衆議院

メインへスキップ



第2号 令和5年3月10日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    石井  拓君

      石川 昭政君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上川 陽子君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    鈴木 淳司君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      堀井  学君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宗清 皇一君

      山際大志郎君    山下 貴司君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    藤岡 隆雄君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           辻  貴博君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      坂口昭一郎君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   品川  武君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            新発田龍史君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    宮浦 浩司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         上村 昌博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            山下 隆一君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    角野 然生君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石坂  聡君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            野津 真生君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          大島 俊之君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     深澤 陽一君

  佐々木 紀君     青山 周平君

  大島  敦君     藤岡 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     谷川 とむ君

  深澤 陽一君     上川 陽子君

  藤岡 隆雄君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     佐々木 紀君

    ―――――――――――――

三月九日

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案(内閣提出第一二号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長松浦克巳君、内閣府規制改革推進室次長辻貴博君、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官坂口昭一郎君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長品川武君、警察庁長官官房審議官小林豊君、金融庁総合政策局参事官新発田龍史君、農林水産省大臣官房生産振興審議官安岡澄人君、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長宮浦浩司君、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上村昌博君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、経済産業省大臣官房審議官田中哲也君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、経済産業省経済産業政策局長飯田祐二君、経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎君、経済産業省製造産業局長山下隆一君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁長官角野然生君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省大臣官房審議官石坂聡君、国土交通省自動車局次長野津真生君、運輸安全委員会事務局審議官岡野まさ子君及び原子力規制庁原子力規制部長大島俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馬場雄基君。

馬場(雄)委員 皆様、おはようございます。ありがとうございます。福島二区、立憲民主党の馬場雄基でございます。

 朝一番でございますので、元気にスタートしていきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 あしたですけれども、三月十一日を迎えます。東日本大震災そして福島第一原子力発電所事故から十二年がたつということでもございます。

 私は、この原子力分野について、推進あるいは反対、こういうふうな極端な二分論ではなくて、この教訓の上に立つあるべき姿というものを全力で見出していかなくてはならないという視点に立ちたいと思います。

 その教訓は、エネルギー基本計画として現在は表されています。その中身が、原子力発電への依存度を可能な限り低減していくという中身でございます。これが国の意思でした。

 私はその意思を大学生のときに信じた身でもあります。被災した直後に、以前も申し上げましたけれども、上京して、大学進学して、なかなかなじめずにいた私にとって、その閉じた心を開いてくれたのが、まさに経産省のインターンの経験でございました。

 蓄電池、スマートハウス、あるいは省エネ、再エネ、全て、この分野に関しての全精力を注いで、日本が世界を牽引するという並々ならぬ情熱を私はすごくそこで感じましたし、その熱いまなざしというものを体感した上で、素直に経産省さんを格好いいというふうに思っていました。

 今この方針が揺らいでいるというのは、それは事実の中でもあるかもしれないんですが、やり切った上で変えていくならばまだ分かるんですが、やり切っていくというこの部分について、私は今回質問させていただきたいというふうに思います。

 資料を是非御覧ください。

 まずは、原子力関係の人材についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 原子力発電所事故の廃炉の道筋というものは世界も注目する未知なる戦いであり、廃炉を導くエキスパート、つまり、原子力の人材は必要不可欠です。しかし、原子力を学ぶ学生数も、あるいはその教育体制も、そして研究開発関係費なども、いずれも激減しているのが現状です。民間での研究開発が厳しい状況であるのは明白だというふうに思います。

 国策というのは、民間ビジネスだけではうまくいかず、それでもなお、国の、国家の意思として成し遂げなくてはならない事業がある、これが国策である理由だというふうに私は考えています。

 西村大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 先日お伺いいたしました所信表明演説の中では、原子力関係分野に関する言及はありましたけれども、原子力関係人材、この危機感、激減するこの危機感についての言及がございませんでしたので、その認識をまずお伺いさせていただければと思います。よろしくお願いします。

西村(康)国務大臣 明日、福島、追悼式にも私、出席をさせていただく予定にしておりますけれども、はや十二年がたつわけですが、いっときたりとも、この東京電力福島第一原発の事故の教訓、反省を忘れることなく福島の復興に取り組まなきゃいけない、また、エネルギー政策も、そのことを忘れることなく進めていかなきゃならないというふうに常に心に強く銘じているところであります。

 その上で、原子力政策につきましては、所信でも申し上げましたけれども、エネルギー安定供給、脱炭素化の観点から、私どもも重要なエネルギーとして位置づけておりまして、御指摘のように、原子力産業の高度な人材、技術、産業基盤、これは、足下での発電所の安全かつ着実な運営に加えて、今後の円滑な廃炉の実現のためにも不可欠である、その技術、人材、その維持強化は喫緊の課題であるというふうに認識をしております。

 こうした中で、先月、GX実現に向けた基本方針におきまして、研究開発や人材育成、サプライチェーン維持強化に対する支援の拡充などを盛り込んでいるところであります。

 経産省としては、例えば原子力施設のメンテナンスを担う企業等を対象とした技能実習、あるいは、デジタル技術活用による技能継承の取組、さらには、廃炉工程における発生する廃材を溶融あるいは鋳造し再利用する取組など、産業界の実態やニーズに即した技術、人材の育成にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 まさにこの廃炉人材というものは、廃炉研究の人材というものは極めて重要であるというふうに思います。むしろ、原子力を進めていく上においても、あるいはそれ以上に難しいのが廃炉だというふうに思います。世界で誰も今まで体感したことのない、その分野に挑むわけですから、その分野の人材が不足してしまえばそもそも廃炉が難しくなるという、この危機感に我々は立たなくてはならないのだというふうに思います。

 この原子力人材の激減に歯止めをかけることができなかった責任を全て民間に押しつけていくのは、私は間違っているというふうに思っています。国策として、この激減に対する教訓を受け止めた上で、これをどういうふうにしっかりと人材を確保していくかが極めて大事だというふうに思っています。

 西村大臣、今更ではあるんですけれども、今、少子化でもございます。その中で、日本であちこち、様々な課題が今浮き彫りとなり、様々な分野から学生は引っ張りだこになっている状況でもあります。その中で、一方、原子力分野も、ここはまた必要。すごくこの難しい状況が今の日本の社会を表しているんだというふうに思っています。

 繰り返しますが、原子力に関する推進とか反対とか、それ以前に考えて、あるいは、民間ビジネスが発展するかそうでないかとか、そういう分野にも立つわけではなく、廃炉を実現させていくために必要不可欠なのが人材だということです。

 また、ここはすごく大切だと思うんですが、学生の立場からすればですけれども、原子力関係研究に関する使命であったりとか、そこにあるための教育体制、あるいはそこに見えてくる職場環境、こういったものが、いわゆる進路選択を考える上で希望を見出していかなければ、具体的にその選択が取れないんだというふうに思います。様々なアンケートを見ている中でも、なかなかここに希望を見出しにくいというのが学生の声なんだと思うわけです。

 これは民間ではなかなか難しい状況であるからこそ、国策として、国からの使命感たるメッセージが私はすごく必要なんだと思うわけですけれども、将来ある学生に対して、原子力関係に対する使命というものを是非大臣からのお言葉で示していただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 非常にいい御指摘だと思います。

 まさに、若い方々が自分の人生を懸けて行う仕事に何を選ぶかというときに、やはりやりがいを感じ、そして未来を感じる、そういう仕事を選ばれると思いますので、原子力に関わる仕事が、そういうやりがいがあり、未来を感じるものでなければならないというふうに思います。

 その一つが、本当に苦しい思いをされている福島の復興であり、世界で誰もまだ成し遂げていない原子力発電所の廃炉という、何十年もかけて行っていくこの粘り強い作業、そしてミスも許されない、そうした作業に生きがい、やりがいを感じていただければと思います。

 さらには、私は技術の進歩、技術革新、イノベーションというのを信じておりますので、原子力に関わる技術も更に進化をしていく。まさに、次世代革新炉と言われる高速炉であったり、また高温ガス炉であったり、核融合であったり、様々な新しい技術が世界で考えられ、また、進められている。さらには、国際連携の中で進めていこうという動きも出てきておりますので、そうした未来の、まさに核融合などは太陽と同じようなエネルギーを実現していくという、夢のようではありますけれども、既にいろいろな実験が行われて、着実に進展をしていると思いますので、そういう意味で、そうした夢のある技術開発、技術革新に取り組むというのも、私は人生を懸けてやる大きな仕事の一つだと思います。

 若い皆さんには、いろいろな分野があると思います、それぞれの人生ですから、お考えいただければと思いますが、私は、この原子力の分野、未来があると思いますし、大いにやりがいのある仕事だと思いますので、多くの皆さんが、意欲ある皆さん、能力ある皆さんが、是非チャレンジをしていただけるとありがたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 私の立場からは、やはり、推進、反対という極端な二分論に立つわけではなくて、あの教訓の上にどう立てるか、そのあるべき姿とは何なのかを考えなければいけないという立場で質問をさせていただいています。

 やはり廃炉人材というものは、はっきり言って、原子力の今までの分野をはるかに凌駕する。この難しい領域の話をしている中で、今、激減する学生数、あるいは、データを見るとびっくりしたんですけれども、参加する企業数は余り変わっていないんですよね。ただし、入ってくる学生が余りにも極端に減っているというのがこの難しさを表していて、また近い将来、ここが大きなひずみとなって生まれてくる可能性が高いんだというふうに思います。

 だからこそ、国策として、民間とは違う国策としてやっていくことに価値があるわけですし、そのときには、やはり経産省主導として、廃炉人材の部分に立ってもしっかりとメッセージ性を発していただきたいと心から願っています。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、続きまして、電気・ガス料金の値上げについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは私だけではなくて、様々な方々、ここにいらっしゃる皆様方が多くお声を聞いている分野だというふうに思います。

 二月の二十四日、物価・賃金・生活総合対策本部でも、岸田総理から西村大臣に、電力料金の抑制について指示があったというふうに思います。

 ここで、少し違う話かもしれませんが、少し苦い思い出があるのがガソリン補助金です。

 レクのときには資料をお渡しさせていただいたんですけれども、昨年の日本経済新聞で、「価格に全額反映されず」ということがございました。昨年、関東財務局が、三月から七月に支給したガソリン補助金と販売価格の動向を分析したところ、補助金全額が価格に反映されていると答えた事業割合は、何と半数以下の四五・二%であったということです。

 経済産業省さん、これは念のためにですけれども、こちらが事実であるのか、御確認をさせてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、財務省の十月七日に公表されました調査におきまして、激変緩和対策事業において、支給された補助額と実際に引下げが行われた価格との間に乖離がある、その乖離の幅が百十億円であるというふうな指摘をいただいたことは事実でございます。

 ただし、これは財務省ともやり取りをしておりますけれども、激変緩和事業、補助金額が毎週変動してございますし、各ガソリンスタンドの在庫状況によりまして小売価格への反映にも時間差が生じますことから、正確な効果を測定するには、もう少し、より精緻な分析が必要というふうに認識してございます。

 以上です。

馬場(雄)委員 済みません、おとといのレクのときに資料を渡してしまったので、もしかしたら、ちょっとそこで連絡が行っていなかったのかなと思ったところ、申し訳なかったんですけれども、これはやはり問題ではないかなというふうに思うわけです。しっかりとここは分析しなければいけない。なぜならば、税金を使っている事業だからです。

 ただでさえ、目の前、国民一人一人は、物価高あるいは燃料代の高騰でかなり生活が圧迫しています。その中でも、国民一人一人は国民の責任として託している税金、だからこそ、私たち政治家は、暮らしのために適切にそれを使っていくためのスキームもしっかりと構築しなければならないんだと思っています。

 もちろん、ガソリンと電気代は明らかに違うものです。そこは分かりますし、電力会社さんももちろん大変ではありますが、税金を使う事業ということでは同じですし、本来の政策目的である価格に適切に反映させることが一番大切なんだというふうに思うわけです。

 西村大臣、ここで改めてですけれども、電気料金の厳格かつ丁寧な審査を求めさせていただきたいと思います。加えて、今回の激変緩和措置というものがガソリン補助金とは異なり、価格に適切に反映させる、そのために経産省さんがどのような体制をしいているのか、御説明、是非お願いいたします。

西村(康)国務大臣 電気・ガス料金に対する激変緩和策の対応ということで。

 実際に値引きを行う小売事業者の数は約九百五十社となっておりまして、ガソリンへの補助金と比べまして、事業者数の観点では値引きを確認しやすいという点があります。既に二月の請求分から値引きを行っておりまして、標準的な世帯では一か月で約二千八百円程度の負担軽減になるということであります。

 そして、御指摘のように、値引きの原資が確実に需要家それぞれの世帯などに行き渡るための具体的な制度設計として、事業者に対し、値引きを行うための約款、契約の変更を求めておりますし、値引き対象となる需要家への販売量と、事業者に報告が義務づけられている電力取引報の販売量と突き合わせて確認することによって、いわゆる中抜きを発生させない仕組みとしております。

 加えて、実際に需要家に対して値引きの実施が着実になされていることを確認するため、事業の事務局が直接、抜き打ちで値引きの実施状況を確認することを通じて、不正の防止も図っているところであります。

 いずれにしましても、家庭や事業者に対して、この補助金、着実に行き渡るよう、引き続き予算執行をしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 先ほど申し上げたとおり、最初のガソリンのところは対象となるところが約三万店舗ぐらいある。その代わり、電気、ガスの方に関しては、電気の場合が約六百、そしてガスの場合が約三百ということで、まだ一社一社しっかりと確認しやすいというところが違うというふうに私も認識しています。でも、だからこそ、しっかりと徹底的にやっていただいて、同じような報道が二度と繰り返されないように、しっかりと管理体制、チェック体制を経産省さんに是非ともしいていただきたいというのが私からのお願いです。どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、もう一つ、電気代が高騰する中で肝となっていくのが、省エネ、節電対策だと思います。

 昨年行われていた節電ポイント、正式には節電プログラム促進事業だと思いますけれども、この点、経産省さんにお伺いさせていただければと思います。

 計上した予算は一千七百億円というこの事業でございますけれども、当初、参加を想定していた供給サイドの電気事業者数や需要サイドの需要家数及び現時点での実際の参加した数字、あるいは、現時点で節電効果をどのくらい見込めるものと想定しているのか、端的に是非お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、節電プログラムの促進事業というものは、電力料金が大変上がっている中で、有効に電気を使っていただく、ディマンド側が電気の需給の状況、料金の状況に応じて、応じていただくことを促進するための大変重要な、次の時代の電気の利用を促進する次世代的な特徴をつくるためのインフラをつくっていくという意味で、私どもは、できる限りこの行動様式が国民の皆様方に広がっていくように、狙いとして実施しているものでございます。

 こういういわゆるディマンドレスポンスのような節電プログラムを実施していた事業者は、この事業が始まる前の段階では大体三十社程度であったところでございます。まずはこれを広げていくということが目的だったわけでございますが、現在、開始前の約十倍ぐらい、約二百八十社まで事業者の数は拡大してございます。これも低圧と高圧とちょっと状況が違います。事業者さんのところで、取りあえず非常に重要なところが、これは需給逼迫でもあるわけですが、ここのところは半数近いぐらいの方々に御参加いただけるようなところになってきています。これを更に広げていきたい。

 一方で、御家庭の方というのは、五割というところまでいくのはなかなか難しい。非常に数が多いところでございますが、そうはいいましても、一割ぐらいの御家庭の方々にも御参加いただけるところまでは来ているのかなという感じでございます。全体でいいますと、約七百四十万件の需要家の方々が参加する状況まではたどり着いているところでございます。

 実績とその効果、これが、より実際の需要家の方々の行動の変容を伴うものになるような仕組みにどうすればいいか、これは今年の評価をしっかりやって、次につなげていきたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 松山部長、ありがとうございます。

 是非、もう一度だけお伺いさせていただきたいのですが、最初に想定していたときですけれども、一千七百億円計上したときに、どれくらいの需要家サイド、需要家サイドの点ですが、どれくらいを見込んでいたのか、是非教えてください。参加した数字が結果的に七百四十万件であるというのは分かりますけれども、想定していたものがどのくらいの数字であるのか、是非教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもでも、できるだけ広く、多くの方々の御参加ということを目標にしてございます。目指すところは半数ぐらいの御参加を目指したいと思ってございました。事業者サイド、高圧について言うと、これはほぼ達成できたと思ってございます。

 一方で、各御家庭の方々、これも何千万件ある中でございますので、これから一層、どうやって御理解を広げていき、御参加いただけるかについて言いますと、まだ課題でございますので、しっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 お言葉をいただき、ありがとうございます。

 ただしですけれども、この事業も三月で終わってしまいますよね。これからというところに余りにもちょっと心もとないお言葉ではないかなというふうに私は受け止めます。半数を目指していて一割というのは、かなり教訓に残さなくてはいけない部分が多いのではないかなというふうに思うのは、恐らく私だけではないと思っています。

 一方、供給サイドが目指しているところに近くなったという、これは本当にすばらしいことだと思うわけです。でも、だからこそ、需要サイドで半分を目指していたのに一割しかいかなかったというところのこの部分をしっかりと効果検証して、分析して、次に生かしていかなくてはならないんだと思うわけです。

 この分析が、例えばですけれども、そもそも認知されていたのか。もちろん認知されていくための努力をされていたのを私は知っています。でも、それが本当に適切であったのか。あるいは、ポイント付与というそもそものスキームが、この時代、このときに合っていたのかというところも含めて、もう一回考え直さなくてはいけないんだというふうに思うわけです。

 節電、省エネを推し進めていくために一番大切なことは、国民一人一人が主体的に取り組んでいくその姿そのものなんだと思うわけです。だからこそ、経産省さんにはそのスキームをつくっていただきたいということが私からの願いです。この事業でつくることのできた、むしろ供給サイドのネットワーク、これは本当に大切なことなわけでして、ここからどうやってそれを更に発展していけるかという議論がここではできるわけです。双方のメリット、デメリット、そして得られた教訓を生かして次にどういうふうに続けていくのか、あるいは、三月末までまだ時間があるわけですから、三月末までにどういうふうに経産省さんがこの制度を少しずつ柔軟に変えていくのか、あるいは、どういうふうに発信体制を変えていくのかというのが極めて最後大事だと思うので、やり残したことが絶対ないように、三月までにしっかりとやった上で、その検証に移っていただきたいなというふうに思っております。

 西村大臣にここでお伺いさせていただきたいんですけれども、節電、省エネ政策、これは国策として絶対にやり抜かなければいけないというのが今日冒頭で申し上げたことでもあるわけですけれども、今後の戦略が決して中途半端になることがないように、そして結果を一つ一つ出していくように、半数を目指していたところが一割、そういうことが絶対にないように、早急に経産省全体として私は動かなくてはならないんだというふうに思うわけですけれども、西村大臣に、そういうふうな指示を経済産業省に出していただけないでしょうか。よろしくお願いします。

西村(康)国務大臣 まず、全体として、エネルギー価格、電気料金を始めとして非常に高騰してきておりますので、国民の皆さんの中にも省エネの意識は高まってきていると思うんです。その中で、今回のこの節電プログラムは、それを更に後押しをする、しかも結果として負担軽減にもつながるということですので、そうしたメリットも感じていただきながら省エネを推し進めていく、そのためのプログラムであったというふうに思います。

 御指摘のように、今回、小売電気事業者の間でかなり広がりましたので、いわゆるディマンドレスポンスが根づく、そうした素地、環境が整ってきていると思いますので、この枠組みを、おっしゃるように三月までしっかりやり遂げて、それから夏も、次の夏も冬も是非活用できるようにしていきたいと思いますし、今回、それほど需給が逼迫した場面がそんなに多くはありませんでしたので、データはそんなに多くは取れないかもしれませんけれども、今回のこの間のデータもしっかりと分析をして、今後の消費者の省エネ行動につながる様々な対策に役立てていかなきゃいけないと思いますので、御指摘のように三月までしっかり成し遂げること、それから、この間の実績をしっかり分析をして次につなげること。

 AIなどの分析もこれから使えるようになるわけでありますので、是非そうした取組を事務方にもしっかり指示をしたいと思います。

馬場(雄)委員 力強いお言葉ありがとうございます。是非ともよろしくお願いいたします。

 申し上げますけれども、やはり、省エネ、節電というものをこれはどこまでやり切れるか、総需要の電力をどこまで下げられるかということが、まさに今一丁目一番地の省エネルギー政策なんだというふうに思っていますので、是非その点をやり尽くす、やり切るというところを是非ともお願いしたいというふうに思っております。

 最後になりますけれども、省エネの一環であるんですが、賃貸住宅のエアコンについてお伺いさせていただきたいと思います。

 今、三月というのは卒入学シーズンでもありまして、引っ越しをなされている学生さん、あるいは仕事の関係で変わって、また引っ越しをしているという方も多くいらっしゃいます。

 その中のお声の一つとしてよく私も伺っていたのが、賃貸住宅にお住まいになられている方々ですけれども、こんな声をいただきます。ついていたエアコンが古い。

 これは賃貸住宅ですので、自らの意思で替えることはなかなか難しいわけなんですよね。エアコンつきの賃貸住宅に住む方は、恐らくですけれども、エアコンが壊れるまでそのエアコンでしのぐしかないというような状況なんですけれども、省エネ政策を国全体で進めていくという点において考えれば、そのエアコンを買い換えていく、取り替えていくということもまたすごく重要な観点だと思います。決して小さくない効果だと思います。

 その中において、これは私も聞くのがちょっと分からなくなったので国交省さんにも来ていただいたんですけれども、まず国交省さんにお伺いさせていただきたいんですが、賃貸住宅にお住まいの方もエアコンの省エネ化が進むように、大事なのはオーナーさんに対するインセンティブを働かせていく、ここだというふうに思っているわけなんですけれども、省エネ対象の商品を推奨していくような働きかけをすることはかないませんでしょうか。よろしくお願いいたします。

石坂政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、経済産業省及び環境省と連携して、令和四年度補正予算において、住宅の省エネ化に関する支援制度を創設しており、今月下旬から申請受付を開始する予定でございます。

 国交省では、こどもエコすまい支援事業といたしまして、住宅全体の省エネ化を進める観点から、省エネリフォームと併せて実施していただく一定のエアコン工事も支援対象とさせていただいているところでございます。

 御指摘のように、賃貸住宅の省エネ化は非常に重要でございます。光熱費の削減効果に加えまして、温熱効果の改善による快適性の向上、健康上のメリットがございます。

 このため、賃貸住宅のオーナーの皆様方に対して、こうしたメリットをしっかり入居促進につなげていただきたい、そう思っているところでございますので、今回のこどもエコすまい支援事業につきまして、賃貸住宅の関連団体さんなどを通じて、しっかりとオーナーさんの皆様に周知してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

馬場(雄)委員 お答えありがとうございます。

 今まさにおっしゃっていただいたんですけれども、リフォーム前提とした取替えが今回のエコすまいの補助金なんですよね。つまり、直接的なインセンティブは現状ないというのが今の残念ながら状態なんだと思うわけです。

 そうすると、リフォーム前提となると、やはりそこは、オーナーさんのインセンティブは今回は働きにくい状態だと思いますので、この点を何とか私は乗り越えていただきたいというふうに思うわけです。

 ここで、済みません、また西村大臣にお伺いさせていただきたいんですけれども、今、補助金体制やインセンティブを働かせている体制がどうしても省エネ政策の中で抜け落ちてしまっているというのが、この賃貸住宅のエアコンなんだと思うわけです。本当に、例えばですけれども、やり方一つでがらっとこの省エネ政策を推し進めていくことができると思うわけですけれども、こういう新たな試みについて、是非とも御検討いただけないでしょうか。

 これは一つ、例えばですけれども、業者クリーニングを挙げたとしても、最終的には個々人で費用負担していただければいいと思うんですが、例えば、その一宅、一宅、全ての御自宅でやっていただくんじゃなくて、賃貸住宅全体でやっていただければ、クリーニングも含めてかなり費用を安くすることだってできると思うんですよね。その部分の個人の負担割合も少しずつ軽減することもできますし、エアコンそのものを取り替えていくためのインセンティブをオーナーさんに働きかけていく、オーナーさんに対して省エネの意識を働きかけていくことを是非とも御検討いただきたいと思いますが、是非よろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 非常に大事な点で御指摘いただいていると思うんですが、なかなか難しい面もあって、私も御指摘いただいて、いろいろ事務方とも打合せし、また考えもしたんですけれども。

 まず、賃貸住宅、全住宅の四割ありますので、これは省エネを進める上で非常に重要、エアコンも非常に重要な位置づけにあると思います。一方で、国交省さんからもお話ありましたけれども、貸し手が設備費用を負担する一方で、恩恵を受けるのは借り手ということで、そしてまた原状回復義務のようなものもありますので、なかなかこれは難しいんですけれども、いずれにしても、まず、おっしゃるように、貸し手の皆さんに省エネ化を進める意識づけをしていくことが大事だというふうに思います。

 これは、建築物省エネ法で住宅の省エネ性能を表示するということで、それを見て、省エネの効果の高いところに住む、選ぶという効果があるわけですね。経産省では、省エネ法のトップランナー方式というのがありますので、賃貸住宅も含めて、住宅のエアコンを更新される際には省エネ性能の高いエアコンが導入されるよう促しております。

 他方で、エアコンの性能というのはもうかなりよくなって、この何年かは余り効率が上がっていないんです。もうかなりいいところまで来ているということだと思います。ですので、何かそれを買い換えるのを今補助するというところはなかなか難しいところがあるんですが、それでも、今後、令和九年度を目標年限として、更に一割から三割程度性能向上を求める省エネ基準を定めたところであります。

 御案内のとおり、電力、ガス高騰対策の地方交付金で、家電の買換えのメニューを支援メニューの一つとしてお示ししておりまして、御地元の福島県でもこの家電買換えで支援があります。こうした仕組みもあるんですけれども、おっしゃったようなクリーニングのこととか、何かほかにやりようがないのかということを、国交省とも連携しながら、引き続き検討していきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。是非とも、是非とも御検討いただければと思います。

 本当にハードルが高いところではあるというのは私も承知していますが、省エネ大国日本を築けるか否かが、やはりエネルギーのことを考える上で一番の肝だというふうに思っていますので、前例にとらわれず新しい取組を進めていただければと思って、切に願っております。

 質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 おはようございます。

 まず、価格転嫁の問題について伺わせてください。

 これまで、経済産業省、中小企業庁、公正取引委員会、熱心に価格転嫁の問題、取り組んでいただいております。成果も上がっているかと思います。民民の契約ですので、下請法等あったとしても、なかなか、強制的に価格転嫁してほしいというのは、強制するのは難しい領域ですので、政府としてしっかり取り組みながら、パートナーシップ宣言等で経営陣の皆さんに促すということで取り組んでいらっしゃったかと思います。

 購買担当は、仕事としてできるだけ安く購入することが購買担当の責務ですから、経営トップから少し緩くしてもいいよと言っていただかないと、なかなか手綱を緩めることはできないと思います。

 したがいまして、これまで経済産業省として価格転嫁対策に取り組んできたと思いますけれども、中小企業の価格転嫁の現状について、冒頭、西村大臣からの御発言をお願いします。

角野政府参考人 お答えいたします。

 原材料価格やエネルギーコストの高騰による物価高の中で中小企業が賃上げを実現するためには、価格転嫁の実現が不可欠でございます。

 このような認識の下、原材料等のコスト上昇分をサプライチェーン全体で適切に転嫁できる環境を整備すべく、毎年九月と三月の価格交渉促進月間の実施などに取り組んでいるところでございます。

 昨年九月の価格交渉促進月間の結果では、全体の価格転嫁率は前回三月の約四割から五割弱に若干改善したものの、回答した中小企業のうち約二割が全く価格転嫁できていないと回答している状況でございます。

 また、業界ごとにばらつきがございまして、例えば、石油販売業や機械製造業と取引している中小企業ではコスト上昇分のうち約六割が価格転嫁できている一方、トラック運送業や放送コンテンツ制作業界と取引している中小企業では約二割しか価格転嫁できていない、こういう結果もございます。

 また、費目別に見ましても、原材料に比べまして、エネルギーや労務費の価格転嫁が進んでいない、こういう状況でございます。

 こうした状況を踏まえまして、引き続き価格転嫁の取組を強化していくことが必要であるというふうに考えてございます。

大島委員 ありがとうございました。

 地元で物づくりの中小・小規模企業の経営者の方と懇談する機会がありまして、その際に、大島、五%の賃上げは無理だと言われています。

 今、マスコミ報道等ですと、経済団体のトップの方もあるいは政府も、五%の賃上げ、目標として掲げておりますけれども、中小・小規模企業で、今、中小企業長官の御発言にありましたとおり、原材料については見ていただけるけれども、人件費あるいはエネルギー価格の高騰については面倒を見ていただけない。したがいまして、五%の賃上げは無理だと言われています。ですから、物価が高騰する中で、中小・小規模企業に働いていらっしゃる皆さんの賃金は上がることはないと思っています。

 ですから、今後、経済産業省、中小企業庁として、あるいは公正取引委員会もそうですけれども、どのように今の現状を踏まえて経済産業省として取り組んでいくのか。その点について、西村大臣の御発言をお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、大企業は今回かなり意欲的に積極的に賃上げに取り組んでいる姿勢が多く報道もされていますけれども、中小企業は、私も先般、車座で何人かの中小企業の皆さんから御意見を伺いましたけれども、やはりなかなか転嫁ができないという中で、賃上げをしたいけれども思うようにはいかないという声もお聞きをいたしました。

 御指摘のように、まさに原材料費が上がっていることは大手の企業も認めてくれつつあるんですけれども、まさに賃上げの分とか、あるいはエネルギーの電気料金の分とか、こういったところの価格転嫁が難しいという声もいただいておりますので、大手企業、親企業に対しても、こうした点も含めて、今月は価格交渉促進月間でもありますので、粘り強く働きかけを行っていきたいというふうに思っております。

 今回、この三月の結果を、調査を三十万社まで増やして行う予定であります。去年の九月の促進月間の後のフォローアップ調査では、二月に公表したんですけれども、百五十社について交渉状況などを公表し、七十社に対して指導助言も行いました。今回、調査を倍に、三十万社にして、それに基づいて、また下請Gメンも三百名に増やしましたので、そこでのヒアリングの結果なども踏まえて、更に指導助言をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。

 大手企業に対しては、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すとのパートナーシップ構築宣言、これを一万九千社まで拡大しておりますけれども、まだまだ大手企業は少ないですので、更に経団連を始め働きかけを行いつつ、宣言している以上はしっかりと交渉に応じて取り組んでいただくということを改めてまた求めていきたいと思います。

 公取委員長も来られています。十三社公表されるなど、非常に積極的に前向きに強い姿勢で臨んでいただいていますので、連携をしながら、価格転嫁がしっかりと進んでいくように取り組んでいきたいというふうに思います。

大島委員 この間、これも私の選挙区ですけれども、上尾商工会議所、伊奈町の商工会、大宮ハローワークが協賛で、地元企業の求人、求職のマッチングを行いました。私、現場を見に行きまして、五十五社参加をしていて、私の知っている会社も数社ありました。この五十五社中、求人でしっかりとアポイントメント、面談が埋まっているのは二社だけです。ほかの面談は、ほとんど求職者は訪ねていません。

 今、大きく時代は変わっています。少子化、あるいは団塊の世代は七十歳以上を超えて補助的な業務からも外れています。新型感染症禍の三年間で人材、人が一瞬余っているように見えたかもしれないんですけれども、これが明らかに人材が足りない、人が足りないのが今です。二十人から三十人の私の知り合いの物づくりの会社も、人が集まらないから、社長自ら現場に久しぶりに出て仕事をしているという話も聞いています。

 中小企業における人材不足をどうやって解消していくのかが、これからの中小企業政策のポイントだと思っています。その二社のうち一社、私、取材に行きまして、どういう取組をして多くの方が求職でいらっしゃってくれているのかを聞いたところ、賃金もそうですけれども、多様な働き方、男性でも育児休業が取れる、あるいは残業がそれほど多くない、有休の取得率、そういうところをしっかりと見ながら求職をされているんです。

 これまでの中小企業の政策は、DX化も必要でしょうし、あるいは様々な業務改善も必要ですけれども、どうやって人材を集めるかというふうに変えていかないと、なかなか人材が集まらない時代になってきていると思います。そうすると、中小企業、中小・小規模企業の経営の人材育成の社内の管理、あるいは人材育成についても、もう一歩踏み込む政策が必要だと考えておりまして、その点についてのお考えを伺わせてください。

竹内委員長 中小企業庁角野長官。マスクを外していただいて結構です。

角野政府参考人 はい。

 お答え申し上げます。

 足下の新型コロナ、物価高騰など、厳しい経済状況の中、中小企業においては、昨年第四・四半期の従業員過不足DIがマイナス二二・六ポイントとなっておりまして、人手不足は大変重要な課題になっております。

 こうした人手不足に対応するためには、御指摘いただきましたとおり、経営者の意識改革が重要でありまして、経営者自らが、賃上げに加え、生産性向上や労働時間の短縮などの労働環境を整備する取組を促進していくことが必要であると考えております。

 ちなみに、先ほど大臣からもお話ございましたが、先月実施しました中小企業経営者と大臣との車座対話におきましても、経営者の方々からは、自社の事業の魅力を高めることにより、人材を引きつけることが重要だ、こういった御指摘もいただいたところでございます。

 これらを踏まえまして、中小企業庁としては、現在、中小企業・小規模事業者の経営者が経営力を向上し人手不足に対応していくためのセミナーやマッチングなどの支援を実施しているところでございますけれども、さらに、経営者の理解を高め、意識改革を促していくために、人材活用に関するガイドラインを現在策定しているところでありまして、更なる普及啓発を進めてまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、IT導入補助金による生産性向上、また、厚生労働省においても労働時間の縮減等の取組への助成制度もあると承知しておりますが、そういったことも含めまして、中小企業庁として、中小企業の魅力向上や労働環境の整備をしっかりと後押しし、人手不足の解消に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大島委員 ありがとうございました。

 引き続き、この点については時々取り上げさせてください。

 続きまして、物流について質問をしていきたいと思います。

 私、メーカー出身でして、メーカーですと物流部門というのは余り主流ではないんです。どちらかというと、関連子会社にやっていただいたりするのが物流でした。

 私も衆議院議員になるまで生命保険のセールスをしていた時代があって、何千社という会社を訪問して、物流、運送会社、トラック会社も訪問したことがありまして、トラック会社の経営者の考え方、あるいは五十人から百人、三百人ぐらいのトラックドライバーを抱えていらっしゃる経営の実態を伺うと、若干、普通の会社とは違うところがあります。トラックドライバーの方は社員でもあるし、あるいは手に職を持っている自営業的な感覚を持っていらっしゃったり、経営者の方は配送計画が全部頭の中にあって、自分のそのノウハウの中で配送するところもあったりもして、重層構造もあるし、なかなか、今の下請価格でも運送価格を抑えられる嫌いもあります。

 ただ、今後、物流がメインストリートだと思っていまして、物流こそが商品を決めます。日本の物流システムを、どうやって倉庫から始まって構築していくかというのが一番面白いところだと思っています。この物流についての、今、経産省も国交省も、そして多分ほかの役所も、協力して物流についての取組をしていらっしゃると思う。

 二〇二四年、来年ですか、トラックドライバーの残業規制が入りますから、更に人材が足りなくなる。私はお話を聞く中で、フィジカルインターネット、インターネットと同じように物流を結んでいくというのは僕は正しいと思っている。これまでの下請構造が変わるかもしれないと思っています。システムを構築したところが圧倒的に強くなる。だから、運送会社が主導権を握る時代から、システムを構築したものが主導権を握る時代になると直感的に僕は思っていまして、そのために何点か質問をさせていただきたく思います。

 まず、国交省に伺いたいのは、今、高速道路での自動運転を試みていると思う。高速道路における自動運転。ですから、普通の、高速道路を降りてからのトラックの自動運転は難しいと思う。そのときに、ETCを過ぎてからの、積み替えるためのトラックのプールが必要だと私は思っていまして、その取組状況とプールについての、トラックを積み替える場所についてのお考えについて御発言をお願いします。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路における自動運転トラックにつきましては、現在、経済産業省と連携して技術開発を進めているというところでございます。こちらにつきましては、二〇二五年度に高速道路においてレベル4での実証実験を行うということを目指してございます。

 一方で、大型トラックが高速で自動で走行するためには、車線をはみ出すことのないよう車両の制御を高精度に行う必要があること、また、車両が重く、大きく、急停止や急ハンドルといった乗用車のような操作が困難であるため、障害物検知センサーの検知範囲を大きくすることなどにより、早めの予測、判断を行う必要があることといった課題がございます。

 国土交通省では、こうした課題を解決し、高速道路における自動運転トラックを早期に実現するために、引き続き関係省庁と連携して取り組んでいるところでございます。

 また、委員御指摘の拠点につきましては、まずこうした実証実験を成功裏に導きまして、併せて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

大島委員 私のイメージは、例えば今の量子コンピューター、将来的にはゲート方式ですけれども、今のはアニーリング方式です。アニーリング方式のメリットというのは、これは組合せ最適化問題を解くのが得意でして、日本の地図上で一番最適なルートを検索するのに一番最適なのがアニーリング方式の量子コンピューターです。ですから、こういうのを全部入れながら、日本の物流システムを変えていく。

 もう一つ、我が国の利点が一つあります。それは準天頂衛星です。我が国だけです、センチメーター単位で測位ができるのは。ヨーロッパでようやく二十センチぐらいの測位まで縮まりましたけれども、我が国だけがセンチメーターの測位を持っているので、全てのトラックあるいは自動車に測位システムをつけて捕捉することによると、スムーズに、スマートに位置測位しながら、事故なく走れるようになると思います。

 その点について今、政府としても取り組んでいらっしゃると思いますので、その点についての、高速道路における自動運転トラックの実現に向けた取組の現状と今後の見通しを、経産省の方から御答弁をお願いします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 準天頂の話は内閣府の方からお話があるかと思うんですが、経産省の方から先に申し上げますと、経済産業省では、高速道路における自動運転トラックも含めて、特定の条件下で運転を完全に自動化いたしますレベル4の自動運転技術を活用いたしました移動サービスや物流サービスの実現に向けて、国交省との連携の下で、二〇二一年度から、ロード・トゥー・ザ・レベル4プロジェクトと銘打って、技術開発、実証を進めてございます。

 これは、高速道路におきます自動運転トラックの実現に向けては、車両開発を担います大型車のメーカーや実際のユーザーとなります物流事業者などが連携して、本線の合流時とかあるいは車線変更のときにほかの車両との交錯の回避とか、こういった走行時に想定されますリスクに基づく車両開発や、ニーズに基づきます事業モデルの検討などを行っているところでございます。

 今後は、二〇二五年度を目途に高速道路においてレベル4の自動運転の実証を行いまして、二〇二六年度以降の社会実装を目指すということでございまして、物流分野におけます担い手不足への対応それから効率化の実現に貢献できるよう、関係省庁と連携してしっかりと取組を進めてまいりたいと思ってございます。

大島委員 内閣府に伺いたいんですけれども、昨年の二月にも質問しています。「みちびき」については、来年、再来年でようやく七基の体制まで整備をされて、日本の衛星だけでセンチメーター級の測位ができて、ここ十年間の皆さんの御尽力で、大分、測位の機材も相当小さくなっているということは承知をしております。

 今後のことを考えると、是非、センチメーター級を更にミリメーター級まで精度を上げてほしいんですけれども、その点についての御答弁をお願いします。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の準天頂衛星システム「みちびき」ですが、世界最先端のセンチメーター級の高精度測位信号を配信しております。これにより、先ほど御議論があったように、自動車の自動走行でありますとか流通への応用、農作業の効率化などに使われているところでございます。

 また、御指摘のミリメーター級に向けた測位精度を目指すためには、次世代の高精度の時計の開発でありますとか、現時点で実現可能性も含めて課題があるということを認識しておりますが、世界の技術動向でありますとか国内外のニーズも踏まえまして、我が国が世界をリードできるような衛星システムの実現を目指して、関係省庁、関係機関、それから民間企業とも連携しまして、戦略的かつ継続的に取組を検討していきたいと思っております。

大島委員 私が考えるに、国が提供するのはインフラだと思っています。やはり、十年間かけて「みちびき」が今、四基、七基まで打ち上がって、人材も、十五年間の衛星の更新需要で二千八百億円が常に投資されていきますから、安定的に研究者も養成をでき、政府としては無理難題を民間企業に頼んだ方がいいと思っていまして、そのことによって技術レベルが上がって、ミリメーター単位まで、あるいは今のセンチメーターでももっと小さなセンサーで捕捉できれば、視覚障害者の方がそのまま道を歩けるようにもなります。

 こういうことが今の物流システムを個々変えていきますし、国交省さんだと、船が着岸するときも、今、「みちびき」の電波を使いながらやっていらっしゃると思うので、そういうインフラを是非早急に整備して、その上にシステムとして、どうやって物流、どういうふうに今のこの時間こういうものだったら持っていくかという、この規格を国として整備していただくのが必要かなと思います。

 インフラの整備とレギュレーション、こういう規格で統一してやっていくということによって、民間企業の自由な意思でやっていく。恐らく、人材不足の中で、下請構造が明らかに変わって、物流会社も自ら変わらないと生き残れない時代に入ってくるのかなと予感しているものですから、その点をまずお願いします。

 少し細かいところに入りたいと思うんですけれども、農水省さんに来ていただいておりますので、農産物。これも、製造業は物ですけれども、農業においては農産物ですので。

 農産物のうち、花卉は、需要と供給により値段が決まるため、輸送コストが上昇しても、簡単には価格には転嫁できない。また、これまでは、これは私の埼玉県ですけれども、大阪まで輸送していた商品が、輸送コスト削減のために静岡くらいまでしか輸送できなくなることも考えられます。その結果、関東圏において商品がだぶつくおそれがあり、商品がだぶつけば、当然のごとく単価の値下がりが起こり、結果、農家の収入の減少にもつながります。

 花卉について、物流システム構築が重要な課題と考えますが、農水省の認識と今後の対策について伺わせてください。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 花については、ファクスによる受発注であるとか、手積みによる荷役作業など、非効率な部分が多くて、委員御指摘のとおり、流通の効率化というのは非常に重要でございます。

 このため、農林水産省では、花の生産者団体や市場の関係者などから成る検討会を設置いたしまして、例えば、流通を効率化させるパレットのサイズですとか、段ボール、さらには取引データなど、花卉流通の標準化の検討を進めているところでございます。

 また、手積みを減らす台車ですとか、パレット輸送の導入、さらには受発注のデジタル化といった技術の実証なども進めているほか、花の集出荷施設や流通施設の整備、こういったことについても支援しているところでございます。

大島委員 最後に、公正取引委員会委員長、来ていただいておりますので。

 令和四年十二月二十七日に、公正取引委員会は、独占禁止法の優越的地位の濫用に関する緊急調査の結果を公表しました。その中で、大手物流業を始め物流業に関する指摘や内容が含まれておりましたが、物流業の課題に関する公正取引委員会の認識や今後の価格転嫁に向けた取組について、委員長の認識をお聞かせください。

古谷政府特別補佐人 御指摘がございました、公正取引委員会として、昨年末に優越的地位の濫用に関する緊急調査の結果を公表いたしました。道路貨物運送業は、受注者側と明示的に協議をせずに価格を据え置く行為がかなりたくさん認められまして、注意喚起文書を送付した件数が最も多かった業種ということになりました。受注者側から発注者側に対して十分な転嫁ができておらず、多重下請構造といった状況にもある業種でございまして、価格転嫁の連鎖が円滑に進んでいない可能性がある業種であるという結果だったと思います。

 物流業界につきましては、このように、適正な価格転嫁の実現の観点から課題が多い業界だというふうに認識しておりまして、荷主、元請、下請といったサプライチェーン全体での価格転嫁をより進めていく取組を是非やっていただきたいなというふうに思っております。

 公正取引委員会としましては、今後、昨年行いました緊急調査、これを上回る規模で新たな調査を今年もやりたいと思っております。この新たな調査におきましては、昨年末、注意喚起文書を送付した企業の取組状況をフォローアップしますとともに、先ほど人件費の転嫁が難しいというようなお話もありましたけれども、道路貨物運送業もその一つの業種だと思います。労務費の占める割合が高い業種に重点的に調査票を送付するなど、今回の調査では、労務費の円滑な転嫁という観点も重視をして調査をさせていただきたいというふうに思っております。

 それから、こうした緊急調査とは別に、従来から荷主と物流事業者の取引については公正取引委員会として継続的に調査をやっているんですけれども、現在、荷主三万者、それから物流事業者四万者を対象として書面調査を実施しております。これを踏まえて、昨年行った調査を更に上回るような規模の立入調査も実施をした上で、五月をめどに調査結果を取りまとめる予定にしてございます。

 引き続き、物流業界におけます適正な価格転嫁の実現に向けまして、私ども、集まった情報の中から下請法や独禁法に違反する事案がございましたら、それについては厳正に対処いたしますし、業界にも違反行為の未然防止の取組をお願いするなど、積極的に取組をやらせていただきたいというふうに考えております。

大島委員 ありがとうございました。

 将来的に物流が変わっていくのは数年後以降になります。ただ、足下では、中小・小規模企業及び物流の下請企業は経営が非常に厳しくなっておりますので、その点を留意して政府が取り組まれることをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党の田嶋要でございます。

 今日は、電力高騰対策の関係でお尋ねをしたいと思いますけれども、提案をいろいろしたいと思います。特に、今日は農水省は来ていないですが、総務省にも来ていただいて、西村大臣、是非、再エネの適地は日本は限られているなんということはもう絶対言ってほしくないなと私は思うんですけれども、これは以前も申しました。

 日本は、今、非常に再エネの比率は先進国で最下位に近い状況ですけれども、今日、私、提案したいのは、起死回生の作戦があるんですよ。あるんです。あるから、これをちょっと提案したい。電力高騰の災い転じて福ですよ、これは。それで、ちょっと言っていきたいと思います。

 ちょっと順序を変えまして、総務省さんに来ていただいているので、最初に再エネの方に入りたいんですね。

 西村さん、今、全国の工場で、電力高騰で苦しんでいます。資料につけていますが、資料の三、これは記事ですね。工場の屋根とかで価格を高く買い取るような検討がされていると聞いております。これはいいと思います。屋根なんて無数にあるんだから、適地は無限にありますよ。

 だから、こういうのをどんどんやっていただきたいと思うんですが、ポイントは、日本の製造業が、もしCO2をいっぱい出しながらの電気を使っていると、サプライチェーンから排除されるということですよね。具体的に、私、群馬県の大手の企業の話も聞いています。

 となると、彼らは、そうじゃない電気を作る、自分の工場の屋根が空いていれば、そこにソーラーを置く、当然そういうことを考えるわけでありますが、もう一つ、工場は、ちょっと郊外の、どっちかというと田舎の方にたくさんあったりもする。周りは全部畑とかになっていることも多いということでありまして、私は大臣に、こういう工場とかの屋根の上を、プレミアをつけることを考えて、それを応援するのであれば、もう一つは、畑のソーラーシェアの関係でも、やはりもうちょっと本気になってもらいたいということなんですね。

 どうもやはり経産省は、ソーラーに関しては余り本気な気がしないんですけれども、いわんや農水省の関係である畑の関係であると、少し遠慮ぎみな感じが私はするんです。

 最近、私のところにも、皆さんのところにも多分、酪農業界が廃業の危機だと来ていますよね。酪農業界を救う切り札だと思っていますから、私は、来週から千葉県で動きます。千葉県は酪農発祥県です。ソーラーシェアの発祥県です。来週から、千葉県で実際に動かします。

 酪農の方々は土地を持っていますから、そこで、下で牛を飼ったりの牧草で、上でソーラーシェアをやる。自家消費をして、余った電気は近くの工場にオフサイトPPAをやる。ウィン・ウィンですよ。農家さんの苦境、電力高騰の状況で農家さんの苦境を脱することができる。彼らは土地という資産を持っていますから、その土地を高度化利用する。他方で、先ほど言った企業側の、グリーンな電気じゃないとサプライチェーンから排除される、一石二鳥。

 西村さん、是非、ソーラーシェアに関しても、これは経産省と農水省とコラボして、酪農などの農家の皆さんの収入につながって、電力対策にもなる。他方で、サプライチェーンの問題に直面する企業の救世主にもなる。両方にとって優れたこのメカニズム、ソーラーシェアに関しても、西村さん、これは少し応援するためのプレミアを考えていただけませんか。

西村(康)国務大臣 私ども、既に営農型太陽光発電に関する具体的な取組を進め、支援をしてきているところであります。FIT制度における自家消費要件の特例であるとか、あるいは、営農型太陽光発電の設計、施工に関するガイドラインを策定するとか、あるいは、FIT制度を活用せず需要家との長期契約、まさにおっしゃったような、そうした太陽光発電を導入する場合の補助金による支援などを進めてきているところであります。

 前にも申し上げたかもしれませんけれども、私の地元淡路島でも、ため池も活用してそこに浮かべる、あるいは農地で進める、そんな取組もあります。引き続き、私どもとして、農水省とも連携しながら、いわゆる営農型太陽光シェアを含めた再エネの最大限導入に向けて取組を進めていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 農水省の立派な緑の冊子がありまして、緑の何とか何とか戦略ですけれども、六か所、ソーラーシェアという言葉が出てくるんですけれども、私、経産省の資料でソーラーシェアって見たことないですよ。やはり世の中の認識は、農水省は三年の一時転用を十年にして大分進化してきているけれども、経産省がやる気がない、そういう印象なんですが、そうじゃないと大臣おっしゃるのであれば、もっとソーラーシェアのことも言ってください。

 ソーラーがすごいのは、これは余り好きじゃない人もいるかもしれないけれども、大分、この十年間でイメージダウンなんですよ、これが。そうですよね。何でイメージダウンかというと、よそ者ががあっと来て、山の木をがあっと切ってやっているから、こういうことになっている。そうじゃなくて、もっと小型の、分散型の発電でやれば、本当に地域にとって大事な発電になっていく。まさに地産地消の発電なんですね。風力発電ともちょっと違うんですよね、性格が。

 だから、是非、大臣、ここはやはり経産省が足を引っ張っているという印象がありますから、そうじゃないというんだったら、是非、農水省とコラボしてやっていただきたい。

 そして、もう一つ御提案があるんですけれども、総務省さん、次のページ、資料を御覧ください。資料の四、自治体による公営電気事業というのがあるんですね。経産省がこれを知らないということはもちろんないとは思うんですが、これは私は、一つ可能性があると思っています。これはどういうものですか。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 現在、自治体における電気事業は、明治二十四年に水力発電を行ったことに始まりました。そして、現在では、水力発電や太陽光発電などを実施しているところでございます。

 公営企業として電気事業を経営している自治体数は令和三年度末時点で九十五でございまして、稼働中の発電所等の施設数は四百九十七か所となっているところでございます。そして、これらの最大出力の合計が約二百六十七万キロワットとなっているところでもございます。

 また、発電所等の建設改良に際しましては、多くの自治体は、内部資金又は公営企業債を活用して借り入れた資金をその財源としているものだというふうに承知をしているところでございます。

田嶋委員 債券を発行しているんですよね、自治体で。そういう仕組みがもう長いことある、戦前からあるということですよね。

 これは、太陽光も風力もやっているところがあって、群馬県とか盛んですよね。私はこれを、経産省と総務省と、そして先ほど言った農水省とコラボをして、遅れに遅れた日本の再生エネルギーを一気に挽回する切り札に私はできるんじゃないかと思っているんですよ。

 だって、農業の方々に、再エネで一番のネックは何かといったら、誰がファイナンスするかの問題ですよね。数千万円とか何億円なんという金がどこにあるんですかという話が出てくるんだから。それともう一つは、農業の田園風景に怪しいソーラー業者がやってくると、それだけで警戒するわけだから。その警戒感を取るための自治体の役割というのは、私は大きいと思うんです。

 自治体が真ん中に入って信用供与して、しかもファイナンスをつけるというこの仕組みが、こんなに全国で広がっている。是非これを、現代版としてソーラーシェアで行っていただければいいのではないか。

 先ほどの、地域の酪農が倒産の危機に今ある。酪農のところの土地を行政の方がお借りをする、そして、そこに自治体としてのソーラーシェアをその地域で行う、そして、その上がりの中から酪農業界にお金が土地代として落ちる。まさに農家の戸別所得補償ですよ、篠原さんもいらっしゃいますけれども。農家の戸別所得補償のソーラーシェア版だということを申し上げたいんです。

 そうすれば、今、毎日来られている、酪農業界、畜産業は今本当に大変な状況です。そういう方々に補助金をつけなくたってお金が落ちるんですよ。補助金なし。そして、自治体は、地域の皆さんのお金で新しい事業、公営事業を生み出すことができる。これはみんなウィン・ウィンじゃないですか。

 西村さん、ここを是非、余り考えたことがないかもしれませんが、是非、経産省、総務省とコラボして、これを考えていただけませんか。

西村(康)国務大臣 まず、私も、このFIT制度をつくるとき、自民党の責任者でしたので、地域における再生可能エネルギーをどう進めていくかということは、そのとき以来、ずっと考え続けてきております。

 繰り返しになりますけれども、私の地元でも、農家の皆さんがお金を出し合って、ため池にソーラーを浮かべて、そして、その発電収入を得て、それを地域の様々な農業基盤の整備に使っていくというような取組が進んでおりますので、まさに、自治体、地域において再生可能エネルギーを活用して、それをまた収益に変えていくという方法も含めて、様々な取組があってしかるべきだというふうに思います。

 私の兵庫県でも、ダムののり面など、自治体が公営電気事業によって進めている例もあります。基本的には、公営電気事業の実施主体である自治体における判断で行われるものでありますので、自治体から相談があれば、総務省、農水省とも連携しながら進めていきたいと思いますし、ソーラーシェアというのは実は商標が取られていまして、ある個別の商品名となっておりますので、私どもとしてはそういう表現はせずに営農型太陽光発電という言い方をしておりますので、その名称では資料の中にも出てくることはあると思いますけれども、いずれにしても、地域での再エネ導入に向けて、関係省庁とも連携しながら、是非いろいろな取組で応援はしていきたいというふうに思っております。

田嶋委員 今の事例のような話はたくさん聞いて、いいことだと思うんですよ。だけれども、一個一個、こういう事例がある、ああいう事例があるということはおいておいて、大事なことは、二〇五〇年カーボンニュートラルに向かって一定のゴールを定めて、それを何が何でもソーラーシェアで実現するんだと。

 私は今、この間、農水大臣に言いましたけれども、全国のビニールハウスの面積というのが農地面積の大体一%です、四万ヘクタール。その四万ヘクタールで、大体三%から四%の必要な発電ができるんですね。それをベースに、大体一〇%とか二〇%をソーラーシェアで、まず日本全体の発電量の一〇パーから二〇パーをソーラーシェアで実現していく、そういうゴールに向かって何をやるかなんですよ。

 こういういい事例がありますね、それはそうですよ。岐阜県石徹白の小水力だって、みんなでお金を出し合ってやっている。そういう事例はあるけれども、ファイナンスをどこで引っ張ってくるかということだと思うんです。

 だから、是非、群馬県のファームドゥさんのような起業家が頑張るのもあり、そして地域の皆さんが金を出し合うのもありだけれども、自治体を動かしていこうということを、私は是非、経産省、総務省、力をかしてください。総務省いますか、いますよね、力をかしてください、本当に。だから、これは自治体から声がかかればなんて受け身で言わずに、大臣、是非、全国で広げる、そのことをお願いをしたいというふうに思います。

 もう一つ。ほかの発電と違って、太陽光は足が速いんですよ。来年の冬に役立ちますよ、来年の冬に。この夏は無理かもしれないけれども、来年の冬だったら発電収入が入り始めるから、これはばかにできないと思うんですよね。是非考えていただきたいと思います。

 次のテーマに行きたいと思います。

 これは今、資料一を御覧ください、資源価格が上がったといったって、最近急激に下がっているということも事実ですね。ガスはほとんど戻っています。原油は高止まりですけれども、石炭も随分下がったということで、大臣にお尋ねしたいと思います。

 今、電力料金の値上げ申請も出ておりますけれども、あるいは激変緩和措置もスタートしておりますが、これは、場合によっては、値上げも必要もない、激変緩和措置もそんなに長く続ける必要もない、そういう可能性はあるというふうに考えてよろしいですか、大臣。

西村(康)国務大臣 まず、値上げ申請については、まさにこの間の、長い間値上げをしていない電力会社もありますので、この間の、この一年、二年、加えて、長年の燃料価格高騰なども背景としたものであります。

 まさに総理からも指示もいただいておりますので、御指摘のように、為替、燃料価格は大きく変動しています。石炭価格、そしてLNGもかなり落ち着いてきている。これはヨーロッパの暖冬の影響もあるんだと思いますが、落ち着いてきておりますので、どういうふうにそれを見積もるのが適正なのかというところを今真剣に議論しておりますし、更なる経営効率化の余地がないのかというところもしっかり見極めたいということで、厳格かつ丁寧に審査を行っているところであります。

 あわせて、激変緩和措置、電気料金、ガス料金ですけれども、これについては、確かに落ち着いてきてはいますが、今後の輸入燃料価格の見通しは必ずしも予断を許しませんので、アメリカの経済がどうなっていくのか、あるいは中国の経済もどうなっていくのか、こんなことを含めて、必ずしも明らかではありませんので、引き続き、春以降も御家庭の負担は増加が見込まれる。

 そもそも、昨年からは二割、三割上がっているわけでありますので、引き続き適切に執行していきたいと思いますし、今後のことについては、状況を見ながら適切に判断していきたいというふうに思います。

田嶋委員 負担はずれてやってきますので、是非、注意深く、直近の状況も見ながら御判断をいただきたいと思います。

 ただ、もう一つやはり残念なことは、昨今の不正行為が次々と明らかになっていることでありまして、こういったことが明らかになって新聞でたくさん記事が出ている一方で、国民負担をお願いするような値上げの申請というのは、恐らく多くの国民は、何を言っているんだろうというふうに感じているのかなというふうに思います。

 そういう意味で、今申請を受けている、そして精査をしている状況だとは思うんですが、少なくとも、一体その問題の原因は何だったのかとか、そうしたことに関して徹底的に解明されることを待たずして、値上げだけさっさとオーケーしちゃうなんということはゆめゆめあり得ないと私は思うんですが、タイミングの問題、そして値上げの幅の問題も含めて、そこは物事には順序があるのではないかなというふうに感じておるんですが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、大手電力による一連の情報漏えい、あるいは不正閲覧、これは小売電気事業者間の公正な競争、あるいは一般送配電事業者の中立性、信頼性に疑念を抱かせる極めて遺憾な事案だと思います。現在、電気、ガス取引監視等委員会あるいは資源エネルギー庁での調査、これを行っているところでありますので、これを踏まえて厳正に対応していきたいというふうに考えております。

 また、カルテル事案についても、独禁法に基づく公正取引委員会処分が決定しましたら、経産省としてもその処分を踏まえ、適切に対応していきたいというふうに考えております。いずれにしても、厳正に対応していきたいというふうに思っております。

 その上で、規制料金の値上げ申請については、燃料価格の高騰などを背景にしたものでありますので、電気事業法に基づいて定められた手続、審査ルールに従って、先ほど来御議論ありますように、燃料価格をどう見積もるかなど、厳格に、そして丁寧に審査を行っていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 その上でということなので、是非とも徹底的に、国民が納得いくようなことをつまびらかにしていただきたいというふうに思います。

 その上で、今大臣からも電取委というのがございましたけれども、実際に電取委もあっぷあっぷなんじゃないかなと。以前からそんな印象を持っていますけれども、今回、そうした不正に対しての調査があり、他方で値上げ申請に対する調査も同時に行われているということでございますが、陣容に関して副大臣にお尋ねします。

 どのぐらいの人が経産省の方としてそこにいらっしゃるのか、外部からはどんな有識者、専門家が何名ぐらいいらっしゃるのか、御答弁ください。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、経済産業省本省にある電力・ガス取引監視等委員会事務局には七十七名の職員が在籍をしております。また、各地方の経済産業局等に電力・ガス取引監視室というものが設置されておりまして、合計六十二名の職員が在籍をしております。

 本省の事務局職員のうち経済産業省の内部採用の職員は四十二名、外部採用の職員は三十五名でございまして、外部採用の職員のうち有資格者として弁護士が五名、公認会計士が五名在籍をしております。

 また、各地方の電力・ガス取引監視室の職員のうち経済産業省の内部採用の職員は四十四名、外部採用の職員数は十八名となっております。

田嶋委員 数が多けりゃいいというものじゃありませんけれども、常々、電取委というのはちょっとひ弱じゃないかなと、申し訳ないですけれども。もっと強力な組織にしないと、今回みたいなことがまたこれからも起きるんじゃないかな。過去にもいろいろ問題が、不祥事があったと記憶しております。

 そんな中で、大臣、通告にない質問を一つしたいと思うんですが、ちょうど昨日のニュースに、公取委員長、先ほどまでいらっしゃった公取委員長が、古谷さんが記者会見で、要するに、先ほどおっしゃった独禁法の関係のカルテルの問題ですね。今、三種類の問題が起きていますね。そのうちの一つがカルテルでありまして、カルテルに関しては公取が当然やるのは当たり前ですが、それ以外の二案件、すなわちお客さんの顧客情報を勝手にのぞいている案件、それからライバルの新電力の情報を経産省のデータベースにのぞきに行っている件、この二つに関しても調査を深めたいということで、必要があればやりますよ、経産省と一緒になってやっていきたいと。これは記事でありますから、間違っている可能性はゼロじゃありませんが、こんなことをおっしゃっているというふうにニュースが流れておりました。

 私はこれは公取に言っているんです。なぜ公取はカルテルだけやっているんですか、ひょっとしたら、独禁法の関係で残りの二つももっとやるべきじゃないかということを私も申し上げたところでありますが、西村大臣、これは別に電取委だけでやる必要はないですよね。公取も一緒にやってくれるんだったら、私は、一緒にやって、徹底的にうみを出すということをやってほしいと思いますが、西村大臣の御所見をお願いいたします。

西村(康)国務大臣 公正取引委員会はまさに独立した機関でありますので、私の立場で、何かこういうふうにしてほしいとか、こうしたらということは申し上げることは差し控えたいと思いますが、公正取引委員会の判断で、独禁法なりで何か問題があるということについては、これはこれで、その立場で何かやられることは当然あり得ることだというふうに思いますが、私の立場からはそれを申し上げるのは控えたいと思います。

 いずれにしても、私どもも、電力・ガス取引監視等委員会で立入検査を含めて調査を行っておりますので、その結果をしっかりと精査をして、厳正に対処していきたいというふうに考えております。

田嶋委員 いずれにしても、公取の委員長が、一緒になってやっていきたいと、三つのうちの、カルテルの問題以外の、顧客情報とかを不正に盗んでいる、盗み見しているということに関しても問題意識を強く持っていただいているというのは、非常に心強いことだと思います。独立性を尊重しながら、是非、連携できるところは経産省も御連携をいただきたいというふうにお願い申し上げます。

 そして、最後に、先ほど同僚の馬場委員からもいい質問がたくさんありましたが、省エネも含めて御質問申し上げたいと思います。

 今、激変緩和措置ということでやっておられるんですが、やはり一番の問題は、キロワットアワー七円とか三・五円とかいうのは、使えば使うだけ割り引いてもらえるということで、やはりこれは、場当たり的というか、来年起きたらまた一緒、その次起きたらまた一緒、いつまでたっても金が出ていくだけ、社会構造は何も変わらない、そういう仕組みなんですよ。

 これでいいのかという問題意識が、私は何で経産省の中でなかったのかな、何で結果的にこういう制度設計になってしまったのかなというのが不思議でならない。つくった人は大体三人だという話を聞きました。三人でぐじゃぐじゃ議論して、最後こうなっちゃったんでしょうけれども、大臣含めて異論なく、これが最終的な制度設計になったと聞いておりますが、私は不思議ですが、なぜですか。

西村(康)国務大臣 私も含めて、この件についてはもうかなりの時間をかけて制度設計をいたしました。申し上げれば、様々な国会での御意見もございましたが、FITの賦課金を停止すべきではないかとか、あるいは給付で行うべきではないかとか、あるいは、電力会社、つまり地域によって価格がかなり違いますので、それぞれ価格の違いに応じて支援をすべきではないかとか、様々な議論をかなり時間をかけて行いました。

 私どもがやらなきゃいけないと思ったのは、まず、この一月、二月が非常に需要量が多い、使用量が多くなりますので、この寒い時期に、たくさん使う可能性がありますから、そのときから始めよう、迅速にやらなきゃいけないということ、それから、やはり公平にやらなきゃいけないだろうということで、迅速性、公平性。そして、迅速にやるためにはやはり簡素な仕組みで一律にやらなきゃいけないということで、このような形で一律に仕組みを取らせていただきました。

 そして、特別高圧のように、大手の企業は価格転嫁ができるであろうから、そこは除こうじゃないかということで、こういう制度設計になっておりますし、使えば使うほど、その分安くなるという言い方は非常に誤解がありまして、相当もう既に電気料金は上がっておりますから、私は、国民も、中小企業の皆さんも、企業も、今は省エネしていこう、やはり少しでも節約しようというこの雰囲気はみんなが持っていると思いますので、ちょっと安くなったから多く使おうという人は一人もいないというふうに思います。

 その上で、更に総理から指示もいただいておりますので、更に何ができるか、今、私ども、更に知恵を絞って検討を進めているところであります。

田嶋委員 いろいろな議論があるところだとは思いますが、今おっしゃった中で迅速性は非常に大事だと思います。そういう意味では、一月からスタートしているというのは多としたいというふうに思う。

 同時に、公平性というのはいろいろな議論があると思うんですね。何が本当に公平なのかということは、やはり私たちは違う見解を持っているということ。

 そして、今おっしゃった電力多消費産業の特別高圧は、ちょっと大臣の認識が違っているのではないでしょうか。特別高圧は大企業だけなのか。そんなことは全然ありません。私たちは川口の鋳物鋳造業の皆さんともお話をさせていただきました。多くの中小企業が特別高圧を利用しているのにもかかわらず支援はゼロというのは、先ほどの御説明の、余りばっさりと、特別高圧は転嫁できるから支援しない、そんなばさっと切れるような話は私はどこにもないと思うんですね。そこはやはり見直すべきだというふうに考えておりますが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 特別高圧についてもかなり議論をいたしました。おっしゃるように、かなり使っている中小企業、地域の皆さんもおられますので、これは何とかしなきゃいけないんじゃないかということは私どもも強く思っております。そこは、電気、ガス高騰対策の地方交付金で六千億円配っておりますので、それぞれの地域で、地場産業、エネルギー多消費型の産業が多いところは、その交付金を活用して、地域ごとによりきめ細かに対応していただこうと。

 国が仮に特別高圧で、さすがに大手企業の、世界の一流企業まで全て税金を使って支援をするのかという議論がありますから、申請方式にするのか、何かやり出すとどこで線を引くのか、これは極めて難しい、しかも時間がかかることになりますので、ここは地方に任せようということで、各自治体において地場産業支援の仕組みを取っているところはたくさんあるというふうに理解をしています。

 その上で、さらに、いろいろな声をお聞きしておりますので、岸田総理からの指示もございますから、何ができるか、何をやるべきか、今真剣に検討しているところであります。

田嶋委員 少し予告があったような感じがしますけれども。

 そして最後に、やはり何といっても先ほどの馬場さんと同じメッセージです。場当たり的な、苦しいから補助する、それもいいんです。ちょっと思想は違いますけれどもね。しかし、やはり一番足りないのは、体質を変える、構造を変えるということに支援が弱いと思います。

 資料の2を御覧ください。おととい、経産省の方に一生懸命、特急で、突貫工事で作っていただきまして、ありがとうございます。

 いろいろあるんです。先ほどの馬場さんが取り上げた問題は断熱ですね。家庭向けの断熱、一番下、二次補正で一千億、新設。いろいろやっていただいているのは多としたいと思います。

 しかし、問題は、二兆五千億、今回も、先ほどのキロワット七円、キロワット三・五円で二兆五千億を充てているのに比べたら、余りにも桁がちっちゃいんじゃないんですかと。二兆五千億は消えていきますよ、出しただけで。こっちのお金というのは設備として残るんです。初期投資なんです。一回導入すれば、断熱であっても省エネ機器であっても、その後ずっと節電ができるということなんですね。

 そういう意味では、私たちは全くやり方が違う。もっとこちらの方に軸足を置いた支援を、西村さん、今度の九月までは今の制度があるようでありますけれども、追加でやはりこれを考えるべき。この一千億とかのオーダーでは日本の体質改善は全然進みませんよ。海外の国々は過去十年、二十年、ずっとこういう断熱に対する支援を続けてきて、日本とは彼我の差が生まれてしまった。日本は先進国で断熱が最も弱い先進国になってしまっているんですね。

 是非、ここは、これも国土交通省と連携しながら、もっと思い切った支援をやっていただきたい。省エネ家電、断熱、そして所得の少ない家計に関しては、私は、先ほどの賃貸のこともありました、十割補助を検討してほしいんです。二割でも三割でも自己負担があったらなかなかやりませんよ、生活苦しい中で。そこは思い切って、海外でもやっておられるけれども、十割補助を考えてほしい。

 その省エネに関しての御見解をいただきたいと思います。

竹内委員長 時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。

西村(康)国務大臣 省エネについては私ども力を入れて、このエネルギー危機、また更に将来どんなことが起こるか分からない中で、エネルギー需給構造を変えていかなきゃいけないという中で、省エネ補助金拡充をして、これだけの対応をしておりますし、特に家庭向けのものについては、地域の工務店の皆さんが一生懸命営業していただいて取組が進みつつあると思いますが、これの利用状況とか実施状況なども見ながら、更に必要なものがあれば考えていきたいと思いますし、それから、厳しい世帯の皆さんには昨年末にも五万円の給付をさせていただいております。

 そうした取組も、全体で様々な支援を行っておりますし、いずれにしても、エネルギー安定供給と、できるだけ廉価な価格で提供できるように、供給できるように様々な支援策を考えていきたいというふうに思います。

田嶋委員 断熱は地域の経済に大きな波及効果がある、これは定説でありますから、是非とも力を入れていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 本日は、大臣の所信の質疑と経済政策全般についてお尋ねしたいと思います。

 まず初めに、おととしの十二月に当委員会でも、四千五百億を超える補助金の、半導体について、そのときに経産省の方から説明を受けたんですけれども、この三十年余り、日本がどんどんどんどん衰退していく中で、水平分業が進んでいったんじゃないか、こういう説明です。例えば、アメリカでは開発、設計をするし、日本ではそれに基づいた製造装置を造る。実際に半導体を作るのが台湾、中国、韓国の企業がということで、ロジックというんですか、そのものについては海外製品に押されてしまっているということであります。

 しかし、昨年の十月にアメリカでは、対中国の半導体政策で最も強硬に対応して、先端半導体やそれを作る製造装置を中国に輸出、技術供与することを厳しく制限したということです。さらに、米国人が中国の最先端の開発や生産に関することを事実上禁じて、個人の行動まで縛るに至っているという記事なんです。

 一方、日の丸半導体は衰えたんですけれども、関連する製造装置や素材では、日本企業の技術力はなお健在だとも言われています。

 もう一度、この水平分業を立て直して、垂直統合を目指していこうとして半導体支援をしていくのか。要するに、製造、話を聞くと、千工程ぐらいあるんだそうですね、半導体一つ作るのに当たっても。それをやはり国内に戻していく。

 それで、有事のときがあるかどうか分かりませんけれども、経済安保も考えれば、垂直統合にしていった方がいいんじゃないかという考え方です。ロシアのウクライナの侵攻に伴う国際秩序が激しく動く時代、じゃ、これがあと何年続くのか分からないんですけれども、今までの国際情勢で、どこの国と組む、組まないというのが何となくすみ分けできてきてしまったんじゃないかと感じるんですね。

 一つ、半導体を題材にさせてもらっていますけれども、日本の物づくりの再興の考えを西村大臣にお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 やはり日本経済、物づくり、製造業、大きな基盤を成しているものでありますので、引き続き日本の技術力を生かして、しっかりと国内に雇用であり、また技術力で輸出であり、富を生み出していく、そうした源泉として頑張っていただきたいというふうに思います。

 まず、御指摘の半導体についてですが、設計と製造における御指摘の水平分業、垂直統合のお話がございました。半導体のその特殊性に応じて、また、どちらが適しているかは異なるものであるというふうに認識をしております。

 例えば、最先端のロジック半導体は、製造の投資規模も大きいですし、設計によって性能、機能が大きく変わるため、水平分業型のビジネスが適していると言われておりますし、メモリーや従来の半導体、従来型のものについては、一つの機能を高性能にするための技術開発が行われるため、垂直統合型の生産が主流ということで、それぞれ特徴があるものというふうに思います。

 その上で、過去五〇%ぐらいシェアがあった日本の半導体産業が今一〇%ぐらい、世界でなっておりまして、これは様々な背景、理由があると思いますけれども、端的に申し上げれば、規模が大きくない会社がいっぱいあって、それぞれ自前主義で、ばらばらにそれぞれの自社向け半導体を製造して、人材もばらばらに分散していた、そんな中でなかなか大規模な投資ができなかったという、それでグローバル市場の中で競争力を失っていったという面があります。

 こうした反省から、特に水平分業型が適しているビジネスモデルにおいては、今や投資額も非常に大きいので、一社ではできないし、一国でもできない状況になってきておりますので、有志国、同志国と連携をしてオープンイノベーションの中でそれを実現しながら、国内に更に製造基盤を確保していくということが重要になってきているというふうに思います。

 こうした観点から、先端半導体の製造基盤整備あるいは部素材も含めたサプライチェーン強靱化に約一・三兆円の予算を、十二月、今年度、昨年末の補正予算で措置をしているところであります。

 同様に、半導体以外についても、永久磁石とか炭素繊維とか工作機械、ロボットなど重要物資について、生産基盤の強化の支援策を講じているところであります。

 いずれにしても、経済安全保障の観点も重要になってきておりますし、まさに、先端的な技術、不可欠な技術を日本が持つということも大事であります。有志国、同志国との連携をしながら、日本が強みを持つこの産業について、しっかりと国際競争力を維持強化できるようにしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 おっしゃるとおりなんですけれども、結局、先ほど前任の方も太陽光の話をされたと思うんですけれども、前にも委員会で御指摘させていただいたように、太陽光パネルの八割が中国製なんですよね。やはりコストが安いからそっちから調達するということで、国内でも、細々とというんですかね、販売量がそんなに多くないにもかかわらず、太陽光。これから、再生可能エネルギー、風力なんか、話を聞くと、オランダ製なんですか、あの風車なんか。国産に向けていくように努力していくなり、やはりお金を出すなり、公設民営がいいのか、いろいろな方策があるんだと思うんです。

 一つの例示をお出ししたいと思うんですけれども、例えば今、道路工事だとか建築現場で、今までは、エンジンを使ったポンプだとか下を踏み固めるようなタンパーみたいなのが使われていたんです。今どこで作っていると思いますか。ほとんど中国ですよ。部品の供給も中国。日本の大手さんがやっていたんですけれども、市場が拡大しないというのもあって、電動メーカーさんの方に電動化できるものはもう既に売ってしまっている。内燃機関であるエンジンを使って、商圏は世界でも三百億ぐらいしかない。だから、先の見通しがないから、埼玉県のある中小企業さんが代替としてそれを作っているんですけれども、結局、どんどんどんどん先細っていく。

 でも、今、国は、GXだ、DXだ、昨日も質問させていただきましたけれども、どんどんかじをそっちに切っていったときに、そういう機械自体、作業機自体がなくなっていく、それがもう現実に起きるんですね。

 だから、確かに、同盟国、同志国と組んでやるのはいいんだけれども、そういったものでもやはり国内で何とか温存していくような形を取らないと。それで、時代で、文明の利器というんですかね、必要ないんだということであれば、どうしても淘汰されてしまうのかなというふうに思うんですけれども、その辺を経済政策としてどう考えるかというところに来ているんじゃないかと思うんです。

 グローバルに展開するんだ、仲よくしている国とはお互いさまで部品のやり取りもしましょう、日本からも海外に出している部品だとか素材とかというのは幾らでもあると思うんです。でも、それを、これからもどんどんどんどん事業者任せというのかな、企業任せにしていって、振り返ってみたら国内に何も残っていなかった、じゃ、誰が責任を持ってそれを成し遂げるのかといったら、最後はやはり国がやらないと駄目なんじゃないかと思うんです。

 もう一回、御答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 私どもの生活、経済の基盤を、経済活動を維持していく上で必要な全ての物資を、日本の国内でそれを全て作るというのは、これはあり得ないし、やはり私は、基本は、自由で公正な貿易・投資の中で富が増えていく、それぞれの国の強みを生かしながら、地理的条件や気候の条件、様々な要件がありますので、そうしたものをそれぞれの国が生かしながら、自由貿易の中で富を増やしていくのが基本だというふうに思っております。

 ただ、昨今の状況の中で、経済安全保障という考え方、特に、機微となる技術、戦略的に不可欠な技術、これはやはり国内で持たなきゃいけない、あるいは製造の基盤を持たなきゃいけない、こんなふうに思います。

 そうした中で、例えばでありますけれども、インド太平洋経済枠組み、IPEFという交渉を今行っておりますが、アメリカ、私ども、そしてASEANの国々、TPPに入っていないインドやインドネシア、フィリピン、フィジーなども入って今いろいろな議論をしておりますが、例えばサプライチェーンの強靱化という議論の中では、いざというときにいろいろな物資を融通し合うような枠組みをつくろうじゃないか、通報、お互いに何が足らないのかというようなことを共有し合う、それに対してどう対応するかというのを、取組をつくろうじゃないか、こんな議論も行われています。

 何を申し上げたいかというと、やはり全て作るのは無理ですから、機微な技術、機微なものは、必要なものは国内で基盤を有する、そしてそれ以外のところは貿易の中で様々な融通をし合う、そんな仕組みをつくっていければというふうに考えております。

 しかも、同志国、有志国、基本的価値を共有していない国であっても、制裁をしている国以外は様々な日常的な物のやり取りは当然あるわけでありますので、それまで全部やめて国内で全部作るというのは、これはとても対応できる話でもありませんし、そうしたところを、今後、国際的な議論も踏まえながら、私どもの経済産業政策全体の中でどういった方向があるべきか、引き続き考えていきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 最近聞かなくなった言葉があるんですけれども、選択と集中という言葉なんですね。政治の世界でも選択と集中を過去二十年、三十年ぐらい前から使って、選択と集中をするんだと。

 じゃ、例えば、昭和四十年代後半だったと記憶しているんですけれども、五十年代ぐらいまであったんですかね、石炭を掘ったり、天然資源を日本国内でも採掘していた時期があったわけです。そこで、採掘の技術のために大学で、考古学というんですか、鉱山学を教える大学が幾つかあったんでしょうけれども、今は二校しかない。じゃ、実際に今度、日本がどこかの国で資源を採掘する権利を取得して、そこで掘りたいといったときに誰も技術者がいない。

 今は確かに、人工衛星から見て、エックス線だとか赤外線だとかいろいろな形で、この辺にあるんじゃないかということで、採掘権を取得して、そこで掘り始めるんですけれども、そこでも実際に確度が九〇、八〇というふうにいくわけじゃないんですよね。

 じゃ、人材を確保するのにどうするといっても、今、ほとんど採掘の話をする企業がない。私が知らないだけかもしれません、それを教える大学なり専門の職員さんも先生方も。じゃ、パートナーでやっていくんだから、そこで任せればいいじゃないかといえば、もうそこで就職する人もいないし、そういう状況に置かれていくのをこれからも進めていくのが本当に日本のためになるか。

 例えば、何円もしないものを国内で作れとは言わないんですけれども、機微技術という言い方をするんですけれども、じゃ、機微とはどこまでのことを指すのか、全然具体的な説明をされないんです。例えば、経済安保のときに十一品目の、該当したことを去年私たちにお知らせいただきましたね、あの項目。これから足していくのかどうするのか、分かりませんけれども。

 昨日、おとといも、レクに来てくれた職員の人にも言ったんですけれども、ヘリウムガスは日本で一つも取れない。全部、海外依存。でも、私たちの生活にはなくちゃならない。じゃ、どうするということですよね。じゃ、買ってくればいいんじゃないの、お金を出せばいいんじゃないの、いや、お金を出しても売ってくれないことが起きたときに、じゃ、どうしましょうと言ったのでは遅いということだと思うんです。

 そこのところを御答弁できれば、もう一回だけ。

西村(康)国務大臣 非常に重要な点だと思います。

 全ての物はなかなか作れないわけですし、どこかで供給しなきゃいけないわけですが、例えばレアアースについても、中国に非常に依存をしていた中で止められて、非常に困ったわけでありますが、その後、二つの方向、一つはやはり有志国、オーストラリアやカナダやアメリカ、資源国と連携をすることでそれをカバーしていくこと、そして二つ目には代替品を開発すること、こうしたことでその危機を乗り越えてきているわけでありますので、有志国との連携、そして技術開発というのは非常に重要だというふうに思います。

 在庫についても、これまでは、できるだけ在庫は少なくして、ジャスト・イン・タイムで、その時々必要なものだけを買ってくればいいという方針、いわゆるかんばん方式でやってきたわけですが、今や、それだともう届かなくて物が作れない、車もエアコンも造れないということが起きたわけでありますので、むしろ、ジャスト・イン・ケース、非常事態に備えて在庫を増やすという取組、これは当然コストは上がるわけですけれども、危機対応の一環としてそうした取組もなされておりますので、危機を経るごとにそうしたいろいろな取組で工夫しながら、技術開発、同志国との連携、あるいは在庫を増やす、様々な取組で危機に対する対応に備えを強化しているところであります。

 人材についても、おっしゃるように、原子力も、昨日も、参議院ですけれども、地熱の人材、あるいは半導体の人材、デジタル人材、それぞれ足りませんので、やはり学部を増やす、あるいは経済界から高校、大学に講師を派遣して人材育成をしていく、様々な取組を進める中で、必要な人材を確保しながら必要な生産を行っていくということだと思います。

 重要物資については十一品目でありますけれども、当然、世界情勢、国際情勢によって様々変わってくると思いますので、国際情勢を見ながら、適切にその時々の事態に対応するために、対応しなきゃいけないというふうに思います。

 いずれにしても、様々な工夫をしながら、いざというときに備えていく。基本は自由貿易、自由な投資の環境の中でありますが、同志国との連携を含めて、そうした対応を進めていくということだと思います。

鈴木(義)委員 今仲よくしている国であっても、これから先ずっと仲よくできるかというのは、何とも言えないと思うんですよね。そういう危機管理を常に持って。

 あともう一つ、やはり損益分岐点があって、高止まりしていって、もっと上がってしまったら合わないよねというところが、必ず物質でも何でもあると思うんです。それを超えると結局買えないし、じゃ、イノベーションじゃないけれども技術開発をしていこうというふうに考えざるを得ない。じゃ、そこの間のタイム的なものだとか価格的なものを誰がサポートするのか。企業じゃそれはなかなかできない。だから、公的な機関でやるか、国がサポートしなくちゃいけないということにつながるんだと思うんです。

 二点目、これも予算委員会の一般質疑のときにお尋ねしたんですけれども、やはり中小企業の賃上げ、価格転嫁が七割できていないんじゃないか。賃上げするんだ、賃上げするんだとみんな言うんです、言うんですけれども、実際に現場を、地元の選挙区を回って製造業だとかサービス業の人の話を聞きますと、いや、ちょっとな、これで材料費が上がっちゃっているし、燃料費が上がっているんだけれども、一番みんな恐れているのは、一般に、エンドユーザーである消費者を直接お客様に持つところほど、飲食店でもサービス業でも上げられないんです。上げると、もしかしたら買いに来なくなっちゃう、食べに来なくなってしまうんじゃないかというのが、恐怖観念がどうしてもあるんです。だから、ちょっと我慢して、まだ何とかやりくりするかなというのが今の現状だと思うんです。

 今、春闘真っただ中でありますから、大手企業を中心にいろいろ、賃上げ、満額回答、大手さんはいっぱいそういう記事が出ています。でも、中小零細は原資がない。だって、価格転嫁できないのに。じゃ、どこから原資を持ってくるのかというので二つ提案したのが、仮払い消費税として賃上げ分は見てあげたらどうだろうか。特に苦しくなるところは、みんな労働集約型の産業のところです。これはどこの業種でも一緒。人をたくさん使っているところほど苦しくなる。だから賃上げできない。

 それともう一つ提案した、賃上げ引当金みたいな制度を、三月のこの時点で四月からというのは難しいと思うんですけれども、退職引当金があって、賞与引当金があったり、貸倒引当金という制度を認めているわけですよ。だったら、今年ばかりじゃなくて、来年も、その先も、五年先ぐらいを見据えて、賃上げ原資をどこから出していくのかといったら、ちょっとまだ余裕がある企業があれば引当金制度をつくるような形を取って、来年以降につなげていく。そうすれば、全体的にもう少し底上げができるんじゃないかと思うんですけれども。

 必ず、公取でどうだ、パートナーシップ宣言をしたからできるんだ、そういうお尋ねも過去のこの経産委員会でもしましたけれども、もうせっぱ詰まってきています。四月にはもっともっと上がる材料だとか商品もたくさんあります。それに対する明確な考えを大臣の方からお述べいただけたらありがたいと思います。

西村(康)国務大臣 先般も御議論をさせていただきましたけれども、将来の賃金を引当金として認めるかどうかにつきましては、賃金はその期に行われた労働の対価として費用計上するというものでありますため、会計の慣行に照らして、なかなかなじみにくいのではないかというのが私どもの考え方でございます。

 他方、税という観点からは、御存じのとおり、中小企業向けの賃上げ税制、これで令和二年以降、九万三千社が利用していただいておりまして、今年度から更に控除率を二五%から最大四〇%まで引き上げるということで、さらに、これはもちろん黒字でないといけないわけですけれども、企業が使っていただければというふうに思います。

 黒字でない企業、赤字でとても税制を使えないという企業には、私どものものづくり補助金とか事業再構築補助金で賃上げを、給与総額を六%以上増加させる、そうした意欲的に取り組む企業者には補助上限や補助率を上乗せする措置を講じているところでありますので、そうしたものを使っていただく。

 あるいは、厚労省において、キャリアアップ助成金を拡充しておりますので、これを、非正規の方々の賃金を五%引き上げた場合に助成額増額というのもありますので、こうした様々な制度を活用していただきながら、雇用の七割を占める、まさに御指摘の、一番重要な中小企業の賃上げを何とか後押しできないかというふうに取り組んでいるところであります。

鈴木(義)委員 是非、いろいろな制度を創設して今実施している、すぐに結果は出ないかもしれませんけれども、三か月でも六か月でもいいですから、その制度をつくってどれだけ効果があったかというやはり検証をしないと駄目だと思うんですね。キャリアアップと一口に言うけれども、キャリアアップできる状況じゃない業種の人もいっぱいいるわけです。じゃ、何をもってキャリアアップというのかという話なんです。

 だから、今大臣がお述べになった幾つかの制度があって、じゃ、この五月なのか六月なのか分かりませんけれども、実際どこまで中小企業は乗り切れたのか。確かに、赤字の繰延べを五年認めてくれている、そういうことはあります。でも、赤字を出したら、今言った黒字じゃないと活用できない制度もあるわけです。そこのところをもう一回検証してもらえないかということですね。

 じゃ、次に移りたいと思います。

 IMDという、資料がありまして、六十四か国の国と地域を対象とする世界競争力年鑑における二〇二一年度の総合順位一位はスイスで、スウェーデン、デンマーク、オランダ、シンガポールがそれに続いているんだそうです。近年では、北欧諸国やシンガポールなどが上位に定着している一方で、日本は三十一位なんだそうです。中期的に低迷が続いていると。

 また、ここでは、自国の強みと認識する項目を経営層に掲げるアンケート調査結果を行っていて、それによれば、日本の経営層は、質の高いインフラや人的資本、高い教育水準、熟練労働力が日本の強みであると評価する一方で、税制や政府の競争力、開放性、積極性の評価が低評価だというアンケート結果なんですね。経済のダイナミズムといった経済の新陳代謝の活発さを示す項目も低下している、このような評価に対して大臣の受け止め方はどうなのかということです。

 今、アンケートを取ったことを開陳していますけれども、御覧になったことがあるかどうか分かりませんけれども、それに対して、税制だとか政府の競争力、こういったことを指摘されちゃっているんですね。

 大臣としての御所見を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 私も、経済再生担当の副大臣のときに、この指標を分析をして、IMDまで行きました。行って、アベノミクスの取組を説明をしに行きました。

 そのかいがあったのがどうか分かりませんけれども、二〇一〇年、一二年にかけて二十七位だったのが、二〇一四年には一旦は二十一位に上がったんですね。三本の矢で非常に取組を加速したときであります。その後、また低迷しているということでありますので、大変残念な、私自身、思っております。

 この背景として、やはり、長引くデフレの中で、政府の政策的支援が適切であったか、十分であったか、これもまた私ども、御指摘のように検証をしっかりしなきゃいけないと思いますけれども、民間の側もアニマルスピリッツを発揮できずに投資が不十分であった。これは、長引くデフレの中で投資するより現金で持った方が価値は上がりますので、そういうデフレの、人件費を抑え、コストを抑え、そして、現金の方が相対的には価値が上がっていきますので、内部留保を増やすという投資行動になったんだと思います。官民共に課題があったものというふうに思います。

 こうした状況を打破するには、やはり企業側、民間にはアニマルスピリッツで果敢に挑戦してもらう。まさに、コロナがあり、ウクライナ危機があり、気候変動があり、大きな時代の転換点でありますので、是非大いに挑戦してほしい。それを官の側がしっかりと後押しする、そうした取組が必要だということ。

 幸いなことに、民間側の投資も、日銀短観によれば、八三年の調査以来、過去最高の投資の計画になっております。実際、政府見通しでも、四月以降、来年度の投資の見通しは年間百兆円規模ということで、過去最高水準、バブル期を上回るということになっておりますし、賃金についても、中小はなかなか厳しい面がありますが、大手企業は非常に積極的な賃上げの機運もありますので、この機会を捉えて、更にDX、GX、そしてスタートアップ、あるいは大企業の挑戦、こういったものの加速を後押しをすべく、政策を総動員していきたい。

 その上で、投資を行い、イノベーションを起こし、所得を拡大していく、そうした好循環を是非実現をし、結果として、こうした経営者の感覚、あるいはIMDの調査もランキングが上に向いていくという、そうした方向に行くように全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 最後にもう一点だけ。ちょっと飛ばさせていただくんですけれども、学術指標、二〇二一年を見ると、二〇一九年の日本の研究開発費は十八兆円、アメリカの六十八兆円の四分の一です。近年急激に伸ばしている中国の五十四・五兆円と比べても、三分の一。

 先ほどの世界競争力年鑑でも触れたんですけれども、低迷の要因は、急伸しているアメリカや中国に比べると、差がどんどん開いてしまった。日本の研究開発力そのものが落ちているわけではないんですけれども、問題は、それを生かし切れないことというふうに指摘されているんです。

 先ほど紹介した二〇二一年の世界競争力年鑑のアンケートによれば、六十四か国中で一位に当たるのは、日本の場合、消費者満足の重視、ビジネスリーダーの社会的責任、企業における持続可能性の重視。一方で、企業の意思決定の迅速性は六十四位、一番最下位ということです。ビッグデータ分析の意思決定への活用、起業家精神は共に六十三位、機会と脅威への素早い対応は六十二位、変化に対する柔軟性や適応性は六十一位。先進国とは言い難い状況がここで読み取れるんです。

 この状況についてどう改善していくお考えか、大臣にお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 常々、日本は、政府も含めてですけれども、なかなか大胆でスピーディーな意思決定ができないというふうに言われておりまして、よくトゥーリトル・トゥーレートということを言われたわけでありますが、私は、足下はそういうふうに変化の兆しがあるというふうに思っておりまして、先ほどの投資の意欲であったり、あるいは賃上げだったり、あるいはスタートアップが、かなり若い人たちが多くの企業を創出をしております。そうした兆しを後押しをしていく、これを、昨年、補正予算で認めていただいた一兆円規模の予算、スタートアップ一兆円、あるいは政府全体で七兆円の様々な支援を、しっかりと複数年にかけてこれから後押しをしていきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、アントレプレナーシップや、そしてアニマルスピリッツが何より重要だと思いますし、政府が、思い切った、そうしたことに対して支援をしていく、そうした取組を進めていきたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 是非、今後とも産業政策について議論をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 竹内委員長を始め、皆さん、またよろしくお願いします。また、西村大臣始め、経産省の皆様、よろしくお願いします。

 明日で、東京電力福島第一原発事故から十二年、私が経産省を辞職してから十二年ということになります。大臣、明日で十二年ということで、若干の御所感をいただけたらと思いますが、特にちょっと気にしているのは処理水ですね。相変わらず、中国、韓国がしようもないことを言っています。

 福島の皆様にとって一番やはりつらいのは、リアルの何か被害というか問題、それももちろんまだ復興、道半ばなところもありますが、一番やはり御苦労されているのはいわれもない風評で、それをあおっているのは中国、韓国であります。そういうことも含めて、この十二年を迎えるに当たって、一言いただければと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、あした、東日本大震災から十二年を迎えるということで、私も福島県の追悼式典に出席をする予定にしております。改めて、亡くなられた皆様に御冥福をお祈りしたいと思いますし、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、経産省として、やはり、福島第一原発の事故、この教訓と反省、これはいっときたりとも忘れてはならないということで、実は、今回提出しました法案の中で、原子力基本法の中に、安全神話に陥らないという旨を、初めて安全神話という言葉を、憲政史上初めて法律用語で書きました。もう我々は絶対に忘れないという思いで、福島の復興、廃炉を含めて取り組んでいかなきゃいけないというふうに思います。

 あわせて、思い出しますと、たしか震災の直前だったと思いますが、足立委員が私の事務所に来られて、選挙に出るんだという話をされた、ちょうどあの頃だったなということを改めて思い出します。早いもので、もうそれから十二年たつわけであります。

 その上で、ALPS処理水の処分に向けては、やはり理解醸成にしっかりと取り組んでいかなきゃいけないということで、私も福島の漁業者の皆さんと車座を二回やりましたし、様々な意見交換をしながら求めてきております。そして、国際社会に対しても、様々な場を利用して、在京外交団あるいは在京の外国メディア、こうしたところにも働きかけを行っております。とにかく、科学的根拠に基づいて、透明、丁寧に進めているということ、そして説明をしているということであります。

 特に申し上げたいのは、IAEAの専門家がもう複数回レビューに来ておりまして、そして、昨年五月には、グロッシー事務局長が、その段階でもう既に、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるというコメントをいただいておりますし、この後、また来られると思います。レビューにIAEAの皆さんが来られて、専門家が来られて、そして、今年の前半には包括的な報告書を出される予定でありますので、そうしたものも含めて、丁寧に分かりやすく引き続き発信をしていきたい、そんなふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 本当に、この十二年、私も、その安全神話、これをどう乗り越えていくか、これからも課題は続きますが、しっかり大臣と心を合わせて、私も、野党の立場ですが、取り組んでいきたい、こう思います。

 大臣には本当に、私がバッジをつけさせていただいてから十年ですが、この十年、私が苦しいときはいつも声をかけていただいて、事務所にも呼んでいただいて、立憲、共産党からいわれもない非難を私が浴びたときには、まあ私もちょっと言い過ぎまして、西村さんからちょっと謝った方がいいんじゃないかと言われましたけれども、私は、いや、謝りませんとか言ったら、まあそうだよなみたいなやり取りがあったことを懐かしく思い出すわけであります。

 さて、今回、原子力で一点だけ、今日はカーボンをやりたいんですが、原子力で一点だけ、四十年六十年問題ですね。

 いろいろ規制委員会で何か、まあ関係はしているよね、多数決になったとか。私は、あれは全然いいと思うんですよ。何か多数決になったら問題だって、逆じゃないの。いろいろな意見があるから公正なんでしょう。意見があるのに言わない、全会一致のふりをする、まあ、自民党も総務会はそうですけれども、それがよくないわけですよ。いろいろな意見があるということを国民に見せる。日本維新の会も代表選をやりましてね。まあいいや、やめておきましょう。いろいろな意見があるから、なるほど、日本維新の会というのは共産党と違うんだなということが分かって、支持が膨らむわけです。だから、私は党勢拡大のために立候補したので、それだけ申し上げておきたいと思いますが。

 だから、あれはもう全然いいことですよ、ああ、反対意見もあるのねと。それを何か糊塗するんじゃなくて、反対意見はこういう意見だった、でも、こういう理由で、あるいは多数決で決めたんだから皆さん従ってください、これで私は十分だと思うし、何よりも、大体、四十とか六十とかいう数字を入れたこと自体が元々間違っていたわけです。それを何か規制委員会の所掌にしたことが間違っていたんだから、それを直すわけですね。

 だから、もうちょっと私的な言い方をすれば、これは民主党政権、あの悪夢の民主党政権が作った出来の悪い法律、負の遺産を今、西村大臣始め、経産省の皆様が負の遺産を直している最中なんですよ。だから、いまだにあの民主党政権の負の遺産を引きずっているわけです。早く払拭して、直すべきは全部直して、本来の在り方、あれは利用規制なんだ、四十年、六十年に科学的根拠はないんだと。いやいや、全くないわけじゃないよ。でも、当時の答弁にもあるように、政治的に決められた数字なんだから、政治が決めた数字を政治が直す。

 大臣、当たり前だと思いますから、これはもう胸を張ってやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 足立委員の御指摘、言葉遣いはともかく、思いは共有をしております。考え方は同じ事柄に立脚して対応しているんだなということは理解をいたしました。ありがとうございます。

 まさに福島の第一原発の事故の教訓は、利用と規制を分けるということでありました。原子力規制委員会という、世界で一番厳しいとも言われる安全基準で、その認可がないと運転できないというこの仕組みをつくったことが非常に大きな点でありまして、それまでは経産省の中で、通産省の中で一緒にやっていたわけですから、それはもう分けるというのが最大の教訓で、それが最も大きな点だと思います。

 そして、当時のこの四十年、六十年の規定の法案提出者の、立法者の意思、答弁によれば、ある方は、経年劣化等に伴う安全上のリスクを低減する観点というふわっとした言い方で、それは長いよりも短い方がいいんじゃないかという、恐らくそういう趣旨だと思いますし、また、別の方は、四十年という数字の設定が非常に政治的なものであって、科学的根拠に基づかない、こういった答弁もございます。

 まさにそうした中で、おっしゃったように、規制委員会が安全規制の話ではなく利用政策の話だということで、かねてから言われておりました。そうしたことで、今回、私ども、利用政策の観点から判断をしたものでありまして、四十年、二十年という大きな枠組みは引き続き維持をしながら、しかし、新しい規制基準に対応するためにいろいろ作業をしている期間などは、やむを得なく停止した期間に限って運転期間のカウントから除外して申請を認める、そういう政策判断を行ったということであります。

 例えば、今回、十年かけて地盤のデータを収集して安全審査を前に進めた北陸電力、このケースのように、再稼働に向けてずっと努力をしてきている期間、これは運転期間のカウントから除外して申請ができるようにしてもいいんじゃないかという考え方であります。

 ただ、もう御案内のとおり、規制委員会がそれは駄目だ、とても四十年もできないと言えば四十年もできませんし、二十年延長の六十年もできないと言えばできませんし、さらに、止まっている期間を申請しても、これはもう劣化しているから無理だと言われればできませんので、この厳しい規制委員会の規制があるということを重ねて申し上げたいと思います。

足立委員 全くそのとおりでありまして、そういう事実関係を見れば、もうこれで審議は必要ありません。もうこれは賛成ということになると思いますが。

 ちょっと腹が立つのは、逢坂さんですよね。逢坂さん。名前を言っちゃいましたけれども、規制委員長に何か突っかかって、ぎゃあぎゃあ原子力問題調査特別委員会で言うわけですよ。自分たちが作った出来の悪い法律を直してあげているのに文句を言うという。個人攻撃はしませんけれども、ひどい発言であったということで、当時も非難しましたが、これからも、もしそういういわれなきことを言う勢力あるいは議員がいれば、私は上品に攻撃をするということを申し上げておきたいと思います。

 原子力は、一旦、以上にさせていただきますが、カーボンプライシング、この二〇五〇年カーボンニュートラルというのは、本当にすばらしい、世界の潮流ですから、これは絶対やっていったらいい。これも大賛成であります。

 このカーボンニュートラルは、カーボンの問題は、まさに世界の潮流だし、私は、今年、この経済産業委員会で議論される法案は、今年の法案ですが、まさに五年、十年、十年、三十年、三十年、五十年の日本の未来をつくっていく大変重要な、経産省の皆様にとってはまさに一世一代の大仕事というふうに思っていまして、大いにこれはこの経済産業委員会で議論していきたい。法案の審議もありますが、昨日、審議入りをしましたので、今日のこの大臣所信質疑においても取り上げさせていただきたい、こういう趣旨でございます。

 昨日、小野泰輔経済産業部会長、我が党の部会長が登壇して御質問申し上げたことに対して、一通り西村大臣から御答弁をいただいていますので、もうほぼ終わりということで、今日、もう、通告した内容は七問、カーボン五問通告させていただいていますが、ほぼ終わっちゃいまして、どうしようかなと思っていますが、しかし、その中で、ちょっと、私、うんっと思ったところが一点あります。

 それは、例のエネルギーに係る負担の総額という話です。だから、通告でいうと三番、四番に該当するところでありますが、ここで大臣は、カーボンプライシングをやっていくんだけれども、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内、すなわち、今後、石油石炭税収がGXの推進により減少し、再エネ賦課金総額が再エネ電気の買取り価格の低下等によりピークを迎えた後に減少していく、その範囲内で導入すると。

 これは、そこにキャップをはめるのは、それは、だから、国民負担ということでいうと分かるんだけれども、カーボンプライシングを推進していくという意味ではキャップをはめる必要はないですよね、本当は。

 だから、大臣、今日はせっかくいい雰囲気ですので、西村大臣室に私が表敬訪問して、西村大臣と畠山局長を始め、事務方の皆様と、ちょっとショートケーキでも食べながら懇談している感じでやりたいので、畠山さんも自由に、畠山さん、片岡さん、山田さん、もう自由に、ちょっと私にしゃべらせろというのは、手を挙げていただければ。そっちの若い方も、ちょっと発言というのはありですから。私に質問してもいいですよ。逆質問あり。足立さんはそう言うけれども、ちょっと答えてみろと。そういう、あと二十分弱、懇談会をしたいと思いますが。

 畠山さん、言っていることは分かるよね。だから、私は、何かそこにキャップをはめる、いや、私たちは税収中立でやるべきだ、増税すべきじゃないという立場なんだけれども、野党がわあわあ言うものだから、大臣や皆さんは、いやいや、そこは減る分をはめるだけだから負担は増えない。防衛増税と一緒ですね。防衛増税の所得税の話と一緒ですよ、復興増税の話と一緒ですね。半分に減らして延ばすから、そこを埋めさせてねというやつですね。それと一緒で、減る分のところに埋めさせてもらうから、皆さん、負担は増えませんからよろしくねと言っているんだけれども、それって財政の論理であって、カーボンニュートラルの論理ではないと思いますが、いかがでしょうか。

 誰でもいいですよ。そっちでもいいですよ。畠山さん、ちょっと。答弁、一回できれいに終わらなくていいから、ここで十分ぐらい考えてもいいから、ちょっとお願いします。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 このGX、カーボンニュートラルに向けた取組というのは、我々は、カーボンニュートラルに向けたCO2の排出削減を行うとともに、産業競争力、経済成長を同時に達成するということでなければ、カーボンニュートラルになかなかたどり着かないというふうに思っております。

 そういう意味で、このカーボンプライシングを、そのカーボンニュートラルを促すためにやるわけですけれども、一方で、それが課される、そういう事業者のどういう行動になるのかということも考えなければいけないというふうに思っています。

 したがって、直ちに導入するのではなく、GXに向けた投資をする、すなわち、その排出削減をする期間を適切に取るということをした上で、最初は負担を低いところから導入して、徐々に上げていく。しかも、その方針をあらかじめ示すことによって、投資を更に促していこう、こういうことにしているわけでございます。

 これは、代替技術がまだない、そういう産業もございます。国際競争力への影響も考えなければいけません。そうしなければ、経済への悪影響を及ぼすだけではなくて、まさに先生御指摘のカーボンニュートラルにも影響があると思っていまして、すなわち、国外への生産移転が生じてしまう可能性がございます。世界全体で見れば、そうするとCO2は増えてしまうわけで、カーボンニュートラル自体にとってもマイナスだと思います。

 したがって、カーボンプライシングの、どれぐらい課していくのかということも併せて考えることが、冒頭申し上げた、排出削減にとっても大事ですし、それから経済成長、これを同時実現するという意味において大事だということから、こういう設計にさせていただいているわけでございます。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

足立委員 畠山局長は万博でお世話になっていましてね。もう、ほら、大阪・関西万博。大臣も、ちょっと。これ、皆さん、大阪・関西万博。あっ、後ろを向いたら駄目か。大変お世話になりまして、だから、大阪・関西万博に向けても、畠山さんにはこれ以上無理な質問はしないということですが。

 ただ、今、大臣、ちょっと私、今日、急に本質的なテーマをやり過ぎてちょっと申し訳なかったなと思うんですけれども、でも、私が通告した内容というのは、要するにそういうことなんです。大臣、これは難しいよね。いや、難しいよねって、すぱっと答えられ、あっ、いきますか。

西村(康)国務大臣 まず、百五十兆円の官民投資、そのうち二十兆円を政府が支援をするという大きな枠組みを、まず、これはいろいろな技術開発の支援などを含めて積み上げを行い、また、国際的にどのぐらいの規模で、欧米を含め、対応しているかということも勘案しながら、まず、この枠組みを一つ、考えた。

 それから、二つ目に、今も話がありましたけれども、早く取り組んでもらうことで加速をしていく。まずは二〇三〇年四六%削減をやり、そして、その後、五〇年ニュートラルに向かっていくわけですので、早く対応した方がいいと。これは、国際的ないろいろ国境措置も出てきますし、そういう意味で、早くやるという中で、最初に早くスタートすれば負担が少ないということで、後から入れているわけですね。遅れれば遅れるほどこれは負担が大きくなるわけです、早くやれば負担が少なくなるという仕組みですので。

 こうした中で、二十兆円を十年間で割れば、年間二兆円ぐらいの規模の財源が必要になってくるわけでありまして、FITの賦課金もやがて、遅くとも二十年、二〇一二年、一三年、あの頃から入れていますから、二十年たつと、その辺りからは遅くとも下がってくることになりますし、どこかでピークを迎える。それから、もう既に、石油石炭税は、もうピークを迎えて、減っていっています。ですので、この総和の中でやれるんじゃないかということ。今、どこかでピークを迎える、それぞれの、あるわけですけれども、総和の中でこの二十兆円を賄えるんじゃないかという両方の判断から、今こういう枠組みを提示をしているということであります。

足立委員 ありがとうございます。そういう説明になると思うんですけれども。

 しかし、やはり私は、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行う、これはまあいいと思う。いいと思うというか、その財源を、エネルギーに係る負担の総和で、中長期的に減っていく範囲内に収めるという必要はやはりなくて、もし、カーボンプライシングで得られる税収、収入が例えば百兆円になったとしましょう。でも、それはそんなに財源は要らないから、私は、百兆円収入が増えたら、百兆円法人税減税したらいいと思うんですけれどもね。税収中立で、カーボンプライシングで増える税収は減税でやって、税収中立でいいと思うけれども、仮に追加の財源が二十兆必要だとして、じゃ、カーボンプライシングは仮に百兆やって、二十兆の財源をそこでいただきましょうということだったら、八十兆は法人税を減税したらいいという頭、それが当たり前だと思うんですね。

 じゃ、おっしゃるように、カーボンプライシングを通じてどれだけの収入を、日本のカーボンプライシング制度全体の中でどれだけの収入が得られるかというときに、たまたま合致したように今おっしゃった。でも、それはやはり、だからね、岸田内閣の悪いところなんですよ。やはり、そこは、まあまあまあと。防衛増税だって、もう本当に、ぎりぎりのところで財源の話をしているわけです。四兆円のうち三兆円はこうやってこうやってやるから一兆円ね、一兆円はこうこうこうということで、法人税と所得税のあの復興増税のやつとたばこ税とかって、こまいんです、議論が。そうじゃないでしょう。歳入歳出をもっと大胆に見据えれば、カーボンニュートラルという、だって、これからカーボンの時代でしょう。カーボンの時代で、カーボンニュートラルのフレームを、三十年、五十年の日本の未来をつくる議論をしているときに、何でこのしようもない、矮小な、石油石炭税収と再エネ賦課金にはめるんですか。

 今日は、大臣、まず今回は、今回設計したとおりやるけれども、足立さんの言っていることは、僕は言っていることは正しいと思っているんですよ。でも、認めにくい、認めにくいというか、今回の法案は、だから、僕ら、僕は今党内で、あっ、これは反対意見が多いんだよな。だから、今、こういう議論で反対意見があるんだけれども、しっかりと今私が議論しているようなことが議論されずに通過するぐらいだったら、私たちは、今私が問題提起したことについて一定の爪痕が残せるんだったら、除名覚悟で党内で暴れて賛成に持ち込みますよ。それぐらいの価値のあるカーボンの議論が今、今日から始まったわけです、昨日から始まったわけです。

 大臣なら御理解いただけるでしょうし、畠山さんは天才だから分かっていると思うけれども、私は、これからのカーボンニュートラル、日本のカーボンニュートラルということを考えたときに、なぜそこでカーボンプライシングの収入を、そこでキャップをはめる必要があるんだと。全くない。

 答弁は難しいかもしれないけれども、まず、私が言いたいことは分かってくれる、分かるかどうかだけちょっと教えて、分かるかどうかだけ。

西村(康)国務大臣 言っておられることは理解をしています。

 その上で、もう一点だけ申し上げると、早く取り組んだ企業は負担が少なくて済みますので、事実上、取り組んでいない企業は負担が重くなるという意味では、頑張った企業は減税になっていく、減税と同じような効果があるということも是非御理解いただきつつ、取組を早く促しているということであります。

足立委員 だから、やはり、それはやったらいいんだけれども、まあ、細かい話ですよ、それは。

 やはり、私たち日本がこれから、カーボンニュートラル二〇五〇年に向けて、世界のカーボン先進国として国益、国の繁栄をつくっていくそのエネルギー、原動力はこのカーボンなんですよ。そう思ってみんなやっているわけですよね。

 そうであれば、このしようもない、何、財務省、大体こういうことを仕組んでいるのは財務省ですよ。いや、財務省って、Zとか、そういうしようもないことは言いませんよ。そうだけれども、彼らはやはりこういうことを詰めるのが仕事だから、財務省がやると、防衛費だってああなるし、カーボンだってこうなる。でも、それで日本は三十年間成長しなかったわけです。私たちは、やはりその財務省の論理を乗り越えて、カーボンに制約は要らないんです。

 カーボンプライシングの制度設計に制約は要らないので、繰り返しになりますが、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内にカーボンニュートラルを閉じ込めるということについては、そういう答弁を再三やってこられている。これは二つの理由があると思っている。一つは財務省、一つは立憲民主党とか共産党のいわれなき追及ですよ。こんなものは私が相手をしておきますから、立憲、共産党の相手をする必要はありません。立憲、共産党の相手をするのは私がやっておきますから。だから、政府・与党が向き合うべき政党は日本維新の会だけで十分です。今日やっているような本質的な議論をやっていきたいと思います。

 もう畠山さんは万博をやってくれたから、ちょっとそっちの若い人で何か意見はない、何か。大臣。

西村(康)国務大臣 そこまでおっしゃられますので、あえて、事務方が後で訂正があれば言ってもらえばいいので、私の考えを申し上げれば、今回は、先ほど申し上げたとおり、官民で百五十兆円の投資、そして、それを実現するために政府は二十兆円規模の支出をしよう、そのための枠組みであります。

 これで、私どもは、二〇三〇年四六%削減を加速をし、そして、その必要な財源も手当てしながら、ここは財務省的と言われるかもしれませんけれども、しっかりと政府もそれを手当てして、支出をしながら、これを実現していこうということであります。

 その上で申し上げれば、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けての絵姿はまだ描けていないわけでありますので、そういう意味で、その先、二〇三〇年がどういうふうに、これから七年間かけてどうなっていくかというところの状況、あるいは国際状況も見ながら、次に何をやるべきか、どういった投資が必要なのか、技術開発が必要なのか、こういったことを含めて、そこはまだ、私どももこれから考えていかなきゃいけないという点であります。

足立委員 まさに今大臣が御答弁くださったことが全てでありまして、私もそう思っているんですよ。要は、分からないんです、こんなものは。

 だって、これから激動の世界ですね。私は最近、激動の時代とか激動の世界と言わずに、動乱の時代、動乱の世界と言っています。ロシアのウクライナ侵略を機に始まった動乱の時代、この中で、動乱の世界の中で日本の繁栄をどう確保していくか、そのときの大きな大きな潮流の一つがカーボンですから、GXですから、このGXに正面から経産省、西村大臣がリーダーシップを取って取り組んでいただいていることに感謝をしていますし、だから、これをちゃんとやり遂げれば、もう次は総理大臣ですよ。あっ、ちょっと言い過ぎ。自民党に手を突っ込んだらあきませんね、済みませんでした。僕、本当に、済みません、こういうことを言うから、大体。

 そういうことで、私は、西村大臣と手を携えて、時代をつくりたいと思っています。だから、国会というのは、国会対策にきゅうきゅうとしてきた戦後政治なんです。もうそういう古い政治は脱ぎ捨てて、今日したみたいな議論を、是非、これからの国会は、あらゆる委員会でやっていきたい、こう思いますし、今あったように、不確実性の中で、今日再三言っている、枠組みの中にカーボンプライシング制度を押し込める必要は全くない。それは財務省の論理であり、野党のいわれなき誹謗中傷をかわすための詭弁みたいなものですから、詭弁を正面に立てる必要はないんです。

 だから、大臣、さっきおっしゃっていただいた、もうそれは分からないんだと、分からないというのは、これからカーボンがどういうふうに中長期的になっていくか分からないんだと御答弁を下さった御答弁でもう十分です、今日はね。

 だから、もう一言、もう二、三分ですから、もう一言申し上げると、まさに今回の制度の卓越したところは、国債を挟んでいるわけですから、投資は先行する、でも、その財源は後で埋めていくんだということができるわけですから、それはすばらしいわけですね。だって、国債なんか、出したらいいんですよ。出したらいいんです。でも、それはある程度償還していきましょうね、その償還の内容はこうこうこうですというのが今日の議論です。

 その償還の内容についても、私は、繰り返しになるけれども、そのGX移行債の規模というものを、そこでキャップをはめる必要はなくて、もっとでかくていいんだと。GX移行債というのは二十兆じゃなくて百兆円でもいいんだと。そこで、いやいや、そんなに財源、要らないんだ、駄目ですよ。私たちは、マクロ経済運営の観点からも、あるいは中長期的な成長軌道をつくっていく観点からも、そういう負担ばかりの経済構造はよくないと思っているので、私たちは税収中立。すなわち、百兆円確保したら、百兆円は法人税減税したらいいんです。

 その減税の観念というものが、財務省があほだから、要は財務省が古い政治を、古い行政をやっているから、減税の観念がそこで生まれないので、こういう小さな議論になっちゃうわけです。減税の議論を入れた途端に話は広がる。私は、二十兆じゃなくて百兆、百五十兆ではなくて一千兆の議論をこの通常国会でしていく、そういうことを大臣としっかりと議論をし切った上で、法案を、是非賛成させてほしいんですよ。

 今の流れでは、我が党は、原発は賛成、四十年、六十年の話は賛成、原発の何とか法というのは賛成、ちょっとまた党内で怒られそうですけれども、この推進法は反対の流れが今できつつありますが、今日私が申し上げた議論がしっかりとピン留め、ピン留めというか、何らかの形で担保されれば、私は賛成の論調を党内でつくることはできる。そうすれば、何でも反対の立憲民主党、共産党とたもとを分かって、私たちが、この四月の統一地方選挙を挟みながら、次の解散・総選挙で野党第一党を目指すことができる。これが足立プランですので、是非、西村大臣と経産省の皆様と膝詰めで中身のある議論をしていきたいと思っています。

 ほぼ時間が来ましたが、まあ、もういいですよね。さっき御答弁いただいたので、終わりたいと思いますが、なかなかいい議論ですよね。若い方々も、私は、経産省の今の職員の皆様はやりがいあると思いますよ。これは私は、田中角栄以来の、田中角栄はあの昭和の行政のフレームをつくったわけです、田中角栄元総理は。様々な財源を生み出したわけです。まさに石油諸税とかをつくったわけですね、自動車とか。それから、放送局も再編していったわけです。

 今、岸田内閣は、憲法改正も含めて、令和の新しい時代のフレームをつくろうとしているけれども、経済政策については、やはり私は違和感があるんです。財務省にやはり押されているし、財務省支配、財務省の、今日申し上げたような論理がやはり幅を利かせているし、それから、官の役割、新しい資本主義なんか私は必要ない、本当の資本主義をつくればいいという立場から論戦を続けていきたいし、そういう、私が今日申し上げたことが岸田内閣にしっかりと貫徹させることができれば、私は、維新の会が全面的に協力して、岸田総理あるいは西村大臣と一緒に憲法改正までやっていきたい、心からそう宣言というか、申し上げて、今日の質問にさせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 本会期もよろしくお願いします。

 それでは、早速質問をさせていただきたいと思いますけれども、今日は、五つのテーマに分けて質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、GXリーグのことに関する質問です。

 二〇二二年の六月のG7の合意目標としまして、二〇三五年までに電力部門の全て又は大部分を脱炭素化する、そして排出削減対策を取らない各国の石炭火力発電の段階的廃止などを目指すということなんですけれども、エネルギー基本計画では、二〇三〇年では石炭の比率は一九%にしていく。

 他方、最近は、発電の燃料に使う石炭の価格が急落してきたというところで、日本が主に使うオーストラリア産の石炭は、二月下旬に一トンが二百ドルを下回った。これはウクライナの侵攻以前の水準に戻ったんだというところなんですけれども、こうした中で、電力での石炭火力の減少、また廃止に踏み切れるのか、この辺りをまずお聞きしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 エネルギーをめぐる状況は、各国、まさに千差万別でございます。資源が乏しくて周囲を海で囲まれた我が国において、SプラススリーEを満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合を踏まえたベストミックスを考えていくことが重要だと考えております。

 石炭火力は二酸化炭素の排出量が多いため、電力の安定供給を確保しながら、石炭火力の発電比率をできる限り引き下げていくことが基本だと考えております。

 ただ、他方、必要な供給力が必ずしも十分に確保されていない段階で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねないと考えております。

 こうした状況を踏まえまして、二〇三〇年に向けて、当面は高効率な石炭火力発電を活用しつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めていくということにしておりまして、また、さらに、二〇五〇年に向けましては、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで、脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 石炭火力のところ、ちなみに、廃止期限というのは設けられているんですかね。いつ廃止していくのか、期限。

山田政府参考人 各国、千差万別という状況を申し上げましたけれども、現在のところ、そういったことは承知をしておりません。

遠藤(良)委員 現状の目標の実現には、ほど遠いんじゃないかなというふうに感じるわけなんですけれども。

 二〇二六年度から自主参加型の排出権取引市場の本格化がスタートしていく、二〇三三年度頃に発電部門のみ段階的な有償オークション導入をしていくというところなんですけれども、これも非常に遅くて、中途半端で、世界標準からかけ離れたとも言わざるを得ない内容になっているのかなと思うんですけれども、その中で、欧州などは、御承知のとおり、既に排出権取引が開始されて、企業の参加義務がされている。

 今、現状は、日本の場合は、企業の自主性を重視しているというところなんですが、企業の資金調達や研究開発につなげていくことを恐らく想定をしている。一方で、やはり国際競争力が大きく損なわれる可能性はあると思います。

 その中で、排出量取引の早期の義務化の方向性であったりとか、また、有償オークションを限定的にやるのではなくて、全産業に導入をしていくべきだと思うんですが、その辺り、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 排出量取引制度についてのお尋ねであります。

 本年の四月から、EUと同水準である国内排出量の四割を占める六百社以上の企業が参加するGXリーグで、排出量取引制度、試行的に開始をいたします。その上で、そこで蓄積された知見、ノウハウを活用して、二六年度から、多排出産業を中心に、政府指針を踏まえた目標設定を行うなど、公平性、実効性を高めた排出量取引制度を本格稼働していくという方針であります。

 さらに、二〇三三年度から、カーボンニュートラルを目指すその鍵である電源の脱炭素化を加速するための、発電部門を対象に有償オークションを開始する予定としております。

 これは、先ほど来議論がありますけれども、あらかじめそうした将来の時間軸を示すことによって、早期にGXに取り組めば取り組むほど将来のカーボンプライシングの負担が軽くなるという仕組みをすることで、また、あわせて、二十兆円規模の大胆な投資支援を行うということで、企業のGXに向けた先行的な取組を足下から引き出していく、そういう仕組みにしております。

 そして、発電部門以外を含めた有償オークションの導入については、脱炭素に向けた代替技術の有無とか国際競争力への影響などを踏まえて検討しないと、経済に悪影響を及ぼすだけではなくて、海外への、国外への生産移転も生じる可能性がありますので、世界全体で見ればCO2発生が増加する可能性もあります。

 こうしたことも踏まえ、また、来年度から開始するGXリーグの進捗状況、海外の政策動向も踏まえて、更に議論を深めていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 先ほど足立議員もお話が出ていましたけれども、キャップをしてというところなんですけれども、二十兆円のGXの経済移行債を発行して、百五十兆円の、民間投資を呼び水にするというところなんですけれども、民間投資を呼び水にしていくということは理解できるんですけれども、産業競争力の強化であったりとか経済成長及び排出削減、いずれの実現に貢献する分野が投資対象であるというところで、民間だけだとリスクがあって投資判断が非常に難しい困難な案件が出てくるのかなと思うんです。

 この中で、先ほども答弁ありましたけれども、将来的な、水素とかアンモニアとか、そこの技術開発ということをやるよりも、今既にある既存の技術であったりとか、脱炭素化へ向けての投資対象、これの切替えが必要なのかなと思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 おっしゃるように、既にある先端の技術はもちろんそうでありますし、新たな技術、製品の実装をしていくということが、国際競争力の観点からも、いわば競争が始まっているということであります。

 そのために、いち早く構造転換を促して、新市場を獲得をしていくということが重要でありまして、まさにおっしゃるように、二十兆円で先行投資の支援を実施していくということであります。

 その支援措置でありますけれども、民間企業のみでは投資判断がなかなか難しいという真に困難な事業を対象にしながら、国内の人的、物的投資拡大につながる、あるいは産業力競争強化、経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献するというものについて、規制、制度面の措置と一体的に講ずることを基本としているところであります。

 しっかりと判断をしながら、成長と排出削減につながるように、そして、民間だけではなかなか取り組めない事柄について支援をしていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 これはまだまだ議論の余地はあると思いますし、引き続いてこの委員会で質問していきたいと思います。

 次に、電力のシステムのところで質問させていただきたいと思います。

 今、大手電力会社において様々な、いろいろな問題が出てきていると思います。事業用電気販売をめぐるカルテルの事案であったりとか、新電力会社顧客情報の不正閲覧であったりとか、小売部門社員による経産省の再エネ発電事業者データベースの不正閲覧事案とか、違法な事案が次々と発生していると思いますけれども、その中で、電力会社の経営状況が非常に厳しいのはよく理解はできるんですけれども、違法行為に至るのは非常に大きな問題だと思います。

 そもそも、電力市場においては、競争環境が電力料金の抑制に寄与してきたと思うんですけれども、なので、競争環境というのは非常に重要であると思います。その中で、大手の送配電部門を子会社として切り離していくという法的分離、これも議論が出ていると思いますけれども、競争環境を阻害する行為が今まで行われているのは、この法的分離だけでは不十分であると。

 内閣府の有識者会議では、資本関係を分離する所有権分離まで提言が出てきたというところなんですけれども、所有権分離までの踏み込みが、差別的取扱いを解消するのが不可欠であると思います。

 有識者会議で出た所有権分離の提言について、内閣府としてはどのように捉えているのか、お尋ねします。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルを実現していく上では、需要家への再生可能エネルギープランの提供に力を入れております新電力が大手電力会社の小売部門と公平に競争できる環境、これが整っていることが重要でございます。

 このため、おっしゃるとおり、三月二日の再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース、こちらで、大手電力会社の情報漏えい、不正閲覧を議題として開催をしたところでございます。

 その日の会合では、四名の構成員から、今御指摘のありました所有権分離の実現に加えまして、今回の事案の真相の徹底究明、それから情報システムの物理分割の義務化等の行為規制の強化、罰金額の引上げ等の罰則の強化、電力・ガス取引監視等委員会の機能強化等が提言されまして、それを受けて出席者の間で様々な議論が行われたということでございます。

遠藤(良)委員 競争環境を確保していくというお考えについては、これはいかがでしょうか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 ただいま事務方から回答させていただきましたとおり、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの提言でございますけれども、公正な競争環境を確保することがそもそもの目的でございまして、ただいま回答のありましたとおり、情報システムの物理的分割、罰金額の引上げ、また同委員会の機能強化、そして所有権分離等々を含む提言がなされてまいりました。

 同日、この提言を受けまして、出席者間で様々な議論が行われたところであります。電力の公正な競争環境確保は再生可能エネルギーの普及促進の観点から重要な課題でありますため、同日の会合での議論も踏まえまして、所管の経済産業省において、今後、対応策を検討いただくことを期待しております。

遠藤(良)委員 大臣、内閣府としての先ほどの御説明をいただいたんですけれども、カルテルについての課徴金が課されると。今回の不正閲覧事案に対する再発防止についてどのように図っていくのか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 先ほどもありましたけれども、三つの事案がございまして、一連の情報漏えい、不正閲覧、それからカルテルの案件ということであります。カルテルの案件につきましては、公正取引委員会がまだ処分を決定しておりませんので、その処分がなされましたら、それを踏まえて私ども適切に対応していきたいと考えております。

 一方の情報漏えいや不正事案につきましては、まさに、一般送配電事業者、事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものでありますので、極めて遺憾であるというふうに私も認識をしております。その上で、現在、電力・ガス取引監視等委員会が、そして資源エネルギー庁において、事案の事実関係の確認、原因分析のための調査を実施をしておりますので、その調査をまず見て、その結果を精査をした上で判断をしていきたいと考えております。

 いずれにしても、電取委や資源エネルギー庁の有識者会議において、電力システム改革の趣旨に照らしながら、本件の評価とともに、再発防止という観点から、結論ありきではなく、虚心坦懐に議論いただきたいというふうに考えております。その議論も踏まえて適切に対応していきたいというふうに考えます。

遠藤(良)委員 大臣、今、所有権分離のところで、大臣の以前のツイートか何かで発信されていたと思うんですけれども、虚心坦懐に議論をしていただきたいと。一般論としてお答えいただきたいんです。所有権分離が必要であると思うんです。この辺り、最後、お尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 今の段階でこれ以上は申し上げるのは控えたいと思うんですけれども、事実関係の確認、あるいは原因、背景など、これはしっかりと調査をしてもらって、その結果を精査をして、そして判断をしていきたいと思いますし、既にもう議論が電取委でも行われておりますので、何か結論ありきということで最初から決めてやるのではなく、虚心坦懐に議論していただいて、そして、あるべき姿をしっかり見ながら、経産省としても、そういう議論を踏まえて適切に対応していきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 現在、電力会社には電気・ガス価格の激変緩和措置が行われていて、補助金が入っている。これは非常に助かっている方々は多いと思いますし、その中で各電力会社の値上げが始まっていく。

 その中で、東北、北陸、中国、四国、沖縄の五電力は四月から、東京と北海道、二電力は六月から、平均で二八%から四八%の値上げが申請されているというところなんですけれども、先ほどから電力会社の問題がある中で、なかなか国民からそういった中で理解が得られにくいのかなというふうに思うんです。

 この電気料金の値上げ幅を圧縮されるという見通しなんですが、この辺りはいかがでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 大手電力における一連の情報漏えい、不正閲覧は、小売電気事業者間の公平な競争や一般送配電事業者の中立性、信頼性に疑問を抱かせるものであり、極めて遺憾であると考えております。現在、電力・ガス取引監視等委員会で報告徴収や立入検査の権限も用いて調査を行っておるところでございますが、その調査結果を踏まえて厳正に対処していきたいと考えております。

 また、カルテル事案につきましても、独占禁止法に基づく公正取引委員会の処分が決定した後、経済産業省として適切に対応してまいりたいと考えております。

 規制料金の値上げ申請につきましては、二月二十四日の物価・賃金・生活総合対策本部におきまして、総理から御指示をいただいております。為替や燃料価格が変動している中、燃料をどのように見積もるのが適正かなどを、電力・ガス取引監視等委員会の公開の審議会において有識者に御議論いただいているところでございます。

 そのため、値上げ幅の圧縮の見通しにつきまして、現時点でコメントすることは差し控えさせていただきたいと考えておりますが、電気事業法に基づいて定められた手続やルールに従って、厳格かつ丁寧に査定を行ってまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 是非、この圧縮についても、なかなか答弁は難しいと思いますけれども、過去のこの電力会社の問題もある中で、誠実に対応していただきたいと思います。

 次に、原発の発電についての質問をさせていただきたいと思います。

 先日、北陸電力が再稼働を目指している石川県にある志賀原発のところなんですけれども、原発の敷地内を走る十本の断層があって、これは活断層ではないということで原子力規制委員会が判断した、こういう背景があって、再稼働の可能性があるが、更に審査には数年かかるということなんです。

 二〇三〇年の電源構成に占める原発の比率は二〇から二三%だ、これ、御承知だと思いますけれども、電源構成を達成するためには二十五基から二十八基の稼働が必要であるというところで、今現在、十基、更に今年の夏には七基を再稼働する方針だと思います。

 大臣、七基の再稼働の見通し、お尋ねしたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の再稼働に当たりましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく方針でございます。

 その上で、将来の原子力発電所の稼働状況につきましては、個別の発電所に関する事業者の判断でありましたり、原子力規制委員会による適合性審査の状況などによって決まるものでございますので、政府として現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

 なお、原子力規制委員会による設置変更許可を取得している七基のうち四基につきましては、地元から理解表明がなされておりまして、事業者によれば、工事の最も進捗している高浜一、二号機はそれぞれ本年の六月、七月の再稼働、女川二号機につきましては来年二月の再稼働、島根二号機につきましては二〇二三年度内の工事完了が見込まれているものと承知をいたしております。

 残る三基につきましても、広域にわたる避難計画の策定など、地域の実情に応じた課題にしっかりと取り組みながら、国も前面に立って、原子力の意義や必要性等について丁寧な説明を尽くしまして、立地自治体など関係者の御理解と御協力が得られるように粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 現在、先ほどお話しした活断層がある原発、どの程度あるか、確認したいと思いますけれども、いかがでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会としましては、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて策定した新規制基準に基づき、科学的、技術的見地から厳正に審査を行っているところでございます。

 御質問の敷地内活断層の審査についてでございますけれども、現在のところ、電源開発株式会社大間原子力発電所、中部電力株式会社浜岡原子力発電所三号炉及び四号炉、日本原子力発電株式会社敦賀発電所二号炉につきまして、事業者が実施した敷地内の地質、地質構造に係る評価の妥当性を確認しているところでございます。

遠藤(良)委員 活断層があれば再稼働できないと思います、安全性の確保をしないといけないので。

 今現在、再稼働できる可能性がある原発というのは、実際どれぐらいあるんでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しでございますけれども、原子力発電所の再稼働につきましては、個別の発電所に関する事業者の判断や原子力規制委員会による適合性審査の状況などによって決まるものでございまして、経済産業省としては予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 経済産業省といたしましては、安全性確保に向けた取組を事業者が円滑に進められるよう、先行審査での知見や経験を事業者間で共有することや、審査、工事に対応する人材の相互支援など、産業界全体での取組を指導してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 先ほど足立康史さんもお話ししていましたけれども、あしたで東日本の震災で十二年というところなんですけれども、原発事故を、一方で、もちろん安全確保しながら、忘れてはいけない事件ですし、その中で、一方で、安全性が確認されるものは、二〇三〇年の電源構成のところを考えるとやはり再稼働はすべきだと思います。

 野方図的な原発の利用というのは許されませんと思いますけれども、次世代革新炉への建て替えのような原発の新設を行うとか、そういうところも出ていると思いますけれども、これを、国、地方自治体や事業者の責任を法的に明確化することが必要なのかなというふうに思います。例えば、新設許可の申請の際、都道府県の知事の同意を要するであったりとか、そういう責任明確化に関してどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 原子力発電所の再稼働に際しましては、地元自治体の同意は法令上の要件となっていないところであります。これは、理解を得る範囲や方法について、各地それぞれの地域で事情が様々であるということから、国が法令等によって一方的、一律に決めるのではなく、各地域の方々とよく相談しながら対応するということとしているためであるというふうに理解をしております。

 次世代の革新炉の建設などの際におきましても、同様であるというふうに認識をしております。政府としては、立地自治体等の関係者に対する理解活動を丁寧に進めることが重要であるということは言うまでもありませんし、エネルギー政策における原子力の意義や必要性について丁寧な説明を尽くして、幅広く理解が得られるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 地元住民との意見交換をしっかりして、丁寧な説明をしてというところももちろんありますけれども、一方で、やはり法的に明確化していくという必要はあると思います。

 続いて、サイバーセキュリティーの質問に移りたいと思います。

 欧州連合、EUの欧州委員会では二月二十三日に、中国発の動画共有アプリのティックトックを職員が利用することを停止すると発表した。これ、話題になっていると思いますけれども、サイバーセキュリティー上の懸念から、情報流出を防ぐためにということで停止をするというところになったと思います。

 他方で、アメリカの上院で三月七日にティックトックの禁止法が提出された。ホワイトハウスも法案に支持を表明しているというところなんですけれども、今現在、アメリカでは、ティックトックを使っているのが、利用者が一億人おるというところなんですが、この法案の成立には、もちろん上下両院の本会議での可決とバイデン大統領の署名が必要。実現するか、ちょっと分からないですけれども、法案が提出されたのは非常に大きいことだと思います。既にアメリカ大統領は、連邦政府の端末からティックトックのアプリを削除するよう指示をしていますし、日本では松野官房長官が、政府職員が利用する公用端末のうち、機密情報を扱う機器を対象にティックトックの利用を禁止しているということが明らかになっています。

 中国では、中国の法律では、御承知のとおり、企業は国の安全保障のために政府に協力する必要があるということが定められています。実際に、ティックトックの親会社のバイトダンスの職員が、アメリカのフォーブスであったりイギリスの新聞の記者の個人データを不正入手したということがあったと思いますけれども。

 ティックトックのセキュリティー上のリスクについてどのようにお考えなのか、お尋ねします。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の政府機関等においては、サイバーセキュリティ戦略本部で作成した統一的な基準を用いまして対応しているところでございます。

 この統一基準においては、要機密情報を取り扱う場合には、ティックトックを始めとするSNSなどの外部サービスを利用することはできません。

 また、広報など要機密情報を取り扱わない場合であっても、各省庁においては、様々なリスクを十分踏まえ、必要な措置の助言を内閣官房に求めた上で利用の可否を判断をしておりまして、必要と認めたものの利用のみを許可をしているところでございます。

 なお、個別具体的なサービスやアプリについてのお答えは差し控えますが、いずれにしましても、こうした仕組みは、特定の国、企業の製品やサービスを排除するものではございません。

遠藤(良)委員 私自身もティックトックをやっていたり、自分のスマートフォンで動画をよく見るんですけれども、今、ティックトックって、十代とか二十代が多いというふうに思われていると思うんですけれども、実は、最近は三十代、四十代にも浸透してきています。

 SNSとしてはいろいろな大きな可能性はあると思いますけれども、最近では、ユーチューバーと言われる人たちの広告収入が減少しているということも聞いたりとかしているんですけれども、その中で、日本ではティックトックの利用者というのは二千七十万人おる、先ほども話しましたけれども、アメリカでは一億人ぐらいおるということで、世界的にもどんどんティックトックというのは広がっているのかなと思うんです。

 日本でも、このティックトックの、ユーチューバーのような、ティックトッカーと言われる人たちが、実際、なりわいにしていたりとか、例えば企業とのコラボレーションをしたり、さらに、動画をコンサルティングしたりとか、そういうことをしている人たちも実はもう既にいたりするんですけれども、例えば仮に、これを禁止していこうということでなってくると反響が大きいと思いますけれども、ティックトックの規制の方向性についてはどうでしょう。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの統一基準は、政府機関の利用を想定したものでございます。

 また、国民一般に向けましては、サイバーセキュリティーに関する普及啓発活動の一環として、インターネットの安全・安心ハンドブックの公開とか、サイバーセキュリティ月間の取組などを通じて、SNSなどを利用する際の注意点などを発信をしているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、関係省庁と連携して、一般国民を含めたサイバーセキュリティーの普及啓発に努めてまいりたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 例えば、先ほど、アメリカでは国民に対してもティックトックは禁止していこうということも言われているんですけれども、国民に対する規制は現時点では考えにくいのかな、日本ではそういうふうに思います。

 大臣のツイッターをちょっと拝見させていただいていると、今、大臣、九万人以上のフォロワーがおる。ブルー認証バッジも取られているというところなんですけれども、大臣として、SNSについてはどういうふうに利用されていたりとか、ティックトックの規制についてはどのようにお考えなのか、それをお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 政治家にとりまして、様々な考え方を発信したり、情報発信するというのは、いろいろなツールを用いて行っていくというのは非常に大事なことだと思っております。人それぞれお考えがあると思いますので、毎日駅に立ってビラを配っていくのも一つでしょうし、メールニュースやファクスで送るのもそうでしょうし、SNSを使って発信するというのも大事なツールだと思います。

 ただ、セキュリティーについては常に注意を払わなきゃいけないということだと思いますが、私自身はティックトックの利用は行っておりません。御案内のとおり、ツイッター、フェイスブックなどですけれども。

 経産省でも、先ほど答弁がありましたけれども、政府機関等のサイバーセキュリティー対策の統一基準というのがありますので、それに基づいて、要機密情報を取り扱う場合は、ティックトックなどSNSの利用は認めていないということでありますし、広報など、利用する場合も、利用において要機密情報を取り扱わない場合であっても、業務上の必要性や、保存した情報を自由に利用されるなどのリスクを十分踏まえた上で、利用の可否を慎重に判断しているところであります。便利になる反面、リスクがあるということで、そのリスクを管理しながら対応していくことが必要だと思います。

 今後とも、今、政府の一員でもありますので、内閣サイバーセキュリティセンターと連携をし、私自身も、そして経産省においても、適切に対応していきたいというふうに思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 恐らく、本当に、ティックトックの問題であったり、各SNSについては、なかなか発信するのは難しいと思うんです。実際に、先ほど大臣もお話がありましたけれども、ふだんの政治活動として、ツイッターとかフェイスブックというのは皆さん多分利用されていると思いますけれども、本当に、これは何か安心感があるのかなというふうに思ったりするんですけれども、ツイッターは最近では有料で認証マークを出したりとか、フェイスブックも有料の認証マークを採用したりしていますけれども、成り済ましが少なくなったりとか、いろいろな対策をされていると思うんです。

 LINEがあると思います。またSNSの話なんですけれども、LINEは韓国の企業がやっているサービスですけれども、サイバーセキュリティーのこれもリスクがあるというところをおっしゃられていましたけれども、一方で、フェイスブックではメッセンジャーがある、メッセンジャーも利用している方は多分非常に多いと思いますけれども、連絡手段としてLINEも使っている人も多いと思います。

 例えば、LINEのサイバーセキュリティーについてはいかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました政府機関等における統一基準によりまして、要機密情報を取り扱う場合には、LINEも含めましたSNSなどの外部サービスを利用することはできません。

 また、広報など要機密情報を取り扱わない場合であっても、先ほど申しましたように、各省庁においては、様々なリスクを十分踏まえ、必要な措置の助言を内閣官房に求めた上で利用の可否を判断しておりまして、必要と認めたものの利用のみを許可をしているところでございます。

遠藤(良)委員 政府参考人にお聞きしたいんですけれども、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムというのはアメリカだと思います。このツイッター、フェイスブック、インスタグラムのセキュリティーと、LINEとかティックトックのセキュリティーの程度は変わらないのかをお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか。

吉川政府参考人 先ほど申し上げましたように、様々な利用実態を踏まえて、その利用実態を踏まえた判断をしているところでございます。

 いずれにしても、要機密情報を取り扱う場合には、SNSなどの外部サービスは利用することはできませんし、利用する場合であっても、各省庁が様々なリスクを十分に踏まえて、必要な措置の助言を求めた上で、必要と認めたものの利用のみを許可をしているところでございます。個別のサービスについては申し上げることはできませんが、このような措置を通じてしっかり安全を確保しているところでございます。

遠藤(良)委員 これ以上質問しないんですけれども、是非、いろいろな海外のこういったSNSのサービスが日本の国内で皆さん使われていますし、我々議員ももちろんそうですけれども、そういった中で、対策もしつつも、一方で利用もするので、常に関心を持っていただいて。

 セキュリティーの分野は、今、ルール、それぞれ余りないと。一律でSNSを、サービスのルール上、SNSでくくっているんですけれども、細かくこれも見ていかないといけないのかなというふうに思います。

 最後に、自動運転の質問に移りたいと思います。

 二〇二三年の四月一日に、特定の条件下で運転を完全に自動化する、自動運転のレベル4の運行許可制度を盛り込んだ改正道路交通法が施行される。この中で、二〇一四年から一八年、日米欧や中国、主要国の当局に出願された自動運転関連の特許のうち、日本国籍の個人や法人による出願が最多で三七・五%を占めるというところなんですが、一方で、最近の日経新聞でも出ていましたけれども、アメリカの五大テックと言われるグーグルの親会社のアルファベットが特許の出願数であったりとか質というのが非常に多いというところで、そういう中で、今、日本の自動運転技術については、現状どんな状況なのでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転技術の段階を示します、いわゆる自動運転レベルは、米国のSAEによりますと、走行条件やアクセル、ブレーキ及びハンドル操作の機能などに応じて、レベル0から5までの計六段階で定義をされてございます。

 その上で、現在実現できている自動運転レベルは、走行ルートや時間帯、道路環境といった走行条件に応じて異なってございます。

 走行条件の絞り込みが難しいオーナーカー、いわゆる乗用車については、日本が世界初のレベル3の対応車を販売したところでございます。その後、他国もそれに続くなど、国際環境がより激化している状況だというふうに認識してございます。

 また、走行条件が絞りやすい、絞り込みが容易なバスやタクシーといったサービスカー、いわゆる商用車につきましては、無人自動運転のレベル4について、法制度や安全性に対する考え方の違いもあって、米国や中国の一部の地域ではサービスとしての実装を先行させる一方で、日本やドイツは必要な制度整備を世界に先駆けて進めるということで、各国様々な形で取組を進めている状況だというふうに認識してございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、最後に、ちょっと中国の、先ほどお話がありましたけれども、中国では、既に昨年の九月には、完全運転で、中国のネット大手のバイドゥが、中国の完全のタクシーを営業を開始したというところなんです。ここにおいて、日本もしっかりと、中国が既にそういったところも踏み込んでいるんですけれども、日本企業としてもこういった支援もしていかないといけないと思いますし、是非日本も、各国、今お話がありましたけれども、ルールももちろん必要なんですけれども、技術的な部分も日本がしっかりと支援をして、この市場も確保していかないといけないというふうに思いますし、是非、そういう意味で、この委員会でも、ちょっと今日できなかった質問をまたさせていただきたいと思います。是非よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 中小企業の価格転嫁対策について、まず伺います。

 中小企業は、コロナ禍、資材・エネルギー価格の高騰、過剰債務ということで、三重苦にあります。岸田総理は、施政方針演説や予算委員会で何度も、物価上昇を超える賃上げが必要であり、賃上げを実現するためには、労務費、原材料費、エネルギーコスト等を適切に転嫁できる環境をつくることが重要だと述べられております。

 そこで、西村大臣、雇用の七割を支える中小企業での賃上げが鍵だということだと思うんですけれども、この間の政府の実態調査等を見ても、価格転嫁率というのが四割台にとどまっている。上昇したコスト分の半分以下の転嫁率ということになっていることについて、どう見ておられるか。四割も転嫁できているのか、あるいは四割しか転嫁できていないのか、いかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、雇用の七割を占める中小企業の賃上げは極めて重要でありまして、それを進めていくためにも、物価上昇分に加えて、賃上げ分も含めて価格転嫁できるように、是非私も取り組んでいきたいと思っておりますが、御指摘のように、去年九月の価格交渉促進月間の調査結果では、前年、前回の三月ですね、一年前の三月の約四割から五割弱に、若干改善はありますが、まだまだこれは足らない。特に、回答した中小企業のうち約二割が全く転嫁できていないという回答をしておりますので、改めてしっかり取り組まなきゃいけないという決意を強くしているところであります。

 業界ごとにもばらつきがありまして、石油精製業や機械製造業と取引している中小企業では、コスト上昇分のうち約六割が転嫁できている、しかし、トラック運送業や放送コンテンツ制作業と取引している中小企業では約二割しかできていないという結果でもありますので、また、費目別に見ても、原材料費は比較的転嫁がされやすい状況にあるみたいですけれども、エネルギー価格や労務費、人件費の価格転嫁は進んでいないということであります。

 こうした状況も踏まえて、この三月、まさに今、価格交渉促進月間、四月からの値決めを決める、その前段階でありますので、しっかりと価格交渉を行ってもらうように取り組んでいるところでありますが、フォローアップ調査を従来の二倍の三十万社に増やし、また下請Gメンも三百名体制にしておりますので、しっかりと情報把握を行って、その上で、これまでと同様に、価格交渉状況、転嫁状況をしっかり整理をしてリストを公表する。また、七十社に対してこれまで指導助言を行っておりますが、さらに、必要であれば、そうした指導助言、これをしっかり行っていきたい。

 中小企業の価格転嫁を進めていける環境をつくっていきたいというふうに考えております。

笠井委員 業種ごとにも異なるという話もありましたが、コスト増分を価格転嫁できていないというのが、全体としては日本の特徴になっております。

 三菱総研の研究員の調査によれば、企業投入コスト増の消費者物価への転嫁率、これを見ますと、比較すると、アメリカでは一〇〇%を超えている、ユーロ圏でも九割というぐらいになっていますけれども、ところが日本は半分止まりということであります。

 日本の遅れということが指摘をされているわけですが、それでは一体その要因はどこにあるのか。大臣とそれから古谷公取委員長、それぞれどうお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 価格転嫁がどの程度実現できるかは、これは基本的には両当事者の交渉によって決まるものでありますので、それぞれの競争力、市況、業界の商慣行、情報量など様々な要因があると思いますので、価格転嫁が進まない理由を一概にお示しするのは難しいわけですが、一般論でありますけれども、私が取り組んできたことも含めて申し上げれば、日本でこの二十年、まさにデフレという中で、物価も賃金もほとんど上昇しない状況の中で、消費者においても、値段は上がらないものというデフレマインドがかなり広く浸透しているものだというふうに思います。

 それを受けて、企業側としては、小売価格の引上げを避け、その分、下請事業者にしわ寄せをしていく。そうした結果、多くの中小企業において価格転嫁ができていないのではないか。こんな状況が続いているものというふうに認識をしております。

 したがって、それを克服していくためには、やはりサプライチェーン全体でコスト上昇分を適切に価格転嫁することができる環境をつくることが重要であります。親企業や事業者への働きかけは、当然、先ほど申し上げたとおり進めていきますけれども、あわせて、パートナーシップ構築宣言、サプライチェーン全体の共存共栄を目指す、これをもっと広げていく。一万九千社まで広がっておりますが、まだ大企業は一千二百社弱に、一割以下にとどまっておりますし、経団連傘下企業も三分の一にとどまっていますので、もう一段、この宣言拡大を広げていきたい。

 その上で、宣言していただいて、価格交渉をしっかりしていただく、サプライチェーン全体でコスト負担を分かち合う、価格転嫁を認めていく、そうした環境をつくっていきたいというふうに考えております。

古谷政府特別補佐人 今、経産大臣の方からお話があったとおりだと思いますけれども、公正取引委員会は、公正な取引環境の確保という観点から、サプライチェーンにおける価格転嫁の状況に着目しまして、優越的地位の濫用に関する緊急調査を行ってまいりまして、その結果を昨年末に公表いたしましたし、それとは別に、昨年六月には、ソフトウェア業に関する実態調査報告書というのも公表しておりまして、業種ごとにいろいろな傾向は異なると思いますので一概には申し上げられませんが、私どものこうした結果を踏まえますと、ソフトウェア業を始めとして、建設業ですとか物流業、こうしたところで価格転嫁が特になかなか進んでいないということを考えますと、一つの要因として多重下請構造というのがあるんだろうというふうに考えております。

 こうした多重下請構造の下では、受注者から発注者に十分な転嫁ができていないということが、価格転嫁の連鎖が円滑につながらないという要因にもなっておりまして、同じ人が発注者と受注者の立場に立つ場合であっても、発注者としては一定のことを受入れをしているつもりであっても、受注者としては受け入れてもらっていない不満がある、そういったことが一つの要因になって円滑な価格転嫁を妨げているというようなことがあるように感じております。

笠井委員 今、御答弁がお二人からありました。

 今、古谷委員長が多重下請構造と言われましたが、やはり全体として見ると、いろいろな業種ごとにあるにしても、その下で中小企業にしわ寄せが集中しているということが大きなやはりネックになっている、その問題になっているというふうに思うんです。

 帝国データバンクは、三月八日に、仕入価格などコスト上昇分を販売価格に転嫁できずに業績が悪化した物価高倒産というのが、二〇二二年度は過去最多の見通しというふうに発表しました。二二年度件数というのは、二三年の二月時点で三百九十六件ということで、二一年度百三十六件の三倍程度に達したというわけですね。企業がコスト上昇分を十分に転嫁するのは難しくて、物価高倒産というのは今後も増加傾向が続くだろうというふうにしております。

 中小企業家同友会全国協議会と私は懇談しましたが、その中でも、資材価格の上がり方が半端じゃない、二度、三度と値上げされると、値上がり分の価格交渉も二度、三度となって難しいという声が寄せられています。

 大臣、中小・小規模事業者は、取引先との力関係で人件費や原材料費の上昇分を価格転嫁できない、で、利益が圧迫されて経営が一層困難になるというのが悪循環になっているということだと思うんですけれども、実際には身銭を切っているということで、ここはやはり放置しちゃいけないと思うんだけれども、そこはいかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、中小企業の皆さんと私も車座の意見交換会も行いまして、皆さん、賃上げに取り組みたいという意欲は非常に強く、これだけ物価も上がってきておりますので、皆さん思っておられます。

 ただ、なかなか価格転嫁ができない、業態が必ずしもまだ改善していないということもあって、非常に苦慮しておられますが、まさに、おっしゃったように、それでもやはりみんな苦しいし、さらに、業績を上げるためにも未来への投資と思って賃上げを実行される、そういう中小企業の経営者もおられました。

 まさに、私ども、そうした姿勢を支えていかなければなりませんので、黒字であれば税制を使っていただけますけれども、そうでない企業はなかなか使えないというのもありますので、先ほど来申し上げております私どもの補助金で、いろいろな支援策の中で、そうした取組をする企業を優遇する対応をしておりますし、厚労省の様々な支援策、キャリアアップ助成金を始め、そうしたものも活用いただきながら、しっかりと中小企業の皆さんが賃上げできる環境、そして、まさに今日の議論でありますけれども、何より転嫁ができるよう、親事業者、パートナーシップ構築宣言を実施している企業にしっかりと働きかけをしていきたいというふうに思っております。

笠井委員 フォローアップ調査、二〇二二年三月と九月を比較して、価格転嫁の状況は好転というふうに政府の側は言っていますけれども、そうなのかと。コスト上昇分全て転嫁できたのは僅か一七%で、二割に満たないという状況。

 費用が上昇したにもかかわらず、逆に減額されたという回答があると思うんですけれども、それは何%になっていますか。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 価格転嫁交渉月間のフォローアップ調査におきまして、全般的なコスト上昇分のうち、何割を価格に転嫁できたかという設問がございます。これに対して、委員御指摘のとおり、費用が上昇したにもかかわらず、逆に減額されたという回答がございまして、この割合は、二〇二二年三月の調査では一・五%、二二年九月の調査では三・九%となってございます。

 他方で、先ほど来出ておりますけれども、全体的には約四割から五割弱への改善が見られる、それから、十割転嫁できたと同じ設問の中で答えた割合は一三・八%から一七・四%に増加、同じく九割から七割転嫁できたとの回答は一五・四%から一八・二%に増加しているところでございまして、価格転嫁の対応について少しばらつきが出ているというところが見て取れるところでもございます。

笠井委員 ばらつきの問題じゃなくて、全体としてこれでいいのかという問題で、日本商工会議所の二月の景気観測調査でも、取引価格の維持や減額の協議を申し込まれたというのが、昨年十一月の二・一%から二・七%に増加しております。

 神奈川の製造業者の声でありますけれども、得意先に単価交渉しても、三か月もほったらかしだった挙げ句の果てに、値上げはできないと言われたと。

 まさに、大臣、本当に一体どこが好転なのか、減額されたが倍加したことを深刻にやはり受け止めるべきじゃないかと思うんです。

 古谷委員長は、去る一月二十六日の衆議院議院運営委員会での聴聞で、多重下請構造によって価格転嫁に目詰まりが起きている、このように言われました。それで、このことを公取の緊急調査でも把握しているというふうに答弁をされました。

 そこで、古谷委員長と大臣にそれぞれ伺いたいんですが、多重下請構造によって価格転嫁が進まないというのであれば、いわゆるピラミッドのトップにいる事業者に責任を果たさせること抜きに、価格転嫁対策の実効性というのは確保できないんじゃないかと思うんだけれども、その点はそれぞれいかがでしょうか。

古谷政府特別補佐人 御指摘がございましたように、受注者サイドからは、私どもの緊急調査におきましても、なかなか、その後取引を切られるかもしれないので言い出しにくいですとか、購買担当者と相談をすると駄目だよと言われるといったようなことで、なかなか物が言えませんといったようなことが出ているという実態もございました。

 私どもとしては、受注者側からの要請の有無にかかわらず、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていただくことが重要でありますし、現場サイドに経営者サイドからもそのことを徹底してもらいたいというようなことを言っておりますけれども、経済三団体の方が年明けにそういったことを傘下の企業に要請をされたという動きもございますので、そういったことで、適正な価格転嫁の交渉なり協議が取引当事者間で進むような環境を私どもとしてもつくっていきたいというふうに思っております。

西村(康)国務大臣 まさに、多重下請構造の中で、価格転嫁ができないということがございます。業界ごとで転嫁の状況にばらつきがあるということだと思いますので、それぞれの業種の特性に応じた取組を関係省庁、業界団体と連携して行っていかなければならないというふうに思います。

 そして、よく多重下請構造として例示がされるトラックの運送業界、ここが転嫁率も低いということで、適正な価格について、荷主企業それから消費者の認識の向上が重要でもあります。国交省と連携をして、所管する荷主企業への周知を行っておりますし、また、国交省、農水省と共同で、持続可能な物流の実現に向けた検討会を開催をしまして、不適切な商慣行の是正、こうしたことに向けた検討を実施しているところであります。

 こうした取組、それぞれの業界で特徴があると思いますし、特に、御指摘の多重下請構造、そうした構造がある業界の取組、業界ごとの取組をきめ細かく実施するなど、引き続き価格転嫁対策に取り組んでいきたいというふうに思います。

笠井委員 伺いますけれども、パートナーシップ構築宣言ということを先ほども言われました。この宣言が大企業に波及していない問題について、私も一年前の三月三十日の当委員会でも取り上げてまいりましたが、当時は、六千八百六十社中、大企業、資本金三億円超ということで見ますと一割の六百社だったと思うんですけれども、現在はどうなっていますか。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のパートナーシップ構築宣言ということでございますが、三月三日時点での宣言企業数は、全体で約一万九千社ございますけれども、そのうち資本金三億円超の大企業は約千二百社ということになっておりまして、宣言企業全体では六%程度ということでございます。

笠井委員 一月十三日に、経団連の会長、日本商工会議所の会頭、経済同友会の代表幹事の連名で、「「パートナーシップ構築宣言」の実効性向上に向けて」ということが出されましたが、宣言企業は経団連加盟の千五百社に及ばない、こういうことになっております。これはどうしてなんですかね、大臣。

西村(康)国務大臣 私も、経済界の皆さんに会うたびにこのことはお願いをしておりますし、経団連会長も、今御指摘ありましたように、会長、トップの皆さん方も前向きに取り組んでいただいておりますけれども、もう一段、私どもも努力しなきゃいけないというふうに思っております。

 雰囲気が少しずつ出てきておりますので、これは投資を行おうとか、あるいは賃上げを行おうという雰囲気が出てきておりますので、もう一つ、それに加えて価格転嫁をしっかり認めていくということを、もう一段、様々な機会を捉えて働きかけを進めていきたいというふうに思います。

笠井委員 このパートナーシップ構築宣言に拘束力がないことをかねてから指摘をしてまいりましたけれども、この宣言の実効性を担保する、こういう点での仕組みというのはあるんでしょうか。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 パートナーシップ構築宣言については、自主的な宣言ということではございますけれども、この宣言の拡大とともに、宣言内容が着実に実施されるような実効性の向上というものを進めることは極めて重要だと考えてございます。

 この実効性の向上に向けて、昨年、宣言の取組状況に関する調査を実施してございます。その調査では、二つ調査をしておりまして、一つ目は宣言企業と取引のある下請企業から行った調査、そしてもう一つは宣言企業その社に対して行ったアンケート調査ということでございます。

 前者の下請企業向けの調査におきましては、三千社以上の下請企業から回答がございまして、五社以上の下請企業から評価の集まった宣言企業、全部で百六十社ありますけれども、この評価結果をまとめたところ、下請企業からは、残念ながら価格協議に応じてもらえなかったであるとか、無償での型管理を求められた、手形の支払いにおいて割引料を負担させられた、こういった下請振興基準に照らして問題となり得る行為というのも指摘ございましたので、こういった宣言企業が確認されております。

 それから、二つ目の調査ということで、これは宣言企業向けの調査でございますが、五千百三十三社から回答いただきまして、そのうち百八十八社については、下請振興基準に関する宣言内容に反する回答というのが確認されたところでございます。

 こうした結果について、宣言企業の代表者宛てにしっかりフィードバックを行っております。これを踏まえて、重要な経営課題として改めて認識をいただいて、必要な改善を進めていただくことで、価格転嫁や取引適正化の着実な実施を促しております。

 この取組状況の調査とフィードバックというのは引き続き継続してまいりまして、この宣言の拡大と実効性の向上、これを着実に進めてまいりたいと考えております。

笠井委員 実際に実効性を担保するということでは、内閣府と中小企業庁の方で、主務大臣から下請法に基づく指導助言を受けた場合など宣言を履行していないと認める場合には、宣言のサイトへの掲載を取りやめることがあり得る、こういうことでやっていると思いますね。やっていますね。

 実際に掲載取りやめになった事例というのはありますか。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、パートナーシップ構築宣言、これは公表要領というものが実はございまして、この中で、指導又は助言の対象となるなど企業が宣言内容を履行していないと認められる場合には、事業所管官庁が中小企業庁に宣言の掲載を取りやめることを求めることができる、こういったことになってございます。

 この公表要領に基づいて、令和三年三月に掲載を取りやめた例がございます。この事例では、公正取引委員会が当該企業に対して下請代金支払遅延等防止法に違反する行為が認められたとのことで勧告を行ったものでございまして、これを受けて、当該企業が宣言を履行していないとの判断の下、掲載取りやめとなったというものでございます。

笠井委員 一件のみということです。

 公取委が昨年十二月二十七日に、多数の受注者との間で協議もせずに価格を据え置いたとして名前を公表した十三社がありますが、そのうちで、パートナーシップ構築宣言を行っていたのは何社でしょうか。

品川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の緊急調査の結果を公表いたしました十二月二十七日時点で、企業名を公表した十三社のうち、パートナーシップ構築宣言を行っていた事業者は七社であったというふうに理解をしております。

笠井委員 その直後に一社追加されたと思うんですが、現在は八社ということでよろしいですか。

品川政府参考人 現時点では、一社追加されて八社であるというふうに理解をしています。

笠井委員 一月三十一日付の日本経済新聞で、日本商工会議所の小林健会頭の出身母体である三菱商事の子会社も含まれていたということが明らかにされておりまして、胸に手を当てて考えてみればということは随分あると思うと、小林氏は、こうした事例が氷山の一角にすぎない可能性があることを示唆したということが言われておりますが、まさにそういう点では、パートナーシップ構築宣言自体が形骸化しているという実態があると思うんです。

 西村大臣は三月二日の参議院予算委員会で、価格転嫁が芳しくない親事業者への指導助言を累計で約七十社実施してきたと答弁されております。先ほどもそれをおっしゃいましたが、この七十社というのはどこですか。

西村(康)国務大臣 この指導助言につきましては、独禁法や下請代金法のような規制法に基づく措置ではなく、下請中小企業振興法に基づく指導助言でありますので、あくまでもそういう性格上、企業名や特定につながり得るような情報についての公表は差し控えさせていただいているところであります。

笠井委員 これは、そういうふうにやっていたら全然事態が改善されないということが実態ではないかと思うんですね。

 この七十社というのは、じゃ、伺いますけれども、いずれもパートナーシップ構築宣言をしていないということなんですか。

小林(浩)政府参考人 この価格交渉促進月間の結果を踏まえて、まさに指導助言を行っているというところでございますが、その中にはパートナーシップ構築宣言をしている企業も含まれているところでございますので、今後の価格協議、転嫁への取組の改善状況などをしっかり確認していきたいと考えてございます。

笠井委員 でも、それでも明らかにしないということになったら、本当にそういう意味ではしっかりとこの問題が実際に実行されることになっていかない。

 大臣、実効性を担保するという仕組みは、実際には機能していないということになりませんか。

西村(康)国務大臣 私も、この七十社、公表できないのかということも、実は中でも検討したんですけれども、やはり振興法でありますので、法制上なかなか難しいということでありますが、一方で、指導助言を行う際には、今後、価格交渉月間の後にフォローアップ調査を行うわけですが、そのとき重点調査としてその対象とするということなどをお伝えし、実効性の確保に努めているところでありますし、また、この指導助言を受けて、親事業者の中には、下請事業者に対して、価格交渉を申し出てくれるよう調達本部長名で依頼を発出したり、あるいは、相談窓口の設置、周知に努めるなど前向きな動きも見られますので、御指摘のように、公表したときの効果がどれほどあるかということと比較が難しいんですが、着実な効果は上げているものというふうに理解をしております。

 今回もしっかりと重点的に調査を行って、その結果を踏まえて、改めて、更に必要であれば指導助言、実施を粘り強くしていきたいと思いますし、公正取引委員会とも様々な情報を共有しながら対応していきたいというふうに思います。

笠井委員 いろいろ努力されているというわけですが、これだけ価格転嫁ができていない実態がありながら、いつまで自主性任せにしているのかということなんですよ。

 法制上のことで限界があるんだったら、そこのところをどうするのかということもあるし、独禁法、それから下請代金法、下請振興法の権限をフルに使って活用してやると何ができるかというふうにしなかったら、結局、冒頭に議論しましたけれども、実際には転嫁が半分以下という状況が続いているということだと思うんですが、そういう、フルに活用して必要ならその制度の見直しもするということについて、古谷委員長、西村大臣、それぞれいかがですか。

古谷政府特別補佐人 御指摘がいろいろございましたように、公正取引委員会、昨年の末に、緊急調査の結果として、かなり規模の大きい注意喚起文書の発出や公表という措置を取らせていただいたわけですけれども、御指摘のように、独占禁止法、下請法上、命令とか警告あるいは勧告といった措置を講ずることが可能です。

 これまでの緊急調査の中でも幾つか情報は私どもとして得ておりますし、昨年、政府全体で価格転嫁を強力に進めるということで、なかなか受注者側から言い出しにくい事情がある取引環境の中で、中小事業者の方から匿名で情報提供ができるフォームも作成をしまして、この二月末までに六百件ほどの情報をいただいております。

 そういうことも踏まえまして、独占禁止法、下請法に与えられた権限を使って、厳正に対処していくということも必要であるというふうに考えております。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、できる限り、法律上の権限などを活用して、積極的な取組を行いたいというふうに考えております。

 代金については、下請代金の支払い遅延等を防止する下請代金法がございますので、これは中小企業庁と公正取引委員会が共同で執行しておりますので、公取と連携をしながら、その厳正な執行に努めて、買いたたきなどの防止に取り組んでいきたいと思います。

 一方の下請中小企業振興法でありますけれども、これも最大限ぎりぎりのところまで活用しようということで、先ほど申し上げた約七十社に対する指導助言を実施してきておりますし、また、調査結果について、交渉状況、転嫁状況について、発注側企業の約百五十社の転嫁状況、交渉状況のリストを、初めて企業名を入れて公表させていただきました。

 さらには、昨年七月ですけれども、親事業者と下請事業者の望ましい取引環境を明示する下請基準を改正をして、転嫁や協議への積極的な対応を盛り込み、周知をしているところであります。

 こうした取組を更に進めていかなきゃいけないと思っておりますが、独禁法、今古谷委員長の方からございましたとおり、非常に強い姿勢で臨んでいただいておりますので、引き続き連携しながら対応していきたいと思います。

 いずれにしても、様々な法律を最大限活用しながら、そして関係省庁と連携しながら、価格転嫁対策に全力を挙げていきたいというふうに思います。

笠井委員 下請代金法に基づく中小企業庁長官からの措置請求は、年に一件あるかどうかのペースです。公取の勧告もずっと一桁で、二〇二一年は僅か四件ということで、抜本的に強化すべきだと思います。

 最後に一問だけ、端的に聞きます。

 今、大手電力会社の不正が次々明らかになっています。電力供給をめぐるカルテル、さらには顧客情報の不適切な閲覧問題、それから、経産省の再エネ業務管理システムのアカウントを、全ての一般送配電事業者が自社グループの小売部門に提供していたことも明らかになりました。これは極めて電気事業の中立性、信頼性を根底から揺るがす重大問題だと思うんです。

 大臣、一点伺いたいのは、電力大手で相次ぐこうした事態があることに対して、経産省は罰則を強化するために電気事業法の改正を検討するというふうに報じられていますが、そういうことも検討しているということですか。

西村(康)国務大臣 現在、電取委におきまして報告徴収、立入検査などを行っておりますので、まずは事案の解明に向けて幅広く調査を進めて、そして、その結果を踏まえて適切に対応していきたいと思っております。

 何か結論ありきではなく、電力事業、一般送配電事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせないように、それが確保されるような必要な対策を適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 二月二十一日に国会に提出された電気事業法等改正案には罰則強化が入っていません。問題の先送りになるんじゃないかと。まず、GX関係の二法案は撤回すべきだと思います。

 委員長、大手電力会社の不正事案の解明と再発防止抜きに、エネルギー関係の法案は審議できないと思います。当委員会での審議入り前の、この問題に関する集中審議を行うことを求めたいと思います。

 よろしくお願いします。

竹内委員長 理事会で協議します。

 時間となりましたので、これで終わります。

笠井委員 終わります。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岩田和親君。

岩田委員 自由民主党の岩田和親でございます。

 本日、大臣所信に対しての質問ということで、お時間をいただきました。

 今、申し上げるまでもなく、経済産業省そして大臣におかれては、本当に時代を画するような大きな変革のときに、この日本の経済また産業の在り方を、どのようにこれをかじ取りをしていくのか。もちろん目の前の課題もございますし、将来に向けての大きな展望を開く、夢を描くような、そういった政策も必要でございます。そしてまた何よりも、あしたが三月十一日ということもありまして、福島復興、この問題もしっかりと最優先事項として取り組んでいただかなければなりません。

 そういった意味で、いろいろな分野に網羅的な形で今日は質問を準備しよう、そういう思いで取組をさせていただきました。順次、質問を進めさせていただきたいと思います。

 まず最初は、目下の大事な課題でございますエネルギーの価格高騰対策についてであります。

 昨年の総合経済対策、補正予算によりまして、燃料油の高騰対策や電気、都市ガス料金の負担緩和策が実施をされております。特に、一月からスタートをした電気・ガス料金の負担対策については、二か月が経過をしたところであります。

 私も地元で、今、経済産業部会長を務めておりますので、こういったエネルギー価格高騰の激変緩和のための国の支援などに取り組んでいるということで丁寧に説明をしているわけでありますが、特に電気代のことは、中小企業の経営者の方から独り暮らしの御老人まで大変関心が高い、このように肌身で感じているところでございます。

 まず、消費者物価指数への反映の状況なども踏まえて、燃料油、電気、都市ガスのエネルギー高騰対策の状況について、お伺いをいたします。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 エネルギー価格高騰への対応につきましては、総合経済対策に基づき、エネルギー価格の上昇による家庭や事業者の皆様の負担を軽減するために、電気料金、都市ガス料金、燃料価格の対策として、総額約六兆円の支援を盛り込んでおります。

 既に予算執行に取り組んでおり、先日公表された東京都区部の二月の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合の前年同月比が一月と比較をして一・〇%ポイント押し下げられるなど、事業の効果が消費者物価指数にも表れてきていると考えております。

 エネルギー価格への支援については、いろいろな声がありますので、様々な観点から検討しているところでございますけれども、総理からの御指示も踏まえ、与党とも連携をして対応してまいりたいと考えております。

岩田委員 今、消費者物価指数も踏まえた形で今の状況をお答えいただきましたけれども、もちろん、こうやって統計にも表れるということは大変いいことでもありますし、そしてまた何よりも、肌感覚として、お一人お一人の方が、こういうふうな支援があって助かった、こういうふうな実感につながるということを大事にして、これからもしっかりと進めていただきたい、このようにまずもってお願いをいたします。

 そういった中で、こういった対策、これは着実に進めていただきたいと今申し上げたとおりでありますけれども、その上で、実態をしっかりと踏まえながら、必要であれば追加の対策を講じていく必要があるというようにも考えております。

 この点、現在の進んでおります支援策が十分に行き届いていない地域や分野があるというような意見が、私の元にも届いているところであります。その一つが、まず、電力の特別高圧についてです。

 電気料金の支援については特別高圧を対象外としているわけでありますけれども、例えば中小企業の工業団地において、契約は全体で特別高圧でしているけれども、実際に利用されているのは中小企業の工場であるということで、やはり、今のこの厳しい状況の中で支援をするという意味において、地元からこれらも対象にしてほしいというような要望の声が上がってきております。

 特別高圧に係るこういった現状について、国はどのように認識をしておられるのか、お聞きいたします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただきました今回の電気料金の激変緩和策でございますけれども、まずは、御家庭を中心としました低圧需要家契約をしております需要家の方々への支援を中心、中核としておりまして、これがキロワットアワー当たり七円、これに加えて、中小企業の方々が多く契約されていらっしゃる高圧契約、これも加えて、こちらの方がキロワットアワー三・五円でございますけれども、ここまで対象を広げて実施しているところでございます。

 二月の請求から反映される電気料金の値引き支援というものを需要家の方々に確実にお届けされていくということがまずは重要でございますので、これをしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

 そういう中で、今委員から御指摘いただきましたように、この制度というものが実際の実ニーズ、実態にちゃんと適応しているかどうかということについて、我々はしっかりと踏まえていかなければならないと考えてございます。

 御指摘がありました特別高圧でございますけれども、御家庭、中小企業への支援ということを重視している中で、今回、対象とはしていないところでございます。

 一方、昨年九月に措置いたしました六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の中では、自治体の判断により、地域の実情を踏まえたきめ細かい対応ができる仕組みとなってございまして、現在でも、特別高圧契約の需要家への電気料金支援が行われている例があるというふうに承知しているところでございます。

 今指摘がありましたように、一括受電という形で、工業団地で特別高圧契約をしているけれども、実態としては中小企業の方々が使っていらっしゃるという例もあるやに承っておりまして、こういった実態を踏まえた対策を検討しなきゃいけないかと考えてございます。

 今月三日の総理からの御指示を受けて、委員からの御指摘、様々な御意見を踏まえながら、今後の電気料金支援について検討していきたいと考えてございます。

岩田委員 もう一点、支援が行き届いていないという声が出ておりますのが、LPガスについてであります。

 LPガスは、地方を中心に、全国の約四割の世帯が利用している必要不可欠なエネルギーなわけですけれども、LPガスについても、昨年から比べますと約一割、小売価格が上昇をしており、結果として、物価高が続いている家計にも影響が与えられている、こういう状況だというふうに私も認識しております。やはり国民の負担軽減ということを考えれば、ここにも対策を講じていく必要があるのではないかと私は考えております。

 そこで、現在のLPガスの配送合理化のための事業、そして、地方創生臨時交付金を活用した取組、これが今進んでいるわけでありますけれども、まだまだ地方によっては行き届いていない部分があるという点、ここはどのように国としては認識をしておられるのか。そして、この支援の効果についても国民に分かりやすく伝えていく必要があると考えていますが、どうでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 LPガス価格につきましては、今委員御指摘のとおり、一年前に比べますと上昇はしておりますけれども、全体、価格構成を見ますと、原料となるプロパンの部分、これは原油価格と連動しておりまして、ここは昨年の夏以降、下落基調にございますので、LPガス価格全体としては今後大きな上昇は見込まれていない状況にはございます。

 他方、ボンベに詰めて各家庭に配送してまいりますので、LPガスの価格全体の中では、人件費や配送費へのポーションが大きいという特徴がございます。このため、国としましては、都市ガスのような価格支援ではなくて、人件費、配送費の抑制に効果のある事業効率化に向けた支援を先月末からスタートしてございます。早期に効果が出るよう、迅速かつ着実に予算執行に取り組んでいるところでございます。

 さらに、昨年九月に予備費で措置されました、御指摘の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金でございますけれども、この推奨メニューの中にLPガス料金対策ということを明示いたしまして、各自治体の方でLPガス料金に対する対策を講じていただくように働きかけを進めてございます。

 そうした中で、LPガスに特化した支援の事例も次第に増えてきてございます。例えば、栃木県、茨城県、高知県では、LPガスを使用する一般家庭などに対して値引き支援というのを行っておられるほか、大分県では、LPガスの料金の支払いにも利用できる地域商品券を発行されるなど、それぞれの地域の実情に応じた様々なメニューが今出てきているというふうに承知してございます。こうした事例をほかの自治体にも分かりやすく紹介しながら広げていきたいと考えてございますし、同時に、この交付金の財源が枯渇しているという問題も我々は承知してございますので、こちらにつきましては、関係省庁ともよく相談しながら、必要な対策を検討してまいりたいと考えてございます。

 また、あわせて、これらの支援の効果、小売価格の上昇を抑制するという効果がしっかり出ているかどうかということを、その効果をホームページなどで分かりやすく紹介しながら、しっかりその効果が行き届くことを、我々としても、皆様にもしっかりお示ししていきたいと考えてございます。

岩田委員 ありがとうございます。

 問題意識は国とも共有ができたというふうに考えております。

 エネルギーの価格高騰対策につきましては、言うまでもなく、三月三日に、岸田総理から党に対して、エネルギー料金や食料品の価格についての検討要請がございまして、これを受けて、六日に、自民党の中で、萩生田政調会長から私が部会長を務めております経済産業部会に対して、エネルギー料金について取りまとめるように御指示をいただきました。現在、精力的に党内で取りまとめを進めているところであります。

 中長期的に日本経済を次なる成長軌道に乗せるためにも、また、GXを推進してエネルギー価格変動に強い経済社会構造をつくり上げるためにも、目の前は、エネルギー価格高騰対策が必要なところにしっかりと行き届いて、効果を上げるということが大事であると考えております。政府として、これから取りまとめます与党としての提言を受け止めて、確かな対策を策定をし、実行していただくことを強く望んでおきます。

 それでは次に、同じくこれも目下の最大の課題の一つであります価格転嫁、これについて取り上げていきたいと思います。

 今月、三月は価格転嫁月間であります。中小企業三十万社へのフォローアップ調査などを進めていただいているところでありまして、今こそ、例えばパートナーシップ宣言の実効化など取組の深掘りを行って、価格転嫁で結果を出すことが求められています。更なる取組についてどのように進めていくのか、お聞きします。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、我が国雇用の七割を占める中小企業ということでございますので、この賃上げ、極めて重要でございまして、中小企業が賃上げできる環境を整備するために、価格転嫁対策ということで全力で取り組んでいるところでございます。

 まさに、毎年九月、そしてこの三月も含めて価格交渉促進月間をやらせていただいておりまして、その結果を踏まえた情報公表や親事業者の経営者に対する指導助言というのを進めております。

 二月には、この九月のものの結果ということで、発注者側企業百五十社についての転嫁と交渉状況のリストの公表を行わせていただきました。また、交渉や転嫁の状況が芳しくない企業さんに対しては、これは指導助言というのを大臣名でやらせていただいておりますが、これまでもやっておりますが、今回も約三十社やらせていただいています。

 こうした取組をこの三月の価格交渉促進月間でもしっかり継続をさせていただき、このフォローアップ調査というのも今まで以上に手厚くやらせていただくということでございます。

 そのための一環ともしまして、今年一月から下請Gメンも三百名体制へと増強しておりまして、取引実態の把握をより強化して、指導助言や業界別の取組の強化へつなげたいと思います。

 それから、パートナーシップ構築宣言ということについて申し上げますと、宣言企業数は現在一万九千まで拡大しておりますが、大企業での更なる宣言の拡大のため、大臣からも経団連を始めとする経済団体に機会あるごとに呼びかけていただいております。それから、他省庁の所管業種、各地域の経済界、こういったものも含めて、継続的に呼びかけを続けてまいります。

 そして、その実効性の向上という意味でも、調査をこの宣言企業にも実施して、その下請企業にも実施をして、その結果を昨年フィードバックをしたところでございまして、いずれにしても、経営者に、価格転嫁、取引の適正化、こういったものは非常に重要な経営課題だということを御認識いただくように取り組んでいるところでございます。

岩田委員 ありがとうございます。

 価格転嫁につきましても、党の経済産業部会の取りまとめの中で、中小企業による物価高、賃上げへの対応という項目を立てて、更なる取組強化を盛り込んでいるところであります。

 私も、地元におきまして、中小企業の経営者の方から、賃上げ賃上げと言うけれども、実際にそう簡単ではないという声をよく伺います。燃料や様々な資材、物価高によるコスト増と賃上げという、その声の板挟みに遭っている状況とも言えると私は受け止めております。

 経済のよい循環を回していくためには、物価高を、価格転嫁をして利益が残る状況にしていく、価格転嫁で間の部分をしっかりと埋めていくということがあって初めて賃上げにつながっていく、これがまさに基本であるというように考えております。

 ただいまお答えをいただきましたように、価格転嫁に関しましては、とにかく地道に粘り強く取り組んでいくのが基本だという点があるというふうに思いますが、さきのエネルギー価格高騰対策と併せて、施策を充実をさせて、そして確かな結果につながるように、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 次に参ります。インボイスについて御質問をいたします。

 今年の十月一日にインボイスの制度が導入される予定でありますが、年末の税制の時期には、党の中小企業・小規模事業者政策調査会の中にインボイス対策小委員会を設置をして論点整理を行い、私も、税調の小委員会などでインボイス対策の制度の必要性を訴えました。結果的に、IT導入補助金や持続化補助金による手厚い支援、発行事業者になった場合の負担軽減措置、少額取引の事務負担軽減策など、令和五年度の税制改正大綱に盛り込むことができました。これら拡充した支援パッケージを周知をして、そして活用していただくために、万全の体制で取り組む必要があります。

 今、ちょうどこの時期、確定申告の時期でもあるわけですが、免税事業者等からの相談が徐々に増えている時期だ、このように認識もしております。事業者との接点がこういう多い時期にしっかりと、現場が混乱することなく、円滑に制度を導入するための取組を進めていただきたいと考えておりますが、経済産業省としての取組状況をお伺いします。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今年十月からのインボイス制度の円滑な導入に向けて、免税事業者の方々が混乱することなく、政府として、相談体制の整備も含めて、しっかりと支援していくことが重要だと考えてございます。

 具体的には、まず、相談体制ということでございますが、令和四年度第二次補正予算におきまして、支援機関による相談体制を抜本的に強化して、個別相談やセミナー開催などの手厚い支援を実施する、こういう予算もいただいておりますので、これをしっかりと実現して実施していくということでございます。

 加えまして、同じくこの補正予算におきまして、IT導入補助金、それから持続化補助金、こうしたものを含みました生産性革命推進事業として二千億円を措置いただきました。

 このIT導入補助金におきましては、より安価なITツールが販売されているなどということを踏まえまして、この二月公募分から、五万円という補助上限が元々ございましたが、これを撤廃して、より少額なものでもお使いいただけるように使い勝手を向上させております。

 それから、持続化補助金につきましては、この三月の公募分から、免税事業者の方が課税事業者に今回転換をされるという場合に、補助上限額を一律五十万円引き上げる、こういう措置を講じております。

 引き続き、中小企業、小規模事業者の声を伺いつつ、インボイスの円滑な導入のための対応をしっかりやってまいります。

岩田委員 本当に、繰り返しになりますけれども、十月一日に導入をする、こういう方針でございますので、漏れなく皆さんが対応していただけるように、また、他省庁とも連携をして取組を進めていただきたいと思います。

 次に、原発の政策について一点だけ質問をしたいと思います。

 エネルギー安定供給と温暖化対策の両立のために、岸田総理が原子力発電の方針を明確に示され、そして、それを裏づけるGX、脱炭素電源法について今国会で審議をされる予定であります。この中で、私は今日、一つだけ質問したいと思っていますが、丁寧な質問をすべきだ、この点をやはり強調しておきたいと思います。

 岸田総理のこういう政策決定に対して世論でも様々な反応があると私も受け止めておりますが、特にやはり、安全について更に丁寧に説明をする必要があるだろうと感じております。特に、この決定の中の幾つかのポイントでありますが、まるでこういう政策決定が福島事故の反省を忘れているかのような意見があるという点、また、規制政策と利用政策を整理したわけですが、これが安全軽視というように勘違いをされているような点、また、次世代革新炉の安全性がどのように安全性に資するのかということが十分に伝わっていない点、こういった点が私としては気になっております。

 こういった点の国民の理解を深めるために更なる努力が必要だと考えておりますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、お聞きします。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、運転期間の延長に関することでございますけれども、今般、原子力規制委員会におきまして新しい制度案というものを取りまとめさせていただきまして、法律案を提出させていただいたところでございます。

 その内容につきましては、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、また、その十年を超えない期間ごとに、設備の劣化に関する技術的評価を行うことなど、より高い頻度で厳正に審査を行うという制度になってございます。

 さらに、認可対象であります長期施設管理計画につきましては、施設の劣化状況や劣化予測に関する詳細な記載を求めることで、規制委員会として、より厳格な審査を行うことができる制度になっているというところでございます。

 また、国民に分かりやすく説明をするという点を御指摘いただきました。この点につきましても、今般、この新しい制度の技術的な詳細を検討するための検討チームを設けておりますけれども、この検討チームの中で、新しい制度の分かりやすい資料の作成というものを進めるということで取り組んでございます。昨夜も、この検討チーム、二回目を行ったところでございますけれども、規制委員会の委員四名参加をした上で、分かりやすい資料をどう作っていくのかということも議論をさせていただいているというところでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、丁寧に説明できるように準備を進めていきたいというふうに思ってございます。

松山政府参考人 あわせて、エネ庁の方から御答弁申し上げます。

 委員御指摘のように、国内外の情勢変化を踏まえますと、国民生活や産業の基盤となるエネルギーの安定供給の確保というのは喫緊の課題でございます。原子力を含め、あらゆる選択肢を追求していくことが重要だと認識しておりまして、こうした観点から、GX実現に向けた基本方針において、原子力発電についても、安全性の確保を大前提に、運転期間の延長や次世代革新炉の開発、建設などが盛り込まれているところでございますし、この国会の方にも関連する法案を提出させていただいているところでございます。

 その際、御指摘いただきましたように、特に原子力の安全性に関する部分、いろいろな御不安や御説明が必要な部分というのはあろうかと思います。我々も、しっかりと丁寧にしていかなければならないと考えてございます。特に、運転期間の延長に関しまして様々な御指摘を頂戴しておりますけれども、こちらは安全規制というものと運転期間、利用という問題を整理いたしまして、きちっとした安全規制の下で既設の原子力発電所を最大限に活用するにはどうしていけばいいかというための制度設計を今行ってきたところでございます。

 運転期間に関しましては、まずは安全規制として、独立した原子力規制委員会の方での審査がしっかりとなされ、これで確認が取れた上で、その既設の原子力発電所のエネルギー政策上の利用をどうするかというものでございます。その際、現在御提出しております案の中では、高経年化に対する立地地域の不安の声や東電福島第一原発事故の反省を踏まえて、実質的な運転期間の六十年という上限は維持した上で、事業者から見て他律的な要素によって停止した期間に限り、運転期間のカウントからの除外を認める方針としているという整理でございます。安全規制というものと運転期間というもの、この辺りの御不安に対してしっかりと説明を尽くしていく必要があろうかと思ってございます。

 また、次世代革新炉の開発、建設というものも安全性を向上させるものでございます。耐震性向上のための半地下構造、いわゆるパッシブと呼ばれるような安全システム、様々な設計があるところでございますが、こういったことも今後の原子力の利用という意味では非常に重要なところだと考えてございます。

 御指摘を踏まえまして、この国会での議論を始め、全国各地で実施する説明会や対話型の意見交換会、全国紙、SNSといった複数のメディアを組み合わせた情報発信など、様々な手段を活用し、分かりやすく丁寧に説明していきたいと考えてございます。

岩田委員 ありがとうございました。

 申し上げたとおりで、この後、この法案に関して審議なされるわけであります。この審議を通じても、国民の理解が深まり、そして安心が、この気持ちが高まることを是非期待したいというふうに思います。

 次に、新しい資本主義の重点投資分野について、DX、GX、イノベーション、スタートアップ、人への投資、こういった辺りを幾つかピックアップをしながら質問をしていきたいと思っております。

 まず、DX、これは次世代半導体について質問をしてまいります。

 重点投資の中でも、半導体への投資は特に注力をされているんじゃないか、私はこういうふうに認識をしております。以前、予算委員会で西村大臣にも質問いたしましたけれども、大変答弁に熱が入っておられて、その思い入れのほどが感じられたところでございました。特に、私は九州、佐賀県の出身でありまして、やはり、シリコンアイランド九州、これをもう一度取り戻して、そして、世界トップだった日本の半導体産業を復興していきたい、私もそういう思いでこの課題に取り組んでいるところであります。

 DXの進展、もちろんこれから進んでいくわけでありますが、当然ですけれども、データの流通量が大幅に増加をして、そして、そのデータを処理するのがまさに半導体なわけであります。今後のデジタル社会を大きく支える基盤としてのこの半導体、特に、次世代半導体の開発に対しまして、この実用化に向けた取組状況と実現に向けた決意をお伺いしたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のとおり、AIや自動運転などの次世代のデジタル技術によるDXの進展に伴いまして、増大するデータを効率よく省電力で処理するためには次世代半導体が極めて重要でございます。

 経済産業省としましては、二〇二〇年代後半に二ナノ世代以降の次世代半導体の設計、製造基盤を確立するべく、取組を進めているところでございます。具体的には、次世代半導体の設計、製造プロジェクトの主体としてラピダス社を採択したほか、昨年十二月にはラピダス社と世界有数の欧州半導体研究機関IMECとの間のMOC締結の後押しなど、海外のトップクラスの研究機関や産業界との連携も進めております。

 先月にはラピダス社が北海道千歳市に次世代半導体の製造拠点を設立することを発表いたしましたが、次世代半導体プロジェクトは日米欧連携の象徴でありまして、ラピダス社においても着実に取組が進んでいることを歓迎したいと考えております。

 次世代半導体は、従来の半導体と構造が大きく変わるため、量産化に向けて高度な生産技術が必要になるという点で一大転換点でございます。我が国半導体産業の復活に向けて、日本がこれまでの遅れを挽回するラストチャンスであります。仮にこの機会を物にできなければ、一九九〇年代以降、我が国が先端半導体を用いたビジネスで競争力を失ってきた失敗を繰り返すことにもなりかねません。

 経済産業省としましては、令和四年度補正予算で、次世代半導体の研究開発を含む将来技術の開発予算として四千八百五十億円を措置したところでございます。我が国半導体産業の復活に向けて、このラストチャンスを逃さないためにも、官民連携して一歩前に出られるよう、国策として、大胆かつ迅速な取組を引き続き進めてまいる所存でございます。

岩田委員 里見政務官の御答弁からも、本当に並々ならぬ決意と、そしてまた逆に、これで失敗すればというような危機感も感じられて、大変頼もしく感じたところであります。

 目の前、供給が不安定になっている半導体のサプライチェーン強化も重要でありますけれども、やはり、日本が改めて半導体で世界トップを狙うという意味においては、次世代半導体、絶対不可欠だと思いますので、しっかり私も応援をしていきたいと思います。

 次に、GXに関してでありますが、ここではSAF、合成燃料について質問をしてまいりたいと思います。

 まず、SAFでありますけれども、航空分野の脱炭素化は待ったなしの状況であります。

 国際民間航空機関であるICAOにおいて、国際的なCO2排出量の削減目標が掲げられております。ここで、自動車のように電動化や水素エネルギーによる航空機の研究もされていると伺っておりますが、実現はまだ先ということで、燃料そのものの脱炭素化がやはりこれは必要不可欠であります。

 そのために、ジェット燃料、化石燃料由来からの代替となるSAFの導入拡大に大きな関心が寄せられているわけでありますけれども、SAFの製造、供給に向けた課題について、政府としてどのような取組をされておられるのか、お聞きします。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、航空分野の脱炭素化に向けまして、SAFの利用は必要不可欠でございます。現在、産業界も複数の事業者がSAFの製造、供給に向けた取組を進めておりまして、グリーンイノベーション基金などを活用し、SAFの製造技術開発、実証に取り組む事業者を支援するなど、国際競争力のあるSAFの製造技術開発を進めているところでございます。

 また、国土交通省と共同で立ち上げましたSAF官民協議会におきまして、SAFの技術開発支援に加え、原料の確保を含めたサプライチェーンの構築に向けた課題解決に取り組んでおります。こうした取組などを通じ、国内の石油元売事業者が中心となって、商社、エアライン等との連携が広がっており、現時点では、二〇三〇年時点で百万キロリットル以上のSAFの供給を見込んでおります。

 その上で、今後、更なるSAFの供給拡大を目指すため、例えば、東南アジア等の需要獲得を目的に、海外でSAFの原料調達やSAFの製造、供給を検討する事業者も現れておりまして、こうした事業に対する支援の在り方なども検討してまいります。

 引き続き、関係省庁とも連携をし、SAFの技術開発や実証に取り組む事業者の後押しや、原料確保も含めた製造、供給体制の早期確立に向けて、積極的に取組を進めてまいります。

岩田委員 時間の関係もありますので少し駆け足になってまいりますが、また、このGXを進めるに当たって、大きな影響を受ける産業や業界などにトランスフォーメーションの支援をしていくということが重要なわけですけれども、そのとき大事な業界の一つがガソリンスタンドの業界だ、このように考えております。

 ガソリンスタンドは、ちょうどあしたで東日本大震災から十二年を迎えるわけでありますけれども、ガソリンスタンドが災害時の地域の拠点となるべく、まさにトランスフォーメーションというものを全体で進めておられます。災害時にガソリンや灯油などが貯蔵されているということは、まさに人々の命を守ることにつながるわけでありまして、昨年の大雪のときに立ち往生した車に対しての支援であったり、また、さきのトルコ・シリア地震においても、ガソリンスタンドが皆さんの命を守った、家が倒壊したところで、ガソリンによって車の中で暖房をつけて避難をされていたというふうな事例もあったと聞いております。

 そういった中で、御質問したいと思いますが、CO2と水素から合成する合成燃料、新たなCO2を排出しない上に、既存のガソリンスタンドなどのインフラも活用できる、こういった合成燃料の強みを生かした取組が必要です。二〇四〇年の商用化を目指すということにされておりますが、これを是非前倒しする形で支援を強化すべきではないかと考えます。

 併せてでありますが、全国のガソリンスタンドのネットワーク、こういう合成燃料が実用化される、そういった期間にはしっかりと支援をしていくということも重要だと考えております。

 併せて御答弁をお願いいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 合成燃料は、現在は、二〇四〇年までの商用化を目指して、グリーンイノベーション基金などを通じまして、高効率かつ大規模な製造プロセス確立のための技術開発等を進めてございます。

 他方、今委員からも御指摘のとおり、この商用化目標を前倒しすべきという御意見を、委員含め多数からいただいているところでございます。

 現在、我々としましては、この商用化の目標につきましては、GX実現に向けた基本方針を提示した際に、可能な限り前倒しを追求するということを明記させていただきまして、今、その具体的な方策を鋭意検討しているところでございます。この合成燃料の可能な限り早期の商用化ができるよう、取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 また同時に、SSは、御指摘のとおり、平時、災害時を問わず、最後のとりでとして、石油製品の安定供給という重要な役割を担っていただく必要がございます。このため、我々といたしましては、SSの設備更新による経営力強化を後押ししているところでございます。

 具体的には、令和三年度補正予算に続き、令和四年度の補正予算におきましても、SSの事業再構築、経営力強化対策、これに約百八十億円を措置することによりまして、今後も、トランジションの期間でも残り続け、必要な石油製品の需要に対して安定供給をしっかり維持できる体制の確保を支援してまいりたいと考えてございます。

岩田委員 この次、ちょっとイノベーションということで創薬ベンチャーについて質問したかったんですが、時間の関係もありまして、次の機会に回したいと思います。失礼いたします。

 スタートアップについて質問をいたします。

 公共調達についてお伺いしたいと思いますが、これは五か年計画の中でも大事な課題として取り上げられました。現状の契約比率の一%から三%以上、金額にして三千億円規模に早急に拡大するということになっておるところであります。

 公共調達は、スタートアップの立場からしますと、やはり売上げとして立つということ、そして、国などがお客さんになるということによる、信用がアップする、こういった点で重要だということで、計画を議論していたときからもずっと要望として上がってきていたわけであります。

 政府としての、スタートアップの公共調達の拡大、どのように取り組んでいくのか、お聞きします。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘があったとおり、公共調達につきまして、非常に重要だというふうに考えております。このため、スタートアップ育成五か年計画におきましても、公共調達の促進を進めることとしております。

 具体的に申し上げますと、先端分野において独自技術を有するスタートアップからの調達の拡大に向けて、公共調達を見据えた技術開発支援であるSBIR制度におきまして、補正予算二千六十億円を措置いたしまして、支援対象に新たに先端技術分野の実証フェーズを追加したところでございます。

 また、スタートアップの政府調達への参画を拡大するため、随意契約に関するルール作りや、国の大規模研究における加点措置等も含めて入札参加資格制度の検討を図ること、地方デジタル実装を進めるためのデジタル田園都市国家構想交付金の採択審査時にスタートアップからの調達に加点措置を行うなど、地方自治体による公共調達を促進するなどの取組を進めているところでございます。

 スタートアップの新技術、新サービスを国、地方自治体が適切に活用できるよう、関係省庁と連携しつつ、スタートアップからの公共調達の拡大に努めてまいりたいと思っております。

小林(浩)政府参考人 済みません、スタートアップ、中小企業も含めてでございますけれども、先ほどの私の答弁の中で一点だけ訂正させてください。

 IT補助金について、補助上限を五万円の撤廃というふうに申し上げましたが、補助下限を撤廃ということでございました。お時間を頂戴して恐縮でございます。訂正いたします。

岩田委員 この公共調達に関しまして、私、公表されております官公需における創業十年未満の中小企業の契約実績、この内訳のリストを見させていただきました。

 念のため申し上げますけれども、この指標はあくまで中小企業の公共調達の向上のためであって、また、その内容には、物品ですとか工事、こういったものも入っていますので、必ずしもスタートアップ振興に直接つながる指標かどうかという点は留意をしなければならないと思っておりますけれども、なかなかやはり、数字、少ないわけであります。特に、スタートアップと関連性や親和性の高い省庁や独立行政法人、又は大学法人、あえて個別の名前は申し上げませんけれども、こういったところは、独自の方針や目標を持って積極的にスタートアップに発注をして応援をするといったことが私は大事な取組じゃないかというふうに思っております。是非御検討いただけたらと思います。

 済みません、時間の関係で、幾つか準備していた質問をまた次回にということで、最後になると思いますが、今日はやはりどうしても、福島復興については最後に質問させていただきたい、このように思っております。

 あした、三月十一日で十二年を迎えるに当たって、私も、昨年の夏まで約一年間弱、経済産業大臣政務官として福島復興を担当し、また、兼務で復興大臣政務官を拝命をしておりました。新型コロナの影響で思うように被災地訪問ができない時期もありましたけれども、最大限、現地に赴いて皆さんの気持ちに寄り添いたいと活動をしてきたところであります。

 そういった中で、現地の皆さんが前向きに努力をしようとする姿、そしてまた、経産省の皆さんも、現地に赴任をされている職員さんを始めとして、被災地のために汗をかいている姿も直接見させていただきまして、その結果、やはり国民みんなが心を寄せて着実に復興を進めていきたいという思いをより深く持つようになったわけでございます。

 あしたで東日本大震災から十二年。東電の福島第一原発の事故の責任官庁でもある経済産業省として、また、未来につながる様々な施策を進めている点からも、この復興に対する思いと決意をお伺いしたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 明日で東日本大震災から十二年を迎えるに当たりまして、改めて、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策と福島の復興は、経済産業省の最重要課題でございます。

 まず、東京電力福島第一原発の廃炉は福島復興の大前提でありまして、廃炉作業は世界にも前例のない困難な取組ですが、国が定めた中長期ロードマップに基づき、世界の英知を結集しつつ、国も前面に立って、安全かつ着実に進めてまいります。

 次に、いまだ避難指示の残る帰還困難区域では、昨年、葛尾村、大熊町、双葉町で特定復興再生拠点区域の避難指示が解除され、復興に向け一歩前進をいたしました。今後、三月三十一日に避難指示を解除する予定である浪江町を始め、残る富岡町、飯舘村の拠点についても、今春の避難指示解除に向けた取組を進めるとともに、拠点区域外でも帰還意向のある住民全員が帰還できるよう、取組を具現化してまいります。

 そして、解除地域を始めとする浜通り地域において、事業、なりわいの再建、福島イノベーション・コースト構想の推進を通じた新産業創出支援、交流人口の拡大、映像、芸術文化を活用した町づくり等の取組を進めてまいります。

 今後とも、一日も早い復興に向け、被災者の皆様に寄り添いながら、全力で取り組んでまいります。

岩田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌です。よろしくお願いいたします。

 初めに、エネルギー価格の高騰についてお伺いをいたします。

 新型コロナの影響で、国民の生活は大きく変容しました。公明党として、昨年秋に岸田総理に光熱等の高騰対策を提言いたしまして、昨年の第二次補正予算で電気・ガス料金の値下げに対する思い切った対策を盛り込んでいただきました。今、その対策の効果も出てきておりますが、午前中からも議論があったとおり、この四月以降、各電力会社が規制料金の値上げを申請しており、国民の皆様からは不安の声が聞こえます。政府といたしましては、電力会社の意見もよく聞く上で、国民の生活を守ることと、電力会社の事情もよく伺い、電力会社の経営が安定するようにとの、この二つの側面をきちんと立て分けて、しっかりと対策を講じていくことが大事であると思います。

 国民の負担減のために税金を使い、光熱、燃油費の高騰対策を講じているわけでありますので、高騰対策分が電力会社の利益に直接回ってしまうことのないように、最大限の経営効率化を求めるべきであります。

 是非、電気の規制料金の審査におきましては、厳格かつ丁寧な姿勢で臨んでいただきたいと思いますが、西村大臣に見解をお伺いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、大手電力会社七社から、昨年十一月から本年一月にかけて規制料金の改定申請が行われているところであります。主として為替変動や燃料価格の高騰などが背景にあるというふうに承知をしております。

 岸田総理の御指示もございました。その御指示も踏まえながら、為替や燃料価格が大きく変動しておりますので、今後、燃料費をどのように見積もっていくのが適正なのかというところを真剣に議論をしておりますし、また、更なる経営効率化の余地がないのかという点も厳しく見ていかなきゃいけないと思っております。

 引き続き、四月という日程ありきではなく、御指摘のように、厳格に、そしてかつ丁寧に審査を行ってまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 是非、厳格な審査をお願いしたいと思います。

 電力会社の規制料金の値上げ審査の結果、値上げが認められた場合でありますけれども、高騰への追加の支援策を講ずることが必要だと思います。今月三日には、総理から物価高騰対策への追加の具体策を自公の政調会長に検討するよう指示があり、今後、公明党といたしましても、追加の支援策を検討し、提言を行ってまいりたいと思いますので、しっかりと御対応していただきたいと思います。

 追加策への決意につきまして、西村大臣にお伺いをいたします。

西村(康)国務大臣 まずは、今実施をしております、二月の請求分から開始をしております値引き、負担軽減、この支援策を確実に届けていけるように、予算執行をしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

 その上で、今御指摘がありましたように、岸田総理から、私どもにも指示がございましたし、与党にも指示があったというふうに聞いております。電気料金の負担軽減策、様々な声を、いろいろな業界あるいは国民の皆様から声もいただいておりますし、また国会でもいろいろな御意見をいただいております。幅広く様々な観点から検討を進めているところでございます。

 総理の御指示もございますので、与党とも連携しながら対応してまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 エネルギー価格、この上昇の要因は、コロナからの需要回復とウクライナ侵略での制裁、そして円安であります。ここに来まして、エネルギー価格の落ち着きや欧米などの景気減速の見込みなど、全体では落ち着いてくるようには思いますが、世界的な需要の動向は予測が難しいと思います。ただ、これからしばらくの間、エネルギーの価格は上昇が続くと思います。是非、機動的に対策をしていただきますよう強く要望をさせていただきたいと思います。

 この物価高への対応は、電気料金のほか、ガソリン価格などへの激変緩和措置ですとか、また、都市ガス代への補助、LPガスの値上がり抑制策など、強力に迅速に推し進めていただきました。

 一方、地方では、地域の様々な状況があり、国で一律での対策を取ることが困難であることから、それぞれの自治体が地域に応じた具体策が実施できるように、地方創生臨時交付金を各自治体の物価高対策に使えるようにしていただきました。例えば、学校給食費の補助ですとか、水道基本料金の一時免除等、様々な支援が行われてきたわけでありますけれども、各自治体として、物価高対策は更に講じなければならないと考えております。

 是非、この地方創生臨時交付金につきましては、柔軟に対応できるよう引き続き手当てをしていただきまして、是非、拡充していただきたいと思いますが、この点についてお伺いをしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金につきましては、コロナ禍におきます物価高騰対応といたしまして、昨年四月にコロナ禍におきます原油価格、物価高騰対応分、昨年九月に電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設したところでございます。

 各自治体におきましては、本交付金を活用しまして、コロナ禍で物価高騰に苦しむ生活者、事業者の立場に立って、地域の実情に応じた様々な物価高騰対策を幅広く講じていただいていると承知しているところでございます。

 引き続き、自治体におきます本交付金の着実な予算執行に努めるとともに、今後につきましては、物価動向や国民生活、事業者への影響を注視しながら、政府全体で適切にしっかり対応してまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 次に、先ほど岩田委員からもございましたが、LPガスへの対応についてお伺いします。

 ガス利用者の四五%がLPガスを利用しております。LPガスを扱う会社は、大小様々ありまして、現在約一万七千社と言われておりまして、そのほとんどは地方にあります。

 LPガスへの支援といたしましては、地方創生臨時交付金が活用できるようにしていただきましたけれども、地方自治体も、全体の配分が終わってしまってからLPガス料金の支援ができることが分かり、利用できない実態がございました。また、活用しているのは全国でたった八県と、やや混乱している感じが見受けられます。

 こうした状況を踏まえまして、是非、地方創生臨時交付金の拡大など、積極的な取組を強くお願いしたいと思いますが、前向きな答弁をいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 LPガス料金対策といたしましては、まず、全国ベースでは、国として、人件費、配送費の抑制につながる事業効率化に向けた支援策を先月末からスタートしているところでございます。

 加えまして、各自治体の、より地域の実情に即した形で、LPガスの料金の抑制のための支援ができるような形で、委員御指摘の地方創生臨時交付金、これをLPガス料金対策に使ってくださいということでの働きかけを我々やってきているところです。

 まだ採用いただいている自治体の数が一部にとどまっておりますけれども、我々としては、こういうベストプラクティスをほかの自治体にも積極的にPRして、より多くの自治体がこのメニューを使っていただけるように働きかけをしていきたいと思いますし、委員御指摘のとおり、財源がもう既に枯渇しているという問題も伺っておりますので、これにつきましては、関係省庁としっかり相談しながら、今度の総理の指示に基づく対策の中でしっかり検討の結果を出していきたいというふうに考えてございます。

中川(宏)委員 よろしくお願いいたします。

 このLPガス料金の請求で、商習慣として設備関連の費用が含まれている場合が多いと、よく聞きます。

 二〇一七年に、LPガス料金に含まれる設備の費用を公表することなどを求めた運用指針が策定をされましたが、利用者からいたしますと、どこまでがガス料金なのか分かりづらいという場面がありまして、更なる対応が必要ではないかと感じております。

 有識者会議では、外から規制を設けないと状態が変わらないとの指摘があった一方で、LPガス事業者側からは、利益を受けているのは不動産業者や大家であり、LPガス事業者は利益を得ていない、こういう声もあります。

 現状をどう見ており、この課題につきましてはどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 LPガスの配管や設備のいわゆる無償貸与などと言われています商慣行のことと理解してございます。

 例えば、ガス会社の切替え、変更をしようとしたときに、過去の配管工事や過去に設置した設備の代金を請求されるために、ガス会社を思ったとおりに変更できないというようなケース、あるいは、マンションなどの賃貸住宅におきまして、ガス機器やエアコンの費用をLPガス会社が負担することで、アパート入居者の毎月のガス料金が割高になるといった消費者の不利益につながっている商慣行があると承知してございます。

 これまでも、経済産業省といたしましては、例えば、ガス料金に設備費用が含まれる場合には、その内訳をしっかり明記しなさいというようなことを求める制度改正でありますとか、アパートなどへの入居を検討している消費者に事前にガス料金の提示を徹底するよう、国土交通省と連携して関係団体に要請するといった取組を行ってきているところでございます。

 しかしながら、消費者からの問合せは依然として多く、また、リベートなど、LPガス価格での競争を超えた状況となっているということもありまして、我々としては改善の余地があると認識してございます。

 このため、国土交通省、消費者庁など関係省庁も参加する形で、総合資源エネルギー調査会の下で、LPガス流通ワーキンググループというのを最近再開したところでございます。今後、多分立場によっていろいろな御意見があるんだと思いますけれども、様々な御意見をしっかり拝聴しながら、LPガスの取引適正化に向けた対策を取りまとめてまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 続きまして、午前中からも議論がございますが、中小企業の賃金の引上げについてお伺いをしたいと思います。

 この中小企業の賃上げは実に難しい課題であると思っております。賃上げを国が直接的にできる対策というものがほとんどない状態の中で、間接的な側面からしっかりと今押し上げていただいて、全力で取り組んでいただいていると思いますけれども、その中でも、下請Gメンの対策は大変重要な対策であると思っております。この下請Gメンの対策について、更なる拡充も含めて、価格転嫁対策についてお伺いをしたいと思います。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、物価高が進む中で、成長と分配の好循環の鍵を握る中小企業の賃上げ、これが非常に重要でございますので、この原資を確保できるよう、価格転嫁の環境を整備していくことが重要だと認識してございます。

 このため、価格転嫁対策としては、年二回の価格交渉促進月間、その結果の公表、これは百五十社の企業の公表なんというのも、結果の公表もしておりますし、業界ごとのデータも出させていただいております。それから、芳しくない親事業者の方には、その経営陣に対する指導助言、こういったことを行ってまいります。

 こうした取組をしていく中で、御指摘の下請Gメン、非常に重要なキーでありまして、これがしっかりとその生声を拾ってくることで、個別の指導助言若しくは業界ごとの慣行であるとか、こういったことを改めていただくようなお願いをしていくことに有益だということでございます。

 この体制については徐々に拡大をしてきておりまして、この一月からは三百名の体制にできましたので、これは東京だけじゃなくてあちこち、各経産局にもおりますので、これが引き続き、これまで以上に業界の慣行であるとか個別の声を拾いまして、これを交渉月間とそのフィードバック、こういったものに生かしていくように、引き続き鋭意努力をしてまいりたいと思います。

中川(宏)委員 この下請Gメンですけれども、秘密保持を前提としてお話を伺いまして、国や業界が定めるルール作りに反映するなど、適正取引に向けた取組を強く促し、発注者側に働きかけるわけでありますけれども、秘密保持を徹底しても、発注者側からすると、あの業者だなと特定してしまう場合があると思われます。個々の部分について相談者が、特定されたら仕事自体がなくなってしまうのであれば安くてもやらざるを得ないという、泣き寝入りをしてしまうのではないかと考えるところであります。

 この対策について、相談者が不利益にならない対策について、具体的にお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 下請Gメンのヒアリングをお願いした中小企業さんからは、御指摘のような御懸念の声もお伺いすることもございます。

 まず、このため、先方の御要望に応じて、下請Gメンは服装や訪問場所、こういったものも柔軟に対応するなど、中小企業庁が訪問した事実が知られないような、こんな工夫をしておるところでございます。

 その上で、親事業者さんとの取引や交渉、こういったものは当然、下請事業者さんにとっての大変な企業秘密だ、これを扱うんだということをしっかりと下請Gメンが認識の上、ヒアリングした情報については、情報提供元がどこなのかということが特定されることがないよう、細心の注意を払ってございまして、このため、ヒアリング結果は、その下請事業者さんはどこなんだということは匿名化を必ずいたしますし、同種の生声を必ず複数収集した上で、これを親会社や業界団体に宛てていくというようなことをしているところでございます。

 今後とも、下請事業者の方が特定されて何か不利益を被ることがないように、この価格転嫁の取組をしっかりやっていきたいと思います。

中川(宏)委員 是非そのような御対応をお願いしたいと思います。

 続いて、済みません、質問を一つ飛ばしまして、中小企業の資金繰りについてお伺いをしたいと思います。

 本年一月十日からゼロゼロ融資の借換え保証制度が創設をされて、実績といたしまして、二月十七日時点で約六千五百件の保証が承諾されたと伺いましたけれども、現状、申込件数はどのぐらいあるのか。また、借換え後の今後の推移も含めまして、しっかりとこれにつきましては対応していただきたいと思いますが、経産省といたしましてどう対応していくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

小林(浩)政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、民間ゼロゼロ融資の返済本格化を迎える中で、コロナの借換え保証という制度が非常に重要になってきてございます。

 この借換えによって返済期間を長期化させて、その間に収益力改善に取り組んでいただく、こういう趣旨でございますけれども、この制度は、保証料を今、本来〇・八五%のところを〇・二%まで引き下げておりますし、一〇〇%保証でお貸しした融資は一〇〇%保証で借換えできるように、こう工夫をしておりまして、さらに、保証の上限というものについても一億円ということに設定をして、新たな資金需要にも対応する制度としてございます。

 そして、お尋ねの今の実績でございますが、一月十日よりこの借換え保証制度は開始いたしましたが、最新、三月三日時点という数字がございまして、保証の申込みは約二・五万件、このうち、審査に少し時間がかかりますので、一定の時間を要した後、承諾まで至ったものが、三月三日時点で約一・二万件、こういうことでございます。

 返済の開始時期は、御案内のように本年七月以降に集中するということが見込まれておりますので、引き続き、本制度をしっかり広報をして、活用をしていただくことで、中小企業の皆様の返済負担を軽減して、資金繰り支援ということで万全を期していきたいと思います。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 利用者からは、よく、この手続には時間がかかる、実際の融資となると更に時間がかかってしまう、こういう話をよくお伺いいたします。

 確かに、一定の時間が要る、先ほどもお話があったとおりでございますけれども、条件変更ですとか、また、ゼロゼロ融資の借換えについてはできるだけ速やかに対応していただきますよう、国からも丁寧に各金融機関等に呼びかけていただきたいと思いますが、この点につきましてお願いしたいと思います。

新発田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、事業者の置かれました事業環境、大変厳しいものがございますので、金融機関による迅速な資金繰り支援が大変重要だというふうに考えてございます。

 このため、金融機関に対しまして、既往債務の条件変更ですとか新たな借換え保証制度の活用を含めた借換え等について、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応をすること、それから、条件変更や借換え、新規融資を行う場合の債権の区分に関しては、引き続き金融機関の判断を尊重することとしていることを踏まえて、事業者に寄り添った資金繰り支援に努めることということを、繰り返し要請してございます。

 また、官民の金融機関の代表の方々を先日の七日に集めまして、新たな借換え保証制度の活用を積極的に提案し伴走支援に努めるなど、資金繰り支援に万全を期するように、鈴木大臣からも直接お願いをしているところでございます。

 金融庁としては、今後とも、新たな借換え保証制度の活用状況も含めまして、金融機関の取組状況をしっかりと確認をして、事業者に寄り添った、丁寧かつきめ細かな支援を促してまいりたいというふうに考えてございます。

中川(宏)委員 時間が参りましたので、以上で終わりたいと思いますが、コロナ禍で債務が増大した中小企業、相当ございます。その中で、資金繰り支援につきましては、これはしっかり継続的にやっていくことが今一番大事なことだと思いますので、更なる取組を要望いたしまして、以上で終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 今、GXの基本方針が出されまして、法案も二つ提出ということでございます。エネルギーの問題、大変重要な課題に、本当に日本の将来を決めるような、そういうタイミングになったのかなというふうに思います。

 今、私たち立憲民主党も、エネルギー転換戦略、我々の提案、ロードマップを説明をしようということで、全国でタウンミーティングを開催しています。なかなかこれは難しい分野ではありますけれども、しっかりとデータを使って正しい情報を提供することで、やはり国民の皆さん、御理解を深めていただく、判断いただけるというふうに思っております。

 そういう意味で、経産委員会も是非、丁寧な議論、データや情報に基づいた議論をさせていただこうというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 東日本大震災、それから東京電力福島第一原発の事故から、明日で本当に十二年であります。本当に、全ての命を落とされた方、関連死の皆様も含めて、本当に痛ましい災害でありました。心から哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたします。

 そしてまた、いまだ被災の中にある皆様も大勢いらっしゃいます。三万人を超える方が避難生活を強いられている。特に私、ずっと寄り添ってまいりました、原発事故で特に区域外避難者と呼ばれている方々、生活の基盤を奪われ、現在は国家公務員宿舎などに入っている方もいらっしゃるのでありますが、退去を迫られて、裁判を起こされて闘わなければいけない、そういう方々もいらっしゃるということであります。

 私は政府に、いま一度やはり原点に立ち戻って、全ての被災者の生活の再建、これは皆さん本当に被災者であります、被害者でありますので、こうした皆さんに寄り添う施策、生活の再建に全力を尽くしていただきたいと改めて求めさせていただきます。

 また、あの東電の福島原発事故の現場では、廃炉作業、本当に多くの皆様が毎日奮闘されています。なかなか先が見えない、そういう中での作業。まだあの原発事故というのは終わっていない、過去のものにしてはいけないという思いが強くございます。

 そうした中で、岸田政権はGX推進を掲げまして、原発回帰の政策を次々と打ち出そうとしています。言葉では原発の安全最優先、福島を忘れないと言いながら、私は、やはりこの政策の展開の仕方、本来であれば、国策で進めてあの事故を起こした福島の事故の収束というものを最優先で考えるべきで、その前提が少しずれているのではないかなと非常に危惧をしております。

 質問じゃないんですけれども、大臣、十二年目を迎えて、あの福島の原発事故をどのように捉えていらっしゃるのか、もう一回所感をお聞かせをいただければと思います。

西村(康)国務大臣 明日で十二年を迎えるわけであります。私も追悼式典へ出席する予定にしておりますけれども、まさにあの東京電力福島第一原発の事故、この教訓、反省、これをいっときたりとも忘れてはならないという、私自身も胸に刻みながら取り組んでいるところであります。

 御指摘のように、廃炉を着実に進めること、そして福島の復興、これを必ず成し遂げていく、そのために着実に施策に取り組んでいくこと、このことに全力を挙げていきたいと思います。まさに福島の復興に責任を持って取り組んでいきたいと思います。

 そして、岸田総理が常々言われているように、私ども、安全確保が最優先でありますので、幾ら動かしたいと思って、今も、再稼働できるものはしたいと私は思っております。ところが、これはもう規制委員会の安全基準を満たさないとできないわけでありますので、まさに事故の最大の教訓、最大の反省は、利用と規制を一緒にやっていたことでありますので、規制を分けて、独立した規制委員会が厳しい基準で審査をされているということでありますので、それに真摯に対応していくということであります。

 その安全性の確保ができたものについて再稼働していくというのは、私は、国民生活そして経済に責任を持つ立場として、エネルギーの安定供給そして脱炭素化、同時に進めていくためには、私は原子力の活用は必要だというふうに思っております。

 その意味で、そのような思いで、福島の皆さんの気持ちにも寄り添いながら取り組んでいきたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 今大臣からも述べていただきましたけれども、この原発事故の教訓の一つは、やはり推進と規制が一体になってしまっていて、規制がうまく機能していなかったのではないかという教訓がございました。

 国会の事故の調査会がありまして、黒川委員長、様々、調査をしていただいた結果として、規制する側、監督官庁が、規制される側の論理にのみ込まれていた、いわゆる規制のとりこというような言葉で表現される事態が起きていた。これを正して再スタートしたのが原子力規制委員会でありますし、原子力規制庁であったということで理解をしておりました。

 その中で、幾つか今日取り上げなければいけないのは、そうした分離が今揺らいでいるんじゃないかという懸念であります。

 今日は、委員長、お越しいただいております。山中委員長にお聞きをしたいんです。

 原子力規制庁の人事についてお伺いいたしますけれども、今、原子力規制庁の三人のトップ、長官、次長、原子力規制技監、それぞれの出身官庁を教えてください。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の人事につきましては、ノーリターンルールの下、規制庁発足以来、職員の出自によらず、規制行政に携わってきた職員が選ばれたものと受け止めております。

 トップ三人は、経済産業省出身でございます。

山崎(誠)委員 幹部の職員、これはホームページに出ているのでありますけれども、何人いらっしゃって、その中が、経産省から来られている方は何人ですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 幹部職員は四十五名で、経産省出身は二十一名でございます。

山崎(誠)委員 山中委員長にお聞きしたいんですけれども、今お聞きをした中身で、トップ三人が経産省から来ている、こういう状況というのは今までの歴史の中でありましたか。

山中政府特別補佐人 現時点が初めてかと思います。

山崎(誠)委員 幹部職員の半分近くが経産省出身であり、トップが三人とも経産省出身だと。私は、これは、推進と規制の分離というその原則、これに照らし合わせて、やはりおかしいのではないかと思います。

 正しい理由があるのであればまた教えていただきたいのでありますけれども、人事という、人はどうしても前の様々な職場の関係を引きずって動いていきます。ノーリターンだとはいえ、そこまでずっと一緒にやってきた人たち、規制側、推進側、これは一体になりつつあるのではないかとすごく危惧をします。

 是非、こうした人事が行われないように委員長には監督をしていただきたいのでありますが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御懸念は、原子力規制委員会の独立性に対する影響に関するものと理解しております。職員の出自によらず、引き続き、原子力規制委員会及び原子力規制庁が、組織理念に従って厳格に規制判断を行っていくことに変わりはありません。

 現在も職員にそうした理念が継続して共有されているものと考えておりますし、今後ともそれを強く求めていくものでございます。

山崎(誠)委員 是非、経産省だけではなくて、環境省あるいはほかの省庁、そういう人もちゃんと育てて、経産省とつながっている方ばかりではないような、そういう組織を是非つくっていただきたい。あるいは、プロパーの職員の方もいらっしゃるわけですから、そういう方々をうまく育てていただきたい。いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 当然のことではございますけれども、原子力規制庁職員の能力向上には現在も努力しているところでございます。

山崎(誠)委員 私が言っているのは、やはりそういう経産省に依存をするような規制委員会ではなくて、規制庁ではなくて、もっと独立性を担保した、経産省というのはやはり推進側の組織なのであります。そこから人が来る、依存をするということが、規制委員会、規制庁の信頼に私は水を差すと思うので、是非そこは、今の答弁とは違います、意味が違います、是非もう一回考え直していただきたいと思います。

 それからもう一つは、岸田総理から原発の運転延長に関するお話を、環境大臣が規制庁の長官に伝えた、指示を伝達したという話であります。これは私は予算委員会でも、西村環境大臣にも質問させていただきました。

 その中では、例えば、丁寧な説明ができるように閣議決定までに準備をするように、そのようなお話があったり、記者会見では、新たな安全規制の具体化、的確な安全審査に向けた官民の体制整備を進める、そういうような指示が伝わったというふうになっております。今日は新聞の記事もつけました。

 山中委員長は、このお話はどういうふうにお聞きになりましたか。

山中政府特別補佐人 西村大臣から片山長官に対して総理のお考えの趣旨が伝達されたその日のうちに、長官から私の方にその旨の報告がございました。二月十七日だったと記憶しております。

 しかしながら、もとより、総理指示は原子力規制委員会に対してなされたものではございません。原子力規制委員会は、総理の指示を受けて何らかの取組を行う立場にはないと認識しております。

 いずれにいたしましても、原子力規制委員会としては、総理指示より前の二月十五日の会見で私が申し上げたとおり、新たな制度の国民への分かりやすい説明、安全規制等の法施行に向けた技術的な準備、六十年を超える期間での安全性の確認についての検討にただいま取り組んでいるところでございます。

山崎(誠)委員 山中委員長、こういう指示、伝達が以前にもありましたか。山中委員長はまだ任命されてから浅いと思いますけれども、過去に遡って調べていただいていると思いますが、どうですか。こういう指示が大臣だとか総理から規制委員会、規制庁にあったこと、過去にございますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制の方針に関することについて、原子力規制委員会又は原子力規制庁が閣僚から何らかの指示を受け、あるいは指示の伝達を受けた事項については、調べた限りでは、私、把握しておりません。

山崎(誠)委員 ない。今までこういうことはなかったんですよ、やはり。

 私は規制委員会の独立性が一定守られてきたんだと思っているんですけれども、今回のこの件で初めて総理からそういう指示があって、結局、長官から委員長に伝わっているわけですね、そういう指示があったんだよということが。その中の中身が問題であります。

 これは非公開のお話なので、明らかになっておりません。新聞記事にも「迷走」と書いてありますけれども、新たな安全規制の具体化というような話がありましたか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 私が報告を受けておりますのは、安全規制そのものではなくて、体制整備についてサポートするようにという、そういう、大臣に指示があったという報告を受けております。

山崎(誠)委員 何の体制整備ですか。今もう既に規制委員会、規制庁、体制を持ってやっている。それをどういうふうに整備しろというんですか。

山中政府特別補佐人 詳細の内容について、私、把握はしておりませんけれども、少なくとも、報告を受けた内容については、人員あるいは体制のサポート、そういう意味だと私は理解しております。

山崎(誠)委員 西村経産大臣、一緒にお話を総理から聞いたんですか。西村環境大臣と西村経産大臣は一緒に指示を受けたんですか。そのときの内容をお話しください。

西村(康)国務大臣 岸田総理から私に指示があったのは、まさに、安全確保について万全を期すように、そのための体制をしっかり取るようにということでありました。

 今回の進めている法案の中身、方向性、GX実行会議で、閣議決定しているわけでありますけれども、そのことについて、国民の皆さんにしっかりと理解されるような、国会の審議においても丁寧に説明できるような、そういう準備をしっかりしてほしい、こういう趣旨のお話を私はいただきました。

山崎(誠)委員 これ、前提として、規制の運転期間の制限を取っ払う、その制限を変えるという、そのGXについての指示が下りたんじゃないのかなと。はっきりとそれはお話しになられませんけれども、そういうふうに受け取られますよ。

 私は、規制と推進の分離、これが揺らいでいる事例の一つだと思います。総理が規制委員会に指示を出す、伝達をする、こういうことをやりたいので頼みますという話が行くということ自体が、この分離の大原則に私は反していると思います。

 是非、ここはもう一回時間を取ってやりたいと思います。こういうことが起こってきている、安全最優先だと言っていながら、そのとりでであります規制委員会の業務、独立性に今疑問、問題が生じているということ、これは指摘をしておきます。

 それでは、次の話題に移りたいと思います。二番はちょっと飛ばしまして、三番、これは何度も今お話が出ていますけれども、大手電力会社による不正の事案であります。

 一つは、カルテルの問題。大手の四社ですか、関西電力、中国電力、中部電力、九州電力がカルテルを結んで小売のエリアを限定をする、それぞれ相互不可侵のような取決めをしていたということでございます。

 それから、顧客情報の不正閲覧、これは大手の北海道電力、東電を除く八社ということであります。

 こうした不正が行われたこと、起こっていること、これ、電力システム改革の大きな目標の一つであります、やはり競争をきちっと公正な上で行って、そして電力価格を抑えていく、そういう目的に私は大きくひびを入れる事象だというふうに思います。

 この不正事案の影響、大臣、どういうふうにお考えですか。

西村(康)国務大臣 十二月一日、昨年ですね、公正取引委員会が中部電力、中国電力、九州電力に対して、カルテルに対する処分案の事前通知を行ったということで承知しております。

 公取による調査の手続が継続しておりますので、御質問についての当省のコメント、私のコメントは差し控えたいと思いますが、一般論で申し上げれば、電力自由化による競争の促進は極めて重要、そのために改革を行ったわけでありますので。仮に、公正な取引を妨げ得るような行為があったとすれば、誠に遺憾なことであります。

 また、顧客情報の適切な管理、これについても、一般送配電事業者の電気事業法の義務であり、中立性そして公平性の土台であります。さらには、顧客情報が不適切に営業目的に利用された今般の情報漏えい、不正閲覧事案は、まさに電気事業の公正な競争を揺るがしかねない、そうした極めて厳しい事態だというふうに認識をしております。

 本事案については、現在、電力・ガス取引監視等委員会において事実関係の確認そして原因分析の調査を実施しておりますので、私としては、その調査結果を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 具体的に、私は、競争がしっかりと機能しない、そうなりますと、コストも比較的高止まりをしてしまったり、あるいは、様々な新しい電力が競争しながら育っていく、そういう環境を壊してしまっているということだというふうに認識をして、今の電力高騰の問題も、こういったところから正していかないと、構造的な価格の抑制というのはやはりできないのではないかなというふうにも思っております。

 そういう視点で是非この問題をやはり重要視をして、いかに競争関係を正しくするか、それによってコストダウン、電力価格の抑制というものを働かせるか、そういう視点を持っていただきたいと思います。

 電取委の事務局長、来ていただいていると思います。今、調査をしなければいけない、いろいろやっていらっしゃると思うんですけれども、根本的に、例えばカルテルの問題について見ると、事前にこれを察知する方法があったんじゃないかなと私は思うのであります。いろいろなデータを皆さんはお持ちだと思うし、見ていらっしゃると思うんですけれども、例えば、そういう電力会社のエリア、契約の分布状況みたいなものを見ると、今問題になっている四社のエリアがどういうふうな分布になっていて、では、ほかのエリアはどうなのかというのは分かると思うんですよ。要するに、旧エリアですよね、今まであったブロックの外の契約がどのぐらい伸びているか。そういったことというのは、一定、数値で把握できると思うんですけれども、いかがですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 カルテルにつきましては、当委員会としても、適正な取引の確保の観点から強い関心を持って注視をしておりますが、専門的な知見や強力な調査権限を有し、電力、ガス分野を含むあらゆる業種におけるカルテルのような行為への規制を専門的に担当しております公正取引委員会が対処することは重要であるというふうに考えております。

 その上で、当委員会と公正取引委員会が、個別の事案についてどちらが端緒をつかむのかということについては、様々なケースがあり得ると思っております。

 当委員会では、各小売電気事業者の販売電力量や販売額などの情報を定期的に事業者から収集しておりますが、全国的には大手電力会社による域外進出は全体としては増加傾向にあると承知をしております。

 いずれにせよ、公正取引委員会による処分が決定した後、当委員会としても、公正取引委員会による処分の内容を踏まえて適切な対応を検討してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 今、域外というかエリア外の契約も増えているというお話でありますけれども、それをちゃんと分析をしていれば、今回のカルテルの事案などももっと早く見つけて、あるいは早く注意をして、これはおかしいぞというアラームを鳴らすことができたんじゃないかと私は思うんですよ。何かそういう観点で、やはり更に皆さんの機能というのかな、手法というのかを磨いていただきたいというふうに思います。

 それから、今日は規制改革の副大臣にも来ていただいて、ありがとうございます。

 これは先ほども話題にはなっておりましたけれども、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの提言ということで、この問題については、私は、極めて真っ当な提言を出されたというふうに読ませていただきました。

 ちょっと内容を紹介いただきたいんですが。簡単で構いません。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 三月二日に行われました再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの会合におきましては、四名の構成員から以下の点が提言をされました。

 一点目でございますけれども、今回の事実の真相の徹底究明を図ること。二点目は、情報システムの物理分割の義務化等の行為規制の強化や罰金額の引上げ等の罰則強化。三点目、電力・ガス取引監視等委員会の機能強化等。四点目、所有権分離の実現。この四点が提言をされました。これを受けまして、出席者間で様々な議論が行われたところでございます。

 電力の公正な競争環境確保は、電力需要家への再生可能エネルギープランの提供に力を入れている新電力が大手電力会社の小売部門と公平に競争ができる環境を整え、再生可能エネルギーの普及を推進していく観点から、重要な課題だと受け止めております。

 三月二日の再エネタスクフォースでの議論も踏まえ、所管の経済産業省において今後の御対応を御検討いただくというふうなことで期待をしております。

山崎(誠)委員 このタスクフォースのこうした提言とか議論はどういうふうに処理されているか、これまで。見ると、必ずそのフォローアップの回答がいろいろ書かれていたりしていると思うんですけれども、どんな扱いをされていますか。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 基本的には、内閣府の規制改革担当が経済産業省の方に御提言を申し上げて、そして、御議論をお任せするというふうなことになっております。

山崎(誠)委員 今回の提言も、そういう形で経産省に投げて、何らかの対応を求めるということでいいですね。

和田副大臣 はい、おっしゃるとおりでございます。

山崎(誠)委員 是非、この提言については重く受け止めていただいて、調査もこれからまだいろいろ進捗もあるんだと思いますが、こうしたことがないように。

 ここで皆さんが提言をされています、電力の送配電をどうするのか、どういう経営にするのかというのは、これは二〇一三年のまず電力システム改革のスタートの段階からやはり議論のあった点でありますから、重く受け止めて、提言をただ受け取って終わりではないということで、経産大臣、是非、御対応、御検討をお願いしたいんですけれども、所感をお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、まさに今回の一連の情報漏えい、不正閲覧は、小売電気事業者間の公正な競争、そして一般送配電事業の中立性、信頼性を揺るがしかねない、まさに疑念を抱かせかねない、極めて遺憾であるというふうに認識をしております。

 私どもも現在、電取委において、また資源エネルギー庁において、事案の事実関係の確認や原因分析のための調査を実施しているところでありますが、今御説明があったように、内閣府の有識者会議で公表された提言、承知をしております。

 私ども、現在調査をしておりますので、まずはその結果を精査をしていきたいと思いますが、電取委やあるいは資源エネルギー庁の有識者会議において議論がもう既に始まっておりますので、電力システム改革の趣旨に照らしながら、再発防止という観点から、まさに、結論ありきではなく、虚心坦懐に議論していただきたいというふうに考えているところであります。

 経産省としては、その議論も踏まえ、また調査結果も踏まえ、適切に対応していきたいと思います。

山崎(誠)委員 是非、適切な対応、どういうふうにこれを受け止めたのか、またお聞きをしたいと思います。

 時間が限られておりますので、四番、伺います。電力料金の高騰についてです。

 今お話ししたように、二番でも取り上げたかったのでありますけれども、ちょっと今日は時間がないので次回に譲りますけれども、本当に構造的に変えていかなければ、この電力料金の高止まりというのは私は収まらないのではないかなというふうに思います。

 今回の電力料金の値上げの申請については、資料にもつけましたけれども、例えば、燃料価格の基準になる月をずらすことによって燃料費の抑制が働くとか、多分、まだまだ、いろいろな見方あるいは対応の仕方で電力料金というのは変わってくるんだろうというふうに思います。もっと言うならば、電力料金、そもそも、今、電力会社の経営が大変難しい状況にある。これは、一つには資源の価格の高騰もありますけれども、それだけでは私はないのではないかなというふうにも思います。そういった観点も含めて、突っ込んだ、価格の、料金の申請、ちゃんとチェックをしていただきたいというふうに思います。

 一つは、今日、消費者庁の担当の副大臣も来ていただいたので一言いただきたいんですけれども、これは単に、言うまでもないのでありますけれども、電力会社の視点だけではなくて、消費者の視点も大事であります。今本当に全てのいろいろな価格が高騰している中で、消費者庁がどういうメッセージを出すかというのは、私は、国民に対しても、非常にやはり注目をされているし、重要な局面だと思うので、是非、この電力料金の改定についての見解、あるいはこれをどう精査していくのか、方針をお話しいただきたいと思います。

大串副大臣 公共料金の改定に当たりましては、消費者基本法において、消費者に与える影響を十分に考慮することになっておりまして、一定の重要な案件については、所管省庁が認可等を行うのに先立って、所管省庁から消費者庁に協議がなされることになっております。

 現在、電力会社七社から経済産業省に対して、電気の規制料金の値上げ申請が行われておりますけれども、消費者に与える影響が極めて大きいことから、消費者の理解と納得を十分に得られるようにすることが重要であるというふうに認識をしております。

 所管省庁である経済産業省から協議を受ける消費者庁といたしましては、消費者の視点から、値上げの理由やコスト効率化の徹底などについて、専門家の知見もいただきながらしっかりと見てまいる所存でございます。

山崎(誠)委員 時間ですので終わりますが、是非これは、納得感のある徹底的な議論を踏まえた上で、構造的な改革も道筋をしっかりと示していただいて、御対応いただきたい。お願いをいたします。

 以上です。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。今日は私がラストバッターでございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということで、重要であると思う項目について取り上げさせていただきます。

 まずは、今年の秋から始まりますインボイスについてでございます。

 財務省から政務官にお越しをいただきました。昨年の秋に引き続いて、私の質疑で二回目だと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、根本的なことを伺いたいのですが、消費税というのは事業者にとっては預り金なのでしょうか。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 消費税は、消費税相当額が売上時に対価に含まれ、納税されるまでの間は事業者の下にとどまることから、預り金的性格を有するものだというふうに考えております。

落合委員 預り金的だというところが、一つの、中小企業政策、小規模事業者政策を考える上ではポイントだと思います。

 今、政務官も、対価に含まれるというふうにおっしゃいました。価格に対して税を乗っけてお客さんから対価をもらうというよりも、価格に含まれている。なので、その価格は、消費税分も考慮しながら価格を設定してくださいということを、消費税引上げのときなども財務省が指針を出しているわけでございます。

 それから、完全に預り金ではなくて、預り金的だとおっしゃったのは、恐らく、預かった消費税を全部帳簿に載せておいて、計算して、それを税務署に納めるわけではない。仕入れの一〇%を売上げの一〇%から引いた金額、これを納めるという形で、仕入れ税額控除方式というのが取られているわけです。そういうことで、要は、適正な価格を設定しないと消費税は払えないということなわけでございます。

 ここからは経産省の関わる政策になってくるわけですけれども、インボイスが導入されることで、取引関係がある場合になるべくインボイスを導入してくださいねという連絡が行っているわけです。

 今までは、年間の売上げが一千万円以下の事業者は、基本的には消費税の免税事業者でした。免税事業者と大企業が取引しても、今の方式だと問題がなかったわけですけれども、インボイスを導入すると、免税事業者の分は親取引事業者が消費税分をかぶらなきゃいけない。仕入れ税額控除方式を取っているので、仕入れ分の、その引くの部分に入らなくなっちゃうわけです。なので、消費税の納税額が増えちゃうので、なるべく免税事業者は課税事業者になってほしいなというインセンティブが、企業間、事業者間の取引では働くわけでございます。

 一方で、もう、どんな調査も、いろいろな調査もありますけれども、今、価格転嫁がまずできていない。どんどん企業物価指数が上がっているけれども、特に小さい事業者ほど価格転嫁ができていないという数字は出ています。

 それから、これは元々、今だけではなくて、もうずっと問題になってきました。大きい事業者より小さい事業者の方が利益率が低いということも、日本の経済の問題として、大きな問題として存在をしていたわけです。

 今インボイスを導入すれば、その利益率が低くて価格転嫁ができていないところに、ピンポイントに売上げに対して増税をする。しかも、それは、本来の利益分が消費税の支払いに充てられるわけです。こういうことを今やろうとしているわけなので、一つの中小企業行政の山場を迎えているというふうに思います。

 今回の大臣所信も、価格転嫁の問題や取引適正化の問題に取り組むというふうに書いてはあるんですが、インボイスという言葉は全く出てきていません。インボイスというものこそ、取引適正化や価格転嫁の問題の大きな要因になるのに、書いていない。これは書くべきだったんじゃないでしょうか。もうちょっと姿勢を改めるべきじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 インボイス導入に関しては、制度への理解が必ずしも十分に進んでいないことや、御指摘のように、様々な選択によって事務負担の増加など、それから取引上の不利益の発生もあり得るということで、そうした懸念する声があるものというふうに承知しております。

 これまで経産省においても、免税事業者が取引上で不当に扱われないように取引環境を整備するため、独禁法や下請法などのQアンドAも公表し、周知に努めてきております。書面調査などによって、取引への影響把握などにも取り組んできているところであります。

 そして、御指摘のようないろいろなケースがあり得ますので、制度導入に伴って、免税事業者に対する一方的な価格引下げとか、あるいは課税事業者に転換しないことを理由とした一方的な取引の打切りが行われることのないよう、適正な取引をしっかりと促していきたいというふうに考えております。

 と同時に、こうした事業者が原材料、エネルギー価格の高騰に対して価格転嫁がしっかりできる環境をつくることも重要であり、全く御指摘のとおりでありますので、私ども、インボイス導入に際しての様々な懸念に応えつつ、価格転嫁もしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

落合委員 そういった取組は重要だと思います。

 しかし、財務省の試算だと、百五十万者ぐらいが免税事業者から課税事業者になる。かけこみ寺とかも経産省もやっていますし、公正取引委員会も窓口をつくっていますけれども、かけこみ寺も、かけこみ寺なのにもかかわらず、全国に四十七か所、四十七都道府県に一か所なので、駆け込める距離には実際にはないわけです。しかも、百五十万者が困った状態になるのに、そんなにたくさんアンケートも取れるわけがないですし、把握も難しいわけでございます。

 いろいろな省庁にもこれはまたがっているので、相談窓口はどうなっているんだろうと思いまして、インボイス制度に関する相談窓口一覧表というのをいただきました。何と十三行にわたって、こういう場合はここに連絡してくださいと、十三項目に分かれていて、更にそこから細部に分かれています。これは、分からない人が相談したいとしても、十三行に分かれている中の更に細部を相談する、なかなか難しい。しかも、かけこみ寺は都道府県に一つしかない。

 これは、大変大きな取引の問題になると思います。優越的地位の濫用にはっきりとはひっかからなくても、ぎりぎり、ちょっと危ないんじゃないのという事例も、我々も相談を受けて、かなり見受けられます。経産省も、いろいろな所管している分野で、そういえばこんなことがあったんだということに気づいたこともあったと思います。

 例えば、FIT制度、始まりました。電力会社が各家庭から電気をいわば仕入れているわけでございます。電力会社は、インボイスに対応している家庭なんてないでしょうから、仕入れ税額控除を利用できません。なので、消費税の納税額がだんと増えちゃう状況になるわけです、インボイス導入以降。

 で、経産省、エネ庁はどうしたかというと、FIT制度で集めたお金を特別に補助してあげるよと。これは、電気料金から、みんなが払っているお金で電力会社の消費税を援助してあげるわけです。こういう、個人から企業が仕入れている場合は、インボイスで消費税はその事業者がかぶらなきゃいけなくなってしまう、こういうような問題も多く発生しているわけです。これは膨大な事務負担、それから膨大な数の税負担を求めている、これは今やるべきなのかなというふうに思います。

 財務省政務官に伺います。

 一番困っているのは、恐らく、非課税事業者が課税事業者になる、そういう事業者だと思います。その人たちは手取りが、単純に計算すると減ってしまうわけです。その先に、そこを担当している税理士さんたちは、手数料を、顧問料を上げてもらうことさえもできません。これは膨大に事務負担だけ残って、手数料は上げられない。財務省の政策が小規模事業者等の生産性を大きく引き下げてしまっているわけです。

 これは経済には大変マイナスの政策をやる。これで税収が、多く見積もっても二千億ぐらいですか。それぐらいのためにこれだけ生産性を引っ張るんだったら、やはり、中止にするか延期にするか、もうちょっと制度の中身を考えて導入するべきじゃないですか。もう決めたからやるというのはやめるべきだと思いますが、いかがですか。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 インボイスに関しましては、税額の話を今おっしゃっていただきましたけれども、あくまで複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであるというふうにまず認識をしております。

 その上で、幾つか御指摘を賜ったというふうに思いますけれども、インボイス制度の移行に関しまして、まず、非課税、多分免税事業者のことをおっしゃったんだろうというふうに思いますけれども、免税事業者のままでいた場合に取引から排除されるのではないか、若しくは課税事業者になったとしても価格転嫁ができないとか、新たな事務負担とか、今話していただきましたけれども、制度が複雑でどこに相談していいのか分からないといった、多数の、特に中小・小規模事業者の皆さん方の御心配は承知をしております。

 特に、まず、免税事業者のままでいた場合の御心配に関しましては、免税事業者であっても直ちに取引から排除されることがないように、制度移行後も六年間は、免税事業者からの仕入れであっても一定の割合を控除できるようにするなど、十分な経過措置を設けさせていただいているというふうに思っておりますし、この仕組みを、周知をまた改めてさせていただきたいというふうに思います。

 経産大臣からも御答弁がありますので、そこの部分は少し除かせていただきましたけれども、制度が複雑でどこに相談してよいか分からないという御心配も賜りました。事業者の方がどこに問い合わせていいか分かるように、相談内容別に相談窓口を記載した一覧表を作り、国税庁のホームページで公表しておりますけれども、また、今委員がおっしゃっていただきましたとおり、しっかりと分かりやすいように、制度を改めて検討させていただきたいというふうに思います。

落合委員 導入期日は変えませんということであるんですけれども、今日、公取委員長にもお越しをいただいています。再任されたということで、おめでとうございます。

 改めて、公正取引委員会が動くような事例というのは、よっぽど悪質でないと動かないわけです。ただ、グレーの部分がかなりたくさんある。それには、何が悪質な事例なのかというのをやはりはっきりとアナウンスしておかないと、抑制させる効果も働かないわけでございます。これは、公取も、インボイスの問題を大きく受け止めて、インボイスについてもっと発信するべきであるというふうに思います。

 先日、私、議運の同意人事の際も質問させていただきましたが、議運は非公開なので、あのやり取りは有権者には公開はされていません。改めて同じ質問をさせていただければと思うんですが、委員長は元財務省の主税局長でございます。インボイスの問題で、古巣に遠慮せず、やらなければいけない問題だと思います。改めて、この問題、しっかりと取り組む、そういう意思があるのかということを伺えればと思います。

古谷政府特別補佐人 経産大臣の方からも御答弁がございましたが、公正取引委員会としましても、インボイス制度の導入に伴いまして、免税事業者あるいは課税選択をされる事業者などが不当な不利益を受けないように、関係省庁と共同で、昨年一月に、対応のためのQアンドAを作成をし、公表いたしております。

 その中で、インボイス制度の導入に際しまして、独占禁止法、これは御指摘ございましたように、主として優越的地位の濫用に該当するおそれがある事例について御説明をしていますし、下請法上問題となる行為についての考え方を明らかにしているところでございます。

 これも御指摘がございましたが、今、公正取引委員会では、価格転嫁円滑化への取組を進めておりまして、その中で緊急調査など幅広に今調査をやっているわけですけれども、このインボイスの問題もまさにその中に含まれる課題ということで、売手、買手双方に対する書面調査におきまして、インボイス関連の質問も設定をして取り組んでおります。

 こうした調査を通じまして、これも御指摘がございましたように、具体的な取引関係をきちっと監視した上で、個別の事案に応じて、独占禁止法、下請法上の問題に対処をするということになると思いますけれども、下請法の勧告のほかに注意とか指導といった行政指導もございますので、事案に応じて、その辺の、インボイスの導入に伴う課題については、公正取引委員会としても取組を深めていきたいと思います。

落合委員 これは、今までの経済の歴史には余りない、取引の見直しの一つのきっかけの大きな場になるわけです。歴史的な転換点だと思います。是非目を光らせていただければと思います。

 今、課税事業者が三百五十万者ぐらいあって、それが百五十万者ぐらい増えるというふうに財務省は試算しています。それだけの数の小規模事業者が実質的な増税になるわけです。これは大きな手取りを減らす政策です。それから事務負担も大きく増えるわけです。

 改めて、経産大臣、これは本当に大きな問題です。中小・小規模事業者をつかさどる、管轄しているのは経産省でございます。改めて、何かございますでしょうか。

西村(康)国務大臣 このインボイス制度の趣旨などについては、先ほど政務官からも一部ございましたし、政権として取り組んでいくということでありますので、先ほども少し申し上げた、中小企業の皆さんにとって何か不利益なことにならないように、公取委の委員長も先ほど答弁されましたけれども、連携をしながら、丁寧に説明し、取引環境の整備に努めていきたいと思いますし、あわせて、引き続き、説明会あるいはリーフレット、そして、先ほど窓口が分かりにくいというお話もございまして、少ないということでございました。コールセンターもありますので、もう少し、それも丁寧に周知をしながら対応していきたいと思いますし、IT導入補助金で会計業務のデジタル化などの支援も行っていきたいと思っております。

 また、持続化補助金、これは各地の商工会などで対応してくれておりますけれども、免税事業者から課税事業者に転換する事業者に対する販路開拓の支援、こうしたものも重ねて行いながら、関係省庁と連携して、丁寧に問題点、課題を把握しながら、きめ細かく対応していきたいというふうに考えております。

落合委員 コールセンターの多くは、税務署の方のコールセンターに行く場合が多いと思いますが、その場合は取引関係のこと等をそんなにはアドバイスをしてもらえないわけです。インボイスに対応するには書類はこうしてくださいとか、そういうことが中心になってしまうわけです。多岐にわたっているからこそ、しかも、コールセンターで多く受けるのであれば、そんなに専門性の高い方がコールセンターで電話を受けるわけではないわけです。これは本当に大きな問題であると思います。

 西村大臣はアベノミクスを牽引してきた人物の一人だと思います。安倍総理は、後半、こうおっしゃっていました。アベノミクスの果実は、地方と、それから中小企業、小規模事業者にはまだ届いていません、そこに手厚い、そこが潤うような政策をこれからしていかないと、アベノミクスは完成しませんということを言っていたわけです。

 これは、真逆のことをこの政策はやっているということを強く認識するべきである、せめて、今じゃない、延期をするべきであるということを強く申し述べたいと思います。

 古谷委員長、金子政務官、お忙しい中、ありがとうございました。

 次の話題に入りたいと思います。国産クラウドについてでございます。

 DX、DXということは、何年か前から政府も言ってきました。それよりか前、DXという言葉ができる前から、もう三十年以上前だと思いますが、IT化ですとか、その後、デジタル化ということはもうずっと言われていて、これからはそういう社会は少なくともやってくるということは、どんな方々も、ビジネスマンは分かっていたわけでございます。

 そして、政府の成長戦略にも、いつからでしょうか、ずっと掲げられてまいりました。安倍内閣や菅内閣は、デジタルで世界を引っ張るんだ、成長戦略の柱だということをおっしゃっていました。しかし、実際には全然結果が出なくて、岸田内閣になってからは、デジタル分野は我が国は遅れていますということをはっきりと言うように変わりました。

 今、実際に数字を見てみますと、日本と海外とのデジタル収支は、四・七兆円、一年間で赤字になってしまっています。五年前の一・九倍に膨らんでいます。今、クラウドをどんどん使うようになってきたわけですけれども、クラウドだけで一兆円以上赤字になっているわけです。これはデジタルの収支だけではなくて、ハードの部分、電子機器、半導体ですとか、そういうのは強いのかと思ったら、その収支ももうとんとんで、黒字ではないですよね。

 日本は今、所得収支だけは黒字ですけれども、今後、この所得収支も、これだけに頼っているわけにはいきません。良好な経済を維持していくためには、サービス収支や貿易収支も赤字にしないような努力をしていく必要があります。

 デジタルを例に挙げましたけれども、全体的に赤字なわけで、赤字の経済というのは改めていく必要があるという、この大枠の部分は、大臣、御認識はお持ちでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、貿易収支、経常収支、常にしっかりとチェックしながら政策を進めているところでありますけれども、一月の貿易収支も赤字幅を拡大して、経常収支はマイナス一兆九千七百七十六億円と、約二兆というふうに報道がなされたわけですが、季節調整をしてみれば、正月とかがありますので季節調整をしてみれば、プラス二千百六十三億円と、三か月連続黒字ということであります。

 ただ、御指摘のように、貿易収支について見れば、長期的に、海外生産も比率が高まっておりますし、鉱物性燃料の輸入額も増加しておりますから、かつてのように恒常的な黒字じゃなくなってきているということでありますし、加えて、デジタルの項目で御指摘のような赤字がございます。

 特にクラウドは、今後、企業の基幹システム、社会インフラにおいてその活用が進むという中で極めて重要なものであります。我が国が直接関与しない形で突如停止をしたり、重要な情報が不当にアクセスされたりすることは、まさに経済安全保障上のリスクでもあります。

 そうしたことから、クラウドについて言えば、特定重要物資として、様々な支援策で、技術開発を含めて行っていこうということでありますけれども、全体の経常収支については、やはり我が国全体で稼ぐ力を取り戻さなきゃいけない、まさに成長軌道に戻していくことが大事だというふうに思っておりまして、そうした中で、投資も増やそうという機運も盛り上がってきておりますし、もう一段、成長戦略をここで力を入れてやっていきたいというふうに考えております。

落合委員 これは、赤字基調が拡大してしまいますと、それこそ化石燃料が買えなくなってしまうわけでございます。持続可能で良好な経済を実現していくためには、やはり、どこかで稼ぐ、どこかで大きな赤字にしない経済というのはつくっていく必要があると思います。

 それを考えてみると、デジタル赤字が拡大している中で、ただ、経済の中でデジタルの割合というのはもっと増えていくわけでございます。これは、昔の、日本経済が弱かったときの傾斜生産方式で考えると、クラウドはまさに、昔でいう鉄の部分に入るんじゃないかなと。なぜなら、企業が、事業者が、仕事をしていてクラウドを使わないというのは考えられないような時代がやってきているというふうに思います。データをクラウドでやり取りする、データをクラウドで管理をする、そういうふうになっています。

 要は、DX化というのは、今の技術でいうと、ほぼイコール、クラウド化なわけでございます。しかし、これは、海外の上位何社かが八割ぐらいを占めていて、日本のシェアは二%です。でも、これを全部、海外が強いからって海外に頼りますというわけにはいかないわけでございます。

 だからこそ、私も去年、経済安全保障法制の審議の際も取り上げました。クラウドを重要物資に入れるべきだということを申し上げまして、実際にこれは入りました。経産省も前向きに取り組んでいくということです。

 これは、実際の法律に基づく援助は、内外無差別というのもありますので、必ずしも国産だけを援助するというふうにはしていないわけですが、法律はそうであっても、クラウドの国産化というのは一生懸命進めていくということでよろしいかということを確認できればと思います。

西村(康)国務大臣 まさにクラウドプログラムを特定重要物資に指定をしたところでありまして、これを受けて、データの暗号鍵管理を高度に行う技術など、もう御案内のとおり、クラウドを安全に活用していく上で重要な技術開発の支援を行うこととしております。

 もちろん、WTO上の様々な内外無差別のルールもあるわけですけれども、基本的に、特定重要物資ということで、いわば安全保障上の理由でありますので、しっかりと日本がこの技術を開発し、実装していくということを進めていきたいというふうに考えております。

落合委員 これで終わりますが、実際に日本の事業者とやり取りしても、実際に自前では今の段階ではかなり難しい、システム障害とかを起こさないような自信はないというような状況です。ただ、これが自前でできなければ、全ての分野に派生していくと思います。重要ですので、これからも取り上げさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。西村国務大臣。

    ―――――――――――――

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(康)国務大臣 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 世界的規模で、カーボンニュートラルの実現に向けた大規模な投資競争が激化をしております。こうした中で、我が国においても、二〇五〇年カーボンニュートラル等の国際公約と産業競争力の強化を通じた経済成長を同時に達成するグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを実現するため、官民で連携して、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を実現する必要があります。

 そのためには、今後十年間で二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うとともに、炭素排出に値づけを行う成長志向型カーボンプライシングを将来導入する方針をあらかじめ示すことにより、事業者の先行投資を促進する仕組みを措置する必要があります。

 本法律案は、こうした内容について取りまとめ、令和五年二月に閣議決定されたGX実現に向けた基本方針に基づき、所要の措置を講ずるものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、政府は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略を策定することとします。

 第二に、設備投資支援等、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に充てることを目的として、政府は、令和五年度から令和十四年度まで、脱炭素成長型経済構造移行債を発行するための措置を講ずることとします。

 第三に、令和十年度から、化石燃料の輸入事業者等から化石燃料賦課金を徴収するとともに、令和十五年度から、発電事業者に対して二酸化炭素の排出枠を有償又は無償で割り当て、有償で割り当てる排出枠の量に応じて発電事業者から特定事業者負担金を徴収するための措置を講ずることとします。

 第四に、脱炭素成長型経済構造移行推進機構に、化石燃料賦課金及び特定事業者負担金の徴収、排出枠の割当て、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する事業活動を行う者に対する債務保証等の支援等を行わせるための措置を講ずることとします。

 第五に、政府は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資の実施状況等を踏まえ、施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとします。また、排出枠等に係る制度を実施する方法を検討し、この法律の施行後二年以内に、必要な法制上の措置を講ずることとします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十七日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.