衆議院

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第5号 令和4年11月9日(水曜日)

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令和四年十一月九日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 牧島かれん君 理事 落合 貴之君

   理事 山崎  誠君 理事 小野 泰輔君

   理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上川 陽子君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    西野 太亮君

      福田 達夫君    堀井  学君

      松本 洋平君    宗清 皇一君

      山下 貴司君    大島  敦君

      菅  直人君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      藤本 哲也君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   品川  武君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        田辺  治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩間  浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            横島 直彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           笹川  敬君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         菊池 雅彦君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

十一月九日

 理事牧島かれん君同日理事辞任につき、その補欠として細田健一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件(物価高・エネルギー問題等)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事牧島かれん君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に細田健一君を指名いたします。

     ――――◇―――――

竹内委員長 経済産業の基本施策に関する件、特に物価高・エネルギー問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長藤本哲也君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長品川武君、公正取引委員会事務総局審査局長田辺治君、警察庁長官官房審議官親家和仁君、財務省大臣官房審議官阿久澤孝君、文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、厚生労働省大臣官房審議官青山桂子君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君、農林水産省大臣官房審議官岩間浩君、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官辻本圭助君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、中小企業庁経営支援部長横島直彦君、国土交通省大臣官房審議官笹川敬君、国土交通省大臣官房技術審議官菊池雅彦君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井原巧君。

井原委員 おはようございます。本日質問に立ちます自民党の井原巧でございます。

 十分間の短い質問時間でありますので、こういう時代だからこそ、希望の持てる御答弁のほど、お願い申し上げたいと思います。

 総合経済対策について質問したいと思いますが、コロナというのは三年半にも及んでおりますから、国民の暮らしや経済は大きなダメージを受けて、政府の政策支援で何とかここまで歯を食いしばって頑張ってきたかなというのが現場の実感としてはあります。ようやくワクチンとか治療方法を確立して、最近では日常を取り戻して、光が見えつつあるなというのが正直な状況で、ダメージからまだまだ回復していないというのは私たちの実感であります。

 そういう状況の中に、今回、ロシアのウクライナへの不当な侵略に端を発した世界的な原材料の上昇とか、エネルギー、食料品等の急激な価格上昇、それが、立ち直ろうとしている生活者とかあるいは事業活動に大きな影響を及ぼしているというのが、皆さん方も実感として思っていると思います。

 また、その対策として、少し施策が、アメリカとかEU等では、やはりインフレ抑制のために金融引締めを大分しているわけですね。それが、最近ここに来て、世界的な、ひょっとしたら景気の減退が進むのではないかというような景気不安も少し見えてきているというのが今の現状だろうと思うんです。

 我が国では、その金利差から、メリット、デメリットの両面はあると思いますが、三十年ぶりとなる円安水準に今なっているということであります。考えてみたら、今からたしか十一年前ぐらいだったんですけれども、円高経済政策を一生懸命打っていた時代があります。その頃から比べると本当に隔世の感がありますが、それだけ世界の変化は更に激しさを増しているとも言えるんだろうと思います。

 このような世界的、複合的な経済危機とでも言える状況下でありますから、この度の緊急の経済対策は、それに対応し、かつ、今申し上げた激しい変化のその先を見据えた、緊急性、実効性、そして何より将来性のある、大型かつ細部にまで目の行き届いた政策が求められている、このように思っております。

 先般、その対策も閣議決定されたわけでありますが、大きな予算となっておりますが、財政支出三十九兆円、第二次補正予算分としては約二十九兆円が計上された大型予算であります。そのうち十一兆円を超える額が経済産業省の所管分ということでありますから、西村大臣、経済産業省の役割は本当に大きなものだろうというふうに思っております。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、さきにも申し上げましたとおり、円安にはメリットとデメリットがあるわけでありますが、かつて地方に多く立地していたサプライチェーンの一翼を担っていた工場等は、かつて円高の風もありまして、多くは海外にその役割を奪われて、工場がなくなり、雇用の場が減少し、それが地方の疲弊とか、あるいは都会と地方の格差拡大につながった、こんなふうに私は考えております。

 私の地元では、貿易立国日本を支えた造船業とかもあるわけですけれども、これも中国や韓国に押されて厳しい状況でありますし、もし仮にこれがなくなれば、自衛隊や海上保安庁の船すら海外にということになりますから、安全保障上も深刻な問題になりかねない、こう思っております。

 今まさに円安のメリットを生かして国内投資を活性化させ、サプライチェーンの産業の国内回帰そして地方回帰を進めていくことは、地方の再活性化の最大のチャンスであり、経済の安全保障を進めていく上でも好機であるというふうに思っております。

 大臣は、今回の経済対策による国内投資の活性化に向けて、どのような決意を持って進めていかれるのか、お聞かせください。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まさに歴史的な円安による事業環境の変化、それからコロナ禍、ウクライナ侵略、こうしたことによるサプライチェーンのリスク、さらには経済安全保障などの観点から、まさに我が国製造業の国内回帰の動きが見られ始めているところであります。

 現に、先月公表された日銀の短観でも、今年度の設備投資計画は前年度比プラス一六・四%ということで、コロナ前を含めても、この何年かで最も高い伸び率であります。DX、GX含め、成長分野で企業の投資意欲がうかがえるところであります。

 今般策定いたしました総合経済対策において、こうした国内投資の動きを後押しをしていきたいと考えております。円安を生かした経済構造の強靱化を掲げております。半導体、蓄電池、永久磁石、炭素繊維、工作機械、様々な、日本が強みを有する、そうした高付加価値の物づくりについて、国内製造拠点の整備にしっかりと支援策を講じていきたいというふうに考えております。

 御指摘のありました国内造船業についても、受注機会の獲得を後押しするために、国内で建造される船を購入し海外海運業者にリース、売却する事業を対象として、年内にも、日本貿易保険、NEXIが新たな支援を開始する予定にしております。国交省と連携して、こうした支援策に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 こうしたことを通じて、全体として、付加価値の高い事業活動を国内で創出、拡大させ、そうした事業を支える人材がより高い賃金を享受する、成長とイノベーションと所得向上、この三つの好循環を是非実現をしていきたいというふうに考えております。

 是非、サプライチェーンの強靱化も含め、経済構造全体の強靱化を進めていく、その中で国内投資を増やしていければ、後押ししていきたいというふうに考えております。

井原委員 ありがとうございます。

 まさに、設備投資一六・四%増というのは非常に力強いものがあります。更に経産省の施策で拡大していただいて、地方にも波及効果が出るように、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、円安を生かした、先ほど申し上げた経済の強靱化、科学技術・イノベーション分野についてでありますけれども、先ほど大臣申し上げた強みの中の一つにはバイオというものがあるわけでありまして、国際競争が激化する中、世界をリードするためには迅速かつ大胆な取組が不可欠であろう、こう思っております。

 今般の経済対策を活用して、バイオの物づくりの強化に向けてどのような取組を進めていくのか、そして何より、今後の展望についてどう考えているのか、お答え願います。

茂木政府参考人 バイオ物づくりでございますが、ゲノム編集した微生物を活用しまして、例えば二酸化炭素からプラスチックを製造するなど、地球規模の社会課題の解決と成長の二兎を追うことができるイノベーションだと考えています。

 将来の市場規模も数百兆円とか数千兆円というふうに言われておりまして、今、アメリカや中国も兆円単位の大型投資を進めております。

 元来、発酵生産技術に日本は優れておりますので、世界をリードしていけると考えていまして、中長期的に積極的な官民投資を進めていこうというふうに考えております。経産省では、今般の経済対策で、合わせまして約五千億円の重点的な投資を行ってまいります。

 具体的には、二酸化炭素を原料として高機能素材を製造する取組ですとか、糖などのバイオマス資源を活用した繊維の製造、あるいは食料や燃料を製造する取組に関する研究開発、実証、社会実装を進めていきたいというふうに考えています。

 近い将来、多くの製造業の生産プロセスがバイオプロセスに置き換わると、物づくりの在り方の根底が変わっていくというふうに考えておりますので、経産省としても、こうした取組を通じまして、物づくりにおける環境制約と資源制約を打ち破って、未来の我が国の基幹産業へ育成していきたいというふうに考えております。

井原委員 ありがとうございました。

 もう時間が来たわけでありますけれども、何より、本当に激動の時代でありますから、不透明感があります。やはり将来が見える施策を、経産省を中心に、縦、横、斜めに省庁が連携して、未来が開かれるような経済政策を期待して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 価格転嫁対策について質問をさせてください。

 価格転嫁や取引適正化は、言いやすく行うは難し、すぐには効果が表れにくい取組です。継続は力なり、地道に粘り強く続けていくことが、じわじわ世の中が変わっていくと考えています。

 今残っている物づくりの中小・小規模企業は日本の宝だと思っておりまして、九〇年代のバブルの崩壊、二〇〇八年のリーマン・ショック、その大きな山そして谷を乗り越えてきた中小・小規模企業ですので、これ以上廃業に追い込むことはできないと考えています。

 その意味で、昨年、二〇二一年から始めた、毎年九月と三月を価格交渉促進月間と位置づけて、下請から交渉、転嫁の状況を調査し、親事業者に指導助言する取組は、よい取組と評価しております。特に、アンケートに答えた中小・小規模企業の匿名性が確保されている点が評価できると考えています。

 昨年九月に価格交渉月間を終えて、今は価格交渉や価格転嫁の状況を調査しているところと聞いております。是非、来年三月以降も継続してほしいと考えています。

 そして、価格転嫁は、安く買うことが仕事の調達部門ではなく、親事業者の経営陣に訴えることが極めて大事だと考えています。サラリーマンですから、調達部門の皆さんは一生懸命、できるだけ安く買うことが仕事なので、調達部門に対して親事業者の経営者から、中小・小規模企業のことについてもしっかり考えてくれよということの、経営陣からの要請がないと、なかなか応じてくれないと考えております。

 是非、大臣自身からも、様々な場で親事業者、大きい元請の事業者の経営陣にお話しする機会を捉えて、価格転嫁に応じるようしっかり働きかけをしてほしいと考えておりますので、大臣の決意を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、価格転嫁の取組、極めて重要だというふうに考えております。

 中小事業者にとって、原材料価格、エネルギー価格が高騰している中、サプライチェーン全体でコスト上昇分を適切に価格転嫁できる環境を整備することは非常に重要であります。取引適正化の取組を強化しているところであります。

 御指摘ありましたように、九月、三月を価格交渉促進月間として対応しております。そしてそれぞれ、今年三月も約十五万社のフォローアップ調査を行いました、中小事業者に対して。それを踏まえて、下請中小企業振興法に基づいて、二十数社の親事業者に対して大臣名での指導助言を実施をしております。また、九月についても、今後十五万社のフォローアップ調査を引き続きやる予定にしております。

 この二回を通じて継続していくことで、交渉と転嫁が定期的になされる取引慣行の定着を目指しているところであります。

 さらに、公正取引委員会が、転嫁拒否しているような事案について企業名を公表する、こうした強い方針を打ち出してくれておりますので、政府として連携しながら、私どもとして公取と連携しながら、政府全体で価格転嫁対策を強化していきたいと思います。

 そして、御指摘のように私自身も、経団連を始めとして、業界団体の方々、また地域の経済団体との会合の場、いろいろな機会を通じて、大企業の経営者の方々に対して、直接、価格交渉、価格転嫁に積極的に応じていただくよう依頼をしてきているところであります。もう何度も何度も言われていますということで言われる方もおられるぐらい、私も粘り強く対応していきたいと思います。

 引き続き、調査、働きかけを含めて、この価格転嫁が定着していくように、取引慣行として定着していくように、引き続き粘り強く働きかけをしていきたいというふうに考えております。

大島委員 ありがとうございました。

 地元の中小・小規模企業の経営者の皆さんにお話を伺うと、材料費についての価格転嫁については応じていただいている企業は増えている、ただ、エネルギー及び人件費についてはまだだと聞いておりますので、これは、中小企業庁、公正取引委員会も一生懸命仕事はされておりますけれども、大臣の政治としての本気度が試されているかと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、電気価格の激変緩和対策について、お手元の資料を見てください。

 昨年に対して今年の電気価格、ある私の知り合いの事業者からのレポートでして、今年の一月からは一・五倍ぐらい、今年の六月以降は大体二倍を超えて電気価格が上がっております。

 電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金として、電気料金について、低圧契約の家庭等に対しては一キロワットアワー当たり七円、高圧契約の事業者等に関しては一キロワットアワー三・五円の支援を行っております。

 小売電気事業者の数は七百社を超えており、電気料金に対する補助金を明細書等に表示することになると、システム変更が必要になります。事業者に相応の負担が発生すると思われますので、その点も考慮して対応いただきたいと思いますけれども、政府の考えをお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、昨日閣議決定しました補正予算案に、電気・ガス料金の価格激変緩和対策の事業を盛り込んだところであります。

 この対策におきましては、既存の料金請求システムを活用いただくことで、可能な限りシステム改修を要しない形で値引きを行っていただくことを想定をしておりますが、御指摘のように、一部の小売電気事業者からは、システム変更が必要な場合もあるというふうに聞いております。

 このため、今回の予算措置におきましては、本事業を実施する上で必要な範囲で、小売事業者におけるシステム変更費用を支援するための予算も盛り込んでいるところでございます。

 こうした支援も活用しながら、可能な限り全ての小売電気事業者に電気料金の負担軽減の実施に御協力いただいて、国民の皆様に支援が届くようにしてまいりたいというふうに考えております。

大島委員 最後に、簡単に一点だけです。

 燃料費調整額について、規制料金で設定した平均燃料価格の上限を超えている状況が続いております。これが収益を圧迫しており、このままの状況が続けば、物価が上がる中で、従業員の待遇などに影響が出るおそれがあると考えておりますけれども、政府の考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、電気料金、家庭向けの規制料金において上限措置がありますけれども、この到達後は、燃料価格の上昇分を大手電力が負担をすることとなっております。その中で、燃料価格の高騰を含め、ほぼ全社が大幅な赤字となっておりまして、大変厳しい状況にあると認識をしております。

 そうした中で、今後、複数の大手電力においては、規制料金の値上げの認可申請に向けて検討を行っているものというふうに承知をしております。

 今後、仮に値上げ申請があった場合には、経営効率化の取組が行われているか、燃料調達の費用見込みが妥当であるか、また保有資産の活用が適切であるかなど、厳格に審査を行った上で、適切に判断していくこととなります。

 いずれにしましても、電力の安定供給確保に万全を期す上で必要な、燃料調達、要員確保、資金調達などの要素も十分考慮しながら対応してまいりたいというふうに考えております。

大島委員 ありがとうございました。終わります。

竹内委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 今日は、経産委員会での質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 西村大臣は、経産大臣であると同時に、GX実行推進担当大臣を兼任されていると思います。そういった意味で、初めての質疑ではないかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 まず、これは委員の皆さんにもできれば見ていただきたいんですが、資料を四点、そろえさせていただきました。

 資料第一は、GX実行推進担当大臣として、日本のエネルギーの安定供給の再構築ということを述べられていて、それに関する資料が第一であります。

 第二の資料は、これは、過去の、二〇一〇年の電力の実績と二〇二〇年の実績、それから、政府が考えている二〇三〇年度の目標、私自身が考えている二〇三〇年度の目標をグラフにして、できるだけ分かりやすくお見せし、表でも表したところであります。

 資料三は、今日は農水省にも来ていただいていますが、私が非常に注目している営農型太陽光発電の取組ハンドブックという、これはここにもありますが、今、農林省が毎年これを出されていまして、私が大変これを重要視というか、よく拝読しております。その表面だけではありますが、資料の三として一ページと四ページをお見せいたしました。

 資料四は、これは、若干、自民党の総理であった小泉純一郎氏が最近に発言されたこと、全ての自民党の皆さんがこう考えてくれるといいなということを、小泉さんが言われていますので、そのことを、これも参考にさせていただきました。

 それで、順を追って話を進めてまいりたいと思います。

 まず第一に、西村大臣はこの資料一の中でどういう認識を示されているかと読んでみますと、この一番上にも、ロシアによるウクライナ侵略による石油、ガス市場の混乱ということが「現状」の第一に入っております。確かに、それが大きな混乱であることは言うまでもありません。

 しかし、もう一つのことが抜け落ちているんじゃないでしょうか。それは、ウクライナに対するロシアの攻撃は、単にエネルギー市場の混乱だけではなくて、原発に対するロシアの攻撃ということが明らかになっているわけで、つまりは、この問題は、同時に、原発の安全保障上、原発というものがその原発を持っている国にとって、今でいえばウクライナにとって、通常兵器で攻撃されただけでも大変な大きなリスクになる、安全保障上のリスクになるということを世界は知ったわけです。

 我が国にももちろん原発はあります。これから議論をするわけですが、原発を前のように、あるいはもっと増やそう、そういう考え方もありますけれども、私は、一つの要素として、原発を持つことが、従来のようなエネルギー問題だけではなくて、大きな安全保障上のリスクを国内に抱えることになる、これは絶対に考え方を抜け落としてはいけないはずなんです。

 しかし、残念ながら、この資料一の中には、先ほど申し上げたように、「ロシアによるウクライナ侵略に起因する「石油・ガス市場攪乱」」とは書いてありますけれども、原発を持つことによる、そういった安全保障上のリスクについては何にも言及がありません。

 まず、なぜ言及がないのか。もし、言及がない中で、西村大臣として、いや、それについてはこう考えているんだと、少なくとも国民の前でそれを言われるべきだと思いますが、それについて答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 この第二回GX実行会議におきまして私がお示しした資料、これは、世界全体の化石燃料需給に関する構造的変化などについて説明をしたものであります。

 例えば、北米でシェールオイルやシェールガスの生産が拡大をしてきたこと、あるいは新興国における化石燃料需要の増大、ロシアのウクライナ侵略によるまさに供給途絶のリスクなど、化石燃料市場全体の事象について特にまとめているところであります。特定の原子力発電所への攻撃事案など、個別事象については言及をしておりません。

 一方、原子力発電所への武力攻撃に対する安全の確保については、引き続き、関係省庁、関係機関が連携をして、対応を不断に検証し、改めるべき点は改善していくことで、万全を期していく必要を考えております。これまでもそうした姿勢で臨んできております。

 その上で、昨今のロシアによるウクライナのザポリージャ原子力発電所に対する武力攻撃のリスクについても認識をしております。現在、資源エネルギー庁の審議会におきまして、こうした論点も含めて、有識者による議論を行っております。今後も更に検討を深めていきたいというふうに考えております。

菅(直)委員 この資料一の最後のところに、「「エネルギー政策の遅滞」解消のために政治決断が求められる事項」とわざわざ入っているわけですよ。その1には再エネがあります。私もこれには大賛成です。

 しかし、その2には原子力。「再稼働への関係者の総力の結集、安全第一での運転期間延長、次世代革新炉の開発・建設の検討、再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化」と書いてあります。

 今私が申し上げた問題、つまり、今や原発を国内に保有することが安全保障上の一つの大きなリスクになるということが現実にウクライナで起きているわけでありまして、日本も、日本海側、太平洋側、主に海岸に原発が今もたくさんまだ存在しています。そういう原発について、触れていないというならまだ分かりますが、ちゃんと触れてありながら、そうした原発について、そういうリスクがあるということを一言もこの中で言われていないというのは、私は、明らかにこの問題を軽視するか、あるいは頭の中にしっかりと入っていないんじゃないか、そういう思いで質問したんですが、もし答弁があれば聞かせてください。

西村(康)国務大臣 繰り返しになりますけれども、全体的な構造的な変化について、この資料ではお示しをしております。

 ただ、御指摘がありますように、原子力発電所に対する武力攻撃のリスクを全く考えていないわけではございません。十分に認識をした上で、資源エネルギー庁の審議会におきまして、これはフルオープンで議論をしておりますけれども、既に九月、十月と、武力攻撃の万が一の事態における関係機関との準備、連携体制の確認であるとか、あるいは自衛隊との連携であるとか、こういったことについて議論を行っておりますし、これからもしっかりと議論をしていきたいというふうに考えております。

菅(直)委員 余り繰り返しても同じですからこの程度にしますが、GX推進ということがちゃんと入って、それで、ここに再エネと原子力も二つの案で対応が書いてありながら、そのことが、ほかのには書いてある、あれには書いてあると。西村大臣が担当しているのはGXと経産行政ですから、その担当者が一番中心になっているところに入っていないというのは、やはり西村大臣の頭の中にこの問題が十分にきちんと把握されていないと私には見えるということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。

 次は、資料の第二を見てください。これは、現状と、それから十年後の政府の目標と、そして私自身の考えている目標を、電力について示したものです。

 これを見ていただければ、お分かりの方には一目瞭然だと思いますが、左上が二〇一〇年の実績ですね。これによれば、当時は原子力が二五・一、石炭を含めた化石燃料が六五・四、再エネは当時は九・五でした。

 それが二〇二〇年にどう変化したかというと、原子力は三・九、これは事故があってこうなったわけです。そして、化石燃料は七六・三、そして再生可能エネルギーが一九・八まで増大をした。これはすごい数ですよ。つまりは、かつては九・五だったのが、約十年間で倍の一九・八になったということであります。

 そして、二〇三〇年の政府見通しというか政府目標を見ますと、原子力を二〇%に戻したい、化石燃料を四一%に、これは戻すというのか、したい、そして再エネを三九%程度まで引き上げたいと言われています。

 その右に私の私案を書いておきました。私は、十年後には、二〇三〇年には原子力はゼロにしても大丈夫だし、先ほど来申し上げますように、原子炉を、つまり原子力発電所を持つこと自体が、エネルギー問題だけではなくて、日本の安全保障上の面からも、決してそういう道を取らないで済むならば取らない方がいいという意味も含めて、原子力は〇%、そして化石燃料はある程度残るという判断で二〇%、そして再エネは現在の三九・〇から八〇%に拡大する。決してこれは不可能なことではないというのが私の見通しです。

 この後に申し上げます営農型太陽光発電のことを説明しますが、そういうものを活用すれば、十分にこの十年間で、その気になれば、この間でさえ、再エネは、二〇一〇年の九・五から二〇二〇年の一九・八まで倍増できているんですからね。これは過去の仮定の数字ではなくて、十年間で倍増できている。この倍増できている一九・八を、四倍増ですから簡単ではありませんが、私は、十年間でその気になれば四倍増は十分できる、こういうふうに考えて、この表をお示ししました。

 これが今の政府と私の考え方の大きな差ですが、これに対して、経産大臣としてコメントがあればお聞かせいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 二〇三〇年四六%削減、二〇五〇年カーボンニュートラル、この実現に向けて脱炭素社会への転換を加速させていくこと、これは非常に重要である、この認識は共通だと思います。

 一方で、足下での電力需給逼迫、あるいはロシアによるウクライナ侵略に起因するエネルギー価格の高騰、こうしたことなど、エネルギーの安定供給の確保、これも喫緊の課題となっております。

 このため、GXの推進とエネルギー安定供給の両立をさせる。そのために、GX実行会議における岸田総理の御指示も踏まえまして、再エネ、原子力など、GXを進める上で不可欠な脱炭素電源を強化するための対策について検討を進めているところであります。

 再エネについては、国民負担の抑制と地域の共生を図りながら、御指摘のように、私どもとしても最大限導入していくというのが政府の基本方針であります。このため、経産省として、まさに地域と共生した適地の確保に向けて、公共施設など地域の理解を得やすい施設における再エネの導入促進、また住宅等の屋根への太陽光導入の促進、あるいは陸上風力に加えて大規模な洋上風力の導入促進など、関係省庁、環境省や国交省、農林省と一体となって取り組んでいるところでありますし、今後も進めたいと思っております。

 これに加えて、次世代ネットワークの構築であるとか、定置用蓄電池の導入加速であるとか、再エネ事業者の事業規律の強化、これも含めた制度的な対応措置について検討を進めているところであります。

 いずれにしても、私どもとしても、再エネについては、最大限導入すべく、更に拡大していくべく、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

菅(直)委員 私が一番中心的に特に西村大臣に聞きたいことを、一切答えられておりません。

 私は、原発をゼロにしても大丈夫だ、十年後に原発がゼロになっても大丈夫だ、そういうことをもし質問があればお答えしますが、なぜ大丈夫か幾らでも答えられますが、それを前提として、化石燃料を二〇三〇年目標で二〇パーは残して、再エネを八〇パーにして、それで一〇〇%と。

 つまり、ポイントは、原子力を発電としてまだ使おうとするのか。使えば、先ほども申し上げたように、日本の中に原発を持たなきゃいけませんから、それが安全保障上のリスクであることは、これも一緒に答えてもらいたいと思いますが、リスクでないと思われているんですか。普通の火力発電所でも若干のリスクはありますが、原発のようなリスクはありません、つまりは放射能が漏れるようなですね。

 ですから、私は、そういうリスクを考えたら、十年後には原発ゼロをきちんと目標に置いてやるべきだと。その一番重要なことを一切、今の西村大臣はお答えされていません。答えてください。

西村(康)国務大臣 まず、繰り返しになりますけれども、武力攻撃に関するリスクも私ども認識をして、このことについては、国民保護法と様々な法令の中で対応すること、そして、エネルギーに関する審議会の中でも専門家とも議論をし、自衛隊との連携など、更に議論を深めているところであります。

 その上で、再エネ、私どもも最大限導入をすべく更に取組を強化をしているところでありますけれども、再エネについては、御指摘のように、今二〇%まで倍増し、今後、三六から三八まで、更に倍に近く増やしていくという計画であります。

 その中でも、太陽光の導入量でいえば、既に平地面積当たりでは主要国で最大級となっております。太陽光を更に現在の二倍に拡大するような野心的な水準も掲げているところであります。

 この目標達成に向けて、山がちな我が国において地域との共生を前提とした適地の確保、あるいは、太陽光、風力の出力変動への対応、国民負担への抑制など、様々な課題を乗り越えていく必要があります。全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

 一方で、原子力についても、私どもは、脱炭素のベースロード電源として、GXを推進する上で不可欠だという認識をしております。このため、原子力規制委員会の審査そして安全性適合、これが大前提、安全性の確保を大前提として、地元の理解も得ながら、既存の発電所の再稼働を着実に進めていく考えであります。

 いずれにしても、まさにエネルギーについて、SプラススリーEとよく言いますけれども、安全性、安定供給、経済の効率性、そして環境適合、この全てを満たす完璧なエネルギー源がない現状の中で、再エネも導入していきます、そして原子力も活用していく、そして火力、水素など、あらゆる選択肢を追求していくことが重要だというふうに認識をしております。

菅(直)委員 西村大臣はわざと逃げているわけですよ。聞く人が聞けば分かるんですよ。

 私は、原発はゼロにできるんじゃないかと。また、その意味は、エネルギー上の問題に加えて、安全保障上の問題からもそうすべきじゃないかと。

 例えば、安全保障上の問題で、自衛隊がとかいろいろ言われましたけれども、あれだけ海岸沿いにある原発を、もしどこかの国が普通のロケットやあるいは軍艦がやってきて大砲の弾で撃ち込んだ場合にどうなるかということは、少なくとも十年前、二十年前はそういう議論を私もしたことはありません。現実に今、ウクライナでそういうことが起きているわけですよ。日本の近い国でも、どの国とは、もちろん、こういう場所ですから言いませんが、いろいろな意味でそういう軍事力強化をしているわけですよ。そういうことを踏まえてこの提案をしているんです。

 しかし、今の西村大臣の話は、その部分は全部どこかに忘れたような答弁で、そして、あれもこれもやりますが、原発もやりますと。だから、原発を持つことの軍事的リスク、日本にとっての軍事的リスクはないんですか。どうですか。

西村(康)国務大臣 様々なリスクについて、私ども認識をして……(菅(直)委員「軍事的リスク」と呼ぶ)認識をして、現実に、審議会において自衛隊との連携などの議論も進めております。

 その上で申し上げれば、平素の原子力発電所の警備については、一義的には警察機関が実施するわけですけれども、仮に原子力発電所へのミサイル攻撃など想定される場合、あるいはある場合、あった場合には、政府として、海上自衛隊のSM3搭載のイージス艦による上層での迎撃、あるいはPAC3ミサイルによる下層での迎撃などを組み合わせて、多層防衛により対処するものというふうに承知をしております。

 いずれにしても、国民の皆さんの命や暮らしを守るために十分であるのかどうか、引き続き、関係省庁、関係機関とも連携し、不断に検証して、改めるべくは改善していく、こうした姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。

菅(直)委員 後で戻るかもしれませんが、対処しますと言って対処できないんじゃないですかということを、ウクライナの例を含めて言っているわけですよ。それは、自衛隊がやるのも当然でしょう、何とかがやるのも当然でしょう。現実に対処できないんじゃないですかということについて、対処できる方法は何も言っていない。ただ自衛隊がとかなんとか言っているだけで。

 一番いい対処の仕方は何ですか。私は提案していますよ。原発を国内に持たないことですよ。それが一番の対処方法だから私が提案しているのに対して、大臣は、それについては答えないで、自衛隊がとかなんとか言っている。

 後で話を戻すかもしれませんが、少し次に進みたいと思います。

 今日は農林水産省にも担当者に来ていただいています。

 私がこの間非常に注目しているのは、資料三に、毎年、農林水産省が出されている営農型太陽光発電取組支援ガイドブックという、これが出ております。農水省の方から、比較的狭いと言われる日本の国土で、平らな土地の大半は農地ですけれども、営農型太陽光発電というのは、御存じの方もあると思いますが、農地の上にやぐらのようなものを建てて、下は農地として利用しながら、そして上でパネルを間隔を置いて並べて、そして発電をする、そういうことです。

 農水省の方にお聞きしたいんですけれども、これが私は、大変、日本にとって、農地は農地としながら太陽光発電をするというのは大変有意義だし、相当量の電力を発生させることができるとお聞きしておりますが、農水省の方から、どのくらいの電力の発生がマキシマムで可能と考えておられるのか、お聞かせをください。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 営農型太陽光発電でございますが、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する取組ということでありまして、今後とも、優良農地を確保しつつ、地域活性化に資する形で導入を進めていく必要があると考えております。

 このため、農林水産省では、発電設備下におけます地域ごとの最適な栽培体系の検討等を行う取組の支援ですとか、それから、営農型太陽光発電取組支援ガイドブックを作成しまして、取組事例、必要な手続、支援制度等を御紹介するとともに、営農型太陽光発電の事業化を目指す農業者に対する相談対応を行うということで推進をしているところでございます。

 それから、御発言がございました発電でございますが、日本の耕地面積、おおむね四百万ヘクタールということでございます。全耕地におきまして、日照時間を年間千時間、さらに、営農型太陽光発電取組ガイドブックに記載されております十アールで五十キロワット程度の規模の設備で営農型太陽光発電を行うとした場合に、年間約二兆キロワットアワーの発電が可能となるという委員が行われた試算の内容については承知をいたしてございます。

 一方で、実際に営農型太陽光発電を導入するに当たりましては、それぞれの農地におきまして、太陽光発電と営農が継続的に両立できますような日照、土壌、作物の適切な組合せが見込まれること、また売電のための電力網への接続が容易であること、こういった立地条件を満たすかどうか、こういうことを見極める必要があるというふうに考えてございます。

菅(直)委員 今の農林省の説明を聞いて、西村大臣に意見を聞きたいんです。つまり、今の農林省の説明は、四百万ヘクタールの農地を潰せと言っているんじゃないんですよ。農業を継続しながら、そこに柱を立てて、そしてそこにソーラーパネルを間隔を置いて並べると。

 私がお聞きしたところによると、通常は、農地は、農地法上、構造物は造れないんですよ。しかし、その例外として、たしか十年ほど前に、柱の下だけの宅地転用を認める、農林省がそういう扱いをすることになって、それで営農型太陽光発電というのが可能になったと私は理解していますが、その理解でいいでしょうか、農林省。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省におきましては、営農型太陽光発電の設備を設置する技術が確立し、その取組に対するニーズが高まってきたということを踏まえて、平成二十五年三月に、営農型太陽光発電設備を設置する場合の農地転用許可制度の取扱いに係る通知を発出し、太陽光パネルの支柱部分につきまして、一時転用許可を受けるということで取り組めるということを明確化してございます。

 また、平成三十年五月には、荒廃農地を再生する場合に、また担い手が営農する場合等においては、一時転用許可期間を従来の三年以内から十年以内に延長する、こういう見直しを行ったということでございます。

菅(直)委員 西村大臣も、私の言い方もややきついかもしれませんが、冷静に今の農林省の答弁を理解してください。

 つまり、かつては農地の上には構造物は造れないというのが農地法の原則だったわけですよ。それを柱の下だけ認め、今、何回か言われましたが、その期間も認め、ある意味では積極的に農業と太陽光発電が両立できるような方向を農林省は政策的に進めて、そして先ほど申し上げたように、こういう営農型太陽光発電のガイドブックを見れば、各地でどういう実践をやっているかというのは、毎年の実例をこうやって示されているわけですよ。

 ですから、私は架空のことを言っているんじゃないし、農林省自身がそこまで積極的に始めて、今、数字も言われました。私が提案しているのと基本的には同じ数字です。四百万ヘクタールを全部使えば二兆キロワット、半分使っても計算上は一兆キロワット。つまり、現在日本が使っている電力は一兆キロワットですから、その電力の供給が少なくとも理論上は可能だということを、今の農林省の皆さんの答弁は、ちゃんと理解すればそうなるわけですよ。

 西村大臣、是非、GX会議でも、原発に戻るという選択肢だけ示すんじゃなくて、原発はやめて、この営農型太陽光発電にもっと力を注ごうじゃないか、そういう発言をしてもらえませんか。いかがですか。

西村(康)国務大臣 私どもも、この営農型太陽光発電、先ほど答弁がありましたけれども、太陽光発電と営農が両立できるのかという、日照とか、土壌の問題とか、あるいは売電のための電力への接続は容易であるかなど、様々な課題はありますけれども、私どもとしても、太陽光発電の導入ポテンシャルの拡大につながる、また、営農と発電の両立を通じた地域の活性化の効果もあるという有用な取組でありますので、再生可能エネルギー主力電源化の一翼を担うものと認識をしております。

 現に、二〇三〇年のエネルギーミックスにおきましても、営農型太陽光発電も含めて、地球温暖化対策法あるいは農山漁村再エネ法に基づく地域と共生した再エネの導入について、農業政策との整合性なども図りながら、地域共生型の再生可能エネルギー導入として、二〇三〇年に四・一ギガワットの導入を見込んでいるところであります。

 経産省としても、営農型太陽光発電に関する取組として、一つには、FIT制度における十から五十キロワットの太陽光発電の自家消費要件を緩和するとか、あるいは二つ目に、営農型太陽光発電等の設計、施工に関するガイドラインを策定するとか、あるいは三つ目に、FIT制度を活用せず、需要家との長期計画により太陽光発電を導入する場合の補助金の制度、こうしたものによって支援なども進めております。

 引き続き、農水省とも連携しながら、営農型太陽光発電も含めた再エネの最大限導入についてはしっかりと取組を進めていきたいというふうに考えております。

菅(直)委員 私は率直に言って、営農型太陽光発電というものを最初聞いたときには、本当言って、びっくりしました。やはり農地に対する農地法というのは非常に厳しい法律だということを私は知っていましたから、簡単には宅地転用ができない中で自主的にこういう制度を入れたのは、決して、経産省がお願いして入れてもらったのでは、私が知る限り、ありません。農林水産省が自らの判断でやられたんです。

 今、最後にいろいろ経産大臣は、それについて、農業政策と何とかで整合性をとか言われましたが、邪魔をしないでほしいですね、経産省は。農林水産省は自分のテリトリーの農地を活用して、先ほど申し上げたように、農水省も認められましたが、全ての農地の半分を使えば、日本が今使っている電力全てを営農型太陽光発電で発電できるという数字を認められたわけですよ。それを邪魔しないでほしいんです。どうですか。

西村(康)国務大臣 私どもとして、農林省と連携をして、最大限導入すべく取り組んでいるところであります。

 作物との関係、日照との関係など、農水省自身が様々な課題を認識しながら、それも乗り越えられるところは乗り越えながら進めようとしておられますので、この点は連携をして進めていきたいというふうに考えております。

菅(直)委員 これ以上余り西村大臣に大きな声で言っても仕方がありませんから、この程度にしますけれども、つまりは、農林水産省が自らの判断でそういう、かつてでいうと、私の理解でいうと、考えられない飛躍を遂げられたわけですよ。つまりは、農地の一部の宅地転用を認めることによって営農型太陽光発電を可能にしたんですよ。現実にそれがすごい勢いで広がっていることは、この営農型太陽光発電の取組のハンドブックを見ていただければよく分かります。

 先日、群馬県に、私たち立憲民主党、二十人ぐらいの国会議員でその実態を見てきましたが、群馬県では非常に多くの農地がこれに活用されて、現実に、大変経済的にもうまくいき、そして、そこで働く人たちもある意味で非常にしっかりとやれている。

 ですから、私は、先ほどちょっと嫌みに聞こえたかもしれませんが、経産省が下手に手を出さないことが結果としてここまで広がったと思っています。つまり、経産省が余り口を出せないんですね、農林省の土地ですから。そして、農林省がこういうものをどんどん出している。私、経産省からこの説明を受けたことはもちろんないですよ、農林省からは何度も受けていますが。

 そこで、そろそろ時間も少なくなりましたので、最後に資料の四を見ていただきたいと思います。

 これはごく最近の毎日新聞の記事ですけれども、十一月一日ですか、「そこが聞きたい 原発ゼロの可能性」。全部を読むわけにいきませんので。「小泉さんは「首相が決断すれば脱原発できる」と主張しています。」これに対して、「その通り。岸田首相が判断すればできるのに、逆の方向に行っている。悪い方の決断だ。原発ゼロにできる立場なのに、やるべきことをやっていない。非常に残念だと、はっきり書いてくれ。」と。最後のところにもう一つ、「日本は自然エネルギーに恵まれている。太陽光、風力、水力。波力や地熱もある。日本は自然エネルギーの資源大国になれる。その政策を進め、原発をゼロにする。」。そして、見出しは「首相の決断でできる」、こう書かれています。

 これは我が党の出身の総理ではもちろんないですよ、小泉さん、御存じのように。皆さんの党、自民党の出身の総理で、大変実力を振るわれました。

 どうでしょう、西村さん。この小泉元総理の発言は、私は、決して党利党略とかなんとかではなくて、まさに総理を経験した立場から、そして、太陽光発電などを小泉さんも私も一緒によく行きました、そういうことをよく分かっている立場からの発言だと思いますが、私は、西村大臣も、この小泉元総理の発言を十分吟味されて、それを参考にされたらいかがかと思いますが、最後にその見解をお聞きいたしたいと思います。

西村(康)国務大臣 小泉元総理の御主張を含めて、エネルギー政策については様々な御意見がございます。いろいろな方から、私もいろいろな御意見もいただいているところであります。

 私どもとしても、再エネ、これを最大限導入する、その方針で臨んでおりますが、一方で、再エネは、季節や天候によって発電量が変動するという特徴があります。需要の多い冬場に発電量が減少するということもありますし、無風なときには風力発電は発電されない。例えば、ヨーロッパで二〇一七年一月、風が全く吹かず、曇天、太陽が照らない日が約十日続いた、風力、太陽光の稼働率が大幅に低下して危機的な状況になったということもございます。再エネだけで安定供給を確保していくことは極めて難しいという認識をしております。

 私ども、安定供給にも責任を持つ、その立場から、再エネを最大限導入すると同時に、それと並ぶ脱炭素電源である原子力発電の活用も不可欠と考えているところであります。

 いずれにしましても、徹底した省エネ、再エネの最大限導入、そして、安全性を最優先して、それが大前提の上で、原発の再稼働など、着実に取り組んでいきたいというふうに考えております。

菅(直)委員 これで終わりにしますけれども、少なくとも、小泉元総理というのは、御存じのように、非常に指導力のあった自民党の総理です。相変わらず旧来的な経産省のお役人が並べているような難しい事情ばかりを、西村さん、並べているようだと、あなたは将来の総理にはなれませんね、とても。やはり、歴史を見通して、ある程度反対があってもこれはやるんだ、そういうことを問題提起できるような政治家になっていただきたいことを最後に嫌みとして申し上げて、私の質問を終わります。

竹内委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 今の菅先生の御質問の関係でも、西村大臣、最大限の再エネの導入、それを強調されます。私もそれはもちろんそのことでお願いしたいと思うんですが、西村大臣、やはり最大限の導入の意識が相当違うと私は思うんです。言葉で言えば、西村大臣も私も最大限の導入で合うんですけれども、原子力を前提とし、原子力を更にというふうになると、これは、先ほど、菅さんの言葉をかりれば、経産省が農水省は邪魔をしていないと。私は邪魔の仕方に二通りあると思っていまして、積極的に邪魔をするやり方と消極的な邪魔の仕方というのがあると思うんですよ。だから、原子力に前のめりになることそのものが、例えば九州でソーラー発電がばんばん捨てられている、あのような残念な事象がどんどん拡大するということ。

 私は、前回、大臣に、半導体からEVに至るまで、日本の懸念、恐らくこれは与党の先生方もたくさん心配されていると思うんですよ。間違ったことに前のめりになった結果、十年後、二十年後に、こんなはずではなかったというような日本がまた来るのではないかということを私は大変心配している。冒頭にそのことをまず大臣にお伝えをし、質問はなしで、質問に入りたいと思います。

 まず、今日は、山中委員長いらっしゃいますよね、どうもありがとうございます。また原子力特でも質問させていただきますが、ちょっと質問の順序を入れ替えさせていただいて。

 先ほど菅先生から原子力の話がありました。確かに、いわゆる安全保障の問題というのは、これはもう与野党を超えて、まさに今、防衛力の話もしているわけでありますので、ここは大事だと思いますが、ミサイルが飛んでくる話とは別に、テロの話というのがありますね。テロの場合には、たしか、これは深層防護の考え方の第四層だというふうに思いますが、委員長、そういうことでいいですよね、いかがですか。

山中政府特別補佐人 御指摘のとおりで結構かと思います。

田嶋委員 深層防護の第四層ということで、ここには明確に、航空機がテロによって突っ込んでくる、これは実際にあったわけでありますので、あの九・一一の経験を踏まえて、深層防護の第四層ということで、今、日本でもそれを考えながら安全行政が行われているというふうに理解をいたしております。

 それでは、資料の七から、西村大臣も、恐縮ですが、ちょっと後ろの方、七と書いてあるやつです。

 これは、我が党の岡田幹事長が予算委員会で配付をしたものでございまして、前回も配付資料につけて、時間が切れてしまって質問できなかった部分でございます。

 私の後半の質問を今先にさせていただいておるわけでございますが、これは、いわゆる、菅さんから今ありましたミサイルが飛んでくる話とは違います。これは、テロ対策、先ほどの飛行機が突っ込んでくるような場合なんですが、前委員長であられた更田委員長、そして、過去のデータを見てみると、田中元委員長も何度も強調されておりますが、その繰り返しです。

 要するに、使用済燃料プールにずっと置いておくことはより危険性が高い、そして、乾式キャスクに入れる方が防護力は高まる。だから、冷却の進んでいる燃料は、全部じゃないですよ、ただ、冷却の進んでいる燃料は一日も早くプールから取り出して、そして分散的に、そして可搬的に、動かせるということですね、乾式キャスクに移しておくというのは、テロ対策を考えても安全性を高める手段だという話が前回予算委員会で指摘をされました。委員長もお越しだったと聞いていますが、岡田さんからは委員長に聞くのはやめたということをその時点でおっしゃっておったんですが、改めて、西村大臣、これは答えが出ていると思うんですよ。これは、先ほどの国民保護法制とかそういう次元の話ではなくて、まさに今、目の前で、そして、安全、新規制基準に基づくテロ対策の一環として、これはもう待ったなしでやらなければいけないことではないのかなというふうに思っております。

 補助金をつけてインセンティブとして、ドライキャスクに移すことを応援はしているという説明は事務方から聞きました。それは不十分ではないか。そんな猶予はないのではないのか。まさに、いつ何どきテロが起こるかもしれないというふうに考えたときに、これはもう経産省を挙げて、一日も早くドライキャスクの方に移すということを、大臣、約束をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 使用済燃料の貯蔵については、様々、規制委員長の答弁、これまでもございますけれども、新規制基準においては、プールの貯蔵、そして乾式貯蔵、いずれの方式も認められております。この方式について、各原子力事業者において、原子力規制委員会によって安全基準に適合している確認を受けた上で適切に実施をしているという認識であります。

 この貯蔵方法を含めて、原子力安全規制に関わることは、これは原子力規制委員会が一元的に所掌しておりますので、私どもとして申し上げることは差し控えたいと思いますが、その上で、経産省としては、御指摘のように、追加の貯蔵施設、これはまさに、プールでの貯蔵がなかなか難しくなってきているということも含めてでありますけれども、追加の貯蔵施設として乾式貯蔵の導入を重点的な支援を行うということとしておりますので、引き続き、その建設、活用を推進していきたいというふうに考えております。

田嶋委員 安全規制上は、いずれの選択肢も、すなわち、プールであれドライキャスクであれ、認められているというのが大臣の今の答弁でありました。

 今いらっしゃっている委員長、お尋ねします。前委員長、元委員長の御答弁もございましたが、現委員長として、どちらがより安全か、御答弁ください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 一定程度冷却が進んだ使用済燃料については、水や電気を使わず空気の自然対流で冷却できる等の利点から、できるだけ乾式キャスクに入れて貯蔵した方が好ましいと私も考えております。

 そのため、原子力規制委員会では、乾式キャスクによる使用済燃料の貯蔵を促進するための議論を行いまして、平成三十一年四月に、乾式キャスクの貯蔵に必要な規制基準の改正などの整備を行いました。

田嶋委員 現委員長も、ドライキャスクの方がいいんだというふうにおっしゃいました。

 資料の八を御覧ください。

 電気事業連合会のホームページから持ってきました。正しいことが書いてあると思います。下線を引いている部分でございますが、その前の部分から。「新規制基準への適合に留まることなく、自主的に不断に安全性向上に取組む必要がある。」ということを、彼らもしっかりと書いているわけであります。

 西村大臣、予算委員会のときも似たような答弁だったと思います。どちらも選択肢としては許されているという、そんなことでいいんでしょうか。今、委員長からも明確に、ドライキャスクの方が安全だというふうに御答弁があったわけで、事業者も、より安全、規制基準を合格しているからいいんだという話ではなくて、より安全を求めるのが、日本の原子力を扱うに際しての姿勢であるべきだと私は思います。

 そういう意味で、大臣、補助金をつけているからいいよという話じゃなくて、いつまでにやると。いわゆるテロ対策用の設備に関しても、五年以内に必ず造らなきゃいけない、今そういうルールになっていますよね。同じように、このドライキャスクへの移す話、早晩満杯になるプールがたくさん全国にはあるわけであります。今は東海第二しか運用されていないドライキャスク、これから玄海とかで、三か所ほど予定はあると聞いておりますけれども、これは、いつ飛行機が突っ込んでくるか分からないという想定でやらないと、岡田幹事長も申し上げました、またこれは安全神話、大地震なんて来ないよ、マグニチュード七とか八とかあり得ないよ、同じ議論にこれはなるんじゃないですか。

 委員長はどういうふうに思われますか、それは。急いだ方がいいでしょう。どうですか。

山中政府特別補佐人 使用済燃料の貯蔵方法につきましては、原子力規制委員会として、最新の科学的な知見、あるいはIAEA等の規制基準を参考にしつつ必要な基準を設定しており、その基準に適合することを確認したものについては、乾式キャスクによるものか、あるいは使用済燃料プールによるものかにかかわらず、必要な安全性が確保されていると考えておりますので、どちらかの方法に限定することは考えておりません。

田嶋委員 公式見解としては、規制委員長、規制庁の役割というのは、一つの安全のラインを引いて、それに照らし合わせて合格か不合格かを決めているんですから、今の答弁が模範解答にはなると思いますよ。しかし、実態としてはより安全だということを歴代の委員長がみんな認めているんだから。やれない理由が何かあるんですか。西村さん、やらない理由があるんですか。

 私は、予算をしっかりつけて、来年までに、五年以内に、一か所大体百億から二百億、お金がかかるそうです、一か所ですね。これはもう玄海から、高浜から、そして今の東海第二もですね。やらない理由がないじゃないですか。原子力に注いでいる膨大なお金のごくごく一部ですよ。これをやることで明確に、深層防護の第四層に当たるテロ対策に対してのしっかりとした防護力を高めることができるのに、なぜやらないのか、私には全く理解ができません。岡田幹事長もそういうメッセージだったと思います。

 西村大臣が決めれば、西村大臣が決断すれば、やれると思いますよ。これをなぜやらないんですか。

西村(康)国務大臣 今、山中規制委員会委員長の答弁を聞かれたと思います。乾式キャスクによるものか、使用済燃料貯蔵プールによるものかにかかわらず、必要な安全性が確保されていると考えていますので、どちらかの方法に限定することは考えておりませんと。よくこの答弁をお聞きいただければと思います。両方認められているわけであります。

 そうした中で、私どもは、安全性の基準について、利用する立場から何か申し上げることは一切いたしません。その上で、私どもとして、まさに、燃料貯蔵プール、もういっぱいになってきているというのもありますので、このドライキャスクの有用性も認識をしながら、これについて支援をしているということであります。御理解いただければと思います。

田嶋委員 全く理解できませんね。委員長、これはおかしいと思いませんか。

 明確に規制委員長は、乾式キャスクに移しておくというのはテロ対策を考えても安全性を高める手段だと明言しているんですよ。(西村(康)国務大臣「今の答弁、聞いたと」と呼ぶ)いやいや、どちらも基準を超えているということで合格させているということでしょう。それと、どちらがより相対的に安全性が高まるかの議論は違うじゃないですか。国民の……(西村(康)国務大臣「どちらも安全性は確保されているんですから」と呼ぶ)そこで勝手に答弁しないでくださいよ。

竹内委員長 質問を続けてください。

田嶋委員 私の質問です。

 どちらがより優れているかということを考えて対策を打たなかったら、国民のためにならないでしょう。どちらも合格しているからいいんですか。どちらも規制基準はクリアしている、だけれども、その中で、三代続けて委員長がおっしゃっているんですよ、ドライキャスクの方がいいと。

 なぜ、やれるのにやらないんですか。それは怠慢だと私は思いますよ。やれるのにやらないんですよ。どっちも合格させるということは分かっていますよ。それじゃ不十分じゃないか。事業者側だって立派なことを言っているじゃないですか。新規制基準への適合にとどまることなくですよ。応援しましょうよ、これ。国民みんな、これを知るに至ったら怖いですよ。

 岡田さんもおっしゃっていた、プールに飛行機がぶつかった場合、ドライキャスクは動かせるし、強固さが全然違うということ、指摘がありましたよね。現実を見てくださいよ。何か、ボールが真ん中に落ちて、西村大臣は規制庁の話だと、規制庁は、私たちはちゃんとやっていますということで、ボールが真ん中に落ちて、結局、安全性の低い状況のまま長らく放置されるということが今の現実なんですよ。委員長、これはおかしいと思いませんか。

 大臣、もう一度。いいんですか、こんなことで。

西村(康)国務大臣 安全性の基準については、私ども経産省、利用する側の立場から、何かその基準について申し上げることは一切いたしておりませんし、それはいたしません。安全基準については規制委員会が判断をされることであり、我々はそれを尊重して対応する。

 どちらがいいか、まさにお示しになられたように、事業者の方もいろいろ考えながら対応する、まさに規制委員会のその基準に適合するように、その中でどういうふうに対応するかは考えていく。私どもとして、ドライキャスク、乾式のキャスクについて支援をしながら、そういった方向も促しているということでございます。

田嶋委員 安全基準の話はしていないんですよ。実態としてどちらがより安全かが明確になっているのに、より安全な方に収れんさせなきゃいけないでしょうということを申し上げているんです。補助金をつけているんだったら、十分の十の補助金でも、とにかく一日も早く、全ての、今プールに置かれている使用済燃料がドライキャスクに移るように、やれることを最大限やろうじゃありませんか。そのことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 質問、戻りまして、再エネ賦課金についてです。

 私がこれを今日取り上げる理由は、前回の、半導体から今日に至る流れも同じでございますが、過去を総括しないと前に進めないんじゃないか。同じような失敗を繰り返したくない。これからのEVとかペロブスカイトとか全固体電池とか、あるいは原発にもう一回入っていくとか、こういう重要なステージにあって、過去を振り返りたいと思います。

 先ほどの菅さんが総理大臣だったときの、まさに三・一一のその日、あっ、ちなみに、今日は何の日か御存じですよね。我々の初当選から二十年目に入りました、今日。頑張りましょう。それで、三・一一の、まさに起きたその日の午前中に閣議決定されたのがこのFITの法律なわけですね。そういう意味で、先ほど、九%あたりから倍になった、本当に画期的というか、何とかあれが実現したので、恐らく、これは与党、野党関係なく、あれが大きな起爆剤となって再エネが増え出した、特にソーラーが増え出したわけでございますが。

 それで、一つお尋ねしたいんですけれども、法案修正があったと聞いておりますが、そのとき西村さんが責任者を務めておられた。当初三年間の利潤の配慮期間というのは、なぜ設定されたのでしょうか。

西村(康)国務大臣 当時、私、野党自民党の経産部会長で、経産委員会の野党の筆頭理事を務めておりました。その中で、御指摘のように、政府・民主党政権から出された提案に対して修正協議を行って、提出をさせていただいたわけでありますけれども、まさに、再エネを最大限進めていかなきゃいけない、特に、この三年間、日本で進んでいなかったものを一気に進めていこう、集中的に再エネの導入拡大を図るということで、この三年間の集中期間というものを設定したところであります。

田嶋委員 これは、私、導入は本当によかったと思いますよ。これでも先進国で一番遅かったと思います。ドイツより十年は遅れた。

 しかし、ずっと私は疑問だったことがあって、なぜ最初の三年間にリターンを上乗せしたのかなというところがよく分からなかった。何であんなことしちゃったのかなという気持ちですね。西村さんの本に出会って、先週ようやく謎が解けました。

 資料の配付の一です。

 そのAのところに、おっしゃるとおり、西村さんが責任者で、集中期間を野党側から、自民党が強く主張をして入れたというふうに書いてあるんですね。その下に、本来、ドイツであれば国債利回りプラス五%、これもかなり高いリターンだと思うんですよ、しかし、それにあえて一、二%のリターンを乗せた形にしたということを、こういうふうに、誇らしげにというか、西村さんの手柄として書いているような印象なんですが、私はこれは余り理解できないんですね。

 なぜ、こういうところまで投資家側に利益を与えるような形でスタートさせてしまったのか。終わったことだから仕方がないだろうと言われるかもしれませんが、私は、検証する必要がある。なぜならば、次のページを御覧ください。

 これは、与党も野党もたくさんお話をこの十年間聞いてきたと思います。今の円高対策にも関わる話ですね。今、電気代が上がって、それに対して政府が巨額のお金を出すわけですけれども、この間、再エネ賦課金の国民負担の議論がずっとありました。それが全部、何か菅政権が悪かったみたいなことをおっしゃる方がいて、私は非常にじくじたる思いがありましたが、よくよく調べてみると、西村さんが入れているんですよ。西村さんが責任者としてこれを入れた結果、何て書いてありますか、この経産省の資料には、この上のところですけれども。二〇一二年から一四年に認定された事業用太陽光発電に係る買取り価格が大半を占めている。つまり、国民負担の大半は、野党の西村さんが交渉して一、二%乗っけたあの最初の三年間の負担が、今丸々、ずっと国民にのしかかっているということなんです。

 私は、再エネ、FIT法はよかったと思うんですけれども、この一、二%の上乗せは大きな失敗であったというふうに思っているんです。

 そして、もう一つ言うと、西村さん、山肌を切り開いて、ソーラー、これが大変な問題で、全国で太陽光が嫌われ者になってしまいましたけれども、あれも、リターンが高いがゆえに、そうしたコストまで含んで事業性が成り立つような仕組みになってしまったということが大きいという話を聞いております。

 本来だったら、先ほど菅さんがおっしゃったように、最初から手が入った、何もやらなくても平らな土地がある場所でソーラーはやっていくべきだったと思いますが、北は北海道から南は沖縄まで、山肌を切り開いて、本当に自然破壊をしながらソーラーをやることになった。なぜ、それができたか。高いリターンが最初の三年間保証されていた。私は、この点に関しては本当に納得がいかないし、西村さんの本を読んでよく分かりました。それをやったのは西村さんだったんだなということを、大臣、もう一度確認させてください。

西村(康)国務大臣 繰り返し申し上げていますとおり、再エネの最大限導入、これは当時も私は考えておりましたし、今もできる限り導入したいという思いであります。

 特に、その時点でヨーロッパなどに比べて再エネの導入が少なかった日本、一気に進めていくにはどうしたらいいか。まさに、この法案の審議の最中に与野党の理事がドイツ、スペインを回って、審議中ですよ、了解を得て、海外の動向を聞いて、そして戻ってきて、この法案協議、修正協議に入ったわけであります。そして、提出された民主党も賛成されてこの法律はできております。何で反対されなかったのか、今頃になってそんなことを何で言うのか。御自身こそ、当時のことを振り返ってみて、どう判断されたのかを考えていただきたいと思いますが。

 いずれにしても、それは横に置いておくとしても、最大限導入するために、当時は、日本は遅れている、だからこそ利潤を上げなきゃいけない、こういう提案をして、与野党でまとまってこの法律ができたわけであります。

 ただし、当然、その後の状況の変化はあります。国民の負担が増大していることも承知をしておりますし、さらには、様々な事業規律、関係法令の遵守などの問題も出てきておりますので、その見直しも随時行ってきておりますし、これから更にそれも行っていきたいと思います。

 FITで負担の分、上がっている分を含めて、頭に置きながら、今回、電気料金の引下げの、緩和措置も講じるわけでありますので、私ども、もちろん、過去を見ながら、しっかりと反省しながら前に進んでいるわけであります。

田嶋委員 もちろんです、おっしゃるとおりで、我々も賛成をしたんですよ、修正に。それは事実なんです。だけれども、私が申し上げたいのは、これまでの過去を総括しながら、そして、実際に、野党提案であったこの二%のプレミアというのは、私は結果的には失敗だったのではないかというふうに思います。

 もう一つお尋ねしたいんですけれども、西村さん、同じ本の、資料の三でございますね。

 この中で、いやいや、ほかの国で、先進事例で、バブルになってしまうような懸念、そして、事業者をもうけさせるのではないかという指摘があるけれども大丈夫だというようなことが書いてあって、そのCのところですが、これも修正で入れられたポイントだと思います。一年ごとの買取り価格の変更ではなくて、半年ごとに決めるようにしたというのも修正でたしか入ったというふうに理解をしておるんですけれども。

 これは、直後、二〇一二年十二月から第二次安倍政権になりました。以来ずっと今日まで、半年ごとの修正、料金が少し高過ぎたのではないかということでラッシュが起きた、それが今の国民負担につながっている。そうしたことで、料金を下げる余地というのは半年ごとに可能であった、そういう仕組みを入れたから大丈夫だということをおっしゃいましたけれども、実際には、その半年ごとの料金改定というのは何回行われたかということを教えてください。

西村(康)国務大臣 まず、この措置によって導入が急速に進んだことは今お認めいただきましたし、先ほど菅委員からの御指摘の中でも、今もう二〇%まで増えたという評価をいただいたところであります。私は、一定の効果があったものというふうに思っております。

 その上で、御指摘のように、調達価格は、確かに急激にいろいろなコストが下がることが考えられますので、見直しを的確にやるべきだという判断から、基本的には、原則、毎年度、事業開始前に、年度の開始前に、調達価格を算定委員会の意見を尊重して定めることになっておりますけれども、与野党合意の下で、適切なコストでの導入を促す観点から、まさに、供給量あるいはパネル価格、施工費、こうしたコストの低減を勘案しながら半期ごとに調達価格を定めることができるとされております。

 そして、こうした制度の趣旨も踏まえて、二〇一二年七月に制度が開始されたわけですが、その約半年経過した後に、二〇一三年四月には調達価格を引き下げております。また、利潤配慮期間三年が終了したということもありましたので、調達価格を、年度途中でありましたけれども、二〇一五年七月に引き下げているところであります。

 さらには、二〇一七年度からは、太陽光においては入札制度も導入をしております。更なるコスト低減、これを促進しているところであります。また、二〇一九年からは、入札の回数を年間複数回として、毎回の入札価格の上限価格を引き下げるということで、私ども様々な制度の見直しを行う中で、国民の負担の低減、あるいはコスト低減、これを促す環境を整備してきているところであります。

田嶋委員 半年ごとの見直しができるというふうにはしたけれども、しかし、それは実際には第二次安倍政権以来一度も行われていないというふうに私は説明を聞いております。これは、そういう仕組みはつくったけれども、高止まりの料金のままに、国民負担が今のような大きな金額になってしまった原因だった。非常に、料金算定委員会に対して、そうした働きかけを第二次安倍政権のときに行われていなかったというふうに私は認識をしております。これも、私は、FIT導入に関する反省点ではないかというふうに御指摘を申し上げたい。

 それから、もう一点お尋ねします。

 これは三ページのBの部分でございますが、西村さん、こうおっしゃっていますね。淡路島の例を引きながら、市民が少しずつ小口の資金を出し合うファンド方式、組合方式での太陽光プロジェクトも全国各地で計画されている、だから、特定の事業者の利益になったり、多くの人がお金を持っていないから参入できないなんということはないんですよ、安心してください、みんなにとっていいんですよという話をなさっているわけでありますが、実際に、そうしたファンド方式とか組合方式のソーラーというのは全体の中のどのぐらいの割合、広がったんでしょうか。

西村(康)国務大臣 私の地元でもありますけれども、例えば、ため池に、みんなで管理しているため池で、そこでみんなでお金を出し合って太陽光を設置をして、その一定利潤はみんなで分かち合うというような仕組み、これは各地で、株式会社の形態であったり、有限会社の形態であったり、組合の形態であったり、様々な形態の事業者がおられるというふうに認識をしております。

 今申し上げたことに加えて、例えば、秋田県大潟村による大潟村ソーラーファンド、あるいは長野県飯田市による飯田市おひさまファンドなど、小口の資金を出し合うことで、地域の皆さんが誰にでもビジネスチャンスがある取組事例、こうしたものも存在しています。秋田県の能代市の風の松原自然エネルギー風力発電のように、地元の企業、銀行、自治体による合同会社が地域貢献を念頭とした取組事例もあります。

 まさに、地域に存在する再生可能エネルギーの導入に当たっては、その事業の形態のいかんを問わず、地域と共生をして、地域の幅広い関係者に裨益する、これも大事な点でありますし、地域の皆さんが活用できる点であります。この能代市の取組につきましては、今年二月に地域共生型再生可能エネルギー事業顕彰として表彰を行うなど、経産省としても、こうした取組が、動きが広がっていくことは歓迎すべきことと認識をしております。

 いずれにしても、今後とも、地域に根差した再生可能エネルギーの導入、これも積極的に推進していきたいと思います。様々な知恵を絞っていきたいと思います。

田嶋委員 スモールプレーヤー、誰でも参入できるから大丈夫なんだということでスタートしましたが、実際は、残念ながら、社会的な批判の強いメガソーラーが圧倒的になってしまって、県外からの事業者がやっているといって、今でも大変揺れている地域がたくさんあるというふうに思います。

 そういう意味では、私はそこは足りなかった部分だと思う。西村さんが、このようなことがあるんだから大丈夫だよと。確かに、事例としては私の千葉でもございますよ、スモールな、小規模の出資ということは。ただ、それは私は、氷山の一角、非常に少ない割合ではないのかなというふうに思うんです。是非それは今度そちらの方からデータとしていただきたいと思いますが、是非、もっと、ドイツのように組合方式が半数以上を占めているというような、そういうような状況に日本も再生可能エネルギー、これから持っていけるように、経産省も工夫をしていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、立憲の皆様から原子力の話が続きました。私は今日、原子力はいたしませんが、エネルギーのみならず安全保障の観点があるから原発はなくさないといけないんだというのは反対で、エネルギーのみならず安全保障の観点があるから原子力技術を日本は失ってはならないんだということを強く私たちは訴えてきました。だからこそ、福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえて人材育成もしていく、様々な福島第一原発事故の教訓を踏まえた改革を、原子力、原発政策の改革をしていくという立場でこれからもやっていきますが、あした原子力問題調査特別委員会がございますので、原子力はそちらに譲って、今日は生コンの話をやります。

 大臣は関係ありませんので、もう自由にしていただいて、お手洗いでも何でも。

 さて、生コンをなぜ今日取り上げるかというと、これから大阪・関西万博もある、それからIRもあるということで、大阪の生コン価格について、これは日本の問題として取り上げるわけでありますが、関西生コン、連帯ユニオン関西生コン支部という労働組合が、今もあるのかな、労働組合、お取り潰し規定がありませんので、多分今もあるんだと思います。執行委員長が、四年前の八月に逮捕されました。どれぐらいの規模の検挙というか逮捕というかがあったのか、警察から御紹介いただきたいと思います。

親家政府参考人 お尋ねの全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部につきましては、組合役員、組合員等が建設工事に関連して嫌がらせを行ったり金品を要求するなどしたりした複数の事件に関しまして、平成三十年七月以降、滋賀県警察、京都府警察、大阪府警察、和歌山県警察におきまして、威力業務妨害罪、恐喝罪等の罪名で、延べ八十九人、実員五十七人の関係者を逮捕しているものと承知しております。

足立委員 すごいでしょう、皆さん。実員で五十七名ですよ。

 ほとんど報道もされませんし、そもそも、労働組合にもいい労働組合と悪い労働組合がある。トラブル団体があるんです。宗教団体だけじゃないんです。

 宗教法人にもいい宗教法人と悪い宗教法人、いい宗教団体と悪い宗教団体があるんです。だから、統一教会については、いろいろ問題になっている、私はその統一教会に係るいろいろな議論、国会での議論を別に否定はしませんが、何であれだけやるのかが分からないんですね。

 確かに、宗教団体にもトラブル団体があるが、労働組合にもトラブル団体があるんです。何で好きなところだけ恣意的に取り上げるんですか。やるんだったら全部やりましょうよ。恣意的に取り上げている人たちは、我が党も含めて、それは政局なんです、しようもない政局。だから、そういうものは、ねえ、竹内委員長、もう、そういうものは踏んづけたらいいんです、踏んづけたら。

 だから、私は、与党公明党の先生方もいらっしゃいますが、創価学会、公明党の在り方は、私は政治と宗教の関係において理想だと思っているんです。だって、全部公開しているでしょう。全部公開しているんです。創価学会が公明党を全面、全面かどうか分からないけれども、支援されているということはみんな知っている。ずっと昔から知っている。何も隠していない。これが政治と宗教の理想なんです。

 ところが、統一教会についてはいろいろ問題があって、何かみんなよく知らなかったとか、ひどいことをやっているじゃないか。だから、宗教団体だからじゃなくて、トラブル団体として、それは規制を強化すべきところがあればしようじゃないかと冷静に議論したらいいんです。こんなもの、臨時国会を席巻するテーマじゃありません。森友、桜の次は統一教会ですか。もっとやることあるでしょう、社会保障、安全保障、エネルギー政策。そういう観点で、私は、この臨時国会における統一教会騒動に異議を申し立てる観点から、宗教団体だけじゃないですよ、労働組合もですよと。

 親家審議官、もう一回ちょっと、何人かだけ、もう一回言ってください。

親家政府参考人 延べ八十九人、実員で五十七人でございます。

足立委員 そこには執行委員長や役員も当然というか、執行委員長や役員が軒並み、軒並みという言い方はちょっと分かりにくいと思うけれども、執行委員長や役員も含まれる、いいですね。

親家政府参考人 当時の執行委員長等も含まれております。

足立委員 そうですね。当時の執行委員長、武建一執行委員長も含まれる。

 これ、普通ならもうお取り潰しですよ。しかし、労働組合法にはそういうお取り潰しという概念がないので、いまだに活動が継続されている。これは労働三権の一つ、労働組合法が守っているからですね。だから、労働組合法に守られているわけです。

 法益と法益のぶつかりですから、それは仕方ない面もあるけれども、それは調整していかなあかん。もし法に不備があるなら、労働組合だってちゃんと登記を義務づけたり、あるいは、登記を義務づけた上で、監督、関係の行政庁がしっかりと何かするとか、そういう法律があってもいいと私は思いますよ。だって、これだけ、五十七名逮捕されているんだから。

 もし統一教会が解散されなあかんのやったら、いや、解散したらいいですよ、私も別に反対しないが、連帯ユニオン関西生コン支部だって解散せなあかんのです。宗教法人法、労働組合法あるいは中小企業等協同組合法、様々な法律が、もし経済社会に悪さをしているのであれば、しっかり法律を直していくのが立法府であると訴えたいと思います。

 さて、四年前にそういうことがあって、正常化するかと思ったら、大阪広域生コンクリート協同組合というのがありまして、価格ががんがん上がっているんですね、今。

 まず、経産省から、この大阪広域生コンクリート協同組合とは何ぞや、簡潔で結構ですから、御紹介ください。

横島政府参考人 大阪広域生コンクリート協同組合の中小企業等協同組合法における所管行政庁は大阪府であり、当省は届出等の受理や認可をしていないため、詳細は承知しておりません。

 同組合がウェブサイト等で公表している情報によれば、同組合は一九九五年三月に設立され、事業内容は生コンクリートの共同販売、事業エリアは大阪府及び兵庫県であり、組合員数は二〇二一年三月時点において百四十五社、百六十五工場とのことです。

足立委員 横島部長、ありがとうございます。御無沙汰しております。ちょっとやせられたような気がしますが。

 価格がとにかく異常な上がり方をしています、特に大阪で。大阪で生コン価格が高騰しているという御認識はありますか。

恒藤政府参考人 生コンクリートの価格につきまして、建設資材の単価等を調査する団体の調査によりますと、お尋ねの大阪市におけます生コンクリートの価格は、直近四年程度について見ますと、全国主要都市の平均価格を継続して上回っておりまして、最も大きなときで三割程度高い状況にございます。

足立委員 これは、経産省に行く前に一回、国交省にもちょっとお願いしたいと思いますが、なかなか、民民の取組なので数字がきれいに出にくいんですが、こういう建設物価という、物価本というのがありまして、公共工事とかの調達に絡んで、幾らぐらいで各地域で推移しているかというものがありますが、国交省から、こういうものに基づくとどんなふうに見えるか、御紹介ください。

笹川政府参考人 お答えいたします。

 公共工事で使用する大阪の生コンクリート単価についてでございますけれども、公共工事におきましては、予定価格は取引の実例価格等を考慮して発注者が定めることとされております。

 積算に用いられている、先ほど委員御指摘の建設物価によりますと、大阪の生コンクリート価格につきましては、五年前の平成二十九年十一月号では一立米当たり一万五千八百円だったものが、最新の令和四年十一月号では一万八千八百円、五年間で約一九%の上昇となってございます。

足立委員 加えて、この物価本によると、足下で立米当たり一万九千円台なんですけれども、先ほど御紹介した大阪広域生コンクリート協同組合のホームページに行くと、この組合は、私の言葉で言うと、語弊があるかもしれないけれども、合法カルテルですから、これは。要は、中小企業等協同組合法に基づいて独禁法の適用除外がされているわけですね。

 その組合のホームページを拝見すると、一般的な強度の生コンの価格は、要は、足下で二万一千八百円、来年度は二万五千五百円までつり上げることになっているんです。いや、つり上げるって言葉悪いな。価値観が入っちゃいますが、すごい強気で上げていくわけですね。

 ちょっと、この足下で二万一千八百とか、来年度は二万五千五百円とか、これ、どうですか。経産省それから国交省、それぞれ、物価本ではまだ一万九千円台なんですけれども。

 大阪では、イン、アウトと言いますけれども、この協同組合のアウトはもうほとんどいなくなっています。ほとんど独占状態というか、そういう中で、物価本が正しいのか、広域のホームページが正しいのか、それはもし御見解があったら御紹介を。

笹川政府参考人 大阪広域生コンクリート協同組合のホームページには、御指摘の数値が掲載されていることは承知しております。これは、契約交渉のベースとなる価格というように承知しております。

 一方、物価資料に掲載されている価格につきましては、調査月における実際の契約価格を収集いたしまして、幅のある契約価格の中からその最頻値が採用されているというように聞いております。

 したがいまして、協同組合のホームページで掲載されている価格と物価資料に掲載されている価格とは差が生じているということと存じます。

足立委員 この問題は、公共工事の発注はこれが参考にされて発注されているんですね。公共工事の発注はこれが参考にされているんです。だから、もし大阪広域が、さっき紹介申し上げたような形で価格交渉していったときには、しっかりとそこに合わせていかなければ、建設業者は挟まっちゃって大変な思いをすることになるわけでありまして、その辺の、何といいますか、実勢に発注価格がちゃんとついていく、そういう制度もあると思うので、簡単に紹介してください。

笹川政府参考人 お答えいたします。

 原材料費等の高騰による生コンクリートの価格上昇につきましては、適正に公共工事の価格に反映することが大変重要でございます。

 このため、直轄工事におきましては、新規の契約では最新の単価を予定価格に反映するとともに、既存の契約でも、請負代金の変更規定、いわゆるスライド条項の適切な運用に努めておりまして、本年六月にはその運用ルールを一部改定したところでございます。

 また、地方公共団体に対しましても、最新の単価を適切に予定価格に反映させつつ、適正な積算を行うこと等を要請しております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、生コンクリート価格上昇を反映した請負代金の設定等が図られるよう、適正な価格転嫁のための環境整備を進めてまいります。

足立委員 私は、この物価本、余り信用していません。どうやって調査しているのかな。いや、信用していませんと言ったら発行している方に失礼だけれども、やはり、しっかりと実勢価格というものを、物価本も参考にしながらよくウォッチしていただきたい、このように国交省それから関係の団体には要望していきたい、こう思います。

 問題は、公共工事の発注者が仮にしっかりとそれに追随していくと、取りあえず建設業界は何とかそれで回るということですが、仮に不当に価格がつり上がっているのであれば、誰が被害者になるかというと、納税者であります。だから、私は、これは本当に競争政策上の課題がないのかと。まあ合法カルテルなんだけれども、競争政策上の課題がないのかということを大変注視をしています。

 今日、公正取引委員会にも、田辺局長においでをいただいていますが、公取委として、この分野、私は注目をしているわけですが、注目をしているとか調査しているとか問題があるとか、何か御答弁はありますか。

田辺政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、独占禁止法第二十二条は、一定の要件を満たす組合の行為を独占禁止法の適用除外とする一方で、一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合には、この限りではないというふうにしているところでございます。

 委員御指摘の件につきましては、個別事案に関するものであるため、独占禁止法上問題となるかどうかについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

足立委員 田辺事務総局審査局長には、個別事案には答えられないという御答弁になるということも事務的に聞いておりましたが、わざわざお越しをいただいたのは、今日の私の質疑を聞いてほしかったんですね。聞いていただいて、そして、しっかりと私は公取委にも、要は、競争政策というのは消費者利益なんです、消費者利益のために、要は国民の利益です、のためにしっかりと注視をいただきたいと思うし、経産省、国交省にもお願いしておきたいと思います。

 生コン関係、あともう三、四分で終わるので、退席と言わなくてもいいですね。

 あと残り、ちょっとテーマは変わりますが、生コン以外、私は大阪でいろいろ取り組んできた仕事がありまして、もう一つは土砂です。これは、熱海の大変残念な事故を受けて、盛土規制法、国交省の現在の官房長の、そして国交大臣の御尽力で作っていただいて感謝をしています。

 問題は、この執行に向けて調査、基礎調査、事前調査を早速やっていく、来年の五月の施行には各地でしっかりと新しい技術基準が適用されていくべきだと思いますから、この調査の実施に向けた状況を簡単に御紹介ください。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 盛土規制法の施行に向けては、地方公共団体による規制区域の指定に向けた調査が円滑かつ早期に行われるよう、本年九月末に調査の実施要領の案をお示しするとともに、地方公共団体向けの説明会を地方ブロック別に開催し、丁寧に説明を行っているところです。既に幾つかの地方公共団体からは規制区域の指定に向けた具体的な相談や調査の実施に対する予算要望をいただくなど取組が進んでおり、特に広島県においては、法施行後速やかに規制区域を指定するため調査に着手していると伺っております。

 以上でございます。

足立委員 しっかり先進地域に追いかけるように、全国で取り組んでいただきたい、こう思います。

 それから、盛土規制法が制定された経緯を踏まえると、この技術基準ですね、どういうふうに安全を担保するか。これはしっかりと高いハードルの技術基準を整備していくべきだと思っていますが、いかがですか。

菊池政府参考人 お答えいたします。

 盛土等の安全対策に係る技術基準については、現在、農林水産省と連携し、有識者検討会で専門家の御意見を伺いながら検討を行っているところです。盛土等に伴う災害から人命を守り、二度と熱海市と同様の被害を繰り返すことがないよう、各法令の基準も参考にしつつ、更に万全を期して、適切な基準の整備に向けた検討を進めてまいります。

 以上でございます。

足立委員 以上、今日は生コンと土砂を取り上げましたが、もう時間、来ているの。まだ大丈夫。

 冒頭申し上げた統一教会、与党の皆さんも、何か諾々とというのかな、何かディフェンスばっかりするんじゃなくて、適正な規制は必要ですよ、それから情報公開も必要、どういう組織、団体に応援されているか、それはもう絶対に政治は全て公表せなあかん。当たり前です、そんなことは。当たり前だけれども、今日取り上げたように、トラブル団体と関係があったのは自民党だけじゃないんですよ。野党、野党もトラブル団体、だって、役員、執行委員長、役員五十七名が逮捕された巨悪、その団体とつき合っていたんですよ、つき合っているんですよ、特に社民党は。土井たか子社会党委員長のチルドレンたちはみんなそれに関係していたわけです。ちゃんと記者会見すべきですよ。なぜしないか。なぜ偉そうに自民党に対してだけ追及をするのか。私はそういう公正公平ではない国会の在り方に異議を申し立てまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 先ほど、我が党の足立委員から生コンの競争政策について質問がございましたけれども、私の方では、これは全く、打合せをしているわけではないんです、偶然なんですが、LPガスの競争政策ということについて、まずお伺いをしたいと思います。

 LPガス、私も経験があるんですけれども、都市ガスと比べて高いです。この高い理由というのも、やはり適正な競争が行われていないのではないかということを私は常々感じておりました。昨今のエネルギー価格高騰という問題もありますけれども、こうした根本的な問題というのを、先ほどの生コンもそうなんですけれども、やはりこれは公取委を中心にしてしっかりと守っていく、監視をしていくということが、自由な競争を促すということもありますし、何より消費者、国民の生活を守るということにもつながると思います。

 そこで、最初にデータをお伺いしたいんですが、我が国における都市ガス利用者とLPガス利用者の数、又は比率を教えてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二年度末時点でございますが、都市ガスの世帯数は約二千六百万件、一方、LPガスの世帯数は約二千二百万件と承知してございます。

小野委員 平成二年ということで、かなり古いデータではありますけれども、ここから言えることというのは、LPガスで生活されている方というのは非常に多いということだと思います。東京におりますと当たり前のように都市ガスになっていますけれども、やはりLPガスのことも、これは特に地方に住んでいらっしゃる方が多いわけですので、しっかりと考えていく必要があると思うんですね。

 そこで、事業者の数、LPガスの事業者の数についてお伺いしたいと思います。

定光政府参考人 まず冒頭、失礼しました、先ほどのデータは、平成ではなくて令和二年度末でございました。大変失礼申し上げました。

 事業者の数の方ですけれども、同じ令和二年度末時点で、全国のLPガス事業者数につきましては約一万七千事業者となります。

小野委員 非常に多いというふうに思うんですね。都市ガスなら、もちろんもう大手がやっているわけですけれども、一万七千事業者が全国津々浦々でやっている。そういうことで、このLPガスの業界については自由競争というものが導入をされているんですけれども、ただ、実際に、本当に地域内で競争が行われているのか。

 私も、地方で住んでいたときに、じゃ、選択肢があるのかというと、ないんですよね。基本的にはもう決まっている状態があったりなんかします。例えば、単身で住むような地方のアパートとかマンションですと、もう最初から事業者が決められているというようなこともあります。

 そして、よくこれは聞かれることとして、賃貸物件において、LPガス事業者が賃貸オーナーに設備導入を負担する代わりに、入居者に価格転嫁をしている状況というのがあるんじゃないかというようなことが多々聞かれておりますけれども、こういったことを把握しているのか。そして、その場合の対応はどうしているのか。また、地域内でそもそも競争環境がちゃんと整っているのか。この点について、経産省と公取委からお伺いしたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 LPガス業界におきましては、委員御指摘のとおり、例えば貸付配管と言われます商慣行がありまして、これはLPガス事業者が住宅のガス配管の所有権を持っておりまして、ユーザーがガスをほかの業者に乗り換えようとすると急に配管工事費を請求するという慣行でありますとか、あるいは、今御指摘されていました、無償貸与と言われていまして、これはLPガス事業者がアパートの設備をオーナーに無償で貸与しております。それで、その設備代は、まさにたな子というか入居者の方に、月々のガス代で、ガス料金に上乗せして設備代を回収するというような、無償貸与といった商慣行がございます。

 これまでも、LPガスの取引適正化を図るために、例えば平成二十九年には、LPガス料金に設備費が含まれている場合にはその費用をきっちり明確化しなさいということを、LPガスの保安それから取引適正化に関する法律の規則を改正して、明確に示しております。

 また、加えて、昨年の六月には、国土交通省と連携をしまして、賃貸集合住宅におきまして入居前にしっかりガス料金を提示しなさいという取組を始めるなど、関係業界と協力しながら、こういう商慣行の是正、取引の適正化に向けた取組を進めてきてございます。

 他方、LPガスの商慣行について、業界団体の調査などを通じて、我々、実態把握もしておりますけれども、昨年事業者に対してアンケートをしたところでは、約六割のLPガス事業者が、賃貸集合住宅のオーナーからの要求に応じて機器の費用を負担した実績があると回答しておりまして、こうした慣行の是正に向けた更なる取組の徹底が必要であるというふうには認識してございます。

小野委員 ありがとうございます。

 この問題を経産省と打合せしたときよりも更に調べていただいたということで、私も問題の中身がより分かったというふうに今思いますけれども、非常にこれは、LPガス業界の商慣行というのはかなり根深いなというふうに感じました。

 もちろん、LPガスというのは、やはり全国津々浦々、都市ガスが引けないようなところに持っていかなきゃいけないということで、そもそもがなかなか、多くの事業者が参加して競争するというのも考えにくいところでもあるとは思うんですけれども、ただ、そういった構造があるからといって、例えば先ほどありましたように、貸付配管の問題とか無償貸与、無償貸与の場合はマンションとかアパートのインターホンとか、それからあとエアコンとかそういったものも、自分のところのガスを使ってくれればうちが無償貸与しますよというようなことが行われているということで、その裏に、消費者が、住んでいる人が、ガス料金をその分も上乗せされた形で払っているというようなことがあるということで高くなっている側面もかなりあるというふうに思うんですね。

 こういったことが、やはりちゃんと見える化するということがまず大事だと思います。そういったことが行われているんだということが、しっかりと、消費者、入居しようと思う人に、どういう仕組みでなっているのかということを事前に通知しようというような工夫を、経産省がそれを事業者にもしっかりお願いをして、これはお願いベースらしいんですけれども、そして、それを国交省の方にも伝え、賃貸オーナーが入居者にも伝えるというようなところ、ここまでつなげていこうということをやっているということは私は評価はしますけれども、ただ、今日ちょっと国交省を私、お呼びしていないので、ここはまた国交委員会で私、質問しようかというふうに思っておりますけれども、実際に、そうやって経産省の側がLPガスの事業者にそういった、ちゃんと情報を適切に伝えるということをお願いしておいても、賃貸オーナー側がそれを積極的に行わないということであれば、これは消費者側の利益をちゃんと保障することにもならないということで、ここの徹底はしっかりしていただきたいというふうに思うんですね。

 この問題について、公取委として、この競争政策をちゃんと進めるためにどういう問題意識を持っているのか、あるいはどういったことをやってきたのか、これを答えていただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会では、LPガスの販売に関する取引慣行につきまして、平成十一年に実態調査報告書を公表しております。

 この中で、無償配管の問題に関しましては、LPガスの販売業者が、無償で住宅の配管を行ったことを理由に、配管の所有権を主張し、消費者が解約を申し出た際に、不当に高額な配管の買取り代金を請求したり、また、ガスメーター等の設備の撤去を不当に引き延ばしたりする、こういったことによりまして顧客がほかの販売業者に移るということを制限することは、不公正な取引方法として独占禁止法上問題を生ずるおそれがあるという考え方を示しております。

 公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する事実に接した場合には厳正に対処する所存でございます。

小野委員 これは通告していないんですけれども、そのような報告をしているということでありますけれども、実際にそのような事例を摘発したとか指導したという事例はあるのかないのか、今分かれば教えてください。

藤本政府参考人 現在手元にある情報では、そういう事例というのは、ちょっと確認できるものがございません。

小野委員 ありがとうございます。

 もっともっと徹底する必要があると思うんですね。やはり、そうやって、普通、常識で考えれば、マンションオーナーが自分でインターホンを取り付けるとか、あるいは空調機、そういったものも、それもちゃんと自分の事業として用意すべきものだと思うんですけれども、それを抱き合わせでガス事業者に、まあ、ガス事業者さんがある意味受注を取りたいからということもあるんでしょうけれども、でも、それによって設備を負担してもらって、そして、ガス事業者の側はそれをガス料金に転嫁するというようなことは、やはりどう考えても、自由主義経済の下で本当にこれであっていいのかと。

 先ほど冒頭に質問したLPガスの利用者というのはもう国民の四割ぐらいを占めているわけでありますので、やはり非常にこれは国民の生活に大きく影響する問題だと思いますし、また、今、燃油高騰とか電気代が上がっているというようなこともあります。そして、ガスの方にも補助金を入れるというようなことも、都市ガスでまずやるということですけれども、こういったことも起きているわけですので、やはり、そもそものこの問題、本当に、自由競争が働いて、そして、国民経済にとっていい形でちゃんと制度が機能しているかということを是非公取委には厳しく見ていただきたいなというふうに思いますので、これは大事なことですので、是非お願いしたいというふうに思います。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、私ども日本維新の会は、やはり自由経済というのを基礎にして、競争をしっかり健全に行えるようにする環境というのが、経済の発展のためにも、そして国民の皆様が安心して快適で、そして予測可能な営みを続けられるためには大事だというふうに思っておりますけれども、そうした競争政策について、このガス事業法に関しても言及していただければありがたいですけれども、御認識を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 今御質問いただき、また役所側から答弁もありましたけれども、LPガスをめぐっての配管設備、その無償貸与などの商慣行、これが、ガスの解約時に配管工事費や設備代金を請求されるため、ガス会社を変更しにくい、あるいは機器の費用が乗ることでアパート入居者の毎月のガス料金が割高になる、こういったことなど、消費者とのトラブルの原因になっているものというように承知をしております。

 このため、委員御指摘のとおり、まさに消費者が自由で公平にLPガス事業者を選択できる環境を整備することが重要と認識をしております。

 答弁もありましたけれども、これまで経産省としても、ガス料金に設備費用が含まれる場合にその内訳を明記することを求める制度改正、あるいは、アパートなどへ入居を検討している消費者に事前にガス料金の提示を徹底するように関係団体に要請するなどの取組を行ってきております。

 引き続き、こうした取組の徹底を図りながら、実態も踏まえ、まさに自由で公平に選択できる環境をつくっていくことが大事だと思いますので、必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 私どもの党は基本的には競争政策をしっかりやっていこうという立場でありますけれども、ただ、何でもかんでも競争を取り入れればいいというものではないと思うんですね。そこにはしっかりとしたルールがあって、そして、誰にとっても公正であってというようなことが担保されて初めて競争政策というのは成り立つというふうに思いますので、今大臣が御答弁されたことを、これはもちろん内容としては是非進めていただきたいと思いますし、そして、先ほども申し上げたとおり、その中身が本当に徹底されているのかどうかというところ、国交委員会でも質問したいと思いますけれども、実際にマンションオーナー側に、国交省が、ちゃんとそういったことを部屋を借りる人に伝えているのかどうかとか、その徹底具合、これは公取委にも是非ウォッチもしていただきたいというふうに思っております。

 これは私は、ガス事業者さんが悪いとかと言うつもりはないんですね。そうではなくて、やはり、公正なルールをちゃんと徹底すれば、それはもうガス事業者さんだってちゃんと是正すると思うんですよ。それをしないで放置しておくことによって、様々な不公正、そして納得いかないことが起きているということでございますので、私は何もガス業界が悪いというふうに言うつもりは全くありません。そうではなく、自由化をちゃんとガスで我々が国として決めているのであれば、そのルールがちゃんと守られるように、こちらがちゃんとその運用も含めてやってあげないと、それはもう、そうやって抜け駆けをする人たちが得をして、そして守っている人が泣きを見るということになってしまいますので、改めてそのことをお願いしたいというふうに思います。

 残りの時間で、エネルギーの新しい核融合政策というものについて質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 先ほど原発の話もありましたけれども、核融合の方は、これは環境負荷も非常に少ないとか、夢のエネルギーだというふうに言われていますけれども、これは、世界中で三十五か国が集まって、一九八五年から始まっているITER計画というのがあります。それによって、世界の英知を集めて新しい夢のエネルギーを生み出そうということですけれども。

 これは本当にびっくりすることなんですけれども、この一九八五年、端緒は米ソ首脳会談だということなんですね。まだ冷戦が終わっていない時点で、夢に向けて人類全体がしっかり手を取り合ってやろうじゃないかということで。ただ、今、本当に皮肉にも、まさに東西冷戦を超えて、その後また、西側とそして専制主義国との間での対立が生じているということでありますけれども、そういう中で、各国がそれぞれ自分の、国産の新エネルギーを作ろうということでしのぎを削っているということでございます。

 そういう中で、非常に大きな変化というのが二〇二一年に起きているんですね。これは、グラフを、政府の科学技術・イノベーション推進事務局が出している資料の中にも描いてあるんですけれども、二〇二二年の九月に発表された「核融合戦略の策定について」という文書があります。その中で、二〇二一年から急激に、本当にすごい勢いで民間投資が増加をしているんです。核融合に対する民間投資というものが世界では進んでいますけれども、日本ではなかなかそれが見えてこないというようなこともあります。ベンチャー企業で頑張っていらっしゃる方もいらっしゃるんですけれども。

 そこで、国内民間企業あるいは国内の研究機関の核融合の開発の取組状況、これが国際的な位置づけで今どういうところにあるのかということをお伺いしたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 核融合発電は、安全性が高く、二酸化炭素の排出も伴わないことから、クリーンエネルギーとして、その実現が期待されており、現在、世界各国で核融合発電の実現に向けた戦略的な取組が加速するとともに、ベンチャー企業の設立が進んでいます。

 これまで、文部科学省としましては、核融合実験炉の建設と運転を行うITER計画を、世界七極、三十五か国の国際協力により進め、また、ITER計画の補完、支援あるいは核融合原型炉のための技術基盤の構築を目指す幅広いアプローチ、BA活動と言っておりますけれども、これを日欧協力により進めるとともに、日本独自として、官民連携による原型炉に向けた概念設計活動に取り組んでおります。

 こうした計画等に参画する研究機関、民間企業においては、国際的に優位性のある技術力、これが確保されてきており、我が国においてもベンチャー企業も設立されてきているところでございます。

 引き続き、核融合発電の実現に向けて、ITER計画等のプロジェクトを最大限活用することにより、核融合発電に不可欠となる基幹技術の研究開発を推進してまいります。

小野委員 お答えいただきましたけれども、私の通告の仕方が余りよくなかったのかもしれませんが、とにかく民間の投資額というのがやはり海外と比べてかなり劣っているというふうに私は見ておりまして、そこの部分についての促進というのは非常に大事なことだというふうに思っているんですね。

 日本の場合には、これはほかの国でもパターンが二つに分かれるんですけれども、国主導でやっているところと、それから民間の資金でかなりやっているところがあります。ただ、インターネットが初め開発されたときには、アメリカの国防総省がそれを作って、それを民間に移転したというやり方でしたけれども、最近のドローンとか様々な軍事面とか、エネルギーもそうだと思いますけれども、民間から始まって、それを国が取り込んでいくというような流れに明らかになっているというふうに思います。

 そういう意味では、民間の活力をしっかり生かしながら、この新しいエネルギーを手に入れるというのは、これは日本人の悲願だと思います。原子力で今それが頓挫しているわけですけれども、そのことが解消されないと、日本は常に安全保障でも脅かされるような国になり続けてしまうということで、ここは本当に気合を入れていただきたいというふうに思うんですね。

 そこで、最後に、核融合産業への国の関与というのも非常に大事だというふうに思うんですけれども、これからの支援そして戦略が特に大事だと思いますけれども、今後の心構えについて、これは、今の所管は文科省ですけれども、私は産業化が大事だと思っておりますので、西村大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 私も同じ思いを持っておりまして、大臣就任前でありますけれども、核融合の部材を開発する京都大学発のベンチャーであります京都フュージョニアリング社を訪問、視察をいたしまして、その開発の動向や世界での現状など、理解を深めたところであります。

 経産省として、原子力分野において、将来を見据えた研究開発の支援、サプライチェーンの維持強化を進めているところでありましたけれども、これらの成果が原子力関連分野全体の技術、人材の底上げをして、まさに今はまだ夢の技術と言われていますけれども、それがだんだん投資が進み、現実化を帯びてくる、将来の核融合の実現にもつながるものというふうに期待をしております。

 こうした観点から、引き続き、関係省庁と連携をして、核融合を含めた次世代革新炉の研究開発など取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございました。

 もう、でも、本当にすぐ先のことなんですよね。二五年にはITER計画運転開始、そして三五年にはもう核融合の運転も開始するということで、もう時間はすぐたちますので、そして、半導体とか蓄電池とか電気自動車、こういったところで戦略的に、我々は本当に後悔することもあったわけですが、そういうことがないように、是非、これも先に先に、国家戦略そして産業政策を是非、充実させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党、鈴木義弘です。

 順次質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、お尋ねして確認みたいな質問で恐縮なんですけれども、今年の四月から賃上げ制度を導入したんですが、実質、そのデータが出てくるのには来年の八月以降になってしまうだろうというふうに聞いております。決算期がありますので、大概の企業は三月末ということになると、そこからどのぐらい賃金が上がったかというのが出てくるんですけれども、令和二年の所得拡大促進税制において、特に中小企業向けの関係、何万者のうちどのぐらい賃上げが令和二年のときに行われたのか、まず御答弁いただきたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 所得拡大促進税制を含みます租税特別措置については、適用実態調査の結果に関する報告書が毎年の通常国会に提出されておりまして、現在把握できている最新の適用実績は令和二年度のものでございます。

 この令和二年度の所得拡大促進税制のうち、中小企業向けということでございますが、適用法人数は約九万三千者、我が国の中小企業数が三百五十八万者といたしますとその約二・六%に相当するところでございます。

鈴木(義)委員 制度としては致し方ないんですけれども、タイムラグがやはりあると思うんですね。令和三年度の状況がいつ発表されるのかとお尋ねすると、来年の一月だというんですね。今年スタートした一五%、三〇%の、賃金が上がった場合に法人税を減免するというところの実際のデータが、本当にそれが役に立ったか立たないかというのがやはり一年、二年ずれていくわけですよ。

 それで、果たしてその政策が正しかったかどうかというのをどこで判断するのかということに、その次にコロナがまた蔓延していくとか、今も少しずつ増えていますけれども、じゃ、ウクライナの状況がどうなるか、いや、北朝鮮はどうなるのかという話になっていくと、またファクターがどんどんどんどん変わっていくと、実際それが起きたこと、例えば、TPPが数年前にあれだけ国会の中で大騒ぎして、二年前にスタートしているんですけれども、そのTPPの結果、日本にメリットがあったのかデメリットが多かったのか、それをデータとして示してくれというふうに内閣府の方に照会をかけたら、まだありませんという話なんですね。

 だから、施策を打って、データを持って、それをどう分析、解析することで次に手だてを打っていかなくちゃいけないのに、そこのところは、大臣、どうですかね。一年、二年のタイムラグがあるのは承知するんですけれども、所得を上げていこうというのは、国を挙げて、私たち国民民主党でも、賃金を上げようというのが通常国会だったときの一つの旗頭だったんですけれども、それが実際、一年、二年たって結果が出てくるようなものになれば、じゃ、税金の減額をもっと多くした方がよかったのか、そうじゃなかったのかという判断がつかないと思うんですけれども、その点について御答弁いただければと思います。副大臣でも、どちらでも。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、制度、結果が出るには、分かってくるには一年、二年かかりますけれども、そのデータ全体を見る前に、私どもとして、様々ヒアリングなども行って、あるいは、悉皆調査ではないにしても、主な団体からいろいろな話を聞きながら、どの程度使われているのか。もちろん、赤字であれば、なかなかこれはメリットがないというようなことを含めて、いろいろな御指摘をいただいているところでありますので。

 いずれにしても、この税制に限らず、いろいろな制度、どのぐらい使われているかというのはできるだけ把握をしながら、常に、改善すべき点は改善すべく、不断の見直しは必要だというふうに、御指摘のように私どもも考えております。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 先日、最低賃金の見直しをされたんですね。私は埼玉の出身でありますから、埼玉県ですと九百八十四円ぐらいだったかな。四十七都道府県で幾ら幾ら幾らというのを設定するんですけれども、埼玉も広い、東京も広いと思うんですけれども、千葉も広い。そうすると、地域差で全然違ってきちゃっているのに、なぜ四十七都道府県で昔からずっと同じやり方をしているのか、そこをちょっと確認したいんですけれども。

青山政府参考人 お答えいたします。

 最低賃金法第九条では、地域別の最低賃金は一定の地域ごとの最低賃金とされておりまして、地域における労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払い能力を踏まえて、公労使三者構成の最低賃金審議会で議論し、地域別に定めるものとなっております。

 この場合、法令上は、おっしゃるとおり、同一都道府県の中で複数の最低賃金額を設定することも妨げられませんけれども、実際に設定する上では、今申し上げました考慮する要素である労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払い能力を都道府県内の複数の地域ごとに適切に把握した上で、複数の額が設定できるかという点や、あと、同一の都道府県内で最低賃金額を複数設定することにより、むしろ格差が拡大する可能性がないのかといった影響なども考慮しながら、実際審議しています地方の最低賃金審議会において丁寧に議論するといった慎重な対応が必要であると考えております。

鈴木(義)委員 要するに、例えば、私は埼玉の三郷というところの出身なんですが、隣が東京都、隣が千葉県です。東京が千七十一円だったかな、私の記憶間違いじゃなければ。最低賃金が東京の方が高いんですよね。そうすると、みんな東京へ働きに行っちゃうんです。そういうことが起きるということを承知してくれと。だから、今すぐ制度を改正してくれとは言わなくても、実態に合った形を取ってもらいたい。

 全国一律にするというのは、私はそうじゃないと思うんですね。やはり人が集まれば安くできるし、これは需要と供給だと思うんです。だから、需要と供給がきちっと作用されれば、賃金を上げないと人が寄せられないということであれば、賃金は黙って上がっていきます。でも、何にもしなくても人が集まるような地域だったら、賃金は上がらないんです。それを行政側の方で無理くりどんどん上げていけばいいというだけでは、やはり問題の解消にならないんじゃないかという考え方なんです。

 次に、最低賃金を上げるんですが、非正規労働者は喜ぶと思ったら逆で、結局、自分が扶養から外れない金額、俗に言う百三万円、百八万円、百三十万、こういう金額が出てくるんですけれども、最低賃金を上げれば、働く時間数を減らすような作用が働くんです。それで、地元のスーパーを経営している社長さんから、鈴木さん、これ、どうにかならないのかというのを今年の一月に言われて、厚生労働省とか財務省の担当の人に来ていただいて説明は受けたんです。

 しかし、最低賃金を上げれば、結局、そこのところはやはり解消されていないと思うんです。そこのところを、内部で、厚労省になってしまうんですけれども、最低賃金を上げたときに、そこら辺のところ、財務省と連携すると言えばそれで終わっちゃうんですけれども、その辺の議論はされたんでしょうか。お尋ねしたいと思います。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

阿久澤政府参考人 まず、私の方からは、税制に関する問題についてお答えをさせていただきます。

 いわゆる百三万円の壁などと呼ばれております所得税の配偶者控除の問題でございますけれども、これは、昭和六十二年の制度改正におきまして、配偶者の所得の大きさに応じて控除額を段階的に減少させるという配偶者特別控除、これを導入をいたしました。そのことから、配偶者の給与の収入が百三万円を超えても世帯の手取り収入が逆転をしない仕組みになっておりまして、税制上はいわゆる百三万円の壁は解消をしているというところでございます。

 それにもかかわらず、いわゆる百三万円の壁といったものが心理的な壁として作用しているために収入を抑える傾向があるとの指摘などがあったことから、今度は、平成二十九年の税制改正におきまして、配偶者控除等における控除が満額適用できる配偶者の給与収入の上限、これを百三万円から百五十万円に引き上げるなどの見直しをしたところでございます。

 そのため、税制におきましては、働きたい人が就業調整を行うことを意識しないで働くことができる制度になっているものと考えているところでございます。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 引き続きまして、社会保険の適用に係るいわゆる年収の壁につきまして、私の方から御答弁申し上げたいと思います。

 社会保険の適用に係るいわゆる年収の壁につきましては、労働時間や収入によって適用が変わる問題に対しまして、働き方に中立的な制度の構築を図ることが重要というふうに考えてございます。このため、政府におきましては、一定の要件を満たす短時間労働者の方への被用者保険の適用拡大を進めているところでございます。

 被用者保険の適用拡大が図られますと、いわゆる百三十万円の壁を消失させる効果がありますほか、いわゆる百六万円の壁につきましても、最低賃金の引上げによって解消されていくものと見込まれるものでございます。

 社会保険制度について、働き方に中立的なものにしていくため、引き続き被用者保険の適用拡大に取り組んでまいりたいと考えておりまして、その際に、新たに被用者保険の適用となりました場合には保険料を御負担をいただくこととなりますけれども、将来の年金額は、基礎年金に加えて厚生年金による報酬比例部分が上乗せされるなど、給付が充実するといったメリットもございますので、こちらもしっかり周知に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 今回の物価高騰による価格の転嫁とか、賃金をどうやって上げるかというのが、今日お尋ねする一つの大きなテーマの二つなんですけれども、経産省のデータを見ても、中小企業と大企業、製造業の従業員一人当たりの名目付加価値額、労働生産性と言われている、上昇率とその変動要因のグラフを見ると一目瞭然なんですね。幾つもの要因がありますが、情報通信、製造業でいえば、大企業は労働生産性が高く、規模が小さくなると労働生産性が低くなる。

 製造業の現場を聞くと、これは三次、四次ぐらいの下請の仕事をされている方なんですけれども、元請から発注されたロットが小さくて、納期が短いというんですね。それで、前にも御質問したときに使わせてもらいましたけれども、自動車の部品を作っている会社さんなんですが、工賃が約五十年ぐらい上がっていない、材料は支給だというんです。ロットが大きいものはみんな中国へ行っちゃう、こういう説明をいただきました。中には、中国で作らせた部品を日本に納入させるんですけれども、不具合がいっぱいあって、それをまたメーカーから、下請の事業者さんの方で修繕をしてくれという仕事を受けていると。個数にすれば限られた、じゃ、もっとたくさんあったら、いや、鈴木さん、たくさんあったらみんな中国へ行っちゃうんだと。これが今の日本の中小企業、製造業の置かれている実態だと思うんですよね。

 そういう話を聞いたり、元請さんからのクレームの話を聞いたりしたんですけれども、ほとんどの方が契約書というのを交わしていません。注文書だけ。三十年、四十年、お得意さんだからずっとこのやり方で今まで取引をしてきました。図面と注文書なんでしょうね。取引の適正化に向けた取組を、経産省挙げて、公取さんもやっていると思うんですけれども、下請Gメンを増員したり、下請かけこみ寺を設置して相談対応をしていくんだというのは承知しているんですけれども、まず、契約書を交付させることが一番先にやらなくちゃいけないことじゃないかと思うんです。それに対して、経産省の取組、どう考えているか、お尋ねしたいと思います。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、契約内容を明確化して取引の適正化につなげるということのためには、契約内容が記載された契約書というのを取り交わすことは非常に重要なことです。

 このために、下請企業振興法の振興基準というのがあるのは先生御承知だと思いますけれども、親事業者が発注内容等を明確化した書面交付を徹底することを求めております。公正取引委員会と中小企業庁で共同で執行しております下請代金法におきましても、親事業者には、給付の内容や下請代金の額、その支払い期日、支払い方法などを記載した書面の交付が義務づけられております。

 中国の事例等について言及がございましたけれども、この振興基準によってできるだけ適正な取引が行われるように、私どももしっかり指導してまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 例えば、今、下請基準のお話を副大臣からいただいたんですけれども、あともう一つ、納入した部品なり製品に不具合があったときに、どうやってそれを解決するのか。よくて折半だというんです。下手をすると全部下請に、その費用も含めて新しい製品を納入してくれということになれば、下請基準の中で、契約書を交わしなさいというのは言っているんですけれども、トラブルのときにどう対処するかというのを書き込めというふうにはなっていないんです。だから、そこまで契約書を交わすのであれば、トラブルがあったときどうするかというのも、きちっと対応するというのを取引する前にやはりやらないと、いつも弱い立場にいる下請、孫請、ひ孫は先に出ていかないんじゃないかと思うんですけれども、そこのところをもう一度御答弁いただきたいんです。

太田副大臣 下請振興法に基づき定められた振興基準の中では、親事業者は下請事業者に対して、先ほど申し上げましたように、発注内容、価格、納期などの契約条件について、書面で明示し交付するというふうに記載されているところでありますけれども、委員御指摘の、トラブルが何か発生したときの費用負担というような点については、実際のケースでは、取引内容やトラブルの発生原因、あるいは実際に発生した損害の大きさ等によって、賠償額や負担割合、様々になってまいります。このために、事前に想定して契約書面にそのことを記載しておくということはなかなか難しいのではないか、こういうふうに思われます。

 他方で、こういったことに関連して、振興基準においては、例えば、親事業者が検品等を行い受領した後に、親事業者の納入先等から指摘されてやり直し又は損害賠償を行うこととなったときには、十分に協議をした上で合理的な割合で費用分担を行って、一方的に下請事業者にしわ寄せが及ばないようにということや、自然災害等、よく発生しますけれども、その場合にも、どちらの責めにも帰することができないような被害が出てくるわけで、そういう場合にも一方的な負担を押しつけることがないようにと、下請事業者の方にですね、こういう点が求められているところであります。

 下請Gメン、増やしましたけれども、こうしたところからのヒアリング事例などを振興基準にも反映してまいっておりますけれども、これを不断に見直しながら、先生のおっしゃったような点も含めて、周知徹底が図られるように、そして取引適正化を促していけるように努めてまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 副大臣、ありがとうございました。

 じゃ、一つ、下請のかけこみ寺について。

 全国で一万件の相談実績が報告されているんですけれども、法令違反が問われた場合は、速やかに経済産業局に相談案件を取り次ぐ、弁護士を紹介するなどの対応が取られていると聞くんですが、これら一万件の相談で実際に解決が図られたのかどうか、そこが問題だと思うんです。一万件の相談はありました、それがどう対応されたのか、それで解決に導かれたのか、そこの件数とか数字というのが大事なことだと思うんですけれども、もしお分かりになるんだったら教えてもらいたいんですが。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁では、全国四十七都道府県に下請かけこみ寺というものを設置しておりまして、先生おっしゃられたとおり、令和三年度において約一万件の相談がございました。

 これらの相談に対しては、電話や面談などによりまして、まず幾つかの対応をしております。一つ目としては、交渉に向けたアドバイス。買いたたきに抵触する可能性、こういったものが例えばあるよ、こういったことを説明するなど、親事業者との再度の交渉に向けてサポートをさせていただいております。また、二つ目の対応として、無料の弁護士相談というのを年間約三百件やってございます。それから三つ目として、建設業であれば例えば建設業取引適正化センターというのがございますが、そうした適切な窓口に紹介するということも行ってございます。

 加えて、実際の解決ということに更に近いものとして、ADRという裁判外の紛争解決手続というのがございますけれども、これも下請かけこみ寺でやってございまして、年間約二十件程度を受け付けてございます。その中には、例えば、親事業者の指示が不明確であったため、加工費用が多くかかったけれども、支払いをしてもらえなかった、こういった下請事業者の申立てに対して、ADRを通じての話合いで和解が成立し、解決金を支払った事例などがございます。

 引き続き、こういった下請かけこみ寺において、中小企業のサポートができるように努めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 是非頑張って取り組んでもらいたいと思います。

 ちょっと飛ばさせていただきたいんですが、一つ、先ほども議題になったLPガスの件なんですけれども、私のところもまだLPガスなんですね。近所で都市ガスを入れているところもあるんですけれども、LPガスなんです。

 そうしたら、物価対策の目玉として、値上げ補助金の影という記事で、LPガスの二千二百万世帯を見殺しにするのか、経産省の言い分という記事を目にしたんです。岸田総理は直接的な支援と胸を張っているんですが、LPガスは対象外というものだというんですね。

 昨日、三十兆円の補正予算が閣議決定されて、経産省の方からその内訳の資料はまだ頂戴していないんですけれども、都市ガスで、先ほども数字が出ていました、約二千七百万件、LPGは地方を中心に二千二百万世帯。

 これを、一つの例示です、月に二十立方メートルを使用した場合、都市ガスで四千四百六十八円なんだそうです。関東地区のLPGは一万四千四百四十円を上回っている、こういう数字です。LPGの熱量がLNGより二・一八倍であることを考慮しても、一・五倍高いんですよね。元々高いんです。それでなぜ、都市ガス事業者の方には支援をして、LPガスの方にはしないのか。元々一・五倍高いエネルギーを使っているにもかかわらずですよ。

 これ、大臣に御答弁いただきたいと思うんですけれども。

西村(康)国務大臣 私どもも、電力、ガス、様々、料金激変緩和策、これを考える中で、LPガスについても様々な検討をしてまいりました。

 実態として、御存じのとおり、LPガスは、ボンベに詰め、家庭に配送するため人件費、配送費が大きく、人口集積地に導管で供給する都市ガスと比べ、構造的に価格はそもそも高めになっているという点もあります。また、LP事業者は一万七千社、先ほどありましたけれども、ありまして、大半が中小零細事業者ということで、電力、ガスと同様の価格支援を行うにしては事務負担が大きくなり過ぎるんじゃないか、こんな点もございました。

 一方で、足下の価格を見ますと、LPガスの原料であるプロパンは、都市ガスの原料であるLNGと比べ、価格が安定しておりまして、今後も大きな上昇は見込んでいないというのが現時点での判断であります。

 このため、LPガスについては、今後も価格上昇が見込まれる都市ガスのような価格支援ではなく、構造的に高価な価格を中長期的に抑制していけるように、事業効率化に向けた支援を行うことといたしました。

 具体的には、LPガス販売事業者の人手不足解消であるとか、配送業務の効率化に資する、遠隔でのガス栓の開閉、遠隔検針が可能なスマートメーター、また、手作業で行われているところもあるLPガスのボンベ充填の自動化、こうしたことに資する設備の導入に対する支援を行うこととしております。

 さらに、需要家のLPガス購入コストの低減、そして燃料備蓄を推進する観点から、LPガスタンクの大型化などの設備導入を支援することといたしております。

 加えて、九月に予備費で措置されております電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、六千億円ございます。この推奨事業メニューの中にLP料金の支援を新たに明示し、LP料金に対して集中的に支援、充当するように働きかけているところであります。

 これらの支援については、各県のLP協会を通じた周知を行うことによって、LPガス事業全体の近代化を進め、効率化を進め、LPガスの小売価格の上昇抑制を見込んでいるところでございます。

鈴木(義)委員 地元でお世話になっているLP事業者さん、何社さんもあるんですね。もう過去に何回も統廃合されていて、ただ、大手さんが逆に安い値段を提示して入ってきて、競争の原理でいけばそれでいいんでしょうけれども、大手と中小で同じ土俵で勝負したら勝てないですよ。そこのところも踏まえて、今後御支援をいただければというふうに思います。

 終わります。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、原油、原材料、資材価格の高騰の下での中小業者支援について質問いたします。

 建設業では、昨年来、ウッドショック以降の木材価格の高止まり、建材の値上げ、それから、給湯器等の住宅設備の納期遅延が大問題になってきております。そして、その中で、東京土建が実施した実態アンケートには一千件もの回答が寄せられて、その四割から五割で、必要な資材の納期遅延があるとしております。金属関係の製造業でも、入手困難な電子部品があることで、製品全体が出荷できずに、納期のめども立たない実態が生じている。

 経産省は、こうした深刻な実態、つかんでいるか。つかんでいるかどうか、その点について端的にお答えください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 納期遅延ということでの実態を把握しているかという御指摘でございました。

 これについては、いろいろな業界団体、それから、私どももいろいろな中小企業の方からお聞きする中でお声を聞いておりますが、業所管のいろいろな課でありますとか省がございますので、そちらの方で一義的にはそういったものをお聞きし、その上で、必要であれば、業界の中で生産を増産するであるとか、いろいろな調整をされる、また海外への要請をされる、こういったことをしているものと承知してございます。

笠井委員 それぞれの官庁でみたいな話になると、中小企業、中小業者という点では、やはり中小企業を担当しているのが経済産業省、中企庁なわけで、何かそれぞれでやっていますというんじゃなくて、やはり今深刻な状況にあるところをしっかり押さえる、つかむということが大事じゃないかと思うので、何かそれぞれでやっていますというお答えでは駄目だと思うんですね。

 労働組合JMITUが行った経営者アンケートには、ほとんどの企業が、調達難があるというふうに回答して、生産遅れや納期遅れが発生していると回答しております。調達難への対応策として代替品を探しても、検討に時間がかかったり、設計変更して一旦納品してから後で正規の部品に交換するなど、大変な苦労を強いられているというわけであります。

 西村大臣に伺いますが、資材や部品が手に入らなければ仕事になりません。代替品で対応するためには、これまで以上の人手と時間がかかる。年末、年度末に向けて一社も潰さない、一人も路頭に迷わせないためには、雇用の維持とか資金繰りを始めとして、かつてないあらゆる面での支援をすべきではないかと思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、中小企業の皆さんが、そもそも、エネルギー、原材料価格などが高騰して非常に厳しい状況の上に、サプライチェーン全体で様々、いろいろなことが生じておりますので、納期の遅れなどもあって、そうした材料の調達困難、こんなお話も私も地元の方からも伺っております。

 そうしたときに、取りあえずを回していく運転資金なども必要だと思いますし、年末、やはり資金繰り、しっかりと万全を期していかなきゃいけないと思っております。

 このため、日本公庫による低利融資を継続、拡充をしていくということ、あるいは、官民の金融機関などに対して、事業者から条件変更等の申出があった場合、できるだけその実情に応じて迅速かつ柔軟に対応するようにということで繰り返し要請をしてきております。応諾率約九九%というふうにも聞いております。

 引き続き、こうした資金繰りを含めた支援を行ってまいりたいと思いますし、今般、総合経済対策の中、補正予算の中で、中小企業の支援、一兆円用意をしておりますので、そうしたものの活用も含めて、中小企業の皆さんがしっかりと事業を継続していけるように応援をしていきたいというふうに考えております。

笠井委員 しっかりと事業を継続できるように応援するということでありましたが、では、大臣に伺います。

 財政制度等審議会は、今年五月二十五日に、歴史の転換点における財政運営という建議を発表いたしました。その十三ページにはこうあります。「中小企業をはじめとした事業者支援については、持続化給付金や実質無担保・無利子融資をはじめとする各種支援策により、新型コロナの影響にもかかわらず、昨年の倒産件数は六千三十件と、過去の好況期と比較しても低い水準となった。」「新陳代謝を過度に抑制することがないよう見直していくべきである。」と。新陳代謝を過度に抑制することがないよう見直していくべきであるというふうに述べていますが、私、これはまさに中小企業淘汰論そのものだと思うんですが、大臣もこの財政審の指摘と同様の立場をお取りになるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、足下、中小企業、小規模事業者、コロナの影響の長期化あるいはウクライナ侵略など、様々な要因で原油価格、物価、調達価格が上がっているという厳しい経営環境にある、直面しているというふうに認識をしております。足下の支援策をしっかり行っていくと同時に、こうした危機にも強い、そうした構造、成長していく、そういう取組も一方で必要になってきているものと思いますので、そうした取組も支援をしていきたいと考えております。

 このため、まずは、足下のエネルギー価格の高騰、事業者の負担軽減、このための対策を、緩和策を講じていくこととしておりますし、価格転嫁対策も全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

 あわせて、補正予算で、ものづくり補助金や事業再構築補助金、あるいは、この機会に輸出をしていく、円安のメリットを生かそうということで輸出支援なども盛り込んでおります。そうした前向きな取組を切れ目なく応援をしていきたいと思います。

 財政審の建議の内容は、まさに今申し上げた、こうした挑戦をしていく中小企業を応援するという意味では、私どもの取組と方向性は一致をしているというふうに考えておりますけれども、いずれにしても、事業者に寄り添ったきめ細かな資金繰り支援、金融支援、これにしっかり取り組みながら、中小企業の様々な成長に向けた投資などを後押しして、投資、イノベーション、所得向上、こうした好循環を実現できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

笠井委員 いろいろ言われたんですけれども、円安で海外に打って出る、輸出を始めとして挑戦していく事業者を応援していくということをよく言われますが、圧倒的多数の中小業者はそうした施策の対象にのってこないわけです。

 今こそ、やはり賃上げを軸にして実体経済を立て直して、とりわけ内需を活発にすることに本腰を入れて、消費税の緊急減税などとともに、中小業者を一社も潰さないで支えるために、インボイスの中止と消費税の減免、あるいは過剰債務問題の解決に正面から取り組むべきだ、このことを強く改めて主張しておきたいと思います。

 次に、GX実行会議で課題の一つに掲げた原発の運転期間の延長の在り方について、西村大臣に質問いたします。

 原発の運転期間は、原子炉等規制法で、原則四十年、原子力規制委員会が認めれば、例外的に一回に限り最大二十年の延長が可能という定めがございます。

 そこで、大臣に伺いますけれども、GX実行会議で示した運転期間の延長の在り方とは、具体的に何をどうしようというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のGX実行会議の第二回におきまして、岸田総理から運転期間の在り方などについて検討を加速するようにという御指示があったことを受けまして、現在、経産省におきましては、利用政策の観点からエネルギーの審議会における議論を進めているところでございます。

 これは、原子力規制委員会が、原子炉等規制法に規定されております運転期間の定めについて、利用の在り方に関する政策判断であり同委員会が意見を述べる事柄ではないという見解、これは以前から示されておりますし、度々確認をされているものでありますが、こうした見解を踏まえたものでございます。

 現時点では、議論の途上でありますので、具体的な方向性はまだ定まっているわけではございません。結論ありきではなく、様々な専門家から幅広い御意見を伺いながら、年末に向けて議論を深めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 原発の運転期間原則四十年ルールというのは、自民、公明両党も合意して立法化した原子力規制委員会設置法案の附則の原子炉等規制法の改正事項の一つだったわけであります。

 これは、東京電力福島第一原発事故の被害の大きさを受け止めて改めたということで、原子炉等規制法の重要なポイントの一つだったわけでありますが、それを変えるということになってしまうということになりますと、福島の事故から何も学んでいないということか、あるいは、学んだけれども、もうこれは忘れてしまったということになってしまうんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。どうしてもそこのところは、延長ということになれば、そういうことがひっかかってくる。

西村(康)国務大臣 私どもといたしましても、東京電力福島第一原発の事故、この深い反省の下に様々な議論を進めているところでございます。その反省の上に立って、原子炉利用の推進と規制を分離をしたわけであります。規制行政を一元的に担うための独立した原子力規制委員会を設置をしたわけでありますし、規制の強化を行うべく、平成二十四年六月、原子力規制委員会設置法案が議員立法で国会に提出されたわけであります。この法案の成立によって、御指摘のように、原子力発電所の運転期間を四十年とし、一回に限り二十年以内で延長できるとする原子炉等規制法の改正が行われたものというふうに承知をしております。

 この原子力発電所の運転期間の定めにつきましては、平成二十四年の国会審議において、科学的、技術的な観点のみならず、政策上の判断も含めた幅広い観点からの御議論の結果、盛り込まれたものと承知をしております。

 いずれにしても、福島第一原発の事故への真摯な反省、これが原子力政策の出発点でありますので、この点は全く変わるものではございません。安全性の確認、大前提にしながら、議論を進めているところでございます。

 今回、利用政策の観点から、運転期間の在り方を検討するに当たっても、高い独立性を有する原子力規制委員会によって安全性が確認されなければ発電所の運転ができない仕組みであることが大前提ということで考えております。

笠井委員 いずれにしても、その原則四十年ということを変えるという議論を今やっているということでありますが、原発の運転期間は原則四十年というルールを定めた原子炉等規制法の所管というのはどこになりますか。

西村(康)国務大臣 原子力規制委員会が、原子炉等規制法に規定する運転期間の定めについて、同委員会が意見を述べる事柄でないという見解を示したことを踏まえて議論を進めているところであります。

 利用政策の在り方については、検討を行った上で、具体的な制度設計をどのような形で進めていくかは、現時点では決まっているものではございません。

笠井委員 それはちょっと大変なことですよ。

 原子炉等規制法はどこが所管しているかということを聞いているんですが、所管はないんですか。どこもしていないの。

西村(康)国務大臣 原子炉等規制委員会は、原子力規制委員会が所管をしているというふうに認識をしております。

笠井委員 ところが、十一月二日の原子力規制委員会に提出された資料でありますが、そこには、資源エネルギー庁は、運転期間は、現行の原子炉等規制法ではなく、原子力利用省庁が所管する法令で定める方が適切であるとの見解を示した、こうありますが、これはどういうことですか。

西村(康)国務大臣 先ほども答弁をさせていただきましたけれども、原子力規制委員会が、原子炉等規制法にまさに規定されております運転期間の定めについて、これについては、利用の在り方に関する政策判断であって、本来は同委員会が意見を述べる事柄ではない、そういう見解をこれまでもお示しになっておられますので、そのことも踏まえて、利用政策の在り方について検討を行った上で、具体的にどういう制度にしていくかを議論しているということでございます。

笠井委員 いや、違うんですよ。だって、所管するのは、規制法を所管する中に運転期間の話があるわけですから。その運転期間については、現行の原子炉等規制法ではなくて、利用省庁が所管する法令で定める、別の法令でやる方が適切であるという見解を示すというのは、これはおかしな話になる。全く越権の話じゃないですか。

 所管でないところが、そっちに持っていった方がいいよというふうな見解を持っているということを、正面から規制委員会のところで、そういう立場で臨んでいるわけですよね。これはおかしいんじゃないですか。

西村(康)国務大臣 原子力政策の在り方全体について今議論を進めておりまして、原子力規制委員会は、規制委員会においてその安全性を確保していく観点から、どういった制度がふさわしいのか議論がなされているものというふうに承知をしております。

 その関連で、原子力規制委員会は、この運転期間の定めについては、利用者側の判断、政策判断だということで、同委員会、規制委員会が意見を述べる事柄ではないという見解をこれまで何度か示されておりますし、これも何度も確認をされておりますので、そうしたことを踏まえて、今後の利用政策の在り方、運転期間の定めについての考え方、これを今議論を進めているところでございます。

笠井委員 さっき大臣は、規制と推進は分離が大事だ、独立したということで言われたわけですよね。その上で、今、利用政策の観点と繰り返し言われますけれども、利用政策の観点というのは原発推進の観点ということでありまして、今行っている検討というのは、原発の運転期間を、規制の観点から原子力規制委員会が所管している現行の原子炉等規制法から削除して、そして、推進の観点から運転期間の新たなルールを電気事業法の中に移してしまおうということだということになると思うんですよ。さっき、だって、それは資源エネ庁自身が、これは利用官庁が所管する法令で定める方が適切と、つまり電気事業法ですよね、そういうことになってくる。

 大臣、福島第一原発事故の反省に立って、最も大きく政策を転換したのは、大臣もさっき認められた原子力の推進と規制の分離であります。その反省があるとおっしゃったのに、それから真っ向から反して、時計の針を逆に回すということになるじゃないか。運転期間の問題については、これは規制じゃなくて推進の方に回してもらうんですよ、そっちの法律で決めますよというのは、全くあの事故の前に戻してしまうことになるんじゃないんですか。

西村(康)国務大臣 もう一度整理をして申し上げますけれども、原子炉等規制法の改正も含めて、どういう制度にしていくのかという議論、これに際して、運転期間の定めについても過去議論されて、現時点では、まさに、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法にこうした運転期間についての定めについての規定が盛り込まれております。

 その上で、他方、原子力規制委員会からは、運転期間の定めは原子力利用の在り方に関する政策判断であるという見解が、これは何度も示されてきております。そうしたこと、そして、経産省設置法、これは経産省の立場として、エネルギーに関する原子力利用に関する業務については私どもの所掌業務とされております。こうしたことを踏まえて、運転期間の在り方について、利用政策の観点から、私どもが検討を行うことは問題はないというふうに考えております。

 ただ、現時点において、これは議論の途上でありますので、利用政策に関する具体的な制度の在り方、これについては、今の時点で決まっているものではなく、今後しっかり議論をしていきたいというふうに考えております。

笠井委員 そんなことをおっしゃっても、原子力規制委員会の場で、資源エネルギー庁の松山電力・ガス事業部長ですよね、そういう見解を述べたわけですよ。だって、現行の原子炉等規制法ではなくて、運転期間は、原子力利用省庁が所管する法令で定める方が適切であるとの見解と。現時点で決まっていないじゃなくて、それが適切だという見解まで正式に規制委員会で述べているわけですよね。もう具体的なそういう方向で投げているじゃないかという話じゃないですか。規制委員会の方は、利用政策については、それはうちじゃありませんよという話だけれども、実際には、この運転期間について、だけれども規制委員会じゃなくて、その所管である炉規法じゃなくて電事法でやろう、これが適切だという見解を述べているわけですよ、正式な会議で。

 福島第一原発事故の反省と教訓に反することを絶対やってはならないし、今検討しているのは、再び推進と規制を一体にするという立法政策ではないかということになると思うんですよ。そんなこと絶対にしないというふうに明言しなきゃいけないのが大臣じゃないんですか。

 事故の教訓、反省だと繰り返し言われるけれども、結局、今やろうとしていることは、いろいろなことをおっしゃりながらも、今まで、あの福島の原発事故、東京電力の事故を踏まえて、もうこんなこと駄目だよねということで、ちゃんと分離しよう、規制と推進をといったことをまたくっつけて、そして総理の下で政治決断だといって、そして運転期間についても延長と。昨日の原子力小委員会では、その期間についてもいろいろな議論まで更に投げてやっているということで、何が何でも延ばしていこうという話になっている。それを、結局、今までの規制の法律、これを規制側から推進側に移して、そしてやっていこうという議論をやっている。

 こんなこと、絶対やっちゃいけないんじゃないんですか。

西村(康)国務大臣 私ども、安全性の基準などについて、何か利用する立場から意見を申し上げたりすることは一切やっておりませんし、今後もやることはありません。規制と利用、これはしっかりと分けて対応していく。安全性の確保について、これについては、基準、そして審査、規制委員会が責任を持って行われるものというふうに思います。

 その上で、まさに利用政策の観点から、松山資源部長が、規制委員会での議論だと思いますけれども、まさに利用政策の立場から様々な意見を申し上げたところでありますけれども、繰り返しますけれども、原子力規制委員会から、運転期間の定めは原子力利用の在り方に関する政策判断であるということが示されているということも是非御認識をいただきたいと思います。

笠井委員 今日、質疑の中でも、安全性、安全性ということで、確保と大臣はおっしゃるんだけれども、安全性じゃないですよ。規制基準で、今まで言ってきたのはそういう話ですからね。安全性なんて言っていること自身が、もうこれは安全神話の話になっちゃうんですよ。そのことは言っておきたいと思います。今おっしゃったようなことで、国民には通用しないですよ。

 八月二十四日のGX実行会議での岸田首相の指示を受けて、経産省の審議会で、その下の分科会、ワーキンググループで個別の議論が今行われています。十月二十六日の当委員会で、その議論について、大臣は、国民の皆さんにもいろいろ理解をしていただきながら議論を進めているというふうに答弁されました。

 その原子力小委員会と革新炉ワーキンググループの委員である松久保肇さんは、こう指摘されています。審議会の事務局は経済産業省資源エネルギー庁原子力政策課が担当しており、多くの審議会同様、委員長や委員の選任、議題選定、ほとんどの資料作成まで事務局が一手に握っている、その結果、脱原発の観点から発言しているのは、原子力小委員会では二名、革新炉ワーキンググループに至っては私一人のみという委員構成で議論が進んでいる、国民世論を二分するどころか、圧倒的多数が将来の脱原発を望む中で、原子力推進派ばかりで議論を進めていることに大きな違和感を覚えながら議論に参加している、総じて国民不在のまま議論が展開されている、ゆゆしき事態だと言われております。

 大臣がおっしゃる、国民の皆さんにもいろいろ理解をしていただきながら議論を進めているという実態とはほど遠いではないか。こんな形で、利用政策の観点だ、規制委員会もいろいろ言っているみたいな話で法律を変えて、原発の運転期間原則四十年ルールを転換して、原発推進を続けてよいというふうにお考えなんでしょうか。

西村(康)国務大臣 原子力に関する方向性の議論につきましては、まさに今御指摘の経産省の審議会において、専門家の御意見を伺いながら議論を進めているところであります。

 審議会での議論は、国民の皆さんにも理解していただけるよう、常に、常時インターネットで中継し、全てオープンで視聴いただける環境を整えております。

 先般も、今御紹介ありました松久保委員のプレゼンテーション、様々な課題についても提起があったものというふうに承知をしております。そのプレゼンを踏まえて議論がなされたということで聞いておりますし、今後も、原子力についての課題、あるいは、慎重なお立場、反対のお立場の方からの御意見もお聞きをしながら、こうした議論を踏まえて、更に議論を深めていきたいと思いますが、国民の皆様からも広く御意見をいただくべく、今後、適切なタイミングでパブリックコメントなどの対応も是非行っていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、透明な形で、オープンに、国民の皆様の理解を進めながら議論を進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 終わりますけれども、実際に議論しているという審議会メンバーからも意見が出ているんです。昨日の十一月八日の原子力小委員会でも、もう一人の委員である村上千里さんからも、国会の議論、国民の議論もなく、年末までに結論を出すことは問題だ、拙速な進め方は行政の信頼を損ねるという厳しい意見まで出されているわけです。

 そういう点では、総理が指示した、政治決断項目で並べたGX実行会議の方針で、福島事故の教訓をいとも簡単に捨て去って、規制と推進の分離を否定して、原子力規制委員会の独立を侵害しようとしている、実際には。このような原発回帰、復権のGXは即刻やめるべきだ、このことを強く申し上げて、今日は終わります。

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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