衆議院

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第11号 令和4年4月20日(水曜日)

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令和四年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    岩田 和親君

      大串 正樹君    加藤 竜祥君

      上川 陽子君    国定 勇人君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      土田  慎君    中川 貴元君

      西野 太亮君    西村 明宏君

      堀井  学君    山下 貴司君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      末次 精一君    山崎  誠君

      青柳 仁士君    早坂  敦君

      藤田 文武君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   参考人

   (早稲田大学創造理工学部建築学科教授)      田辺 新一君

   参考人

   (東京大学先端科学技術研究センター協力研究員)  谷口 信雄君

   参考人

   (東京大学副学長・公共政策大学院教授)      大橋  弘君

   参考人

   (慶應義塾大学特任教授) 遠藤 典子君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     加藤 竜祥君

  漆間 譲司君     早坂  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     土田  慎君

  早坂  敦君     漆間 譲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、早稲田大学創造理工学部建築学科教授田辺新一さん、東京大学先端科学技術研究センター協力研究員谷口信雄さん、東京大学副学長・公共政策大学院教授大橋弘さん、慶應義塾大学特任教授遠藤典子さん、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず田辺参考人にお願いいたします。

田辺参考人 おはようございます。

 本日は、参考人にお呼びいただきまして、大変光栄に存じます。早稲田大学建築学科教授で日本建築学会の会長を今拝命しております田辺と申します。第六次エネルギー基本計画の検討を行った総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員をしておりました。また、同省エネ小委員会の委員長などを務めております。

 本日は、お手元の骨子に従って、意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、省エネ法の歴史と現在を振り返ってみたいと思います。

 二度のオイルショックを契機に、一九七九年に省エネ法は制定をされました。正式名称は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律です。そのため、燃料、燃料起源の熱、電気の三つをエネルギーとして、その合理的な使用を求めています。年度のエネルギー使用量が原油換算で千五百キロリットル以上の事業者は、エネルギーの使用状況等を定期報告します。

 年間千五百キロリットルといっても分かりにくいと思うんですけれども、オフィスビルであれば三万平米ぐらい、コンビニですと三十から四十店舗ぐらい、それからホテルであれば客室が三百から四百規模ぐらいが目安でございます。対象事業者は、全国で約一万二千事業者になります。

 省エネ措置の取組状況、エネルギー消費原単位の推移、ベンチマーク指標の状況を報告しますけれども、取組が著しく不十分であれば、国による指導や立入検査、指示、公表、命令、罰則が科されます。

 ベンチマーク制度なんですけれども、産業分野だけではなくて、近年、コンビニ、ホテル、百貨店、食品スーパー、ショッピングセンター、貸し事務所、大学、パチンコホール、国家公務などへ拡大をしています。産業、業務部門の七割を現在カバーしております。

 五年間平均原単位を年一%低減する努力目標とベンチマーク指標で、事業者のクラス分け、いわゆるSABC評価が行われます。

 また、自動車、家電製品などの特定エネルギー消費機器などの製造事業者に対して、機器のエネルギー消費効率の目安、目標を、達成を求めるのがトップランナー制度でございます。効率向上が不十分な場合には勧告などが行われます。窓などの建材も対象となっております。

 加えて、電力、都市ガス、LPガスなどの小売事業者を対象に、一般消費者向けの省エネ情報提供やサービスの充実度を評価する省エネコミュニケーション・ランキング制度が二〇二二年度から開始されております。

 省エネ法は、我が国の省エネルギーに大きく貢献をしてきました。二〇一五年に、住宅、建築物に関しては建築物省エネ法が分離されておりますけれども、余談ですけれども、昨年開催されました、国土交通省、経済産業省、環境省の、脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会の座長を務めておりました。

 二番目の項目です。省エネ法の大転換が必要となっております。

 これは、燃料、燃料起源の熱、電気の三つのエネルギーに該当しない水素ですとか、アンモニアですとか、バイオマス燃料、地熱発電、太陽熱、風力発電、太陽光発電、廃棄物発電などの非化石エネルギーは、実は対象となっていないんです。カーボンニュートラルを実現するためには、非化石エネルギーの割合を増していく必要があります。しかし、非化石エネルギーだからといって無駄に使用していいというわけではありません。徹底的な省エネが重要です。

 第六次エネルギー基本計画に示された二〇三〇年度の、二〇一三年度からの省エネ量は、六千二百四十万キロリットルです。これは、今、日本の家庭で使われているエネルギーを全てゼロにしても不足します。家庭のエネルギーの消費の一・三倍に相当します。

 我が国の二〇一九年度のエネルギー自給率は一二・一%で、ほかの国と比較しても低い状況であります。

 ところで、非化石エネルギーといいますけれども、どういうものかというと、再生可能エネルギー、原子力、水素、アンモニアなどを示しております。非化石エネルギーを含む全てのエネルギーの使用の合理化を求める枠組みに見直す必要があるというふうに考えています。

 水素、アンモニアについては、将来は再生可能エネルギーから製造されるようになるべきでございますけれども、それまで待つのではやはり遅れてしまいます。需要を喚起するには、グレーであっても、まずは必要だというふうに思います。ドイツなどの学術団体と交流しておりますけれども、議論では、水素、アンモニアは非常に急速に注目をされてきています。

 三番目の項目です。系統電気は全て火力発電であるという計算法から転換する必要があると思います。

 第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の電源構成の五九%が非化石、すなわち、再生可能エネルギーは三六から三八%、原子力は二〇から二二%になるとしています。

 現在の省エネ法においては、系統電気は九・七六メガジュール・パー・キロワットアワーという、火力発電のみと仮定した換算係数になっています。現状では、我が国の系統電気に再生可能エネルギーが導入されても評価されていない状態になっているわけです。欧米では、これらを取り入れた評価に既に変更されています。

 ちなみに、二〇一九年度の我が国の全電源平均係数は、実績値で八・八メガジュール・パー・キロワットアワーです。少々難しいので、御質問があればお答えしたいと思います。

 四番目の項目です。非化石エネルギーに需要がなければ投資は進まないということです。

 民間事業者のRE一〇〇などの取組が急速に進みつつありますけれども、産業界全体では、非化石エネルギーへの転換はまだ道半ばでございます。中小企業は、この変革に迷ったり苦悩があったりしていますけれども、大局を伝えていくという必要があります。

 現在の省エネ法では、自家消費や自己託送の場合などは使用エネルギーから控除されていますが、非化石エネルギーへの転換を促すための積極的な評価は必ずしもできていないというわけです。

 非化石エネルギーの需要が拡大することが見通せなければ、供給側の投資も進まないということになります。対象事業者には非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画及び非化石エネルギー利用状況等の定期報告の提出を求めることは、中長期的に我が国の産業界を助けることになります。

 しかしながら、産業界には二〇三〇年は短い期間でございます。過度な規制よりも、まずは事業者の創意工夫を促す形の対応を進めていくことが現実的だと思います。非化石エネルギー利用状況の定期報告では、オンサイト又はオフサイトのPPA契約などによる調達ですとか、小売電気事業者別の非化石電源比率を反映できるような幅広な対応が望ましいというふうに思います。

 五番目の項目です。製造業があり、国土面積も似ているドイツと比較をしてみました。

 国土面積は、日本が三十八万平方キロ、ドイツが三十六万です。平地の面積は、日本が十三万平方キロ、ドイツが二十五万平方キロと、日本は平地面積が少ないんですね。人口は、日本が一億二千五百八十万、ドイツは八千三百二十四万人です。コロナ前の二〇一八年のエネルギー起源の一人当たりのCO2排出量は、日本が八・五トン、ドイツは八・四と、そんなに大きくは実は変わっていません。太陽光発電の設備容量は、日本が五十六ギガワット、ドイツは四十五ギガワットです。太陽光の発電量が、日本は六百九十億キロワットアワー、ドイツは四百六十二億キロワットアワーと、設備容量、発電量共に、日本の方が多くなっております。一方で、風力発電は、日本が七十七億キロワットアワー、ドイツは千二百六十億キロワットアワーになります。

 我が国の平地面積当たりの太陽光発電設備容量は世界一位でございまして、ドイツの二倍ぐらい、実はございます。したがって、設置が容易な次世代型太陽電池であるペロブスカイト開発など、あるいは価格の低廉化は非常に重要になってきます。

 風力発電が決定的に異なるわけでございますけれども、これまで、遠浅の海が日本に少ないとか台風などがあるということで非常に難しいと言われてきたわけですけれども、これは技術開発を進めれば、日本でも風力発電は非常に重要になってくると思います。

 ただし、風車設置にはリーディングタイムというのが必要になります。アセスメントなどを広範囲にできる方が無駄は少ないということで、JOGMECの業務追加は非常に重要だと思っております。また、系統の強化も必須になります。

 ドイツのロシアへの一次エネルギー依存度は、石油が三四%、天然ガス四三%、石炭四八%であり、動向が注目されます。我が国と同様に、エネルギー自給率の向上をさせるのが悲願であるわけです。コスト的に今まで普及していなかった省エネ技術なども普及してくるというふうに思います。

 液化天然ガスは、カーボンニュートラルの移行期のエネルギーとして非常に重要でございます。ウクライナ侵攻で価格が上昇しています。

 六番目の項目でございます。変動型再生エネルギーが増加してくることへの対応です。

 太陽光発電や風力発電は、変動型再生可能エネルギーと呼ばれます。時間によって変動します。この対応には、配送電網のスマート化ですとか出力制御ですとか蓄電池利用など、様々な技術が必要になります。

 その中で、電気の需給状況に応じて上げDRや下げDRなどを行って、再生可能エネルギーを無駄なく利用することが期待されています。これを後押しする制度が必要だと思います。

 電気自動車の利用などにより、変動型再生可能エネルギーを無駄なく利用できます。電力網に加えて、ガス網、通信網、水道網、交通網のいわゆるファイブグリッドと言われるインフラデータを、セクターを超えて活用するということが求められております。

 そのためには、情報が非常に重要です。太陽光発電設備などに設置されているパワコンなどの通信関係の機器の国産化堅持は非常に重要です。

 また、電力系統の安定には、普及率が高いエアコンなどの機器が自律的に調整に関与できれば、大きな力になります。トップランナー機器などにそういった性能を求めるということも考えられます。エアコンを必要とするアジア諸国でも求められていく機能でございます。住宅やビルにこれらの機能を持たせるディマンド・サイド・フレキシビリティーという技術が米国では注目をされています。

 最後の七番目でございます。安定的なエネルギー供給の確保です。

 国民生活のためにはエネルギーを安定的に供給するということが重要です。発電所の休廃止は非常に重要な情報でありまして、事前に分かっておく事前届出制というのが必要だと思います。

 変動型再生エネルギーが増える状況では、大型蓄電池というのは新たな発電所というふうに定義してもよいと思います。

 SプラススリーEの原則を再確認しながらカーボンニュートラルを実現していくという必要があります。そのためには、二〇三〇年、二〇五〇年へのトランジション、過程ですね、それをどのようにするかが非常に重要だと思います。

 最後ですけれども、エネルギーの供給側だけではなくて、カーボンニュートラルによって我が国の産業構造がどのように変わるのかということをしっかり考えて、需要側からエネルギーを考えるということも非常に大切だというふうに思っております。

 少し早口になりましたけれども、御清聴ありがとうございました。(拍手)

古屋委員長 ありがとうございました。

 次に、谷口参考人にお願いいたします。

谷口参考人 本日はこういう場にお呼びいただきまして、本当にありがとうございました。谷口と申します。

 今日、私が申し上げたい点は、実は一点だけです。

 資料の一番裏をめくっていただけましょうか。この資料の一番裏側ですね、ここに書いてあることなんですけれども、国が、地域に裨益する大きなプロジェクトを支援する政策をデザインすることが、今後の再生可能エネルギーの目標の達成のために、私はとても重要だというふうに考えております。今日はその説明をさせていただきたいと思います。

 資料の一枚目、ここには一、二とあって、再生可能エネルギーの実現可能性と、また、専門的視点からの意見ということで、二番目は一番最初に申し上げたことです。

 一番目については、経済産業省等が非常に詳細なデータを示しておりますので、私の方では、簡単にここはお示しするだけにさせていただきます。

 まず、政府の野心的な目標である三六から三八%の実現可能性についてですけれども、これは、まず、そもそもそういうポテンシャル、賦存量若しくは利用可能な量があるのかというのを確認する必要があります。さらに、今現在の技術的なレベルからいってどの程度まで可能かというところがございます。また、加えて、社会的制約、経済的制約、これらを全て加味する、このスライドの下の方に書いてありますけれども、一と二と三と四を掛け合わせると、実は、こういった制約を踏まえた上でも目標達成は可能だというふうに考えています。

 詳しい話は次のページ、再エネはどれだけあるのかというところから入っていきたいと思うんです。

 これは、下に、日本には潤沢な再エネがあるという書き方をしていますけれども、エネルギーの需要というのは、右側の下の小さいところですね、一兆キロワットアワーぐらいになるんですけれども、大体この程度のエネルギーの需要に対して、ポテンシャル、実際に日本にどのぐらいあるのかというのは、ここに書いてあるように、大体七倍ぐらいはあるんですね。こういうところは非常に日本は恵まれているので、これをどれだけ引き出せるかということが実は重要になるかと思います。

 次に、では、どんな再エネが有効か。

 先ほどのページでいうと、太陽光と風力で恐らく九割ぐらいを担っているんですけれども、先ほど話された、グリッドパリティーに達した太陽光発電というのがまず再生可能エネルギーとしては有効かなと。

 このグリッドパリティーというのは、系統電力の価格に対して太陽光発電のコストが同等以下になるということを示していまして、ただ、系統電気の方も、低圧電気、高圧電気、特別高圧電気とありまして、それぞれにグリッドパリティーは変わってきます。今一番高いコストを支払っている家庭の低圧電気に関しては、ほぼグリッドパリティーが達成してきている、もう数年前から達成してきているというふうに言われています。ただ、そうはいっても、太陽光発電の価格自体に幅がありますから、一番安い商品を販売しているところではもう既にグリッドパリティーが起きていて、しかも、それがもうビジネスとなっているということになっております。

 また、洋上風力発電は、リードタイムが長いんですけれども、量が莫大なものですから、これは是非取り組む必要があると思います。

 次のページ、スライドですけれども、日本では風力発電が飛び抜けて有効。

 これは、左側の縦のグラフにありますけれども、ここはちょっと小さいんですけれども、太陽光発電と比べても圧倒的に大きい。さらに、その右側に書いてあるグラフは風力発電の中で陸上風力と洋上風力を比べたものでして、青いのが陸上風力、真ん中の赤茶色のが洋上風力。これを見ましても、実は洋上風力が圧倒的に高い。要は、我々が目指すべき日本のポテンシャルは洋上風力発電だということが考えられます。

 ところで、世界の洋上風力発電の動きを簡単に御紹介します。

 ちょっと古いんですけれども、二〇一〇年に英国政府が、今後十年間、これは今でいう二〇二〇年をめどなんですけれども、洋上風力発電を三十倍にします、そして電力需要の四分の一を補います、こういう政策を発表しています。当時のブラウン首相は、これは四十年前の北海油田の開発の始まりにも匹敵するものだと。

 これは同じことが日本にもそっくり言えるんじゃないかなと、先ほどの規模感からいうとですね。要するに、日本の規模感は北海油田開発規模の洋上風力発電を持っているんじゃないかというふうに言えます。ただ、こういうことをおっしゃる方はなかなかまだ、今のところいらっしゃらないように思いますけれども。

 ちなみに、最新の洋上風力発電の導入実績は、そこにありますように三十五ギガワットになっております。これは陸上を入れるともう一桁増えて数百ギガワットにはなっておりますけれども、洋上だけで三十五ギガワットに今なっています。右側にちょっと細かい数字で書いてありますけれども、ここに何が書いてあるかというと、洋上風力発電の世界最先端、最も導入しているのはイギリスである、これで十ギガワット入っています、続いて中国、こういうことが書いてあります。

 次の資料ですけれども、今、世界では洋上風力が実はラッシュになっておりまして、投資額がここに集中しています。北海で九兆一千億円の投資が入ります、こういうようなニュースが、これは昨年の三月のニュースでございました。

 さらに、昨年の、これはちっちゃい字で書いてありますけれども、十月、ジョンソン英首相が二〇三五年までに全電力を再生可能エネルギーで賄うという発言をしています。この発言をしている場所は洋上風力協議会という、英国のそういう洋上風力の会で発言しています。要は、英国の洋上風力でもって全電力の多くの部分を担うという、非常に野心的な提案をしているところです。

 次に、これはNHKの「サクサク経済Q&A」と書いてあって、ちょっと分かりやすいので、私、この表現が好きなので読ませていただきます。

 「洋上風力発電に注目が集まっているのはどうして?」

 海が最後のフロンティアだからです。

 再生可能エネルギーは、太陽光や陸上での風力発電を中心に進みました。しかし日本の国土は山が多く、更に大規模に導入しようとすると、適した土地は限られ、周辺の環境への配慮も必要となります。

 一方、海は障害物もなく、安定して強い風が吹きます。海に囲まれた日本にとっては、洋上風力発電は大きな可能性を秘めた再生可能エネルギーだと言えます。

 とても分かりやすく、NHKがこんな解説をしていました。

 それで、私が今日の結論で言った視点からいうと、そのために何が必要かというと、実は地域の裨益を前面に打ち出す政策デザインが必要ではないかなというのを逆に思っています。

 なぜかというと、実は次の、現場でどうなっているか。

 私は現場を回るのが好きで、元々私は地方公務員だったんですね、現場からいろいろ物を発想して、政府に提案なんかもしていたこともあったんですけれども、例えばメガソーラーに反対する運動というのは、もう全国的に、大幅に進んでいます。それどころか、運動ではなくて、反対するような、反対と言っては言い過ぎですけれども、抑制する条例があちこちでできているんですね。すごくそれに対して、私はある意味、危機感を持っています。

 なぜかというと、地域が、もしかしたら、それだけ被害を受けるというのが違っているかもしれない、それはちょっと後で話したいと思うんですけれども、もう一つ、洋上風力発電についても同じでして、これも全国で反対運動が非常に起きています。

 そして、どういうことが起きているかというと、再生可能エネルギーはそもそも地域に利益をもたらさないというような発想がありまして、それは利益をもたらさないというだけで済まなくて、そもそも再生可能エネルギー自体がおかしいんじゃないですかと。ここに書いてありますね、風力発電はエコでもない、クリーンでもないと。こういうメッセージすら出てきているというのが現実です。

 これは非常に怖いことで、こういう方々が実は増加しているんですね。これは日本の再生可能エネルギーの展開にとても大きな問題をもたらすと思います。

 何年か前ですけれども、青森県の風力発電の売上高が青森県のホタテガイの売上高と同じ程度だったんですね、たしか九十億円ぐらいで。ところが、そのうちの九割は東京資本なので、そこで上がった収益はほとんど東京に返ってしまう。これを東奥日報という新聞社がエネルギー植民地だということを書いていたんですけれども、やはり実際そうなってしまいつつある。そうすると、やはり地域から反発が起こるのは当然ですよね。しかも、それは地域が利益を得るチャンスを奪っているんですよね。

 じゃ、どうしたらいいかということで、地域の再エネの開発をするときに地域裨益からどう考えるかというと、一つの例として、デンマークの、地域と地域社会を基礎とする方針、もう随分古い方針なんですけれども、これで、地元所有のルールがある。

 これが非常に面白いんですね。所有する土地に吹く風のエネルギーを利用する権利は土地所有者のものですということを、政策として打ち出しているんですね。この背景には、元々、自然は地域の共有のものだ、そういう観念が地域にあったようですけれども。

 次に、デンマークの方式はどうやったかというと、風車で発電した電気は高く買い取りますと。つまり、風力発電をやれば必ずもうかるという形にした上で、風車から三キロ以内の人しか建てちゃいけないです、とんでもないみたいな、こういうルールを作ったんですね。

 その結果、どういうことになるか。一番下にあるような図にあるように、もう全国的にばらばらにくまなく風車が建っていった。もちろん、三キロ以内ですから、地域の人にはお金が落ちていくということをしたわけです。

 似たように、ドイツでは、コミュニティーパワーという概念がやはり地域のために考えられて、地域の者が事業の大半若しくは全てを所有しているという所有権、それから事業の意思決定は地域の組織によって行われるという経営権、それから利益の大半若しくは全て地域に分配されるということの受益権、このうち二つを満たせればコミュニティーパワーと呼びますというメッセージを、ドイツの風力発電協議会というところでつくって、これを進めようとしたということがあります。

 それが今進んできて、次の、二〇一六年、ウィンドパークへの自治体・市民参加法という法律が作られまして、メクレンブルク・フォアポメルン州という、バルト海に面した、リトアニアとか近いところの州なんですけれども、ここに、市民による風力発電への投資参加を促す法律が施行されました。

 どういうことかというと、その次のページに詳細が書いてありますけれども、一番、風力発電の開発事業者というのは投資総額の約二割を地域出資に提供する義務というのをつくりました。

 これはどういうことかというと、事業が来れば、風車から五キロ以内に住む人は出資に参加する権利を持つ、これは一〇%までの権利と、それから、五キロ以内に土地を持つ自治体に一〇%、合計二〇%を出資枠として提供するという制度をつくりました。

 ただ、リスクがあるので、リスクを回避するために、風車から五キロメートル以内の自治体が毎年この風力発電事業で得られる利益の一〇%を受けるということでひとつ免除をしましょうとか、当該住民に、五キロ以内の住民にですね、貯蓄商品、これは言うと定期預金ですね、定期預金を作っちゃいましょうと。

 例えば、風力発電事業者は、利益の一〇%を毎年適当な銀行に一旦預け入れ、その銀行は、該当する五キロメートル以内の市民がそこで定期預金を組むと、三年から十年で満期で返済、その利子を、毎年繰り入れられる風力発電の利子で賄う。非常に高い利子ができるのではないかというのを、条例で義務づけているものでさえあります。

 これは多分、今のところ世界のトップランナーかもしれませんね。二割ぐらい地域に落としてもいいんじゃないかなということもあります。

 さらに、これを地域自然エネルギー享受権といったもので条例化したのが神奈川県松田町で、地域の再エネを地域の利益とする地域主導型再エネルギー事業を位置づけています。こういう中で、先ほどのドイツのコミュニティーパワー原則を進めるものを、地域の自治体が支援しましょうという条例を作っています。

 もう一つ、裨益の意味をもう一回かみ砕いて言うと、地域に裨益する取組とは、一言で言えば、事業の収益が地域にとどまることです。地域における投資で収益が出て、地域の中で所得として回すことが一番の根幹です。これは、経済的にも、乗数効果とかいって、非常に効果が高い。例えば、十億円の収益があったら、それが三十億円になっても地域で回っていく、そういうのが試算されています。

 これのモデルとして、私、すばらしいなと思ったのは、経済産業省が地域共生型再生可能エネルギー事業顕彰というのをやっていまして、たしか、これの第一号かなと思うんですけれども、風の松原風力発電所というのが、秋田県の能代市で表彰されました。これは、何と百六十億円ですよ、事業費。これは、普通、地域の人ができるとは余り考えられないんですけれども、百六十億円の事業費を、地域の人だけの出資、エクイティーで賄い、地域の金融機関からの借入れ、デットだけで賄った、純粋一〇〇%地域資本の、地域借入れの事業でやっています。これぐらいできるんですね。

 面白かったのは、二億円を、能代市民に限った出資で賄いましょうといったら、年利息が四%というすばらしい利息だったもので、募集の三・六倍、応募があったんですよ。これはもう市民が非常に高い関心を示すことができる。こういうものこそ再生可能エネの後押しになるんじゃないかなと思います。

 実は、これは第二期が今検討されていまして、第二期は、市民から集めるお金を一桁上げて、何十億円、数十億円で計画しています。

 こういうことで、地域に眠っているお金って非常に大きいんですね。メガバンクは日本の四割のお金を持っていますけれども、地方には全体の六割のお金が眠っていますから、それを引き出すことが、海外の投資家に侵食される前に引き出すことが重要かなと思います。

 私の最後の結論ですけれども、こういった、風の松原風力発電事業で、地域の力で、地域に裨益する大きなプロジェクトも実施可能です、これは。たまたまここが例外的じゃなくて、こういうものは全国的に広げることは可能だということが実証されたと思うんですね。

 こういったことを、国が、地域に裨益する大きなプロジェクトを支援する政策、こういったものをデザインすることが、今後、再生可能エネルギーの飛躍的拡大には是非重要かなと思いますので、是非皆様、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

古屋委員長 ありがとうございました。

 次に、大橋参考人にお願いいたします。

大橋参考人 皆さん、改めまして、おはようございます。

 東京大学で副学長をしております大橋弘と申します。経済学を専門としております。

 本法律案との関わりですが、総合資源エネルギー調査会に設置された電力・ガス基本政策小委員会などの委員を務めさせていただいております。また、電力広域的運営推進機関や電力・ガス監視等委員会においても構成員を務めさせていただいております。

 本日は、このような貴重な場をいただきましたので、電力システムにおける課題やそれへの対応策について申し述べたいと思います。

 東日本大震災という国民の記憶から決して消え去ることのない惨事をきっかけにして始まった電力システム改革も、二年前に一応の区切りを迎えました。大手電力による垂直一貫システムを解体し、発電、小売に更なる競争を導入しながら、消費者に改革のメリットを還元する素地を電力システム改革はつくり上げたと評価できると思います。多くの消費者にとって、小売事業者の選択肢が増え、事業者が、少しずつではありますけれども、供給者目線から顧客目線に切り替えて事業に取り組めるようになってきたのは、電力システム改革がもたらした大きな成果の一つだと思います。

 自由化とは、経済性を追求することです。市場が広く事業者に開放されると、大手電力でも経営を効率化し、合理化に努めるようになります。採算性の悪い設備は休廃止する、余分な設備は持たないようにするといったことが効率化の一例です。そうした取組が自らの事業コストを低減し、消費者によりよいサービスを提供するというのが自由化の果実です。

 他方で、電力にとって欠かせないもう一つの側面があります。安定供給です。安定供給とは、何か事故があっても電力が滞りなく供給されるべきという考え方になります。

 我が国では、電力システム改革が始まる前から、安定供給を何よりも重要な政策の柱としてきました。燃料を海外に依存し過ぎない、電力を確実に消費者に届けるために発電、系統設備をしっかり維持する、こうした点が電力政策の重要な位置を占めてきました。供給が逼迫しているときも、だぶついているときも、電気の需要と供給を瞬時瞬時に一致させて停電を防ぐことが重要とされているわけであります。

 一見すると、経済効率性と安定供給とは対立関係にあるように見えます。経済効率のために、余分な設備を持つべきではないですが、安定供給のためには、例えば需給逼迫が起こる場合に備えては、余分な設備を持っておくべきということになります。

 電力システム改革では、当初から経済性が強く打ち出されてきました。そこにはいろいろな理由があると思いますが、総括原価方式で十分な設備量があることを前提に、政策的にやや強く経済性を打ち出しても、安定供給にすぐにひびが入ることはないという楽観的な見方もあったかもしれません。

 しかし、二〇一八年夏の北海道胆振東部地震を始めとして、度重なる災害での停電をきっかけにして、安定供給の重要性が改めて認識されました。二〇二〇年に成立したエネルギー供給強靱化法では、災害時における安定供給に対して更なるシステム改革がなされたところであります。残された課題は、平常時における安定供給上の更なるシステム改革を行うことでした。

 こうした中で、二〇二〇年度冬での断続的な寒波とLNG不足によって、数か月にわたる需給逼迫が生じ、市場価格が過去に例を見ないまでの水準に高騰しました。このときは、広域機関を含む行政や電力事業者によって電力融通やLNGの在庫量を適正化する努力、ディマンドレスポンス事業者による最大限の需要を抑制する努力、そして、確実に発電機が稼働するよう、昼夜を問わず細心の注意を払って作業に努められた現場の発電事業者の努力、そうした様々な関係者の努力のおかげで、私たち一般消費者に特段の負担を強いることなく、何とか安定供給を維持することができました。

 ところが、去る三月の東日本における需給逼迫は、季節外れの寒波の到来と福島県沖地震による設備故障などの影響という、いずれか一つが起きても東日本地域での需給逼迫を回避できない状況というものが生じ、史上初の需給逼迫警報を発することになりました。この経験は、安定供給を誇りにしている我が国の電力システムがもはや盤石と言い切れないのではないかと国民が感じる出来事だったのではないかと思います。

 電力システム改革が目指す効率化と安定供給とのバランスの中では、安定供給における需要家の参画が既に視野に入っていたものと思います。しかし、節電や計画停電など需要家への負担をお願いすることは、東日本大震災での惨事を思い出させるところもあり、なかなか踏み込んだ議論が政策的にできてこなかったものと思います。今回の需給逼迫警報を奇貨として、平時の安定供給における需要家の果たす役割を改めて議論すべきと思います。

 二〇二二年度の電力需給の見通しは更に厳しく、とりわけ冬においては、東京から九州にかけての広範囲にわたって、必要な供給予備力を確保できない見通しとなっております。今後の電力システム改革において取り組むべき平時での安定供給に係る課題に対して、今回の改正案は更なる改革への出発点になるものと考えます。

 以下では、平常時の安定供給に関して三点申し述べます。

 第一は、電源投資についてであります。

 系統全体で必要な供給力は、小売事業者が年間ピーク需要の一〇一%を負担し、系統運用者が予備力相当を分担することで確保をしています。系統運用者は、電源保有が認められておらず、電源1や電源1'といった調整力を毎年公募することで、必要な予備力を確保しています。小売事業者は、自らが電源を保有し、あるいは発電事業者と相対契約を結ぶことで、供給力を確保することが期待されています。

 しかし、直近の供給計画を見ると、確保すべき新電力の供給力の多くが調達先未定とされており、市場に供出される発電余力の裏づけがないのに市場調達に頼ろうとする新電力が多数存在することが広域機関の資料から分かります。実際に、小売事業者の調達先未定の量が発電事業者の発電余力量を超えれば、全国の需給では、調達すべき設備量が満たない状況が発生することとなります。

 卸市場で供給力を調達するとは、市場価格の高騰によって発電投資の誘因を確保することになりますが、我が国では、市場価格の高騰を抑えつつ、長期の収入見通しを与えて投資誘因を確保する方が望ましいと判断し、容量市場を開設することに決めました。

 しかし、容量市場は、市場の名こそついていますが、人為的な仕組みであり、結果として、十分な投資誘因を与えるには至っていません。休止、停止火力が増えている状況にあることから、今般の改正案にある休廃止火力の事前届出制を通じて供給力の状況を把握することは重要です。同時に、小売事業者に対して、本来需要家に対する責任として課せられている供給力確保義務をしっかり守っていただくよう、更なる政策的対応が求められます。

 安定供給における第二の論点は、燃料調達であります。

 我が国において、LNGを含む燃料調達における長期契約は極めて重要です。燃料調達の長期契約を促すには、発電と小売の相対契約を進めて、供給力の裏づけをしっかり押さえることが有力な方法と思われます。なお、発電と小売の相対契約を促進することは、電源投資におけるファイナンス確保にも有効となり、先ほど述べた電源投資の確保にもつながることになります。

 ウクライナ情勢が長期化すると、燃料価格の高騰とともに、燃料の量が足りないという、二〇二〇年冬と同様の事態が生じることが想定されます。海外の燃料市況に影響を受けない電源をしっかり確保することはもちろんですが、脱炭素化も見据えながら国産燃料を確保することも、我が国の安定供給上、極めて重要と考えます。

 燃料の脱炭素化については、既に航空燃料の脱炭素化に関する国際的な規制が導入されています。まずは、国産の脱炭素航空燃料、いわゆるSAFといいますけれども、この量を確保すべく、国産ロードマップを早急に作成することを燃料の脱炭素化の第一歩とすべきです。

 カーボンニュートラルは電力セクターだけでは達成できず、例えば農業政策において、食料以外に燃料を作物から作ることを安定供給の概念に取り込むなど、国全体で脱炭素化の取組をしっかり加速させるべきと考えます。そうした取組が、例えば農業セクターにおける担い手確保などの問題も同時に解決することにつながると思います。

 第三が、再生可能エネルギーとの関係であります。

 供給計画上、太陽光や風力などの自然変動する再エネは、設備容量以下とはいえ、一定の供給力として計上されています。適正な供給力を一定とした下で再エネを増やしますと、安定供給を支える電源が減少するということになります。

 そこで、太陽光や風力など自然変動する再エネに対して、蓄電池を導入するなど制御機能を持たせることが、再エネ主力電源化を目指す上では不可欠となります。大型蓄電池を発電事業として位置づけることも、再エネ導入拡大の上での推進力として機能するものと思います。

 予測誤差がどうしても残る再エネと揚水を含む蓄電池を最適に運用するためには、現在のように、供給力を各バランシンググループで調達させるような分権的な管理ではなく、調整力を系統運用者の下に集中管理させる、いわゆるプール制を採用することが効率的と考えます。この点は、スポット価格の高騰を避けるために供給力確保を集中的に行う政策判断を行った、先ほどの容量市場の開設と同様のロジックであります。インバランス料金の高騰を避けようとすれば、需給調整の運用を系統運用者に集中的に行わせるということが効率的であります。この政策判断は、需給調整市場に完全に移行する二〇二四年に間に合わせるように、早急に具体的な議論に着手すべきと思われます。

 今般の改正案では、このほかにも様々な論点がございます。例えば、事業者に、非化石エネルギーへの転換に関して中長期的な計画を作成いただくということが盛り込まれています。この点は、カーボンニュートラルに向けて、中小企業を含めて我が国の企業の地球温暖化に対する意識を高めるだけでなく、我が国の産業構造の転換を前向きに進める推進力になるものと期待されます。

 太陽光が増加する昼間にあえて需要を高める、いわゆる上げDRを行わせるよう促すことも重要です。この上げDRの時間帯に、今は一銭を下限としているスポット市場の価格をマイナスにすることができれば、上げDRのインセンティブは更に高まるものと思います。

 今般のウクライナ情勢に端を発し、我が国における一次エネルギーの国産比率が他の欧米諸国と比較しても極端に小さいことが改めて明らかになりました。電力システム改革は、安定供給の点からはまだまだ改革が道半ばであります。今般の改正案は、今後求められる更なる電力システム改革に向けて欠かすことのできない出発点になると思います。

 以上でございます。

 この度は、貴重な機会をありがとうございました。(拍手)

古屋委員長 ありがとうございました。

 次に、遠藤参考人にお願いいたします。

遠藤参考人 おはようございます。

 私、最後になりましたが、意見を申し上げさせていただきます。

 今回の五つの法律改正の目的は、二〇二一年十月に閣議決定されましたエネルギー基本計画を実現するための制度整備でありまして、この改正自体に特に異論を挟むものではございません。

 しかしながら、この法案が策定された二〇二一年末までにはロシアによるウクライナ侵略は起きておらず、脱ロシアを図るグローバル市場の混乱とか、またエネルギー資源を輸入に依存する我が国日本への影響については、この法案に反映されていません。今後、長期化が予想されるエネルギー需給逼迫、価格高騰を踏まえた追加的な制度措置が必要であることは申し上げるまでもないと考えております。

 その上で、今回改正対象となっております供給構造の転換に資する高度化法及び安定供給の確保に資する電気事業法の改正案について、私の方から意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 一点目、需要サイドはもちろんなんですが、供給サイドにおいても、非化石エネルギーへの転換というのは、グローバルな地球規模課題解決に向けて取り組む我々先進国としての責務であると思います。また、カーボンニュートラルとエネルギー自給率の向上のためには、そういう観点では、再生可能エネルギーの拡大を唱える声も大きいと思っております。

 しかしながら、蓄電池の技術の高度化、あとは普及による価格の低廉化がなされていない現状においては、再生可能エネルギーを発電源として使用した場合、今再エネの主力であります太陽光、風力などの変動の再生可能エネルギーの調整力は火力発電が担っているというのが現状であります。

 その意味では、今回、この高度化法の枠組みの中に、水素、アンモニア、CCS火力を非化石エネルギー源として認めることというのは非常に合理的であると考えております。今は水素、アンモニア、CCS火力という区分なんですが、水素、アンモニアを混焼する火力についても非化石電源としてカウントする設計が追加的に必要であるというふうに考えております。

 ちょっとアンモニアを例に取りまして御説明したいんですが、アンモニアは、製造とか輸送とか貯蔵において既存の技術を活用することができます。仮に石炭火力発電に二〇%のアンモニアを混焼して発電をした場合の価格というのは、試算がされておりまして、十二・九円、キロワットアワー当たりということになっております。石炭火力の発電価格の約一・二倍ですので、これは吸収し得るコストかなと思われると思います。

 今時点で大手の電力事業者が検討しているアンモニアの混焼は二十七基、二千百八十万キロワットです。皆様よく御存じの、東京電力と中部電力の発電の合弁会社であるJERA、これが二〇二〇年後半に運用開始をするというロードマップを示しています。

 もっとも、この二十七基が二〇%の混焼を実施した場合なんですが、年間一千万トンのアンモニアが必要になります。現在、世界市場で流通している、貿易されているアンモニアの量というのは二千万トンなので、その半分を僅か二十七基で使い切ってしまうということになってしまうんですね。

 つけ加えれば、現状は、もちろん再生可能エネルギーからアンモニアを作ることもできるのですが、今は天然ガスが主に使われています。ということですので、今回のウクライナの侵略を経た第一・四半期、つまり三末のアンモニア価格というのは、二〇二〇年の夏に比べて、アジアで二・七倍、北米で四倍、欧州は五倍に跳ね上がっています。

 ですので、つまるところ、水素、アンモニア、CCSへの転換、重要なんですが、ここにはやはりまだ、コストの圧縮であるとか技術革新であるとかサプライチェーンの確保など、乗り越えるべき課題というのはまだまだ山積しているという認識でございます。

 二点目、安定供給につきまして、先生方のお手元に、私、図をお送りしております。

 最初のページの、ベースロード電源が供給逼迫の構造要因にというチャートを見ていただきたいんですが、これは先ほど大橋委員も御指摘をされておられましたが、この間の、二〇二〇年の年末から始まった需給の逼迫を経てどういうことが起きているのかということを調べたものなんです。

 これはデュレーションカーブといいまして、一年間八千七百六十時間の需要を大きい順に並べてあります。もちろん、供給力は平均補修でカウントしているので、実際の需給というものとは異なるんですが、よく電力会社の方が稼働状況を把握したり燃料の調達のための状況把握のために使うデータです。

 右側は、震災前、二〇〇九年の状況のバランスです。ベースロードとして原子力、そして水力、石炭が機能しているというのがよく分かっておられると思います。再生可能エネルギーが入ってきたときの調整力、先ほど申し上げました、負荷の調整を行うためにLNGが活躍しておりまして需給を調整しているという、これは原子力が三十四基動いていた状況のときのデュレーションカーブです。

 左側は、二〇二一年一月現在、原子力が四基しか動いていないときの状況なのですが、ベースロードに石炭がここは出ていかなくてはならない、それはなぜかというと原子力が動いていないからということで、しかも、LNGがベースロードまで入り込んで、全体の四二%の活躍をせざるを得ない状況になっている。LNGへの負荷が非常に高まっているということがお分かりいただけるのではないかというふうに思っております。

 これが電力の需給の状況なんですけれども、二枚目の資料を見ていただきますと、これは調査室の方からも出されているものでございますので、だんだん火力発電の供給能力が減少傾向にあって、石油の火力発電所の廃止が継続しているということと、LNG、石炭においても廃止火力というものがどんどん出てきている。稼働率は稼働率で、再生可能エネルギーが入ってくる分、下がってくるわけですけれども、何よりも、電力自由化、電力システム改革が行われる中で、やはり電力事業者も効率化を求めるということで、ある種、老朽火力であるとか採算に満たないような火力の停止がどんどん進んでいく状況にあるということです。

 二〇三〇年には、国内の石炭火力の約三〇%が運転後四十年を迎えます。ですので、四十五年経過した電源は廃止と仮定するという前提でこの表も作られていますが、廃止の設備というのはどんどん増えていくという状況になります。

 また、これも先ほど大橋委員の方から御指摘がありましたけれども、今年の冬の深刻度は、先生方も大変強い危機感を抱いておられると思うんですが、深刻でして、夏は東北、東京、中部で三・一%ということですが、二〇二三年の一月の東京というのは、予備率がマイナス一・七です。中部以西も二・二%です。

 電力の自由化の前は、これが効率的だったかという話にもなるんですが、予備力というのは、大体一〇とか、そのぐらいあったわけですね。今、三%で、これはよかったねという話になっているのですが、三なんていう数字も、極めて綱渡りの状況にあります。

 これも言うまでもありませんけれども、電力供給の途絶というのは、国家的な危機でありますし、国民の生死に関わります。そういう状況を今迎えているということで。

 今申し上げている数字は、ウクライナ侵略後の燃料調達リスクを反映されたものではありません。ですので、LNGの争奪戦に、それこそ、今、天然ガスをパイプラインでロシアから供給を受けていた欧州がLNGの調達にシフトしてくる中で、マーケットはLNGを中心に非常に逼迫をしていくということになってくる中で、この影響度というのはもっと深刻なものになってくるというふうに予想されます。

 ちょっと三枚目を見ていただきたいんですけれども、これはJERAに提供いただきました数字です。

 LNGの長期契約の量というのが、左が日本、中国になりまして、市場がこの五年間ぐらい非常に安定をして、低位安定をしておりましたので、当然ですけれども、長期契約というものを結んでいないというふうな状況が続いておりました。一方の中国なんですが、これはウクライナの侵略をまさか分かっていたのではないのかと思われるぐらいに、二〇二一年に長期契約を積み増しているという状況です。

 つまり、今後のエネルギー資源の需給の逼迫が考えられる中で、日本の安定供給に資するような資源の調達サイドでも危機感がますます増しているというふうな状況になっております。

 短期的には、やはり、休止予定火力の運転を要請するとか、原子力再稼働に向けた新規制基準適合審査を加速していただくとか、そういったような追加の供給力の対策が急務だと思います。

 長期的には、非化石電源であり自立電源である原子力発電のリプレースを含めて、エネルギーのインフラ投資が着実に、電源開発投資が着実に行われるための制度設計が必要であるというふうに思います。

 スリーEプラスSというのは、エネルギー政策の要諦ということで、私もエネルギー政策を専門にしておりますので、いつもそれが非常に、金科玉条のようにあるわけですけれども、経済が縮小してしまえば、CO2の排出量というのは抑制されます。そういう意味では、最も優先されるべきは安定供給であります。

 去年の十月にエネルギー基本計画というのを策定されたんですが、私は、エネルギーの安全保障戦略というものを別途緊急に策定、構築すべきであるというふうに考えております。イギリスなどは既に、その安定供給の戦略を打ち出したばかりです。

 やはり、具体的には、戦略的予備力を確保するための、総括原価に類似した事業予見性を確保する制度、現実的な非化石電源移行のためのいわゆるトランジションのファイナンスの確立をするということ、それで原子力のリプレースのための諸制度を整えるということ、これが非常に重要な課題になってくるというふうに思っておりますので、また、今回の改正にとどまらない議論を先生方には是非お願いをしたいというふうに考えております。

 私の方からは以上でございます。(拍手)

古屋委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長坂康正さん。

長坂委員 自民党の長坂康正でございます。

 田辺先生、谷口先生、大橋先生、遠藤先生には、本当に早朝から、参考人の皆様、本当に貴重で、そしてまた、限られた時間でありますが、分かりやすく、本当に濃密な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

 私の地元は愛知県でございまして、物づくりの集積地であります。特に、多くの中小企業が存在をしておりまして、皆さん、日頃から、少しでもコスト削減のために非常な御苦労をされております。

 今、大橋先生や遠藤先生の陳述にもございましたが、昨年、新電力の電気料金が高騰した、大変な思いをされた方が多いわけであります。私も、昨年は経産副大臣を務めさせていただいておりまして、エネルギー政策全体の中で、安定的で廉価な電力供給と、またカーボンニュートラル政策とのバランスを取ることの難しさをいろいろと考えてまいりました。

 エネルギー基本計画の策定にも関わりましたので、水素、アンモニアの利用拡大、洋上風力、さらには既存の水力発電の利用の最大化や原子力発電に至るまで、ベストミックスの実現の必要性を強く感じております。

 その中で、ウクライナ危機が発生し、エネルギー面での安全保障も浮き彫りになってきております。

 そこで、参考人の皆様、四人の皆様にお聞きしたいのですが、ロシアによるウクライナ侵略は、ロシアにエネルギーを大きく依存していた欧州諸国にエネルギー政策の見直しを迫っただけではなく、世界のエネルギー市場の混乱を引き起こしました。我が国にとっても、エネルギー安全保障の重要性、安定供給が大前提であることを、改めて認識された次第であります。一方で、気候変動の対応として、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた取組は引き続き必要であります。今後のエネルギー政策は、これまで以上にかじ取りが難しくなるものと思われます。

 そこで、先生方に、今後のエネルギー政策について、どのような時間軸と手順で、どのような政策に取り組んでいくべきかをお伺いをしたいと思います。

田辺参考人 先ほど私の方でも陳述させていただいたように、天然ガスに我々は頼っていこうというふうに考えたところ、非常に価格高騰してくるということがありました。この部分も上がっていくわけですけれども、石炭火力を、じゃ、どうするのかということで、フェードアウトを将来的にはしていくべきとは考えていますけれども、いつまで、どれだけかというのをやはり考えないと、安定供給には非常に影響があるというふうに思います。

 それから、原子力発電なんですけれども、エネルギー基本計画では、二〇三〇年の電源構成で二〇から二二%となっていますけれども、これは、設備利用率の向上とか四十年超の運転も含め、安全確保は大前提でございますけれども、地元の理解を得ながら再稼働しなければ、やはり達成は難しいと思います。これはしっかり説明して、また、リプレースですとか増設についても、国民的にコンセンサスを得ながら、やはり進める必要があるのではないかと思います。

 英国のロイヤルアカデミーが最近、原子力の廃熱を利用した小型のコジェネなんかの提案もされていまして、我が国は、今後どうやったら困らないか、物づくりを維持できるか、こういうことを念頭に置きながら考えていくべきだと思っております。

 以上です。

谷口参考人 実は私、三十年前にスウェーデンにエネルギーの勉強に行ったとき、まさかと思ったんですけれども、エネルギーをやる理由は国防だと言われたんですね。三十年前ですよ。

 なぜかというと、そのときスウェーデンは海外に非常にエネルギーを依存していて、発言ができなくなる、自分たちは世界に自分たちのポリシーを発信したいから、だからこそ防衛に必要なエネルギーは自前でやるんだという政策を聞いて、ちょっとびっくりしたんですね。それを最近、思い起こしました。

 それからもう一点、やはり、エネルギーの国防に関するコストを、再生可能エネルギーのコストの中に評価すべきだと思うんですね。単に再生可能エネルギーのコスト評価というだけでなくて、社会的付加価値を持ったものをどう評価するか。実は、再生可能エネルギーというのは様々な付加価値を持っていまして、地域創生であるとか防災も持っていますので、単純に、いわゆる商業的なコストだけで測らない方がいいと思います。

 それから、とにかく防衛のためには電力の自立も大事なんですけれども、もう一つ、先ほど、私、風車風車と言いましたけれども、そのデバイスというか風車自体は、今、LNGと同じように、世界で取り合いになっているんですよね。日本には百本単位じゃなきゃ売らないよと言われたらもうできない。ということは、逆に言うと、国産のものをどうやって、これから小ロットでも出せるようなものを作っていくかというのが大事になるんじゃないかなと思いました。

 以上です。

大橋参考人 御質問についてですが、まず時間軸が極めて重要だと思います。この時間軸と、あと供給者側の対策と需要者側の対策、両方あると思います。

 まず、供給者側の観点でいうと、長期的には、やはりエネルギーの国産化を目指していくということを着実に進めていくべきだと思います。これは時間がかかりますが、しっかりやっていくべきだと思います。

 他方、現状においては、やはり限られた玉をいかに効率的に、玉というのは電力量ですね、あるいはエネルギー量をいかに効率的に使っていくのかというのが重要だと思います。

 現状は、競争を軸として、分権的に、皆さん個々に玉を取ってこいということになっています。二〇二〇年度の冬、エネルギー価格が高騰したときに何が生じたかというと、複数の事業者がそれぞれ自分で玉を取りに行って、一般送配電事業者も玉を取りに行ったということであります。

 これは、インバランスをしっかり守るという供給安定性を実現するためにやったことですので、決して非難されるべきではないんですが、皆さん、分権的に最適化しようとすると、やはり部分最適になると思います。全体最適にするには、誰かが一括して調整力の統制を取るという仕組みがやはり必要で、それは先ほど私が申し上げたプール制につながっていく議論だというふうに思っています。

 また、そうすると、今、やはりすごく揚水の運用が重要なんですけれども、揚水の運用も、市場でやると、キロワットとキロワットアワーがうまく合わない、間尺が合わないですが、一人の系統運用者がやれば、これもまた効率的にできる余地が非常に生まれるということだと思います。

 需要者側に対しては、規制をいきなり入れるよりは、事業者の自発的な努力を促していく方向というのは極めて重要だと思います。

 今、この四月から、GXリーグといって、事業者で前向きに取り組む方々を集めて取組を進めるということをやられているようですけれども、そうした自発的努力を進めながら、その先に規制が入ってくる、炭素税みたいなものが入ってくるというふうな、やはりこれも時間軸を持って政策を考えていくことが事業者にとっても重要じゃないかと思います。

 以上です。ありがとうございます。

遠藤参考人 私の方からは、先ほども申し上げましたが、まずは政府のエネルギー安保戦略の策定が一番急務だというふうに思っています。これは、事業者への予見可能性を、事業予見可能性を与えるものです。

 短期的には、もう総動員だと思っております。あらゆる電源を確保して、総動員でその電源を確保する、供給力を確保するということです。

 長期的には、やはりトランジションだというふうに思っておりますので、原子力を含めた自立電源、これを増やしていくということが必要になってくると思います。

 ますますこれから電化が進みます。DXであるとかEV化があって、どんどん一次エネルギーから電力にシフトしていくという流れの中で、やはり発電の電源をどういうところで取っていくのかということが重要な政策の軸になってくると思いますので、そこを再構築していく、それを明確にしていただくことが何よりも重要なメッセージだと思います。

 以上です。

長坂委員 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、今お話しいただきました遠藤参考人にお尋ねをしたいと思います。

 ロシアによるウクライナ侵略によりまして、エネルギー源を一国に依存する事態の危険性、そしてエネルギー源の多角化と調達先の多角化を更に進めながら、利用可能なエネルギー源のベストミックスを追求することが重要だと再認識をさせられましたし、エネルギー自給率をたゆまず向上していくことの必要性についても認識をさせられました。

 この点、原子力は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、一度燃料を輸入すれば数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる上、運転時にはCO2を排出しないといったメリットを有するものであります。

 この活用に当たっては、当然、安全性を大前提としながらも、原子力についても現実的な議論が求められるのではないかと考えますが、原子力の位置づけに関するお考えをお伺いしたいと思います。

遠藤参考人 長坂先生がおっしゃられましたとおり、原子力は、簡単に言いますと、小指の爪ぐらいの大きさのウランで四人家族が一年近く生活できるぐらいの発電の効率が高い電源です。

 その中で、日本は、ウランはもちろん輸入でございますが、先生おっしゃられますとおり、安定的な国からの調達が可能になっている資源でございます。

 今、エネルギー基本計画の中で二〇%から二二%ということで、原子力に対するある種のポジションというものが与えられているのですが、現実として再稼働がなかなか進まないこの現状、ちょっと事例を挙げさせていただきますと、新規制基準が導入された当初は、大体五か月程度でその審査が終わるというふうに言われていました。それが、大体、今平均すると五年を超えております。その間に資源を海外から輸入することによる国富の逸失というものは四・七兆円というふうに、エネルギー経済研究所が試算をしています。

 このような状況ですので、今のウクライナ情勢を鑑みると、ますます原子力への期待値が高まるというのは当然だと思います。

 ただ、もちろん、福島の事故を経験しておりますので、安全が第一だということも長坂先生がおっしゃられたとおりだと考えております。

長坂委員 ありがとうございます。

 それでは、時間が限られておりますので、次に、大橋参考人にお尋ねをいたします。

 今回の法案では、電源の休廃止につきまして、現行の事後届出から事前届出へ変更することといたしておりますが、電力自由化の下に中長期的に安定供給の確保をするためには、本法案を含め、どういった制度設計が必要だとお考えでしょうか。また、中長期的な安定供給確保に係る追加的な費用負担の在り方も避けて通れませんが、その点に関するお考えをお聞かせいただければと思います。

大橋参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、今回の休廃止電源の届出でございますが、これは届出であって認可ではないので、休廃止するものは休廃止していく。ただ、どの程度の供給力があるかということをしっかり行政の側で見ることができるという意味で、極めて意味があると思います。

 ただ、安定供給がこれで万全かと言われると、これは届出ですので、やはりしっかり安定供給が維持される仕組みを、今後これを踏まえて、しっかり仕組みを考えていく必要があると思います。

 一つ、私が御説明申し上げたのは、発電事業者にとって電源投資をするインセンティブはどこから来るかというと、しっかり売り先が長期にわたって安定的に決まっているものに対して、ファイナンスもつきやすいし、投資もしやすい。という観点でいうと、やはり、小売事業者がしっかり供給確保義務を果たしていくことで、そうしたものが担保されるということが一つ重要なのかなと思います。これは、容量市場も、上乗せで、そういうものもしっかりやっていただくことが重要かなと思います。

 費用負担については、やはり需要家が一定程度負担をせざるを得ないというふうなところがあります。ここについては、安定供給に対して国民全体でいかに負担を考えていくのか、需要家も含めて負担を考えていくのかという観点でしっかり議論していかなきゃいけない点だと思われます。

 どうもありがとうございます。

長坂委員 もうほとんど時間がありませんが、田辺参考人にもお尋ねしたいんですが、過度な規制よりもまずは事業者の創意工夫を促すとおっしゃっていただきました。ただ、業種によっては非化石エネルギーへの転換が困難な事業者も存在するのではないかと思います。

 こういった事業者の非化石エネルギーへの転換を促すために本法律以外にも制度整備が必要ではないかと思いますが、先生のお考えをよろしくお願いいたします。

田辺参考人 先生おっしゃったように、例えば鉄鋼ですと、非常に、実はなかなか、非化石化比率をすぐに高めることは難しい。パルプなどは、それをバイオマスとして燃やすことができますので、こういう事業者は上げることができる。あるいは、我々が飲んでいる焼酎なんかも、実は、芋のかすをバイオマス発電していたりしまして、事業所は上げることができる。

 事業者の業種等によって、丁寧に、その値を見て、またあるいはPPAでオフサイトで購入するとか、こういうことも含めて、柔軟な制度設計を、八年しかありませんので、しっかりやっていくことが必要だと思います。

長坂委員 ありがとうございます。終わります。

古屋委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日、大変お忙しいところを、四人の参考人の、田辺先生、谷口先生、大橋先生、また遠藤先生、それぞれのお立場から、今回の省エネ法の改正を含めて、本当に、エネルギーのテーマで大変に分かりやすく御陳述をいただきましたことを、改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 先ほど来議論になっております、電力の需給の逼迫のああいう状況もありまして、やはりエネルギーの安定供給というところが今大変に関心が高まっているかというふうに思います。カーボンニュートラルという大きな方向で進めていく中で、やはり、エネルギーというのは安定的に供給する仕組みを確保していかないといけないのだということが非常に今強く意識されているかと思います。

 先ほど、長坂先生の方からも、ウクライナ危機を踏まえて、こういう安定供給について、時間軸も踏まえてどういう対応を取っていくのかということで御質問もされ、また御陳述もいただきました。私の方も、こうした点も意識しながら、少し、何点か質問をさせていただければと思うんですけれども。

 カーボンニュートラルを進めていく中で、エネルギーの脱化石、脱炭素ということが言われていく中で、やはり再生可能エネルギーを主力電源化をしていくということが一つ大きなテーマとして進んできたんだというふうに思っております。

 他方で、再エネの導入がどんどん進んでいく中で、今日も参考人の皆様にも触れていただいておりますけれども、やはり、再エネを促進をすることと安定供給、変動をしますので、安定供給をどのように両立をしていくかという課題もございますし、もう一つは、経済的な合理性ということで、この価格、費用負担というところをどこまで国民的に許容をしていけるのかということも、かなり再エネの導入が進んでまいりましたので、こうした議論も出てきているかというふうに思います。

 そこで、四人の参考人の皆様にちょっと、改めて、これまでの取組も踏まえていただいて、再エネの主力電源化に向けて、安定供給とのバランス、あるいは費用負担の在り方、こういう点も含めて、今後どういう方向性で、短期、中長期と、時間軸はもちろん、先ほど来議論あるように、あると思いますけれども、進めていくべきかということを、まず冒頭、お伺いできればと思います。

田辺参考人 まず、私は、セクターごとに考えていく必要があると思っています。

 例えば、半導体工場のような極めて高品質の電気が要るようなところにどうやって安定供給していくかという話と、我々住んでいる住宅とかビル、こういうところは、なるべくLED化などをして、省エネしていただいて、断熱して、その後に自分のところの太陽光発電で発電して、電気自動車があったり、蓄電池があったり、給湯器に入れれば、自分のところでかなり、実は再エネのしわを取ることができます。これは海外ではディマンド・サイド・フレキシビリティーと言われていまして、情報の非常に重要な技術であります。

 ですから、系統側の安定性を保つということと、なるべく住宅や建築物などは自分のところでやっていって全体を安定化するという、一律ではない対策が非常に有効ではないかというふうに考えております。

谷口参考人 安定供給に関しましては、今一般電気でやっているような中央監視システムを、スペインでやっているような再生可能エネルギーの中央監視システムと並立させながら補完し合うというのが、当面はいいのではないかなというふうに思います。

 あと、コストにつきましては、やはり長期的に考えるのか短期的に考えるかというのがございまして、現在、今、国民負担が増えているのも、いつまで増え続けるかという中で、実は、単価自体は、ピークが二〇三〇年ぐらいでしたか、来て、それからだんだん落ちていくというふうになる。逆に一方、電気のコストは、現在の化石エネルギー的なものに対してもっと低くなる。最終的には、国民は安い電気の恩恵を受けられるようになるんですが、それが、リードタイムが長くてなかなか理解を得られない。若しくは、それに何か補完するシステムを考えなければいけないかなと思いますけれども、基本的には、今の方向ではコストは安くなる。これは単純に電気代のコストですけれども。

 それと、先ほど言いましたように、エネルギーの国家防衛に関する寄与であるとか防災に関する寄与であるとかは、やはりそこに今費用を使っていますので、そういうものを軽減させるための効果がここにあるのであれば、そういう費用も換算してやることによって国民の理解も得られるようになるのではないかなと思います。

 以上です。

大橋参考人 まず再エネについてですけれども、再エネの導入は、特に夏においては、やはりピークカットの効果というのはあると思います。

 問題は冬でございまして、曇天で寒波が来たときに、太陽光の供給力が見込むことができない、そうしたときに、今回、非常に供給力について、この冬について、危機を持たれているんだと思います。

 まず、再エネの予測向上をしっかり取り組んでいただいて、なるだけそうした状況を事前に予測できるということが非常に重要だと思います。また、ディマンドレスポンスをいかに長い時間、持続的にできるかということもしっかり研究すべきだと思います。

 二番目に負担ですが、賦課金がしっかり需要家に公平に負担されているということをまずしっかりつくるべきかなと思います。コーポレートPPAの中には賦課金を支払わなくて済むためにやっているような事業者がいるのではないかというふうな、制度的にそれができるわけですけれども、そうした制度の漏れは、やはり負担の公平性の観点からすると極めて問題が大きいかなと思いまして、まず公平に負担をしてもらって、その上でいかに下げていくかという議論の順番というのは間違えないようにしていくべきかなと思います。

 以上です。

遠藤参考人 お答え申し上げます。

 再エネの安定供給との絡みでいけば、今大橋委員がおっしゃられましたように、夏のピークカットに貢献する、ある種、エネルギー自給率に寄与する電源ということで、電力は、資源のない我々の国では総動員ですので、再エネの拡大も依然として必要であるというふうに考えます。

 ただ、今、太陽光とか風力にかなり傾倒して導入が進んでおりますので、これは、太陽光でいけば中国製のパネルを使って発電する、風力であれば欧州製の風車などを使って発電する、ある種、トータルのサプライチェーンでいけば自給率の問題には貢献しませんので、日本としては、例えばベースロードを代替するための地熱発電の開発とか、もう少し長期に時間がかかるような新しいエネルギーの開発も必要であるという点がございます。

 もう一点としては、供給力の確保義務の中に再生可能エネルギーを主力とする新電力が入ってくるわけなんですけれども、その確保義務をしっかり講じていただく制度措置が必要であろうというふうに思っております。

 あともう一点、最後に、今の状況は、旧一電と言われる電力会社の送配電部門が、再エネが入ってくることによって需給を読み切れていないという現状があります。そういう意味では、その精度も上げていくことが必要だろうと思っております。

 以上です。

中野(洋)委員 ありがとうございました。

 やはり、これから電源の非化石化を進めていくに当たって、様々な課題がございます。大変に参考になる意見をいただいたと思っております。ありがとうございます。

 もう一点、田辺参考人にお伺いしたいんですけれども、今回の法案でも、いわゆる水素であるとかアンモニアであるとか、こうした非化石のエネルギー、新しくこういうものをどんどん広げていくという動きがある一方で、先生の陳述の中にも、やはり需要がなければ投資が進まないということも言っていただきました。

 確かに、今、カーボンニュートラルを進めるに当たりまして、いろいろな業界の取組というものも伺っているんですけれども、これはやはりかなり長期的にわたる投資が必要ということもありますので、単に目標を設定をしていくだけでは、なかなか具体的にこのロードマップが描いていけないというか、これは、恐らく、その需要喚起をしていくということもありますし、国がそういうのを、供給を後押しをしていくということもありますし、それに合わせてサプライチェーンをしっかり確保していくということも、様々あろうかと思いますけれども。

 こうした、短期的に、あるいは中長期的に、非化石エネルギーの活用というのを進めていくために、やはり今課題となっていること、あるいは進めていかなければいけないこと、こういう点についてちょっと教えていただければと思います。

田辺参考人 水素、アンモニアが非常に重要だというのは、電気だけではなかなか動かないというものもありまして、大型の船舶ですとか、あるいは飛行機もございますけれども、あるいは建設現場で使われているような重機とかですね。こういうのも、なかなか電気だけでは、今、置き換えが難しい。あるいは、製鉄を造るときに水素還元で造るですとか、鉄を造るときにどうするんだというような、どこで使うのかということをはっきりさせながら、その需要を見ながら行っていくべきだというふうに思います。

 ただ、まず、グレーであっても、水素、アンモニア、それを利用していくようなことを進めていかないと、再エネで全てグリーンになるまで待ってやると、これは私、ドイツの学術会議の方々とも議論しているんですが、物すごく彼らも、実は、この半年ぐらい、水素、アンモニアの話、非常にたくさん出てきます。これはLNGでカバーできるようなところ以外のところが、やはり水素、アンモニアが必要だということだというふうに考えております。

 以上です。

中野(洋)委員 田辺先生、ありがとうございます。

 まずはやはり需要を生んでいかないとということで、非常に、その第一歩を踏み出すということで、今回の法改正も大事だと思っております。

 大橋先生にも少しお伺いをしたいんですけれども、再エネなども進んできて、調整力となるしっかりとした発電量を、どうやって供給力を確保するかという仕組みが不可欠だというのは、電力システム改革の導入当初から、こういう議論はあったかというふうに思います。容量市場も、これから動き出すというか、それの対応として、制度としてはできてきたわけでありますけれども。

 先生も、この中でも様々、それに加えていろいろな仕組みもどんどんやっていかないといけないというふうなことを指摘されておられましたけれども、改めて、やはり供給側がしっかりと調整力の電源を、しっかりと予見可能性を持って投資をしていくために、どういう改革をこれからしていかないといけないのか、こういう点について少し改めてお伺いをしたいと思います。

大橋参考人 発電投資を促すためには、リスクを発電事業者に負わせると、これは自然と投資をしなくなるということになります。投資のリスクというのはありますので、その投資リスクを誰が負担するのかという問題になります。これは発電事業ではなくて、誰が持つのかというと、これは一定程度、小売事業者が持つべきではないかというふうに思います。そうすることで発電投資が進むという姿になります。

 一つの方法は、発電事業者がそうした、例えば市場に出せと言うと、価格が振れるのでやはり収入の見通しが立たない、よってファイナンスがつかないという話になります。よって、相対契約によってしっかり長期的に売り先がある、そして、それで価格が決まっている、そうすることで、一定程度、小売事業者が負担をすることで、発電投資が進むという姿ができるのかなと思います。

 容量市場はその下支えになるものですが、完璧なものではありませんので、やはり小売事業者が残りの部分のリスクをいかに負担していくかということが非常に重要だというふうに思います。

 以上です。

中野(洋)委員 大変に参考になる御意見、ありがとうございました。

 もう時間が来たと思いますので、私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、末次精一さん。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 皆さんにお伺いしたいわけでありますけれども、まず、本法律の施行に当たりましては、特に、安定的で効率的な電力需給基盤の整備が期待されるところでございます。ところが、カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーの需給調整、地域での受容性を高める政策誘導や支援につきましては検討が十分に進んでいないと感じるところでございます。

 そこで、電力自由化の下での我が国全体の供給力確保と、安定的で着実な運用を図っていく上で、特に、再生可能エネルギーにつきましては地域によってポテンシャルの差もあると考えられますけれども、政府が二〇三〇年に掲げております再生可能エネルギーの割合とその導入拡大に向けた有効な取組について、総合的な御意見をお伺いしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

田辺参考人 まず、地域との連携でございますけれども、これは環境省事業で地域の脱炭素を進めていくということを行われているわけですけれども、もう一つ、RE一〇〇なども、どこから持ってきている再生可能エネルギーかということが非常に問われるようになってきています。例えば、東京ですとか横浜ですとか、そういうところがどこの自治体と連携して、そこから再エネを調達させていただく、こういう地域連携というのが実は非常に重要であろうというふうに思います。

 それから、再生可能エネルギーの拡大については、二〇三〇年までに大きなものはやはり太陽光だと考えます。エネルギー基本計画でも、新築の住宅の六割の屋根に太陽光発電を置いていこうと。

 これは、雪が降るところもありますし、陰になるところもありますので、六割の達成、相当頑張らないといけないんですけれども、エネルギー価格が上がってくれば、これはしっかり説明し、あるいはペロブスカイトの太陽電池ができれば、価格を低廉化させれば、必ずペイするようになってくるのではないかというふうに考えております。

 それから、飛行場の周りの土地ですとか、あるいは農地ですとか、しっかり置ける場所を考えて、平地の少ない日本ですから、頭を使って再エネを増やしていく必要がある。

 風力に関しては、先ほど申し上げたとおりでございます。

谷口参考人 まず、供給と需要の関係なんですけれども、これは、日本の中で、実ははっきりと、需要が多いところと供給が多いところと、地理的に分かれているんですね。例えば東京は、東京一自治体で恐らく、日本の中で、エネルギー供給は、逆に少ない方の県を二十ぐらい束ねないとできないんですよね。

 本当は、そのときに、東京がそういう需要、供給のバランスにどういう貢献をするかという政策をつくることが重要で、実は、東京都が昨年から、東京都に電力を送ってくれる事業に補助金を出しているんですね。その事業というのは、防災時には地域にエネルギーを供給することということを要件としているんですけれども、実はそれだけではまだ不足かなというのがあります。

 一つは、さっき言いましたように、地域に裨益するような仕組みがそこにない。ですから、地域の人たちは防災だけでは生きていけないので、お金がちゃんと地域に落ちて、回るような仕組みがあるといいなというのがあります。

 それからもう一つ、そういった東京とか大都市の役割は、まさに自分たちの需要をそういう再生可能エネルギーの供給に突き合わせるという、これは需要プルという言い方をするんですけれども、そういう政策を都市が持つ、これは明確にやる必要があると思います。東京でも関西でも北九州でも、そういうことでやっていくことが大事かなと思っています。

 以上です。

大橋参考人 再エネの主力電源化において、再エネ、特に我が国では、太陽光発電がメインで、今後風力が入ってくるという形だと思いますが、大きな壁となっているのは、やはり、自然変動してしまう、自然という意味は、予測できない形で変動する部分があるということがネックになっているんだと思います。

 そのために、予測精度をやはり高めていく。これは天候とか風とか、そういうものの予測精度を高めていくことで、制御できる電源と同等の立場まで再エネを持っていくということが重要ですし、そこでも取れないものというのは、商業用になるように頑張っていただく必要はありますが、蓄電池あるいは大型蓄電池を発電事業者同等とみなして、しっかり系統に接続できるような形にするということが重要だと思います。

 最後に、やはり、それでもできない場合は、これは、蓄電池と同様の扱いで揚水がありますけれども、そうした揚水と再エネの予測誤差とをうまくマッチさせるような仕組みをつくる必要がある。これは、今、分権的に調整していますので、なかなか効率的になっていないところがある。それを行うためには、系統運用者の下で調整できるような体制に持っていく必要があるんだと思います。

 今、系統運用者、実は日本の電源の四割が見えていない状況になっていますので、実はそういうことができる体制になっていないというふうな認識でいます。早急にそうした体制ができるように仕組みを考えていくということも重要かなというふうに思います。

 以上です。

遠藤参考人 お答え申し上げます。

 今、もう大橋委員がおっしゃられたことに重なりますが、再エネを主力電源化するときには、やはり調整弁が、負荷調整というのが必要になる。

 それはなぜかというと、先ほど先生がお出しになられた二〇三〇年までは、あともう七年、八年しかないわけです。地熱の開発には十年かかりますので、現行ある主力の太陽光と、これから出てくる風力と、それを組み合わせていくことが、その三六から三八%の目標を達成するためには必要だと思いますので、こちらが供給サイドとしては必要になる、更なる今の現行の制度の継続というのは必要であろうと思います。

 その一方で、これも大橋委員がおっしゃられたんですけれども、蓄電池の開発、これが今回の電事法の改正で、系統につながって発電事業者として認められますので、ここにその調整弁を機能として果たしてもらうというようなことは、もしかすると、あと七、八年の中で間に合う可能性があるかもしれません。

 以上です。

末次委員 ありがとうございました。

 それでは、谷口参考人にお伺いしたいと思います。

 今日は、先生の御説明の中で、洋上風力ということが、御提案がありました。世界的にも非常に注目が集まっているということで、イギリスのジョンソン首相は、二〇三五年までに全電力を再生可能エネルギーで賄うということで、もうそれも達成に見込みが立っているというような御説明であったと思います。

 そこで、我が国におけるこの洋上発電の現状でありますけれども、先生は非常に現場の方で取り組んでおられたと伺っております。そういうことも、これまでの取組の御経験も踏まえて、現状の我が国におけるその取組状況ということと、あと、今後それをどのように取り組んで政策課題にしていくかというのはもちろん政治家の役目であると思いますけれども、これも先生の現場での御経験ということもあられるということでございますので、日本における洋上風力発電のポテンシャルということも併せて御意見を賜ればと思います。

谷口参考人 日本における洋上風力発電のポテンシャルは、先ほど私の説明の中でお示ししましたが、恐らく日本の全エネルギー消費量、電力消費量の四、五倍ぐらいはあるのではないかなというふうに思います。

 それで、実際それをどう実現するかというときに大事なのは、先ほどちょっと表現を間違えたんですけれども、中央監視何とかと言いましたけれども、中央給電指令室のことで、スペインでは、再生可能エネルギーとそれ以外の電力の中央給電指令室と分けているというのは、再生可能エネルギーはベース電源にしているんですね。

 世界でもそういう国があるということで、実はこれは日本に売り込みに来ていまして、私が都庁にいたときに、スペインから、中央給電指令室、再エネでやるのをやりませんかといって、その後、都庁から四人ほどスペインに視察、出張に行ったものがあったんですけれども、そういう一つのシステムと、あともう一つは系統連系で、一番手っ取り早いのは、やはり直流送電網を海の中に通してやるというのが、世界的には基本で進めているし、日本であれば、日本海側にそういうのを造るということで大きく進むのではないかなというふうに思います。

 以上です。

末次委員 ありがとうございます。

 谷口先生がお示しいただいた御提案からずっと私も聞かせていただきまして、先生が本当に御指摘いただいていることが、時間軸はありますけれども、規模感で進むとしたときに、政府が、時間軸については達成、導入に向けて、野心的とは掲げておりますけれども、更に野心的に取り組むことによって、これはかなり日本でも進む可能性があるというふうに感じております。

 そうしたときに、先ほど原子力のことが話題に上がりましたけれども、これは、例えば二〇三〇年に脱原発を達成するということを目標に上げた場合に、この再エネの、いわゆる太陽光と、あと洋上風力も含めた、が進んでいくならば、これは、イメージ的に、自然に脱原発というのは進んでいくのかなとは思うんですけれども、その一方で、先生も以前研究されていたということで、資料を読ませていただきますと、脱原発に取り組む人たちと再生可能エネルギーに取り組む人たちの、その取り組む姿勢によって脱原発が進むかどうかというのも変わってくるようなことも御指摘されておりました。

 そういうこともいろいろ総合的に踏まえて、今後、再エネが進むことによって脱原発がどのようなふうになっていくと推察されるか、考えられるかということを、専門的な立場の方から御意見をいただきたいと思います。

谷口参考人 簡単に言ってしまえば、原子力発電と再生可能エネルギーの一番の違いは、やはり防衛力の違いですね。

 前、調べたことがあって、世界で一番グリーン電力を使っているのはどこかと調べたら、アメリカのネイビーだったんですよ。ああ、そうだなと思ったのは、アメリカの中で、波力発電という、まだ実証実験みたいなものを、アメリカのネイビーがサイトを出して協力しているというのを見て、へえ、そういうこともやはり積極的に取り組むんだなというふうに思いました。

 再生可能エネルギーは、やはり、ある意味、非常に戦争に強いんですよね。逆に、原子力発電所は、今ウクライナで問題になっているように、戦争に非常に脆弱なんですよね。こういうところのコストも考えて入れるならば、やはり、どちらかというと再生可能エネルギーを防衛上優先するというのは、これはもっと国家政策としてはっきり打ち出していいと思うんですね。

 と思います。以上です。

末次委員 時間になりましたので、終わります。大変ありがとうございました。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 今日は、四人の先生方、本当に貴重なお話をありがとうございました。本当に今エネルギー事情が厳しくなってきたという中で、本当に示唆に富んだお話をしていただいたなというふうに思っています。

 まず最初に、遠藤先生にお伺いしたいと思います。

 やはり、ウクライナ危機というものをこの法案が織り込んでいないということをいみじくも指摘していただいたということで、そういう中で、この間の電力需給逼迫警報があったということが、これがまた更に厳しくなるというようなことも当然考えられると。

 そして、ウクライナの危機、ロシアが侵攻して制裁を受けている、これによってヨーロッパが、今まで非常に多くの天然ガスをロシアから供給を受けていたというものが一気に変わるということになって、日本の今火力発電の多くがLNGに頼っているというような状況がまた更に厳しくなっていくというようなことも御指摘をいただきました。

 そういう中で、サハリン1、2、どうするんだとかという話も、これは経産省も本当に悩みながらやっているところでありますが、ただ、これから、先ほど先生が御指摘いただいたように、ヨーロッパがどんどんLNGを求めていくということがあろうかと思います。今、ドイツの方でも、オランダの方でLNGの受入れの基地を建設するんだと。これはもちろん、それなりの時間はかかるとは思いますので、すぐに移行できるかどうかというのもあるとは思いますが、確実に我々の買い求めるライバルというのが増えてくるということが現実になろうかというふうに思います。

 そういう中で、先生も先ほど御指摘をされた、エネルギーの安全保障の戦略を早急に作るべきだということもおっしゃったわけなんですが、このLNGの供給についての、これは喫緊でやはり対応しなければいけない、考えなきゃいけないと思うんですけれども、どういった方策でこのLNGの安定供給をこれから進めていくのか。すぐに答えが出るわけではないと思いますが、もし御所見があれば、お伺いしたいと思います。

遠藤参考人 お答え申し上げます。

 現状、今々の話になりますと、これまでは日本は長期契約を行ってきておりましたので、比較的、今の価格変動、スポットの価格変動のあおりを受けずに調達ができているというふうな状況にあります。

 例えばイギリスは、今、電気料金が約八倍ぐらいに上がっているはずです。それは、風力に依存をしていて風が吹かなかったということも合わさって、このエネルギー危機の電力料金への反映が極めて著しく出てしまった。それに比べて日本はまだまだ、そういう意味では、長期契約を行っていたので助かっていたというところがあります。

 日本のロシアへのLNGの依存度というのは大体八・八%でして、これはほとんどサハリンの六百万トンということになります。もちろん、これをどうするのかというような見極めというものは政府の方でしていただく必要があると思いますし、私は、これは、例えば今、日本がやめたとしても、当時結んでいた価格差を考えれば、これはロシアを利することになりますので、ここから撤退すべきではないというふうに考えますが、これが直接的に相対で利いてくるだけではなくて、全体のLNG市場が、先ほど小野先生がおっしゃられたように、欧州が参入する。そもそも、中国が今、今まで日本が第一番のLNGの需要国でしたけれども、中国が一位に躍り出るというふうな形で、争奪戦というのは元々あった。それに欧州勢が加わってくるというような状況で、極めて不安定で、長期的には極めて厳しい、調達量と価格の面で厳しい状況が続くというふうに思われます。

小野委員 ありがとうございます。

 どうやって乗り越えていくかというところがなかなかやはり厳しいというようなこともちょっと感じたところでございますけれども、先生がお示ししていただいたこの資料、本当に、これは中国が、まさにこのウクライナの侵攻を見通していたのかというぐらい極端な長期契約を確保しているわけなんですが。

 私が先ほどちょっとお話を聞きながら思ったのは、日本のLNGの確保の契約をどうするかというのが、今、民間事業者に委ねられていて、それが、国家的な戦略で、エネルギーの安定供給という面からどういったバランスをすべきなのかということが、国がやはり関わっていくべきなんじゃないのかというふうにも思うんですが、その辺については、今どうなっていて、それからあと、これからどうあるべきかということを是非コメントいただければと思います。

遠藤参考人 お答え申し上げます。

 今の現状でいけば、電力の発電事業なりLNGの輸入業者なり、民間事業です。ですので、そこの調達に関して国がどこまで関与できるかということについては非常に難しい点があると思います。

 ただ、ダイレクトな関与は難しいかもしれませんが、先ほど来申し上げているように、国が、事業予見性がかなうように、長期的にどういうふうなエネルギーの供給体制にするのか、また、これは需要サイドからも変革を加えていくのかということが示されることによって、それこそ長期の調達をするとか、長期の設備投資をするとか、基地の設備投資ですね、そういったものに反映してくると思うんです。ですので、何よりも国に必要なことは、長期的な視点を示すことであろうかと思います。

 もう一つ言えば、付加的に言えば、LNGを、今は備蓄義務というものはかかっていないんですね。大体二週間ぐらい各社保有していますが、これからは、例えばLNGは船で持ってくるわけです。船の上で備蓄をしておくというような、もう少し流動的な備蓄の在り方みたいなものについても検討をしていく必要があるというふうに思っております。

 以上です。

小野委員 ありがとうございます。

 やはり、民間事業者がやっている事業だからということだけでは済まされない事態がもう来ているんだというふうに思いますので、これは国の方でも、その状況でそのままにしておいていいかということを考えるべきときが来ているかなと。

 そして、先生おっしゃったように、私も前々から疑問だったんですけれども、石油の備蓄量というのは数か月単位であるわけですけれども、これはLNGだと二、三週間しかない。しかし、やはりLNGが、脱炭素ということも含めれば、やはりそれの量もちゃんと確保しておかなければいけないということもありますので、そこは、洋上のタンカーでどれだけの、バッファーをちゃんと取れるのかとか、いろいろあるとは思いますけれども、でも、そこも真剣に考えていかなければいけないことなのかなというふうに今感じた次第です。ありがとうございます。

 次に、風力について、谷口先生にお伺いしたいと思います。

 一般的によく言われていることとして、北海で吹く風とか北欧で吹く風と日本は違って、やはり採算上は非常に日本の方が難しいんじゃないかというようなことも言われたりするんですが、これに関して、まず、谷口先生のお考えを是非お伺いしたいと思います。

谷口参考人 まず、北海で吹く風というのは、おっしゃるとおり、一定方向の風が強く吹いているので、非常に設備利用率が高くなる。それに対して、日本は、特に、北日本の日本海側では冬場に多いのと、あと落雷が非常に世界的にもトップクラスなので、難しい。これは、逆に、今、落雷研究が非常に進んで、そういう対応ができてきています。

 あと、コストの問題は、実は、私、ちょっと正確なのはあれなんですけれども、たしか、日本とドイツを比べると、日本の方が風況がいいはずなんですよ、ドイツに比べて。でも、ドイツは圧倒的に風車は日本より多かったですよね。実は、太陽光も同じで、日本の方が日照に恵まれているのでいいんですけれども、でもドイツが進んでいる。これはやはり、社会的な、非常に経済性を求めるような仕方ができたのかなと。

 実は、私、東京都庁にいたときに風車を建てたことがあって、民間に建ててもらう、公募したんですけれども、誰がやっても赤字なんですよ。したがって、誰も手を挙げないというか、相談に来るけれども、みんな下がっていった。でも、どうしても建てたいなと思って、いろいろキャッシュフローシートをチェックしたら、どうも固定資産税をゼロにしちゃったらどうかという話を考え出しまして、固定資産税は地方税なんですよね。そうすると、結構いい線いくなと。もうちょっと利益を上げさせるには、土地代もただにしちゃったらどうかと。それで公募したら、実は八団体から応募があったんですね。

 要するに、政策でコストは変わってくるし、それで企業の参画がどっと増える。だから、そこはつくり方次第だと思いますね。

小野委員 ありがとうございます。

 日本に合った洋上風力というものが、まだまだ開発する余地があるというようなことを感じた次第ですので、是非、先生も、どんどん大型洋上風力が日本でも当たり前のように普及するように、是非御尽力賜れればというふうに思います。

 そういう中で、先ほど、本当に重要な御指摘をいただきました。地域に裨益をする洋上風力というものを進めていくべきだというのは、まさに私もそう思います。

 私も、熊本で副知事をやっていた際に、福島の原発事故の後は、本当に毎日、私、決裁の判こを押して、メガソーラーの県内への立地の決裁をやっていたんですね。そのときに気づいたことは、でも、実際これ、県にとって何かメリットあるのかなというふうに思ったんですね。固定資産税は、まあ最初入りますが、どんどん減っていきます。その後にいろいろな配当があるかというと、例えば、本当に一番ひどかったのは、ルクセンブルクのどこかから金が出ている案件があって、それで、九州電力管内のユーザーの人たちが再生可能エネルギー賦課金を余計に払って、それで、そうやって、ルクセンブルクの何か偉い人かお金持ちか分かりませんが、そういう人たちが利回りを物すごいパーセンテージで受けている。

 こういったことがやはりあると、結局、行き詰まるというふうに思いますので、やはりこの洋上風力に関しても、私も、福島の後にドイツを見に行きました。旧東ドイツのところに、物すごい風力ががんがんがんがん広野に建っていて、それは全部地元の人が出資しているということがありました。

 ですから、そういった地元の人がちゃんと利益を得られるような仕組みづくりというものを、これは民間に任せるんじゃなくて、やはり再生可能エネルギーをどんどん進める上ではもっと制度化すべき。そして、大きな資本家が、自分が情報量をいっぱい持っていて、資金力も持っていて、その人たちが全部持っていってしまうというような立地の仕方は許さないような仕組みづくりが必要だと私は思っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

谷口参考人 全く同感でして、そういうつくりと同時に、やはり地域にないのは、やはり何億もの事業をやったことがないというのと、それから、それがどれだけ地域に効果を持つかということが余り、体験的というか、知らないというところが問題なので、そういうのをやる。

 あと、最後はやはりリスクですね。地域はやはりリスクを取れないので、大企業は取れるんですよ。それを大企業に代わってリスクを取るようなことをやれるといいなと。

 実は、またこれは、成功しなかったんですけれども、都庁時代に、ほかの、都庁に電気を送ってくれる事業者の債務保証を東京都でできないか、そういうのを予算要求したことがあったんですね。そうすると、デフォルトというか失敗率が六%だったら、六億を用意すれば百億事業ができるんですよね。そういうことで有効に使うというのも考えられますので、まさにそういういろいろな手を使いながら、お金を回しながらやると地域にお金が落ちるというふうに思います。

小野委員 都庁マンのスケールを超えているような事業を描かれるということで、本当にすばらしいなというふうにお聞きをいたしました。

 再生可能エネルギー、やはり本当にこれから重要になってきますし、そういった、やはり制度ですよね、それを、誰がリスクを取るのかとか、あるいは、リスクをなかなか取りたくないなという住民の方々も入っていけるような仕組みをつくるとか、そういうところがまだまだ日本には足りていないのかなというふうに思います。それがちゃんと理解できれば、みんな喜んで、お金はもう日本中で余っているわけですから、それが新しい成長にもつながるということにもなると思います。

 熊本の小国町にも、実は地熱発電をやっている集落があって、そこはもう年金とそれからその地熱発電の収入で楽勝で暮らせるんですね。そういうような地域がもっともっと増えてくれば、皆さん、本当にこの再生可能エネルギーをもっともっとやろうじゃないかと。それこそ本当に、私も、原発はやはり今必要だというふうには思っていますが、そんなのは要らなくなるわけですし、それをみんなで仕組みをつくっていくということも必要なんじゃないのかなというふうには思っています。

 時間がもう多分余り残っていなくて、あとお二方の先生にちょっと御質問できるかどうかなんですけれども、私ども日本維新の会は、今回の法案に関して、例えば、非化石エネルギーを導入するのに、田辺先生がおっしゃった一万二千社の大きな事業者のところには義務化をしていく、例えば計画を作りなさいとか、それでそれを経産省が監督していきますよ、そういった仕組みをしているんですが、やはり今、ESG投資とか、それから脱化石化で製品を作らないとマーケットから締め出されるというような時代になっているので、そういう役所による制限は要らないんじゃないのかというようなことを主張しているんです。

 そういったことをやはり将来的に進めていくべきだというふうに思うんですが、田辺先生はいかがお考えでしょうか。

古屋委員長 田辺参考人、できれば簡潔にお願いいたします。

田辺参考人 東証プライム市場でも、TCFDを出して、その中でスコープ3を出さないといけなくなっていますので、企業経営には極めて重要だと思います。

 ただ、一例を申し上げると、例えば建築業なんかは、セメントとか鉄に物すごくCO2がありまして、実は使った後も非常に出るんですね。自分の事業のところがどういう事業をやっているかによって違いますので、まずはそれぞれの事業者に省エネをしてもらう、そこで非化石を増やすということから始めて、中小企業も困らないようにしていくということが重要、両方とも重要だと思っております。

小野委員 お答えいただき、どうもありがとうございました。

 終わりたいと思います。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 四人の先生方、大変お疲れさまです。順次、質問をしていきたいと思います。

 まず初めに、田辺先生にお尋ねしたいんですけれども、今からでも遅くないと思うんですが、公共物の上に太陽光を設置するとか、あとは高速道路で緑地帯のところに、光の光度というのはあるんだと思うんですけれども、太陽光パネルをだあっと設置させちゃうとか、そのぐらいのことをやって民間に協力をしてもらうぐらいなことをやらないと、日本の平地の部分というのはもう大体太陽光ができちゃっているんですけれども、あとどこに空間がある、設置することができるといったら、建物か、あとは駐車場の屋上を使うとか壁面を使うとかという話になると思うんですけれども、その辺のお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。

田辺参考人 これはエネルギー基本計画のときも大変議論になりまして、民間に太陽光を載せるのであれば、公共建築に全部載せてから話をすべきではないかというお話がございました。

 実は、三月の末に、国交省の官庁営繕が、これまでの低炭素の基準から、ZEBオリエンテッドという、〇・六あるいは〇・七まで省エネするものを出されました。あと、ZEBガイドラインも出されまして、今後、PPAなどを使って進んでくると思います。

 あくまでも、やはり省エネを進める、それから再エネを乗せていく。これはやはり少し予算づけは、どうしてもイニシャルコストで要るので、建設資材も上がっていますけれども、今までと同じ価格で精神的に頑張れと言われてもやはりできないので、その辺りをしっかり見直していって、霞が関も全部ゼロ・エネルギー・ビルが建っている、あるいは改修でそういうものができる、そういうものが私は理想だと思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 そこで、先ほどからずっと議論になっている再生可能エネルギーの課題なんですけれども、例えば、余剰太陽光とか余剰風力、そのエネルギーをどうやって蓄積させるかということですね。結局、変動性を補う調整力や供給力をどうやって考えるかというのが再エネをどんどん進めていく上で一番大切だと思うんですけれども、四人の先生方で、短くて結構ですから、コメントいただければありがたいんですが。

田辺参考人 蓄電という技術もございますけれども、例えば東京であれば、蓄熱装置というのを、建物にたくさんございます。あるいは、ヒートポンプでつくるタンクがあれば、そこにもためることができますので、決して蓄電池だけではなくて、既存技術でもかなり融通ができる。

 これは実はデータ勝負なので、要は、予見性とかで、どうやって予測をするのか。私は経済系のアメリカの友達に言われたんですけれども、建物って、月一回光熱費が来て、幾らと言われて、それを何か月後に見て、ああ、多かった、少なかったと言っているけれども、経済学は微分値を見ていますよと。

 今後のエネルギーは変動してくるわけですから、我々はその変動をどうやって予測するのか。株価に近いかもしれませんが、そういうデータ技術こそが実は非常に日本にとってこれから重要になると思っております。

谷口参考人 今の話は、恐らくミクロとマクロで考えた方が一つよくて、マクロ的には、やはり需要の多い大都市と電気がどうしても余ってしまう地域を結びつけるようなシステム、これは地域間連系線みたいなところ、これは費用もリードタイムもかかるかもしれませんけれども、これをやはりしっかりつくっていくというのが最終的には大事だと思います。

 あと、個別には、やはり電気を恐らく情報と一緒に流通させるようにすることで、今のある程度の需要までであれば、恐らく二〇三〇年ぐらいまでであれば全部吸収できるかなというふうに思っています。あとは、細い、狭いとか、デマンドレスポンスとか、そういうのも含めて、できるかなと思っています。

大橋参考人 ありがとうございます。

 今の御質問については、三つのやり方なのかなと思います。

 一つは、予測。これは、今、一般送配電事業者を中心にして、予測をいかに精度を上げるかということをある程度の時間のレンジの中で取組を始めていますので、そうした取組を後押しすることは重要だと思います。

 あと、今回の法律案にある、ためるということ。これは蓄電池等々でためていく。若干、商業用には時間がかかるかもしれませんが、ためるということ。

 二つ目は、使うということなんですが、これはやはり、太陽光のあるところへ需要地を持っていくという考え方もあるのかな、データセンター等、そうした需要をうまく誘導していくというふうな考え方もあるのかなと。

 予測、ためる、使う、このベストミックスで考えていくことが重要かなと思います。

遠藤参考人 お答え申し上げます。

 皆様、参考人の先生方と同じ意見でございますけれども、おっしゃるとおり、予見をするということと、ためるということ、需要地と発電する場所が離れている問題をどう解決していくのかということに尽きると思うんですけれども、依然として、足下のところは火力発電に調整力を依存するしかないという部分もありますので、それは再生可能エネルギーだけを考えるんじゃなくて、トータルのミックスで、火力をどう使っていくのかということも検討していく必要があるということになると思います。

 以上です。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 ある大学の先生の試算というより資料を見させてもらったんですけれども、太陽光発電量を全て蓄電可能として、太陽光設備容量を十二時間の設備容量として計算すると、電池の平均価格、これは五万円、十万円、十五万円とかって、蓄電池のですね。これをキロワット当たり十万円として計算すると、千二百六十兆円の負担増になるんだという資料なんです。

 これを、二十年の、減価償却というんですかね、耐用年数で計算すると、年間にすると六十三兆円ぐらいになっちゃうんです。果たして、再生可能エネルギーをどんどん推し進めていったときに、蓄電池も必要なんだ、蓄電池自体も発電所の扱いにするというのが今回の法律なんですけれども、それによって六十三兆円、誰がそのコストを払うのかということなんですけれども、その点についてどうお考えになるか。

 要するに、経済がへたっちゃっていて、再生可能エネルギーでいい国にはしたんだろうけれども、実際それで、そのコストを誰が払う、そういった国に製造業を置いておくというふうにメーカーさんが考えるかといったら、みんな外に出ていっちゃうような気がするんですけれども、また短めでちょっとコメントいただけたらありがたいんですが。

田辺参考人 先ほどのちょっと試算の条件が私は分かりませんのでコメントは難しいかもしれませんけれども、蓄電池だけで全てを賄うのか、それとも、需給の調整ですとか、季節をずらすとか、この前、電力逼迫があったときに非常に我々は協力しましたよね。そういうものも情報システムとして入れていけば、これは乗り切れるわけですから、常に安定、何をしても安定というのではなくて、我々の行動、日本人なので、私はこういうことができると思うんですけれども、そういうビヘービアも入れたような対応をしていけば、そこまでのコストはかからないのではないかなというふうには思っております。

谷口参考人 技術的には、電気が余ったらメタンに変えてガスに入れるとか、そういうものもありますけれども、基本的には、まず、融通するということを徹底的にやることで、低コストで、ある程度受入れが可能で、つまり、先ほど言ったような、蓄電池に限らず、場合によっては、揚水発電所を使うために、ため池がいっぱいある地域はそれを使うとか、そういうことまでも含めても考えられるんじゃないかなと思います。

大橋参考人 余剰を全て蓄電池でためるということは、なかなか費用対効果が合わない可能性があるかなと思います。

 他方で、私、国産のエネルギーをしっかりつくるべきだという観点からすると、中長期的に考えれば、日本で水素をそうした余剰の電力で作るという考え方も一つのためるという考え方としてあると思いますし、また、使うという点で、先ほど立地の話をしましたが、もう一つ、この法律案で上げDRの話をされているんだと思います。つまり需要シフトみたいなことですが、そうしたことも、私、やはりスポット市場での価格ももっともっと使えると思いますので、今ある手段を総動員すればかなりのことができるんじゃないかなという感じがいたします。

 ありがとうございます。

遠藤参考人 お答え申し上げます。

 先生よくぞおっしゃっていただいたという感じがするのですが、私が思うのは、ある種の蓄電池であるとか予測のシステムであるとか、電力においても、やはり電力周り、エネルギー周りにおいてもイノベーションというのは起きるし、イノベーションというのは起こさなくてはならないので、今のコスト試算の問題は、それによって解決していかなくてはならない問題だとは思っています。

 ただ、現状、先ほどから何回も申し上げておりますように、安定供給、安保が大事だというふうに申し上げております。国民負担を過度に強いるような再エネの導入が、それが前提であるならば、そこには私は反対したいと思っておりまして、日本は、気候変動問題において、CO2の排出量は僅か三%です。グローバル規模で日本ができ得る貢献というものを国内の中に閉じずに考えていくことが必要であろうというふうに思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 日本のエネルギーのCO2の削減は、過去からいけば、世界の中でもすごく先進的にやってきた国なので、雑巾を絞ってももう水は出ないんじゃないかと言われて、COP26で、でもやりますと、日本で作ったものをヨーロッパの人が買ってくれないというんじゃ、これは生活が成り立たない、商売が成り立たないということで、じゃ、やっていきましょうというので、カーボンニュートラル、二〇三〇年、二〇五〇年の宣言になってきたんだと思うんです。

 余った膨大な再生エネルギーを、水素、アンモニア、メタンといった合成燃料を貯蓄して再度電気に戻すには、結局火力発電が必要だということだと思うんです。だから、今は火力発電がすごい悪者に見られちゃっているんですけれども、じゃ、なぜ水素を使ったりアンモニアを使ったりするのか、メタンを使うのか。合成燃料として使うわけですから、やはりそこの技術、その中に、時間がないので早口でしゃべっちゃいますけれども、発電するエネルギー効率もやはり考えていかなくちゃいけないと思うんです。

 例えば、トリプル発電みたいなものがあるんだそうですね。まだ実証されているかどうか確認はしていないんですけれども、今はダブルぐらいまでは来ていると。トリプルにして、発電効率を六十何%、七〇%を超えるものにしていって、そこから出るCO2はあったとしても、水素、アンモニアだとかメタンで補っていって、じゃ、その分、そのCO2を吸収するために森林をもっと保全をしていくとか緑地を増やしていくとかということでバランスを取っていくべきだと思うんですけれども、その辺のお考えを最後に、時間がないんですけれども、お一人一言ずつ。

田辺参考人 ヨーロッパの方々と話していると、一七五〇年以降に起こった産業革命のエネルギー革命をどうしようかという議論を多分していますので、日本はやはりこれについていかないと、先進国に残っていけないんじゃないかというふうに考えています。先生おっしゃるように、全ての技術あるいは考えを総動員して当たっていくということが我々には非常に重要だと思っております。

谷口参考人 エネルギー効率を上げるというと、一方で、エネルギーの質ももう一回見直してもいいんじゃないかと思うんですね。

 どういうことかというと、東京都内で瞬間停電が起きて困るというのは一%以下なんですね。もっと結構ずるずるでも電気って使えるんですよね。そのために必要な設備をやらなくてもいいかもしれない。離島に関して言うと、ほとんど役場の職員が給電指令を出したりして調整したりしていますので、そういうところもあるので、ちょっとそういう区分けもしながらやると、こんなに、もしかしたらオーバースペックかもしれないなというところも見直すといいかもしれないです。

大橋参考人 現状の安定供給をしっかり守るという点では、今ある技術をやはり捨ててはいけないと思います。しっかり使いながら、余力でイノベーションを取り込んでいくということで、やはりそこはバランスを持って、時間軸を持って考えていくということが極めて重要と思います。

遠藤参考人 ありがとうございます。

 イノベーションを起こすには、あと、安定的供給に寄与するためには、もう一つの視点はファイナンスだと思います。ファイナンスがつかないと、設備投資できないですし、事業の維持もできません。

 日本は、幸いにも高効率石炭火力発電というのを持っているわけです。アジア諸国でこれから伸びるのは、主に石炭火力です。やはりアジアで、EUタクソノミーというのはありますけれども、アジア全体のタクソノミーがあってもいい。その中で日本の技術貢献ができるものというものを探していくということが、つけ加えをさせていただきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。終わります。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今日は、四人の参考人の皆さん、お忙しい中、それぞれ御意見、ありがとうございました。

 まず、谷口参考人、大橋参考人、遠藤参考人に伺いたいんですが、といいますのも、冒頭に田辺参考人の御意見の中で、やはり省エネの重要性ということが強調されました。私も本当に大事なことだと思うんですけれども、やはり本法案の大前提として、まずエネルギーの浪費をいかになくして、そして消費を減らしていくか。まさに省エネというのは、やはり今日ますます必要ではないかというふうに思うんですけれども、このことについて、一言ずつ、お三方から御意見をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

谷口参考人 今の話ですけれども、例えば、東京で水を飲むときに、非常に、あれは電気を飲んでいるようなものなんですね。なぜかというと、排水のためのポンプが非常に電気を使うのと、最近では水の質をよくするためにオゾンで曝気していますので、非常に電気代を使っている高品質の水。それをトイレに流したり、車を洗ったりしているわけですよね。そういうところをもしかしたら見直すというのもそういう可能性に近づくかなというのは思いました。

大橋参考人 おっしゃるとおり、浪費はなくしていくことというのは極めて重要だと思います。

 他方で、エネルギーコストがかなり上がってきていますので、ここの部分の取組というのは、かなりの部分、自主的に進む部分もあると思います。規制がもし妨げるのであれば、そうした規制緩和を併せて進めていくことが重要だと思います。

遠藤参考人 お答え申し上げます。

 省エネが重要であるということには全く異存はございません。

 今までも、自動車産業、例えばトップランナー方式とかを取りながら日本は高効率を求めてまいりました。これからもその永続的な取組ということは必要だと思いますし、それは家庭の需要サイドの方も当然だと思っております。

 ただ、もう一方で、電化が進み、イノベーション、DX、そういった電力の多消費時代というものも控えているということを見越しながら、全体としてのバランスを取っていくことが必要だろうというふうに思っております。

笠井委員 ありがとうございました。省エネは大事だと。どうやってやはりこれを進めていくかということは、大いにまた知恵も出し合って、私たちも努力したいと思います。

 次に、田辺参考人に伺いますが、参考人は、長年、建築物の省エネとそれから快適性の両立ということをテーマに研究をされてきたと伺っております。インタビューの中で、デンマークでは、人間が健康に快適に住むためにはどれぐらいの温度でないといけないかという研究が進められていて、築百年の建物に住んで、屋外がマイナス二十度Cでも室内は快適だ、快適とはこういうことだと思ったというふうに振り返っておられました。

 私も、COP15、二〇〇九年のときにも、デンマークに行ったときにはそうした住宅の取組なんかも実際に見せていただいたことがあったんですけれども、住宅の省エネを本格的に進めるには、やはり新築だけじゃなくて既存住宅、建築物の対策というのが重要になってくると思います。

 EUでは、大規模改修や暖房設備の取替えに当たって経済的弱者への行政による支援を強化しているというふうに聞いているんですけれども、日本でもやはりそうしたことを含めた対策を強化するということで底上げが要るんじゃないかと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

田辺参考人 ありがとうございます。

 私、デンマークに住んでいまして、途中でも客員教授としても赴任しておりましたけれども、非常に断熱性がよい住宅が多いわけです。その中で暖房をしていると、エネルギー消費量が非常に少なくて済みます。

 それから、北欧諸国はオイルショックの後に湯舟に入らないような運動をしまして、シャワーだけで過ごすというようなことが行われているんですけれども、私は、日本人として、やはりお風呂に入りたくてしようがなくて、そのお湯をどうやって効率的につくるか。これは太陽熱もありますし、太陽光だけではなくて、こういったものを使っていくということは非常に重要だろうと思います。

 日本でも、実は既築対策は極めて難しいです。建物は、大体面積で一年間に一・五%ぐらいしか建っていませんので、七十年ぐらい、フル更新に住宅も建築もかかるわけです。この既築のところをどうやっていくか。ただ機器を置き換えるだけではなくて、しっかり設計して省エネするということが重要でして、ヨーロッパは今、リノベーションウェーブ、そういう政策をリカバリーで行っていまして、工事の方が入ると、地元の雇用にも物すごく役立つんですね。脱炭素にもつながりますから。

 再エネを入れてくることも非常に重要ですけれども、本来のものを、照明の改修をするとか機器の改修をする。日本の製品は非常に多うございますし、現場で働く方にも資金が出ていきますので、日本でも、こういうリノベーションウェーブといって、よい改修をしていくような政策があると非常にいいんじゃないかというふうに思っております。

笠井委員 リノベーションウェーブというとてもわくわくするようなお話を伺ったんですが、今、地元の雇用にもつながるというお話がありました。

 谷口参考人に関連して伺いたいんですが、省エネ住宅とかリフォームとか、あるいは地域熱供給、それから熱電の併給ですね、コージェネなんかの配管工事とか、あるいは再エネ技術などというのは、まさに中小企業の出番ということになってくるんじゃないかと思うんですが、地域の裨益ということを先ほども強調されていました。地域で新たな仕事をつくって、雇用や賃上げにもつながる、そして地域経済が循環して持続可能な発展を展望できるということになっていくんじゃないかと思うんですが、全国津々浦々、都市、東京も始めとしてですけれども、地域と中小企業が元気になるために、やはり省エネとか再エネにどんな位置づけとか支援策が必要だというふうにお考えでしょうか。

谷口参考人 まず、地域の方々が即できる、例えば今言った住宅、建築の改修とかですね、これはもう工務店に向けて積極的に進めているところも現在各地でございます。長野県なんかはそんなのが進んでいるところなんですけれども。

 それ以外に、全く新しい、極端に言えば、大きなシェアを占める風力発電とか、これに関してはまだまだなんですけれども、例えば、私、東京大学に今いますけれども、ある地域に行って、民間企業、中小企業を集めて、全然風力関係をやったことがない人たちでワークショップをやって、あなたたちは、風力の細かい、EPCから最終的に廃棄まで含めてどこに参加しますかというワークショップをやったりしたんですね。そういうように、自分たちも参加できることがあるということを感じると、地域の人たちが参加できる可能性を感じられるんだなと。

 あと、最低でも資金の供給はできるので、それも含めて、地域がいろいろな裨益ができるための政策支援というのをもっときめ細かにやることが重要だと思います。

笠井委員 ありがとうございます。

 大橋参考人に伺いますが、二〇一八年の北海道胆振東部地震に関連してのお話がございました。それに関してなんですけれども、参考人が提言をされていて、太陽光や風力といった再エネの供給力を活用すればブラックアウトの時間を短縮できたのではないか、それから、大手電力の調整力電源に頼る必要のないように、自立的な再エネを積極的に優遇するような措置を検討してもよいだろうということで、主力電源に位置づけるような提言もされていたと思うんです。

 実は、先日の当委員会で私自身もただしたんですけれども、北海道電力の電源構成で、苫東厚真火力の割合というのがかなり高いということが問題になっていたんですが、今日でも依然として全道の需要の約半分を占めているということになっているということなんですけれども、やはり、大規模集中型電源に依存した電力供給というのは災害時にどうしてももろいということになるんじゃないか、そういう教訓だったと思うんですけれども、教訓の一つがそうだと思うんですけれども。

 電力需給の逼迫警報のような事態を繰り返さないためにも、災害に強くて安定供給にも資するような、やはり小規模分散型の電源への転換というのが大事ではないかというふうに痛感するんですけれども、それに関連して、参考人の御意見はいかがでしょうか。

大橋参考人 まず、北海道の電源構成についての御指摘ですが、これは恐らく、経済効率の観点でこういうふうな電源構成になっているというふうに考えられると思います。

 他方で、このブラックアウト、これは戦後初のブラックアウトだった、エリア全体での大規模停電だったわけですけれども、安定供給が重要だということで、希頻度事象に対する調整力の上積みというのが議論されたわけですが、やはり、私、安定供給の議論をしていて思うのは、そのときは重要だ、大事だというふうに言っていただけるんですけれども、時間がたつと、経済効率性にまた戻っていっちゃうんですね。やはり、お金を毎月毎月払うというところの方が痛みとして持続的に感じやすい。他方で、停電というのはその場なんですけれども、やはり、後、だんだんだんだん機運が薄れてくるところはあるなと思います。

 私は、安定供給を前提とした脱炭素、安定供給を前提とした経済効率だと思うんですけれども、脱炭素も経済効率もある種の指標というか軸があるんですが、安定供給については、そこの軸がなかなかしっかり、指標としても定まっていないなというふうな気がします。この軸をつくって初めて、三つのバランスが取れる、スリーEという姿ができるのかなと思っていますので、是非、そういうことは重要だと思いますし、そうした中で、分散型と大規模集中、これは、今日、調整力の議論もいろいろ議論させていただきましたが、そうした技術開発も進めながら、バランスよく進めていくということが視点としては重要かなと思っています。

 ありがとうございます。

笠井委員 ありがとうございました。

 私も、当時、ブラックアウトの後に北海道にも行って、いろいろ調査も参加をして、北海道電力からも直接話も聞いてまいりましたが、本当に、ああいう事態を繰り返さないためにどうするかということでは、本当に知恵と力を出し合って、政治の役割も大きいと痛感いたしております。

 谷口参考人に伺いたいんですが、かつて東京都で働いていらっしゃったということで、東京に青空をというのがスローガンだった美濃部都政をよく御紹介もされていると思うんですけれども、硫黄酸化物を総量規制をして、企業には、三年以内に低硫黄の重油に切り替えて、有害物質の除去装置をつけることを条例で求めたということがありました。

 当初、企業はみんな反対したんだけれども、いざ決めた後はみんな従って、環境はよくなったということで、さらに、有害物質の除去の装置とかそれから低硫黄の重油の装置などを製品として売って、世界のマーケットで大きなシェアを占めるようになった、そういうことも言われたことがあったと思うんですが、とても印象的だったんですね。

 今、CO2の排出規制にも同じことが、やはり考え方としては言えるんじゃないか。グテーレス国連事務総長がOECD諸国、加盟国に、二〇三〇年までに石炭火力廃止を求めて、G7で廃止期限を示していないのが日本だけということになっていますが、やはり、いろいろありますけれども、政治が明確に決断した上で、どうやってやっていくのか、そして、そのことのメッセージを産業界に発信するというのが本当に大きな意義を持っているんじゃないかと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

谷口参考人 まさにおっしゃるとおりで、私も、美濃部都政の頃にやった施策というのはすばらしいなと思っています。こぞって反対したんですね、石油連盟で。そんな製油所なんかどこにも日本にないじゃない、大体、日本で低硫黄重油なんかどこでも売っていないじゃない、それなのに何でやれと言うのか。いや、それより健康が大事でしょう、都民の。それをやったら、実は三年後には全部できちゃったんですよね。それどころか、脱硫装置とかそういう公害装置も非常に進化して、それがビジネスになって、日本の大きな産業の発展につながったというのがあるんですけれども。

 同じイノベーション、先ほどからちょっと、グレーはビジネスを引っ張るみたいな話もありますけれども、これはちょっとバランスを欠いていて、極端に言うと、イノベーションをやる方がもっと大事だと思います。もちろん、グレーのはいいんですけれども、イノベーションをどう引き起こすかという仕掛け、これがすごく大事です。それは、まあここで余りそんな話をしてもしようがない、ノウハウも幾つかはあると思います。

 それと、あと、もう一つ印象的だったのは、排出量取引も私も関わってやっていたんですけれども、それから、その当時、雑巾、乾いたのをどうやって絞るんだという話があったんですけれども、これは、実は、事実に基づかない発言が多く、実際の現場、バックヤードへ行くと、みんな、こんなところで省エネできますよというのばかりなんですよ。それで、排出量取引の制度をつくって、最初の五年で八%、次の年で一七%をやったら、全部達成して、なおかつ、よくやってくれたということを企業さんから言われて。なぜかというと、今まで自主的な取組でやっていたのを、ある意味、株主から批判されていたのを、今そのときになれば、株主からよくやっていたねと言われるようになったというんですよね。だから、ある意味、公平性と、そういった株主からの支援を得るためには、こういうオブリゲーションというか、そういうのも必要かな。

 あともし、太陽光発電も、低圧の部分であればもうグリッドパリティーは来ているので、東京都はもう来年、今年義務化すると言っていますけれども、やはり安くなっただけでは広まらないんですよ。安くなったなら背中を押してあげる必要があると思うんですね。そういう政策をつくらないとなかなか広まらないかなと思います。

 以上です。

笠井委員 ありがとうございました。時間が来たので、終わります。

古屋委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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