衆議院

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第13号 令和4年4月27日(水曜日)

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令和四年四月二十七日(水曜日)

    午後零時三十分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    大串 正樹君

      上川 陽子君    国定 勇人君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      武井 俊輔君    土田  慎君

      中川 貴元君    中野 英幸君

      西野 太亮君    西村 明宏君

      星野 剛士君    堀井  学君

      山下 貴司君    山本 左近君

      荒井  優君    梅谷  守君

      大島  敦君    菅  直人君

      末次 精一君    山崎  誠君

      足立 康史君    青柳 仁士君

      漆間 譲司君    藤田 文武君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       萩生田光一君

   内閣府副大臣       黄川田仁志君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   文部科学大臣政務官    高橋はるみ君

   経済産業大臣政務官    岩田 和親君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     林  俊行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森田 正信君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          寺門 成真君

   政府参考人

   (スポーツ庁審議官)   星野 芳隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡崎  毅君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           川合 豊彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         江口 純一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           柴田 敬司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    新居 泰人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           岩月 理浩君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)    三橋さゆり君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     武井 俊輔君

  藤田 文武君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     上川 陽子君

  足立 康史君     藤田 文武君

    ―――――――――――――

四月二十六日

 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局審議官井上俊剛さん、復興庁統括官林俊行さん、外務省大臣官房審議官遠藤和也さん、文部科学省大臣官房審議官森田正信さん、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官寺門成真さん、スポーツ庁審議官星野芳隆さん、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠さん、厚生労働省大臣官房審議官岡崎毅さん、農林水産省大臣官房審議官川合豊彦さん、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官江口純一さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎さん、経済産業省大臣官房審議官柴田敬司さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治さん、経済産業省産業技術環境局長奈須野太さん、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成さん、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁次長新居泰人さん、国土交通省大臣官房審議官岩月理浩さん、国土交通省水管理・国土保全局水資源部長三橋さゆりさん及び国土交通省道路局次長佐々木正士郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西野太亮さん。

西野委員 皆様、こんにちは。熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、また、事前の準備に御協力いただきまして、ありがとうございます。まずもって、関係者の皆様方に御礼申し上げます。

 早速でございますけれども、昨年秋、衆院選と前後いたしまして、熊本県にとって大変うれしいニュースが飛び込んでまいりました。

 台湾の大手半導体メーカー、TSMCが、熊本県菊陽町に新工場を建設するというニュースでございます。

 公表ベースでの情報によれば、スケジュールでいいますと、先週、新工場の建設の着工が始まりましたし、二〇二四年末には生産を開始するというふうに聞いております。従業員数は千七百名、そして設備投資の総額は九千八百億円、出資者には、TSMCに加えて、ソニーやデンソーといった名立たる企業も名を連ねております。

 日本政府としても、二分の一を超えない範囲内で支援するというふうに聞いておりますので、まさに国を挙げての一大プロジェクトと言っても過言ではないのではないかというふうに思います。

 なぜこれがうれしいニュースなのか。もちろん、大きな企業が熊本に来てくださる、投資額も莫大、雇用も税収も増える、熊本の経済にとって直接的なプラスの影響があるということは言うまでもありませんけれども、それ以上に、それを超えて、日本経済全体にとってプラスの大きな効果があると思うからです。

 なぜならば、半導体というのは、私が申し上げるまでもありませんが、携帯電話、テレビ、自動車、ありとあらゆる電子機器に必要不可欠な部品でございますし、もっと言えば、医療機器にも必要だということを考えれば、命にも直結する問題だと思います。その半導体の世界的なメーカーが熊本に来て、そのことによって、日本経済全体にとって大きなプラスがあるというふうに思います。

 まずは、経済安全保障の観点です。

 つい最近も法案が衆議院を通過いたしまして、参議院で法案が審議中でございますけれども、非常に重要な概念だと私は思っています。

 日本社会、日本経済にとって非常に重要なパーツを海外からの輸入に依存し過ぎている場合に、仮に何らかの理由によってその製品が輸入できなくなった場合に、日本経済、日本社会に壊滅的な打撃を被ってしまうおそれがあります。だからこそ、平時のうちから、できるだけ国内でも生産できるようにしておきましょう、さらには、輸入先を多角化しておきましょうという考え方です。

 ここで質問です。

 全ての電子機器に必要不可欠な半導体についても、まさに経済安全保障の観点が当てはまるのではないかというふうに思いますが、まず、現時点で半導体の国内生産割合はどの程度でしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 半導体のグローバルマーケットにおける国内半導体のシェアが足下で一〇%程度でありまして、国内マーケットにおける国産半導体のシェア、これは、延長産業連関表によれば、二〇一八年時点で約二一%というふうになっております。

西野委員 ありがとうございます。

 国内の供給では二割という数字だというふうに思いますが、私はやはり、この数字は高くない、低いのではないかというふうに思います。

 現在でも、半導体不足で、自動車を契約してから納車が一年先、半年先というようなお話を地元でもよく聞きますし、このTSMCの新工場を契機として国産の割合をもっともっと高めていく必要がある、そのために頑張っていかなくちゃいけないというふうに思います。

 そして、もう一つ、私の野心と言ってもいいかもしれませんけれども、それが、半導体産業の復活です。

 かつて、日本の半導体といえば、世界のトップクラスでした。一九八八年時点での世界全体の生産量に占める日本のシェアは約五〇%。私も、小学校、中学校の頃、地理の授業で、シリコンアイランド九州、半導体といえば熊本というふうに教わって、子供心に大変うれしかったのを覚えています。しかし、残念ながら、三十年以上たって、現在では、日本のシェアは一〇%というふうに聞きます。

 自動車産業と並ぶ日本の基幹産業とまではいかなくても、例えば、二十一世紀の日本人が何で食っていくのかということを考えた場合に、あれとこれとこれとこれという柱の一つに半導体を位置づけていく、それぐらいまでには復活してもらえるように頑張っていかなくちゃいけないというふうに思います。

 しかし、そのためには、過去の経緯をしっかりと分析する必要があるのではないかと思います。

 なぜ、一九八〇年代、九〇年代、日本の半導体がこれだけ隆盛を極めていたのか。にもかかわらず、なぜ、その後、衰退していってしまったのか。その要因について、政府としてどのように分析していらっしゃいますでしょうか。お聞かせいただければと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 トランジスタが一九四〇年代に発明されて以降、日本企業は世界に先駆けて商用化や量産化によって競争力を高めてまいりまして、一九七〇年代、当時通産省が主導となり立ち上げた研究開発プロジェクト等を通じまして、官民一体となり最先端の技術開発を行ってきたということで、八〇年代には世界一の売上高という状況にありました。他方、九〇年代以降、競争力を落としてきたということでございます。

 この原因の一つは、当時の政府が世界の半導体産業の潮流を見極めることができずに、適切かつ十分な政策を講じていなかったということだと思っていまして、まず、この点は真摯に反省をした上で、次に進んでいく必要があるというふうに認識をしております。

 その他の原因として、例えば、一九八〇年代の日米貿易摩擦を契機に、積極的な産業政策を後退させた、九〇年代以降は、半導体の設計と製造を分業するといった世界のビジネスモデルの大転換、これを読み切れなかった、また、日の丸自前主義というべき国内企業の再編に注力して、有力な海外企業との国際連携を推進できなかった、また、諸外国が国を挙げて積極的な投資支援を行う一方で、我が国は国策として半導体産業基盤整備を十分に進めてこなかったということもございます。

 さらには、半導体の需要家と言えるデジタル産業、これが我が国では十分に育たなかったこと、最後に、研究開発に当たって、国際連携の視点が不足していて、官民を挙げて十分な研究開発費を確保できなかった、このために社会実装につなげてこられなかったことなどが挙げられるというふうに認識をしておりまして、この反省に立って、我々、政策を進めていく必要があるというふうに承知をしております。

西野委員 ありがとうございます。

 今、経済産業省の方から真摯なお答えをいただきました。

 日本が隆盛を極めたのも、そして衰退したのも、政府に一因があったというようなお答えだったと思います。こうした反省点を踏まえてこれから取り組んでいく必要があると思いますが、その前に、まず、もう一つ確認しなくちゃいけないのが、熊本の新工場で作ることになる半導体の種類です。

 一言で半導体と申しましても、半導体、種類がたくさんあります。さらには、三十年前と比べれば半導体技術は大きく進歩しておりまして、微細化、さらには3D化の研究も進んでいるというふうに聞いております。三十年前の半導体と今回熊本で作ることになる半導体、さらには世界最先端の半導体では、種類が違うというふうに聞いております。

 国内シェアの向上や半導体産業の復活を目指す中で、今後取り組んでいく中で、これから熊本で製造される半導体の種類、さらにはその位置づけについて確認する必要があると思いますが、教えていただければと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 二月に公表されましたTSMC、ソニー、デンソーのプレスリリースによりますと、熊本に整備する半導体工場、半導体の微細化のレベルを示す回路線幅として、十から二十ナノメートル台のプロセスのロジック半導体を製造するという予定とされております。

 この半導体ですが、現状では我が国において製造することはできないレベルの先端半導体でございます。これらの半導体は、自動運転車の制御やリアルタイムでの画像処理等、高度な情報処理への活用が見込まれるものになるというふうに考えております。

西野委員 ありがとうございます。

 今申し上げたようなこと、質問させていただいたこと、さらにはお答えいただいたことを踏まえてこれから取り組んでいくわけですけれども、そのためには将来的な目標が不可欠だと思います。

 例えば、先ほど申し上げましたとおり、世界シェアが大きく下がってしまっているというデータもあります。ただ漫然と取り組むのではなくて、例えば、日本産のシェアをいついつまでに何割に引き上げるという定量的な目標、そして、そのために、こういったことをして何%押し上げる、ああいったことをして何%押し上げるといったような政策目標があれば一番いいのではないかと思います。そこまで現時点で明確な目標を作るのは難しいとしても、一定の方向性は必要ではないかというふうに思います。

 この点について、現時点での政府の考え方をお聞かせいただければと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点につきまして、昨年十一月に経産省で、我が国の半導体産業の復活に向けた三段階の基本戦略というのをお示ししました。

 全体の半導体のシェアとかそういう部分はなかなか難しくて、数値目標を書いているわけではないんですが、戦略としては、今から申し上げるような形になっていまして、ステップ一としては、足下、まさにTSMC等の先端半導体の製造基盤整備を通じまして、我が国半導体産業のミッシングピースを埋めて、技術や人材を集積して次世代技術の確立に向けた足がかりをつくっていくというのが第一で、ステップ二としては、次の段階として、日米連携によって二ナノ台を超える超微細な次世代半導体の製造技術の研究開発を行い、さらに、ステップ三として、電気配線を光配線化することで多量のデータを高速かつ低消費電力で処理する光電融合などの将来技術の研究開発を行っていくこととしております。

 量産現場で蓄積される知見や経験と研究開発の成果を組み合わせることによりまして、将来的には、世界トップレベルの半導体製造基盤を確保し、半導体の安定供給体制を確保するとともに、我が国の半導体産業の復活につなげてまいりたいというふうに考えております。

西野委員 ありがとうございました。

 昨日も、事前準備の打合せをさせていただく中で、具体的な目標を作るべきだというお話をさせていただきましたけれども、やはり、まずは欠けているミッシングピースを克服していくんだ、経済安全保障の観点を確保するんだというお話がありました。難しい部分があるかもしれませんけれども、できるだけ具体的な分かりやすい目標を作って、それに向けてオール・ジャパンで取り組んでいくことができればよりよいのではないかというふうに思います。

 それでは次に、少し視点を変えて質問させていただきます。

 TSMCの新工場が熊本に来てくれるというニュースを聞いて、地元経済界を中心に、地元では大変喜びの声が上がっております。一方で、熊本県民、熊本市民、地域住民の方々のお話を伺いますと、まだTSMCが熊本に来ることの意義を十分に理解されていない方が一定程度いらっしゃいます。さらには人材不足、渋滞といった、従来から抱える課題について、より深刻化するのではないかというような不安の声があるのも事実です。

 私は、日本の将来を左右し得るこのプロジェクトを成功させるためには、こうした不安の声を真摯に受け止め、新工場建設に伴う課題について、国としても、熊本県、さらには関係自治体と連携しながら取り組んでいく必要があるだろうと考えています。

 まず一つ目が、技術者の育成、確保です。

 TSMCは先端技術に通じた人材千七百人を確保するという発表がなされています。このうち、二百人は台湾から、数百名はソニーからという情報もありますけれども、まだまだそれでも足りません。これに対応するために、文部科学省では、九州の高等専門学校に半導体の専門科を新設していただいたり、熊本大学に専門の研究所を開設して対応していただいているというふうに聞いておりますが、技術者を必要とする地元企業からは、まだまだ足りない、待遇のよいTSMCに新卒が流れていってしまうといった懸念の声が根深くあります。

 こうした不安の声に対応するため、人材確保の見通しについて、ある程度時間軸を定めて定量的にお示しする必要があるのではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、千七百名の技術者ということになるんですが、一方で、周辺環境を含めて、どの程度人材が不足するのか、あるいは足りないかについては、九州以外からの人材を集め、また個別企業の採用状況にも関わることから、詳細に現時点で把握するのは難しくて、定量的にお示しすることは困難ではございますが、企業の誘致にとどまらず、政府としては、一丸となって、将来的に人材も含めて維持できるように、しっかりと人材育成に取り組んでまいることとしておりまして、例えば九州では、高専の話、先生お話がございましたが、文部科学省を始め関係府省一体となって、また、企業、教育機関などの関係者が一堂に会する九州半導体人材育成等コンソーシアム、これをつくりました。こうした枠組みの中で、即戦力となる人材育成のために、基礎から実用まで一貫したカリキュラムの開発をしていく等々で、しっかり努力をしてまいりたいというふうに考えております。

西野委員 ありがとうございます。

 時間がありませんけれども、次に、渋滞の話、これも非常に問題です。お手元に配付しておりますけれども、資料を御覧いただければと思います。

 余り知られていないんですけれども、熊本は、全国の二十ある政令市で一番渋滞が多い、渋滞大国なんです。横浜、大阪、名古屋といった大都市に比べても熊本の方が渋滞が多いというような状況です。

古屋委員長 申合せの時間が来ておりますので、おまとめください。

西野委員 はい。

 今回、新工場ができる菊陽町、熊本に隣接しておりまして、熊本の渋滞が更に深刻化するのではないかというような懸念が出ております。

 こうした課題について、これ以外にも、インターナショナルの開設、さらには多言語化対応、こうした課題が、新工場建設に伴い、たくさんありますので、こうした課題について、熊本県やさらには関係自治体と連携していただきながら、政府としても十分対応していただけるようにお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、平林晃さん。

平林委員 ありがとうございます。公明党の平林晃です。

 本日、質問の機会を与えていただきまして、心から感謝申し上げます。

 早速質問に入らせていただきますが、勝手ながら、質問要旨の、大きく分けて二番目の項目から入らせていただければと存じます。申し訳ございません。

 デジタル田園都市国家構想における人材育成に関しまして、お尋ねをさせていただければと存じます。

 経済産業省におかれましては、全てのビジネスパーソン向けデジタルスキル標準でありますDXリテラシー標準を、二〇二一年度、前年度末までに策定をし、また、DX推進人材向けデジタルスキル標準、これはよりレベルの高いものと承知しておりますけれども、これを二〇二二年中に策定と予定されているとお聞きしております。

 両者の現状、またその中身、簡単に伺えればと存じます。

江口政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、全てのビジネスパーソン向けデジタルスキル標準、DXリテラシー標準というふうに呼んでおるものでございますが、これにつきましては今年の三月二十九日に公表させていただいたところでございます。

 このスキル標準は、働き手一人一人が、DXを自分事として捉え、変革に向けて行動できるようになることを狙いといたしまして、経営層から現場の社員に至るまで、広く全ての働き手の方に身につけていただきたい内容となっております。

 具体的に申し上げますと、DXの重要性、またDXで活用されるデータですとか技術、さらにはデータ、技術の活用方法やその留意点という三本柱から成っております。さらに、これを支えるマインドセットといたしまして、DX推進に必要な意識ですとか考え方を盛り込んだ内容としておるところでございます。

 また、DX推進人材向けのデジタルスキル標準でございますけれども、これにつきましては、今後、データサイエンティスト、サイバーセキュリティースペシャリストなど、データやデジタル技術の利活用を通じて地域や企業が抱える課題の解決を牽引していけるような人材、より高度な人材向けのスキル標準といたしまして、年内を目途にスキル標準として策定をしていく予定としてございます。

平林委員 私もDXリテラシー標準、拝見をいたしました。今おっしゃられたようなことがるる書いてあるということでございます。デジタル社会形成基本法に定義されるデジタル社会、これを形成していくためにこういう内容になるということは一定程度理解をするところです。

 ただ、率直な感想として、結構高いレベルだなというようなことは感じております。従前であれば、もちろん時代が全然違いますので言うのもあれかもしれませんが、パソコンを使えたり、ワープロを使える、表計算ソフトできますみたいな、そういった内容であったものが、ここまで充実した内容になっているというのは本当に隔世の感を感じたところでございます。

 情報系の大学院生ならともかく、学部生でもここにどこまでかなうのかということは少し不安になってまいりまして、今策定中のデジタルスキル標準、どんな内容になるのか、期待と若干不安も持ちながら注視をさせていただければと存じます。

 いずれにしましても、このリテラシー標準を身につけた人材を今後五年間で二百三十万人育成をしていくということが、デジタル田園都市国家構想における人材育成なのであろうと理解をさせていただいております。このために、ちょっと言葉が若干無機質になるかもしれませんが、人材の質という点と量という点から質問させていただければというふうに思います。

 まず、質の確保ですけれども、デジタル人材育成のために様々な講座を用意されると認識をさせていただいております。対面あるいはオンライン、両方を想定していると承知をしていますが、いずれの場合におきましても、コースを最後まで受講したことの認定、あるいは、より踏み込みまして、受けただけではなくて、その人がどういう知識を身につけたかという、その技量のレベルの認定というか保証というか、こういったものを考えておられるのかどうか、政府参考人に伺います。

江口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、様々なコンテンツを用意して学習をしていただくということを考えておるというところでございます。その中で、履修の証明ですとかスキルの認定というのは非常に重要になってくる、委員の御指摘のとおりかというふうに思います。

 特に、コロナ禍におきましては、オンライン講座の重要性、存在感が高まっているところでございます。その中で、デジタル人材プラットフォームに様々なコンテンツを掲載をさせていただいておるところでございまして、現在約二百十の講座を登録をしておるというところでございます。

 この中で、先ほど申し上げましたとおり、社内評価ですとか労働市場においてこのプラットフォームを有効に御活用いただくためには、オンラインでの受講も含めまして、講座を受講したことの証明を提供する、また、スキルがどの程度なのかということも含めて証明をしていくというのが重要かというふうに思っております。

 現在掲載されている講座につきましては、有償、無償のもの、それぞれございますけれども、約七十のオンライン講座を含みまして、全ての有償の講座につきましては、講座を受講された方に対しまして受講証明書が発行されるものとなっております。また、これらの講座におきましては、終了時のレベルチェックテストなどを通じてスキルが身についたことを確認をしているというものと承知してございます。

 今後、更に掲載講座の拡大を進めていくこととしておりますけれども、その際にも、有償講座においては必ず、また無償講座においても可能な限り、修了証明を発行することを求めていく予定としてございます。

平林委員 ありがとうございます。

 有償におきましては全て証明書、レベルチェックテストというお話だったかと思います。これは本当に重要だというふうに思っております。本人、受講する側にとってみれば当然励みになるというか、それを取得していこう、より高いレベルを目指していこうと。また、企業、採用する側にとりましても、こういう講座を受けてきている、また、こういう講座においてこれだけの能力を身につけてきているということが分かれば、より客観的に、より定量的に、その人材を評価することができますので、こういったことを本当に是非しっかりと進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

 続きまして、今のは質のお話でしたけれども、量に関しましてお話をさせていただければと思います。

 五年間で二百三十万人、これは私にとっては壮大に思える数字でございます。この目標を達成するためには、現在就業している方のみならず、今後就業を希望する人にも受講の機会が与えられること、これが重要だと思います。裾野を広げていくという意味だと思います。

 特に、地方におきましてはデジタル人材が不足をしております。そういった観点におきまして、我が党は、女性デジタル人材の拡大を強く推し進めさせていただいております。

 こうした希望者、これは別に男女を問いませんけれども、限定なく、受講環境が整っていない、今就業していらっしゃる方は整っているかもしれませんが、これからしていこうと思われる方の中には、受講環境が整っていない方もおられるというふうに認識をしております。ハードウェア、あるいは通信環境を含めたサポート体制、その周知体制を伺えればと存じます。

 本件、経済産業省と厚生労働省にまたがる内容になると思いますので、両省からお答えいただければと思います。

江口政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど御紹介をいたしました人材のプラットフォームにつきましては、この中にコンテンツを掲載をしてございますが、きっちりこの情報が皆さんに行き届いて、使ってもらえることが重要だというふうに考えております。この周知活動、特に積極的にこれを行ってまいるということとしておるところでございます。

 また、特に女性のデジタル人材の活用ということにつきましては、このプラットフォームの中でも、「特に女性におすすめ」と題した特設ページを設けて、プライベートとの両立ですとか一時的なキャリア中断など、様々な事情を抱えた人にとっても受けやすい講座を特出して掲載をするような工夫などもしてございます。

 これらは、企業や教育機関において、女性のキャリアアップ支援に取り組まれておられる方々、数多くいらっしゃいますけれども、この方々にも御協力をいただきまして、推薦をいただいたものを掲載をさせていただいております。

 さらに、特設ページにおきましては、厚生労働省の方で実施をしております求職者支援制度ですとか教育訓練給付制度など、政府が提供をしております女性デジタル人材育成に向けた各種施策なども御紹介をさせていただいておるというところでございます。

 今後、これらを活用いたしまして、多くの方々にデジタル分野のスキルアップに取り組んでいただけるよう、関係省庁と連携して、周知活動に努めてまいりたいというふうに考えております。

岡崎政府参考人 先生の御質問にお答えいたします。

 デジタル分野を含む公的職業訓練におきましては、パソコンを所有していないなど在宅での受講環境が整っていないという方がいらっしゃることは認識しておりまして、パソコンや通信機器の貸出し可能なコースも一部提供しております。

 また、そうしたコースにつきましては、訓練コースの情報の検索や提供を行うハローワークインターネットサービスにおいて、受講希望者がより検索しやすくなるよう、先般、運用の見直しを図ったところでございます。

 その検索方法については、厚生労働省のSNSを活用した周知、広報にも取り組んでおります。

 これらの取組によりまして、公的職業訓練を通じたデジタル人材の育成に努めてまいりたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。

 とりわけ厚生労働省さんからのお答えとして、検索が容易になったというお話がありました。我が党の竹谷とし子議員の要請を受けて御対応いただいたということで、感謝申し上げます。PC、モバイルルーターの貸出しをしている受講コースが容易に分かるようになっているということでございます。

 ただ、これは、あくまでコースを提供している企業や団体の、民間側の努力で実現をしているということと承知をしております。より利便性を向上させるためには、民間の努力だけではなくて、政府側の努力も含めて、こういったことがより柔軟になっていければと。PCや通信環境、あるいは、例えば人工知能をやろうと思ったら、クラウドの環境を使うと、そういった権利も必要になってきたりしますので、そういったことの支援もできればというふうに思いますので、引き続きの検討をお願いできればと思います。

 続きまして、ちょっと時間がなくなりましたけれども、元々前半に考えていました気候変動パネルの部分の一つだけお聞かせいただければと思います。

 報告書、前回の省エネ法の改正でも少し話をさせていただきましたけれども、ほかの先生も言われているとおり、結構難解な部分があります。その意味におきまして、私の理解を促すためにも、そうすれば国民の皆様にも広く御理解いただけると思いますので、今回の報告書が訴えているメッセージを端的に御教示いただきまして、そのメッセージに対する政府の意気込みも一緒に御披露いただければと存じます。よろしくお願いいたします。

岩田大臣政務官 お答えをいたします。

 本年四月に承認がされました気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの報告書におきましては、COP26より前に発表、提出された各国の対策では二十一世紀中に温暖化が一・五度を超える可能性が高いこと、一・五度や二度に抑制するためには世界の温室効果ガスの排出量を二〇二五年以前にピークとすることの重要性が示され、気候変動緩和策の一層の加速を改めて全世界に呼びかけているものと受け止めております。

 気候変動問題は、人類共通の待ったなしの課題でございます。我が国は、パリ協定の一・五度努力目標とも整合的な形で、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標といたしまして、二〇三〇年度には二〇一三年度比較で四六%削減をするということを目指し、さらに、五〇%の高みに向け挑戦を続けることを目標として掲げております。

 既に、パリ協定とも整合的で、高い野心の目標をNDCとして決定をし、国連にも提出済みです。また、このNDCと併せて政府内で決定を行いました長期戦略、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画などに沿った形で、この目標の実現に向けまして、徹底した省エネや再エネの最大限の導入、安全最優先の原子力の再稼働のほか、製造業における脱炭素化などをしっかりと進めていきたいと考えております。

平林委員 ありがとうございます。本当に精力的に取り組んでいただいているということで、感謝申し上げます。

 昨日、ニュースで脱炭素先行地域というものも発表されておりまして、非常に有益な取組と存じております。この取組を実施することによって課題が見えてくるということも重要であると思います。そうした課題も乗り越えまして脱炭素をしっかり実現していけるように、私もしっかり努力をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、一般質疑ですので、経済産業分野で重要と思われるトピックについて取り上げさせていただきます。

 まず、公取委員長にもお越しをいただきました。

 今、原材料価格が高騰しているということが新聞、ニュースでも取り上げられています。

 物価は、指数というのは二種類ございまして、企業間で取引をするその物価の指数が企業物価指数、消費者が買うときの指数が消費者物価指数というふうに、分けて調査が行われています。それを見ますと、企業物価指数はもう完全に、だあっと最近上がってきています。一方で、消費者物価指数も上がってはいるんですが、企業物価指数の上がりと比べると上がりが弱いということです。

 これはどういうことかというと、結局、企業が消費者にも価格転嫁ができない、それから、恐らく企業間の取引においても価格転嫁が難しいと考えている中小企業も多いものと思われます。

 これは、この数か月で急に起こった、まあ、ちょっとずつ兆候はありましたけれども、急にぐうっときていますので、まだ正確な調査もそんなに多くは出ていないんですが、生の声で聞くと、価格転嫁で困っている中小企業も多いということが実感で感じます。

 いろいろな学者の意見等も見てみても、海外の学者も、その国の、日本でいう公正取引委員会のような監視する機関に、その機関の役割だということを言っている声も大きいわけですが、やはり私も、公正取引委員会の役割は今大きいものと思われます。

 委員長、いかがお考えでしょうか。

古谷政府特別補佐人 御指摘のように、中小企業が労務費ですとか原材料費、エネルギーコストといったものの上昇分を適切に価格転嫁をして、賃上げが可能となるような取引環境を整備するということは大変大事なことだと思っておりまして、そういう趣旨で、昨年末に政府全体で転嫁円滑化施策パッケージというのが取りまとめられておるわけですけれども、公正取引委員会も、このパッケージに沿いまして、関係省庁と緊密に連携をして、独占禁止法と下請法、二つ所管しております、その執行の強化ということで取り組んでいるところでございます。

 具体的に申し上げますと、独占禁止法の執行強化に関する取組としましては、先月、転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれます二十二の業種に対して、独占禁止法上の優越的地位の濫用というのがありますが、それに関する緊急調査を行うことを公表いたしました。

 今後、速やかに、十万社程度になるかと思いますけれども、まず、書面調査を開始しまして、その結果を踏まえて、転嫁拒否が疑われる個別事案について立入調査を実施をいたしますし、関係事業者に対して具体的な懸念事項を明示した文書を送付することといたしております。

 それから、下請法につきましても、業種別の法律の遵守状況などについての報告書を六月までに公表しようということにしております。これに基づいて、問題の多い業種に対して、法遵守状況の自主点検を要請したり、こちらも重点的な立入調査を実施したいと思っております。

 公正取引委員会としまして、こういうふうに関係省庁とか事業所、事業者の皆さんからやはり広く情報を受けられるように、取引の実態を把握するための体制も強化をしております。従来より踏み込んだ取組を行って、買いたたきといった価格転嫁に伴う中小企業への不当なしわ寄せが起きないように、取引適正化のために実効性が上がるような取組を進めていきたいというふうに考えております。

落合委員 中小企業は雇用の七割を担っている。ここまで物価が上がったのはオイルショックのとき以来ということで、中小企業の経営者も余り経験していない状況が今やってきているわけでございます。今こそ市場の番人としての役割は大きいと思いますので。

 公取の方に、どれぐらい指導に入ったのかとか、そういう数字をと申し上げたら、まだ動いたばかりなので、まだ数字が正確には出ていないということでした。その数字等も私も見させていただきながら、適宜国会で取り上げさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 経産大臣に、同じような質問をさせていただきます。

 岸田総理も、下請Gメンの強化をするということを、総理大臣の口からもはっきりと本会議の演説等でもありました。ステルス値上げですとかコストカットで原材料費の上昇を吸収するとなると、また賃金を上げるための経済政策というのが実現が難しくなってしまうわけでございます。ですから、下請等が、あと消費者に売るときも、ある程度しっかりと値上げができる経済状況、取引状況をつくっていかなければならないわけです。

 これは、実際に下請Gメンはしっかりと機能しているんでしょうか。

萩生田国務大臣 原材料価格や燃料費が高騰している中、コスト増を取引先に転嫁することが困難だと感じている事業者が数多くおられると承知しています。こうした状況を踏まえると、サプライチェーン全体で適切に価格転嫁することができる環境整備が重要です。

 価格転嫁対策の一環として、本年四月には、下請Gメンを百二十名から約二百五十名に倍増させました。毎年約四千件程度実施してきた中小企業への取引条件全般に関するヒアリングについて、今後、倍以上の年間一万件を実施していく予定です。

 こうして下請Gメンが中小企業からヒアリングした情報は、業界別、企業別に整理をし、情報提供者がその親事業者等に特定されないよう細心の注意を払った上で、業界全体として、問題となる商慣行が確認できた場合、業界を所管する省庁や業界団体に業種別ガイドラインや自主行動計画の改定などを働きかけることで、問題の改善につないでいきます。さらに、個別企業において下請代金法違反のおそれがある事案が確認できた場合は、下請代金法による取締りの端緒情報として活用いたします。

 さらに、今年三月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査として、価格転嫁状況に特化した集中ヒアリングを二千件程度実施しています。今後、その集中ヒアリングで収集した情報などに基づき、価格交渉に積極的ではない親事業者に対して、下請中小企業振興法に基づく指導助言を実施することも検討してまいります。

 こうした下請Gメンの活動が価格転嫁の円滑化につながるよう、今後もしっかり取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 これも計画は調べて、ある程度分かったんですけれども、指導の実際の状況ですとかは、あと数か月ぐらいしないと数字が出てこないというようなことでした。これも重要なことであると思いますので、私も注視をさせていただければと思います。

 この件をいろいろ、価格転嫁できているかというアンケートをいろいろ見ているうちに一つ気づいたことがありまして、役所がするアンケートの数字よりも、中小企業団体などが自分たちで聞く数字の方が、価格転嫁できていないと答える割合が多くなっています。これは今回だけじゃなくて、もう何年も前からのを調べても、身内の団体の方が価格転嫁できていないと答えやすいのかどうだか分からないんですが、実際に、経産省の方々等が把握している数字よりも中小企業団体が把握している数字の方が、価格転嫁できていないという人たちは多いですので、それぐらいちょっと数字に差があるんだ、中小企業庁が把握しているよりももしかしたら多いかもしれないということを前提に政策を打っていただければというふうに思います。

 これは、このままいくと、もうすぐで物価上昇二%に達するかもしれないというふうに言われています。

 世界的に原材料高だということで、利上げをする国も出てきました。例えば、アメリカは去年でも五・七%成長しています。そういう景気がいい国は利上げをして、ちょっと景気の過熱を抑えながら、物価の上昇を抑えていくということをしています。

 しかし、一方で、まだヨーロッパ中央銀行等は利上げまでには踏み込めていない。それから、中国は逆に利下げを行っているわけでございます。

 これは、経済の状況がよくないとなかなか利上げはできないというような状況の中で、各国の金利差も開いてきてしまっているわけです。

 日本は、じゃ、海外と同じように利上げできるのかというと、もう二〇一八年ぐらいから経済の成長の力がちょっと弱まってきて、二〇一九年に消費税の増税をした、そこでかなりがくんときたところに、年明けにコロナが来たということで、かなり経済が弱い状況です。この中で、内外の金利差の是正というのは到底できるような状況ではありません。

 となると、金融政策、具体的な細かい部分は少しは微調整ができたとしても、抜本的に利上げには踏み込めないという中で、ほかの、金融政策以外の政策でこの物価高に対して策を打っていかなきゃいけない。しかも、経済にブレーキをかけない策を打っていかなきゃいけないということです。

 そうなると、私もいろいろ選択肢を考えてみますと、そんなには有効な策というのはない。その中で、やはり消費税減税、これは一つの、波及効果の高い、しかも今の状況に合った政策なのではないかと思います。

 物価に消費税というのは含まれていますので、例えば五%減税すれば、物価は五%近く下がります。それから、経済も活性化させるというような効果もある。スタグフレーションと呼ばれるような状況を回避するには、私は有効な一手は消費税減税であると思います。

 今日は内閣府の政務官にお越しをいただきました。かつては経済企画庁というものがあって、経済政策を練るときには、財務省に引っ張られ過ぎず、ある程度の財政のことも考えながら、しかし、総合的な経済政策を考えてきたわけでございます。

 政務官、消費税減税も今有効な策だと思うんですが、いかがでしょうか。

宗清大臣政務官 落合先生、質問にお答えをさせていただきます。

 まず、少しちょっと御説明の時間をいただきたいんですが、ウクライナ情勢等に伴う原油価格や物価の高騰等に対しましては、昨日二十六日ですけれども、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を取りまとめをしたところでございます。

 具体的にちょっと申し上げたいんですが、燃料油価格の激変緩和事業の拡充、業種別にきめ細やかな対策、生活困窮者への重層的な支援等によりまして、原油価格や物価高騰等が国民生活や経済活動に与える影響を緩和するとともに、省エネの促進、サプライチェーンの強靱化、賃上げや、先生先ほど御指摘のありました適切な価格転嫁の促進などによって、現下の状況を乗り越えて、コロナ禍からの回復を確かなものにする、こういった観点から必要な施策を盛り込んでおりまして、まずは、影響を受ける方々に速やかに支援が届くように、政府一体となって取り組んでいきたいと思っています。

 その上で、先生御指摘の消費税につきましては、全世代型社会保障制度を支える重要な財源でございますので、政府としては税率を引き下げることは考えておりません。

 また、景気対策として消費税を考える場合、税率の変更に際しまして、引下げ前の買い控え、引下げ後の反動増といった変動が生じることも十分に留意が必要ではないかというように考えております。

落合委員 なかなか、税のことになると、各省庁、どの省の方に聞いても同じような回答になってしまうのが残念なんですけれども、積極財政派の黄川田副大臣が来て賛同してくれればいいなと思っていたんですが。財務省も財務省で重要な役割を果たしていますが、やはり、景気が危ないときは思い切った施策をしっかり打っていくということが重要だと思います。

 経産大臣、通告していないですが、消費税減税も一つの強力な手だと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 物価高騰の中でいろいろなことを考えていかなきゃいけないというのは先生と同じ考えなんですが、消費税の場合は、使用目的を明らかにして増税をした経緯もありますので、その政策に穴を空けるわけにもいかないというふうに思っております。

 総理も、今のところ手をつける考えはないということを国会でも答弁していますので、政府の統一見解として、そうお答えさせていただきたいと思います。

落合委員 使用目的は明らかにしていますが、なかなかその目的に向かって使われていないというのも現状だと思います。

 先ほど申し上げた、消費税は物価に含まれているので、五%減税すれば、物価は五%近く下がる。

 それからもう一つ、納税しているのは実際には企業なので、企業の資金繰りも劇的に改善するというような効果があると思います。先ほどの、消費者物価指数より企業物価指数の方がかなり上がってしまっている今の日本経済の現状を考えると、消費者対策もあるんですが、企業の資金繰り対策としても私は消費税減税は有効であると。そう考えると、こういうスタグフレーションに入るかもしれないという段階ではかなり有効な策だと思いますので、是非、御理解をいただければと思います。

 経産大臣に、価格転嫁対策以外のことはまた改めて伺えればと思いますので、ここで、物価高騰の件に関しましては質問を今日は終わりにしますので、公取委員長、それから宗清政務官、お忙しい中ありがとうございます。

 では、産業政策について、大臣に後半は伺えればと思います。

 一人当たりのGDP、これは、購買力平価などで見ると、残念ながら韓国にも抜かれてしまいました。名目GDPもそう遠くなく抜かされてしまうんじゃないか、一人当たりのですね、というふうに試算がされています。何でこんなに経済成長できないのかなというのが、一つの、もう二十年ぐらいにわたってですが、課題でございます。

 最近は、IMFなど国際機関が、日本はしっかり分配していないから成長が阻害されているというような指摘をしています。したがって、我々は、しっかり分配をしていくべきだということを主張してきました。

 しかし、この十年ぐらい、政府は、分配のためにも、分配よりか成長なんだと言ってきたわけでございます。しかし、分配より成長と言っているその経済成長戦略も、じゃ、この十年何をやってきたのかなと、だあっと調べてみると、よく知られているものでは、原発輸出ですとか、カジノですとか、オリンピックですとか、私が子供の頃から言われてきたようなことがまだ成長戦略の柱になってきて、それで、その経済成長戦略も成功していない。そもそも、私は、時代遅れのものが成長戦略の柱になっているから成功しないんじゃないかなと思います。

 一方で、デジタルの時代が来るというのは三十年前から分かっていました。しかし、デジタルの投資額を見てみると、日本は、ほとんど、一九九〇年あたりから、デジタルの投資額は、ほんのちょっと伸びたぐらいで、ほぼ変わりません。そういう状況の中で、半導体のシェアは世界シェア五割から一割になり、携帯電話も、ガラケーの時代からスマホになったら、ほぼ日本のメーカーは姿を消し、先日取り上げたクラウドは年間一兆円赤字、再エネが伸びているという中でも、太陽光パネルも風力発電設備も作れないというようなことで、ことごとく成長市場からは後れを取ってしまっているわけです。

 もう一度メイド・イン・ジャパンを復活させて、世界における日本の地位を上げて、多くの日本人のお給料を上げて、内需主導で成長するんだというような成長戦略を行っていくべきであると思います。

 選択と集中というのがこの二十年間言われてきましたが、よく見てみると、何を選択したのかなと。選択と集中のためにこの事業を売却しますというニュースはだあっと出ているんですが、売却して得たキャッシュは配当ですとか海外投資に回って、日本の国内で投資に回らない、人件費にも回らない、こういった経済がもう二十年も続いてしまっているわけです。

 やはり、二十年間、これだけ成長市場で、逆に日本が撤退したりですとか後退してしまったわけですから、経産省の経済成長戦略というのは間違いだったんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 その前に、先生、せっかく御指摘いただいたので、Gメンなんですけれども、担当が多分、十分な成果とか数字を御報告できなかったと思うんですけれども、是非御理解いただきたいのは、Gメンなので、どういう素性のどういうキャリアの人がやっているかとか、どういう調査方法でやっているかとか、今の段階でどういう効果が上がっていると、本当は国会で報告をする方が私も気持ちいいんですけれども、そうすると調査する側が構えちゃいますので、いましばらく、ちょっと待ってください。またいずれ、きちんとした成果を報告したいと思います。

 我が国経済は、この十年間、潜在成長率が一%を切る水準が続き、御指摘のような産業分野においては国際競争力の低迷を脱することができなかったことは事実と認めなくちゃならないと思います。

 例えば、半導体については、当時の政府が半導体の重要性を十分に理解できていなかったことや、世界の半導体産業の潮流を見極めることができず、国策として半導体産業の基盤整備を支援する姿勢が不十分だったことに加えて、日の丸自前主義に固執して、イノベーション力や販路開拓の面で劣後したことで、国際競争力の低迷が続いたと思います。

 また、太陽光パネルについては、二〇一〇年代に欧州や中国などでの導入が加速化して海外市場が急拡大する中で、半導体産業と同様に、国内外の動向や将来見通しなどの潮流を見極めることができなかったこと、これに付随して、市場の拡大を見通した設備投資の不足によって生産体制の構築や価格低減競争に敗れたことなどが相まって、国際競争力を失ったと認識をしております。

 この間、政府としても、例えば、二〇一三年以降、日本再興戦略を策定し、成長戦略に取り組み、GDPや雇用の拡大、総雇用者報酬の増加といった成果はありましたが、御指摘のように、個別の産業分野の競争力の強化や潜在成長率などの回復に至らなかったのは事実です。

 そのため、こうした課題の解決に向けて経済産業政策を、経済産業政策の新機軸として議論しているところです。グリーンですとかデジタルですとか経済安全保障などの社会課題の解決が未来の成長の種にもなるという考えの下、政府も民間も一歩前に出て投資を拡大していくことが重要であって、大規模、長期、計画的に支援していくことなどについて議論を行っています。

 こうした検討の成果を取りまとめた上で、あらゆる政策を総動員して、日本経済の成長に全力で取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 前の政権よりは、間違いの部分もしっかり答弁するようになってきているということは、私は前進だと思います。ただ、二〇一三年以降こういうのを行ってきて、しっかり結果も出てきているけれどもまだ不十分というところは、私は間違っているんじゃないかなと思います。

 例えば、しっかり成長戦略がばしっといっていれば、潜在成長率は上がっているはずなんです。しかし、下がっています。

 それから、今まで、内閣府が出す潜在成長率と日銀が出す潜在成長率は大体一致していたのに、この数年前から、日銀の出している潜在成長率はほぼゼロ、内閣府の潜在成長率はちょっと上なんです。数字にもそごが出始めているということは、私は大変危機感を持っています。

 やはり、失敗を認めなければ、また同じ失敗を繰り返してしまう。これだけ企業の競争力が落ちてしまったんですから、本気で失敗を認めて、認めて説明することで国民の理解が得られれば、もっと財政支出もできるはずです。私はしっかりと事実を説明するべきであると。潜在成長率がゼロであれば成長できませんので、成長戦略を本気で打っていく必要があると思います。

 今日、私、今後可能性がある分野を二つ取り上げさせていただきます。

 水素製鉄です。

 製造業のCO2排出量の四割が鉄鋼業界です、日本はですね。これはかなり大きいわけです。研究開発に今まで四、五千億ですか、かけてきて、今、公的資金も二千億近くですかね、入れる予定で、かなり世界のトップランナーとしてリードしています。しかし、実用化までは四兆円以上投資が必要で、製造業全体で水素化していくためには二十兆円ぐらい必要だということです。

 ただ、ここの分野は日本が今トップを走っているんです。実装化のために、やはり国が前面的に立っていくべきであると思います。

 大臣、この分野、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 製鉄プロセスでは、高温の熱とともに、現行技術では鉄鉱石の還元にコークスという炭素を用いる必要があり、大量のCO2を排出します。このため、カーボンニュートラルの実現に向けて、技術開発が喫緊の課題です。

 特に、炭素の代わりに水素で鉄鉱石を還元する水素還元製鉄の技術は、難易度が非常に高く、世界的にも未確立な部分も多く、民間の取組だけでは進みません。そのため、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用して、国と民間が連携して、社会実装まで目指した革新的な技術開発を今進めております。

 具体的には、水素の燃焼特性に合わせて鉄鉱石や水素、酸素の投入量を最適に制御するための技術開発ですとか、これまでの試験炉よりも規模を拡大した実証炉の建設などに取り組みます。

 こうした製鉄プロセスにおける脱炭素技術の開発は、諸外国の主要な鉄鋼会社が取り組むなど、国際的に激しい競争となっております。経産省としては、我が国の鉄鋼業が引き続き国際競争力を維持できるよう、他国に先駆けた技術開発から社会実装に向けた取組を最大限支援してまいりたいと思っています。

落合委員 先ほどの失敗の話で考えますと、割と日本は、研究開発段階ではトップランナー、しかし、社会実装で負けて、結局、あの研究開発は何だったのかというようなことになってしまうわけです。

 社会実装のところまで政府がバックアップをするというのは、今までは世界では余りなかったわけですけれども、もうだんだんと世界の産業政策が変わってきて、国の関与が、ここ一、二年で急に強く各分野に関わるように、各政府、なってきました。こういう、トップを走っている分野で、世界がしのぎを削っていて、明らかに可能性がある分野は、集中的に成長戦略として掲げていくべきだと思います。そうすることで、今、社会にはじゃぶじゃぶお金が余っていますので、資本市場から資金は調達できますので、好循環をそういった形で生んでいくということが重要だと思います。

 それから、ドローンなんですけれども、これは、世界シェアを見たら本当に残念な状況です。日本のメーカーが全く出てこない。それから、中国が世界シェアの七割ぐらいでしょうかを握っています。二年前にドローンの開発などの支援を行う法案も通しましたが、今、国内の数字がなかなか出てこないんです。

 大臣に伺えればと思いますが、国内市場での日本製のドローンのシェア、それから、これは法案を通した後にどれぐらい適用されているのか、支援をですね。

 それから、これは重要分野だと思います。次の法案では保守点検についても出てきますけれども、農水産業も使えますし、ほかの分野でもかなり可能性があるのがドローンです。空飛ぶスマホとも言われています。これも重点的に、かなり市場規模が大きくなる分野だと思うんですが、大臣、少しは日本の産業もこれを作れるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 国内ドローン市場における国産機体のシェアについては、これを直接調査した数値を把握していませんが、世界市場に目を向けますと、現在、約七割が中国製であることを踏まえれば、国内市場においても国産機体のシェアは低いと想定されます。

 本年六月に開始される航空法に基づく機体登録制度を通じて、政府として、国内ドローン市場における国産機体のシェアの把握を努めてまいりたいと思います。

 その上で、5Gドローン法は、安全、安心な5Gやドローンのシステムの早期普及を後押しするため、それらの開発供給や導入を図る計画の認定を行い、各種支援策を講じるための法律です。

 ドローンについては、一件、国内メーカーによる開発供給の計画を二〇二一年十月に認定した実績があります。

 先生御指摘のとおりでございまして、私、当時、オリンピックの責任者だったんですけれども、開会式のドローンは非常に評価が高かったんですけれども、プログラミングはもちろん日本の技術でやりましたけれども、飛んでいたドローンはアメリカ製ということでございまして、ちょっと残念な思いがいたしました。

 これも十分、さっき、いい提案をいただいたように、開発段階、研究段階では先頭を走っているのに、いつも社会実装で追い越されちゃうという、この負けパターンをずっと続けてきましたので、今回、半導体のように一歩前に出て、政府も一緒になって投資をし、社会実装、伴走していくということを考えています。ドローンもいける分野だと私思っていますので、先ほどの水素製鉄と併せて、是非しっかり前向きに取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 これで終わりますが、成長戦略、重要な段階に来ました。我が党も案を近々出す予定です。それから、物価高対策のために、消費税減税も含めた補正予算案も先日発表しております。この国の経済をよくしていくために、是非、切磋琢磨を政策でできればと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、山崎誠さん。

山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速ですが、これは、続けてのお話で大変恐縮なんですが、決着しておりません。非常にいろいろな情報をいただいておりまして、早く結論を出してもらいたいということでございますので、改めて取り上げさせていただきます。

 五番に掲げました東京電力福島第一原発事故の避難者の件、国連のダマリー特別報告者の訪日調査の件でありまして、外務副大臣、そしてこの間の委員会では復興庁の方にもお話を聞いて、検討中だということでありまして、早くこの受入れを決めていただかないといけないのではないか、いつまで調整をしているのか、検討しているのかということだと思います。

 私もこれは早く決着をつけたいんですが、いつまでたっても変わらないんです。これは二〇一八年から続けていますので、もういいかげんに、ダマリーさんの任期も迫ってきているということですので、今日、結論を出していただきたいということで、質問いたします。

 訪問の承認の公式の書簡が届いていないので、ダマリーさんも、その先の様々な調整がなかなかできないということのようでございます。公式な承認の書類というものが発出されていないということ、これは事実でしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ダマリー国内避難民特別報告者の訪日の要請の受入れにつきましては、外務省が窓口となり、同特別報告者と累次、意見交換を行うとともに、先方の考え方などを、復興庁を含む関係府省庁に伝達してきておるというところでございます。

 ダマリー国内避難民特別報告者からは、九月の最終週から十月中旬にかけての訪日を希望するという旨を私ども聞いておりまして、これを踏まえて現在検討を進めているというところでございます。

 政府といたしましては、早期に回答できるよう調整を進めていきたいと考えておるというところでございます。

山崎(誠)委員 具体的にダマリーさんの来日の要望なども聞いているということでありまして、早急にという御回答ですので、その言葉を信じたいんですが、公式の承認の書簡というものは発出するんですね。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げたとおりでございますけれども、まさに今現在検討を進めているというところでございまして、政府としては、早期に回答できるように調整を進めていきたい、早期に回答できる段階におきましては、先方に対して回答するというところでございます。

山崎(誠)委員 ダマリーさんからは、連絡がないので心配だというようなことをお聞きをしております。

 これは、公式な承認の書簡を出すということでいいですね。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに早期に回答できるように調整を進めたいと考えているというところでございまして、しかるべき段階におきましては、しかるべき形での回答をさせていただくという形になろうかと存じます。

山崎(誠)委員 しかるべき回答というのは、公式な承認の書簡だということでよろしいですか。

遠藤政府参考人 これまで、私どもといたしましては、ジュネーブにあります代表部の事務所と国連人権高等弁務官事務所の担当部局を通じまして、先方とはやり取りを随時させていただいているというところでございますので、そういった形でしかるべく回答をさせていただくということになろうかと存じます。

山崎(誠)委員 しつこくて申し訳ないんですが、ダマリー特別報告者は、公式な訪日の承認の書類がないと、先方の方の手続も進めるのが難しくなってしまうので、公式の承認の書類が欲しいという要望が来ているんです。だから、それが出せるのか出せないのか、それを早く出していただきたいというのが御要望です。

 公式な承認の書簡を出す、出さない。出さないという選択肢がまだ残っているんであれば、それも含めてきちっと回答していただきたいんですが、いかがですか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、早期に回答できるよう調整を進めたいというふうに考えておりますし、その段階におきまして、しっかりした形で早期に回答できるように進めてまいりたいと思っております。

山崎(誠)委員 これは公式な書簡を発出するというふうに取ってよろしいですね。そう取るしかないので。是非早急に、先ほどお話がありましたとおり、前に進めていただきたい。

 復興庁の方も来ていただけましたので、本件、調整は進んでいるということで、受入れの準備は進めているというお話を聞いておりますが、それでよろしいですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 ダマリー特別報告者の訪日要請につきましては、外務省を通じまして、先方の考え方などの共有を受けております。実際に具体的な日程が固まりまして訪日をいただく際には、先方の御要望を踏まえまして、被災地での視察ですとか、避難をされている方々との面会といったようなアレンジに協力をしてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 いろいろなヒアリングの中でも、復興庁、前向きにこれは対応したいということでお話をお聞きしております。是非、本当にこれはもう早く、避難者の皆さんも待ち望んでいる。日本としても、これを先延ばしていいことはありません。きちっと受け入れて、日本はこういうふうにちゃんと対応しているんだということを公にする方が、私は、日本にとっても、今の皆さん政府にとってもプラスだということだと思いますので、堂々と受入れを決めていただいて、早く受入れを進めていただければと思います。

 そして、この避難者の問題、もう一つだけ別なテーマを取り上げさせていただきます。

 帰宅困難区域にお住まいの方の声でありまして、今、特別復興再生拠点区域というのが、いろいろ除染が進んで整備が進んでいますが、それに外れている地域がまだ広く残っているわけであります。そうした地域にいる方、特に、もうあれから十一年もたちますし、高齢者の方々が、自宅に戻りたいという強い思いを持っていらっしゃいます。これはもう、被災の直後からずっとそういう思いが募っているということであります。

 そうした中で、今、一時帰宅というのが許されているわけですが、例えば、この回数制限、年間三十回だとか、そういう制限がありまして、なかなか自由に帰れないというお話であります。また、これはなかなか難しいのは分かるんですが、スクリーニングの手続なんかがあって、なかなか簡単に自宅に帰れないような状況になっているというお話であります。

 繰り返しますが、高齢者の皆さん、少しでも家を見たい、家にいたい、そういう思いがございます。是非、こういった声にもお応えができるように、十一年たちます、地域の環境、被災地の環境も変わってくる中で、こうした声に少しでも対応いただきたいんですが、いかがでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 帰還困難区域への一時立入りについて、三十回の回数制限を緩和してほしいという地元からの御要望があること、私ども承知しております。

 一時立入りにつきましては、放射線による影響を防ぐために原則として年三十回以内としておりますけれども、住民の方々の個別事情を踏まえまして柔軟に対応することとしておりまして、実際に、三十一回目以降の立入りも、状況に応じて認めております。

 また、先生から御指摘ございましたスクリーニングに関しましては、立ち入る方々への被曝管理や放射性物質の拡散、汚染拡散防止のために、どうしても一定の手続が必要になるところは御理解をいただきたいと思います。

 御指摘ございましたけれども、今後も、地元からの御要望を踏まえまして、可能な限り住民の皆様の御意向に配慮した形で一時立入りを進めていきたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非、ここは柔軟に、地域の方と膝詰めで御検討いただきたいと思います。

 それから、町の復興をどういうふうに進めていくか、これは非常に悩ましい課題ではあると思うんですが、聞いたお話、そういうこともあります。

 例えば、自分の家は比較的状況がよくて、帰って住みたいと思っているけれども、周りの家を見ると、荒れてしまって、とても戻るような状態じゃない。そうすると、地域を見渡すと、自分の家だけぽつんと残るような、そんな復興になるんじゃないか、そんな思いを持たれているわけですね。

 これは、ここですぐお答えができるわけではありませんが、やはり十年を経て、もう十一年ですね、時間が過ぎていく中で、復興の在り方とか、地域の皆さんの思いとか、本当に帰りたいという方が何%なのか、そういうのは日々やはり変わっていく、そういう思いをしっかりと受け止めた復興のビジョンというものを是非作っていただきたいと、改めてお願いなんですが、いかがでしょう。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 まさに御指摘がございますように、年月の経過に伴いまして、住民の方々の御意向というのも変わっていくことはあろうと思います。

 私ども、避難指示の解除を担当しておりますけれども、避難指示の解除がゴールではないと思っております。年を経るに従って課題も変わってきておりますので、そういったところを、今、膝詰めというお言葉ございましたけれども、私どもも現地に職員を派遣しておりますので、しっかり御意見を聞きながら、恐縮でございます、すぐに全て解決できるわけではないんですけれども、一歩一歩解決しながら、復興に向けて進んでいきたいと考えております。

山崎(誠)委員 是非、ここは柔軟に、一度決めたことだからということではなくて、やはり現場、あるいは本当に避難されている方々の声に従った対応を取っていただきたいとお願いをしておきます。

 五番を終わりまして、では次、一番の問題に戻らせていただきます。

 今、電力の市場価格の高騰、それを受けまして、新電力の経営が本当に行き詰まっていて、倒産、廃業というお話が増えている、今そういう状況であります。

 資料一を見ていただくと、これは帝国バンクがまとめたデータなんですが、市場での価格、この折れ線グラフが調達価格の平均ということで、二一年の一月ですね、大変な高騰があって、その後、一回落ち着いたように見えますが、高止まりで、そのまま今高騰が続いている。販売の利益の平均というのがこの棒グラフでありますが、それを見ても、この一月は大変、マイナス四万六千円という数字になり、二二年、今は本当にこれが百九十円とかそういう数字になってしまって、本当に経営が成り立たなくなっているということであります。

 こうした新電力というのは、自前の発電所を持っていなくて、調達の多くを卸売の市場に依存している、そういう性格であります。この市場の大きな変動を受けて、支払いの、例えば、この調達価格が上がることで採算が極めて悪くなる。あるいは、インバランス料金、そういったものも負担を強いられることになって、大変厳しい。そしてまた、消費者にその分値上げを申請できるかといえば、いろいろな契約の形もありますし、また、それをなかなか転嫁しづらいということで、何か耐えて耐えてやっていく中で、今廃業せざるを得ないというようなことが起きているということであります。

 私は、これは、いろいろな理由はあるとしても、やはり市場のこのメカニズムが、今まだまだ未成熟なんじゃないかな、改善の余地もいろいろあるんではないかというふうに思っているところでありまして、これは大臣、この調達の問題、あるいは新電力の倒産、廃業について、覚悟を持って参入すべきだと、もうかりそうだと簡単な思いで参入した企業があるとすれば考え直してもらうという発言をされているようでございますが、一定、それは、ただ単にもうかるからということで飛び込んだ会社があったのかどうか、それも問題でありますけれども、私はこれは、覚悟の問題かというと、そうでもないんじゃないかなと。

 今お話ししたように、市場はその覚悟を超えて、非常に経営を圧迫している状況です。これをどういうふうに対応していくのかというのは、やはり経産省も知恵を絞っていただきたいんですが、大臣、これは覚悟の問題だけでいいのかどうか、ちょっと御見解をもう一回確認させてください。

萩生田国務大臣 我が国では、発電量の多くを火力発電で賄っておりまして、燃料価格高騰に伴い、卸電力市場価格が上昇すること自体は、市場として自然な動きであります。また、足下のこの状況は、日本だけではなく、諸外国においても生じていると認識しています。

 このように、市場価格は高騰することもあるため、新電力が卸電力価格の低下だけを期待して、過度に電力卸市場での電気の調達に依存するのは、経営の安定等の観点から、必ずしも好ましいものではないと思っています。

 このため、資源エネルギー庁では、先物取引などヘッジ策の周知、広報等に注力しているところでありまして、こうした取組などを通じて、新電力の中には、あらかじめ対策を講じていた事業者も存在しているのが現状であります。

 先生、よく私の発言を都合のいいところだけ切ってよくお話しされるんですけれども、覚悟だけの問題じゃないですよ、おっしゃるように。

 そのことだけを私言っているわけじゃなくて、もちろん、市場開放して、新自由化で多くの皆さんが参入したことはいいことだと思うんですね。だけれども、常に市場で一番安い電力だけを買おうとしているとやはりこういうことになると思うので、先物なども含めて、安定した、しっかりとした、電力を供給する会社になるわけですから、供給できないかもしれないという会社になってもらっちゃ困るという意味での覚悟はしっかり持ってもらうべきだと思っております。

山崎(誠)委員 別に言葉尻を捉えたいわけじゃないんですが、この覚悟という言葉がやはり非常にインパクトのある言葉だったと思うので、あえてお聞きをしました。

 例えば、じゃ、ガスの火力の電気がどういう状況で市場に供給されているかというと、長期契約で比較的安定した価格の電気は、相対の契約優先でそちらに流れて、市場に流れているものが、ガスをスポット価格で購入したような高い火力になっているという、そんなお話もあるんです。

 これは、全体のバランスをどう取るかというのは難しいんですけれども、非常に高いガスの電気が流れているというような傾向がやはりあるので、市場での価格が高くなるのではないか、そんなお話。

 あるいは、再生可能エネルギー、FITの価格もこの市場連動なんですよね。だから、市場の、火力発電などの影響を受ける高い市場の価格を、FITの再生可能エネルギーの電源の価格も、影響を受けてしまう。

 これは、単純にはなかなか言いにくい、大変その価格設定の複雑さがあるのは分かりますが、一般的に考えて、再生可能エネルギー、資源を調達するのと関係なく発電ができるはずの電気が、何で火力発電に引っ張られてしまって高くなるのか。

 もちろん、調整力として一定、火力が必要だというのは分かりますが、それでも、火力の値段が上がることで、そのままの価格を再エネが負担しなければいけないというこの仕組みも、私は一考の余地があるのではないかなというふうにも思います。

 市場のこういう問題をどういうふうに考えていくのか。今後、この市場のメカニズムというものを更に、まあ、いろいろな修正をしていただいているのも分かります。インバランス料金について、四月一日から新しい制度を動かしていただいたりしていただいて、分かりますが、更にできること、あるいはそういう価格設定についての工夫、あると思うんですが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたように、昨年も電力の需給の逼迫と市場の高騰問題というのがございました。委員会の中でも様々御指摘も頂戴し、審議会の中でしっかり検証した上で、先ほど委員の方から例示いただきましたようなインバランス料金の見直しを含めて、様々な手だてを打ってきているところでございます。

 今起こっておりますことは、基本的には、燃料価格の高騰ということに伴う国際的な市場価格の高騰ということがベースにはあると思います。ただし、御指摘のとおり、市場のシステム自体は、直面する課題、課題に応じて、不断に見直しをしていかなければならないと考えております。

 先ほど御指摘いただきました点について申し上げていきますと、卸市場に対する玉出しといいますか、供給力として出されているものがちゃんと出ているかどうかという点につきましては、電力・ガス取引監視等委員会による市場監視の強化というのを行ってございます。具体的なその札が、ちゃんとした形になっているかどうか、売り渋りがないかどうかということをチェックする仕組みになっております。その水準というものをチェックするような形にしてございます。

 また、インバランス料金自体についても、不当に高い価格にならないという、適切な価格形成が重要だと考えておりますので、従来の市場価格に連動した算定の仕組みから、今年の四月より、実際に使用される電源の価格に応じた水準算定の仕組みに変えたところでございます。

 また、先ほど、FITに伴います再エネによる電気が市場の価格全体を押し下げているという問題は、FITを導入する国が卸市場の価格形成においては必ず直面する大きな課題であることもよく認識しているところでございます。

 逆に言いますと、電源の維持をするために、いかなる形で補助する、若しくは支援する仕組みが必要なのか、再エネを入れるためにも、調整力が足りなくなるのではないかというような課題が様々指摘されているところでございますので、市場の制度の在り方、そして供給力の在り方を含めて、電力のシステム、不断の見直しをしっかりと進めていきたいと考えてございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 電力自由化の目的は、やはり電力価格の抑制であったり、事業機会を拡大していくとか、あるいは情報の透明性の確保だとか、安定性の確保だとか、そういったことが言われているので、今、この市場の動きというのは、こういったことに反するようなことが次々、残念ながら起きちゃっていると思います。やはり自由化の本来の目的を達成するために、市場の在り方、もう一回ここはしっかりと原点に立ち戻って見直していっていただきたいというふうに思います。

 そして、私は、覚悟の問題もありますが、市場の機能の異常によって営業が立ち行かなくなっているような新電力については、一定の経営支援というのは、なかなか難しいかもしれませんが、是非検討すべきじゃないかと。

 これは、このグラフであります、どんと下がったときの、一か月続いた電力の高騰、市場の価格の高騰のときにもお願いをしたんですけれども、これを一事業者の責任にするのは本当に私は不適当だと思うので、是非そこは検討をいただきたいと思います。短めで。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の小売事業というところについては、先ほど大臣からも御答弁ございましたけれども、電力というものがコストの面、サービスの競争という面があるとともに、どうしても価格の変動というものに対してどうリスクを管理するかというのが非常に大きな事業戦略になっているというのが現実でございます。

 そういう中で申し上げますと、リスクのヘッジですとか、先物の確保ですとか、相対取引の確保ですとか、そこに競争制限的なことがあってはいけません。これはしっかりやっていかなければならないんですけれども、こういったことをやってうまくいく事業者さん、それによってうまくこれからもこういうリスクを乗り越えていかれる事業者さんの努力というものと、一方で、なかなか難しいことに直面している方々に対する手をどう差し伸べるかということについて、競争という中でどう考えていくかということは、私どももしっかり考えなきゃいけない。

 そういう中で言いますと、ヘッジの仕方、先物の在り方、様々なことについての説明会若しくは事例集みたいなことを作りまして、リスクに対する備えをされる事業者に対する支援をしっかりとやっていきたいというふうにまずは考えております。

 もちろん、それで問題が出てくる事業者さんに対して、日本政策公庫による貸付金利の引下げ等の支援措置ということも併せ講じるわけですが、こういった競争の中で生じている事業の環境の維持ということに対しては、私ども、様々な側面も踏まえながら対応していきたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 次、三番に移らせていただきます。

 再生可能エネルギーの導入促進、太陽光発電について、前回はソーラーシェアリングの件でお聞きをしました。目標設定して、これも取組を進めていただきたいということでお願いをしたところであります。

 今日取り上げたいのは、同じ農地なんですが、資料の三番を見ていただきますと、これは、再エネに関する規制改革タスクフォースの検討結果を踏まえて、荒廃農地で太陽光発電を行うことができる、非農地という判断をして、そこを使って再生可能エネルギー、太陽光発電ですね、これを実行するという新たな流れ、スキームができ上がったということであります。

 これを見ていただくと、三番の資料の上の図で、荒廃農地が、全体、二十八万二千ヘクタールあるんですね。その中の再生利用困難というのが十九万二千ヘクタールあるということでありまして、この再生利用困難というところについては非農地の判断をして発電ができるということであります。

 この十九万二千ヘクタールという大変な広さの土地が再生可能エネルギーの導入に利用可能だということであります。これは単純にはなかなかいかないと思いますが、これは使うとどのぐらいの発電が可能か計算できますか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この面積を全て使えば、能力によりますけれどもかなりのワット数が出るとは思いますけれども、やはり太陽光なので、天候によるものであるとか、あと電力系統への接続の問題もありますので、ちょっとにわかに数字がそのまま出るということではありません。

山崎(誠)委員 ちょっとこれは経産省の方も、専門家がいらっしゃるから、私、ざっと計算して、正しいかどうかなんですが、大体一ヘクタールで一メガワットぐらいの設備が設置できる。大丈夫ですかね。

茂木政府参考人 平均でいうと一ヘクタールで一メガワットということでもなくて、農地でやる場合には五百キロワットとか半分ぐらいというふうな試算もあるように聞いております。

山崎(誠)委員 ちょっとその試算が分かりませんが、まあいいです。

 じゃ、大体五百キロワットぐらいだというふうに想定をして、例えば、十九万二千ヘクタールあるわけですから、これを全部入れるのはあれかもしれませんけれども、私の試算との間を取って、大体これを入れれば百ギガワットぐらいにはなるんですよ。

 そういう計算でよろしいですか。

茂木政府参考人 私自身、今ちょっと暗算で計算ができませんので、先生の御指摘の計算が正しければそういうことかと思います。

山崎(誠)委員 これは、大体百ギガワットとか、そういうスケールの発電が可能な面積になるということだと思います。これはまた検算してみたいとは思いますが。

 それで、二〇三〇年の太陽光発電の導入目標、幾つですか。

茂木政府参考人 まず、現在の太陽光発電の導入量が昨年度末で六十二ギガワット、六千二百万キロワット程度だと思います。

 それで、二〇三〇年の導入目標は、百十から、ちょっと正確な数字が今出てまいりませんが、百十ギガワット超であるというふうに認識しております。

山崎(誠)委員 百十ギガワットなんですよ。

 今お話しした十九万二千ヘクタールのこの土地は、これは何割ぐらい使う予定ですか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 国民への食料安定供給のため、国内農業生産の基盤である優良農地を確保していくことは非常に重要であると考えております。

 一方で、荒廃農地については、その解消が急務でありまして、先生も御指摘いただきましたけれども、再生利用及び発生防止の取組も進めまして、こうした取組によってなお農業的な利用が見込まれないものも存在するということでございます。

 二〇五〇年カーボンニュートラル社会の実現、重要な課題と認識しておりまして、農林水産省としましても、先ほど先生が申し上げられましたような、農業的な利用が見込まれない荒廃農地についてはしっかり活用していくということでございます。

山崎(誠)委員 私が聞いたのは、目標設定をしている百十ギガワット、二〇三〇年のこの中に、この今言ったような十九万二千ヘクタールという荒廃農地を使った発電は何%ぐらい含まれていますかという質問です。

 時間がないので、何かこちゃこちゃやっていますけれども、要は、これ、きちっと開発をすれば、少なくとも五十ギガ、六十ギガワット、まあ全部とは言いませんよ、発電できるんですよ。

 今、供給不足、供給不足というお話が出てきます。太陽光発電は、本気でやれば一年、二年で立ち上がる発電だから、極めてこの土地をうまく使えば供給力を増やすことができる。もちろん、太陽光ですから変動型の電源ではありますが、例えば揚水発電だとか蓄電池だとか、そういうものもきちっと組み合わせて使えば、五十ギガワットぐらいの追加の発電を比較的短期間で、三年、四年、五年、そういうタイムスケールで得ることができるのが日本のポテンシャルなんですよ。

 これを是非前向きに活用、きちっと計画を立てて進めていただきたいんですけれども、いかがですか。

古屋委員長 茂木部長、簡潔にお願いいたします。

茂木政府参考人 太陽光発電については、再エネの目標の中で、今後の導入拡大については非常に重要なエネルギー源だという理解をしています。

 農地の活用については、先ほど農水省からも答弁がありましたとおり、立地場所あるいは農地の確保との観点で、どの程度確保できるのかということを考慮しながら進めていく必要がありますので、今のエネルギー基本計画の中では具体的な数字を明示的にお示しして目標設定しているわけではございません。

 ただ、いずれにせよ、太陽光については、こうした農地の活用だけではなくて、屋根置きの太陽光の普及ですとか、それから地域の理解を得ながら立地を進めていく、こうした取組をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えています。

古屋委員長 山崎誠さん、終了してください。

山崎(誠)委員 終わりますが、これ、見てください。農水省がしっかりと計算して作った資料、この中にこれだけのポテンシャルがありますと。これは使えるんですよ。是非こういうものを想定した計画、早く作ってください。お願いします。

古屋委員長 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 一番最初の質問のときに校長出身ですということを申し上げたんですが、実は、今日、そのもう少し原点のお話からさせていただこうと思いますが、校長を五年間やる前はソフトバンクの社長室に八年間おりまして、そのときの一番大きなことが東日本大震災でした。

 東日本大震災がありましてから、当時のソフトバンクも、まさに今、山崎先生お話あったような太陽光事業等を始めましたが、実は、私個人は、孫正義社長から百億円寄附をお預かりして公益財団をつくりまして、そちらの専務理事を務めておりました。その専務理事を務めていく中、震災復興にずっと携わってくる中、特に福島の双葉郡の復旧復興に関してずっと関わらせていただき、特に、震災から五年間、二〇一六年までは主にその仕事を、民間企業に勤めながらではありましたけれども、ずっとさせていただいております。

 そのときの一つ大きな仕事としては、これは文科省の施策になりますが、福島県立のふたば未来学園という中高一貫校を設立するところをお手伝いしてきたということは、非常にいい施策だったというふうに思っております。

 実は、この学校をつくる議論の中で福島イノベーション・コースト構想という話が出てきて、どちらかというと、私や、私が議論していた人たちは教育関係者が多かったですので、イノベ構想というものが経産省の皆さんから出てきて、こういうことが始まるんだなということが、そのときには思いながら聞いてはいたんですけれども、僕もそれを見届けることなく札幌に高校の校長で行きましたので、実際、震災復興に関わっていた五年間はほぼ毎月と言っていいほど双葉に通い詰めてはいたんですが、それ以来、なかなか行くケースもありませんし、今、国会議員としてもまだ当地には伺えてはおりません。

 現状、福島イノベーション・コースト構想がどのようになっているのかというのをまずお聞かせいただきたいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 幾つか、具体的な数字でお答えを申し上げます。

 福島イノベーション・コースト構想の推進により、これまでに、福島ロボットテストフィールドを中心に七百八十五件の実証試験の誘致、それらに伴い六十五社のロボット関連企業の新規進出、廃炉に用いる金属製容器の製造等、地元企業が新たに廃炉関連産業で二百十件の案件を受注するなどの成果が出ております。

 済みません、二つ、事例の紹介をさせてください。

 昨年十月に福島ロボットテストフィールドで開催された国際的なロボット競技大会、ワールドロボットサミットでは、地元の高校生が操縦するロボットが国際大会の災害対応部門で準優勝を果たしました。

 また、福島水素エネルギー研究フィールドで製造した水素が、昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックなどにおいて活用されております。

 こうした実績を積み重ねてまいりたいと考えております。

荒井委員 実は、あのとき、二〇一三年、四年とかだったと思いますけれども、そのときに、学校をつくって、まだ多くの人たちが避難していた状況でしたので、学校をつくるという議論すら非常に危なっかしいというか、本当にそんなことができるのかというような雰囲気があった中で、あのイノベーション・コースト構想の話は、当時まだ、地元の人たちからすると全然、先々過ぎて、地に足が着いていないような、そんな雰囲気もある一方で、本当にそういうことができるんだったらありがたいというのが、率直にそのときに僕は地元の人たちのことからは感じた気持ちでした。ハンフォードの話とか、いろいろなことを当時の経産省の方々が一生懸命説明していたというふうに思います。

 実際、こういったイノベーション・コースト構想が進んできている中で、予算的な措置がしっかりこの後もされていくのかどうか、これは結構地元の人たちの大きな期待をしょっているんじゃないかというふうに感じているんですが、この先の見通しはいかがでしょうか。参考人、お願いします。

須藤政府参考人 予算の確保はまさに重要だと思っておりまして、もちろん、中身があっての予算だと思っておりますけれども、私どもがやっております例えば研究開発の予算なんかも、日々、中身を変えて、例えば地元への裨益が大きくなるものを優遇するですとか、改善を重ねながら、必要額をしっかり今まで確保してきていますし、これからもそれを続けていきたいというふうに思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 今日は、新聞記事を一枚、資料としてお持ちしました。

 二〇一四年の三月十一日の直前の記事ではありますが、一人の、僕も当時知り合いになった高校生の新聞記事になります。お父様が東電の、実はF1の吉田所長に非常に近い立場で働いていたお父さんだというふうにその後伺いましたけれども、そこのお嬢さんが非常に苦労しながらということを新聞記事で書いています。

 この子の立場になってみたらお分かりだと思いますけれども、こういう新聞記事に自分の、特に家族のこととか思っていることを、しかも三月十一日の直前にやはり記事になるというのは、大変な勇気もあることですし、御家族ももちろんそれを許可をしたわけですし、それを思いを込めて記者さんも書かれたんだと思いますけれども、こういう人たちが実際、今も廃炉等、地域の活動に関わられていると思うんですね、地元の双葉郡の人たちが。

 実はこの方も、今はもう社会人になられていますけれども、その後、大学を卒業して、今、実は東電に転職して、廃炉の作業をまさに、お父様はもう引退された、定年されたというふうに聞いていますけれども、関わっているというふうに聞いています。

 今日この記事をここで出すことも、御本人にも許可をいただいて出させていただいていますが、やはりこうやって、特に双葉郡で育ってきた、そして震災前から住んでいて、そして避難も含めていろいろな苦労もしても、もう一回やはりこの双葉のために、特に廃炉に関わろうという、そういう若い人が育ってきているというのは、本当にこの地域というものが、いかにそれまでも教育活動を大変重視していた、そして、かつ、震災があってからも、多くの苦労を抱えながらもやはり教育に対して力を入れてきた証左じゃないかと思うんですね。その中からふたば未来学園というのも生まれたと思いますし、今度の国際研究機構ですかね、あちらの方も生まれていくんだと思います。

 是非、イノベーション・コースト構想に関しましても、教育というのは、特に人材教育というのは非常に大きいプロジェクトだというふうに思っていますので、是非、イノベ・コースト構想自体がこの地域の大きな意味での人材育成というものに対して大きな柱を掲げていくということを是非考えていっていただきたいということを、萩生田大臣に是非お願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 今後の更なる福島イノベーション・コースト構想の推進に向けて、全国に先駆けた社会課題解決、基盤となる地元人材の育成、地元との共生の三つを軸に取り組んでいきたいと思います。

 社会課題解決の支援として、人口が回復途上にあり公共交通機関が少ない福島浜通りで、AIを活用したモビリティーサービスの実証を行っていますが、その成果は他の自治体にも横展開が可能だと思っております。

 また、地元人材の育成については、風力発電のメンテナンスなど、これからの主要産業で地元の高専生向けの実践的なインターンシップの実施などを支援し、若者人材の地域への定着を図ってまいります。

 さらに、福島第一原発の廃炉作業から生まれる多くの需要を地元にしっかりとつなげていくため、大手発注事業者と地元企業のマッチング支援等に取り組んでまいります。

 福島イノベーション・コースト構想がお地元の裨益につながるように、全力で取り組んでいきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 イノベーション・コースト構想では、交流人口を促進していく、たくさんの人がこの双葉郡に関わっていくということも大変大きな柱というふうに掲げていると思うんですね。

 特に、今、新しく双葉郡にこういった形で関わる人たちは、復興支援員等で、浜通りの町に、市町村に復興支援員として関わった人がその後も多く住んでいるケースも多いと思うんですが、是非、こういった復興、今多くの人たちが心配しているのは、やはり十一年たってきて、国の様々なまなざしが非常にだんだん薄くなってくるんじゃないかということを感じているというふうに思います。

 是非、新たな復興支援員の人たちをしっかりと配置すること等も含めて、交流人口の促進をこれからも特に経産省が中心になってやっていくんだということを是非この場でお話しいただければと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 先生、大事なことだと思います。

 言うならば、持続可能な復興支援というものをやっていくためには、やはりそこに人がいなきゃいけないと思います。もちろん、短期間で応援にいろいろ行ってくれる人たちのお心も大事ですけれども、そこに住んで、そこに業を持って、そして地域の人たちと暮らす人たちを一人でも増やしていくということがこれからの次のステージの課題だと思っていますので、そういった支援を経産省としてしっかりやっていきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 ここは本当に、これからの一番大切なところだと思います。どんなに立派な施設ができても、そこをしっかり使う人、住む人、集う人が必要だと思いますので、交流人口の拡大をどうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、未来人材会議等についてお話を伺いたいというふうに思います。

 実は、先ほどお話をした福島のふたば未来学園をつくるきっかけになる会議体に二〇一三年から私も入れさせていただいておりますが、今日お配りした資料二の方を御覧いただきたいと思います。初めて福島の双葉郡の教育長や県の教育長たちが集まって、新しい学校をどういうふうに、どういう内容にしていくのかという議論を一番最初にするときの資料に、その当時、僕の方がこうやって同じように提出させていただいた資料になります。

 かいつまんでこの新聞記事の内容を御説明しますと、「ドラゴン桜」という有名な漫画、受験漫画がありますけれども、その受験漫画の大きな受験テクニックのポイントは三つあって、つまり、受験とは、たくさんのものを暗記すること、そしてその暗記したものを高速に引き出すこと、そして問題を見切ることなんだというふうに、それが受験勉強のポイントなんだと。確かにそうで、数学の例えば試験とかで、最初に、第一問目からその問題にぶつかって解けなければゼロ点になるわけですから、見切らなければいけないというふうに思っているわけですね。

 でも、実は、この新聞記事の中ほどには、なるほど、だから、東大卒の官僚や政治家たちが難しい問題から問題を見切って先送りしていくんだなということが分かったというふうに、ここでこの記者さんは書かれているわけです。

 でも、実は、後段に書いてありますけれども、でも、その実は自分自身も東大法学部卒で、新聞社からハーバードの大学院に行かせてもらってみると、逆に、ハーバードの先生たちからは、私の学説をなぞるなとか、君の意見を言いなさいというふうに、もっと自分の頭で考えろということを言われ続けてきたという形のことをおっしゃって、ここに書かれている新聞記事になります。

 まさにこの新聞記事を僕は双葉郡の先生たちにお渡ししながら、まさにこうやって、新しい学校をつくるのであれば、受験勉強のための学校ではなくて、自分たちの頭で考えていくような新しい学校にしなければいけないんじゃないですかと。

 そういう中で、ふたば未来学園のいろいろな、もちろん僕の言葉だけではないんですけれども、いろいろな知見やいろいろな思い、そして今までの教育に対しての反省から、新しいスタイルの学校ができたと思います。

 未来学園、多分大臣は行かれているかと思いますけれども、ここにはカフェが併設されていて、つまり、学校教育だけではなくて社会教育もできる場であり、いろいろな人たちと交わって学びが成立するという、そんな学校になっているかというふうに思います。

 まさにそういうふうに、文科省の施策の中でも、少しずつ新しい学校の在り方が始まっているわけですが、一方、経産省では、今、未来人材会議、未来人材ビジョンというのを先般取りまとめられたというふうに伺っています。ホームページでもその会議の内容等を拝見いたしましたが、この中で一体今何が議論できているのか、そしてこれからどうしていくのかということを大臣にお伺いできればと思います。

萩生田国務大臣 先週二十二日に、未来人材会議の中間取りまとめ案として未来人材ビジョンを提示をさせていただきました。

 未来人材ビジョンは、日本の産業界が直面するデジタル化や脱炭素化という大きな変化に対して、産学官が一体となって必要とされる人材を育成する必要性を指摘をさせていただいています。

 それを実現するための政策の方向性は、旧来の日本型雇用システムからの転換と、好きなことに夢中になれる教育への転換、この二つを掲げました。

 具体的には、例えば、学生の就業観を養うインターンシップを皮切りに、新卒一括採用だけではない多様なルートで社会に出られるようにすること、子供たちがそれぞれの好奇心に基づいて学び、挑戦したくなるように、カリキュラムや現場を支える人材など、より一層柔軟化された仕組みにすることなどをお示ししたところでございます。

 今回の未来人材ビジョンは変革の出発点にすぎないものでありまして、今後、関係省庁とも連携しながら、更に検討を深め、具体的な変革につなげていきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 この未来人材ビジョン、未来人材会議で議論されている会議の内容も含めて、今回、中間取りまとめで取りまとめた内容、僕は非常に重要なことだというふうに思っています。

 萩生田大臣は以前は文部科学大臣でもあられたと思いますので、この人材教育、今、世の中の、日本の経済や状況が苦しいからこそ、次の世代に対しての投資、まなざしをしっかり向けていくということは、これこそ国の礎になっていくというふうに思うんですね。ここを、私、もう一つ、文部科学委員会にも所属していますので、文科委員会でも同じことは話はしていますが、でも、やはりこれをしっかり経産省側からも伝え続けていくということは非常に重要なことなのではないかというふうに思っています。

 例えば、GIGAスクールがありますが、実は、私自身が、先ほど申し上げたように、ソフトバンクを辞めて高校の校長になるときに、多くの人たちが、そんな、民間企業から学校の校長になっても大変だろうということで、いろいろ心配もされました。心配された中でいろいろな人を紹介していただいたんですが、その紹介されたうちの一人が、当時経産省から聖光学院に出向していた五十棲さんという役人でして、彼がまさに私立の学校に行っていろいろ学校制度のことを勉強しているし、やっているから、いろいろ聞いた方がいいよということで御紹介いただき、五十棲さんにいろいろとアドバイスをいただいたりするという場面もありました。

 まさにそういった、そこで議論してくる中で、GIGAスクールだけではないと思いますけれども、やはり学校のクラウド化であったり、いろいろと学校制度における課題点なんかを経産省も多分いろいろ見たんだと思いますが、まさに教育の分野に対して経産省から提言する機会が多くなったというふうに感じております。

 そして、そのときにはもう私自身も学校側にいましたけれども、そうやって経産省が提言をして、GIGAスクールのように一人一台ちゃんとパソコンを入れるべきだということは、非常に小気味よかったし、非常に大切なことだというふうに思いながら拝見していました。

 どうしても文科省中心に進めている、決して悪いことではないんですけれども、どうしても教育の中身だけの議論になっていきがちなところを、経産省がもっと大きな、大局的な視点でいろいろ議論している。でも、よくよく考えれば、子供たちのことを、これは文科省の範囲だからとか、経産省の範囲だからとか、こども庁のことだからというのは、正直言うと、どうでもいいと思うんですね。子供たちのためのことを、これは国が総力を挙げてやることだというふうに思いますので。

 例えば、GIGAスクール。もちろん、GIGAスクールも課題はあるんです、現場では。公立の学校ではいろいろ苦慮もされていると思いますが、それでも、こうやって一人一台のパソコンを配れたことは、僕は、非常に前向きに評価すべきですし、これをどう使っていくのかということをしっかり考えていくことだというふうに思っていますが、この施策を進められた萩生田大臣はどのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 経済産業省では、文部科学省のGIGAスクール構想と連携して、様々なエドテックを活用した、学びの自律化、個別最適化、学びの探究化、STEAM化をテーマにした新しい学び方の先進事例を未来の教室の実証事業として進めてまいりました。

 私、実は、文科大臣のときには、経産省が未来の教室だとか言っているのは越権行為だと思って、えらく不愉快な思いをしたんですけれども、経産省に来てみると、なるほどなと思うことがたくさんあって、文科省がややタコつぼに入っている感がしますので、行政の縦割りを超えて、やはり子供たちのものに最適な環境を整えてあげる、学びにとって一番いいことをやはり国全体でやってあげるというのはすごくいいことだというふうに思っていまして、これは、経産省に、実は、GIGAスクール、物すごく世話になったんです、文科省より詳しいですから。

 私も、文科大臣だったんですけれども、まるで経産大臣のように、GIGAスクール関連の業者の皆さんを一堂に集めて、そしてコストもお話しした上で、できるだけ一人一台端末の整備をしたいので協力してくれということを言いました。先生が元いた会社なども協力してくれたんですけれども、最初は、民間の皆さんはビジネスチャンスだと思って寄ってまいりましたので、かなり高い金額のことをおっしゃったので、私はその半額ぐらいのことを申し上げたんです。

 なぜかといったら、営業努力しなくて八百万台買うんだから、その分コストを引いてくれと。そして、一台学校に置けば、今度は中学の入学祝いでおじいちゃんに、何が欲しいと言ったら、タブレットが欲しいと言いますよ、だから二台売れますよ、こういう話をして、まるで経産省のような説得を文科大臣がして、おかげさまで、業界の皆さんはすごく機敏に対応してくれて、当初はそんな金額じゃ絶対にできないと言って席を立った企業の皆さんが真っ先に、非常に安い金額で、ソフトも入れた提案をしてくれました。おかげさまで実現をした経緯がございます。

 今度は、その中身をより充実させて、いいものを子供たちに提供していきたいと思っていますので、経産省としてできることをしっかり、文科省と連携して、頑張っていきたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。まさに、本当にそのとおりだと思います。

 きっと文科省からは越権行為だというふうに思って見ているんだと思いました。でも、本当に、学校や子供たちのために、いいことは国を挙げてやるべきだというふうに思いますので、まさに文科大臣だった方が経産大臣で、それを更に進めていっていただけるのは非常にありがたいなというふうに思っています。

 一方で、学校で、学校を改革をしてきて感じてきているのは、でも、例えば、パソコンが一人一台あれば全て解決することではないんですね。一番大切なのは、働いている人たちの心理的安全性が高い組織をつくることだというふうに思っています。実際、自分の学校も、そうやって学校が変わっていったと思うんです。

 大臣、つい先日なんですけれども、四月二十五日に、ビジネス・インサイダーというウェブの記事があるんですけれども、そちらで元朝日新聞の浜田敬子さんが、あの若手ペーパーから五年というタイトルで、経産省の若手の方々が二〇一七年に若手ペーパーというのをまとめたものから五年後に、役所がどういうふうに変わったのかというのを、ちょうど四月二十五日、つい先日、ホームページに上げられていて、経産省の方々がそのインタビューに答えられているんですけれども、これは僕は大変すばらしい内容の記事だというふうに思っています。浜田さんですから、特に経産省から言われて書いたのではないというふうに思いますし。

 やはり、あの当時、二〇一七年に、若手の人たちが、もっと、未来にわたって、省内の議論を活発化して、そしていろいろやり取りしなさいということを、記事を読むと、当時の事務次官から言われて、みんなで集まって議論をし始めて、それが結果どうだったかという五年後の振り返りなんですけれども、今、特に関わった方々がいろいろな分野で役人として活躍していることがたくさん書かれていて、僕は実はあの記事を読んで大変感銘を受けたんですね。

 まだ私自身も議員になって半年ですけれども、確かに、いろいろな役所でいろいろな課題があると思います。実は、役所ほど働いている人たちの心理的安全性が低いところもないんじゃないかというふうに正直ちょっと感じてはいた、学校だけじゃなくですね。でも、その中で、経産省は五年前にそういう取組をして、それが、五年後にしっかりこうやって心理的安全性の高い役所ができてきているんじゃないかというふうに思っています。

 まさに、でも本来なら、こうやっていろいろな企業を取りまとめていたり、産業政策を担っている経産省からこそ、心理的安全性の高い職場づくりというものが一体どういうものなのかということをもっともっと発信していくべきなんじゃないかというふうに思いますが、大臣、そちらはいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 議員御指摘のとおり、職場の心理的安全性が担保されている組織、これは大事だと思います。これは役所もそうですし、学校もそうだと思います。組織に活力が生まれるということは、企業のみならず、学校も役所も同じだと思います。

 例えば、未来の教室の実証事業の一つで、ルールメイカー育成プロジェクトというのをやりまして、教師や生徒がNPOなど外部支援者とオンラインで議論しながら校則の改正を進めるプロジェクト学習を実施したんですね。

 これは、当時、私、えらい迷惑な話で、記者会見で毎回、校則をどう思いますかと言われて、私は、校則というのは、やや理不尽なものがあったとしても、それを学生時代は我慢をして、そして、早く大人になりたいというインセンティブに変えていってもらいたい、こういう答弁をしていたんですけれども、経産省に来ましたら、そんな精神論じゃなくて、生徒のみならず教員の皆さんが意見を交わすことでお互いに成長していくというのを目の当たりにして、おっしゃるように、どこかの役所が、もちろん専門性は高めなきゃならないんですけれども、政府、日本国として、まさに最大の資源と言える人を育てるということに関して、省庁横断でしっかり取り組むということの大切さというのは今まさに感じているところでございます。

 どこまで出しゃばるのがいいのか、そこはちょっと難しくて、今のところ、この間まで大臣だったので多少役人の皆さんもいろいろ気を遣うところがあるのかもしれないんですけれども、外から見ていいことというのを逆にどんどん提案して、お互いに取組を深めていったらいいんじゃないかなと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 あと五分ですね。ちょっと急ぎたいと思いますけれども。

 その中で、今回の未来人材会議の中でも、特に南場さんとかが、もっと海外留学を増やしたらいいんじゃないかということを言っているかと思います。

 今、実は文科省では、トビタテ!留学JAPANという、これは官民が一緒になってやるスキームなんですね。当時、下村文科大臣の大きなイニシアチブで、当時もソフトバンクが、やはり孫さんが下村さんに口説かれて、結構大きなお金をソフトバンクとして出したような記憶がありますが、同じように。そして、このトビタテ!留学JAPANで高校生、大学生がたくさん海外に留学したというふうに思っています。

 こちらの今の現状についてお聞かせいただけますでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省では、意欲ある若者が海外留学に踏み出す機運を醸成することを目的として、平成二十五年度から、日本人学生生徒の海外留学を後押しするトビタテ!留学JAPANを推進してまいりました。当初、令和二年度までの予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により、まだ渡航できていない学生の支援を行うため、今年度まで延長して実施しております。

 このプログラムでは、多くの企業、団体等から御協力をいただいて、これまでに約九千五百人の若者を採用することができました。

 今後のトビタテ!留学JAPANにつきましては、これまでの成果を踏まえ、更に発展させた事業を実施するべく、現在、支援企業等の皆様と検討を進めているところでございます。関係省庁とも連携しつつ、新型コロナウイルスの影響で減少した海外留学を回復させるべく、その支援や機運醸成に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 これは本当に、当時の下村文科大臣がお一人で直接いろいろな会社に電話をかけられて、いわゆる営業活動をしたというふうに感じておりますし、あのときの熱は本当に高かったというふうに思っているんですね。ただ、残念ながら、今は少しずつその熱がしぼんできているんじゃないかというふうに思っています。

 でも、一方では、確かに、人材の育成というところで見ると、逆に文科省だけでやるという話ではないんじゃないかと思うんです。つまり、官民パートナーシップですので、多くの企業、特に経団連とか、そういったところとつき合いの多い例えば経済産業省が、トビタテ!留学JAPANの二期とか次のバージョンとかは逆に旗を振るぐらいでもいいんじゃないかというふうに個人的には、やはりファンドレージングは非常に重要ですので、それを文科省がやるというよりも経産省がやる方がいいんじゃないかというふうに思ってはいるんですが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 過剰な評価をしていただいて、ありがたいんですけれども。

 トビタテ!留学JAPANは、今先生御披露いただいた大企業のみならず、実は、地方の中小企業の皆さんが本当に浄財を出していただいてスタートしたんですね。

 当時の下村大臣に御努力いただいたんですけれども、その心は、本当だったら国費でもっと留学生を増やしてあげたい、あるいは留学生のための奨学金をつくってあげたい、こういう思いがあったんだけれども、なかなか文科省は予算が取りづらくて、その中で知恵を絞って、官民で、そういう夢のある子たちに対してしっかり応援していこうといって始まった事業だと承知しています。

 残念ながら、この二年間、コロナでなかなか外へ行けなかったものですから、そういう意味で、少し今、クールダウンといいますか、盛り上がりに欠けてしまっているんですけれども、これは私、是非続けた方がいいと思っています。

 私も、他省庁から越境されるばかりじゃなくて、文科省の方にいたときには、外務省の国際交流基金というのを使って、将来英語の先生になりたい人たちはやはりネイティブな英語を勉強してから教壇に立った方がいいというので、日本語パートナーズという制度がありまして、東南アジアの英語圏に英語教員志望者の大学生たちを派遣する、こういう事業を始めました。これもちょっとコロナで今足踏みしちゃっているんですけれども。

 是非、さっきの話じゃないんですけれども、一つの役所にとどまらずに、オール・ジャパンで、国際感覚、広い視野を身につける子供たちのチャンスをつくっていくということには、経産省としてできる限りの努力、協力をしていきたい、こう思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 若者が国外に行っていろいろな経験をする、それと同時に、逆に海外の人がコロナも明ければ多く日本に入ってくるんだというふうに思っています。

 特に、私の地元の札幌では、今度、二〇三〇年に冬季のオリンピックの誘致に向けて一生懸命頑張っているところではあります。このオリンピックが、特に二〇三〇年というこの年限は非常に重要だと思っていまして、まさにカーボンニュートラルだったりSDGsだったり、まさに世界を挙げて取り組んでいる中で、二〇三〇年に札幌にオリンピックを誘致をしているという状況ですが、これに対しては国は今どんなふうにサポートをしているのか、是非お聞かせいただけませんでしょうか。

古屋委員長 高橋文部科学大臣政務官、簡潔にお願いいたします。

高橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 二〇三〇年の冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致につきましては、現在、国内候補地となっております札幌市とJOCとが共同して、IOCと継続的な対話を行っている段階にございます。

 文科省といたしましては、札幌市、JOCがIOCと丁寧な対話を続ける中で、招致に向けた開催計画の策定や地元の機運醸成が一層図られ、国民、道民、そして札幌市民の皆様方の支持を得ていくことが何より大切であると認識をいたしております。

 引き続き、我が省といたしましては、札幌市、JOCとIOCとの協議を見守ってまいりながら、適切に助言等を行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

古屋委員長 荒井優さん、申合せの時間が過ぎております。

荒井委員 ありがとうございます。

 二〇三〇年、これは経産委員会にとってもとても大切なときだと思いますので、どうぞ実現とサポートをよろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、大島敦さん。

大島委員 先ほど荒井先生の御質疑を聞いていて、未来人材ビジョンでしたっけ、私も目を通してみると、やはり経産省というのは霞が関のコンサルテーションファームだなという印象を極めて持ちまして、なかなかよくできているペーパーでした。

 二〇二〇年、コロナ対策をずっとやっていて、このコロナ感染症が終息した後の人材が、どういう人材が必要なのかなということで、経産省さんのリスキルあるいは厚労省さんの各職業訓練の現場、久しぶりに全部取材をさせていただいて、今後求められる産業人材がどういう人材なのかなということを考えてきました。

 今日は、一問目、産業が求める人材の変化。

 かつては、一つの技術を身につければ一生涯の給与が保障されましたが、現在は、技術革新により、求められるスキルを身につけ続けないと一定の所得は得られない時代になったと考えています。テレワークが当たり前となり、情報の共有と意思決定の在り方が変わったと考えておりまして、職業能力訓練への影響があると思いますけれども、経産省及び厚労省政府参考人に御所見を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

 技術革新やデジタル化の加速に伴い、必要とされる能力あるいはスキルの変化に対応するとともに、働き手のキャリアアップを図る、これを促す観点から、生涯学び続ける環境を整備することが極めて重要でございます。

 経済産業省では、例えば、ITやデータを中心とした新たな成長分野における優れた教育訓練講座を経済産業大臣が認定をする、リスキル講座認定制度を通じまして、リカレント教育への支援を実施しているところでございます。

 引き続き、関係業界とも対話を重ねながら、技術革新やデジタル化により生まれる新たなニーズを捉えた人材育成につきまして、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

岡崎政府参考人 厚生労働省でございます。

 議員御指摘のとおり、デジタル化の進展などに伴いまして、将来的に必要となるスキルの情報などを把握し、人材育成を積極的に行う視点が今後ますます重要になっていくというふうに考えております。

 このため、本年三月に改正した職業能力開発促進法により、法定化した都道府県単位の協議会において、産業界などから、地域における今後の産業展開も踏まえた、デジタル化の急速な進展や地域の詳細な訓練ニーズをしっかり把握いたして、精度の高い教育訓練の設定を効果的、効率的に進めていきたいというふうに考えております。

大島委員 答弁ありがとうございます。

 今回大きく変わったのは、会社の中における忖度力が余り必要ない時代になったのかなと思っています。これまでだと、気の利いている部下というのは、俺のことをよく理解して仕事をしろよということになっていたのが、やはり、テレワークが進むことによって、論理的な仕事に変わったのかなと思います。

 私も、三、四年前、地元で四千人から五千人、雇用を持っている物流会社がありまして、取材をしました。ネパールの方が管理職になった。元々日本に語学留学に来ていて、アルバイトで雇った人が余りにも優秀だったので正社員にして、今回、マネジメント層に加わった。会議の仕方が変わったと言われまして、それまでホワイトボード一枚だったのが、日本語なんですけれども二枚に変わったという、これは新しい働き方と思いました。

 やはり、あうんの呼吸で仕事をする時代から、お互いに理解をしっかり整えて仕事するというのが多分、この新型感染症が終息した後の仕事の仕方で、そのことは結構よかったなと思っています。やはり、テレビ会議、ウェブの会議ですと、タイムラグがあるものですから、口論とかけんかができない会議ですよね。そうすると、一定の時間を経ながら、論理的に構成しながら会議を進めて、合意形成を図っていくというのがテレビ会議なので、この新型感染症が終わった後、求められるスキルが多分変わってくるのかなと予感をしておりました。

 ですから、経済産業省さんのリスキル、あるいは厚労省さんが取り組まれている各職業能力訓練、特に企業が求める職業能力のスキルも変わってきていると思うので、各都道府県ごとに協議をしていただいて、そのメニューを決めていただくことは前向きで評価をしているところです。

 では、今後、どのような人材、民間企業ですけれども、求められるのでしょうか。

 求められる能力は各層によって変わると思います。トップマネジメント層、大学、大学院を出ている方。あるいはミドル層、高校とか専門学校とかあるいは大学、例えば工業高校を卒業してNCマシンを操作できる社員の方とか、現業職員と、区分した場合に、特に、ボリュームゾーンがミドル層だと思いますので、ミドル層に求められる人材とはどのようなものと考えているのか、経産省の所見を伺いたいと思います。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 社会のあらゆる分野でデジタル化が進展しております。こうした中、製造業にとりましても、競争力の維持強化の観点から、デジタル技術の活用は喫緊の課題ということでございます。

 特に、生産管理、製造工程そして受注管理などの活用に必要と考える物づくりの企業が多うございます。委員御指摘のような、生産ラインの最適化などのスキルを持った人材が重要である、このように考えているところでございます。

 一方、デジタル人材の育成、確保に課題を感じる中堅・中小企業も多く、経済産業省といたしましては、生産システムなどにつきまして、技術系のミドル層、これを含めた社会人が高度な専門性を身につけてキャリアアップを図るための講座、先ほどの御質問に対してお答えを申し上げたのはリスキル講座のことでございますが、これを認定して、物づくり現場におけるデジタル人材の確保、育成の支援を行っているところでございます。

 引き続き、こうした人材育成の取組を行う中で、普及啓発、これも行ってまいります。このことによって、我が国の物づくり産業を支える中小企業、小規模事業者を支援してまいりたい、このように考えるところです。

大島委員 ありがとうございます。

 今から六年前ですか、党に、東京大学の松尾先生に来ていただいて、ディープラーニングについて御講演していただいたことがあります。僕、即座に思いついたのは、生産現場のラインにこのディープラーニングを入れたら、物すごく生産効率は上がるし、検査工程での精度も上がるということを実感したの。その後、聞いてみても、民間企業の取組はちょっと鈍かった。だから、なかなか気づかないのが僕は今の民間企業の経営者だと思っているの。こういうのがあったら、すぐに気づいて、自分の会社で入れようと思うわけ。

 私の地元の、経産省さんにもお世話になって、いろいろと研究開発をされている会社があって、中堅ぐらいの会社なんですけれども、おととし、新型感染症のいろいろな今後の働き方を含めて取材に行ったときに、東京都とコラボしながら、センサーを入れながら解析ソフトを入れて、工場の生産の向上とか品質管理に取り組まれているという話を聞いて、レクしたときに電話してみたら、品質管理で表彰をもらったと言っているので、やはりこういう前向きな企業、なかなか前向きな企業は少ないものですから、商工会議所とか商工会を使いながら、前向きにアピールしてほしいんですよ。

 ですから、今挙げたNCマシンを操作できる社員というのは、一定のスキルがある社員だと思っているの。ですから、今言ったようなことができる社員なので、そこを、受け身じゃなくて積極的にアピールしていただくことをお願いします。

 二〇〇〇年以降、非正規労働が定着する中で、企業が人を育てることに、以前ほどには価値を置かなくなりました。これからは、必要とされる人材を政府が育成することが強く求められています。受け身の職業能力開発から、積極的な職業能力開発への転換が必要とされる時代に入ったと考えています。

 経営者や従業員に向けての職業教育、リスキルもそうですけれども、への必要性の理解を進める方法について、まずは御所見を伺わせてください。

 これはどっちになるかしら。厚労省かな、経産省かな。では、経産省。

 では、答えられなければ、その次まで進めます。

 また、キャリアコンサルタントの方にも、問題意識を持っていただいた上で積極的に関与していただくことも必要と思います。これは例えばなんですけれども、経済産業省がキャリアコンサルタントを活用しながら企業に派遣するのも一案ではないかと思いますけれども、御所見を伺わせてください。

 これは両省、お願いします。

岡崎政府参考人 失礼いたしました。先ほどの質問から、ちょっとお答えをさせていただきます。

 まず、先生の御指摘についてでございますけれども、関係者が協働して、企業内における労働者の自律的、主体的な学びや学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて、現在、労働政策審議会の人材開発分科会において議論をいただいているところでございます。

 また、次のキャリアコンサルティングについてでございますけれども、ハローワークにおける職業訓練受講前のキャリアコンサルタントによる支援や、キャリア形成サポートセンターによる企業、労働者に対してのキャリアコンサルティングを中心とした支援を行っております。

 さらに、本年の職業能力開発促進法の改正によりまして、キャリアコンサルティングに関して、企業による節目ごとの実施や、国による機会の確保など、関係者の責務規定を整備するとともに、先ほど述べさせていただきましたガイドラインにおいても、キャリアコンサルタントの活用について記載することを検討しているところでございます。

大島委員 ありがとうございました。

 キャリアコンサルタントの方、私がハローワークを取材したときに、大島が行くからということで、多分、一番いいキャリアコンサルタントの方にお会いさせていただいたと思うの。よかったです、よく分かっている。企業での役員の経験があったりして、こういう方がキャリアコンサルタントとして働いていただけるんだったらありがたいなと思いました。

 ただ、お願いがあるのは、なかなか、ハローワークに行って、キャリアコンサルタントの方は出てこないんですよ。ある程度悩んでいただいたり、ある程度要求しないとキャリアコンサルタントの方が出てこないと思うので、厚生労働省さんにお願いしたいのは、これからは、求められる人材について、キャリアコンサルタントの、再教育というのかな、再教育というのはおこがましいから、こういう人材が必要なんですよ、デジタル人材としてはこういうスキルが求められていますよとか、工場の現場ですとこういうのが必要ですということをしっかり分かっていただいた上でキャリアコンサルタントに当たっていただいて、積極的に相談にあずかっていただけるとありがたいかなと思っているものですから、それをよろしくお願いします。

 経産省、答弁は求めませんでしたけれども、逆に、今度は経産省の方から、各中小・中堅企業の経営者の皆さんはどういう人材が欲しいか、イメージが湧かないところもあるかと思います。ですから、そういう、よく分かっていらっしゃる方が、一通り、会社の従業員の方に、今後求められる人材について、こういう講座が、経産省でも厚労省でも、国として準備しているから行ったらいかがですかと言っていただくだけでも相当助かるかなと思うので、検討してみてください。

 次に行きます。

 正社員として雇用が安定している企業の就職に人気があり、私も、今年の大学生、どういうところを、やはり安定志向が強いのか、そうじゃないのかなと思ったら、大手志向と中堅・中小志向だと、大手志向がやはり五割を超えている時代なので、おおむね学生は安定志向が強いのかなと考えております。

 若手社員も安定志向が強いと思われる一方で、経済学部で教えている教授に伺うと、意外と多くの学生は数年で離職することを前提として就職する方もいらっしゃるとも伺っているわけ。やはり離職率は、厚労省の資料を見ると、小さな会社だと半分ぐらい、三年以内に辞めてしまう、大きな会社だと二五%ぐらいは辞めてしまうと出ていたので、安定志向とはいいながらも、離職される方もいらっしゃると思います。

 例えば、入社して三年以上たった社員は一年間ぐらい休職して能力を磨くことができるような公的制度を創設すれば、人材の流動性は高まると考えております。なかなか、会社を辞めて学ぶというのは結構大変なことでして、会社に籍を置きながら、一年間ぐらい、あるいは二年間ぐらい、海外か国内かで、先ほど言っていたデジタル人材でもいいんですけれども、勉強をして、それで、その会社に帰ってきてもいいし、もっといい条件があれば転職できるというのがあると、結構、若手社員、私も若手社員だったら多分トライしてみるかなと思うんですけれども、そういう制度が、よりよく、その能力を、日本経済にとってプラスに働くと考えるんですけれども、その点について、何か御所見はありますか。答えられる、じゃ、お願いします。

岡崎政府参考人 今御指摘のありました、労働者に訓練経費を負担させるという場合についてでございますけれども、人材開発支援助成金は、現在、業務命令によりまして高度デジタル人材などの訓練を行う企業に対して、その訓練経費を一部を助成するという制度となっておりまして、現行制度の上で助成対象とするというのはなかなか困難なところではないかなというふうに考えております。

 しかしながら、この度、人への投資促進コースを四月から創設しまして、経費助成率を従来の四五%から、現行制度において一番高い七五%の助成率に位置づけるなどしまして、企業の負担感が少なくなるようにしております。これによって、企業における高度デジタル人材などの育成が促進されるものではないかと考えております。

大島委員 ありがとうございます。

 厚生労働省で人材開発支援助成金という制度を設けているじゃないですか。今回設けていて、企業負担で大学に通う場合、七五%の助成があり、企業が残り二五%を負担すると伺っているんですけれども、そういう制度でよろしいでしょうか。

岡崎政府参考人 現在の制度ではそうなっております。

大島委員 企業として、大企業だったら取り組むと思うの。昨日もある大学の学部長とお話をしていて、そういう人材を育てるために企業から多くの人たちを受け入れていると聞いていました、企業の費用で。国の助成も入っています。

 この制度は非常にいいと思っていて、七五%は国が持ってくれる、五百万までは、留学しても。残り二五%を企業が持つというところがなかなかハードルが高くて、企業の中でも内規を作らなければいけない。企業にも、なかなか、出したらうちの会社へ戻ってくるかどうか分からないから、臆病になると思うんですよ、自信のそれほどない企業は。

 ここのところの二五%を個人負担に変えるだけで、相当違います。個人負担に変えて、一、二年、国内でも海外でも新しいスキルを、入社して三年目以降、勉強していただいて、さっき私が言ったように、帰っていただければその会社にとってプラスになるし、もっと好条件の条件を出している会社だったらそっちに行けるよとした場合には、余り縛りがないはずなの。

 是非、政府参考人ですから、やりますとは言えないと思うんだけれども、そういう制度をつくると、営業的には当たりますよ。

 私も求職者支援制度をつくった人として、つくって、結構いい制度として今でも運用されているので、そういうふうに、ちょっと営業マインドを持って、もちろん大変なのは分かるの。雇用保険法のがんじがらめな制度の中で、厚労省さん、苦労してつくられているから、なかなか経産省さんみたいにすぱっといった制度はつくれないのは承知はしているんだけれども、そこは政治を動かしながらやっていただけると、非常に使い勝手のいい制度になって、やはり、日本の人材は大きな会社に集中して、なかなか能力を発揮できていないので、その大きな会社にいる人材を解き放ってあげることが日本の経済にとって非常にプラスになると考えているものですから、是非その点、覚えていてください。

 次に行きます。

 一つ飛ばしまして、人材育成の中でも重要なのが、デジタル人材育成だと考えます。

 私も、一九九四年、まだインターネットが普及していない時代に、製鉄所の私の係は、一人一台マッキントッシュを与えて、優秀な若手社員がアップルトークでネットワークを組み、チャットで会話しながら、エクセルのマクロを使って業務改善を行っていまして、当時、九五年当時ですけれども、エクセルのマクロとデータベースソフトを使って自ら業務改善できて一人前のビジネスマンだと考えていたものですから。

 先月、デジタル人材プラットフォームが立ち上がったということですが、企業やキャリアアップが必要な個人にしっかりと使ってもらわなくては宝の持ち腐れになってしまうのではと懸念しています。プラットフォームの周知、広報をどのように進めていくのか、ちょっと教えてください。

江口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、デジタル人材プラットフォームを先月立ち上げたところでございます。

 経済産業省におきましては、デジタル知識、能力を身につけるための実践的な学びの場として、このプラットフォームを開設したところでございます。企業研修や個人の学び直しなどに実際御活用いただくことが重要であるというふうに考えております。

 このため、経済産業省におきましては、プラットフォームの周知、広報活動といたしまして、プレスリリースで公表するということのみならず、例えば、業界団体向けの周知ですとか個別説明会の開催、政府広報ラジオでの番組発信ですとか、また、SNSでの広報、さらに、各種イベントでも、講演を行う際にこのようなプラットフォームを紹介するなどに取り組んでおるというところでございます。

 今後は、特に地域、地方というところへの展開というのも重要であるというふうに考えておることから、デジタル人材と地域企業の橋渡し役を担う地域DX拠点というのを整備をすることにしてございまして、地域中小企業への周知活動なども行ってまいりたいというふうに考えております。

大島委員 次に行きます。

 企業向けの人材開発支援助成金についても、抜本的な拡充が必要と思います。

 高度デジタル分野への助成率が四五から四七%、大企業では三〇%から六〇%へ上がりましたが、これを通じて、どの程度の育成人数増加が見込まれるのでしょうか。定量目標を定めて、制度の周知、広報、利用促進に取り組むべきではないかと考えますが、厚労省政府参考人の御答弁をお願いします。

岡崎政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の人材開発支援助成金のデジタル人材の目標についてでございますけれども、デジタル田園都市国家構想実現会議においてもお示ししましたとおり、二〇二四年度に約六万五千人のデジタル人材の育成を目標にして取り組んでいるところでございます。

 今後、より多くの企業に御活用していただくため、目標の達成に向けて周知、広報の強化を行い、企業におけるデジタル人材の育成を一層推進してまいりたいと考えております。

大島委員 政府参考人にお願いしたいのは、六万五千人ですか、アバウトな数字は分かるんだけれども、ブレークダウンをしていただくとありがたいの、やはり管理目標があると結構、人って頑張るものですから。

 ですから、六万五千人をどういうふうに育成していくのか、人材開発支援助成金を使いながら、その点についてしっかりとブレークダウンをちょっと検討してみるよという答弁はできますか。

岡崎政府参考人 現時点では、詳細については、ちょっとブレークダウンができておりませんので、それについては、まず可能かどうか検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

大島委員 アナログ的な回答でした。デジタル的に回答していただけるようにしていただけると助かります。

 次に、社会全体で理数系、情報系人材を増やしていくためには、大学教育を拡大していくことも重要です。一橋大学のソーシャル・データサイエンス学部、研究科創設など、情報学部を新設する動きが出てきていますが、まだ限定的です。

 文科省だと、スクラップ・アンド・ビルドを求めておりまして、このスクラップ・アンド・ビルドを求めず、純増を認める等の特例により、政府が情報学部の新設を後押しすべきじゃないでしょうかと思うんですけれども、答弁お願いします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、大学が社会の要請を踏まえて主体的に学部等の組織の見直しを図っていくということは非常に重要であり、文部科学省としても働きかけを行っているところでございます。

 御指摘の情報学部につきましては、近年、滋賀大学データサイエンス学部、広島大学情報科学部、長崎大学情報データ科学部など、新たな学部が複数、続いて新設されている状況でございます。また、今年度の国立大学法人運営費交付金の予算におきましても、組織見直しによる意欲的な教育研究組織の改革を重点的に支援する仕組みを大幅に拡充しているところでございます。

 このように、情報系学部を始め、新たな組織設置が各大学で進んでおりますが、他方、学部学生の定員につきましては、今後、十八歳人口が更に大幅な減少が見込まれていることなどを踏まえまして、国立大学については抑制的に対応する方針を取っておりますが、ただ、そのような中でも、地域の産業界等、地域のニーズを捉え、地方創生に資する魅力ある地方大学を実現するという取組については、国立大学でも、地方大学を対象に特例的な定員増を認めるという取組も行っているところでございます。

 こうした取組を通じて、デジタル人材養成を始め、国立大学の学部等の組織改革を引き続き促してまいりたいと考えております。

大島委員 今の点は、定員管理だと思います。なかなか、新しい学部をつくるためには、古い学部と教授をぎゅっと小さくする、少人数にすることができないものですから、新しい学部をつくるときには、若干の期間なんですけれども、こぶを認めていただけるとありがたいと思うので、それを前広に。

 定員管理だったら、全体的な、国立、国公立大学全体の定員管理の中でやってもいいかなと思うものですから、その点も含めて検討して、できるだけ柔軟に対応していただいていると思いますけれども、更に柔軟に対応していただけることをお願いします。

 最後に、大臣に、これまでの議論を踏まえ、デジタル人材について、経産省として今後どのように進めていかれるのでしょうか。改めて大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 岸田政権において進めているデジタル田園都市国家構想の具体化や、企業のデジタルトランスフォーメーションを進めていく上で、鍵を握るのは、やはり人材だと思います。

 経産省としては、これまでも、AI、IoT、量子などの先端分野に対応した若手人材を発掘、育成する未踏事業などに取り組んでまいりましたが、今後は、こうしたトップ人材のみならず、企業の現場においてDXを担うミドルレベルのデジタル人材を大幅に増やしていかなければならないと思っています。

 このため、初心者から専門的なスキルを身につけたい方まで、幅広い人材を対象として、デジタルスキルの目的、レベルに応じて、民間の教育コンテンツを一元的に提供するデジタル人材育成プラットフォームを先月末に立ち上げて、運営を開始したところです。

 今後は、実際の企業データを用いて行うケーススタディー学習や、地域の中小企業に派遣して現場の課題解決に取り組む実践的プログラムを提供していく予定であり、これらを通じて、即戦力となる人材の育成に取り組んでまいりたいと思います。

大島委員 あと三十秒だけありますので、一言語って終わりにいたしたいと思います。

 私、一九九五年に初めて日本のインターロップ、インターネットの見本市を見て、世界が変わると直感して会社を辞めた人です。保険会社に行って、ネットで保険を売ろうと思ってサイトを立ち上げたんですけれども、早過ぎました。

 高校を卒業して読んだ中公新書で、ハーバード・ビジネス・スクールというのがあって、その中のクリステンセンという教授の言葉が、今でも私、そうだなと思っていまして、ビジネスはクリエーティブな仕事である、その中には創造の余地が幾らでもある、芸術家の喜びと同じ喜びをその中に見出せるのだということで、日本の産業をこうしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、青柳仁士さん。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 今日は、そろそろ忘れられていそうな、新しい資本主義について御質問をさせていただきたいと思います。

 岸田政権の目玉政策であるこの新しい資本主義なんですが、昨年十一月の岸田政権発足時の国会質疑では、総理より、当時点ではコンセプトの打ち出しのみであり、内容については有識者を含む政府内の議論を経て決定する、こういう答弁をいただきました。既にコンセプトの打ち出しから半年以上が経過しているわけですが、日本の成長戦略や社会保障政策の根幹となる政権の目玉政策の姿というのが明らかになっていないことに、非常に不安を覚えている国民は多いと思います。また、政権を託された総理の姿勢として無責任ではないかと我が党としては考えております。

 これまでの政府内及び有識者会議等の結果を踏まえて、現時点での新しい資本主義の定義を可能な限り詳細に教えていただけますでしょうか。

黄川田副大臣 新しい資本主義は、市場競争に全てを任せるのではなく、官と民が協働して、市場の失敗、外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略の両面から資本主義の中に組み込み、そうした課題を解決しながら成長を実現し、持続可能な経済社会を目指すものでございます。

 こうした新しい資本主義の実現に向けて、昨年度補正予算や今年度予算に必要な措置を盛り込んでおります。例えば、人への投資の抜本強化に向けた、三年間で四千億円の施策パッケージの創設、賃上げ税制の拡充など賃上げに向けた環境の整備、5Gや光ファイバーといったデジタルインフラ整備計画の策定といった施策の具体化を進めているところであります。

 また、先日も、科学技術分野におきまして、量子技術、AI、再生・細胞医療、遺伝子治療、バイオものづくり、クリーンエネルギーといった五分野における重点的な投資に向けた議論も行っております。

 新しい資本主義の実現に向けた課題を含めた全体像をお示しすべく、六月までに、新しい資本主義の基本的な考え方をまとめたビジョンと、その具体策と工程表を含む実行計画を取りまとめる予定でございます。

青柳(仁)委員 従来の答弁を繰り返されただけだと思うんですけれども、デジタルとかAIとか、何かいろいろ、今やられていることをパッケージ化されているのは非常によく分かるんですが、やはり定義がよく分からないんですね。

 今、六月までに絵姿を見せると言っていたんですけれども、ここでは何が出てくるんですか。

黄川田副大臣 そこでは、先ほど御説明したように、新しい資本主義におきまして、成長戦略と分配戦略、この両輪がございます。その成長戦略を達成すべく、どのような政策のラインナップを用いたらいいか。先ほどお話ししたように、例えば、科学技術分野におきましては、先ほど紹介しました五分野などのラインナップ、また、分配政策では、賃上げに向けた形の税制や、また、それを後押しするような政策をどのように掲げていけばいいかというところのラインナップをお示しして、それをどのように実行していくかという工程表を作成するということでございます。

青柳(仁)委員 今のお話だと、実行の工程表とか実施の詳細が決まるという話だったと思うんですけれども、もっと大事なことは、そもそも、この新しい資本主義って何なのかということについて、新聞を読んでいれば皆さん分かると思うんですけれども、誰も分からないんですよ。誰も分かっていないんです。

 我が党は、一番最初の段階から日本大改革プランというのを作らせていただいていて、これは成長戦略だと繰り返し総理も含め様々な大臣もおっしゃっているわけですから、日本、今非常に厳しい状況の中で、成長戦略を議論するのであれば、きちんとお互いのプランを出し合いながら正々堂々と議論しようということを、野党でありながら申し上げているんですが、なかなか応じていただけない。

 応じていただけない理由はなぜかというと、この姿が分からないんですね。政権の方が掲げている成長戦略のプランがよく分からない、新しい資本主義の姿が分からないので、議論のしようがないという状況がずっと続いております。これについては極めてフラストレーションを抱えているということをまず申し上げておきたいと思います。

 また、当初から申し上げているとおりなんですが、新しい資本主義について、我が党としては二つのことを指摘しています。一つは、中身がないということです。もう一つは、新しい資本主義という議論は新しい議論ではないということです。世界でもう既に始まっている議論であって、そして、その中できちんと位置づけた話をしていくべきではないか、日本だけがガラパゴスのような議論をすべきではないということをずっと申し上げています。

 そういったことについて今日は御質問をしたいと思っているんですが、その前に、今、非常に曖昧な答弁でしたけれども、いろいろなことをこれから始めていくということと、その実行の詳細が六月に向かって一定程度見えてくるというようなお話がありましたが、そういった中において、経済産業大臣にお伺いしたいんですけれども、新しい資本主義における、経済産業大臣あるいは経済産業省として、この中身として、これが柱だ、これが優先度が高いと考えているような政策、施策というのはどのようなものでしょうか。

萩生田国務大臣 経産省では、カーボンニュートラル実現に向けて、エネルギーの安定供給の確保という観点も踏まえ、エネルギー、産業構造転換に必要な投資を促進すること、それから、デジタルインフラの整備などを通じて幅広い主体からのデジタル投資を促進すること、国家として真に維持強化すべき重要な物資の生産、技術基盤構築を集中的に支援し、サプライチェーンの強靱化に万全を期すこと、産学官が一体となって必要とされる人材を育成すること、グローバルに活躍するスタートアップの創出、育成に向けて資金調達などの環境整備を進めることなどに取り組んでいるところでありまして、こうした政策課題について、新しい資本主義実現会議の取りまとめの中にも位置づけ、しっかりと推進してまいりたいと思っています。

青柳(仁)委員 今おっしゃったようなポイントは、これまでの委員会の中でも様々議論されてきたことだと思いますので、重要な成長戦略として実施していくことは非常に重要だと思いますが、今日は、以前から指摘させていただいているとおりなんですが、新しい資本主義は新しくないということで、日本でいえば、例えば経済同友会が今年まとめたレポートの中に、ステークホルダー型資本主義という概念が出てきます。

 また、昨日、おとといですかね、世界経済フォーラムのシュワブ会長がこの衆議院議員会館にお越しになっていまして、議連の会合で質問させていただいたんですが、世界経済フォーラムとしてもこのステークホルダー型資本主義というものを進めていきたいということをおっしゃっていました。これが新しい次の時代の資本主義であるという認識になっています。

 また、これが最も具現化しつつあるのが、IFRS財団を中心としたサステーナビリティーの基準統一の動きではないかというふうに考えておりまして、これについて今日は少し質問をさせていただきたいと思います。

 今、ESG投資の資金というのは、今年時点で、昨日統計を確認したら、四千五百兆円になっていました。これは桁を間違えていないんです、四千五百兆円なんです。非常に大きな数字です。

 このお金をどこへ流し込むのかというようなルールが決まってくるのが、まさにこのサステーナビリティーの基準統一の話でして、こういった、ESGは環境、社会、ガバナンスという、従来のいわゆる売上高とか利益率だとかそういったことではなくて企業の価値を評価しようと。そして、そこで評価された企業の価値によって、株価が変わり、企業価値が変わり、そこに投資のお金が集まるような、そういう市場原理をつくろう、こういう話なわけです。

 サステーナビリティーの基準というのは、今、ESGが投資の世界でそういうふうになって、いわゆる株式市場の中でそういう仕組みをつくろうとしていますが、これを消費、生産市場、労働市場、あるいは物の売り買いを含むあらゆる市場に広げていこうという、そのための基準を作っているのが、このサステーナビリティーの基準統一です。

 昨年の段階までは、世界で四百余りの機関あるいは企業がこういった指標を作っていましたが、そのうちの上から順に十個ぐらいのところですけれども、GRIだとかSASBだとかというところがまとまって、世界で唯一の基準を作ろうじゃないかという動きを始めているのが、このIFRSの財団でやっているISSBというものになります。

 これは当然政府の方は認識されていると思うんですが、こういった中で、今、このISSBが、六月のプロトタイプの一定の成果発表、そして年内の基準の完成を目指して、急ピッチで作業が進んでおります。この中で、今、経産省としては、日本に、それに対応する、ISSJですか、日本の中でこういったISSBのプロトタイプに対する分析をし、意見を表明するための有識者の団体をつくっていまして、そこが、一定、出てくる時々のアウトプットに対するコメントをしている、こういう状況であると認識しております。

 また、その際に日本企業の意見を聞いているわけなんですけれども、それが一定取りまとまったのが、非財務情報の開示指針研究会というところのISSBプロトタイプに対する基礎的見解、そういうペーパーになります。

 これを読ませていただくと、非常に的を得たことが書いてあります。日本企業にとって懸念されるポイント、あるいは、これは新しい競争ルールが決まっていく話ですから、四千五百兆円のお金を動かす、その競争ルールはこうあるべきだというようなことについて、現状日本企業が考え得る、あるいは懸念され得るポイントというのが極めて明確に書かれています。

 ですから、これをどう反映していくかということが非常に重要なわけですけれども、その前提としまして、ISSBのプロトタイプ、またそれに対する基礎的見解に対して、現状、経済産業省あるいは経済産業大臣としては、どのように評価をして、具体的にどのような行動をもって実現に向けて取り組もうとしているんでしょうか。

萩生田国務大臣 委員御指摘のISSBプロトタイプに対する基礎的見解は、IFRS財団が昨年十一月に公表したサステーナビリティー開示基準のたたき台、いわゆるプロトタイプについて、経産省が三百を超える幅広い業界団体に対する周知とアンケート調査を実施した上で、経産省としての見解を整理したものです。

 この基礎的見解では、サステーナビリティーに関する企業情報の比較可能性と、企業独自のビジネスモデルや取組を表現する情報の独自性、いわば自由演技のバランスを取った開示基準とすることを求めています。

 こうした方向性は、今後、IFRS財団による開示基準が、アジア各国などを含めた多様な地域において、グローバルな開示基準として発展していく上でも重要なアプローチとして捉えています。

 今後、経産省としては、三月三十一日に公表された正式な公開草案について、プロトタイプからの変更点を分析した上で、引き続き、産業界の声を踏まえながら、関係省庁、機関と連携して、オール・ジャパンで意見集約、発信をしていきたいと思っています。

青柳(仁)委員 現状、これがグローバルな開示基準になるという認識、また、それがアジアに広がっていくであろうということ、そして、それらについての公開草案、次のアウトプットをきちんと捉えた上で、日本企業の懸念あるいは問題意識というものをきちんと反映した上で、その基準作りの中に適切にインプットしていく、そういうことをおっしゃっているんだと思いますので、それに関しては極めて妥当な方向性だと思います。

 一方で、ちょっと、これは非常に重要な話だと思うんですね、にもかかわらず動いているアクターの数が少な過ぎないかというのを少し懸念しております。

 例えば、昨年末に、ISSBのプロトタイプを作るためのIFRS財団の中の委員会に日本人を送り込む、こういう趣旨で、予算要求の中で金融庁が二億円ほど要求をしておりました。これは出資金的な形、拠出金ですか、という形になるんですが、それによって一名の方を送り込むということなんですけれども。

 一名の人が現場に行って、また、どういった方が選定されるかにもよるんですけれども、ちょっとそのインプット、日本企業の、ISSBプロトタイプに関する基礎的見解を見ますと、今御説明あったとおり、多数の、多業種の様々な企業の方々の大きな大きな期待と問題意識と分析が詰まっているわけです。これを正確に一人の人が読み込んだ上で全て反映させていくというのはなかなか難しいですし、また、そういったやり方で本当に基準を変えられるのかというところは極めて不安に思うところです。

 そこで、そういった対応を現状やっているのは経産省ではなく金融庁だというふうに認識をしておりますけれども、そういった対応をするための予算を持つ金融庁としては、こうした現状の企業の認識、またISSBプロトタイプそのものについて、具体的にどんな行動をもって実現に向かって取り組むのかということ。

 それから、今申し上げた、少なくとも、喫緊の方策として、たった一人ですけれども人を送り込むということを考えているわけですが、極めて重要になってくることは間違いないんですが、このIFRS財団における日本人に期待する具体的な活動内容と役割というものはどのようなものでしょうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、現在、IFRS財団は、サステーナビリティーに関する新たな基準設定主体である国際サステーナビリティー基準審議会、ISSBを設置して、本年中に気候変動を含むサステーナビリティーに関する国際的な開示基準を策定する予定と承知しております。

 こうしたIFRS財団の取組は、G7やG20でも歓迎されておりまして、我が国としても積極的に参画することが重要であるという認識の下、例えば、日本の民間関係者がIFRS財団への資金拠出の意向を表明しているほか、政府からも、御指摘のとおり、IFRS財団への資金拠出として、令和三年度補正予算においてお認めいただきました約一・一億円の拠出をしております。

 また、東京に既にございますIFRS財団のアジア・オセアニアオフィスをサステーナビリティー開示基準の策定にも活用するよう官民で働きかけた結果、このオフィスの継続が決定しているところでございます。

 IFRS財団における日本人ということですけれども、現在、財団の戦略や運営を担う評議員会で二名の方、国際会計基準を策定いたしますIASBで一名の日本人の方が活動していると承知しております。

 ISSBのメンバーについては、議長、副議長のみが今公表されている段階でございまして、現在、それ以外の最大十二名のメンバーについてはIFRS財団において選定作業を行っているというふうに承知しておりますけれども、今後、我が国としても人的な側面において積極的に参画していく必要があると考えております。

 さらに、この基準設定に対して日本から積極的に意見発信を行うためには、ISSBの理事だけではなくて、国内の関係者からの意見発信というのも重要であると思っています。

 この点、意見発信及び国内の基準開発を担う組織として、日本の会計基準を策定いたします財務会計基準機構の下に、新たにサステナビリティ基準委員会、SSBJを設置することが決まっておりまして、既にその準備委員会が活動を開始しているところでございます。

 金融庁としては、こうした国内関係者の取組を後押ししていくとともに、国際的な基準策定に日本として積極的に参画できるよう、引き続き関係者と連携して適切に対応してまいります。

青柳(仁)委員 日本にあるオフィスを是非その議論の中に巻き込んでいくという方策、いろいろ御説明あった中にありましたが、こういうのは非常に効果的だと思いますので、是非政府一丸となって進めていただけたらと思っています。

 というのは、今回、この基準を見させていただいたんですけれども、一通り、これはどういうわけか、今日の別に質問にないんですけれども、翻訳がまずいですよ、これ。皆さん、見たら分かると思います。原文の方がはるかに分かりやすいです。日本語が、訳が分からないです、あれを読んでいると。ですから、ちょっとこれは誰が訳しているのか分かりませんけれども、プロの翻訳者をちゃんと雇った方がいいと思いますよ。

 いずれにしましても、そういうことで、きちんと巻き込んでいく。

 全体、原文の方で読ませていただきましたが、皆さん、読んでいる方は同じ認識だと思うんですが、割とフェアにやっているなという気がしています。

 様々な機関の、これまで議論されてきた、TCFDであるとか、気候変動を含む様々な基準、GRIとかのですね、ある意味で、いいところをしっかりと取り込んだ上で、よりよいサステーナビリティーを実現する、社会価値と経済価値を両方併せたような競争環境をつくっていくということで基準の作成が進んでいるようには見えますが、ただ、御存じのとおり、これは最終的には企業の競争力に直結することになりますから、当然、欧州なんかのタクソノミーの議論と一緒で、今回、日本のいわゆる水素自動車というのははっきり言えば排除されてしまったわけですけれども、ほぼ。まだ頑張っている方にそういうことを言うのは申し訳ないですが、ただ、実質的に主戦場からは排除されてしまっている状況だと思いますので、そういうことが起こらない、起こらないというか、起こし得る、起こす力を持った議論ですよね、これは。ですから、そこは重々に考えなきゃいけない。

 あと、ある程度フェアに進めている以上、ダノンの会長さんが割とフェアな方だと思いますので、そういうこともあると思うんですが、フェアであるからこそ、日本の企業のフェアな意見をしっかりと話した方がいいと思うんですね、これは本当にあなた方の目指している理想と合っていますかと。非常に、何か日本独自の話を反映しろとかいう話ではなくて、もっとこういうふうにしたらいいんじゃないですかという日本企業の意見を是非中央の、中央といいますか、基準作りの現場に届ける仕組み。

 それは、今いろいろ方策、御説明がありましたけれども、やはりコミュニケーションを増やしていく、コミュニケーションのチャネルを増やしていくことだと思いますから、日本にあるオフィスを活用するというのも大事ですし、あるいは、じゃ、大臣が向こうに出かけていったときに、別にこれは政府ではなくて、向こうの団体は民間ですから、カウンターパートでないとしても、何らかの形でコミュニケーションの場を持つだとか、あるいは向こうがこっちに訪ねてくるようなインバウンドのコミュニケーションの仕方を考えるだとか、いずれにしても、そういうコミュニケーションの機会をたくさんつくって、本当に日本企業はこの分野において様々な知恵と経験とを持っていますから、そこを反映させるような議論を是非、その仕掛けがつくれるのは政府だけですから、是非お願いしたいと思っています。

 最後に、現状、日本企業の意見として示されている基礎的見解の各論点、これは非常に重要な論点がたくさん出てきているわけなんですが、このうち、ちょっと時間が余りありませんので、触れられる範囲で、今の経産省の考えている認識について教えていただければと思います。

 まず一点目が、基準の中で、先ほど来から申し上げているとおり、日本の社会と企業の持つ特異性が、これはポジティブに評価されるということが望ましいわけですけれども、そういったことに関してどういう戦略を持って臨もうとしているか、これについてお伺いします。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、地域とか、日本の企業も含めた特異性でございます。

 基礎的見解の作成に先立ちまして産業界から収集した意見でございますけれども、そこにおきましても、例えば水の管理でございます。日本で操業している場合、相対的に、水リスク、水が足りなくなるというリスクが少ないと考えられるわけでございますが、米国のSASBの基準をベースにしたような指標の開示というのを一律に求めない記載がございます。これは、そういう必要性はないんじゃないかという御指摘。

 また、エネルギーの関係でございますけれども、系統電力や再生可能エネルギーの割合などの指標でございます。これにつきましても、企業の一部からは、エネルギーミックスは国ごとの政策によって異なるので、単純な国際比較で優劣をつけるべきではないといった声が寄せられたところでございます。

 これに関連しまして、この基礎的見解におきましては、開示事項の選択につきまして、企業が重要な経営課題等を特定した上で、当該経営課題等を適切に表す重要な情報を開示するという二段階のアプローチを提案しております。

 仮にこうしたアプローチの考え方が十二分に送り込まれればですが、地域や企業に応じた経営課題を特定した上で指標などを選択することになりますので、特異性、独自性と比較可能性のバランスが達成されることにつながると考えてございます。

 また、特定の国の制度や環境を前提としたような個別の指標の設定というものにつきましては、これを国際基準として妥当な内容とすべくアップデートする必要がございますので、こちらは、三月三十一日に公表されました公開草案、これは今コメントを求められておりますが、それに対する意見の中でも求めていきたいと考えております。

青柳(仁)委員 まさに今おっしゃった、水の管理の問題とエネルギーミックスは、私も、ばっと見て、まずそこが気になりました。

 ただ、それ以外の問題もいろいろあるかと思いますし、あと、今のは不利なところをどう削るかという話だと思うんですが、やはり得意な部分をどう評価してもらうかというところも大事だと思うので、これは、ISSJでしたっけ、SSBJか、そちらの方でいろいろ検討されるんだと思うんですが、是非、検討して、こうだというだけじゃなくて、それをきちんと、先ほど申し上げたとおり、割とフェアな議論をしているように見えますので、ちゃんと、それはおかしいんじゃないかということはコミュニケーションでも繰り返し繰り返し伝えていくことを是非お願いできればと思います。

 あと、もう一つちょっと、先ほど金融庁の方からいろいろな施策を、そういった日本の関与をこの基準策定に対して強化するための施策というのをお伺いしましたが、同様に、経産省の方ではどのような施策を考えているんでしょうか。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど金融庁からもお話がございましたけれども、IFRS財団の取組に対しましては、日本として積極的に参画することが重要という認識の下で、様々な取組を行ってきたと承知をしております。

 先ほどもございましたように、政府からも、資金拠出ということで、IFRS財団に対して一億一千万の予算を計上して、先方への送金は完了している。

 また、東京に既にあるIFRS財団のアジア・オセアニアオフィスですが、サステーナビリティー開示基準の策定にもこちらの活用が重要だということで、官民で働きかけた結果として、オフィスの継続が決定している。

 先ほどもございましたとおり、IFRS財団における人員の中に日本人がしっかり入ってグリップしていくといったことは肝腎ということでございますので、日本人が活動しているということでございます。もちろん、我が国にとって、人的な側面においても積極的に参加していく。

 あと、済みません、委員から先ほど御指摘がありましたけれども、まさに、企業との対話というか、企業から情報をいろいろ集めたりするのが我々の立場でございますので、きちんと、再度、そこにつきましては、企業としっかりと連携を取りながら、必要な情報を集めて、必要に応じて情報発信等を、関係府省と連携しながら進めたいと考えております。

青柳(仁)委員 持ち時間がなくなりましたので、最後三つの質問をちょっと飛ばさせていただきますが、いずれにしましても、今お話ありましたとおり、様々な方策を持って。民間企業の方、特に経営層の方に何名かお話を伺いました。そうしたら、皆さん言っていたのは、たくさん意見は出している、また、非常に様々な機会で自分らでも発信はしている、ただ、最終窓口というか、そういう基準を変え得る窓口はやはり政府だから、そこの、集約して打ち込む、その交渉といいますか、そういうところは是非お願いしたいと。

 もちろん、IFRS財団というのは民間の財団ですから、民間、SWIFTみたいなものに近いですよね、民間といえば民間なんですけれども、実質的には公共インフラとして機能しているというか、これは非常に難しいところですよね。ですが、やはり政府の力というのは大きいと思いますので……

古屋委員長 申合せの時間が経過しております。

青柳(仁)委員 はい。

 是非、その点を政府一丸となって取り組んでいただければと思います。

 では、私からの質問は以上です。どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、漆間譲司さん。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 まずは、半導体製造における電力コストについてお伺いさせていただきます。

 先日、私の地元の国会報告会で、来場者の方、元商社に勤めていたとおっしゃっていたんですけれども、来場者からの御質問で、半導体製造について、かつては日本の電力料金が高過ぎて海外に流出していった、今般、経済安全保障ということで半導体製造を日本に誘致すると言いますが、電力料金が高過ぎる点については解決されたのかといただきました。

 この点につきましては、昨年十二月、臨時議会の法案の質疑で大島委員からも同じ質問があったところでありますが、改めて、半導体製造における電力コストについてお伺いします。

 ちょっとこれは通告にないんですけれども、質疑のやり取りの中で、半導体製造においては物すごい電力を使うということをちょっと経産省の方から御説明いただいたんですけれども、どれぐらい電力を使うのかということについて、もし分かりやすく御説明できるようであれば、もし可能であれば、併せてお願いいたします。

門松政府参考人 お答えいたしますが、済みません、ちょっと御通告がなかったので手持ちがないんですけれども。

 確かに、使っている設備が全部電気を使う設備でありますし、量の問題とともに、ちょっとでも負荷変動が起きると歩留りが下がるということもあって、電力の安定にも結構気を遣わなければならないというような電力をきちんと配備しなきゃいけないという意味では、電力のコストが影響があることは事実でございます。

漆間委員 電力が高過ぎるという点については、何か解決、日本の電力料金が海外に比較して高過ぎるという点については、これはクリアになっているんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電気料金につきましては、今委員のお話ございましたように、非常に日本の料金は高くなってございます。これは、震災後に原発が多く停止しているということ、また火力発電の割合がそれに比べて多くなってくるわけでございまして、昨今の燃料高が国際的に生じていることもございます。

 また、再エネが入ることによって、賦課金という形で追加的に導入費用を見ていただくということも電気料金に乗っかってくるものですから、震災前の二〇一〇年度と、二〇二一年度の一月までを比較しますと、大体三割ぐらい高い状況が続いてございます。

 これは、昨年というか近年、ずっとこの課題に対応しているところではございますが、足下でいうと、燃料の確保をいかに安定的かつ安く調達するかという資源の調達の戦略でございますとか、安全性を確保できた原発の稼働、若しくは再エネの導入拡大におけるコストをいかに安くしていくかという対策、これは入札制の導入等々で進めているところでございますが、さらには、電力会社相互間の競争を通じていかにコストを下げていくか、様々なことを同時並行で進める必要がございまして、引き続きしっかり進めていきたいと考えてございます。

漆間委員 いろいろと努力はされるということですけれども、やはり海外に比較して電力料金は高いということでありました。

 であるのであれば、電力は高くても、半導体生産能力を今後も日本国内で確保し続けることができるという、具体的な根拠などあるんでしょうか。また、かつてと同じように、電力コストの問題で、海外に結局、誘致したのに流出してしまうといったことなどはないんでしょうか。そういったことをお伺いしたいと思います。

 例えば、省電力、作る際に省電力の技術が優れているだとか、代替技術で製造できるだとか、そういったことなんかあるのであれば、是非教えていただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず、日本の半導体が、電気料金が高いから海外に行ってしまうという一因は、あったんだと思うんですが、よく、まさに去年から半導体支援のための御審議いただいた法律等々で前提として分析をしても、電力料金に限らず、やはり、過去の政策の失敗であったりとか、世界的なビジネスモデルの大転換を読み切れなかったとか、失敗の理由はいろいろあったと思うんです。

 また、電力に関しては、これから、単に今の電力ではなくて、それこそ世界がカーボンニュートラルに向かっているという状況の中で、再エネ一〇〇%で作ってくださいというユーザーの方もたくさんおられると、そうすると、単に今電気料金が高いから安いからではなくて、再エネのコストはまた全然各国によって違うというような中で、電気料金をどうやって抑えるかとともに、御指摘のとおり、省エネ、再エネ、何というんでしょうね、製造設備の省エネ化というのを突き詰めていくとかそういう努力も十分に必要になってくると思いますので、そこは、済みません、いろいろな要因があると思うので、今後についてはよく勉強させていただきたいというふうに思います。

 そういう中で、電気料金が高いにもかかわらず製造工場を日本に立地するというのは、やはり我が国は、負けてきたと言われながらも、半導体製造装置や部素材メーカーはいまだに相当、世界で強いという状況にあります。また、自動車、産業用機械、部素材、情報通信などの物づくりを中心とした幅広い半導体のユーザー産業がいるということですし、人材育成、課題はありますが、高度な研究を担うことができる理工系の大学や研究開発のアカデミア、これはあるわけでございまして、世界の半導体メーカーも、例えば日本と一緒に組みたいということはいまだに多いということでございます。

 更に言えば、電気だけではなくて、水を含む事業活動のためのインフラは非常に豊富ですし、既存の半導体工場で培われた経験豊富な人材、これはありますので、やはり、現時点においても、半導体メーカーを引きつける要因というのはあるんだというふうに思っています。

 こういった強みの維持強化をしていくために、経産省としては、先端半導体製造基盤整備や既存半導体工場の設備の刷新等々の設備投資支援だけではなくて、研究開発支援や、例えば九州における産官学連携をした人材育成等々、そのまた更に全国展開など、事業環境整備にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

漆間委員 国内にたくさん需要があるということ、高度な教育を行うことができる、水もたくさん豊富にあって、人材もある、そういったところで比較的な優位を保っていて、今後も半導体拠点を国内で続けていくということでした。しっかりよろしくお願いいたします。

 続きまして、今月十五日の委員会で気候変動適応策についてお聞きしましたけれども、今回、更に詳しくお聞きさせていただきます。

 その前に、先日、前の土曜日、日曜日に、熊本でアジア・太平洋水サミット会議というものが開かれたと思うんですけれども、ここでも気候変動適応策について議論があったとお聞きしておりますが、その内容についてお伺いいたします。

三橋政府参考人 お答え申し上げます。

 去る四月二十三日から二十四日にかけまして開催された第四回アジア・太平洋水サミットにおきまして、水災害の激甚化を始めとする気候変動の影響の顕在化に対し、気候変動適応策と緩和策を併せて進めることなど、気候変動対策が主要なテーマの一つとして議論がされました。

 我が国からは、この気候変動問題に対し、先進技術を活用して、ダム等を最大限活用した流域治水を通じて被害を軽減する適応策と、そして発生源である温室効果ガスを削減する緩和策、これらを両立できる質の高いインフラ整備の推進を打ち出したところです。

漆間委員 適応策と緩和策、併せてやっていくということで、改めて、カーボンニュートラルを達成したとしても、気温は上昇し、激しい気候変動もどんどんどんどん頻度が上がっていく。そういった中で、これから、カーボンニュートラルと併せて気候変動への適応策を両輪でやっていかなければならないということを、この熊本の水サミットでも改めて認識させていただきました。

 そこで、この気候変動への適応策を産業化へとつなげる適応ビジネスの推進についてお伺いいたします。

 十五日の委員会で私が質問させていただき、御答弁もいただきましたように、日本企業の適応分野の優良事例集、適応ビジネス展開のためのガイドブックの公表、日本企業の適応ビジネスの情報発信を様々に行っているとのことでした。

 前回の答弁で、事例として、豪雨災害に対応する気象レーダー、厳しい運用条件でもしっかりと動くような風力発電が日本企業にはある、そういった御紹介、お答えをいただきましたけれども、こういったこと以外に、現状、どんな具体的な事業が展開されているのか、現状についてお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答えします。

 経済産業省では、気候変動への適応に資する技術、製品、サービスを提供する適応ビジネス、いろいろあるわけですけれども、その中で、今後のビジネスチャンスが期待できる有望分野として七つ挙げております。

 一つが自然災害に対するインフラの強靱化、二つがエネルギーの安定供給、三つ目が食料安定供給と生産基盤の強化、四つ目が保健・衛生、五つ目が気象観測及び監視・早期警戒、六つ目が資源の確保・水の安定供給、そして七つ目が気候変動リスク関連の金融、こういった分野でございます。

 こういった分野の中で具体的な事業例というお尋ねでございます。

 先般、豪雨災害に対する被害軽減に貢献する気象レーダー、それから、強風や乱流でも発電が可能な風力発電というのは御紹介いたしました。

 そのほかには、先ほど申し上げた自然災害に対するインフラの分野では、水害をシミュレーションするソフトウェアを活用した防災情報システムの構築、それから食料の安定供給の分野では、IoTやAIを活用したかんがいの自動化システム、それから保健・衛生分野では、気候変動の影響によるマラリアなどの感染症の拡大を予防する防虫蚊帳、こういった様々な事業例がございます。

 こうした事業例を紹介することで、適応分野で我が国企業の貢献を見えるようにして、事業者が行う適応ビジネスへの理解向上と内外での取組の促進を図ってまいります。

漆間委員 今、七つの分野ということで、具体的な現在の事例集についても御説明いただきましたけれども、今後、この七つの分野以外も含めて、適応ビジネスとして活躍が期待されるもの、どんなものを今展望として考えておられるか、お伺いいたします。

奈須野政府参考人 経済産業省では、今申し上げた適応に資する技術、製品、サービスを提供する適応ビジネスを促進するために、七分野を中心に、グッドプラクティス事例集の拡充を目指しています。

 その中でも有望分野として、特に、自然災害に対するインフラの強靱化、それから気象観測及び監視・早期警戒、それから食料の安定供給、水の安定供給といった分野は、途上国からのニーズが非常に高くて、日本企業の先進的な事例も多いということから、非常に有望だと考えておりまして、今後も積極的に国際的に発信して、海外展開を後押ししてまいりたいというふうに考えております。

漆間委員 今後見込まれる分野として三ついただきましたけれども、その中の自然災害の分野に当たると思うんですけれども、海面上昇についてちょっと詳しくお伺いしたいと思います。

 地球温暖化の影響により、世界では海面水位上昇の問題が取り沙汰されております。IPCC、気候変動に関する政府間パネルの報告書など最新の知見では、仮にカーボンニュートラルを達成した一・五度の気温上昇であっても、今世紀中に約三十センチから六十センチ程度の海面上昇が予測されております。

 そして、海面水位上昇は沿岸域の浸食や土地の消失など様々な被害をもたらすことが懸念されておりますが、具体的にどのような影響が想定されているのか、また、海面水位上昇に対してどのような適応策、適応ビジネスが考えられるのか、経産省の御認識をお伺いいたします。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一九年に発表されておりますIPCCの海洋・雪氷圏特別報告書において、雪氷が広範囲に縮退し、海面が上昇するリスクが指摘されておりまして、気候変動は海面上昇に深刻な影響があるというふうに言われております。

 具体的には、温室効果ガスの排出削減が進まないと、まあ、いろいろなシナリオにもよるんですけれども、北極の氷が解けるなどして今世紀末までに海面が最大一メートルを超えて上昇するという予測もあるということでございます。

 この影響ですけれども、海面の上昇は沿岸域の浸食や土地が消失するといった影響があり、これが海洋の生態系に影響を与えて、海洋生物の生物量や最大漁獲量にも影響が生じるというような予測がございます。

 こうした海面上昇の脅威から住民を守る取組として、日本の取組の事例でございますけれども、例えば、平均海抜が低いモルディブにおいて、日本政府の無償資金協力で、日本の技術を活用して、従来工法によるものよりも堅固で維持管理費の安い護岸建設を実施するなどの取組事例がございます。

 こうしたインフラ分野の適応ビジネスは、災害回避の観点からもニーズがますます高まっておりますので、日本企業のグローバルな事業創出や、産業競争力の観点も含め、ビジネス展開を積極的に図っていきたいというふうに思っております。

漆間委員 気候変動に伴い、高潮や海面上昇により陸地が狭くなるという影響があるということなんですけれども、IPCCの報告書には、対策として、先ほどの、護岸に堤防のようなものを造ったりだとか、あと、高台や高所への計画的な移住というものも言及されておりますが、私は、移住先として、海の上だったり海の中に都市を造る、海底、海上都市構想というものも考えられるのではないかと思っております。

 例えば、日本の清水建設においては、海上から深海までをらせん状でつなぐ深海未来都市構想を発表しております。また、国連においては、海に浮かぶ水上都市構想、オーシャニクスシティーの検討を開始し、昨年十一月に、韓国の釜山市、ここも海面上昇の影響をすごく受けると言われている場所なんですけれども、この釜山市が、国連人間居住計画、ハビタットと合意書に署名し、韓国の沖合に最初の区画が建設されることになったという報道もございます。

 そこで、この海底、海上都市について、我が国における取組事例、また、その他世界での構想などがあれば、経産省の認識などをお伺いしたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御紹介いただいたオーシャニクスシティーでございますか、こういった構想が存在することは承知しておりますが、具体的な取組事例というところまでは、私どもまだ、現在承知しておりません。

 そこで、やや予想、推測を交えて、一般論を申し上げると、高潮や海面上昇への対応というのは、防災機能の強化に加えて、インフラ強靱化につながるというようなメリットがございます。

 一方で、海上あるいは海中に構築物を造るというふうになりますと、ハリケーンなどに対応した堅固な構造物を設計して建築するというような必要がございます。

 また、海上に住居、建築物を設けるということになりますと、水を淡水化する、こういったことも必要になりましょうし、それから、今、水上生活を行っている方はよく生活排水をそのまま海に流しているんですけれども、これは非常に衛生上、問題がございます。こういった生活排水を処理して、衛生水準を海上、水上都市でも確保するというような、いろいろな課題があるんじゃないかと思います。

 こういった課題はまさに日本企業が得意とするところでもございますので、日本企業のビジネスチャンスがあり得るんじゃないかというふうに考えております。

漆間委員 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、こういった適応策に、これから、先ほど青柳委員が言っておりましたESG投資をどんどん呼び込むように、また頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、最後、質問をさせていただきます。

 今月二十二日に経産省が発表しましたカーボンニュートラル達成に必要な投資額の試算というところをちょっとお伺いしたいんですけれども、こちら、二〇三〇年において単年で約十七兆円が最低必要という試算を、二十二日、示したところなんです。

 経産大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、この額というのはかなり巨大な額で、企業や個人の力だけで達成するのは困難で、国の支援の必要性が背景にあるのだと考えますが、今後、どんな取組を想定しておるんでしょうかというところで、大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 クリーンエネルギー分野は世界が注目する成長分野であり、日本においても、この分野への投資を積極的に進め、脱炭素の実現と新しい時代の成長を生み出すエンジンとしていく考えです。

 このため、水素やアンモニアなど日本が強みを持つ分野や、製造業を始めとした産業、運輸などの分野における脱炭素化に向けた投資を加速させることが、今後の日本の競争力を高める上で重要と考えております。

 既に欧州や米国では、クリーンエネルギー分野における投資を加速させるため、大規模な政府による支援策を表明するなど、官民が一体となって取組を進めております。

 日本としても、クリーンエネルギー分野における国際的な大競争を勝ち抜けるように、水素、アンモニアなど具体的に成長が見込める分野を中心に、官民を挙げて投資を加速すべく、必要な対策を具体化していきたいというふうに思っています。

 今先生いみじくもおっしゃっていただいたように、これを民間企業だけでやれといっても大変なことです。官としても、じゃ、経産省が計算したんだから経産省の予算でやれと言われたら、これはえらいことです。

 社会が大きく変換をしようとしているときなので、官と民で協力して、しかし、そこには投資を仰いで、何とか予算を確保して、そういうカーボンニュートラルの社会をつくっていく、そのための構えというものを、しっかり民間の皆さんと協力して、前に進んでいきたいと思っています。

漆間委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。

古屋委員長 次に、足立康史さん。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。久しぶりに経産委に来させていただきました。よろしくお願いします。

 今何度も答弁に立っていました奈須野局長は経産省の同期でありまして、平成二年入省組で、最も平成二年入省組の頭脳と言われた方でありまして、是非大臣、局長をよろしくお願いします。さっきそこに座っていましたエネ庁の南さんは決して、同期ですが、余りインテリとは言えない感じでありましたが。

 それはともかくとして、日本維新の会も大体三グループぐらいに分かれるんですね。インテリグループと、経産委に名前を連ねている、さっき質問に立ちました青柳さん、それから漆間さん、それから何よりも理事の小野さん、これは日本維新の会でいわゆるインテリと言われているインテリグループがみんな経産委に集中していまして、あとの二つのグループは体力ですね。藤田文武幹事長は、スマートな感じですが、本当はラグビーをやっていた体力派でありまして、余り、ちょっとやじが出ますから、やめておきますが。

 今日は、大臣に二つ御質問したいと思います。

 一つは、バイオものづくりです。

 私たちも、先日、神戸へ行ってきました。水素細菌というのは、我が党の馬場当時幹事長、今の共同代表、当時も共同代表だったかな、本会議で代表質問で取り上げました。大変面白い分野であります。総理は大変お忙しいので、視察に行かれて、十分ぐらい、知りませんよ、私は存じ上げませんが、きっと十分ぐらいだろうなと。大臣はきっと三十分ぐらいで、うちは二時間見学をしてきました。

 大臣も行かれたということなので、是非所感を教えていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 今月四日に、私も神戸大学のバイオ研究所に伺ったほか、さらに、バイオ技術等を活用して、海洋で分解されるプラスチックの商用生産を世界で初めて実現したカネカの高砂工場も視察をさせていただきました。

 その際に実感したことは、ゲノム改変技術の急速な進歩によって、バイオものづくりには、何を原料にして何を製造させるのか、まさに無限の可能性があるということです。素材、食品、繊維、エネルギーなど、あらゆる分野の製品がバイオ技術によって生み出される時代が現実のものになりつつあることを実感しました。

 特に、御指摘の水素細菌は、CO2の直接利用を可能とするものでありまして、お伺いしたカネカさんでは、CO2からプラスチックを作る新たな挑戦に取り組んでおりますが、これが実現しますと、気候変動対策の切り札にもなると思っております。

 その意味で、バイオは、社会課題の解決と経済成長の両立を可能とする、まさに二兎を追えるイノベーションであり、新しい資本主義の実現に向けた大きな柱であると思っております。

 世界の潮流の、その先を見据えながら、バイオ立国という旗をしっかり立てていく決意を新たにさせていただきました。

足立委員 ありがとうございます。

 私たちも野党ながら、微力ながら力を尽くしていきたい、そう思います。

 そうした観点からいうと、この分野は、発酵とか、日本に一日の長がある、そういう分野だと思います。

 しっかりこれは、予算、さっきもいろいろな議論があります。もちろん経産省だけではありませんが、しっかり、そもそも予算措置が、半導体もそうでしたが、補正予算中心になることとか、いろいろ私たち、予算委員とかでも議論して、そういう話は議論してきましたが、そういう話はちょっとおいておきますが、しっかり、どれぐらいのタイミングで、どういうふうに税を投入していくか、大臣の御判断も大変難しいと思いますが、私たちが見ている限りは、なかなか、少なくとも米中との競争の中で、しかるべき予算措置が必要な分野の一つだと感じていますが、いかがですか。予算措置の御決意と言うとあれですが、お考えを伺えればと思います。

萩生田国務大臣 バイオ分野につきましては、グリーンイノベーションの対応にできる、言うなら、ジャンルに加えたことによって、約二千五百億円の投資をすることを決めました。

 しかし、世界の競争を考えると一桁違うというふうに思っていまして、私はやはり、こういう国家の勝ち筋に関しては、補正予算とかではなくて、少し基金みたいな形で、腰を据えて一気に勝負をする。こういうジャンルを幾つかやはり認めていただいて、夏から冬にかけて財務省とドンパチドンパチやっている間に、どんどん世界に抜かれちゃうわけですから、どかんと構えて仕事をさせてもらえるんだったら、絶対勝って帰ってきたいな、こんなふうに思っています。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの大臣の補足ですけれども、御指摘のあった水素細菌を始めとして、バイオ分野の大きな可能性を社会実装につなげていく観点から、先般、グリーンイノベーション基金、これで、バイオ分野のプロジェクトを新たに加えることを決定いたしました。

 具体的な事業内容、規模については、今後、具体的に、審議会での議論を経た上で決定していきたいと思います。

 以上でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 しっかり、与野党を超えて、政府それから国会でしっかり仕事をしていきたい、国益のために頑張っていきたい、こう思います。

 さて、あと残る時間、ガソリンの話を少しさせていただきたい、こう思います。

 大臣、覚えていらっしゃるか、覚えていただいているかと思いますけれども、三月の十五日、中旬頃に、当時、遠藤国対委員長と藤田幹事長と私と三人で大臣室に伺いまして、原発再稼働の話とか、NHKがどおんと原発再稼働の話を出されましたし、今日はその話はしませんが、いわゆる経済対策の話をしました。

 そのときに、実は、昨年の十二月六日に、私たちは、国民民主党さんと一緒にトリガー条項凍結解除法案というのを、私も提出者で出していたんですね。大変私はそれを恥じていまして、大変難しい制度ですね。

 トリガー条項というのは、やはり、入口と出口でマーケットが必ず混乱をする。だから、元々大変難しい制度だから、一緒に出したんだけれども、やはり、補助金でやった方がいいということを私たちはそこに書いて、大臣、議論は原発の話が中心でしたが、トリガーの話もさせていただいて、補助金でやはりやっていただいた方がいいんじゃないかということを申し上げて、実際に経済対策は、トリガー条項ではなくて補助金でやるということになったと承知をしています。私はそれでいいと思います、歓迎をしています。

 私たちは、そういうことを指して、いわゆるトリガー政局の終えんと言っています。もうトリガー、税か補助金みたいな話で、わあわあわあわあやっていること自体が非生産的だから、早く、参院選のためのそういうトリガー政局は、まあ、委員長がいるからやめておきましょう、与党の一角もいろいろ悪乗りしたりとか、まあ、やめておきましょう。

 その中で、トリガー政局が終えんしたことは私、本当によかったと思っていまして、大臣、トリガー政局が終えんしたことはよかったと、お願いできるでしょうか。

萩生田国務大臣 その前に、ごめんなさい、私、ちょっとバイオで具体的な金額を言っちゃったんですけれども、余っている予算を言っただけでありまして、ごめんなさい、残りそれしかないということでございます。

 トリガーがいいか悪いかというより、国民生活を守るためにみんなが知恵を出したんだと思います。我々は、当初から激変緩和という補助金を使わせてもらいましたけれども、せっかく制度があるんだからトリガーをやれという意見ももちろんありました。

 しかし、やってみると、四種の油種に対応できるものですから、予想を超えた人たちから、これはいい制度だという声もありましたので、いろいろ皆さん、三党の皆さんも議論したんでしょう。結局、何か元へ戻ってきたような感じもしますので、これで少し落ち着いて皆さんの暮らしを守ることに力を注いでいきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 その上で、じゃ、補助金でいいかというと、私たちは、実は消費減税の議論もしています。今、物価高騰の中で食品も上がっていますね。だから、軽減税率、公明党さんが力を尽くして制度化されている軽減税率を今こそ使うべきだ、八%、五%、三%下げていくことで国民の生活を支えるべきだという議論を別途しています、別途ね。それはまた別の機会で結構ですが。

 じゃ、原油はというと、補助金もいいんだけれども、ちょうど二十五円に張りつきました。ちょうど二十五円に張りついたその日に、私たちは国民負担軽減法案という法案を出して、そこにはいわゆる暫定税率、当分の間税率をもう廃止したらどうかということを提案しています。

 二十五円に補助金が張りついたんだから、今、補助金と二十五円の暫定税率分というか上乗せ部分、これを相殺すれば、いわゆるその税金をなくしても、いわゆるガソリンの現場をめぐるその減税の入口の混乱はありません。

 出口は、もうつくらなければいいんです。すなわち、当分の間なんだから、その当分の間というものを取っ払う最大のチャンスというか、千載一遇というか、不幸中の幸いというか、こんなときはもう余り来ませんから、この当分の間税率というものを一回チャラにする、実はチャンスが来ているんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 税制のことは、経産大臣として……(足立委員「あっ、ごめんなさい。財務省やね」と呼ぶ)財務省が答えますか、はい。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の暫定税率は、平成二十一年の道路特定財源の廃止を踏まえて、民主党政権下において検討が行われた結果、温暖化対策の必要性や厳しい財政状況を踏まえて、それまでの税率が維持され、御指摘の当分の間税率とされたものと承知をしております。

 こうした地球温暖化対策の必要性や厳しい財政状況といった状況は、現在、より深刻となっておりまして、仮に燃料課税の当分の間税率を廃止した場合、国、地方で年間約一・六兆円の大幅な減収になることも踏まえれば、廃止することについては慎重であるべきと考えております。

足立委員 これは、もちろん政府・与党、大臣、もうこれは結構ですが、かつ、経産委の話にとどまりませんが、やはり日本は、この物価高騰の中で減税をとにかくやりません。とにかくやりません。ところが、諸外国を見てください。付加価値税、百か国以上が柔軟に、例えばコロナ対応、あるいはこういうウクライナ危機、これは対応しているんですね。

 だから、私は、そういう話は日本でも当然やるべきだということで、議論していきたいと思いますが。

 あと、最後に、大臣に御答弁いただきたいのは最後一問で、要は、暫定税率を廃止すると脱炭素に反するという話があります。しかし、そんなせせこましい増税というか上乗せ税で、国民に負担を強いながら脱炭素のコントロールをするんじゃなくて、もっと本質的な脱炭素社会をつくっていくことによって、今申し上げた暫定税率の廃止、実現していけると思うんですね。そういう、だから、そもそもの対策、脱炭素社会、カーボンプライシングを始めとする取組、やはりしっかりやっていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 カーボンプライシングの本質は企業等の排出削減に向けた行動変容を促すことであって、成長に資するという観点が重要です。

 こうした観点から、どのような枠組みであれば産業競争力の強化やイノベーション、投資促進につながるのかを政府内で幅広く検討しており、まずは、自主的かつ市場ベースでのカーボンプライシングを促進することが政府の方針です。

 経産省では、この方針を踏まえ、野心的な削減目標を掲げる企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグを二〇二三年度に本格稼働させるため、現在、この具体化に向けた検討を進めておりますが、幅広い業種から四百四十社の賛同をいただき、これらのCO2排出量の合計は約三億二千万トンで、これは日本全体の排出量の約二八%以上に相当します。家庭部門などがGXリーグに賛同する電力会社から受けている電力供給に伴う排出を加味すると四割以上を占めることになりますので、諸外国の制度と比べても遜色ないレベルであります。

 引き続き、このGXリーグを、企業におけるカーボンニュートラルに向けた投資や成長と、排出削減が両立するような、実効性のある枠組みとすべく、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

足立委員 時間が終わりました。

 ありがとうございました。質問を終わります。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 多くのトランプゲームにはルールの上で最強のカードが存在する、最強のカードにはほかのどんなカードでも太刀打ちできないが、中国のメディアが、日本の製造業には他国製造業が太刀打ちできない五枚の最強カードが、すなわち絶対的な強さがあると論じているという記事を目にしたんですね。

 一つ目は、優れた生産方式によるコスト削減。二つ目は、ユーザーのためのイノベーション。三つ目、特許で築かれた鉄の壁。四つ目、生産技術の高さ。五つ目、多品種少量生産。日本企業は多品目少量生産でも利益の出せるシステムを確立することに成功しており、この点でもグローバル競争における最強のカードの一枚であるという記事なんですね。

 しかし、この記事は、二〇一六年、平成二十八年の記事なんです。あれから六年たったんですが、この五枚の最強のカードを今も保持しているとお考えなのでしょうか。お尋ねしたいと思います。

萩生田国務大臣 我が国の製造業は、八〇年代に、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われ、卓越した競争力を有しました。現在も、製造業は高い生産性と国際競争力で我が国経済や雇用を支える重要なセクターであることに変わりはありません。

 この競争力の源泉として、先生御指摘の優れた生産方式ですとか、すり合わせる力ですとか、まさに現場力は引き続き日本の製造業が強みを有する分野であります。ものづくり白書の分析においても、技術開発力や現場の課題発見力、問題解決力などの製品の製造工程を最大の強みと捉える事業者が多いとされています。

 他方で、近年、カーボンニュートラルやデジタル化などの流れの中で、製品の機能のみならず、社会課題解決などの新しい付加価値を創出することも求められるようになってきておりまして、経産省としても、こうした領域で厳しい国際競争にチャレンジする民間企業を支援し、我が国経済の屋台骨である製造業の競争力の維持強化に努めてまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 御答弁いただいたんですけれども、また、分野が違う、産業政策じゃなくて文科に関わるかなというので、今日、政務官にお越しいただいているんですけれども、ある業界誌に目が止まったんですね。なるほどなと思いながら記事を読んできたんですけれども、有名な中国の千人計画では、我が国からも分かっているだけで四十四人の著名な科学者が移動しているということなんです。実数はそれよりも多いと聞くというものです。これは大変な国益のロスじゃないかというんですが、私も同感する一人です。

 中国に移動した優れた研究者は、本当は中国に移動したかったんだろうか。もし我が国が研究の場と資金を提供できれば、日本に残りたいと思うのが本音ではないだろうか。中国に招待されたのは、中国がその研究者の研究を高く評価しているはずであり、日本と中国ではそんなに評価の基準が異なるとは思えないという記事なんです。

 若手の研究者への手厚い資金はもちろん大切ですが、その反面、優れた研究でも、年齢だけで申請を却下されることは受け入れ難い。こうした差別は、米国、ヨーロッパ、中国等、海外ではほとんど聞かない。

 人材確保が大切と、先ほど大臣が御答弁いただいた中では、やはり人材育成が一番大事なんだと思うんですね。現場力を支えているのも人材。そういうことであれば、著名な研究者が、中国ばかりじゃなくて欧米にも多く、研究者が海外に行って、研究をされ成果を上げて評価されている現状をどう変えていくのかということですね。それをまずお尋ねしたいと思います。

高橋大臣政務官 御答弁を申し上げます。

 国際的に頭脳獲得競争が大変盛んになっている中で、我が国が研究力を高めていくためには、国内外の優秀な研究者や次世代の研究者が日本で研究をしたいと思っていただくような、魅力ある研究環境を整備していくことが重要でございます。御指摘のとおりだと思います。

 こういった問題意識から、文科省におきましては、優れた研究者が世界中から集い、国際頭脳循環のハブとなる、世界トップレベル研究拠点の形成ということもやっております。また、優れた研究者を切れ目なく支えるための、キャリアや研究成果に応じた研究資金の充実などの取組もやっているところでございます。

 また、シニアな研究者についても議員御指摘がございましたが、例えば、定年退職後も一定期間、優れた研究実績のある研究者の方が、一定の外部資金の獲得を雇用条件として研究を継続をし、次世代研究者を育成する制度を設けるなど、若手の研究者ポストを確保しつつということと両立する形でシニア研究者の方々にも活躍をしていただく、そういった取組を進める大学もあるところでありまして、こうした取組については、文科省のガイドラインを通じて取組の横展開、こういったことも図っているところでございます。

 文科省といたしましては、我が国が優秀な研究者にとって活発な研究活動を行う上で魅力的な研究環境になるよう、これからも取り組んでまいります。

 以上でございます。

鈴木(義)委員 アメリカでは、八十歳近い大学の教授がいらっしゃって、その代わり、きちっと論文を出すとか実績を上げている方は、そのまま大学が評価して残られるんですけれども、日本の場合は、大体六十、六十五で定年で、お疲れさまでしたというのが現実の話だと思うんですね。

 この方はもう一つ言っているんですけれども、文科省の所管でいろいろな科研費の予算づけを実施していることは承知しているんですが、識者は問題解決に、大型研究費の申請では、一次審査と二次審査に分けて、一次審査では申請者の名前や論文の引用、肩書、年齢等を全て伏せて、匿名で審査をすべきというんです。申請の内容だけで、何より、まずその研究技術がゲームチェンジできる研究かを選別してほしい。余分な情報なしでプロジェクトのゲームチェンジ度を的確に判断できるのか、逆に言えば、審査員が試されているということなんです。一次審査ですばらしい研究と判断されたプロジェクトの採択を、例えば採択の一・五倍程度の数に絞って、面接の二次審査を行い、申請者にプロジェクトを口頭で説明いただき、申請者の年齢や略歴、又は人柄などをこの面接で判断することにしてはどうかというものなんです。

 今までは全部、肩書、自分の経歴、それを全部オープンにして申請を出してきているんです。そうじゃないやり方をしない限り、何の研究がこれから日本のためになるのかというのがぼやけてきちゃうんじゃないかという考え方だと思うんですね。

 今は随分薄れたと思うんですけれども、日本の社会は権威主義がばっこしていると言われていると思っています。何々先生の下で研究していたから、その何々先生の権威に基づいて評価されるということが排除されるということです。

 これは、高齢と言ったら怒られちゃうのかな、第一線からちょっとお年になられた研究者でも若い先生でも、若い先生から特別に枠をつくってやるというよりも、全部伏せてそれで研究の質を評価するという制度に変えないと、これからの先は有益な技術というものが生まれてこないんじゃないかと思うんですけれども、その制度をつくる考えがあるのか、見直しをするという考えなのか、御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

高橋大臣政務官 御答弁を申し上げます。

 議員御指摘のとおり、様々な創意工夫に優れた、独創的、先駆的な研究課題を選定していく工夫、これを進めることは大変重要な課題だと文科省としても認識をいたしております。

 そういった中で、議員御指摘がございました、研究者名を伏せた状況で研究課題を審査、採択するというようなことを考えてみますと、著名さ等によるバイアスがかかりにくいという利点はあると思うわけでありますが、その一方で、研究計画の実現可能性を判断するためには、研究者名を明らかにし、その研究者のそれまでの実績を考慮しなければならないという面もあるのではないか、このような課題も存在すると思料するものであります。

 また、競争的研究費の適切な経費執行の観点から、利害関係の有無の正確な判断、また研究資金の過度な重複の懸念などもあるところであり、御指摘を踏まえまして、今後とも、適切な研究テーマの審査の在り方を慎重に検討をしてまいりたいと考えます。

 以上であります。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(義)委員 例えば、お米の、F1と言われているカリフォルニア米、日本にもどんどん入ってきているんですけれども、一番最初に研究開発したのは、三十数年前、琉球大学の先生と聞いています。中国からアメリカに渡って結局花咲いて、今、カリフォルニア米で、日本も含めていろいろな国に売られているんです。

 ゲノムの研究も、日本のメーカーさんがやっていたんですけれども、バブルがはじけてしまって研究費が絞られて、ゲノム解析も途中まで行ったんですが、ほとんどアメリカの企業に特許を出されてしまっている。

 だから、過去の実績で、八割、九割の実績を踏まえて将来性を見込んで科研費をつけようとしたら、結局変わらないということですよ。その人のやってきたことの延長線上でこれから先カバーできるのか。だったら、何で今みたいな一つの事例を出したやつがみんな海外に行って、それが花咲いちゃうんですか。それを止めるという作業をしない限り、日本の中で金の卵が生まれないということなんですよ。

 その辺、もう一回、政務官のお立場でなかなか難しいかもしれないんですけれども、政府参考人で。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、文部科学省における評価指針におきましても、まさに、採択実績のない、少ない若手また産業界の研究者の方にも、研究内容や計画に重点を置いて的確に評価して、研究開発の機会が与えられるようにするということを述べてございます。

 科研費等々ございますけれども、それぞれの制度に適した形で、引き続き、我が国の研究力の向上に資する質の高い研究成果を生み出し得るように、研究課題等の採択については十分意を用いてまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 制度改善するという言い方じゃなかったので。

 大臣、今の質疑でやり取りしていて、あくまでも、文科省の科研費というより、科学技術の中での、産業界である、経済産業省でも幾つものいろいろな採択をして、事業をやらせていると思うんですね。今みたいな、全部オープンにして、どこそこ企業とどこそこ大学、何々先生というような形で採択をするんじゃなくて、プロジェクト自体はいいとしても、名称だとか企業名を伏せて一次審査はするということです。

 でも、二次審査はちゃんとオープンにして、やり取りを口頭で、もう少し詳細に説明をいただくとか、そういう分けてやるという方法を、経産省のいろいろな補助金の出し方もあると思うんですけれども、その辺について、制度を見直すお考えがありますか。

萩生田国務大臣 一口に科研費と言っても、いろいろなものがありまして、先生がおっしゃるような、慣例的な、権威ある人たちの後継者が次のバトンをつないで研究を続けているという一面は否定できないものもあります。

 他方、私、創発的研究という新しい制度をつくって、若い研究者の皆さんが腰を据えて十年間、これは別に実績がなくてもいいんですよ。目指すべき方向を示すことによって、しっかり採択するという新しいものをつくってまいりましたので、問題意識はよく分かります。ややもすると、そういうことで決まっているんじゃないかという疑念があるとすれば、もうそういう時代じゃないですからね。

 本当に国家戦略に合っている研究をやってくれるのかどうなのか、その人たちが安定した研究環境にあって、本当に企画書に書いたとおりの研究をしっかり腰を据えてやれるのか、そういうことをしっかり見て判断していますので、少なくとも、経産省で採択している社会実装実験などは、これはどうしたって人の名前、企業の名前、出てくるんですけれども、大手だから採択するとか、聞いたことのない会社だからこれはもう話は聞かないんだということは全くありません。全くオープンに、中身を聞いて、中身で判断していますので、少なくとも経済産業省においてはそういう心配はないと思っています。

鈴木(義)委員 では、そうしましたら、もう一点お尋ねします。

 平成二十三年度のものづくり白書に、製品のデジタル化、モジュール化の進展により、情報家電、携帯電話、自動車などの多くの分野でデジタル化が進んだ結果、各パーツを組み合わせれば製品が一応完成するモジュール化の性質が強まり、すり合わせが強みを発揮する領域が縮小したという構造変化があると、二十三年でうたっているんですね。

 そのほかにも、誰のための物づくりかというのを再考するなど、当時の日本の製造業の取り巻く状況をつぶさに直視し、課題提起と取り組む対策がそこに明示されているんです。

 それでも、去年出された二〇二一年度版のものづくり白書、ここのところが、私が見落としているだけなのか分かりませんけれども、八年前に話題にしていたことが今はほとんど、IoTだとかDXだとか先端のことばかりをやれば日本が経済発展するようなものづくり白書が出てきているんです。

 じゃ、八年たって、前に課題として提示されたことが解決できているのかという、そこが今、もう一度、日本の経済発展に問いかけられているんじゃないかと思うんですけれども、最後に大臣、御答弁いただければと思うんです。

萩生田国務大臣 ものづくり白書って、その年々のテーマで記述がなされますから、過去に一回話題になったものがその後どうなったかというのを追求して、その成果を出すという性格のものじゃないものですから、多分そういう意味で、今、時代はグリーンだとかデジタルだとかというのを、どうしてもこの一、二年は目につくんだと思いますけれども。

 根本的に、先生が問題意識を持っていらっしゃることというのは、これはもう日本の失っちゃならない強みだと思っています。まさに中小企業が宇宙までチャレンジができることができる、こういう技術を持っているわけですから、我々経産省としては、中小企業の皆さんの大事な技術、こういったものもしっかり守り、育て、また応援していく、この姿勢には何ら変わりはございません。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 二年以上に及ぶコロナ禍の影響、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価、原油、原材料の更なる高騰に加えて急激な円安が、国民の暮らし、中小企業、小規模事業者の経営を直撃しております。食料品、建設資材、樹脂材料、電気・ガス料金、あらゆる物価が値上がりによるコスト増加分を価格に転嫁できていない。ここで支えなければ、耐え切れなくなって、廃業、倒産になりかねないという正念場です。

 そこで、萩生田大臣、中小企業への直接支援の継続を、私、再三この委員会でも求めてまいりました。それに対して大臣は、政府全体での支援策を四月中に取りまとめるべく検討している、直接支援というメニューを残すかどうかも含めて政府全体でしっかりと考えていきたいと、三月三十日にここで答弁されました。

 ところが、昨日政府が決定した総合緊急対策では、中小企業対策として、実質無利子無担保融資の延長などはありますが、直接支援は入っていない。どうなったんでしょう。

萩生田国務大臣 事業者向け給付金は、政府による人流抑制や休業、時短要請の影響により、地域、業種を超えて広範に需要が消失し、売上げが大幅に減少した事業者に対して、使途を制限しない現金を給付するという臨時異例の支援策として実施されてきたものです。

 現在、厳しい状況にある中小企業に対しては、資金繰り支援など様々な支援策を講じているところであり、引き続き、これらの施策を通じて、中小企業支援に万全を期してまいりたいと思います。

 なお、給付金の今後の取扱いについては、新型コロナの感染状況や、これを踏まえた緊急事態宣言の発令等の政府による措置内容のほか、他の支援策の動向も注視しながら、給付金制度の趣旨を踏まえて判断していきたいと思っております。

笠井委員 今の答弁、先ほど、午前中の参議院本会議でもされていたとおりだったと思うんですけれども、事業者向けの給付金というのは臨時特例、そして今後判断していくというふうなことを言われるんですが、そんな悠長な局面ではないと思うんですね。

 三月末の中小企業政策審議会の資料でも、コロナが事業活動に影響を与えているというのが四分の三、今後影響が出る可能性があるを加えると九割の企業に相当いたします。やはり、直接支援で支えるということがどうしても今の局面で必要だというふうにはお考えになりませんか。

萩生田国務大臣 ワンショットで直接給付をするということでその場をしのげる業種もあれば、例えば、金利のない融資によってしっかり伴走していくことが必要な業種もあると思いますので、全てに対応するわけではないと思います。先ほど申し上げたように、今ここでどうなったんだと言われて、やらないことにしましたと言わないところを、先生、含んでください。

笠井委員 やらないところにしたところを含むという話だったんですが、今、本当に大変な局面だと思うんですよ。

 全国商工団体連合会、全商連は、原材料、仕入れ値の高騰と価格転嫁について、四月に緊急アンケートを行っております。今月です。

 主な商品、サービスの原材料、仕入れ値が昨年四月と比べて上がったが七八%、今後上がる予定を含めて八二%にも達します。建設、製造、卸、小売、宿泊、飲食サービス業、影響はあらゆる業種に及んでいるんですね。

 例えば、愛知県の建設業者。電線、配管の値上がりが昨年だけで三回、二割ずつ上がって、四月から更に二割アップ。元請が単価を引き上げてくれたが、追いつかずにその分利益が減っていると。広島の運送業者。運賃が上がらないのに軽油もタイヤも値上げ。燃料が一円上がると月百万円も経費が増えて、走れば走るほど経費がかさんでドライバーの労働時間も長くなるという悪循環だと。

 大臣、原材料、仕入れ値の上昇分をきちんと価格転嫁できているは僅か二一%なんですね。直接支援なしにどうやって苦境を乗り切れるか、そういうぎりぎりのところにあるというふうな認識はないんでしょうか。

萩生田国務大臣 コロナの影響に加えて、足下ではエネルギーや原材料の価格が高騰しており、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しい状況であるということはよく認識しております。

 今お話ししたように、業種、業態によってどういう支援をするのがいいのかというのは様々でありますので、その辺は、例えば、事業復活補助金、まだ五月までの申請時期、残っておりますので、今後どういうふうにこの状況が続くのか、しっかり見極めていきたいと思います。

笠井委員 事業復活支援金についても、五月まで申請ですが、三月分までのものであります。

 コロナ対応の無利子無担保融資ということが先ほどもありましたが、中小企業の約半数がもう既に利用している。この春から二年間の据置期間が明けて返済が始まった事業者は多いわけですが、コロナ前までお客さんが戻らないところは、事業の継続と返済をどう両立させるかと、本当に苦労しています。

 帝国データバンクは、厳しい経営環境下を耐え忍んできた経営者が、先行き不透明感から自ら事業を断念する、ギブアップ廃業が二〇二一年以上に増加するシナリオが最も懸念される、そこまで指摘をしております。

 大臣、重ねてなんですけれども、政府がちゃんと十分に、今本当に必要な手を差し伸べ切れずに、ギブアップなどということがあっていいのかということになると思うんですね。

 今こそ、ギブアップ廃業をさせないためにも、補正予算で措置をして、事業燃油の価格引下げなどとともに、事業復活支援金、これも少なくとも持続化給付金並みに拡充をして、この三月以降もちゃんと適用していく。それから、家賃支援給付金を再給付すべきではないかと重ねて求めたいと思うんですけれども、改めてお願いします。

萩生田国務大臣 返済につきましては、条件変更、リスケをもう九割以上の金融機関が応じていただいております。そういったものも使っていただき、今回、様々なパッケージで支援策を示しました。もちろん、これじゃ足りないという業種の方も中にはいらっしゃるんでしょう。そこは、今後の経済状況をよく見極めて、引き続き不断の検討を加えていきたいと思っています。

笠井委員 緊急対策を出されて、これから補正をということになっていくのであれば、今、これからも見ていきたいという話ですが、政府の総合緊急対策は、規模も内容も業者や国民の苦境に応えるものになっていない、ここはしっかり見る必要があると思うんです。

 今緊急にやるべきは、中小企業への直接支援と、それから暮らしを直接支える消費税減税という本気の対策だ。そのことで、一千万者もの小規模事業者やフリーランスを廃業の危機に追い込むインボイス制度の導入も必要なくなるということも、重ねて、併せて申し上げておきたいと思います。

 次に、原発問題です。

 萩生田大臣は、去る三月九日の当委員会での私の質問に、こう答弁されました。「原子炉等規制法は、原子力発電所を運転することができる期間を四十年とし、一回に限り最大二十年の運転延長を可能としております。この法律において、運転期間に関して、原則ですとか例外といった規定はないものと認識しております。」と。

 大臣、この運転期間に原則とか例外とかいった規定はない、これはどういう意味でおっしゃったんでしょうか。

萩生田国務大臣 三月九日の私の答弁は、運転期間制限の条項について、条文に原則や例外との規定はなく、運転期間の延長認可に当たっては、原子力規制委員会において科学的、技術的見地から厳格な審査が行われているという事実関係をお答えしたものでありまして、立法趣旨に反するとの、ということを申し上げたところです。

笠井委員 原則とか例外とかいった規定はないというふうに国会で答弁されたことは、この法律を制定した立法府の意思がどうだったかとの関係で問題になってくるということなんですよね。

 原子炉等規制法に原発の運転期間が定められたのは二〇一二年の法改正でありますが、当時の国会の議論はどうだったかと振り返ってみますと、炉規法の改正と原子力規制委員会設置法案をめぐって、当時、政府案とそれから自民、公明の提出法案の二案があって、修正協議の中で一本化されて、そしてこの法案が可決、成立したという経緯があります。

 その可決、成立に至る中で、二〇一二年の六月十五日ですが、衆議院の環境委員会で、法案動議提出者の一人である公明党の江田康幸委員が、提出当時の、炉規法第四十三条の三の三十二について、「四十年運転制限規制の趣旨は、原則として四十年以上の原子炉の運転はしないこととするものでありまして、運転延長が認められるのは例外的なケースである」、このように明確に答弁しているわけですね。ですから、大臣、これが立法府の意思ということになります。

 条文の解釈を否定するということになるんじゃないですか、大臣のああいう言い方をされると。

萩生田国務大臣 繰り返しになりますけれども、私の答弁は、運転期間制限の条項について、条文には原則や例外との規定はなく、運転期間の延長認可に当たっては、原子力規制委員会において科学的、技術的見地から厳格な審査が行われているという事実をお答えしたものです。

 なお、同条項を含む原子炉等規制法は原子力規制委員会の所掌でありまして、その解釈や運用の在り方について私が申し上げる立場にないと思っています。

笠井委員 解釈や運用の在り方について大臣が発言したから問題になっているので、条文の意味について、こういう意味だということで、原則とか例外とかいった規定はないとはっきり言っちゃったことが本当に問題なんですね。

 そういう行政府の答弁が独り歩きしますと、法律を決めた立法府の意思がなかったことになるじゃないかと。原発運転期間四十年は原則で、最大二十年延長は例外、これが原子炉等規制法の規定であります。

 大臣、原発の運転期間に関して、原則ですとか例外とかいった規定はないものと認識している、大臣がそうやって言明したという三月の九日の答弁自身は、これは撤回すべきだと思いますが、いかがですか。

萩生田国務大臣 原子力発電所の運転期間については、原子力規制委員会が所掌する原子炉等規制法で規定されているものです。現時点では、政府において、同法の規定見直しを検討している事実はないと承知しておりまして、過去の経産大臣の答弁も私と同じですけれども。

笠井委員 同じだったら余計問題ですよ。その見直しを、規定しているということで、大臣がそんなことを言う権限がないんだったら、何で、原則とか例外とかいった規定はないというふうな認識だということを国会で答弁するのかとなります。これはもう撤回しかないと強く求めておきたいと思います。大変なことになります、独り歩きしたら。

 次に、高速炉開発について伺います。

 昨年閣議決定した第六次エネルギー基本計画には、こう記載をされております。「「高速炉開発の方針」(二〇一六年十二月原子力関係閣僚会議決定)及び「戦略ロードマップ」(二〇一八年十二月原子力関係閣僚会議決定)の下、米国や仏国等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組む。」、これはエネルギー基本計画七十三ページに書かれております。

 そこで、経産省に伺います。

 この国際共同の高速炉開発を開始した二〇〇七年度以降の予算額の累計は幾らになるでしょうか。累計だけで結構です。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問を頂戴しました当省の高速炉開発の国際共同開発の事業につきましては、二〇〇七年度より開始しておりまして、令和三年度までの予算額の累計額は約六百九十五億六千万円であると承知してございます。

笠井委員 令和四年度は幾らになっていますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度が四十三億円でございますので、足しますと、約七百三十八億六千万円となると承知しております。

笠井委員 十六年間の累計、今ちょっとその場で計算を暗算されたようですけれども、七百三十九億円を超えていると思うんですね。それに及ぶということになります。

 これらのうち、二〇一九年度、高速炉の国際協力等に関する技術開発の委託契約書というのを見てみました。ここにありますけれども、経産省に資料を求めて提出されたものであります。

 その別紙一につけられました、契約相手の日本原子力研究開発機構、JAEAの実施計画書の実施内容というのを見て、非常に驚いたんですけれども、ここにありますが、こういう形で墨塗りです。ノリ弁とよく言われます。

 日仏ASTRID協力に係る高速炉系統・機器設計、全てが墨塗りです。

 それから、高速炉系統・機器の設計検討、これも墨塗りで真っ黒です。

 それから、ここもそうですが、ASTRID炉に係る適用技術・評価手法の開発、これも墨塗りで真っ黒になっております。

 さらに、ここも黒いですが、ずっと真っ黒なんですよね。金属燃料技術基盤に係る検討、これも墨塗りで真っ黒になっています。こういう感じです。

 それから、高速炉の基準プラントに係る検討、これも墨塗りで真っ黒ということになっていて、さらに、高速炉の設計支援に資する評価手法の整備というのも、こうやって真っ黒になって墨塗りになっております。非常に驚きました。

 そこで、全て墨塗りにされて、全く読めずに内容が分からない。(2)というのがあるんですが、高速炉及び軽水炉におけるMOX燃料に係る再処理技術開発の部分というのは墨塗りはしていないんですが、なぜ、この(1)の日仏ASTRID協力に係る高速炉系統・機器設計の部分というのは見出し以外を全部墨塗りにしているんでしょうか。その理由は何でしょう。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問の中で取り上げていただきました高速炉開発の日仏の共同開発の事業でございますが、これは二〇一九年六月に署名いたしましたフランスと我が国の一般取決め等に基づいて行っているものでございまして、両国の合意に基づいて、高速炉に関するシミュレーションや実験に基づく研究開発、データの交換などを通じて協力を行う、こういう国際協力の取決めに基づくものでございます。

 こうしたほかの国との研究開発の具体的内容につきましては、これを公開することによりまして、他国、このケースで言いますとフランスになるわけでございますが、若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがある場合には、これは非公開とすることとしてございます。

 フランスとの間の共同開発に関しましても、フランス政府との間での、先ほど申し上げました一般取決めの中におきまして、両者の合意の下で、これは非公開とすることということといたしているところでございまして、この中で、具体的な取決めに対応して、これは公開するべきではないという中身になるものについては公開しない形で黒塗りをしておりますし、そういうものでないものについては公表している、こういう整理になってございます。

 念のため申し上げますと、例えば、具体的な研究開発の中でも、シビアアクシデント対策ですとか、化学反応リスク評価体制ですとか、構造材料、構造設計等、共同開発に係るテーマのようなものにつきましては、これは御覧いただきますと公表されているところでございまして、この具体的な内容、これは両国の中での合意に基づきまして公表しないということにしているものでございます。

笠井委員 今説明もあったんですが、何をもって他国や国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがあると判断したのか、該当すると判断する根拠は何に基づいて墨塗りにするのか、基準はあるのか、経産省の恣意的な基準によるものじゃないかということで、その辺についてもう一回ちゃんと答弁してください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これはフランス政府と我が国の一般取決めというものに基づいてやっているものでございますが、これが、公にすることによって、当該他国、ここで言うフランスとの間での信頼関係が損なわれるおそれがあるという共同開発の具体的な内容というものについては非公表にしているものでございます。

笠井委員 日仏の一般取決めの中に、具体的にこの規定というのがあるんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 本件に関しましては、日仏間で、この公表に関する取決めを取決めの中でいたしてございます。

笠井委員 それは機密保持とかそういうことですか。

松山政府参考人 御指摘のとおりでございます。

笠井委員 原子力は、原子力基本法二条で、民主、自主、公開、これが原則だと、重ねて、法律でもあるし、政府も言ってきましたが、ところが、機密保持の規定を盾に何をやっているのか分からないということになります。

 経産省の提出資料で、履行体制図というのもあります。これを見ましても、先ほどの資料ですけれども、その中についていますが、契約相手のJAEAの外注や再委託の状況を示すという図なんですけれども、これもなかなか摩訶不思議で、JAEAの下にずらっと、一部は枝分かれしていますけれども、八十二の事業者もぶら下がっているわけなんですけれども、ある意味で壮観です。三菱重工業と三菱FBRシステムズを除いた八十の事業者名は未定というふうになっています。履行体制図で未定となっている。それで契約しているわけです。

 事業者名が未定のうち、四十六の事業者は金額が書かれておりますが、残り三十四の金額欄は横線で棒線を引いてあるだけです。未定でもない。

 このように、再委託先あるいは外注先が未定で金額不明のまま委託契約を結んでいいんでしょうか。そんなことをやっているんですか、経産省は。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問を頂戴しました高速炉開発事業の契約でございますが、日本国内における実施主体として考えますと、日本で唯一の原子力に関する国立研究開発法人でございますJAEAというところがございます。ここが能力的にも、知見、ノウハウ的にも実施主体であるということは認められるところかと思うんですけれども、この契約を行うに当たりまして、まずはそこのJAEAとの間で委託契約を締結し、それを確定した上で、JAEAから、その具体的な業務内容について、経済性、専門性、公平性ということを念頭に置きながら公募等を通じて主体というのを決めていく、こういうことにしているものでございます。

 そういうことから、手続上、政府とJAEAの委託契約の締結を行う段階では、この公募等を行う前の段階でございますので、再委託先は未定となるものでございます。

 一方で、日仏間で、政府間でどういう共同開発をしていくかということは、あらかじめ、おおむね決めた上で開発事業というのを進めていくものでございますので、恐らく、委員御指摘のような形の契約形態ということになっているものであり、このこと自体は、私どもは、特に問題があるものとは認識してございません。

笠井委員 JAEAがちゃんとしたところだから、信頼できるから、あとは詳しく分からなくても大丈夫だということになって、この間説明を受けると、年度末に最終的に提出されるから問題ないという話もされたんですね、エネ庁は。ただ、その年度末に出した履行体制図にも、今度はまた、それはそれで墨塗りになっているんですよ。ということになっているということがあります。

 ですから、実施計画書も履行体制図も全部がそろって一つの契約書なのに、一部が決まっていなくても問題がないというのは、これは強弁が過ぎるということになると思うんです。

 そして、この履行体制図には業務の範囲という項目があります。四十九番目以降は事業者名の欄は未定で金額欄は横線なんですけれども、その三十四の事業者の業務の範囲というのは、業務の範囲も墨塗りで全く分からない。

 何が書かれているのか、何を根拠に墨塗りにこれらをしているんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、黒塗り、墨塗りのところの理由につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、国際共同開発に基づく両国の合意によって、その共同開発の中身については、この具体的な業務名、業務内容がそれを示すものになるものですから、黒塗りさせていただいております。

 一方で、金額をどこまでやっていくか、若しくは業務をどう切っていくかということについて申し上げますと、これも先ほど御答弁申し上げたこととかぶるところではございますけれども、まずは委託契約を結んだ上で、決められて、やろうとしている業務内容を最適な形で実施していく。この効率性、経済性、一方で公平性、専門性、こういったことを、公募等の手続をやっていく中で最適なものをつくっていくという中で実施しているものでございます。

 一方で、これがちゃんと適切になされることは重要でございますので、JAEAが再委託先を確定した際には報告を受けることとしてございますし、再委託の内容については政府で確認を行うこととして、内容の適切性というのは担保し、確認を行っているところでございます。

笠井委員 今、効率性とか、公平性とか、専門性とか、様々言われました。適切かどうかは政府の方で確認していると言うんだけれども、予算を出しているんですよね。国民の税金ですよね。国会がちゃんと調べてチェックするということはあるけれども、国会に対してはこうやって墨塗りです。

 大臣、二〇二〇年度と二一年度の高速炉に係る共通基盤のための技術開発事業の委託契約書の実施計画書の実施内容、これは墨塗りということです。履行体制図も、今紹介したように、未定、横線のオンパレードになっているわけですね。これは、幾ら、政府の方でちゃんとチェックするんだ、適切性をということを言われるんだけれども、これでは国民と国会には明らかにされない。情報を明らかにしないようなやましいことがあるんじゃないかと、逆にそうやって疑われることになるわけです。

 例えば、核問題というのは微妙です。極端な話が、核兵器技術の開発かというようなことで、そういう疑念も出てくる。全く具体的な中身がないということなんかが、本当にそういうことでいろいろな問題へ及ぶわけですよね。だから、それで、日仏共同で何か国民に隠さなきゃいけない、国会に隠さなきゃいけないこともやっているんじゃないかと疑われても仕方がないということになっちゃうんじゃないか。

 やはり、これはしっかりと明らかにすべきではないか。日仏の協定でやっていますから、それはその下でできませんと言うんじゃなくて、国民と国会に対する責任はどう果たすんでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の情報公開につきましては、ルールにのっとり、適正に行っているものと認識しています。

 その上で、高速炉開発を含む日仏等の原子力協力については、閣議決定したエネルギー基本計画に基づいて行っているものであり、公開性が不十分なまま政策を進めているわけではございません。

 なお、技術開発の詳細な内容については、協力先との信頼関係を維持する上でも、その機微性に一定の配慮が必要だと考えております。

笠井委員 機密を盾に情報を明らかにしないのであれば、国会が行政監視の責任を果たせません。

 「もんじゅ」の失敗に象徴されるように、破綻した核燃料サイクルの一環である高速炉開発をごり押しするために、自国民の知る権利と国会の行政監視機能を奪ってもいいか。そういうことを奪ってもいいんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 当然のことながら、国民の皆様方の知る権利、行政の情報の公開ということは重要でございます。

 他方、先ほど大臣から答弁ございましたように、これはルールにのっとりまして行っている、情報公開法にものっとって実施しているところでございます。

 引き続き、ルールにのっとり、しっかりとした情報公開の下で、事業を推進してまいりたいと考えております。

笠井委員 それでは、国会と国民が検証しようがない、チェックしようがないということになります。

 最後に大臣に伺いますが、経産省の予算説明資料では、二〇一九年度のASTRIDに関する国際協力の文字が二〇年度資料には消えうせております。委託事業契約書の中の実施計画書でも、二〇一九年度には、日仏の国際協力等を活用して着実に高速炉研究開発を進めていくことを目的とするというふうにあるんですけれども、二〇年度には、高速炉の仏国での導入時期は二十一世紀後半とされる、ASTRID炉の建設は緊急ではない、このように書かれております。

 大臣、目的を失った事業をやめて、予算の執行は停止して、当然、今後の予算計上もやめるべきじゃないでしょうか。

萩生田国務大臣 フランス政府における高速炉の政策方針については、ナトリウム冷却高速炉ASTRIDなど、終了したプログラムがあるものの、現在においても高速炉の研究開発そのものは継続されており、今世紀後半に向けた政策的オプションが維持されているものと承知しております。

 我が国として、高速炉分野において豊富な知見を有するフランスとの国際連携も活用しながら研究開発を進めていくことは、依然として政策的意義が大きなものと考えております。

笠井委員 フランスでも、ASTRID計画というのは事実上頓挫しているというふうに言われているわけです。世界でも、各国が、実証、実用では、それができずに次々やめているという流れになっている。

 国、原子力閣僚会議は、二〇一六年の十二月二十一日に、「もんじゅ」廃止を正式決定した同じ日に、高速炉開発の方針を決定いたしました。なぜ「もんじゅ」が失敗したか、これまでの高速炉開発がうまくいかなかったのか、総括も反省もなくて、強引に進めるという基本方針をまとめたものであります。その中に、二〇二〇年以降の日仏ASTRID協力の在り方に関しては、今後得られる技術的知見とコストを勘案して総合的に判断するというふうにあるわけですね。

 そういうことであるならば、今紹介したような、そして、ただしてきたようなことから見れば、破綻している核燃料サイクル政策と高速炉開発、これをやめて、その技術と予算は再エネ技術開発や活用のための、送電網の増強も含めてですが、インフラ技術開発にこそ振り向けるべきだ、このことを強く求めて、時間になりましたので、今日は終わります。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。萩生田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

萩生田国務大臣 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国の産業保安をめぐっては、近年、革新的なテクノロジーの進展、保安人材の不足、電力供給構造の変化、災害の激甚化、頻発化、気候変動問題への対応の要請など、様々な環境変化が生じています。

 今後、保安人材の多くを占める熟練層が大量に退職する一方で、若年層の雇用が困難な状況であり、人材不足によって我が国の産業保安が揺らぎかねません。こうした危機的な状況に対応するため、IoT、ビッグデータ、AI、ドローンなどのテクノロジーの活用を通じて保安面での安全性と効率性の向上を実現するスマート保安を促進することが重要です。

 また、昨今、小規模な太陽光、風力発電設備の事故が相次ぐとともに、災害の激甚化、頻発化が顕著となる中、こうした新たな保安上のリスクへの対応の重要性は論をまちません。

 さらに、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーや水素の健全な利活用を促すための保安規制面の環境整備も必要です。

 以上を踏まえ、安全確保を前提に、産業保安規制体系の転換を図るべく、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨について御説明申し上げます。

 まず、高圧ガス保安法の一部改正です。

 第一に、スマート保安の促進のための施策を講じます。テクノロジーを活用して、自立的に高度な保安を確保できる事業者を経済産業大臣が認定し、安全確保を前提に、事業者の保安力に応じて保安規制に関する手続や検査の在り方を見直します。ガス事業法及び電気事業法についても同様の措置を講じます。

 第二に、燃料電池自動車等の規制の一元化のための施策を講じます。高圧ガス保安法と道路運送車両法の二つの法律が適用されている燃料電池自動車等について、高圧ガス保安法から適用除外し、道路運送車両法に規制を一元化します。

 次に、ガス事業法の一部改正です。

 都市ガス分野における災害時の事業者間の連携強化のための施策を講じます。一般ガス導管事業者に対して、災害時における事業者間の連携に関する計画を策定し、経済産業大臣に届け出ることを義務づけます。

 次に、電気事業法の一部改正です。

 第一に、小規模な太陽光、風力発電設備の保安確保のための施策を講じます。小規模な太陽光、風力発電設備を小規模事業用電気工作物と位置づけた上で、設備の設置者に対し、設備の技術基準への適合性の維持、設備の基礎情報の届出及び設備の使用前の安全確認を義務づけます。

 第二に、風力発電設備の安全かつ迅速な審査のための施策を講じます。工事計画の審査に高度な技術的知見が必要となる風力発電設備について、経済産業大臣の登録を受けた専門機関が技術基準への適合性を確認する仕組みを導入します。

 また、これらの措置に加えて、情報処理の促進に関する法律において、保安に係るサイバーセキュリティーに関する重大な事態が生じた場合等に、経済産業大臣からの要請を受けて、独立行政法人情報処理推進機構が原因究明の調査を行うこととします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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