衆議院

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第2号 令和4年10月26日(水曜日)

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令和四年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上川 陽子君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 淳司君    武部  新君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    西野 太亮君

      福田 達夫君    堀井  学君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      松本  尚君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山下 貴司君

      渡辺 孝一君    大島  敦君

      菅  直人君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室長)           飯田 祐二君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   品川  武君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            松尾 剛彦君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         田中 一成君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石坂  聡君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     渡辺 孝一君

  小森 卓郎君     松本  尚君

  佐々木 紀君     武部  新君

  西野 太亮君     塩崎 彰久君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     西野 太亮君

  武部  新君     佐々木 紀君

  松本  尚君     小森 卓郎君

  渡辺 孝一君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     上川 陽子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房GX実行推進室長飯田祐二君、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長品川武君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省大臣官房審議官田中哲也君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、経済産業省大臣官房審議官藤本武士君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、経済産業省通商政策局長松尾剛彦君、経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官田中一成君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君及び国土交通省大臣官房審議官石坂聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。

関委員 おはようございます。自由民主党の関芳弘でございます。

 西村康稔経済産業大臣、御就任おめでとうございます。

 今や、毎日毎日、テレビを見ましても、新聞を見ましても、物価高の話、日本の円が安くなっている話、それから、労働力が足りなくなった、また、経済安保の話とかDX、GXなど、今、経済の話が物すごくニュースとしては一番に上がっているような状況で、今回のこの国会も、岸田総理始め内閣の皆様方も、経済ということに対しては非常に力を入れる、その審議を大切にしないといけない、このような国会じゃないかと思います。

 そういうような中、非常にバイタリティーにあふれ、また経済に関する知識が非常に豊富な西村康稔さんが大臣に御就任され、非常に期待するところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、私は先般、家族でテレビのニュースを見ておりましたら、西村大臣が映っておられました。何だろうと見ましたら、九州の熊本県、ここには、これからの世界中の経済、また、経済だけに限らず、安全保障とかいろいろなことに関わる半導体という部品の製造工場が、世界でナンバーワンの台湾のTSMCという会社の工場を新しく造っていこうということで、そこに視察に行かれている西村大臣がテレビに映し出されておられました。真剣なまなざしでその状況を徹底的に視察し、分析し、また御指示をされているところが映っておられましたけれども、この半導体、非常に大事なところでございますが、まず、その半導体に対する思い、総括的に大臣の思いを聞かせてください。

西村(康)国務大臣 ありがとうございます。

 関委員御指摘のように、半導体、まさにDX、GX、そして様々な今の危機を乗り越えていく、イノベーションを起こしていく中での最も大事なテクノロジー、技術である、物質であるというふうに考えております。

 関委員も自民党の半導体議連の事務局長を務められ、様々な提言をまとめられました。それを踏まえて、昨年、法律改正を行い、そして先端半導体の製造基盤整備に向けた予算を計上したわけでありまして、その予算を活用して、熊本の、TSMCが出資をするJASMの先端ロジック半導体工場の現場を始め、視察をしたところであります。

 その現場でも、本来三年以上かかるようなところを一年半で終わらせる速さで工事も進んでおりまして、また、人材育成の面でも、工業高校や高専でも半導体のプログラムをつくったり、熊本工業大学でも新たな学部をつくるということで、人材育成も進んできております。

 こうした官民の意思決定の速さ、それから支援の規模の大きさ、こういったものが我が国の半導体の復活にとって不可欠な要素であるということだと思います。これまで日本は、何となくやはり意思決定が遅いとか言われてきた、弱みと言われてきたわけでありますけれども、それを覆すような速さで大規模な投資を呼び込むことにつながってきているものと思っております。

 その上、今回、今、足下、円安でありますので、国内に投資を進めていくチャンスでもあります。是非、こうした半導体分野を中心に、高い成長が見込まれる分野を、投資を呼び込んでいければということであります。半導体について言えば、熊本のこれをきっかけとして、九州全体で、中堅・中小企業も、関連の投資をしよう、人材育成しようという、そうした機運が盛り上がってきております。

 こうした取組、熊本の事例を参考にしながら全国に是非広げていきたいと思いますし、半導体、鍵となるテクノロジーであります。日米での次世代の共同研究なども含めて、これからイノベーションを起こし、そしてそれが所得向上、経済成長、この好循環につながっていくような、そんな取組を是非加速をしていきたいというふうに考えております。

関委員 ありがとうございます。まさに西村大臣の熱い思いを聞かせていただきました。

 一方、テレビでは、よく映っているところで、日本の工場が半導体不足で一週間、夏に例えば自動車を製造する工場なんかでも休まないといけない、理由は半導体不足で、部品が入ってこないから造り上げることができないんだ、こんなこともニュースで流れておりましたが、この半導体不足につきましては今どのような現状か、お聞かせください。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の半導体不足でございます。

 デジタル化の進展等に伴う半導体の需要は大きく増加をしている一方で、供給能力の強化が追いついていない等によって生じた半導体不足、これは残念ながら引き続き継続しているというふうに承知をしております。

 こうした半導体不足の影響によりまして、先生御指摘のとおり、例えば我が国の自動車メーカーでは、今も国内工場にて、月に数日といったような形で工場の稼働を停止しているケースもまだ見られます。

 こういった中で、今後の半導体需給の見通しでございますが、短期的な需給、これは様々な要因によって変動いたしますので具体的にお答えするのはなかなか難しいんですが、例えば二〇二一年の世界半導体の需要、これについては二〇一九年比で二〇%増加をしています。一方で、供給能力については八%の増加にとどまっているというデータがございます。さらに、その上で、長期的な需要については増加基調にあるものというふうに認識をしております。

関委員 ありがとうございます。

 半導体が非常に需要が増えていっていて供給が追いついていないというふうな状況、日本でもしっかりとそれに対応しないといけないと思うんですが、聞くところによりますと、一九八〇年代とか九〇年代は日本は、世界中の半導体を五〇%ぐらい日本で作っていたという話は聞きますが、今や一〇%ぐらいまで落ちているという話も聞きます。

 このように、また、製造量だけでなくて半導体を作る技術面も周回遅れなんということを書いている雑誌も読んだりするんですが、ここら辺の原因についてどのように分析されているか、聞かせてください。

門松政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございます。我が国の半導体産業、一九八〇年代には世界一の売上高を誇っておりました。しかしながら、その後、半導体は競争力を落としてきたものというふうに承知をしております。

 このような状況になった原因といたしましては、まず第一に、日米半導体摩擦を契機に、積極的な産業政策を後退させてしまってきたということがあり、第二に、当時の政府が世界の半導体産業の潮流を見極めることができずに、適切かつ十分な政策を講ずることができてこなかったのではないかというふうに認識をしております。

 さらに、第三といたしまして、日の丸自前主義というべきような国内企業の再編に注力をした結果、有力な海外企業との国際連携がなかなか進まなかったということもあります。

 第四といたしましては、バブル経済崩壊後に民間の投資が後退してしまっている、そんな中で、諸外国が国を挙げて積極的な投資支援を行う一方で、我が国は国策として半導体産業基盤整備を十分に進めることができなかったということがございます。

 さらに、最後、第五といたしまして、研究開発につきましても、国際連携の視点が不足しておりまして、官民を挙げて十分な研究開発費の確保ができなかった、そのために社会実装につなげることもできなかった、そういった問題がありました。

 そのほかも様々な要因、御指摘がありますが、いずれにせよ、こういった多くの要因があったのではないかというふうに思い、我々も、経済産業省といたしましても、過去の教訓を踏まえながら、反省しながら、今後、社会のデジタル化が進展する中で不可欠な存在であります、また産業の米とも言われている半導体、この産業の復活に向けまして、官民で協力してしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

関委員 非常にたくさんの理由が考えられて、半導体の世界ナンバーワンだった日本が、今や世界の周回遅れにまでなっていると言われるような状況になった。これはもう本当に、政府だけ、民間だけ、それとか学術界だけとかいうふうな形ではなくて、やはりみんなで、産業の米と言われるこの半導体に対しては、力を合わせて一丸となって今後取り組んでいかないといけないなと、非常に今、お伺いしていて思ったところでございます。

 そういうふうな中において、この半導体不足、世界もそうなんですが、日本で半導体不足という状況がすぐに解決していって供給が十分にできる状況というのは、すぐにはやはり迎えられないと思います。そういうふうな中におきまして、日本が、そのような、数日間、日本の国内企業の工場を止めないといけない、半導体不足で止めないといけない、そういうふうな状況をできるだけやはり今のこの環境の中において回避しないといけない、これは非常に重要なことだと思うんです。

 そういうふうな中におきまして、半導体の必要な量を十分確保するためにいろいろな方法は取られると思うんですが、それにつきまして、今現在、政府が取ろうとされている方針はどのような方針なのか、聞かせていただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 コロナ禍以降、まさに先生御指摘のような継続する半導体不足でございますが、先ほど申しましたが、今後の短期的な見通しを具体的にお答えすることは困難ではありますが、二〇二一年の半導体需要が二〇%増加する中で、供給能力は八%の増加にとどまり、中長期では需要の増加基調という中で、これをどう対応していくかという先生の御質問だったと思います。

 御指摘の半導体不足の解消でございますが、経済産業省といたしましては、足下の半導体不足に対しては、令和三年度補正予算において、マイコンであったりとかパワー半導体といった不可欠性の高い半導体の国内の製造拠点における設備刷新、これを支援する補助金というのを措置をいたしました。本支援を通じまして、今年度末までに、不可欠性の高い半導体の生産能力をこれまでより一五%増加させるといった形の増強が実現できる見込みになっております。

 さらには、必要に応じまして、大手半導体メーカーへの増産要請、さらには半導体工場の稼働率の向上に向けた各国政府等への働きかけ、これもしっかり行ってまいりたいというふうに思っております。

 さらには、中長期的な面でいけば、半導体需要の増加を見据えながら、まずは、一番初めにお話があったような、5G促進法に基づき、JASMの先端ロジック半導体の新工場建設への支援、これが二〇二四年以降製造されるということになりますが、こういった形の支援をしっかりやっていくほか、将来を見据えて、日米共同での次世代半導体の技術開発、量産化、これに対してもしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

 引き続き、半導体の安定供給確保に向けまして、これらの取組をしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。

関委員 ありがとうございます。

 日本の経済の強み、いろいろありますけれども、その中でやはり製造業、日本人はよく手先が器用だと言われます。私は地元が神戸なんですが、その地元の神戸で川崎重工業とかいうあの大きな会社があって、もちろん皆さん御存じだと思いますが、船の外側の鉄板なんかのカーブを作っていくところとか、またその鉄板をくっつける接着剤ののりの部分なんかは、非常に人に頼って、その知識と経験に頼るような形があって、のりの接着剤の部分なんかは、その分野で何十年もやっている専門家が触ってなめて、今日のこの味だったらよくくっつくなとかで、こういうふうなところの日本人の、非常に、仕事、また技術、その経験に即したことというのは、いっぱい経済の分野でも生かせるところがあると思うんですね。

 半導体というふうなものは、その昔、日本が非常に半導体で世界ナンバーワンだった頃は、二十五年絶対壊れないという、非常に大きなビッグコンピューター、でっかいコンピューター、そういう壊れないコンピューター、二十五年保証できたのは日本だけだったらしいです。

 一方、今や、携帯電話、皆さんお持ちの携帯電話、それに入っている半導体がもう半導体の主流になってきました、量的にも。皆さんも御存じだと思いますけれども、携帯電話は二、三年ごとに皆、替えていかれますよね。つまり、二十五年の保証が要らなくなった、それまでの技術が要らなくなった。日本の半導体、絶対二十五年壊れない半導体を作っていたその強みも、今の世界の経済の潮流の中においては一番の大切な項目でなくなった。三年で壊れていい、それでも安くというふうな、いわゆるゲームチェンジが行われたときに、やはりついていけないような日本ではいけないと思うんですね。

 その手先の器用さ、先ほど申し上げた手先の器用さなんかをどんどん半導体の正確さの二十五年に生かせたのはよかったんですが、ゲームチェンジにはしっかりと対応できる日本の国家でないと、また企業でないといけないと思います。

 そういうふうな中において、AI、IoT、量子暗号の次世代のコンピューター、それから宇宙、自動車、あらゆることに使われる半導体自身も、そのようにいろいろなゲームチェンジが行われていく中において、今も半導体自身のゲームチェンジは日進月歩だと思います。

 その中において、日本は、半導体の日進月歩、今後どのように、世界のまたトップに返り咲くために、どのような作戦を取っていこう、戦略を取っていこうとしているのか、それについて聞かせていただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 もう先生御指摘のとおりでございまして、半導体、AIやIoT、自動車などの次世代のデジタル技術には不可欠でございます。その性能向上、これまでもなかなか日本はうまくいかなかった面はございますが、その性能向上に向けた努力は非常に重要だというふうに思っておる次第でございます。

 こういった観点から、経済産業省といたしましては、令和三年度補正予算で一千百億円を計上いたしまして、二ナノ台を超える超微細な次世代半導体、これの製造技術の開発を進めます。また、配線を電気から光に置き換えることによって、多量なデータを高速で、また低消費電力で処理をするといった、まさにこれはゲームチェンジとも言える技術ですが、光電融合などの将来技術、この研究開発をしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。

 加えまして、経済産業省といたしまして、令和四年五月に米国レモンド商務長官との間で合意いたしました半導体協力基本原則に基づきまして、日米で連携して次世代の半導体の開発、実装を一緒に協力して行っていくといった取組も加速をして、しっかり対応してまいりたいというふうに思っております。

関委員 どうもありがとうございました。

 半導体の技術の革新は日進月歩であります。また、立体型、3D化した半導体もまたゲームチェンジの一つと聞いていますし、今、東北大学が進めておりますスピントロニクス、いわゆるパワー半導体ですね、これもゲームチェンジの最先端、それを日本が最先端で今研究が進んでいる。百分の一の電気で全てが終わるぐらいの半導体、これを、是非また日本が世界のトップに躍り出ますように、皆様に御協力、そして政府にも是非その後押しをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、石井拓君。

石井(拓)委員 自由民主党の石井拓です。

 私の方からも、政府の経済対策についてお伺いいたします。

 まずは、中小企業支援策についてでございます。

 私の地元であります愛知県は、工業、商業、農林水産業がバランスよく発達し、とりわけ製造業を中心として世界経済もリードする地域ですが、まあ、多少手前みそでございますけれども、ここでも、中小企業、皆様が担う役割は非常に大きなものがあります。

 しかし、今般のコロナ禍では、多くの中小企業の業績や資金繰りに多大な影響が生じました。政府は、コロナ禍の当初から、中小企業の事業と雇用を支えるために各種支援策を講じ、特に資金繰り支援策は、融資メニューの拡充や迅速化により、二〇二〇年、二〇二一年の倒産件数を比較的低水準に抑制したことは評価に値すると考えております。

 他方で、コロナ禍が長期化する中、影響が深刻だった業種や小規模事業者の一部では、資金繰り支援策の利用で増加した債務が過剰になっていることも懸念されております。

 今後、こういった債務の返済が本格化する中、経営改善や事業再生に向けた取組が必要になると考えてはおりますが、さらに、コロナ禍では社会や人々のライフスタイルが大きく変化したことも踏まえ、中小企業においても事業再構築、生産性の向上を更に更に進めていくことが必要になります。ポストコロナ禍を見据えて、中小企業の前向きな投資を後押しする支援策が一層必要になってくると考えております。

 政府は、九月八日、経済環境の変化を踏まえた資金繰り支援を拡充するとともに、中小企業の収益力改善、事業再生、再チャレンジを促す総合的な支援策を更に加速させるため、今年三月公表した中小企業活性化パッケージを発展させた、中小企業活性化パッケージNEXTを策定しました。

 そこで、お伺いします。

 経営改善、事業再生、再構築、生産性の向上などの支援について、中小企業のニーズにきめ細やかく応じて効果的に支援策を実施していくことが重要だと考えますが、この中小企業活性化パッケージNEXTによる具体的な支援策を含めて、今後どのような取組を実施していくのか、お伺いいたします。

 加えまして、国内市場が縮小する中で、海外輸出の促進も効果的であります。

 私の地元でも、いろいろと企業をお伺いしておりますけれども、国際競争力の高い商品、サービスを有しているにもかかわらず、海外の商習慣、文化の違いや貿易実務の煩雑さから、海外ビジネスへの挑戦をちゅうちょしてしまう中小企業が見られます。折しも、円安が進む今、円安が中小企業に与える悪影響には注意が必要ですけれども、逆に、他方では、円安は輸出に追い風となる、海外展開を検討する中小企業にとってはチャンスともなります。

 今後、中小企業の海外展開への支援についてもどのような取組をされていくのか、お伺いいたします。お願いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の中小企業活性化パッケージNEXTについては、中小企業の資金繰り支援をウィズコロナに合わせて転換させていくべく、九月に取りまとめて公表したものでございます。これを踏まえて、コロナ融資によって積み上がった債務の返済負担への対応に加えまして、事業再構築といった新たな取組を促していく方針でございます。

 具体的には、今後、コロナ融資の借換え保証制度を創設いたしまして、返済負担のみならず、新たな資金需要にも対応していく考えでございまして、例えば、一〇〇%保証のコロナ融資は、これを一〇〇%保証で借り換えられるようにしてまいりたいと考えております。

 加えまして、今月より、低い保証料で投資資金を確保できる伴走支援型特別保証の保証上限額を六千万円から一億円へ引き上げておりまして、事業再構築補助金、生産性革命推進事業、こういった支援策とともに、中小企業の前向きな取組を促してまいりたいと思っております。

 また、現下の円安メリットを生かしまして、中小企業などの海外展開を支援していくことも極めて重要だと認識してございます。海外展開を考えている中小企業など約一万社を支援すべく、ジェトロや中小企業基盤整備機構などが連携して、事業計画の策定、商品の開発、それから販路開拓まで、こういったものを一気通貫で支援することをしっかりとやっていきたいと考えてございます。

石井(拓)委員 お答えありがとうございます。

 コロナのアフターで、いろいろな状況が変わり、そして円安で輸出も支えていく、中小企業をしっかりと支えていく、そして金融機関などの情報伝達もしっかりとやっていただきたいと思っておりますので、要望させていただきます。

 加えまして、もう一つ、中小企業の心配すること、これは、中小企業における取引適正化、価格転嫁対策についてでございます。

 先ほど申し上げたとおり、コロナ禍やウクライナ情勢の影響により、電気などのエネルギー価格や鉄などの原材料が高騰しており、円安と相まって、仕入価格の上昇、経営が圧迫されている下請中小企業が多くあります。どこも、お邪魔しますと、やはり、製造原価あるいはエネルギー、電気代が高くなっているという声をたくさん聞いております。

 こうした中で、下請中小企業が適切に取引先に価格転嫁することは、材料供給など、サプライチェーン全体でコスト上昇分を公平に負担して、賃上げや設備投資など事業再構築の原資を確保するためにも大変重要であります。

 そこで、お伺いします。

 政府の取組として昨年度以来強化している、パートナーシップ構築宣言企業やサプライチェーンの拡大、中小企業庁に配置する取引調査員、いわゆる下請Gメンの増員、これは倍増ということにしておりますけれども、いろいろな取組をされてきました。その成果はいかがでしょうか、また、今後どのように進めるか、お考えをお伺いいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃられたように、原材料価格やエネルギー価格の高騰への対応、さらには、中小企業における賃上げの実現のためには、サプライチェーン全体でコスト上昇分を適切に価格転嫁することができる環境をしっかりと整備することが重要でございまして、経済産業省としては、取引適正化の取組を強化してございます。

 まず、パートナーシップ構築宣言ということでございますが、今月十一日にも、西村大臣を始めとして、関係各省と経済界、労働界の代表者が集まる会議を開催していただきまして、この宣言の進捗の確認を行うとともに、こういった宣言をより拡大し、実効性の強化をして、取引適正化に向けた協力を呼びかけてまいりました。

 宣言済みの企業は既に一万五千社まで増えておりますが、引き続き、特に大企業への更なる宣言拡大に取り組んでいただきたいと思ってございます。また、宣言企業の取組状況に関する調査結果を今後企業の代表者宛てにしっかりフィードバックをして、取引適正化に向けた着実な取組を促してまいりたいと思います。

 また、御指摘いただきました、倍増したいわゆる下請Gメンというのがございますが、今、年間一万件の中小企業のヒアリングを実施して、取引の実態というのに把握に努めてございます。

 この結果は、業界団体による自主行動計画を改善していただくものに使う、それから、毎年九月と三月に価格交渉促進月間というのをやっておりまして、この結果を踏まえた親事業者に対する指導助言などに活用しております。先月には、今年三月のフォローアップ調査の結果を踏まえて、下請中小企業振興法に基づいて、二十数社の親事業者に対して指導助言を実施させていただきました。

 今後、先般終わりました九月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査を取りまとめて、また、この指導助言の対象企業を拡大して、交渉と転嫁が定期的になされる取引慣行の定着を目指してまいります。

 また、公正取引委員会とも連携してやっておりますが、公正取引委員会では、転嫁拒否のうち一定の事案では企業名を公表する方針というのも打ち出しましたので、こういった公取の動きともよく連携をして、強力に価格転嫁に取り組んでまいります。

 以上申し上げましたような取組を通じて、適切な利益が下請企業にしっかり残るよう、価格転嫁に全力で取り組んでまいります。

石井(拓)委員 ありがとうございます。

 取組はよく分かりました。まだまだ進めていかなきゃならない点だと思いますし、いろいろな声を聞くと、やはり価格転嫁は難しいという声も聞いております。

 あと、一つのサプライチェーンの中で部品を作って納める、この流れは分かるんですけれども、それを運ぶ運送業、運輸業、あるいは大手の量販店、直接小売をするところの大量に仕入れするところなどが、スケールメリットを使って、使ってというか、スケールメリットがあるからこそ価格を抑えるという点もあるんですけれども、やはり材料高が反映できないという点もよく聞くので、是非また。

 あと、地方組織をもっと強化していただきたいと私も思っておりますので、地方にはやはりその特色を持った業界団体もございますので、いろいろな意見を聞いていただきたいと思っております。是非進めていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 自動車産業におけるEV、電気自動車の普及に向けた課題についてお伺いいたします。

 カーボンニュートラルが世界的な潮流になっている中において、自動車においても脱炭素の取組が求められているところであります。

 我が国でも、二〇二〇年末に政府が策定した二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中で自動車のカーボンニュートラルに関する戦略も策定され、二〇二一年六月にはこの戦略を更に具体化したものが公表されました。このグリーン成長戦略においては、この十年間は電気自動車の導入を強力に進める旨が記載されており、電気自動車の普及に向けて取組を進めているところであります。

 しかし、世界に目を向けますと、例えば、ヨーロッパ自動車工業会そして日本の自動車工業会のデータを比較すると、二〇二〇年上半期の新車販売台数において、電気自動車比率が、ヨーロッパでは九・九%なのに対して日本は一・三%となっています。単純に比較すれば、電気自動車の普及が遅れていると考えられます。

 そこで、お伺いします。

 これまで政府は、電気自動車の普及のためにどのような施策を行ってきたのでしょうか。あわせて、電気自動車の普及が伸び悩んでいると私は思うのですけれども、その原因をどのように分析し、今後どのように対策を行っていくのか、お伺いいたします。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 電気自動車などの普及に向けましては、政府として、二〇三五年電動車一〇〇%目標を掲げるとともに、充電インフラにつきましても、二〇三〇年までに計十五万基を整備するということとしております。これまで、次世代蓄電池の開発ですとか大規模製造拠点の立地推進、充電インフラの整備ですとか車両の購入支援による市場創出などに取り組んできたところです。

 電気自動車の普及に向けましては、依然として車種が限定的かつ車両価格が高いことに加えまして、高速道路や集合住宅などにおける充電インフラの整備に課題が残っております。

 このため、令和三年度補正から、車両購入に対しては、一台当たりの購入補助額を最大四十万円から八十五万円に引き上げるとともに、インフラ整備に対しましては、昨年度の六倍強となる六十五億円の整備支援事業を措置しまして、補助対象や補助額を大幅に拡充したところであります。

 今年度に入りまして、新たな電気自動車の車種が増えたこともあります。電気自動車の販売は、昨年度と比べて大きく増加しております。今般策定しました総合経済対策の重点事項にも、電気自動車などの購入支援や充電インフラの整備を盛り込んでいるところであります。

 引き続き、これらの普及を後押ししてまいりたいと思っています。

石井(拓)委員 ありがとうございました。

 電気自動車もそうですし、水素の自動車もそうですけれども、卵が先か鶏が先かというと、経済においては鶏が先だと思っております。充電設備、供給設備などがまず必要だ、その点、進めていただきたいと思っております。

 次に、自動車産業におけるサプライチェーン、この構造転換に対する支援についてお伺いいたします。

 私は、今年の二月の予算委員会分科会におきまして、電気自動車への転換によって、サプライチェーンを形成する中小企業や零細企業、自動車販売業、整備業者を含めた自動車関連企業の構造転換が余儀なくされ、地域経済や雇用に重大な問題となっており、支援が必要であるということを質問させていただきました。

 こうした構造転換に対する課題は自動車産業が盛んなドイツでも同様の問題を抱えており、ジェトロのレポートなどをちょっとつらつらと見るに、ドイツ連邦政府では、構造転換に対応するため、中小企業を支援するファンドやプログラムが設けられて、あるいは、自動車産業が集積するバイエルン州やバーデンビュルテンベルク州では、その地域で今後発生する課題や補助金活用について、プラットフォームなどの設置も行われて、相談などやりやすくなっていると聞きます。

 是非このような、状況が異なれば同様の支援策が行えるわけではありませんが、他国における先行事例も踏まえながら、我が国の自動車産業への支援を充実していくことが必要であると思います。

 そこで、お伺いします。

 自動車部品サプライヤー事業転換支援の相談窓口事業と専門家派遣事業が八月から受付開始となっておりますけれども、これまでの実績、現状について、あるいは今後の展開についてお尋ねいたします。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車の電動化を進めていくに当たっては、地域の自動車産業を支える部品サプライヤーも含めて、カーボンニュートラルに向けて前向きに取り組んでいただくことが重要になります。例えば、エンジン部品の中小サプライヤーが新たに電動車部品の製造に挑戦するといった事業転換の取組について、積極的に支援をしてまいります。

 御指摘の支援事業につきましては、本年八月から全国各地の支援拠点で相談窓口を受け付けておりまして、九月末までに百四十二件の個別相談をいただきました。電動化の進展が自社製品に及ぼす影響ですとか、自社の強みを生かした新分野への参入可能性など、御相談の内容は多岐にわたりますが、これらを基に、今後の専門家派遣による伴走型の支援につなげていきたいと考えています。また、セミナーは各地で八回開催しておりまして、五百二十二社の参加をいただきました。

 引き続き、各地域の支援拠点と協力をして、中小サプライヤーへの情報提供も充実してまいりたいと考えております。

石井(拓)委員 ありがとうございました。

 最後の質問に移りたいと思います。脱炭素化に向けた政策全般でございます。

 ちょうど二年前の今日、二〇二〇年十月二十六日、我が国は二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言された、ちょうど二年前の今日なんですけれども。これを受けて、その年、グリーン成長戦略、そして、昨年十月に第六次エネルギー基本計画を、そして、今年五月にクリーンエネルギー戦略中間整理が取りまとめられました。

 また、先日の西村大臣の所信挨拶において、「炭素中立社会の実現に向け、日本の経済社会、産業構造のグリーントランスフォーメーション、GXを進めます。」と発言がありました。

 GXについては、現在、政府のGX実行会議において、脱炭素化のための経済社会、産業構造の変革へ向けた検討が行われております。その中でも、燃焼時に二酸化炭素を排出しない次世代の脱炭素エネルギーとして注目されているのが水素とアンモニアであります。

 水素は、既に燃料電池車、FCVの燃料として水素ステーションが設置されるなど、水素の方が次世代エネルギーとしての認知度が高いものと思います。また、そのまま利用するだけではなくて、将来に合成メタンや合成燃料の原材料にもなります。

 一方で、アンモニアは、輸送が容易であることから、既に化学肥料や合成繊維の原料として利用され、我が国において生産や輸送の技術の蓄積があるなどの利点があります。

 そこで、質問です。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、水素や燃料アンモニアの政策上の位置づけや、今後の燃料として活用していく上での課題についてお尋ね申し上げます。

西村(康)国務大臣 委員御指摘のように、水素、アンモニアは、まさにカーボンニュートラルを進めるに当たって不可欠なエネルギーであります。偏在性も低く、供給源の多角化にも資するものというふうに思います。クリーンエネルギー供給の選択肢を増やし、強靱な経済社会をつくっていく上で、重要なエネルギーであるというふうに認識をしております。

 発電分野の利用については、石井委員御地元のJERAの碧南発電所を一緒に御視察をさせていただきました。ここで実証中のアンモニア混焼技術は世界初でありまして、アジアを含めて世界から注目をされている技術であります。

 さらに、水素、アンモニアは、それ以外にも、熱利用とかあるいは燃料電池車の導入、こういった分野での利用も期待されます。私もミライに何度か乗りましたけれども、非常に快適で、加速感もあります。そうした車での、発電分野以外での水素の利用も拡大していければというふうに考えているところであります。

 御指摘の課題は、コストであります。まだコストが高い。大規模なサプライチェーンを構築し価格を下げていくために、今の化石燃料と、水素、アンモニアとの価格差を縮小するための支援、価格差支援であるとか、あるいは大規模な需要を創出するインフラ整備、こうしたところでも検討を進めているところであります。

 年末に向けて取りまとめるGXのロードマップにおいて、こうした支援策についても具体的な方針を示していきたいというふうに考えております。

石井(拓)委員 お答えありがとうございました。

 水素、アンモニアの利用、そして、発電だけではなくて、エネルギーとして、燃料として使っていくことを是非進めていただきたいと思います。

 時間が来ました。質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、質問をさせていただきます。

 御地元でも同じ兵庫県で御一緒させていただいている西村先生が経済産業大臣ということで、大変うれしく思っております。本当に経済は大変な状況でございますので、また、党としてもしっかりといろいろな御提言や御意見もさせていただきながら、しっかりとまた対応を共々にしていければと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、大臣に何問か質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど来、いろいろな質問が出ております。重複する部分もございますが、まさに現下の最大の課題は、ロシアのウクライナ侵略に端を発しました、エネルギーあるいは資源が非常に高騰している、また、食料品も非常に高騰しているということでありますし、また、円安の影響も大変ございます。この物価高にどう対応していくかというのがやはり現下の最大の課題だと認識をしております。

 公明党といたしましても、十月十四日に、今政府が総合経済対策、まさに総理が策定をするということで指示をされておりますので、提言もさせていただきまして、同日、また与党の党首会談ということでありまして、電気代あるいはガス代の支援、こういうことも合意をしていただいて、今まさにいろいろな議論が大詰めの状況であるというふうに承知をしております。

 もちろん、電気ですとかガス、あるいは今既に支援をしておりますガソリンもありますけれども、こうした値上げに対応して緊急的にやはり政府の方でしっかり支援をしていくというようなことも当然必要でございましょうし、しかし、この対策をずっと続けていけるかというと、やはりこれをずっとやるというわけにもいかないと思っております。

 やはり、省エネをしていく、あるいは、円安であれば、それを生かした国内の投資をどんどん促進をしていく、こうした環境が変化しているわけでありますので、それに対応するためには前向きな投資がやはり必要だということも考えておりますし、また、働く方の立場からすれば、物価高というのは、賃金をしっかり上昇させてそれをカバーをしていくということがやはり基本であるというふうに思っております。

 こうしたいろいろな環境の変化に対応して取組を総合的に進めないといけないというのがまさに総合経済対策だというふうに思っておりますけれども、やはり、私ども公明党としては、日本の企業の大宗を占め、現場でも一番接する中小企業が、こういう状況をどうやって乗り越えていけるのかというのがやはり一番多く寄せられるお声でもありますし、また、対応していかないといけない部分でもあるというふうに思っております。

 まず冒頭、中小企業が物価高にどう対応していくかということについて、まず大臣の、基本的にどういう形で対応していくのかという考え方をお伺いをしたいというふうに思います。

西村(康)国務大臣 中野委員におかれては、同じ兵庫で、様々御提言をいただき、また連携していろいろな取組をしていただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

 御指摘のように、中小企業、ようやくコロナから回復期に来たというときにウクライナ侵略があり、様々な資源高に苦しんでいるという状況だと思います。何とか、足下の物価高、調達の原材料高を乗り越えて、次の時代に中長期的に成長していけるような、そんな取組を是非、経済対策の中でも盛り込んでいければというふうに思っております。

 御指摘の、燃料に対しては激変緩和措置を引き続き実施しますし、電気料金、ガス料金についても、一定の支援をしていこうということで取り組んでおります。

 そして、まさに価格転嫁をしていくことが重要でありますので、パートナーシップ構築宣言、そして、九月、三月、価格交渉促進月間ということで、この調査も十五万社、行うことにしておりますので、これを踏まえて、経産省としてもしっかり、対応していない企業には指導助言を行っていきたいと思いますし、公正取引委員会も、価格転嫁を認めないような企業の、企業名の公表もやるということでありますので、連携して取り組んでいければというふうに思っております。

 あわせて、中長期的に、これを乗り越えていくために、生産性向上のためのものづくり補助金であるとか事業再構築補助金、再エネの補助金、省エネの補助金、こういったものを含めて設備投資も応援していければというふうに思います。

 いずれにしても、何とか乗り越えて、設備投資を行って成長する、そしてそれが賃上げにつながっていく、それがまたイノベーションにつながっていくという、イノベーション、成長、そして賃上げ、この好循環を是非実現をしていければというふうに考えております。

中野(洋)委員 大臣から総論的なことで御答弁をいただきましたので、少し各論の方も御質問させていただきたいと思います。

 大きな方向性としては、まさに大臣おっしゃるとおりだというふうに思います。

 そして、一つは、電気、ガスの支援のところであります。

 これはもう予算委員会でもかなり質問もされ、総理も大臣もかなりいろいろな制度についても答弁をされ、最終どういう形かというのは今最後の検討中だとは承知をしておりますが、今既に、小売を通じて、国民に分かりやすい形で実施をしていくというふうなことも表明を既にされておられます。

 いろいろな、例えば燃料費の調整制度のところを活用して下げたらどうかとか、いろいろな議論があることは承知をしておりますけれども、制度の中身というのは、実施がスムーズにできる中身であればいいと思うんです。

 私も、ガソリンの支援のときにやはりいろいろなお声をいただいたのが、要は、入った税金がちゃんと、ガソリンも元請に入れるという形になっていましたので、ちゃんと値下げに全部なっているのかというところが、やはり透明性がしっかり確保できているのかというふうな御指摘を、ガソリンの補助をするときにかなりいただいたところでもあります。

 やはり、いろいろな電気、ガスの支援をしていくときに、一つは国民に分かりやすい制度であるということ、そして、非常に透明性が担保されている、使った税金でしっかりと下げられているというふうな形の制度設計が非常に大事であるというふうに思っておりますけれども、この点についてどうお考えか、大臣の御答弁をいただきたいというふうに思います。

西村(康)国務大臣 御指摘の点、大変重要な点であるというふうに思っております。

 自民、公明の党首間での合意を踏まえて、今、制度設計、最終の調整をしているところでありますけれども、御指摘のように、電気料金システムを活用して、毎月の電気料金の請求において、直接的かつ分かりやすい形で負担軽減策を行っていくという考えであります。

 御指摘のように、支援の金額が全て国民の負担軽減につながるように、分かりやすい形で、例えば燃料費調整額の欄を活用することも一案ということで検討を進めております。そして、支援の幅についても、早ければ来年一月から、これは需要期、一月、二月は非常に使用量が多くなりますので、早ければ一月から始めて、電気代、都市ガス代、そして燃料油を合わせて、例えば来年前半までの期間で全体で数万円程度の負担軽減になるような、そんな全体としての最終調整を今進めているところでございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 制度自体はまさに今調整されているということはよく承知をしておりますので、しっかりそうした点も担保できるようにということでお願いをしたいと思います。

 大臣に、済みません、もう一問。三問続けて恐縮なんですけれども。

 エネルギーのコスト高に対応するということで、短期的にはやはりこうした電気、ガス支援のようなことも重要かと思うんですけれども、省エネの投資を進めていくということを、これを機にやはり前向きに進めていく必要があると思います。もちろん、長期的にはGXという大きな、カーボンニュートラルに向けての大きな投資も進めていかないといけないんですけれども、各企業のところにとってみれば、省エネ投資ということがエネルギー高への対応になってくるかと思います。

 他方で、今、省エネ機器を、まあ省エネ補助金というやつもあるんですけれども、導入をしようとしても、半導体が例えば不足していて納入がなかなか間に合わないというふうなお声もいただくこともございますし、どうしても単年度の補助金になりますので、なかなか投資、更新をしていきたいんだけれども、これが非常に難しいというお声もいただいたり、例えば複数年にわたって持続的に支援ができる仕組みにならないかといったようなお声もいただいております。

 また、企業の省エネに加えて、やはり各家庭の省エネも後押しをする必要があると思っておりまして、給湯器ですとか、あるいは住宅の断熱ですとか、いろいろな形で家庭も省エネを支援をしていけば、やはりこのエネルギー価格の高騰というものに対応していけるというふうに思っております。

 こうした省エネ対策を、これを機会にやはり抜本的に強化をしていくということが必要かと思いますけれども、これについて、大臣、どう対応されるか、答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、省エネ、極めて重要であるというふうに思っております。カーボンニュートラル、生産性向上だけでなくて、コストを下げるという観点からも非常に重要でありますので、今回の対策の中で、三年程度を集中的な支援期間として、経済対策の中においても重要な位置づけとしてしっかりと盛り込みたいというふうに考えております。

 企業向けには、最大十五億円まで支援をする省エネ補助金、御指摘の補助金を抜本的に強化をしていきたいというふうに考えております。確かに、半導体が足らなくてなかなか工事が進まないとかということもありますし、工期が比較的長い投資が単年度では終わらないということもありますので、複数年事業を可能とするような仕組みとして、中小企業の皆さんにも使い勝手のいい形にしながら投資需要を掘り起こしていきたいというふうに考えております。

 家庭向けの省エネについても、国交省、環境省とも連携して、住宅全体のリフォームであるとか、あるいは断熱改修、それから、まさに御指摘のような高効率の給湯器、こういったものも含めて支援をしていければというふうに考えております。

 家庭でのエネルギー消費の三割を占める給湯器も含めて、高効率化を支援していきたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。大臣からも、三年で集中的に、また複数年度も含めてということで、かなり踏み込んでまた答弁もいただきました。ありがとうございます。

 これを機に、やはり省エネ、GXをしっかり進めるという、投資をやはりしていくというところの後押しが非常に大事かと思います。しっかり総合経済対策でやってまいりたいというふうにも思っております。

 そして、済みません、あと五分ぐらいですけれども、先ほども大臣からも御答弁がありました賃上げについて、もう少しお伺いをしたいと思います。

 先ほども価格転嫁のお話が、先ほど来御質問でも出ておりまして、大臣からも、今まさに価格交渉促進月間というのを設定をしていただいているわけでありまして、これで、この月間でしっかり価格転嫁の交渉をしてくださいという環境整備というのを国として一つはやっている。もう一つ、大臣からも、十五万社調査ということでお話もございました。実態調査をまさにやっているというところで伺っております。

 そうすると、やはり実態調査をしていただけば、どの程度価格転嫁がどういう業界で進んでいるのかというのは、やはり経産省としてもある程度認識をしていただいているのかなということで、やはり現場では、なかなかそれは、聞いてはもらえるけれどもなかなか進まないというお話ですとか、あるいは、業界によっては全然進んでいないだろうなというふうな、そういう状況が、調査をしていただいていると思っていますけれども。

 一つは、現状をどう認識されているのかというところをお伺いをしたいと思いますし、また、そういう進んでいないところについて、どうやってそれをまさに進めていくのかという具体的な取組の強化というのが重要だと思いますので、この二点について中小企業庁にお伺いをしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、価格交渉促進月間ということで、十五万社のアンケート、それから、下請Gメンも使っての横展開というか、そういう調査をしておりまして、まず、現状認識ということでございますが、確かに、業界ごと、それから費用についても、これは、エネルギー費だったり原材料価格であったり労務費であったり、いろいろございますので、その状況も違うということでございます。

 これまでの月間の中でも、業界ごとにどうなんだということをできるだけ分かりやすく開示、公表してきたつもりでございますが、そこを更に磨きをかけるというのがまず一つでございますし、それから、個社に対しては、これまでも二十数社の親事業者に対して指導助言を実施済みでございますが、こういったものを、この九月の月間のフォローアップということでは更に拡大をして取組を促していくということが非常に重要だと思ってございます。

 さらには、大臣からも御答弁いただきましたけれども、公正取引委員会では、一定の事案では企業名を公表するという方針も打ち出しておりますので、こういったものともしっかり連携をしながら、取組を更に強化してまいりたいと考えてございます。

中野(洋)委員 直近でいうと、やはり九月の月間の取組のフォローアップもしていくということで御答弁もいただいております。

 実際は、やはりエネルギー価格の上昇という、いろいろな資材高騰というところの交渉もしていかないといけないんですけれども、これからさらに、物価高に対応する賃上げということもやっていかないといけないということで、これも更に原資を確保していかないといけない、そういう状況でもございますので、また、中小企業にとっては、やはりこの取組をどうフォローアップして強化をしていくということかというふうに思います。具体的なこともいろいろ御答弁いただきましたので、また是非公取とも連携もしていただきながら、これは是非取組を強化をしていただきたいと、改めてお願いを申し上げる次第であります。

 もう一つ、生産性をしっかり向上させる前向きな取組を進めていくという話を先ほど来しておりますけれども、大臣に対しては、省エネ補助金の強化ということで先ほど質問もさせていただき、またこれもしっかり強化をしていくということを言っていただいたところでもあります。

 いろいろな、生産性を向上させる補助金という意味では、コロナ禍から、事業再構築、これを補助金という形でかなり進めてきておりますし、それ以前からも、ものづくり補助などの生産性革命推進事業というものもやっておりまして、やはり、こうした既存の支援策も活用しながら、しっかり物価高に対応ができるような形にしていかないといけないと思っております。

 当然、そういう物価高に対応する、あるいは賃上げに対応する、いろいろな特例枠も今設けていただいておりますけれども、コロナに対応するというところからは少し状況はやはり変わってきているというふうに思っておりまして、コロナ禍だと、典型的に、例えば飲食の売上げが減ったとか、ある分野について非常に売上げが減っているというふうな状況だったかと思いますけれども、やはり円安や物価高ですとか、あるいは賃上げに対応という形になると、売上げが減ったというわけではなくて、やはり費用のところですごく負担が増えてきているという中に、どうこれに対応するかというふうな側面がより強くなってくるのではないかなというふうに思っております。

 そうした意味では、そういう補助金の要件をしっかり見直していくということは非常に大事だと思いますし、より多くの人がこの物価高や賃上げへ対応したいというときに、この補助金を活用しやすいというふうな状況にしていかないといけないと思います。もちろん、総合経済対策の中でこうした支援策全体もしっかりと強化を、もちろん予算を確保していくということも大事であるというふうに思っておりますけれども、こうした点について中小企業庁の答弁を求めたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中小企業の賃上げができる環境整備ということでは、やはり取引だけではなくて生産性向上ということで、御指摘いただいたような事業再構築補助金、あるいは生産性革命事業ということでやっておりますものづくり補助金、それから小規模事業者の持続化補助金、こういったものは重要だと考えてございまして、今申し上げました補助金の中でも、これまでも、賃上げする中小企業に対して、上限額や補助率を引き上げる特別枠、また、審査のときに少し加点をしていく、こういった優遇措置を措置して生産性向上を支援している、特に賃上げのためにということでやっております。

 まさに御指摘いただいたとおり、今月末に取りまとめる経済対策におきましては、少しずつコロナの中から、中小企業を取り巻く状況が変化しつつある中で、まさに事業者の方が使いやすくなるように、要件というものも不断に見直しながら、これらの補助金について、特に賃上げというところにもスポットをしっかり当てて、中小企業の生産性向上に向けた投資を更にしっかりと支援して、賃上げできる環境を整備してまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 資金繰りの対策も準備しておりましたが、ちょっと時間になりましたので終わらせていただきますけれども、やはりこの総合経済対策、しっかりした対策にしていくということが大事だというふうに思います。

 いろいろな御要望もさせていただきましたけれども、しっかり受け止めて、また政府として御検討をいただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 西村大臣、よろしくお願いします。大臣御就任おめでとうございます。

 昨日、また局面が一つ変わったということで、山際大臣も交代されたということで、少し安堵されているというふうに思います。是非大臣には、本業に全力で取り組んでいただきますように、改めてお願いを申し上げます。

 当然ですが、改めて確認ですけれども、西村大臣は、政策協定のようなものを旧統一教会と結んだ、そんなようなことはございませんね。

西村(康)国務大臣 全く私は知りませんし、ありません。

田嶋委員 何よりでございます。

 選挙に強い人はそういう危ない橋を渡るということはないと僕は思うんですけれども、本当に。全く想像できない世界の話がいろいろと聞こえてくるので、一応、念のための確認でございます。

 副大臣、政務官におかれても、経産委員会はそういう雑音に紛らわせるのではなくて、本業の方で是非頑張っていただきたいと思います。

 さて、今日はトップバッターでやらせていただきますが、私、西村大臣が経産大臣になって非常によかったと実は思っているんですね。なぜか。西村さんはずっとこの間、経産ラインでいろいろと頑張ってこられて、元々は経産省にもおられたわけですけれども、経産省出身の経産大臣は何年ぶりか、御存じですか。

西村(康)国務大臣 過去に二人おられますけれども、前の大臣は新進党政権のときだったというふうに思います。

田嶋委員 そうですね、熊谷大臣だったと思いますけれども、本当に久しぶりだと思います。そういう意味では、元々そうして奉職なさっていた方が古巣に戻ったという感じで、私から見ていても満を持してという印象があるわけでございまして、様々な人脈もおありだと思います。やりやすい面と、逆にやりにくい面もひょっとしたらあるのかもしれませんが、ちょうど同期がそろそろ退職されるような年次ですので、私はそういう点でもいいタイミングではなかったかなというふうに思っております。

 ネクスト経産、自民党もあったんですね、シャドーキャビネットのネクスト経産大臣もなさり、あるいは筆頭理事もなさっていたということで、私は是非、この任期、いつまでの任期か分かりませんけれども、本当に立て直しに頑張っていただきたいというふうに思います。

 しかし、私が西村さんが大臣になってよかったと思う一番の理由はそこにはなくて、今日お持ちしました「繁栄か衰退か 岐路に立つ日本」、これを西村さんが、ちょうど今から十年前、まさに第二次安倍政権が始まる一週間前に出版されているんですね。自分で書かれたから、よく覚えていらっしゃると思う。

 私が思うのは、この経産委員会というところは、いろいろな法案を審議しますが、今日も与党の方々からも大事な論点がたくさん出ました。しかし、いつも思うのは、未来に向かっての議論は、やってみなきゃ分からないところがあるわけですよ。だから、なかなか私たち野党も正面切って反対するというのは難しいですね。勢い、法案に関しても、賛成法案が非常に多い、私はそういうふうに思っております。

 しかし、この期に及んで、そして第二次安倍政権以来、十年がたちました。この期に及んで大事なことは、未来を語る前に、過去を振り返って、総括をして、検証して、反省することが私は何よりも大事だと思います。

 特に、私もこれは国会図書館で借りてきましたけれども、読ませていただきましたので。西村さんは、大臣として、もう既に十年前に大変な強い危機感をお持ちでおられた。そういう方が、十年、満を持して大臣をやられていますので、私は今日は、未来の話ばかりではなくて、過去を振り返っての検証もさせていただきたいというふうに考えております。

 そこで、一番目のお尋ねですが、この十年間、日本の経済はよくなったのでしょうか。どのようにお考えですか。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のその「繁栄か衰退か」という本は、二〇一二年、今から十年前、安倍政権ができる前に書きまして、私自身は安倍政権ができたときに経済再生担当副大臣になりましたので、アベノミクスの三本の矢、これを、そこにも書いてありますけれども、それを実践するんだという意気込みで、甘利大臣の下で安倍総理を支えながら取り組んできたわけであります。

 私は、この十年間、アベノミクスの成果、これは大きなものがあったというふうにまず自負をしております。雇用環境も、コロナで少し変わりましたけれども、全ての都道府県で有効求人倍率が一を超える、仕事を探している人に対して仕事がそれ以上にあるという状況をつくり出しましたし、企業の収益も過去最高、国と地方の合わせた税収も過去最高を記録をしておりました。法人税収も去年は最高だったと思いますけれども、そうした成果。女性の就業率も六割台から七〇%を超えるまでになった。

 こうした大きな成果はあったと思いますが、しかし、今申し上げた中でも、一人一人の所得は伸びていない。あるいは、企業の競争力は世界の中で取り残されている部分がある。さらに、半導体を始め、先ほど来議論があるとおりです。そして、女性も確かに就業率は上がりましたけれども、正規社員はそれほど伸びていない。もっと意欲ある、能力ある女性が正規社員として活躍してほしい。

 課題も幾つかあります。それをこれから、アベノミクスを更に、岸田総理の下で新しい資本主義という視点を入れて更に発展させて、日本経済を発展させていく、その決意でございます。

田嶋委員 今日、配付資料、少し多めになってしまっておりますけれども、御覧いただきたいと思います。

 傾向として、自慢できるところに光を当て続けてきている感じがずっとします。もう少し素直に、一般国民の印象も含めて、大臣も一人の国民としてこの国を見たときに、私は毎日、日経新聞、開くのが怖いぐらい、毎日毎日、日本が脱落していく記事が増えてきている印象です。

 この1の左側は、以前の大臣にもお示ししましたが、一年半前の記事であります。日経新聞がこういうことを真正面から言うというのは、忖度する世界の中で、私は珍しい印象でございましたけれども。そして、今年になってくると、今大臣もおっしゃいました日本の国際競争力、一七年の調査開始以来、最低ですよ、最低。

 西村さん、こういうのを見ていただいて、特に私は経済産業の話を今日はさせていただくわけですから、日本の現状、この十年間、西村さんが本を出してから今日までのこの十年間、ずっとあなたの政府ですね、政権ですね、短期間で総理が替わることもなかった。やりたいことは全部できたはずです。

 実際これを見てみると、私たちが言うようなことがたくさん目次にも並んでいますよ。教育に関しても、ほかの先進国に比べて教育投資が全然少ないとか。十年たっても何にも変わっていないんですよ、十年たっても。そして、産業競争力に関しても、いろいろいいことは書いてあるけれども、全く状況が悪くなっている一方ではないかと私は感じる次第であります。

 西村さん、それでは、経済産業の分野で、この産業はこの十年間でグローバルな存在感が大きくなった、競争力が強くなった、そのような産業があったら挙げていただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 私も毎日、日経新聞、時間の許す限り、隅から隅まで読んでおりますけれども、もちろん、我々が反省しなきゃいけない課題、取り組まなきゃいけない課題、これもたくさん出ています。先ほど申し上げたように、半導体もかつては世界でシェアを高くリードしてきた、それがだんだん凋落をしてきた部分、これも認めなきゃいけません。

 しかし一方で、我々の世界における経済規模、そしてそれぞれの産業を個別に見ても、例えば自動車産業は、やはりトヨタを中心に、世界に冠たるものがございます。もちろん、今のままでいいわけじゃありませんので、これから新しい百年に一度の大変革を自動車産業も取り組んでもらわなきゃいけない。それが電気自動車であり、水素燃料電池車であり、様々な取組、自動運転であり、新たな取組を進めてもらわなきゃいけない。それの今ちょうど転換点にある。そして、先ほど来議論もありますけれども、水素、アンモニア、こうした技術は世界でやはり冠たるものを我々は持っております。世界中の国々が、日本と協力してやりたいというふうに言ってきております。

 そうした大転換のとき、この十年間で、私は、アベノミクスで成果を上げた部分、大きくあると思いますけれども、足らなかったところ、そしてさらに、コロナを経て、ウクライナ侵略を経て、気候変動、この三つの危機を乗り越えるべく、今こそ大転換のためにイノベーションを起こしていく、そうした取組を進めていかなきゃいけないというふうに認識しております。

田嶋委員 そういう大臣の答弁、これから前を向いてというのは、大体、皆さん聞いていて、そうだと思うんですよ。私も何度もそういうことを聞いてきました。だけれども、冒頭申し上げたとおり、西村大臣は十年前にこの本を書いている。十年前に、今が分岐点だとおっしゃっている。衰退に向かうのかどうなのか、ここが今瀬戸際だということを言っているんですよね。

 資料の3を御覧ください。その抜粋でございますけれども、右側の下線の部分、日本は今、その繁栄か没落かの大きな分岐点に立っているのであると。これをおっしゃったのが、三・一一直後、我々が政権を失った前後でございます。

 そこから満を持して、長期政権、ねじれ国会もない、そういう中で、やりたいことが全部できたはずなんです。経産大臣には最近なられたかもしれないけれども、私は本当に残念でならない。

 その中で、西村さんが唯一褒めているのが円高の状況なんです。3の左側、しかしのところですけれども、このような日本の状況にあっても、日本の通貨が買われ、高いのである、史上最高水準レベルで推移していると。こういったことで、こうした日本に対する評価、安心感、信頼感が残されているうちに頑張ろうじゃないかということが、この本の中にとうとうとうたわれているわけですね。

 西村さん、当時、七十五円から八十円の円高。現在、それがほぼ半値になった。世界から安い日本というふうに言われるようにもなってしまいました。この状況をどう思われますか。本当に私は残念でならないと思いますが、西村さん、どうですか。

西村(康)国務大臣 為替のレベルについては、これは政府の一員としてコメントすることは控えたいと思いますが、為替のレベルは様々な要因で決まってきます。それは、金利差もあります。それから、経常収支、円の実需と言ってもいいと思いますけれども、貿易収支を始めとして円の収支、これも関係します。それから、投機的な要因もあります。まさにその国への安心感、期待感、こういったものもあるでしょう。これは投機の一つになっているかもしれません。

 様々な要因が絡み合って相場は決まってきますので、コメントはしませんが、当時に比べて、福島第一原発の事故以降、原発が止まり、かなりの燃料を輸入しなきゃいけなくなった。貿易収支が悪くなる、そして経常収支もこのコロナ、ウクライナ危機の中で更に悪くなるような状況にありますので、そうしたことを反映しているのかなというふうに思いますが、一方で、日本への安心感、これは、社会の安定性、あるいは衛生の状況、治安のよさ、こういったことを含めて、これに対する世界の見方は変わっていないものがあると思います。

 ただ、先ほど来申し上げているとおり、大きな転換点、時代の変換点の中でイノベーションを起こしていく、その躍動感とか、新たなものに取り組んでいくアニマルスピリッツとか、そういったものが今我々には欠けている部分があるのではないか。それを今呼び起こして、もう一度、この間、十年間、私は、何度も繰り返しますが、アベノミクスで経済を立て直すところは来ていますが、ここからもう一段、それを更に上に引き上げていく、そのためのイノベーション、投資が必要だと。

 幸いなことに、日銀短観でも、この数年間、コロナ前と比べても、企業の投資意欲は過去最高のレベルになっています。ようやく、デジタルの遅れも資料にありますけれども、デジタルとかグリーンとかへのそうした取組に企業側の意欲が出てきたんだろうと思いますので、それを後押しするような、今回も経済対策でイノベーションを起こす、成長していく、そうした取組を是非取りまとめたい、対策を取りまとめたいというふうに考えております。

田嶋委員 分岐点は十年前だったと西村さんは書いておりますが、その後、分岐点はどっちに日本は来ているというふうに評価しているかを聞いているんです。衰退の方向に来てしまっているんじゃないでしょうか。アベノミクスは間違っていたんじゃないでしょうか。そうしたことを素直に評価をして、そして総括をして、反省しなければいけないと私は思います。

 同じことが何度も何度も、今日は半導体の議論もございましたけれども、半導体だけではないですよね。気がついたら、何でこんなことになってしまっているのか。世界のスピードが物すごく上がっている中で、いつも取り残されているのは日本の産業ではないかという、私は恐怖感を感じますよ。

 西村さん、岐路はもう過ぎているんじゃないですか。あなた自身がここで言っているんですよ。岐路は二〇一二年だったと、あなたはそう言っている。そこから十年、やりたいことがやれる環境にあったにもかかわらず、ずっとそこから衰退モードに入っているということをお認めくださいよ。

西村(康)国務大臣 民主党政権のときに、雇用がなかった、企業がどんどん海外に出ていった、その現実も是非認めていただきたい。

 そして、その後、我々は、国内投資を増やし、もちろん海外に展開する企業もあります。雇用を国内でも増やし、全ての県で、仕事を求めている人以上に仕事の数がある、有効求人倍率を一を超える状況にした、このアベノミクスの効果も、成果も、是非認めていただきたい。

 我々も、その上で、しかし、繰り返しますが、女性も、非正規が多い、能力があって意欲ある人が正規社員になれない、結婚したら、確かにM字カーブは解消したけれども、正規社員のL字カーブは解消していない、正規社員は減る、もっと女性の意欲ある人を登用しよう、これをアベノミクスで、ウーマノミクスと言われましたけれども、進めてきたわけであります。

 そして、御指摘がありますけれども、確かに、全体として、我々は戻してきましたけれども、新たなイノベーションを起こす力、世界を引っ張っていく力が、投資が少なかったことは事実であります。これをもう一度呼び起こしていこう。個別には、ソニーのCMOSセンサーとか、あるいは半導体の原材料で中堅企業が世界のシェアの六割、七割を持っている、こういう企業はたくさんあります。でも、全体として、新たな商品を作り出していく、イノベーションを起こしていく、世界を牽引していく、これをもう一度、我々、課題として取り組まなきゃいけない。経済対策の中でもこれを盛り込みたいと考えております。

田嶋委員 今、与党ですからやっていただくしかないわけで、それは是非頑張っていただきたいと思いますよ。

 しかし、二〇一二年の十二月に書かれた本で、民主党政権のときの話をされても困るんですよ。私が言っているのは、あなたがこの本を書いてからこの十年間、日本はどうなったんですかと聞いているんです。この十年間、何をしてきたんですかと。書いてあることの、処方箋が書いてあっても、何一つできていないんですよ。どんどんどんどん産業力は衰えているじゃないですか。

 こういったことを、もっと強い危機感と、自分たちのやってきたことが間違っていたんじゃないか、そのように考えないんですか。私はそこが理解できないんです。我々の政権の時代の批判をするのはやめてくださいよ。そうじゃなくて、この十年間、フリーハンドを持っているんですよ、あなたは。そういう中で、こうした状況をつくり出してしまっている。

 私は、先ほどの、円高から円安の、日本の価値が半分になってしまった、そのことも含めて、そして、今、自縄自縛になって、金利を上げようにも上げられない日本が起きているじゃないですか。こういう状況は、やはり明らかにまずかった、結果的にまずかった。一時株価が上がってみんなが喜んだかもしれないけれども、結果的に、今多くの国民を苦しめているのは、アベノミクス以来のあなた方の経済政策ですよ。それをお認めにならないんですか。(発言する者あり)

竹内委員長 お静かにしてください。

西村(康)国務大臣 繰り返しはしませんけれども、この間の、十年間の自民・公明党政権で、アベノミクスを中心として経済を立て直してきた、これは先ほど申し上げたように数字で明確に表れてきております。

 しかし、私は何も、それで百点満点だと言っているわけではありません。我々にとって課題はあります。確かに、産業の競争力は衰えている部分があります。企業は内部留保を増やして、投資をしてこなかった、賃金も上げてこなかった、そのツケが回ってきているのも事実だと思います。所得が伸びていない、これも我々は認めています。

 アベノミクスでもちろん年間二%、三%の賃上げは実行してきましたけれども、それではもう足らない。世界は大いに成長して所得も上がっていっていますので、もう一段、ここから、我々はそうした課題も認識して、反省すべき点も反省しながら、新たに、企業がようやく投資を増やそうとしてきていますので、それを後押ししながら、新たな設備投資、研究開発、イノベーションを起こしていく。そして、人への投資も増やし、所得を上げていく、このことをこれから実践をしていこう、実行していこう。もちろん、これまでやってきた部分の足らなかった部分も我々は認識をした上で、新たな取組を更に進めていこうとしているわけであります。

田嶋委員 是非頑張っていただきたいと思いますけれども、じゃ、具体的に、先ほど半導体の話も出ました。半導体だけじゃないですね。西村さんも私も、西村さんもこの本の中で、再生可能エネルギーは私のライフワークの一つだと、私と同じようなことをおっしゃっているわけだから、そこは大変うれしいですよ。

 太陽光発電、蓋を開けたら全部中国製じゃないですか、ほとんど。風力、最初からやる気がなかったような感じがしますよ。最初から外国勢ですよ。撤退も相次いだ。せっかく、燃料を海外から輸入しない時代がやってくる、自然エネルギー社会で、本当に国富が十兆円、二十兆円流れ出ていた日本の状況が変えられると期待したら、蓋を開けたら最初の設備投資は全部海外からの輸入みたいな、そんな状況になっちゃっているじゃないですか。

 大臣、何かここを変えなきゃいけないという危機感はないんですか。半導体に倣って、そうした産業ももっとてこ入れを図るというお考えはあるのかどうか、お聞かせください。

西村(康)国務大臣 民主党政権時代に、私、先ほど御指摘もありましたけれども、経産部会長、そして野党のこの経産委員会の筆頭理事をしておりました。そのときにFIT法の提出があり、我々は議員修正で元のFIT法を成立をしたわけでありますけれども、そのとき、あるいはその以前、経産省時代にも省エネ法、新エネ法の改正に携わった時期もあり、私自身も、太陽光、風力、そして日本が何より強い地熱、あるいは、さらに、もう少し先ですけれども波力とか、そういったものも含めて、いろいろな可能性を日本のこの自然環境の中で追求していくべきだということを常々考えておりました。

 そうした中で、FIT法を実施して、そして、今二割ぐらいまで再生可能エネルギーは来ていると思いますけれども、太陽光も増えました。これを、ここまで来たのは、日本全体で、各地も含めて協力があったからだというふうに思いますし、支援策があったからだと思いますが、ただ、物については、確かにソーラーについて、パネルについては、急激に市場が拡大する、そのスピードに日本の産業はついていけなかった。そして、規模感も、大胆な投資をすべきところ、それができなかった、これは大いに反省をすべき点だと思います。結局、設備投資不足によって、スピード感もなく、シェアを失っていったということでありますので、これはもう大変残念であります。

 ここから先、更に、新たな太陽光の技術として、ペロブスカイトという、非常に、シリコンを使わない、ポリシリコンを使わない、そして柔軟なものが開発が、これは日本発の技術であります。こうしたものも含めて、もう一段、次世代のそうした再生可能エネルギーの技術支援を行ってきておりますし、更にこれにも力を入れていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 どうしてその設備投資が十分できなかった、それは民間だけの問題なんですかね。そこをどう考えていらっしゃるんですか。

 私は、経産省からいろいろ説明を聞いて、研究開発への支援とか、あるいは実装段階での支援とか、あるいは工場で量産を行うステージでの支援とか、いろいろ説明は聞きましたよ。

 しかし、今おっしゃったような、なぜ負けたか、そこの説明は正しいと思いますが、なぜそれに対してアクションが打てなかったのかというところ、それは民間が一〇〇%悪いだけの話で、日本に力がないから、日本の民間は負けちゃったけれども仕方がないねということなのか。それとも、産業政策として、日本の政府はそれを止めることができたのかどうかについての西村大臣のお考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 官民双方にそれぞれ反省すべき点はあるんだろうと、あるいは改善すべき点と言ってもいいかもしれません、あると思います。

 民間が、世界で圧倒的にシェアを一時期は持っていたわけですから、そしてそこから更に市場が世界で拡大していく、それについていけなかったのは、私は、民間の判断、もっと投資をして、もっと更なる新しい技術にも投資をして、シェアを維持していく、設備投資をやる、この判断があってもよかったのかなというのは一つ思います。

 もう一つは、産業政策というものを、私が経産省にいた頃でありますけれども、アメリカから強く否定をされ、一時期、いろいろ迷っていた時期もあるんだろうと思います、経産省も。

 今回の太陽光のこうしたことの経緯も見て、あるいは半導体の凋落、いろいろ見て、今回は、蓄電池とかEVの開発に当たっても、開発から、そして実装、そして最後、本当に社会に取り入れていくところまでの受入れのところまで、先ほどの水素、アンモニアもそうですし、様々なものについて、世界がまた新たにそうした産業政策を進めていく中で、日本ももう一段の、開発から実装までの一気通貫の支援を行っていこう。その一つがペロブスカイトの今の支援であり、水素、アンモニアの支援であったり、蓄電池からEVの支援ということで、産業政策が新たな局面を迎えているということだと思います。

田嶋委員 経産省の資料にも反省点という言葉が出るようになったのは、私は一歩前進だとは思います。

 しかし、西村さん、半導体、太陽光、風力、これは私はもう終わってしまったことだと思いますよ。熊本に大変なお金を投じて、一つ局面が変わってきた。私が今一番気になるのは、大臣おっしゃったですね、最初の頃はいつも元気なんですよ。太陽光もそうでしたよね。世界一位でした、太陽光も。半導体もそうでした。今、その最初の頃に当たっているほかの産業がどうも私は気になってならないんですね。

 西村さん、今ここで、ペロブスカイト、国産ですよ、日本発、おっしゃいましたですね。横浜の方の大学の先生が発明というか、なさったというふうにお伺いしております、ペロブスカイト。それから、電池の世界も、液体、半固体から全固体へ移ろうと今している。

 私はそういう記事を見ると、本当にわくわくして、日本に明るいものを感じるわけですが、最近、それも、まさにこの資料1のようなものが日経新聞に躍り始めた頃から、それらに関して、そして、もう一つはEVですね、EV、このEVも与党の方からも今日御質問があったと思いますが、これは半導体と同じ道を歩み始めているのではないか。

 杞憂であれば結構ですが、私は、経産省のアプローチ、そんなに変わっている感じがしない。むしろ経産省のDNAとして、これまでと同じことを延々と続けているだけにすぎないんじゃないか。そして、西村さん御自身も、経産省出身として、その殻を破った、本当にほかの国々がどうやって民間を政府が支えてきているか、徹底分析をして。

 韓国の方が、勢いがある企業がたくさんありますよね、今。非常に強い危機感を持ってやらないと、私は、ペロブスカイトと全固体電池とEV、この三つの戦略的産業も負けてしまうのではないかと。

 起きなきゃ結構ですよ。だけれども、私は特に、非常に今、トヨタの名前も出されました。力のある日本の屋台骨の産業でありますから、いろいろなことを素人が口を挟むのははばかられる部分がありますよ。しかし、この一年間を見ていると、この一年だけでも、一年前と今とで、専門家の言うことが随分変わってきているんですよね。私のような素人が不安を感じた、その状況が今どんどん広がっている感じがする。

 電池の規格も、全然低いキャパシティーのものしか日本は広がらないとか。新車の台数、先ほども一%強だという話がありました。全く遅れてしまって、蚊帳の外になってきているのではないか。インドネシアのような、日本が強かったマーケットも、今活躍しているのは中国と韓国だという話もある。もはや、元々の自動車産業にいた企業ではない企業が今、非常に存在感を強めているような感じがいたします。

 これは未来、これからの話でありますが、西村さん、これ、お願いしますよ。自動車産業を落としたら、もう後、何にもないじゃないですか、今、日本の状況。さっきの量子のような、これから期待。だけれども、先ほど言ったとおり、最初はいつもいいんですよ、日本は。量子だって、今はいいでしょう、最初はいい。

 これは面白い記事がありましたので、資料の二も御覧ください。日経新聞もこういう記事を載せてくれるようになっただけでも、一生懸命、政府に警鐘を鳴らしてくれているのかもしれませんね。もう日本のEVも受託生産を活路にしたらどうだと。私は、かなり的を射ているんじゃないかなというふうに思います。

 半導体もそういう、産業の生産体制の転換に、流れに乗れなかったということだったというふうに思います。

 ここは是非、大臣、お約束していただきたい。失敗を繰り返してきているんです。もう後がないんです、後はないんです。電池を落として、ペロブスカイトを落として、EVで負けたらもう終わりですよ。西村大臣、そこは是非、不退転の決意で、失敗を繰り返さないと答弁をいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 日本は、御指摘のように、技術開発なり着眼点がよかったり、取組が、いろいろな種を、あちこちの大学や企業で研究開発が進んでいます。ある意味、職人的な部分があって、これはよく言われますけれども、しかし、それを商売にしていくのが下手だというところがあります。

 商売がうまい国もあると思いますけれども、そこを、これは官民の思い切った投資、そして、世界を、マーケットを見た、そうした官民での協力での投資をしていくことが必要だと。

 その中で、確かに受託生産をやるというのは一つの、ワクチンなんかもそうなんです、国内で生産するという、デュアルユースで、我々は補助も出してやっていますけれども。しかし、技術がないとですね。TSMCも、やはり最先端、微細なやつを作れるわけですね。そうした技術を持った上で、受託生産で大量にできる。

 こうした技術を持ちながら、様々な成長の道を歩んでいければと思いますが、自動車産業、おっしゃるように、日本の基幹産業でありますし、中核であります。世界をリードしてきた。これを是非、これからもそうなるように我々は支援をしていきたいと思いますし、御指摘のように、トヨタも頑張っています。ソニーとホンダが新しい車を造ろう、電気自動車を造ろうということで、新たな取組もあります。出光も、スタートアップ、ベンチャーと組んで、今、電気自動車を展開しています。

 様々な分野から参入もありますので、いろいろな形で競争、切磋琢磨しながら、我々として、全体として産業政策、しっかりと支援をして、これは取り組んでいきたいというふうに考えております。

田嶋委員 西村大臣、激務になりますので、お体も是非気をつけてくださいね。よろしくお願いします。

 御著書の十三ページにこう書いています。「あの進化論のダーウィンの言葉に「強い者が生き残るわけではない。変化する者が生き残る」」、そのとおりですね。私は、一番変化が得意でないのが日本ではないかという気がします。

 トヨタ自動車の名前を挙げられました。立派な会社です、本当に。だけれども、余りにも屋台骨であるから、経産省にも遠慮があるんじゃないですか。あるいは、なれ合いがあるかもしれない。これまでのやり方では本当に負けるのではないか。

 ホンダのソニーの話、ソフトに比重が移っているからソニーと組んだといって、高揚感のある発言が社長からありましたけれども、私はこの一年間ずっと見ているけれども、もうかなり半導体の負けの入口と似ているような印象があるんです。怖いですよ、はっきり言って。後ろはないから、自動車産業を逃したら。

 是非、大臣、そこは覚悟して、健康に留意されながら頑張っていただきたいというふうに改めてお願いを申し上げます。

 資料の十四、一番最後のページを御覧ください。これは、どこかの新聞に書いてあったので、本当かなと思って計算してみたんですけれども。

 人口五百八十万人のデンマークにたった一社あるエネルギーの会社、オーステッド、御存じですよね、オーステッド。日本の十電力の全ての時価総額よりも、たった一社のオーステッドの時価総額の方が今高いんですよ。もう本当に愕然とします。これだけ日本は安くなったということですよ。東京電力が株価が低いのは、まあ、あれですけれども、今一番高いのは関西電力ですよ。全部足してもオーステッド一社に及ばない。これが何を意味しているかですよ。私は、日本の国の変わっていく力で産業を強くしていかなければ、本当にこの国の未来はない。

 西村さん、オーステッドの前の会社の名前、御存じですか。

西村(康)国務大臣 済みません、承知をしておりません。

田嶋委員 これはもう有名な会社ですから、ドン・エナジーというんですよ。ドン・エナジーのDはデンマークのDです。ONGはオイル・アンド・ガスなんです。デンマーク石油ガス会社という名前を捨てて、風力発電一本でやっているのがこの会社なんですよ。そのぐらい転換を思い切って決断できないと企業も国も沈んでいく一方だということを、まさにこの電力業界の時価総額が指し示しているということを、是非、西村大臣、肝に銘じていただきたいというふうに思います。

 そして、次の、ペロブスカイト、EV、よろしくお願いしたいと思うんですが、現下の日本のエネルギー高騰の部分に関して、ちょっと入りたいと思います。

 ドル建ての油の値段は大体ウクライナ前に戻ってきたという話がありますので、要は、今の日本の、期ずれはあったとしても、日本におけるそうしたエネルギー価格の高騰は、ひとえに円安が最大の原因だということでいいですね。

西村(康)国務大臣 一点だけ。日本が全く変われないわけではなくて、日本も、例えば富士フイルムという会社は、フィルムの会社から、今や医療品や化粧品や新たなバイオの分野が出て、変わってきています。そういう形で成長している企業もたくさんありますし、日本全体ももちろん時代に応じて変わっていかなきゃいけないという、御指摘のとおりだと思いますので、新たな時代を切り開いていく、そうした取組を進めたいと思います。

 その上で、御指摘の燃料油価格、燃料代のことですけれども、御指摘のように、ウクライナ侵略以降、燃料価格は高い水準で推移をしてきております。家庭向けの様々な電気料金二割、産業向けも三割、平均で上がってきているわけでありますが、この要因は様々な要因によりますので、もちろん御指摘のような為替の要因もありますし、根っこでロシアのウクライナ侵略というものもあります。

 その上で、今後の燃料価格については、燃料のドルベースでの動向、為替、様々要因があるのでなかなか見通しませんけれども、よく分析をしながら、いずれにしても、結果として上がる見通しが、春以降は上がるという想定をしておりますので、一定の支援策を考えているところであります。

田嶋委員 ちょっと時間が迫ってきましたので。

 場当たり的な、値上がりに対して金を配るみたいな話は切りがないんですよ、これ。やってもやっても、毎回やらなきゃいけない。先ほど公明党の先生も御指摘ありましたけれども、本質的にはエネルギーの構造を変えるしかないというのは、大臣も御同意いただけると思います。再エネ、省エネを十分に力を入れてこなかったのが私はこの十年だと思います。この十年の延長線上では、まだまだ国民は苦しむ。もっとやはり力を入れていかなければならない。

 今日、資料の九に、せんだって私たちが発表させていただいた経済政策の御提案をつけさせていただきました。

 これから月末に向かって発表なさると聞いておりますけれども、金額を膨らませるばかりが能じゃないんですよ。大事なことは、ドイツ始め先進国は、例えば先ほども御指摘があった断熱も、毎年毎年、目標数値を決めて、こつこつ住宅断熱を強化してきたんです。それが根本的なエネルギー浪費を解決していく。

 あるいはまた、ちまたにあふれている様々な家電は、十年選手、二十年選手、冷蔵庫やエアコンや、電気の浪費が甚だしいものはたくさんある。この間の省エネの革新を見れば、例えば無料で冷蔵庫を交換してあげるようなことだって、低所得者層を対象に考えるべきだ。福祉政策にもなるし、そして即効性のあるエネルギー、省エネ政策でもあるんです。

 そうしたエネルギーの社会インフラをもっと力を入れて、西村経産大臣のときにスピード感を持ってこの省エネをやっていただきたい。先ほど、三年間の集中とおっしゃったけれども、一体どれだけの数字を目標とされているのか。今までの十年を見れば、遅々として進まないことの繰り返しになることを、これも心配している。川上の研究開発にお金を出すのは華やかで華々しいけれども、西村さん、大事なことは、今目の前でできることを着実に進めることですよ。

 是非、西村さん、この一点、私たちの提案を具体的に聞いていただいて、そして実装していく、消費者、生活者のそうした省エネルギー、徹底的にスピードを上げていくということを御答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、省エネ、最も重要に私自身思っております。大臣に就任してすぐに、省エネを強化すべきだということを事務方に指示をしました。今回の経済対策の中でも、先ほどお話しした、三年間、集中期間として省エネに取り組むという対策を盛り込もうとしているところであります。

 御指摘のように、それぞれの家庭向けで、リフォームしたり、断熱を強化をしたり、あるいは高効率な給湯器に換えたり、こんな支援策を盛り込む予定にしておりますので、是非、省エネ効果の高いそうした住宅に、生活に変えていくということ。同時に、中小企業も、やはりコストがかかっていますので、エネルギー代がかかっていますので、省エネ型の機器に換えようという意欲もあります。省エネ補助金も大幅に拡充をするということを考えております。

 是非、野党の皆さんの様々な御意見も受け止めながら、省エネ、全力を挙げてやっていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 一番重視しているとおっしゃっていただきましたけれども、原発政策に比べると、力の入れ方が全然違うと思いますよ。再エネ、省エネを本気で行えば、私が心配しているのは、電気自動車の話を先ほどしましたけれども、また原発回帰も、これから十年、二十年、日本が道を間違える入口にいるということを懸念しているんです。

 西村さん、よくよく考えてください。西村さんのDNAには原発がこびりついているのは分かりますよ、経産省ですから。だから、私は、経産省じゃなくて、これはほかの同僚議員からもありますけれども、農水省のようなところに自然エネルギー、分散型は任せた方が早いのではないかという感じもします。農地、広大な土地を使ったソーラーなどもこれから頑張っていただきたい。

竹内委員長 田嶋君、時間が来ておりますので、そろそろまとめてください。

田嶋委員 はい。ありがとうございます。

 大臣、私は心配をしていることがたくさんございますので、是非、原発に力を入れるようなことよりも大事なことが今目の前にたくさんあるんだということを肝に銘じて、取り組んでいただきたいというふうに思います。

 これで終わります。ありがとうございました。(発言する者あり)

竹内委員長 不規則発言はおやめください。

 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということで、よろしくお願いいたします。

 急速な円安が進んでいます。私も、円安の利点というのが確かにあることも否定はしません。しかし、急な円安、これは副作用が多いですし、そもそも、かつてよりも円安がプラスであるという効果は薄れてきているなというふうに思います。

 日銀も先日、書面にこういうことを書いていました。我が国の企業が海外での地産地消を進めてきた結果、円安が企業業績や株価にもたらすプラスの効果はかつてより小さくなってきている、これは日銀が表に出している文書にもしっかり書いていることです。

 実際に、海外生産比率というのを調べてみますと、一九九〇年は四・六%しかありませんでした。今、最新の調べられたものでは、二〇二〇年度、これは二二・四%。五倍に、三十年で海外生産比率が上がっているわけでございます。

 ある大手証券のチーフエコノミストが書いています。一〇%の円安が企業部門の輸出に与えるプラスの影響は四・三兆円、輸入に対するマイナスの影響は四兆円。つまり、企業部門も〇・三兆円ぐらいしかプラスではないという試算を出しています。一方、家計は、輸入品を買うことが多いですので、二・六兆円マイナス。要は、GDP全体で考えると円安は今はマイナスになるんだというのを、大手の証券会社のチーフエコノミストも書いています。

 エンゲル指数を見てみましても、四十年前ぐらいの水準に戻っている。これは低所得者にはきつい問題になっていると思います。

 原油高の問題もありますが、年明けぐらいの段階では国際価格が上がっていることが問題となっておりました。今はだんだん落ち着いてきているけれども、円安が進んでいることで、国際価格が下がっているのに買う価格がそんなに下がらないということで、これもいろいろなエコノミストとかの分析を見てみますと、原油の輸入価格の上昇要因の四割以上が今は円安を起因としているというようなことでございます。

 円安がどんどん進行することで、今も貿易赤字がかなり膨らんでしまっていますが、これは続いてしまうのではないかというふうな心配をされているわけでございます。

 改めて、ここまで急な円安が進んでしまっている要因というのは何なのかというふうに、これは、産業政策、経済政策を打つ上で、原因をしっかり考えるということは重要ですので、今大臣は、これだけ急に進んでしまっているのは何が原因だと考えていらっしゃいますでしょうか。

西村(康)国務大臣 為替相場については、政府の一員でありますので、そのレベル感についてコメントすることは控えたいと思いますが、様々な要因で市場において決まってくる。その様々な要因の中には、一般論として言えば、金利差があると思いますし、また、御指摘の貿易収支、経常収支があると思います。さらには、投機がそれに絡んで一定程度あるんだろうというふうに思います。

 そうした中で、御指摘のように、あるいは、今、日銀の御紹介がありましたけれども、最近のような急速に一方的な円安の進行というのは望ましくないというふうに考えております。できれば安定してもらった方がいいということだと思います。

 そして、マイナス面としては、今お話ありましたように、家庭や企業の負担増にもつながっておりますし、その点については、電気料金など負担軽減策、今回対応していきたいというふうに考えております。

 一方で、プラス面もあって、中小企業の人にとっても、これまで輸出はしていなかったけれども、輸出をするチャンスでもあります。安く輸出ができます。輸出産業にとってはもう当然プラスなんですが、新たに、中小企業でこの機会に取り組んでみようというところの支援も行いたいと思いますし、円安でありますので海外から国内への投資も安くできますから、国内投資、海外からの投資も増やしていく。そうした取組、是非、大胆な設備投資支援も行っていきたいというふうに考えております。

 そうしたことを、輸出をし、また国内へ投資を呼び込むことで、結果としてそれは円安を和らげる効果にもつながっていくというふうに思いますので、いずれにしても、こうした状況の中で、中小企業を中心に、企業が継続してやっていけるようにしっかりと支援策を取っていきたいというふうに考えております。

落合委員 短期的には、金利差の問題というのはそれなりにあると思います。だからこそ投機を呼んでしまう。大臣は、それにプラスして貿易収支ということもおっしゃいました。後半の政策を考えると、やはり日本の競争力が中長期的に見ても下がってきてしまっているということも、投資先の魅力としても、経済の力としてもあるんだというふうに思います。

 これは、ほかの通貨もドルに対して下がっているんだというような意見もあるわけですけれども、見てみると、例えば、ポンドも下がっていることは下がっています。ただ、円とポンドで見ると、昨年の終わりあたりは百五十円ぐらいです、一ポンド。今は百七十円ぐらい。ユーロは、昨年の終わりぐらいが百三十円いかないぐらいです。今は百四十円台後半、四十七円とかですね。ドルは、年明けに百十円台ぐらいだったのが、百五十円まで円安。主要通貨に対しては、全部円は安くなってしまっているわけです。

 これは、短期的には金利差、中央銀行が欧米は金利を上げ、インフレを退治するために上げていますので、金利差がどんどん広がっているということが問題だと思いますが、じゃ、日銀が同じ速度で金利を上げればいいのかといったら、そうしたら経済が死んでしまうわけです。欧米は金利を上げる体力が経済にあるのに、日本経済には金利を上げる体力がない。やはり私は、これは経済政策、今までの好循環をつくれなかったという問題があると思います。

 実際、数値を見てみますと、私の配った資料の三枚目を例えば見ていただきますと、GDPの六割近くは個人消費なわけですけれども、自民党の方々が悪夢の何とか政権と呼んでいた二〇一二年までと比べても、世帯消費はかなりがくんと、残念ながら、まあコロナという要因もありますが、その前と比べても、二〇一九年と比べても、がつんと下がってしまっています。その原因は、実質的な賃金も下がってしまっていると。

 やはり、経済が悪いと思われていた二〇一二年よりか前と比べても、実質的な賃金が下がったら世帯消費は下がってしまう。これはやはり、経済政策は必ずしも成功はしていない。成功している部分もあることはありますが、一番肝腎なGDPのエンジンである世帯消費が上がっていないということは一番問題であると思います。

 この十年、金融緩和などはしっかりやってきたわけですけれども、世帯消費が下がっている部分は消費税を増税したときです。物価が上がっているときは増税分が、消費税の増税は価格にプラスされますので物価が上がっています。ということで、これは、増税のタイミングも間違えていましたし、先ほど田嶋委員が指摘したように、やはり成長戦略も、中長期的な観点から見てみても競争力が落ちてしまっているというようなことです。

 残念ながら、潜在成長率を見ても、内閣府と日銀で出している数字がちょっと違って、内閣府は、なぜか潜在成長率が日銀よりか高く数値を出しています。日銀のを見ると、ほぼゼロです。潜在成長率がゼロであれば、やはり金利もゼロ近辺にせざるを得ない、そういう今経済の状況になっているわけでございます。

 私も、間違えている今までの政策の部分は、これは、アフターコロナも見え始めていますので、しっかりと経済政策は転換を、前向きなものにしていかなければならない、そして好循環をつくっていかなければならないというふうに考えております。

 それでは、先ほど、我が党の、補正予算に対する緊急経済対策三本柱を田嶋委員が説明しましたけれども、その二番目の中小企業政策について一つ取り上げたいというふうに思います。

 今、消費者物価指数は、九月の時点で三%ぐらいになりました。これは三十年ぶりの水準だそうです。三十年ぶりというと、バブルがはじけた直後ぐらいなので、まだそれなりに経済活動が盛んなときでございました。一方で、企業物価指数はもう一〇%ぐらいまで上がっているわけです。企業物価指数が一〇%ずつ上がっていっているのに、消費者物価指数は三%しか上がっていない。

 じゃ、その差はどうなっているんですかというと、これは企業が自分の利益の中から吸収をしている。いずれ、好調だった企業業績は悪い数字がどんどん出始めてしまうことは、マクロで考えたら確実でございます。価格転嫁はしていかなきゃいけない。

 一方で、価格転嫁できていますかということを調べますと、大きく見ると、大きい規模の企業は価格転嫁を割とやっています。小さくなればなるほど価格転嫁ができていないというような傾向があるわけでございます。これは、今の物価高の状況、そして、価格転嫁がやりづらい状況の中では、事業規模が小さければ小さいほどその影響を受けているということでございます。

 したがって、私は、先月末に閉会中審査でインボイスの問題を取り上げました。小規模事業者ほど今の物価高等で苦労しているにもかかわらず、そこに対して実質的な増税であるインボイスを導入する、これは、それ自体も私はどうかと思いますが、タイミングが完全に間違っていますよということを申し上げました。

 もう一つあるんです。

 中小企業向けにゼロゼロ融資というのをコロナのときに行いました。これはかなり喜ばれたと思います。ゼロゼロ融資とは、無利子無担保で貸しますよと。しかも、今回、特別に、返済を二年ぐらい猶予してあげますよというふうにやったわけです。これは二〇二〇年の三月から始まったので、そこから返済猶予二年というと、そろそろ返済が始まっているわけです。だんだんと倒産件数等も増えてくるというふうに思うんですが、大臣、それに対してはどのようにお考えですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、中小企業の皆さんにとって、ようやくコロナから回復する、そういうチャンスだということで期待をしているところにロシアのウクライナ侵略があって、様々な原材料費が上がる。御指摘のように、転嫁が全てできているわけじゃない、むしろ小さい企業は厳しいという中にあって、非常に厳しい状況が続いているというふうに認識をしております。

 そうした中で、倒産件数でありますが、コロナ前と比較をしますと、依然低い水準ではありますけれども、直近、六か月連続で前年同月を上回ってきております。今後の倒産、廃業の動向をしっかりと見ていかなきゃいけないというふうに思っております。

 そうした中で、ゼロゼロ融資のお話もございました。これまでのそういう債務に対して事業者から条件変更の申出があった場合には、実情に応じて迅速にかつ柔軟に対応するよう、繰り返し要請をしてきております。

 その結果、相談した方の条件変更の応諾率は約九九%ということで、多くの事業者の申出が応じられておりますし、また、コロナ融資の返済負担を軽減するために、例えば、一〇〇%保証のコロナ融資は一〇〇%保証で借り換えられる保証制度を創設をする、また、金融機関に対して、本制度の趣旨あるいは事業者の実態を踏まえて債務者の区分とか与信判断を促していくというような取組を進めてきているところであります。

 それでもなお苦しむ事業者に対しては、各地の中小企業活性化協議会に相談をするということもございます。

 いずれにしても、様々な取組を通じて、中小企業の事業継続をきめ細かく支援をしていければというふうに考えております。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

落合委員 私、昔は銀行員をやっていたんですが、条件変更も、応諾率は高いですけれども、やはり、ゼロゼロ融資を借りている件数に対してはそんなに多いわけではないというのと、今の仕組みで条件変更したら、前向きな資金を借りるのはかなり難しいと思います。

 なので、借換えができますということもこれから打ち出すようですけれども、その借換えも、借換え自体で債務の額が減るわけではないので、やはり、小さい企業がこれだけ借りていれば、なかなかその額が減っていないと新たな前向きな融資をするということも難しい。これから、中小企業の設備投資や事業の拡大というのはなかなか難しい状況がコロナの債務によって起こってしまうということが考えられると思います。

 そもそも、このコロナの債務というのは、西村大臣のときでしたか、緊急事態宣言を出して、今までにはなかった、政府が、感染拡大をさせないために経済活動を止めてください、エッセンシャルワーカー以外は基本的には止めてくださいというお願いをしたわけです。だからこそ、いろいろなメニューを出しますよということで、経産省も、給付金を出すのは時間がかかるので、取りあえず借りてくださいと、あのときは梶山大臣だったと思いますが、とにかく借りてくださいと緊急的に呼びかけたわけでございます。

 そのときに、三月末の倒産も逃れることができました。これは一つの政府の成果であると思います。しかし、政府が、経済活動を止めて、借りてくださいと言って債務が増えた。これは、今までの融資と違って、経営判断ではなくて政府の政策なんです、その中小企業たちに債務が増えたのが。だからこそ、これは政府の政策で借金が増えちゃったんだから、その分は、全部チャラというよりも、一部合理的なものは認めようということもあっていいんじゃないかなというふうに思うんです。

 我々は、数か月前に、コロナ債務減免法案というものを提出をいたしました。それが、私が配った一枚目の資料でございます。これは裏表あります。

 ゼロゼロ融資というのは三十兆円もコロナ禍で増えています。それ以外の融資も入れると、コロナの下では五十五兆円、中小企業向け融資は増えています。倒産が増えることも、先ほど申し上げたように考えられる。日本の雇用の七割を中小企業が支えているということを考えると、この事業体がみんな前向きな投資ができる環境をつくっていくには、債務を圧縮してあげることがマクロ政策としても有効なのではないかというふうに思います。モラルハザードの仕組みもここの法案には入れています。これは、全部借金をチャラにしていいよという話ではありません。

 こういった法案に書いてあるようなこういう政策、大臣がおっしゃった借換えや条件変更だけではなくて、借金を少なくしてあげる、政府の責任で増やしてしまったものは少なくしてあげる、これは政策としてあり得るんじゃないでしょうか。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

西村(康)国務大臣 中小企業の皆さんが事業を継続していくために様々な取組をし、またそれを支援をしていく、これは非常に重要な視点だというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたけれども、債務の条件変更の応諾率が非常に高い、多くの事業者の相談に乗って、またそれに応じてきているという状況がありますし、また、一般的に、貸付金は返済していただくというのが前提のものでありますので、一律減免ということについては、まず一つには、債務の弁済に向けて事業改善を行う動機の低減という典型的なモラルハザードが発生するおそれがあること、それから二つ目には、借金をせずにしのいでいる方との比較、あるいは経営改善に取り組んで既に返済を開始した、そうした者との間の公平性、こういった観点からも慎重に判断する必要があると認識をしております。

 政府として、増大する債務に苦しむ事業者に対しては、先ほど申し上げた、今は中小企業活性化協議会でありますけれども、そこによる個別相談、あるいは業種別の再生支援事例集も作成をし、皆様方に共有をしていくようなことも進めておりますが、いずれにしても、御党からこうした提案がなされていることは承知をしております。議員立法でありますので、どういう扱いになるかは国会で御判断いただくということになると思います。

落合委員 その答弁書は応諾率が高いと書いてありますが、やはり率の問題ではなくて、数は少ないんです。我々の法案のようなものを導入すれば、今まで、例えば、服に例えれば、オーダーメイドで服を作っていたのをつるしの服を売れるようになるのと同じように、ばんばんばんばん条件変更を行うことができるようになるわけです。

 それから、モラルハザードも言われていますけれども、これは、いろいろな工夫の仕方はあります。基本的には借金というのは返してもらうわけなんですが、先ほど申し上げたように、自分の経営判断で借りたというよりも、政府が、借りてくれ、そして経済活動を止めてくれとお願いをしたわけです。

 例えばアメリカとかでも、一回貸して、返済免除を行っているという政策をやっていることは、大臣、御存じですよね。

西村(康)国務大臣 私、コロナ担当大臣のときにも、その制度も参考にさせていただきました。野党の皆さんからも御提案をいただき、議論させていただきました。

落合委員 私がこのコロナ債務減免法案の筆頭提出者なんですが、最初にこれをやろうと思ったのが、今年の予算委員会、二月二日、西村大臣が委員として質問して、これを紹介しているんです。アメリカでは、緊急的に貸したものを、公益性とか合理的なものについては債務返済免除をして、給付のような形に転換しているんですよと。

 我々は、それを法案にしたんです。大臣、是非前向きに検討するべきです。先ほど、慎重に検討しますと言っていましたけれども、前向きにやるべきじゃないですか。我々だって賛成しているんですから。

西村(康)国務大臣 コロナ担当大臣の折にその施策を見て、給付を出すのは少し時間がかかるものですから、まずは借りてもらって、その上で一定金額を補助金のような形で減免するというようなことはあり得ると思っていました。

 ただ、当時は日本公庫だけが対応していたものですから、とてもそんなやり方をすると間に合わないということもあったり、様々な議論、アメリカでも、実は詐欺まがいのもので不正受給が数千億円かな、ちょっと今正確な数字は覚えていませんが、あったということもあって当時は取らなかったんですが、その代わりに、我々、持続化給付金という形で最大二百万円、これを五兆円以上配ったと思います、給付させていただいたと思いますし、様々な別の形で、あるいは飲食店への協力金のような形で、別の形で給付はもう既に行ってきておりますので。

 そういう意味で、今後、何か緊急のときがあるときは、アメリカのような仕組みも、今回、ゼロゼロ融資も民間にもやってもらいましたので、そういう意味で、民間の金融機関も活用しながらやるということは私は検討に値するというふうには思っておりますが、今の時点では慎重に考えるべきだというふうに思います。

落合委員 時間なので終わりますが、大臣が答弁されたのは二年前にやった給付で、大臣も今年の二月にこういったものを提案しているわけですから、経済を前向きに回すためにはかなり大きな手段であると我々も提案させていただきましたし、前に進めていくべきだと思いますので。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 大島です。何点か質問をさせていただきます。

 まずは、塗料について問いを起こしました。

 去年ですか、私の知り合いが私の元に来て、遮熱塗料についての有効性について教えていただきました。沖縄ですと、冬も含めて結構温度が高いですから、倉庫等の屋根に遮熱塗料を塗ると断熱効果が出てくる。あるいは、化学プラントですと、熱を帯びますから、そこの熱に対してそれを防御するために遮熱塗料が有効であるというお話を伺いまして、これは非常にいい取組だなと思いました。

 その点について、まず政府の方に伺いたいのは、塗料の遮熱効果についてどのように考えて把握していらっしゃるのか、その点についての答弁をお願いします。

恒藤政府参考人 お答え申し上げます。

 市販されます塗料の中には、太陽光に含まれます紫外線、可視光線、赤外線のうち、目には見えませんがエネルギーの約半分程度を占めております赤外線を反射するという性質を強化するなどによりまして、温度の上昇を抑制する効果を持たせたものがございます。こういった塗料が一般的に遮熱塗料と呼ばれていると承知をしてございます。

 こうした遮熱塗料は、それを屋根などに塗装することによりまして、太陽光が当たった際の熱の吸収などを抑えまして、温度の上昇を小さくするという効果があるというふうに承知をしてございます。

大島委員 参考人に、知っていたら教えてください。

 この遮熱塗料について、国の工業規格等の遮熱性に対する規格というのはあるものなんですか。これは質問通告していないので、もしも知っていたら教えてください。

恒藤政府参考人 済みません、ちょっと正確に私自身、今承知をしてございませんが、私の知る限りでは恐らくないのではないかというふうに思います。済みません。

大島委員 まず、大臣、遮熱塗料を普及するためにも、恐らく民間では遮熱性についての規格はあるかと思うんです。今後、こういう塗料の普及を図るとすれば、遮熱性についての一定の基準あるいは規格が必要だと思うので、その点についても今後検討していただければと思います。

 国交省に伺いたいと思います。

 住宅・建築物分野における遮熱塗料の普及促進に向けて取り組むべきと考えますが、国交省としてのお考えをお聞かせください。

石坂政府参考人 お答え申し上げます。

 遮熱塗料などにより日射熱の侵入を低減することは、特に冷房時のエネルギー消費の抑制に効果があると承知しております。冷房を主に使用する、先生お話のありました沖縄等の地域においては効果が期待できるものと考えております。

 省エネ基準、これは評価する手法がございますけれども、このような日射熱を遮蔽する方法について、現在の省エネの評価方法においてはまだ未整備でございます。このため、国交省といたしましては、遮熱塗料などの取扱いについて、有識者等の知見等を得ながら、適切に評価方法をどう整備していくかについて、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

大島委員 御答弁ありがとうございました。

 経産委員会でも標準あるいは規格についてこれまで質問をさせていただいて、標準、規格が私は大切だと思う立場なので、様々な施策の中で標準化、規格化して、そして普及させるということが必要であると思いますので、国交省の取組も引き続きお願いします。

 西村大臣に伺いたいと思います。

 住宅・建築分野における遮熱塗料の普及促進に向けて、私としては取り組むべきだと思いますので、大臣の御所見をお聞かせください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 遮熱塗料は、委員御指摘のとおり、赤外線を反射することで屋内に侵入する熱を低減するということでございまして、住宅、建築物の省エネ性能が向上するものもしっかり存在すると認識しております。こうした性能は特に夏の室温上昇を抑え、冷房時のエネルギー消費の抑制に一定の効果があると承知しております。

 過去には、優れた省エネの取組を表彰する制度でございます省エネルギー大賞というところにおきまして、例えば一般建築資材にも適用できる遮熱塗料が表彰されているという経緯もございます。

 経済産業省といたしましては、遮熱塗料も含めた住宅、建築物の省エネ向上に関する技術動向にしっかり注視しながら、周知を含めた後押しなどを行っていくことにつきまして、関係省庁とも連携して、しっかり検討してまいりたいと考えてございます。

西村(康)国務大臣 今、詳細、答弁ありましたけれども、御指摘のように、省エネは非常に重要でありますし、遮熱塗料、非常に効果があるということでありますので、今答弁ありましたけれども、関係省庁とも連携して、後押しをどのようにしていくか考えていきたいというふうに思います。

大島委員 大臣、先ほど私の方から述べたとおり、住宅あるいは工場等もそうなんですけれども、プラントについても遮熱性は極めて重要だと認識しておりまして、エネルギーのことを考えると、プラント回りも含めての遮熱性の評価、そして遮熱塗料の普及をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、これから同僚議員も質問をさせていただくと思うんですけれども、水素還元製鉄について伺わせてください。

 私、鉄鋼業出身でして、本当に十四年間、日本鋼管、鉄鋼業にお世話になって、一番最初が京浜の製鉄所に三年ほどおりました。大臣はやはり製鉄所へ行かれたことがあると思うんですけれども、ほかの工場とは全く違っていて、構内バスが走っていて、一周回るのに一時間ぐらいかかったり、規模の大きな発電所も持っているのが製鉄所でして、ですから、一旦、原料ヤードで鉄鉱石と石炭、還元するための、そしてコークス炉があって、高炉があって、製鋼工程、そして圧延工程で、もう一方の岸壁から出荷して出していくというのが鉄鋼業です。

 今、世界の鉄鋼業、概略を述べると、粗鋼生産で、二〇一九年で十八・七億トンです。中国が十億トンですから、五三%。ですから、CO2の排出量は中国が一番多いと考えています。

 日本は、私が鉄鋼業にいたときから変わらず、大体一億トン。二〇一九年ですと九千九百万トンで、粗鋼量としては世界の五%ぐらいです。働いている従業員が二十二万人、総出荷額が十九兆円ですから、産業としては非常に重要な産業だと認識しておりまして、その中で、やはり素材が物づくりを決めていると思っております。鉄もそうですし、非鉄もそうですし、いい素材を持つことが産業全体の競争力を強くします。

 日本の自動車産業においても、超ハイテン鋼材だったり、あるいは電磁鋼板だったり、あるいは、私は、鋼管、パイプの出身ですから、製品としては、ですから、油井、油とかガスの井戸を掘る非常に劣悪な環境の中でも、鉄の中にクロム等を入れながら合金を作って、そして耐腐食性を上げてのパイプ、これも日本は強いです。

 やはり、日本の火力発電所、一番高効率なのは、これも恐らく旧住友金属さんが開発をした、熱にも圧力にも強い、パイプの性能いかんで火力発電所の性能が決まってくるので、鉄鋼業って結構大切な産業だと思っています。

 やはり、コークスを使うので、コークス還元ですから、CO2がどうしても出てしまいます。今、鉄鋼業としては、水素還元という非常に大きな取組をしておりまして、その水素還元について、まず政府参考人からの答弁をいただいてから大臣の答弁をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

恒藤政府参考人 今委員御指摘のように、現行の製鉄プロセスでは、高温の熱が必要となるとともに、鉄鉱石の還元に石炭を蒸し焼きにしたコークスを用いる必要がございまして、燃料のみならず、原料の消費によって大量のCO2が排出いたします。このため、カーボンニュートラルの実現に向けましては、これまでとは全く異なる製鉄プロセスを確立する必要がございます。

 このため、経済産業省といたしましては、二〇〇八年度から民間企業と連携いたしまして、水素を一部活用する新しい製鉄プロセスを開発するCOURSE50プロジェクトに取り組んできておりまして、既に、小型の試験炉におきまして、当初目標のCO2排出量一〇%を上回る一二%削減という成果を上げているところでございます。現在は、その実用化に向けました実証を、グリーンイノベーション基金を活用して進めてございます。

 また、さらに、将来に向けまして、CO2の排出量を更に減らす技術といたしまして、水素のみで鉄鉱石を還元する水素還元製鉄についても技術開発に着手をしたところでございます。これは有識者からも実用化の可能性は十分にあると評価をいただいておりまして、実現可能性はありますと考えておりますので、その実現に向けて進めているところでございます。

 できるだけ早く水素還元製鉄の社会実装を実現すべく、官民連携して着実に研究開発を進めてまいりたいと考えてございます。

西村(康)国務大臣 大島委員御指摘のように、鉄鋼業、約二十二万人の雇用を支える、まさに、自動車産業へも供給しておりますし、幅広い産業のサプライチェーンを支えている重要な産業だというふうに認識をしております。私の地元兵庫にも神戸製鋼がございますし、旧の新日鉄広畑も近くにございますので、工場も何度か見たことがございます。

 御指摘のように、脱炭素化の流れの中で世界に先駆けてこの技術革新に挑戦することで、カーボンニュートラル社会の実現とともに、グローバル市場での競争力の維持強化につなげていくことが必要だというふうに考えております。

 他方、製鉄プロセスの脱炭素化は、欧州、中国などが国を挙げて取組を進めており、国際的な競争が激化をしているところであります。

 こうした中で、御指摘のように、鉄鋼分野をリードしていくために、まずはグリーンイノベーション基金による水素還元製鉄などの革新的な技術開発、これに一層注力するということ。さらに、将来の脱炭素型生産プロセスへの転換に向けた様々な可能性の調査、そしてグリーンスチール市場の創出に向けたルール形成、こうしたことに官民が連携して取り組み、他国に先駆けて鉄鋼産業におけるグリーン成長の実現を目指していきたいというふうに考えております。

 国際的な状況、そしてGX実行会議における議論などを踏まえまして、我が国鉄鋼業の脱炭素化に向けた取組を全力で後押しをしていきたいというふうに考えております。

大島委員 先ほど、当委員会の議論の中で、半導体のお話がありました。

 半導体、私、一番付加価値があるのは露光機だと思っていて、キヤノン、ニコンが今、最先端のものが作れなくて、今、オランダのASML社、これが、超微細な紫外線による露光機の開発に成功して世界の市場を取っているわけです。ここが売るか売らないかというのが経済安全保障でも必要な分野だなと思っていて、日本も、産総研とNEDOは、過去においてこの露光機開発をしていました、キヤノンあるいはニコンも入って。だけれども、頓挫しちゃった。これは政治と政府のやはり後押しがなかったからだと思います。当時の様々な環境の中で、莫大な費用がかかるから研究をやめてしまったかもしれないけれども、やり抜く力が必要だと思う。

 やはり、水素還元は、やり抜く力を、官も、政府も政治も応援しながら、やり抜いたときに環境が変わるんですよ。そうすれば、世界の鉄鋼業に対しては様々な交渉ができるわけ。CO2の排出量をどれだけ減らした鉄であれば、その付加価値が高いから、それに対してどうやって、じゃ、関税をかけるとか貿易の様々な交渉をするとか、新しい余地が生まれると思うんです。

 中国は、五三%の十億トン、二〇〇〇年のときには一億トンぐらいでしたから、相当伸びてきている。ですから、我が国としては、こういう技術はやはりチャレンジして、最後までやり抜く努力が必要だと思うので、その点、大臣にもお願いをいたします。

 次に移りたいと思います。

 次は、航空機産業の取組について伺いたいと思います。

 二〇一三年だったかな、ジブリの映画で「風立ちぬ」という映画があって、この映画はゼロ戦を開発した堀越二郎氏がモデルの映画でして、この映画を見てすぐに、そうか、ゼロ戦といえば名古屋だな、名古屋だと三菱重工だということで、三菱重工の工場を見せていただきました。ボーイングの翼を造っている工場、もう一つはロケットを造っている工場、もう一つは自衛隊の戦闘機のメンテナンスをしている工場を見せていただいた。

 やはり、航空宇宙産業が、先ほど、自動車が電動化していけば、特に電気自動車になれば、部品の数は本当に少なくなります。本当に、自動車産業も、一番最初の自動車のパテントってメルセデスなんですよ。メルセデスが一番最初の自動車のパテントを取って自動車を造ったのがベンツなんです。ここももう電気自動車に、内燃機関による車をやめて、大きくかじを切っている。その中で、この航空宇宙産業の広がりを考えると、日本として、是非、ここのところは諦めないでやってほしいの。

 私も、当時、二〇一三年、映画を見てすぐに三菱重工さんを取材、工場見学したときも、当時、MRJについてはなかなかうまくいっていなくて、延期をずっとしていたんですけれども、私、初めてだからしようがないなと思っていたんです。YS11で一回造ってから相当期間を置いてのジェット機への参入なので、なかなかすぐにはできないから、それは頑張ってくれという気持ちは持ちながら過ごしていました。

 ただ、残念なのは、ここに来て、MRJについて、やめてしまったかなと思うものですから、まずは政府参考人から、今のMRJ、ジェット機、国産航空機開発、三菱スペースジェットについて、立ち止まっていると僕は聞いているんですけれども、どういう状況なのか、知っていたら教えてください。

恒藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の三菱スペースジェットにつきましては、民間による機体開発、それから政府による要素技術開発等の環境整備という役割分担の下、その実現に取り組んでまいりましたが、新型コロナの影響による航空需要の激減など、航空機産業を取り巻く厳しい環境の中で、三菱重工によります開発活動は、一旦立ち止まり、現在、再開に向けた事業環境の整備に取り組んでいるというふうに承知をしてございます。

大島委員 去年私どもも賛成しました、先般、大臣が見ていらっしゃった熊本の半導体工場なんですけれども、最大助成額は六千百五十四億と聞いています。三菱スペースジェットは五百億円の政府の支出だと聞いていて、五百億円ですよね、政府の支出は。三菱MRJの開発に対して政府が助成した金額って五百億円と聞いておりますので、当時としては、WTOとの関係があったり、様々な規制があって難しかったと思うんだけれども、やはり政治としての応援も足りなかったのかなという反省をしているの。

 やはり政府だけで、でも、多分、前の経産省だったら、役所の方が一生懸命政治を説得しながらどんどん進めていくような感じもしたんだけれども、省としても取組が若干、もうちょっと熱を入れてほしかったなと思うし、政治としてもやはりもっと熱意を持っていれば、もう少し早く国の金をしっかりと投入しながら、飛んだかもしれないし、これだけ円安になれば、航空宇宙産業としては日本が優位に立てるかなとも思うわけですよ。

 ですから、大臣に是非、このために、これまで質問したんですけれども、国交省だって多くの型式承認するための技術者を集め、そして準備をしているので、それが今どんどんそがれていって、もう一度やるというのが難しくなってしまう状況だと私は思うものですから、やはり最後までやり抜く力ですよ、日本にとって必要なのは。最後までやり抜く力。国内で飛ばせてもいいじゃないですか。最後までやり抜く力ということを、是非、大臣からも力をかしていただきたいなと思うものですから、御答弁をお願いします。

西村(康)国務大臣 私も、当時MRJと呼んでいましたけれども、三菱スペースジェット、外務政務官の折にも海外に売り込みに幾つかの国に行ったこともありますし、非常に期待をしておりました。

 恐らく行かれた工場、同じだと思いますが、私も工場を視察もさせていただき、当時非常に期待をしていたわけですけれども、今、状況については審議官から答弁ありましたが、御指摘のように、専門家を入れても、なかなかアメリカの承認が取れないとか、それから、これまで三菱重工、どちらかというと供給する側、サプライヤーでありましたので、いろいろな調達する交渉力、価格がなかなかうまく交渉できないとか、いろいろな要因があるようですので、その辺りも分析しながら、政府として五百億円ぐらいの開発支援をしてきたわけですが、それも十分であったのかどうかということも含めて、様々そうしたこれまでの分析、検証をしながら、やはり航空機産業、経済安全保障の観点からも非常に重要でありますので、また、グリーンイノベーション基金を活用していろいろな開発も支援しておりますし、また、デジタル技術を用いた航空機の設計、製造技術の開発も行ってきております。

 是非、事業者とも対話を重ねながら、御指摘のように、完成機事業、最後までやり遂げろという御指摘だと思いますけれども、今は一旦立ち止まっているということだと思いますが、今後も必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えます。

大島委員 国会閉会中に海外に、一人か、あるいは二人ぐらいで行っていまして、この間、ラオスに視察に伺いました。

 中国の一帯一路、二〇二〇年には、北京、武漢、香港、そして、武漢では武漢新港という、長江のところに新しい港があって、そこを一帯一路で、見に行ったりして、当時は、二〇二〇年一月は、日本から、特殊なコンテナ船を造って、神戸と大阪から、内陸部の、長江を上がってきて武漢までコンテナが運ばれて、将来的には貨車で積み替えて、中国の中、欧州の欧、中欧班列で物流をすると。

 今回は、ラオス―中国鉄道があって、中国の昆明から、ビエンチャンの首都は、メコン川ですから、メコン川を渡るとすぐタイなので、そこまで内陸部で四百二十キロの鉄道が敷かれています。

 ですから、中国の戦略としては、この内陸部、インドシナ半島においても物流の拠点を今つくっていまして、ただ、中国は広軌で、広いんですよ、レールの幅が。タイの方は、戦争中に日本が鉄道を敷設したものですから狭いので、一回乗換えが入るので、まだラオス政府の主導権が取れている環境にあります。

 こういうことも地元のジェトロの皆さんからいろいろと教えていただいたり、あるいは、必ず、海外に行くと海外での日本の物づくりの工場見学を入れているものですから、今回は、ラオスだと、日本の紳士服メーカーの縫製、作っている会社があって、そこを見させていただいたりしました。

 大臣に最後に質問は、非常にいい取組をしていて、こうやってラオスの百人のビジネスマンをしっかり取材をしてまとめていただいたりもして、やはり、ジェトロから質問しろと頼まれているわけじゃないんですけれども、ただ、ジェトロをしっかりと、非常にいい人材が多いものですから、大臣としても後押しをしてほしいなということの御答弁をお願いします。

西村(康)国務大臣 ラオス視察をされて、現地のジェトロの職員がしっかりと活躍しているということを御指摘いただきまして、ありがとうございます。御評価をいただいて、感謝したいと思います。

 御指摘のように、ジェトロは、日本企業の海外展開、あるいは対日直接投資、海外の人が日本に投資をする、こういったことの支援を行ってきております。まさに日本の貿易拡大、そして経済成長に貢献をしてきているものというふうに思います。

 コロナ禍そしてウクライナ危機でサプライチェーンの途絶というようなことが起こる中、ジェトロが求められる役割はますます重要になっているというふうに思います。オンラインの商談会もあるでしょう、また、電子商取引もあると思いますし、さらに、足下、中小企業にとっては海外に輸出をするチャンスでもありますし、あるいは海外企業が投資をするチャンスでもありますので、そうした取組を今後効果的に進めるためにも、御指摘のように、ジェトロの取組をしっかり応援をしていきたい。人材育成であったり、現地政府への働きかけなどを含めて、経産省として、必要な予算、人員を確保しながら、御指摘のように、ジェトロが、しっかりと職員が活躍できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

大島委員 ありがとうございました。終わります。

竹内委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸でございます。

 今回、所信に対する質疑の機会をいただきました。今回、所信に対する質疑に当たりましては、私たちの会派で、全ての委員会で確認させていただいている事項がございます。経済産業委員会では、私の方から冒頭そのことを質問させていただければと思います。

 昨年の衆議院選挙とそして本年の参議院選挙において、いわゆる旧統一教会の関係団体と事実上の政策協定となる推薦確認書を結んだ、そうした議員の方がいらっしゃるということも伝えられました。

 経済産業省の政務をつかさどる、政務の立場でおられる皆様において、その政治的な背景とか、あるいは政策に影響を及ぼすようなことがないかどうかという点において、今後の審議においても念頭に置かなければならないということで確認をさせていただきたいのですが、大臣におかれましては、先ほど田嶋議員の冒頭の質疑の中で、そうしたことはないというお話をいただきました。ですので、副大臣、政務官、今日いらっしゃれる方にこのことをまず伺いたいと思います。

 中谷副大臣にお伺いいたしますけれども、いわゆる旧統一教会の推薦確認書、旧統一教会又はその関係団体からのそうした確認書なるものに署名を求められて、あるいは実際に署名をした、そういう経過がありますでしょうか。伺います。

中谷副大臣 旧統一教会関連団体から、先生御指摘の推薦確認書なるものを提示されたことはございません。よって、サインもしたことはないというところでございます。

山岡委員 同様の質問を長峯政務官にもお伺いさせていただきます。

長峯大臣政務官 先生御指摘のものをいただいたこともございませんし、署名をしたこともございません。

山岡委員 同様に、里見政務官にもお願いいたします。

里見大臣政務官 旧統一教会関連団体から、御指摘の政策協定を提示されたことや署名したこと、知る限り、ないと認識しております。

山岡委員 はい。

 所信質疑ということで、改めてGXの質問をさせていただきたいと思います。

 政府は、大臣も所信表明の中で述べられましたけれども、新たにGXを推進していくという政策を大きく掲げられているわけであります。大臣におかれては、GXのいわゆる担当大臣といいますか、そうしたお立場でもあるわけでもあります。

 このGXという言葉が、グリーントランスフォーメーションということで、エネルギーの脱炭素化を進めるという中での産業構造とか社会システムの変革を図る取組であるということと、そしてまた、そのことを経済成長の機会としても捉えていくんだ、そして投資を大きく呼び込んでいくための政策を立案されていくんだ、そうした考えなんだろうということを理解させていただいているわけであります。

 このGXの政策について、今日も様々、委員会で御議論あるわけでありますけれども、各産業ごとの様々、課題とか取組のお話はあるわけでありますが、私が今日、GXをこれから推進していく上で是非念頭に置かなきゃいけない視点として、地域経済、物づくり産業をずっと担ってきている町があり、地域がこの日本にはあるわけでありますけれども、そうした地域、私も選挙区は北海道の室蘭市というところとか苫小牧市というところ、港町でございまして、物づくり産業の拠点ともなっている地域なんですけれども、これまで、本当に、物づくりの歴史が、様々な国際情勢の中で変化する中でも、懸命にそこに食らいつきながらといいますか、そうした変化に地域なりに対応しながら来ているわけであります。

 大臣にまず伺いたいんですけれども、今回、カーボンニュートラルであったりとかグリーントランスフォーメーションということで、いろいろな議論はあるものの、地域経済、こうしたところがこの議論においてどのような影響があって、あるいはどのような打撃、あるいはどのようにこれからの役割が求められていくか、そうした、まず総合的な御見解を伺えればと思います。お願いします。

西村(康)国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルの国際公約、そして同時に、産業競争力を強化をする、経済成長を共に実現していくというそのためには、まさに御指摘の、経済構造、社会構造、産業構造のグリーントランスフォーメーション、GXが必要となっているわけであります。

 そして、その鍵を握る企業の多くが、産業の多く、特に現場は、工場を始め現場は地域に集積をしております。したがって、GXの推進に当たっては、地域経済の役割、そして地域経済に与える影響、こういった視点が非常に重要であるというふうに認識をしております。

 現在、GX実行会議において、今後十年間で官民協調で百五十兆円超のGX投資を実現するということで、そのための成長志向型カーボンプライシング構想の具体化などを検討しております。まさに、こうした投資が地方で行われるように、地域経済の視点も頭に置きながら、影響を頭に置きながら、年末のロードマップ作成に向けて、しっかり検討していきたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣から今、地域経済、ここを念頭に置きながら考えていくことが重要だというお話をいただきました。

 私たち、質問通告するに当たっては、事前に経済産業省の担当者の皆様ともお話しするわけでありますが、GXということで、そうした御担当者をお願いすると、かなり幅広い各部署の皆様、いらっしゃるわけであります。それは、各産業ごとに、各分野ごとに皆さん御担当があるわけでありますけれども、私がこういう、産業の集積地である地域経済に対してどういう観点を持つのかということを問いましたら、率直に、なかなかそうした視点は持ってこられなかったという話もされました。

 でも、それは、各御担当の皆様がそうした自分たちの分野、産業でやるのは当然のことだと思うんですが、私たち政治家、大臣も政治家としてもう長い経歴を持たれるわけでありますけれども、当然それぞれ地域を抱えていて、そうした皆様の暮らしやあるいは努力を私たちは感じながら様々な政策を議論させていただいているわけでありまして、是非、大臣そして政務の皆様におかれては、そうした視点を共に持たせていただきながら、いろいろ御議論もさせていただければと思います。

 地元の目線からこの話ということをさせていただくんですけれども、先ほど同僚議員からのお話もありましたけれども、私のこの室蘭の町は、鉄鋼の非常に盛んな町でございます。鉄の町と言われて、もう百五十年の港の歴史もあるんですけれども、天然の良港という、非常に深い港が天然でつくられているものですから、重工業が非常に発達していくという、そんな歴史もございます。

 先ほど大臣からも言及がありましたけれども、日本製鉄という国内有数の製鉄企業もあって、この鉄を造るという技術、古来、遡ると紀元前三〇〇〇年頃の古代エジプト文明のお墓からも鉄製のものが見つかるそうでありますけれども、木炭なり石炭なり、炭素を使って鉄を造っていくという技術を転換するというのは、これは史上初の挑戦であるわけであります。

 その研究のことについても経産省からお話を伺うわけでありますけれども、一方で、こうした転換が必要だという議論が行われる中にあって、この室蘭という町では、二〇二〇年の秋でありますけれども、新たな高炉、改修をして、これ、当時はDXということが非常に言われていましたから、AIを導入したような最新と言われた高炉を入れて、高炉を改修して、そしてまた歩み始めた。

 その中で、今度はこのグリーントランスフォーメーションで新規の高炉が必要なのだというようなお話もあるわけでありますけれども、しかし、目下、目の前の物づくり産業を担っているこの地域にとって、新たに高炉が改修されて、そして、これから大いに生産していくんだ、少なくとも二十年間にわたってやっていく、そうした状況にあるわけであります。

 経産省、様々議論をされていると思うんですけれども、こうした物づくり地域の今目の前で進んでいるこの状況、まず、どのようにお考えか、伺います。

恒藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の室蘭市におきましては、日本製鉄の室蘭製鉄所がございまして、そこでは自動車向けの特殊な部素材など多くのものが製造されてございます。また、千人以上の従業員が雇用されるなど、鉄鋼業が室蘭市の基幹産業になっているというふうに認識をしてございます。将来にわたって、こうした室蘭市を含めました全国の鉄鋼業の産業、雇用基盤を維持していくためにも、鉄鋼業の脱炭素化を国際競争力を維持強化しながら進めていくということが不可欠だというふうに考えてございます。

 現行の製鉄プロセスでは、高温の熱とともに、鉄鉱石の還元に石炭を蒸し焼きにしたコークスを用いるという必要がございまして、燃料のみならず、原料の消費によって大量のCO2が排出いたします。このため、カーボンニュートラルの実現に向けては、これまでと全く異なる製鉄プロセスを確立する必要がございます。

 経産省といたしましては、我が国の鉄鋼産業が国際競争力を維持しながら脱炭素化を実現することができるよう、グリーンイノベーション基金を活用した水素還元製鉄の技術開発などに取り組んでまいります。

 その上で、各地域のことにつきましては、企業の事業戦略に関わることでもありまして、予断を与える発言は差し控えたいと思いますが、一般論といたしましては、現在、開発、実証をしております水素還元製鉄技術が確立した暁には、室蘭製鉄所のような、高炉を有します国内の製鉄所に広くその技術が実装されていくということを経済産業省としては期待をしておりまして、まずは足下の技術開発にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

山岡委員 そうした先々のことも大事なんですけれども、本当に目の前で、働く皆様がプライドを持って生産されている、この中で、是非、政策の将来像を描くわけでありますけれども、地域のことも念頭に置きながら対応していただきたいということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

 あわせて、GXに関係するんですけれども、室蘭という町では洋上風力ということも、北海道近隣の近海に、洋上風力というのも一千万キロワットのボリュームで二〇三〇年までに着手するという計画を政府が作られている中で、これも大きなコミットをしていかなきゃいけないということで、基地的な役割を担う港としてもこれは大きく乗り出していこうとしているところであります。

 この洋上風力の議論は、これまで国会でも私も何度か取り上げさせていただいているわけでありますが、先ほど田嶋議員からのお話にもありましたけれども、どうしても、洋上風力を導入して、まだ今海外のメーカーが強いわけでありますから、政府が導入すればするほど、海外の企業がどんどんそこに入ってきてしまって、国内産業、国内企業、あるいは地域の企業はどうなんだという論点というのはずっとあるわけであります。

 しかし、共に地域経済を発展させていきながら、先々を見据えていったときには、やはり洋上風力においても、北海道であれば室蘭もそうなんですけれども、地域の企業がいかにそこに入っていくかという視点というのは絶えず議論しなければならないと思いますし、今後、これからのルールの中でそうしたものも盛り込んでいくべきだということも申し上げてきたところでもありますが、そうしたことの今の考えといいますか、進捗をちょっと伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきまして、洋上風力発電は、北海道を始め、大量導入、安価な電力、あるいは大きな経済波及効果が期待されるということから、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた切り札の一つと考えてございます。部品数が約三万点にも及ぶ大規模なサプライチェーンを国内に形成するべく、市場創出や設備投資支援などを進めております。

 具体的には、市場創出につきましては、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件を形成するという政府目標を設定いたしまして、年平均一ギガワット程度のペースで着実に市場を創出しているところでございます。さらに、こうした市場を呼び水にしながら、国内サプライチェーンを形成するよう、委員御指摘のとおり、サプライチェーン補助金を活用し、事業者による設備投資を支援しているところでございます。

 また、再エネ海域利用法に基づく発電事業者の選定におきましては、電力の安定供給の観点から、サプライチェーンの強靱性等を評価することとしております。実際に、昨年末に事業者を選定した秋田二海域、千葉一海域に導入される風車につきましては、国内事業者である東芝がGEと連携しながら、国内で組立てを行い、合計百三十四基の風車を納入する予定となっております。このように、議員御指摘のとおり、国内企業による具体的な取組が進み始めているということかなと考えております。

 さらに、今後急成長するアジアの洋上風力市場を考えていきます上では、グリーンイノベーション基金約千二百億円、洋上風力に関する技術開発と実証に割り当ててございまして、将来のアジア展開も見据えて、浮体式の技術開発や実証を進めているところでございます。

 引き続き、委員御指摘のとおり、国内にしっかり市場をつくって、国内の事業者がちゃんと関与していけるような形で洋上風力を造っていく、強靱なサプライチェーンを構築するべく取り組んでいきたいと考えてございます。

山岡委員 ちょっとボリュームがあってしゃべっていただいたので、端的に伺いたいんですけれども、国内というのも大事なんですけれども、その近隣の地域の企業が参入するという視点では、今、どんな取組、努力をされているんですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 具体例をちょっと申し上げますと、例えば昨年末に落札事業者が決定しました秋田県の事例でございますけれども、こちらは秋田県自身が経済波及効果も大体三千八百億円ぐらいあると見込んでおりまして、秋田県では、例えばTDKの秋田工場において発電用の磁石生産を行うといったプロジェクトが進んでおりますし、県内事業者のウェンティ・ジャパンというところが事業に参画することになっております。

 また、選定事業者の方も、これまで県内におきまして四回、延べ百六十の地元事業者を対象にマッチングイベントを行っておりまして、できるだけ地元の企業に参画してもらいたいという取組で進めておりまして、我々政府もこれをしっかり後押ししているところでございます。

 以上でございます。

山岡委員 秋田の事例をいただきましたけれども、そうした地域でそうした参入への取組がされているということでありますので、北海道においても、そうした期待を持って、皆様、地域の事業者がそこに参画していくような取組というのも是非また進めていただきたいということを思います。

 大臣にちょっと、GXと地域経済、そして中小企業のことも含めて伺うわけでありますけれども、本当に、その議論はどうしても、天を仰ぐような、そうした議論になりがちなんですけれども、足下では本当に一つ一つの企業が、二〇四〇年、二〇五〇年にも存続をかけて戦いながら、時代の変化に臨もうとしているわけであります。

 なので、先ほど大臣は、共に歩むようなことが重要という趣旨をいただきましたけれども、これは、地域経済を守っていく、あるいは支援していくという観点も含めて、大いにその考えをこの政策に反映させていただきたいと思いますが、御見解を伺います。

西村(康)国務大臣 GXを進めていく上で、地域経済への影響、あるいは地域経済におけるその役割、こうしたものを頭に置きながら進めていくべきというふうに先ほど申し上げたとおりでありまして、何より、現場の持つ工場を始め、これは地方に、地域に存在するわけでありますので、その中で、経済全体そして地域の社会全体を、GXを進めていく中で、地域にある中堅・中小企業の役割は非常に重要だというふうに思っております。

 全体として、グリーンイノベーション基金でいろいろな研究開発をやっていきますし、また、地域の経済、中堅・中小企業、GXを取り組む際に、あるいは、そうした新しい例えば風力の部品に挑戦しようというときに、ものづくり補助金であったり事業再構築補助金のグリーン枠などを使って設備投資あるいは事業展開に取り組む、こうした支援も行っていきたいというふうに思っております。

 私も、室蘭、日本製鉄あるいはENEOSの製油所も見に行ったことがありますけれども、あそこも一部閉鎖、停止をして、そしてバイオマスの発電所ということで、これもある意味転換をするというふうに伺っておりますけれども、GXの取組の一つではないかというふうに思います。

 そうした新たな展開をしていく、そして、それにまた何か参加を、サプライヤーとして協力する、そうした中小企業の取組なども、そういうものも応援しながら、二〇五〇年カーボンニュートラル、そして地域経済を含めて、活力を維持できる、経済成長を同時に実現できる、そうした取組を進めていきたいというふうに思っております。

山岡委員 室蘭の言及もありがとうございます。

 続きまして、GXに関わることとして、CCSのことも伺いたいと思います。

 CCSというのは、いわゆる二酸化炭素を地中に埋める、そうした技術のことでありますけれども、このことも私も経済産業委員会でこれまでも取り上げてきましたが、大臣が新たに就任されたということで、考え方も改めて伺いたいということを思います。

 脱炭素の技術、様々産業ごとの努力もあるわけでありますけれども、産業全体、あるいは産業以外の様々な分野からも二酸化炭素というのは排出される中で、このCCS、地中に埋めるという考え方の技術は極めて私は重要なんだということを思っております。

 ただ、日本では、地中の権利とか、そういうこともまだ法整備では整っていなかったり、あるいは導入コストの負担の在り方も、いろいろな課題もあるということで、議論もされていると思います。

 主要国においては、事業者の導入コスト、ほぼ全て、初期に関しては公的に負担する、そこまでしてでも導入するんだというような議論もありますけれども、西村大臣に、CCSに対する見解、この議場では述べられていないと思いますので、そのことをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 まさに、カーボンニュートラル実現に向けては、電化あるいは水素化等による脱炭素化を最大限進めても、それでもなお排出されるCO2につきまして、これを回収し、地下に貯留をするCCS、これは極めて重要だというふうに認識をしております。

 私自身、大臣就任前ですけれども、今年の五月に苫小牧のCCSの実証試験センターも視察をさせていただきました。CCS、まさに脱炭素化の最後のとりでということで、CCSなくしてカーボンニュートラルなしと言ってもいいと思います。

 そうした中で、二〇三〇年までの事業化を目指して、コスト低減、適地開発、事業化のための環境整備といった様々な課題について、有識者にお集まりいただいて、今、CCS長期ロードマップ検討会で議論を行ってきているところであります。本年五月には、まさに御指摘の国内法整備の必要性とか、あるいは今後の政府支援の在り方などに関する中間取りまとめを公表したところであります。

 現在、それらを更に具体化するためにワーキンググループで議論を進めているところでありますが、欧米などのCCSの取組が先行している国で実施をしている、御指摘のあった分離、回収、輸送、貯留まで、そのバリューチェーン全体を支援する補助制度、こうしたものも参考にしながら、政府支援の在り方について検討を進めているところであります。

 今後、検討を進めて、年内に長期ロードマップの最終取りまとめを行い、可能な限り早期に法整備を行っていきたいというふうに考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 大臣から、今、私の地元でもありますけれども、苫小牧に御視察いただいたという話もいただきました。

 苫小牧は、CCSの実証実験ということで、十年ほど前からこうした取組、スタートをさせていただいております、国の事業の一環でありますけれども。北海道の南の玄関口の、海沿いにあるわけでありますけれども、地上から海中に二酸化炭素を注入するという中で、それが果たして地中に定着するのか、外に出すこともないのかとか、そうしたことをモニタリングを続けて、このほど、そうした実証実験としては一定の成果を収めたという状況でもございました。

 このCCS事業というのが、もちろん産業界等は新たな脱炭素の中で重要だと位置づけるわけでありますけれども、協力されてきた方もいらっしゃるわけであります。特に、この苫小牧において御理解をいただいてきたのは、海の関係者。海洋の変化がどのようにあるのかということがまだ見通せない中で、漁業の関係者が非常にこのことに理解を、もちろんいろいろ議論をしながらということでありますけれども、今も御健在の組合長であったり、亡くなられてしまったんですけれども、当時の御専務から今の専務にその思いを引き継いで、これは協力しているわけであります。

 いわゆる漁業のことではないこうした分野にも、いろいろな方がこうしてCCSにも協力しているんだということについて、大臣、改めてこの場で大臣の考えといいますか、そうしたことを伺えればと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、CCSの実証試験を進めるに当たっては、地域の皆さんの御理解、御協力をいただきながら、丁寧に進めていくことが重要だというふうに考えております。

 御指摘の、私も視察をさせていただいた苫小牧のCCS実証試験センターでありますけれども、日本初の大規模なCCS実証拠点であります。住民の生活圏に近く、まさに苫小牧の皆さんの御協力をいただいていることを実感をいたしました。これは世界で初めて、これだけ市街地に近い、近傍で行われたCCSプロジェクトであるというふうに認識をしております。

 まさに地域社会と緊密に連携しながら三十万トンのCO2貯留を達成した、世界のモデルともいうべきプロジェクトであります。地元の漁協の皆様を始めとする多くの方から御理解と御協力をいただいたこと、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 今後のモニタリングの継続、あるいは二〇三〇年までの事業化に向けた環境整備に向けて、事務方からは、御地元の皆様から地域の課題などよく伺って、必要な支援策の検討を始めているというふうに報告を受けております。地元の皆さんにしっかりと寄り添った形でCCSが推進されるよう、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣から心強い御答弁もいただきました。

 これからCCSというのが本当に全国に普及することになるのであれば、やはり生活圏に近いところでもこうした事業が行われるということもあるんだと思います。そうしたことは、特に何にも問題が起こらず本当に平穏に過ごしてきたんだという一つの事例があって、全国もまたそうした導入ができるという中で、本当に地域の皆さんの理解と協力があったということ、是非これから大臣もまたいろいろ交流をしていただきながら、地元との交流もしていただきながら、そうした関係性も深めていただきたいということも重ねてお願いをできればと思います。

 残りの時間、ちょっとGXの話からは少し離れますけれども、どちらかといえばDXの話になりますけれども、ヘルスケア、メディカル産業のことについても大臣にお伺いしたいと思います。

 経産省は、来年度予算の概算要求等の重要項目の中に、新しい健康社会の実現ということとか、医療DX、医療の国際展開等の、そうしたことを視野に入れたヘルスケア産業を発展させていくんだということを掲げているところであります。

 このヘルスケア、メディカル産業というと、少し、ヘルスケアとかメディカルみたいな話になりますと厚労省のような、そうしたイメージもあるわけでありますけれども、経産省としてこの分野にどのように取り組んでいくのか、これは大臣にまず伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 予防、健康づくりを支えるヘルスケア産業、そして医療に必要不可欠な医療機器産業あるいは医薬品産業、国民の健康をしっかりと下支えをすると同時に、経済成長を牽引することのできない重要な分野だというふうに認識をしております。

 経産省として、厚労省など関係省庁と緊密に連携しながら、一つには、パーソナル・ヘルス・レコード、PHRと呼ばれますけれども、この推進による健康医療情報の活用に向けた基盤整備、あるいは医学会と連携したエビデンスの整理、指針策定などを通じたヘルスケア産業の振興、それから、先進的な医療機器、システムの開発支援、特に中小企業などの技術を活用した現場のニーズに応える医療機器の開発支援、さらには、新薬創出の鍵を握る創薬ベンチャーに投資が集まるようなそういうエコシステムの構築、バイオ医薬品と再生医療等の製造基盤技術の高度化、デュアルユース補助金によるワクチン、バイオ医薬品の国内製造拠点整備などを通じた、医薬品産業の振興を行っているところであります。

 こうした取組を更に拡大しながら、質の高いヘルスケア産業そして医薬品産業を支援してまいりたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣から今、このヘルスケア産業の政策において、現場のニーズに応える機械の設備、そうしたことの開発等も進めていくんだというお話がございました。

 これも北海道の視点からの話であるんですけれども、御存じのとおり、北海道は広大な地域でもありまして、札幌から根室という東の方にかけて四百キロぐらいございます。東京からでいえば大臣の御地元の西に、兵庫県の方まで届くぐらいの距離が北海道の一つの道の中であるという状況でありまして、地域としては非常に大きい。医師一人当たりの医療担当面積は、北海道は東京の百倍以上という状況であります。遠隔医療というのが、非常に大きな期待が寄せられるところであります。

 この遠隔医療というのは離島の医療を助けるような、そうした御議論もあるようでありますけれども、離島ではなくて、本当に一つの都道府県の中でも、札幌にいろいろなものが集中する中で、この発展が大いに地域住民の生活の向上につながるというものでもあります。

 この北海道の状況も、やはり専門医は札幌におられるという状況で、私も札幌医科大の竹政伊知朗先生という、テレビにも取り上げられるような外科の先生なんですけれども、この方ともいろいろお話をするわけでありますが、いわゆる手術を遠隔で行う、これは非常に優れた通信施設も必要でありますし、設備も必要なわけであります。私たち、政府も含めて、これから目指す5Gあるいは6Gの政策の中にも遠隔医療、遠隔手術というのが非常に大きく掲げられる中で、このことを既に実施をしながら取組をされている方もおられるという状況であります。

 このダビンチという設備は、米国の企業との開発になるわけであります。デジタル技術も進展していくという中で、やはりこの日本も課題を抱えた地域があるわけでありますけれども、この遠隔医療の設備、これを大きく支援していただきたいという思いなんですね。

 この竹政教授ともお話しする中でいろいろ伺うのは、手術だけではないんだと。遠隔が発達すると、手術という希有な技術が、ほかの方に指導するに当たっても、全国であったり、あるいは国境を越えてアジアの国々からいろいろ教えを請われるということにも貢献もできるような、そうしたことではあるんだけれども、どうしても先端の技術の設備というのが、なかなか資金が簡単ではない中で、米国の関心を持つ企業と一緒にやっているという現状があるということを聞いたときに、こうした分野も、今回、ヘルスケア産業のことを経産省は重点項目に挙げていただいているわけでありますので、地域の課題解決と医療の国際展開、様々な視点を持って、是非支援を強めていただきたい、強くしていただきたいと思いますが、大臣、御見解を伺います。

西村(康)国務大臣 御指摘がありました札幌医大の竹政伊知朗先生、医療過疎の課題に向き合われて、手術を遠隔で指導するシステムの構築に取り組まれている方というふうに承知をしております。

 ダビンチの御紹介がありましたけれども、最近では、私の地元でありますが、川崎重工とシスメックスという会社が共同でヒノトリというまた遠隔の医療、手術の機器を開発をしたりもしております。日本にもそうした技術はあるものというふうに思います。

 経産省では、我が国の医療機器産業の競争力を強化、維持するため、これまでも遠隔医療や医療のデジタル化など、最先端の科学技術を駆使した医療機器、システムの開発を支援してきているところであります。

 医療過疎などにおける遠隔医療の取組は極めて重要だと認識をしております。札幌医大の先生、竹政先生以外にも、旭川にも有名な先生がおられたと思います。北海道はやはり広いということもあって、そうした取組に熱心に対応されているというふうに思います。今後とも、経産省としても、厚労省を始め関係省庁と連携しながら、こうした支援、取り組んでいきたいというふうに考えております。

山岡委員 今、大臣から心強いお言葉をいただきましたが、DXは、本当に私たちの地域、北海道の広大な広さがあるという、これを乗り越えられるかもしれないという状況であります。今、手術と指導の話は大臣からお話しいただきましたけれども、例えば診察についても、難病の患者さんが広く、北海道の東におられる方が地元のお医者さんと一緒に、札医大などの専門医と一緒に遠隔で診察を受けながら、地元は地元でかかりつけの方がいらっしゃるという中で、そうした取組も行われているところでもあります。

 この辺りも、これは厚労省の話になりますが、医療制度、診療報酬制度などがまだまだ追いついていないところもございまして、それはそれぞれで、私も委員会で取り上げさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、経産省におかれては、最新の技術と設備機器、ここについては十分な御支援を重ねていただくようお願いさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 順次、質問に入りたいと思います。

 まず初めに、燃料価格激変緩和措置について大臣が所信で述べられているんですけれども、家計、企業の電力料金の負担を直接的に緩和する、思い切った対策を講じるとあるんですけれども、個人や事業者に現金で給付するのか、それとも、例えば電力会社に給付するのか、まずお尋ねしたいと思います。

中谷副大臣 先生、御質問ありがとうございます。

 電力料金につきましては、来年春以降、更に二割から三割の値上げとなる可能性がございます。こうした状況を踏まえ、今回の経済対策で新たな負担軽減の仕組みを導入していくというものであります。

 詳細は現在検討中でございまして、電力料金請求システムを活用して、毎月の電気料金請求において直接的かつ実感できる形で負担軽減策を講ずる考えであります。

 支援の幅につきましては、家庭については来年春に想定される電気料金の上昇による平均的な負担額に対応する額といたしまして、また、時期につきましては、一月以降のできるだけ早い時期に開始できるべく努力していきたいというふうに考えているところであります。

 十四日の自公党首間での合意、また、与党の総合経済対策に関する提言を踏まえまして、具体策の取りまとめに向けた調整を進めてまいりたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 私どもの国民民主党は、FITを一時的に停止して、再生可能エネルギーの方に振り向けていたお金を電気料金の方の引下げに使えないかという法案を提出させてもらっています、参議院の方からなんですけれども。是非、そういったことも踏まえて検討していただきたいと思います。

 今まで、この七十年近くの戦後の中で、全部を承知しているわけじゃないんですけれども、ほとんど、経済対策というと事業者側に給付をする、補助金を出して価格抑制をするという方策を取ってきたんですけれども、コロナによって経済がずたずたになった中で、国民一人当たり十万給付したというのもありますよね。だから、やはり、事業者というんですか、業界に対して補助金を出して価格抑制をするんですけれども、今までその方策をずっと取ってきたんですけれども、実際は、企業の努力によって利益が出るときもあれば利益が出ないときもあるし、例えば何十年に一回の大幅な施設更新をするということになれば、営業利益は黒字であっても経常利益が赤字になったりする場合があるんですね。そこに一生懸命お金をつぎ込んだって、結局、電力料金は下がらないんですよ。

 例えば、今、平均で五千円の電気料金を一般の個人の家庭が払っていた、それが今回の高騰によって七千円、八千円になったら、じゃ、その二千円、三千円を下げるのかという話なんです。それを直接的に給付することで抑制策を働かせるのか、それとも、間接的に、企業なり事業者の方に入れることによって二千円、三千円下げられるのかといったときに、先般も経産省の方から説明にお越しいただいたんですけれども、例えばガソリン価格、高騰しているから元請事業者に補助金を出しました。でも、実際、末端の、これも地域差もあるし、競争の激化しているところはやはり安くなるんですけれども、ちょっと地方に行けば都市部とは全然違う価格で販売されています。

 だから、例えば、二十五円補助金を出したから、そのまま二十五円まで末端のガソリンスタンドで安くなっているかというと、そういう状況になっていない。ガソリンスタンドが全国に何万軒あるか承知していませんけれども、元売に出すんだったら、ガソリンスタンドに全部二十五円くれちゃった方が、あとは取扱量に応じて、そうすれば、個人だとか事業者は直接その二十五円の減額が、恩恵を受けられるんですね。そういう制度も考えてやらないと価格抑制にならないと思うんです。そこの点をもう一回御答弁いただきたいんですが。

中谷副大臣 先生の御指摘、ごもっともだというふうに思います。やはりこれは、国民の皆様にとって分かりやすい形で支援していく必要があるというふうに考えているところであります。

 先生の御指摘も踏まえまして、目に見える形で、ああ、ここが安くなっているんだなということを分かるような形でやっていくというところでありまして、まさに、先ほど申し上げたとおり、料金請求システムを活用いたしまして、毎月の請求において幾ら下がったということが分かるように負担軽減策を講じていきたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 そこで問題になってくるのが、いつの時点の価格まで下げればいいのかという議論が必要になってくると思います。コロナ前なのか、ロシアの戦争の前なのかによって、その抑制をさせる金額というのが変わってくると思うんですね。

 毎年毎年、少なからず物価は、マイナスとは言わなくても、一パー、二パーは確実に上がっていくわけですから、そこのところをやはり長期的な展望に立つのと、あと、今回の価格の高騰は一か月、二か月では収まらないと思うんです。

 じゃ、これは一年やるのか、二年やるのか、三年やるのかという議論になっていくんですけれども、そのとき、ここまで、二年でも三年でもやりました、でも、そのときにまだ高止まりしているんだったら継続する、そうじゃなければやめるというふうにやらないと、国民からお預かりしている税金をどんどん入れていくわけですから、今のやり方でいけばですね、財源がどこにあるのかという話。

 価格の高騰で一番喜んでいるのは、私は、財務省だと思っています。だって、物価がどんどん上がるということは、消費税一〇%をお預かりするわけでしょう。何にもしなくても増益だ。来年の決算のときにどういう数字が出てくるか見ものなんですけれども、価格が上がっていれば、その分、一〇%消費税をお預かりするわけだから、確実に消費税の収入は上がっていくと思うんですね。

 その辺のところのバランスを取りながらやらないと、中長期的に立つ部分と、短期的に抑制するやり方をやっていかないと、例えば円安も同じだと思うんです。これが、何兆円か入れて円を買ってドルを出して、それができるうちはいいですよ、ドルが日本の国内にあるうちは。全部使っちゃったら、やりようがないじゃないですか。

 だから、そういう意味で、経済を再生させることと、やはり構造を変えていかなくちゃいけないというのも待ったなしの政策だと思うんですけれども、その辺を併せて、長期的な考え方もお示しいただきたいと思います。

中谷副大臣 今先生言われたとおり、支援の幅というのは極めて大事だと思います。それも一定ではないということは、確かに先生御指摘のとおりでございます。

 その点も踏まえながら、料金をどこまで抑制するか、このことについては、与党、また自公でしっかり調整をしながら決定をしていきたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 自公だけで決めて、あと、じゃ、委員会でどうするんだといったら、私たちは要らないということじゃないですか。そういう答弁の仕方は駄目だよ、政府の立場で答弁しなくちゃ。

中谷副大臣 もちろん、世論の動向等も含めまして、また先生方の御指摘も含めまして、しっかりと対応していきたいというふうに考えています。

鈴木(義)委員 それは確かに私たちは、野党なのかユ党なのか、よく言われるときがありますけれども。でも、やはり委員会で審議をするということは、与党ばかりじゃなくて野党の意見も聞くということだと思うんですよね。まあ今日は、初めてお会いしたので、これ以上はやめておきますけれども。

 次に、GXについてお尋ねいたします。

 エネルギー、環境の分野でGXを進めるに当たって、安定供給を前提にしているんですけれども、安定供給と併せて大切なのは、やはり価格だと思うんです。いろいろな施策をやることによって、確かに自由になりました、デジタルも入れました。それをやったことによって価格が安定すること、というより、安定供給ばかりじゃなくて、やはり価格を下げていく努力をどうするかということなんです。だって、幾らでも出していいんだというんだったら、それで安定できますよといっても、それじゃ国民生活はもっと疲弊しますよ。

 そういう意味で、価格が高騰していては意味がないんだと思います。価格抑制をどのようにGXを入れながら図っていく考えなのか、まずお尋ねしたいと思います。

中谷副大臣 エネルギーは、全ての社会経済活動を支える土台となっているところであります。

 先生おっしゃったとおり、自主的かつ市場ベースでカーボンプライシングの促進をするという政府の方針を踏まえ、野心的な削減目標を掲げる企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグを来年度から……。価格高騰ですよね、先生がおっしゃっているのは。ごめんなさい、ちょっと。

鈴木(義)委員 よく考えて答弁してくださいよ。

 じゃ、もう一つ。今御質問したやつと、次にもう一つ御提案したいんですけれども、原子力や再生可能エネルギーも半永久的な施設じゃないんですよね。三十年なのか、五十年なのか、六十年なのか分かりませんけれども、メンテナンスをしたり、建て替えをしなくちゃいけない時期が必ず来ます。民間でやっている再生可能エネルギーなんか特にそうです。最初はわっとできるんですけれども、十年たってみてください、二十年たってみてください。もう使い物にならないから俺は事業をやめるというふうになったら、途端に発電量は下がってくるんです。

 だから、最初にスタートするときにそのことも踏まえて、メンテナンスや更新の時期が必ず来るわけですから、新規に設置するときにそのことも踏まえた形で事業者に義務づけるような、そういう制度をつくっていかないと、結局、先に行って困るんです。それの繰り返しだと思うんです。だから、それをやらないと安定供給につながらないということと、価格の抑制にはつながっていかないんじゃないかという考え方です。

 もし御答弁いただければ。

中谷副大臣 先生、これは事前に準備をしていなかったので、お答え、これは先生の御意思に合うかどうか分かりませんが、先ほど先生言われたように、再エネについてはそのような側面があるというところであります。

 よって、現状では、やはり再エネや原子力、火力、水素、あらゆる選択肢を追求しながらやっていかざるを得ないというところでありまして、これをもってしっかりと安定供給に努めていきたい、価格抑制に努めていきたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 例えば、一億円で施設を造りましたといったときに、それがどのぐらいもつのかといったら、二十年で計算したら、その次の一億を用意するようなことを、まあ一億でできるかどうか分かりませんよ、一億五千万かかるか二億かかるか分かりませんけれども、そういったものも用意させておかないと二十年で終わっちゃうという話なんです。そういう設置の仕方で、ある程度、電気を確保できました、エネルギーが確保できましたというだけでは安定供給にならないだろうという考え方です。是非、そこのところをよく考えて、計画を立ててもらいたいなと思います。

 それと、成長志向型カーボンプライシングの構想を具体化し、企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグを二〇二三年度中に本格稼働するというふうに聞いております。

 でも、しかし、私も、もう六年、七年前に、電力卸市場というのが目黒区にあって、そこに視察に行かせてもらった。今の落合筆頭理事と当時は一緒にそこに行ったんですけれども。これも、電力の自由化を促進するのと一緒に、安価な電力供給を目標としてスタートしていたと思うんです。今ほとんど聞かない。それと、CO2の排出権取引、何年か前にわあっとブームになりましたよね。それもほとんど聞かないんです。いろいろな制度を立ち上げるのはいいんですけれども、何十年も続いたためしがない。

 そういった、過去にやったいろいろな、取引みたいな市場をつくることによって、玉を出すことによって、需要と供給のバランスで価格をなるべく抑えましょうということが目的だったと思うんです。

 だから、そういった新しい仕組みをつくるに当たって、うまくいかなかったことをきちっと踏まえてこのGXリーグを立ち上げようとしているのか、そこのところをお尋ねしたいと思います。

中谷副大臣 先生御指摘のとおり、やはり、しっかりつくって、それが持続的に進んでいく必要があるというふうに考えているところであります。

 そのため、自主的かつ市場ベースでカーボンプライシングを促進するというのが政府の方針でありまして、それを踏まえまして、野心的な削減目標を掲げる企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグを来年度から稼働させるべく、現在、この具体化に向けた検討を賛同企業とともに進めているところであります。

 あわせて、先月より、炭素削減価値を取引できるカーボンクレジット市場整備に向け、東京証券取引所でJクレジットの取引実証を開始をしたところであります。

 排出量取引につきましては、需給の状況に応じて炭素価格が大きく変動し得る、先生御指摘のとおりです、変動し得るという課題が存在しております。取引価格の予見性を高め、企業の脱炭素投資を着実に促すためには、価格を安定させるための仕組みが重要であります。

 そのため、来年一月までを予定している取引実証における取引価格の状況や、他国における取引価格の安定化に向けた仕組みの導入例も参考にしながら、取引価格安定化に向けた方策を検討してまいりたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 私の記憶が間違っていなければ、電力の自由化の卸売取引のところで、結局、玉が出てこないんですね。ある程度、最初のうちは五パー、六パーぐらいだったように記憶しているんですけれども、それが一〇%までいかないでずっと横ばいになってしまっている。だから、玉が出てこなければ売り買いが始まらないから、安く調達したいのか、今急に欲しいのかという話になってくる。だから、そういったことを検証して次の制度をつくったらどうだというふうに。

 今御答弁いただいた中で、過去のいろいろな制度の検証をしているという話は答弁の中にないんですね。そこのところを踏まえて計画を作る、実行に移すというのをもう一度御答弁いただきたいと思います。

中谷副大臣 今先生の御指摘をいただきましたので、その過去の事例についてもしっかりと研究してまいりたいというふうに考えております。

 また、このGXリーグと類似のものを実際にもう運用している国もありまして、ニュージーランド、またカリフォルニア、こういったところの例も踏まえながら研究をして、しっかりとした制度をつくってまいりたいというふうに考えています。

鈴木(義)委員 じゃ、次に、アメリカを始め欧米では、人権侵害行為による生産活動に対する輸入規制や使用差止めを行っているのは承知のとおりだと思います。

 その中で、国内はもとより、海外に生産拠点を置く国内企業も数多く存在していると思います。この企業に対して、ガイドラインの普及や予見可能性を高める国際協調を推進するだけでは乗り切れないんじゃないかというふうに思うんですけれども、国としてもう一歩、ガイドラインだけじゃなくて、もう一歩前に進めるような対応が必要じゃないかと思うんですけれども、御所見を伺いたいと思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 先生が御指摘いただきました先月公表したガイドラインでございますが、国際社会において人権問題への関心が高まる中、企業による人権尊重の取組を促すとともに、活用する企業のリスク低減及び企業価値の向上を通じて、我が国の国際競争力強化につながるものでございます。

 今後、企業がこのガイドラインにのっとって、しっかり自社のサプライチェーン上のリスクを把握し、企業に総点検してもらえるよう、ガイドラインの普及を進めてまいりたいと存じます。

 また、御指摘のとおり、欧米では、人権尊重を理由とした、ガイドラインから更に一歩進んだ法規制、こういったものも強化が進んでおります。企業の予見可能性確保のためにも、各国としっかり情報共有をしまして、また国際協調の枠組みも利用しながら、しっかり取組を進めてまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 それと、もう一つ。そもそも国内においては、社会でいろいろな業種によって重層構造、建築とか土木もさることながら、製造業も同じだと思うんです。

 それで、一番の末端の仕事をしている、例えば、ペンならペンのところに、先端にちょっとしたものをつけるような内職仕事をやっている。あるとき、その内職をされている人にお尋ねしたら、これは一個作って幾らもらえるんですかと尋ねたんです。ストラップみたいなのをつけるわけですね。一個三円ですと。一時間、何個つけられますかと尋ねたんです。六十個つけられると。手先の器用な人なんでしょうね。一分間で。ということは、一時間で百八十円しかもらえない。これは何年か前の話ですから、もうちょっと単価は上がっているかもしれないんですけれども。

 これは経産委員会でお尋ねしても、内職の関係は厚生労働省だからお答えは差し控えさせてくれと。これが今の日本の実態ですよ。内職仕事は、今でも、下手すると一個五十銭とか、一円、二円の世界ですよね。今、国際協調しながら、人権に配慮するとかと言いながら、国内で全然それが対応できていない。だから、上から二〇%、三〇%ずつ、下請、孫請、ひ孫と、三〇パー、三〇パー、三〇パー引いていったら、四〇パーで今仕事をしているところもあるわけですよね。

 そういったところもやはりちゃんと見てやらないと、実際、いいですよ、下の、一番末端で、一番の下請の仕事をやっているところが、もうこれじゃできないから子供にも継がせたくない、辞めていくわけです。その上の三次とか二次がそれを受け取って、やれるんだったらいいんですけれども、やれなくなりつつあるんじゃないかということです。

 午前中でも、アベノミクスの評価、いいところもあったし悪いこともあった、こういう議論があったと思うんですけれども、ワイングラスを三段に重ねて、一番上のグラスにワインを注ぎ始めたんですけれども、二年たっても三年たっても下の方にワインがこぼれてこない。(発言する者あり)

竹内委員長 静かに。不規則発言はやめてください。

鈴木(義)委員 これは私の私見ですよ。私見ですけれども、一番上のグラスが一番大きかったんです。私は全部同じ大きさだと思っていたら、違うんだね。だから、二番目、三番目に降りてこないんです。でも、この二番目、三番目のグラスが今壊れてきちゃっている。それが今の日本の経済状況じゃないかと思います。

 ある事業者さんは、新しく仕事を受けるときに、自分のところの価格じゃないと仕事は受けないという製造業もありました。そういった価格交渉力が強い会社、ほかでできないところは、うちしかやれないんだというところは価格交渉力があるんですけれども、どうしても、競争の中にさらされているような業種、業態の方は、なかなか、値上げしてくれと言ってもならないんです。それが今の景気が上がっていかない私は一つの要因じゃないかと思うんですけれども、それに対してどう考えるか、お答えいただきたいと思います。

長峯大臣政務官 先生の今の御指摘は、人権をめぐるデューデリジェンスと同時に、恐らく価格転嫁の問題が国内では非常に大きいんだというふうに思っております。

 御指摘のようなことは非常に我々も問題意識としては持っておりまして、ただ、市場経済の中でどうやってこれを前に進めていくかと大変悩ましいところなんですけれども、幾つか我々の取組といたしましては、パートナーシップ構築宣言、これの拡大を進めております。宣言済みの企業は今現在一万五千社まで増えてはいるんですが、例えば経団連の中でいいますと、千五百社のうち、宣言済みはまだ四百社なんですね。これをしっかり進めていただきたいということで、これは西村大臣の方からも何度も申入れをさせていただいております。

 さらには、毎年九月と三月の価格交渉促進月間を実施いたしまして、その結果を踏まえた親事業者に対する指導助言を行っております。先月には、今年三月のフォローアップ調査の結果を踏まえまして、下請中小企業振興法に基づき、実を言いますと、二十数社の親事業者に対し、大臣名での指導助言を実施いたしたところでございます。

 何とか市場経済の原則は守りながらも、我々としてできる限りのことをしっかりと、御指摘も踏まえまして進めてまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 是非しっかり取り組んでいただきたい。これは一朝一夕で解決することじゃないと思いますので、不断の努力が必要だと思います。

 それと、あと、中小企業政策について大臣が所信で述べられたんですけれども、午前中もその質問だったと思います、借換えの話が出たと思うんですけれども。

 私のところもお金を借りて、三年前に金融機関から、コロナ融資というのがあるから使ってくれないか、こういう話なんです。利息の一・四%は国が補填します、三年間据置きで四年目から返済していく、これが来年到来してくるので、それに対して借換え制度をつくっていこうということなんですけれども、商売をやっている人は分かると思うんですけれども、金融機関にお金を貸してと言ったら、貸してくれないんだよ。内容がよければ相手から来ますよ。そういうものなんです、世の中は。幾ら借換えしやすいような制度をつくろうが何しようが、向こうも商売でやっているんです。

 私はずっと疑問でしようがないんですけれども、長い慣習だからと、例えば、抵当権をつける設定費用とか収入印紙、全部借りる側の方が負担するんですよ。おかしいんじゃないか。借りる方は金利を払って、金融機関に、それをもうけで相手は事業を行うわけですよね。それを長い間ずっと慣習だからということでやってきた。そういった、ちょっと細かいことかもしれませんけれども、中小零細にとったら、やはり何万円のお金も、必要だからお金を借りるんです。それはおかしいんじゃないかと、是非、産業政策の中で、まあ経済産業省から財務省に言うのかどうかは分かりませんけれども、そういったこともやはり言っていかなければ、少し足腰が強くなる中小零細にならないんじゃないかということです。

 是非、スケジュール感をお尋ねしたいのと、一つは、金利負担を国が肩代わりしている一・四%をもう少し延長しようとする考えはお持ちなのか、それとも、一・四のうち〇・四は払ってください、一%は国が補填しますよというぐらいな考えがあるのか、それを、じゃ、何年まで続けるか。さっきお尋ねした価格の抑制と同じなんです。一年、二年でぱっと景気がよくなるんだったらまた別なんですけれども、なかなかこれは私はそう見通せないと思うんですが、それに対して御所見を伺いたいと思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 借換え保証の具体的な制度設計は現在検討中でございますけれども、積み上がった債務の借換えの円滑化に加え、事業再構築などの前向きな取組を促進するため、新たな資金需要にも対応できる制度にしたいと存じます。その際、御指摘のように、例えば、一〇〇%保証の融資は一〇〇%保証で借換えができる制度にすることを検討しているところでございます。中小企業にとって使い勝手のよい制度にしていきたいと思います。

 それから、スケジュール感でございますけれども、これについては、民間のゼロゼロ融資は、来年五月以降、利子負担が発生をしてくるというタイミングがございます。これはしっかり我々も頭に置きながら、この制度の検討を早急に進めまして、中小企業が資金繰りに不安を抱かずに事業を継続できるように取り組んでまいります。

鈴木(義)委員 金融機関さん、前に割賦販売法の改正のときに質問に立つ機会があったんですけれども、ブラックリストに載るとか載らないとかってあるんですね。確かにブラックリストからは除外されるようになったんですけれども、その金融機関にはずっとその会社なり個人のブラックリストが存在する話も聞きます。だから、幾ら法律で制度改正したとかサポートするんだといっても、民間一企業なり信用金庫、農協さんもそうでしょうけれども、やはりリスクを取りたくないから、そういう人には、申し訳ない、今回融資はできませんという話にならないように対応してもらいたいというふうに思います。

 それと、もう一つ。取引適正化、価格転嫁対策を進めていくというふうに大臣は所信で述べられているんですけれども、どこまで本気で取り組むのか。

 それを解消するすべとして私はちょっと提案したいんですけれども、価格転嫁カルテルを三年とか五年認めるようなことを思い切ってやらないと、やはり、先ほど言った、末端で仕事をしている人たちがこれじゃ生活できないというのを元請さんに言ったって、はい、分かりましたと言う元請さんはいないと思います。その辺について御見解をいただきたいと思います。

竹内委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお答えください。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 一般的に、適用除外カルテルなどの取組をするということになりますと、やはり市場競争上問題が出てくるということは御案内のとおりであります。

 しかしながら、仮に価格転嫁相当分のみでもカルテルの対象としたらどうかとか、そういうことを考えようとしたとしても、残念ながら、価格転嫁の在り方、もっと言いますと、コストがどのように上昇していったか、取引親企業、下請企業の間でのコスト構造はどうか、これが非常に多様であるものですから、一般論として、これを吸収するような形でのカルテル、制度設計は非常に難しい。それをあえて吸収しようとすると、競争機能を過剰に損なうということになりはしないか、その点を大変懸念をいたしておるところでございます。

鈴木(義)委員 これだけダブル、トリプルのダメージを受けている日本経済の中で、通常の考え方ではできないと思いますので、後でまた議論したいと思います。

 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 私は兵庫県で活動していまして、大臣と同じ兵庫県で、大臣も明石市と淡路島、地元ということですけれども、是非よろしくお願いします。

 経産委員会では初めて質問させていただきます。是非お願いいたします。

 まず初めに、GXのお話をしたいと思いますけれども、大臣はGXの実行推進担当大臣も兼務されているということで、官民で十年間で百五十兆円の投資を目標に掲げられていると思いますけれども、政府資金はそのうち二十兆円というところで、実際、相当民間投資を増やしていく必要があると思いますけれども、そのためには投資環境を整備する必要があると思います。予算措置、規制・制度的措置、金融パッケージとともに、グローバル戦略、GXリーグの段階的発展が、五つの柱の一つとして挙げられているというところだと思います。

 GXリーグについては官民で実証事業やルール形成を行うということで、大臣の所信でも述べられておりました。現在、五百社程度が参画しているというところで、排出量の取引については二〇三〇年の削減目標を自主的に設定するというところなんですけれども、実際、この民間投資の促進について、GXリーグの方向についても併せて大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためにそれぞれ企業が目標を立てるわけですが、特に、野心的な削減目標を立ててほしいと思っておりますが、そうした企業が自主的に排出量の取引を行う枠組みであるGXリーグ、これを来年度から本格的に稼働させることは政府の方針であります。

 現在この枠組みに参加表明しておりますのが、日本の排出量の約四割を超える約五百社の企業が賛同企業として表明しておりまして、こうした企業とともにその具体化に向けた検討を進めております。ヨーロッパで行われているのも大体排出量の四割ぐらいということでありますので、ほぼ同じようなカバー率になってくるのかなと思っております。

 既に、先月には、カーボンクレジット市場の整備に向けて、東証でJクレジットの取引の実証を開始をしております。これによって取引価格が公示をされるため、民間投資のシグナルにもなってくるというふうに思います。

 来年度の本格稼働に向けて、今後、流動性を高めて、取引価格を適切に公示していく、リアルタイムでやるのは理想ですけれども、午後一回、朝一回とか、どういう形で公示していくのか、そういったための方策など様々な課題を抽出していきたいというふうに考えております。

 また、このGXリーグでは、企業が、一定の数の規模が集まりますので、カーボンニュートラルを前提として、官民での将来のビジネス機会の対話の場としても活用できると思いますし、また、新しいビジネスを生み出すための国際標準等の策定に向けた、そうした官民での協力したルール形成の場としても活用いただけると思いますので、排出削減をビジネスにつなげ、民間投資を促進することとしております。

 引き続き、このGXリーグを、脱炭素に向けた投資が経済成長と排出削減を実現して、ひいてはイノベーションを実現し、賃金、経済成長、この好循環につながるような枠組みとするべく取り組んでいきたいと思います。

 いずれにしても、企業の技術開発、そして投資を促していくような、そうした施策を経済対策の中でもしっかりと設けていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ビジネスというところで、私、常会は環境委員会やったんですけれども、そこでJクレジット、先ほども出ていましたけれども、Jクレジットについていろいろ質問してきたんです。

 地元の私の地域は中山間地域が多くて、森林経営の観点から、温室効果ガスを削減していくためにこのJクレジットというのは寄与するんじゃないかというふうに考えていった中で、二酸化炭素の排出量の削減や、適切な森林管理、二酸化炭素の吸収量を、クレジットとして国が認証する制度だということを承知しているんですけれども、その制度に参加するに当たって、プロジェクト自体をまず登録する必要があると。さらに、これはデータを取って報告書を作成して、認証申請をして、国のクレジットに認証を受けているという、かなり手続自体が煩雑だなというふうに感じていますけれども、その中で、このJクレジットにおける中小企業の利用を進めようとしているにはどういった取組がされているのか、お尋ねしたいと思います。

木原政府参考人 お答えします。

 Jクレジット制度は、温室効果ガスの排出削減、吸収量をクレジットとして認証する制度でありますが、クレジットの付与をインセンティブとして、再エネ、省エネ設備の導入や、適切な森林管理への投資を促すことを目的としております。

 このJクレジット制度の活性化のために、クレジットの需給両面の拡大を図ることが大事だと考えておりまして、供給面では、多くの中小企業の排出削減活動等、これを一つのプロジェクトとして取りまとめるプログラム型プロジェクトの活用の促進というのを進めております。それから、森林由来クレジットの創出拡大に向けた制度の改正を行っております。

 需要面に関しては、国際航空における排出量取引スキーム、CORSIAというのが始まっておりますが、これへの登録の申請を行っております。それから、GXリーグにおける自主的な排出量取引における活用の検討などを行っております。

 また、取引活性化の観点から、Jクレジットを始めとするカーボンクレジットが価格公示される形で売買されるカーボンクレジット市場の創設に向けて、現在、実証事業を行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁と協力しまして、Jクレジット制度の更なる活用に向けて取り組んでまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 その今の取組の中で、どの程度申請の認証が増えていく、先ほどの答弁の内容でどのように増えていくのか、お考えをちょっとお尋ね、再度したいんですけれども。

木原政府参考人 先ほど、様々な需給両面からの取組をもってこのJクレジットの活用を促していきたいと申し上げましたが、現状のデータを申し上げますと、クレジットの目標は千五百万トンCO2を目指しております。これは現状、順調に毎年、累積の削減量というのは伸びておりまして、足下では六百九十七万トンのCO2ということで増えてきておりますが、引き続き、様々な需給両面の対策をもって活用を促していきたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 先ほどのJクレジットとGXリーグの仕組みですね、これがちょっと、どういう関係になるのかなというふうに認識がありまして、どちらも排出量取引はできるという仕組みだと思います。GXリーグについては大企業中心だ、Jクレジットは中小企業中心ということを伺っているんですけれども、実際、Jクレジットの排出量を進めていく中でGXリーグの両方が存在すること、この意義についてお尋ねしたいと思います。

木原政府参考人 お答えします。

 御指摘ありますように、GXリーグでは、野心的な排出削減目標を掲げる企業が、経済合理的に排出削減を実施する手法として、自主的な排出量取引を行うこととしています。例えば、削減が大幅に進んだ参画企業と目標に向けて想定よりも進まなかった参画企業との間で排出削減価値の取引が行われることで、社会全体としては効率的に目標に向けた削減が進むことが想定されます。

 一方、二〇一三年から開始しておりますJクレジット制度の方ですが、こちらは、温室効果ガスの排出削減、吸収量をクレジットとして認証する制度でありまして、中小企業、自治体、個人を含め、様々な主体による参画が可能となっております。クレジットの付与をインセンティブとして、再エネ、省エネ設備の導入、適切な森林管理の投資を促すことを目的としています。

 GXリーグでは、企業が掲げる削減目標達成に向けて、参画企業間の取引に加えて、目標遵守措置として、Jクレジットも活用を可能とするという方針を考えております。このため、日本のCO2排出量の四割以上をカバーする約五百社の企業が賛同しているGXリーグの稼働によって、Jクレジットの潜在的な需要と創出が拡大するという相乗効果が発揮されるということを期待しております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 先ほど中山間地域の話をしましたけれども、山のサブスクリプションとか、オートキャンプ場であったりとか、マウンテンバイクトレイル、こういうのが山の中に増えていくと、森林経営に進んでいくんじゃないかということを期待しているんです。

 僕の地元の養父市では、マウンテンバイクトレイルを実際、整備をしまして、外部からマウンテンバイカーがこの地域に訪れる、実際、その訪問者も増えているという経済効果も生まれているんですけれども、一方で森林経営を進めて二酸化炭素の削減を進めるとともに、これ自体も中山間地域の経済に寄与していくんだということがいいと思うんですけれども、GXリーグが、様々な企業が参画している中で、森林経営にも入っていっていただきたい。

 GXリーグについて、森林経営が進むかどうかについて、ちょっとお尋ねしたいと思います。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 森林由来のJクレジット、森林経営の新たな収入源となる、今、マウンテンバイクとか、木材を売るだけじゃなくて、新たな収入源になるということで、適切な森林整備が進む。それだけじゃなくて、森林吸収源としての役割を通じてカーボンニュートラルの実現にも貢献するというふうに考えています。

 このため、Jクレジット、森林由来、拡大するため、先ほど手続の話がありましたけれども、例えば、今まで現地で調べなければいけなかったものをレーザー計測によって簡素化する、そんな取組もやっていますし、さらには、主伐後の再造林を推進するクレジットの創出を後押しするための制度改正をやって、今、そういうものを周知して、創出拡大に向けて進めているところでございます。

 一方で、こういった形で森林・林業関係者により創出されたJクレジット、これを企業の方々に活用してもらうということが重要だと思っております。GXリーグも含め、様々なチャンネルを通じて森林由来のクレジットの取引を活性化する、そういう必要があって、今議論になっているGXリーグによってクレジットの需要が拡大することを非常に期待しているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 山の地権者はやはり、個人であったりとか、中小で、小さい団体の方々であるので、先ほどのJクレジットの手続の煩雑さというのは本当に課題になっているので、是非GXリーグとも連携しながら進めていただきたいなと思います。

 次に、円安の進展に伴う国内回帰について、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 資源やエネルギーについて国内回帰を考える時期に来ているんじゃないかなというふうに課題を感じていまして、先ほども養父市、また養父市の話ですけれども、明延鉱山という鉱山がありまして、これは銅のほかにスズ、亜鉛が取れていた。これは昭和六十二年に閉山しているんですけれども、現在は坑道跡見学であったりとか、乗車賃一円で運んだという一円電車というのが体験乗車をできるような観光資源に、今、ここはなっているんですけれども、一方、これは、鉱脈は残ったままになっています。

 銅については、価格が高騰していること、円安が進展していることから、海外から輸入の優位性は低下しつつあるんじゃないかというふうな課題を感じています。一九八七年の銅の価格は一トン当たり千八百円程度であった。現在の六分の一程度だ。他方、一九八七年の為替レートは、一九八五年のプラザ合意の後なので、一ドル百四十五円程度だった。今や円はそれ以上に安くなっています。

 鉱山によって当然コストに違いがあるとは思いますけれども、おおむね水準の為替レートになれば採算が取れるんじゃないかなというふうに感じるんですけれども、特にこの明延鉱山についてお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 鉱物資源、ほぼ全量を海外に依存しておりますので、御指摘のように、国内資源の開発というのは極めて重要な視点だというふうに思います。特に、円安で調達価格が上昇する中でありますので、開発が直ちに可能かどうかというのはありますけれども、国産資源の重要性、相対的に増加をしているものというふうに思います。

 御案内のとおり、これまで国内資源、陸上資源については、JOGMECが実施します探鉱資金貸付けを通じて鉱山の開発に支援を行ってきています。また、本年、JOGMEC法を改正しまして、出資や債務保証、これも行って、国内での選鉱や製錬事業に対しても支援を行えることとしております。

 御指摘の明延鉱山、私は行ったことはないんですけれども、生野銀山は同じように観光資源になっておりまして、何度か行ったことがございますけれども。

 国内の陸上鉱山の開発については、現在、企業の規模を問わず経営が極めて難しい中で、僅か、鹿児島で三か所、鉱山開発が行われているのみというふうに承知をしております。近年、新たな参入などの動きはないというふうに承知をしております。

 ただ、国内資源を持つことは重要でありますので、例えば、海洋でありますが、メタンハイドレートとか熱水鉱床でのレアアースとか、こうしたものの開発は引き続き進めたいと思いますし、何かチャンスがあれば、もちろんこうしたことも進めなきゃいけないと思いますし、あとは、リサイクルによる、いわゆる都市鉱山と言われる、これは昨年の東京のオリンピック、パラリンピックのメダルは全部作ったわけですが、四千個でしたかね。

 いずれにしても、具体的な案件、相談などあれば、しっかりと支援を検討したいというふうに思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 国としても、先ほど大臣に答弁いただきましたけれども、海外からこの資源というのは輸入をしている。その中で、やはり安全保障の観点から様々なシミュレーションをしておく必要があるんじゃないかと思いますけれども、その辺り、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 重要な、鉱物資源を含め、物資については、経済安全保障上極めて重要な位置づけにあるものが多数ございますので、そういったものを国内で調達すること、それから、国内調達が難しい場合に有志国と連携をしてサプライチェーンを構築しながら供給を確保すること、あるいは、いざというときに融通をし合いながら確保すること、そういった取組も併せて進めたいというふうに思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 先ほどの、この明延鉱山がある養父市というのは、御承知のとおり国家戦略特区になっている、農業の国家戦略特区ですけれども。

 これは養父市には限らないんですけれども、先ほどのこの資源、エネルギーについての新たな国家戦略特区の設定をする、こういったお考え、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区制度でございますけれども、これは、先生御案内のとおり、大胆な規制・制度改革を通して経済社会の構造改革を重点的に推進する、そして産業の国際競争力の強化や国際的な経済活動の形成を図ることを目的にしております。具体的には、指定された国家戦略特区において規制の特例措置等を講じることによりまして規制改革を推進していく、こういう制度でございます。

 この国家戦略特区制度では、規制の特例措置に関する提案を随時受け付けております。したがいまして、議員御指摘の資源、エネルギー分野についても、規制の特例措置に関する具体的な御提案をいただければ、関係省庁と協議の上、どういった対応が可能かということを検討していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。是非検討していただきたいと思います。

 最後に、企業の国内回帰、外資の誘致についてお尋ねしたいと思いますけれども、半導体などの国民の生活に欠かせない重要な製品であると思います特定重要物資が安定的に供給されるように、企業の調達を調査する権限を国に与えるという経済安全保障推進法が今年五月に成立しました。

 半導体の安全供給を図ろうとしているんですけれども、七月に半導体出荷が大きく減少したというところで、世界的に半導体不足に今陥っている中で、トヨタであれば月間九十万台の生産をしていたのが八十万台になったりとか、そうした中で、今、台湾のTSMCが熊本の菊陽町に進出して、地価が三一・六%上昇したということも聞きます。

 台湾は、安全保障上、日本と近しいので、九州に近いというところで、九州に進出するとのことで、人口の増加であったりとか消費の拡大が期待できるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、日本維新の会の小野泰輔議員も熊本で副知事をされていたというところですが、産業の発展に尽力されてきた中で、半導体の不足についてどういうふうに対応していくのか、お尋ねしたいです。

門松政府参考人 お答えいたします。

 御質問の半導体の不足ということですので、二〇一九年比で二〇%需要が増えている一方で、供給能力についてはこれまで八%増加にとどまるという調査もございます。

 そういう観点から、経済産業省といたしましては、足下の半導体不足に対しては、令和三年度補正予算において、マイコンやパワー半導体といった不可欠性の高い半導体、これについては国内の製造拠点における製造刷新を支援する補助金を創設いたしまして、今年度末までに生産能力を一五%増強するという形の支援をしているということでございます。

 同時に、大手半導体メーカーへの増産要請や半導体工場の稼働率向上に向けた各国政府への働きかけ等々を行ってまいりますが、今先生おっしゃいました、5G促進法に基づき、JASMの先端ロジック半導体の新工場建設への支援、これを決定いたしました。

 こういった形で、これは足下じゃありませんが、ちょっと先になりますが、そういった形の対応をしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、半導体、もう少し質問したかったんですが、時間になりましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 西村大臣には、もう本当に、私は党内外で窮地にあるときはいつも助けていただいて、ありがとうございます。最近また窮地にありまして、またいろいろ助けていただきたい、こう思っていますので、よろしくお願いします。

 経済産業委員会は、親元というか、ですから、大臣もやりにくいかもしれませんが、私もやりにくいんですが、党の指令で、経産委でやれということですので、質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと、質問じゃありませんが、質問しません、今、遠藤良太議員から国際戦略特区の話がありました。三浦審議官が御答弁されて、入口は開いているからという話でしたが、やはり加計学園の問題以来ですよね、あれは問題じゃないと思っているんですけれども、私は。国会でああいう騒ぎになって以来、やはりこの特区の話はブレーキがかかっていると私は感じています。

 だから、是非、これは大臣に御質問ではありませんが、この経産委でも、あるいは内閣委でも、こういう改革への取組、特区の取組はまたエンジンを吹かしていただきたい、こう願っておりますし、私も力を尽くしていきたい、こう思います。

 今日は、目下の最大の懸案である原発ですね。細田先生いらっしゃいますが、細田さんはとにかく頑張れということですが、私はいろいろまた条件がありまして、決して同じ立場ではありませんが、しかし、今の危機の中で、原発再稼働、大変重要だと思っています。

 八月のGX実行会議でも、大臣が総理の下、方針を打ち出されていますが、まず足下、足下の危機に対する対応、危機への対応ということで、原発十基プラス七基ということを八月の時点で打ち出していただいています。

 私は、これはもう当たり前だと。早く十七基の再稼働、十基プラス七基の再稼働を実現すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、昨今のエネルギーをめぐる環境はもう一変をしたわけでありまして、世界中で、特にヨーロッパはガスが足らない、LNGの取り合いになる、石炭の価格も上がる、石油も上がる、こんな状況の中で、エネルギーの安定供給というものは何より国民生活、産業基盤に必要なわけでありまして、それを確固たるものにしていくことが必要だということであります。将来にわたってこの安定供給を確保すべく、原発、原子力を含め、あらゆる選択肢を追求していく、そういう方針で臨んでおります。

 その中で、八月の実行会議の御指摘がありましたけれども、足下の状況を克服するため、再稼働済みの十基、これの稼働を確保していくことに加えて、既に規制委員会の設置変更許可を受けた七基、これについては再稼働に向けて国が前面に立って対応していく。

 もちろん、避難計画の策定とか、地域の課題に応えていかなきゃいけませんし、地元の皆さんの御理解を得ること、これが何よりでありますので、国が前面に立って、また私も、状況に応じてでありますけれども、是非前面に立って、原子力の必要性などを丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。

 当然、事業者に対しても、緊張感を持って対応してもらいたいし、安全確保の工事はしっかりと進めてほしいということは強く申し上げているところであります。

 いずれにしても、安定供給とそれからGXの両立を推進していくという意味では、脱炭素のベースロード電源である原子力、最大限活用、取り組んでいきたいというふうに考えております。

足立委員 この十七というのは、大臣、これも、地元理解とかもありますから、まだ、やるとかできるとか言えないかもしれませんが、じゃ、できなくてもいいのかというと、そういうことでもないと思うので、大臣としてはこれはやるんだということ、その辺のちょっと感触を、ちょっと言葉を選ばずに教えていただきたい。

 原発再稼働は、私たちというか党としてもずっと早くから、もう二月の段階から提言、三月に政府に提言をお出しし、関連の法律、法律というか適当に書いてあるだけですけれども、そういうのも出して、党として、原発再稼働、背中を押すんだということを明確にしてきました。

 是非、この十七、地元の御理解は本当に必要でありますが、これは国益というか国富の流出を止めるためにも、それから安全保障の観点からも、十七はやはり私は実現してほしい、こう思いますので、ちょっとその辺の言葉を、語尾をちょっと探っていただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 私も説明の際よく申し上げるんですけれども、原子力を一基稼働すれば、おおむねLNG百万トンぐらいが買わなくて済みます。これは日本の経常収支、貿易収支にもプラスになりますし、それから世界のガス需給、これにとっても、緩和していきますので、値段が下がっていくことになります。仮に七基動かせば七百万トン。日本が輸入している、年間使うのが七、八千万トンですから、一割ぐらいが買わなくても済むということで、いろいろなプラスの効果もあります。これは、結果としてそういう効果を持つということでありますが。

 安定供給という観点から、設置の許可ということで、安全性については規制委員会から認定をいただいておりますので、そうしたことも丁寧に説明しながら、そして地元の御理解を得て、是非再稼働に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

足立委員 是非お願いします。

 十足す七、十七プラスアルファはもうないのか、あるのか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から御答弁しておりますとおり、原子力というのは非常に重要なベースロード電源でございますので、安定供給を図る意味でも、GXを進める、これはもう積極的に進めていきたいと思ってございます。

 ただ、これは安全が第一でございます。今、十七基とございましたのは、設置変更許可が取られたものでございます。ほかの炉につきましても、現在、審査を規制委員会の下でなされているものが並行してございます。これはもちろんのこと、安全確保されなければいけませんので、これができ得たものにつきましては、地元の御理解を頂戴できれば、再稼働に向けて取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

足立委員 是非お願いします。十七は当然である。まあ、地元の御理解の下でありますが、十七は当然である。プラスアルファも、努力していくということで是非お願いしたいと思います。

 この八月のGX実行会議のこれは資料でありますが、八ページには足下の危機対応ということで、十ページには遅滞解消のための政治決断と。まさにこちらに本当の意味での政治決断、政治意思ということが関わってくるわけでありますが、この中に、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設と。

 よくマスメディアでリプレースという言葉で議論されることについて、事務的に、リプレースとはどこに書いてあるのかと普通に問うと、開発、建設のところにあるのであるという御説明をいただきましたので、まさにこの次世代革新炉の開発そして建設というところでリプレースということが、この八月の段階で、内閣として、まあ検討というのが後ろについているのかもしれませんが、初めて、初めてというか、以前は、幾ら国会で議論しても、いやいや、規制委員会がという答弁しか、あるいはエネルギー基本計画がという答弁しかなかったのに対して、大きな前進であると敬意を表したいと思っていますが、この革新炉というのがちょっと腑に落ちないというか。

 せっかくの機会ですから、まず、リプレースに関する見解、大臣からお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、八月のGX実行会議におきまして、私から原子力について、新たな安全メカニズムを組み込んだ今御指摘の次世代革新炉の開発、建設などについて検討項目を示しまして、総理からこれらの項目について検討加速の指示があったところであります。

 まさに中長期でのエネルギー安定供給に向けた構造的対策として、原子力についてもあらゆる選択肢を排除せず検討を進める方針でありますので、その意味で、リプレースを排除しているわけではありません、リプレースについても検討を進めていくということであります。

足立委員 ずっとお願いしていたことが大きく踏み込んでいただいているということで、これも敬意を表したいと思いますが、そのときに、いわゆる軽水炉はこの革新炉に入るんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 GX実行会議の下で、大臣の方から御報告申し上げましたこの検討の中身でございます、次世代革新炉という形で書いてございます。これは、最近の軽水炉、安全なメカニズムを導入するということで、例えば、半地下の構造になっておりますですとか、コアキャッチャーがつけられて溶融した際の対応が取られているですとか、パッシブな、要は受動的に安全確保できるようなシステム、様々な安全メカニズムが組み込まれている次世代型の設計になっているものでございます。

 その他にも、SMRですとか高温ガス炉ですとか高速炉ですとか、多々、革新系の炉というのはあるわけでございますが、今御指摘がございました軽水炉の革新のもの、こういったものも含めまして、革新的な技術を実装する原子炉のことを次世代革新炉と整理いたしまして、その開発、建設について検討を進めているところでございます。

足立委員 高温ガス炉とかSMR、それはよく分かるんですが、それは我が党も申し上げてきたし、それはやったらいいし、やらない理由がないですが、問題は軽水炉ですね。

 今御指摘があったように、軽水炉だってどんどん安全なものが開発され、全然、今おっしゃったようなものはすぐ建設できるはず。要は、次世代じゃないんじゃないですかね。次世代というか、今稼働しているものよりは能力は高い、より安全である。でも、それはいわゆる次世代でもなければ革新でもなくて、もう今そこで、メーカーは、しっかりと政府が背中を、ちゃんと環境を整備すれば、私はすぐできると。

 だから、四十年、六十年とか、そういう延長の議論もそれはしたらいいけれども、やはり軽水炉のリプレース、それは将来のことではなくて足下で、今ある技術、今ある最新鋭の原発についてリプレースが視野に入っているんだということ、これ、まず。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 安全なメカニズムが取り込まれた次世代革新炉の開発、建設ということが検討の項目になっているわけでございます。

 ですので、ここで申し上げたいこと、取り組まなきゃいけないことというものは、原子炉の開発と建設ということについて、次世代のものを追いかけながら、それの建設に向けて取り組んでいくということかと思います。そのことでは、従来型の炉とは、要は、先を追っていかなきゃいけないわけでございます。従来型のもののままでいいとは思ってございません。

 ただし、これには段階がございます。時間軸の中でできる限りの革新性を求めていきながら、原子力の導入が可能なものかどうかということを検討していくということかと思っております。

足立委員 ちょっと、よく分からないな。松山部長におかれては、そういう答弁になると思いますが。

 大臣、これ、だから、非常に政治的に微妙なので分かりますが、大体、自民党はやはりはっきり言わなさ過ぎるんですね。処理水の海洋放出に何年かかっているんですか。早く決めればいいのに。いや、ごめんなさい、いろいろ地元、御苦労あると思いますが。だって、それは国のため、地域のために早くやろう、安全のために早くやろうと言ってきたわけでしょう。でも、時間がかかっているんです。

 今の話も、革新炉というんだけれども、中小企業庁は革新何たら何たらという補助金をいっぱい出しているじゃないですか。革新というのは今あるんですよ、そこに。あるけれども、まだ使えていない。その企業にとって、その地域にとっては古い原発を使っている。当初決めた年限が来たら、場合によっては、選択肢として、今可能な、今既に技術的に可能な軽水炉について、より安全性が高いわけですから、その建設というリプレースは今ある原発についても視野に入っているんだ、やはりそういうふうに言わないと。ねえ、細田先生、うなずいていただいております。

 大臣も是非お願いします。

西村(康)国務大臣 まず、意思決定、政策決定に当たっては、政権与党として責任を持って、政府・与党として責任を持って進めていかなければなりませんので、関係者の理解も得ながら、また、国民の理解も得て進めていくということで、一定の時間がかかるということは是非御理解をいただければと思いますが。

 しかし、維新がいつも思い切ったことをされるように、言葉を発言されるように、主張されるように、我々も未来に向かって、やはりスピード感を持ってやらなきゃいけないときはやらなきゃいけないということだと思いますので、そういうことも頭に置きながら対応したいと思います。

 私も実は、神戸の三菱重工の次世代革新炉と言われる軽水炉の様々な安全装置を組み込んだものの一部、見させていただきながら、また、視察もさせていただきました、説明も受けました。その中の一部のコアキャッチャーなどは、中国で今一部、フランス製のものが稼働しておりますが、まだ世界でこれが一般的になっているわけでもありませんし、それ以外のものについて、重工としてはこれからまだ数年かけて開発をしていくということですので、そういう意味で、私ども、次世代の革新炉、軽水炉もその一つかというふうに考えております。

足立委員 また取り上げたいと思いますが、数年というお言葉がありました。とにかく足下で、もうそこは見えているわけですから、しっかりとお金が回るように、民間資金がしっかり回るように、予見可能性を持って民間にロードマップというか、そういうものを示していっていただきたい、こう思います。

 最後五分、原発から離れて、電気料金でございます。

 負担軽減に向けた具体策はまだ議論中ということで、問いは立っているんですが、電気・ガス料金の負担軽減に向けた具体策について、検討状況を教えてください。大した答弁ないですよね。五分しかないので、あっさりとお願いします。

西村(康)国務大臣 それぞれの需要家、世帯も含めて、家庭での料金システムを活用しながら、分かりやすい形での負担軽減策を考えております。来年春以降の負担増に見合うような、対応できるような金額、支援ということで、具体的な制度設計の詰めを急いでおります。

足立委員 私がここで議論したいことは、電気料金が上がったから負担を軽減する、ガソリンもそうでしたから、それはやるべきときにはやらなあかんのですが、一方で、特殊なもう一つの問題があります。それは需給逼迫です。だって、需給逼迫しているんでしょう、電気の。だから、この夏も一生懸命やっていただいている。冬に向けて懸命にやっていただいている。来年の夏に向けて、原発再稼働していくことを検討していただいている。逼迫しているわけですよ。

 需給が逼迫しているときに価格を下げるというのは、需要を増やすわけですから。今日、省エネの議論もずっと、こういう話をすると、いや、省エネもやっていますと言うんですけれども、そもそも、よく公明党、あっ、委員長、お世話になっております。よく公明党の皆様は、目に見えるようにとね、中野先生。目に見える、選挙のためにはそれが大事ですが。あっ、そういう面もあるということで。

 ですが、大事なことは経済ですよ。経済が壊れないようにするということでは、電力、ガスの料金を下げるということも、激変緩和みたいなことは必要かもしれないけれども、私も地元で聞くと、みんな、下げてほしいんだけれども、このままでは利益が吹っ飛ぶ、大変だ、潰れると。しかし、だからといって、もちろん電気も下げてほしいんだけれども、自分たちの事業、中小企業なんかだと、中堅企業でもそうですが、どこで一番電気を食っているかさえ俺らはよく分からないんだと。そういう、電気ですから。古い設備もいっぱいある、どの設備を更新したら一気に電気代が下がるのか、そういうこともよく分からないんだ、助けてくれということをよく聞きます。

 だから、このとき、今大事なことは、電気料金、ガス料金を下げることも大事ですが、何かそれ一辺倒じゃなくて、需給逼迫ということも念頭に置いた制度設計。与野党の議論の中にそういう観点がある、本当は公明党はそういうことを、中野先生、やはり言わなあかんと思うんですよ、そういう大事なことを。

 需給逼迫にちゃんと対応できる形での国民生活あるいは事業の下支え、これが大事だと思いますけれども、いかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、一般論で言えば、価格が下がれば需要は上がるということでありますけれども、もう既に電気料金、家庭でも二割、産業用は特に三割ぐらい上がってきて、自由料金の人はもっと上がっている人もいますので、なかなか大変厳しい状況にあります。

 したがって、これから春以降想定される値上げ分を対応する支援を行ったとしても、それなりの高い価格でありますので、しかも、それ以外のいろいろな、食料品とかいろいろなものも上がっておりますから、各世帯も、私は、引き続き節約というか、いろいろ抑えていこうという気持ちは継続するものというふうに思いますので、これで支援したからといって、電気をもっと使えということにはならないのではないかというふうに思っております。

 と同時に、あわせて、まさに未来に向かって、将来に向かって、いろいろなこういう危機が起きても、それに強い構造にしていかなければなりませんので、省エネ型の設備を入れるとか、あるいは産業構造を変える、あるいはデジタル化をして効率化をする、そういったことを含めて、様々なそうした革新的イノベーションの取組を支援をしていきたいというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 時間が来たので終わりますが、まさに今、食料の話も出ました。やはり今、自民党、政府・与党に求められているのは公正な運営です。だから、特定の品目だけ声が大きいからとか有権者が騒ぐからということではなくて、公正公平な形で国民生活、事業を支えていただくようお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 午前中、中野委員、そして午後も、鈴木委員も価格転嫁の話をされていました。そのほかの委員の方々も価格転嫁についても触れられておりましたが、私も、既にいろいろ質問されておりますけれども、この点について今日はお伺いしたいと思っています。

 物価が高騰するのに、これにつれて当然賃金も上がっていかなきゃいけないんですが、なかなかここが上がってきていないというところが、まさに今我々が抱えている非常に大きな問題だというふうに思うんですけれども、最初に、一点目に、ちょっと私の経験からも申し上げたいことがあります。

 例えば、私もコンサル会社なんかにもいたので、お客さんに対して提案をする業務というのがあります。これは、コンサルが例えばシステムを提案するとか、あるいは、設計会社が例えば新しくビルを建てるときの設計図を作って、そして積算をして、スケジュールも作るというようなことがありますけれども、こういった業務というのは契約行為ではないんですね、契約は受注してからの話ですので。

 そういう意味だと、結構、作業としては大変な積み上げがあるんですね。例えば、営業がそれに向かって提案書を作成する、あるいはお客さんとの折衝を行う、そしてデザイナーも手を動かす、また積算もする、CGなんかも今作れなんということはありますから、結構、ビルを一個建てるというふうになると、その提案業務だけでも百万を優に超えるみたいなことだってあります。これは契約ではないので、そこに関しては何も、お金も発生しない、権利義務も発生しないということなんですけれども。

 こういったことで、日本が今一般的にどういうことが行われているのかというと、私の経験だけではなくて、恐らく、このお話をお聞きになっている民間の方だったら非常に痛感をされていると思います。例えば、企業の担当者、発注をやる担当者が、七社コンペとか十社コンペというものをやります。そのときに、例えば一回に百万近い経費をかけて提案をする、でも勝てるのは一社だけだということですと、例えば、残りの数百万円分ぐらいの経費というのは、何の利益も生み出さずに消えうせてしまうというようなことになります。

 こういったことで、公正な、サービスをちゃんと評価をして、価値を認めて、そしてちゃんと中小企業を中心に利益が上がるようにしていくというのは、サービスを評価する公正な市場というものは日本には私は欠けていると思うんです。ところが、外資系ですと、外資系の例えば企業が日本でオフィスを造るとかいろいろな設備を造るときに、結構コンペ代を払ってくれたりとかするんですね。

 ちょっとこれからのお話、価格転嫁というお話にもつながるんですけれども、そうやって、日本の商慣習というのは、サービスに対して適正に評価をしてお金を払うということができていない社会だというふうに私は思うんですけれども、公取委にちょっとお伺いしたいんですね。こういった観点から、サービスを契約をしている、していないというところで、ちゃんと正当に評価するというところに対して相談を受けたり、あるいは制度がもしあるんだったら、まあ、ないと思うんですけれども、その点についてちょっとお答えいただきたいんですけれども。

品川政府参考人 公正取引委員会が所管しております独占禁止法と下請法の観点からお答えを申し上げます。

 今おっしゃられたような業務委託のコンペでございますけれども、参加する、参加しないという段階で選択ができるということになっておりますし、コンペ参加行為自体を委託という形で見るのは困難だと考えておりますので、それを発注行為であるというふうに見るのは難しくて、下請法の適用はないと考えております。

 また、独占禁止法の優越的地位の濫用との関係でございますけれども、これも、コンペの主催者と参加者の間にそのコンペとは別の継続的な取引関係があって、そこで何か優越的地位があるということであれば話は別ですけれども、基本的に、コンペ参加行為自体に独占禁止法を適用するということは困難であると考えております。

小野委員 公取委としては予想どおりの答弁かなというふうに思うんですね。当然、契約もありませんし、そして、コンペに入るかどうかというのも自分の判断でしょうというのは分かるんですけれども、ただ、やはりビジネスチャンスを広げるためには、それは、私も営業もやっていた、自分もありました、コンサルで何千万上げろみたいな目標も持っていましたから、そのときに、やはり、入らなきゃいけない、参加しなきゃいけないということもあるんですよね。

 ですから、別に公取委に何とかしてくださいと言うつもりは全然ないんですけれども、ただ、私がここでやはり指摘をしておきたいというのは、人が汗水垂らして、そして成果物を何か出してきたときに、それをちゃんと公正に評価するような社会に日本もしていくべきなんじゃないのかということなんです。

 もう一つ例を申し上げれば、これは、例えばパンフレットとか、それから様々なカタログを作るとか、そういった業務を、結構、出版というか、広告制作物とか、いろいろそういう制作をする会社がやっていらっしゃいます。

 例えば、私も実際の例を聞いたんですけれども、ある中央省庁のリクルーティングのカタログを作るという業務がありまして、これをコンペをするということになったんですけれども、この担当者が本当にとんでもない人だったんですが、成果物を全部作ってそれでコンペするというんですね。つまり、必要な材料を全部渡して、そして、例えば何々省のリクルーティングのカタログ、これだけうちの省庁は働きやすいですよみたいな、そういう募集をするカタログを、これを完璧に各社に成果物を作らせて、それでその中から選んだというような事例があって、私は、本当にそれはひどいねと思ったんですね。

 やはり発注する側も、礼儀とか、あとサービスに対する尊敬とか、あと価値をちゃんと評価するというようなことが、これは役所だけではありません、民間の大手企業とか、全て、発注する側の意識というのが非常に大事だと思うんですけれども。

 こういったことが、これは是非、そういう意味では、どこの省庁というのは私はあえて言いませんけれども、全ての発注を担当するような職員の方あるいは大企業の皆さん、本当に心して、やはりそういったことが続いていけば、結局、付加価値を生まないような仕事ばかりやって、それで日本の生産性が低いということにもつながってしまうんだというふうに思いますので、是非、これは大臣の別に所管でも何でもないと思いますけれども、この後の価格転嫁対策というところにもつながる話だと思いますので、ちょっとそういうお話を、西村大臣、お聞きになられて、どういう御所感をお持ちかということをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 今、小野委員御指摘のあった、どこかの省庁でそういう案件があったということで、まさに事業者の負担で、しかも最終製品まで全部作らせておいてということでありますので、これはかなりの負担になっているものというふうに思いますし、通常、中堅・中小企業が入札に応じているんじゃないかと思いますので、そういう意味では、そうしたことを改善をすべきだと思いますので、また、私どもも各省庁ともそういった点も連携したいと思います。

 その上で、私もよく聞くのは、図面を出させておいて、それで、いい図面があるから、それを発注はしないにもかかわらず、それだけいただきということで、ほかに回してやるという、いわば知財、知的財産を盗んでしまうような、盗用するような、そういうケースもあるというふうに、私、中小企業の取り組んでいるときにそんな話も聞きました。

 でありますので、できる限り中小企業側の負担を小さくしながら、しかし、その中に創意工夫があり、その知的財産もしっかりと確保してあげながら、そうした取引関係、さらには公的な受注も含めて進めるように、取り組めるように、我々としても対応したいというふうに思います。

小野委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に、そうやって一生懸命やっているものを、先ほどおっしゃったような、アイデアだけもらっちゃうみたいな例は、ちまたには結構よくありますよね。こういうのが実は日本の中ではかなり横行していて、ここに対して、先ほど答弁もありましたけれども、なかなか公取委は、その辺、別に入っていくわけでもないんですね。

 ただ、やはり、日本のビジネスの環境そのものをもっともっと、先ほどから申し上げているように、ちゃんと正当な、付加価値とか、それから知的財産とか努力とかというものを評価をする、そして、それに対しては対価をちゃんと払っていくというようなことを、これは私もどうやればいいのかというのは全然今思い浮かばないんですが、ただ、是非、ここにいらっしゃる委員の皆様方も含めて、そして大臣も、あと公取委も、やはりそういう意識を共有していただくことが、これが日本の付加価値とか生産性を上げていくために非常に必要だというふうに思っておりますので、まずそのことをちょっと申し上げておきたいなというふうに思います。

 その上で、そうやって付加価値を上げていくというようなことを認めていくということにプラスして、価格転嫁を、じゃ、どういうふうに進めていくのか。先ほどから各委員の皆様からも御質問もありましたので、重複するところも多少はあるのかもしれませんが、私の方からもお伺いをしたいと思います。

 中小企業の適正な価格転嫁、これはどういうやり方をやっているのかというと、今日も来ていただいておりますけれども、公取委というような非常に強力な権限を持った官署が取り組んでいるということもある一方で、もう既に出ておりますけれども、中小企業庁の方からも下請Gメンというものを運用されている。しかも、これは萩生田大臣のときに、令和四年度から、百二十名から二百四十八名ということで倍増させて、下請Gメン、増強を図っておられるということなんですけれども、この下請Gメンのちょっと中身について、余り詳しく説明されていないというようなこともありますので、まず、下請Gメンというのはどういう職員で構成されているのかということをお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありました、いわゆる下請Gメンでございますが、親事業者との取引や交渉など、下請事業者にとっての企業秘密を取り扱う者でございます。さらに、中小企業から情報を正確にヒアリングするために、多種多様な業種の企業間取引に関する知見を持っていただくことが重要でございますので、形式としては、守秘義務がかかる非常勤の公務員という形で、電機メーカーや、例えば、あと情報通信業、金融業などなど、多様な民間企業からの御出身者であって、さらに、調達、営業部門などの実務経験を有している方々を広く採用させていただいてございます。

 御指摘ございましたように、最近倍増いたしまして、二百五十名の下請Gメンを配置して、年間一万件を目指してヒアリングを実施し、それを使って業界団体や個別の事業者への働きかけを行っている、こういうことでございます。

小野委員 そういうことで、バックグラウンドとしては企業の発注者側にいらっしゃった方が把握するというようなことで、そういう意味では、買いたたかれている方の痛みを、しっかりと研修なんかでこれを身につけていただくというようなことも非常に大事なことなんだろうと思います。

 そういった下請Gメンが頑張られているということなんですけれども、よく、下請Gメンに相談してくださいよというようなパンフレットを私も何種類か拝見をいたしましたが、その中にこう書いてあるんですね。秘密保持を前提として発注者側に伝えるということになっているんですね。そこはやはり担保しておかないと、なかなか、注文を受ける側としては、やはり怒られちゃったら困るなというようなこともあるわけなので、当然書いてあるわけなんですけれども。

 ただ、やはり、秘密保持を前提として発注者側に伝えるというのは結構難しいことなんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、これはどうやっているのか、そして、そのように、本当に秘密保持をやっていますよと言いながら、効果がちゃんと上がっているのか、このことについてお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まさに中小企業の方にとっては、いろいろヒアリングをされて、その情報が変な形で親元に、ある種、身ばれしてしまわないかというか、ばれてしまわないかということを御懸念するわけでございまして、まさにそういうことがないように、細心の注意を払って下請Gメンの仕事をしていただいているところでございます。

 具体的には、まず、情報提供元の下請事業者の情報というのは必ず匿名化いたします。それから、一者だけの情報ということではなくて、同種の生声というのが複数あった、こういうものがあった段階で、先ほどの匿名化をして、その親事業者や業界団体の方に情報提供をする。

 これによって、この効果ということでございましたが、今日出てきております、毎年九月、三月の価格交渉促進月間のフォローアップの結果で、転嫁の状況がよろしくない親事業者の方の指導助言にまさにこのGメンの情報を活用してございます。それから、所管省庁によるガイドライン、これはいろいろな縦割りの産業がございますが、ガイドラインを作っているものがございます。それから、業界団体の中で自主行動計画を作ってございますので、こういうところに、いろいろな声があるよ、問題があるかもしれないよということをしっかりフィードバックをして改善していただく。こういったところで効果を上げているというふうに考えております。

 特に、価格交渉促進月間の結果に基づく指導助言ということについては、まさにその指導助言をした後に、親事業者の中で、下請事業者に価格交渉を申し出てくれるよう例えば調達本部長名でしっかり依頼をされるとか、こういった事例も出てきておりますので、地道だという御指摘も受けますけれども、しっかりとこういう取組を拡大していって、いい好循環というのをするように、それによって価格転嫁が進むようにやっていきたいと思います。

小野委員 詳しく答弁いただきましたけれども、この九月もやっているということで、その評価、その結果というのもしっかり見ながら、更に充実をしていただきたいなというふうに思います。

 そこで、やはり公取委の役割なんですが、この下請Gメンとの違いとかそういったところ、より強い権限があると思うんですけれども、これをいかに認識しているかということをお伺いしたいと思います。

品川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど中企庁より説明のありました下請Gメンは、主に情報収集の役割を果たしていただいているというふうに理解をしておりまして、それに対して、公正取引委員会は、先ほど先生がおっしゃられましたように、調査の権限もございますので、事実を認定をして、それを適正な転嫁の促進に生かしていくという立場であると理解をしております。

 公正取引委員会としましては、昨年末に政府全体で取りまとめられました転嫁円滑化施策パッケージというのがございますので、これに向けまして、公正取引委員会の常勤職員である優越Gメンというのがおるわけでございますが、これらを活用しまして、独占禁止法の優越的地位の濫用に関する十一万件の緊急調査、それから、下請法上の重点的な立入調査、それから、法違反が多く認められる業種に対する自主点検の実施の要請というようなものを積極的に取り組んでおります。

 それから、更に踏み込んだ対応としまして、今後、緊急調査等の結果を踏まえまして、転嫁拒否行為を行っている事案について、独占禁止法に基づき企業名を公表するというような取組も予定をしております。

 さらに、独禁法や下請法上問題となる事案につきましては、命令、警告、勧告など、これまで以上に厳正な対応を行ってまいりたいというふうに考えておりまして、このような取組を通じて、適正な価格転嫁ができる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

小野委員 こちらの方が本当に、まさに本物のGメンといいますか、強力な権限を持ったGメンだと思いますけれども、両方、それぞれの与えられた職責で、価格転嫁が進むというような形で効果的にやっていただきたいと思うんですが、そこで、大臣に最後、お伺いしたいと思います。

 先ほど、下請Gメンの方では情報収集が主なんだ、そして、その情報をうまい形で、下請の方々が傷つかないように発注主の方への改善を図るということでございますけれども、やはり、そういった情報を持っているのであれば、これは、公取委とそれから中企庁との連携というものをどうやっていくのかというのが非常に大事だと思います。この点をお聞きすると、ちょっともごもごっとした感じも私は感じられたんですが、ここは大臣に、最後、お答えいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、私ども自身として、今回、九月が価格交渉促進月間でありましたので、そのフォローアップで十五万社、下請企業調査をいたします。そこで、うまく転嫁ができていない事例については、下請法の振興基準に基づいて、親企業側に指導助言を私どもとしてもやっていきたいと思っております。

 あわせて、様々な情報、下請法違反が疑われる事案を把握した場合には、これは先ほどの下請Gメンもいろいろな情報を収集してくるわけでありますので、そしてフォローアップ調査もあります。そうした中で、そういう事案が出てくれば、速やかに公取とも情報共有し、厳正に対処をしていきたい。

 公取は、転嫁拒否の事案に対して企業名を公表するという強い方針を既に打ち出されておりますので、私どもとしても、特に中小企業庁、しっかりと公取と連携して、政府として、交渉、転嫁がしっかりと進むように取り組んでいきたいというふうに思います。

小野委員 ありがとうございます。

 たてつけも違う組織ではありますけれども、ただ、情報の共有はしっかりやっていただきたいと思います。人材も行ったり来たりしているということもお聞きしましたので、その意味ではスムーズに行われるというふうには思っておるんですけれども。

 やはり、目的は同じなんですね。価格転嫁をちゃんとできる、そして、私が冒頭に申し上げたような、働いている付加価値をちゃんと評価をして、そしてそれを経済発展にもつなげていくというような仕組みづくりを、これは本当に、この一番厳しいときに徹底してやっていく必要があると思います。件数も、本当に気合が入ったような調査件数を公取委もそれから中企庁もやっているということでございますので、それを生かしながら今後の改善に頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 西村大臣は、所信の中で、いわゆるGX、グリーントランスフォーメーションを進め、再エネ、原発を強化するためのあらゆる方策を検討するとして、原発の再稼働を進め、運転期間の延長、次世代革新炉の開発、建設などについて、年末に向けて議論を加速するという旨を表明されました。

 そこで、まず大臣に伺いますが、既に、岸田総理を議長、そして西村大臣と官房長官を副議長ということで、GX実行会議が開かれております。岸田総理は、十月二十四日の参議院予算委員会での我が党の岩渕友議員の質問に、この会議で年末に向けて有識者に議論していただきたいということを繰り返し強調されて答弁されました。

 そこで伺いますが、この有識者十三名の人選というのは、誰がどのように行ったんでしょうか、大臣。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、GX実行会議でありますが、化石燃料中心の今の経済社会、産業構造を脱炭素型に転換するGXを進めるために必要となる施策、あるいはその進める上で大前提となるエネルギーの安定供給を再構築するための施策を議論する場であります。

 こうした議論を進める上で必要な御経験、御知見のある方が有識者として参画をしておられます。

 具体的には、国際政治、日本経済の学識経験者、電力、化石エネルギー産業、地域やグローバル金融、エネルギー多消費産業、そして大企業、中小企業など産業界、それから労働者や消費者といったそれぞれの分野、各分野から、GXを進めるために必要となる方策に関連する御経験、御知見を持っておられる方をバランスよく選定されたものというふうに考えております。

 詳細な参画の経緯については、これは人事に関わることでありますので、コメントは控えたいというふうに思います。

笠井委員 人事に関わるということでありましたが、関係省庁間でこれは協議したわけですよね。そうすると、人選過程を記録した文書というのはあるんでしょうね、当然。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 既に資料提供の御依頼がございまして、お出ししておると思いますけれども、残された文書はお出ししたとおりの文書でございます。御提出させていただいている文書のとおりでございます。

笠井委員 それ、出ていないんですけれども。

飯田政府参考人 記録というか、今残っている記録ということで、起案の経緯ですとか、それから、中で決裁を取った文書をお出しをして、これが、今把握している文書でございます。

笠井委員 私が聞いたのは、人選に当たって、今大臣が言われた、バランスよくと言われたけれども、どういう議論をして、どういう人選にしようかねということについて記録があるかと言ったけれども、そのことについては一切ないんですよ。

 選定した有識者に対する参加依頼と承諾書というのはありますか。

飯田政府参考人 参加依頼の連絡の資料もお出ししておると思いますけれども、それぞれの委員に御依頼文書というのを出させていただいたものは御提出しておるところでございます。

笠井委員 私、これは国会で質問しているので、きちっと、既に渡してありますみたいな話で済ませてもらったら困るんですが。

 内閣官房に、有識者から返送された承諾書の提出を求めたんですけれども、個人情報だからということで、これについては提出を拒んでまいりました。

 有識者から返送された実名入りの承諾書というのはあるんですか。

飯田政府参考人 大変失礼いたしました。

 お出しいたしましたのは、それぞれの委員宛に承諾依頼の文書をお出しさせていただいております、これはございます。

 返信の文書はございますけれども、個人情報が含まれているものですから、御依頼があったタイミングでは、それを理由にして、お出しをできないということでお答えさせていただいております。

笠井委員 氏名が個人情報ということなんですかね。この承諾書というのは、年月日と、それから氏名を書くだけです。個人情報といったって、年月日と名前ですから、これはそういう意味では、有識者はもう氏名が、選ばれた後は公表されているわけですから、個人情報といったって、そんな秘密でも何でもない。

 なぜ出せないのかということなんですけれども、なぜ出せないんですか。

飯田政府参考人 これは個人の方が手書きで書いていただきまして、筆跡があるもので文書ということなものですから、私どもとしてはお出しできないというふうに回答させていただきます。

笠井委員 これは、だって、ちゃんとやり取りした公文書ですよね。筆跡があったら出せないんですか、これ。本当にそんなふうになるんですか。

飯田政府参考人 例えば印影なんかがあるものは黒塗りにして出す場合もありますけれども、それは私どもとしてはお出ししていない状況でございます。

笠井委員 いや、どうしてもそんなことでこだわるんだったら、黒塗りにして、名前のところ、あるけれども、でも、そんなことは聞いたことがありませんよね。ちゃんとそうやって国が依頼をして承諾をするとした文書について、日にちと氏名を書いてあるだけなのに、それは出せないと。

 本当にこの承諾書というのはちゃんと受け取ったんですか。

飯田政府参考人 大変申し訳ありません。必要なところは黒塗りをして、御提出させていただきたいと思います。

笠井委員 ちょっとこれは本当におかしな話で、こういうのが透明でなかったらおかしいんですよ。だって、総理がこうやって有識者に聞こうといってやっている話でしょう。そういう形で人選過程も議論の過程も明らかでない。それで、依頼はしたけれども、承諾書については出せないといって、今、ようやく、黒塗りにしたものを出すみたいな話になったけれども。

 じゃ、有識者の承諾を得て、最終的にこのメンバーにしますという決裁文書というのはあるんですか。

飯田政府参考人 決裁した文書はございます。それぞれ、しかるべきルートを通って、決裁を取っている文書はございます。

笠井委員 どういう文書ですか。

飯田政府参考人 それぞれ、これは内閣総理大臣決定でございまして、会議の設置趣旨、それから関係閣僚の名前、それから有識者の名前が載っている文書について決裁を取ってございます。

笠井委員 それは最終的な決裁の文書ですよね。

 誰が具体的にどういう基準で選定したかの検討経過も全く分からない、国会で聞いても言わない。必要な、検討結果にふさわしい見識を持っているかも分からないし、議論した形跡もない。しかも、有識者から実際に返送された承諾書も提出されなかったわけですが、本当に相手に実際にやり取りして承諾を得たのか、真偽を確かめるすべもない。そして、人選について、そのものについては最終決裁文書についてもない、全体はありますと言われましたけれども。

 有識者選定については、大臣、これはバランスよくとか、いろいろな各分野と言われたけれども、結局、最初に結論ありきで、経産省に都合よく人選したので、関係省庁による議論の経過を記録した文書もなくて、そして、有識者による承諾書もないのではないか、こういう疑いさえ出てくるわけですけれども、大臣、こんなやり方でいいんですか。こういうのをすっかり、すっきりやったらいいと思うんだけれども、何でできないの。

西村(康)国務大臣 まず、構成員については、関係省庁、これは内閣官房、経産省、財務省、環境省などと議論の上で、それぞれ、御経験、御知見をお持ちの方が選定をされているということであります。

 これ以上の回答は差し控えたいと思いますが、この選定の透明性については、平成十一年に定められた審議会等の整理合理化に関する基本的計画、これも参考にしながら、この有識者の構成が、この会議の設置の目的、趣旨に照らし、有識者に代表される意見、学識、経験等が公正かつ均衡の取れた構成となるよう留意するなど、透明性の確保に努めてきているところであります。

 今御指摘の様々な文書などについては、行政文書の取扱いの中で、きちんとルールにのっとって対応しているものというふうに承知をしております。

笠井委員 関係省庁の議論の中で選ばれたというんだったら、どういう議論をしたのか、国会でただしたら、きちっと出したらいいと思うんですよ。詳細な議論と言うけれども、記録があるはずですから。記録がなくて、日常の業務の中で、じゃ、これでいいかねみたいな話じゃないはずで、そんな行政をやっていたら大変ですよね。

 じゃ、伺いますけれども、第一回のGX実行会議が開催されたのは今年七月二十七日の十四時、午後二時でありますが、そもそも内閣官房が有識者に会議参加の承諾依頼を発信した、これに参加してもいいですよというお願いをしたときの依頼を発信したのはいつですか。

飯田政府参考人 発信の日付は、お出しした資料の発信の日付は同日付になってございます。

笠井委員 七月二十七日。会議が開かれた日に、参加してくださいねというお願いをしたと、元々、この会議の有識者として。

 じゃ、伺いますけれども、有識者が承諾書に名前を書いて内閣官房にメールで返信する期限というのはいつになっていますか。

飯田政府参考人 済みません、現時点で把握しておりませんので、確認させていただきます。(笠井委員「いやいや、ちょっと駄目です、それじゃ。ちょっと確認してください。もう既にやり取りしていますよ」と呼ぶ)

竹内委員長 確認できますか。飯田室長、答えられますか。

飯田政府参考人 申し訳ございません。ちょっと今確認していますので、少し、お許しください。済みません、事実関係などについて事前に御通告をいただいていなくて。済みません、大変申し訳ございません。(笠井委員「いただいていますって。やり取りしていますよ、ちゃんとレクで。駄目ですよ。じゃ、止めてください」と呼ぶ)

竹内委員長 では、時計を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 飯田室長。

飯田政府参考人 済みません。確認に手間取りまして、本当に大変申し訳ございません。

 今確認できた範囲では、当日の十四時までに返事をいただくということで手続をしております。

 それから、もちろん、出した日が二十七日でございますけれども、内々の口頭で御了解を取って、委員の方と手続をしていたということもあるようでございます。

笠井委員 内々で口頭依頼と言いますけれども、人選を決めて、それはこの人ですねという話で、決裁がありますと言ったけれども、それだって、結局、まとめて後でやったわけでしょう。

 それで、その日に、じゃ依頼を出して、その日のうちに返事を下さいね、そしてその日に出席という話ですか。七月二十七日ですよね。そこも同じ日と。

 じゃ、GX実行会議の開催そのものを決めた、さっき室長が言われた、総理決裁というのはいつですか。

飯田政府参考人 七月二十七日付で決裁を終了しております。

笠井委員 だから、全て七月二十七日でやって、一気にやっちゃったんですよ。

 そして、第一回GX実行会議には、多忙な有識者十三人の方々、各界の方々が全員出席をして、しかも、経団連会長を始めとして五人の方が、何と資料までその日に提出されているんですよ。同じ日にここまでできるなど、余りに不自然じゃないかと思うんですね。

 大臣も不自然だと思われると思うんだけれども、大臣、総理肝煎りでGX実行会議が開かれて、そんなトップダウンのものなのか、あたかも適切な手続を経て各界の有識者にバランスよく来てもらって議論してもらうかのように見せかけているだけじゃないかと言われても仕方がないと思うんだけれども、大臣、率直にいかがですか。

西村(康)国務大臣 恐らく、今、少し室長、局長から答弁ありましたけれども、事前に電話なりメールなりでやり取りもしながら、正式な文書の決裁というのは、恐らく、ばたばたする中で当日になったのであろうと思われますけれども、しかし、事前にしっかりと連絡をしていたからこそ、日程も都合をつけていただいて出席をいただいたということでありますので、当時、まだ私は大臣ではありませんでしたけれども、しっかりと事務はしていたんじゃないかなというふうに思います。

笠井委員 人選の決裁をしないで、事前に根回しして、お願いするかもしれません、よろしくねと話をやっちゃって、後で人選決裁が駄目になったらどうするんですか。総理がこの人駄目よとか、あるいは、大臣がこの人まずいねとなったときに、お願いしていたけれども、いや、総理が駄目と言いましたという話になるの。そんな手続ありませんよ。人選を決めて、この人にお願いしようと決裁して、それで相手に頼んで、返事が来て、そして会議を開きますよとお知らせして、資料があれば出してくださいねとやるのが当たり前じゃないですか。私は、本当にこの国の行政は大丈夫かと、野党ですけれども思いますよ。

 今そういうふうにちゃんとやっているというふうに大臣おっしゃるんだったら、関係省庁による議論の過程、どんな議論をされたのか、それを示した文書、それから、有識者が返信した承諾書、この添付された電子メールの写しなど関連文書、提出をするように指示してください。よろしくお願いします。

西村(康)国務大臣 行政文書あるいは情報公開のルールにのっとって対応したいと思いますし、また、委員会での御指示に従っていきたいというふうに思います。

笠井委員 じゃ、委員長、理事会で協議をお願いします、関連資料の提出。

竹内委員長 理事会で協議します。

笠井委員 ここからは、エネルギー基本計画とこのGX実行会議との関係ということで伺っていきたいと思いますが、これは私、質問通告では大臣のみでの質問通告をしてありますので、大臣からしかるべく御答弁をお願いしたいと思います。

 岸田総理は、八月二十四日の第二回のGX実行会議で、原発再稼働の加速、運転期間の延長、新型炉建設の検討などを指示されております。これらの課題を、同日の会議に西村大臣名で提出した文書、これには、「「エネルギー政策の遅滞」解消のための政治決断」ということを挙げておられます。

 そこで、大臣に伺いますが、昨年十月に閣議決定した第六次エネルギー基本計画ではこうあります。福島第一原子力発電所事故を経験した我が国としては可能な限り原発依存度を低減するということが書かれております。そして、原発の運転期間の延長や原発の新増設については記載されていなかったわけであります。

 本年三月九日に、当委員会の私の質問に、当時の萩生田大臣も、政府において、原発の運転期間を定めた原子炉等規制法の見直しを検討している事実はないと。新増設、リプレースについて、現時点では想定していないというのが政府の基本方針というふうに明言されて、西村大臣も、第二次岸田内閣が組閣されたときの八月十日の就任会見で、想定していないというふうに明言されておりました。

 大臣の第二回GX実行会議での表明、出されたものについて言うと、このエネルギー基本計画やこれまでの国会答弁、大臣答弁からの政策や方針転換ということになるんじゃないですか。

西村(康)国務大臣 委員にお答え申し上げます。

 今日、笠井委員、資料でも出されているとおり、私から、これまでの政治判断、遅滞、様々遅れてきた部分があるので、遅滞解消のための政治判断ということで、御指摘の原子力についても、また再エネについてもやるべきこと、電力、ガスについてもやるべきことなど提示をいたしまして、そして、総理から御指示をいただいたところでございます。

 そして、エネルギー基本計画には、可能な限り原発依存度を低減するという方針、これが書かれておりまして、徹底した省エネ、再エネの最大限導入を進めていく中で、震災前の原子力比率が約三割でありましたけれども、可能な限り低減をさせて、二〇三〇年には原子力比率二〇から二二%を目指すという趣旨でありますので、原子力についてあらゆる選択肢を排除せずに、次世代革新炉の開発、建設の検討、あるいは運転期間についての検討、こうしたことを行うことは、このエネルギー基本計画にある記載と矛盾するものではありませんので、今、足下の、これだけのエネルギー危機ともいうべき、安定供給が本当に大きな課題となっている中で、検討課題として私が提示をし、総理から年末に向けて検討するようにということで指示を得たものでございます。

笠井委員 いや、今回表明されている方針というのは、明らかにエネルギー基本計画と矛盾していますよ。だって、依存度低減とは逆行する方の話で、どんどん進めましょうという話になっているということだ。それを政治判断でやろうというわけですよね。明らかな転換ではないか。

 しかも、ウクライナ危機とかエネルギーの逼迫ということを今強調されましたけれども、これは、短期、中長期で、ちゃんとした全体としての議論が要ると思うんですよね。短期でいうと、やはり原発は役立たないということも明らかになっているわけで、そういう意味では、やはり、安定供給ということでいろいろ言うわけだけれども、実際に、じゃ、現実どうなのかという議論が必要だし、それから、じゃ、大臣所信の中であらゆる方策をというふうにおっしゃりながら、実際に大臣所信の中では原子力をどうやって進めるという話しかないんですよ。再エネなんて相当課題がいっぱいあって、先ほど来質疑がありましたけれども、今朝のNHKでも、朝、ニュースでやっていましたよね、いろいろな課題があると。むしろ難しいんだみたいな話をしきりにキャンペーンしていたけれども、それだって、どうやって再エネを広げるかということについての所信だってあってよかったはずだけれども、大臣の今回の委員会に当たっての所信では一切ないわけですよ。

 だから、やはり、国民世論を恐れてごまかしてきたのか。それで、ここに来て、ウクライナ危機などに乗じて本心を現したのかと言われても仕方がないような状況になっていると言わなきゃいけないと思います。

 じゃ、伺いますけれども、大臣、この文書の、原子力政策の今後の進め方、お手元の配付資料の上の段でありますが、そこには、設置許可審査、申請済み十基の次に、未申請九基とあります。原子力規制委員会に設置変更許可申請をしていないものと考えられますけれども、この未申請九基というのはどの原発で、これらをどうしようというふうに考えられて、ここにそういうふうに書いてあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 現状について、これは資料としてお出しをしたものでありますが、もう既に、上に書いたように、既に十基は動いております。再稼働しております。七基が設置許可済みのものであります。申請済みの十基があるということで、未申請のものが九基ございます。

 これを、どうしましょう。一つ一つ挙げた方がいいですか。(笠井委員「はい。何がどこか」と呼ぶ)ちょっと確認をさせてください。

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 西村経済産業大臣。

西村(康)国務大臣 済みません、念のために確認をさせていただきました。

 東京電力の柏崎刈羽の一、二、三、四、五、それから北陸電力の志賀原発の一、それから東電東通の原発、東北電力女川の三、それから中部電力浜岡の五号機、以上九でございます。(笠井委員「これらをどうするんですか」と呼ぶ)

 これらについては、まだ未申請でありますので、それぞれの事業体において、どういう対応をするかは検討が進められているものというふうに思います。

笠井委員 電力会社が規制委員会に再稼働の前提となる原子炉設置変更の許可申請も出していないわけで、当然、地元同意もないのに、それこそ九基と書いてあって、どこなんだという話になりますから、国が政治決断で無理やり再稼働させようとしているというのは手順としてもおかしいんじゃないかということだと思います。

 もう一つ、この大臣名の文書では、第六次エネルギー基本計画に明記されている原発依存度の低減がすっぽり消えて、さっきありました、エネ基には書かれていなかった運転期間の延長や次世代革新炉の開発、建設が登場しておりますが、大臣、閣議決定されたエネ基とGX実行会議はどういう関係にあるのか。実行会議の方が上、上位に置かれるという位置づけなんでしょうか。

西村(康)国務大臣 エネルギー基本計画は、これは私どもにとって大方針でありますので、これに基づいて今対応しているということであります。

 その上で、現時点で何か、今検討を進めている段階ですので、矛盾はあると考えておりませんが、今後、もちろん、定期的な見直しもあるわけですけれども、状況を見て、適切なタイミングで、必要であれば見直しをしていくことも考えていかなきゃならないと思っております。

笠井委員 必要ならエネ基の見直しもするという話がありました。

 このエネ基については、エネルギー政策基本法に基づいて閣議決定をされて、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画を定めたものでありますが、では、GX実行会議の法的根拠は何ですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 GX実行会議の設置根拠でございますが、これは、内閣総理大臣決定で、GX実行会議の開催については内閣総理大臣決裁で決められてございます。

笠井委員 法的根拠は何ですか。

飯田政府参考人 法的根拠は、これは行政行為なのか、あれかもしれませんけれども、内閣総理大臣が決裁をして置いたということでございます。

笠井委員 西村大臣、法律に基づいて閣議決定したエネルギー基本計画を、今、総理決裁と言われました、それで設置した、岸田総理の号令一下で、審議会以下の、行政運用上の意見交換や懇談の場ですよね、今の話は。そこで、転換する議論を主導していいんですか。

西村(康)国務大臣 もちろん、大方針であるエネルギー基本計画に基づいて我々施策を実行しているわけでありますけれども、まさに足下のエネルギー危機ともいうべき、安定供給、需給の逼迫、こういう中で、安定供給が必要となり、需給逼迫を招かないようにしなきゃいけない。

 そうした中で、様々な政策的なことを考える場として、議長である総理がまさに有識者を選定され、そうした中で検討を進めていくということであります。

笠井委員 基本計画、エネルギー基本計画が大方針と言われながら、結局、今検討している中身というのは、そこの大方針に書いてあることを抜いて、書かれていないことを進めるという話じゃないですか。とんでもない話になると思うんですよ。

 今回のGX実行会議では、本年末までに具体論取りまとめの課題というのがありますけれども、そこに、エネ基には言及がなかった運転期間の延長の在り方とともに、次世代革新炉の開発、建設が挙げられております。

 いつ、どこで、どのような議論を経て、これを取り上げることになったんですか。

西村(康)国務大臣 総理から私に、年末に向けて検討をするようにという指示をいただきましたので、私どもの審議会であります総合エネルギー調査会で議論を進めております。

 この議論は全てオープンな形で進めておりますので、国民の皆さんにもいろいろ理解をしていただきながら議論を進めているところでございます。

笠井委員 総理から指示と言われましたけれども、閣議決定した基本計画にないことを、総理が指示して、検討を進めてどんどんそれをやっていこうというようなことをやっていいのか、こういう問題になります。総理だって閣議決定に縛られるはずだ。

 改めて、経産省に、この議論や検討の経過、内容に関する記録の提出を求めたんですけれども、その回答は、第一回GX実行会議における岸田総理の指示を受けて以降、経済産業省と内閣官房で、添付文書について議論を行ったという返答でありました。

 添付文書についてというのはどういう議論をやったのか、経過も中身も出してくれと言ったら、この第一回の会議における、あれを受けた以降、添付文書についてやったというふうに書いただけなんですね。

 添付文書というのは、この大臣の文書の中にある、遅滞解消のための政治決断という、その部分を抜き出して、これが経過ですということで回答なんですよ。これは分からないですよ、こんなの。

 これは、やはり我々だって真剣に、大事なものだから議論したいというふうに思いますよ、国会だって。だけど、このポンチ絵一枚だけで済まそうとしている。こんな国会対応でいいのか。行政府と立法府の関係ですよね。

 あとは、法律案を出したら国会で審議してくださいじゃなくて、検討している過程で、国会が、どうなっているのかといって議員が委員会で質問したりチェックするということでやるのに対して、もう発表されているポンチ絵みたいな一枚で、これですみたいな話で済ませる。こんなことで、まともな議論や検討なんてやっているというふうになるんですか、本当に。我々は知りようがない。どうですか。

西村(康)国務大臣 まず、大方針、閣議決定しておりますエネルギー基本計画、その下で政策を進めておりますが、当然、世の中はいろいろ変化をしますし、エネルギーがこれだけ厳しい状況にありますので、私ども、国民生活そして産業に責任を持つ立場として、しっかりとエネルギーの安定供給、それとGXを、並行的、同時に進めていくという、その狭い道を我々は模索をしているところでございます。

 したがって、いろいろ検討はします。将来に向かって、必要であれば、エネルギー基本計画も変更することはありますし、閣議決定も変わることは当然あるんだろうというふうに思います。今、検討の途上にあるわけです。

 その上で、その議論の過程については、GX実行会議も議事録をしっかりと公表させていただいているというふうに承知をしておりますし、私どもの総合エネ調の審議会の議論もフルオープンでネットで見られるようにしておりますので、様々な御意見をいただきながら、しっかりと議論を進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 終わりますけれども、世の中が変化しているんだったら、大事な問題だから、もっと風通しよく行政府と立法府で議論しましょうよ。そういう形でやらなきゃいけないのに、やはり、まともに議論しているんだったら、記録を出してもらいたい。もう冒頭から言っているとおりです。

 事務局の中でまともな議論も検討も行っていないから、原発推進の意見を持つ中部電力の会長とか……

竹内委員長 時間が参っておりますので、そろそろ終了してください。

笠井委員 それから、三菱商事の相談役とか経団連会長などの有識者がGX実行会議に提出した資料を引き写すような文書になっている。

 大臣は、地元の理解を得ながらとか、安全性の確保を大前提とか、有識者に議論していただきたいということを言われますけれども、結局、総理の指示の具体化、年末までにまとめるという結論ありきのGX実行会議になっているということになると思うんですよ。

 福島事故の深い反省と総理は言われました。それから、一〇〇%安全はない、絶対的な安全という考え方は……

竹内委員長 まとめていただけますでしょうか。そろそろ、お願いいたします。

笠井委員 安全神話につながりかねないということを言いましたけれども、まさにこれこそ一番の安全神話です。

 東電福島事故の教訓を投げ捨てる原発推進はきっぱりやめて、原発ゼロの決断をして、大臣所信には一言も具体論はなかった省エネ、再エネに転換すべきだと強く求めて、終わります。

竹内委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十二分散会


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