格別の需要情報を共有されてこそ適正化につながる、実際の需要に応じた配分割当てにつながると思いますので、ここは、事前に価格別需要情報を発行会社に共有する、そういう運用にすべき、そういった仕組みを導入すべきだと思います。

 この点、金融庁、いかがでしょうか。

油布政府参考人 配分後の情報共有につきましては、日証協の規則に規定がございまして、主幹事証券会社は、引受けを行った株券等の配分を行った場合などには、配分先情報を遅滞なく発行会社に提供しなければいけないというふうになっております。

 ただ一方で、配分前の情報共有については、特段の規定はなく、禁止されているものでもございません。

 金融庁としましては、発行会社と証券会社の間で必要な情報共有が行われることが重要であろうと考えております。

松平委員 必要な情報共有が行われることは重要ですよ。なので、現状を変えてほしいということなんです。是非お願いしたいと思います。

 それから、ちょっと観点は変わりますけれども、個人投資家の重複申込みという問題もあるんです、IPOには。

 個人投資家からすると、目当てのIPO株を買いたい、だけれども、これは抽せんで、当たるかどうか分からないということなので、複数の証券会社から申し込むこともよくやられているようなんです。これは、同じ証券会社だったら、名寄せされたり、複数店舗で口座を持つことができなかったりして、やはりできないんですけれども、違う証券会社では対策を取られていないので、複数の証券会社から申し込むということが事実上できてしまうらしいんです。

 しかし、これをされると、やはり正確な需要情報は分からなくなってしまいます。やはりそれは、ひいては適正な公開価格の決定につながらないので、ここの状況も改善する必要があると思っています。この状況について、金融庁、いかがでしょうか。

油布政府参考人 御指摘のように、ブックビルディングの手続につきましては日証協の規則がございます。証券会社は、まず、自社の特定の投資家の同一の需要に基づく複数の申告が明らかに見込まれるような場合には、その申告をブックビルディングに含めてはならないと規定がございます。

 他社の場合でございますが、他の証券会社との申告の重複を発見した場合には、その証券会社と協議する、こういう規則になってございます。

 いわゆる名寄せ的な問題もございますので、どこまで排除できるかというのは恐らく難しい面もあるんだろうとは思いますが、金融庁といたしましては、今後、実態把握なども進めまして、このプロセスの見直しについても検討を進めてまいりたいと思います。

松平委員 この点も、やはり、そうですね、個人情報の問題もあるのでなかなか難しい点もあると思うんですが、こういった問題点があるということを指摘させていただきたいと思います。

 経産省にいよいよお聞きしたいんです。五月十四日、今月の十四日ですね、新原政策局長のこの委員会での御答弁で、こういうのがありました。

 日本のIPOですと、上場後に市場で成立する株価、いわゆる初値でございますが、それと、起業家が受け取る金額、株を売り出す公開価格、比較しますと大分差がありまして、起業家の資金調達額が少なくなるという構造問題があるというふうに思っています、この点については、抜本的な検討が必要であろうというふうに思っています。

 非常にはっきりとおっしゃっていただきました。私としてはかなり心強いです。この答弁について確認したいんですけれども、初値と公開価格とを比較して差がある、そして起業家の資金調達額が少なくなる、これは、やはり公開価格の設定が低いという理解でよろしいですか、経産省。

新原政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 そこで答弁で申し上げましたのは、先生も今いろいろなデータを挙げられました、私どももいろいろこの辺を当たっておりまして、海外ですと、IPOの研究でリッターというフロリダ大学の有名な先生がいらっしゃいます、そのチームの実証研究をちょっとベースにして申し上げますと、IPOの初値と公開価格の比較について、日本のIPOでは、先生も言われました、初値が公開価格を四八・八%上回っている、これに対して、アメリカでは一七・二%、それからイギリスでは一五・八%、先生は一〇%台と言われました、という結果になっておりまして、事実として、各国と比べてこの差が大きいという結果になっているというふうに認識をいたしております。

 それで、私ども、ベンチャーあるいはスタートアップを振興していきたいというのが基本的な目的ということになりますので、そうしますと、初値が公開価格を著しく上回っても、スタートアップには直接の利益は及ばないわけでございます。それは委員が御指摘されたとおりでございます。このために、差が小さければ同じ発行株数でもより多額の資金調達をし得たはずであるという指摘があるわけでございます。そういう意味で、ここについての検討が必要だろうと思っています。

 金融庁さん、言われましたが、これは結構、今委員が言われたところも含めてかなり複雑な議論があります。なので、今日御指摘いただいた点も含めて、金融庁と協力してしっかりと実態把握を進めたいと思います。これはちょっと、急いだ方がいいというのはおっしゃるとおりなんですけれども、逆に言うと、きちっと詰めて進めないと、なかなか、民間の慣行の問題もありますし、大変だと思っていまして、そこをしっかりとやるということをちょっとお約束させていただきたいと思います。

 その上で、IPOの価格決定プロセスの在り方について、金融庁さんなんかとも連携の上で、見直しに取り組んでいきたいというふうに思っております。

松平委員 ありがとうございます。私も大いに賛同しますので、是非頑張っていただきたいと思います。

 今、IPO株の情報サイト、ちまたにあふれていますけれども、それを見ると、IPO初心者の人は初値で売却することをお勧めしていますですとか、感覚的に九割の当選IPOを初値売りしていますとか、そんな記事がちまたにあふれているんです。だから、本当に、短期的にもうけるための手段になっちゃっているんですね。でも、これは本当は違いますよね。IPO株、やはり、新しい産業、新しい企業を応援したい、そういう投資家さんに投資してもらいたいはずなんです。

 もちろん、もう一つ、今おっしゃっていただいた資金調達の側でも、かなり企業側、スタートアップ側にも影響が出ていますので、ここの部分、大臣、最後に、金融庁にもしっかりと意見していただいて、連携していただいて、この問題に取り組んでいっていただきたいと思います。この点、意気込みをお聞かせいただければと思います。

梶山国務大臣 ベンチャー企業、スタートアップ企業は、我が国経済におけるイノベーションを生み出す主体として極めて重要な存在であると認識しておりますけれども、他方、今委員御指摘のように、IPOを行う際の資金調達を含めて、ベンチャー企業の資金調達の円滑化については様々な課題があることは事実であると思っております。

 このため、今夏、この夏に取りまとめる予定の成長戦略においては、ベンチャー企業を生み出し、かつ、その規模を拡大するための資金調達面での環境整備を大きな柱として位置づけしていく予定であります。

 IPOの価格決定プロセスの在り方についても、関係省庁と連携しながら、実態把握の上で、見直しに全力で取り組んでまいりたいと思っております。

松平委員 ありがとうございます。

 時間が来たので終わります。どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、この所管の関係で今重要と思われる問題を幾つか取り上げさせていただきます。

 まず、電力の発電事業者に課金をするという件でございます。

 今までの仕組みは、送配電網を整備するためのお金は、送配電網の使用料金として託送料金を需要家、消費者側から取ってきたわけです。近年、この送配電網の使用料を発電側からも取った方がいいんじゃないかということで検討が進められてまいりました。

 昨年、一年以上前から案が出てきていまして、当初の案は、発電事業者が持っている設備の容量をマックスで発電したときにどれぐらい使うかというのに課金をしましょうというような仕組みが示されていました。しかし、それですと、特に再エネは、発電しているときとしていないときがあるので、再エネほど負担が増えてしまう、太陽光だとか風力の負担が増えてしまうというような問題がありました。

 そのときに試算してみると、石炭火力と太陽光で比べると、五、六倍も太陽光の方が送配電網を利用する料金を多く負担をしなきゃいけないということで、最大限再エネを導入するという国の、政府の方針で、最大限、大規模集中型から多機能分散型に電力システムを替えていくという中で、この多機能分散型の電源に負担を強いるというのは、ある意味、ブレーキをかけていることになるんじゃないかなということで、大臣にも指摘をさせていただきました。もし導入するなら、送電線を使った量に応じて課金をするべきだということを申し上げたわけです。

 今回、あれから一年以上たって、新たな案が出てきました。今回は、送電線を使った量、従量料金と、それから設備の容量、設備容量とを半々で計算しますということでございます。これは、一年前の大臣の決断でほんの少しは前進はしたわけですが、やはり残念ながら、ほんの、ほんの少しでございまして、試算しても、石炭火力と太陽光で比べても、三倍ぐらい、太陽光の方が結局は多く負担をしなければならないわけです。

 電力の歴史を見てみても、高度成長期も、物すごい高圧線を造るときもラストワンマイルの細い線を造るときも、みんな託送料金から広く薄く徴収して、公のものなのでやりましょうということで、どこかの電源に多く負担を求めてきたわけではなかったわけですけれども、このルールを変更をしようとしているわけです。

 私は、やはりこの新たな案も、石炭と太陽光で比べて、太陽光の方が送電線を使うのに三倍ぐらい多く払ってくださいというのは、特にこれからの時代を、世界がどこに向かっているかを考えたときに、ちょっと仕組みとしては時代に合っていないんじゃないかなと強く思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 発電側課金は、再エネ主力電源化に向けて必要となる送配電設備の増強や維持、運用を効率的かつ確実に進めていくとともに、再エネを含めた電源による効率的な系統利用を促進するために導入をするものであります。このため、系統増強等によってメリットを受ける発電側にも、送配電整備の増強、維持、運用費用などの固定費について公平に負担を求めることとしております。

 昨年七月に私から、既存の非効率な石炭火力を抑制しつつ、再エネ導入を加速化するように、基幹送電線の利用ルールの見直しを進めるとともに、発電側課金についてもその見直しと整合的な仕組みにするように、事務方に見直しを指示をしたところであります。この指示を踏まえて、有識者から成る審議会において、再エネ導入拡大と逆行しない見直し案について御議論いただいたところであります。

 見直し案の審議においては、膨大な既存設備について、今後も契約キロワットに応じた維持管理費用が発生すること、当面は多くの送電線については契約キロワットに応じた整備が継続することなども考慮して、引き続き、契約キロワットに対する課金も維持することは合理的とされたところであります。

 一方で、昨年三月の国会質疑において委員もおっしゃっているとおり、ノンファーム型接続の全国展開など基幹送電線の利用ルールの見直しを踏まえれば、今後の送配電網の増強に当たっては、従来のように単純に設備容量を踏まえて増設するのではなくて、設備の利用状況を加味していくこととなります。この点を考慮して、審議会においては、キロワットアワー課金を導入することが適当とされたところであります。

 こうした将来における送電設備の状況を先行的に考慮して、キロワットアワー課金を上積みした結果、キロワット課金との比率を一対一として整理いただいたものと承知しております。

 さらには、発電側課金の導入に伴ってFIT電源に過度な負担が生じることがないように、今月より調整措置の在り方についての議論も開始をいただいているところであります。具体的には、関係者の意見も踏まえながら、どのような場合にどのような調整措置が必要か、慎重かつ丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。

落合委員 公平という観点からということですが、例えば、高度成長期のときに、大規模集中型の電源を造らなきゃいけないと。その中の一つが原発だったわけです。

 原発は、基本的に田舎というか地方の方に造りますので、そうすると、送電線がないところに造っていたわけです。しかも、物すごい高圧線を敷かなきゃいけない。じゃ、それを原発を造る事業者に負担させていたんですかというと、火力からも得られていた託送料金を使って、送電線は公共のものなので、いろいろな形の電源で負担をしようということで、それが公平と言っていたのに、今の大臣の答弁の公平というのは、自分の電源で使うものは自分でお金を払うというのが公平だというような考え方に、公平とか公正という考え方がいつの間にか変わってきてしまっているわけです。

 私は、全部自己負担でやれと言ったら原発だってあんなにできなかったでしょうし、それを考えると、新しい送電網を造るには違う電源にも負担してもらうしかないというふうに思います。なので、私は、それはおかしいのではないかというふうに思います。

 それから、今回、いろいろと幅広く調べました。

 まず、これはヨーロッパを参考にしましたということなんですけれども、発電側課金というのはヨーロッパで確かにかなりの数あったんですけれども、もう古いということで、やめているところもぼちぼち出てきている。だから、これは別にヨーロッパが取り入れて成功しているからまねしようというわけでもないというふうに私は思います。もう古いものである。

 それから、設備容量に対して課金をするというのも、やっている国もあるんですけれども、もうかなりまれになってきています。

 それから、日本の場合は、ヨーロッパの国と違うのは、送配電網につなぐときも自己負担させられていることが多いということです。ここも違うところです。

 結局、新しい新規参入者が参入してくるときに、自分でやってください、できない人は参入しないでくださいということで、電力業界が新しくなることを完全に妨げているシステムである、そういうものがどんどん導入されているというふうに私は思うんですが、大臣、改めて、これはもうちょっと考え直した方がいいんじゃないでしょうか。

梶山国務大臣 先ほども申しましたように、キロワットとキロワットアワー、両方の方式を取り入れるということと、調整措置も今検討をしているということでありまして、そういった面での電源の公平性というものを考えてまいりたいと思っております。

 ただ、委員のおっしゃることも参考にさせていただきます。

落合委員 これはまだ最終決定ではないので、是非大臣、これは一回決めるとあと何十年続くかも分からないですので、しっかり正しい方向に向かって決定をしていただければと思います。

 ちなみに、この料金制度を設定すると、一番軽い部類に入るのが石炭火力で、重いのが太陽光、それからその次に重くなるだろうなというのが風力なわけです。ヨーロッパの国は炭素税が導入されています。どこがヨーロッパで一番負担が多いんですかといったら、逆なんですよ。再エネが軽くて、LNGとか、一番重いのが石炭になる。これがヨーロッパの発電事業の負担の状況であるのに、全く逆の仕組みを日本が導入しようとしている。これは、私は、やはり足して二で割るような形で今回案が出てきていますけれども、もうちょっと抜本的に大臣の指導で変えていかないと、また数年後に変えなきゃいけないんじゃないかという議論が起きてしまうんじゃないかというふうに思います。

 それから次に、電力に関連しまして、非化石価値取引市場というのについてなんですが、環境問題への関心の高まりから、化石燃料を使っていない電気を買いたいというような需要が世界的にもあるわけです。そういう中で、非化石の電気ですよという証明書を作る、それを買ってもらう、それによって証明をするという形が取られています。

 今、非FITで再エネを指定している証書、それから非FITで再エネ指定なしの証書があります。例えば、再エネ専門の小売会社が、この電気は再エネ専門ですというふうに売るときは、非FITで再エネ指定の証書を買わないとそういうふうに言えないということになっているわけです。

 今まで、FIT電源は、税金というか特別なお金が投入されているので、再エネ指定の証書を再エネだと言えなかったというようなことがあったんですが、今回はFIT証書というものも、追加でお金を払えばもらえる、取引ができるようになるわけです。

 先ほどの質問は、再エネの発電事業者に追加でどんどんどんどん負担させるのはおかしいんじゃないかということですが、小売で電力を売るとき、再エネ専門で売るときも、追加でお金を払わないと再エネ専門ですと売れない仕組みになっているわけです。これも、再エネにまつわるところばかりが追加で料金を払うというのはおかしいんじゃないかなと思うんですが、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 いろいろな産業にヒアリングをしてまいりました。カーボンニュートラルを総理が宣言をしたわけでありますけれども、日本の製造業、国内にある製造業が国内に残れるようにするためにということで、各産業から、物づくりの産業から要望も数多くいただいたところであります。

 非化石価値取引市場は、一体で取引されていた電気の価値と環境価値を切り分けて、クレジット化して取引できるようにした制度であります。これは、小売電気事業者に追加的な負担を求める制度ではなく、カーボンフリー電源を持たない小売電気事業者でも、環境価値を組み合わせることにより、カーボンフリー電気を販売することを可能とする制度であります。それにより、再エネを購入できる多様な電気メニューが登場しており、再エネの普及拡大にも貢献をしているところであります。

 また、近年の世界的な脱炭素化の流れの中で、国内外の企業も含めた需要家によるカーボンフリー電気の調達ニーズが高まってきております。そのような中で、国際的な再エネ証書に比べて高いという意見や、小売電気事業者を介さず直接購入したいというニーズが現実に出てきております。

 このような需要家の声を踏まえて、証書の取引を拡大をし、企業の競争力を維持する観点から、最低価格の引下げ、RE一〇〇に活用可能な非化石証書量の増大とともに、需要家が市場から直接購入できるような制度の見直しを今進めているところでありまして、今年度の後半から試行的に実行し、また来年度には正式にこういったものにしてまいりたいと思っております。

 導入の量というのも、大体九十倍ぐらい導入をし、また価格もかなり、十分の一ぐらいに安くしていくということでありますし、また、小売の事業者だけでなくて需要家が直接購入できるようにしてまいりたいと考えております。

落合委員 再エネの価値、非化石の価値をやり取りするということは、やはり発電の中の非化石の割合を増やしていかないといけないわけです。そういう意味でも、再エネの割合がどんどんどんどん増えていくような状況をつくっていくことは、やはり消費者側からも求められていることだと思います。

 製造業からの声というふうにおっしゃっていましたが、例えば車を造るときでも、製造工程でどれだけCO2を排出しているのですかということまで求められる時代が来てしまっている。だから、こういう証書をつけていかなきゃいけない、工場で使う電気もですね。そういうふうになってきているわけですから、やはり思い切って、製造業のためにも再エネの比率は高めていく必要があるということは確かだと思います。その上では、やはり価格の、値のつけ方、お金の流れがしっかり新しい発電システムに流れていくような、そういう仕組みを経産省がつくっていく必要があると思います。

 これは以前取り上げましたが、特別会計においても、再エネの特別会計であるエネルギー需給勘定から原発の特別会計にお金を貸すことができるという法案も通りました。それから、容量市場ですとか卸売価格の高騰の問題ですとか、そういうのは全部、新規参入者から既存の電力会社にお金が流れていく、これがいいのかということが取り上げられているわけです。どんどんどんどん新規参入者は認めるけれども商売的には不利であるという状況が続いていくのであれば、やはりこの業界は新しくなっていかないと思います。

 それを監視するのが電力取引等監視委員会なんですが、この機関は、毎回いろいろな委員が取り上げていますが、本当に独立性があって中立性があるのかということを毎回言われているわけです。

 電力自由化のための法案を通したときも、私も議員立法を出しました。監視委員会を八条委員会じゃなくて三条委員会にして、独立性、中立性を高めて、人事の交流も制限するというような案を出しました。実際に電力システムを設計した人たちが監視委員会の主力メンバーに横滑りで行っていたら、全然中立性がない。大臣、人事を改めて見てもらいたいと思うんですが、これは監視される側から監視する側に行っちゃっているわけです。これでは恣意的な運用がされかねない問題があると思うので、これは重要な問題としてこれからも取り上げていきたいと思います。

 それでは、今日は赤澤副大臣もお越しをいただいております。

 地域金融機関についてなんですけれども、地域金融機関が多過ぎるのではないかというようなことも取り上げられています。初め、菅内閣が始まったときに地銀再編と言われていたわけですが、最近は地域金融機関の再編というふうに言われていまして、対象が信用金庫とか信用組合にも広がっているのかなというふうに思います。

 しかし、この三十年で、第二地銀は四四%減っています。信用金庫は四三%減っています。信用組合は六四%、もう既に減っています。三十年前は、各駅、各商店街にはそれを丸ごと面倒見ている地域金融機関があったわけですが、もう集約されて、隣の駅に行かないと金融機関がないというようなことも、東京でも起こっているわけです。それでも収益性が低い、これはゼロ金利だとかデフレということもあるんでしょうが、そういう状況だから更に集約をしていこうということであれば、私は別の問題が起きてくると思います。何のために地域金融機関があるのかなという問題が起きてくると思います。

 これ以上、地銀というところよりも地域金融機関というところに広げて集約をさせていくということに私は問題があると思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。

赤澤副大臣 まず冒頭、御通告の中に総理の発言については入っていなかったかと思うんですが、ちょっと一つだけ指摘をさせていただくと、マスコミの報道では、地域金融機関は数が多過ぎると総理がおっしゃったということなんですが、ちょっと前後を丁寧に見ていただくと、要は、マイナス金利政策が地方の金融機関の経営を圧迫していないか、それを続けるのかということをかなり熱心に聞かれる記者さんがいて、それについて、決してそんなことはないよという流れの中で数にも触れられたというのが全体の流れでして、何か、総理が就任されて、そもそも、金融機関の数を減らそうということで、物すごくそこに熱意があってというような感じに受け取られた向きもあったかもしれませんが、全体の流れとしてはそういうことだということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。

 それで、お尋ねの信用金庫、信用組合でございますが、委員御指摘のとおり、人口減少、低金利環境、そして今、新型コロナウイルスも加わっておりまして、まさに私は、よく三重苦と言っておりますけれども、非常に厳しい経営環境の下で、自ら経営改革を進め、経営基盤を強化して、地域の中小・小規模事業者に対する資金繰りや本業支援の重要な担い手としてその役割を十分に果たしていただく必要がありますし、現に果たしておられるということだと思います。地域金融機関の資金繰りをしっかりやっていただいているおかげで、倒産件数等も減る傾向で推移していますし、失業者等も、失業率等も抑えられているということで、そういう認識を持っております。

 その上で、委員御指摘の信金、信組の集約について申し上げれば、一般に、金融機関の合併、経営統合を含む経営計画の具体的な進め方については、個々の金融機関の経営判断に属する事項だというふうに考えております。そこの点は変わっておりませんで、加えて、信用金庫、信用組合の経営においては、委員御指摘の信金、信組のよさですね、すなわち、顧客である会員、組合員との深い結びつきを維持しつつ、中小・小規模事業者に寄り添ったきめ細かな支援を行い、企業の成長や経済の活性化などの形で地域に貢献していくことにしっかり取り組んでいただくことが重要であると考えております。

 一例を申し上げれば、委員の御地元にも拠点を持つ城南信金など、信金中金とも連携をして全国の信金をつなぐ、よい仕事おこしネットワークを構築されて、専用のウェブサイトも作られて、コロナ禍で苦境にある全国の飲食店、土産物事業者の情報発信やネット販売を支援するなど、地域の事業者に寄り添った大変よろしい好事例も見られているところでございます。

 金融庁としては、信用金庫、信用組合が地域における資金繰りや本業支援の重要な担い手としての役割を適切にこれからも果たしていくように、しっかりとフォローしてまいりたいと考えてございます。

落合委員 金融庁として地域金融機関は多過ぎると思っているのかどうかということについては、いかがでしょうか。

赤澤副大臣 その点について御通告はなかったわけでありますが、私の思うところを述べさせていただくと、地方銀行であるか、あるいは信用金庫、信用組合であるかにかかわらず、我々、数が何か大きな意味を持つというふうには考えてございません。

 ただ、先ほども委員の御指摘があったように、低金利の環境であるとか、人口の急減少であるとか、コロナといった中で、これまで通用してきた、例えば、地方銀行であれば旧来の商業銀行モデルですね、お金を貸して利息でもうけるというような形のものでこれからもしっかりと安定した経営を維持していけるかということについては、やはり今の時点で各経営者に振り返っていただきたい、経営基盤強化の経営改革は必須だろうと思っています。

 銀行について言えば、その中で、経営統合、再編というのも一つの選択肢ではあろうと思います。そのことは否定いたしませんが、何か数を念頭に置いて、多過ぎるとか、だから減らしていこうとか、そういうことを考えているわけでは全くございません。

 やはり、今、金融機関の代表の方たちとお話をするときに思うのは、特にコロナの下でもそうなんでありますが、これまでのモデルとちょっと違って、一歩も二歩も踏み込んで本業支援をやってほしいと。経営が厳しいところであれば再生支援でありますし、あるいは、コロナを機に新事業に展開する、業態転換する、そういったことであっても、とにかく地域で人材とか知見、ノウハウを一番持っているのは金融機関でありますので、本気で地域の中小企業なり企業と汗も一緒にかく、笑いも涙も一緒にする、そういう方向で頑張っていただきたいということを申し上げている次第で、繰り返しになりますが、数について特に、多い、少ないという考え方をしていることはございません。

落合委員 一言申し上げると、もう半分ぐらいに集約してしまっているので、地域金融機関としての役割を果たすのであれば、逆に、数をこれ以上減らさないように意識をするべきだと私は思います。

 なぜなら、皆さん、選挙をやっていれば地元を持っていますけれども、各駅に金融機関があって、各商店街に専門の金融機関があったのに、それさえも隣の駅とかにもう集約されているわけです、この三十年間で。そうなると、もう感覚的には、伴走型支援をしてくれている金融機関というのはかなり減ってきている、地域によってはそういう金融機関がないという地域が増えてきているわけです。地方ほどそういうのが加速していると私は思いますので、そろそろ、この数にも、意識して、いわばインフラを維持していくという観点から政策を打っていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。これもまた改めて取り上げさせていただければと思います。

 赤澤副大臣、お忙しいですから、大丈夫です。ありがとうございました。

 それでは、今日は大隈厚労政務官にもお越しをいただいております。

 雇用調整助成金は大変助かっているというような企業が多いわけですけれども、今、六月末が期限になっています。もうすぐで五月が終わるわけですけれども、まだ延長が発表されていない状態です。これはしっかり延長するのかということなんですが、いかがですか。

大隈大臣政務官 御質問ありがとうございます。また、雇調金に対する御評価もいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 御指摘の雇調金の特例措置は、前例のない措置を講じまして事業主の雇用の維持の取組を徹底的に進めていこうということで、今支援をさせていただいているところでございます。

 一方で、雇調金が今まで果たした役割等もある一方で、なかなか、長期に及ぶと、働く方のモチベーションをどう維持していくかという問題も一方では出てきておりまして、例えば在籍型出向であるとか、様々な支援を今進めているところでございます。

 御指摘の七月以降につきましては、雇用情勢が大きく悪化しない限りは通常制度に徐々に段階的に戻していくことも検討しているところでございますが、御指摘の感染状況、今日も、六月の緊急事態宣言、どうするかということ、今また議論があるわけですが、感染状況や雇用状況を数か月にわたって見通すということは今極めて難しい状況ではございます。

 御懸念の企業の雇用の先行き判断に資するように、できるだけ可及的な対応ができるように、しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

落合委員 人によっては、雇調金で一年以上維持しなきゃならない雇用は雇調金で維持する必要がないんじゃないかという声もあるわけですけれども、今はただの不況なわけではなくて、コロナで、政府も事業を止めてくれと言っている分野がたくさんあるわけです。例えば、観光バスですとかタクシーですとか旅館は、コロナが終われば一気に需要が膨らむ、でも、今だけ止めておいてもらいたいというところですので、私は、この雇調金をもう一年たったから見直すべきだという議論は是非止めていただきたい、これは、コロナだから、ふだんとは違って特別にやらなきゃいけないんだということを申し上げたいと思います。どの国も、ワクチンを急いで打っているからもう再開しているような国もあるわけですけれども、再開したときに需要の受皿がなければ経済成長ができないわけです。今後の経済を見ていく上でも雇調金は大変重要でありますから、是非それを申し上げたいと思います。

 それでは最後に、競争政策についてなんですが、今日は公取の委員長にもお越しをいただいています。

 アメリカは、特にバイデン政権になって、向こうで言う公取の委員等も少し替えまして、明らかに自由放任から規制重視に変わっています。それから、イギリスの最高裁も、ギグワーカーが個人事業主じゃなくて雇用されているんだというような判決も下しました。それから、IMFも三月十五日に、コロナで今の市場を放置しておくと大企業がちっちゃい企業をどんどん吸収していっちゃうので、しっかりと競争政策をちゃんと見てくれというようなことを、IMFでも報告書を出しているわけです。コロナですとかアメリカの政権交代を機に、競争政策の世界の潮流は明らかに変わっていると思います。

 日本でも同じような状況は起きているわけで、委員長も替わったことですし、しっかりと、変わったということを打ち出す必要が私はあると思いますが、いかがでしょうか。

古谷政府特別補佐人 御質問ありがとうございます。

 御指摘がありましたとおり、デジタル経済の進展等に対応しまして、海外の競争当局、非常に積極的に、競争法を執行したり、新たな競争政策の方針を示すなどの取組をしているというふうに受け止めております。

 公正取引委員会でも、近年、経済のデジタル化ですとか、御指摘があったフリーランスのような新しい働き方、働き方の多様化といったことに対応しまして、各般の実態調査をしましたりガイドラインを示すなど、公正な競争環境の整備ということを図ってきております。

 特に、デジタル分野につきましては、もう御承知のとおり、データを集積して、それをAIで解析、利活用することが競争力の源泉になりまして、GAFAと呼ばれるようなデジタルプラットフォーム事業者の市場支配力が強まっておりまして、いわば寡占状態にございます。これに対しましては、独占禁止法の執行面でも、多様なイノベーションの芽が摘み取られないように、企業結合審査を強化するなど、スタートアップ等が活動しやすい競争環境を整備しますとともに、デジタルプラッットフォームの事業者が競争阻害的な行為を行っております場合には独占禁止法を厳正に適用するといったような対応など、取組を強めてきております。

 一方で、デジタル化というのは、AIなど非常に高度に技術的な分野でありますし、その変化も大変急速でありますので、これに対応するためには、私ども公正取引委員会の体制を強化したり、専門的な能力を向上させるといったことも必要であるというふうに考えております。

 こうした競争政策の近年の動き、その問題意識はどの国も共通であるというふうに認識しておりますけれども、我が国では、御承知のように、経済産業大臣の下で、特定デジタルプラットフォーム透明化法というものの運用が開始をされたところであります。この運用の過程で独占禁止法に違反するおそれのある事象がありますと、公正取引委員会に措置要求をしていただくという仕組みにもなっております。

 公正取引委員会としましては、このような政府全体での連携、あるいは海外の競争当局との連携、こういったことも視野に入れながら、新たな時代の変化に対応して競争政策の強化ということを図ってまいりたいというふうに考えておりますので、是非よろしくお願いをいたします。

落合委員 これで終わりますが、日本全体がいい経済循環をつくっていくためには競争政策はかなり重要になってきていると思いますので、また取り上げさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 皆さん、こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 国会も終盤に入ってまいりました。これまでもエネルギーの質問、幾つもさせていただきましたが、今日は少し総括的な質疑をしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、ちょっと順番を入れ違えて申し訳ないんですが、三番のメガソーラーの問題について、これは何度か取り上げさせていただいて、宮城県の丸森で計画されている太陽光発電の件、これは、私の問題意識は、やはり環境アセスについて、きちっとこの事業を環境影響評価法の趣旨にのっとって判断していただきたいということで、お願いをさせていただきました。

 現状、どういう状況か、教えていただければと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 宮城県丸森町における二つの太陽光発電プロジェクトについて、法に基づく環境アセスの要否につきまして宮城県から経済産業省に照会があった件でございますけれども、経済産業省は、事業者からの工事計画の届出が提出され、詳細な情報を確認しなければ、当該事業が法に基づく環境アセスの対象か否かの判断ができない旨を明確にして、五月十九日に改めて回答文書を宮城県に送付いたしました。

 工事計画の届けにおいて、詳細な情報を確認してまいります。

山崎委員 ありがとうございます。回答を出し直していただいたということで、大変ありがとうございます。

 ここは、やはり今多くのメガソーラーの問題が起きている中でありますから、是非慎重に御対応いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、一番の質問に戻って進めたいと思います。原発の安全性、原子力発電所の安全性についてであります。今日は更田規制委員会委員長にもお越しいただきました。お忙しいところ、済みません。さきの質問を受けて、もう少し議論を続けさせていただきたいと思います。

 さきの五月七日の経済産業委員会で、私は原発の安全性について、特に耐震性について質問をさせていただきました。議事録を精査をいたしますと、私が問題提起したのは、いわゆる基準地震動、各原発に決められている基準地震動が低いのではないか、実際に起きている地震に対して基準地震動が低過ぎるのではないかという問題意識で御質問させていただきました。

 五月七日の質問では、例えば玄海あるいは川内原発は基準地震動が六百二十ガルということになっている、例えばこの玄海、川内原発を、六百二十ガルという基準地震動です、千五百ガルの地震が、これは解放基盤表面というんですかね、基盤、基礎のところ、地下になるでしょうが、そこで起こったとすると原発はどうなりますか、原発の停止するという機能は正常に作動するのかという御質問をしました。

 更田委員長からは、こういう答弁がございました。制御棒の挿入にも支障を生じると思いますし、配管の破断であるとか様々なものを生じて重大な事故に至るということは避けられないと思いますと。重ねて確認しましたが、そのときに、過酷事故は起こるというふうにお答えしたつもりですということでございました。

 このガル数というのは、いろいろな地震のあれですね、加速度、いろいろな評価があるんだというお話がありましたけれども、私は、物理現象を表す基準としては、やはり住宅メーカーの基準だろうが原発の基準だろうが、一定の、共通の評価基準だろうというふうに思っております。

 原発の停止に失敗した場合の過酷事故というものがどういうものなのか。事故の原発は、今お話ししたように、止まらないままいろいろな不具合が起きてしまったという状況の中でどういう状況になるか、想定ではありますが、御説明いただけますか。人が近づけるんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 設計基準地震動を大幅に上回る、先生の御質問では倍ですとかそういったふうに大幅に上回るものが発生した場合には、これは審査で確認をしている範囲をはるかに超えるものでありますし、想定ではありますけれども、原子炉の停止にも失敗するでしょうし、大規模な配管の破断も生じると思います。そうしますと原子炉の冷却に失敗をしますので、炉心の溶融を伴う大規模な事故は避けられないというふうに考えております。

山崎委員 前回と同じお答えだったと思います。

 私がここで想定してお話をしているのは、例えば基準地震動が六百二十ガルというお話で、それを襲う地震が千五百ガル、千五百ガルの地震が襲う。

 これは、二〇〇〇年以降の地震の記録を見ると、千ガルを超える地震というのは、これは十数回、本によれば十七回とかそういう数で起こっているんですよ。二十年間で十七回とかそういう数ということは、ほぼ毎年一回はそういう地震が起こるということでありますから、私は決してまれなケースを言っているわけではなくて、それも、これは気象庁にも確認をして、前回も質問しました。じゃ、この原発、例えば玄海は、川内は、千ガルを超えるような地震が起きない、そういう確証、言えるのか、それは言えないと。今の地震予知の技術ではそうです。そういうときに、先ほどのような地震が起きて事故が起きるということがやはり原発には想定されるということを、改めて、これからのエネルギー政策を考えていく上での基本にしなければいけないというふうに思います。

 さらに、更田委員長からこういうお話がありました。そういった事故を可能性ゼロにするのではなくて緩和するための手段というものを重大事故等対策ないし大規模損壊対策として求めているのが現在の規制ですというお話でした。

 今お話ししたような過酷事故が起きたときの対応、対策、大規模損壊対策というのは何ができるんでしょう。

更田政府特別補佐人 まず、解放基盤表面での加速度というのは、波が伝わっていって、地層中の状態にもよりますけれども、地表面に伝わったときというのは、大体、倍の加速度になります。あくまで基準地震動というのは解放基盤表面での加速度で表現をしているということは申し上げたいと思います。

 その上で、大規模損壊対策は、炉心が溶融してしまったような状態で、放射性物質が圧力容器から、それから格納容器から出てくる、これを緩和するための対策を求めています。具体的には放水をするといったようなものですけれども、基本的に緩和ですので、二分の一にする、放射性物質の環境に及ぼす影響を二分の一にする、十分の一にするといったような、程度の対策を求めているのが大規模損壊対策です。

山崎委員 解放基盤表面の話は前回もさせていただきましたが、必ずしも地下と地上が半分になるということではないんですよ。これは、いろいろな記録を見れば、ほとんど変わらないときもあれば、逆転することもある。これは事実ですよ、そういう記録がちゃんと残っていますから。ですから、今、更田委員長、半分になるんだ、それは正しくないと思います、正しくないと思います。

 今のお話で、被害を抑える、半分にする、そういう対策だというお話。今のお話は、想定は、原発が止まっていないんですよ、動いたまま過酷事故に入ったということですから、福島の何倍もの危険が当然起きていると私は思うんです。例えば、仮に福島の被害を半分に抑えることができたとしたって、それはもう莫大な被害でありまして、到底社会的に容認できるものではないというふうに思います。こればかりをお話ししているわけにいかないので、私は、こういう状況というのがやはりあるんだろうと。

 それから、例えば、今のお話であれば、当然避難しなければいけない。だけれども、避難計画について、今、宮川委員からもありました、逢坂委員もずっと指摘をしてきました、十分な避難計画、実効性ある避難計画、作れていないんですよ。こういう中で原発政策というものをどう考えるか。今、本当にもう一回考えるべきときと思います。

 次の質問に入ります。

 更田委員長、ここで大丈夫ですので。

 私が御質問したいのは、第六次エネルギー基本計画であります。この議論をどういうふうに今進められて、今後どういうふうな形のものを作ろうとしているのかというのが問われています。私は、出発点としては、第五次エネルギー基本計画、ここに何が書かれていて、そこをどう評価をして、次のエネルギー基本計画に変えるのかという話だと思います。

 私、先ほどの宮川さんとの質疑を聞いていて、梶山大臣のお話で非常に気になったのは、原発、二〇三〇年、二〇から二二と。これは目標ではないですよね。目標ではなくて目安であります。何かといえば、原発の依存を限りなく低下するというのが第五次エネルギー基本計画の書きぶりじゃないですか。私、何度もこれは質問しました。二〇から二二というのは目標ではありません、そういう答弁を何度もいただきました。そうですよね。

梶山国務大臣 依存度の低減というのは、エネルギーミックスの中での比率ということであります。

山崎委員 エネルギーミックスの中で当然依存度を下げたいんです。

 第五次エネルギー基本計画の前提は、福島の原発事故だったんですよ。原発事故があって、今お話ししたようなリスクがある、安全性というのはやはり一〇〇%ではない、だから、できるだけ使わないで済ませられるのであれば、依存度を低減したいというのが第五次エネルギー基本計画の根幹じゃありませんか。

 それが、今の答弁も含めて、完全に政府の考え方が変わってしまっていて、第六次エネルギー基本計画の議論の中でも聞こえてくるのは原発ありきの議論です。原発が必要だ、一〇%あるいは二〇%、これがないと、例えば再生可能エネルギーだけだったらコストが上昇するとか、そういうお話。あるいは、自民党の皆さんからの声は、新増設をしろ、新増設を決めなきゃ駄目だと。二〇五〇年も原発を使っていこうというのが今聞こえてくる声です。

 第五次エネルギー基本計画からこの点は大きく変わる、大臣、そういうお考えですか。

梶山国務大臣 現状の技術の中で二〇三〇年にマイナス四六%の削減目標というものを実現するためには、現在ある原子力発電所、安全を最優先にした上での再稼働等も考慮に入れなければ、なかなかやはり達成できない数字であると思っております。現状の技術ということであります。

 そして、二〇五〇年も、今開発をしている技術もありますけれども、現時点では明確でないものもあるということで、現時点ではそういう表現をさせていただいております。

山崎委員 申し訳ないんですけれども、得意の現時点ではというのがまた出てきました。現時点では原発は新増設しないというお話もあります。現時点って、もうエネルギー基本計画は間もなく決めるわけですよね。その中では何かしら表現をすると思うんですよ。ですから、現時点というのは、今のこの一瞬なのか、あした、あさって、どういうものが出てくるのか、それが分からないというのは、ちょっと申し訳ないですけれども、私は納得できません。

 二〇三〇年あるいは二〇五〇年のエネルギーミックスについて、今お話ししたように、いろいろな議論をしているというのが報道などでも流れてきます。今どういう方向性で、どんな議論をされて、今後、二〇三〇年あるいは二〇五〇年、どういうエネルギーミックス、数字を出すのか、あるいはどういう提示の仕方をするのか、教えてください。

梶山国務大臣 二〇三〇年や二〇五〇年に向けたエネルギー政策については、現在、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論の中で検討を進めているところであります。

 二〇三〇年に向けては、菅総理から表明された新たな削減目標を踏まえて、スリーEプラスSのバランスを取り続けることを大前提に、省エネの更なる深掘りと非化石エネルギーの拡大が重要であると考えております。

 審議会においては、例えば、二〇三〇年の省エネ量の見通しを、従来の五千三十万キロリットルから約六千二百万キロリットルの深掘りを見込み、更に精査をすること、再エネ拡大に向け環境アセスの要件緩和などの政策強化の結果、二千九百億キロワットアワー程度を示し、更なる政策対応によりどの程度の導入拡大が見込めるか、原子力については、国民の信頼回復に努め、安全最優先の再稼働を進めること、石炭火力などについては、安定供給確保を大前提に、できる限り電源構成での比率を引き下げていくことといった論点について検討を重ねているところであります。

 他方、二〇五〇年に向けては、スリーEプラスSの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在せず、今後の革新的技術の進展や社会の変容など不確実要素があることを踏まえれば、再エネのみならず、原子力、火力、水素、アンモニアなどあらゆる選択肢を追求し、カーボンニュートラルの実現を目指す中でどのような対策が考えられるかについて検討を今重ねているところであります。

 審議会においては、全てのエネルギーが完璧でないことを再認識し、幅広い選択肢を追求していくことが重要であり、スリーEプラスSは絶対に外せない大前提といった指摘もあり、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論では、こうした観点を踏まえて集中的に議論を深め、結論を出してまいりたいと考えております。

山崎委員 是非、私は、やはり本当にフラットな、透明感のある議論を重ねていただきたい。

 そして、私が一番お願いしたいのは、今の原発の問題も再エネの問題も、様々な、国民にお願いしなければいけない負担の問題などもあると思います。当然出てくるものもある。そういったことを踏まえると、このエネルギーミックスについて、やはり国民との対話、国民との議論の場をきちっとつくっていただきたい。計画が出てパブリックコメントというのではなくて、計画作りに国民の皆さんの参画を是非御検討いただきたい。

 かつて民主党時代は、討論型世論調査のような形とか、いろいろな取組もしました。それが一定の評価を受けていると私は思います。今本当に必要なのは、本当にこのカーボンニュートラルを実現するためには、国民の皆さんの協力です、理解です。それを、エネルギー基本計画を作る中で是非実現していただきたいんですけれども、いかがですか。

梶山国務大臣 経産省の審議会のみならず、環境省においても、官邸においても、総理の下で、いろいろな立場の方を入れた審議会というものを行わせていただいておりまして、そういった中での議論をまとめてまいりたいと思っておりますけれども、委員おっしゃるように、パブリックコメントだけではとおっしゃるのかもしれませんけれども、パブリックコメントを募集をし、そして、それらの意見についてもしっかりと対応してまいりたいと考えております。

山崎委員 申し訳ございませんけれども、やはりパブリックコメントが非常に形骸化しているというふうにも私は思います。直前に行われて、いつそれがどういうふうに集計されたのか分からないまま、どこにどう反映されたのか分からないまま行われているパブリックコメントというのが多過ぎますよ。私は、それよりももっと踏み込んだ対話をやっていただきたい。

 この間の、私、資料をいただきました。総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、RITE、地球環境産業技術研究機構ですか、ここがシナリオ分析をして、シナリオを提示をしている、二〇五〇年。これは、私は、確かにいろいろな根拠はあって計算していると思いますけれども、あれっと思うことがたくさんあります。原発ありきの考え方、あるいは再エネに対しての、私は、その変動についての非常に過度な、何というんでしょうかね、コスト負担を強いるような表現ではないかなと思いました。これについてはもっともっと分析したい、勉強したいと思うんですけれども、こういう分析をしているのはRITEだけでは当然ないわけです。

 今日、資料一をつけました。これはWWFジャパン、脱炭素社会に向けた二〇五〇年ゼロシナリオということで、見ていただきたい。二〇五〇年は、石炭火力から始まって、化石燃料ゼロ、そして原子力もゼロ、自然エネルギーでやっていく、発電は大幅に余る、余ったものは水素などにも転用して、自然エネルギー一〇〇%で、エネルギー全体ですよ、最終エネルギー消費を賄っていきますよというプランです。これも私は、一つの検討材料としては、検討している先生もよく知っていますけれども、大変詳しい、シミュレーションの大家であります。こういう分析もある。

 資料二を見ていただきたいんですよ。これは、よくこの分野では出てきます自然エネルギー財団の、これは二〇三〇年の電源構成です。これを見ていただくと、天然ガスが五二%、残りが再生可能エネルギーで、石炭を一%、予備的に取っているという絵であります。原発は、ここでもゼロということになっているわけであります。これも、ある意味権威のある研究機関が出しているシミュレーションであります。

 そして、最後、資料三を見ていただきたいんですが、未来のためのエネルギー転換研究グループ、これも有名な先生方が集まってレポートを、二〇三〇年、グリーンリカバリー、提案をしていただいています。このグループと私もいろいろとシミュレーション、お知恵をかりながらエネルギー政策をつくっていますが、それを見ていただいても、基本的には同じでありまして、二〇五〇年、再エネ中心に、原発や化石燃料に頼らなくても十分に経済的にも回る、電気も足りるし安定性も確保できるということを、過去のデータを使って検証しております。

 ここで全部御紹介することはできませんが、例えばこういう分析結果もあるんです。RITEだけではありません。

 もちろん、RITEに依頼するのはいいでしょう、いいと思いますよ。だけれども、是非、それだけではない、ほかのこういう研究機関のデータも同等な位置づけで、きちっと分析をしたものを入手をして、公開の場できちっと議論していただきたい。いかがですか。

梶山国務大臣 これまでもネットでは公開の場で議論をしているということでありまして、シナリオ分析は、分析の想定や前提条件を変えれば異なる結果が示されることに留意することが重要であると思います。ある一定の条件の下にこういったシナリオ分析をしているということであります。

 そういった観点も踏まえて、RITEに限らず、様々な機関がこうした分析を行うことを期待しておりますし、私も、一つだけではという思いがございます。

 ただ、現状、ここまでずっと、十回以上議論をしてきている中で、やはり、どういった置き換えが可能なのか、どういった技術が三〇年、五〇年に実現しているのかということは、不確定の要素がたくさんあるわけであります。例えば、再生可能エネルギーを入れていくにしても、蓄電池の問題、また、様々な技術開発、ネットワークの問題、系統の問題ですね、そういったこともあろうかと思います。

 現時点のという言葉は山崎委員からすると余り適切じゃないと言われるかもしれませんけれども、現時点での実現可能な技術という前提でいろいろな話を重ねてきているということであります。

 これについては、各組織の分析については、私もしっかりと検討させていただきたいと思っております。

山崎委員 ありがとうございます。

 今、梶山大臣のお考え、ちょっと測りかねるところがあるんですが、例えば、最後にお見せした三番の、未来のためのエネルギー転換研究グループのこのシミュレーションというのは、極力新しい技術は使わない、例えば、CCSとかCCUを使うとか、あるいはアンモニアを使うとか、そういうことはできるだけしないでどこまでいけるかなというのをシミュレーションしています。例えば、系統の接続なども、現行にある系統をできるだけ有効に使う、それで増強は最小限にとどめてどこまで安定供給できるかなという分析をして、このシミュレーションの結果が出ているんです。

 最終最後に、この一番下の数字を見ていただくと、九三%までCO2を削減できて、残りの七%のところが、実は、既存の技術だとなかなか難しい。例えば産業の高炉のCO2だとか、そういうところが残っているんです。そこを水素還元だとか、一部、例えば航空機だとか船舶を水素で動かすとか、そういった新しい技術をそこだけ使うところで一〇〇%ということを言っています。

 ですから、シナリオは、当然、未来は不確実の中で考えるわけでありますけれども、それをどういうふうに見込んでいるのかというのも、シミュレーションのそれぞれの癖というかポリシーというか、そういうものがありますので、そこもしっかりと踏まえていただいて、分からないから分からないままにするのではなくて、それをどう評価をするかをやはり考えていかないと、私は、二〇三〇年はすぐですし、二〇五〇年だって、今からの道のりとしてはきちっと見ていかなきゃいけないと思います。

 ほか、いろいろ議論したいんですが、再エネの導入について、ちょっとお話を集中してしたいと思います。

 私たち立憲民主党で今議論をしていて、二〇三〇年の電源構成比で、やはり再エネは五〇%ぐらいいきたいねと。二〇五〇年には何とかこれを一〇〇%、今お話ししたように、なかなか難しいところはありますけれども、一〇〇%に持っていけないかということで検討をしています。様々な課題はありますけれども、私は、不可能な数字ではないという手応えを大いに感じています。例えば、二〇三〇年だったら、政府の方針であったり、あるいは業界の掲げている目標をきちっと後押しをすれば、達成はかなりいけます。

 二〇三〇年のポイントは、やはり太陽光と風力であります。

 風力については、皆さんも力を入れる洋上風力、これを伸ばすというのは、私、大賛成でありまして、これをうまく入れていくというのは前提だと思います。

 あと、太陽光については、やはりこれは入れ方を、ここからは工夫のタイミングだと思います。メガソーラーのような環境を破壊しての開発というのは、やはり抑えていかなきゃいけない。そうすると、残りは二つでありまして、一つは屋根置きの太陽光、もう一つは、いわゆるソーラーシェアリングと言われる営農型の太陽光発電だろうというふうに思って、我々は、この二つを今後の軸に置いて計画を、プランを立てています。

 ソーラーシェアリング、これは何度も、いろいろな委員も取り上げておりますが、農地の上にパネルを一定間隔で載せて、太陽光は、パネルでも使うし、農地にもちゃんと、農作物の育成のための光はちゃんと届ける、そういうやり方です。だから、いわゆるエネルギーの、兼業農家が実現できる、そういう仕組みであります。

 資料四を見ていただきたいんですけれども、私の仲間で、今、頑張って福島で太陽光発電をやっている仲間がおります。その中で、今日、この記事は、二本松のプロジェクトでありますが、ソーラーシェアリングをやろう。これは、下では、ブドウ、シャインマスカットを作る、あとエゴマを栽培をするということで、売り先も、仙台市のみやぎ生協、そして県内の金融機関が協力をして、環境エネルギー政策研究所なども出資をして太陽光発電をやろうという、これは本当に、こういうプロジェクトが少しずつ動いています。決して実験ではなくて、もう本格的に動いているということだと思います。

 これは私、お聞きしたいんですが、経産省はどういうふうにこのソーラーシェアリングを評価しているのか。これまでどのぐらいの設備が導入されたか、教えてください。

茂木政府参考人 ソーラーシェアリング、いわゆる営農型太陽光発電のことでございますが、太陽光発電の導入ポテンシャルの拡大につながるとともに、営農と発電、これの両立を通じて、地域の活性化にも効果があるというふうに考えています。

 一方で、事業者の投資回収の予見可能性ですとか、天候による出力変動への対応、それから系統の整備といった課題は、営農型太陽光発電にも、ほかの太陽光発電と共通する課題がございます。加えまして、この営農型太陽光発電の場合には、農業政策との整合性ということも考えなきゃいけませんし、地域との共生ということも図りながら進めていく必要があると思っています。

 こうした課題を考慮しながら、現在、関係省庁とも連携しながら、地域社会に意義のある営農型太陽光発電の設置を後押ししているところであります。

 これまでの導入件数でございますが、営農型の太陽光については、農地転用の許可実績としては、二〇一三年以降、千九百件あるというふうに承知しております。

山崎委員 設備容量は幾らですか。

茂木政府参考人 設備容量については、私ども、今数字を持っておりません。

山崎委員 これは私、前も質問しましたよ。設備容量を把握していないんですよ。ソーラーシェアリング、大事ですよ。何で設備容量を把握していないんですか。

 農地転用は農水省が把握している数字なんですよ。農水省は設備容量を把握していないんです、一件一件。だから、計算できないんです。これは何年か前に質問した内容ですけれども、全然変わっていないですよ。大臣、これでいいんですか。

梶山国務大臣 農地のソーラーシェアリングについては、実現例というのも、私も、あることを承知しておりますし、幾つか、農業との両立ということでうまく使われていると思っております。

 ただ、この中で、どれだけそれらを集約できるか、集積できるかということについては、やはり今後考えていかなければならないということで、屋根置きの太陽光と、こういうソーラーシェアリングというのは、一つ一つの小さな数値の積み上げなんですね。ですから、今の段階ではまだちょっと把握をし切れておらないということと、これらを積み上げたときにどれだけの容量になるか、また、逆にどれだけの削減率につながるかということも含めて、今、研究をしているところであります。

山崎委員 大臣、申し訳ないですけれども、こういう基本的な数字をやはり把握しなければ、エネルギー基本計画は作れませんよ。細かいんですよ、再エネというのは、一つ一つは。でも、それをちゃんと積み上げて分析をして、そして計画に反映させなきゃ。是非、これ、計算させてくださいよ。

梶山国務大臣 把握してまいりたいと思います。

山崎委員 ありがとうございます。

 時間が本当に限られて、済みません、幾つもお話をしたい再エネの話があるんですが、一つは、今日、資料五につけました。再エネ、ほかにもたくさんあるよ、そして、変動型、不安定と言われる再エネだけではない、例えば地熱発電です。世界で、地熱の資源については、日本は世界三位であります。導入量は今十位というお話でありますが、例えば、ここで御紹介しているのはバイナリー発電。これは、低温でも発電ができる。例えば八十度とか九十度の温泉の熱を使って発電ができるんですよ。そのぐらいの温泉というのは、多分、日本各地にあると思います。

 今何をしているかというと、そのお湯、温度が高過ぎるので、水で冷まして温泉地に送っている。その冷ましている熱を使って発電ができる。いわゆるカスケード利用ということで、熱を有効に使って、発電をしながら、地域の様々な産業や農業や工業にその熱を共有していくという仕組みであります。これは、ニュージーランドなどもどんどんやっている。これは私は、日本で是非とも伸ばすべきだと思います。

 それから、次のページは、これはIHIの、今、実証実験で、水中浮遊式の海流発電、いわゆる黒潮を使って発電をするというシステムです。私は、これは有望だと思うんですよ。黒潮、一定の流れが常にありまして、それをしっかり受けることによって一定の発電ができる。

 今、ちょうど洋上風力発電も進んでいく。例えば浮体式の洋上風力などとこの海流発電を組み合わせると、一つの系統の、海に引いた系統を使って、風力でも、海流発電も使える。だから、私は、こういった開発というのは本当に可能性は広いと思うんですよ。

 二〇五〇年ですから、目標は。これは二百ギガワットのポテンシャルがあると言われています、海流発電。二百ギガワットですから、原発二百基分ですよね。全部を使わなくたって、十基ぐらいの電気をうまくやれば引き出すことができる。

 そうしたら、再エネが変動型だ、不安定だなんというのはかなり緩和できます。自然エネルギー一〇〇%で、RITEが出しているような系統統合のための費用を莫大にかけなくても十分にやっていけると思います。こういう検討を是非していただきたいということをお伝えをします。

 時間がないので締めます。最後の資料七、これは、二〇一八年の三月の九日に衆議院に提出をした原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案であります。野党四党で協力をして、この法案を出させていただいております。三年たちますが、残念ながらいまだに審議されないということでありまして、チャンス、時間はたくさんあったんですが、何とかこれを審議していただきたいと思っております。

 内容、ざくっといきますと、これは基本法でありますから、大きな方針、原発を停止をしていこう、廃炉を決定していこうというのが一つの大きな方針。真ん中は省エネであります。二〇三〇年までに二〇一〇年比三〇%以上の省エネを目標にして、各施策を積み重ねていきましょう。一番右は、再エネの電気の供給量を増やしましょう、二〇三〇年までに電力供給の四〇%以上を再エネで。こういう目標を決めて、計画を作って実施をしていく、法律の改正も必要でしょう、そういったものをパッケージにした基本法であります。

 是非、私は、こういうものを審議をしながら、今皆さんが検討しているエネルギー基本計画、この議論をより幅広く、そして充実したものにできるのではないかと思っております。

 この基本法の前文があります。その中にこういうフレーズがあります。

 原発廃止・エネルギー転換の実現は、未来への希望である。原発廃止・エネルギー転換を実現することにより、環境と調和の取れた新しい経済社会を創造するとともに、そのために創出される新技術を通して原子力発電所のない世界の実現に貢献することができる。さらに、原発廃止・エネルギー転換の実現による脱炭素化の促進は、地球規模の喫緊な課題である気候変動の問題の解決に資するものとなる。

 この冒頭、原発、原子力廃止、エネルギー転換の実現は、未来への希望であるというこのワンフレーズは、我々が書いたものではありません。これは、法制局の担当者の方が、我々の原稿になかったものをつけ加えてくれています。私は、これは国民の皆さんの本当に願いだというふうに思って、この一文はこれからも大事にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

富田委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志でございます。

 本日は国土交通省にも来ていただきました。

 現在、日本各地で鉄道のダイヤがどんどん減便が進んでおりまして、地域の足が奪われるという声であるとか、地域経済への悪影響が懸念されるという声、様々今地方では聞かれております。これをどう防いでいくのかということで、今日は議論をさせていただけたらなというふうに思っております。

 まず、国土交通省からお聞きをいたします。

 今、JR西日本に関して言いますと、百三十本の列車を減便するということを発表いたしました。これは、今ダイヤが、臨時列車が止まっている東海道新幹線や特急とは違います。私も、福井が地元ですので、米原まで東海道新幹線「ひかり」に乗るんですが、今大体、臨時列車は運休、そして、特急「しらさぎ」とか特急「サンダーバード」、米原や大阪と北陸を結ぶ特急、これも減便になっております。

 これは致し方ない面も長期旅客の減少というのであるんですが、そこから、地域の交通を支えるローカル線、ここがダイヤ改正に合わせて減便を百三十本行いますよということを西日本が発表いたしまして、大きな波紋を呼んでおります。

 例えば、近畿エリアですと、米原―長浜間の琵琶湖線であるとか、高槻―京都間のJR京都線であるとか、須磨―西明石間のJR神戸線、姫路からの山陽線、また西日本各エリアでいきますと、北陸では小浜線、越美北線、北近畿は山陰線、南紀はきのくに線、和歌山線、瀬戸内が山陽線、瀬戸大橋線などなど、もう地図上あらゆるローカル線が減便の憂き目に遭うという非常に広範なダイヤの見直しです。

 当然、私の福井県の地元も小浜線と越美北線が入っておりまして、地域社会からは、学校に行けるのかとか、買物に行って帰ってこられるか、また、パートにこのローカル線を使って行っている方は、パートに出られなくなるんじゃないかとか、非常に波紋を呼んでおります。

 当然、県知事であるとか地元の市町の首長さんからはダイヤの維持というのが要望として出されて、先日、金沢にある、北陸地域は西日本は金沢に支社がありますので、そこの副支社長に、小浜市であるとか高浜町であるとか京都の舞鶴であるとか、皆さん、市長さん、町長さんが行かれて、維持の要望をされたというふうに聞いております。

 これに対して、やはりお金がなければ列車は維持ができません。JR西日本が今回減便を決めた理由というのも、やはり大きなコロナショック、財政難なんですね。

 ここにJR六社と大手民鉄十六社の令和二年度決算があるんですが、昨年度、例えばJR西日本は二千三百三十二億円の赤字、JR東海が二千十五億円の赤字、JR東日本は五千七百七十九億円の赤字と、各社巨額の赤字を計上しております。

 こういった、赤字を計上している、そして今、ボーナスを一斉に減らしたり出向を増やしたりして人件費も削っておるんですが、やはりそれでも、昼間の時間、特に乗車人数が減っている時間帯に関しては二本を一本にさせてもらうとか、こういった大幅な見直しを七月までに公表しますということを発表いたしました。

 これに関しては、やはり、お金がないと運行できませんというのがJRの本音だと思いますので、福井県知事なども、公共交通網の維持というのは国の責任である、ですので国としてこの下支えを責任を持ってやるべきじゃないかということを発言されております。

 国土交通省として、JRにも及んできた減便をどういうふうに食い止めていくのか、また、地域公共交通網の維持というものをどのように図っていくつもりか、まずお聞かせください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、JR西日本は五月十九日に、本年十月のダイヤ改正で、利用の少ない昼間の時間帯を中心に、列車本数と利用状況の乖離が大きい線区、区間で約百三十本の列車ダイヤを見直すと発表したところです。JR西日本によりますと、具体的な削減本数等は現在検討中でございまして、詳細は七月に公表予定であるとのことでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、減便等を含め鉄道の運行ダイヤの設定につきましては、鉄道事業法上、事前届出制とされておりまして、鉄道事業者が利用状況や地域に与える影響等を勘案の上、設定することとされているところでございます。

 一方で、鉄道は、地域の方々の足として、また経済活動の基盤として非常に重要な役割を担っていることから、減便の実施に当たっては、沿線自治体等の関係者に対し丁寧かつ十分な説明を行い、利用者の利便性の確保にできる限り配慮した上で行う必要があると考えているところでございます。

 先ほど申し上げましたように、見直しの具体的な内容につきましては現在検討中でございますが、国土交通省といたしましては、地元自治体に対して丁寧に説明を行うとともに、利用状況や利用者に与える影響を十分勘案するようJR西日本に働きかけてまいりたいと考えているところでございます。

斉木委員 地公団体、要するに、市や町、県とよく話し合いなさいということなんですが、それはもうやっているんですよ。申入れも行った。でも、要は、お金がないから難しいんですという返事がJR側からは市長さんや町長さん、県知事さんにはなされているというのが実態なんですね。

 やはり、幾ら強調したって、財源がなければ人は雇えないし、電気代は払えないし、施設の改修も進まないし、これが現実だと思うんです。だから、JRに関しても、私鉄に加えて、地方民鉄に加えて、JRも非常に厳しい状況であるということを認識をし、何らかの財政的な支援措置を講じなければ、これはなかなか、ない袖は振れないというか、難しい状況だと思うんですよ。

 過去にも、当委員会であったと思うんですが、固定資産税の減免措置をやっておりますね。全国の中小企業が三〇%、五〇%、大きな痛手を昨年度被ったら、今年は固定資産税ゼロでいいですよ、若しくは半分にしますよみたいな、我々は中小企業応援策をやっております。

 ですので、地方の、例えば福井鉄道さんであるとか小さい民鉄さんは、皆さんこういった固定資産税の減免措置を受けている。JRは、全社でたしか千七百億とか千九百億という巨額の固定資産税納税者ですね。要は、JRの駅ビル、例えばルミネさんとかいろいろな駅ビルがありますけれども、所有者はJRだったりします。そこにテナントが入居しているビルオーナーでもあるんですよ。ですので、固定資産税の減免というのはすごく利くんですね。千七百億、千九百億、赤字が一気に解消できるわけです。

 だから、こういった部分にもやはり、空前の九五%空車みたいなことをやってきたわけですから、固定資産税の減免措置に加えるなりして何らかの財源をつくってあげないと、ダイヤを維持しろといっても車掌も雇えませんというのが本音じゃないかなと思うんですが、この民鉄で行っている、中小企業鉄道事業者で行っているような経営支援にJRも加えていくことに対してどうお考えですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、鉄道事業者は大変厳しい経営状況でございまして、JR六社、それから大手民鉄、全て純損失を計上している状況でございます。

 こうした中で、鉄道事業者の公共性に鑑みまして、国としてもしっかりとその経営を支えていくために、日本政策金融公庫の特別貸付け等の資金繰り支援、それから雇用調整助成金、国税や地方税の納付の猶予、それから地方自治体における新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金による支援、こういったことで、鉄道事業者の経営を持続的に維持していくための措置を講じているところでございます。

 今委員から御指摘がありました固定資産税について申し上げますと、鉄道事業者につきましては、資産全体に占める固定資産の割合が非常に高いということもあり、また、鉄道事業者の公共性に鑑みまして、既に大幅に軽減がされているところでございます。

 具体的に申し上げますと、固定資産税全体では、JR七社で年間約一千億円、その他の鉄道会社も含めまして鉄道全体で約二千億円の固定資産税の軽減措置が既に講じられているところでございます。

斉木委員 それを踏まえて、今回、それでも百三十本減らしますというふうに言っているので、私はJR側にも意見を聞きましたけれども、国土交通省さんは、事前のレクでは、やはり来年は、JR東海が九百、JR東日本が三百六十億、そしてJR西日本が三十億円、それぞれぎりぎり黒字を今年度は出す見込みだから支援しなくてもいいんじゃないかみたいなことをおっしゃっていましたけれども、これは、二期連続赤字を出さないための企業努力なんですよ。二期連続赤字を出すと、借入金を返せとか、若しくは株価への影響とか、やはり企業の信用力に関わってきますので、やはり各社聞いてみると、ここはもう無理くりでも頑張って、出向者を増やしてでも何とかここは黒にしたんだと。とても余裕があるというようなことではなくて、これはもう、特別、数字を頑張って頑張ってやりくりして出した黒なんですよというふうにどの社も言っている。だから、三十億の黒字で、要するにほぼ収支均衡予算で維持をしろと言われても、なかなかそれは厳しいというのがJR西日本の本音だと思うんですね。

 ですから、やはりここは、国がもうちょっと、地方公共交通インフラの維持にそろそろもっとかまなきゃいけない時代になってきたんじゃないかなというのが正直なところで、地方民鉄ではもうかなりやっておりますよね。鉄道事業再構築事業というのを国土交通省さんでやっていらっしゃる。これは、要するに、地方で維持がなかなか難しいと言われているローカル線のところに公有民営のような形で補助をしていこうというものです。

 例えば、鉄道には様々な機能があって、列車の運行、車両の維持修繕、施設の維持修繕、そして土地の保有、こういうふうに機能が分かれておるんですが、例えば土地の保有を地方公共団体が行って、市町や県が行って、国が交付税措置するであるとか。例えば私の地元の福井鉄道や、あと三陸鉄道、山形鉄道なんかのケースですと、土地保有とか鉄道施設保有を自治体がして、無償貸与するんですね、その鉄道事業者に。無償貸与をして運行してもらう、こういうことをやっているところもあります。また、和歌山電鉄さんは土地だけ和歌山市と紀の川市に持っていただいていたりとか、また、群馬県型の上下分離、上信電鉄さんなんかは、こういった土地の保有とか施設の修繕に関しては、例えば固定資産税を自治体が払ってくれたりとか、施設の維持は県や自治体がやりますよというふうに、非常にお金を出して、自治体が公有民営みたいな形でやっている。

 でも、このスキームにJRは一切入っていないんですよ。なので、こういう方式が取れないから減便というストレートな形になってしまっていて、私は、そろそろ、これだけJRが、確かにこんなに本州三社もそろって数千億の赤字を出すなんということは想定していなかったと思いますよ。でも、実際出てしまって、コロナで旅客の回復というのがなかなか見通せない今、こういった地方ローカル線を維持するときには、こういった鉄道事業再構築、要するに公有民営、上下分離で、自治体が持って、その自治体の、地方、県、市町が払った分は国が財政、交付税措置をする、こういった方式、JRにも適用すべきかと考えるんですが、見解はいかがですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど経営全体に対する支援について御答弁申し上げましたけれども、個別の路線に対する支援といたしまして、委員今御指摘のように、地域公共交通活性化再生法、この枠組みを活用いたしまして、地方自治体が作成した計画に定める輸送改善に係る事業、これは上下分離なんかもございます、ですとか、代替交通手段も含めた計画の策定に対する支援なども実施しているところでございます。この計画策定の支援、対する事業などにつきましては、JRが対象になる場合というのもございまして、地域地域の状況に応じて必要な対応をしているところでございます。

 国土交通省といたしましては、鉄道事業者の状況を今後ともきめ細かに把握するとともに、JR旅客会社、それから大手民鉄各社始め鉄道事業者の御意見もしっかり聞きながら、今後どういった対応が可能かよく検討してまいりたいと考えております。

斉木委員 事業の対象になっている路線もあるということでしたので、ここは是非、今回発表された、十個以上路線が挙がっております。琵琶湖、京都、神戸、山陽、赤穂、大和路、小浜、越美北線、きのくに線、山陰線、瀬戸大橋線などなど、境線とかですね。こういったローカル線に関しても、やはりこの鉄道事業再構築事業のスキームに入れていくということも具体的に検討すべきかなと思うんですが、そこまで、どうでしょうか。御検討できますでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 JR西日本、それから関係の地方公共団体の方々の意見もよく伺いながら、しっかり検討してまいりたいと思います。

斉木委員 なかなか力強くは言い切れないところだとは思うんですけれども、経産大臣にもお聞きをいたします。

 かように、JRが各社二千億円とか六千億近い赤字を計上している中で、ローカル線の維持というのが非常に厳しくなってきている。これは北海道から九州まで、全部、全国共通の現象です。

 これに対しては、やはり経産省は財源を持っていないと思うんですよ。権限もないと思うんです。ただし、これは地方経済活動を支えているインフラでもあるし、先ほど申し上げたように、勤労者が工場に働きに行く、会社に働きに行く、パート労働者の方が日中出ようと思ったら、ローカル線が減便になっていて帰ってこられないとか、子供が学校から帰ってくるのに間に合わないとか、やはりこういった不都合もこれから生じてくるだろうなというのは容易に想像できます。

 地方経済活動の維持という面からも、国土交通省任せにするのではなくて、地域公共交通インフラは地域経済や中小事業主や労働者を支えているという面は多分にあるわけです。経済産業省としても、ここはやはり省益とか省の壁というのは取り払って、政府全体として何ができるのか、こういうことをやはり考えていく必要があると思うんですが、御見解いかがですか。

梶山国務大臣 今回の減便の発表ということで、地方の皆さんも大変不安になっているかと思います。

 経済産業省としては、例えば、今までも、商工会や商工会議所などの陳情、こういった同種のものも受けているときもありますし、政府全体としてしっかりと対応できるように、地方の方の声に耳を傾けて注視をしてまいりたいと思っております。

斉木委員 この問題は、本当、地方にとってはいら立ちもありまして、例えば、今の原因はコロナですよ、コロナ、新型感染症です。でも、都市部で、例えば大阪とか京都とか、福井県から見ると、隣県は全部緊急事態宣言が発出されているような地域です。でも、今回減便の対象となっているのは、小浜線とか越美北線とか山陰線とか、鳥取、島根、福井とか、感染者の少ないところなんですよね。

 要するに、都市部で感染者が増えて、地方は頑張って、感染者を毎日一桁とかゼロに抑えて感染が出ないようにみんな気をつけて頑張っているのに、JR西日本という都市部も含む会社全体で、コロナのせいで減益になったから、地方のローカル線が狙い撃ちされて、地方から間引かれていく。これはやはり、山陰地域であるとか北陸地域であるとか人口の少ない地域にとっては、非常に腹立たしいというか、ちょっと承服できないという思いもあると思うんですね。

 やはり、ここは是非、先ほど申し上げたように、省益とか省の壁みたいなものは取っ払って、何で都市部ではやったので頑張っている私たちのローカル線がなくなるんだというのは、ちょっと承服できないと思うんですよ、国民感情、県民感情としても。そういったことも、是非、国土交通省に御配慮いただいて、こういった事業再構築、JRの当該路線にも適用していくであるとか、こういったことをやはり考えていただくことをお願い申し上げて、本日の質疑を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 四月二十八日の当委員会で、私は、運転開始四十年を超える老朽原発である関西電力美浜原発の三号機の再稼働についてただしました。

 竜巻対策工事をめぐって、くっついてさえいればいいと言われたという内部告発を基に質問したところ、原子力規制庁は、現在、使用前検査で確認を行っている、具体的に場所が特定されたら確認をさせていただくと答弁されて、それまで確認していなかったということが明らかになりました。

 そこで、まず、原子力規制庁に伺います。その後、どう確認して、どのように対応されていますか。

金子政府参考人 御指摘の竜巻対策工事は、竜巻等による飛来物から燃料取替え用水タンク等を防護するための、鉄骨の支柱とはり、あるいは、これに鉄製の金網を張る構造のフェンスの設置工事です。

 原子力規制庁は、この工事に関しまして、記事にありました、溶接士の方が仕事をしておられた会社が実施した溶接部につきまして、現場に出向いて可能な限り溶接部の外観を確認をするということに加えまして、超音波探傷試験などの検査記録を全部確認をいたしました。その結果、指摘されているような溶接状況を疑わせるような状況は、これまで確認されておりません。

笠井委員 関西電力の説明によれば、燃料取替え用水タンクは、運転中は非常用炉心冷却系統の水源となるタンクだ、放射能を帯びた水を貯蔵する設備だということで、そういうずさんな工事があってはならないということは改めて問題になったと思うんですけれども、そもそも、告発のあった工事というのは、使用前検査の対象だったんですか。

金子政府参考人 使用前検査の中の対象の一部ではございますけれども、今回検査をするまでは、直接にその工事をされたものを見て確認をするという抜取りの対象にはしてございませんでした。

笠井委員 国会質問を受けて、検査をきちっとやるというのは初めてやったということでありますが、ところが、関西電力は、何もなかったかのように、六月二十三日再稼働、七月二十七日営業運転開始ということで発表しているわけでありまして、私は、やはり安全よりも再稼働ありきの姿勢が電力会社にあるというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 梶山大臣は、四月二十八日の私の質問に、原子力規制委員会において安全が確認されたもののみ再稼働を図っていくというふうに答弁されました。原子力規制委員会がまだ安全も確認していない段階で、再稼働の日程を発表して、そして再稼働に向かって進んでいるということでは、やはり安全確認ができていないで再稼働するということについては駄目だということは言えますよね。

梶山国務大臣 原子力発電所については、原子力規制委員会が所要の審査及び検査を通じて規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の基本的な方針であります。

 美浜発電所三号機については、御指摘の竜巻防護対策も含め、関西電力自ら、溶接部の非破壊検査など所要の検査を実施した上で、原子力規制委員会による使用前検査に対応しているところと承知をしております。

 引き続き、関西電力には原子力規制委員会の検査にしっかりと対応してもらいたいと考えており、経済産業省としても改めてその旨を指導したところであります。

笠井委員 原子力規制委員会で安全が確認されていない段階で、その結果が出るまで再稼働を止めるべきは当然だと思うんです。

 規制庁にもう一問伺いますが、告発のあった竜巻対策工事について、関西電力は四月十九日の福井県議会の全員協議会で、熊谷組にやっていただいているというふうに説明したわけですけれども、本当にそうなのか。この工事の元請企業はどこだというふうに確認をされましたか。

金子政府参考人 今回の検査の中で、屋外タンクの竜巻対策施設の工事の具体的な体制についても確認をいたしまして、御指摘の元請事業者につきましては関電プラント株式会社であるというふうに確認してございます。

笠井委員 高浜町の森山元助役が三十年以上も顧問を務めた、あの関電プラントであります。関西電力がなぜ虚偽の説明をしたのかが問われてくる、県議会の全員協議会の場ですから。

 大臣は、四月二十八日に、関西電力が不正をしっかりと把握する力というのは、しっかり持っていくための努力はしていると確認をしているというふうにかばわれたわけですが、まさに県民にうそをついたのが関電ではないかと思うんですけれども、その点の姿勢についてはどういうふうに見ていらっしゃるでしょうか。

梶山国務大臣 今のお話については、私、初めて聞く話でありまして、事の真偽については、規制委員会から元請の関電プラントというお話も今伺ったところであります。

 プラントの安全対策については、原子炉規制法等に基づいて、原子力規制委員会が審査及び検査を通じて規制基準への適合を確認するものと承知しております。

 経済産業省としては、これまでも、一連の金品受領問題を受けて、関西電力に対して業務改善命令を発出し、コンプライアンス体制の抜本的な強化や工事の発注、契約に係る業務の適切性、透明性の確保などを求めてきたところですけれども、今回の事案について、御指摘を踏まえて、この度、改めて関電に対して、原子力規制委員会が行う検査に対して真摯に対応するように指導をしたところであります。

 その上で、工事発注等に係る業務の適切性、透明性を損なうようなコンプライアンス上不適切な行為が認められたならば、経済産業省としては、当然、厳正な対応を行っていくことになると考えておりますが、現時点においてそのような判断には至っておりません。

 今おっしゃったような全員協議会での発言についても、私、まだ確認をしておりませんので、確認をさせていただきます。

笠井委員 是非確認いただきたいと思います。

 大臣が言われたように、昨年三月に梶山大臣が原発マネー還流問題をめぐって関西電力に対して業務改善命令を出して、今年になってから関西電力からそれに対する報告があったという経過もある中でのことで、やはり原発という問題でも、安全性ということそれ自身が、大臣もすごく言われていることですからね。そういう点では、それにこの還流問題がどう関わっているかどうかということも含めてですから、確認をいただいて、今回の問題でも、やはり虚偽の説明をしていたということが問題になっていると私は申し上げたわけで、事実を究明するという責任がやはりあると思うんですね。

 だから、工事の施工体系、是非これをそういう究明の中で関西電力に提出させていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

梶山国務大臣 全員協議会の中での発言も含めて、あと、契約体制というものはしっかりとやっていくはずでありますので、その決めたことに反しているようであれば厳正に対処をしなければならないと思っております。

笠井委員 関電プラントから森山氏と関係が深い企業に巨額の発注があって、そしてその利益が関電幹部に還流していた重大な疑惑はまだ終わっていないというふうに思うんですね。運転開始から四十年を超える老朽原発の、福島原発事故後初めての再稼働という動きに今なっているわけで、しかも、十年も動いていなかったということで、安全もきちっと確認しないでやすやすと再稼働を認めるというのは絶対に許されないということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、コロナ禍での中小企業に対する国の支援の問題ですが、直接支援という点では、昨年五月に持続化給付金から始まって、家賃支援給付金、それから一時支援金が実施されてきて、今後、月次支援金が準備をされている。開始からちょうど一年余りがたって、国の直接支援がどうだったのか、今何が必要かということが本当に厳しく、そして本当に求められて、問われているというふうに思うんです。

 東京商工リサーチは、五月二十一日、負債一千万円未満を含む新型コロナ関連の経営破綻が全国で累計千五百件に達したということを発表いたしました。月別では、二〇二一年に入って、二月で百二十六件、三月で百四十八件、四月で百六十五件ということで、三か月連続で月間最多件数を更新している、増勢ペースが鮮明だということが明らかになりました。

 大臣に伺いますけれども、やはりそういう中で、経営を維持できずに、ある意味、息切れしている、そして破綻する企業が増えているということについては、御認識はあるでしょうか。

梶山国務大臣 委員から今御指摘がありました東京商工リサーチの調査によれば、経営破綻件数は倒産件数に倒産準備中の件数を加えたものとされており、新型コロナ関連の経営破綻件数は、昨年二月以降の一年四か月で全国で千五百件に達したものと承知をしております。

 一方で、同社の別の調査によれば、新型コロナウイルス関連ではない倒産を含む倒産件数全体で見れば、これは含んでいるということでありますけれども、二〇二〇年の倒産件数は約七千八百件と例年に比べて低い水準となり、三十年ぶりに八千件を下回っているということであります。これは客観的事実ということで御理解をいただきたいと思います。

 また、新型コロナ関連の経営破綻を地域別に見ると、東京、大阪、神奈川、愛知、北海道で約五割を占めております。これを業種別に見ますと、飲食業、建設業、アパレル関連、宿泊業で約四割を占めております。

 このように、地域や業種によって新型コロナウイルスの影響は様々であることから、事業者の置かれた状況に合わせた支援を講じていく必要があると考えております。

 やはり、コロナで需要が蒸発をしてしまった、そして業種によっては、また地域によっては危険水域にいる企業が数多くあるということも事実だと思いますので、しっかりと見てまいりたいと思っております。

笠井委員 この東京商工リサーチの調査では、給付金や助成金、制度融資など各種支援を受けながらも経営を維持できない、息切れ型の破綻が指摘をされております。

 そうした中で、持続化給付金は、議論もしてきましたが十二か月のうち一月だけ、それから一時支援金は三か月間のうち一月だけ、売上げ五〇%以上減少の月があればよかったということで要件になっていたわけですが、月次支援金になりますと、毎月五〇%以上、月々減少しなければ申請できないものになった。

 大臣、これで、いろいろな、全国各地あると言われましたが、息切れした企業が耐えられるような仕組みになっているかどうか、その点はどうお考えでしょうか。

梶山国務大臣 緊急事態宣言と蔓延防止等の措置に関しましては、地域を限定した上での措置をさせていただいております。そういったところに対しまして、直接的には、休業の協力金という形で自治体経由でお支払いするもの、これがかなり多いと思いますけれども、それと併せて、閉店をしている例えば飲食店などに納入をしている人たち、また人の移動により影響のある人たちに一時支援金、そして月次支援金をお支払いするということで、そういった形でピンポイントで対応をしているところであります。

笠井委員 いや、私、この間、仕組みが変わっちゃっていると思うんですね。今後でいうと、五〇%以上減った月の分だけを今度は後から出すという仕組みになっていて、性質が全然変わってしまったんじゃないか。あれこれ支援策があるというふうに言われるんだけれども、制度そのものが変わってしまった。この間は、十二か月のうち一か月でもあればまとめてもらえる、三か月の間で一か月あればまとめてという形で、一、二、三という形での二十万ずつ、六十万、四十万ですか、三十万ですか、そういう形になっていたわけですが、そういうふうに制度が変わっちゃったことが、やはり事業者にとっては、本当に息切れしたら大変だ、つまり、今大変なのに、それが減ったのが分かったら後からもらえる、それもいろいろある、大変だということになっているというふうに、制度が変わっちゃったんじゃないかという問題なんですよ。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、持続化給付金につきましては一か月でということでございましたし、一時支援金につきましては三か月のうちの一か月ということなんですけれども、現在実施している支援策につきましては、本年四月以降の緊急事態宣言又は蔓延防止等措置ということで月次支援金でございますけれども、これは、今は全国、全業種一律のものではなく、時短要請など地域や業種ごとに様々に講じられている措置の内容に応じてきめ細かく支援を行うという観点からのものでございます。

 今大臣からもお話し申し上げましたとおり、地方創生臨時交付金の活用でございますとか、あるいは、非常に厳しい状況に置かれている業種、例えば飲食店についてはその協力金、それからイベントなどについてはキャンセル費用に対する支援という形で、業種あるいは地域に応じまして、影響を受けている事業者を支援していくという形で対応してまいりたいと思っています。

笠井委員 やはり実態を全然分かっていないと思うんですよ。

 つまり、宣言を出しているとか防止措置をやっている地域にきめ細かくと言うけれども、結局のところ、問題なのは、大体、五〇%減ということになりますと事業も雇用も支えられないような事態になっているところに、しかも金額も月二十万、十万でしかなくて、それも、今度の制度、これからやるのは、減ったら後からじゃないともらえないという形になっている。国の支援策の対象にならなければ自治体の支援対象にならないという実態もたくさんあります。だからこそ、国が全体を広くカバーしてしっかりと十分な直接支援をやることが必要不可欠、そういう実態にあることをちゃんとやはり踏まえてやる必要があると思うんですね。

 しかも、一年四か月のコロナ禍の影響というのは全国に及んでいる。さきの東京商工リサーチの調査によれば、飲食業にとどまらず、建設業やアパレル関連、宿泊業などを中心に幅広い業種で影響が波及をして、地域も全国に広がっていると。

 大臣、そういう意味では、業種、地域を問わず今深刻な事態が広がっている、これはお認めになりますよね。

梶山国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響は、事業者によって様々であると思っております。地域によって影響を受けているところもあれば、また業種によって影響を受けているところもあると思います。全業種、全地域ということではないと考えております。

笠井委員 そこはやはりよく見る必要があると思うんです。

 全国商工団体連合会、全商連が今年三月に実施をしました調査がございます。コロナ感染症拡大に関して営業動向調査ということで、二〇二一年上期ということでの調査の結果ですが、ここでやはり全国の本当にリアルな声が出ているんですが、例えば、紹介しますと、来店が大幅に減少し、売上げも大きく下がり、毎月の支払いが大変、これは岩手県の医療品小売です。それから、持続化給付金を受け取って何とかつないできたが、業績が回復しない、仕事を辞めることを視野に入れている、茨城県の繊維工業。とにかく町に人が出てこない、満足に営業ができない日が昨年三月から今まで続いている、売上げゼロの日が月に十日はある、大分県の一般飲食店ですが、まさにそういう、もうあふれるような、調査の結果が、声としても紹介されております。

 全国の幅広い地域、業種が対象というふうな形でいろいろ言われたりするんですけれども、宣言、蔓延防止等の重点措置の地域外で地域コミュニティー内の顧客のみの取引業者というのは、幾らコロナで深刻な影響を受けていても、一時支援金とか月次支援金とか、国からの直接支援というのは受けられないということになっていますよね。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました地域のコミュニティー、いわゆる蔓延防止措置あるいは緊急事態宣言の影響を受けていないということであれば、国からの助成の対象にはなりませんけれども、支援の対象にはなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、地方によって、それが非常に重大な影響を地域に及ぼしているということであれば、地方の独自財源による支援策というのは、これは可能でございます。

笠井委員 宣言の影響を受けていなくてもコロナの影響はすごく受けているというのが、今のリアルな実態調査の結果なんですよね。

 大臣、中小企業庁自身が、コロナ禍を、災害に準じた資金繰り支援ということで、セーフティーネット保証がありますよね。四号で全都道府県を対象に指定をして、不況業種を指定する五号では全ての業種を対象にして、全国、全業種にコロナの深刻な影響が及んでいることを認めているわけですよね。

 そうしますと、また緊急事態宣言の再延長とか地域拡大などが言われている中で、そういう点では、資金繰りの問題で、そういうふうな形で災害並みのことをやるんだったら、直接支援だって業種や地域で線引きしないというようなやり方が必要なんじゃないですか。これはちょっと、経産省、中企庁としてやることとしては、片っ方じゃそれをやりながら片っ方はそうしない、そんなのはおかしいんじゃないかと思うんだけれども。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまございましたセーフティーネット四号、五号については、御指摘のとおりでございます。

 ただ、金融支援につきましては、要件が非常に、資金繰りということで、返済もしていただくということで、初期から発動されるものでございます。そういう意味では幅広く取ってございまして、支援金のような渡し切りの給付金というものとは性格が異なると思っておりまして、違った要件で対応するということだと思っております。

笠井委員 それはおかしいですよ。影響が重大だから、四号、五号と、さんざんこれも災害のときに議論になったんです。自民党の議員だって、そういうことで追及して全業種やれとやったぐらい、災害なんだとやってきたわけで、そこに線引きするというのは非常におかしいと思うんです。だから、やはり線引きしないでということで、全国、全業種への直接支援策として、私たちは持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を求めているわけであります。

 中小企業庁に更に伺いますが、五月末から二週間程度延長ということで今言われていますけれども、一時支援金ですね、今まだやっています、この予算措置額と申請件数と給付件数、給付額というのはそれぞれ幾らになっていますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 一時支援金でございますけれども、予算金額は六千五百五十億円でございます。

 三月の八日から申請の受付を開始いたしまして、五月二十五日火曜日、昨日まででございますが、約四十万件の申請を受け付けまして、約二十三万件、九百億円超の給付を行っております。

 引き続き全力を尽くしてまいりたいと思います。

笠井委員 いまだに予算執行も一割強ということで、一三、一四%ぐらいですかね。困っている中小企業に届け切るという考えが本当にあるのかということになってくるんだと思うんです。

 そこで、大臣に伺いますが、一時支援金というのは、持続化給付金の経験を踏まえて、新たに申請前の事前確認を設けたことが特徴だと強調されてきました。ところが、事前確認を受けて申請した事業者からの相談が私の国会事務所にも相次いでおります。例えば、ちょっと一覧表にしてみたんですが、兵庫県から来ただけでも二十件あるんですね。中には申請から二か月もたっている人たちがいるということで、現金取引の事業者が、事業実態ありと事前確認を受けて、それで申請しても、申請したときに、今度はその後で事務局の方から、請求書とひもづく通帳等の提出がないからと、つまり事業実態を確認しろみたいなことをまた言われて、不備扱いされて返ってくると。なぜこんなことになるんですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一部の申請者に対しましては、請求書とひもづく通帳などの提出を求めております。

 その趣旨を御説明いたします。

 一時支援金でございますけれども、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業又は外出自粛などの影響を受けている事業者に対して支援をするというものでございますため、それを確認する必要がございます。そのため、申請に当たって宣誓していただくわけですが、その宣誓におきましても、緊急事態宣言の影響を受けている取引先や顧客との反復継続した取引を示す帳簿書類及び通帳を保存することを求めております。

 その上で、実際審査を行う上で、私ども、持続化給付金やこれまでの一時支援金で得られたノウハウを基に、不正受給を防止する観点から、更に事業実態を確認すべきと判断される場合には、保存書類のうち必要のあるものについて提出を求めていることがございます。これも、必要のあるものを提出をするということも、申請に当たって御同意をいただいております。

 ここで、今委員御指摘がありました事前確認スキームでございますけれども、これはあくまでも不正防止を目的として、書類や宣誓内容の確認を形式的に行うものでございまして、申請者の事業実態の確認でございますとか、この人が本当に給付対象になるかどうかという判断を事前確認で行うものではございません。

 今ここで提出を求めている帳簿書類及び通帳につきましては、元々申請に当たって、申請者自身が緊急事態宣言の影響を受けていることを判断、確認する根拠として、保存を求めていたもの、それを出してくださいということでございます。

 この趣旨でございますけれども、今御指摘がありました現金取引事業者ですけれども、全て現金のみで取引をしていて一切帳簿、通帳記録がないという方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そういった場合には、実際に取引が行われていることを客観的に確認するために確認を求めるという趣旨に基づきまして、改めて審査を行いまして、必要に応じて、これは持続化給付金のときにもその話がございましたけれども、それにおける確認手法なども参考にして審査を行ってまいりたいと思います。

笠井委員 いろいろ言いましたけれども、事前確認というのは、事業実態があることを確認するために、わざわざ商工会、商工会議所とか士(さむらい)のところとかとやって、その上でというので、この間の持続化給付金の教訓を踏まえてやったんじゃないんですか。

 大体、申請者に追加書類提出を依頼する事務局からの不備通知というのがあるんですけれども、こういうのが来るんですよ、一律に。これはもう読んだら目がくらくらしますよ。自分がどれに該当するか分からない。全部書いてあるんです。こういう場合は不備になる、こういう場合は不備になるとずっと書いてあるわけ。その中にあるのは、今いろいろ飯田部長が言われたけれども、こうありますよ。一般的な不備の事項の羅列で、事業を営んでいることが確認できる書類、商品・サービスメニュー、店舗等の写真、賃貸借契約書若しくは登記簿の三点、又は許認可書の提出、これが確認できませんでした、上記書類を御提出くださいというものがあるんですよ。

 だって、事前確認というのは、事業をやっていると確認しているんだから、こんなの何でもう一回出さなきゃいけないのか。もう嫌がらせをしているとしか思えないですよ、こんなやり方は。

 大臣、既に事業実態の事前確認を受けているのに、なぜ申請後にまた事業実態確認で、店舗の写真を出せとか追加書類の提出を求めるのか。こんなことをやっていたら届かないですよ。大変だと思うんだよね。何のために事前確認ってあんなに苦労してやられたんですか。それでもいろいろ問題はありますよ。大臣、どうですか。

梶山国務大臣 先ほど政府参考人からお話がありましたように、事前確認というのは書類や宣誓内容の確認を形式的に行うものであります。持続化給付金の際には、これは審査で全てやっていたわけでありますけれども、その審査での手間を少しでも合理化、効率化するために、事前確認という手法を取らせていただきました。

 ただ、商売の実態、また反復的な取引の継続というものがあるかどうかというものに関しては、やはり確認をさせていただくための書類が必要ということであります。

笠井委員 これは、事前確認という制度をやって、それで募ったわけですよね。この兵庫の方も、ずっと一連あるけれども、その確認を担っている税理士さんが怒っていますよ、我々の仕事が信頼されていないのか、何になるんですか、この事前確認ってと。まずそこで手間がかかってやって、その上で申請したら不備が来て、もう一回店舗の写真を出せとか、そんなことまで何でやるのかという話なんですよ。

 こんなごちゃごちゃ書いてやっていたら、申請者は本当にあっぷあっぷしているところで、もう大変なんです。具体的に何が不備か、引っかかっているか分からない。分からないからコールセンターに問い合わせても、コールセンターは、ここでは分かりませんと。何もサポートしてもらえないと途方に暮れているんですよ。

 梶山大臣、申請者に対する事務局の対応も悪いんです。これを改めさせるとともに、やはり経産省、中企庁が、必要な全ての事業者に届け切るように責任を果たすということで、やらないといけないと思うんですよ、委託だけじゃなくて。

 持続化給付金のとき、やりましたよね、一件一件、大臣ともやり取りして。昨年もありましたけれども、長野でいうと、事業収入欄が空欄になっているけれども、収支内訳書があればいいということが、代替でという話があって、ところが、LINEで申請者にそれは駄目ですよと来たというのをお見せして、大臣も、いや、それはちょっと確認させてくれ、その件、番号を教えてくれと言われて、後で担当者が来られましたよ。解決しました。

 そういうこともやってきたんだけれども、せっかく経産省として、我々はいろいろ問題があるなと思ったけれどもこういう制度をつくったんだったら、ちゃんとそこが届くように、事務局任せ、コールセンター任せにしないで、本当にその辺、一件一件個別に確認もして対応する姿勢も、体制も、中企庁としても取る、こういうことが必要だと思うんですよ。大臣、これはちゃんと指示してやらせてください。

梶山国務大臣 コールセンターの対応につきましては、もしそういうことがあるのであれば改善をする必要があると思いますので、させていただきます。

 ただ、審査書類の中で、どうしてもやはり取引が継続反復的にあるということが確認できない場合には、書類を提出していただく場合があるということでありまして、例えば、先ほど参考人が申しました、現金取引で一切そういう帳簿がないというような場合には、預金通帳を見せていただく、入金の継続的なものを見せていただく、そういったもので対応できる、また許可書を見せていただく、そういうことで代替の手続をするということであると考えております。

笠井委員 申請者は必死だから、誠実に誠実に対応しようと思っているんですよ。

 一時支援金の詳細についてという文書がありますよね。必要書類と書いてあって、部長はいろいろ言われたけれども、確定申告書と売上台帳というのが基本的にあれば、あとは宣誓・同意書とか本人確認書類とか、そういう話でできるとなっていて、保存する書類が必要だと言われたけれども、それは保存しておいて、何かあったらやってくださいねという話で、基本的には要件になっていないはずなんですよ。

 それを、結局、不正防止のためということで、わざわざ新たに設けたような事前確認の制度がありながら、またもう一回やり直しをして、確認を本人との関係でやって、不備だ不備だと何度もやり取りする、二か月もかかっている。やはりそういうやり方じゃ駄目だと思うんですよ。今本当にそういう意味で簡便にすると大臣も言われて、きちっと早く届くようにすると言われているんだったら、すっきりしないといけないと思う。

 最後に大臣、もう一回、そこのところの姿勢を示してください。

梶山国務大臣 そういう取引の実態を示すような書類は必要なんです、どうしても。そして、その中で一度、もし一時支援金でも月次支援金でも書類が通っていれば、次回からはその手続はなしということになりますから、最初の証明ということで、その審査で必要な書類については御提出を願いたいと思います。

笠井委員 時間が来ましたので終わりますが、申請者が苦労して、そして登録確認機関を見つけて、なかなか見つからない、やっと見つかって確認してもらって、ようやく申請できたと思ったら、こうして追加書類を求められる。もう一回、一からやり直しみたいな。相当な時間も手間もかかって、そして、その間にもう立ち行かなくなっちゃうという事業になってくる。本当に全ての事業者を助ける気があるのかというふうに思います。

 経産省、中企庁の責任を果たすことを大臣として責任を持ってやってもらいたいと強く求めて、質問を終わります。

富田委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延です。よろしくお願いいたします。

 まず、時間の関係で前々回質疑ができなかったRCEPの続きをお伺いしたいと思います。

 RCEPに関しては、今後の発効までのスケジュールや準備状況について質問したところ、可能な限り早期に発効させることが重要であるという認識は各国間で共有されており、協定の早期発効と全ての締結国による着実な履行に向けて、引き続き関係国と連携をしていきたいという答弁をいただきました。各国との連携を強化した上で、着実な履行をよろしくお願いいたします。

 さて、世界各国でコロナが猛威を振るっておりますが、アフターコロナの経済再生を考えたときに、関税撤廃により物の動きを活性化させ、うまくスタートさせることができれば、これは大きな起爆剤になる可能性も秘めていると思います。

 そこで、経済再生という観点から、RCEP締結における効果を最大限に引き出していくために、国内的には、関連する規制緩和や制度見直しを早い段階から行い、消費拡大、経済成長につなげていくべきだと考えておりますが、政府の見解を伺います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、RCEP協定の早期発効と各国による着実な履行を通じまして、日本の企業にとって重要な市場、生産拠点になりますアジア諸国に輸出しやすい事業環境を実現することは極めて重要だと考えております。

 政府としても、中小企業を含むできるだけ多くの日本企業にRCEP協定などを活用していただきまして、それを通じて海外市場を獲得できるよう、必要な措置を講じていく所存でございます。

 具体的には、経済連携協定を活用しようとする企業の担当者向けのセミナーの開催、企業の相談に回答、助言する相談窓口の設置、あるいは、海外の主要な電子商取引サイトに日本産品の販売を行うジャパン・モールを設置いたしまして、日本産品の海外へのオンライン販売を支援する、あるいは、ジェトロや中小機構などを中心とした新輸出大国コンソーシアムを通じまして、海外展開のための事業計画の策定から販路開拓に至るまで、専門家がハンズオンできめ細かなサポートを提供する、あるいは、EPA活用に当たって必要となる原産地証明書の発給につきまして、従来の紙の証明書を用いる形から手続をデジタル化した仕組み、制度に改善するといったことで、手続の簡素化、迅速化、利便性の向上を図る、こうしたことなどを通じまして、企業がRCEP協定などの経済連携協定から受ける便益を最大化できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

美延委員 よろしくお願いします。

 アフターコロナの経済再生の鍵は、やはり消費にあると考えています。政府におかれましては、RCEP発効、関税撤廃に関するタイミングで、是非、消費税の見直しも検討していただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、少し話題を変えまして、今日も各委員からもありました、アフターコロナを見据えた地元商店街の活性化の在り方について、私も少し伺っていきたいと思います。

 私もこの委員会で何度か取り上げさせていただいておりますが、中小・小規模事業者、特に地元の商店街では、コロナ禍の影響で、もう商売を継続することが限界であるという声が本当に日増しに強まってきております。現在、政府や地方自治体による支援策もあって何とか営業を継続している商店も、この状況が続けば早晩撤退を余儀なくされ、地元の経済を担うべき商店街のシャッター街化が加速して、日本全国で地域経済が成り立たなくなる事態を招きかねないと思うのです。

 コロナ収束へ向けた取組が最優先されることはもう言うまでもありませんが、収束後には、なるべく早急かつ効果的に、地元の小さな商店であっても自立的に商売が成り立つように回復してもらい、地域経済の活性化につなげていく必要があるものと思われます。

 この点、昨年秋に実施されましたGoTo商店街事業は、二度目の緊急事態宣言に入る前の昨年十二月二十四日に募集受付が終了したまま現在に至っております。その後、本年一月に成立した令和二年度第三次補正予算に、追加で三十億円が措置されています。

 GoTo商店街のほか、GoToトラベル、GoToイートを含むGoToキャンペーン事業の実施がコロナの第三波を招いた要因の一つであるとの指摘もある中、その再開には、感染状況や病床の逼迫の状況等も踏まえ、慎重に検討を行う必要があると思いますが、GoTo商店街について、コロナ禍の収束後の再募集を行う予定はあるのでしょうか。そして、あるとすれば、これは地元の状況を一番分かっている地元の知事さんの意見を参考にすべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 GoTo商店街事業では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、昨年十二月末から現在に至るまで、採択済みの案件について、集客を伴うイベント等を一時停止をしているところであります。

 今後の事業実施については、感染状況や他のGoToキャンペーン事業の動向を踏まえながら、慎重に判断することとしております。また、今後、感染状況や他のGoToキャンペーン事業の動向を踏まえながら、事業再開については慎重に判断するという前提で、令和二年度一次補正予算の執行残額と三次補正予算を活用して、約千二百件の事業について支援をする予定としております。

 なお、GoToキャンペーンが第三波の要因となったとの御指摘があるとのことですが、GoTo商店街事業においては、これまで商店街と来訪者双方で感染防止対策を徹底した上で事業を実施してきており、主要な感染要因になったとの報告は受けていないところであります。

 引き続き、商店街における感染拡大防止と需要喚起の両立を図りながら地域の活性化につなげていきたいと思っておりますが、当然、今委員がおっしゃったように、自治体との連携、しっかりと対応した上で、再開ということは考えてまいりたいと思っております。

美延委員 今大臣がおっしゃったように、やはりこの事業というのは、私自身も、収束すれば、実際、前に進ませる、そして地域の経済活性化を持たせるという事業ですので、これは収束するというのが大前提ですけれども、是非考えていただきたいと思います。

 昨年の実績を踏まえて、今もちょっと話がありましたけれども、GoToキャンペーンのこのGoTo商店街に関しては、今、第三波の、しっかり感染対策もしているということで、それはないと大臣はおっしゃいましたけれども、それを踏まえて、何か今後やはりしっかり対策を取るつもりがあるのか、取るとしたらどういう対策を取るのか、教えていただけますでしょうか。

村上政府参考人 まず、再開の前提は、先ほど大臣からも御説明させていただいたとおり、慎重に、特に商店街の場合は、特に自治体の意向をよく確認をした上で、やるべき場所を含めてよく相談をしていく、まずそれが最初かなと思っています。

 それから、従来から、オフラインでイベントをする際、例えば初めてのお使いシリーズをやる商店街さんとか、むしろオープンスペースでカフェをやるとか、そういう方々にはガイドラインを出しておりまして、徹底した三密対策を前提にすると同時に、三密対策用の経費についても、しっかり、引き続き、一件一件丁寧に見ていく。

 その上で大事なのは、やはり地元とのつながりをこれを機会に取り戻していただくという意味では、必ずしもオフラインのイベントだけでない、オンラインでも結構いろいろな事業をやっていただいていまして、そこは、リアルのイベントだけでなく、いろいろな形での方法を、是非、事例も出しながら工夫をしていただくことによって、ただ感染源にならないような、ただ三密対策をやっていますということだけにならないように、上手に提案をリードしていきたい、このように考えてございます。

美延委員 今まさにおっしゃったように、私の地元の商店街で、サイエンスカフェという、学者の、科学者の方に来ていただいて、そこで、今までは子供たちにそういう実験を見てもらっていたんですけれども、今はこういうことでそれができないので、いわゆるオンラインでやっているんですけれども、それなりに、オンラインでやることによって、逆に今までよりも見ていただいている件数が増えているということを聞きましたので、是非オンラインも活用していただければと思います。それは本当に、僕としてもそう思います。

 次に、リモートワーク等に対応した新たなまちづくりを含む商店街の在り方について少しお伺いしたいんですけれども、これは海外の事例になりますが、オーストラリアのメルボルンでは、二十分圏ネーバーフッドという取組があるそうです。既に二〇一八年に発表されていた取組ですけれども、これは、徒歩二十分圏内に住民サービスを満たす公共サービスを整え、近隣環境を整備することで住みやすい都市を実現するというものです。

 また、パリでは、十五分シティー構想というモデルを採用しているとのことです。これは、全てのパリ市民が徒歩又は自転車で十五分でアクセスできるエリア内に、食料品、公園、カフェ、スポーツ施設、医療機関、学校、職場等がそろうことを目指しているそうです。

 我が国でも、コロナ禍をきっかけに、リモートワークが広がるなど、人々のライフスタイルに変化が見られます。こうした中、徒歩十五分から二十分程度のコミュニティーの重要性が高まれば、地域に根差した商店街の役割も見直され、活性化につながるのではないでしょうか。

 海外でこのような新しい試みも見られる中、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えて、新たなまちづくりの方向性も含め、商店街の活性化に向けて、大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。

梶山国務大臣 商店街は、地域コミュニティーの担い手として、商業機能のみならず、地域の雇用や生活関連サービスなど生活に不可欠な機能の維持、確保を担う重要な存在であります。

 ウィズコロナ、アフターコロナへの対応として、御指摘のような、リモートワーク等の多様な働き方の広がりを商店街等の活性化の機会として活用していこうとする動きが各地で普及しつつあると承知をしております。

 こうした動きを踏まえて、経済産業省では、商店街、中心市街地に係る今後の支援策の在り方について、有識者による研究会で検討を行い、買物の場という従来の商店街の機能に固執することなく、ライフスタイルの変化に対応した、地域住民やコミュニティーのニーズに応える役割、機能を高めることを目的とした政策に転換していくことを取りまとめました。

 それを踏まえて、令和三年度当初予算に、地域住民のニーズを踏まえた商店街等の新たな取組を支援するための事業を新たに盛り込んだところであります。

 具体的には、商業機能の強化という従来からの取組に加えて、商店街等における空き店舗を活用した創業支援やコワーキングスペースの設置など、ウィズコロナ、アフターコロナへの対応を地方公共団体とともに積極的に後押しをしてまいりたいと考えております。

 こうした取組により、商店街振興を通じて地域の持続的発展を促してまいりたいと考えております。

美延委員 今、空き店舗対策と言われましたけれども、是非それもよろしくお願いいたします。

 次に、二〇二五年日本国際博覧会、いわゆる大阪・関西万博についてお伺いをいたします。

 本年十月、アラブ首長国連邦、UAEのドバイで、大阪・関西万博の一回前に当たる万博が開催される予定です。報道によると、コロナの影響で一年延期されていましたが、世界屈指のワクチン普及を背景に準備は順調で、海外のお客様二千五百万人を隔離なしで受け入れる、いわゆる完全実施を目指しているようです。

 一方、二〇二五年の大阪・関西万博に向けた我が国の状況を見ていると、参加招請活動、すなわち海外からのパビリオン誘致が遅れており、コロナの感染拡大で各国へのPRが十分にできず、現時点での参加表明国は目標の二割程度にとどまるということであります。

 大阪・関西万博では、コロナウイルス感染症の地球規模での拡大の中で、その理念が「いのち輝く未来社会のデザイン」と定められ、「いのちを知る」「いのちを育む」等の八つのテーマ事業が設定されております。

 今現在、大阪は大変なコロナ禍で苦しんでおります。私も、大阪選出の議員の一人として、また本当に一人の国民として、コロナの収束後になって、二〇二五年に大阪で開催される万博に非常に大きな希望を持っております。

 経済産業省を始め関係府省では、万博開催に向けたもろもろの取組が進められていると承知しておりますが、現在のコロナ禍も踏まえて、大阪で万博を開催する意義、コロナ対策を含めて参加を表明していただける国を増やすための具体的な取組の状況、また、子供に夢を与えるための具体的な企画内容など、万博開催の成功に向けた検討の状況と今後の見通しについて教えていただけますでしょうか。

岩城政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとしまして、昨年十二月に閣議決定しました基本方針におきましてポストコロナの経済・社会への転換を掲げまして、ポストコロナ時代に求められる社会像を世界とともに提示することをうたっているところでございます。

 これを受けまして、例えば、従来の、会場を実際に訪れるというリアルな体験に加えまして、バーチャルを融合させる等により世界中から多くの人々の参加を可能とするなど、新しい万博の姿を打ち出していきたいというふうに考えております。

 また、委員御指摘の各国への参加招請活動につきましてでございますけれども、現在、政府を挙げて取り組んでおりまして、これまで、二十九か国、そして三つの国際機関から参加表明をいただいているところでございます。今後とも、在京大使への働きかけやオンラインを活用した会談等を駆使しまして、更に積極的に進めていきたいというふうに考えております。

 それから、万博会場等での具体的な展示、企画内容等につきましてですが、二〇二五年日本国際博覧会協会等とも連携しながら検討を進めているところでございます。健康・医療、カーボンニュートラル、ロボット、モビリティー等の分野におきまして、例えば、大気中からCO2を直接回収する技術の実証や、スキャンで容易に疾病箇所を特定する技術、あるいは空飛ぶ車を活用した移動体験の提供等、最新かつ高度な日本の技術力を世界にPRしてまいりたいというふうに考えております。

 現在のコロナ禍を乗り越え、二〇二五年大阪・関西万博が、世界中の人々に夢や驚きを与え、子供たちがわくわくするようなすばらしい万博となるよう、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

美延委員 そうなんですよね。

 実は、一九七〇年の大阪で行われた万博のとき、私は小学校四年生でした。そのときに見た、ちょっと固有の名前を出してあれなんですけれども、三菱未来館というのがあって、その三菱未来館の、今の要するに携帯電話とかそういうのをやっていたのが、子供心にこんなのできるんかなと思ったら、それが現在できているので、是非そういうものを前に進めていただいて、やはり、僕も当時小学校四年生でしたから、そういう小学生や中学生に夢のあるような万博を是非やっていきたいと思います。これはまたこれから何回も、私も質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、カーボンニュートラルについて伺いたいと思います。

 昨年十月、菅総理は、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて、グリーン社会の実現に最大限注力し、二〇五〇年までに、温室効果ガスをゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す旨の発言をされました。この理念自体には大いに共感できるものがあり、我が国が世界の中で環境後進国として取り残されることのないよう、積極的に取組を進めていく必要があるとの問題意識は十分に理解できるものであります。

 一方、本年四月に開催された気候変動サミットにおいて、総理は、二〇三〇年度の温室効果ガスについて、二〇一三年度比マイナス四六%とすることを表明されました。これは、二〇一六年五月に決定された現行の地球温暖化対策計画のマイナス二六%と比較すると、目標値が大幅に引き上げられたものと言えます。

 我が国のエネルギー政策の在り方について、閣議決定により、エネルギー基本計画が定められております。エネルギー基本計画では、自給率、経済効率性、それから環境適合、それぞれの頭文字のEを取って三つのE、そして安全性でセキュリティーということで、スリーEプラスSとの同時達成が基本理念とされております。エネルギー基本計画はこれまでに五回策定されており、昨年十月からは第六次計画の策定に向けた検討が政府の審議会等で進められていると聞いております。

 このような中、気候変動サミットの総理発言によって、スリーEの一つである環境適合の項目が、温室効果ガスの削減目標としてマイナス四六%で固定されてしまうことになるのではないでしょうか。そうすれば、全体としての最適化を図るために、残り二つのE、すなわち自給率と経済効率性に大きな影響が及ぶことになると思われます。

 現在、コロナ禍で産業界が経済的に厳しい状況にあり、また電気料金も、今後、FIT制度による負担の増大により更に上昇していく見通しとなっています。今般のマイナス四六%の目標値の設定によって、特に経済効率性の観点から、我が国の産業競争力や国民生活にどのような影響が及ぶのか、その見通しについて教えていただけますでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台ということでございまして、そのため、産業競争力の維持や国民生活の観点から、委員御指摘のスリーEプラスSのバランスを取りながら安価なエネルギーの安定供給を確保することは、いつの時代、いかなる状況下においても最重要というふうに認識しているところでございます。

 御指摘のとおり、二〇三〇年の新たな削減目標を目指す上でも、エネルギーコストを最大限抑制することは重要だということでございまして、安全性を最優先とした原発再稼働や、再エネコスト低減に向けた技術開発を通じた電力コストの低減等を進めてまいります。

 エネルギー基本計画の見直しの議論におきましても、エネルギーコストの抑制に向け、安価なエネルギーを安定的に供給することの重要性について、複数御指摘をいただいているところでございます。

 エネルギー基本計画の見直しに向けては、二〇三〇年の新たな削減目標と安価なエネルギーの安定供給の両立を目指しまして、集中的に議論を深め、結論を出していきたいと考えているところでございます。

美延委員 ちょっと残ったんですけれども、時間が来ましたので、また次回にさせていただきます。

 本日はこれで終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 冒頭、今日一日の質疑を聞いている中で、ちょっと、一件、私から所感を述べさせていただきたいことがございますので、少しだけ、最初、その話をさせていただきます。

 本日の委員会質疑の冒頭で、原子力立地交付金の話が取り扱われておりました。私、まさに東海村が選挙区内にある議員でございまして、本日、石川委員もこの委員会に所属しておりますけれども、東海村における原子力立地交付金の存在意義というものを少しばかりお話しさせていただきたいと思っております。

 交付金というのは、まず、原子力発電事業者に入るものではなく、当然ながら自治体に入るものであります。そして、その用途というのはある程度定められておりまして、そこの地域に住む住民の福祉あるいは地域振興に資する取組に対して拠出をされることが定められております。

 少し御紹介させていただきたいのは、東海村においては、この交付金を活用してこれまで、昭和五十年から交付がされておりますので、もうすっかり村の財政の中に浸透しているものになっているんですが、近年、この交付金を使って、例えば、子供たちの給食費の補助事業ですとか、給食室の増改築、あるいは村の図書館や小学校、中学校、幼稚園、保育所、こういったものの整備をしております。

 大臣は十分に御認識を持たれていると思うんですけれども、原子力発電の今後の在り方、続けるべきかやめるべきか、そして再稼働させるべきか、また避難計画の状況、いろいろな状況があるんですけれども、それによって交付金が仮に何らかの影響を受けることになると、これは事業者ではなく、村でもなく、そこに住んでいる住民がじかに影響を受けることになりますので、是非そこは慎重に議論をしてまいりたい。

 これは私自身の自戒も込めて、冒頭、発言をさせていただきました。

 それでは、本日の通告に従いまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 まずは、コロナ禍における事業者支援策についてお伺いいたします。

 私の地元の茨城県は、これまで二回にわたって蔓延防止等重点措置の適用申請をさせていただきましたが、いずれも政府からはその申請を受け入れてもらえませんでした。

 現地から今私のところに届いている声としては、やはり、頑張って感染拡大を抑えているんだ、それだけ体力を使っているし、現場の人たちは苦しい中で頑張って抑え込んでいる、なのに、協力金や蔓延防止措置の適用を受けられないことによって財政的な支援が受けられない、これは頑張っているのに不公平じゃないか、こんな声が届いております。

 今日、笠井委員の質疑でも、事業者に対する支援拡充の要望がありましたけれども、私も、今検討されている月次給付金を含めて、今後の経産省の支援策の在り方の中で、蔓延防止措置の地域や緊急事態措置の対象地域に含まれない地域で頑張っている事業者をどう支えるのかというのを是非検討いただきたいと思うんです。

 少し分かりやすく整理をしますと、非常に単純な例ですが、いずれかの措置の適用地域になれば、飲食店は協力金若しくは月次支援金のいずれかを受け取ることができますし、その取引事業者も月次支援金の対象になります。

 ただ、対象地域にならなかった地域においてはどうかといいますと、飲食店については県から協力金が出されています。しかしながら、飲食店と取引のある卸業者や運転代行業者やそのほか、美容室やアパレルショップなどというのはなかなか協力金の対象には含まれておらず、また月次支援金の対象にも今回含まれませんでした。

 完全に対象地域でない地域の飲食店以外の業態の方々が今置き去りにされているような状況になっておりまして、是非、指定地域外の事業者に対する支援策の改善を御検討いただきたいと思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま茨城県の例でお話がございましたけれども、例えば、茨城県の飲食店と取引のある事業者という方であっても、例えば、茨城県の飲食店がその人流、要するに東京から人が来ないということでその影響を受けているということであれば、そこと取引のある事業者の方々も一時支援金ないしは月次支援金の対象になるわけでございまして、やはり首都圏ですとか、いわゆる緊急事態宣言とかの影響となっている地域との人の流れが緊急事態宣言によって抑えられた、それによって影響を受けたという方々に御支援できるような支援金のスキームになっているところでございます。

浅野委員 人の流れが減少している地域は対象になるんだという理屈は、それはそのとおりだと思うんですけれども、実際に、じゃ、指定地域以外の地域のそういった影響を受けている事業者が全員この支援策の恩恵を受けているかというと、当然そうではない。現に、茨城に限らず、全国で苦しい状況に置かれている事業者の方々がたくさんいる。今日、東京商工リサーチの調査結果についても何人かの委員の皆様が触れていましたけれども、まさにそんな状況になっておりますので、是非、今後検討していただきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

梶山国務大臣 緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の地域ということになると休業要請をする、そしてそれに対して、協力金が地方創生臨時交付金を使ってそういったところに支払われるということでありますが、それら以外にも地方で必要な予算については、今、地方と連携を取りながら、地方創生臨時交付金等で地方なりの対応ということも含めて、いろいろな協議をしているところであります。できる限りそういったものが、やはり、はざまに落ちて、なかなか報われない人たち、またそういう業種があるということも含めて、そういったものの対応になるような、協議も重ねていきたいと思いますし、予算の措置もできるように最善の努力をしてまいりたいと思います。

浅野委員 是非よろしくお願いします。

 かぶせるようで大変恐縮なんですが、茨城県においては、自治体独自でできる範疇で、例えば、県が指定した市町村については、感染拡大市町村というふうに指定をしているんですけれども、その指定した日から協力金の対象にしているんですね。例えば、水戸市は何日から、何々市は何日からと本当に小刻みに指定をして、何とか財政をもたせながら支援を継続しようとしている。

 このぐらい逼迫した財政の中で都道府県も頑張っているので、月次支援金や臨時交付金の拡充というものについて是非御検討をお願いしたいと思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 続いては、テーマは変わりますが、先日の委員会質疑の続きで、電力多消費産業の電力コスト負担について質問させていただきたいと思います。

 前回も伺わせていただいたと思いますが、産業用電気料金の現状というのは、前回、松山事業部長からは、日本の国内におけるコストが一キロワットアワー当たり十七・九円、そして諸外国は更に安い水準にあるというふうに御答弁をいただきましたが、これがこれからどうなるのかというところを簡潔にもう一度教えていただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災以降、現在、多くの原発が止まってございます。また、火力発電のウェートが高まってございます。再生可能エネルギーの固定価格買取り制度によりまして、二〇二〇年度で年間二・四兆円の追加負担が生じているという中で、先ほど委員の方からも改めて御指摘を頂戴しましたけれども、産業用電気料金というのは国際的にもかなり高い水準になりつつございまして、震災前に比べて約三割上昇しているところでございます。

 お尋ねの今後の見通しでございますけれども、これは一概になかなか申し上げにくいところではございますが、一般論で申し上げますと、カーボンニュートラル社会の実現また社会経済活動に不可欠な電力の安定供給確保のための投資、様々なことを、将来を見据えますと投資がなされていかなければならない、このコストということを考えますと、今後も一定程度増加する傾向は見込まれるというふうに考えているところでございます。

 一方、産業競争力や国民生活という視点から考えますと、電力コストの抑制は大変重要だと考えてございます。安全性を最優先とした原子力発電所の再稼働や再エネのコスト低減といったことの技術開発などなど、様々な対策をしっかり取っていきたいと考えてございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 今後、電気料金自体は上がっていく傾向にある、ただ、抑制策もしていくということなんですけれども、本日の資料一を御覧いただきますと、これまでの産業用電気料金の価格の推移というのを記載させていただきました。これは分かりやすく言いますと、真ん中辺りに東日本大震災の線が引いておりますが、二〇一一年から二〇一九年までに約三割価格が上昇しております、日本の場合は。

 そして、これは過去の委員会でも私取り上げさせていただいたんですが、電力多消費産業においては、事業の生産額に占める電力使用額の比率、要は、生産額の中でどれだけ電気代が含まれるかというこの比率、これが増えれば増えるほど電力多消費産業における事業所数が減っていく傾向にあると、明らかな相関が出ております。

 要するに、電気代が上がってコストが上がった分、事業所が少なくなったり雇用が減ったりしているという傾向が明らかな統計的な傾向として既に出ているんですけれども、やはり、電気代がしばらくは上がるけれども、そのうち抑えられるから大丈夫だというのは、電力多消費産業においてはもう死活的問題なんですね。それでは遅過ぎる、そういう課題感を今持っております。

 そこで、今日取り上げたいのは賦課金減免制度であります。

 資料二を御覧いただきたいんですけれども、こちらには、ちょっと参考として、ドイツの産業用電気料金の状況というのを、同じようなグラフ、過去からの推移を書いております。内訳として、電気代本体部分と賦課金部分というのを色分けして記載をしているんですけれども、やはり、ここ十年余りで賦課金部分のウェートがかなり増えているのが分かります。

 ドイツでは何をやっているかというと、いろいろな仕組みを導入して、この賦課金部分の負担を限りなくゼロにしているという対策を取っております。結果、どういうことが起きているか。

 右側のグラフを見ていただきますと、日本とドイツの産業用電力の減免後の比較が一番左側に載っていますが、日本でいうと、政府がつかんでいる数値とは少し異なるかもしれませんが、日本では十六・一円、ドイツでは六・一から七・四円という水準にまで差が広がっているということなんです。

 日本は、減免制度がないわけではないんですが、やはり、このドイツの例を見ますと、そしてこれから電気料金が上がっていくという時代を迎えることを考えれば、電力多消費産業を守る上でも、この賦課金減免制度の拡充を考えるべきではないか、このように思うわけですけれども、これに対して政府の見解を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 FIT制度は、再エネ電気の固定価格での買取りを国民全体で支える仕組みであり、賦課金の負担者である国民の理解の下に成り立つ制度であります。

 減免制度は、国民負担の公平性と国際競争力維持強化の双方のバランスを踏まえて、制度制定時や改正時の国会での審議を経て措置をされたものであります。

 このように、減免制度は、広く電気を利用する方々にその使用量に応じて負担を求めるFIT制度の例外であり、減免制度の対象とならない方々にも御理解いただけるものであることが重要であると考えます。

 減免の対象となる事業者の数や減免率については、海外と一概に比較することは難しいのですが、ドイツは製造業中心に減免を措置しているのに対して、我が国は、製造業、非製造業を含む電力多消費産業を対象に制度を措置をしております。

 東日本大震災以降の燃料費の増大や、足下ではFITを前提とした再エネの導入拡大に伴う賦課金の増加等がある中、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現していく上では、電源の脱炭素化に向けて、再エネ、原子力、CCUS付火力など電源構成が大きく変化することが見込まれること、電化の進展により電力需要の拡大が見込まれることなど、様々な構造変化が想定される中で、グローバルな競争にさらされる産業界への電気料金水準を含めた競争環境への影響については引き続き注視してまいりたいと思いますし、他国との比較も含めてしっかりと検討してまいりたいと思います。

浅野委員 よろしくお願いいたします。

 電気料金がこれから再エネ拡大あるいはシステム投資で上がり始めてからこの対策を考えるのではやはり遅いと思います。先手先手で、電力多消費産業の要望もしっかりと聞いていただきながら対策を検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続いて、太陽光発電について質問させていただきたいと思います。

 本日、山崎委員がソーラーシェアリングの話をしておりまして、これから太陽光が活躍する一つの事例だったわけですけれども、もう一つ、卒FIT電源というのがこれから大量に発生してまいります。私は、この卒FIT電源を活用した自家消費型の電源システムを早く普及させていくべきではないかという立場から質問させていただきます。

 まず、これらの再エネの普及というのを考えたときに、やはり発電コスト、これまでよりも得なのか高コストなのか、こういった話が必ず出てまいりますが、改めて、この太陽光発電における発電原価の考え方、どういった定義なのか、教えていただけますでしょうか。

茂木政府参考人 まず、太陽光発電の原価でございますが、これは、太陽光パネルの資本費ですね、設置費だと思いますが、これに稼働期間を通じてかかる運転維持費を足し合わせたのを総コストにして、これを稼働期間を通じて発電される総発電量で割る、これが太陽光発電の考え方ということになります。

浅野委員 ありがとうございます。

 では、次、似たような質問になりますけれども、最近ではこれに蓄電システムを組み合わせて、より効率的にそのつくった電気を使いましょう、こんな使われ方が普及し始めておりますが、蓄電システムを併設した太陽光発電、電源の場合、発電原価の考え方というのはどうなるんでしょうか。

茂木政府参考人 これは、蓄電池を併設いたしますと少し考え方が複雑になりまして、一般的な考え方として考えますと、先ほどの申し上げた太陽光発電のコストに、費用に加えまして、蓄電池の、当然、資本費、つまり蓄電池自体のコスト、費用ですね、これに蓄電池を運転するための維持費、それから、一般的には、蓄電の場合には、発電するわけではなくて、充電してこれを放電するということになりますので、例えば、発電したやつを充電して自家消費した場合に、これが外から買ってきた電気との対比で幾らぐらいメリットがあるか、このメリット、それから、ためていた電気を例えば電力需給市場に出して売買した場合には、その売買したメリット、一方で、これは充電したり放電したりしますので、そこのロスをどう考えるか、こういったものを全て加味した形で定義をするということになりますが、今、こうした蓄電池併設型の太陽光の発電コストを試算している例は余りないというふうに承知しています。

浅野委員 私も事前に少し説明を受けたときには、蓄電池込みの場合のコストの考え方というのはまだ余りはっきりしていないというふうに伺いました。

 今日、資料三の方には、最初に御説明いただいた太陽光発電システム、パネル単体で、蓄電池はなしの状態でコストを算出するときの考え方、数式を事前にいただいてこちらに掲載をさせていただきました。

 私は、これは蓄電池を組み合わせた場合であっても、結局のところ、蓄電池の価格や運転維持費、そして何年もつのかが分かれば、それらが全て合わさったものが総コストなので、それでどれだけ発電したのかが分かれば発電原価というのは出せるんじゃないかと。つくった電気を、じゃ、ためるのかすぐ売るのか、どういう使い方をするのかは余りつくるために必要な原価計算には関係ないんじゃないかと思うんですね。つくった後にどう使うかはまた別の話で、つくるために最初に一体幾らの初期投資をして、それでどれだけ発電できるかが分かれば、結局、一キロワット当たり幾らで発電できたという考え方の整理はできると思いますので、これは、これから恐らく蓄電池を普及していくに当たって、その辺りの考え方をできるだけシンプルに統一しておくべきだと思うんです。でないと、計算できない、分かりづらい、じゃ、手を出すのをやめよう、こんな意思決定にもつながりかねませんので、是非そこはシンプルな指標をこれから早期に作っていただきたいと思います。

 その上で、次の質問に移りたいと思いますが、じゃ、本題になりますけれども、太陽光発電、卒FIT電源を今想定しておりますが、御家庭にある卒FIT電源を活用した自家消費型太陽光発電システムの発電原価というのは現状、今どれくらいかかっていて、今後どれくらい下がっていく見通しなのか、御説明をお願いいたします。

茂木政府参考人 今、自家消費型の太陽光発電ということですが、住宅に載せる太陽光発電ということになると思います。こちらのコストが今、大体、二〇一九年度で十三・六円・パー・キロワットアワーということになっています。二〇二五年度の見通しで八・六円ということになります。

浅野委員 ありがとうございます。

 今後減少、低減していく傾向にあるということなんですが、本日の資料四の方に、少し私の方でも調べた表を載せさせていただきました。

 今、二〇二五年で八・六円まで下がるということを御答弁いただきましたが、更にその先、二〇三〇年まで目をやっていただきますと、青い線になりますが、一キロワットアワー当たり五・五円まで見えているということであります。

 これは、現状、家庭用電気料金の価格が二十数円というふうになっております。二十五円前後でしょうか。これが、これから再エネの拡大や系統に対する投資がかさむことによって更に電気料金が上がることになる。これは避け難い事実、見通しである。その上で、じゃ、国民負担をできるだけ抑制するためにはどうすればいいか。私は、やはり自家消費型と系統からの買電のハイブリッドにしていくべきだと思うんです。

 ですので、是非、この自家消費型システムの普及には政府としても特段の力を入れていただきたいと思うわけですけれども、そろそろ時間が来ておりますが、この自家消費型再エネ電源システムの普及策、そして政策目標、現状どういったものがあるのか、御答弁いただけますでしょうか。

梶山国務大臣 今委員御指摘のいわゆる卒FIT太陽光を活用して電力の自家消費を図ることは、安価な再エネ電源の有効活用や、災害時にも電力が利用可能なレジリエンスの向上の観点からも重要であると考えております。

 こうした太陽光発電の自家消費の促進のためには、発電した再エネを一旦ためて最大限消費できるようにする蓄電池について、低コスト化を促しつつ、導入、普及を進めていくことが重要であります。

 このため、二〇三〇年の蓄電池の価格を現在の三分の一程度の七万円、キロワットアワー当たり七万円とすることで目標設定をしているところであります。現状は大体十九万円から二十万円というところでありますけれども、様々な支援策で蓄電池の導入を補助する際には、この目標価格に到達するペースで低下させた価格以下の蓄電池のみを支援対象とすることで価格低減を促進し、国内の家庭や工場等に設置する蓄電池市場の見通しを二〇三〇年に現在の約十倍の二十四ギガワットアワーになると政府としては設定することで、将来市場の予見性を高め、事業者の投資を促進するとともに、国内の製造設備の増強に対する支援を通じて量産規模の拡大等を進めてまいりたいと考えております。

 このような取組を通じて、自家消費の促進にも資する蓄電池の普及を加速化させてまいりたいと考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 是非、この自家消費型システムの普及には引き続き力を入れていただきたいと申し上げた上で、更にもう一つお願いでございますが、諸外国での実証事例を見ておりますと、新品の太陽光発電パネルと新品の蓄電池を組み合わせた電源構築というのは進めています。これは日本も一緒です。海外では、例えば、電気自動車などで使い終わった蓄電池をこの自家消費型の電源系の一構成要素として再利用する、リユースの取組も加速されております。

 最後の質問になりますが、資料五に目をやっていただくと、現在経済産業省が定置用蓄電システムの普及支援をする事業名が並んでいるんですが、いずれも、新品の蓄電池をいかに高度に使うかという実証や研究への支援なんですね。ではなくて、やはり、もう一歩先、リユース品をいかにうまく賢く使うのか、こういったところにも経産省としてはもっと力を入れていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 リユースの電池の活用、これは非常に重要だというふうに私どもも考えています。

 今お示しいただきました資料の中の上の二つについては、これはリユース電池も対象にしておりまして、例えば、リユースの電池を系統電池として活用するために実証事業を行うですとか、あるいはVPPとして活用するというようなケースでもこれは支援の対象にしておりますので、こうした蓄電池の車載転用についての促進策もしっかりと進めてまいりたいというふうに考えています。

浅野委員 では、終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。梶山経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件の提案理由及び要旨につきまして御説明申し上げます。

 日本は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする日本を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を厳格に実施してきました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日以降、北朝鮮への輸出の禁止などの措置を厳格に実施してきました。

 しかし、関連する国際連合安全保障理事会決議は、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めていますが、いまだにその実現には至っておりません。また、拉致問題については、現時点においても、解決に至っておりません。

 政府においては、こうした北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、令和三年四月六日の閣議において、引き続き令和五年四月十三日までの間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を実施することを決定いたしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による令和三年四月六日の閣議決定に基づき、同年四月十四日から令和五年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 本件につき、御審議の上、速やかに御承認くださいますようよろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十三分散会


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