衆議院

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第2号 令和4年3月4日(金曜日)

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令和四年三月四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      国定 勇人君    国光あやの君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      中川 貴元君    中野 英幸君

      西村 明宏君    星野 剛士君

      山下 貴司君    山本 左近君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      末次 精一君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国務大臣         若宮 健嗣君

   経済産業副大臣      細田 健一君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   三浦 章豪君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           大谷 圭介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ長)            濱野 幸一君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          師田 晃彦君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          飯田 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    新居 泰人君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長三浦章豪さん、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義さん、スポーツ庁スポーツ総括官大谷圭介さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ長濱野幸一さん、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官師田晃彦さん、経済産業省通商政策局通商機構部長黒田淳一郎さん、経済産業省貿易経済協力局長飯田陽一さん、資源エネルギー庁次長山下隆一さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁次長新居泰人さん、中小企業庁事業環境部長飯田健太さん及び環境省地球環境局長小野洋さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美さん。

稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美でございます。

 発言の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。

 さて、ロシアのウクライナ侵略でございますが、拡大の一途をたどり、民間人の犠牲も出ているところです。武力で他国を侵略して自分の野望を遂げようというのは、明らかな国際法違反でございます。しかも、これは遠い国のことではなくて、力による一方的な現状変更を阻止するかどうか、これは、世界の平和、そして、中国も見ていると思います。この対応を誤りますと、我が国周辺、東シナ海、尖閣、台湾にも大きな影響があると考えております。

 そんな中で、首都キエフにとどまって最後まで邦人救出、保護に携わっていたのが日本大使館でございます。アメリカ大使館始め、ほとんどの各国がキエフを去り、退避している中で、日本の松田大使以下、数人の外務省職員は、邦人救出、そしてウクライナ政府との連絡等に、士気高く、自らの安全を顧みず、職務を遂行してまいりました。爆発音がキエフに迫っている中、一昨日、モルドバに退避し、今後は、ウクライナ西部のリビウで邦人の受入れ業務をすると聞いておりますが、このリビウとて、決して安全ではございません。是非、大臣から、この松田大使、福井出身なんですけれども、外務省職員に対するエールをお願いしたいと思います。

 その上で、原子力政策についてお伺いをいたします。

 ロシアのウクライナ侵略について、ドイツがロシアに五〇%近くのエネルギーを頼っているということから、動きが鈍かったとも言われております。戦前のABCD包囲網を想起しても、エネルギーが安全保障に直結することは明らかでございます。

 大臣所信の中で第三の柱として述べられている経済安全保障に、エネルギーは、文字としては入っておりませんけれども、当然入ると思っておりますが、それでよろしいのでしょうか。

 ウクライナ情勢に鑑みますと、今以上の原子力の再稼働を加速させて、エネルギー自給力を高めることが私は不可欠である、場合によっては緊急の再稼働をも検討すべき状況も来るのではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いします。

萩生田国務大臣 まず、在ウクライナの松田大使を始めとした大使館員の皆さんの責任ある行動に、心から敬意を表したいと思います。

 エネルギーの安定供給は国の経済社会活動の根幹です。私も経済安全保障推進会議に参画し、エネルギーも含めた総合的観点から議論を行っているところです。

 安定供給の確保の観点からも、安全性の確保を大前提とした原子力発電所の再稼働が円滑に進むよう、国も前面に立って、地元の理解確保等に取り組んでいく必要があると思っております。

 なお、再稼働に先立つ安全審査については、原子力規制委員会が一元的に所掌することとされているため、経産省としての立場からのコメントは差し控えたいと思います。

稲田委員 また、全ての原子炉が四十年超の運転をしても、温室効果ガス削減目標の実現に必要な容量は確保できないおそれもございます。それにもかかわらず、エネルギー基本計画において、可能な限り低減としているのはおかしいのではないでしょうか。

 また、岸田総理は所信表明で革新原子力を掲げておられましたが、実際に新増設、リプレースを行うのでなければ、将来にはつながらないと思います。

 政府として、早急に新増設、リプレースの方針を示すべきであると考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

萩生田国務大臣 新増設、リプレースについては、現時点では想定していないというのが政府の方針であります。他方で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求することとしております。

 こうした方針の下、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには、将来につながるような原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

稲田委員 今日は環境副大臣にもお見えいただいております。

 これまで環境省は、どちらかというと脱原発に走っていたか、そういう印象を受けております。エネルギー基本計画では、先ほど申しましたように、可能な限り原発の依存度を低減するということなんですけれども、一体どこまでこれが実現することができるのか。カーボンニュートラルと可能な限り原発依存度低減というのは、私は両立しないと思うんですけれども、大岡環境副大臣に伺います。

大岡副大臣 稲田先生にお答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、電力部門の着実な脱炭素化を実現することが重要でございまして、そのためには、脱炭素電源であります再生可能エネルギーの最大限の導入、あわせて、脱炭素電源である原子力の安全性の確保を大前提とした活用が必要だと考えています。

 近年、ではどのぐらいの原子力発電が電源構成で占めているかと申し上げますと、二〇一九年度においては確定値で六・二%、二〇二〇年度速報値においては三・九%でございます。二〇三〇年においては、温室効果ガス四六%削減に向けて、様々な課題の克服を前提として、原子力は二〇から二二%と見込んでおります。

稲田委員 現在三・九%で、二〇三〇年、二〇から二二%、それは実現可能なんでしょうか。

 また、環境省は、総理が言う、先ほども申し上げましたけれども、革新原子力というものについて、どのように位置づけ、また、原発の延長線上なのか、それとも新しい枠組みとして考えておられるのか、お伺いいたします。

大岡副大臣 ありがとうございます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、二〇二〇年において三・九%しか回っておりません。あわせて、稲田先生御指摘のとおり、全ての原子力発電所を四十年超の運転をしたとして、二〇から二二を目標とするのはぎりぎりの数字でございます。何とかそれに向けて、しっかりと取組をしてまいりたいと考えております。

 また、御質問のありました革新原子力の位置づけにつきましては、まだ十分な議論ができておりませんが、恐らく想定されておりますSMR、小型モジュール炉に関しては、これまでの建物としての原子力発電と全く違う技術でございまして、原子力発電所というよりは原子力発電機のようなものでございまして、したがいまして、安全性それから効率性等において、今までの既存の原発、原子力発電所とは全然別物でありますことから、全く新しい枠組みのものというふうに考えております。

稲田委員 ありがとうございます。

 カーボンニュートラルの実現についても、また、エネルギー安全保障、経済安全保障の観点からしても、革新原子力、また国産の脱炭素エネルギーを育てることが重要だと思います。旗振り役の環境省としても、このような安全保障の視点をしっかりと持って取り組んでいただきたいと思います。

 一方で、再生可能エネルギーの最大限導入は、エネルギーの安全保障、そして地域の活性化のために重要でございます。原発か再エネかではなくて、原発も再エネも必要ということでございます。

 中でも洋上風力発電の導入拡大、これはカーボンニュートラルの実現の切り札だと思っております。福井県でも、あわら市沖で準備区域指定等、地域調整が進んでおります。送電網等の福井県にあるインフラ、これを最大限に活用して福井県をクリーンエネルギーの拠点にしていくべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 その前に、今週、IEAの閣僚会議に出席しました。ロシアの侵略という事態が生じて、昨年のCOP26のときには、日本の、言うならば多様性を持ったエネルギー確保の取組というのは、ある意味、批判をされたわけですね。化石賞などが出たといって随分揚げ足を取られましたが、もはやフェーズが変わりまして、ヨーロッパの皆さんも、再生エネルギーに依存しているだけではこれは立っていられないというのを、逆に日本のやはり取組を見習うべきだという意見を、随分閣僚からも言われたところでございます。

 洋上風力発電は、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた切り札だと思っております。二〇二一年末には、秋田、千葉の三海域において、再エネ海域利用法に基づく国内で初となる大規模な洋上風力選定事業者を公表したところです。政府としては、先行するこれらの海域に加え、先生御指摘の福井県あわら市沖を始めとした日本各地の案件形成を加速すべく、日本版セントラル方式の実現などの制度、環境整備に取り組んでいるところです。

 また、案件形成に当たっては、地元の漁業関係者を始めとする利害関係者との調整において、国、都道府県の連携が不可欠です。福井県あわら市沖での案件調整については、経済産業省としても、近隣自治体と連携し、県による同地域の有望区域化へ向けた取組を支援をしております。

 引き続き、都道府県や関係省庁と緊密に連携し、促進区域の創出に向けて取組を進めてまいりたいと思います。

稲田委員 地元としても大変期待をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 環境副大臣にお伺いしますが、欧米に比べて、風力発電を建設するのに環境アセスメントが厳しくて時間がかかるという声も出ております。これが競争力低下につながっているのではないかとも言われているんですが、環境省として、この風力発電の競争力強化についての御見解をお伺いします。

大岡副大臣 ありがとうございます。

 確かに、稲田先生御指摘のとおり、特に再生可能エネルギーを購入していただいているのはグローバル企業、世界的に競争している企業が非常に多うございまして、だとすると、我が国のこの再生可能エネルギーのコスト競争力というものをすごく大切にしていかなければならないと考えております。

 環境省としましても、これまで厳しかったアセスメントを、規制緩和できる部分は規制緩和していこう、支援できる部分は支援していこうという動きを強めておりまして、確かに、先生御指摘のとおり、コスト競争力で負けてしまいますと、せっかく造ったものが無用の長物になってしまいかねません。お金をかけて造ったものが、コスト競争力がなければ価値を生まないものになってしまいますので、そこも注視して、これから先生の御指摘をしっかり踏まえて、取組を進めてまいりたいと考えております。

稲田委員 期待をいたしております。

 それでは、原油高騰対策についてお伺いをいたします。

 今回のウクライナ侵略によって、またコロナ禍の影響拡大で、原油価格が高騰をいたしております。この激変緩和の補助金について、上限を拡大をして二十五円にするということでございますけれども、この二十五円の補助を一か月続けますと二千五百億、仮に四か月で一兆円にも及ぶわけでございます。

 この補助金は、ガソリンの価格そのものを引き下げることを目的とするもので、やはり緊急避難的、時限的な激変緩和措置として、異例の措置として位置づけられたというふうに考えております。結果として、ガソリンの値下げを、業種や所得、さらには寒冷地かどうかに関係なく、期限の定めなく一律に満額補助するというのが果たして妥当なのか、ワイズスペンディングなのかという点について、今日は財務大臣政務官に来ていただいておりますので、御見解を伺います。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 今委員からお話ありましたとおり、本日、燃料油価格の激変緩和事業の拡充を行い、支援の上限を五円から二十五円に引き上げることといたしました。

 この事業は、ウクライナ情勢が緊迫化し、原油価格の急騰が現に生じている中、国民生活などへの影響を最小限にするため、当面の間に限った緊急避難的な異例な対応であると理解をしております。

 事態が収束すれば、当然、事業内容は見直していくこととなるものと思っております。

稲田委員 ガソリンの値上がりによって、他の手段に切り替えることができるものについて切替えを促すことなく、安い価格で消費させるということは、私は、脱炭素を目指す国の方針にも逆行するんじゃないのかというふうに思います。

 政府全体で二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中で、その司令塔である環境省、大岡副大臣に見解を伺います。

大岡副大臣 お答えいたします。

 我が国として、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年には四六%削減という目標に向けた取組を加速していく方針には、全く変更はございません。

 その上で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、運輸部門におきましては、電気自動車や燃料電池自動車の導入、水素ですね、それから、内燃機関の燃料として、ガソリンに代わるものとしての合成燃料の研究活用などを進めていくことが必要でありまして、引き続き、政府一丸となって脱炭素に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

 方針に逆行するかどうかの御指摘につきましては、特に環境省として事前に相談、協議を受けているわけではございませんので、ちょっとお答えできません。申し訳ございません。

稲田委員 そんな、政府全体で決めたことで、環境省は相談を受けていないって、ちょっとおかしいんじゃないんでしょうか。

 環境副大臣に重ねてお伺いしますが、COP26の化石燃料に対する補助金の停止という考え方からしても、環境省として今回の政策を容認するのはおかしいと思うんですが、いかがですか。

大岡副大臣 御質問にお答えいたします。

 確かに、まず、昨年のCOP26では、岸田総理にも御出席をいただきまして、化石燃料に対する補助金は廃止ということを決められております。

 その上で、今回、大変申し訳ないんですけれども、ガソリンの補助金等につきましては、事前に環境省として協議、相談を受けたわけではございませんので、矛盾点があるかどうかの判断につきましては経産省にお尋ねをいただければありがたいと思います。

稲田委員 ちょっとその回答には納得できないんですけれども、やはり負担軽減効果を狙うのであれば、所得に応じた形で補助する方がいいし、消費代替効果を狙うのであれば、代替できない業種のみに補助する方がよいというふうに思います。

 ただ、緊急対策として、一時的な支援の深掘りだというふうに思っていますので、出口はしっかり検討いただきたいと思いますし、ロシアによる侵略戦争というこの緊急事態において、世界のガソリン需給が逼迫している中で、国家の備蓄を放出しなければならない、こういう異常事態になっているわけでございます。国民にガソリンの消費を控えてくださいと言うのが私は本来の筋であって、一律に値下げをして結果として消費は変わらないというのであれば、世界の今の状況から見ていかがなものかとも思うということも指摘させていただきたいと思います。

 最後に、今、コロナ禍そしてウクライナの情勢で、日本の経済は大変大きな打撃を受けているわけでありますけれども、コロナに限りますと、欧米に比べますと本当に桁違いに感染者数も死亡者数も少ない。なのに経済は大きな打撃を受けている。これは、日本の経済の底力また生産性が低いということではないかというふうに思います。

 大臣にお伺いします。

 成長分野への投資や労働力の移動など、抜本的な構造改革、民間の投資をどうやって呼び込むのか、また、革新的な製品、サービス、新しい産業を生み出し、世界を牽引するスタートアップの振興にどのように取り組んでいかれるか、お伺いします。

萩生田国務大臣 ポストコロナに日本経済を成長軌道に乗せていくためには、成長分野への投資や人的資本投資を進めることが重要であり、そのためには大胆な政策が必要であると認識しております。グリーン、デジタル、経済安全保障などの社会課題に着目し、政府も民間も一歩前に出て投資を拡大していくことが重要であり、大規模、長期、計画的に支援していくことなどについて議論を行っているところです。

 既に、コロナ禍からの経済回復に向けて、半導体製造拠点整備を人材育成とセットで支援することや、平時にはバイオ医薬品を製造しつつ、有事にはワクチン製造に転用できるデュアルユース製造の構築支援などに取り組んでおります。また、カーボンニュートラルやデジタル化などの潮流を踏まえた新たな産業構造に対応した人材が必要となってまいります。このため、将来の成長が見込まれる分野において、社会人が高度な専門性を身につけてキャリアアップを図るための講座を認定し、支援を行っております。

 こうした検討の成果を、経済産業政策の新機軸として取りまとめた上で、あらゆる政策動員をしてまいりたいと思いますし、先生御提案のありました我が国のスタートアップの現状、これはなかなかまだ花開いていないという状況にありますので、経済を牽引するようなスタートアップが質、量共に増えていくように、岸田総理の下、スタートアップ五か年計画を策定し、今後五年間スタートアップに集中的に政策資源を投入するという方針が示されたと認識しております。

 経産省としましても、是非、事業化前の段階ですとか成長段階における資金調達環境を強化して迅速な事業拡大を促すことができるようにすること、また、何よりそのスタートアップを目指す人たちを増やしていかなきゃいけないので、個性豊かで多様な才能を育てるための環境を整備するなど、資金、人材といったあらゆる側面から関係省庁と連携し、検討を加速してまいりたいと思います。

稲田委員 萩生田大臣、大いに期待しております。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中川貴元さん。

中川(貴)委員 おはようございます。自由民主党の愛知二区の中川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、今日も宿舎からいつものように議員会館へ歩いてまいりました。その道中において、いつもと変わらぬ風景と、そして、上を見上げるといつもと変わらない穏やかな空がそこにはありました。私が踏み締めるその大地は、今まさに私がここに生きているんだ、そう実感させてくれるものでありました。

 一方で、明日の朝を迎えることができるであろうか、そして、今日も一日この大地を踏み締めていることができるであろうか、また、父や母、きょうだい、皆がそろってあしたを迎えることができるであろうか、そんな不安を抱えている人たちがたくさんいらっしゃる、今まさにこの時間に、同じ地球上にたくさんいらっしゃる。そういうことに思いをはせるときに、どうにも私は胸が張り裂ける、そんな思いがいたすわけであります。

 ロシア、ウクライナ両国の緊張緩和に向けて、岸田内閣総理大臣も、G7や国際社会と結束しつつ、懸命な努力をしていただいているところであります。にもかかわらず、誠に残念ながら、ロシアはウクライナへの侵略を開始しました。ロシアに対し日本は順次制裁措置を講じ、岸田総理からは、今回の事態により我が国経済社会に生じる様々な悪影響を最小限にとどめるよう取り組むとの表明もしていただいているところであります。

 しかし、世界有数の原油、そしてLNG、すなわち液化天然ガスの産出国であるロシア、このロシアによるウクライナ侵略によって、世界のエネルギー市場が今まさに大変混乱をしているわけであります。引き続く原油高は、ガソリン価格の高騰などを通じて、産業界や国民生活にも大きな影響を今もなお与え続けているわけであります。

 そういう中で、今朝、原油価格高騰に対する緊急対策が閣僚会議で決定されたと伺っておるところであります。

 そこで、我が国のエネルギーの安定供給のため、また、エネルギー価格高騰の影響を緩和するため、中小企業対策を含め経済産業省はどのように対応していくのか、まずはこの点について萩生田大臣よりお答えをいただきたいと存じます。

萩生田国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略などの情勢の変化が、元々上昇していた石油価格が更に高騰する要因となっております。

 このため、今朝開催された原油価格高騰等に関する関係閣僚会合にて、政府として緊急対策を取りまとめました。

 経済産業省としては、燃料油の急激な価格高騰を抑えるため、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とした激変緩和事業について、当面の間の緊急避難的措置として、直近の価格から上昇を抑制するよう、元売事業者に対する支給額の上限を現在の五円から二十五円に大幅に引き上げ、卸価格の上昇の抑制を通じて小売価格の急騰を抑制することにより、国民生活等への不測の影響を緩和をしてまいりたいと思います。

 加えて、原油価格高騰の影響を受ける中小企業をしっかりとお支えすることも重要です。このため、原油価格高騰等に関する特別相談窓口を全国一千か所に設置するとともに、日本公庫によるセーフティーネット貸付けの金利を下げるなど、中小企業の資金繰りの支援に万全を期してまいりたいと思います。

 また、原油価格上昇に伴う価格転嫁の配慮を業界団体を通じて親事業者に要請するなど、様々な取組を推進してまいりたいと思っております。

中川(貴)委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 今の御答弁をいただきましたので、次は、具体的にこの燃油価格の高騰対策についてお尋ねをしたいと思います。

 昨今の原油高により、ガソリン、軽油もさることながら、特に一般家庭においては冬季の暖房の必需品である灯油に影響がありました。また、企業活動を行う上では、農業や漁業、産業用のボイラーとして使用される重油にも影響が生じているところであります。

 大臣より先ほど御答弁いただきましたように、現行はガソリン価格が百七十円超の場合五円を上限として支給されていたものを、直近の価格からの上昇を抑制するよう、支給上限を五円から二十五円に大幅に拡充し、その予算規模は三千五百億とも言われているところであります。これは、国民の皆様にとっても、また企業の皆さんにとっても、急激な価格上昇を抑制し、不測の影響を緩和できるという点で大変有益な一手であろうかというふうに私は思っています。

 そこで、改めて大臣にお聞かせをいただきたいのですが、トリガー条項の凍結解除という選択肢もあった中で、燃油高騰対策の補助金を大幅に拡充そして強化する理由は何であるのか、トリガー条項と比べてどのようなメリットが今回あるのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 激変緩和事業は、法改正が必要なトリガー条項と違い、スピード感を持って対応できるとともに、トリガー条項では対象とならない灯油や重油も対象となるメリットがあると思っております。

 具体的には、寒冷地、今年は雪が非常に多くて、トリガーでは灯油を下げることができません。もちろん、地財措置をした補助制度は各自治体ではやっておりますけれども、そこに卸す灯油価格を一定程度抑制ができるわけですから、更に安い金額でストーブなどをたくことができている現状があると思います。

 また、重油は、お風呂屋さんですとか、それからクリーニング屋さん、そして重工業などはもう直接、大量の重油を工場に運び込みますので、物を作ったりする生産過程の中で物価を抑えるという抑制効果もあると思っています。

 また、農業、漁業などの業種別の対策の強化、もう既にあるものに加えて、当面の間は、緊急避難的な措置として激変緩和事業の大幅拡充強化を行うことにしました。

 ガソリンだけにフォーカスを当てると、先ほど稲田先生おっしゃったように、所得や何かに視点を置いた方がいいんじゃないかというのは、それはそのとおりなんです。しかし、全体の、まさに物価高を抑えながら、この戦争という特別な事情の中で、国民生活の影響を最小限に抑えていきたい、そういう意味では、トリガー条項ではなくて、この激変緩和事業の方が効果があるというふうに思っております。

中川(貴)委員 ありがとうございました。大変よく分かりました。

 そこで、大臣、一つ提案をさせていただきたいのでありますが、ウクライナ情勢の緊迫を踏まえて緊急対策を実施していただく、これは本当に多くの方から御評価をいただけるものだというふうに思っています。

 一方では、今大臣からも御答弁がありましたように、実は、原油高の影響というのは、このウクライナ情勢の関連のみならず、昨年来から続いているわけです。

 そもそも、この燃油高騰対策の補助金は、大臣、そして先ほど稲田先生からもお話がありましたように、緊急避難的に、しかも全体を考えながら、この原油価格の高騰、これを、コロナ禍から経済回復の足かせになる、そういう事態を防ぐためにこの施策を打ってきたというふうに理解をしています。

 したがって、もしも、もしもですが、四月以降も原油価格の高騰が我が国経済への影響をなおも継続させている場合には、国民の皆さんや企業の皆さんのためにも、この有事の対応のみならず、緊急避難的に、あらゆる状況を鑑みながら、引き続き燃油高騰対策を実施してはいかがかと思いますが、まず、この点についてお伺いをしたい。

 そして、併せて大臣にお尋ねをさせていただきますが、二月二十五日、岸田総理は記者会見において、あらゆる選択肢を排除することなく検討し、対応していく旨の発言をされました。この、あらゆる選択肢を排除することなくというのは、これは、原油価格高騰対策のため、それこそ、あらゆる局面を想定して、トリガー条項の凍結解除の可能性は排除しないということになるのかどうなのか、この点についても併せてお答えをいただきたいと存じます。

萩生田国務大臣 先ほど来申し上げていますが、本事業はあくまで当面の間の緊急避難的な措置であり、今回の拡充は、ロシアによるウクライナ侵略によるエネルギー市場の高騰から国民生活や日本経済を守るために大幅に拡充強化したものです。今後、事態が収束すれば、当然、事業規模などは見直していく方針です。

 今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するのかも見極めながら、御指摘の、あらゆる選択肢を排除することなく、何が真に効果的な対策か、政府全体で不断の検討を行ってまいりたい、このことは総理も私も繰り返し国会で申し上げているとおりでございますので、まずは今、足下、この緊急避難的な対策でしのいでいきたいと思いますけれども、四月以降もどうなるのか、これはもうしっかり見極めた上で、いずれにしても、国民生活の影響を最小限にしていく、経済がちゃんと前に進めるような環境をつくっていく、このことは政府として責任を持って前広に考えていきたいと思っております。

中川(貴)委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 では、次に、ウクライナ情勢を踏まえた貿易保険の対応について伺います。

 今回のウクライナへの侵略を受けて、民間のビジネスにも大きな影響が出るわけであります。ウクライナと日本の貿易額は、二〇二一年の一年間で、輸入が約七百九十八億円、輸出が約六百四十億円。ロシアと日本の貿易額は、二〇二一年の一年間で、輸入が約一兆五千四百三十億円、輸出が約八千六百二十四億円となっています。

 ウクライナ侵略により、我が国企業によるウクライナへの輸出ができなくなる、あるいは投資が毀損することも想定されます。また、ロシアへの輸出、投資も困難になる、これも予想されるわけであります。さらには、ウクライナやロシアと直接取引はないもののサプライチェーンの毀損も想定がされます。

 半導体製造に必要な不活性ガス、ネオンは、ウクライナが主要な供給源となっており、今後の半導体製造への不安も聞こえてまいります。半導体は、現在の製造業にとって重要部品の一つであり、我が国企業のサプライチェーンが混乱することが危惧をされているところでもあります。

 このような場合の備えとして、とりわけ企業への対応として貿易保険がありますが、ウクライナ、ロシア、両国への日本からの輸出、投資等に対する貿易保険の引受残高、これはどれくらいなのか。また、今般の状況において、どのような場合に保険金が支払われるのか。そして、もう一点は、貿易保険制度に関する広報、あるいは地方における貿易保険へのアクセスの向上について、今後どういうふうに対応していただけるのか。

 三つお尋ねしますが、併せてお答えいただきたいと存じます。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 最初の御質問にございました、ウクライナ、ロシア向けの貿易保険の引受けの状況でございますけれども、本年二月末時点の数字でございますが、その総額は、ウクライナ向けで約五百十億円、ロシア向けで約二千八百八十億円でございます。

 それから、どのような状況において保険金が支払われるのかという御質問がございました。

 貿易保険法上では、本邦外において生じた外国への輸出、融資、投資の、当事者の責めに帰することができない事由の発生によりまして損失が発生した場合に保険金をお支払いするわけでございますが、今般の状況に即して申し上げますと、例えば、ロシアに対する制裁措置としての輸出規制によりまして本邦企業が貨物を輸出できなくなった場合、あるいは、我が国を含めまして、各国の制裁等によりまして決済手段がなくなったことにより輸出した貨物の代金の回収ができなくなった場合、このような場合には、それらによりまして具体的に生じた損失の額に応じて保険金が支払われることになります。

 三点目で、企業への周知、広報、あるいはアクセスの向上について御質問がございました。

 私どもといたしましては、こうした状況の中で、企業の皆様に貿易保険の意義をよく御理解いただき、企業が貿易保険をより簡易に利用できるようにしていくことが重要だというふうに考えております。

 そのような観点から、現在、株式会社日本貿易保険におきましては、中小企業と日常的にやり取りを行う全国の地方銀行あるいは信用金庫など百十機関との連携を通じて、広く貿易保険の紹介を行っております。

 また、民間損害保険会社、これが取り扱う対外向けの保険につきまして再保険の引受けを現在しておりますが、これを通じまして、民間損保会社が持ちます全国のネットワーク、これを活用したり、あるいは民間の保険と組み合わせたパッケージで貿易保険を御利用いただくといったような取組を行っているところでございます。

 今後とも、引き続き、御指摘を踏まえまして、企業への広報、あるいは申込みの例えば手続のデジタル化などを通じまして、地域の企業、中小企業の利便性の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

中川(貴)委員 ありがとうございました。

 では、次に、サプライチェーンに対するサイバー攻撃、この対応についてお尋ねをしたいと思います。

 直近では、ウクライナに対してロシアからのサイバー攻撃が激しさを増している、そういう報道もされているところでありますし、また、先般、三月一日には、トヨタ自動車が、サプライチェーンの企業に対するサイバー攻撃に起因するシステム障害の影響を理由として、国内全十四工場二十八ラインの稼働を停止する、そういう事態になりました。人や資金が豊富な大企業であっても、こうした事態が生じているわけであります。

 経産省においては、実は、図らずもなのかも分かりませんが、二月の二十三日には、注意喚起として、昨今の情勢を踏まえたサイバーセキュリティーの対策の強化をということで、こういうものも出していただいています。

 しかしながら、なかなか、企業さんにとっても、それを見ていらっしゃるのかどうなのか、あるいは、事の重大さ、そういうことを本当にきちんと理解をしていただいているのか、なかなかその点についてはまだ判断しづらいところもあろうかと思います。

 そこで、経産省としては大変よく頑張っていただいていることはよくよく承知をしているつもりでありますけれども、もう一歩前へ踏み込んだ、そういう対応を是非していただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。

細田副大臣 ありがとうございます。

 昨今の情勢を踏まえて、サイバー攻撃のリスクが高まっていることから、企業各社にサイバーセキュリティー対策の強化に努めていただくべく、先週から今週にかけて、経済産業省として二回の注意喚起を行ったところでございます。まずは、企業各社において、サイバー攻撃の脅威に対する対策の強化に自主的に努めていただくことが重要であると考えております。

 その上で、昨今は、サプライチェーンの中でセキュリティーが脆弱な部分が狙われるようになっていることから、中小企業を含むサプライチェーン全体でセキュリティーのレベルを上げる必要があると考えております。このため、経済産業省では、これまでも、中小企業向けのガイドラインの作成やIT導入補助金などを通じて、中小企業のセキュリティー対策支援を行ってきたところでございます。

 今後、さらに、先生からの御指摘も踏まえまして、自社サーバーの異常監視やサイバー攻撃を受けた際の初動対応支援、簡易保険など、中小企業に必要なサイバーセキュリティー対策をワンパッケージにまとめたサイバーセキュリティお助け隊サービスといったものがございます。

 これは一定の基準を満たしたものを販売をいただいているわけでございますが、この販売チャンネルの拡大による更なる普及の拡大でありますとか、セキュリティー対策に取り組むことをものづくり補助金の支給要件とするなど、インセンティブの付与に努める、また、大企業が取引先の中小企業等と共同で進めるセキュリティー対策の強化などに取り組んでいく所存でございます。

 委員御指摘のとおり、注意喚起で終わるということでは全くなく、具体的な対策の強化にしっかりとつなげていくことが重要であると認識しております。

 当省といたしましては、関係省庁や産業界とこれまで以上に連携しながら、引き続き産業分野のサイバーセキュリティー確保に努めてまいります。

中川(貴)委員 時間となりました。大変ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問を開始をさせていただきます。

 まず冒頭は、ウクライナ情勢を受けました諸課題についてということで、まず冒頭、萩生田大臣にお伺いをしたいと思います。

 先ほど来、御質問も既に様々出ております。ロシアによるウクライナ侵攻は断じて許されないことでありまして、国際社会が一致連携をしまして、強力な制裁措置、これも取っていく必要があるというふうに思います。これも政府にしっかり御対応をお願いしたいと思いますけれども、他方で、こうした情勢を受けまして、事業者や国民生活にどのような影響が及ぶのか、生じるのか、これも併せて状況を注視をしていく必要があるというふうに思います。

 そもそも、今までも、引き続くコロナ禍の中でいろいろなことがございました。サプライチェーン、工場が止まったりということもございましたし、また、コロナ下、欧米などでは既に経済活動も活発化をしておりまして、そういうことに伴って、原油もそういう中でそもそも上がっておりましたし、いろいろな資源高あるいは物価高、いろいろな状況も既に生じている中で、ここでウクライナの情勢が緊迫化をして、エネルギーを始め、また様々な影響が出てくる、こういうことでございます。

 まず冒頭、萩生田大臣に、ウクライナ情勢の影響に対しまして、これは、先ほど来出ております燃料油の対策ももちろんそうでありますけれども、事業者あるいは国民生活への影響、これがどのように生じてくるのか。しっかりと、これは、経済制裁もちょっとどういう形で個々の会社に影響が出るのか、あるいは個々の輸入などについてどのような影響があるのか、まだまだ分からない状況も多いかと思いますけれども、しっかりと把握をまたしていただき、またそれを、影響を最小限にできるような対策にまずは全力を尽くしていただきたいと思いますので、大臣にこの件について御答弁いただければと思います。

萩生田国務大臣 経済産業省としては、今回の事態による国民生活や経済活動への影響が最小限にとどまるように万全を期していきたいと思っております。

 まず、喫緊の対策として、経済制裁や原油価格高騰の影響を受ける日本企業をしっかりと支えていくことが重要だと思っておりまして、このため、日本貿易振興機構、ジェトロですね、ここに相談窓口を設置するほか、ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口を全国一千か所に設置するとともに、日本公庫によるセーフティーネット貸付けの金利を引き下げるなど、中小企業の資金繰り支援に万全を期してまいりたいと思います。

 先生おっしゃるように、経済制裁は始まったばかりでありますから、これはどういう影響が出るのか、あるいは、ロシアやベラルーシが報復の制裁をする可能性も否定できないわけでありますので、その点をよく、きめ細かく、しっかり見ていきたいと思っています。

 また、燃料油の急激な価格高騰を抑えるため、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とした激変緩和事業について、当面の間の緊急避難的措置として、直近の価格からの上昇を抑制するよう、元売事業者に対する支給額の上限を五円から二十五円に大幅に引き上げ、卸価格の上昇の抑制を通じて小売価格の急騰を抑制することにより、国民生活等への不測の影響を緩和してまいりたいと思います。

 経産省としては、G7を始めとした国際社会と緊密に連携していくとともに、国民生活や経済活動への影響を精査しながら、状況に応じ適切に対応してまいりたいと思います。

中野(洋)委員 是非しっかりとした対応を、大臣、よろしくお願いいたします。

 そして、燃料価格高騰対策につきましても御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 昨日、総理の方から発表させていただき、大臣からも、今日、更に詳細なお話もあったかと思います。私ども公明党も、二月の二十四日、官房長官に対しましても、燃料価格高騰対策、やはりウクライナ情勢を踏まえまして、抜本的に拡充をしていくべきだ、こういう提言も行わせていただいたところであります。

 他方で、元々、この激変緩和のための、今、補助金ということを五円の幅で実行していただいておりました。これに対して、一部、やはり効果が分かりにくいという声があったというのも事実かというふうに思います。

 要は、これは元売に対して、燃料が上がった分をその分抑制できるようにという形の補助金を出していくということで、本当に五円を入れたら五円分ちゃんと抑えられるのかですとか、店頭価格も、全国平均で百七十円以上のときから発動ということでございますので、様々な、輸送コスト等も含めて店頭価格は様々でございますので、分かりにくいという声も一部ございました。

 そういう意味で、今回、機動的に対応するということで、これを大きく深掘りをしていただくということでありますけれども、これが本当に実効性がある効果が出ているのか。今やっていることも含めて少し検証もしていただきながら、これは是非やっていただきたいと思います。

 また、今回、今後の情勢がどうなるか分からないということもあります。一旦、二十五円ということでありますけれども、更に上がっていく可能性も、あるいは四月以降も影響が続いていく可能性も十分にあるかというふうに思います。先ほど来、大臣からも、しっかり状況を見ながら対応していく、こういうお話もございました。

 私どもとしても、やはり大事なことは、この燃料価格の高騰が、国民の生活に対して、あるいは事業者の活動に対して、影響をしっかり最小限に抑えていただくということでございますので、御対応をお願いをしたいと思います。

 改めまして、政府参考人に、今までの燃料油対策の効果についてどう考えているのか、今回の対策の概要あるいは狙うところ、これについて、改めて御説明をいただければというふうに思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 今までの対策の効果につきましてでございますけれども、直近のデータであります二月二十八日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は百七十二・八円の結果となってございます。

 今回の激変緩和対策がなければ、原油価格の上昇を機械的に当てはめますと、百七十八・二円になっていたと予測されておりましたが、それと比べますと五・四円分の価格抑制効果が確認されてございます。灯油、軽油につきましても、それぞれ五・五円の価格抑制効果が確認されてございます。

 今、補助金の上限が五円でございまして、原油の価格の高騰はそれを上回る勢いで進んでおりますので、五円を上回る価格抑制効果というのは、五円を超えた部分の上昇分を小売の方が完全にまだ上昇局面の間で転嫁し切れていない、ためらっておられるということも生じているので、五円を上回るということになっているんだというふうに理解してございます。

 こうして御覧いただけますように、価格上昇の抑制という目的は一定程度達成されているものというふうに考えておりますし、私どもも、引き続き、小売店の価格の動向についてはきめ細かく、全国ベースでモニタリングをさせていただきますし、若干価格が大きく上がっているようなSSについては個別に確認をさせていただくということを引き続き続けていきたいと考えてございます。

 加えて、今回の対策に至りましたのは、ロシアによるウクライナ侵攻などの地政学的な変化が、元々上昇しておりました原油価格を更に高騰させる状況になっている、これを受けたことでございまして、今朝開催された原油価格高騰等に関する関係閣僚会議におきまして、政府として緊急対策を取りまとめたところでございます。

 経済産業省といたしましては、燃料油の急激な価格高騰を抑えるため、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とした激変緩和事業につきまして、当面の間の緊急避難的措置として、直近の価格からの上昇を抑制するよう、元売事業者に対する支給額の上限をこれまでの五円から二十五円に大幅に引き上げることとしてございます。

 卸価格の上昇の抑制を通じて小売価格の急騰を抑制していくということが狙いでございまして、これによって国民生活などへの不測の影響を緩和していきたいということが今回の新たな対策の狙いでございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 ちょっと通告の順番を変えまして、地方創生臨時交付金についても確認をしたいというふうに思います。

 我々、官房長官にも要請いたしましたのが、経産省が燃料価格高騰対策をやっていただいている、それに加えて、各それぞれの地方自治体の現場でいろいろな状況がございますので、地方創生臨時交付金についても、これはまだ留保分もございます、機動的な追加配分も含めて、この燃料油対策にしっかりと使えるように、活用ができるようにということで要請をさせていただいております。

 この地方創生臨時交付金の活用をどのように進めていくかということについても、政府参考人に答弁をいただきたいと思います。

黒田(昌)政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、現在、自治体から実施計画の提出を受け付けまして、内閣府におきまして交付に向けた手続中でございます。

 委員御指摘の、生活支援のための灯油購入助成であるとか、農業、漁業、運輸業等の事業者に対する燃料費助成につきまして、原油価格高騰に対応するための支援に係る実施計画について、相当数の提出をいただいているところでございます。

 今後も、各自治体が原油価格高騰への対応にしっかりと取り組んでいただけるよう、同交付金を、積極的にその活用について情報提供してまいりたいと思っております。

 また、残りの二千億につきましても、今後の感染症状況に応じまして追加的に対応するための予算として留保しておりますが、今後も状況を見極めながら、執行状況も含めて注視してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

中野(洋)委員 執行状況も含めて注視をするという、現状はそういう答弁であります。しっかりと、これは地元からも要望がまた様々上がってこようかと思います、ニーズに応えられるようにということで、是非また検討をお願いをしたいというふうに思います。

 あわせまして、少し価格の転嫁についても御質問をしたいというふうに思います。

 燃料油対策、こうした経産省の価格抑制の事業、そしてまた地方創生臨時交付金などの事業、様々やっていただく中で、これは燃料に限らず、今いろいろなものが価格が上がっておることでございますので、これをしっかり価格転嫁をしていけるようにというのも、これは非常に大事なことだというふうに思っております。なかなかそれが下請取引などの関係で転嫁ができない、こういう御指摘も非常に強いものでございますから、これもまた政府を挙げて是非取組をしていただきたいと思いますけれども、これについても答弁いただきたいと思います。

飯田(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ありましたように、原材料価格あるいは燃料費、今非常に上がっております。こうした中で、コスト増を取引先にきちんと転嫁できることに不安を感じておられる事業者の皆さんもいっぱいいらっしゃるというふうに思っております。

 したがいまして、私ども、サプライチェーン全体でコスト上昇分を適切に価格転嫁ができるように環境を整備することが大事だと思っておりまして、取引適正化の取組を強化しているところでございます。

 以下、幾つか御説明申し上げます。

 一つ目ですけれども、昨年十二月の末に政府として取りまとめました、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ、これに基づきまして、公正取引委員会などと連携して、下請代金法の執行を強化するといったような対応を取っております。

 それから、サプライチェーン全体での共存共栄を目指すというパートナーシップ構築宣言、これにつきまして、より多くの大企業の皆様に御参加をいただきたいということで促しておりまして、それから、既に宣言した企業の皆様の取組の調査、こういったフォローアップも行っているところでございます。

 三点目ですが、全国百二十名の下請Gメンの方々を倍増いたしまして、全国各地の下請企業の現場の悩みを伺いながら、しっかり発注者と受注者側の歩み寄り、それから、業種別ガイドラインの改善などに努めてまいりたいと思っております。

 それから、三月でございますけれども、委員御指摘のように、原油高の影響もございますので、中小企業の価格転嫁に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思っておりまして、昨年九月に引き続きまして、この三月を価格交渉促進月間と位置づけまして、価格交渉の浸透と定着を図ってまいりたいというふうに思ってございます。

 こうした取組を通じて、適切な利益が下請企業に残るよう、今後も全力で取り組んでまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 幾つか取組も御紹介をいただいて、大企業とのパートナーシップ宣言というのも非常に大事であります。こうした取組、全体的に進めていくということを、是非改めてお願いをしたいというふうに思います。

 最後に、資金繰りの問題についても少しお話をさせていただければと思います。

 今まで、公庫、また民間も含めて、無利子無担保融資ということでこの資金繰り対策をやってまいりました。その中で、据置期間、返済までの期間、長めに設定することも可能でありましたけれども、やはり多いのが、一年以内に返済が始まるというふうな方が割合としては非常に多いのかなというふうに、データとしても、思っております。

 そういう中で、今後どういうふうにこの対策を進めていくかということでございますけれども、一つは、三月にいろいろな特例措置が切れるということで、四月以降、基本的には、やはり経済情勢を見ながら、延長をということでお願いもしてまいりました。無利子無担保融資の延長ということで、これも発表いただいたかと思いますけれども、他方で、既に借りている方、返済、これが非常に難しいというふうなお声も聞いております。

 こうしたリスケ、条件変更、これがしっかり対応できるように、これはしっかりと、累次の働きかけを行っていただいているところではあるかと思いますけれども、改めてしっかりと働きかけをしていくべきではないか、こういうふうに思います。これについてまず御答弁いただきたいと思います。

飯田(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御指摘ございましたけれども、これまでも、官民の金融機関に対しまして、経産大臣あるいは財務大臣から、事業者から債務の条件変更の申出があった場合にはそれを積極的に受け入れるということで、事業者の実情に応じた柔軟な対応を行うよう、累次にわたって要請をしてまいりました。

 その結果、政府系の金融機関におきましては、リスケの申出があったもののうち約九九・七%の申出に応諾をしておりまして、多くの事業者の皆様からのお申出に応じていただいているものというふうに認識してございます。

 引き続き、コロナ禍において厳しい状況に置かれている事業者の皆様の資金繰り支援にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 かなり応じていただいているというデータも出していただいておりますけれども、やはり、いろいろなタイミングで働きかけをしていくということも大事だと思いますので、また改めてこれはお願いをしたいということと、もう一つ、最後に、リスケもするんですけれども、やはり債務が過剰になってきている、これにどう対応するかということも、今後本当に大きな課題であるかというふうに思います。融資というだけではなくて、この債務過剰問題への対策、あるいは、本業の支援も含めて企業の活性化につながる支援、金融機関の果たすべき役割というのは非常に大きいというふうに思います。

 こうした、官民の金融機関がこうした対策をしっかりしていけるようなことを政府として後押しをしていくべきだというふうに思いますけれども、これについても、今日は少し中小企業の活性化のパッケージということで御紹介もありましたけれども、取組を是非御答弁いただければと思います。

飯田(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ありましたように、本業支援、非常に大事でございまして、適切に実施していくことが必要だと考えてございます。

 このため、官民の金融機関に対しまして、本業支援がおろそかになることがないように、資金繰りにとどまらない経営課題に直面する事業者に対して能動的に本業支援を行うなどといった要請も累次にわたって行ってきております。

 それから、事業再構築補助金、これにつきましても、認定経営革新等支援機関との共同計画策定が要件になっていますけれども、これも約四割が金融機関、やっていただいているところでございます。

 今御指摘ありましたように、本日、コロナ資金繰り支援の継続、あるいは、増大する債務に苦しむ中小企業の収益力の改善、再生、再チャレンジ支援を盛り込んだ中小企業活性化パッケージを大臣から御公表いただいたところでございます。

 その中で、取組といたしましては、増大する債務への対応として、収益力改善に向けた認定支援機関による伴走支援の強化、それから、再生ファンドを活用した宿泊、飲食業支援、収益力改善、再生、再チャレンジ支援を一元的に対応するため、中小企業再生支援協議会があったわけですが、関連機関と統合いたしまして、中小企業活性化協議会を四月一日から設置していくといったようなことを盛り込んでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、中小企業の事業継続に向けた支援の徹底を図ってまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 まだまだコロナの情勢も予断を許さない。また、ウクライナの情勢もございます。経済産業省におかれましては、しっかりとこうした事業者の後押し、支えができるようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑でございます。今日は若宮大臣にもお越しをいただきました。両大臣、よろしくお願いいたします。

 まず、萩生田大臣にお伺いします。

 梶山前大臣は、委員会の質疑などで、野党の指摘に対して、割と、納得した件については、検討するというような答弁をはっきりおっしゃって、その後、政策を修正してきたということも度々ありました。私は、そういった姿勢というのは評価するべき姿勢だなというふうに考えていたんですが、萩生田大臣もそういった形で委員会に臨むということでよろしいかということを、まず確認をさせていただければと思います。

萩生田国務大臣 梶山先生ほど人柄はいいとは思っておりませんけれども、これはもう国のためですから、与党も野党もなく、いい提案をいただければ、それはしっかりと耳を傾け、また、現場主義を今までもずっと貫いてきたという自負がありますので、国民の皆さんにとって何がプラスか、そのことはしっかり考えながら、様々な提案は真摯に受け止めて、野党の提案であっても、いいものは、与党の皆さんにもお認めいただけるような努力をしていきたいと思います。

落合委員 我々も、与野党問わず、町の困っている声を、何が重要かを考えて、こういった場で取り上げさせていただいておりますので、是非前向きに御検討をいただければと思います。

 まず、大枠の話なんですけれども、所信表明でも大臣、言及をされていましたが、昨年、経済産業省は、経済産業政策の新機軸、これを決定をいたしました。これが、その後の岸田内閣の新しい資本主義ともリンクをある程度しているというふうに私は考えています。

 この中で、財政支出について、大規模、長期、計画的ということをはっきりとうたわれています。グリーンの分野にしてもデジタルの分野にしても、環境が大きく変わってしまっていると。民間企業がこの分野で成長をしっかりしていくためには、官民の協力というのが、まあ、ほかの国も力を入れ始めているわけです。こういった世界的な産業政策の転換の状況において、財政的にこれまでよりもしっかりと関わっていかなきゃいけないということを明記したものであると思います。

 ただ、今回の大臣所信の中には、財政支出を大規模に、長期的展望を持って、計画的、戦略的にやっていくということははっきりとは書いていないんですが、財政に対する考え方はしっかりこの新機軸の下で行動していくということでよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 日本経済を成長軌道に乗せていくためには、成長分野への投資や人的資本投資を進めることが重要であり、そのためには大胆な政策が必要であると認識しております。そのために、グリーン、デジタル、経済安全保障などの社会課題に着目し、政府も民間も一歩前に出て投資を拡大していくことが重要でありまして、大規模、長期、計画的に支援していくことなどについて議論を行っているところです。

 例えば、半導体の安定供給体制の構築に必要な製造拠点整備に対しては、大規模な財政措置を講じました。財政出動を必要としない官民連携の取組として実施しており、財政出動の必要性は個別の政策によります。また、政府による財政出動だけでなく、民間の投資をしっかりと引き出していくことも重要であります。

 産業構造審議会において、昨年十一月に経済産業政策新機軸部会を設置をして検討を進めており、こうした検討の成果を、経済産業政策の新機軸として取りまとめてまいりたいと思います。

 所信にあえて書かなかったわけじゃなくて、もう既にそういう体制でスタートをしているというつもりでおりましたので、この基本姿勢でいきたいと思います。

落合委員 予算委員会でやり取りしていても、経産大臣は結構前向きでも、かなり財務大臣が渋いことが多かったですので、是非、財務省とも、戦うべきところでははっきりと戦っていただければと思います。

 今、重要な問題としてロシアの問題があります。

 数年前から、経産大臣がロシア経済協力担当大臣という仕事も兼務をするということが続いてまいりました。安倍総理とプーチン大統領が合意したロシアの極東地方の経済協力八項目等を推進をしていくんだということで、民間投資を、どんどん極東に投資をしていってくださいということを、政府を挙げて行ってきたわけです。

 私は、こういった取組の一方で、ロシアとの経済協力や北方領土での共同経済活動が、我が国に果たしてちゃんとメリットがあるのかということを一個一個確認しながら、この話は前に進めていくべきだということを、世耕大臣の時代から何度か取り上げてきました。元々ロシアの、特に極東地方は人口がどんどん減っていて、これがロシアの安全保障上の問題にもなっていました。経済的にも先細っていたわけです。それを、日本の企業の投資で、日本の政府の後押しで、どんどん雇用をつくっていった。

 一方で、この数年間、ロシアが、例えば北方領土に対して何をしてきたかというと、軍隊の増強、それから、北方領土にほかの外国企業の誘致なども積極的に行ってきたわけです。そして、ニュースも見てみますと、二か月近く前のニュースでは、北方領土に、日本の企業ではなくて中国や韓国などの企業の投資も呼び込むという免税法案、これも審議がされています、ロシアの議会では。こういうことをずっと繰り返してきた。

 こういう中で、私は、ロシアとの経済協力、政府が日本の企業に、極東に投資をしてくださいということをどんどん進めていくことは、これは国益のプラスにもならないのではないか、北方領土の足場固めを、ロシアの足場固めをさせてしまうのではないかという指摘をしてまいりました。これは今になって振り返ってみると、やはりちょっと前のめり過ぎたんじゃないかというふうに思います。

 大臣、この今までの施策、これは果たして間違いがなかったのか、どのように今お考えでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、この政策はまだ道半ばでありまして、総括をするという段階には来ていないんだと思います。

 八項目の協力プランの下でのこれまでの取組については、医療、都市環境、中小企業、エネルギー、産業多様化・生産性向上、極東、先端技術、人的交流の各分野において、取組が進展をしてまいりました。これまで二百件を超える民間プロジェクトが創出されており、日ロ両国の貿易経済分野の協力の進展に一定の貢献はしてきたというふうに思っております。

 他方、現下のウクライナ情勢を踏まえれば、国際社会は、ロシアの侵略により、ロシアとの関係をこれまでどおりにしていくことはもはやできないと考えており、我が国としても、ロシアとの関係で、新たな経済分野の協力を進めていく状況にはありません。その上で、八項目の協力プランを含むロシアとの経済分野の協力に関する政府事業については、当面見合わせることを基本に、国際的な議論も踏まえて、エネルギー安定供給や人道上の配慮に留意しつつ、対応してまいりたいと思います。

 先生が御心配いただいたようなことは、やはり常に考えていかなきゃいけないのはそのとおりだと思います。他方、非常に歴史的にも長い時間がかかってこじれてきた外交を解きほぐしていかなきゃならないわけですから、いろいろな手段も考えていかなきゃならない、両面しっかり見ながらやっていかなきゃならないのではないかという問題意識を持っています。

落合委員 いろいろ、八項目の中等も、私も調べてみますと、ほかの海外の企業がやろうとして、引き揚げる判断をしたものを、日本の企業が、ある意味、引き継いで、プロジェクトを前に進めたというものもありました。これは、何で海外の企業は引き揚げる判断をしたのか、一つ一つのプロジェクトも、先方の言いなりになってお金を出してしまったんじゃないかということも、しっかり、大臣、精査をしていただければと思います。

 これは、今まで政府が、ロシアにどんどん投資をしてくださいということを、特にこの数年間は担当大臣までも決めてやってきたわけです。一転して、今回、様々な厳しい経済制裁を行うということも政府が決めたわけでございます。これは直接的にも間接的にも、先ほどもありましたけれども、サプライチェーンも一部ロシアにどんどん進出していったわけですので、損失を抱える企業、これはどんどん出てくると思います。

 政府の方針で投資を促して、政府の方針でこういう厳しい制裁措置を取るというふうに、政府が決めているわけですので、企業の損失への対応、これも政府がしっかり責任を示していく、財政的にも責任を示していく、こういう姿勢が必要であると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、極東への経済投資ですけれども、これはある意味、北方四島は我が国固有の領土であるという前提ですから、他国への投資じゃなくて、いずれ日本の領土になるところに日本企業が投資をしていただいた、こういうふうに認識をしております。

 その上で、今回、おっしゃるように経済制裁をしなきゃなりませんから、その先駆けとして先方に渡って操業している様々な企業に対して、一定の影響が出るかもしれません。これは、お互いに不測の事態であったわけですけれども、おっしゃるように、原因はロシアにありますけれども、しかし、日本の制裁決定によって日本の企業が苦しむようなことがあれば、そこは、先ほどから申し上げているような様々なツールをもってしっかり支えていきたい、相談もしていきたい、そう思っております。

落合委員 北方領土は、共同経済活動ということで、外務省が主導してやってきました。極東の投資に関しては、経産省が主導して、どんどん民間企業を進出させてきました。したがって、北方領土の方も問題ではあるんですけれども、北方領土ではないロシアの極東地方にどんどん政府が後押しをしていった、これは国策としてやってきたわけですので、しっかりと、この投資の損失部分には責任を持っていかなければならないと思います。

 さすがに民間企業も、いろいろなことがあるというふうに思っていても、SWIFTまで止めてしまうというようなことまで起こるということは、なかなかリスクとして想像できないぐらいの事態なわけです。これは様々な対応をされるというようなことですが、しっかり財政的にも対応をするということで、財政的にもという部分、これは大臣、しっかりやるということでよろしいですね。

萩生田国務大臣 経産省としては、制裁措置の影響を含め、今回の事態によって影響を受ける日本企業に対する支援に万全を期してまいりたいと思います。

 特に、経済制裁や原油価格高騰の影響を受ける事業者をしっかりと支えていくことが重要です。原油価格高騰対策として、激変緩和事業を大幅に拡充強化をし、また、中小企業対策として、ウクライナ情勢、原油価格上昇等に関する相談窓口、特別窓口を全国一千か所に設置をするとともに、日本公庫によるセーフティーネット貸付けの金利を引き下げるなど、資金繰り支援にも万全を期してまいりたいと思います。また、中小企業にも御利用いただいている貿易保険の相談窓口をNEXIに設置することや、原油価格上昇に伴う価格転嫁の配慮を業界団体を通じて親事業者に要請するなど、様々な取組を推進していきます。

 経済産業省としては、G7を始めとした国際社会と緊密に連携していくとともに、今回の事態による国民生活や経済活動への影響が最小限にとどまるよう、今後とも状況に応じ適切な対応をしてまいりたいと思います。

落合委員 しっかりお金の面倒を見るというところまでは、御答弁はそこまでは踏み込まれませんでしたが、状況を見てしっかりやっていくべきだと思います。

 それでは、ロシアの問題からコロナの方に移りたいと思います。

 事業復活支援金が、一月末から申込みが始まっております。これは、特に初日とか二日目に申し込んだ方が、まだ来ていないというような話が、我々野党側にも結構、この数日、来るようになってきました。一か月たっているので、どうなっているんだと思っている方々が増えてきているんだと思います。

 大臣も元々、この補正予算の審議のときも、迅速に、持続化給付金のときよりも迅速にしっかり対応するんだということを大臣自らもおっしゃっていたわけですけれども、これは、まず、通告をさせてもらっていますが、全体の申込みと、それから、もう振り込みが終わっている件数、それから、初日に申し込んだ方々がどれぐらいいて、ちゃんと初日の方々はこれぐらい終わっているんだという数字を教えていただければと思います。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、一月三十一日より申請受付を開始し、一週間後である二月七日には入金が始まりました。三月三日時点で、約四十三万件の申請のうち約二十七万件、約千九百九十一億円を、事業者の皆様のお手元にお届けしております。

 今先生から御指摘のあった初日申請分につきましては、約二・二万件の申請がございまして、三月三日末時点で約一・九万件に給付が終わっております。

 一部には、不正受給や無資格受給を防止する観点から、慎重な審査のための時間を要している申請もありますが、給付要件を満たすことが確認できたものは順次給付しているところです。

 また、長期間お待たせする場合には、今後、事務局から必要に応じて連絡も入れる予定でございまして、困難な状況に直面している事業者の皆様に迅速かつ正確に支援金をお届けできるように、引き続き全力を尽くしてまいりたいと思います。

落合委員 初日に申し込んだ方の一割ぐらいがまだ、一割ちょっと残っているということですので、これは、大臣も気にかけていただいて、指示も出していただければと思います。

 この件は、またいろいろな情報等もありましたら、取り上げさせていただきたいと思います。

 それでは、若宮大臣、お越しをいただきました。

 若宮大臣も、先日こちらで、経済産業委員会における若宮大臣発言ということでお話しをいただきました。気になるところを一点、本日伺えればと思います。私が重要であると思っている点でございます。

 岸田総理の経済政策の新しい資本主義で、下請の取引なども強く、今までの内閣よりか言及をしているということで、公正取引委員会関係の仕事というのは今までの内閣よりも重視をしているなということを私は感じます。それは大変重要なことであると思います。

 一つ確認なんですけれども、この数年、デジタルプラットフォーマーの問題ということが多く取り上げられてきました。これは世界的にも新しい問題です。

 デジタルプラットフォーマーは、デジタル企業ではあるんですけれども、その企業が、ある意味、市場機能を持って、それで仕事をする。要は、企業なんだけれども、市場機能も、ある意味、持っているということです。ですから、今まで、基本的には企業の活動というのは自由なわけですけれども、企業の仕事の中に市場機能というのを持っているのであれば、今までのデジタル企業に対してよりも、デジタルプラットフォーマーに対しては積極的に公取等が関わっていかなければ、公正な市場はできないということであると思います。

 大臣の発言を見ましても、デジタル市場を始めとする様々な分野における取引実態の把握や競争の活性化に関する唱導というような文言はあるんですけれども、取引実態の把握でとどまっています。

 競争を活性化するのは重要なんですけれども、公平公正性というのが、ほかの企業よりも、デジタルプラットフォーマーの方が求められる。手数料の取り方ですとか優遇の仕方とかの裁量権も、デジタルプラットフォーマーは持っているわけです。その中で、より多くの中小企業やフリーランスが、デジタルプラットフォーマーを通して仕事をするようになっている。

 こういう中で、やはり今までの公正取引委員会の仕事に加えて、より、この分野は公平公正にやっていくんだということを強調する、こういう、大臣の発言の中等でも、しっかり公平公正に見ていきますということを入れるべきだと私は思います。大臣、いかがでしょうか。

若宮国務大臣 今落合委員御指摘のとおり、このデジタルの分野、非常にまだまだ新しい分野でもございますので、私の担務いたしますこの公正取引に関する案件につきましても、しっかりと取り組んでいかなければならないという認識は同様に持っているところでございます。

 経済のデジタル化の進展、本当に急速に進んでいるかと思いますが、デジタルプラットフォームは革新的なビジネスを生み出す大きな基盤となっているとともに、消費者の利便性も大きく向上させているところでもあろうかと思います。まさに今、現時点においては、社会にとって不可欠なインフラともなっているというふうに認識をいたしているところでございます。

 一方で、デジタルプラットフォーム事業者、これは自らルール形成を行っておりまして、その運用が不透明ではないか、あるいは優越的な地位を濫用しているんではないか、そういった懸念も指摘されているところでもございます。委員も御指摘のとおり、透明性、公正性の確保というのは非常に大きな課題だというふうにも認識いたしてございます。

 政府におきましては、このデジタルプラットフォームビジネス、適切な発展を促進をしていかなければいけないというふうに思っておりますが、やはりその透明性、公正性はきちっと確保していきたいというふうに思っておりますし、また、公正かつ自由な競争の実現を図ることが重要であるというふうにも考えております。このデジタル市場のルール整備には、積極的に今取り組んでいるところでもございます。

 具体的には、特に取引の透明性、公正性を高める必要性の高いデジタルプラットフォーム事業者に対しまして、情報の開示、あるいは苦情処理等の体制整備を進めますデジタルプラットフォーム取引透明化法の運用、これは昨年の四月に開始をしたところでもございます、同法及び独占禁止法の適切な運用が図られているものというふうに考えております。

 担当大臣といたしましては、今後とも、公正取引委員会が、関係省庁や海外を含めた形での競争当局とも連携をしながら、デジタルプラットフォームの特性も踏まえて、デジタル分野の透明性、委員も御指摘の公正性、この確保、また、公正かつ自由な競争の実現を図っていくことが重要と考えておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

落合委員 是非、先日の大臣の発言は大体二ページちょっとぐらいなんですが、その中に、今おっしゃったような問題意識があるのであれば、しっかりその一行を入れて、大臣として御発言を是非いただければと思います。

 例えば小売、デパートとかスーパーは、二十年、三十年前は一つの大きな産業だったわけですけれども、これが今衰退してしまったのは、一つはデジタルプラットフォーマーの影響だと思います。

 それから、ゲームも日本が強かったわけですけれども、今、スマホからゲームをダウンロードする場合は、手数料を海外の企業に取られます。なので、日本のゲームを作っている会社の利益率がどんどん減ってきてしまっている。ゲームを作っている人たちのお給料もどんどん下がって、上がらない状況になってしまっている。

 日本が強いと言われていた分野が、どんどんどんどんデジタルプラットフォーマーの力が大きくなっていくことで、残念ながら低賃金化が進んでしまっています。新しい資本主義を実現するのであれば、ここにしっかりと力を入れていかないと、従来型の製造業などの下請取引だけを見ていては経済は上向かないというふうに考えますので、是非、大臣として御発信をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、もう時間がなくなってきましたので、萩生田大臣にまたデジタル関連のことを伺えればと思います。

 経産省が、DXですとかデジタル化というのを、どんどんどんどん旗を振っております。これは世界の潮流としてやるべきことだと思います。今の技術の段階ですと、デジタル化というのは、ほぼイコール、クラウド化なわけです、クラウドをどんどん使っていきましょうと。

 ただ、そのクラウドを受注している企業ってどこですかというと、日本の企業は技術力が足りない状況になってしまって、どんどん海外企業のシェアが増えている、ほとんど海外企業になっている。日本の政府のデジタル化を請け負っているのも、クラウドは外国企業が請け負っています。日本の企業のデータも政府のデータも外国企業が請けるというような結果になっています。

 じゃ、そうなってきたときに、どうなるかというと、昨年のコンピューターサービスの海外の取引の赤字額、これは日本の貿易黒字の半分を帳消しにするぐらいに、もう既になってしまっています。それでも日本企業の半分ぐらいがデジタル化が進んでいない、DXについていけないと言われているわけですから、このままだと、クラウド化するだけで日本の赤字がどんどん広がっていく状況になってしまいます。

 国産クラウドというものは絶対に経済上も必要である、それから、政府のデータまで外国企業に委ねているわけですから、経済安保上も絶対に必要であると思います。これは最優先課題の一つとして、産業政策として取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 近年、ネットワークインフラの高度化などに伴いクラウドサービスの利用が拡大しており、特に基盤的なサービスについては、特定の海外企業が世界市場で高いシェアを占めていると認識しております。

 今後もクラウドサービス市場は成長が見込まれ、また、クラウドサービスの利用がIoTを含む社会インフラの領域に拡大していくことを踏まえれば、貿易収支のみならず、セキュリティーの観点からも、この分野において国内に事業基盤を持つ企業が競争力を持ち、多くの市場を獲得していくことは重要だと思っております。

 このため、経産省としては、信頼性やポスト5G時代に求められる低遅延性など、ニーズに応えられる次世代のクラウドサービスをいち早く実現すべく、国内に事業基盤を持つ事業者に対し、分散型クラウドの技術開発支援を行うとともに、活用が見込まれる自動車や工場など利用者側も交えた実証を行うなど、次世代技術の社会実装に向けた支援も行ってまいりたいと思います。

 まさに先生が冒頭おっしゃっていただいた、野党提案であっても大切なことはというのは、こういうことだと思います。日本のクラウド産業の競争力強化、これは政府として力を入れていくべき課題だと私も思いますので、御提案を受け止めて、しっかりやっていきたいと思います。

落合委員 これは総務大臣に言うべきことですけれども、海外企業がクラウドを持って受注しているというときに、その国のトップがその企業に、全部情報を開示しろと言ったら、開示しなければならない国も多々あります。そういう国際情勢の中で、海外に、日本企業、政府がデータを預けているということは、大変問題があると思います。重要な問題だと思いますので、これからも取り上げさせていただければと思います。

 本日はありがとうございます。

古屋委員長 次に、梅谷守さん。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守と申します。

 経済産業委員会での質問は初めてとなります。この場に立たせていただいているのも、国会に送り出してくださった私の地元新潟六区の方々、この方々に改めて感謝の思いでいっぱいですし、そして、今のこの厳しい暮らし、雪国の暮らしを何とかしてほしい、閉塞感があるこの日本の経済、暮らしをどうか打ち払ってもらいたい、前に押し出してほしい、そんな気持ちを受けながら是非、この質疑に臨ませていただいておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 また、今回の質問作りに当たりましては、経産省の方々からたくさんお力をいただきました。ありがとうございます。

 私も、今回、経産省の所管の勉強をさせていただいたんですが、本当に幅広くて、また、職員のお一人お一人も優秀で、何かあると、すぐ資料も、このぐらいのやつをどんどん作ってきてくださって、それを読み込むのもすごく大変、でも、勉強になる。ある意味、この大きい、日本の経済産業という大海原の中を、国民の声を受けて、羅針盤を見据えながら、萩生田大臣が先頭になって、みんなでチームを組んで頑張っていらっしゃるんだなということをつくづく感じさせていただいております。心から敬意を表させていただきます。

 そして、私、実は、早稲田実業卒業なんです。大臣、後輩ということで、心ある、心ある御答弁を期待し、お願いを申し上げます。

 ちょっと私の自己紹介も兼ねてなんですが、私の地元は新潟六区というところでして、今年も雪がすごかったんです。新潟県の災害救助条例が適用されるなど、まさに災害救助法並みの大雪が降りまして、今年もまた大変でした。

 ただ、私、元々、東京生まれ、東京育ちなんです。それが、御縁があって、この新潟六区で政治家として育ませていただいています。東京に住んでいた頃を振り返りますと、やはり地方に対する理解というのはそこまでではなかったと記憶をしますし、また、雪にもそれほどなじみがなくて、東京で雪が降れば、クリスマス並みだななんという、ちょっと喜んでいたような、そんなような気分になっていて、はしゃいでいた記憶もあります。

 しかし、今こうして新潟六区の雪国で政治をさせていただく中で、暮らさせていただく中で、本当に、この重要性、一方で、雪国の大変さをすごく痛感をさせていただいています。

 例えば、中小企業で働く方々も、大事な雇用を地方で担っていただいている。ただ、早めに起きなきゃいけないんですね、雪が降ると。一時間以上前に起きて、朝は除雪し、そして、戻ってきたら、疲れているのにまた除雪をして家に戻る、そんなような形だし、企業にとっては除雪費も大変、駐車場も大きくなればなるほど燃油代も高くなるし。

 また、本当にいろいろな、車も、東京に住んでいれば、地下鉄あり、バスあり、それほど、公共交通が整っていますから苦労はないでしょうけれども、私の地元では、本当に車を何台か持っていなきゃ駄目な生活。だから、このコロナ禍における原油価格の高騰、これが非常に今追い打ちになっています。

 でも、それでもつくづく感じるのは、地方と都市部が本当にお互いに支え合って、支え合って日本という国土は成り立っているんだなということを痛感してなりませんし、だからこそ、数や効率では都会にはかなわないんだけれども、地方にもっと政治の光を当てなければならない。そのために、私は、この新潟六区で地元の方々とともに、是非大臣に、今、いろいろとこれから質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 ちょっと前置きが長くなりました。と言いつつ、今ウクライナ情勢が緊迫しておりますので、まずちょっとこれについて質問をさせていただきたいと思います。

 今ほど来いろいろ質問もありました。まず私から伺わせていただきたいのが、ロシアの輸出、輸入品目、先ほどもありましたが、ここで資料をいただいていますので数字は割愛させていただきますが、この中で制裁対象となる品目は一体何なのか、まずはそれをお尋ねさせていただきます。

萩生田国務大臣 梅谷先生が国会議員になって初めての経産委員会の御質疑に、御縁のある立場で答弁させていただくこと、大変光栄に思います。後輩だと聞いて大変親近感を感じていますし、是非、立場の違い、党派の違いはありますけれども、いい日本をつくるために、お互いにいい議論をしていきたいな、そんなふうに思っています。

 その上で、先輩として申し上げると、経産省の職員、幾らでもサポートして、様々な政策をやりますけれども、三十分の質問でこれだけの質問はちょっとできないと思いますよ。そうしますと、何が起こっているかというと、今、雪国の御苦労の話をされましたよね、朝暗いうちから除雪をする。先生のおかげで、私も暗いうちから役所へ来ましたし、職員たちはもう徹夜で先生の対応をしなきゃならないんです。大いに、質問権はあるわけですから質問していただいて結構ですけれども、三十分でこれは終わらないと思うので、またの機会に勉強はしていただいたり、質問は質問で深くやった方がいいというのは、これは大臣として言うと至極僭越なので、高校の先輩として申し上げておきたいと思います。

 今般、ロシアによるウクライナの侵略は、ウクライナの主権及び領土の一体性を侵害するものであり、断じて許容できず、強く非難をします。我が国の安全保障の観点からも決して看過できません。

 ロシアに対する制裁として、G7各国を始め国際社会と緊密に連携し、迅速に厳しい措置を取っていく必要があります。ロシアに対する輸出禁止措置については、欧米諸国と間を置かず、速やかに閣議了解を行い、欧米諸国と同等の措置を決定しました。

 その上で、国際合意リスト品目については、制裁措置の一環として既に審査手続の厳格化を講じており、また、これらの品目やロシアの軍事能力の強化に資する汎用品の輸出などの禁止についても、欧米諸国による制裁品目やその実施状況なども踏まえて、速やかに実施をしてまいりたいと思います。

梅谷委員 大臣、ありがとうございます。私もまだ時間配分が慣れていないところもあり、また、その上で、関係者には大変な御苦労をおかけしたことをこの場をおかりしておわびを申し上げたいと思います。以後、またしっかり頑張って、注意を払っていきたいと思います。

 今ほど、品目についてお尋ねをさせていただいたら、関係諸国ときっちりと連携しながら取り組まれるという御答弁でした。

 今、その上で、サハリン1、2といいましょうか、これについて、アメリカの石油大手エクソン・モービルはサハリン1から撤退すると発表。また、イギリス石油大手シェルはサハリン2からの撤退を発表。一方で、我が国はまだこれについては態度を保留とされていると伺っておりますが、この理由についてお尋ねをさせていただければと思います。

萩生田国務大臣 世界の原油需要構造が不安定化する中、原油輸入の約九割を中東に依存する我が国にとって、サハリン1は我が国のエネルギー安定供給上重要なプロジェクトであります。エクソンの撤退表明によるエネルギー安定供給への影響については、情報収集の上、精査をしてまいりたいと思います。

 エネルギーについては、アメリカもヨーロッパも制裁品目に加えていないというものもあります。我が国としては、国民生活をやはり守っていく上では、今行われている事業については、継続できるなら継続するという基本的な姿勢でいます。

 アメリカやイギリスは、それぞれの企業の考え方でいろいろ変えているものがあると思います。例えば自動車などは、日本もロシアへの輸出を止めました。しかし、これは制裁じゃなくて、お金の回収がきちんとできないんじゃないかというリスクヘッジや、あるいは、港が使えなくなるんじゃないかという配慮から止めているものでありますので、今、世の中で止まっているものというのは全部が全部経済制裁じゃないということは、是非御理解いただきたいと思います。

 今後、G7と足並みをそろえながら、必要があればそういう措置も選択肢には入れていかなきゃならないと思いますが、今はお互いエネルギーについては触らないということで欧州もやっておりますので、日本もそのルールにのっとって、同じ歩みをしているところです。

梅谷委員 ありがとうございます。

 そうすると、二月二十七日にオンラインで行われたG7の外相会合において、林外務大臣が、G7として、今後、経済制裁を含む今後の対応については緊密に連携していくという中には、取りあえずこのエネルギーの部分は含まれていないという理解でよろしいんですね。ありがとうございます。

 ただ、今この事態というのは、ある意味、国際的な外交、安全保障の構造の重大な変化が起きたと考えられる事態だというふうな指摘もあるわけでして、その中にあって、撤退するのか継続するのかという判断を迫られている。

 例えば、過去、天安門事件というのがありました。

 日本が一九八九年七月の主要七か国首脳会議で、天安門事件の非難宣言をめぐり、中国と欧米諸国の板挟みに苦慮した実態。対中関係維持に腐心する日本と人権重視の欧米が一対六の構図で激突。議長国フランスは、フランス革命二百周年記念日に合わせて開くサミットの主要議題として人権問題を設定。中国に関する宣言案には、要人接触の停止や世界銀行の対中新規融資の延長など具体的な制裁項目が列挙された。この文言に同意できないのは日本だけだ(フランス)、日本の孤立は世界的批判を招くだろう(イタリア)。難色を示す日本は七日の準備会合で集中砲火を浴びたというふうに外務省の外交文書で示されたという記事がありました。

 もちろん、これについては、その後、妥協案として、中国が自ら孤立化しないような改革を進める必要があるという文言を、日本の方々が努力されて、その妥協案がのみ込まれて、日本の努力が実を結んだというくだりでもあります。

 このほかにも、ミャンマー問題があります。

 二〇二一年十二月二日に、テッペイ・カサイさんという方が、「ミャンマー人権問題に対する日本の「二枚舌」外交」というこのペーパーを出していますけれども、ここでもちょっと披瀝させていただきます。

 ミャンマー治安部隊は、二〇二一年二月一日の軍事クーデター実行後、千三百人近くを殺害した。逮捕者は一万人を超え、現在も七千四百人程度が身柄を拘束されている。中略。

 日本はミャンマーの親密な同盟国であるため、一定の措置を講じてきた。日本政府はクーデターを非難し、暴力行為の停止と、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む民選政府高官の釈放を要求した。二〇二一年の初めには、人道支援以外の政府開発援助、ODAの新規案件を中止したが、既存案件の継続は認めている。

 しかし、日本政府の対応を他の民主主義国家のものと比べると、いまだ十分ではないことが分かる。各国政府は国軍高官と軍政関係者及び軍の経済権益に対する対象限定型制裁を実施しているが、日本はいまだに制裁を科していないのだ。

 クーデターから一年の節目を目前に、日本政府は二枚舌外交を展開しているようだ。公式にはクーデターを批判する各国政府と連携する一方で、軍政との外交関係の正常化を加速させている。このような行為は、ミャンマー軍の人道に対する罪について責任追及に及んでいる国際社会の取組を覆すリスクがある。

 ほかにも、ウイグルの弾圧。これも、G7では日本だけが某国の人権侵害に対する制裁に加わらず、それによって、因果関係ははっきりとしないかもしれませんが、米欧メーカーを中心に製造段階で強制労働排除に向けた動きが広がっており、日本の対応を疑問視するアメリカ税関がユニクロ製シャツの輸入を差し止めていたことが発覚したということがございます。

 大臣、今この事態において、できるだけ早く決断を下すべきではないかなと私は考えますし、また、何よりも、緊密に連携、我々は一致した行動を取っていくというスタンスで訴えさせていただいていますけれども、この点、大臣の御所見をお伺いいたします。

萩生田国務大臣 まず、一つ一つの国との事情というのは異なりますから、今例示をいただいたもの全てについて、今回のロシアのウクライナへの侵略に対する日本の対応を比較するというのはすごく難しいと思うんですけれども、先ほど申し上げたように、我々は、G7あるいは同じ価値観を有する同志国の皆さんと足並みをそろえていくということは既に表明しています。

 その中で、それぞれやはり国の条件が違います。地政学的な問題もありますし、日本のように資源を持っていない国は、じゃ、先生おっしゃるように、勇ましく、一切ロシアからのガスも要らないんだ、サハリンからも撤退するのが先決だとやったときに、本当に国民の生活を守っていけるのか、経済を守っていけるのかということも考えなきゃなりません。

 同じように、SWIFTで金融機関を止めるといいながら、欧州の皆さんがロシアの大手銀行はまずは除外をしないでおこうということを決めているのは、やはり、ヨーロッパはヨーロッパで自国民を守っていかなきゃならないいろいろな背景があるからでありまして、私は、それぞれ、様々な、違うアプローチの中で、大きな方向でみんなで足並みをそろえていこうということを今約束していることは大事なことだと思うんです。

 備蓄の放出も決めましたけれども、それは放出できない国もたくさんあります。日本の場合は、たまたま備蓄をしていましたから、石油の放出を約束しました。アメリカに次ぐ二番目の量を出すことにしましたけれども、じゃ、出していない国がけしからぬのかといったら、そうじゃなくて、やはり、こういうときは皆さんで同じ方向にしっかりと向いておくということが大事なんだと思うので。

 もう一つ、余計なことですけれども、ロシアやベラルーシが報復制裁をしないとは限らないわけですよ。ですから、こっちが望んでいなくても、出ていけと言われる可能性もあるわけですね。

 あらゆるリスクを今考えながら、国民生活を止めるわけにいきませんので、我々はそちらの責任もあるわけですから、是非そういう意味で、勇ましい話だけじゃなくて、しっかり先を見据えて、いろいろな選択肢を考えながら政府としては対応しているということは御理解いただきたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 私は、決して日本国内の暮らしを軽んじているつもりはなく、逆に、きちんと国際社会における我が国の評価が向上し、その地位が向上するような方向性を最大限捉えながら、その一方で英断を下し、そこに必要であれば、下支えできる、そのような支援策をしっかりと講ずることが大事だというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

 次に、中小企業支援強化についてお尋ねをさせていただきます。

 所信では、コロナ禍で傷ついた事業者の皆様に対し、必要な支援を迅速にお届けいたします、中略、中小企業の事業継承と成長をしっかりと支援してまいりますとしておりますけれども、これは、中小企業を一つもこのコロナ禍において、危機において潰さないという、その決意の表れという理解でよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 オミクロン株の拡大など、新型コロナの影響が長期化する中で、多くの事業者は、様々な創意工夫を重ねながら事業継続や新事業転換などの努力を重ねられています。このような事業者の皆様を、事業復活支援金や資金繰り支援、事業再構築補助金などにより、しっかり支えていく決意です。

 同時に、増大する債務に苦しむなど、経営がうまくいっていない方の中には、収益力改善の取組を進めるとともに、事業再生や再チャレンジに向かう方もいらっしゃると思います。このような事業者の収益力改善、再生、再チャレンジを支援するため、中小企業活性化パッケージを打ち出したところです。

 このような各種の支援措置を事業者の皆様のニーズに合わせて迅速にお届けすることが重要でありまして、引き続き、新型コロナの影響の状況を注視しつつ、事業者支援に万全を期してまいりたいと思います。

梅谷委員 一つも潰さないという決意はどうでしょうかという問いでしたけれども、なかなかお答えづらかったんでしょう。

 もう一つ続けますが、私の地元だけじゃないと思うんですけれども、私の地元から、関係者からいろいろと話を聞かせていただくと、やはり月次支援金をもう一度という声が非常に多いんです。月当たり最大二十万で毎月、そして、蔓防では時短要請に応じてくださっている飲食店の方々に協力金が支給されるけれども、飲食店に密接に関係のある業者さん、例えば酒屋さんとかなどには支給はされません。同様の深刻な影響を受けているにもかかわらずです。

 蔓防の適用状況も今にらみながらですけれども、このプラス月次支援金、これを是非お願いをさせていただきたいですが、見解をお尋ねします。

萩生田国務大臣 現在実施している事業復活支援金は、月次支援金と同様に、飲食店の取引業者も含め、業種を問わず、売上げが減少した事業者に対する支援策です。

 事業規模に応じて支援上限額を最大二百五十万円としていることに加え、新たに売上高の減少割合が三〇%以上の事業者も対象とするなど、月次支援金よりも手厚い支援措置となっています。

 また、地方自治体によっては、地方創生臨時交付金を活用し、これまでも、売上げが五〇%以上減少していない事業者向けの支援や、当時の月次支援金、上乗せ措置などを行ってきたところもございます。

 事業復活支援金についても、受給者に対する上乗せ措置などを講じている地方自治体もあると承知しており、事業復活支援金と併せて、このような自治体の支援策も是非御活用いただきたいと思います。

梅谷委員 事業復活支援金がそれに代替されるというようなお話でしたし、あわせて、コロナ臨時交付金においてまたそれを対応してもらうんだという御答弁をいただきました。

 ただ、何度も申し上げますが、蔓防における協力支援金、これがあるなしの部分で差がどうしても出ているんですね。だから、新潟県では、飲食店関連事業者さんに対して、支援金二十万、四十万を給付しています。こうした自治体のコロナ臨時交付金、まさに大臣が今おっしゃっていただいた、この増額も是非必要だというふうに私は考えているんですけれども、現場の声を受けて。

 大臣、所管、管轄外なんだけれども、大臣から是非、関係される大臣始め、方々に要請していただきたいんですが、こんな質問、大丈夫なんでしょうか、よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 所管外なのでお答えは控えたいという答弁もあるんですけれども、せっかく遠慮しながらおっしゃっていますので。

 地方自治体によっては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して、これまでも、売上げが五〇%以上減少していない事業者向けの支援や、月次支援金の上乗せ措置を行ってきたところです。

 すなわち、飲食店には補償金が多分地元で出ているのに、先生がおっしゃったのは、取引先のお酒屋さんだとかおしぼり屋さんなんかはそういうお金が出ていないよねと。

 だけれども、さっき私が申し上げたのは、この復活支援金は、そういうところでも売上げが下がっていたら使ってください、そして、その後は、地方交付税、地方交付金を使いながら、上乗せや横出しの支援策というのは各自治体が今やっていますからそれを続けてください。そして、先生はそれを、もうちょっと大胆にできるように予算を増やしてくれ、こういうお話なので、そこは別に私も反対することじゃないので、もちろん、そういう必要があれば声はどんどん上がっていくと思いますので。

 令和三年度の補正予算で、地方単独事業分として一・二兆円が措置されております。まずはこの予算をしっかりと活用していくことが重要と考えておりますので、今後も、関係省庁、自治体と連携し、厳しい状況に置かれている事業者の皆さんを支えていくのは経産省としては当然だと思っていますので、御意見は御意見としてしっかり受け止めてまいりたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 基本的な方向性が同じだということで、また、何より現場の声が上がってくればということが大事だと私も思っております。少なくとも、私、かなりいろいろな方々とヒアリングをさせていただいた上でのこの質疑に臨ませていただいているので、よろしくお願いします。

 あわせて、事業復活支援金も、やはりこれは額が少ないよね、一回こっきりだよねという声は非常に多く寄せられます。我々はそれに対して議員立法を提出していますけれども、是非大臣からも、この点においても更なる御厚情をいただきますよう、御検討いただきますようお願いします。

 もう一つ、中小企業関連で。

 やはり、この債務、無利子無担保のコロナ融資を当時受けて苦しむ方々、これから更にそれによって苦しむのではないかということが予測されます。

 例えば、私の、いろいろな方々からお話しいただいた、例えばの話。令和二年にこの融資を受けました、受けるときには、まあ一年ぐらいだろう、このコロナ危機も。だから、金融機関は、多めに借りておいた方がいいよということで、お得だよということで、たくさん、四千万借りていたと。

 ただ、これが一年どころか二年にもなって三年にもなって、そして、これから元金の支払いが迫ってくる。そうすると、四千万だと月八十万円の元金返済が始まってきて、しかも、どんどん売上げは、今こういう状況ですから、下がっているんですね、燃油も上がる。今年も、まあうちの地元に限定かもしれませんが、雪がすごく影響があったものですから、経済もやや滞る。コロナの先の見通しもまだまだ。需要マインド、消費マインドも不安が多い。これはもう、持ちこたえられない倒産なんて、うちの地元紙では表現しているところもありますが。

 こういうところに対して、所信で、増大する債務に苦しむ中小企業に対しては、資金繰り支援に万全を期しつつ、収益力改善、再生、再チャレンジを促進するための総合的な支援策を検討しているところと表明されているんですが、これは、そういうことに対してしっかりと向き合う支援策ということでよろしいんでしょうか。そしてまた、そうであれば、その決意をお伺いします。

飯田(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘ありましたけれども、新型コロナの長期化で、非常に中小企業の債務が増加傾向にあるということで、御指摘の収益力改善、再生、再チャレンジを促進するための総合的な支援策ということで、本日、大臣の方から中小企業活性化パッケージという形で公表させていただいたところでございます。

 パッケージに従いまして、今後、収益力改善フェーズの事業者に対しましては、全国三万以上の認定支援機関、税理士さんとか金融機関とか商工会議所ですが、こちらも活用しながら、収益力の改善に向けた計画の策定支援それから伴走支援を展開していく。

 また、事業が再生するというフェーズの皆様に対しましては、中小企業再生ファンド、あるいは中小企業再生支援協議会、本日公表予定の中小企業の事業再生などに関するガイドライン、こういったものによる支援を行う。

 それから、再チャレンジに移るという方でございますけれども、こういった事業者の皆さんに対しては、個人破産の回避に向けたルールを明確化していく、あるいは経営ノウハウなどに関するセミナーや専門家支援の拡充といったような政策を講じてまいりたいと思っております。

 それから、全国四十七の都道府県において、収益力の改善、再生、再チャレンジを一元的に支援する体制の整備ということで、中小企業再生支援協議会、今、一つずつありますけれども、これを関連の組織と統合いたしまして、四月の一日から、中小企業活性化協議会として、改善から再チャレンジまでシームレスに支援できるようにしてまいりたいと思っております。

 今後は、こうした本パッケージに基づく支援を順次実行に移して、関係省庁とも連携しながら、中小企業の収益力改善、再生、再チャレンジ支援に万全を期してまいりたいと思っております。

梅谷委員 丁寧に御答弁くださってありがとうございます。

 本当にいろいろと対応を細かく、アンテナを高くして御対応されているんだなということがうかがえます。そして、もちろん、最後におっしゃっていましたけれども、経産省だけじゃなく、関係省庁との連携が何よりも不可欠だと。

 だから、私の方からも、再度要請というか、要望に近い形になりますが、再度の融資の延長を是非また皆さんから、他省庁の話になりますけれども、大臣からも是非求めていただければと思います。

 もう一つ、中小企業の関係でお尋ねをさせていただきたいと思います。

 コロナ対策などですけれども、中小企業支援の在り方について、窓口対応の統一化、これをやはり経産省として進めるべきではないかというふうに考えています。

 例えば、私の地元の中小企業事業者などからは、この窓口の対応に懸念の声を私自身は耳にしております。例えば、相談窓口で分かりやすい説明がないまま支援策の申込書だけ渡して、これだよ、必要事項を書いて提出してくださいと。でも、結構大変なんですよね、資料、文言もなかなか難しかったり。そういう事務的な対応となっている。

 中小企業は、先行きに不安を感じながら、厳しい状況の中で日本経済を支えている方々であって、政府は、支援策を用意するだけでなくて、実際に中小企業事業者にその支援策がきちんと届く、そして中小企業事業者が将来に明るい希望を持って事業に取り組まれるよう最後まで支援することが重要と考えます。

 各相談窓口や支援機関に対して、特に中小企業事業者と直接接する担当者たちに支援策の内容も含めた徹底を図っていただいて、そして、中小企業事業者がどの相談窓口や支援機関に出向いても同じレベルで分かりやすい対応が行われ、中小企業事業者が、相談してよかったな、将来に向けてまた頑張るぞ、明るい希望を持てるぞと言っていただけるような、そういう支援ができる体制の構築が重要だと思いますが、大臣、じゃ、まず言っていただいて、その後大臣でいいですか、済みません。

飯田(健)政府参考人 まず、お答えさせていただきます。

 先ほど御指摘ありましたけれども、まず、無利子無担保融資の延長でございますけれども、先ほど申し上げればよかったんですが、本日公表いたしましたパッケージの中で、本年三月末が期限であった実質無利子無担保融資については、六月末まで延長ということになっておりまして、大変申し訳ありません。

 それから、今、相談窓口のお話がございまして、これは大変大事な課題でございます。

 中小企業の皆さんにとっての身近な相談窓口というか相談者としては、やはり金融機関ですとか税理士さんが多いかと思いますけれども、それに加えまして、私どもとして、今、施策の御紹介などでは、主な窓口としては、四十七都道府県に一か所ずつのよろず支援拠点でございますとか、あるいは商工会、商工会議所といったところがございます。

 私どもとしましても、こうした相談窓口の担当者の皆様が施策をきちんとお伝えできるように様々な形でサポートをしているところでございますけれども、行き届かないところもまだあろうかと思います。きめ細やかな助言やサポートを実施するために、令和二年度の補正予算あるいは令和三年度の補正予算においても、体制の拡充ですとか支援体制の強化も図っております。

 これからも、そういった方々としっかり連携して、施策をお届けできるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。

萩生田国務大臣 相談のレベルも含めて統一化をしていく、幅広く応えができる環境をつくっていくということが大事だと思いますので、そういった努力をしていきたいと思います。

 あわせて、相談する側も、やはり日頃から様々な行政情報に触れていただくということも大事だと思うんです。こういうことがないとなかなか、中小企業庁からの発信というのは、ほとんど目につくこともないんだと思います。したがって、商工会議所の会員になるとか、商店街の人たちは商店街の中で様々な情報を得るとか、そういうことも、私は、今回コロナを経験して、各企業にとって大事な視点じゃないかなと思っていますので、双方で互換性を高めていくということが大事だと思っていますので、共に努力してまいりたいと思います。

梅谷委員 大臣、ありがとうございます。また、事務方の皆さんもありがとうございます。

 各地域の事情もありますから、そこに最大限配慮をいただいた上で、是非御対応いただきたいと思います。

 今日は、早実の後輩として、済みません、質問を大分残してしまい、本当におわびを申し上げます。

 また、ここに立たせていただきまして、また質問させていただき、ありがとうございました。

古屋委員長 次に、末次精一さん。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。昨年の衆議院選挙で初当選いたしました。

 今日は、新しい資本主義またコロナ対策の、大まかに二本について質問をさせていただきます。

 まず、新しい資本主義についてでございますけれども、これまでいろいろ、岸田総理のこの新しい資本主義については、委員会や本会議等で答弁がなされております。私も、MBAを持っておりますので、この新しい資本主義、岸田総理が言われたこと、また、いろいろな雑誌に寄稿されたこと、何度も読み返しましたけれども、正直、方向性は示されている、その一方で具体的な政策、目標値とかないのもありますし、これは読めば読むほど、ちょっと分からなくなってくる。

 何かこう、いろいろな政策パッケージを貼り合わせて、それで分配という言葉をつけて、新しい資本主義と言われているような、そういうのは、これは私の個人的な意見でございますけれども、ありますけれども、今日はそこを質問また議論するところではありませんので、経産委員会ということも踏まえて、この新しい資本主義のいわゆる経済政策の分野で、地方の暮らしがそれによってどう変わっていくのか。私は長崎県が地元でございますけれども、いろいろな課題を持っております。その地方の暮らしがどう変わるのかということに関して、いろいろお伺いしたいと思います。

 まず、萩生田大臣にお伺いしたいと思います。

 この新しい資本主義について、経済産業省として、この岸田総理の新しい資本主義を踏まえて、萩生田大臣として、これから、その経済効果というものについてどのように考えておられるかということをできるだけ具体的にお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、稲田委員長代理着席〕

萩生田国務大臣 新しい資本主義による成長と分配の好循環を実現するため、まずは力強い成長を実現することが重要です。デジタル、気候変動、経済安全保障などの社会課題に着目し、政府も民間も一歩前に出て、官民連携して投資を拡大し、成長のエンジンへとしてまいりたいと思います。

 こうした新しい資本主義の考え方を象徴する取組として、我が経産省では、例えば、安全保障上重要な半導体なんですけれども、これは昨年法律も通してもらいましたが、今までは、海外のサプライチェーンに依存するというのは当たり前にやってきました。すなわち、国内で作っていなくても必ずどこからか安定的に供給ができるという前提だったんですけれども、やはりコロナを経験して、こんなことだと日本の国内産業、止まっちゃうよねということになって、半導体、特に、二十ナノ台という、国内ではワンピースも作っていないものも、いろいろ企業を誘致をしたり、また、そこを、ただ会社を持ってくるだけじゃなくて、将来的に持続可能になるように人材育成をしようということで、例えば、熊本中心に、先生のお地元長崎もなんですけれども、九州全体をまさに新しい半導体製造の人材育成、中小企業の連携拠点にしていこうということで、そういったシリコンアイランド九州というのを復活させようという取組をしています。

 こういったことは、よく岸田総理がおっしゃるように、民間の市場に任せておけばというんじゃなくて、やはり行政も介入して、そして投資もしながら、一緒に伴走しながら、少し一歩前へ出てもらうという、ここがまさしく新しい資本主義の一つの象徴だと思います。製造基盤の確保だけでなく人材育成を同時にやっていくという、これも一つの試みでありまして、是非御協力をお願いしたいと思います。

 あるいは、もう一つ面白いのは、例えば、平時は民間企業がバイオ医薬品などを製造し、有事には官の要請によりワクチン製造を行う、デュアルユースの生産設備の整備支援というのをやることにしました。既に補正予算をお認めいただきました。

 どういうことかといいますと、今、国内ワクチン、認可が遅れてしまっていますけれども、国内ワクチンにせよ、飲み薬にせよ、許可になったとして、じゃ、一億二千万の国民分を本当に作れるのかというと、これは物すごく、日本の製薬会社の工場というのは大規模な工場はありませんので、中小がほとんどなので、その一億二千万人分の薬を作る能力を考えますと、これは国内に逆に工場を造らなきゃならない。そんなことを言っていたら、また次の第七波が来たらどうするんだということになりましたので、既存の製薬会社の皆さんに、皆さんの工場の中で空いているスペースがもしあったら、国が九割投資をします、一割負担してもらって、九対一でラインをもう一つつくりませんかと。

 そして、昔だったら、これは政府がお金出したんだから、政府が使っていいと言うまではビニールをかけておけみたいなのが、ある意味、資本主義の世界だったんですけれども、そうじゃなくて、ふだんはバイオ医薬品、自分のところの、自社の製品を作っていていいです、その代わり、コロナですとかあるいはインフルエンザで型が変わって急遽ワクチンを作り直さなきゃならないなんというときには、そのラインを空けて、そして協力協定の中で是非薬を作ってもらって、国民の皆さんの命を助ける、こういう仕組みをやろうということになりました。

 なかなか、国が民間の工場に投資するというのは今まではありませんでしたし、また、なかなか認めづらかったんですけれども、今回コロナを経験したからこそ、そういった新しい概念で、官と民がお互いに協力して有効利用していくということが出てきたんだと思いまして、こういったものを更に進めていきたいと思います。

 人材やスタートアップなどへの大胆な投資を促すための施策についても検討中でございまして、この三十年間、日本企業は成長がなかったという御批判をよくいただきます。数字の上では認めていかなきゃならない部分はあると思います。

 ところが、大企業などは一定の利益を上げたわけですね。そうじゃなくて、新しい産業を興していく、新しい製品を作っていくという、ここがやはりちょっと遅れていたと思いますので、そういう、人たちも育てて技術も育てていくということを国が一歩前に出てやっていく、民の皆さんと一緒にやっていく。

 例えば、スタートアップで、資金を集めるというところであれば、政府も一定の出資をすることで、呼び水となって投資家からのお金を集めることができるような、そういう仕組みも共につくっていきたいと思っていまして、こういったことが我々の申し上げている新しい資本主義というふうに御理解いただきたいと思います。

    〔稲田委員長代理退席、委員長着席〕

末次委員 ありがとうございました。より、本当に具体的にお話しいただけたので、大分理解が深まったと思います。

 ただ、それで地方の暮らしがどうなるかというところがまだ、お話がそこの中に少なかったので、そこを少し掘り下げてまいりたいと思います。

 では、今の大臣の答弁を踏まえてですけれども、まず、グローバルな概念での新しい資本主義とは、従来の株主資本主義が、ステークホルダー資本主義へのイデオロギーの抜本修正と受け止められていると思います。

 それは、事業活動によって生じる利益配分があらゆる分野で享受される社会構造への転換を目指す共生社会への志向であり、地域社会においても成長、すなわち地域経済の活性化を実現させて初めて、地域住民に至る分配機能に地方行政が果たす役割を考えるべきであると考えます。

 まずは、民間主導での、地域の付加価値創造に向けて自助自立的行動を喚起できる土壌づくり、要するに、様々な規制緩和、自由化を通じて事業参加者を増やし、そこへの事業参画を容易にする社会機能を地方に整備することが必要であると考えます。あるいは、特区の立ち上げやPFIへの取組などをサポートするのが行政の使命であると思います。

 そこで、お伺いいたします。

 先ほど大臣が、官も、政府もということでありましたけれども、されども、専ら受動的な住民へ先に分配をちらつかせて、その受益のみを期待させている限り、地域社会全体に危機感は惹起できず、地域経済のいわゆるマイナスサム的な衰退は止められないと私には思われますけれども、その辺りについてどのようにお考えでしょうか。

濱野政府参考人 お答え申し上げます。

 地方においても新しい資本主義による成長と分配の好循環を実現するため、まずは力強い成長を実現することが重要と考えてございます。

 地域の成長につながる事業活動を促進するため、例えば、関係省庁と連携し地域単位での規制改革を進める特区制度のほか、産業競争力強化法によりまして、規制の適用の有無を確認できるグレーゾーン解消制度、規制の特例措置の適用を認める新事業特例制度、また現行規制との関係で実施が困難な実証を可能とする規制のサンドボックス制度など、企業単位での規制改革も推進しているところでございます。

 さらに、地域の特性を生かした地域経済の活性化を図るため、地域未来投資促進法による企業への設備投資減税等の支援策も講じているところでございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き、地域経済の活性化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

末次委員 今御答弁いただきましたけれども、大臣、先ほど、新しい資本主義の経済政策、また今御答弁いただきましたけれども、じゃ、これで地方の経済がどう変わっていくのか、具体的に。

 長崎県については、県民所得は本当に低位なままでありますし、やはり事業者に聞いても、景気よくないねと。コロナはさておき、これから先どうするんですか、息子さんに仕事を継がせるんですかと言ったら、いや、お先、余り期待できないから苦労させたくないと。その一方で、親の介護等で、都会に出ておられる方が戻ってきたいけれども、仕事がない、あるいは、戻ってきても、半分、三分の一の収入になってしまう、そういう声も多く聞きます。

 大臣は八王子が御地元で、東京だから、ちょっと私はそこの事情がよく分かりませんけれども、地方はそういう状況であります。

 今までいろいろな政策パッケージ、また、先ほど、伺おうと思っていましたので、同僚梅谷議員の質問で、新しい政策パッケージが発表されましたけれども、さりとて、これまでもいろいろな取組をされてきているわけです。

 そういう中で、この新しい資本主義によって地域ににぎわいが、先ほどの御答弁も含めて、生まれてくるのかどうか、ちょっとそこを、大臣にお考えを聞かせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 国が政策を並べて、そしてそれが必ず地方でうまくいくのかと聞かれれば、ここにはやはり地方の努力が私は必要だと思います。長崎県の抱えている様々な特殊事情というのもきっとおありになると思います。したがって、長崎が求める規制改革によって新しい産業を興すことができるんだとすれば、それは長崎の皆さんが発議をされて、御努力をされ、そして国が認めれば、そういった規制改革によって新しい産業を興したり、あるいは業態を変えていくということは可能だと思うんです。だから、政策がどうワークするのかというのは、これは本当に使う人たちのマインドで大きく私は変わっていくと思います。

 例えば、逆に、長崎発で物すごく立派な経営者っていっぱいいて、しかし、その人たちは長崎から出てしまって、東京に本社を構えているわけですよね。なぜふるさとへ帰らないのかといったら、何か問題があるからなんだと思うんですよ、不便性だとか。一方、ジャパネットたかたは出てこないですよね。長崎に残って、今、本社機能を持って頑張っていますよね。銀座に逆に支店を構えている。

 だから、そこは私、長崎は長崎の皆さんが、分かりますよ、一つ一つの中小企業で、世の中の閉塞感によって次の展開が取れないんだとすれば、これはまさに政治の力をもってお互いに解いていかなきゃいけないと思うんですけれども、そうじゃなくて、地域性を持ってやっていくんだとすれば、私はやはり、ここで知事さんも新しくなられたと承知していますので、是非大胆な発想で長崎ならではの取組をしてもらうべきじゃないかと思っています。

 さっき申し上げたように、半導体については、今まで、長崎に限らず、九州の高専の卒業生って、九州で働いていないんですよ。ほとんど中部や関西圏、もっと言えば東京に来ちゃっているんですね。それはなぜかというと、九州の人たちは高専の卒業生の評価を非常に低く見ていまして、東京に来れば大卒と同じ初任給でスタートするのに、高校卒業程度と並べてしまっているんですね。

 実は潜在的には物すごくいい力を持っているので、そういうものも各県が覚醒して見ていただいて、それぞれの県に合ったチャレンジというのをしていただくことが必要で、我々はそれにしっかり伴走していきたいと思いますので、是非御理解をいただければと思います。

末次委員 何か冒頭の御発言から急にちょっとトーンが変わったような感じはいたしますけれども。冒頭、政府、行政が主体的にというお話から、急に民間頑張れ、地元で頑張れというふうに、何かちょっとトーンが変わった感じもしますが。

 確かに、大臣がおっしゃっていることも本当にそのとおりだと思います。本当におっしゃるとおりだと思います。ただ、それはある意味、所管外の方が言われるようなことだと私は思いますよ。やはり国の経済政策、産業政策を、その基盤を上げていく、その担当大臣の方の発言と思うと、ちょっと少し残念というか、悲しい感じがいたしました。

 じゃ、大臣、これまでいわゆる行政、政府は、創業支援、事業承継、また再生支援、経営革新、または多角化、MアンドAも含めていろいろやっておりますけれども、これからの時代、まさしく岸田総理が、イノベーションの種、イノベーションを広げていこうと言われているわけですよね。これについて、これまでの歴代の大臣が行ってきた政策、こういったもろもろと違って、萩生田大臣として、じゃ、この岸田総理の方針を踏まえて、どの分野に力を入れていこうというお考えをお持ちなのか、お持ちでないのか。お持ちであるとしたら、ちょっとそれをお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、平成の三十年間で、大企業は一定の利益を上げました。しかし、新しい産業が起きてこなかったということが日本の一番の欠点だったと思います。イノベーションの力で新産業を興していく、新製品をつくっていく、もっと言えば、今回のコロナを経験したことによって、サプライチェーンを国内回帰、戻していこう、こういう基本的な方針を表明させていただいておりますので、例えば、メイド・イン・ジャパンの製品づくりにこだわって、今まで海外に部品を依存してきたものを、たとえ千円高くなっても国内でつくり上げていくということの環境を、私はまずつくっていきたいと思います。

 二つ目としては、是非、起業する皆さんを支えて、先生のお地元長崎からも、将来のジャパネットと同じような新しい会社が起きてくる。そこは、なかなか、地方に本社を置いていて、起業して、スタートアップしたところで投資が集まらない、きっとこういうリスクを抱えるんですよ。したがって、そのリスクマネーを政府がきちんと取って、伴走して、会社を起こしていく、こういうことを私はこれから力を入れていきたいということを考えています。

末次委員 ありがとうございます。

 本当に、これまでの政策より更に力強い御答弁をいただき、本当に勇気をいただいたわけであります。

 言うまでもなく、創業については、欧米諸国と比べると日本はまだまだ低位のところで、しかも、余り、伸び悩んでいるというところでもあります。創業して、これはまさに、経産省の統計では、三年以内に生き残っているところは五〇%、民間の調査では、九〇%が廃業に追い込まれている、そういった統計もございました。

 じゃ、そういうところに対しまして、先ほどもおっしゃいました、政府系の、政府としての金融支援というのは必要ですし、また、やはり欧米と比べて、いわゆるエンジェル、民間のこういったものも少ないということもございます。そういうのも含めて是非、やはり私も大臣と全く同感でございまして、そういった創業の力強い支援というものがイノベーションの種とともに地域産業を発展させていくというふうに思っておりますので、是非そこは、また具体的な政策パッケージはできているようでありますけれども、萩生田プランということで、是非また追加で、政策パッケージを更にボリュームアップしていただければと思います。

 では、次に、ちょっと二番を飛ばしまして、時間があれなので、コロナ対策について質問させていただきます。

 各事業者は、その事業規模もビジネスモデルも各様であり、そもそも、一律の財政支給は、平時であれば放漫、ばらまきのそしりを免れないところでございます。ところが、コロナ禍が常態化した後でも、こうしたざる給付を精査する努力を怠り、かえって住民不公平が顕在化しております。それゆえに、この先、非常事態に備えた財政投資、BCP、事業継続計画を綿密に整え、災禍においても健全で建設的な新陳代謝が進むことが経済活性の要諦であると私は思います。

 そこで、質問でございます。

 今回のパンデミック体験を知見として、そうした財政活用の真に公平な在り方について、経産省の具体的なプラン作成は取り組んでおられるのか、問題把握の現状も含めて、御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 コロナ禍で傷ついた事業者の皆様に対して、足下の経済の下支えとして、必要な支援を迅速に届けることは重要であり、各種の給付金などを支給してきたところです。

 同時に、コロナ禍を変革の機会と捉えている事業者に向けて、コロナ後の新しい社会を見据えて、先手を打って未来の成長の種をまいていくことも必要です。

 このため、コロナの影響を受けて新分野展開などに取り組む中小企業者、事業者については、事業再構築補助金などにより支援をしており、企業が従来の業種の枠を超えて、経営資源を将来性の見込める事業に振り向けていくように促し、産業の新陳代謝を活性化をさせていきたいと思います。

 加えて、グリーン、デジタル、経済安全保障などの社会課題を成長分野と位置づけ、こうした分野に積極的に投資を行う企業に対して、集中的にめり張りの利いた支援を、大規模、長期、計画的に行う取組も検討しております。

 今後、こうした検討の成果を、経済産業政策の新機軸として取りまとめてまいりたいと思います。

末次委員 ありがとうございます。

 大臣、済みません、ちょっと私、理解できなかったところがあるのかもしれないんですけれども、平たく言うと、例えば、飲食店に関して言えば、その事業規模に応じて、当然のことながら、売上げ、いろいろな経費も違うわけですよ。ところが、今回、一律ですよね。これについて、もう店を閉めていた方がもうかるよというふうな、実は、事業者もある程度、こういうふうに耳にしていまして、その一方で、こんなのじゃ足らない、何であそこと一緒なんだという声は多いわけでありますよね。

 たしか、ヨーロッパのある国、ちょっと済みませんけれども、そこは、税申告した売上原価について、昨年の売上原価額を支給しますよというふうにしているわけですね。こういった、きめ細かいと申しますか、まさに、いわゆる事業者に寄り添った支援が今後必要じゃないかと思うわけであります。

 その辺りについて今後どのようなお考えであられるかということも含めて、今、まさに二〇二五年の崖ということで、デジタル化、DX、デジタルトランスフォーメーションに経産省が取り組んでおられる中でありますので、そういうような、デジタル化とかDXも含めたやり方はあるんじゃないかと思うんですけれども、それについて御答弁をいただければと思います。

萩生田国務大臣 先生、まず、言い訳じゃないんですけれども、このコロナ禍がこんなに長く続くということを前提じゃなくて始まった制度が今まで続いてしまっているということは否めないというふうに思います。

 特に、飲食業に関しては、平米数ですとか席数ですとか売上げですとか、いろいろな視点で規模を評価する数字はきっとあると思います。しかしながら、今回、緊急避難的に、店を閉めてもらわなきゃならない、緊急事態宣言や蔓防で一定期間お店の営業時間を制約する上で、国や地方自治体が協力して、そこに対して、給付金といいますか支援金を渡そうということになったわけです。

 おっしゃるように、小規模のお店では、もしかすると、店を開けておいたより補償金の方が高い、そういうお店も残念ながら出てきてしまっているし、これだけのお金をもらってもスズメの涙なんだ、客数や時間数から考えたら間に合わないという意見があったのも承知しています。

 したがって、将来的にどうしていくのかといえば、例えば、一つは、今あるメニューの中で、夜からしかやっていなかったお店が、昼間ランチをやったり、あるいはデリバリーをやったりすることで事業を変えていくということに対しては、その後押しをする補助金をつくらせてもらいました。

 次のテーマとして、今先生がおっしゃったように、デジタルを活用して、もう少しきめの細かい支援策というのをちゃんと平時からつくっておくべきじゃないかというのは、そのとおりだと思います。

 そのためには、語弊があるかもしれませんが、例えば、マイナンバーカードですとか、こういった、外形的に収入や売上げや、そういったものが分かりやすいものというものを、きちんとフォーマットを決めておかないと、なかなか国が税金を投じて応援をする仕方というのは難しい部分があるんだと思うんです。

 特に、個人経営者の場合は、手書きの帳簿しかなかった方たちも大勢いらっしゃって、なかなか、外から見て、売上げを評価したり、査定するというのがすごく難しかったことがありますので、もし、そういう皆さんが、今回の経験を踏まえて、そのとおりだとおっしゃっていただけるのなら、やはり飲食業界も、統一のフォーマットで、売上げやあるいは仕入れ、そういったものが分かるようなものは、今後、お互いに、これは国が強制するわけにいきませんけれども、作っておく人の方が、もしものときには、ちゃんとした、規模に合った支援が得られる、こういう次のステージに行けるんじゃないかと思っていますので、そういう検討は経産省としてもやっていきたいと思います。

末次委員 ありがとうございます。

 私も、大臣が今おっしゃったこと、本当にその方向性でいっていただければ、コロナ禍が終わったとしても、いろいろな災害、いろいろな事業をやめなければいけないということは今後出てくると思いますので、そこは、今の御答弁の中で押しつけるわけにはいかないということをおっしゃいましたけれども、ある程度のいわゆるアドバンテージと申しますか、動機づけができれば、やはりやるんですよね。やるんです。

 先ほど、事業復活の給付が一か月遅れているというところもありましたけれども、そういうところは、今後、いや、三日で来ますよ、登録してこれだけのことをやっておいていただければ三日で来ますとか、一週間で来ますとか、そういうふうないわゆる動機づけをパッケージにすれば、それは自発的に地方が進んでいくと私は思います。そういうことも含めて今後御検討いただければと思います。

 一問残って、本当に申し訳ございません。

 私は、これから地方が活性化していく、そこでどういう経済産業政策をやっていくかということの要諦は、その経営者の心を知ることだと思います。いろいろな政策パッケージ、それは確かに有効であります。事実、私も中小企業診断士の資格を持っております。協会にも入って、いわゆる行政のお手伝いもこれまでずっとやってまいりました。しかし、やはり経営者の気持ちを酌んだ、そういった政策というものは私は大変重要であると思っております。地元の経営者というのは、やはりたたき上げの方が多いわけであります。

 今回、私は萩生田大臣に、期待というと大変僭越でございますが、大臣は市議会から二〇〇一年に都議会議員に当選された。私も東京におりましたので、そのときの萩生田大臣の当選は、ある有名な候補者がおりましたので、よく覚えております。その中で当選、すぐ国会議員になられ、ただ、やはり一度落選され、十万円が本当にありがたいというふうにどこかで見ましたけれども、本当に私はたたき上げの方だと思います。だからこそ、大臣はそういった経営者の気持ちを考えていただけるというふうに、私はそのように思っております。

 是非、今日お話しいただきました、先ほど落合議員の質問にもありましたけれども、野党の政策でもいいものは実行していくということをおっしゃいました。今日大臣がおっしゃっていただいたことを更に前向きに、強力に進めていただくことを期待申し上げまして、お願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 終わらせていただきます。どうも今日はありがとうございました。

古屋委員長 次に、山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 本日、萩生田大臣が、経産委員会でこうして初めて所信に対する質疑ということで答弁いただくという形になりました。大臣が御就任されて、コロナは想定されていたと思いますが、ロシアの侵攻といいますか侵略とか、こうしたウクライナ情勢等は想定されておられなかったと思っております。激しく世界が動く、こういう経済産業情勢の中で、日本の行政の先頭に立って今対応されていることに心から敬意を表させていただきながら、私もまたこの時間をいただいて、この今の情勢等の問題意識等を質疑させていただければと思います。

 私から、冒頭、まずロシアのことを少し伺いたいと思います。

 ウクライナの侵攻というのは、主権国家に対して一方的に力で体制を変えていこうというものでありますから、国際社会においてもとても許されるものではないということは皆で共有しているところでございますけれども、一方で、現代の戦闘、いわゆる戦争というのが、当事者の国に対してもそうでありますけれども、世界も巻き込んで、経済制裁という形になりますから、本当に深刻な経済的な影響を及ぼすということも、今回の武力衝突、紛争の中で非常にそれが明らかになってきたということを感じている次第であります。

 様々な論点がありますけれども、私から大臣にまず伺いたいことでありますけれども、今回、国際送金決済システムのいわゆるSWIFTが、ロシアの金融機関、これを遮断、排除するということ。先日、これが、七つの金融機関を対象とするということをEUが表明されまして、日本も当然協調することになりますから、ここに加わっていくということになるわけであります。

 ロシアは過去に、一九九八年、金融危機で、ルーブルショックもありまして、そのときも、当時の関係者に話を聞けば、大変な決済システムの混乱等も含めて経済的な影響があったということが伝わっているわけでありますけれども、今回は普通に考えてもそれの比ではないような影響が出るのではないかということは誰もが想像するところでございまして、ここの部分、定量的にお答えすることは難しいかもしれませんが、経済産業を所管される大臣として、いろいろな制裁はありますけれども、SWIFTからの切離し、このことの影響、世界への影響もそうですが、国内の産業、企業への影響をどのように見ておられるか、この辺り、大臣から御答弁をいただければと思います。

萩生田国務大臣 まず、今般のロシアによるウクライナへの侵略は、強く非難されるべきものであり、断じて認められません。

 二日にEUがロシアの七銀行をSWIFTから排除する旨の制裁措置を発表したと承知しております。これは、国際社会への影響を見極めつつ、ロシアに対して最大のコストを科すべく、日本を含めたG7を始めとする国際社会が緊密な連携の下で調整を行った結果として、EUによって決定されたものです。なお、今後のウクライナ情勢の動向によっては今後追加の措置もあり得ると承知しております。

 我が国としては、制裁措置について引き続き国際社会と連携し対応する考えでありますが、一方で、我が国の国民生活や経済活動への影響を最小限にとどめることが重要と考えております。

 経産省としては、今後、制裁による日本経済やエネルギー安定供給、各産業への影響についてしっかりと精査をし、状況に応じて適切に対応してまいりたいと思います。

 国内の企業がこの七銀行をどういう割合で使っているか、取引額の総額は幾らか、こういったことはまだ直ちに足下、分かっておりませんけれども、発生するであろう影響に対してしっかり状況に応じた対応をしていきたいと思っております。

山岡委員 一般的に考えれば、ロシア国内で例えば邦人の企業がいたとして、商取引全てに影響している。大きな、トヨタさんでありますけれども、そこは工場を稼働停止し、ほかの自動車メーカーも輸出等を止めていくというような報道もされているところであります。

 今国会でこうした様々なリスクに対応するいわゆる貿易保険についても政府から改正案が提案されているわけでありますけれども、この改正案は、コロナ等を、大規模災害とかあるいは感染症のことを対象に加えていくということでありますけれども、貿易保険がこうした中で、本来の目的でありますいわゆるカントリーリスク、紛争とか戦争、テロに対して対応するということを我々も聞いているわけであります。

 ここの制度の部分に、まず経産省に伺うわけでありますけれども、いわゆるこれから想定される事象として、輸出、今の直近の輸出入等の影響というのは当然あるわけでありますけれども、今後の機会損失といいますか、そういう営業ができなくなってくる、こういう損失等もこれから発生していくことが想定されていくわけでありますが、貿易保険というのはどこまでをカバーして、どこまでの部分が、このSWIFTの被害等も対象になってくるのか、ここの部分をお答えいただけますでしょうか。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 貿易保険は、本邦企業の輸出、融資、投資等の対外取引、これに伴うリスクの中で、民間の保険では引き受けられないリスクをカバーする保険でございます。

 今御指摘のございました点につきまして、あるいはSWIFTからの除外ということでどういうことが起きてくるかということでもございますけれども、これは、個々の企業によって取引のある金融機関は異なりますので、一律には申し上げるわけにはまいりませんことは御理解いただけるかと思います。

 その上で、今後どのようなことに対応できるかということでございますけれども、例えばSWIFTからロシアの金融機関が排除された結果として、個々の取引において決済手段がなくなって損失が生じた場合、具体的には、輸出については、既に輸出した貨物の代金を回収をすることができない場合、融資については、貸付金を回収することができない場合、投資については、投資先からの配当金の送金ができない場合、あるいは投資先が一定期間以上の事業休止に至って損失が生じた場合、こういった場合には、具体的に生じた損失の額に応じて保険金が支払われることになるわけでございます。

 ただ、保険契約を仮に結んでいたとしても、実際の保険契約そのものにつきましては、実際の、先ほど申し上げた輸出、融資、投資といった取引の内容に応じて保険の範囲を定めておりまして、その保険の範囲に応じて保険金を支払うというのが一つ目のポイントでございます。

 それからもう一つは、先ほど申し上げましたとおり、これは貿易保険を締結している場合ですので、そもそも貿易保険契約を結んでいない場合には、貿易保険としては対応しようがないということでございます。

 それに加えまして、先ほど、将来のビジネスの機会が失われたことに関する機会損失についてはどうかということで御質問がございましたけれども、貿易保険の契約は、現に存在する輸出、融資、投資、こういった現に存在する取引について保険契約を結ぶものでございますので、将来のビジネスの機会が失われたことによる潜在的な損失については、貿易保険では対応することができないということでございます。

山岡委員 今、貿易保険のカバーできる範囲、それの限界も含めて伺ったわけでありますけれども、先ほどお話もありましたけれども、いわゆるこれからの機会損失というのは未来に関わることでありますから、そこはカバーできないと。そして、貿易保険も、今お話にはありませんでしたけれども、輸出額に対して六%程度の貿易保険というのが今掛かっているようでありますけれども、大半は掛かっていないようであります。

 そうなりますと、今回の危機は、政府の様々な対応を示すという一つの中に貿易保険で対応するということが書かれているわけでありますけれども、ただ、想定される中身というのは、とてもこれでカバーできないような被害が生じるのではないか。それに対して具体的にどうしていくということが、まだ十分に見えているということではありません。

 現状ではなかなかお答えしにくいかもしれませんが、あえて伺いますけれども、保険の制度にもよるので、保険の制度の中身だけでいえば、入っていない人を助けるのはどうかとか、こういう議論もあろうかと思うんですけれども、事の重大性に鑑みて、このSWIFTの影響をしっかりとカバーしていく、財政的にもカバーしていくことを最大限検討していくということを大臣から御答弁いただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 侵略開始から一週間です。そして、今、様々な経済措置が累次にわたって広がっている状況にあります。先ほど来お答えしているように、報復制裁も想定はしておかなくちゃいけないと思います。そういう中で、海外で商いをしている企業、あるいは海外に立地を持って努力している日本企業が、こういった不測の事態によって会社の存立が危うくなるような事態というのは避けていかなきゃならないと思いますから、いろいろなことは幅広に考えていきたいと思います。

 ただ、今お話があった保険にフォーカスを当てると、保険に未加入の人たちまで保険と同様のサポートをしたら、保険に入っている人がばからしくなっちゃうわけですから、その辺のめり張りというのは必要なんだと思いますけれども、事態が事態ですから、そこは、あらかじめ、これは絶対やりません、これは考えていませんということじゃなくて、これから推移を見ながら、企業の皆さんに寄り添って、相談もし、また支えていきたいと思っています。

山岡委員 ありがとうございます。

 大臣、先ほども、国民生活への影響を最小限にするということも含めて、事業者に寄り添っていくというお話もありました。制度の様々な議論もありますけれども、是非今後の推移を見守りながら、今回の事態、もちろん許されざることであり、制裁に加わっていく日本というのは理解するのでありますけれども、一方で、国内への影響というのを本当に真剣に考えて、最小限にしていくということを、我々からもまた気づくことがあれば申し上げていきたいと思っております。

 御質問の中で、ちょっと先にCCSのことについて伺いたいと思います。

 今、エネルギー問題等が直近の課題としてウクライナ等では問題になるわけでありますけれども、将来の課題として、カーボンニュートラル、CO2を国内から減らしていく、産出量も減らしていくということが議論されるわけであります。CCSというのは、いわゆる空中にあるCO2を捕まえて、それを地中に埋める。CCUSという、それを再利用するという考え方もあるんですけれども、地中に埋めるということについて大きな期待を寄せて、国としてもかなり実証事業を進めていただいているということであります。

 大臣におかれては、一月二十九日に北海道の苫小牧に足を運んでいただいたわけでありますけれども、私は苫小牧が居住地でございまして、この苫小牧がいわゆるCCSの実証実験の先進的な場所として、政府のこの話を受けて、海中に、海の底に三十万トンの二酸化炭素を埋めるということを先行して実施した地域でもあります。

 この中で、世界に冠たる事業ということで、苫小牧としては非常に大きな、名誉なことであるということも思うわけでありますけれども、産業界にとっては必要な事項であっても、このCCSの実証事業においては、海の下ということで、いわゆる漁業者の方、漁協の皆様に大変な理解をいただいていて今の事業が進んでいるというのも実態であろうと思っております。

 苫小牧漁協には、伊藤組合長、そして、当時は長山専務という方がいらっしゃったんですが、残念ながらお亡くなりになってしまって、経産省の皆様には御葬儀にも御参列をいただいたという経過もありました。今、尾本専務がその後を引き継がれて、若い専務でありますけれども、いわゆるこのCCSの実証事業に対して深い理解を引き継ぎながら現在に至っているという状況であります。

 大臣は現場も御覧になっていただいているということでありますけれども、苫小牧という町自体も、ゼロカーボンシティーということを目指しながら、この事業を進めていこうということをやっているわけであります。

 このCCSというのは、CO2を減らしていくという意味で産業の皆様には非常に期待も寄せられますし、あるいは、CCUSという、カーボンリサイクルで、別のものにしてこれを活用していくということもあるんですけれども、漁協の皆様にとっては、今まで、協力はすれども、脱炭素社会の中でどういうふうに自分たちがこれから役割を果たしてメリットを享受できるのかという部分については、まだまだ十分に見えない中でも、思いでやってくださっていた部分があるわけでございます。

 例えば、漁協の皆様でいえば、近代化した冷凍冷蔵設備等、脱炭素の中であっても漁業のありようというのは変わっていくことが想定されるわけでありますけれども、大臣、地元で様々御交流いただいたということも聞いておりますが、あえてこの場でもお伺いしたいんですけれども、これまでの苫小牧そして漁協の取組、そして今後の漁協のそうした懸案の事項、思いについて、是非この場で御答弁を願えればと思います。

萩生田国務大臣 年初にお地元にお邪魔をさせていただきました。今年は珍しく苫小牧は雪が深くて、びっくりしました。雪の中に先生の笑顔のポスターがあちらこちらに貼ってあって、改めて地元の信頼の高さを感じた次第でございます。

 実は、私の地元八王子市と苫小牧は姉妹都市でございまして、八王子千人同心がもう四百年前に、現在の、蝦夷開拓団に加わって苫小牧の町を開いた、こういう経緯がありますので、実は政治家になってからも、大げさじゃなくて毎年必ず苫小牧に行っていましたので、もしかしたら先生より詳しい場所も、人もいるかもしれません。したがって、伊藤漁業組合長を始め皆様の、そういう意味では信頼をしてお会いをしていただいたと思っています。

 苫小牧のCCS実証試験センターは、日本初の大規模CCS実証拠点であるとともに、住民の生活圏に近い市街地の近傍での初のCCSプロジェクトを行っている点で、私も現場は初めて行きましたけれども、ちょっとびっくりしました。また、お話がありましたように、岩倉市長を始め、町を挙げてゼロカーボンシティーというのを、非常に気候的にもいろいろな困難がある中で前向きに取り組んでいることを高く評価をしたいと思います。

 地域社会と密接に連携しながら、三十万トンのCO2貯留を達成をし、世界のロールモデルとなるCCSであり、本事業の実施に当たって、苫小牧市の地元の皆さんからの御理解と御協力に感謝を申し上げたいと思います。

 特に、苫小牧漁業協同組合や漁業者の皆様から、苫小牧CCS実証試験センターの建設段階から様々な御配慮と多大なる御協力をいただけたことにより、事業を円滑に実施することができたと認識しておりまして、重ねて感謝を申し上げたいと思います。

 今後も、苫小牧のCCS実証事業を更に推進していくに当たり、漁業協同組合とも一層の連携を図るとともに、漁業協同組合や漁業者の課題などをよく伺いながら必要な支援策を検討するよう、事務方にも指示をしました。

 今、市の方と相談しながら、お話のあった、何か火事を起こしちゃったらしいですよね、それで建屋の建て直しだとか冷蔵庫の入替えとかいろいろあるというふうに聞いていますので、どういうメニューでお地元に寄り添った支援ができるか。また、CCSと絡めて、先ほどUというお話をしてくれました、CCUSに、苫小牧から、一歩前に出られるようなことも含めて、漁協の皆さんとも信頼関係を更に高めて、引き続き、パートナーとして一緒に歩んでもらいたいと思いますし、できる支援はしっかりしていきたい、こう思っております。

山岡委員 大臣、ありがとうございます。

 私もうかつでした、大臣、八王子でございました。姉妹都市ということで、私、今御指摘をいただいて、本当に縁を感じさせていただいて、ありがたく思っております。

 そして、現場にも深い理解をいただいているということも今のお話からうかがわせていただく中で、是非よい形で、このカーボンフリーというのを実現するに当たって、積極的にCO2を減らしていくという研究分野は間違いなく必要であり、かなりの部分を、そこの貢献をする、世界にも貢献するという事業であると思っておりますので、是非、地域とともに、また大臣にも御関心を持っていただいて進めていただければと思いますし、そうした協力をされている皆様が、大いにそのことについて、自分たち、協力してよかったと思えるような形をつくっていただけるよう、これはまたいろいろお知恵をいただければということをお願いさせていただきます。

 経産省に、併せてこのCCSの進捗に関して伺いたいと思いますが、二〇二四年から、いわゆる液化したCO2を船で運ぶということで、舞鶴から苫小牧までおよそ千キロ距離がある中を船舶輸送を行うということになっています。

 CCSとして地中に埋める実証事業は終わったんですが、これから、液化して運ぶ。苫小牧に運んできたCO2の液化したものをどうしていくのかということについては、まだ地元は十分に分かっていない部分もございまして、今どういうビジョンを持っておられるのか、その展開、展望等を伺えますでしょうか。

定光政府参考人 ただいま御指摘のありました、舞鶴から苫小牧への長距離輸送を始めとする世界に先駆けた液化CO2船舶輸送の技術確立のための実証試験、これはこれから進めていくところでございます。

 加えまして、輸送したCO2を利活用したメタノール製造といった、苫小牧におけるカーボンリサイクル事業の検討も進めているところでございます。

 私ども、地元の、今、産学官の皆様がCCSの社会実装に向けたロードマップを最近作られたということも承知してございます。

 政府としては、地元の方々の御理解、御協力、そして、今、ロードマップのようなアイデアもしっかりと受け止めながら、苫小牧におけるCCSの事業化、拠点化ということについてしっかりとサポートさせていただきたいというふうに考えてございます。

山岡委員 済みません、経産省に続いて伺うのでありますけれども、苫小牧の、今、拠点にしていただいているわけでありますけれども、すぐ近くに厚真という町があって、いわゆる火力発電所、大型の苫東厚真の火力発電所というのがございます。北海道の電力を相当支えているわけでありますけれども。

 CCSのビジョンで皆様がおまとめになっているこの資料の中にも、火力発電所との連携の中でCCSを進めていくことにすごく価値がある、そして火力発電所を生かしていくということのお話も書かれておりますけれども、地政的に非常に近いところに火力発電所があるという中で、将来的にこうしたところとの連携というのもビジョンとして考え得るのかどうか、この辺り、ちょっと御知見を伺えますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSを実際に社会実装していくためには、やはり、なるべくまとまったCO2の排出源が近くにあるということは大事な要素だというふうに考えてございます。

 私どもも、地元の方々のビジョンもしっかり勉強させていただきながら、まずは地元の方々の理解、御協力がいただけるような形でこれからの推進の在り方というのを、発電所との連携も一つのオプションとして、検討してまいりたいというふうに考えてございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 コスト的な問題も課題が非常にありますので、簡単にそれが進むというわけではないのは承知しているんですけれども、ただ、地政上の部分も是非いろいろ御研究いただいた上で、有効な活用、社会、世界にこうしたモデルを提示できるような部分も是非これから研究していただきたいと思いますし、私もまた様々申し上げていきたいと思いますので、経産省の皆様にも是非いろいろよろしくお知恵をいただければと思っております。

 大臣にこのCCSのことで伺うんですけれども、実は私は大きな課題が一つあると思っておりまして、このCCSの実証事業は、海の中の地中、海中の地面の下に入れるということで、海の上の所有者というのが特に定まっていない中で、環境省の海洋の汚染防止のための法律によって、そこの規制に対してのその範囲をうまく調整しながら、いわゆる地中への実証事業をやってきたということがございます。

 しかし、これから、陸上の方の地中にCO2を入れていくということが事業環境を整える上で必須のことであろうと思いますが、この陸上の下というのは、例えばそこを垂直に上に上げればどなたかの所有する土地であったりとか、そうした問題がございます。

 ガスの採掘とか、それは鉱業権の中で、いわゆる人様の土地の下であっても権利は保障されているわけでありますけれども、それは採掘する権利でありまして、その中にいわゆるガスを入れる、CO2を入れるというときに、空洞がどのように所有権があって、例えば地上にいる方から訴訟を起こされるようなリスクがあるとすれば、これはとても事業環境としてリスクが高くてCCSの推進ができないという状況があるというのも、これは地元の実際にCCSを進めてきた事業者の皆様からの声としても聞いているところでございます。

 これから、もちろんコストの課題、様々な課題があると思うんですけれども、こうした地中の中の権利をどのようにしていくのかという部分については、私は新たな法律の枠組みが必要なんだろうということを強く感じているわけであります。特に、事業環境の整備ということでの法律でありますから、これは私は経産省が中心になってこの法律の検討、研究を進めていただきたいと思っておりますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 経済産業省では、今年一月からCCS長期ロードマップ検討会を開催し、CCSのサプライチェーンコストの低減ですとか、事業化に向けた法的課題を含む事業環境整備について議論を行っているところです。

 その中で、多くの委員から、二〇三〇年からのCCS事業開始のためには早期の法整備が必要という御意見をいただいており、法整備の必要性については認識しております。

 今先生は苫小牧のお話をされたので海底の話なんですけれども、陸上でもCCSは可能でありますから、その場合は、既存の法律とどう整合性を持ってやっていくのかなど、いろいろ検討しなきゃならないことがございます。

 今後、年内に策定するロードマップ検討会の中で、CCS事業における官民の役割分担ですとか、CCSの事業化に向けた制度的課題を整理をし、具体的な検討を進めてまいりたいと思います。

山岡委員 CCSの事業は他省庁も絡むと思うんです。やはり、あくまでも事業とのセットでこれが進んでいく、コストの課題もありますけれども。是非、経産省を中心に、こういう課題、検討を進めていただきたいということを重ねてお願いをさせていただきたいと思います。

 CCSの話についてはまた機会をいただいて御質問させていただければと思いますが、エネルギーのことで、ちょっと直近の話にお話が戻るのでありますけれども、いわゆるこのウクライナの情勢に鑑みて、今、様々これまでも質問が出ておりますけれども、いわゆる原油の高騰、ガソリンの高騰について、私からも質疑をさせていただければと思います。

 本日発表された激変緩和の深掘りの考え方、いわゆる五円までの措置を二十五円にしていくということで、三月いっぱいということでございますけれども、今のところはですね、今のところはそういうお話を聞いております。

 そうした措置を行うわけでありますけれども、確かにこの二十五円措置というのは非常に大きい金額でありますし、考え方として、大胆に、緊急性高く対応されたということを強く思うわけでありますけれども、しかし一方で、激変緩和という制度の枠組みである以上、これは既存のガソリン価格が下がるということにはならないわけであります。一定の金額を超えた部分の差額分を見るということで、二十五円ということの範囲内で金額が定まってくるということであります。

 目下、ウクライナの前から原油は非常に高騰していて、国民生活は厳しくなっているということは、この問題意識についてはこれまでこの委員会でも、大臣、何度も答弁されておられました。やはり生活に関わる、北海道は生活そのものに車が必要となりますし、恐らく東京の大都市以外の方は、車が生活に関わらない方がなかなかそんなにいないんじゃないかというぐらい、全国的に関わりのある、それはガソリンというのは身近なものでもございます。もちろん、幅広く、業種ごとにいろいろなエネルギーの、重油であったり灯油であったり、あるわけでありますけれども、しかし、やはり国民の思いとしては、ガソリン価格、下がってほしいという思いが強くあるわけであります。

 大臣、最後に伺いたいんですけれども、激変緩和という枠組みを、そこにこだわらず、二十五円分の措置をするのであれば、きちんとそれをガソリン価格に反映させて、そして、より深掘りの、価格が下がることもあり得る、そういう措置を行うべきではないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 原油価格が上昇している中、激変緩和事業は、ガソリン価格などの更なる高騰を抑えるものであり、そもそも値下げを狙う制度でないことは改めて御理解いただきたいと思います。

 本事業は、法改正が必要なトリガー条項と違い、スピード感を持って対応できるとともに、トリガー条項では対象とならない灯油や重油も対象になるメリットがございます。

 本事業の効果もあり、二月二十八日のレギュラーガソリンの全国平均価格は百七十二・八円となりました。もし本事業がなければ、原油価格の上昇により百七十八・二円になっていたと予測されるため、五・四円の価格抑制効果が確認をされました。また、軽油、灯油についても同様に、それぞれ五・五円の価格抑制効果が確認されたところです。

 このため、価格上昇の抑制という目的は一定程度達成できていると考えております。

 他方、ロシアによるウクライナ侵略により原油価格が更に高騰しており、支給上限である五円を超える価格の上昇が生じているため、今朝ほど関係閣僚会合を開催し、農業、漁業などの業種別の対策の強化に加えて、当面の間、緊急避難的な措置として激変緩和事業の大幅な拡充強化を行うこととし、リッター当たり五円を二十五円まで用意をさせていただきました。

 ただ、お話があったように、もう今日、ニューヨークも、WTIも、大変、百ドルを大きく超えるような取引がされておりますので、また、ロシアとウクライナの状況によっては更に高騰する可能性もあります。

 したがって、これは緊急避難的な措置なので、四月以降、更にどうなるのか、長期化するのか、そういったことをしっかり見極めて、あらゆる選択肢を排除しない、そういった中で、国民生活の影響を最小限に抑えられる努力というのを政府を挙げてしっかりやっていきたいと思っています。

山岡委員 ありがとうございます。

 もう時間が来ていますので、最後、一言申し上げます。

 トリガー条項に最初に言及されたのは萩生田大臣だと思っております。それは、ある種、国民生活に寄り添っているからこそ、政府のラインを超えてもいろいろな御発言をいただいているものだと理解しております。

 是非、最後のお話にありましたけれども、今後の展開、展望の中で、柔軟な対応の中で、我々もいろいろ申し上げていきますし、必要な対応というのをしっかりしていただきたいということをお願いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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