衆議院

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第3号 令和4年3月9日(水曜日)

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令和四年三月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      上川 陽子君    国定 勇人君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中川 貴元君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      西村 明宏君    星野 剛士君

      堀井  学君    山下 貴司君

      山本 左近君    荒井  優君

      梅谷  守君    大島  敦君

      菅  直人君    末次 精一君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   農林水産大臣政務官    宮崎 雅夫君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     高科  淳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茨木 秀行君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北川 克郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   奥  達雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           屋敷 次郎君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    森  重樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           山中  修君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 野口  泰君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        坂本 大祐君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

三月八日

 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長高科淳さん、内閣府大臣官房審議官茨木秀行さん、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡さん、外務省大臣官房参事官北川克郎さん、財務省主計局次長奥達雄さん、厚生労働省大臣官房審議官屋敷次郎さん、林野庁林政部長森重樹さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官畠山陽二郎さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん、経済産業省大臣官房審議官山中修さん、経済産業省大臣官房審議官新川達也さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省大臣官房審議官澤井俊さん、経済産業省産業技術環境局長奈須野太さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁事業環境部長飯田健太さん、原子力規制庁原子力規制部長市村知也さん、防衛省防衛政策局次長野口泰さん及び防衛装備庁プロジェクト管理部長坂本大祐さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠さん。

山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重な時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 本日は、ロシア軍によるウクライナの原発への攻撃、占拠、この事案に関連しまして質問をさせていただきます。

 萩生田大臣への初めての経産委員会での質問になりますので、建設的な議論になればと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、今般のロシアによるウクライナ侵略は、力による現状変更を目指すものであり、多くの市民を巻き込み、その命と暮らしを破壊しています。いかなる理由があろうとも断じて許されるものではありません。プーチン大統領には、即時、軍事行動の中止とウクライナからの撤退を強く求めます。党派を超えてこの世界の危機に対応してまいることを、ここでお誓いをいたします。

 本日のテーマでありますロシア軍によるウクライナへの軍事行動について、まず確認をしてまいりたいと思います。

 資料一、少々文字が小さくて申し訳ございません。おつけした記事、中段右の四角で囲ったところにありますように、読み上げますと、ロシア軍は二十四日早朝、約百発の中距離、短距離、巡航ミサイルを連続して発射しました、約七十五機の重爆撃機や中型爆撃機を使い、主に軍事施設や防空関連施設を破壊、その後、地上軍による侵攻を開始しましたと。上の方に書いてありますのは、同日、既に、一九八六年に爆発事故を起こしましたチェルノブイリ原発も掌握しているということであります。

 さらに、二ページ、資料二を見ていただくと、侵略に続きまして、三月四日には、ウクライナ南東部にある欧州最大規模の原発であるザポリージャ原発がロシア軍により占拠されているということであります。原発が戦争の標的になるという、原発大国でもあります日本にとっても看過し難い、極めて重大な事態が発生しているわけであります。

 今日は、外務省から政府参考人にお越しいただいています。ロシア軍のこの軍事行動について、今お話しした経緯について、把握している情報、特に初期のミサイル攻撃について、続く原子力発電施設への攻撃、占拠について、簡単に御確認をさせていただきたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のとおり、チェルノブイリ原子力発電所への攻撃に加えまして、三月四日、ザポリッジャ原子力発電所に対するロシア軍の攻撃が激しく行われまして、同六日、今度はハルキウの国立物理技術研究所内の原子力研究施設に対する攻撃が行われたと承知しております。

 国際原子力機関、IAEAによれば、三月四日に、ザポリッジャ原子力発電所の主要な部分については影響を受けておらず放射線量の変化は確認されていない旨、また七日に、ハルキウにある原子力研究施設につきましては放射能レベルの上昇はまだ引き起こされていない旨、発表したと承知しておりますが、一方で、ウクライナ治安当局は、核施設や核物質の貯蔵施設が破壊されれば大規模な環境災害につながる可能性があると指摘しており、強く懸念しております。

 我が国といたしまして、今回の原子力関連施設に対する攻撃を含むロシアによる侵略を強く非難するとともに、ウクライナが原子力施設の安全な操業を確保できるように、ロシアに対してはこのような全ての行為を即座に停止するように求めております。

 引き続き、関連状況を注視しつつ、適切に対応してまいる所存であります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。事実を確認できたと思います。

 資料二にもあるとおり、軍による原発への攻撃というのが実際に起きている。極めて深刻な事態が起きている。この記事にありますとおり、原子炉は堅牢な格納容器に守られていますが、ミサイル攻撃に耐えられない、そういうようなコメントもあります。

 また、炉心が守られたとしても、周辺の冷却のための配管や制御装置などは簡単に壊されてしまう。過酷事故につながる可能性は極めて高いというふうに考えます。また、使用済核燃料のプールも同様に、ミサイル攻撃には極めて脆弱と言わざるを得ないというのは明らかであります。追って議論してまいりたいと思います。

 段階を追って質問をしていきたいと思います。

 まず、自然災害について確認をしたいのであります。

 昨年の通常国会で、私、更田委員長とずっと議論させていただきました。地震に対しての原発の安全性についてということで、議論の中で私が提示をしたのは、基準地震動、設計で想定をしている基準地震動を超える地震が起きたときに、原発は大丈夫なのかという議論でありました。

 結論から言いますと、原子力発電所には絶対の安全はない、基準地震動を超える地震が発生をすれば過酷事故も避けられないというのが更田委員長からの御回答であったと思いますが、簡単に、このお答えは今も変わらないか、御確認したいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 その際の御質問を振り返りますけれども、基準地震動を大幅に上回るような地震に襲われた場合には、配管の破断であるとか回転機器の故障等によって冷却が不可能になりますので、重大な事故が起きるということは、この大幅の程度にもよりますけれども、重大な事故が起きることは避けられないというふうに考えております。

山崎(誠)委員 大幅というと非常に抽象的な話なので、私が提示をしたのは、例えば千二百ガルとか、これは実際に起きている地震です。通常、通常と言うとおかしいですが、日本は千ガルを超えるような地震は起こっています、各地で。

 そうしたものが起こったときに、例えば、六百五十ガルとか七百ガルとかで設計をしているものが壊れるか壊れないか、過酷事故の可能性がないのかというのを確認して、ございますというお話だったので、大幅という、そういう抽象的な表現はできれば避けていただきたいというふうに思います。

 私がここで申し上げたいのは、やはり、論理的にも科学的にも、過酷事故の発生というのは可能性としてはある。私は、確率的にも決して低くないというふうに思っている次第です。それは、地震の発生の現実を見れば、私はそれが結論になるんだというふうに思っております。

 そして、次に、日本の原発のテロ対策についてもお聞きをしてまいりたいと思います。自然災害の次はテロです。

 このテロ対策について、規制はどういうふうに決められていますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、テロリストの侵入防止であるとか、そういった検知等については、IAEAの勧告文書などに基づいて侵入防止等の対策を求めています。

 また、意図的な航空機の落下に伴う影響等についても、重大事故等対策と相まって、影響を緩和する対策を求めています。

 さらに、特定重大事故等対処施設の設計に関して言えば、大型の航空機の意図的な衝突等を考慮した設計を求めています。

山崎(誠)委員 今もお話がありましたけれども、基本的には、立入禁止だとか、監視カメラの設置だとか、身分証明の提示、確認だとか、持ち物検査など、隠れて忍び込もうとしているような方を対象にした、一つはテロ対策だというふうに思います。飛行機の落下というのはありますけれども、そうしたことがメインであります。

 今回発生したロシア軍の占拠という事態は、これはテロとはちょっと違いますが、こうした事態ということが起きるということは想定されているのかどうか。そしてまた、例えば、万が一、今起きているように、制御室を占拠されてオペレーターの方が十分に通常どおりの業務をできないような事態が発生したときに、原発はどうなるか、どんなリスクを抱えるか。教えてください。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 先ほどお答えしましたように、テロに対する対策は講じておりますけれども、二国間の紛争による武力攻撃のようなものは、審査等においても想定をしておりませんので、対策を要求をしておりません。

 そして、今回、ウクライナで起きたような制御室の占拠でありますけれども、日本の原子力発電所は、制御室が占拠された場合でも、制御室の外から原子炉を停止させたり、冷却、安定化させるための設備は設けておりますけれども、武力攻撃によって占拠された場合というのは、コントロール全体を握られるわけですので、その後の事態というのはどのような事態も避けられるものではないというふうに認識をしています。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 かなり、どのような事態も避けられないというか、基本的には過酷事故だとか核の暴走みたいなお話が起きかねないということだというふうに認識をしております。

 六ケ所の再処理工場についてちょっと飛ばさせていただいて、五番のミサイル防衛について確認をしたいと思います。

 今のお話は、どちらかというとテロ対策、テロと、その一段上という形で、軍事的な攻撃があって占領されたような場合をお話をしたわけですが、それであれば、次に、ミサイル攻撃に対して。

 先ほども御確認しました、ロシアからはウクライナに対して百発以上のミサイルが飛んできたわけであります。それが飛んできた場合に、その一つでも二つでも原発に命中したとすると、原発はどうなりますか。

更田政府特別補佐人 先ほどお答えしましたように、いわゆる二国間の紛争による武力攻撃は、審査等で設計に要求をしたり、想定をして検討していませんので、ミサイルの直撃を受けたときに、特にこういった武力攻撃のときに懸念しなきゃならないのは、事故以前に、元々蓄えられている放射性物質が攻撃自体によってまき散らされてしまうことですので、こういったことは現在の設備で避けられるものとは考えていません。

山崎(誠)委員 基本的には攻撃をされてはいけないというか、攻撃されたらアウトというのが恐らく今の日本の原発だと思います。

 今のお話をお聞きして、今日は、お忙しい中、防衛副大臣に来ていただきました。

 副大臣からお聞きをしたいのは、今のようなお話であれば、原発を守るためにはミサイルが被弾しないということを何としても担保しなければいけないんだと思いますが、正しいでしょうか。そのようにもしお考えだとするならば、被弾しないようにしているんだということであれば、その根拠をお示しいただきたいと思います。

鬼木副大臣 ミサイル防衛についてお答えいたします。

 弾道ミサイルに対しては、海上自衛隊のイージス艦による上層での迎撃と航空自衛隊のPAC3による下層での迎撃を組み合わせた多層防衛により対応することとしております。また、巡航ミサイル等に対しては、航空機、艦艇、地上アセットから発射する各種対空ミサイルで対応することとしています。

 個別の脅威に対する迎撃の可否については、我が方の能力が推察され得ることからお答えを差し控えますが、極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化しており、迎撃が困難になってきていることは事実です。

 こうした技術の進歩に応じて、迎撃能力を高める不断の努力が重要であり、具体的には、迎撃ミサイルPAC3の能力向上や衛星コンステレーションの検討など、取組を引き続き進めてまいります。

 あわせて、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題認識の下、ミサイル迎撃能力の向上だけでなく、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 私がお聞きをしました例えばPAC3、細かい話はなかなかこういう場でもできないのは分かります。

 数は一定部隊を持っていらっしゃるとお聞きをしましたけれども、それでも、例えば原発施設というのは、北海道泊原発から九州の川内原発まで、六ケ所村を入れますと二十拠点あります。そこに複数の原発がありますよね。これを守るためには、それぞれに部隊が配置をされなければいけない。守るべきは原発だけではもちろんありませんよね。各都市、日本中の都市だって、標的になれば守らなければいけない重要な施設というのがたくさんあります。

 私は、それが今の体制で本当に守れるのか。百発飛んでくるミサイルという前提で、それも短時間に、それも場合によっては急に飛んでくるようなことを考えたときに、本当に守り切れるのかなと。もちろん、そのうちの八〇%は落としてくれるかもしれない。でも、二〇%、それが原発にぶつかれば過酷事故です。今、更田委員長がお話しいただいたとおり、原発はミサイル攻撃の対応をしていません。過酷事故になれば、それが、言葉は選ばなければいけませんけれども、核兵器を落とされたような被害が発生する可能性も極めて高いのであります。

 今日ちょっと質問を飛ばしましたが、六ケ所の再処理工場などは、更に大きな放射能の、ある種、貯蔵施設であります。施設も、私は原発よりも脆弱なものだと思います。六ケ所村のこの工場の安全基準を読みますと、航空機の衝突、直接の衝突は想定していないんです。なぜかといえば、これは確率が低いから想定しなくていいという基準になっている。でも、今現実に起きていることは、原発が、原子力発電所施設が標的になって攻撃されているという事実であります。その事実の前に、今の日本の原発の安全の前提というのは壊れていると思います。

 また、敵基地攻撃能力というお話もありました。私は、これが本当に現実的に機能するのかどうか。今回のようなロシアのケースで、複数の拠点からミサイルが発射される、それがもし捕捉されたとしても、それに対して事前に、先制攻撃にならずに攻撃をするというのは不可能だと思います、憲法の範囲内で。

 私はやはり、こう考えていくと、原発には、標的にされてミサイルが被弾するということを想定した考え方をしていかないといけないのではないか、前提が大きく変わったんだということを認識しないといけないと思うんですが、防衛副大臣、どうですか。

鬼木副大臣 そういった意味でも、今、日本をめぐる安全保障環境というものは年々厳しさを大変増してきているという認識の下、どういうことがあっても国民の生命財産を守り抜く必要があるという前提で、我々も、これからの防衛三文書、計画の見直しを始め、現実的な国民を守るための検討を進めているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。真摯なお答えだったと思います。これは、私は、極めて難しいし、大変なお話だと思います。

 私は、この後も議論したいんですが、原発を推進される方も大勢いらっしゃいます。いや、原発のエネルギーを頼りにしたいという気持ちもよく分かります。でも、今お話ししたように、地震のリスク、テロのリスク、そして今回のような戦争における攻撃のリスクを考えたときには、やはり原発は閉じていかなければいけない。原発依存を続けていたら、ずっとこのリスクを抱えたまま。

 ミサイル防衛のお話もありました。技術は日進月歩でありますから、幾らミサイル迎撃のシステムを高度化したって、その次を行ってしまう、それが世界の軍事競争、軍事技術の競争ですよね。そう考えたら、やはり原発は一刻も早く安全な状態にしていきたいというのが私の強い思いでありまして、ここは是非共有をいただきたいと思います。

 萩生田大臣、今までの議論を聞いてどうでしょうか、御所見をお聞かせいただけないでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、ロシアによるウクライナへの攻撃、これは断じて許せないことでありまして、強く抗議をしたいと思います。

 その上で、防衛能力がどこまであるのかということをこの場でつまびらかに議論することは望ましいと思いませんけれども、現状、防衛省は、先ほど答弁していただいたような様々なツールをもって、攻撃に対して一定の防御をするという構えはしていただいております。

 その上で、先生から御指摘があったように、特に、原子力発電所などの施設が安全なのか、また、安全をどう高めていくのかというのが、今回の教訓を得て考えていかなきゃならないテーマの一つであるということは決して否定するものではありません。

 ただ、現時点で、あらゆる想定に一〇〇%対応するということの難しさというのもあると思いますし、原子力発電所が仮に世界中からなくなったとしても、核ミサイルの存在があれば同じような事態というのはあり得るわけでありまして、そういった意味では、国際社会と協調して、まず、こういった行動を取らない、国際法違反である行動を取らないということを、改めて強く抗議をし、日本政府としての立場を明確にしていくことが大事かなと思っております。

山崎(誠)委員 萩生田大臣、今の御答弁はちょっとひどいと私は思います。核ミサイルがあるんだから、原発のリスクが日本にあってもしようがないじゃないかと。(萩生田国務大臣「そうは言っていないです」と呼ぶ)いやいや、そういうお話でしたよ。

 安全を高めるというのはもちろん大事です。原発の安全をどう高めるかが問題なのであります。今言ったようないろいろな事象を加味して、原発の安全を確保できるのかというのを説いています。高められて、ミサイルが飛んできても大丈夫ですと言うんだったら一定理解はしますけれども、それができないでしょう。更田委員長も言っています。難しいです、これは。

 だから、私の提案は、原発はやはり早く、タイミングもいろいろあるでしょう、終わりにしなきゃいけないんじゃないかと。原発事故のリスクというのは、福島の原発事故を忘れてはいない、皆さん覚えていると思います、本当に、日本の全体の浮沈に関わるような影響、大きな影響を与えます。多くの皆さんの暮らしや命を脅かすのが原発事故だから言っているのでありまして、この点はよくよく皆さんにも、もう一回お考えいただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりました。エネルギー安全保障についても、当然、じゃ、原発がなくてどうするんだという話がございますので、ここからお話をしたかったんですが、残り時間僅かなので、私から簡単にお話をして、まとめていきます。

 輸入に頼る化石燃料もやはり今高騰ですし、大変その確保も難しいし、それに頼ることもなかなか難しい、気候変動の対策などもあります。そうなると、やはり再生可能エネルギーをどこまで伸ばすか、そして、省エネの深掘りがまだまだできる、それから、バイオマスなど地域にある資源を使った熱利用、こういったものをきちっと伸ばしていくことが、私は、大きなやはり日本の目標にならなきゃいけないと思っております。

 原発の安全という難しい課題を解決するよりは、再生可能エネルギー、省エネ、あるいは熱利用、こちらにおける課題を解決する方がずっと簡単です。比較をしたら、ずっと簡単だと思います。是非そういう重点の置き方に、かじを切り替えていただきたい。

 今日は林野庁のお話をしたいので、農水大臣政務官、宮崎さんにお越しいただいています。

 一つの事例でありますが、資料の五番に、今、農林水産省、林野庁が目標にしているカーボンニュートラル実現に向けた国民運動展開対策とあります。私は、これは一つの大きな重要な取組、これは気候変動、地球温暖化対策として意味のある取組。要は、CO2を削減するためには、排出を抑制するというのはもちろんありますが、吸収源対策が大事であります。これをどういうふうにやっていくか、進めていくかということで、こういう提案がある。

 この中に、国民運動として一億本の植樹をやっていくという項目がございます。国民運動をどういうふうに広めていくか、これは極めて重要だというふうに思っておりまして、ここでちょっと提案をさせていただきたいんです。

 国民運動とするなら、政府、林野庁の皆さんが、国民が参加しやすい環境を整備していくということが極めて大事ですよね。具体的には、例えば、植樹をする土地、公共の土地を開放していく。国有林だとか、適当なところは、国民の皆さんが植林できるようにする。あるいは、植樹をしてほしいという民有地をうまく受け付けて、そこを開放していく。

 あるいは、植樹といっても、勝手にやっていいわけではありませんから、きちっとしたルールをつくっていく。あるいは、ボランティア、こういった方々に、できるだけそういう作業を任せる。あるいは、運動の主役となる国民の皆さんがそうした植林活動に入れるように、エコ休暇みたいな、そんな制度をつくって、学生の方とか、あるいは企業の方が参加できるようにする。

 こんなことを具体的なプランにして、この事業の中で是非形にしていただきたいというふうに思います。こうした植林が進むと、森の管理という意味では、雇用の確保にもなりますし、日本の国土を豊かにしていくことになります。

 ちょっとお話を飛ばしましたが、森の管理をすれば、森の材が出てきます。バイオマスの森の材を、これをうまく使えば、熱供給ということで、CO2削減、エネルギー問題にも直結する、そうした好循環をつくることができます。教育の場にもなります。カーボンニュートラルあるいは脱炭素社会、そういったことにまさにつながってくる大事な取組というふうに認識をしているので、応援をしたいんです。

 是非、政務官、今お話ししたような具体的なアクションが必要だということで、御認識、御所見をお伺いしたいと思います。

宮崎大臣政務官 お答えをいたします。

 委員おっしゃったように、木質バイオマスの利用につきましては、林業の活性化でございますとか、地域の雇用の創出に貢献をするということもございますし、お話がございました、化石燃料を代替をすることで、二酸化炭素の排出削減にも大変貢献をするものだというふうに思っております。

 このため、農林水産省といたしましても、昨年六月に森林・林業基本計画を策定をさせていただきまして、閣議決定をされたわけでございますけれども、地域内の未利用の森林資源、これを活用して、熱交換の効率の高い熱利用そして熱電併給についても積極的に進めようということで、地域内のエコシステム、この構築に取り組んでいるところでございます。

 国民運動というお話もございました。林業がしっかり循環をして、山元にも利益が回ってというようなことも大変重要なことでございます。

 その際に、おっしゃったように、資料にも示していただきましたが、国民の皆様方の御理解をしっかり得ていくということは非常に大切なことだというふうに思っておりますので、この資料にもございますように、国民運動の展開の中で、一億本植樹を目指す国民運動もございますし、木づかい運動ということもやっていきたいというふうに思いますので、いただいた御意見も参考にさせていただきたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今お話をした御提案は、私も森びとプロジェクト委員会という森づくりの活動に参加しておりまして、その方々が日頃抱えている課題であったり思いであったりの一端であります。現場の声というのは非常に重要でありますので、是非御考慮いただいて、前に進めていただきたい。

 時間になりましたので、まとめます。

 今お話ししたとおりであります。原発にも頼りたくない、化石燃料の利用も抑えていかなければいけない、今そういう課題の中で、日本のエネルギー需給の構築、新しい構築というのが待ったなしであります。気候変動対策、エネルギー安全保障、そしてコロナ禍から復活、傷ついた日本経済をどういうふうに立て直していくのか、これは世界ではグリーンリカバリーとも言われています。

 こうした観点から、私は、思い切ってここは、今お話ししたような再生可能エネルギー、お話しできませんでしたが省エネあるいは熱利用、あるいは吸収源対策、これをパッケージできちっと進めていく、ここにかじを切るというのが、今挙げたような課題もトータルで解決していく唯一のソリューションだと思うんですが、萩生田大臣、最後、そうしたシフト、思い切ってかじを切るという御決意をお聞きをしたいと思います。

萩生田国務大臣 再生エネルギーは大切だと思います。もちろん、第六期のエネルギー基本計画で示したとおり、再生エネルギーを拡大していく、その努力をしてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 余りにもそっけない御回答でありましたが、この後まだまだ質問の機会はありますので、個々のポイントについては御質問を続けさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、青柳仁士さん。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 三月三日に我が党の方から、ロシアによるウクライナ侵略に関する緊急提言というものを政府の方に提出をさせていただきました。提出先は代表して外務省だったわけなんですけれども、その後、外務委員会それから内閣委員会等々で各大臣の所見をお伺いしております。

 今日は、同様に萩生田大臣の御所見をお伺いできればと思いまして、まず私の方から、この緊急提言の内容について簡単にお話をさせていただきます。

 まず、我が党の現状認識といたしまして、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、国家主権と領土の一体性を侵害する露骨な侵略行為であり、力による現状変更を重ねるロシアの不法行為は断じて容認できない、これが我が党の公式見解でございます。また、日本政府に対しては、民主主義陣営と固く結束しつつ終始一貫した行動を取るよう求めております。

 この中で、度々、政府の対応が遅いということを各委員会で指摘をさせていただいておりますけれども、その理由は非常に単純なことです。

 今の日本の対応というのは、元、今ある状態に戻ってくるということを想定した対応なのではないかということを申し上げております。欧米諸国は、このロシアの危機、経済も大変なことになっております、そして国際秩序も大変なことになっている中で、また今このような状態に戻ってくることを想定している国はありません。

 新しい社会秩序、国際秩序、そして新しい経済秩序がこれから生まれてくる、その中において、新しいその国際基準、ルールの中でより主導的な立場を取るには今どんな行動を起こすべきか、こういった行動の仕方をしている中で、日本だけが、今経済制裁をしたらこんな影響があるから、元に戻すためには大変だからというような、そういった非常に矮小化された視点の中、視野の中での議論が、又は対応が行われているように我が党としては見ております。

 そういった認識を示した上で、緊急提言といたしまして、三つの柱から成る提言をさせていただいております。

 一つ目、二つ目は外務省、防衛省に関するものですので割愛させていただきますが、これは、迅速な経済制裁を含むロシアへの圧力、このまま暴力を続けるよりも話合いに応じた方が得である、そういうふうにロシアが思えるような状態を外部でつくり上げていくこと、これを日本としてもリーダーシップを取ってやっていくべきであるということを申し上げた上で、難民の支援であるとか、それから一方での対話の場の創出であるとか、そういったことを求めております。また、新たな国際秩序の形成の中での、国際社会、国連等を活用した仕組みの中で、戦争を起こさない世界というための仕組みづくりということを求めております。

 そうした中での日本のリーダーシップを求めているわけですが、提言の三番目といたしまして、経済対策に関しての提言をさせていただいております。これは、今回のウクライナ危機を背景とした世界的なエネルギー価格の高騰が日本に与える影響を注視し、適切な対応を迅速に実施していただきたいということを求めております。

 この中で、特に今、エネルギー価格や小麦、金属等の高騰を背景としたコストプッシュインフレとそして景気後退とが同時進行するスタグフレーションに陥る可能性、こういうことが言われております。こうした中で、インフレ対策を含めた機動的な対応を行うということを求めております。また、個人消費や設備投資、雇用等の回復の遅れによる景気低迷が続いている状況や実質金利が高止まりしている状況を鑑み、大胆な金融緩和を維持する余地を与えるため、緊急に価格を押し下げる消費減税など機動的な政策対応を行うことを求めております。

 こうした我が党の提言に対し、経済産業省として、今回のウクライナ情勢も受けた中で、この対応策として、これまでどのようなことを行われてきて、そして今何を考えておられて、これからどんな形でこの経済対策について取り組もうとしているか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 エネルギー価格の上昇もあり、企業物価指数は、本年一月時点で前年比プラス八・六%と、約四十一年ぶりの水準となっております。消費者物価指数は、本年一月時点で前年比プラス〇・二%と、五か月連続で上昇しております。原油価格の上昇が長期化すれば、企業収益や家計を圧迫する懸念がございます。

 このため、原油価格の高騰に対しては、当面の間、緊急避難的措置として激変緩和事業を実施しているところであり、元売事業者に対する支給額の上限を五円から二十五円に大幅に引き上げます。

 また、エネルギー価格などのコスト上昇分を下請企業が適切に価格転嫁を行うことができる環境を整備するため、価格転嫁の配慮を業界団体を通じて親事業者に要請したほか、下請Gメンによる集中ヒアリングを行うなど、引き続き、価格転嫁対策に全力で取り組んでまいります。

 経産省としては、引き続き、エネルギー価格を始めとする物価動向を注視していくとともに、我が国の国民生活や経済活動への影響が最小限にとどまるように対応してまいりたいと思っております。

青柳(仁)委員 我が党への回答をいただきましてありがとうございますということを申し上げた上で、まあ一般的なメニューが並んでいるだけだなという印象です。

 今、コストプッシュインフレということで、エネルギーあるいは金属、小麦等の価格上昇によって、これがもう、日本の企業が最終製品への価格の転嫁をしているという状況にあって、国民生活がもう直接的にダメージを受けている状況です。是非、そういった通り一遍の対応を行うということではなくて、これによって苦しんでいる国民がたくさんいるということを自覚していただいた上で、即時必要な対応というものをしっかりと行っていただきたい、このように考えております。

 また、今、トリガー条項等の話もありますけれども、こうしたコストプッシュインフレということで、いわゆるインフレが起きている。総需要と総供給によるインフレではないというのが政府の見解だと思いますが、しかしながら、物の価格は上がっているわけでありますから、こういった中において、国民生活、要するに、国民の皆さんは高い値段で物を買わなければいけない状況になっていることは間違いありません。

 こうした状況を改善するに当たって、今大臣からも御答弁ありましたが、様々な補助金をつけるといったような策もあるんですが、これはもう抜本的に消費減税をしてしまえば国民全員が助かるのではないかと思うんですが、これについての財務省の見解を教えていただければと思います。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 消費税については、全世代型社会保障制度を支える重要な財源であり、消費税率を引き下げることは考えておりません。

 政府としては、経産大臣が御答弁された燃油価格の激変緩和事業も含む原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめたところであり、これにより、国民生活等への影響を最小限に抑えてまいりたいと思います。

青柳(仁)委員 消費減税に極めて否定的なスタンスであるということはよく分かりました。

 我が党は、これからも、やはり、減税等の対策を打つことによって、一定、このコストプッシュインフレというものに対する国民生活のダメージというのは緩和できるのではないか、このように考えておりますから、今後も度々指摘をさせていただきたい、このように思っております。

 また、今回のウクライナの危機を受けまして、世界中がエネルギーの供給危機に、まあ危機という状況までは来ていませんが、非常に懸念される状況になっております。

 そういった中で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、こういった状態にやはりなるから、今、原子力だとか火力だとか、あるいはガスといった、他国に頼るような、こういったエネルギーの使い方をしているから、このような危機、非常に脆弱な社会ができているんだ、したがって、やはりこれを機に再生可能エネルギーへの切替えというのを抜本的に行っていくべきではないかということを発言されているわけですが、これについて、経済産業大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、SプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを取りながら、安定的で安価なエネルギー供給を確保することは最重要課題です。

 再エネについては、エネルギー基本計画で掲げた、二〇三〇年度に三六から三八%という野心的な目標の実現に向け、強力に推進していく決意です。他方で、地域との共生を前提とした再エネの導入に適した場所の確保や、国民負担を抑制するためのコスト低減など、様々な課題を乗り越える必要があります。

 このため、条例を含めた関係法令遵守など事業規律の確保を前提に、各省庁や自治体と連携し、地域の理解を得られる公共施設や住宅の屋根などへの最大限導入を推進してまいります。

 また、系統の利用ルールを見直して、北海道と本州との海底直流送電線を含む系統整備、出力変動に対応可能な大型の蓄電池の導入拡大を促進してまいります。

 このように、野心的な目標の達成に向けて、あらゆる政策を総動員しながら取組を進めてまいりますが、SプラススリーEの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在せず、再エネだけで全てのエネルギーを賄うことは難しいと思います。そのため、再エネに加え、原子力、火力、水素、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求することが重要と考えています。

青柳(仁)委員 今の政府の全体のエネルギー計画を見ますと、再生可能エネルギーの割合というのはそんなに野心的だとは思いません。ですから、もっと野心的な目標を立てていただいて、しっかりと取り組んでいく中で、今回のこうしたグテーレス国連事務総長の発言等も契機として捉えていただければ、このように考えております。

 ロシアの今回の侵攻、ウクライナの危機において、様々な国がロシアに対して経済制裁を行っております。

 その中で、十六日にはロシアがデフォルトに陥るのではないかというような報道もされております。事実、返済期限が迫っている状況にあります。

 こうした中で、デフォルトが起きたからといってロシア経済が崩壊するわけではありませんが、一定の、非常にあれだけの大国の経済が危機的な状況に陥るということは、これは間違いないわけであります。

 したがいまして、そうした状況が予想される現在において、日本として、まずそういった事態は想定しているのかいないのか、また、想定しているのであれば、それに対して対策を講じているのかいないのか、講じているのであればどのような対策を行っているのか、あるいは行うつもりであるかについて、お伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 今回のロシアによるウクライナ侵略のような暴挙には高い代償を伴うことを示すべく、国際社会と緊密に連携しつつ対応しております。

 こうした経済制裁の影響も相まって、ロシア経済においては、例えば、足下でルーブルの対米ドル為替レートがウクライナ侵略直前との比較で約六七%下落しているほか、ロシア国債格付も投資適格水準から投機的水準まで引き下げられるなど、厳しい状況に直面しているものと承知をしております。

 加えて、ウクライナ情勢に伴い、かねてより高水準にあった原油価格の更なる高騰や、その他の原材料価格の上昇、また、各国企業のロシアでの事業の縮小、撤退といった様々な影響が顕在化し始めています。

 こうしたロシア経済の現状、さらに、今後のロシア経済の見通しを踏まえた日本企業や日本経済への影響については、予断を持って具体的に申し上げることはできませんが、様々な影響が及ぶことは避け難いことから、高い警戒感を持って、まずはその影響を注視するとともに、影響を最小限に抑えられるように適切に対応してまいりたいと思います。

青柳(仁)委員 要するに、注視しているというお答えだったわけなので、何もしていないということに等しいんですが、今もう、そういったロシアの経済を、崩壊まで言いませんが、ロシア経済は極めて深刻な状況にあるということが分かっていて、また、それが日本に対しての影響があるということが分かっているのであれば、これは前もって対策を講じるのが当然であろう、当然の日本政府の責任であろう、このように思いますので、この点はしっかりと取り組んでいただければと思います。

 また、我が党の今回の提言の中に、先ほど来からお話をさせていただいております、次の新しい世界経済の在り方ということをビジョンを描いて考えていく必要があるのではないかと。

 今あるこの状態の世界経済にもう戻ることはありません。この後、この戦争の結果がどうあれ、また違った形での世界経済、国際秩序をつくっていくしかないという状況にあって、我が党としては、今、経済安全保障等の議論もちょうどこの国会でされておりますけれども、世界経済全体が切り離されてしまうようなことになると、これは世界の経済成長にも、また国際社会の安定、繁栄ということにも極めて大きな影響があると考えておりますので、やはり世界経済としては一定つながりつつも、一つの経済としてつながりつつも、しかしながら、半導体であるとかエネルギーであるとか、そうした安全保障上大切な部分に関しては、ロシアであるとかその他周辺国、危機的な国からの供給というのは受けないというような、戦略的に、部分的に切り離されたような、緩やかなブロック経済のようなものを想定していくべきではないかということを提言の中で申し上げているわけですけれども、こうした考え方についての大臣の御所見をお伺いいたします。

萩生田国務大臣 今回のロシアによるウクライナの侵略は、世界が連帯して築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、断じて許容できません。国際社会が団結して、ロシアに対して毅然として対応していく必要があります。

 こうした観点から、G7を始めとする国際社会は迅速に、資産凍結、金融制裁、貿易制裁などを含む包括的な経済制裁を講じています。

 他方、今後こうした措置が続く中で、今先生御指摘になられたように、世界経済の分断が進んでいくとの懸念の声があることは承知しております。さらに、今回の事態を受けて、欧州を中心に、エネルギーを特定国に依存するリスクが顕在化し、エネルギー安定供給を含めた経済安全保障の重要性が再認識されることで、地政学的リスクも踏まえた各国の動きがより一層活発化する見方があると思っております。

 我が国としては、こうした不透明性の高まる世界の中でも、G7諸国を始め、法の支配や民主主義といった基本的価値を共有する国々と緊密に連携しながら、これまで世界経済の発展を支えてきた多角的自由貿易体制を基礎として、各国とも一層の連帯を深めつつ、経済安全保障という新たな課題に果敢に取り組んでいく必要があると認識しております。

青柳(仁)委員 今大臣おっしゃった地政学的リスクを考慮した新しい経済秩序というものが必要だと我が党も考えておりますので、そうしたしっかりした経済ビジョンというものを持った上での経済政策というのを打っていただければと思います。なぜなら、日本は閉じた経済ではないからです。世界経済の中にある日本経済ですから、世界経済を無視して日本だけの成長ということは考えられませんので、是非、世界の経済の構想というものを検討いただきたい。

 また、そういったことを政府の中で本来考えるべきはマクロ経済を担当している内閣府だというふうに思っているんですが、今の質問についての内閣府の御見解をお聞かせください。

茨木政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のロシア・ウクライナ情勢を踏まえました今後の世界経済の動向はどうなっていくのかということにつきましては、現時点で断定的に申し上げることは困難であるということはちょっと御理解をいただきたいと思いますけれども、その上で申し上げますと、全体的な姿としては今大臣からの御答弁にあったとおりだというふうに考えてございます。

 また、我々の立場からいたしましては、今後の世界経済におきましては、原油、天然ガス等のエネルギーや食料の供給確保、半導体等の戦略物資に係る部品等サプライチェーンの強靱化、あるいはサイバーセキュリティーの強化、こういった大きな課題があるというふうに考えておりますので、こういった課題についてどういった枠組みで対応していくのかということも踏まえまして、今後の世界経済の動向をしっかりと見てまいりたいと考えております。

青柳(仁)委員 内閣府の方でマクロ経済、世界経済を分析しているということですから、是非、先ほど大臣がおっしゃっていたような地政学的なリスクを考慮した上での新しい世界経済秩序というものを、そうした構想もしっかりと、部分部分で、金融はどうなる、経済はどうなるではなくて、全体としてどうなるのかということを、きちんとビジョンを考えるようなことを是非内閣府の方でも行っていただきたいと思っております。

 スタートアップ支援についてお伺いしたいと思います。

 今の話もそうなんですが、世界経済がどんな状況になろうとも、結局のところ、日本経済を成長させていくにはイノベーションが必要なんです。これについて反対する人はここに誰もいないと思いますけれども。そういった中で、スタートアップ支援ということを、これまで経済産業省として、J―Startupであるとか、様々な政策を打ってきたと思います。

 一方で、いわゆるGAFAと言われるような、ユニコーンと言われるような大きなスタートアップを日本が生み出すことは失敗をしてきたわけですけれども、こうした現状を踏まえた上で、これまで、このスタートアップ支援、新規起業支援というものについて、どのような取組をしてきて、そして、現在どのような状況で、これからどんな取組をしようとしているかということについて、お伺いできればと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで経済産業省では、御指摘も含め、日本の持続的な経済成長に向けて、新たなイノベーションの担い手であるスタートアップに対し、資金供給、人材育成、海外展開などの支援を行ってまいりました。こうした取組もございまして、我が国のスタートアップの資金調達額や新規の株式公開数は増加しているところでございますが、これらを各国と比較しますと、追いつくどころかその差は開くばかりでございまして、経済を牽引するようなスタートアップが質、量共に少ない状況でございます。

 こうした中で、岸田総理から、スタートアップ五か年計画を策定し、今後五年間、スタートアップに集中的に政策資源を投入するとの方針が示されたと認識してございます。

 経済産業省といたしましても、例えば、リスクの高い事業化前段階ですとか、大規模、長期のリスクマネーが必要な成長段階における資金調達環境を強化し、迅速な事業拡大を促すとともに、未来のスタートアップ創業者に育ち得る個性豊かで多様な才能を育てるための環境を整備するなど、資金、人材といったあらゆる側面から、関係省庁とも連携し、検討を加速してまいりたいと考えております。

 今後、海外勢との競争に打ちかつスタートアップが一つでも多く出てくるように、徹底支援に取り組んでまいります。

青柳(仁)委員 是非、そうしたこれまでの取組の反省を踏まえて、これからより一層しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 まず、やはり日本のスタートアップが、まさにユニコーンを生み出していくということも含めて、今までの取組では足りなかったということですから、それは一体何が足りなかったのか、それは財政措置も含めて、本当に、今の既得権と言われるような、今の企業、今ビジネスとして大きな企業に予算を配分するのが果たして正しいのか、これから起業して、日本を引っ張ってくれるイノベーションをつくろうとしている若者たちにそうした予算を配分するのが正しいのか、そういったことをしっかり考えた上で、是非これからも重点的に行っていただきたいと思っています。

 また、そうした予算措置をするとか、政府がその助力をするというだけでは足りないと思うんです。やはりここは規制改革が必要だと思っておりますが、これまで、このスタートアップ支援に対してどのような規制改革を行ってきたか、また、これからどのようなものを行っていく予定か、あるいは行い得るか、どういった規制改革を行えばこのスタートアップが更に盛り上がる、このように考えているかについて、お伺いできればと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。

 スタートアップが革新的な事業を行うに当たっては、規制の適用の有無が明らかではない、あるいは規制に抵触するおそれがあるという形で、規制の存在が新しい取組を進める上での障壁となる場合がございます。

 このため、経済産業省では、規制の適用の有無を確認できるグレーゾーン解消制度、それから、規制の特例措置の適用を認める新事業の特例制度、さらに、現行規制との関係で実施が困難な実証を可能とするような規制のサンドボックス制度、こういったもので、企業単位での規制改革を推進しております。

 こうした取組をスタートアップにも活用いただいておりまして、例えば、特例措置といたしまして、電動キックボードの公道走行に向けて、ヘルメットの着用義務を免除するでありますとか、新薬の開発に際して、臨床データを薬機法の承認申請の書類に転記をする際に、今までは、データ改ざんを防ぐという観点で人の目で確認していたんですけれども、これを、ブロックチェーン技術を活用して可能とするということなどで、ビジネス展開に向けた後押しをしてまいりました。

 足下では、政府全体の動きといたしまして、デジタル臨時行政調査会におきまして、行政手続のデジタル化などの規制改革の検討が進んでおります。これにより、スタートアップを含めた様々な主体により、デジタル時代にふさわしいサービスが生み出されていくと期待されます。

 こうした動きに加えまして、当省といたしましては、引き続き、デジタル以外の製造、建築、不動産を含めた多様な分野につきまして、スタートアップの窓口となりまして、相談や要望に寄り添いながら、一つでも多くのスタートアップの事業化に向けて支援に取り組んでまいります。

青柳(仁)委員 今まさに例に挙げていただいたような、そうした規制改革というのは本当に重要なことだと思いますので、そうした規模の面でも数の面でも、これから三倍、四倍という規模で是非この規制改革の方も進めていくことが、最終的にユニコーンのようなスタートアップを生み出すということにもつながってくると思いますので、その点について指摘をさせていただきたいと思います。

 また、スタートアップだけではなくて、既存の大企業のイノベーションということも重要です。これについては、イノベーション百委員会というものをつくりながら様々な取組をされてきたと思いますが、これも引き続き重要なことだと考えております。

 時間がなくなってまいりましたので、一つ飛ばしまして、最後に、そうしたイノベーションの、本当にこれは日本の中心として、今回、先週のスーパーシティ専門調査会で、大阪府、大阪市の構想が指定されることになりました。これは、万博と非常に強くひもづいた、今申し上げた規制改革ともひもづいた、スタートアップともひもづいた、このイノベーションの取組を大阪で、とにかく日本を引っ張るリーダーシップを行っていこうということなのでありますが、万博誘致に関しては、大阪の松井市長、それから吉村知事とともに、経済産業省も一緒になってこの誘致というのはやってきたわけですけれども、その結果を踏まえて、また今度、大阪が、スーパーシティーということで、万博とともにこうしたイノベーションの取組を行っていくことについて、大臣の是非意気込みをお聞かせいただければと思います。

萩生田国務大臣 大阪府・大阪市スーパーシティ構想については、三月四日の国家戦略特区諮問会議の専門調査会において了承されたものと承知しております。

 経産省としては、同構想に盛り込まれている万博会場での空飛ぶ車の活用などについて、昨年末に取りまとめた政府の二〇二五大阪・関西万博アクションプランに盛り込み、具体的な検討を進めています。

 国家戦略特区諮問会議において同構想が正式に決定されれば、大阪・関西万博の成功に向けた取組に弾みがつくものと考えており、大阪府また大阪市と連携しつつ、政府一丸となって、しっかりと大阪・関西万博の成功に向けて準備を進めてまいりたいと思います。

 是非、今までにない新しい発想で大胆な企画を上げていただいて、世界の人たちが日本の技術にびっくりするような、そういう万博を開催していただけるように、地元の自治体と連携しながらしっかり頑張っていきたいと思っています。

青柳(仁)委員 どうもありがとうございます。

 是非、政府、大阪府、大阪市一体となって、この日本と日本のイノベーションを盛り上げていけるような、そして、万博を機にこの日本を成長させていけるような、そんな取組を非常に期待をしております。

 時間になりましたので、私の質疑を終わらせていただきます。

古屋委員長 次に、漆間譲司さん。

漆間委員 維新の会の漆間と申します。

 早速質問に入らせていただきます。

 万博における外交的要素を含む国々の招請についてお伺いいたします。

 二〇二五年大阪・関西万博のウクライナ、ロシアへの招請状況、参加状況についてお伺いいたします。特に、ロシアについては侵略行為による国際法違反を犯した国でありますが、何か現状で対応を考えているのでしょうか。よろしくお願いいたします。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年十二月以降、各国、国際機関に対しまして、二〇二五年大阪・関西万博への参加招請を行ってきておりますが、ウクライナはまだ参加表明をしてございません。また、ロシアにつきましては昨年四月に参加表明しております。

 今回のロシアによるウクライナへの侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす行為です。明白な国際法違反として、断じて許容できず、厳しく非難するものです。国際秩序の根幹を守り抜くため、国際社会と結束して、日本としても毅然と行動していくこととしております。

 今後の対応ですけれども、ウクライナをめぐる情勢は推移しておりまして、一方、大阪・関西万博の開催は三年後の二〇二五年でございますので、ロシアの参加につきましては、今後の情勢をよく踏まえた上で、政府として適切な時期に判断することとしております。

漆間委員 ロシアの対応についてはよく分かりました。

 ウクライナについては、参加表明もしていないということでありますけれども、ウクライナのような侵略行為を受けた国であったり、最近であればトンガの海底火山の噴火、昨日もパプアニューギニアで噴火があったみたいですけれども、そういった大きな被害や災害に見舞われた国に対して、万博開催を通じて、国際的支援の観点から、特別な支援であったり、開催期間中に何か支援のイベントだったり、そういったことをすることなどはあったりするんでしょうか。お伺いいたします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような、被害に遭った国、あるいは気象災害に遭った国、これに対する支援措置についてお答え申し上げます。

 中でも、気象関連災害の損害額というのはグローバルで増加傾向にありまして、こうした影響を特に受けるのは途上国だとも思っております。

 二〇二五年の大阪・関西万博では、誘致の段階から、途上国の幅広い参画に向けて充実した支援を行うことを日本政府としてお約束をしているところでございます。具体的には、途上国に対するパビリオンの展示企画、広報、渡航、宿泊費などの支援を表明しているところでございます。

 愛知万博のときにも、同様の支援によりまして、当時、まさに火山の噴火あるいは津波の被害でパプアニューギニアが苦しんでおられましたけれども、そのときも、支援によりまして出展することができたという経緯がございます。

 途上国が仮に被災をしたとしても有意義な出展が可能になるよう、包括的な支援を行っていく所存でございます。

漆間委員 そういった途上国の支援の枠組みはあるということでした。

 ちなみに、今回の、昨年末発表されました万博アクションプランでも、東日本大震災の復興、これに基づいた展示をするということですので、そういった国と連携などできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、各国の万博参加の流れにつきましては、まず、日本国が世界百九十三か国を招請し、参加表明をした国から博覧会協会が申請を受け付け、参加に向けて当該国と調整をするという流れであるとお聞きしておりますが、申請を受けた後に政変や内戦による政権転覆などがあった場合はどうなるんでしょうか。

 例えば、直近で言いますと、アフガニスタンにおいては、参加表明した後に内戦でタリバン政権となったところでありますけれども、この場合は、タリバン政権が万博でパビリオンを造ったりすることになったりするんでしょうか。お伺いいたします。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博への参加でございますけれども、今お話ございましたように、まず、各国による参加表明後に我が国の国際博覧会協会との間で契約を交わして初めて確定するものです。

 現時点で、八十か国以上の国が参加表明を行っておりますけれども、正式な契約手続を交わした国はございません。

 アフガニスタンでございますけれども、アフガニスタンに対しましては二〇二〇年十二月に参加招請状を発出しておりまして、当時のガニ政権から昨年二月に参加の表明がありましたが、先ほど申し上げましたように、正式な契約手続は交わしておりません。

 同国につきましては、タリバンがアフガニスタンの全土を制圧する事態となって以降、同国から万博の参加についての連絡はない状況です。

 同国の実際の参加の在り方につきましては、現地の情勢を見極めつつ、我が国の基本的立場を踏まえ、適切な時期に判断してまいります。

漆間委員 まだ、アフガニスタンの前の政権、ガニ政権とは正式な契約をしていないということでありましたが、もし正式な契約をした後にそういう政変が起こった場合は、その場合は前の政権とのやり取りになったりするんでしょうか。ちょっとお聞きします、追加で。

高科政府参考人 仮にそういう状況になった場合にも、恐らく、いろいろな周辺の状況とか国際情勢、もろもろ鑑みながら、その段階での適切な判断をしていくということになろうと思います。

漆間委員 その時点での情勢を鑑みながら適切な判断をするということでありました。

 内戦やそういう政変が起こった場合の、例えば、ある国の一方の政権党に外交的に万博開催が利用されないためにも、参加表明をした国に対する我が国のそういった基本的な立場をよく理解した人間が博覧会協会事務局にいることが大切だと思いますが、そういったところは大丈夫なんでしょうか。若しくは、我が国の基本的な立場を理解した人間と緊密に連携を取れる体制が博覧会協会には必要かなと思うんですけれども、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博の開催者である二〇二五年国際博覧会協会が、急激に変化する国際情勢への対応力を備えていることは重要なことであると考えております。

 このため、同協会におきましては、各国や国際機関との連絡調整を担当する国際局を設置するとともに、三人の副事務総長のうち一人を国際部門の専任としているところでございます。これに加えまして、毎週、その協会幹部と政府側、これは具体的には内閣官房、外務省、経済産業省の指定職級との間による定期連絡会を開催いたしまして、急激に変化する国際情勢への対応についても万全を期しているところでございます。

 同協会を所管する経済産業省といたしまして、国際情勢を踏まえた適切な対応を行うよう、しっかり協議も行い、必要に応じて指導もしてまいりたい、このように考えております。

漆間委員 万全であるとのことでした。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、万博での空飛ぶ車の実用化に向けての課題などをお伺いしたいと思います。

 二月の予算委員会でも、萩生田大臣から様々に御答弁をいただいたところでありますが、昨年末発表の万博アクションプランでも、目次が終わった次のページに、一番初めに空飛ぶ車が掲げられているように、この空飛ぶ車の実用化が万博の盛り上がりに大きく貢献するものと考えておりますので、改めて質問させていただきます。

 実用化に向けては、予算委員会でも、大臣より、技術的なことや、空の調整も含めた安全性の確保など、克服すべき課題をいただいたところでございます。改めて、空飛ぶ車の実用化に向けて克服すべき課題について、その詳細について、難易度の濃淡も含めてお伺いしたいと思います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 空飛ぶ車の実用化につきましては、空の移動革命に向けた官民協議会というものを組織しておりまして、二〇二五年の大阪・関西万博での活用に向けて、この官民協議会の下で議論を進めております。

 実用化に向けて克服すべき課題としましては、空飛ぶ車の機体の開発、空飛ぶ車を活用した運航サービス等の事業化、そして、機体や運航の安全性に係る法制度整備、社会受容性の向上等が挙げられます。それぞれの課題につきまして、まだその途上にあると思っておりまして、しっかりと解決していく必要があると思っております。

 二〇二五年の大阪・関西万博での活用や、それ以降の社会実装に向けて、引き続き官民協議会での検討を進めながら、官民一体となって、こうした課題の解決に向けた取組を加速してまいりたいと考えております。

漆間委員 空飛ぶ車の実用化に向け、今、大きく幾つか課題をいただきました。そのうちの機体開発について、様々な技術やイノベーションの組合せが特に重要だと思いますが、製造業やサービス業、システム開発など、関連産業への波及効果の拡大も含めて、経産省として取り組めることにはどんなことがあるんでしょうか。お伺いいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 空飛ぶ車の実用化によりまして、例えば機体製造の観点では、主要部品であるモーターやバッテリー等の新規市場が生まれることとなり、実際に、航空機産業や自動車産業の部品サプライヤーが参入する動きが出てきております。

 今後、本格的な実用化が進めば、オペレーターによる運航サービス、地上の交通手段と連携した新たなモビリティーサービス、離着陸場の建設、運営や保険といった周辺事業などの更なる事業領域の拡大も大いに期待されると考えております。

 こうした波及効果を一層高めていくべく、経済産業省としては、引き続き、部品サプライヤーと機体メーカーとのマッチングの取組を始めとする新市場の創出や獲得に向けた取組を進めてまいります。

漆間委員 空飛ぶ車の制度やルール設定の話についても予算委員会で確認させていただきました。国交大臣の方から、今後本格的な実施が予想される空飛ぶ車の試験実行の許可基準を明確化し、今年度中にガイドラインとして公表すると御答弁をいただいたところです。

 そこで、試験飛行や実証実験などの支援として、経産省としてできることにはどんなことがあるんでしょうか。お伺いいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 空飛ぶ車の実用化に向けては、事業者によるオペレーションの確認や、地域住民の方を始めとする社会受容性の向上が不可欠であることから、委員御指摘のとおり、実証実験は極めて重要な取組であると認識をしております。

 こうしたことから、現在、複数の自治体で実証実験を進めているところであり、二〇二五年大阪・関西万博の開催地でもある大阪府では、令和三年度に総額約九百万円の補助金を交付し、ヘリコプター等を活用した空飛ぶ車の実現に向けた実証実験を支援していると承知をしております。

 加えて、経済産業省としまして、令和四年度予算案に、次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクトを計上しておりまして、二〇二四年までの三年間で飛行の安全性確保に不可欠な運航管理技術を開発し、二〇二五年の大阪・関西万博での空飛ぶ車の飛行実証を目標として取り組んでまいりたいと考えております。

漆間委員 ありがとうございます。

 克服すべき課題として、ほかに社会的受容性というものをいただいておりますけれども、この社会的受容性、要は、空飛ぶ車、危ないんじゃないか、うるさいんじゃないかという国民の不安にどれだけ応えられるかということだと思いますが、予算委員会の質問の後でも、最近は空飛ぶ車のニュースが多く取り上げられるようになりまして、国民の関心も高まっているところでありますが、PR活動を通じた社会的受容性の向上に向けた経産省の取組にはどんなものがあるんでしょうか。お伺いいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の社会受容性の向上は、空飛ぶ車の実用化に向けた最重要課題の一つでございます。離島や中山間地域での移動や災害時の迅速な救命救急といった社会課題の解決に大きく寄与するという空飛ぶ車の優れた特性をしっかりと御説明し、地域の皆様方にその必要性を着実に御理解いただくことが必要と考えております。

 こうした観点から、経済産業省として、二〇一九年八月に地方公共団体による空の移動革命に向けた構想発表会を実施し、各地域における取組や構想の具体化、地域住民の皆様の理解増進を図る取組を実施をしておりますが、地方自治体や事業者においても、それぞれ独自に、又は連携して、シンポジウムや講演の積極的かつ継続的な開催を続けていただいているところでございます。

 引き続き、空飛ぶ車の安全性や意義についての着実な理解増進と社会受容性向上に向けて、地方自治体や事業者とも連携しながら取組を進めてまいりたいと考えております。

漆間委員 御答弁にありましたとおり、特に大切なのは、空飛ぶ車がどれだけ社会的課題を解決できたり便利なものであるかというのを伝えることが本当に重要かと思っております。

 空飛ぶ車のメーカーの社長さんの言葉で、空飛ぶ車の機体の特徴は、コンパクトで、コンビニの駐車場からの飛行も可能、ここから空の道に入っていくことができれば、日常的に素早く楽しく移動できるようになるというお言葉もありました。こういったことも是非伝えてほしいと思います。

 予算委員会でもお聞きしたところでありますが、二〇二五年万博では、会場から会場外に向けて二地点間飛行を是非実現させてほしいと思っております。万博に来られた一般の方々が乗れて、体験できるようにしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二五年大阪・関西万博では、万博会場の周遊飛行に加えまして、周辺空港から万博会場への二地点間飛行を行うべく、民間事業者と関係省庁等で構成しました空の移動革命に向けた官民協議会の万博タスクフォースで集中的に検討を進めているところでございます。

 本タスクフォースでの検討内容も踏まえまして、昨年十二月に関係省庁間で策定をしました二〇二五年大阪・関西万博アクションプランにおきまして、万博での空飛ぶ車の活用に向けて、必要となる技術開発や制度整備などの方策や今後のスケジュールなどを盛り込んだところでございます。

 引き続き、官民が一体となって、必要な取組を加速し、世界中の皆様に万博のテーマである未来社会をお見せできるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

漆間委員 ちょっと具体的なことをお聞きしますけれども、万博会場に空飛ぶ車が発着するようなそういったポートは、そういったことを整備するというのはもう計画済みなんでしょうか。お伺いいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 万博会場におきまして空飛ぶ車の活用に向けた検討を進めているところでございます。したがいまして、空飛ぶ車が離発着できるような場所というのをどのような形にするかということも、併せて現在検討させていただいているところでございます。

漆間委員 是非よろしくお願いいたします。

 明治時代、一八七二年の日本初の鉄道の開業にちなんで、新橋駅にはSL広場がありますけれども、万博での実現が可能となって、万博会場に空飛ぶ車広場のようなものができればすばらしいと思っております。もちろん、万博よりも早く日本のどこかで実用化すれば、それはそれですばらしいことだと思いますので、とにかく早期の実用化に向けて頑張っていただきたいと思います。

 あと、先ほど青柳議員の話にもありましたけれども、今、大阪府市が提案しているスーパーシティー構想では、万博の空飛ぶ車実用化を契機に、万博のレガシーとして、大阪の町じゅうに空飛ぶ車のポートが存在する日常モビリティーの実現を目指しているところでありますけれども、この大阪府市が現在国に提案しているスーパーシティー構想の早期認定も要望させていただきます。

 要望させていただきまして、時間となっておりますので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。よろしくお願いいたします。

 今日、私からは、今まさにウクライナ危機で問題になっておりますエネルギー問題についてお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。

 大きく分けて、一つが、ロシアにおける我が国の企業のエネルギー資源開発プロジェクトの在り方について、そしてもう一つは、先日、前回の委員会のときに稲田委員からもありました、原発の再稼働ということでございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 もう毎日、ニュースにおいて刻々と状況が変化していくということで、これから御質問させていただく内容も、恐らく答弁を用意していることがどんどん変わっていくというような状態だというふうに思いますけれども、まず、日本がロシアから、原油、LNGそして石炭など、エネルギー資源をどれぐらい依存しているのかということについて、客観的なデータを伺いたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の原油、LNG、石炭の輸入におけるロシアが占めておりますシェアでございますけれども、二〇二一年の速報値によりますと、原油に関しましてはロシアから約三・六%でございます。LNGに関しましてはロシアからの輸入が約八・八%、石炭に関しましては同じく約一一%となってございます。

小野委員 お答えいただきましたけれども、これが多いか少ないかということはありますけれども、ただ、ロシアから一定程度のエネルギー資源を我々は頼っているという現状だというふうに思っております。

 そういう中で、これから具体的な中身に入っていきますけれども、我が国において、商社を始めとして、そして政府も関わっておりますけれども、エネルギー資源開発を行っております。これが今、ウクライナ危機が起こってから欧米諸国が撤退を始めているというようなことも起きている中で、じゃ、日本としてどうするのかということが非常に問われているというふうに思います。

 当初、我が国の中でも、やはり、台湾有事とかということを考えたり、あるいは極東有事ということを考えたときに、毅然とした対応を取らなければ、ロシアのところで中途半端なことをやっていると、やはり我々に救いの手が差し伸べられないんじゃないかという議論もあったと思います。

 しかし、一方で、これは萩生田大臣も御苦労されていると思いますけれども、目下のエネルギー安全保障、そして中長期的なエネルギーの確保というものも同時に考えなければいけないということで、非常に悩ましい問題だというふうに思っているんですけれども、現状で政府が把握している、ロシアにおけるエネルギー開発プロジェクトの今の、撤退ですとか、いろいろな状況の変化について、最新の状況をお答えいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、日本企業がロシアで参画しております主要なエネルギープロジェクトの一つでありますサハリン1でございます。これは、サハリンで原油の生産を主に行っているものですけれども、原油輸入の約九割を中東の方に依存しております我が国にとって重要なプロジェクトだと考えてございます。

 それから、もう一つの主要なプロジェクトでありますサハリン2、これは主としてLNGですけれども、これも、先ほどと同様に、約九%をこのサハリン2からLNGを、我が国は供給を受けておりまして、これもエネルギー安定供給上、大変重要なプロジェクトというふうに考えてございます。

 G7による制裁の強化でありますとか、御指摘の欧米メジャーがロシアでのエネルギー事業からの撤退を表明しているということなどによりまして、現時点では我が国でのエネルギー安定供給に直接的な影響が出るということは想定はしてございませんけれども、様々な事態の進展がございます。今後、間接的にはエネルギー関連プロジェクトの操業に影響が出る可能性もありますので、しっかり注視していきたいというふうに考えてございます。

小野委員 非常にこのプロジェクトが大事だということはあろうかというふうに思います。特に、このサハリン2というのは、LNGの日本の輸入量のほぼ全てというふうな大規模なものでありまして、非常に重要なプロジェクト。ですから、これは、当初この危機が起こったときに、すぐにすぱっといけるかどうかというと、エネルギーが非常に、安全保障として、安定供給に課題を抱えている我が国としては非常に難しい問題だというふうに思っています。

 しかし、そういう中で、先ほど御答弁いただいたような、ほかの国々が撤退を始めているという中で、どのようにこれからオペレーションを安定化させていくかというのは、先ほどちょっと、一部御答弁ありましたけれども、ちゃんと考えなければいけないところだというふうに思います。

 特に、私は、このサハリン2に関しては、ガスプロムが五〇%を握っていて、そして、そのガスプロムは撤退するはずはないので、安定して操業できるだろうみたいな話をちょっと耳に挟んだんですが、ただ、それも、本当にそれでいいのかと。

 例えば、これからロシアの侵攻状況がますますエスカレートしていって、そして、我々の制裁がますます進んでいった場合に、今度、日本が参加しているそのプロジェクトそのものが存続するのかどうかということも考えなければいけないというふうに思いますので、このプロジェクト、サハリン2が特に大事だと思いますけれども、ほかのものももちろん大事ですが、これに関するオペレーションをどのように確保するのかというところについてのお考え、これをお伺いしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のサハリン2を中心に御説明いたしますと、現時点では、操業に、オペレーションに影響が出ているというふうには聞いてございません。

 サハリン2から撤退を表明しましたシェルによりますと、ヨーロッパ及びその他の市場への安定的なエネルギー供給を含むビジネスへの影響についてしっかり検討するというふうにしておりまして、今後の操業については十分配慮して対応するという方針であるというふうに理解してございます。

 ただし、今後のことはなかなか予断はできませんので、G7の制裁強化などの影響により、今後、我が国のエネルギープロジェクトの操業に影響が出る可能性もありますので、そこはしっかり事態の推移を注視してまいりたいというふうに考えてございます。

小野委員 お答えをいただきましたけれども、まさに、状況の変化に応じて柔軟に対応するという姿勢が大事だと思います。経産省としては、権益をしっかり守ることが国益にもつながるんだという考えはもちろん理解はできるんですが、ただ、それをロシアに頼っていていいのかという根本的な問題はやはりあるというふうに思うんですね。ですから、やはり、権益をしっかり守ると言っても、本当にそれが、ロシアがずっと是とするのか、あるいは、国際的な圧力からして、日本だけがそこにとどまっているのがいいのかどうかということは冷静に考えるべきだろうというふうに思います。

 その点に関連しまして、大臣に一つお伺いしたいというふうに思います。

 これは質疑通告を実はしっかりできているわけではありません。というのは、今日の朝刊に、萩生田大臣から、サハリン2などに関して、様子見をちょっとしていくんだというようなこともおっしゃいました。そういった態度が、今のところでは、やはり我々としては大事なことだろうというふうには思っておりますけれども。

 ただ、これはヨーロッパにとっても本当に我慢比べといいますか、例えばドイツなんかですと、天然ガスは半分以上も依存しているような状況で、しかし、今日の国際衛星放送を見ていますと、ドイツの方でも、やはりそのままじゃいけないんだ、ロシアへの依存を低めていかなければいけないんだというようなことを、だんだんだんだんウクライナでの戦火が拡大していくにつれて、ポーランドを越すと、すぐ先で民間人、子供たちがどんどん犠牲になっているというような状態を見ると、やはりこのまま、自分たちのエネルギー安全保障とはいいながら、このままの状態でいいのかというようなことがやはり世論としても巻き起こってきているということだと思います。

 そういうことで、サハリン2をやはり何とかして守りたいというような思いも、もちろん、国民としても経産省としてもあるというふうには思っているんですけれども、その様子見という中身、ここを非常に私は大事にしていただきたいというふうに思っていまして、例えば権益を手放すと、萩生田大臣の方も、二、三日前でしたか、これを手放したら、例えば中国とか、ほかのところにそれが渡るだけなので、全然、ロシアの経済制裁にも資しないだろうというようなこともおっしゃっていました。

 まさにそういうこともあろうかというふうに思うんですけれども、例えば、昨日大臣がおっしゃった塩漬けということで、取りあえず権益は守りながらも、我々が持ってはいるんですが、操業しないことによって資金が流れないというようなことが工夫として考えられるのかどうか。

 今ちょっと、これは通告していませんので、お答えいただかなくても結構なんですが、可能な限り、そういった可能性について御指摘をいただければというふうに思います。

萩生田国務大臣 小野先生、まず日本としては、米国そして欧州を始めとする有志国、なかんずくG7の皆さんと行動を協調してやっていこうということをまず決めています。

 しかしながら、その中で、やはり各国、抱えている事情が違うことは、それぞれの国もお互いに理解しています。

 例えば、うちは原油は持っていないんですけれども、しかし、IEAの提案によって協調放出をしようということで、七百五十万バレルを放出することを決めました。これはアメリカに次ぐ二番目の量なんですけれども、だからといって、その量を出していない国々を批判する立場でもないです。これはこれで、うちはやります。

 一方、SWIFTのことがすごく話題になっていますけれども、ロシア最大の銀行は対象になっていない、三番目の銀行も対象になっていない。これは、ある意味、日本から見るとやや違和感を感じるんだけれども、欧州の日々の生活を考えると、直ちにそこはSWIFTの対象にすることができないというヨーロッパの事情があって、これも我々も理解します。

 したがって、今行われていることというのは、各国が独りよがりで、うちは自国の利益だけ考えてこうするんだということじゃなくて、テーブルの上にのせながらみんなでオプションを考えているというのが今の状況なんです。全ての手のうちをここでお話しすることもできないんですけれども。

 したがって、もしかすると国民の中には、手ぬるいじゃないかという御批判があるかもしれない。しかし、これは、今先生もいみじくも言ってくれたように、じゃ、うちが撤退しますよと言って、そしてロシアがダメージを受けるんなら、これは制裁ですけれども、ダメージを受けなかったら、ある意味、塩を送ることにもなってしまうわけですから、これは状況をよく冷静に考えながら、カードとしてやはり幾つか持っておかなきゃいけないものの一つだというふうに思っています。

 したがって、今、目指すべき方向は有志国と全く同じ方向でありますし、そのことは各国理解していますし、いみじくもおっしゃったように、日々刻々と状況は変わっていますから、こっちが望んでいないのに向こうから出ていけということだって当然あるわけですから、そういうことは考えなきゃいけない。

 他方、我々、外信の報道というのは、一次報道をどうしても見てしまうんですけれども、例えば、シェルにしても何にしても、あるいは、日本の自動車会社がロシアへの輸出をやめたというのは、全部経済制裁みたいに見えるんですけれども、そうじゃなくて、それはそれで、個社の皆さんが自社の利益、また保護のためにリスクヘッジしておこう、自らやめておこうと思ってやめている事業というのもたくさんありますので、そういう民としての判断、国としての判断、様々な判断の中で、今、行動を様々なカードを持ちながら行っているということでございますので、決して日本が後ろ指を指されるようなことはないというふうに思っています。

 他方、国際社会で、どうやってロシアのこの蛮行を抑え込んで、そして交渉のテーブルに着く方が得だということを知ってもらうためには、もしかすると日本としてもそういう次なるカード、次なる決断も必要だということは考えながら冷静に行動していきたいなと思っています。

小野委員 大臣、ありがとうございました。

 通告しておりませんでしたが、非常に丁寧にお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおりで、やはりエネルギーというのは本当にきれいごとじゃ済みません。ですけれども、やはり、今起こっていることに対して、無辜の市民が犠牲になっていることを、どうやって我々が効果的に制裁できるのかということが大事で、ただ、その裏では、例えばアメリカでもファクトシートが出ていまして、そこでは、SWIFTの経済制裁の対象にはエネルギー関連の決済は含まれていないだとか、先ほどおっしゃったようなロシアの銀行の対象とかというようなこともあります。

 ですから、それを冷徹に政府として見ていただいて、そして、やはりどうしても、毎日SNSなどで発信されている戦火の状況を見ると、国民世論とかマスメディアというのも、もっともっとこれは徹底すべきじゃないのか、厳しい制裁を科すべきじゃないのかというような世論がどうしても起きがちなんですが、ただやはり、エネルギーをしっかり確保するという前提で、しかもロシアに、銃口をウクライナに向けさせることをやめさせるような効果的な対策、これを是非心がけていただきたいと思いますし、また、それを国民に対してもしっかり発信していただきたいと思います。

 そういう意味では、昨日、大臣がおっしゃった様子見というような御発言がありましたが、私は、そこからやはり生まれる可能性もあるのかな、対策としてあるのかなと。今、大臣が具体的な手のうちはということをまさにおっしゃいました。それはそのとおりだと思いますが、是非、国益をしっかり守るということと、そして今こうやって行われている、子供たちが毎日殺されている、そういったことをできるだけ止めるための効果的な対策というのを是非考えていただきたいというふうに思っております。

 それでは次に、二点目の質問でございます。

 原発の再稼働の問題について御質問させていただきます。

 明後日は東日本大震災から丸十一年ということになるわけですけれども、先ほど山崎委員の御質問の中でも、原発に対する、もちろん様々な思いがあります。やはり、原発事故によって自分の住み慣れた家を追われてしまった、あるいはなりわいを諦めざるを得なかった方々、そして、まだまだこれから先の復興も見えないというようなこともある中、もちろん原発に対してはいろいろな御意見、お考えが国民の中にもあろうかというふうに思いますが、ただ、私、そして私が所属している日本維新の会、やはりこのウクライナ情勢に鑑みて、原発再稼働というのは必要だろうという思いを強くいたしました。

 そして、それ以前に、昨年の秋にも政府の方針が決まりましたが、カーボンニュートラルにおいても原発を活用していくことがやはり不可欠だろうということは、国のエネルギー基本計画にも書いてあるところだというふうに思います。

 二〇三〇年、このカーボンニュートラルを達成するためのロードマップにおいて、電源構成比率における原発のシェアなんですけれども、これが、目標値二〇%から二二%ということが言われていますけれども、目下のところ、じゃ、今どれぐらい動いているのかというと、二〇一九年で、電力構成比で僅か六%、二〇二〇年では三・九%ということで、非常に少ない数値になっているということであります。

 やはりロードマップというのは大事でございまして、二〇三〇年に向けて、しっかりと目標の二〇から二二%を達成するための見込みというのがあるのかどうか、そして、どういうところに隘路があるのかということについて、大臣、お伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三〇年のエネルギーミックス、昨年の秋にエネルギー基本計画の下で定めたものでございます。原子力比率が二〇から二二%。ここは、委員御指摘のように、二〇一九年、二〇年の足下の数字からしますと、再稼働を進めてこの比率を上げていかなきゃいけないということはよく認識しているところでございます。

 これに向けましては、まず、安全性の確保を大前提とした再稼働を着実に進めていくこと、これが基本でございますが、これに加えまして、安全性の更なる向上等を通じて設備の利用率を高めていくという取組、また、一部の炉につきましては、法令で認められた四十年を超える運転期間延長を行うこと等によりまして、この目標を達成することを目指していくつもりでございます。

 この具体化に向けましては、まず、再稼働の着実な推進というところにつきましては、規制委員会の安全審査への対応、これを円滑にしっかりと進めていくということが重要でございまして、これは事業者任せにすることなく、産業界の中で、事業者間の連携で安全審査への対応をしっかりと対応できるようにしていくということにつきましては、働きかけをするとともに支援していきたいと考えておりますし、また、地元の御理解が大変重要でございます。これにつきましては、国も前面に立ちまして、科学的知見やデータ等に基づいて丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えておりまして、立地自治体など関係者の理解と協力を得られるよう取り組んでいきたい、粘り強く取り組んでいきたいと考えています。

 また、設備利用率の向上、これも重要な点でございます。安全確保の活動に関する優れた取組事例ですとかトラブル等の経験をこれまた産業大でよく共有しまして、先手を打った点検、安全性を高めるということによって実現できるよう、事業者とともに取り組んでまいりたいと考えてございます。

小野委員 御答弁の中にもありましたけれども、やはり再稼働のスピードを上げていくということが非常に、二〇三〇年までに間に合うのかということでは大事だというふうに思っています。ですけれども、私どもも、この再稼働の基準に関して、今は世界一厳しい基準、更田委員長の下でしっかりと審査していただいていますが、これはやはりないがしろにしてはいけない、しっかりとそれを、先ほどおっしゃった住民の皆様の何よりも信頼を獲得するような形で行うことは大事だというふうに思っております。

 そしてもう一つ、二〇から二二%を実現するために大事なことが、四十年を超えた原子力発電所の運転期間の延長ということだというふうに思っています。これが四十年に限られたとか、それから二十年があと一回だけしか更新できないというような制度に今なっているんですけれども、これが一体、技術的な根拠に基づくものなのかどうなのかというところについて、これを御答弁いただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 今御質問の中にありました運転期間四十年、更に延長をした場合にも一回に限って最長二十年、これは法律で定められたものであって、国会におきまして、科学的、技術的な観点だけではなくて、様々な政策上の御判断によって定められたものと考えております。

 したがいまして、その根拠は科学的、技術的なものだけに限らないというふうに承知をしております。

小野委員 この議論を本当にずっと繰り返されているんですね。

 それで、アメリカの方で、じゃどうなっているのかということをちょっと調べてみますと、やはり同じように、これは四十年という期間になっている。それから、二十年の延長ということにもなっていて、ただ回数は限られていないというようなことになっております。

 ですから、まさに更田委員長がおっしゃったように、政策的なものが非常に大きい。そこにもちろん科学的な合理性を入れようとしても、それは、繰り返し原子力規制委員会が文書で回答していたり見解を示しておられますけれども、そこはしっかり、検査のタイミングが来たらちゃんとやるんだということに尽きるんだ、あとは、何年にするかということについては、これは政策的に決めていくんだということでございます。

 そして、二〇一二年にこの法律が改正をされて、原子炉の運転というものは四十年、そして更新は一回で二十年というようなことが定められているわけなんですけれども、これをやはり、例えば、これからカーボンニュートラル、二〇三〇年だけではなくて二〇五〇年も、これも見渡した限りでは、やはり、この仕組みのままでいいのかということを今考えなければいけない時期に来ているんじゃないか。

 そして、中長期的な目標だけではなくて、目下のウクライナ危機のような、エネルギーの安定供給、エネルギー面での安全保障という面で非常に課題が今噴出してきているわけですので、その運転期間そして期間延長、又はその回数、そこについての検討を今やはりする必要があるのではないかというようなことについて、これは大臣、今は答えられる、答えられない、あるかもしれませんが、御見解をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 御指摘の原子力発電所の運転期間については、原子力規制委員会が所掌する原子炉等規制法で規定されているものであります。

 現時点において、政府において同法の規定見直しを検討している事実などはないと承知しておりますが、一方、御指摘の点は審議会など様々な場において問題提起がされておりまして、今後、産業界も含め、幅広い関係者と検討を行っておくべき課題だというふうに思っております。

小野委員 御答弁いただきました。まさに状況が大きく変わっているということがあるというふうに思います。

 私ども日本維新の会も、昨年の衆院選までのマニフェストにおきましては、原発はフェードアウトしていくんだ、動かせる原発、これを徐々に、経済合理性の中で少しずつ店じまいしていくんだというような見解を取っておりました。

 しかし、ここに来て、やはり、このエネルギー安全保障のことを考えれば、しっかりと安全性は、これは更田委員長の下でしっかりと審査をしていただくということが大前提ではありますけれども、これをちゃんと稼働して、準国産エネルギーとしての原発を維持していくということが非常に大事なことではないかというふうに思っております。

 これはもちろん法律で定められたということでございますので、やはりこれは政府・与党がしっかりやっていく。そして、私ども野党としましても、これはもちろん、賛成、反対の両論あると思います。しかし、エネルギー安全保障をしっかりと確保するという点で議論をしっかり進めていただきたいというふうに思っておりますので、是非ともそういう観点から経産省としても取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そして最後に、今度の原発の再稼働、いつまたあるのかということもなかなか見えないわけなんですけれども、そういう中で、原発関連の技術者が減っているということを、非常に私は懸念をしています。

 私ども維新のマニフェストでも、実は、私は個人的には、フェードアウトということをやれば技術者の維持というのはなかなか厳しいんじゃないかということは思っていました。やはり、再稼働したり、それからその期間を延長する、あるいはその先の、これは今日は質問しませんが、新増設、リプレース、こういったところも含めてやっていかないと、日本の原発技術者というものがしっかり維持できないんじゃないか。

 そして、よくエネルギー関係者の中で懸念されているのは、原発をやる人が例えば中国とかロシアしかいなくなっちゃったら、それこそ平時から、原発を占領されなくたって、そのコントロールが平時において行われるというような危険性も生まれてしまうと。

 ですから、やはりこの技術者をどうやって確保するかということと、原発をどのように動かしていくのか、維持するかということは表裏一体だというふうに思いますが、最後に、この技術者の数の推移、経年的なものがどういうふうになっているのかということ、これを御答弁いただきたいというふうに思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の安定的な稼働に必要な機器の製造、メンテナンス等を担うプラントメーカーですとか、主要機器のメーカーの原子力従事者につきましては、東日本大震災以降、減少傾向にございます。

 例えば、これらのメーカーにおける研究開発、機器の設計、製造ノウハウですとか、現場の溶接、組立て等に高い技術を持つ、いわゆる技術人材ということで統計を取っているものはございますけれども、これで申し上げますと、二〇一〇年度が一万二千人、これが二〇二〇年度では約九千人に減少しているところでございます。

 委員御指摘のように、原子力発電所の安定的な稼働、将来の選択肢としての維持ということを考えておきますと、この技術人材の維持強化、産業基盤の維持というのは非常に重要な点だと考えてございまして、昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画の中でも、この旨定めたところでございます。

 現在、原子炉の安全性向上に係る技術開発ですとか、原子力の現場人材の育成及び技術の伝承若しくは技術の移転ということに対して、予算での支援事業を含めまして、政府としてもしっかりと応援していきたいと考えてございます。

小野委員 先ほど、やはりこの技術者の人数が減っているというようなデータがございました。それも当然だと思います。やはり、原発がこれから店じまいしていく、なくなっていくんだというときに、若者がその道を目指すのかというと、なかなか厳しいものがあると思います。

 これも、エネルギー安全保障の一環だというふうに思うんです。原発を維持していく、そういった人材をいかに、日本人、日本の国内でちゃんと育てていくのかということについても、これは是非政府としてもしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 エネルギー問題、本当に今、資源エネルギー庁さん始め、毎日刻々と状況が変化する、その中で、我が国の国益を守る、国民生活を守るということと、この世界の平和をどうやってまたもたらされるようにするのかという非常に難しい判断だと思いますけれども、是非、国民の皆さんに対して政府の考え方をつまびらかにして、そして冷徹で、そして一番効果がある対策というものを、大臣始め、しっかりと陣頭指揮を執ってやっていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 おはようございます。国民民主党の鈴木義弘です。

 大臣の所信について質問していきたいと思います。予算委員会でも一部同じような質問をしているかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。

 まず一番目にお尋ねしたいのは、成長の種をまいていく必要がありますというふうに大臣は述べているんですね。

 私の知る限りでは、内燃機関というものを人間が発明されて、その後、動力として使い始めた。物を運んだり、機織りをしたりすること。その後に発明できたのが電気。モーターを使うことによって、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、こういったものが発明されたわけでありますし、パソコンも第三次産業革命と言われているし、今私たちが便利に使っているスマホ、これも一つの、やはり情報を把握するということが今の時代すごく有益だということで、便利に使わせてもらっているんです。

 しかし、人間がやはり、人、物、金というよりも、衣食住足りて学遊という言葉が昔よく使われていたんですけれども、人間にとって便利で省力化、小型化していくと世の中に生み出されていくのが今日になっているんだろうというふうに思っています。

 先進国では、経済成長はもはや二%ぐらい行けばいいだろう、一・数%が当たり前の時代に突入していると言われているんですけれども、デジタルとグリーンを声高々に叫ばれていますが、未来の成長の種とは、どうお考えになっているのか、まず御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 新型コロナやロシア等のウクライナの侵略をめぐる国際情勢など、我が国経済をめぐる状況が極めて複雑な中でも、成長軌道に乗せていくためには、成長分野への投資や人的資本投資を進める大胆な政策が必要であると認識しております。

 このため、グリーン、デジタル、経済安全保障などの社会課題の解決が未来の成長の種にもなるとの考え方の下、政府も民間も一歩前に出て投資を拡大していくことが重要であり、大規模、長期、計画的に支援していくところなどについて議論を行っているところです。

 例えば、カーボンニュートラルの実現に向けて、日本の競争力の維持強化を目指すべき産業構造、エネルギーの安定供給の確保という観点も踏まえ、変革に必要な投資を促進すること、デジタルインフラなどの整備の全体像を示したデジタル日本改造ロードマップを政府全体で策定し、幅広い主体からのデジタル投資を促進すること、グリーン化、デジタル化の進む社会において不可欠な、半導体を始めとする、国家として真に維持強化すべき重要な物資の生産、技術基盤構築を集中的に支援し、サプライチェーンの強靱化に万全を期すこと、また、当省で行っております未来人材会議において、産学官が目指すべき人材育成の大きな絵姿を示して、人への投資を促進することなどを検討しております。

 今後、こうした検討の成果を経済産業政策の新機軸として取りまとめた上で、あらゆる政策を総動員して、日本経済の成長に全力で取り組んでまいりたいと思います。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 質問する前に答弁いただいちゃったんですけれども、経済産業政策の新機軸についても御答弁いただいたんですけれども、激動の時代なんだというふうに言われているんですが、先ほど冒頭、私の方でお尋ねした、人、物、金、そして、衣食住足りて学遊というのが私たちの生活の基本だと私は思っているんです。

 産業を新しく興そうとすると、今までの古い産業が廃ってしまう、これは致し方ないのかもしれませんけれども、国内の中でいろいろなことをやろうとしても、結局はゼロサムゲームになってしまったら、必ず弱い立場の人のところにしわ寄せが行ってしまうのが今の現代じゃないかなというふうに思っているんですけれども、その辺について、国としてどこまでサポートしていく考えでいるのか、もう一度御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 自由な市場主義の中で、新しい産業が既存の産業を追い越していくときに、既存産業がある意味、敗北をしたり屈していくということは今までも繰り返し行われてきました。それはある意味、自然の摂理にも似たようなものがあるんだと思うんですけれども、少なくとも、グリーンとかデジタルとか、国が方向性を示した中で、そのしわ寄せによって、弱き者たちがそこから退場しなきゃならない、あるいはついていけないということのないように、そこはやはり政府としてサポートしていかなきゃいけないと思うんです。

 例えば、先生先ほどおっしゃった自動車のエンジンなどは、これは、ガソリンをもとに、エンジンという日本のすばらしい技術で今まで先頭を走ってきました。しかし、今まさにそのゲームチェンジが起ころうとしているわけです。

 しかし、我々はもちろん、電気やハイブリッドですとか、プラグインハイブリッドという新しい技術も入れますけれども、このせっかく日本がつくってきた技術、ここには中小企業の部品がたくさん入っていますから、こういう人たちが、例えば、常に申し上げているように、例えば水素あるいはアンモニア、こういったもので、CO2を除く形で新しい合成燃料などを作ることによって、このエンジンそのものが使えるとすれば、この人たちも新しい分野で是非一緒に移行していくということが可能になってくると思うので、そういうきめの細かい支援というものはやはりしっかりしていかなきゃいけないな、こんなふうに思っています。

鈴木(義)委員 いつの間にか、地球温暖化の一番の原因がCO2というふうに言われていて、CO2の削減が、また一歩進んで、カーボンゼロとかカーボンリセットみたいな言葉なんですけれども、私たちの体を構成しているのは炭素なんですよね。じゃ、私たちが要らないのかという。

 だから、何か言葉を横文字で使うとすごく新しいことをやっているように思えるんですけれども、先ほども申し上げたように、基本的には、省力化とか省エネというところに力点を置いていくところに日本の一番の強みがあったんじゃないかというふうに思います。

 二点目にお尋ねしたいのは、今大臣も御答弁いただいた、グリーン、デジタル、グローバル、経済安全保障などというふうに述べられているんですけれども、例えば、コロナの影響でリモート会議、今当たり前にやっていますし、学校現場でもリモートで授業をやったりしています。

 しかし、高齢者の方に話を聞くと、例えば、コロナの予約をするに当たって、電話がパンクしちゃって予約が取れない、でもスマホで予約が取れるんです、パソコンでできるんですといっても、私たちはできないよという言葉。去年も、私の事務所に何件か問合せがあって、あなたのところに頼めば予約できるんだろうというふうに言われたんですが、丁寧に予約先のところをお教えして対応させていただいたんですけれども。

 まだまだ、高齢者に分かりやすく扱いやすい、例えばテレビ電話、今は何か普及している話もあるんですけれども、今回、自宅療養されている方にO2の検査キットを貸与するのと同じように、例えば、テレビ電話ができて、リアルタイムでその状況が把握できるようなものを貸与するとか、リーズナブルな価格で販売をするとかということを力を入れて、医療や地域のコミュニケーションのツールとして、キーボードがなくても、ITであるデジタル社会をもっと生活の中に入れるような開発や支援をしていった方が、私は、もっと国民のそばに、デジタルなりグリーンなりグローバルなりということが実感できるんじゃないかと思うんですが、どうしても、AIだとかロボットだとかIoTと、何だかよく言う。

 私たちは多少知識があって分かったとしても、一般の国民はほとんど何を言っているか分からないんじゃないかと思うんですけれども、今みたいな、身近なところの機種の開発とか、IT弱者というふうに言われていることが、三十年前に、e―Japanをつくるといいながら、いまだにキーボードで打っているんですよ。まあスマホはちょっとやり方が違いますけれども。

 その辺に力を入れていく考えはあるのか、お尋ねしたいと思います。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生まさに御指摘のとおりだと思います。

 コロナ禍で、高齢者も離れて住む家族と会う機会が減っていることなどを踏まえますと、オンラインで顔を見て会話できるようなデジタルツールの普及、これは極めて重要だというふうに承知をしております。

 例えば、先ほど先生おっしゃいました、スマートフォンなどを使うとテレビ電話や音声での入力も可能であって、高齢者にも扱いやすいシニア向けの製品が既に数多く販売されておりますが、実際には、高齢者がこれらの機器を使いこなせるようになるためには、使い方を教わる機会等々、そういう点は極めて重要だというふうに思っております。

 このような中で、岸田政権ではデジタル田園都市国家構想を掲げて、高齢者を始めとするデジタルに不慣れな人を含め、誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できる暮らしの実現に向けて、政府一丸となって取組を進めておるところでございます。

 例えば、総務省では、民間企業や地方公共団体等と連携しながら、高齢者の身近な場所でスマートフォンの操作方法、サービスの利用方法やオンラインによる行政手続を学べる無料の講習会を数多く開催していると承知しておりますし、また、経済産業省としても、顔認証を用いた一対一での対話機能やレクリエーション機能を備えたコミュニケーションロボットなど、高齢者向けのデジタルツールの開発支援、これもしっかり取り組んでまいります。

 今後とも、デジタル田園都市国家構想の実現を目指して、医療や地域のコミュニケーションなどの暮らしの中でデジタル化のメリットを実感できるように、関係省庁としっかり連携して取り組んでまいりたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 是非、身近な、生活に一番必需品だというふうに言われているところをサポートするようなことをやることによって、それが逆に言えば国際競争力につながっていくんだと思うんですね。

 何か、高度なことをやっているから全ていいか。今日はちょっとこの議論は申し上げないんですけれども、昔、ハイテクの企業さんとローテクの企業というふうにジャンルがあったときに、じゃ、この十年間、二十年間、ハイテク企業が日本の国内の中で伸びているのかといったら、余り伸びていないんです。ハイテク企業を伸ばすことによって付加価値の高いものを海外に売ったり、国内でも同じですけれども、それをやることによって、そこで得られた利益というものをローテクで食べている人のところに分配をしていくことによって全体で底上げができる、こういう考え方なんですけれども。

 結局、先ほども申し上げたように、AIだとかロボットだとかIoTだとかと言うことはいいんですけれども、それによって、じゃ、ローテクで食べている人たちはどうなのかと。ローテクで食べている人たちをデジタル化することによって、確かにプラスにはなるところも出てくるんだと思うんですけれども、やはり、その辺の考え方を示していただかないと全体の底上げにはなっていかないし、それが日本の競争力につながっていくと思うんですけれども、大臣、御答弁、どうですか、今の議論のところは。

萩生田国務大臣 これは日本の国民性とも関わりがあるところだと思うんですね。割と一点集中、はやり型の世の中ですよね。ですから、これがいいとなると、わあっとそこへ行くんだけれども、しかし、冷静に考えてみると、こっちもこっちもよかったよねと、これの繰り返しを我々日本国民は割としているので。

 今目指すべきデジタル社会というのは、今おっしゃったように、高齢者の皆さんにとっては極めて不自由な世界の一面もあります。そこをどうサポートしていくかというのは、先頭を走っている人たちのマインドだけじゃなくて、やはり、後ろを見ながら走る人たちもつくっていかなきゃならないと思いますので、先ほど経産省の方で答弁をさせてもらいましたように、様々なツール、様々な選択肢というのは、一本に絞るんじゃなくて幅広に用意して、そして、そういう人たちにもアクセスができる環境というのは、これからしばらくはやはりやっていかないと。

 私、おととし、文科大臣としてGIGAスクールを始めたときに、物すごい、学校の先生たちから、わくわくするメールが来る一方、同世代の先生たちから、何て余計なことしてくれたんだ、定年まであと三年なのに、萩生田大臣だって分かるだろう、俺たちの気持ちみたいな、それが一通や二通じゃなくて、みんなのもう切実な声として届いたのを十分承知していますので、そこは幅広く対応していきたいなと思っています。

鈴木(義)委員 何を申し上げたいかといったら、消費者がいて、こっちで製造、物をつくる、農業もそうなんですね。その間を取り持っているのを、情報としてそれを取り次いでいるだけの人たちが一番付加価値が高い、競争力があるんだということになっちゃうと、ここで物をつくっている人たちがどんどんへたっていっちゃうわけです。若い世代の人たちは、こっちで働くよりはここのところに行きたい、たくさん給料をもらえるから。そうしたら、いつの間にか国内で物をつくる人がどんどんどんどん減っていっちゃうんじゃないかという考え方なんです。

 では、次に、質問、もう一つ、あと幾つかありますので。

 これは中小企業の事業継続と成長についてお尋ねするんですが、大臣も、中小企業の事業継続と成長を後押ししますと述べられているんです。

 これも予算委員会で私が質問したところと少しかぶりますけれども、私の地元で、三次とか四次の金属加工の町工場の代表の方と話をするんですけれども、自動車の部品を作っています。社長、どうですか、これも五、六年前にお尋ねした話なんですけれども、昭和四十五年から工賃が上がっていないという話なんです、約五十年前から。そういう話を別のところの金属加工をやっている方に、事業主さんに尋ねたら、いや、鈴木さん、逆だよ、工賃は下げられていると。

 高度成長期、バブルが起きて、バブルの崩壊、リーマン・ショックと様々な時代を乗り越えて、今日まで商売を続けてきた。去年議論になりました半導体の件も含めて、様々な業種が、業態で水平分業が進み過ぎたために多重構造になり過ぎてしまって、一番末端で仕事をしているような中小零細事業者や現場で働いている事業者に対してしわ寄せが来ている社会になっちゃっているんじゃないかということなんです。

 その構造を変えない限り、中小企業の事業継続と成長はないものと考えるんですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 下請の中小企業と大企業とは、同じ目標に向かって取り組むパートナーです。サプライチェーン全体での事業継続や成長のために、得られた利益を受注側と発注側で適正に分かち合い、共存共栄を図ることが極めて重要です。

 こうした観点から、取引適正化を進め、下請企業に適切な利益が分配される環境を整えることで、成長と分配の好循環を実現してまいりたいと思います。

 具体的には、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言を推進するとともに、フォローアップ調査などを通じて、実効性の向上に取り組むこと。全国百二十名の下請Gメンを倍増し、体制強化することで、全国各地の下請企業の現場の悩みを丁寧に聞いた上で、業種別ガイドラインの改善など、課題解決につなげていくこと。さらに、三月の価格交渉促進月間のフォローアップとして、二千社に対する下請Gメンヒアリングや、十五万社の下請中小企業に対する調査を実施し、これらを踏まえて下請振興法に基づく指導助言を実施すること。こうした法執行の強化を通じて、取組の実効性向上を図ってまいりたいと思います。

 今後も、適切な利益が下請企業に残るように、関係省庁と連携し、取引の適正化に取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 大臣も、答弁されるときに文書を一生懸命読んで、今答弁いただいたやつは予算委員会で答弁をいただいた内容だと思うんです。

 今は、国民民主党も、この国会は賃金を上げる国会だということで取り組んでいるんですけれども、やはり、現場で中小の経営者の方と話をすると、鈴木さんは賃金上げろ賃金上げろと言うけれども、工賃を上げてもらわなけりゃ賃金上げられないよねと。これは卵が先か鶏が先かになるんですけれども、大臣が今御答弁いただいたように、公正取引委員会だとか、パートナーシップだとかという宣言を受けたとしても、はい、分かりました、じゃ、あなたの工賃は何%上げますよというふうに、大企業なり元請さんがやってくれればいいんですけれども。例えば、土木の仕事をしている同期のやつがいますけれども、この間行って話を聞いたら、どうだい、資材がいろいろな形で上がってきちゃっているけれども、元請さんの方に価格交渉できるかいと尋ねたら、価格交渉なんかこれっぽっちも出ないと。それが現実ですよね。

 だから、その一つと言われているのが、もう少し具体的な話をさせてもらいたいんですけれども、大手は生産性が高いとよく言われるんです。中小は生産性が低いというふうなデータを見たことがあります。

 政府は、生産性を上げろ上げろ、いろいろなサポートをするから、補助金を出すから、融資制度を拡充するから生産性を上げろと言うんですけれども、現場の話を聞くと、ロットがまず小さい。生産性を上げたいにも、オーダーで来る発注量が少ないんですよね。それと、納期がタイト。これは、大体どこの中小零細の事業者さんに聞いても同じような話をされます。

 大手は、考えてみれば、生産性の高いものしかやらなくて、生産性の低いものを中小零細にやらせているんじゃないかというふうに私なんかは感じるんです。その中で、生産性を上げろと幾ら太鼓をたたいても、やはり上げられないんじゃないかと思うんです。

 それともう一つ、中間マージンを取り過ぎてしまっていて、それが、元請さんがあって三〇%マージンを取って、下請に行ったらまたそこが三〇%取る、二次下請のところで、実際、物をつくったり現場でやっているのは四〇%で製品をつくっている、こういう話を聞くんですね。その逆で、売値が決まっているから、どんどんどんどん下に、マージンを取られてしまって、それをこの三十年、四十年、五十年ずっとやってきたがために、機械を入れ替えたくてもできない、従業員の給料を上げてやりたくてもできないというのが今の現状じゃないかと思うんですけれども、これを正さなければやはり中小零細企業の未来は私はないんだと思うんですが、大臣の御所見をもう一度お尋ねしたいと思います。

萩生田国務大臣 問題意識は先生がおっしゃるとおりなんです。

 それで、じゃ、だからといって、補助金をつくったりGメンがどこかへ訪ねていったからといって、直ちに下請の工賃や取引金額が上がっていくかというと、それは難しいところがあると思うんですけれども、バブル経済の崩壊後、本当に、今年はとか、来年はとか、この仕事の次の仕事はとか言いながら我慢をしてきた中小零細企業の皆さんが日本中にたくさんいらっしゃいます。これは、どこかでやはり行司を誰かがやらないとフェーズを変えることができないという決心で、あのGメンなどをつくりました。

 そんなことを言ったって、下請の人がGメンに告げ口して、じゃ、次の仕事がなくなったらどうするんだ、こういう心配ももちろんありますので、これはあくまで匿名で、もっと言えば、事業者を特定するんじゃなくて、業種を、なるほど、この業界はこういう取引の慣例があるとすれば、これは全体的に見なきゃいけないなという、そういう今大改革をやっています。

 下請の皆さんの生の声もいろいろ聞いて、外からの圧力で少し取引価格が上がったんだけれども、その分協力会の会費を増やせと言われて、結局手元に残るお金は変わらないんです、こういう悲鳴のような声も聞いていますし、あるいは、協力会に行くときに取引先の社長よりいい車に乗っていったら取引価格を下げられたとか、こういう理不尽なものもあって。

 他方、下請の皆さんも、我慢に我慢を重ねているんだけれども、しかし、机をひっくり返したら、やはり、今目の前にある仕事を失えば、従業員や家族のことを守っていかなきゃならないという、この我慢の中でみんながずっとお見合いをしてきたという状況にあるので、ここは、我々としては、この賃上げ、そんな簡単じゃないよという先生のお言葉もよく分かりますけれども、やはり誰かが外から行司役を一回やらない限りはこれはブレークスルーはできないと思っていまして、是非、一つ一つ細かい案件も含めて、しっかり前に進めていきたいと思っています。

鈴木(義)委員 質問している自分が逆の立場だったら、じゃ、どうやって工賃を上げていくかとか、十年前に衆議院に当選したときからずっとそのことばかり考えてやってきたんですが、なかなか、私の足らぬ頭じゃ、すぐにこのパツイチの答えが出ないんですが、それをずっとやり続けなければ、特に、日本の場合は二十代の創業者が本当に諸外国から見ても少ないというデータを過去に見たことがあります。大体、創業する方というのは、メーカーさんに勤めていながら、ほかの会社に勤めていて、四十代で自分で会社を起こすという、世界の中でも若い人がチャレンジしにくい社会環境になっているので、そこのところを改善していくように不断の努力が必要なんじゃないかというふうに思っております。

 それともう一つ、次に、中小企業は社会保険料の二分の一の事業者負担がすごく重くのしかかっているという話は、過去からずっと言われてきたんだと思うんですね。

 特に、現在は、生産労働人口の七割を超える労働者の方がサービス業に従事しているんです。製造業は二七、八%、第一次産業と言われる農林水産業に従事している方は全体の二%ぐらいしかいらっしゃらない。

 労働集約型の事業所ほど社会保険料の負担が大きくのしかかってくるがために、先日も、私の地元からスーパーを経営している人が訪ねてきたんですが、パートで働いてくれる人が、社会保険料を払わなくちゃいけないと言ったら、私はもうこれ以上働けません、よく百三万円の壁とか百五十万円の壁、制度がばらばらにできているんですけれども、それがために結局パートの人が集め切れないという話をされたんです。

 今の現状の制度を、厚生労働省と財務省の方から資料をもらって、それに基づいて説明をさせていただいたんですけれども、国として、パート、アルバイトの方に社会保険料を、加入を促進させるといったときに、その社会保険料の二分の一の事業者負担を何とか国の方でサポートしてもらえないものだろうかというふうに思いますので、御答弁いただきたいと思います。

屋敷政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険料の負担についてでございますが、事業継続をしていただくというためにも、一時的に企業の方で社会保険料の負担が難しいような場合は、その納付につきまして猶予をさせていただくという仕組みが設けられております。様々な御事情があるということだと思いますが、その事業所の状況に応じまして、例えば分割納付を認めるなど、柔軟に対応をさせていただいているところでございます。

 このような猶予の仕組みを御活用いただきまして、事業継続、つなげていただきたいと考えておりますし、そのような仕組みがより一層使われますように私どもの方としても周知、広報を進める、そういう形で支援を進めさせていただきたいと考えております。

鈴木(義)委員 事業は継続していかないと事業にならないと思うんですね、単発で仕事をやっているわけじゃないから。だから、そのとき猶予されたとしても、その後同じように仕事を継続してやっていかなければ、利益も生み出されないわけですよね。

 大手と同じように中小零細が同じ労働条件を持ちなさいよという制度をこれからもやり続けようとすれば、どんどんどんどん負担が増していくだけで、中小零細は立ち行かなくなっていくと思うんです。そこのところをやはり考え直す時期に私は来ているんじゃないかと思うんですね。

 答弁できれば、もう一回。

屋敷政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険の負担でございますので、給付とのバランスを考える必要があろうかというふうに考えております。様々な事業実態、あるいは企業規模、あるいは収入の在り方などある中で、将来的な給付と負担のバランスを見ながら、また、その負担する中でもどのような負担の在り方がいいのかといった、そういう議論が必要かというふうに考えております。

 現在は標準報酬に基づきまして保険負担をお願いをしておるということですが、それがどのような形であればいいのかということについては幅広い議論が必要であるというふうに考えております。

鈴木(義)委員 先ほどの下請の話と似ているところがあるんですけれども、全体の社会制度を見直していかない限り、今の議論をこれから先に何回も話をしても結論が出ていかないんだと思うんです。

 先ほども申し上げましたように、二十代の起業率が本当に少ない国なんです。イノベーションしろとかベンチャー企業の育成というふうに声高々におっしゃられるんですけれども、実際、そういうふうに現場はなっていない、そこのところを是非認識してもらいたいなというふうに思います。

 もう時間が来ているので終わりにしますが、是非賃金を上げるように経産省を挙げて取り組んでもらいたいと思うんですが、最後に大臣の御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。

古屋委員長 萩生田経済産業大臣、簡潔にお願い申し上げます。

萩生田国務大臣 経産省としては、民間企業の賃上げを支援するため、賃上げ税制についての税額控除率を大胆に引き上げるなどの抜本強化に加えて、事業再構築補助金、生産性向上への支援、ものづくり補助金、賃上げに取り組む赤字企業の特別枠、パートナーシップ構築宣言、下請取引の適正化など、総力を挙げてやはりやっていかなきゃいけないと思いますので、一つ一つ結果が出るように努力したいと思います。

鈴木(義)委員 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 ロシアが三月四日、ウクライナ最大のザポロジエ原発を攻撃した危険極まる蛮行を、断固糾弾するものです。万が一にも原子炉が破壊されれば、福島原発やチェルノブイリ原発の重大事故をはるかに超える大惨事、人類全体の生存を脅かす犯罪行為となります。日本政府は、国連憲章と国際法に基づいて、ロシアに無法な侵略をやめさせるための外交努力を尽くすように、重ねて求めておきます。

 その上で、質問に入ります。

 萩生田大臣は三月二日の所信で、コロナ禍で傷ついた事業者に必要な支援を迅速に届けると表明されました。

 一月末日にやっと申請が開始された事業復活支援金は、オミクロン感染前の制度設計の上、今年三月までの見通しが立つようにとした支援策であります。コロナ禍丸二年の年度末、何とか耐えてきた事業者は、今、存続の危機にある。

 先週も、私は、新宿の個人事業者から、月当たり十万円では復活どころか維持すらできない、この二年間、貯金を切り崩し、借金もし尽くしたと、悲痛な声を伺いました。

 蔓延防止は十八都道府県で再延長されました。四月以降の直接支援策はどうするのか。給付額を増やして、継続支援が必要じゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、新型コロナの影響により厳しい状況が続く事業者の皆様に対して、固定費の約半分を目安として、十一月から三月までの五か月分を一括給付するものです。

 この支援金は、売上減少要件を緩和して、三〇%以上の事業者も新たに支援対象としているほか、月単位で比較した場合、持続化給付金よりも充実した支援額となっています。

 一月末から申請受付を開始し、審査を進めているところでありまして、まずはこの支援金の給付に全力を挙げたいと思います。

 また、年度をまたいだ事業継続を支援するために、政府系金融機関による実質無利子無担保融資を六月まで延長することを決めました。さらに、新分野展開などを後押しする事業再構築補助金を拡充するなど、事業者のニーズに合わせたきめの細かい支援措置を講じております。

 その上で、四月以降の給付については、現時点では、新型コロナの感染状況や、これによる事業者への影響も見通すことが困難であるため、予断をもって申し上げることはできませんが、いずれにしましても、事業者の状況を注視しつつ、厳しい状況に置かれている事業者の皆様をしっかりと支えてまいりたいと思います。

笠井委員 大臣はよく、不正受給や無資格受給者を防止する観点というようなことを言われるわけですが、一時・月次支援金を問題なく受給した事業者からさえ、一か月以上も待たされて音沙汰なし、息も絶え絶えという悲鳴が上がっております。今大臣言われたんだけれども、まず、必要とする事業者に三月までの支援金を届け切る、これに全力を挙げるということを強く求めたい。

 その上で、融資といっても、もう借りられないという方がいっぱいいらっしゃるわけですね。東京商工リサーチ、三月八日、昨日発表によりますと、コロナ関連の経営破綻というのは、二〇二〇年二月以降で累計三千二十三件、飲食、建設などを中心に事業継続の断念が目立つという状況です。

 もう年度末の三月、今度は、四月からの事業の見通しが立つような、まさに直接支援がどうしても必要だというふうに思うんですね。今こそ、持続化給付金並みの直接支援、これを決断すべきじゃないか。三月ということで、まだ感染状況の見通しが立たないと言われるけれども、しかし、やはりそういう決断をしないといけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか、改めて。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、新型コロナの影響を受けて厳しい経営状況にある事業者に、使途に制限のない現金を給付するという、返済を前提とする融資などによる支援を超えた、臨時の、異例の支援策であります。

 先生おっしゃるように、今、支援金がまだ届かないという方の声もあります。逆に、二週間と言ったんですけれども、もっと早く届いている場合もあるので、なぜ足踏みしてしまっているのかということをまず今丁寧にお伝えして、不足をする資料があったら出してもらうというやり取りをしていますので、何とか迅速にそういう方たちのお手元に届くように努力をしたいと思います。

 その上で、新型コロナの影響による事業者の状況を注視しつつ、これは四月になったら考えますということじゃなくて、不断の検討を今省庁横断でも行っておりますので、しっかり、事業者の皆さんにも寄り添った対応を考えていきたいと思っています。

笠井委員 もうあと三週間で四月、このままではそれ以降の直接支援がなくなってしまう。これでは、今本当に頑張っている事業者の方が絶え絶えという状況ですから、本当に急いで具体化をしていただきたいと、改めて強く求めておきたいと思います。

 次の問題ですが、東京電力福島第一原発事故から十一年、いまだに原子力緊急事態宣言が発令中であり、帰還困難区域解除のめども立っていないという下で、八万人余りの方がふるさとに戻れない。二度とあのような事故を起こさせてはならないというのは、日本国民共通の強い思いであります。

 萩生田大臣は、原発について、そういう中で、安全性の確保を大前提に再稼働というふうに言われておりますけれども、昨年十月に閣議決定した、岸田内閣としては初めての基本計画、第六次エネルギー基本計画では、原発の安全性よりも、原発を動かすことを前提にしているんじゃないか、そうなっているんじゃないでしょうか。

萩生田国務大臣 昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画において、「原子力は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。」というふうに記されております。

 こうした観点から、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために、原子力については、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくこととしております。

笠井委員 安全性の確保を大前提にというのが枕言葉じゃいけないと思うんですよ。エネルギー基本計画における再稼働の位置づけの問題を議論している。

 じゃ、実際どうかということなんですが、第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の総発電電力量は九千三百四十億キロワットアワー程度を見込んでいる。電源構成では、原発は二〇から二二%と見込まれております。原発の発電電力量は、千八百六十八億キロワットアワーから二千五十五億キロワットアワーというふうになるというふうになりますよね。

 経産省によれば、直近の二〇二〇年度の原発発電比率は三・九%と速報値で出ております。そうすると、この二〇%台とはほど遠いということになると思うんですが、大臣、二〇三〇年度には、じゃ、そのパーセントに対応する、何基、どこの原発が稼働しているというふうに見込んでいるんでしょうか。

萩生田国務大臣 実際の設備利用率などは発電所ごとに異なるために、確定的にお示しすることはできませんが、運転年数に応じた出力規模の平均値などを用いて機械的に計算すれば、二十五から二十八基程度で、原子力比率の二〇%から二二%は達成できるという計算をしております。

笠井委員 二十五から二十八基程度って、ほぼ全部ということになりますね。二〇から二二%の算出根拠はないというのは不可解であります。機械的にという話じゃなくて、その辺のことがどういうふうに詰められているのかという問題で、結局、地元住民や国民からの批判を恐れて隠しているんじゃないかということが問題になると思うんですね。

 日本原子力産業協会の新井史朗理事長は、本年二月二十二日付の電気新聞のインタビューで、政府目標として、温室効果ガス、二〇三〇年四六%減があると。少なくともそれまでに、現在、新規制適合性審査を申請しているプラントは全て稼働していなければならないと。現時点で未申請のプラントについても、ある程度審査が進んでいる必要があるというふうに述べておりますけれども、結局、こういうことが真相ということになるんじゃないですか。

萩生田国務大臣 原子力比率の達成に必要な二十五から二十八基の中には、審査が現段階で進んでいない原発や未申請の原発も含まれ得ると思います。

 将来の原発の稼働状況は、事業者の判断や原子力規制委員会による適合性審査の状況、さらには地元の御理解などによって決まるものであり、現時点でもって予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

笠井委員 配付資料一を御覧いただきたいと思います。第六次のエネルギー基本計画に定めた発電電力量を達成するための原発稼働状況を試算した結果であります。

 原子力規制委員会に、再稼働の前提となる原子炉設置変更許可を申請した原発は二十七基あります。二〇三〇年度の総発電電力量九千三百四十億キロワットアワーの二〇から二二%というのは、その全てを再稼働させて、稼働率八〇から八五%にして初めて達成できるというものでありますけれども、しかも、二十七基中、電源開発の大間原発と中国電力の島根原発三号機は建設中であります。電力会社が既に廃炉を決めた原発以外、未完成のものまで含めて全て運転させなければならない、そういうことになるんじゃないか。

 しかも、今大臣は二十五から二十八基と言われましたが、そうなると、申請しているもの以外のものもありますよね。建設中以外のもありますよね。新たに造るということも想定しているということになりますか。

萩生田国務大臣 新増設、リプレースについて、現時点では想定していないというのが政府の基本方針であります。他方で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求することとしております。

 こうした方針の下で、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには将来につながるような原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかりと進めてまいりたいと思います。

笠井委員 現時点では新増設は想定していないと言われますが、先ほど、単純に機械的にやれば二十八基ということで言われた。二十七基が今申請した原発ということになっていますが、じゃ、二十八基目って、どこなんですか。

萩生田国務大臣 先ほど答弁しましたけれども、未申請のものも対象となるということです。

笠井委員 具体的にはどこでしょうか。

萩生田国務大臣 現段階で特定をしているわけではありません。

笠井委員 その辺も非常に問題があると思うんですね。

 東日本大震災前に、日本の原発稼働率は一九八一年度から二〇一〇年度の間で、九八年度で八四%になったことはありますけれども、平均でいいますと七三%が実績です。それをその二十五から二十八で、どれだけの稼働率でやるということが本当にできるのかという問題があるということになってくると思うんですね。

 安全優先の再稼働というふうに繰り返し言われるわけですが、その前提となる原子炉設置の変更許可を規制委員会に申請した二十七基の内訳はどうかということを見ますと、配付資料の一にありますが、これまでに規制委員会の審査で再稼働の許認可を得て、短期間でも再稼働したのは、その1にありますね、美浜三号機、高浜三号機、高浜四号機、大飯三号機、四号機、伊方三号機、玄海三号機、玄海四号機、川内一号機、二号機の十基であります。

 じゃ、4のところで、敦賀の二号機、泊の一号機それから二号機、三号機、東通の一号機、それから浜岡の三号機、四号機、志賀の二号機の八基と建設中の二基というのは、この4のところは規制基準の適合の審査さえ未了だということだと思うんですけれども、規制庁、それで間違いありませんか。

市村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました十基については、原子力規制委員会において、原子炉設置変更許可申請の審査中のものでございます。

笠井委員 八基と建設中の二基については。

市村政府参考人 八基、それから建設中の二基を含めて、この十基については、設置変更許可申請の審査中でございます。

笠井委員 審査中というのは未了ということですね。

市村政府参考人 現時点では審査が終了していないということでございます。

笠井委員 萩生田大臣、二〇三〇年度末に、原子炉等規制法で定めた原発運転期間の原則四十年超となるのは十二基あります。

 現時点で規制委員会から四十年超の運転認可を得ている美浜の三号機、東海第二、高浜一号機、二号機の四基以外ですね、この四基というのはこの配付資料ではブルーの色になっていますけれども、それ以外の緑のところで、高浜三号機、四号機、川内の一号機、二号機、島根の二号機、敦賀の二号機、泊の一号機、浜岡の三号機の八基は、今後、それぞれ規制委員会から四十年超の運転期間延長認可を受けておかないといけないということになるわけですけれども、四十年超の延長認可の審査をパスする保証というのはまだどこにもないはずであります。

 そうなりますと、二〇から二二%達成ありきが結論なので、規制委員会の判断はどうでもいい、あるいは審査は必ずパスするという認識で今この計画が作られているということになるんじゃないでしょうか。

萩生田国務大臣 二〇三〇年のエネルギーミックスにおける原子力比率の実現に向けては、安全性の確保を大前提とした再稼働を着実に進めていくことに加え、安全性の更なる向上などを通じて設備利用率を向上させるとともに、一部の炉については、法令で認められた四十年を超える運転期間延長を行うことによって、この目標を達成することを目指しています。

 規制の在り方、設備改修の在り方、これはもう規制委員会が独立した判断で行うものでありますから、我々は、それにのっとって、適合したものをきちんと整備をしていくということでございます。

笠井委員 規制の基準、その判断は規制委員会ということになりますが、しかし、計画の方は、安全性の向上を前提ということにしながら、結局、それだけ動かすということが計画になっているということであります。

 この4で言う十基ですけれども、現時点では規制委員会の審査が未了だと先ほども規制庁からありました。それなのに、閣議決定による基本計画で、原発、二〇から二二%と結論を固めたら、幾ら審査に影響を与えるものじゃないというふうに言っても、規制委員会の審査は、全て合格という結論先にありきということになるんじゃないか。

 じゃ、今、大臣が触れられた問題との関係で見ていきたいと思うんですが、エネルギー基本計画策定に向けた、電力・ガス事業分科会原子力小委員会、二〇二一年、昨年の四月十四日の会合でありますけれども、そこに提出した資料で、ここにありますが、資源エネルギー庁はこう言っております。原子力発電所を最大限に活用するためにはということで、一つは設備利用率の向上や、二つ目に、四十年を超える長期運転の取組を進めていくことが必要というふうにしております。

 同じ日の小委員会に、配付資料の二にありますけれども、その上段にありますが、電気事業連合会は、電事連ですね、その「取組みの全体像のイメージ」と、対応する形でそこまで明らかにした資料を提出をしております。

 大臣、このエネ庁の資料を見ますと、例えば、設備利用率の向上を図る具体的な方策の検討を官民一体で開始すべきではないかというふうにしておりまして、定期検査期間の効率的実施とともに、運転サイクルの長期化と。つまり、定期検査の間隔について、現在、十三か月に一回から、十八か月あるいは二十四か月に一回へと区分変更というふうにあります。そういう検討を官民一体で進めるということなんでしょうか。

萩生田国務大臣 国際原子力機関、IAEAによれば、長期運転とは、許認可期間、当初のプラント設計、関連規格又は国内規格によって定義された一定期間を超える運転とされています。日本に当てはめれば、原子炉等規制法が定める当初の運転期間である四十年を超える運転が該当します。

 気候変動対策を進める中にあっても、安定的で安価なエネルギー供給を確保することは重要課題でありまして、長期運転か否かにかかわらず、安全確保を大前提とした上で原子力を利用していくことは欠かすことができないと考えております。

 このため、原子力規制委員会による厳格な審査の結果が全てでありまして、いろいろな勉強会で民間の事業者の人たちといろいろな意見交換、それを交わすこと自体がけしからぬということには私はならないんじゃないかと思いますけれども。

笠井委員 いろいろな勉強会じゃないんです。エネルギー基本計画策定に向けた、結局、分科会の中での議論として、そういうことがやり取りされているということになっているわけです。

 定期検査間隔を十三か月に一回から十八か月又は二十四か月に一回とするというのは、形式的には確かに原子力規制委員会の規則からは逸脱はしていない。しかし、現在の十三か月に一回の運用というのは、原発の施設や機器の安全上の性能を維持する目的があるというふうに規制庁は説明しているわけです。

 エネ庁は、原子力事業は初期投資が大きくて、長期安定的に運営して回収することで事業性を確保する事業構造という課題があるからと言うんですけれども、結局、そうなりますと、安全性よりも、原発産業界の事業性の確保、利益優先ということになるんじゃないですか。

 そういう問題でいうと、単なる意見交換というんじゃなくて、エネルギー基本計画を作るに当たって、じゃ、どういう形でそれをやるかという議論の中でそういうことが出ているんだから、安全性よりも、事業性の確保や原発産業界の利益の方が優先されているという形になっているんじゃないか。いかがですか。

萩生田国務大臣 もちろん安全性が優先をされるわけでありまして、したがって、独立した委員会が、原子炉等規制法にのっとって、そしてルールを決めるわけですから、たまたま十八か月はどうだろうかという意見が出たとしても、十三か月がふさわしい、それはこういう根拠だということであれば、それに従うのが当然だと思います。

笠井委員 エネルギー基本計画の関係で、そういうふうに規則を変えていく、法令の運用を変えていくということになるわけですから、これは極めて重大だと言わなきゃいけないと思うんですね。

 じゃ、原発の長期運転ではどうか。

 配付資料の二の真ん中あたりにありますが、電気事業連合会が提出した資料では、原子力産業界一体で安全性を確保した長期運転を進めていくが、現行の運転期間制度の下、つまり、原則四十年と、規制委員会が認可した場合だけ二十年を超えない範囲で延長できる制度の下で、各事業者は、四十年目を前に、安全対策投資に対する回収見通しが厳しくなるおそれが出つつある状況にあるというふうにしているわけですね。その上で、下に書いてありますが、現行の運転期間制度を規制当局の見解も踏まえて見直すことは政策的な課題と認識している、検討いただきたいと。

 つまり、これは、規制当局の話というよりも、政策的な課題だから経産省としてきちっとどうするかということだと思うんですよね。このことを求めている。つまり、採算の取れない制度というのは変えてもらいたいというのが原発産業界の要求ということになります。

 大臣、電気事業連合会、電事連を始めとして原発産業界はそういう要求をしている。そのとおりに原発の運転期間の制度も見直すということでやるというのが、結局、エネルギー基本計画を提出する上で必要だということになるんでしょうか。

萩生田国務大臣 繰り返しになりますけれども、原子力発電所の運転期間については、原子力規制委員会が所掌する原子炉等規制法で規定されるものでありまして、現時点では、政府において同法の規定見直しを検討しているような事実はないと承知しております。

笠井委員 事業界の方は、そういうことができないと、結局、二〇から二二%については達成するということが、自分たちは仕事ができないという話になって、政策的な課題として認識しているので、政府に対してそのことを見直せという要求をしているということになるわけですよ。

 もし見直すということになれば、東京電力福島第一原発事故を契機にして、原発事故は二度と起こさないという趣旨で新たに作った原則四十年という原発の運転期間ルールも否定することになる、こういうことになりますよね。どうですか。

萩生田国務大臣 原子炉等規制法は、原子力発電所を運転することができる期間を四十年とし、一回に限り最大二十年の運転延長を可能としております。この法律において、運転期間に関して、原則ですとか例外といった規定はないものと認識しております。

 運転期間の延長に当たっては、事業者からの申請があった場合に限り、劣化の程度や保全計画の妥当性を厳正に確認するなど、科学的、技術的な観点からも、改めて厳格な基準による審査が行われるものと承知をしております。

 この制度はこれまで変更されておらず、原則、例外ということではなくて、原子力規制委員会による厳格な審査の結果、運転期間の延長が認められた場合には、政府としてはその判断を尊重するというのが、従来からの政府の一貫した姿勢であります。

笠井委員 原則の問題とかって、そういうふうに言われると、結局こういう問題なわけですよ。元々やはり四十年ということになっていて、それを例外ということで六十年みたいな話になってきて、その例外をどんどん認めるようになったら原則じゃなくなってくるという議論として、さんざんこの委員会でもやってきました。

 そういう性格の問題で、結局、そういう形で、このエネルギー基本計画において、安全性の向上ということを最優先にするということでずっと言葉では言うんだけれども、実際には、動かすということになって、一向になかなか再稼働が進まないというふうな形で、やはり再稼働を進めたいということで、それをやるというために、やはり、福島事故がなかったかのように、二〇から二二%と。

 先ほど、二十五基から二十八基という話も大臣から出ました。二十七基までは申請ということであるんだけれども、二十八基目はどこかといったらそれは分からぬという話になっているんだけれども、そういう形で、現時点では新増設は想定していないと言いながら、結局、それだけを確保するというのがあって、どれだけたくさん原発を再稼働するかという議論になっていくというのが、これは極めて重大な問題だと思うんですね。

 しかも、重大なのは、このエネルギー基本計画で、事業者間の連携組織ということがあります。ATENAという組織がありますけれども、原子力エネルギー協議会ですが、これを位置づけていることだと思うんです。これはたしか第五次の計画の中から入っていますが、東京電力など原子力事業者や、それから三菱重工、日立など原発メーカー、それから電気事業連合会などから成るこのATENA、原子力エネルギー協議会という組織は、この配付資料の二のところにもあるように、既に規制当局との意見交換をして、運転期間制度の見直しにも関与している。

 大臣は、とにかく規制の話は規制委員会ですよという話をするけれども、こういう形で関与しながら、原則を緩めるような方向で議論が進んで、規制委員会の方でもそういう形で対応しているということが出ているわけですよね。

 大臣、第六次エネルギー基本計画における原発の電源構成比率の二〇から二二%というのは、これは私、今も議論していて、どこが安全性の確保が大前提だという問題じゃないかと思うんですね。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを大義名分あるいは口実に使いながら、原発の再稼働、そして利用率の向上、長期運転ありきという形で、電事連や原発の産業界の要求に応えているだけじゃないか。意見交換と言われたけれども、結局、要求があって、そしてそれに対応するような形で政府も方向を打ち出して、そしてその中でエネルギー基本計画を決めて、二〇から二二%、これをやるんですよと。そのために、いろいろな、安全性の向上とかも言いながらだけれども、結局、今までのいろいろな規制とか制度を緩めて、結局どんどん動かしていくという方向にならざるを得ないじゃないか。これでいいのか、福島事故を経験した日本がということになると思うんですけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 規制を緩めて再稼働を前倒しにしていくということを前提にしていません。厳しい規制の中で、第三者の機関が厳格に検査をし、そして、与えられた条件によって改築、改修工事、あるいは更なる上乗せの工事をしているわけじゃないですか。だから動いていないわけですよね。

 ですから、それはもう規制委員会の厳重な審査というのは、これからも必要だと思います。それを何か、足下で都合よく簡単なものに変えていこうじゃないかなんということを政府が考えているわけでは全くありませんので、そこは、今までのルールにのっとって、しっかり前に進んでいきたいと思います。

笠井委員 厳しいルールと言いながら、実際には緩める方向で議論がされている。その下で、エネルギー基本計画が作られているということは明らかだと思います。

 原発は、放射能汚染という最悪の環境破壊を引き起こします。使用済核燃料が増え続けて、数万年先まで環境を脅かし続ける。原発を環境のためと推進するほど、無責任な政治はありません。

 この間、原発訴訟で、最高裁の決定に基づいて、東電の賠償が相次いで確定をした。いよいよ国の責任が問われております。危険な老朽原発を延命させても、近い将来の新増設が必須になる。福島事故を経験して、国民多数が原発ゼロを望む日本で、どこに原発を造れるのか。

 どんな内外情勢でも、一番安定かつ安全な国産のエネルギー源というのは再エネだと思うんです。これこそ真のSプラススリーEだということで、大いに転換するときだ。

 私たちも、気候危機対策と併せて二〇三〇戦略というのを予算委員会でも大臣とも議論しましたが、そういう方向も含めて、省エネ、再エネで、二〇三〇年度、CO2、五割から六割削減する、そしてエネルギーを確保して、これからやっていくという方向で進めていくべきだということを改めて強く申し上げまして、時間になりましたので、終わります。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。萩生田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 貿易保険法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

萩生田国務大臣 貿易保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 日本経済の持続的な成長を実現していくためには、日本企業の海外展開を支援することにより、著しい経済成長を遂げる新興国等の海外の旺盛な需要を獲得していかなければなりません。しかし、長引く米中対立等の地政学的な懸念の高まりや各地でのテロ、内乱の発生など、国際情勢は不確実性を増しており、海外展開を行う日本企業が直面するリスクは、重大化、複雑化しています。こうした国際情勢の下で、貿易保険制度は、対外取引を行う日本企業が戦争や革命等によって被る損失を填補するなど、その事業リスクの低減に貢献しており、その重要性はますます高まっています。

 一方で、足下では、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、日本企業の行う対外取引が数多くの新たなリスクに直面していることが顕在化しました。また、グローバルサプライチェーンの高度化に伴い、直接投資に加え、間接投資も拡大する中で、日本企業においても、間接投資先で生じる損害等のリスクが増大しております。さらに、このような環境変化の中で、日本企業による新たな事業機会の拡大に向けて、これを支援する金融機関も国際的な連携を強化する必要性が一段と高まっています。このため、日本企業が対外取引に当たって新たに直面しているリスクを低減するなど、日本企業の国際的な事業展開をより一層支援する環境整備が必要です。こうしたことを踏まえ、本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、日本企業が海外で行うプラント建設等が中断された場合に、当該企業が被る人件費や貨物保管費等の追加的費用を対象とする輸出に係る貿易保険の填補事由を、感染症や自然災害を含む非常リスク全般に拡大します。

 第二に、サプライチェーン全体の強靱化に向けて、日本企業の間接投資先に生じた損害によって当該日本企業に損失が生じた場合を、新たに投資に係る貿易保険の填補事由に追加します。

 第三に、株式会社日本貿易保険による国際的な連携強化のため、株式会社日本貿易保険の業務に、貿易保険と同種の保険事業を行う外国法人に対する出資を追加します。

 その他、中堅・中小企業等の海外展開を一層後押しするための信用状確認保険や、日本企業のインフラプロジェクト等への参画を促進するためのスワップ取引保険を新設するとともに、保険金支払いの原資となる財務基盤を強化するため、株式会社日本貿易保険の余裕金の運用方法に譲渡性預金証書の保有を追加するなど、所要の措置を講じます。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますように、よろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


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