衆議院

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第9号 令和4年4月13日(水曜日)

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令和四年四月十三日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 落合 貴之君

   理事 山岡 達丸君 理事 小野 泰輔君

   理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    国定 勇人君

      国光あやの君    國場幸之助君

      鈴木 淳司君    中野 英幸君

      西野 太亮君    西村 明宏君

      古川 直季君    星野 剛士君

      堀井  学君    山口  晋君

      山下 貴司君    山本 左近君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      末次 精一君    田嶋  要君

      山崎  誠君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   外務副大臣        小田原 潔君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石坂  聡君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  中川 貴元君     古川 直季君

  山本 左近君     山口  晋君

  大島  敦君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     中川 貴元君

  山口  晋君     加藤 竜祥君

  田嶋  要君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     山本 左近君

    ―――――――――――――

四月十二日

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第八五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局審議官井上俊剛さん、外務省大臣官房参事官股野元貞さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん、経済産業省大臣官房審議官木原晋一さん、経済産業省大臣官房審議官新川達也さん、資源エネルギー庁長官保坂伸さん、資源エネルギー庁次長山下隆一さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、国土交通省大臣官房審議官石坂聡さん及び環境省大臣官房審議官白石隆夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川昭政さん。

石川(昭)委員 自由民主党の石川昭政です。

 本日、エネルギーの使用の合理化に関する法案に関しまして質問をさせていただきます。

 まず、本題に入る前に、大臣に何点かお伺いしたいと思っております。

 今、ウクライナ侵略によりまして、エネルギー価格、資源価格、高騰をしております。今政府は、ガソリン価格につきましては、激変緩和措置等を行っております。

 先般、岸田総理の指示がございまして、自民党では、原油価格、物価価格高騰等の総合経済対策の取りまとめを行っております。私が部会長をしております経済産業部会におきましては、激変緩和事業につきまして、既に上限の二十五円の支援幅に何度も到達しています。三党の協議を踏まえつつ、五月以降もこの激変緩和事業を実施をし、支援幅の上限を超える高騰に対しても一定の支援を行うべきなどを取りまとめまして、今、自民党内で検討を進めているところでございます。

 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、このガソリンの価格、国民生活に欠かせない車のガソリン価格の抑制の、この緩和措置について、この延長と拡充等について、大臣は今どういうお考えなのか。政府の検討等ありましたら、お答えをお願いいたします。

萩生田国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略を受けて、原油価格は高止まりの状態が続いています。こうした原油価格や物価の高騰対策として、岸田総理からは、国民生活や経済活動への影響に機動的に対応していくための緊急対策を今月中に取りまとめるよう御指示をいただいているところです。

 今後、総理指示を踏まえ、原油価格の高騰がどの程度長期化するのか、また、与党からの提言ですとか三党での協議の状況も注視しながら、何が効果的な対策か、政府全体で検討を行ってまいりたいと思います。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 予算で積みました三千五百億も、この調子が続きますと、もう早晩尽きるのではないかなというふうに思っております。なるべく早くそういった対策を公表することによって、国民の皆様に安心していただけるように、前広な対応を是非お願いしたいと思っております。

 次に、これに関連いたしまして、電気料金やガス料金というのも値上げが今後予想されてまいります。これは、国民生活だけじゃなく、国内産業への影響というのも今後出てくるだろうというふうに思っております。

 これにつきまして政府はどのようにお考えなのか、対応をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 足下では、燃料価格高騰に伴い、電気・ガス料金の上昇が続いているところでありますが、一般家庭等については、従前から価格高騰に備えた仕組みが導入されており、こうしたメニューを選択することが可能となっています。

 具体的には、電力自由化後も、電気料金については、経過措置として規制料金を存続し、毎月の燃料価格の三か月平均を反映するとともに、その調整に上限を設けることで、電気料金の急激な上昇に一定の歯止めがかかる仕組みにはなっております。

 また、ガス料金についても、大手ガス会社においては自主的に同様の仕組みを導入しています。

 また、企業の皆様の電気・ガス料金についても、一般的に、毎月の燃料価格の三か月平均を反映することにより、料金の急激な上昇が抑制される仕組みとされていることに加え、家庭との電気、ガスの利用量や利用形態の違いから、家庭などと比べて低廉な料金が適用されているところです。

 また、原油価格高騰に関する中小企業対策として、全国千か所の相談窓口の整備ですとか資金繰り支援を実施するとともに、下請企業がコスト上昇分を適切に価格転嫁できる環境を整備するため、約千五百の業界団体を通じて、価格転嫁について配慮することを親事業者に対して要請してまいりました。加えて、昨年十二月に取りまとめた転嫁円滑化施策パッケージに基づき、公正取引委員会等との連携による下請代金法の執行強化や、倍増した下請Gメンを活用した取引適正化に向けた取組を実施してまいります。

 引き続き、需要家の皆様の置かれた状況を丁寧に伺うとともに、今のところ、制度上は上限でストッパーがかかっていますけれども、そうはいっても、電力会社の方も仕入価格がどんどん上がっているわけで、いつまでもずっとこの状態で頑張れるかというと、非常に見通しは厳しいものがあると思いますので、電力会社の経営状況にも目を向けつつ、燃料価格や電気料金の動向をしっかりと注視していきたいと思います。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃっていただいたとおり、今、電力会社の燃費に対する負担が急増しておりまして、これにも一定の上限がかかっています。一五〇%ということで、もう既に国内の電力会社の五社がその一五〇%を突破していると。つまり、赤字になってきます。二期連続赤字になりますと、やはり経営責任等、金融機関からもいろいろ言われてくると思いますので、電力会社に対しても何らかの対応が私は必要ではないかなと思います。これについては答弁は求めませんけれども、一応頭に置いて対応していただければと思います。

 次に、今後のエネルギーの供給の見通しについてお伺いしたいと思います。

 今、世界ではESG投資が主流になっておりまして、非化石エネルギー投資が急拡大をしてまいりました。その一方で、化石エネルギーへの上流投資がどんどん減少してきたわけでございます。

 そんな中で、ロシアによるウクライナの侵略が起きまして、天然ガス、LNGは今まさに乱高下をしている状態です。ちまたでは、これはグリーンインフレーションじゃないかと。縮めましてグリーンフレーションというんだそうです。こういうことも言われています。

 今後、この上流への投資が行われなければ、二〇二五年から三〇年にかけて更に逼迫するということが予想されているそうです。エネルギーの安全保障の観点からしますと、ヨーロッパが性急に脱炭素とロシアの天然ガス依存を進めたということは、エネルギー安全保障上、私はこれは失敗したのではないかなというふうに考えます。日本は、そうしたヨーロッパの教訓を得て、バランスのよいエネルギーのトランジションという観点が必要だと思いますが、萩生田大臣の今後の取組とお考えをお伺いします。

萩生田国務大臣 日本は、石油については約二百四十日分の備蓄がございます。また、LNGについては、電力、ガス会社が二、三週間程度の在庫を有しているなど、万が一の供給途絶リスクに対して一定の備えがございます。他方、今後、欧州が急速に化石燃料の脱ロシア依存を加速することで、ロシア以外のLNG生産国やスポットマーケットからの代替調達も世界中で取り合いになるなど、安定供給確保の見通しが厳しい状況にあります。

 先ほどの質問にも通じますけれども、日本もロシアからの石炭の輸入を、減少を加速しようということになりました。これは代替を考えていかなきゃなりませんし、そういうことを考えますと、全てのエネルギー物価に影響が出てくるんだと思います。

 石炭について、ロシアのエネルギーの依存を一段と低減することにするため、この夏や次の冬の電力供給や産業界への影響をしっかり見極めながら、調達先の多角化、必要な火力発電の確保など、安定供給確保の取組を進めてまいります。また、ロシアをめぐる国際社会による制裁強化の動きなど、様々な不確実性が高まっており、引き続き、関係国やエネルギー市場の動向に最大の関心を持って注視をしてまいりたいと思います。

 中長期的には、脱炭素に向け取組が世界で進む中、ここ数年、化石燃料の上流開発投資が減少してきていることは事実です。こうした中にあっても、エネルギーの大宗を輸入に頼る日本としては、積極的な資源外交やJOGMECによるリスクマネー供給などを通じた上流投資開発を積極的に支援をし、調達先の多角化を進めることで、脱炭素に向けた移行期にも必要となる化石燃料の安定供給確保を図りたいと思います。

 今先生御指摘のように、ヨーロッパの政策が是か非かというのは私は控えさせてもらいたいと思うんですが、少なくとも、カーボンニュートラルの目指すべき方向は変えちゃいけないし、これは世界でみんな協力しなきゃならないんですけれども、こういう想定外の事態が起きたときに、今までのようなスキームだけで燃料を確保するというのは限界があります。

 したがって、化石燃料も、もちろん依存しないで、低減をする前提で、しかし、いろいろな技術を踏まえながら、しっかりトランジションも進めながら使っていくということは、二〇五〇年を目指すプロセスの中では必要なことであって、幸い、日本はずっと言い続けてきたことが、今回、世界の人たちが、なるほど、日本が言っていた多角化、いろいろなミックスエネルギーは大事だよねということが、この前、IEAの会議に出たときも、皆さんから了解をいただいたところでございます。

 エネルギーは全ての社会経済活動の土台でありまして、いかなる状況にあっても安定供給が確保されるように万全を尽くしてまいりたいと思います。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 JOGMEC等を通じて、上流の開発投資、こういったものに是非取り組んでいただきたいと思います。

 次に、エネルギーの合理化に関する法律の中身についてお伺いします。

 今回、非化石電源の再エネを余すことなく消費しようという法改正の意図は十分理解できるところです。しかし、需要側の観点に立って、これが使いやすい仕組みかどうかというのは、実は抜けているんじゃないかなと思います。

 二点、お伺いしたいと思います。

 再エネ出力制限時に需要のピークに移動できるような企業というのは、実は限られているんじゃないかなと。急に、あさって出力制限がかかりそうだからそこに生産を集中してくれと言って、どれだけの企業が対応できるのか。また、そういう企業を逆に増やしていかなきゃならないんですね。これについてどう取り組んでいくのかというのがまず第一点。

 それから、年間を通じて二十四時間フル稼働している企業というのもあるわけですね。そういう企業が今回の改正によってどのような恩恵を受けられるのか。需要のピーク時、供給のピーク時に移動することでどのようなメリットがあるのか。この二点についてお伺いいたします。

茂木政府参考人 今委員から御指摘ございましたとおり、事業者によっては、人員の確保ですとか生産プロセスとの関係で需要のシフトが難しい、こういう事業者が存在することは我々も承知をしております。

 このため、省エネ法の改正案の中では、技術的、経済的に可能な範囲で需要をシフトすることが可能な事業者について、その需要シフトを省エネとして評価をするというものとしております。

 足下では、一部の電炉製鉄事業者さんにおいて、電気炉の操業を余剰再エネ電気が発生する昼間に変更する、こうした取組が行われているということも承知しております。今般の省エネ法の改正案によって、こうした取組を国が適切に評価することで、より多くの業種における需要最適化の取組を促して、余剰再エネの電気の活用を一層後押しをしていきたいと思います。

 また、二十四時間フル操業しているような企業にどういう恩恵があるのかということでございますが、二十四時間操業している事業者については、エネルギーの使用実態などを踏まえまして、例えば月単位で需要のシフトを評価するなど、柔軟な制度設計を行ってまいりたいというふうに考えています。

 その上で、需要のシフトを行って省エネをしたものとの評価を受ければ、国が優良事業者として公表をするとか、あるいは、補助金なども含めた支援措置とも組み合わせることで、インセンティブを設けてまいりたいというふうに考えております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 日ごとではなくて月ごと、月単位ということで、大分使いやすくなるのではないかなと思います。また、季節性のものもあると思います。再生可能エネルギーにつきましては、是非そういう形で柔軟な取組を進めていただきたいと思います。

 次に、非化石エネルギーへの転換についてお伺いいたします。

 先般、根岸にありますENEOSの中央技術研究所を視察させていただきました。そこでは、再エネ由来の合成燃料の研究開発を行っています。お話を聞いたところ、オーストラリアの太陽光で水素を製造し、日本に運搬してくる、こういうことのようでした。所長さんによりますと、これはオーストラリアに限らず、どこであっても、安い水素と電源があれば安い合成燃料ができますということを、お話を聞いております。

 また、自民党でも、今、クリーンエネルギー戦略の策定に向けたヒアリングを行ってまいりました。需要側、使う側からしますと、やはり新しい非化石エネルギーの燃料も、適切なコストでなければ、導入することはなかなか、乗換えというのは難しいというお話も伺っているところです。

 そこで、お伺いいたします。

 これから、水素、アンモニア、合成燃料、SAF、合成メタンなど、非化石エネルギーの開発について、必要量と、あと金額ですね、金額が需要側の希望に届くような開発をしなきゃならないと思いますけれども、それに対して、政府はどのように取り組んでいくのか、導いていくのか、お伺いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度四六%削減目標の実現に向けましては、安定的で安価な脱炭素エネルギー源の拡大が重要であります。

 その上で、単一の完璧なエネルギー源が存在せず、今後の技術革新などの不確実性も踏まえますと、再生可能エネルギー、原子力、水素、アンモニア、さらには合成燃料も含め、あらゆる選択肢を追求していくことが重要だ、そのように考えております。

 再生可能エネルギーや原子力は、実用段階の脱炭素電源であります。再生可能エネルギーにつきましては、FIT制度における調達価格の低減や入札制の拡大などを通じて、コスト低減を図りつつ、最大限導入してまいります。原子力についても、安全最優先の原発再稼働を進めていきたいと思っております。

 水素やアンモニアにつきましては、輸送、発電、産業といった幅広い分野の脱炭素化を可能とするものとして、導入拡大を進めてまいります。

 具体的には、二〇三〇年度の電源構成に占める水素、アンモニアの割合を一%とする目標を掲げているところでございまして、まずは、電力部門における水素、アンモニア利用を推進し、サプライチェーンの構築を加速させていきたいと考えております。また、アジア諸国にもサプライチェーンを拡大しまして、量産効果による早期のコスト低減を図ってまいりたいと思っております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 かなりのコストを削減しないとなかなか難しいと思いますので、是非その観点からも支援をお願いしたいと思います。

 次に、電事法の改正についてお伺いいたします。

 電力自由化の下で、もう火力発電の使用率、設備使用率が低下傾向にあります。そうしますと、電力会社からしますと、この非効率な火力発電というのは、維持というのは非常に負担になってまいります。果たして、この維持コストというのは誰が負担すべきと政府としてはお考えなのか。

 民間企業である電力会社にとっては、非効率な、経営にとってマイナスのものはどんどん閉鎖していくというのが資本主義の原則となっておりますけれども、その辺りはどのように政府は考えているのか、お伺いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電力自由化の進展や脱炭素化の流れを背景としまして、火力発電所の休廃止というのは急速に進んでいるというのは事実でございます。

 電力需給の厳しさというのは、そういう意味で構造的な課題になっているというふうに認識しておりまして、今、足下の供給力対策としましては、追加供給力公募というのを実施しまして、休止中の火力に対して一定の支援を申し上げながら、再稼働していくということを進めているところでございます。

 その後の負担の御質問でございますけれども、基本的に、電気事業法上、供給力の確保というのは小売事業者の責任、義務とされているところでございまして、ここで必要となる費用につきましては、基本的には、小売電気事業者が公平に負担することが基本かと考えておりまして、卸電力市場を介して市場に供出した後の、市場収入で補填できない費用につきましては、託送料金を通じて回収する仕組みを考えてございます。

 今後も様々な、容量市場を含めてでございますけれども、小売事業者の負担ということをベースとしながら、どういう形の負担が適当なのかということは、様々な検討を進めていきたいと考えてございます。

石川(昭)委員 それでは、時間の関係で、大臣に最後お伺いして、終わりたいと思います。

 今、脱炭素化とか自由化という中で、今、松山部長からお話がありましたけれども、いろいろな市場を通じて供給力を確保していくという考え方で、これまで電力システム改革も進めてきたと思います。

 今後も、この市場原理にある程度委ねながら、将来にわたって、SプラススリーEというものは確保、維持できるのか。ちょっと大臣のお考えを、最後にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 これまでの電力システム改革の取組により、地域間連系線の増強などによる需給逼迫時の地域間での電力融通の円滑化や、電力小売自由化により再エネに特化したサービスメニューの出現などによる需要家の選択肢の拡大など、一定の成果が表れてきていると認識しています。

 他方、脱炭素化の流れなども相まって、火力発電の休廃止の増加など、電力自由化に伴う新たな課題にも直面しています。このため、電力需給の安定に向けて、規制、支援の両面で、電源の過度な退出を防ぐことが必要です。

 こうした課題に対応するため、これまで、容量市場の創設などを実施し、供給力の確保を行ってまいりましたが、加えて、御審議いただいている電気事業法等の改正案では、発電所の休廃止届出について、事後から事前に変更することにより、時間的余裕を持って追加供給力の公募などの必要な対策を講ずることができる制度に見直すことにしたいと考えています。

 電気料金については、事業者間の競争により料金が抑制される一方で、原発停止を受けて火力発電の割合が増加する中での燃料価格の高騰に加え、再エネ固定価格買取り制度に伴う負担も増加したため、震災前より上昇している実態があります。

 このため、厳格な市場監視などを通じた適正な競争の促進を一層進めるとともに、入札制の活用などを通じた再エネのコスト低減や、安全性を最優先した原発の再稼働などに取り組んでまいります。

 低廉かつ安定的な電力供給の両立を実現するためのシステム改革は、今後とも継続していくことが必要であり、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現など、社会の大きな変化に伴い、生じる新たな課題に対しても、エネルギーシステムを不断に見直すことにより、安定的かつ継続的な電力供給を実現してまいりたいと思います。

石川(昭)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、国定勇人さん。

国定委員 自由民主党の国定勇人でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 私の方からは、今回提出されておりますエネルギー使用合理化法等の改正法案、大きく分けて二項目にわたって質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、先月の二十二日から二十三日にかけまして発生をいたしました、東京電力、東北電力管内におけます需給逼迫警報の発令下における状況の確認からでございます。

 今回のこの電力の需給逼迫状況は、最近の我が国の電力供給能力が必ずしも万全ではないということをまた改めて浮き彫りにしたというふうに認識をしているところでございます。

 まず最初に、この点から質問に入りたいというふうに思います。

 これまでも、この委員会の中でも、質疑を通じて何度かこの課題、取り上げられてきたところではございますけれども、改めまして、今回の需給逼迫警報発令時におけます供給側の対応状況を御説明をいただきたいというふうに思っております。

 とりわけ、今回の状況下におきまして、需給が逼迫をしていないときに上位の貯水池にくみ上げ、緊急時にそれを流し込むことによって発電をしていく、この揚水発電の果たした役割は極めて大きかったというふうに認識をしているところでございますけれども、今回の需給逼迫時の総電力供給量における揚水発電由来の電力供給量の寄与度、これがどのぐらいだったのかということも併せて具体的に教えていただけると助かります。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 三月二十二日の電力需給逼迫につきましては、まず、契機となりました三月十六日の福島沖の地震の直後に発電所が、直後に十四基停止いたしました。二十二日になりましても六基が引き続き停止という状態でございました。また、あわせて、連系線の利用が、これに伴いまして技術的に制約をかけられたということで、供給力が大きく下がったということ。また、二十二日の天候が、時間とともに悪天候の予想にどんどん変わっていき、需要が、この時期としましては異例の真冬並みの需要の上昇になったということ。当然、悪天候でございますので、太陽光がなかなか出ないので、供給力が弱くなってしまう。また、これは時期的に連休中でございまして、連休中に、磯子火力の追加的な計画停止がまた三基、大きく生じたということが非常に大きく重なったことが要因でございます。

 ここにおける供給側の対応でございますけれども、国及び広域機関の方から要請いたしまして、火力発電所の最大、フル出力の運転を要請し、対応いただき、また、自家発のたき増し、補修点検中の発電所の再稼働など、あらゆる手を尽くして供給力は増やしてまいりました。また、他エリアからの融通につきましても、東京電力エリアに対して二千万キロワットアワー程度融通をして、フルフル対応したところで、ぎりぎり何とか、節電を合わせて、対応できたということでございます。

 その中で、委員から御指摘ございました揚水発電というのが非常に大きく機能、効果を発揮いたしました。

 これは、仕組みといたしましては、夜の間に電気で水をくみ上げて、上池の方にためて、需要のある昼間に落として発電するという仕組みでございますが、東京電力エリアには大体約一千万キロワット分ぐらい、これがあるわけでございますが、この日、二十二日で申し上げますと、発電量の合計が六・六億キロワットアワー、これ全体がですね。そのうち、揚水発電が約五千九百万キロワットアワーでございますので、約九%が揚水発電によって賄われたところでございますし、その中で、特に需要がピークでございました午後一時から二時の時間帯でいいますと、発電量の一六%を占め、供給力の重要な役割を担う電源であったというふうに認識してございます。

国定委員 今ほど御答弁いただきましたとおり、本当にブラックアウトしかねないようなぎりぎりの状況の中で、東京エリアにおきますこの揚水発電由来の電力供給量の寄与度が全体として約九%、ピーク時においては一六%ということは、かなり重要な役割を果たしたというふうに改めて認識をさせていただきました。

 今回の苦い経験を踏まえますと、抜本的な電力の供給体制の強化が図られるまでの間は、少なくとも、電力の需給逼迫時におきまして、こうした揚水発電のような緊急的に電力を供給する手段を複数の多様な形で設けていく必要があるというふうに認識をしているところでございます。

 その点でも、今回の法改正によりまして、大型の蓄電池から放電する事業をこの送配電システムの中に組み入れる措置には、大いに期待を寄せているところでございます。

 このような蓄電池がいざというときに電力の安定供給に貢献できるようにするため、蓄電池を系統に接続してしっかりと活用することができるように、蓄電池の系統接続が円滑に実施をされる必要があるというふうに考えているところでございますが、今回の法改正では、この点についてどのように措置をされているのか、改めて見識を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、蓄電池、揚水もある意味、大きな意味の蓄電池でございますけれども、系統用の蓄電池というものを造り、系統に接続して供給力及び調整力として活用するということは、電力の安定供給に貢献できる、非常に大きな意義のあるものだと考えてございます。

 今回提出しておりますこの改正法案の中におきましても、一定規模以上の蓄電池を電気事業法上の発電事業に位置づけることにいたしまして、経済産業大臣が設置設備容量を適切に把握し、需給逼迫時には供給命令を行うことにより供給力管理を実現できるような仕組みにしている法案になってございます。

 また、あわせまして、単独に設置される蓄電池を電気事業法上の発電用の電気工作物と同様の扱いとすることによりまして、蓄電池を系統に接続することを求められた場合に、他の発電設備と同様に、原則として接続を可能とする環境を整備することとしております。

 こうしたことを通じまして、蓄電池の系統への接続ということを円滑化し、かつ供給の管理を適切にできるようにすることによって、安定供給というのを実現していきたいと考えております。

国定委員 ありがとうございます。

 今ほど、環境としてはしっかりと法体系の中で整備をしていくというお話でございましたが、実は、今回の質問に当たりましていろいろお伺いをいたしますと、まだまだこの大型の蓄電池、参入する事業者を含めて、これから本当に我々としては大いに期待を寄せている新事業の分野でありますけれども、いざ実際に活用できる、代替できるほどの状況なのかというと、まだまだこれからの課題が多いというふうに伺っているところでございまして、やはり、ここは、このステージでは、少なくとも新たな担い手をしっかりと支えていかなければいけないというふうに認識をしているところでございます。

 とりわけ、こうした新事業創出時におきましては、その全てを事業者の自助努力に委ねるのではなく、政府によります財政であったり、税制であったり、金融であったりといった各般にわたる支援が必要になってくるというふうに考えているところでございますが、政府の見解を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、蓄電池というのは機能は非常に大きいわけでございますが、これが市場に乗ってビジネスで展開していくためには、一定のプロセス、支援策が必要かと考えてございます。

 そういう観点で、今回の法案によりまして、接続の環境という制度環境は備えたわけでございますが、あわせて、事業者の方々に、これを投資していただくための応援、支援策というものを講じる必要があると考えてございます。

 令和三年度の補正予算におきまして、電力の調整力や供給力の提供といった多様な活用が可能となる大型蓄電池等の導入に対しまして、その事業者に対する補助事業を盛り込んだところでございまして、全部で現在十一事業者を採択し、この導入を支援することといたしてございます。

 今後、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、再エネの導入の拡大、この変動に対する対応というのは重要になってまいりますし、今般ございましたように、安定供給を確保するという意味でも非常に重要な意味があるかと思います。

 制度の環境の整備と併せて、支援の取組についても、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

国定委員 今ほど、補助事業について、既に十一事業者に対する支援が実行されているというお話であったかと思いますが、先ほど御答弁ありましたとおり、揚水発電については一番のピーク時の約一六%もの寄与度があるということを考えると、まだまだここはしっかりと支援をしていく必要があると思っておりますので、是非、継続的な支援をお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、二点目の大きなテーマに移っていきたいと思います。レアメタル、そしてレアアースの関係についてでございます。

 今回の法改正によりまして、国内製造業へのレアメタルの安定供給を実現するため、JOGMECが国内の選鉱、製錬事業への出資、債務保証を行うことができるようになることは、海外からの資源供給リスクの低減という観点からも歓迎すべき事態だというふうに思っております。

 ただ、他方で、この選鉱、製錬の前段階にあります探鉱、採掘の段階におきまして我が国が関与をしていかなければ、結果として、今回の法改正を行ったとしても、余り海外からの資源供給リスク全体を低減することは、なかなか難しいのではないのかなというふうに感じているところでございます。

 そこで、この探鉱、採掘段階におきます同様の支援措置がそもそもあるかどうか、この確認から入らせてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の探鉱、採掘段階における支援措置といたしましては、我が国企業が参入に関心を有する鉱山は専ら海外の方に存在しておりますので、海外におけるこうしたステージの事業を対象にしたリスクマネー供給支援というのを既に行っているところでございます。

 海外の選鉱、製錬段階への支援はこれまでも支援対象としていますけれども、今回、国内を追加したということでございまして、海外のいわゆる上流の段階の開発から国内の選鉱、製錬まで、より包括的に、資源の安定供給それから強靱なサプライチェーン構築ということを支援させていただくという考え方でございます。

国定委員 今ほど御指摘いただきましたとおり、今回の法改正前から海外の鉱山での採鉱そして採掘段階へのリスクマネーの供給ということは既にされているということでありますけれども、そうはいっても、鉱山は海外にあるわけですから、こうした状況の中で、もし採鉱、採掘段階で当該採掘国が例えば輸出規制のようなものを発動してしまいますと、こうしたせっかくのサプライチェーンの構築、強化も水泡に帰しかねないのではないか、こういうふうに思っているところでございます。

 そこで、今現在、こうした極度の保護主義的な動きがこうしたレアメタル採掘国において現実的に起こっているのかどうか、これについて伺いたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 脱炭素化に向けた再エネ発電機器や電動車などの普及拡大が見込まれ、その原材料でありますレアメタルの需要が世界的に拡大している中で、例えばインドネシア、南アフリカなど一部の資源国において、未加工鉱石の輸出規制の導入など、自国の産業育成を優先する保護主義的な動きが御指摘のとおりございます。

 こうした資源国の動きに対しましては、今回のリスクマネーの支援と併せまして、企業の声もお聞きしながら、政府としては、首脳レベル、閣僚レベルの様々な資源外交の展開を含めまして、相手国との対話の機会をしっかり確保して、適正な投資環境の整備でありますとか公平で透明な貿易ということを求めて対応しているところでございます。

国定委員 ありがとうございます。

 ただ、他方で、やはり今回のロシアによるウクライナ侵攻を考えてみますと、誰もが予想しなかったようなことが現実的には起こりかねない状況の中で、しっかりとこの希少な資源を確保していく、ここは大変重要だというふうに思っているところでございます。

 そういたしますと、今回、法改正のテーマの一つにもなるわけでありますけれども、レアアースが我が国の排他的経済水域内で確認されているということは大変明るい材料だというふうに思っているところであります。経済安全保障の観点から国内でサプライチェーンを完結させていくためにも、こうした資源をしっかりと管理していくことが重要だというふうに思っております。

 こうしたレアアースが必須とされている製品のサプライチェーンを国内で完結させるという観点から今回の法改正を見た場合、鉱業法の適用鉱物にこのレアアースを追加することにより期待される具体的な効果がどこにあるのか、改めて伺ってみたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の鉱業法は、鉱物資源の合理的な開発による公共の福祉の増進を目的としてございまして、経済産業大臣の許可などを受けなければ、探査、採掘などを行うことができないという規制になってございます。

 今回の法改正で、御指摘のとおり、レアアースを鉱業法の対象の鉱物として位置づけることによりまして、その効果でございますが、国内に存在するレアアースについて、先ほどのEEZも含めまして、政府による管理の下、十分な経理的基礎や技術的能力を備えた適切な開発主体による開発が行われるようになってございます。

 また、民間事業者にとりましては、探査等で資源の存在の確度が高まった後、採掘等に際しての鉱業権の設定を受けることが明確になるということで事業の予見可能性も高まりますので、開発の促進につながるというふうに認識してございます。

国定委員 実は、今週末、地元の三条に戻って、企業や会社さんに聞くと、半導体が入り込んでいる製品を昨年の秋に発注をして、実際にでき上がるのは来年の夏、一年半以上かかるというような状況もございます。

 そうしますと、こうした資源の段階からしっかりと管理をして、できる限り日本国内において確保できるものは確保していく、これは非常に重要だというふうに思っているところでございます。

 今回、参議院で今日から審議に入りました経済安全保障推進法案におきましても、このレアアースあるいはレアアースが必須とされる製品が特定重要物資として指定される可能性はあるというふうに思っているところでございますけれども、この経済安全保障法案で特定重要物資として期待されることと、この鉱業法の適用鉱物へのレアアースの追加は、目的や役割がどのように異なってくるのか、改めて伺ってみたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、鉱業法につきましては、先ほど申し上げましたとおり、その目的を鉱物資源の合理的な開発による公共の福祉の増進というふうにしてございます。今回の改正でレアアースを対象に追加することによりまして、国内のレアアース開発について、政府による適切な管理の下、適切な主体による開発が行われるようになります。

 一方、経済安保法案でございますけれども、これは、国家及び国民の安全を害する事態を未然に防止するために特定重要鉱物などの安定供給確保を図るものというふうにされてございます。一定の要件を満たす事業者による取組に対して、金融支援や助成などの必要な支援措置を講じるものでございます。レアアースがこの特定重要鉱物に指定された場合には、事業者の方にこうした支援措置が適用されることになります。

 以上のように、鉱業法は鉱物資源の合理的開発、一方で、経済安保推進法案は重要物資の安定供給確保という異なる目的、役割を果たすものというふうに理解してございます。

国定委員 時間となりましたけれども、こうした資源から製品に至るまで、しっかりと、できるところは国内で確保をしていく、こうしたサプライチェーンに対する常に意識をしていくことを改めて政府側にお願いを申し上げまして、質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、平林晃さん。

平林委員 公明党、比例中国、新人の平林です。

 本日は、経産委員会、質問の機会を与えていただきまして、大変にありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 冒頭、早速、大臣に伺わせていただければと存じます。

 周知のとおり、先週月曜日の四月四日、気候変動に関する政府間パネル、IPCCから新たな報告書が発表されました。この中で、これまでの各国の対策では二十一世紀中に温暖化が一・五度を超える可能性が高いとの認識が示されております。これを食い止めるためには、我々は何としても二〇五〇年カーボンニュートラルを実現しなければならないと考えております。

 心ある多くの市民がそのような機運にあるにもかかわらず、ロシアはウクライナを侵略し、断じて許されない残虐行為を繰り返すのみならず、エネルギー安全保障を危機に陥れています。

 こうした厳しい現状を乗り越えていくために本法案が果たすべき役割を伺います。

萩生田国務大臣 今回、ロシアによるウクライナ侵略を受け、すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国において、エネルギー安定供給の確保の重要性を改めて確認しました。

 二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度四六%削減目標は国際約束であり、全力で取り組んでまいりたいと思います。こうした中で、本法案は、このような日本のエネルギー需給構造の転換を後押しすると同時に、安定的なエネルギー供給を確保するための制度整備を行うものです。

 具体的には、需要面で、非化石を含めたエネルギー全体の使用の合理化、事業者による非化石エネルギーへの転換の目標設定、再エネ電気の余剰が発生している時間帯への電力需要シフトなどを通じて、需要側の省エネや非化石転換を促進し、供給面で、高度化法の非化石エネルギー源に水素、アンモニアを加えることによる利用と促進、JOGMECを通じたリスクマネー供給支援の対象への水素製造の追加などにより、非化石エネルギーの活用を推進します。

 これらの措置により、我が国の省エネの更なる徹底や非化石エネルギーの拡大を実現し、野心的な削減目標の実現とエネルギーの安定供給確保の両立を図ってまいりたいと思います。

 加えて、電源休廃止時の事後届出制から事前届出制への変更や、大型蓄電池の発電事業への位置づけなどにより、安定的なエネルギー供給の確保を図ってまいります。

 安定的なエネルギー供給の確保を大前提に、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことが重要であって、その両立に向けて、今般の法改正を通じてエネルギー需給構造の転換を後押ししていきたいと思います。

平林委員 ありがとうございます。

 需要、供給両面での取組を促しながらカーボンニュートラルを実現していくということで、極めて重要な法案と理解をいたしました。議論を深めていければと思いますので、よろしくお願いいたします。大臣、ありがとうございました。

 続きまして、各論に入らせていただければと思います。

 まず、省エネ法について伺います。

 本改正案では、第二条第六項におきまして、電気の需要の最適化を、電気の需給の変動に応じて電気の需要量の増加又は減少をさせることと定義をしておられます。

 私、この言葉は、最適化というよりも、適合化とか、そのぐらいの言葉の方がいいんじゃないかなと個人的には考えておりますが、その上で、この取組には換算係数が用いられると承知をしております。平均係数及び再エネ係数、あるいは火力重みづけ係数αの設定方法を伺います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 まず、今最初に御指摘ございました最適化ということでございますが、これは、電気の需給状況なども踏まえまして事業者に最適な行動を取っていただくということで、今回、私どもはこの最適化という言葉を使わせていただいております。

 その上で、御指摘の、需要の最適化を促す、使用した電気量を一次エネルギーに換算する係数でございますが、三つございまして、まず、再エネが出力制御を行われている段階の一次エネルギーの換算係数を三・六メガジュール・パー・キロワットアワーということにしております。それから、需給状況が厳しい時間帯においては、これは、火力の平均的な一次エネルギー換算値である九・五メガジュール、これに、後ほど述べますαを乗じた、重みづけした係数ということになります。それから、それ以外の時間帯、これは、火力の平均的な一次エネルギー換算値であります九・五メガジュールを、それぞれ用いるということを検討しております。

 以上です。

平林委員 ありがとうございます。

 最適化という言葉、承知をいたしました。また、その係数の設定についても御説明いただき、ありがとうございました。

 私、この三種類の係数の中でも、特に再エネ係数の部分が重要になるかなというふうに考えておりまして、小さな値にすればするほど、再エネ出力制御時に対して誘導していくことができますけれども、過度の誘導は昼間の電力を逼迫させるかもしれませんし、また、先ほども少しお話があったかもしれませんが、容易に変更できない事業者もたくさんおられると思いますので、そこの不公平感というものも生むかもしれません。こうしたことを考慮しながら適切な値に設定いただければと存じますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、第五条第二項には、経済産業大臣は、中略いたしまして、非化石エネルギーへの転換の目標等に対し、また中略しますが、判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するとございます。これは、従来法における合理化目標の判断基準、第五条第一項関係に加えての判断基準となります。

 判断基準の追加が事業者への過度な負担とならないように配慮することも重要と考えていますが、具体的にどんな基準が設定されるのか、政府の認識を伺います。

茂木政府参考人 非化石エネルギーへの転換に関する事業者の判断の基準でございますが、これは、事業者に非化石エネルギーへの転換の取組を求めつつも、業種別のエネルギー使用実態なども踏まえて、事業者の過度な負担とならないものにしていきたいというふうに考えております。

 具体的には、技術的かつ経済的に可能な範囲内で、例えば、太陽光発電設備の設置ですとか、あるいは火力発電設備のバイオマス燃料の混焼といった、事業者が具体的に取り組むべき事項を定めます。

 それから、非化石エネルギーへの転換の目標についても、これは業種別にかなり非化石エネルギーの導入量は違いますので、こうした実態も踏まえた水準をお示しして、これに沿って事業者が自ら目標を設定するということを規定する予定であります。

 その際は、各業界が既に設定をしております自主行動計画ですとか、あるいは足下の各業界の非化石エネルギーの使用状況、あるいはエネルギーの使用実態、こうしたものを考慮しまして、産業界との議論も踏まえながら、審議会において検討を深めてまいります。

平林委員 ありがとうございました。

 様々、太陽光だとかバイオマスだとかを使って取組を進めてもらうということだと思いますけれども、コストもかかりますし、選択肢もある程度限られると思いますので、そういった様々な配慮をしながら検討をいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、電気事業法に関してお伺いをいたします。

 先日も、東京電力と東北電力管内で需給逼迫警報を発令したところでありまして、安定した電力供給は極めて重要であります。

 その実現のために、本改正案におきまして、発電所の休廃止について事後届出制を事前届出制に変更することは重要な改正であると理解をしております。

 その中身に関しまして、確認なんですが、事前届出の事前とは、どの程度の期間を想定されていますでしょうか。また、この期間中に公募に応じる電源が万が一現れなかった場合の対応も併せて伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案に盛り込んでございます発電所の休廃止に関する事前届出制でございますけれども、届出をどれぐらい前に求めるかの期間の設定につきましては、この法案が成立した後に、省令で具体的に定めていくことになります。

 この後に、でき上がった後は、結局、再稼働させていただく発電所、供給力の公募という形を取るわけですけれども、そういったことをやる、こういう供給力対策をするために必要な時間が、事前にあらかじめ時間的余裕があるような期間を取るつもりで考えてございます。具体のところは併せ並行して検討していくことになりますけれども、実態、実務、現場を踏まえて、適切な、負担になり過ぎず、かつ予測可能な範囲で期間を定めていこうと考えてございます。

 その上で、公募に応じる人がいなかったらどうなるのかというお話でございますけれども、最終的な仕組みで考えますと、発電事業者に対しては、経済産業大臣が供給命令というものを発出することが権限としてはございます。

 一方で、やはりそこにコストの負担ということが出てまいりますので、そこについては、公募を通じて適切な負担がというプロセスを経ていく、事業者さんとの御相談の期間が重要になってくるかと考えてございます。いざというときにそういうものがしっかりと準備できるようにするために、一定の期間を設け、事前の届出をするという、今回の法案の中に盛り込んだ制度の趣旨でございます。

 行く行くで考えておきますと、今ある火力の退出ということだけではなくて、発電所がもっともっと増えていかないと供給力というものが足りなくなってまいります。今回の法案のことに加えまして、発電所のカーボンニュートラル化に向けた新陳代謝を促進し、新たな脱炭素電源への投資を促していく必要があると考えてございまして、これを促す制度の早期の導入も併せて、制度検討の具体化ということを進めていきたいと考えてございます。

平林委員 ありがとうございます。

 本当に、おっしゃられるとおり、発電所、増設ということが本当に大事だというふうに思いますし、それとともに、カーボンニュートラルも実現していくということを進めていただければというふうに思います。

 また、期間に関しまして、余り、これも業者に負担にならないような配慮をするということでしたので、そちらも是非ともお願いをいただければと思います。

 電力逼迫、供給の関連といたしまして、第二十八条の四におきまして、広域的運営推進機関の目的に、電気の安定供給のために必要な供給能力の確保の促進を追加するとあります。広域的運営推進機関は、従前から、電気事業者が営む電気事業に関わる電気需給状況の監視や、逼迫時の会員、事業者への指示などを行うことにより、電気事業遂行に当たっての広域的運営を推進することを目的としていると承知をしております。電力の安定供給のために極めて重要な取組と理解をしております。

 今回の改正案で追記をされます電気の安定供給のために必要な供給能力の確保の促進によって、推進機関が具体的にどのような取組を行うことを想定しているのかをお伺いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたように、この電力広域的運営推進機関というものは、東日本の震災後、日本の新しい電力システムをつくっていくという中で、今までの自由化とともに、発送電の分離、送配電の分離独立ということをし、かつ、全国各地の事業というものを統合していく、調整していく、こういう新しい仕組みとして、法律に基づいて設立して、そういう調整役としての役割を担ってきていただいているところでございます。

 今、そういう中で、設立当初から比較いたしますと、今、電力の需給の逼迫、足下での火力発電所の休廃止が進んできているという中で、この構造的な要因に対する対処の役割というのが一層高まってきているというのが現実でございまして、この要請を踏まえた形で、法律上の目的、役割、そしてその業務内容というものについても改正を取ったというのが今回の措置の中身になります。

 具体的に申し上げますと、昨年十月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画も踏まえまして、電気の安定供給の確保のための供給能力の確保の促進の重要性ということを踏まえた目的規定の改正とともに、経産大臣に対して広域機関が、供給能力の確保のために必要な措置に関するものに関する意見の提出ができる規定にしてございます。

 具体の内容として申し上げますと、容量市場というものが、これは広域機関が運営しながら実施するわけでございますが、四年後にどれぐらいの供給力が必要かということを算段して、募集して、確保していくわけでございます。ここの機能を、与えられてきた情報を取りながら、しっかりと検討していく、これを国と連携しながら、電力事業者と連携しながら実施していくということですとか、先ほどから御答弁の中でも触れてまいりましたが、供給力公募といったものによって、幾ら足りなくて何を確保していかなきゃいけないのかということを実施するときに、送配電事業者との間に入って全体の供給力ということを算段していく、計算していく。さらには、今後の長期的な投資がどれぐらい必要になっていくか。

 経産大臣に対する意見の提出の中には、そういったことも含めて、供給能力の確保の促進のために必要なあらゆる業務というものをこれから担っていただきたい、そういう念頭に、今回の法改正の中身が規定されているところでございます。

平林委員 ありがとうございます。

 事前にどれだけ必要かということを見定めながら手を打っていくということであろうかというふうに思います。

 昨日の報道でも、経済産業省さん自ら需給逼迫時の予想をされたということで、来年一月、二月の東京電力管内の供給予備率の報道がございました。一月はマイナス一・七%とか二月はマイナス一・五%と予想されたとのことであり、対策を講じなければ、まさに停電が発生するということになろうかと思います。こうしたことのないように、今のようなお話も含めながら、先手の取組をお願いできればと思いますので、よろしくお願いをいたします。ありがとうございます。

 最後に、JOGMEC法に関してお尋ねをさせていただければと思います。

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、文字どおり、石油、天然ガス、金属鉱物資源等に関わる出資、債務保証などの業務を行う、経済産業省所管の独立行政法人であります。

 この度の法改正で、水素、風力等に係る業務が新たに追加されることから、法律のタイトル及び法人の名称において、石油天然ガスの部分がエネルギーという単語に置き換わると承知をさせていただいております。

 これに倣えば、略称JOGMECも変更するということも考え得るかと存じます。単純に考えれば、オイルとガスの頭文字のO、Gの部分をエネルギーのEに書き換えたものなども考えられると想定をしております。機構略称の変更可能性について、政府の見解を伺います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の法改正により機構の正式名称が変更されることに伴い、英語名称についても検討を行っていく必要があるというふうに考えてございます。

 機構が設立されました二〇〇四年から十八年が経過してございまして、海外の資源メジャーや資源国の政府、国営企業などとも多くの協力関係を構築してきてございます。これを踏まえますと、当初はいろいろ苦労もあったんですけれども、JOGMECという名前がようやく国際的にも浸透してきているということも一面としてございます。

 こうした点を踏まえ、また、先生からの貴重なアイデアも参考にさせていただきながら、改正法案成立の後に、適切な英語名称についても検討してまいりたいというふうに考えてございます。

平林委員 ありがとうございます。

 名称変更は本当に大変なことですので、慎重に考えなきゃいけないということはよくよく分かります。

 私、選挙区のあります新山口という駅がございまして、その駅、およそ二十年ほど前に小郡という駅から新山口に変更したんですね。このために何と四億円というコストがかかったそうなんですけれども、その後、大きな発展を遂げているということもあります。

 名称の変更には、それだけの意義があればというふうに思うんですけれども、私は結構大きな意義があると思っていまして、二〇五〇年カーボンニュートラル、本当にのるか反るかという状況の中で、冒頭で申し上げたIPCCの報告書の中では、あらゆる部門で急速かつ大幅に、そして直ちに削減する必要があると述べられていて、できるできないではなく、やるしかないというのがこの取組であるというふうに考えております。

 この考えに立ったとき、名称変更が経済産業省のカーボンニュートラルに向けての御決意を社会に訴えていく絶好の機会になるのかな、こんなふうにも考えさせていただいております。

 このことも含めまして、萩生田大臣には、その卓越したリーダーシップによって、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた我が国の取組を今後も正しく導いていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

古屋委員長 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は、五つの法案が一つになって今回議論されていると思いますが、それに伴って、まず、今も平林先生からもお話がありましたが、IPCC、気候変動に関する政府間パネルの第三作業部会の報告書がちょうど出たばかりと、この法案の提案がちょうど同じタイミングになったということで、是非、まずこのIPCCに関して、大臣のこれを読んでいただいた感想みたいなものから伺いたいと思います。

 いろいろな報道を読んでみても、非常に厳しい提言、非常に差し迫ったその思いが、科学者の方々が書かれたと伺っていますが、込められたというふうに思っています。

 産業革命前からの気温上昇を一・五度に抑えるには、遅くとも二〇二五年までには世界の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる必要がある。今からもう、ここからあと三年で、今の炭酸ガス、温室効果ガスを減らさなければいけないという、非常に厳しい思い、それだけ相当差し迫っているんだろうというふうにも感じますが、今回のIPCCの第三次報告書で、この後取りまとめた報告書が出るというふうにも聞いていますが、今回、出た上で、経済産業省としてどういうふうにこのIPCCの報告書を評価しているのか、お聞かせいただければと思います。

萩生田国務大臣 本年四月に承認された気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの報告書では、COP26より前に発表、提出された各国の対策では二十一世紀中に温暖化が一・五度Cを超える可能性が高いとの見通しが示され、気候変動緩和策の一層の加速を改めて全世界に呼びかけているものと受け止めています。

 気候変動問題は、人類共通の待ったなしの課題です。我が国は、パリ協定の一・五度努力目標を踏まえ、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、二〇三〇年度には二〇一三年度から四六%削減することを目指し、さらに、五〇%の高みに向け挑戦を続けることを目標として掲げています。

 我が国は既に、パリ協定とも整合的で高い野心の目標をNDCとして決定し、国連に提出済みであります。また、NDCと併せて政府内で決定を行った長期戦略、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画にのっとり、目標達成に向けて政府を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

荒井委員 国会議員になって半年ですので、これだけ日本のエネルギー政策というのが、まさに大臣が何度かこの委員会でもおっしゃられていた、野心的な目標を掲げてカーボンニュートラルに向かっているんだということを何度か伺いましたが、改めて、このIPCCのグローバルで展開している資料でも、報告書でも、本当に今止めないとまずいんだという気持ちが大変込められている。だからこそ日本政府も野心的なエネルギー政策を掲げているんだなというふうに改めて思いました。

 ただ、一方、IPCCの資料は、当然、英語で書かれているわけですね。ホームページには、サマリー・フォー・ポリシーメーカーズという、まさに政策決定者のためのサマリーというのもIPCCのホームページには掲載されています。当たり前ですが、当然、全て英語で書かれているわけです。

 まさにポリシーメーカーのための要約ということですので、それを是非日本語でも読んでみたいと思いまして、検索をしていくと、経済産業省のホームページやほかの幾つかの役所のホームページからたどり着くことができるわけです。確かに、要約版として載っているものがありますが、ただ、今日は特に資料としてお出しするつもりはございません。

 時間の短い中、仮訳として上げられたんだというふうに電話で伺いましたけれども、ただ、正直、仮訳なのかもしれませんけれども、IPCCのこのサマリー・フォー・ポリシーメーカーズを訳されたこの政策決定者向け要約というものを、僕、日本語で何度読んでも、なかなか分かりにくい日本語訳なんじゃないかというふうに思っているんですね。もちろん、一生懸命訳された御担当者の方がいらっしゃるかと思いますので、その方のお仕事ぶりをどうこうするつもりはございませんが、ただ、本当に、何度も読み込んで何とか理解しようと思っても、専門的だからということはあるのかもしれませんけれども、どうも、分かってほしいというような形で訳し切れていないんじゃないかという気持ちもあります。

 非常にIPCCの報告書というのは大事なことが書かれているんじゃないかというふうに思っていて、僕も、不慣れな英語をもう一度辞書を引き引き、いろいろ読んでいますけれども、是非この内容について、仮訳というふうに役所にお電話したら伺いましたので、正式な訳ができるときには、これをしっかりとした内容にして、多くの政策決定者に読んでもらえるような内容に是非していただきたいというふうに思っております。

 大臣、改めて、IPCCのこの報告書、世界の科学者が長い期間議論をして、本当に世界の政策決定者に向けて、本当に今こういうふうに頑張ってくれということを多分言っているんだと思いますが、まさにそこに向けて、大臣の改めて思いというのをもう一度お聞かせいただければと思っております。

萩生田国務大臣 国際機関が作ったものでありますから、和訳をすると、やや英語で書き込んだ皆さんの思いというものがダイレクトに伝わっていない部分というのもきっとあると思うんですけれども、これは映像なんかも同じで、後ろに流れている音楽によってかなり切迫した雰囲気が来るのと同じだと思いますので。

 我々は、これはまさに、カーボンニュートラルを目指す世界共通の言うならば羅針盤の一つだというふうに思いますので、関係者のみならず、一般の国民の皆さんにも何か伝わるように、先生の御指摘を受けて、経産省としても対応を考えてみたいと思います。

荒井委員 どうもありがとうございます。

 特にこの地球温暖化というのは、学校等でも、大変この間、SDGsでずっとやってきている内容ですし、若い人は実は大変興味、関心があると思うんですね。そういう人たちが、まさに四月四日のこのタイミングで、二〇二五年までに今の排出量を減らさなければいけないんだということを、我々に対して、世界中に向けて発信をされているということはしっかり受け止める必要がある。報道社がニュースで流すだけではなく、やはりしっかり受け止める必要があると思いますので、是非分かりやすい訳、そして、是非伝えていただければというふうに思っております。

 そういう中で、今回の改正法の中で、五つのいろいろな法案が入っていますが、特にその中で、私の方からはエネルギー高度化法に関して質問をしていきたいというふうに思っております。

 この法案の中では、石炭火力に対して、水素やアンモニアを、これも非化石化の燃料として認めるんだという形のことが盛り込まれているというふうに思いますが、本当に僕自身もまだ勉強中の身ではありますけれども、何度勉強しても、このエネルギー高度化法で言わんとしていることは、この石炭火力の発電を何とか残す必要があるんだということ、その中で、水素やアンモニアを用いた新しい技術を使ってでも残していきたいんだ、そういう意思というか、そういうものがしっかり表れているんじゃないかというふうに思うんです。

 でも、一方で、ドイツやフランスやスペインやイギリスなどは、少なくとも二〇三〇年までにはまさに石炭火力をゼロにするんだ、そういう目標を掲げている中、先ほどもIPCCの報告書でもあったように、GHGを、今の排出量を減らすんだということを言っている中、なぜ日本は一九%を目標とするのか、まずそこを教えていただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化への対応というのは地球的な課題でございまして、日本としましても、二〇五〇年カーボンニュートラルということを政策の方針として定めているところでございます。

 他方、エネルギーをめぐる状況というのは各国千差万別でございまして、恐らく、置かれている電源の構成も異なる、アプローチも異ならざるを得ないということかと思っております。資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国におきましては、SプラススリーEを満たす単一の完璧なエネルギー源がないという現状におきましては、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが不可欠かと考えます。

 従来より、我が国の電力需給というのは非常に厳しい見通しであったわけでございますが、先般の電力の逼迫もございますし、昨日発表しましたこの冬の見通しという非常に厳しい状況もございます。さらに、今般のウクライナ情勢によりまして、ロシア産以外の燃料が世界中で取り合いになっている状況は、本当に一層予断を許さない状況になっていると考えております。

 こうした状況の中で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じるということになりますと、電力の安定供給のみならず、我々の生活、経済社会というものに支障を及ぼしかねないということを感じているというのが現実の状況だと認識しております。

 こうした中で、政府としましては、安定供給を大前提とした上で、二〇三〇年の発電比率を一九%と置いて、これを実現するために、着実に、現実を踏まえつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを徐々に進めていく。電力の経営もあります。投資が難しいという状況もあります。ですので、これを実現するためにはどうしていけばいいかというのを考えているというのが現状でございます。

 さらに、二〇五〇年に向けて考えますと、委員御指摘のように、水素、アンモニアといった次の燃料というものを使いながら、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換えていくという取組、これをしっかりと進めていくということを考えてございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 何回かレクも受けましたけれども、やはり、先ほど大臣も答弁がありましたが、日本は本当に資源が少ない中で、これだけ高度に発展したエネルギー政策を維持していく難しさというのは、経産省の皆さんも含めて、電力会社の皆さんも本当に頑張られているんだというのは重々分かる一方で、まさに先ほどのIPCCの話のように、本当に世界中で協力してやらなければいけないということを言っている中、本当に石炭火力なのかどうかというところをもう少し、アンモニアのことを例に取ってお話を伺いたいと思います。

 アンモニアを石炭火力の発電所に新たに、設置するという言い方がちょっと素人っぽいかもしれませんけれども、そういう技術を加えることで脱炭素化が進んでいくんだというふうに拝読させてもらっています。

 アンモニアについて少し勉強しましたけれども、アンモニアというのは、僕もほとんど今まで考えたこともありませんでしたが、いろいろ調べていくと、確かに面白いものでして、約百年前に、ハーバー・ボッシュ法という工法によって人為的に作ることができるようになり、これによって窒素の肥料に転用ができるようになり、そして農業生産が著しく上がったという形で、このアンモニアを工業で生成することに成功したハーバーさんという方は、空気からパンを作る男みたいな形でドイツで大変評価されたという、一次大戦の後ですけれども、そういうふうにも拝見しました。

 ただ、このハーバー・ボッシュ法、約百年間、ほぼこの方法で今もアンモニアが作られているというふうに聞いていますが、製造時には大変なCO2を使うんだ、排出をするというふうに、高圧と高温度という形で生成するので、そういう意味では、このアンモニアを非化石のエネルギーというふうに位置づけることにやはり無理があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年のカーボンニュートラル時代のエネルギー安定供給確保に向けましては、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠であるというふうに考えてございまして、その社会実装は世界全体の実効的な温暖化対策の観点からも有効であると考えてございます。

 一方で、足下ではまだアンモニアの需給が立ち上がっていないことから、この燃料アンモニアの製造、運搬、利用技術の確立や、供給量拡大、価格低下につながる大規模な需要の創出が必要だというふうに考えてございます。そのため、まずは、そのCO2の処理の有無を問わず、由来を問わずに、アンモニアを非化石エネルギー源と位置づけて活用し、社会実装を進めていくということが重要だと考えております。

 他方で、永続的に、CO2を処理していないアンモニアを使い続ける考えは私どももございません。インフラ整備、技術開発、コスト低減などの進展状況を見極めながら、速やかにアンモニア全体のクリーン化を進めてまいりたいと考えてございます。

 アンモニアのエネルギー利用につきましては、我が国がリードしている分野でありまして、アジア各国からも今引き合いが来ている状況にございます。したがいまして、グローバルにも需給両面での市場を広げていくことによりまして、全体のクリーン化を進めていきたいというふうに考えてございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさにアンモニアのマーケットやそういったところにも言及はいただきましたけれども、そもそも、今の世界の中でのアンモニア、つまり、石炭火力にこれから新しくアンモニアを付与していくというふうにすると、ニーズが、需要が一気に上がってくるわけですが、現状のマーケットが非常に小さいんだということがアンモニアにおける課題なんだというふうに思っています。

 ちなみに、石炭にアンモニアを二〇%加えて燃焼して百万キロワット発電するには、年間五十万トンのアンモニアが必要だという試算もありますが、これは現状の日本の全アンモニアの半分を占める容量だということで、そういう意味では、当然、ニーズのあるところに、ニーズのある状態から引っ張ってくればコストが高くなるわけですので、そもそも、今、アンモニアをこうやって石炭火力のために掲げてやっていくと、当然、アンモニアによる石炭火力の新しい発電の方法というのは非常にコスト高になって、結果的には、採算、若しくはその事業者にとって合わないんじゃないかというふうに思うんですが、このコストの問題、いかがでしょうか。

定光政府参考人 御指摘のとおり、昨年閣議決定した第六次エネルギー基本計画におきましては、アンモニアについて、二〇三〇年には年間三百万トン規模の国内需要を見込んでおり、現在の日本の原料用のアンモニア消費量をこれは大きく上回る規模となります。したがいまして、将来的には、燃料用のアンモニアの需要拡大を見据えて、既存の、肥料を含む原料アンモニアのサプライチェーンに代わる新しいサプライチェーンを大規模にこれから構築、展開していく必要があるというふうに考えてございます。

 コストについての御質問ですけれども、今後、インフラ整備に対するファイナンス支援、それから、大規模化、CO2排出量低減に資する製造方法の開発、実証などを通じまして、安定的かつコスト競争力のあるアンモニアのサプライチェーンを構築しまして、全体のコストの低減ということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

荒井委員 アンモニアの話は、調べれば調べるほど、まだ本当に技術的にも確立がし切っていないんじゃないかというふうに思いますし、可能性としてはある、JERAの技術者の人たちも、現状の石炭火力の中にアンモニアを使うことは十分できそうだという形で、みんな、温度感はあるものの、まだ確立した技術ではないという。その中で、まさに先ほどのIPCCの、二〇二五年までには今の現状から下げようというその思いと、ちょっと非常に尺の違う話過ぎるんじゃないかというふうに思っています。

 アンモニア、本当に、ただ、調べればもちろん、こういったことへの技術開発をしているベンチャーもあるわけですから、本当に日本が資源が少ないことは重々承知しています。でも、できることをしっかりやっていく必要性の中に、アンモニアの射程も入れる必要はあるかもしれないけれども、やはり今必要とされている、実行可能なエネルギーに即変えていくということも必要なんじゃないかというふうに思っています。

 資料をお配りさせていただきました。写真が二枚ありますが、これは、一枚目が、ニューヨーク市の一九〇〇年、今からもう百年以上前ですけれども、百年以上前のニューヨーク市の、ちょうど五番街だったと思いますけれども、そこの写真で、二枚目が、同じところの十三年後の写真というふうに言われているものです。

 何が違うかというと、これは経産省の産構審の資料ではありますけれども、一枚目の一九〇〇年のときには、ちょっと写真が粗いんですけれども、これはみんな、馬車が走っているわけですね。この一九〇〇年のときには皆が五番街を馬車で走っていて、その十三年後には、馬車が一台もなくて、まさにT型フォードで多くの人たちが走っている。実際、多くはタクシーも写っているそうですけれども、これだけ、たった十三年で時代というのは、技術というよりかはマーケットは変化するということのあかしなんだというふうに感じています。

 もちろん、この時代の、どういう産業政策だったかというのは、僕もここで披露できるほど存じ上げませんが、でも、マーケットのニーズさえあれば、こうやって一気に、すっと新しい技術が一気に広がっていく、そしてみんなが使っていくということが十分あるんだと思うんですね。

 思い返すと、携帯電話も、それまではみんなボタンを押す形の携帯電話を使っていて、そして、二〇〇七年にアメリカのアップル社がiPhoneを発売して、そこから十年とたたないうちに、一気にスマートフォンという形が市場を席巻しています。実は、その携帯電話のときも、ボタンを押す形式の携帯電話からスマートフォンに変わる過程で、日本のメーカーが元々作っていた携帯電話から海外製の携帯電話にほとんどリプレースしてしまったという実態があるわけですね。

 今日、この写真の二枚を見ながら、この経産委員会の中で感じていただきたかったのは、ひょっとすると、この石炭火力の話も、石炭火力の話だって、アンモニアをつけることで、ある意味、ハイブリッド型、ちょっと言い方は違うのかもしれませんが、内燃機の自動車がハイブリッド型になって、そして今、日本国内で多く走っていますが、そうやって内燃型のエンジンをハイブリッドにして既存の産業を守ったのと同じように、ひょっとすると、でも、今世界では、もうこのハイブリッドからさらに、電気だけで走る自動車がどんどん増えてきていて、そして、その産業としても、日本のおはこだった自動車産業が、中国の方がこの電気自動車の分野では先を行っているという形が、言われるような形になってしまうんじゃないか。

 やはり、大胆な政策の転換みたいなものが、この石炭火力の話にだって必要なんじゃないかというふうに思うんですね。

 IPCCの報告書に戻りますけれども、この中にも、太陽光の発電のコストはこの十年で約九割低下したということが報告書の中に書かれているかと思います。

 まさにこの十年というのは、東日本大震災があって、まさにいろいろと原子力を含めたエネルギー政策に関して、やはり、そこからの見直しや、いろいろな技術変化、特に太陽光に対しての技術の進化がたくさんあったと思います。

 ただ、このパネルもやはり中国製のパネルが非常に多いわけで、日本の会社のパネルというのは、やはりちょっと割高で、なかなかマーケットシェアを取れないという実態があるわけですね。

 こうやって、この十年で、たった十年で、馬車から自動車に変わっていく、携帯電話だってスマートフォンに変わっていく、十年で太陽光がこれだけマーケットシェアを取れるようになってくるという中で、やはりもっと大胆な政策の転換、僕は、日本におけるエネルギーの転換の在り方も、やはり再生エネルギーというものにもっとパワーをかけて、もちろん、今回の法案の中で再生エネルギーをたくさん増やしていくんだというふうに書かれていますけれども、それでもまだ、既存の技術、既存の産業を前提とした中での政策過ぎるんじゃないかというふうに思っているんですが、そこはいかがでしょうか。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、エネルギー基本計画を作りまして、全体の電源構成を御説明をしております。

 私ども、SプラススリーEを基に全体のエネルギーの政策を進めてまいりまして、基本的に、まず安定供給、特に、ここで今ウクライナの問題がございまして、安定供給に万全を期しつつ、なるべく脱炭素化の電源構成に変えていくというこの方針についてはもう確認をされておりますので、その中で、私どもとしましても、石炭火力については、そのもの、石炭火力そのものについてはなるべく減らしていくということでやっているわけでございますが、その中で、全体、脱炭素化を加えて、アンモニア、水素も活用しながら、全体の多角化、それから安定供給を進めていくということを目指しているということでございます。

荒井委員 是非、今回のIPCCの、本当にこの一年、二年でGHGを減らす取組を、今の既存よりも減らさなきゃいけない、それは、本当に生活の在り方そのものをこの一、二年で見直さなきゃいけないということだと、もう同義だと思うんですが、それに向けた大きな、つまり、今まで、従来の様々な施策や政策、考え方や生活スタイルみたいなものを本当に見直すべきだということを今回、四月四日にIPCCが言っているんじゃないかというふうに思いますので、もう一度よく見直していただきたいというふうに思っております。

 そして、ここ、経産委員会でも、安定した供給の話というのは大きく、当然経産省の所管ですから、出るんだというふうに思いますが、一方では、需要側というのはどうなのかなというふうに感じています。もっともっと本当は、いわゆる省エネ、これは日本の場合には、一九七〇年代に相当省エネを進めていって、世界的にもエネルギーの使い方の効率化というのは大変褒められているというふうには聞く一方で、まだまだエネルギーを使わないで済むような在り方という模索というのはできるんじゃないかというふうに感じているんですね。

 例えば、ちょっと一つ卑近な例ですけれども、私が校長をしていた学校、これは札幌ですので、札幌の学校は、もう築四十年で、本当にお恥ずかしいんですが、四十年前に作ったボイラーで冬に建物を暖めています。ただ、実は、北海道の場合には多くの普通の民家は今もう二重窓なんですけれども、古い学校ですので一重窓なわけですね。そうすると、四階とか、なかなか熱が届かないところは、本当に生徒たちも寒い寒い言いながら、オーバーを着ながら授業を受けるような状況を、僕が校長をしていた五年間も続けざるを得なかった。

 それは、我々の収入と支出のバランスの中で、本当はもっと暖かい造りに、それは多分、窓を二重にしたり、断熱効果を高めるような、そういうことはすればいいんですけれども、なかなかそういったところまでお金が回らない。若しくは、そういう補助金がないので、耐震をするための補助金等は文科省もたくさん出していたりもしますけれども、一方で、エネルギー消費を小さくするための補助金とかそういったものは、少なくとも僕はそういう存在は知らなかったわけですね。

 ただ、こうやってIPCCから、何度も言いますけれども、二酸化炭素の排出を減らしなさいというふうに言っているのであれば、実は本当はもっと、役所を横断してでも、やれる取組というのはあるんじゃないかというふうに思うんですね。

 少なくとも、古い学校はそうやって結構無駄なエネルギーを使いながら一生懸命暖めているという実態はあるんじゃないかと思いますし、学校だけではないんじゃないかと思っていますので、もう一度、エネルギーの消費の仕方ということに対して是非目を向けていただきたいというふうに思っております。

 最後に、今回はこの法案の中には含まれていませんが、先ほどもコストの話を、アンモニアも含めた発電のコストの話をさせていただきましたので、一方では、原子力発電というもののコストというものについて、これは純粋に教えていただきたいというふうに思っております。

 原子力発電を新設する、世界では原子力発電を新設するコストというのは再エネの四倍になっている、そういう資料も拝見いたしましたが、経産省はこの実態について、つまり再エネの方が割安なんだというふうに言われているこの実態について、どういう見解なのか教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 発電のコストということについて申し上げますと、特に自然エネルギーを使う場合におきますと、その自然条件によって大きく、状況によって違いが出てまいります。風が本当にびゅうびゅう吹く大平原の風力発電若しくは赤道直下の太陽光といった環境と寒冷地の状況では、相当事情が違います。ですから、相当幅があることだと思ってございます。

 今委員御指摘がありました、民間の中で様々な試算があり、世界でも提起されていることは我々もよく承知しているところでございまして、そういう環境のよいところでの再生エネルギーのコストは非常に安くなってございます。

 他方で、日本という状況の中で考えてまいりますと、なかなかそう簡単にもいかないところもございまして、昨年、総合資源エネルギー調査会においてコスト検証を行ったわけでございますが、その試算の中で申し上げますと、二〇三〇年の新設プラントの発電コストということで比較してまいりますと、それほど大きな差が生じているわけではないと思います。ただ、事業用太陽光、大きなメガソーラーのようなものについては、原子力よりも安くなるケースがあるということは承知しているところでございます。

 ただ、このコストということを考えるときには、これは発電量という、キロワットアワー、どれぐらい出るかということのコストとして考えるわけでございますが、一方で、電力の需給、安定供給ということを考えますと、太陽光の出ないときのバックアップをどうするか、電力システムとしてのコストをどう考えるかということになってまいります。

 再エネには再エネのよさがあり、その機能を最大化していく必要がある、原子力若しくは石炭火力、火力にはそれぞれの意義があり、このそれぞれのよさをうまい形でバランスさせ、ベストミックスをつくっていくということの中で、コストももちろん踏まえながら、安定供給が実現できるような政策を考えていく必要があるのかな、このように認識してございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 もう一つ教えてほしいのは、再稼働した、十基再稼働していると思いますが、この原発におけるコストというものはいかがなんでしょうか。特に、元々の原発も、事故前に比べたら安全対策は大分しなければいけないという状況ですので、コストが上がっているんだというふうに思いますが、いわゆる電力卸取引のJEPXの取引価格やFITの取引価格等と比較するとどういう状況にあるのか、教えていただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 福島事故以降、原子力事業者は、原子力の規制委員会の審査の下で新規制基準に適合するような対応が必要になってございます。そうなりますと、既存の原子力発電所を再稼働するに当たりましても、例えば防潮堤ですとか非常用の電源車等、追加的な安全対策工事を行う必要がございますし、それに対する投資を講じてきているところだと思います。ですので、通常の発電所に比べますと、当然のことながら、その分の投資コスト分というのが上乗せしてくるということになってくるわけだと思います。

 他方で、先ほどの御質問との流れで申し上げたときのコストの比較ということで申し上げますと、なかなか、既設のものを再稼働するということになってまいりますので、立地環境ですとか設置の条件ですとか、何年目のところでどう再稼働投資する、その償却がどうなっていくかということによって、なかなかこれを比較するのは難しいところかと考えておりまして、一概にちょっとお答えするのは難しいかなと考えてございます。

 いずれにしましても、原子力発電事業者は、それぞれの経営の判断の下で、再稼働を行うために必要な安全投資を講じている、こういう状況かと考えてございます。

荒井委員 ありがとうございました。

 それぞれの電力会社が、当然、コストに見合った上で、収支に見合った上で最終的には再稼働の判断というか実行をするんだというふうに、それでよろしかったですか。一応最後に確認させてください。

古屋委員長 時間が来ておりますので、おまとめください。

松山政府参考人 御指摘のとおりでございます。

荒井委員 どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、山崎誠さん。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問をさせていただきます。たくさん質問を用意してありますので、端的、的確なお答えをお願いをいたします。

 順番、外務副大臣にお越しいただいていますので、先に三番を済ませたいと思います。

 東京電力福島第一原発事故に関する国連の特別報告者、訪日調査を、二〇一八年からでしょうか、求めています。国連のセシリア・ヒメネス・ダマリー特別報告者、再三訪日調査を求めているんですけれども、日本政府からは的確な御回答をしていないということであります。事実上放置されている。

 これは、昨年の十二月にも参議院の本会議で青木愛議員も質問をして、岸田総理からも回答を受けています。コロナ禍で、その感染の流行状況を見つつ、関係府省庁と検討を行っているというお話でありました。

 実は私、二〇一九年にも東日本大震災復興特別委員会でも質問をいたしまして、当時のあべ外務副大臣も、福島の事実を見ていただく、福島に来て応援していただくことも含めて検討している、外務省が窓口となって、しっかりと省庁で検討していきたいという答弁をいただきました。

 いまだにこれは実現できていないんですよ。どうしてこれは受入れが進んでいないのか、お答えいただけますか。どうしてここまで先延ばしになっているんですか。

小田原副大臣 山崎委員にお答え申し上げます。

 ダマリー国内避難民特別報告者の訪日要請の受入れでありますが、外務省が窓口となって、同特別報告者と累次、意見交換を行うとともに、先方の考え方などを、復興庁を含む関係府省庁に伝達をしてきています。現在、各府省庁で、それぞれの所掌に応じて、新型コロナウイルス感染症の流行状況も見つつ、受入れ時期等を含め検討を行っている状況であります。

 政府内におきましても、外務省が窓口になって調整を行いますが、それぞれの関係府省庁にも十分協力をしていただいて、視察先等、先方の要望も勘案し、入念に準備する必要があります。

 政府としては、今後とも、被災者の方々の声に耳を傾けながら、着実に復興支援を行い、国際社会に対して復興の現状を適切に説明してまいります。

山崎(誠)委員 最終、いつ、誰が、このダマリーさんとコンタクトを取って調整しましたか。具体的に教えてください。いつですか。誰ですか。どんな話を聞いたんですか。ダマリーさんからどんな要望が出たんですか。

小田原副大臣 お答え申し上げます。

 先方との具体的なやり取りの内容については詳細は差し控えたいと存じますが、外務省としては、累次、特別報告者本人と意思疎通を行っています。

 今年三月中旬にも、ジュネーブで日本政府代表部の本清大使が特別報告者と面会をいたしまして、訪日について意見交換を行いました。また、その後も、国連人権高等弁務官事務所の担当部局などを通じて、随時、意思疎通を行っております。

山崎(誠)委員 コロナ禍を理由に受入れを調整している、延ばしているという話を私はもう何度も聞きました。今、コロナは蔓延防止等重点措置も解除されています。今、チャンスじゃないですか。

 また、ハンセン病患者への差別撤廃、こういうテーマについては、コロナ禍であっても報告者を受け入れていますよね。何でこのテーマについてはこうやって先延ばしするんですか。特別な理由があるんじゃないですか。

小田原副大臣 お答え申し上げます。

 特別報告者本人とも意思疎通を行いながら、関係府省庁において検討されていると承知をしています。

 特別報告者から地方視察についての要望もありますが、避難されている方々の中には高齢者や基礎疾患を抱える方もいらっしゃいます。したがいまして、国内外の新型コロナウイルス感染症の流行状況を見つつ検討をしていく必要があると理解しています。

山崎(誠)委員 今、感染は収まってきたんじゃないんですか。ちゃんとPCR検査を実施して、安全を確保してやったらいいじゃないですか。被災者は、怖いから来ないでくれと言っているんですか。そういう方がたくさんいるんですか。会ってほしい、自分たちの状況を訴えたいという人が多いんじゃないですか。

 副大臣、これは、先延ばし、いいかげんにしてください。いつ結論を出して受け入れるのか、明確に回答してください。

小田原副大臣 お答え申し上げます。

 被災地を含む国内外の新型コロナウイルス感染症の流行状況等をやはり慎重に見つつ、特別報告者本人とも意思疎通を行いながら、関係府省庁において検討を行っています。

 現時点でいつということをお答えすることは困難でありますが、委員の御発言、また今までの経緯、そういった論点を踏まえまして、訪日が行われる場合には、新型コロナウイルス感染症の流行状況を留意しながら、双方の都合のよい時期に実施するよう、窓口である外務省としても協力したいと存じます。

山崎(誠)委員 明らかな二重基準じゃないかと言われているんですよ。国際的な信頼の問題ですよ。二〇一一年には、この特別報告者を常時受け入れますというような宣言をしているんです、国連で、日本は。だから聞いているんですよ。

 何でここだけ、いや、要するに、原発事故、やはり不都合なことがあるんじゃないですか。だから受け入れられないんじゃないですか。

 この二重基準、本当に、政府としてはしっかりと対応を取ってください。明確に受け入れる時期を、今は御回答いただけないので、もうしようがないですが、求めます。またこれからもどんどんどんどん、何度も聞いてまいりますので、持ち帰って、早く結論を出してください。

 どうぞ副大臣、終わりましたので。

 次の質問に行きます。

古屋委員長 副大臣、御退席くださって結構です。

山崎(誠)委員 四番目の、原子力発電所施設に関する武力攻撃についてお尋ねをいたします。

 これは経産委員会でも質問いたしました。さきの本会議でも質問をさせていただきました。

 原子力規制委員会としては、武力攻撃に対する安全規制、これは対象にしていない、想定していないということだったと思います。

 大臣に本会議でお尋ねをしましたけれども、大臣は、規制については規制委員会の判断だということでございました。

 そこで、更田委員長に来ていただきました。

 原子力発電所の安全というものを考えるならば、今回のロシアによるウクライナ侵略、原子力発電所への武力攻撃というこの事実を踏まえて、やはり規制基準を新たに見直す、作る、その必要性があるというふうに思うんですが、更田委員長の見解を求めます。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 武力攻撃に対しては、規制要求でもって応えるということは事実上不可能です。

 武力攻撃に対して、設計や原子力発電所等々の原子力施設の運用でこれに対処するということは事実上不可能であって、規制で対処するべきものであるというふうには考えておりません。

 したがいまして、原子炉等規制法に基づく規制要求に、武力攻撃に対する備えを加えることは考えておりません。

山崎(誠)委員 極めて重い、重要な御答弁だと思いますよ。要は、技術的に原子力発電所というものの設計や、あるいはその安全設備の技術的な限界を超えている、武力攻撃を受けた場合の安全は技術的にはもう担保できない、だから規制基準を作ることはできないんだ、そういうお考えでいいですか。

更田政府特別補佐人 原子炉等規制法に基づく規制要求で対処を求められるのは、事業者による対処です。事業者による対処によって武力攻撃に対して原子力施設を守るということは不可能です。

 したがって、事業者の対応の範囲においてできないことを原子炉等規制法によって要求することは不可能です。

山崎(誠)委員 了解です。

 経産大臣、四月五日の本会議でこう答えています。原子力発電所の安全確保は、原子力規制委員会が規定する発電所の設備上の対応だけでなく、事態対処法や国民保護法の枠組みでの措置など、警察、自衛隊を始め関係省庁、関係機関が連携して対応することとしていますと答弁されました。

 今お話ししたとおりで、規制委員会は、発電所の設備上の対応というのは規制委員会としては求めないと言っています。

 そうなると、事態対処法や国民保護法の枠組みが、その措置が中心になるということでありますが、じゃ、この事態対処法や国民保護法では何ができるんですか。

 大臣、大臣の答弁ですよ。手を挙げているよ。

古屋委員長 まず、松山電力・ガス事業部長から答弁をさせます。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 手続の話でございますので、私の方から御答弁申し上げますけれども、事態対処法や国民保護法等の枠組みの下で、関係省庁、機関の連携の下で、原子力施設の使用停止命令、住民避難等の措置を準備しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、我が国への武力攻撃のおそれがあると認められ、内閣総理大臣が発電所の立地する地域に警報を発令した場合、原子力規制委員会が原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命ずる……(山崎(誠)委員「いいです、もう分かったから」と呼ぶ)

古屋委員長 答弁を続けてください。

松山政府参考人 とともに、内閣総理大臣が事態の推移を踏まえて都道府県知事に避難すべき地域を指示し、それを踏まえ、都道府県知事が市町村長を経由して住民に避難を指示するとの対処がなされるものと承知しているところでございます。

山崎(誠)委員 今のお話で、結局、できることというのは避難と運転停止なんですよ。避難と運転停止で武力攻撃から原発を守れますか。まあ、避難するのは当然ですよ。避難するのは当然です。じゃ、運転停止をすれば武力攻撃から原発を守れますか。更田委員長、どうですか。

更田政府特別補佐人 運転中と運転停止直後であると、余り差はありません。運転停止してから一週間程度たつと、被害は比較的、程度は小さくなりますけれども、停止中とはいえ放射性物質を大量に抱え込んでいますので、武力攻撃によってそれらが飛散すれば重大な被害が出るというふうに考えられます。

山崎(誠)委員 そうなんですよ。大臣がお話ししている国民保護法だとか事態対処法では結局守れないんです。安全を確保できないんですよ。これ、私は非常に重大だと思います。

 そして、次、これを言えば恐らく防衛出動みたいなお話が出てくると思いますが、防衛出動については、この間、経産委員会でも質問しました。鬼木副大臣も、やはりミサイル攻撃から一〇〇%守ることはできないと。ミサイルの開発でも日進月歩でありますから、大変危険だということだと思いますよ。

 私は、こういうことをあえて言わなきゃいけない状況が今起きているから、安全最優先でやはり原発のことは考えていただきたいと。これは事実でありますから、どうしようもありません。

 萩生田大臣の、同じ答弁で、こういうのがあるんですよ。原子力は実用段階にある脱炭素のベースロード電源であり、安定供給の観点からも活用していく必要がある。

 安全最優先という前提、これは崩れていませんか。今お話ししたような武力攻撃について質問をした中で、ベースロード電源であり、安定供給の観点から活用していく。これ、矛盾していませんか。

萩生田国務大臣 先ほど、原子力発電所へのミサイルによる武力攻撃に対しては、イージス艦やPAC3などの多層防衛による対応のほか、事態対処法、国民保護法の枠組みの中でというお話をしました。

 ただし、こうした対策に終わりや完璧はないと思います。今後とも、関係する省庁、機関が連携をして、対応を不断に検証し、改めるべき点は改善していくことで、安全の確保に万全を期していく必要があると考えています。

山崎(誠)委員 上辺の答弁では安全は守れませんよ。具体的な武力攻撃に対する対処方法を具体的に示すことが求められています。

 萩生田大臣、国民への説明、立地自治体への説明が求められていると思いますが、具体的にどう対処するつもりなのか、お答えください。

萩生田国務大臣 我が国への武力攻撃のおそれがあると認められ、内閣総理大臣が原子力発電所の立地する地域に警報を発令した場合は、原子力規制委員会が原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命ずるとともに、内閣総理大臣が事態の推移を踏まえて都道府県知事に避難すべき地域を指示し、それを踏まえ、都道府県知事が市町村長を経由して住民に避難を指示するとの対処が示されているものと承知しております。

山崎(誠)委員 繰り返しになっていますよね。結局、停止をして、避難をしろというわけですね。それじゃ原発の、武力攻撃からの安全は守れないというのは今の答弁で明らかであります。

 私は、繰り返しになりますが、やはり原発は、それは頼りたい気持ちは分かりますよ、でも、この事態に対しては、やはり、安全最優先だということであれば見直していかなきゃいけない。与党の皆さんであっても、そこを基軸にしていただかないと、日本の、本当に国家の安全保障、エネルギーの安全保障を守れませんので、心からお願いをします。

 五番に行きます。

 政府における各電源に対する評価という話なんですが、これも、経産大臣の答弁で、これは今日も何度も出てきている言葉なんですが、SプラススリーEの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在しないことを踏まえれば、再エネだけで全てのエネルギーを賄うことは難しく、原子力、火力、水力、CCUSなどあらゆる選択肢を追求してまいりますと、いつもこういう答弁です。完璧なエネルギー源が存在しないといつも言っています。

 じゃ、ちょっとお聞きしたいんですけれども、再生可能エネルギー、これ、単体ではなくて、例えば、太陽光、風力、地熱、バイオマス、水力、こういったものを束ねて再生可能エネルギーとしてバランスよく導入したときに、この完璧でない点はどこにありますか。

茂木政府参考人 再エネについては、メリットとしては、これは国産であるということ、それから環境性が高いということ、そしてもう一つは追加燃料が不要だ、こういうメリットがあります。デメリットとしては、やはりこれは変動性があるということ、それから地域の偏在性があるということ、それから、やはり供給密度が低いですので、大規模な面積が必要だということがあります。

 もちろんこれは、先ほど委員から御指摘ありました蓄電システムと組み合わせる、あるいはほかの再エネ電源と組み合わせることで一定の平準化をすることは可能であります。それから、一方で、偏在性については、これは送電線をきちんと引いて大規模に集めてくるという仕組みが必要ですので、これは投資が必要です。それから、供給密度が低いですので、大規模な面積を確保するとなりますと、適地の確保ですとか、地域との共生とか、こうしたことを考えていかなきゃいけない。

 したがって、こういった要素を解決していくための投資あるいは地域との調整、こうしたことを併せて考えていく必要があるということだというふうに考えます。

山崎(誠)委員 今お話ありました。結局、偏在性、変動性。

 変動性については、これは、蓄電池、これをきちっと入れていけば、もう解決はほとんど見えていますよ。今、蓄電池の技術も大変安くなっている。松山部長、知らないんですか。

 例えば、EVの電池を系統につないでこれを制御しよう、そうしたら、EVの電池だとただですからね、車の電池ですから、これをうまくつながる、それをこの五年、十年でやりましょうよ。そうしたらどれだけ再エネの電気を安定化できるか。風力、太陽光、バランスよく入れましょうよ。そうしたらもっと安定性が出るんですよ。

 大臣にお聞きしたいんですが、今、経産省の目標、三六%から三八%、二〇三〇年、これはキャップですか、あるいは、これを超えて導入することを当然進めていくんだというスタンスですか。

萩生田国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、SプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを取りながら、安定的で安価なエネルギー供給を確保することは最重要課題です。

 再エネにつきましては、エネルギー基本計画で掲げた、二〇三〇年度に三六から三八%という野心的な目標の実現に向け、強力に推進していく決意です。他方で、地域との共生を前提とした再エネの導入に適した場所の確保や、国民負担を抑制するためのコスト低減など、様々な課題を乗り越える必要があります。

 このため、条例を含めた関係法令遵守など事業規律の確保を前提に、関係省庁や自治体と連携し、地域の理解を得られる公共施設や住宅の屋根、さらには陸上風力に加え、洋上風力などの導入拡大を推進してまいりたいと思います。

 キャップじゃなくて、目標ですから、別にこれを超えちゃいけないということではございませんので、野心的に挑戦していきたいと思います。

山崎(誠)委員 大臣、申し訳ないですけれども、同じ答弁書を何度も読むのはやめた方がいいですよ。格好悪いですよ。(萩生田国務大臣「同じ質問をしているから」と呼ぶ)

 同じ質問じゃないですよ。私が今聞いたのは、キャップですか、これを超える目標を設定するんですかと聞いたんです。はいというか、そう言えばいいじゃないですか。

 それで、この間の質問の中で、導入のリードタイムを考えると、太陽光発電がやはり有望なんだというお話をされていました。太陽光発電は有望です。入れなきゃいけない。

 じゃ、この太陽光発電、どういうふうに入れますか、大臣。どういうふうに伸ばしますか。

茂木政府参考人 太陽光発電の導入でございますが、様々な取組があるというふうに考えています。

 具体的には、まず、屋根置きの太陽光を増やしていくというのが一つの有望な要素であります。それから、農業と共生する形で太陽光を増やしていくということもございます。それから、これはFITではありませんけれども、事業者自らが再エネの適地を探してきて、自分で太陽光を引くというケースも出てくるというふうに考えています。様々なこういう太陽光の取組を組み合わせて、太陽光の導入を増やしてまいります。

山崎(誠)委員 今お話ありました。

 私は、農地を活用したソーラーシェアリングなのか、放棄地を使って野立ての発電もあると思いますよ。農地を使った、農業との共存共栄の太陽光発電というのは非常に重要だと思いますよ。そのポテンシャルは、菅委員も言いますけれども、非常に大きいんですよ。

 これについて、経産省、今もお話の中にも出てきました。じゃ、お聞きしますが、資料を見ていただきたいんですが、二でしょうか。これは農水省の農地転用許可の実績です。ソーラーシェアリング、営農型太陽光発電。

 一番下を見ていただくと、件数が出てくる。真ん中で四角く囲ったところです。二千六百五十三件という転用の実績があるんですよ。これ、発電容量、どのぐらいの発電所があるのか、発電の設備の容量、幾つか、お答えできますか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 発電容量についてですが、これはもう委員もよく御承知のとおり、当初、FITの制度の中では、営農型の太陽光の量というのを認定の際に報告をさせていませんので、そういった数字はございませんが、ソーラーシェアリングとして導入されている量、推計いたしますと、先ほど御指摘ありました二〇二〇年の二千六百件、このうち、住所が特定できますので、この住所から運転開始が確認された容量をFITの認定と突合しますと、おおよそ、二〇二〇年度末時点で、約六十五万キロ程度は少なくともあるのではないかというふうに考えます。

山崎(誠)委員 じゃ、県別に、どこが一番多いですか。上位五県、教えてください。

茂木政府参考人 大変恐縮ですが、県別の数字は持っておりません。

山崎(誠)委員 経産省は、ソーラーシェアリングのデータを持っていないんですよ。

 これは私、何年か前の経産委員会で質問して、ソーラーシェアリングを真剣にやるんだったら、ちゃんとデータを調べてくださいと頼んだんだ。分かりましたと言っていましたよ。昨日ヒアリングして、びっくりしましたよ、おとといか。二〇二二年度の数字は持っているけれども、それ以前の数字は持っていないと。

 経産省、本当に、太陽光発電を入れる、本気に、やる予定、あるんですか、つもりがあるんですか。

 今、これまでどういうふうに進んで、何が課題で、どこにどれだけ入って、それを把握していなくて、この先、二〇三〇年、もうすぐですよ。その間にどうやって太陽光発電をたくさん入れるんですか。

 大臣、これね、いや、おっしゃっているのは大事です。やるんだったら、ちゃんとデータをそろえさせて、分析して、どういうふうに太陽光を入れていこうかな、二〇三〇年、三六―三八じゃなくて、五〇%までいきましょうよ、だったら、ここはここまで工夫すれば入る、そういう分析、計画、目標設定、指示いただけませんか。大臣に指示していただきたいんで。

萩生田国務大臣 ソーラーシェアリングは決して悪い手法じゃないと私も思います。ただ、スタートが未利用農地などを使ってのスタートだったので、農転とのセットで事業が進んできたという歴史的な経緯があって、我々じゃなくて、農林水産省や地方自治体の方で第一線での把握ができていたということの中で、しっかりした数字がないんだと思いますので、今後、有力なツールの一つだと思いますから、聞かれて答えられないようなことがないような、しっかりとした調べはしておきたいと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 農水省は、農転の件数は持っているんですけれども、設備容量を持っていないんですよ。経産省は、元々設備の数量をFITでカウントしたりするけれども、農地の発電というくくりでは情報を集めていないから、整理していないから分からないんですよ。ソーラーシェアリングだけじゃないですよ、耕作放棄地だとか荒廃農地を使った発電なども、規制改革をやっていただいて進んでいると思います。これは大事です。是非これはきちっと分析をしてください。お願いいたします。

 じゃ、残り時間で、一番に戻ります。

 アンモニアのお話なんですが、水素、アンモニアを非化石エネルギー源に位置づけるという話がございます。これは、製造時にCO2を排出する水素とかアンモニアについて、私は区分をして管理をすべきではないかなとすごく思います。

 資料一をつけましたけれども、カーボンニュートラルに必要不可欠な水素ということで、これは経産省のポンチ絵であります。重要なのは水素のやはり用途でありまして、どういう用途でこれを使っていくのか。それに必要な水素の量というものを決めて、そしてそこに向かって政策を私は実行していくべきだというふうに思うんですが、このポンチ絵に、この用途、右側に書いてありますけれども、数字が入っていないんですが、どういう目標を掲げて、どのぐらいの割合でそれぞれ使う予定ですか。

茂木政府参考人 まず最初に、委員から御指摘いただきましたこの資料一でございますが、これは、将来の理想的な絵姿として、こういった用途を開発して、それに向けてブルーやグリーンな水素を供給していくという絵姿を描いたものであります。

 その上で、二〇三〇年については、我々はもう既に目標を設定しております。アンモニアを含む水素の当面の需要見通しとしては、二〇三〇年に年間で最大で三百万トンという量的目標を政府として設定をしております。その中で、大規模な需要創出が期待される分野の一つとして発電分野がございますが、ここは、二〇三〇年の水素、アンモニアの発電量を、エネルギー基本計画でも一%程度というふうに目標を掲げたところであります。

 こうした目標に基づいて、グリーンイノベーション基金なども活用しながら、発電や運輸分野、それからそれ以外の分野も含めて、技術開発、実証を行っているところでございます。

山崎(誠)委員 だから、水素全体で、発電、輸送、民生・業務部門、産業部門、どういう割合で入れるんですか。

茂木政府参考人 水素全体で、各分野ごとの数字というのは、詳細な数字は設定はしておりません。

 ただ、三百万トンのうち、例えば発電用で一%という目標を設定しておりますので、例えばここで出てくる水素の量というのはおおよそ六十万トンから七十万トンぐらい。それから、既存の水素の需要というのが二百万トンぐらいございますので、こうしたものも合わせたものとして需要開拓をしていくということになります。

山崎(誠)委員 これは、最低でも積み上げてくださいよ、発電でこのぐらい、輸送部門でどのぐらい使うんですか、水素。どのぐらいの、例えば水素ステーション、FCVですか、これはどういう見通しでこれを使うんですか。

 水素は貴重なものですよ。安くないんですよ。輸入してこなきゃいけないんです。それを、電気やそれで代替できるようなものに使ってはもったいないんですよ、だから言っているんですよ。

 何にどれだけ使うか、明確に目標設定をして、水素やアンモニア、別に反対するわけじゃない、用途をちゃんと限定して、そこに集中して技術開発をすべきですよ。

 産業は、なかなか電化が難しいところがあるんですよ、高炉だとかセメント。そういうところに水素をきちっと集中して投入するというのが正しい戦略の在り方じゃないですか。どうですか。

茂木政府参考人 今御指摘のとおり、産業分野の特に熱需要、これが非常に重要でございまして、ここは特に電化が困難な高温の需要等、こういうのはたくさんございます。ここについては、やはり、水素を活用した脱炭素化ということが非常に重要であるというふうに私どもも考えています。

 電力だけではなくて、こうした産業や発電なども含めた多様な分野での水素の利活用というのをしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 水素の戦略を決めるんだったら、きちっと需要を積み上げてくださいよ。需要を積み上げて、それに向かって、じゃ、水素をどういうふうに調達するのか、需要と供給のきちっとした絵姿を示していただかなければ、水素、水素と言っていても、水素の本当に持ち味が生きない、間違った政策になりますので、お願いをして、終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、田嶋要さん。

田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 萩生田大臣、初めて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 また、質問の機会をつくっていただきました与野党の理事始め委員各位に御礼を申し上げます。どうもありがとうございます。

 大臣とは、初当選、同期だということでございますので、御縁が余りなく、今までは質問できませんでしたが、今日は経産委員会ということで、省エネ法など、重要な法案でございます。

 私、よく申し上げているんですけれども、いい内容の要素がたくさん含まれて、今回も大変重要な法改正だというふうに前向きには評価をいたしております。ただ、いつも思うんですけれども、やはりアクションが後手後手に回っているのではないのかなという感じがします。萩生田大臣の三代ぐらい前の大臣のときにこうした法改正がやはり必要であったのではないのかなと。まさに時間との闘いでありますので、今日もそうした危機感を込めながらの質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 最初にお尋ねしますけれども、大きな目標として二〇五〇年カーボンニュートラルということが掲げられました、菅内閣の下で。また、よく言われる、産業革命前から二度では足りない、一・五度以内の気温上昇に抑えなきゃいけない、こういうことも言われているわけでありますが、大臣にお尋ねします。

 この二つの目標というのはどういう関係にあるというふうに御認識なされていますか。

萩生田国務大臣 本年四月に承認されたIPCC報告書では、二〇五〇年代前半に世界全体でCO2排出量正味ゼロを達成することによって地球温暖化を一・五度に抑える可能性が高いことが示されました。日本は、二〇五〇年にCO2を含めた温室効果ガス排出量実質ゼロ、すなわちカーボンニュートラルを掲げており、日本の目標はIPCCの報告書とも整合しております。

 我が国は、パリ協定の一・五度努力目標を踏まえ、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で野心的な目標として、二〇三〇年度には二〇一三年度から四六%削減することを目指し、さらに、五〇%の高みに向け挑戦を続けることを目標として掲げております。

 この目標の実現に向けて、徹底した省エネや再エネの最大限の導入、安全最優先の原子力の再稼働のほか、製造業における脱炭素化などをしっかりと進めてまいりたいと思います。

田嶋委員 これは、どちらがより本質的に重要な目標だとお考えですか。

萩生田国務大臣 COP26では、パリ協定で位置づけられた一・五度努力目標が改めて合意文書に盛り込まれ、世界全体で取り組む必要性が示されました。

 本年四月に承認されたIPCCの報告書では、地球温暖化を一・五度に抑えるには、二〇五〇年代前半に世界全体でCO2排出量正味ゼロを達成する重要性が示されました。日本は、二〇五〇年にCO2を含めた温室効果ガス排出量ゼロ、すなわちカーボンニュートラルを掲げており、整合した目標を持っていると思っています。

 どちらがという比較をするよりは、まさに日本はこのカーボンニュートラルのスケジュールにのっとってしっかりやっていくことで、しかし、IPCCの報告書は、更にそれを急がないと大変ですよということの警鐘を鳴らしているものだというふうに受け止めています。

田嶋委員 大臣、ちょっと答弁長かったですが、前半おっしゃった、やはりゴールは一・五度の方でなきゃいけないと私は思います。そのために、分かりやすい、国民に向かって指し示すべきものとして二〇五〇年のカーボンニュートラルがあるけれども、そこにぎりぎりまでのろのろやっていたら一・五度には収まらないわけですから、どっちが重要かと言われれば、やはり私は、ゴールセットがしづらいかもしれませんが、一・五度以内に抑えないととにかく駄目なんだということ、そこを是非押さえていただきたいというふうに思います。

 したがいまして、大臣のメッセージとしては、やはり、できることは一日も早くという強い危機感を、経産省だけじゃなくて全省庁が挙げて行っていかなきゃいけないし、役所だけではもちろん駄目で、自治体への働きかけ、民間企業などへの働きかけ、特に中小・小規模事業者ですね。それと、何といっても、国民運動としてこの運動を盛り上げていかないと間に合わないという危機感を是非共有したいというふうに考えております、よく、勝負の十年という言い方をしておりますので。

 いろいろな方が指摘をして、私も指摘しておりますが、経産省なんかで議論していると、将来の将来の夢のようなイノベーションの話が結構出てくるんですね。萩生田大臣は文部科学省で大臣をやられておりましたこともあります。是非、ちょっと、バラ色の未来のイノベーションばかりじゃなくて、ローテクでしっかりと、この八年、結果を出すんだ、そういうところを是非肝に銘じて、大臣としての差配をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、二問目ですが、建築物省エネ法というのがございますね。いきなりそちらに行きますけれども、改正案はこの国会で提出されるのでしょうか。

中山副大臣 ありがとうございます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、我が国のエネルギー消費量の約三割を占める住宅・建築物分野における省エネ対策の強化を図ることは、極めて重要な課題と考えております。

 このため、昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画等において、建築物省エネ法を改正し、住宅等の省エネルギー基準への適合を義務化することが政府方針として定められており、国土交通省といたしましては、当該方針に即して取り組んでいく必要があると考えております。

 その上で、当該建築物省エネ法の改正法案の今国会への提出については、現在検討中という扱いになっており、限られた審議日程の中で的確に対応できるよう、引き続き準備をしてまいりたいと考えております。

田嶋委員 予算委員会でお尋ねしたときの斉藤大臣の答弁と同じですけれども、現在検討中が長いなという感じがして、日本中がやきもきしていますよ。今日も、この質疑、インターネットで多くの建築関係者が御覧いただいています。

 これは大臣も繰り返し、今日も言われておりました、やれることは全部やらないとまずいんですよ。重要性を分かっていない政治家がいたら勉強不足ですね、申し訳ないですけれども。

 お配りした資料の一にも、これは一八年、ちょっと古い資料ですけれども、経産省の資料にちゃんと書いてあるんですよ、住宅に係る対策の加速が必要と。一番伸び代が大きい、住宅は。それは、人間、ほとんどいる場所といったら、建物の中か電車の中とか、決まっていますよね。だから、建物の断熱とかそういうことはでかいんですよ。

 先進国からはるかに後ろを走っています、日本は。そういう中で、みんなが待ちに待った法律改正、しかも、閣議決定した前のエネルギー基本計画で結局やれずに、今回のエネルギー基本計画には二〇二五年の義務化と言っているものが、またこれは先送りされるんじゃないかと、与党、野党、心ある議員さん、みんな心を痛めている。

 これは何とかしてください、副大臣。副大臣のお力だけでは厳しいかもしれませんが、外したら、本当にこれはこの内閣の責任ですよ。後世まで語り継がれますから、是非肝に銘じていただきたい。

 そして、萩生田大臣、これは大臣の所管ではないと思うんですが、是非、御経験豊かな大臣にちょっと影響力を及ぼしていただいて、国交省にも働きかけていただいて。これはミスったら本当にまずいですよ。世界の笑い物です。日本が一番遅れているからこそ、伸び代が一番あるところですから、日本の省エネの。これだけやらずに、国会の事情だ、参議院選挙が目の前だ、冗談じゃない。ちゃんとやりましょうよ、野党から提案しているんだ。どうですか、萩生田大臣。

萩生田国務大臣 国交省においても、建築物省エネ法の改正に向けた検討が進められていると承知しております。

 我々経産省も、例えば住宅、建築物の分野で、省エネ法のトップランナー制度において、窓ガラスの建材の断熱性能ですとか家庭用エアコンのエネルギー消費効率の引上げに関する新たな目標などを取りまとめをさせていただきました。

 おっしゃるように、これはどこかの役所が一つ先頭を走れば済むという話じゃなくて、政府全体で取り組まなくてはいけないことだというふうに思いますので、どういうアプローチにするかはお任せをいただいて、いずれにしても、先生の御提案は受け止めていきたいと思います。

田嶋委員 もう四方八方からいろいろ私もやっているんですけれども、なかなか最後が行かないんですよ。

 与党の先生も、大勢、今日聞いていただいています。これは本当にまずいですよ、こんなの、できなかったら。二〇二五年までまだ三年ぐらいあるからいいだろうなんという話じゃないんですよ、準備期間も必要ですから。民間の皆さんが本当にこれを心配していますので。

 萩生田大臣にも大いに期待をさせていただきたいと思います。改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、引いていただいて結構です、国交省、ありがとうございました。是非頼みますね。大臣ともよろしくお話しくださいませ。

 それでは、次の質問ですけれども、今日は、熱について主にお尋ねをしたいというふうに思います。

 エネルギー基本計画では、コージェネレーションや廃熱等のエネルギーの面的利用という言葉が出てくるわけですが、面的利用というのはどういう意味ですか。

茂木政府参考人 面的利用と申しますのは、都市部などにおいて、例えば、コージェネレーション等で発生した熱を周辺の建物に供給したりとか、あるいは、工場の製造プロセス等で排出します熱、これを近隣の工場で活用するといったような形で、一定のエリアで熱を面的に活用する、そういう趣旨でございます。

田嶋委員 萩生田大臣、質問通告はしていないですけれども、電気を届けるという話と違って、熱を届けることには大きな制約があるんです。何か御存じですか。

茂木政府参考人 恐縮でございます。

 熱を届ける場合の一つのポイントは、熱が遠くまで運べないということ、それから、熱をためる技術にも技術開発が必要だということです。

田嶋委員 大臣、失礼しました。

 要するに、そういうことです。熱は遠くまで飛ばない。福島でつくった熱を千葉に届けるというのは無理なんですよ。だから、面的利用が非常に重要。そこを是非押さえていかなきゃいけない。

 そこで、省エネ法の中で、廃熱、未利用熱というのはどのように位置づけられるんですか。

岩田大臣政務官 お答えいたします。

 廃熱や未利用熱の活用は、エネルギーを有効活用する観点から、省エネの取組として重要でございます。

 このため、廃熱や未利用熱の活用については、現行省エネ法におきまして、事業者のエネルギー使用量を削減させる取組として位置づけ、エネルギーの使用の合理化に関する取組として評価をしております。

田嶋委員 未利用熱を使えた、捨てるはずの廃熱を使った、これは省エネになる、そういうことですよね。是非、そういうことをしっかりと法改正でもやっていってほしいというふうに思います。

 お尋ねします。

 火力発電所というのがありますね。よく聞くのは、エネルギー効率が余り高くないという話を聞くんですが、火力発電所や、それから製鉄所なんかでも熱がいっぱい出てくるというふうに聞くんですけれども、それは廃熱と考えていいんでしょうか。そして、火力発電所におけるエネルギー効率というのは、大体、一般的に平均でどのぐらいなんでしょうか。

茂木政府参考人 発電設備ですとか生産設備、この場合、製鉄所ということですが、ここから生成されて、発生し、捨てられる熱のこと、これを廃熱というふうに定義をしております。

 火力発電所のエネルギー効率というのは、この捨てられてしまった熱はエネルギー転換されておりませんので、事業者が保有している発電設備ですとか、あるいは燃している燃料の種類によって異なりますけれども、実績ベースでおよそ三五%から五五%の間ぐらいというふうなことであります。

田嶋委員 よくそういう数字、大体四〇パーぐらいと聞くんですね。大規模集中でやっている火力発電所、これは原発もそうじゃないかなと思うんですけれども、結構、温かい水が海に出されていると言いますよね。

 だから、もったいないことを実はやっているということなんですが、まあこれは仕方がないことなのかなと思っておったんですが、実は、私、二〇一五年にフィンランドの電力会社を視察をしておりまして、そのとき、ヘルシンキ・エネルギアという会社で視察をしたら、そこの発電所のエネルギー効率は、何と九〇%を超えていたんですね。

 なぜかというと、発電をしたときの発生する熱、つまり、残りの六割ですね、日本でいえば捨てている、無駄になっている六割を有効にキャッチして、それを地域に、萩生田大臣がおっしゃった、面的に熱を供給するサービスも電力会社がセットでやっている、そういうことなのでございます。

 そこでお尋ねしますけれども、そういうことはできないのかどうかということをお尋ねしたいと思います。

萩生田国務大臣 御指摘のとおり、火力発電所の熱利用を制度的に誘導していくためには、省エネ法において、製造業や電力事業など、事業者の業にかかわらず、電力エネルギーに加え、熱エネルギーとして利用分をエネルギーの総合効率として評価するインセンティブの仕組みを措置しております。

 実際に、こうした制度的措置もあって、火力発電所の近隣の工場などにおいて熱需要がある場合には、火力発電所で生じた排熱を供給している例もあると思いますが、問題は、先生がさっき言っていただいた距離の問題だと思うんですね。

 この前、私、神戸の水素発電所に行ったんですけれども、元々リサイクルセンターの跡地を使っていましたので、パイプで直接、市民のスポーツセンターですとか公共施設にその排熱を全部送って、再利用、無駄のないような利用をしているんです。

 特に日本の場合は、例えば清掃工場ですとか、こういった地方自治体が造るものも、どちらかというと、今まで、迷惑施設という位置づけの中で、居住地から離れて、できるだけ建物のないところにそういうものをずっと造ってきたんですけれども、やはりこの熱利用というのは極めて大切な省エネの概念だと思いますので、少しずつ、最近ではそういう施設に隣接して公共施設を集約していくというのも増えてきましたので、今後、これを誘導していくということが、多分、国の大きな責任の一つになるんじゃないかと思っています。

田嶋委員 熱の有効活用は本当に大事だと思うんですけれども、どうしても私たち、三・一一原発事故以来、何か電気のことをやっていればいいみたいな感覚があったのも事実でありまして、熱がちょっと陰に隠れていたということです。省エネルギーとなりますと、やはり熱を無駄にしない社会をつくっていくという意識が私は極めて大事なんだろうというふうに思っております。

 ちょっとポンチ絵をおつけしました。資料の三を御覧いただきたい。

 これは私どもが既に何度か国会に提出もさせていただいた熱利用の法案でございますけれども、大臣、やっていないことはないけれども、私はもっと加速させなきゃいけないと思います。電力会社は四割しかエネルギー効率がないと言っているんだから、六割は基本的には無駄な熱になっちゃっているんですよ。

 例えば私の選挙区なんかも、千葉の工業地帯、だから、火力発電所のそばにはたくさん、生産能力のあるいろいろな製造業があるわけでございますので、例えば臨海工業地帯などの火力発電所や製造業で発生して捨てられる廃熱量を、これは可視化することが大事だと思うんですが、そして、近隣に、自分たちはこのぐらい廃熱があるよということを、廃熱を出している側が発表しないことには、隣にいる人はここでどのぐらい廃熱しているかなんて分からないんだから、それを促進しようというのが私たちのこの法案の肝です。

 省エネ法改正関係の廃熱発生量の公表制度、これをやらないと私は広がっていかないんだろうと思うんですよ。一、二、三、例があるという話じゃなくて、日本中のこの熱の生み出されている無駄がすごくあるということを、もうちょっとこういう省エネ法の機会までに研究して、少しやれたんじゃないんですかね。

 残念な感じがしますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 先生おっしゃっていることは、私、大きな意味ではすごく大事なことだなと思うんです。

 ところが、例えば、じゃ、発電所を例に取って申し上げると、廃熱の、様々な事業者で発生しているその所在を網羅的に把握するというのは、まず国としては難しいものがあるので、おっしゃるように、自分で言ってくれないといけないと思うんですね。うちはこれだけ余っていますとか、これだけ無駄にしていますと。

 ただ、それというのは、ある意味、各企業のエネルギー使用量ですとか、まさに、それぞれ個社のいろいろな、その製造工程なんかを明らかにすることにもつながっていってしまうので、それを国が、使っていない熱量を言えというのは、なかなかちょっと制度上難しいのかなというふうに、今ちょっとお話を聞いていて思いました。

 しかし、そうはいっても、ただ無駄にするわけにいかないので、今後の課題だと私も思います。

田嶋委員 大臣、役所の人から言ったことをそのまま前半で言われたようですけれども、こんなのは、だって、ちゃんと、黒塗りするところは黒塗りして、トータルだけ出せばいいんですよ、別に、個社の情報というよりも。

 だから、やはり私たちのたてつけも、政府に対して報告義務を課す、そうしたら、それを基に、近隣の面的に利用したいほかの第三者に手を挙げてもらう、そういう仕組みなんですよ。これは私は無理じゃないと思います。

 是非、大臣、検討だけでもしていただけませんか。

萩生田国務大臣 国が直ちにこれを包括的にやるのがいいのか、例えば、今言ったように、先生の例えばお地元の自治体で、既に条件が整っているようなところで、自治体を中心にそういった熱の横展開、面利用というのをしてもらうのがいいのか、方法は幾つかあると思いますが、貴重な御提言ですので、しっかり受け止めていきたいと思います。

田嶋委員 時間との闘いですから。検討しているうちに終わっちゃいますからね。だから、こういう瞬間が私は大事だと思いますよ。これで萩生田大臣が、委員会が終わった後、ちょっと考えてみろと事務方に指示を出すか出さないかで五年ぐらい変わってきますから。大臣、ひとつよろしくお願いいたします。

 次の質問ですけれども、同じような話かもしれませんが、資料の四、これは新聞でちょっと恐縮でございますけれども、何だか、配管の保温材の劣化で原発七基分も漏れている、こういう話が随分前に記事になりました、もう七年も前の話でございますが。これなんて、全然イノベーションは関係ないんですよ。アンモニアの混焼とは違いますから。今でもすぐできる。

 だから、世の中には無駄になっているエネルギーが山ほどあるんだ、まずそういう認識を持たなきゃいけないと思うんですね。イノベーションは無関係です。やるべきことをきちんとやる、直すところをきちんと直せば膨大なエネルギーの節約ができるはずだという前提に立って、いろいろなデータ収集などを行っていただきたいと思いますが、こういうことに対する支援策というのは今あるんでしょうか。

茂木政府参考人 まず、委員が御指摘の、消費エネルギーがかなり配管から漏れているということでございますが、これは一般社団法人の日本保温保冷工業協会が一定の推計の下で試算をしているものとして承知をしています。

 配管の保温をしっかりやるというのは省エネの基本でございまして、判断基準の中でも明示的にそうした取組を促しているところであります。

 こうした配管を、老朽化しますと、補修をする必要があります。支援策としては、一つは、専門家が入っていって工場でエネルギー管理状況の診断ですとか改善提案を実施するというのもございますし、配管の保温や蒸気漏れ対策についての提案も行います。

 それから、補助金という観点で申し上げますと、配管のみの修繕の補助金というのはございませんが、工場全体で省エネ型の設備投資あるいは設備更新をしていく中で、省エネ補助金の対象とすることは可能であるというふうに考えています。

田嶋委員 何で配管のみの補助金はないんですか、修繕の補助金は。

茂木政府参考人 配管のみの補助金の支援というのは、これは配管の被覆でございますので、その被覆の部分を設備として今は対象にしていないということでございます。

田嶋委員 やらない理由を説明するのはうまいですけれども、大臣、これは二つ目です。是非、時間との闘いですから、こういうこともやりましょうよ。ハイテクじゃなくて、イノベーションもなくて、余りあれかもしれないけれども、こういうことを地道にやることが、膨大なエネルギーの節約に私はつながると思いますよ。大臣の答弁は要りませんので、是非、これは私の二点目の提案としてお願い申し上げます。

 次の質問でございます。

 熱となると、家庭の熱、先ほど断熱の話をしましたけれども、断熱と並んで、日本は、ヒートポンプという技術は、エアコンがそうですね、あれは非常に優れ物だという理解をしておりますが、もう一つ優れ物があって、太陽熱なんですよ。

 ところが、これも、太陽光の話は誰でも知っているけれども、太陽熱の話はとんと聞かれなくなりましたね。昔は有名な会社がありましたけれども、いろいろありましたから。ということでございますが、これは本気になった方がいいんじゃないかというのが、資料の五でございます。家庭は、暖房と給湯で半分持っていかれているんですよ、エネルギーの。これは有名な話。暖房と給湯ですから。

 さっき、熱は面的に、なぜなら遠くに飛ばせないという話がありましたけれども、もう一つ熱は重要なポイントがあるんです。熱は熱から使うのが賢いということなんですよ。電気で熱を起こすなんというのは効率が極めて悪いから、本当はやっちゃいけないという話なんですね。熱は熱から使う。

 だから、太陽熱からお湯を沸かすなんというのは最高なんですよ。でも、何かいろいろ過去につまずいちゃったので元気がない感じもするんですけれども、大臣、ここはないがしろにできないと私は思うんですよ。支援策、太陽光と同じようにやっていますか。FITはないですよね。どうですか、大臣。あっ、副大臣、ごめんなさい。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 御指摘の太陽熱利用の導入につきましては、その導入台数が、一九八〇年の年間八十万台をピークとして、二〇二〇年には年間約一万台にとどまっているという状況ということでございます。

 この理由を一概にお答えすることは困難ではありますけれども、例えば、設備導入にかかる初期コストが太陽光発電と比べて高止まりをしているということ、また、電気は熱と異なり、利用の用途が限定的であるということ、そして、近年においては、急速に導入が進む太陽光発電システムと設置場所、いわゆる住宅の屋根なわけですが、この場所が競合していることなどが理由として挙げられるのではないかと考えております。

 他方で、太陽熱をそのまま熱エネルギーとして有効利用することは、エネルギーの効率的利用やCO2削減の観点からも重要であると認識をしておりまして、経済産業省としても、関係省庁と連携をして、太陽熱も含めた再生可能エネルギーの熱利用の低コスト化のための技術開発を進めているほか、太陽熱利用システムも含めた再エネ導入による住宅、ビルのネット・ゼロ・エネルギー化への支援等を進めているところです。

 こうした取組を通じて、太陽熱を含む再生可能エネルギー熱の利用促進に取り組んでまいりたいと思います。

田嶋委員 とにかく、大臣も含めて、熱の重要性を少し、よく研究していただきたいと思います。遠くに飛ばせない制約がある中で、面的に使っていく。そして、熱は熱からそのまま取るのが一番いいんだということですね。今、副大臣の御答弁がありました。どうしても、何か、注目されている電気ばかりに偏っている嫌いは、私は与野党共にあるような気がするし、政府もそういう感じがします。熱にもっと注目して、ローテクに注目しましょう。

 私がヨーロッパを回っていたときも、町にでっかいタンクがあって、その中にお湯が入っているんですよね。ローテクですよ。それで十分じゃないですか。それは低いレベルの熱ですから、産業用の高熱じゃないんです。人間なんというのは所詮、五十度までの熱しか使えないんですからね。だから、そういうことなんですよ。高熱を必要としている産業用の熱と民生用の熱は全く違うものですから、是非もう一度、改めて熱の利用に関して支援を強化するということで、大臣の答弁は要りませんので、これは三点目でございます。

 もう一個申し上げますけれども、省エネ、CO2対策というのが大事なんですけれども、同時に、現下のエネルギーの高騰で、家計の光熱費対策、これが大事になってまいります。

 私もいろいろと調べた中で、ちょっとこれも提案なんですが、具体的に。イギリスにECOというのがあるんですけれども、生活困窮者の冷蔵庫、エアコン、照明器具、これを全部最新のものに政府主導で取っ替えてあげる。一斉切替え、これをやるんですよ。大体、必要なお金は毎年二兆円掛ける五年ぐらい。日本だったら九百万世帯、できるかなと思っておるんですけれども。

 しかも、代替フロンの方の話もありますね。特に、今代替フロンが厳しい状況にあるのは、それの交代選手のいない家庭用のエアコンだという話です。冷蔵庫は全部グリーン冷媒に替わっているそうですが、今はまだ代替フロンが残っちゃっているのが家庭用エアコン。古くなればなるほど漏れる。CO2よりもはるかに厳しい温室効果ガス効果があるフロンでありますから。

 そういったことも含めて、私は三方よしだと思いますよ。フロン対策になる。それから、苦しい生活の支えになる。新品に取り替えてもらったら電気代は大幅に下がりますから、だから、これは生活の苦しい家庭への支援策として、今、焦眉の急ではないかと思います。そして三点目は、我々の国の考える気候対策ですね。これはイギリスを始めとした国々で取られている具体的な政策です。

 こういった政策を私たちは是非推進したいと考えておりますが、大臣の御見解をお尋ねします。

萩生田国務大臣 委員御指摘の英国のエナジー・カンパニー・オブリゲーション制度については、エネルギー供給事業者に対し、家庭への省エネ機器導入等を義務づけることにより省エネを促す政策でありますが、日本では、既に、冷蔵庫やエアコンなどのエネルギー消費機器の省エネ性能向上を求める機器トップランナー制度などを通じ、家庭に高効率な機器が広く普及していること、また、エネルギー供給事業者に第三者である家庭への省エネを義務づけることの是非などを踏まえ、慎重に検討すべき制度であると考えています。

 なお、現行省エネ法におけるエネルギー供給事業者等による一般消費者への情報提供に関する規定に基づき、エネルギー供給事業者による家庭への省エネ情報提供の取組を評価する制度を創設し、運用を開始したところであり、こうした取組に加え、引き続き、機器トップランナー制度や、住宅の断熱化などを通じ、家庭の省エネを促してまいりたいと思います。

田嶋委員 まあ、やらないと言っているんだと思うんですけれども、やった方が僕はいいと思いますよ。あらゆる手段を尽くしていきましょう。

 先日、環境委員会で、国土交通省に高速道路のLED化率を聞きました。今から五、六年前に聞いたら一八%、今三〇%ですよ、僅かに。自分の国で差配できる国道のライトのLED化、そこら中にもう今ありますよ、LEDが。それでも僅か三〇%ですよ。そして、二〇三〇年にストックベースで一〇〇%と言っているんだから、全然駄目。

 環境大臣に話していただきました、そのすぐ後に。だから、もし可能でありましたら、経産大臣も、ほかの役所のことも含めて首を突っ込んでいただいて、危機感を持って、一日一日が大事だと思いますので、この政策も、是非、具体化、御検討いただきたい。これは私の一方的な要望として、四点目でお願いをしたいと思います。

 最後に、もう時間が来ましたので、資料の八だけ御覧ください。

 もうこれは、かつて何度か、予算委員会始め、お配りしています。これが現実だということです。まあ、好みはともかく、石炭火力というのは、風力、太陽光の倍以上コストがかかる。しかも、これからのトレンドとして、やはり資源に振り回される可能性があるわけですね。

 そうした中で、アンモニア混焼ということが石炭火力の延命につながるのじゃないかという懸念もたくさんあるし、最近ですと、イギリスの研究所が全く希望が見えないというようなレポートも出されております。私は、あえて大臣に、この時点で、やめた方がいいとは申し上げませんけれども、どこかまでということで線を引かないと……

古屋委員長 申合せの時間が来ております。

田嶋委員 はい。

 ずるずると失敗をする、また繰り返すのではないかということを懸念をしております。

 大臣の答弁、できますか。

古屋委員長 申合せの時間が来ておりますので。

田嶋委員 駄目ですね。はい、分かりました。

 じゃ、最後に、この懸念をお伝え申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、青柳仁士さん。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今日は、時間を四十七分いただきましたので、少しゆっくりと、この今回の法案について、ちょっと真面目な議論をさせていただきたいと思っております。

 今回、法案といいましても、様々な異なる法案の改正ということになっておりまして、大きくは、需要構造の転換、そして供給構造の転換、安定的なエネルギー供給の確保という、この三つになっているということだと承知しております。

 そのうち、特にメインになっているのが需要構造の転換、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の改正だというふうに承知しておりますが、これは、いわゆる省エネ法と言われるものだと思います。

 率直に言いますと、私、二十年ほど前に、日本の省エネルギー技術を、インドネシアやタイといった海外に教えるような仕事というのをしていたことがあります。そのときは、日本のエネルギー原単位は世界一で、そして、それを学びたいという他国がたくさんいる中で、日本のこのエネルギー管理者制度と言われる省エネルギー法を中心とした制度を各国に植え付けるというようなことをやっておりました。そのときと現在と比べて、二十年たっていますので、非常に隔世の感を感じております。

 一番大きな違いは、今、サステーナビリティーであるとか、あるいはESG投資といったような文脈の中で、かつてのように、規制を課して、罰則を科して、政府が指導監督してやらせるという方法から、現在は、市場メカニズムによって、CO2の削減、エネルギー消費の削減を行っていくということが世界的には主流化している、これはもう事実として認識をしております。

 そうした中で、率直に言うと、申し上げていたのは、今回の法案を見させていただいて、まさか、この二十年後に、エネルギーの使用の合理化等に関する法律という極めて古い枠組みの延長線上で、これからカーボンニュートラルを目指そうという施策を考えているということには、正直、驚きました。

 新しい酒は新しい革袋に盛れと言いますけれども、やはり時代が変わっている中で、きちんとした法整備、また、これは企業の側もみんな分かっていると思うんですが、企業が求めるような省エネルギーあるいはCO2削減の方法というのをやはり政府として制度化していく、運用していく必要がある、このように考えております。

 冒頭、こういった問題認識を確認させていただいた上で、ちょっと通告をしていないので、参考人からお答えいただきたいんです。

 今回、法案改正ということですが、現行のエネルギーの使用の効率化等に関する法律というものは、私の理解では、指定となった企業、およそ一万二千社に対して、エネルギー管理士という国家資格を持つ方が、エネルギー管理統括者又はエネルギー管理企画推進者という形で配置をされて、その方々が工場内あるいはその会社の中での省エネルギーの計画を立て、運用をし、また政府に報告を行っていく、またその結果を政府が評価し、それによって指導監督、罰則を適用していく、そういう法律であると認識しておりますが、まず、この点についていかがでしょうか。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

茂木政府参考人 今御指摘があった省エネ法の運用実態ということでございますけれども、御指摘のとおり、指定管理工場であったり指定事業者がエネルギー指定管理士の下に定期報告を作成しまして、毎年これを報告する、そういうスキームになっております。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

青柳(仁)委員 私は、そのスキームが極めて時代遅れだというふうに思っているわけなんです。

 この省エネ法というのは、皆さん御存じのとおり、一九七九年に制定されたものです。当時、なぜこれができたかというと、オイルショックがあったからです。オイルショックがあって、急激にエネルギー使用を国全体で減らさなきゃいけないという背景の下で、国からの規制を課し、罰則を科し、そして指導監督という形で、ある意味無理やりエネルギー原単位を落とす、そういう社会的なニーズから生まれた法律であるというふうに理解をしております。

 ただ、今は全く異なる状況にあります。ESG投資という中では、今世界で三千九百兆円のお金が動いているということですけれども、この中では、環境だけではありませんが、ESGのEはエンバイロンメントの環境ですから、環境に関するものが多いんですが、そういった投資に関しては様々なお金が集まりやすい状況にもなっている。

 また、そういった株式市場において、経済価値だけではなく、つまり売上げだけではなく、環境あるいは社会に対する価値を出すような企業というのが高く評価される、そうでない企業は淘汰されていく、こういう市場メカニズムが少なくとも投資市場の中ではでき上がりつつあるというふうに承知しております。

 これは、国連がPRIというプログラムでESG投資というのを立ち上げたとき、そのときの考え方としては、やはり市場メカニズムを使って、競争原理を使いながら、市場競争の原理を使いながらCO2を削減していこう、こういう、ある意味ではフィロソフィーが背景にあったわけなんです。規制と罰則あるいは指導監督という考え方とは真逆にあるような考え方だと思います。

 そうした潮流に乗って、今、日本の企業の多くが、サステーナビリティーやESGという文脈の中で、自助努力として、CO2の削減やまたエネルギー使用の効率化、再生可能エネルギーへの切替えということをやっているんですが、こうした状況の中で、またこの古い法律を持ち出して、規制、監督といったような考え方、またエネルギー管理者といったような、そういったこれまでどおりの方向を進めていくことは、逆に、現在こういった分野に積極的に市場原理を通じて取り組んでいる企業の、ある意味でやる気をそぐことになるのではないかというふうに考えるんですが、この点について大臣のお考えをお聞かせください。

萩生田国務大臣 近年、民間主導で、ESGやサステーナビリティーについて自主的な取組を進めている事業者がいることは承知しております。

 他方、第六次エネルギー基本計画を踏まえ、二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の達成に向け、非化石エネルギーの更なる導入拡大が重要です。そのため、自主的な取組にとどまらず、事業者が取り組むべき規範として非化石エネルギーへの転換を法的に措置した上で、幅広い事業者の取組を一層促していくことが必要だと思います。

 今回の改正法案は、非化石エネルギーへの転換に関する措置では、非化石エネルギーへの転換に係るコストや技術面での制約なども踏まえ、国が示す判断基準に沿って、事業者ごとに、非化石エネルギーの使用割合向上の定量的な目標を設定してもらい、その達成を求めるものとしています。

 また、太陽光発電などの自家発電に加えて、非化石証書による調達などの様々な対応を、非化石エネルギーへの転換の取組として選択できるように措置しており、事業者の創意工夫ある取組を促していきますので、私は、先生が心配しているような、先を走っている企業の皆さんが嫌気が差しちゃうという制度じゃなくて、逆だと思います。投資家に向かって、ほら見ろ、我が社はこういう取組を一足先にやっていたじゃないかということで、会社の価値を逆に高めることができるんじゃないかと思っていますので、なかなか、そういうルールを決めないとやってくれない事業者や業界もあるのも御理解いただいた上で、是非、先を走る業者は大いに走っていただいて、そこには走っているうちにきっと給水や御褒美が出る可能性もあるんじゃないか、こう思います。

青柳(仁)委員 今おっしゃったようなポイントというのは、これまでの例えばサステーナビリティーの基準であるとか、今IFRS財団を中心に作られておりますけれども、その以前から、GRIだとかTCFDだとかといった中では当然既にある基準です。また、そういった方向性やある意味でのグッドプラクティスのようなものを示した方が進みやすいのではないかというような視点も当然既に議論されて、さらに、もう市場では、多くのトップランナー企業たちは当然知っていることだという状況にあると思います。

 そういった中で、またここで政府からそういったガイドラインを出す必要性というのは私は余り感じないのと、それから、最後に大臣がおっしゃった、もっと取り組めばもっといいこともあるかもしれないというのであれば、今回の法律の中に、罰則だけではなくてインセンティブというものをきちんと含めるべきではないかと私は考えるわけなんです。その点については是非検討していただければと思います。

 また、やる気をそぐというのは、必ずしも駄目だという意味ではなくて、例えば、進んでいる企業の多くは、エネルギーをエネルギーだけの問題としては捉えていないわけです。そういった新しくできた市場の競争ルールの中で自社の価値をいかに高めるか、競争力をいかに高めるかという中の一つの要素としてエネルギーやCO2というものを考えているわけですから、そういった視点で考えられた計画と、エネルギーだけを考えた計画については、政府にまた別のフォーマットで、別の考え方で提出しなきゃいけないというのは、これは各企業にとっては手間ですから、コストです。時間もかかります。人もかかります。場合によっては設備投資もかかるかも分かりません。

 そういった、これから日本経済を成長させるために必要な日本企業に余計な足かせをかける必要はないですし、余計な設備投資をさせる必要、コストをかける必要もないと思いますので、その辺は是非御検討いただければと思っております。

 また、もう一つ、ですから、今回、非常に古い法律なんです。古い枠組みの古い時代背景を念頭に置いた法律になっているものですから、全般的に視点が非常に古いです。どの辺がというと、具体的に申し上げると、一つ目はサプライチェーンという視点です。

 これは近年、サステーナビリティーやSDGsと言われる中で言われていた問題で、今までですと、特にこの省エネ法の中で言いますと、自社の、特にあと工場のエネルギーをどう減らすかということなんです。あるいは、CO2を減らすかということなんですけれども、昨今、サステーナビリティーの中で議論されているのは、サプライチェーン全体の中でのCO2削減量をどう減らすかということなんです。

 例えば、TCFDでは、この法案が対象としている自社の中の製造、運搬プロセスというのはもちろん、原材料の調達先ですね、川上、ここが一体どれぐらいのCO2を使ってしまっているのか、あるいは、それを使った上で製品やサービスを自社に納めているのかということも考えるべきと。また、自社が作った製品、例えば車だったらどれぐらいその後排気ガスを出すのか、さらには、それを廃棄するときに環境にどれぐらい影響があるのか、こういったところまで考えて対策をすべし、こういうガイドラインになっております。

 一方で、今回の法案は、そういった川上や川下のことは一切考えられていないわけなんですけれども、この点についてもどのようなお考えか、お聞かせください。

茂木政府参考人 現行の省エネ法では、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対しまして、事業者が自らエネルギーを管理できる範囲内での省エネを求めているというのが今の法体系であります。サプライチェーン全体の省エネや非化石エネルギーへの転換については、これは事業者が自ら管理できないエネルギーに係る取組となるため、このエネルギーに係る法案の中では直接規制対象にすることは考えておりません。

 こうした中で、省エネや非化石エネルギーへの転換を進めるためには、エネルギーを多く使用する事業者や製品に着目して対応を進めていくということが有効になります。

 このため、改正省エネ法の中では、工場、事業所等の規制として、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対して、省エネと非化石エネルギーへの転換を求めることとしております。

 また、現行の省エネ法では、エネルギー消費量が大きいエアコン等の機器については、トップランナー制度というのも措置しています。これは、製造事業者に対して、消費性能が高い機器を製造し販売することを求めているというものでありまして、ある意味、こうした制度を通じて、よりエネルギー性能の高いものをユーザー側の選択に委ねていくという考え方も入っているわけです。

 こうした考え方によって、省エネ法全体としては、サプライチェーン全体の省エネと非化石エネルギーへの転換に貢献するものというふうになっているというふうに考えています。

青柳(仁)委員 ですので、今の答弁が非常に古いということを申し上げているんです。今のような御答弁は、例えば、TCFDの国際会議の場で言ったら、極めて失笑を買うだろうというふうに思います。要するに、川上、川下に関しては自社が管理できないから対象にしていませんと。この議論はもう十年ぐらい前の話です。

 そうではなくて、そこまで見ていかないとカーボンニュートラルというのは不可能である、あるいは世界を持続可能にするためのCO2削減というのは不可能だというのが、これは国際的なコンセンサスだと思っております。また、それを踏まえた議論が今既に行われています。特に、経産省の中でも、ほかの部署ではそういう話をしていたり、また、環境省の中ではもっと進んだ議論が、金融庁の中では、されております。

 ですから、これはある意味での認識不足だと思いますので、この辺は、きちんと、国際的な観点、今までどんな議論がされているのか。一言で言えば、先ほど来から申し上げているとおり、この一九七九年にオイルショックを背景に作られた法案をベースにこれからのカーボンニュートラルを語ることは、私はできないと思うんです。その辺の古さというのを是非認識していただきたいと思っています。

 サプライチェーンをどうカバーするかという問題なしに、政策目的は一緒なわけですから、法案の概要を読ませていただきましたけれども、政策目的はやはりカーボンニュートラルとそれからエネルギーの安定供給というふうに書いてあるわけです。ですから、サステーナビリティー、エネルギー安定供給は別にしても、CO2の削減というところはサステーナビリティーと一緒なわけですから、また、エネルギーを使わないことがイコールCO2の削減でもありますので、その辺は、目的が一緒なのであれば、手段に関する議論というのはきちんと実効性のある形で、また国際的な議論を踏まえた形で、時代に合ったものを打ち出していくべきだ、このように考えております。

 それからもう一つ、こういった、視点が全体的に古いことによって様々なところにひずみが出ているんですが、今のサプライチェーンに関してはそのひずみのうちの一つですが、もう一つ別のひずみについて申し上げると、イノベーションのことを考えていないということなんですね。ですから、二十年前と今とでは全然違うんです。

 例えば、今、この法案では、年一%の省エネを継続することがいわゆる高評価につながるわけなんですけれども、あるいは理想的な企業ということになるわけなんですが、今、RE一〇〇、これは資料にもありましたけれども、資料に書いてはあるんですけれども、その本質が全然捉えられていないので今申し上げる次第なんですが、RE一〇〇のイニシアチブなんかによって、既に再生可能エネルギーを一〇〇%達成しているような企業というのがあります。これはコミットすれば入れるんですが、アップルなんかは実際に達成していたりしますね。

 そうなると、これまで既に再生可能エネルギー一〇〇%に切り替えている企業というのはどうなるのか。これから、一%、じゃ、その再エネを減らすのか。化石エネルギーを再エネ化、これからもっとやっていかなきゃいけない企業に対して、もう既に相当進んでいてやり切ったところが、更に、じゃ、今度は再生可能エネルギーの量も減らしてくれと言われるのとでは、これは、難易度も、コストも、手間も、努力も、全く違うわけです。ということは、これまで一生懸命やってきた企業が逆に損をするというようなことになりかねないと思うんです。

 年一%の省エネというのは、当時の時代背景ではそうだったんでしょう。しかし、今はそういう時代ではありませんので、こういった本当に進んでいる企業、また、全体として、今の例ではありませんが、スタート地点が高いほどに、追加的な成果を得ることが難しい。また、一気に大幅に削減して、その後は横ばい、微減ということも今は可能です。

 例えば、デジタルグリッドやみんな電力といった再生可能エネルギーの卸売マーケットというのが今続々と出てきます。これは、もしそこにまとめて再生可能エネルギーに切り替えてしまえば一気に切替えというのは進むわけで、このエネルギー管理者の制度を中心とした新省エネ法が想定しているような、工場にエネルギー管理者がいて、その人がいろいろ、各燃焼炉だとか、あるいはその工程を回って、どこをどうしたらどれぐらい燃焼が抑えられるかとかということを点検して回って何とか一%を積み上げる、その考え方が全く通用しないところで、何百倍もの規模の省エネ、再エネへの切替えというのが進んでいるのが現行だというふうに認識しておりますし、事実だと思います。

 ですので、そういった企業をどう評価するのか、省エネ、新しいこの中で。そういった企業こそ本当は褒められるべきであり、トップランナーであると認定されるべきだと思うんですが、こういった点について、今申し上げた点についての経産省のお考えをお聞かせください。

茂木政府参考人 今委員から御指摘がございました、例えば年一%の効率改善のお話ですけれども、この話は今に始まった話ではなくて、もう省エネ法が導入された当時から、年一%改善がどこまで進むのか、あるいはそれをかなり進めてしまった企業の評価はどうするのかということはもう随分前からある話でありまして、今に始まった話ではございません。

 それで、当然、エネルギー多消費産業でも、八〇年代に猛烈に省エネをしたことによって原単位が非常に改善しづらい状況になっている産業というのは多々ございます。こうした産業については、やはりそうしたトップの水準をどう維持していくか、これはまさにイノベーションを加味して、ベスト・アベーラブル・テクノロジーと我々言っていますが、その時点で投入できる最新鋭の技術を投入しながら省エネの水準をどこまで維持していくかという制度も別途導入して、これはベンチマークと言っていますけれども、こうした業種ごとの取組も進めているところです。

 それから、再エネと省エネの話が少し一体になって議論が進んでおりますけれども、もちろんこれは相互に関連しますけれども、非化石エネルギーへの転換の、今回入れます目標については、これは全事業者一律の義務的な目標ということではございません。今後、各業種のエネルギー使用形態も考慮しながら適切な判断基準を検討していくということになります。

 したがって、先ほど御指摘あったような、例えば再エネ一〇〇%を既に達成していらっしゃる企業、これはもう既に目標を達成しておりますし、今後、御自分でいろいろコストを下げるとか、供給体制を見直すとかということは随時行っていただきたいと思いますが、その時点において、この判断基準に従っていないということにはなりません。ただ、これがなかなかまだ達成できていない企業の皆さんに、どこまで、今後、それぞれの事情を踏まえた上で定量的な目標を設定して達成に取り組んでいっていただく、これを後押ししていくのが今回の制度の趣旨ということになります。

青柳(仁)委員 一個も納得できる答弁がなかったんですが。

 要するに、今に始まった話でないから大丈夫だというのは、これは全然、何の理屈にもなっていないですね。二十年たって、今まで同じことをやっていましたから、これからも同じことをやっていきますと言っているのと同じですよね。時代が変わっているんですから、違うやり方をするのは当たり前だと思います。

 また、先ほど来からちょっと答弁がよく分からないので、確実に確認させていただきたいのですが、じゃ、ちょっと一個前に戻らせていただいて、サプライチェーンに関しての、要するに調達先という部分、それから製品の使用、廃棄に関する部分というところのエネルギー効率や、あるいはCO2削減というのは、この法案では対象としないという理解でよろしいですね。

茂木政府参考人 まず、サプライチェーンについての、要するに自社の工場の範囲を超えたサプライチェーンについてのエネルギー使用については、この法律の対象にはなっておりません。

 それで、もちろん、この法律はエネルギーのところに着目している法律でありますし、委員の御指摘ですと古い法律だということなんですが、全体のESG対応ですとか、企業がこういう取組を進めていくときには、この省エネ法というのは政策の一部でございまして、これ以外に、先ほど御指摘あったTCFDへの対応ですとか、様々な企業の対応を、経産省全体としては後押しをしていくということになります。

青柳(仁)委員 政策の一部だというのは当たり前なんですけれども、ただ、その全体を統括する流れが全く見えないので、こういうことを申し上げているわけです。

 じゃ、先ほど、TCFDの話とも、もうもちろんやっているという話ですけれども、じゃ、それとこれがどうつながるんですか。全くそのつながりが見えないので、今申し上げているわけなんです。

 また、サプライチェーンに関しては見ないということだというふうに理解しましたが、私はこれは非常に問題があると思いますよ。現時点でこういう認識を日本の経済産業省が持っているというのは国際的に問題だと思います。これは私だけの認識ではないというふうに考えておりますが、そういった御答弁をいただきましたので、この点については引き続きこちらとしても考えさせていただきたいと思っております。

 また、もう一つ、様々な点においてひずみがあると申し上げたもう一つは、先ほど、再生可能エネルギーへの卸売市場からの切替えということが可能になっているということを申し上げましたが、そういった形でいろいろなイノベーションが今起きていまして、省エネルギー、再生可能エネルギー、そして、エネルギーの効率化を進める手段というのは多様になっているわけなんですが、今回、非化石エネルギーへの転換の促進というのは、今は、エネルギー管理士の制度による現場の取組よりも、経営判断による再エネの、さっき申し上げたような卸売市場からの電力購入なんかという方が、より効果は大きいわけです。

 今回、この法律は、引き続きエネルギー管理士を配置するというような内容になっているんですが、今、企業では、そういった経営判断こそ、CO2削減、あるいはエネルギーの使用合理化、再生可能エネルギーへの切替えということに対して重要であるということを認識して、例えばチーフ・サステーナビリティー・オフィサーという、CSOというような役職を新たに役員に設けて、経営判断にそういったことを反映させていくような取組もどんどん進んでいるわけなんですけれども、こうした中で、それでもこのエネルギー管理士制度にこだわる理由というのは何なんでしょうか。

茂木政府参考人 委員御指摘のとおり、今般新設する非化石エネルギーへの転換に関する措置、これは、太陽光発電設備への投資ですとか、あるいは非化石電気をどういうふうに調達してくるかということになりますので、これは経営上の判断が必要になるという類いのものも少なくないというふうに認識しています。

 こうした観点から、この法案では、事業者全体としての非化石エネルギーへの転換の促進のための措置として、事業者に、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期的な計画の作成を求めております。これはまさに経営判断として中長期的な計画を、作成をお願いするものであります。

 加えて、日々の取引も引き続き重要であります。非化石エネルギー使用割合の定期の報告ですとか、非化石エネルギーを含むエネルギーを適切に管理するということも求めていくということになります。

 こうした制度を実効的なものとする観点から、現場レベルでのエネルギー管理者による設備のオペレーション、維持管理も併せてやっていただく必要があるので、このエネルギー管理者制度というのを引き続き活用するということでございます。

青柳(仁)委員 今のおっしゃっていることが、だから、何度も申し上げるんですが、現状と合っていないと申し上げているんです。経営判断でやることの方が効果が大きいんじゃないですかという私の質問に対して、全く見当違いの答弁だったわけですが、今おっしゃっているのは、エネルギーの消費を減らしていくということもコストカットという観点で経営の一部ではないかというような言い方だったと思います。

 でも、私が申し上げているのはそういうことではなくて、冒頭申し上げたとおり、今、サステーナビリティーだとかESGの中で言われているのは、市場原理によっていかにCO2削減を行っていくかということが議論されているんです。すなわち、自社の競争力、あるいはこれから先の自社の成長ということを考えたときに、どのようにこういったサステーナビリティーの基準であるとか、あるいはそういった規制というものに対応していくかという、大きな経営判断の中の非常に重要な部分なんです。いろいろな経営判断があって、今の話だと経営までいかないですよね、事業計画みたいなレベルの話ですよね。各いろいろなオペレーションがあって、そのうちの、このオペレーションではこれぐらいエネルギーを使っているから、これぐらい減らした方がいいとか、そういう話じゃないんです。

 ですから、これは、私が今申し上げていますが、もう代表して申し上げていると言ってもいいと思うんですが、サステーナビリティーだとか、今の、これは経団連、同友会なんかも同じだと思いますよ。きちんとそういったサステーナビリティーに取り組んでいる企業の方々は同じことを考えていると思います。今の御答弁を聞いたら、私と同じことを考えると思います。

 ですから、ちょっとその辺りは本当に、この一九七九年のオイルショックをベースに生まれた法律でいろいろなものを考えていくというのは本当に無理がある、このように考えております。

 その無理をもう一つ指摘させていただくと、これは今回、この概要を読ませていただきましたけれども、需要構造の転換の中に、一、非化石エネルギーを含むエネルギー使用の全体の合理化というのがあります。二つ目に、非化石エネルギーへの転換の促進というのがありまして、簡単に言うと、省エネと再エネへの切替えという、この二つの要素があるということなんですが、つけ足したみたいな感じになっている。

 何を申し上げたいか、先に言うと、省エネと再エネ促進というのは全く別の話です。全く別の話なんです。それは、目標は同じかもしれません、ただ、取組だとか具体策という意味では全く違うものなんです。全く違う専門性、全く違う人材、経験が求められる分野なんです。

 私がかつて二十年前に、まさに省エネルギーセンターと一緒に働いていたときには、省エネセンターには少なくともそういう専門性はありませんでした。それから、省エネルギーセンターの歴史を調べてみましたが、途中で再生可能エネルギーに関する専門性を獲得した形跡は一切ありませんでした。

 そういった中で、今回、またこの省エネルギーセンターが、今、エネルギー管理士、冒頭、先ほど来申し上げているとおり、企業内でエネルギー管理士を決められた役職に配置をして、その人たちは試験を、認定試験機関ということで省エネルギーセンターで試験を受けて、あるいはそこで指導を受けて、そして現場で働くということになっています。また、指導監督に関しては経済産業省が行うということになっているわけですが、こうした従来型の仕組みの中で、どうやって再エネの促進をするのかなと。省エネはできると思いますよ、これまでと。ただ、それも相当変わってきてはいますが、その辺りは、さすがに中にいる人たちがキャッチアップしていると思うんですが。

 再エネというのは全く別の技術であり、全く別の専門性ですから、こうした助言や指導を行う、また、この法律は罰則をかけることにもなっていますから、それをやるときの判定に係る専門性というのは、どうやって確保するんでしょうか。

茂木政府参考人 省エネルギーについては、現場レベルでの取組が重要である一方で、非化石エネルギーへの転換、これは再エネという御指摘がありましたが、これは経営上の判断が極めて重要であります。この点において両者は異なりますが、省エネと非化石エネルギーへの転換、これは事業者において、いずれにせよ一体的に取り組むものということになります。

 例えば、省エネの取組として、発電設備の適切な運用により発電効率を向上させていくということと同時に、例えば、非化石エネルギーへの転換の取組の一環として、自家発設備へのバイオマスの燃料の混焼といったようなことを経営判断で行っていく、これは事業者の中で一体的に取り組んでまいりますし、そうした技術というのを現場ベースでも蓄積するということになるかと思います。

 一般財団法人の省エネルギーセンターでございますが、これは、省エネに加えて、非化石エネルギーへの転換に関する知見も一定程度有しております。事業者の再エネ導入に係る助言も行っております。もちろん、ここは日進月歩でありますし、新しいマーケットにおける再エネの調達ということが増えてまいりますので、こうした知見を追加的に蓄積していく必要があるということは御指摘のとおりかと思います。

 事業者の非化石エネルギーへの転換を促進するために、事業者が実施すべき非化石エネルギーへの転換の取組の事例、こうしたものを示すことも重要でありますので、法案成立後に、制度の周知徹底と併せて、事例を集める、こうした取組も進めてまいりたいというふうに考えています。

青柳(仁)委員 今、省エネルギーと非化石エネルギーへの促進というのは違うということはお認めいただいたわけですけれども、二つおっしゃっていたことがあります。

 一つは、非化石エネルギーへの取組に関しても省エネルギーセンターは専門性を有しているということをおっしゃったわけですが、私はこれは事実じゃないと思います。あるいは、そういった努力はしているけれども、市場が求めているもの、企業が求めているレベルにははるか及ばないと思っておりますので、この点は、また別の機会に取り上げられればと思います。

 また、もう一つ、経営上の判断が非化石エネルギーへの切替えでは重要だというふうに今おっしゃったんですけれども、その前の質疑で、経営上の判断のことはほとんどこの法律は考えていないわけです。じゃ、そこの部分はどうやって担保するんでしょうか。

茂木政府参考人 経営上の判断というふうに私が申し上げたのは、非化石エネルギーをどれだけ、どのように導入していくのか、それが企業経営の観点から、その企業の競争力にどういう影響を与えるのかというのを踏まえて導入していくということですので、これが経営上の判断であるというふうに申し上げた次第であります。

青柳(仁)委員 今おっしゃったとおりで、非化石エネルギーをどのように自社の競争力を増すために導入するかということが経営判断だということであれば、それを省エネルギーセンターは指導できるんですか。

茂木政府参考人 元々、省エネルギーセンターは、そうした経営上の判断を指導するという立場にはございません。あくまでも、企業に所属するエネルギー管理士の認定試験団体であったり、場合によっては要請に応じてエネルギーの診断を行うということでございますので、そうした経営判断に省エネルギーセンターが何らかの形で関わるということではございません。

青柳(仁)委員 この法律は、政府が指導し、監督し、そして罰則をかけるものになっているんです、企業に対して。ですから、価値判断をこちらでやる以上、省エネルギーセンターがやらないのであれば、その経営上の判断の指導や監督というのは誰がやるんですか。

茂木政府参考人 まず、法案の事実関係から申し上げますと、非化石エネルギーへの転換については、これは指導や罰則の対象にはなっておりません。ここはまず事実関係として申し上げておきます。罰則は対象になっておりません。

 それから、事業者全体として、非化石エネルギーへの転換の促進のための措置というのを事業者が取っていくわけですが、その前のエネルギー使用の合理化も含めて、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期的な計画の作成、あるいは定期報告の内容についての日々の評価というのは、これは行政庁である経産省が行います。

青柳(仁)委員 再生可能エネルギー、これはレクのときに、SABCの評価を行うというふうに聞いたんですけれども、それは評価は行うんだと思うんですけれども、いずれにしても、じゃ、評価は行うけれども、罰則、指導監督は非化石エネルギーへの転換に関しては行わない、そういうことですか。

茂木政府参考人 済みません、一部修正をさせていただきます。

 まず、エネルギー使用の合理化については、これは定期報告等を踏まえて、取組が不十分なものには指導、助言、勧告を実施し、それでもそれが達成できない場合には罰則、具体的には命令とか罰金の対象になります。

 それから、非化石エネルギーへの転換については、これは指導、助言、勧告は行います。ただし、罰則、命令、罰金の対象にはしておりません。

青柳(仁)委員 なので、答弁が違ったわけなんですけれども。

 要するに、指導、助言、勧告は行うわけですよね。それは、つまりこちらで、政府側で企業を評価するわけです。価値判断をするわけです。それは誰がやるんですか。

茂木政府参考人 これは国による判断基準というのを策定して公表しております。

 具体的な取組状況ですとか、あるいは数値目標があるものについては、そうした目標についての評価というものを国が行うということになります。

青柳(仁)委員 誰がというふうにお伺いしたんですけれども。

 その判断基準というのは、じゃ、どなたが作るんですか。どのように作って、また、その判断基準だけで自動的に評価が行われるわけはありませんので、その判断基準を使って、誰がどのように評価を行うんですか。

茂木政府参考人 まず、判断基準をどう作るかということですが、この判断基準は、国が設置している専門の審議会がございまして、ここに、学識者、それから関係の業界の関係者もオブザーバーで入った形で、具体的な判断基準を策定してまいります。

 それから、毎年の定期報告を受けまして、例えばエネルギーの使用の改善の状況ということについては、これは国の方で集まってきたデータを基にこれを分析をして、例えば五年平均で今やっていますけれども、五年平均でそれがどう推移していたのかというのを見ながら、事業の進捗状況、あるいは、数字が改善していないとしても、どういう事情があるのかというのをそれぞれお伺いしながら、その企業の取組を促していく、そうした形で取り組んでおります。

青柳(仁)委員 国というのは経済産業省という意味でよろしいですか。

茂木政府参考人 御指摘のとおりです。

青柳(仁)委員 なので、その評価では駄目だと思っているんです。

 というのは、先ほど来からお話をしているとおり、経営判断と言われていることのまず定義が全然違いましたね、今。途中で答弁を修正されていましたけれども、最初にお話ししていたときの、要するに、再生可能エネルギーへの切替えに関しては、現場の努力よりも経営判断の方が重要であるということは、先ほど答弁でおっしゃいました。これは私もそのように思います。

 その上で、それを切り替えるに当たっては、現場の努力よりも、経営の判断。経営上の判断ということのこの定義というのは、ある意味、事業計画の中でどれだけエネルギーを使うか、あるいは再生可能エネルギーに切り替えるかというような話だというふうにおっしゃっていましたけれども、何度も申し上げているとおり、市場原理を用いてどのようにCO2を減らしていくのか、また、そこに、様々なESG投資資金なんかがある中で、資金の獲得であるとか、あるいは、これからの様々な顧客、パートナー、株主等を引きつけるための自社の存在意義、あるいは市場における競争力を担保するための経営判断の中でのCO2削減というのが、今のサステーナビリティーの文脈の中で議論されていることだと承知しているわけなんですが、そういった観点から、この判断基準というのは判断されるものなんでしょうか。

茂木政府参考人 判断基準については、この法案が成立しましたら、具体的な専門家にも集まっていただいて、その場で詳細な検討をしていくということになります。

 例えば、エネルギーの使用の合理化もそうですし、あるいは非化石エネルギーの目標設定もそうですが、中長期の計画を立てて、それに対して一定の目標設定をそれぞれの事業者さんが行います。これの達成手段というのは、それぞれの企業の様々なアプローチがあると思いますので、そうした結果として出てくるのが、定期報告であったりとか、その達成状況であるというふうに考えています。

青柳(仁)委員 これから作るということなので、今は何とでも言えるわけなんですけれども、いずれにしても、一九七九年のオイルショックを背景につくられたベース、そして、今の答弁でも分かったとおり、今回この質疑を是非企業の方にも見ていただきたいんですけれどもね、特に、サステーナビリティーを担当されているような方々に。非常に古い認識ですよ。これが国の認識だとしたら、非常に問題があると思います。そういった中で作られてくる判断基準で、企業がこれから評価されるわけです。

 先ほど、罰則は非化石エネルギーへの転換の方にはないとおっしゃいましたけれども、企業が一番恐れているのは勧告ですからね。五十万円以下の罰金なんて全然怖くないですよ。この企業はCO2削減の取組に否定的である、あるいは遅れているということを国から公表されることが怖いんですよ。

 ですから、勧告というのは十分罰則なんです、公表するのであれば。非公表だったらいいですけれども。でも、公表するって、この間の御説明ではいただきましたけれども。

 ですから、そういったことも考えつつ、是非、経済産業省、当たり前ですが、日本のこれからの経済成長を担っていくのは民間企業ですから、日本の民間企業の、今、成長しようとしているその動きとか潮流というものにしっかりと合わせた形での法制度整備、運用というものをお願いしたい。これは是非お願いしたいと思っております。

 だんだん時間がなくなってきてしまいましたが、この点に関しては、今回の答弁を聞いても非常に納得のいかないところが多いですし、問題点もたくさんあると思いますので、引き続き取り上げさせていただきたいと思っています。

 もう一つ、これはちょっと別の観点で、供給構造の転換の方に話を移らせていただきますが、先ほど来から、様々な委員の方から、今後の再生可能エネルギーの供給ということについての質問がありました。

 私は、ちょっと、洋上風力発電というところにフォーカスして、ひとつ質問させていただきたいんです。

 アンモニア、水素、原発、CCS、様々な手段があるわけですけれども、まあ原発は今回入っていないですね。再生可能エネルギーはやはり、太陽光も大事なんですが、熱も大事だと思います。ただ、大きな電力を取ろうと思えば、狭い国土の中で、洋上風力というのは非常にポテンシャルが大きいのではないかと考えているわけなんです。

 そのときに、今、抜本的に洋上風力発電を増やしていこうと思ったら、今回、JOGMECが新しく、その適地の調査ができるようになるということなんですが、JOGMECが評価できるというか調査に当たれるのは、あくまで一定の準備段階に進んでいる区域に限られるということだそうです。

 現在、促進区域、有望な区域、一定の準備段階に進んでいる区域という、三分割あるんですが、これは全部合わせて二十二しかないわけですね、地域として。この地域を増やしていかないと、やはり洋上風力というのは増えていかないと思うんですけれども。

 JOGMECは、今回の法改正ではそこは余り関係がないということだと思うんですが、その場合、この一定の準備段階に進んでいる、つまり洋上風力発電を建てる可能性のある候補地域というのは、国が選ぶのではなくて、各都道府県、自治体が、ここはどうですかというオファーをする仕組みになっていると承知しています。

 その場合、都道府県や市区町村が是非ここを使ってくださいと言えるようなインセンティブを増さないとなかなかこれから増えてはいかないんじゃないかと思うんですが、そういったインセンティブ構造に関してのお考えをお聞かせください。

茂木政府参考人 洋上風力発電については、やはりこの導入拡大をしていくためには、地域の御理解をしっかり得るということ、それから地域経済に好循環を生み出すという、この双方がしっかりと捉えられているということが重要であります。

 政府としても、まず、各地域における洋上風力発電の新規案件の創設、これを後押ししていくために、希望する自治体に対しては、洋上風力発電の実現可能性ですとか地域共生の在り方などに関する検討会を、専門家を招聘して開催するといった、地域の理解醸成と候補地の発掘に取り組んでいます。

 それから、再エネ海域利用法で促進区域になって入札が行われますと、各海域で利害関係者が参加する協議会というのが開かれていくわけですが、そこでの議論の結果を踏まえて、その地域に、漁業との共生などのための基金というのが造成されてくることになります。これは、地域に貢献する様々な使い方ができる基金ということになりますので、これは地元にとって大きなインセンティブになってまいりますし、発電事業者にもこれをしっかりと協力いただくということが重要だというふうに思います。

 それから、プロジェクトの規模が非常に大きいです。一つ一つが数千億という投資になります、関連産業の裾野も広くて部品点数も多いということで、地域経済への波及効果、これをいかに実現していくのかということです。

 せんだっての秋田、千葉の海域での選定事業者ですが、例えば、こういう事業者は、地元企業百社以上と面談をして、今後連携をして地域から部品供給をやっていこう、そういった地域共生の取組なども進めております。

 こうした様々な施策を通じて、地域の理解を前提にした洋上風力の拡大、それから地域を増やしていくという取組を進めてまいりたいというふうに考えています。

青柳(仁)委員 基金の設置というのは当然いいインセンティブだと思いますが、現状、民間企業からの基金に頼っているという状況だと認識しておりますので、この辺は是非国としても、これからこれだけ再生可能エネルギーの普及をしなきゃいけないときに、非常に大きなポテンシャルを持って、そこを埋める可能性のある洋上風力でありますから、是非、政策的な優先度を高めてしっかりやっていく必要があると思うんですが、この点について、最後に大臣の意気込みを教えていただければと思います。

萩生田国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中でも、SプラススリーEのバランスを取りながら、安定的で安価なエネルギー供給を確保することは最重要課題です。再エネについては、国民負担を抑制しながら、地域と共生しつつ最大限導入していくことが政府の基本方針です。

 特に、御指摘の洋上風力は、大量導入の可能性、コスト低減の余地、経済波及効果の大きさの観点から、カーボンニュートラル実現の切り札として期待をしております。実際に、昨年末の再エネ海域利用法に基づく公募結果では、太陽光等と競争可能なコストの大規模電源であることが明らかになりました。

 エネルギーミックスでは、リードタイムにも鑑みて、二〇三〇年の洋上風力の導入目標量は五百七十万キロワットとしているが、更なる導入拡大に向けて、二〇三〇年に一千万キロワット、二〇四〇年までに三千万から四千五百万キロワットの案件を形成することを目標としています。

 引き続き、洋上風力の導入拡大に向けて取り組んでまいりたいと思います。

青柳(仁)委員 洋上風力は最後の切り札とおっしゃいましたが、まさに全く同じ印象を持っておりますので、しっかりと政府として取り組んでいただければと思います。

 以上で私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 早速、質問に入りたいと思います。

 例えば、電力料金が今上がってきているんですけれども、上がれば上がるほど、個人や事業者が、例えば太陽光発電の設備の件数が増加していくことが見込まれると思うんです。

 今年の七月には、太陽光発電設備の廃棄など費用積立制度がスタートするというふうに聞いているんですが、それも十キロワット以上を基準にしているということなんです。

 太陽光発電の発電量が地域の需要を超えるようになると、その電力会社に対して買取り制限がかかって、産業用のものから制限が優先され、十キロワット以上のものが出力制限されやすいというふうに言われているんです。

 そうであれば、太陽光発電、今議論になったような風力発電なんかはもっと規模は大きいと思うんですけれども、そういったものに制限がかかってしまったら、元々の考え方が本末転倒じゃないかというふうに思うんですけれども、そこをどうソフトランディングしながら切り替えていくかというところが肝だと思うんですけれども、大臣、今のお考えをお尋ねしたいと思います。

萩生田国務大臣 再エネの出力抑制は、供給が需要を上回ると見込まれるときに、電力システム全体の安定供給を支えるべく、需給バランスを保つために行うものです。

 これは、まずは、地域内の火力の出力を最大限抑制し、揚水発電等によって需要を創出するとともに、地域間連系線を通じて余った電力を他地域に送電し、それでもなお供給が需要を上回る場合に再エネを出力制御するものでありまして、再エネの出力制御が実施されるということは、再エネの発電量が増えてきたということでもあると思います。

 なお、再エネの出力制御は、これまで、太陽光等の導入が進んでいた九州のみで二〇一八年秋から実施されていましたが、本年四月、四国、東北エリアで初めて実施されました。

 更なる再エネの導入拡大に向けては、再エネ出力制御を可能な限り低減することが重要であり、出力制限量を低減可能なオンラインによる制御の推進などの取組を進めてまいりたいと思います。

 先生おっしゃるとおり、本末転倒な状況に今なっていまして、先ほど来議論がありましたように、蓄電池の開発、こういったものを急ぐことで問題の解決をしていかなきゃいけないと思っています。

鈴木(義)委員 この十三分の中で質問をしていくというのは容易じゃないんですけれども。

 それで、今御答弁いただいたように、九州電力の管内で接続制限が起きたのがもう六年ぐらい前だったかなというふうに記憶しています。まあ、それはそれとして。

 経産省の方からレクチャーを受けた中で、系統インフラ、本会議でも御質問したんですけれども、例えば九州から中国地方、四国、四国から紀伊半島の方とか、もっともっと、ただ、どのぐらいの容量を融通し合えるかというのは、ある程度見込みを、オーバースペックなものをつくってもそれは致し方ないと思うんですけれども、あとは、北海道から本州の方に海底ケーブルではわせるとか、いろいろな計画があるんですけれども、そういう、去年の五月に中間整理を示して、二二年度中には策定予定というふうにお聞きしたんです。

 現在の進捗状況や、先ほども質問にありました、風力、地熱発電、再エネを増加させると、必ず系統接続、整備の問題が大事になってくると思うんですけれども、五十ヘルツから六十ヘルツも今一生懸命やってくれているというのは聞くんですが、今の状況をお尋ねしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、再エネを導入拡大するという意味でも、そして日本全体でいかに電力を円滑に流して安定的な電力供給をつくるという意味でも、地域間の連系線と申すわけでございますが、この送電線の整備が非常に重要だと考えてございます。

 今委員からございましたように、広域的運営推進機関という、全体を運営、推進をしている機関のところで、日本全体のマスタープランを策定することにしてございます。元々、この広域機関がつくられたときから計画を策定しつつ実施してきておりまして、北海道と本州をつなぐ連系線を六十万から九十万キロワットに増強し、これを更に百二十万に増強する計画を今実施中でございます。

 また、東西をつなぎます周波数の変換設備も百二十万から二百十万に増強し、これを更に三百万へ増強していくための工事を今進めているところでございます。

 また、東北と東京間の連系線も五百五十万から千二十八万キロワットに増強するという計画が策定されています。

 ただ、これはここまでで終わりではございませんで、再エネの導入の拡大となりますと、北海道、東北から需要地へどうつなげてくるか、若しくは九州から本州側にどう流してくるか、九州と本州をつなぐ、若しくは四国と九州なり中国をつなぐというような連系線の計画も含めて、総合的なマスタープランを検討し、時間軸とコストの中で検討していくということを今進めているところでございます。

鈴木(義)委員 それを計画して、いつまでにという、やはりロードマップを作成しないと、どこのところで再エネをどんどん増やしていけばいいか。

 これも本会議のときにも申し上げたんですけれども、日本は地理的条件とか気候的条件が余りいいところじゃないんだそうですね。だから、日本海側に洋上風力発電をばたばた建てても、ヨーロッパと違って、毎秒というのかな、七メーターぐらいの風しか吹かないから、夏場の穏やかなときは風力というのは発電できないんですって。そういうこともあるし、じゃ、森林を伐採して太陽光をどんどんつくっていっていいかといったら、これも本末転倒な話だと思うんです。

 それをどう国民と事業者に協力を要請しながら、少しずつ再生可能エネルギーを増やしていくかというところがやはり肝だと思うんですよね。それはやはり、インセンティブを与えるような、メリットを出す、だからやってくださいとやらない限り、それの下条件として系統だとか卸電力の整備だとかが必要になってくるんだと思うんですけれども、分かっている範囲で一回御答弁いただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、系統のインフラの整備というところについてもインセンティブが非常に重要でございまして、元々、エリア、エリアが切れている形ですと、そのエリアの中で閉じこもってしまう。東京なら東京、九州なら九州のエリアの中で完結するような仕組みになってしまいますと、なかなか投資が生まれてこないということでございまして、これは法律の制度をつくりまして、日本全国で整備計画を作り、必要なものについては日本全国の負担で導入を進めていくという仕組みを導入しているところでございます。

 ということを考えますと、レジリエンスと再エネの導入ということの目的を持って日本全体の計画を作ることが必要でございまして、委員御指摘のように、時間軸と計画を作って、これを具体化していくべく、負担のところも含めて対応を進めていきたいと考えております。

鈴木(義)委員 要するに、電気をつくる側、使う側、そこの周辺にいる人たちに協力を得られないと、カーボンニュートラルはなし得ないよね。余り難しく考えない方が私はいいんじゃないかと思うんですけれども。

 じゃ、例えば、もう一つ。

 今申し上げたように、国民や事業者に協力をいただくんですけれども、解決策の一つとして、一定規模以上の再生可能エネルギーを設置する事業者に対して、今までは義務づけていないんですけれども、蓄電池を一緒に併せたらどうですか。今回の法律で、発電所の位置づけに蓄電池がされているわけです。

 今回の三月に起きた地震の影響で、火力発電が止まっちゃった。これも、プロの方に聞くと、一・五ヘルツ、マイナスになったりプラスになったりすると、ロックダウンせざるを得ないんだそうですね。五十ヘルツで計算して、まあ六十でも一緒なんでしょうけれども。ちょっとした幅でもう供給側も需要側もシャットダウンしなくちゃいけないという現状の中で、本当に微妙な、需要に対して供給が何%足りていればいいのかといったら、プラス三%なんだそうです。それがマイナス一とか二となったら、一・五のヘルツが維持できなければ止まらざるを得ないような形を取らなくちゃいけないということです。

 ですから、規模でやっていいのかどうかはちょっと私も、先ほど十キロヘルツの話をしたんですけれども、蓄電池を、再生可能エネルギーをこれから大規模でやるところには義務づけるという考えはどうでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御提案ございました蓄電池の併設というのも、一つのアプローチとして我々も検討してみたいと思ってございます。

 一方で、電池といいますか、変動を吸収するに当たりまして、系統全体として、まとめて一つの系統用の電池で吸収していくべきか、若しくは、短周期というんですけれども、すごく細かい、発電機自体の変動を吸収するためのものを各発電所ごとにつけていくか。これは、効率性の話と、導入におけるコストの話と、円滑性ということと、様々なことがありまして、諸外国を見ましても様々なものがございます。

 インセンティブ措置等、規律の在り方を含めて検討してまいりたいと考えてございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 最後に、大臣にお聞きしたいんですが、太陽光パネルの国産メーカーが多かった時代が過去あったんですけれども、今は八割、中国産なんだそうです。それで、再生可能エネルギーをどんどん増やしていって、太陽光、今以上になっていくのか分かりませんけれども、そういう状況の中で、経済安保も含んで、そこのところをどう国内にシフトしていくか。もし今お考えがあれば、お尋ねしたいと思います。

萩生田国務大臣 確かに、太陽光のパネルは今、中国製が圧倒的に多いわけでありまして、日本としては、より多用途かつ国産も見据えたペロブスカイトなどの新世代太陽電池について、グリーンイノベーション基金を措置して、研究開発から社会実装までを一気通貫で長期にわたり支援しているところです。

 具体的には、軽量かつ曲げられる太陽光パネルの技術開発のみならず、ユーザーと連携した実証や製品化まで行うことで、耐久力の低い屋根やビルの壁面など、これまで設置が困難であった場所に太陽光を設置することを可能とし、新たな需要を生み出していく。こうしたグリーンイノベーション基金も活用した技術の国産化を目指してまいりたいなと思っています。

 今の時点で国産に回帰できるかというと、やはり、原料を中国が持っちゃっていますので、なかなか国産を増やすというのは難しい課題だなというふうに思っていますので、横にらみで、新技術で勝負するしかないかなと、私は今そう思っています。

鈴木(義)委員 もう終わりますけれども、今大臣が御答弁いただいたやつは研究段階で、まだまだ実証、商品として売り出すのには長い時間がかかると思うんですけれども、並行して、今ある太陽光パネルをもう一回再生することも研究材料にしていただいたら、もう少し早くできるかなと思います。

 終わります。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 去る四月四日に公表されましたIPCCの第六次評価報告書、その第三作業部会の報告書は、各国の現在の二〇三〇年削減目標では一・五度Cを超える可能性が高いとしまして、二〇二五年までに世界全体の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる必要がある、それに見合う緊急の対策を強く訴えました。

 まず、萩生田大臣に伺いますが、こうしたIPCCの報告書の指摘は認識をされていらっしゃいますよね。

萩生田国務大臣 認識しています。

笠井委員 二〇二五年まであと三年と、一刻の猶予もない。本法案は、そういう中で、二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の実現を掲げておりますが、整合性があるのかということが大きなテーマで、問題だと思います。

 まず、伺いますが、どこがCO2をたくさん排出しているか、国内で。

 環境省に伺います。

 二〇二〇年度の温室効果ガス直接排出量の、発電所を含むエネルギー転換部門、それから産業、業務、運輸、家庭部門の内訳はどうなっているでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員お尋ねの、二〇二〇年度の排出量でございますけれども、発電及び熱排出に伴う排出を、電気、熱の生産者側の排出として計上いたしました電気、熱配分前の値で見ますと、二〇二〇年度の速報値、これにおきます各部門のエネルギー起源CO2の割合は、それぞれ、エネルギー転換部門が三六・七%、産業部門が二一・九%、運輸部門が一五・四%、業務その他部門は五・二%、家庭部門は四・九%というふうになってございます。

笠井委員 今ありました、エネルギー転換部門が四億二千二百万トンになると思うんですけれども、それを始めとして、今のような内訳になっていると。製油所や発電所を含むエネルギー転換部門が四割を占めるという最大の排出源。産業部門と合わせますと六五%にも及ぶことになると思います。

 環境省の調査を基にした気候ネットワークの分析によりますと、日本のCO2排出量の四分の一が僅か三十事業所から出されている、最も排出量が多いのが、東京電力と中部電力が共同で出資しているJERAの碧南石炭火力発電所と。そして、上位は全て発電所と製鉄所であります。CO2排出量の多い電力、鉄鋼、化学工業、セメント、石油精製、製紙、この六業界の脱炭素化が、ある意味、日本全体のCO2削減で決定的な意味と役割を持っていると。

 大臣に伺いますが、業界や企業の自主目標ということにとどめずに、削減目標や計画を政府と企業の協定として締結、公表する、ヨーロッパなんかでやられています、イギリスを始めとして。そういう形でやって、政府も産業分野でのCO2削減に責任を負うということが大事ではないかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 我が国における温室効果ガスの排出減に向け、産業分野における取組は引き続き重要だと思っております。

 これまで、百十五もの業界団体において、個別業種ごとの削減目標に向けた自主的取組をカーボンニュートラル行動計画として実施してきたところです。

 経済産業省所管の業種については、産業構造審議会に業種別に七つのワーキンググループを設置をし、毎年度、政府の関与の下、取組が進捗していることを確認しています。また、経団連による最新のフォローアップ調査によれば、二〇一三年度から二〇二〇年度の七年間で、全部門合計で約二一・六%の削減を実現するなど、着実に効果を上げてきていると思います。

 さらに、こうした業界単位の排出削減に向けた取組を補完するものとして、野心的なCO2削減目標を掲げる企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグについて、二〇二三年度に本格稼働させるべく、詳細な制度設計に着手します。既に、CO2を多く排出する産業含め、幅広い業種から四百四十社の賛同をいただいており、これは日本全体の排出量の約二八%以上、家庭部門等への電力供給に伴う排出を加味すると四割以上を占めることになり、諸外国の制度と比べても遜色ないレベルであります。

 政府としては、こうした産業界による自主的な取組の推進やGXリーグの制度設計も含め、二〇三〇年度の削減目標の実現に向けて、責任を持ってあらゆる政策を総動員してまいりたいと思います。

笠井委員 政府の役割は大きいと思うんです。やはり自主的という目標にとどめずに、しっかりとした役割を果たすべきだ。

 本法案は、エネルギー使用合理化の判断基準においてベンチマーク指標を定めるとしておりますけれども、しかし、ベンチマーク制度で発電効率を高めたとしても、削減は担保されない。温室効果ガスそのものの削減に正面からやはり取り組むべきだということを強く述べたいと思います。

 次に、本法案の概要には、水素、アンモニアを非化石エネルギー源として位置づけるとあります。

 資源エネ庁に伺います。

 いわゆる省エネ法と高度化法の条文上は、非化石エネルギーの定義の中で、水素その他となっておりますが、その他にはアンモニアというのが入るんですか。

定光政府参考人 今後政令で規定していく予定でございますけれども、水素その他の中にはアンモニアも含める方向で検討してございます。

笠井委員 これは、どうして、水素、アンモニアその他としなかったんですか。

定光政府参考人 お答えします。

 アンモニアはいわゆる水素キャリアの一つと言われておりますけれども、水素から生成される物質であるということで、水素に代表させてございます。

笠井委員 代表させるといっても、アンモニアが入るなら条文に書けばいいと思うんですけれども、条文で非化石エネルギーと定義すると何か問題があるのかという話も出てくると思います。

 では、経産省の二〇二二年度の概算要求資料の研究開発事業に係る技術評価書、事前評価ですけれども、ブルーアンモニア製造に係る技術展開というのがありますが、その中では、アンモニアが、何が原料で、最新鋭の設備でアンモニアを一トン製造すると、CO2をどれだけ排出するというふうに記されているでしょうか。

定光政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の技術評価書におきましては、「現在、アンモニアは天然ガスを原料として、水蒸気改質法とハーバー・ボッシュ法を組み合わせて製造されており、最新鋭の設備においてもアンモニア一トンの製造に対して一・六トンのCO2を排出する。」と記載されてございます。

笠井委員 現在、アンモニアは、化石燃料の天然ガスからの製造で、最新鋭設備でさえ、一トンの製造で一・六トンもCO2を排出するということであります。

 それなのに、なぜ、これは非化石エネルギーというふうになっているんですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー供給構造高度化法におきましては、いわゆるカーボンニュートラル実現のために利用を促進していくことが必要であるというふうに政策的に判断したものを非化石エネルギーというふうに位置づけることとしてございます。

笠井委員 答えられていないと思うんです。

 なぜ、化石由来のものを非化石エネルギーに加えるのか。非化石と定義できる根拠なんかないんじゃないかと思うんですけれども。

定光政府参考人 お答えいたします。

 そこは、アンモニアそのものは、現状ですと、CO2を製造時に排出するという課題はございますけれども、将来的にカーボンニュートラルを実現していくためには、石炭火力等におけるアンモニアの混焼ということは、非常に我々としては重要不可欠な技術であるというふうに考えてございまして、そのためには、アンモニアの製造方法、由来を問わず、当分の間は、需要、供給面の対策を強力に進めることによって、需要とサプライチェーンを拡大して、それでコスト削減を図っていく。

 それによって、次第に、いわゆる言われています、CO2を排出する天然ガス由来のアンモニア、グレーから、CO2を除去する技術を伴ったブルーのアンモニア、それからさらに、再エネ由来のグリーンのアンモニアという形で、徐々にアンモニアの供給が変遷していくということを我々としては念頭に置いておりまして、当然、できる限りCO2の排出が少ない、ブルー又はグリーンと言われておりますアンモニアの拡大を、技術開発を進めることによってできるだけ早期に実現したいというふうに考えておりまして、そういう政策支援を動員するために、今回、法律上、そのような位置づけとしているところでございます。

笠井委員 るる言われたんですけれども、徐々に、将来的にはクリーン化する、グリーン化すると言うんだけれども、いつできるのか。

 二酸化炭素の回収、貯蔵技術、CCSが措置されたいわゆるブルーアンモニアや、再エネ由来のグリーンアンモニアの実用化は、じゃ、いつ始まるのか。グリーンアンモニアが化石由来のグレーアンモニアよりも多くなるのはいつで、全体のクリーン化の実現の時期はいつになるんですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 グレーから、ブルーから、グリーンに普及の主要なものが移り変わっていくタイミングにつきましては、まさに、アンモニアの製造方法でありますとか、再エネ由来の水素がどの程度のコストで、いつ頃入手が可能になるかとか、そういう技術開発的な要素、それからコスト面の低減が進む時期、それから、需要がどれぐらい広がって、サプライチェーンがどれぐらいそれに見合った形で低コストなものが実現するかということの様々な不確定要素がございますので、申し訳ありませんけれども、現時点では、具体的な時期についてお示しすることは困難でございます。

笠井委員 将来はクリーン化する、具体的な時期は示すのは困難だけれども、これは非化石だという話になるわけで、これはちょっとおかしな話だと思うんですね。

 全体のクリーン化というのは、遠い将来、できるかもしれないというものだと。しかも、経産省自身が、アンモニア利用技術は我が国独自の技術というふうに言っていて、今後、世界市場が本当にできていくのか。それから、クリーン化に向けた技術革新が起こるかもまだ不確かだと。つまり、遠い将来まで非化石エネルギーと言える根拠はないということだと思うんですね。

 大臣、大体、グレーアンモニアの製造時にはCO2が出てまいります。CO2排出量を純増させることになる、作る国では。その製造国の国民にとってはこれは大変なことになりますが、製造国、グレーアンモニアを作る製造国の国民や世界から理解が得られるというふうにお考えでしょうか。

定光政府参考人 アンモニアを石炭火力に混焼するというアイデアに関しましては、今、日本が先導してございますけれども、ほかのいわゆるアジア諸国の中には、例えば韓国も、日本に負けじと今研究を始めているところでございます。

 それから、まさに今天然ガスとか石油を生産している国の中には、例えば、インドネシアでありますとかマレーシア、それから中東のUAEのようなところは、国全体として、化石燃料の輸出国からの脱却を図っていくという観点で、そういうアジアの需要国に対して、アンモニアをクリーンな形で製造して売っていこうという意気込みを持っている国も今多数出てきておりますので、まさにこういう形で、世界でも認知が広がってきているというふうに理解してございます。

笠井委員 全然答えていないんですよ。グレーアンモニアを作る製造国の国民から理解が得られるかと聞いたので、全然違うことを答えているんですよ。何の当てもないということだと思うんです。

 経産省の三月二十九日の資料では、商用アンモニアサプライチェーンの例として、年間三百万トンの製造とあります。一トンの製造で一・六トンのCO2排出だったらば、年間に四百八十万トンにもなるわけです。それを今後、日本主導で世界中につくろうというわけですから、驚きの話だ。しかも、アンモニアは燃焼時にCO2は排出しませんが、窒素酸化物の一酸化二窒素、N2Oを排出するということになります。

 環境省に伺いますが、一酸化二窒素も温室効果ガスということですよね。それで、その地球温暖化係数というのは幾らになりますか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 窒素と酸素の結びつきでいろいろな形態がございますけれども、そのうち一酸化二窒素、これにつきましては、温室効果ガスの一つでございます。

 それから、その温暖化係数につきましては、現在温室効果ガスの算定に一般に用いられている係数は、二九八ということになってございます。

笠井委員 CO2の三百倍もの温室効果ガスということになります。さらに、大気汚染や人体の呼吸器への悪影響でも知られている。抑える研究はされているけれども、まだ実証されていない。製造時、燃焼時共にクリーンと呼べる根拠はまだないというのがアンモニアだと思うんです。国民を欺くもので、これは不誠実極まりないと言わなきゃいけないと思うんです。

 大臣、IPCCの報告書が、各国の現在の二〇三〇年の削減目標では一・五度Cを超える可能性は高いと警告をして、遅くても二〇二五年までに減少に転じる必要があると、冒頭申し上げたことで、言っている。認識も大臣もされているとおっしゃいました。世界全体で減らさないといけないときに、今やり取りしましたけれども、全くの逆行になるんじゃないですか。

萩生田国務大臣 IPCCの報告書の中での警鐘というのは重く受け止めなきゃならないのは、先生と私、同じ感覚ですが、したがって、そのスケジュール感で進むのかと、先ほど他の委員からも説明がありました。

 それはもちろん、やれることは一日も早く取り組んでいかなきゃいけないと思うんですが、他方、やはり長期の安定的なCO2削減策を考えたときに、一つの方法として、このアンモニアの混焼、将来の全焼というのは一定の効果がある。その作成段階でCO2が発生するということについても、当然これは解決していかなきゃならない課題だということは認識しております。

 したがって、IPCCの報告があったから、これによって日本の政策を、直ちにハンドルを切るというわけにはいかないというふうに思っていますので、先ほどお話ししたように、日本の独りよがりじゃなくて、理解をしていただき、一緒にやりたい、技術支援をしてほしい、こういう国も数が出てきておりますので、そういった国々と協力しながら、是非、生産過程から含めて、努力をしていきたいと思っています。

笠井委員 IPCCは科学者だけじゃなくて政府と一緒になって結論を出した報告書ですから、これは極めて重いと大臣おっしゃったとおりで、しかし、そういうのに照らすと、アンモニアって、今やり取りしましたが、まだ当ても見通しもないという状況になっている。

 私、大臣とも予算委員会でやり取りして、二〇五〇年があるんだ、ゴールがあるんだ、ですから、箱根駅伝だったら折り返し点にまだ行っていないので、折り返していない、二〇五〇年の最後のゴールをしっかりめくっていくとおっしゃったんだけれども、今、遅くても二〇二五年までにここまでやろうというのが科学の結論になっているときに、往路の二〇二五年までが決定的だとされているわけですよね。最後に行けばいいという話を今世界がやっているわけじゃないんです。悠長なことを言っている場合じゃないというふうに思うんです。

 四月五日の本会議で大臣は、私の質問に、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠で、複数の国も同様に社会実装を目指しているというふうに答弁をされました。具体的には、この複数の国というのはどこですか。

萩生田国務大臣 これは就任以来、様々な二国間での協議をしている中で、例えば共同購入を持ちかけられたり、あるいは生産のトランジションを相談をされたり、あるいは技術移転の支援をしてほしいということを言われた国々は数あります。

 したがって、相手の立場もあるので、全ての国をここで御披露するのはいかがかと思うんですが、国側で、例えばマレーシアなどはもう既に石炭火力のアンモニア混焼の実現可能性調査というのを始めていますから、明らかになっていますので、お名前を言っていいと思います。あるいは、本年一月にインドネシアのスララヤ石炭火力発電所でのアンモニア混焼の調査に合意し、私、現地にも行って、今月からスタートします。それから、三月に岸田総理がインドを訪問したときに日・インド間でアンモニア専焼も見据えた調査に合意していますので、具体的な国名を出せといえば、こういった国々とは既に外に向かって活動を始めました。

笠井委員 二〇二〇年の十二月十日のインフラシステム海外展開戦略二〇二五は、石炭火力のダイベストメントのような方策もあるがとした上で、むしろ、実現可能なプランを提案しながら、相手国の行動変容やコミットメントを促すというふうにしました。

 世界が石炭火力廃止に向かっているのに、日本政府はむしろと言って、石炭火力延命のインフラ輸出を閣僚がトップセールスで売り込んできたという経過です。その結果、期待の声は僅か、複数の国と、まあ今三つ挙げられましたけれども。その上、例えばインド、マレーシアを含めて、アジア全体で太陽光の発電コストが大幅に下落をして、既に石炭火力よりも安価になっています。

 大臣、やはり、国際社会のエネルギー情勢の変化とか代替エネルギーというふうにおっしゃるんだったら、トレンドは明確だと思うんですね。日本がなすべきは石炭火力廃止を促して再エネ開発を支援することじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 いつも申し上げていますように、日本の場合は資源が乏しい関係で、SプラススリーE、バランスよく、多様なエネルギー源を活用することが重要だと思います。

 確かに再生可能エネルギーは、エネルギー安全保障にも寄与しますし、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて鍵となる重要な国産エネルギー源です。国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促して、二〇三〇年度の再エネ比率三六から三八%という野心的な目標の実現を目指してまいりたいと思います。一方、自然条件に左右されることから、再エネだけで安定供給が確保できるものではなく、他の電源も組み合わせていくことが重要だと思っています。

 今先生の御指摘は、こういった、友好国にアンモニア混焼などの技術輸出をするんじゃなくて再エネの支援をせよ、こういう御提案だと思います。求められれば、日本でできる再エネ支援、当然、友好国にしっかりしていきたいと思うんですけれども、他方、やはり直ちに、特にアジアの国々は、発電所の今までの形態などを含めますと、すぐに違うスキームに移れないというのもありますので、もちろん必要な再エネ、あるいは、今国内では大型の蓄電池の開発を急いでおります。小型のものはともかくとして、大量に貯蓄できるようなものを造っていかなきゃならないと思いますので、こういったことで世界に貢献する意思はもちろん持たせていただいております。

笠井委員 安定的な電力供給というふうにおっしゃったんですけれども、水素、アンモニアは現時点では影も形もないわけですね、そういう点では。アンモニア混焼ということでいうと、これも、いつできるかということではまだずっと先の話ということが先ほどのやり取りでありました。

 昨年十一月のCOP26グラスゴーの気候合意でも、どこにも、水素、アンモニアが排出削減措置などという記述はないわけであります。そういう点でいいますと、日本政府独自の解釈というのは、やはり国際的には成り立たない。パリ協定に基づく二〇三〇年目標とも整合性がないということで、やはり他国へのミスリードというのはやめるべきだと思うんですけれども、大臣、改めて、いかがですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろアジアを中心として関係国から、アンモニアの混焼を日本と一緒に手がけていこうという国が増えていることに加えまして、国際的な理解につきましては、IEAが低炭素燃料に関するレポートというのを昨年出しておりまして、その中で、アンモニアの混焼というのはアジアで現実的に脱炭素を進める上での有力な燃料であるというふうにIEAのレポートでも触れられているところでございます。

 日本といたしましては、まさに今、アンモニアの混焼の割合を高めていくための研究開発をNEDOを通じてやっているところでございます。既に昨年度から実証実験を開始してございまして、JERAの碧南火力におきましてですね、二四年度には百万キロワットの実験燃焼炉で二〇%の混焼を行う予定で取組を進めてございます。

 さらに、二〇三〇年に向けて、より高い混焼ですとか専焼を進めるための技術開発も進めておりますので、このアンモニアの混焼の技術ということについては、我々としては、確実に実現すべく取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

笠井委員 今言われたJERAの碧南だって、まだ実証実験で、バーナーのことをやっている段階ですよね。これからずっと先の話になるわけです。水素、アンモニアというのは、結局、第六次のエネルギー基本計画だって、二〇三〇年で一%という話ですよね。

 そういう点では、IPCC報告書の執筆者である環境研究所の増井利彦社会システム領域長は、四月六日の日経新聞のインタビューで、今後のイノベーションに頼らずとも、今ある技術を組み合わせれば大幅な排出削減は可能だ、すぐに減らすことが重要だ、排出が多い石炭火力発電所はすぐにでも廃止すべきだというふうに力説をされています。

 私は、将来のイノベーションに頼らずに、今の既存の技術を総動員する、これこそが必要だということを強く求めて、今日の質問を終わります。

古屋委員長 次回は、来る十五日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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