衆議院

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第12号 令和4年4月22日(金曜日)

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令和四年四月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      勝目  康君    金子 俊平君

      国定 勇人君    国光あやの君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      中川 貴元君    中野 英幸君

      西野 太亮君    西村 明宏君

      星野 剛士君    堀井  学君

      山下 貴司君    山本 左近君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      末次 精一君    山崎  誠君

      青柳 仁士君    金村 龍那君

      沢田  良君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     林  俊行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    新居 泰人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         遠藤 仁彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   清水 誠一君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     金子 俊平君

  国光あやの君     勝目  康君

  漆間 譲司君     沢田  良君

  藤田 文武君     金村 龍那君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     国光あやの君

  金子 俊平君     上川 陽子君

  金村 龍那君     藤田 文武君

  沢田  良君     漆間 譲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、青柳仁士さん外一名から、日本維新の会提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。青柳仁士さん。

    ―――――――――――――

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

青柳(仁)委員 日本維新の会、青柳仁士です。

 ただいま議題となりました安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 初めに、修正案の趣旨について御説明申し上げます。

 気候変動や持続可能な開発に関する国際的な取組が進展し、いわゆるサステーナビリティー基準やESG評価などにより、そうした課題への取組状況が市場においても評価されるようになっています。こうした市場環境の変化を受け、民間企業における省エネは、オイルショックを背景にエネルギーの使用の合理化等に関する法律が制定された一九七九年当時とは大きく状況が異なっています。特に、同法の対象事業者の多くを占める大企業では、自らの企業価値及び市場競争力を高めるための総合的な経営判断の一環として、省エネの推進及び非化石エネルギーへの転換を図るなど、市場原理を受けての取組が主流化してきています。

 今回の法律案は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律に非化石エネルギーへの転換の促進を盛り込み、中長期的な目標の作成等を求めることとしていますが、より積極的に、経営判断による非化石エネルギーへの転換等の抜本的な取組を推進していくべきです。

 また、中長期的な計画の作成に当たっては、サステーナビリティー基準やESG評価等への対応で事業者が作成した資料を活用できるようにするなど、事業者の負担を軽減すべきです。

 さらに、非化石エネルギーへの転換及び電気の需要の最適化のため、事業者に対して政府が行う評価や、それを踏まえた指導及び助言に当たっても、サステーナビリティー基準やESG評価等に対する企業の自発的な取組が適切に考慮されるようになっていくことが望ましいと言えます。

 こうしたことを踏まえ、事業者の負担を軽減しつつ、その自主的な取組を後押ししていくという観点から、本修正案を提出するものであります。

 次に、その内容の概要について御説明申し上げます。

 まず、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部改正に関する修正事項であります。

 第一に、基本方針の策定の際の勘案事項に、気候変動及び持続可能な開発に関する国際的な取組の状況並びに民間事業者による自主的な取組の状況を追加することとしております。

 第二に、特定事業者が作成する中長期的な計画に関する省令を定めるに当たっては、特定事業者等の負担が過重なものとならないよう配慮することとしております。

 第三に、特定事業者等が毎年度経済産業大臣等に報告する事項に、非化石エネルギーへの転換の状況を加えることとしております。

 第四に、経済産業大臣等は、非化石エネルギーへの転換を促進するため、特定事業者等による取組のうち、その状況が優良なものの公表その他の必要な措置を講ずるものとしております。

 次に、政府は、環境、社会等の持続可能性に関し、環境問題及び社会的な課題への取組等を踏まえた新たな事業者の評価制度の在り方並びにエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に係る制度等における当該評価制度の活用の拡大並びにそれらを通じた事業者による当該取組等の促進について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 委員各位の御賛同を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長清水誠一さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として復興庁統括官林俊行さん、経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官小澤典明さん、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治さん、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒さん、資源エネルギー庁長官保坂伸さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁次長新居泰人さん、国土交通省大臣官房技術参事官遠藤仁彦さん及び環境省大臣官房審議官白石隆夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀井学さん。

堀井委員 おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。

 質問の機会をいただきました委員長を始め理事の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

 萩生田大臣におかれましては、先般、私の地元苫小牧市に御視察くださいました。国家の石油備蓄基地、さらにはCCS事業の取組を始め、事業に御協力いただいている苫小牧市長や漁業者との意見交換などを開催していただき、皆さん大変喜ばれておりました。御報告申し上げたいと思います。私からも感謝を申し上げたいと思います。

 また、野党筆頭理事の山岡さんも同じ選挙区で頑張っておられます。山岡さんもお礼をしていただければと思います。共に切磋琢磨いたしまして、協力し合いながら頑張っているところであります。

 最初に、本法案の必要性についてお伺いをしたいと思います。

 世界各国は、脱炭素社会の実現に向けて、国際競争力に勝ち抜くための戦略で、多額の予算を投入し、研究開発費、設備投資予算など、民間の投資任せではなく、国家プロジェクトとして力を入れております。世界の経済大国の投資額から比べても、我が国は、全体的に見ても少ない予算と指摘を受けており、このままでは他国の研究開発から後れを取るのではないかと危惧する声も聞かれております。

 自国でエネルギーを賄うことができなかった我が国は、化石燃料産油国に多額の資金を投入し購入するビハインドを負いながらも、経済大国に上り詰めたわけであります。カーボンニュートラルの挑戦、社会の実現は、他国からエネルギーに依存することなく自国で全て賄うことのできる、我が国にとってはチャンスが来たのだと思っております。

 今後、約二十五年間で世界各国が実現する、革新的な未来が目前に迫っているのであります。国家プロジェクトとして取り組むわけでありますが、その政策の推進の中心は、経済産業大臣始め経済産業省職員であります。課せられた使命は大きく、非常に高いハードルを乗り越えていかねばなりません。

 我が国における非化石エネルギー転換に向けて、安定的なエネルギー需給構造の確立の実現に向けての本法律の必要性について、最初にお伺いをいたします。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案の必要性でございますけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現のためには、電力部門では脱炭素電源の拡大を進め、非電力部門では脱炭素化された電力による電化を進めるとともに、電化が困難な高温熱需要における水素、アンモニア等の脱炭素燃料の活用や、それでも一定量排出される二酸化炭素を回収、貯留、利活用するといった取組が必要でございます。

 こうした取組のうち、本法案は、非化石エネルギーの導入、水素、アンモニアの利用促進、エネルギーの安定供給の確保など、二〇五〇年のエネルギー需給構造に必須となる要素を措置するものでございます。

 具体的には、一番目に、需要構造の転換のため、省エネ法のエネルギーの定義の見直し、非化石エネルギーへの転換や余剰再エネ電気の活用の促進、二番目に、供給構造の転換のため、水素、アンモニアなどの脱炭素燃料や脱炭素技術の利用促進や、JOGMECを通じたそれらへの支援強化、三番目に、安定的なエネルギー供給の確保のため、電源休廃止時の事後届出制から事前届出制への変更や大型蓄電池の発電事業への位置づけなどの措置を講じるものでございます。

 本法案を通じて、日本のエネルギー需給構造の転換を後押しすると同時に、安定的なエネルギー供給を確保を図っていくものでございます。

堀井委員 ありがとうございました。

 今答弁にもありましたとおり、次に、水素エネルギーについてお伺いしたいと思います。

 太陽光、水力、風力、洋上風力のエネルギー源を必要とする水素エネルギーの転換についてでありますが、現在、オーストラリアの自然エネルギーを利用し、アンモニアとして船で我が国に運搬し、陸揚げした後、水素を作り出す事業がスタートを切るわけであります。しかし、これも他国依存のエネルギー政策であり、先ほど申し上げたように、自国で賄えるシステムの構築が急務となります。

 太陽光、水力、風力、洋上風力の我が国での発電量が今まででは到底足りないと考えますが、水素、アンモニアを自国で賄えるシステムの構築に向けて、我が国の目指すべき方向性をお伺いいたします。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、水素、アンモニアの導入拡大に向けては、国内外でのサプライチェーンの構築を通じまして、安定的で安価な水素、アンモニアの製造、供給基盤の確立が必要だというふうに考えています。

 その上で、エネルギー自給率の向上という観点から、今委員からも御指摘がございましたとおり、今後、北海道などの再エネポテンシャルが高い地域で導入が見込まれる国内の再生可能エネルギー資源、これを活用して水素製造を実用化するといった取組、こうしたことを通じて、国内における水素、アンモニアの製造、供給基盤の構築というのも非常に重要になってまいります。

 他方、課題はコストでありまして、そのために、まずは、水の電解装置の大型化ですとか、それから、水素、アンモニアの製造効率を高める技術開発、これを、グリーンイノベーション基金を活用しながら進めてまいります。

 また、加えまして、令和三年度の補正予算で、北海道や九州などの再エネの拡大が見込まれる地域で水電解装置の導入に係る設備の支援も行っております。

 こうした取組を通じまして、再エネの最大限の導入を進めながら、水素、アンモニアの国内の供給体制の確立、これもしっかりと取り組んでまいります。

堀井委員 北海道は今、ゼロカーボン北海道で取り組んでいるところであり、こうした地理的優位性を生かして、しっかりとこれは取り組んでいかねばならないと考えております。

 続きまして、洋上風力発電についてお伺いをいたします。

 四方を海で囲まれた日本にとって、洋上風力発電は大きな可能性を秘めております。現在の進捗は、促進区域として五か所、有望な区域として七か所、一定の準備段階に進んでいる区域が十か所とありますが、日本海側を中心に準備が進められております。

 太平洋側に人口が集中している我が国の特性や、特定重要港湾、さらにはコンビナートの集積を見ても、輸送コスト、製造コストを考えると、太平洋側の海域利用を積極的に進めるべきと考えますが、今後どのように案件形成の取組を進めていくのか、お伺いをいたします。

茂木政府参考人 再エネ海域利用法に基づきまして、地元の御理解を前提としながら案件形成をしっかり進めてまいりたいというふうに考えておりますが、太平洋側におきましても、昨年の年末に入札が行われまして事業者が確定しました、例えば千葉県の銚子沖のような事業もございますし、複数の海域が既に有望な区域等になっているところであります。

 今後、二〇三〇年までに一千万キロ、二〇四〇年までには三千から四千五百万キロという案件形成の目標を掲げておりますけれども、こうした目標を達成していくためには、やはり地元の御理解を前提にして、計画的、継続的に案件形成をしていく必要があるというふうに考えています。

 今、年に一度、都道府県から新たな候補区域の情報提供を受け付けております。政府としても、各地域における洋上風力発電の新規案件創設というのをしっかり後押しをしていきたいと考えていますが、洋上風力発電の実現可能性や地域共生の在り方などに関する検討会なども地域で行って、理解醸成なども進めているところです。

 それから、こうして発掘された案件、候補地がございますが、こうした案件形成の初期段階から政府が関与して調査を行う、いわゆるセントラル方式と言っていますが、こうした方式の確立をしていきまして、また、今回の法案でJOGMECの調査業務を追加するといった取組も強化をしているところであります。

 こうした取組を通じまして、地元の御理解を前提として洋上風力の導入拡大を進めてまいります。

堀井委員 地元の理解というものでありますけれども、私の地元でもこうした案件がありました。国家プロジェクトとして進めるCCS事業や洋上風力発電事業は、漁業者の理解や地域住民の理解なくして進めることはできません。メリット、デメリットを示し、各地域で理解と納得をされて協力に至り、開発の許可が得られるわけであります。

 地元苫小牧市では、CCS実証実験に漁業者の理解をいただいて、プロジェクトの成功を実現することができました。冒頭にも申し上げましたが、大臣自ら足を運び、地元漁業者の協力があって国家プロジェクトを成功することができたと、直接お礼を伝えていただきました。先ほども申し上げたとおり、大変喜んでいたわけでありますが、このように積極的に御協力いただいた利害関係者には、国家プロジェクトに協力いただいたとして、支援の充実を図っていくべきと考えます。また、こうした支援に省庁横断的に取り組んでいくことで、国内のカーボンニュートラル全体の取組を加速させることにつながると考えております。

 国家プロジェクトとしてCCS事業を今後進めていくためには、関係省庁との連携を図りながら、地域の利害関係者との協力を得る必要があるのではないでしょうか。苫小牧のCCS実証実験での経験を踏まえた見解をお伺いいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、苫小牧漁業協同組合や漁業者の皆様から、苫小牧CCS実証試験センターの建設段階から様々な御配慮と多大なる御協力をいただいたことが、この事業を円滑に実施することに至る上で大変大事な要素であったというふうに認識しており、感謝を申し上げる次第でございます。

 CCSにつきましては、国や事業者などが一体となりまして、CCS事業に対する国民や地域の利害関係者や住民の方々の理解増進を得て、必要な協力を獲得しながら進めていくことが極めて重要であるというふうに認識してございます。

 今後、国の方では、二〇三〇年にCCSを事業化するということを目標といたしまして、具体的な施策の在り方について記載しました長期のロードマップということを今策定作業を進めているところでございますけれども、この中でも、地域の利害関係者を含む社会の方々のニーズにどういうふうに向き合って、どういう形で協力を得ていくか、必要に応じて関係省庁と連携して地域の方々のニーズに応えていくということは我々も理解しておりますので、そういう具体的な取組をロードマップにおいても反映していきたいというふうに考えてございます。

堀井委員 漁業者支援は農林水産省管轄となります。水産業関係者も今後カーボンニュートラルの挑戦が続きますし、冷蔵、冷凍の新設の支援や、太陽光パネルの設置の支援、フォークリフトを水素化、電気化する支援等、支援策の充実を図っていただきたいと思います。経産省、農水省、環境省、国交省と、関係省庁が多岐にまたがるわけでありますが、国家プロジェクトですから、各省庁の御協力を心から、私からもお願いをしたいと思います。

 最後に、大臣にお伺いをしたいと思います。

 国内製造業のカーボンニュートラルの実現の道のりは険しく、立ちはだかる壁は高く、民間企業単独の投資では国際競争力に太刀打ちできないと、国家の支援の必要性を訴えております。製造業の中には、多量の電力を必要とすることから工場敷地内に火力発電所を有しており、火力を止めて、これに代わる安定、安価な電力をどのように賄うか、自然エネルギーを安定的に確保できる蓄電池システムの構築、アンモニアから水素のエネルギー等の研究開発が急務であり、あわせて、安全、安心が認められた安定、安価な原子力再稼働は必須となるわけであります。

 他国のカーボンニュートラルに対する研究開発や設備投資支援と比較しても、我が国の支援額は低位であり、今後国益をかち取るためには更なる支援の充実強化が必要であると考えております。

 また、その一方で、民間企業の努力だけでは対処できない外交課題もあります。

 中国においては、世界各国が示す二〇三〇年、二〇五〇年のカーボンニュートラルの挑戦の目標から時期を十年遅らせ、足並みをそろえない方向性を示すなど、世界のビジネスに展開を図る国内製造業は、中国やロシア等、世界各国が取り組む地球規模の環境問題に対して協調性を取ることのない国の企業との戦いがあるわけであります。国家資金を多額に投入し、日本とは形態が違う、ほぼ国営企業並みの製造業の存在です。

 我が国の民間企業は、これらに対して、技術力、製品力で国際競争力を勝ち抜いて、価格競争を制していかねばなりません。いかに製造コストを引き下げるか、安定、安価な電力を必要としているかが明白であります。これらの戦いを同時並行で進めなければならないのがカーボンニュートラルの挑戦であります。

 現在、政府はクリーンエネルギー戦略の検討を始めていると聞いております。安定エネルギーの供給を図ること、我が国の国際競争力の維持強化につながると考えておりますが、大臣からの強いメッセージを最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

萩生田国務大臣 エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台です。SプラススリーEの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在せず、今後の技術革新などの不確実要素があることを踏まえれば、再エネ、原子力、火力、水素、アンモニア、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求することが重要だと考えています。

 また、今回の法案によって、省エネの更なる徹底や、非化石エネルギーの拡大、供給力の確保を図ることとしており、我が国のエネルギー需給構造の転換を後押しして、野心的な削減目標の実現とエネルギーの安定供給確保の両立を図ってまいります。

 加えて、現在、クリーンエネルギー戦略の策定に向けて鋭意議論を進めております。その中で、エネルギー転換に向けた重要な技術である水素、アンモニア、蓄電池などについて、分野ごとに、新たな技術開発や将来の具体的な市場規模の見通しなどをお示しする予定です。

 御指摘のありましたように、先生、お地元には大きな製紙工場などありまして、自家発電も必要な、そういう生産業もあります。そういう人たちが、国がどこへ向かっていくのかということを、安心して、予見性を持って、共に走っていただける環境というのを、経産省としては、技術開発や社会実装に向けて、企業の投資を積極的に後押ししてまいりたいと思います。

堀井委員 ありがとうございました。質問を終わります。

古屋委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。

 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の改正案ということで、水曜日には参考人質疑も行われまして、引き続き本日も審議ということで、大変充実した審議が行われていることに、理事、委員各位の皆様に心から敬意を表する次第でございます。

 水曜日の四人の参考人の方からも大変示唆に富んだ御意見もいただきましたので、こうした点も踏まえまして、本日、私からも質問をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣に冒頭、御質問したいんですけれども、参考人質疑の中でもありましたとおり、安定的なエネルギー供給の確保をどうしていくか、これは今回の法改正の大きな目的の一つでもございます。しかし、昨年そして本年、電力需給の逼迫という状況も起こっております。今年の冬も非常に厳しい状況だ、こういうことも指摘をされております。

 他方で、これは電力システム改革、電力の自由化を始め、こうした改革を行ってきた。そして再エネの導入を進めて、これは非常に変動が大きい電源でもございますので、これを推進をしてきた。その中で、一定の経済効率性というのが、もちろん、それぞれの事業者も確保していかないといけない。

 そうなりますと、この調整力としての例えば火力発電、これの稼働率はどんどん下がってくるわけでありまして、そうすると、全体の、電力会社としても予備率というものがなかなか確保できない、こういう状況というのは、当初から当然これは指摘はあったところであるというふうに思います。

 水曜日の参考人質疑でも、この電力システム改革、まだまだ道半ばであって、安定供給をしていくための改革、これも更に行う必要がある、こういう指摘もあったところでございますので、まず大臣に、この電力システム改革の評価と電力の安定供給に向けた取組をどうしていくのかについて、まず答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 これまでの電力システム改革においては、東日本大震災の教訓を踏まえ、安定供給の確保、電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大という三つの目的を実現するため、小売全面自由化、送配電部門の分離、電力広域的運営推進機関の設立などに取り組んできたところです。

 安定供給の確保の観点からは、電力広域的運営推進機関を通じた、地域間連系線の増強や地域間での電力融通が円滑化するなど、一定の成果が表れてきていると思います。

 しかし、脱炭素化の流れなども相まって、火力発電の休廃止の増加など、電力自由化に伴う新たな課題にも直面しています。このため、電力需給の安定に向けて、規制、支援の両面で、電源の過度な退出を防ぐことが必要です。

 こうした課題に対応するため、これまで容量市場の創設などを実施し、供給力の確保を行ってまいりました。また、今回の改正法案に発電所の休廃止の事前届出制を盛り込み、確実な供給力の確保を図ることとしています。

 電力システム改革は、先生もおっしゃっていただいたとおり、道半ばです。今後とも、大きな状況の変化に伴い生じる新たな課題に対して、制度を不断に見直すことにより、安定的かつ持続的な電力供給を実現してまいりたいと思います。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣から、概括的に大きな方向性ということで述べていただきました。

 少し各論の方にも入っていきたいというふうに思います。

 先ほど大臣の御答弁にもありましたとおり、今回、法改正で、電気事業法第二十七条の二十七というところで、発電所の休廃止に関する、今までは事後届出制ということで、後から届け出ればよかったということでありますけれども、事前届出制にしていくということで、これで今後の発電の容量などについて、ある程度予見性を政府が持っていくということかなというふうにも思っておるんですけれども、この事前届出制にするということが今回、中身に入っております。

 他方で、少し事業者の方の御懸念としては、制度改正を行うと、事業者の経営合理性で当然いろいろなものを判断していくということでありますので、ここに対して何か、国の介入というか、そういうものがあるのではないか、そういう御懸念の声も一部聞くところでもございます。

 改めて、発電所の休廃止に係る事前届出制を今回改正をする意義と狙い、これについて政府参考人に確認をしたいというふうに思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回法案に盛り込んでございます事前届出制の導入でございますが、先ほどから委員が御指摘ございまして、また大臣からも答弁ございましたように、安定供給というのが今直面する課題でございます。それについては、今委員から、参考人の方々からもお話がございましたけれども、経営というものは自由が確保されてございます。発電事業は自由化されているわけでございますので、電源維持に関する意思決定というのは事業者が経済合理性に基づき判断すること、これは大前提としてございます。

 一方で、電力の安定供給の確保をするためには、このための追加供給力を確保するための支援策、この策を講じなければならないわけでございます。そうなりますと、現状の電気事業法の中にございます事後の届出ではどうしても、一年単位での供給計画の提出になってまいりますので、これをしっかりとした形で状況を把握し、時間的余裕を持って供給力対策を講じることとすることが必要であるというふうに考えまして、発電所の休廃止につきまして一定の余裕を持った事前の届出をし、それにより経済合理性に基づいた中での供給力対策が講じられるようなことにする、これが今回の目的でございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 今回の狙いとして、ある程度予見性を持って、しっかり余裕を持って、しっかり必要な支援をしていくというために必要なんだということを改めて答弁をしていただきました。

 確かに、毎年、電力が逼迫しそうだという状況になって、そして追加の電力を確保しないといけないということになりますと、非常に場当たり的な対応に毎回なるんじゃないかというふうなことも言われておりまして、確かにそれは私も理解をするところであります。

 元々、やはり発電事業というのは、ある程度、電源をどのくらい維持するかとか、あるいは発電所をリプレースする、しないですとか、ある程度やはり予見性がないと、こうした新しい投資というのがなかなか余裕を持って行えないのではないかというふうに思います。ですから、こうした、必要な電源を事業者がある程度やはり予見性を持ってしっかり確保できる、投資ができる仕組みというのがないと、どうしても場当たり的な対応になってしまうのではないか、こういう問題意識を持っております。

 今まさにやっております容量市場というのは、まさにそうした狙い、そうした仕組みの一つだというふうに思っておりまして、これをしっかりと機能させていくということがまずは大事かというふうに思いますけれども、昨今の需給逼迫なども鑑みると、やはり、これを今後、今あるこうした仕組み、容量市場なども含めて、どうやって改善をしていくのか、電力の供給力確保のための、改めてどういう仕組みを考えていくのかというのは、やはり改善をしていかないといけないというふうに思っております。

 これについて、今後、政府がどう考えているのかというのを答弁をいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、火力発電の休廃止が増えてきているということは、電力自由化の進展と脱炭素化の流れという背景の中で生じているものでございまして、今の一過性のものではなく、ある程度これは持続的に続くような構造があり、これに対するしっかりとした対応が必要であるというふうに考えてございます。

 まずは、足下で考えますと、休廃止される電源についてしっかりと管理をして、必要な支援策を講じることによって供給力を確保していく。その意味で、今回の法案の中にお願いしてございます事前届出制と広域機関による供給力の管理、非常に重要なわけでございますが、あわせまして、委員御指摘のように、これは、予見可能性を持って事業者の方々が維持し、かつ投資をしていく仕組みも重要だと考えてございます。

 御指摘いただきました容量市場というのは、二〇二四年度以降の電源につきまして、中長期的な供給力の確保を目的として、四年前に募集をかけまして電源を確保する制度でございます。これをしっかりと運用し、かつ、現実に合わせた形で対応していく、これはもう次の点でございます。

 また、さらに、今あるものの維持だけでは、どうしても、高経年化をしていく中では難しい面も出てまいります。トラブルも増えてまいります。こういう中で、カーボンニュートラルの流れを受けた形で、発電所のカーボンニュートラル化への新陳代謝、これを促すための仕組みも重要かと考えてございまして、脱炭素電源への新規投資を促進することが重要だと思いますので、これに対する仕組みづくりの検討をしっかりと取り組んでいきたい、このように考えてございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 脱炭素に向けた投資をしっかりと促していく、仕組みづくりも検討するということで御答弁もいただきました。

 また、容量市場も、しっかり供給力を下支えする制度でもありますので、これはちょっと状況もチェックしていただきながら、やはり不断の改善というものも必要かと思いますので、ここのところをしっかりとやっていくことが大事かと思います。

 続きまして、非化石エネルギーへの転換についても、一つ質問をさせていただきます。

 これは参考人質疑でも指摘があったんですけれども、非化石エネルギー、これの転換に関する措置ということで、制度を今回入れてまいります。その中で、各企業がどういう形で転換をしていくかということを考えると、やはり、例えば二〇三〇年まで、こういうスパンであると、全ての企業が、例えば自家発の再エネとか、そうした投資がこの間にできるわけではもちろんないので、むしろ、非化石の電気を調達するというふうな手法も含めて、いろいろなことを幅広く認めていくということが大事なのではないか。こういうのは参考人質疑でも指摘をされたということであります。

 この点について、例えばこの調達された非化石電力も含めて、いろいろな措置を幅広く認めていく、こうした意見について、政府のお考えというのをまず御答弁いただきたいと思います。

茂木政府参考人 この改正省エネ法の非化石エネルギーへの転換に関する措置でございますけれども、国が判断基準をお示ししますが、あくまでも、自ら非化石エネルギーの使用割合の向上の定量的な目標を事業者自身に設定していただいて、達成をしていただくという形になります。

 この制度の中で、やはり事業者の創意工夫ある取組を促していく必要があるというふうに考えておりまして、太陽光発電の自家発再エネの導入、これは自分の工場に設置する、こういったものに限定することなく、電気事業者から調達する非化石電源由来の電気、こうしたものも非化石エネルギーと評価するということで、非化石エネルギーへの転換の取組として、様々な手段を対応可能な形にしていくということを考えております。

 いずれにしても、今後、法案成立後に、産業界との議論も踏まえながら、制度の詳細は決定してまいりたいというふうに考えます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 事業者のいろいろな創意工夫が生かせる制度ということで御答弁いただきましたので、しっかりと御検討をお願いをしたいというふうに改めてお願いを申し上げます。

 最後に、水素、アンモニア、CCS、こうした取組の推進ということでお伺いをいたします。

 こうした新たな非化石エネルギーあるいはCCS、これを法律上位置づけて、利用を促進をしていこうということかと、今回の法改正で行っております。

 他方で、例えば私の地元の兵庫県でも、例えば神戸港で、こうした水素のサプライチェーンの実証実験、燃焼も含めて、あるいは調達も含めて、こういうのをやっていこうという取組でありますとか、あるいは姫路の方の地域、こういう発電も多いものですから、こうした活用がしていけるんじゃないかと。

 いろいろな検討もあるんですけれども、やはり水素にせよ、アンモニアあるいはCCSにしても、需要がどう増えていくか、あるいは供給側がどう、サプライチェーンを含めて、やっていくかという、これはかなり総合的な支援というものをやっていかないと進んでいかないのではないか、こういうことも思っております。

 やはり国がしっかりとしたロードマップを描いて、こうした総合的な推進をしていくということが大事であるというふうに思いますので、最後に、この取組についてどうお考えか、答弁をいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、水素、アンモニアにつきましては、その社会実装のためには、供給コストの削減、それから幅広い分野での需要創出、これを一体的に進めることが重要であります。

 このため、製造、輸送などのインフラ整備による大規模なサプライチェーンの構築が必要となります。そのため、JOGMECを通じて、民間事業者が行う、こういうインフラ整備等への取組にリスクマネー供給を行いまして、事業リスクの低減を図ることとしてございます。

 加えて、水素、アンモニアの導入拡大に向けまして、先月、総合資源エネルギー調査会の下に小委員会を立ち上げてございます。具体的には、既存の燃料とのコスト差の問題、あるいはこれからのインフラ整備の在り方などに着目しまして、先生御指摘の地域への展開も視野に入れた形で、今後の導入拡大策の検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

 さらに、グリーンイノベーション基金を活用した技術開発、実証なども進めてまいります。

 CCSに関しましては、二〇三〇年のCCS事業化に向け、コスト、適地開発、事業環境整備などの様々な課題がありますけれども、今年の一月から長期ロードマップ検討会を開催し、集中的に議論してございます。

 おととい開催した検討会で、政府として、二〇三〇年までに企業がCCS事業を開始できるような事業環境を整備するということをコミットした上で、幾つかの課題、国内法整備、コスト削減、政府支援の在り方、国民の理解の増進、それから海外CCS事業の推進などの項目を含む中間取りまとめの骨子案をお示ししてございます。

 今後、さらに、国内法の整備の在り方でありますとか、CCS事業のコスト、事業モデルなどについては、深掘り、集中的な検討を行いまして、年内には長期ロードマップをお示ししていきたいというふうに考えてございます。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、末次精一さん。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。

 今日は、質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 それでは、今日は、本法律の施行に当たってということで、カーボンニュートラルの実現に向けていかに再生可能エネルギーを使っていくかということについて、また、そこに地域の振興という観点も含めて、質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、本法律の施行を考えたときに、よく上がっておりますけれども、特に安定的で効率的な電力需給基盤の整備が期待されているところでございます。

 そこで、カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギー、再エネとさせていただきますけれども、需給バランスの調整をどうするかということが大変大事になってまいります。そこにはポテンシャルということも十分踏まえて考えていかなければいけないと思いますけれども、さらに、地域の受容性ですね、いかに地域に理解をしていただき、地域で再エネが広がっていくかということの意味でございますけれども、その受容性を高める政策誘導や支援について、十分な検討が進んでいないと私は感じているところでございます。

 そこで、質問でございますが、まず、電力自由化の下での我が国全体の供給力確保と、安定的で着実な運用ということは、これは附帯決議の求めているところでございますけれども、まず、再生可能エネルギーの需給バランスの調整について、カーボンニュートラルの実現に向けてどのようなお考えであるかということをまずお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 まず、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けまして、やはりSプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合、こうしたもののバランスを取りながら、安定的で安価なエネルギー供給を確保する、これが最重要課題であるというふうに考えています。

 この中で、再生可能エネルギーでございますが、これはエネルギー安全保障にも寄与しますし、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて鍵となる重要な国産エネルギーであります。エネルギー基本計画でも、二〇三〇年に三六から三八%という野心的な目標を掲げまして、この実現に向けて強力に推進をしていくという決意でございます。

 その中で、今委員から御指摘ございました、需給調整というお言葉もございましたし、地域からの受容性というお言葉もございましたが、やはり再エネを進めていく上では、地域としっかりと共生をしていく、これが前提となりますし、そのための、共生した上での再エネの導入に適した場所を確保していくということが一つ大きな課題であります。それから、国民負担を抑制するためのコスト低減ももちろん課題でありますし、それから、今、需給調整というお話がありましたが、再エネは当然変動性がございますので、こうした変動性に対応した、調整力と言っておりますが、こうした調整力をしっかりと確保していくことで再エネの導入量を増やしていくということが重要になっていくというふうに考えています。

 まず、受容性といいますか、地域の共生という観点で申しますと、条例を含めまして関係法令をしっかり遵守していただいて、事業規律をしっかりと確立していただいた上で事業を実施していただく。そのために、関係省庁や自治体とも連携しまして、地域の理解が得られるような、例えば公共施設や住宅の屋根、あるいは洋上風力、こうしたものも含めて導入拡大を進めていこうというふうに考えています。

 それから、調整力と私申し上げました。委員からは需給調整という御指摘もございましたが、これは、変動性に対応した、電力システムでの受け止める幅を持たなきゃいけないということで、例えば、入札制を活用しまして、コストの低減や、太陽光、風力の出力変動に対応可能な蓄電池、こういったものの導入拡大を今後進めてまいりたいというふうに考えております。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けましては、立地制約を克服した次世代の太陽電池、それから浮体式の洋上風力の開発といったイノベーションの推進など、再エネの導入に向けて徹底的に取り組んでまいります。

末次委員 ありがとうございます。

 今、御答弁いただきました。それで、変動に対応することが重要という観点であったと思います。確かにおっしゃるとおりであります。

 ただ、それは、じゃ、供給と需要のバランスを考えたときに、今のお話だと、需要に供給を合わせるようなお話であったと思います。そこに化石エネルギーとかをいわゆる統合していくというお話であったと思います。

 ただ、私が思うのは、ここは大臣にもお伺いしたいところでありますけれども、需要と供給のバランス、調整を考えたときに、まず大事なところは、いわゆる供給力をいかに確保するかというところだと思うんですね、供給力を。

 じゃ、その一方で、再エネの供給力というのがどこまであるんだということを考えたときに、野心的な目標ということで三十数%、三六とか七とか上げておられて、いわゆる約三分の一を、エネルギー需要について再エネで賄っていこうということですね。これは、日本のエネルギー需要を、単位を億キロワットとすると、約一万強と見た場合ということであります。

 ただ、先日の参考人招致において御意見いただいたのが、導入ポテンシャルとして、日本は、再エネですよ、太陽光、洋上風力、風力ですね、一般の、陸上含めて、現状の約七倍ぐらいあるわけですよ。ポテンシャルとして、今の現状の需要量に対して約七倍のポテンシャルがある、そういうふうな調査結果、提言もあるわけでありますね。

 そうしたときに、ここ近年、一年、二年ですね、数年の単位で見ると、確かに、化石エネルギーをとおっしゃったように、さっきおっしゃったような、需要に合わせた供給をいかにどうするかというのは大変大事な観点だとは思いますけれども、冒頭に申しましたように、カーボンニュートラルの実現に向けていかに再エネを活用していくかという話をしているわけでありまして、そうしたときに、二〇三〇年、二〇五〇年に向けて、これだけ、七倍のポテンシャルがあると。

 今後、エネルギー需要も高まってくるというふうな見込みは持っておられます。それが二倍になったとしても、まだまだ供給としては安定供給できる、そういうポテンシャルがあるわけでございます。そういうのも踏まえて、今後どういうふうにお考えなのかということをお伺いしたいわけです。

 追加で言えば、じゃ、蓄電、蓄電と言われますけれども、蓄電でどれだけ、何%、需給バランスの調整ができるというふうにお考えなのかということも非常に疑問なわけでありますけれども、まず、私が改めてお伺いしたいのは、これだけの、現状七倍、将来的なエネルギー需要を見越しても三倍以上のポテンシャルがある再エネについて、じゃ、それを踏まえたときに、需給調整をどうしていこうと国として考えておられるのかということなんですね。そこをお答えいただきたいと思います。

 よろしかったら大臣も、まず政府の方からお答えいただいた上でもいいですし、その後大臣でも結構でございますけれども、ちょっとお答えいただきたいと思います。

茂木政府参考人 今委員から御指摘がございました、再エネのポテンシャルというお話です。

 先日の谷口参考人のお話の中でも、日本のエネルギー需要の七倍あるという御指摘もありましたし、その他のいろいろな研究機関においても、こうした再エネのポテンシャルについては様々な試算があるというふうに私どもも承知はしておるところであります。

 ただ、いずれの試算も一定の仮定に基づいて行われているものでございますので、その試算結果そのものは非常に様々な形で参考になるわけですけれども、重要なことは、そこに出てくる様々なポテンシャルをどういう形で実現をしていくのか。当然、そこに至るまでには様々な課題もございますので、こうした課題を具体の施策に落とし込んで、その施策を実行することでどれだけ実現できるのかという、その道筋をきちんと描いていくことが重要であるというふうに私どもは考えているところであります。

 それから、蓄電でどれぐらいできるのかということは、これは、再生可能エネルギーがどれぐらい導入できて、それによって発生する余剰電力が当然出てきます。これは、昼間の時間帯は電気が余って、夜の時間帯は足りなくなる、太陽光だけで言えばですね。風力も、風の吹く時間帯、吹かない時間帯がある。これを組み合わせれば様々な需給調整ができるのではないかという御指摘もありますが、一方で、当然、風も吹かない、太陽も照らないという時間帯もありますので、こうしたもの全体を考慮しながらシミュレーションなどをしていく必要があるかなというふうには考えています。

 いずれにせよ、こうしたこと全体を考えながら、安定供給を確保しながらどのようにして再エネを増やしていけるのかということに取り組んでいくということだというふうに考えております。

末次委員 大臣、済みません。

 蓄電のところを、ちょっと細かいところになりますけれども、私がなぜあえて言うかというと、蓄電、蓄電と政府が言われるから、多省庁にわたって、蓄電をということでいろいろな事業が進んでいるわけですね。

 その一方で、再エネの活用が進んできたときに、私がさっきから何回も申し上げますけれども、供給が十分になったときに、今進めておられる、個人でもそれを事業として取り組んでおられる方は少なからずおられるわけですよ。じゃ、それに対してどれだけの保障をしているのか。その保障が切れたときにどうなるのかということをきちんと明確に示しておられるかどうかということが、甚だ疑問なところがあるわけです。

 だから、そういうことを踏まえた上で、それが地域の産業となりつつ、一部ですけれども、なりつつあるところはあるわけですよね。だから、非常にそういったビジョンというものはおっしゃったように必要であるし、課題解決に向けて、いろいろな課題がある、それは分かります。じゃ、それに向けて供給力をどうやって確保するのかということを聞いているわけです。

 そこで、大臣にお伺いしますが、やはり、その課題を解決するというところがある意味、成長戦略と考えると、組織論から考えても、そこはなかなか、官僚の皆さんに丸投げして任せるということは、なかなかそれは無理がある、組織論的にも私はそう思います。じゃ、そうしたときに一体誰がやるか。やはりそれは政治家の役割であるし、そこの責任を取れる、そしてまたそのリーダーである大臣である、萩生田大臣であると思うわけであります。

 そもそも、大臣として、需給調整を考えたときにこれだけのポテンシャルがある、じゃ、どっちを大事にしていくか。需要に合わせていくのを将来的に大事と考えるのか、それとも、このポテンシャルを見据えて、先ほど政府の方からありましたように、いろいろな課題について解決の手を打っていこうとするときに、じゃ、大臣としてどのような、気概でも結構でございますし、具体的なグランドデザインがあられるんだったら、それをどうしていくか。政府の成長戦略として上げておられますけれども、洋上風力にしても、私は、この規模でいいのかなというのはあるわけであります。

 だから、そういうことも踏まえた上で、大臣としてどのような展望、方針を持っておられるかということを伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、再エネは、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な脱炭素の国産エネルギーでありまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた鍵であるというふうに思っています。地域との共生や国民負担の抑制を図りながら最大限導入していくというのがまず基本方針です。増やしていきましょうということを呼びかけています。

 一方、先生、ポテンシャルについてお話しされました。これはいろいろな、言うならば尺度があると思うんですね。

 例えば、四方を海に囲まれた日本は、今後、洋上風力の発電所を増やしていくことは可能だと思います。数を増やすということは可能だと思います。あるいは、日々の風の風量を計算すると、もしかするとその三倍とか七倍とかという数字が出てくるのかもしれないんですけれども、じゃ、どこへ建てるのか。

 例えば、日本の場合は、遠浅な海岸が少ないですから、浮遊型のものを造らなきゃならない。これは非常にコストもかかる。じゃ、幾らコストがかかったって再エネだったらみんなが納得してその電気を使ってくれるのかということも考えなきゃならないわけですから、単純な計算じゃなくて、例えば太陽光発電、もっと面積を増やせば発電は増やせるじゃないかとおっしゃるんですけれども、じゃ、山を切り開いて、CO2を本来吸うはずの緑を削ってまで太陽光発電をすることとの比率とか、いろいろな尺度を持って計算しなきゃなりませんので。

 前提は増やしていくこと、増やすんですけれども、しかし、そこには、先ほど部長から答弁させましたとおり、三月二十二日のような事態もあるわけです。幾ら太陽光パネルがあったって、一キロワットアワーも発電しないという現実もあったわけです。そうすると、国民の皆さんの暮らしや産業を考えたときには安定的な電気の供給というのをしなきゃならないわけですから、太陽光一辺倒、風力一辺倒、風が吹かなかったときどうするんだ、日が照らなかったときどうするんだということも同時に考えていかなきゃならないわけです。

 じゃ、その調整力として、やはり蓄電池を開発して、おかげさまで、日照りのいい日、風の強い日に発電した電気は蓄えておいて、そして後日使うというようなことが可能であれば、そういったことも当然やっていかなきゃならないし、あるいは、日本の場合は、北海道や本州や九州、それぞれ陸は離れているわけですから、それをお互いに、発電が多く出たところから使わない電力を隣の島へ送れるような送電線の整備というものもやって、融通を更に充実させていくことも必要だと思います。

 何をやれば全て解決するのかということが日本の場合はできないから、あらゆる選択肢をしっかり見ながらやっていこうというのが今の考えでありまして、私は、今、足下では、もちろん、繰り返しになりますけれども、再生エネルギーの有効性は高く評価していますし、増やしていく前提ですけれども、ただこれを増やしたのでは解決しない。そのためには、様々な選択肢を用意して、それからコストのことも考えて、産業や国民の皆さんのコストも考えて、再エネの最大限の導入というのを進めていく必要があると思っております。

末次委員 大臣がおっしゃることもごもっともだと思うんですね。確かに、見込みと現実がどうかということは違うと思います。

 ただ、例えば英国においては、ジョンソン首相が打ち出して、今、洋上発電で賄うということ、それが実際進んでいるわけであります。参考人の招致の御意見では、日本の方が洋上に向いているという、それは大臣も御認識されているところだと先ほど感じましたけれども、あるわけです。

 それと、わざわざ山を切り崩してとかおっしゃいましたけれども、私も同じような思いであります。

 そうしたときに、需給調整を地域間で考えたときに、地域間の需給、先ほど送電という御発言もありましたから、そういうことはお考えと思いますけれども、じゃ、それを具体的にどういうふうに考えておられるかというところなんですね。

 例えば、実際、これは環境省の統計データでありますけれども、これをずっと私、調べてみると、例えば、再生可能エネルギーのポテンシャルと各都道府県の電力使用量を比較したときに、東京都では、全然、再エネのポテンシャルでは足らないわけです。ところが北海道では、電力使用量に対して約十倍弱の、十倍前後、今、ちょっと資料が古いのであれですけれども、約十倍のポテンシャルがあるわけです。

 じゃ、さっきおっしゃったような送電というところをもっと実用的に考えていったときに、ざっと計算して、北海道で、これも計算上の話ではありますけれども、北海道のポテンシャルで首都圏の電力需要は賄えるわけです。そういったことも、地域間の連系ということも踏まえた需給調整を、じゃ、考えておられるかということですよ。

 だから、私は、そんな山を切り崩して太陽光を造る必要はないし、もっともっと自然の力を利用して地域間連系を、送電ということでおっしゃいましたよね、そういうことを進めていったらどうかというふうに思うんですけれども、そういった地域間の連系を含めた供給調整と需給調整ということはどのように考えているかというのをお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネの特性というのは、やはり、環境性能が高くて、各地域にある自然の資源、風であったり太陽光であったり、こういったものを活用できるということなんですが、一方で、委員御指摘があったように、デメリットは、これは地域に偏在しているということなんです。例えば、太陽光は全国どこでも同じですが、風力の場合には、風況がいい場所として北海道や東北があって、こうしたところのポテンシャルをどうやって引き出して、電力需要として全国で上手に使うかというのが一つのポイントになります。

 そういう意味では、先ほど申し上げた調整力のような、こういう周波数の変動にきちんと対応するということと同時に、偏在している地域からその電力を引っ張ってくるための送電網の整備というのは当然私どもも検討しておりまして、現在、全国の基幹送電線の長期の送電網の整備計画として、今、マスタープランというものの検討をしております。こちらをしっかり進めながら、こうした地域間の連系についても進めてまいりたいというふうに考えています。

末次委員 そういうプランを持っておられるということは、是非進めていただきたいと思います。だから、何度も申し上げますように、カーボンニュートラルに向けた再エネの需給バランスにそういったプランがあられるのであれば、ポテンシャルを踏まえた上で、是非取り組んでいただきたいと思います。実際、民間では、北海道で発電したものを東京に送電して使っているという事例もございますよね。それを、じゃ、いかにして政府が進めるかということであります。是非お願いしたいと思います。

 あと、受容性の問題で、先ほどお話がありましたけれども、これも、もうちょっと時間がないので申し上げますけれども、例えば、メガソーラーで反対運動が起こっている各地域を、これもまた先ほどの環境省のデータに突合してみますと、反対が起こっている地域に関して、それでも再エネのポテンシャルが高いというところもあるわけですよね。実際に少ないというところもありますけれども。

 だから、こういった、実際これだけ十分ポテンシャルがあるんですよと、この地域については。そういった、条例とかどうとかとおっしゃいましたけれども、こういった現状を見据えた、これだけ可能性があって、地域に利益を、地域経済が活性化していく、そういったポテンシャルはあるんですよ、将来性はあるんですよということも踏まえて御説明されているのかということは非常に疑問であります。

 私も地域を回っていて、そこに疑問を持ったから質問させていただくわけでありますけれども、短めにお願いしたいんですが、そういった受容性について、そのような観点で御説明をされているのかということ、どのようにお考えなのかということをお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 太陽光発電ですとか地域に再エネが導入していくに当たりまして、地域で、例えば安全の確保ですとか、適正な事業実施に対していろいろな懸念が生じているのは事実であります。したがいまして、こうした地域の皆様にきちんと御理解をいただいて、その上で共生をしていただく仕組みというのをしっかりつくっていかなきゃいけないというふうには考えております。

 経産省でも、これは自治体に対して、例えば、各地域の条例をお作りになるわけですけれども、こうした条例などの情報を自治体間で共有して、再エネと共生するような形を取っていっていただくためにはどうしたらいいのか、こうした取組を後押しをしておりますし、それから、FITの申請などが出てまいりますと、こうした情報も当該自治体に共有することで、早い段階で事業者と地域の方がコミュニケーションを取ることで地域の理解を進めていく、そういった取組を進めているところであります。

末次委員 今、FITの話が出ましたけれども、じゃ、FIT一つ取っても、今、一キロワット当たり十九円が十七円に二〇二二年は下がろうとしているわけです。二〇二五年は十一円に下がろうとしているわけですよ。これは十年買取りですよね。それについて、九電では、もう二〇一九年秋から十年固定買取り制度が終わっているわけです。そうした将来的な見通しに対して、じゃ、これからどうしたらいいのかという不安や問合せは地元自治体に数多くあるという現状を御存じなのかどうかというのもあります。

 その一方で、例えば、設備コストは下がっているわけだから買取り価格が下がってもそこはペイするとか、あと、十キロワット未満が住宅用、十キロ以上が事業用になっていますけれども、広い屋根だと事業用でいいわけです、一般家庭でも。そうなると買取りの期間というのがなくなるわけですよね。そういった説明を、じゃ、地元の基礎自治体の担当者が十分できているかどうかということも把握されているかということであります。

 私がさっきから申し上げているのは、地域の事情というものをどこまで捉えて、政府としてそれをフォローしていくか、そういう取組、若しくは、取組方針、姿勢があられるかというところであります。今のお話を聞いていると、そういう印象を受けないわけでありますね。地域にしても、大きい基礎自治体だったら十分なそういった体制が組めるかもしれませんけれども、そういうところではないわけです。実際、担当者一人できりきり舞いしているような、そういった自治体も私は聞いているから、言うわけです。

 あえて、声高らかにと言ったら大変失礼でございますけれども、FITということでおっしゃられましたけれども、そういうものを踏まえているのかと私は思うから、聞いたわけでございます。

 そういった、ちょっと時間がなくなったので、本当はもっと地域経済に効果をもたらすということでお伺いしたかったんですけれども、時間がありませんので、大臣にちょっとお伺いしたいと思います。

 これは、地域に裨益する取組ということで、やはりまず、自然エネルギーは地域に優先権があっていいのではないか。北欧などで昔からある、地域自然エネルギー享受権ということもあります。まずこういった考え方というものを政府としてしっかり持っていただくことが大事じゃないかということは、これは思います。

 そういう前提を踏まえて、地域に利益が、再エネを進めていく上に裨益する取組、一言で言うと、事業の収益が地域にとどまることということであります。これは実際、事例として、神奈川県松田町の地域エネルギー享受権条例ということもありますし、もうこれは御存じと思いますので詳しい内容は申し上げませんけれども、これはもう経産省が再エネ顕彰ということで選出されているように、能代市の地域裨益型風力発電事業として取り組まれておるわけですね。

 こういうものを考えたときに、今までは大企業とか外資が地域に来て、そこで造って、そこで利益を出していくということでありますけれども、私はそこに、地域、特に下請産業として、いかにそこで取り組んでいくかというそういったグランドデザインが必要だと思うんですけれども、時間がないので、大臣にお伺いします。

 そのようなグランドデザインを大臣がお持ちかどうか、どのようなお考えかということを最後にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 例えば、再生可能エネルギーを地域で、経済活性化のみならず、例えば災害時のエネルギー供給など、レジリエンス向上の観点からもこれは貢献にもなるんだと思います。

 開発を受け入れる場合、これは国が頭越しに、こういうメリットがありますよ、こういういいことがありますからやった方がいいですよと言うのは、ちょっと日本の制度としてはなじまないので、それこそ、今先生がおっしゃったように、地元の人たちがよく考えて、例えば、部品や整備やメンテナンス、地元の人たちに仕事が増えるような仕組みというのは、地元の人たちと事業者の間でお話合いをして幾らでも構築することはできると思うんです。そのことはそれぞれの自治体の努力によって可能性はあると私は思っていますので、そのことが結果として裨益ということになるんじゃないですかね。

 国がどこかの地域の再生エネルギー開発に介入して、じゃ、これを許可する代わりにここにサプライチェーンをつくれとか、ここに技術者を何人雇えとか、こういう仕組みはないですから、これは地元で考えていただくことだと私は思います。

末次委員 大臣がおっしゃったような、現実がそういうふうになっていないから、私はお話ししたわけですね。どうしても、そういった事業規模が大きいところの、やはり、あるいは言葉が適切かどうか分かりませんけれども、言いなりみたいなところがあるわけですよ。

 それを、このぐらいの規模で国がいろいろな出資をする場合とか、こういったカーボンニュートラルを進めていく場合に、方針ということだけでもいいと思うんですよね。一番はいろいろな縛りがあればいいんですけれども、そこを、グランドデザイン、そういったものを含めたグランドデザインということでお伺いしたわけであります。

 時間がありませんので、とにかく、国が、地域に裨益する大きなプロジェクトを支援する政策デザインを是非考えていただいて、今後、再生エネルギーの目標達成に向けていくことが大変重要と思いますので、それを改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、梅谷守さん。

梅谷委員 改めまして、今日、こうしてこの場に立たせていただきましたことに、私の地元、新潟六区の皆様に心から感謝申し上げますとともに、先輩議員各位に感謝を申し上げる次第です。

 それでは、質問に入らせていただきますが、まず、日銀の企画局長の清水誠一様、今日はお忙しい中、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 そして、今日はもちろん法案審議ではありますけれども、現下の急激な円安進行が我が国経済に甚大な影響を及ぼしつつあることから、まずは円安について二点、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、これはもう周知のとおりですけれども、東京外国為替市場、円相場が一時一ドル百二十九円をつけ、二十年前の水準まで下落しました。円安の直接の原因は、日米の金利差の拡大、そしてエネルギー価格の高騰などがあります。

 言うまでもなく、この円安による輸入物価高は、企業活動や個人消費に影響を与えかねません。給料が上がっていない日本で輸入品の物価がどんどん上がることは、生活に直結をします。また、国民の資産が目減りしていくことにもなります。このまま円安が進めば、かなり厳しい状況に陥ることにもなる。

 こうした中で、黒田総裁は先日、急速な円安はマイナスが大きいとしつつも、円安はトータルではプラスになるとの認識を示しています。その根拠については、これは様々なシミュレーション分析で出てきた結果と答弁されているんですが、まず、お尋ねします。どのようなシミュレーションを行ったのでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 まずもって、為替相場の動向につきまして具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、日本銀行が本年一月に公表いたしました展望レポートでは、為替相場の変動が我が国の経済に与える影響に関する定量的な分析結果を御紹介しております。

 具体的には、統計的な手法を用いて、為替相場の変動がGDPや輸出、設備投資などに与える影響を推計しております。その際の分析の対象期間というのは、二〇〇〇年から、感染症が拡大する直前の二〇一九年末までとなってございます。

 もとより、この分析自体は、あくまでもマクロ的な視点から行ったものでございます。この点、この当該展望レポートでも述べておりますとおり、為替の円安の影響が業種や企業規模、経済主体によって不均一であるということには十分留意が必要であるというふうに考えてございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 本年一月の展望レポートに基づき、その中の計量データというんですかね、この期間が二〇一〇年から二〇一九年だと。そして、もとより、それだけでなく、現下のことにも膨らませて、対策を慎重に考えているというようなお話だったと思いますけれども、じゃ、改めてここでお尋ねしますが、それでもなお、現在は二〇二二年で、半導体不足も加速して、人材不足も多い。そして、新型コロナによる、今おっしゃっていましたが、インバウンドの低迷、また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響、物価の高騰などなど、我が国を取り巻く環境や経済構造は、この三年間で大分激変しているということです。

 ですので、お尋ねしますが、このシミュレーション分析において、直近の情勢や経済構造を踏まえた上でもう一度行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 先ほども少し申し上げましたけれども、展望レポートの分析の対象は二〇〇〇年から二〇一九年末というふうになってございます。

 その上で、日本銀行といたしましては、これはリサーチ活動の常ではございますけれども、新たなデータを取り込みつつ、分析を深める努力をしていくとともに、企業からの聞き取り調査なども参考にしながら、為替相場の変動が経済、物価に与える影響を十分注視してまいりたいというふうに考えてございます。

梅谷委員 そうでしたか。リニューアルしながら、変えながら、どんどん新しいのを取り込みながら分析をされているという理解でよろしいんですね、今の御説明だと。

清水参考人 経済活動でございますので、常にデータは新しく入ってまいります。そういったものも含めながら、新たな環境ということを取り込みながら分析は進めていくということは常々考えているところでございます。

梅谷委員 時間がないのでこの点はここまでにしますが、考えるということと実際に行っていくということはちょっと違う気がしますけれども、いずれにしても、是非とも最新のデータに基づくシミュレーション分析をもって行っていただいて、円安のメリット、デメリットを見極めていただければと思います。そして、政府と日銀は歩調を合わせて、国家の衰退につながりかねない通貨安ととことん向き合うことを強く求めますし、また何よりも暮らしへの打撃を食い止めることを最優先していただくことを強く要望します。

 考えたくないんですが、この円安による物価高が今後更に加速するのではないかという懸念があります。

 黒田総裁は、中小企業の観点で、最近の急速な円安は企業の事業計画にも影響を与えるおそれがあるとして、中小企業の収益減少はマイナスと答弁されました。また、鈴木財務大臣は、経済状況においてはどちらかといえば悪い円安ではないかと答弁をしております。

 そこで、お尋ねしますが、現下の円安が中小企業に及ぼす影響について、経産省としてどのように認識されているんでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、足下の為替水準についてはコメントすることは差し控えさせていただきますが、為替の安定が非常に重要であって、急速な変動は望ましくないと考えております。

 その上で、円安が中小企業に及ぼす影響についてでございますが、一般論としては、円安が進めば輸入物価の上昇を通じて企業のコスト上昇につながる、マイナスの影響がございます。他方、輸出を行う企業の中には円安メリットを享受する企業もある。ただし、原材料価格が上がる、エネルギー価格が上がって厳しいという声もある。このように、影響は個々の企業によって様々異なっております。したがって、一概に申し上げることは難しいと思います。

 引き続き、為替市場の動向や中小企業に及ぼす影響について注視してまいりたいと思います。

梅谷委員 個々の諸事情があるから一概には言えないというのも理解できなくはないんですけれども、ただ一方で、これをきちんと経産省としても分析をされて、それがゆえにどういう支援策がいいんだろうという話につながってくると私は思っています。

 特に、輸出業が、一般論では先ほどおっしゃっていましたけれども、輸出業が言うまでもなく昔ほど好調でないこと、生産拠点の海外移転など産業の空洞化が進んできていること、日本の製品が海外で売れなくなってきているなど、かつての日本ではなくなってきております。

 だから、円安のメリットは余りなくなってきているのではないかとも言われている中で、他方、内需依存型の中小企業は価格転嫁が難しく、事業計画を策定するのにもなかなか難しいという声も聞こえてくるわけなんです。

 だから、現下の円安が及ぼす影響というのは、私は、今、急激に上がってくればくるほど非常に大きいというふうに思っています。物価高は円安と原油高のダブルパンチで歯止めがかからない状況、放置すれば家計負担が一段と重くなり、飲食店を含む中小企業の倒産も激増しかねないと強く危惧しています、私は。

 ですので、大臣にお尋ねしますが、中小企業が受けるマイナス影響に対し今後どのような支援策を講じるおつもりなのか、お尋ねします。

萩生田国務大臣 新型コロナの影響の長期化に加え、ウクライナ情勢の緊迫化や円安の進展によってエネルギーや原材料の価格が高騰しており、その結果、多くの中小企業がコスト増に直面していると認識しております。

 経産省としても、これまで、ウクライナ情勢や原材料価格の高騰の影響を受ける中小企業の支援策として、全国約千か所に特別相談窓口を設置するとともに、セーフティーネット貸付けの金利の引下げや業界団体を通じた親事業者への価格転嫁についての配慮要請など、各種の施策を実施しているところです。

 さらに、総理から御指示を受け、政府として、原油価格、物価高騰等総合緊急対策を来週中にも取りまとめる予定です。

 中小企業への支援策としては、セーフティーネット貸付けの更なる金利引下げですとか、事業再構築補助金の拡充などについて具体的な検討を進めているところです。

梅谷委員 前回の質疑で同じようなことを確認させていただきましたが、いずれにしても、今月中に取りまとめるとされる総合緊急対策というんでしょうか、それに、現下の円安によって、とりわけ急激な円安によって影響を受ける中小零細事業者の方々に対する支援を、改めてしっかりと支援を打ち出していただくことを強く要望して、次の質問に移ります。

 本題ですが、本法案、一語一句、私なりにしっかりと拝見させていただきました。主な論点はこの間、既に審議されていますので、私からは、そこにかぶらないように、少し視点を変えて、提案の姿勢で質問をさせていただきたいと思います。

 まず、雪冷熱。本法案で、この雪冷熱エネルギー、雪氷冷熱エネルギーというふうに行政的にはいいますが、これについてお尋ねします。

 私の地元の新潟県上越市は、全国に先駆けて雪冷熱エネルギーの活用が進んでいまして、農産物の貯蓄とか建物の冷房などを用途とする雪室、皆さんも御存じだと思います、これが、安塚という地域を中心に、市内各地に設置をされています。

 この雪冷熱エネルギーが法的に位置づけられたのが平成十四年二月、新エネルギー特別措置法の改正の中で、太陽光発電とか風力発電に続いて、バイオマスもそのとき入りましたが、雪冷熱エネルギー、雪氷冷熱エネルギーですけれども、が世界で初めて新エネルギーに認められました。

 当時、雪を経済活動に導くためには新エネルギーとして国に認めてもらうことが必要だというアドバイスを受けた伊藤親臣さんという方が、そのためには技術的な資料が必要であるとして、全国の雪国自治体に働きかけて、雪サミットを設立、第一回を北海道沼田町で開催し、そして第二回をこの新潟県安塚町で開催しました。その後、八回開催しましたが、平成十四年二月に、法改正を受けて、活動は一区切りしました。

 その後、雪を市民レベルで活用するためのネットワークづくりが必要だとして、平成十八年六月に雪の市民会議を設立しました。平成二十三年八月には公益財団法人雪だるま財団が設立、雪の市民会議がその事務局を担い、ちなみに伊藤さんがその事務局長ですが、活動を積み重ねてきました。これがコロナ禍によって休止をされ、今に至っています。

 この安塚町の取組は全国から注目をされて、新エネルギー大賞の受賞を始め、数々の栄光に輝きました。しかしながら、平成の大合併に伴い、大きい組織になることで、地域の個性の輝きが曇り始めました。その原因の矛先は雪と言われることもあったと伊藤さんはおっしゃいます。

 伊藤さんを始めとする市民会議の方々は、雪こそ雪国であるあかしであり天の恵みと考え、物言わぬ雪の代弁者となり、雪の価値化に懸命に取り組んできました。

 雪氷冷熱エネルギーの導入支援の窓口は、NEDOから新エネルギー導入促進協議会、そして、そこから環境共生イニシアチブへと引き継がれました。御案内のとおりです。

 でも、今は、民間に対する直接的な導入の支援はないんです。その理由は、日本の国土の半分は雪国であるが、そこに二割程度の人口しか暮らしていない、つまり、雪氷冷熱エネルギーを利用する、したい企業が限られているからだというんです。

 言うまでもなく、私は雪冷熱エネルギーと言っていますけれども、雪冷熱エネルギーはエアコンや冷蔵庫代わりになるので、CO2排出抑制効果もあります。雪の上に空気を通す送風エネルギーはもちろんかかってしまうんですけれども、でも、冷媒は不要であり、熱交換をしないので、省エネに貢献できます。農産物の貯蔵にも適しています。雪室の内部は温度変化が少なくて、雪室貯蔵のお米は新米と同様のおいしさを保つ。ほかにも、ジャガイモなどの野菜は糖度が増し、肉はドリップが少なく良質な熟成肉になり、日本酒やコーヒーなどはまろやかな味になると言われています。

 そこでお尋ねするんですが、雪冷熱エネルギーの活用についての見解と支援の現状をお尋ねします。

白石政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の雪氷熱などの再生可能エネルギー熱利用につきましては、我が国の二〇三〇年温室効果ガスの削減目標及び二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、地域の特性を生かして、効果的な活用を進めていく必要があるというふうに考えてございます。これは、温暖化対策計画でありますとかエネルギー基本計画、いずれもそういうような記載をしているところでございます。

 環境省におきましては、再エネの熱利用に関する計画の策定、それから設備導入の支援を実施してきてございますし、令和三年度からは、雪氷熱を活用したデータセンターの構築の支援を行ってございます。

 引き続き、地域の特性に応じた雪氷熱などの再エネ熱利用の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

梅谷委員 経済産業省の皆さん、大臣、今のお話、聞いていただいたと思いますが、効果的な活用を環境省として進めていく必要があるとして、いろいろな施策に取り組んでおられます。

 そこで、経済産業省の見解をお尋ねしたいんですが、民間企業が手を挙げたくなるような、雪氷冷熱エネルギー、雪冷熱エネルギーに対する民間企業が手を挙げたくなるような補助メニューを創設するなど、これに対する法案同様の支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

茂木政府参考人 雪氷熱の活用の重要性ということは私どもも十分認識をしております。

 今、私どもの方では、事業者の、例えば省エネという観点での設備投資の支援というのは行っております。

 当然、雪氷熱の活用というのは、例えば、ある事業場で見ても、全体としてエネルギー消費を効率化していくという方向性での取組になっていくケースが多いかと思いますので、そうした観点から、そういうメニューが活用できるかどうか、この点はよく検証してまいりたいというふうに思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 是非検証を深めていただきたいですし、また、大事なことだと私は思っておりますので、幅広く、省エネのみならず、幅広くエネルギー活用を御検討、前向きに御検討していただきますことをお願いしたいと思います。

 これ、大臣に聞いちゃまずいんですかね。通告は大臣にもされていなかったですか。(萩生田国務大臣「いいですよ」と呼ぶ)いいですか。

 じゃ、この点、大臣にもお尋ねさせていただきます。

萩生田国務大臣 雪氷熱については、エネルギー消費原単位の算定に当たって、投入エネルギーから控除されるため、その使用は、省エネ法上、省エネとして評価をされることになっておりまして、さっき先生がお話しいただいた新潟県のデータセンター、これは年間三千トンの雪を貯雪をして、サーバールームはすごく熱が出るものですから、それを常に冷やすということに使っていらっしゃいますし、民間のマンションなんかでもこれを使っている、仕組みを使っているのが新潟県内には随分あるやに報告をいただきました。

 いいシステムだと思いますので、環境省と連携しながら、今のところ、なかなか、インセンティブがないから進まないんじゃないかというのが先生の多分思いだと思うんですけれども、今般新設する非化石エネルギーへの転換に関する措置では、雪氷熱の使用について、非化石熱の使用として評価され、非化石エネルギーの使用割合の向上として評価されることになりますので、逆に言うと、民間企業の皆さんがこういうのを売りにして、建設とセットで提案していただくようなことをしていただくと、今、残念ながら直ちに補助策とかいうのはないんですけれども、いい意味で後押しをしていきたい、促すことができるような方法というのは一緒に考えていきたいと思います。

梅谷委員 ありがとうございます。

 私が現場からいただいている声としては、民間への支援がだんだん、時を経て、自治体を通して、自治体とタッグを組んで、スクラム組んでやらなきゃ駄目ですよという支援に今、変わってきていると。それを、意欲のある方が手を挙げたら、そこに対して、民間に対してでも支援がいただけるようなものがないかね、そういう、現場で汗をかいている方の声を御紹介させていただきましたので、是非御検討いただきたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 国内探鉱の推進についてお尋ねをします。

 二〇〇二年に、経済産業研究所と経産省の共同研究で、鉱物資源安定供給論というレポートがありました。これを全部見ますと、その中にこういう記述がありました。「現状では国内にはもはや未調査の地質構造の中から新たな優良鉱床が発見される資源ポテンシャルはない。」との記述がありました。

 それから二十年が経過をして、そして、今や、技術の進捗はもとより、各メタルの相場も大きく上昇してくるなど、環境も大きく変わっています。現時点であれば採算が取れる鉱床もあるのではないかと私は考えておるところでして、そうした場合、追加での探鉱の需要ももちろんあるかと考えています。

 そこで、まずお尋ねしますが、国内鉱床は調査をし尽くしたという見解に対する現状認識をお尋ねをします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 JOGMECの前身であります金属鉱業事業団などにおきまして、昭和三十八年度から平成十八年度までの四十三年にわたりまして、国内の地質構造の概要を明らかにするための広域地質構造調査、さらに、その結果を踏まえて、鉱床の賦存可能性を明らかにするための精密地質構造調査、さらに、そこから絞り込まれた有望地におけます、民間企業が実施する企業探鉱支援という、この三つの段階的な調査を行っておりまして、国内の資源ポテンシャルにつきましてはかなり広範囲に調べてきたということがございます。

 その結果、見込みがあります一部の鉱区では、企業による探鉱や開発に進展してございますけれども、その他の鉱区では、経済性がないものというふうに判断されて、手がついていないという状況にございます。

 委員御指摘のとおり、資源価格が上昇してきているのは事実ですけれども、基本的には、かなりの鉱区において、採算性、可能性については広範囲な調査が済んでおりまして、かつ、近年は、鉱山開発参入の様々な技術、環境面でのハードルも高くなっておりまして、残念ながら、現時点では、企業から具体的な開発要望も出てきておりません。

 こうしたことから、国内の陸上鉱物の資源のポテンシャルの現状は総じて高くないのではないかというふうに認識してございます。

梅谷委員 もう一度ちょっと確認したいんですが、経済性の問題で、ないとおっしゃっているのか、それとももう賦存はないという、どっちなんでしょうか。

定光政府参考人 ここで調査しておりますのは、経済的に開発が成り立つか、対象となり得るいわゆる賦存があるかどうか、一定の規模の賦存が一定の鉱床の濃度であるかどうかという観点から調べております。

梅谷委員 これはもう釈迦に説法ですけれども、これまでの経緯、JOGMECは以前、前身は金属鉱業事業団という組織で、昭和四十年、五十年代は国内鉱山への探鉱調査に対して具体的な補助金などを出していたんですね。それが国内が中心。そして、一九八〇年代までは、レアメタルの鉱石を輸入して、国内で製錬していた。しかし、海外から安い資源が入ってくるようになって、そして、国内鉱山の休山、閉山が増えてくると、海外鉱山の探鉱調査への補助金にだんだんシフトしていって、海外鉱山への出資や債務保証などにシフトしていった。二〇〇〇年代以降は、ほぼ海外中心に探鉱調査はなっていったことはもう周知の事実です。

 そんな中、今も、先ほど、数少ないとおっしゃっていました、一件、必要資金の最大八〇%融資する制度を実施をしておりまして、大手企業なんですね、それは。どうしても、中心はそれになってしまう、融資になってくると。

 私、こう考えているんです。

 私が生まれたのは第二次オイルショック時なんですね。昭和四十八年十二月九日の朝刊の一面を飾ったのが、トイレットペーパーを買いあさる写真だったんですよ。そんなことから、子供の頃には、四十年後には石油がなくなるというふうに言われていたんですけれども、四十年たってもなくなってはいない。

 これと同じように、かつて調査したが駄目だと言われた鉱山でも、再調査する意義はあるんじゃないか。特に、今こういう状況ですから、国内の鉱物自給率、鉱物エネルギー安全保障というんですかね、そういうものを鑑みても、やはりチャレンジする必要があるんじゃないかという観点でお尋ねをしています。

 そこで、もう一度お尋ねしますが、ベンチャー企業とか中小企業の意欲ある会社への支援となり得る、かつて行っていたような探鉱調査補助金を導入することで資源の自給率を向上させる必要もあると考えますが、大臣、いかがでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、過去に幾つか鉱山開発が行われておりましたけれども、現在では、繰り返しになりますが、経済性などの問題からほとんどの鉱山が閉山しておりまして、菱刈鉱山などごく少数の貴金属の鉱山開発が行われている状況でございます。

 レアメタルなどの資源開発事業には、埋蔵リスク、操業リスク、価格変動リスクといった数多くのリスクが存在してございます。また、操業に伴う環境対策も必要不可欠ですけれども、その対応は、技術的、経済的にもハードルが高く、結果的に、資源開発事業は、企業の規模を問わず経営が難しい事業というふうになってきておりまして、近年、国内において、新たな参入による鉱山開発の動きは出てきていないというふうに認識してございます。

 今後、新たにレアメタル等の存在の可能性、開発の可能性が高まりまして、地域の中小企業等を含む民間企業からの具体的な要望が出てきた場合には、政府としても、どのような支援が可能かを検討してまいりたいというふうに考えてございます。

梅谷委員 卵が先か鶏が先かだと思うんですけれども、かつてのような補助金のやり方であれば、手を挙げる企業が大小問わず出てくるのではないかなと思います。今のままだと、それは手を挙げるところはないと私は思っています。

 その上で、ちょっと時間もなくなってきたので、一問また聞きたいんですが、例えばカナダでは、主に市場から資金を調達し探鉱を行うジュニアと呼ばれる企業が多数存在しています。カナダに探鉱のハイリスク・ハイリターンを許容する専門市場があるんですね。このようなマイニングビジネスのためのジュニア市場を日本でも設置して、国産、海外もそうですけれども、国産のジュニアを育成することが有益と考えますが、いかがでしょうか。

 特にこれは、先ほどの申し上げた経済産業研究所のレポートの中でも、こういうカナダとかオーストラリアのジュニア市場のメカニズムを徹底研究すべきとの指摘もあったんです。この点、いかがお考えでしょうか。大臣、お願いします。

萩生田国務大臣 いわゆる探鉱ジュニアは、株式市場で資金を調達し、探鉱を成功させた上で、価値の高まった鉱区を鉱山会社に売却するという事業に特化した企業と承知しています。

 委員御指摘のとおり、カナダですとかオーストラリアでは、鉱業投資が盛んであることから、探鉱ジュニアの事業も比較的活発であり、結果として、トロントやシドニーにおいて、探鉱ジュニアの資金調達を容易にする株式市場が発達したものと認識しています。

 一方で、我が国においては、現在、経済性等の問題からほとんどの鉱山が閉山し、菱刈鉱山などごく少数の貴金属の鉱山開発が行われているのみであることから、そもそも探鉱ジュニアを立ち上げる動きや、探鉱に向けた資金調達ニーズがほとんどなく、市場創設の必要性も低いと考えられます。

 政府としては、今後、新たに国内の鉱山開発の可能性が高まり、国内における探鉱ジュニアの事業が盛んになる場合には、資金調達も含め、事業環境の整備に向けて検討を進めたいと考えております。

梅谷委員 私も決して自分の勝手なアイデアだけでこれを申し上げているわけではなく、現場で実際にこれらを取り扱っている方々、現場、海外に行ったり、実際に携わっている方からの声も、できるだけ私なりに幅広くいただきながら、この質疑に臨ませていただいているつもりです。

 ですので、できない、できないと言うよりは、私は、そういう声にもきちんと向き合って検討されてもいいのかなというふうに思いますので、御検討していただければと思います。

 最後に、メタンハイドレートについてお尋ねをしたいと思います。

 三月十六日の委員会質疑におきまして、私の方から、技術開発の加速とともに、同時並行して商業化の議論を進めて、プロジェクト全体を加速化する、両輪で進めるべきだという御質問をさせていただいたときに、大臣の方から、「経済性などの商業化に必要な条件の検討も併せて実施し、」と、商業化に対して、こうおっしゃっています。

 そこでお尋ねしますが、大臣がおっしゃる「経済性などの商業化に必要な条件の検討も併せて実施し、」という、どのような条件を検討されているのでしょうか。お尋ねしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 メタンハイドレートにつきましては、エネルギー基本計画で、二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることというのを目指して、現在、技術開発などの取組を進めているところでございます。

 実際に、商業化に向けましては、民間事業者によるメタンハイドレートの賦存量それから消費地との距離などの事業性、採算性を踏まえた検討が不可欠となってまいります。

 政府としましては、こういう経済性など商業化に必要な条件について、政府でも調査を行っておりますし、それを事業者側にも開示して、事業者との積極的な対話を行いながら、商業化が早期に実現するよう検討を進めているというところでございます。

梅谷委員 ありがとうございます。

 現時点ではなかなかお答えできないところも多いんでしょう。

 ただ、この商業化に向けて想像力を働かせていくと、沿岸地域の貢献とか、漁協を始めとする地元の理解、当然重要な要素となってきますし、施設を始め安全面や地域への貢献などを考慮した要件整備なども必要。今から周辺自治体などと協議を進めていってもいいんじゃないか。五年は、まだ五年あるなのか、それとも、もう五年しかないなのか、この考え方で大分スピード感が変わってくると思いますので、是非、政府として、早め早めの対応をお願いし、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、山岡達丸さん。

山岡委員 衆議院議員の山岡達丸でございます。

 今日は、質問の機会を引き続きいただきました。五本のエネルギー関連の法案の改正ということで、その続きをしていきたいと思っております。

 洋上風力について、私の立場からも、まず大臣に伺いたいと思っております。

 今、政府は様々、洋上風力を意欲的に進めておられて、二〇三〇年に一千万キロワットということでございます。私の地元北海道は、その五分の一に当たる二百万キロワットということで、大型の発電所一つを造るというぐらいの大きなプロジェクトということでございます。

 その期待に応えるため、北海道も、周辺の海域の調査、風況の調査をしておりますし、バックアップする港として、私の地元室蘭市の室蘭港なども取組を様々進めているところでもございます。

 このスピード感についてまずお伺いしたいと思っておるんですけれども、洋上風力、これは二〇三〇年目標ということで、少し先のようにも見えますけれども、ただ、一般に、環境影響評価の調査が三、四年かかる、そして建設にも三、四年かかる、トータルで六年から八年ぐらいということを考えたときに、二〇三〇年といえど、すぐ目の前のことという、そういう時間の考え方でいかなければならないのかなと思っております。

 今回、風況のよいとされる区域三か所、初めて公募ということで行われて、事業者が選定されたわけでありますけれども、その計画で事業規模は百七十万キロワットということで、一千万キロワットのうちの一七%程度ということでございます。

 大臣に伺いますけれども、大臣は、先日の答弁でも、この洋上風力は日本のエネルギーの切り札であるという趣旨のこともお話をされました。一方で、目の前のことである二〇三〇年ということで、この達成というのは相当な決意と覚悟がないと、なかなかこの実現というのは、意欲的な目標というのはすばらしいことなんですが、この実施というのは、本当にそうした気持ちで取り組まなきゃいけない目標なんじゃないかと思いますが、今、具体的にどのような思いで取り組まれるのか、そのことを伺います。

萩生田国務大臣 洋上風力は、大量導入の可能性、コスト低減の余地、経済波及効果の大きさの観点から、カーボンニュートラル実現の切り札だということをかねてから申し上げてまいりました。

 官民で策定した野心的な目標の達成に向けて、政府は昨年、再エネ海域利用法に基づき、千葉、秋田沖における約百七十万キロワットのプロジェクトの公募結果を発表するなど、まずは大きな一歩を踏み出しました。

 今後の継続的な案件形成のために、開発の初期段階から政府が関与をして、より迅速、効率的に風況などの調査を行う、いわゆる日本版セントラル方式の確立に向けて実証事業を進めていく必要があると思っています。

 これは、民間任せに調査をして、地元の皆さんとの調整にも時間がかかったりしていると、今先生がおっしゃったように、二〇三〇年というのはとっくに過ぎてしまうと思いますので、やはり政府が一歩前に乗り出して、国の責任で海域の調査などは済ませて、そして、例えば送電線なども、プロジェクトが近いところで二か所、三か所あるんだとすれば、プラットフォームを造って、そこまでをつないだ方が当然短くなるわけですから、こういったことをこの際、思い切ってやっていこうと思っていまして、御審議いただいている本法案には、JOGMECによる実海域での地盤調査などを行うことを可能にする内容を盛り込ませていただきました。法案が成立した際には、速やかに施行に向けて準備をしたいと思います。

 また、北海道、東北地域など、需要地から離れたところに適地が存在する風力などの再エネ促進も見据えて、海底直流送電を含む全国大の送電網整備に関するマスタープランの策定も思い切って進めてまいりたいというふうに思っています。

 さらに、遠浅な海域の少ない日本で高い目標を実現するため、深い海域でも導入余地が大きい浮体式の早期のコスト低減に向けて、これはグリーンイノベーション基金などを使って技術開発を応援していきたいと思っています。

 以上のような取組を通じて、洋上風力の導入拡大にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

山岡委員 大臣から今お話がございましたが、大臣の御発言の中で、特に、民間任せではなく、政府が一歩乗り出して進めていかなけりゃならないんだと。そのお話がありましたので、そのことをベースに資源エネルギー庁にも聞いていきたいと思います。

 洋上風力、初めての公募が昨年末に行われました。風況のよい区域として選定された三か所の海域は、全て同一の事業者が落札をしたわけでございます。報道によればでありますけれども、この同一事業者が落としたことを契機にして、三月十八日、資源エネルギー庁から、この公募の評価方式の見直し方針が出されています。

 これはスピード感を持ってやっていくということの思いで伺うんですけれども、一般に、一度出した公募のルールをころころ変えていては、まず、事業者の予見性が失われるので好ましくないことだと思っております。

 同一事業者が複数箇所を受注することは、私は、それが目標の供給力の達成、そして事業評価として最終的に国民負担の最小化につながるということであれば、悪いことではないと思っております。

 洋上風力の技術とかコストにおいて日本が大きく遅れているとも言われる中で、例えば、政治的な一定の配慮とか、実力の伴わない事業者が受注するということは当然避けるべきことでありますし、ルールの変更が頻繁に行われるということもこれは好ましくないという思いの中で、伺いますけれども、今回の見直し、まず、どのような理由の中で行われるのか。同一事業者が取ったということを受けてのことではないということだと思っておりますが、このタイミングで行うことの理由も伺いますとともに、見直しの方向性としても、予見性の確保の観点から最小限にとどめていくべきだということも思いますが、見解を伺います。

茂木政府参考人 まず、昨年の末に入札結果を公表いたしまして、この第一ラウンドの結果を受けまして、産業界も含めまして様々な御意見を頂戴しました。この点、私どもも認識をしております。

 一方で、今委員から御指摘があった今回の見直しでございますが、この見直しの判断は、あくまでも、ウクライナ情勢の及ぼすエネルギー情勢の変化ですとか、それから、第一ラウンドの結果も踏まえまして、価格だけではなくて、早期の導入という観点でより各社の競争を促す仕組みとするための政策的判断でございまして、一事業者が三か所取ったからという理由で見直したわけではございません。

 それで、公募においてですが、引き続き、国民負担の抑制、事業の確実な実施、地域との共生、こうした三つのバランスをしっかり確保していくということになります。

 見直しについては、既に三月二十二日から審議会で、今後の見直しの方向性の検討を始めております。

 具体的には、やはり低い供給価格、これをしっかりと引き出す評価方法は維持しつつ、選定プロセスや公募占用計画に関する透明性、これをしっかり上げていくということ。それから、早期稼働の政策的な目標、重要項目を明確化するための評価制度の一部見直しを行います。それから、多様な事業者が公募に参画する競争環境の構築。

 こうした論点についても、審議会で、外部有識者、事業者始め、幅広く意見を伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えています。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

山岡委員 早期に導入するという観点の評価を具体的にしていくということについては、これは大きな政府の趣旨とも一致するかもしれませんが、先ほど述べたような、少し違ったような言われ方も今しておりますので、是非、適正な考え方に基づいてこの見直しの措置をまた検討していただきたいと思います。

 スピード感ということでもう一つ伺いますけれども、先ほど大臣からの言及もありましたけれども、今回の法案で、JOGMECが洋上風力の調査等を事業に加えるということで、事業者がばらばらに行うのではなくて、そうしたことを統一的に行うというのは合理的なことだと思っております。先ほどの話にもつながりますけれども、最終的に、トータルコストがかかれば、それは国民負担になっていく、当然、電力でございますから。そうしたことを思ったときに、こういう措置は極めて、法律上で措置していくのは合理的だということを私も思っております。

 事業者側の負担という意味でいったときに、先ほど大臣、政府が一歩乗り出すということもお話がありましたけれども、洋上風力を進めていくに当たってまた大きなテーマとなりますのは、地元の関係者やいわゆる海域に関わる方々の洋上風力設置の理解促進、言うなれば地元の調整というのが、これも重要な一つであろうと思っております。この調整を民間任せ、事業者任せ、あるいは事業者の責任で進めるというのは、これもスピードの大きな制限につながるのではないかということ、あるいはコストの上昇につながる可能性もありまして、これは最終的にやはり国民負担につながっていくということになろうと思っております。

 この地元の調整についても、国が一定の責任を持つ、あるいは一定のルールを設けて、透明性のある、何か予見可能な形にしっかりとしていくということも非常に重要な務めじゃないかと思いますが、答弁を求めます。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

茂木政府参考人 今委員から御指摘ございましたとおり、やはり洋上風力の案件を形成していくためには、地元の御理解をしっかりいただくということ、これが大前提ということになります。そういう意味で、段階に応じて様々な形の地元とのコミュニケーションの在り方というのはあるかというふうに思います。

 まず、案件をつくり出していく前の段階として、地域の理解の醸成ですとか候補地の発掘というのを進めていくわけですが、その段階におきましては、洋上風力発電の実現可能性や地域共生の在り方に関する検討会のようなものを、希望に応じたりしながら、地域で開催をしていく、こうした取組をしています。

 そして、こうした取組で発掘された候補地については、先ほど大臣からも答弁申し上げました、日本版のセントラル方式というような方法を活用して、海域の調査を国が先導して進める、こうした取組を進めてまいります。

 それから、いよいよ地域が有望区域ですとか促進区域に挙がっていくという段になりますと、これは国、自治体、利害関係者が参加する協議会というのを開催して議論を進めていくことになります。これは、再エネ海域利用法でこうした地元の調整のスキームを定めたというのが、この再エネ海域利用法の非常に大きなポイントでございます。この際に、やはり、漁業と共生をしていくとか、地域との関係で、どのような形で地域に貢献をしていくのかということを具体的にこの協議会の中で取りまとめをしていくということになります。

 こうした段階に応じた取組を通じて、地域の理解を前提とした洋上風力の導入拡大を進めてまいりたいというふうに考えます。

山岡委員 このことはまた問いたいと思いますが、是非、仕組みをつくるだけではなくて、姿勢としても、国が一歩前に出て調整をしっかり進めていくことを助けていくということを進めていただきたいと思います。

 また、港についても洋上風力について伺いますが、海域のことではなくて、港も鍵を握ると思っております。

 北海道室蘭市では、ここは天然の良港と言われ、戦前よりも、鉄鋼、重工業、様々、深さもある港ということで使われてきているわけでありますが、いわゆるエネルギーの転換で大手の製油所などが生産停止など、様々このエネルギー構造の変化の中で地域も影響を受けて、その中で模索している中で、今回、政府が進める洋上風力というのは、極めて大きな期待とともに、港に資材を入れて、あるいはその一定の組立てをして運び出すという活用について、この室蘭港も、いわゆる港湾計画まで昨年六月改定して、洋上風力のための取組をやっていくということを決めたわけであります。

 今日、国土交通省の大臣官房技術参事官にもお越しいただいていますけれども、この室蘭港、戦前からの歴史もございますけれども、このスペック、これが、洋上風力に対してのいわゆる対応としての可能性とその評価等があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょう。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、経済産業省とともに洋上風力発電の導入を推進しております。

 洋上風力発電設備の建設、維持管理に不可欠となる基地港湾につきましては、荷さばき施設の面積や洋上風力発電の導入見通し、港湾の利用見込み等を十分勘案した上で、国土交通大臣がこれまで四港を指定しているところでございます。

 本年二月、近年の洋上風力発電設備の大型化の動向等を踏まえまして、基地港湾のあり方検討会におきまして、基地港湾の配置及び規模が取りまとめられ、洋上風力産業ビジョンの導入目標の達成のためには追加的な基地港湾が必要になるというふうに示されたところでございます。

 これを踏まえまして、国土交通省では、審議会における議論も経た上で、将来的に基地港湾の見込みのある港湾を整理するため、現在、港湾管理者に対し意向調査を実施しているところでございます。

 委員お尋ねの室蘭港の基地港湾としての可能性と評価につきましては、現在、調査を実施中でありますことから、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。

山岡委員 室蘭も極めて大きな意欲を示していて、そしてスペック等についても、皆様のお示ししたところに、十分期待に応えられるということを、その思いの下で進めていますので、是非、そうしたことも念頭に、また様々ヒアリングも進めていただきたいということも併せて申し上げさせていただきたいと思います。

 少し、法案に関係して、CCSのことも伺いたいと思っております。

 今回の法案、エネルギー高度化法で、火力発電にCCSを位置づけるということが定められています。

 しかし、一方で、CCSというのが、今すぐ目の前で、もちろん私の地元苫小牧で実証実験は行っているんですけれども、実用という意味では明確になっているわけではない中で法律に先に位置づけるということでありますけれども、この実用化について、今どういうような状況で、どのように検討されているのか、まず伺いたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCSの実用化に関してでございますが、二〇三〇年のCCS事業化に向けまして、コスト低減、適地の開発、事業環境整備といった様々な課題がありますので、CCS長期ロードマップ検討会というものを開催して集中的に検討を進めておりました。

 一昨日に開催しました検討会におきまして、政府として、二〇三〇年までに企業がCCS事業を開始するための事業環境整備を行うということをコミットした上で、具体的には、CCS事業実施のための国内法整備に向けた検討、CCSコストの低減に向けた取組、CCS事業への政府支援の在り方の検討、CCS事業に対する国民の理解の増進、海外CCS事業の推進などを含む中間取りまとめ骨子案をお示ししたところでございまして、今後、幾つかのテーマについて更に深掘り、集中的な検討を進めまして、年内にはより具体的な長期のロードマップの策定につなげていきたいというふうに考えているところでございます。

山岡委員 今、政府から、おととい、CCS長期ロードマップ中間取りまとめの骨子の案をまとめられたということで、私も中身を拝見させていただいておりますけれども、以前の委員会でも、このCCS、地中の権利について、事業者の権利等が法律にも定められていないということとか、責任も、この所在が明確化されていないということで、法整備を是非進めるべきだということを私、申し上げた中で、この取りまとめの中の内容にもこのことも含めていただいていて、CO2のいわゆる圧入の貯留権の検討等、そうしたこともありますので、極めて、本当にこうした前進が図られるというのは、この委員会で質問した身としても、これはありがたいことだということは思っております。

 今お話ありましたけれども、その内容で、政府支援についてなんですけれども、この中で、海外事例においては、全てのCCS実施国で支援を行う、この実用化、導入に当たってですね。そして、オーストラリアやイギリス、オランダなどでは、国が一〇〇%、先進的な導入、つまり最初の実用化の導入については補助を出すということが調査としてなされているところでございますが、これは、日本も、最初の実用化の段階は、こうした海外の事例と同じように一〇〇%補助する、それぐらいの規模感の補助がコストのことを考えても必要なんじゃないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCS事業への支援策につきましては、委員御案内のとおり、欧米などCCS先進国では、分離、回収、輸送、貯留というCCSバリューチェーン全体の建設段階及び操業段階を全面的に支援するような補助制度も導入されているところでございます。これらも我々としては参考にしながら、今後、検討会の下に立ち上げますCCS事業モデル、実施スキームに関するワーキンググループにおいて、集中的に、日本としての具体的な支援の在り方について検討していきたいというふうに考えてございます。

山岡委員 それらを参考にされるということで、各国、このCCSというのはまさに、私の地元苫小牧もこの実用に向けた協力ということで実証をやっているわけでありますけれども、世界の中で注目される技術として日本が先進的な地域であるにもかかわらず、この政府補助についてはほかの国の方が手厚くて、そして導入が他国の方がどんどん進んでしまうような事例というふうになってはいけないと思いますので、こうした、今、骨子の中での調査でも、海外がそれほどの手厚い補助を行っていくということは十分踏まえていただきたいという思いでございます。

 あわせて、このCCSというのも、二〇三〇年頃からこれはしっかり実施していくというような方向になると思いますけれども、どこの地域が先進的な地域として初めに実用化していけるかということは、これも言うはやすしでございまして、地中の調査もあるでしょうし、これは今回の法案にも位置づけられているわけでありますけれども、あるいは地域の理解、こちらも非常に重要なことであろうと思います。掘るに当たっても、それはそうしたことも求められてくるというものであろうと思っております。

 こうした中で、苫小牧という地域は、もう十分皆様御承知のとおりでありますけれども、CCSの実証実験において、地域を挙げて取組をし、地域の漁業者の方々もそのことに大きな理解を示しながらやってきた地域でもございますし、既に調査も済んでいて、まだまだ余力があることも分かっている。もちろん、これから実用化するに当たっては更なる地域の理解を求めていくわけでありますけれども、しかし、最初の導入に当たって、事業者と組んで、事業者が導入、実施していくということにあって、地政上のことでいえば、この苫小牧という地域は極めて有望なんじゃないかということも思いますけれども、この辺り、資源エネルギー庁はどうお考えか、伺いたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 CCS事業化に関する候補地でございますけれども、現時点で決まっていることはございません。今後、事業者と連携して、政府として積極的にCCSの適地調査を実施した上で、CO2の排出源となる発電所や産業集積地の立地なども踏まえて、今後自治体とも連携して検討していくということになると考えてございます。

 御指摘の苫小牧市につきましては、委員御指摘のとおり、地元の大きな理解がある、それから、現にCO2を貯留した実績があるということ、それからさらに、今後CCUSの拠点化形成に向けた地元の皆様の動きがあることということは我々も認識しておりまして、こうしたポテンシャルは我々としても注目しているところではございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 今回、法案質疑ということで、洋上風力のこととCCSのこと、まさにこれから未来のための措置をやっていくということで、萩生田大臣はこうした政策の実施の局面で立ち会っておられるわけでありますけれども、今回、私、CCSも含めた、総じて、大臣としてこれをどのように進めていくか、そのことを最後にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 CCS、有力なCO2削減策だと思っております。

 お地元の苫小牧市が大変な御努力をいただいて、市街地に近いところで三十万トンの貯蔵に成功しました。社会実験という段階ですけれども、今後実用化も是非進めてほしいと個人的に私は思っておりますし、また、今日は苫小牧オンパレードなんですけれども、地元の漁業者の皆さんが本当に親身になってこの国の行く末を一緒に考えていただいて、こういった事業に協力いただいていることに、心から感謝申し上げたいと思います。

 是非、このCCSにとどまらずに、様々な再生エネルギーを一括的に使うようなことを市の方でも、カーボンゼロシティーということを宣言しているやに聞いておりますので、まずはできる自治体からどんどん先を走っていただいて、そのいい事例を横展開していく、その先頭を是非北海道には頑張っていただきたいなと期待したいと思います。

山岡委員 大臣の心強い御答弁もいただきました。

 物づくりの町として歴史をずっとつくってまいりましたが、この新しい時代の中で、カーボンニュートラルの中においても新しいものに挑戦していく、そうした地域として、私も地元でまた活動してまいりたいと思いますので、是非また今後とも様々アドバイスをいただければと思います。

 質問を終わります。

古屋委員長 次に、山崎誠さん。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。毎度お世話になります。

 早速、前回のも、課題も続けて御質問させていただきたいと思います。

 通告の中の六番目なんですが、東京電力福島第一原発事故の避難者の問題を確認させていただきたいと思います。

 前回の委員会で取り上げました国連の特別報告者ダマリーさんの訪日調査の受入れについて、復興庁の担当者の方に今日はお越しいただいています。

 この訪日調査の受入れについて、今どういう調整が進んでいるでしょうか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 ダマリー国内避難民特別報告者の訪日要請の受入れにつきましては、現在、窓口の外務省が、受入れの方向で同氏の訪日の時期等の調整を行っております。また、復興庁におきましても、外務省の方からダマリー氏の関心事項などの情報の共有を受けているところでございます。

 今後、外務省を通じて具体的な訪日の時期についての詳細を経まして、関心事項と伺っております避難者との面会でありますとか、あるいは被災地での視察などについて、情報提供等について復興庁においても協力をしてまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 具体的に、いつ、外務省とどういう打合せをしましたか。直近一か月以内あるいは二か月以内、どういう打合せをしたか、具体的に教えてください。

林政府参考人 お答えをいたします。

 私、今手元に、いつ何どきという資料をちょっとお持ちをしていないので、具体的にお答えすることはできませんけれども、復興庁の中でも、担当者を通じまして外務省と関心事項等についての情報交換を行っているところでございます。

山崎(誠)委員 これは通告しましたよ。通告したんですけれども、具体的にどういう打合せをしたのか、ヒアリングのとき担当者は、外務省からそういうアプローチを受けていない、そういう説明がありました。

 いかがですか。外務省からどういう具体的なアプローチがあって、どういう調整をしているんですか。

林政府参考人 申し訳ありません。繰り返しになりますけれども、いつどこでというようなことについては具体的にお答えすることはできませんけれども、外務省からダマリー氏の関心事項などについて情報提供を受けておりまして、また、訪日の時期などについても、先方の希望などの情報については共有をさせていただいております。

山崎(誠)委員 通告しているのに答えないというのは、これはおかしいですよ。委員会が止まるような事態だと思いますよ。

 じゃ、経産省の福島復興推進グループの方にも来ていただいていますが、外務省とどういう打合せをしていますか。

須藤政府参考人 打合せの詳細については差し控えさせていただきたいと思いますけれども、私ども、避難指示区域の設定あるいは解除の担当をしておりますので、ダマリーさんがいらっしゃったときには、そういったことについてしっかり説明をさせていただければというふうに思っております。

山崎(誠)委員 何でこれは、詳細、答えられないんですか。打合せをしているんだったら、どういう打合せをしたか、これは何で、詳細、答えられないんですか。どうしてですか。

須藤政府参考人 それぞれ、随時メール等を含めてやり取りをさせていただいておりますので、何日に何ということはお答えはできませんけれども、まさに様々な形で調整をさせていただいているという状況でございます。

山崎(誠)委員 私は質問で、具体的にどういうコンタクトを取って、どういう調整を進めて、どんな困難があって、どこで受入れができていないのかを確認して、受入れをどうしたら前に進められるか、聞きたいんですよ。何もお答えにならないじゃないですか。

 じゃ、どういう困難があるんですか、復興庁。誰に、地元の避難者の方は相談をして、受入れ可能かどうかはどういう調整をしているんですか。もう随分時間がたっています。二〇一八年からです。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、二〇一八年から訪日の要請を受けているというのは私どもも承知をしております。

 直近につきましては、やはり、コロナの感染状況というのがございまして、なかなか訪日の時期について判断をすることが難しかったというのが背景にございます。

 現在は、関心事項について外務省から情報提供を受けておりまして、その中の一つとして、避難者とお会いになりたいといったような情報はいただいておりますけれども、まだ、具体的な時期を含めてどういうアレンジをしたらいいのかということについては承っておりませんので、逆に、そういった時期を含めて決まりましたら、私どもとしましても、避難者の情報は持っておりますので、具体的なアレンジをさせていただくようにしたいと思っております。

山崎(誠)委員 これは私は、委員会の前のレクチャーでも、具体的なコンタクトの様子を教えてほしいと要求しました。

 委員会に、具体的な、外務省、復興庁、そして今、経産省の担当者の皆さん、どんな打合せをされて、その記録、議事録、それを提出いただけますか。委員会に提出を求めます。お願いいたします。

古屋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

山崎(誠)委員 今、区域外避難者の方々が、支援を打ち切られて、二倍の家賃請求を受けて、国家公務員住宅に住まわれている方が退去を迫られている。福島県を訴えて、今、裁判もとうとう起こってしまいました。

 国は、こうした事態についてどのように把握されていますでしょうか。

 国会では、復興大臣も、最後の一人まで被災者に寄り添って生活再建を実現する、国が責任を持って、そう何度も私にも答弁をされています。こういう事態になったことをどういうふうに捉えていますか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の、国家公務員宿舎に居住をされていた福島県からの避難者の方、十一名の方々が福島県を提訴されたということは承知をしております。

 なお、本件につきましては、福島県と、国家公務員宿舎に、事実上の利用者等との間の訴訟に関することでございますので、復興庁としてのコメントは差し控えをさせていただきたいと思います。

 ただ、福島県におきましては、現在も、対象者を限らずに、住宅の確保が困難な避難者の方々に対しましては、住まいの確保に向けた相談対応等に当たっていると承知をしておりまして、引き続き、復興庁におきましても、福島県等と密に連携を取りながら支援をしてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 これは、私今お話ししましたとおり、復興庁、大臣も担当者の方も、福島県と協力をして、被災者に寄り添って、最後の一人まで生活再建を実現します、そうおっしゃっているんですよ。今の答弁は、余りにも、私が今まで聞いていた答弁とやはりかけ離れています。

 裁判について、これは原告の方と早く和解をして、彼らの要求、本当に当然のことだと思いますよ、被災者です、救っていただけないでしょうか。和解を進める福島と協議をしていただきたいんですが、どうでしょう。

林政府参考人 お答えをいたします。

 繰り返しになりますけれども、本件の訴訟に関しましては、福島県と、避難をされていた事実上の利用者の方との間の訴訟でございますので、復興庁としてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、委員御指摘の被災者の支援につきましてですが、帰還する意思があるかないか、あるいは指示避難者であるか自主避難者であるかということに関係なく、全ての被災者に対して支援を行うことが重要だということはそのとおりでございまして、引き続き、帰還環境の整備でございますとか、生活再建支援拠点を通じた住宅紹介などの支援、こういったことに取り組んでまいりたいと思っております。

山崎(誠)委員 もう一点、次の話題ですが、再生可能エネルギーの導入促進、これは是非やっていただきたい。今日も何度もそういうお話が出ました。

 その中で、メガソーラーの乱開発というのがやはり大きく問題になっていまして、以前からちょっとお願いをしている件、確認をしたいと思います。

 宮城県の丸森町というところで太陽光発電事業が行われています。地元の関係者の方が、買収ということで有罪になっているということでありまして、こうしたプロジェクトに対してFITの適用というのは不適当ではないか、この検討、調べてほしい、調査してほしいということで以前からお願いをしているんですが、結果は今、どうでしょうか。

茂木政府参考人 委員御指摘の丸森町における太陽光発電設備の事案でございますが、本件事業に関与しているとされる会社の代表者が逮捕、起訴されまして罰金刑に処されたということは私どもも承知をしております。

 その上で、再エネ特措法では、認定基準として、事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれることを求めておりますので、この観点から、経済産業省において、この事案が取り扱われました仙台地検が保有しております本件事件に関する記録、こちらを閲覧するなどいたしまして、現在、事案の精査、分析を行っているところであります。

 今後、その結果も踏まえて適切に対応してまいります。

山崎(誠)委員 これも私、随分前から取り上げさせていただいて、環境アセスの問題もありました。このFITの認定の可否についても、皆さんに確認をお願いをしてまいりました。余りにも遅い。このままなし崩しに開発が進んでしまう、あるいは、開発というのは森林を大きく伐採をして太陽光発電を広げていくというプロジェクトでありまして、地域に与える影響が大変大きい。

 これは早く結論を出して、それも、やはりこういう、今、乱開発が問題になっている中で、やはり事業者の適性、そういったものをしっかりと見極めるんだという経産省の意思を表示していただきたいと思うんですが、いかがですか。

茂木政府参考人 本件は、FIT制度において、地域住民ときちんとしたコミュニケーションを図ること、これが努力義務になっておりますので、認定基準として、事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれることを求めています。

 こうした観点からは、一概には言えないのですが、お尋ねのような場合はやはり認定基準違反に当たり得るのではないかというふうに私ども考えております。

 したがいまして、そうすると、一般論でございますが、認定の取消しといった不利益処分に入っていくわけですが、こうした不利益処分、しっかりと事実関係の確認を行って、必要な手続を行った上で対応する必要があるということであります。

 そういう意味では、先ほど申し上げましたが、刑事確定訴訟記録法に基づく必要な閲覧手続なども取りまして、事実関係を確認しております。それから、この事業者に対する報告徴収も実施をしております。

 こうした結果の精査、分析を行うのに一定の時間を要するということは是非御理解いただいた上で、しっかりとこの結果を踏まえて適切な対応をしてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 これは、地元の方の買収で有罪が確定しているという事案でありますから、私は大変深刻な事態だと思います。

 今御答弁いただきましたので、その考え方はしっかりと踏襲いただいて、解決いただきたいというふうに思います。

 それでは、一問目、議案関連の質疑に入ります。

 水素、アンモニアの利用について、これは前回から何度もお尋ねをしていますが、どうも私は、要領を得ない皆さんのお答えなので、今日はちょっと資料も添付をさせていただきました。

 一番の資料を見ていただきたいんですが、水素、アンモニアの用途、導入目標ですね。これを見ていただくと、トランジションゼロというレポートが出ておりまして、これがまとめたレポートです。これは水素についてですが、国家水素戦略の部門別の優先度ということで、見ていただきたいのであります。これは、ばっと見て、この黒い丸は、そういう予定、戦略として水素を活用していく余地が低いか、なしということ、白い丸が即時にやっていこう、四角は中くらいということなんですね。

 それを見ていただくと、これは一目で分かると思います。どういうところに力を入れようかというと、工業分野の鉄とか鉄鋼、化学原料、それから精製、そういったところには丸がついたり四角がついたりしている。それから、熱利用。そして、道路輸送、これは、やはり大型の輸送には水素というものが使えるのではないかということだと思います。あるいは、海運というところに四角がついている。将来的にはこういったところへも水素を活用していきたいという戦略だと思います。

 見ていただきたいのは、左、発電。発電について、これを積極的に進めていこうというのは日本と韓国だけでありまして、ほかは黒丸であります。

 私は、ここが言いたいんです。もちろん、電力で、発電に使うなとは言わないけれども、水素の活用の在り方としては、やはりこういう国際的なトレンドがあるのであります。私は、水素やアンモニアというのは大変高価なエネルギー源でありまして、これをうまく使っていかないと、結局、いろいろなところにしわ寄せがあって、無駄な投資になったりするのではないかと。

 本当に使うべきところにきちっと水素を使っていただきたいということで、この資料一は大変示唆に富む資料だと思いますが、感想、御見解、いただきたいんですが。

茂木政府参考人 今御指摘ございました委員御提出の資料一でございますが、私自身は、このワールド・エナジー・カウンシルの作成レポート、このトランジションゼロというのは実は承知しておりませんでしたが、内容を確認いたしましたところ、我が国の水素戦略についても十分に御理解をいただいているものというふうに感じております。

 具体的には、水素戦略の中では、日本も、鉄ですとか化学、精製、それから熱利用のところ、道路輸送、こういったところも含めまして今後需要をしっかり立ち上げていくということを明示的に書き込んでおりますので、そうした点はきちんと評価されていると思います。

 それから、発電分野でどう活用するかというのは、やはり水素のサプライチェーンを需給一体でどう確立していくのかという、それぞれの国のエネルギー事情の相違があるのではないかというふうに思いますが、いずれにせよ、全体として水素の需要をきちんと立ち上げていくという観点では、幅広い需要を獲得していく必要があるかというふうに考えます。

山崎(誠)委員 これは何度も確認していますけれども、水素の全体の利用量、これから、例えば二〇三〇年、どういう形で、三百万トンでしたっけ、それをどう使っていくのか、どういう割り振りでどのぐらい使うのか、そういう積み上げで計算していますか。

茂木政府参考人 まず、二〇三〇年の三百万トンという目標でございますが、この年間三百万トンという目標のうち、まず、既存の水素需要が二百万トンございます。これは、現在の製造業のプロセスの中で使われている副生水素ですとか、こういったものが含まれます。したがって、新たにそこに百万トン需要を創出して、グローバルな、国際的なサプライチェーンも立ち上げながら水素の市場をつくっていく、最初の、先駆けとしての百万トンということになります。

 新たな需要先として想定していますのは、一つは発電分野でございます。二〇三〇年の電源構成一%というのを昨年のエネルギー基本計画でも位置づけましたので、ここから出てくる水素の量が大体六十万トンから七十万トンぐらい、水素、アンモニア、合わせてですね。加えまして、産業の熱や化学、それからモビリティーといった分野、こうした需要も当然加味をした上で、最大三百万トンの利用目標というのを設定しております。

 ただ、こうした発電以外の分野は、まだまだ技術開発が必要な分野が多いです。したがって、こういった不確実性が大きい分野については、目標量を用途ごとに出すことは困難でありまして、今後、特定の分野における水素の導入目標というのも当然考えていく必要はあると思いますが、現時点においては、こうしたものも念頭に置きながら、三百万トンという数字を積み上げているというところであります。

山崎(誠)委員 時間が限られるので、もっと本当はここも議論したいんですけれども、今の経産省の予定、計画は、とにかく、火力発電所の混焼なんですよ。それに対して、やりたいという思いは分かりますが、それに非常に傾倒しているのではないかというのが私の懸念であります。

 四番の資料を見ていただきたいんですが、これは、アンモニアの火力の、アンモニアを混焼した場合にどのぐらいCO2の削減効果があるのかというところです。これは気候ネットワークが作っていただいた資料でありまして、アンモニアの製造時のCO2の排出も加味をすると、アンモニア混焼二〇%では四%程度の削減率しか得られない、五割の混焼でも一〇%程度しかCO2の削減効果はないということで計算をされています。

 これは、環境省のアンモニア製造時のCO2の排出の計算をベースにしています。実際にアンモニア混焼を二〇%やっても、四%ぐらいしかCO2の削減効果がない。

 二〇三〇年に、皆さんが、二〇%のアンモニア混焼を実現できる発電所の基数というのを確認しましたら、大体六基から十基でしょうという話であります。ほかは、石炭火力は基本的にはそのまま、二〇三〇年、動かすという計画になってしまうので、これは、水素、アンモニアをやること自体はいいかもしれないけれども、それがあるから石炭火力を許していいのかどうかという問題なんです。

 資料三を見ていただくと分かりやすいんですけれども、OCCTO、電力広域的運営推進機関に提出されている供給計画を見ると、二〇三一年度までの火力発電の新設、廃止計画が出ております。石炭を見ると、驚きました、新設が四百八十二万キロワット、廃止が二十八・八万キロワットであります。これは圧倒的に増える計画じゃないですか。

 資料二を見ていただくと、これはJERAの石炭火力発電所の計画でありますけれども、廃止の予定になっているのは、碧南火力発電所の一号機、二号機。アンモニアの混焼が計画されているのは碧南の五号機と聞きました。下の三基は建設中でありまして、特に横須賀などは、新設一号、二号が来年、再来年動いていくということで、これは、地元でもありまして、いろいろ問題になっています。

 こういう石炭火力の動向を見て、そして、水素やアンモニアを混焼したときの効果を科学的に分析をして、果たしてこれが、政府が言う、二〇三〇年、CO2の削減、二〇一三年比で四六%という目標に適合しているのかどうか。いかがですか。石炭火力とアンモニア混焼の関係、これは整合が取れて計画ができていますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 石炭火力につきましては、二酸化炭素の排出量が大変多いために、地球温暖化ということを考えますと、これに対する排出の削減ということに取り組まなければいけないと私どもしっかり思ってございます。

 一方で、電力の安定供給という非常に大きな課題にも直面しているところでございまして、現時点で、火力発電というのが電力供給の大体七五%を占めるというのが現実、その中で今非常に需給逼迫に直面しているのは、もう避け難い現実でございます。そういう中で、石炭火力発電所も含めた火力発電で、調整力としての意義も含めた電力供給というのを確保しながら、炭素排出、二酸化炭素排出を減らしていくということを現実も見据えて取り上げていくのは、非常に重要なことだと考えてございます。

 そういう観点で、二〇三〇年度のエネルギーミックスでは、一九%という石炭火力の数字、同時に、水素、アンモニアというのを、一%の目標の数字を置いているわけでございますが、非効率な石炭火力について、省エネ法の規制強化などを通じてフェードアウトを進めていきながら、アンモニア混焼等の導入を進めて二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指していくということは、現実と二〇五〇年に向けての目標ということを両立させていくための挑戦をこれから取り組んでまいりたいと考えてございます。

山崎(誠)委員 OCCTOの計画によると、二〇三〇年、石炭火力はどのぐらいの割合ですか。OCCTOが計画を出していますよね、供給計画。どのぐらいになっていますか。

松山政府参考人 今、済みません、手元に数字がございませんで、ちょっとお答えできません。

山崎(誠)委員 政府は、一九%。たしか三〇%ぐらいになるんじゃなかったでしたっけね。先ほど見せたような、こういう計画で進んでいるんですよ。

 私は、やはり石炭火力は、世界的に、どんどんどんどんフェードアウトをしなきゃいけないということの一番の課題になっているわけですよ、この気候変動。それを、こういう、計画が今出ているもの、そして水素、アンモニアを混焼するからいいだろう、そういうことでは、科学的にデータを見ても、これは四%しかないんですよ、二〇%混焼しても。四%しかダウンしないんですよ。

 四%、これは、例えば、もっとLNG火力を増やす、その分転換をする、そうしたら四%以上になりますよ。CO2は、石炭火力よりもLNGの方が半分なんです。それはLNGの安定供給の問題はありますよ。再エネだったらCO2排出ゼロですから。

 これは、本当に冷静に、どういうポートフォリオで、どういう計画で、どういう投資でこのエネルギーミックスをやっていくのか、今本当に考えどきだと思います。そうしたことが、こういうデータだとかを見て、きちっとできているかどうか、是非これからも議論していきたいと思います。

 それから、時間が限られますのでもう終わりですけれども、次の、必要な供給力、電源の確保という話題についても、これは、今も答弁の中で、電力の逼迫、電力供給不足というお話は何度も何度も出てくるんです。

 今日つけた資料の五番を見ていただくと、先日起きた、三月二十二日の電力供給不足、需給の逼迫というケースを、これは、安田先生という京大の先生、この道では非常に精緻に分析していただける先生ですけれども、その先生から御説明いただいた資料でありまして、すごく明確です。

 やはり、火力発電所が地震で止まった、そして予想外の寒さ、この二つの事象が重なったために起きた需給の逼迫でありますと。明確です。それぞれの事象が一つだけだったら、これは耐えられたんですよ。だけれども、二つ重なったことによってこういうことが起きたんだと。だから、これは、それぞれの事象が十年に一度、十年に一度、そのぐらいの頻度の事象だということで分析されています。掛け算すれば、百年に一度の事象だったんです。

 これを、供給を増やすことに躍起になる、それがこの事象の解決になるかといえば、そうではないんですよ。需給のコントロールだったり、省エネだったり、そういったことをきちっとやれば、少なくとも三月二十二日の事象は乗り越えられるし、実際にそれが一定の機能をして乗り切ったんですよ。そこに焦点を当てないと、いつまでたっても供給力、供給力で、大型の火力発電所をたいたり、原子力発電所を再稼働しなきゃいけないんだ、そういう間違ったエネルギー政策に進んでいく。

 それを指摘して、私は、この質問、今日は終わりにします。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 本日は、この省エネ等の改正法案、四月五日に大臣の趣旨説明がございまして、それから今日まで十八日という審議期間でございました。

 その中で、今日は私ども、青柳議員から改正案を提出をさせていただきました。非常にタイトなスケジュールの中で、この改正案についても法制局にも大変お世話になりました。私からも御礼を申し上げたいというふうに思います。

 この改正案、質問で青柳議員もいろいろと、エネ庁に対して御質問をさせていただきました、その中身が入っています。私どもとしては、やはりこの省エネ法という法律のたてつけ自体が、今の、再生エネルギーをどんどん加速化させなければいけないというような世の中に変わった中で、やはり、それで非化石エネルギー化を進めるというのは非常に制度的にも今の時代に合っていないんじゃないかというような問題意識を持って質問もさせていただきましたが、その内容を改正案ということで本日提案させていただいたということでございます。

 そこで、まず最初に提出者に、閣法の問題点及び修正案のポイントについて御説明をいただきたいと思います。

青柳(仁)委員 お答え申し上げます。

 省エネ法は、オイルショックを背景として一九七九年に制定された法律であり、政府が目標を示して事業者を指導監督することによって省エネを実現しようとする考え方は、時代に合わなくなってきています。

 今回の閣法は非化石エネルギーへの転換を促進しようとしていますが、この現行法の考え方をベースとして制度を組み立てているため、いわゆるサステーナビリティー基準やESG投資への対応の観点から事業者が行う取組が評価される仕組みになっていません。サステーナビリティー基準等への対応が市場でも評価されるようになり、企業は自らの企業価値や競争力を高めるため、経営判断として省エネや非化石エネルギーへの転換を図るようになってきているのであり、こうした市場原理による事業者の取組を後押しする形での改正が必要であると考えます。

 修正案では、こうした状況を踏まえ、基本方針を定めるに当たっての勘案事項として、気候変動及び持続可能な開発に関する国際的な取組の状況、事業者が行うエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換に関する自主的な取組の状況を追加することとしています。

 また、そのための具体的な方策として、特定事業者等に対する中長期的な計画の策定に関する特定事業者等の負担の軽減、報告事項への非化石エネルギーへの転換の状況の追加、優良事例の公表その他の必要な措置を講ずることとしています。

 さらに、今後の課題として、政府は、環境、社会等の持続可能性に関する課題への取組等を踏まえた新たな事業者の評価制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを検討条項に追加しています。

小野委員 提出者から御説明をいただきました。

 先ほど私が冒頭で申し上げたとおりでございますけれども、今の企業というもの、特にこの省エネ法で対象になっている事業者というのはエネルギーをたくさん使っている。一万二千社ということでございますけれども、やはり社会的責任をしっかりと果たすというようなことを前提に事業活動をしているというような会社が多うございますし、しかもそれを認識しているということでもございますので、そういう意味では、この脱炭素ということに関して自らの企業価値が試される、そしてそれを果たせない場合には市場から締め出されるというようなことを、常に緊張感を持って事業活動をしているというような存在だと思います。

 そういう中で、これから様々な質問をしていって、この省エネ法でやっていく、省エネ法で脱炭素化を図る、非化石化を図るというようなことが、もちろん、そういった政策目的自体はそういう方向に向けていかなければいけないんですけれども、手段として適切なのかどうかということ、これを明らかにしていきたいというふうに思っております。

 そこで、経産省に、エネ庁にお伺いしたいんですけれども、民間事業の経営判断でありますとか自助努力によって非化石エネルギー化を図るというような取組、これだけに委ねられない理由というものを答弁いただきたいというふうに思います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 近年、民間事業者の経営判断ですとか自助努力による取組として、事業者によるESG投資ですとか再エネの導入の取組が進んでいる、この点については私どもも承知をしております。

 他方、第六次エネルギー基本計画を踏まえまして、二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の達成に向けては、非化石エネルギーの更なる導入拡大が重要であります。

 このために、民間事業者の自主的な取組にとどまらず、エネルギー多消費事業者を対象に、事業者が取り組むべき規範として非化石エネルギーへの転換を法的に措置した上で、幅広い事業者の取組を一層促していきたいというふうに考えています。

 一方で、今回の改正法案における非化石エネルギーへの転換に関する措置では、非化石エネルギーへの転換に関するコストあるいは技術面での制約もございますので、こうした点も踏まえまして、国が示す判断基準に沿って、事業者ごとに非化石エネルギーの使用割合向上の定量的な目標を設定してもらい、その達成を求めるというものとしております。

 このように、民間事業者の創意工夫を促す制度とすることで、取組を後押しをしてまいりたいというふうに考えています。

小野委員 民間事業者の創意工夫を促す、これはもちろん、それをやらなければいけないというふうに思っておりますけれども、そういう中で、この省エネ法自体が、これは青柳議員が質問の中でも何度も指摘していたことですけれども、やはりオイルショックが生まれたときに、とにかくエネルギーを、みんなで消費を一生懸命減らしていかなきゃいけないんだということを政府主導でやっていった。そして、この省エネ法では、エネルギーの、これは省エネの話ですけれども、削減計画といいますか、省エネをどうやって達成するかというような計画も立てて、そしてそれを経産省がチェックしていく、指導助言をしていく。そして、問題があれば罰則までついてくるというようなことでございまして、先ほどおっしゃったような創意工夫というものとは大分離れているようなところもあるかというふうに思うんですね。そして、何よりやはり、計画を作って、それを報告をして指導助言を受けるとかという対応のコスト自体が非常に大きいんだろうというふうに思っております。

 そういう中で、青柳議員も質問の中で指摘をしておりましたエネルギー管理士、これが講習を受けて資格を取って、そして自社の工場のエネルギーの状況をしっかり管理していくというような業務にも携わっているんですけれども、このエネルギー管理士の数、そして資格試験の概要についてお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 エネルギー管理士の免状交付を行った件数ということでございますが、制度創設をした二〇〇六年度以降から現在までの累計で八万八千件ございます。

 このエネルギー管理士の試験でございますけれども、熱の区分と電気の区分に分かれておりまして、それぞれ基礎分野の一科目、専門分野三科目の合計四科目から成っています。

 例えば、エネルギー全体に関する基礎分野として、エネルギー政策ですとかエネルギー管理技術の基礎というようなものが試験の科目になっております。

 それから、熱区分の専門分野としては、熱力学の基礎から始まりまして、燃料ですとか燃焼、それから熱利用設備の管理手法、こういったものが含まれます。

 それから、電気の区分の専門分野としては、電気計測の手法ですとか電気の設備、それから電気の加熱のような設備に対する知識。

 こうした工場でエネルギーの管理を行う上で必要な知識を出題しているというものであります。

小野委員 お答えいただきました。このエネルギー管理士がやっていること、まさに工場の中の設備をどのように適切に管理していくか、それによって省エネルギー、非化石エネルギー化を図るかというような観点だろうというふうに思います。

 これも、もちろんそういった専門知識をしっかりと施設の管理者が習得をしていただいて、管理をしていただくということももちろん大事なんですけれども、私が青柳議員の質問を聞いていてなるほどなと思ったのは、やはりこれは経営判断の問題です。この再生可能エネルギーをどうやって進めていくかというような大きな問題を取り上げるためには、やはり経営上の判断としてどう進めていくかという大きなくくりというものがやはり大事なんだろうというふうに思っています。

 例えば、非化石エネルギーのエネルギー源をどうやって購入するのかとか、あるいはそういうプロジェクトにどう投資するのかというような、非常にボリュームとしてはそちらの方が大きくなってきていますし、また、会社の命運を左右するような取引であれば、そういったスケールで行わなければいけないというふうにも思っておりますので、このエネルギー管理士そのものを、これを別に廃止するとかいうことを申し上げるつもりはないんですけれども、ただ、やはりそれ以外の大きな視点での、そして私どもが申し上げている、市場の中での、民間での自発的な意欲的な取組というものが必要であったのではないかというふうにも思うわけなんです。

 そして、これからちょっと中身について更にお伺いをしていきますけれども、特定の事業者などが負担が増すということについての認識について、お伺いをしたいというふうに思っています。

 これから法律が成立をした場合に方針も作っていくということでございますが、そういう中で、お伺いをしていきたいんです。

 非化石エネルギーへの転換に関する中長期的な計画の策定に当たって、サステーナビリティーに関する基準やESG評価への対応のために作成している計画の活用、しっかりこれを可能としていくということなど、事業者の負担を最小限にとどめるような配慮を行っていくというようなアイデアが現時点であるかどうかということをお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 まず最初に、中長期計画というのが、まさに今委員からも御指摘がありました、企業としての長期的な経営判断の中で、例えばどれぐらい再生可能エネルギーを導入していくのかという、そうしたことに非常に重要な視点になるものだというふうに考えています。

 その上で、この省エネ法の改正案に基づきまして、特定事業者になりますと、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期計画というのを作成いただくことになるわけですが、この際、国は、特定事業者の計画の適確な作成に資するための必要な指針を定めることにしています。

 この指針を定めるに当たりまして、例えば企業が取り組んでいるサステーナビリティーに関する基準であるとか、あるいはESG評価に対応するために様々な取組を公表されたりしておりますので、こうした事業者が作成している計画内容も活用できるような形で検討していきたいというふうに考えています。

 それから、事務負担の軽減という観点で申しますと、非化石エネルギーの計画を出した後に定期報告というものが発生するわけですが、こうした事業者の負担を軽減する観点から、まず、中長期計画については毎年度提出するということではなくて、長いレンジでの計画ということになりますので、変更がある場合のみ提出を行っていただくとか、あるいは年次の報告についても、作成支援を実施したり、あるいはウェブを通じて提出ができる、こうしたような形で、制度上の工夫も様々行いながら、事業者が円滑に新制度に対応できるようにしていきたいというふうに考えています。

小野委員 非常に前向きな答弁をいただいたというふうには思っております。青柳さんはまだまだ納得いかないということかもしれませんけれども。

 もちろん、これは事務作業はやはりあるわけですよね。ですから、企業側も、そして役所側も、やはり仕事を減らしていくということも大事だと思っていますので、そういう意味では、最先端で国際的な脱化石エネルギーということにしっかりとついていっているなというようなものについては、これはもう手放しでどんどんやってくださいというようなこともやはり柔軟にやっていくべきであろうというふうに思っております。

 子供が自転車に乗っているときに、最初は補助輪をつけて、そしてその後は後ろで親が押さえながらやるわけですけれども、もうとっとと自分で走っていけるというような企業に対して、何かこの法律でこれを提出しなさいだとか何だとかと言う必要がないところがどんどん出てくる。実際にもうあるんだろうというふうに思いますので、今御答弁いただいたような形で、精神として、運用上、しっかりとこの事業者の負担を減らすというようなことに非常に大きく重きを置いて、これからこの執行にも当たっていただきたいというふうに思っております。

 そして次に、主務大臣の指導助言の在り方についてお伺いをしていきます。

 これも似たような話なんですけれども、民間企業におけるサステーナビリティーに関する基準とかESG評価への対応と整合性を図る指導助言などの工夫を行うといったことを今の段階で考えているのかどうかということについてもお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 まず、指導助言でございますが、今、省エネ法の改正案では、事業者の非化石エネルギーへの転換の状況が不十分な場合には、国は事業者に対して指導助言を行うというふうにしております。

 この指導助言を行うに当たりましては、国が示す非化石エネルギーへの転換に関する判断基準、これに基づいて行うということになりますが、この判断基準を策定するに当たりまして、やはり、各企業が既に様々な取組を行っております。非化石エネルギーの導入に関してもそうですし、それから、再エネをどれぐらい活用して、どういう方法で例えばマーケットに訴えているのか、こうした取組、多々事例がございますので、こうした事例もしっかりと参考にしながら、再エネや非化石エネルギーへの転換に関する新しい取組も含めて、こうした判断基準の中に反映をしていきたいというふうに考えています。

 したがいまして、こうした、今様々、サステーナビリティーですとかESG投資などの取組を行っている企業が、この判断基準に基づいて指導助言が行われるのかどうかということについて申しますと、これは一概にどうということは言えないんですけれども、そうした考え方で判断基準を作っていく以上、サステーナビリティーですとかESGの評価を非常に高く得ているような企業がこうした指導助言の対象になるという可能性は低いのではないかというふうに考えています。

 そうした意味では、こうした今の取組と整合性を取るような形で進めていきたいというふうに考えています。

小野委員 その上で、やはりもうこれは、経産省、エネ庁が作る基準とか指導の内容よりも、企業の方がグローバル競争の中で先を行っちゃっているということが結構あると思うんですね。

 ですから、そういったものをしっかり見据えつつ適切な指導助言を、例えば、まだ達成できていない、これから競争力を高めていくためにはやはりこういった非化石エネルギー化というところに対応しないと生き残っていけないという時代に入ったわけでございますので、そこをしっかり、世界の事情も見ながら適切にやっていくということが大事であろうというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 そこで、その指導助言というものを今までもやってきているわけなんですけれども、今までは省エネのところだけでした。実際にちょっとデータをお伺いしたいんですけれども、今まで、指導助言とか、あるいは罰則の対象になった事業者の数の実績を教えていただきたいと思います。

茂木政府参考人 現在、省エネ法におきましては、エネルギーの使用の合理化の取組状況に応じまして、事業者の取組をSABCと四段階で今評価をしております。

 この中で、SABCですので、Bクラス、上から三番目ですが、そのBクラス事業者というのは、基準でいいますと、エネルギー消費原単位が二年連続で対前年比で増加をしているとか、あるいは、五年間の平均でエネルギー消費原単位が五%超増加しているという事業者については、これはBクラス事業者になるわけですが、注意喚起の文書を送付しております。

 この注意喚起の文書を送付している事業者が、大体、直近で、全体の一万二千事業者のうちの一〇%から、年によって二〇%ぐらいになる年もございます。

 それから、省エネ法に基づいて罰則、これを適用した事業者はございません。

小野委員 この一〇%とか二〇%という企業が注意勧告を受けているというのを、多く見るか少なく見るかというのは非常に難しいところだとは思います。こういうところに対して指導助言をしていくというのが、一定の意味があるのかもしれませんけれども。

 ただ、私どもが主張している、これから時代が変わって、市場で淘汰されるような仕組みが、この非化石エネルギー化によって判断されるというような時代に入ったということでありますので、これから様子を見ていただいて、こういう時代が進んできたことによって、何かこの指導助言の数はもう一気に減っていったぞ、やはりそういった世の中の流れになっていったんだからということを見極めた際には、やはり今回の法律の在り方についても、より時代に合った形で見直していくというような判断も必要ではなかろうかというふうに思いますので、是非、この指導助言とか罰則、まあ罰則の適用はないということでございましたけれども、是非しっかりとモニタリングをしていただいて、そして何より、やはりベストは、もう本当に、こうした計画の策定を求められるとか、それから報告をしたり指導助言を受けたりという、これはもう事業者の側も、そして役所の側も、大変な事務作業があるわけですね。これが、市場メカニズムの中で社会のあるべき姿に向かってみんなが走っていけばそれでちゃんと成り立つんだということがやはり理想だというふうに思いますので、是非そのことを受け止めていただければなというふうに思っております。

 そして、今度は提出者にお伺いをいたします。

 我々、やはり罰則によらずに非化石エネルギー化を図ろうというふうに考えているわけですけれども、それでは、そういったことを自主的に進めてもらうためのインセンティブをどうやってつくっていくのかということについて、提出者から答弁いただきたいと思います。

青柳(仁)委員 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、一言で言いますと、市場メカニズムを強化するということだと考えております。

 サステーナビリティーの基準やESG評価の対応が、市場においても今はもう完全な評価基準になっておりまして、民間企業自らが、今は企業価値あるいは市場競争力を高めるための経営判断の一環として省エネの促進及び非化石エネルギーへの転換を図るということ、これを、市場原理を受けての取組が主流化しているというのが現状であるというふうに認識しております。

 こういった中で、民間企業は、このサステーナビリティーの基準あるいはESG投資への評価、こういったものへの対応というのは、罰則があるからやろうというわけではなくて、例えば、消費者、投資家、パートナー、従業員といった方々に選ばれる企業であるように、選ばれる製品、サービスであるための競争力強化の一環として行っているわけです。ですから、本来、そういった中で、やはりこの自由競争の中でこそ、新しい方法であるとか、創意工夫、イノベーションというものは生まれてくるものだと考えておりまして、先ほど委員御指摘のとおり、政府が作る判断基準やSABCの評価基準よりも、既にこれまで国際社会の中で進められてきているこの企業の取組の方が先を行っている状況なのではないかということを危惧しているわけであります。

 そういった観点から、本来であればインセンティブというのは、市場メカニズムを強化するようなカーボンプライシングであるとか、あるいは省エネあるいは再エネ投資に対する減税や補助金といったようなインセンティブであるべきだと考えますが、今回の法律はそこまでのことを想定していないということですし、我々の提出した修正案もそこまでのことは想定しておりませんので、現状できる取組としましては、例えば、政府が広報や裏づけの提供によって、優良な取組を行う企業の市場における評判を高めるということに協力することが一定のインセンティブになるのではないかと思います。

 これは、例えば、SDGsであればSDGsアワードというものを企業に対して外務省がつけていましたり、またESGアワードというものを環境省が行っていたり、あるいは国際的な基準でいえばRE一〇〇といったような、こういった基準を持っている企業は市場から高く評価される、それによって企業価値が上がり、また競争力が強化される、こういうことが現状起きておりますから、そういったことを政府としても後押しをしていくことが一つのインセンティブになるのではないかと考えております。

小野委員 詳細にお答えいただきました。

 やはり、やれることは結構あると思います。計画を作って報告させるというようなことではなくて、自主的に取り組んでいくと自らの企業価値が高まる、競争力もついていく、そういったことを促すような仕組みづくり、先ほどアワードという話もありましたし、また、租税上の優遇措置ということもあるかもしれません。様々な自助努力がそのまま、頑張ったら結果につながるというような仕組みづくりの方に是非注力していただくというようなことを、政府としてもこれから問題意識として持って、そういった仕組みづくりにしていただきたい。

 やはり、エネ庁の皆さんも非常にお忙しい仕事をしていらっしゃいます。ですから、やはりそこに向けて、限られた時間、リソースをどういうふうに使っていくかというと、それは今、目下非常に厳しくなっているエネルギーの確保について、安定供給をどうするのかというようなことについてしっかりと時間を使うべきだろうというふうに思っておりますので、そういう観点からも非常に大事な問題だというふうに思っておりますので、是非心に留めていただければというふうに思っています。

 それでは、午前中は最後の質問になりますけれども、青柳議員も質問の中で、今回のこの省エネ法の改正に欠けている点というのがサプライチェーン全体での省エネ化、非化石エネルギー化だということを指摘をしておりました。

 そこで、このサプライチェーンの非化石エネルギー化をどうやって後押し、全体としていくのかというところについての政府の見解を伺いたいと思います。

茂木政府参考人 委員が今御指摘ございましたとおり、省エネ法では、サプライチェーン全体の省エネですとか、それから非化石エネルギーへの転換については、これを直接的には法律の対象とはしておりません。

 ただ、サプライチェーン全体での省エネですとか非化石エネルギーへの転換に向けた取組、これも極めて重要だという認識を私ども持っております。このため、サプライチェーンを構成する中堅・中小企業の生産工程ですとか、それから関係する企業の皆さんに対する設備更新や技術開発の支援なども含めて、省エネの投資や再エネの導入を含めて、脱炭素投資というのを積極的に後押しをしているところであります。

 加えて、ESG金融の呼び込みですとか企業投資や成長につなげるために、やはり企業情報の開示というのも非常に重要ですので、経産省全体の取組としては、例えば、TCFDのガイダンスの策定ですとか、TCFDサミットを開催することで、積極的に企業情報の開示に取り組ませたり、あるいは、非化石価値の取引市場を活性化させたり、それから、オフサイトのPPAのような形で新しい再エネの獲得の方法の支援をしたりというような形で、一企業にとどまらず、そのサプライチェーン全体で例えば再エネを増やしていく、こういった取組も、この制度の外側ではありますが、しっかりと支援をしているところであります。

 今後とも、改正省エネ法に加えまして、こうしたサプライチェーン全体での省エネ化ですとか、あるいは非化石化、再エネの導入、こうしたものの取組に対しても支援をしてまいりたいというふうに考えています。

小野委員 これについて、提出者の方からも、このサプライチェーン全体の非化石エネルギー化ということについて、どういう方策を取るべきかということについて、お伺いしたいと思います。

青柳(仁)委員 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、サプライチェーン全体での省エネ化、非化石エネルギー化の推進は、サステーナビリティー基準やESG投資の評価等において既に国際的な常識であるという一方で、政府案では全く考慮されていないというふうに考えておりまして、これは深刻な問題であると認識しております。

 また、先ほど来から、あるいはそれ以前の答弁の中でも、この法律に基づく政府の施策、あるいは制度の外側での措置として様々なことを考えているという言及はありましたが、実際には、この法律そのものには一切そういった考え方が入っておりませんので、そういった形で今回は修正案を出させていただいたという、そういった理由にもなってございます。

 例えば、このサプライチェーンに関しては、先ほど国際的な常識であると申し上げましたが、今は日本でも、プライム市場に上場する企業というのは、これは必ず、TCFDに基づく、あるいはそれと同等の枠組みに基づくCO2排出の開示の質と量の充実を進めるということが求められています。

 この中で、TCFDというのは、スコープ1、2、3というふうになっていまして、サプライチェーン排出量、こういう概念がありまして、スコープ1というのは、自社で使っている熱エネルギーであったりだとか、自社で使っているものです。2というのは電気だとか外から買ってくるもので、3というのがいわゆるサプライチェーンに相当するものでして、これは原材料の調達であるとか、調達するための輸送コストであるとか、あるいはその製品を売った後の、使用、廃棄の際に排出されるCO2、エネルギーの量に基づくCO2の排出ということを定めているわけですから、こうした考え方というのはもう随分、特にここ数年の間に一気に国際的な議論が進んで、様々な論点がどんどん解決されてきている状況にあって、また、今もそういった議論が進められている状況にあります。

 したがいまして、まずは、こういったもう国際社会の中で常識となっているような考え方というのは、当然この法案の中にも含まれるべきだというふうに考えております。

 その上で、一方で、そういった国際社会での動きに、日本企業が取り組み方に戸惑っている、こういう事実もございます。

 ですから、そういった状況の中で政府が今行うべきことというのは、そういった大きな流れと全く別の独自の基準を示して、そして規制をかけて、罰則や評価をちらつかせて強権的な指導や助言を行うのではなくて、この国際社会での基準というのを日本企業にとって納得感の高いものにするための国際交渉をしっかりやっていくことであるとか、それから、個別企業が理解しにくい国際新基準を具体的な経営方針や事業計画に落とし込むためのガイダンスを提供すること、具体的な方法論、例えば、以前の省エネ法のときには、コージェネレーションの導入やコンパクトフローレッセントランプの導入といったことが具体的措置として挙げられていたわけですが、そういったことをより充実させていくことということ、こういったことによって、企業の自助努力を支援、後押しすることが重要なのではないかと考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 双方の答弁から、この法案の外でもできることをやはりやっていくということが必要だと思います。

 あと、この法案の中に今提出者の答弁されたようなことが入らないのは、やはり構造上、もう何かしようがないところがあるかというところも私も思っていまして、そういう意味では、今提出者から御指摘いただいたような内容を、どんどんどんどん、政府としてもこれを企業に促進するような取組、しかもそれは指導助言とか計画を作れじゃなくて、やはりそういったものをやっていけば日本企業の競争力が増していきますよという観点からやっていただきたいというふうに思います。

 一つ、ちょっと質問を飛ばしていたんですね。それはサプライチェーンということにも関わるかなと思って、ちょっと最後に質問しようかなと思っていたんですけれども。

 本法案は、エネルギー使用がかなり多い企業に対して計画の作成を求めていったりなんかするわけなんですけれども、その対象とならない事業者に対して、どう省エネそして非化石エネルギー化を促していくかということについて。

 これは、サプライチェーンのことについて、この法案は視野には置いていないということなんですけれども、そういった、取引先で、もっと中小の事業者に対しても同じような趣旨を及ぼしていく、もちろん余りそこに対して細かく指導していくようなことはやるべきではないんですが、どのように非化石エネルギー化を促進していくのかということについての答弁をお願いしたいと思います。

茂木政府参考人 エネルギーの使用量の大きい事業者だけではなくて、やはり全ての事業者に対して、こうした取組を促していきたいというふうに考えています。

 したがいまして、この省エネ法改正案でも、エネルギーを使用する全ての事業者に対して、非化石エネルギーへの転換に関する判断基準を示すということにしております。もちろんこれは定期報告の対象ではございませんが、判断基準そのものは多くの事業者の方にとって参考になるような形でお示しをしたいというふうに考えています。

 その上で、使用量が少ない、千五百キロリットル未満ということになると、これは省エネ法の報告対象外ということになりますので、こうした事業者につきましては、当然、定期報告等はございませんけれども、例えば、先ほど申し上げたような様々な投資に対する支援措置ですとか、あるいは再エネを調達するに当たって非化石市場を上手に活用していただくですとか、あるいは、PPA事業のように共同で様々な再エネを例えば調達してくるというような様々な取組を、しっかりと広報をさせていただく。

 それから、いろいろな場面で、エネルギーの使用状況ですとか事業実態に応じたエネルギーの活用の方法についての診断のようなものも非常に有効かと思いますので、こうしたものも活用いただきたいというふうに考えていまして、これらの様々な活動を通じて事業者の取組を後押ししていきたいというふうに考えています。

小野委員 そういった取組を周知をしていく、そしてあと、それにインセンティブを与えていくということも同時にやりながら、進んで中小企業者の皆さんも実践していただくような環境づくりをしていただきたい、それが大きな、グローバルで競争しているサプライチェーン全体で非化石エネルギーをしっかり取り組んでいくということにもつながると思いますので、是非そういった実践をしていただきたいというふうに思います。

 これまで、私どもの法律修正案を交えながらちょっと議論をしてきましたけれども、是非この法案、もちろん、一九七〇年代にできた法律を今に生かそうということで、提出者も指摘しているような綻びも見えるところがあるのかなというふうに思うんですが、ただ、それが効果を生むように、そして事業者の皆さんの負担を、そしてエネ庁の負担も減らすような形でうまく回っていくような仕組み、これを心がけていただきたいということを最後に申し上げて、午前中の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小野泰輔さん。

小野委員 午前中に引き続きまして、質問させていただきます。

 午前中は、本当は大臣にお休みいただこうかと思っていました、答弁の方がお願いしていなかったので。ただ、私どもも修正案を御提案させていただいているということもございましたし、是非議論の内容は大臣にも受け止めていただきたいというふうに思いましたので、そういうことでおいでいただいたということで、午後は質問させていただきたいというふうにも思っております。

 さて、午後の内容は、私は、先日質問させていただいた蓄電池の話を継続をさせていただきたいというふうに思います。

 何でそう思ったかということなんですけれども、昨日の読売新聞の一面にすごく大きな記事が載っておりました。御覧になった方もいらっしゃると思いますけれども、蓄電池生産を二〇三〇年に二十倍にするという政府の目標があるんだということが書かれていたんですね。これは非常に意欲的な内容が書かれておりまして、二〇三〇年に六百ギガワットアワーの生産能力を確保する目標を設定する、これは二〇二〇年ベースで二十倍になる計画だということでございます。私も本当にびっくりしました。

 先日質問させていただいたときに、データを御紹介しました。二〇二〇年から二〇二五年までに我が国の蓄電池の生産能力、どれぐらいの見通しだったかというと七七%増だったということだったんですね。ところが、EUは同じ期間で十一倍にするぞということも御紹介させていただきました。その質問をしたすぐにこういったものが出てきたものですから、本当にこれは気合が入っているなということを思ったわけなんです。

 そこで、まず最初に、この読売新聞の記事、報道があったわけでございますけれども、この目標を実際に定めてやっていくのかどうかということについて確認をしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 現在、経済産業省では、官民協議会におきまして、蓄電池産業戦略の策定に向けた検討を行っているところでございます。

 御承知のとおり、蓄電池は、規模の経済が競争力を左右する大きな要因になっているという観点からも、また世界的に投資競争が激化していることを踏まえまして、この官民協議会においては、急速に成長する蓄電池の世界市場に対して、我が国の企業が主要なプレーヤーであり続けるために、将来的にどの程度の生産能力の確保を目指すべきかといった点、まさに先生御指摘の今後の目標なんですけれども、これを検討してまいりまして、協議会の委員の皆様から様々な意見をいただいているところでございます。

 本日午後、第四回の官民協議会が開催されます。これまでの議論を踏まえて、蓄電池の生産能力に係る目標を含めた戦略の中間取りまとめ案について御議論いただく予定なんですが、まさにそこで再度様々な意見が出てくると思いますので、その議論を踏まえながら私どもとしてはしっかり目標を設定していきたいという状況にあるというふうに思っております。

小野委員 この記事がまだこういうふうに決まっているわけでも何でもないというようなことだというふうには思うんですが、ただ、実際に計画されるプランというのは、やはりこれぐらいの意気込みでやる必要はあるだろうというふうに思っています。

 この間も質問でちょっと取り上げましたけれども、我々の日本国内での生産というものが、シェアが四〇%から約半分になっちゃったと。これは僅か五年でそういうふうになっているわけですね。それぐらい、半導体産業と比べても非常に浮き沈みが激しい産業だと思いますし、そして、これから、今、日本が大手自動車産業を始めとして裾野が広い機械工業というのを持っていますけれども、これが電化になると本当に大きな地殻変動が起きるということで、電気自動車の生産コストの三割とか四割というものが蓄電池だというふうにも言われていますので、ここがまさに新しい時代のモビリティーにとっては本当にキーデバイスになるということでございますので、そういう意味で、こういった計画、実際に皆さんで、関係者で御議論されて、どういうものが出てくるかまだ分かりませんが、是非、この記事に近いような、意欲的な計画が出てくることを大いに期待をしております。

 そして、いろいろと、蓄電池に関する見通しとかというのを記事とかネットとかでいろいろ読んでいても、悲観的な記事も多いんですね。日本人ってやはりどうしてもそういうふうに悲観的になると思うんですけれども、ただ、私はやはり、夢を持って、そして、これでやはり日本の産業をちゃんと興していくんだという意欲ある事業者がいる限りは、ここは政府が腹を決めて、大胆に挑戦を後押ししていくということが不可欠だと思います。そのことがなければ、日本がこの新しいエネルギーにシフトしていく社会で産業を残していくことも難しいというふうに思いますので、是非、先ほどの質問にもつながるんですけれども、より、この分野にどんどん人材を投入していただきたいというふうに思います。

 そして、大臣もこの間答弁でおっしゃいました、原材料の確保が本当に大変なんですということもおっしゃいましたが、例えば、先ほどの省エネ法の計画のチェックとか何だとかということでエネ庁の職員さんがいろいろと細かい仕事を重ねて労力を重ねるよりも、例えば、この間大臣がおっしゃったように、アフリカにどんどんどんどんエネ庁の職員さんが出ていって、原料確保を血道を上げてやっていくということの方がやはり日本の将来につながるというふうに思いますので、是非そういう観点で、この事業に対して並々ならぬ決意で臨んでいただきたいというふうに思っています。

 私の、ITコンサル会社の同業とこの間ITに関しても意見交換していたら、やはりDXもそうなんですけれども、もう十倍ぐらいの効果を生み出すような政策を狙ってやらないと今は駄目なんだというようなことを力説をしていました。そういう意味で、この分野、新しくこれから発展していくというふうに思いますので、そういった観点で、是非、大臣始め、積極的に進めていただきたいというふうに思っております。

 それでは、ちょっと質問の順番を変えますけれども、その蓄電池技術の中で、次世代の全固体電池についてお伺いしたいというふうに思います。

 これについては、日本は特許数も今まだ世界トップランナーを走っているというような状況でございます。ただ、これにしても、いろいろな生産上の課題、技術的な乗り越えなきゃいけない課題とかもあるというふうに思っていますが、全固体電池、もちろんこれに絞ってやるわけにはいかないと思いますけれども、非常に有望な技術だということで、これについての今の国の取組状況、あるいは、国際的な視野から見た日本の位置というものをお答えいただければと思います。

福永政府参考人 お答えいたします。

 全固体電池は、現状のリチウムイオン電池と比較しまして、二分の一以上の小型化、軽量化を可能とし、電気自動車の航続距離の延長にそのまま貢献するというような性格を持っています。さらに、より高い安全性を確保できるというような意味で優れております。そういった意味で、次世代の蓄電池として、世界中で期待されているという電池でございます。

 この電池に関して、我が国では、これまで産学連携で研究開発を進めてきておりまして、近年、その成果が出始めております。全固体電池がかなり実用レベルで動作できるなという見通しが数多く関係者の間で得られてきた。このため、実は、グリーン成長戦略でも方向性を定めながら、二〇三〇年頃の本格的な実用化に向けて、企業における野心的な開発を加速するべく、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用した、全固体電池の、先ほど課題があるとおっしゃられました、量産技術の開発などを支援することとしております。今週、ちょうど四月十九日、実施事業者を公表させていただきました。

 もう一点、世界についての御質問がありました。

 世界でも、先ほど世界が注目していると申し上げたとおりで、全固体電池の開発競争は激化しておりまして、中国が猛追している、あるいは、米国などでのスタートアップも一生懸命そういった分野に投資している。例えば、二〇〇一年から二〇一九年までの累計の特許出願数では、日本が一位である。一方で、単年度の特許出願数では、二〇一六年度以降、中国が一位となっているといった状況でございます。

 こうしたグローバル競争に負けず、我が国の強みである技術が社会実装につながるように、官民連携の下で、まさに先ほど課題と申し上げました量産化に向けた研究開発を着実に進めていく、こうした方針で臨んでまいります。

小野委員 ありがとうございます。

 日本もまだまだこの分野はトップを走っていますので、そこで追い抜かれないような努力を、官民挙げて、していく必要があると思っています。

 全固体電池に関して、まだまだ実用化、量産技術のところについて課題があるということはありますけれども、ただ、やはりこれを、今トップの技術水準にいるわけですので、しっかりと諦めずに。あと、失敗を恐れるということが駄目だと思うんですよね。いろいろなネガティブなことを言う人はいるんですけれども、やはり、失敗するかしないかというのは最初から分かるわけではありませんので、そこをしっかり批判を恐れずに経産省としてやっていくという姿勢こそが大事なんだというふうに思っていますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、この間質問した内容のちょっとバージョンアップというようなことなんですけれども、何でそうするかといいますと、ちょうどこの間の参考人質疑のときに谷口先生がおっしゃっていたことが非常に私、重要だなというふうに思ったから、もう一回、ちょっと内容を変えて質問をしていきたいというふうに思います。

 谷口先生は、地域に裨益する形での再生エネルギーの導入というようなことを非常に、しきりに強調されておりました。私もそこでもコメントさせていただきましたけれども、本当に大事なことだというふうに思うんです。

 再生可能エネルギー、もちろんこれは推進すべき内容ではありますけれども、それをどのように推進していくかということが非常に大事で、地域の人たちが全くそこから利益を得られない、あるいは、再生可能エネルギーをどんどんつくることによって、その地域に住んでいる人たちの電気代が上がっていって負担が増していく、そして、そこから得られる利益は全て外の人が全部懐に入れてしまう、こういったことが今まであったわけです。

 それを、蓄電池技術、これは、太陽光をどんどんどんどん増やしていくだとか、あるいは洋上風力発電がこれから増えていくというようなことがあれば、蓄電サービス、蓄電産業というものも当然これは活発になってくるかと思います。

 私の友人でも、再生可能エネルギー関連に投資をしている人も、蓄電池、次やりたいななんてことを言っている人もいます。それぐらい、この投資が活況してくることもあろうかと思うんですけれども、そのときに、今の太陽光発電のような形で、地域に裨益しないようなモデルが広がらないように、最初から制度設計をしていく必要があるというふうに思います。

 また、地域としっかり投資家が合意をしながら、その地域のために、再生可能エネルギーで生まれた富を還元していくというようなこと、これを重視してやっていく必要があるというふうに思っています。

 例えば、一例ですけれども、この間も申し上げました、役場とか、あるいはTSMCでも何でもいいんですけれども大規模な工場があって、そこに働きに来る人たちの車、これが全部電動車だったとすれば、働いている間は、ずっと昼間置いてありますので、そこで発電してきて、余剰のものを、グリッドをつないでその電化した車に蓄電していくというようなビジネスというものもあるかもしれません。

 あるいは、この間大臣も御披露されていたペロブスカイトという曲がる電池で高性能なものができれば、全ての車がミニバンみたいになるべく屋根の面積が大きくなって、それが、駐車している間も充電ができるとかいうようなことで、そのオーナーの利回りになっていくみたいなことだってあるかもしれません。

 ある意味、発想を変えると、地域の人たちにとって通勤の手段である車が、これが投資家によって動く蓄電池となって、地元の人たちが高い電動車を買わずとも、投資家が、地域にそういった形で動く燃料電池車、それを足として使っていただくことによって、地域の人たちも生活の水準がもっと上がっていくというようなことだって考えられるかもしれません。それは技術の水準がついてこないといけない問題だとは思いますけれども。

 そこで、御質問したいのは、蓄電ビジネスというのがこれから盛んになってくることが想像がつくと思いますが、私が申し上げたような事例じゃなくても結構ですし、そこまで具体化できるものがなくてもいいんですけれども、蓄電ビジネスを地域に裨益する仕組み、そういったことについての考え方があるかどうかということについてお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 地域に存在している再生可能エネルギーと蓄電池を組み合わせることで、いろいろな事業モデルが構築できるのではないかと思っています。これは、地域の活性化の視点ですとか、あるいはレジリエンスという観点でその地域に裨益するとか、様々な形が考えられるかと思っています。

 経産省では、今、地域にある太陽光発電と蓄電システムを組み合わせて、大規模停電などが起きたときも、そのエリアで一定の電力が確保できるような地域マイクログリッドというのを構築するような事業も支援しておりまして、幾つか事例も出てきています。

 御紹介をさせていただきますと、例えば、沖縄県の宮古島市の来間島というところで行われている事業なんですが、これは、その地域にあります太陽光発電、これは家の屋根に載っているものもあれば、普通に地面に置かれているものもありますが、こうした太陽光発電とそれから蓄電池を組み合わせまして需給調整をやります。それで、ためている電気については、何かあったときには、例えば指定避難所ですとか公共施設あるいは店舗等に電力を供給する、こういった事業モデルを組んでおりまして、そこで事業性を出した上で地元にも還元していく、こんなモデルもございます。

 それから、神奈川県の小田原市でございますけれども、これも、大規模停電時に、小田原市わんぱくらんどという場所があるんですが、そこに設置されている太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせまして、さらに、その地域にあります御自宅にあるEVを接続するというようなこともいたしまして、いざというときに、これも自立的に電力供給できるシステムというのを組んでいます。約六十時間ぐらい電力が供給できるというようなことでありますので、こうした事業モデルを地域で組むことによって蓄電事業自体も採算性が出てくるという可能性も出てきますので、こうした取組を応援しながら、蓄電ビジネスのサポートもしていきたいというふうに考えます。

小野委員 御紹介をいただきまして、ありがとうございました。

 様々な取組が蓄電によってできるというふうに思います。量の調整と時間の調整ができるということで、非常に、今までの太陽光パネルへの投資みたいなことよりも、幅が広がってくるというふうに思います。そして、それにプラスして、やはりいろいろな金融技術を使った形での商品化というのもできると思いますので、この辺は、ほかの省庁とも連携しながら、是非地域にとってやはりプラスになる、そして再生可能エネルギーもしっかりと伸ばすことができるというような、いろいろなこれは仕組みづくり、多分ありとあらゆるモデルが考えられると思いますので、そういう意味では、民間の皆さんのアイデアを生かしながら、しかも同時に、そこでちゃんと地域のためになっているのかどうか。

 私も、九州管内に住んでいると、本当に電気代がどんどん上がっていくんですよね。これは、太陽光がどんどんつくられるとそれだけ再生エネルギー賦課金が増えて、九電管内に住んでいる人たちの電気代が上がっていく。しかも、自然で降り注いだ太陽が生んだ富は全部外に流れていくというようなことになっているわけなんですけれども、こういったことができる限り起こらないような仕組みづくりというものを蓄電池ビジネスでやっていただきたいと思います。

 それでは、最後に、萩生田大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。

 これから本当に大きな勝負が始まるというふうに思います。今までの御答弁を聞いていても、本当にこれは日本にとって大事な産業なんだというような決意も伺いましたけれども、改めて、今ちょうどこの時間にも官民の協議会が行われているというふうにもお伺いしていますけれども、是非、蓄電池分野でしっかり日本がイニシアチブを取って、そして成長産業にしていくという御決意を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 蓄電池は、二〇五〇年のカーボンニュートラル達成に向けて、自動車の電動化や再生可能エネルギーの主力電源化を達成するための最重要技術の一つです。

 日本メーカーは、技術的優位性によって初期の市場を獲得することができたものの、その後、政府の支援も背景に中国や韓国のメーカーが台頭してきたことにより、日本のシェアは低下しました。半導体や液晶ディスプレーと同じ負けパターンだったというふうに思います。他国の後塵を拝している今の状況です。

 振り返ってみれば、これまでの国の政策というのは、官による支援というのは研究開発まで、それ以降というのは民間の仕事というウォールがあったと思うんですね。しかし、これからは国も一歩前に出て、研究開発のみならず、社会実装や更にその先の設備投資までをしっかりと支援するなど、取組を強化することが必要だと思っています。

 その第一号が熊本を中心とした半導体のシリコンアイランド九州の再生でありますし、また、創薬のデュアルユースで、民間の創薬会社、製薬会社のスペースを借りて国も一緒にそういった設備を持つ、こういう試みをやってきました。次に続くのが蓄電池だと思っております。

 日本には、ノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生の研究を始め、依然として他国に劣らない、世界が認める技術があります。蓄電池産業の厳しい競争状況を踏まえれば、今が最後のチャンスであり、半導体と同様に国家戦略を描き、一歩踏み出して勝負をしていく覚悟です。

 幸い、吉野先生には、産総研の関連のLIBTECという蓄電池の業者の集まりの研究会の理事長に就任してもらいました。実は私、授賞式に一緒に行った後、文科省の外郭団体の理事長なりに就任してもらおうと思ったら、あっという間に経産省に声をかけられて取られてしまって、本当に経産省というのははしっこい役所だなと思っていたんですが、幸い、私、そこの大臣になりましたので、再び吉野先生と再会して、蓄電池でもう一回勝負をしようという約束をさせてもらいました。

 先ほど先生御披露いただいたコバルトなどの資源の確保も、これは他国任せじゃなくて、コンゴで出るものだったらコンゴの隣国のアフリカで出ると思いますから、これは直接JOGMECなんかと行って確保したいと思いますし、もう一つは、日本の場合はリサイクル技術があります。世の中に一回出てしまったこういったリチウムイオンをもう一回集めて、その中からコバルトをもう一回取り出すことの技術も持っているわけですから、こういうことで、素材も含めて国内で完結できる環境というのをしっかりつくっていきたいな、そんなふうに思っています。

 今日から官民のまさに協議会が始まりましたので、本年夏頃をめどに今申し上げた戦略を取りまとめた上で、具体的な施策や予算につないで、そして速やかに実行に移してまいりたいというふうに思います。逆転できる分野だと思っていますので、しっかりやっていきたいと思います。

古屋委員長 小野泰輔さん、時間が来ております。

小野委員 大臣、ありがとうございます。

 勝つかどうか分からないというんじゃなく、勝ちに行くということですね。決意を持って臨んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 短い時間でありますので、順次質問に入りたいと思います。

 まず、衆法ですか、青柳議員の方から提案がありました議法の、いただいた修正案の骨子のところで、第三項目めと第四項目めについてお尋ねします。

 これは、大臣が非化石化を、報告することと、優良なものの公表をしていくんだと。まあ、そうはいいながら、体力がない中小も一緒にやれというのかということなんです。大手さんはやれるかもしれません。でも、そもそも、事業者の元の二酸化炭素の排出量が、大手、中手、まあ小手という言い方はちょっと失礼かもしれないですけれども、中小とか零細企業さんに言って、自分のところがどれだけ出しているのかというのは全然誰も分からないと思うんですよね。それで計画立てろとか、このものはこのぐらいのCO2を排出しているから、だからそれを電化にしていくとか、もう既に電化が終わっちゃっていて、それを違うものにしていくんだと。

 じゃ、何をどうしたらそれがプラスマイナスで目標を達成できるのかというところをある程度お示しいただかないと、どこをどこまで、年度を区切って削減していけばいいのかというのがこの法律案ではちょっと読み取れない。まあ、それは政省令で規定すると言えばそれで終わっちゃうんですけれども。

 やはり、公表するに当たっては何を基準にするのかというのを事業者側が納得しないと、そこに協力しようということにはならないんじゃないかと思うんですけれども、そこの点を御答弁いただきたいと思います。

青柳(仁)委員 御質問ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、明確な基準を作ることによって、公表制度がより効果的になると考えております。

 まさに、今委員が御指摘いただきました、今回、閣法は、日本企業にとって、エネルギー管理とCO2削減に関する重要な規制であるにもかかわらず、大枠となっている考え方が極めて古い、そして時代に合っていないことから、規制を受ける企業側の懸念に十分に応えられていないということは、今回修正案を提出させていただいた大きな理由の一つとなっております。

 一方で、今回の規制対象は、千五百キロリットル、年間のエネルギー使用量という対象事業者ということですので、委員御指摘の、中小がどこまで入るかというのは、主には大企業、大きな企業中心ということであるかというふうに理解はしておりますが、その上で、現在、省エネにおいては、SABCという四段階評価から成る事業者のクラス分けの評価制度がありまして、Sクラス事業者の公表も行われておりますが、その根拠や基準は明確ではありません。

 他方で、非化石エネルギーへの転換は我が国が直面する重要な課題であり、かつ、市場原理を通じ、透明性を確保して実現されるべきであることから、本修正案では、事業者による優良な取組の公表制度を法律上位置づけるものとしたところです。

 提出者としては、経営判断による非化石エネルギーへの大規模な転換や、いわゆるサステーナビリティー基準やESG評価への対応がしっかり評価されるべきと考えておりまして、そうした内容の明確な基準が作られることを期待しているところです。

鈴木(義)委員 先日行われました参考人質疑のときにも申し上げたんですけれども、何か、再生エネルギーを全部入れればみんなハッピーエンドみたいな形にずっと行き過ぎちゃっているんじゃないか。だから、前にも御提案申し上げた、太陽熱を使うとかいろいろなパターンがあって、その中で新しい技術革新ができてくればそれをまた広げていくというふうにして、最初から決め打ちでやるというよりもですね。

 じゃ、再生可能エネルギーで作った合成燃料を何で使うのといったら、結局は火力発電になっちゃうんですよね。だから、燃料が化石燃料であれ再生可能エネルギー由来の燃料であれ、火力発電の高効率化は永遠の課題だというふうに言われているんです。第一世代のボイラー蒸気タービン、第二世代のガスタービン複合発電、そして第三世代のトリプル複合発電、この第三世代のトリプル発電をいかに実用化できるかが鍵というふうに言われているんです。

 その中でも、SOFC、固体酸化物型燃料電池、それも入れてガスタービンと複合発電する、これが今一番最先端というふうに言われているんですけれども、このSOFCの大量生産によるコストダウンが、このシステムの実現をするのには一番キーになっていくというふうに言われています。

 国の方は、二〇〇八年から、IGCC、石炭ガス化複合発電をスタートさせたんですね。これは、CO2が約二割削減できるという目標でスタートしたんですけれども、二〇二〇年頃、もう二年前ですね、技術の確立を目指すとしたものなんですが、その後、福島に五百メガワットのIGCCを建設、稼働させているということを報告を受けているんですけれども、じゃ、この目標は達成できたのか、まず確認したいと思います。

 まあ、途中で質問をやめたからといっても、お尋ねしている部分が、第一段目がそうなので。じゃ、今日はサービスしますよ。

 再生可能エネルギー発電を進めれば進めるほど、余剰エネルギーの蓄電が必要になってきます。これはもう参考人質疑のときにも申し上げたんです。ですから、PトゥーG、パワー・トゥー・ガス、これが進むとIGCCがますます重要になっていくんじゃないかということを識者が述べているんです。

 先ほどから、まあ前回も前々回もそうなんですけれども、もう少し科学的、現実的なデータを基にして、今すぐに結論を出すよりも、いろいろなデータを蓄積して、またちょっと、一年先、二年先していくと、新しい技術が開発されれば、それを導入して、真の意味でのベストミックスなエネルギー環境を構築する必要があると思うんですけれども、これは大臣でよろしいですか。

萩生田国務大臣 エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台です。SプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合の全てを満たす完璧なエネルギー源は存在せず、今後の技術革新などの不確実要素があることを踏まえれば、火力発電を含め、再エネ、原子力、水素、アンモニア、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求していくことが重要だと思っています。

 その上で、火力発電は、温室効果ガス排出という課題がありますが、供給力や調整力といった機能により電力の安定供給に貢献しており、引き続き不可欠な存在だと思っています。

 火力発電の脱炭素化に向けては、安定供給を大前提に、非効率な火力のフェードアウトを着実に推進していくとともに、水素、アンモニア、CCUSなどを活用して、脱炭素型の火力に置き換える取組を推進してまいります。

 二〇五〇年カーボンニュートラルのような野心的な目標を目指す上では、非連続なイノベーションが不可欠です。一方で、技術開発の成否を現時点で正確に予想するのは困難でありますので、現時点の技術で将来のエネルギーの選択肢を判断すべきではないとの指摘はそのとおりだと思います。常に最新の情報に基づいて、例えばアンモニアの石炭火力への混焼や専焼など先端技術の動向を踏まえながら、エネルギー政策を進める必要があると考えております。

鈴木(義)委員 是非、一点集中というよりも、多方面にわたって、その地域性、気候性とかいろいろあると思うんですね。そこで取り組んでいただきたいと思います。

 ちょっと、三番は飛ばしますので。

 そもそも、レアメタルの生産についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 生産と供給に関するボトルネックになっているのが、資源供給制限とか、技術制限、環境制限というふうに言われているんだそうです。採掘に伴う環境破壊や、レアアースの製錬に伴って発生する有害物、廃棄物の処理費用の問題があって、資源量そのものは大した問題ではないんですけれども、結局、報道関係者を始め、一般的に、物だけを確保すればいいんだというところに終始してしまっていて、実際、今申し上げた三点については余り報道もされていないんですね。

 ですから、レアメタルの安定的な確保もさることながら、三つの制限の課題解決策と、日本がその解決策による技術的な貢献、それを追い求めていくのが大切だと思うんです。

 まず、政府参考人から、解決策があるのか、お尋ねしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 レアメタルなどの鉱物資源の開発におきましては、今御指摘のとおり、資源供給、技術、環境に関する様々な制約要因、これを克服していくということが大事な課題だと認識してございます。

 世界で、日本企業も含めて、操業している、いわゆる鉱山開発会社におかれては、基本的には、それぞれの地域の事情を踏まえてこれらの課題に向き合って対処できているからこそ、安定的に操業ができているというふうに理解してございます。

 また、経済産業省といたしましても、JOGMECを通じて、日本の企業が持つこうした技術や知見を活用して、例えば、ペルーに対して、二〇〇八年から、鉱山開発に伴う水質汚染を防止するためのセミナーを現地で開催するとともに、研修員を日本で受け入れ、また、日本の休廃止鉱山での実地研修などを実施しておりまして、鉱害防止対策技術をこういう途上国に移転していくといった形で、資源開発に関する課題の克服に向けて国際的な貢献も行っているという現状でございます。

鈴木(義)委員 復唱する形になっちゃうんですけれども、例えば、ラジウムを含む鉱石は世界中どこでもあるんだそうですね。でも、そのものを、鉱石を採掘して製錬すると環境に大きな負荷を与えるとか。

 今、日本が使っているいろいろなレアアースも、多くは中国から輸入をしているんですけれども、鉄鉱石としてはほとんど輸入していない。中国からは中間原料を輸入することによって、環境コストの負担を経済的に回避し、環境問題となる要因を国内に持ち込まないような、中国のレアアース生産システムを都合よく利用しているんじゃないかということなんです。

 今、幾つか事例、政府参考人もいただいたんですけれども、結局、勉強会をするとか技術供与をするというんですけれども、それよりももう一歩前に進めて、今申し上げた三つの制限がかかるのであれば、日本が国際規格みたいなのを作って、それを一つの、一番のスタンダードにして、日本の持っている技術を、逆に言えばプラントをそこに造っちゃってでもいいから、全部とは言わなくても半分ぐらいはうちの国に優先して輸出してくれというようなものを、やはりちょっとハードルを、ほかの国とは違うハードルをつくって、それを国際標準みたいな考え方でやる努力をする方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣に、大丈夫ですか、今、打合せ中で。(萩生田国務大臣「大丈夫です」と呼ぶ)よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 いや、技術協力の話をしていいかどうか、ちょっと今相談していたんですけれども、せっかくなので。

 鉱物資源の開発については、環境汚染や閉山処理の問題など、様々な課題が存在しています。

 このため、経産省としては、JOGMECを通じて、我が国の持つ技術や知見を活用して、例えば、ペルーに対して、二〇〇八年から、鉱山開発に伴う水質汚染を防止するためのセミナーを現地で開催するとともに、研修員を日本へ受け入れ、日本の休廃止鉱山での実地研修などを実施して、鉱害防止対策技術を移転するなど、資源開発に関する課題の克服に向けた貢献を行っています。

 また、鉱物資源の開発や流通については、国際銅協会が環境や人権に配慮した責任ある生産を保証する国際認証、カッパー・マークや、ロンドン金属取引所が地金製品の環境や労働安全衛生などへの配慮を保証する国際規格がありますが、経産省としても、銅やニッケル、コバルトなどを原材料として利用する業界や企業に対して、その有効性を周知するとともに、活用を促しているところです。

 こうした取組も通じて、我が国が持つ技術や知見を移転するとともに、資源国の持続可能な開発を後押しすることで、蓄電池など、必要な鉱物資源の安定供給にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 じゃ、済みません、もう一点だけ簡潔にお答えいただきたいんですけれども、昨年の八月に、輸出規制見直しを検討、原発廃炉の放射性廃棄物を、放射性物質を、経産省との新聞の記事が出たんですね。これが、専門家からは、これまでの方針を覆す内容にもかかわらず、ほとんど議論されていないのに、その記事だけぱっと出て、約八か月たったんですけれども、方向性をきちっと定められたのか、最後、確認して終わりにしたいと思います。

萩生田国務大臣 三月の審議会で、我が国では、ビジネスとして、他国から放射性物質を含んだ金属を有用資源として受け入れ、再利用している実例があること、これを踏まえ、廃炉に伴い発生する放射性廃棄物のうち、海外で再利用ニーズがあって、国内に専用の処理設備がない大型機器に限って、豊富な経験を有する海外事業者への処理委託により再生利用を可能とするため、必要な制度の運用見直しを進めていくことをお示しし、皆さんからの意見を聞かせていただきました。特段の異論はなかったと認識しております。

 こうした状況を踏まえ、外為法の運用通達について、国際条約に従い、相手国の同意を前提に、安全に再生利用されるなどの一定の要件を満たす場合にのみ、例外的に輸出を可能とするための見直しの検討をしております。

 今回の検討案は、資源の有効活用や円滑に廃炉を進めるために必要な見直しと考えていまして、中長期的には、事業者において、海外事業者の知見やノウハウを国内での集中処理施設の導入を含めた検討に生かしていく考えがあると考えております。

鈴木(義)委員 終わりますけれども、PL法って最近言わなくなったんですけれども、製造物責任法というのも考えて進めていかなくちゃいけないと思います。

 終わります。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、四月十三日の当委員会での質疑でただした非化石エネルギー源の定義に関わってなんですけれども、萩生田大臣、本法案では、現行法の化石燃料以外のものとしてきた定義に新たに水素その他を追加をして、その他には政令でアンモニアも含める方向だとしております。

 エネ庁の定光資源・燃料部長は、いわゆるカーボンニュートラル実現のために利用を促進していくことが必要であると政策的に判断したものを非化石エネルギーと位置づけると答弁をしました。私はこれは重大な答弁だと思うんです。

 大臣、なぜ、経産省が政策的に判断すれば化石由来の水素とアンモニアが非化石エネルギー源になるのか、その根拠をお答えください。

萩生田国務大臣 エネルギー供給構造高度化法では、エネルギーの安定供給の確保と環境負荷の低減という同法の法目的に照らして、エネルギー供給事業者による利用の拡大を目指すエネルギー源を非化石エネルギー源として定義しています。

 具体的には、物質の性質上、明らかに化石燃料と言える原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭は化石燃料とする一方で、それらから製造される二次的なエネルギー源については、法目的に照らして、利用を促進するべきかという観点から政策的に判断をしております。

 カーボンニュートラル時代におけるエネルギーの安定供給確保に向けて、水素、アンモニアの利用拡大が不可欠であり、ゼロからサプライチェーンを立ち上げ、供給量の拡大、価格低下につなげるためには、まずは大規模な需要を創出する必要があると考えています。

 そのため、今回の法改正では、由来を問わず、アンモニアを非化石エネルギー源と位置づけ、その利用を促進することとしております。

 他方、永続的に、CO2を処理していない水素やアンモニアを使い続ける考えはございません。インフラ整備や技術開発、コスト低減などの進展状況を見つつ、速やかに水素、アンモニア全体のクリーン化というものを進めてまいりたいと思います。

笠井委員 永続的に水素、アンモニアを使い続けるつもりはないという話なんですけれども、お答えになっていないと思うんですね。

 水素もアンモニアも、現状ではCO2を製造時に排出する化石由来と認めながら、利用拡大が必要だ、だから、将来的に火力発電所での混焼が必要不可欠な技術と考えるから、当面、由来を問わず利用して、できる限りCO2排出の少ないアンモニアの拡大というのを、技術開発を進めてできるだけ早く実現したいということが理屈だと思うんですけれども、大臣、そういう願望を根拠に化石由来のものを非化石エネルギー源と定義してしまう、これはやはり無責任な政策ということになりませんか。

定光政府参考人 二〇五〇年カーボンニュートラル時代のエネルギー安定供給確保のためには、水素、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠でありまして、その社会実装は世界全体の実効的な温暖化対策の観点からも有効であると考えてございます。

 一方、足下では水素、アンモニアの需給がまだ立ち上がっていないことから、これらの製造、運搬、利用技術の確立や、供給量拡大、価格低下につながる大規模な需要の創出が必要であります。そのため、まずは、由来を問わずに、水素、アンモニアを非化石エネルギー源と位置づけて活用を進め、社会実装を目指していきます。

 他方、これを永続的に続けるということは考えておりませんので、できる限り速やかに、インフラ整備、技術開発、コスト削減などの進展を踏まえながら、クリーンな水素、アンモニアの利用を進めていくという方針でございます。

笠井委員 大量供給、大量利用が必要だ、まずは由来を問わずということで活用するんだということなんですけれども、そういう中で、グレーなものまで非化石エネルギーと定義すれば、化石由来であることを見えなくしてしまう。こんなことがまかり通れば、現状がどうあろうと、政策的な判断と言えば、将来は可能性があると言えば、何でも非化石として定義できるということになる。

 大臣、そんなことでいいんですか。

萩生田国務大臣 先ほど来答弁申し上げていますように、今、作り方によってはCO2を出さない作り方が、水素、ございますけれども、今の段階では非常に物が少ない、高いという状況がありますので、まず市場をしっかりつくっていって、供給、サプライチェーンを確保していく。

 その上で、先ほどから申し上げているように、CO2の排出処理ができていない水素やアンモニアはどんどん使用量を下げていく、こういうスキームで進みたいと思いますので、今、足下で、先生が言うように、化石由来のものを非化石と呼んでいいのかと言われると違和感があることは、これは正直に私も認めます。しかし、ここは、この技術をしっかり国際社会にも普及をして、そして、結果的にカーボンニュートラルに進んでいく手法の一つにさせてもらいたいというのが今回のお願いです。

笠井委員 違和感があるとまさに言われたとおりで、国民はおかしいと思うわけですよ。

 これは定義しちゃうわけですからね。ちゃんと全てそういうことをやってできていて、できてから定義するならまだしも、できていないのに定義しちゃったということなんてあり得ないということだと思うんです。

 こんな定義をしますと重大な影響をもたらすということを指摘したいと思います。

 総合資源エネルギー調査会の四月十八日の小委員会の資料に、大規模投資を促進するために考慮すべきリスクというものがあります。その中で、大規模投資を促すためにどのような支援スキームが必要というふうに指摘しているでしょうか。

茂木政府参考人 水素は、化石燃料を使用しないゼロエミッション火力への転換の鍵でもございますし、産業や運輸など幅広い分野の脱炭素化が可能でありますので、カーボンニュートラルに不可欠なエネルギーという認識です。

 その上で、ウクライナ情勢などを踏まえまして、エネルギー安全保障の確保が更に強く求められておりますので、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立できる水素の社会実装、商用化の加速というのを進めていく必要があります。

 他方、現時点では、既存の化石燃料に比べまして、水素、アンモニアは割高な燃料であるということも事実であります。商用化に向けまして、需要の拡大と効率的な供給インフラの整備を通じて価格低減を図るということが必要です。

 そのため、委員御指摘いただきました審議会において、既存燃料とのコスト差ですとか、それからインフラ整備をどのように進めていくのかについて着目しながら、水素の導入拡大、それから商用化に向けた支援スキームの検討を行っているところであります。

笠井委員 その中で、長期契約等で販売価格、量を安定化させて大規模投資を促す支援スキームが必要、こう書いてありますよね。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 審議会の中では、例えばLNGの事例を出しまして、そうした長期契約によって大規模な投資を促すスキームが必要であるということは言及しております。

笠井委員 そういう長期の契約で販売価格、量を安定化ということなんですけれども、じゃ、どれぐらいの長期の契約なのか。

 この小委員会の三月二十九日の会議資料では、大規模サプライチェーンの投資額、供給コストの規模感という事例が紹介をされております。そこで紹介されている、LNGじゃありませんよ、水素とアンモニアのプロジェクトについて、それぞれ、何年のプロジェクトで、費用は幾らと書いてありますか。端的に答えてください。

茂木政府参考人 水素については、現在パイロットケースで実証している豪州の事業がございますが、この豪州から液化水素を海上輸送するプロジェクトを商用化の規模で実施したという仮定を置いた場合として試算をしています。プロジェクト年数は三十年で、総額で二兆二千五百億円。

 それから、アンモニアについては、中東から商用規模のアンモニアを海上輸送したという仮定の下にプロジェクト試算をしています。これは年数二十年で試算していますが、二兆一千四百億円というのが試算結果でございます。

笠井委員 オーストラリアの褐炭水素プロジェクト、日豪褐炭水素プロジェクトですけれども、この期間は実に三十年ということであります。

 では、確認したいんですが、そもそも、褐炭というのは何ですか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 褐炭とは、石炭の一種でございますけれども、石炭の中でも水分量が多く、発熱量は低いけれども、この特性は、水素を取り出す上では優位性があります。そういう炭種のことを指してございます。

 なお、石炭の中でも、いわゆる価値としては安い部類に属するというものでございます。

笠井委員 随分軟らかく言っていますけれども、石炭化度が低くて水分や不純物が多いという低品位な石炭と。

 二月二十四日のCCS長期ロードマップ検討会の資料には、一般の石炭と褐炭のCO2の排出係数が記されておりますが、それぞれの値は幾つですか。

定光政府参考人 二月十四日の検討会で一般社団法人電力中央研究所から紹介されておりますが、一般炭につきましては、一メガジュール当たり九十三・七二グラムCO2、褐炭に関しましては、一メガジュール当たり百十三・九グラムCO2でございます。

笠井委員 まさに低品位な石炭で、CO2排出量が、一般炭の一・二倍も排出するのが褐炭であります。この日豪褐炭水素プロジェクトに参画しているJパワー、電源開発はこう説明しております。水分を多く含み、乾燥すると自然発火の危険性が大きいことから輸出に適さず、採掘地周辺の消費といった限定的な利用はあるが、多くが未利用というふうになっております。

 大臣に伺いますが、CO2を大量に排出するグレー水素を非化石と定義しましたら、事業者は大手を振るって三十年も長期契約することになるということになるわけですけれども、それでいいということになりますか。三十年ですよ。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 まず、褐炭水素プロジェクトでございますが、これはまだ商業化事業じゃございませんけれども、この事業のコンセプトは、現地で褐炭から水素を取り出して、CO2はCCSをしてくるという事業でございますので、そのままCO2を三十年間排出するという前提で事業化をするということは当然想定しておりません。

笠井委員 三十年も長期契約するという事業をやるわけですけれども、事業者からすると、グレーであっても非化石と国から認められて、しかも安いから投資判断したというふうになります。それ以上のコストや労力をかけてグリーンを利用するという必要はないということになってしまうじゃないか。この法律で定義づけをそういうふうにやっちゃうと、そういうことになるじゃないか。

 大臣、経産省は、これまで非化石を原発推進の口実にしてきました。今度は、G7の国々で日本以外が期限を切って廃止しようという石炭火力発電も、非化石エネルギー利用を口実にして今後も推進していく、こういうことになるんでしょうか。

萩生田国務大臣 石炭火力につきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、電力の安定供給を確保しながら、石炭火力の発電比率をできる限り引き下げていくことが基本です。

 一方、必要な供給力が必ずしも十分に確保されていない段階で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねません。

 こうした中で、石炭火力については、推進するのではなく、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めます。さらに、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニアやCCUSなどを活用して、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える取組を加速してまいりたいと思います。

笠井委員 二〇五〇年に向けて置き換えると。

 これは、この間議論してきましたけれども、どこまでできるか分からないということなんですね。一旦、法律の定義に加えたら、化石由来のグレーアンモニアも非化石エネルギー源となってしまう。非化石燃料と非化石技術の利用促進を掲げておきながら、混焼するなどといって、逆に化石燃料を推進するだけだということを私は強く指摘をしたいと思います。

 もう一つ、石炭火力の切り札というふうにされているのがCCSであります。

 経産省の二酸化炭素回収・貯留(CCS)研究会ですけれども、二〇〇七年十月三日の中間取りまとめにはこうあります。我が国におけるこれまでのCCS推進への取組として、まあ、そういうことが言われているわけですが、いつから基礎研究が開始をされて、どんなプロジェクト化に向けた検討が進められて、どんな技術開発が開始されたと、その二〇〇七年の研究会の中間取りまとめには書いてあるでしょうか。

定光政府参考人 記載内容を申し上げます。

 我が国においては、一九八〇年代末から国立研究所などにおいてCCSに関する基礎研究が開始されており、一九九五年から二年間にわたり、CO2の地中貯留、海洋隔離技術に関する先導研究が実施され、プロジェクト化に向けた検討が進められてきた。こうした検討を受けて、一九九七年からCO2の海洋隔離に伴う環境影響予測技術開発が開始され、二〇〇〇年からはCO2地中貯留技術研究開発が開始され、これは長岡での一万トンのCO2圧入、貯留という成果につながってございます、さらに、二〇〇二年からCO2炭層固定化技術開発が開始されているというふうに承知してございます。

笠井委員 実に、一九八〇年代から三十数年の長きにわたってCCSの研究開発が行われて、経産省も九〇年代から取り組んできたというわけであります。

 では、二〇〇八年七月に閣議決定された低炭素社会づくり行動計画では、石炭利用の高度化としてCCSを位置づけておりますが、回収コストの目標を、幾らで、いつから実証を始めて、いつ実用化を目指すと、そこでしていたのか。閣議決定ですから、その該当部分を読み上げていただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 低炭素社会づくり行動計画における該当部分でございますが、CCSの分離回収コストを二〇一五年頃にCO2一トン当たり二千円台、二〇二〇年代に一千円台に低減することを目指して技術開発を進めるとともに、二〇〇九年度以降早期に大規模実証に着手し、二〇二〇年までの実用化を目指すというふうに記載されてございます。

笠井委員 二〇二〇年までの実用化を目指すという形で閣議決定をされました。これは、閣議決定ということで非常に重いものですが、政府を挙げた取組を進めるということでやっていたわけです。

 経産省として、九〇年代以降、では、CCSの技術開発の予算をどれだけつぎ込んできたんでしょうか。

定光政府参考人 経産省といたしましては、低コスト化に向けたCO2分離回収技術の研究開発や液化CO2船舶輸送の研究開発、あるいは貯留適地の調査、安全なCCS実施のための貯留適地技術の研究開発などを実施しておりまして、これらの事業を通じまして、平成二十年から令和三年度までの間に総額約一千八十八億円の予算を措置してございます。

笠井委員 それは、苫小牧CCS実証実験事業の分で、十四年間分ぐらいだと思うんですが、それだけだと。全体像が分からないんですね。

 大体、そういう点では、国会図書館の調査で伺ったところによれば、二〇〇九年度から二〇二〇年度の分だけでも、CCS技術開発に係る経産省の予算は千三百二十億円にも上るというふうにされております。

 大臣、少なくともこれだけの予算をつぎ込んで、閣議決定して目指すとしていた二〇二〇年までの実用化というのはどうなったんでしょうか。

定光政府参考人 先ほど、二〇〇八年の行動計画で閣議決定した内容について申し上げましたけれども、これらの実施が、現時点で評価すると、全てが達成されているという状況ではない、この事実は我々としても真摯に向き合わなければならないというふうに認識してございます。

 ただし、このCCS、CO2の分離、回収という技術がいかに野心的で難易度の高い課題かということを示すとともに、なかなか、その担い手となる民間企業の登場が、まだこの当時は本格的に具体化していなかったということもございます。そして、いわゆるパリ協定の合意ですとかカーボンニュートラルという世界的な目標がまだ本格的に浸透する前でございましたので、そういう面での認知ですとか、政府や企業での取組に向けた機運というのが必ずしも十分ではなかった。そういう事情が、目標達成が全て実現していない理由として挙げられるというふうに考えてございます。

笠井委員 全て達成されたわけではないどころじゃないんじゃないですか。全然進んでいないでしょう、だって、そんなに。

 しかも、今、三十数年かけてというようなことでやってきた、九〇年代以降、とにかく政府もお金をつぎ込んできていてやってきたわけですが、それでできなかったということで、二〇二〇年を目指すと言っていたわけですが、第六次エネルギー基本計画では、今度、二〇三〇年に向けてというふうに変わってきているわけですね。

 今、幾つか要因があると思われますみたいなことを答弁で感想的に言われたんですけれども、じゃ、そういうふうに変えたというのを、どこでどのように検証して、二〇二〇年を目指すのをやめて、二〇三〇年に向けてというふうに変えたんですか。

定光政府参考人 低炭素行動計画におきましては、行動計画に盛り込まれた施策を着実に実施するとともに、定期的に取組状況のフォローアップを行うということとされております。

 このフォローアップに加えまして、いろいろな、エネルギー基本計画についても三年程度に一度見直しをするということになっておりますし、様々なそういう政策全体の見直しの中で、技術の進展、産業の動向などを踏まえて、それから国際的な地球温暖化をめぐるルール形成の動きを踏まえて、見直しを行ってきたというふうに考えてございます。

笠井委員 閣議決定したものの年限を変えたわけですよね。そのためには、できなかったことについては検証をやらなきゃいけない。どこでどういう検証をしたという結果は文書で出しているんですか。あるんですか、それは。

定光政府参考人 ちょっと、申し訳ありません、私も今具体的に、どこでどういう場でという、具体的に申し上げることは困難でございますけれども、基本的には、エネルギー基本計画という形で、大きな政策の整合性とか全体像については三年程度に一度見直しをするということになっておりますので、そのプロセスでは、しっかり、公開の場で、資料も出した上で、外部の方にも御議論いただいた上で政策を決めてございますので、そういう不断のプロセスの中でしっかり見直しが行われてきているというふうに認識してございます。

笠井委員 不断のプロセス、駄目ですよ、そんなの。だって、閣議決定を変えたんだから。それを変えるだけの検証をやって、こうこうこうだから変える、こうだったんだと検証してやらなきゃいけないわけで、検証できていないわけですよ。

 巨額の税金を投入して実証実験事業を進めておいて、まるで検証できていない。それで年限を延ばしちゃっている。CCS推進の法案を通してくださいと、それで国会に出す。

 大臣、こんなことでいいんですか。

萩生田国務大臣 技術を伴う様々な実証実験でございますので、必ずしも予定どおりに進まない部分もあったと思います。そこは反省すべきは反省しながら、幸い、苫小牧の実証実験、三十万トン、きちんと成功になっておりますし、これからは、京都の方から船で運んで、そして更に追加の圧入をするという実験も更に追加をしていきますので、実用化に向けて引き続き努力をしていきたいと思います。

笠井委員 世界で取り組んできたところでいいますと、CCSつきの石炭火力のプロジェクト、多数取り組まれているけれども、これまでに商用化したのは二件ということなんですね。カナダとアメリカの案件。

 二件とも順調にいっているかと思ったら、米国の案件というのは操業停止ということになっています。JOGMECの二〇二一年二月の調査報告書に、二〇二〇年前半の原油価格の低迷により操業を停止したと明確に書かれている。しかも、CCSの採算性を推測する上で参考となると思われると。採算性を推測する上でもこれが参考になるとまでJOGMECで書いているわけですね。採算性が取れずに操業を停止したということです。

 カナダの案件についても、同じ報告書に、三号機でCCS技術の利用を開始して、四、五号機への利用拡大を検討したが、二〇一八年に経済性を理由に拡大断念を公表したとあります。

 CCSを石炭火力の脱炭素化の鍵かのように言うんだけれども、世界では実現せず、商用化は僅か一件ということで、それも、これからの教訓では余り無理だよという話になっている。日本でも八〇年代から取り組んできて、二〇二〇年実用化を目標にしたけれどもできなかった、検証もなく三〇年にしちゃったという話になっている。

 大臣、これまで三十年間費やしてきた巨額の税金を、エネルギー消費を減らしてCO2を出さない再エネ対策に投入していれば、もっとこの気候危機対策、温暖化対策のためにも、日本経済の発展のためにもなっていたんじゃないかと思うんだけれども、最後に、そのこと、そう思わないかということで、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今となって振り返ればいろいろなことは言えると思うんですけれども、その頃は、こういった技術をしっかり国内に実装させて、そしてCO2の削減を努力しようという日本政府としての意思があったわけでございまして、そこは、他国が足踏みをしたとしても、我が国は是非、これはいい技術でございますので、確立をさせていきたいと思っています。

笠井委員 振り返ったら言えるのであれば、これからそうならないようにしなきゃいけないということだと思うんです。

 CCSもそうですが、経産省が進めようとしている事業は総じてPDCAの観点が欠けている。過去に行った事業の検証と総括なしに予算化して執行してはならないと思います。

 実現可能性に乏しいアンモニア混焼、CCSで脱炭素を進めるのではなくて、やはり、今できる技術を総動員して、気候危機打開、これに責任を果たすべきだ、このことを強く申し上げて、質問を終わります。

古屋委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮さん。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、エネルギー使用合理化等改正案に反対の討論を行います。

 パリ協定に基づく二〇三〇年目標達成には、最大のCO2排出源である発電所での排出削減と再生可能エネルギーへの速やかな転換が不可欠です。ところが、本法案は、それに逆行するものとなっており、容認できません。

 反対理由の第一は、化石燃料由来の水素、アンモニアを非化石エネルギーと定義して利用を促進することが、将来のグリーン化を阻害し、石炭火力発電所を延命するものだからです。

 質疑の中で、CO2を多く排出する褐炭を活用した水素プロジェクトを三十年にわたり実施する一方、再エネ由来のグリーンな水素、アンモニア活用の見通しは全く立っていないことが明らかになりました。排出されたCO2を回収するCCSも、二〇二〇年の実用化を目指して九〇年代から取り組みながら、いまだ実用化に至っていません。

 気候危機打開には、もう一刻の猶予もありません。将来の技術頼みではなく、現状ででき得る対策を総動員し、期限を切った石炭火力の廃止こそ決断すべきです。

 第二は、石炭火力延命のための巨額の水素、アンモニア、CCS設備投資に、JOGMECを通じた国費投入の道を開き、商社、電力会社、資源会社の事業リスクを国民に転嫁することになるからです。

 JOGMECは、既に投資先の六割が事業終結し、二千八百億円もの繰越欠損金を抱えています。一兆円を超える欠損金を出して解体された石油公団の二の舞になりかねません。

 さらに、発電所の休廃止の事前届出の義務づけも、供給不足を口実にした石炭火力の休廃止の先延ばし策に使われかねず、容認できません。

 ロシアによるウクライナ侵略をめぐり、海外依存のエネルギーのもろさがいよいよ浮き彫りになっています。徹底した省エネとともに、純国産のエネルギーである再エネを中心としたエネルギー自給率向上の道に転換すべきことを求めて、反対討論といたします。

古屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、青柳仁士さん外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、石川昭政さん外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。落合貴之さん。

落合委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 我が国が国際的に約束した二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度温室効果ガス排出量削減目標の達成、また気候変動に関する政府間パネルの報告への対応等に向けて、更なるエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換の一層の促進等に必要な技術開発や支援措置等にできるだけ早急に取り組むこと。また、太陽熱や廃熱等も含め、大規模投資や長期間のリードタイムが不要な既存のエネルギー源等の活用の在り方についても積極的に検討を進めること。

 二 ロシアによるウクライナ侵略及びこれに伴う経済制裁等を踏まえ、我が国のエネルギー安全保障の確保、我が国産業や国民経済に必要な資源・エネルギーの安定供給及び価格の抑制に全力で取り組むこと。

   とりわけ、電力需給逼迫の常態化や電力コストの高騰など安定的で効率的な電力需給基盤の先行きに懸念が生じている現状に鑑み、喫緊の措置として、再生可能エネルギーその他国内で稼働可能な電源の最大限の活用により当面の電力供給の確保のための実効性のある施策を講ずること。

   併せて、事業者に対する支援等を通じて、資源・エネルギーの調達先の一層の多角化及び適切なポートフォリオによる化石燃料の安定調達に努めるとともに、代替資源の研究開発支援、再生可能エネルギー等の一層の導入促進、蓄電池の活用、地域間連系線の整備や大規模発電施設に偏らない小規模分散型電源への転換促進への支援、我が国海域における鉱物資源の開発及び事業化支援等による資源・エネルギーの自給率の向上に向けた実効性のある取組等を総合的かつ早急に進めること。

 三 電力自由化の下での我が国全体の供給力確保に対しては国が最終的な責任を負うべきであることに鑑み、中長期的に必要な規模の電源の維持・確保に向け、容量市場について、その制度目的に照らし不十分な点や改善すべき点がないか検証しつつ、その安定的で着実な運用を図るとともに、電力自由化の下での安定供給とカーボンニュートラルの両立に資する投資環境を早急に整備すること。併せて、発電所休廃止に係る事前届出制の運用に当たっては、休廃止を行おうとする事業者の自律的で合理的な経営判断を最大限尊重すること。

 四 揚水発電は、電力需要変動に対する調整機能や再生可能エネルギーの出力制御の抑制等に有用であることに加え、災害等により他の発電方式が十分活用できない場合の電力供給源として極めて重要な役割を果していることを踏まえ、揚水発電の最大限の活用及び維持開発が図られるよう、必要な制度措置の検討を早急に進めること。

 五 水素・アンモニアについては、その特性に応じ、エネルギー効率及び経済性に配慮しつつ、用途毎の利用の在り方を明確にして活用するよう努めること。また、今後の再生可能エネルギーの導入状況や技術開発の進展状況、製造コスト等の観点から不断に検討を加え、できるだけ早期に温室効果ガスの排出を可能な限り抑えた製造方法等への移行を進めること。

 六 大きなポテンシャルを有する営農型太陽光発電の導入拡大に向けて、政府においても逐次その状況を把握し、引き続き、関係省庁で連携して、導入促進のため必要な措置を講ずるよう努めること。

 七 「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構」の出資・債務保証の範囲拡大に伴う業務の実施に当たっては、多額の国費を用いるものであることを踏まえ、我が国に必要な資源・エネルギーを確保するための支援措置の有効性及び効率性に十分に配慮するよう留意すること。

 八 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針の策定に当たっては、気候変動対策及びサステナビリティに関する国際的な議論及び動向を踏まえ、市場メカニズムを通じた民間企業による企業価値と競争力を高めるための経営判断及び自助努力による取組に十分に配慮すること。

   また、特定事業者等、特定輸送事業者及び特定荷主等による非化石エネルギーへの転換に関する中長期的な計画の作成に当たっては、サステナビリティに関する基準やESG評価への対応のために作成している計画の活用を可能とするなど、その負担を最小限に留めるよう配慮すること。

   さらに、主務大臣によるエネルギーの使用の合理化、非化石エネルギーへの転換及び電気の需要の最適化のための指導及び助言に当たっては、民間企業におけるサステナビリティに関する基準やESG評価への対応と整合を図り、その普及拡大に資するよう努めるとともに、サプライチェーン全体による取組や再生可能エネルギーの卸売市場の活用といった経営判断を尊重すること。

   併せて、取組の評価に際しては、エネルギー使用の合理化にかかる年一パーセントという基準の妥当性について現実に即した不断の見直しの議論を行いつつ、実質的にエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換の効果が高い場合は高評価が得られるようにするとともに、評価結果に基づく罰則の適用や低評価の結果公表は慎重に行い、高評価の結果を積極的に開示するなど、事業者にインセンティブを与える措置を積極的に講ずること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の皆さんの起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、萩生田経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田経済産業大臣。

萩生田国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

古屋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十九分散会


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