衆議院

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第8号 令和4年4月8日(金曜日)

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令和四年四月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 落合 貴之君

   理事 山岡 達丸君 理事 小野 泰輔君

   理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      石原 正敬君    岩田 和親君

      大串 正樹君    加藤 竜祥君

      上川 陽子君    国定 勇人君

      国光あやの君    國場幸之助君

      塩崎 彰久君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    中川 貴元君

      中野 英幸君    西村 明宏君

      長谷川淳二君    星野 剛士君

      堀井  学君    山下 貴司君

      山本 左近君    荒井  優君

      梅谷  守君    大島  敦君

      菅  直人君    末次 精一君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   内閣府副大臣       細田 健一君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     益田  浩君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            石田 晋也君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 川窪 俊広君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    太田 雄彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           平井 一彦君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     塩崎 彰久君

  西野 太亮君     長谷川淳二君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     加藤 竜祥君

  長谷川淳二君     石原 正敬君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     西野 太亮君

  加藤 竜祥君     小森 卓郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長益田浩さん、金融庁総合政策局審議官石田晋也さん、デジタル庁統括官冨安泰一郎さん、総務省大臣官房審議官川窪俊広さん、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官太田雄彦さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省産業技術環境局長奈須野太さん、経済産業省製造産業局長藤木俊光さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁事業環境部長飯田健太さん、中小企業庁経営支援部長佐々木啓介さん、国土交通省航空局安全部長平井一彦さん及び環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岡達丸さん。

山岡委員 衆議院議員の山岡達丸と申します。今日は質疑の機会をいただきました。

 質問通告はしてあったんですけれども、追加で昨夜のことを質問通告させていただきましたので、そのことを冒頭ちょっと質疑をさせていただきたいと思います。

 昨日、総理が会見でも発言されましたが、いわゆるIEAの、国際エネルギー機関の一億二千万バレルの石油の備蓄放出に協調して、日本も一千五百万バレルの放出をすると表明されています。一九七八年以来初めて国家石油の備蓄の放出ということで報道もされておりますので、委員の皆様も御存じのとおりだと思います。

 その総理の発言によれば、もちろんこの千五百万バレルのことが初であるということ、このこともお話しされているんですけれども、この放出量は、アメリカの六千万バレルに次ぐ規模の放出量であるということ、そしてまた、この発言の中に、エネルギー市場の安定化は重要であるという、市場のことにも言及されながら今回の放出を説明されているというのが昨夜の状況でございました。

 この国際的な協調の中で、今の、今般の事態を考えたときに、協調の放出をするということについては十分理解を示すところではあるんですが、一点確認しておかなければならないなということを思うのは、日本の法的な枠組みのことについてです。

 皆様も御存じのとおりですけれども、石油の国家備蓄もきちんとした法律の中で規定されているわけであります。いわゆる石油備蓄法とも言われますが、オイルショックの後に制定されたということで、言うなれば日本国民の石油の不足時に対応するためのものということで、備蓄の放出にも法的なルールがあるということになっています。

 三十一条には、今、要約して御紹介するんですけれども、言うなれば、我が国の供給不足状態である、あるいは、災害が発生したときに、その特定の地域に不足状態が発生したとき、これを放出すると。つまり、真に国として手に入らないときなどに限定しているという法律になっているのではないかということが法律上の状況なのではないかなということが考えられるわけであります。

 総理がいわゆる市場の安定化ということにも言及されたということで、報道も価格高騰への対応のためということを、こうした報道もされているわけでありますけれども、仮に価格高騰のための対応ということであれば、この放出というのは、法律に照らし合わせて、これは大丈夫なのかということになるわけであります。

 前提として、この国際協調に十分な理解を示すわけでありますけれども、今回、大臣に、この経過もそうですが、ここの部分について冒頭ちょっと御説明を願えればと思います。

萩生田国務大臣 昨晩、総理から発言もあったようではございますけれども、先週開催されたIEAの臨時閣僚会合での合意を踏まえて、一億二千万バレルの石油備蓄の協調放出をIEAが決定をいたしました。

 現下のウクライナ情勢などを鑑み、今回の協調放出を実効的なものにすることは重要でありますし、また、国際社会が一致団結して行動することが重要であり、我が国としても、IEAや関係国と調整を行った上で、米国に次ぐ一千五百万バレルの放出をすることにしました。

 具体的には、国家備蓄から九百万バレル、民間備蓄から六百万バレルの放出を行ってまいります。国家石油備蓄については、一九七八年に国家備蓄制度が始まって以来、初めての放出となります。

 これは、世界第三位の生産国であり最大の輸出国であるロシアからの供給不足は世界の原油供給に多大な影響を与えるとのIEAの評価を踏まえ、石油備蓄法上の石油の供給が不足する事態が生ずるおそれに該当するものと判断したものであります。

 今先生が御懸念を示されたことは、我々政府もよく理解をしております。市場に影響というのは、これはやや不測的な問題でありまして、もっと大きく言えば、今、産油国に対して増産のお願いをしているという、一方でプロセスがあります。そういう中で、協調放出することによって、結果、一時的には市場に影響を与えることは事実だと思いますけれども、それは、私、一過性のものであって、そのことで国際的な石油価格が一気に下がるということではないと思うんですね。ですから、それよりも、そういう努力をしながら産油国に対して増産をお願いするということは、空いたタンクはいつか買っていかなきゃならないわけですから、そういうことも含めて市場というワードを総理は使われたんだというふうに思います。

 私も会議に出させていただいて、ロシアからの輸入を低減していこう、プレッシャーをかけていこうということは、みんな、国際社会で決めているんですけれども、直ちに代替国を見つけられない国もあるわけですから、そういう国に対しても、こういった、国際社会で備蓄を放出することによってその穴を埋めていく、そういう役割も一つあります。

 もちろん、今高騰している石油価格を抑えるために、少しは市場に影響があると思う方も当然いらっしゃると思います。しかし、その心はといったら、産油国に対して増産の要請をする中で明確な使い道を示すことで、これは世界中で一億二千万バレルのタンクが空いてくるわけですから、それはやはり買いますよということの意思表示にもなると思いますので、そういうことで全体の増産を促していくことにも大きな効果があるのではないかと思っておりまして、そういった準備を粛々とやっていきたいと思っています。

山岡委員 大臣から御答弁もいただきました。

 国際的な意義等は我々も十分理解するところなんです。ただ、一九七八年の法律ということで、当時、こういうことは想定されていなかったんだと思うんです。法律をいろいろ読むと、やはり日本国民のための、本当に不足時における状況を規定しているというのが当時の時代背景だったのかなと。

 その中で、今お話ありましたけれども、我が国への供給不足というのが世界的な不足への懸念ということになぞらえてやるという整理という御説明もありましたけれども、これは必要であればやはり法改正すべきなんじゃないかなということを申し上げたいと思います。

 この国会の期間、政府が提出した法案以外にも、ウクライナ情勢に合わせて、関税法等の改正等も議論に上がっておる、政府からの提案であるということでありますので、これはお話ありましたけれども、国際協調のこういうケースがあり得るということをきちんと今後のためにも法律に規定する、それが重要なのではないかなと思うわけでありますが、大臣、せっかくなので、法改正の必要性等の検討について一言願えればと思います。

萩生田国務大臣 国際協調の中での放出で、今回初めて、国家備蓄のタンクに手をつけるということが初めてであって、過去には、同じ備蓄の中でも民間備蓄を、一九九一年の湾岸戦争ですとか、二〇〇五年の米国のハリケーン・カトリーナ、あるいは東日本大震災、リビアの状況の中で、過去にも放出したことはあるんですね。

 したがって、今回、民間だけじゃなくて、国家備蓄の方のタンクも空けようという決断をしたんですけれども、先生おっしゃるように、ずるずる適用の判断が広がるということは決して望ましいことじゃないと思いますので、法改正まで必要なのかどうか、あるいは、今回、この放出をするに当たってのプロセスも含めて、省令や政令などにしっかり書き込んでおくことによって次の時代の人たちにもバトンタッチできるのか、その辺は、決して否定することじゃございませんけれども、御意見として重く受け止めておきたいと思います。

山岡委員 世界的なこんな状況が度々起こるとは思っておりませんけれども、しかし、今後も起こり得る、あり得るということでしょうし、このウクライナ情勢に絡んで更なる国際協調の要請が出される可能性もあるというのも、これはあり得る話でございまして、そのときに、今の話に照らした、今の法律の備蓄法、備蓄をする、国家備蓄はもう間違いなく法律のルールがあり、放出のルールがありますので、それで堪え得るのかということは是非早めに検討いただいて、本当にこういう事態でありますので、法改正等の国会の日程等に関しても我々は協力する、もしそういう方向であれば。そのことも個人的には、これはまた皆さんで諮らなければいけないですけれども、感じる次第でありますので、そこの検討はしっかりお願いできればと思います。

 本題といいますか、本日、質問通告したテーマに入らせていただきたいと思います。

 今のウクライナの話にも絡むんですけれども、非常にウクライナ情勢、このことによって、日本国内の経済、物価の高騰、分かりやすく言えばガソリン価格が非常に高騰する中で、様々、政府も含めて手を打っているというのが現状だと思っております。

 しかし、今回質問させていただくテーマは、コロナの中での中小零細事業の今の状況というのを、改めてこの委員会の中で確認していきたいと思っております。

 最近のニュースの中で、ウクライナ情勢による物価高騰とかそうしたことに今報道が強まっているんですけれども、しかし、そもそもこの物価高騰は、昨年の秋、コロナが世界的に一時収まった中で、まず需要の拡大が急激に起こったこと、そしてサプライチェーンが、これはコロナの中で回復していないこと、こういう中で需給が逼迫する中で、様々起こっている。その結果として、やはり中小零細事業者、本当に厳しい、コロナ後の、人の人流も止まり、でありますけれども、コロナの影響でこうした価格にも影響し、本当に厳しい状況になっている。

 そして、つい先日の三月まで蔓延防止でしたけれども、これが明けたとはいっても、その状況を、私自身、また地域を歩いていても、感じないということを思うわけであります。

 改めて大臣に認識を確認させていただきたいんですけれども、現下の経済情勢、特にこの物価高騰、コロナの影響もあるのではないかという私の考えも含めて、中小零細事業者、この置かれた状況に対する大臣の基本的な今の認識をちょっとお伺いさせていただきます。

萩生田国務大臣 新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛などの行動制限の緩和が世界的に進み、経済活動の回復が進む中で、原材料価格は上昇基調で推移しています。さらに、足下では今般のウクライナ情勢を受けて原油や穀物などの国際価格が高い水準で推移しており、これらを背景として物価が上昇していると思っております。

 御指摘の中小企業、小規模事業者を取り巻く経済環境については、ある民間の調査によると、約四割の中小企業がコロナ禍前の二〇一九年と比べて今年一月の売上高が増加したという調査結果がある一方で、日銀の短観ですとか中小企業景況調査では、今年一―三月期の中小企業の業況判断DIが昨年の十月―十二月期から悪化しているという判断もあります。これは、オミクロン株の感染拡大による影響のみならず、原油、原材料価格の高騰の影響などを反映したものと認識しています。

 今後の業況については、先行きを厳しく見通している日銀短観、やや明るく見通しをしている法人企業景気予測調査など、調査によって見方が分かれることがありますが、引き続き、ウクライナ情勢、原油、原材料価格の動向とこれに伴う物価変動、それから、昨日、実は先生のお地元の知事や経済界の皆さんがお見えになりました。やはり北海道は、今回のことのみならず、古くからロシアとの貿易ですとか様々な取引をしている関係で、これはコロナとは違う影響で、経済、非常に先行きが、見通しが厳しくなっているということを生声で聞かせていただいたところでございますので、地域地域の事情の違いもあるんだと思います。

 こういったこともよく俯瞰しながら、新型コロナの感染状況など、各種の要因が中小企業に及ぼす影響をしっかり注視してまいりたいと思っております。

山岡委員 大臣から今、北海道の声も聞いていただいているというお話がありました。大変ありがたく思っております。

 大臣からのお話の中で、物価高騰の要因の一つにはコロナもあり、そして足下もウクライナ情勢もありというお話がありました。特に北海道はその影響を受けているというのも事実でございます。これから、コロナの流れをくむ中で、やはり中小零細事業は厳しいという中で、これまでコロナに対しての様々な経済対策を打ってきましたけれども、やはり更なる措置が必要だということを、この場でも私の立場からも申し上げさせていただきたいと思っています。

 事業復活支援金というのを実施いただきました。我々は持続化給付金再支給という議員立法を出しておりましたが、政府の予算書上は、持続化給付金という名前の中で事業復活支援金という通称名、事業名をつけて実施されたものということを理解しております。

 事業復活という言葉に込められた思いは、私が思うに、これは、コロナが終わって事業を復活していってほしい、そのことを込めたのではないかなと思うわけでありますが、予算を組んだのは昨年の十二月です。その頃はオミクロンの状況ではなかったわけでありますね。その後、蔓延防止が広がって、去年は、蔓延防止とか緊急事態宣言には、それぞれ、月次支援金、一時支援金、別途の措置をしてきたわけでありますけれども、そのことじゃなくて事業復活支援金をやるんだということになってきたわけです。

 そして、今、その状況になった中で、去年だったらそういう月次とか一時をやってきた中でありましたけれども、でも、今は事業復活支援金の枠組みがあるから、まずはそれを皆さん取ってくださいということになっているんだということを理解をしているわけであります。

 しかし、御存じのとおり、事業復活支援金は、この三月までの売上げを見て、そしてそれに対する給付ということになっているわけでありますが、四月以降のことについては、この売上げに対しての措置は今の段階においてはまだ見えていないわけであります。我々は、議員立法として、いわゆる事業復活支援金の倍増ということで、一回のみならず二回以上やるべきだということも含めた議員立法を作らせていただいて、提出させていただいているわけであります。

 この事業復活支援金、要件が当然あるわけであります、売上げ五〇%減と。地域とか事業は問わないわけでありますけれども、コロナの影響による売上げ五〇%減。仮に売上げが落ちなかったら申請する必要はないわけでありますし、申請しない方が多くいるということは、それはコロナ後の経済が回復しているということでございます。

 しかし、枠組みがあれば、この後、大変厳しい状況になっても、あるいはコロナが再度広がっても、この制度があるから事業は安心して継続できるということが中小事業者の間でも広がるということになるわけであります。今、三月までしかありませんが、四月以降の枠組み、例えば二回ぐらいに分けてこの措置をつくっておく。使うか使わないかは売上要件に懸かるわけでありますから、それはそのときの経済状況次第でありますけれども。

 今、経済対策の議論も政府内でも始まっているということでありますけれども、大臣、是非、この事業復活支援金の枠組み、再実施、再々実施、こうしたことを踏まえた大型の予算、これを経産省から声を上げていただきたいと思います。強くお願いさせていただきますが、いかがお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、新型コロナの影響により厳しい経営状況にある事業者に対して、昨年十一月から三月までの五か月間を対象として、使途に制限のない現金を給付するという、臨時異例の支援策です。

 この支援金については、一月末から申請受付を開始しまして、四月七日時点で、約九十六万件の申請をいただき、約七十七万件、約五千六百三十七億円を事業者の皆さんのお手元にお届けしています。五月末までの申請受付を予定しておりまして、引き続き、迅速な給付に全力を挙げてまいりたいと思います。

 加えて、中小企業に対する支援としては、四月以降も、実質無利子無担保融資や資本性劣後ローンなどで資金繰りを支えるとともに、中小企業活性化パッケージに掲げられた施策を実行に移し、収益力改善、事業再生、再チャレンジを後押ししてまいります。

 また、新分野展開等に活用できる事業再構築補助金については、支援内容を充実した上で、現在、公募を実施しています。

 さらに、足下の原油高などを踏まえ、既にセーフティーネット貸付けの要件緩和や金利の引下げなどを実施をしているほか、三月二十九日の岸田総理からの御指示を踏まえ、現在、物価高騰等への対策について、政府全体で検討しているところでございます。

 引き続き、四月以降も、厳しい状況に直面する中小企業に対する支援に万全を期してまいりたいと思います。

 その上で、給付金の今後の取扱いについては、新型コロナの感染状況や、これを踏まえた緊急事態宣言の発令等の政府による措置内容のほか、他の支援策の動向も注意しながら給付金制度の趣旨を踏まえて判断していきたいと思いますし、今先生もお話しされましたけれども、この制度をつくったときと今では状況が違うというのは十分認識しておりますので、その中で、何がいいか、何ができるか、それはしっかり考えていきたいと思います。

山岡委員 是非、繰り返しになりますけれども、当然制度には要件があるわけでありまして、売上げ五〇%減、まあ三〇%減も見ていただくことになっているわけでありますけれども、通常で考えればそうそうない事態ということになるわけでありまして、枠組みさえつくっておけば、本当に事業者は安心して経営できる。様々なパッケージをつくっていただいているのはよく承知していますけれども、これは強く、私の立場からもこの委員会の中でも申し上げさせていただいて、要望させていただくことであります。

 これまで二年間コロナが続く中で、幾つか課題も見つかっていて、この委員会でも様々議論がなされていますが、今回、昨年の一時支援金、月次支援金について、今になって関係者の声を聞いて課題だということが分かったということについてちょっとお伝えをしながら、この課題についても、今、委員会の中で確認をしていきたいと思います。

 いわゆる一時支援金、月次支援金は、緊急事態宣言が全国で発令されるのではなくて各地域別に発令されるということになって、その地域内の事業者やあるいはその地域と取引をしている事業者等が売上要件の中で落ち込んだときに対象になる、そういう枠組みだったわけであります。

 ところが、この緊急事態というのは、各地域にも出されているわけでありますけれども、世界から見れば、日本が緊急事態宣言が出されている地域でもあり、日本の政策として、水際対策として、外国から人がほとんど足を運ばない、オリンピックをやっていても運ばないという状況が続いていました。

 そうした中で、国家資格の全国通訳案内士という資格を持っておられる方々が、外国人の方がいらしたときに、京都とか、そうした観光地で案内をする、この方たちが、この月次支援金、一時支援金の枠組みに一切入らないということが、これは私も後から言われて気づいたので、当時の委員会で取り上げられなかったことが悔やまれるんですけれども、そうしたことが分かりました。

 そして、QアンドAを経産省も、月次支援金、作っているんですけれども、この中にも、宣言地域外や海外からの人流が減少して売上げが減少した場合は給付対象になりますかという質問に対して、なりませんと一言、つれない回答が書いてあるわけです。ほかの場合は、この場合はこういうふうに工夫すればなるかもしれない、あるかもしれないということを書いてあるわけでありますけれども、ここは明確に要件の中に海外からの人流の減少は対象にしないということが入ってしまったがために、本当に昨年厳しい中で、確かに、言われてみれば、外国人の御案内を業としている方々だって、ほとんど仕事がないという中であっても、支援金が、この給付金が当たらないという状況が続いてきてしまった。

 そうした中で、事業復活支援金は業種を問いませんから、これは申請をされているわけでありますけれども、経産省には、どうしてこうなったのかという経過も伺いたいところなんですが、やはり、今後、この給付金の枠組みをつくるに当たっては、こうした方々をつくってはいけないと思うんです。ですので、事業復活支援金の枠組み、いわゆる業種を問わない、地域を問わないということをやるべきなんですが、経産省、まず事実関係を少し話していただけますか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、通訳案内士の方々についての御質問でございますけれども、先生今御指摘ありましたように、昨年一月以降の緊急事態宣言などに伴う措置では、飲食につながる人流の流れを制限する対策、これに重点が置かれておりまして、休業、時短営業や、それから外出自粛などの要請が各自治体から発出されていた。一時支援金、月次支援金は、こうした措置を踏まえて、飲食店の休業、時短営業や外出自粛などの影響で売上げが大きく減少する事業者を支援する、こういう趣旨で措置された事業でございます。

 こうした趣旨に鑑みまして、こういった休業、時短営業の飲食店と取引をしている事業者、幅広い業種を対象として支援金をお届けしたんですが、御指摘の通訳案内士を含めて、一部の事業者では、緊急事態措置等に基づく休業、時短営業や外出自粛などの影響により売上げが減少したと言えない場合があって、結果的に給付対象とならなかったというふうに承知をしております。

 QアンドAの書きぶり等の適切性については、また、もし御不快な思いをさせられた方がいらっしゃれば、おわびして、これからは気をつけなければいけないと思っておりますけれども、まさに今御指摘ありましたように、事業復活支援金は、渡航制限などによる訪日渡航者の減少による売上減少、これを含めております。

 したがいまして、御指摘のあった通訳案内士の方々も、要件を満たせば申請することが可能でございまして、まだ五月末まで申請受付を予定しておりますので、新型コロナの影響で売上げが大きく減少する事業者の皆様には是非御活用いただきたいと思っております。

山岡委員 QアンドAの書きぶりをあえて言いましたが、そのことよりも、やはり要件に当たらないことの方が問題だと思っておりまして、これは、我々も昨年の段階で取り上げられなかった、本当に様々な、困っている方が多くいらっしゃって、皆さん懸命に奔走していた中でこういう状況が生まれたということを改めて感じるわけであります。

 大臣、一言伺いたいんですけれども、是非今後、まだ仮定の話になっちゃうかもしれませんが、給付制度を考えていくに当たっては、もしかしたら財政当局がいろいろ言ってくるかもしれませんが、これは、やはり広く、きちんとシンプルな要件で当たるようにしていく、そのことを是非踏まえていただきたいんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 ちょうど、コロナが始まったとき、私は文部科学大臣だったんですけれども、例えば、文化や芸術やスポーツの関係者で、我々、霞が関で考えているのと違う働き方、業務形態というのはたくさんあるんだなというのを、正直恥ずかしいぐらいに知らないことがたくさんありました。ややもすると、今までの概念で制度をつくると、その隙間に落ちてしまう人たちがいて、その人たちは立派な仕事をそれぞれしているんだということを私自身も感じたことがあります。

 今先生が御披露いただいた通訳案内士の方たちも、まさに、日本がインバウンドを増やしていこう、観光立国として日本を前に進めていこうという国の政策を信じて多分この仕事に就いたり、仕事に関わった人たちだというふうに思いますので、そういう人たちの声をしっかり受け止められなかったというのは我々も反省しなきゃならない点だと思います。まさしくそのために全国から国会議員、我々代議士が選ばれるわけですから、これは与野党を超えて、そういう声をしっかり拾っていかなきゃいけないなと思っています。

 遡及をするような制度じゃないので大変申し訳ないんですけれども、今の事業復活支援金については活用いただけることになっていますし、今後、四月以降の経済が厳しい状況の中でそういう人たちにどう寄り添っていくかは、今回の御提案を踏まえて、しっかり考えていきたいと思います。

山岡委員 大臣からそうした答弁をいただいて、心強く思います。是非その方向の、どういうパッケージになるかはこれから議論があるんだと思いますけれども、そのことを念頭に置いて対応いただければと思います。

 この一時支援金、月次支援金の中で、新たに導入された制度として、制度といいますか、審査の過程として、事前審査というものも加わりました。

 これは、いわゆる持続化給付金が、当時は緊急でありましたから、かなり、ネットを使って幅広くいろいろな事業者が自分で申請できるようにした結果、事業実態が曖昧であったりとか書類上の様々な課題があったりとか、そういう中小の、零細の事業者の方々の、日常忙しい中でやっていくということについてのかなり厳しい状況の中で、それは行政側の査定する側にも相当な負担も生み、また、残念なことに不正につながるケースもあったということもあり得たのかもしれないという反省の下、事前に一定程度、申請の前に審査をするという制度が設けられています。

 この事前審査は、税理士の方等も、いわゆるそういう資格を持つ方も含まれるんですが、ほとんど全国、中心になったのは、商工会議所とか商工会とか、もちろん農業は農協とかそうした団体がされていたんですけれども、事業者はそういう団体が多いというのは、委員の皆様の御地元でもそうだと思います。

 この事前審査というのが、まず経産省に伺うんですけれども、これは制度としてどれだけ有効だったのか、その所感を、今振り返ってどうなのか、この制度はもちろん引き継いでいるので今にも続くんですが、そのことを御答弁いただければと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 事業復活支援金では、過去に実施した一時支援金、月次支援金と同様に、不正防止を目的として、申請時の第三者による、今委員御指摘ありました事前確認を必須としております。

 これは、具体的には、支援金の申請の際に、商工会議所あるいは税理士などの登録確認機関において、申請予定者が事業を実施しているか、給付対象を正しく理解しているかなどに関して、書類や宣誓内容の確認を行うというものでございます。

 こうした取組などもありまして、現時点では、一時支援金、月次支援金以来、不正受給認定等は減少しておる状況にありまして、まず不正の抑止に一定の効果があった、こういうことは認識してございます。

 それから、事前確認の際に登録確認機関から指摘や助言を受けることで、申請に必要となる書類を適切に準備できるということにつながりまして、結果的に、申請者の負担軽減のみならず、事務局の審査の効率化も図られているというふうに認識してございます。

 こうしたように、登録確認機関におかれては、本支援金の円滑な実施に当たって御尽力をいただいているところでございまして、引き続き、商工会を始めとする登録確認機関と連携し、支援を必要とする方々に迅速かつ正確に支援金をお届けしてまいりたいと考えております。

山岡委員 この事前審査、結果として、審査する側としては大きな効果があったということは今説明いただいたんですが、ただ、審査する側のキャパシティーというのもございました。

 皆様、各地元でも同じお話を聞いたかもしれませんが、私の北海道の新ひだか町という町も、町の中では全国四番目の広さを持つ大きさで、千近い事業者がいらっしゃるんですけれども、二人のいわゆる指導員で、頼る先がない、審査を受けるに当たって商工会に殺到していると。地域のためだから頑張るんですけれども、しかも事業者のためだからそれはしっかりやるんですけれども、本当に人手が足りなくてパンクしていますという、そうした声、切実な思いとして伺いました。

 経産省も、現場に行っていただいたりとか気にはしていただいているのはよく承知しているんですが、いろいろお話を伺うと、過去のいわゆる財源移譲、様々な行革の中で、商工会の予算等はもう県とかに移譲してしまっているものであって、十分に国が今、直接手を出せるものではないのだというような説明もありましたが、一方で、国の要請でこの制度を各商工会とかにお願いしたというのも事実でありますし、これ以外にも、コロナの様々な制度について、商工会等を通じて、国のことも務めていただいている。にもかかわらず、本当に規模に対して人数が少なくて、その予算も十分じゃない。

 もしかしたら国と都道府県との間で考えの違いがあってこういう問題が起きているのかもしれませんが、しかし、現に現場がこうなっていて国がいろいろ様々要請する以上、やはり経産省として、この問題にどういう手が打てるのか、人員の確保とかあるいは作業の低減とか、どういう手が打てるのか、これは真剣に向き合って考えていただけないかなと思うわけであります。

 大臣、御見解をいただければと思います。

萩生田国務大臣 本件はちょっと、ややアプローチといいますか解釈が、私は違うんですけれども。

 先ほどのお話にも通じるんですけれども、なかなか、国が制度をつくっても隙間に埋もれてしまう人たちに私、お願いしたのは、群れることが嫌いな業界、業種、いらっしゃるかもしれないけれども、例えばラーメン屋さんを開設したときに、地元の中華料理組合に入るか入らないか。若い人たちは余り入りません。商店街も、うちは結構ですと言うかもしれない。しかし、こういうことがあったときに、個々にいろいろなことを証明したくてもできなくて、同業種の仲間だということさえ分かれば、例えば商工中金の融資を使えますよと。こういうことのアピールが国もちょっと弱かったと思って。

 実は、商工会議所、商工会もそうなんですけれども、会員が増えないと言うから、何のメリットがあるのかということをちゃんと説明しないから増えないんですよと。商工会議所に入っていれば、あの持続化給付金詐欺なんてなかった。なぜならば、地元の人が、あのマンションの二階にそんな会社あるのかって、みんな分かりますから。だけれども、個別に申請するからああいうことが起きちゃったので、私、今回のコロナは、いい意味で地域のネットワークの再構築にしてもらえないですかと。したがって、商工会議所、商工会の会員の方で、皆さん方が事前の審査をしたものについてはファーストパスで送りますということを公言したんですね。そのことで始まった話なんですよ。

 ですから、確かに人数が、指導員が少ないというのもあったので、例えば、延べ二千九百人、九十四億円計上して、臨時の職員の補填をする支援をさせてもらいました。そのときにも話したんですけれども、日頃から、それは仕事の量が一年通じて均一にあるわけじゃないですから、繁忙期に対応できるような、例えば銀行のOBさんだとか市役所のOBさんだとか、そういうことの対応ができる人たちをあらかじめ登録しておいていただいて、そういうときにははせ参じてもらうようなことを地域地域で考えてくれませんかといって始まった事業が今回の事業なので、我々が商工会議所、商工会に是非事前審査をやってほしいということで始まったんじゃないということは御理解いただきたいと思うんです。

 だから、これは、お互いさま、レベルアップを図りましょうねということで始まったので、支援はもちろんしていきたいと思います。令和三年度の補正でも百三十億を計上しまして、そういったマンパワーの補充もさせてもらっているんですけれども、やはり日頃から地元の商工会議所、商工会、もうちょっとプライドを持って、しっかりとした構えを持っていただいて、地元の中小企業、俺たちに聞いてくれという体制をこの際つくり直しましょうよというところから始まったということだけは御理解いただきたいと思います。

山岡委員 そのためには、人員、財政、必要だと思っておりますので、この件はどういうふうにありようがあるのか、今後またちょっと委員会で取り上げてまいりたいと思います。

 このほか、今日は、コロナ債務減免法案という、我々議員立法で出しておりますが、そのことも取り上げたかったんですが、ちょっと時間が来てしまったので、これはまた次回、このことも委員会で取り上げさせていただきたいと思います。

 質疑の時間を、ありがとうございました。

古屋委員長 次に、漆間譲司さん。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 レジ袋有料化義務化についてお伺いいたします。

 令和二年七月一日より実施されているレジ袋有料化義務化については、プラスチック資源循環戦略を策定するために開催されたプラスチック資源循環戦略小委員会の第三回目の素案で、初めて有料化義務化という言葉が出てきたと認識しておりますが、それでよいか、お伺いいたします。

 第一回目、第二回目ではこのような表現がなかったのに突如出てきた経緯や、素案を作成した環境省においてどのような議論があったのかを確認したいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、中央環境審議会のプラスチック資源循環戦略小委員会におきましてプラスチック資源循環戦略の策定について議論していただいておりましたが、当時、平成三十年時点でございますけれども、既に約二十の県が事業者等との協定等によりレジ袋有料化を実施されていたという状況がございました。

 こうした中で、同小委員会では、委員会から、この委員会の第一回目のときでございますけれども、全国一律で競争条件をそろえる措置が必要であるといった指摘がございました。つまり、やっているところとやっていないところで競争上の不公平があってはならない、そういったような御指摘がありました。

 こうした御指摘を踏まえまして、第三回小委員会で事務局から提示したプラスチック資源循環戦略の素案におきまして、レジ袋有料化義務化という表現を使用したものでございます。

漆間委員 もう一つ確認ですけれども、素案における義務化というのは誰に対しての義務化なのか、お伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 レジ袋有料化制度については、容器包装リサイクル法に基づく判断基準省令におきまして、レジ袋を用いる小売事業者に対して容器包装の使用の合理化の取組を求めているということでございます。

漆間委員 最終的に、制度実施のための省令本体には義務化という言葉が記載されていない理由をお伺いいたしたいと思います。審議会などで指摘された営業の自由に対する懸念があったからなのでしょうか。お伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 これは法令上の整理の問題でございまして、容器包装リサイクル法に基づく小売事業者の判断基準省令におきまして、事業者は、商品の販売に際して、消費者にその用いるプラスチック製の買物袋を有償で提供することにより、消費者によるプラスチック製の買物袋の排出の抑制を相当程度促進するものとするというふうに定めております。

 主務大臣は、この判断基準省令に照らして、必要と認めるときは指導助言、さらに、取組が著しく不十分であると認めるときは容器包装多量利用事業者に対して勧告、公表、命令、そして、その命令に違反した場合には罰金を科すというような措置を講じることとしております。

 こういうことで、直接処罰が下るというわけではなくて、命令に違反した場合に処罰が下るということで、義務化という表現にはなっていないということでございます。

漆間委員 改めて、たくさんの経過を含めて罰が下るということなんですけれども、それというのは、義務か義務でないかというと、どういう認識なんでしょうか。改めてお伺いいたします。

奈須野政府参考人 法令的な意味での規定ということから申し上げると、容器包装リサイクル法の四十六条の二におきまして、第七条の七の第三項、これは先ほど申し上げた措置命令でございますけれども、命令に違反した者は五十万円以下の罰金に処するというふうになっておりまして、こういう意味で、法令上は、命令に従うことが義務ということでございます。

 そうした中で、このようなことで、単純に言えば、実質的には義務化ということでございますけれども、法令上は、命令に従うことが義務だというようなことでございます。

漆間委員 それでは、もう一つ、制度実施後、生分解性やバイオマスのレジ袋は有料化する必要がないのに有料化している事業者が大手コンビニ中心に大多数となっている今の現状について、これは当初想定していたことなのかどうか、お伺いいたします。

大岡副大臣 漆間先生にお答えいたします。

 先ほど来の答弁も少し補足しながら先生にお答えをさせていただきたいと思いますが、御指摘のとおり、今回のルールでは、一部のレジ袋に関しては有料化をお願いをしておりますけれども、そうではないものがあります。分厚くて再利用できるとか、紙でできているとか、海に捨ててもそのままきれいに分解されるとか、そういったものは有料化の対象とはしていないということでございます。そこは先生御指摘のとおりでございます。

 したがいまして、生分解性プラスチックなどを使っていただけるのであれば、それは企業の環境に対する姿勢として是非お願いをしたいと私どもからも思っているところでございます。あくまで、それができない場合の選択肢、つまり、環境に優しいプラスチック以外のものを使う場合には有料化をお願いしている、しかも、薄いもので再利用できないものを使う場合には有料化をお願いしているということでございます。

 これを、全ての、そうではないものまで有料化しているのは正しいのかという御下問かと思いますけれども、そこは事業者の判断として、一定の額で仕入れておられるものでございますので、それを幾らで売るかというのは事業者の御判断でお願いしております。無料にできるものでも、仕入れがある以上は有料で売っていただいても結構ですし、例えば、うちのビニール袋は百円の値打ちがあると思えば百円で売ってもらってもいいし、ブランドの袋なので千円の値打ちがあると思えば千円で売っていただいても結構でございまして、そこは事業者の判断でお願いをしているところでございます。

 こうした取組を進めることによって、私ども環境省としましては、環境負荷の低い産業をしっかりと育成をしていきたいと思いますし、また、関係省庁とも連携しながら、事業者や消費者の賢い購買にしっかりとつなげていきたいと考えております。

漆間委員 これは、事業者と、あともう一つ大切な主体として消費者というものがあると思うんですけれども、事業者には環境に配慮した袋は義務化しないでいいよということであるんですけれども、消費者は恐らくそのことを知らずに、有料化義務化でないことを知らずに、マスコミの中で有料化義務化という言葉だけが躍っているものですから、それをもって、知らない中で、これもお金を払わなきゃ駄目なんだな、環境に配慮した袋なのに、お金を払わなければならないんだなと思って、皆さんレジ袋代を払っていると思うんですけれども、これというのは消費者をだましていることにならないんですかね。

 ちょっとそこについてコメントをお願いいたします。

大岡副大臣 漆間先生の御指摘は、恐らく多くの有権者の方、国民の方から御意見が集まっておられるんだと思います。

 確かに、私どもの言い方が十分でなかった面があるかもしれません。全てのレジ袋の有料化が義務化されたというふうに聞こえてしまったのかもしれません。ただ、本当のルールは、先ほど漆間先生が御披露いただいたとおりでございまして、有料化しなければならないものと有料化しなくてもいいものがあります。

 ただし、できれば、そうした部分も消費者の賢い購買行動につなげていっていただきたいというのが私どもの本当の願いでございますので、先生御指摘のとおり、それが十分国民に伝わっていないということでありますので、そこはこれから、私たちもしっかりと正しく説明するように心がけてまいります。

漆間委員 改めての周知徹底をよろしくお願いいたします。

 もう一つ、追加でお伺いなんですけれども、今月から、プラスチック資源循環法施行で、スプーンなどの合理化の措置が始まっておりますけれども、これにより、もし削減効果がなければ、レジ袋同様、有料化義務化することになってしまうんでしょうか。あともう一つ、削減効果があったとするのであれば、レジ袋有料化義務化を撤回して、レジ袋使用合理化、スプーンのようにですね、変えることもあるんでしょうか。併せてお伺いいたします。

大岡副大臣 お答えいたします。

 この四月にプラスチック資源循環法を施行したところでございまして、まずは、今の、現行のルールで、法に基づく措置をしっかりと普及してまいりたいと思います。漆間先生から御指摘のとおり、国民に正しく伝わっていないという面があるかと思いますので、そこは正しく伝えてまいりたいと思います。

 御指摘の、スプーン等を含めた特定プラスチック使用製品の合理化の措置に対する削減効果については、各関係主体の取組状況を可能な限り定量的に検証してまいります。

 将来的には、削減効果がどうだったか、それを受けて、どのように変えていったらいいかということは、まさに、先生方の御議論も含めて、また国民の声もしっかりと受け止めることによって、また定量的に正しく検証していくことによって、あらゆる選択肢を、先生御指摘のようないろいろな選択肢が今後考えられると思いますので、目的に真っすぐ行くのはどういう選択肢なのかということを、あらゆる選択肢を検討してまいりたいと考えております。

漆間委員 ありがとうございます。是非検証の方もよろしくお願いいたします。

 環境省の方々、大岡副大臣、ありがとうございました。

 次に、ロシアのウクライナ侵攻による半導体製造の影響についてお伺いいたしたいと思います。

 環境省の方々、ありがとうございました。これで大丈夫でございます。

 半導体の製造には、ネオン、クリプトン、キセノンといった希ガス、レアガスですね、希ガスが必要とされておりますが、ウクライナやロシアはこれら希ガスの産出国であり、特にネオンガスについては世界の七〇%をウクライナが供給しているとされています。ウクライナ侵攻により、このネオンガスを生産するウクライナのメーカーが操業を停止したとの報道があり、半導体製造への影響が懸念されております。

 先月三十一日に経産省で開かれた戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部の資料には、製造設備投資の支援を通じた希ガスの国産化について記載があります。この希ガスの国産化についてどのように進めていくのか、政府の見解をお聞かせください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 半導体の製造に使われますネオン等の希ガスにつきまして、我が国の場合、輸入に多くを頼っているという状況にございます。

 一方で、今、七割というようなお話がございましたけれども、かつてそういう集中ということもあったわけでございますが、今、足下では、ロシア、ウクライナ地域以外の地域での生産も相当進んでいて、集中が少し分散の方向にあるという実態ではないかというふうに思っております。

 また、半導体メーカーにおいても、調達先の多角化あるいはリサイクルという取組を進めているということで、足下、直ちに半導体のメーカーの生産に支障が出るという状況にはないと認識しております。

 その上で、今般、戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部で取りまとめました対策といたしまして、省資源、リサイクルを更に推進するということと並んで、今先生御指摘の国産、国内で生産ということも含めて、供給能力の拡充ということを挙げているところでございます。

 今後、その具体的な方策についてしっかりと詰めてまいりたいというふうに思っております。

漆間委員 次に、半導体に必要な原材料についてお伺いいたします。

 半導体製造には様々な材料が必要であり、日本は半導体材料についてのシェアが高いと言われておりますが、希ガスのように輸入に頼っている原材料もあります。昨年十二月に半導体の生産設備に支援を行う法律が成立しましたが、国内における半導体の安定的な生産確保を目指すには、半導体生産に必要な原材料の安定確保が重要です。

 そこで、一国からの輸入量が五〇%を超える品目が何品あるのかなど、半導体製造に必要な原材料のうち輸入に頼っているものの状況を経産省はしっかりと把握しているのか、また、それらの材料の安定供給のためにどのような対策を行っていくのか、今後の方針をお聞かせください。

門松政府参考人 お答えいたします。

 半導体の安定供給の確保の観点から、サプライチェーンにおけるいわゆるチョークポイント、これを把握することは非常に重要だというふうに認識をしておりまして、経済産業省では、常日頃から関係企業と密に連携をしまして、各種の情報収集に取り組んでいるところでございます。

 このため、お尋ねの、一国からの輸入依存度が五割を超える原材料、これについては把握はしておるんですが、個別具体の物資の輸入依存度についてこの場で明らかにしてしまうことは、マーケットや企業の調達戦略に影響を与える懸念がございまして、国益を損なうこととなりかねないということでございますので、お答えは差し控えたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、半導体の生産は、グローバルなサプライチェーンによって成り立っております。資源の乏しい我が国において、上流の原材料の確保を含めたサプライチェーンの全てを日本国内で確立することは現実的ではないということでございます。

 したがって、サプライチェーンのうち、我が国が強みを有する分野については、国内の産業基盤確立にしっかりと取り組むとともに、対外的に依存せざるを得ない部分については、省資源化また代替技術の開発による希少資源の使用量の低減、また調達先の多様化、さらには有志国、地域との協力を通じた補完関係の強化、こういった取組を通じまして、原材料も含めたサプライチェーンの強靱化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

漆間委員 把握しているということが大切だと思いますので、是非しっかり対策をお願いいたします。

 続いて、ニッケルの価格高騰について質問させていただきます。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、石油や天然ガス、パラジウム、先ほどのネオンといった希ガスなどの燃料、鉱物資源に安定供給の危機をもたらしていますが、EV向けリチウムイオン電池の材料もその影響が及んでいます。

 クラス1と呼ばれる純度九九・八%以上の高品位ニッケルは、EVで利用するリチウムイオン電池の正極の主材料であり、世界で取引されるニッケルの約三割を占め、残り七割がクラス2と呼ばれる低品位ニッケルで、一般的なステンレス鋼に使われているとされています。

 世界のニッケル産出量のうちロシア産が一割弱ですが、クラス1ニッケルに限っては、ロシアのノリリスク・ニッケル社製が約三割と非常に多く、価格の点でも圧倒的な競争力を誇るとされています。

 ウクライナ侵攻による供給懸念などにより、ニッケル価格は一年前の二倍を超える水準となっております。今後、EV向けリチウムイオン電池に用いられる高品位ニッケルの更なる価格高騰、供給不足が生じるおそれがあり、EV普及に向けた取組に対して悪い影響を与えるものと考えます。

 そこで、まず、我が国における高品位ニッケルの輸入量の推移、自動車産業で使用されている量の推移、トレンドをお伺いいたします。その上で、現在のニッケル価格の高騰が自動車産業に与える影響及び今後の高品位ニッケルの安定供給に向けた取組について、政府の見解をお聞かせください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 貿易統計上、クラス1ということで区分がされていないもので、比較的高品位なニッケルということで、塊状及び粉状のニッケルという分類で見ますと、年間約四万トンというのがこの数年続いている状況でございます。このうち、蓄電池の原料となる硫酸ニッケルに使用されるものは、この四万トンのうち大体半分程度というふうに見られているところでございます。

 委員御指摘のとおり、ロシアのニッケルの生産量は世界全体の一割程度でございますし、また、先ほど申し上げました塊状及び粉状のニッケルの輸入量でも日本のロシア依存度は一%程度ということでございますので、日本が直接的な影響を受けているという状況には現在ございません。

 一方で、今御指摘いただきましたニッケル市況、大変不安定な状況になっているというふうに認識しております。この要因には、もちろんロシアのウクライナ侵攻ということもあるわけでございますが、一方で、中長期的に、車の電動化が進んでいく中でニッケルへの需要が増えていく、こういった中長期のトレンドもあると認識しております。

 いずれにしても、こうしたニッケルの安定供給は、日本の自動車産業にとっても大変重要な課題であるというふうに思っております。

 政府といたしましては、JOGMECを通じた資源探査や民間企業の資源開発プロジェクトへのリスクマネー供給、資源国との関係強化に加えまして、リサイクルや使用量低減に係る技術開発など、需給両面における対策にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 今後も、市場の状況をしっかり注視させていただき、ニッケルの安定供給の確保にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

漆間委員 リチウムイオン電池の正極材には高品位ニッケル以外にもリチウムやコバルトといった希少金属が使われており、これらの希少金属を使用するには高度な技術力が必要で、日本企業が強さを維持しています。

 一方、こうしたニッケル、リチウム、コバルトといった高価な希少金属を用いない電池の正極材への変更が進んでいるという話もあります。ニッケルやコバルトを使用しないリン酸鉄系の正極材です。このリン酸鉄系の正極材は中国メーカーがほぼ独占し、ドイツのフォルクスワーゲンなどが採用を決め、アメリカのテスラも量産モデルでは既にリン酸鉄系の正極材を採用し、イーロン・マスク氏も、将来は鉄系が電池の三分の二を占めるとの報道があります。

 そこで、我が国の企業などが製造するリチウムイオン電池のリン酸鉄系正極材の現状と今後の方向性について、政府の見解をお聞かせください。

藤木政府参考人 リン酸鉄系のリチウムイオン電池は、正極材にニッケルやコバルトなどを使う電池と比べましてエネルギー密度が低いということで、やや性能は劣るという問題がありますが、一方で、価格が安くて、委員御指摘のように資源リスクも低い、こういう特徴があるというふうに認識してございます。

 こうしたことから、中国では、低価格帯の電気自動車やバスなどの商用車、こういったものを中心に活用されておりまして、その結果として、このリン酸鉄リチウム、正極材ですね、これについて大半が中国で生産されている、こういったような状況にあると思っております。

 このリン酸鉄系のリチウムイオン電池、技術的には一世代前というふうな評価を受けていたところでありますが、昨今の資源価格の状況等を踏まえて、欧米においても見直しが進んでいるというところでありますし、日本においてもこうした電池の採用という可能性について検討が進められているというふうに認識してございます。

 こういう中で、私どもとして政策的にどうアプローチしていくか、市場の動向を見ながらしっかり考えていきたいというふうに考えております。

漆間委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、空飛ぶ車についてお伺いいたします。

 先日政府より発表されました、空飛ぶ車ロードマップ改訂版の内容についてお伺いいたします。また、この改定を受けて、私の地元大阪でも、大阪版空飛ぶ車ロードマップ及びアクションプランが作成されたところです。是非、連携支援してやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 御指摘の、空の移動革命に向けたロードマップにつきましては、民間事業者、関係省庁等で構成されました空の移動革命に向けた官民協議会において、官民の最新の取組状況を踏まえた検討を行い、本年三月にこれを改定したところであります。

 改定のポイントとしては、二〇二五年大阪・関西万博において空飛ぶ車の活用を行うこと、それから、二〇二五年以降の本格的な社会実装に向けた絵姿、さらに、こうした目標に向け、足下では二〇二三年度までに機体や運航の安全性に係る基準を整備すること等を明確に位置づけたところでございます。

 今回明確化した目標の着実な達成に向けて、引き続き、官民一体となってしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

漆間委員 続きまして、空飛ぶ車の離発着場についてお伺いいたします。

 計画では、万博の会場に離発着場の場所がもう具体的に地図に設定されているところなんですけれども、万博会場内外の離発着場の整備の方針と、また、先日政府より指定していただきましたが、大阪のスーパーシティー構想では町じゅうに空飛ぶ車発着ポートの構想があるところなんですけれども、万博後の、今後の離発着場の整備の在り方や場所の選定に関してはどう進めていくんでしょうか。お伺いいたします。

藤木政府参考人 今御指摘のように、二〇二五年大阪・関西万博会場内の離着陸場については、大阪・関西万博×(かける)空飛ぶクルマ実装タスクフォースというところで詳細な検討を実施しておりまして、会場北西部に位置する次世代モビリティーの展示・体験エリア内にこれを設置するという具体的な方向を示しているところでございます。今後、実際の運航開始を想定しまして、離着陸場内の配置や設置が必要な設備といった仕様を具体化していきたいというふうに考えております。

 その上で、万博開催後の本格的な社会実装に当たりましては、実際に事業運営を円滑に行うための離着陸場に係る制度整備が一層重要になると考えております。本年度から、官民協議会の下に離着陸場ワーキンググループというのを新たに設けまして、所要の制度整備について、これも官民一体となってしっかり検討を進めてまいりたいと思っております。

漆間委員 離発着場の整備は社会的受容性の向上が必要になってくると思いますので、是非その方向もよろしくお願いいたします。

 インターネットの動画などを見ますと、中国のイーハン社を始め、ドイツやアメリカなど、機体開発が進んでいるのがよく分かりますが、日本における海外メーカーの機体活用に向けた取組状況と日本メーカーの現状についてお伺いいたします。

藤木政府参考人 お答えを申し上げます。

 海外メーカーによる取組の一例として、例えば、米国のジョビー・アビエーションは、本年二月に全日本空輸株式会社、ANA及びトヨタ自動車株式会社と覚書を締結し、市場調査を進めていく、こういうことにしているというふうに認識しております。

 また、ドイツのボロコプター社あるいは英国のバーティカル・エアロスペース、これは日本航空株式会社と連携して、今後の機体導入に向けた具体的な検討を進めております。

 これらの企業は、先ほど申し上げた空の移動革命に向けた官民協議会、これに加入していただいておりまして、二〇二五年大阪・関西万博での機体活用等に向けて積極的に議論に参画していただいているというところでございます。

 一方で、国内メーカーでございます。株式会社SkyDriveというのがございますが、昨年十月、国土交通省に対しまして、商用運航に必要な機体の型式証明の申請を行ったということで、商用化に向けて着実に取組が進んでいるというふうに認識しております。

 こうした企業側の取組を踏まえまして、政府としましては、事業者との対話や所要の制度整備を通じた国内市場の早期立ち上げということを図るとともに、令和四年度予算で、次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクトということで、技術開発支援を通じた国内メーカーの競争力強化、これを後押ししていく、こういったことにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

漆間委員 先ほど御答弁の中にありました、型式証明の申請についてお伺いいたしたいと思います。

 型式証明の申請の制度というのはどんなもので、何ができるようになるのか、教えていただきたいと思います。これというのは日本独自のいわゆる認証制度なのかどうかというのもお伺いしたいと思います。日本の産業化を考えますと、これも海外との連携が必要になってくるのかなと思いますが、いかがでしょうか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまお尋ねのありました型式証明でございますけれども、航空機の設計が安全基準や環境基準に適合していることについて審査し、証明するものでございます。

 設計、製造者が型式証明を取得することにより、航空機を実際に飛行させるために必要となる一機ごとの検査を大幅に簡略化することができます。したがいまして、航空機を円滑に商用運航させることが可能となるというものでございます。

 また、型式証明制度でございますけれども、これは、欧米を含め国際的な、国際民間航空条約の加盟国共通で採用しているものでございますので、これは共通でございますが、空飛ぶ車の審査に当たり適用される基準につきましても、欧米の対応状況も踏まえた上で検討しておりまして、そのベースとなる基準は欧米と調和の取れたものとなっているということでございます。

漆間委員 是非、海外との調和の取れたものになるようお願いいたします。

 続きまして、空飛ぶ車の自動運転、自動飛行の親和性についてお伺いしたいと思います。

 空飛ぶ車の、ヘリや自動車よりも自動運転の親和性がすごく高いというふうに聞いておりますが、実際のところどうなのか、また、その理由についてもお伺いいたします。

藤木政府参考人 空飛ぶ車に関しましては、一つは、電動であるために使用部品や機構が簡素なものとなって操作性が高いという特徴がございます。これが自動運航との親和性が高い一つの理由でございます。

 もう一つは、空を飛ぶわけでございますから、運航時に建築物あるいは歩行者といった要素がないということでございますので、これもまた自動運航がやりやすいという事情にあるのではないかというふうに考えておりまして、こうした自動運航との親和性が高いモビリティーであるというふうに考えてございます。

 先ほど申し上げました令和四年度の予算も活用しまして、こうした運航管理技術の開発ということも進めていきたいというふうに考えておりまして、将来的な自動運航ということについてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

漆間委員 自動運転が可能となれば、低コストの運航が進んで、空の移動の大衆化に近づいていくと思いますので、是非その方向で進めていただきたいと思います。

 なお、自動運転には、昨日本会議で我が党が御説明した、情報通信行政の改革が欠かせません。是非、経産省においてもその重要性について御認識いただきたいと思います。

 私からの質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 今日は、大きく分けて二点、御質問させていただきます。

 一つ目は、今日は原子力規制委員会更田委員長、お越しいただきました。おとといの続きでございます。おととい、私が特定重大事故等対処施設、特重施設に関する質問をさせていただきましたけれども、そこの御答弁、どうしても一方通行だったので、もうちょっとやはり聞きたいなというようなことがございまして、御足労いただいたということでございます。

 そこで、私がおととい何を質問させていただいたかということですけれども、この特重施設、これを五年以内に造らなきゃいけないというような今制度になっているんですけれども、ここの起算点の問題というのがあります。

 当初は新規制基準が施行された日が起算点になっていたんですが、現行はそれぞれの施設の、本体施設等の工事計画の認可から五年以内ということで、この起算点というものが変更になっているということでございます。

 そこで、この間、そこについては御質問はさせていただきませんでしたが、そもそもなぜこのように特重施設の経過措置の起算点の変更というものを行ったのかということをお伺いしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 特定重大事故等対処施設というのは、もとより本体施設に加えて設置するものですので、本体施設の設計が固まってからでないと特定重大事故等対処施設の設計について議論を始めることができません。

 したがいまして、当時、本体施設の審査が長期化をしていて本体施設の設計がなかなか固まらなかった、そこで、施行日から五年というものを、今度は、工事計画認可、これは詳細設計が固まったということに相当しますけれども、本体施設の設計が固まった時点から五年間というふうに期限を改めたものであります。

小野委員 お答えいただきましたけれども、しっかりとその施設の本体の安全性というものの設計が固まってから、特重施設の建設というものも、ストップウォッチがスタートするということで、非常に現実に沿った形での改正がなされたんじゃないのかなというふうに思っているわけなんですね。

 しかし、この間、更田委員長に御答弁いただいた内容、これが非常に、私はもうちょっと改善の余地があるんじゃないかなというふうに感じておりまして、おとといの御答弁、最後、こういう形で終わっているんですね。約束した改善が果たせないような事態は避けるべきであると。

 つまり、いろいろと、三つの原発が再稼働ができないというような状態が今発生をしています。それは、この五年内、つまり、今の起算点から五年内でなかなか間に合わなくて、そして特重施設ができていないので運転が止まっているというような状況になっているわけなんですけれども、確かに、おっしゃるように、今の制度では約束した期間内に改善が果たせていないので、そういった事情は避けるべきじゃないか、努力すべきじゃないかというようなことは、私は、もちろん規制委員会としては、当然そういうふうにおっしゃることは今の段階ではそうだというふうに思っているんですけれども、ただ、これが将来どうなるか分からないというふうに思うんですね。

 まず、そこでちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、おととい御答弁いただいた、約束した改善が果たせないような事態になぜ一部のプラントが陥っているのかということについて、規制庁側から審査して、どういうことが起こっているのかということを分析した結果をお答えいただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 工事の計画については、規制庁は、事業者の計画を把握をしておりますけれども、それが遅れてしまった事情というのは個社それぞれのものだと思いますので、原子力規制委員会としてお答えする立場にございません。

小野委員 そういうやり方でいいかどうかというのも、是非ちょっと考えていただきたいなと思うんですね。

 つまり、個別の工事そのものをどういった形でやっているのかという内容をしっかり把握しつつ、そして、今の規制委員会が定めているような特重施設を設置する期間がそれで妥当かどうかということを、やはり常に考えていく必要があると私は思うんですね。

 そういう意味では、是非、今御答弁いただいたような、とにかく計画を立てて、それについてちゃんとできているかどうかということだけしか見ないんだというんじゃなくて、現実的に、例えば、これから特重施設を造るような計画に入っていく原発が増えていって、同じようにやはり間に合わない、そして止めなきゃいけないということが、これが規制委員会だけの話じゃないんです。

 我々が、今エネルギーの逼迫というものが、今まで住んでいた世界とは違う、ロシアのウクライナ侵攻によって世界が変わったという認識を、これはもう規制委員会だろうと、経産省だろうと、電気事業者だろうと、国民全員がやはり持たなければいけない事態に陥ったというふうに思いますので、是非、先ほどおっしゃったような答弁ではなしに、やはり、今の現実の特重施設の施工というものがどういう状態になっていて、そして、五年をやはり超えてしまうことが多いよねということであれば、そこは柔軟に考える。

 ただ、私は、安全性をおろそかにするということを言っているわけではないんです。安全性をないがしろにしてやるべきじゃないというふうには思っています。

 ただ、おとといも、いみじくも更田委員長が、非常にコンパクトな答弁、御答弁の中でおっしゃっていることとして、新規制基準に適合している原子力発電所については、特定重大事故等対処施設がないことが直ちに危険に結びつくとは考えておりませんというふうにおっしゃっているわけでございますので、そういう意味では、しっかりと安全を確保するというようなことをもちろん前提としながらも、しかし、今の現実に沿った形でのルールを、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、最初の起算点を設置していたところから改正を一度しているわけです。このときには、やはり現実的なことを考えて制度改正しているわけでございますので、そういった観点で、今後も規制委員会としての仕事をやっていただきたいなというふうに思います。

 そういう意味で、概括的な話として、最後に更田委員長にもう一問質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、原子力規制委員会の仕事をやっていくについて、今まで一体どのような効率性、もちろん、安全性を置き去りにするということは絶対あってはいけませんが、やはりエネルギーが逼迫している中で、再稼働を安全にできるものについては一日も早くやるということは私は大事だというふうに思っておりますので、規制委員会の仕事の進め方の効率化について、規制委員会の中でどのような工夫や努力を行っているのかについてお答えいただきたいと思います。

更田政府特別補佐人 原子力規制委員会が行う規制の上で非常に重要なことは、安全の追求に妥協は許されないということ、また、単に申し渡すというわけではなくて、事業者との間に共通理解が生まれるまできちんとした議論を続けるということが重要だと考えています。その上で、透明性の確保といったような大原則の下に、もとより私たちも、審査が効率的に進むことは希望しているところです。

 そのために、私たちの意図が正確に伝わるように、会合での論点等を文書化するであるとか、それから会合の頻度を上げる。更に言えば、事業者側に、事業者側が同席を望む専門家を同席させるということは認めていますし、ですから、彼らが希望すれば、コンサルタントであるとか専門家を同席させることも可能である。それから、同種の審査に当たっては、複数の事業者を相手に審査会合を行う。同型の炉を持っているような事業者がありますので、そういったものについてはまとめて審査会合を行うというような取組を行っているところでございます。

小野委員 ありがとうございます。

 できる努力を是非これからも更に積み重ねていただいて、そして、やはり規制する側そして事業者の側というのは、当然、お互いに甘えがあってはいけません。しっかりと本当に安全性を確保できるための審査を、国民が納得する形で、そして安全性がちゃんと担保される形でやっていかなければいけませんが、その中でも、やはり、コミュニケーションのそごがないようにしていくとか事前に段取りができることはしていくとか、様々なやれることを積み重ねていただきたい。

 事業者側なんかは、再稼働に成功した事例を持っているような人たちが、ほかのプラントに関してもしっかりとてこ入れをして努力しているというようなこともありますので、是非、規制委員会側としてもこれから努力をしていただきたいというふうに思っておりますので、今後とも、更田委員長始め規制委員会の皆様には、しっかり汗をかいて、そして、今エネルギーが本当に逼迫している状況をできる限り解消できるような形で、頑張っていただきたいというふうに思っています。

 それでは、更田委員長、御退席をいただいて構いませんので、ありがとうございました。

 次に、今度はちょっと話題が変わるんですけれども、先ほどの漆間委員と同じ、大阪万博についてということで御質問させていただきたいというふうに思っています。

 私の方は、空飛ぶ車というような夢のある話というよりも、もうちょっとカーボンニュートラルということを進めていくような話になるんですけれども、大阪万博におけるカーボンニュートラル、これをどう進めていくのか。今日、細田副大臣もお越しいただいておりますけれども、大阪万博において、温室効果ガス排出低減策、どのように考えていらっしゃるのかということをまずお伺いしたいと思います。

細田副大臣 ありがとうございます。

 昨年十二月に、政府が二〇二五年大阪・関西万博アクションプランを取りまとめさせていただきました。この中で、大阪・関西万博では、日本の革新的な技術を通して世界に脱炭素社会の在り方を示していくということとされております。

 具体的には、万博において、例えば、水素発電の実証を通じたCO2フリー電源の供給でありますとか、ガスタービンを用いた専焼技術によるアンモニア発電の実証でありますとか、あるいは生ごみから発生するCO2を利用したメタネーションや、CO2排出削減・固定量最大化コンクリートなどの実証などを行うこととしております。

小野委員 ありがとうございます。

 大阪万博につきましては、カーボンニュートラルというのも、持続可能な社会づくりという文脈から、やはり重要だというふうに思っております。

 そして、今副大臣おっしゃいましたように、最新のアンモニアですとかこれから我々が取り組んでいかなければいけないようなものを、ショーケース的に、意欲的にやっていただくということも非常に大事だというふうに思っておりますけれども、今日は、私は、そういうハイテクというようなところではないんですけれども、バイオディーゼル燃料についての、万博に絡めての利用促進というものを是非進めていただきたいというような趣旨で御質問させていただきたいというふうに思っております。

 バイオディーゼル燃料というのは、これはヨーロッパの方でかなり進んでいるものでありまして、古くからやられているんですけれども、要は、食用の廃油、例えばてんぷら油、これをリサイクルをして、そしてディーゼルエンジンなんかに使っていくというようなものでございまして、これは、ヨーロッパなんかでも、割と、車の後ろの方を見ると、バイオディーゼル燃料だけで運転していますよという、車名が入っている横にそういった表示がされているような車も結構見かけるんですけれども、日本の場合には、まだまだそこまではいっていません。

 そして、日本の場合にどれぐらいの混合率でバイオディーゼル燃料が使えるのかというと、これは品確法で定められておりまして、日本国内の場合には五%まで、軽油に五%までしか混ぜてはいけないということになっています。

 それは何でなのかということなんですけれども、やはり、今までバイオディーゼル燃料というものが粗悪なものも結構あって、どうしてもエンジンに使ってしまうと壊れてしまうというようなこともありまして、なかなかこの五%の壁というのを越えるということが難しかったわけなんですけれども、しかし、最近、三割混ぜても、あるいは一〇〇%でも、ちゃんとディーゼルエンジンが使えます、しかも壊れませんよというような品質のものが出てきました。

 そこで、御覧いただければと思います、今日お手元にお配りしております資料の一枚目なんですけれども、ちょうど昨日、プレスに対する、記者発表があったんです。いつも、どうしても、私、熊本におりましたので、熊本のニュースがいろいろ入ってきて、それで、地元の方からもこういったことをやっているんですよというようなことをお知らせいただくものですから、御紹介をしますけれども、昨日、熊本空港におきまして、高純度バイオディーゼルの燃料を使って、そして、熊本空港内の、この裏を見ていただければと思いますけれども、トーイングトラクターというものがあります、これを、三〇%混合したBDF燃料で動かしていく実証実験をしていくというような発表がありました。

 これは、経済産業省より試験利用の大臣認定を取得するというようなことでございまして、こういった試みも経済産業省としてもなされているということなんでございますけれども、これによって、今まで五%配合までしかできなかったものが三〇%配合になるわけですので、CO2の削減効果という意味でいえば六倍になってくるということでございます。

 こういったことを、このBDF燃料を作っているのはたまたま熊本の会社なんですけれども、そういった試みが出てきているということで、経産大臣、萩生田大臣にお伺いしたいというふうに思いますけれども、こういったカーボンフリーを進めていけるような高品質、高純度のバイオディーゼル燃料というものが、これが今採用されつつあるということでございますけれども、この点について御認識があったかどうかということをお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 認識があったかどうかって、私が許可したんです。

 軽油にバイオディーゼル燃料を三〇%混合して、熊本県において試験研究を行うという計画が出されましたので、三月十四日付で認定をしました。チャレンジしてみようと思います。

 本事業は、阿蘇くまもと空港において、混合燃料を空港内の業務車両に活用し、今先生資料で御紹介いただいたトーイングトラクターの中で使ってもらうことで、車両にどんな影響が生じるかを調査する目的で実施をされているものと承知をしております。

 ただ、これはそんなにスピードを出す種類の車じゃないものですから、ぐっと踏んだときにエンジンにどういう影響が出るかという意味では、少し吹かしてみないといけない部分もあるのかなと思いますが、経産省としては、引き続き、脱炭素化に向けた事業者の取組を後押ししていきたいと思いますので、しっかりデータを見せていただきたいなと思っています。

小野委員 大臣、大変失礼いたしました。大臣自らがこれは認可をされたということでございます。

 先ほど御指摘いただいた、ぐっと踏み込んだときに力が出るのかと。出ます。そして、実際に一〇〇%で、熊本で作っているこのバイオディーゼル燃料でがんがんディーゼル車が走っているんですね。なので、今までは、おっしゃるように、なかなかそういった品質のものがなかったりしたんですけれども、やはりそこは技術が発展をしておりまして、そういう意味では、今回、本当に御英断だったというふうに思います。

 この三〇%、日本初で実証実験が進むということでございますので、是非この実証実験でしっかりとデータを取っていただきまして、そして、これはいけますよということであれば、これを経産省として旗振りをしていただいて、どんどんどんどん使っていけるような環境づくりというものを進めていただきたいというふうに思っていますので、是非、これは本当に私もうれしくて、なかなか、私も熊本にいる時代、これをやってほしいということをいろいろなところでお願いしていたんですが、やはりバイオディーゼル燃料の品質に疑いを持っていらっしゃる方は多いんですね。それは当然でして、今まで、粗悪なものを使ってしまって、そして自分の車のエンジンが壊れちゃったという人がやはりいるんですね。

 ですから、やはり、そういう体験をしていると、どうしても、本当にあなたのところの製品は大丈夫なのということがずっと続いてきたんですが、それを、やはり環境が変わったんだと思います。カーボンニュートラルということも進めなければいけないということで、萩生田大臣の音頭でこういったことも進めていただきましたので、是非このデータ取りというものをしっかりしていただいて、そして、これは大丈夫だよというふうに分かった暁には、是非進めていただきたいというふうに思っています。

 そういう意味で、その後の質問なんですけれども、今、先ほどもちょっと触れましたけれども、日本国内では品確法によって五%しか軽油にバイオディーゼル燃料を混ぜられないというようなことになっているわけなんですけれども、これが、先ほど申し上げたように、効果がありますよと、この熊本での実証実験が全てではないと思います、ほかでもやらなければいけないかもしれませんけれども、ただ、本当にいいよと分かった場合に、温室効果ガスの排出削減という効果もございますので、是非、萩生田大臣、これを進めるというようなことも、五%じゃなくて例えば三〇%もオーケーとか、あと、今、事業者の中では一〇〇%、先ほど申し上げたように、自分で自分のディーゼルエンジンの車に一〇〇%入れている人もいますが、品確法を改正して、そのようなバイオディーゼル燃料をどんどん使っていけるような世の中にしていくというようなお考えはあられるかどうかということをお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 先生、多分、バイオディーゼル燃料と一口に言っても、もとの材料は何を使うかとか、混合の仕方とか精製の仕方で、質がいろいろ違ったんだと思いますね。

 今回、熊本がチャレンジしてくれているのは、専門家の意見を聞くと非常にいいものができ上がっているということなので、まず、エンジンに三〇%混ぜても影響がないか、影響がないとすれば、そのデータを戻って、では、どういう材料で、どういう混合で、どういう精製だったらこういう質のいいディーゼルオイルができるのかということも含めて、その上で更に利用度を上げていくというのはやるべきだと思っておりますので、是非、しっかりとした試験をやっていただいて、その上で上限を、今は品確法で五%と決まっていますから。

 しかし、将来のカーボンニュートラルを考えたら当然上げていかなきゃならないわけですから、これはまず先頭を走っていただく皆さんがいいデータをしっかり出していただき、そして、他のオイルと何が違うのかということもしっかり横展開をしていただければ、結果的に上限を上げていくことは可能だと思いますので、まずは試験結果をよく見ていきたいと思います。

小野委員 大臣、ありがとうございます。大変力強い御答弁をいただきました。

 おっしゃったとおり、本当に大事なことって、BDFの中にもいろいろあるんですよね。ですから、そのBDFがちゃんと信頼性があるものなのかという基準そのものも非常に大事だと思いますので、そういう意味では、サプライヤーによって、どういう作り方をしているのかとか、あるいはその成分がどうなのかということもしっかりと見定めていただく必要があると思いますけれども、でも、それを是非やっていただいて、そして、多くの方々が、BDF、使ってみようかなというふうに思えるような制度整備というものを進めていただければというふうに思っています。是非、期待をしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 そして、次に、では、BDFの活用というものが進んだ場合に、てんぷら油みたいなものがちゃんと確保できるのかというところが非常に大事になってくるわけでございます。

 そこで、二枚目の資料を御覧いただきますと、これは高純度バイオディーゼル燃料事業者連合会というところが、どうやって普及させていくかということをロードマップを描いていまして、これから二〇二五年、まさに万博に向けてはB30を進めていくということなんですけれども、それによって、一番下のグラフのように、CO2も削減していきましょうと。今三万トンですけれども、それが二十六万トン、そして二〇三〇年には五十二万トン、CO2を減らしていきましょうというようなことを描いておるわけなんですけれども、ただ、このときにやはり課題になるのが、油が集まるのかどうかということだと思うんですね。

 三枚目の資料を見ていただきますと、今の現状、食用油の廃油がどういう処理をされているのかというようなことがフロー図で書かれています。

 その中で、上段でも下段でもいいんですけれども、上段の方がちょっと見やすいので、丸をしてある部分を御覧いただきますと、輸出が六万トンで、そして、古新聞などにしみ込ませて、また凝固剤で処理し、ごみとして廃棄しているというものが、これが六万トンとそして九から十万トンというもので、輸出に行っちゃっている、大体中国に行っているそうなんですけれども、そして廃棄している方が十万トンぐらい出ているということで、これをどうやって確保していくのか、国内で有効利用するのかというのが非常に大事になってくるというふうに思います。

 そこで、所管の環境省さんにお尋ねをしたいんですけれども、現時点で、環境省として、廃油の回収とか活用状況についてどういう把握をされているのかということをお伺いしたいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省が実施している調査で把握している数字についてお答えいたします。

 まず、一般廃棄物の方ですけれども、そちらの廃食用油については、分別回収している自治体の数ですけれども、令和二年度実績で五百四十九団体ございます。全体の約三割でございます。また、回収された廃食用油からバイオディーゼル燃料化された量は、令和二年度の実績で四千三百八十トンと承知しております。

 また、次は産業廃棄物でございますが、そちらの廃油のうち、廃食用油の排出元の一つである食料品製造業からの排出量は、令和元年度実績で年間十六万六千トンでございます。ただし、この数字には、食用油以外の廃油も含まれているというふうに承知しております。

小野委員 なかなか、BDFに使えるような油だけを、例えば廃食用油だけを把握するというのは難しい面があろうかと思いますけれども、ただ、先ほどのように、脱炭素社会でそういった油を国内でしっかり使っていこうというようなことを政策として進める場合には、やはりその把握も必要だというふうに思いますので、是非、これはいろいろな団体が頑張っています。例えば、菜の花プロジェクトネットワークの藤井絢子さん、非常に有名な方で、てんぷら油を集めて、そしてこれをBDF化するということで、もう本当にライフワークとして頑張っていらっしゃる、すごい、すばらしい女性がいらっしゃるんですね。

 そういう方々も本当に熱い思いでやっていらっしゃいますので、そういう民間の方々とも連携をしながら、しっかりと、なるべく多くの食物用の廃油を、これを国内でBDFとして使っていくという流れをつくっていただきたいというふうに思っています。そして、それを進めるためには税制も変えていく必要があるというふうに思っています。

 今、軽油引取税で、BDFが軽油に混合すると全体に課税されちゃうんですね。これはやはりカーボンニュートラルを実現する上でもちょっと障害になっているというか、政策的にも余りよろしくないんじゃないかなと私は思うんですけれども、これについて、やはり将来的には改正をすべきじゃないのかというふうに思いますが、これについて総務省の見解を伺いたいと思います。

川窪政府参考人 お答え申し上げます。

 軽油引取税につきましては、課税対象となっていない重油や灯油などの混和による不正軽油という問題がございまして、このような混和による課税逃れが生じませんように、混和された軽油につきましては、その全体を課税対象として課税する、軽油引取税を課す、こういう仕組みとしているところでございます。

 こうした課税の仕組みでございますため、御指摘のバイオディーゼル燃料が混和された軽油につきましても、課税対象となります引取りの時点、その時点における軽油全体に対しまして軽油引取税を課すという仕組みとなっているものでございまして、御理解をいただければと存じます。

小野委員 私も地方行政の現場でやっておりますと、抜き打ち検査とか本当にしっかりやっていかなきゃいけない。そこの課税の公正さという面は非常に大事だというふうに思いますけれども、ただ、総務省全体でできるかどうかは別として、例えば課税の部分においてはそうやってやるけれども、ただ、BDFを使っている部分に関しては何らかの、ユーザーさんが恩恵を受けるような仕組みづくりというのを、これは総務省の枠を超えてでもいいと思うんですけれども、やはり進めていくべきだろうというふうに思いますので、これは経産省も含めて皆さんで、どうやったらもっともっとバイオディーゼル燃料を使っていただけるのかという工夫をしていただきたいというふうに思っています。

 それでは最後に、こういった議論を受けまして、細田副大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 今、実証実験をやっている段階ではありますが、ただ、万博というのも、これはいろいろな実験をしていく場でもあります。そういう意味で、最後に、このBDF燃料を大阪万博でどのように使っていくのかというところの思いがあればお伺いしたいというふうに思います。

細田副大臣 ありがとうございます。

 バイオディーゼル燃料などのバイオ燃料の導入は、先生からも御指摘ございました運輸部門の石油依存度を低減させ、脱炭素化に向けた取組を推進するための有効な手段の一つであると認識をしております。

 大阪・関西万博では、先ほど申し上げたとおり、持続可能な万博の運営を目指して、温室効果ガスの排出抑制に取り組むこととしており、今後、博覧会協会と連携しながら、先生から御指摘があった熊本での実証実験の結果も踏まえて、バイオディーゼル燃料を大阪・関西万博で活用できるか、検討してまいりたいと考えております。

小野委員 副大臣、ありがとうございました。

 是非、意欲的に、使えるところで使っていただきたいというふうに思うんですね。本当に、日本の、ある意味、もったいない精神が一番生きる分野だというふうに思うんです。本当に、それぞれの御家庭で余ったてんぷら油を集めて、そして、それをちゃんと再生可能エネルギーとして生かそうというような情熱を持っていらっしゃる方は全国にたくさんいらっしゃいますので。

 例えば、万博の会場で夜間の照明用の電源として燃料を使うとか、あるいはいろいろなシャトルバスがありますよね、そういったところ、まあ電化されるものもあると思いますが、そうじゃないものもあると思います。そういったところでも使っていただくということで、やはり多くの方々の思いがこの万博でつながっていくというようなものにしていただきたいというふうに思いますので、どうぞ前向きな御検討、そして採用をお願いしたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 早速、質問に入りたいと思います。

 今日は、DX、デジタルトランスフォーメーションについて何点かお尋ねしたいと思います。

 御案内のとおり、DXは、データやデジタル技術といったテクノロジーの力を企業が利用し、優位性を獲得し、顧客や社会を豊かにするというふうに定義されています。しかし、私を含めて多くの人が、DXとITが混同しているんじゃないかというふうに思います。

 DXは、テクノロジーを活用した業務プロセスそのものの変革、プロダクト、サービスや事業の経営の変革のことというふうに言われておりますし、すなわち、情報やデジタル化を手段として、製品、サービス、ビジネスモデルの変革を進めるもの。対して、AI化は、テクノロジーを活用した既存事業の効率化、すなわち、業務効率化などを目的として、情報やデジタル化を進めるものと言われていて、DXとIT化は、一見すると同じように見えるんですが、実は全く違うものだというふうに言われているんです。

 まず、当たり前のことをお聞きしているんですが、御認識をお尋ねしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおりでございます。

 DX、意味は多義的でありまして、人や組織によって指す意味の違いや類似語との混同が見られる概念でございますが、経済産業省においては、DX、デジタルトランスフォーメーションを、企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するとともに、企業文化、風土等を変革して競争上の優位性を確保することというふうに位置づけております。

 他方、IT化でございますが、ツールの導入等によって、業務プロセスを電子的な手段に切り替えていくことを指すものと承知しております。

 すなわち、IT化が既存事業を変えることなくて単にソフトウェアやシステムを導入するものであるのに対して、DXは経営改革までを含めた概念であるというふうに認識をしております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 そう御答弁いただいたんですけれども、日本のDXが世界と比べると遅れている理由が三つあるんだそうです。

 一つは、テクノロジーに対する理解不足。その一つとして、新技術や新しい概念に関する情報は英語で公開されていることが多いのが一つの要因だ。

 二つ目、IT人材の育ちにくさ。日本ではIT人材が育ちにくいのは、年功序列で若い人材にチャンスが与えられにくい風土がまだまだ多く残存しているということです。また、IT戦略の立案、推進をシステムインテグレーターなどの外部企業に委託して、DXの推進を外部に丸投げしている。社内にノウハウが蓄積されていないケースが多い。

 三つ目が、データに対する考え方の違い。日本では、記録のため、万が一のため。アメリカでは、データを活用、戦略の柱をつくるため。日本とアメリカでは考え方が異なっているということです。

 日本ではデータを活用して新しいビジネスを創造する力が欠けているんじゃないか、このような指摘がされているところですが、経産省としてどういう認識を持っているのか、お尋ねしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおりだと思いますが、まず、我が国においては、一部の企業において積極的なDXの取組は見られますが、八割の企業が、まだDXが個別の取組に終始し、全社的な変革に至っていない状況であり、全体としてはDXの取組が遅れているといった状況にあると認識をしております。

 また、独立行政法人の情報処理推進機構が行った調査によれば、DXへの取組状況を日米で比較すると、米国企業の約七九%がDXに取り組んでいるという状況であるのに対して、日本企業では約五六%にとどまっているといったデータもございまして、このような状況は改善していくべきだというふうに認識をしております。

鈴木(義)委員 そこで、ちょっと前後してしまって申し訳ないんですけれども、DXを推進するためのインフラ整備について、デジタル庁にちょっとお尋ねしたいんですね。

 民間では、大企業は過去の成功体験にすがるため、導入への明確なビジョンや組織体制について課題があるというふうに言われています。中小零細企業では予算の確保が難しいという問題があって、そのうち、国や自治体はDXの実施率が低いんですって。まあ、経産省は一番高いんでしょうけれども。このコロナによって、例えば、ワクチンの接種券を配付するとか十万円の給付をするとか、厚労省、総務省、国土交通省のGoToトラベルも含めて、みんなばらばらなシステムでそれを行おうとしているわけです。

 デジタル庁をつくったんですから、いろいろな各省庁でやりたいことを、デジタル庁がシステムとして一括して前に進めていくような形を取らないと、結局、縦割り行政がこれからもずっと同じように進んでいけば、特に、今度、国と地方自治体、都道府県だとか市町村、千七百の自治体があると言われているんですけれども、みんなシステムがばらばらで、そこにもコストがかかるし。

 だから、DXを本当に経産省が進めていきたいというふうに考えているんだったら、そこのところをやはり、デジタル庁ならデジタル庁に一元管理させてシステマチックにつくっていくことが、私は、社会的コストを下げる意味合いで、何のためにデジタル化していくのか、ITを使うのか、AIを使うのか、DXを使うのかというところは、最終的には、人口減少の中で今の豊かさをどう享受させるかということにITを使いましょう、DXを使いましょうという発想になっていかないと、導入してくれないんじゃないかと思うんですね。

 その辺の、国と地方の不整合とか、情報システムがみんなばらばらの状態で推し進められるのか、デジタル庁の方で答弁いただきたいと思います。

冨安政府参考人 御答弁いたします。

 委員からいろいろな御指摘がありましたので申し上げますと、まず、各府省におきまして、オンライン化につきましては、デジタル手続法というのが令和元年十二月に施行されております。そこでデジタル三原則も作りまして、しっかりと行政手続につきましてはオンライン化していく。

 デジタル庁ができまして、じゃ、どういう役割を担うかというと、今、先生、DXというお話がありました。やはり、共通機能をしっかりと、各府省がシステムをつくるときにばらばらにならないように、しっかり使っていただく。

 デジタル庁では、例えば、ガバメントクラウドですとかガバメントソリューションサービス、あるいはID、認証、そういったものにつきまして共通機能をデジタル庁で整備いたしまして、しっかりと、デジタル庁は法律により統括、監理するという権限をいただいておりますので、各府省のシステム構築に当たりましては、プロジェクト管理をいたしまして、新規のシステム構築の際、あるいは継続されるものであってもその更新の際には、ただいま申し上げましたような共通的な機能をしっかりと使っていただいて、各府省が独自で調達しないで、ばらばらにならないように、そういったことを確認しながらやらせていただきたいと思っております。

 また、地方の話につきましては、システム標準化、基幹業務の二十分野につきまして、今、標準的な機能を洗い出しまして、それにつきまして、それにのっとった形でシステムを構築していただいて、それを基本的には地方自治体には使っていただくというような取組も進めているところでございます。

 まさに、我々デジタル庁は、誰一人取り残されないということを目指しておりますので、そのシステム構築に当たりましては、やはり使い勝手、要するに国民にとっての使い勝手、それから、役所から見ると、BPR、ちゃんと働き方の改革につながっていくような、そういった視点も併せながら、しっかりと各府省と取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 急な御案内だったので、政府参考人に答弁いただいたんですけれども。昨日、やり取りした中で、大臣は難しいとしても副大臣なり政務官に来てもらったらと言ったら、なかなか日程が合わないんだということだったんですけれども。やはり、デジタル庁をつくった割には、何か位置づけがちょっと低いんじゃないかと思うんです。

 例えば、今、私は法務委員会にも所属していて、民事訴訟法の改正で、ITを導入してもっと早い審理をしていきましょうということで来週質問に立つんですけれども、じゃ、法務省がやろうとしているITなんかも、IT化をさせていこうということも、デジタル庁が関わってシステム化を同じような形でやっていこうとするのか、その辺は方向性はあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

冨安政府参考人 御答弁いたします。

 デジタル庁におきましては、各府省のシステムにつきましても、極めて国民に影響を与える重要なシステムにつきましては、各省と一緒にプロジェクトをつくりまして開発を進めることにいたしております。

 今委員御指摘の民訴関係のプロジェクトにつきましても、しっかりと各省とチームをつくってやっているところだと承知しております。

鈴木(義)委員 連携してとか協議するというのはよく行政の方はお使いになるんですけれども、結果を出さなくちゃいけないんだと思うんですね。なかなか半年だとか一年で結果は出ないと思うんですけれども、やはり二年、三年後にはある程度統合するような形で出していかなければ意味がないんじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 それで、経産省のレポートの中に、企業のIT予算は九割以上が老朽化したシステムの維持管理費に充てられているということらしいんですね。うちの会社でも、ITというより、ソフトは使っていますけれども。

 日本は守りのIT投資、アメリカは攻めのIT投資。先ほども例示を挙げさせてもらったんですけれども、これについて、やはりもう少しアピールするというんですかね、やはりメリットを出していくような形を取っていかないと。昨日も、やっと国会の、衆議院の本会議で、議事録だとか官報についてはデジタルで出しましょうというのが議会で議決されたんですけれども、そういったことをどんどんやはり出していかないと。

 ただ、私はなかなか、これは個人の見解なんですけれども、デジタルで見ていると頭に残らないんです。これは不思議なんだよね。ペーパーだと頭に残る。これは相反しているんですけれども、ただ、ある程度のものに関してはそちらの方向に向けていかなければ。

 それで、一番問題になってくるのは、そのデータを誰が一番、これは法務委員会でも参考人質疑のときに、ITを活用してAIをどんどん入れていく時代になってきたんだと思うんですけれども、そこから得られたデータは誰のものなのかと尋ねたんです。ある参考人の方が答弁をされたんですけれども、公共財だというふうにおっしゃられたんです。

 だから、データを蓄積することによって公共財の位置づけにするんだったら、やはり旗を振っていくのは経産省じゃないかと思うんですけれども、大臣、どんなものでしょうかね。今の感想も含めてで。

萩生田国務大臣 先生の問題意識、極めて大事だと思うんです。

 それで、コロナがなかったら、更にぼうっとしていたんだと思いますよ、国中。したがって、今、急ピッチでそのデジタル化、DX化というものを国を挙げて進めるということになって、デジタル担当大臣というのもつくったんですけれども、これは国会の古いしきたりの中で、新しくできた役所というのは何か常に一番後ろに並ばなきゃならないようなところもあって、なかなか司令塔としての役割をまだ果たしていないですよね。

 だって、考えてみれば、給付金を配るにしたって、あるいは様々なサービス、あるいは今回のいろいろなことで国民に直接ダイレクトにタッチしたくても、マイナンバーはあっても、マイナンバーカードは、できれば持ってもらいたい、こういう国の姿勢しか貫くことができないわけですよ。ですから、根本的に構造を変えていかない限りDX社会というのは出てこないというふうに思いますので、私は経産省ですから、所管している企業の皆さんのサポートはしたいと思います。サポートはしたいと思いますけれども、社会全体でどうするのかというのは、これは本当に岸田内閣全体で考えなきゃいけないことだと思っています。

 菅内閣のときにこのデジタルの話が出たときに、例えばマイナンバーカードを、きっと総務省は全員に持ってもらいたいと思っていると思いますよ。だけれども、旗振りするのが嫌なんですよ。だから、じゃ、どういうときに一番カードが増えるかといって閣僚間で話をすると、いや、これは文科大臣、やってくださいよ、就学前だったら、みんな持ってくれと言えばきっと持ちますよ、就学前健診のデータもくっつければいいんですと。だったら厚労省がやった方がいいんじゃないか、保育園や幼稚園の方がよっぽどお母さんたちは言うことを聞いてくれるんじゃないかとか、こんな状況のやり取りをずっとしてきたのが日本のまさに実態だと思います。

 ここでDX社会を本当に目指すんだとすれば、国全体の青写真というのを示した上で、本当に司令塔をどこに置くかということでしっかり制度をつくっていかないと、これは、経産省頑張れと言われて、企業の皆さんに寄り添ってDX化しても、全然それが社会と呼応しないというのでは困っちゃうと思いますので、やや言い訳がましいんですけれども、我々、やることはしっかりやりたいと思いますが、是非また違うところでハッパをかけていただければと思います。

鈴木(義)委員 何か、大臣から依頼をされちゃうのも初めてだなと思うんですけれども。

 ハッパをかけるというよりも、何か新しいものに飛びついて、何かやればいいんだろう、でも、実際は旧態依然とした仕組みのままで、誰が、じゃ、何かメリットがあったのか。

 最終的には、やはり、国益というのは、私は国民のためにメリットがあるかどうかということに尽きるんだと思うんですよね。それで、私たちを生み育ててくれたこの日本の中で、豊かさとやはり平和をどこまで維持できるか、次の世代にどう送っていくか。

 送っていくときに、生産労働人口がどんどん減っていく状況の中で、いろいろ手だてはしていますけれども、やはりそれでも豊かさを享受できるような社会をつくっていくことが、一つの方策として、DXを使うとかITを使うというところ。

 だから、是非、経産大臣に頑張って、あっちだ、こっちだ、そっちだと言わないで、経産委員会では有意義な議論ができると思うんですけれども、是非閣議で、それを情報発信してもらえたらなと思います。

 最後に意気込みを、もう一回お願いしたいと思います。

萩生田国務大臣 目指すべき方向はもう大体見えてきていると思うんですね。

 だから、どういうきっかけで国民の皆さんに真正面から説明して理解を求め、そして、制度を変えていくことを理解していただいた上で、その先にある未来像というのは国民の皆さんにどういうメリットを与えるのか、そういうことをしっかりやっていくことが我々の仕事だと思いますので、意気込みをと言われると、経産省の所管を超えて、なかなか申し上げることもできないんですけれども、大事なことであることは先生と同じ思いでございますので、次世代にいい日本がつくれるように頑張りたいと思います。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 午前十一時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十分開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 去る三月二十二日の東日本における電力需給の逼迫について伺います。

 今回初めて発令された電力需給逼迫警報は、東日本大震災後の電力供給不足に対応した措置として導入されたものであります。

 まず、萩生田大臣に確認したいと思いますが、東日本大震災の東京電力福島第一原発事故の大きな教訓の一つが、大規模集中電源から小規模分散型電源への転換だった。この認識は、当然、大臣もお持ちですね。

萩生田国務大臣 二〇一一年の東日本大震災を契機に、分散型電源を始めとした多様な電源の活用の必要性が確認されたことは事実であります。

 そのため、分散型電源の代表である再生可能エネルギーの最大限の導入に向け、再エネ特措法に基づく地域と共生した電源の導入支援や、災害時に系統から自立して地域に電力供給を可能とするマイクログリッドへの支援など、制度面や予算面での支援を講じてきていることに加え、分散型電源の導入に不可欠な系統の整備、拡大や蓄電池の実用化に向けた支援策などの取組を一体的に進めてきているところです。

笠井委員 二〇一一年十二月に経産省の電力システム改革に関するタスクフォースがまとめた論点整理でも、大規模電源の集中リスク、遠隔地電源への依存リスクが顕在化したと指摘をしております。

 大臣、この論点整理では、電力システム改革の方向として、分散型エネルギーシステムへのニーズの高まりに対応した制度設計にすることが必要だというふうに指摘しているわけですが、この指摘というのは、その後の電力システム改革にどう具体的に生かされたんでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の論点整理においては、需給逼迫時における需要抑制、また、需要家の選択肢の拡大、供給の多様化、競争の促進と市場の広域化、安定性と効率性の両立などの論点が指摘されたと承知しております。

 こうした論点も踏まえ、これまでの電力システム改革においては、まず、安定供給を確保する、そして、電気料金を最大限抑制する、需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大するという三つの目的を実現するため、小売全面自由化、送配電部門の分離、電力広域的運営推進機関の設立などに取り組んできたところです。

 こうした取組によって、再エネに特化したサービスメニューの出現などによる需要家の選択肢の拡大ですとか、電源の広域的な活用による効率化、地域間連系線の増強などによる需給逼迫時の地域間での電力融通の円滑化など、一定の成果が表れてきていると認識しております。

 他方、脱炭素化の流れも相まって、火力発電の休廃止の増加など、電力自由化に伴う新たな課題にも直面しているところでありますが、低廉かつ安定的な電力供給の実現に向けて、こうした社会の変化により生じる新たな課題に対して、今後とも、エネルギーシステムを不断に見直すことで、電力システム改革で掲げた目的の実現につなげていきたいと思います。

笠井委員 一定の成果が出ているということですが、やはり十分に生かし切れなかったからこそ、今回、初めての逼迫警報発令となったのではないか。経産省と大手電力が電源の分散化にどう取り組んできたかがやはりその中でも問われてくる。やはりこの点ではしっかりとした検証が必要だと思います。

 そこで伺いますが、今回の逼迫警報発令の発端となったのが、三月十六日深夜に発生した福島県沖地震であります。宮城、福島で多くの発電所が緊急停止をした。

 経産省に伺いますが、地震の影響で停止した火力発電所はどこか、あわせて、合計で何基で、総出力は何万キロワットになっているでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十六日、福島県沖で発生した地震により停止した火力発電所は、釜石火力発電所、新仙台火力発電所、仙台パワーステーション、福島天然ガス発電所、新地発電所、石巻雲雀野発電所、相馬石炭・バイオマス発電所、原町火力発電所、広野火力発電所、茨城工場第一発電所、根岸ガス化複合発電所でございまして、停止した発電機の総数は総計で十四基、総出力は約六百四十八万キロワットでございます。

笠井委員 最大震度六強という強い揺れによって、六百五十万キロワット近くもの供給力を一気に失った。急激に需給バランスが崩れると、最悪の場合には大規模停電、ブラックアウトをもたらしかねない。それを回避するためのシステム、周波数低下リレーが発動したため、地震直後に東京、東北の広いエリアで停電が発生したということであります。

 経産省に更に伺いますが、東北電力、東京電力それぞれの停電解消時刻と復旧までに要した時間はどうなっているでしょうか。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県沖地震は、三月十六日二十三時三十六分に発生してございます。東京電力管内では、そのとき最大で約二百九万戸の停電が発生いたしましたけれども、地震発生から三時間十六分後の翌十七日二時五十二分に全て停電が解消し、東北電力管内では、これも最大約十六万戸の停電が発生いたしましたけれども、地震発生から二十二時間五分後の翌十七日二十一時四十一分に全ての停電が解消いたしました。

笠井委員 深夜の地震発生にもかかわらず、関係者の尽力によって、東京エリアでは三時間ほどで停電が解消した、東北エリアでも一日足らずで復旧したということでありますけれども、地震の影響はこれだけではなかった。

 資源エネルギー庁に伺います。

 十四基の立地を県別に見ますと、岩手県一基、宮城県四基、福島県七基、茨城県一基、それから神奈川県一基ということになります。福島県の発電所が半数を占めるわけですが、そのうち、相馬石炭・バイオマス発電所、福島天然ガス発電所、新地火力発電所は相馬港のそばに立地をしております。

 この四基だけで二百三十万キロワットになるというふうに思うんですけれども、狭いエリアでこれだけの量の電源が一気に脱落したことで、東北から東京間で電力を融通するための連系線にも影響が及んだんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十六日の地震の影響で、委員御指摘のように、東北から東京に送電する地域間連系線の近くにあります、福島の浜通り北部の火力発電所が停止した部分、これは連系線に影響が生じました。

 具体的に言いますと、新地火力発電所百万キロワット、あと原町発電所百万キロワットなど合計二百万キロワット以上の、この福島浜通り北部にございますことの停止の影響が、これは専門的に申し上げますと系統の同期安定性と呼ぶのでございますが、東北エリア全体で電気というものを、潮流、安定的に流すためのことを図る必要があるものですから、結果的に、東京―東北間の連系線の送電容量を通常時の五百万キロワットから二百五十万キロワットへと引き下げる対応がなされたと承知しております。

笠井委員 地震で火力発電所が緊急停止、供給力が低下した上に、東北から東京への電力融通量が通常の半分、二分の一に制約されてしまった。電力供給と、地域を越えた融通の双方に影響が出たということであります。

 そこで、緊急停止した火力発電所は順次復旧をして、三月二十日までに八基が運転再開をしました。ところが、電源開発の磯子火力など三基がトラブルで停止した。さらに、三連休明け、二十二日の天気予報がどんどん悪化をして、当初は最高気温十度程度の予報だったのが、前日二十一日夜には真冬並みの三・八度、雪交じりの雨という予報となりました。

 三連休の最終日、二十一日夜八時に逼迫警報第一報が出されたわけですが、この警報はどういう場合に出されるのか。また、電気事業法の法的根拠はどうなっているんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 政府によります節電要請というものは国民生活に大きな影響を与えることから、発出基準というものは事前に作成、公表していることといたしております。

 この基準の根拠といいますか、策定しているものでございますが、これは二〇一二年のエネルギー・環境会議及び電力需給に関する検討会合という閣僚会議において定められたものでございますけれども、当時、他電力から電力融通を最大限に受けても供給予備率が三%を下回る見込みとなった場合に節電の協力を求めることということを定めてございます。

 その後、二〇二一年、昨年でございますが、一月に逼迫が更に生じました。エリアを越えた形での融通ということを当時取ったわけでございますが、そういう融通を優先するということも含めてこの改定をいたしまして、広域機関による融通指示などあらゆる需給対策を踏まえても予備率が複数エリアで三%を下回る見通しとなった場合に、政府から需給逼迫警報を発令し、節電協力を求める、こういう形にしてございます。

笠井委員 では、法的根拠は、電気事業法との関係はどうなっていますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、電気事業法に基づく、法律に基づく措置というわけではございませんで、閣僚会合で申し合わせたことを受けた要請となってございます。

笠井委員 大臣に伺いますが、制度設計では、前日の夕方六時をめどに発令することになっているわけですけれども、なぜこんなに遅れたのか。これは、多くの疑問というか、そうした問いがあるわけですが、どのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 三月十六日の福島県沖地震の影響で、今先生も御披露いただいたとおり、火力発電が停止をしている中、二十二日の東日本が悪天候で日中の気温が平年より大幅に低くなり、電力需要はこの時期として異例の高水準となりました。また、太陽光が発電しなかったため、電力需給が極めて厳しくなったものです。

 東京電力パワーグリッドからは、前日、二十一日の夕方、翌日の需給見通しが極めて厳しく、国による節電要請についての相談がありました。その後、需給逼迫警報の発令基準に該当するか否か判断するに当たって、需給見通しの精査に時間を要した結果、警報の発令は二十時となって、二時間、本来のルールから遅れることになってしまいました。

 需要家の理解と協力を求めるには適切なタイミングで呼びかけを行うことが重要でありまして、まずは、節電要請のタイミングを含めた今回の一連の対応についてしっかりと検証し、今後の適切な需給逼迫警報の発令につなげていきたいと思います。

笠井委員 休日の夜八時に電力需要が綱渡りとなって警報を出したと言われても、事業所の対応というのは翌日の営業開始以降にならざるを得ない。

 エネ庁に伺いますが、二十二日午前中の東電エリアの節電達成率というのはどうなっているか。節電目標を超えたのは何時台でしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 三月二十二日に需給が逼迫するという見込みについて、前日の夜に節電要請をしたわけでございますが、二十二日当日は、この警報に基づきまして、朝から産業界や自治体の方々に要請を開始し、午前中も、当初想定しておりました想定需要よりは下がってはきておりましたが、東京電力が一日この電力需要を満たせるために設定しておりました節電目標との比較で申し上げますと、午前中はその達成率が最高で四〇%、大体、大まかで申し上げますと、三〇%台ぐらいを午前中は推移していたところでございます。

 これが、節電率自体は、同じく節電達成率、目標との関係で申し上げますと、十四時台に六六%に上昇いたしまして、十四時四十分に萩生田大臣から緊急会見をさせていただいた後、十六時台に一〇〇%を超え、一一〇%という形で節電目標が達成の状況になったということでございます。

笠井委員 午前中の節電達成率が三割程度にとどまっていると。さっき大臣の答弁でもありましたが、やはり警報発令のタイミングがどうだったかも、おっしゃったようにしっかりと検証していただきたいと思います。

 電力需要を減らすには、各家庭の協力ももちろん大事なんですけれども、電気を大量に使用する工場や業務ビルなどの大口需要家の積極的な対応が不可欠だと思います。

 エネ庁に更に伺いますが、警報当日の東電エリアの時間帯ごとの節電実績、低圧、高圧、特別高圧、それぞれの内訳で示せるでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず結論から申し上げますと、節電実績については、全体、総体としては東京電力からも報告を受けておりまして、節電率若しくはキロワットアワーというものを時間帯ごとに全部お示しすることは可能なのでございますが、電圧別の内訳ということについては、現時点では手元に報告がございませんで、様々仮定を置いて算出した上では可能でございますが、今後、その方法も含めて検討はしていきたいと考えてございます。今は御報告できません。

笠井委員 東京電力の小売事業会社であるエナジーパートナーでは、契約電力五百キロワット以上の大口需要家約五千軒に節電要請を行って、五百四十万キロワット時の節電効果があったと見込んでおりますけれども、大臣、電力事業者が大口需要家に節電をどう働きかけたのか、需要家側はどんな対応をしたのか、新電力との契約先も含めてこれは調査、検証すべきだと思うんですが、いかがですか。

萩生田国務大臣 時系列で先生いろいろ検証していただいているんですけれども、やはり、もちろん二時間遅れてしまったというのは、これは否めません。

 他方、仮に六時に発令したとしても、当日、三連休の祭日だったということもあって、なかなか国民にその切迫した状況がきちんと伝わらなかったという点では、伝え方も含めてやはり見直しをしておかなきゃいけないなというふうに思っています。

 しかも、二十二日というのは東京を中心に蔓延防止措置が解除される日でありまして、特に飲食店の皆さんなんかは早くから準備をされて、お客様を迎える、そんな用意をしていたときでありましたので、私はもうちょっと様子を見てからというふうに考えていたんですけれども、これ以上待つと、揚水電力も非常に減りが早くて、本当にブラックアウトになってしまうというので、二時台に緊急の記者会見をさせていただきましたところ、幸い、初めてのことだったので、メディアの皆さんも正しく報道していただいて、それが夕方まで、ワイドショーなどではリリースして常にその話題を取っていただいたおかげさまで、一般家庭の皆さんにも本当にお世話になって、何とか停電を免れることができました。

 その上で、先生から御提案のあった一般送配電事業者や新電力を含む小売電気事業者へのヒアリング、それから需要家に対するアンケート調査というのをやろうということになりまして、今きちんと検証できるようにしています。どこがどういう形で、どのくらいのボリュームで直ちに対応できたのか、あるいはできなかった理由は何なのかということも含めて、幅広い需要家の取組を検証した上で、需要家へのアプローチ手法や効果的な節電の在り方についてしっかり検証して、次につなげていきたいと思っています。

笠井委員 しっかり検証していただきたいと思います。

 今回、初の逼迫警報に至った要因の一つに、いまだに電力供給が大規模集中型になっていたことが挙げられるんじゃないか。

 二〇一八年の北海道の胆振東部地震では、北海道全域で、大停電、ブラックアウトという重大事態となりました。泊原発を再稼働させるために既に二千億円以上の費用を投じ、人員をつぎ込んできたのが北海道電力だ。北海道の電力供給の約半分を担っていた苫東厚真の火力発電所を地震が直撃したことで、ブラックアウトに陥った。

 当時、私も現地の調査に入りましたが、北海道電力は、ブラックアウトの後、電力供給を苫東厚真に一極集中させてきた状況をこれは是正したんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねのありました、北海道で起きました二〇一八年のブラックアウト、これは、私どもも、電力システムの在り方として改めて検討を要する課題であると認識しました。

 それで、電力広域機関の第三者委員会で検証がなされたわけでございますが、これは、必ずしも苫東厚真火力発電所の停止だけの要因というわけでもなく、送電線の事故等を含む複合的な要因によって引き起こされたとの結果が確認されているところでございます。

 要は、一極集中ということももちろんあるわけでございますが、加えまして、連系線がしっかりとつくられているかどうか、さらには、分散型のシステムが導入できるような送電線の運用の仕組みができているかどうか、再エネの導入がもっと進められないかどうか、様々なものを含めて検討していくこととしたところでございまして、二〇一八年十一月二十七日に開催された重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議において再発防止策、対応策等をまとめたところでございます。

 連系線について申し上げますと、北海道と本州を結ぶ北本連系線について申し上げますと、六十万キロワットの運用容量を九十万キロワットまで増強したところでございます。また、今後、二〇二七年度までに百二十万キロワットに増強することとし、現在工事に取り組んでいるところでございます。

 あと、供給力について申し上げますと、当時、委員御指摘のように、苫東厚真、全部で百六十五万キロワットあるわけでございますが、大変ここに依存が大きかったという面もございます。この後に、LNG火力になるわけでございますが、石狩湾新港の発電所一号機という、これは五十六万キロワットというものが営業運転を開始しております。

 また、系統の運用という意味で申し上げますと、ノンファーム型接続という形で、系統の容量についてお約束しないけれどもつなげるよというような仕組みの導入を図りまして、北海道の中における再エネの導入拡大にも取り組んでいるところでございます。

笠井委員 大規模集中の話について聞いたわけですが、苫東厚真だけではないというふうにおっしゃったんですけれども、苫東厚真火力依存の電力供給がどう改善されたかということを聞いたわけです。

 北海道電力の電源構成で、では、現在、苫東厚真の占める割合は何割ですか。何%でしょう。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっとこれは、何割というお答えの仕方もなかなか難しいところでございます。需要規模が、時期にもよりますが、五百万、七百万という規模のウェートがある中で、苫東厚真が百六十五万だとしますと、その三、四割ということになります。

 もちろん、これは非常に大きい、需要が大きい伸びが出てくるときにはそれがフル活用という中のウェートになってきますけれども、需要が小さくなりますと、苫東厚真の火力発電所、たく量というのは相当減ってまいります。時間軸、時間帯によって相当このウェート、利用率というのは変わってくるところでございまして、ちょっと御通告もいただいておりませんので、ちょっと具体的にはお答えできないところかと存じます。

笠井委員 このことを議論すると言ったわけですから、通告をもらっていないという話じゃなくて、政府参考人にって来られているわけですよ。

 結局、それはいろいろな需要の時期がありますけれども、道内の需要の約半分ということで、全然変わっていないんです。最大約二百九十五万戸が停電して、北海道電力が復旧宣言を行うまでに六十四時間、約三日もかかるという大きな被害をもたらしながら、いまだに苫東厚真火力に依存したという状況は変わっていないと思うんです。

 大臣に伺いたいんですが、先月の福島県沖地震でも、集中立地していた発電所が一遍に被害を受けたことで綱渡りの電力供給となりました。なぜ十一年前の教訓を生かし切れなかったのかと、やはり本当に重く受け止める必要があると思うんです。

 石炭火力や原発などの大規模集中型電源に依存した電力供給がやはり災害時にはもろいことははっきりしている。逼迫警報のような事態を繰り返さないためにも、災害に強くて安定供給にも資するような小規模分散型電源への転換というのをその点でも本腰を入れて進めるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 再生可能エネルギーや蓄電池といった分散型電源は、需要家の災害時の対応力の強化に加え、供給力のみならず、調整力としての活用も期待されております。

 こうした分散型電源の活用を更に促進するためには、再エネや蓄電池そのものの普及のみならず、分散型電源を束ねて適切に市場で小売事業者等に電気を取引することができるいわゆるアグリゲーターや、災害時において地域の配電網を主要系統から切り離して独立して電気を運用する配電事業者の一層の活躍が必要であると認識しています。

 そのため、エネルギー供給強靱化法において、新たにアグリゲーター及び配電事業者のライセンス制が導入されまして、両者の信頼性を高める措置がこの四月に施行されました。また、分散型電源の一つである大型の蓄電池を電気事業法上の発電事業者に位置づける法案を提出しているところです。

 こうした取組を通じて、分散型電源も活用した電力システムの構築を促進してまいりたいと思います。

笠井委員 思い切った、大規模集中型から小規模分散型にかじを切るときだというふうに思います。

 大規模集中電源の問題だけではありません。再エネ資源を全国規模で活用するための送電網の強化もほとんど進んでいない。

 エネ庁に伺いますが、二〇一一年以降に増強された地域間連系線の場所と容量を端的に示してください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一一年以降ということでございましたけれども、連系線の増強について言いますと、北海道と本州をつなぎます連系線、これは先ほどの御指摘にありました北海道との関連、出てまいりますが、北本連系線を六十万キロワットから九十万キロワットへ増強、また、六十ヘルツの西日本と五十ヘルツの東日本をまたいで東西間を流す周波数変換設備を百二十万キロワットから二百十万キロワットへそれぞれ増強してきたところでございます。

 さらに、今後の計画も含めて御答弁申し上げますと、北海道と本州間の北本の連系線の強化につきましては、現行の九十万から更に百二十万キロワットへの増強、また、東京と東北間を結びます連系線を現在の五百五十万キロワットから千二十八万キロワットへの増強、また、東京と中部間の周波数変換設備につきましては現行の二百十万キロワットから三百万キロワットへの増強の工事を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、これは広域間の中で、日本全体の、これは再エネの増強も含めてでございますし、レジリエンスという面もでございますが、しっかりと潮流が流れていくようにするためのマスタープランを作らなければいけないということで、これを計画的に整備するためのマスタープランの検討を進めておりまして、今年度中に策定する方向で取組が進められているというふうに承知しております。

笠井委員 今挙げてもらいましたが、再エネの出力抑制を行っている九州電力、それとほかのエリアを結んでいくような連系線については言及がなかったんですが、増強されていないんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございました九州と本州をつなぐ関門連系線、今の現時点において計画と増強はございませんが、先ほど最後に申し上げましたマスタープランの検討の中で、再エネの増強及びレジリエンスの強化のために、この関門連系線の部分についても強化が必要ではないかということについては議論がなされておりまして、これも含めまして現在検討がなされているというふうに承知しております。

笠井委員 マスタープランの中間整理では、関門連系線を二百七十八万キロワットから五百五十六万キロワットへと、増強費用を約三千六百億円と試算しております。

 しかし、OCCTOは二〇一八年に、関門連系線の容量を倍増するためには千五百七十億円の工事費が必要で、コストに見合う便益が得られないとして増強を見送った経過がある。

 現に、原発最優先のルールの下で、九州電力では、二〇一八年十月以降、二百五十回近い再エネ出力抑制が実施されている、こういう問題があると思うんです。

 最後に大臣に伺いますが、しきりに大臣は、この間の議論の中でも、日本は自前の資源がないということをおっしゃっているんですが、日本の地熱は世界第三位、全国あまねく太陽光や風力、小水力などもある、四方を海に囲まれた上に降雨量も多い、エネルギー資源の小国どころか、そういう点では大国だ。自前で豊富で枯渇しない再エネ資源を組み合わせて生かした分散型電源への転換というのは、これは電力の安定供給を確保することにもなるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点のお考えを伺います。

萩生田国務大臣 再生可能エネルギーの中には、水力や地熱のように、それだけでベースロード電源として安定供給に寄与するものももちろんあります。風力や太陽光のように自然変動する電源は、供給力として安定供給に寄与する側面はあるものの、日が照らず風が吹かない期間に十分に対応できないなど、これだけで安定供給を確保できるものにはなりません。

 このため、再エネの最大限の導入はもちろん進めながら、電力の安定供給を確保するためには、太陽光や風力の出力変動に対応するために必要な調整力の確保、再エネポテンシャルの大きい地域と首都圏等の大需要地の間をつなぐ送電線の整備、それから、電源脱落時等の緊急時にブラックアウトを回避するために必要となる慣性力の確保といった様々な課題への対応が必要だと思っております。

 こうした課題の克服に向けて、火力発電や揚水発電の活用、蓄電池の導入拡大などによる調整力の確保といった取組を通じて、電力の安定供給と再エネ導入の拡大の両立を図ってまいりたいと思います。

笠井委員 時間がなくなったので終わりますが、分散型で、やはり再エネを組み合わせて安定供給ということで、本当に力を尽くすべきだ。

 国際エネルギー機関、IEAの最新の世界エネルギー展望によれば、二〇四〇年の世界の電力市場は、パリ協定目標達成水準で、再エネがプラス二百六十八兆円、原子力がプラス十六兆円、火力はマイナス百十兆円と、再エネが世界の潮流だということは明白になっていると思うんです。

 豊かな再エネ資源と技術力に投資を振り向けて、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略など現下の国際情勢の今こそ、エネルギー自給に大きく踏み出すとともに、世界の取組に貢献していく、これが大事だと思います。

 このことを最後に強調して、質問を終わります。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。萩生田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

萩生田国務大臣 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の実現のためには、我が国のエネルギー構造を需給両面から転換していかなければなりません。まず需要側においては徹底した省エネを進めるとともに、非化石エネルギーへの転換や電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図る必要があります。次に、供給側においては再エネの更なる導入拡大を進めるとともに、水素等の脱炭素燃料の利用促進や二酸化炭素の回収、貯蔵等の脱炭素技術の社会実装、太陽光や風力発電設備等に不可欠なレアメタル等の権益確保を図る必要があります。加えて、こうしたエネルギー需給構造の転換を進める中でも、安定的なエネルギー供給の確保は大前提であり、十分な供給力、調整力の確保や電力システムの柔軟性向上のための制度整備も必要です。こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部改正です。

 第一に、エネルギーの使用の合理化の対象に非化石エネルギーを追加し、エネルギー全体の使用の合理化を求める措置を講じます。

 第二に、非化石エネルギーへの転換を促進するため、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対し、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期的な計画の作成等を求めます。

 第三に、電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図るため、現行の「電気の需要の平準化」を「電気の需要の最適化」に見直し、事業者の取組に関する指針を整備する等の措置を講じます。

 次に、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法及び鉱業法の一部改正です。

 第一に、再生可能エネルギーの導入促進のため、機構の業務に、海外の大規模地熱発電等の探査事業に対する出資業務と洋上風力発電のための調査業務を追加します。

 第二に、水素等の脱炭素燃料の利用促進のため、水素等を非化石エネルギー源として位置づけ、一定規模以上のエネルギーを供給する事業者に対して水素等を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の作成等を求めるとともに、機構の業務に、水素等の製造や貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。

 第三に、二酸化炭素を回収、貯蔵する技術の利用促進のため、一定規模以上の電気を供給する事業者に対して当該技術を用いた火力発電の利用を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の策定等を求めるとともに、機構の業務に、二酸化炭素の貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。

 第四に、レアメタル等を安定的に供給するため、機構の業務に、国内におけるレアメタル等の選鉱、製錬事業に対する出資業務等を追加するとともに、レアアースを鉱業権の設定対象に追加します。

 また、これら機構の業務追加を踏まえ、機構の名称を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に改めます。

 次に、電気事業法の一部改正です。

 第一に、発電所の休廃止が増加する中、電気の安定供給に必要な供給力を確保するため、発電所の休廃止について事後届出制から事前届出制に改めるとともに、経済産業大臣と広域的運営推進機関が連携し、国全体の供給力を管理する体制を強化します。

 第二に、電力システムの柔軟性向上のため、脱炭素化された供給力、調整力として導入が期待される大型蓄電池を発電事業に位置づけるとともに、蓄電池の系統への接続環境を整備します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますように、よろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会


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