衆議院

メインへスキップ



第6号 令和4年3月30日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年三月三十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      国定 勇人君    国光あやの君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中川 貴元君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      西村 明宏君    星野 剛士君

      山下 貴司君    山本 左近君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      末次 精一君    堤 かなめ君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   外務副大臣        鈴木 貴子君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   文部科学大臣政務官    高橋はるみ君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     杉山 幸成君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           堀内 義規君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  藤田 仁司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         江口 純一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          師田 晃彦君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            白石 昌己君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  山崎  誠君     神津たけし君

同日

 辞任         補欠選任

  神津たけし君     山崎  誠君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  梅谷  守君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     梅谷  守君

    ―――――――――――――

三月三十日

 新型コロナ危機打開のため持続化給付金の再給付の実施に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第六五八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六五九号)

 同(志位和夫君紹介)(第六六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六六一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六六二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六六三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六六四号)

 同(宮本徹君紹介)(第六六五号)

 同(本村伸子君紹介)(第六六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件(現下の経済情勢及び半導体等サプライチェーンの課題)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件、特に現下の経済情勢及び半導体等サプライチェーンの課題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房総括審議官杉山幸成さん、金融庁総合政策局審議官井上俊剛さん、法務省大臣官房審議官柴田紀子さん、外務省大臣官房審議官徳田修一さん、文部科学省大臣官房審議官堀内義規さん、水産庁資源管理部長藤田仁司さん、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官江口純一さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣さん、経済産業省大臣官房審議官木原晋一さん、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官師田晃彦さん、経済産業省商務情報政策局長野原諭さん、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁事業環境部長飯田健太さん、中小企業庁経営支援部長佐々木啓介さん、海上保安庁警備救難部長白石昌己さん、防衛省大臣官房審議官町田一仁さん及び防衛省防衛政策局次長大和太郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠さん。

山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速御質問に入りたいと思います。

 今の懸案の事項でありますロシアのウクライナ侵攻、軍事攻撃が、一か月を過ぎてまだ続いております。不幸にして命を落とされた皆様に、心から哀悼の誠をささげるとともに、傷つき、ふるさとを破壊され、難民となっているウクライナの皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。一刻も早く戦争を終わらせるために、日本としても国を挙げてできることは全てやり切る、改めて政府にそのようにお願いをしたいと思います。それとともに、私どもとしてもできる限りの協力をお約束いたします。

 今後の見通しも不透明な状況とは思いますが、人道支援などとともに、現在継続している経済制裁をしっかりと実効性あるものにすることが、日本ができる対応として極めて重要と考えます。本日は、そうした観点から、ロシア関連の石油、天然ガス開発事業についてお聞きしてまいりたいと思います。

 日本とロシアの間では、皆様御存じのとおり、サハリン1、2の事業が動いており、それぞれ原油とLNGが供給されています。また、建設中の案件として、アークティックLNG2プロジェクトが動いています。これらロシア関連事業について、大変厳しい状況であると思います。どういうふうにしていくのか、どういうふうにこれをマネージしていくのか、議論をさせていただきます。

 さきの三月十七日の参議院の予算委員会において、蓮舫委員が本件を質問しております。その中で、アークティックLNG2プロジェクトを進めるかどうか萩生田大臣に質問されています。次のように答弁をされている、要約でありますが、このようにお答えです。

 アークティックLNG2プロジェクトは、我が国のLNG調達先の多角化に貢献するとともに、今後、世界的なLNG供給不足が危惧される中、長期的かつ安定的にLNGを供給することができるエネルギー安全保障上重要なプロジェクトですと。

 それから次の段落では、G7首脳声明では、秩序立った形で世界が持続可能な代替供給を確保するための時間を提供することを確保しつつ、ロシアのエネルギーへの依存を削減するため、更なる取組を進めていくこととされました。

 また最後では、アークティックLNG2プロジェクトについても、G7首脳声明の方針に沿って、エネルギー安全保障の観点からエネルギー構造全体の中で対応を考えてまいりたいと思います、このように発言をされています。

 この発言について、今も大臣の考え方は変わっていないか確認させてください。この最後の段落で、エネルギー構成全体の中で対応を考えてまいりたいということでありますが、どのような対応を考えておられるのか、萩生田大臣にお聞きします。

萩生田国務大臣 まず、基本的な考えはまだ、まだというか変わっておりません。これはG7の各国とも本当に頻繁に連絡を取り合いながら、それぞれの国の状況ですとか大きな方針ですとか、こういったことは確認しながら進めておりますので、新しい代替地が直ちに見つかるということではありませんので、大きな意味で依存度を下げていこうということはみんな目標にさせていただいていますけれども、現時点で、このアークティックLNGについて事業を止めるということは考えておりません。

山崎(誠)委員 前提として北方領土交渉についてちょっとお聞きをしたいので、外務省の審議官にお越しいただいていると思います。

 安倍総理それからプーチン大統領間で、北方領土交渉はどのように推移してきたのでしょうか。どのような進展があったのでしょうか。お聞きしたいと思います。

 先日、外務省のロシア課の担当に、プーチン大統領が公に北方領土交渉に関してどのような発言をしているのかと、公にですよ、その経緯をお尋ねしたんですけれども、そういう資料はまとめていないという返答で、資料をいただけませんでした。外務省は、こういう基本的な情報収集、管理、どうされているのか、そんなことも非常に心配になりましたが、この北方領土の交渉について経緯を教えてください。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 北方領土問題につきましては、次の世代に先送りせず、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、先ほど委員から御指摘のあったものも含めまして、首脳、外相レベルの交渉、協議を始め、これまで粘り強く交渉を進めてきたところでございます。

 他方で、今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みとして、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、これに対して、G7を始め国際社会と結束して、毅然と行動する必要がございます。

 ロシア外務省は、ロシア時間の三月二十一日、ウクライナ情勢に関連して日本が行った措置が一方的な非友好的な措置であるとして、こうした措置を踏まえて、平和条約交渉を継続しない等の措置を発表しました。

 今回の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものでございまして、それにもかかわらず日本側に責任を転嫁しようとする、このようなロシア側の対応は極めて不当であり、断じて受け入れられず、強く抗議するところでございます。三月二十二日、こうした日本政府の立場をロシア側に伝達し、強く抗議をいたしました。

 いずれにいたしましても、日本政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するという態度から、この基本方針は不変でございます。

山崎(誠)委員 せっかくいろいろと交渉してきたけれども、今回のロシアの軍事行動、この侵略で、向こうから一方的に打切りをしてきたということだと思います。

 このアークティックLNG2プロジェクトと領土交渉、この関係性について何かコメントはありますか。

徳田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアとの間では、平和条約締結交渉を含む政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展するべく、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、これまで粘り強く平和条約交渉を進めてまいりました。

 御指摘のございました北極LNG2プロジェクトは、平和条約締結交渉を含む政治、経済、文化など幅広い分野で日ロ関係全体を国益に資するよう発展するとの方針の下、安定的なエネルギー供給源の確保等の観点も考慮しつつ進められてきたものと理解しているところでございます。

山崎(誠)委員 資料一を見ていただきますと、これは安倍首相とプーチン大統領の会談の流れということで、本当に一部しか取り上げておりませんが、通算二十七回の首脳会談などがあり、最後は大阪のG20での会談があり、そして、二〇一九年の九月に、ロシアのノバテックとこのアークティックLNG2のプロジェクト、最終投資決定がなされています。

 この最終投資の様子を見ると、安倍総理もいらっしゃるし、プーチン大統領もいる、世耕元大臣ですかね、その当時は、もいらっしゃるし、非常に政治色の強い、安倍首相とプーチン大統領のプロジェクトだというふうにも見えます。

 資料の二を見ていただきたいんですが、この資料の二の下のページを見ていただくと、これは資源エネルギー庁からいただいた資料ですけれども、このプロジェクトの公的支援の実績ということでまとまっています。

 見ていただくと、出資比率について見ると、日本全体では、ジャパン・アークティックLNG・BVで一〇%ということなんですが、その中で、JOGMECが出している出資が七四・六%ということでございます。大変大きな部分をJOGMECが出している。その下には、出資額そして累計の債務保証額もあります。見ていただいたとおり、本当に三千億に近くなるお金をJOGMECは出している。それから、その下、JBICも二千億を超える融資をしている。それから、NEXI、日本貿易保険も、貿易保険という形で応援をして、これは三井物産の出資に対して保証をしています。

 これだけ国として強力にバックアップをして国が関与するというのは特別なプロジェクトではないのかなというふうにも思うんですが、この点、萩生田大臣、どのように御説明なさいますか。

萩生田国務大臣 自前の資源を持っていない我が国にとって、ロシアに限らず、海外に権益を有するというのは、そして長期の安定的なLNGの確保をするというのは、これは国としての責任で進めていかなくてはならないことであります。

 今、この足下でロシアに対してどう思うんだと言われれば、これはもうとんでもないことでありまして、信頼関係を持って仕事ができるのかと言われれば、それは非常に難しい一面があることは申し上げるまでもないと思いますが、当時は、一定の方向性、良好な関係の中でお互いに行ったプロジェクトでありますし、国と国との約束であると同時に、民と民との約束の中で積み上げてきたプロジェクトでありますので、そこは御理解いただける中身ではないかと思います。

山崎(誠)委員 民と民という話もあるんですけれども、これは相当な国の肩入れだと思うんですよ。その点を私はちょっと今取り上げて御質問したんですが。

 もう一つは、ノバテックとノバテックの主要株主でありますボルガグループ、この二三%の株を持っているゲンナジー・ティムチェンコさんという方、このノバテックとティムチェンコさんは、クリミア併合の問題で米国の制裁対象になっている。

 これについては、このアークティックLNGプロジェクトの締結のとき、最終の投資を決めた決定のときにはこの制裁対象だということは御理解いただけていたと思うんですが、そういうことが、結果論かもしれませんが、結局、今のこのロシアのこうした侵略行為あるいは軍事攻撃、こういうものにつながった、その可能性、おそれというものがあったのではないかと思う。おそれというか、これは実際に起こっていることでありますけれども、そこにつながったのではないかというふうにも思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 それはまた全然違う話だと思いますけれどもね。

山崎(誠)委員 これは米国の制裁の対象だったというのは御存じですか。ごめんなさい、この締結時に知っていたんでしょうか。

萩生田国務大臣 いや、私個人は知りませんけれども、米国がクリミア以降、個人的な、例えば制裁対象を公にしているのは、これは日本政府としては当然承知していたと思います。しかし、それと法人とはまた別格の部分がありますので、そこは正しく判断した結果だと承知しております。

山崎(誠)委員 別に個人的な見解は聞いていないので、大臣に国の見解を聞いています。

 それから、資源確保の観点から、このプロジェクトの意義ということなんですが、もちろん資源は貴重であります。量の大小というのは余り議論すべきでないかもしれません。でも、LNGの調達量、このプロジェクトからの調達量というのは二百万トン程度です。日本のLNG調達量の三%程度。産出される九割は中国とか欧州に運ばれるというのがスキームです。

 こうした、決して大きくはないこの割当て量のためにロシアにこれだけ投資をしようというのは、どうなんでしょうか。妥当なんでしょうか。これは日本のためというよりも、ロシア、ノバテック社を支援するためのそういうプロジェクトのスキームじゃないか、あるいは、プーチン大統領を応援するためのプロジェクト、そういう色彩があったんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

萩生田国務大臣 これは与野党を超えて、この大事なときに、国内の国会での議論というのは、やはり多くの人たちが見ていますから、私、ここは慎重にお互い議論した方がいいと思うんですね。

 これが原因でウクライナへの侵攻が始まるなんてことはまずあり得ませんし、また、三%という量が少ないと言うんですけれども、そもそも資源を持っていない日本が、二十二日にはもう停電をするかもしれないという事態になったわけです。三%というのは大変なLNGの量でありまして、それをどこかでやはり代替するといったら、これまた大変なことですよ。

 それは、よその国から買えるんだったらそういう方法もあると思いますけれども、そこはやはり資源に乏しい日本のエネルギーを確保していくという、国民生活や産業を守るという私たち政府の責任として、この三%は決して小さな数字じゃないと思います。

山崎(誠)委員 平時であれば、当然そういう話だと思うんですよ。多角化をして安定的に資源を確保するというそのニーズは当然あるし、大臣のおっしゃっているのも分かります。

 でも、ここは私、大変重要だと思うんですよ。そもそも権益の確保、資源の確保が重要だというのは言うまでもない。でも、残念ながら戦争を起こすようなロシアにエネルギーを依存すること自体が大きなリスクではないか。

 世界の動きとして、ロシアへの依存から脱却をしようという動きがあるということは、G7の首脳の方針でもあります。であれば、例えばサハリンの1、2、これは今もう完成をして、資源の供給を受けているわけです。ただ、このアークティックLNG2プロジェクトはまだ建設中です。先ほど言ったような今経緯の中で、例えばフランスのトタルは、資料の三の記事にもありますけれども、資金提供を停止をすると。このプロジェクトの進行も止まるのではないか、そういう状況です。

 私は、少なくともこの事業については、一定見直しをする、ブレーキをかけるということは、これは国際的な責任の上でも大事なのではないかと。

 先ほど言いました、大臣はそうお認めにならないかもしれないけれども、ロシアの軍事行動の戦費というのは、主に資源の輸出からの収益で成り立っているわけであります。だから、例えばこういうプロジェクトをこのまま動かすということであれば、戦争をやはり抑えようという意味では、日本の対応としては弱いんじゃないかというふうに思うのであります。

 ここはしっかりとけじめをつけて、国として厳しい対応、この特にアークティックLNG2プロジェクトについては、どういう対応を取るかというのが非常に世界からも注目されると思います。

 改めて申し上げたいんですが、先ほどもG7の話もありました。大きなエネルギー供給の構造の中で考えるというお話もされています。大臣のお考え、もう一回お聞かせいただけますか。

萩生田国務大臣 先般、フランスのトタルが北極LNG2プロジェクトへ更なる追加投資は行わないというプレスリリースをしたことは承知しています。同じプレスリリースの中で、北極LNG2プロジェクトを含むロシアの資産から撤退はしないということも明確に言っているんですね。

 サハリン1、サハリン2、北極LNGプロジェクトについて、自国で権益を有して、長期的な資源の引取り権が確保されるものであり、現状のようなエネルギー価格高騰時は市場価格よりも安価に調達ができることから、エネルギーの安全保障上、極めて重要なプロジェクトだと考えています。

 先週、私、皆さんのお許しをいただいて欧州に出張し、各国の閣僚とも会談しましたけれども、申し上げたとおり、ロシアの依存度の低減を進めていこうという点では各国共通しているんですよ。しかし、それにはやはり一定の時間軸が必要であってということは、これは日本のみならず、ヨーロッパの国々も同じ事情なんですね。同時に、各国ともエネルギー安全保障の重要性を改めて強調しておりまして、日本も含め、各国の事情について、お互いに理解をしております。

 我が国としてエネルギー安定供給をしっかり確保しながら、G7首脳声明にあるように、ロシアのエネルギー依存度を低減させるための更なる取組を進めて、方針を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。

 先生がおっしゃっていることも私、決して否定はしません。こういうときなんだから、ロシアを、制裁を強化するために撤退をすれば、その分ロシアにお金が入らなくて制裁になるんじゃないかときっとおっしゃっているんだと思うんですけれども、日本やあるいはこのトタルが撤退をして、第三者に権益を譲渡するということになれば、今以上の条件で当然買う第三国が出てくることになるわけです。そうしたら、ロシアには利益をもたらすことになって、制裁じゃなくなっちゃうじゃないですか。だから、そこは各国とよく調整しながらやっていますので、そこは御信頼いただきたいと思います。

山崎(誠)委員 ごめんなさい、私、撤退と言ったつもりはないんですが。

 やはり事業の意味というものは重いんだと思います。それは、日本にとってのエネルギー事情についても重いかもしれないけれども、このロシアの今の軍事行動ということに対しての意味としても、非常に私は重いものがあると思うんですよ。いわゆる経済制裁の中で穴をつくらないで、きちっとこれを対応するということは、私、これだけ政府が肩入れをしているプロジェクトですから、一定政府に、私は逆に責任もあるんだと思います。これは是非この後も、世界との動きもあると思います、各国との動きもあると思いますが、日本としてもきちっとした対応を取っていただきたいとお願いをいたします。

 残り時間、ちょっと少なくなってまいりましたので、次の話題に移りたいと思います。

 これまで原子力発電所の過酷事故の話をずっとしてまいりました。地震だとかテロだとか軍事攻撃だとか、原発はやはり過酷事故を起こすようなことがあり得るんだということ、原発には一〇〇%の安全はないということは、この委員会でも私は確認を何度かさせていただきました。という意味では、過酷事故を覚悟しなければいけないということです。

 次に問題になるのは、じゃ、過酷事故が起きたときの賠償にどう備えるかという話。これは考えたくないお話でありますが、動かす以上、そうしたことを考えなければいけないということです。

 本日は、文科省から政務官にお越しいただいております。ありがとうございます。

 原子力損害賠償法、これは文科省の管轄でありますが、第六条には、原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置、損害賠償措置を講じなければ、原子炉の運転等をしてはならないというふうに規定されています。

 ここで、この原子力損害を賠償するための措置を講じる主体は誰であるか、明確にお答えいただきたい。それから、講じる措置が不十分な場合は文科大臣はどのような対応を取ることになるか、教えてください。

堀内政府参考人 お答えします。

 責任を持っておりますのは、原子力事業者の方がその対応の責任を持っております。それを果たしていない、不十分だということであれば、法律の規定に従って、いろいろな活動をすることができなくなるということでございます。

山崎(誠)委員 いろいろな活動ができなくなるということは、運転ができなくなるという選択肢も入っていると思います。

 七条には、賠償措置額が千二百億円と規定されています。では、この金額の根拠を教えていただきたいんです。この金額はいつ決められたものか。

 そして、東京電力の福島第一原発事故では、損害賠償に今、約九兆円のお金が必要になっています。この現実の過酷事故への対応額を見て、千二百億円という賠償措置額は十分と言えるのかどうか、お答えいただけますか。

高橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 原賠法第七条に規定する賠償措置額につきましては、賠償措置額の国際水準を勘案をしつつ、原子力損害賠償責任保険に関する保険市場の引受能力なども勘案し、平成二十一年の改正による一千二百億円、今の水準に至るまで、これまで数次の引上げを実施をしてきているところでございます。

 他方、発災事業者の賠償資力につきましては、原賠法に規定する損害賠償措置に加えまして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく相互扶助スキームを整備をし、賠償規模を問わず、被害者救済の観点から、必要な資力の確保が図られているところであります。

 また、平成三十年の原賠法改正のときに当たりまして、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会におきまして、賠償措置額の引上げについて検討された結果、一つには、賠償措置額は既に国際水準に照らして十分高い水準にあること、また、国際的な保険市場の動向に照らして引上げが困難な状況にあることなどから、その引上げを行い得る状況にないという判断がされたところでございます。

 その際の専門部会の報告書には、迅速かつ公正な被害者への賠償の実施、国民負担の最小化、そして原子力事業者の予見可能性の確保といった観点も踏まえつつ、引き続き慎重な検討が必要であると記載されているところでございまして、文部科学省を中心に検討を行うことといたしているところであります。

 以上であります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 今の御説明、何度か私も担当の方からもお聞きしました。国際水準と照らして必ずしも低い金額ではない、それから、保険市場の動向から、これが妥当なんだというお話でありますが、これは誰のための損害賠償措置額なんでしょう。これはあくまでも、被災者、被災した方々を守るため、賠償するための額です。国際水準が高いか低いか、それは実際の事故の被災とは私は無関係だと思うんですよ。

 この話の前提は、残念ながら起きた東京電力福島第一原発事故であります。八兆円かかっているんです。こうした実際に負担が生じる、これを、先ほど参考人からも答弁ありましたけれども、これは電力会社が、一義的には事業者が、措置額として負担しなきゃいけないのであります。国が肩代わりをする、そういう制度もあるでしょう。互助的な制度もあるかもしれませんが、それでも、この六条に書かれていることをそのまま素直に読めば、その損害賠償に必要な措置は事業者が対応しなきゃいけないのであります。

 政務官、もう一回。国際水準は分かります。それから、保険の仕組み上、これが一定限界なんだというのも分かるんです。ただ、それと八兆円という現実に起きている賠償との乖離が余りにも大きい。これをどうお感じですか、どうお考えですか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 現在の制度の中になりますけれども、被災者の方々のために迅速かつ公正な賠償をするということで、現状において、賠償のための資金確保に関しては、原賠法に規定する賠償措置と、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく相互扶助のスキームの両方から、この資金を確保するように措置をいたしまして、しっかりと対応を取れるようにしてございます。

 その上で、先ほども委員からの御指摘もありました保険市場の状況というものを勘案した結果、現在の補償措置額ということになっておりまして、その措置額につきましても、国際水準に照らし、また市場の動向などを見たところから、国内の専門家の議論の中から適切、妥当な金額ではないかというふうに言われておりまして、そういった額としているところでございます。

山崎(誠)委員 これは今検討中、議論をしている最中だとも聞いているんですけれども、その中ではどういう今議論をされているか、お答えいただけますか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 今論点となっておりますものが国際的な状況やその他の動向ということになっておりますので、我々の方としましては、こういった必要な動向について調査をいたしまして、文科省を中心に検討を行っているところでございます。

山崎(誠)委員 これは、私は非常に重要だと思うんですよ。今お話ししたとおり、過酷事故というのは避けられない、絶対安全がない以上は、いつ事故が起きてもおかしくない。そのときに賠償、これがきちっと行われる、原子力災害が起きたときの被災者を支える仕組みがきちっと担保されていないといけないのであります。

 それで、六条に書いてあることが、私は、一義的に極めて重いと思うんです。この千二百億という金額をやはり引き上げる必要があるのではないかというのが一点。もし、その負担に堪えられない事業者については、やはり原発を動かす資格がないんじゃないでしょうか。その点、いかがですか。

高橋大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど来、御答弁を申し上げていることと、あるいは重複するところもあるわけでありますが、原子力損害による賠償額が賠償措置額を上回るような場合におきましても、発災事業者の賠償資力については、先ほど来申し上げておりますとおり、機構法に基づく相互扶助のスキームなども整備をし、賠償の規模を問わず、被災者救済、被害者救済の観点から、必要な資力の確保を図っているというところでございます。

 そういった中で、平成三十年の法改正に当たりましても、原子力委員会における検討の中で、先ほど来申しておりますとおり、国際水準との関係などでございまして、この専門部会の報告書に記載されている方向で、文部科学省を中心に検討を行うこととしておるところであります。

 以上であります。

山崎(誠)委員 元々、この福島原発事故の賠償を見ていると、要するに、原子力発電所というのが一回事故を起こせば大変な被害が広がって、一事業者ではとてもとても負い切れない災害になるわけであります。そこに大きな問題があるので、この質問をさせていただきました。

 機構の制度で今動いているのは分かりますけれども、次の災害があったときに、また同じように負担して、果たしてこの電気事業というのが続けていけるのか、大きな問題だと思います。

 時間ですので終わります。以上です。ありがとうございます。

古屋委員長 次に、末次精一さん。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。

 本日は、委員会で質問に立たせていただくことに感謝申し上げます。

 また、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問通告に従って質問をさせていただきます。

 まず、新しい資本主義における利益分配の在り方と、新しい産業を興していく考え方について。

 大臣が繰り返しお示しされている、新しい資本主義による成長と分配の好循環を実現するための力強い成長の実現とは、何の成長と、誰に対する分配なのか。そのために、何が力強い成長を実現しなければならないとおっしゃっておられるのかというところにつきまして、これはこれからこの国が進んでいく方向性として極めて重要な論点であるため、いま一度確認したいと思います。

 大臣は、そうしたお示し、繰り返しになりますが、新しい資本主義による成長と分配の好循環を実現するための力強い成長の実現の根拠として、この三十年間、日本企業は成長がなかったということ、御批判としても数字の上でもということで、その中でも大企業は一定の利益を上げていたということ、すなわち、この国が遅れていたのは、新しい産業を興していく、新しい製品を作っていくこととされております。

 しかしながら、私が調べた限りでは、二〇〇二年末から二〇一二年末までの十年間、株価を上げていた企業は七割に上っております。そのうち、株価を大きく下げていたのは実は大企業であったという事実が一方でございます。このときに、逆に中小企業はどうだったかというと、単純平均では五割以上株価を上げていました。

 要するに、どの期間を切り取って、あるいは、どの立ち位置、角度で判断するかによって、導かれる方向性は変わってくるのではないかということであります。平成の一定期間、大企業が一定の利益を上げていたという事実が仮にあったとして、そのことが、すなわち、新しい産業、新しい製品の創出の遅れを表すことに果たしてなるのだろうかと私は思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、岸田総理が掲げる新しい資本主義は、市場競争に全てを任せるのではなく、官と民が協働して、成長戦略と分配戦略の両面に取り組み、成長と分配の好循環を実現していくものです。

 力強い成長を実現するための成長戦略としては、今だったら、気候変動問題ですとかデジタル化、経済安全保障などの社会課題への対応を成長分野として捉え、政府も民間も一歩前に出て、こうした分野への投資を拡大し、新時代の成長のエンジンとしていくことです。

 その上で、分配戦略として、所得の向上につながる賃上げに向けた賃上げ税制の拡充や、人への投資の強化、取引適正化による下請企業へ適切に利益が分配される環境の整備などによって、成長の果実を広く国民一人一人に分配することで、消費を拡大し、次の成長につなげていきたいと思います。

 こうした取組を通じて、成長と分配の好循環による持続可能な経済成長を実現していくことが大切だと思います。

 先生、前回のやり取りの中の私のコメントで、今お聞きいただいた、確かに、取り方によって見方はいろいろ変わってくると思うんです。ある意味、今までとフェーズを変えて何をやるんだということだったので、過去を振り返る一つの象徴として大きくそういうお話をさせてもらいました。

 確かに、大企業も中小企業も一定の利益を上げてきたのは事実ですけれども、他方、イノベーションがなかったというのが、私、最大の欠点じゃないかなということをたしか申し上げたと思うんです。すなわち、投資をしていないんですよね。要するに、内部留保にとどまったんだったら、それは、確かに利益かもしれないけれども、次なる産業の芽をまいていなかった。ここに大きな私は原因があるんじゃないかと思っていますので、ここで、まずフェーズを変えて、しっかり投資をしていくということを行いたいということを申し上げたつもりでおります。

末次委員 それでは、まず、大臣は今、中小企業は一定の利益を上げてきたとおっしゃいましたが、お示しされたことに対しては、大企業は一定の利益を上げてきたということで、中小企業は一定の利益を上げてきたというお話はなかったわけですけれども、そこはいわゆる補足説明ということで捉えてよろしいんでしょうか。

萩生田国務大臣 先生もいみじくもおっしゃっていただいたように、どの局面を切り取るかによって話は変わってくると思うので、私が申し上げたいのは、業種によっても全然この三十年というのは違うわけですよね。確かに物すごい利益を上げた業界もある代わりに、すごく停滞して厳しかった業界もあるので、総じてのお話でございます。

 その中で、先生が中小企業の五〇%のお話を取り出していただいたので、私が大企業のみが利益を上げたみたいなことで三十年を振り返ると今後の議論がおかしくなると思ったので、私も中小企業も一定の利益を上げたと申し上げたまでで、中小企業の中には、厳しい三十年を越えてきた業種、業界もたくさんあると思います。そこは大きな話の中での認識でございますので、何か業種に絞ってお話をされるんだったら一個一個でまたフェーズが違うと思いますので、そう御理解いただければと思います。

末次委員 大臣、私は業種に絞ってということで申し上げていることではございません。

 まず、大臣がお示しされた、これはいわゆる、何回も繰り返しされたんですけれども、新しい資本主義による成長と分配の好循環を実現するための力強い成長の実現ということでおっしゃったわけです。鶏が先か卵が先かというふうな思いもありはしますが、それはさておき、では、そうしたお示しされた根拠として、根拠ですよ、根拠を申し上げているんですが、それが、三十年間、日本企業は成長がなかったこと、これは批判としても数字としても指摘されているということをおっしゃったわけでございます。

 その中でも、大企業は一定の、一定のですよ、切取り方ということで、私は二〇〇二年から二〇一二年までということで申し上げましたが、大臣は、三十年間ということで、大企業は一定の利益を上げてきたということをおっしゃったわけですね。それを踏まえた上で、この国が遅れていたのは、新しい産業を興していく、新しい製品を作っていくことだというふうに言われたわけです。それを前提として捉えて、じゃ、これから、大原則ですよね、大原則に対する考えをお示しされたということです。

 そのお示しされた考えを踏まえて、私が最初申し上げましたのは、これからこの国がどの方向に進んでいくかということに関しまして極めて重要な論点であるというふうに思うから、大臣もそう同感していただくと思いますけれども、だからそこをいま一度確認したいということで申し上げたわけです。

 私は決して、どの業種に特定してとか、どの期間に限定してとかいうことではありません。私がお示ししましたのは、いわゆる失われた十年間とよく言われる期間でありますが、その中でも中小企業は一定の利益を上げてきている、五割以上、ざっくり言ってですね、上げてきているわけです。大臣もそこはお認めになられました。

 そうなると、またそのお示しされた根拠が変わってくるわけですね。となると、導かれる方向性も当然変わってくるから、そこをきちんと議論した上で、重要な論点であるということでありますので、そこをきちんと議論して、この新しい資本主義が導く経済政策、この国の行く末、方向性というのは何かということをまず確認したい、そういう意味で申し上げたわけであります。

 決して、期間を切り取って揚げ足を取るとか、業種に絞って、そこを、何か違うんじゃないか、そういうふうなことを申し上げているわけではないんですけれども、その辺り、私の質問の誤解が取れたということであれば、いま一度、確認の意味で、ここを、じゃ、修正されるのか、それとも訂正されるのか、補足説明されるのか、それを改めてお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 多分、二人とも同じことを言っているんだと思うんですけれども、私は、やはり、過去を振り返って、利益が上がっているのは事実ですけれども、やはり成長がなかったというのは、例えば人件費が上がってこなかったですよね。給与が上がってこなかったわけですよ。それから、新しい産業が起きてこなかったわけですよ。そういう意味では、イノベーションの力が非常に弱かったということ。

 それから、確かに、中小企業も、一定の利益を上げている業種、業界もあるかもしれないけれども、取引価格の見直しがなされてこなかったわけです。

 ですから、ここはやはり、新しい資本主義というのは、政府も、あるいは民も官もお互いに一歩前に出て、本来、官民の取引価格を、国が、特別、独禁法とかそういう法律に反していないのに、あるいは下請法に反していないのに、そこにやはり介入してでも、やはり適切な取引価格にしてもらうべきだ、Gメンを増やしてでも現場を見ていこうなんというのは、本来の、今までの資本主義の概念からいえばちょっと行き過ぎなのかもしれないんですけれども、誰かがやはり一回行司をやらないと世の中変わらないんじゃないかというのが総理の考え方でございまして。

 そういう意味で、足腰はあるわけですから、いいものは持っているわけですから、それをしっかりもう一度、広くしっかり力を発揮してもらうために、例えば、国も市場任せじゃなくて、お互いに伴走しますよ、一歩前へ出ますから、民間も一緒に投資をしてください、こういうことも新たにやっていこうと思いますし、あるいは、スタートアップ、まさに新しい産業を興すということは、ただ単に腕組みしていてもこれは出てこないわけですから、少しいい芽があったら、それはお互いに水をまいたり肥料を与えるというようなことをやっていきましょうよというのが、今回の新しい資本主義の概念でございます。

 ちょっと、新しい資本主義そのものが幅が広過ぎるものですから、私が全て順序立ててうまく説明できないのかもしれないんですが、今までの概念にとらわれないで新しいチャレンジをしていこうということを申し上げているのでありますので、是非御理解いただければと思います。

末次委員 ありがとうございます。

 今の御説明からすると、これまで大臣がお示しされていた力強い成長の実現というところに、新しい産業、新しい製品の創出ということで、これがいわゆる遅れていたからということで、お示しされたわけですね。

 今御答弁いただいたことによると、それ以外にもあるというお話でしたね。足腰がしっかりしているという企業もあるというお話でしたね。

 では、力強い成長の実現とは、新しい産業、新しい製品の創出以外にもあるというふうな理解でよろしいですか。分かりました。ありがとうございます。

 それでは次に、通告二番目の、新しい資本主義における官民連携、協力、伴走の在り方について質問をさせていただきます。

 新しい資本主義に対する理解として、大臣は、冒頭質問させていただきましたように、これまでこの国が遅れていた、新しい産業を興していく、新しい製品を作っていくというところについて、先ほど、国が一歩前に出て人も技術も育てていくことを民とともにやっていくと。例えば、スタートアップで資金を集めるということについても、政府も一定の出資をすることで、それが呼び水となって投資家からのお金を集められるような仕組みを官民連携でつくっていきたい、それが我々の言うところの新しい資本主義であるとお示しになられています。

 しかし、これでは、官、地方行政が、いわゆる成長戦略を持たない民と協働するという誤解を与えかねないと私は思います。

 ところが、その一方で、大臣は、あくまでも、発議をし、努力をするのは各地方である、そしてそのことを国が認めれば、規制改革等によって新しい産業を興したり、あるいは業態を変えていくことは可能であるとおっしゃっているんですね。

 ならば、新しい資本主義を語る上で、利益配分の在り方、官民連携や官の伴走の在り方、さらには民間の投資の在り方の転換に対する捉え方は、やはり意識を合わせておく必要があると思います。そのうち、官民連携や官の伴走の在り方については、私も、主導すべきは国や行政ではなく、適切にリスクを取られる民間企業であると考えております。様々な規制緩和や自由化を通じて事業参加者を増やし、そこへの事業参画を容易にする社会機能を整備することが必要であると思います。

 そこで、改めて、各地方における官民連携や官の伴走の在り方について大臣の御見解を伺いたいと思います。

 行政の使命は、民間主導で、地域の付加価値創造に向けて自立自助的行動を喚起する土壌づくり、あるいは特区の立ち上げ、PFIへの取組などをサポートするところにあると私は思いますが、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 新しい資本主義における官民連携協力の在り方の具体例として、度々お話ししていますけれども、例えば、安全保障上重要な半導体について、製造拠点整備だけではなくて、将来的に持続可能となるように人材育成も同時に実施していくこと、これはなかなか企業だけでできないと思います。国やあるいは地方自治体やあるいは地方の大学などが連携していかないと、こういうパッケージというのはできないと思いますので、例えばこういうことですとか、以前から申し上げているように、平時はバイオの医薬品を製造している民間の製薬会社の方に、有事にワクチン製造に転用できるデュアルユースの生産設備の整備支援、これも始めさせていただきました。

 今までは、民間の工場の中に国が投資をした設備を置くなんということはまず考えてもみなかったですし、また、仮に置かせてもらうとしても、それは国が管理をするという前提だったんですけれども、今回のは、ふだんは民間で使っていていいですよ、国として要請があった場合だけ助けてくださいね、それまでは自由に使っていてください、こういう新しい発想で官と民が協力しました。

 まさに地方の話、今先生されましたけれども、例えば半導体などは、もう九州全体でサポートしてもらうということを県の皆さんにもお話ししていまして、九州大学ですとか九州工業大学ですとか、あるいは長崎なども半導体の中小企業の皆さんの集約がたくさんありますので、前工程や後ろ工程を含めて、まさに、中小企業、大企業、国そして県、こういったものが連携しながら、あらゆるプレーヤーを増やして、そしてそこで産業を興すと同時に雇用の場も生んでいく、そして将来まで持続可能な人材育成もしていくということを、今回取組をすることにしました。

 地方と国と、役割はいろいろあると思いますけれども、私、さっき先生が例示いただいた、例えばPFIも一つの方法だと思いますし、今ここで、大量のデータを処理するためにデータセンターを全国に分散させていこうと思っているんですけれども、これは、国がどこか場所を決めて、国がつくって民間の使いたい人を募集するんじゃなくて、都道府県で手を挙げてもらって、土地の手当てをしてもらって、そして、そこにどういう企業体を誘致するかは自分たちで考えてもらうけれども、土地の造成費や何かを国が応援しようという、こんなことも今回メニューとしてつくらせていただきました。

 今までとは違った発想で、地方と連携しながら、それぞれの官民連携協力の在り方というのは、新しいメニューをどんどんつくっていきたいなと思っています。

末次委員 ありがとうございます。

 今大臣がお話しされたことを、今私の手元に私の地元の産業分類表がありますけれども、じゃ、ここに一体どのくらい当てはまるのかなと思いながら聞かせていただいておりました。大臣がおっしゃったことを私は否定するものでもないし、それについていろいろと注文をつけたりするわけでもなく、それはもう是非是非取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 しかし、私が申し上げているのはもっとマクロな話でございます、マクロな話。

 それは、大臣がお示しされた、あくまで、発議をし、努力するのは各地方であると。そして、そのことを国が認めれば、規制改革等によって新しい産業を興したり、あるいは業態を変えていくことは可能であるとおっしゃったわけですね。

 まず、これの特に訂正とか修正とか追加補正はないと思いますけれども、これを踏まえたときに、行政の使命というものは、私が思うのは、民間主導で、地域の付加価値創造に向けて自助自立的行動が喚起される土壌づくりですね、行政の役割として。あるいは、さらに、これは少し絞って、特区の立ち上げやPFIの取組などもサポートするところにあると思いますけれどもという質問をさせていただいたわけです。

 それについて大臣のお考えを聞かせていただきたいということなんですね。その辺りが、今御答弁いただいた辺りで少しはっきりしなかったもので、繰り返しになって大変申し訳ございませんけれども、そこを聞かせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生、まさに地方の役割というのをそんなに固定化しなくていいと思うんですよね、これからの時代。

 黙っていても企業は来ませんよ。したがって、やはり、それぞれの自治体が、自分たちの地政的なメリットですとか、あるいはデメリットを埋めたりする中で、そこに合った企業群を誘致をしていくようなこともこれからはやっていかなきゃならないし、そのために地方創生などのいろいろなメニューがあります。規制改革、特区、こういったものもあります。

 ツールは国としてそろえてきましたので、それは、国が、おたくの県、これをやったらどうだと言うんじゃなくて、県や市町村が、うちの町だったら、こういうメニューを組み合わせて、こういう民間企業と連携しながら、こういう新しい産業の場をつくっていくんだという、これからはそういうことをまさに求めていきたいなという一つの例示として申し上げたのであって。

 先生がおっしゃっている、行政の役割としてそういうサポートをするということは、もちろん、今までもやってきたことですけれども、大事なことで、それは決して否定しませんし、これからも続けてほしいと思うんですが、もう一歩踏み込んで、まさに、新しい資本主義、これからの国と地方の在り方というのは、是非、国が何かをするのを地方が待っているんじゃなくて、地方が一緒に考え、行動を起こして、そして、前例がないからといって国もはねのけるんじゃなくて、その地方の提案に対してしっかり寄り添って、新しい地域づくりをしていく、新しい産業を興していく、こういうことをやっていかないと、やはり日本は世界に勝てないと思っていますので、そんな思いを申し上げたところでございます。

末次委員 ありがとうございます。

 力強い成長の実現ということに対して、やはり、新しい産業、新しい製品の創造に力を入れていくというお話であったと思います。

 三番目の質問ですけれども、ちょっと、質問通告の一に、またこれまでの御答弁を踏まえて質問させていただきます。

 大臣からは、地方は潜在的には物すごくいい力を持っているので、そういうところを行政が覚醒させ、各地方に合ったチャレンジをしていくことが必要であり、そこにしっかり国として伴走していきたいという大変心強いお言葉をいただいております。私も全く同じ思いです。

 私の地元である長崎県佐世保市にも、株式会社ジャパネットたかたという、地方発のナショナルブランドの企業がございます。地方にはこういったナショナルブランド予備軍というものが多数眠っておりますし、ナショナルブランドになるには、やはり地方を制する必要があると私は考えます。

 であるならば、新しい産業、新しい製品、これからの利益、これからの企業、いわゆるスタートアップの前に、今ある産業、今ある製品、今ある利益、今ある企業に対してどう考えるのか。これからの利益の前に、今ある利益に対する分配機能に、地方行政が果たすべき役割を考えるべきではないのでしょうか。

 私は、大臣が繰り返しお示しされている、新しい産業が興ってこなかったことが日本の一番の欠点であった、起業する人たちを支えて、将来のこの国を代表する会社が起こることを期待し、国もリスクマネーを取って伴走し、イノベーションの力で新しい会社や製品を起こしていくことが第一義に必要だとするお考えには違和感を覚えずにはおられません。

 新しい資本主義の必要性、株主資本主義からステークホルダーへの変換の必要性は、これまで、利益が社会に適切に配分されてこなかったことが日本の成長を少なからず妨げていたゆえではないかということです。

 私の地元には約一万の企業がございます。ちょっと話はそれますけれども、昨年十月、私は地元の皆様の御支援によって初当選させていただきました。衆議院議員を代議士と言われることに対して、改めて、その後、私は考えてみました。代議士の代は、まさに地方の代表であるということ、そしてまた、その代は、地方の皆様の代理でもあるということを改めて認識したわけであります。これは、萩生田大臣は大臣ですけれども、同じ衆議院議員として同じ思いを持っていただけると私は思います。

 そのことも踏まえて、私が聞いているのは、代弁しているのは、このいわゆる一万社の既存の企業です。この一万社が持つ可能性を我々は潰すわけにはいかないと思います。

 スタートアップを呼び込む、新しい会社を起こすとは、では一体どのくらいの規模感を考えて想定されているんでしょうか。果たして、それをもって地方の力強い成長を実現していくことが本当にできるのでしょうか。

 イノベーションとは、新しい会社を起こすことではなく、新しい価値を生み出すことであると私は考えます。今ある企業に対して、さっき足腰があるとおっしゃいました、今ある企業に対して、スタートアップと同じように国がリスクを取って伴走するお考えはあるのか、最後に大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

萩生田国務大臣 先生、質問が新しい資本主義というから新しい分野だけの話をしたので、既存の資本主義をやめるわけじゃありません。既存の企業群も、今までも様々な支援メニューをもってサポートしてきました。

 要は、その既存の支援企業群から、新しい産業や新しい製品開発、これは別に新しい会社じゃなくたっていいんですよ、元々地元にある企業の皆さんが頑張って違う分野にウィングを広げていただいて、そこにまた雇用を生んでもらう、あるいは生産性を高めてもらうということは極めて大事なことでありますので、もちろん、地元の、もっと言えば既存の企業の皆さんのサポートも、政府としても経済産業省としても、これからも、今までもやってきましたけれども、これからもしっかりやっていきたいと思います。

 その既存の企業の皆さんが、今の業態で我慢して今の売上げで満足するんじゃなくて、是非次の第一歩を踏み出してもらう、そのための応援をしていきたい、こういうことでございます。

末次委員 ありがとうございます。

 今の御答弁からすると、いわゆる成長と分配の好循環を実現する、その中の力強い成長の実現、分配機能の分配する先に、いわゆる今ある企業が入っているということを強く認識した、強くおっしゃっていただいたということを確認させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

 大臣、ありがとうございました。

古屋委員長 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井優です。

 私、北海道選出ですので、このウクライナ及びロシアの交戦状況にある状況を、特に北海道はロシアと大変近い、場所的にも近いですし、もちろん経済的にも大変近い、多くの取引をしていますので、大変心配をしていますし、また、ロシアの方々も北海道にはたくさんお住まいにもなられている、そういう意味では、こういった国際状況を大変心配している北海道の皆さんも多いというふうに思っております。

 そういう中で、今日は、経済産業委員会ですので、エネルギー政策及びロシアとの平和条約の状況などをお伺いしたいと思います。

 まず冒頭、私も個人的に大変気になっている案件で経産大臣に伺いたいんですが、サハリン1、2、ございますが、報道でたくさん、これは二月末から報道されております。

 サハリン1に関しては、大株主の、大きな権益を持っているエクソンが撤退を表明する、サハリン2に関してはシェルが撤退を表明するということで、日本政府はどうするのか、日本の民間企業が持っているわけですが、2に関してもどうするのかということを言われております。非常にこれは大きな権益で、総理大臣も経産大臣もここから撤退はしないというふうにずっと言い続けられています。私も個人的にこれは撤退するべきじゃないというふうに思っていますが、この三月末の状況の中で、改めて大臣の現状の所感をお伺いしたいです。

 あと、もう一点。これは、エクソンとシェルが抜けることによって当然その権益が空いているわけですが、この権益というのは今どういうふうになるのか。

 ちなみに、日本の会社が、日本がサハリン1、2から撤退すると、中国等ほかの外国がそこに対して入ってくるというような報道も当然言われている中ではありますが、じゃ、実際にエクソンやシェルが抜けるという形で実際それは起きつつあるのか、そのことも含めて、御存じの範囲で教えていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、サハリン1とサハリン2につきましては、自国で権益を有し、長期的な資源の引取り権が確保できるものであり、エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクトだと考えています。

 具体的には、サハリン1は、原油輸入の約九割を中東に依存する我が国にとって貴重な中東以外からの原油調達先でありまして、また、サハリン2は、LNG輸入の約九%を供給し、発電電力量の約三%に相当するなど、我が国の電力、ガス供給に不可欠なエネルギー源となっています。

 先週、欧州に出張し、各国閣僚と会談しましたが、ロシア依存度の低減を進めていく必要がある点で各国で一致しました。しかしながら、同時に、各国ともエネルギー安全保障の重要性を改めて強調しており、日本を含め、各国の事情についても理解が進んだところでございます。

 仮にサハリン1やサハリン2から撤退してしまうと、同レベルでの価格での代替調達は困難であるのみならず、より一層の資源価格の高騰を招くことにもなると思いますし、その権益をロシアや第三国が取得するようなことになればロシアを利することにもなり、結果として有効な制裁とならない可能性があります。

 実は、欧州でシェルあるいはエクソンの代表とも意見交換してきました。民間のことですから、ちょっとつまびらかにここでお話しするのは控えたいと思うんですが、唯一申し上げたいのは、撤退表明しましたけれども、今日も掘削はしています。すなわち、撤退時期についてまだ明らかにしていませんよね。

 したがって、ここはやはり同じ思いといいますか、G7各国とも、あるいはそこに参加している企業の皆さんとも同じ思いで、足並みそろえて対応していきたいと思っておりまして、将来的にはもしかするとおつき合いするのが難しい国になってくる可能性は否定できませんけれども、今この時点で、結果としてみんなでわあっと引き揚げれば、これは、日本の権益を引き揚げれば第三国が取るかもしれない、シェルやエクソンが引き揚げることによって違う民間企業、もっと言えばロシアの企業がそれを取るかもしれない、結局、制裁にならないんだったらこれをやってもしようがないじゃないかということは冷静に考えながら動いていきたいと思っているところでございます。

 いずれにしましても、我が国だけじゃなくて、G7や有志国とも連携を取りながら、足並みそろえた対応をしていきたいと思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 お話を変えさせていただきますが、北海道は北方四島がすぐそばにありますので、そこで多くの漁業者が漁をしております。ちょうど今の時期は、この北方四島の近海での漁というのは少ない時期だというふうには聞いてはいますが、ただ、この国際関係、特にロシアとの関係が非常に緊張関係になると、過去にも漁業者が拿捕されたことが現実的にあったかと思います。

 今もまさに、この経済制裁を契機に日本とロシアの関係が、緊張関係が高まっているというふうには感じておりますが、現状、漁業者が拿捕されないような様々な施策というものを政府としてどのように扱っているのか、教えていただければと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 現在、我が国とロシアの漁業協定等に基づきまして、北方四島周辺水域において操業を行っている漁船はございません。

 ですけれども、水産庁からは、関係漁業団体等に対しまして、ロシア水域やその近辺で航行あるいは操業等を行う場合には、安全及び関係法令の遵守に一層留意するように注意喚起を行っているところでございます。

 今後とも、動向を注視いたしまして、関係漁業者への情報提供など、適切な対応を行ってまいります。

荒井委員 ありがとうございます。

 実際、この後、鈴木貴子副大臣にも伺いますが、根室に行ったりすると、確かに、たくさんの船でいらっしゃる中で、僕もロシア人の方にお会いしたりもいたしましたので、結構こういった取引もたくさんあるんだろうというふうにも思います。

 そういう中で、現状ではその近海で操業している船が少ないということで、拿捕される確率は非常に少ないんだと思いますけれども、でも、一方で、ここの守りというものが一体どういうふうになっているのか、海上保安庁にもお伺いしたいと思います。

白石政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、日頃から、我が国北方海域におきまして、航空機による監視、警戒を実施するとともに、巡視船艇を配備し、被拿捕防止を含め、日本漁船の安全確保に万全を期しているところであります。

 現下の厳しい国際情勢を踏まえ、引き続き、関係省庁と緊密に連携の上、我が国北方海域における各種対応に万全を期してまいります。

荒井委員 ありがとうございました。

 北方四島と漁業関係者のお話に関して伺っております。

 そこで、鈴木貴子副大臣に伺いたいと思います。

 今、報道でも、ロシアが一方的に平和条約に関して打切りという形の報道が先日ありました。こういった状況、これがまさに日本とロシアの緊張関係を一つ大変象徴している状況なんだというふうに思います。そして、根室や北海道の方々がひょっとすると拿捕されかねないかもしれないという、そういった緊張にもつながりかねない、そんな状況だと思いますが、今、この平和条約の一方的な打切りみたいなことに対して外務省としてどのような対応をされているのか、交渉しているのか、教えてください。

鈴木副大臣 ロシアによる今般のウクライナ侵略というものは、まさに力による一方的な試みであり、断じて許容されるものではありません。また、明白な国際法違反でもあり、日本としては引き続き国際社会と連帯をして取り組んでまいりたいと思っております。

 その上で、今委員御指摘のように、日付は三月の二十一日でありますけれども、ロシア外務省の声明が表明がなされました。露骨に非友好的な立場を取り、我が国の利益に害を及ぼそうとする国との間で二国間関係に関する基本文書の署名について議論することは不可能であるため、現在の状況下において日本との平和条約に関する交渉を継続するつもりはない、これがロシア側から表明をされたものであります。

 今回の事態というものはまさにロシアによるウクライナの侵略に起因して発生しているものでありまして、にもかかわらず、あたかも日本側に、我々にも瑕疵、責任があるかのような今般のロシア側の対応、そして先ほど私が述べさせていただいた表明というものは、断じて受け入れられるものではございません。強く抗議をするところでありまして、外務省としましても、二十二日のうちに日本政府の立場というものをロシア側に伝達をし、強く抗議をさせていただいたところであります。

荒井委員 ありがとうございます。

 これは、鈴木副大臣としては、ロシア外務省若しくは大使館に直接に抗議等々をなされたことはあるんですか、この件に関して。

鈴木副大臣 私が直接大使館に赴いて、若しくは電話等でということはございません。

 しかしながら、外務省の省内の中でしかるべき議論をさせていただきまして、外務省としては、外務審議官はもとより、次官が、ガルージン大使を直接、外務省に呼び、その上で抗議をしたということでありまして、レベルでいえばかなり高いレベルにおいての抗議をさせていただいたところであります。

荒井委員 ありがとうございます。

 鈴木副大臣も私も北海道の選出の国会議員ですので、まさにロシアとの関係というのは大変難しいところではありますけれども、言わなければいけないことは、もちろん国を代表してしっかりと言わなければいけない、そういうふうに思っていますので、是非副大臣にはイニシアチブを取って、この案件、前に進めていただきたいというふうに思っております。

 その意味で、是非今日はお伺いしておきたいのは、まさに今回のロシアによるウクライナへの侵攻の責任というものは、これは一体誰にあるのかということですね。もっと明確に言えば、プーチン大統領にあるのか、それとも、プーチン大統領を、これは民主主義国家ですから、選んでいるロシア国民がいらっしゃるわけですから、ロシアの国民に戦争責任があるのか、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

鈴木副大臣 荒井先生と同じ北海道を地元とする者として、日々御指導もいただいているところでありますし、私は、活動の拠点は、まさに北方四島隣接地域、いわゆる釧路管内、根室管内であります。元島民の皆さんの平均年齢、委員も御存じのとおり、もう八十七歳に迫ろうとしている中でのこういう事態でありますので、まずは委員から御示唆いただきましたように、私としても、そしてまた、政府の今は一員でありますので、政府としてしっかりと取り組んでまいりたいと、まず冒頭、申し伝えさせていただきます。

 その上で、御質問の責任というところでありますけれども、日本政府としては、プーチン大統領が国際社会の声に耳を傾け、速やかに、直ちにこの侵略行為というものをやめるべきであると考えております。

 力による一方的な現状変更の試み、そしてまた、国際秩序全体の根幹を揺るがす、こういった事態であります。プーチン大統領を含むロシア政府関係者は責任というものをきちんと取る必要がある、このように考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 北海道は、本当にロシアの方々もたくさんお住まいになっていらっしゃいます。戦後というものを今この時点で話をすることに関してどこまで適当なのか分かりませんが、この戦争の行く先によっては、思い返すのは、太平洋戦争の後にサンフランシスコ講和条約がありましたが、そのときにスリランカの代表が、まさに、日本国そのものに戦争責任を押しつけるということではなくということで発言をされたことで、一気にサンフランシスコ講和条約の方向性が変わったというふうにも伺っております。

 私の父が、その当時、その当時じゃないですね、私が小さいときにスリランカの日本大使館に勤務していましたので、そのときにその話をよく聞いています。外務省の方々は、外交官になるときに、まさにこの話を最初に習うんだというふうに聞いた覚えも、今、副大臣のお話を聞いていて、思いました。

 明確に今回の戦争は、プーチン大統領にやはり責任があるというふうに思いますし、ただ、その後、この戦争の終結はどうなるか分かりませんが、ロシアの国民が大きく今後路頭に迷わないようにすることは、これは北海道にとっても、難民の問題等を含めても大変重要だというふうに思いますので、是非そこも含めて、副大臣にはお願いしたいというふうに思っております。

 また、北海道においてロシアの方がいらっしゃるということも含めて、在日のロシア人の方々への対応に関して、実際、私も知り合いの、札幌でロシア料理屋さんを営んでいる方々もいらっしゃいまして、非常にこの間、売上げが落ちたり、はっきりとはおっしゃいませんけれども、大変苦しい思いをされていることもあるかというふうに思います。

 この在日のロシア人の方の人権侵害みたいなことが起きているかもしれないというふうに思うんですが、この状況、人権侵害があるのかどうか、そして若しくは、あった場合にどんなふうに日本政府としてはしたらいいのか、お聞かせいただけますでしょうか。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような事案が生じているとの情報は把握しております。

 この点、全国の法務局におきましては、国籍を問わず、外国人であることを理由とする嫌がらせ行為等の人権相談に応じております。お困りの場合には、最寄りの法務局に是非御相談いただきたいというふうに考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 日本全国にロシアの方が当然いらっしゃるわけですが、もしも人権の侵害等がやはり起きたら、法務局の方にそれぞれ伺えば、いろいろと相談に乗っていただける、そういうことだと思いますので、是非よろしくお願いいたします。本当に、悪いのはロシアの方々ではないということを、やはりこれをしっかりと認識しなければいけないというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて、資料をお配りさせていただいています。

 これは防衛省のホームページからコピーしたものになりますが、こういった種類の船が、軍船と言っていいんでしょう、こういった船が、次のページ、二ページ目に、見ていただいて分かりますように、まさに本州と北海道をつないでいる津軽海峡を渡っているということが掲載されております。

 防衛省のホームページにはこういったことが幾つも掲載されているわけですが、まさに、三ページ目、めくっていただきますと、津軽海峡の海域に関しましては、これはいわゆる国際海峡として、どんな船でも通っていいという形になっているわけですが、非常に細いルートなわけですね。実は、この海域だけ三海里のままになっていて、ほかのところ、つまり、北海道と、この三ページ目の地図を見ていただきますと、大間原発と真ん中に大きく書いてありますが、このところだけ三海里になっていて、狭いところが、この薄い青のところからお分かりいただけるかと思います。逆に、右側、東側の方のところ等は十二海里ですので、公海がより広く設定されている、ここは、いろいろな事情があって津軽海峡は三海里のままになったんだというふうに聞いております。

 ただ、そうなりますと、このまさに非常に狭いルートをロシアの軍船がしょっちゅう通っているという形になるわけですが、そうすると、日本で一番、こういった外国の攻撃能力を持つような船が一番身近に通る原子力発電所が大間原発という形になるのではないかというふうに思います。今回、ロシア軍もウクライナにおいて原発を狙ったという形の行動をされているわけですけれども、まさに原発というのが非常に大きなリスクになるというふうに思っているわけです。

 まず、現状、ウクライナの侵略後、津軽海峡におけるロシア海軍の通過の状況というものはどれぐらい頻繁に起きているのか、防衛省に伺いたいと思います。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアのウクライナ侵略以降、防衛省が確認、公表いたしましたロシア海軍艦艇の津軽海峡の通過事例は、以下申し上げるとおりであります。

 すなわち、三月十日に駆逐艦などが計十隻、十四日に兵器輸送艦一隻、十五日と十六日に戦車揚陸艦計四隻であります。

 ロシア軍は、二月以降、ウクライナ周辺における動きと呼応する形で、オホーツク海などにおいて大規模な海上演習を行っておりまして、十日に確認した艦艇はこれに参加していたものと考えられます。

 また、ロシア軍は、今般のロシアによるウクライナ侵略に際し、全土から兵力を動員させていると見られます。十五日と十六日に確認した戦車揚陸艦は、ウクライナ方面に動員される兵員、車両などを輸送していた可能性があると考えています。

 現下の情勢下において、我が国周辺においてもロシアの活動が活発化していることは懸念すべきであり、防衛省としては、ロシア海軍の我が国周辺海域における動向について引き続き注視するとともに、警戒監視活動などに万全を期してまいります。

荒井委員 ありがとうございます。

 大変多くの船が通っているというふうなことですが、ウクライナの原発は軍による侵略を受けて占領を受けたというふうに聞きますが、日本では、原子力発電所というものは、一体どこが原発を防衛しているのか教えていただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の原子力発電所の警備につきましてでございますが、第一義的には、公共の安全と秩序の維持を責務とします警察機関、警察ですとか海上保安庁ですとか、こういった機関において実施されているというふうに承知してございます。その上で、一般の警察力をもっては治安を維持することができない事態等が発生した場合には、自衛隊の出動による対処をすることも可能であると承知してございます。

 いずれにせよ、武力攻撃やテロ等の脅威に対しまして、関係する省庁、機関が連携してしっかりと取り組んでいく必要があると考えてございます。

荒井委員 東日本大震災以降、非常に原発の守りに関しては強めた、再稼働に関しても、テロ等への防御がしっかりできないと、できないというふうに伺っていますが、ただ、今まで、このウクライナの戦争が始まって以降、原発がこういう形で狙われるというのをほぼほぼ想定していなかったような在り方だったのではないかというふうに思っています。

 世界中では、これがまさに地元の警察により防御がされているみたいなことがあるのかどうか、政府参考人、教えていただけますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、資源エネルギー庁としまして承知している範囲でちょっと申し上げさせていただきますと、例えばアメリカにつきまして、規制当局でございますNRCというところのホームページによりますと、これもまずは武装した警備員等が対処をし、必要に応じ、地元及び連邦の警察組織の出動によって対処が行われることとまずなってございます。

 その上で、武力攻撃等に関しましては、必要に応じて軍との共同によって対処されるものと考えられるところでございますが、当方として詳細については承知していないというところでございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさに、こういう状況下ではございます。冒頭より申し上げているロシアとの緊張関係もございますので、例えば大間原発そのものの警備というのを固めるべきだというふうに思いますし、専守防衛、自衛隊による防衛というのをしっかりと位置づけてもいいんじゃないかというふうに思いますが、この辺、防衛省、いかがでしょうか。

町田政府参考人 お答えさせていただきます。

 原発の警備につきましては、第一義的には、公共の安全と秩序の維持を責務とする警察機関において実施しているところでございます。その上で、事態の態様により自衛隊が原子力発電所を警護することが必要と判断される場合などにおきましては、自衛隊は警察機関と緊密に連携して対処することとなります。

 具体的に申し上げますと、例えば、特殊部隊による攻撃に対しては、必要に応じ、原子力発電所を含む重要施設の防護のための部隊、これを展開することなどが考えられます。

 いずれにいたしましても、いかなる事態においても対処できるよう、政府全体として適切に対応してまいります。

荒井委員 ありがとうございます。

 原子力発電所を所管する経済産業大臣にもお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 原子力発電所の安全確保は、原子力規制委員会が規制する発電所の設備上の対応や事業者の対応にとどまるものでなく、事態対処法や国民保護法の枠組みなどでの措置など、警察、自衛隊など関係省庁、関係機関が連携して対応することとしています。

 例えば、平素の原子力発電所の警備については、一義的には警察機関が実施しますが、原子力発電所に対する武力攻撃の排除については、ミサイル迎撃における多層防衛を含め、自衛隊が適切に対応するものと承知しています。

 その上で、日本の国民の命や暮らしを守るために十分か、関係省庁、機関が連携して、対応を不断に検討し、改めるべき点は改善していくことで安全の確保に万全を期していく必要があると考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 萩生田大臣、先ほど地図で御覧いただきましたが、大間原発、本当にこれだけ近いところをロシアの軍船が行き来をしているというところですね。もちろん、いろいろな防衛システムがあり、ミサイルをそれで撃ち落とす等々、そういった仕組みもあるとは聞いてはいますが、これだけ近いと、さすがに撃ち落とす等ということもできないんじゃないかというふうに思いますが、この大間原発に対しての、まさにその守りをどう固めていくのかというのを、是非大臣のコメントも伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、政府としては、国際秩序や根幹を守るために毅然として行動していくことが必要でありまして、戦争やテロの不安を払拭するよう、全力を挙げていきたいと思います。

 その上で、原子力発電所に限らず、我が国に対してミサイル攻撃、今先生がおっしゃったのは、ミサイルというよりは、もう砲弾で撃てるぐらい近くを通るわけですから、じゃ、それをどうやって防御するのかというのは、いろいろシミュレーションをこれからしていかなきゃならないというのは否定できないと思います。それは、防衛省、いろいろ考えてくれると思いますが。

 いずれにしましても、いろいろな組合せの中で安全をしっかり確保していくことが必要だと思いますので、各種のシミュレーションというのは、今までとはちょっと次元が変わってきたわけですから、そこは正直に、少しレベルを上げて、いろいろなことを考えておかなきゃならない。それはこの機会にしっかり深掘りをしていきたいなと思っています。

荒井委員 ありがとうございます。

 今日は、経済産業大臣と、あと外務副大臣にもお越しいただいています。是非、外交努力を大いに続けて、ロシアとの緊張関係、ロシアの戦争を早く終わらせることということを是非政府を挙げてやっていただきたいですし、日本はロシアとそういう意味では特別な関係が長年ありましたので、是非そこにリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 また一方、経産大臣には、とはいえ、まさにエネルギーの確保は、これは重要ですし、まさに先日、東京では停電になるかもというのがありましたが、同じ時期に北海道で起きれば、これは本当に大変なこと、寒さも含めて大変なことだと思いながら、感じていましたので、その非常に難しいバランスを取っていただきながら努めていただきたいというふうに思っております。

 最後になりますが、ちょっと話を変えて、資料の最後のページをおめくりいただきたいというふうに思います。

 先ほど末次議員からもありましたが、スタートアップ、もちろんスタートアップだけが産業政策ではありませんが、ちょっとスタートアップに特化したお話をさせていただきたいというふうに思います。

 これは愛知県がつくるSTATION Aiというプロジェクトになります。元々、フランスでマクロン大統領がステーションFという構想を掲げて大統領選を受かったというのもあって、いわゆるパリにシリコンバレーをつくるんだという構想で始まり、それは非常に一定の成果が出たというふうに聞いています。そして、その愛知県版を、愛知県がSTATION Aiという形で持ってきたというか、その仕組みを愛知に誘致することに成功したというふうに聞いております。

 二〇二四年にスタートする予定ですが、こういった非常に、日本最大の規模のスタートアップのエコシステムをつくるんだという形で、これは実は百四十四億円を愛知県が使ってつくっているというふうに聞いています。ちょっとこの資料には書かれてはおりませんが。

 今回、政府もスタートアップの政策というものを大きく掲げておりまして、幾つかの地域、東京やつくば、大阪や福岡だったと思いますが、そういったところもこのスタートアップの地域として選ばれていますが、その施策の中で、これだけ思い切った投資をして大きな仕組みをつくっているのは今回愛知のみになります。東京都も非常に関心を持って、副知事が視察に行こうとしている、そんな話も伺いました。

 やはり、今まさに新しい資本主義、新しいスタートアップのエコシステムをつくるのに、これぐらいの思い切った投資というのを、これは地方自治体一つでもできるわけですから、国が大きく、挙げてやっていってもよろしいんじゃないかというふうなことを伺いたいと思っています。

 例えば、全国十か所に、予算を配置して、例えば半分の予算等でこういったSTATION Aiみたいなものを各地域でつくることを促していく、そういった大きな、まさに投資が呼び水になっていきますので、是非御検討いただきたいというふうに思っていますが、萩生田大臣、いかがでしょうか。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地域のスタートアップ企業とそれを応援する産業界、大学、金融機関が交流する拠点となるSTATION Aiのような施設は、地域のスタートアップエコシステムを構築する上で大変重要だと考えてございます。

 そこで、内閣府や文科省とも連携をいたしまして、現在、地域におけるスタートアップエコシステムの構築に積極的な自治体、大学、民間企業等で構成されますコンソーシアムの中から、地方の拠点都市として全国から八つを選定しておりまして、世界に伍するスタートアップの創出を図るべく、集中的に支援を行う取組をやってございます。

 これらの拠点都市のスタートアップ企業には、STATION Aiのようなインキュベーション施設に入居するスタートアップ企業を含めまして、世界トップレベルのアクセラレーターによるサポートプログラムを優先的に受けられるようにするなど、各種の支援を行ってございます。

 それから、経済産業省では、令和三年度補正予算を活用いたしまして、NEDOを通じまして、地域に眠る技術シーズをスタートアップとして事業化させる技術開発の支援、それから起業した後に早く成長ステージに持っていけるような専門家によるハンズオンの支援を行ってございます。

 各地方におけるインキュベーション施設入居企業にもこうした制度を積極的に御活用いただくことなどを通じまして、一つでも多くの地方発スタートアップが創出されていきますよう、私ども、引き続き精力的に取り組んでまいりたいと思ってございます。

 委員御指摘の施設整備の在り方については、よく研究をさせていただきたいと思ってございます。

古屋委員長 荒井優さん、時間が来ております。

荒井委員 どうもありがとうございました。

 経産省のスタートアップの施策というものが、もっと大きく、そしてリスクを取らないとリターンも出てこないというのがスタートアップですので、是非積極的に進めていただけるようお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、青柳仁士さん。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 最近、ウクライナの話題が非常に深刻な状況を迎えておりまして、ちょっと忘れ去られているんですけれども、新しい資本主義について今日はちょっとお伺いできればと思っております。

 昨年末の国会で、岸田総理の方から、今政権の、また今国会の目玉として提起されたこの新しい資本主義、これは、今進捗がどうなっているかと気になっている方はかなり多いんじゃないかと思うんですけれども、この間、省庁の方に聞いてみましたところ、まだ検討中ということだと伺いました。

 毎回の検討会あるいは有識者会議の方に萩生田大臣も出席をされているというふうに伺っておりますが、ちょっと、この件、通告はしていないんですけれども、まず、そういった会議に参加されて、現状をどのように考えておられるか、また今後の議論の見通し等、所見をお伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 先ほど他の委員ともやり取りしましたけれども、まず、今までの既成の概念にとらわれずに、政府としても、民間と一緒に一歩前に出ていこう、チャレンジをしていこうという、その意欲は満ち満ちと湧いているというふうに思っております。

 具体的には、私の方で所管している、例えば半導体ですとかデュアルユースの製薬工場ですとか、そういった目に見える形で国民の皆さんにお示しするものも出てきましたけれども、これから幅広に様々なチャレンジをしていこうということで、各省みんな心得ておりますので、前向きに取り組んでまいりたいと思います。

青柳(仁)委員 是非、そのチャレンジ精神というものを持った新しい改革を進めていただくことを、我々としても非常に期待をしておるところなんですけれども。

 昨年末の国会のときからずっと我が党として言い続けていたことが二つありまして、一つは、まず、この新しい資本主義の中身が見えないということでした。それについては今大臣から御答弁ありましたが、是非、チャレンジングに、前向きに、いろいろなものを進めていくものになっていっていただきたい、このように考えておりますし、不十分なところがあれば都度指摘をさせていただきたい、このように考えております。

 一方で、もう一つ申し上げてきたのは、日本だけのガラパゴスのような議論はするべきではないということを申し上げてきました。

 新しい資本主義というのは、岸田総理が考えた言葉ではありません。資本主義のアップデートあるいは次の資本主義をどう考えるかという議論は、もうこれは五年も十年も前からずっと国際社会で続いてきた話であります。また、民間の方では、こういった議論はもうずっとされてきた中で、様々な成果物もできている状況であります。

 例えば、経団連が作っております新成長戦略という中に、経団連としても、当然、次の資本主義をどうしていくか、これを非常に大きなテーマとして、岸田総理が新しい資本主義と言う前から議論を続けてきた結果、現在、サステーナブルな資本主義という概念を打ち出して、これを発表しております。

 この中には、働き方の改革であったり、あるいは国際経済秩序の再構築であったり、グリーン成長といったことが入っているんですけれども、ちょっと個別にまたお伺いできればと思うんですが、まずは、この経団連のレポート、これは二年前に出たものですけれども、これはお読みになっておりますでしょうか。また、所感についてお伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 おっしゃるとおり、新しい資本主義というのは、どっちかといえば日本は出遅れてここでスタートしたわけでありまして、世界の潮流としては、官と民の垣根を越えた様々な投資の在り方というのはもう既に先進国中心に行われてきたものだと私も思っております。

 今先生御紹介いただいた新成長戦略は、経団連の中西前会長の時代にこれを命懸けで作ったものでありまして、実は正式には「。新成長戦略」というレポートでございます。この中で、サステーナブルな資本主義は、市場に任せるだけでは解決できない社会課題に対して官民が協働して取り組むといった考え方を示されておりまして、まさに我々の政権が掲げる新しい資本主義とも共通するところがあるというふうに受け止めているところでございます。

青柳(仁)委員 是非、今の御認識のとおりだと思いますので、国際社会の中で日本が新しい、資本主義というのは、当然ですが今世界全体が従っているシステムでありますから、この中で日本だけの資本主義というのはあり得ないわけですから、世界経済の中での資本主義というのを是非議論していくのが必要だと思っております。

 この今のサステーナブルな資本主義、これは経団連の出したコンセプトですけれども、これは、いわゆる今進んでいるサステーナビリティーと言われるようなお話、あるいは、今日委員長も胸につけておられますが、SDGsというような、そういった流れの中で生まれてきたようなお話だと思うんですけれども、それと、さらには資本主義とどうつなぎ合わせていくかというような話だと思うんですが、この中のキーコンセプトとして、働き方の改革ということが入っております。

 これは、我が党が出させていただいている日本大改革プランというものの中に、更なる日本の成長、あるいは、こういった新しい資本主義、より生産的で、一言で言ってしまえば、企業がもうかる、お金を稼ぎながら、それでいて社会や環境に対しての価値も同時に生み出していくような、そういった、社会価値と、経済価値あるいは市場における価値との両方で競争をするような市場の形成、また、そこでもうけばかりを先行させるような企業については淘汰されていくような市場競争の仕組みというものをつくっていくということが重要だと思うんですが、そういった中において、やはり働き方ということは非常に重要であると。

 また、このレポートの中で言われているのは、人材の流動化が特に必要だということが言われているわけですけれども、この人材の流動化というのは、我が党のずっと訴えております日本大改革プランでもキーコンセプトではあるんですが、これについて大臣の御所見をお伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 この経団連のレポートの中にも人材の流動化というのは大きく記されているんですけれども、日本企業の場合は、生涯雇用を非常に踏襲している企業がいまだに多かったり、あるいは、一括採用、こういう仕組みの中で、一度組織に属した人たちがなかなか横展開しないという弱みがあると思います。

 実は、この前、会議で私もちょっと嫌みを込めて申し上げたんですけれども、経団連自らが人材の流動が必要だと言いながら、それは、自分の会社のいい人は出したくないけれども、よその会社のいい人を出してくれと言っているようにしか聞こえませんよ、お互いにやはり塀を崩して、スキルを持った人たちが横展開していくことが日本企業全体にとって必要なんじゃないかという生意気を申し上げたところなんですが、皆さん下を向いて笑っていらっしゃいましたので、ほとんど当たっているんだと思います。

 せっかくリカレントなど様々な仕組みで国が応援したとしても、それが会社内のスキルを上げるだけでは何の意味もないわけでありまして、一回会社を辞めた人たちが、学校で学び直して、また違う会社でそのスキルアップした能力を発揮していただくことが理想だというふうに思っていますので、この人材の流動というのをしっかり政府としても、どうしかけていったらいいか、道半ばでありますけれども、取組を深めていきたいと思っております。

青柳(仁)委員 まさに今、非常に鍵となる点をおっしゃっていたと思うんです。

 経団連がこれを言うことは私も非常に重要だと思っておりまして、なぜならば、今大臣がおっしゃったとおりですが、経団連こそ、あるいは日本の大企業こそが人材の流動化を阻んでいるのではないかという気がしているからなんですね。終身雇用制度が最も定着しているのは当然大企業でありまして、こういった中で、また、日本の大企業はなかなか入るのが難しいですけれども、長く年数を勤めていると、退職金なんかも最後の方で一気に上がっていくというような仕組みになっておりまして、これはなかなか辞めづらい仕組みにもなっていると思うんですね。最近は途中退職を促すような企業も出てまいりましたけれども、一般的にはそうなっている。

 ですから、こういった人材流動化の問題は、言うだけではなくて、そういった構造的な問題をしっかりと直していくこと、改革していくこと、また、経産省としても、そういったことをずっと言い続けていくことが非常に重要だと思っております。

 また、スタートアップの方々にいろいろお話を聞いてみますと、大企業から来た人材というのがかなり今スタートアップの方にも流れているそうです。そういった方々というのは、非常に地頭がよくて、コミュニケーション能力も高くて、そして、その会社に行くと重宝されるようなんです。

 ところが、スタートアップで求められているような、いわゆるアニマルスピリッツのような、とにかくここで成り上がってやるんだ、ここで、マーケットのないところで顧客を生み出して、そして新しいマーケットをつくっていってやるんだというような、そういうスピリッツがちょっと欠けていても、ある意味、非常に重宝されているというような状況があるようでして、そこが、私自身は、今経産省の方でも様々なスタートアップ支援をやっておられますけれども、なかなかユニコーンと言われるような成長するスタートアップが生まれてこないのは、そういったところにも問題がある、申し上げたとおり、人材の流動化にも問題があるんじゃないかと考えております。

 いずれにしましても、そういったイノベーションを促していくこと、あるいは、それが、グリーン成長であるとかサステーナビリティーであるとか、そういった方向に向かって、働き方に関しても変わっていく。これはキャリア形成と言った方がいいのかもしれませんが、そういう人材の流動化も進んでいくことが、一つ、今、経団連の「。新成長戦略」と。この「。」というのは、どうも、これまでの成長戦略はここで一旦終わらせるという意味だそうですが、そういったことで、必要になってくるのではないかと思っております。

 また、もう一点だけ、この新成長戦略の中で、非常に重要なことを言っていると思うのが、国際経済秩序の再構築ということが書かれています。ここには、自由貿易体制を拡大していくことが世界全体では望ましいと。

 一方で、今、ウクライナの危機で見られるとおり、ロシアであるとか中国であるとか、その他懸念される各国からのサプライチェーンというのは、今後の我が国の経済安全保障を考えれば、なかなかこれは今後も続けていくのは難しいということだと思うんですが、こういった、新しい資本主義というふうに考えたときに、当然、この自由貿易体制の拡大、あるいはそれにある意味で反する経済安全保障というようなことも踏まえた上での議論を、新しい資本主義というのであれば、していかなければならないと思うんですが、その辺りについて大臣の御所見をお伺いできればと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、今、経済産業政策の新機軸というのを検討している中で、私ども、グローバル化というのは非常に重要である、むしろ、今後さらに、企業はスケールして海外で勝ち抜いていかなければならないというようなことを考えているわけです。

 それゆえに、何が必要なのかということを今検討を進めている最中でございますが、他方で、その中におきましても、まさに、今御指摘ありましたような経済安全保障、今御議論がございますけれども、そういったところをどう考えながら、それをちゃんとしながらも、なおかつ、グローバリズムの中でどのように勝ち抜いていくのか、そのために必要な人材をどのように育成していくのか、こういった観点で今議論を進めているところでございまして、これも含めて、新機軸という形で今後お示ししていきたいと思っております。

青柳(仁)委員 いずれにしましても、世界は一つしかなくて、世界史というのは一つしかないわけですから、今、現時点での世界の状況というのを踏まえた上で新しい資本主義というのを考えていく必要があると思いますので、ウクライナの問題、あるいは隣国との関係性の中で、現実的な議論を行うことが重要だろうというふうに考えております。

 ちなみに、冒頭の質問以外は通告しておりますので、一応その点は申し上げておきます。

 それから、二点目ですけれども、経済同友会の方でも、実はこの新しい資本主義に関する議論というのは続けられております。

 まあ、同友会と経団連はほとんどメンバーがかぶっているじゃないかという指摘はあるかもしれませんが、組織を代表しているか、個人の経営者かという違いもあろうかと思いますが。同友会の方では、第十八回企業白書というものを出しておりまして、この中で、新しい資本主義として、ステークホルダー資本主義、こういう概念を出しております。

 これは何かといいますと、これまでは、株主中心、株主資本主義だったというふうに捉えているわけですね。アメリカ、欧米を中心に、株主が偉い、お金を出す人が偉い、社長であるとか経営陣というのは株主に雇われているんだ、ですから、株主に対する価値還元を最大化するということのために、経営者あるいは首脳陣、そしてその下で働く社員というのは仕事をするんだ、こういうことを徹底してきたのが株主資本主義だと思うんですが、それは余りにも、社会や環境といったことを全体的に考えたときには視野の狭い考え方ではないかということで、ステークホルダー資本主義と。

 これは何かといいますと、株主もステークホルダーです。ですが、顧客もステークホルダー、取引先もステークホルダーです。あるいは、自分たちの出したサービスや製品を使って、その先にいる人たちもステークホルダー。いわゆる、自分たちのビジネスや活動が全て関わる、その周辺にいる人たち全てに対しての価値を最大化していこう、こういう考え方だというふうに承知しております。

 新しい資本主義を議論する上では、先ほど来から出てきている経団連のサステーナブルな資本主義であるとか、あるいは同友会の言っているようなこういうステークホルダー資本主義、それぞれ、似ているようで少しずつコンセプトが違うんですが、こういう世界の潮流を踏まえた上で、民間の目線で考えられた新しい資本主義とやはり議論を深めていくことが重要だと思うんですが、これの、ちょっと先ほどと同様に、ステークホルダー資本主義という、この経済同友会の言っている新しい資本主義の概念についての大臣の御所見をいただければと思います。

萩生田国務大臣 委員御指摘のとおり、経済同友会の第十八回企業白書では、ステークホルダー資本主義を掲げ、企業によるSDGs推進が、単なる社会貢献活動ではなくて、人間社会の本質的欲求を据えた価値創造そのものであることを指摘した上で、そうした価値創造を担う人材を育成するための教育改革等の必要性を提言していると認識しております。

 経産省としても、デジタル化ですとか脱炭素化といった社会の構造変化に対応して、引き続き企業が付加価値を生み出していくためには、産学官が一体となって必要な人材の育成、確保を進めることが重要であると考えておりまして、これからの時代の価値創造を担う人材育成が重要であることは、私も同じ思いを持っております。

 こうした中、実は、昨年十二月に、経産省の中に未来人材会議というのを立ち上げました。二〇三〇年、二〇五〇年の未来を据え、産業界がどういった人材を必要としているのか、教育機関に伝えるなど、産業界と教育機関が一体となって必要な人材を育成、確保するための議論を行っているところでありまして、引き続き、精力的に議論を進めた上で、政府全体としての人材政策につなげていきたいと思っています。

青柳(仁)委員 是非、こういった民間の声を踏まえた上での議論をお願いしたいと思っています。

 特に、今大臣、さきの方でおっしゃいましたけれども、人間の本質的欲求を踏まえた資本主義ということを言っていて、これは、人間の本質的欲求というと、通常は、お金を稼ぎたいとか、もっとお金を増やしたいみたいなものが経済ではないのかという勘違いをする方が多いんですが、ここで言っている人間の本質的欲求というのは、マズローの表なんかを描いていまして、自己実現であるとか、あるいは、社会的に役に立つことであるとか、そういったピラミッドの頂点に位置するような欲求を最終的には企業も目指すべきであると。そこを目指すことによって、長期的に社会と、そして人々に必要とされ続ける企業になる、それが結局は、社会にとって、あるいは市場においても、継続し、成長していく企業になるんだ、そういう考え方です。

 こういう非常にすばらしい、ある意味で、三方よしですとか、そういった日本が大事にしてきたような概念も踏まえたような議論がされていますので、是非、選挙向けであるとか、あるいは政権のいろいろな思いというのはあるかと思うんですけれども、国内の議論に閉じずに、こういった海外あるいは民間の方で議論されている新しい資本主義ということを踏まえた議論を是非していただければと思っております。

 次に移らせていただきます。

 こうした新しい資本主義に関しては、今、萩生田大臣、経済産業省の方にお伺いしましたが、基本的には内閣官房の方で取りまとめていると承知しているんですが、こうした世界の潮流、民間の声を踏まえた新しい資本主義について、担当としての内閣官房としてはどんなような所見を持っておられますでしょうか。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 新自由主義的な考え方の下で、全てを市場や競争に委ねてきたことで、国際的には、格差や分断、あるいは気候変動といった様々な問題が生じている例もございます。

 このために、官と民が協働する形でこうした課題の解決に取り組むとともに、こうした社会課題の解決をむしろ成長のエンジンに転換して、サステーナブルな経済社会をつくり上げていく、これが新しい資本主義の考え方であるというふうに理解をしております。

 こうした新しい資本主義の実現に向けて、企業が、株主だけではございませんで、従業員や顧客、取引先、地域社会といった多様な関係者の利益を考慮することが重要だと考えております。

 このため、企業にマルチステークホルダーに配慮した経営を促しまして、サステーナブルな経済社会をつくり上げていきたいと考えております。

青柳(仁)委員 大変申し訳ないんですが、先ほどの大臣の御答弁と比べると、非常に心のこもっていない話だなと思いました。通り一遍の言葉を並べるのではなくて、やはり、本当に議論されている中で、どういったことが重要であるのかと。

 我々の経済成長、あるいはよりよい社会をつくる上で、皆さん、私も、経団連、同友会の方々と議論させていただいておりますが、皆さんやはり熱意を持って考えておられる。自分たちの子供たちや孫たちに残していくような社会、市場というのはどういうものがあるべきかということを考えておられる。

 ですから、是非そういう熱を持った議論を国の方でもやっていただきたい。所管だから仕方がないとか、官僚の作った答弁をただ読み上げるとか、そういうことでは私は余りいいものはできると思えませんので、是非ひとつその辺の議論をしっかりとお願いしたいなと思っております。

 最後に、一つちょっと通告した質問を飛ばさせていただきまして、国際基準の形成についてお伺いをできればと思っています。

 こうした様々なコンセプトが議論されていて、非常にすばらしい新しい資本主義のコンセプト等も生まれてきているんですが、結局はこれは市場競争につながってくる話になります。

 こういったコンセプトが、概念であるうちはふわっとしておりますが、どこに宿るか。その宿る先は競争のルールということになるわけですが、今、ちょうどこのサステーナビリティーという話の中で、EUのタクソノミーと言われる基準、あるいは、IFRS財団が、これまで、企業が生み出す社会価値の基準というのが、今現在もですが、四百ぐらい世界にそういう基準を作る機関があるんですけれども、それが、重立った十個ぐらいのところが統合の動きを見せている。これは経産省、金融庁も御存じのとおりで、常に対応をしているとおりだと思うんですけれども。

 そのような中で、やはり、国際基準の形成に関して、こうした新しい資本主義の議論、世界の潮流、民間の意見等を踏まえて、特にこのサステーナビリティーに関する、あるいは、新しい資本主義、ステークホルダー型資本主義といった文脈での、新しい競争ルール形成、国際基準形成に向けた大臣としてのお考えについてお伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 例えば、国際的に気候変動を始めとするサステーナビリティーに対する要請が高まっている中で、足下では、IFRS財団が国際的なサステーナビリティー情報に関する新たな開示基準の検討を進めています。こうした国際的ルール形成の動きに対して日本の立場を示していくということは、すごく大事だと思っております。

 ただ、割と日本は外国が作ったルールの中で国内評価するのが好きな傾向があって、何もそこまで劣っている国じゃないので、国が主導して国際ルールや国際標準というのを作っていく必要があるんじゃないかと私は思っておりますので、この辺は是非、先生の問題意識は、内にとどまらずに、国際社会に目を俯瞰しながら経済というのを考えるべきだということを冒頭おっしゃっていただいたんだと思いますので。

 IFRS財団が昨年十一月に公表したサステーナビリティー開示基準に関するプロトタイプについて、三百を超える幅広い業界団体に対する周知とアンケート調査を実施しました。産業界から寄せられた意見も踏まえて議論を行って、先週、三月二十五日に、ISSBプロトタイプに対する基礎的見解というのを取りまとめたところでございます。

 経産省としては、先般取りまとめたこの基礎的見解をベースに、IFRS財団による公開草案の分析を進めて、関係省庁、関係機関と連携し、IFRS財団の取組に対してオール・ジャパンで意見集約、発信をしていきたいなと思っておりますが、繰り返しになりますけれども、外国の基準に追従するだけじゃなくて、やはり日本発で、例えば、私、アジアのエネルギー政策はアジア全体でやっていこうということを呼びかけをしておりますので、そういった縦横をしっかり見ながら、日本の立ち位置というのを見つけていきたいと思っています。

青柳(仁)委員 まさに今おっしゃられたとおりで、日本で独自で基準を作れるのであればそれがベストであるというのは、そのとおりだと思います。

 一方で、IFRS財団の動きというのは、この業界では極めて注目を浴びておりまして、また、世界のスタンダードになっていくことはほぼ間違いない状況でありますので、こういった中で、民間からも、経済産業省の方でもいろいろヒアリングを行っているレポートなんかも読ませていただきましたが、やはり、今のサステーナビリティー基準あるいはESG投資の基準みたいなものの中でも、例えば、水の使用量に関する基準なんかがあるんですね。

 水は余り使ってはいけないみたいな話があって、これが余りたくさん使い過ぎると、鉄鋼なんかだといっぱい使うわけですけれども、サステーナビリティーとか企業の生み出す社会価値という観点では大きくスコアが減るわけなんですけれども、これは、日本みたいに閉じた水の循環系の中での話と、確かに今世界全体では水不足で大変なことになっているわけですけれども、そこでの話というのはやはり違うわけで、そのスコアを上げるために、じゃ、その水循環の機器を、設備投資を新たにするといったら、これはある意味でコスト増で、日本企業にとっては競争力の足かせにもなるような話ですから、まあこれは一つの例ですけれども、そしてまた、今、たくさんの企業が今現在の基準について言っていることでもありますが。

 こういったことが起きないように、日本企業にとって競争力にもなるように、また、日本は従来から社会価値を生み出すことが得意な企業群だと思いますから、そういった強みがしっかり生かせるような基準作り、あるいは、先ほど大臣がおっしゃったような独自の基準を広めていくというようなことが、実際、新しい資本主義みたいなことを考えたときには、ただふわっとコンセプトを発信するだけではなくて、それをベースにした市場原理をつくり上げる上での基準というもの、これが核になってくると思いますので、そういった点を是非戦略的に今後も検討していただきたい、このように考えております。

 時間になりましたので、私からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会の小野でございます。

 今日、私は、目下の経済情勢と、そして、半導体のサプライチェーン、これは、私の初質問で萩生田大臣に予算委員会でも丁寧に御答弁いただきました。この続きをやりたいというふうに思っています。

 まず、目下の経済情勢なんですけれども、日銀の指し値オペの企業への影響についてお伺いしたいと思います。

 御存じのとおり、日銀が、三月二十九日から、長期金利の上昇を抑えるために、初の三日間連続の指し値オペを行っております。二十八日から、長期金利を〇・二五%に抑えるために国債を無制限に買い入れたということもありまして、この日は円安が一気に進んで、一ドル百二十五円台までということになったんですけれども、今後の金融情勢が我が国企業に与える影響を考える必要があるというふうに感じております。

 輸出型企業でありましても、円安による輸出の伸び以上に、原材料費の高騰で恩恵を得られない企業も多いと思いますし、また、特に内需型の企業では、価格転嫁が思うようにいかずに更なる苦境に追い込まれるということも当然考えられると思います。

 いろいろと私も過去のことも調べてみて、そもそも、二〇一五年六月に、一ドル百二十五円に近づいたときがありました。そのとき、日銀は、いわゆる黒田ラインというものを引いて円安の進行を牽制したんですけれども、そのときの日本国債の十年物の金利というのが〇・四六%であって、現在必死に守ろうとしている〇・二五%よりも高い水準だったんですね。そして、米国債の長期金利は、今朝見たところ約二・四%だったんですけれども、コロナ前も同水準でありましたし、二〇一五年六月時もちょうど二・四%ということで、このアメリカの金利という点、そして円の相場の状況というのは非常に今と似ているんですね。

 しかし、にもかかわらず、日銀は今回は円安よりも金利上昇を警戒していて、実際、黒田総裁は三月十八日の日銀金融政策決定会合の後の会見において、一般論として円安は我が国経済にとってはプラスなんだというふうに述べておられるということで、今回は円安をある程度容認するようなコメントも行っておられます。ただ、そうはいっても、この百二十五円というものをそう容易には超えないというような自信が多分黒田総裁にはおありなんだというふうには思いますけれども。

 ただ、一方で、当時と異なるのは、日銀の国債保有残高が、二〇一五年六月十日の段階で二百九十一兆円だったものが、今年の三月二十日には五百三十二兆円に達しておりまして、ちょっと状況が変わっている部分というのは、やはり日銀のバランスシートが相当膨れ上がっていて、しかも、膨れ上がっているのが国債ということでございますので、そこをやはり意識せざるを得なかったのかなということを考えています。

 そしてもう一つ、黒田総裁も考えておられることとして、今回の物価上昇は、円安というよりもエネルギーや食料などの国際的な商品価格の上昇の要因が強いということが念頭にあって、やはり当時とは事情が違うんだということも説明をされてはいるんですけれども、ただ、日本の長期金利を〇・二五%で何が何でも抑えるということと、これ以上の円安を阻止することのどちらが、日本経済、特に多くの中小企業にとってよいのかということを、経済官庁としてもやはり考えておく必要があるというふうに思います。

 そういうことで、このような観点から、企業の類型ごとによって、今回の円安、これがどのようなインパクトを及ぼすか、そして、それが日本経済、日本企業の総体としてどうなのかという分析を、これは時間がない中なのでまだ進んでいないと思うんですが、もし何か分析していることがあれば教えていただきたいと思います。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 為替レートや金融政策の動向について政府の立場からコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、企業に与える影響ということでございますけれども、円安が進みますと輸入価格の上昇を通じて企業のコスト上昇につながる、これは御指摘のとおりでございます。

 一方、輸出を行う企業の中には、一部には円安メリットを享受する企業もある、ただ、他方で、当然、原材料の方が高い、輸出よりもコストが上回る企業などもある、そういったことでございまして、個々の企業によって非常に多様でございまして、その影響が異なることもございますので、一概に申し上げるというのは非常に難しい面はございます。

 政府といたしましては、引き続き、企業が原材料費の上昇などによるコスト上昇にも対応できるように、生産性の向上ですとか金融面の支援、取引の適正化などに取り組んでまいりますし、その上で、今後とも、為替の変動が企業に及ぼす影響についてしっかりと注視してまいりたいと考えております。

小野委員 なかなか、これは急に始まった措置でもありますし、分析し切れないところもあると思うんですけれども、是非ちょっと御提案したいのは、いろいろなビッグデータを集められるような世の中になっていますので、例えば、ある企業が仕入れている資材の値段とか、それから全体的な物価動向、いろいろな要素を入れながら、一体どういった類型の企業であれば、今回の円安や、あるいは日銀がやっているこの政策によってインパクトがあるのかということを経産省としてもやはり把握していくような仕組みづくりというのを是非目指したらどうかなというふうに思うんですね。

 ビッグデータとかAIとかということを、言葉だけはなかなか、語られてはいても、それを実際にどうやって我々の政策決定過程にしっかり入れていくかというのはまだまだだというふうに思いますので、これからもっともっとすごいスピードで情勢が変化をしていって、そこでどういう手を打たなければいけないのかというのはもっともっと速い意思決定が必要だと思いますので、そういったことを是非御提案をしたいというふうに思いますので、一生懸命考えていただきたいと思います。

 何かあれば、どうぞ。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘、例えばどういう企業がというところでございます。

 ちょっと一つの例でございますけれども、個社名は差し控えさせていただきたいんですけれども、例えば、同じ大企業の自動車メーカーであっても、円高、円安に対する感応度がございまして、一円の円安で例えば四百億円くらい増益するという企業もあれば、他方で三億円の減収になるという企業もあるということで、同じ自動車業界でもそういったことがあるということなんですが、そういったことで、やはり個社の収益の構造やコスト構造の違い等々でかなり異なる面もございます。

 こうしたことも含めて、しっかりと各個社の動向などを含めながら、しっかりとウォッチしてまいりたいと思っています。

小野委員 ありがとうございました。

 もちろんそれはおっしゃるとおりなんですけれども、どういう類型のものはどういうふうな傾向で苦境に陥るかみたいなことは恐らく分析できるはずだと思いますので、最初の御答弁にあったように、なかなかその辺がつかめないというような答弁を、やはりこれからのビッグデータ、AI社会で続けるべきではないかなというふうに思っていますので、是非、そういう高い目標意識で、更にパワフルで、しかもタイムリーに対応できる経済産業省を目指していただきたいというふうに思っています。

 それでは、半導体のサプライチェーンの確保について、昨年の予算委員会から引き続きということで質問させていただきます。

 先端半導体の安定確保、それから技術開発というものを、これを企業自体が自己責任で行うべきだ、自分のお金でやはりやるべきじゃないかというような御意見、これは党派を問わず、まだまだそういう御意見もあります。私はそういう立場ではありませんけれども。

 そういう中で、先端半導体の製造への補助額ですとか、それから半導体に関わる先端技術の研究開発費の政府支出額、この間の補正予算では六千二百八十億円、この金額自体は、もちろん今までにはなかった額ですから、非常に大きかったというふうに思いますが、ただ、私も先週、熊本に戻って、半導体の製造装置の会社の部長さんと話していて、でも、この間の政府支出額、特に千百億円の技術開発のお金なんというのは、こんなのは民間が余裕でこの資金を出していて、別に驚かないというような反応なんですね。それは経産省の皆さんであれば、当然もう御存じのことだというふうに思っています。

 そういう中で、政府として、額は十分ではないことは分かっているけれども、それでも政府がサプライチェーンの確保や先端技術の開発に参加することに意義があるというふうに考えておられるのか。それだけじゃなくて、私が申し上げたように、いや、もっともっと大胆な政府支出をこれからも、この半導体関連を始め、日本の産業が生き残っていくために必要な分野に投じていくのかどうか。その辺の意気込み、考えというものを萩生田大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 物づくりの日本と言われながら、海外のサプライチェーンを頼らなければメイド・イン・ジャパンの製品が作れないということが今回のコロナを通じて露呈されたと私は思います。

 これまでは、政府は研究開発まではお金を出すけれども、そこから先は民の世界だといって、ウォールがあったと思うんですね。世界を見れば、研究開発にも設備投資にも大胆に政府が支援をする一方で、その投資による利益を国民にしっかりリターンしてもらうという仕組みがどんどん広がっていると私は思っております。

 今回の半導体企業等々への支援についても、与野党を超えて批判の声もあるんですね。個社に対してお金を出すのはどうなんだというのはあるんですけれども、それは確かに個社が受皿になるかもしれないんですけれども、そこで作った半導体は日本の様々な物づくり産業に安定的に供給されて、それが加速するわけですから、結果として日本の生産力を上げることになるので、まさに物づくりの米だと思うんです。上流にしっかり投資することでその裨益を国の様々な企業が受けるということは、これは決して個社の応援でも何でもなくて、まさに新しい資本主義の投資の在り方だと私は思っています。

 今回、様々な皆さんの御支援をいただいて、一定程度の金額を積みました。しかし、この業界が抱えている規模からすると、決して大きな金額ではないと思っていますので、これは今年度で終わる話じゃないと思っています。しっかり投資額も増やして、そしていろいろな産業に裨益ができるような仕組みづくり、また同時に、人材ですね。これは、あくまでも、よその企業に頼っていないと駄目なんじゃなくて、自前で作れるという、人をちゃんと育てていかなきゃいけないと思っていまして、何度かお話ししていますように、高専で四月一日から新しいカリキュラムが始まります。熊本大学には半導体のセンターをつくってもらいます。九大もやります。文科省は、熊本大、九大にエース級の理事を送ることにしました。個人的には、私、先生にも熊本に戻ってもらいたいぐらい。

 こういう熱が分かっている人たちが是非一緒に仕事をしてもらうことで、必ず次の展開を皆さんにお見せできると思っていますので、頑張ってみたいと思います。

小野委員 大臣、ありがとうございます。

 前回の委員会の質問と違って、熊本に決まった感じの御答弁でありましたので、本当にありがとうございます。

 本当に、おっしゃったように、やはり大臣がメッセージを発し続けることが大事だと思います。やはり、日本の浮沈にとって大事な産業に対しては、これは民間任せにするのではなくて、政府がちゃんと勝負をしていく。そして、他国に負けないような資金を投入していくんだということを、これはもちろん、お考えで、やはり特定の企業にというようなお声があるのは私も十分承知はしているんですけれども、しかし、ほかの国がそれを露骨にもう今なりふり構わずやっている状態で、我々がまた再び世界をリードできるような産業をつくれるかどうかというのはここに懸かっているというふうに思いますので、是非それを様々なところで、もちろんいろいろなお声はあると思いますけれども、主張を大臣自ら、これからもしていただきたいというふうに思っております。

 次に、ちょっとこれはロシア関連の話になるんですけれども、半導体のサプライチェーン、喫緊のことについて少し確認したいと思います。

 ロシアに親しい国ということで、いわゆるスタンと言われる国、カザフスタンとかタジキスタン、ウズベキスタン、こういったところには、貴重な、産業に不可欠な物資というものがあります。レアアースとかレアメタルというものですけれども、こういったものが今回の経済制裁によって何か影響を受けているのかということについて、ちょっと時間が少なくなっていますので、簡潔にお願いします。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体の製造工程に用いる希ガスについては、ロシア、ウクライナのほか、複数の国から調達可能であることから、現時点で主要な日本企業から半導体の製造に特段の影響が出ているとは聞いておりませんけれども、緊張感を持って今後とも状況を注視し、安定供給の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

 半導体以外の分野でいきますと、例えば、自動車の排ガス用触媒等に使用されるレアメタルであるパラジウム、我が国の輸入量のうち約四〇%をロシアが占めております。

 企業においては、従来から調達先の多角化や在庫の確保に取り組んでおり、現時点では直ちに製品の生産に特段の影響を及ぼす状況ではないという報告を受けておりますが、今後、輸出入に支障が生じて市場が逼迫し、世界中で取り合いになれば、事態が悪化する可能性というのも否定できないというふうに考えておりまして、レアメタル、レアアース、半導体の製造過程において用いられる希ガスなど、全体を通じまして、引き続き、緊張感を持って市場の動向を注視するとともに、これらの物資の調達先の多様化、リサイクル、国内生産の強化、代替する技術の開発などの取組を通じまして、安定供給の確保に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 先ほど、LNGの話についてありました。エネルギーに比べて、まだクリティカルな段階には行っていないというような認識をいただきましたけれども、もちろん、ロシアとの関係もこれからどうなるのかというと、LNGも、先ほどやり取りがありました、これをロシア等の動向を踏まえてタイムリーに判断するべきだと思いますけれども、ほかの手段もしっかり確保するようなところも幅広く捉えて、的確に対応していただきたいと思います。

 それでは、最後に、今度はまたちょっと熊本に戻るような話でもあるんですけれども、TSMCの熊本工場が来るに従って、先ほど大臣からもお話があって、いろいろと大学とか高専とかでもう動きが始まっていると。そして、私も地元のニュースを見ていて、地元の経済人たちも、人材をどうやって確保するのかという、民間主導での動きも始まっています。

 そういう中で、やはり受入れ体制というのが本当に大事だと。一番大事なのは、そこで働く千五百人の技術者をどうやって育てるのかということですけれども、同時に、TSMCで作る半導体というのは、日本には技術者が余りいないということで、台湾の技術者が二百人ぐらい来るわけですね。そして、ずっとやはりそこに住み込みでやるわけですから、御家族も来る。そういった、一気に多くの外国人の方々が先端技術を教えるために来るということになりますので、そこの受入れ先として、やはり住居の問題とかもありますけれども、私は、一番大事なのはやはり教育だと思っています。そこの子息が、子女が十分な教育を、例えば熊本、それから将来的にはほかの地域でもちゃんと施すことができるのかというのは、これがやはり確保されないと、なかなかちゅうちょしてしまうということもあると思います。

 地元でもちょっと声が上がっているんですけれども、インターナショナルスクールをやはりそういった技術者の子供たちに対して提供するというようなことを今から考えないと駄目なんじゃないかというような声があります。

 元々、萩生田大臣、この間の答弁のときにも、文科大臣としても御活躍いただいたということで、そこを是非、経産省としてもインターナショナルスクールの整備みたいなところに、文科省と一体となりながら積極的に進めていただきたいと思いますが、この件に関して意気込みを伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおり、我が国に海外の技術者を始めとする高度人材に来ていただくためには、家族帯同で来ていただけることも想定して、そのお子さんの教育環境を整えるというのは重要な一つのポイントだと思います。

 実際に、経産省の中で未来人材会議というのをやっているんですけれども、この中で、やはり一部の有識者から、教育環境の不足が原因で家族を連れてこられないケースがあるがために、本当は呼びたい技術者が呼べないんだという企業の声を聞いてまいりました。

 こうした中、中国、香港、あるいは東南アジアの富裕層、中間層の間でも、お子さんを環境のいい日本で育てたい、インターナショナルスクールに通わせたいという要望は数多くございます。来年度以降、英国の複数の名門寄宿制学校の日本校というのが、これは図らずも、ちょっとびっくりするような場所なんですけれども、岩手県ですとか千葉県ですとか、こういったところにできます。東京都内には、実はインターナショナルスクール、かなりの数が存在していますので、そこから比較するとびっくりするという意味でございます。

 また、これまでも、文科省では、グローバル化に対応した資質を育成する国際バカロレア認定校というのをやっているんですが、二〇二二年度までに二百校以上の目標でやってきましたが、今のところ百七十五校というところまで来ました。こうした取組は、いずれ母国に戻る海外の高度人材のお子さんの教育環境整備に貢献しているものと承知をしております。

 そこで、文科大臣も経験したんだからと言われるとすごく口が重たくなるんですけれども、インターナショナルスクールは私、否定しません。しかし、これは、自由な発想で、日本が求めている学校法人とは全く違う存在だからこそ存在しているので、これを誘致をするとか助成をするとか支援するということになって行政が関わりを持つとなれば、やはり指導要領にのっとった授業をしてもらわないといけないということになっていくんだと思うんです。

 だから、両方いいとこ取りはやはりなかなかできないと思いますから、私立と対抗して、学校法人と肩を並べる中身をちゃんとやってもらえるんだったら、これは国が応援することも一つの意味があると思うんですけれども、そうじゃなくて、この学校独自の自由度は確保しながら、海外のお子さんはいいんですけれども、ここに行きたいという日本の子供たちが出てきたときに、それを見て見ないふりというのは、これはやはりちょっと行政としてはできづらいので、そこは、日本に学校を持とうという意欲のある海外のインターナショナルスクールがどっちを取るのか。

 実は、だんだん生徒が減ってきちゃった私立が海外の学校と提携してインターナショナル校みたいなことをやっているのはあるんですよ。だけれども、それはやはり学校法人の枠の中でやっているものですから、その辺はこれからの課題だと思うんですね。

 経産大臣として、そういう優秀な技術者を誘致するために受皿として必要かと聞かれれば、それはいいアイデアだ、こう申し上げますけれども、たまたま文科行政を知っちゃっているものですから、それを私がここで言うと文科省にもいろいろ迷惑をかけるなと思いながらお答えをしました。

古屋委員長 小野泰輔さん、時間が来ております。

小野委員 はい。

 ありがとうございました。もう文科大臣を忘れて、経産大臣としてやっていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 バブルがはじけて三十年以上たっているんですけれども、なかなか安定的な経済の復興に行っていない。景気がいい会社もあれば、業種、業態もあると思うんですけれども、全般的にはなかなか厳しい、そこにコロナが追い打ちになって、二年余り苦しんでいる事業所さんも多いんだと思うんです。じゃ、それを打開していくのに、短期的な対応と長期的な対応をやはり考えていかなくちゃいけないと思うんですが、やはり物を作っていってなりわいにするという国をやめちゃ駄目なんだと思うんですね。サービス業で、金融で食べているイギリスみたいなところがありますけれども、実際はシティーが中心になって金融で国を何とか賄っているんですけれども、製造業がどんどんどんどん衰退してしまっている。

 そういう国にならないようにするのにどうすればいいかと自分なりにやはり考えるんですけれども、その中で一つの資料が目に留まりました。

 経産省が出している二〇一六年版のものづくり白書というところに、適切な製品ライフサイクルの確保の取組状況と過去三年間の売上高には相関関係を確認することができたんです。そして、ライフサイクルを長期化するためのブランド戦略、知的財産の権利保護強化やマーケティング強化の取組を行っている企業は売上げが増加している企業が多いと報告されているんです。

 これは、工業製品や生活消費財、私は、もう少し踏み込んで、さらには住宅についても同じことが言えるんじゃないかと考えます。もう大量生産、大量消費、大量廃棄が豊かさのバロメーターという経済を見直すのはいかがか、こう考えるわけです。

 地元を回っていると、装置が壊れたから修理が利かないから買い換えるしかないとか、昔より製品が長く使用できるように作られていないということを耳にするんです。実際、そういう業種さん方が三十年も四十年も前の機械をだましだまし使って、低コストで三次とか四次下請の仕事をやって、今の日本の経済を支えているんだと私は思うんです。

 ですから、経産省で白書にうたっているように、製品の長寿命化を図ると同時に、国内で交換する部品の供給や、修理をする体制の再構築を考えた方が、これは一年とか二年ではできないと思うんです、でも、これからの力強い経済の再興を考えたときには、五年、十年のスパンの中で取り組んでいく課題じゃないかと思うんですが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 世界では、将来的な資源制約や環境問題などを背景に、大量生産、大量消費、大量廃棄の線形経済から、資源の効率的、循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る循環経済への移行が始まっています。

 例えば、欧州では、二〇二〇年三月に発表した新循環経済アクションプランにおいて、消費者が修理できる権利という考え方を示され、耐久性、修理可能性、リサイクル性を考慮した持続可能な製品設計などが求められています。

 経済産業省においても、二〇二〇年五月に循環経済ビジョン二〇二〇を策定し、廃棄を前提に製品を製造するのではなく、消費者が修理可能な設計にして製品の長寿命化を図ることや、メンテナンスやシェアリングなどのサービス化を通じて製品の有効活用を図ることを循環性の高いビジネスモデルの例として示し、製品の長寿命化や有効活用などを促しているところです。

 経産省としては、こうした循環経済をめぐる国際的な状況や市場の変化は更なる成長の機会となり得ると考えておりまして、引き続き、循環性の高いビジネスモデルの構築によって循環経済への移行を促してまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 もう一つ事例を挙げさせてもらいますと、例えば、トラクターを販売、修理している会社さんに挨拶に寄ったときに、そこの社長と話をしたら、どのぐらいトラクターの部品は残しておくんですかと言ったら、主要な部品で十五年だと言われたんです。通常だったら十年、物によっては七年。なぜそれだけしかストックしないんですかと尋ねたら、経産省の指導だ、こういう話なんですね。

 今大臣御答弁いただいたのは二年前の答申なんだと思うんですけれども、全体的にやはりもっと情報を発信することによって、家もそうなんだと思うんですけれども、建て売りを建てるのに三十年もてばいいというような造り方をしているというわけです。だから、先ほど申し上げましたように、大量生産、大量消費をしてもらうことによってコストを下げて持家を持つというやり方が、それでなかなかやはり中古住宅が、これはもう所管が違うところなんですけれども、物を作るということに関しては、やはり同じ産業政策と考えれば、経産省も同じような形でやはり旗を振ってもらうべきだと私は思うんです。

 よろしいですか、打合せは。(萩生田国務大臣「大丈夫」と呼ぶ)

 じゃ、今御答弁いただいた中でも若干触れられているんですけれども、フランスでは、循環経済法により、二〇二一年一月一日、去年の一月から電気・電子機器の店頭やオンラインの販売に修理可能性スコアを表示することが義務づけられたというんです。だから、まだ答申を出すとか方向を決めただけじゃなくて、法律を作っていくんだったら、私たちが出さなくちゃいけないんですけれども、そういうものを取り入れることによって、短期的な景気の浮揚策と中長期の対策を併せて行うということが必要だと思うんですが、御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず先生、私、過去の政策判断をちょっと勉強していなくて申し訳ないんですけれども、時代の変化を冷静に見ると、高度経済成長期から、かなり物づくりは日本は得意だという自信を持った時代、そしてバブル経済、かなり利益を上げた時代、まさに冒頭お話があった大量生産、大量消費そして大量廃棄ということを前提にしていたことは否めないと思うんです。

 したがって、新しい新型の製品を出すことの方が経済にとってプラスであって、古いものを大事に使うという、ややそういう価値観が薄れてきた時代があったと思うんですけれども、三・一一以降は、やはり部品などを少し大事に取っておくべきですねというふうに方向は今変わりつつあるというふうに、そのことを今ちょっと後ろで耳打ちを聞いていたんですけれども、そういう方向に今なりつつあるということなんです。

 同時に、今まさにこういう経済になってくると、物を大切にして、長く使えるものは長く使って、そのことが結局、世界のため、社会のためになるんだと、価値観がどんどん変わりつつありますので、冒頭、先生が御指摘になられたような概念というものをこれから経産省としてしっかり持って、部品の確保ですとか、あるいは、私の地元などは多品種少量生産というものを行っている会社がたくさんありまして、要するに、数はたくさん作らないんですけれども、オーダーがあったものを二つ三つ作るということで商いをやっている企業もありますから、そういう隙間を埋めてもらえる産業も実際にはあると思いますので、そういう中で是非、今問題の解決ができる方向というものをしっかり見出していきたいな、そんなふうに思っています。

 済みません、短期的な景気浮揚策ということでよろしいですか。(鈴木(義)委員「まあまあ、うん」と呼ぶ)

 新型コロナで傷ついた日本経済を再生していくためには、まさにこれからが正念場でありまして、まずは、先般成立した過去最大の令和四年度予算を迅速かつ適切に執行していきたいと思っています。また、中小企業向けに事業復活支援金の着実な執行ですとか、本年六月末まで延長した実質無利子無担保融資などにより資金繰り支援に万全を期してまいりたいというふうに思います。

 その上で、昨日総理から、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、原油価格、物価高騰等総合緊急対策を策定するように指示があったところでございます。

 経産省としては、原油価格が更に高騰し続けた場合への対応について、現在講じている激変緩和措置の効果も見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく検討してまいりたいと思いますし、また、エネルギー、原材料などの安定供給に支障が生じることがないように、調達先の多様化を進めてまいりたいというふうに思います。

 物価高騰に対しては、価格転嫁を進めつつ、賃上げを実現していくとともに、中小企業の資金繰りの支援を確保、強化をしてまいりたいと思います。

 いずれにしましても、国民生活や経済活動への影響を最小化するように、具体的な検討をしっかり進めてまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 最後に、時間がないのでもう一点だけ、大臣の意気込みを示していただきたいんですけれども、六年ぶりにやっとここまで来たかというふうに思ったんですが、新聞の記事に、紙の約束手形の利用を二〇二六年に廃止する目標を、現実に向けて一歩踏み込むという記事だったんです。現金化まで時間がかかる中小企業の資金繰りを圧迫しながら商習慣の改善を目指すと。

 私も、六年前に予算委員会で、このことを麻生財務大臣、当時の財務大臣に質問したんですけれども、もう日本だけなんです、この手形の制度でやっているのは。

 ですから、ただ、法律の強制力がないというふうな書き方なんですけれども、やはり、もう一歩踏み込んで、二〇二六年にはもう全部やめるというふうにやっていかないと、しようがないんだ、しようがないんだとずるずるやっていったら、終わらないと思うんです。

 最後に、大臣の意気込みを聞かせていただきたいんですけれども。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 手形でございますけれども、支払いサイトの長さですとか、手数料の高さですとか、様々な課題があると思っておりまして、令和二年度に中小企業庁で調査を実施したんですが、受取側の九割、振出側の七割が、廃止したいという意向を持っておられます。

 ただ、一方、中小企業の中には、業界の商慣行などを背景に、直ちに廃止することは難しいというような声もございまして、利用の廃止に向けましては、業種ごとの取引ですとかビジネスの実態を踏まえて、取組をきめ細かく行う必要があると思っておりまして、政府として、自主行動計画の策定、改定などを要請しておりまして、今、十九業種五十二団体の自主行動計画において、二〇二六年の約束手形の利用をやめる、そういう目標設定がなされております。

 今後とも、この取組を更に進めていくために、様々な要請も行っておりまして、必要な取組を進めてまいりたいと思っております。

萩生田国務大臣 意気込みということなので、二〇二六年廃止に向けて努力したいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。終わります。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 あさってから四月。長引くコロナ禍で中小事業者の売上げは回復せず、ロシアによるウクライナ侵略の下で、原油、原材料、資材、物価高騰が追い打ちをかけている。直接支援の継続がどうしても必要だと思います。

 萩生田経済産業大臣は、三月九日の所信質疑で、私の質問に、四月になったら考えますということじゃなくて、不断の検討を今省庁横断でも行っております、しっかり、事業者の皆さんにも寄り添った対応を考えていきたいと答弁されました。

 中小事業者は、展望の持てる直接支援策を今切望して待っております。検討の結果、大臣、どうなったんでしょうか。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、新型コロナの影響により厳しい経営状況にある事業者に対して、昨年十一月から三月までの五か月間を対象として、使途に制限のない現金を給付するという、臨時異例の支援策です。

 事業復活支援金につきましては、一月末から申請受付を開始しまして、三月二十九日の時点で、約七十七万件の申請のうち、約六十一万件、約四千五百一億円を事業者の皆様のお手元にお届けをしているところです。

 本事業は五月末まで申請受付を予定しており、引き続き、迅速な給付に全力を挙げてまいりたいと思います。

 加えて、中小企業への支援としては、四月以降も、新型コロナの影響を受けている中小企業に対して、実質無利子無担保融資や資本性劣後ローンなどで資金繰りを支えるとともに、中小企業活性化パッケージに掲げられた施策を実行に移し、収益力改善、事業再生、再チャレンジを後押ししてまいります。

 また、新分野展開等に活用できる事業再構築補助金についても、支援内容を充実した上で、公募を実施しています。

 さらに、足下の原油高などを踏まえて、セーフティーネット貸付けの要件緩和や金利の引下げなどの支援を実施しています。この原油高等については、昨日、総理指示も踏まえて、政府全体で検討してまいります。

 厳しい状況に直面する中小企業に対して、四月以降も、事業者のニーズに合わせた、きめの細かい支援を講じていく予定でございます。

笠井委員 コロナ感染者も再び増え始めている。ウクライナ危機の影響も一層深刻なのに、不断の検討と言われながら、四月以降の直接支援については、新たな直接支援については全く言及がない。

 自動車やスマートフォンなどの半導体など、部品関連を取り扱っている千葉のメッキ設備の製造業者の話では、銅、鉄、塩化ビニール、ニッケルなど、ロシア関連で材料が高騰し、メーカーから、一〇%値上げしたいと言ってきている。建設業界では、ウッドショックの影響で、材木が三〇%も値上げ、昨年受注分もやれるかどうかという事態だ。東京を始め全国あちこちで、自分たちの利益を削ってやってきたけれども、もう限界と悲鳴が上がっていると。

 まさに日本経済の支え手の中小企業がこういう状況の中で、潰れてもいいと、いろいろな措置があると言われたけれども、直接支援を切望しているけれども、それは新たなものはないわけですけれども、潰れちゃってもいいというふうに大臣はお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 ウクライナへのロシアの侵略によって様々な影響が出ていることは承知をしております。その関係で、部材が手に入らなかったり、あるいは高騰したりしているということもありますので、先ほど申し上げたように、政府全体で支援策を更にしっかり検討していこうと。

 これは四月中に取りまとめるということで総理から指示をいただいておりますので、関係省庁と連携しながらメニューを考えていきたいと思っています。

笠井委員 いろいろなメニューとおっしゃったけれども、融資といっても、もうこれ以上借りられないというのが多くの実態です。補助金をもらって事業再構築どころか、継続できるかの瀬戸際だと。

 中小企業家同友会、中同協の三月発表の会員アンケートには、四十七都道府県から千九百四十一件の回答が寄せられておりますが、回答企業の五割がコロナ前よりも業況悪化。特に運輸、倉庫業は悪化が著しく、サービス業、流通業が続く。実質無利子無担保融資、製造業、建設業は四社中三社が受けているけれども、返済に苦慮していると。

 大臣、これでも更に、いろいろな措置と言われるけれども、借金して頑張れ、こういう話になりますか。地元にもいろいろな業者がいらっしゃると思うけれども。

萩生田国務大臣 リスケについても、金融機関は柔軟な対応をしていただいておりますので、更に借りろということだけじゃなくて、返し方も含めた金融機関との相談をしていただいて。

 大変なのは十分承知しています。様々な支援メニューを用意させていただいておりまして、先生がおっしゃっているのは直接給付を続けろということだと思うので、これも五月までのこの申請で一回切りますけれども……(笠井委員「三月分までですね」と呼ぶ)三月分まででね。しかしながら、先ほど申し上げたように、四月いっぱいで新たな支援策も考えなきゃならないので、直接支給というメニューを残すかどうかも含めて、これは政府全体でしっかり考えていきたいと思います。

笠井委員 今、直接支給を残すかどうかも含めて政府全体ということのお話がありました。是非ちゃんとやってほしいと思うんですが、原油、原材料、資材、物価高騰に加えて、消費税分を転嫁できない一方で、コロナ禍で猶予されていた税、社会保険料の納付が始まります。支援金、協力金への課税が大きくのしかかって、国保料、保育料などにも跳ね返って上がる。負担が増えるばかりということになるんですね。

 全国商工団体連合会、全商連は、消費税五%減税、インボイス中止とともに、事業復活支援金の継続と、それから持続化給付金並みの拡充、固定費の支援を求めております。これがやはり現場共通の声だと。

 大臣、今追加経済対策と言われたけれども、それをやるんだったら、消費税五%に引下げとともに、補正予算を編成して、中小・小規模事業者、フリーランスへの直接支援を継続、拡充することこそ必要だ、是非その決断をしていただきたいということを改めて申し上げたいんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 コロナ禍からの回復期に加えて、このウクライナの情勢が加わったわけですから、様子が変わってきました。そういう意味では、現場をしっかりよく見て、しっかり寄り添っていきたい、この気持ちには変わりございません。

笠井委員 現場を見て、是非しっかり寄り添っていただきたいと思うんです。

 昨年十一月から今年三月分の事業復活支援金、先ほどもお話がありましたけれども、いまだ届いていない方がいらっしゃる。申請から二か月以上も音沙汰なく、待たされている方もいらっしゃる。十一月以前の月次支援金さえ審査中で、取り残されている方もおられる。三月までの見通しすら立っていない事業者がかなりいらっしゃるんですね。

 必要な事業者にしっかり届け切るとともに、四月以降の事業復活支援金の継続、持続化給付金、家賃支援給付金並みの拡充への決断を重ねて強く求めておきたいと思います。

 そこで、もう一つのテーマですが、今、中小企業の困難に更に追い打ちをかけているのが、価格転嫁できていないことであります。いよいよ対策は待ったなしと。

 大阪の包装資材製造業者は、ある方ですけれども、原材料の値上がり分を納品価格に上乗せすることを取引先に要望しているけれども、なかなか納得してもらえない、上乗せできなかった場合は年間二千万円の利益が飛んでしまうと。まさにこういう事例が、本当に深刻な事態が、全国あちこちで深刻な状況として広がっております。

 そこで、やはり改善につながる強力な措置が必要ではないか。大臣も、三月九日の所信質疑で、適切な利益が下請企業に残るように、関係省庁と連携し、取引の適正化に取り組む、こう言われました。一つ一つ細かい案件も含めて、しっかり前に進めていきたいとも答弁されました。

 この間、経産省の対策としてどんな取組を進めてきたのか、進めようとしているのか、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 中小企業の生産性向上を実現するためには、下請中小企業者から親事業者への適正な価格転嫁などの取引適正化が重要だと思っております。こうした観点から、取引適正化を進め、下請企業に適切な利益が分配される環境を整えることで、成長と分配の好循環を実現してまいりたいと思います。

 具体的には、下請事業者約二十万社に対する定期的な調査を実施し、下請代金法違反のおそれがある事案については同法に基づき厳正に対処する、また、全国百二十名の下請Gメンを倍増し、体制を強化することで、年間一万件以上の中小企業の現場の声を聴取する、加えて、三月の価格交渉促進月間のフォローアップとして、二千社に対する下請Gメンヒアリングや十五万社の下請中小企業に対する調査を実施し、これらを踏まえて下請振興法に基づく指導助言を実施する、こうした法執行の強化を通じて取組の実効性向上を図ってまいります。

 そのほか、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言を推進するとともに、業種別ガイドラインや自主行動計画など、業界の自主的な取組の促進を通じた課題解決につなげてまいりたいと思います。

 引き続き、適切な利益が下請企業に残るように、関係省庁と連携し、取引適正化に全力で取り組んでまいりたいと思います。

笠井委員 今大臣の答弁された中で、パートナーシップ構築宣言というのがありました。これを下請受注者と行った親会社、発注者の数というのは現在何社になっているでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 パートナーシップ構築宣言を実施している企業ということで、三月二十九日時点で六千八百六十社となっております。

笠井委員 その中で、直近一年間のコスト上昇分のうち、一〇〇%価格転嫁できた企業ですね、この転嫁問題で、そして、全く転嫁できなかった企業の割合というのは、それぞれどれぐらいあるでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月、価格交渉促進月間と設定いたしまして、この際のアンケート、四万社行っております。その調査の結果、価格協議では一割程度が、価格転嫁では二割程度が実現していないという御回答をいただいております。

笠井委員 パートナーシップ構築宣言が増えても一〇〇%転嫁というのはたった二割ということでありまして、先ほど紹介した中同協の調査結果によれば、原材料費の高騰分、賃上げ分、いずれも八割を超える企業が価格転嫁に至っていないと。原材料費の転嫁は運輸、倉庫業が最もできておらず、次いで専門サービス業。賃上げ分の転嫁は更に難しくて、全く転嫁できていない企業が四九%もあるというふうに結果として出ておりますが、大臣、宣言が進んでもなぜ価格転嫁が進まないのか、この点はいかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、先ほどのアンケートで、価格協議で一割程度、価格転嫁では二割程度が実現していないということでございますので、ちょっと実現とは、その逆だというふうに私どもの調査ではなっております。

 その上で、取引の現場でパートナーシップ宣言をしているにもかかわらず転嫁が進んでいないということでございますけれども、私ども、これまでも、経産省所管の業種に限らず、金融、保険業界、物流業界など幅広い業種について、関係省庁、関係団体を通じて約二百団体に周知を行ってまいりました。商工団体も通じて、あるいは都道府県も通じて各地域への周知も進めているところでございますけれども、やはりまだまだ認知されていないという部分もたくさんあろうかと思います。

 引き続き、経済団体、業界団体などを通じた周知を継続してまいりたいと思いますし、社内で社長側の名前で宣言をするわけですが、調達の現場までそれが届いていないというような話もあろうかと思います。そういったことも含めて、周知を更に継続してまいりたいと思います。

笠井委員 さっきの推進月間のときの調査結果です。ここに経産省の資料がありますが、直近一年間のコスト上昇分のうち何割を価格に転嫁できたと思うかということで、ゼロ割とマイナスというのを入れると二二%になりますね、ここに。そうなっているでしょう。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 全く転嫁できなかった事業者が、マイナスを入れますと二二・〇%でございます。

笠井委員 私はそのことを言いました。

 日本商工会議所の今年二月の調査でも、BトゥーB販売をしている企業のうち、前年度の比較で取引条件が改善したのは約二割です。約七割以上の企業で取引条件の是正が進んでいないということになっていますが、パートナーシップ構築宣言をした事業者のうち、資本金三億円を超える大企業の割合というのはどれぐらいになっていますか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 パートナーシップ構築宣言、先ほど約六千九百社と申し上げましたけれども、このうち資本金額が三億円を超える大企業は約六百社、宣言数全体の一割程度となっております。

笠井委員 一割程度と。宣言自体、拘束力もない上に、大企業にはなかなか波及していないという状況です。中小企業者の現場では、資材不足や資材、原油の高騰は、価格転嫁できない、立場の弱い中小企業にしわ寄せされて、賃金の引上げがままならないというのが実態であります。

 中小企業家同友会、中同協は、今年二月、仕入れや人件費、消費税等の価格転嫁がスムーズに行えるように指導を強化することを提言をいたしております。

 萩生田大臣、経産省は下請取引の監督強化を掲げて、四月から下請Gメンを百二十名から二百四十八名に増やすというふうに言うわけですけれども、下請Gメンは下請検査官のような強い権限を持って立入検査というのはできるんですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 下請代金検査官は、御指摘のとおり、下請代金検査法に基づいて立入調査を行うわけですけれども、下請Gメンにつきましては、下請振興法やこれに基づく指導助言などを実施するところでございます。

笠井委員 つまり、下請検査官のような強い権限で立入りはできないということですね。そこの権限はないと。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。

笠井委員 下請Gメンのヒアリング調査というのがありましたけれども、これも企業名公表などの勧告もなくて、やはり強制力に欠けるということになってまいります。そういう点で、本当にどうやってこの問題を解決するかというか、打開するかは大きな問題だと思うんですが、何といっても現場での強力な監督指導が鍵であります。

 中企庁それから公正取引委員会において、それぞれですが、立入検査等の強い権限を持つ専任の下請検査官の今年度と来年度の配置人数はそれぞれ何人ということになっていますか。

飯田政府参考人 中小企業庁分についてお答え申し上げます。

 令和三年度でございますけれども、下請代金検査官、百八名でございまして、そのうち専任の下請代金検査官は五十四名でございます。

 それから、令和四年度でございますけれども、来年度でございますけれども、来年度の下請代金検査官の人数は百八名、同じでございますけれども、専任については人事との関係がございますので、現時点では正確な数字を答えることは難しいと考えております。

杉山政府参考人 公正取引委員会分についてお答えを申し上げます。

 令和三年度における専任下請検査官は百四名、令和四年度における数は百七名でございます。

笠井委員 中企庁、経済産業局は、十年間ずっと見てみますと、六十名あったのが今五十四名、直近の数でいうと、まあ、令和四年度はまだ人数は言えないと言ったけれども。公正取引委員会も、二〇一九年に百七人を翌年二〇二〇年に百四人に減らして、また百七人に戻しただけということになっていますよね。

 これまでのような親企業、とりわけ大企業の自主的取組が基本の対策ではなかなか進まないということが実態だと思うんです。

 大臣は冒頭にも、適切な利益が下請企業に残るように取引の適正化に取り組むということで、まさにそのとおりだと思うんですが、公正な取引環境確保の実効性を高めるためにも、強力な権限を持つ専任の下請検査官を抜本的に増員すべきだと思うんですよ。

 この体制の問題は、実は長年の課題で、今から半世紀前になりますが、一九七三年二月に、我が党の不破議員の質問に対して、当時の橋口公取委員長は、お答えするのがちょっと恥ずかしいのですがとおっしゃりながら答弁した人数が二十六人でした。当時、中企庁では二十人。

 その後、三十一年たって、リーマン・ショック後の二〇〇九年二月、私、予算委員会で質問しましたが、公取がそのときに専任で八十二人、中企庁が五十一人で、当時の二階経済産業大臣に抜本増員を求めたところ、十分考慮してまいりたいというふうに言われたんですね。

 その後、また十三年たった今、まだ百七人と五十四人で、合わせても百六十一人ということになりますので、また考慮していくという答弁じゃちょっとまずいと思うんですが、大臣、やはりこの人数で、対象となる膨大な全国の取引に対してどうやって立入検査などの強い権限を持って当たれるか、もう半世紀の課題になっていますから、何とかしようじゃないかと。これは本当に立場の違いを超えてやらなきゃいけないと思うんです。

 コロナ禍でウクライナ危機の今こそ、長年の課題に向き合って、大臣の決断で、中小下請事業者の痛切な要請に応えるべきではないかと思うんですが、その点どのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 下請代金検査官は、下請代金法に基づく立入検査等の取締り業務を行う職員でありまして、下請代金法の厳正な執行を行うために必要不可欠な職員です。

 御指摘のように、専任の下請代金検査官を適切に配置することも、取引適正化の観点から重要だと思っております。

 一方で、我が国に存在する約三百六十万の中小事業者の日々の取引は膨大でありまして、下請代金検査官の活動に加え、様々な政策を効果的に組み合わせることで、総合的に対策を実施することが適当だというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたように、パートナーシップ宣言、先生御指摘のように、そんなこと言ったって、大企業は全然数が増えていないじゃないか、宣言したって守っていないじゃないか、こういう御指摘はもう真摯に受け止めて現場にも伝えてまいりたいと思いますし、また、下請Gメンというのは、これは二階大臣の時代にはなかった制度でありまして、百二十人増員をして、縦と横、両方で見ていこうということを考えております。

 三月の価格交渉促進月間のフォローアップや、これを踏まえた下請振興法に基づく指導助言など、様々な施策に取り組んでおりまして、確かに専任は五十四人なんですけれども、併任をかけている人たちを含めると百八人でありまして、これは、月間、週間とか、節目節目では、現場に出てしっかり仕事もしてもらっています。

 究極、人数を増やした方がいいんじゃないかと言われれば、それは私は全く否定しませんし、ありがたい御質問だというふうに受け止めてまいりたいと思いますが、いずれにしても、これは重層的に、企業の皆さんにも意識を変えてもらわなきゃいけないと思っていますので、ここが正念場だろうと思っていますから、今年、新年度、頑張ってまいりたいと思います。

古屋委員長 笠井亮さん、時間が来ております。

笠井委員 大企業の自主的取組に任せるわけにいかないので、そこは頑張ってまいりますとおっしゃったので、やはり下請代金検査官、必要不可欠な職員ということで、是非専任でここはやはりしっかりと配置をするということで、重ねて中小企業支援の抜本的強化を求めて、今日は質問を終わります。

古屋委員長 次に、土田慎さん。

土田委員 自由民主党の土田慎でございます。

 本日は、貴重な質問の時間を賜りまして、感謝申し上げます。

 早速ではございますけれども、限られた時間でございますので、質問に移らせていただきます。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

 今日の質問、日本の産業の基盤であるという観点から、半導体と、そして、先般、萩生田大臣がIEAの閣僚理事会に御参加されましたけれども、エネルギーの、IEAの関連のことを質問させていただこうと思っております。

 まず最初に、半導体の話でございます。

 今日お話しさせていただく内容は、これから日本が取るべき半導体戦略とは何ぞやというようなお話でございますけれども、先に結論を、私なりの提案というか結論を申し上げると、しっかりとミニマルファブを推進して、ビジネスで勝ちに行く、それだけではなくて、ゲームチェンジャー技術となるような光電融合技術をしっかり開発促進していくべきであるというようなお話をさせていただこうと思っております。

 冒頭に、昨年、米国のバイデン大統領が、ホワイトハウスで、こうやって、いわゆる半導体の原料となるウェハーを掲げて、これがインフラですというようなお話を半導体CEOサミットでされました。

 まさに半導体というのは、ここで、この電気がLEDかどうかは分かりませんけれども、点滅するだけのようなLEDのライトから、ミサイルであったりだとかロケットであったりだとかというような、全ての電化製品に使われているような、まさに産業の、製造業の核となるような部品だと私は思っております。例えば自動車には、百個以上入っているような自動車もあったりだとか。

 このまさに製造業の核となるような半導体は、今まさに開発と供給というところ、要は、自国分の確保ということに関して国家間競争になっているわけでございます。

 米国においては、五兆円から六兆円の半導体の投資を宣言していたりだとか、中国は、非常に、明確には分かりづらい部分がございますけれども、十兆円以上投資するんじゃないかという見立てがあったりだとか、EU諸国においては、二〇三〇年までだったと思いますけれども、いわゆるデジタル産業に十六・五兆円投資する、そういうような、本当に、今までの、政府が民間に投資するという額においてはあり得なかったような白熱ぶりなわけでございます。

 一方で、米国の政府の報告書によると、まさに半導体が今中国に依存しているということがサプライチェーン上問題になっている部分が多いわけでございますけれども、その中国への依存というのは、世界最大のGDPを誇っている米国であっても、中国依存は米国だけで脱却できない、これはクアッドであったりだとかG7、みんなまとめて取り組んでいかないといけない課題だというような認識を示されているわけでございます。

 そこで、昨年六月に経済産業省でまとめられた半導体・デジタル産業戦略の中で、「二〇三〇年に現在のシェアを維持、すなわち十兆円を達成するには、市場規模として五兆円の増加が必要であり、半導体の投資効率を一としても、少なくとも五兆円の追加投資が必要となる。」というような記述というか宣言のようなものがあるわけでございますけれども、じゃ、いざ、半導体という市場の中で、世界の市場の中で、日本の立ち位置というか存在感はどうなっているんだろうかというふうに考えたときに、正直、全くないわけでございます。

 今、先端半導体と言われる、いわゆる七ナノ、五ナノ、三ナノというような半導体がございますけれども、七ナノの半導体を作れるのは世界で五社、当然日本企業はございません。五ナノの半導体を作れるのはTSMCとサムスンだけ。三ナノに関してはTSMCのみとなっています。

 米国に目を向けてみると、二〇二四年稼働目標でTSMCを誘致して、たしか五ナノですね、五ナノの半導体を作ろうとしているわけでございますけれども、TSMCは今まさに二ナノの半導体を開発していて、恐らく二〇二四年に、米国のアリゾナだったと思いますけれども、半導体工場が稼働する頃には、五ナノの今先端と言われている半導体であっても、いわゆる量産できるような技術レベルの半導体になってしまっている。そこまで競争が激しいわけでございます。

 まさに今いろいろと、中国、米国そして欧州、日本の話を申し上げましたけれども、半導体というのは、今まさに、本当にエネルギーと一緒で、国家が主導してインフラを維持していかないといけないような競争環境にあると思っております。日本におけるその競争環境を維持するための先駆けとして経産省が頑張って誘致したのが、熊本におけるTSMCであると思っております。

 そこで、最初の質問でございますけれども、日本の半導体の戦略における熊本のTSMCの位置づけ、これは、ごめんなさい、何回も何回も国会の場で聞かれていることではあると思いますが、位置づけと、また、今後の国内半導体産業への補助金の検討、当然検討はされているとは思いますけれども、その内容であったりだとか議論の状況を教えてください。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

門松政府参考人 お答えいたします。

 御認識、先生のおっしゃるとおりだと思っておりまして、我が国は、先端ロジック半導体の製造拠点を有していないという中で、我が国半導体産業におけるミッシングピースとなっている中で、TSMCがソニー、デンソーとともに日本法人を設立し、熊本で製造を予定している先端半導体、これは自動車や産業機器など多岐にわたる領域で用いられるため、こうした半導体について安定供給体制を構築する意義は非常に大きいというふうに認識をしております。

 また、このような製造拠点を整備することは、サプライチェーンの強靱化に寄与するのみならず、製造装置や材料を含めた国内の半導体関連産業の再興、発展、さらには我が国全体のデジタル化に資するなど、我が国全体に幅広く裨益する公益性があるというふうに承知をしております。

 TSMCの計画でございますが、正式には政府として支援を行うことを決定したわけではございませんが、計画の認定申請があった場合には、提出される計画をしっかり精査をしてまいります。

 その上で、主要国が取組を継続させる中で、我が国としても、引き続き他国に匹敵する措置を講じていくことは極めて大事ではないかと思っておりまして、令和三年度補正予算において措置いたしました先端半導体製造拠点の整備にとどまることなく、例えば、マイコンやパワー半導体等の世界的に供給が不足している半導体の製造拠点における設備の刷新支援、また、次世代半導体製造技術や、先生おっしゃったとおりの光電融合などのゲームチェンジとなり得る将来技術の開発などを含めた総合的な取組を進めてまいります。

 また、お尋ねのあった、補助金等を追加で措置する必要性等々でございますが、我が国における先端半導体の安定供給を確保する観点から不断に検討は行ってまいり、真に必要な場合には適切に判断をしてまいりたいというふうに思っております。

土田委員 ありがとうございました。

 今、熊本のTSMCの話はまだ計画段階であるというようなお話を賜ったと思います。であるので、ちょっと、これは事実というよりはうわさベースの話ではございますけれども、TSMCの熊本で作る半導体というのは、二十八ナノであったりだとか二十ナノであったりとかというように言われております。これは人によっては、そんな半導体、わざわざ国のお金を突っ込んで意味があるのとかと聞く人もいますし、私も実際そういうような意見を聞いたことがあります。

 ただ、私は、原発の技術と同様で、一回、日本から半導体の製造技術というものを完全に取り払うというか消滅させてしまったら再復活できないという意味で、しっかりと下地をつくっておくというような観点で、今回のTSMCへの融資、強力に進めていただきたいと思っております。

 その上で、ただ、今TSMCが台湾で研究開発している二ナノの半導体、二ナノとは言わなくても、三ナノ、五ナノの半導体を日本も研究開発して、製造できるようにすべきだというのは、正直これはもう無謀な話であるんだと思っております。

 先ほど、米国の五ナノのTSMCの工場誘致の話をしましたけれども、いわゆる米国であっても、TSMCの最先端の技術は移管してくれないわけでございます。

 だから、要は、先ほど申し上げた半導体・デジタル産業戦略の中でも、海外から先端半導体製造技術を日本にある意味輸入というか移植してみたいな文言もございましたけれども、あくまで、技術開発ではなくて、ビジネスとしてしっかり半導体という分野で勝っていかないといけない、そういうふうに私は思っております。

 ちょっと話題が変わります。

 半導体というような話になったときに、どうしても先行するのが半導体の不足の話です。私もこの間、事務所で使うような作業車というんでしょうか、買うようなときに、どうしても半導体が足りないから納車が遅くなるというような話がございました。ここにいらっしゃる先生方も、そういうような、家電であったりだとか電化製品でそういう話があることと思っております。

 半導体の不足理由というのは本当にいろいろあって、半導体製造の後工程である東南アジアでコロナが広がっているだとか、中国の電力不足の話であったりだとか、いろいろな要素があるわけですけれども、半導体が慢性的に不足しているというのは、私はもっと根本的な原因があると思っております。それは、半導体の製造ラインの不効率性であると思っています。

 半導体、先ほど、原材料となるのはシリコンウェハーであるというようなお話を申し上げましたけれども、一般に、半導体が不足していますというふうに聞いたら、このシリコンウェハーを例えば何かラインみたいなものに乗せて、それをもう常に加工しているんだけれども、それでも間に合わないというように思うのが普通だとは思うんですけれども、びっくりすることに、このシリコンウェハーが実際に加工されている時間というのは、全工程の中の大体一桁%、場合によっては一%ぐらいであると言われています。

 その根本的な原因は何ぞやとなったときに、いわゆる半導体を作るときの機械が余りにも高過ぎる。これは一台買うだけで百億円するようなものもあったりだとか、場合によっては数千億円するようなものもあるわけでございます。なので、いわゆる、機械が高過ぎるから、何台も何台も、いろいろなところから発注はあるけれども、それに合わせて機械を買うわけではなくて、一つの機械で、いろいろなところから受けた半導体の注文をごちゃ交ぜでやっているわけです。だから、加工されないまま置いてある、要は渋滞が生じている、置いてあるウェハーが多いわけでございます。

 そうした中で、いろいろな勝ち筋というのは日本にあると思うんですけれども、まさに私は、この日本の産業の勝ち筋というのは、ジャスト・イン・タイムで、トヨタではないですけれども、ジャスト・イン・タイムで半導体を作ることができるミニマルファブにあると思っております。

 ミニマルファブとは何ぞやというような、釈迦に説法の話でございますが、産総研が開発した機械でございまして、いわゆるミニマルファブは、大型の、先ほど申し上げたような何百億円もするような機械ではなくて、五億円ぐらいであったりだとか数十億円で買えるようなコンパクトな機械であるわけでございますし、そのコンパクトな機械で、また、いろいろな受注に合わせて稼働状況を調整できるわけでございまして、なので、ジャスト・イン・タイムでの納品が可能なんです。

 そうした中で、受注に対する生産量は一個から数万個と、大型が年間数億万枚製造することを前提にされている中で、いろいろな規模の違いはあれ、差があるわけでございますけれども、ただ、いいことばかりではなくて、このミニマルファブを使ったときに、大体、大型の半導体の製造装置というのはウェハーの大きさが十二インチだったりだとか十八インチみたいなものもある中で、〇・五インチしか作れない、今。

 そうなると何が生じるかというと、一枚当たりのコストが上がってしまうわけでございますけれども、ただ、日本の家電メーカーであったりだとかいろいろな半導体を必要としているメーカーは、何億枚とかというふうに注文するわけではなくて、年間、一枚から数万枚というような単位で注文するわけでございまして、そこの市場だけでも、いわゆる多種少量の市場だけであっても約十兆円以上はあるのであろうというような見積りがされております。

 その市場をしっかりと日本が取りに行かないといけないというような問題意識を持っておりますけれども、そこでお伺いさせていただきたいのが、ミニマルファブに対する国のこれまでの支援状況と、これからの支援、どういうような支援をしていく方針であるかというのを、済みません、簡潔にお願いいたします。

福永政府参考人 お答えいたします。

 御紹介いただきましたミニマルファブシステム、先生が御紹介いただいたとおり、我が国の半導体関連産業の競争力強化を強める観点からも早期の実用化が期待されていると承知しております。

 そういう意味で、先ほど御紹介がありました産業技術総合研究所の中長期計画においても、「変種変量生産に適したミニマルファブ技術等を活用して、多様なニーズに応えるデバイスや新機能デバイスを高性能化するプロセス技術を開発する。」と明記しております。

 経済産業省は、これまで、装置のプロトタイプの開発やそれを用いた製造システムの開発など、ミニマルファブシステムの開発を官民一体となって行ってまいりました。現在も、一般社団法人ミニマルファブ推進機構が中心になって行っております、装置群を統一的に管理するためのシステム、ユーザーが異なっても再現性の高い安定的な生産プロセスの開発などを支援しているところであります。

 引き続き、早期の実用化を目指して取り組んでまいります。

土田委員 一昔前の日本というのは、技術では勝っていたけれども、いわゆるビジネスで負けた。今、残念ながら、我が国は、技術で、半導体と先端半導体という部分においては完敗している中で、しっかりとビジネスで勝っていかないといけないと思います。また、本当に、十年後、二十年後たったときに、技術でも負けたしビジネスでも負けた、そういうふうにならないように、ここはもう本当に官民一体となって頑張っていただきたいと思っております。

 済みません、全然時間が足りずにいるんですけれども、先ほど申し上げた光電融合の話もさせていただきたいと思います。

 私は、あくまで、別に、技術はもうどうしようもならないから指をくわえて見ていればいいよというような話をするつもりはございません。そんな悔しいことはしたくありません。なので、今の半導体を小さくしていく、この技術においてはなかなかもう勝ち筋がないかもしれないけれども、しっかりと、そのゲームチェンジとなるような光電融合技術、いわゆる半導体は電子回路で信号を送ってオン、オフをしているわけでございますけれども、それを光でやる、まさに光と電子を融合する技術をしっかりと開発していただいて、これを開発することによって、当然、省エネもできますし、いわゆる半導体の計算速度も一気に上がる。ここでしっかりと次の世代の勝ち筋を見出していこう、そういうような提案をさせていただきます。

 南統括調整官、済みません、IEAの話もお伺いしたかったんですけれども、ちょっと半導体への思いが強過ぎて時間を取り過ぎてしまいました。また次回、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、平林晃さん。

平林委員 公明党の平林晃と申します。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。経済産業委員会での初質問となりますので、よろしくお願いいたします。

 半導体、サイバー攻撃、中小企業支援、こういった三点について伺えればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今、土田先生も半導体に関して熱く語っていただきまして、大分重なる部分もあるかと思いますけれども、質問させていただきます。

 昨年十二月にいわゆる5G促進法案が成立をし、その補助を利用して熊本に半導体工場が建設される方向性にある、そのように認識をしております。今の土田先生の話もありましたけれども、この工場、二十ナノとか、最新の報道では十ナノとか、そういった製造もあるというようなことも聞いておりますけれども、決して最先端の二ナノではないと。

 ただ、半導体の価値は決して微細化だけで決まるものではなくて、三次元の実装によって集積率の向上があったり、高速化できたり、あるいは、新たな構造、トランジスタの構造や新材料を導入することによって省電力化、こういったことも重要になってまいります。

 また、そもそものカテゴリーとして、ロジック、メモリー、センサー、パワーなど、こういったカテゴリーがあるわけですけれども、こうした様々な選択肢、方向性が考えられる中、国として今後どんな成長戦略を描いておられるのか、参考人に伺います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、半導体の3D化や省電力化、こういうものが重要なトレンドになっていく中で、昨年十一月に第四回半導体・デジタル産業戦略検討会議というのを開催いたしましたが、こうした技術的動向と対応の方向性を含めて、我が国の半導体産業の復活に向けた基本戦略を示しました。

 具体的には、まず、ステップ一として、国内の製造基盤の整備を書いておるんですが、その上で、ステップ二として、二〇二五年以降に実用化が見込まれる次世代半導体の製造技術開発の国際連携を書いていまして、ここに位置づけられるのが3D化だと思います。製造装置や材料など、我が国の半導体関連企業が海外の半導体トップメーカーと共同して製造技術開発を行っている中で、研究開発基金を通じてその仕組みの支援を行っていくということであります。

 次に、ステップ三として、二〇三〇年以降をにらみ、ゲームチェンジとなり得る将来技術の開発に着手いたしますが、省電力化、まさにここでございまして、電気配線を光配線化することで多量のデータを高速かつ低消費電力で処理する光電融合技術の実用に向けた研究開発予算を令和三年度補正予算で計上したところでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、この戦略等を基に、産学官がしっかりと連携して取り組んでまいりたいと思っております。

平林委員 ありがとうございます。

 3Dも省電力もしっかり考慮して計画を進めていかれるということであります。

 ロジック、メモリー、センサー、パワーという意味におきましては、私、工学部の出身なんですけれども、学部で授業を受けた頃に、日本はまさにメモリーで半導体のシェアを半分取っていたような時代でした。日本は、田んぼを見ても稲がきれいに並べられている、そういったことを見てもメモリーは得意なんだ、一方で、ロジックがなかなか厳しいんだというようなことを当時も聞いておりまして、もう三十年前、まさにそれがそのまま今の時代になってしまっているなというふうに思います。

 ロジックで勝っていくというのはなかなか難しい現実はあるんじゃないかなというふうに今思っていまして、そういう意味において、メモリーをどうするか、また、センサー、パワーはどうするかというところで、強みをやはり伸ばしていくということをしっかりと取り組んでいただいて、本当に日本の半導体を復活させていただきたい、その旗振りをしっかりとお願いしたいというふうに考えます。

 この後、人材に関してお聞きしようと思いましたけれども、先ほど大臣御自身からお話がございましたので、ちょっとこの部分は割愛させていただければと思います。

 いずれにしても、熊本大にセンターができたりとか、非常に重要な動きがある。このセンターの、学長ですかね、コメントしておられますけれども、日本にこういう組織が少ないということがあるんですね。半導体の人材を育成する大学の教育が弱いというところもありますので、この部分もしっかりと、これも本来文科省の話になるかもしれませんけれども、取組を進めていただければなというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、今度、セキュリティーの話について、お話をお伺いさせていただければと思います。

 最近の自動車部品会社の事例を引くまでもなく、ランサムウェアによるサイバー攻撃、これは大きな問題になっているところであります。この攻撃に遭いましてシステム障害が万が一起きてしまったとき、そのシステムの復旧、あるいはその後の対策もそうですけれども、中小企業への大変な負担になっております。

 警察庁作成の資料、「令和三年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」、こういう資料によりますと、令和三年中に警察庁に報告された国内のランサムウェアによる被害件数が百四十六件、その中の少なくとも八件の事例で復旧に五千万円以上かかったということだそうです。

 実は、私、中国地方の選出ですけれども、中国地方の中の一社がまさに該当しております。昨年の九月に攻撃を受けまして、そこからの復旧にまさに五千万円かかった、その後の対策にもこれから年三千万かかっていくということがありまして、本当に大変であると。この会社、個社名は避けますけれども、福祉用具関連の企業でして、同業者の中にはとてもこれだけ多額の費用を措置できない企業もあるのではないか、こんなことも言っておられました。

 サプライチェーンを考えるとき、サイバー攻撃への対応は、企業規模に関係なく大変重要になります。ただし、それだけの経費を賄うことが厳しい企業もある。この点について、政府はどのようにサポートしていこうと考えておられるのか、参考人に伺います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まさしく先生御指摘のとおりの認識だと思います。

 サイバーセキュリティー対策は、企業の規模に関係なく重要でございます。中小企業を含め、サプライチェーン全体でのセキュリティーレベルを上げることが必要でございますし、特に、大企業と同じような対策を講じることが難しい中小企業に対するきめ細やかな支援は必要不可欠だというふうに認識をしております。

 このため、経済産業省では、業種別や中小企業向けのガイドラインを策定し、意識啓発に努めているほか、自社サーバーの異常監視やサイバー攻撃を受けた際の初動対応支援、さらには復旧に要する費用の簡易保険など、中小企業に必要な対策をワンパッケージにまとめ、安く安価に提供するサイバーセキュリティお助け隊サービスの普及、こういうものの取組を進めているというところでございます。

 経済産業省といたしましては、NISCを始めとした関係府省と産業界と連携しながら、引き続き、中小企業を含めた我が国産業のサイバーセキュリティー確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 防御のみならず、万が一の場合も含めて対応をするワンパッケージ、お助け隊サービスというものを準備していただいているということで、本当にありがたい、非常に重要な取組であると思います。

 本当に、幾ら対策をしていても、メールに添付されたファイルをうっかり開けてしまう、こういうことは、人間ですので、やってしまうことは避けられないと思うんですね。

 実は、私もフィッシングに遭ったことがありまして、疲れ切って部屋に戻ったときに、届いていたメールにクレジットカードの番号を入れてくださいというふうに書いてあって、これは完全に詐欺なんですけれども、入れてしまいまして、クレジットカード、当然すぐ止めました。本当に、何か自分として非常に情けなかったんですけれども、疲れ切っている人間はそういうことも起こり得るということもあるので、そういった意味におきまして、万が一のときもしっかりとサポートをしていただくということ、またその周知も含めてお願いをできればと思います。ありがとうございます。

 続きまして、少し話をまた変えさせていただきます。中小企業への支援策についてお話を伺えればと思います。

 公明党は、この一月から二月にかけてアンケート調査を実施をいたしました。全国三千名の議員が、子育て、高齢者、中小企業という三種類のテーマで実施をいたしまして、十六万件の回答が得られました。

 三種類のアンケートの中で、ここ経産委員会に関係するのは中小企業のアンケートでありまして、これはカラーで、皆様のお手元に白黒で配付させていただいていまして、表がアンケート、裏がその結果ということになってございます。

 結果の方を御覧いただきますと、中段に横向きの棒グラフがあろうかと存じます。この棒グラフ、支援策を利用したことがあると答えた企業様の中で、使用したことがある支援策はどんなものですかという回答なんですね。八一%と答えていただいたのが持続化給付金などの支援金、協力金ということなわけですけれども、一方で、事業再構築補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金など、前向き投資に向けた支援策の活用が少ない。二%、三%、四%、こういう結果になっております。これはあくまでサンプル調査ですので、実態とのずれは当然あろうかと思います。

 そこで、これまでの支援実績を伺いますとともに、もし同じような傾向があるのであれば、今後の活用促進のための方策を政府参考人に伺います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、新型コロナの影響で非常に厳しい経営状況に直面する企業の事業継続を支えることは非常に重要だということでございます。ポストコロナも見据えながら、中小企業の新事業展開や生産性向上に向けた前向きな投資を支援することも非常に重要でございます。

 経済産業省では、令和三年度補正予算におきまして、ものづくり補助金やIT導入補助金を含む生産性革命推進事業や事業再構築補助金を積み増しをしたところでございます。

 総額約一・八兆円を措置いたしました事業再構築補助金につきましては、これまで四回の公募を実施いたしまして、約三・五万者を採択してございます。今後、更に加えて四回程度の公募を予定をしているところでございます。

 それから、令和元年度補正予算により開始いたしましたものづくり補助金及びIT導入補助金につきましては、現在までにそれぞれ、約二・三万者、それから約五・九万者を採択しておりまして、令和四年度も通年で公募を行っていく予定でございます。

 こうした支援策を、より多くの事業者の皆様方に積極的に御活用をいただくことが重要だというふうに認識をしてございます。

 これまで、制度の概要資料や活用イメージを、事務局や経済産業省のホームページ、事業者向けの各種の講演の機会を通じて広報させていただくとともに、全国の地方紙等、合計六十三紙の朝刊に新聞広告を掲載する、さらには、申請マニュアルや実際に採択された事業計画書を公開するといった取組を進めてきているところでございます。

 御指摘も踏まえまして、今後は更に、例えばユーチューブを活用し広報動画を配信するといったような取組、さらには具体的な活用イメージの紹介を行うなど、より積極的に周知を行うことで、地方も含めまして全国津々浦々の中小企業の皆様方に活用を検討いただけるように、取組を進めてまいりたいと存じます。

平林委員 ありがとうございます。

 現場でお話を伺ってまいりますと、まさに今御指摘のありました事業計画書、これが結構ハードルが高くなっているというお話も伺っていて、採択された計画書が開示されれば非常に参考になろうかというふうに思います。現場の表現として、はじかれたみたいな、そんなようなことを言っておられた方もおられまして、何とかそのハードルを下げる工夫も引き続き行っていただければと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。ありがとうございます。

 最後の質問をさせていただければと思います。

 これも中小企業支援関係になります。中小企業デジタル化応援隊事業というものに関してお聞きできればと思います。

 同事業、文字どおり、中小企業がデジタル化を推進していくためのサポートとして我が党が提言させていただいた事業と認識をさせていただいております。助かったという声も私自身も伺っておりますが、本事業、令和二年度の補正予算で措置をされたということで、令和三年度、具体的にはもう先月の末、二月二十八日をもって終了しているということでございます。非常に残念で、ホームページを検索しますと、終了しましたと書いてありまして、その後、継続とか後継事業とか案内がないもので、ちょっとこの点、伺えればと思います。

 今後、中小企業がデジタル化を進めたい場合に利用できる支援制度にはどのようなものがあるでしょうか、参考人に伺います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ウィズコロナ、ポストコロナ時代に向けまして、中小企業を取り巻く環境が非常に大きく変化する中で、中小企業の生産性を向上するためには、デジタル化をしっかり推進することがますます重要になってきているということで、認識をしてございます。

 デジタル化の推進に当たっては、中小企業の経営課題やデジタル化の状況をしっかり把握して、それらの事業環境にふさわしいデジタル投資の在り方についての検討が重要だというふうに考えてございます。

 このため、このデジタル化応援隊事業の成果も踏まえながら、よりきめ細かく、個々の中小・小規模事業者の事業環境も踏まえながら、それぞれのデジタル化の課題を明確化する取組を推進してまいります。

 具体的には、令和三年度補正予算におきまして、新たにデジタル化診断事業を計上させていただいております。

 この事業におきましては、まず、事務局におきまして、中小企業の経営者等にデジタル化の必要性に気づきの機会を設けるとともに、それぞれの会社にとっての最適なデジタル投資の在り方や、その実現に当たっての具体的な課題の抽出を、商工会、商工会議所、よろず支援拠点等と連携しながら実施をしていく予定でございます。

 一連の相談対応におきましては、必要に応じて、中小企業一一九事業、専門家派遣事業、こちらを活用することにより、ITコーディネータ等の専門家を当該企業に派遣することとしてございます。

 さらに、このような診断を活用した上で、実際にデジタル化に必要なITツールの導入、それを支援するためということで、IT導入補助金を第三次補正予算でも大幅に拡充をしているところでございます。

 以上、申し上げましたとおり、デジタル化を進めるための出発点、相談対応から実際のITツールの導入支援まで、よろず支援拠点や商工会、商工会議所、さらには中小機構も密接に連携しながら、きめ細かく支援を実施してまいりたいと存じます。

平林委員 ありがとうございます。

 今後、大きな方向性が、今まではテレワーク、オンライン業務等々の、ある意味、結構、要望が一つだったわけですね。それが今後多彩になってくるということで、診断事業を立ち上げられて、それを元に様々な、その後ろの支援策につないでいく、そういうお話であったかなというふうに思います。

 その中に、よろず支援拠点につないでいくというお話もあったかと思いますけれども、これも実際に伺った話で、このよろず支援拠点、アンケート、インターネットでも公開されていて、九四%ぐらいの満足という結果が得られているわけですけれども、残り数%、その中に含まれる話かなと思うんですけれども、町中のスーパーがネット通販に挑戦しようとするときに、なかなかこれが満足のいくサポートを得られなかったという話もありまして、やはりデジタル化に向けてのサポート、こういったところが重点になってくるのかなというような印象も持っております。

 こうした対応、クオリティーを上げていただくためにも、今おっしゃられたようなよろず、商工会、会議所、こういったものの横の連携も取っていただきながら、より一層の支援に努めていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.