衆議院

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第4号 令和4年3月16日(水曜日)

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令和四年三月十六日(水曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井出 庸生君    井原  巧君

      石井  拓君    岩田 和親君

      大串 正樹君    上川 陽子君

      国定 勇人君    国光あやの君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      中川 貴元君    中野 英幸君

      西野 太亮君    西村 明宏君

      堀井  学君    八木 哲也君

      山下 貴司君    山本 左近君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    鎌田さゆり君

      菅  直人君    神津たけし君

      末次 精一君    山崎  誠君

      青柳 仁士君    漆間 譲司君

      藤田 文武君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 田村 公一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 飯田 祐二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           弓削 州司君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          飯田 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   参考人

   (株式会社日本貿易保険代表取締役社長)      黒田 篤郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  星野 剛士君     井出 庸生君

  山下 貴司君     八木 哲也君

  大島  敦君     神津たけし君

  菅  直人君     鎌田さゆり君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     星野 剛士君

  八木 哲也君     山下 貴司君

  鎌田さゆり君     菅  直人君

  神津たけし君     大島  敦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社日本貿易保険代表取締役社長黒田篤郎さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として国税庁長官官房審議官田村公一さん、経済産業省大臣官房長飯田祐二さん、経済産業省大臣官房審議官弓削州司さん、経済産業省通商政策局通商機構部長黒田淳一郎さん、経済産業省貿易経済協力局長飯田陽一さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん及び中小企業庁事業環境部長飯田健太さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石井拓さん。

石井(拓)委員 自由民主党、石井拓です。質問の機会を賜り、ありがとうございます。

 早速、今般提出されました貿易保険法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。

 今回の改正は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延を契機に、対外取引を行う我が国企業が様々なリスクに直面していること、また、昨今の対外取引の複雑化、複層化や、国際分業の進展など、状況を捉えての改正と理解しております。

 株式会社日本貿易保険、NEXIの行う貿易保険は、企業の行う輸出、投資、融資などの対外取引において生じる、民間保険では救済できないリスクをカバーするもので、中長期の収支相償の原則の下、行われることとしております。

 そこで、お尋ねします。

 まずお聞きしたいのは、このNEXIの昨今の事業実績について、いかがとなっておりますでしょうか。また、保険支払いの事例としてどのようなものがありますか。説明をお願いいたします。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 NEXIの事業実績についてでございますが、令和二年度は約六・一兆円の保険を引き受けております。これに伴う保険料収入は約三百十九億円で、保険金支払い額は約二百三十一億円となっております。また、令和二年度末の貿易保険の責任残高は約十二・七兆円であります。

 主な保険金支払い事例といたしましては、例えば、いずれも海外投資保険ではありますが、二〇一九年、アルゼンチンで自国通貨の急落を受けて海外への送金が規制され、現地企業が配当金を海外へ送金するよう同国へ申請しても許可がされず、親会社である被保険者が配当金を受け取れなくなって損失が発生した際に約四千万円の保険金を支払った事例や、二〇二〇年、新型コロナウイルス感染拡大によりまして米国にある主要販売先でのロックダウンが発生し、自動車メーカーが減産を決定したとき、中米にある被保険者の部品工場も事業休止せざるを得なくなりまして損失が発生した際に約十四億円の保険金を支払った事例などがございます。

石井(拓)委員 御説明ありがとうございます。

 民間保険ではカバーし切れないところ、不測の事態が生じたところで保険の支払いを行っているということで、大変、保険に入れば安心できるという保険だと思っております。

 そして、先ほど、新型コロナウイルス感染症についても支払いをされているということもありました。そして、今回の改正では、新型コロナウイルス等を踏まえた対応として、これまでの追加的な費用を対象とする保険というカテゴリーがあって、その部分では保険のカバーするリスクが戦争、革命、内乱のみとなっていたところ、今回の改正で、新型コロナウイルス感染症のような感染症を含む、当事者の責めに帰さない非常リスク全般が対象となってくる、これが今回の改正でもあります。

 そこで、お尋ねします。

 先ほどの、ほかの保険種によって既に新型コロナウイルスを事由として保険金を払ったという事例もあると説明がありましたけれども、この感染症による影響というのは、どのようなものを含むのでしょうか。

 例えば、事業現場近くがロックダウンになって働く人が勤務できないというものから、別の場所で感染が拡大しているが、その場所からの資材や部品の調達ができないので事業が止まってしまう、そして保険の対象になってきてしまうということも幅広く考えられます。

 感染症に起因する追加費用であるとのことでございますけれども、どのように設定するのか、御説明をお願いしたいと思います。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般的に、貿易保険は、事故事由の発生と因果関係が認められる損失につきまして保険金を支払うものでございます。

 新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、既に、投資先や部品調達先のロックダウンなどで本邦企業の海外拠点が一か月以上の事業休止となった場合に発生した損失に対しまして、新型コロナウイルス感染拡大と因果関係を認めて保険金を支払った事例があります。この場合、政府の事業停止命令などに係る公式発表や保険金請求者から提供された出資先事業の実際の状況に係る情報などを基に、新型コロナウイルス感染拡大と事業休止との因果関係を、NEXIにおいて個別に認定しております。

 今般の法改正で新たに対象とする普通貿易保険における追加費用につきましても、既に新型コロナウイルス感染症などにも対応しているその他の保険商品で既に行っている運用を参考に、事故事由と感染拡大との因果関係に係る認定を個別に行うことになります。

石井(拓)委員 御説明ありがとうございました。

 今回の、アフターコロナじゃないんですけれども、新型コロナウイルス感染症によって様々なケースが出てきておったと思います。その中で、追加費用の分が今まで該当していなかったものを、速やかな対応ということで該当させていただいたと思いますので、これについてはもちろん賛成していきたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 改正案の中で、本邦法人、日本法人の、我が国の法人の行う国際サプライチェーンに対しての強靱化に向けた対策、対応として、これまで直接投資先のみが対象であったところ、間接投資先についても対象となるように拡大されていきます。我が国企業の対外取引の在り方も、従来の物の売り買いだけではなくて、貿易取引から海外企業への投資、投資でも、直接その企業へ対する投資ではなくて、投資した海外企業がまた投資するという間接投資、簡単に言うとこうなんですけれども、もっと複雑でしょうけれども、などの事例が拡大していると聞きます。

 そこで、お尋ねします。

 今回新たに貿易保険の対象となるこの間接投資は、サプライチェーンのような取引関係で、どこまでの範囲内で対象となってくるのか、少し詳しく説明をお願いします。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 本邦企業がサプライチェーンをグローバルに拡大し、多種多様な企業との提携、協働を通して海外展開を図る中で、貿易保険の対象とする間接投資先につきましては、二以上の段階にわたる出資を含むとしておりまして、特に上限を定めておりません。

 一方で、NEXIが引き受ける貿易保険につきましては、国が引受基準を定め、NEXIはこの引受基準に従って個々の保険の引受けを決定することとされております。具体的には、引受条件として、閣議決定その他日本政府の方針を踏まえた上で引受けを行うこと、ほかの公的機関や他国輸出信用機関及び国際機関との協調に努めた上で引受けを行うこと、民間保険の利用の妨げとならないよう留意し引受けを行うことと定めております。

 NEXIは、個別の保険の引受けに当たりましては、本邦企業の御要望を踏まえつつ、この引受基準に従って本邦企業の間接投資先を具体的に確認し、貿易保険の対象として適当かどうかを適切に判断することになっておりまして、無条件にどのような間接投資先でも保険を引き受けるということではございません。

 さらに、二百億円を超える大型案件を引き受ける際には、経済産業大臣が意見を述べることが法定されておりまして、経済産業省におきましても保険の対象とする間接投資先の適切性を確認することとなります。

石井(拓)委員 ありがとうございました。

 保険契約をするときに事前にしっかりと確認をする、大型案件についてはそれ相応の確認、許可、許可と言うべきか、契約上の確認をした上で契約をしていくという形を取るということで、納得をいたしました。

 もう一つ、国際サプライチェーンの強靱化の対応として、今回改正点ですけれども、これまで前払いに関する保険については日本に輸入するものに限定していたものが、新たに仲介貿易についても対象とされます。ある国からほかの国へ、いわゆる外外取引ですね、日本に入ってくる、出ていくというだけではなく、外で行われる部分についても、それに対する前払いということになりますけれども、先にお金を払うという部分です。それで、そのお金が返ってくるかどうかですよね。外外取引まで保険の対象に加わるということになります。

 そこでお尋ねしますが、政府機関であるNEXIとして、仲介貿易についての前払い取引までを支援する、余りにも拡大しているんじゃないかなという気はしているので、そういった支援する意義はどんなところにあるのでしょうか、改めて説明をお願いして、我が国にどのような利益があるのでしょうか、お答えをお願いいたします。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 現行法では、前払い取引に関する保険につきましては、本邦に貨物を全量輸入する取引のみが対象となっており、仲介貿易は対象外となっております。

 しかし、今般の新型コロナウイルス感染拡大の影響による業況悪化などによりまして、貨物の購入代金の前払いが求められる取引が増えております。その中には、例えば、LNGなどの資源の取引では、緊急時には日本に輸入することを前提として資源を調達し、平時は第三国に輸出するといった日本に裨益する取引、すなわち日本の資源の安定供給の確保に資する取引もあります。

 そのため、仲介貿易を含めた日本に裨益する前払い取引を、今般の法改正におきまして保険の対象とすることといたしました。

 他方で、仲介貿易も様々であるため、実際に保険を引き受ける際には、国が定める引受基準に基づきまして、NEXIにおきまして引受けの是非を個別に判断することになります。

石井(拓)委員 ありがとうございます。

 これもまた新型コロナウイルス感染症によって前払いを求められるケースが多くなったというところに起因しているということの説明で、世界経済、日本企業もそういうことに実態はなっているようであれば、対応の幅を広げていくという方針も理解できると思っておりますので、説明の方、ありがとうございました。

 最後の質問に入りたいと思いますけれども、新型コロナウイルス感染症や国際サプライチェーンの強化、先ほどから質問させていただきました。この対応に加えて、国際情勢でいえば、眼下でロシア・ウクライナ情勢への対応も、言うまでもなく、海外への輸出あるいは投資などを盛んに行っている日本経済にとっても非常に重要な事項でございまして、大問題になっていると思います。

 NEXIの行う貿易保険は政府の信用保証で成り立っております。先ほどの説明もございました。令和二年度末の保険責任残高は十二兆七千億円と言われております。NEXIの総資産は令和二年度末で約一兆八千億円でもあります。さらに、貿易保険として、また貿易保険以外でも、日本企業のためにどのような対応を考えているのか、この点をやはりお聞きしたいと思います。是非お答えいただきたいと思います。

 例えば、貿易保険に入っていない企業や取引についても何らかの対応があるかどうか。不測の事態もございます。その点はいかがお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 ロシア・ウクライナ情勢により影響を受ける日本企業をしっかりとお支えすることが、まずもって重要であります。

 その観点から、委員御指摘の貿易保険につきましては、例えば、ロシアに対する制裁措置としての輸出規制により本邦企業が貨物を輸出できなくなった場合や、決済手段がなくなったことにより輸出した貨物の代金を回収できなくなった場合には、具体的に生じた損失の額に応じて保険金が支払われることになります。

 日本貿易保険、NEXIに対しては、今般の事態によって影響を受ける本邦企業を支援するため、相談窓口を設置するとともに、保険事故の通知があった場合には所定の手続に従って速やかに保険金を支払うことなどを指示をしております。

 なお、相談窓口には、三月十五日時点で百六十件、うち中小企業からは四十一件の相談が来ております。具体的には、既にロシア又はウクライナ向けの保険契約を締結していただいている既存のお客様から、どのような事態になった場合に貿易保険でカバーできるのかといった問合せや、ウクライナと新たな貿易取引を予定していた事業者から、貿易保険の内容についての問合せ等をいただいております。

 ジェトロに設置した相談窓口には、三月十五日時点で百十五件、うち中小企業からは五十六件の相談が来ております。具体的には、制裁措置が自社の輸出に与える影響など輸出規制に関する問合せ、ロシアとの貨物輸送や航空、海上物流に関する問合せ、金融制裁による自社の取引への影響など、決済、金融、為替に関する問合せ等をいただいております。

 経済産業省といたしましては、引き続き、産業界とも連携をし、日本企業に与える影響をしっかりと注視をしながら、その影響を最小限にとどめるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。

石井(拓)委員 御答弁ありがとうございました。

 いろいろな不測の事態に応じるNEXIでございます。そしてまた、相談窓口の件数も、これからも上がってくると思います。件数が増えると思いますので、何とぞ丁寧な対応の方をお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 まず、貿易保険法の一部を改正する法律案ということで、現下の国際情勢も踏まえた対策ということで、冒頭、大臣に一問御質問させていただきたいと思います。

 ロシアによるウクライナ侵略、様々な影響が生じております。もちろん、直接ウクライナですとかあるいはロシアとの取引関係、こういうこともございますし、また、ロシアに対する、今、経済制裁、SWIFT等も含めて様々な経済制裁が行われていくという状況の中で、経済に与える影響がどんどん大きなものになっていく。

 あるいは、そうした輸入が止まっていくことによって、いろいろな資源あるいは食料、いろいろなものに対する価格が上がっていったりですとか、あるいは、直接の制裁でなくても、やはり企業の判断として、なかなか、ビジネスとして、ここはロシアとの関係というのをどこまで続けていくのかと、いろいろな影響が出てくるわけでございまして、これを、全体としてどのような影響がというのを国として把握をするのはなかなか難しいものがあるかもしれませんけれども、一つには、貿易保険という、今まさに議論をしている貿易保険というもので対応ができる部分もございます。

 日本からロシア、輸出でいうと八千六百二十四億円、そして、輸入でいうと一兆五千四百三十一億円というデータも拝見をいたしました。ロシアの関連でのNEXIの貿易保険、引受残高は約二千八百八十億円というふうにお伺いをしております。もちろん、貿易保険全体ということなのでいろいろな種類のものがあるとは思いますけれども、まず一点目は、こうしたNEXIがしっかり取れる貿易保険の対策、これは丁寧に、また迅速に政府として対応していただきたい、これが一点でございます。

 そしてもう一点は、今後の情勢によっては経済に与える影響というのが大変大きな、戦後最大の危機になってくるかもしれない、こういう状況でございます。今、コロナ禍ということで、いろいろな企業を支える支援策というものはもちろんやっているわけでございますけれども、政府として、しっかり、こうした大きな影響が経済に及ぶことも、状況を注視しながら、やはり必要があればこれに対応するためのしっかりとした経済の対策、こういうものも含めて対策を講じていくべきではないかというふうに考えております。

 二点、貿易保険の関係そして全体的な経済対策ということで、併せて大臣にお伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 今回のロシアによるウクライナへの侵略とこれに対する各国の経済制裁等により日本企業が受ける影響を最小限にとどめるとともに、影響を受ける事業者をしっかりと支えていくことが重要だと思っております。

 その観点から、委員御指摘の貿易保険については、例えば、決済手段がなくなったことにより輸出した貨物の代金を回収できなくなった場合には、具体的に生じた損失の額に応じて保険金が支払われることになっております。

 日本貿易保険に対しては、今般の事態によって影響を受ける本邦企業を支援するため、相談窓口を設置するとともに、保険事故の通知のあった場合には所定の手続に従って速やかに保険金を支払うことなどを指示しております。

 そもそも、企業が貿易保険を付保していない場合は、これは保険で損害をカバーすることはできません。貿易保険以外の対応としては、日本貿易振興機構、ジェトロに相談窓口を設置しているほか、中小企業に対しては、政府系金融機関などに全国約千か所の相談窓口を設置するとともに、日本公庫によるセーフティーネット貸付けの金利を引き下げるなどの事業者支援を行ってまいります。

 経済産業省としては、引き続き、産業界とも連携し、日本企業に与える影響をしっかりと注視しながら、その影響を最小限にとどめるよう全力で取り組んでまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 しっかり状況を注視をしていっていただきたいというふうに思います。刻一刻と変わっていく状態でございますので、必要な対策というのもその時々でまたあろうかと思います。是非よろしくお願いいたします。

 もう一点、これは政府参考人にお伺いをしようと思いますけれども、貿易保険、先ほど、ロシアの場合ということで、引受残高のデータも少し出させていただきました。日本の貿易全体でいいますと、貿易保険が掛かっている割合でいうと大体六%ぐらいだという数字もお伺いをしたところでございます。この間、輸出から投資という形に日本の貿易の在り方そのものが変わっていく中で、こうしたところ、投資保険を含め、伸びているところにしっかり対応ができるのかというところの対応、こういうことも含めて今回の法改正もなされているということで承知をしております。

 もう一点、私、是非指摘をさせていただきたいのが、これから、日本の貿易という意味では、中小企業の海外展開というのをやはりしっかり後押しをしていかないといけないというふうに思っております。これは、一つの中小企業政策の一環としても、やはりこれから、成長分野、生産性を上げていくためには、海外展開というのも積極的に後押しをしていく。政府全体としても、例えば新輸出大国コンソーシアムですとか、いろいろな、海外に中小企業を展開をするような、こういう取組を以前からやっているというふうに承知をしております。

 他方で、大企業であれば、それぞれのリスクの高さというのをプロジェクトでしっかり判断をして、こうした投資というのを思い切ってやっていけるかとは思うんですけれども、どうしてもリスクがあってこれが進まないということもあるのではないかというふうに思っておりまして、そういう意味では、貿易保険を更に活用しやすくするということが、こうした中小企業の海外展開もしっかり後押しをできるのではないか、そして、NEXIなども、そうした役割の中で一つの大きな役割が果たせるのではないかというふうに考えております。

 今回、例えば、改正の中で、信用状確認保険ですとか、いろいろな仕組みがまた導入をされるというふうに伺っております。こうした中小企業の海外展開を後押しするという観点からのそうした貿易保険の活用、これについてどう政府として考えておられるのか、答弁をいただきたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘がございましたとおり、中小企業の海外展開をしっかり支援していくということは政府の大方針でございまして、その中で、貿易保険制度を運用する日本貿易保険、NEXIとしても、これをしっかりと支えていくことが重要であるというふうに考えてございます。

 そういう中で、今回の改正におきましても、今御指摘のございました中小企業が活用されている信用状確認といったものに対する保険をしっかりつけていくというような改正事項も盛り込ませていただいております。

 その上で、御利用いただきやすいような状況を、環境をつくっていくことが非常に重要だというふうに思っておりまして、これまでも、中小企業と日常的にやり取りを行う全国の地方銀行あるいは信用金庫など百十の機関と連携をいたしまして、広く貿易保険を紹介するといった取組や、民間損害保険会社が取り扱う対外取引向けの保険についての再保険を引き受けているわけでございますが、これを通じて、民間損保会社が有する全国の販売ネットワークを活用するとともに、さらに、民間損保会社の商品と組み合わせてパッケージで販売をしていただく、あるいは提供していただくということも行ってまいりました。

 こうした取組もありまして、利用企業の数という意味では、約四五%が今、中小企業になっておりますが、更に中小企業に御利用いただくということが重要だと思っておりまして、今後につきましては、全国四十七都道府県に事務所を持っておりますジェトロとの一層の連携、あるいは保険申込みなどの手続のデジタル化を通じて、貿易保険の利便性を高めてまいりたいというふうに考えてございます。

中野(洋)委員 ありがとうございました。

 ジェトロとの連携なども含めて具体的に今後の方向性ということでお示しをいただいて、確かに、貿易の相談で、ジェトロの都道府県の方に御相談に行かれるところも多いかと思います。しっかり連携をしていただきながら、どういうところにニーズがあるのかということも含めて、また更なる活用を推進をしていただければとお願いを申し上げます。

 もう一点は、今回新たに業務で追加をされました出資規定についてお伺いをいたします。

 これは法律の十二条かと思いますけれども、今回、NEXIに新たな規定が設けられまして、貿易保険と同種の損失を填補する保険事業を行う外国法人への出資ということで規定が設けられたところでございます。

 出資の目的をお伺いをしますと、諸外国ではそうした事例が既にあって、要は、新興国に我が国企業が進出をしていくときに、そうした外国の法人に出資をして連携ができるようにしていた方がやりやすいのではないか、そういう海外の例もある、そういうふうにお伺いをいたしました。

 確かに、そうした形で海外への日本企業の進出をよりやりやすくしていく、こういうことは非常に大事であろうというふうに思います。

 他方で、この出資が、余りそういった効果が得られないものについてこういうものが行われるということがやはりあってはならないというふうに思っておりまして、今回、この出資をしっかりと認可をしていくということでございますので、やはり政府の方でそこの確認というのをしっかりやっていただくことが大事かというふうに思っております。

 ですので、改めて、この出資規定を加える意図であるとか、あるいはどういう狙いであるのか、あるいは出資の認可に当たってどういう形で政府として審査を行っていくのか、こういうことについて確認をしたいというふうに思います。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 貿易保険上、NEXIは、外国貿易その他の対外取引の健全な発達を図るとの法目的に沿って業務を行うこととされております。そのため、出資先をNEXIと同様の貿易保険事業を行う機関に法律上限定するとともに、出資に当たっては経済産業大臣の認可が必要とされております。

 個別の認可に当たりましては、大前提として、NEXIの財務への影響を勘案することに加えまして、日本への裨益を確保し、政策目的を実現するため、具体的な基準といたしまして、政府方針と整合すること、出資先が公的な多国間組織であること、本邦企業からの具体的なニーズがあることといった観点から、個別に審査することを考えております。

 なお、当該認可に先立ちまして、NEXIが貿易保険法に基づいて事業計画を定め、同計画を経済産業大臣が財務大臣との協議を経て認可することとしておりまして、経済産業大臣だけの裁量で出資を認めるものではございません。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 認可に当たっての考え方ということで御説明をいただきました。実施に当たってしっかりと審査をしていただければと改めてお願いを申し上げます。

 最後に、この法律の施行につきましてもお伺いをいたします。

 元々、本法案は昨年の審議というものが予定をされておったと記憶しております。NEXIの法令違反の事案もありまして、それの是正、しっかり対応しないといけない、こういう様々な状況もございました。この是正措置につきましては、今までNEXIあるいは経産省の方でもいろいろな取組をしてこられたというふうに承知をしておりまして、改めて、再びこうした事態が生じないように、やはり経産省の方でも適切な指導監督が必要である、これを改めて指摘をしたいと思いますし、しっかりと対応を求めていきたいというふうにお願いを申し上げます。

 その上で、本法案、改正の内容においても、新型コロナの世界的な影響、これに対応しないといけない、あるいは、現在の、そうした投資も含めて、貿易の在り方がどんどん変わっていく中で、貿易保険に対するニーズというのも変わっていく、それに対して対応していかないといけない、こういうものであります。

 国際情勢が非常に不透明化を今しておりまして、世界中にいろいろな影響が及んでいる、こういう状況でございますので、やはりこの法律の改正自体は非常に重要なものでありまして、できるだけ早く、これは実際に実施に移していっていただくということが大事ではないかというふうに私は思っております。

 この法律の施行につきまして、施行の時期も含めて、どういう形で対応していくのかということを最後にお伺いをしたいというふうに思います。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、改正法案の国会提出を見送った経緯がございますが、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染拡大による影響が続いていることに加え、ロシアによるウクライナ侵略により、企業の対外取引をめぐるリスクがますます高まっている状況などを踏まえ、今回の改正法案が国会審議の結果成立した際には、速やかに施行することが重要と考えております。

 このため、これまでの改正法案の通例よりも早め、公布後三か月を超えない範囲で施行することとしております。

 さらに、NEXIにおきましても、法律の施行を受けまして、新たな貿易保険商品を迅速に、海外に事業展開する本邦企業に提供できるよう、経済産業省として指導監督してまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、梅谷守さん。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 私は、この法案審議に当たり、今の、現下のコロナの感染拡大、そしてまたロシア軍によるウクライナ侵攻などの世界情勢の不安定化、カントリーリスクが増大する中にあって、貿易保険に対する期待がますます高まるという中にあって、だからこそNEXIとしては、しっかりとした更なる体制強化そして取組の促進、これが不可欠だ、こういうふうに考え、そして、そのためにも、政府が萎縮しない形で、萎縮し過ぎない形でしっかりとバックアップ、後押しをすることが大事だということで、そんな問題意識を持って質疑に臨ませていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

 まずは、人員の体制強化についてです。

 私、この法案審議に臨むに当たって勉強して感じたのが、これだけの規模の取扱金額に対して、今は二百十六人ですけれども、この人数で頑張っていらっしゃるのかということで、人数の手薄さと言うと失礼なんですかね、人数が少ないなということを率直に疑問として、違和感として覚えた次第なんです。

 そこで、あわせて、七年前の株式会社化に向けての法案審議に当たって、議事録を読ませていただいたところ、やはりこの人員体制が最大の課題という認識が示されておりました、当時。例えば、移行した後のNEXIの人員、組織体制のあり方についてどのようにお考えかという質問に対して、当時の山際副大臣は、専門人材の充実など体制を強化すべきというふうに御答弁されております。

 そこで、まずお伺いしたいのが、この七年間、どのような改善策が取られて、どういった実績があったと受け止めていらっしゃるのか、社長にお尋ねをさせていただきたいと思います。

黒田参考人 お答え申し上げます。

 二〇一七年の株式会社化以降、以下の三点を柱として、人員体制の整備に取り組んできたところでございます。

 一点目は、将来の安定的な人的基盤の構築を目的とした新卒採用の実施でございます。二点目は、専門性や経験を有した中途採用の実施でございます。三点目は、能力のある契約職員の正職員への転換でございます。

 これらにより、独法の最終年度であります二〇一六年度末時点の職員数は百五十一名でありましたのが、二一年四月時点では二百十一名と、六十人の増加となっております。

 また、職員の専門性の向上につきましては、毎年度、社内にて様々な研修計画を策定し、実施をしてございます。

 加えまして、法律、監査、システム等、社外の専門的な知見、能力の積極的な導入を図るということで、外部専門機関の活用を進めてきたところでございます。

 以上のようにして、引き続き、質と量と、そして専門人材の充実といった形で、利用者からの期待に応えられるように体制の強化に取り組んでまいりたいと思っております。

 以上でございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 お配りさせていただいた資料を御覧になっていただきたいんですが、日本貿易保険の歴代職員数の推移についてお配りをさせていただいています。これは、二〇〇五年の行政改革重要方針によって五年間で五%の人員削減が行われました。以降、今ほど御答弁いただいたように、徐々に徐々に職員数が増えています。

 ただ、一方で、大きいか少ないかで言うと、私自身は、大幅に増えているとはなかなかまだ言い難いのかなというふうに受け止めているところなんですが、そしてまた、株式会社化されてからは契約職員数が増えている、こういう状況です。

 そこで、私、今回の質問に当たって、本社に伺わせていただいて、幹部の方とお話をさせていただきました。本当に時間を取ってくださって感謝ですし、また、すごく頑張っていらっしゃるし、すごい会社だな、一人一人が一騎当千で頑張っていらっしゃるんだなというふうに受け止めさせていただいた次第です。

 そのときにいただいたお話としては、契約社員の増加というのは、独立行政法人から株式会社化されるに当たってどうしても必要な総務関係などの事務処理がある、そのために、総務職を中心に、主に女性の方々が増えている、そしてこの方々が五年を過ぎたら正職員になることも検討しているというふうにも伺っていますし、また、状況、この表を見ると、結局は、砂時計状といいますか、中間層がごそっとやはり抜けて少なくなってきているんですね。それに対しても一生懸命アプローチをされているようですけれども、なかなかここが難しい状況だというふうにも伺わせていただきました。

 新入社員も、今までのお話、どんどん増やしていらっしゃる、十六人が今年は増えたと。ただ、これも三年ぐらいたつと、今、もう全国的な風潮、辞めてしまう方がいらっしゃるということで、なかなか、本当にこのように、人員確保の難しさは私自身も承知させていただいているつもりなんですけれども、今ほど申し上げたとおり、世界情勢などを考えていったら、やはりこの体制強化がどうしても必要。

 そこで大臣にお尋ねをしますが、NEXIのこの体制強化に向けて、充実に向けて、政府としてバックアップが必要だと思いますし、この点どのように大臣としてお考えか、お尋ねをします。

萩生田国務大臣 NEXIの人員は、長らく約百四十人から百五十人で推移をしてまいりましたが、二〇一一年度には、当時の行革の中で約一割の人員削減を余儀なくされたものの、二〇一七年の株式会社化以降は、経営の自立性が向上し、業務の幅が拡大したことを受けて、人員面も着実に体制が強化され、現在では約二百十名の体制まで拡充されたと承知しております。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大や国際情勢の不透明性が高まる中、対外取引を行う日本企業を後押しする観点から、今般の法改正の内容も含め、NEXIに求められる役割は今後ますます大きくなっていくことが想定されます。

 このため、NEXIにおいては、人員や体制の整備に向けて、人材の量だけでなく質、そして専門性が必要な分野における外部機関の活用を三本柱として、バランスよくその強化を図っていく必要があると思います。

 経済産業省として、NEXIが機動的かつ適切に、対外取引を行う企業に寄り添った対応を行うことができるよう、人員、体制整備の面も含めてしっかりと管理をしてまいりたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 七年前の答弁書を見ても、やはりこの人員体制の強化が大事だというふうに言っておりますので、そこをまた、世界情勢を見て、今の御答弁をしっかりとNEXIとしても受け止めていただいて、頑張っていただくことを期待をし、お願いを申し上げます。

 そして、特に、国家プロジェクトといいますか、この後の質疑に時間があれば臨ませていただきたいんですが、農林水産物の五兆円目標、これは政府としてもプロジェクトとして掲げているものですから、これらに対してもしっかりとバックアップをする、そういうことも期待されているものと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。

 続いて、中小企業の利用率向上についてお尋ねをします。

 まずお尋ねさせていただきたいのが、中小企業の利用率について、件数や金額ベースでお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 中小企業の利用率ということでございますけれども、二〇二〇年度の貿易保険の引受金額は全体で六・一兆円でございます。このうち中小企業の引受金額は約二千四百億円ということでございまして、中小企業の占める比率は約四%でございます。

 また、引受件数ベースでございますけれども、二〇二〇年度の引受件数は全体で七万八千件、このうち中小企業の引受件数は約一万二千件でございまして、中小企業比率は約一五%ということでございます。

 ちなみに、企業数ということでいいますと、先ほどの答弁でも御説明したとおり、約四五%が中小企業ということでございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 全体の額でいうと六%のうちの四%、そしてまた件数についても一五%ということで御答弁いただきました。これが多いか少ないかの判断はあるのかもしれませんが、私自身は、もっと広がってもいいのかなというふうに、いや広げるべきだろうというふうに考えているところです。

 じゃ、この原因は一体何かと思ったら、やはり認知度が低いのではないかというふうに私は思っているんです。

 例えば、私自身、うちの地元の地方自治体の、どことは言いませんけれども、その担当者、幾つかの自治体の担当者から数人ずつ、NEXIって知っていますかというふうに聞いたところ、ほとんどが知らなかったんですね。正直びっくりしました。

 商品でも、やはり知ってもらわなきゃ買っていただきづらい。また、私たちのように政治家は、選挙で知っていただかなければなかなか難しいというところもある。やはり知名度を向上させることが鍵を握っているのかなというふうに思っております。ただ、難しいことも重々承知をしているつもりです。

 そうした中で、お尋ねをさせていただきますが、NEXIの認知度についてどのように受け止めているのか、お答えをいただきたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 今御指摘がございましたとおり、貿易保険制度あるいは日本貿易保険について、十分に中小企業の方々に認識をされていないという実情がどうしてもあるのではないかというふうに考えております。

 他方で、これまで認知度を向上させるための取組も進めてきておりまして、具体的には、民間損保会社が、中小企業がおつき合いをされるコアとなります商工会議所と連携して取り扱っている保険があるわけですけれども、それを、保険を再引受けをするという形でNEXIが貢献していく。それから、中小企業とこれも日常的にやり取りを行っております地方銀行、信用金庫、百十の機関と連携をして貿易保険を紹介していくということを実施してきております。

 こうした取組を通じまして、NEXIが株式会社化をいたしました二〇一七年度、中小企業を対象とした保険として中小企業・農林水産業輸出代金保険という商品がございますけれども、この引受けは約八十四・五億円でございましたけれども、二〇二〇年度には百四十五・六億円に拡大をしております。

 こうした背景には、中小企業への支援を担う自治体、商工会、商工会議所、そして中小企業御自身にも一定程度認知をされ、利用が進み始めているということであろうと考えてございます。

 他方で、先ほど御答弁申し上げたとおり、中小企業の利用率は金額ベースで四%にとどまっていることは事実でございますので、更に御利用いただけるように、NEXIが策定いたしました令和三年度の事業計画におきましても、認知度の向上というものを位置づけまして、取組を強化するという計画を立てております。

 経済産業省といたしましても、こうしたNEXIの取組を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 都道府県のジェトロにも、先ほどの中野先生への御答弁でもありましたけれども、そこにもやられているということだし、また、今ほど、商工会議所を通じての再保険とか、七年前の答弁のときに、金融機関だけの答弁だったんですが、今少しずつ広がっていって、じわじわこれから広がるわけでして、今の御答弁のとおり、是非、認知度の向上を柱として取組を進めていただくことを、私からも、僭越ですけれども、お願いをさせていただきたいと思います。

 レアメタルについてお伺いします。

 石油、天然ガスなど規模の大きい資源案件では、日本企業が海外で権益を取得するケースが少なくないんですけれども、市場規模の小さいレアメタルの場合、通常の売買がやはり多いんですね。したがって、市場が厳しいときなどは前渡金を求められるんですけれども、取引相手先の信用状況が悪いと、NEXIの輸入保険が付保できないケースが度々発生しているというふうに伺っています。あるいは、NEXI内の格付の高い大企業しか事実上保険が付保されないというふうに伺っているんです。こうした現状をどうお考えなのか。

 そして、経済安全保障の観点からも、レアメタルなど資源確保がより重要となっている昨今、中小企業を含めた資源貿易への付保について改善を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 NEXIが前払い輸入保険を引き受けるに当たりましては、輸入先のカントリーリスクに加えまして、取引相手方の格付を審査し、引受けの判断を行っております。

 委員から言及のありました個別事例の詳細は承知しておりませんが、一般論として申し上げれば、過去、特に保険事故が多かった前払い輸入保険につきましては、取引相手方の格付が基準を満たしていない場合は、中長期的な収支相償を維持する観点から、慎重な引受けを行っていることは事実でございます。

 他方、委員御指摘のとおり、日本への重要資源の輸入といった日本の国益に資するものにつきましては、ほかの案件と同様に格付に応じて画一的に判断するのではなくて、政策的意義も総合的に勘案した上で保険の引受けの判断を行うことも重要であると考えております。

 経済産業省といたしましても、NEXIにおきまして適切な保険の引受けが行われるよう、しっかりと注視してまいりたいと考えています。

梅谷委員 ありがとうございます。

 信用が低ければやはり事故が多いという御答弁だったんですけれども、まあジレンマですよね。でも、やはりエネルギーの安全保障という観点からも、やはりそこはいろいろ工夫をされていただいて、御検討されていただいて、是非、その上でまた中小企業がより羽ばたけるように、また安心して取引できるように、お願いをしたいと思います。

 安全保障ということで、資源ということでメタンハイドレートについても一点、簡単にお伺いさせていただきたいと思います。

 十四日の参議院の予算委員会でも青山先生が御質問されて、大臣も御答弁されておりますが、私の地元の上越市、日本海上越沖にも、六億立方メートルほどの、相当数のメタンハイドレート、表層型ですけれども、賦存されていることが調査結果で分かっているところです。

 その上で、地元としては、メタンハイドレートが商業化される際、エネルギー拠点である直江津港が資源を受け入れて供給等の拠点となれば、その施設に関連する雇用だけでなく、関連する企業等の進出も考えられ、地元からは、直江津港を始めとする地域の活性化を期待する声が非常に強く高まっています。

 その上でお尋ねしますが、あらかじめのレクの中では、コロナ禍によって目標がちょっと遅れぎみだというふうに伺っておりますが、技術開発の遅れの現状と、そしてまた目標に向けた決意というか、加速度化が必要だと思いますが、この点、お答えいただけますか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 表層型メタンハイドレートですが、現在、二〇二三年度から二〇二七年度の間に民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトを開始するという目標でやっているところでございます。

 しかしながら、先生御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症等の流行により、海底の状況や環境影響を把握するための海洋調査において、航海が一部先送りされるなど、現在、現時点でいうと一年程度遅延している状況でございます。

 しかしながら、昨年十月に閣議決定しましたエネルギー基本計画において設定した、二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトを開始することという目標については、これは引き続き堅持しまして、今後の取組を加速化してまいりたい、そのように思っているところでございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 大臣にもお尋ねさせていただきたいんですが、メタンハイドレートの実用化について、やはり、エネルギー安全保障の問題を突きつけられている状況の中で、海外依存度を低くするためにも、メタンハイドレートの実用化が急がれる、思いは一緒だと思いますが、技術化の促進、研究のみならず、商業化の議論も並行して加速化していただくなど、プロジェクトを一気に加速すべきと考えますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 メタンハイドレートは、我が国のエネルギー安定供給への観点、また将来的な水素の原料として、極めて重要な国産資源だと考えております。

 したがって、昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画において掲げた、二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して、そして、可能な限り早期の商業化実現に向けて、技術開発に加えて、日本周辺海域における海洋調査や、経済性などの商業化に必要な条件の検討も併せて実施し、取組を加速化していきたいと思います。

 先日、予算委員会でもお答えしましたけれども、今までのように、言うならば、研究開発は文部科学省や内閣府で、それが終わらないと社会実装の出番が回ってこないんじゃなくて、こういう重要なものは、少し伴走しながら、少しでも早く実用化に向けて前に進んでいきたいという、こんな意気込みで取組をしてまいりたいと思っています。

梅谷委員 大臣、丁寧な御答弁ありがとうございます。

 残り時間もあと僅かになってきましたので、三つ目、農林水産物の輸出について最後にお伺いをしたいと思います。

 この農林水産物の輸出については、法案関連資料を見ていくと、概要が載っていまして、この中を見ると、我が国の農林水産物、食品輸出の実績及びNEXIの農業分野支援実績が、カバー範囲が、二〇一五年が一・一%、二〇一六年一・二%、二〇一七年一・二%、二〇一八、一・一、二〇一九、一・二と、私から見たら非常に低い数字にとどまっているなというふうに考えています。

 その一方で、先ほども申し上げました、これは国家プロジェクトとして二〇三〇年までに五兆円の輸出目標ということを高々と掲げていますので、その意味で、最後にお尋ねをしますが、これは大臣に最後お願いをさせていただきたいんですが、この農林水産物の輸出に当たっては、やはり、生産される方がメインですから、受付窓口がどこだとか、そういうことになかなか慣れていらっしゃらない方も多い。だからこそ、そういう方々にすら分かりやすく、知名度が届いて、そして、商品はどういうものなのか、中にはDX化によって、扱いやすい、そんなことも進めるなどして、この方々をしっかりとやることによって、それが成功の普及のリーディングケースになると私は考えています。

 そこで、大臣に、済みません、最後に、農林水産物の輸出について、こういった成功事例を、成功事例にしていただきたいんですが、積み重ねることは、そのまま中小企業全体におけるリーディングケースとなると考えますが、その意味で、農林水産物の輸出における貿易保険の使い勝手の改善について、大臣の見解をお尋ねして終わりたいと思います。

古屋委員長 萩生田経済産業大臣、手短にお願いいたします。

萩生田国務大臣 二〇三〇年までに農林水産物、食品輸出額五兆円という目標の実現に向けまして、関係省庁、機関が一体となって、輸出にチャレンジする事業者を後押ししているところです。

 詳しい答弁を用意しているんですが、時間が過ぎてしまったので、先生の問題意識を受け止めて、農業者の皆さんが、輸出に慣れていない人もいっぱいいると思います、そういう人たちに、ジェトロや地元の農協とも連携しながら、丁寧に、是非、輸出はこういうふうにしていけば皆さんの産物を海外で売ることができますよ、その場合にはこういう保険もあった方がいいですよ、そういうスキームをちゃんとつくっていきたいと思います。

梅谷委員 どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、神津たけしさん。

神津委員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 立憲民主党、長野三区の神津たけしと申します。

 冒頭、まずは配付資料を御覧ください。このA3の円グラフになります。この円グラフなんですが、世界におけるGDPの年代ごとの移り変わりを示しています。バックデータには残念ながら経済規模の小さい国は含まれていないんですが、おおよその傾向として捉えていただければと思います。

 まず、赤い色で示された日本に着目してみてください。世界のGDPにおける日本の相対的な貿易の割合が二〇〇〇年代頃から下がり、今後も下がることが予測されています。これに対し、一九九〇年代には四分の一以下であった、この右上の部分ですね、アジアの経済が、二〇六〇年頃には世界の半分を占めることが予測されています。

 そこでまず、萩生田経産大臣にお伺いします。

 日本の経済が縮小する中、日本が成長市場のパートナーとして共に成長していくには何が必要と考えているか、お考えをお聞かせください。

萩生田国務大臣 議員御指摘のとおり、アジアを始めとする成長著しい発展途上国などの海外市場の取り込みは、我が国の経済成長にとっても極めて重要です。また、その際は、現地の実情に向き合い、民間のイノベーションを最大限活用して、持続可能な経済社会の基盤をつくるとともに、我が国と各国がパートナーとして未来を共創していくことが重要な鍵だと思っております。

 こうした考えの下、本年一月、世界の成長センターである東南アジアに私自身が赴き、アジア各国とともに未来志向の新たな投資を推進していくアジア未来投資イニシアチブを発表させていただき、訪問先の主要閣僚からも歓迎をいただいたところです。

 今後も、このイニシアチブの下で、NEXIやJBICなどの公的金融も活用しながら、民間事業者の海外展開を促進するほか、アジア各国における製造業のデジタル化や、物づくり技術に関する人材育成などに取り組んでまいりたいと思います。そして、こうした取組を積み重ねることで、アジアの経済活力を我が国の成長につなげていきたいと思っております。

神津委員 御丁寧な答弁ありがとうございます。

 日本が経済大国としての地位を維持していくには、大臣がおっしゃられたように、成長市場とともに日本が成長していく視点がこれまで以上に重要だと私自身も考えております。成長市場にとっては、日本の知見、経験、技術を成長の糧として取り込むことでいち早く成長することができ、ウィン・ウィンの関係が築けると考えております。

 私自身は、二十年前に、アフリカの雇用促進それから貧困削減のために、アフリカのある国で起業を行い、経営を行ってまいりました。そしてその後、JICAとアフリカ開発銀行などでインフラ開発を行い、合計十七年間ほどアフリカにおりました。その経験から、途上国のビジネス、それから、途上国における多様な高いリスクがあると認識しております。

 今回の貿易保険法の改正は、中小企業にかかわらず、多くの民間が取っているビジネスリスクそれからカントリーリスクをNEXIが代わりに取ってくれる、大きな法律の改正だと考えております。この改正によって、日系企業が海外の取引先を増やす、そして投資を拡大するきっかけともなる大きな改正だと思っております。

 本日は、アフリカで私自身事業を行ってきた経験、それから、民間企業とNEXIの事業安定を実現するという観点から質問をさせていただきます。

 まずは、今回の、済みません、最初、質問通告では貿易保険法改正の趣旨と概要についてお伺いしようと思っていたんですが、少々時間が遅れて、迫っておりますので、この点少し、済みません、省かせていただきたいと思います。

 まず一点目の、新型コロナを踏まえた対応について伺います。

 これまで戦争、革命、内乱に限られていた保険カバーの範囲をどこまで拡大するか、これを明確にすることで、リスクの備えをNEXIそれから民間企業が行うことができると考えております。

 法案の概要説明でありました非常リスク、そして、本法律の第四十四条二項にある、契約の当事者の責めに帰することができないものとはどんな事象を意味するのか、教えてください。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の、契約の当事者の責めに帰することができないものとは、戦争や天災等、本邦外で生じた事由であって、契約当事者の帰責性が認められないものであります。

 国際情勢を取り巻く事業環境は急激に変化しておりまして、日本企業は海外展開に当たって様々なリスクに直面することが考えられ、全てのリスクを事前に予見することは難しいところでございます。実際に、今回の改正予定であります追加費用を対象とする保険につきましては、保険金を支払う事由の範囲が、委員御指摘のとおり、法律上、戦争、革命、内乱のみとされていたことにより、今般のコロナ禍におきまして、柔軟に事業者を支援することができなかった背景がございます。

 したがいまして、今回の法改正では、法律上の保険金支払い事由の範囲は、契約の当事者の責めに帰することができないものまで拡大することとしました。

 他方で、保険金支払いに当たりましては、どういった場合に支払い対象なのかにつきまして明確にすることが必要でございます。具体的には、保険約款や、NEXIと被保険者との間で締結する特約におきまして、保険金支払い事由の範囲を列挙することが必要と考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 保険約款にて記載していただけるということ、ありがとうございます。

 私が調べている限りでも、自然災害、火災、禁輸、戦争行為、政府機関若しくは軍隊の行為若しくは命令、内乱、反乱、革命、テロ行為、暴動、市民の騒動、ストライキ、ロックアウトその他の労働の混乱、感染症、疫病、伝染病、生産施設の破壊、接収、国営化、様々なこうした契約の当事者の責めに帰することができないものが列挙されています。こうしたものをきちんと約款に書いていただくことによって、NEXIの安定した経営、それから、民間事業者にとっても、非常リスク、経営の見通しが持てると考えておりますので、是非細かく定めていただきたいと思います。

 それから、私、次の質問ですが、契約の当事者の責めに帰することができないものによって事業中断それから退避する判断というものなんですが、これを、自社判断が受け入れられるのかどうかについて、教えてください。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 非常リスクによって事業を休止する判断は、一義的には事業者自身が行うものでございます。

 その上で、貿易保険における保険金の支払いにつきましては、事業者の不正な保険金請求を防ぐ観点から、事業者の不可抗力によるものであることを客観的に説明するよう求めているところでございます。

 例えば、海外投資保険につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、投資先国の政府による事業停止命令が発令される場合や、その事業停止命令に伴いサプライチェーンからの部品調達が困難となった場合など、事故事由の発生と事業休止との因果関係をNEXIにおいて個別に認定できる場合に保険金を支払っているところでございます。

 具体的にどのようなケースが保険金支払いに該当するかにつきましては、事業者からの問合せに対しましてNEXIが丁寧に相談に応じ、対応しているものと承知しています。

神津委員 御答弁ありがとうございます。

 私の経験から申し上げますと、私、今回、コロナ禍で日本に戻ってきたんですが、既にもう航空機が飛ばない状況がありました。というところでは、現地の大使館の方がチャーター便をアレンジして、飛んで帰国することができた。こうしたことによって結局費用が多くかかってしまったというところでは、恐らくなんですが、従業員の命を優先するという企業が私は多いと考えております。

 こうした意味においては、自社判断というものを受け入れていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 自社判断といいますか、最終的に因果関係をきちんと説明できることが重要だと考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 因果関係というところで、先ほどおっしゃられていた、例えば政府によるロックダウンのところとかがあったと思うんですが、先方政府の決断ですね。先方政府がロックダウンするから日本に帰国していいよ、そういうこともあるかと思うんですが、残念ながら、多くのインフラプロジェクト、途上国においてはエッセンシャルワーカーとしての扱いを受けて、帰国ができないという状況がありました。というところでは、是非とも、例外というところも考えながら、この自社判断というものを受け入れていただきたいと考えております。

 次にお伺いしますが、ちょっと実務的な内容のところではあるんですが、今、世界では四十五か国以上の内陸国が多くあります。空輸以外で物を運ぶとき、内陸国には陸送というものが必ず発生してきます。

 今回の改正案において、運賃という記載が多く含まれているんですが、この運賃という中には陸路での運賃それから保険料も含まれているのか、確認させてください。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、この保険でございますが、基本的には、日本からの貨物等を輸出する場合を想定したものでございます。

 例えば、日本からある国や地域の港に向けて貨物を船で輸送して、その港から陸路でほかの国や地域に輸送するといった場合を想定してお答えしますと、現行法におきまして、航海スケジュールや航路が変更になった結果、陸送部分に運賃、保険料が追加的に生じた場合には、当該追加的に発生した運賃、保険料も、航海、航路の変更により運賃又は保険料を新たに負担すべきこととなった場合に含まれます。

神津委員 御答弁ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきます。NEXI業務全般についてお伺いします。

 今内政に問題を抱えている国なんですが、国の中心部から離れた地域に、テロリストとか反乱軍の方々が隠れているという地域が存在することがあります。今現在、NEXIが貿易保険を受けられていると整理している国の中でも、地域によっては、外務省のレベル3の渡航中止勧告ですとかレベル4の退避勧告が出ているような地域が含まれています。保険を提供して保険金を払っても、現地での回収業務を行うことが難しいような地域となります。

 保険を提供する範囲を、国単位のみではなくて、こうした危険な地域に対する保険の制限を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 カントリーリスクには、感染症の流行や自然災害など、同一の国でもその地域間で差が生じるものがあることは事実であります。

 しかしながら、外国政府による為替取引の制限、輸入の禁止、外貨送金の遅延といった、貿易保険でカバーする主なリスクについては、国ごとに一律のものであると考えられており、OECDにおけるリスク評価も国ごとに行われております。

 このため、NEXIにおいても、一国内の地域単位でリスクを算定することなく、国単位でのリスク評価を行うことを基本としております。

 なお、外国の一部地域において内乱等が発生をしている場合には、当該一部地域で引受けを停止するという判断を行うこともございます。

神津委員 ありがとうございます。

 どの地域で取引を停止しているかというところがホームページ上では見ることができなかったので、その辺、明確にしていただければと思います。

 大臣、御退席いただいて結構です。

 次の質問に移らせていただきます。次の質問なんですが、まず、信用状の話に移らせていただきます。

 クレジットレーティングが低い信用状というものを日本の銀行が受け入れると倒産の可能性がある、日本の銀行は途上国のクレジットレーティングが低い銀行の信用状というものは受け入れないというところが多いと私は理解しております。今回、NEXIが、信用状保険によって、日本の銀行が取らないようなリスクを取るのであれば、中小企業にとっては大きなビジネスチャンスとなってくると私は考えております。

 NEXIが引き受ける信用状確認保険の基準について教えてください。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正で新設する信用状確認保険は、信用状確認銀行が現地の信用状発行銀行の支払い不能によって生じた損失をカバーするものでございます。このため、NEXIとしては、現地の外国銀行につきまして信用状の審査を行う必要がございます。

 NEXIはこれまでも、外国銀行の支払い保証が付された輸出保険の引受けを行ってきておりまして、全世界で千以上の銀行に係る審査の実績、経験を有しております。この審査におきましては、外国銀行の直近の自己資本比率、利益率、外部格付等を参照しているところでございます。

 このため、NEXIとしては、これまで輸出保険を引き受けるに当たりまして外国銀行の審査を行っているのと同様の基準にて、信用状を発行する外国銀行の審査を行うことになると考えております。

神津委員 ありがとうございます。

 済みません、信用状についてもしかして御存じない方もいらっしゃるかもしれないんですが、私、途上国とビジネスをこれまで行ってきた関係からは、信用状というものは、途上国側の会社は、日本から物を買いたいけれども、代金を前払いしてからであるとリスクがある、それから、こちら側、日本側としては、物を送ってから代金が回収できないリスクがある、そういうところをちゃんと担保するのがこの信用状の仕組みだと思っています。

 この仕組みで、先ほど申し上げたものをもう少し緩やかに、もうちょっとNEXIが少しリスクを引き受けるようなことをやっていただけると、中小企業にとっては更なる大きなビジネスチャンスとなると考えておりますので、是非とも御検討いただければと思います。

 最後に、私の方から要望なんですが、途上国とのビジネスの入口として貿易保険を利用した後、途上国に投資を行うまでの決断には、依然として私は距離があると思っております。こうした意味においては、市場調査のスキームを持っているジェトロ、それから、今日名前は出てきていませんがJICA、JICAも市場調査のスキームを持っているというところでは、こうした機関と更に連携を強めていただきたいと思っております。それから外務省ですね。外務省は現地での政府とのパイプを持っているという意味においては、ビジネスを広げていく意味で非常に有効だと考えております。

 こうした機関との連携を強めていただいて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。

 今日、幾つか質問通告を出してはいたんですが、ウクライナの情勢や中小企業の利用状況についてというのはさきの質疑にて既にお答えいただいていましたので、またせっかくの機会ですので、ちょっと通告にはございませんが、大臣にお伺いしたいと思います。

 ちょうど三月十一日が終わって、十二年目に入りました。このNEXIの貿易保険に関しましては、原発の輸出につきましても多々扱われているというふうには伺っております。それも併せて、原発についても所管の大臣として、今後の復興に関する大臣のお考え、改めてこの委員会でも伺いたいと思いまして、お願いしたいと思います。

萩生田国務大臣 原発は、我が国のベースロード電源として、一定程度必要なものだと思っています。

 他方、経産省としては、東京電力福島第一発電所の廃炉、こういった大きな課題を抱えておりますので、利用と規制というのはもう既に分かれて審査をすることになっておりますので、規制庁の方で安全性が確認されて、そして地元の皆さんの御理解がいただけたものに限って再稼働を進めていきたいと思います。

 他方、世の中では、カーボンニュートラルに向けて再生可能エネルギーを増やしていこう、こういうトレンドで今仕事をしておりますので、そのさなかに起きたロシアのウクライナの侵攻でありまして、そういう意味では、やはりいろいろなエネルギー源を持っておくということが実は国民の皆さんにとって大事なことだなということを、逆に改めて認識しているところであります。

 基本的な方針は第六期のエネルギー基本計画に記させていただきましたけれども、今、目の前は、とにかく国民の皆さんに日々の生活が守れるように、これは、特に資源を海外に依存しておりますので、繰り返し答弁していますけれども、LNGで一定の予備はあるといっても、逆に、二、三週間分しかないわけですから、これが途絶をされれば真っ先に電気代が高騰することにもつながるわけですから、いろいろなことを俯瞰しながらエネルギー政策をしっかりやっていきたい、その中の一つが原子力だという位置づけでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 僕自身も、ちょうど十一年前の復興に関しまして、民間企業者として関わり、その中で出会ったいろいろな若い人たちが十一年たって大人になって、今回も、実は、転職する形で東電の廃炉の現場に就職をしたという御報告もいただきました。

 まさに、廃炉、これは非常に大きなことだというふうに思っていますので、是非、政府を挙げてしっかりと今後も取り組んでいただき、地域の今後の未来を、イノベーション・コースト構想を含めて、是非実現していただきたいというふうに思っております。

 今日は、資料をお渡ししております。

 まず一枚目の資料、これはちょっと年が書いていないんですが、平成二十七年の貿易保険法の附帯決議になります。ちょうど特殊会社化されるに当たっての附帯決議になりますが、一のちょうど真ん中のところに、「また、役員等の選任にあたっては、適材適所を徹底し、「天下り」の批判を受けることのないよう、」というふうに附帯決議がついております。

 続いて、二枚目、三枚目、四枚目に、同じくNEXIのアニュアルレポートから引用したものになりますけれども、ホームページに載っているものですが、実は、二枚目の平成三十年というこの資料が、ちょうどNEXIが株式会社化したときの最初のチャーターメンバーとも言えるような取締役会のメンバーになります。下線を引いてあるのが、通産省からいらっしゃった、当時はもう経産省になりますが、の関係の方が下線を引かせていただいています。そして三枚目、同じく二〇二〇年。そして、さらに四枚目になりますが、二〇二二年、これが最新のものになります。

 今日は、黒田社長にもお越しいただいております。

 この附帯決議の中において、天下りと言われないようにしっかり取り組んでほしいということを、批判を受けることのないように業務に取り組んでほしいということだというふうに思っていますが、二代続けて経産省出身の方が代表取締役をやられる中で、今のお考えというか、経営に関しての向き合い方、お答えいただければと思います。

黒田参考人 お答えいたします。

 昨年、大変御迷惑をおかけしました法令違反事案も踏まえまして、法令遵守体制の強化として、次のような取組を再発防止策として公表し、また実施してきたところでございます。

 四点ございます。

 一点目は、コンプライアンスに関する重要事項を審議、検証する場としてのコーポレートガバナンス委員会、これを、企業経営経験者や弁護士などの外部有識者中心の構成に見直しをいたしました。

 二点目、現場で日常的に生じているような問題については幹部間で早期に共有して対応するために、業務モニタリング委員会というものを設置をいたしました。

 三番目、法務を統括する部署として、社内弁護士を長とする法務・コンプライアンスグループを設置をいたしました。

 四点目、企業風土、文化、意識の改革、これが非常に重要だと考えておりまして、これを強く促すメッセージを、私自身から全職員宛てに、メールの形で、これまでに一年で約十回ほど発出いたしまして、企業風土、文化、意識の改革を徹底する、また、幹部合宿を行う、あるいは、各部局でも、凡事徹底を合い言葉に、いろいろな議論をしているところでございます。

 また、現在、来年度からの三年間の中期経営計画を策定中でございますけれども、その四つの柱のうちの二つとして、次のような方針を定めたところでございます。これは今後、対外的に公表することを考えてございます。

 一つは、業務品質を高めるとともに業務の効率化を図るというところでございまして、この柱において、引き続きガバナンスの強化、それからリスク管理体制の拡充の取組や業務の適正化、最適化、効率化に取り組むということを挙げております。もう一つ、会社と職員一人一人が変革、成長を続けるという柱を立てまして、人材への投資、またシステムへの投資をしっかりとやっていくということを考えてございます。

 このような取組を着実に実現していくことで、マネジメントやガバナンスの向上、並びに対外的な説明責任を果たしてまいりたいと私自身考えてございます。

 以上でございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 もう一点お伺いしたいんですけれども、今の役員の中で常務取締役を務めている寺村さんがいらっしゃいますが、この方は、通産省、経産省からの出向という取扱いでいらっしゃっているという形でよろしいですか。

黒田参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、出向の形でおいでいただいております。

荒井委員 ありがとうございます。

 この四枚目、今御覧いただいている二〇二二年の最新のNEXIの役員のメンバーシップの表ですね。実は、黒田社長と、経産省から出向されている寺村さん、そしてその寺村さんの下に書かれている西野取締役以外の方々は、元々、株式会社にしたときに着任されているというふうに、つまり、板東さんが理事長から社長になられたときの最初のメンバーだったというふうに思っております。そこに間違いはありませんでしたでしょうか。

黒田参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃるとおりで間違いございません。

荒井委員 ありがとうございます。

 その意味で、このNEXI、株式会社化した、その際に、天下りの批判を受けないようにという形で言われていて、今回、社長が、そういう意味では二人目に替わったということですね。当時の板東社長と、今の黒田社長が二〇一九年六月に着任されていると思いますが、その社長が二回替わる中で、ちょうど板東社長のときには顧問の方の不祥事というような形での報道があり、逮捕もされるようなことがあった。逮捕されたのは黒田社長になられてからかもしれませんけれども。

 そして、黒田社長のときには、去年の、間違った債券を運用してしまった。確かに、調査書を拝見する限りでは、このことに関しては非常に取扱いが難しい内容だったかなというふうに思っていますが、ただ一方、保険料の誤徴収というのも同時に内部調査で見つかって、これは恐らく保険会社としては決してあってはいけないようなミスだったというふうに思っていますが、それが内部調査によって見つかったという形になっています。

 もちろん、全てのことを代表取締役としての社長のせいに帰することはできないとは思う一方で、社長と、通産省から、経産省から出向されている方は二回替わっていて、一方では、多くの役員の方々を替えていない理由というのは、これはもちろん人事のことですのでつまびらかには難しいのかもしれませんが、今回の執行体制をこのように進めていこうと思った、その理由について教えていただけますか。

黒田参考人 お答えいたします。

 一年前に社長の任期及び他の役員の任期が参りまして、そのときに副社長が交代いたしました。この方はNEXI創設以来いらっしゃった方で、副社長になられました。ということで、私以外も変遷がございます。

 また、取締役一名も民間企業から入られましたし、そういう意味で、体制が変わっていないということではないというふうに認識をしております。

荒井委員 ありがとうございます。

 その次のページともう一つが、前回の、去年行われた調査報告書の最終ページのところをコピーしたものをお渡ししております。

 まさに先ほど黒田社長がおっしゃられた、この調査報告書の中にも、企業風土、文化、意識を改革していくことが一番重要だということ、そして、その結語として、一番、六枚目になりますが、下線部、多く引かせていただいていますが、「回答の多くが、NEXIが今後より魅力的な会社になるために何が必要かを真摯に考え、検討した結果を記載したものであった。」というふうに、働いている社員の方々も非常に熱心にこの調査報告書のアンケートに対して回答したというふうに書いてございます。

 これは本当に想像でしかないんですけれども、きっと多くの社員の方々は、こういう事態が起きて、もちろん経営陣がある程度刷新することはやむを得ないとは思いますけれども、本当に一生懸命、先ほどの梅谷議員からの質問にもありましたが、少ない人数の中で一生懸命仕事をしている中、こういう不祥事が起きるたびに心痛い思いをしているんじゃないかと思います。これは是非、まさに天下りの批判みたいなものを受けない形で、是非社長が、これは経産省出身だからとか関係ないと思うんですね。是非率先して、企業の、特に風土改革、これは物すごく大変だと思いますが、是非進めていただきたいというふうに思っております。

 ちなみに、僕自身も、小さな百人ぐらいの学校でしたが、組織風土の改革をしていく際には、全ての従業員とやはり一対一のヒアリングをしていきましたので、もちろん倍以上の人数だとは思いますが、ただ、できないことでもないような気がいたしますので、是非率先垂範で企業風土の改革に取り組んでいただきたいというふうに思ってございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 こういった不祥事を踏まえて、経産省としての取組について、管理監督していく責任があると思いますが、どのようにお考えなのか、教えていただければと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 昨年の法令違反事案を踏まえまして、経済産業省におきましても足りない部分があったのではないかということでございまして、有識者から成る貿易保険の在り方に関する懇談会というものを開催をいたしまして、NEXIを今後経済産業省としてどのように監督していくのかということを論点の一つとして御議論をいただきまして、その結果も踏まえまして、十一月二十九日に、株式会社日本貿易保険向けの監督指針というものを確定をいたしまして、また、NEXIに共有してございます。

 その中では、NEXIの監督を担う経済産業省の職員に対する手引として、一つは、NEXIの経営管理、リスク管理、法令遵守などの業務体制ごとに、その意義、それから着眼すべき点、そして具体的な監督手法を体系的に提示をしております。

 それから、二点目といたしましては、NEXIからの照会、報告、あるいは認可の申請、こういったものを受ける場合の文書主義の徹底といった事務処理上の留意点というものを、経済産業省職員が十分に心得るべき点として、明確に示したところでございます。

 経済産業省といたしましては、この監督指針に基づきまして、株式会社であるNEXIに対して、NEXIが適切に貿易保険制度を運用できるように、しっかりと指導監督してまいりたいというふうに考えてございます。

荒井委員 資料の最後のページに参考として、財務省のホームページだったかにあったと思いますけれども、今政府が持っている特殊会社の一覧というものをつけております。様々な役所が一〇〇%という形で持っていますが、経産省はこのNEXI一社が、一〇〇%持っているという意味では一社になるかと思います。是非、社長も、そして出向という形で常務になるかと思いますけれども、執行責任を持っている現役の官僚も行っています。それが悪いと言うつもりは、僕はこの場ではございません。

 ただ、行っていて、かつ、特殊会社という性格上、やはりこういうようなミスが起きないようなマネジメントを、これは、厳しくすればいいということではないと思うんですね。その意味におきましても、社長を含めた取締役の皆さんの、まさに現場に寄り添った経営改革を是非進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと、もう一つ、NEXIの在り方をいろいろと見ていくと、収支相償という言葉が出てまいります。収支相償というのは、公益財団とかに用いられるような、基本的には、とんとんにしなさいというか、収入と支出をとんとんにするようにということを行政から言われる、それは、僕も公益財団の専務理事をしていましたので、もうけ過ぎてもいけないしという形で、そういうふうに言われているという形になるかと思います。NEXIの場合にも収支相償が前提というふうになっているわけですが、もちろん、ここに至るNEXIの経緯というものもあるんだと思います。

 でも、本当は、公益財団等に用いられる収支相償というものを、株式会社という、国が確かに一〇〇%持っているわけですが、株式会社という形態に、収支相償というものを強いるというか、収支相償でやってくださいということを言っているのが、そもそもこれは本当になじむのか。株式会社というそもそもの成り立ちと収支相償というのは、どこかで利益相反的な関係にあるんじゃないかというふうに思ってはいるんですが、ここを、大臣の方のお考えをお聞かせいただければと思います。

萩生田国務大臣 貿易保険制度は、民間保険では救済できないリスクをカバーすることで、対外取引を後押しする重要な政策ツールです。制度創設以来、この公的性格や財政負担の観点から、一貫して、貿易保険事業に係る収入と支出を中長期的にバランスさせるという収支相償の原則の下で運用されてきたところです。

 二〇一七年にNEXIは独立行政法人から株式会社に移行しましたが、その際にも、貿易保険法上、政府が株式の一〇〇%を保有すること、NEXIが貿易保険業務に要する費用を調達することが困難な際には財政上の措置を講ずることができることが措置されたことから、収支相償の原則は維持されたものと認識しています。

 一方で、株式会社化以降、機動的に、新たな保険を創設するなど、自律的な経営を行うことで、安定的に、保険の支払い原資となる保険料収入を得られるようになっており、経営の自由度、効率性、機動性を向上させるという株式会社化の効果は十分に表れているものと考えております。

 その上で、先般の法令違反事案を受けて、NEXIは、現場対応力の強化や複層的なチェック体制、内部監査体制などのガバナンス強化といった再発防止策を着実に実施しているものと承知しております。

 経産省としては、新たに策定した株式会社日本貿易保険向けの監督指針も踏まえ、今後とも、NEXIが株式会社として機動的かつ適切に貿易保険の業務を行うよう、しっかりと監理してまいりたいと思います。

 先生が違和感を持たれたとおり、元々独法だったのが株式会社になったし、国が一〇〇%株式を持っているので、国の政策を、ある意味、表裏一体となって行うという特別な性格があるんだと思います。

 したがって、そのワードにこだわられた、まさに収支相償というのは原則として残っていますけれども、これだとやはり若い人たちがなかなか将来に希望を持てなくて、ノルマもない代わりにインセンティブもない、保険を幾つ取ってきても給料もボーナスも変わらない、これでは若い人たちがなかなかやる気を起こさないと思いますので、まずは、今、移行段階では、本来の役割というものを明確に社員の皆様に共有していただいて、今後、株式会社化したことによっていろいろなチャレンジを始めましたので、要は、積立金をしっかり一定程度持てば、国の庇護の下、やらなくてもいい時代がやがて来るんだと思いますので、それまでしっかり頑張っていただきたいな、そんなふうに思っています。

荒井委員 これで時間ですので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鎌田さゆりさん。

鎌田委員 理事会の皆様、済みません、そして、委員部の皆様、また委員長、発言の、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭なんですけれども、今日は、実は復興特も開かれておりました。そこで、ほとんどの委員がALPS処理水の海洋放出について、復興大臣始め経産省の方々に質問していました。

 そこで、冒頭なんですけれども、萩生田大臣にお尋ねをさせていただきます。

 大臣はこのチラシを御存じだと思います。資料としては配付をしておりません。今、私の手元に持っているということで、このチラシは……

古屋委員長 鎌田委員、物品を掲げるときは理事会の了承が必要ですので、お気をつけください。

鎌田委員 済みません、大変失礼いたしました。申し訳ございません。

 ALPS処理水の海洋放出について、全国の小中学校の子供たちに、飲んでも大丈夫です、食べても大丈夫です、安全です、安心ですという、エネ庁さんと復興庁さんで作られたチラシが全国の小中学校に送られました。これは、全国の各都道府県の教育委員会にあらかじめの手続がなくて、送られてきた教育委員会あるいは学校現場は大変混乱をしまして、文部科学委員会では、なぜこういうことが文部科学行政、教育行政、そして教育委員会の知らないところで起きてしまったんだろうという混乱の声が起きました。

 私は復興大臣に、今後こういうことを、子供たちにもALPS処理水について科学的な理解を求めていく、安全性を求めていくようなときには、ちゃんと手続を踏んでくださいということを訴えてきました。そして、復興大臣からは、これからはそういうことがないようにしますという答弁もいただきました。

 萩生田大臣としては、原子力事故の被害者に向けての対応もなさってきた大臣でもいらっしゃいますので、この件について、我々、先日要望もしておりますので、一言御見解をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、そのチラシは、そのチラシと言っちゃいけないのかもしれませんが、先生が指摘されたチラシは、風評の影響を抑制するため、ALPS処理水の安全性を含め、科学的根拠に基づく正確な情報を、是非若い世代も含めて情報に接してもらいたい、お届けしたいということで作られたものだと承知しています。

 今、先生からは、全国の小中学校にというお話があったんですけれども、これは実は、希望される教育委員会、自治体、手挙げ方式で副読本を求めたところにセットで送ったチラシだというふうに承知しています。

 私、つい昨年まで文科大臣をやっていましたので、実は、被災地の首長の皆さんたちから、このALPS処理水のことをもう少し詳しく分かりやすいものを作れという御指示もあって、当時、復興庁と一緒に作ったというふうに記憶をしております。

 ただ、現物を見ますと、じゃ、小学生向け、中学生向け、高校生向けと三種類あるけれども、余りにもそれがざっくりしていて、本当に小学校一年生や二年生がそれを読んで、ああそうだったんだと理解できるかと言われれば、もう少し丁寧な対応が必要だったなと思いますし、教育委員会の確認の上で、だから、私、ちょっと残念なのは、送られてきた教育委員会が、聞いていないというお話をされた教育委員会も幾つかあるやに聞いているんですけれども、結局、この副読本とチラシって、別物じゃなくてセットなんですよね。だから、そこを余り手続は、私は、中身についてもっといいものにしてくださいという意見は素直に聞いた方がいいと思うんですけれども、配り方で、しかも、これは強制じゃありませんから、教育委員会の判断で、教育長が、いや、これは私は子供たちには発達段階に応じてふさわしくないと思えば配らなければいいわけですから、ちょっと少し、やや政治的に何か分かりづらくしちゃっているところがあるんじゃないかなと思うので、素直に、子供たちが分かりやすい資料を今後は副読本の中にきっと入れていくんだと思うので、丁寧な対応が必要だということは、改めて、ある意味、所管をする経産大臣としてしっかり心得て、次回、復興庁やエネ庁、連携しながらやっていきたいな、そう思っております。

鎌田委員 大変恐れ入ります、ありがとうございました、の答弁でございました。

 さすがに文科大臣もお務めになられて、大臣が文科大臣をされていたとき、三十五人学級に道筋をつけて、文科大臣に就任したときの会見では、財布を持っているところが強いというのが世の中なんだろうけれども、自分はそれと戦うために文科大臣をやるんだからしっかり戦っていくと言って、結果、三十五人学級に予算をつけて、当時、財務省からは、大敗した、萩生田大臣を抑えることができなかったという言葉まで取らしめた大臣ですので、今の御答弁、突然の私からの質問だったんですが、自らの言葉で語ってくださって、本当にありがとうございます。

 そういう大臣に今日は質問させていただく、いろいろ期待を込めながら質問させていただきたいと思います。

 貿易保険法を新型コロナウイルス感染症等を踏まえて見直す、この趣旨には、私は異論ありません。ただ、この法改正なんですが、コロナが蔓延し始めた、せめて二年前の感染拡大傾向、これを見据えて、早くなされるべきではなかったのかなと思っております。

 今のこのタイミングの合理性について、御答弁をお願いいたします。

萩生田国務大臣 貿易保険制度は、民間保険では救済できないリスクをカバーすることで、対外取引を後押しする重要な政策ツールでありまして、新型コロナウイルス感染症の拡大により、対外取引を行う日本企業は大きな影響を受けており、その影響を最小限にする観点からも、貿易保険を最大限活用いただくことは重要と考えています。

 こうした観点から、経済産業省は、まず現行制度の範囲内で、二〇二〇年五月より、NEXIに一・五兆円の保険引受枠を新たに設定し、日系企業の海外子会社の運転資金への融資を支える保険の引受けを実施しており、これまで五千億円を超える保険の引受けを行ってまいりました。

 他方で、新型コロナウイルス感染拡大による影響が世界的に拡大するだけでなく長期化していく中、多くの企業から貿易保険制度の拡充について強い要望があったことを踏まえ、経産省において、二〇二〇年十月から懇談会を開催し、今般の法改正の基礎となる具体的な制度改正の方向性について提案をいただきました。

 昨年の通常国会における貿易保険法改正法案の提出の見送りにより法改正が遅れることとなったことについては、改めておわびを申し上げたいと思いますが、経産省としては、事業者を一刻も早く支援する観点から、本法案が国会で成立した際にはできるだけ早く施行したいと考えており、公布後三か月を超えない範囲で施行することとしております。

 さらに、施行後、速やかに、NEXIが新たな貿易保険商品を海外に事業展開する企業に提供できるように、経産省としても指導監督してまいりたいと思います。

鎌田委員 私も資料をいただきまして、読ませていただきました。

 令和二年度の事業実績として、年間引受けの実績なんですけれども、約六・一兆円、うち輸出に関する保険は約四兆円とあります。

 今、大臣が御答弁くださいましたように、民間保険が救済できないリスクをカバーするのが、この株式会社日本貿易保険。

 ただ、そもそも海外展開を拡大する大企業には、相応の体力、内部留保もあるのではないかと見ています。でも、それでもカバーしなければいけない事態なんだという認識で改めてよろしいかどうかを伺って、あわせて、令和三年度の実績については、まだ統計はこれからだと思います、これから年度末ですので。ですが、今、現時点での実績はおよそ幾らとなっているか、併せて伺います。

飯田(陽)政府参考人 まず、令和三年度の引受けの見通しにつきましては、まだ時間を残しておりますので、つまびらかに今申し上げることはちょっと難しいんですけれども、他方で、逆に申し上げますと、保険金の支払いでございますけれども、こちらにつきましては、令和二年度、二百三十一億円だったと記憶しておりますけれども、昨年の年末ぐらいまでの時点で状況を確認した限りにおきましては、今年度は、最近の国際情勢の変化、あるいは新型コロナウイルスの感染が継続しているということが背景にございまして、恐らく、今年度につきまして、保険金の支払いは昨年度を超えるような状況になっているのではないかというふうに認識しております。

鎌田委員 恐らく昨年を超えるという予想を立てていると。ですので、最初に質問をした、それだけ、こうやってもう国がカバーをしなくちゃいけない事態なんだという認識でよろしいんだというふうに解釈をいたします。

 通告というかレクのときに、内訳をできればとお願いしたんですけれども、時間もございませんので。

 じゃ、今年度は昨年度を超えての結果が出てくるんだろうという予想の下でなんですけれども、私は、もちろん、この法案に基づいての議論がなされて、成立していって、より手当てがちゃんと保険という形で手厚くされていくのは賛成なんですが、コロナで、今というか、もう一年前からですけれども、日本の国内の中小企業、ここがもう本当に崖っ縁で、瀕死の状態で、大変な状況にあるということも、私は併せて見ていかなければいけないんじゃないかなと思いまして、今日は質疑の機会を頂戴をした次第です。

 コロナで経済が打撃を受けているというこの見通しについて、アメリカを始めとする海外と比べて、私は、日本での危機意識は足りなかったのではないかと。ただ、これは、萩生田大臣の責任というよりも、内閣、政権の全体の話ですから、萩生田大臣一人に対して、経産省一つの省に対して、何か責め立てるというようなことではありません。

 ただ、やはり、名目GDP比を見ましても、アメリカの回復率と日本の落ち込みぶりですが、これは、単純に人口が多いからとか人口が少ないからという話では片づけられないのではないか。やはり、最初に大きくどんと手当てをするかしないか、したかしなかったか、この違いが私はあると思うんです。

 そこで、日本の中小企業、今現在、資材が回らなくて本当に大変な状況であるということ、経営を圧迫しているという現状認識はどのように持たれているでしょうか。

飯田(健)政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の経営の状況についてでございます。

 今委員の方から資材不足のお話もございましたけれども、もちろん感染症の影響も残っておりますし、それから原油、原材料価格の高騰などもございまして、非常に厳しい状況にあると認識はしております。

 具体的には、ある民間調査によりますと、一方で、約四割の中小企業が、コロナ前の二〇一九年と比べて売上高が増加しているという方々もいらっしゃいます。ただ、別の民間調査によりますと、やはり、宿泊、飲食では非常に、外出制限、観光イベントの中止、延期などによって厳しい、建設業では、資材単価の上昇によって採算が悪化している、食料品製造業では、飲食店向けの商品の出荷が減少している、自動車部品製造業では、鋼材や燃料といった仕入れコストの上昇、あるいは商材の欠品、納期遅れの増加、こういったところで採算が圧迫されているといったような声もございます。

 今後の見通しなどにつきましても、なかなか難しいところもございます。引き続き、感染症による影響や、供給面での制約、ウクライナ情勢の緊迫化に伴う原油、原材料価格の動向による下振れリスクについても注視してまいりたいと思っております。

鎌田委員 一昔前の、海外だったら人件費が抑えられるから海外に出ていこうという時代はもう終わっていると思います。海外の方が賃金が高いという実態もあります。

 そこでなんですけれども、大臣に伺います。

 日本の経済をここで、やはり一にも二にも経済を回していかないと、後で取り返しのつかないことが起きては、もう本当に取り返しがつかないわけで、日本の経済を回すためには、土台骨でもある中小企業にこそ手厚くすべきだと考えますが、同じ認識でよろしいですか。

萩生田国務大臣 新型コロナの影響の長期化に加え、足下では、原油を始め資源価格が高騰するなど、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しい状況にあります。引き続き、困難に直面する事業者の皆様を支えていくことが重要です。

 新型コロナの影響により売上げが落ち込んでいる事業者の皆様に対しては、事業復活支援金や、政府系金融機関による実質無利子無担保融資などの資金繰り支援などにより、事業継続を支えているところです。

 加えて、事業者の新分野展開や業態転換などを後押しするため事業再構築補助金を拡充するなど、新たな取組にチャレンジする中小企業も支援をしております。

 様々な支援措置を行っておりますし、まさに日本を支えるのは全国の中小企業の皆さんだという、こういう問題意識を持って、引き続き、事業者に寄り添って、支援に万全を期してまいりたいと思っています。

鎌田委員 ありがとうございました。

 今、中小企業の皆様に対する事業復活支援給付金の対象拡大のことに触れられての御答弁だったのだと解しておりますけれども、確かに、基礎自治体に対してもうそのお知らせは届いていますが、今ここで、地方において、二〇二一年ですから去年の令和三年ですけれども、去年の十一月から今年の令和四年、二〇二二年の三月まで、このいずれかの月の売上高が、二〇一八年から二〇二一年の間の任意の同じ月と比較して売上げが下がっていればという、そういう支援給付金の話なんですよね。

 上限でいけば、業種、業態を問わず二百五十万円という形になっているんですけれども、今、地方では、今年の三月までじゃなくて、四月、五月、ゴールデンウィークもかかります、ここまで延長できないんでしょうかという声が非常に大きいんです。大臣の下には届いていませんか。

飯田(健)政府参考人 お答え申し上げます。

 今、事業復活支援金についてのお尋ねでございますけれども、非常に厳しい状況に置かれている事業者の皆様方に対しまして、ただいま委員御指摘のとおり、地域や業種を問わず、固定費の約半分を目安といたしまして、十一月から三月までの五か月分を現金で一括給付する事業復活支援金を措置しているところでございます。

 今、一月三十一日より申請受付を開始しているんですが、三月十五日時点で、約五十八万件の申請のうち約四十二万件、約三千百億円、事業者の皆様のお手元にお届けしているところでございます。

 四月以降のことにつきましては、実質無利子融資の延長や、補助金などを既に措置をしているところでございます。

 給付金につきましては、現在行っております事業復活支援金をしっかりお手元に届けるという形で対応してまいりたいと思っております。

鎌田委員 時間が来ましたので、これで終わりにしますが、大臣、一回粘らせてください。

 ただいまの御答弁もありましたけれども、やはりこの四月、五月、また人が動きます、ゴールデンウィーク。そこで動いて、あっ、よくなったかなと思いつつ、実はやはり、ウクライナの情勢もあります。まだまだ資材不足と様々な価格の高騰で、日本全国の中小企業が大変な思いをしています。

 文科大臣のときに会見でおっしゃった、財務省には、財布を持っているところには負けないんだというあの意気込みでもって、是非、日本の中小企業に四月、五月も含めての支給、補償ということを、是非議論の俎上にのせていただきたく、お願いを申し上げます。

萩生田国務大臣 よく注視して対応していきたいと思います。

鎌田委員 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、山崎誠さん。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず、本日の議題であります貿易保険法の一部を改正する法律案について、これまでも何人かの委員から議論があったところでありますが、私も、この活用実態、今後の活用の見通しみたいなものがやはり大事なのではないかなというふうに思っております。

 日本の輸出額総額に、大体六%ぐらいの適用だということであります。これが大きいのか小さいのか、評価。そしてまた、今後、今、世界市場にもいろいろな混乱の要素がございます、こういったものに対応するということであると、この保険の意味も変わってくるし、重要性も増してくるのではないかと思いますが、例えば、NEXIの経営上の目標設定みたいなものというのはどんなふうになっているか、お聞きをしたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど御指摘ございましたとおり、二〇二〇年度の貿易保険の引受けの実績、輸出ベースでいいますと、我が国の輸出の六十七兆円に対して四兆円ということで、約六%ということでございます。

 この評価でございますけれども、貿易保険につきましては、もちろん、NEXIは認知度の向上などに取り組んでいるわけでございますけれども、あくまでも、貿易保険そのものの契約につきましては、例えばカントリーリスクの低い国や自身の海外の子会社に輸出する際には、企業として保険を利用するまでもないということを判断することも十分に考えられるところでございまして、そうしたことの積み重ねの結果が現在の利用率約六%になっているというふうに考えてございます。

 貿易保険を利用するか否かは、取引相手の信用リスクあるいは支払う保険料等を勘案して、事業者が御自身で判断されるものでございますので、NEXIとしては、あるいは経済産業省としては、貿易保険があるということを企業の皆様によく御認識いただいて、利便性の向上を図りながら御利用いただくということであるということではございますけれども、保険の引受件数であるとか、保険の引受金額であるとか、あるいは全体の輸出に対する比率といった形で目標設定をするということは考えてございません。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今後の見通しという意味では、やはり大事、重要だという、その重要性というのは増してくるというふうに非常に思うわけでありまして、そういう意味で期待しております。

 今回の改正が、そういう意味で、今お話しした、いろいろな多様な保険だとかあるいは信用状の制度だとか、そういったものを使っての貿易を担保する制度の中の、貿易保険を強くする要素には入ってくると思うんですが、今回の改正が与える影響について、いかがですか。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 今回の貿易保険法の改正につきましては、中小企業も含めました、まさに輸出に携わっている方々あるいは投資、融資に携わっている企業の方々からの御要望も踏まえて準備させていただいた改正でございますので、この改正が国会で成立をし、施行をして、さらに、NEXIが保険商品として提供することになりますれば、こういったところについて、従来は御利用いただけなかった企業の方々も、御自身のニーズに合ったものとして御利用いただけるということになるのではないかというふうに期待をしておりまして、結果として、貿易保険がカバーする比率が上がってくるということも想定されるというふうに考えてございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 是非、一定の目標設定や、あるいはそういう市場のニーズの動向をきちっと把握をして、対応していっていただければと思います。

 私からは、次に、ちょっと前回の続きで、是非、萩生田大臣の見解をもう一回確認をしたいということでお話を進めたいと思います。原子力発電所に対する安全、ロシアによる軍事攻撃、テロ攻撃についてであります。

 まず大前提として、原発を運転する条件について、まずはエネルギー基本計画上の大前提をもう一回確認をさせてください。

 第六次のエネルギー基本計画、SプラススリーEの安全の記述にはこう書いてあります。あらゆるエネルギー関連設備の安全性、セーフティーは、エネルギー政策の大前提である、特に原発については、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げるというふうに書かれています。

 これは、例えば、原発の安全性の問題と電力のニーズ、これが今非常に議論になっていると思いますが、この二つを比べるとしても、やはり安全性が大前提だということでよろしいですか。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

萩生田国務大臣 原発の再稼働のことをおっしゃっているんだと思うんですけれども、これは安全性が最優先でございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 それで、前回の質問の中で私はどうしても納得いかない一文がありまして、今日、資料にも添付をさせていただきました。

 ロシアによるウクライナの攻撃、この原発への攻撃について議論をしているときに、萩生田大臣、この四角の中に、下線も引きましたけれども、こんなことをおっしゃっている。「ただ、」から読みます。

 ただ、現時点で、あらゆる想定に一〇〇%対応するということの難しさというもの、あると思いますし、原子力発電所が仮に世界中からなくなったとしても、核ミサイルの存在があれば同じような事態というのはあり得るわけでありまして、そういった意味でと続きます。

 核ミサイルの存在があれば同じような事態というのはあり得るわけでありまして、そういった意味でとは、どういう意味でこれは引かれましたか。

萩生田国務大臣 御指摘の答弁につきましては、原子力発電所への武力攻撃は、核兵器による威嚇や使用と同じく、万が一にも許されない行為であることを日本政府として強く国際社会に訴えていくことの重要性を申し上げたものです。

 原子力発電所は、我が国の電力の安定供給を担う重要な基盤であり、平素から、様々な事態を想定し、関係機関が連携して各種シミュレーションを行い、国民保護のための訓練などを実施することで、いかなる事態に対しても国民の安全を守るために備えてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 どう読んでも、これはそういうふうには読めないんですよ。原子力発電所が仮に世界中からなくなったとしても、核ミサイルの存在があれば同じような事態というのは起こり得るわけでありましてと。ここを読んで率直な感想は、核ミサイルが存在する限り、原発をターゲットにした攻撃、これについて、例えば、一〇〇%安全はないんだ、だけれども、核ミサイルがある以上はそこを詰めてもしようがないんじゃないか、そういう文脈でしか読めないですよ。

 これは大変重要だと思います。原発の安全というものと核ミサイルのリスクというものをこれはすり替える議論じゃないですか。原発の安全に今深刻な打撃を与える軍事攻撃、この評価を私はねじ曲げるものだと思うんですけれども、これは率直に読んでそういうふうに読めるんですけれども、いかがですか。

萩生田国務大臣 率直に読んでいないから、先生、その後に自分で解釈をした、ひどい話と思いますよ、核ミサイルがあるんだから、原発のリスクが日本にあってもしようがないんじゃないかとって、私、そんなこと言っていませんよ。

 私は、その前もずっと読んでください、要するに、核のない世界が一番いい、こういうことを言っているじゃないですか。国際社会と協調してルールを守ってやるべきだ、攻撃そのものは本来はあっちゃいけないことですねということを申し上げているじゃないですか。

山崎(誠)委員 いや、当然そうなんですよ。だから、私が言っているのは、核兵器による攻撃を受ける事態は当然あってはいけないんですよ。それと同様に、原発に対する軍事攻撃を受け、放射能が広がるようなこともあってはいけないのでありまして、これは別々にそれぞれ考えなきゃいけない。

 だって、大臣はこう言っているんだよ、仮に世界中からなくなったとしてもと。仮に世界中からなくなったとしたらいいじゃないですか。なくなったとしても核兵器による攻撃が残るんだ、そう言っているんですよ、大臣。私は、だから言っているんですよ。

 世界中から、仮にじゃないです、世界中から原発事故がなくなれば、それは一つ安全でいいんですよ。で、核ミサイルの攻撃もなくさなきゃいけないんですよ。両方をかなえなければいけないんですよ。この文章ではそういうふうにしか読めないので、だから改めて取り上げさせていただきました。

 それで、今、エネルギー基本計画のスタンスも確認をしました。安全最優先でということです。

 更田委員長は、前回の私の質問の中で、武力攻撃なるものがあれば大変なことになる、放射能の汚染が広がる、現在の施設ではそれは守ることはできない、審査でも武力攻撃というのは想定していないというお話でありました。

 今、この軍事攻撃の可能性も残念ながらゼロではないのではないか。これは、三月十四日の参議院の予算委員会で、福山哲郎参議院議員の質問に対して、岸田総理も新たな認識を示していらっしゃいますよ。専従の部隊の設置、原発特別警備部隊、そういったものを設置しなきゃいけないと。新たなリスクが今起きている、それも、軍事行動、そういったことが起こり得るということであります。

 これは、私は、軍事攻撃を想定した規制基準、そういったものを作って、その適合審査をやる必要が今あるのではないですか。

 九・一一のアメリカ同時多発テロがあって、テロ攻撃に対しての基準が設定されて、例えば航空機が墜落をするようなケースを想定して新たな基準が設けられました。

 いいですか。今回のロシアの軍隊の軍事行動については、ミサイルが原発に衝突するかもしれない、落ちるかもしれない、そういう新たな事態が今想定されるようになってしまったんです。規制基準を見直してもらって、その適合審査をやるべきだと思いますが、萩生田大臣、どうですか。

萩生田国務大臣 原子力発電所の安全については、原子力規制委員会が規制する発電所の設備上の対応や事業者の対応によって確保しております。なお、原子炉等規制法においては、意図的な航空機衝突等のテロリズムへの備えまで事業者に要求していると承知しています。

 他方、原子力発電所へのミサイルによる武力攻撃に対しては、イージス艦やPAC3により対応するほか、事態対処法や国民保護法などの枠組みの下で、原子力施設の使用停止命令、住民避難等の措置を準備しています。また、日頃から、様々な事態を想定し、関係機関が連携して国民保護のための訓練などを実施することで、国民の安全を守るために備えています。このような二つの対応により、原子力発電所の安全を確保してまいります。

 今後とも、関係する省庁、機関が連携し、対応を、不断に検証し、改めるべきは改善していくことで、安全の確保に万全を期していく必要があると考えております。

山崎(誠)委員 大変、これは国民の皆さん、すごい不安になったと思いますよ。エネルギー基本計画に何とありました、さっき。安全最優先で、攻撃を受けても大丈夫な状態をつくるというのが原発稼働の条件ですよ。

 今のお話は、軍事的な攻撃に対してどうやって国民を守ろうと思っているんですか。じゃ、ミサイルが落ちたときに、国民保護計画で、保護法でどういうふうに守ろうとしているんですか。具体的にお話しいただけますか。どうやって国民を避難させるんですか。

古屋委員長 資源エネルギー庁松山電力・ガス事業部長。(山崎(誠)委員「大臣に聞いているんだけれども」と呼ぶ)

 まずエネ庁から答弁させます。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたとおり、発電所の安全性ということにつきまして、原子力規制委員会が発電所の設備上の対応及び事業者の対応について規定してございます。この中でテロリズムに対する備えもやっているわけでございます。

 一方で、委員から御指摘ございますようなものは、いわゆる武力事態、戦争行為といいますか、武力攻撃に対する対応でございまして、様々な意味での国内における国民及びその生活の保護、その活動をどう維持していくかということになってまいりますので、これにつきましては、自衛隊若しくは地域の警察の方々との連携した形での対応をしていくことになるものと思いますし、その枠組みといたしまして、事態対処法、国民保護法等の枠組みになるものでございます。

 その際の具体的な対策としましては、原子力発電所の運転につきまして、原子力規制委員会がいざというときに運転停止を求めることができることになってございますし、事業者自身も自らの判断においてこれを止めるという対処ができることになっております。

 自衛隊及び警察、防衛省等との連携については、共同訓練も実施しているところでございまして、国民の皆様方の安全ということを守る、これを最優先で対応していくということは、これまでも、更にこれからもしっかり取り組んでいきたい、そういう御答弁でございます。

山崎(誠)委員 全く納得いきません。今、同じようなことを繰り返しただけで、具体的な、安全をどう守るのか、何もお答えいただけていません。経済産業委員会はまだ続きますので、じっくりとやらせていただきます。

 ありがとうございます。

古屋委員長 次に、漆間譲司さん。

漆間委員 維新の会の漆間と申します。

 貿易保険法、まず全体についてお伺いしたいと思います。

 先ほど山崎議員のお話にもありましたけれども、二〇二〇年度の我が国の輸出額約六十七兆円に対しまして、NEXIの輸出に関する保険の引受額が約四兆円と、日本の輸出額の六%程度をカバーしているということでありました。

 大切なのはトレンドだと思っております。

 日本の輸出額が、新型コロナウイルス感染症の影響で一時減少したものの、政府の参考資料によりますと、大体、輸出額の推移としては微増、増加傾向にある中、貿易保険の引受実績は、政府の参考資料によりますと、二〇〇六年、十四兆円あったのが、二〇一九年、四兆円と、ずっと減少傾向が続いている、これが問題だと思っております。

 今回の改正内容は、既に貿易保険を利用している企業も出席した懇談会で提言された内容を反映したものと見受けられますが、現在問題となっておりますロシアによるウクライナ侵攻のように、対外取引においては突発的なリスクが発生することもあって、現在は貿易保険を利用していない企業にもリスクヘッジの手段として広く認知されることが大切であると考えます。

 また、知っていても利用されないのであれば、取引におけるリスクヘッジのニーズを貿易保険が満たしていない可能性があるのではないかと考えております。

 平成二十六年の法改正のときにも、この経済産業委員会で同じような議論があり、当時の茂木大臣が、貿易保険そのものを増加させることが目的ではなく、日本企業の国際展開を支援した結果として貿易保険の利用が増えていくと御答弁されておりますが、現状はそうなっておりません。

 貿易保険事業が本来の使命を果たし、安定的に継続されるためには、企業のニーズを的確に捉えた制度設計、商品設計が重要であることから、貿易保険でカバーしていない、六%の残り、外の部分ですね、九四%の輸出がどういった対外取引が行われているのかしっかりと分析しているのかどうか、政府の認識をお伺いしたいと思います。

 あわせて、サプライチェーンの複層化により、海外から別の外国への貨物の販売を仲介する取引である仲介貿易についても重要であることから、我が国企業が行う仲介貿易の規模を含む概況についてどう考えているのか、これも併せてお伺いしたいと思います。

 その上で、貿易保険を利用していない対外取引を本当にどうやって今後取り込んでいくのかについて、先ほど、目標設定はしないという御答弁でありましたけれども、実際に具体的にどうやっていくのかということを、先ほど大まかな御答弁がありましたけれども、山崎さんへの答弁でですね、もうちょっと詳細に、よろしくお願いいたします。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 貿易保険につきましては、委員御案内のとおり、カントリーリスクなどの、まさに戦争、革命、内乱、あるいは自然災害、感染症、こういった本邦外で発生する契約当事者の責めに帰することができない事由をカバーするものになってございます。

 これは裏返しますと、利用者たる企業から見た場合には、御自身がこれから行おうとしている輸出、投資がそういったリスクがある場所で行われる事業活動なのか、あるいはそういうリスクがある地域向けの輸出であるのかということについて御判断をされて、あるいはNEXIの側からもそういった情報を提供する中でリスクがあると御判断された場合には、貿易保険を利用しようということになるんだろうというふうに考えております。

 日本の貿易そのものの推移については、ちょっとその要因は様々あると思いますけれども、他方で、貿易保険そのものについては、まさに日本の輸出相手国の構成が変わる中で、あるいは、日本企業が取ろうとしている、これから展開しようとしているインフラプロジェクト、例えばですね、インフラプロジェクトを取り巻く環境が変わる、そして今般のようなロシアやウクライナの問題が発生する、こういったことを背景に、様々に貿易保険に対するニーズが変わってくるんだというふうに考えております。

 今回の法律の改正につきましては、これまでの企業の方々、利用者の方々にとどまらずに、民間損害保険会社の方々の御意見もお伺いしながら、今、民間企業が海外展開していく上で、民間保険ではカバーできない分野としてどういうものがあるのか、あるいはどういったニーズがあるかということも幅広くお聞きしながら、今回、改正の法律案を準備させていただいたということでございますので、現在の制度ではカバーできないものを新たに、先ほど来御議論いただいておりますような新しい保険制度を準備することによってニーズに応えていくというのが今回の改正の趣旨でございます。

 その上で、仲介貿易についての御質問がございました。

 今、日本企業が外国から第三国への貨物の販売を仲介する取引である仲介貿易というのは、約一兆円ございます。

 この改正について検討した際も、まさに日本の企業のサプライチェーンがグローバル展開する中で、外国同士を仲介する貿易あるいは外国にある法人を経由した再投資などが頻繁に行われるようになってきている中で、日本企業が直面するリスクも変わってきている、それに対応した貿易保険制度の充実の必要性が指摘されたところでございます。

 こうした中で、前払い輸入保険というのが現在あるわけでございますけれども、これは本邦に全量を輸入する取引が保険の対象になっているところ、仲介貿易の中には、例えば、先ほども出ましたけれども、LNGのように、緊急時には日本に輸入することを前提として資源を調達し、平時は第三国に輸出をするといった日本の資源の安定供給の確保に資する取引もございます。

 こうした日本への裨益が認められる仲介貿易について、前払い取引に関する保険として新たに前払い購入保険として対象とするということで、これも、日本企業が国際展開する中で新たに増えてきたニーズに対応する保険として準備をさせていただいたものでございます。

漆間委員 心配なところが、やはり利用している企業からしか意見を聞いていなくて、利用していないところがどういったところであるのかというところをしっかり本当に分析したのかというところが一番心配なところでありますので、安定的運用のためにも是非そこの部分をしっかりとよろしくお願いいたします。

 続いて、これもほかの議員の方々がもう多く質問されておりますけれども、中小企業の利用促進関連についてお伺いいたしたいと思います。

 先ほどの梅谷議員への答弁でもありましたとおり、貿易保険の利用者の約四五%が中小企業ということで、全国の地銀や信金などとの連携、再保険の引受けを通じた民間損保会社の有する全国ネットワークの活用、保険契約手続等を簡素化した中小企業・農林水産業輸出代金保険の創設などの取組を行っているということではありましたけれども、まずは、これも先ほどちょっと御答弁であったんですけれども、中小企業からの引受保険価格、案件及び割合について、そのトレンドも含めてお伺いしたいと思います。株式会社以後、利用促進がどれだけ効果を表したか。

 先ほどの答弁で、二〇一七年で八十五億円、二〇二〇年で百四十五億円と伸びているということの御答弁もあったんですけれども、もしよろしければ、今後の目標だとかそういったものも含めて教えていただけたらありがたいと思います。よろしくお願いします。

飯田(陽)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁と繰り返しになるところがあるかもしれませんけれども、中小企業からの貿易保険の引受金額は約二千四百億円でございまして、全体に占める割合は四%でございます。引受件数につきましては一万二千件でございまして、中小企業比率は約一五%ということでございます。

 先ほども申し上げたとおり、中小企業の利用拡大に向けた取組として、既に全国の地銀あるいは民間損保会社との連携を強化してきたところでございまして、それが、先ほど委員からも御紹介のありましたとおり、二〇一七年と二〇二〇年度を比較した場合に、八十四・五億円から百四十五・六億円に拡大する。まだまだ金額としては不十分ではないかという御指摘はあるかもしれませんけれども、徐々にではありますけれども、貿易保険についての認知度が浸透しつつあるのではないかというふうに考えてございます。

 今後につきましては、もちろん、今までも商工会議所などとも連携しているわけですが、やはり日本政府全体としては、ジェトロをプラットフォームにして中堅・中小企業の海外展開を支援していくという包括的な取組を進めているところでございますので、まさに寄り添った支援の中核にあるジェトロとの連携が極めて重要だというふうに考えてございます。

 ジェトロは、全国四十七都道府県に四十九の事業所がございます。そこで、新輸出大国プラットフォームということで、ありとあらゆる輸出に関わる機関と連携を強化して、地方の、地域の中小企業の輸出を支援しているところでございますので、そこにしっかりとNEXIを巻き込んで、中小企業の海外展開、このチャレンジをしっかりと支援してまいりたいというふうに考えてございます。

漆間委員 目標設定とかも無理ですかね。もしよろしければ、お願いします。

飯田(陽)政府参考人 一言に目標設定というのはなかなか難しゅうございますけれども、あえて申し上げれば、一つの目安は、中小企業だからといって比率が全体の平均よりも著しく低いというのは、やはり中小企業に御利用しづらい状況であるということでございますので、少なくとも、大企業、中小企業区別なく、同じ程度の割合にしっかりと引き上げていけるように努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

漆間委員 大企業と同じ割合ということで御答弁いただきました。ありがとうございます。

 ちょっと利用の仕組みについてなんですけれども、中小企業を含め、我が国がこれまで取引のなかった地域においてビジネスを拡大しようとする際、取引相手となる現地企業の信用力の確認が容易ではないとの声があります。

 また、取引相手について、NEXIに情報が登録されていない場合、貿易保険を利用しようとする企業が外部機関による信用調査報告書を入手しなければならないなど、手続、費用において負担となっております。

 また、事故事案が発生した場合、NEXIから保険金を受け取った後も、取引相手からの債権回収は、原則、利用者が行わなければなりません。こういった点も負担になっていると聞いております。

 こういった点について制度を改善していく必要があると考えますが、お考えをお伺いします。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 貿易保険制度の円滑な運用の観点から、貿易保険を利用していただいている事業者の方に対して、取引相手先の情報の事前登録、取引相手先の格付を設定するための信用調査の実施、あるいは保険金の受取後の債権回収への取組を利用者御自身もしっかりと実施をするようお願いしているというのは事実でございます。

 他方で、ただいま御指摘のあったもののうち、取引相手先の情報については、さすがにこれは御自身の取引相手でございますので、NEXIに対して事前に、詳細に過ぎる情報を登録してほしいということではなくて、一般的な取引の中で確認できる情報についてはお知らせいただく必要があるというふうに考えておりますけれども、そのほかの御指摘につきましては、特に中小企業からも負担になっているという御指摘は我々も認識をしております。

 そうした中で、新型コロナウイルスの感染状況の拡大という状況もございまして、なかなかバイヤーの情報を取りにくいという中小企業の御事情も十分に勘案した上で、昨年の一月から、NEXIが保有するバイヤー情報を無料で提供するサービスというのを開始をしております。

 これに加えまして、利用者御自身が相手方に対する信用調査を実施することが難しい場合には、NEXIが中小企業一社当たり八件まで無料で信用調査を実施するといった支援もしております。

 また、債権回収でございますけれども、この取組については、一律に中小企業に全てをお任せするということではなく、NEXIとしても、外部の債権回収事業者を活用する、積極的に委託をするということで取組を進めておりまして、中小企業に対して、この貿易保険をしっかり御利用いただけるように対応をしているところでございます。

 加えまして、今後は、ウェブを使いました申込サービスの利便性を向上するといったようなことも含めまして、引き続き、中小企業からの御要望をしっかりお聞きしながら、利用者の利便性の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

漆間委員 確認ですけれども、債権回収業務に関しては、外部のサービサーの委託をNEXIがやってくれるということで、今改善しようとされているということで、これは費用負担もNEXIがということでしょうか。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 NEXIが費用負担をしてということでございます。

 ただ、あくまでも、申し上げれば、これは、保険を契約した方に代わって、保険を契約した方の名義に基づいて回収をしていくという業務でございますので、保険の被保険者の方の御協力が不可欠でございますので、ここはしっかりとNEXIとその保険者の方で連携して進めていただきたいというふうに思っております。

漆間委員 引き続いて、ちょっと関連で、債権回収についてなんですけれども、資料の方にありました、ATI、アフリカ貿易保険機構への出資を通じ、我が国企業のビジネス進出の促進に貢献することと併せて、NEXIの債権回収業務の効率化、実効性を向上させると政府は説明しておりますが、資料にも書いておりましたが、この債権回収業務の点については、保険利用者へのメリットがどの程度あるのか。単純にNEXIの役に立つだけでなく、債権回収義務を課されている保険利用者にとっても有意義な出資であるべきと考えますが、ATIへの出資の具体的なメリットをお伺いいたします。

弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇二〇年度におけるNEXIの保険金支払い実績によりますと、例えば、非常危険事故を理由とする支払いはアフリカが全世界の五三・三%を占めておりまして、アフリカにおける債権回収業務を着実に実施することが重要であります。

 そうした中で、NEXIがアフリカ貿易保険機構、ATIに出資することによりまして、両者の協調案件が組成される場合には、事前のリスク評価のための情報が充実することに加えまして、仮に保険金の支払いがあった場合にも、その債権回収をNEXIとATIが一体となって行うことが可能となり、実効性のある債権回収を行うことができると考えております。

 また、NEXIが、ATIに出資をしているアフリカ各国政府とも緊密な関係を構築することが期待されまして、これによりまして、NEXIの債権回収に当たりまして、その国の政府に対する直接的な働きかけも可能となります。

 こうしたことで、日本企業のアフリカにおけますビジネスの債権回収の実効性が高まることによって、日本企業への保険金支払いの原資となるNEXIの財務基盤強化につながることが期待されまして、日本企業に対してより安定的な貿易保険の提供につながるものと考えております。

漆間委員 分かりました。

 では、続きまして、残り時間五分ということで、最後の、法令違反事案についてお伺いいたしたいと思います。昨年、国会に法案提出を見送る原因となったNEXIによる法令違反事案についてお伺いいたします。

 貿易保険の在り方に関する懇談会、第二期報告書において、「経済産業省とNEXIとのやりとりが必ずしも文書に基づかずに行われ、組織内での情報共有が適切に行われなかったとの指摘があった。」とされております。

 改めて、行政が行う意思決定の経緯や過程をしっかりと公文書として残す仕組みづくりが重要であると考えております。

 我が日本維新の会は、政策提言におきまして、官僚、閣僚のメールやメッセージアプリなどについて公文書として扱うことを検討するなど、政策意思決定について合意が形成された証拠となる文書だけでなく、合意に至った経緯、過程を公文書として残す仕組みづくりの実践を掲げております。

 特に、何が政策意思決定に関わるもので公文書として保存しなければならないか、また保存期間を含めた重要度に関して決めるのが、職員個人、閣僚個人の裁量に委ねられてしまっていることが一番の問題であると考えております。後から見れば必要だったにもかかわらず記録が残されていないといったことは、最近、過去からも多くございます。

 できるだけ幅広くの業務を、もちろん職員の業務負担を過度に増大させない範囲で、今、デジタル庁が進めております業務のデジタル化と併せて、公文書としてしっかり記録、そして長期保存していくべきだと考えますが、大臣、御答弁よろしくお願いいたします。

萩生田国務大臣 国民の行政に関する信頼を確保するためには、議員御指摘の政策の意思決定過程も含め、公文書の適切な管理が不可欠です。

 このような観点から、現行の公文書管理法では、事業の実績だけでなく、経緯も含めた意思決定に至る過程について、合理的に跡づけ、検証することができるよう文書を作成することとされているものと承知しております。

 また、今年の二月には、行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、デジタル化に対応した行政文書の管理のルールを整備する観点から、電子媒体により体系的に管理することを基本とすることが明記されたものと承知をしております。

 経済産業省においては、公文書管理法や行政文書の管理に関するガイドラインを踏まえつつ、職員一人一人のコンプライアンス意識向上に向けた研修の実施、文書管理に関する省内監査の実施、ペーパーレス化、デジタル化の推進などを通じて、引き続き、適切な公文書管理を徹底してまいりたいと思います。

 冒頭御指摘のNEXIとのやり取りについては、やはり記録を残す、政策決定といいますか、最終的な決定事項に至るまでの経緯を残すという意味では、文書でやり取りをしておく必要がきっとあったと思いますので、そこは改善をしていきたいと思います。

 他方、これは気をつけないと、例えば、私文書であっても共有ファイルに入れた瞬間に公文書になってしまうという事件に巻き込まれることが、私、ございました。全く身に覚えがないやり取りまで当事者になってしまうということがありますので、これはもう、各省、ガイドラインをきちんと作っていただいて、残すべき文書かどうかということの大切さですとか、あるいは、人が言った言葉が自分なりの解釈で書き換えられるようなことがあると、後々これはトラブルにもなりますので、そういった意味では、正しく保管をする、正しく管理をする、その必要性というものは霞が関全体でレベルを上げていきたいと思っています。

漆間委員 承知しました。よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきたいと思います。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 本日、貿易保険法の改正案、質問させていただきますが、私の視点というのは、貿易を通じて国をいかに豊かにしていくのか、それをしっかり担っていくためのこの貿易保険法改正案、そしてNEXIの業務というのが非常に大事なのではないのかという観点から御質問させていただきたいというふうに思います。

 これは理事会に許可を取っている資料ではありませんが、ただ、お手元に、委員の方には配られております。調査室が作った参考資料でございますので、もしお持ちの方はこれを御覧になりながらお聞きをいただきたいというふうに思いますけれども、五十二ページに貿易保険事業収支の推移というグラフがございまして、私はこれを眺めながら、日本の失われた二十年とか三十年と言われていますけれども、まさにこのグラフを見ても、それがそのまま相似形になっているような気がしてならないんですね。

 例えば、貿易の保険料というのは余り、この三十年間、ここに資料として掲げられているものに関しては三十年間ですけれども、それほど変わってはいません。しかし、支払いの保険料というものは大分山があったんです。九〇年から二〇〇〇年までにかけて、二十世紀だった頃は非常に多額の保険金の支払いというのをNEXIはしている一方で、二十一世紀に入ってからの二十年間というのは、本当に、これは保険料、先ほど相償という言葉がありました。まさにその相償を非常に律儀に守っているようなことでございまして、ただ、私は、ここで本当に日本がまた豊かな力強い経済国家をもう一回目指すのであれば、NEXIも、やはりここを、前の、九〇年代、あるいはそれより前の、でっこみひっこみがあったようなことをやはり挑戦すべきじゃないのかなというふうに思うんですね。

 今は、保険料の収入の中で、リスクを抑えながらやっていると。先ほど漆間委員も指摘をしておりました。様々、その保険を利用する企業に対して必要な事項を事細かに課しているようなことも、もしかしたら昔以上にあるのかもしれませんけれども。

 そういう意味で、私も、これはもうNEXIの皆さんにもお示しを既にしております、経産省にもしておりますけれども、今私が申し上げたような、相償を律儀にこの二十年間守ってきたという状況が、これはもしかしたら私の認識違いで、実はNEXIの業務としてリスク評価がうまくいっていて、そして損害が、面倒を見ている企業さんに発生していないということが言えるのかもしれませんけれども、しかし、そうではなくて、やはり、我々の失われた二十年、三十年という大きなトレンドの中で、リスクを取らない企業、そして役所、そして保険会社という構造があるのではないかというふうに私は見ているんですが、これについての御所見、分析をお伺いしたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 今委員から、一九八〇年代から二〇〇〇年頃までは、保険金の支払いが非常に多かったではないか、それがチャレンジしていた結果ではないかという御指摘がございました。

 まずは、NEXIにおける保険金の支払いというのは、そのときに引き受けているプロジェクトがどういうものであったか、あるいは、どういう地域、国で行われていたか、そこで一体何が起きたのかということについて大きく左右されますので、八〇年代から二〇〇〇年代を一言で日本企業の活動だけで評価するのはなかなか難しいのではないかと思っております。

 他方で、貿易保険でございますので、いわゆる非常リスクの面から状況を見てみますと、一九八〇年代につきましては、やはり、第二次オイルショックによる途上国の累積債務問題、これが一番大きな背景にあったのではないかというふうに考えてございます。

 また、一九九〇年代初頭の保険金の支払い、これにつきましては、御案内のとおり、湾岸戦争、イラン・イラク戦争、あるいは旧ソビエト連邦の崩壊による混乱といったような形で、カントリーリスクに起因する事象が極めて広範に発生していたのではないかというふうに考えてございます。

 二〇〇〇年以降は保険金の支払い額が少なくなっておりますけれども、これは、地域的な紛争があったのは事実でございますけれども、それが必ずしも日本企業が輸出あるいは投資といった事業活動を行っていた地域と重なっていなかったこともあって少なくなったのではないかというふうに考えてございます。

小野委員 お答え、ありがとうございます。

 ただ、本当に、客観的なデータから見ると、非常に今は安全運転というようなことで、私はやはり、この日本をもっともっと元気にしていくために、例えばリスクがあるところに挑戦していくということを、これを保険会社が、ある意味、先ほど萩生田大臣もおっしゃっていた、これは国策会社ですから、そういうところが旗振りをしていくという役割が必要なんじゃないのかなというふうに思っていますので、これは是非、大臣のリーダーシップの下で、一体、このNEXIの今の付保のやり方について、リスクの取り方について、本当にこれでいいのかと。

 社長も先ほどまでおいでになりましたけれども、やはり、日本の産業、貿易を引っ張っていくという観点から、どのようにあるべきなのか。我々委員の側では、何がふさわしいのかとか、そういうことまで分からないんですけれども、是非それをしっかりとこの改正をきっかけにして議論していただきたい、これは議論を続けていただきたいというふうに思っています。

 そこで、ちょっと細かい話をお伺いしたいと思います。

 個別の案件ということで、ただ、この安全運転をやっている間では私は大きなトレンドだな、トレンドというか、一つの大きな出来事かなと思っているんですが、海外事業資金貸付保険の引受実績というのが、二〇一六年から二〇一九年までは平均して大体三千億から四千億円台だったんですけれども、二〇二〇年に限っては、これはおよそ三倍の一兆三千億円台まで一気に伸びているんです。

 これはもちろん個別の名前とかを出すのは控えなければいけないと思いますが、一体どういうことがあったのか、何でこんなに伸びているのかというのを教えていただきたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま委員の御指摘にございましたとおり、海外事業資金貸付保険の引受実績は、例年〇・三から〇・四兆円ということでございますが、二〇二〇年度は約一・四兆円となっております。

 この背景といたしましては、一つ大きいのは、新型コロナウイルスの世界的な感染の拡大を踏まえまして、二〇二〇年五月に、海外で事業活動を行う日系子会社の運転資金調達を支援するということで、一・五兆円の引受総枠を設けました海外日系企業運転資金支援事業というものを新たに開始しておりまして、二〇二〇年度にこの事業だけで約五千億円の運転資金の調達を支援したということがございます。

 もう一件、御紹介をお許しいただければ、もう一件は、モザンビークにおきまして、天然ガスの生産、液化からLNGの輸送までを行う大型プロジェクトの保険を引き受けたということがございまして、こういったことを背景として二〇二〇年度の引受けは非常に大きく伸びたということでございます。

小野委員 ありがとうございました。

 そういう意味では、コロナ禍、この法律案の改正の理由にもなっている事象でもありますし、また、モザンビークという非常にリスクが高いようなところにもしっかりと保険をつけている、あるいは事業を展開している皆さんに手だてをしているというのは、率直に評価を申し上げたいというふうに思いますし、そういう意味では、これから、例えば投資案件、貿易だけではなくて投資案件がどんどん増えてくるわけですので、タイムリーに業務をしっかり見直して、的確にサービスを提供できるような努力を今後続けていただきたいと思います。

 そして、もう一つ、中小企業・農林水産業輸出代金保険の引受実績ということで、これは先ほど梅谷委員からも質問されておりましたが、私からもちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 二〇一六年の中小企業・農林水産業輸出代金保険、これの引受実績は、二〇二〇年度になりますと、この五年間で一・五倍に伸びているんですね。それに対して、実際の農林水産物の輸出額というのは一・二倍ということで、これをどう見るかということなんですけれども、私は素直に評価していいのかなというふうに思います。

 先ほど、六%ぐらいしか、実は輸出額のうちカバーしていないというお話もありましたが、ただ、この貿易保険の存在を知って掛けた人は、やはり実際の輸出額よりも多くの伸びをこの保険額で見せている、加入額で見せているわけですから、そういう意味では、この貿易保険を使う人がどんどん増えれば、これは、政府が目標として掲げている、二〇二五年に農林水産物輸出額が二兆円、そして二〇三〇年には五兆円というものを目指していますけれども、これの達成に向けて大きな助力になるんじゃないのかなというふうに期待をしております。

 そういうことで、やはり、農林水産物の輸出額の増加というのは毎年続いていますが、これに対して、例えばJAとか、あるいは、輸出するところですと農業生産法人とかも結構多いんですけれども、こういったところに対してのアプローチ、先ほどもちょっと質問ありましたが、どんな努力をこれからしていくのか、今までどういうことをやってきたかということも含めて、是非お答えいただければと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 今委員の御指摘にございましたように、二〇二五年の二兆円、二〇三〇年の五兆円という目標に対して、政府を挙げて支援をするというのが基本的な方針でございます。

 その中で、NEXIにおいては、既に、農林水産品の輸出につきましては保険料を、通常の保険よりも三〇%ほど引き下げた保険料で引き受けるということで支援をしておりまして、それが、先ほど御紹介のありましたとおり、二〇二〇年度で年間百十四億円を引き受けるという成果につながってきたのであるというふうに考えております。

 ただ、他方で、先ほどの御指摘に関連して申し上げますと、この輸出額は現在約一兆円でございますので、全体の比率としては一%ということで、中小企業よりも更に低い比率ということでございますので、まだまだ貿易保険を利用していただける余地があるのではないかというふうに考えてございます。

 このため、今後、全都道府県に事務所を有するジェトロを通じて、農林水産事業者向けの紹介を進めていきたいと思いますが、ジェトロも今、農産物の生産関連の品目別団体と協力関係を強化しておりまして、経済産業省、農林水産省も加わって輸出支援をしているところでございますので、こういった中でNEXIあるいは貿易保険の活用もしていただきたいというふうに思いますし、農林水産事業者、格別小さな事業者も多うございますので、個別の輸出ごとの保険の引受けということではなくて、年単位の輸出全体での包括的な保険の引受けを可能にするということも、制度の見直しとして今後検討していきたいというふうに考えてございますし、デジタル化による加入手続の利便性の向上、これもしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 いろいろな工夫をされていることが分かりました。年単位での取組とか、あるいは農林水産業の、輸出しようとしている人たちに対する割引とか、そういった工夫をいろいろしながら、これは、農林水産省だけに任せているとなかなか、どうしても、外から農産物を輸入しようということについてガードを固めるばかりで、外に攻めていくというような省庁ではありませんので、是非、経産省として、そしてNEXIとして、日本の優れた農産物を出していく、攻めの姿勢を、この保険を通じて、あるいは、やはり信用情報とかそういったものも大いに安心材料にもなると思いますので、その辺の助力をしっかりしていただきたいというふうに思っております。

 それでは、保険の内容について若干質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今回、コロナ禍による損害をもカバーする。例えば、コロナによって物が運べなくて倉庫代が余計にかかったとか、そういったことで、保険のカバーする範囲というものを広げているわけなんですけれども、これによって当然保険料が上がるということもあろうかと思いますけれども、これについて、契約数にどう関わるのかということについてどのように見ているのか、それについてお伺いしたいと思います。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正におきまして、貿易保険のカバーするリスクの範囲を拡大するものにつきましては、それに応じて適切な保険料を御負担いただくことになりますが、これらについては利用者が追加の有無を選択できるようにすることとしておりまして、一律に保険料が上がることにはなりません。

 例えば、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた追加費用に対する保険の改定につきましては、特約として、利用者が感染症のカバーを希望するか否かを選択できるようにする方針であります。

 なお、法律上、NEXIは、保険料率等の引受条件の設定に当たりましては、経済産業省に届け出るように定められておりまして、経済産業省としても、保険料率が保険契約者の負担の観点から著しく不適切なものではないことを確認することとなっております。

小野委員 ありがとうございます。

 特約という形がいいんだろうなというふうに私も思っておりましたが、利用者の方に対して、それぞれのニーズに合った使いやすい提案ができるようにということで設計をしていただきたいと思います。

 スワップ取引保険のことについてはちょっと時間がないので飛ばしまして、最後に、NEXIのこれから、私が今回の質問で申し上げてきた、より日本の貿易を発展させる方向でしっかりと組織体制をつくっていく、そのための取組について御質問をさせていただきます。

 NEXIの役員のことについては先ほど荒井委員も御質問されておりましたけれども、やはり、貿易額がどんどん伸びていくように、未開の地であってもリスクを取りながらしっかりと日本の企業が攻めていけるようにというようにするためには、やはり貿易保険に精通した、そして企業マインドあふれる人材が必要だと思っています。そういうことでは、もちろん経産省の職員の方々も出向されたりということで、しっかりそこにマネジメントを利かせるということも大事だと思っていますが、やはりそういった貿易保険についてのスペシャリストというものが必要だと思っています。

 そういう意味で、役員そして部長クラスなどのマネジメントの方々、どういった人たちが来ているのか、ここについてお伺いしたいと思います。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 代表取締役を含む役員につきましては、現在八名在籍しておりまして、このうち四名は保険や銀行といった金融機関の出身、二名は経済産業省出身、一名は学識者、もう一名は弁護士でございます。

 各部門の部長、次長、グループ長を含む管理職につきましては、現在四十五名在籍しておりまして、このうち二十名は保険や銀行といった金融機関、五名はITシステム会社、そのほか商社等の出身でございます。

 なお、特に、利用者と保険引受けの相談等を行う営業部門の管理職につきましては、半数以上を金融機関出身の人材としておりまして、利用者ニーズに即した対応ができる体制となっているものと考えております。

小野委員 是非、このスペシャリスト、民間の企業の方も大分転職してこられているというようなこともありますけれども、プロの集団としてしっかり支えていくんだというような体制を、これからも磨きをかけていただきたいというふうに思っております。

 最後に、大臣にお伺いしたいんですけれども、そういったプロ集団をもっともっと力強くしていくためには、私はやはり成果をしっかり重視して評価していくというような体制がNEXIには必要だと思います。独立行政法人から株式会社化したということもございます。

 そして何より、先ほど荒井委員がいい質問をされたなというふうに私は思っていたんですけれども、荒井委員も民間におられた方だと思いますけれども、やはり保険会社というのはどこでも、ちゃんと実績を取ったらそれがしっかり給料に反映されるというのが当たり前だと思うんですね。それは生保でもそうですし、損保でもそうです。そして、一人で、一匹オオカミで保険会社をやって、どんどん稼いでいく。

 やはりそういう世界をこのNEXIにも、元々国策会社ですから、なかなかそういったことをすぐに極端にやることはできなくても、しかし、私が冒頭申し上げたように、日本の貿易をこれからどんどんどんどん、貿易というのは投資の部分も含まれますけれども、そういったものを伸ばしていくというような機能をもっと色濃く打ち出していくということが今求められているというふうに思います。

 そういう意味では、もちろん露骨な、民間ばりばりの成果主義までいかなくても、やはり本当に成績を上げている人たちが報われるというような体制にすべきだと思います。

 転職サイトでNEXIが一体どういう評価を、いろいろな転職を目指す人から、あるいは働いている人からされているのかというと、一言で言うと年功序列というふうになっていたんですね。これをやはりもっともっと、今申し上げたような形で、より日本を元気にするための原動力になるんだということで、その組織改革、人事評価制度もやはり変えていくべきじゃないかというふうに思いますが、最後に大臣も、私はIEAに本当に注力していただきたいので、一言だけお言葉をいただければと思います。

萩生田国務大臣 貿易保険制度は、日本企業の輸出、融資、投資等の対外取引において生じる、民間の保険では引き受けられないリスクをカバーする重要な政策ツールであり、日本企業の海外展開に必要不可欠なものです。

 足下のロシア、ウクライナをめぐる情勢や米中対立など、国際情勢が不確実性を増している中、貿易保険制度の重要性はますます高まっています。

 NEXIが、公的金融機関として、日本政府と一体となって日本企業に寄り添った支援を行うためには、経済産業省が今般の法改正のように制度を不断に見直すとともに、NEXIにおいて、時代の変化に合わせて変わる企業ニーズに機動的かつ柔軟に対応していくことが重要です。

 さらに、そのNEXIの任務を支える人材として、例えば金融、保険分野に加え、財務や経営、法務、リスク管理やITなどの監督指針で明記した分野を担う専門人材、政府の政策に知見を有する人材の更なる確保、育成を進めるとともに、それらの人材が十分に能力を発揮できるような、成果がしっかりと報われる人事制度を整備することも重要だと思っています。

 この点、経済産業省としても、監督指針において、各部門における体制整備を求めており、監督指針を実施する中で、NEXIにおいて専門人材が適切に確保、育成されることもしっかりと確認してまいりたいと思います。

 さっき荒井先生にもお答えしましたけれども、今は株式会社になって、そして、今までは中小企業がなかなかなかった、RCEPやCPTPPなどで外に向かって品物を売るということが増えてくる段階でありますので、ある意味、政府と表裏一体で、同じ思いでやってもらうということの方が重要なのかもしれないんですが、将来を考えたら、いい意味でやはりNEXIそのものが意思を持ってもらうということも大事ですし、その中で、ある意味、いい意味で自立を目指していくということも大事だというふうに思いますので、そうじゃないとなかなかいい人材が集まってこないというふうに思います。

 今は専門性高く、ある意味、役所と表裏でしっかり仕事ができる人たちがいていただくことは大変ありがたいと思っているんですけれども、将来的にはそういう少し進化していくことは、私、決して否定しませんので、この法律をお認めいただいた上で、そういったものもしっかりNEXIに伝えながら、是非前向きな取組をしてもらうように頑張ってもらいたいなと思っています。

小野委員 大臣、ありがとうございました。

 現状の姿……

古屋委員長 申合せの時間が過ぎております。

小野委員 ありがとうございました。

 じゃ、是非これは進化させていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず一番目は、貿易保険制度の中で、信用危険事故の場合で、貿易統計の二〇二〇年版を見ましたら、一番は南米、二番はアジア、非常危険事故の場合で、一番がアフリカ、二番が中米に保険金を支払っているんですね。こういった一度保険金を払ったプロジェクトに対して、もう一度、再度そのプロジェクトに対して保険の加入を認めているのかどうか、まず確認をしたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 プロジェクトのスコープといいましょうか定義によるのだというふうに思いますけれども、保険金をお支払いしたということは、それで終わりということではなくて、当然回収をしなければいけませんので、そういう回収ができない状態のまま同じプロジェクトについて、そのまま保険を引き受けることというのは、一般的にはないのだというふうに思いますけれども、委員御指摘のプロジェクトのスコープによっては、新規のものとして引き受けるケースもあるんだというふうに思っておりまして、状況、ケース・バイ・ケースで判断していくものだというふうに考えております。

鈴木(義)委員 海外取引のリスクに対応するためにこの貿易保険というのができたんだと思うんですけれども、先ほど大臣が答弁の中でおっしゃっていたように、米中の対立だとか気候変動だとか、様々なリスクが地球上に内在している中で、民間で入れない保険だから政府が所管する保険に入るんだと。民間がリスクを取れないところを貿易保険が全部リスクを取るという話になれば、審査するんだって、いや、民間じゃ入れないところ、おたくなら入れるんでしょうという話になっていっちゃうんですね。

 そこでまた成果主義を取り入れて、従業員にボーナスでも何か出していきますよといったら、じゃ、何を基準にして、元々リスクが高いところで、回収資金も取れません、プロジェクトは、今答弁いただいて、ケース・バイ・ケースで、再度同じプロジェクトにも保険に入らせる、こういう話になっていくと、最終的には、私は、日本の企業はどれだけ利益が取れたのかというところで、この貿易保険の話が成就できるんじゃないかと思うんです。

 何のためにこの保険を政府が所管して一〇〇%株を持って、リスクを取りながらやるのかといったら、最終的には、日本の企業なり事業者がメリットがある、じゃ、メリットというのはどこなのか。利益が上がるということだと思うんですけれども、その辺について御答弁いただきたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 この貿易保険につきましては、今委員御指摘がございましたように、民間の保険会社では引き受けることができないものを引き受けるというのが大原則としてあるわけでございますけれども、それに加えまして、公的な金融機関でございますので、経済産業大臣が告示で引受基準というものを定めておりまして、その中で、民間がカバーできないものであれば何でも引き受けるということではなくて、まさに日本の政府の政策方針に見合ったものであるとか、あるいは、広い意味での日本の国益に裨益するものであるとか、まさに公的金融機関が関与することを正当化する要件というのを定めておりまして、それに従って引き受けるということでございます。

 一概に、民間企業が利益を上げたということだけが基準ではないということは申し上げておきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 結局、目的があやふやな中でやっていてもしようがないだろうという考え方ですね。だから、そこのところは、再度、数字で示すことができるんだったら、今後出していただきたいなと思います。

 また、その資料を見ていくと、貿易保険料収入が減少して、回収資金も減少しているんですね。これで、将来、資金ショートした場合にどういう手だてをしていくのかということなんです。お考えをお示しいただきたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 この貿易保険制度は、中長期の収支相償、今まで議論がございました収支相償の考え方の下で運営をしております。

 そういった中で、実績だけを御覧いただきますと、保険料の収入というのは、引き受けている実績に応じて金額が決まってまいります。他方で、支出の方につきましては、保険料の支払いというのは、どういう保険事故が起きるのかによって、年によって、あるいは地域によって、そのときに応じて変化がございます。

 こういうことの中で、私どもしっかりとこの貿易保険制度で、将来起こる保険事故に対して、日本企業に損失が生じた場合には保険金をお支払いするために準備金を積み立てていくということで対応してきておりまして、これがまずは基本でございます。現在、手元に総資産で一・八兆円ほどございますので、これを原資として保険金をお支払いしていくというのがまず第一でございます。

 その上で、それを上回るような保険事故が発生したらどうなるのかという御指摘であろうかというふうに思いますけれども、総資産を上回る保険金の支払いが必要となる場合には、貿易保険法におきまして、政府保証によるNEXIの借入れというのが規定されておりまして、まさに政府の保証を受けて資金を調達するというのが二つ目でございます。

 それでもなお資金が不足をするという場合には、政府による財政上の措置を講ずることが法律上規定されております。

鈴木(義)委員 同じような質問なんですけれども、結局、そこまでのカバーをしてあげるということによって、日本にどれだけの利益をもたらせたのかというのが最終的なことだと思うんですね。

 資金ショートしたら、政府が保証して貸付けをしますよと。別の保険法の改正も今回違う委員会で上程されていると思うんですけれども、今度は、自分たちで積み立てた保険機構の中にお金、政府が保証をするお金、それにも増して、それでもカバーできなかったときは、プラスアルファ国の方でお金を出しますよという制度になっていくんだと思うんです。だから、それをやるんだったら、どこまで日本に利益が得られたのかということです。

 目に見えるお金もあるだろうし、その国とのやり取りもあるだろうし、そこの事業者との利益もあるんだと思うんです。損して得取れという言葉もありますから、そこのところをやはり、保険に入りながら、やはりチェックをしていくということも併せてやらないと、いや、ショートしちゃったから、あとは国が面倒を見てくれるから、リスクの高いところばかりどんどん入ればいいじゃないかというのはちょっと違うと思うんですね。ここは難しいバランスを取らざるを得ないと思うんですけれども。

 次に、同じような質問で、外国法人に対する出資の追加というのが何を意味しているのかということなんです。

 さっきから取引の多様性という言葉でくくられてしまうんですけれども、いただいた法案のいろいろな対応の仕方、カバーをする範囲をどんどんどんどん広げているんだと思うんですね。それを、間接投資も含めて填補対象にしていくのを際限なくやっていったら、子会社の子会社の子会社まで認めるんだという話になったら、それは資金回収できないと思うんですよね。

 日本人は真面目に商売をやろうとしていたとしても、外国の方で結局、わざとはめてやろうというような考えで、日本をどんどん、ウェルカム、ウェルカムと言ってきて、いざ事業をやり始めたらトラブルに巻き込まれてしまった。

 そこのところはある程度基準を出していかないと駄目だと思うんですけれども、お考えがあったらお示しいただきたいと思います。

弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 本邦企業がサプライチェーンをグローバルに拡大し、多種多様な企業との提携、協働を通して海外展開を図る中で、貿易保険の対象とする間接投資先につきましては、二以上の段階にわたる出資を含むものとしておりまして、特に上限を定めておりません。

 一方で、NEXIが引き受ける貿易保険につきましては、国が引受基準を定め、NEXIはこの引受基準に従って個々の保険の引受けを決定することとされております。

 具体的には、引受基準といたしまして、閣議決定その他日本政府の方針を踏まえた上で引受けを行うこと、ほかの公的機関や他国輸出信用機関及び国際機関との協調に努めた上で引受けを行うこと、民間保険の利用の妨げとならないよう留意し引受けを行うことと定めております。

 NEXIは、個別の保険の引受けに当たりましては、本邦企業の御要望を踏まえつつ、この引受基準に従って本邦企業の間接投資先を具体的に確認し、貿易保険の対象として適当かどうかを適切に判断することになっておりまして、無条件にどのような投資先、間接投資先でも保険を引き受けるということではありません。

 さらに、二百億円を超える大型案件を引き受ける際には、経済産業大臣が意見を述べることが法定されておりまして、経済産業省においても、保険の対象とする間接投資先の適切性を確認することとしております。

鈴木(義)委員 基準をきちっと示して対応していただければなというふうに思います。

 また、ホームページで、日本貿易保険で働くという記事が目に止まったんです。社員によると、会社評価スコアというんですかね、五点満点で、法令遵守意識というのが二・八、社員の士気が二・六、人材の長期育成が二・五、平均で二・六九というものなんです。さらに、トップダウンの風土があり、なおかつ、小さな組織なので、トップによって社内の雰囲気は変わる、社員は独立行政法人らしく、まあ今は株式に移行していますけれども、穏やかな人が多く、真面目に淡々と業務をこなす人が多いとコメントを載せているんですね。

 結局、昨年の不祥事は、上司の判断だったんだと思うんです。先ほど社長もお見えになっていたんです。

 社長以下、先ほども話題になりましたけれども、役員に連ねられている方は、経済産業省のOBとか銀行のOBとか民間保険会社のOBと、その道のプロの方が就任しているにもかかわらず、なぜその不祥事が起きてしまったのか。

 それとあと、貿易保険法の七十六条のところに百万円以下の過料というふうな条文があって、去年出された調査報告書を読みましたけれども、過料には当たらないと。法令違反になっていないからということで、自主返納という形で、一〇%を一か月分、会社に戻しているというふうな報告書になっていました。

 再度、ガバナンスも含めて、どう対応されていくのか、もう一度お尋ねしたいと思います。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 NEXIにおける昨年の法令違反事案につきましては、外部弁護士から成る外部調査委員会におきまして、その原因あるいは背景につきまして、個々の担当部署の確認不足、それから関連部署間の連携や複層的な確認の不足、そして、外部専門家の活用が不十分であったこと、こういったことを指摘されているというふうに承知をしております。

 この報告を受けまして、まず、NEXIにおきましては、外国債券の誤った購入の問題につきまして、現場対応力という観点から、例えば資金運用担当者への教育研修を強化する、それから、複層的なチェック機能を強化するという観点から、法務を統括する法務・コンプライアンスグループを新設をする、そして内部監査については、内部監査グループの人員を強化するといったような対応を行っております。

 また、保険料の誤徴収の問題につきましても、同様の考え方で、業務のフローの見直しを行ったところでございます。

 さらに、NEXI全体の法令遵守体制の強化につきましては、外部の専門家を活用するという観点から、コーポレートガバナンス委員会というものを改組いたしまして、取締役会の助言機関と位置づけ、外部有識者中心の委員構成にするという見直しを行ったところでございます。

 他方で、経済産業省でございますけれども、様々な課題があったというふうに認識をしておりまして、それを解決するために、貿易保険の在り方に関する懇談会において複数回の議論を繰り返しまして、昨年の十一月、株式会社日本貿易保険向けの監督指針を策定し、経済産業省の監督機能を強化したところでございますし、また、文書主義を徹底するということについて、NEXIとともに確認をしたということでございます。

 引き続き、貿易保険制度の適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

鈴木(義)委員 よく分かりました。

 それで、さらに、社員の方の口コミで、公的な機関であり、利益優先の民間企業とは異なり、より公益にかなう仕事だと考え、入社した。しかし、利益優先でないのは事実だが、商社や銀行、プラントメーカーが、危ないプロジェクトをNEXIの保険目当てに持ち込んでくることが多いというコメントを出しているんですね。

 だから、先ほど御答弁いただいて、ちゃんとやっているんですよと言いながら、実際働いている社員はこういうことを言っているということは、もうあからさまにリスクを取りたくない保険に加入しているという話になったら、だだ漏れになっていっちゃうんじゃないかということなんですね。

 まあ、この記事を書き込んでくれた人は正直な人だなと私も思うんですけれども、保険はリスクを軽減するためのものであるにもかかわらず、このような考え方で利用されていってしまったら、日本は貿易をすることによって利益を上げていく国だというのは否定するものじゃないんですけれども、どうしても、制度を違う形で考えて使っていこうという人には少し気持ちを改めてもらうような形を取っていかないと、リスクばかり国が取って。

 だから、先ほども申し上げましたように、だったら、そのリスクを国が取ったんだけれども、幾ら日本の国に対して、まあ、お金という形が一番分かりやすいと思うんですけれども、利益になったのかということを示していかなければ、この制度自体がおかしくなっていってしまうんじゃないかと思うんですが、最後に、大臣、どうでしょう。今までのことで、ひとつ御決意を。

萩生田国務大臣 先生、事前の準備でそういったホームページなどをよく見ていただいて、職員のコメントまで引用していただきました。

 その職員もおっしゃっているように、これは日本で唯一の貿易保険事業を担う公的機関でありますので、やや民間の尺度とは違う仕事をせざるを得ないという宿命的な、生い立ち的なものがあるんだと思います。

 その中で、大事なことは、リスクの高い案件であっても、国の政策目的に合致している内容かどうかというのは、経産省が決めた指針の中で決定することになっていますので、何か押し倒されるように、何か民間の皆さんがどこも引受手がないからというだけで、危ない案件を持ってきたからといって、直ちに成立しない仕組みになっています。

 そういう意味では、逆に言えば、逆に、民間の皆さんがそこへ荷を運んだり投資をしたりすることが、国が求めていることと一緒のことであるという政策的合致がない限りは保険が成立しない仕組みになっていますので、そこは、法令の範囲内で保険を引き受けることが基本方針になっておりますから、しっかり我々も監視もしていきたいなと思っております。

 いずれにしましても、先ほどから申し上げているように、今までとは違うフェーズで、今回、戦争を経験したり、あるいは、同時に、今までとは違った、中小企業の皆さんがRCEPやCPTPPなどで海外の皆さんと取引する環境が出てきましたので、私は、貿易保険の果たす役割というのはどんどん大きくなっていくと思いますので、運用を間違えないように、しっかり経産省として所管をしながら、共に歩んでまいりたいと思っております。

鈴木(義)委員 例えば、大臣が御答弁いただいて、一つしかないというのが、逆に競争の原理が働かないのかもしれないですね。二つあってもいいかもしれないし、三つあってもいいかもしれない。そのぐらいの大胆な改革をしていって、競ってもらうというのも、一つの方策じゃないかと思います。

 それと、最後にもう一つお尋ねしたいのは、余剰金がどんどんどんどん余ってくると、何となくお金を使いたくなっちゃうんですね。私もそうですけれども、何か利回りのいいところに使えないかなと。これはもう人情だと思うんです。今はもうマイナス金利ですから、ただお金を積んでいるだけでは利益も何も生み出されませんから。そうなってくると、余裕金の運用先を拡大するに当たって、それこそまたリスクがそこにあるんじゃないかと思うんです。

 その辺について御答弁いただければと思います。

古屋委員長 飯田局長、簡潔にお願いいたします。

飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる余裕金は、NEXIが将来の保険金の支払いに備えて手元に持っている資金でございますので、これを、リスクの高い投資先、あるいは財テクのようなものに使うということはあってはならないということだと思います。

 そういうことにならないよう、運用先については法定されているわけでございますけれども、その運用に間違いがないように、NEXIも体制を整えましたし、私どもも引き続きしっかりと監督してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 ロシアによる無法なウクライナ侵略を止める上で、世界の多くの国々と市民社会の力を合わせることが一番の力になる。憲法九条を持つ日本政府にふさわしい外交活動の展開をまず強く求めたい。

 今、貿易保険の役割がクローズアップされております。我が国の貿易・投資に関して、戦争や為替取引の制限など、通常の保険では負担できないリスクを国の信用力や交渉力に基づきカバーする公的保険制度、これを担う日本貿易保険、NEXIが役割を、監督官庁の経産省が責任を果たせるかどうかが問われております。

 そこで、質問いたします。

 本法案は、第二十九条で、NEXIの余裕金の運用先を拡大しようとしております。経産省は、昨年の通常国会に法案提出を予定をしておりました。ところが、昨年二月に、NEXIによる法令違反の資金運用が明らかになり、さらに、外部調査委員会の調査で、保険料の誤徴収という新たな法違反まで発覚したことから、提出が急遽取り下げられました。当時、梶山経済産業大臣は、当委員会で、取下げの理由を、NEXIの業務実施体制の強化を優先するためだと説明されました。

 そこで、萩生田大臣に伺いますが、その後、NEXIはどのような再発防止策を取っているんでしょうか。

萩生田国務大臣 経済産業省は、二〇二一年四月九日に、NEXIから貿易保険法違反に対する再発防止策について報告を受け、NEXIに厳重注意を行うとともに、再発防止策の速やかな実施とその実施状況についての報告を求めました。これを受けて、同年五月十四日に、NEXIから再発防止策の実施状況について報告がございました。

 具体的には、外国債券購入の問題については、現場対応力強化という観点から、例えば資金運用担当者への月二回の研修を行う、複層的なチェック機能という観点から、法務を統括する法務・コンプライアンスグループを新設する、また、内部監査については、内部監査グループの人員を強化するなどと対策を行ったこと、また、保険料誤徴収問題についても、同様の考え方で業務のフローを見直したことについて報告を受けました。

 また、NEXI全体の法令遵守体制を強化するため、外部専門家中心で構成されるコーポレートガバナンス委員会を取締役会の助言機関と位置づけるといった見直しを行ったと報告を受けております。

 経産省としては、NEXIの再発防止策は、外部調査委員会の指摘も踏まえた妥当な内容であり、その実施も着実に行われていると評価しております。他方、こうした再発防止策の実施は一過性のものであってはならず、必要に応じて見直しつつ、継続して実行されることが重要と考えています。

 このような考えの下、経産省としては、引き続きNEXIをしっかり指導監督してまいりたいと思います。

笠井委員 それまでいかにNEXIがずさんな運営をしていたかということだと思うんですけれども、一年前に法案を取り下げるほどの大問題になって、当委員会でも集中的な審議が行われました。私も三回にわたる質問でただしてまいりました。

 その中で、NEXIが法令違反の外国債券、具体的にはドイツ復興金融公庫債を保有していた事実を、通商金融課の貿易保険監理官が二〇二〇年十月に知っていながら、大臣には四か月後の二〇二一年二月にようやく報告され、NEXIと担当課のやり取りが文書で行われていなかったことまで明らかになりました。貿易保険法を執行し、NEXIを監督すべき経産省の不適切な対応が厳しく問われました。

 経産省は、NEXIへの監督強化についてどのように対応したんでしょうか、その後。

萩生田国務大臣 昨年の経済産業委員会において、経済産業省とNEXIのやり取りが必ずしも文書で行われず、組織間での情報共有が適切に行われなかったことを踏まえ、文書主義を徹底すべきとの御指摘を、これは当時、先生からいただきました。

 この御指摘を真摯に受け止め、経済産業省では、昨年六月以降、貿易保険の在り方に関する懇談会における有識者の複数回の議論を経て、昨年十一月、株式会社日本貿易保険向けの監督指針を策定しました。

 この監督指針では、NEXIの監督業務に従事する経産省職員への手引として、NEXIの経営管理、リスク管理、法令遵守等の業務体制ごとに、その意義、主な着眼点、具体的な監督手法を体系的に示すとともに、NEXIからの照会、報告、許可申請などを受ける場合の文書主義の徹底を含む監督上の留意点などを明確にしました。また、NEXIから経産省への申請や報告についての文書の様式を指定しました。

 さらに、監督指針についてはNEXIにも共有し、経済産業省とNEXIとの間で行われる重要なやり取りは文書で行うことの徹底を求めました。

 監督指針の各項目へのNEXIにおける実施状況については継続的に確認していくべきものと考えますが、昨年十二月以降のヒアリングを通じて、経済産業省としても、問題がないことを確認したところです。

 今後も、NEXIが業務を適切に実施するよう、当省として、監督指針にのっとり、引き続き必要な監督指導を行ってまいりたいと思います。

笠井委員 今、答弁ありました、NEXIへの監督指針は昨年十一月に策定されたばかりと。大体、従前、それすらなかったこと自体驚きなんですけれども、二つの法令違反を受けたNEXIの再発防止の取組も緒についたばかりではないかと。

 ところが、本法案は、第二十九条の余裕金の運用規定に、第四号で譲渡性預金証書の保有を追加しております。これは昨年二月の法令違反発覚後、二月十八日付の経産省貿易経済協力局の文書で、改正法案において余裕金の運用先に譲渡性預金を追加することを予定しているが、この扱いについては要検討、あえてそのように書かれていたものであります。

 大臣、今、経産省がやるべきは、運用先の拡大ではなくて、まず再発防止に向けて、今、監督強化のお話ありました、これをしっかりやることじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 普通預金は、安定的な資産であるものの、昨今の金融情勢下では金利が非常に低いです。これに対して、譲渡性預金は、通常、普通預金に比べて金利が高いことに加えて、満期日の柔軟な設定や満期日前の第三者への譲渡も可能であり、収益性、安定性、流動性がバランスよく確保された金融資産であると言えます。加えて、譲渡性預金証書は、昨年の法令違反の原因となった外国債券と異なり、NEXI自らの預金そのものであり、今回の改正で追加したもの以外を購入することはできません。

 したがって、譲渡性預金証書の保有を可能とすることは、日本企業への保険金の支払い原資となるNEXIの財務基盤を強化することにつながる措置であり妥当であるとして、今回の法改正に盛り込むことにしました。

 なお、外国債券による余裕金の運用については、NEXIにおいては、再発防止策として、複層的な確認体制の整備や法令遵守体制の強化を実施しているところであります。

 また、再発防止策の継続性や実効性を担保するため、監督する経済産業省側でも、昨年十一月、これらの再発防止策も含めた株式会社日本貿易保険向けの監督指針を制定し、チェック機能を強化したところです。

笠井委員 るる述べられましたが、譲渡性預金というのは、預金保険の対象外で保護されないんですね。そういうものを入れたときには本当にリスクがあるという問題だと思います。

 経産省に伺いますが、余裕金の運用先を外国政府及び国際機関に限定している省令を改正して対象を広げることも考えているんでしょうか。その点はいかがですか。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 現行法令におきまして、NEXIが保有できる外国債券は、外国政府及び国際機関の発行する有価証券であって外国通貨をもって表示されるものとされております。

 例えば、御指摘のございましたNEXIによるその債券の保有が問題となりましたドイツ復興金融公庫債につきましては、このドイツ復興金融公庫が、ドイツの政策金融機関ではあるものの、ドイツ政府そのものではないため、先ほど申し上げた外国政府には当たらず、現行法令上、NEXIは当該債券を保有することはできません。

 一方で、本債券につきましては、貿易保険の在り方に関する懇談会におきまして、その安定性や流動性は、既に貿易保険法上保有が認められるほかの外国債券と遜色ないとの指摘もございました。また、他の政府機関と比較してもNEXIの資産運用先は限定的であるとの認識の下、懇談会におきましては、公的金融機関として、資産の安定運用を大前提とした上で、こうした債券をNEXIが保有できるものとして追加すべきとの御指摘もあったところでございます。

 これらを踏まえまして、NEXIにおける再発防止策の実施状況等を勘案しながら、将来的に外国政府及び国際機関以外の発行する債券をNEXIの資産運用方法に追加することについて今後検討してまいりたいと考えております。

笠井委員 懇談会の報告書の取りまとめは昨年の七月です。まだ監督指針すら策定されていなかった段階で、運用先をどんどん拡大しようという結論ありきの方向になっている。NEXIは国一〇〇%出資の特殊会社であり、財政の毀損というのは国民負担をもたらしかねないことを強く指摘しておきたいと思います。

 次に、本法案が、新型コロナ等で顕在化したリスクなどを踏まえて、貿易保険の対象を拡大するとしていることについてであります。

 我が国の貿易に占める貿易保険の割合は欧米諸国と比べて高い上に、商社、大手メーカーやメガバンク、損保会社など特定の事業者に専ら利用されてきたことを、我が党はかねてから指摘してまいりました。

 そこでまず伺いますが、引受保険金の総額に占める上位三十社の引受金額の割合、及び、資本金別、業種別の内訳というのを端的に示してください。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 二〇二〇年度の貿易保険の引受金額は全体で約六・一兆円。このうち、引受保険金額の上位三十社の合計金額は約四・五兆円でございます。全体の約七四%となっております。

 その三十社について、資本金の金額の規模で区分をすると次のようになります。一兆円以上が三社、一千億円以上一兆円未満が十五社、百億円以上一千億円未満が九社、十億円以上百億円未満が三社となっております。

 また、当該三十社の業種でございますけれども、銀行が五社、商社が十二社、製造業が十一社、ガスが一社、通信業が一社となっております。

笠井委員 NEXIが引き受けた保険金の四分の三を、僅か三十社の巨大多国籍企業が占めております。

 次に伺いますが、二〇二〇年度の総引受件数及び金額に占める中小企業の割合というのは、件数と金額でそれぞれどうなっているでしょうか。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 二〇二〇年度の貿易保険の引受金額は全体で約六・一兆円。このうち、中小企業の引受金額は約二千四百億円でございまして、その比率は約四%です。

 また、同年度の引受件数は全体で七万八千件。このうち、中小企業の引受件数は約一万二千件でございまして、その比率は約一五%ということになります。

笠井委員 中小企業の利用件数それから金額は極めて僅かになっている。本法案による保険の対象拡大によって中小企業の活用が進むのかという問題が出てまいります。

 そこで、本法案では、サプライチェーン強靱化に向けた見直しとして、海外投資保険の補填事由に間接投資先の損害を追加しております。

 大臣、現行法では、本邦企業の直接投資先に生じた損害によって本邦企業に損失が生じた場合に保険金支払いの対象となる。中小企業というのは、海外で間接投資先などという複層的な投資はしないというか、できないわけですね。

 結局のところ、そうなりますと、多国籍企業の新たなリスクの貿易保険への転嫁ということになるんじゃないでしょうか。

萩生田国務大臣 日本企業が、新型コロナウイルス感染症の拡大や国際情勢の目まぐるしい変化など、新しいリスクに直面する中で、その対外取引を後押しするためには、貿易保険によってこうしたリスクを低減することが重要です。

 特に、グローバルサプライチェーンの高度化を踏まえ、日本企業のサプライチェーン全体を強靱化する観点から、新たに増大するリスクとして、間接投資先に生じた事故についても海外投資保険の対象として追加することとしました。

 一方で、保険の対象は、間接投資先の企業の損失ではなく、あくまで、間接投資先の事故による直接投資先の元本の減少又は直接投資先から日本への送金不能分のみであるなど、制度の骨格は維持することとしております。いたずらに保険でカバーされるリスクが拡大するものではございません。

 加えて、NEXIが個別の保険を引き受けるに当たっては、経済産業大臣が定める引受基準に従うこととされており、投資保険を引き受けるに当たっては、対外取引の健全な発展を図るという貿易保険法の趣旨に照らして適切であるかを踏まえた上で引き受けることになります。

 さらに、二百億円を超える大型案件をNEXIが引き受ける際には経産大臣が意見を述べることが法定されており、こうした大型案件については、経産省においても保険の対象の適切性を個別に直接確認してまいります。

笠井委員 いずれにしても、中小企業はそういう形ではなかなかないという話になってきます。

 では、財務省に伺いますが、海外投資による利益に課税せずに、国内に還流させることを目的として、二〇〇九年に海外投資配当益金不算入制度が設けられました。二〇一五年度以降の不算入額というのはどのようになっているでしょうか。

田村政府参考人 お答えいたします。

 国税庁が公表しております会社標本調査結果によりますと、外国子会社から受け取る配当等の益金不算入額は、二〇一五年度分で約六兆一千七百四十七億円、二〇一六年度分で約七兆八千四百三十三億円、二〇一七年度分で約九兆四千八百三十八億円、二〇一八年度分で約七兆七百十七億円、二〇一九年度分で約六兆二千四億円となってございます。

笠井委員 合わせますと、直近五年分で三十六兆七千六百億円にもなると。

 では、経産省に伺いますが、海外現地法人の内部留保残高というのは、直近の年度で幾らになりますか。

飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。

 経済産業省で行っております海外事業活動基本調査、これは、海外に現地法人を有する我が国企業を対象に、日本側出資比率合計が一〇%以上の外国法人及び日本側出資比率合計が五〇%超の海外子会社が五〇%超の出資を行っている外国法人を対象に調査したものでございますが、それによりますと、令和元年度末、二〇一九年度末の内部留保残高は三十八兆二千五百九十七億三千九百万円となっております。

笠井委員 そうしますと、不算入額と合わせて七十五兆円にもなります。

 多国籍企業は、自らのリスクは貿易保険に転嫁しながら、利益はしっかりとため込んでいる、十分な体力がある。やはり、そういう点では、貿易保険に新たなツケ回しをさせるべきでないと申し上げたいと思います。

 もう一点ですが、サプライチェーン強靱化に向けた見直しが、前払い輸入保険ですね、これを前払い購入保険に変更して、そして対象に仲介貿易を追加していることであります。

 その点でいいますと、現在、前払い輸入保険の対象を本邦への輸入に関する前払い金のみを対象としている理由というのは、輸入取引が日本に裨益があるという考えに基づくものだと思うんですよ。

 そこで、大臣に最後に伺いたいんですが、ところが、本法案では、貨物を本邦又は他の外国の地域に引き渡されるものに限るとして、必ずしも日本国内の貨物の輸入を要しなくなる仲介貿易を追加している。先ほどからの懇談会の報告書は、前払い保険の対象に仲介貿易を追加することが適当としながらも、仲介貿易が日本へもたらす意義は案件ごとに異なると考えられることから、付保をする際には日本裨益があるか精査が必要というふうに書いてあります。

 伺いたいのは、この改正案の条文上で、日本の裨益というのはこの点でどう要件づけられているんでしょうか。

萩生田国務大臣 今回の法改正においては、前払い購入保険について、本邦への輸入に加えて仲介貿易を保険の対象としています。

 現行の前払い輸入保険では、例えば、平時にはある国から第三国に輸出するが、有事の場合に例えばLNGを第三国から日本に振り向けるような仲介取引については貿易保険の対象となりませんでした。一方で、こうした取引は資源の安定調達の観点から日本への裨益が認められることから、今回の法改正において保険の対象とすることとしたものです。

 しかしながら、こうした仲介貿易については、取引形態や取引対象が様々であることから、貿易保険の対象としては日本への裨益が認められるものに限定することが必要です。この点、NEXIは、貿易保険を引き受けるに当たって法案第十六条に基づいて貿易保険引受基準に従う必要がありますが、本改正法案が成立した場合には、この引受基準において、仲介貿易の前払い取引への付保に当たって日本への裨益を具体的な条件とするよう明記します。

 さらに、第十六条に基づき、五百億円を超える大型案件を引き受ける際には経産大臣が意見を述べることが法定されていることから、こうした大型案件については、経済産業省において、保険の対象とする仲介貿易の適切性を個別に直接確認してまいりたいと思います。

笠井委員 私、条文に日本裨益がどう要件づけられているかを聞いたんですが、その点はなくて、十六条に基づいてNEXIが判断して、経産省もそれを見ていくという話です。結局、裨益のあるなし、そのことにかかわらず広く保険の対象にするということになると。

 日本経団連は、昨年三月の「戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて」で、海外インフラプロジェクトへの民間投資促進に向けて、NEXIの支援強化が必要だとして、保険メニューの一層の拡充を求めております。まさにそれを具体化したのが本法案ではないかということになります。

古屋委員長 申合せの時間が来ております。

笠井委員 時間が来ました。

 私、まだまだこの法案をめぐってはたださなきゃいけない問題があります。したがって、これで質疑終局することについては反対です。更に質疑続行すべきであるということを強く求めて、終わります。

古屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮さん。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、貿易保険法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 我が国の貿易保険の利用割合は諸外国と比べても高い上、巨大商社、大手メーカー、メガバンクや損保会社が専ら利用してきました。本法案は、輸出や海外投資を行う親企業が負うべきリスクを国民に転嫁してきた問題点を更に拡大するものとなっています。

 反対理由の第一は、海外の間接取引先に生じた損害による損失補填や、日本に貨物を輸入しない第三国向けの仲介貿易の追加によって、巨大な多国籍企業のリスクを一層貿易保険に肩代わりさせるものだからです。

 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行や、半導体不足を契機とした国際的なサプライチェーンの寸断等によって海外投融資が減少する下、日本経団連の要求に応え、際限ない国民負担をもたらすものであり、容認できません。

 第二は、昨年、法令で禁止されている投資先への資金運用など二つの法令違反が相次いで発覚したNEXIによる再発防止や、経産省による監督体制強化の取組が始まったばかりにもかかわらず、本法案が余裕金の運用先を追加しようとしているからです。質疑の中で、省令を改正し、更なる投資先拡大を検討していることが明らかになったことも重大です。

 第三に、原発や石炭火力発電所を始め、インフラ輸出戦略を推進するものだからです。

 政府は、第二次安倍政権以降、トップセールスで売り込んできた原発輸出プロジェクトが総破綻してもなお、石炭火力発電所プロジェクトを推し進めています。相手国政府のエネルギー政策の変更による事業中断を保険金支払いの対象に追加する本法案は、石炭火力発電所の輸出に固執するものにほかなりません。パリ協定の目標を達成するために石炭火力発電所への投資から撤退する、世界の大きな流れにも逆行するものです。

 さらに、新設される出資業務によるアフリカへの資金供給が、化石燃料から再生可能エネルギーへの公正な移行を阻害してきたゆがみを一層深刻にする危険があることも指摘し、反対討論といたします。

古屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、貿易保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、石川昭政さん外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。落合貴之さん。

落合委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    貿易保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 ロシアのウクライナへの侵攻及びこれに伴う経済制裁等による国際情勢の不安定化も踏まえ、今後生じ得る様々な国際取引を巡るリスクの高まりに対応し、我が国企業が安心して対外取引を行うことができるよう、株式会社日本貿易保険における貿易保険業務の一層の充実強化に努めるとともに、政府においても更なるリスクの軽減のための適切な支援を行うこと。

 二 株式会社日本貿易保険が貿易保険事業を行う外国法人への出資を行うに当たっては、出資先との連携による情報共有の強化等を通して利用者の利便性の向上を図るなど、我が国企業の海外における事業展開等に資するものとなるよう努めること。

 三 株式会社日本貿易保険において、認められていない外国債の保有及び保険料の誤徴収があったことを踏まえ、貿易保険業務を適切に行うための法令遵守意識の向上及び組織・人員等の体制整備に引き続き努めるとともに、政府においても適切に監督を行うこと。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、萩生田経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田経済産業大臣。

萩生田国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

古屋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会


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