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第1号 令和3年12月15日(水曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(令和三年十二月六日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 古屋 範子君

   理事 長坂 康正君 理事 落合 貴之君

   理事 山岡 達丸君 理事 藤田 文武君

   理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      石川 昭政君    稲田 朋美君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      上川 陽子君    国定 勇人君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中川 貴元君

      中野 英幸君    西村 明宏君

      星野 剛士君    堀井  学君

      松本 洋平君    三ッ林裕巳君

      山下 貴司君    山本 左近君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      末次 精一君    山崎  誠君

      青柳 仁士君    漆間 譲司君

      小野 泰輔君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

令和三年十二月十五日(水曜日)

    午後零時三十分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 藤田 文武君

   理事 中野 洋昌君

      井出 庸生君    井原  巧君

      石井  拓君    岩田 和親君

      大串 正樹君    上川 陽子君

      菅家 一郎君    国定 勇人君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中川 貴元君

      中野 英幸君    西村 明宏君

      平沼正二郎君    星野 剛士君

      堀井  学君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    山下 貴司君

      山本 左近君    荒井  優君

      梅谷  守君    大島  敦君

      菅  直人君    末次 精一君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    日下 正喜君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (産業競争力担当)

   (ロシア経済分野協力担当)

   (原子力経済被害担当)

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   経済産業副大臣      石井 正弘君

   経済産業大臣政務官    吉川ゆうみ君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官)           飯田 陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   参考人

   (国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構副理事長)      及川  洋君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十五日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     塩崎 彰久君

  大串 正樹君     三谷 英弘君

  小森 卓郎君     鈴木 英敬君

  星野 剛士君     井出 庸生君

  三ッ林裕巳君     菅家 一郎君

  山下 貴司君     平沼正二郎君

  平林  晃君     日下 正喜君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     星野 剛士君

  菅家 一郎君     三ッ林裕巳君

  塩崎 彰久君     井原  巧君

  鈴木 英敬君     小森 卓郎君

  平沼正二郎君     山下 貴司君

  三谷 英弘君     大串 正樹君

  日下 正喜君     平林  晃君

同日

 理事笹川博義君、武藤容治君及び八木哲也君同月三日委員辞任につき、その補欠として石川昭政君、稲田朋美君及び松本洋平君が理事に当選した。

同日

 理事藤田文武君同日理事辞任につき、その補欠として小野泰輔君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十二月十四日

 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事藤田文武君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が四名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      石川 昭政君    稲田 朋美君

      松本 洋平君 及び 小野 泰輔君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギーに関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

古屋委員長 この際、萩生田経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田経済産業大臣。

萩生田国務大臣 この度、経済産業大臣を拝命しました萩生田光一でございます。

 副大臣、そして大臣政務官とともに全力で職務に当たってまいりたいと思います。

 古屋委員長を始め、理事、委員の皆さんの御指導と、また御支援、御協力を心からお願い申し上げたいと思います。(拍手)

古屋委員長 次に、細田経済産業副大臣、石井経済産業副大臣、岩田経済産業大臣政務官及び吉川経済産業大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。細田経済産業副大臣。

細田副大臣 この度、副大臣を拝命いたしました細田健一でございます。

 萩生田大臣をしっかり支え、石井副大臣、そして岩田、吉川両政務官とともに経済産業行政の円滑な遂行に全力を尽くしてまいります。

 古屋委員長を始め、委員の先生方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。(拍手)

古屋委員長 次に、石井経済産業副大臣。

石井副大臣 この度、経済産業副大臣兼内閣府副大臣を拝命いたしました参議院議員の石井正弘でございます。

 萩生田大臣をお支えし、経済産業行政の推進のために、また、原子力災害現地対策本部長といたしまして、廃炉の完遂及び福島の復興のため、全力を傾注してまいる所存でございます。

 古屋委員長、そして理事、委員の諸先生方の格別の御指導、御鞭撻を賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

古屋委員長 次に、岩田経済産業大臣政務官。

岩田大臣政務官 この度、経済産業大臣政務官を拝命いたしました岩田和親でございます。

 萩生田大臣をお支えをいたしまして、大事な責任を全うしていきたいと決意をしております。

 古屋委員長を始め、理事、また各委員の皆様の御指導を心からお願いを申し上げます。(拍手)

古屋委員長 次に、吉川経済産業大臣政務官。

吉川大臣政務官 この度、経済産業大臣政務官を拝命いたしました参議院議員の吉川ゆうみでございます。

 萩生田大臣をお支えし、そして両副大臣、また岩田大臣政務官とともに、委員長及び理事、委員各位の先生方の御指導の下、しっかりと務めてまいりたいと思っております。どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。萩生田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

萩生田国務大臣 この度は、会期の短い今臨時国会において本法案の審議入りをお認めいただき、誠にありがとうございます。

 ただいま議題となりました特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 デジタル化が急速に進展する中、先端半導体は、パソコンやスマートフォンといった情報端末のみならず、自動車や医療機器等のあらゆる分野に使われており、その安定供給体制の構築は非常に重要です。他方、足下では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるデジタル需要の増大により、半導体不足が顕在化をしています。また、昨今では、地政学的な事情により、半導体に関するグローバルサプライチェーンが影響を受けるリスクが高まっております。このため、我が国において先端半導体の安定供給体制を構築することは、我が国における産業基盤の強靱化に資することに加え、我が国が半導体産業における戦略的自律性、不可欠性を確保する観点からも重要です。

 こうした中、半導体の製造拠点の整備には巨額の投資が必要となるため、諸外国においては、半導体製造基盤の確保に向けて、これまでとは異なる強力な政策支援が展開されています。このため、我が国においても他国に匹敵する取組を早急に進め、我が国における先端半導体の製造基盤の確保に向けた企業の投資判断を後押しすることが必要です。こうしたことを踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律の一部改正です。

 第一に、特定半導体等の生産施設の整備及び当該生産施設における生産を実施しようとする事業者から計画の申請があった場合において、特定半導体の国内における安定的な生産に資する取組が行われると見込まれる等の要件を満たすものについて、主務大臣が認定する制度を創設をします。

 第二に、認定された計画に従って実施される特定半導体等の生産施設の整備及び当該生産施設における生産に対して、助成金の交付等の支援措置を講じます。また、助成金の交付の業務等は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が行います。

 次に、当該助成金の交付のために、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法を改正し、こうした業務を追加するとともに、特定半導体基金を設置します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますように、よろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構副理事長及川洋君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として経済産業省大臣官房商務・サービス審議官畠山陽二郎君、経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官飯田陽一君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君及び中小企業庁事業環境部長飯田健太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長坂康正君。

長坂委員 自民党の長坂康正でございます。

 萩生田大臣におかれましては、経済産業大臣への御就任、横っ飛びでの御就任、歓迎をいたします。昨日も予算委員会で既に、この法案に関連する質疑、しっかりと詳しく丁寧に、また意欲的な答弁をされておりました。拝聴いたしまして、本当に心強く、日本経済を立て直す先頭で頑張っていただきたいなとエールを送りたいと思います。

 さて、現在、コロナ禍からの復活を目指して、各国が、より国家主導的な形で、グリーンやデジタル、そして健康といった戦略的な分野で、強力で巨額の産業政策を推し進めようといたしております。

 こうした中、我が国は、経済産業省を中心に、これまで進めてきたような新自由主義的な産業政策でよいのか、コロナというピンチをチャンスに変える観点から、このコロナを経済産業政策の転換点とすべきでないのか、まさにそれが問われている瞬間だと思います。

 私は、この十月まで経済産業副大臣を務めてまいりました。こうした思いを持ちまして、官と民が一体となって、この国の将来を背負う産業を育成するという原点に立ち返って、産業政策をもう一度再構築すべきだと、省内を激励してまいりました。そうした議論を経て生まれた成果の一つが、まさにこの法案であろうと理解をいたしております。

 言うまでもなく、資源に乏しい我が国は、これまでもいろいろ、国力、国富を維持発展させていくためには、国内に根づいた成長産業をしっかりと育成してきたといいますか、古くは生糸、繊維産業であり、私の地元愛知、尾州の繊維産業は、戦後間もなく、一九五〇年代、戦後復興の牽引車として日本の経済に大きく貢献してまいりました。一九七〇年代頃から自動車産業がそれに取って代わりました。その物づくりの私どもの地元愛知でも、今、半導体不足で、非常に厳しい状況にあえいでおります。

 一九八〇年代頃には、産業の米と言われる、昨日は総理は産業の脳とおっしゃっていましたが、半導体産業となり、しかし、その半導体も、八〇年代後半、当時、私は海部総理の秘書として日米交渉にも臨んでおりましたけれども、日米半導体摩擦が起こり、そして二〇〇〇年代前後にはインターネット革命への乗り遅れ、その後、失われた三十年で、国内の市場と投資の縮小により、現在、諸外国に大きな遅れを取っています。さらに、韓国、中国、台湾といったアジアの国だけでなく、今では欧米諸国も半導体産業の強化に向けて強力な産業政策を展開しようといたしています。

 この状況において、産業基盤と技術力を維持し、これからのデジタル社会に不可欠な半導体産業の競争力を復活させるには、一刻の猶予もありません。今こそ、我が国政府の支援を抜本的に拡充することが急務だと考えています。半導体産業を戦略産業と位置づけ、国内外の民間活力を基礎としながら、政府の支援策の政策リソースを格段に引き上げようとする本法案は、まさに時宜を得たものであると考えています。

 この法案の意義や狙いを改めて確認しながら、質問に入らせていただきます。

 日本の半導体産業は、八〇年代に世界シェアの五〇%以上を占め、かつては電子立国日本と呼ばれたように、我が国の経済を支える重要な産業であったにもかかわらず、今では一割程度までシェアが落ち込んでしまいました。その間、アメリカ、中国、台湾、韓国は、それぞれの得意分野で投資と研究開発を強力に進め、今では技術力で大きな差をつけられてしまったのではないかと思います。この立て直しを図るには、リアリティーのある戦略と、国が先頭に立って実行していくことが重要であります。

 経済産業大臣として、我が国半導体産業が八〇年代以降立ち遅れた原因をどのように分析し、今後の半導体戦略をどのように実行していこうとお考えか、お尋ねをいたします。

萩生田国務大臣 御指摘のとおり、我が国の半導体産業は、一九八〇年代には世界一の売上高を誇っていたものの、その後、競争力を落としていくことになります。

 この原因の一つは、当時の政府が、世界の半導体産業の潮流を見極めることができず、適切かつ十分な政策を講じなかったことであり、昨日は鈴木財務大臣の目の前で、そして今日は海部総理の秘書をやった長坂先生の前で、こういうことを申し上げるのは非常に心苦しいんですが、やはりこの点は真摯に反省した上で次へ進んでいかなきゃいけないと思っていまして、そのことを明確にさせていただきました。

 その他の原因として、一九八〇年代、日米の貿易摩擦を契機に積極的な産業政策を後退させたこと、一九九〇年代以降、ロジック半導体の重要性が高まる中で、半導体の設計と製造を分業する世界的なビジネスモデルの大転換を読み切れず、産業界を導くことができなかったこと、また、日の丸自前主義ともいうべき国内企業再編に注力し、イノベーション力の向上や販路開拓において有力な海外企業との国際連携を推進できなかったこと、バブル経済崩壊後の長期不況において民間投資が後退する中、諸外国が国を挙げて積極的な投資支援を行う一方で、我が国は国策としての半導体産業基盤整備を十分に進めてこなかったこと、経済社会のデジタル化を十分に進めることができず、半導体の需要家となるデジタル産業が十分に育たなかったことなどが挙げられます。

 他方、メモリーやイメージセンサー、またパワー半導体などの分野においては、引き続き世界市場で戦える日本企業が存在することに加え、特定の半導体製造装置や素材は国際的に見て日本企業が高いシェアを誇るなど、強みも有しています。

 過去の反省も踏まえた上で、我が国の強みを生かしつつ、国策としての半導体製造基盤整備のための大胆かつ総合的な支援や、国際連携による先端技術の共同研究開発など、我が国半導体産業の基盤確立に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。

長坂委員 是非その方向で頑張っていただきたいと思う次第でございます。

 半導体技術は、他の産業技術に比べまして技術革新のスピードが非常に速いと言われています。例えば、十八か月ごとにトランジスタの集積密度が倍増するというムーアの法則は余りにも有名でありますが、この五十年間の半導体の微細化、つまり高性能化のスピードを自動車のエンジンの技術に当てはめますと、今頃は時速約四十八万キロ、地球を一周五分で走るほどになってしまうという話があります。

 日本の半導体戦略の肝は、国内の生産基盤の整備だけでなく、デジタル化のニーズや社会の変化を先取りして、いかに、次の時代に必要とされる半導体技術の開発を産学官で他国に匹敵するような水準とスピードで行い、世界をリードできるかだと考えますが、具体的にどのようにそのような技術開発を行っていくのか、お尋ねします。

門松政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の技術開発でございますが、次世代半導体の技術で世界をリードするため、今年度から、産業技術総合研究所において、我が国の半導体製造装置、素材メーカーと、海外の半導体トップメーカーが共同で、最先端の半導体の製造技術開発に取り組んでおります。

 また、今回の補正予算案においても、次世代半導体研究開発事業について一千百億円を計上をしており、この事業では、日米連携による超微細な次世代半導体の製造技術や、電気配線を光配線化することで多量のデータを高速かつ低消費電力で処理をする光電融合などの将来技術について研究開発を行う予定であります。

 先端半導体の製造拠点整備とともに、こうした世界をリードする研究開発に取り組むことで、半導体産業の復活につなげてまいりたいと考えております。

長坂委員 承りました。

 それでは、このような半導体産業の復活に向けて、今回の法案がどのように位置づけられているのかをお尋ねをいたします。

 次の時代の半導体技術で世界をリードするために、国内に確固たる生産基盤を整備すると同時に、国内での研究開発、技術開発を他国と匹敵する規模で行っていくことが車の両輪と考えますが、この法案においてそれらの実現に向けてどのような措置が講じられているのか、お尋ねいたします。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の半導体産業の復活に向けた基本戦略でございますが、十一月に開催いたしました第四回の半導体・デジタル産業戦略検討会議においてお示しをしたところでございます。

 具体的には、まずはステップ一としまして、半導体の国内製造基盤の整備に取り組む。ステップ二としまして、二〇二五年以降に実用化が見込まれる次世代半導体の製造技術開発を国際連携にて進める。ステップ三といたしまして、二〇三〇年以降をにらみまして、ゲームチェンジとなり得る光電融合などの将来技術の開発などにも着手していく。

 そのように整理しておりますが、本法案はステップ一に位置づけられるものでございまして、まずは我が国にとって喫緊の課題となっている先端半導体の安定供給体制を構築するものでございます。

 その上で、半導体製造技術の進展のスピードは非常に速いものがございます。需要に合わせて国内製造拠点の技術がアップデートされていくように、本法案におきましては、事業者が支援を受けるための認定基準の一つといたしまして、生産能力の強化のための研究開発等を求めていくとしているところでございます。

 また、今回の補正予算案におきましても、ステップ二、さらにはステップ三に当たる次世代半導体の研究開発事業について一千百億円を計上してございます。この事業では、日米連携による超微細な次世代半導体の製造技術、それから、電気配線を光配線化することで多量のデータを高速かつ低消費電力で処理する光電融合などの将来技術について研究開発を行う予定でございます。

 先端半導体の製造拠点整備とともに、こうした世界をリードする研究開発を両輪として取り組むことで、半導体産業の復活につなげてまいりたいと考えております。

長坂委員 ちょっと時間が短くなってまいりましたが、昨日も予算委員会で小野議員が質問されていましたので、これは短めに答弁していただきたいんですが。

 第一号の認定案件とうわさされているTSMCについて伺いますが、日本で製造すると発表している半導体は二十二から二十八ナノであり、これは自動車や産業機械などには広く使用され、非常に有用なものであると認識をしています。他方で、これは十年前の技術で作られる半導体との報道もございます。

 最先端ではない半導体の工場を誘致することの意義を短く簡潔に教えてください。

野原政府参考人 TSMCの案件については、これから法案が成立した後で審査をいたしますので、現時点で支援を行うと決まってはおりませんが、その上で申し上げますと、TSMCが新たに整備を計画している国内拠点で製造される半導体は、自動車や産業機械など、多岐にわたる領域で用いられることとなります。現在、我が国はこうした半導体の製造能力を有しておりませんので、この製造能力を獲得することで、国内製造業の需要に応じて安定供給体制を構築する意義は非常に大きいと考えております。

 この効果として、製造装置、素材を含めた関連産業の再興、発展でございますとか我が国全体のデジタル化の進展など、国民の皆様が広く裨益するような公益性が認められるものと考えております。

 以上でございます。

長坂委員 これは是非必要だと思いますので、お願いをしたいと思います。

 TSMCの工場誘致につきまして、日本の工場を操業するための技術者が不足しているのではないかという指摘もありました。また、人口減少が進む中で、若い世代にとって半導体技術者は必ずしも人気がある職業ではなく、担い手が減っているという現実もあるそうであります。

 今後の技術者の確保や育成が課題でありますが、どのような取組を行うのか。経済産業省だけでは限界があるとも言われますが、文科大臣も経験された大臣であります、関係する自治体、大学、高専などの連携も必要と考えますが、どのように進めていこうとお考えか、お尋ねをさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先端技術を取り扱う高度な人材の確保、育成には、国と地方、産業界と教育界、官と民、まさに一体となって取り組むことが必要です。

 オール・ジャパンでやっていきますけれども、たまたま今、熊本のお話を例示で示されましたので熊本で説明しますと、今回、熊本県に私、お邪魔しまして、蒲島知事始め半導体の事業者ですとか教育関係者の皆さんと様々なプロジェクトを立ち上げてきました。

 例えば、即戦力となる人材の育成に向けては、九州地区の大学、これは熊本大学、あるいは熊本工業大学、九州工業大学、九州大学などの大学ですとか、それから、熊本高専を中心に九州全体で八つの高専がございますので、ここに、半導体を専門的に学んでいただく様々な技術者養成の仕組みを、基礎から実用まで一気通貫で、一貫したカリキュラムを開発する、こういったアイデアを皆さんと共有させていただくことにしました。

 また、例えば大分にはかつて東芝の関連の半導体工場があって、そこを退職されて今は違う職業に就いている方も大勢いらっしゃいます。こういった半導体人材の確保に向けては、過去に携わっていた皆さん方にもう一度集結していただくような仕組みというのを、大学のリカレントなどを使いながらしっかりやっていきたいと思います。

 あわせて、熊本のみならず、九州シリコンアイランドの復活に向けて、今般の半導体の産業基盤の支援のみならず、人材育成にもオール九州で取り組むべく、知事や議会の皆さんにも御協力をお願いしていこうと思っています。

 技術者の育成、確保に向けてどのようなことを優先的に取り組むか、しっかり文科省とも連携しながらやっていきたいと思いますし、人気がないというのは、要するに給料が低いから人気がないのでありまして、本来は、高専の卒業生というのはもう金の卵で取りっこなんですけれども、九州は割と冷たくて、初任給が低いんですよ。だから、そうじゃなくて、半導体技術を持った人はもう大学卒業と同じ給与で初任給を払いますよ、そういうことも含めて仕組みづくりをしっかりやっていきたいと思いますので、是非応援してください。

長坂委員 ありがとうございました。

 是非、コロナ禍で傷んだ日本の経済を立て直すべく、先頭で御活躍を、頑張っていただきたいと思いますし、是非この法案、しっかりと進めていきたい、採決していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、いわゆる5Gの促進法及びNEDO法の一部改正案ということで、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 既に予算委員会でも、こうした半導体産業への支援ということで議論が行われております。私も、萩生田大臣の御答弁も昨日も聞かせていただきました。本日も、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 現在、半導体不足が非常に様々な分野に影響を与えておると思います。先ほど議論もありましたとおり、例えば自動車産業にも大きな影響が既に出ている。私も、地元の兵庫県尼崎市も大変に製造業の多い地域でもございますので、今や、半導体は、自動車だけではなく、製造機械を始め本当にいろいろなところに使われているものでございますから、半導体の安定供給は日本の製造業のためにも必要不可欠であると思いますし、また国民生活にも、いろいろなものがなかなか手に入らない、自動車を、新車を買おうとしても非常に時間が今かかるような状況であります。

 本当に、国民生活のためにも、この半導体の安定供給を何としても果たしていかないといけない。今後、更に半導体の需要というのはどんどん伸びてまいりますので、非常に重要な法案であり、そして重要な今回の補正予算である、このように考えております。

 他方で、半導体産業に対して、しっかりとその復活に向けたいろいろな支援をやっていくわけでありますけれども、今までの経済産業省の産業政策とも、ある意味、今までの経済産業省の政策は、民間の活力を伸ばすような政策も多かったというふうに思います。このように国が思い切った支援をしていくというよりは、様々な、税も含めていろいろな形で活力を伸ばして誘導していくような産業政策も取っておった中で、そういう意味では大きな転換を今回しているともいうふうに思われますし、その上で、なぜこういった取組をしていくのか、なぜこういう政策を取っていくのかというのを国民に分かりやすい形で説明をし、そして納得、理解をしていただくというのが非常に大事だと思いますので、そういった観点から、今日、何点か質問をさせていただきます。

 まず一点目として、やはり、この法案あるいは予算のまずは必要性をしっかり皆様に御納得していただく必要があるというふうに思います。特定の半導体産業の工場の誘致というものにこれだけの予算を注いでいくというのは、今までになかったことだというふうに思います。ですから、なぜこういう取組をしていくのか。

 私は、それは我が国を取り巻く経済安全保障をめぐる環境の大きな変化がある、これが大変に大きなことだというふうに思います。そして、半導体をめぐる産業の重要性というのももちろんあるというふうに思います。

 まずは、こうした経済安全保障の環境の変化を始め、政府がどう認識をして、この半導体産業の戦略的重要性についてどのように考えているのか、これをまず冒頭、お伺いをしたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 安全保障の裾野が、経済、技術分野に急速に拡大をしております。また、コロナ禍でグローバルサプライチェーンの脆弱性というのが明らかになりました。そういう中で、世界各国が、戦略的物資の確保、それから重要技術の獲得に向けて次々と政策を打ち出しているという状況にあるというふうに認識をしております。

 こうした経済安保上の重要技術、物資の中でもとりわけ重要なのが半導体でございます。半導体は、パソコン、スマートフォンといった情報端末のみならず、自動車、医療機器など、経済社会のあらゆる分野で使われております。デジタル化、それから脱炭素化のみならず、経済安全保障の確保の上でも、それを支えるキーテクノロジー、キーデバイスとなっております。

 近年、半導体の重要性が再認識されまして、主要国が巨額の予算を投じて、先端半導体の製造拠点の誘致合戦を繰り広げております。そういう中で、安定供給体制の構築、それから半導体関連技術の優位性の維持、獲得というのが我が国にとっても喫緊の課題となっているというふうに認識をしております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。必要性についての御説明をしていただきました。

 そして次に、萩生田大臣にお伺いをしたいんですけれども、半導体産業政策の目指す方向性、そして政府の戦略、これが確かなものであるかというのが、非常にこれを理解していただく上で大事だというふうに思います。

 先ほども少し御答弁もありましたけれども、世界を席巻していた日本企業の競争力、半導体に関してはやはり失われている部分が大きい。そういう今までの過去の産業政策の総括をしっかりしていく、同じような轍を踏んではいけないというのが、一点、当然あるというふうに思います。

 もう一つは、先ほど来議論になっておりますけれども、例えば、先端半導体を支援をするという形の議論をしておりますけれども、例えばTSMCが、今度日本に誘致をしているようなああいう工場、先ほどもありました。最先端分野というのはやはり、ロジック半導体でいうと五ナノとかそのくらいのレベルでありまして、今、日本が作れるのは四十ナノぐらいで、二十ナノ台ぐらいのものであっても日本は今作れない、だから非常に大事なんだ、こういう議論も先ほどありました。

 こうした、ここまで非常に差がある、逆に言うと、ロジック半導体に関しては非常に差がついてしまっている分野の中で、じゃ、果たして、こうした支援で国内の安定供給基盤をつくるというところまでは分かるんですけれども、じゃ、今後、世界に伍していくための、どうやって技術をキャッチアップをしていくのか、あるいは、どうやって世界に、競争力を本当に有していくような技術を身につけていくのか、こうした政府の戦略というところも非常に問われてくるかと思います。

 また、世界各国、本当に半導体の分野に桁違いのような支援、例えば、アメリカの半導体支援関連法案ということでよく例示で挙がりますけれども、約五百二十億ドル、今審議中ですけれども、五・九兆円という桁違いのような予算を世界では支援をしようとしている中で、今回、補正予算に六千百七十億計上はしておりますけれども、こうした世界各国が本当にしのぎを削っていく中で、今回、日本のやろうとしている取組で、この安定供給の確保、そしてまた世界に伍していく産業の復活というのが本当にできるのか、このビジョンがまさに問われているかというふうに思います。

 この今後の方向性につきまして、萩生田大臣から改めて御答弁をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生、我が党もそうですし、もしかすると政権もそうですし、日本の企業にもありがちなんですけれども、どこかで道を間違えたときに、脈々と続く組織というのは、どこで誰がどう間違えたのかというのは余りはっきりさせない文化が今までありました。

 しかし、私は、今回、勇気を持って、一九八〇年代からの失敗をしっかり糧にして、そして反省の上に立って戦略を立てないとまた同じことになるんじゃないかという問題意識の中で、先ほど長坂委員の質問に詳しく時系列的な失敗を様々申し上げたので、今回はちょっと省略させていただきたいと思うんですが、その反省に立った上で、主要国が今、巨額の予算を投じて先端半導体の製造拠点の誘致合戦を繰り広げているのはもう現実です。したがって、まずは半導体の製造基盤を整備するための大胆かつ総合的な支援というものを、海外の半導体トップメーカーと共同で製造技術の開発に国策として取り組んでいく必要があると思いまして、今回、このような仕組みをつくらせていただきました。

 今先生がお話ししていただいたように、例えば、新しい企業が熊本に来たとしても、それは二十ナノ台じゃないか、これを最先端と呼べるのかという御指摘があるんですけれども、そもそも、この十年以上、国内ではその二十ナノクラスを作れなかったわけです。自動車産業も含めて全て海外から輸入に頼っていて、このコロナ禍を経験して、サプライチェーンの国内回帰の必要性というものを改めて認識したわけですから、まずその二十ナノ台、必要なものはしっかり国内で作っていく。

 そして、その上で、四十ナノ台の職員しかいないところに、二十ナノ台の工場がなかった上に、一桁ナノの最先端工場を造れといっても、これまた難しい話でありまして、ここにやはり人を集めていく、技術を集めていくということを国策としてしっかりやっていきたいと思っています。

 そして、その上で、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、川上に戻って、人づくりからやっていかないと、これは間に合いません。しかし、基礎的なものは持っていますし、例えば、プログラミングですとかあるいはロボット技術なんというのは、これは世界に誇るものがあるわけですから、日本の強み、得意分野というものをしっかり基礎に持って、その上に半導体を理解していただける人材を育てることは、そんなに多くの時間が必要だと私は思っていません。どんどん育てることができると思っていますので、そういう皆さんに是非社会実装に参加をしていただいて、腕と技術を磨いていただく、知識を磨いていただくということをしっかり国として応援していきたいと思います。

 具体的には、十一月に実施した官民有識者による半導体・デジタル産業戦略検討会議において、我が国半導体産業復活に向けた基本戦略というものをお示しをしました。まずは、第一ステップとして、半導体の国内製造基盤の整備に取り組むこと。第二ステップとして、二〇二五年以降に実用化が見込まれる次世代半導体の製造技術開発を国際連携にて進めていくこと。第三のステップとして、二〇三〇年度以降をにらんで、ゲームチェンジになり得る、例えば光電融合などの将来技術の開発にも同時並行で着手していくこと。

 経産省としては、我が国半導体産業の国際競争力が低下してしまった現状を真摯に反省した上で、我が国半導体産業の復活に向けて、あらゆる政策を総動員してしっかりやっていく、そんな決意でございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。大臣からしっかりと方向性を示していただいたと思っております。

 法案の中身のもう少し具体的な部分の質問を何点かさせていただきたいと思います。

 法律上、特定半導体を支援をするということになっておりまして、ロジック半導体、メモリーやパワー半導体など、様々なものがあると思いますけれども、この法律全体でどういうものを支援をしていくことになるのか。あるいは、日本は、半導体工場そのものは非常に数は多いわけでありますね。しかし、ただ、非常に老朽化しているような部分も多くて、なかなか設備投資も行えていないという現状もあります。例えば、こうした工場への支援はどうするのか。

 先ほど大臣からもいろいろなビジョンを述べていただきましたけれども、今回の法案やあるいは補正予算、全体的に、半導体産業全体に対する支援の絵姿がどうなるのか、これについて確認をしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず、ステップ一として、今回の補正予算案に、本法案に基づく、先端半導体の製造拠点の国内整備を促進するための支援措置を盛り込んだわけでございますが、同時に、マイコン、パワー半導体、アナログ半導体などの、一たび供給が途切れると経済社会に大きな影響を与えるような半導体、これも、一部は設備の老朽化が進み、災害などに対する強靱性に懸念があることを踏まえて、製造拠点における設備の刷新に対する支援措置を盛り込んだところでございます。

 その他、ステップ二、次世代半導体の製造技術開発、これも、日米連携による二ナノよりも微細な最先端半導体の製造技術の開発を目指すということとともに、さらに、ステップ三、二〇三〇年以降をにらんだゲームチェンジとなり得る光電融合技術などの技術開発、そういうものに着手した上で、グローバル企業との産学連携のための体制構築を進めてまいります。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 もう一点、法案の関係で、法律の実効性の担保をどうしていくかということなんですけれども、設備投資に補助をしていく法律であります。認定要件として、需給が逼迫したら増産してもらう、あるいは研究開発に協力をしてもらう、こういうことになっております。

 党内の議論でも、どこまで実効性が担保できるのかという議論がありました。確かに、直接規制ができれば一番いいとは思うんですけれども、しかし、WTOなど様々なルールのことを考えると、こうしたスキームを取るのも難しいかなというふうに思います。

 他方で、それが、実際に多額の補助をして来てもらって、じゃ、本当にこれをやってもらえるのか。やってもらえないということであれば、これは非常に、何というか、困るというふうな状況にもなるというふうに思います。

 こうした実効性の担保については、政府としてはどういう仕組みで担保しようとしているのか、あるいはどう取り組もうとしているのか、これについても確認をしていきたいと思います。

古屋委員長 門松大臣官房審議官、簡潔にお願いいたします。

門松政府参考人 事業計画を申請する事業者には、法律に基づき、需給逼迫時の増産や生産能力強化のための研究開発について計画に記載していただくわけでございますが、政府は、その内容の適切性を審査した上で事業計画を認定する。その中で、例えば、半導体の需給が逼迫し、日本経済や国民生活に大きな影響を及ぼすおそれのある場合、増産協力に応じることを求めていく内容を盛り込みますし、生産能力強化のための研究開発についても求めていくということになります。

 仮に、事業者が認定計画に沿って増産や研究開発をしなかった場合、その要因が事業者の責任によるものであるかという要素も踏まえながら、認定の取消しや助成金の返還について総合的に判断をしてまいります。

中野(洋)委員 済みません、ちょっと中小企業庁に質問できませんでしたが、時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、大島敦君。

大島委員 大島です。

 今日は、三十分間、何点か質問をさせてください。

 これまで、経済産業省の皆さんには、久しぶりに半導体について勉強させていただいて、いろいろと教えていただいて、ありがとうございました。

 一九八七年に、西ドイツから、当時、丸の内の鉄鋼会社の本社に転勤になって、そのとき、輸出部には一人一台マッキントッシュが置かれていて、先ほど長坂委員の御発言でムーアの法則というのがあって、そういえば、私も、一人一台マッキントッシュ、自分でもマッキントッシュを買っていたものですから、年に一台ずつ、二十五万円で更新し続けたなということを懐かしく思い出しました。

 今回の法案の前に、通常国会のときに、半導体が逼迫しているという話を聞いて、最近の半導体の状況がどうだという話を経産省から伺いました。そのときに、てっきり、シリコンウェハーに回路を焼き付ける露光機、ニコン、キヤノンが一番だと思っていたんですけれども、今、オランダの会社が圧倒的なシェア、これはASML社ですか、圧倒的なシェアを持っているというお話を伺って、先般も、我が党の部会でこの法案の話を聞いたときに、日本資本主義の敗北だなと思いました。

 一回目の敗北と感じたのは、一九九五年に、当時私が属していた鉄鋼会社が二十億円のシリコンバレーのハイテクベンチャーに投資をして、それが二千億円まで大きくなって、株主総会に出たことがあります、マウンテンビュー、今のグーグルの本社のあるところ。同じように平家で、カフェテリアで株主総会が行われて、そのときに、私の斜め右かな左かな、ネクタイを締めた小学生が二人いて、二千億円の、マックラーケンという、当時としては著名な経営者の方がプレゼンした後に手を挙げまして、おたくの会社のインディゴというワークステーションのマーケティング戦略を聞かせよと言って、二千億円の社長がとうとうと答えていくんです、株主ですから。そのときに、日本の公文式では勝てないなと。日本の資本主義の敗北を、一回目、感じたんです。

 このビジネスは、そういう子供の頃からのちゃぶ台での話が事業とか金利とか投資という、そういうふうに鍛えられないとなかなか難しいのがこういう分野かなと思っていまして、今回、政府参考人に伺いたいのは、まず、NEDOに基金を積むということなんですけれども、幾らぐらいの基金を積むかについて、手短に、簡単に答弁をお願いします。確認の答弁をお願いします。

野原政府参考人 NEDOに六千百七十億円の基金を積む予定でございます。(発言する者あり)(大島委員「もう一回大きい声で」と呼ぶ)六千百七十億円の基金を積む予定でございます。

大島委員 大臣、六千百七十億円ですから、税がこれだけ投入されるわけですよ。税がこれだけ投入されて、これは助成金ですからリターンはないわけですよね。金利負担も、これも国が見ることになっていますから、借入れした場合に。ですから、国の税が投入されるので説明責任は求められると思う、国民に対して、あるいは議会に対して。

 その点について、まず、政府参考人が答えられるようですから、どうやってこの説明責任を果たすのかについて御答弁願えますか。そんな難しくないです。

萩生田国務大臣 本法案は、我が国における先端半導体の安定供給体制を構築するため、先端半導体の製造拠点の整備を促進する支援の枠組みを設け、民間事業者による投資を後押しするものであり、例えば赤字補填を国が行うものではありません。

 半導体ビジネスにおいては、一兆円規模の初期投資を行った後、そこから上がる収益を使って追加投資に充てていくことで、その数倍の投資に拡大していくことが特徴であり、将来的に大きな投資効果が表れるものと期待をしております。

 また、数千人規模の新規雇用創出に加え、周辺産業を含めたエコシステムの集積や、増収、増加を含めた地域経済への波及など、更なる経済効果が期待されます。

 今後、この法案の成立後に支援スキームの詳細を検討していくことになりますが、法令の認定基準や補助金の交付条件についてはいずれ公表することになります。また、計画を認定したときも、その概要を公表することになっておりまして、経産省としては、本法案の内容やこれに基づく計画の必要性などについて、国民の皆さんに十分に御理解いただけるように、このキックオフがされましたらしっかり説明をしていきたいというふうに思っております。

大島委員 今回、法文上は書いていないですけれども、TSMC社に助成するというのは、そういうスキームでよろしいですか。政府参考人に聞きたい。具体的な会社名について言えるかどうかについて、答弁をお願いします。

野原政府参考人 法案が実際に成立した上で、認定基準に沿って申請が出てきた上で、審査をして支援決定をいたします。そういう意味で、現時点で、どこということは、支援決定が決まっているものはございません。

大島委員 我が党、賛成しますから、御安心ください。

 半導体のビジネスは本当に日本の経営に合うかどうかというのは、私、ずっと考えておりまして、多分合わないから日本の中から半導体産業が育たなかったのかなと思っています。やはり、一千億円なり三千億円なり五千億円を投資するという判断を瞬時にしないともたないのが半導体ビジネスで、五、六年で回収するということになります。日本の大手の会社のように、社内の合意形成で半年、一年、二年、三年かかるようなビジネスではないと思っている。

 ですから、その点についてまず伺いたいのは、半導体ビジネスで、TSMC社、今、政府参考人は答弁できないということをおっしゃっているんですけれども、このTSMC社は合弁を嫌う会社ですよね、これは。単独で工場を運営してきている会社で、これは、僕はそのとおりだと思うわけ。政府のお金を入れるというのは、国民に対する説明責任が必要だから、私たちとしては、これが正しいかどうか聞かなければいけないんだけれども、会社としては、そこまで経営に口出しするのかよということになるわけですよ。ここのバランスが取れるかどうかということなの。

 報道によると、ソニーなりデンソーなりが出資に入るなんて書いてあるんですけれども、そういうことだって嫌がるかもしれないよね。ある一面でも出資しないと、我が国に対して、あるいは四千億円、その半額を助成金として交付したにせよ、それに対してのTSMC社からの説明がない状態だってあり得るので、その点、どうやってバランスを取るのか、お考えがあったら教えていただけるとありがたいんです。これは大臣答弁をお願いしているので、多分あると思うので、よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 まず、前段の、先生御指摘になった、迅速な経営判断というのが極めて必要な業界であることは私も同意します。したがって、失敗した企業がたくさんあったんだと思うんですね。

 逆に言うと、今残っている企業は、短期間での回収を、スキームをきちんと持って頑張っている企業でありますから、まずそういう皆さんが、生き残っていただいた皆さんが先頭に立ってもらって一緒に仕事をしていきたい、そういう思いを持っています。

 今回、TSMCについては、先ほど局長から答弁されたように、まだそこに支援をすることは決まっていませんので、仮にということでお話しさせていただきたいと思いますけれども、企業の形態に関しては事業者間で判断がされると認識しておりますので、そこは私がお答えする立場にございませんけれども、一般論として申し上げれば、製造事業者と想定される需要家が連携して事業を実施することで供給先の安定確保といった効果も想定されることから、十分にあり得る選択肢と考えられます。

 また、本法律で認定された事業者については、支援対象の半導体の供給が逼迫し、日本経済や国民生活に大きな影響を及ぼすおそれがある有事の場合には、必要に応じてその半導体の増産協力を求めていきますが、平常時においては、その自由な企業活動を阻害することなく、事業者自らの経営判断で生産を行っていただき、御指摘のバランスにも配慮しながら制度を執行していくことになると思います。

 私も、その熊本の案件については最終的な形は存じ上げていませんけれども、いずれにしましても、海外企業が工場を造るのではなくて、日本に新しい法人ができるということを前提に準備をしているというふうに承知をしています。

大島委員 説明を伺う中で、今回、八千億から一兆円の工場ができたとすれば、引き続き、工場ができて波及的な効果があるとも聞いているんですけれども、なかなかそんなにうまくいくのかなとも思うところがあるんです。

 この半導体のビジネスは、やはり今大臣がおっしゃられたように、そういう説明を嫌う。瞬時の経営判断で、要は、民間企業側も半分出資するとすれば、そのリターンを回収しなくちゃいけないので、瞬時に変更だってあり得ると思うので、なかなか、今回のこの法案のスキームで正しかったかどうかなというのを今回お話を伺いながら思った。もっと違う資金の出し方があったかもしれないなとも思う。会社側にとっては使いづらい感じがしますよね。もしも、このTSMC社の日本への工場の誘致を考えるんだったら、ほかのスキームがあるのかなとも思いました。

 それで、もう一つは、日本の電力コスト、高いです、これは。日本の電力コストは極めて高くなっていて、中国の立地を選ぶのは、中国の電力コストが安いから立地条件として中国を選ぶところがあります。

 経産省は、ミドルレンジの製造技術の導入から始まり、追加投資を期待していますが、電力コストが高い日本の環境下において、今回の支援が呼び水となって追加投資される見込みがあるのか。将来像が計画どおりに終わらないというリスクもあるのではないかなと思うんですけれども、経済産業大臣として、日本の工場の立地、産業の立地条件について、今後整えていく必要があるのかなと思うんですけれども、ちょっと御答弁願えますか。

萩生田国務大臣 御指摘のように、日本の場合は、工場に限っても、電力が非常に海外と比較をすると高い、したがって、でき上がるまでの生産過程の経費が異なるということで、海外で勝負しづらいというのは、これは半導体に限らずあることだと思うんです。

 あわせて、よく物づくりでは水が必要になって、地下水を存分に使える自治体もあれば、取水を止めている自治体もあったり、あるいは、川からの水を蒸留して使うことを認めている工業地域もあれば、それも認められないところもありますので、国内に立地をするといっても、様々条件が異なっていると思います。

 それで、じゃ、その業界だけ電力を下げるということが、果たして他の産業と比較したときに国民の皆さんの納得をいただけるかという課題がありますので、私も、国際的な競争をしなきゃならない分野については何らかのアドバンテージというのは与えていってもいいのではないかという思いがある一方、様々な産業が同じ条件で物づくりをして、売り先の国が同じだったりする場合に、Aという製品は国の保護があって、Bという製品は全く自前で裸で勝負してこいというのもこれまたちょっと気の毒な気がしますので、これはまさに、これからの産業構造を考えるときの、次のステージに行く大きな課題だと私は思います。

 コロナのせいにするつもりはないんですけれども、コロナがなければまだこういう感覚すら持てなかったのかもしれないので、世界のフェーズが変わっているということをしっかり認識した上で、必要な、特に経済安保上必要なものなどはこれから違う応援の仕方をしていくことになると思いますので、こういうのも含めて、国内の産業育成というものの在り方というのはしっかり検討を加えていきたいと思っています。

大島委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 時々中国に行っていまして、三年前に三十年ぶりにシンセン、ジェトロにも大分お世話になって、三泊四日間でとことん見せていただいて。三十年ぶりのシンセンだったので、なるほどだなと。三、四十年前、日本の精密機器メーカーが大挙して工場を造って、日本の物づくりを中国の方に全部教えて、その上にハイテクベンチャーが、シリコンバレーが乗って走っているというのがあの国で。去年の一月も、中国、これは、北京とロックダウンの前の武漢と、そして香港。

 ですから、中国の電力料金なりは、今後やはり原子力発電所を計画どおり造っていくので、電力コストが物すごく安い国になると思います。ワーカーの質、働いていらっしゃる方の質も高いので、結構脅威になってくると思う。ですから、今後の日本の産業を考える場合には、産業のコストをどういうふうに置きながらどういう産業が立地できるのか、半導体が今後しっかりと日本で製造し続けられるのかどうかというところも含めて検討しなければいけないなと思っているの。

 それで、先ほどの露光機の話に移るんですけれども、今、日本の露光機メーカーではなくて、オランダの露光機メーカーが一番微細なものを作っている。これについては、ちょっと研究の方法が、先ほど御答弁にもあったと思うんだけれども、会社が単独でやるのではなくて、EUとしてやっているのか、ベルギーがやっているのか、ちょっとその研究開発の仕方が違うと思うので、その点について簡単に御説明ください。

門松政府参考人 お答えいたします。

 ASMLの成功要因として、いろいろな指摘があるんですが、装置、材料メーカーを含めた世界中の半導体関連企業が参画して、また、欧州の政府関係機関も支援するベルギーのIMECというところで共同研究を行って、イノベーション力の向上を図るとともに、露光装置のモジュール化を通じて、インターフェースをオープン化する戦略を取ることでプラットフォーマーになって、多数の協力企業とともに効率的かつスピーディーに装置を量産するエコシステムを築くことに成功したというのが一つの要因だというふうに認識をしております。

大島委員 大臣、半導体、巨額な三千億円なり五千を瞬時に判断しながらやっていくというのは、私が当選してからずっとこの二十一年間、日本社会は、働いている人口の中でサラリーマン割合がどんどんどんどん増えている国なので、なかなかなじまないんですよ、私たちの国の大企業の経営判断には。

 ですから、この露光機なり、こういう半導体を支える製造装置に特化した方が何か競争力とか経済安保に資するんじゃないかと思うんですけれども、その点は質問通告していないので求めませんけれども、私はそういうふうに思っています。

 このビジネスは、国の税を入れるには結構、今回の法案に大臣なり担当局長、審議官の裏書ぐらいがないと、なかなか大変な法案だと思うの。その中で、そのような研究開発の拠点をつくる思いがあるかどうか、大臣、政府参考人でもいいけれども、聞かせてくれるかしら。

野原政府参考人 ヨーロッパのIMECの例、あるいはアメリカのニューヨーク州がやっているアルバニーの例というのは大変参考になると思います。オープンイノベーションの拠点を整備して、そこへ世界中から研究者を集めて、新しく研究開発をするというのは非常に参考になると思います。

 文科省に、今回、半導体の関係で三十億円、補正予算で計上いただきましたけれども、文科省とも連携して、オープンイノベーションの研究拠点というのは、半導体についてですね、形成できないかというのは取り組んでまいりたいと思っています。

大島委員 経産省にIMECについて教えてほしいと言ったときに、届いた資料が株式会社NTTデータ経営研究所で、四年前の資料で、なかなかNTTは優れているなと思いました。

 先ほど話が出ている光電融合技術ですか、私は、NTTの皆さんに、時々中央研究所にお邪魔しているものですから、つまらないという話を時々させていただいていまして、つまらない、一九六〇年代の技術で俺の人生が終わるのかと。一九六八年の、マウスを発明したダグラス・エンゲルバートのあの伝説のプレゼンテーションの、あのグラフィカルユーザーインターフェースのこの延長上で俺の人生が終わるのかと言っていたら、いや、違います、IOWNというのがあるといって、今年説明を受けて、これはいいと瞬時に理解しました。

 全てをシームレスに光で結んだときに、インターネットの次の環境が整うわけですよ。一九六〇年代からずっと使ってきたこの、ムーアの法則も飛んでしまうわけですよ。ここに今回、経産省が一千百億円ですから、そのうち何%ぐらい行くのか分からないけれども、これは是非、国家プロジェクトとして、大臣、やってほしいの。このくらいの技術ですよ。

 これは、NTTはAT&Tの分割をよく研究している。AT&Tは、何人もノーベル賞を出したんだけれども、企業分割の過程で中央研究所を分けたことによって研究開発力が衰えたんです。NTTは、その反省に立って、ホールディングスの下に中央研究所をつくることによって、そこに資金を投じながら、基礎研究からずっと育てて、二十年、三十年かかってようやくここまで来ている技術なの。これは他国にはまねできません。我が国の経営だからできることなの。

 これは量子暗号もそうです。NICTの佐々木先生、何年か前からつき合っていて、彼も二十数年間かけて衛星量子暗号の領域で、中国、日本、アメリカと話せるような領域。

 ですから、研究開発は瞬時じゃできないんです。こういう長い研究開発に対して、是非、大臣の方からも、文科大臣もされておりますので、ここには、民間だけれども、この研究開発にお金を注いでいくということを是非お願いしたいんですけれども、御答弁をお願いします。

萩生田国務大臣 先生から御指摘のあった光電融合について、今回初めて国として一部研究費用を支援をするというスキームをつくらせていただきました。

 まさにインターネットの次の時代というのを見据えて、インターネットそのものももちろん今デジタル社会できちんと使っていますけれども、この光を活用した新しい仕組みというものも、各国、様々な企業が参加して今研究を始めましたので、これはまさしく国家戦略の一つと位置づけて、しっかり応援をしていきたいと思っています。

 先ほど、周辺産業は強みを持っているけれども、半導体はやめておいた方がいいんじゃないか、簡単に言うとそういうような御指摘だったかもしれないんですが、その周辺産業の強みがあるからこそ、半導体作りもやることでフィールドが国内にできます。文字どおりプラットフォームで、かつてのような日の丸主義にこだわらないで、国際企業の皆さんとも共同しながら技術を磨いていきたいと思っていますし、今お話のあったような新しい技術というのは、イノベーションがこの国の唯一の手段だと思っていますので、そこは今までも文科大臣として、人への投資、科学技術への投資をやってきました。今度はそれを社会実装につなぎ、新しい産業を生み出すということをしっかりやっていきたいと思っていますので、これは大胆に投資を続けて、しっかり結果を出していきたいと思っています。

大島委員 半導体産業を否定しているように受け取ったようでしたら、済みませんでした。否定しておりませんので。

 東芝のNAND、今のSSDにつながるものとか、非常に特殊なものはいいものを持っています。ですから、大量に多くのものを作ることが、なかなか、日本の経営体質の中で合うかどうかという問題を提起させていただいているので、そういう問題提起に合うような企業体質に変えて、日本の資本主義がしっかりとした強い資本主義になっていただければ、私もそれはすばらしいことだと思っていて。

 ただ、日本の強みというのは、地道にこつこつ研究開発をし、かつ、半導体の製造技術については露光機以外でも競争力を持っている会社は多いものですから、そういう産業は育成していくということが必要で、先ほどもお話があった、やはり一九九〇年、MITが一冊本を出していて、「メイド・イン・アメリカ」、一九八〇年代でどうしてアメリカの製造業が衰えてしまったかという反省に立って書かれたのが「メイド・イン・アメリカ」。これで、二年間かけて世界中取材をして、日本、欧州、そしてアメリカ、どうやったら産業競争力がつくか。まさに今そういう時代に多分日本も入っているという御発言かなとは思うので、その点は、経産省の皆さんのもう三十年ぶりの仕事かもしれないので、是非お願いします。

 それで、大臣にお伺いしたいのは、半導体の、主務省令だと、今後、六千百七十億円にとどまるか、更にこれが追加があるのかどうかについての御答弁をいただければと思います。

萩生田国務大臣 今般の補正予算において、先端半導体の製造拠点整備のために現時点で必要な予算額を措置をさせていただきました。

 ただし、これは一般論として、情勢の変化などにより我が国の先端半導体の安定供給体制構築のために真に必要な場合には適切に判断していきたいと思いますし、またあわせて、研究費についても先生触れていただきました。まさしくさっき申し上げたようにオール・ジャパンで、トータルで産業育成をしていこうと思っていますので、これはあくまで第一ステップ、まさに反撃ののろしを上げたところでございますので、これからしっかり予算も積んでいきたいと思っています。

大島委員 今回の法案なんですけれども、役所と、全体としての熱意が伴った方がいいと思っていまして、経産省の法案というのは結構役所の方の思い入れが強く入った法案が多かったなと思うんですよ、これまでは。やはり個性的な役所の方が政治家をぐいぐい引っ張って法案を担ぎながら産業を伸ばしていこうというのが経産省の体質かなと思うんだけれども、今回の法案もそういう体質の法案で推進力があるかどうかについて、大臣、御答弁をお願いします。

萩生田国務大臣 第三次産業革命、そして第四次産業革命において中核的な役割を担ってきた半導体は、今後の人類の発展に不可欠な存在だと思っています。五十年後の我が国が他国に依存することなく産業の脳でもある半導体を自ら確保できるか否か、日本人がより豊かなデジタル社会を享受できるか否かは、まさに今を生きる我々の世代に懸かっていると思っています。

 こうした認識の下、我が国半導体産業の国際競争力が低下してしまった現状を真摯に反省した上で、ここが私、ポイントで、先ほどから力説しています。経産省自ら過去の失敗をきちんと認めて、そして、問題点を洗いざらい出した上でしっかりやり直しをしていこう、しっかりこの半導体については省を挙げて頑張ろう、こういう決意で臨ませていただきます。

 私も文科省から経産省に来て、霞が関というのは役所ごとにこんなに文化が違うのかというぐらい、職員の人たちも意気に燃えています。早く帰れと言うと怒られるぐらいにこの半導体分野の皆さんは頑張っていまして、文科省はチャイムが鳴るとまたあしたという文化なんですけれども。

 そういう意味では、もう本当に皆さんと一緒に、ここは、私もこのために大臣になったんだ、このくらいの自負を持って臨ませていただきたいと思います。

大島委員 最後の発言になるんですけれども、我が国の科学技術の発展というのはなかなか制約があると思っていまして、先ほど申し上げました技術も、大体、安全保障を中心としながらできている技術です。半導体も、これもスプートニクが打ち上げられた後にアポロ計画として使われたのが半導体技術ですので、なかなか民間に任せておいても、民間で推進力を持つかというと、持たないと思っているの。だから、やはり、政治の側である程度領域を決めながら、この領域だといって進んでいかないと、ついてこないところがあると思います。

 ですから、先ほどのNTTのIOWNというのは、これはなかなか私が見ても面白いと思っていて、特に経産省にお願いしたいのは、一九八〇年代、これが、先ほどの日米の貿易摩擦の中で、TRONが、BTRON、ビジネス向けのTRONがうまくいかなかったんですよ。これで日本のグラフィカルユーザーインターフェースができなかった。今回しっかりと、うまく、多分、NTTさんはコンソーシアムを組みながらやっているのでそれはないと思うんだけれども、是非その点、他国から言われないように守ってくれることを心よりお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 ありがとうございます。

 まず、こういう機会をいただきまして、大変ありがとうございます。今回、生まれて初めて委員会に所属し、そして初めての質問をさせていただきます。

 まず、その意味でも、自己紹介から少しさせていただきます。立憲民主党の荒井優でございます。北海道三区になります。

 その初めての者がどうしてこういう場で半導体の件について質問をさせていただくのかということで、少しその出自に関しましてもお話をさせていただきますと、約八年ほどソフトバンクの社長室に勤めていましたが、その後、二〇一六年に、祖父がつくった学校の立て直しのために、札幌の私立の学校の校長に、二〇一六年に着任をいたしました。

 潰れかけている私立高校でしたので、二〇一六年、今からまだ六年前ですけれども、学校の先生に一人一台パソコンが配置されていなかったんですね。学校には六台だけウィンドウズの古いパソコンがありまして、そのパソコンで先生たちが試験問題の作問をしていましたが、先生方には一人一台パソコンが置いていない状況で仕事をしている状況に、その学校の立て直しと再建のために、当時四十歳ですが、校長として着任しました。

 ソフトバンクみたいな非常に先端的な働き方をしている会社から行きましたので、一人一台パソコンがない中で働くという、ちょっと古い時代の働き方は大変だなと。先生たちの働き方の問題もありましたので、その当時、ないお金を何とか工面をして、先生たちに一人一台、グーグルのクロームブックという安いパソコンを先生たちに与えて、そこから少しずつ、まさに学校のDXを行っていきました。

 一年一年DXをしていく中で、生徒たちにも一人一台iPadを配ったりしていく中で、ちょうど二年半前になりますけれども、コロナが、北海道では、当時の鈴木知事が日本で最初に緊急事態宣言を発令いたしましたので、その二日後からは、学校全体にもう既にパソコン、iPadが普及していましたので、すぐにオンラインの授業に切り替えて、完全にデジタル化をした形で、当時の緊急事態宣言に向き合うことができたというふうに自負を持っております。日本で一番最初に、あの当時、オンラインの授業を即実行できたというふうに思っております。

 かように、やはりデジタル化というものは、非常に今、昨今問われているんだと思いますが、昨年、去年ですね、萩生田大臣が文科大臣の際には、まさにGIGAスクールという形で、一気に学校にも、公立の学校にも、小学校、中学校にも一人一台のパソコンを配ることになったんですが、このときに、実はすごく学校現場で課題になったのが、まさにこの半導体の不足によって、なかなかパソコンや、特にiPadが調達が難しくなって、予算はあるんですけれども端末が手に入らないということで、文科省やまた行政機関が大変苦労していたというのを伺っております。その意味でも、やはり半導体というのは非常に大切なものなんだというのを感じておりました。

 今日、まさにその半導体を、この日本の半導体をこれからどうしていくのか、そういうことに対して質問をさせていただくこと、この経産委員会という歴史と伝統ある場で質問させていただくのは大変光栄であります。

 私自身は四十六歳になりますので、ちょうど中学生のときに、当時NHKで「電子立国 日本の自叙伝」という番組がございまして、たまたまその番組をNHKの、たしか日曜日の夜だったと思いますけれども、毎週興奮しながら見たのをよく覚えています。非常に、日本の技術者が工夫と改善をしながら世界の中で活躍をして、まさにトランジスタとかメモリーみたいなものを、すごく頑張っているんだな、やっぱり大人って格好いいななんということを、中学生ながらに、見て思ったのをすごく記憶しております。

 そういう中、僕自身も少し関心を持ちまして、いろいろな、中学生、高校生になって、本を読んだりしたんですけれども、ちょっと、本当は青い表紙なんですけれども、ここにあります「メイド・イン・ジャパン」という、これはソニーの盛田さんが一九八六年に書かれた本なんですけれども、こんな本も、中学生、高校生ながら少し読んだりしたことを、今回半導体の話をするということで、少し読み返しました。国会図書館でお借りしましたので表紙がないんですが、本物というか、表紙は青い、非常に当時ベストセラーになった本だと伺っていますので、ここにいらっしゃる皆さんも読まれた方があるかと思います。

 そこの一節に、こんな一節がございます。実は、ソニーを設立する井深さんと盛田さんが、特に盛田さんが、アメリカに行って、ウエスタン・エレクトリック社というところからトランジスタの特許を買い付けるというところから始まって、これを是非買って持ってきたいと。そして、日本にこの技術を持って、当時ソニーは東通工という名前でしたけれども、東通工としてこれを購入したい。その支払いの額が当時のお金で九百万円で、この外貨を、まだ戦後すぐでしたので、当時の通産省に許可を得ないと九百万を使うことができないので、通産省の承認が必要だということで相談をしたというふうに書いてあります。その一節を少しだけ読ませてください。

 「通産省の役人にとって、トランジスタはあまりに耳新しく、その必要性を認識している者などいなかったから、許可を与えるのに積極的ではなかった。さらに通産省は、東通工」、今のソニーのことですが、「のような小企業が、最新技術を取り扱う大事業をやりとげられるはずがないと考えていた。はじめ彼らは、断固として譲らなかった。」、こんなことが書いてあります。

 今日、先ほど萩生田大臣からも、一九九〇年以降の日米半導体摩擦における、それ以降、僕がまさに「電子立国 日本の自叙伝」なんかを見たその後に関して、日本の産業政策としてうまくいかなかった、そこをしっかりと認めていこう、そういうお話をされていましたが、でも、盛田さんのこの一節なんかを読むと、実は最初から、当時の通産省、産業政策として、半導体というものに関してはしっかり目を向けてこられなかったんじゃないか、そして、これをしっかりと築き上げてきたのは実は最初から民間企業だったんじゃないか、しかも、当時のソニーのような、非常に小さなベンチャー企業だったんじゃないかというふうに思っております。

古屋委員長 荒井優君、物品の提示は理事会の許可を得ることになっておりますので、御注意ください。

荒井委員 失礼いたしました。申し訳ございません。ありがとうございます。

 その意味でも、産業政策におきまして、日米半導体貿易摩擦にかかわらず、最初から半導体における産業政策というものが日本に余りなかったんじゃないかというふうに思いますが、この辺、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体の需要の立ち上がりの時期にトランジスタラジオをソニーが売り出されまして、それが、家電で半導体が非常に使われるという、半導体の主な需要として最初に立ち上がったのが家電でございまして、その最初のところをつくられたのがソニーの方だというのは歴史として承知をしております。

 その後、超LSIの技術研究組合というのを、当時の通産省が関係の電機メーカー数社と共同で行いまして、この技術開発が、次のステージで、半導体について日本企業各社が世界シェア五〇%以上を取るというふうな局面につながったというふうに歴史としては評価をされているというふうに承知をしております。

 それが、ある種、日米貿易摩擦のテーマとして半導体が取り上げられる契機となりまして、日米半導体協定で、輸出の自主規制でございますとか、あとは、日本のマーケットにおける海外半導体のシェアを拡大しなきゃいけないということで、二〇%に、当時は八%ぐらいだったんですけれども、それを二〇%にしなきゃいけないという目標などが設けられて、日本の半導体産業が次の局面、パソコンやスマートフォンの局面で負けていく、最初の転換点になるところがそこだったというふうに認識をしておりまして、その辺のところからの失敗の歴史を先ほど萩生田大臣からも御説明があって、反省の歴史だということで御説明をしたということでございます。

荒井委員 まさに、半導体業界の方々に言わせると、日本の政府は、その当時の日米半導体協議においても、どちらかというと自動車の方を優先をして協議を進めたので、逆に半導体は、当時はまさに経済の米みたいな感じの言われ方をしたそうですけれども、逆に、自動車を取ったことによって半導体を守ってくれなかったんじゃないか、そんなことをこの時代になっても言う人がいるんだな、そんなことを今回僕も勉強させていただきました。

 その意味でも、今回、改めて日本政府が、経済産業省がこの半導体のことについて逆にプッシュをしていくということに対しては、業界としても逆に大きな期待もしていることなんだというふうにも理解をしております。

 続いて、経済安全保障という文脈において御質問したいと思います。

 十月十四日に、岸田総理が、TSMCの日本の進出についてこう述べられています。我が国の半導体産業の不可欠性と自律性が向上し、経済安全保障に寄与すると。先ほど冒頭に大臣からもお話があった文言になりますが、まさに経済安全保障なんだということが、今回の法案の大きな一因になっております。

 先ほど来、このTSMCの持っている技術、二十二ナノ、二十八ナノのミドルレンジのロジック半導体、そんな言われ方をしていますが、このナノという単位が非常に小さ過ぎてよく分かりにくいんですが、今有名なコロナウイルスが百ナノぐらいの大きさですので、今、日本では四十ナノ、五十ナノの生産しかできず、そして、今世界で最も汎用性のある二十二ナノ、二十八ナノの半導体は、日本国内ではメーカーはまさに作ることができなくなっている、そして、最先端のTSMC等では三ナノまで作れるようになっているという、これがまさに世界の競争で、そこにまさに負けてきたということではありますが、まさに十年前の技術と言われている最も汎用性の高いこのミドルレンジのロジック半導体、ここを日本に誘致するためにいろいろと、今回、経済産業省、政府挙げて頑張っているんだと思います。

 先ほど大島先生からも質問がありましたが、アメリカや中国でもTSMCは進出して工場を造っていますが、ここにおいては単独で造っているわけですが、なぜ今回、日本では合弁という形を取っているんでしょうか。

 その中で、今回、ソニーの子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズというところが既にもうニュースリリースを発表していまして、TSMCと合弁会社をまさに熊本の菊池郡菊陽町でつくるという形を言っているわけですが、なぜこのソニーの子会社との合弁が必要だったのか、その点についてお教えいただければと思っております。

門松政府参考人 まず、個社の企業戦略や個社間の契約内容についてコメントする立場に政府はございませんが、その上であえて申し上げるとすれば、TSMCとソニーは長年にわたって取引を行ってきたものだと承知をしておりまして、双方の信頼関係が築かれているからこそ、TSMCが日本工場の設立に当たって、両企業による合弁会社という形式が取られたものだというふうに認識をしております。

 その上で、一般論として申し上げれば、製造業においては技術情報はビジネスの根幹でございます。取引を行う企業間において、技術情報の管理やその知財の取扱いについては契約で厳格に取決めがなされておるものだという認識をしておるところでございますが、政府としても、技術流出の防止の観点では、本法案に基づいて認定する際に、外為法であったりとか、不正競争防止法を始めとした国内法令の遵守であったりとか、技術上の情報管理のための体制整備を事業者に求めることとしておりまして、認定後もこのような取組を継続的に行ってまいりたいというふうに思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 実は、このTSMC社が合弁をするソニーセミコンダクタソリューションズ、SSSといいますけれども、この会社は、まさに先ほども質問にありましたけれども、日本の、この半導体の技術の中でも、世界のトップシェアの五〇を持っている。まさに、見る仕組みを持っているわけですね。CMOSセンサーというふうに言われますけれども、このCMOSセンサー。

 そして、SSSが持っているこの技術は、まさに、このTSMCが作るロジック半導体とこのCMOSセンサーを貼り合わせる、ここの技術において、これは今、誰もまねができない仕組みなので、五〇%のシェアを持っているというふうに言われています。当然、TSMC社でも、同じようにこのイメージセンサーを貼り付ける技術は持っているんですけれども、それが今、世界では、ソニーしか、この子会社しかやれないということで、世界のシェアを五〇%持っています。

 まさに今、半導体が非常に増えてきているのは、例えばEV、電気自動車になってきたりする中、また、今の普通の一般の内燃のエンジンの自動車でも、例えば、その見る技術がどんどん進化してきているわけですね。トヨタや日産も、例えばミラーを全て、これを、見る技術を入れて、全てデータ化しようというふうにしているわけですね。

 まさに、実は、この見る技術、例えばああいったカメラとかも含めて、非常に重要になってくるものなわけですが、これは実は日本のまさに経済安全保障とも言えるような、とても虎の子の技術なのではないかというふうに思っております。

 例えば、先ほど来、一九九〇年から、当時、全てのシェアが五〇%あった日本の半導体産業が負けていく一つの要因には、この工場を各地で、例えばアジアの各地で合弁で造る中で、結果的には技術が、移転するという言い方が正しいか分かりませんけれども、そういう意味では、どんどん工場を各地で造っていく中、まさに技術がどんどん、人材も育っていく中で、その地域で、例えば台湾、例えば韓国で、そういった人材や会社が育ってきたということもあるんじゃないかと思いますが、まさにこのTSMCと合弁会社をソニーがつくることによって、ソニーが持っている、それは日本が持っているとも言えるのかもしれませんが、こういった最先端の技術というものが、まさに知財が流出するみたいなことがないんだろうか、そして、そういう可能性のあるところに補助金が出ることはいかがなのかというふうに思っていますが、いかがでしょうか。

門松政府参考人 今回のその合弁の企業に関しては、日本法人でございます。外為法が適用されるということでございまして、先ほども申しましたが、技術流出の防止の観点で、本法案に基づいて認定する際に、外為法を始めとした国内法令の遵守、また、技術上の情報管理のための体制整備を事業者にきちんと求めてまいりたいというふうに思っております。

荒井委員 まさにソニーの持っている技術がこれからも世界を席巻していくように、そういった、これもまた経済安全保障だというふうに思っておりますので、是非、日本政府も日本の企業のバックアップを引き続きお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、こちらは萩生田大臣にお願いしたいと思っております。

 先日、萩生田大臣も、熊本の、まさにこのソニーの子会社がある菊池郡菊陽町の方に行かれて、工場の立地するかもしれない場所の見学をされたというふうに伺っております。

 僕も佐賀県で学校運営もしていますので、実はこの菊池という場所は、九州の中ではとても有名なところでして、まさに南北朝時代の、南朝の英雄の菊池武光とかそういった人たちが活躍した場所であり、その当時は九州の本当に中心地でもあったというふうに言っても過言ではないんじゃないかというふうに思いますが、でも、一方では、今の時代には少し、熊本のベッドタウンでもありますけれども、少し離れたところかもしれません。人口は確かに少しずつ増えてはいるんですけれども、そういうのどかな地域ではあります。

 ここに三年後から、まさに、今の発表内容によりますと、工場が立地されて、三年後から生産が始まるというふうに言われていますけれども、ここの工場に千五百人の先端技術に通じた人材の雇用を創出するというふうに言われていますけれども、実は、もはや、今既に、この熊本のかいわいでは千五百人の人をこの新工場に連れてくることが非常に困難なのではないかという、まさに人材不足を懸念する声が非常に広がっていますけれども、大臣、まさに文科大臣として、こういった人材育成、先ほどのお話もありましたけれども、今の人材育成、人材を供給するというところに御不安な点、若しくは、ここをどういうふうに埋めていくのか、もしも政府としてのお考えがあれば、是非お聞かせください。

萩生田国務大臣 まず、先端技術を取り扱う高度な人材育成には、国と地方、産業界と教育界、官と民、まさに一体となって取り組むことが必要です。

 確かに、じゃ、熊本に半導体を理解できる人たちが千五百人、新たな人材としているのかと言われると、現時点では難しいのはそのとおりなんですけれども、昨日、文科大臣も予算委員会で答えていましたけれども、私、たまたま高専学校のことを今申し上げているんですけれども、高専に半導体のカリキュラムを乗せることはもう決めましたので、しっかり勉強してもらいます。一口に勉強といっても、プログラミング等々をやる人と技術的なことをやる人と両方必要なわけですから、ここはもうしっかりやっていきたいと思っています。この人たちが五年間で卒業した後に、更に、例えば熊本大学に編入できる、こういう仕組みも一気につくろうということで今準備をしているんですけれども、それを、多分私に答弁を譲ってもらったがゆえに、文科大臣は熊本の工業高校の説明をしていました。

 高専の卒業生もそうなんですけれども、熊本県下の工業高校の卒業生も圧倒的に県外に就職しているんですね。要するに、人材がいないんじゃなくて、働き場がないんですよ。特に、私も現場へ行ってきましたけれども、すごくいいところですけれども、これは我が党の坂本哲志さんという方の選挙区なんですけれども、もうその先は牛しか見えないような状況なんですね。

 したがって、こういう分野で働く人たちを今まで戦略的に育ててこなかったという問題があると思いますので、私は、県もすごく熱心ですから、県と一緒になってカリキュラムを変えていけば、いかようにも、こういう周辺産業で働ける若い人たちを育てていくということは十分可能だと思っていますので、その点はそんなに心配をしていません。

 加えて、熊本にとどまらず、今、佐賀のお話もしていただきましたけれども、九州全体でもう一度、シリコンアイランド、もう一回復活をさせようじゃないかと。基盤的な企業がたくさんありますし、周辺産業もたくさんありますので、これをしっかりつないでいく人づくりをオール九州でやりましょうということを呼びかけてきたところでございまして、そういったサポートもこれからやっていきたいと思っています。

荒井委員 まさにその点でもう一点だけ、これは大臣に知っていただきたいというところではありますけれども。

 実は、今回、台湾の、これは世界最大のファウンドリーという形になりますが、台湾の会社になって、多くの従業員が台湾の方なわけですけれども、実は今、日本の高校生も台湾の大学への進学率がとても高くなってきているんですね。

 実は、僕が校長をしていた学校からも、毎年三人から五人は台湾の大学を自分で選んで進学しています。実は今、既に、日本の経済も、教育の状況も、例えば最先端の半導体を作る技術は日本にはなくて台湾にある。そして、足下の教育の現場でも、意欲のある子たちは台湾の大学への進学を目指していて、日本の大学ではなくなってきているんだ。これは、ひょっとすると、本当に、経済政策だけではなく、教育政策としても非常に大きく取りかからなければいけないことなんじゃないかと思っております。

 なぜ台湾の大学を選んでいるのか。そのうちの大きな点は、やはり学費が安いことなんですね。ちなみに、台湾の大学は一年間で約三百万円ぐらいで通えるわけですけれども、日本の場合は、やはりアパート代とかも含めると、国立でも一千万ぐらいかかりますので、やはりどうしてもこの金額を、ごめんなさい、四年間でですね。失礼しました。どうしても、こういったお金の面では非常に差があるということ。

 これは、台湾政府が非常に補助金を出しながら外国の有望な人材を誘致しているということだと思いますので、是非日本も若い人材育成には大きなお金の投資を一緒に考えていっていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、半導体のスタートアップの育成についてという点でもお伺いしたいというふうに思います。

 今回は、TSMC、そういう海外への、日本の合弁企業でありますが、海外の会社を中心とした多額の補助金の拠出という形になりますけれども、でも、一方では、半導体の産業というのは全てスタートアップから始まっているというのも事実ですね。先ほどのソニーの話だってもちろんそうです。そして最近では、例えばソフトバンクが買収したアームもそうですし、そして今、エヌビディアみたいな、IPと言われる設計図を描くところも、元々は非常に小さなベンチャー企業から始まっているわけです。

 まさにこういった半導体のスタートアップの育成というものが、今回の大きなお金の、そしてお金をつけて工場を誘致する際に、まさに先ほどのシリコンアイランドみたいな話もありましたが、このスタートアップの育成こそ本当は経済産業省、中小企業庁を含めて大きくやっていくべき領域じゃないかというふうに思っておりますが、どのような支援策を考えられているのか、お聞かせください。

門松政府参考人 先生御指摘のとおりだと思います。

 半導体産業のうち、特にロジック半導体については、設計と製造を分業するビジネスモデルですので、大規模な設備投資を必要としない設計事業についてはスタートアップの参入が可能であります。このため、設計分野における半導体スタートアップの育成は、半導体産業の裾野を広げて競争力を強化する観点で非常に重要だというふうに認識をしております。

 経済産業省においては、こうした半導体スタートアップに対して、平成三十年度からNEDOの研究開発事業で半導体設計技術の開発を支援してきております。

 本事業は、スタートアップ等が利用可能な半導体設計拠点を整備しまして、スタートアップにとっては高額な設計ツールの提供や設計ノウハウを提供することによってスタートアップ等のアイデアの実証を支援をしてきているところでありまして、本事業において整備した拠点、令和三年九月末までの二年間で五十件の利用がありまして、百人を超えるユーザーを抱えております。加えて、教材などによる人材育成に向けた取組も実施されているというふうに聞いております。

 令和四年度も引き続き当該事業を通じてスタートアップを育成するとともに、半導体産業の競争力強化につなげてまいりたいと思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 アメリカではシリコンバレーというところが大変有名で、まさにこのシリコンが半導体のことを指すわけですが、フランスがマクロン大統領のときに、まさにシリコンバレーに匹敵するスタートアップ事業をつくろうということで、ステーションFという政策と場所を打ち出してつくられたというふうに聞いております。

 まさにスタートアップの、これは半導体だけではありませんけれども、IT企業を含めたそういった集積する場所をつくって、このステーションFの構想が非常にうまくいっているというふうに報道では拝見はしていますし、今回、愛知県では、百三十三億を愛知県が出して、STATION Aiという、まさにステーションFのその発想を、今度愛知県、まあ名古屋市につくるというふうにもう既に発表されていたと思いますけれども、まさに百億規模でそういったスタートアップの集積地をつくるんだということ、国内でも始まっているわけですが、本当はこういう施策こそ、今回のような大きな工場で、しかも、IPのスタートアップができるというのはなかなか日本では難しいと思うんですが、こういう大きなスタートアップ専用の箱というか場所をつくって、しっかりとステーションFのように育てていくという発想があってもいいんじゃないかというふうに思いますが、その辺り、いかがでしょうか。

門松政府参考人 先生御指摘のとおりだと思っていまして、このNEDOの事業等々においてもそういう事例をきちんと勉強させていただきながらしっかりと進めていって、スタートアップを育成してまいりたいというふうに思っております。

荒井委員 どうもありがとうございます。

 まさにNEDOが、こういった今回の大きな基金を運用というか、扱いながら進めていくというふうに伺っております。NEDOの本来業務では元々なかったことから始まるんだというふうに思いますけれども、是非、こういった巨額のお金を扱うこと、そして、さらには、そういったスタートアップの方のいろいろなことをサポートしていくということを大変期待したいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 萩生田大臣におかれましては、今回の経済産業大臣への御就任、誠におめでとうございます。

 私は、大阪を地盤とする日本維新の会の一期生でありますけれども、ずっと以前に八王子に住んでいたことがありまして、よく朝の駅で萩生田大臣をお見かけしておりました。今日、このような場で質疑させていただくことを非常に御縁に感じております。

 さて、大臣、今朝の新聞をお読みになりましたでしょうか。今日の新聞の一面を飾っていたのはこんなニュースでした。EVに後ろ向きだったトヨタ自動車が、EVの投資四兆円、二〇三〇年までに三百五十万台分の投資をする、こういうものでした。

 これは、一見、これから頑張っていくのでしっかり応援したいというようなニュースにも見えるんですが、実際のところは、これは、日本が負け続けた結果、最終的に選択せざるを得なかった、こういう結果だと私は見ております。

 これまでも、自動車産業、それからエネルギーの産業、今、世界全体的にグリーントランスフォーメーションということで、ガソリン車は、これから先、新車として販売は二〇三〇年以降できないということが世界全体の潮流になりつつあるときに、経済産業省を始めとした日本の政府というのは、そういった世界の潮流に対して有効な手だてを打つことができませんでした。

 前菅総理が就任されたときに、このグリーンに取り組んでいくということを表明したときには、トヨタ自動車の社長は、このままでは日本の自動車産業のビジネスモデルが崩壊してしまうということをおっしゃいました。私は、一国民としてその姿を当時見ておりまして、こうした日本が誇る国際競争力の象徴のような企業にこのようなせりふを言わせる政府は、率直に、最低だなというふうに思いました。こうしたことは、これから先、絶対にあってはなりません。

 今、グリーントランスフォーメーションのお話をしましたが、今日の議題は半導体ということで、デジタルトランスフォーメーション、同じことが起きようとしているというふうに考えております。

 先ほど萩生田大臣から御答弁がありましたように、昨日の予算委員会でも同じ御答弁がありましたが、過去の失敗を直視して取り組む姿勢、これについては率直に評価したい、すばらしいことであると思いますけれども、これから先、本当の意味で日本が成長力を取り戻すためには、民間には次元の違う経営判断と努力が求められると思っております。そういったものを求めていくに当たっては、私たち政治、行政の側も次元の違う変化というものが必要であるというふうに思っております。これまでの微修正ではなくて、これから抜本的に我々自身も考えていかなければならない。

 私は大阪ですけれども、それぞれ、ここにいらっしゃる先生方、御地盤を、御地元をお持ちだと思います。こういった経済成長の主戦場で負けているようでは、選挙区の皆さん、地場企業の頑張り、報われることはありません。また、選挙区の皆さんの一人一人の生活が豊かになることもないんじゃないでしょうか。私は、そういった皆さんお一人お一人と同様に、御信託をいただいた国民の皆さん、地場企業の皆さん、そういった方々にもしっかりと仕事をするということで、今回のこのデジタルトランスフォーメーション、半導体の話についても、必ずこの日本の競争力を取り戻す、こういう決意と熱意を持ってこの場に立たせていただいております。

 まずそのことを、政府・与党のみならず、我々野党も含めて、ここにいる全員が肝に銘じておかなければならない。それが、私たち、この日本の経済界の考えている期待、政治に対する期待なのではないかと思いますので、そういったことをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは質疑の方ですけれども、今回、デジタル化の進展という中で、自動車、医療機器等の様々な分野での活用が拡大しております今回の5G情報システムに不可欠な高性能の半導体、これは、デジタルトランスフォーメーションの鍵を握る、今後の国際市場における産業や企業の競争力を決める中核的な要素であるということは、これはもう疑いの余地がありません。

 一方で、現在、この高性能の半導体に対する日本の自給率というのはほぼゼロという状態です。輸入の七割を韓国と台湾に頼っている状態で、国産化を進めているアメリカや中国のように、攻めの戦略というのは既に取れる状況にありません。国際分業を前提としたサプライチェーンの安定化と近隣国を中心とした外資の誘致という、ある意味で守りの戦略しか選択肢がない状態です。

 こういった状況の中で、なぜ、この高性能の半導体の獲得競争がこれほど激化する前に日本政府は先手を打つことができなかったのか。

 先ほど大臣の御答弁の中で様々な反省が述べられておりましたが、今回聞きたいのは、そういった反省はあったにせよ、これまでも、政府・与党あるいは経済産業省として、様々な政策努力を行ってきたんだというふうに認識しております。ということは、これまではどのような見通しで、そしてどのような政策努力を実際に行ってきていたのか、これについてまずお伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 日本政府がある意味先手を打つことができなかった理由は、当時の政府が、世界の半導体産業の潮流を見極めることができず、適切かつ十分な政策を講じなかったことであり、先ほど来反省を申し上げているところです。繰り返しになりますから申し上げませんけれども、いろいろな理由は複合的にございました。

 一方で、半導体サプライチェーンの強靱化に向けて近年取り組んだ象徴的な政策としては、例えば、ルネサスエレクトロニクスの経営危機に伴う産業革新機構からの出資が挙げられます。政府支援は結果として功を奏し、その後の黒字化によって、現在は、自動車を始めとして我が国産業のサプライチェーンの中核を担っています。この点は、当時の政策判断を素直に評価してもいいと考えています。

 また、直近では、先端半導体に関する製造技術開発には取り組んできており、昨年の補正予算でポスト5G基金を造成しました。また、つくばを中心に、グローバルな半導体製造事業者とともに次世代の半導体製造技術も進めてきたところです。こうした研究開発の積み重ねが半導体産業基盤の復活へとつながる鍵を握っています。

 こうした過去も踏まえ、我が国のデジタル化を強力に推進するとともに、国策としての半導体製造基盤整備のための大胆かつ総合的な支援や、国際連携による先端技術の共同研究開発など、我が国半導体産業の基盤確立に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと思います。

青柳(仁)委員 ありがとうございます。

 様々な努力がこれまでも行われてきたということですけれども、率直に言えば、そういった努力が実を結ばなかったということだと考えております。

 これは先ほど大臣の御答弁にもありましたとおり、やはり、一生懸命やってきたことに対して実が結ばなかったことということは、やってきた当事者は当然認めたくないという気持ちはあると思います。しかし、それを認めなければ前に行けませんし、次元の違う変化というのをこれから起こしていかなければならないという状況において、過去にとらわれているということはやはりあってはならないというふうに思っております。

 また、萩生田大臣が先ほど来から反省ということをおっしゃっておりますけれども、やはり当時も自民党政権だったわけですから、我々野党の側としては、やはりそこの責任というのは非常に重たいものであるというふうに感じております。

 とはいえ、これからどうしていくかというところがやはり重要という中で、現状を受け入れたとして、次に、第一戦はもう負けてしまった、これは、グリーントランスフォーメーションもデジタルトランスフォーメーションも、よく御存じの方は皆さん共通の認識だと思います。まず最初の、初戦では負けてしまっているのが現状です。

 では、この次ですね、どういうふうにそれを巻き返すのか。次のゲームチェンジの機会というのはどのように予測をしておられて、そして、政府として、先行投資を行う、先ほど来から、NTTが進めている光電融合技術なんかのお話もありましたが、そういった機会についてどのように今認識をされていて、これから、これまでとは違うどのような努力を行っていこうとしているのか、その点についてお伺いできればと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体チップの中の通信、情報処理に光技術を用いる、いわゆる光電融合技術でございますが、デジタル化の進展で増大するデータを高速かつ低消費電力、一説によると百分の一ぐらいの電力消費になるというふうに言われていますけれども、で処理する革新的な技術でございます。脱炭素化とデジタル化を同時に達成していく上で、ゲームチェンジにつながる重要な次世代の技術であるというふうに認識をしております。

 この光電融合技術でございますが、そのコアとなっている光技術は、これまでNEDOの研究開発事業で先行的に着手をしておりまして、日本が世界をリードする強みを有する分野でございます。

 今回の補正予算で、次世代の半導体に関する研究開発事業として一千百億円を計上しております。この光電融合技術、それから日米連携による超微細な次世代半導体の製造技術について研究開発を行う予定でございます。

 そういうことで、世界トップレベルの半導体製造拠点の実現に将来的にはつながっていくということで、我が国半導体産業の復活を期していきたいというふうに考えております。

青柳(仁)委員 かつて世界の五割のシェアを持っていたという我が国の半導体産業の復活ということに対する勝ち筋をしっかりと持ってやっていくことが重要ではないかというふうに考えております。

 一つ、別の観点から、こうした政策一つ一つは、やはり経済安全保障という文脈の中で考えているということも聞いております。今、この政策の前には、5G、ドローンというものが一つの戦略的物資ということで非常に大きな予算を得てきているわけですけれども、今後、この経済安全保障として次に続くようなものというのはあるのか、あるいは、その全体像の中で今回のこの高性能の半導体というのはどのような位置づけになっているのか、この点についてお伺いできますでしょうか。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 まず、経済安全保障全般でございますけれども、先月十一月十九日に、岸田総理を議長といたします経済安全保障推進会議が開かれました。

 そこで、まず第一に、サプライチェーンの強靱化や基幹インフラの信頼性確保などを通じた我が国の経済構造の自律性の向上、二つ目として、重要技術の育成を通じた日本の技術の優位性ひいては不可欠性の確保、そして三つ目として、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化、この三つを目標といたしまして、我が国が経済安全保障政策の大きな方向性としていくということを確認したところでございまして、経済産業省も含めまして、関係省庁で取組を進めることとしているところでございます。

青柳(仁)委員 半導体に限らず、経済安全保障に関連するこういったサプライチェーンというのは、特定の国を経由しない形でつくり上げていくということは、国内にサプライチェーンを全部置くことができない日本にとっては、これはもう非常に死活的に重要なことであるというふうに感じておりますので、経済安全保障の観点からも、全体的な視野を持って取り組まれることが非常に重要ではないかと考えております。

 ちょっと時間の関係上、質問が全部聞き切れなくなってしまいましたので、ちょっと二つ飛ばさせていただきまして、最後に一つ、NEDOの方にお伺いしたいと思っております。

 今回、予算は六千百七十億円ということなんですけれども、補正予算として一旦は今回の三月末までには基金の中に入れると。一旦NEDOの基金の中に入ったものは複数年度の執行が可能であるということになっているというふうに理解しております。それに関しては、ある程度実効性を担保する上で必要だとは思うんですが、そういった、何年かかって執行してもいいというような基金に入ってしまうと、逆にスピードが遅くなっていくのではないかということも懸念されます。

 NEDOの補助金に対しては、民間企業側から、非常に意思決定が遅い、手続が煩雑である、こういった意見というのはこれまでも何度も寄せられてきていると思いますが、こういった声に対してNEDOとしてどのような今回対応を行っていこうと考えているか、あるいは、そういった声に対するこれまでの努力等がありましたら御教示いただければと思います。

野原政府参考人 本法案に基づく支援の枠組みでは、まず、事業者から申請がなされる事業計画について、我が国の先端半導体の安定供給体制の構築に資するものであるかなど、認定基準に適合しているか否かを厳正に審査した上で、経産大臣が認定をいたします。その後、認定を受けた事業者からNEDOが助成金の交付申請を受け付けて、NEDOが交付するという手続になります。

 そういう意味では、本法案に基づく助成金は、通常NEDOが行っている公募型研究開発事業における助成金の交付とは手続が異なりますので、経産省における計画の審査の段階で、助成金の交付の上で必要な情報の大半を精査することとなりますので、認定後のNEDOからの交付においては重複する点についての再度の審査はなく、遅滞なく執行がなされるものというふうに考えております。

古屋委員長 及川副理事長、答弁は簡潔にお願いいたします。

及川参考人 お答えいたします。

 私どもNEDOでは、研究開発プロジェクトの委託事業や助成事業の適正な執行を確保するために、事業提案の審査の際に必要な資料を事業者に提出いただいております。その際には、議員御指摘のとおり、速やかに事業を開始できるようにすることが重要と認識しておりまして、これまでも、採択審査の期間を可能な限り短縮するため、事務手続の合理化等に努めてきたところでございます。

 具体的には、ここ数年でございますけれども、提案時に必要な資料を最小限にするとともに、公募プロセスの電子化を推進し、公募締切りから採択決定までの適切な期間を、事業の性格に応じて事業ごとに短くしたり、設定してきております。といった合理化、迅速化の取組によりまして、提案者の利便性の向上と迅速な予算執行を図ってきておるところでございます。

 今般の事業につきましても、通常の研究開発とは異なるものではありますけれども、その事業の性格を踏まえて迅速に対応してまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 今回の事業は、非常にスピーディーに執行が可能な体制を取っているということだと思いますので、そのような形で進めていくのがいいと思います。

 これからも、経済成長の主戦場でとにかく負けないということを、経済界あるいは起業家の期待に我々政治、行政の側が応えていくということが重要だと思っておりますので、引き続き経済産業省の御尽力を期待しております。

 私の質疑を以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 人材育成に関連して、令和三年度補正の学びと社会の連携促進事業、エドテック導入補助金についてお伺いいたします。

 エドテック、いわゆるICTを使った教育プログラム改革の学校現場への導入の進捗状況と見通しについてお伺いいたします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 本事業は、個別最適な学びやプログラミング学習の実施に必要なデジタル教材であるエドテックの試験導入やサポートを実施する事業者に対し、経済産業省がその費用の一部を補助することで、学校側には費用負担が生じない形での試験導入を進める、そういう事業でございます。

 これまで、令和二年度、令和三年度合わせまして五十二億円の予算を措置しておりまして、全国の学校の二割弱、これは小中高などですけれども、これの二割弱に相当する約六千九百校におけるエドテックの導入、活用を支援してまいりました。

 一方で、過去二回のエドテック導入補助金の執行を通じまして、エドテック活用について積極的な地域と消極的な地域の意識の差が開いている、こういう実態が読み取れたところでございます。

 今回、補正予算で二十億円を計上しているところでございますけれども、特にこれまで本事業の活用実績の乏しい地域におけるエドテック導入を重点的に支援し、地域を挙げた面的な普及に向かうきっかけをつくるとともに、補助事業実施後の継続利用につなげるよう、補助金執行の工夫も検討をしているところでございます。

漆間委員 ありがとうございます。

 一方で、今制度に当てはまらないとは思いますが、学校現場を通さないようなエドテックの仕組みがあるのか、お伺いしたいと思います。

 コロナ禍での臨時休校、分散登校も踏まえ、また何らかの理由で学校に行かない、行けない子供たちのためにも、学校に登校せずとも学びが継続できるような仕組みをエドテックで構築することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、今後も感染症や災害などで学校が臨時休校や分散登校を余儀なくされることもありますし、何らかの事情で登校がそもそもかなわない、そういうこともございますので、子供たちが学びを止めずに済む環境を平時から準備することが必要だ、このように考えております。そのためには、教師の方も生徒も、デジタル教材やオンライン会議のシステムなど、エドテックを活用する学習環境にふだんから身を置きまして、日常的に使い慣れていることが重要だと考えております。

 民間教育を所管する経済産業省では、「未来の教室」実証事業を通じまして、GIGAスクール構想で整備した学校における一人一台パソコン環境を生かし、エドテックを用いた自律的、探求的な学習環境のモデルケースづくりを推進してまいりました。

 今後も、モデル校の成果を未来の教育通信というニュースレターで全国の学校関係者に配信しつつ、エドテック導入補助金も活用しながら普及に努めたい、このように考えております。

 その中で見つかった制度的課題につきましては、引き続き、文部科学省やデジタル庁を始めとする関係省庁と共有いたしまして、産業界あるいは学校などと連携しまして、居場所にとらわれない学習環境の構築を推進してまいりたい、このように考えております。

    〔委員長退席、稲田委員長代理着席〕

漆間委員 実証的に学校現場を通さないエドテックもやっているということですけれども、こういう学校現場を通さないエドテックと学校現場を切磋琢磨させていくことが日本の産業を担う人材育成につながっていくのかなと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、今法案に関しまして、先ほどの荒井議員の質問ともちょっとかぶってくるんですけれども、海外資本が入った企業も、今回、先端半導体生産基盤整備基金による支援対象だと思いますけれども、これが経済安全保障上の事業である以上、技術流出リスクだったり、供給停止リスク、そういった外交リスクの管理が特別に必要になるのかと思いますが、こういったことが適切になされるのでしょうか、お伺いいたします。

野原政府参考人 この法案の仕組みでございますけれども、事業者から計画の認定申請があった場合に、いずれの国の企業であるかにかかわらず、その計画が我が国の先端半導体の安定供給体制の構築に資する計画であるかどうかなど、法律で定めている認定基準に照らして審査をいたしまして、判断することになります。

 この審査に当たっては、外為法、不正競争防止法を始めとした国内法令の遵守、それから、法律で求めている技術上の情報管理のための体制整備などの技術流出の防止策、それから日本国内での先端半導体の継続的な製造、生産能力強化のための研究開発を事業者に求めることとしておりまして、認定後も、そのような取組が継続的に行われているということを確認してまいります。

    〔稲田委員長代理退席、委員長着席〕

漆間委員 先ほどの御答弁ですと、外為法だとかそういった法で対応できるということだと思います。

 続きまして、ちょっと別の質問なんですけれども、この半導体事業で六千億円以上、特定の事業者に大規模な予算が流れることになっております。こういった予算に関しましては、公正、公平性を確保し、不正が起きないようにするために、特別な役所と事業者との対応指針が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 私、地元が大阪府なんですけれども、同じく事業規模の大きいIR、カジノを含めた統合型リゾート、これを進めるIR推進局について、役所と事業者等との対応について、公平性、公正性及び透明性を確保するため、大阪府の綱紀保持基本指針等の既存のルールに加えまして、より厳しい、IR推進局における事業者対応指針というものを定めさせていただいております。

 この指針では、具体的に、事業者提案や面会の実施に当たり、原則として庁舎内において二名以上で対応することなど、その手続の遵守事項を定めるであったり、公職者等から特定の事業者に係る要望等を受けた場合は、記録を作成するとともに、三か月ごとにインターネットで公表していくなどが定められておりますけれども、今回の法案でもこのような具体的な指針を定めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

野原政府参考人 御指摘のとおり、国民の税金を原資とする国の予算事業において、不正のない適切な執行を確保することは大前提でございます。大規模な予算事業では、特に不正が生じないよう厳格な運用を図ることが重要だというふうに考えております。

 法案の仕組みについては先ほども少し申し上げましたが、技術上の情報管理のための体制整備を事業者に求めておりますし、認定後も、取組を継続されているかというものを確認してまいりますし、外為法や不正競争防止法など国内法令の遵守というのもございます。

 また、予算の執行を担当する基金の管理団体や事務局についても情報管理を徹底するなど、万全を期してまいりたいというふうに考えております。

漆間委員 今の答弁ですと、今までの仕組みで対応できるということなんですけれども、特にこれは新しく検討することはないということでよろしいんでしょうか。

野原政府参考人 予算執行スキームの詳細につきましては、本委員会での御議論も踏まえて、今後、具体化してまいりたいと考えております。

漆間委員 是非よろしくお願いいたします。

 ちょっと早いですけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 四年半ぶりの質問に立つものですから、足が震えております。是非、明快な御答弁をいただければと思います。

 国民民主党の鈴木義弘です。

 今回の法案につきまして、そもそものお話をさせてもらいたいんですけれども、半導体が足らない、足らないというんですけれども、何をもって足らないのかがよく分からない。役所の方から、何の分野のどの半導体が足らないのかと言ったら、サプライチェーンが複雑過ぎちゃっていてどこの部分の何が足らないのかよく分からないというふうにレクを受けたんですね。

 それで、今回、四千億とか五千億とか、トータルだと六千億を超えるお金を予算として割いて、NEDOに委託して、それから、二年なのか三年なのか分かりませんけれども、やっていく。どの分野のどのぐらいの半導体が足らないからそれに向けてサポートしていくんだ、その辺のお考えがもし示していただけるのだったら。

 今の言い方だと質問通告には書いていないので、例えば、車の需要が冷え込んだというふうに言われている中で、昨年のコロナによって、三月から八月にかけて、車の受注というより生産台数が減るわけですね。一次、二次、三次、その先に半導体のメーカーの方で、キャンセルが相次いだがために需要がぐっと、需要と供給を下げたわけですね。そうしたら、いち早くアメリカとか中国がコロナを克服して、経済がぐっと上向いたときに足らなくなった、こういうふうに言われているんですけれども、実際、今年の九月には、完成車メーカーから強い要請を各、一次、二次、外部のところにも依頼をして、過去最高の出荷数になっているというデータもあるわけです。でも半導体が足らないと。

 何の数字をもって、半導体が足らない、だから経済産業省を挙げて日本の国策として半導体をサポートしていくんだと、全然何か分からないんですね。もし数字のところが分かれば。

 こういうときって、昔オイルショックのときに、ある石油メーカーのOBの人に随分後になってから話をお聞きする機会があったんですけれども、あのときは石油はなかったんですかと聞いたら、あったと言うんですよ。おかげさまでもうけさせてもらいましたと。今回もそういう懸念が意外とあるんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

門松政府参考人 まず、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症拡大により、一時的に自動車向け半導体の需要は減少しましたが、その後、特に中国における自動車市場が急回復し、半導体全体としての出荷量は、自動車向けを含め、前年比二割増というような状況になっております。

 他方で、世界各地における自然災害、水不足、火災や、新型コロナウイルス感染症拡大による操業制約等によって、半導体を含む一部の部品に制約が生じまして、こうした部品を用いる製品製造のサプライチェーンに影響を及ぼしているというのは事実だと思います。

 こういう中で、半導体需給が不安定な中でユーザー側が在庫を積み増しているという指摘があるのも事実だというふうに思います。

 このため、経産省としては、供給対策として、世界的半導体メーカーに増産要請を行ったり、東南アジアの半導体関連工場の稼働率向上に向けて現地大使館を通じて働きかけを行う等々、グローバルサプライチェーンを維持するための取組というのはやってきたところであります。

 また、ユーザー側に対しても、各ユーザーの在庫状況についてヒアリングを行ったり、現在の半導体の需給の実態を把握して共有することによってパニック需要を抑えたり計画的な調達を促す取組、これを進めてまいります。

 いずれにせよ、需要面、供給面両方の対策を進めることで、個別に足りないものというのを、要因をしっかり調査をした上で対策を打ってまいりたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 例えば、車の半導体が今幾つ使われるか、一台当たりにですね。百個使われているのか、五十個使われているのか分かりませんけれども。それで、例えば、百万台造るんです、五百万台造るんですといえば、トータルの数字というのは出てくるわけじゃないですか。何で分からないの。だって、それはメーカーに問合せすればできるんじゃないんですか、何個欲しくて何個足らないのかと。そういう数字もなくて、漠然とやるんですと言っても、もし供給過剰になっちゃったら、今例示で申し上げたじゃないですか。

 じゃ、今年の春先から銅の値段が上がったり、アルミの値段が上がったり、鉄の値段が上がりました。ウッドショックも起きました。どんどんどんどん、物によっては二割、三割じゃなくて、五割も上がっちゃっている部材もあります。

 じゃ、それと同じように、半導体が厳しいんだといいながら、実際にもとの、その素材も二割も五割も上がっちゃっている状況で、同じようにサポートしてくれと言ったらサポートするのかということなんです。そこのところの位置づけがきちっとできていないのに、いや、これは日本で一番大事な産業だからサポートするんですと。どこの分野だって、どの企業さんだって、自分のところが一番大事だと思ってやっているわけですから。

 あるメーカーさんの話を聞くと、来年の三月まで鉄の増産はしないというふうに言っているんです。なぜって、その先を見込んで、増産してしまったら値段が暴落するからです。

 そういう予測を立てて企業は生産調整をしたりしているにもかかわらず、じゃ、作るんだ、作るんだと作って、二年先か三年先になって過剰在庫になったらどうするんですか。そこのところの数字的な見通しがない中で六千億の金を、血税を突っ込むというのが本当にいいことかと思うんですけれども、その辺についてもう一回、御答弁いただきたい。

門松政府参考人 まず、足下で、デジタル化の進展とコロナ禍の巣ごもり需要等々で、5Gとかデータセンターとかゲーム機向けの民生用半導体の需要が拡大傾向にあったりとか、今後、自動車や産業機械、IoT機器が大きく成長を見込まれるというのは事実だと思うんですが、具体的にどの程度半導体が使われるかというのは物によっても大きくあれでして、企業情報も含まれるものですから、なかなか正直難しい面はあるんですが。

 こういう状況も踏まえながら、我々経済産業省としては、半導体、デジタル産業関係の企業関係者、有識者、関係省庁が集まった半導体・デジタル産業戦略検討会議というのを行っていまして、これで、今後の政策の方向性とかその見通しについて、情報共有、意見交換、これを常に行っているところでございまして、今後も、そういった様々な有識者の意見等々も参考にしながら、政策の意思決定をきちんと図ってまいりたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 工場を造るのに、一日当たり、一年間に何個作ろうかといって、工場の規模は決まっていくと思うんですよね。

 先ほどから議論されているように、三種類、四種類のハイテクに関わるナノの半導体を作っていこうという分野もあれば、自動車で二十八ナノ、今、日本で作れるのは四十とか六十とかと言っているんですけれども、仮に二十八ナノのやつを工場として作るといったときに、例えば、じゃ、今六千億調達したとしても、このサイズのこの数を作るとなったときに、一兆円必要なんだと言われたら、また後から四千億出すのかということですよ。

 そういうちゃんとした計画がないのに、六千億という数字がどこから出てきたのかというところをきちっと説明責任できなければ、予算措置できないだろうという考え方です。

 それとあと、先ほどもお話がありましたように、半導体の設計、開発はアメリカ、製造装置の生産は日本、そして半導体そのものの生産が台湾という、水平分業をしていくという形になって、それの根拠になっているのは、グローバルサプライチェーンをつくり上げるといっていますけれども、いろいろな業種の中で、垂直統合した方がいい分野と水平分業でやった方がいい分野と、あるはずなんです。

 必ず経済安保といえば、どっちかといえば垂直統合みたいな形を取らないと、生産、もとの材料から製品までを一貫生産させない限りは、経済安保は担保できないと思うんです。

 今回、どこのメーカーになるか分かりませんけれども、六千億を使って半導体を作ったとしても、じゃ、設計や開発はアメリカ、このままで、水平分業でやっていくというんだったら、経済安保にもならないじゃないかという考え方です。

 その辺の説明がよく分からないんですけれども、今回の件を一つの契機で、萩生田大臣から、反省した上に立って、これからの将来を見据えて、経済産業省も生まれ変わっていくんですというような答弁をされたんですけれども、じゃ、今みたいな水平分業じゃなくて垂直統合にして、国内にあらゆる半導体に関連する企業を育てていくというふうな決意があって今回の一つのステップになっているのか、大臣から御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生の問題意識、よく分かります。

 この際、国内で自己完結できる環境をつくり上げていく必要性というのは、経済安全保障の面から考えれば、そのとおりだと思います。

 ただ、半導体、先ほど来何度も申し上げているように、言うならば、一九八〇年代には全国シェアの五〇%以上を国内で作っていたものが、どんどん遅れてしまって、今では、今お話のあったロジック半導体については国内で作っているところもない状況、こういう状況を、まずミッシングパーツを埋めていこうというのが今回の提案です。

 同時に、先ほどから申し上げているように、周辺産業で強みも持っていますので、やはりフィールドをつくらないと、技術も伸びませんし、人も育ちません。

 結果的には水平じゃなくて垂直で、国内で完結できる技術力を持つことは当然目指していくべきだと思いますが、最初からそういうことだとなかなか協力をいただけない部分もあると思いますので、そこは、両面をちゃんとにらみながら前に進んでいきたいと思っています。

鈴木(義)委員 これも例えた話なので、例えた話は答えられないと言われてしまえば終わっちゃうんですけれども、今回、半導体のサポートをしたことによって、よその国では千円で作れている半導体があったとします、日本で作ったら千二百円になった、千五百円になったといったときに、果たして売れますかという話が出てくると思います。

 幾ら足らないから作るんですよといったときに、その辺も加味して数字とコストを考えていかないと、このプロジェクトはうまくいかないで、後はどうするという話になってしまうんじゃないかというふうに思います。

 それと、今大臣から御答弁いただいたんですけれども、今、装置産業だとか周りの素材関係も、強みがある企業が日本国内にまだ踏みとどまってくれているんですけれども、やはりもうからなければ外へ出ていくと思うんですよね。そこの辺をどう踏みとどまってもらうというふうに考えているのか、お答えいただきたいと思います。

野原政府参考人 委員御指摘のとおり、我が国の半導体製造装置メーカーや材料メーカーは世界的に高い競争力を有しておりますが、これらの企業の顧客は既に海外が中心となっております。主要国は、先端半導体工場の誘致のみならず、チョークポイントになっている半導体の製造装置や材料についても国内に誘致したいというような政策を展開しておりますので、放っておくと、我が国の製造装置や素材産業、強いんですけれども、これらも空洞化リスクにさらされることになります。

 半導体製造装置メーカーや材料メーカーについては、今回の補正予算でも計上していますが、研究開発の予算がございますので、そういうもので支援もいたしますが、今回、需要家となる先端半導体製造拠点を国内に整備するということで、我が国の国内において、半導体の関連産業の集積、エコシステムの形成というのがきちっとなされるということで、強い素材メーカーや装置メーカーについても、空洞化せずに国内に踏みとどまるようになるように環境整備したいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 市場力学じゃなくて、政治が生産能力に関する意思決定を牽引しているという傾向もあるんじゃないかというふうにも言われているんですね、今回の件です。これが供給過剰を引き起こす要因となって、もし何年か先に余ってしまったという話になったときに、一度出してしまった、執行してしまった予算は戻ることはないと思うんですけれども、それの繰り返しをしているんじゃないかという考え方があるわけです。

 だから、その辺も含めて、是非、来年の通常国会には、今御指摘させていただいたことも踏まえて、もう少し数字的な根拠を示して、それで取り組んでいくんですということを、是非、議員ばかりじゃなくて国民に示していただかないと、なぜ一企業に六千億も入れるんだという話になってしまうんじゃないかと思うんですけれども、御決意のほどを大臣にお聞きして終わりにしたいと思います。

萩生田国務大臣 デジタル社会を支える基盤となる半導体は、今後、5Gやデータセンター、自動走行などの社会のデジタル化が進展する中で、ありとあらゆる場所に使われる生活や産業に不可欠な存在となり、一般的には、半導体需要に係る中長期的なトレンドは、引き続き増加傾向が続くものと認識しております。

 また、今回の支援措置は、先端半導体の国内製造拠点の整備を実現することにより、我が国を取り巻くサプライチェーンの強靱化や、我が国半導体産業の国際競争力強化などを目指すものでありますが、仮にこの国内製造拠点の整備が実現したとしても、当該製造拠点で製造される先端半導体の生産量は国が決めるわけではなく、当該製造拠点を運営する事業者が、半導体需要の見通しなどに基づき、マーケットベースで決めることになります。

 したがって、今回の支援措置が直接的な原因となって、先端半導体の過剰供給が生じ、その値崩れが引き起こされることは想定はしておりませんが、しかし、国民の税金を使って新しい政策に踏み込むわけですから、それなりの覚悟を持って臨みたいと思っています。

 先生が様々御心配いただいたことは、数十年後に、あのときにこういう大臣が失敗したんだとそのときの政治家に言われないように、しっかりやりたいと思っています。

鈴木(義)委員 終わります。

古屋委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 去る十一月九日、台湾の半導体メーカー、TSMCは、熊本県に新工場を建設する計画を発表いたしました。この発表で、当初の設備投資額は約七十億米ドル、約八千億円となる見込みとされております。

 経産省は、本改正案で、NEDOに特定半導体基金を設置し、TSMCの当初の設備投資のうち、二分の一の約四千億円を助成することを想定している、こう説明しております。

 そこで、萩生田大臣に伺います。

 特定企業の一工場に四千億円もの巨額の国費投入を過去に行ったことがありますか。

萩生田国務大臣 過去、少なくとも直近十年間の経済産業省関係の予算において、一社に対して四千億円規模の補助金を措置したという事実はございません。

 ただし、出資や融資などの金融支援においては、数千億円規模の支援を行った実績はございます。

笠井委員 過去に、少なくとも十年間にはないということでありました。

 四千億円規模で特定企業に助成をする、前代未聞であります。四千億円と簡単に言いますけれども、日本経済を根底で支える三百五十八万者への中小企業対策費というのは年間で僅か千七百四十五億円、その二・三倍にも上る額をたった一社にぽんと出してやるというものになります。

 しかも、TSMCは、発表文書で、当初の額は約八千億円と、日本政府から強力な支援を受ける前提で検討していると念押しをしております。

 本法案で、例えば特定半導体生産施設整備計画の設備投資額が当初の想定よりもかさんだ場合に、認定計画の変更を改めてこれは認可するということになりますでしょうか。

萩生田国務大臣 今先生が例えておっしゃっているのは、報道ベースのことでおっしゃっていると思います。

 今後、この法律をお認めいただいて、そして、大前提としてですけれども、認定を受けた事業者は認定計画に従って事業を行う必要がありますので、申請段階でのまず認定の中身の約束を守ってもらわなきゃなりません。このため、当初の認定計画から事業内容を変更する場合は、その設備投資額の拡大あるいは縮小にかかわらず、事業者は認定計画の変更申請を行う必要がございます。

 その上で、変更申請が行われた場合には、改めて変更後の計画について、我が国の先端半導体の安定供給体制の構築に資する計画であるかどうかなど、認定基準に適合しているか否かを、事業額も含め、再度審査をした上で、経済産業大臣として判断を行うこととします。

 また、支援額を変更するかについても、国会の審議を経た基金の範囲内で、その変更された計画内容を踏まえて適切に判断することが必要だと思います。

笠井委員 このNEDOが交付する助成金、これについては、一件当たりの上限というのは設定するんでしょうか。

萩生田国務大臣 一般的には、先端半導体の製造拠点の建設には数千億円から兆円単位の投資が必要とされますが、その投資規模や支援の必要性はケースごとに異なるため、一件当たりの上限額は設定はしておりません。

 他方、民間事業者の事業責任を持たせる観点から、補助率の上限は最大二分の一としており、事業者にはコスト節減のインセンティブが働いています。

 また、法令上は、認定基準に基づき認定された計画に従った施設整備等を行うための必要な資金しか交付されません。

 当然、国会の審議を経た基金の範囲内で支援を行うことになります。

笠井委員 この改正案の三十条では、国は、施設整備を行うために必要な資金の確保に努めるというふうにあります。当初の助成額にとどまらず、事業者の要求に応じて税金投入が膨らむことに、条文上の歯止めというのははっきりあるんですか。

萩生田国務大臣 今申し上げましたように、もう基金に積むお金が決まっているわけですから、そして補助率の上限は最大二分の一ということになっておりますので、これは、足りなくなったから追加で積んでくれと簡単に申し上げて、先生方がそのとおりだとおっしゃるんだったらそういうことも考えられますけれども、基本的には、今回皆さんにお示しした範囲内で事業をしっかり進めていくということでございます。

笠井委員 条文上に、この法案の条文上に歯止めがあるかどうかを聞いているんです。

萩生田国務大臣 二十九条に、認定特定半導体生産施設整備等事業者が認定特定半導体生産施設整備等計画に従って特定半導体生産施設整備を行うために必要な資金に充てるための助成を交付すること、その二で、必要な資金の貸付けを行う金融機関に対して利子補給などを行うことがうたわれておりますが、これは、その範囲内で行うということでございます。

笠井委員 まあ、それは金ではなくて、仕組みを見るだけだということになります。

 自民党の半導体戦略推進議連の甘利明会長は、国内の半導体生産拠点計画について、とにかく手付金みたいなものは何千億、こんなんじゃとても製造拠点はできません、兆がつくというふうに、当時、菅首相に進言したということを、六月六日のBSの放送で認めております。

 萩生田大臣、本来、半導体の安定確保というのは、やはり、半導体メーカーとともに、電機や自動車などのユーザー企業の自らの責任で行うべきものだと思うんですね。

 国内生産拠点づくりについて、大臣自身、電機や自動車大企業などユーザー企業に対して、これに対してちゃんと自助努力するようにということで要請されたことはあるんですか。

萩生田国務大臣 半導体の確保について、業界の皆さん、ユーザーの皆さんに要請をしたことはございません。

笠井委員 これは要請していませんじゃないと思うんですよ、自らの責任なので。

 それで、コロナの下でも、電機や自動車大企業の内部留保を見ますと、五十四兆円にも膨れ上がっております。そのごく一部を半導体確保のために投資に充てれば済む話だと思うんですよ。ところが、政府が至れり尽くせりで、大臣も要請したことはないという形で、巨額の税金で肩代わり。これが岸田政権の言う新しい資本主義なのか。到底、これは国民の理解など得られないということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、特定の大企業に青天井で巨額税金投入の一方で、コロナ禍で深刻な打撃を受けた国民、中小事業者に対する支援はどうか、この対比をちょっと問いたいと思うんですが、十二月十一日、先週の末のTBSの「報道特集」でも取り上げられましたけれども、四月以降の月次支援金もまだ届かない事業者がいる。大臣、御覧になったでしょうか。

 私の事務所への相談でも、例えば、茨城県の電気設備の方は、申請したのに半年も放置をされて、十一月にやっと不備があると事務局から言われて、さんざん苦労して三年分の売上げに係る全ての書類と帳簿を提出した、やっと給付されるかと期待したら、十二月十日に全く別の資料を出せと言われて、それを出したら、一昨日、十三日には、また別の資料を出せと言ってくる。しかも、この方は、現金商売だから通帳で取引記録がないと何度も説明しているのに、銀行通帳を要求してくると。

 まさに、こういうケースがいっぱいあって、国にいじめられているようだ、一月十万、二十万円でも命のお金だというのが痛切な共通した声であります。

 大臣、これは梶山大臣の頃から相当やり取りしているんですけれども、この問題でいいますと、今度、新たに事業復活支援金を委託する事務局も、この一時支援金、月次支援金でやってきたと同じ、デロイトトーマツであります。直ちに実態をつかんで、必要な全ての事業者に届け切る、大臣の責任としてもそれをやると言っていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、御指摘の番組は、土曜日の夕刻にやっている番組だと思うんですが、昨年の十一月頃に、私、全く事実と違う報道をその番組の中でされましたので、今、抗議をして、もめているところでございまして、一切見ておりません。

 月次支援金では、提出された書類からは給付要件を満たすことが確認できない一部の申請者には、事前の同意をいただいた上で追加の書類提出を依頼をしています。

 また、こうした書類の提出を求めるに当たっては、不備メッセージの内容を細分化するなど可能な限り分かりやすいものとする、申請システム上でアップロードできるファイルの容量を拡大する、不備に関する電話相談窓口の体制を拡充するなど、一時支援金で得た知見や申請者からの声も参考に、中小企業庁から事務局をしっかりと指導した上で、丁寧なサポートをするよう改善を重ねてきたところです。

 この結果、現時点では、約二百四十二万件の申請に対して、約二百二十二万件を給付をしています。まだ給付に至っていない申請や今後受け付ける申請についても、支援を必要とする方々に支援金が行き届くように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

笠井委員 番組を見たかどうかというのは大臣のあれがあるかもしれませんけれども、とにかく、これは実態としては、そのとおりのこと、私の相談を受けたこと、まさにそのとおりのことが報道されているということは言っておきたいと思います。

 本当にそういう点では、届け切るということをおっしゃいましたが、やはり、それが詰まっている問題についても、大臣としてもきちっと、どうなっているのかということで、きちっと担当者やあるいは委託先の事務局に対しても、直接、間接に手を打つということでよろしいですか。

萩生田国務大臣 これは衆議院選挙中も、街頭演説などの現場にお困りの方がお見えになって、声をかけられたりもしました。また、一般的には不備ループというワードでいろいろ出ておりますけれども、就任以来、なぜこういうことになったのか、現在どういうふうになっているのかというのは、担当ともよく話をしていまして、確かに、御指摘のように、審査をきちんとやるがゆえに、五月雨式に書類を要求したりしたような事実があったことも事実でありますが、この辺は今改善をしております。

 いずれにしても、有資格者の方が申請をされ、そして一定程度お待ちになって、御不便をかけたことはおわびを申し上げたいと思いますが、必要な書類がまだ出ていないようなことも時にはあるものですから、そういうものも含めてきちんと丁寧に対応させていただくことを改めてお約束したいと思います。

笠井委員 是非届け切っていただきたいと思います。中小・個人事業者向けの事業復活支援金、今度やるやつの規模は持続化給付金の半分に減らす一方で、特定の外資、半導体企業には青天井で巨額の税金をばらまく、こんな理不尽は認められません。そういう点では、この点、大きく問題だということを指摘したいと思います。

 岸田首相は、十二月六日の所信表明演説で、経済安全保障の具体化として本案を位置づけました。今年四月の日米首脳会談後の六月、自民党の半導体の戦略推進会議の甘利会長は、米中覇権争い、台湾有事まで持ち出して、安全保障上の意味で我々はTSMCをしっかり組み込んで、アメリカと日本が台湾の最有力企業に直接絡んでくるということは意義がある、こう強調しておりますが、大臣、この間、答弁でも、経済安全保障にとって半導体の安定供給が重要だということを繰り返し言われていますが、そもそもこの経済安全保障の法的な定義というのは何ですか。

萩生田国務大臣 御指摘の経済安全保障の定義については、現行の国内法令上は明確な定義はないと承知しております。

 一方で、十一月に開催された経済安全保障推進会議において、我が国が目指す経済安全保障政策の大きな方向性として、サプライチェーンの強靱化や基幹インフラの信頼性確保などを通じた我が国の経済構造の自律性の向上、重要技術の育成を通じた日本の技術の優位性ひいては不可欠性の確保、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化の三つを目標として確認をしました。

 経産省としても、関係省庁と連携しながら、こうした方針の下、取組を進めることとしています。

笠井委員 今、大臣、冒頭に、経済安全保障の法的な定義はないとおっしゃいました。定義すらないのに、経済安保を名目にして本法案だけ先出しして押し通そうなど、国民に説明がつかないと思います。

 今必要なのは、半導体生産を衰退させた過去の失敗を繰り返さずに、日本の半導体素材、装置産業の強みを生かして、それを支えている下請、町工場にきめ細やかな支援を行って、グローバルサプライチェーンが平和、互恵、対等なものになるように、日本政府として積極的な役割を果たすことではないか。

 こんな重大な法案を僅か二時間半の審議で押し通そうとするなんというのは断じてあってはならない。質疑終局はせずに徹底審議で、今国会の廃案を強く求めて、時間が来ましたので、私の質問を終わります。

古屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表し、いわゆる5G促進法等改正案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、特定の外資、半導体メーカーに巨額の税金をつぎ込むものだからです。

 半導体の安定確保は本来、半導体メーカーとともにユーザー企業が自らの責任で行うべきものです。コロナ危機の下でも、電機、自動車の多国籍企業は内部留保を五十四兆円にも膨らませており、十分な体力があります。税金での肩代わりには到底国民の理解は得られません。

 しかも、助成を行うNEDOは、研究開発法人という設置目的上、施設設備への助成は行えません。規定に反する業務追加など認められません。

 支援第一号と目されているのが、台湾の世界最大手の半導体製造会社、TSMC熊本工場です。設備投資額の二分の一、四千億円もの補助が見込まれていますが、質疑の中で、補助金額に上限がないことが明らかになりました。まさに青天井で、歯止めなき国費投入に道を開くものです。

 反対理由の第二は、岸田内閣が本法案を経済安保の目玉の一つとして位置づけながら、法的定義すら定かでないまま、先出しして押し通そうとするものだからです。

 米中間の覇権争いの象徴ともなっているTSMC誘致への国費投入を台湾有事まで持ち出して推進することは、日米同盟に経済を一層従属させる危険なものであり、断じて容認できません。

 第三は、我が国半導体産業の衰退をもたらした、日米半導体協定の対米従属、産業空洞化と大リストラによる技術流出などの教訓を全く省みないものだからです。

 日の丸半導体の凋落は人ごとではありません。自民党、経産省の長年の政策の失敗の結果ではありませんか。その反省もなく、TSMCを頼みの綱としても、破綻した過去の国家プロジェクトの二の舞になりかねません。

 今必要なことは、日本の強みである半導体装置、素材産業を支える下請、町工場へのきめ細やかな支援によって、物づくり技術全体をしっかりと底上げするとともに、事業復活支援金を二倍にするなど、コロナ禍で深刻な打撃を受けた中小・小規模事業者の暮らしとなりわいを支え抜くことです。このことを強く求め、反対討論とします。

古屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、石川昭政君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。落合貴之君。

落合委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 令和三年度補正予算関連である本法の緊要性を踏まえ、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構における特定半導体基金の設置を速やかに進め、国内における特定半導体及びその生産に必要不可欠な半導体材料等の安定的な確保に資するための施策に早急に着手すること。

 二 特定半導体生産施設整備等に係る計画の認定に当たっては、事業者による認定申請を促し、かつ認定手続の客観性を担保するための明確かつ適切な認定基準をなるべく早急に定めるとともに、半導体産業に精通した外部専門人材等の有識者の活用に努める等、適切な認定の実施に向けた体制の整備に万全を期すこと。

 三 特定半導体生産施設整備等事業者への支援に当たっては、その効果が支援を受けた事業者及び関係者に留まらず、我が国の半導体産業の発展及び半導体サプライチェーンの再構築並びに国民の生活の向上に資するものとすること。

 四 特定半導体基金による助成の実施が多額の国費を用いるものであることに特に留意し、国内における安定的な半導体の供給の確保のため事業者と連携して認定計画の着実な実施に努めるとともに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構において新たに造成される基金の複数年度にわたる適正な管理・運用を期すための体制整備を着実に進めること。また、当分の間、基金事業による特定半導体の生産施設整備、生産確保の状況等について、政府において責任を持って把握して国会へ報告し、国民の利益にかなう説明を行うこと。

 五 我が国の半導体産業が長期にわたり低迷している現状を踏まえ、政府におけるこれまでの半導体政策について十分に検証を行うこと。また、その評価を踏まえて、今後における中長期的な内外の情勢変化や技術革新の進展等の動向に対応して、安定的な半導体供給の確保及び半導体関連産業の適切な育成が継続的に行われるよう、今後の関連政策の在り方について検討を進めるとともに、次世代半導体の研究・開発の支援について必要な予算を確保すること。

 六 我が国において、半導体産業の人材が不足している現状に対処するため、大学・高等専門学校等における当該学科の魅力度の向上を始めとする人材育成及び海外からの人材受入れに必要な取組を行うこと。併せて、機微な技術や情報を有している人材の海外流出に歯止めをかける実効的措置を検討すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、萩生田経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田経済産業大臣。

萩生田国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

古屋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十八分散会


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