衆議院

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第2号 令和4年9月30日(金曜日)

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令和四年九月三十日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 石川 昭政君 理事 稲田 朋美君

   理事 長坂 康正君 理事 松本 洋平君

   理事 落合 貴之君 理事 山岡 達丸君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      岩田 和親君    加藤 竜祥君

      上川 陽子君    神田 潤一君

      黄川田仁志君    小林 史明君

      國場幸之助君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      西野 太亮君    深澤 陽一君

      穂坂  泰君    細田 健一君

      堀井  学君    牧島かれん君

      松本  尚君    宮澤 博行君

      宗清 皇一君    山下 貴司君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山崎  誠君

      足立 康史君    遠藤 良太君

      前川 清成君    平林  晃君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   文部科学大臣政務官    山本 左近君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   土谷 晃浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ長)            新居 泰人君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十日

 辞任         補欠選任

  西村 明宏君     牧島かれん君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     冨樫 博之君

  国定 勇人君     穂坂  泰君

  国光あやの君     小林 史明君

  中川 貴元君     宗清 皇一君

  中野 英幸君     細田 健一君

  星野 剛士君     黄川田仁志君

  山本 左近君     深澤 陽一君

九月十六日

 辞任         補欠選任

  荒井  優君     篠原  孝君

  梅谷  守君     田嶋  要君

  末次 精一君     馬場 雄基君

  青柳 仁士君     遠藤 良太君

  漆間 譲司君     前川 清成君

  藤田 文武君     足立 康史君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     宮澤 博行君

  小林 史明君     福田 達夫君

  小森 卓郎君     松本  尚君

  國場幸之助君     神田 潤一君

  深澤 陽一君     佐々木 紀君

  穂坂  泰君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     國場幸之助君

  松本  尚君     加藤 竜祥君

  宮澤 博行君     黄川田仁志君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     小森 卓郎君

  黄川田仁志君     関  芳弘君

    ―――――――――――――

八月五日

 一、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者等に対する緊急の支援に関する法律案(山岡達丸君外九名提出、第二百八回国会衆法第三号)

 二、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者に対する金融の円滑化の促進に関する法律案(落合貴之君外九名提出、第二百八回国会衆法第二四号)

 三、自動車産業における脱炭素化の推進に関する法律案(重徳和彦君外十五名提出、第二百八回国会衆法第三五号)

 四、中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する法律案(後藤祐一君外八名提出、第二百八回国会衆法第四六号)

 五、分散型エネルギー利用の促進に関する法律案(山崎誠君外六名提出、第二百八回国会衆法第五六号)

 六、国等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関する法律案(田嶋要君外五名提出、第二百八回国会衆法第五七号)

 七、経済産業の基本施策に関する件

 八、資源エネルギーに関する件

 九、特許に関する件

 一〇、中小企業に関する件

 一一、私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 一二、鉱業等に係る土地利用の調整に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件(現下の経済情勢等)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 この際、西村経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西村経済産業大臣。

西村(康)国務大臣 おはようございます。

 この度、経済産業大臣を拝命いたしました西村康稔でございます。

 中谷、太田両副大臣、そして長峯、里見両大臣政務官とともに全身全霊で職務に取り組んでまいりますので、古屋委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 なお、さきの通常国会におけます高圧ガス保安法案の御審議の際、措置の内容を検討する審議会に提出をしておりました資料における数字の誤りが発覚したことを受け、その後、再発防止に取り組んでおりましたが、この度、同国会で御審議いただいた省エネ法の概要説明資料において引用しておりました火力発電所の新設、廃止の見通しに関する数字にも誤りがありましたことが判明いたしました。

 法案そのものの内容ではないものの、概要説明資料における誤りは決してあってはならないものであり、私としても誠に遺憾であります。

 この機会に、改めて、経済産業省として再発防止をしっかりと徹底してまいります。

古屋委員長 次に、中谷経済産業副大臣、太田経済産業副大臣及び長峯経済産業大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中谷経済産業副大臣。

中谷副大臣 皆様、おはようございます。

 この度、経済産業副大臣を拝命いたしました中谷真一でございます。

 西村大臣をしっかりと支え、太田副大臣、そして長峯、里見両政務官とともに経済産業行政の円滑な遂行に全力を尽くしてまいります。

 古屋委員長を始め、委員の先生方の御指導、御鞭撻をどうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

古屋委員長 次に、太田経済産業副大臣。

太田副大臣 この度、経済産業副大臣を拝命いたしました太田房江でございます。

 西村大臣をお支えし、経済産業行政の推進のために全力を傾注してまいります。

 古屋委員長、そして理事、委員の諸先生方の格別の御指導、御鞭撻を賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

古屋委員長 次に、長峯経済産業大臣政務官。

長峯大臣政務官 おはようございます。

 この度、経済産業大臣政務官を拝命いたしました長峯誠でございます。

 西村大臣をお支えし、しっかりと責任を全うしていきたいと存じます。

 古屋委員長を始め、理事、委員の皆様方の御指導を心よりお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

古屋委員長 経済産業の基本施策に関する件、特に現下の経済情勢等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として財務省国際局次長土谷晃浩さん、文部科学省大臣官房審議官林孝浩さん、文化庁審議官中原裕彦さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん、経済産業省大臣官房審議官藤本武士さん、経済産業省大臣官房審議官門松貴さん、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎さん、経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ長新居泰人さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩さん、中小企業庁事業環境部長小林浩史さん、原子力規制委員会委員長山中伸介さん及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。落合貴之さん。

落合委員 おはようございます。立憲民主党の落合貴之でございます。

 西村大臣、御就任おめでとうございます。本日もよろしくお願いいたします。

 先週、ネットのニュースにも流れていましたが、西村大臣、新型コロナ感染というふうにニュースも流れていました。体調は大丈夫でしょうか。

西村(康)国務大臣 ありがとうございます。

 私自身、担当大臣もしておりましたので、感染しないようにということで常々注意を払っておりましたけれども、ちょっとどこで感染したかは分からないんですが、海外出張が続く中で、同行した職員の中にも感染が出ましたので、恐らく海外のどこかで感染したのではないかというふうに思いますが。

 その後、一日だけ三十九度台の熱が出ましたけれども、ファイザーの薬、パキロビッドパックという薬を処方していただいて、これがよく効いたと思います。翌日にはもう三十六度台に戻りまして、その後、軽快、回復をし、今は万全の体調で臨んでおりますが、今日はちょっとこの国会の準備がありましたので少し寝不足でありますけれども、体調は十分であります。ありがとうございます。

落合委員 西村大臣、重要な役職を歴任されてきましたが、経済産業大臣の職は大変重要な役職でございますので、是非、体調に御留意されつつ、立派なお仕事を果たしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、今日は、初回ですので、大臣の仕事の姿勢について少し伺えればと思います。

 先日、これもネットのニュース等、話題になっていました。役人の、役所の方が作った西村経産大臣出張時の注意点(取扱注意)という書面でございます。対応マニュアル、取説ということで、ちまたでも話題になっていました。

 こういったマニュアルは、チームでスムーズに仕事をする上ではある意味重要だとは思うんですけれども、この流れている書面を見てみますと、やはりその中身は話題になるようなことが書かれているなというふうに私も思いました。中身は少し、問題というか、半分ぐらいが大臣の買物の対応について書かれていまして、そんなにそれが重要なのかというふうに思いました。

 お土産の購入量が非常に多いため荷物持ち人員が必要、秘書官一人では持ち切れないと書いてあって、荷物持ち人員が必要というところはわざわざ下に線が引いてあって、要注意ですということが強調されています。あと、会計係も複数必要、生ものを買うこともあるので保冷剤の準備も必須と、保冷剤が必須というふうに書いてあるわけです。帰りは駅中で夕食を買うので、お弁当購入部隊とサラダ購入部隊に分かれて対応など書かれています。

 役所の皆様、本当に頑張っているなというふうに思いますが、これは国民からすると、ここまでやる必要あるのかなというような声も多く、大臣の元にも届いたというふうに思います。

 政策の対応だけでなく、身の回りのお世話を細かく役所の方々にしてもらうような、かなり細かい、しかも買物対応に重点を置いたこのマニュアルを見て、大臣はどう考えたでしょうか。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の文書は、先般、私が福島に出張した際、それを経験した事務方が、今後の出張を円滑に進めるための参考となるよう作成し、共有されたものというふうに承知をしております。

 私自身、福島に三回、これまで大臣就任後、訪問しましたけれども、まさに福島の復興は最重要課題であるというふうに認識をしておりますので、できるだけ現地に足を運びたいというふうに思っておりますし、現地でできるだけ、現地の皆さんが心を込めて作られたもの、それをできるだけ多く購入したいという気持ちでおります。中には、生ものの話がありましたけれども、現地の水産物も買って帰りました。

 そうした中で、買物したものが増えたり、あるいは、限られた時間の中で事務方が気を遣っていろいろしてくれたんだろうと思いますが、私からは、改めて事務方に対して、行政官が奉仕すべきは国民である、本来の公務に支障がないように、また過度な負担にならないよう、さらには私自身に気を遣う必要はないということで、ましてやこんな文書は作る必要もないというふうに伝えたところであります。

 これまで事務方に何か過度な負担が生じたということは聞いておりませんけれども、いずれにしましても、職員それぞれがそれぞれの立場で伸び伸びと仕事に専念できるように、また、私としても、そうした環境づくりに努めていきたいというふうに考えております。

落合委員 今おっしゃったような姿勢でやるべきだというふうに思います。

 わざわざ、こういうレクへの対応とか以外のことを、半分を占めるぐらいの取説が出回る、しかも、ほかの大臣もいろいろ取説ってあるでしょうけれども、わざわざ、西村大臣の取説が特徴的だったので、これだけ表に出たというところもあると思います。

 今までこういうことがあったからこの取説ができたという流れがあるんじゃないかと思いますけれども、今までほかの大臣も長くされていました。今までの役人への対応、大臣の周りの役人への対応、反省するべきところはあるというふうに大臣はお感じですか。

西村(康)国務大臣 私自身、役所の出身でありますし、役所の方々の気持ち、私自身も経験してきたことでありますし、できるだけ理解をしながら、私自身の経験も踏まえて対応しなきゃいけないというふうに思っているところであります。

 去年の秋まで新型コロナの担当大臣を務めさせてもらいましたけれども、このときはまさに、誰も経験したことがない、未曽有の国難ともいうべき、そうしたまさに緊急事態でありました。そんな中で、対応に当たって、物すごい業務量もありましたし、考えて考えて考え抜いて、また専門家の意見を聞いて対応しなければならなかった、これはスタッフに相当な負担はかかったものというふうに認識をしておりますし、今から思えばもう少しいろいろなやり方ができなかったのかなというところは、私も、その経験を生かして、今後に生かしていかなければいけないというふうに思っておりますけれども。

 いずれにしても、今の経済産業省も、最初に御指摘があったとおり、エネルギーの安定供給であったり、物価高対策であったり、中小企業対策であったり、様々な課題、重要課題をたくさん抱えておりますので、それぞれのスタッフが、現場で、大変な思いで、また使命感を持ってやってくれていると思いますので、そうした職員が、スタッフが、やりがいを持って、そして伸び伸びと仕事ができる、そうした環境を引き続きしっかりとつくっていかなきゃいけないというふうに、強く私自身感じているところであります。

落合委員 民間企業の上司と部下の関係もだんだん変わってきていますが、やはり、役人、役所の方々が大臣に対して何でもかんでもやるというようなことが今まであったかもしれませんが、そこら辺は時代に合わせてやはり政治家側も変えていかなければならないというふうに思います。

 経産省の方々から聞いてもそうでしょう、ほかの役所もそうですけれども、今、有能な若手の役人がどんどん辞めていってしまう、これは本当にこの国の危機であると思います。それを立て直していくためには、やはり政治家側の姿勢、これを改めなければいけない、封建時代のお殿様のような姿勢ではやはりいけないということを我々は心して仕事をしていかなければならないと思います。是非、大臣、こういうのがネット上にも流れているぐらいですから、気を引き締めていただければと思います。

 それでは、政策について取り上げさせていただきます。

 フリーランス、今増えています。それから、小規模事業者は、昔は中小企業というのを一くくりにして小規模事業者も対応していたわけですけれども、経産省の白書も、中小企業と小規模事業者を分けました。それぐらい注目している部分であると思います。

 近年、働き方改革、それからコロナ禍もありまして、組織から独立して、ネットなどをつないでフリーランスとして働く人たちが更に増えていますし、あと、ウーバーイーツに代表されるように、ギグワーカーという、昔の日雇いを、スマホなどを使って仕事を受けていくというような、そういう仕事も増えています。

 経産省として、この流れというのはどんどん加速すると思いますので、今までの経産省の姿勢よりも、フリーランスや小規模事業者には注視していかなければいけないというような問題意識はお持ちであるということでよろしいでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、働き方が多様になってきております。多様な働き方が可能となってきておりますので、中小企業政策においても、小規模事業者にこれまでも様々な支援を行ってきておりますけれども、さらには御指摘のあったフリーランスあるいはギグワーカーと呼ばれるような方々に対してもしっかりと目配りをしながら、いろいろな支援策が届いていない部分もあったかと思いますので、そうした皆さんにも、必要な支援、必要な保護、こういったものが届くような仕組みは考えていかなければならないというふうに認識をしているところであります。

落合委員 そういう経済の構造的な変化にプラスして、特に今、物価高、特に、いい物価高ではなくて、コストプッシュ型の物価高がいろいろな事業者を襲っているということが問題になっています。

 ざっくりと今、物価高の問題を見てみると、消費者物価の上昇率よりか企業物価指数の方がかなり高いので、物価高を事業者がある程度吸収しているということが言えると思います。その事業者別に規模別で見てみると、大きい企業の方がある程度価格転嫁ができていて小さい事業者の方が価格転嫁がしにくいというような問題も、ざっくり言うとあると思います。

 これは、この数か月の重要な問題として、物価高そして事業者を見るときに、特に、やはり小規模事業者ほど物価高の影響が大きいので、そこは手当てをしていかなければいけないという認識はお持ちであるということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、国際情勢を受けて、原材料価格あるいはエネルギー価格が高騰している中で、サプライチェーン全体でコスト上昇分を適切に分担し、また賃上げの原資を確保していくためにも、適切な価格転嫁、これを実現していくことが重要だというふうに考えております。

 中小企業について申し上げると、中小企業庁が実施した調査によりますと、約二割の中小企業が全く価格転嫁できていないという結果もあるところであります。

 御指摘のように、価格転嫁、取引適正化、この取組を強化しなければならないということで、具体的には、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言、一万社以上の方に宣言をいただいておりますけれども、更に大企業の参加を促していくということでありますし、それから、毎年三月、九月を、今月、もう今日最終日ですけれども、価格交渉促進月間として、フォローアップのそうした調査の結果を踏まえて、評価が芳しくない親事業者に対して、下請振興法に基づく指導助言、九月、今月にも二十数社、指導助言を実施したところであります。

 今後、こうした取組も進めながら、交渉し、転嫁が定期的になされるような取引慣行の定着を目指していきたいというふうに考えているところであります。

 いずれにしましても、御指摘のように、価格転嫁がスムーズに行われるように全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

落合委員 先ほど申し上げたように、特に小さい事業者ほど価格転嫁ができていないということは、まあ調査によって数字のぶれはありますけれども、全体的にはそう言えることは確かだと思います。価格転嫁の中でもやはり小規模事業者に注目するべきだということは、ここで指摘をさせていただきたいと思います。

 そもそも、十年前に始まったアベノミクスの後半の議論で、当時の安倍総理もおっしゃっていましたが、アベノミクスの果実はまだ全体には行き渡っていない、どこに行き渡っていないかというと、地方とそれから中小・小規模事業者だということを、はっきりと総理も当時おっしゃっていました。その弱い部分に対して、最後の年に消費税も増税し、そしてコロナ禍に突入しということで、やはり小規模事業者、かなり苦しい状況がどんどんどんどん続いているわけです。経産省として日本経済を力強く好転させていくためには、中小企業、そして特に小規模事業者やフリーランスに対してしっかりと政策を打っていかなきゃいけない、これは是非強調をしていただければと思います。

 そういう中で、このタイミングでインボイスを導入するというのは私は考え直すべきだというふうに思っています。これこそ小規模事業者にピンポイントに増税をするような制度になってしまうからです。そういうことになってしまうからです。

 後半はインボイスについて取り上げさせていただければと思います。

 適格請求書方式ということで、これは、導入が決まった数年前から、私は何回もいろいろな委員会で取り上げてきました。財務金融委員会ですとか、今年は予算委員会でも取り上げてきましたが、この制度が始まってから恐らく多くの方々がこの制度の問題点について気づくだろう、だから、始まってから多くの人たちが気づいても遅いので、早めに対応していくべきだということを私は何回も国会で取り上げてきました。実際にやはり、昨年、登録が始まってから、これはまずい制度だということに多くの人たちが気づき始めて、今、それなりに反対の声も上がっているわけでございます。

 私なりにこの制度の問題点をざっくりとまとめさせていただければと思いますが、消費税というのは、消費者が払っている感じがするんですが、実際には事業者が国税に、税務署に消費税を納めています。ざっくり言うと、売上高の一〇%の金額から仕入れの一〇%の金額を引いた金額を税務署に納めるわけです。いわば法人税の別バージョンのような形なんですが、私はこれは法人税よりか問題だと思うのは、法人税というのは、利益に対して税金がかかります。消費税は、事業者の売上げに対して税金がかかります。もうかっていようがもうかっていなかろうが、税がかかるわけです。

 したがって、消費税というのは、昔から消費者の逆進性というのは言われてきましたが、日本の事業者というのは、大企業の方が平均すると利益が多くて、小さい事業者の方が利益が少ないわけですから、納税する企業側から見ても、逆進性というのは、ざっくり言えば、明らかにあるわけです。だからこそ、売上げ一千万円以下の事業者には納税が免除されていたわけです。

 実質的に、このインボイス制度を導入すると、免税事業者は納税せざるを得ない。もし、免税事業者が免税事業者のままでいるのであれば、取引先の企業がその事業者の、ある意味消費税をかぶらなきゃいけなくなるわけですから、そういうことをしてくれる企業というのは普通に考えたらいないわけですので、要は、小規模事業者増税がインボイス制度の導入によって行われるわけです。

 仕入れ税額控除で納税額が決まるわけですから、仕入れがほとんどないようなフリーランスの方々とかは、ほぼ売上げの一〇%を納税するわけです。実際にその人たちが気づいたのは、自分たちのお給料の一か月分がなくなるんだということに気づき始めたわけです。

 先ほど前段で大臣から伺った、小規模事業者、今、日本経済の中で弱い、しかも価格転嫁もそんなにできていない、小規模事業者こそ手当てをしなければ経済が好転できないということは多くの人たちが認識しているにもかかわらず、そこにピンポイントに、しかも売上げの一〇%も増税する。これは大変間違った政策を間違ったタイミングで行うということです。これは日本経済自体をめちゃくちゃにしかねない問題だと思います。

 調べてみると、今年はかなり多くの自治体でインボイスの実施の中止とか延期を求める意見書が採択されています。それから、インボイス中止を求める団体の署名なども、十五万人とか集めている団体もございます。また、与党をふだんは応援しているような団体からも、これはいいのかという声が上がっているわけでございます。

 税務署はインボイスの導入によって納税が楽になるかもしれませんが、その負担は小規模事業者たちが負い、そして事務負担も事業者が負うわけです。税務署は楽になります。これは今やるべきなんでしょうか。

 まず、今日は財務政務官にもお越しをいただきました。消費税の、今、納税事業者は三百数十万者だったと思います。免税事業者は五百万者近くいるわけですけれども、インボイスの導入でどれぐらいの事業者が課税事業者になるというふうに推計しているんでしょうか。

金子大臣政務官 おはようございます。

 インボイス制度の移行によりましてどの程度の事業者が課税事業者となるかにつきましては、今御指摘いただきましたBトゥーB取引を行う事業者であっても、取引先の事業者が簡易課税制度の適用を受けている場合にはインボイスの交付を求められないこと、並びに、免税事業者からの仕入れであっても、来年の十月以降、三年間八〇%、その後の三年間は五〇%の控除ができる経過措置を設けられております。さらには、個々の取引当事者間の関係など様々な要素による影響を受けるため、確たることは今、現時点では申し上げられません。

落合委員 そういう答弁を数年前から財務省は、ほぼ同じ答弁をしてきたわけです。要約すると、そんなに多くの事業者には影響ありませんよというような答弁の仕方なんです。でも、これ、だからこそ、当事者たちが気づかなかった。導入したら多くの人たちが気づくわけです。

 昔の議事録を見てみますと、財務省は多く見積もって百六十万者と言っているときもありました。財務省が数字を出してくれないので、何万者に影響があるかさえも分からないで突入するわけですよ、しかもかなりの増税なのに。

 我々も推計して、二百万者ぐらいかということと、推計によっては数百万者に影響があるというところもあります。これだけの負担を求めるのに、誰が影響するかさえも分からないというのは非常に問題があると思います。一般的な事業者だけじゃなくて、シルバー人材センターの人たちや、スーパーに卸している農家なども対象になるということで、これはかなり広い範囲で実際には対象になるわけです。

 あと五分しかないですが、これは明らかに経済にマイナス影響があるというのが分かっていて導入するわけですね、財務省は。

金子大臣政務官 インボイスの導入でどのぐらいのマイナスの影響があるかということを御質問をいただいているんだろうというふうに思いますけれども、先ほどの答弁と一緒でありますけれども、インボイス制度の移行によってどの程度の事業者がそもそも課税事業者となって納税するかについては、繰り返しになりますが、様々な要素、影響を受けるために、今、現時点では確固たることは申し上げることができません。

落合委員 これは、政務官から財務省の役所の方に、それぐらいの説明は国民にするべきだと言うべきだと思いますよ。誰が対象になるかも分からない、何人対象になるかも分からない、経済への影響はあるはずなのに、どれぐらい影響があるかも、多分分かっているけれども言わない、こういう姿勢で増税するというのはおかしいと思います。

 各国、コロナで給付金とかを出したときに、じゃ、どこか増税しなきゃいけないという議論も各国、行われました。大体、各国、行ったのは、富裕層や大企業に対して、ほんのちょっとでも負担をお願いしますということを言ったわけです。我が国は、そういう行動をしないで、小規模事業者に、利益が上がっていない人たちに大規模な増税を行うということをしようとしているわけです。

 経産大臣、このまま突入したら、かなり大変なことになると思います。税のことは財務省ですが、フリーランスや小規模事業者を所管している大臣として、これはしっかりと財務省に言うべきだと思いますが、大臣、どうですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のインボイス制度の導入についてでありますが、その導入に当たりましては、御指摘のように、事務負担の増加等について、事業者の皆様に懸念する声が上がっていることは承知をしております。

 特に影響を受けやすい中小企業への支援が必要であるというふうに認識をしております。そうした観点から、財務省を含め、関係省庁、関係団体と連携した説明会なども実施をしておりますし、また、IT導入補助金などによって会計業務のデジタル化の支援、それから、免税事業者が取引上で不当に扱われないような取引環境の整備に取り組んでいるところであります。

 詳しくは財務省から説明していただいた方がいいと思いますが、インボイス制度の導入後も、六年間は、取引に与える影響を緩和するため、免税事業者からの仕入れについて、御指摘の一定の仕入れ税額控除を認めるなどの経過措置も設けられているというふうに承知をしております。

 いずれにしましても、今後とも、中小企業の皆様の声もしっかりと伺いながら、また、財務省を始め、関係省庁、関係団体と連携をし、中小企業の皆様に寄り添った、きめ細かな対応を丁寧に取ってまいりたいというふうに考えております。

落合委員 説明会をしても、意見を聞いても、結論は変わらないわけですよ。私は、この導入は延期、ベストは中止することですけれども、少なくとも、今の時期にやるべきことでは絶対にないと思います。

 財務省は、複数税率を導入するときはインボイスにしなきゃいけない、対応ができないんだと言ってきたわけですけれども、これは本当なんですかね。

金子大臣政務官 複数税率の下で適切な課税を確保するために、売手と買手が、税率の認識が一致している制度を確保するという必要があります。

 今の現行制度、区分記載の下では、売手側に請求書などの交付義務やその写しの保存義務がない一方で、買手側には、一定の場合には、請求書などの保存がなくとも消費税の仕入れ税額控除が可能となっています。一定の場合というのは、三万円未満の取引並びに請求書の交付等を求めても交付されなかった、やむを得ない事情である場合でありまして、そのため、仮に売手が軽減税率で申告しているものについても、買手が標準税率で控除を行ったとしても、書類が保存されていない場合などがあり、事後的に確認が困難となっております。

 こうした観点から、インボイス制度は、複数税率の下では適切な課税を確保するために必要であるものと考えております。

古屋委員長 落合貴之さん、申合せの時間が来ております。

落合委員 時間が来ましたので、これで終わりにしますが、税務署は楽になるんです。しかし、経済にはマイナスなんです。今やるべきではない。今、インボイスを導入していなくても、複数税率には対応はできています。再考を求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、山崎誠さん。

山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 貴重なお時間をいただきました。ようやく質問の時間をいただけたということでありまして、西村大臣には、大臣就任おめでとうございます。八月十日でしたかね、大臣就任でございますから、もう一か月以上たったということであります。本来であれば、大臣所信をちゃんとお聞きをして、そこから質疑をしてスタートというのが私はやはり必要な手続だろうと思うのでありますが、今日は閉会中審査という形です。だから、まだ大臣の所信をお聞きをしていないところでございます。

 私がこう申し上げるのは、実は岸田内閣では本当にエネルギー政策、矢継ぎ早に方針転換というか、大きな発表が続いている。特に、私、担当しております原子力発電、原子力政策に関しては大きな方向転換がございます、この後お話を詳しくお聞きをいたしますけれども。そういう中で、やはり西村大臣、その責任者としては極めて重い責任と役割があるんだということだと思います。

 冒頭に、大臣、おわびの言葉もありましたが、経産省から出てくるデータ、この誤りが立て続けに起こっています。私たちは、このエネルギー政策は本当に国民の皆さんの暮らしや、あるいは将来に大きな影響を与えるものだと、それは共通認識だと思います。そういう中で、やはり正しいデータと科学的知見に基づいた緻密な議論をやっていかなければ、道を誤ることになると思います。

 大臣、この点、いかがですか。所信もお聞きしていないので、所信の一端も含めて、エネルギー政策についての大臣のスタンス、お考え、もしお聞きできればお願いします。

西村(康)国務大臣 まず、冒頭申し上げましたとおり、資料に誤りがありました。このことについては、決してあってはならない、まさに御指摘のように、政策を考える上で、しっかりとしたデータ、数字に基づいて政策を立案していかなければなりませんので、誠に遺憾であるというふうに思いますし、このことを、再発防止に向けて取組を進めていかなければならないということで、できるだけ自動的に集計ができる、いわゆるデータのデジタル化を進めること、あるいは、既に研修会なども実施をしてきておりますが、これを全省的に行うように私から指示をしたところでありますし、再発防止に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 その上で、エネルギー政策について申し上げれば、やはりエネルギーの安定供給、電力の安定供給、こういったことが非常に国際情勢の中で厳しい状況になっておりますので、このことに万全を期していくということが必要でありますし、あわせて、大きな時代の流れの中で、気候変動に対する対応、これも喫緊の課題であります。クリーンエネルギーへのトランジション、グリーントランスフォーメーションを進めていくということと併せて、どういう形で両立をしていけばいいのか、これを日々苦慮しながら対応に当たっているところでありますけれども、安定供給と気候変動への対応、グリーントランスフォーメーション、クリーンエネルギーへのトランジション、移行、これを着実に進めていきたいというふうに考えているところであります。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 データの話は、日々我々も議論させていただいているときに、要するに、省庁の担当の皆さんからいただくデータというのが必ず加工されたデータなんですよ。私は、できるだけ元のデータを下さいとお願いしています。例えば電力逼迫、今、安定供給という話ではこの言葉は絶対出てくる話でありますが、例えば、六月に注意報を発令をしました、じゃ、そのときに実際どのぐらいその予備率が危険な状態になった、四日間あるそのうちの何時間、危険な状態になったのか、元のデータを出してもらわないと議論ができないんですよ。

 というのは、電力の逼迫というのは、ずっと電気が足りないわけじゃないわけですよ。一日のうち、それも電力が特にかかりそうな寒い日とか暑い日とか、分かりますよね、そういう中で、特に電気が足りなくなるお昼だとかあるいは夕方だとか、危ない時期というのは数時間なんですよ。電力の本当の逼迫している時間を、正確に、どういうときに逼迫をするのか、それをちゃんと把握していないと正しい議論はできないんです。

 今、政府の皆さんのお話を聞いていると、例えば一か月の間で、厳しいタイミングのときに、予備率が例えば一・何%だ、二%だ、厳しい厳しいと言うんですよ、一か月の中で。でも、その中で本当に厳しいタイミングは数時間なんです。数時間の電力の逼迫を切り抜けるために、どういう対策が本当に効率的で、効果的で、必要かということを議論しなきゃいけないんです。

 例えば原子力発電所、これは電力供給の仕組みとしては優秀なのかもしれませんが、それを動かすということは、ずっと一定の電気を大量に出す、そのためにコストがかかる、そういう電気が今起きている電力の逼迫に本当に必要なのかどうか、その議論をちゃんとするためにはデータが大事なんですよ。

 西村大臣、原発の話は後でしますけれども、今のこうしたデータの精度とそして分析の仕方、どうお考えですか。

西村(康)国務大臣 非常に多岐にわたる論点を御指摘いただいたと思っておりますが、まずは、データに基づいて政策判断をしていかなければなりませんので、正確なデータ、そしてその処理、分析、これが何より重要だというふうに考えております。

 その意味で、要は、人の手によるヒューマンエラーを防ぐために、できる限りデジタル化をし自動的に進めていくこと、そして、ただ、どうしても最終的に人の目で見たり、人が手を加える部分がありますので、その防止を含めて、データの取扱い、処理に関する様々な専門家の意見も聞きながら、研修会なども実施をしてきているところであります。そうしたことを重ねながら、ヒューマンエラーを防ぎ、そして正確なデータに基づいて判断をしていくということが大事だと思います。

 電力の安定供給につきましては、中長期的に確保していくこと、そして短期的に確保、そして、まさに明日あさってどうするか、急激に足らなくなるのではないかというようなときに、様々な市場の力もかりながら供給を確保していく枠組みをつくっているところでありますし、過去様々な、六月の経験もあります、そして電力価格が非常に高騰しているこの状況もありますので、そうしたことを踏まえながら、更に全体として何か改善すべき点はないか、不断の検討を進めているところであります。

 いずれにしても、データに基づいて的確に判断していくということは、御指摘のように、何より大事だというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 個別な論点の前に、大きな、私は大事な姿勢の問題だと思っておりますので、今後もよろしくお願いいたします。

 一番、入ります。

 電気代が今高騰していて、燃料費調整額という、この運用によって何とか電気代を抑えて今供給が行われているという実態がある。これは規制料金という一部の領域ではありますが、そういうお話になっております。

 この規制料金の中の燃料費の調整額、これまで、電力価格が上がっていく、燃料費が高騰していく中で、どういうふうに経緯があって、今後、どういう見通しなのか。そして、今、電力会社の燃料費調整額がもうアッパーまで来てしまっている、上限まで達しているというお話でありますが、電力会社の負担の実態まで、ちょっと現状、御説明を端的にお願いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、委員御指摘のように、燃料費の高騰によりまして、グローバルにエネルギー価格の上昇が続いてございます。

 その中で、日本の電力料金の制度につきましては、二〇一六年に小売全面自由化をしたわけでございますけれども、家庭等向けにつきましては、電気料金の経過措置規定としまして規制料金というものを残してございます。その中で、御指摘のように、燃料費調整制度というものが措置されております。これは、燃料コストの算定に当たりまして、輸入価格の過去三か月分の平均というものをその三か月後の電気料金に反映するという形を取ることによりまして、燃料費の変動をより平準化する形でやる仕組みでございます。

 お尋ねの燃料費の調整の額の状況でございますけれども、これは電力会社によって異なるために一概には申し上げにくいわけでございますが、昨年十月時点、この時点における燃料費調整単価と呼ばれます軸となります価格が、キロワットアワーベースでマイナス三・三八円から〇・五三円という幅でございました。今年十月時点、直近で申し上げますと、キロワットアワーベースで一・七七円から五・三六円まで上昇しています。これを、幅、一年間で考えますと、大体、一・二四円の上昇から八・七四円の上昇まで、幅がございますけれども、上昇してきてございます。

 これにつきましては、併せて、上限を設けるという制度が存置されておりまして、平均燃料価格についての基準価格の一・五倍という上限が置かれておりまして、この上限に到達しているのが、今年二月に北陸電力、以降、順次上限に達してきておりまして、十月時点で中部電力が上限に達することによって、大手電力十社全体が上限に達することになると見込まれます。

 その場合の大手電力会社の負担額でございます。正確に把握することはこれはなかなか難しいところでございますが、機械的な試算として申し上げますと、販売電力量とこの差分というものを掛け合わせる形の仮定で申し上げますと、我々の手元で計算ができるものが今年の四月から六月分でございますけれども、これで計算すると大体約五十億円程度になります。

 ただ、その後も燃料価格が上昇した状況が続いてございますので、負担は拡大していくもの、このように認識してございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この制度自体はやはり大事な制度で、これがあるので、これは元々は、規制価格というか、それがずっと続いていた総括原価の時代の流れの中でできているわけであります。過渡的な制度とはいえ、これは今大事な歯止めになっているというふうな認識でありますが、今後、電力会社の負担はやはり続くわけでありまして、このまま燃料価格が上がっていく、上がり、高止まりするということであれば、そういう状況であります。

 この状況についてどういうふうに今後経産省として対応するおつもりなのか、またさらに、電力価格全体、抑制するために、電力会社にそうした努力をしていただくのとともにどんな施策を考えていらっしゃるか、大臣、お答えいただけますか。

西村(康)国務大臣 御指摘の電力料金の件でありますけれども、まず、需要家の電力料金負担については、この一年間で、家庭向け料金の約二割、産業向けで約三割上昇をしております。需要家にとって重い負担になってきているものというふうに認識をしております。

 こうした状況に対応するために、先般九日に物価・賃金・生活総合対策本部で取りまとめた対策として、六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金創設、それから、住民税非課税世帯に対して一世帯当たり五万円をプッシュ型で支援をする、給付をする電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金を措置をし、二十日に所要の予備費の閣議決定を行ったところであります。

 さらに、昨日岸田総理が御発言をされたことを踏まえまして、御指摘の今後の国際的な燃料価格も踏まえた電力料金の動向なども見ながら、そして様々な御意見をいただきながら、どういった対応ができるか検討していきたいというふうに考えております。

 そして、今説明がありましたけれども、燃料費調整の上限に達している規制料金については、値上げの認可申請を行うことができることとなっております。電力会社各社が申請を行うかどうか、これは基本的に各社の経営判断によるものでありますけれども、仮に申請があれば、厳格に審査を行っていくことになるというふうに思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この問題、次の二番とも絡むのでありますが、状況としては同じような状況がやはり発生をしていて、どういう形で、事業者の皆さんへの負担と、その負担の軽減と、それから消費者であります電力のユーザーがどういうふうにその負担を分けながら、この物価高騰、価格高騰を乗り越えていくのかということ、非常に、これは両にらみで対応を取っていかなければいけないと思います。是非、ここは前向きにいろいろな検討を進めていただいていると思いますので、今後も、補正予算も含めて対応を検討いただきたいというふうに思います。

 二番、行きます。

 燃料油価格激変緩和補助金ということで、ガソリン価格の変動を抑えるために、補助の制度をつくって、元売各社にその上昇分を補填をするというような形で補助を出しているということであります。

 ガソリン価格の変動の実態について、まず原油の市場の動向が一つあり、そして円安の影響があると思うんですが、この変動の実態について御説明いただけますでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、石油元売会社は、原油価格の変動、そして為替の変動、これらを基にして卸価格を決定し、これを踏まえて、各小売店の方では、適正なマージンなどを乗せて、いわゆる末端のガソリン価格を決定しているという状況でございます。

 御質問の、いわゆるガソリン価格のベースとなります原油価格の動向について御紹介いたしますと、まず重要なのは、円建ての原油価格がどういう水準になるかということでございます。この激変緩和制度を導入した当初は、円建ての原油価格はリッター当たり五十九・四円でございました。直近、足下ではそれが八十二・四円と円建ての原油価格が上昇しているために、末端のガソリン価格もまだ引き続き高い水準になるということでございます。

 その間、為替の方は、百十五円から百四十五円と約三割円安に振れてございます。先ほどの円建ての原油価格の方が約四割上昇していますので、原油価格そのものの国際価格の上昇要因も若干ありますけれども、足下の、制度導入当初からの価格の上昇幅で見ますと、円安の影響の方が相対的に多い、大きいという状況でございます。

山崎(誠)委員 これはどのぐらいの影響が、この円安、あるのかというのもちゃんと数字的に知りたいのでありますが、円安の影響は大きいというのは、当然そういうことなんだろうと思います。ドルベースの原油価格を見ると、上がったものがやはり今下がってきていますので、そういった意味では、市場の動向というのは一旦落ち着いてきているのかなと、これは分かりませんけれども、そういうお話かと思います。

 二番に行って、元売各社が価格高騰対策にどのぐらい取り組んでもらっているのかというのが課題であります。

 資料一を見ていただくと、石油の元売は、今大変、増益ということで収益を上げています。これは為替の問題などもあって、在庫の評価などで利益が上がっているというのは分かるんですが、その利益を一生懸命、いろいろな投資に回したり、自社株を買うとかいろいろなお話がありますが、そういうような形で使っている。片や、この価格の維持については大きな税金を使っているということでありまして、これは、一定やはりこの元売の努力というものが見えてこないと、どこまでも税金に依存するような体制では困ると思うんですね。

 その辺りをちょっと確認をしたいので、元売各社はどういうふうにこの価格高騰対策をやっているのか、お聞きをしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、申し上げますと、この激変緩和措置による国から元売に支給している補助金でございますけれども、これは、いわゆる元売から小売に対する卸価格の値下げに全て反映されるということを元売会社も世の中に宣言しておりますし、我々もそうなっていることを確認した上で補助金を支給するということにしてございますので、元売にこの補助金の一部が滞留するということにはなってございません。

 その上で申し上げますと、元売各社、これは、御案内のとおり、いわゆる国内の石油需要、年間約二%ずつ縮小していっている。若干、直近ではコロナの回復で戻しがありますけれども、構造的には縮小していくという傾向にありますので、元売は常に経営を効率化していないと、まさに企業としての存続が危ぶまれるという状況にございます。

 そういう中で、元売としては、デジタル技術の積極導入によるオペレーションの効率化、あるいは精製設備や製油所機能の統廃合を通じた生産体制などの最適化、そして、業務提携による出荷基地の統廃合や供給網の相互融通といったコスト削減の努力を様々に積み重ねてきているという状況でございます。

 加えて、元々の本業であるいわゆる石油精製のところの市場が将来先細りでございますので、元売各社は、こうした努力を通じて捻出したキャッシュフローを、水素、アンモニア、SAF、合成燃料といった次世代の燃料の供給やCCSといった二〇五〇年カーボンニュートラル社会の実現に貢献するような事業の割合を増やしていくための構造転換に活用しているというふうに認識してございます。

山崎(誠)委員 御説明は一定理解をするんですが、私がやはり御指摘をしたいのは、税金を使って価格の激変緩和をやっている。これは大変な、一兆九千億とか一兆三千億とか、そういう規模のお金を使っているわけでありまして、一方で、普通の小売事業者であれば、できるだけ価格を抑えようということは企業努力をした上でやっているわけでありまして、そこを、何というんですか、政府頼りでガソリンの価格だけ維持をするというのは、全体のバランスからいくとどうなのかなというのもありますので、ここは厳しくチェックをしながら運営をして、運用していただきたいと思います。

 この円安の影響なんですが、今後の見通しがやはり大変気にかかるところなんですね。財務省から国際局次長にお越しいただいていますので、一言、今後の為替の見通し、どう考えたらいいのか教えてください。

土谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の為替相場の見通しでございますが、大変恐縮でございますが、市場に不測の影響を及ぼすおそれがございますため、コメントすることは差し控えさせていただきますが、最近の為替市場では、投機的な動きも背景に、急速で一方的な動きが見られたところでございます。

 財務省といたしましては、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応を取りたいと財務大臣から申し上げているところでございます。

山崎(誠)委員 済みませんね。なかなかお答えできないのは分かっていながら御質問しました。

 私がここで確認したいのは、基本的に、この為替の問題というのは市場の動向に依存をするわけで、予断を持って上がるとか下がるとか言えない。今の状況を見ると、この円安というのは相当続きそうだ、そういう考え方もある。こういう、市場に依存してこのガソリンの補助をやはり続けていくのかどうかというのも、これは経産大臣として判断しなきゃいけないんですよ。

 これは出口戦略という意味でも、円安がやはり大きな影響となって今ガソリンの価格が上がっているというのは、先ほどの説明でもありました。こういう中で、今後のガソリン価格をどういうふうに考えるのか、あるいは、エネルギー、ガソリンに絡めると動力系のお話、自動車だとかの話だと思いますけれども、どういうふうな展開を目指すべきか、お考えはありますか。

西村(康)国務大臣 御指摘の燃料油に対する激変緩和措置事業でありますけれども、現在、三十五円を超える支給を行うことで、本来であればレギュラーガソリンの全国平均価格が二百円を超えるところを、約百七十円程度に抑制をしてきております。

 足下で様々な物価高騰が続く中で、国民生活や経済活動への影響、これをできる限り小さくする、最小化するという観点から、本年十二月末まで価格抑制を継続する。そして、補助上限については、原油価格の動向を見極めながら引き続き検討するということにしたところであります。

 その上で、御指摘の今後の事業の在り方についてでありますけれども、まさに、ガソリン価格、原油価格、これは元々の原油価格それから御指摘の為替も関わってくるわけでありますが、そうした動向のほかに、まさにこの措置は時限的、緊急避難的な事業であるというその趣旨があります。それから、地方創生臨時交付金など、先ほどの交付金も含めて物価高騰対策を行ってきておりますので、そうした実施状況などを見極めながら慎重に検討をしてまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 これは時間があればじっくりと議論しなきゃいけないと思うんですけれども、例えば、これから、電気自動車の普及だとか、ガソリンをそもそも使う量を減らしていくということが、私は、大きな構造変革、物価高対策の根本だと思うんですね。燃費のいい車を使う、あるいは水素を使う、そういったシフトを本当に目指していかないと、これは、円安あるいは円高、あるいは市場の動向で常に影響を受けるような話になってしまうので、これは是非私はそういう視野で今後の議論をしていただきたい、進めていただきたいと思います。

 本当に時間がなくなってしまいました。原子力政策についてじっくりお話しするのはまた臨時国会が始まってからということにしたいと思いますが、今日、新しい原子力規制委員会の委員長、山中委員長に来ていただいております。

 私が今非常に危惧しているのは、岸田政権になってから、原発回帰というか、原発を動かそう動かそう、そういう動きがすごく強くなっているような気がしております。例えば、再稼働を、今まで既存の動いている十基にプラスして七基で、十七基という目標を定められました。

 今日、資料にもお配りをしたんですが、それを受けて、資料の三、東京電力は、柏崎刈羽、来年の七月に再稼働、そういう見通しを立てているということでありまして、これは、安全の、規制の話をするときに、期限を切って、ここまでに、まあ目標としてはいいかもしれないけれども、ここまでにクリアするんだというようなことが本当にあり得るのか、言えるのか。

 これは更田委員長ともいろいろ議論して、本当に規制委員会は一生懸命この原発安全のためのお仕事をされているのはよく理解しております。山中委員長、こういう規制については、運転したいという人たちの声の中でも、やはり安全最優先で検査を徹底的に実施をするんだというお考えか、確認させてください。

山中政府参考人 お答えいたします。

 私、まず最初に申し上げたいのは、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を決して忘れない、このことでございます。

 この強い信念を持って、独立性、透明性、これを堅持して原子力規制を厳正に遂行していくという方針は私も何ら変わるものではございませんし、これまで行ってきた厳正な審査、検査について継続的に実施していく、そのつもりでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非またいろいろな議論をさせていただいて、お知恵をおかしをいただきたいと思います。

 こうした前のめりな再稼働、原発拡大には私はやはり反対でありまして、慎重に対応すべきだというふうに思います。

 最後になりますが、大臣に一点、スタンスをお聞きをしておきたいと思います。

 エネルギー基本計画の六次、七ページにはこう書いてあります。東京電力福島第一原発事故を経験した我が国としては、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の新たな削減目標の実現を目指すに際して、原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する、こう書いてあります。今生きているエネルギー基本計画に、可能な限り原発依存度を低減すると書かれています。

 今、山中委員長からもございました、福島原発事故の教訓を決して忘れないと。それが、このエネルギー基本計画の原発政策、原子力政策の……

古屋委員長 山崎委員、申合せの時間が来ておりますので、おまとめください。

山崎(誠)委員 ベースだというふうに理解しております。そのために、この七ページにも書いてあるし、ほかのページでも出てきます。

 大臣、原子力発電所の、原発の依存を低減する、可能な限り低減する、この方針には変わりありませんか。

古屋委員長 西村大臣、手短にお願いします。

西村(康)国務大臣 エネルギー基本計画は、閣議決定をし、私ども、それを踏まえて対応していくということに変わりはございません。

 エネルギーの安定供給、そのために、原子力を含めてあらゆる選択肢を確保していくことが極めて重要であるというふうに認識をしております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この言葉、例えば、これから原発の新増設のような話もありますが……(発言する者あり)

古屋委員長 申合せの時間が来ておりますので、終了してください。

山崎(誠)委員 是非、前向きにまた議論をさせていただこうと思います。

 以上です。

古屋委員長 次に、馬場雄基さん。

馬場(雄)委員 こんにちは。立憲民主党、福島県出身の馬場雄基でございます。

 西村大臣、そして関係各位の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)チームとして時間を守らせていただければというふうに思っております。

 分断のない社会を築くということ、これが私の政治家としてのエネルギーの源でございます。東日本大震災当時、私は高校生でした。あのとき以来、本当に多くの方々に支えられて今があるというふうに思っています。

 しかし、これから生まれてくる子供たちや今既に小学校にいる学生たちは、あの震災を知らないわけです。私たちがまさに責任世代として今なすべきことをなしていく、手を尽くすことは全て尽くして、廃炉を適切に実現に向けて歩みを進めていくということが何にも増して重要であるというふうに思っております。

 二十五日日曜日、実は、JAEA、日本原子力研究機関開発機構が運営する大熊分析・研究センター第一棟が完成し、経産省からは太田副大臣が出席をなされておりました。私も一緒に行かせていただきましたけれども、是非とも、第三者機関として処理水あるいは燃料デブリの研究を行うということですから、信頼性ある分析を行って、率先して国内外に理解を深めるような、そういうふうな歩みを期待したいというふうに思っております。

 西村大臣に伺います。

 二十七日、ウィーンにて行われたIAEAの総会におきまして、韓国、中国がALPS処理水の海洋放出について懸念を示されました。その論点は、日本の計画は安全性が確保されていないということであったと認識しています。

 安全性が確保されていないということは、我が国においてそれは事実なのか、あるいは韓国や中国がなぜそういう発言をなされているのか、西村大臣の見識を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、今月二十七日、ウィーンで開催されておりましたIAEA総会の一般討論演説におきまして、中国及び韓国から、ALPS処理水の海洋放出に関して、汚染水と表現するなど、我が国の立場と相入れない発言がありました。

 その場で、日本側から、汚染水ではなく、ALPS処理水が適切な表現である旨を述べた上で、処理水の安全性についてもIAEAの厳正なレビューを受けていることを指摘するなど、しかるべく反論を行ったと承知をしております。

 引き続き、この安全性の確認については、IAEAによる評価を受けるとともに、国際社会に対して、科学的な根拠に基づいて、透明性を持って丁寧に説明してまいりたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 根拠のない論であれば、国が率先してそれは毅然と反論すべきだというふうに思っています。内閣官房副長官の磯崎副長官からはそのコメントがあったというふうに把握しておりますが、この所管である西村大臣からのお言葉は、今、私は、確認はここでさせていただいたというふうに思っています。もっと早く、そして毅然と対応していかなくてはならないというふうに思っています。

 国際的な理解という面では、私も環境委員会に所属をさせていただきまして、つぶさに確認をしてきました。そのたび言われてきたことが、例えば、福島に来るIAEAの調査団の中には中国や韓国も入っていますよ、そして、理解醸成は進んでいます、そういうふうに言われてきましたが、結果、ここに来て今こういう状態だということは、やはりゆゆしき事態だというふうに思っています。

 IAEAは専門家集団でもあります。だからこそ、IAEAでこういう状態であるならば、韓国や中国その国においてはもっと大変な状態になっているとも想定ができます。海外の議論をしっかり適切なデータに基づいて進めていくということが、風評被害を起こさないということでは大前提だというふうに思っています。

 西村大臣、ここまでの延長線上の政策では私はいかぬではないかというふうに思うわけです。国のリーダーとして、更なる国政の理解醸成のために、一歩踏み込んだ、例えば、大臣、副大臣、あるいは政務官がちゃんと大使館に回って説明する、あるいは、そこで理解をいただけないんだったら、オープンな研究をして、各国の専門機関に来ていただいてやっていただく。そういうふうなところまで必要なのではないかと思うんですが、西村大臣のお考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 御指摘のALPS処理水の取扱いにつきましては、これまでも、中国や韓国を含む国際社会に対して、科学的な根拠に基づいて、透明性を持って丁寧に説明をしてきているというふうに承知をしております。

 多くは申し上げませんけれども、御指摘のような在京外交団、外国メディアへのブリーフィング、あるいは海外ニュース番組での説明、海外紙への広告記事掲載、こうしたことを通じて、処理水処分の安全性、必要性の解説、情報発信などを行ってきております。

 また、先ほどありましたとおり、国際会議などで事実と異なる情報が発信された場合には、政府全体で連携して、迅速に訂正を求めるなどの対応も行ってきております。

 加えて、御指摘の第三者による安全性確認の観点から、既にIAEAにつきましては、処分の開始前、処分中、処分後の長期にわたって、繰り返しレビューをしていただくことにしておりますし、御出席いただきましたJAEAの大熊分析・研究センターにおきましても、これからALPS処理水の性状に関する分析を行ってまいりますので、その結果をしっかりと公表して、国際社会に発信していくこととしております。

 そして、御指摘のように、こうしたIAEAを始めとする関係機関の協力を得ながら、また、外務省を始め関係省庁とも連携しながらでありますが、私を含め、御指摘のように政務も前面に立って、あらゆる機会を通じて国際社会に説明し、安全性についての理解醸成にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 まさに今回JAEAの大熊研究・分析センターができたわけですから、そこをまず率先して行っていただいて、そして、まだそれでも理解が醸成できないのであれば、やはり関係各国から理解をいただけるような、そういうスキームを大臣自ら取っていただきたいというふうに思っています。

 これから閣議ということもありまして、私は次、十一時からのバッターになりますけれども、その閣議のときにも是非こういうところを共有していただきながら、国のリーダーの皆様方の適切な発言を求めたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、松本洋平さん。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、八月三十一日から九月一日にかけまして、経済産業委員会で視察へ行ってまいりました。熊本へお伺いをしたわけでありますけれども、半導体産業に関する視察、また、蒲島知事や教育関係者の皆さんとの意見交換、懇談、また、豪雨災害で大きな被害を受けました人吉市などを回ってきたところであります。

 まず、本当に、今回の視察に当たりましては、熊本県を始め、多くの皆様方に大変お世話になりました。この場をおかりいたしまして、私から、関係した皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 今回の視察を受けまして、私からは、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、半導体に関しまして、TSMC、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社並びに株式会社デンソーの合弁会社でありますJASMの工事建設現場を拝見をしてきたところであります。また、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社というところにもお邪魔をさせていただきまして、こちらも半導体を製造している会社でありますけれども、いろいろとお話を聞かせていただいたり、現場を拝見をしてきたところであります。

 半導体のような国際的な競争分野におきまして、いかに莫大な投資が必要なのか、また、その投資を決めるスピード、また、決めた後の実際稼働に至るまでのスピードの速さというのを、恐らく視察に参加をされた各委員も、改めて驚くと同時に、やはり国際社会の中で我が国が勝ち抜いていくためには、このスピード感というものが改めて必要なのではないかということを感じられたのではないかと思っております。

 実際に、現場の皆さんからもお話を聞かせていただきましたけれども、例えば、JASMの工場建設をしている建設会社の方のお話の中では、これまで長いこといろいろな建設現場に携わってきたけれども、これほど速く進められる工事というものは今まで経験をしたことのない速さだというようなことも実はお話があったわけでありますし、また、工事に着工をするための様々な、行政手続を始めとしたそうした手続というものもこれまでになく速いものだったということで、大変びっくりをしていたところでもあります。

 実際に、蒲島知事ともお話をさせていただきましたけれども、蒲島知事も、当然、安全性には最大限の留意をしつつ、県庁一体となって対応してきたというようなお話も聞かせていただいたところでありました。

 改めて思いましたのは、やはり、我が国がこれからしっかりと成長をしていくためには、そして、産業を育成をしていくためには、とりわけ国際的に大変競争が厳しい分野において勝ち抜いていくためには、こうした投資の判断のスピードをいかに上げていくのかということも大変重要でありますし、また、それを支える行政の側もそのスピード感にしっかりとついていくということを私たちとしてはしっかりやっていかなければいけない、そんなことを大変強く感じたところでもあります。

 そこで、お尋ねをいたしますけれども、行政の手続、これが企業の投資の妨げとなってはなりません。投資が円滑に進むように手続の迅速化を図るために、私は、やはり経済産業省がよりサポートをしていかなければいけないのではないかということを大変強く感じておりますので、このことに関する御答弁をお願いしたいと思います。

新居政府参考人 まずは、委員長、理事、委員の皆様に、九州、熊本に御出張いただき、御視察いただいたことに感謝申し上げます。ありがとうございます。

 松本委員の御質問にお答えいたします。

 企業の立地、投資判断や事業展開に当たっては、スピード感が極めて重要であると認識しております。経済産業省としては、関係省庁や自治体と密接に連携しながら、企業をしっかりサポートしていく必要があるという認識であります。

 例えば、今、松本委員から御紹介がありましたように、熊本県の半導体産業振興に向けては、経済産業省、九州経済産業局、熊本県が定期的に、企業が抱える課題について情報を共有し、関係省庁とも連携して、迅速な解決を図ってきたところであります。

 経済産業省としては、地方経済産業局に設置している、地域を牽引する企業を支援するコンシェルジュ、これは伴走支援する職員のことです、また、規制の特例措置等を通じて企業の新たな事業実施を促進する地域未来投資促進法などを活用しながら、関係省庁や自治体と密接に連携し、各種手続の迅速化を含め、地域における企業の立地やその活動をしっかりとサポートしていきたいと考えております。

松本(洋)委員 実際、現場におきましても、九州経済産業局の皆さんが本当に各省の間に入って調整をしたりすることで、例えば、当然、工場を建設するためにはそこに至るまでの道路をしっかりと整備をしなきゃいけない、また、住民の皆さんの理解も得なきゃいけない。様々な調整をして、道路も初めて工事で一本使えるようになるわけでありますけれども、そういうところに至るまで、非常に経済産業省の、九州経産局の皆さんが間に入って様々な調整をしていただいたことによってそれらが円滑に進んだというようなお話も聞いたところでありまして、是非、我が国の産業政策を所管をする経済産業省が、より主体的にしっかりとこれらを進めていただきますように、お願いをしたいと思います。

 続きまして、人材の育成の話でありますけれども、今回、九州全体に、半導体人材の育成をしていこう、そういう機運が高まっておりまして、大学や高等専門学校、工業高校、こういうところが連携をいたしまして、人材の育成を始めているお話というものもお聞かせをいただいたところであります。

 そもそも教育というものをどう捉えるかということでありますけれども、ある面、社会に出るための準備期間というふうにも捉えることができると思っているわけでありまして、そういう意味で、私たちはやはり、社会、経済がどういう人材を求めているのかということを教育行政にしっかりと伝えていくということも、私はある意味、大事なんじゃないかと思っておりますし、また、経済界が専門人材をしっかりと派遣をして、経済界が必要とする人材をこの教育行政の中から、教育界の中から、しっかりと供給をしていくことができるようにしていくということも大変重要な事柄だと思います。

 是非そういう意味では、経済産業省が、この教育に関しましても、より積極的に関与をし、こうした人材を供給できる仕組みをつくるべきだと思いますけれども、どうぞ、そのことについての御答弁をお願いいたします。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の産業競争力の源泉はまさに人材でございます。産業界が真に必要とする人材確保のため、産業界のニーズをきめ細かく踏まえた人材育成は極めて重要でございます。

 本年五月に取りまとめた未来人材ビジョンでございますが、これでもこの重要性を示したところでございまして、経産省といたしましては、昨年度補正予算で措置をしました共同講座補助金、これは、企業が大学などの高等教育機関で人材育成を図るための講座を設置するその費用に加えまして、そういう支援をしております。

 それに加えまして、御指摘の半導体でございます。九州を始め、半導体、さらに蓄電池などに関する人材育成のために、産学官一体の人材育成のコンソーシアム、これを各地域で立ち上げております。既に半導体分野では、基礎から実用まで一貫したカリキュラム開発、高等専門学校への出前授業、企業の方が高専に行かれて授業をする、こういったことの取組も始まってございます。

 昨日は、文科省とともに、デジタル人材育成の推進協議会、これを立ち上げたところでございまして、高等教育機関のデジタル人材育成を産学官が一体となって推進するための議論を開始しております。

 今後も、これらの支援策、協議会も活用しながら、産業界と教育機関が協力した人材育成を後押ししてまいりたいと考えております。

松本(洋)委員 ありがとうございます。

 これは、半導体が今回九州でということでありますけれども、半導体に限らない話だと思いますので、是非そうした取組を進めていただきたいと思います。

 最後に、私、副大臣時代に福島を担当しておりましたので、福島について一問だけ質問をさせていただきます。

 昨年の八月三十一日、菅前総理が、拠点区域外への帰還を希望する全ての住民の方々が帰還できるよう、二〇二〇年代をかけて、避難指示解除を進めてまいりますという方針が示されました。実際に私も福島の現地の方とお話をしているときに、いつふるさとに戻れるんだという声を大変強く、常にいただいていたのを覚えているところでもあります。是非これをしっかりと進めていただきたいと思います。

 進捗状況と今後の決意を教えてください。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年八月三十一日に決定いたしました基本的方針を踏まえまして、まずは、二〇二〇年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員帰還できるよう、特定復興再生拠点区域以外についても避難指示解除の取組を進めてまいります。

 現在、帰還区域の避難指示解除が行われました大熊町、双葉町におきまして住民の意向確認を進めております。その結果を踏まえまして、来年度からの除染の着手、具体的な除染範囲等について検討を進めてまいります。そして、将来的には、帰還困難区域全ての避難指示解除を実現すべく、責任を持って取り組んでまいります。

 一日でも早い住民の皆様の帰還に向けまして、引き続き、各自治体の個別の課題や要望を丁寧に伺いながら、避難指示解除に向けた取組をしっかりと前に進めてまいりたいと考えてございます。

松本(洋)委員 時間となりましたので、終わります。ありがとうございます。

古屋委員長 次に、平林晃さん。

平林委員 公明党、平林晃です。

 本日、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 持ち時間十分の中で、半導体とデータセンターについてお聞きさせていただきます。

 まず、半導体についてお聞きいたします。

 今、松本先生からもお話がありましたけれども、ロジック半導体の大工場、熊本県に誘致され、建設が進む様子、私も先日の視察の中で拝見をさせていただくことができました。経産省から巨額の支援がされて、その一石を投じられて起こされた波が、産業界のみならず教育界にも伝播をし、また、熊本のみならず九州全域に及ぼうとしている姿、我々からすると、本当にすごい、羨望、そういった印象を受けてまいりました。

 もっとも、5G促進法のその後の運用により、半導体メモリー企業にも数百億円の支援が検討されているということはお聞きしておりまして、ロジックとメモリーでバランスを取りながら支援をされている、そのように理解をさせていただいております。

 このようにして、国内の半導体製造体制、一旦整備されていくと考えますが、その上で重要になることは、継続した投資であります。

 私が先日話を伺いました半導体企業の方によれば、技術的な世代交代がおよそ一年半で発生をする、このための設備の入替え、あるいは、場合によっては製造工程が増えて装置が増える、そうすると工場の拡張が必要になることもあり、こうした投資が三年間で一兆円ということもお聞きをしてまいりました。一企業で本当にすごい金額だなと思ったわけでございます。

 こうした投資、財政状況がよければその企業で対応できることでしょうけれども、そうでなければ極めて難しくなり、これで立ち行かなくなったのが日本の半導体の歴史であると認識をさせていただいております。この歴史を繰り返さないために、半導体製造体制維持をどう目指していくのか、政府の見解を伺います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず、平林委員を始め、委員長、理事、委員の皆様におかれましては、先月末、熊本のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、及び、TSMC、ソニー、デンソーの合弁企業であるJASMの工場建設現場の視察にお越しいただきました。半導体産業の実情について御理解をいただいたことに関しまして、感謝を申し上げます。

 そして、我が国の半導体産業でございますが、一九八〇年代には世界一の売上高を誇っていたわけでございますが、その後、競争力を落としてまいりました。これは、当時の政府が世界の半導体産業の潮流を見極めることができず、国策として半導体産業の基盤整備を支援する姿勢が不十分だったこと、また、日の丸自前主義に固執して、イノベーション力や販路開拓の面で劣後したことなどが要因というふうに承知をしております。

 こうした反省を踏まえまして、足下では、5G促進法等に基づく製造基盤整備や、次世代半導体に関する国際共同研究開発を見据えた、国内の英知を結集する研究組織の組成など、国も一歩前に出た具体的な取組を進めているというところでございます。

 先生御指摘のとおり、ここで取組を止めてしまうとなると、歴史を繰り返すことになると認識をしております。経産省としては、継続的に支援を行うとともに、有志国、地域と連携したサプライチェーン強靱化に努めまして、半導体産業の強化に取り組んでまいります。

平林委員 ありがとうございます。一歩前に踏み出してというお話がございました。

 あくまで一業界に対する支援ですので、やはり国民の理解も必要になると思います。そういったところ、丁寧に説明をしていただきながら進めていただければと思います。

 また、半導体についてもう一点、お尋ねできればと思います。

 我が国は、平地が限られ、工場用地の確保は容易ではない、また、半導体には大量の水や電気が必要ですけれども、とりわけ電力、高額あるいは供給力不足など、懸念が報道されています。こうした状況において、海外の半導体企業、投資先として我が国が選ばれにくいのではないか、こんな不安も伺っております。

 こうした不安を払拭するためにどんな施策が必要と考えておられるか、政府の見解を伺います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、電力料金を始め、他国よりも事業環境の面で劣後する面はあることは事実です。また、米国における新法に基づく大胆な半導体産業支援策を始め、各国政府が支援策の具体化を進めてきておりまして、我が国といたしましても、自国の強みを生かしながら、他国に肩を並べる国策としての取組、これを展開していかなければならないというふうに認識をしております。

 我が国には、高い競争力を有する半導体製造装置や部素材メーカーであったりとか、自動車、産業用機械、部素材、情報通信等の物づくりを中心とした幅広い半導体のユーザー産業がございます。さらには、次世代の人材育成や高度な研究を担うことができるレベルの高い理工系の大学や研究機関等のアカデミアがあり、また、水資源を含む、先生おっしゃったとおりで、事業環境、行うためのインフラもあります。さらには、既存の半導体工場で培われた経験豊富な人材も今おります。

 そのような中で、これらは海外の半導体メーカーをも引きつける強みであるというふうに承知をしておりまして、こうした強みを生かすために、半導体製造装置や素材メーカーを巻き込んだ次世代技術の開発、また産学官が連携した人材育成、さらには、国も一歩前に出た製造基盤整備にも取り組んでいるところでございまして、引き続き、日本の強みを生かす取組を進めてまいりたいというふうに認識をしております。

平林委員 是非、強みをしっかり生かしていただいて、様々な努力を続けていただきたいと思います。

 続きまして、データセンターについて一点だけお聞きさせていただきます。

 デジタル田園都市国家構想で、十数か所のデータセンターを地方に五年程度で整備とありまして、経産省、総務省で補助金事業を進行中である、このように認識をしております。

 こうした方針の背景は、データセンターの関東圏への集中であると。約六〇%が関東圏に集中をしていると言われていまして、安全保障や災害対策の意味からも、データセンターを地方に整備するという方針には私も賛同をいたします。

 ただ、データセンターがこれまで関東に集中してきた主たる理由は、データセンターの需要が関東などの都市圏にある、また利便性が高いということがあると考えます。逆に、地方都市においては需要がそれほど多くなく、その結果、データセンターが整備されてこなかったという経緯もあると考えます。

 こうしたことから考えまして、データセンターの地方への整備にちゅうちょする事業者の声も頂戴をしております。

 地方に整備したデータセンター、これから整備していくデータセンターが活発に利用されるようにするためにどのような方策をお考えであるのか、政府の見解を伺います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 デジタル化の進展に伴いまして、データの蓄積、処理を行うデータセンターの役割、今後ますます重要性を増していくものと承知しておりますが、先生御指摘のように、地方に関してはどうなんだという議論があるのも事実ですけれども。

 データセンター、これは今や国民の経済社会活動を支えるデジタルインフラという中で、まず第一に、広域災害時に共倒れを防ぐためのレジリエンスの観点、また、多くの電力を必要とするデータセンターにおける再生可能エネルギー等の効率的な利用、さらには、自動運転等の実装、こういうものが始まりますと、各地の現場の機器から生まれるデータを、遅滞なく迅速に集めて応答するという通信ネットワークの効率化ということが必要になってきます。

 こういう観点から、地方でのデータセンターの最適配置を進めていくこと、これは以前にも増して重要になってくるということでございます。

 データセンターの地方立地の推進に当たりましては、事業主体である民間のデータセンター事業者が、将来の需要を見込んだ上で、事業性を確保しつつ、将来にわたり安定的な運営を行っていただく、これが極めて重要でございまして、このため、経済産業省と総務省で、事業者による地方でのデータセンターの拠点整備に係る初期コストの低減を図るべく、必要な予算措置をしている。

 また、私ども経済産業省では、加えまして、データセンターの立地を目指す地方公共団体が、それぞれの地域の優位性や事業性、これについて調査をして、民間事業者に情報提供していただくためのFS調査に対する支援、これも行っております。

 デジタル田園都市国家構想、この実現に向けまして、関係省庁と連携しながら、引き続き、地方のデジタル化の推進をするとともに、データの蓄積、処理需要の拡大と相まりまして、国内における地方データセンター拠点整備を推進すべく、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

平林委員 ありがとうございました。

 地域地域によって、調査をしながら、需要に基づいて進めているということでした。

 そういったことも当然大事と思うんですけれども、それだけで安心できない事業者さんもいるというふうにお聞きしております。官公需といいますか、自治体、国とかそういったところからも少し手を差し伸べていただくとか、そういったことも御検討いただければというふうに思っております。

 質問は以上となりますけれども、私事で恐縮です、来月から別の委員会に所属することとなりました。新人議員でありながら、質問に度々立たせていただいたり、視察に参加させていただいたり、様々感謝しております。本当にありがとうございました。

 失礼いたします。

古屋委員長 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。馬場雄基さん。

馬場(雄)委員 改めまして、よろしくお願いします。立憲民主党、馬場雄基です。

 ここからは、まさに私たちの世代の問題にもなります事業承継についての話題に行きたいと思っています。

 ちょうど私の世代、そろそろそういう時期を迎えている、いわゆる事業承継される側の人間たちも多くなっています。今、町を見渡せば、例えば地域のクリニック、あるいは町の工場、そして伝統工芸の担い手の皆さんなど、少しずつその高齢化というものが進んでいるのは事実であると、様々なデータからもこれは読み取れると思っています。

 団塊の世代の皆様方が後期高齢者となっていき、事業承継の課題が一層深刻になると言われる二〇二五年問題まで、残りもう三年というふうになりました。企業は地域の要です。地域の暮らしを支えているのもまた企業でございます。人口構造が変化し、都市集中が進む中、地域の中で魅力ある企業こそが地方創生の生命線であると私は思っています。

 西村大臣、中小企業の事業承継問題が地域に与える影響について、御認識を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、中小企業の事業承継、引継ぎ、これはもう、地域の経済、雇用の基盤を支えていく、地域の活力を維持していくという上で、まさに喫緊の課題であるというふうに認識をしております。

 特に、委員の世代の課題だということでおっしゃられましたけれども、まさに中小企業の経営者の年齢が、二〇二〇年には七十から七十四歳の割合が過去最大となっておりますので、まさに高齢化が進行しております。加えて、地方を中心に、なかなか後継者がいない、そういう中小企業も多く、仮に黒字経営であっても廃業を選択せざるを得ない、そんな場合も出てきているものというふうに認識をしております。

 そうした中で、まさに取組を進めていかなきゃならないんですが、事業承継、引継ぎを契機として世代交代が進めば、まさに若い感覚、新しい感覚で新たな事業に挑戦をしたり、販路開拓を取り組むなど、いろいろな取組が進みやすくなるといった、地域の基盤維持だけではなくて、まさに新陳代謝や新たな成長につながる、こうしたことも期待できるというふうに考えております。

 そうした観点から、各都道府県で設置をしております事業承継・引継ぎ支援センターによるワンストップ支援であるとか、あるいは事業承継、引継ぎの補助金もございます。廃業関連費用の支援などもございますし、引継ぎのときの専門家を活用するといったことも活用できますので、さらに、御案内のとおり、事業承継時の税負担を実質ゼロにする事業承継税制もございます。

 こうした総合的な支援策を経産省として講じているところでありますけれども、引き続き、地域のまさに実情に応じて、中小企業の事業承継を円滑に進められるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 まさに私の世代、今、本当に悩んでいまして、突然と降ってきて、例えばその会社を知って、ああ、こういうふうな状態になっているのかとか、そういうふうなことをまさにリアルで知ったというふうな悩みもここ最近聞いてもいます。また、新たなチャレンジをしたいけれどもそこまで一歩踏み込む勇気が出ないとか、そういった意味のために行政の支援があるというふうにも思っています。

 ただ、私、元々銀行員でして、民間のことは民間でやるべきだというふうにも思っています。本来、事業承継はその立ち位置にあるべき議論だと思いますけれども、行政が民間の枠を超えて事業承継を支援していくその意義、行政が関わることの意義について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まさに、繰り返しになりますけれども、地域の経済、雇用を支える、地域の活力を維持していく、そうした観点から、事業承継、引継ぎというものは喫緊の課題だというふうに考えております。

 そうした中で、まさに、そういう事業承継や引継ぎを支援する民間の担い手として、金融機関もありますし、また、MアンドAの専門仲介事業者などが数多く存在しているものと認識をしておりますけれども、多くの金融機関などはやはり一定規模以上の事業者を支援対象としているということで、一定の収益を上げていくということもあると思いますので、小規模な事業者に対してはやはり行政がしっかりと支援をしていく必要があるというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたような、経産省として、各都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターを設置をしておりますが、特に小規模事業者を中心として、後継者不在の中小企業、こうした方々から事業承継や引継ぎの相談を受け付けて、そして、民間企業が対応することが適切な相談については民間企業への橋渡しを行う、そして、民間企業がなかなか対応できない、小規模な事業であったり難しい案件であったりいろいろあると思いますので、そうしたことはセンター自身が自らマッチング支援を行うといった取組をしております。小規模事業者を中心として、中小企業の事業承継、引継ぎに取り組んでいるというところであります。

 昨年、三年度の例でいいますと、約六千七百件の相談があって、このセンターでは合計で約一千五百件の成約を実現しているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 私も、この六千七百件という数字を見させていただきました。この件数というものが多ければいいのかというと、ちょっとそれも違うのかなと。

 民間であれば件数が多いほどいいとは思うんですけれども、行政の意義というものに関しては、今大臣もおっしゃっていましたけれども、民間だけでは取りこぼしてしまうような、そして、その会社がなくなってしまえば地域に多大なる影響を与えてしまいかねない、例えば、本当に核となる企業あるいはライフラインを行っている企業、生活必需品あるいは伝統工芸、様々な、まさにこの企業がないともう地域が回らなくなってしまう、地域の全てを把握した中で、そういった会社に支援を伸べていくということがまさに行政の価値なのではないかというふうに思っています。

 実際、お話を中小企業の皆様方に伺ってみると、元々銀行員なのでちょっと悔しかったり悲しくなったりしますけれども、やはり民間金融ですとなかなか相談できないと。これは理由は簡単でして、足下を見られてしまうからですね。そして、例えば町中の商工会の方々に相談しようとしても、いわゆる町の中のネットワークなわけですから、自分の弱みを自らさらけ出してしまうというようなこともあり、なかなか相談できない。だから、行政の方々に公正公平な目で見ていただいて、それだからこそ、アンケートにも答えられるし、そういうふうにできるんだというような切実な声も私は伺ってきました。

 まさに、件数ありきというよりかは、ここは質の問題だというふうにも思っています。だからこそ、もちろん数は数で大事ですけれども、地域を守り、豊かな経済をしいていくという意味において、まさに公が主導となったネットワークのつくり方、今まさに取組の中にもありますけれども、これが本当に重要なんだと思っています。

 しかし一方、そこで、その担当者からお話を伺うと、なかなか勝手が、制度が使いづらいというような声も上がっているのではないかと思っています。例えば、事業承継・引継ぎ補助金、あるいは先ほどありました税制の問題ですけれども、項目が多過ぎる、そしてそれを活用できない、そういうふうな話は多々聞き及びます。

 例えば事業承継税制、今まさに、ゼロになる、そういうふうな枠組みがあると大臣はおっしゃっていましたけれども、このゼロになっていく、ひもとくと、次の後継者だけではなくて、次の次の後継者まで引き継いで初めて免除になる。これはさすがに見通しがしづらい。そして、担当者からも、リスクが多過ぎて、なかなかそこを、自ら自信を持って勧めることができないというような声も上がっているのではないかと思っています。

 これでは、リスクが大きくて、そして、その担当者が自信を持って勧められていないこの状況においては、制度をつくったとしても活用されない。あるいは、制度をつくったとしても、書類をしっかりと作れる、そういう人を雇える、そういう大きな企業だけがそれを使っていき、本当に届くべきところに届いていないんじゃないかというふうに思うわけですけれども、この現場の声に対して経済産業省さんとしてどのようにお応えするか、政府参考人のお答えをお願いします。

小林政府参考人 委員御指摘のとおり、事業承継税制については、制度が複雑で分かりにくい、また、手続コストがかかる、こういったような御懸念をお持ちの事業者の方もいらっしゃると承知しております。

 経済産業省といたしましては、事業承継税制の前提となる経営承継円滑化法の認定に関する申請マニュアルの整備、それから、そうした認定実務を担っていただいております地方自治体向けの説明会を開催するなどして、制度が利用されやすいように努めているところでございます。

 また、都道府県に設けております事業承継・引継ぎセンター、こちらにおいても、事業承継計画の策定支援や、利用できる税制について御紹介をしておるところでございます。

 現場における丁寧な対応が極めて重要だというふうに認識しておりますので、今後とも、地方自治体等と連携をしながら、事業承継が円滑に進むようにしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 丁寧な対応を是非ともお願いしたいのですが、恐らく、丁寧な対応だけではなくて具体的な対応に移っていかなくては、もうこれは本当に喫緊の課題だと、大臣もそうおっしゃっていただけましたし、何かしらの対策を早急に講ずるべきだというふうに、修正あるいはその要件の変化がまさに必要だというふうに思っています。是非ともここは変えていきたい。利用される方が利用しやすいように、あるいは、担当者の方が自信を持ってそれを伝えることのできる制度に変えていくべきです。

 例えば、令和三年度補正予算で組まれていた形、これは選択別ですけれども、例えばグリーン化というのも一つ選択の項目にありました。本来の目的は事業承継をすることでして、でも、それを適用するためには、これは引継ぎ補助金の話をしていますけれども、グリーン化が必要で、グリーン化をするためには炭素生産性を求めなくてはならない。これは一般的な会社にはやはり厳しい状況だというふうに思います。

 事業承継というものを純粋に考えて、経営の本質というものをちゃんとスムーズに移行できる枠組みの設定が私は必要だと思っています。現場の担当者は、まさに今、地域のヒーローです。そうなっていかなければ地方創生を語れなくなるというところまで来ていると思います。

 地域の未来を左右するのは、何にも増してやはり地域企業。だからこそ、事業承継の現場で働く方々に向けて、国のリーダーである西村大臣のお言葉を、今の事業承継が未来につながっていくということ、そして、より使いやすい制度にこれから変えていくという力強いそのお言葉、そして、現場の方々がより一層活躍できていけるような、そういうメッセージをいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、地域で人口減少が続く中で、どうやって地域の活力を維持していくのか、これはもう大きな大きな課題になっているわけであります。

 その中で、地域で経済を支えているのはまさに中小企業であり、活力の源になっているんだと思います。その中小企業が今、人口減の中で、また後継者がいない、様々な悩みを抱え、場合によっては黒字でも廃業しなきゃならない、そんな状況にある。どうやって事業を継続していくのか、誰に引き継いでいくのか、そんな悩みをたくさん持っておられるんだと思います。それを、現場のまさに自治体の皆さん、あるいは商工会や金融機関の皆さん、商工会議所の皆さん、そしてこうした引継ぎセンターの皆さんが、必死でそうした悩みをお聞きしながら、どう応えていくか、必死で考えておられるんだと思います。

 まさに地域の活力を維持していくために、中小企業がしっかりと、せっかく技術があったり、お客さんがいたり、商圏があったりするわけですから、それを引き継いでいくこと、極めて生きがい、やりがいのある仕事だと思います。是非、現場の皆さん方が頑張っていけるように、我々も、その皆さん方の声、中小企業の声を聞いていただいたそういう支援をする方々の声もしっかり聞きながら、よりよい制度となるよう、事業承継がスムーズに、円滑にいくよう、不断の見直し、不断の検討は行っていきたいというふうに考えております。

 今日は非常に熱い思いで質問をいただきまして、今ちょっと横顔を見させていただきますと、誕生日が私と同じのようでありまして、ただ、年齢は三十歳ぐらい違うようでありますので、非常に若いエネルギッシュな質問をいただきまして、私も、改めて、今日の御質問を踏まえながら、また現場の皆さんの声に耳を傾けてしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 来月三十歳になりますので、是非、今後とも御一緒に議論できれば幸いでございます。

 今、総務省とかは地域おこし協力隊という形で、まさにそこからつなげていくということもあります。経済産業省だけが地域を担っているわけではないと思っています。まさに国全体の問題だからこそ、省庁の枠組みを超えて、事業承継をスムーズにして、地域経済を何が何でも守る、そういう日本をつくりたいと思っていますので、どうぞ今後ともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会、小野泰輔でございます。

 西村大臣、御就任、誠におめでとうございます。西村大臣も明石の出身ということで、私も代々ずっと祖先は明石におりまして、明石藩の時代は菓子職人だったということでございますけれども、そういうことで、あと、同じとら年でございますので、是非、様々、通じた形で、積極的な意見交換そして質疑ができればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、私がお伺いするのは、EV回り、電気自動車関連の質問でございます。

 だんだんと、日産のサクラなどというヒット商品も出てきましたけれども、これから間違いなく、脱炭素社会に向けてEVを増やしていかなければいけないということでございますけれども、私、この間の通常国会の本会議の質問において、自動車が電化されるとどんどん電力の消費量が増えていくというようなことが起こるんじゃないですかというふうに萩生田前経産大臣にも質問させていただきましたけれども、お答えは、私の質問の仕方が余りよくなくて、総発電電力量というのは減少するんだ、それは、例えば、家庭部門それから産業部門、業務部門、そういったところでの省エネが進むことによって、全体の電力というものは二〇三〇年において減っていくんだということだったんですけれども。

 今回、西村大臣にお伺いしたいのは、そうはいっても運輸部門では、やはり電力の需要というのは、電化が進むので上がるはずだというふうに思っております。この点につきまして、運輸分野に限っての電力の最終エネルギー消費量の見通しというものをまずお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 昨年十月に閣議決定しました第六次エネルギー基本計画では、政府として、二〇三〇年度に温室効果ガスを四六%削減する温室効果ガス削減目標を表明したことを踏まえまして、二〇三〇年度にどのようなエネルギー需給の見通しになるかについて、最終エネルギー消費や電力需給の絵姿を示しております。

 そして、御質問の、この中の運輸分野の最終エネルギー消費についてでありますが、まず、自動車等の燃費の性能の向上、それから、輸送事業者や荷主による輸送効率化、これに向けた取組の強化を通じて省エネ対策の強化がなされますので、これによって、二〇三〇年度における最終エネルギー消費量は、二〇一三年度比で約二千三百万キロリットル減少することを見込んでおります。

 一方で、電力需要については、二〇三〇年度の総電力需要は省エネ対策の徹底などによって減少を見込むものの、運輸部門に限っては、御指摘の電気自動車の導入拡大等により、二〇三〇年度における電力需要は、二〇一三年度比で約五十億キロワットアワー増加することを見込んでおります。これは全需要の約〇・六%に相当するものであります。

小野委員 ありがとうございます。

 ほかの部門に比べて運輸部門の比率が少ないというのもあるんですけれども、ただ、電化すると、この後もいろいろ質問させていただきますけれども、やはり自動車というのは、ガソリンで動くにせよ電気で動くにせよ、それを供給するというものの体制の構築が必要でございまして、是非、このEVの普及というものを促進することには、方針としては変わり目がないわけでございますけれども、それに伴ってのインフラ整備というところを、しっかり、状況の変化に応じながら、二〇三〇年に我が国においては、EVを新車の販売台数の二割から三割というふうに今考えておられるということでございますけれども、これも更なるペースアップも当然考えられますので、それに即応したエネルギー政策というのをしっかりつくっていただきたいというふうにまず思います。

 そして、次に、このEVに大きく影響されることとして、ハイブリッド車の動向というのが私はあると思っております。

 ハイブリッド車が初めて出たとき、トヨタのプリウスが出たときに本当にびっくりしましたけれども、そして、私もレンタカーでこのハイブリッドを使えば使うほど、本当によくできている車だなというふうに思います。今まで、せいぜい走ってもリッター当たり十キロぐらいだったのが、もう二十キロ、三十キロというふうになっているわけなんですけれども。

 しかし、この技術を日本が、トヨタ自動車を中心として、非常に特許技術、ノウハウというものを多く持っているというのは非常に大事なことだと思います。ただ、今状況が変わってきていると思います。

 これは、ハイブリッド自動車よりも当然EVの方がゼロエミッションだということで、世界中がそちらの方にシフトをしているわけなんですけれども、これはなかなか、自動車業界とかあるいは各国政府も本音のところをやはり言えないところはあると思いますけれども、日本の持っている技術というのが非常に脅威になっているということがあると思います。

 そして、皆様も記憶をされているかもしれませんけれども、トヨタ自動車が、かつて、二〇一九年の四月三日に衝撃的な発表をされました。これは、ハイブリッド技術、トヨタが持っているハイブリッドの特許技術を、これをもうオープンで提供するというものです。

 私もこのニュースを聞いたときに、本当にそんなことをして大丈夫なのかな、今、我々も経済安全保障ということを一生懸命やっているわけですけれども、そんなことをしていいのかというふうに思いましたけれども。

 ただ、トヨタさんの考えとしては、やはり世界中の自動車市場というのが脱炭素ということになっていかなければいけない、そういう中で、トヨタ自動車が持っている特許を公開することにより、トヨタのハイブリッドシステムというものが大きな市場として現れてくるんじゃないかというようなことも考えられたんだろうというふうに思っています。

 ただ一方で、これは自動車業界の、内燃機関の裾野の広い産業にどう影響するかという問題もございまして、そういう意味では、私は、こうした特許技術をトヨタが公開するかどうかということについては、先ほど松本委員からもお話がありました半導体産業、我々は、やはり国家的な戦略がなかったことによって、世界シェアトップだったものが今は一割しかないというようなことがあるわけです。ですから、やはりこの特許技術をどうするのかという問題についても、経済産業省を中心として、戦略的にこれからもしっかりウォッチして、見ていかなければいけない。

 ハイブリッドというのは、これからゼロエミッションビークルが主流になるとはいえ、ずっと当面はやはり続いていくものだと思いますので、このトヨタが持っている、あるいはそれ以外でも、日本が持っているハイブリッド回りの技術、そして機微に触れるもの、こういったところについて、トヨタが今までやってきたオープンという戦略について、経済産業省としてどういうお考えを持っておられるかということをお伺いしたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、トヨタ自動車は、世界各社との協調を通じたハイブリッド車の普及、世界におけるCO2排出量削減への貢献といった観点から、二〇一九年四月にハイブリッド関連技術に関する特許を無償で公開したと承知しております。

 個社の企業戦略に対して政府としての見解をコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、政府としましては、自動車のカーボンニュートラルの実現に向けまして、現状、完全な技術は存在しないという認識の下、電気自動車や燃料電池自動車だけではなく、ハイブリッド車も含めて、二〇三五年までに電動車一〇〇%の目標を掲げております。

 これは、欧州を中心にゼロエミッション車一〇〇%を目標とする国もある中で、ハイブリッド技術を始め、これまで我が国が培ってきた強みを生かしながら、グリーンイノベーション基金も活用して、次世代電池・モーター、水素、合成燃料など、多様な技術の選択肢を追求する我が国の戦略に基づくものです。

 これらのイノベーションの成果を、特に、急速な経済成長が期待できるアジアを中心に普及させていくことによって、世界全体の脱炭素化に貢献することが重要だと考えております。

小野委員 是非、先ほど、個別の民間企業の特許技術にはなかなか口を差し挟むのが難しいというような、そういう答弁もありました。

 しかし、やはり我々は同じ轍を踏んではいけない。半導体の場合もそうです。蓄電池の場合もそうです。蓄電池も、今、日本のシェアというのは僅か一〇%ですけれども、今、世界最大の中国のCATLというのは、実は日本企業から派生した会社なんですよね。

 そういうことで、やはり戦略的に、このハイブリッド技術で持っているところで、例えば三種の神器といって、モーターとパワコンとバッテリーというのがあります。これはもちろんEVにも当然転用し得るものだと思いますし、是非、経済産業省として、どういうことがこれからの日本の産業に大きくこの特許技術が影響を及ぼすのかということも、是非、一企業と言わずに、しっかりと精査をしていただきたい。そして、適切な方向を一緒になって進んでいくということもやっていただきたいと思います。

 次に、今までEVとハイブリッドのことについてお伺いしてきましたが、今度はそこに、走る燃料、エネルギーを与えなければいけませんが、そちらの話を、質問としてしたいと思います。

 まず、全国のガソリンスタンドの状況というものをお伺いしたいと思います。

 私の自宅の周りでもそうですし、たまに熊本の方にも帰りますけれども、どんどん都内も地方も、総じてガソリンスタンドが減っているということでございます。

 そこで、全国のガソリンスタンドの営業及び廃業の状況をお伺いをしたいと思います。また同時に、こういった現象に対してどういう対策を打ってきて、これからどうしていくのか、そこもお聞かせいただければと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 ガソリン需要の減少などを背景として、令和三年度末の給油所の数は、前年度末から五百三十か所減少し、これは全体の約二%に相当します、二万八千四百七十五か所でございました。

 このように厳しい状況にございますけれども、我々としては、ガソリンスタンド、SSは、平時、災害時を問わず、最後のとりでとして、石油製品の安定供給という重要な役割を担っていただく必要がこれからもあると考えておりまして、SSの設備導入などによる経営力向上を後押ししていくこととしています。

 具体的には、昨年度の補正予算でも措置しました燃料安定供給対策事業により、今後の安定供給に必要な設備の導入に対する補助を行っておりますし、また、総額一・九兆円の事業再構築補助金も活用しながらSS事業者の経営多角化などの取組を応援してございます。

 また、過疎地という御指摘もございましたが、今年の六月には、地域の燃料供給の課題解決の参考としていただくためのSS過疎地対策ハンドブックを改定しました。また、SS過疎地などにおいて、自治体主導による燃料供給体制の確保を円滑化させるための支援事業なども実施しております。

 こうした取組を通じて、国民生活に必要な燃料の供給体制の確保に万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。

小野委員 ありがとうございます。

 様々な対策が既に取られているということなんですけれども、やはりガソリンスタンドの経営という視点から任せていては、もうにっちもさっちもいかなくなるような状況が恐らく過疎地域では迫ってきているんじゃないのかというふうに思うんですね。

 私も、地方行政をやっていたときに、無医村があったり、そういったところを、じゃ、どうするのかというと、これは、例えば熊本の話で恐縮ですけれども、熊本大学が、そこに県が寄附講座をつくって、そこに二億だか三億だかというお金を入れて、そこに、地域医療をやる医者の卵たちを育てて、そして派遣するなんてことをやっているわけです。

 ガソリンスタンドも、やはりそれがなくなってしまえば、地域の、例えば交通、そして農業、様々な活動というものが立ち行かなくなってしまうということでありますので、是非、今はガソリンスタンドの個々の経営状況ということで支援をするというようなことが主眼になっていると思いますが、そのうち、やはり、地域政策の一環として、エネルギー供給源としてのガスステーション、どういうふうに維持するのかという観点で、是非きめ細かく、しかも、自治体のニーズに合った形で施策を進めていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そして、最後に、今度は、EVのガソリンスタンドであります充電器の話、これをお伺いをしたいと思います。

 EVの方はどんどん増えてくるわけですから、やはり充電器というものをどんどん増やしていくことが必要ですが、特に私は、家庭用の充電器というものを伸ばしていくことが非常に大事だと思っています。

 私も、鈴鹿に八耐を見に行くときに、九州の方から、日産のリーフを借りて、ちょっと鈴鹿まで行ってみようと、九州から、やってみたんですね。そうすると、今、高速道路上に設置されてある充電器というのは、急速充電器ではあるんですけれども、後々の人のために三十分までしか使えないというふうになっています。だんだんだんだん、走行距離を重ねてバッテリーが熱くなってくるほど、全然電気が入らなくなっていくんですね。結局、鈴鹿に行くまでに何回充電したかというと、十回充電しました。これではやはりなかなか厳しいんですね。

 家庭内でしっかりそれぞれの車が充電できるというような環境がないと、EVもなかなか、みんなが売ろう売ろうと思っても普及をしないということだと思いますので、やはり、カーボンニュートラルを達成する、電化を推進するというようなことをやる意味で、この充電器というものを家庭にしっかりと普及させることが大事だと考えております。

 そこで、現在の家庭用の電気自動車の充電器の普及状況というものを、これは、もしあれば国際的な比較も含めてお伺いしたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 電気自動車の充電器には、家庭などで個人が使用する充電器と、公共用の充電器がございます。

 まず、家庭における充電器の普及状況につきましては、日本を含めまして、各国において比較可能なデータがほとんど存在しないというのが現状であります。

 次に、公共用の充電器につきましては、昨年六月に策定したグリーン成長戦略におきまして、二〇三〇年までに急速充電器三万基、普通充電器十二万基の計十五万基を整備するということを目指しております。民間調査会社の調べによりますと、二〇二一年度末時点で約三万基が設置されていると承知しております。

 また、各国における公共用充電器につきましては、IEAグローバルEVアウトルックなどによりますと、二〇二一年時点で、例えばドイツは二〇三〇年百万基の目標に対して約五万基、米国は二〇三〇年五十万基の目標に対しまして約十一万基、イギリスは二〇三〇年三十万基の目標に対しまして約四万基が設置されていると承知しております。

小野委員 ありがとうございます。

 各国とも頑張ってはいますが、日本がまだ充電器の、公共用のところではかなり頑張っているとは思うんですけれども、やはり家庭用が大事だと。しかも、その家庭用が大事なんですけれども、データがないということがやはり、これは何か仕組みをつくっていただきたいと思うんですね。

 例えばEVを充電するときに、これからEVの充電器を、民間参入して、これを例えば集合住宅につけるような事業者が出てきたという場合には、その課金システムなんかが必要ですから、当然、この充電する口がIoT化して、そしてデータが取れていくというようなことを是非進めていただいて、そして、どれぐらいの充電器が家庭にも備わっているのかということも経産省がちゃんと把握する仕組みというものも、是非つくっていただきたいと思います。

 そして、最後に、これは大臣にお伺いしますけれども、やはり一番問題なのはマンションなんですね。集合住宅で普及させていく。

 私も、住んでいるマンション、やはりなかなかつきません。これは賃貸でもありますけれども、でも、分譲の場合にはもっと難しくて、合意形成が大変だというような問題があります。

 こういう中で、でも、なかなかマンションは修繕とか改修も難しいのに充電器はどうかねなんて言っている場合じゃないと思うんですね。やはり、脱炭素に向けて、これを積極的に、かなり気合を入れて、私はやる必要があると思っているんですけれども、このことについて、是非、国がいろいろなインセンティブ、イニシアチブを取ってやっていくべきだと思いますけれども、現在とそれから今後の取組について西村大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、電気自動車の普及に向けてはまさに充電インフラの整備が不可欠であるということでありますけれども、御指摘のように課題も存在するわけでありまして、特に集合住宅における充電設備の普及に当たっては、設置費用そのものの負担が大きいということに加えて、具体的な費用や補助金活用の手続に関する情報が十分でなく、マンションの管理組合においての合意形成が進みにくいという課題がございます。

 こうした課題に対応するために、直近二年間は、補正予算を含めて約七十七億円を措置して、集合住宅への設置も含め、充電インフラの整備を資金面から後押しをしてきております。

 また、マンション管理組合での合意形成の円滑化に向けて、パンフレットやウェブページなどを通じてこの補助金の概要とか申請の流れなども分かりやすく発信しておりますし、また、マンション向けの充電設備導入マニュアルを改定して、モデルケースごとの費用なども示しながら、管理組合でどのように検討を進めていくべきか、こうした情報を充実させてきております。

 いずれにしましても、御指摘のように、いろいろな技術も進化をしてきておりますので、あるいは新しいベンチャー企業のいろいろな取組なども出てくるんじゃないかと思いますので、そうしたことも見据えながら、集合住宅も含めて充電インフラの整備に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございました。

 いや、今の答弁では多分なかなか進まないと思うんです。もっと、マンションの管理組合の合意形成とかが、もうどんな管理組合でも絶対にこれはゴーできるというような仕組みをやはりつくっていただきたいというふうに思います。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、足立康史さん。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。大臣、よろしくお願いします。

 今日は閉会中審査ということで、いい機会をいただきましたので、目下、大変私が問題だなと思っている、文部科学省、文化庁による政令案について取り上げます。

 これは、今、文化庁というと、何で経産委だということになるかもしれませんが、そもそも政令ですから、閣議で決まるということで、各省庁、関係省庁がございます。

 加えて、私はかつて経産省におりましたが、この文化庁の政令案、著作権法の私的録音録画補償金、これはまさに、何といいますかね、例えば税金がありますよね。税は国会で全部かかりますが、例えば、社会保険料、電気料金、水道料金、様々な負担が国民に、消費者が負担をしている、国民が負担をしている。そういう中で、私が今日取り上げる私的録音録画補償金、著作権法三十条に書いてあるこのアイテムは、まさに、例えばレコーダーとかそういうものに課金をされています。

 大臣、これは元々、今日私がこういう質問を申し上げるということでレクを受けられたと思いますが、従来からよく御存じのアイテムでしょうか、それか、いや、余り俺は知らぬぞという、どっちですか。

西村(康)国務大臣 私も、経済産業省におりましたときにサービス産業課の補佐をしておりまして、ちょっと記憶は曖昧ではあるんですけれども、九三、四年頃だと思いますので、当時、法律が制定されて運用が始まった頃じゃないかと思いますが、仕組みについては当時の理解はございます。

足立委員 ありがとうございます。

 話が早いと言ったら僭越ですが、私も、政治に転じる前、直前はヨーロッパに行っていたんですが、その直前の職務がまさにこれだったんです。

 今大臣からあったように、この制度は、できたのは一九九三年に制度が開始をされました。だから、そういう意味では平成の前半から中盤にこの制度が運用されてきたわけですが、先ほど申し上げた、私が政治に転じる直前に、まさに私がこの制度を経済産業省で担当していたときに、補償金を集める管理協会と東芝が訴訟になりました。ちょうどその辺りで訴訟が始まる。

 二年後の二〇一一年、これは大臣、細かいことはいいですよ、細かいことはいいので、二〇一一年の十一月に地上波デジタルに完全移行しました。それで、翌月十二月、二〇一一年十二月に知財高裁で東芝が勝訴する。これをもって、いわゆる税金みたいなものです、国民がよく知らないところで、知らずに払っている税金みたいなものです。これが事実上壊滅をするというか、なくなるわけであります。完全にはなくなっていないですよ。それで、裁判は続いたわけですが、二〇一二年十一月、ちょうど私が初めての総選挙に臨む頃に、知財高裁の判決が確定。ここで私は、選挙に臨むに当たって、ああ終わったな、戦いが終わったなと。

 ようやく、公正さに欠ける、いろいろな意味でこれは課題があるんです、この制度は。いろいろな意味で、もう今日は時間がないのでやりませんが、様々に課題がある、公正性に欠ける制度だと私は思っていました。特に、競争政策の観点から、消費者利益の観点から、メーカーじゃありません、消費者利益の観点から大変課題のある制度だと思っていて、それが終結をした。だから、平成の時代に、もう完全にこれは葬り去ることができた。これからはもっと新しい、令和にふさわしいインターネットの世界、デジタルコンテンツの世界をつくっていきたい、こう思って政治活動をしてきたら、気がついたら何かブルーレイレコーダーが政令指定されるということで、文化庁がこの九月の二十一日までパブリックコメントにかけていました。驚きですね。

 私はよく五五年体制の亡霊が国会を徘徊しているとか言って、亡き安倍総理といろいろ議論をさせていただきましたが、まさに、平成の前半で終わったはずの制度が、令和になってその亡霊が頭をもたげてきた。私は西村大臣にこれを潰してほしいんです。潰してほしいんです。ちょっと潰していただけないですか。

西村(康)国務大臣 いつもながらに足立委員の率直な問いかけでありますが、私も若干関わってきた経緯もございますけれども、この私的録音録画の補償金制度については、特にこの機器の追加については、個人で録画を行う利用者の自由がありますし、権利者の利益も他方で見る、それから対象機器の業界団体の意見、こういったものを踏まえて、制度の所管である文化庁において総合的に判断がされるというふうに承知をしております。

 今般、御指摘の、文化庁が検討しているブルーレイディスクレコーダーの対象追加について、電子情報産業の業界団体であるJEITAは反対の意思を表明しておりまして、最終的には、利用者、権利者、業界団体、こうした立場も踏まえて文化庁が総合的に判断するものと考えておりますが、経産省としては、文化庁に対して、まさにパブリックコメントで出された業界の意見なども含めて、しっかりと熟慮するように求めてきておりますし、引き続き求めていきたいというふうに考えております。

足立委員 大臣、私は西村大臣に近しく御指導いただいてきた。先輩であられますので、本当にお願いなんです、これ、潰してほしいんです。国益のためです。日本の産業、日本のネットビジネスあるいはデジタルコンテンツビジネス、この未来をどうつくっていくかという、大きな大きな正念場だと本件は思っています。

 経産省が、今大臣がおっしゃったように、文化庁しっかりやれとおっしゃっていられることは承知をしていますが、私がやっていた頃は、もっとそこは踏み込んでいました。もう詳しくは申し上げませんが、制度ができるときから、これはもう文化庁と通産省は完全にタッグを組んでいる。で、制度を見直すときは、必ず覚書、まあ覚書というのが今、はやるかどうかはともかくとして、両省合意ということがありました。

 その前に、文化庁では、当時の著作権審議会、今の文化審議会著作権分科会で、必ずそこにJEITAも入り、たしかJEITAも入っていたと思います。そして、消費者団体、主婦連とか、その後できたインターネットユーザー協会、MIAUという、津田大介さんとか小寺信良さんがやっていらっしゃる、消費者団体ですよ。

 ところが、文化庁は、文化審に本件、ほとんど議論をしていません。というか、多分、議論していないですよ。今申し上げた反対派の人たちは、今、文化審から追い出されています。今、メンバーじゃないんです、彼らは。かつ、そのメンバーじゃない、その文化審もちゃんと開いていないんです。

 何よりも私が問題視しているのは、経産省と文化庁との合意、両省合意というものが必ずあったんです、今まで、平成の間。必ずあったんです。今回、ないんです。なぜか、今までのやり方を今回変えているんですね。

 中原さん、ちょっと、中原さんは今、文化庁審議官なんだけれども、経産省ですよね、親元は。ちゃんとやらないと戻さないよ、もう、とは僕は言えませんが。しかし、中原さん、これは、産業振興の観点からちゃんとやってほしい。手続面で、なぜ今までやってきたことをやっていないんですか。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 私的録音録画補償金制度につきましては、長年にわたって、御指摘のとおり、文化審議会著作権分科会等の場において検討を継続してまいりました。

 このような中で、知的財産推進計画二〇二〇におきまして、新たな対価還元策が実現されるまでの過渡的な措置として、私的録音、録画の実態等に応じた具体的な対象機器等の特定について、可能な限り早期に必要な措置を講ずるというふうにされたところでございます。

 これに関しまして、令和二年に、関係府省庁で共同し、私的目的の録音、録画に係る実態を把握するための調査を関係省庁で実施をいたしたところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、新たな対象機器として、私的録音、録画の実態が認められたブルーレイディスクレコーダーを指定する候補とすることを関係府省庁で決定しまして、パブリックコメントを行ったところでございます。

足立委員 いや、だから、大臣、なぜ両省合意をしない。さっき大臣が御答弁されたように、JEITAが反対しているのは知っていると。JEITAだけじゃないです、消費者団体も反対しているんです。

 その中で、大臣、かつては経産省が、要は関係団体をまとめながら、権利者団体は文化庁に陳情する、メーカーは経産省に陳情する、そして、消費者団体も動いて、当時はテレビのダビング10というのがありましたから、総務省も巻き込んで、大議論しました。総務省の審議会のオブザーバーとして私も参加しました。著作権審議会もずっと注目をしていました。

 ところが、今、大臣は、いやいや、まあ文化庁よろしくと。なぜ、当時の経産省は当事者として合意をしていたのに、今回は文化庁に任せられるのか。おかしいと思うんですけれども、大臣、どうですか。

西村(康)国務大臣 まさに、対象追加をするか否かについては、個人で録画を行う利用者の自由というのもあります。それから、クリエーター、著作権者の利益というのもあります。それから、対象機器となる業界団体の意見もあるでしょう。それを、業界団体は意見を言う、消費者団体も意見を言う、様々なことを調整をしながら進めてきているわけでありまして、こうした幅広い意見を伺うためにパブリックコメントが行われた。

 現時点で、引き続きいろいろな調整を行っておりますので、文化庁に対しては、こうした意見、まあ消費者団体がどういう意見を出しているかは、私、今の段階でつぶさに承知をしておりませんが、そうしたものも含めて熟慮するように求めているところであります。

 いずれにしても、引き続き調整は進めていきたいというふうに考えております。

足立委員 主婦連が九月二十五日付、それからMIAU、一般社団法人インターネットユーザー協会が九月二十一日付で意見を出している、これは公表しています。パブリックコメントもそうですが、世の中にそれを出しています。是非御覧いただきたいと思いますが、どうしても大臣に、そこはやはり止めてくれないですか。いや、当時やったら止めているんですよ、これは。だって、JEITAも消費者団体も反対しているんですよ。

 じゃ、大臣、これはJEITAが反対のままでも、今反対しているんです、先ほど大臣、御答弁されました。JEITAや消費者団体、まあ消費者団体はおいておきましょう。所管、情報産業課ということでいえば、デジタルコンテンツ課もありますが、情報産業課ということでは大臣の所管です。JEITAは反対しています。反対したままでも、この政令案は閣議決定に付される可能性がありますか。

西村(康)国務大臣 先ほどから答弁しているとおりでありますが、まずは文化庁に、パブリックコメントに出されている意見、様々あると思います、消費者団体もあるということでしたので、公表されているということでありますし、業界団体、対象機器を所管する団体も反対の意向を示しておりますので、そうしたものを含めて文化庁の方で整理をしっかりしてもらって、熟慮していただきたいということを申し上げているところであります。

足立委員 いや、大臣、だから反対しているんです、今。反対が賛成になり、経産省としっかり文化庁が握れれば、それが今までの慣例だったわけです。もちろん、間違った慣例は要りませんが、これは正しい慣例なんです。

 合意形成、岸田内閣は合意形成が苦手でいらっしゃるけれども、大臣は、これはやはり、ちゃんと関係者が納得する制度をつくってほしいんですよ。だから、私は、所管でいらっしゃるということでいえばJEITA、JEITAが反対している限り、そこは閣議には進めないと。だって、文化庁しっかりやってくれということでしょう。大事なことはそこなんですよ。反対のままではやはりこれはよくない。禍根を残しますよ、将来の産業の在り方について。

 大臣、今日はなかなか御準備、そこまでないかもしれませんが、私は、まだ時間があります、十月中に閣議決定があるのかないのか分かりませんが、臨時国会はこればかりやりますよ、大臣。臨時国会はこればかりやります。

 だから、関係団体の了承なくして政令案の閣議決定は好ましくないと、ちょっと言っていただいたらニュースにしますから。是非そこまで踏み込んでいただかないと、だって、何のために国会があるか分からないですよ、これは。政令案だから、我々が大臣に申し上げるのはこの場しかないんです。是非そこは再考すると。再考するじゃなくて、反対のままならそれは問題があると。問題がありますよね、反対のままなんだから。

 まず、大臣、問題があると。お願いします。

西村(康)国務大臣 繰り返しになる部分もありますけれども、対象機器を販売する業界団体、JEITAが反対を表明していると。それを私のところで所管をしておりますので、そうした反対の意向、そうしたものを踏まえながら文化庁と様々な調整を進めているところでありますので、まずはこの調整をしっかりと進めた上で、最終的にはどういう形にするか、またその段階で判断をしていきたいというふうに考えております。

足立委員 では、中原さん、消費者団体、JEITAが反対です、今。反対のまま閣議決定に突っ込んでいくことはないということでいいですね。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のパブリックコメントにおきまして、委員御指摘のとおり、主婦連合会などがホームページにおきまして御意見を表明されているということは承知をしてございます。

 現在、パブリックコメントにいただいた御意見の精査や文化庁としての考え方を整理しているところでありまして、消費者団体を始めとする皆様の御指摘の点などにつきましてもその中で適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

足立委員 いや、ちょっとあれだな。

 中原さん、反対なんだよ、今。じゃ、反対のままでもやるの。ちょっとそれぐらい教えてよ。反対のままでもやるんですか。

中原政府参考人 パブリックコメントの中で頂戴している御意見といったものには様々なものがございますので、そうしたものをつぶさに検討させていただきながら適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

足立委員 大臣、最後に、最後というか今日の最後ですが、またやります、これは。やりますが、これは、なぜ私が今日この経済産業委員会、大臣の、久々のこの経済産業分野の話でこれを取り上げたかというと、ネット、ネット産業、ネットビジネスにむちゃくちゃ影響あるんです。だって、こんなものはもう昔の制度なんですよ。

 これを今、亡霊を生き返らせると、次の新しい制度、今議論していますね、新しい対価還元の在り方を議論している、これからのネットはどういうネットにしていくんだと。ウェブ3とか、今、遠藤議員とか、うちの中でも議連をつくってやっていらっしゃる、みんな、自民党もやっている、これからのネットをどうするんだという大きな大きな議論をしていくときに何でこんなものが、私は役所にいるときにそれを平定したんです、終わったんです。それがまた頭をもたげてしまうと、次の制度をつくるときに、それが橋頭堡に利用されかねないわけです、既得権者に。

 だから、私は、大臣、この問題を軽く扱わないで、この問題の大切さを改めて認識していただいて、ネットの在り方、新しい対価還元の在り方みたいなもの、要はどうやって産業が勃興していくのか、そのために何がいいのかということをゼロベースで議論していく、これはゼロベースで議論する。これはもう昔の制度で、別の話で、次の新しい制度は経済産業省もしっかりコミットしてつくっていくんだ、そういうのを文化庁任せにしない、経産省も今後のことについてもコミットしていくと、是非決意というか、そこの確認をさせてください。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、様々な技術の進化、メタバースであったりウェブ3であったり新しい時代を迎えておりますので、当然いろいろな仕組みは変えていかなきゃいけない。

 まさに、この私的録音録画補償金制度についても、これは閣議決定している知財計画の中で書かれていますけれども、新たな対価還元策が実現されるまでの過渡的な措置としてという位置づけでありますので、そうしたことも踏まえながら、御指摘の点も踏まえながら、また、様々な意見が出ておりますので、そうしたものを踏まえながら最終的には判断をしていきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 ありがとうございましたではないけれども、ありがたくないですが、時間が来ましたので終わりますが、とにかく自民党の皆さんもこれは関心を持ってほしいんです。自民党の中でほとんど議論されていません。だから、是非与党の中でももう一回、知財本部、今、小林鷹之大臣が知財調査会の会長になられました。やはり、若い方々でもう少しこの話を自民党の中でももんでいただく、そして、大臣にはしっかりとこれはコミットしていただいて御判断いただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

古屋委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 今年も暑い日が続いたなというふうに振り返ると少し秋の気配を感じるんですけれども、三十五度、六度が続いた日が十何日と、例年になく今年も暑かった。

 西村大臣は、電力供給がピークアウト寸前になるから少し節電してくれ、それと同時に、今年の冬も同じような状況が差し迫る可能性があるから少し協力してくれ、そういうコメントを発していたと記憶しています。今年の冬も同じだったんですね。

 それは、逆に言えば、第六次エネルギー計画だ何だを作っていながら、そういうことを言わざるを得ないというのは、その計画自体がなっていないんじゃないかというふうに感じるんですけれども、大臣、どう思いますか。

西村(康)国務大臣 エネルギー基本計画自体は、まさに、御指摘のように、エネルギーの安定供給は重要である、全ての我々の国民生活、産業活動、そうしたものを支えていく土台であるという観点で、いわゆるSプラススリーEですね、安全性、それから安定供給、経済効率性、環境適合、このバランスを取りながら、できる限り安定的、安価なエネルギー供給を確保する、そういう視点で書かれておりますので、まさにそのエネルギー基本計画を踏まえながら、エネルギー安定供給を確保すべく全力で取り組んでいるというところであります。

鈴木(義)委員 全力で取り組んでいながら、国民や事業者に協力してくれと。今年も、蛍光灯を消している事業者さんもあったし、お店もそうですよね、そういう努力をしているんですけれども、逆に言えば、需要に対してプラス三%の供給があれば一番ベストだというふうに言われているんですけれども、そこが、だから、国の方で計画は立てて、ベストミックスだと言いながらやってきたのに、そごがあるんじゃないかという考え方なんです。要するに、政府が不作為だったという考え。そこのところを、きれいな計画を立てたとしても、結局逼迫したんだから、国民にそれを協力してくれと強いること自体が、計画になっていないんじゃないかということです。

 もう一度お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 先般のGXの実行会議におきましても、私どもから、エネルギー政策の遅延といいますか、様々な取組が遅れた部分があった、このことは真摯に認めた上で、その上で、御指摘のように、この冬に向けても三%は最低必要だ、今、それを少し上回るような状況になってきておりますので、かなり改善はされてきておりますけれども、様々な不測の事態も考えられますから、二重三重にいろいろな備えをしておかなきゃいけないと思いますので、例えば、LNGの融通を図っていくような取組であるとか、原発についても、安全性が第一であります、規制委員会の安全基準に適合したものについて地元の御理解をいただきながら再稼働できるように、そうした取組を進めているところでございます。

鈴木(義)委員 先日、山形の酒田市に私用でちょっとお邪魔したんですけれども、そこの地域は、冬になると、短くて五か月、下手すると六か月雪の中だというふうに、雪国からこの衆議院に、経産委員会にお出になっている方もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、本当に一〇〇%電気自動車でその冬を越せるのかと、私は疑問でならないんですね。

 例えば、雪が降りました、国道でストップしました、一昼夜、二昼夜そこで過ごさざるを得ない。電気でこれはもつんですかね。それだけの性能のいいバッテリーを何百台、何千台に配給できるんですか。

 だから、そういうことも踏まえて、やはり地域特性というのは私はあるんじゃないかと思うんですね。そこのところをやはりエネルギー政策を考えるときに入れ込まないと、国全体の計画ではいいんだろうけれども、その中の地域特性はありますよ。

 今は少し涼しくなったし、暖房も冷房も要らない時期かもしれません。でも、ここ何十年かの間で春と秋がすごく極端に短くなってきたと私は感じるんです。冬が長くなる、寒い日が。夏が暑いけれども、冬はもっと寒くなる。そういうふうに時代とともに季節的な要因も変わってきている中で、今答弁をいただいて、遅延しているというふうに大臣が答弁されたんですけれども、じゃ、第六次エネルギー基本計画というのをもう一回見直しますか。

西村(康)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、エネルギー政策の様々な遅延というか遅滞というか、そうしたものも我々は真摯に反省をしながら、他方で、グローバルな、まさにロシアのウクライナ侵略、こういう事態を受けて、様々な、地政学的な要因も含めてエネルギー価格が上昇しておりますので、そうした全体を含めて、今、足下の危機をこなしながら、それを政策総動員でこなしながら、中長期的な安定供給と、さらに、クリーンなエネルギーへの転換。御指摘のように地域地域の特性もありますので、安定供給できること、地域の生活あるいは産業活動がしっかりと円滑に動いていくこと、そのことを確保しながら対応しなければなりませんけれども、そうしたことも含めて、我々、知恵を絞りながら対応を、検討を進めているところであります。

 今の時点で何かエネルギー基本計画を変更することは考えておりませんが、今後様々な、いろいろな状況の変化もあると思いますので、定期的にも見直すことになっております。適切なタイミングでしっかりと議論をして、適切に対応していきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 将来を予測するというのは私もなかなかできない一人なんですけれども、じゃ、円安があと一か月、二か月でちょっと前の円高に戻るかといったら、これは誰が聞いてもなかなか難しいと思うんです。石油が、ロシアが今でも蛮行を起こしてウクライナに侵攻している中で、いろいろ世界情勢が変わっていく中で、やはり石油の価格も高止まりしているのは事実じゃないですか。一番高いときで一バレル百二十ドルとか百二十五ドルぐらいまで上がったと思うんです。今でも八十ドルとか九十ドル、行ったり来たりしている。それが来年になったら急に改善できるかといったら、産出国からすれば一番今ラッキーな状況だから、高止まりを維持するようにいろいろ考えると思うんですね。

 それで、局所的には対応はするけれども基本の計画は変えないということでやっているんだと、今回の価格高騰だとか需要の逼迫に関して対応できないんじゃないかと思うんですけれども、もう一度だけ御答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 エネルギー基本計画は、まさに先ほど申し上げた、SプラススリーEのバランスを取りながら安定供給をしていく、できる限り安価なエネルギーを安定的に供給、確保していくという、そうした趣旨で全体が書かれておりますので、その中には、再エネのことも、原子力のことも、そして石油、LNGのことも書かれておりますので、今の時点でそれを何か変える必要があるとは考えておりませんけれども、ただ、御指摘のように、情勢は刻一刻と変化をしておりますし、どういった事態が生じるかも分かりませんので、そうしたことも踏まえながら、また一方で、定期的に見直すことにもなっておりますから、そうしたタイミングも見ながら、適切なタイミングで適切に判断をしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 その中で、岸田総理がたしかコメントを出されたと思うんですけれども、原子力発電所の新設は計画に入っていないという答弁を今までずっと経産委員会でも繰り返してきたんですけれども、これは八月だったと記憶しているんですけれども、方向転換するという話になりますでしょう。

 だから、そういうことをやるということは、計画の中であるわけだから、大幅に、だって、方向転換、今まで新設はしないと言っていたのが、急に新設する方向で検討に入りましたというのは、まさしく計画の見直しに当たるんじゃないかという考え方です。

西村(康)国務大臣 ウクライナ情勢とか電力需給の逼迫、こうしたものを受けて、まさにエネルギーを安定供給する体制を万全にしていく必要があるということであります。

 そのため、将来にわたって、この安定供給を再構築するべく、原子力も含めて、あらゆる選択肢を確保していくことが極めて重要だというふうに認識をしております。

 こうした事情、背景を踏まえて、七月のGX実行会議におきまして、岸田総理から、原発再稼働とその先の展開策など政治の決断が求められる項目を示すよう指示があり、その後、八月でありますが、同会議において、私から、原子力について、運転期間の延長や次世代革新炉の開発、建設などについて検討項目をお示しいたしました。それに対しまして、総理から、これらの項目について検討加速の指示があったところであります。

 総理の御指示をしっかりと受け止めて、年末までに具体的な結論を出せるように検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 じゃ、それに基づきまして、第六次エネルギー基本計画で、原子炉の廃炉等に伴って生じる廃棄物の処分について、原子力事業者等が処分場確保に向けた取組を着実に進めるとあるんですけれども、現状は進んでいるのかどうかですね。

 方向転換をするという総理からの指示があって、年末までにその計画を立てる、どうするかということを結論を出すんだと思うんですが、第六次エネルギー基本計画にそれがうたってあるのに、それはどうなっているのかということも併せて御報告いただければと思うんですけれども。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、政府では、第六次エネルギー計画に基づきまして、エネルギーミックスの実現に向けた取組を進めてございます。

 その中で、原子力発電というものは非常に重要な役割を持つものですから、これを進めていくわけですが、今委員御指摘ございましたように、その際には、操業中及び操業停止後に行うこととなる廃炉作業に伴って発生する廃棄物の処理処分というものが非常に重要だというふうに、これは認識してございます。

 このため、第六次エネルギー基本計画の中でも、これらの廃棄物の処分について、発生者責任の原則の下で、処分場確保に向けた取組を着実に進めるということを規定しているところでございます。

 現状でございますけれども、放射性廃棄物でないものにつきましては、一般の廃棄物と同様に、埋設や再利用等がなされるわけでございますけれども、一方で、放射性のある廃棄物につきましては、レベルを、高い順からL1、L2、L3と分類した上で処分方法を定めてございます。その上で、それぞれ、事業者において処分の実施や処分場確保に向けた調整を行っているところでございます。

 進捗状況で申し上げますと、まず、L2につきまして、青森県六ケ所村において、原子力発電所の操業中に発生するもの、こういう廃棄物についての対象として処分が進められてございます。

 また、L3につきましては、基本的にサイト内に置かれてございますけれども、日本原電の東海発電所のサイト内につきましては、この発電所の廃炉に伴い発生するものを対象に処分する計画がございまして、原子力規制庁に対して埋設事業の許可申請が既になされていると承知してございます。

 一番濃度の高いL1でございますが、こちらは、地下七十メートル以上の深さに埋設する中深度処分の実現、これを目指してございます。国の事業で、青森県六ケ所村の試験空洞というのを活用しまして、調査研究を今進めているところでございます。

 いずれにしましても、原子力発電の推進に当たりましては、廃棄物の処理処分というのは重要でございますので、国としましても、事業者における取組をしっかりと促していきたいと考えてございます。

鈴木(義)委員 萩生田大臣のときは、国が責任を持ってやるというふうに答弁いただいたように記憶しているんですけれども、是非、国がしっかり取り組んでもらいたいと思います。

 終わります。

古屋委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 この閉会中、第二次岸田改造内閣の中にも統一協会と関係を持っていた閣僚や政務三役がいることが次々と判明いたしました。中谷真一経産副大臣も、今年四月の山梨県での関連団体の会合出席(講演あり)と自民党の点検でも報告しております。

 そこで、西村大臣に伺います。

 政務三役や政治家が統一協会と関係を持ってきたことが、そのどこが問題だったという認識でしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、中谷副大臣が関連団体の会合に出席したということで聞いておりますが、今後一切の関係を絶っていく考えであるということを既に表明されたと承知しております。

 他の政務については、それぞれの事務所において、私も含めて、関係ないということを確認しております。

 その上で、社会的に問題が指摘をされているそうした団体とのつき合いにつきましては慎重を期さなきゃいけないということだと思いますので、中谷副大臣においても、今後関係を絶つというふうに承知しておりますので、そうした方針で臨んでもらえればというふうに思います。

笠井委員 西村大臣御自身は、就任の会見のときでも、知り得る限り関係はないというふうにおっしゃって、事務所で確認、知り得る限り当該団体との関係はないと認識ということでおっしゃっているわけですが、後から発覚して、山際大臣のように、報道を見る限り出席していたと考えるのが自然だとか、あるいは、木原官房副長官のように、記憶を呼び覚ますと出席していたようだなどということは、よもやないでしょうね。

西村(康)国務大臣 私自身について申し上げれば、事務所等で何度も確認をしておりますし、知り得る限り、当該団体との関係はないというふうに認識をしております。

笠井委員 まあ、知り得る限りということで、断言はされない。しかも、関係は慎重であるべきだと。絶つというので、慎重であるべきと先ほど言われたのも私は問題だと思うんですが。

 国民が怒っているのは、関係を持っていた政務三役や自民党の政治家などが反社会的カルト集団の広告塔となって霊感商法や集団結婚など深刻な被害を拡大する役割を果たしてきたことにあります。その責任は重大でありまして、ところが、そうした認識は、具体的には、社会的問題というだけで、語られていない。私は、きちっとそこのところは徹底した認識を持って、いよいよ癒着の徹底究明が必要だということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、次に、本日の委員会冒頭、西村大臣から、火力発電所の新設、廃止の見通しに関する資料の誤りについて発言がありました。これは、九月十五日の資源エネ庁の審議会で、昨年十一月十八日に提出した資料の誤りを報告し、議論を行ったという結果についてということだったものです。

 そこで、火力発電所の供給力をめぐって、審議会に提出した資料の誤りというのはこれだけでしょうか。ほかにあったのではないのか。誤りの中身は分かっていますので、あったのかなかったのか、お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今日の委員会の冒頭でも大臣の方からおわび申し上げ、かつ、私どもも今回の誤りについては深く反省し、再発を防止したいと考えてございます。

 今、火力発電所の新設、廃止につきましては、数字を、全てのデータをしっかりできていくデータベースの構築を行ってございます。

 昨年の審議会の中での資料及び今年の六月、七月に提出した資料につきまして、これを正しいものに直す、直したものを九月十五日の資料として審議会に提出したところでございます。現在、私どもが誤りとして認識しているのは、その中身でございます。

笠井委員 同様の誤りということで、今、六月、七月とありましたが、七月二十日の審議会に提出した資料の誤りについては、この九月十五日の審議会の資料の中にはないんですね。そこは報告、修正したんですか、ちゃんと。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、昨年の審議会、法案の審議の中で参考資料としてお示ししていたものをまず先に御報告したところでございます。六月、七月の審議会のデータについての誤り、こちらにつきましては、今改めて整理し直して、改めて提出し、審議いただく予定にしてございます。

笠井委員 私が指摘した七月二十日の資料の誤りというのは、九月十五日の審議会には報告もしていないと、改めてという話がありました。

 つまり、誤ったものがまだ修正されないまま今も審議会に存在している、七月二十日のものについては、これだけ問題になっているのに。なぜちゃんと報告しなかったんですか、そのことを。それで、ちゃんとそのことを改めなかったんですか、修正後ということ。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、まずは、昨年の審議会、これは法案の作成にも直接使ったものでございますので、こちらの報告、それについての方針についての再確認、御審議いただいたところでございます。このときに、あわせまして、六月、七月の審議会における資料についての誤りについては御報告はしてございます。

 一方で、じゃ、具体的に、それはどの数字が正しいのか、ここにつきましては、今改めて数字の整理、精査をいたしておりますので、整理ができ次第、速やかに審議会の方に御報告しようと思ってございます。

笠井委員 さきの通常国会では、高圧ガス保安法等改定案の根拠となる審議会の資料の誤りが発覚をして、六月十四日の参議院の経済産業委員会で、当時の萩生田光一経済産業大臣が、今回の事態を担当部局のみならず組織全体として重く受け止め、今後こうしたことが二度と起こることがないよう、省を挙げて再発防止策に取り組んでまいります、こう誓ったばかりのことであったわけで、その舌の根も乾かない一か月後の七月二十日に再び誤りを犯したということになるわけですよね。

 事態は本当に深刻だと思うんです。省を挙げてと大臣が国会で答弁していた、徹底していくということだったはずなのに、そうなっている。

 西村大臣に伺いますが、それを九月十五日の審議会に報告はしたけれどもまだ正していない部分があるとか、やはり経産省は、二度と起こしてはならない誤りを、こんなことを言ったら、もうできるだけ小さくしようとしているんじゃないかと。徹底して、とにかく、九月十五日に向けては全て明らかにして全部修正するとしなきゃいけなかったのに、何か、誤りをできるだけ小さく、隠していこうというふうになったんじゃないか、そういう姿勢があるんじゃないかと思われても仕方がないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、データ、こうしたグラフなど、正確なものを提示をして御意見をいただく、また、我々もそれに基づいて政策判断をするというのはもう当然のことでありますので、こうしたミス、誤りはもうあってはならないことと、おっしゃるとおりであります。

 九月の十五日の段階ではその誤りを訂正したグラフは提示したというふうに私は聞いておりますけれども、その後の対応も含めて、しっかりと迅速に対応させたいと思いますし、まさに御指摘ありましたとおり、この一部局、保安の部局と、この電力、ガスの部局でありますけれども、全省的にこうしたことをやはり対応しなければならないというふうに考えておりますので、私からも、全省的に様々なミスをなくすよう、できるだけのデータのデジタル化、それから、あわせて、研修の実施、ヒューマンエラーを減らすための専門家がおられますので、そうした専門家を招いての研修などを実施するように私から指示しているところでございます。

笠井委員 大臣が言われたとおり、今後の政策判断に関わる問題。昨年から法案成立に至る過程の問題にとどまらず、七月二十日というのは、今後の見通し、そして、どうするかという政策に向けての議論をしているときの資料で、私の元には、それに対しては、審議会に提出した資料、七月二十日、電ガ小委員会等ということで、これがあって、その修正後というのも配られているんですよ。だけれども、この審議会、九月十五日には、この修正後という七月二十日のやつはまだ精査しているからやっていませんという話だけれども、じゃ、私にくれたやつも違っていたのかと、修正後がという問題が出てきます。

 じゃ、伺いますけれども、大臣、萩生田大臣の答弁、六月のがあるわけですが、それを受けて、六月の時点で、経産省としてはどうやって、担当部局のみならず、経産省全体、組織全体に徹底をする措置を取ったのか。徹底の文書はあるのか。西村大臣は当然引継ぎを受けているわけですから、当時、六月の段階で経産省としてはどういう手を打ったというふうに大臣は報告を受けているんでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに、産業保安グループにおいて、省全体の取組に加えて、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、こうした情報が自動的に集約されるデータベースの構築であるとか、それから、システムを効果的に活用するための研修の実施、それから、重大事故や法令違反の件数などの毎年の公表などの再発防止策に取り組んでいるというふうに聞いております。

 その上で、法令違反のデータベースについては、現在、システム開発に係る技術的課題の整理などを行うために、電子申請システム、保安ネットを活用した実証事業を準備をしていると聞いております。

 今後、自治体と連携して、自動的なデータ収集、分析が可能となるような仕組みの構築を目指していきたいと考えております。

 さらに、審議会資料の誤りの原因の一つが、データの集計とか加工作業が適切に行われていなかったということがありますので、こうしたことを踏まえて、外部の専門家を講師に招いて、データ整備やデータ加工に関する研修を九月に実施をして、担当部局以下約七十名の職員が参加をしたというふうに承知をしております。

 この取組を全省的に広げるように、今準備をしているというところでございます。

笠井委員 組織全体としてということで、ちゃんとこれはやるんだということで萩生田大臣が六月に言われたわけです。当然、それに基づいて、このことを徹底するという、例えば省内全体にわたる通達とかいうのが出て、それぞれが自分たちに引き寄せてどうなのかということでやっていくことが必要ですよね。

 大臣は、そういう通達が出たということを報告を受けていますか。

西村(康)国務大臣 少なくとも、私の代になりまして、私から大臣官房にこれを指示をして、全省的にしっかりと取り組むようにということを改めて確認をしたところであります。

笠井委員 私、大臣じゃないからあれですけれども、大臣をやっていたら、やはり、国会で答弁をしていて、やります、徹底しますと言われたら、直ちに省内で具体化する、官房が中心かもしれませんけれども、官房長を中心にやるのか分からないけれども、そうやって、全省的な問題だよ、これは本当に大事だよということで、二度とないようにねといって文書を出しますよね。

 私、ちょっとそのことを経産省に問合せをしたら、文書を持ってきたのが一つありまして、ここにあるんですけれども、高圧ガス分野の審議会資料における誤りの原因と再発防止策について、令和四年六月、経済産業省と書いてあるんだけれども、これのようですということなんですが、これは、私たち、あの当時、六月十四日に衆議院のこの経済産業委員会の理事懇談会で経産省から配られた文書と一緒ですよ。だから、これは通達とはおよそ言えない。どの役職の誰宛てかも、通達者が誰かも書いていない。文書番号もありません。

 八月三十日に、資源エネ庁の松山電ガ部長、先ほどお答えありましたけれども、その方が私のところに謝りに来られました。官房も、各部局に通達を出しているというふうに釈明をされたんですけれども、これは通達でも何でもないですよ、こんなの。

 大臣、経産省はそんないいかげんな組織なんですか。そんなに大臣答弁は軽いのか。これからも、西村大臣が答弁されても、それが本当にそんな扱いをされたら大変ですよね。ただ口先で再発防止といろいろなことを言われても、結局、法案を通すための方便なのかというふうに言われてしまう。大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、既に研修会なども実施をしておりますし、データベースを構築して、できる限り人の手を介さず自動的に数値の集計などができるような、そうした実証事業も今準備をしているところでありますので、一つ一つ再発防止策に取り組んでいるところであります。

 その上で、御指摘のように、不十分ではないかという御指摘もありますので、私自身、もう一度しっかりこれまでの対応を報告を受けて、整理をした上で、もう既に指示を出しておりますけれども、改めて、その確認をした上で指示を出したいというふうに思います。

笠井委員 是非やっていただきたいと思います。

 担当部門は、大臣おっしゃったみたいに、具体的にどうするということでの再発防止策を取っているということで、指示に基づいてという話があるけれども、省全体、組織全体で、ほかの部門もそれぞれ自分たちに引き寄せて、こういう事態がないように、じゃ、自分たちのところはどうするかということで、こういうことが起きないような防止策をちゃんと立てなきゃいけないわけですね。そのためには、全省的な通達なり指示がなければいけない、文書が必要だということだと思います。

 正確な資料は、電力の今後の需給力確保策を議論する大前提であります。岸田首相は、電力需給の逼迫を理由にして原発の再稼働とか新増設の方針を表明されましたけれども、経産省が肝腎なところでこんないいかげんな姿勢では、まともなエネルギー政策の議論などできない、国会でも国民的にも。しっかりとそこのところはやり直すということでやってほしい。しかも、そうやってどんどん前のめりに進めたことについては全部やり直すということが必要だと思います。

 最後になりますが、中小企業支援策について伺います。

 コロナ危機の下で、中小企業、小規模事業者、フリーランスの命綱だったのが、持続化給付金、家賃支援給付金、それから、一時、月次、事業復活支援金と、累次措置されてきた直接支援であります。給付総額は八・六兆円にも及んで、それは、ある意味で、本当に助かった、そして、一息つけたと喜ばれたという面があると思うんです。

 ところが、今年四月以降は何の直接支援策もないままに必死に耐えている、それが中小業者であって、コロナ危機と物価高騰によるダブルパンチという状況になっております。コロナ関連の経営破綻は二十か月連続百件を超えているというのが直近の東京商工リサーチの調査結果。先日、私も新宿の歌舞伎町からも直接話を聞きましたが、飲食店も、お客が戻らずに、家賃は一方でぐんと上がる、一番今逼迫している、店が生きるか死ぬかだということで悲鳴を上げておられました、共通して。

 西村大臣は、就任会見で、万全の対応を行うように職責を果たしていきたいというふうに述べられました。今こそ、そういう点では、中小企業あるいは小規模事業者、フリーランスの方々に対する直接支援ということについて、しっかりと再開すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 事業者に対する直接給付についてのお尋ねでありますけれども、これについては、政府による、蔓延防止とか緊急事態とか、まさに人流抑制、休業、時短要請の影響によって、地域や業種を超えて広範に需要が消失し、売上げが大幅に減少した事業者に対して、使途に制限のない現金を給付するという臨時異例の支援策として実施されてきたものであります。

 こうした給付金の趣旨に鑑みれば、現在、給付金を支給することは考えておりませんが、御指摘のように、厳しい状況の事業者もおられると思います。私も、当時、担当大臣のときに、歌舞伎町の飲食店の皆さんとも意見交換をしてまいりました。まさに新型コロナの影響はまだありますし、原材料価格が高騰ということもあると思います。厳しい環境に置かれている皆様に対しては、日本公庫の低利融資、あるいは劣後ローン、それからセーフティーネット保証四号の資金繰り支援、あるいは事業再構築補助金、ものづくり補助金、持続化補助金などもあります。こうしたものを通じて、様々な取組を後押ししていきたいというふうに考えております。

 できる限り、皆さんの声をしっかり聞きながら、きめ細かく対応していきたいと考えておりますし、今後とも、中小企業の皆さんの状況については、しっかりと声を聞き、注視をしてまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 一年前の昨年十月には、緊急事態宣言も行動制限もないときでも、岸田首相は持続化給付金並みの支援策の実施を表明されて、それでその下で事業復活支援金を実施してきたわけですよね。だから、今、大臣、緊急事態宣言がないからという話をされたけれども、一年前は少なくとも、なくたってやった。

 一方で、もう十月からは、また諸物価もあしたから軒並み値上げ、七十五歳以上の医療費の窓口負担は二倍に増える。

 暮らしも商売も大変という中で、実態は、東京商工団体連合会、東商連がアンケート調査を八月から九月に実施しました。結果を見ますと、主な商品、サービスの原材料、仕入れ値が昨年八月と比べて上がった業者が七五%、上昇分を価格に転嫁できているという業者は僅か八%。受注、発注、売上減少、自分も感染心配、この声があふれて、多くが給付金、協力金の再開を望んでおります。

 大臣は今は考えていないと言われたけれども、こうした切実な声、実態に応えて、今こそ直接支援ということで政治決断をすべきだ、臨時国会が始まりますけれども、ちゃんと経済対策、あるいは補正でも組んでいただいてやるべきだということを強く求めて、今日は終わります。

     ――――◇―――――

古屋委員長 この際、お諮りいたします。

 本委員会は、去る八月三十一日から九月一日までの二日間、経済産業等の実情調査のため、熊本県に委員を派遣いたしました。

 派遣委員から報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

古屋委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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