衆議院

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第10号 令和4年4月15日(金曜日)

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令和四年四月十五日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    上川 陽子君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      中野 英幸君    西野 太亮君

      西村 明宏君    平沼正二郎君

      星野 剛士君    堀井  学君

      堀内 詔子君    山口  晋君

      山本 左近君    吉川  赳君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      本庄 知史君    山崎  誠君

      青柳 仁士君    漆間 譲司君

      藤田 文武君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   大津 俊哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           川合 豊彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     吉川  赳君

  中野 英幸君     加藤 竜祥君

  山本 左近君     山口  晋君

  荒井  優君     本庄 知史君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     平沼正二郎君

  山口  晋君     山本 左近君

  吉川  赳君     堀内 詔子君

  本庄 知史君     荒井  優君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     中野 英幸君

  堀内 詔子君     上川 陽子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として財務省理財局次長大津俊哉さん、農林水産省大臣官房審議官川合豊彦さん、経済産業省大臣官房審議官新川達也さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省産業技術環境局長奈須野太さん、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成さん、資源エネルギー庁長官保坂伸さん、資源エネルギー庁次長山下隆一さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん及び環境省大臣官房審議官白石隆夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大島敦さん。

大島委員 質の高い電気、安定した電力の供給は、産業の基盤だと考えています。

 数年前、インドのデリーの近くにニムラナという日系企業の工業団地があって、訪問したことがあります。最大の課題は、一日一回か二回停電するので、州政府に対して、停電をやめてくれ、停電しないようにしてくれというのが最大の課題だったり、あるいは、日本企業が海外に進出するときに、その国の電力がしっかり安定して供給されるかどうかというのが大きなメルクマールになっているかと思います。

 やはり、質の高い電気、安定した電力の供給、これは、周波数が一定であったり、電圧が一定であったり、ゆがみがなかったり、そして停電しないことだと思います。

 かつては、総括原価方式、これは完璧に質の高い電気と安定した電力の供給を目指したものだと思います。

 完璧なものを実現することと九九・九%でもよいということとはコスト的に大きな差異があると私は考えておりまして、ですから、完璧な質の高い電気と安定した電力の供給を目指して、総括原価方式だったり、あるいは、東電ですと、かつては、私の中学校の同級生も進学しましたけれども、東電学園という全寮制の学校を持って専門家を育成してきた経緯があります。

 民間企業の中だと、電力会社の従業員にはスト権はありません。これは皆さん存じ上げていないと思うんですけれども、民間企業の中でもスト権がないのは電力会社だけです。

 ですから、戦後は、日本の経済の発展は、この電力を前提としながら発展してきたと思っていまして、今回、法案審議に当たり考えてみると、完璧な電力の供給ではなくて、九九・九%でも我慢しようかなと感じられるんですよ。ですから、その点について何点か質問をさせてください。

 初めに、発電所の休廃止を事後届出制から事前届出制に変更する改正内容についてお伺いいたします。

 固定価格買取り制度、いわゆるFIT制度により、再生可能エネルギーの大量導入が進められています。また、並行して、政府では、電力自由化を可能とする電力システム改革等が進められてきました。最近では、容量市場の導入による電源確保措置も講じられています。

 しかし、現状では、再生可能エネルギー以外の電源、特に火力発電所等の退出が進み、昨今、昨年と今年と二年連続で電力事情の逼迫を招くような状況に至っております。

 このような発電所の退出が進む要因についてどのように分析しているのか、まず政府の見解を伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、近年、火力発電所の休廃止が増加してございます。この背景には、電力自由化の進展と脱炭素化の流れというものがあると認識してございます。

 先ほど委員も御指摘ございましたように、電力自由化の前は、地域の独占、総括原価でということでございました。エリアという概念の下で、規制料金によって費用回収を保証された電力会社が、そのエリアに対する供給義務ということを果たすために、需要に合わせて必要となる発電設備、燃料を計画的に確保し、需要家に、そのエリアに対して提供するという仕組みになっていたわけでございます。

 一方で、東日本大震災という経験をした私たちは、東京、東北、こういうエリアということを越えた調整の難しさということに直面いたしました。日本全国大でエリアを越えて相互に融通をし、全国大で需給の調整を実現する、そのことは再エネの導入という変動電源が入ってきたときの対応をより柔軟にするというものにもつながるわけでございますが、そういう意味で、送配電事業というものを中立化、独立化させ、これを広域機関ということで調整をしていくという仕組み、そして同時に、電源の参入と退出ということについても、経済原則の下で自由化ということを進めていく中で、実態に即した形で導入が進んでいく、退出が進んでいくという形のシステム改革を進めてきたわけでございます。

 一方で、自由化後に、この二、三年前ぐらいからかと思いますけれども、卸電力市場の価格が相当低下し、低い水準になりました。また、このことは、同時並行で進んでおりますFITによる再エネの導入拡大ということが大きく寄与するわけでございますが、火力発電所というものは優先順位においては劣位いたしますので、稼働率が大きく低下してまいりました。

 その結果といたしまして、事業の経営ということを考えたときに、火力発電所というものがなかなか厳しい状況になり、退出が進んできた、このような状況にあると考えてございます。

大島委員 二〇一六年から始まった電力自由化の下では、収益性が見込めない発電所を休廃止するという民間事業者の自律的な経営判断は合理的で当然の経営判断であり、これに従った発電所等の休廃止も原則として許容されるものと考えますが、政府の見解をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の自由化というものは、先ほど御説明申し上げました地域のエリア独占ということと、ある意味、対置するような考え方で考えますと、許認可で縛ってということではなく、経済原則の下で事業者の方々が御判断いただき、参入、退出していく、事業を経営していくというものでございます。そういう意味でいいますと、発電事業についての維持に関する意思決定というものは、事業者が経済合理性に基づき判断するものだと考えてございます。

 一方で、安定供給ということを私どもは確保していかなければなりません。そうなってまいりますと、これは世界中の自由化が進んでいる国々が同じように直面しているわけでございますが、この事業性というものが確保できるような仕組み、これは、容量市場というものでございますとか、供給力公募という形でございますとか、様々用意することになるわけでございますが、そういうものによって補完して安定供給を確保するということが重要になってきていると考えてございます。

大島委員 今般の電気事業法の改正による事前届出制の導入については、改正案において、現下の安定供給リスクが顕在していることを踏まえ、発電所の休廃止を事前に把握、管理し、必要な供給力確保策を講ずるまでの時間を確保することが目的とされています。

 これにより、電力自由化の下で休廃止を行おうとする民間事業者の自律的で合理的な経営判断に対し、国が、発電所の増設や老朽化した発電所の存続を一方的に命ずるようなことがあれば、発電事業者の経営の自由を阻害することになりかねないと思われますが、政府の見解をお伺いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、法案に盛り込んでございます事前届出制の導入の目的というものは、あくまでも時間的猶予をもって追加的な供給力対策を講じることが可能となるような期間に、事業者の方々から届出を求めるというものでございまして、これは、国が事業者に対して一方的に発電所の維持を命ずるようなものではないと考えてございます。

 あくまでも、先ほど御説明申し上げました、電力自由化という中で、事業者の方々が自由な経営判断の下で事業をなさる。他方で、安定供給のために必要な支援をしていかなければならない。このための策を講じるまでには、一定の時間的な猶予をもって策を講じなければならないわけでございますので、供給力の状況について適切に管理、把握するために今回の法改正案というのを提出しているところでございます。

大島委員 例えば、容量市場において電源が落札されないなど、発電事業の将来性を見通すことができないために発電所の休廃止を決断したにもかかわらず、国の判断で、必要な供給力確保策を講じるまでの間、その発電所の維持を求めることとするのであれば、事業者に対する事業補償や支援措置が必要になると考えますが、政府の見解をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたお話とやや重複してしまいますけれども、この届出というものは発電所の維持を命ずるものではございませんし、電力自由化している以上、それに対する必要な経済的な支援策、支援措置というものが必要だと考えてございます。

 今委員が御指摘いただきました事業補償や支援措置という意味で申しますと、まずそれを何かしらの形で支援するということを前提とした上で、これに対する必要な計画の設計、実施ということのために必要な時間を確保しなければならない、そのための制度として事前届出制というものを導入したいと考えているところでございます。

大島委員 確認ですが、今般の改正による事前届出制では、届出を出してから休廃止するまでに供給力が不足する場合には、国が必要な供給力確保策を講ずるまでの間、事業者は休廃止を行うことができなくなってしまうのでしょうか。政府の見解をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の発電所の休廃止の事前届出制というものは、事業者の方々に、電源の休廃止予定日というものから遡った形で、あらかじめ一定の期限までに届出の提出を求めるものでございます。

 そのことは、逆に申し上げますと、不足に陥らないようにするために情報を出していただきまして、当該発電所そのもの、その他にもいろいろ、休廃止に入っているもの、若しくは長期休業停止に入っているものはございます、これに対して公募の形で、追加供給力の公募を行いまして、再稼働、再起動が必要なものがどれぐらいの規模があるかということについて募集し、それに手を挙げていただきましたら、そこの応援措置とともに再稼働いただくということになってございます。

 ですので、それまでの間に、事前の届出があったときに募集をかけて、応募いただけるということになれば、事業者の御判断でございますけれども、それに応募して再稼働するという御判断があれば、実際に採用になられて、実際に再稼働することになりますし、もうこれは事業者の御判断として要らないとなりましたら、そのまま休廃止に入っていくという形になるものだと考えておりますので、あくまでも事業者の方々の御判断によるところになることだと考えてございます。

大島委員 国に発電所の休廃止を届け出るまでのプロセスにおいて、事業者は、地元や自治体との調整、協議を踏まえて休廃止を決定するというふうに私は理解していますが、必要な供給力確保策が講じられるまでの間は、引き続き当該発電所を運用させることになろうかと思います。

 この場合、発電所の保守などを含めて地元等との調整、協議の上決定した休廃止を撤回ないし延期することになり、当該地域にも混乱が生じてしまい、ひいては、長年にわたり築き上げてきた発電所の立地地域と事業者との信頼関係にも支障が生じかねないと私は懸念するのですが、この点について政府の見解を改めてお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは委員御指摘のとおりでございまして、発電所というものは、単にエネルギーの供給でカウントするという問題ではございませんで、発電所を事業として実施していかれる企業の従業員の方々の雇用という問題、さらには、立地地域の方々、地域を支える存在でもあるわけでございますので、そことのコミュニケーションをしっかりと丁寧に取っていくことが非常に重要なところだということは、私ども、よく認識しているところでございます。

 ですので、仮に電源を廃止する場合におきましては、これは事業者もよく認識しているところと存じますけれども、発電設備を閉鎖した後の跡地利用をどうするのかという問題ですとか雇用をどうするかといったことを考慮した上で、電源が立地する自治体の方々とも様々調整を行った上で判断してくるものと承知しております。

 追加供給力公募を実施する場合、実際に公募に応じるかどうかは事業者が判断するものでございますし、こういう仕組みになるわけでございますので、なった暁には、地元の方々、雇用をめぐるところについても、その調整を念頭に提出し、かつ、その後の追加供給力公募に対しても応募してこられることになるかと存じております。

 そういうことを念頭に、法案が通った暁には、必要な期間の設定をし、うまい円滑な形の調整、実施がなされていくように配慮しながら実施していきたいと考えているところでございます。

大島委員 政府参考人に更問いなんですけれども、発電所を止めるというのは結構長いプロセスが必要だと思っています。地域、自治体との協議もありますし、あと、従業員の皆さんも、恐らく定年退職等を見ながら、できるだけ要員を減らしながら、うまくフェードアウトするように、数年かけて発電所というのは停止をしていくと思うんですよ。ですから、再入札ですか、改めて入札に応じるということはなかなか考えにくいかなと私は思っています。

 特に、電力については投資の予見可能性が大分取れなくなっていますよね。今の環境の中で、じゃ、火力発電所を投資して新しいものを造るかとか、あるいはどうやって電力を確保していくとか、経営としての予見可能性が結構、経営判断として大変なのかなと考えています。ですから、政府としては、その予見可能性を、もっと具体を示した方が経営側にとってもやりやすいのかなと思うところもあるんですよ。

 なかなか厳しいのは分かります。様々、CO2を出してはいけない、ですから再生可能エネルギーにしなければいけない、東日本大震災があった等々で、なかなか厳しいのは分かるんですけれども、火力発電所について今後どういうふうに予見可能性を保っていくのか、もしも答弁できるようだったら答弁をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘、御懸念はよく認識を共有するところでございまして、発電事業というものが自由化された中で、予測可能性を持って事業継続ができるかどうか、これは事業の採算性ということのみならず、雇用の維持及び立地の方々との認識というか方向性、これは地域の問題にもつながってくるわけでございますので、ある程度の長期的な見定めがつくような形で取組は進めなければならないものかと認識してございます。

 今、現状で申し上げても、恐らく電力事業者の皆様方は、長期の期間で計画停止ということに入った上で、実際の廃止をどうしていくかを考えていく。まさに、これはもう委員よく御認識のところかとも存じますけれども、段階的な形でどうしていくかということで、非常に不安定な状況に置かれながら進んでいるというのも我々もよく認識しているところでもございますし、かつ、ここに対する応援、支援策ということも重要なのかなと思っているところでございます。

 今後、まず、短期的に考えていきますと、火力発電所を中心とした供給力の維持が非常に必要になってまいります。ですので、今回の法案をお通しいただけますれば、供給力の量というものをしっかり把握した上で、これくらいのものは当面の間必要だということが我々としてもお示しできるようなものにできればと考えてございますし、それに対する支援策ということも考えていかなければならないかと思っております。

 一方で、脱炭素化ということも進めなければならない。そう考えたときに、火力発電についての脱炭素化に対する投資ですとか、さらには、それぞれが相当老朽化してきているのも事実でございます。トラブルの停止が増えているのはその影響も非常に多いところでございますので、この更新投資、若しくは新設に対する、新陳代謝に対する投資促進ということを、併せて制度的にも検討していかなければならない。

 なかなかちょっとお答えは難しいところでございますが、今答えられる範囲で申し上げますと、そういうことを考えているところでございます。

大島委員 先ほど申し上げましたとおり、電力というのは物づくりの基本でして、電力が安定的に供給されないと、それを前提としての工場の操業はできなくなります。このことをなかなか、空気のように吸っている電力なので、なかなか認識しづらいんですけれども、やはりここをしっかり踏まえた上で、電力の安定的な供給こそが産業基盤なので、ここは十分留意していただきたいと考えています。

 今回の改正では、これまで述べてきたように、市場原理に即した事業者の自律的な経営判断による投資を促すのではなく、国が発電所の増設を命じ、また発電所の退出を禁ずる可能性も否定できず、規制の強化ということにつながりかねないものと考えられます。

 これでは、電力の安定供給に資するどころか、かえって発電事業者の発電所建設に対する投資意欲をそいでしまい、ひいては我が国全体の安定供給リスクを高めるおそれがあると考えますが、政府の見解をお願いします。大臣です。

萩生田国務大臣 発電事業は自由化をされており、電源維持に関する意思決定は、事業者が経済性、合理性に基づき判断するものです。

 一方で、電力自由化の進展及び脱炭素化の流れを背景に、火力発電の休廃止が増加しており、近年、電力需給は厳しい状況が続いています。安定供給に必要な供給力を確実に確保するためには、時間的な余裕を持って対策を講ずることが重要です。

 事前届出制は、こうした問題意識の下に、供給力を精緻に管理することを目的として導入するものでありまして、この制度の導入によって発電所の増設やあるいは退出禁止を命ずることはなく、引き続き、事業者の経営判断自体は尊重してまいります。

 先生御心配のとおり、やめたいという人にやめさせない、そういう制度ではなくて、やめたい時期が分かれば、その足りなくなる電力量を他の発電所からどうやって賄うことができるかという、考える時間をいただくための事前届出でございます。

 さらに、二〇五〇年カーボンニュートラル実現と安定供給の両立に資する脱炭素電源への新規投資を促進するための仕組みの検討を加速させてまいりたいと思います。

大島委員 続きまして、我が国全体の供給力確保に関する最終責任について質問します。

 以前は、旧一般電気事業者が、電力事業の地域独占を認められていた代わりに、電力の安定供給に責任を負っていたわけですが、電力システム改革によって、安定供給に対して一義的に責任を負う主体が存在しなくなったと思います。

 そうすると、我が国全体の供給力確保に対しては、国が、公益的な観点から全体調整を行う主体として、最終的な責任を負うしかないものと考えますが、政府の認識をお伺いします。

萩生田国務大臣 電気は国民生活や経済活動に不可欠なエネルギーであり、電気の安定供給に対する最終責任は、御指摘のとおり、国が負うものだと私も思っております。

 一方で、東日本大震災の経験を踏まえ、電力システム改革を進める中、電力広域的運営推進機関を設立し、この広域機関に、地域間連系線の増強、地域間での電力融通の円滑化、容量市場の運営などの役割を担わせることで、国と広域機関の連携によって日本全体の安定供給を維持してまいりました。

 足下では、火力発電の休廃止が増加し、電力需給の厳しい状況が続いている中、安定供給確保の必要性は高まっており、その実務を担う電力広域機関の役割はますます重要になっています。

 今後とも、経済産業大臣と電力広域機関が連携を強化し、短期、中長期的に国全体として必要となる供給力の確実な管理をしっかり実現してまいりたいと思います。

大島委員 続きまして、今般のような法制上の事前規制を課すのであれば、少なくとも、電力広域的運営推進機関による電力入札制度を実施するなど、まずは国の責任において供給力確保策を講じることが先決ではないかと考えますが、政府の考えをお伺いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁ございましたけれども、国が最終的に責任を持つところでございますし、小売業者の方々が小売の供給力確保義務を負い、送配電事業者さんが全体を調整するという義務を負い、それを広域機関が総合調整するというメカニズムになってございます。ある意味、総力戦で、各電力の方々、広域機関が中核となりながら供給力を持つという仕組みでございます。

 その中で、委員御指摘のような電源入札の話も、今、広域機関の中で検討を行っているところでございますが、恒常的な供給力が不足する場合の対応策として、一つの対応策として検討していかなければならないと考えてございますし、また、容量市場というものを、これに先立つ事前の防止策として検討し、かつ具体化させているところでございます。

 二〇二四年度からの供給力の確保について、一昨年から第一回の入札をし、実施に移してきているところでございますが、この容量市場で十分かどうか、もうちょっと必要なのではないか、若しくは二〇二四年までの間の期間、何が必要なのか、そういう意味において、今回の法改正を受けた場合に、しっかりした供給力の数というのをしっかり管理しつつ、足りない部分については、追加の供給力公募をして、支援策を講じながら供給力を維持していくということが必要になってくるかと思っております。

 投資促進のところも含めまして、国としても制度設計をし、制度設計を通じた事業者の方々の投資が生まれていくような、事業が継続されていくような取組をしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

大島委員 今月十二日に開催された経済産業省の審議会では、今年の冬が十年に一度の寒さとなった場合、例えば、東京電力管内の電力の予備率が一月と二月にマイナスとなることが示されました。これは、先月の福島県沖地震で壊れた火力発電所の復旧の見通しが立っていないことなどが原因とされています。さらに、中部、北陸、関西、中国、四国、九州電力管内でも、安定供給に必要な三%を切ると予測されています。また、LNG等々の燃料価格の高騰により、電気料金も高止まりしています。

 こうした現下の電力需給逼迫の常態化や電力コストの高止まりは、もちろんロシアによるウクライナ侵攻の影響も否定できませんが、東日本大震災以降、今まで進められてきたエネルギーの諸施策をめぐる課題等が顕在化した結果だとも考えられます。政府の認識をお伺いします。

萩生田国務大臣 これまでの電力システム改革においては、東日本大震災の教訓を踏まえ、安定供給の確保や電気料金の最大限の抑制を実現するため、電力広域機関の設立や地域間連系線の増強、小売自由化などに取り組んでまいりました。

 安定供給については、電力広域機関の設立によって、地域間連系線の増強や地域間での電力融通の円滑化など、安定供給の確保に資する取組が進められ、一定の成果が表れてきていると思います。

 他方、脱炭素化の流れなども相まって、火力発電の休廃止の増加など、電力自由化に伴う新たな課題にも直面しています。

 このため、追加供給力公募や容量市場の整備だけでなく、今回の改正法案によって発電所の休廃止の事前届出制を導入することで、安定的かつ持続的な電力供給の実現に取り組んでいるところでございます。

 また、電気料金については、事業者間の競争により料金が抑制される一方で、原発停止を受けて火力発電の割合が増加する中での燃料価格の高騰に加え、再エネ固定価格買取り制度に伴う負担も増加したため、震災前よりも上昇している実態があります。

 このため、厳格な市場監視等を通じた適正な競争の促進を一層進めるとともに、入札制の活用などを通じた再エネのコスト低減や、安全性を最優先した原発の再稼働などに取り組んでいるところです。

 低廉かつ安定的な電力供給の両立を実現するためのシステム改革に終わりはなく、今後とも、大きな変化に伴い生じる新たな課題に対して、システムを不断に見直すことにより、安定的かつ持続的な電力供給を実現してまいりたいと思います。

大島委員 今の局面だと難しい局面だと思います。我が国としては、化石エネルギーに頼らざるを得ないところもあったり、あるいは、CO2削減に向けてはやはり再生可能エネルギーを増強し続けなければいけない等、様々な難しい局面が、今回の地震あるいはエネルギー価格の高騰で顕在化したのかなと思っています。

 ロシアによるウクライナ侵攻及びこれに伴う経済制裁等の現下の国際情勢や先般の電力需給逼迫等を踏まえ、足下のエネルギーの安定供給リスクの早期かつ根本的な解決に向けて、エネルギー調達の多角化が必要だと思っております。

 ですから、エネルギー供給事業者に対する支援が必要かどうか、やはり相当傷んでいると思うので、安定的な電力を確保するためには実効性ある施策を講じる必要があると考えますが、政府の考えをお願いします。

萩生田国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略に対する、G7を始めとする国際社会による追加の対ロ制裁の強化やロシアからの対抗措置などを踏まえれば、不測の事態に備えて、官民連携して万全の対策を取る必要があると思います。

 委員御指摘のとおり、今般のウクライナ情勢を受けた燃料価格の高騰や燃料需給の逼迫は、エネルギー供給事業者の経営体力や、その安定調達にも影響を及ぼしつつあると承知しております。

 このため、経産省としては、まずは燃料価格や燃料需給の動向、またエネルギー供給事業者の経営状況についても高い関心を持って注視してまいりたいと思います。

 加えて、必要に応じて、日本全体で燃料調達リスクに備えるため、一種の社会的保険としての燃料対策として、需給の厳しい昨冬にも実施をした、電力会社が燃料を追加調達した際の費用を広く薄く回収するキロワットアワー公募の仕組みの活用なども含め、あらゆる手段を検討してまいりたいと思っております。

大島委員 最後の質問になるんですけれども、今後の二〇五〇年代に向けての日本のエネルギーをどうしていくかということが結構課題かと思っていまして、去年の末なんですけれども、量子科学技術研究開発機構那珂研究所でJT60SAという核融合炉の実験装置を視察をしてきました。ですから、今、各国共に核融合炉については研究を加速しています。二〇四〇年代から五〇年代、商用化ができるかもしれない、これまでに比べれば安定した電力を生み出す装置だと考えられるかと思うんですけれども、こういうことも含めて、CO2が地球温暖化なので、できるだけこのCO2を減らしていくためには様々な施策を取る必要があると考えています。

 その中で、私は様々なことを予見しなければいけないなと思っていまして、そのためには、日本が持っている技術を失うことはリスクがあると思っています。

 CO2の削減はもっともです。ただ、先ほど申し上げましたとおり、火力発電所としても結構効率的なものはあります。

 一つは、超超臨界圧発電、これは磯子ですね、ここを視察したときも、これは旧住金、住友金属さんだと思うんですけれども、パイプの性能いかんで効率が上がるので、この部材含めての、結構幅が広いのかなと思いましたし、部材含めての性能の向上も必要だと思いましたし、勿来の発電所ではIGCCも見させていただいたりしておりまして、規模が縮小することはしようがないかもしれないですけれども、技術的にはしっかり確保し続けることが、今後何が起こるか分からないこの世界情勢の中で必要かと思うので、その点についての答弁を最後にお願いします。

古屋委員長 松山部長、簡潔にお願いいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 温暖化との関係でいいますと、石炭火力を始めとした火力発電というのは、CO2をたくさん排出してしまいますので、大変課題は多いところでございますが、一方で、足下では約七五%がこれに頼っているという現実を踏まえますと、長期的な、フェードアウトを進めつつ、将来にどう転換していくかということが重要かと思っております。

 委員御指摘のございましたようなIGCC、さらには、燃料電池を組み合わせたIGFCを含めまして、日本の持つ技術ということをしっかりと活用して、未来の脱炭素化を現実的に進めていくための取組に対する支援をしっかりと講じてまいりたいと考えてございます。

大島委員 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸でございます。

 質疑の機会をいただきました。

 エネルギーに関する法案ということで、それに関連して、比較的最近起こった、いわゆる三月二十二日の電力逼迫、このことを含めて、安定供給のことを中心に伺っていきたいと思います。

 私は北海道選出ですが、北海道胆振東部地震があった地域でもございまして、被災の復興は地元で今努力をしながら進めているところでありますけれども、一方で、北海道全体のブラックアウトという、数日間電気が全くないという状況も、私も地域におりましたので、そうした経験もしました。病院とかあるいは特別養護施設とか、様々なところから復旧を早くしてほしいという声が寄せられたり、お店も、当然電気がないので、冷蔵、冷凍、全て使えない。命にも関わるし生活にも関わる。そして、通信も、電力がないと、スマートフォン自体に電源が入っていても、通信塔の電気がなくなって電話が使えなくなる、通信ができなくなる。様々、ブラックアウトを経験して肌で知ったこともたくさんございました。

 こうしたことで、今回、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す上での電源構造というのはもちろん重要なんですけれども、一方で目の前のことを考えたときに、この三月二十二日に東京電力管内、東北電力管内の需給逼迫ということで、大臣も国民に向かって要請もされて、こうした事態が起こったわけであります。

 まず、大臣に全体の御見解を伺いたいと思いますが、こうした需給逼迫のこと、一回起こったわけでありますけれども、今後もこれは頻繁に起こるものだという認識なのか、それとも、今回のことは特異な事例だったのか、その見解を伺えればと思います。

萩生田国務大臣 我が国は、電力自由化の進展及び脱炭素化の流れを背景に、火力発電の休廃止が増加している中、電力需給は近年厳しい状況が続いています。

 今回の電力需給逼迫は、こうした状況に加え、三月十六日の福島県沖地震の影響で火力発電が停止している中、二十二日の東日本が、悪天候で日中の気温が平年より大幅に低く、電力需要がこの時期として異例の高水準になったこと、悪天候により太陽光発電の供給力が大幅に低下したことなど、複数の要因が重なったため、電力需給が極めて厳しくなりました。

 今回の需給逼迫を受けて、現在、資源エネルギー庁の審議会において、安定供給確保に向けた方策も含め検証しているところです。今年度の高需要期の電力需給も厳しい見通しであることに加え、需給、今般のウクライナ情勢により、ロシア産以外の燃料が世界中で取り合いになるなど、一層予断を許さない状況が発生をしております。

 まずは、今回の法改正に盛り込んだ発電所の休廃止の事前届出制や追加供給力の公募、中長期的には市場容量等を通じて確実な供給力の管理の実現をするとともに、制度を不断に見直しながら、安定的かつ持続的な電力供給を実現してまいりたいと思いますが、先生おっしゃったように、今回は突発的なことで、これからはないのかと聞かれると、大変厳しい状況の中で電力供給しているというこの事実は変わりはございません。

 したがって、今立てている目標値というのは、全てのプレーヤーが元気にグラウンドに降りるという前提でありますので、誰かけがをしたりする人がいれば、おのずとそこは穴が空いてしまうということになるので、そういうことのないように、細心の注意を払って、しっかり俯瞰しながら、国民生活や産業に影響のないように全力を挙げていきたいと思っています。

山岡委員 直接はお答えいただかなかったんですけれども、今、全てのプレーヤーがいなければ成り立たないというお話があったんですが、先日発表していただいた電力需給見通しは、東京、予備率がマイナスなわけでありますから、全てのプレーヤーがいても足りないという試算をもう既に出されているという状況なわけであります。

 大臣が要請をされて、皆さんが協力して今回は乗り切ったわけでありますけれども、これは第一回目だったから効果が高かったと思っています。コロナの緊急事態宣言、これも、二〇二〇年の四月、五月はみんなかなりしっかりやりましたけれども、発令するたびにだんだんその効果が乏しくなってきたということを考えると、そのことを頼るということにも私はならないと思っております。

 先ほど資源エネルギー庁の方から答弁で、国が責任を持って供給はしていくんだと、大臣もそういう答弁をされましたけれども、そのことをもって伺うんですけれども、当面のこの状況、将来的なカーボンニュートラルの実現とかあるいは制度のことはおいておいて、今、冬に予備率が足りていないということも含めて、この状況を乗り切るために供給をどういうふうにしていくという考えなんですか。どうやって確保していくという考えなんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりで、二〇二二年度、今年度の冬の電力需給見通しについて申し上げますと、非常に厳しい見通しでございます。お配りいただいております資料にもございますように、全国的に三%の安定供給を割る数字が出ておりまして、特に東京エリアはマイナスになってございます。これは現時点の数字でございます。

 様々な対策をこれから講じていくことになるわけでございますが、これは、各電力事業者の方々、そして広域機関、そして国も前面に出まして講じてまいることになると存じます。

 具体的に申し上げますと、今、休止火力があるわけでございますが、今回の法案に盛り込んだ事前登録ということを横に置きましても、まず、足下で必要な供給力の確保に向けた公募を行うというのは一つ非常に重要なツールになってくるかと思っております。

 さらには、燃料の確保というのが非常に重要になってまいりますので、キロワットアワーの公募を前倒しで実施していくお話ですとか、発電所ですとか連系線の補修点検の時期の調整を行うことによって、全体的なバランスというのをより効率的にやることができないかどうかということを検討していくことにもなります。

 また、火力も中心になりますが、あらゆる発電所の増出力が可能になる余力がどれぐらいあるか、若しくは、さらには、新設火力というのがこれから幾つか出てくるわけですけれども、これがどれぐらいに試運転が確実になされていくかというのも非常に大きな鍵になってまいります。

 こういった供給力の対策というものについて、電力業界とともに取り組んでいくということになろうかと考えております。

山岡委員 今、るる松山部長からお話しいただきました。どうしてこんな事態になっちゃったのかということです。これはマイナスのところが今クローズアップされていますけれども、そもそも、この震災がある前から、東京なんというのは三%を優に切っているという構造的な状況にあるわけであります。

 昨年、スポット価格が高騰したときに私は質疑をさせていただきました。その中で、松山部長も答弁に立っていただいていましたが、電力・ガス取引監視等委員会の佐藤局長等も答弁いただいた中で、容量市場をしっかり導入することが大切で、問題はそれで解決していくんだという趣旨でございました。

 今の答弁、いろいろ、これまでのを聞いていくと、だんだん色合いが変わっているように感じておりますけれども、あえて改めて聞きますけれども、現下の需給逼迫状況の構造的問題は、容量市場がきちんと機能すれば、ほかに対策を立てなくても解決すると今考えておられますか。伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました容量市場でございますけれども、電力の安定供給に必要な中長期的な供給力不足への対処をするものでございまして、電力自由化がされた国々で先行的に導入されておりますが、しっかりとした資金的な支援がないと、なかなか電力の維持ができません。ですので、この導入というのを日本も進めてきて、二〇二四年度の供給力の確保から確実にできるような仕組みが今動いてございます。

 そこまでの間、二〇二二年度、三年度、更に言いますと、二〇二四年度になった以降についても、近年、需要が相当伸びてきているという現実、この冬も、昨冬もかなり需要が増えてきているという現実があることと、さらには、燃料の供給に対する、国際情勢の下での緊迫感、コロナ禍における供給がしっかり確保できるかというようなリスク、様々ございます。

 こういった中で、供給、もちろん節電対策等も進めていくわけですが、今のままで十分かということについて言いますと、容量市場の適切な実施とともに、これを補完する意味でも、必要となる供給力の公募、若しくは更なる供給力の確保、予備的な確保、様々な対策が、どういうものが必要かということは、これから検証を通じる中で検討を深めていきたいと考えてございます。

山岡委員 今の松山部長の答弁ですと、需要が今上がっていることと、この制度が走る二〇二四年までの間、足りていないのだ、そういうふうに聞こえるんですけれども、じゃ、容量市場がしっかり機能すれば、これをもって新規建設も進む、そのことを今おっしゃっているんでしょうか。伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 容量市場の仕組みからちょっと改めて御説明申し上げますけれども、これは一定の年月の後、日本でいうと四年後になっているわけですけれども、四年後のときにどれぐらいの容量が確保できるかということを求めるための仕組みでございます。

 これでどれぐらい投資が進むかということについて言いますと、今現状においてはなかなか進んでいない。これは先行して行われているヨーロッパの例を見ましても、アメリカの例を見ましても、なかなか投資は進みづらいという現実がございます。

 ですので、電源の維持の仕組みとして容量市場の機能は大きく寄与すると思いますけれども、投資の話はまた改めて検討する必要もあるかと考えてございます。

山岡委員 今、松山部長から、維持については機能するけれども、投資は新たなというお話がありました。

 今回、資料でお渡しした三つ目ですけれども、これは二〇一七年の資料でありますけれども、容量市場の在り方を考える、当時の議論です。審議会も様々議論がありましたけれども、分かりやすく抜き出すためにこれを持ってまいりましたが、このときの議論は、一番下に、新設電源、既設電源、容量市場において支払いの差異を設けない、それが適切だと。つまり、容量市場において新設も進むのだという前提で進めてきて、今お話ありましたけれども、まだプレミアム料金を払ってもいないんですよ。その間にこの問題が噴出して、そして、新規のためには新たな制度も必要だと。そのことも今御答弁いただきましたけれども。

 じゃ、伺いますけれども、容量市場の設計というのは、将来にわたって持続的な電力容量確保という観点では設計に失敗している、この二〇一七年の議論から見たときに、そういう評価ということになりますか。伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今お配りいただきました資料でございますが、これは平成二十九年の検討会の資料でございます。これは、諸外国、先行でいいますとイギリスの例というのがよく出されるわけでございますが、どこの国も基本的には、日本もこれに倣って導入しておりますが、新設と既設の差異を設けてございませんでした。あくまでも電気の価値というものは同じだと。

 そういう意味でいうと、支払うべきキロワットの価値というのは同じだという前提で進めてきているわけでございまして、同時に、新設容量というものの必要性というのをそれほど感じない中での制度設計というのがこれまでのベースとして進んできているところでございます。

 これは、念のため申し上げますと、決してゼロではございません、新設された電源もございます。ですので、機能がそれで十分かと問われて、しかも供給力が十分足りているかどうかということを課題として今議論するという中においては、現状の容量市場の制度でヨーロッパも日本もアメリカも大丈夫かと改めて今現時点で議論している中において言えば、更なる改善の余地もあるのではないかということで、今、修正若しくは見直しというのが世界的に進んでいるというふうに認識してございます。

山岡委員 新設が必要かどうか感じてこなかった中での議論という、今、ちょっと衝撃の御発言をいただいたんですけれども、しかし、自由化が進む中で、事業者はその中に合わせて、今、体質を変えて必死に対応しようとしている中で、そうしたことまで想定していない中で走らせたというほど、この自由化の議論というのは脆弱なものだったんでしょうか。

 今、容量市場では、今お話にもありましたけれども、むしろ既設のもので埋まるわけでありますよ。しかも、既設のものでそこに入れなかったものまで、姉崎火力発電所のような事例のように、もう一度追加供給力公募、さんざんお話がありましたけれども、そうした制度の中で、もう廃止、退出したものも引き戻して確保するほどの事態ということになっているわけであります。

 先ほど、キロワットアワーのいわゆる公募もする、追加供給力の公募もすると。制度で足りないところをどんどんどんどん公募して今並べているという状況だ、私はそういうふうに感じるわけでありますよ。

 まず、容量市場のことで、新規のことでいえば、単年度ごとにやはりプレミアム価格が変わっていく、そうした中で、予見性が持てないから、とても新設のものは入れられないと。既設のものをその都度その都度、いわゆるプレミアム料金をもらえるならともかく。そうした根本的な問題がやはりこの中には入っていたと思うんですよ。

 今、私は、確かにこの状況であれば新たな措置は必要だと思います。であるならば、今触れておられますけれども、長期に一定程度、少なくとも単年度ではなくて、長期に固定費等が回収できるような、あるいは減価償却等も含めて回収できるような仕組みにしなければ、新規も、設備投資の新たな改修も進まないんじゃないかと思いますけれども、御見解を伺います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のところは非常によく分かるところでございます。

 長期な収入の安定性ということが見込めなければ、事業者の方々にとっては、今、これは自由化経済の下で、自由な経営の下での話でございますので、なかなか投資に至りません。今、供給力が足りなくなってきている中で、新設の投資を生むために、今委員から御提案ございましたような長期の収入が保証できるようなものも含めて、我々としても制度を検討していきたいと考えてございます。

山岡委員 あと、一つ確認しておきたいんですけれども、この新増設等について、混焼、CCS、その他脱炭素の措置が講じられた火力発電所を想定されているのかどうか。これは、昨日資源エネルギー庁の担当者と話した中では、それも含むという回答でありました。今この場で確認したいと思います。御答弁願います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、これから火力発電所の投資を進めていくに当たりましては、供給力の確保ということと脱炭素化に対する対応ということを両にらみで考えていかなければならないということは、これから二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指していく上では非常に重要なことだと考えてございます。

 今委員から御指摘がございましたような、例えば、水素、アンモニアといったものの混焼ですとか、CCUSの活用ですとか、いわゆる脱炭素型の投資というものについては大変重要な点でございます。ですので、これからはこういったものを含めた形で投資を促進させていくような仕組みということを検討していきたいと考えてございます。

山岡委員 当面の、本当にこの供給力が落ちている状況を改善するということ、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するということ、この中で、どういう制度なのかということをこれはよく検討していただかなきゃいけませんが、少なくとも目の前の、私もブラックアウトを経験しておりますけれども、この状況、今、東京管内は何とか大臣の呼びかけの中でそれを避けることができましたけれども、今後はそれが保障されないという中で対応を検討していただきたいと思います。

 次に、法案の中で、再三これも議題に上がっておりますが、火力発電所の廃止の事前の届出、これに対する理由について、政府は一定程度の期間が欲しいからということを再三お話しされているわけでありますけれども、そもそも、発電事業者には毎年供給計画を出させているという状況があるという指摘もあるわけであります。

 更に申し上げれば、最初に私が提示させていただいたいわゆる需給に関する見通し、需給分析、これについても、半年ごとに需給検証を行って夏冬に出しているわけでありますよ。じゃ、今、事前に休廃止を言ってもらわなかったら適切にこの状況が把握できないんだとすれば、この需給の見通しもいいかげんなものなんですかという話なんです。大臣にまで発表させている中身が、少し余力を持って知りたいからというのでは、私は理由としてちょっと不明瞭だと思うんですよ。

 そうなると、やはりいろいろ懸念が入っていますけれども、やはり事前にすることによって、火力発電所を経営判断でなくそうとするところに、一つの歯止めとしてのステップを踏もうとしているんじゃないかという疑いが、どうしても持たざるを得ませんよ。

 そして、先ほどの別の委員への答弁で、やめると言った後、公募をしたときに、事業者が御判断いただければその公募にも入っていただくという答弁をしましたけれども、その御判断の部分に政府、国が介入するということもあり得るんじゃないですか。答弁をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは公募でございますので、国の介入、国が指導してやらせるということではなく、あくまでも公募の手続の中で事業者の判断で進めていくというのが大前提になります。

 今回の事前届出制の趣旨でございますが、いろいろと御懸念の向きは伺いましたけれども、私どもからいたしますと、あくまでも、発電所、供給力がどれぐらいあって、どれぐらいで退出していくのかということについて正確な管理をしていかないと、非常に厳しい逼迫状況になっているところなので対応が必要だということで申し上げています。

 すなわち、各発電所単位で、何基あって、どれが退出する可能性があるのかということについては、一基で百万、二百万するわけですね、百万キロワット。これが一気に抜けられてしまいますと、供給力に大変な影響が出てまいります。

 一方で、今お示しいただいているような需給の見通しというものも、もちろんそれの積み上げのベースになってくることではございます。ただ、これはあくまでも見通しでございますので、一年ベース、半期ベースで日々修正を加えていくわけですが、発電所がなくなってしまっては、休止した後では、もう一回再立ち上げするには様々な問題が出てまいります。これは、経営の面でも、地元との関係でも、雇用の面でもございます。

 ですので、あくまでも、発電所個別の管理をしていく、供給力をどう確保していくかという観点から、私ども、状況の把握をより正確にするという観点から、届出制というものを事前に求めたいと考えているところでございます。

山岡委員 今の答弁の中にも疑いが拭えない部分はあるわけでありますよ。一回止めてしまうと再立ち上げが大変だから。何で再立ち上げが大変だということを気にするんですかということなんですよ。やはり、事前にした方がそれを止められる可能性があるからだということを疑わざるを得ませんので、これは、自由化という議論の中で、そういう措置は、国が命令するようなことはあり得ないということは、この場でも再三、私の立場からも強調をさせていただきたいと思います。

 最後、大臣に、もう時間も少なくなってきたので伺うわけでありますけれども、大臣も、資源エネルギー庁から様々レクも受けているでしょうし、答弁書も持たれて、読まれていると思うんですけれども、私は、かなりこの供給力が今落ち込んでいる、電源がなくなっている状況に対して、資源エネルギー庁のスタンスは不誠実だと思っています。

 というのは、過去の電力自由化の議論の中で、こうした事態というのは十分に想定して、しかも、懸念も多く表明されながら今日を迎えているわけであります。それが、今、後から出てきた事象で、カーボンニュートラルを目指すことになったからとか予想外の震災があったから、だから足りなくなってということをつけ加えながら言っているんですけれども、そもそも、事業者の判断で退出をするということを自由化の中で認めていき、そして、当時の容量市場の議論の中でも新設は余り必要性を感じていなかった、そうした発言までされましたけれども、制度全体の不足があったということは、私はこの自由化の議論の中で検証され得るべき話だと思うんです。

 そうした中で、今この事態が起きたときに、いわゆる電力容量全体が足りなくなって、追加供給力公募をしますとか、追加供給キロワットアワー公募をしますとか、容量市場は不足しているので見直しますとか、新増設のための新たな制度をつくりますとか、これは、自由化の中で不足していったことの反省もないままに、とにかく場当たり的に制度をつくって、そして何とか乗り切ろうとしているんじゃないかという批判は、私は免れないんじゃないかなと思うんですよ。

 ちょっと、松山部長、一言お願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、自由化を進める中では様々な課題が生じてくるものだと思っています。

 今までの、エリア独占ということで、完全に独占してそのエリアの中で完結するというものから、日本全国大で供給力を共有しながら実現していく、その中で、私自身もFITの導入によって再エネの最大導入ということを進めてきたわけですが、変動電源ということの持つ意味というものは、いい意味でも悪い意味でも様々な問題が生じてきています。

 原子力発電所の再稼働もなかなか量が確保できていない中で供給力をどう確保していくかというのは、本当に、今私どもも直面している大きな課題でございます。

 その時々、事情事情に応じた修正、見直しをしていくことは我々はちゅうちょしてはいけないと思っておりまして、この状況を改善し、そして安定供給をしっかり確保できるような体制をつくっていくことが私どもの務めだと考えてございます。

山岡委員 今るるお話しいただきましたけれども、自由化の結果、こうして追加追加していく、規制時代に比べて、行政全体のコストですよ。そうしたことが果たしてトータルでプラスなのかマイナスなのか、場当たりで全て並べていけば、合成の誤謬が起きている可能性だってあるんです。

 まあ、松山部長が今答弁者ですから松山さんを責めているように見えますけれども、私は松山さんだけの責任ではないと思っているのは、資源エネルギー庁全体で決めたことですから、当時懸念があってもこの方向に突き進んで、そして、それを前提にした議論に今されるということになるわけでありますよ。それは、当時の人たちは役職が上がって今経産省全体にいますし、審議会のメンバーだって変わらない。

 こうした中で、今、自由化の様々な検証が行われないままに今日に至っているということは、私は、今ここで立ち止まって、別に自由化前に戻せとは言いません、いろいろなプラスの側面もあったと思います。しかし、何をもたらしたのか、それを検証してから、そしてそれにちゃんと向き合ってから必要な措置を講じていく、こうした議論の整理が必要なんじゃないか、私はそう思います。

 大臣に伺いますが、自由化の議論、これはきちんと立ち止まって、少なくとも検証はしていただけませんか。そのことを大臣から御答弁いただきたいんですが、お願いします。

萩生田国務大臣 今、先生、歴史を振り返りながらいろいろな御指摘をいただいて、この自由化の議論が始まった地域独占をやめさせようというのは、一つの行政の新しいシステムの提案だったと思うんです。

 その後、三・一一があったり、カーボンニュートラルという新しい要素が加わったり、今日ではロシアによるウクライナの侵略というのがあって、その都度状況が変わって、それが結果的に場当たりだという御批判をいただくことは、これはやむを得ない一面もあるのかというふうに私は思います。

 しかし、エネ庁はエネ庁で今までしっかり検証もしていますし、また、成果は成果で発揮しているものもありますので、さっき私、答弁の中で、全てのプレーヤーがグラウンドに降りる前提でとお話ししたのは、まさに私の言葉なんですよ。エネ庁の説明を聞いていると、今のフルスペックがしっかり動けば大丈夫だ、こういう前提でやっていくと、やはり想定を超えることってあるわけじゃないですか。

 あの三・一六の地震がなければ三・二二もなかったんだと思いますけれども、我々はやはりそういうことを、電力の安定供給を考える上では常にもっと先回りしてやらなきゃならないので、そこは、先ほど申し上げたように、今までの視点とは違う、俯瞰をする視点を持って電力供給の確保というものをしっかりやっていきたいと思っています。

 今、輸入資源の高騰などもあって、これまた大変な事態になっていますけれども、一々国民の皆さんに言い訳をしているわけにいきません。それから、いみじくもおっしゃっていただいたように、緊急記者会見というのは、何回もやったら誰も聞いてくれないと思います。あのときは本当に皆さんが協力してくれました。

 来年、今年の冬以降、ああいうことがないように、今御指摘のあった見直しというのは、改めて、足を止めて見直しじゃなくて不断の見直しを私からも指示をさせていただいて、しっかり結果を出していきたいと思います。

山岡委員 大臣からも、今、目の前のことをるるお話しいただいたんですけれども、この需給分析の中で、元々から厳しい状況、昨年だって厳しい状況、私は構造的にもたらされたものだと思っています。私は、そうした自由化のことで総合的に何をもたらしたのかときちんと踏まえた中でやっていくことこそが、誠実なエネルギー政策を進めていく上で重要だと思っておりますので、この点はまた取り上げさせていただきます。

 今日は時間がなくなりましたので洋上風力のことは申し上げませんが、新たにまた洋上風力のことも取り上げさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案の審議ということで、広く、この法改正の内容に関連する問題について、本日は取り上げさせていただきたいと思います。

 今回の法改正は、省エネだけではなくて、非化石化、そして再エネも導入促進をしていこうということで、方向性はおおむね賛同できるものであると考えています。

 ただ、エネルギー政策において、原発の位置づけ、それから政府の今言っている水素とかアンモニアが本当に脱炭素なのかというところは議論の余地はあるところだろうと思います。

 まず、今、衆議院から参議院に場所を移しまして経済安保法制の議論が行われていますが、私は、先日取り上げさせていただきましたクラウドなどのデジタル、そして、それに加えて食料、エネルギー、これは国民が豊かに生活をしていく上では必ず必要なものであり、政治の役割として絶対に自給率は上げていかなければならないというふうに考えています。

 その中で、エネルギーは経産大臣のはっきりとした所管なわけですが、特にオイルショックの頃から、エネルギー自給率を上げないといけないということが物すごく大きな課題であったにもかかわらず、なかなか、進んだり戻ってしまったりと、前にはそんなには進んでいないのが現状でございます。

 アメリカははっきり、今の流れの中で、エネルギーですとか食料は自給するんだということを法律に明記しようというようなことも検討中ということでございます。

 エネルギーの自給、世界情勢の変化や環境の変化によってかなり注目がされているわけですが、大臣、このエネルギーの自給率アップについてはどのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 エネルギーの安定供給を確保するため、四方を海で囲まれ、すぐに使える資源が乏しい我が国においては、エネルギー自給率の向上は極めて重要と認識しています。こうした観点から、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、安全最優先の原発再稼働に取り組んできたところであり、今後も着実に取り組んでまいりたいと思います。

 ただし、安定供給は極めて重要であるものの、それだけではなく、安全性、経済効率性、環境適合も含めたSプラススリーEの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在しない現状、さらに、今後の技術革新などの不確実性を踏まえれば、特定のエネルギー源に頼るのではなくて、再エネ、原子力、火力、水素、CCUSなどあらゆる選択肢を追求することが重要だと思っております。

 また、今回のロシアによるウクライナ侵略を踏まえれば、自給率の向上に加えて、調達先や供給網などを多様化させ、エネルギー安全保障の向上に取り組んでいく必要もあると考えています。

落合委員 いろいろな自給率を高める有効な手段を考えますと、例えば、かなり伸びる可能性があるなというふうに客観的に見ても思うのは、農地の上にソーラーパネルを張るソーラーシェアリングの普及。これは、農家の所得の向上にもつながりますし、本腰を入れれば、電力の供給にも、総量ではかなり貢献をするものであると思います。

 これは、単純に計算すると、日本の農地全部に張ると原発千八百九十基分。なので、日本の電力使用量の二倍ぐらいでしょうか、これぐらいは超えるわけです。全部張るのは現実的ではありませんが、それぐらい、余地はある。それをやるには系統なども変えていかなければならないわけですが、有効な手段だというふうには思います。

 原発が今、政府の中ではっきりと自給電源ということで位置づけられているわけですけれども、ウクライナの状況なども見ますと、発電所、発電源の分散化、やはり、大規模集中電源よりも多機能分散化した電源の方が、どこを攻められても電力システム全体を維持することができるという点では、中長期的に考えれば、やはりそこを目指していくべきであるというふうに思います。これは、多機能分散化への流れを進めていく上では、国益にもつながることである。やはり、再エネをいかに伸ばしていくかということは重要であると思います、自給率の向上においては。

 いろいろと調べてみますと、一昨日の国民民主党の鈴木委員も質問されていましたけれども、発電設備の自給率、国産率というのは、かなり低下をしてしまっています、特に再エネにおいて。

 例えば、太陽光パネルの生産というのは、元々、日本が競争力がありました。二〇〇六年は世界の三七%の太陽光パネルを我が国が生産をしていました。断トツの世界一位です。二〇一八年は、もうシェアが一%を切ってしまいました。かなりゼロにもう近くなってしまっています。

 これは、二〇〇六年あたりから政府の太陽光パネルへの支援を緩めてしまった、それが一気に競争力を落としてしまった。これは、三十年前に半導体も世界の半分を生産していたわけですけれども、一旦勢いを失うと一気に転げ落ちてしまうということが様々な分野で起きています。

 十一年前、日本の原発事故がきっかけとなって、世界でも、再エネをどんどん伸ばしていかなきゃいけないということで、投資が進んでいきました。しかし、日本はそこまでは本腰を入れることがなかったということが、やはり勢いを挽回できなかったことにつながっていると思います。

 そのうちに、この近年は、温室効果ガスを大幅に削減しなければということで、更に再エネへの投資が世界で伸びているわけです。我が国も再エネを伸ばしてきました。今一八%ぐらいを再エネが賄っています。しかし、ドイツ、イギリス、スペイン、イタリアはもっと導入を加速していて、大体四〇%ぐらいを再エネで賄っています。カナダですとかは元々水力の比率が高いので、半分を超えているわけでございます。

 原発事故の当事国であったのに、やはり、再エネが成長産業だというところに思い切って踏み切れなかった。これは残念なことで、今、太陽光のパネルは、残念ながら、お隣の国の生産に、かなりの部分、頼っているという状況です。

 風力発電も、どうなっているのかなと調べてみると、もっとびっくりすることに、工事全体を請け負える日本の会社がもうなくなってしまっている。パーツ、パーツは請け負えますし、プロジェクトを請け負うことはできるんですけれども、設置工事はもう日本の企業はできなくなってしまっています。

 大臣も一昨日も答弁されていましたが、今の段階で今のレベルのパネルを作るというのは価格競争的にも無理なわけですけれども、次世代パネルも含めて、大臣、ここのところは、エネルギー、国民生活にも経済にも必要なものですので、力を入れていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 エネルギー政策を進める上では、SプラススリーE、すなわち安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを確保することが重要です。この点、太陽光発電は、化石燃料を必要とする火力発電とは異なり、万一、太陽光パネルの供給が途絶したとしても、既存設備の稼働を継続することが可能であり、直ちに電力の安定供給上の問題は生じないと考えています。

 しかしながら、御指摘の点について、長期的には、太陽光発電や風力発電の導入速度が低下する、設備の導入コストが上昇することで電気の小売価格の上昇要因となるといった影響につながることも想定されることから、代替的な手段を含めた検討を行う必要があると認識をしています。

 このため、より多用途かつ国産も見据えたペロブスカイトなどの新世代太陽電池について、グリーンイノベーション基金を措置し、研究開発から社会実装までを一気通貫で長期にわたり支援しているところでございます。

 先日もちょっとお答えしましたけれども、国産太陽光パネルの生産は、技術的には頑張れば作れるんですけれども、元々のポリシリコンを輸入に頼らざるを得ない。これをやはりお隣の国が非常に大量に持っていて、そこしかやはり今のところ供給先が見つからないという状況にあります。そのためには、やはりゲームチェンジを図っていかなきゃいけないんだと思っています。

 具体的には、軽量かつ曲げられる太陽光パネルの技術開発のみならず、ユーザーと連携した実証や製品化までを行うことで、耐久力の低い屋根やビルの壁面など、これまで設置が困難であった場所に太陽光を設置することを可能とし、新たな需要を生み出してまいりたいと思います。こうしたグリーンイノベーション基金も活用して、新たな技術の国産化を目指して、世界に先駆けて実用化と市場獲得を図ってまいりたいと思っています。

落合委員 この三十年、世界のどこかから安いものを仕入れればいいので、選択しよう、集中をしようと言っていたら、ほとんど何にもなくなってしまったわけです。

 ここから挽回していかなきゃいけないわけですが、大臣がおっしゃっていた曲がるものですとか、窓に張ったりする、あれも、私も経済界の方々から、三、四年前ぐらいだったか、伺いました。これに投資をするんだと。これは世界で絶対にニーズがあるから、うちが権利を取れば、ずっとうちの会社は発展するんだという話も聞いたことがございました。

 私は、もうそれから三、四年たったので、もうそろそろ量産化されるのかなというふうに思ったんですが、役所の方々からも聞いてみたら、あと何年かかるか分からない、実験は進んでいるけれども、それを大量に生産してやるのはなかなか難しいんだ、あと、大型化するのも難しいんだというようなことでございました。

 ただ、日本人の生活に必要なものは、必ず世界で必要なものなわけです。こういった中で、重要な分野については、やはり取っていく、世界のマーケットを取っていく必要があると思います。去年、はっきり経済産業政策の新機軸を経産省が打ち出して、大規模、長期、計画的に産業政策をやるということを打ち出したわけですので、この分野、是非本腰を入れるべきだと思いますので、その指摘をさせていただきたいと思います。

 再エネを中長期的に進めていくには、系統運用がどんどん複雑になりますので、送電線の強化というのは必要になります。ここ何年も、ゴールデンウィーク前後は、日照がそれなりにあって、しかし暖房も冷房もかけない時期なので、太陽光が発電し過ぎてしまうというような問題が起きています。九州だけだったのが、今年は四国ですとか東北でも、せっかく発電したのに捨てざるを得ない、出力抑制というものが行われているわけです。

 これをうまく運用していくためには、地域間送電網はどれぐらい必要なのかなというのを調べてみると、今の一・七倍ぐらいには拡張しなきゃいけないということです。地域間送電線を拡張するには、多額の投資が必要になるわけです。これは、本来であれば、託送料金、送電網を使う料金で、送電網の強化に使うべきなんですけれども、託送料金はどうやって使われているのかなと調べてみると、例えば福島の廃炉にも使おうということが行われているわけです。今の電力システムの状況だとなかなか送配電網の整備にお金が回っていかない、こういうような状況になってしまっています。

 先ほど、電力システム改革について話がありましたが、三段階で、十年近く前でやってきたわけですけれども、そのときのエネ基の再エネ導入量の目標は、たしか二〇から二二%だったと思います。今、三〇%台まで目標が上がっています。ということで、どんどん再エネの導入目標を上げている中で、送配電部門がこのままの状況で対応できるのか。送配電部門は独立性をより高めていく電力システム改革が必要なのではないかと思います。具体的には、所有権分離、別会社にするということで、系統運用も独立性を持って、しかも、投資も、独立した送配電網会社をつくれば、公的な資金も入れやすくなるわけです。

 大規模、長期、戦略的な投資がより可能になる、送配電網部門をより独立させる更なる電力システム改革、そろそろ具体的に検討するべきときがやってきているのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 電力システム改革の取組によって、二〇一五年に電力広域的運営推進機関を設立し、地域間連系線等の増強や需給逼迫時における地域をまたいだ需給調整を通じて、全国での広域的な系統運用を進めています。

 地域間連系線等の増強については、これまでに北海道―本州間やあるいは東京―中部間の周波数変換設備を増強するとともに、送電網整備のマスタープランを二〇二二年度中に策定するなど、計画的、効率的に送電網の整備を進めています。

 また、例えば、先月の電力需給逼迫に際しても、電力広域機関が司令塔となって、このように増強した地域間連系線も活用し、最大限の電力融通を行ったところです。

 送配電事業者の統合については、各一般送配電事業者が民間事業者である以上、各社の経営判断であり、政府として見解を述べるのは差し控えたいと思いますが、各エリア内の電力需給の監視や調整についても、電力システム改革以降、各エリアの一般送電事業者のみならず、電力広域機関が連携して対処しています。

 引き続き、電力の安定供給を確保しながら、効率的な運用を進めてまいりたいと思います。

落合委員 北本連系線とかも、計画してからでき上がるまで、かなり、数年とかではなく、もっともっと時間がかかるわけです。これは公的なインフラであって、しかも、予想よりかもっと設備を増強しなきゃいけない。これは電力会社だけに任せるようなシステムよりも、送配電網だけ、より公的な位置づけに位置づけるという選択肢もあると思います。

 ちょっと分野は違いますけれども、例えばヨーロッパは、鉄道の線路を管理するのがより公的な部門で、列車を走らせるのはより私的な部門になっていたりですとか、その鉄道の線路をインフラと位置づけているんでしょうが、電力も、発電や小売は民間にやってもらっても、送配電網は誰もが利益を得るものですから、ここの部分はより独立性を高めて、公的資金も入れやすくする、こういったことはかなり有効な手段だと思います。是非、これも一つの有効な策として、今後も御検討をいただければと思います。

 時間がなくなってきましたので、次に行きますけれども、今回の法案、非化石化というのが一つの特徴だと思います。電力だけでなくて、非化石化で大きなのが製造業、それからもう一つが自動車の部門だと思います。

 自動車産業が我が国の主力の産業、選択と集中をしてきた中の、集中して伸ばしてきた産業の一つなわけですけれども、二〇三〇年や三五年からもう環境性能車しか売らないというような国が出てきた中で、ハイブリッド車がどんどん外されてしまっています。それから、残念ながら、電動車とほとんど同じプラグインハイブリッド、これまで外されてしまっている。これは狙い撃ちされたと言っても過言ではないと思います。外交的な、残念ながら敗北である、これは歴代の経産大臣にもっと頑張ってもらうべきことであったというふうに思います。

 今、政府は、電気自動車の購入ですとか、補助を出しています。それから、充電プラグを増やすことにも力を入れています。しかし、自動車自体を日本が造れなくなったら、これは、日本の収支にとっても、海外との収支にとっても、かなり大きな問題になる。しかも、それが二〇三〇年からもう完全に始まるわけですから、あと八年しか時間がないわけです。

 八年後に日本のメーカーが電気自動車を造れている、量産化できているのかという問題があります。ハイブリッド車の五十倍から百倍の容量の電池を作らないと、電気自動車は走らない。これは多額の投資が要ります。計算すると、電池が世界の一五%のシェアを握るには、二十四兆円、投資が必要である。

 世界の車載電池メーカーの上位に、ぎりぎり、日本のメーカーは今残っています。アメリカも中国も、車載用電池の開発のために、多額の補助金を出しています。何でもかんでも国が面倒を見ればいいという問題ではないんですが、車載用電池は、かなり日本の産業にとって、日本経済にとって重要ですので、昔の傾斜生産方式のように、重要な分野だと国がしっかり認識をして、資源を投入するべきであると思いますが、大臣、いかがですか。

萩生田国務大臣 蓄電池は、二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成に向けて、自動車の電動化や再生可能エネルギーの主力電源化を達成するための重要技術の一つだと思っています。

 日本メーカーは、技術的優位性によって初期の市場を獲得することができたものの、その後、政府の支援も背景に中国や韓国のメーカーが台頭してきたことにより、日本のシェアは低下しております。

 こうした厳しい現状を真摯に受け止めた上で、現在、我が国の蓄電池産業が再び国際競争力を取り戻すための戦略を策定すべく、官民協議会の下で検討を進めています。

 規模の経済が競争力を左右する大きな要因となっており、世界的に投資競争が激化していることを踏まえ、国内製造基盤の確立と、自動車会社等のユーザー企業とのアライアンスを含めた戦略的な海外展開を両輪で進めることが重要だと思っておりまして、上流資源の確保にも積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 こうした論点を含め、本年夏頃をめどに施策の方向性を蓄電池産業戦略として取りまとめた上で、施策を順次実行に移してまいりたいと思います。我が国蓄電池産業の国際競争力強化に向けて、しっかりと取組をしてまいりたいと思います。

落合委員 時間が来たので終わりますが、これをしっかりやらないと、エネルギーも食料も輸入ができなくなってしまいます。かなり重要な問題ですので、また改めて取り上げさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、菅直人さん。

菅(直)委員 萩生田大臣とは、文科大臣時代に一度質疑をさせていただきました。経産大臣としては今日が初めてだと思いますが、前向きな話をしたいと思いますので、どうかよろしくおつき合いください。

 といっても、一つだけ、ちょっと気になることを、御意見を聞かせてください。

 現在、ウクライナがロシアによってまさに侵略的な攻撃を受けております。そうした中で、ウクライナにあるザポリージャ原発、相当大きい原発だと聞いておりますが、これに対してロシアが通常兵器で攻撃を加えました。幸い、原発本体への損傷はなかったと聞いておりますが、もし原発本体が破壊されていたら、福島原発事故を超える大惨事になったと私は認識をしております。

 こういう中にあって、日本維新の会は、現在、新規制基準で定められたテロ対策のための特重施設が完成していなくても特例的に原発を再稼働すべきと主張しています。

 新聞を読みますと、萩生田経産大臣にもそうした緊急経済対策をお示ししたというふうに書かれております。

 私は、テロ攻撃あるいは通常兵器による攻撃が少なくともウクライナにおいては現実にある中で、逆に、そういうものに対する対策が十分取られていないものも例外的に再稼働させろというのは、私は全く理解できないどころか、国民の利益にも反すると思いますが、この申出に対して経産大臣はどのように答えられたのか、お聞かせをいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 特重施設を含め、原子力発電所の安全規制については、独立した原子力規制委員会の所掌であり、経済産業省はその内容について意見を申し上げる立場にないという趣旨のことを、要望書をいただいたときには申し上げました。

 原子力発電所の再稼働については、独立した原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら進めるという政府の方針に変わりはございません。

菅(直)委員 原子力規制委員長の方からも別の委員会で答弁をいただいていまして、もちろん、原子力規制委員会は、きちんとした特重施設が完成するまで、自分たちが決めたルールですから、再稼働はできないということを答えられています。ですから、それをある意味では経産大臣も尊重されるという今の答弁だと思います。

 そこで、今日は、二〇一一年の福島原発事故から十一年が経過をした中で、これまでのこの十一年間の電力の状況、さらには、これからの電力をどのようにして供給していくかという問題を中心に、農林省の担当者にも来ていただいていますので、農林省の所管も含めて、経産大臣の方に幾つか御質問をしたいと思います。

 まず、資料一を御覧いただきたい。できれば委員会の皆さんにも御覧をいただきたいと思います。特に、この二〇一〇年、原発事故が起きる前の電力の構成比と、二〇二〇年、十年たったときの構成比。下にはグラフが出ております。

 多少申し上げてみますと、原発の比率は、二〇一〇年が二五・一、現在、二〇二〇年が三・九。そして、石炭、天然ガス、石油、つまり化石燃料が、合わせると、二〇一〇年が六五・四、これは足し算をしたらそうなります。そして、二〇二〇年が七六・三、原子力が減っただけ化石燃料にシフトしていると理解できます。

 そして、その下の水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス、これは全て再エネであります。そして、再エネの中では、太陽光が二〇一〇年の〇・三から二〇二〇年の七・九と、かなり大きく伸びております。私は、太陽光と並んで風力に期待をしていたんですが、風力は、二〇一〇年の〇・三から、〇・九までは増えていますけれども、残念ながら、私が期待したほど伸びてはおりません。地熱、バイオマスも多少伸びているというのがこの状況であります。

 そこで、経産大臣に御意見を聞きたいんですが、この十年間の変化を見て、これまでのことと同時に、これからどう進めるかということにつながっていく、そのことが重要だと思うんですが、経産大臣は、この十年間の変化を見て、何か、こうすればもっとこれがこういくんじゃないかとか、もしそういう御意見をお持ちなら聞かせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 日本では、FIT制度を二〇一二年に導入し、その結果、二〇一一年度に約一〇%であった再エネ比率は二〇二〇年度には約二〇%まで拡大しました。導入量は、再エネ全体で世界第六位となり、発電電力量の伸びは、二〇一二年以降、約三倍に増加というペースで、欧州や世界平均を大きく上回るなど、再エネの導入は着実に進展していると思います。

 特に、太陽光発電の導入量は、世界第三位、国土面積当たりでいえば、主要国では最大級にまで拡大しています。その一方で、国民負担の増大や地域との共生の課題なども発生しているのが今日だと思います。

 再生エネルギーの最大限の導入拡大に当たっては、こうした課題にもしっかりと対応しながら、エネルギー基本計画で掲げた二〇三〇年度に三六から三八%導入するという野心的な目標の実現に向けて、あらゆる政策を総動員し、強力に推進していきたいと思います。

 これからという御質問がありましたけれども、やはり国際情勢ですとか地理的な問題、あるいは気候変動も、いろいろなことを考えると、今考えていることが全てじゃなくて、やはりあらゆる選択肢を残しておくということが私は重要なのではないかなというふうに思っていますので、何か一つに特化するのではなくて、日本としての可能性を幅広にしっかり見直していきたいなと思っております。

菅(直)委員 私は、一般的に言われることは分かります。しかし、これらの十年間の経験を踏まえて、何が更に伸ばすことが可能か。逆に言えば、原発の問題などは今や、先ほども申し上げたように、原発があること自体が安全保障上のリスクであるということも、このウクライナの状況から分かってきたわけですから、そういう意味での変化も含めて、どちらに向かうべきかということを、いろいろな考え方がありますという話ではなくて、やはり経産省はしっかりと考えて、こういうやり方があるのではないかと。私も大分エネルギー庁とやっていますけれども、ほとんど出てきません。あれやこれやが出てくるだけです。

 そこで、少し具体的に話をしてみたいと思います。

 まず、経産省に、この十年間で、原発による発電比率は、先ほど申し上げましたが、二五・一から三・九に大きく下がっています。今後、例えば十年間、どのように変化をする、あるいはさせるつもりですか。意見があれば聞かせてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ありましたように、過去は、二〇一〇年が二五・一から、二〇二〇が三・九でございますが、今、エネルギーミックスという形で将来をつくっております。二〇三〇年は、原子力発電の比率は二〇から二二%という形で設定してございます。

菅(直)委員 二〇から二二%と。現在、十年たって三・九。そして、私は再稼働させるべきでないという立場ですから、再稼働が少なくなっているのは私は正しいと思っていますが、少なくとも、経産省が当初予定した形での再稼働は全く進んでいません。数字だけ二〇から二二と言っても、これからそういうことが、私は、そちらの方向に進めるべきでないという個人の意見は個人の意見として、とても現実的に、二〇から二二というのは、それに行けるとは思えませんが、経産大臣、もし意見があれば聞かせてください。

萩生田国務大臣 もう我々、第六期のエネルギー基本計画というのをまとめて、これは国会で皆さんに御承認いただいていますので、今、足下では、その基本計画の中に記した内容に沿って適切に確保していくというのが、取りあえず今やるべきことだと思っています。

菅(直)委員 ですから、そういう文書に書いたからそうすべきだというのは、それはちょっと余りにも、経産大臣としての見識を私はお聞きしているんですけれどもね。

 つまり、もうそういう現実からは遠く今の事態が離れているということを認識して、それならどうするかというふうにいかないと、やってみたけれども、あと十年待ったけれども、やはりそんなには増えなかったということになる。私は、この原発についてはほぼ間違いなくそうなると思っています。

 じゃ、次に、同じく化石燃料についての発電比率、これについてはどうですか、見通しとして。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 同じくエネルギーミックスの中で定めておるところでございますけれども、こちらにつきましては、二〇三〇年度が、石油等が二%、石炭が一九%、LNGが二〇%、合計いたしますと四一%という設定をしているところでございます。

菅(直)委員 これも、私は、日本が目標とすべき目標とは全くかけ離れていると。

 つまりは、カーボンフリー、つまりは全ての排出量を、CO2の排出をゼロにしようとする中で、まだその段階で化石燃料の比率が四一なんというのを、それを得々と経産省が掲げているということ自体が、今日、ほかの委員の皆さんからも質問がありましたけれども、つまり、将来を全く展望していないと言わざるを得ないんですね。これは国民の皆さんに判断してもらいたいと思います。

 それでは、もう一つ、同じく再生可能エネルギーによる発電比率は、合わせると九・四から一九・八にこの十年間で伸びていますけれども、内容を見ますと、主に太陽光発電がこの十年間で〇・三から七・九に伸びておりますが、風力発電、私はこれにも非常に期待をしたんですけれども、これは〇・三から〇・九。伸びてはおりますが、太陽光発電ほどの伸びには達しておりません。

 大臣は、この太陽光発電が大きく伸び、一方、風力発電が私の目には伸び悩んでいるというように見えますが、この原因をどのようにお考えですか。

萩生田国務大臣 御指摘のとおり、太陽光発電の導入量は世界第三位にまで拡大する一方、風力の伸びは限定的にとどまっています。

 このような差が生じている要因は、電源ごとに系統の状況や地域との調整状況などの影響もあると考えられるため、一概に申し上げることは困難ですが、一般論として、太陽光は、住宅の屋根を始め様々な立地において比較的短い期間に設置が可能な電源であるため、急速に導入が進んだものと考えられます。

 これに対して、風力については、日本は、偏西風の吹く欧州に比べて風況が悪いことや、山がちな地形が多く、開発しやすい平野部も減少しつつあること、また、洋上風力に関して言えば、遠浅の海が少ないという地理的な制約も一つ影響が出ているんじゃないかというふうに思っております。

 経産省としては、風力についても導入を加速するため、陸上風力は、FIT制度による支援や各種の規制の適正化を進めることで案件形成の加速化を図るとともに、洋上風力については、二〇一九年に施行した再エネ海域利用法に基づく海域利用のルール整備によって、案件形成を着実に進めてまいります。

 引き続き、あらゆる政策を総動員しながら、再エネの最大限導入に取り組んでまいりたいと思います。

菅(直)委員 今の経産大臣の認識の中で、一点だけ私も同意というか同感するところがあります。それは、海上風力。

 例えば、イギリスなどでは、北海で、洋上に風力発電機が物すごくあります。これは着床式です。つまり、脚が海底に届いて、そこからやっているわけです。

 日本の場合は、比較的、海岸からちょっと沖に出るとかなり深いものですから、着床式というのがなかなか難しい。そこで、浮体式というのを実験をしました。これは経産省が中心になって、あの福島原発事故以降、早速取り組んで、私も現場を見てきました。

 それが現時点でどうなっているか、経産省、説明できますか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 福島の洋上風力発電の実証事業でございます。

 これは、二メガワット、三メガワット、七メガワット機と、三基設置をいたしまして、実証を行いました。それぞれ実証期間を終わりまして、順次撤収をいたしまして、昨年の夏には三基とも既に現地から撤去をいたしております。

菅(直)委員 ですから、結局、浮体式はなかなか、何かあったときに港まで戻さなきゃいけないというようなこともあって、結果として実用化までできなかったというのが、私も当時からの経産省の関係者を知っていますので、私の耳にはそういうふうに伝わっていて、何か淡々と、終わりましたみたいなことを言っていますが、事実上、技術的なそういう何かを超えられなかったために、結果として撤退を決めた、そういうことじゃないですか。

茂木政府参考人 福島の洋上風力ですが、先ほど私、二、三、七と申しましたが、二メガ機、五メガ機、七メガ機です。ここはちょっと修正させていただきます。

 その上で、この実証事業において、洋上において幾つかのタイプの浮体の実証をしています。この成果については、しっかりとマニュアルに落とし込んだり次の設計に生かしていくということで、成果が出ております。

 それから、当然、その先の事業化ということも想定しながら進めてきたわけですけれども、福島の洋上という場所の風力、風況の実態、それからもろもろの状況を加味しまして、商業化というところに至るにはまだ時期尚早であったということです。

 それから、風車の大型化についても様々な実証を行ってまいりまして、そこの実証の成果についても今後の技術開発に生かしていくということであります。

菅(直)委員 結局、私も期待したんですが、なかなか期待に応えられる実験結果が出なかったということです。

 そこで、そういう中で、太陽光の比率は〇・三から七・九に、相対的には非常に大きく伸びております。この太陽光発電が大きく伸びている理由というか、もし考え方があればお聞かせください。

茂木政府参考人 太陽光については、やはり、これは住宅の屋根を始めとして様々な立地において、比較的期間が短い間に設置が可能であったということが一つの理由かというふうに存じます。

菅(直)委員 住宅の屋根、住宅の屋根と言われますが、私のうちの屋根にも四・五キロワットが載っていますけれども、日本で一番大きい太陽光発電所はどこで、何メガの発電所ですか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 日本国内で現在稼働中の太陽光発電所のうち、固定価格買取り制度の認定出力が最大のものは、岡山県の瀬戸内市にあります瀬戸内Kirei太陽光発電所でございます。この発電所の太陽電池の出力は二十三・五万キロでございまして、年間の発電量にしますと、おおよそ、機械的な計算ではございますが、約三億キロワットアワーということになります。

菅(直)委員 これは経産大臣も御存じかどうか分かりませんが、岡山には、昔、塩田というのがあったんですね。その塩田は、もちろん、塩は今は別のやり方で取りますから、使っていなかった。そこを、かつてゴールドマン・サックスにいた方が中心になって始めて、現在、二百六十ヘクタールの中で二十三万五千キロワットをやっていると。これを比率で計算すると、たしか日本の総電力の〇・〇二%ぐらいに当たると思いますが、どうですか。

茂木政府参考人 発電電力量で申しますと、大体、一兆キロワットアワーに対しての三億キロワットアワーということになりますので、〇・〇二から〇・〇三%程度というふうに存じます。

菅(直)委員 これは相当のものなんですよ。

 じゃ、もう一つ、多少私にとって身近な例を挙げますと、大阪湾に、今、日本維新の会がカジノを含むIRを計画している夢洲というところがあります。この間、行ってきました。そうしたら、その一角の十五ヘクタールに、十メガワット、約一万キロワットの太陽光発電、大阪ひかりの森プロジェクトという名の太陽光発電所がありました。

 この立地は、埋立地は、地盤が元々埋立てですから、地盤が非常に、一般的に言うと悪いんです。ですから、余り大きな建物を建てようと思うと、その土壌改良に物すごい金がかかって、今、維新は、一円も出さないと言っていた市長が、七百九十億もかけて今から土壌改良をやると言っています。

 私は、カジノは諦めて、他の用途に使えるところ以外は、カジノ用地とかIR用地のところは、残ったところはできるだけ太陽光発電を拡大した方がいいと。太陽光発電の場合は、それほど下の土地がしっかりしていなくても十分できますから、そうすべきだと思いますが、大臣、御意見があれば聞かせてください。

萩生田国務大臣 自治体の所有の土地で、自治体が、都市計画、どういうものを造るかというのは、それぞれの地域の権能でありますので、こっちがいいとかあっちがいいとか、これはやめさせろとか、こっちを進めた方がいいんじゃないかというのを、国が関与するのは望ましいと私は思いませんので、特別コメントはございません。

菅(直)委員 これが、いかに再エネに対して経産大臣が、積極的になっていろいろ言ったっていいじゃないですか。私は再エネのために言っているんですよ。カジノに反対しろなんてことを、まあ私自身は思っていますけれども、そうじゃなくて、カジノよりもこういうやり方の方が国民的にいいんじゃないかということで、一つの提案として御意見を聞いているのに、何か役人答弁みたいで残念ですが、もし何か追加の答弁があれば聞かせてください。(萩生田国務大臣「ないです」と呼ぶ)ないですね。

 ですから、こういうものなんですよ、今の、残念ながら、経済産業省は。本来なら最も新しいものに向かって進むべきところが、何か全部、できない理由を一生懸命並べてやっているように思えてなりません。

 そこで、今私が非常に期待しているもう一つの太陽光発電があります。これは、営農型太陽光発電、近年、農林省が大変積極的に取り組んでおられます。一般の皆さんには余り知られておりませんので、是非一般の国民の皆さんにできるだけ理解できるように、この営農型太陽発電の原理と現在の状況を農林省の担当者に、説明をしてください。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 営農型太陽光発電とは、農地に支柱を立てて、農地の上部空間に太陽光パネルを設置し、営農を適切に継続しながら発電を行う取組であります。

 営農型太陽光発電の取組は、再生可能エネルギーの導入だけでなく、農業収入に加え、売電収入を得ることによって農家所得の向上が図られるというメリットもあり、地域農業の活性化にも資すると考えております。

 農林水産省においては、営農型太陽光発電設備を設置する技術が確立し、その取組に対するニーズが高まってきたことを踏まえ、平成二十五年三月に、営農型太陽光発電設備を設置する場合の農地転用許可制度の取扱いに係る通知を発出し、太陽光パネルの支柱部分についての一時転用許可を受けることで取り組めることを明確化しました。

 また、平成三十年五月には、荒廃農地を再生利用する場合や担い手が営農する場合などにおいては、一時転用許可期間を従来の三年以内から十年以内に延長する見直しを行ったところであります。

 今後とも、優良農地を確保しつつ、経済産業省などの関係省庁とも連携しながら、地域活性化に資する形で営農型太陽光発電の導入を進めてまいります。

菅(直)委員 資料二をお示しするのをちょっと忘れていましたが、資料二、農林省自身が発表されている、最近は毎年のように発表されていますが、二〇二一年度版の営農型太陽光発電取組支援ガイドブックというものの主要なところだけお示しをしておきました。

 この中に幾つかの事例が、農林省のこの資料の中に入っております。それで、計算してみますと一アール当たりどのくらいの年間の発電量があるか、あるいは、一ヘクタール当たりにするとどのくらいの年間発電量になるか。私なりには計算をしておりますが、できれば農林省の方から、大体でいいですから、一ヘクタール当たり。

 ここには、例えば事例一とか事例二が書いてあります。これは皆さんが出した資料ですよ。例えば、事例の二には、六アールの土地で三十五キロワットのソーラーパネルが置けると。そうすると、大体一アール当たり六キロワットでしょうか。それが一ヘクタールだと五百以上にはなるかなと思いますが、農林省の方から、皆さんが出されている資料に基づいてのおおよその、一ヘクタール当たりの、どのくらいのパネルを設置できるかということをお示しください。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 様々な事例がありますが、今委員から御指摘のあった事例などを加味しますと、農地一ヘクタールにつきまして五百キロワット程度の発電パネルを設置可能と試算されております。これは一つの試算でございます。

菅(直)委員 一ヘクタール当たり五百キロワット。

 日本の農地面積は全部で幾らですか。

川合政府参考人 日本の耕地面積は、令和三年で四百三十四万九千ヘクタールでございます。約四百万ヘクタールでございます。

菅(直)委員 私も、初め、このソーラーシェアリングというのは、もっと小さいのをたくさん千葉などで見てきましたが、場所が要るんですね。オーストラリアのように広い土地が空いているところだといいんですが、日本で平らな土地で日がよく照る土地というのは、ほとんど農地なんです。ですから、なかなか農地に造れないかなと思っていましたら、農林省が積極的に今こういう営農型太陽光発電を推進されていて。

 今、一ヘクタール当たり五百キロワット、四百万ヘクタールと言われました。これで、もし全部を使って発電したとき、もちろん下は農業をやるんですよ、やったときに、今の数字を掛け算で合わせると、年間発電量は幾らになりますか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 四百万ヘクタールに、一ヘクタール五百キロワットということで、委員が著書の中で示している中では、一日平均三時間、日照時間があるという前提を置きまして、年間三百六十五日で約三時間の日照時間がありますので、これを掛け算いたしますと、委員の著書の中の試算では二兆キロワット、こうなっております。

菅(直)委員 ですから、今言われた一ヘクタールというのはさっき言われたんですし、五百キロというのも言われたので、四百万ヘクタールというのも言われたので。私がちょっと言い忘れたのは、大体、三百六十五日あれば、一日平均三時間ぐらいは日照がありますから、それを千時間。そこまで言われて、計算されていないんですか、その計算式を。計算してみたら幾らになりますか。計算の結果で結構です。

川合政府参考人 お答え申します。

 計算しますと、二兆キロワットでございます。

菅(直)委員 では、せっかくだから経産大臣にもお聞きしましょう。

 二兆キロワットアワーというのは、今、日本の総発電量は幾らですか、年間の。お分かりですか。

茂木政府参考人 おおよそ一兆キロワットアワーでございます。

菅(直)委員 経産大臣、よく頭に入れておいてくださいよ。

 もちろん、まだいろいろな仮定はありますよ。しかし、少なくとも、農林省が自らの資料で私に返答したのをお聞きになったと思いますが、四百万ヘクタールを、五百キロワットのソーラーパネルを置いて、千時間の日照はほぼ可能ですから、それでいくと二兆キロワット。そして、現在、それが実現できるかどうかということが最大の問題だと思います。

 私はこの間、いろいろなエネルギーの話を聞きましたが、もちろん、地熱もあるし、いろいろなことがあります。しかし、これだけで日本の必要とする電力が、少なくも理論上は二倍の電力量が確保できるというような、そういう提案はありません。

 経産大臣、この二兆キロワットアワーというものは、そういう可能性を持った数字だと思いませんか。

萩生田国務大臣 先日もお答えしたんですけれども、ソーラーシェアリング、私もいいと思います。農業の皆さんと知恵を出して、こういった方法でエネルギーも生み出しながら農作を続けるというのは一つの知恵だと思いますので、決して否定するものじゃありません。

 ただ、万能ではないと思うんですね。農作物によっては、やはりもっとフルに太陽が必要な作物もありますので。

 私も先生の質問を機会にいろいろ調べてみたんですけれども、ミョウガですとかフキですとかウドですとか、こういったものはよく育つみたいなんですけれども、なかなか、青物なんかはやはりもう少し工夫が必要なのかなと思いますので、農業をどう自給率を高めていくか、その中でこのソーラーシェアリングをどう活用していくかというのは、是非研究の価値があると思います。

菅(直)委員 これを最初に発明した人は、植物に対する太陽の影響を相当調べられて、ある一定以上の太陽光が当たってももうそれは成長には関係しない、場合によっては乾燥し過ぎてよくない場合もある。もちろん、中にはそれがもうちょっとあった方がいい場合もありますけれども、一般的に言えば、ほぼ半分で、つまりは十分可能だと。

 多くのところで、必ずしも農地を使った形ではない実験というよりは実践が、もうあちらこちらで行われています。私も、歴代の総理大臣三人で何か所かは見てまいりました。

 ですから、経産大臣、万能ではないという言い方は、もちろんそのとおりです。万能だとは言っていません。ただ、可能性として、ちょっぴりじゃないんですよ、可能性として二兆キロワットアワーの電力が発生できる、理論的にはそういう可能性があるということを、しっかり、少なくとも、これは経産省だけに限りません、国民の皆さんに理解してもらって。

 それによる弊害が何があるか、私もいろいろと今、農林省とも話をしています。例えば、北海道なんかは比較的まだ高い生産性を誇っています。しかし、多くの都道府県では、もう農業従事者の平均年齢が七十歳を超えているところが大部分で、その後を継ぐという人は非常に少ないし、また、継いだとしても、農業だけで食べていけるだけの収入がとても確保できないところが大部分です、北海道を除けば。

 そういうことを考えると、私は、農林省が、ある意味では、農地を使いながら、農業を継続しながら、そして一緒になって電力を発生する。私はこう言っているんですよ、農林省に、役所の名前を変えるように努力したらどうですかと。どういう名前か。農林水産再エネ省にしたらどうですかと。これは単なる思いつきじゃないんですよ。

 考えてみてください。今から百年前、二百年前、ほとんどの世界、日本を含めて、エネルギーは何でしたか。エネルギーのもとは炭とかまきですよ、バイオマスですよ。なぜ、二百年前、三百年前はCO2が増えなかったんですか。それは、燃やしたときにCO2が出るけれども、生えて成長するときにCO2が吸収されますから、CO2フリーなんですよ。

 だから、私は、農林省がこのことを進めることは、そういったCO2フリーという意味もあるし、そういう農業を守りながら、一方で、きちっと生活が成り立つような収入が確保できる、こう思いますが、経産大臣、それでも余り変わりはありませんか、答弁は。もうちょっと前向きな答弁はできませんか。

萩生田国務大臣 先ほど冒頭申し上げたとおり、私はいい考え方だと思います。

 したがって、所管外のところもありますから、その辺は、経産省が農林省の畑や田んぼにどんどんソーラーパネルを造る、そういうわけにはいかないと思うので、有効性をよく検討していったらよろしいと思います。

菅(直)委員 多少前向きの答弁をいただきましたけれども、私は、本当に経産省と農林省がしっかり、もちろん多少の意見調整はやっておられると思いますが、共同プロジェクトをつくって研究されたらいいと思いますよ。

 そして、何度も言いますけれども、ちょっとくどいかもしれませんが、これだけのキャパシティーがある再生可能エネルギーというのは残念ながら見当たりません。先ほども、風力の話も、私も現場も見てきたし、いろいろな国も見てきましたが、残念ながら、風力の適地は、浅い海が少ない日本では海上がなかなか伸びていない、他のやり方も伸びない。そういうことを考えると、まさに農業を継続しながらそれをやっていく。

 もう一つだけ、一般の国民の皆さんに分かりやすいために一言だけ言いますが、政策的な何が変わったことによってこれが可能になったのか。これは、柱の下だけの宅地転用。

 農地というのは、農地法上、一般的には構造物を造れないわけですが、農林省が、どなたか頭のいい人が、例外的に太陽光発電の柱の下だけは宅地転用を認めようと。これが急激に拡大していく一つのきっかけになったと私は見ていますが、農林省の担当者に、どうですか、私の見方は間違っていますか、それとも正しいですか。

川合政府参考人 委員御指摘の農地の一時転用につきましては先ほど答弁したとおりでございますが、まさにそれが一つ大きく要因であったのは事実でございます。

 ただ、やはり営農型太陽光発電の導入に当たりましては、それぞれの農地において、太陽光発電と営農が継続的に両立できるような日照、土壌、作物の適切な組合せが見込めること、それから売電のための電力網への接続が容易である、こういった立地条件を満たすかどうかも非常に重要な要素でございますので、我々は、関係省庁とも連携しまして、ガイドブックの作成や農業者に対する相談体制の整備など、引き続きしっかり後押ししてまいります。

菅(直)委員 そろそろ時間ですので終わりますが、今最後に言われたことが物すごく重要だと思うんです。まさに関係省庁とこれは連携していただきたいんですよ。

 農林省にとっては、やはり農業を守るというのは当然、ある意味では最大の政策目標です。しかし、現在の状況では、七十歳以上の人で、息子さんや娘さんが農業に戻るという人は少なくなっています。そういう中でやれば、農業収益プラス発電収益で十分成り立つ。それには送電網やいろいろな問題がありますから、経産省と農林省が一緒になってやることで、私は、日本においての全ての発電を再生可能エネルギーで実現するということは、両省が協力してくれれば必ずそう時間がかからずに実現できると。

 このことを申し上げて、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、漆間譲司さん。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 初めに、経済産業省の気候変動対策、気候変動適応策についてお伺いいたします。

 気候変動に関する政府間パネル、IPCCによりますと、仮に二〇三〇年にCO2排出量半減、二〇五〇年にカーボンニュートラルを達成したとしても、工業化以前より気温は一・五度上昇し、十年に一度や五十年に一度の極端な気候の発生確率はほぼ倍増し、海面上昇も継続するとあります。ですので、カーボンニュートラルによって一・五度以上の上昇を防ぐ、緩和するということと併せて、それでもなってしまう一・五度上昇の温暖化による気候変動へのいわゆる適応策も、しっかりと両輪でやらなければなりません。

 昨年十月には、政府におきまして、気候変動適応計画が改定されました。近年激甚化、頻発化している災害について言及するとともに、気候変動への適応策が挙げられています。

 その中で、経済産業省の関連するものといえば、私が思う限りでは、例えば、日本は非常に気象災害が多い国ですので、日本の防災技術の普及はESG投資を呼び込み、産業化にもつながると思いますし、ある建設会社が海底都市構想というものをやっておるんですけれども、こういったものも気候変動への対応としてESG投資を呼び込むものに資するものだと思いますし、温暖化した場合に想定される重要な物資や資源の確保も必要かと思いますが、昨年十月改定されました気候変動適応計画の適応策において、経済産業省の所管分野についてはどのような内容が該当するのでしょうか。お伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動に対処するには、温室効果ガスの排出を抑制する緩和策だけでなくて、既に起こりつつある気象変動の影響を防止、軽減する適応策の強化が必要である、そうしたことは、サプライチェーンにおける災害リスク回避など、様々な観点から、そのニーズは高まっております。

 国連環境計画、UNEPというのがあるんですけれども、途上国の適応に係る市場規模、こういったものを、二〇五〇年時点で年間最大五十兆円に達するという試算もございます。

 そうしたことで、経済産業省としては、ただいま御紹介のありました適応計画に基づきまして、気候変動への適応に資する技術、製品、サービスを提供する適応ビジネスを推進していこうということで、例えば、豪雨災害に対する被害軽減に貢献する気象レーダーとか、強風や乱流でも発電が可能な風力発電機、こういったものが日本企業にございます。こういった日本企業の適応分野の優良事例集を作成したり、あるいは、日本企業が海外で適応ビジネスを展開する際のガイドブックを策定、公表したり、あるいは、COP26などの国際的な場面で途上国政府との間での官民対話を行うということで、日本にはこういう技術、製品がありますよということを知らしめるというようなことで、日本企業の適応ビジネスの情報発信を行っております。

 こうしたことで、官民連携によって日本企業の技術力を活用した適応ビジネスを推進しているというところでございます。

漆間委員 気候変動適応計画では、「気候変動を安全保障上の課題と捉える」との記述が見られます。また、今国会では、閣法として経済安全保障推進法案が提出され、現在、参議院でも審査が続いております。

 例えば、現下のウクライナ情勢に鑑みると、我が国はロシアとの間で水産物、ウクライナとの間で穀物等の取引がなされていると承知していますが、気候変動は、これら農作物や水産物などの取引に影響し、貿易等による国家間の取引にも大きな影響を与えるものと思われます。

 このように、気候変動が国際的な経済活動に与える影響について、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。

萩生田国務大臣 気象関連災害の損害額は年々増加しており、気候変動が深刻なグローバルリスクにつながることへの懸念も高まっていることから、気候変動の緩和対策だけではなく、気候変動の影響への適応対策などを通じた災害へのレジリエンス向上が経済社会の安定に直結すると認識しております。

 また、こうした災害リスクの対応を、単なるリスク管理のコストとみなすのではなくて、新たな物やサービス、事業の創出など、チャンスと捉えることも重要だと思います。特に、途上国の適応に対して、日本企業が有する技術やサービスを提供し、貢献することで、日本企業のグローバルな新事業創出や産業競争力の強化にもつながっていくものと認識しています。

 経産省としては、これまでも、事例集作成や途上国とのウェビナー開催による日本の技術紹介など、民間主導による途上国における適応ビジネスの後押しをしてまいりました。こうした具体的な解決事例の展開を、COPなどの場を通じて、途上国政府と官民対話などでも積極的に取り組んでいるところでございます。

 気候変動への適応対策が、カーボンニュートラルに向けた取組と併せて、企業の成長機会創出や産業競争力の強化につながるよう、全力で取り組んでまいりたいと思います。

漆間委員 IPCCの直近の報告を見ますと、この気象変動への適応策に関する報告がどんどんと最近上がっております。ここに、これからESG投資もどんどんと増えてくるものかと思いますので、是非、日本の産業がこの流れに乗っていけるように、よろしくお願いいたします。

 続きまして、省エネ法改正関係につきまして質問をさせていただきます。

 近年、SDGsやESG投資など、環境配慮も企業価値と重視される中、我が国の企業の中には、サステーナビリティーへの取組として、RE一〇〇という、企業が自らの事業で使用する電力を一〇〇%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブに参加する企業も見られます。

 そこで、経済産業省にお伺いいたします。

 今般の改正により、省エネ法について、非化石エネルギーへの転換の促進のため、企業は、再生可能エネルギー等、非化石エネルギーの使用割合の向上が求められることになります。これにより、一定規模以上の企業は、非化石エネルギーへの転換に向けた目標を定め、定期的に、非化石エネルギーの使用の状況等について、国に対し報告する義務が課されます。

 さらに、政府資料によりますと、非化石エネルギーへの転換が進んでいる者を評価する枠組みも検討するとありますが、どのような仕組みで評価をするのでしょうか。企業単体でなく、サプライチェーン全体での取組を見込んだ評価が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 省エネ法の改正案の非化石エネルギーへの転換に関する措置でございますが、これは、経産大臣が定めます判断基準に沿いまして、事業者ごとに、非化石エネルギーの使用割合の向上の定量的な目標を設定していただきまして、その達成を求めてまいります。

 その上で、非化石エネルギーの使用割合の増加の状況等を踏まえまして、非化石エネルギーへの転換が進んでいると評価される事業者に対しましては、例えば、予算措置などによりまして支援を行ったり、それから優良事業者として公表するというようなことも検討してまいります。こうした措置によって、事業者の非化石エネルギーへの転換を促してまいりたいというふうに考えています。

 なお、省エネ法の中で、サプライチェーン全体をという御指摘もございました。一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対して、事業者が自らエネルギーを管理できる、つまり、直接的にエネルギーの調達をするというような、範囲内での取組を求めるものでありますので、サプライチェーン全体での非化石へのエネルギーの転換については、エネルギーの使用の合理化、あるいはこの非化石エネルギーへの転換について、法律の対象にすることは適切ではないと考えていますので、今回の改正省エネ法に基づく評価の対象外というふうに考えております。

漆間委員 ちょっと追加でお聞きさせていただきたいと思いますが、是非、サプライチェーン全体による取組や再生可能エネルギーの卸売市場の活用といった経営判断を尊重する評価の仕組みをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、民間企業におけるサステーナビリティーに関する基準やESG評価への対応と整合性の取れた評価の在り方も必要かと思いますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 非化石エネルギーへの転換につきまして、どういったものを事業者にとっての非化石エネルギーとしてみなすのかということは、先ほど私、申し上げました、直接的に自らが自社の工場内で非化石エネルギーを例えば設置する、太陽光を設置する、こういったものはもちろん含まれますし、先ほど委員から御指摘のありました、外部の非化石市場から調達をするというようなケース、例えば、これは証書を買ってくるとかいろいろなケースはあると思います。外部電源をもちろん購入されるケースもありますし、違う電源を購入されて、非化石の何らかの証書のようなものを買ってきてオフセットをする、こういった形態もあるかと思います。

 もちろん、直接的な電源の調達と、そういった証書による調達というものを、どういう形で評価するかということは、一定の考え方の整理が必要かと思いますが、そうしたものも含めて検討はしてまいりたいと思います。

 それから、もう一つ、サプライチェーンも含めて、企業の方、企業自身は様々なSDGsの活動を行っておりますので、こうした取組と、やはり事業者にとってそれが新たな負担となったり、違う形でその取組を阻害するようなことにならないように、その点の検討は進めてまいりたいというふうに考えています。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

漆間委員 続きまして、先ほど述べましたRE一〇〇への加盟など、SDGsやESG投資などに対する世界的な関心が集まる中、環境に配慮した取組を行う企業は、環境先進企業として国際的にも取引先などステークホルダーに評価される一方、環境に力を入れない企業に対しては国内外からの投資が集まらず、国際競争力の低下につながるおそれがあります。

 こうしたサステーナビリティーへの取組は、企業トップの経営判断として行われるものが多く、近年、環境、社会、経済の持続可能性への配慮により、事業のサステーナビリティー向上を図るサステーナビリティー経営の重要性が高まっています。

 今般の省エネ法改正は、再生可能エネルギー等の非化石エネルギーへの転換を促進するもので、サステーナビリティー経営の方向性とも整合するものと考えられます。しかし、その手段としては、非化石エネルギーへの転換についての定期報告義務等の規制よりも、企業の自助努力を促すことが重要だと考えますが、環境等に配慮した経営を行う企業に対するインセンティブの在り方について、見解をお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 気候変動対策が世界的な課題となって、ESG資金が世界全体で三十五兆ドル規模にまで高まる中で、CO2の排出削減に向けた取組を積極的に行う企業が、おっしゃるとおり、ESG資金を呼び込んで成長につなげていくということが、経済と環境の好循環のためにも重要な課題でございます。

 そこで、例えば、企業の気候変動への取組の情報開示、これはESG資金を市場から呼び込むための基盤となるということで、経済産業省としては、気候変動情報開示の世界的な枠組みでありますTCFDを支持して、関連するガイドラインの策定やTCFDサミットの開催を通じて、積極的な開示を推進してまいりました。この結果として、日本のTCFD賛同機関数は七百五十を超えて、世界最多というふうになっております。

 また、鉄鋼や化学などのCO2をたくさん排出する産業が着実に炭素中立に向かうためには、移行段階に必要な取組に対する資金供給、いわゆるトランジションファイナンスの普及が重要でございます。

 そこで、私どもとしては、昨年五月に金融機関などに向けた手引となる基本指針を関係省庁と策定するとともに、この指針に基づいて、ファイナンスの実務の参考となるように、トランジションとみなすことのできる取組を整理したトランジションロードマップというものを、七つの分野について策定しています。

 その上で、事業会社がトランジションファイナンスを行うに当たって第三者認証が必要となるんですけれども、この認証費用の補助も実施しておりまして、実績として、二〇二一年度末までには計十二件、三千億円程度のファイナンスが組成されております。

 さらに、経済産業省では、成長に資するカーボンプライシングというのも進めております。カーボンニュートラルに向けた挑戦を行う企業が、議論と実践を通じて、自社のみならず、経済社会システム全体の変革を牽引する、そこで新しい市場を創造して国際ビジネスで競争力を発揮するというような仕組みとして、GXリーグの具体化に向けた検討を進めております。

 このGXリーグでは、自主的な排出量取引とそのための取引所の整備に加えて、排出削減に資する企業の新しいビジネスへの挑戦の支援や、こうした新たな挑戦を行う企業に関する情報開示を通じた世界のESG資金の呼び込みというのを取り組んでまいりたいと思っております。

 引き続き、ESG資金の呼び込みに向けた様々な環境整備を進めて、企業の前向きな挑戦を後押ししてまいりたいと思っております。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

漆間委員 GXリーグにつきましてはたくさんの企業が参加できるように、是非よろしくお願いいたします。

 今般の改正がなされた後も、エネルギー使用の合理化の目標規定としてエネルギー消費効率年一%の改善が継続されるということなんですけれども、この一%改善の数値の一%の根拠はどのようにして定められたものなのでしょうか。これは二〇五〇年カーボンニュートラルに資するような算定根拠があるのでしょうか。お伺いいたします。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、二〇三〇年の温室効果ガスの削減目標、これを達成する観点から、昨年、第六次エネルギー基本計画が策定されまして、その中で、二〇三〇年に到達すべき省エネの目標、一次エネルギーの消費量の削減目標というのを掲げております。これを実現していくために省エネ法というのは非常に重要なツールになってまいります。

 省エネ法の中では、エネルギーの消費原単位の年平均一%以上の改善目標というのを、これは一つの目安となる目標として掲げております。これは、事業者が行います設備投資ですとか省エネ対策の効果を踏まえて、事業者に可能な省エネ取組のレベルとして設定をしております。これは、ある意味、一律に産業界に対して一%の、一つの目安、目標として取り組んでいただくという形になっています。

 なお、省エネ法の対象事業者における五年度間の平均エネルギー消費原単位の改善状況というのを見てみますと、直近五年間で約一%から一・五%程度改善しているということで、こうした実績から見ても、一定程度、適切な目標になっているのではないかと考えています。

 また、省エネ法では、既に省エネを相当進めてきた事業者というのがおります。これは、一九八〇年代等にかなりエネルギー消費原単位を改善した産業も多くございまして、こうした、既に省エネの取組を進めてきた事業者の取組を適切に評価するために、消費原単位の年平均一%という改善目標とは別に、それぞれの業種ですとか分野別で目指すべき高いエネルギー消費効率、これは絶対比較するような形で目標を定めておりまして、その達成も求めるベンチマーク制度というのも運用しております。

 したがって、一%の改善目標になかなか届かないケースであっても、こうした、業種の中でのトップランナーを皆さんで目指しましょう、そういった全体の取組を促すような仕組みになっているということであります。

 いずれにしましても、二〇三〇年の温室効果ガス削減目標の実現に向けまして、今申し上げたような規制的な措置と、それから省エネ投資に対する補助金などの支援措置を組み合わせまして、事業者の省エネ投資の喚起ですとか日々の省エネ努力を促してまいりますし、それから、全体で省エネ目標を達成しようと思いますと、家庭部門なども含めて、例えば家の断熱の強化ですとか高効率の機器を普及していくとか、こうした取組と併せて二〇三〇年の省エネ目標を実現してまいりたいというふうに存じます。

漆間委員 取組の評価に関しては、年一%のエネルギー使用の合理化にとらわれることなく、実質的にエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換の効果が高い場合は高評価が得られるようにするとともに、評価結果に基づく罰則の適用や低評価の結果公表は慎重に行い、高評価の結果を積極的に開示するなど、事業者にインセンティブを与える措置を積極的に講じていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、レアアース関係、質問をさせていただきます。

 ロシアによるウクライナ侵攻により、鉱物資源に安定供給の危機をもたらしており、先日の一般質疑においても、半導体製造に欠かせないネオンガス、EV向けリチウムイオン電池の正極材として用いられている高品位ニッケルについて質問させていただきました。

 我が国において、過去にも鉱物資源の安定供給不安をもたらす出来事がありました。二〇一〇年に発生した中国によるレアアースの輸出許可枠の削減、いわゆるレアアースショックです。レアアースはレアメタルの一種であり、電気自動車のモーターや液晶パネル、パソコンのデータを保存するハードディスクや自動車の排ガス浄化装置に使われています。

 当時、中国は、レアアースの世界供給の九割以上を占めるとされ、我が国の産業に大きな影響を与えました。中国は、採掘による環境汚染を理由としてレアアース輸出枠を削減していましたが、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に絡めたものであるという報道も当時はございました。

 そこで、経済産業省にお伺いいたします。

 政府は、今回の法改正により、レアアースを鉱業法上における鉱物として定めることにより、資源の適正な管理及び国内生産の円滑化などを図るとしておりますが、この中国の出来事以降、レアアースを始めとした希少な鉱物資源の確保に向けて、どのようなことに取り組んできたのでしょうか。よろしくお願いいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、レアアースを始めとする一部の鉱物資源については、特定国への埋蔵、生産の偏在でありますとか、価格ボラティリティーの大きさ、資源国におけるナショナリズムの先鋭化など、安定供給の確保には様々な課題が存在してございます。

 今回の法律に加えまして、政府としては、これまで、例えば、資源外交を通じた南部アフリカ諸国やペルーなどの資源国との関係強化、あるいはJOGMECを通じた資源探査や民間企業のレアアースを始めとした資源開発プロジェクトへのリスクマネー供給、加えまして、蓄電池やモーター用磁石に使用されるニッケル、コバルト、レアアースなどのリサイクルや使用量低減に関する技術開発の推進など、需給両面にわたる対策に取り組んできたところでございます。

 また、レアメタルについては、短期的な供給障害などに備えるための国家備蓄も実施してございます。

 こうした取組を総合的に講じることで、引き続き、鉱物資源の安定供給の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

漆間委員 先ほど御答弁の中にもございました、リサイクルによる希少な鉱物資源の確保や、希少な鉱物資源を使用しない代替技術の確保など、具体的な取組内容などありましたら、よろしくお願いいたします。コメントをお願いいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 レアアースは、先ほどの御指摘にもございましたように、特定の国への偏在度が高いという課題を抱えておりますし、レアアースの採掘時や製錬時に環境負荷がかかるものであると認識をしております。他方、我が国が強みを持つ電動自動車等の高性能モーターに欠かせない磁石と、それを供給する原料であるというものでございます。

 このため、政府としましては、レアアースを含めた希少金属につきまして、安定供給確保に向けて、リサイクルや代替技術の開発に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、リサイクルについては、画像認識技術を活用し、廃小型家電等を製品レベル、部品レベルで自動的に認識して選別するプロセスの開発や、高効率な製錬プロセスの開発を進め、希少金属の高効率なリサイクルの技術開発に取り組んでいるところでございます。

 また、代替技術に関しましては、電動車の高性能モーターに必要なレアアース磁石において、レアアースの使用量を極力減らす又は使用しない技術開発に取り組んできているところでございます。

 引き続き、こうしたレアアースのリサイクルや代替技術の開発を促進しまして、早期に社会実装につなげることで、日本のレアアースのサプライチェーンの強靱化につなげてまいりたいと考えているところでございます。

漆間委員 引き続き、よろしくお願いいたします。

 次に、ちょっと、今法案とは外れますが、エドテックについて質問させていただきます。

 エドテックに関しましては、昨年十二月の臨時国会時の今委員会で質問させていただいたところです。その後の二月二日に、教育立国推進協議会というものの会議の中で、エドテックを経産省で推進しております浅野大介教育産業室長の御講演を聞かせていただきまして、その講演の中で、DXで学校を高信頼性組織に変える取組の御説明がございました。

 その中で、非常に印象に残った言葉がありました。読み上げさせていただきます。

 職員室の中が今どれだけ、先生たちが不自由な状態に置かれていて、負の同調圧力の中で先生たちが考えられない状態の中に置かれてしまっている学校組織で、あれをやれこれをやれ、あれをしようこれをしよう、教育のDXだのやったところで、窮屈になっていくだけだというのが苦しいながら現実なんだというのがこの数年で本当に分かってきたところと。

 以上、読み上げなんですけれども、この言葉から、ちょっと、エドテックを進める上での何か手詰まり感みたいなものを感じたんですけれども、この手詰まり感を解消する新たな方策や戦略といったものは今お持ちなんでしょうか。私、是非、これを応援したいと思っておりますので、何かありましたらよろしくお願いいたします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、「未来の教室」実証事業として、一人一台端末と、委員御指摘のエドテック、これを活用しまして、学びの自律化、個別最適化、学びの探求化、STEAM化、こういったことをテーマにした学習環境モデルづくりを進めてきております。

 その実証事業の一つであるルールメイカー育成プロジェクト、このプロジェクトにおきましては、全国十二の中学、高校の教師、生徒が、大学、NPOなどの外部支援者と日常的にオンラインでつながりながら、論理的、対話的に校則改正を進めるプロジェクト型の学習を実施をいたしました。

 ある実証校の教師は、教師自身が負の同調圧力から解放され、学校の課題や疑問を口にできるようになったと振り返っております。こうした成果を文部科学省にも共有し、共に全国的な輪に広げていくことも提案していきたいと考えております。

 一方、我が国のイノベーション創出、これの成否を左右する、子供の頃からの探求心、研究心の育成、こういった課題などは、学校だけに負荷をかけることなく、企業や大学のネットワークによる新しい民間教育の場も必要ではないかと考えております。こうした場を、家庭や学校に次ぐサードプレースとして全国的に構築していくことを今年度から実証事業の項目に追加し、推進していく予定でございます。

 今後も、企業やNPO、大学など研究機関、文部科学省など関係省庁との連携の下、次世代を担う子供たちの学びの改革をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

漆間委員 サードプレースということで、すばらしいと思います。よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 本法案に関しては、先週、本会議でも一通り質問させていただきました。

 今回の法案に含まれている電気事業法の改正について私は質問をさせていただきます。

 その中で、今回の改正で、再生可能エネルギーの供給能力をできるだけ有効活用できるように、大型の蓄電池から放電する事業を発電事業というふうに位置づけているんですね。このことによってますます蓄電池の需要や重要性が増していくものというふうに考えられます。

 そこで、今日は、三十五分の時間全てを蓄電池一本に絞って御質問させていただきたいというふうに思っております。

 最初に、萩生田大臣にお尋ねをいたします。

 この蓄電池導入を進める理由、推進すべき理由というものをお伺いしたいというふうに思います。そして、その際、火力発電の削減との関係がこの蓄電池にどう関わってくるのかということについても触れていただければと思います。

萩生田国務大臣 再エネは、エネルギー安全保障にも寄与し、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて鍵となる重要な国産エネルギー源です。

 一方で、再エネの最大限の導入を進めながら電力の安定供給を確保するためには、風力や太陽光のように自然変動する電源の導入と併せて、需要と供給を一致させるための調整力を確保する必要がございます。

 この調整力については、これまでは火力発電等によって賄われてきたものの、カーボンニュートラルの実現に向けては、調整力の脱炭素化が重要であり、蓄電池は有効な手段の一つです。

 このため、政府としては、今回の法改正において、蓄電池を発電事業に位置づけ、電力系統に円滑に接続できるようにする。あわせて、系統用蓄電池の導入費用に対する補助も行うことなどにより、再エネの最大限導入と調整力の確保に向けて取り組んでまいりたいと思います。

小野委員 御答弁いただきました。

 再生可能エネルギーの導入を進めるために、やはり、特に太陽光発電は、これは昼夜の発電量が、当然大きくなりますし、また、昨年の暮れぐらいに電力がヨーロッパでも非常に価格が上がってしまったこの理由というのは、イギリスの風力発電所、洋上風力発電所の出力が予想より大幅に下回ってしまったというようなことがあったからだということでございますけれども、そういうことを考えれば、予測がなかなか難しい、コントロールを安定的にすることが難しい再生可能エネルギーの短所を補うためには、やはり蓄電池をしっかり活用していくことが不可欠だというふうに思っています。

 そういう意味で、おとといも今日も、委員の皆様から、再生可能エネルギーをどんどん進めるべきだということは、それはもちろんカーボンニュートラルを進める上では大切なんですけれども、しかし同時に、この蓄電池というものもしっかりと整備を充実していくことが必要だと思いますし、また、今回の法改正によって、蓄電池で蓄電する、そして放電するということ自体が発電事業なんだというような位置づけをしたということは、非常にカーボンニュートラルを進める上では大きな政策判断だというふうに思っています。

 その中で、これからどうしていくかということなんですけれども、まずお伺いしたいと思いますのは、現在、蓄電池の国内の導入状況がどうなっているのかということ。そして、国内における供給状況ですね、これは供給がどこからされているかというようなこと。そして、今、世界的に見て、蓄電池の導入状況が日本はどういう位置にいるのかということを答弁いただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず、蓄電池の導入状況についてでございますが、車載用蓄電池については、電気自動車の二〇一七年から二〇二一年の累計新車販売台数で比較いたしますと、日本が約十万台であるのに対して、中国で約五百七十万台、欧州で約二百五十万台、そして米国で約百三十万台となっております。

 次に、定置用蓄電池についてでございますが、二〇一九年までの累積導入量で比較いたしますと、日本が約十ギガワットアワーであるのに対して、中国で約二十六ギガワットアワー、ドイツで約二ギガワットアワー、米国については、米国内で導入が進んでいるカリフォルニア州の数字しかございませんが、これは約三ギガワットアワーという形になっております。

 また、国内で導入されている蓄電池の国産比率についてお答えをいたしますと、例えば、日本の家庭用蓄電池の市場の約七割が韓国企業が占めておりまして、日本企業は約三割にとどまっているというふうに承知をしております。

小野委員 ありがとうございます。

 本当に、先ほど落合委員からも指摘がありましたけれども、これから車載用の燃料電池というのが非常に重要だというように思います。それは、再生可能エネルギーとかという話を今していますけれども、それと離れて、日本の裾野の広い自動車産業を支えるという意味からなんですけれども、そういう意味では、先ほど御答弁いただいた数字、日本が電動車十万台、そして中国は五百七十万台、圧倒的に多いわけですけれども、欧州でも二百五十万ということで、もう既に非常に大きな差がついているということでございます。

 定置用の方、私が今回議題にしている、テーマにしている定置用の方は日本も頑張っているというふうには思います。こちらの方もしっかりと充実させる必要があるというように思っていますけれども、今御披露いただいたこのデータで、是非やっていただきたいことがあります。

 やはり、車は動いているのでずっと蓄電できるわけではありませんが、ただ、やはり住宅においてしっかりと災害のために電気を蓄電しておくというようなことで機能するわけでもありますので、これは、経産省の把握ですと、今、台数ベースでしか車に載っている蓄電池の容量というのが把握できていないんですが、是非、いろいろなデータベース、国交省と連携しながら、一体、車の、今登録されている車でバッテリーがどれぐらいの容量があるのかというのを是非これは把握をしていただきたいというふうに思います。

 特に、自治体とか事業者なんかにおいては、車が止まっていて、そして、例えば休日なんかはそれが蓄電池として大いに利用できるというのがあります。

 ちょうど、昨日、熊本地震が起きて丸六年がたちましたけれども、私も熊本地震で対応に当たっていましたけれども、やはりそういった、車がどれだけあって、それが災害時にはどれだけ機能するのかというのが非常に重要なファクターだというふうに思いますので、是非、先ほど私が申し上げたような観点で、この止まっている車、日本で売れている電動車の蓄電能力というのがどれぐらいのギガワットアワーなのかという把握も、是非、これは防災という意味でも非常に大事だと思いますので、そこは、データの取得、今からだと結構大変かもしれませんが、頑張っていただきたいというふうに思っております。

 次に、蓄電池の普及を進めるための要素として重要なのが、コストの問題になります。

 そこで、お伺いをしたいんですけれども、政府も、蓄電池の導入コストの低減というものを、これをロードマップを描いて、低減をいついつまでに幾らというようなことを掲げているんですけれども、国内の価格がどう変化しているかということ、そしてそれが国際的に見てどうかということを御答弁いただきたいと思います。

茂木政府参考人 蓄電池の普及拡大、これは、やはり、自然変動性のある電源の安定化ですとか調整力の確保、それから脱炭素化という意味においても非常に重要な施策でございます。

 そのためには、やはり導入コストの低減が課題ということになってまいります。例えば、家庭用の蓄電システムでございますけれども、二〇三〇年の価格を現在の三分の一程度の約キロワットアワー七万円、これは工事費込みなんですが、ここにするということを今これは目標として置いております。

 それで、経済産業省が実施する支援策、いろいろございますが、蓄電池の導入を補助しております。この中で、今後、この目標価格に到達するペースで低下させた価格以下の蓄電池のみを支援対象とする、非常に競争的な形で補助金を運用することでコストを下げていくというような戦略を今取っておりまして、その中で実際データを取っているんですが、二〇二一年度の工事費込みの家庭用の蓄電池の平均的な費用が十六・五万円キロワットアワーです。先ほど、目標七万円キロワットアワーと申し上げましたが、二〇二一年度で十六・五万円です。今年度、二二年度は十五・五万円というふうに基準値を設定していますので、これを下回ってくる電池でないと補助金の対象にならないということでございます。

 ちなみに、海外での家庭用の蓄電システムの導入コスト、これは、工事費が入っていなかったり、流通コストが入っていたり入っていなかったりということで、ちょっとまちまちでございますので単純に比較できないんですが、例えば、イギリスでは、工事費なしでキロワットアワー十万円程度と言われています。それから、ドイツの場合には、キロワットアワー十四万円程度と言われています。それから、豪州ではキロワットアワー九万円ということで、地域によって価格はまだ少し違いがございます。

小野委員 ありがとうございます。

 時間のない中で調べていただきまして、感謝申し上げます。

 住宅用の蓄電池というのは、やはり高いなというふうにおっしゃる方は多いんですね。もちろん、施工費がかかったりしますし、そこの部分があるんだというふうに思いますけれども、先ほど、貴重なデータだと思いますが、海外の事例も調べていただきました。それに比べて、これは工事費が入っていないということなので、実際には日本が高過ぎるようなこともないのかもしれません。

 ただ、詳しい方に聞いていると、やはりキロワットアワー当たりの蓄電池の価格が、電動車用の蓄電池というのはやはり安いんですよね。これに比べて、住宅用というのはやはり単価が高いということで、そこの原因というのは、もちろん施工費がかかるとかいろいろあるのかもしれません。あとは、圧倒的多数の数を扱っている自動車メーカーの方が価格交渉力があるということだと思うんですけれども。

 ただ、やはり、経産省として、しっかり蓄電池を普及させるという意味では、コスト削減の努力を図っていくということは必要だと思います。先ほど御紹介いただいたような補助制度でインセンティブをつけていくということももちろん大事だと思いますけれども、それと同時に、やはり、商流がどれだけ無駄があるのかということを厳しく見ていただくというようなことも必要なんじゃないのか。より取引を自由にするような仕組みをつくっていくというようなことがもしあれば、それも努力していただきたいというように思いますので、よろしくお願いします。

 さて、そうやってコストの問題もしっかりと努力するべきだというふうに思うんですけれども、では、メーカーがどのようにこの蓄電池を作っていくのかということについてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 まず、蓄電池の製造能力の国別の世界シェア、これがどうなっているのかということについてお尋ねしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 蓄電池の国、地域別の製造能力でございますが、正確な数値の把握は困難でございますが、主要企業の公開情報等に基づく経産省の推計をいたしたところですが、二〇二〇年時点で、中国が約百五十から百八十ギガワットアワー、これに、欧州が約六十から七十ギガワットアワー、米国が約四十から五十ギガワットアワーと言われる中、日本が約二十ギガワットアワーとなっておりまして、日本のシェアは一割程度と見込まれるということでございます。

小野委員 先ほども別の委員の御質問にもあったかと思いますけれども、シェアが下がっているということで、これをやはり食い止める努力も必要なのではないかというふうに思っています。

 半導体においては、これは戦略的に非常に重要な物資ということで、経済安保法案でも、それをしっかりと、国家戦略を定めて頑張っていくんだと。これは萩生田大臣も本当に頑張っていただいて、そして、今まであり得ないような予算というものも措置されているということでございますが、この蓄電池も実はそういうものに当たるのではないのかというふうに思っております。

 日本メーカーのシェアというのは、先ほども御指摘ありましたけれども、二〇一五年の時点では四割を占めていたんですけれども、五年たった二〇二〇年で、シェアは約半分の二一%になってしまったということです。これは車載用ですね。そして、定置用のリチウムイオン電池に至っては、二〇一五年には二七・四%あったんですが、二〇二〇年には僅か四・五%ということで、中国、韓国があっという間に日本を追い越してしまったということでございます。

 こういった状況があるんですけれども、今後、じゃ、どうしていくのかということですけれども、見通しとして、日本国内での生産は、二〇二〇年に、先ほど御紹介いただいたように、約二十ギガワットアワーが日本の生産ですけれども、これを、日本は七七%増になる予定だということなんですけれども、ほかの国はもっともっと、これはレベルが違います。アメリカは二〇二五年には今の約三・三倍に持っていこうとしていますし、中国も四・一倍、そして、何とヨーロッパは十一倍にするぞと、五年で十一倍にするというようなこと、これを見込んでいるということで、欧州の場合には、もう全て電化をしよう、車は電化しようというふうにしていますので、いかに国家が、そしてEUとして力を入れているのかということが分かろうかというふうに思います。

 ですから、私は、これはもちろん、日本の中でしっかりとコスト構造もそして原料の確保もできるという前提がもちろん必要ではありますけれども、五年で七七%増というのでは、やはりこれはもう完全にその目標、その見込みでは負けてしまうということになると思いますので、是非、経済産業省には、この戦略は今年の夏頃というようなことでございましたけれども、意欲的に、半導体について非常に気合の入ったプランを出していただいているわけですけれども、ここについても、やはり残された時間、気合を入れてやっていただきたいというふうに思います。

 そして、そういう中、じゃ、日本の製造の状況、日本企業の状況はどうなのかということと、日本企業の蓄電池の強みというのは何なのかということについてお伺いしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 日本企業の強みということでございますが、日本企業の製品は、安全性、信頼性の面についてはやはり大きな強みが現在もあるということをちゃんと認識をしておりまして、例えば車載用電池について申し上げれば、海外メーカーの製品では、発火事故、この報道が相次ぎました。また、リコールも度々なされておるところでございますが、日本に関しては、政府といたしましては、日本メーカーの蓄電池での重大な発火事故等の事案は承知をしていないという状況にあるというふうに承知をしております。

小野委員 まさにそこを中心に、しっかりと物づくりを進めていく必要があるかなというふうに思っておりますけれども、そういう中で、それだけではやはり勝てないということもあろうかと思います。ほかの国々も当然、信頼性というものを上げていくということを努力しているわけですので、やはりそれ以外に、我々がもっともっと最先端の、例えば単位当たりの出力が大きいとか、あるいは充電しても、繰り返しても劣化しないとか、様々な性能の強化というものをしっかり図っていく。

 先ほども、太陽光パネルを国産化するというような御質問がありました。確かにそれも国内で作れればいいと思いますけれども、ただ、同じ性能のものを日本で作っていても、絶対に売れませんし、勝てませんので。大臣も先ほど、いろいろな、曲がるパネルとか、いろいろなことをやっていくんだということをおっしゃっていましたけれども、それを、不断なく果たして、日本が全員の投資とそして知恵を組み合わせてやっていけるのかというところがまさに大事なんだろうというふうに思っております。

 そういうことで、萩生田大臣にお伺いをいたします。

 今後の我が国の蓄電池産業に対する政府のスタンス、どのような戦略でやっていくのかということについてお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 蓄電池は、二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成に向けて、自動車の電動化ですとか再生可能エネルギーの主力電源化を達成するための最重要技術の一つでありまして、日本メーカーは、技術的優位性によって、先ほど先生御披露いただきましたけれども、初期の市場は強かったんですよね。これは同じパターンで負けていますよね。液晶にしてもそうですし、半導体にしてもそうなので。その後、政府の支援も背景に、近隣の国々のメーカーが台頭してきて、日本のシェアは低下しました。

 ただ、負け惜しみじゃないんですけれども、やはり、製造段階でCO2を吐き出しながら作っている蓄電池と、今、日本が作ろうと思っている蓄電池、作っている蓄電池って、ちょっと質が違って、これはどこかで巻き返してやろうという野心を持っています。

 私、吉野彰先生がノーベル賞を取ったときに、一緒にスウェーデンに同行させていただいて、そのときにいろいろな話を聞かせてもらって、今、この研究を先頭でやっていただいています。世界が認める技術を持っている国なんですから、半導体と同様に、国家戦略として国も一歩踏み出して、ここは勝負してみようという覚悟でいます。その戦略を夏までにはまとめていきたいなと思っています。

 戦略における今後の方向性として、具体的には、他国に依存せずに我が国において必要な蓄電池の供給を確保し続けるために、まずは国内の製造基盤の確立が必要だと思います。

 それから、これが一番頭が痛いんですけれども、リチウムやコバルトなどの上流資源を確保する必要があります。残念ながら、これは他国が強いんですよ。ですから、太陽光パネルと似たような状況が今出てきちゃっているので、これはもう直接アフリカへ行ってでも掘削権を取ってくるというぐらいの覚悟でやろうと思っております。

 それから、世界的に蓄電池市場が急拡大していることを踏まえて、戦略的な海外展開を進めること。次世代電池への市場の転換が起こった際にも日本が競争力を維持するために、全固体電池等の技術開発を強力に進めること。あわせて、半導体のときと同じように、人材をしっかり育成していきたいと思っています。

 国内の蓄電池需要の更なる拡大などの環境整備を進めていくことなどの論点について、今まさに激しい議論をしておりまして、夏ぐらいをめどに、是非、我が国の蓄電池産業の国際競争力強化に向けて、しっかりとした戦略を示していきたいと思っています。

小野委員 ありがとうございます。

 大臣から大変決意に満ちた御答弁をいただいたというふうに思っておりますけれども、本当にここは勝負どころだと思うんですね。先ほど大臣がおっしゃったように、本当に大事なことで、負けパターンが全部、半導体にせよ、それから太陽光パネルにせよ、そしてこの蓄電池、あるいは液晶パネルにせよ、全部同じだと。それで、やはり、パターンを見ていると、結局、後から安い製品が、人件費が安いとかいろいろなことを生かしながら追いついてきた。これは日本が高度成長期時代にやってきたパターンそのものなんですけれども、我々はやはりその先を行かなければいけないと思っています。

 先ほどおっしゃったような、新しい製品、全固体電池ですとか、これから、世界中のマーケットを相手にして、日本製品がまた進んで買われるようなものを開発し続けなければいけないというふうに思いますので、是非、その戦略には期待をしたいというふうに思います。

 私もこの蓄電池の勉強をちょっとしていましたら、資料に行き当たって、先ほどもちょっと政府参考人の方の答弁がありました、経産省が今まで実施してきた蓄電池産業戦略検討官民協議会というものがありまして、その資料が、会議資料として、昨年の十一月十八日付で「蓄電池産業の現状と課題について」というものが出ていまして、この三十三ページ、これは後で皆さん見ていただければというふうに思うんですけれども、我が国の蓄電池産業のSWOT分析ということで分析をされている。別に今、質問しないので、見なくても大丈夫ですよ。

 そこの中で、いみじくも経産省自らが認めているんですけれども、弱みの部分。強み、弱み、そして機会、脅威、SWOT分析とありますけれども、そのうちの弱みにどう書かれているかというと、産業政策と国家戦略の欠如というふうに自ら弱みを書いているんですね。本当に正直だなというふうに思いましたけれども、ですから、やはり今までそういった戦略というものがなかなか描けていなかったということを本当に謙虚に受け止めているんだなというふうに私は思いました。

 ですから、今大臣がおっしゃったように、これから本当に意欲的な目標、やはり生半可な決心じゃ世界との競争には勝てないというふうに思います。

 例えば、韓国の場合どうしているのかというと、これも、でも、まだ策定したばかりのやつですけれども、二〇二一年の七月に発表されたKバッテリー発展戦略というものがありまして、この中では、メーカーや企業なんかと一緒になって、国も一緒になって、二〇三〇年までに研究開発費と設備投資で四十兆ウォン、約三・九兆円を投資しますというふうに書いております。ですから、私はやはり、これを超えるぐらいの決意がないと勝てないというふうに思うんですね。

 そして、先ほど大臣がおっしゃったように、韓国も同じように材料がない国です、資源がない国です。ですから、そういった国も決意を持って戦おうとしていますので、是非、韓国にも負けない、そしてほかのヨーロッパや、そして中国、アメリカにも負けないような本気の勝負をしないと、もうスタートラインから負けが決まっているということだと思いますので、そこは、これは財務当局やら、あるいは首相のもちろん御理解、リーダーシップ、そういったものをしっかりと取り付けていただいて、ちゃんと競争のスタートラインで勝つつもりがある、そして勝つ見込みがあるような戦略、計画を立てていただきたいというふうに思っています。

 そして、次の質問ですけれども、先ほど大臣から、やはり原料が日本はないので確保しなきゃいけない、そしてアフリカにも意欲的に進出していきたいというようなことをおっしゃいました。本当にそれはやっていただきたいというふうに思いますが、一方で、蓄電池を確保する、そして、国内においてこれから廃棄されていくようなものがありますので、それをどうやってリサイクルに回していくのかというようなことが非常に大事になってくるというふうに思います。

 そこで、蓄電池をこれからどうやって確保していくのか、そして、その前提となる廃棄、回収、リサイクルの仕組みというものをどうやってつくっていくのか、このことについてお伺いしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおりだと思います。蓄電池の安定供給を確保する観点から、リサイクルまで含めたサプライチェーン全体の維持強化は極めて重要だというふうに承知をしております。

 大臣が御答弁されましたように、現在、蓄電池産業戦略の策定に向けた検討を行っておりますが、その中で、上流の鉱物資源の確保や、材料、電池セルの製造基盤の強化とともに、リサイクルの推進などについても重要な論点として議論を今行っているところでございます。

 資源制約を克服する観点からも、早期に仕組みを確立する、これが求められておりまして、経済産業省では、グリーンイノベーション基金、これを活用いたしまして、競争力のあるコストで、再利用可能な品質の蓄電池材料を回収するための技術開発、これを支援を進めているというところでございます。

 本年夏頃をめどに策定する蓄電池産業戦略の議論も踏まえながら、引き続き、サプライチェーンの強化、リサイクルの強化というのをしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小野委員 是非頑張っていただきたいと思います。

 この間の質問でも、私、バイオディーゼル燃料の質問をさせていただきましたけれども、まさにそういう時代に入ってきていると思います。バイオディーゼル燃料の関係者、この間、実はこの委員会の私の質問をかなりの多くの方々が御覧いただいていたんですけれども、非常に皆さん喜んでいただいて、なかなかバイオディーゼル燃料のリサイクルというのもコストが高くて、なかなか買ってくれないとかというようなことで行き詰まっていたんですが、しかし、時代は変わりました。

 やはり、リサイクルをする、そして、先ほど大臣がおっしゃったように、製造過程でどれだけCO2を減らすことができるのかということも非常に大きな評価視点になりますので、是非、国内での燃料電池の回収、リサイクルというところも、これももう世界最先端を行くんだという心積もりで是非進めていただきたい。

 そして、ヨーロッパの方ではもう既に、デューデリジェンス、人権とか環境に配慮した形じゃないと市場でちゃんと買ってくれないというようなことを、ルールをどんどん決めています。

 やはり、いつも思うんですけれども、日本がそういったルールを自分で作らずに、欧州などの後追いになっているということがやはり問題だと思うんですね。ですから、これは前回の青柳委員の指摘にもあったことなんですけれども、やはりそういったところを率先してやっていくということで、是非、世界を引っ張っていくということも同時にやっていただきたいと思います。

 そして、時間がちょっともうなくなってきたので、最後の質問、ちょっと簡潔にしたいというふうに思いますけれども、大臣に、元の質問に戻ります、再生可能エネルギーを進めていくために、蓄電業、今回の電気事業法の改正で、蓄電池を使った蓄電、放電というものが発電というふうになるわけですけれども、この蓄電業というものをどうやって発展させていくかということについてお答えいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーが主力電源となる中においても、電力の安定供給を達成するため、蓄電池の開発や普及は重要な政策分野の一つと認識しております。

 今回の改正法案では、一定規模以上の蓄電池を電気事業法上の発電事業に位置づけるとともに、電力系統に円滑に接続できる環境を整備することとしています。

 加えて、御指摘のように、大型の蓄電池に備えた電気を電力市場に供給することなどで収益を確保するなど、蓄電が事業としてマーケットで確立することになれば、安定供給、さらには再エネの導入拡大にも貢献すると思います。

 こうした取組を加速化させるため、令和三年度補正予算において、電力の調整力や供給力の提供といった多様な活用が可能となる大型蓄電池等を導入する事業者に対する補助事業により、十一事業者を採択したところです。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再エネの導入拡大が進み、発電量の変動がこれまで以上に大きくなり、蓄電池の役割はより一層拡大すると考えられます。蓄電池の導入拡大や事業環境の整備を進めて、蓄電池を活用したビジネスの確立を後押ししてまいりたいと思います。

小野委員 新たなビジネスをしっかりつくっていくんだということで、是非お願いしたいというふうに思います。

 その際、山岡議員からもありました、やはり、単なる自由化ではなくて、どうやって電力の安定供給を図りながらバランスを取って業界が発展していけるのかというところにも留意しながらやっていただきたいと思います。

 最後に、そういった蓄電業、これを発展していくための、蓄電池を導入するだけではもう全然不十分です。やはり、系統の問題とか、それからエネルギーマネジメントシステムとか、様々な、インフラの整備というものをやっていく必要がありますし、ソフト面での工夫というのも必要だと思います。

 どういうことをやっていくのかということをお答えいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、蓄電池の導入拡大に当たりましては、今回の制度的な手当てということ、予算的な措置の支援ということに加えまして、制度面若しくは技術面を含めた環境の整備が非常に重要だと考えてございます。

 このため、市場制度として申し上げますと、太陽光などの自然変動電源の導入拡大によりまして、出力変動の増大が増えてまいります。これを市場でメカニズムとして調整していくわけでございますが、需給調整市場という、需給変動用の電源を求める市場の整備を今図っているところでございまして、今、直前のマーケットは整備されましたが、今後これを拡大していく、これによって蓄電池の利用の局面が増えていく、ビジネスとして使われていくようになるということが一つございます。

 また、これは事業としての地位の確立ということが非常に重要でございますので、これは前回の改正になるわけでございますが、蓄電池などの分散型エネルギーリソースを、いろいろあるものを束ねまして一つの事業として提供していく、こういった事業者、電力市場で電力を取引することができるアグリゲーターというライセンス制を設けているところでございます。こういった事業ができますれば、蓄電池を活用する事業者が増えていく、その立場というのが確立されていくということになろうかと考えてございます。

 技術面で申し上げますと、分散型エネルギーリソースを束ね、IoT技術を活用して統合制御するというアグリゲーションという技術が大変重要になってまいります。こういった技術実証を予算措置を含めて対応し、しっかりと応援していきたいと考えてございます。

小野委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げた留意点にも注意しながら、しっかりこの業界を盛り上げていくということで進めていただきたいと思います。

 そして、大臣には、新しい戦略、この蓄電池戦略、是非、国を引っ張っていくような産業づくりをするというような決意の下で臨んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 先日も太陽熱の御質問をされた委員の方がいらっしゃったんですけれども、太陽光発電というのは国民にも認識されていると思うんですが、私はもう一度、太陽熱の利用を考えたらどうかなというふうに思っています。

 過去に、この質問は、六年か七年ぐらい前の経産委員会で質問したんですけれども、世界に先駆けて太陽熱を利用していたのは日本だったんですね。どこのうちにも、二階の、というより屋根の上に、黒い、当時は性能が余りよくなかったんだと思うんですけれども、百リッターぐらいしか熱を供給できないので、それが空になっちゃうともうお湯が出てこない。いろいろ、それでだんだんだんだん使わない人が増えていったんですけれども、今、ヨーロッパで一番活用されている、ドイツだとか向こうの、ヨーロッパでは太陽熱をすごく有効利用しているという話を聞くので。

 そうしたら、平成二十一年から二十七年にかけて、これは経産じゃないんですけれども、環境省の所管のところで、太陽光ハイブリッドパネルの技術開発や実証研究を行ったという資料を目にしたんです。その結果が書いていなかったものですから、うまくいったのかうまくいかないのか、それを確認したいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御質問の平成二十七年度の委託事業でございますが、本事業、公募型のCO2排出削減対策誘導型技術開発・実証事業の採択案件の一つでございまして、大和ハウス工業、これが、太陽光発電と太陽熱の温水の利用のシステムをハイブリッドのパネルにいたしまして、これを集合住宅に設けるというものの実証事業でございます。この集合住宅におきまして、熱と電気を効率的に融通するシステムの実証を行いました。

 この実証の結果、技術的な目標、おおよそ、太陽エネルギーの利用効率約三〇%、こういったものの目標は達成はいたしました。事業完了後に、類似の導入事例として、東京都の補助金を活用して導入した実績も、ほかの箇所でございます。

 残念ながら、ただ、この二つで終わっていまして、いろいろ、コストでありますとか技術的な要件等々もあるということもございますので、まだ普及には至っていないという状況でございます。

鈴木(義)委員 発電効率が三〇%、私が聞き間違えていなければ、熱利用なのか電気利用なのか分かりませんけれども、三〇%。

 例えば、火力発電所の一般的な発電効率はどのぐらいなのというと、三五とか五五とかといろいろな数字があるんですけれども、三七%ぐらいしか活用されていない。先般も、その廃熱を使って、熱として供給したらどうだというような質問があったんですけれども。

 例えば、千葉県では、ホームページの中で、「熱は熱で」キャンペーンを実施しているんですね。県庁のホームページにも掲載されています、「熱は熱で」。経産省で、日本が世界に先駆けて利用していた太陽熱をもう一度、CO2削減、カーボンニュートラル実現のために積極的な導入を考えてみてはどうかという考え方です。さらに、NEDOが、再生可能エネルギー技術白書にも、太陽熱発電、太陽熱利用が報告されているんです。

 今までの議論をずっと聞いておりますと、ほとんど電気にしようというふうにしか考えていないんですね。私が本会議でも御質問したときに、国民と事業者にも協力をしてもらわなければ、カーボンニュートラルは実現できないんだと思うんです。だから、大きなところにどんとお金をつけて、さあ、CO2の削減、やってくれということも大事なんでしょうけれども、もう一度、各個人も含めてですね。

 聞くところによれば、今の太陽熱のパネルを、工事費は若干違うんでしょうけれども、そんな、二十万も三十万もしていないんですよね。性能もよくなっているし、なおかつ、ガラスだったもので、ほかから飛散してきたものでガラスのパネルが割れてしまうと、もうみんな廃棄しちゃうんですけれども、今はこういうアクリル板になっているから、ちょっとやそっと、飛んできても割れないんですよね。

 エネルギーの供給はコストとのやはり兼ね合いになっていくんだと思うんです。例えば、今、三千円、四千円、電気代を払っている人が、カーボンニュートラルをするに当たって、これが四千円、五千円になって、みんな何も言わないかといったら、私はそんなことはないと思うんですよね。

 エネルギーのもとというのは、私は、太陽熱だったり、太陽光発電、再生可能エネルギー、火力だとか原子力、例えば、給湯で使うんだったら、都市ガスがあってもいいし、LPGがあってもいいと思うんです。それがやはり危機管理に強い社会環境づくりに私はなっていくと思うんですけれども、御所見を伺いたいというふうに思いますが、これは政府参考人でいいの。

茂木政府参考人 まず、太陽光のハイブリッドシステムの御指摘がございました。これは非常に有効な手段だと思います。

 熱と電気を同時に供給をして、委員から御指摘があったとおり、熱は熱で、その場で使うというのが一番エネルギー効率がよくなる手法でありますので、こうした新しい技術というのをどんどん取り込んでいきたいというふうに考えております。これは環境省の実証事業ですけれども、経産省、環境省の垣根を越えて、しっかり、こうした取組は経産省の支援事業の中にも取り込んでまいりたいというふうに思っています。

 なお、今回の省エネ法の改正案の中でも、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対して、非化石エネルギーの使用の割合の向上を求めておりますが、例えばこういうところに、この太陽光ハイブリッドシステムなども非常に有効でありまして、その対策の選択肢として、需要家にこの導入を促していくということも今後検討してまいりたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 省が違うからといって、こっちはこっち、こっちはこっちというんじゃなくて、もう総力戦でやらなかったら、二〇三〇年の四六%減とか、二〇五〇年であと二十八年しかない中で、ちょっとやはり本気でやっていかないと、それは達成できない。

 先般、新聞の記事で出ていたんですけれども、これはこの間も発言したか分かりませんが、大手の企業さんが、結局、もう製造業なら製造業の、ここでたくさん電気を使うんだったら、それ専用の太陽光発電だけやるとか、そういうのができてくると思うんです。発電をしている電力会社は、それはそれで、工業地帯であれば、そこにメインで出すんだと思うんですけれども。

 そういう事業がどんどんどんどん進んでいけば、どれもこれも今はネットワークの中に全部、太陽光でも再生可能エネルギーでも乗せて、そこから今のシステムを使って小分けしていくというやり方をするんですけれども、そうじゃなくて、もう単体で、ここのエリアはここの発電、ここのエリアはここの発電というのが、どんどんこれから促進されていっちゃうと思うんです。それが企業戦略になっていくし。

 そうすると、まだらに残ったところをどうしていくんですかという話になったときに、やはり逆に言えば、太陽光と太陽熱を使うような仕組みを個人の場合は入れていくことが、その隙間を埋めていくことにつながっていくんじゃないかと思うんです。

 過去には、直流と交流の、まあ不毛とは言わなくても議論していて、再生可能エネルギーは全部直流なんですよ。直流を交流にして、交流のラインに乗せて。蓄電池も直流です。そこで必ずロスが起きる。そういうことも視野に入れながら、やはりなるべく近くでつくったものは近くで使うようにする、そういう時代に入っていかないと、カーボンニュートラルを本当に達成することは難しいと思うんですけれども、大臣、いかがですかね。

萩生田国務大臣 私のうちの屋根にも、そういえばありましたよ、お湯のやつ。夏場なんかは物すごく熱いお湯が出て、そういう時代。あれは何か、かなり強引な営業をする会社が後ほど出てきて、社会的な評価を下げてしまったという一面もあるんだというふうに思います。

 今先生のお話を聞いていて、おっしゃるとおりの部分、たくさんあると思います。是非、何か、ややもすると単一的な手法に陥りがちなんですけれども、ハイブリッドで二兎を追っていくということは大事だと思いますので、今後、再生エネルギーのみならず、その熱利用なども含めて、しっかり考えていきたいなと思います。

鈴木(義)委員 役所の仕事というのは、自分が事業者でやるわけじゃないから、その仕組みづくりをして、やはりインセンティブを与えるようなものをしていけばみんな普及していくと思うんですけれども、そこが大事だと思いますので、ひとつ御検討を、早めに方向を出してもらいたいなというふうに思います。

 次に、これは二十年ぐらい前だったと記憶しているんですが、太陽光発電だとか燃料電池、蓄電池、これが三電池ということで、経産省を挙げて推進していこうということだったんです。

 先ほども大臣御答弁された、蓄電池の話をされているんですが、例えば、国内に希少金属をストックしているというのは聞くんですが、何回かお尋ねしても、レアメタルだとかレアアースがどのぐらいストックされているのかは、秘密保持があるので教えられないと、価格が乱高下するから。

 ただ、じゃ、レアメタルをストックしてくださいよといって、任せてくださいと役所の方が言っても、予算措置をしなければ、百億ストックしているのか、じゃ、それを倍にしてくれ、三倍にしてくれといって、議案に出てきたときに、じゃ、どこから、私たちが議会で承認をするときに、これだったら安全じゃないか、例えば、石油の備蓄だって、今、二百四十日分しかない。民間から放出して、国が持っているものを後づけで出してきますよというけれども、二百四十日で足りるのかどうかというのは誰が判断するのかということなんです。じゃ、三百六十五日にした方がいいのか、七百二十日にした方がいいのか、こういう議論になっていくと思うんです。で、平時のときはそんなにストックしたって経費の無駄じゃないかと、どこの国でも同じことが起きてきたんだそうです。

 だから、その辺の考え方をやはり少し整理しておかないと、今も油が高騰していたり、いろいろな物資が上がってしまっているんですけれども、何をどこまでストックすれば、そのショックアブソーバーの役目を、制御できるのかというふうに思うんですが、その辺について、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 レアメタルの備蓄は、我が国への供給途絶時の最後の手段としてサプライチェーンを支える観点から、国の指示の下、現在、JOGMECが実施をしています。鉱種ごとの需給動向などを踏まえて、必要な備蓄量を確保するとともに、機動的な対応が可能となるような体制を整備しております。

 備蓄量等の具体的な情報については、経済安全保障の観点や、希少金属であることから金属鉱物市場への影響の大きさに鑑み、開示することは考えておりません。

 どの程度日本が持っているのかということ、当然気になるんですけれども、これを明らかにしてしまいますと、これはまた逆にチョークポイントになってしまう可能性もありますので。一定程度、一定程度、確保しております。

鈴木(義)委員 地元の町工場の社長とこの間話したときに、どのぐらいストックしておけばいいですかと聞いたんです。そうしたら、やはり自己防衛で、ふだん使って、どんどん形を変えて商品にしていくものはそんなに、ストックする材料の日にちは二、三日分ぐらいしか置かないんだというんですけれども、やはり、ある希少金属があるんだそうです。それはやはり、黙って倉庫の片隅にそっと置いておくというんです。だから、いろいろな企業は自己防衛していると思うんですね、国は国でやっていると思うんですけれども。

 でも、いざとなったときに、誰も助けてくれないんです。だから、そういったものも、民間の事業者さんとかに協力をしてもらって、やはりストックできるような税制だとか制度というのも必要じゃないかと思うんです。国がやっていますというだけじゃなくて。

 それが、何か月分ストックすればいいのかというのは、これはインテリジェンスの話になっていくので、今日は時間がないのでもうやめておきますけれども、例えば、ちょっと前にも都市鉱山の話題があったと思うんです、携帯電話だとかパソコンだとかですね。それも結局、持ってくれば預かりますよというだけなんですけれども、なぜそれをデポジットにしないのかということです。

 昨日かおとといの新聞でも、大手さんがリチウムイオンを集めて再生利用をしていくんだという記事がぱっと出たんです。質問する前に出ちゃったので、参ったなと思ったんですけれども、そういった国内に滞留しているとか廃棄されている物質を、国民や事業者にインセンティブ、すなわちメリットを出すようなもので希少金属を集めるという制度をつくった方が、経済安保にも強くなっていくんじゃないかと思うんですけれども、そういった制度を確立する考えがあるのか、これは政府参考人、それを受けて大臣に質問します。

新川政府参考人 委員御指摘のとおり、レアメタルといった希少金属類の供給を確保するためには、リサイクルの促進というのが重要であると考えております。

 しかしながら、レアメタルは大量の廃製品から回収を行うためコストが高止まりの傾向にありまして、その低減に取り組むことが必要であると考えております。

 そのため、御指摘の直接のインセンティブということではございませんが、経済産業省では、まず、官民一体となってコスト低減に向けたリサイクル技術の開発を進めているところでございます。

 具体的には、画像認識を組み込んだ自動選別を活用し、廃小型家電等から希少金属を効率よく回収する技術、製錬工程において効率よく希少金属を回収する技術の開発などを支援をしているところでございます。

 引き続き、こうした技術開発を積極的に後押しすることで、レアメタル等の希少金属の供給確保を実現してまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 時間が来たんですけれども、これもそうなんですよね。デポジットにすれば、みんな捨てないで出してくれるんですよね。

 終わります。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今回の法案で、JOGMECに、水素・アンモニア製造・液化、それから、CCS探査等に関する出資、債務保証業務を追加することについて伺います。

 まず、資源エネ庁、三月二十九日のエネ庁の資料、水素・アンモニアを取り巻く現状と今後の検討の方向性というものがありますが、そこに事例として記載のある水素・アンモニア製造・液化プロジェクト名と初期投資額、どのようになっているでしょうか。

茂木政府参考人 今委員から言及がございました審議会の資料の中で、商用規模の水素、アンモニアサプライチェーンの構築や、大型の水電解装置を建造する場合の初期投資額の試算をしておりまして、これをお示ししております。

 まず、商用規模のサプライチェーン構築に関してですが、水素について、一つの事例としてですが、現在パイロットケースで実証しています豪州から液化水素を海上輸送するプロジェクト、これが商用化した場合におよそ九千億円。アンモニアについては、中東から商用規模のアンモニアを海上輸送した場合として六千四百億円といった初期投資がそれぞれ必要となるという試算結果です。

 それから、現在の国内最大の水電解装置、これは福島県の浪江にございますが、これの百倍程度に当たります大型の水電解装置を国内で建造した場合については、その初期投資額は約千五百億円程度になるという試算をお示ししております。

笠井委員 第六次エネルギー基本計画には、水素、アンモニアを作る上流開発におけるCCS実施のために、どれぐらいの規模の追加コストが必要だと記されているでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次エネルギー基本計画におきましては、上流開発におけるCCSの実施には一千ないし数千億円規模のコストが発生するというふうに記載してございます。

笠井委員 今ありましたが、本法案は、一件当たり数千億円という巨額の設備投資にJOGMECが出資、債務保証できるようにしようというものであります。

 大臣は、四月五日の衆議院本会議で、これらがリスクの高い案件というふうに認められた上で、JOGMEC内で厳格に審査を行うとともに、経済産業省としても適切に監督を進めるというふうに答弁されました。ならば、これまでJOGMECの出資、債務保証業務がどうだったか、これは検証が必要だと思うんです。

 そこで、伺っていきますが、資源エネ庁、二〇〇四年のJOGMEC設立以来の石油、天然ガス、金属鉱物資源の開発プロジェクトへの出資件数というのは何件になるでしょうか。そして、現時点で、探鉱、それから開発、生産、事業終結、株式の売却というのは、それぞれ何件でしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMEC設立以来の出資件数につきましてですが、直近、令和二年度末時点で、六十二件ございます。

 そのうち、探鉱段階への出資は八件、開発段階への出資は五件、生産段階への出資は十一件でございます。

 また、出資案件において、事業終結に至りましたプロジェクトは三十七件、株式売却を行ったプロジェクトは一件でございます。

 これは全体として見ますと事業終結の件数が多く出ておりますけれども、このJOGMECの出融資をした案件の中には、例えば、オーストラリアで、ライナスという会社に出融資を行い、国内のレアアース供給の四割を担う生産に至っているプロジェクトでありますとか、オーストラリア西部のLNGプロジェクトのように、資産買収で出資した案件が、開発を経て、今順調に日本にLNGをもたらしているというような案件も多数ございます。

笠井委員 うまくいっているものもあると。

 生産まで至っているのが六十二件中十一件で一八%、生産に至らず事業終結したのが三十七件で六〇%、つまり、六割も失敗しているわけです。

 じゃ、生産に至らずに事業終結した三十七件への出資総額というのは幾らになるでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMECが設立以降に出資を行いまして事業終結に至った案件の総額は、先ほどと同じ令和二年度末時点で、一千六百七十七億六千二百十万九千六百五十四円となってございます。

 一方で、JOGMECは設立以来十六余年たっておりますが、出融資の合計は約一兆円行っております。これにより、自主開発比率は着実に向上しておりますし、民間企業への譲渡に成功した事業も複数ございます。事業終結に至ったのは先ほどの数字ですが、投資の回収が実現している金額は、令和二年度末時点で、約一千二百億円ございます。

 以上です。

笠井委員 その点については更に聞いていきますが、千六百七十七億六千二百十万九千六百五十四円というのが事業終結と。

 萩生田大臣に伺いますが、二〇一六年のJOGMEC法改正案の質疑のときに、我が党の真島省三議員が、JOGMECの出資五十三件中、事業終結が四割強の二十二件と、出資総額九百四十億円にも上ると指摘したわけですが、当時の世耕経産大臣の答弁は、JOGMECは今のところ打率でいえばかなり当てているというものだったわけです。ところが、現時点では、あれこれ言っても、事業終結が六割に増えて、出資総額も千六百八十億円近くにも膨らんでいるということですが、このことについては、大臣、どのように思いますか。

萩生田国務大臣 JOGMEC設立から令和二年度末までの事業終結件数、合計三十七件に及ぶと理解しておりますが、事業終結の主な理由として、十分な埋蔵量が見つからなかったことや、カントリーリスクの高まりなどによる事業環境の悪化などを報告を受けているところでございます。

 比率でいうと、先生、確かに、国民の皆さんの税金を使うんだからもっと大事にやるべきだという御意見は重く受け止めておきたいと思うんですけれども、私は科研費のときに同じような議論をさんざんしたんですけれども、科研費は四割どころじゃなくて、なかなか、事業化に続くのは三割程度なんですよね。ところが、やはり基礎研究というのをやっていかないと、日本は次なるつなぎ研究、橋渡し研究、実用化と進まないものですから、その三割でも大事にしながら、将来しっかり稼げるようにやっていこうと思っているので。

 JOGMECも、この間の努力というのはしてきたと思います。もっと言えば、リスクのある案件しか声はかからないわけですから、そういう中で事業を選んでいくということの難しさはあると思うんですけれども、御指摘は多分もっと大事にやれということだと思いますので、重く受け止めてまいりたいと思います。

笠井委員 よく千三つということが言われますが、そういうことでは済まされない問題があるわけで、そのときには、やはり審査の問題、それから、どうやってそのことについて監督してきたかということも問われるわけです。

 JOGMECの出資については、二〇一七年十月十九日の財政制度等審議会の財政投融資分科会で問題点が既に指摘をされておりました。

 財務省に伺いますが、その中の資料で記載されている、二〇一二年度から二〇一七年度の出資案件数の合計と出資総額というのは幾らか、まずそこまでお答えください。

大津政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の資料に関しまして、二〇一二年から二〇一七年度の出資案件は計七件、出資総額は計千二百八十六億円となってございます。

笠井委員 では、二〇一二年度と一三年度の出資案件の状況はどうなっているか、各案件の名称と取得価格、それから二〇一六年度末の評価額、それから評価損、為替差損の額というのはどのように記載されているでしょうか。

大津政府参考人 お答えいたします。

 二〇一二から一三年度の出資案件計三件についてお答え申し上げます。

 第一に、御紹介の資料ございますけれども、カナダ・シェール事業一とございます。これはカナダ・ブリティッシュコロンビア州でのシェールガス開発事業を指しておりまして、本事業は、二〇一二年度に四百億円で取得し、二〇一六年度末での評価額は百六十一億円、評価損は二百三十九億円となってございます。

 第二に、資料のカナダ・シェール事業二とございます。これはカナダ・ブリティッシュコロンビア州ノースモントニー地域シェールガス開発・生産事業を指しておりまして、本事業は、二〇一二年度及び二〇一三年度に計四百二億円で取得し、二〇一六年度末時点での評価額は二百八十一億円、評価損は百二十一億円となってございます。

 第三に、次の資料、カナダ・シェール事業三とございます。これは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州北東部モントニー地域カットバンク・リッジのシェールガス開発事業を指しておりまして、本事業は、二〇一三年度に二百十億円で取得し、二〇一六年度に百九十二億円で売却しており、十八億円の為替差損が発生してございます。

笠井委員 配付資料を御覧くださいと申し上げようと思ったら、既にもう答弁の中で、配付資料にありますがとおっしゃっていただいたんですが、今あったとおりの数字で損失が出ているということですが、では、この三事業の直近の評価額というのはどうなっているでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの三件の直近、令和二年度末時点での評価額についてお答えいたします。

 まず第一に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州でのシェールガス開発事業については一円となってございます。

 第二に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州ノースモントニー地域シェールガス開発・生産事業についても同じく一円でございます。

 第三に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州北東部モントニー地域カットバンク・リッジのシェールガス開発事業については、これは既に売却済みでございます。

 この一円になりました理由でございますけれども、カナダにおけるガス価格の低迷が想定以上に進みました。加えまして、そのガスを利用して、アジア太平洋地域などにLNGにして輸出するという、そのLNGの事業化プロジェクトが断念されたことにより、業況が悪化いたしました。

 これを受けて、期末における株式価値の評価作業におきまして、合理的な開発、生産計画に基づく評価額の算定が困難となったことなどを受けまして、いずれの会社につきましても、二〇一七年度より評価額を一円としたものでございます。

 こうしたカナダの案件が集中的に評価損を出したということを、我々も深刻に、重く受け止めておりまして、JOGMECの出資案件につきましては、財政制度等審議会での御指摘も踏まえまして、特定案件への集中を避けつつ、ポートフォリオ全体での案件管理を徹底していくということで所要の見直しをしているところでございます。

笠井委員 今、事業の一と二ということで、ありました。それぞれ一円ということですから、合わせて、出資計八百二億円のうち、全損失ですね、ほとんど、二円だけですからね。それから、三の為替差損と合わせますと、合計八百二十億円マイナス二円の損失ということになっているということであります。いろいろな要因があると言いましたが、それが事実だと。

 では、これらのうち、債務保証をしていた案件もあると思うんですが、どの案件に幾らの債務保証をしていましたか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 債務保証を行っていた案件は二件となります。

 一つ目は、カナダのノースモントニー地域シェールガス開発・生産事業でございます。債務保証の金額は、二・七億アメリカ・ドルでございます。当時、二十七年三月時点でございます。

 二つ目が、同じくカナダのモントニー地域カットバンク・リッジのシェールガス開発事業でございまして、債務保証の金額は、十九・五億カナダ・ドルとなってございます。

笠井委員 大臣に伺いますが、出資に加えて債務保証をしていたという案件で、合わせてやはり一千億近くになるわけですよね。そういう国民の税金投入でありますが、二〇一七年に財政審で問題を指摘されながら、経産省としては何も手を打ってこなかったということなんでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども概略申し述べましたけれども、財政制度等審議会での指摘を受けまして、JOGMECにおきましては、案件に関する審査、管理の体制を強化するように対応を講じたというふうに聞いてございます。

 具体的には、JOGMECの中に金融や資源開発の外部有識者から成る委員会を設置し、JOGMEC保有資産の資産評価や資産ポートフォリオにおけるリスクの集中度について毎年評価する体制を整備してございます。その委員会での意見につきましては、JOGMECの各事業部にフィードバックされ、毎年の案件組成の方針や投資判断に反映しているというふうに承知してございます。

笠井委員 JOGMECが対応したというふうに言われるわけですけれども、あれこれ言われても、投資判断が甘くて外れたということが明らかになっているわけです。

 では、JOGMEC全体の繰越欠損金はどうか。これはエネ庁に伺いますが、JOGMECの繰越欠損金が初めて出たのはいつで、額は幾らですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMEC設立以降、初めて繰越欠損金を計上いたしましたのは、平成二十三年度決算でございまして、金額は百十九億千二百四十四万五千三百五十二円でございます。

笠井委員 二〇一一年に百十九億円余りということですが、ところが、その六年後の二〇一七年十一月十四日の行革推進本部事務局による秋の年次公開検証、秋のレビューというのがありました。その一日目で評価者から、JOGMECの繰越欠損金は千五百億円以上あるというふうに指摘をされました。

 このとき、経産省は、JOGMECの繰越欠損金等案件の見通しについて、どのようにレビューで説明していたんですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 行革本部における委員からの指摘に対しまして、当省からは、まず、JOGMECは発足してまだ十年でありまして出資案件を積み上げている段階でありますと、よって繰越欠損金が増えていくことはやむを得ない面があること、それから、将来的には出資案件が生産段階に入り配当収入が見込まれるので繰越欠損金は次第に解消していくことが見込まれること、繰越欠損金の解消の具体的な時期につきましては確定的なことは申し上げられないということを御説明してございます。

笠井委員 将来的には解消されていくということを説明したそうですが、このレビューに出てくる繰越欠損金千五百億円以上というのは二〇一六年度のものであります。その後、本当に、じゃ、繰越欠損金が解消されていったのか。

 二〇一六年度以降の年度ごとの繰越欠損金は幾らになっていますか、年度ごと。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一六年度の繰越欠損金につきましては一千五百十一億五千六百九十七万三百五十六円でございます。

 その次、二〇一七年度の繰越欠損金でございますが、二千二百四十二億九千三百十三万四千二百六十二円でございます。

 二〇一八年度につきましては二千六百八十三億七千百三十一万七千七百七十六円でございます。

 二〇一九年度につきましては三千百二十億一千五十二万六千二百五十三円でございます。

 二〇二〇年度につきましては二千八百三億三千三百十九万九千七百八十八円でございます。

 二〇一六年度以降、繰越欠損金が増加してございますけれども、この理由といたしましては、複数の探鉱案件が事業終結に至ってしまったことに加えまして、資源価格の低迷やカントリーリスクの顕在化により、複数の開発、生産案件で評価損を計上したことなどによります。

笠井委員 いろいろ要因をまた言われるわけですが、大臣、経産省が繰越欠損金は解消されていくというふうにレビューでも説明していたのに、正反対に倍増したと。初めて欠損金を出した、繰越欠損金を出した二〇一一年の百十九億円余りの実に二十倍になります。

 どう説明するのか。いろいろな要因がありますということで済まされるのか。ずさんな投融資で一兆円以上の欠損を出して解体をされた石油公団とどこが違うというふうにお思いでしょうか。

萩生田国務大臣 今、二〇二一年三月末時点で二千八百三億円という繰越欠損金のお答えがございました。

 その大宗はリスクマネー供給に係るものでありますが、具体的には、事業終結による評価損のほか、探鉱案件のリスクを財務上可視化し透明性を担保する観点から探鉱出資時に機械的に評価損として計上している出資額の二分の一の分ですとか、高油価時に取得した資産について、その後の低下した油価を反映した評価額の減額分などもその中には入っています。

 他方で、探鉱案件が順調に開発、生産段階に移行し配当金収入などにつながっている案件もございますので、今後そうした案件が増えてくれば、長期的には繰越欠損金は減少していくと見込んでおります。

 この点について、経産省は、JOGMECの担う役割を踏まえ、独立行政法人通則法の規定に基づく中期的目標に向けて、リスクマネー供給業務により生じる欠損金に対する将来見込まれる利益の大きさと得られた政策効果を総合的に評価することとしておりますが、引き続き、JOGMECの中長期的な財務健全性も含めて、厳格に監督をしてまいりたいと思います。

笠井委員 大臣は、先ほど、国民の税金だとおっしゃったんだけれども、今おっしゃったような説明で、本当にとんでもないと思うんですよ。そういう認識でいいのか。かつて石油公団は、国民から批判を浴びて、大なたを振るわれて、廃止をされました。そんな認識だから本当にJOGMECが同じ過ちを繰り返すということになる、反省がないんじゃないかと思うんです。

 JOGMECは、石油公団の反省に立ってできた組織であって、その支援業務には制約があるはずであります。

 二〇一六年十月二十六日の当委員会で、当時の世耕大臣が、明確に、反省とともに支援業務の制約について述べておりましたが、どのように述べていたでしょうか。

定光政府参考人 JOGMECにつきましては、まず、リスクマネー支援の役割が、資源の安定供給確保のために、投資規模の大きさ、あるいは地下リスクなどを背景として、民間企業のみでは……(笠井委員「石油公団についての話ですよ。反省の上にどうするかということを、当時、世耕大臣が言っていたかと聞いているんです」と呼ぶ)はい、失礼しました。(笠井委員「違う話をしないでください」と呼ぶ)はい。

 石油公団の反省の上に立ちまして、JOGMECにおきましては、リスクマネー事業において、民間主導という考え方を徹底することといたしました。その中で、具体的には、JOGMECにおける出資の上限を原則として五〇%という形でJOGMECの業務方法書でも定めるということにしてございます。

笠井委員 石油公団の反省から、出資は、上限、原則として五割までというのが国民と国会への約束だった。ところが、二〇〇七年に、JOGMECは、規模が大きいなどの一定の要件を満たす案件については特例的に上限を最大七五%に拡大する運用の見直しを行っております。

 大臣、先ほど確認したとおり、本法案というのは、一件当たり数千億という、水素、アンモニア、CCSへの巨額の設備投資の案件にJOGMECが出資、債務保証をできるようにしようというものであります。規模が大きいなどの一定の案件ということに当てはまって、そうなると五〇%以上の出資対象となるというふうになっていくんでしょうか。

萩生田国務大臣 先ほど申し上げましたように、民間主導の考え方に基づいて、JOGMECによる出資は業務方法書において原則五〇%を限度としておりますが、カントリーリスクや技術的困難性、政策的重要性の高い場合は、例外的に五〇%を上回る出資上限を認めております。

笠井委員 例外的に五〇%を上回るということで上限になると言われました。重大だと思うんです。

 石油公団の反省も投げ捨てて、リスクが高いからということでJOGMEC主導で開発に突き進んでいくというのかという問題になってきます。ただでさえ、JOGMECは、ここ十年で繰越欠損は二十倍です。

 石油公団の二の舞には絶対ならない、その点では大臣が国民に約束できますか。

萩生田国務大臣 今日の質疑でも他の委員の皆さんからもお話があったように、例えば蓄電池、こういったものを勝ち筋として勝負をしていくべきだというときに、やはり資源を確保していかなきゃなりません。確かに、先生おっしゃるように、無駄はいかぬのですけれども、しかし、民間の皆さんも、この国のこの場所だったら掘ってみたいといったときに、やはり国も一歩前に出て共にチャレンジしていかないと資源確保はできないです。

 失敗案件もある代わりに成功案件もあって、先ほど申し上げましたけれども、ポートフォリオ全体で最終的にプラスにしていけば、国民の皆さんの理解はいただけると思いますので、私、今、責任者として様々な事業に同意をしていかなきゃなりませんので、今まで以上にしっかり精査して見ていきたいと思いますけれども、これは、最終的には国民の皆さんのためになる探索事業あるいは保証事業、こういったものを進めていく決意でございます。

笠井委員 資源確保一般の話じゃないんですよ。これまでの経過を見ていて、こういう形で大穴を空けてきたというJOGMECがあって、そして石油公団の二の舞にならないのか、そんなことになったら駄目でしょうという話なんだけれども、今の話だと、経産省の責任ということでは、まるで他人事のような話です。先ほども、JOGMECとしてはやるんですということでその話が出てくるんだけれども、大穴を空けたカナダの案件というのは、JOGMEC自身がプレス発表で、本件の採択に際しては経済産業大臣と協議し同意を得ていると明記しているわけですね。

 大臣、協議して同意した経産省自身の責任というのはあるんじゃないかと思うんだけれども、JOGMEC、ちゃんとやります、資源の開発の確保のために大事なんですとだけ話をしたって駄目で、経産省自身が、業務追加ということに伴ってどういうことになるのか、これまで何をやってきたのか、二の舞にならないのかということについて、きちっとやはり責任を果たさなきゃいけないと思うんだけれども、その点、どうなんですか。

萩生田国務大臣 JOGMECの出資案件の採択につきましては、JOGMECの業務方法書の中で、経済産業大臣が承認した細則に基づき、厳正な審査を実施した上で決定する旨、規定されております。

 具体的には、出資案件の採択に当たっては、JOGMECにおいて、出資細則や外部専門家の意見を踏まえた採択審査基準に基づいて、審査部門において厳格な審査が行われ、機構内の採択検討委員会での検討を経て、理事長が採択を決裁しています。

 採択に当たっては、出資細則に基づき、国の資源エネルギー政策との整合性の観点から、経済産業大臣が同意することが要件になっております。

 さらに、独立行政法人通則法上、JOGMECの主務大臣として、目標の指示や業務運営の結果を評価することとなっており、こうした仕組みを通じ、業務運営の効率的などについて適切に監督していきたいと思います。

 おっしゃるように、JOGMECだけの責任じゃなくて、これは、時の経産大臣、重たい責任を持って事に当たってまいる、当然のことだと思います。

笠井委員 定光部長は、二〇一八年の四月から二年間、JOGMECの理事をされていましたので、エネ庁の方とJOGMECと両方、誰よりも詳しいんじゃないかと思うんだけれども、大臣とJOGMECとの協議について、経産省のどこで、何を基準に、具体的にどういう検討をして、誰が決裁して、大臣の同意というふうに至るんですか。

定光政府参考人 済みません。私も、ちょっと今、通告いただいていなかったので、具体的な資料は持ち合わせておりませんけれども。

 まず、JOGMECの中で、先ほど大臣が申し上げた基準に基づいて案件の決裁が行われます。その後、経済産業省の方に、まず、担当課の方に話が、相談が持ち込まれまして、担当課において省内の起案を正式に起こしまして、それで、手続に従って決裁を経て、経済産業省としての同意を行っているというふうに確認してございます。

笠井委員 では、きちんとなさっているなら、プロセスに係る文書というのは提出できますね。

定光政府参考人 検討させていただきます。

笠井委員 これは決して個社の話とやはりJOGMECの関係じゃなくて、国民の税金が入っています。そういう点では、JOGMECの多額の繰越欠損金には経産省にも共同の責任がある、そのことを曖昧にしては結局また石油公団の二の舞になってしまう、このことを強く警告して、今日の質問を終わります。

古屋委員長 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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