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第1号 令和4年3月2日(水曜日)

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本国会召集日(令和四年一月十七日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      上川 陽子君    国定 勇人君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中川 貴元君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      西村 明宏君    星野 剛士君

      堀井  学君    山下 貴司君

      山本 左近君    荒井  優君

      梅谷  守君    大島  敦君

      菅  直人君    末次 精一君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

令和四年三月二日(水曜日)

    午後零時二十分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      上川 陽子君    国定 勇人君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中川 貴元君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      西村 明宏君    星野 剛士君

      堀井  学君    山下 貴司君

      山本 左近君    荒井  優君

      梅谷  守君    大島  敦君

      菅  直人君    末次 精一君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (産業競争力担当)

   (ロシア経済分野協力担当)

   (原子力経済被害担当)

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国務大臣         若宮 健嗣君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   経済産業副大臣      石井 正弘君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   経済産業大臣政務官    吉川ゆうみ君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            荒井  勉君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギーに関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

古屋委員長 経済産業の基本施策に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業等に係る土地利用の調整に関する件について調査を進めます。

 この際、経済産業大臣から、経済産業の基本施策について所信を聴取いたします。萩生田経済産業大臣。

萩生田国務大臣 第二百八回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣として申し上げます。

 初めに、新型コロナウイルス感染症により、健康面や生活面で大きな影響を受けていらっしゃる方々に、心からお見舞いを申し上げます。

 新型コロナとの戦いがこれからも続く中、経済産業省として、コロナ禍からの経済回復に向けた支援に万全を尽くします。

 その上で、コロナ後の新しい社会も見据え、先手を打って、未来の成長の種をまいていく必要があります。社会課題の解決と経済成長を共に実現していく経済産業政策の新機軸に取り組んでまいります。

 さらに、不確実性が増す中での対外経済政策や、経済産業省の最重要課題である福島復興や、廃炉・汚染水・処理水対策など、裾野の広い経済産業行政を一つ一つしっかりと前に進めてまいります。

 コロナ禍で傷ついた事業者の皆様に対し、必要な支援を迅速にお届けいたします。地域、業種を限定しない、事業規模に応じた事業復活支援金の給付や、事業再構築補助金、生産性革命補助金の拡充によるグリーン・デジタル投資の加速化など、中小企業の事業継続と成長をしっかりと支援してまいります。

 また、資本性劣後ローンや伴走支援型特別保証など、コロナからの回復のための金融支援を継続していきます。

 日々の新規感染者の数は引き続き高水準で推移しているものの、足下では全国的に感染拡大のペースが落ち着き始めています。

 こうした感染状況やワクチン追加接種の進捗なども見極めながら、参加者の安心、安全を確保することを前提に、イベント需要や商店街の活気を喚起します。

 また、これまで大きな影響を受けてきたライブエンタメ業界の再起に向けて、イベント開催支援やキャンセル支援の補助上限を引き上げます。

 増大する債務に苦しむ中小企業に対しては、資金繰り支援に万全を期しつつ、収益力改善、再生、再チャレンジを促進するための総合的な支援策を検討しているところです。

 新型コロナの世界的流行により、日本企業の対外取引は新たなリスクに直面しています。こうしたリスクを低減するため、貿易保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出し、輸出に係る貿易保険の適用対象を、感染症を含む非常リスク全般に拡大します。

 先般のロシア軍によるウクライナへの侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、断じて許容できるものではありません。

 この事態を受けて、経済産業省としては、米欧と足並みをそろえつつ、輸出管理等の制裁措置の実施に向けた取組を速やかに進めます。

 同時に、エネルギーの安定供給確保に関して、産油・産ガス国や国際機関とも連携して、増産の働きかけを含め、機動的に対応するとともに、原油価格高騰に対しては、激変緩和事業による支援の深掘りも含めて早急に措置をいたします。

 なお、私が担当するロシアとの経済分野の協力に関する政府事業については、当面見合わせることを基本に、国際的な議論も踏まえ、エネルギー安定供給や人道上の配慮に留意しつつ対応することとし、ロシア向けの輸出に関する制裁等、今回の事態の対処に専念してまいります。

 さらに、今回の事態によって影響を受ける日本企業、特に中小企業に対して、各種の相談窓口を設置するとともに、資金繰り支援や価格転嫁の配慮要請なども実施し、我が国経済への影響を最小限にとどめるべく、対応してまいります。

 新しい資本主義による成長と分配の好循環の実現に向け、グリーン、デジタル、グローバル、経済安全保障など重要課題において、政府も企業も、共に前に出て投資を行っていくことが重要です。新たな官民連携を構築し、経済と社会を同時に変革すべく、経済産業政策の新機軸に取り組んでまいります。

 第一の柱は、グリーン社会の実現です。

 昨年閣議決定したエネルギー基本計画を踏まえ、カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギー需給構造の転換を後押しする安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を今国会に提出します。

 また、水素、アンモニア、再エネ、原子力、蓄電池といったエネルギーの供給側に加えて、自動車産業や素材産業などの需要側のエネルギー転換についても検討を深め、分野ごとに、いつまでに、どのくらいの投資が必要なのかを示すことで、企業投資を後押しするクリーンエネルギー戦略の策定に向けた検討を進めます。

 野心的な炭素削減目標を掲げる企業が自主的に排出量取引を行うGXリーグの本格実施に向けた準備を進めるとともに、グローバルに生じている企業会計・開示の変革や、カーボンニュートラルに向けた現実的なトランジションの取組に対する金融の円滑化など、日本の高付加価値経営に結びつけるための方策を検討してまいります。

 第二の柱は、デジタル社会の実現です。

 デジタル化については、今や日本は他の先進国に後れを取っており、日本全体をデジタル前提でつくり直すくらいの大改革が必要です。このため、デジタルインフラの整備、再生可能エネルギーの効率的な導入拡大に資するエネルギーインフラのデジタル化、次世代モビリティー社会の構築に向けた交通、物流インフラのデジタル化、データ連携基盤の整備、次世代データ処理能力の確保などを一体的に実施していくための政府全体の方針として、デジタル日本改造ロードマップの策定に関係省庁とも協働して取り組んでまいります。

 また、従来の制度をデジタル技術の活用を前提としたものに見直していく必要があります。テクノロジーの活用で高度な保安を確保できる事業者の手続や検査の在り方を見直す高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案を今国会に提出します。

 第三の柱は、経済安全保障の確立です。

 デジタル化する経済活動に不可欠な半導体について、昨年の臨時国会で成立した特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律の執行や次世代半導体の製造技術開発をしっかりと進めていきます。

 加えて、例えばTSMCが工場立地を計画している九州では、九州半導体人材育成等コンソーシアムの組成を開始するなど、国と地方、産業界と教育界、官と民が一体となって、先端半導体分野の人材育成、確保に取り組んでまいります。

 また、パンデミック時に経済活動維持の鍵を握るバイオ・医療や、脱炭素化に必須のレアアース等の重要資源といった、我が国の先端技術、物資の研究開発、確保を進めます。

 第四の柱は、イノベーションの促進、スタートアップの創出です。

 コロナ後の新しい社会における成長を牽引する先端技術やイノベーションへの民間投資を促進するため、研究開発支援の拡充や先端技術の社会実装の支援など、イノベーションが広がる環境づくりに取り組みます。

 二〇二五年大阪・関西万博の会場を未来社会の実験場として、新たな技術やシステムを実証する場と位置づけ、イノベーションを誘発し、社会実装していくための巨大な装置として活用していきます。

 また、世界で勝負できるスタートアップ創出のため、リスクの高い事業化前段階や、大規模、長期のリスクマネーが必要な成長段階における資金調達環境を強化し、迅速な事業拡大を促すとともに、未来のスタートアップ創業者に育ち得る個性豊かで多様な才能を育てるための環境を整備するなど、イノベーションの担い手であるスタートアップのエコシステムを強化してまいります。

 第五の柱は、人への投資です。

 民間企業の賃上げを促進するため、賃上げ税制を抜本的に拡充します。中小企業も賃金の支払い能力を確保できるよう、下請Gメンの倍増やパートナーシップ構築宣言を推進するなど、取引環境の整備を進めていきます。

 また、誰もが成長を実感できる包括的な成長の実現に向けて、ICTを活用した個別最適な学びと創造性を育む学際的な学びの事例創出、普及やリカレント教育の推進など、人への投資を強化してまいります。

 米中対立、自国優先主義など、国際秩序への懸念が継続する中、我が国は自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導してまいります。

 WTOの強化や、CPTPP、RCEPなどの経済連携協定の活用を通じた地域の自由で公正な経済秩序の構築を図りつつ、デジタル経済に関する国際的なルールづくりの推進、企業の公平な国際競争を妨げる市場歪曲的措置への対応など、新たな国際秩序の形成に取り組みます。

 米国による鉄鋼、アルミ追加関税は、協議の結果、鉄鋼製品の関税が部分的に撤廃されました。しかしこれは、解決に向けた第一歩であり、我が国としては、引き続き、WTOルールに整合的な形での完全解決を求めてまいります。

 サプライチェーンにおける人権尊重、いわゆる人権のデューデリジェンスに関して、検討会を立ち上げ、業種横断的なガイドラインの策定に取り組むとともに、企業が公平な競争条件の下で積極的に人権尊重に取り組めるよう、各国の措置の予見可能性を高める国際協調も進めてまいります。

 同時に、様々な先端技術を有する我が国として、人権侵害に対するツールとして、輸出管理の枠組みが活用可能かどうか、議論、検討するとともに、基本的価値観を共有する欧米等の同志国と緊密に連携してまいります。

 さらに、米国、欧州、ASEAN等とは、質の高いインフラの整備や、アジア未来投資イニシアチブ、アジア・エネルギー・トランジション・イニシアチブを通じたアジアにおける未来志向の新たな投資の推進、脱炭素化の支援などを実施しつつ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた連携を強化してまいります。

 福島復興と福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策は、経済産業省の最重要課題です。

 福島の復興は、一刻の遅滞も停滞も許されないという強い決意の下、廃炉に向けて、燃料デブリの取り出しや、ALPS処理水の処分に向けた準備などを進めつつ、ALPS処理水の安全性への理解醸成、風評対策に全力で取り組んでまいります。

 今春からの避難指示解除に向け、帰還困難区域における特定復興再生拠点の環境整備を進めるとともに、拠点区域外についても避難指示解除に向けた方針に基づき、対応を進めます。

 加えて、被災地の産業復興に向け、事業、なりわいの再建や福島イノベーション・コースト構想による新産業の創出に向けた取組などを着実に進めてまいります。

 以上、申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しております。国民の皆様の幅広い御意見をしっかりとお伺いしながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。

 古屋委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

古屋委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。

 この際、若宮国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。若宮国務大臣。

若宮国務大臣 公正取引委員会に関する事務を担当する大臣として、御挨拶を申し上げます。

 公正かつ自由な競争の下での経済活動は、社会の活力を生み出し、経済の成長力を高め、ひいては国民生活を豊かなものにします。我が国経済の健全な発展を実現し、国民全体の福利を確保するためには、経済実態に即応した競争政策を展開することが必要です。

 そのために、公正取引委員会による厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用が確保されるよう、全力で職務に当たります。カルテルや入札談合を厳しく取り締まることはもとより、買いたたきなどの中小企業に不当に不利益を与える下請法違反行為や優越的地位の濫用行為等の取締りを強化するとともに、これらの行為を未然に防止するなど、独占禁止法、下請法の執行強化の取組を進めること、また、迅速かつ的確な企業結合審査も重要です。これに加えて、デジタル市場を始めとする様々な分野における取引実態の把握や競争の活性化に関する唱導、スタートアップ企業と大企業の取引の適正化などを通じて、競争環境の整備を進めることも必要です。

 そして、これらの業務を担う公正取引委員会の体制について、質的、量的な充実を図ることにより、重点的かつ計画的に強化することに努めます。

 古屋委員長を始め、理事、委員各位の一層の御理解、御協力、また御指導を賜りますようお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

古屋委員長 次に、赤池内閣府副大臣及び宮路内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。赤池内閣府副大臣。

赤池副大臣 公正取引委員会に関する事務を担当する副大臣として、一言御挨拶を申し上げます。

 我が国経済が健全に発達していくためには、競争政策の中核となる独占禁止法の適切な運用を確保していく必要があります。

 宮路大臣政務官とともに若宮大臣を補佐し、公正かつ自由な競争下で我が国経済がしっかりと発展していけるよう、職務に邁進してまいります。

 古屋委員長を始め、理事、委員各位におかれましては、一層の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

古屋委員長 次に、宮路内閣府大臣政務官。

宮路大臣政務官 公正取引委員会に関する事務を担当する大臣政務官として、一言御挨拶を申し上げます。

 赤池副大臣とともに若宮大臣を補佐し、公正かつ自由な競争環境の整備に努め、我が国経済がより豊かで活力あるものとなるよう、全力で職務を遂行してまいります。

 古屋委員長を始め、理事、委員各位には、一層の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

古屋委員長 次に、令和三年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。古谷公正取引委員会委員長。

古谷政府特別補佐人 令和三年における公正取引委員会の業務について、その概略を御説明申し上げます。

 公正取引委員会は、以下に申し述べる施策に重点を置いて、独占禁止法等の厳正な執行や競争政策の積極的な推進に取り組んでまいりました。

 重点施策の第一は、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用であります。私的独占事件について課徴金納付命令を行い、不公正な取引方法に係る事件について確約計画を認定したほか、海外の事業者を含むデジタルプラットフォーム事業者による独占禁止法違反被疑事件に対処しました。

 合併等の企業結合事案については、引き続き、企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針等に基づき、当事会社との意思疎通を密にしつつ、国際的市場環境も十分に考慮しながら、対象市場の実態に即して迅速かつ的確な企業結合審査に努めてまいりました。

 第二は、中小事業者に不当に不利益を与える行為の取締り強化であります。市場における公正な競争を確保するため、中小事業者に不当に不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用といった不公正な取引方法に該当するおそれのある行為等に対し、厳正かつ積極的に対処いたしました。

 下請法の運用については、下請代金の減額、買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請など、新型コロナウイルス感染症に関連する違法行為を含め厳正に対処し、四件の勧告、公表を行ったほか、七千九百二十二件の指導を行いました。

 また、昨年十二月に、公正取引委員会を含む関係省庁において、中小企業が労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるよう、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージが取りまとめられました。公正取引委員会としては、関係省庁が各般の施策を連携して実施する中で、独占禁止法や下請法の執行を強化して、従来より踏み込んだ取組を行い、価格転嫁に伴う中小企業への不当なしわ寄せ防止に向け、実効性が上がるように取り組んでいくこととしております。

 第三は、競争環境の整備への取組であります。公正取引委員会は、各種のガイドラインを公表し、独占禁止法上の考え方を明らかにするとともに、市場における公正かつ自由な競争を促進する観点から、様々な調査研究等を行っております。

 公正取引委員会では、政府で進めているデジタルプラットフォーム事業者に関するルール整備に取り組んでおり、デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書を公表するとともに、新たに、クラウドサービス分野やモバイルOS等に関する実態調査を開始しました。

 さらに、携帯電話市場、官公庁における情報システム調達、新規株式公開における価格設定プロセスなど様々な分野について、独占禁止法や競争政策の観点から、取引実態を把握するための調査を行うとともに、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインや、スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針を関係省庁と連携して策定するなど、競争環境の整備のためのアドボカシー活動に積極的に取り組んでおります。

 以上、簡単ではありますが、業務の概略について御説明を申し上げました。

 今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。

古屋委員長 次に、令和三年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。荒井公害等調整委員会委員長。

荒井政府特別補佐人 公害等調整委員会は、公害に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るとともに、鉱業等と一般公益又は他の産業との土地利用に関する調整などを行うことを任務とし、総務省の外局として置かれている委員会でございます。

 当委員会が令和三年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務について御説明申し上げます。

 第一に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する事務についてでございます。

 当委員会は、鉱業法に基づく特定の許認可などの処分に不服がある者からの申請について裁定を行い、一般公益や他の産業との調整を図っております。

 令和三年に当委員会に係属した事件は、三重県において、岩石採取計画認可申請を行った採石業者が、濁水処理対策の効果に疑念がある等として処分庁が行った不認可処分の取消しを求めた不服裁定申請事件及び本件裁定の結果に関係のある漁協等による参加申立て申請事件など四件でございます。

 そのうち、例に挙げた事件は、採石業者と漁協等との間の利害の調整を進めたところ、処分庁が本件不認可処分を取り消し、新たに認可処分を行うに至ったため、申請人が申請を取り下げ、同年中に終結いたしました。

 当委員会は、不服の裁定制度を必要とする国民の確実な利用、裁定を踏まえた行政の運営改善に資するため、不服の裁定制度の周知、結果の情報提供に努めてまいります。

 第二に、土地収用法に基づく意見の照会等に関する事務についてでございます。

 土地収用法に基づく審査請求に対して国土交通大臣が裁決を行う場合などには、当委員会の意見を求めること等とされております。

 令和三年に当委員会に係属した土地収用法に基づく意見の照会等は十三件であり、そのうち、同年中に処理した事案は七件でございます。

 以上が、令和三年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要でございます。

 なお、以上のほか、当委員会は公害紛争の処理に関する事務を行っており、令和三年には六十二件の公害紛争事件が係属しております。

 公害等調整委員会としましては、今後とも、新型コロナウイルス感染症の感染防止のための対策を講じつつ、これらの事務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。

 次回は、来る四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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