衆議院

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第7号 令和4年4月6日(水曜日)

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令和四年四月六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石原 正敬君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      上川 陽子君    国光あやの君

      小森 卓郎君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中野 英幸君

      西野 太亮君    西村 明宏君

      星野 剛士君    堀井  学君

      山本 左近君    荒井  優君

      梅谷  守君    大島  敦君

      菅  直人君    末次 精一君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   農林水産副大臣      中村 裕之君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房経済安全保障政策統括調整官) 風木  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    新居 泰人君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     石原 正敬君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     土田  慎君

    ―――――――――――――

四月五日

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官遠藤和也さん、スポーツ庁審議官星野芳隆さん、農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人さん、経済産業省大臣官房経済安全保障政策統括調整官風木淳さん、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣さん、経済産業省大臣官房審議官新川達也さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省産業技術環境局長奈須野太さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁次長新居泰人さん、中小企業庁事業環境部長飯田健太さん及び中小企業庁経営支援部長佐々木啓介さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小森卓郎さん。

小森委員 自由民主党の小森卓郎でございます。

 経済産業委員会で初めての質問をさせていただきます。二十分という時間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 冒頭、三週間前に起きました福島県沖地震について質問させていただきます。

 何よりまず、この地震によってお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたします。そしてまた、寒い時期の夜遅い時間の大きな地震でもございました。被災した方々に心からのお見舞いを申し上げます。

 さて、この地震による被害の状況、特に中小企業の方々への被害の状況について、中小企業庁にお伺いします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県や宮城県等の中小・小規模事業者の皆様の中には、東日本大震災や新型コロナ、昨年の福島県沖地震に加え、今回の福島県沖地震で被災された方もおられまして、連続する災害により、大変厳しい経営環境にあると承知をしてございます。

 自治体など被災地からの情報や経済産業省の職員が集めた情報によりますと、今回の被害は、昨年の地震と同様に、施設の外観上の被害以上に内装の被害が大きい案件が目立つといったような声がございます。

 また、例えば、ある宿泊施設では、客室の天井が崩れるだけではなく、上下水道の配管が壊れて一部施設で断水になっている、ある観光施設では、外壁、内壁のゆがみや割れが生じているといったような事例も見受けられてございます。

 発災後には、福島県知事や宮城県知事から、経済産業省に対しまして、今回の地震による被害状況、度重なる被災を受けた方々の大変苦しい心情をお伝えいただきまして、それを踏まえた支援策に関する御要望もいただいたところでございます。

 引き続き、被災地に寄り添った支援策を検討するためにも、被災事業者の実態の把握に努めてまいります。

小森委員 ありがとうございます。

 今もありましたけれども、こうした被害に対して、経済産業省等の対応を伺いたいと思います。特に、お話もありました、被害が大きかった福島県からはグループ補助金の措置について政府に要請がなされておりますけれども、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 若干繰り返しで恐縮でございますけれども、今回の被災、連続する災害が起きているということでございまして、大変厳しい経営環境にあるという認識をしてございます。

 経済産業省といたしましては、発災翌日に、中小企業支援策といたしまして、災害救助法が適用された宮城県及び福島県内の全市町村に対しまして、中小企業関係団体等による特別相談窓口の開設、災害復旧貸付けの実施、セーフティーネット保証の適用等々の措置を講じてきているところでございます。

 また、三月二十八日に総理から、支援策を取りまとめるよう指示があったと承知をしてございます。

 連続する災害によって度重なる困難に直面しているという状況等を勘案いたしまして、経済産業省といたしましても、グループ補助金などの支援策を速やかに検討してまいりたいと存じます。

小森委員 どうもありがとうございました。

 自由民主党中小企業・小規模事業者政策調査会におきましても、先月の二十五日に緊急決議を行いまして、これらの対応について要請をしているところでございます。支援を待つ被災者の方々のために、一日も早い対応をお願いしたいと思います。

 引き続きまして、本日は、スタートアップ支援について質問をさせていただきたいと思います。

 本年をスタートアップ創出元年とする。五か年計画を設定する。大規模なスタートアップの創出に取り組み、戦後の創業期に次ぐ、日本の第二創業期を実現する。これらはいずれも、本年一月、岸田総理が施政方針演説で、我々国会議員そして国民の皆様に対して語られた内容でございます。力強く、意欲的でありまして、演説全体の中でも私が特に注目をしたくだりでございました。

 まずは、このスタートアップ企業の創出が国の政策としてなぜ重要なのか、その意義をお尋ねしたいと思います。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 岸田政権が目指します成長と分配の好循環におきまして、経済成長を今後とも力強く生み出していくためには、世界の趨勢を見ましても、社会課題の解決に果敢に挑戦をするスタートアップがイノベーションの担い手の中心になっていくことが不可欠であります。

 ただ、一方で、我が国のスタートアップの現状を見てみますと、資金調達額や新規株式公開数では改善はしているものの、ベンチャーキャピタルからスタートアップへの投資が不足をしており、海外と比較しまして、グローバルに成長するスタートアップが質、量共に少ないことに表れているという状況でございます。私もこのことに危機感すら感じているところです。

 経済産業省としまして、コロナ禍で一旦落ち込んだスタートアップ投資が足下で急回復をしつつある今、次世代の成長の担い手としてスタートアップに大きく期待をしており、その創出のための環境整備をしなければならないと考えております。関係省庁とも連携をし、海外勢との競争に打ちかつスタートアップが創出されるよう、徹底支援に取り組んでいく決意です。

小森委員 どうもありがとうございます。

 今の点に関連しまして、今回、第二創業期を目指すということでございますけれども、戦後の創業期のスタートアップ企業、例えばどんな実例があるか、そして、こうした企業がどのように日本の経済に対して貢献してきたか、効果について、参考人に伺います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 戦後の第一創業期の企業としては、例えば、一九四六年に創業したソニー、これは、売上げ八兆円、従業員は十万人の企業に成長し、一九四八年に創業したホンダは、売上げ十三兆円、従業員二十一万人の企業に成長しております。

 このほかにも多くの企業が戦後の時期に創業し、果敢に事業に取り組み、その成長する過程で多くの雇用を創出し、一定水準の給料で従業員の家計所得を支え、新しい製品やサービスを市場に供給し、需要を喚起するなど、日本経済を牽引してきたと認識しております。

小森委員 どうもありがとうございました。

 今、政務官そして参考人の方からも御答弁がございましたけれども、ソニーですとかホンダのように、日本の経済に、第一創業期のスタートアップ企業が大変大きな貢献をしてきていただいたところでございます。そのために、今度は第二創業として、これらに比肩するような企業を育てていかなければいけない、そのためにスタートアップ企業支援というのが重要だ、そういう位置づけだというふうに理解をいたしました。

 そして、このように大変大事な政策であるわけでございますけれども、政府がこうしたスタートアップ企業の支援に取り組んできているのはいつ頃のことなのか、参考人に伺います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国のスタートアップ支援は、古くは一九八五年の技術ベンチャーへの補助金制度の創設に始まり、九〇年代後半には、バブル崩壊で経済が停滞する中で、エンジェル税制等の税制措置や、中小企業基盤整備機構を通じたファンド出資による資金供給を開始いたしました。また、二〇〇九年からは、産業革新機構においてスタートアップに対する直接投資やLP出資を開始するなど、様々な支援を行ってきてございます。

 二〇一八年からは、世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を創出するため、スタートアップ育成支援プログラムであるJ―Startup事業を開始いたしまして、将来有望なスタートアップへの支援も行ってございます。

 また、昨年十二月には、経済産業省の省内の関係部局それから関係独法等のスタートアップ担当部局を統率し、総合的な政策立案と実施を行いますスタートアップ創出推進室を大臣官房に設置し、更にスタートアップ支援の強化に取り組んでいるところでございます。

小森委員 先ほどの政務官からの御答弁で、近年改善はしてきているが、まだ世界との差があるといったような御趣旨の御答弁をいただきました。

 近年の我が国のスタートアップの状況について、資金調達額の伸びなどがどうなっているのか、そしてまた、それを諸外国の状況などと比較するとどうなっているのか、参考人にお伺いします。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 日本のスタートアップを取り巻く環境は改善が進んでおりまして、昨年の米国民間調査でも、都市別スタートアップエコシステムランキングにおきまして、東京は世界九位と、前年の十五位から評価を上げているところでございます。

 一方で、海外と比べてスタートアップが質、量共に少ないのも事実でございまして、スタートアップエコシステムがいまだなお劣後している状況にございます。

 例えば、日本におけるスタートアップの資金調達額を見ますと、二〇一九年には約五千八百五十億円であったものが、直近の一年間では約七千八百億円まで増加しているものの、同じ時期に米国では十五兆円から二十兆円超まで増加しており、その差はむしろ開いているのが現状でございます。

 経済産業省としては、関係省庁も巻き込みながら、スタートアップが力強く成長していけるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

小森委員 今御答弁もいただきましたように、随分前から取り組んでいただいておりまして、そして、近年、かなり右肩上がりということで、成果が出始めてきている状況であるということでございますけれども、他方で、これも御答弁ありましたように、諸外国との差は更に広がっている状況だというようなことだと認識をいたしております。こうしたことからしますと、これまでの延長線上ではなく、一段も二段もギアを上げてこれから取り組んでいかなければならない課題なのではないかというふうに思います。

 ギアを上げていく上で大事なことというのは、やれることは全てやるということは当然のことだと思いますし、部分的な対応だけでは駄目で、全ての部分を同時に変えていく、先ほどエコシステムという言葉も答弁の中にありましたけれども、エコシステムの全体を変えていく、こうしたことが求められているのではないかというふうに感じているところでございます。

 経済産業大臣も、三月にこの委員会において行いました所信表明演説の中で、世界で勝負できるスタートアップ創出のために、イノベーションの担い手であるスタートアップのエコシステムを強化すると述べられておられるところでございます。先ほど申し上げました問題意識と軌を一にしているのではないかというふうに御期待をいたしているところでございます。

 このスタートアップのエコシステムに関しては、現状はまだ多岐にわたる課題があるのではないかというふうに思います。どのような課題があるか、そして、中でも特に重要なものは何なのか、政府の認識をお伺いします。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 日本のスタートアップの創出と成長のための課題でございますけれども、起業家、企業の数が少ないこと、資金の供給量や流動性が低いこと、研究成果が事業化につながるまでのスピードが遅いこと、それから海外展開を前提としたスタートアップが少ないことといった、資金、人材、事業の各方面に対応していく必要がございます。

 また、それぞれの課題が相互に絡み合っておりまして、特定の課題だけに対応したとしても、必ずしも好循環にはつながらないと考えてございます。

 委員御指摘のとおり、スタートアップが力強くスピード感を持って成長していくには、これらの課題に同時に対応し、質と量の面で大きく改善を図る必要があると認識をしております。

 関係省庁とも連携をいたしまして、支援を一層強化してまいりたいと考えてございます。

小森委員 ありがとうございました。

 とても絡み合っているので一遍にやらなきゃ駄目だというふうに御答弁いただきまして、大変心強く感じているところでございます。

 総理の冒頭の演説の言葉も引用いたしましたけれども、強い危機感がああした強い言葉につながっているのではないかと思っておりますので、是非ともギアを上げて、全体として取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 今、様々な課題を挙げていただきましたけれども、例えば人々の意識、起業家の意識、こうしたものを変えていくのは大変重要な課題ではないかというふうに思っているところでございます。

 そういう意味におきましては、これまでも政府の中の取組で、例えば表彰するといったようなことも行ってきていただいているところでございます。近年、聞くところによりますと、コロナの影響もあって一旦中断をしているというようなことをお聞きするところではございますけれども、スタートアップ創出元年というような大事な年でもございます。是非ともその復活、若しくは、できればバージョンアップをして新たにつくるといったような、そういうような意気込みで是非取組を強めていただけないかというふうに思っているところでございます。

 そしてまた、私の問題意識、もう一つ。

 答弁の中でもお金の話が出てきましたけれども、日本の場合は、例えば巨額の資金の運用者、年金ですとかいうところからスタートアップに回っていくお金というのが極めて限られているといったような状況でもございます。また、海外で大手のベンチャーキャピタルというものが存在しますけれども、そして、中国ですとかアジアにも出てきておりますけれども、日本には出てきていないというような問題も、日本固有の弱点として、これから克服していかなければならないものだというふうに思っております。

 年金基金等の大きなところがちゃんとマーケットに入ってこれるような、価格の形成メカニズムがきちんとしている市場を整備していく、こうしたことも政府として取り組んでいただきたいなというふうに思っております。

 さて、総理も演説の中でおっしゃっていました五か年計画についてお伺いしたいと思います。

 この計画による取組がこの政策の実現の成否を分ける大変重要なものだと思いますけれども、この計画は今後、どのような段取りで、今年のいつ頃までに作成されていくのか。また、その目標はどのようなものになるのか。とりわけ意欲的な数値目標を設定していただけると大変ありがたいなというふうに思っているところでございます。また、計画に含まれる内容などについても大変関心があるところでございます。

 その上で、スタートアップ支援に、萩生田経済産業大臣の意気込みについてお聞かせいただければと思っております。

萩生田国務大臣 我が国が今後も経済成長を実現していくためには、社会課題の解決に果敢に挑戦するスタートアップがイノベーションの担い手の中心になっていくことが不可欠であると考えております。

 こうした中で、岸田総理は、年始の記者会見において、本年をスタートアップ創出元年と位置づけ、スタートアップ五か年計画を策定した上で、今後五年間、スタートアップに集中的に政策資源を投入する方針を示されました。

 スタートアップを支援するためには、経済産業省としては、例えば、リスクの高い事業化前段階や、大規模、長期のリスクマネーが必要な成長段階における資金調達環境を強化し、迅速な事業拡大を促すとともに、未来のスタートアップ創業者に育ち得る個性豊かで多様な才能を育てるための環境を整備するなど、支援措置を実施してまいりたいと思います。

 その上で、スタートアップ五か年計画の取りまとめに向けて、資金、人材を含めた、あらゆる側面からの支援措置について、関係省庁ともしっかりと連携しながら、検討を加速してまいりたいと思います。

小森委員 大臣、大変御丁寧な答弁をありがとうございました。

 自民党におきましては、政調、四つの調査会などが連名で、スタートアップエコシステムの抜本的強化に向けた提言、こうしたものの取りまとめを行っているところでございます。大変問題意識も鮮明でございますし、重要な各論も多く盛り込まれているところでございます。今後のこの五か年計画を作る際の政府における計画作成、検討にも反映していただきたいというふうに思っております。

 私自身も、今後、大臣を始め役所の皆様、関係の方々と歩調を合わせて、この第二創業期の実現に向けて、今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 時間の関係がございまして、今日は主に総論的なことしかお尋ねができませんでしたけれども、また機会がいただけるようでございましたら、今日は取り上げられなかった様々な各論についても議論を深めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、大変どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、中野英幸さん。

中野(英)委員 自民党、埼玉七区の中野英幸でございます。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、国際社会の平和と秩序、安全を脅かす行動であり、一日も早くロシア軍がウクライナから撤退をし、平穏な暮らしが訪れることを祈っております。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 原油価格の高騰についてお伺いをさせていただきます。

 ロシアによるウクライナ侵攻により、原油価格が高止まりしている状況にあると考えております。一方で、昨年から、原油価格の要因は、ウクライナの侵攻のみならず、背景には、オミクロン株での後退から、経済活動の活発化や、また、産油国における投資縮小による生産の減少、原油在庫の落ち込み等による需要の逼迫などが、複数要因となって重なっているように思っております。構造的なものではないかと考えております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 昨年後半からの原油高の要因について、経済産業省の御見解をお願いをしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年後半からの原油高の要因につきましてでございますが、需要面については、オミクロン株の影響が一時的に懸念はされましたけれども、基本的には回復基調で堅調に推移していることが挙げられます。一方で、供給面では、OPECプラスの限定的な増産ペースや、上流投資不足などによって米国シェールオイルや一部産油国の生産回復の伸び悩みや停滞が生じたことなどによりまして、国際的に原油在庫の減少が継続してございます。こうした御指摘いただきました複合的、構造的な要因によって、原油価格は上昇基調で推移してございます。

 一月下旬以降は、ウクライナ情勢をめぐる地政学的緊張の高まりを受け、更に価格は上昇しておりまして、ロシアによるウクライナ侵攻後は、一バレル百三十ドルを突破する局面もありました。

 その後も、対ロシアの追加制裁でありますとか和平交渉をめぐる動きなどを踏まえて、一バレル百ドルを超える高い水準で一進一退を繰り返している状況だというふうに承知してございます。

中野(英)委員 ありがとうございます。

 政府においても、引き続き緊張感を持ってこのエネルギー市場の動向を注視していただければありがたいと思いますので、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 ウクライナ情勢などに伴って、原油価格高騰による国民生活や、また経済活動の影響に、機動的に対応すべく、当面の緊急避難的措置として、政府は、石油元売会社に対して、卸売価格を引き下げる原資を支給する激変緩和事業を四月末まで延長すると聞いております。この激変緩和事業ですが、三月から、従来の五円から二十五円に支給を拡充することで、効果的な政策と考えております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、自民党、公明党、国民民主党における三党の実務者協議において、トリガー条項の凍結解除なども検討されると聞いておりますが、トリガー条項の凍結解除を実施することで、消費増税と同様に、燃料等の買い控えや、また駆け込み需要など、ガソリンスタンド等が大いに混乱をすることが予想されます。その点、激変緩和事業は、燃料価格に大きな変動が見られないため、ガソリンスタンド等も平常時と同じような状況が維持できると思います。

 現在、政府がトリガー条項の凍結解除でなく激変緩和事業を実施するメリットは何か、経済産業省の御見解をお願いいたします。

定光政府参考人 お答えいたします。

 激変緩和事業は、法改正が必要なトリガー条項と違い、スピード感を持って対応できるとともに、広く燃料として利用されておりますガソリン、軽油、灯油、重油の四つの油種を対象としていることや、原油価格の上昇に対する補助でありますので、全国の消費者のみならず、幅広い産業にも直接恩恵がございます。

 この事業がなければ大幅なガソリン価格等の上昇が想定される中、これまで価格抑制の効果も確認されておりまして、事業の目的は一定程度達成できているというふうに考えてございます。

中野(英)委員 ありがとうございました。

 特に、トリガー税制では対象にならない灯油は、暖房需要以外にもドライクリーニングの溶剤として、また重油は、ハウス農家や漁業の燃料、中小企業におけるボイラーの燃料として産業を支えるものとして、いずれも重要な燃料であるため、引き続き補助金により支援を継続していくべきだと思いますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 激変緩和事業は、原油価格の高騰に対する補助金制度で、液化天然ガス、いわゆるLNGには適用されていないかと思います。大手ガス会社の一般家庭の都市ガス料金は、昨年同時期と比べて、約一・二倍ほど上昇しています。

 先日、公衆浴場業衛生同業組合連合会にお邪魔した際に、そちらで伺った話ですが、今、公衆浴場業の皆様方は、ガス代が年間二百万円以上も経費が上がっているため、町の銭湯は今や経営が大変であり、都内の銭湯の約七割がお湯を沸かす際に燃料をガス化しているため、銭湯経営者は、コロナ禍ということもあって非常に苦戦されているという実情を伺ってまいりました。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 都市ガスは、現在、なぜ高値で推移しているのでしょうか。先行きの見通しも含めて教えていただければと思います。また、原油価格の高騰に対する補助制度として激変緩和事業がありますが、都市ガスの価格高騰に対する支援策も必要かと思います。その点についてどのようにお考えか、お願いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、大手ガス会社のガス料金、こちらの方も、燃料となるLNG価格が国際的に上昇しておりますものですから、これに伴う形で上昇してきているところでございます。

 もうちょっと詳しく申し上げますと、一般的に、都市ガス事業者は、都市ガスの原料であるLNGというもの自体を長期契約で調達してございます。その際のLNG購入価格は、一般的に原油価格に連動する契約でございますので、昨年来の原油価格の上昇ということによって輸入LNG価格も上昇することにより、都市ガス料金自身も上昇している。

 今後の見通しでございますが、この国際相場次第でございますけれども、今の基調が仮に続くとなると、ある程度の高値の水準ということも想定されるところでございますが、将来の見込みということで、ちょっと控えさせていただければと思います。

 一方で、こういった料金の急激な上昇が生じるということについて申し上げますと、需要家にとって大きな負担になるということは委員御指摘のとおりでございます。

 そういう中で、ガス料金につきましては、これはガソリンとちょっと違うところなのでございますが、料金に反映する際に、直接、燃料上昇が反映されるのではなくて、最新のLNG輸入価格の過去三か月の平均というものを取りまして、その水準を三か月後の料金に反映するという形を取ってございますので、燃料の変動がある程度なだらかになり、ゆっくりと時間軸の下で反映されているという措置を取られているのが一般的でございます。

 引き続き、原料費調整制度という名前で呼んでいるわけでございますが、この制度を通じて、急激な価格変動、上昇が起こらないように取り組んでいくこととしつつ、ガス料金の動向をしっかり注視し、対応を取ってまいりたいと考えてございます。

中野(英)委員 ありがとうございました。

 是非、ガスにつきましても、多くの事業者が都市ガスを始めとしたエネルギー価格の高騰に対して影響が出ている状況でありますので、何かしらの支援策を御検討いただけますように、是非お願いをさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 原油価格や、それに伴い、ガソリン、軽油、灯油など石油製品の価格の高騰が続きますと、国民の皆様方の生活はもとより、運輸業、農業、水産業、建設業などの各産業における活動及び中小企業全般の経営に影響を及ぼすことが懸念をされます。

 岸田総理から、四月末めどに、原油価格、物価高騰等総合緊急対策を策定すると発表があったと承知しておりますが、引き続き五月以降も原油高が継続するのではないかと考えております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 現在実施している燃料油の激変緩和事業について、この経済対策に盛り込んだ上で、内容の更なる充実、また実施期間の延長を検討すべきだと考えますが、是非、萩生田大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略を受けて、原油価格は高止まりの状態が続いています。こうした原油価格や物価の高騰対策として、岸田総理からは、国民生活や経済活動への影響に機動的に対応していくための緊急対策を今月中に取りまとめるよう御指示をいただいているところです。

 今後、総理指示を踏まえ、原油価格の高騰がどの程度長期化するのか、また、今、場外ですけれども、三党の協議も行っておりますので、この状況も注視しながら、何が効果的な対策か、政府全体でしっかり検討してまいりたいと思います。

中野(英)委員 ありがとうございました。

 コロナ禍からやはり経済社会活動の回復というものを確かなものにするためにも、この四月末の経済対策においても是非萩生田大臣にしっかりと盛り込んでいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、電力の需給逼迫についてお伺いをしたいと思います。

 去る三月二十二日の東京、東北エリアでの電力の需給逼迫が起き、国民の皆様方に節電をお願いすることとなりました。ちょうどこの日は蔓延防止等重点措置が全面解除された日でもあり、措置解除当日からある程度の営業制限をかけざるを得ない状況となり、大変に申し訳ない気持ちでいっぱいでもありました。

 ある遊園地では夜景を一望できる大観覧車のライトアップをやめたり、あるお店では店舗のネオンサインを消灯して営業したり、また、店舗の空調の設定温度を通常より五度下げて営業しましたなど、皆さんの惜しみない協力、努力をしていただき停電に至らなかったことは、まさに助け合い精神でこの難局を乗り越えることができたものと思います。

 今回の電力の需給逼迫は、福島県沖で起きた地震の影響と真冬並みの寒さが原因とのことですが、今年の冬の電力需給も心配であります。

 そこで、お伺いをさせていただきます。

 今年の冬の電力需給は、安定供給に必要な予備率三%を切っているということですが、電力の需給は大丈夫でしょうか。安定供給を確保するために、しっかりと対策をして供給できるようにしていくべきではないでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、先般の三月二十二日の停電のおそれが生じたことについては、国民の皆様方、東京、東北の皆様方の御協力によって何とか乗り切ることができたわけでございますが、国民生活の基本となりますエネルギーの供給、特に電力の供給については、安定、万全を期していかなければならないと考えているところでございます。

 電力広域的運営推進機関という、この全体を取りまとめている機関が昨年度取りまとめた電力需給の見通しの中で申し上げますと、次の冬の二〇二二年度冬季についても非常に厳しい見通しとなってございまして、昨年度中にまとまった中で申し上げましても、東京エリアで一月が〇・一%、二月が一%と、安定供給に必要な三%の予備率のラインを切っている形になってございますし、また、西のエリア、中部から西の方ですね、のエリアについて申し上げても三%台と、かなり厳しい状況になってございます。

 さらに、先般経験いたしました東京エリアでの停電危機ということを考えましても、最近の需要の伸び、様々なリスクへの対応ということを踏まえますと、今、更に万全を期していくために何が必要かということを私どもも今考えているところでございまして、専門家を集めた審議会での検討を昨年度末、三月二十五日に検証作業を開始したところでございます。

 実際になりますと、昨年度もそうであったわけでございますが、追加公募をして、既に止まった休止火力をもう一回立ち上げてもらうですとか、燃料を確保するためのお願いをしていく、様々な対策を取ることになるわけでございますが、しっかりとした検証作業を行っていき、これを踏まえた形で万全を取った安定供給策を講じていきたい、このように考えてございます。

中野(英)委員 ありがとうございました。

 是非、国民の皆様方もそうですが、皆様方の御協力のおかげで乗り越えたわけですから、これからも是非対応をよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、次の質問に移らせていただきます。

 全国で初めて東京電力、東北電力の管内で発令された政府の電力需給逼迫警報ですが、警報の発令が遅く、節電の取組が遅れた、節電対策が間に合わなかったなどの指摘もあったかと思います。

 電力需給逼迫警報は、本来は、需給が厳しくなる前日の午後六時をめどに発令するルールになっているかと思います。今回の警報は、東京電力管内は三月二十一日の午後八時過ぎに、東北電力の管内は二十二日の午前十一時半過ぎに出されました。しかし、三月十六日に発生した福島県沖地震の影響で、火力発電所の休止や発電所のトラブルなどの複数の要因は、事前に把握できたことだと思います。

 そこで、お伺いをいたします。

 今回の電力需給逼迫警報ですが、発令が遅れた原因、そして今後の対策等を教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりで、節電のお願いをするに際しましても、様々な対策を取りますにしましても、できる限り前もってお知らせを申し上げるというのが基本かと考えてございます。

 今回の件でございますけれども、三月十六日の地震の影響での火力停止、これがまず出発点になっておりますし、これらの供給力減が非常に大きかったわけでございますが、その後の週末、三連休であったわけですけれども、この週末の間の変化、一つの大きな変化は気温の変化、予測の変化、予報の変化でございます。

 急激に天気予報の悪化が、土、日、月と徐々に徐々に厳しくなってまいりまして、需要の想定というのが直前になって相当伸びてきたということ、また、この連休の間に、磯子火力発電所を含めて三基の火力発電所が追加でトラブル停止をしたということも非常に大きく利いてきたところでございます。

 結果的に、東京電力の方から私どもの方に状況の報告と節電要請の相談が参りましたのが、二十一日の夕方というタイミングになったものですから、結果的に十八時ということを過ぎた二十時頃の発令になったということでございます。

 私ども、この進め方について、適切なタイミングでの呼びかけが重要だということはよく認識してございますので、今回のことは反省すべきところは反省し、検証した上で、今後のしっかりとした手続が取れるような検討を進めてまいりたいと考えてございます。

中野(英)委員 ありがとうございました。

 今回のことは十分に検証していただいて、万が一また需給逼迫という事態になる場合には、余裕を持って対応できるように、是非お願いをさせていただきたいと思います。

 原油価格の高騰など、中小企業、小規模事業者の事業存続に影響を及ぼす非常に重要な要因であると思います。

 私も地元で小さな企業を営んでおりますが、事業計画を作成する際、原油の価格の高騰を始め、物価の高騰など、ある程度、外的要因を少しは経費に織り込み、支出を作成しています。しかし、外的要因がある程度行き過ぎると、もう収入でカバーし切れなかったり、他の経費を削減したりして利益を出さなければならないということを試みていかなければならないと思っております。

 そこで経費を削減し過ぎると、今度は負のサイクルに陥ってしまうという危険性もはらんでおり、企業の更なる成長が難しくなってしまうと思います。特に、今回は、新型コロナがようやく落ち着くかという世の中の流れの中で、原油の価格高騰などが、ようやく長いトンネルから出かかった中小企業、小規模事業者の皆様方に追い打ちをかけてしまっているのではないでしょうか。

 この度重なる大きな外的要因から中小企業、小規模事業者の皆様方を守る、国の大事な役目だと思っております。政府には、様々な助成金や補助金、支援策等を講じていただいております。しかし、まだ行き届いていないところもあるかと思います。

 是非、この難局を乗り越えることができるよう、引き続き、中小企業、小規模事業者の皆様方に支援策をしっかりと取り組んでいただくようお願いを申し上げ、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 今、国会でも、経済安保の、経済安保確保推進法ということで内閣委員会で議論が、経済産業委員会の方も、連合審査ということで先日議論もさせていただきました。そこでも、主に私からは、サプライチェーンの強靱化をどうやって図っていくか、こういうことについて萩生田大臣とも議論をさせていただいたところでございます。

 今、いろいろな物資が、やはり価格の高騰、これが非常に大きな課題だと思います。公明党の方でも、今、国民生活総点検・緊急対策本部ということで、いろいろな関係の企業あるいは団体、こうしたところにどういう影響が及んでいるか、あるいは地方の方からも、国民生活にどういう影響が及んでいるのか、こういうところをしっかりと伺いながら政策をつくっていかないといけない、こういう思いをしておりますし、三月の二十九日には、政府に対しまして、物価高騰対策ということで緊急提言も党の方からもさせていただいたところでございます。

 こうした動きも踏まえまして今日は質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 物価の上昇というか物資不足というか、昨年来、コロナ禍の中でサプライチェーンが少し乱れたところもありました。また、コロナから一旦ほかの国が経済を回復をしてくるという中で、少しそうした物資の不足や価格上昇ということもいろいろなところで起きておりました。それに加えて、今回のウクライナ危機、こういう状況でありますので、二重三重、いろいろな意味で非常に深刻な事態だというふうに思います。

 燃料価格を始め、小麦などの農林水産物もそうですし、あるいはレアメタル等々もございます、価格の高騰。いろいろな物資で今サプライチェーンの強靱化が必要である、こういう状況の中で、やはり経済産業省が音頭を取って、こうしたサプライチェーン対策をしっかりとまずは旗を振っていただきたいというのを大臣にお願いをしたいと思います。

 こうしたウクライナの危機も踏まえた様々な物資のサプライチェーンの対策、現状の認識、そして今後の取組、こういうことについて併せて、まずは大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 先月三月三十一日に、経済産業省において、戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部の第一回会合を開催をしました。具体的には、石油、石炭、LNGのエネルギー、及び半導体製造用の希少なガスですとかパラジウムなどの七品目を、早急に対策を講じる必要のある物資として特定するとともに、供給源の多角化、リサイクル装置の導入など、安定供給確保のための対策を取りまとめました。

 先生今御指摘いただいたように、その以前から、コロナ禍で、国内、海外のサプライチェーンの脆弱性が露呈されまして、これは、要は、よそでつくっているものも見つけてくればそれで済むんですけれども、今回の場合はやはり物資そのものが足りないということで、これは省を挙げてきちんとセーフティーネットを張っていこうということにしました。

 今後、これらの対策について順次速やかに実行に移してまいりたいと思うんですが、他方で、これは世界中で今回の混乱を受けてサプライチェーンの強靱化に取り組んでいるために、代替可能な調達先というのは限られています。もっと具体的に言えば、ロシアやベラルーシから撤退をした場合に、よその国でということなんですけれども、ロシアから輸入していた国が一斉にほかの国に物資を求めるわけですから、そういうことを考えますと、かなりパイの奪い合いに陥っていくのではないかということを心配しておりまして、その上で、日本としてやれることはというのは、やはりリサイクル、リユースの技術を持っているということだと思います。オリンピック、パラリンピックで、資源から回収した金、銀、銅のメダルを作った、こういう技術をもって、日本は幅広い対応を検討していきたいと思っています。

 また、ウクライナ情勢を踏まえた対応にとどまらず、我が国の経済構造の自律性と技術優位性、ひいては不可欠性を確保するため、中長期的な視点も含めて、省を挙げて、継続的に分析を進めるとともに、必要な対策を機動的に講じていきたいと思います。

 アフリカの特定の国で取っていたものというのは、多分隣の国にもあるのではないかという期待もありますので、こういったものをしっかりもう一度発掘をして、そしてサプライチェーンを広げていく、こういう努力をしていきたいと思います。

中野(洋)委員 大臣から、幅広い問題意識も含めて様々御答弁をいただきました。

 今まさに経済安保ということでいろいろな議論もしていく中で、これから特定物資のああいう取組もございますし、また、ウクライナという問題を考えても、今後の欧米の経済制裁、またさらに燃料の関係ですとかいろいろなものが、ロシアとの対応ということで、例えば、欧米、EUがロシアからの燃料を更に輸入をしないということになってくるとどんどん取り合いになるという、まさに大臣が御指摘のとおりの状況で、こうした、上流のいろいろな開発も含め、そしてまた、同志国ですとか、あるいは輸入する側の連携も含め、幅広い対応というのが本当に求められてくるかと思います。これは引き続き是非御対応の方をよろしくお願いをいたします。

 先ほど大臣からも少し具体的に言及もございましたけれども、党の方でも、緊急提言で、例えばパラジウムやネオンなど希少資源、こういうものの取扱いというものが、指摘をさせていただきました。

 例えば、ネオンなどの希ガス、半導体の製造に使われることもあるということで、半導体の製造そのものが少しチョークポイントのようなところがあって不足をしているというふうな中で、たとえ工場を誘致しても、こうした希少資源がないから今度はできないということであってはいけないということも思います。

 こうした希少資源の問題についての、特に絞って、この認識と対策ということについて、改めて政府参考人の方にお伺いをしたいというふうに思います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナ情勢が緊迫化する中で、今回の事態による希少資源の状況については、高い警戒感を持って注視をしているという状況にございます。

 御指摘をいただきました資源のうち、レアメタルについては、ロシアへの依存度が高いものは、自動車用の排ガス用触媒等に使用されておりますパラジウムでございます。二〇二〇年の我が国の輸入量のうち、パラジウムは約四〇%をロシアが占めているという状況にございます。

 また、半導体の製造に用いるネオンなどの希ガスにつきまして、我が国の輸入量のうち、ウクライナ、ロシアから輸入しております量は、二〇二一年で六%程度となっております。

 企業においては、こうした希少資源については、従来から調達先の多角化や在庫の確保に取り組んでおり、現時点では直ちに製品の生産に特段の影響を及ぼす状況ではないとの報告を受けております。

 ただし、今後、輸出入に支障が生じて市場が逼迫し、世界中で調達競争が加速すれば、事態が悪化する可能性は否定できないと認識をしております。

 こうした状況を踏まえまして、政府としましては、これまでも、JOGMECを通じて、資源探査や民間企業の資源開発プロジェクトへのリスクマネーの供給、資源外交を通じた資源国との関係強化などに加えまして、リサイクルや使用量低減に係る技術開発の推進など、需給両面における対策に取り組んできたところでございます。

 さらに、今般、戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部でウクライナ情勢を踏まえた緊急対策を取りまとめたところでございます。

 希少資源を含む戦略物資の対策について、しっかりと取り組んでいく所存でございます。

中野(洋)委員 御答弁いただきました。いろいろな取組を総合的にやっていただき、先ほどの大臣の御答弁でも、日本はリサイクルあるいはリユースといったお話もあり、これは本当に総合的な取組が必要になってくるかというふうに思います。

 こうした広い視点で是非引き続き対策をやっていただきたいと思いますし、その中でも、特に中小企業に対してどう支援をしていくのかということも非常に大事だと思います。

 長期的には、燃料が例えば高騰するということでありますと、やはり製造現場の方は、省エネ化の投資をこれを機に一気に進めていくということで対応していく、こうしたところに力を入れる必要があろうかと思うんですけれども、しかし、短期的には、やはり中小企業は、なかなか急にそうした投資で対応できるということも限らないということでありますし、いろいろな、総合的にまずは支えていって、その中で対応を図っていく、倒れないようにしていく、こういうことが大事だと思いますけれども、こうした物価高騰の対応ということで、まず、大きく中小企業対策ということでどういうことを考えているのかというのを答弁いただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急対策について、今検討中でございますので、それについてはお答えがちょっと今難しいですが、足下の対策について御説明したいと思います。

 やはり日本企業は様々な影響を受けるという、今回のロシアに対する経済制裁によって受けることが想定されるわけですけれども、喫緊の対策といたしましては、三月四日に開催された原油価格高騰等に関する関係閣僚会合におきまして緊急対策を取りまとめました。

 中小企業への対策といたしましては、まず、ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口、これを全国約一千か所に設置したところでございます。相談窓口には、原油価格上昇による経営環境の悪化や資金繰りの相談に加えて、ウクライナ情勢の変化による輸出入への影響を懸念しての御相談などが寄せられているところでございます。

 そのほかにも、日本公庫によるセーフティーネット貸付けの要件緩和、あるいは金利の〇・二%引下げ措置、それから、二月の二十五日及び三月八日に、官民の金融機関に対して資金繰りの要請を行っております。さらに、価格転嫁ということでは、二月二十八日に、約一千五百の業界団体を通じて、価格転嫁について配慮することを親事業者の皆さんに要請したところでございます。

 こうしたことも踏まえながら、事業者の皆様にしっかりと寄り添う形で対策を検討してまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 総合的に今御説明をいただいて、その中で、中小企業ということになると、当然、資金繰りでしっかり回るようにするというのがまず一旦あるとは思うんですけれども、やはり一旦はちょっと価格転嫁の取組を進めていかないと、これはなかなか、利益が圧迫されて立ち行かないということになろうかと思っております。

 この価格転嫁、長らく経産省の方でも取り組んでいただき、これは下請取引の適正化ということで、大きな枠組みの中でやっていただいたり、あるいは、パートナーシップ構築宣言ですとか、そうしたサプライチェーン全体で取り組んでいくというふうな取組も、いろいろやっていただき、さっきは要請を各団体にしっかりやったということで、やっていただいておりますけれども、やっていただけるところは確かにやっていただけるんですけれども、どうしても、そうはいっても全然聞く耳も持ってくれないというふうなお声もやはり強いところでありまして、こうした、例えば価格転嫁で、強化月間ということで先月もたしかやっていただいておったかと思いますけれども、やはりなかなかそれだけでは進んでいかないな、そういう思いも持っております。

 やはり、国が何かしら強力に取組をフォローアップをしていってやっていかないといけないな、こういうことをしっかりとやっていくべきかと思いますけれども、これについて特に更に答弁を求めたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 価格交渉促進月間でございますけれども、御指摘のように、昨年九月に初めて実施したわけですが、今年の三月も価格交渉促進月間と位置づけて、おっしゃるように、価格交渉の浸透と定着、これを図ってまいりたいと思っております。

 これまでに、約一千四百の業界団体を通じて、この価格交渉促進月間についての周知ですとか協力依頼を実施いたしました。今後はそのフォローになっていくわけでございますけれども、今月以降、フォローアップ調査といたしまして、二千社に対する下請Gメンの企業ヒアリング、それから、前回九月には四万社に対してアンケートを行ったんですが、今回、十五万社、下請中小企業に対するアンケート調査を実施いたしまして、業種別に価格交渉の状況を取りまとめて公表していく。さらに、価格交渉の状況がよくない個別の企業に対しては、下請中小企業振興法に基づく指導助言なども実施してまいりたいと思っております。

 価格転嫁という観点では、御指摘ありましたパートナーシップ構築宣言でございますとか、あるいは下請Gメンの倍増でございますとか、その他の取組と併せまして、適切な利益が下請企業に残るよう、今後とも全力で取り組んでまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 今、取組を強化をするということで、いろいろ答弁していただきました。四万社から十五万社に増やしてしっかりとフォローアップをするということは非常に大事だと思いますので、やはりこれは継続的にやっていかないといけないというふうに思います。

 先ほどまさに述べていただいた下請Gメンの活用ということで、倍増したということを先ほども紹介をしていただきました。元々、Gメンは、消費税の転嫁が進むのかというところでの、転嫁Gメンみたいな形でやっていったような経緯もございまして、こうした、急激な価格上昇ということで、何らかの形でやはり転嫁が必要な局面という、まさにこれを活用していかないといけない、こういうことを思っております。

 こうした価格転嫁を進めるための下請Gメンの活用ということで、しっかりと倍増したこれを活用するのを具体的にどう進めるのかという、これについても質問をしたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 Gメンでございますけれども、下請Gメン、全国百二十名から、今年度、二百四十八名に倍増させたところでございます。これまで年間約四千件程度実施してまいりました下請中小企業へのヒアリングにつきまして、倍以上の一万件に増加させることを考えております。

 御指摘のとおり、下請Gメンは私どもの様々な活動のベースになっております。価格交渉促進月間のフォローアップ調査につきましては、先ほど御説明を申し上げました。

 そのほかにも、下請Gメンが中小企業からヒアリングした情報は、業種別、企業別に整理をいたしまして、情報提供者がその親事業者等に特定されないように注意を払う必要があるわけですが、その上で、業界全体としての慣行がある場合にはガイドラインですとか自主行動計画の改定、あるいは、個別企業、あるいは下請代金法違反のおそれがある事案が確認できれば取締りの端緒情報として活用する、あるいは、下請中小企業振興法の振興基準の改正、あるいは不適切な事例への指導助言の実施といった同法の執行にも活用してまいりたいと思っております。

 こうした取組を通じまして、下請Gメンを倍増いたしましたので、その活動が価格転嫁につながるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、下請Gメンについても御質問させていただきました。少し時間も迫っておりますので、少し手短に申し上げますと、一つは、先ほど触れていただいた資金繰り対策、これも非常に重要でありまして、特に、貸出しの残高を見ても、あるいは借入金が、月商に対しての倍率という数字的なところを見ても、企業の返済の余力というのはどんどん、マクロ的にはやはり低下をしている、こういう状況かというふうに思います。

 その中で、こうした物価高騰という更に厳しい要因が加わってきたということで、やはり金融機関に対してリスケ等のしっかりとした対応を求めていかないといけないということを改めて思っております。

 先ほど、政府の方から要請ということも少し紹介していただきましたが、改めて、どのように対応していくのかというのを答弁いただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありましたように、累次にわたってリスケなどの要請を行ってまいりました。直近では三月八日に、萩生田大臣も含めまして関係大臣より要請を行わせていただいたところでございます。

 その結果、足下では、政府系の金融機関では、事業者からのリスケの申出のうち約九九・七%に応諾していただいている状況でございます。

 引き続き、新型コロナの影響の長期化あるいは資源価格の高騰などによって厳しい状況に置かれている事業者の皆様の資金繰り支援にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 済みません、最後に、ちょっと簡潔に。

 先ほど、対応して、製造側のグリーン化など、こうした企業の取組を進めることが大事だ、こういうことを申し上げました。やはり、いろいろな補助金を使ってこうした活用をしていくということも提言もさせていただいております。こうしたグリーン化を進めていく取組をどう進めるか、最後にこれも答弁いただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、ポストコロナも見据えながら、グリーンなど新たな分野での成長投資を後押ししていくことも非常に重要でございます。

 このため、経済産業省では、令和三年度補正予算において、ものづくり補助金を含む生産性革命推進事業や事業再構築補助金を積み増し、グリーン分野に係る特別枠を創設したところでございます。

 具体的には、ものづくり補助金におきまして、グリーン枠を新設いたしまして、補助上限を二千万円まで引き上げるなど支援を拡充した上で、本年二月に公募を開始いたしました。事業再構築補助金では、グリーン成長枠を新設いたしまして、売上高減少要件を撤廃した上で、補助上限額を最大一・五億円まで引き上げ、先月末から公募を開始したところでございます。

 これらの支援策によりまして、中小企業の省エネやグリーンイノベーションへの取組をしっかりと後押ししてまいります。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、一般質疑ということで、経済産業施策にまつわる重要と思われる問題についてピックアップして取り上げていきたいと思います。

 先ほども中小企業の債務問題について話がありました。まず、この債務問題についてなんですが、二年前、コロナが始まって、政府が人流を抑制してくださいというようなことが特に三月ですとかにありました。企業にとって、三月末が年度末である、売上げがいきなり二〇二〇年三月に減って、資金繰りは大丈夫なのかという話が出ました。

 海外を調べますと、いろいろと海外は仕組みが違って、どんどんどんどん給付金を迅速に行うことができているということが分かりました。

 一方で、日本の場合は、持続化給付金もゴールデンウィークの後から始まっています。あと、十万円配るのもそのぐらいから行われたということで、日本のこの仕組みだと早く給付をすることができないということで、政府も、取りあえずは特別融資するので借りてくださいと。で、政府系金融機関の窓口もパンクしそうになったので、民間金融機関で同じものを提供しますから、自分のメインバンクに行って相談して、ゼロゼロ融資、無利子無担保融資、借りてくださいということを施策として行いました。私はこれは正しい判断だったというふうに思います。

 これで危機はしのげたんですけれども、その一年間ぐらいはそれなりの金額を皆さん、中小企業が借りましたので、三十兆ぐらい増えてしまったわけです。それまでの無利子無担保融資の残高が大体二十兆円ぐらいでしたから、そこから三十兆も増えた。かなりの金額、中小企業の債務が増えてしまったわけです。

 この特別融資は、最大で五年までは返済しなくていいですよというような仕組みにしてあります。余裕があるところはもう返済が始まっています。余裕のないところは、あとまだ猶予期間があって、最大で五年間のうちに返済が始まるわけですけれども、だんだんと、返すのが苦しいというような声も少しずつ出始めています。

 これは、普通の債務問題であれば経営者の経営責任とかそういうのもあるわけですけれども、コロナで政府が経済活動にブレーキをかけたわけです。取りあえず二年前の年末を乗り越えて、いつになったら回復するのかなと思ったら、今、二年たってもまだ、今度第七波が来るかもしれないと。最近までは、蔓防ということで、かなりの都道府県、経済にブレーキをかけさせていたわけです。

 これだけずっと続いていたら、これからコロナが明けたとしても、こんな二年も三年もの分の売上げが減った分を一気に回復するのも普通に考えたら難しいですし、金融機関も、これ以上貸して大丈夫なのかな、最終的に返せるのかなというような不安もどんどん出てきてしまうわけです。経済の前向きなお金の使い方がだんだんされなくなって、経済が活性化しなくなってしまうということで、これに対しては何らかの措置を取ることを検討するべきときがだんだんとやってきていると思います。

 ほかの国の施策を調べてみると、コロナが原因で緊急で融資した分は、一部、もうこれは返済しなくていいですよとか上げますよと、給付みたいな感じに転換しますよというような政策をしている国もあるわけです。

 我が国も、返済の猶予とか、あと、追加でもっと借りられますよとやるだけではなくて、それだとどちらにしても債務残高というのは減らないで増えるだけですので、一部免除をすることも含めた債務軽減策まで踏み込んでいく必要があると思うんですが、中小企業を所管する経産大臣、ここまで踏み込むべきだと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 中小企業の債務は増加傾向であり、今後返済が厳しくなる事業者が増加する可能性は、今先生御指摘のとおりで否定できないと思います。

 このため、こうした事業者の返済負担の軽減に向け、まずは、官民の金融機関に対して、鈴木財務大臣とともに、事業者から債務の条件変更の申出があった場合には、最大限柔軟な対応を行うことを要請をしております。

 足下では、金融機関の条件変更の応諾率は約九九%と、多くの事業者の申出に応じている状況は確認しています。

 それでもなお増大する債務に苦しむ事業者に対しては、先月策定した中小企業活性化パッケージに盛り込んだとおり、全国四十七都道府県に設置した中小企業活性化協議会による事業再生支援や、民間の自主ルールである中小企業の事業再生等に関するガイドラインなど、債務減免が可能となる支援策やルールも措置をしております。加えて、再生ファンドによる債権買取りなどの支援も実施しています。

 なお、コロナ禍において借り入れた債務の一律減免は、債務の弁済に向け事業改善を行う動機の低減という典型的なモラルハザードが発生するおそれがあることや、借入れをせずにしのいでいる者や、経営改善に取り組み、既に返済を開始した者との間の公平性などの観点から、慎重に判断する必要があるのではないかと思っています。

 引き続き、関係省庁とも連携しつつ、中小企業の事業再生支援に万全を期してまいりたいと思います。

落合委員 その公平性ですとかは、二十年前の不良債権問題のとき、私は銀行員をやっていたんですが、同じような議論がありました。そのときは政治決断で思い切ってばさっとやったわけでございますけれども。

 今言及にありました、経済産業省、金融庁、財務省が一緒に連名で出した中小企業活性化パッケージも、一歩も二歩も前進している内容であるとは私も思います。しかし、これは不十分ではあると思います。

 例えば、債務減免の基準なんですが、今までは、経営者は、債務減免するんだったら経営者は辞めてくださいという、退任が原則でした。しかし、これは、感染等の影響に配慮しつつ、経営者責任を明確化ということで、退任とは書いていないんですが、経営者責任を明確化というのと退任というのが何が違うかもはっきりとはしていないわけです。

 コロナで債務が増えたのは経営者責任なのかなという問題もあると思います。ふだんでしたら、債務が増えたのは、何らかの原因がそれぞれの企業にあるんでしょうけれども、今回は、コロナに関するゼロゼロ融資というのは、政府が、取りあえず借りてくださいとどんどん推し進めた融資ですし、それから、そもそも、人流を抑制して経済活動にブレーキをかけることでコロナを終息させようという政府の政策を行って、中小企業の債務残高が増えたわけです。それであれば、債務問題も、政府が今までとは違うやり方で解決しなければならない、その検討をしなければならないと思います。

 これは、踏み込んではいるんですけれども、やはりコロナという百年に一回の事態の対処としては不十分であると思うんですが、金融担当副大臣、いかがでしょうか。

黄川田副大臣 事業再生等ガイドラインにおいては、まず、政府ではなく、全銀協会を始めとした金融機関等の関係者が自ら策定した自主ルールでございます。

 その上で、コロナ禍にある中小企業であっても、コロナ前の経営状況、コロナ禍による影響の程度、苦境に陥った要因は各社様々でございます。そうした個別事情を勘案することなく、一律に経営責任の扱いを決定することは、モラルハザード等を生じさせるおそれがあると考えているところでございます。

 また、ガイドラインでは、感染症の世界的流行等にも配慮しつつ、経営責任を明確にすることとされており、一律に経営責任が求められているものではございません。

 経営責任については、こうしたガイドラインの考え方を踏まえ、金融機関と事業者の協議によって、事業者の特性、自助努力の内容や程度、苦境に陥った原因などを勘案し、個別に判断されるべきものと金融庁では考えております。

落合委員 済みません、苦境に陥った原因等を勘案するというのは普通のときでして、これはコロナに関する特別融資の債務残高が上がってしまった問題をどうするかという質問なので、原因は、コロナであり、プラス、政府が緊急事態宣言を行ったり蔓防を行ったり、ブレーキをかけたことで売上げが減ってしまった、なので、コストを賄い切れなくなってしまった、既存の債務が返せなくなってしまった、そのために、この特別融資を借りてくださいと。もう原因も分かっているんです、その融資に関しては。

 それに関して、政府が経済活動にブレーキをかけたことでその債務が増えたわけだから、その債務に関しては特別に考えていいんじゃないですかと。コロナが原因じゃなかったら、その借金はできなかったわけですので、もう原因も全部特定がされているわけでございます。

 参考までに、資料を配付をさせていただきました。

 おととい、議員立法を提出をしております。通称、中小企業のコロナ債務減免法案ということで、コロナ債務に限定をして、政府がブレーキをかけたわけだから、その面に関しては減免も検討してあげようと。ほかにも、利子の軽減ですとか、返済期間の据置きを長くするですとか、政府が出している案と同じようなメニューも並んでいるんですが、実際に、我々は、追加で融資したり返済を繰り延べても、この二年も三年もの間の売上げが減った分の借金を返すのは実質的には難しいので、半年分だったらいいですけれども、二年分、三年分を追加で返すのは難しいので、この分に関しては特別に考慮をしてあげましょうと。

 政府案は、先ほど申し上げたように、経営責任を求めてしまっている。それから、例えば減免するときの、金融機関がその分の損失を被るわけですけれども、じゃ、それをどうするのというのもはっきりとしないわけです。

 我々の法案は、これだけ明確な部分の減免に関しては、金融機関が減免を決断しやすいように補填をしましょうと。具体的な方法としては、預金保険機構を通して清算するかもしれないですし、それは考えていかなきゃいけない部分ですが、これぐらいのことをやらないと、実際には減免という手段は使えないだろうというようなことを考えています。

 それから、もちろん、減免する内容は、コロナで売上げが落ちてしまったことを原因として運転資金を借りた分だけ。その内容も、決算書を見れば、運転資金を借りて経営者のお給料が増えているかどうかとか、全部分かりますから。

 そういう部分も勘案した上で、大体、コロナの新規融資、この三年間の新規のゼロゼロ融資のうち、アンケートを見ると三割ぐらいの事業者が困っているので、三十兆円の三割、九兆円分ぐらいが恐らく問題債権になるだろう、そのうち平均で半分ぐらい税金で面倒を見るかもしれない。そうなると、最大でも四・五兆ぐらい。数年間で四・五兆ぐらいでこの債務問題は解決ができるんです。

 ちなみに、持続化給付金は大体五兆円ぐらいです、一回の支給でですね。一年間で五兆円で持続化給付金を行ったのと同じぐらいの金額で、五年ぐらいの間にこういった措置を行う。持続化給付金は売上げが下がった分だけの計算なので、これは、持続化給付金の対象でなくても、債務の部分だけを見ますから、そこでもらえなかった人たちも助かるかもしれないというようなことになるわけです。

 今政府が作った案の、もう一歩前進するだけで、これだけ大きな問題が改善できる、かなり大きな改善ができる。ですから、私はここまで踏み込むべきだと思います。これは、役所にプランを作らせたら、今回のパッケージも踏み込んでいますけれども、ここまでしかできないと思うんです。

 これは百年に一回しかない事態ですので、あとは、政務三役、それから政府の決断次第であると思いますので、これは政治家が決めなければならないことでありますので、私は、この議員立法のような措置まで踏み込んで検討するべきである、これは政治の責任であると思います。

 かなり影響力のある萩生田大臣、決断していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 中小企業の皆さん、いろいろ困難を抱えていることは承知しています。ただ、今、るる御説明したような柔軟な対応というのもしていますので、確かに、ゼロゼロ融資、返済を、どこの中小企業も、最初から五年後から返済開始と考える企業はなくて、このコロナがいつまで続くか分からないけれども、一年はジャンプして来年からやろう、そんな人たちが、実際にはこれは足かけ三年目になっていますから、それを累次リスケをしているという状況もあるんだというふうに思います。

 ただ、このゼロゼロの場合は、今先生おっしゃったように、確かに、コロナの外的要因だけでしっかり線が引けて、ここから先がコロナの影響のあった事業者だという線引きができるんだったらいいんですけれども、コロナ以前から経営困難がやや見え隠れしていても、やはりコロナでなかなか軌道回復ができない人たちにもお貸しをしましたので、どこからが原因で経営が難しくなっているかというものの判断というのはすごく難しいと思うんです。

 先ほど申し上げたように、既に頑張って弁済している人たちもいますし、事業再構築補助金などを使って、既存の事業はなかなか再起できないんだけれども、横出しや上乗せをしながら頑張っているという人たちもいます。そういう人たちのことを考えると、一律の減免というのはやはり、事業改善を行う動機の低減という典型的なモラルハザードが発生するおそれがありますし、先ほど申し上げたように、借入れをせずにしのいでいる方もいらっしゃるわけですから、経営改善に取り組み、既に返済を開始した方たちとの公平性の観点、こういったものも慎重に考える必要があるのではないかと思っております。

落合委員 線引きが難しいのは持続化給付金もそうだったわけです。でも、百年に一回だからということで、前例のないことをやりました。やはりこれはいろいろ意見が出ますので、役人には決めることができないわけです。合理的な範囲内で、これは政治決断をするべきだと思います。

 結局、みんな努力している、払っている人もいるといっても、過去の債務の返済に全ての力を注ぎ込まなければいけない、こういう経済状況であれば、アフターコロナも前向きな回復はできないと思います。幾ら売上げを上げても過去の返済のためでしたら、良好な経済循環はできません。

 どこかで補助輪をつけて、前向きなお金の回りが実現できるように政治がしていくべきときが来ましたので、私はこれは検討するべき事項であるというふうに考えます。これは議員立法としても提出をさせていただいているので、これからもいろいろな委員会でも取り上げて、ほかの議員も取り上げていくと思いますので、是非、政府内、与党内でも御検討をいただければと思います。ほかの策よりは全然この策の方が有効ですから、是非、有効な一つとして御検討をいただければと思います。

 それでは次に、インボイスの問題について取り上げさせていただきます。

 これは、二〇二三年、来年の秋から導入されるものでして、もう昨年の秋から登録も始まりました。税制ですから本当は財務金融委員会なんですが、経産大臣が小規模事業者、フリーランス等も所管をしているということで、ここでも取り上げさせていただければと思います。

 インボイス制度が始まると何が問題なのかといいますと、今までは消費税というのは、売上げ一千万円以下の事業者は消費税を納めなくてよかったわけです。消費税というのは、納税している事業者が三百万者ぐらい、納税していない事業者が五百万者ぐらいでございます。この納税していない免税事業者のうちの何割かは、確実にこのインボイス制度の導入によって納税事業者に変わります。

 この一千万円以下の事業者というのは、大体、一人で働いている、個人事業主ですとか、あとフリーランスの方が多いわけです。なので、売上げイコール収入である。その収入のうち、仕入れ税額控除するとしても、一〇%納める。その対象の人たちが自分で計算してみると、大体、給料の一か月分ぐらいが飛んじゃうんですというような話なわけです。これは、実質的に消費税の課税対象を拡大する、小規模事業者にとっては増税、しかも消費税ゼロ%が一〇%になるというのは、かなりの増税になるわけでございます。

 そもそも、安倍内閣以降、働き方改革ということで、フリーランス自体もかなり増えました。今までと同じ会社で働いていても、今までは給与をもらっていたのが、同じ仕事をして同じ場所で働いているのに、独立していることになってフリーランスとして働いているという人たちも結構増えているわけです。

 そういった中で、岸田内閣は、新しい資本主義の中で、給与とか手取りを増やすような経済政策をして、それで経済を上向かせようということをしている。そして、先ほどの質問にもありましたけれども、そもそも、下請先の人たちは価格転嫁ができない。これはもうずっとこの委員会でも取り上げられてきたわけですけれども、やっと岸田政権が、価格転嫁できないということをもうはっきりと認めて、価格転嫁できるような経済にしていきますということを宣言しているわけです。

 価格転嫁できない、消費税の分も含めてですね、ということを認識しているにもかかわらず、そして、手取りを増やすと看板を掲げているにもかかわらず、価格転嫁できない人たちに消費税を取ることに新たにして、しかも、はっきりと手取りが減るわけです。そういう政策を今やるべきじゃないと思うんですが、まず、萩生田大臣に伺います。

 これは少なくとも延期した方がいいと思います。コロナの状況です。こういう経済状況ではない、景気がいいときではない。延期するべきじゃないでしょうか。

萩生田国務大臣 税制度は私の所管ではございませんので、控えさせていただきたいと思います。

落合委員 これは、フリーランスですとか小規模事業者のことを考えると、ちょっと困ったなというふうに思いませんでしょうか。

萩生田国務大臣 制度導入に向けてこれから準備を進める事業者も多く、特に、フリーランスを含む中小企業から、制度の理解が十分でないことですとか、課税事業者を選択した場合の事務負担の増加などについて懸念があることは承知をしております。

 そうした懸念にしっかり対応するため、まずは制度の理解が深まるように、商工会や商工会議所などを通じて、説明会の開催ですとかリーフレットの送付などによる周知、広報を進めているところです。

 また、令和三年度補正予算においてIT導入補助金を拡充し、会計ソフト導入時の補助率の引上げなど、インボイス導入も見据えた支援を盛り込んでいるところでございまして、インボイス導入時の事業環境の変化に対応できるように、持続化補助金に補助上限額を引き上げた特別枠を創設をしているところでございます。

 今後とも、関係省庁で連携をしながら、中小企業等の声をしっかりと伺いつつ、中小企業等に寄り添ったきめ細かな対応をしてまいりたいと思います。

落合委員 大臣、その答弁ですと、結構財務省の立場を表している答弁だと私は思うんです。理解が十分でない、それから事務負担の増大、これは重要な点が抜けているんです。

 今、手取りの一か月分がなくなっちゃうというのは、理解した人たちの意見なんです。理解をするしないは別としても、小規模事業者には大打撃なんです。

 それから、事務負担だけだと、負担が増えるのは。納税額が増えるんです。それは、もう価格転嫁できていることを前提にしているんですよ。価格転嫁できない、この今の経済を変えていくというのが経産大臣の大きな仕事の一つなんです。

 今の答弁だと、もう価格転嫁ができていて、消費税分を払う余裕がある、でも理解してもらえていないから、理解を促進して事務負担の分も補助をしますというような答弁になっているわけです。

 経産大臣から、財務省が言っていることはある意味机上の空論で、実際には価格転嫁できていないし、この人たちに増税したらどうなっちゃうんですか、弱いところに何でわざわざ今増税するんですかと意見を言うべきだと思うんですが、大臣、もう一度お願いします。

萩生田国務大臣 いわゆるインボイス制度は、複数税率の下で、売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額などを伝達し、適正な課税を確保する観点から導入するものと認識しています。

 ただし、インボイス制度導入後も事業者免税点制度は継続することとされておりますので、免税事業者を選択する場合でも、取引に与える影響を緩和するため、制度導入後六年間は、免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めるなど、経過措置を設けていると承知しています。

 先生の問題意識、決して全て否定するわけじゃなくて、今まで非課税事業者だった人たちが突然課税事業者になって、そして負担が生じるということに対する負担感は、私も一定理解できます。

 先ほどから申し上げているように、中小企業支援パッケージで、これも、価格の転嫁ができていないのにそんなことをしたら大変じゃないかという御指摘もあったので、価格の転嫁ができるように、先ほど他の委員の質問にもお答えしましたけれども、今までになかったGメン制度などを使って、是非、中小企業、下請企業の皆さんに、しっかりとした価格を転嫁していくことも同時に努力をしていきたいと思っています。

落合委員 この免税制度のあれも六年間です。それから、その六年間はそれをやるために特別な手続をしなくてはならないわけです。これは、かなり抜本的に価格転嫁ができるような追加の施策を行うか、若しくは延期をするかをしないと、大量に廃業が行われる可能性もある。

 コロナなのに、何でこのときにやるのかなと。昔、金融危機のときに消費税を三%から五%に上げたことがありますけれども、そういう間違いを何度も財務省は残念ながらしてしまっているわけです。同じことをやることになります。

 政務官、どうですか。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 インボイス制度につきましては、複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものとして、これは令和五年の十月から開始されるものであり、延期することは考えておりません。

 先ほど大臣からもお話ございましたが、インボイス制度への移行に伴う小規模事業者など免税事業者への影響については、いわゆるBトゥーC取引を行う事業者や、取引先の事業者が簡易課税制度を利用している事業者はインボイスの交付を求められることがなく、全ての免税事業者について影響があるわけではありません。

 また、その円滑な移行を図る観点から、軽減税率制度実施から四年間、準備期間を設けるとともに、移行後も六年間、仕入れであっても一定の仕入れ税額控除を認めるなど、経過措置を設けているところであります。

 先ほどありましたとおり、令和三年度補正予算におきましても、IT導入補助金であるとか、インボイス発行事業者となる小規模事業者の販路開拓に関して持続化補助金による支援などをすることになっております。

 今後とも、制度の円滑な移行に向けて、関係省庁で連携しながら、これらの支援策や制度の周知、広報を始めとした取組を丁寧に進めてまいります。

落合委員 全てではないという答弁がありましたけれども、財務省の答弁は全部合っているんですけれども、全てではないといったって、計算したら二百万者ぐらいはありますよ。二百万人以上の人たちが影響する、しかも消費税ゼロ%から一〇%に課税拡大する、こんな大きなことを、事務的に、もう決めたからやりますというような経済政策は絶対にやるべきではないと思います。

 これは、問題が起こった後に、じゃ、どうすればいいんですかと、また将来にいろいろある意味ツケを払わせることになるわけです。これは今の政治家たちが止めないといけない。決めたことなんですが、この部分だけは特に止めないといけない問題です。

 我々は、インボイスを廃止する法案を提出しました。まあ私自身は延期でもいいかなとは思っていたんですが、いろいろみんなで話し合って、廃止する法案を議員立法で提出をしています。

 今日最初に取り上げた中小企業債務の問題、それから税制の問題、今政府の施策を続けていたら、絶対に経済の好循環は生まれません。その対案を我々は出しています。是非、これを御検討いただいて、実現をいただければと思います。我々もその主張を続けていきます。

 本日はありがとうございました。

古屋委員長 次に、大島敦さん。

大島委員 冒頭、燃料油価格激変緩和対策事業について確認をさせてください。経済産業省政府参考人からの答弁を求めます。

 元売事業者に対する価格抑制原資の支給額の上限を五円から二十五円に引き上げたとのことです。これは、毎週水曜日に公表している全国平均ガソリン価格に原油価格変動分を加味した次の週の予測価格と、基準価格である百七十二円の差額を、木曜日から翌水曜日まで支給するとのことです。これはレギュラーガソリンだけではなく、ハイオク、A重油、軽油も含まれると聞いております。

 そこで、先週、三月二十四日から三月三十日と、今週、三月三十一日から四月六日の支給額をお尋ねしたいと思います。答弁をお願いします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 激変緩和事業の先週、今週の支給額でございますけれども、先週の支給額、これは、先ほどお尋ねありましたとおり、三月二十四日から三月三十日までの期間ですが、につきましては十八・六円、今週、三月三十一日から四月六日までの支給額につきましては二十五円ちょうどでございます。

大島委員 政府参考人はここで大丈夫ですから、下がってください。

 続きまして、農水副大臣に質問をしたいと思います。

 二〇一四年、関東で大雪が降った際に、多くのハウス農家のハウスが倒壊をいたしました。そこで、私の地元のハウス農家に取材をして、一週間後、金曜日の内閣委員会で官房長官とやり取りをさせていただきました。その後、三週間後だと思うんですけれども、皆さんの御協力を得て、十分の三の補助率が十分の九になって、多くの農家が救われたということがありまして、特にそのとき強調させていただいたのは、ハウス農家をされている方は、息子さんたちがサラリーマンを辞めてもう一回就農されている方が多かった。ですから、できるだけ早く対策を打つことがハウス農家の再建につながると思って、質問をさせていただきました。

 今回も、先ほど経産省から答弁いただいたとおり、結構A重油が高騰しておりまして、大分暖かくなってきましたから、そろそろとは思うんですけれども、カーネーションは五月まではA重油はたかなければいけないし、シクラメンも、これは通年、通してA重油をたく必要があるかなとも思っています。もちろん、品種によって温度は違います。果樹だと五度ぐらい。花ですと十五度から二十度、トマト、キュウリもあります。

 そこで、施設園芸等燃油価格高騰対策、とりわけA重油価格の高騰対策として、施設園芸セーフティネット構築事業があります。施設園芸農家三戸以上、また農業従事者五名以上で構成する農業者団体を支援対象として、かつ、三年間で燃油使用量の一五%以上を削減する省エネルギーの策定が必要とされております。

 結構これは大変です。農家三戸以上グループを組んで、かつ、三年間で一五%以上省エネしてくれという計画を出さないと認められない制度でして、この施設園芸セーフティネット構築事業は、国と生産者が一対一で積立てを行い、燃油価格が一定の水準を超えた場合に補填金を交付するもので、令和三年度は、これは大分去年配慮していただきまして、三回の募集を行い、三回目は十二月十七日が締切りでした。大体これは九月が締切りなんですけれども、価格高騰を勘案しながら、ぎりぎりまで締切りを延ばしていただいたことは感謝しているんですけれども。

 しかしながら、今日のような想定を超えた急激な原油高の状況においては対策として不十分だと考えておりまして、なかなか、ここの、十二月十七日まで、この施設園芸セーフティネット構築事業、申請できなかった農家も非常に多いかと思います。

 もちろん、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、これは内閣府の交付金、もう一つは、総務省として、原油価格高騰対策に係る特別交付税措置もあることは理解しておりまして、この両制度を使いながら、市町村においては、燃油に関して、A重油に対して一律五万円とか補填しているところもあることは承知はしているんですけれども、市町村の温度差があるものですから、多分、ハウス農家に対して、しっかり対応しているところもあれば、なかなか対応し切れていないところもあるかと思います。

 それで、昨今の急激な燃油高騰に対しては、直接的な支援制度、例えば燃料使用量に応じた補助金等を検討していただきたいと思っていまして、なかなか急激に価格が上がってきまして、もちろん、地元の農家の皆さんに聞くと、A重油だけじゃなくて、肥料も上がっているし、資材も上がっているし、例えば、今回、ウクライナで航空便が飛ばなくなったので、ヨーロッパから入ってくる花の苗もなかなか日本に着いていないということもあったりもして、結構、急激な価格高騰を、花とか野菜とか果樹の値段に転嫁できないところがあります。

 したがいまして、基準のA重油の価格に対して、増えた分の、例えば今回の農水省の施設園芸等燃油価格高騰対策でも、これは半分半分ですから、国が半分、もう半分は農業者ですから、基準価格に対して、A重油が高騰した部分の半分ぐらいはもう直接的に給付をした方が農家としては当座ほっとするかなと思うものですから、その点についての御答弁をお願いします。

中村副大臣 お答え申し上げます。

 原油価格高騰対策につきましては、経済産業省が実施している激変緩和対策によりまして、最大二十五円、これは施設園芸で使用されるA重油も対象として、価格の上昇が抑えられているところであります。

 さらに、施設園芸については、燃油価格の上昇に応じて補填金を交付するセーフティーネット対策を実施しており、先生からお褒めの言葉もいただきましたけれども、できるだけ多くの方に申請していただけるように、募集期間も長く設定をして取り組んできたところであります。更なる高騰に対応できるよう、積立額の上限も今回上げまして、省エネ機器の導入支援対策の拡充なども行っているところであります。

 大島先生御承知のとおり、地方創生臨時交付金ですとか、特別交付税措置ですとか、重層的な対策が用意されているところでありまして、引き続きまして、燃油価格の動向や生産活動に対する影響を注視しつつ、これらの対策を着実に実施してまいる所存です。

 農業者が安心して経営を継続できるような環境を整えてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

大島委員 副大臣、ありがとうございます。

 農家のことはよく取材をしていただいて、なかなか、先ほど申し上げましたとおり、すぐにマーケット価格、小麦とかあるいはスーパーマーケットで売っている食料品のように、なかなか転嫁がしづらいです、これは。ですから、今皆さんお困りなものですから、農水省としても、よく現場を見ていただいて、臨機応変な対応を今後準備していただきたいなと思っているものですから、その点をお願いをいたします。

 答弁しますか。どうぞ。

中村副大臣 今、農業資材、肥料ですとか、あらゆるものが生産コストが上がってきている、この状況の中で、政府が緊急経済対策を実施するという中で、生産者を支える政策をそこに盛り込むべく、農水省としても準備をしているところです。もちろん、この燃油高騰対策についても、その対象として大変重要なファクターだと思っていますので、そういったことも含めて、この緊急経済対策で生産者の皆さんに安心していただけるように頑張ってまいります。

大島委員 農水副大臣、ありがとうございました。ここで御退席をください。

 続きまして、標準と規格についての質問を久しぶりにさせてください。

 今、政府の方の認識を伺いたいんですけれども、先日、経産省の方から説明を受けまして、標準化をめぐる環境変化、新興国の台頭、主導権争いの激化と書いてありまして、政府参考人もよく承知をされている資料だと思います。ここの、今の政府の標準化をめぐる環境変化の認識について、御答弁をいただければと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 国際標準の獲得ということが、我が国企業が保有する技術、製品、サービスを社会実装する上で、そして、新たな市場を創出、獲得することを通じて、我が国産業の国際競争力の強化に極めて重要な役割を持っております。近年であれば、単なる製品の接合であるとか利便性の向上といっただけではなくて、環境問題であるとか、あるいは高齢化のような様々な社会課題を解決するとか、そういった上で、標準というのが重要になっています。

 そういう中で、いろいろな国が自らの標準を世界標準にしよう、世界標準にした上で市場を獲得しようということで、ヨーロッパもアメリカも、そして中国も、この国際標準の獲得ということに全力を挙げているという状況でございます。

 私ども経済産業省でも、こういった国際規格の原案作成とか、そして国際機関での規格の交渉、こういったものに対してサポートするということをやっております。また、国の研究開発プロジェクト、グリーンイノベーション基金などあるんですけれども、こういったことも、せっかくの研究開発の成果でございますので、これがしっかりと国際標準として取り入れられるように、研究成果の国際標準化、それから、そもそも国際標準というのは今言ったような重要なものなんだという、国際標準の重要性、活用方法、こういったものに関する周知啓発、人材育成、こういったものをやっているというところでございます。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

大島委員 この経産省の資料の中で、標準化対応で後れを取ったことで対応コスト増や市場機会の逸失等の事例も散見されると書いてあるんですけれども、これは本当のことでしょうか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 標準化によって新しい市場の開拓に成功した事例として一つ御紹介申し上げたいのは、装着型の身体アシストロボットの事例でございます。

 医療や介護の現場では、支える側、そして支えられる側、双方の身体的な負担が大きくて、腰痛になったり、今後の労働力不足も懸念されるということで、身体機能を改善したり補助したりするような装着型のロボットに対する期待は非常に高いものがございました。しかし、装着型のロボットの社会実装という局面では、このロボットが果たして安全に使えるものかどうかということを客観的に説明する手段がなかったということで、この説明手段の確立というのが課題となっておりました。

 そこで、私ども、装着型ロボットの研究開発と並行して、安全性に関する国際標準化というのを進めました。具体的には、装着したときに高温にならないようにする、あるいは熱源にはカバーをつける、それとか、電気が止まっちゃったときに膝がかっくんとかならないようにするとか、そういった安全性に関する条件や設計、こういったものについて定めた国際規格の開発を進めたわけでございます。

 これによって、安全性が確認された装着型ロボットという、過去には存在しなかった市場が創造されたわけでございます。この国際規格の発効後、ある装着型アシストロボットの開発企業は国内外の市場獲得規模を四倍にまで拡大してきたということで、こういったことが、標準化が市場開拓に成功した事例としてあるのではないかというふうに思っております。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

大島委員 若干、私の質問と答えが違っていたんですけれども。ここに書いてある、標準化の対応で後れを取ったことで対応コスト増や市場機会の逸失等の事例も散見と書いてありまして。

 私、実は、今から十五年前、二〇〇七年に、当委員会で甘利大臣と標準化、規格について議論をさせていただいております。今読んでも十分に堪え得る議論です、これは。

 その中で述べているのは、まず私の経験として、テクニカルコミッティーの下のサブコミッティーの下のワーキンググループの会議にミラノで参加したことがありまして、事務系なんですけれども、そのとき同行した技術者の方から、ISOについての考え方、非関税障壁をなくすという考え方とか、全部教えていただきました。

 当時の指摘としては、まず民間企業の理解です。民間企業の中だと、優秀な人は標準化とか規格化には要員を回しません。ですから、企業としての、もう十五年前なんですけれども、標準化、規格化の人員をしっかり増やしてほしいというお話をさせていただいたところ、甘利大臣からは、経済戦略だという認識を示されまして、当時、国際標準化官民戦略会議ということをやっているよという御指摘がありました。

 そして、私の方の指摘としては、次に、我が国を中心とする規格が確立するということで、我が国が主導権を取っていろいろな物事を決められるという発言をさせていただいています。

 今の例はサイバーダイン社だと思います。私も、八年前、つくばのサイバーダイン社、山海先生のところにお伺いをして、余りにも規格、標準化で話が盛り上がって、御飯も食べずに一時間半ぐらいお話を交わしたことがありまして、やはり、標準のオーナーになることが物すごく大切だということをやはり山海先生はよく理解されていました。オーナーになると、規格を変えるたびごとに世界中から膨大な技術データが集まってくるんです。だから、我が国として、標準化を作ること、我が国の規格を世界標準、ISOにするということが、規格としてのリーダーシップを取る、これが経済産業政策の根幹だというお話を、当時、十五年前もさせていただいているものですから。

 その中で、是非、今後やってほしいのは、もう一つは、規格というのはマフィア、グループですよね、規格マフィアと言っていいのかな、それぞれのワーキンググループなりテクニカルコミッティーごとに、日本を除いて、欧米各国はもう専属の人が出ているわけですよ。それぞれの方が何年間も何年間も出ることによって、そのグループの中で規格が決まっていくので、日本の社会の中においても、そういう人材を養成してほしいなということをお願いしている。

 ですから、やはり標準化を取るということが、NEDOの多分、資金を使って、今のサイバーダイン社のロボットが一つの標準にこれからなるのかしら、ということは非常に評価はするので、そういう成功事例をたくさんつくってほしいなと思っているんです。

 もう一つは、各国ごとに、これは新しい標準を作ることですよね。

 もう一つは、ISOとかIECにおける会長、副会長の出身国ということで資料もいただいているんですけれども、やはり戦略的に各国ごとにやっているわけですよ、これは。やはりヨーロッパ陣営は規格戦略ですから、もう私が駐在していた三十年前以上から。彼らはヨーロッパの中でヨーロッパのスタンダードを決めて、国際会議でそれをばらして、一国一票で投票するものですから、ヨーロッパ・スタンダードが世界の標準になるという戦略を、ヨーロッパはやり続けているわけです。

 それに気づいたのか、中国の方も新興国の方もIECの第三副会長とか会長になられたり、これはいいことだとは思うんですけれども、日本がもっとドイツとか中国とかカナダとかあるいは英国とか米国とか、もっともっとこういう会議に出ることによって、これは、会議に出れば、ここに出てくるテクニカル情報は全て集まってきますから、やはりこれこそが経済安全保障かなと思っていまして、今回の経済安全保障の分野の中に、特許はあったんだけれども、標準化、規格化がなかったことがちょっと残念だなと思っております。

 ですから、できるだけ標準化、規格化について、政府として取り組んでほしいと思っています。

 そのことについて、まず、大臣の認識を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 結論から申し上げると、私、先生の問題意識は極めて大事だというふうに思っておりますし、私自身も、国際標準というだけではないんですけれども、安倍内閣の時代から、ルールメーカーにやはり日本はなっていかなきゃならないということを常々公言をしてまいりました。

 今御指摘のとおり、中国も国際標準化の組織を強化していますし、我が国は現在でも、国際標準の議論が行われる、御指摘のあったISOですとかIECにおいて、各国と比較しても積極的な活動が展開できていると認識しています。

 テクニカルコミッティーやSCの運営を行う幹事のポスト数を見ますと、我が国は、今年三月時点で、ISOでは八十ポスト、IECでは二十三ポストを引き受けており、これらはいずれも世界第三位の引受数となっています。

 先生が十五年前にこのことを指摘していただいたことも功を奏して、二〇〇七年と比較しますと、大体、ISOでは二十六ポスト増えていますし、IECでは四ポスト増えました。世界順位も、当時五位だったんですけれども、三位にまで上昇してきております。

 国際標準の重要性が高まる中、引き続き、中国や欧州を始めとする諸外国は戦略的な取組を進めることも想定されますので、こうした国際的な動きに我が国が後れを取ることがないように、経産省としては、国際規格の開発支援ですとか人材育成支援などに取り組んでまいりたいと思っております。

大島委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 規格、標準という分野は結構地味な分野でして、特に、規格、標準の分野で国際会議に出ると、ドクター、博士号を持っていないと相手にされないところがあります。やはり、博士号を取るような人材育成が必要だと思いまして、国際標準化機関でのプレゼンスを維持するためには人材を送り込むことが大事であり、その育成は非常に重要だと考えております。

 例えば、国際標準化に関する活動に専属で対応できるような人材をプールする組織をつくるなどの支援が重要だと考えますけれども、その点についての大臣の御所見をお聞かせください。

萩生田国務大臣 国際標準化機関で活躍できる人材を国が組織的に育成し確保することは、非常に重要だと思います。

 このため、経産省では、ISOやIECでの国際標準化交渉の場で活躍できる若手人材の育成に、二〇一二年から取り組んできたところでありまして、これまで、延べ四百三十二名がこの人材育成講座を修了しています。また、こうした人材をネットワーキングを行う事業も行っておりまして、より実践的な経験を積ませる観点から、昨年度からは、ISO等の議長や主査などの重要ポストの経験者と実際の国際会議に一緒に参加して、OJTを受けることができる事業を開始しました。

 例えば、産総研では、従来から、研究員が国際標準の原案の作成などに取り組んでいますが、二〇一九年に標準化推進センターというのを設置をしまして、先端的な技術分野の標準化や、国内企業の市場拡大のための標準化を推進しながら、人材の育成、プールに取り組んでいるところでございます。

 さらに、産業標準化法、JIS法ですけれども、これに基づく審議会である日本産業標準調査会においては、標準化に関する今後の人材育成の在り方についても議論を行っておりまして、引き続き、産総研やNITEなど関係する独立行政法人とも連携しながら、必要な標準化人材の育成にしっかりと取り組んでまいりたいと思うんですけれども、先生おっしゃるように、こういう人たち、大学教授であったり企業人であったりして、ふだん違うお仕事をしていて、そして、国際会議に出てもらって、日本の国益を懸けてドンパチやってもらわなきゃならないというのは、すごく大変な仕事だと思うんですね。

 私、お叱りを受けるかもしれないんですが、国会議員の中に、若くして当選するんだけれども、その後なかなか続けて当選できない人っているじゃないですか、与党、野党を超えて、しっかりとしたキャリアを持っていて。そういう人たちに、もし国益に貢献したいんだという気持ちがあったら、是非こんな仕事をしてほしいなというふうに実は思っていまして、今いる、今のカテゴリーの中からスペシャリストを育てるとなれば結構大変なので、少し横出しをして、そういう人を育てていかないといけないんじゃないかと。

 さっき、ドクターのお話がありました。同じように、スペシャルアドバイザー・オブ・ミニスターなんという肩書も、やはり国際社会では通用するんですよね。したがって、こういう人たちもやはり生んでいく必要もあるし、それから、これはお願いなんですけれども、私ごときでも、やはり、国際会議に出れば、その場で場を制すこともできます。方向を変えることもできます。国会が始まるとなかなか国際会議の中でこういったルール作りの議論ができないというのが、日本の、ある意味、少し弱い点じゃないかと思っていまして、先日、理事の皆さんの御理解をいただいて、私、IEAとG7に出てきましたけれども、国会会期中であっても大事な会議はやはり大臣を、私がということじゃなくて、大臣や総理大臣を出すということも、日本の国会は与野党を超えて考えていく必要があるんじゃないか。その会議の場で大事なことが決まるということは、改めて我々、共に共有しなきゃいけないんじゃないか、こんなことも感じております。

大島委員 当方理事から、対応しているという御発言がありましたので。

 その中で、十五年前の議事録で、日本として独自の国際規格をアジアの周辺国の皆さんの協力を得ながら出してみるということも必要じゃないかという発言をしていまして、友達をつくることが結構大切です。識者の中には、EUと組んだ方がいいという発言もあります。やはりEUの、今の地球温暖化もそうですけれども、当時のこの議事録でも、京都議定書は一つの標準化戦略だと私は位置づけていまして、ですから、やはりEUと意見交換しながら、EUの中でコンセンサスをつくるということも必要かなと思います。

 先ほど大臣がおっしゃったことはそのとおりでして、多分、国会議員の経験者で、かつドクターの資格を持っていると、国際機関だとどこでも任用されると思いますので、そういう幅広い人材も必要だと思います。

 今日はここまでにしまして、引き続き、標準化、規格化については改めて議論を深めたいと思いますので、今日はここで終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、梅谷守さん。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 大臣を始めとする経産省の方々におかれましては、国益を守るべく日夜御尽力されておられますことに敬意を表させていただきますし、また、このコロナ禍で苦境に陥る日本経済の復活のために汗をとことんかかれておられますことに感謝を申し上げます。

 最後のバッターですので、もうこれでラストだということで、是非残りの力を振り絞っていただいて、そして熱い御答弁を期待をして、質問に移らせていただきます。

 まず一つ目ですけれども、中小企業対策についてお尋ねをさせていただきます。

 前回、三月四日の一般質問で、私、大臣の所信を基に引用させていただいて、そしてそれを基に、こう聞かせていただきました。これは、このコロナ禍において、危機において、中小企業を一つも潰さないという決意の表れという理解でよろしいでしょうかと。これに対して大臣は、事業者支援に万全を期してまいりたいと答弁。私からすれば、正面からお答えいただけなかったなという印象でした。

 そこで、しつこいようですが改めてお尋ねをさせていただきますが、このコロナ禍という未曽有の非常事態において、中小企業を一つも潰さないという決意をお持ちなのか、大臣の決意をお尋ねをします。

萩生田国務大臣 前回もお答えさせていただきましたが、新型コロナの影響が長期化する中で、多くの事業者は、様々な創意工夫を重ねながら、事業継続や新事業転換などの努力を重ねられています。このような事業者の皆様を、資金繰り支援、事業再構築補助金などにより、しっかりと支えていく決意です。

 同時に、増大する債務に苦しむなど、経営がうまくいっていない方の中には、収益力改善の取組を進めるとともに、事業再生や再チャレンジに向かう方もいらっしゃると承知しています。このような事業者の収益力改善、事業再生、再チャレンジを支援するため、中小企業活性化パッケージを打ち出したところです。

 このような各種の支援措置を事業者の皆様のニーズに合わせて迅速にお届けすることが重要であります。引き続き、新型コロナの影響の状況を注視しつつ、事業者支援に万全を期してまいりたいと思います。

梅谷委員 事業者支援のメニューをまた、前よりも細かくお答えをいただいたところはありがたいと思うべきなのかもしれませんが、やはり、この一つも潰さないという決意をお持ちなんでしょうかということには正面からお答えいただけなかったので、ちょっと残念ではございます。

 では、その支援メニューについてちょっとお尋ねを引き続きさせていただきますが、三月二十九日の閣僚懇で、岸田内閣が四月末をめどに、お配りの資料にもありますが、四月末を目途に具体的な施策の検討を取りまとめると公表されました。そして、昨日五日の物価高騰に対応する関係閣僚会議の初会合でも、岸田総理は四月中の取りまとめを改めて指示をされています。

 そして、この緊急対策の柱の一つに中小企業支援がございます。これは、三月四日に発表された中小企業活性化パッケージとは別なものなのか、別に新たに追加措置されるものなのでしょうか。お尋ねをします。

萩生田国務大臣 新型コロナの影響の長期化や、原油を始めとした資源価格の高騰などにより、中小企業の皆様の置かれている状況は引き続き厳しいものがあると認識しています。

 原油価格高騰等に伴う中小企業への支援策としては、三月四日に財務省、金融庁とともに公表した中小企業活性化パッケージとは別に、既に、全国千か所に、ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口を設置するとともに、日本公庫によるセーフティーネット貸付けの金利引下げなど、各種の施策を実施しているところです。

 その上で、三月二十九日の総理指示を踏まえ、原油価格、物価高騰等総合緊急対策における中小企業の資金繰り支援の内容については、現在進めているところでありますが、物価高騰に苦しむ中小企業に寄り添った対応をしっかりと行ってまいりたいと思います。

梅谷委員 今のお話だと、二十九日の前には千か所の相談窓口をパッケージに基づいて設けられたり、あとほかにも対策を打たれているということでして、今のお話からすれば、二十九日以降、原油対策という間接的な、まあ直接的ですけれども、柱の一つを間接的に得て中小企業支援とも言えなくもないですが、今のお話からすると、三月の四日のパッケージ以上のものが出ているとはなかなか思えないような話でした。

 この点、改めてもう一度お尋ねしますが、三月四日の中小企業パッケージ以上の、千か所の相談窓口もそうですし、今御検討中だというふうにおっしゃっていた金融支援の在り方についてもそうですけれども、その三月四日以上のものを三月二十九日を受けて御検討されているということなのかどうか、もう一度お尋ねさせてください。

萩生田国務大臣 燃料については今申し上げたとおりですけれども、それ以外につきましても、このウクライナ情勢の長期化などを見極めて、どういった支援が必要か、ここは注視をしてまいりたいと思っています。

梅谷委員 私は、実は、三月四日にパッケージを出し、そして、その後、二十九日に中小企業支援を四本柱の一つに据えて、そして、大々的に経済対策を行っていく、原油価格、原油に対する支援策を行っていくというふうに言いましたけれども、これはちょっと私、懸念しているのが、中小企業が四本柱の一つだとして、そして、また新たに追加支援が出るのかなというふうに思った事業者の方々が、それこそ千か所に配置をされた相談窓口に、新しい支援策は何なんでしょうかとどんどん問合せが来て、いや、それほど目新しいものは実はないんですというような話になった場合、現場の混乱も予想されるなということを実は懸念をしていまして、花火を打ち上げるべく堂々と、大々的に宣伝したはいいんだけれども、実は余りございませんでしたなどというやり方は厳に慎むべきだというふうに考え、今の質問をさせていただきました。

 その上で、いろいろなことを御検討中だということも今大臣からいただきました。

 そこで、今、落合委員の方からも話がありましたが、我々が先日、令和の徳政令とも言える通称コロナ債務減免法案、これを提出をさせていただきました。

 これは、中小企業家同友会全国協議会が会員を対象に二月に行ったアンケート調査によれば、新型コロナの実質無利子無担保融資は、返済が始まっている企業の四社に一社が返済に苦慮しており、今後返済が始まる三社に一社がリスケ若しくは借換えを希望しているとのこと。

 今の政府の対策ももちろん間違ってはいないんですけれども、返済猶予や追加融資では債務の圧縮にはつながらない。今後、返済時期を迎えて倒産、廃業、解雇が激増するのみならず、膨らんだ債務が今後長期にわたって足を引っ張り、事業者の再建、さらには経済全体の速やかな再生の障害になると私は考えています。

 このいわゆるコロナ債務減免法案は、かつての中小企業金融円滑化法をベースにしています。独立行政法人経済産業研究所が二〇一五年に行った実態調査結果によると、旧金融円滑化法の実績として、一、金融機関に資金繰り相談をする心理的抵抗感を弱めた、二、約半数の企業の倒産、廃業を防止、三、約二割の企業の大幅な人員リストラ、資産売却を防止した、こういうふうにあります。

 本法案は、一番懸念しなければならないモラルハザードの防止もしっかり盛り込むなど細部にまで配慮した、中小企業の事業者の方々にとって、私、現場を回っていて本当に思うんですが、今最も必要な政策だと確信をしています。

 これまで御省がやられている追加融資などのいわゆる足し算の支援策だけでなく、このような債務減免政策や減税など引き算の政策の支援も実行されるよう、大臣からも是非御理解そして御協力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 御党が提出している法案については、先ほど落合先生が詳しく説明していただき、資料も配っていただきましたので、承知はしておりますけれども、議員立法の中身について私がこの場でコメントするのは差し控えたいと思います。

梅谷委員 私が申し上げたかったのは、それはもちろん、議員立法ですから与党の先生方に協力をお願いすることが大前提ですけれども、政府として、また経産省として、今の課題、これをこの対策で是非御検討いただけないかという質問と、まあ要望に近いものですけれども、ですので、是非いま一度御理解また御協力をいただきますよう、政府の今後の支援策に盛り込んでいただきますよう、お願いをしたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 資源確保、備蓄についてです。

 質問に入る前に、ウクライナと私の地元との関わりについて若干紹介させていただきたいと思います。

 私の地元上越市には、直江津というところがあります。ここに日本製鉄株式会社直江津製造所があります。ここはかつて住友金属工業株式会社だったんですが、二〇一〇年に当時の新日本製鉄が住金と合併をして、ステンレス・チタン事業本部として、ステンレス鋼やチタン、そしてまた純ニッケルを中心とした特殊鋼を製造しているんです。

 十年前の住友金属直江津製造所時代、ウクライナから設備を購入したんです。どんな設備かといいますと、チタンの薄板から必要な部分を打ち抜いた、その残りのスクラップを溶かして、そして、電子銃、エレクトロニックビームというんですが、これを半真空の炉の中でぶつけることで溶かして、もう一度チタン塊、インゴットにしてまた再利用するということをやっていまして、ただ、これまではチタンスポンジという原料から製品を作っていたんですけれども、この最終工程で大量のスクラップが出てくる、このスクラップを再利用する技術、すなわちエレクトロニックビーム炉の技術が、ウクライナの今でいえばキーフにあるストラテジー社にあるということを知って、そこに買い付けに当時の社長が行かれたんですね。

 約二十億かかったと。ここに経産省の皆さんから補助金を出していただいた、とてもありがたいと感謝しておりました。当時の局長から、なぜウクライナから買うんだねと聞かれ、ウクライナにはその技術が潜在していたのでと答えたと言っていました。

 このスクラップの有効再利用は、今も日本製鉄直江津工場で稼働し、私たちの地域の雇用と経済に大きく貢献をしていただいていて、私からも心から感謝を申し上げる次第です。

 この購入後、しばらくは備品をウクライナから購入していたんですけれども、いろいろな不測の事態を考慮して、備品の国産化を進めてきたんです。この国産化するとき、彼らの、ウクライナ側の特許の中で、彼らとの信頼関係の下やり取りし、こういった努力が実を結んで、ウクライナのこの現状においても、今のところ純国産品で賄うことができているというんです。

 エネルギー資源の国産化と研究開発の重要性、これを示唆する事例として紹介させていただきました。

 本題に移らせていただきますが、まず、サハリン1、2についてお尋ねをします。

 岸田首相が三月三十一日の本会議で、サハリン2について、日本は撤退しない方針を表明しました。その後、サハリン1に対しても同様の姿勢を示しました。

 また、大臣におかれましても、四月一日の閣議後記者会見で、JOGMECや三井物産が権益を持つ北極圏のLNGプロジェクトについて、撤退しないと表明をされています。

 エネルギー安全保障上、日本が権益を持つ資源の確保、維持が極めて重要であることは、当然なんですけれども、理解します。ですが、現に、前も指摘しましたが、シェル、エクソンは撤退を表明し、ドイツを始めとするロシア依存度の高い欧州各国も、今後どうなるか、明確ではありません。そうした中、権益を維持するのか、それとも放棄するのか、それ以外の選択を取るのか、究極的にどっちに判断するにせよ、今この権益維持をするという、撤退をしないとする発信をすることは、G7始め国際社会の中で、私、大丈夫なのかなという懸念を実は抱いています。

 私は、もっと言えば、この表明がG7の合意の枠内に収まるのかと懸念しているし、今後の情勢変化によっては国際社会の非難を浴びかねないのではないかなと、実は心配をしている一人です。情勢が変われば柔軟に対応するという御答弁ももちろんあろうかもしれませんが、であれば、今、権益維持などと大見えを切る必要もなかったのかなというふうにも思います。

 そこで、大臣にお尋ねします。

 撤退しない表明について、タイミングを含め適切な判断だったとお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 私も当選一回ぐらいだったらそういう質問をしたかもしれませんね。

 サハリン1とサハリン2については、自国で権益を有し、長期的な資源の引取り権が確保できるものであり、エネルギー安全保障上極めて重要なプロジェクトです。

 仮にプロジェクトから撤退してしまうと、同水準の価格での代替調整は困難であり、一層の資源価格の高騰を招いたり、権益をロシアや第三国に取得されてしまうと、ロシアをかえって利することになり、有効な制裁とならない可能性が高いです。こうした考え方に基づいて、以前から、両プロジェクトから撤退しない方向性を示してまいりました。

 そうした中、先月二十四日に発表されたG7首脳声明では、各国それぞれの事情に配慮し、持続可能な代替供給を確保するための時間を提供する方針となりました。また、先月、欧州に出張し、各国閣僚とも会談した際、各国ともエネルギー安全保障の重要性を改めて強調しており、日本を含め、各国の事情についても理解を進めていただきました。こうした状況を踏まえて、今般、改めて撤退しない方針を明確にしたものであります。

 今後、我が国として、エネルギー安定供給を確保しながら、G7を始めとする国際社会と協調し、適切に対応してまいりたいと思います。

梅谷委員 報道では、日本政府関係者が、日本が手放した権益を中国が奪えば、日本だけがダメージを受けると述べたとあります。そのとおりなんでしょう。

 この表明直前に、三月の二十九日と三十日の二晩にわたって、経団連の十倉会長と総理が会食をされているんですね。その翌日の三十一日の朝にも、こちらは経済財政諮問会議という肩書を持ってでしょうけれども、十倉会長とまた会食、三日連続、意見交換を行っているんです。ちなみに、その前の、岸田総理が就任されて以降、動静を見ても初めてなんですね、十倉会長と会食をされているのは。

 そして、その上で、経団連会長は、サハリン2、撤退しない政府方針、現実的判断ということで新聞にも躍りました。考えたくないんですけれども、この問題は、国際社会での日本の立ち位置、戦略性を踏まえた大局的視点ももちろん必要だと私は考えています。この点、総理の聞く力が発揮され過ぎてはいないのかなと懸念するんですね。

 私はこう考えているんです、戦略的曖昧性といいましょうか、現時点ではっきりさせる必要はなかったんじゃないかなと。そして、それは撤退表明をする、しないにせよ、日本としてやるべきことは変わらないから。すなわち、我が国としてやるべきことは、代替国を探すとともに資源の国産化を急ピッチで図ることであって、その間の時間的猶予が問題だと私は考えているんです。

 私自身は、ロシア依存からいつまでに脱却するのかのロードマップを早急に策定するとともに、脱却によって傷つく企業に対する支援策を構築した上で、できるだけ早く撤退表明するのか、それとも、中国の動向などが気になるのであれば、せめて停止すべきではないかなというふうに考えています。このことは、先日、ゼレンスキー氏が国会演説した際、ロシア市場からの企業の撤退を求めたことにも呼応すると思います。

 今朝の報道によると、ウクライナで多数の民間人の遺体が見つかったとあり、これはもう国際人道法に違反するものであって、戦争犯罪とも言えるでしょう。ロシアに対する制裁は今後間違いなく強化されます。その中で、我が国として撤退しないというこのメッセージが国際社会の中でどのように映るのか。欧米諸国から厳しい視線にさらされかねやしないかというふうに考えますが、撤退しないを撤回することを含めて、改めて大臣の見解を伺います。

萩生田国務大臣 さっき、先生、お手元の資料で時系列のお話をしてくれたんですけれども、私、参議院の予算委員会で、もっとずっと前にこのサハリン1、2の扱いについては明確に日本政府の姿勢を示しています。したがって、総理の後、私が記者会見で言ったんじゃなくて、私の後、総理が国会で答弁をしたのでありまして、私、別に経団連の人たちに会ったからとか、全く関係ありません。

 これは政府としてきちんと考え、また国際社会ともしっかり連携を取りながら方向性を決めたことでありまして、ただ、これは戦争状態ですから、おっしゃるように、未来永劫、撤退はしないんだ、こういうことじゃなくて、今、足下では、撤退しない、それは結果としてロシアを利することになってしまうからということで、それはみんなお互い、G7、分かっているんですね。

 特にエネルギーの安全保障については、ヨーロッパなどはもっとロシアに依存しているわけですよ。これを直ちに、それは停止するのは、そのとおりだと言うかもしれないけれども、代替をするといったって、世界中で一遍にガスを、ロシアを止めて、その分、じゃ、どこで買えるんですか。それは、ドイツの人たち、生活できなくなっちゃいますよ。ポーランド、立っていられなくなっちゃいますよ。避難民の支援ができなくなっちゃいます。

 ですから、そこはやはり冷静にやっていかなきゃならないこともあるので、私、その冷静に判断している一つが日本のサハリン1、2であって、何も人をかき分けて、何が何でもこの権益は守り抜くんだということを勇ましく言っているわけじゃないんです。状況によってはいろいろな判断をしなきゃならないかもしれないんですけれども、そこは是非政府を信頼していただきたいということを参議院の予算委員会の場でも申し上げてきたところでございます。

 エクソンとシェルのお話をしましたけれども、私、ちゃんとフランスでエクソンとシェルの経営者、CEOとも話をしてきましたよ。だけれども、それはやはり国会で話をできないですよね。こういう話をしてきましたということはやはり、民間企業の皆さんだから、できないです。

 エクソンもシェルも、撤退を表明しましたけれども、撤退していないじゃないですか。今日も事業は続けています。そういうことを少し冷静に見ていただいて、ここは独りよがりで、日本が自分の価値観だけで事を決めているんじゃありません。もうG7と、私も、申し訳ないんですけれども、夜な夜なオンラインの会議にも出席していますし、また、私だけじゃなくて、外務省もしっかりやっています。したがって、日本が国際社会に説明している内容というのは、私は間違いなく皆さん理解してくれていると思います。

 ただし、今後、制裁を強めていく、あるいは依存率を下げていく、こういうことは自然の流れの中で必要なことなので、そこは国際社会とも協調しながら、できることを順序立ててやっていきたい、こう思っているところです。

梅谷委員 状況を見てあらゆる判断をされたいというふうにおっしゃっていたので、それを期待するところなんですが。

 G7の合意は、各国それぞれの事情に、今日お配りの資料もありますけれども、日本は、撤退しないとしつつ、G7の方針に沿ってロシアへのエネルギー依存を低減するべく、更なる取組を進めていくとしています。他方、G7合意が、各国それぞれの事情に配慮し、持続可能な代替供給を確保するための時間を提供することとしている。

 この点を事務方に確認したら、日本は、この中のリデュース、削減する、減少させるというところに焦点を当てて、もちろんゼロでなく、削減で表明しているから合意の範囲内にある、枠内にあると言うんです。確かに、フランス企業も権益維持派ですから、日本だけが批判される状況にはないと思います。

 私が申し上げたかったのは、先ほど、今すぐになんて大臣おっしゃっていましたが、そういうことでなくて、いかにこのロードマップを、表明する、しないにしろロードマップを策定して、そして、そこにどれだけの時間的猶予が必要なのか、それをG7は合意として示唆しているのかなと思って、これは読み方によりますけれども、私は、G7は、そこのまさに時間的な部分を、諸外国の事情を検討されたしというふうに、私はちょっと受け止めたんですけれども。

 その上でお尋ねしますが、昨日の夕刊にこういう記事が躍りました。イギリスのエリザベス・トラス外相が四日、六日から開かれるNATO外相理事会とG7外務大臣会合で、ロシア産原油や天然ガス輸入禁止に向けた工程表作成や、ロシア船の入港禁止措置を呼びかける方針を示したとされます。

 このイギリス外相の呼びかけについて、政府としてどのように対応するつもりなのか。これは通告していないので、お答えできないとなったらもうしようがないんですが、お尋ねをします。

萩生田国務大臣 まず、報道については承知していますが、今後の外交上のやり取りについては、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、我が国としては、これまで、ロシア制裁について、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して対応しているほか、ロシアへのエネルギー依存度の低下についても、G7首脳声明の方針に沿って取組を進めています。今後とも、引き続き、国際社会と連携して適切に対応してまいりたいと思います。

 御指摘のように、英国の外相の発言はそうなんですけれども、英国のエネルギー担当大臣の発言はまた違うわけですよね。ですから、国の中でもやはり担当者によって意見が違って、閣内は我々一致していますけれども、例えば私が所属している自民党の中でも、それは撤退を急ぐべきだという意見もありますよ。

 ですから、そこは、先ほど申し上げたように、ちゃんと俯瞰して、冷静に、国際社会と足並みをそろえて、できることはきちんとやっていきたいと思います。

梅谷委員 承知しました。

 次に、ルーブル払いについてお尋ねします。

 プーチン大統領が、三月末、ルーブル払いを義務化するという大統領令に署名しました。こうなると、サハリン1、2から撤退しないということは、ルーブル払いになる。しかし、G7は、三月二十八日のエネルギー大臣会合、日本も含みます、これで、ルーブル払いは拒否する旨を合意、表明されました。

 したがって、日本だけがルーブル払いに応じるということは、G7の足並みを乱す可能性があって、基本的には日本政府もこれを考えていないことと思うんですけれども、ここでお尋ねしますが、ロシアに対してルーブル払いに応じる余地があるのかないのか、ない場合はどのような対応をするのか、政府の考えをお聞かせください。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 三月三十一日付の天然ガスのルーブル払いに関するロシアの大統領令でございますけれども、それにおいては、気体の状態にある天然ガスが、非友好国の者又は非友好国を登録地とする者に供給する場合にルーブル払いを義務づけるとしていると承知しております。

 このようなロシア側の措置については、委員御指摘のとおり、三月二十八日に開催された臨時のG7エネルギー大臣会合におきまして、ルーブルでの支払いを拒否すること、及び、既存のガスの供給契約ではユーロやドルでの支払いが規定されており、この契約を尊重する必要があることを再確認することを盛り込んだ閣僚声明を採択しており、ロシア政府による一方的な契約変更は認めることができないと考えております。

 我が国といたしましては、ロシア側の動向を注視するとともに、引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 このロシアの、実際には、私が聞いている限り、外国企業が外貨を、ロシア銀行にドルで振り込んで、銀行がルーブルに両替してガス会社などに支払う仕組みだということで、日本企業にとってはそこまでの影響がないのかなと思うんですが。

 今日の新聞にも躍りましたが、アメリカ、ロシアのドル払い禁止の記事が躍りました。これは、米国の金融機関が保有するドルを使って国債の償還だったり、また利払いを禁止する内容なので、これも我が国には直接的に影響はないんですけれども、ここから先を注視しなければならないなと思うのが、アメリカでドルでのロシア銀行向け送金も全面禁止だなんという話になってきたら、これこそとんでもない話であって、我が国も、ロシア向けドルが送金ができなくなる。また、EUが同じ措置を取ったら、ユーロ払いもできなくなる。こうなった場合に、仮にロシアから原油やガス、穀物、メタルを買う必要があれば、もしかしたら人民元ベースでの支払いが選択肢となるかもしれない。

 こういったいろいろなことを想像しながらやられているとは思うんですけれども、是非、あらゆる事態を想定した対応をお願いをさせていただきたいと思います。

 済みません、資源の代替調達先と、あと、国内鉱山の資源開発への支援、資源備蓄についてはまた別の機会にちょっと質問させていただくとして、前回質問できなかったeスポーツについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私は、eスポーツに新たな成長領域、本当にすごく大きな可能性を確信している者の一人です。そして、議連にも参加をさせていただき、また、eスポーツ連合、JeSUにも、本部の方にアポイントを取って直接行かせていただいて、幹部の方と意見交換もさせていただくなどしております。

 今、私が何をしているかといいますと、私の地元の新潟六区で、関係者とともに、eスポーツ大会をどうやるとか、また、そのベースとなる組織をどうするとか、そういうことを水面下で関係者と協議をし、じわじわと進めているところなんです。

 これまで、何人かの先生方がこのeスポーツについては国会で御議論され、議事録を拝読すると、本当にいろいろな論点がきちっと網羅されていて、大臣からも熱い答弁がそこには載っかっていたりして、なかなか聞くところが少なくなってきたなというところがあるんですが、その中でも、少しでも議論されていない論点について最後お尋ねをさせていただきますので、少しでもeスポーツの可能性が開かれることを期待し、また、今日は副大臣からも御出席いただいていますので、質問させていただきたいと思います。

 eスポーツのスポーツとしての位置づけに様々な議論があることは承知をしています。ですが、例えばアメリカでは、科学、工学などの教育効果に期待して、STEAM教育として位置づけています。我が国の教育現場でも、青少年の交流、情報教育、論理的思考など様々な教育効果を認め、教科教育や課外活動などで様々な取組が行われており、また、eスポーツのコースを設けている専門学校もあります。

 そうした中で、お尋ねします。

 eスポーツを含め、ゲームの教育的意義、教育効果について理解促進を図っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

池田副大臣 梅谷議員にお答えをいたします。

 いわゆるeスポーツをめぐりましては、ビデオゲームなどの単なるゲームにすぎないのではないか、そういった指摘がある一方で、既にeスポーツと銘打った様々な大会が開催されておりますことは承知いたしておりまして、国内外で様々な見解が示され、議論が行われているものと認識しているところでございます。

 例えば、国際オリンピック委員会、IOCにおいて昨年の三月の総会で採択されたオリンピック・アジェンダ二〇二〇プラス5では、いわゆるバーチャルスポーツには身体運動を伴うものと身体運動を伴わないものの二つの形態があって、これらをビデオゲームと区別することが重要であること、そしてまた、若者のスポーツ参加を促進する観点から、各国際競技団体がビデオゲームとは異なるバーチャルスポーツとの連携を図ることに意義があることなどの見解が示されているものと承知をしております。

 文部科学省といたしましては、現状、いわゆるeスポーツを教育課程上の体育としての位置づけはしておりませんが、スポーツの観点では、IOCを始めとする国内外の議論やスポーツ団体の動向、政治レベルで進められる様々な議論も踏まえつつ、関係省庁とも意見交換しながら、eスポーツの捉え方を含め、バーチャルとスポーツとの関係について引き続き検討を進めてまいりたいと存じております。

 なお、eスポーツを含めたゲームについては、教育課程外の活動である部活動で取り組んでいる学校や、プログラミング教育に取り入れている事例があるものと承知をいたしております。

 一方で、視力低下などの健康面への影響、学力、体力との関係性などにも十分配慮する必要があることから、eスポーツを含めたゲームの活用については、児童生徒の実情や保護者の理解等も踏まえ、慎重に検討していくべきものと考えているところでございます。

古屋委員長 梅谷守さん、時間が来ております。

梅谷委員 はい。

 副大臣、力を振り絞った熱い御答弁、ありがとうございました。

 夢はプロ野球選手といった子供と同じように、このeスポーツ選手も、夢見る子供が真っすぐ進めるような環境であってほしいということを期待をし、大臣、済みません、最後の御答弁、失礼しました。私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次回は、来る八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十九分散会


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