衆議院

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第3号 令和5年3月15日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      石原 正敬君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上川 陽子君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      根本 幸典君    深澤 陽一君

      福田 達夫君    堀井  学君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      松本  尚君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    宗清 皇一君

      山際大志郎君    山下 貴司君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山岡 達丸君

      足立 康史君    遠藤 良太君

      前川 清成君    中川 宏昌君

      浅野  哲君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   内閣府副大臣       太田 房江君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   国立国会図書館調査及び立法考査局農林環境調査室専門調査員         樋口  修君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室長)

   (経済産業省経済産業政策局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 坂本  基君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         新居 泰人君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           上田 康治君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     塩崎 彰久君

  上川 陽子君     堀内 詔子君

  山際大志郎君     松本  尚君

  山下 貴司君     根本 幸典君

  鈴木 義弘君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     石井  拓君

  根本 幸典君     宮崎 政久君

  堀内 詔子君     石原 正敬君

  松本  尚君     山際大志郎君

  浅野  哲君     鈴木 義弘君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     深澤 陽一君

  宮崎 政久君     山下 貴司君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     上川 陽子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房GX実行推進室長兼経済産業省経済産業政策局長飯田祐二君、内閣官房GX実行推進室次長兼経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎君、内閣官房GX実行推進室次長龍崎孝嗣君、財務省大臣官房審議官坂本基君、経済産業省大臣官房総括審議官新居泰人君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官白石隆夫君及び環境省総合環境政策統括官上田康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石井拓君。

石井(拓)委員 おはようございます。自由民主党の石井拓です。

 質問の機会を賜り、ありがとうございます。

 私の方からは、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、GX推進法の根幹となりますGX経済移行債、これの概要についてお伺いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 GX経済移行債、脱炭素成長型経済構造移行債、これは法案の中にもこのような言葉になっておりますけれども、略してGX経済移行債というふうに申し上げます。

 では、早速、お願いします。

 政府は、世界規模でGX、グリーントランスフォーメーション実現に向けた投資競争が加速する中で、我が国の二〇五〇年カーボンニュートラルなどの国際公約と、産業競争力強化、経済成長を同時に実現していくために、GXを総合的かつ計画的に推進するための戦略、脱炭素成長型経済構造移行推進計画、これは法案の中でも第六条あたりに書かれておりますけれども、これを策定するとともに、今後十年で百五十兆円を超える官民投資を行う必要があるとしております。

 この百五十兆円のうち、二十兆円規模をGX経済移行債として政府による先行投資を行い、まず初年度、来年度になりますが、においては、一・六兆円をGX経済移行債として発行するとされております。

 このGX経済移行債導入の意義、今後どのように発行していくのか、まずお伺いしたいと思います。

 また、世界各国でも、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向け、例えば、ヨーロッパを中心としてグリーンボンド制度など取組が開始されていると聞きますが、海外制度との違いや関連についても、政府の考えをお伺いいたします。いかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘賜りましたけれども、我が国では、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度に二〇一二年度比で四六%削減という目標を掲げてございます。この目標達成に向けた取組を更に加速するためには、まず脱炭素、それからエネルギーの安定供給確保、そして経済成長の三つを同時に実現することが必要だと考えておりまして、そのためにGXの取組を加速化していく必要があると考えております。

 この実現に向けまして、これも御指摘いただきましたが、今後十年間で百五十兆円を超える官民協調でのGX投資を促進するため、GX経済移行債を活用して、国が先行して二十兆円規模の投資促進策を実行する方針としております。

 発行に当たりましては、これまでの建設国債、特例国債等の国債と同様に同一の金融商品として発行する統合発行という形にこだわらず、グリーンボンド等ございますけれども、国際標準に準拠した新たな金融商品として発行する個別銘柄発行も目指して検討してまいりたいと考えております。

 支援対象とする分野は、再エネ等に係るグリーンファイナンスに加えまして、省エネやエネルギー転換等の移行段階に必要な取組に資金を供給しますトランジションファイナンス、これは日本は大事だと思っておりますけれども、の活用拡大も重要だと考えております。

 日本の持つ強みを考慮した上で、具体的な発行方法等、使用方法等について検討を進めてまいりたいと考えております。

石井(拓)委員 GX経済移行債ということで、個別銘柄も念頭に置いて、建設国債などのようにやっていくということと、また、それを来年度発行していくという計画だと思いますけれども、また是非お願いしたいと思っております。

 このGX経済移行債は、政府が十年で二十兆円規模の先行投資を民間企業に支援していくんだ、そういう考えであります。民間事業者の予見可能性を高めるために実行するということも、言葉にもございます。十年で、毎年、割り算すれば二兆円投資するということではなくて、あくまで民間投資の呼び水となるようにやはり早々期に、早く早く二兆円規模のものを発行しなければやはり意味がないんじゃないか、そう思うわけであります。

 民間事業者の予見可能性を高めるために、政府はどのように発行計画を立てるのでしょうか。その想定される使い道、使途など、具体的にあれば確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を官民協調で実現していくためには、民間事業者の予見可能性を高めることが必要である、まさに御指摘のとおりでございます。

 この際、革新的な技術に関する研究開発を加速していくとともに、今後、開発された技術を活用して事業展開していく段階において投資規模が拡大していく、そういうものだというふうに考えております。

 このため、GX経済移行債を活用し、今後十年間で二十兆円規模の大胆な先行投資支援を実行していくわけでございます。

 各年度の予算措置や金額は、GX実現に向けた基本方針で定めた国による投資促進策の基本原則や、民間企業の技術動向を踏まえて検討することになってございまして、年間の発行額は事前には決まっているものではございません。

 GX経済移行債の先行投資の具体的な考え方を示すことで、民間企業の意欲的な脱炭素の取組を引き出しつつ、官民でのGX投資の進捗状況、グローバルな動向、我が国の競争力や経済に与えるインパクトなども踏まえ、進捗を定期的に評価し、必要な見直しも含めて、これを発行し、運営していきたいというふうに考えております。

石井(拓)委員 ありがとうございます。

 まだ今からという面もありますけれども、予見可能性をしっかりと高めるという方針でもございます。

 やはり民間の企業さんとも話をしても、まだまだ、これからGXどうなるのという話があります。我が社はどうなるの、そして世の中どうなるのという話。

 ですから、やはり政府としては強い姿勢で、GXに向けて二十兆円の投資を用意している、これをしっかりとPRしなければ、国民がついてこないというか、まだまだ不安なままだと人間は動かないんですよね、あくまで。だからこそ予見可能性を高めるということだと思いますので、そういった意味合いでも是非進めていただきたい。強く強く進めていただきたい、そう思っております。

 そして、このGX移行債とはまた別に、来年度から官民連携の新たな枠組みとしてGXリーグ、GXリーグ運営事業が開始され、二〇二六年にはCO2排出量取引制度が本格稼働されることとなっております。CO2排出量を市場取引する場としてカーボンクレジット市場が創設されていくわけですが、このように、民間企業の、ある意味、資金調達面としては、GX移行債とともにこの二つの制度が開始されるという考え方も取ることができると思いますが、この辺りの整理が私自身もできておりませんで、ここで、今後政府の目指す成長志向型カーボンプライシングの実現に向けた考え方を改めて伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月より活動を開始するGXリーグ、これは、脱炭素に果敢に取り組む企業群が、国際的なリーダーシップを発揮し、ビジネスの力で世界に貢献していくための取組でございます。

 具体的には、自らの排出量を市場取引も活用して削減することで社会から正当に評価されるための環境整備を行うとともに、炭素排出の少ない製品、ビジネスが収益性を高めるための各種のルール形成をすることを目指す、官民連携の新たな枠組みでございます。本年一月末の時点で、我が国の排出量の四割以上を占める六百七十九社からの賛同を得ているところでございます。

 政府としては、GXリーグを段階的に発展、活用していく方針でございます。来年度から排出量取引を試行的に開始しまして、国、企業双方が知見やノウハウを蓄積しつつ、二〇二六年度からは排出量取引制度の本格稼働を目指すとともに、二〇三三年度からは発電部門を対象に有償オークションを開始するということを考えております。

 こうしたGXリーグの段階的発展、活用は、成長志向型カーボンプライシング構想の構成する柱の一つでございます。

 政府としては、化石燃料賦課金と併せて有償オークションを将来の財源の裏づけとしてGX経済移行債を活用し、足下から二十兆円規模の大胆な先行投資支援を実行してまいりますけれども、規制・支援一体型投資促進策の考え方に基づきまして、排出量取引制度に参画する多排出企業を中心に、GX経済移行債による支援策を連動させていくことも検討してまいりたい、このように考えております。

 成長志向型カーボンプライシング構想の実現に向けて、必要な対応を着実に進めてまいりたいと考えております。

石井(拓)委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、民間企業が積極的に活用していけるような、むしろ、制度は設計できているけれども、PRあるいは話をする、そういった面ではもう少しソフトの面もいろいろと考えていただいて、進めていただきたいなと思っております。

 次の質問に移ります。

 GX経済移行債は、政府債務、国債と同じで償還しなければなりません。この償還の財源を、化石燃料賦課金と特定事業者負担金を充てるとしております。化石燃料賦課金は化石燃料採取者等から徴収するとされております。化石燃料を輸入する事業者ということにもなるのでしょうか。特定事業者負担金は、発電事業者のうち、発電に関わるCO2排出量の多い事業者ということになるのでしょうか。化石燃料賦課金、特定事業者負担金、それぞれについて、対象事業者、納付期間、納付額について説明をお願いします。

 また、負担金や賦課金を課す事業者は、我が国の経済、エネルギー産業の根幹を担う企業になると思います。賦課金や負担金を課すことが、逆にカーボンニュートラルの推進と景気の向上に影響がないのかどうか、疑問もあります。

 例えば、二〇五〇年までに確実に償還する制度設計を立てた場合、化石燃料賦課金、特定事業者負担金の水準は、カーボンニュートラル達成に近づけば近づくほど、そういったお金を支払う事業者の数が減ることで、単価としては高額になるんじゃないかというような考えもあります。逆に、GXが進まない、カーボンニュートラルが進まない場合も、そういったお金が過大になり、同じく、価格転嫁により、一般事業者や国民の負担が増えるおそれもあるんじゃないかと思いますが、二〇五〇年までに償還するとした償還期間が、また、これは短いなという気もしております。

 この点についての工夫をどのように考えているのか、お伺いします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 成長志向型カーボンプライシングは、炭素排出への値づけを行うことで、より炭素排出の少ない形で生産された製品や事業の付加価値、収益性を向上させ、投資を促すもので考えております。

 具体的には、二〇二八年度から、化石燃料の輸入事業者等に対して、輸入する化石燃料に由来するCO2の量に応じて化石燃料賦課金を徴収するとともに、二〇三三年度から、発電事業者に対して、有償でCO2排出枠を割り当て、その量に応じた特定事業者負担金を徴収する制度を導入することとしております。

 他方、その導入に当たりましては、代替技術の有無や国際競争力への影響等を踏まえて導入しなければ、国外への生産移転が生じ、排出規制の緩い国へ移転することで、世界全体で見ればCO2排出量が逆に増加する可能性もあることに加えて、国内の雇用や消費の流出により国益を損なうこととなると考えております。

 このため、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、具体的な化石燃料賦課金の単価や特定事業者負担金の総額につきましては、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で、当初低い負担から徐々に引き上げていく形で設定していくこととしております。

 さらに、このように負担が過大なものとならないようカーボンプライシングを導入していくことに加えまして、GX投資の前倒しによりまして、再エネなどの脱炭素電源の低コスト化、化石燃料に要する費用ですとか安定供給に伴うリスクの低減、それから水素や蓄電池などの新たな市場の早期立ち上げによる経済成長などによりまして、むしろ事業者や国民に恩恵がある制度としてまいりたい、このように考えております。

石井(拓)委員 ありがとうございます。

 最後の質問です。

 GX経済移行債などは、やはり、技術力とか市場を拡大する能力という、大企業が中心にまずは投資をしていく、研究開発もされていくと思いますが、この大企業の傘下と申しますかサプライチェーン、中小企業が多くございます。その中小企業の支援も忘れては、やはり、日本国全体としてGXがかないません、カーボンニュートラルがかないません。

 そういった意味で、中小企業の支援策、もっともっと充実していただきたいと思っておりますが、その点はいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 GXの実現には、日本全体の温室効果ガス排出量の約二割程度を占める中小企業を含めて、産業全体での取組が必要であります。

 このため、令和四年度第二次補正予算においては、例えば、ものづくり補助金についてグリーン枠を拡充したり、省エネ補助金については複数年の投資計画に切れ目なく対応できる新たな仕組みを創設いたしました。また、事業再構築補助金のグリーン成長枠につきましては、中小企業に使い勝手がよくなるように、研究開発期間を二年から一年に短縮するなど、要件緩和も行っております。

 さらに、こうした支援策がより効果的に中小企業に届くように、中小機構における相談窓口の設置、専門家によるエネルギー使用改善へのアドバイスの実施、支援機関から中小企業への支援策の積極活用を働きかけるプッシュ型の支援、これらを行ってきておりまして、中小企業に対しては手厚い支援を講じてまいっております。

 引き続いて、中小企業が取り残されることがないように、GXに向けた取組を支援してまいります。

石井(拓)委員 ありがとうございました。質問を終わりたいと思います。

竹内委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 先週に引き続きまして、福島二区、馬場雄基です。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、GX推進法、そのことについて取り上げていきたいというふうに思っております。

 この法案は、まさに日本の分岐点とも言える重要な法案であるというふうに認識をしております。将来に恥じることのないように、国の形をどうしていくのかという、ある意味でいうと、先ほどの石井議員もそうでしたけれども、大きな視点に立ちまして、西村大臣、そしてGX実行推進室の皆様方に具体的な行動をお願いしたく、質問をさせていただければというふうに思っております。

 この法案の特徴は、言うまでもありませんが、今後十年間で官民合わせ百五十兆円という大きな額の投資を、GX分野、つまり脱炭素分野について行うものであるというふうに認識します。百五十兆、余りにもでか過ぎるこの金額ですが、この規模、簡単に申し上げますと、日本国民全員が一年間で、税収ですね、一年間で税金をこうやって政府に預けているその金額が大体約六十五兆円ということですから、国民全員が汗水流して働いて、その二年分をはるかに超える金額が、この百五十兆という余りにも大きな影響力がある数字だという認識に、まず私たちは立たなくてはならないのだと思っています。つまり、将来を左右させるほどの可能性と、そして危うさを秘めているものだと思っています。

 この百五十兆円のうちの二十兆円は公的投資、つまり国民に負担を求めることになりますが、今、政府がはっきりとこの負担という部分を伝えていると私は思える状態ではないというふうに指摘をさせていただきたいと思います。

 現在課されている再エネ賦課金は、制度上、二〇三二年以降には減少する、そういうふうな枠組みの設定でございました。国民の負担も減っていくというものでしたが、この法案が通ってしまえば、その減少分に合わせ、その部分に積み増して、五年後から化石燃料賦課金、そして、十年後からは特定事業者負担金として各事業者に負担をお願いする形になるでしょう。そして、事業者の負担が増えていくならば、当然、商品やサービスにその影響が与えられていく可能性は十分に可能性として考えられ、結果的に国民の負担が増えるということになるというふうに思っております。

 まず、GX実行推進室さんにこのことを伺いたいと思いますが、この法案が通った際に、将来世代への国民の負担が増える、そういうふうな理解でいいのか、端的に教えてください。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 GX推進法の中で、成長志向型カーボンプライシング構想の具体化、実行に必要な措置を講じることとしてございます。

 同構想では、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で、当初低い負担から徐々に引き上げていく形でカーボンプライシング、カーボンプライシングは、先ほどもございましたけれども、炭素に値づけをして、炭素排出の少ない形の事業の価値を上げていく、そういう政策効果もございまして、具体的には、化石燃料の消費に対して値づけする化石燃料賦課金を二〇二八年度から、EUと同様に、既に商品化された代替技術を有する発電事業者が一義的に負担する特定事業者負担金を二〇三三年度から開始をいたします。

 このスケジュールをあらかじめ示すとともに、足下からGX経済移行債を活用した二十兆円規模の大胆な先行投資を行うことで、意欲ある企業のGX投資を前倒しして行うことを強力に支援する仕組みとしておりまして、御指摘いただきましたとおり、この二十兆円の財源は、今申し上げたカーボンプライシングで追加的に措置することにしておりまして、この部分は今回の措置によって負担をお願いする形になります。

馬場(雄)委員 是非端的に教えていただきたかったんですけれども、国民の負担が増えるというところで理解はよろしいでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 石油石炭税が減る範囲、それからFITの賦課金の減る範囲ということで、トータルとしては、エネルギーに係る負担の総額が中長期的に減少される形ではございますけれども、御指摘いただきましたとおり、ほっておけばすごく減ったものに、その範囲内で負担をお願いするということは、この法律で規定させていただいております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 国民の負担が増えるということに変わりはないというふうに思っております。だからこそ、ここの部分を明確に説明していく責任が今の政府にはあるんだというふうに思います。

 これは私、少しちょっと話は変わるんですけれども、似たような感覚を実は予算委員会で感じていました。復興特別所得税の話です。

 復興特別所得税も、制度上は、期限を設けてその負担をお願いしていた部分でありますけれども、そこを少しからくりを変更して、防衛費という、全く趣旨も目的も異なるものを使いながら、そして、負担割合は変わらないから、それをお願いしていきたいというような趣旨の説明をいただいて、私は少し違和感を覚えてなりませんでした。将来世代への負担を様々な分野で決めていくこと、これはまた必要な部分ではあるんですけれども、このような説明の在り方で一義的に決めていく在り方に、私は危機感を覚えています。

 今回で言うならば、従来の再エネ賦課金と、そして今回上乗せされる負担は、明確に用途も異なっているはずです。そして、今回使われるはずであるこの財源は、おっしゃっていたとおり、将来のカーボンプライシングの収入で賄われる予定です。つまり、将来の前借りを今スタートしようとしているわけですけれども、負担になるということを、政府の都合で単に伝えていくだけではなくて、国民、あるいは若者たちも含めてですけれども、伝わっていくような説明をしていかなくては私はならないと思っています。

 明確な負担の説明なき、そして、その部分の法案の可決は私はないというふうに思っていますけれども、これからの社会を担う若者たち、そして若者の理解や同意を得られていくための努力を、西村大臣、具体的にどういうふうにされていくのか、教えてください。

西村(康)国務大臣 まず、今の負担の議論ですけれども、今も、石油石炭税あるいはFITの賦課金を国民の皆さんに、ある意味、広く薄く価格が転嫁される中で御負担いただいています。そしてまた、FITの賦課金はもうしばらく高くなるということも見込まれますので、石油石炭税はまあ減っていくと思います、この総額の範囲は変わらないということでありますので、全体としての国民の負担は変わらないというか、増えることはないということです。

 それを是非御理解いただいて、その中で、早く取り組んだ企業の商品、製品は負担が低くなり、そうでない企業の、要はCO2を排出する形で作った商品とか製品は高くなりますので、負担が高くなるという設計にしてありますから、国民の皆さんが選択することで、全体としての負担は、国民の負担は増えない範囲内で国民の選択があるということですので、この枠組みを是非御理解をいただきたいと思うんです。

 その上で、将来世代、若者の理解を得るということですけれども、まさにそのとおりでありまして、脱炭素電源の導入を加速することによって全体として低コスト化も進むことになると思いますし、化石燃料に要する費用の増加あるいは安定供給に係るリスクも低減される、あるいは、水素や蓄電池など新たな技術が開発されて、新たな市場が立ち上がることによる経済成長、それから排出削減による気候変動リスクも低減することに、まあ日本だけでやっても駄目なんですが、これもありますので、意欲的にGXに取り組む企業そして国民全体に恩恵がもたらされるということになるように取り組んでいきたいというふうに思っています。

 その上で、イノベーションが鍵になってきますので、その開発成果が得られるまで一定の期間が必要でありますので、投資効果は研究開発が成功した後、あるいはその後の事業展開を通じて将来世代にも大きく裨益をするということになると思います。その意味で、早くやった企業は早く開発して負担の低い製品を作れる、そして全体としてそれがまた次世代に裨益をするということでありますので、総額としての負担は増えないということも含めて、将来世代に過度な負担とはならない仕組みとなっております。

 いずれにしても、御指摘のとおり、若い世代の理解醸成促進は大変重要だと思いますので、こうした仕組みについて、丁寧に説明しながら、理解を得られるように取り組んでいきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 ただし、やはり私、そこの説明だけではやはり納得できない部分がありまして、負担が増えないというのは、これは予算委員会で私が言った言葉と同じになっちゃうんですけれども、幾分、私たち、今の世代の人たちが負担が増えないというのは分かるんです。ただ、制度上で元々想定されていなかったものに対して、そして上乗せをしていくということであれば、これは負担は増えるということになると思っています。ですので、その部分の説明をしっかりしていかなければ、そもそもの枠組みは私は理解は得られるものではないというところは、改めてですけれども申し上げたい。

 政府の都合によっての説明になっていると思います。政府の都合の目線ではなくて、負担していく国民一人一人、特に将来世代に生きる若者一人一人のためにその言葉というものを使っていただきたいですし、その負担というものの見え方も、今の政府の都合の見え方と、そして私たち一人一人、国民の、そして若者の、これから将来を背負っていく人たちの見え方と、それは少し、やや異なっているんじゃないかということを警笛を鳴らさせていただきたいというふうに思っております。

 その点、是非よろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 まさに気候変動への対応は全人類で取り組まなきゃいけない問題ですし、日本としての三〇年四六%削減、あるいは二〇五〇年カーボンニュートラル、これは日本全体で取り組んでいかなきゃいけない。二〇五〇年にかけてですから、今からまだ三十年近くあるわけですので、そうした将来世代の皆さんにも、それに取り組んでいく、これは私は、ある意味人類全体の責任としてやらなきゃいけない。その中で、応分の負担は当然みんなでしながら、そして気候変動に対応するということだと思います。

 私ども、二〇五〇年までの道行きはまだ描けていません、技術開発もどうなるか分かりませんから。二〇三〇年にかけては、二十兆円、百五十兆という投資の下で技術開発を促進して、是非、四六%削減を実現したいと思っていますし、そのために、国民全体で、広く薄く全体で負担をしていただきながら取り組むということへの御理解をいただきたいと思いますし、この仕組みを導入することによって、繰り返しになりますが、早く取り組んだ企業ほど負担は低くなりますので、その企業の製品はCO2排出の少ない中で作り、そして、気候変動への影響は少ない製品であるというものがこれから生み出されていくわけでありますので、将来世代の方々は選択肢が広がり、そうしたものを選択することができる、そういう状況にもなるわけであります。

 是非、国民全体で負担しながら、人類全体で責任を分かち合いながら気候変動に取り組むということも、しっかりと丁寧に説明していきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 つまり、ここは覚悟を持って進んでいかなくてはならないという点では、私も同じ気持ちです。これをやらなくていいとは私は思っていません。ただし、やるならばやるなりに覚悟を持って、説明を深くしてやっていかなくてはならない、国民全体が一丸となって取り組んでいかなくてはならないということを先に申し上げたかったので、この点の質問をさせていただきました。ありがとうございます。

 法案の中身について入らせていただきたいと思います。

 ここに関しては、懸念点としては、中途半端にならないようにどう構築していくかというところだと思っています。

 二つの観点から申し上げます。

 一つは、金融市場の反応です。

 百五十兆円という巨額な投資を行っていく発表が閣議決定された二月十日ですが、特に日経平均株価等の反応はありませんでした。期待されたのであれば、上がりました。期待がないのであれば、下がったでしょう。ですが、特に動きがなかったというところを、世界のマーケットがどう見ているかという点も踏まえて考えなくてはならないというふうに思っております。

 これだけの金額が動くということであった際に、そのリアクションがなかった、この部分について大臣はどのようにお感じになられているか、教えてください。

西村(康)国務大臣 マーケットを毎日確認しながら政策を進めているわけでもございませんし、また、御指摘の金融市場の反応、これはGXの取組以外に様々な国際的な経済の状況、あるいは金融の状況などによって影響を受けますので、何か一概にお答えできるものではないと思いますけれども、いずれにしても、百五十兆円超の官民の投資、そしてそれを引き出すための二十兆円規模の政府支出、それをGX経済移行債によってカバーしていくということでありますので、御指摘のように、金融機関あるいは投資家、市場からの信頼を得ることは何より重要だと思っております。

 このGX経済移行債については、建設国債など、これまでの国債と同様に同一の金融商品として統合して発行することに限らず、国際標準に準拠した新たな形での発行も目指して検討することとしております。

 そのためには、金融市場にとって透明性と信頼性を確保することが重要でありますので、具体的には、新たな国債を発行する場合には、調達する資金の使途やレポーティング方法などを示したフレームワークを策定した上で、国際資本市場協会が策定する国際標準への準拠について第三者認証を得ることを想定をしております。

 また、このGX経済移行債の支援対象として、まさに脱炭素と経済成長を両立する、共に実現していくという観点から、水素、アンモニア、あるいは抜本的なCO2削減を可能とする水素還元製鉄とか、それから次世代太陽電池のペロブスカイトの開発とか、こういったものを対象と考えておりますので、これらの技術で世界をリードしていくということによって、我が国のGXの取組について是非金融機関そしてマーケットから評価いただけるように、理解をいただけるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 是非金融のマーケットを、一つの観点ではあると思いますので、注力しながら政策を打っていただければというふうに思いますけれども、分析をしていく必要性もあるのかなと思うんですが、日本のGXというものが一体何なのかというのが世界的にはっきりと示されているわけではないんだというふうに思っています。

 例えばアメリカでしたら、アンモニアや例えば蓄電池、そういったものに注力していきましょう、ドイツであれば水素です、そういうふうな形の、ある程度の目指す先のビジョンというものが見えているかなというふうに思うわけですが、日本は、世界と比較していった際に、こういうところに特徴を持ってやっていきたいというような趣旨はどの点にあるのか、是非教えてください。

西村(康)国務大臣 様々な評価が日本の技術、市場に対してあると思いますけれども、複数の海外調査機関によれば、GX関連分野における日本の技術のポテンシャルは世界的に見ても高いと評価をされております。

 こうした技術のポテンシャルを生かして、開発だけじゃなくて社会実装をしていくという、その段階においてもしっかりと取り組むことで最大限発展させていきたいということを考えております。

 我が国では、例えば、抜本的なCO2削減を実現する水素還元製鉄とか、あるいは日本発の次世代太陽電池技術であるペロブスカイトとか、脱炭素効果の高い革新的技術の開発で先行しているところであります。

 こうした状況を踏まえて、産業競争力強化や脱炭素技術を活用した新たな市場の創出を図るために、この二十兆円規模の先行投資支援を行っていくということであります。そのための成長志向型カーボンプライシング構想ということでありますが、早期にこれに取り組むほど負担が軽くなる、意欲ある企業ほど早く取り組んでもらって負担が軽くなるという仕組みでありますので、そうした技術のポテンシャルを生かして、気候変動に対して影響の少ない、CO2排出の少ない、そうしたプロセスの中で商品、製品を作っていくということを支援をしていきたいと考えております。

 そして、それを事業化につなげていかなければなりませんので、実装をしていくということでありますので、アジアにも展開することでマーケット全体を広げていくこと、そして、世界の脱炭素化に貢献をするということの中で、我が国の経済成長と産業競争力強化の実現にもつなげていければというふうに思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。恐らく私の次の質問の部分までお答えいただいたなというふうに思ったんですけれども。

 つまり、GX移行債の部分、世界でよく言う環境国債の部分との違いを、私はやはり、端的に申し上げれば、動的時間をある意味でいうと確保しているという点だというふうに思っています。つまり、早く取り組めば早く取り組んだだけ価値が出てくると。それは企業に対しての目線ですけれども、その部分を、バッファーをつくるというのが恐らくこのGX移行債の最大の特徴なんだというふうに認識しています。

 ですので、ここは恐らくその認知度を高めていくということも極めて大事だというふうに思っていますので、是非、政府一丸となって、その部分を企業の方にもお伝えいただきながら、動的に、社会実装ですね、社会の変革を是非お願いさせていただきたいというふうに思っております。

 もう一義的に考えなければいけないのは、日本の、要は、世界がこうするから日本はこうするとかではなくて、日本の特徴も踏まえていかなくてはならないというふうに思っています。その点は、やはり、第一原子力発電所事故あるいは原子力爆弾が私たちの日本で悲劇的にあったというところの部分を考えれば、やはり、原子力というものに関して世界と同義的に扱うのではなくて、より日本ならではの、日本としての取組方が大切だというふうに思っております。

 私は、前回の御質問のときにも廃炉人材の話をさせていただきましたが、いわゆるビジネスが成り立つか成り立たないか以前に、廃炉は絶対やらなければいけない、つまり、原子力の部分に関してはやはり国策というもので推進していかなくてはならないんだというふうに思うわけです。

 原子力分野というのは、GXと並び、並称しているものではなくて、やはり切り離して考えていくことも必要なのではないかというふうに思います。その部分が、ある意味国民的にも、あるいは国際的にも、そしてマーケット的にも認められ得る環境にもなるのではないかというふうに思うわけですけれども、その点については、西村大臣、どのようにお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、東京電力の福島第一原発の事故を経験をし、その教訓と反省、これは、決して忘れることなく、いっときたりとも忘れることなく取り組まなきゃいけないということだと思います。

 我が国にとりまして、原発の廃炉、汚染水、処理水の対応、そして福島の復興、これはもう最重要課題でありますので、国が責任を持って取り組んでいくということだと思います。

 その中で、今回、もう一つのGX脱炭素電源法案では、この事故の反省を踏まえまして、法制上初めて、憲政史上初めてと言っていいと思いますけれども、安全神話という言葉を書き込みました。安全神話に陥り、事故を防止することができなかったことを真摯に反省という表現を盛り込みまして、今後もいっときたりとも忘れることなく、事故の防止、安全対策が最優先ということで取り組んでいく、そうした方針を原子力基本法に明記をしているところであります。

 そして、同時に、エネルギー政策の観点からは、将来にわたって安定供給の責任を果たしていく、これも重要であります。そうした認識の下で、将来の安定供給に対するリスクへの対応力を高めるために、現段階から、将来の可能性を狭めることなく、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求していくということが重要だというふうに思います。

 そして、かねがね御指摘いただいているこの原子力の安全を支えていく上でも、産業全体での人材、技術の維持そして強化、これを進めていく必要があると思っております。このため、廃炉や復興の取組とともに、原子力もGXの文脈に位置づけをした上で取り組んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 ただし、やはりここだけはちょっと私とは認識が異なっていまして、廃炉的なその分野に関しては、やはりGXと並び、並称するものでは私はないということを、再度、ここだけ申し上げさせていただければというふうに思います。

 もう一つ、中途半端にならないようにするために大事なのが、過去の教訓を生かすという点でして、日本は再エネ大国を目指すというのは、これはもうずっとずっと言ってきたことではあります。しかし、実態がそうなっているかというと、まだまだ課題は多いんだというふうに思うわけです。

 政府の責任は、投資の規模を競うわけではなくて、しっかりと社会を変革していく、その社会実装の方に私は政府の責任があるんだというふうに思っています。

 一方、再エネの部分、部分的に進んできていることはこれはすごく評価できると思うんですが、逆を言えば、役目を終えた例えば太陽光のパネルの廃棄の問題、ここが解決されているとは到底思えません。

 なので、この点について、私は、分野は変わって環境委員会の方で何度も取り上げさせていただいておりますけれども、リサイクル、これは全く確立されている状態ではありません。有害物質、これはアンチモンと言われるものもあるわけですけれども、国内外においてのいわゆる意見の相違というか、認知の相違というのも実際あるのが事実です。

 そういった意味でいえば、先ほど大臣からも御指摘ありましたけれども、ペロブスカイト、日本の次世代太陽光発電の技術、これは本当に優れていると思っています。これはエネルギー変換率のこともそうですし、あるいは設置場所の柔軟性、コストそしてリサイクルの面でもペロブスカイトは優れているというふうに、研究結果が既に出ています。

 だからこそ、再エネ大国を目指すという意味において、政府には、更なる社会的実装、これは、投資の規模じゃなくて、社会的実装の法律的な例えば制度設計というのを含めて、私は求められるんだと思いますが、是非とも力強く御指示いただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 一つは、まず最初に御指摘された太陽光パネルの廃棄に対する懸念、これはもう多く、いろいろな場面で指摘をされております。まさに地域と共生した再エネの促進に当たって重要な課題というふうに認識をしております。

 経産省としても、この懸念に対応するために、太陽光発電設備の解体撤去それから廃棄に係る費用が適切に確保されるように、再エネ特措法の下で、源泉徴収的な外部積立てを求める太陽光発電設備の廃棄等費用の積立制度を、二〇二二年七月から開始をしたところであります。

 今後、三〇年代後半には太陽光パネルの大量廃棄の可能性が見込まれておりますので、廃棄物処理法を所管する環境省とも連携しながら、制度的な措置の必要性も含めて検討を進めていきたいというふうに考えております。

 ということも含め、再エネ拡大に向けては幾つかの課題もありますので、これは、安全面、防災面、景観、環境への影響という地域の懸念に適切に対応することが必要であります。

 このために、住民説明会の開催とか地域の方々への事業内容の事前周知を認定要件化をするなどの、そうした地域との共生が図れるよう、事業規律強化に向けた制度的措置を講じることとしております。同時に、系統整備に必要となる資金調達の円滑化の仕組みであるとか、併せて関連法案を国会に提出しているところであります。

 そして、ペロブスカイトを始め、日本の技術をしっかりと開発も進めながら、あわせて、公共施設への太陽光の設置とか、洋上風力もまた今公募を行っておりますので、こうした取組を通じて、様々な懸念にも対応しながら、再エネの最大限導入も進めていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 太陽光パネルの廃棄の問題が出たので、経産省さんとそしてGX推進室さんとも是非とも連携していただきたいんですが、これは本当に難しい問題でして、リサイクルを含めていくその最後の出口が全く実は確立されていない状態です。分離技術というものも含めてなんですけれども、その最終的な、例えば有害物質をどう取り扱うのか、ここが、私は、国の中で多分明確になっていないというのが最大の懸念点なんだというふうに思っています。

 法案にしていくに当たっても、御存じのとおり、家電リサイクル法や自動車リサイクル法は製造者が日本のメーカーであることが多いのでそれでいいんですけれども、太陽光の場合は、パネルが別な国で作られていることが多いので、一義的に法案で作ることはかなり難しい。廃掃法の中でどうやっていけばいいんだろうということを今みんなで必死になって考えている状態です。

 その上で、最終的にリサイクルをしていくんですけれども、最後の出口が、例えば断熱性とか、断熱素材ですごく優れていると言われるんですけれども、そこにアンチモンと言われるものを含めていくことに対して、海外では許容されているんですけれども、日本の中ではやはりそこはちょっと厳しいんじゃないかというような、市場的な、ある意味でいうとおそれがまだまだ根強いんだというふうに思っています。

 この点をしっかり政府の中でどういうふうに振り分けていくのか、このアンチモンに対する評価を、是非ともここは政府一丸となって確立していただきたい。これは環境省さんもすごく困っている案件ですので、是非、経産省さん、そしてGX推進室さんも含めて、一丸となってこの道筋は見つけていただきたいということを心から願っております。済みません、ちょっと脇道にそれましたけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後の質問に移らせていただきます。

 最終的に、中途半端にしていかないために大事なのが、恐らくチェック機能だというふうに思っています。推進するならば推進するにして、覚悟を持ってこれだけは絶対やり切るということを、内部的評価じゃなくて、しっかり外部的評価も含めた上で、私はやっていくべき必要があるんだというふうに思っております。その姿勢こそが、マーケットにも信頼され、現場の企業や研究者にも信用されて、なおかつ、国民一体で、一丸となって取り組んでいく土壌ができ上がるんだというふうに思っております。

 この点で考えれば、繰り返しますけれども、第三者的機能、第三者機関による評価体制の確立が私は不可欠だと考えるのが自然だというふうに思っています。

 しかし、今この法案では、GX推進機構の中に運営委員というのを設けるという仕組みになっています。もちろん、ここに外部性が入るのは分かるんですけれども、どうしても内部の話になってしまいますので、強い懸念点を申し上げるとかというのにはなかなか苦しい制度体系になっているのではないかと、これは指摘をさせていただきたいというふうに思っております。

 百五十兆円を超える部分を想定し、二十兆円ものいわゆる国民的負担も伴いながらやっていく、これは絶対に失敗は許されない事業になっていくと思いますので、ここだけはしっかりやっていただきたいというのが私からの願いでもあります。法案を作って終わるのではなくて、しっかり実行体制をつくっていくためにも、是非とも、第三者的な、外部的な評価体制の確立、今の法案の、現状の体制を許すのではなくて、より強化していただきたいというふうに思いますが、大臣の御見解を教えてください。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、化石燃料賦課金とかあるいは特定事業者負担金の徴収を行ったり、あるいは排出量取引制度の運営といったようなことも行っていかなければなりません。これはGX推進機構が行っていくわけでありますけれども、いずれにしても、公平性、中立性が求められる業務を担うということであります。御指摘のような、適切なガバナンスを機能させることが必要だというふうに考えております。

 具体的には、機構について言えば、機構運営に関わる重要事項については、運営委員会を設置して、その議決を経ることとしておりますし、この運営委員会の委員については、GXに資する事業、金融、法律、会計、こうしたことに関して専門的な知識と経験を有する者を任命することとしております。政府以外の知識やノウハウを生かして、機構運営の透明性、客観性を担保してまいりたいというふうに考えております。

 支援をする二十兆円の使い道についても、もう既にGI基金で対応している、例えば水素還元製鉄などについても、外部の専門家、有識者の目を見ながら、そうした進捗など、使い道などをチェックをしておりますので、引き続き、そうした外部の目も入れながら、公平に、公正に、そして中立に仕組みを進めていけるようにしていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 最後、これは御指摘だけ申し上げたいと思いますが、通常の法案の通常の事業とやはりここは異なる、それだけの規模が動いていく、ここで失敗すれば国民負担だけが増していく、あるいは事業者の人たちも、ある意味でいうと置いてけぼりにされてしまうというような怖さを秘めているのがこのGX推進法案だと思っています。国益のためにも、評価体制だけは強化していただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 立憲民主党、略称民主党の篠原でございます。

 一時間、時間をいただきまして、じっくり質問させていただきたいと思います。

 大臣、お気づきでしょうかね。昔のよろいを着て、新しい武器もちゃんと見せて、質問に立っております。

 いつ西村大臣に質問したかなと調べてみましたら、二〇一五年の四月二十五日、八年前ですね。八年前、副大臣で、TPPについて、今もそうされていますけれども、なかなか率直な御意見を言われていて、ちょっと党内から怒られたりしているときで。だけれども、それは、言われたのは私の考えと一緒だったので、親近感を込めて質問したと思います。今日も同じように質問いたしますので、率直に答えていただきたいと思います。大臣は八年間の間に出世されて、もうラダーを上って大臣です。私はしがない一介の野党議員ですけれども、日本をちゃんとしていこうと思う気持ちについては負けず劣らずですので。

 それで、今、馬場委員が百五十兆円の話をしていました。僕もあれはよく分からないんです、投資だとか何かになると。

 西村大臣は経産省に十二、三年おられたんですかね。(西村(康)国務大臣「十五年」と呼ぶ)十五年。私はその倍以上いたんですね。農林水産省は補助金なんですよね、やり方が。経産省は投資だとか税制だとか。だから、なじみがないんですよ。頭は悪いし、よく理解できないんですよ。それで、説明を聞いていても、どこにどれだけどうやって、どこを大事にしていくんだと、幾ら聞いたってよく分からないんですよ。そうしたら、資料がちゃんともうネットで調べられるようになっていて、大臣も御存じにならないと思いますので、ちゃんと詳しい資料みたいなんだけれども、まとめて分かりやすくというのはやってくれないんです。

 百五十兆円の中身、どういうところにどれだけという見通しかというのを、大臣、頭の中に入っておられますか。百五十兆円の内訳ですよ、ありますか。

西村(康)国務大臣 今後十年間にわたって官民で百五十兆円、これは、GX基本計画を閣議決定した際に併せて工程表でお示しをしておりまして、水素、アンモニアに例えば七兆円程度使うとか、ちょっと、恐らくそうだと思う、数字、そうだと思いますが、そういったことを全部書いておりますので、それぞれの分野に想定される金額をお示しをしているところであります。

篠原(孝)委員 さすが大臣です、分かっている。

 我々のところに説明、野党に説明するときに、全然その資料、出てこないんですよ。ネットとかからiPadを持ってきて見ろとか言うので、冷たいので、僕は余りいじり方がよく分からないので見過ごしているのがあって。そうしたら、足したら百四十四兆円になっていますよ。水素、アンモニアが、なぜかしら、一番上なんですね。一番後ろが地域と暮らしというので、そこは算定できずというので。

 これを見たら、自動車産業が三十四兆円、一番多くていいと思う再生可能エネルギーが二十兆円、そして、本当かなと思うんですけれども、僕はこれでたくさんだと思うんですけれども、次世代革新炉というのが一兆円なんですよね、この程度でたくさんだと思うんですけれども。これは一体どういうものに基づいて、GXの基本方針というのは分かるんですが、今までもろもろのエネルギーの関係の基本方針、経済財政運営とかいうものもありますし、骨太の方針とかがありますし、エネルギー基本計画とか、いろいろありますけれども、そういうものとの整合性というのがどれだけ取れているのか。

 僕なんか、素人的に考えると、再生可能エネルギーを本当に大事にしていかなくちゃいけないから、ここに相当投資してほしいという願いがあるんですけれども、どうも、二桁の兆にはなっていますけれども、余りそうでもないんですね。この点はどのように考えてやっておられるんでしょうか。

中谷副大臣 先生御下問の再エネ、エネルギー基本計画で三六から三八%の計画を立てているというところで、それ相応の投資がないのかという御下問だというふうに思います。

 これは二十兆円でありますが、政府が出す二十兆円の内訳と言っていいと思いますけれども、GX移行債による支援措置につきましては、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業を対象に、国内の人的、物的投資の拡大につながり、さらに、産業競争力強化、経済成長及び排出削減のいずれの実現に貢献するものについて、規制、制度面の措置と一体的に講ずることを基本としております、この使い方は。

 そうした考え方に基づきまして、例えば、再生可能エネルギーを含む非化石エネルギーの推進に六兆から八兆を使います。さらに、製造業の構造改革、収益性の向上を実現する省エネ、燃焼転換に九兆から十二兆円、さらに、資源循環、炭素固定技術などの新技術開発に二兆から四兆といった分野への投資配分の見通しを出しているところであります。

 今後、官民でGXの推進状況を踏まえまして、技術開発の動向、グローバルな動向を踏まえまして、進捗を定期的に評価し、支援の具体化、また、必要に応じた見直しを行っていきたいというふうに考えております。

 御指摘の再生可能エネルギーについてでありますが、これはFIT、FIPなどの措置を講じまして、エネルギーミックスの達成に向けて、民間の投資を引き出しつつ、最大限導入を進めているというところであります。

 今回措置をする二十兆円のGX移行債による支援は、排出削減と経済成長そして競争力強化の同時実現を目指すものでありまして、エネルギーミックスに沿った投資配分となることは想定をしていないというところであります。

篠原(孝)委員 今、副大臣の答弁を聞いていてよく分かりましたけれども、欲張って、脱炭素もそうだけれども、脱炭素化ばかり言っていて、角を矯めて牛を殺すようなことになっちゃいけないから、産業界も引っ張っていかなくちゃならないということを相当言っていられたと思いますけれども、ちょっと違和感があるんですね。

 むしろ、環境にシフトして、脱炭素にいっときも早くシフトを実施していった方が競争力が強まると思う、将来。一旦は苦しいですけれども、そういう方にやっていった方がいいし、そうなっているかなと思ったら、そうでもなくて、今の状態を結構、延命したりする方に使われたりしている、そういう方向がちらちら見えるんです。

 そこはこれから、そういうふうに書いてあるわけじゃないんですけれども、運用上、むしろ経産省がリードする形で脱炭素に移行する、ちょっと経営が困難になったりするけれども、それは将来のためにはそっちの方が得なんだというふうに私は持っていっていただきたいと思う。どうもそうでもなくて、やはり大事に大事にしなくちゃいけないというようなことが随所に見られるんじゃないかと思います。

 それで、いつもはもっといっぱい資料を出しているんですが、今回は一枚だけです、表裏で。それで、これはちょっと御理解いただけるかどうかはよく分からないんですけれども、ぱっとうちのメンバー表を見ましたら、農村地帯、地方を選挙区としている人たちが三分の二ぐらいおられたので、まあいいかと思ってこれを作ってきたんです。全く都市部の人たちはぴんとこないかもしれませんけれども、我慢して聞いていただきたいと思います。

 この政策、さっき言いましたように、私が三十年間携わってきた農政とまるっきり違う行政手法なんです。何かなと。私がやってきたといっても、本当は、実は水産に三分の一いて、国際環境とか官房の企画室とかそんなところで、農政の原課でびっしりやったことはそれほどないんですね、抽象的なことばかりやっていて。

 それで、米なんです、米が余り過ぎていると思う。米を作り過ぎをやめろというのと、CO2を出し過ぎはやめろというのは、結構やめろという点では同じだと思うんです。そして、調べてみたら、ここに……(発言する者あり)

竹内委員長 お静かにしてください。質問中ですから。

篠原(孝)委員 裏側の方を見ていただきたいんですね。これがよかったかどうか分からない。裏側の方の右側の、米の生産抑制のところ、減反、もう米を作るなとやったんですよ。荒っぽいなと思いました、僕は。私は百姓の生まれ育ちですから、今まで米を作れ米を作れといってやって、自給を達成しなくちゃというのでやってきたのに、いきなり米を作るなと。その代わり、農林水産省は手厚くやったと思いますよ、五万円とか出した。

 しかし、何にもしないで作らないでいることについて、そんなことするのはけしからぬからといって、転作でほかのもの、輸入をいっぱいしている麦や大豆を作ったらそっちの方にたくさんお金を出しますよと。ここに書いていませんが、野菜とかをもうけるようなところは二万円とか、そういうふうに差をつけて、そして誘導したんです。

 それからすると、CO2の排出というのも、まずはもう徹底的にというか、出すのをやめろという方をやるべきだというような気がするんですよね。

 そうしてみましたら、どういうことをやってきたかというのを、私がぱぱっと作っただけですから分かりませんけれども、表の方を見ていただきたいんですけれども、それなりにやってきているんですよね、過去の出し過ぎ、作り過ぎに対してどうしてきたかというのを。

 これは正確かどうかは分かりませんけれども、ばい煙規制法というのは、一九九二年、もっと前もあるんですけれども、これは六二年ですけれども、大気汚染、それで、どんどんやってきて、公害国会というのがありました。光化学スモッグというのがありました、それから四日市ぜんそくというのも。CO2を出し過ぎて、みんな困っている。CO2だけじゃないんですけれどもね。だけれども、余り本気でなかったんじゃないかという気がするんですよね。

 これで脱炭素社会に移行しようということだったら、後で触れますけれども、何か、今のままでいいよといいながらこっちに移行してくださいよというんじゃなくて、びしっとやった方がいいような気がするんですけれども、基本路線なんですね。

 大臣、この点についてどうお考えになるでしょうか。私は、ちょっとなまくら過ぎるような気がするんですけれども。

西村(康)国務大臣 私の地元も淡路島、明石で、明石は都市農業、淡路島は農業、農水産が中心の中で、明石もそうですけれども、農業政策にも私自身も関心があり、また関わってきたところであります。

 根本的に違うのは、生産を減らして給付があるということ。私どもは、CO2を減らすために、生産活動も落として、それでCO2を減らすという手法は取らないということです。技術開発によって生産活動、経済活動を維持しながら、CO2を減らしていく。つまり、排出削減と経済活動、経済成長を両立していく。そのため、それに取り組む企業に先行的に支援をしていく。しかも、中期的には負担は増えない中で、しかし、早く取り組んだら負担は低く済む、取り組まないと後で負担がどんどん上がっていく。その中で、企業に、ある意味インセンティブですので、インセンティブを与える形で、一定の猶予期間を持って、その間に研究開発、技術開発を進めて、両立を図っていく、そうした仕組みを取っているというところが決定的に違うということであります。

 この点は是非御理解をいただいて、我々、エネルギーの安定供給にも責任がありますし、国民の生活、経済を維持していくことにも責任があります。しかし、それと両立する形で、脱炭素化、CO2の削減を目指していく。そして、二〇三〇年、先ほど説明が副大臣からありましたけれども、まずは四六%削減、これを実現するということに全力を挙げていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 聞いてみると、根本的に違いますね。

 私は、そういう考えというのはあってもいいと思います。ですけれども、外部不経済ですよね。何にも文句言われなかったから、空気を汚したっていい、川を汚したっていいと、気がつかなかったわけです。だけれども、それはよくないんだというふうになったら、悔い改めるべきだと私は思いますね。

 だから、外部不経済の部分を今まではほっておいたけれども、これはよくなかったんだと。四日市ぜんそくとか光化学スモッグで直接我々の体に何かあったりしたら、さすがの日本人も、それは当然です、これはおかしいと言います。だけれども、地球全体で迷惑かけて、気候変動、一・五度、二一〇〇年までには気温が上がってがたがたになる、もうそういう影響は出ていますけれども、これに協力していかなければいけないということになったら、やはり、加工貿易立国で、そして煙突があんなに何本もあって煙がもうもう出ている、これが成長のシンボルみたいな感じでずっとやってきたんです。それはやはり改めるべきだと思うんです、痛みがあっても。

 でも、そういうのがなくて、移行、GX推進、グリーントランスフォーメーションと言っていますけれども、余りドラスチックに変えようとしていない。それは、痛めつけて殺してはいけないですけれども、私はもっと厳しくいってもいいんじゃないかと思います。

 そして、一番心配しているのは、これも大臣にお答えいただきたいんですけれども、グリーンウォッシュですかね。私はロンダリングの方がいいような気がします、マネーロンダリングと。要するに、緑だ緑だといって、そして本当に熱心に取り組む企業は、大臣が言われているように全面的にバックアップすべきだと思います。しかし、どこにもあるんですよね、ちょろまかして、延命して、手を抜いて、こういった企業にはバックアップする必要はないし、厳罰をもって臨んでいいんだろうと思います。

 CO2を出すか出さないかでいうと、先週の質問で山崎委員が触れていましたけれども、電力会社の顧客情報の不正閲覧とか、あれはよくないですよ、モラルが欠けてきている。それで、新電力でもって、再生可能エネルギーで気候変動防止に貢献しようと思って一生懸命やっている小さな企業の芽を摘んじゃっているんですね。こういうのには厳罰を期していくべしです。

 だから、投資と言っているけれども、まあいいんですと。ダイベストということ、座礁資産とか言われている。ダイベスト、駄目なものには投資しない。ESG投資というのがありました。その部分がほとんど見られないんですね、ここに。駄目な、変なことをするものについては投資は抑制すべきだという点。

 僕は、両方、エンジンを吹かすのも必要ですけれども、アクセルを踏むのも必要ですけれども、ブレーキをかけるのが欠けているんじゃないかと思う。この点については、この法案のところでは何かお考えがあるんでしょうか。僕はちょっと足りないと思うんですけれども、大臣にお答えいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、繰り返しになる部分もありますが、全体として負担をできるだけ過度にしないという観点から、FITの賦課金と、それから石油石炭税の負担している、その合計の範囲内でやっていこうということで、まずそれがあります。

 しかしながら、先に取り組んだ企業は負担が低く済む、しかし、CO2削減に取り組んでいない企業は後から負担がかかってくるということで、強制的に直ちにCO2について何か規制で対処するのではなく、二〇三〇年の四六%削減を目指して、それを目指して意欲的な取組を引き出していく、民間の創意工夫、技術開発、これを促していくという視点で作っております。

 したがって、CO2削減に取り組まない企業は結果的に後から負担が物すごく大きくなっていくという仕組みですので、ある意味、同じ発想に立っていますけれども、直ちにやるか、一定期間の間に技術開発を促していくかというところの違いがあります。

 その上で、例えば石炭の議論もよくあるわけですけれども、各国のそれぞれの事情がありますので。ドイツにしても石炭をしばらく使うということになっていますし、フランス、イギリスでは原子力を活用していくという方針。ドイツは、しかも、フランスからも電力を融通できるという、グリッドがつながっていますので。ということにありますから、それぞれの事情の中でエネルギーの安定供給と脱炭素化を両立していく、それぞれのやり方で進めているわけであります。

 日本としても、安定供給をしながら脱炭素化という中で、最初に御指摘があった水素、アンモニアも活用しながら、石炭なんかは減らしていくという方向、効率の悪いものはどんどん減らしていくという方向でありますし、もう一点言えば、例えばCCS、CCUS、これについても、やむを得ず当面CO2は出てくるけれども、それはしっかり回収をして、貯蔵する、あるいは再利用していくというところにもしっかり投資をしていこうということであります。

 さらには、いわゆるトランジション、移行期間におけるエネルギー源として、LNGも、これは各国、今、ガスの取り合い、LNGの取り合いになっています。当面LNGは重要だということでありますので、そういう意味で、LNGを確保していく方策、あるいは当面の間の上流投資、こうしたことへの支援、こういったことも、これはG7でも是非議論を進めていきたいというふうに思っていますけれども、そういったところに、今申し上げたような点について金融機関の支援が行われるという大きな流れの中で、私ども、二〇三〇年の四六%削減を目指していきたいというふうに考えているところです。

篠原(孝)委員 分かりました。

 だけれども、やはり、誘導しているところで、いいことをした人、いいことをした企業やいいことをしている業界、いいことを目指している人たちによりよくという。だけれども、それではやはり国際的には通用しないんですね。石炭火力の方で、もう一人の西村大臣は、COP、今度も行っていて、余り報じられていませんけれども、毎度、日本は化石賞という不名誉な賞をいただく。石炭火力については全然、ゼロじゃないんですけれどもね、ゼロじゃないんですけれども、ほかの国と比べたらずっと緩やかな態度を取っている、何をやっているんだと。これは、僕はあると思いますよ。

 私は、これはひど過ぎると思いましたけれども、そこのところにちょっと書いていないんですけれども、一九七〇年に減反をやったときに、新たな水田を作るのはやめろといって、水田の開田はストップしたんです。それからどんどんどんどん減らしていって、その下の政策効果のところ、裏側の方の政策効果のところを見ていただくと分かるんですが、三百十七万ヘクタールあった水田面積が、もう百七十万ヘクタールに今なっているんです。生産量が千四百二十六万トンあって、九百万トンぐらいがずっと続いているんですが、今八百万トンというふうになっている。

 だから、国際的な何かは言われないんですけれども、国内的な需給環境を見ても、非常につらいことですけれども、作るなというのをやっているんです。だから、私は大臣に思い切った措置を取っていただきたい。

 どうしてこれを言っているかというと、大臣の経歴を見ましたよ、経歴。そうしたら、いっぱい、環境のいろいろなことを十五年間でやっておられるわけですね。へえと思ったんです。やはり三つ子の魂百までで、風力発電とか空き缶のリサイクルとか、最後は環境立地局の調査官というので、十五年のうちに、環境絡みの動き、足したら半分ぐらいになるんじゃないですか。だから、そういうマインドは絶対お持ちだと思っているんです。だから言っているんですよ。

 こっちに思い切って、西村大臣の間にシフトしていただきたいと思っているんです。それは、嫌われたって、嫌われ役は必要だと思いますよ。僕なんか、党内でなんか、いつもどぎついことを言っては嫌われているんです。それでもめげずにやっています。ここでは優しくやっていますけれどもね。これでも優しくやっているんですよ。だから、もうちょっと、駄目だという、特にインチキの部分は厳しくやっていただきたいと思います。

 いいです、じゃ、今のは認めますよ。よりいっぱい、いい子、優等生にはいっぱいいいことをやってあげる。だけれども、悪いことをしたのは厳罰をもって臨まないと僕はいけないと思います。それだけはやっていただきたいんです。この点はいかがでしょうか。

 直接的には不正閲覧の、この次の法案のときにたっぷり、まだ議論させていただきますけれども。

西村(康)国務大臣 篠原委員には、TPPの議論のときを始め、いつも優しく御質問いただき、また建設的な御議論をしていただいて、ありがとうございます。

 まず、取り組まれた転作の奨励の件ですけれども、ある意味、FIT法を作ったというのは、再生可能エネルギーを、優遇して、どんどん、新電力というか、電源を含めてみんなで取り組もうということでありました。これは民主党政権での法律でありましたけれども、私は自民党の責任者でありましたので、これはやろうということで取り組んだわけであります。

 御指摘いただいたように、バックグラウンドには、私は十五年、経産省におりましたけれども、半分ぐらい、エネルギー、環境政策、地球のサミット、リオでのサミットにも出席をいたしましたし、まさに新エネ法、当時、新エネルギーとずっと呼んでいましたけれども、新エネルギー法、あるいは省エネ法などの改正にも取り組んだ経験がありますので、そうしたことも踏まえて、FIT法をやろうということでやってきたわけであります。

 転作奨励と似たような形で、これまで、再生可能エネルギー、一〇%から二〇%まで倍になっているわけですが、これは、この間、FITで国民の皆さんに本当に御負担いただいた約十九兆円、この御負担をいただいていますので、これが買取りとして使用されていますので、ある意味で転作奨励のようなことを行ってきた、その結果が、今、再生可能エネルギーがこれだけ急激に増えてきたということだと思います。

 その上で、御指摘のように、送配電事業者が様々な情報閲覧、情報漏えい、こうしたことがあったということは、まさに中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであります。このことについては、現在調査も行われておりますので、その結果を踏まえて厳正に対処していきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 済みません、ばあっとやったので、質問の数だけ多くなってしまって、飛ばしたりさせていただきますが。

 先ほど中谷副大臣の方から投資対象のずっと御説明をいただいたんですが、僕はよく分からなかったんです。林業だとか食料とか農林水産業がどうなっているのかなと思ったら、金額は入っていなかったですけれども、一応対象にしていると。これは、鈴木委員がこの前聞かれていましたけれども、林業関係が対象になるのかと。僕はそういうのを、だから何を言いたいかというと、よりポジティブな方のところにもやっていただきたい。というのは、CO2を出さない方に出さない方にという方にばかり行ったりして、そちらの方にばかり思いが行っているんじゃないかなと思うんですけれどもね。それで私、再エネもそれなりにあるので安心しましたけれども。

 それと僕は、四三%というのは四六で間違いです、どうも済みません。

 こういうので大体分かりました。だけれども、日本がちょっと遅れているのは、いろいろな技術開発したりしたのにもかかわらず、運用面で後れを取っている。例えば、よく言われるんですけれども、ここのところは、昔は知らないんですけれども、太陽光発電のいろいろなものも日本が先鞭をつけてやっていた。ところが、余り熱心にやらずに、何かもう相当あっちに行ってしまった、中国に行ってしまった。昔は、日本は、欧米の先端技術をうまく改良してやって、いい製品を作るというのでのし上がってきたと言われているわけ。僕は、そういうところがあったと思います。しかし、今は、何かそっちの方は途中からよくないわけですけれども、人件費がかかったりするのはいいや、中国や東南アジアに行ってもいいや、そういう姿勢、ある程度仕方がなかったと思いますけれども、そういうふうにし過ぎちゃったのでよくないので、日本の在来技術、今ある技術をうまく活用していくところ、そういうところにもちゃんと投資していくべきだと思うんです。

 そして、次、大事なんですけれども、これは提案ですけれども、そういうものの、だから何を言いたいかというと、社会科学的なのが大事なんです。どうやって組み合わせて、どうやっていったらうまくいくか。技術開発、技術開発とかそっちの方ばかりで、あるいは、今やっているところへ投資なら、それをうまく組み合わせてどうやっていったらうまくいくか。それは、経済産業省の役人の皆さんが当座のことは考えるんですけれども、私は、こういうところの、社会科学的な面から研究するところにも投資して経産省はやっていただきたいんです。

 例えば、文部科学省の科研費というのがありますね、大学にいろいろ申請させたり。あれにも社会科学が入っているわけですから、私は、脱炭素は社会科学系統の研究にもずっと出さなくちゃいけない。それはどういうことかというと、さっき言ったちょろまかしとか、グリーンウォッシュとかいうのがあったりする。そういうのを見たりすると、学者の皆さんにもこれを徹底的に研究してもらって、どういうふうにやっていったらうまく脱炭素社会になるのか。そういうのは、いっぱい項目がありましたけれども、入っていないんですね。それぞれのところじゃなくて、これも是非考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

中谷副大臣 まず、先生御下問の林業分野でございますが、繰り返しになりますけれども、GX経済移行債を活用した先行投資支援は、排出削減と産業競争力強化、さらには経済成長の双方を同時に実現するために行うものであります。

 したがって、単純な森林吸収源対策など、排出削減にしか効果のない事業については支援対象外となります。

 一方で、御指摘の林業分野の革新的な技術開発につきましては、支援の要件を満たすものであれば対象になっていくというものであります。

 GX基本方針にのっとりまして、排出削減のみならず、経済成長、競争力強化についても重要な要件としております。民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であること、国内の人的、物的投資の拡大につながるもの等々、こういった具体的な方向を示しております。

 既存の林業分野の支援制度も状況をよく踏まえまして、排出削減と経済成長、競争力強化を効果的に実現する方策について、今後、林業分野については検討していく必要があるというふうに思っております。

 また、太陽光また風力等々でございますけれども、先生御指摘のとおり、太陽光パネルや風力発電は、ほとんど今、海外製となっております。国産化に向けまして、次世代太陽光電池や洋上風力の技術開発、サプライチェーン構築に向けた取組を進めていくことは重要だというふうに考えております。

 太陽光発電につきましては、軽量かつ柔軟であるという特徴を持ち、これまで設置が困難であった場所についても設置可能な次世代型太陽電池でありますペロブスカイトについて、グリーンイノベーション基金を活用いたしまして技術開発を進めております。ビルとかに張れるやつですね、こういったものをやっております。また、二〇二三年からこれを建物等で設置実証の予定がされるなど、着実に今、取組を進めているところであります。

 また、洋上風力につきましては、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件を形成するという目標を設定をいたしまして、再エネ海洋利用法に基づきまして着実な市場をまず創出をしていきたいというふうに考えております。昨年末には、秋田、新潟、長崎沖において百八十万キロワットのプロジェクトの公募を開始をしております。その上で、サプライチェーン補助金を活用いたしまして設備投資支援も実施することで、実際に国内での風車部品の組立て拠点等の構築を実現していきたいというふうに考えております。

 さらに、今後の拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電につきましても、グリーンイノベーション基金を活用いたしまして、将来のアジア展開も見据えた我が国の技術開発、社会実装に向けた取組を進めております。

 まずは、こうした支援の成果や進捗状況も踏まえつつ、技術開発に加え、普及拡大に向けた量産化についても更なる検討を深めてまいりたいというふうに考えているところであります。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

西村(康)国務大臣 百五十兆円規模の投資を、官民で投資を引き出していく、そのための二十兆円の支援を行っていく、その支援対象についてのお話でございました。

 既に御議論させていただいているとおり、排出削減と経済成長、そして産業競争力強化の両立、実現をしていくためのものに支援をしていくということでありますけれども、委員御指摘の社会学的な研究についてでありますが、どういう内容かにもよるわけですが、経済成長と脱炭素の両方に資する技術がどのように社会に実装されていくのかというのは、これは御指摘のとおり物すごく重要な点でありますので、今後、GX投資を推進していく上で、御指摘の点、しっかりと留意して、様々な検討を進めていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 じゃ、続いて、その観点なんですけれども、この次のGXの脱炭素電源法、あっちの方の議論になると思いますけれども、今ちょっと出ましたので。

 私のまた提案ですけれども、GX、GXと言っているけれども、既存の産業が痛めつけられたらいけないというので、我々は、労働組合、労働サイドからは失業なき移動というふうに言っているわけですね。だから、これはちょうど里見さんが政務官で、労働省におられたし、聞こうかと思って、まあ、あっちで、聞かれないということなので、大臣でも副大臣でもお答えいただきたいんですけれども、これが今の社会科学的な研究になるわけです。私は、その場で、その企業のところで失業が起きないようにじゃなくて、これをばねとして、地方に、再生可能エネルギーの立地条件がいい地方に産業が行き、そこで雇用が生まれると。

 今でも、これだけコロナで、都会の方がずっと感染者が多かった。アメリカなんかでは、ばあっと都市部から地方に人が移動して、そして家もわあっと造り始めたから、日本に輸出している材木がなくなって、ウッドショックとかになっているぐらい。日本は相変わらず、これだけいろいろあったのに、まだ都市部、特に、特にというか、悪いんですけれども、中京圏とか関西圏じゃなくて、東京に集まっているんです。

 実は、それはよくないので、こういうことをばねにして、GXをばねにして、残酷なことを言えば、都市部では失業が起きてもいいとか、全く暮らしていけなくなるのはいけないですけれども。それで、移動して、そっちで仕事をして、人がいなくて困っているわけだから、その地域を活性化する、こういうことも一緒に考えていただきたいんです。それは地方創生担当相の仕事じゃなくて、経産省が、産業移動とともに、失業なき労働移動じゃなくて、都市部は失業して、中山間地域まで、中山間地域にも太陽光パネルなんていうのはあるわけです。だから、地方に人を持っていく、こういうことも是非やっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中谷副大臣 そもそも、炭素をたくさん出している多排出産業は地方に多く立地をしております。これらの脱炭素GXの実現は、地方における雇用を守るために絶対に必要であり、これを強力に推進してまいります。

 また、政府といたしましても、先般閣議決定をいたしましたGX実現に向けた基本方針において、労働移動の観点も踏まえまして公正な移動を明記したところであります。

 まず、何といっても、多排出産業などでは、多排出産業自体におけるGX実現のための人材育成、これをやっていかなければいけない。GXに資する革新的な技術開発の促進、また、他産業から今度はグリーン分野を含む成長分野への労働移動を促すためのリスキリング、人材育成についても、これは取組を進めていく必要があります。これらを進めて、地方における雇用を確実に確保していくということが大事であります。

 さらに、地方で研究開発や実証拠点を整備したいというような取組があるならば、しっかりとそれらを国として支援していく必要があるというふうに考えているところであります。

篠原(孝)委員 今ちょっとありましたけれども、そうなんです。それで、この百五十兆円の方がいっぱい書いてあったのでそれを見ましたら、次世代ネットワークというのに十一兆円、これをどういうところに生かしてどうやっていくのか、よく分からないんですけれども。

 リモートワークと言われているわけです。パソコンでやったり仕事したりするのは別に東京にいなくたっていいというのに、どうも進み方が遅いんじゃないかと思います。

 私は長野一区で、飯山というところには北陸新幹線が通るようになって、一時間半ぐらいで行けるんですよね。東京のごみごみしたところで満員電車に乗ってやっているよりは、田舎に住んでいて、そして冬は、好きな人がいたらですが、スキーが幾らでもすぐできる、そういうのもある。そういう方向に持っていくというのも考えていただきたい。これも脱炭素化社会の一つのパターンだと思う。だから、こういうのを組み合わせるということを考えていただきたいと思う。

 だから、失業というのを、今何かちょっと気になることを、いっぱいCO2を出すような産業は地方にあるって、それはどの程度の地方か。本当のど地方というか、中山間地域にはそんなものないわけですね。地方の都市、例えば瀬戸内海の沿岸、瀬戸内海の工業地帯にはあるでしょうけれども、そんなもの全然ないところがあるわけです。そういうところのことを考えて、これを生かしてやっていただきたいというのが私の願いなんです。以上です。

 そして次、今度、これはもう説明をさんざんしていただいたので、三つ一緒ですけれども、仕組み、これはこんな仕組みあるのと。こんな仕組みあるのというのはどういうことかというと、十年間、政府が先鞭をつけて投資して、民間も投資しろというふうにやって、そしてうまくいって、いけるようになってもまだ更にCO2をいっぱい出したりしているようなところから賦課金を取って、それで償還していく。非常に私はユニークな考えだと思うんですよ。こんなのを考える人はなかなか大したものだと思いますけれどもね。先にうまくいくようにしておいて、後から賦課金を取る。

 最初に賦課金を取ってそれで何かをするというのが普通なんですけれども、これはやってみなきゃ分かりませんけれども、やってみていただきたいんですが、こういうものだけじゃなくて、直接補助とかいうものもあってもいいような気がするんです。それが、さっき大臣が言われたFITがそうだったんだろうと思います、農林水産省の減反奨励補助金がそうだったんだろうと思います。そういうことも今は必要なような気がするので。

 この仕組み、僕ははっきり言ってきちんと理解できないんです。これは本当にこうやってうまくいくのか。後から賦課金というので、それでもって償還できるのかという気がするんですけれども、この成算はあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、民間企業の意欲とか創意工夫、研究開発、技術開発、そして投資、これを進めることによってCO2を減らしていこう、一定の猶予期間を置いてやろう、規制とか負担をいきなりどんと上げるということについては取らずに、そうした努力をした上での手段というふうに考えているところであります。

 そして、このカーボンプライシングの構想ですけれども、今回の考え方ですけれども、代替技術が今あるかどうか、それも見なきゃいけない、それから国際競争力への影響も見なきゃいけない。それを踏まえた上で導入しないと、生産活動などが国外に移転をして、特に、排出規制の緩い国に移転することで、結果として、国内の雇用や消費が流出する、あるいは国益を損なうわけですし、世界全体で見てもCO2が増える結果になってしまうということでありますので。

 御指摘のように、当面、一定の期間を置いた上で、その間に支援をして、早く研究開発、技術開発に取り組む、投資をしてもらう。そして、取り組まない企業は徐々に負担が上がっていくという方針を明確にしたところでありますし、全体としての負担の総額は中長期的に増えないようにしようという範囲内で導入をしているところであります。

 そして、そうした方針に従って、二十兆円規模の支援を行い、官民で百五十兆円規模の投資を引き出していくということで、それぞれの分野ごとに、金額については、先ほど御議論させていただいたとおり、工程表にお示しをしているところであります。

 いずれにしても、早期に取り組むほど負担が軽くなる仕組みで、民間企業の意欲ある取組をできるだけ早く、そして強力に支援をしていくことで、こうした道筋をつけていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 せっかく作った私のこの一覧表をまたちょっと見ていただきたいんですけれども、これはいろいろヒントが隠されていると思うんです。

 私は、CO2を出し続けた企業というのはやはり罪があると思うんです、これだけ法律を作って出すな出すなと言っていたのに。ただ、それが緩かったわけですけれども。じゃ、農民が米を作っているのは、それは罪があったか。いえいえ、生産性向上で一生懸命やっていたわけです。

 一ページのところでちょっと書きましたけれども、皆さんもうお忘れかと思いますけれども、朝日新聞、米作り日本一というのを表彰していたんです。ちょうど減反が始まったときに、もういいかというのでやめましたけれどもね。それだけ米で自給していくというのが大事だったんです。それで突然、作っちゃいけないんですから、農民には罪はないんです。ですけれども、それに対して、公害の垂れ流しとか、空気のとか、外部不経済ですよ、それに余り取り組まなかったというのはやはりよくないので、そこは厳しく律していくべきだと思います。

 次のページのところを見ていただきたいんですけれども、さっき大臣が言われた、一九九二年のリオの環境サミットに行かれたというのを、その頃も日本は駄目で、宮沢総理だったと思いますけれども、行かずに画面だけでやって、何だということを言われて、その姿勢は今もずっと変わらないんじゃないか、国際的にはそう見られているわけですね。

 米の方は、貿易の自由化で、農業は過保護だと。そんなに過保護じゃないんですよ。ほかの国はいっぱい予算をつけてやっているのに、日本はやっていないんですよ。これは農林水産委員会でやることですけれどもね。

 この下の方を見ていただきたい。今後、最近の排出し過ぎの抑制と作り過ぎの是正のところですね。考えることは同じだなと思うんですけれどもね。

 どうしたかというと、最初、農林水産省の方は、米は全部作るなと。何も作らなかったら金を出すなんてけしからぬというので、さっき、シフトをすると。ところが、だんだんいろいろなことを、悪知恵を働かせてくるのがいる。飼料米、餌米ということにされていますけれども、それはどうしてかというと、千二百万トン、年によって違うんですけれども、餌をコウリャンとかトウモロコシとかを輸入してくる、これが高くなって酪農家が困っているわけですよね。これがあるので、じゃ、水田をそのまま利用して米を作って、それを主食用に回さないんだったらいいじゃないかということで、飼料米という、米作りの延命ですよ。

 これが何と、どうしてこんなへんちくりんなことをするのか、十万円を出している、十アール当たり、麦や大豆より。やったけれども、畜産があるところはいいんだけれども、畜産がないところは、あれは持っていかなくちゃならないから、その地域で余っちゃうわけです。だから、輸送するとCO2をいっぱい出すという。これは石炭火力や原発に固執するのと同じなんです。こういう流れは絶対あるんですよね。僕は餌米に十万円も出し続けることは絶対反対です。

 ただ、こっちには利があるんです。お分かりだろうと思いますけれども、水田機能の維持。あれは連作障害を起こさないので、いざというときに水田に復帰できるしというのがあって、外部不経済じゃなくて、水資源を涵養し、日本の原風景を維持しということで、水田を守ることについて誰も文句を言わないので、そっちにお金を払うということであれば、ある程度許されると思う。いざというときの経済安全保障が大事だと思う。食料安全保障も同じように大事なのに、余り議論されていないし、ほったらかしになっていると思う。

 だから、こっちはいいけれども、私は、石炭火力、原発への固執は、さっき大臣が言われましたとおり、それぞれ違いがある。脱炭素がありますけれども、ヨーロッパは脱ロシアで困っているわけです、天然ガスが来なくなっちゃっている。だから、ドイツの原発、二〇二二年に廃止というのをもうちょっと先延ばしすると。ドイツは脱原発も脱炭素化も一緒にやっていたけれども、脱炭素化もちょっと勘弁してほしい、そういう対応は私は必要だと思います。

 日本は、余り言われていないみたいですけれども、結構このシフトは真剣にやってきたんですね、何もないから。だから、ほかの国より私はずっとうまくいっているんだろうと思います。だけれども、ここに安住していてはいけないので、化石燃料の延命というのはどっちにしろ駄目なので。

 例えば、今、水素、アンモニアを一番最初に挙げています。だけれども、これをよく知りません、技術的なのは。だけれども、化石燃料による発電のところにも混ぜてやったりしたら、CO2の排出が少なくなる。多分、少しは少なくなるんでしょうけれども、物を読んだりしたら、たった四%しか減らないと。これは私は、さっき言ったグリーンロンダリング、グリーンウォッシュの類いだと思うんです。そんなのだったら、完璧にゼロにするような方向にやるべきで、そういうふうに僕はしていただきたいと思うんです。そこのところがちょっと足りないんじゃないかなというのが私の考えです。

 それで、次に、今の延長線上なんですけれども、水素、グリーン水素というのがよく言われています。だけれども、水素をどうやって作るかというと、既存の電力で作るんじゃ駄目だと。

 私は、高レベル放射性廃棄物の研究に関する議員連盟、そこの事務局長というのをやっていまして、あちこちの、オンカロとか、それからハンフォードとか、アメリカのワシントン州の、すごくいっぱい行っているんです。今もう引退された増子輝彦さんと河村建夫さんと富田さんが三人共同代表で、私が事務局長で、行っているんですよ。そういうところでいっぱい見てきています。

 それで、ヨーロッパの北の方、デンマーク、オランダ、ベルギーの洋上風力発電を見てきています。そこでもやっていました。洋上風力発電の豊富な電力を活用して水素を作って、それを持っていって発電している。ああ、こういうミックスがあるのかと。そして、そのためには港湾が物すごくきちんとしていないと。物すごい施設があるので、港湾整備をしているんですね。何でやっているのかといったら、でかい設備を洋上に造るためには物すごい資材を運ばなくちゃならないので、そういう長期投資をちゃんとしているんですよ。

 だから、私は、駄目なものは懲らしめるべきだと思いますけれども、いいことでこれが先行きいい方向に行くというのだったら、そこは同じように扱うんじゃなくて、重点的に投資してやっていってもいいような気がするんですが、そういう姿勢はあるんですか。どうもこの法律を見ていたら、まだ受け身で、はい、やってください、脱炭素化に関わるのは何でも投資しますよと、めり張りがついていないような気がするんですけれども、私はやってもいいなと。

 なぜかというと、LNGを使ったりするのは、日本は相当そこに注力していて、ほかの国よりも先にやってきたんだろうと思う、官民挙げて。それと同じのを水素、アンモニアでできるんだったらやるべきだと思うんですが、そういう姿勢が余り感じられない。たった一つ感じられるのは、順番どうでもいいのに、水素、アンモニアが一番上にあったのが、そういうのがあるのかなという気がするんですけれども、いかがでしょうか。

中谷副大臣 先生御指摘のとおり、エネルギーにおける重要課題は、これは民間に任せるだけではなくて、政府としても積極的に、二十兆円規模のGX移行債も活用しながら、先行投資を行って支援をしていく必要があるというふうに考えています。

 特に、先生御下問のグリーン水素につきましては、導入に向けた当面の課題は製造コストであります。グリーンイノベーション基金を通じまして、大規模な水電解装置を用いた水素製造技術の開発、実証を行い、コストの低減に取り組んでいるところであります。

 また、国内での水電解による水素製造は、調整力としても機能を有しております。再エネ導入拡大にも貢献し得るというふうに考えています。これは、再エネを入れていく上で極めて大事というふうに思っているところであります。国内における水電解装置の導入支援も積極的に行っているところであります。

 加えて、大規模かつ強靱な水素サプライチェーンの構築に向けまして、既存の燃料と、これにつきましては価格差に着目した支援、値差支援と言っていますけれども、これについても必要であるというふうに考えています。需要創出につながる供給インフラの整備支援などを検討しているところでありまして、本年一月に支援制度の骨格を示した中間整理を公表したところであります。

 引き続き、足下のコスト低減に向けました技術開発、実証支援を行いつつ、官民、密な連携を取りながら、大規模なサプライチェーン構築に努めてまいりたいというふうに思っております。

篠原(孝)委員 なぜこれを言うかというと、ドイツ、見本というか、今苦労していますけれども、余り出てきませんけれども、水素に相当力を入れているんですよ。それは、脱原発と脱炭素を両立しようというのをやってきた。廃炉の後の始末なんかも、ゴアレーベンというところに行きました。北の方ですけれども、岩塩なんです。そこで、地下で、オンカロは有名なんですが、あれは岩石ですよ。それで、もう進んでいる。ゴアレーベン、物すごく造ってある。だけれども、断念したんです。

 どうしてかというと、水害が起きて水が来たら、塩は溶けますから。だから、何万年後のことを考えたらそんな危険なことをできないといって、相当金をかけて造ってやっていたのに、チャラにしているんですよ。転換が早いんじゃないかと思います。

 原発についても、メルケルさんは、菅さんはいないんですけれども、菅さんもメルケルさんも物理学を勉強したと。そのときにトップなわけですよね。菅さんの対応の方が私は、いる前で、別に、悪いこと、批判するつもりはないんですけれども、あちらはもう、やってきたけれども、これは危ういと。

 そのとき、褒めているわけです。電車が一分の遅れもない、そういうふうにきちんと何事もする日本で、原発が、事故が起きたと。アメリカは効率一点張りで、どこか変なふうになる、スリーマイルですね。ロシアというかソ連は不効率なところがあって、ノルマとかそんなのでちょっと変なやり方。日本はちゃんとやっているはずだと。そのちゃんとやっている日本でも原発事故が起きたんだからといって、三か月、技術者とかそういう専門家じゃない、宗教家とか哲学者を入れて議論をして、二〇二二年原発廃止を決断しているわけです。

 そういうのはトップの資質として私は必要だと思います。そのとおりに来ているわけですよね。だから、そういう濃淡をつける。これは駄目だ、こっちに行くというのはあってもいいんだろうと思います、それで、その方針にのっとってやっているので。日本は、そこまで強力なリーダーシップを発揮できるトップはなかなか生まれていなかったんですけれども、安倍さんが違う分野でそういうことを、意図を出されたと思います。こっちの分野なんかはないんです。私は、そういう点、西村大臣に期待しているんですよ。地球環境サミット、やはりきちんと考えられていると思います、ひそかに。

 僕なんかは、全く同じで、グレタ・トゥンベリさんが、四年ぐらい前、二〇一八年でしたか、国会の前に座っていた。飛行機を駄目だといって、国連総会に招かれたときもソーラーパネルつきのヨットで行っているんですね。

 環境委員会に僕はいながらやっているんですが、僕は、物の移動はなるべく少なくて、そうすることがCO2削減につながると。フードマイレージという言葉は僕が作ったので、ウッズマイレージ、この後が恐ろしいんですね、グッズマイレージ。お分かりになりますか、韻を踏んでいるんです。

 グッズマイレージも少なくというのは、貿易が少なくなるんですよ。ゼロにしろなんて言っていませんよ。日本でできるものを外国から輸入したりするのはバツだと。だから、僕はTPPにも反対していたわけですよね。

 こういう考え方はなかなか受け入れられないと思いますけれども、今そういうふうになって、飛び恥、フライトシェームというのがあって、余り航空機を利用しないというようなのになったりしている。だから、こういう考えを先取りして僕はやっていっていただきたいと思います。

 そういう点では、この次の法案、五本の束ね法案、ここを特にきちんと議論したいと思っているんですね。

 大臣は風力発電をやられて、洋上風力発電のことについて本の中に書いてありました。僕はあれはそれなりに有望だと思うんですけれども、行き過ぎていますね。海域利用法を作った。これは、二〇一八年に漁業法を改正して、私は水産庁の企画課長というのを三年やっているんです。資源管理をきちんとするその法体系をぐちゃぐちゃにされたんです。

 どうしてかというと、ここから後が大事なんですけれども、漁業者がいるんです。開発サイドからは邪魔なんです。だから、どうなったかというと、養父市がどうのこうのと最近出ています、農地を企業に渡さないと。漁業権は、島で御存じだと思いますが、農地ほどきっかりしていないです、物権でもないと。五年と十年物がありますけれども、更新されていくんです。それで、世界の常識は、そこで漁業をやっている人たちを優先させるんです。だから、あの厳しいIWC、環境保護団体も、原住民捕鯨なり日本の沿岸捕鯨は許すんです。遠くから行って分捕るのは、そこを壊されたらばあっとトンズラするからいけないと。地元の人たちに一番資源管理を任せればいいのに、そういうのを全部なくして、そして、有効かつ適切に利用する人だったら誰でもできる、諏訪湖のワカサギ漁を柳井正や孫正義にできるようになっちゃっているんです。そんな法律にしたので、僕は怒り狂いましたけれども。

 それは、どうしてそんなことをするかというと、五年、十年のときに、今でも人が少なくなっているのに、漁業権、我々に与えてもらえなかったら、漁業をやめるんです。そうしたら何の交渉もなく野方図に造られる、こういうことまで示唆する、これは絶対よくないと思っているんですけれども。これも後で議論しますけれども。

 なぜかというと、新幹線があって、今、リニア新幹線がある、道路も造るとしたら、日本のこれから投資で一番有望なのは何かというと、日韓海底トンネルが十兆円とありましたけれども、そんなのをはるかにしのぐ資財を使って何かするのが、原発に代わる洋上風力発電です。

 だけれども、洋上風力発電だけを前面に出して、日本の沿岸の海をぐちゃぐちゃにしていいのか。農地だったらまだ見ている人がいるけれども、洋上はよく分からない、これは絶対させてはいけないと私は思っているんです。大臣は風力発電をやってこられたというのを言っておられて、そういう価値観をお持ちで。

 例えば、とっぴになりますけれども、高田屋嘉兵衛、地元のところの「菜の花の沖」。私は菜の花議連の事務局長をずっとやっているんです。入っていただいていますけれども。菜の花なんかも、ちゃんと復活しなくちゃいけないんです。どうしてかというと、今、物価、値上がっています。何が一番値上がっているか。買物に行っておられたら分かるように、食用油が一番です。上がってほしい米は全然上がらないんです。理由は簡単、自給している。油は全部輸入しているから。こういうのを直していく。こういうふうに大転換していっていただきたいんです。

 またこの次の法案で三時間ほど質問させていただけるように、よろしくお願いします。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 先ほど来の質問で、何か農業のことを分かっていないような議員がいるようだということで、何か私のことかななんて思ったんですが、自分の名誉のために申し上げておきますと、私も、副知事時代、熊本で八年連続農業産出額を上げた、それから、どの県よりも農地の集約も力を入れてきたというようなこともありますので、やはりそういうことをちゃんと調べてから言っていただきたいというふうに思います。

 それでは、しっかりこのGX法案についても質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この間、本会議で、西村大臣に質問をさせていただきました。どうしても、行って帰ってきてということなので、なかなか十分に私も聞けていない部分もあるかなというふうに思いますので、その点について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、成長志向型カーボンプライシングの負担範囲についてなんですけれども、大臣の御答弁ですと、企業活動や経済への影響等も踏まえ、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内、すなわち、今後、石油石炭税収がGXの進展により減少し、再エネ賦課金総額が再エネ電気の買取り価格の低下等によりピークを迎えた後に減少していく範囲内で導入するということをおっしゃっていました。

 ただ、脱炭素の社会の導入のための政府の資金というのは、既存の石油石炭税と再エネ賦課金総額の合計の範囲内でやっていくというようなものではないんじゃないのかなというふうに思うんですね。これに関して具体的な制度設計、もうちょっと柔軟に考えるべきじゃないか。

 この間、足立委員も言っていましたけれども、GXを本気で、我が国が生き残っていくための重要な経済戦略としても実施していくためには、このGX移行債とか、あるいはそれを財源にしてやっていくような事業というものも、それに引きずられることがあってはいけないんじゃないのかなというふうに思いますけれども、この点、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 できる限り負担は増やさずに、できればCO2削減と経済成長を両立する形で進めていきたい、こういうふうに考えるわけであります。

 石油石炭税はずっと減少傾向、使用量が減っていきますから、しておりまして、令和四年度で、予算額でいいますと六千六百億円、それから、FITの買取りが二〇二二年度で四兆円強ありますので、これだけの負担を国民の皆さんにしていただきながら、ある意味で、再生可能エネルギーを導入し、一定の石油石炭に対する賦課がかかっているということであります。

 これが減少していくわけでありますので、この範囲内で何とか負担をとどめて、そして、GX移行債で先行的に資金を調達し、先行的に企業に創意工夫なり研究開発を促しながら、早く取り組んだ企業ほど負担が少なくて済むような、この制度設計の中で進めていければということで私ども考えたわけでありますが、これは、二〇三〇年に向けて四六%温室効果ガスを削減する、これを加速していくための、ある意味、確実性を高めるための必要な枠組みだと思っております。

 さらに、その先の二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けては、まだ、技術がどうなっているのか、世界的な経済がどうなっているのか、これはなかなか予見することは難しいものですから、そこまでは描いていないわけです。

 したがって、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、今回の施策の進捗状況などを定期的に確認をしながら、検証しながら、その後のことについては、また必要な対策、考え方を整理していかなきゃいけないというふうに考えておりますので、是非そうした、将来に向けては、またいろいろな御提案をいただきながら、一緒に取り組んでいければというふうに考えております。

小野委員 僭越ながら、大臣も宰相を目指される方だというふうに思いますので、経産省の枠で収まっていただきたくないと思うんですね。もっともっとGXの投資が必要であれば、それはもう国家の命運が懸かっているわけですから。

 重要広範が、今回は原発の運転期間の延長の方にかかっていますけれども、ただ、私、こっちの方がすごく大事だというふうに思っていまして、これを、その二十兆の枠ということでとらわれることなく、もっともっと柔軟にこれから考えていくということを考えていただきたいというふうに思っております。

 是非、ここは本当に大事なところだというふうに我々の党は思っておりますので、これは応援なんですね、反対ではなくて、もっともっと力を入れてやっていただきたいということなので、そこを是非受け止めていただきたいというふうに思います。

 次に、化石燃料賦課金のことについてお伺いをしたいと思います。

 この間の本会議の大臣の御答弁で、政府は、早期にGXに取り組むほど将来のカーボンプライシングの負担が軽くなる仕組みとして化石燃料賦課金を設計するというふうにしていますけれども、その導入時期が二〇二八年度ということになっています。これが遅いんじゃないかというふうに質問をしたところ、経済への悪影響やカーボンリーケージの問題などを挙げて、導入時期を慎重にすべきというふうに回答しております。

 ただ、私は、化石燃料賦課金が徐々に引き上げられる仕組みが始まらないうちは、化石燃料の消費量の削減には結びつきにくいというふうに思うんですね。やはり、ちゃんと賦課金も、もし導入するのであれば、それを早期に導入する。それは薄くてもいいと思うんですね。やはり発動する期間というのを早める必要があるというふうに思うんですが、その認識がおありなのかどうかをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 早期にこの賦課金等のカーボンプライシングを導入した場合には、例えば、代替技術があるかどうかによって、場合によっては、代替技術がないのに負担が課せられるということにもなりますし、また、排出規制の緩い国に生産移行する可能性もあります。結果的に、雇用、消費が失われますし、国益を損なうということになりかねませんし、世界全体で見れば、CO2の排出量が全体として増えてしまうという可能性もありますので、そうした点を踏まえて、一定の猶予期間を置いた上で、その間に研究開発、技術開発を促していく、導入を促していく、そういった枠組みにしているというところであります。

 ちょっと一点だけ訂正ですけれども、先ほど、石油石炭税六千六百億円ということを申し上げました。それから、FITの賦課金は二・七兆円程度ということですので、ちょっと金額を間違えましたので、訂正させていただきます。

小野委員 その合計額ですね。石油石炭税収とそれから再エネ賦課金、この辺も、何か私は、最初からこれを合わせて、それで十年間だと二十兆円ぐらいにちょうどなるので、何かそれで設定したように見受けられるんですけれども、これは先ほど申し上げましたように、やはりそれにこだわらないでやっていただきたいということですね。

 そして、化石燃料賦課金のことについては、御懸念の、その一般論というのはもちろんだと思うんですが、ただ、それが二〇二八年というと、やはりちょっと遅過ぎるんじゃないかと。二〇三〇年に、我々、ちゃんとCO2を四六%削減しましょうなんということを約束しているわけですので、これは、先ほど、カーボンリーケージの問題とか、代替手段がないじゃないかというようなことをもっともっと早く見えるようにした上で、これを前倒しするというようなことを、是非、これは法案にも、もう二〇二八年ということじゃなしに、もっと前倒しするような努力を是非、これは産業界とも話し合ってやっていただきたいというふうに思っております。

 それで、この化石燃料賦課金のことに関連して、今日は、財務省から坂本審議官にも来ていただいております。私も、熊本時代、一緒に仕事をさせていただいたということで、本当に今日は来ていただいてうれしいなと思うんですが、ただ、厳しいことを言わなければいけない。そして、私の後には足立さんがいますので、多分もっと厳しいことを言うと思いますが、余り厳しいことを言わないようにと、さっきくぎを刺しておきましたが、ただ、ちょっと私たちも納得いかないところがありますので、よろしくお願いいたします。

 本案を契機として揮発油税を見直すことは困難というふうに、この間の本会議で鈴木財務大臣はおっしゃいました。GXへの取組の気迫がやはり感じられないなということで、非常に残念だなというふうに思ったんですけれども。

 では、この答弁のときに、揮発油税の課税根拠や創設の経緯などを考える必要があるんだと。そうしないと、今回導入される予定の化石燃料賦課金との統合、つまり、これは産業界にとっても国民にとっても同じように、化石燃料に課される負担というものをちゃんと脱炭素に向けて統合する必要があるんじゃないかというふうに私たちは申し上げているんですが、こういったことをもうちょっと真剣に考えていただく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、じゃ、そもそもの揮発油税の課税根拠と創設の経緯というのが何なのかということをちょっと確認させてください。

坂本政府参考人 揮発油税の課税根拠、創設の経緯についてのお尋ねでございます。

 お答え申し上げます。

 揮発油税でございますけれども、昭和二十四年に、揮発油には当時の需給や価格の状況等に鑑みて相当の担税力があると認められる、こういう考え方に立ちまして創設されたものでございます。

 この当初は一般財源でございましたが、五年後の昭和二十九年度からは、立ち遅れた我が国の道路を緊急かつ計画的に整備するという観点から、受益と負担の関係も踏まえ、税収相当額を国の道路整備に充てるということにされたものでございます。その後、平成二十一年度に再び一般財源化されましたが、一般財源後においても、自動車ユーザーが道路整備等による恩恵を受けている、また、道路損壊をもたらしているということや、加えて温室効果ガスの増大、大気汚染、騒音、交通事故等の多大な社会的費用を発生しているということ、そして、極めて財政事情にあることに鑑みて、引き続き課税をお願いしている、こういう経緯のものでございます。

小野委員 ありがとうございます。

 創設の経緯は様々あって、最初はインフラをしっかりと整備していかなきゃいけないというようなこともあったと思います。その後、坂本さんおっしゃったとおり、一般財源になって、そして、公害もあったり、ほかの政策課題もあるでしょうけれども、様々なことに使われるようになったということだと思います。

 私どもは、そもそもこのGX移行債というものも、特別会計ではなしに一般会計でやるべきだということも最初から申し上げているんですけれども、そういう中で、税金を払っている側の国民は、これは別に、どういう目的で払っていますよということではないわけですね。もちろん、それを政治家が、ちゃんとこういう目的のためにと説明していくことも、それは税源によっては必要だと思いますけれども。

 ただ、やはり、もう道路も今までみたいに物すごい勢いで造っていく必要もなくなってきているわけですし、そして、今、我々が社会として向かわなければいけない方向というのは、明らかにこのGXをどうやって実現するのかということですので、ここは、西村大臣も、今は経産大臣それからGX大臣ということでやっておられますけれども、やはり政府全体で、ちゃんと明示的なカーボンプライシングというものを、このGX社会を本気で実現するんだというような意気込みの中でちゃんと整理をしていただくということが大事だと思います。

 そして、私たちは、当面の間税率というこの問題についてもやはりけりをつけなければいけないということも、これは経済対策のときからずっと申し上げてきておりますけれども、このGX社会を実現するという文脈の中で、それをまた本腰で政府に取り組んでいただくということ、これも引き続き申し上げていただきたいと思いますし、また、そこをやはりずっと先延ばしにして取り組むというのも、これは国の本気度が見えないということでもあるというふうに思いますので、是非そのことは重ねてお願いしたいというふうに思います。

 これで財務省は終わりましたので、坂本さん、どうもありがとうございました。引き続き、またよろしくお願いします。ありがとうございました。

 次は、排出量取引制度の本格稼働について御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、この二〇二六年というのは、本格稼働というふうにうたっておられるわけなんですが、西村大臣にお伺いします、何をもって本格稼働というのでしょうか。よろしくお願いします。

畠山政府参考人 お答えを申し上げます。

 この排出量取引制度については、今、まず足下ではGXリーグというものをやってございます。これは、自ら目標設定を宣言し、排出量を市場取引も活用して削減することで、社会から正当に評価されるための環境整備を行うとともに、炭素排出の少ない製品、ビジネスが収益性を高めるための各種ルールの形成を目指す、そういう官民連携の新たな枠組みでございます。

 本年四月からは、ルール形成に向けた活動を開始するとともに、排出量取引につきましても、試行段階として実施したいというふうに考えております。

 具体的には、自らが二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的と考える削減目標を掲げ、仮に目標未達成の場合には、排出量の取引を行って達成するか、あるいは未達成の理由を説明してもらうということとしております。

 企業が自主的に目標設定をすることで、企業に説明責任が発生し、強いコミットメント、削減インセンティブが高まることが期待されるとともに、国としても、透明性高く運用することで、実効性を高めていきたいというふうに考えております。

 国、企業双方が知見やノウハウを蓄積いたしまして、二〇二六年度からの本格稼働につなげていきたい、このように考えております。

 それで、その二〇二六年度からの本格稼働でございますけれども、更に公平性や実効性を高める、そういうことにしたいと思っておりまして、更なる参加率向上に向けた方策の検討に加えまして、具体的には、企業が自主設定する目標が政府指針を踏まえたものであるかのチェックということで民間第三者認証を入れたいと思っておりますし、目標達成に向けた取組が不十分な事業者に対する指導監督ですとか遵守義務の検討なども行っていきたい、このように考えております。

 いずれにせよ、詳細設計につきましては、試行段階の進捗を踏まえて検討を深めてまいりたい、このように考えております。

小野委員 二〇二三年度の試行的開始、そして二六年の本格稼働ということでございましたが、二六年の本格稼働というんだったら、もうちょっと踏み込んでいただきたいと思いますし、私は、二三年から、企業に具体的な負担が発生するかどうかは別にしても、枠の中にちゃんと入れるべきだと思うんですね。任意参加をまずお願いしますということではなくて、全ての企業が、自分が排出しているCO2がどれだけあって、そしてそれをどのように減らしていくのかということを、例えばバーチャルな枠で無償で配付するみたいなことで、それに対してどれだけ減っているのかということを見える化する。

 そして、先ほどおっしゃいました、説明をちゃんとしてもらうようにするんだと。企業も、昨日もJCLP、この部屋の中にいらっしゃる議員の皆様も多く参加されていたというふうに思いますけれども、今まさにESG投資が広がっている中で、企業自らが温室効果ガスの排出に対してどのように取り組んでいくかということは、もうこれは株式市場の中で説明していかないと通用しないような世の中になっています。

 ですから、このGXを二〇二六年に本格稼働させるとかいうより前に、そういった枠の中に入れて、例えばそれはバーチャルな無償枠でもいいです、そして無償枠というのも、今出しているもので、その枠内で与えちゃえばいいと思うんですよ。

 そういうことで、とにかく、自分たちが一日も早くそういう枠組みの中に入るんだということ自体が大事だというふうに私は思っていまして、政府が今考えているようなタイムスケジュールで、あるいはその意識でやっていると、多分、我々が世界の中でも置いていかれてしまう。既にもうこの排出量取引に関しては二十年遅れているわけですので、そこを早くやっていく。

 そして、昨日もJCLPさんの、企業さんのプレゼンを聞いていると、我々の意識よりも相当はるかに先を、実は企業は行っているということでもありますので、それをまず意欲的にやっていただきたいというふうに思うんですね。

 そこで、じゃ、将来、どれぐらいの見通しで企業に参加してもらうということを考えているかということなんですけれども、排出量取引制度のカバー率というのは、どれぐらい、何%ぐらいに持っていきたいというふうにお考えでしょうか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、排出量取引制度は、市場機能を活用することで効率的かつ効果的に排出削減が可能な利点がある一方で、個社ごとに削減目標の設定や排出量の管理を行うことが必要でございまして、全ての排出主体に対応するということは困難でございます。したがって、排出量が一定規模以上の事業者に対象が絞られるという性質がある、このように考えております。

 こうした中で、GXリーグにつきましては、昨年三月末時点で、電力や鉄鋼などの多排出産業を含めまして幅広い業種から四百四十社の賛同があったところ、直近では、これが増えておりまして、六百七十九社まで拡大しておりまして、EUの制度と同水準である国内排出量の四割以上をカバーしております。我々としては、これは十分な規模であると考えております。

小野委員 大体EUと同じぐらいの規模を考えているということで、それは私も妥当だと思います。そして、おっしゃるように、全ての会社が本当にすぐに入れるのかというと、難しい面はあると思います。

 ただ、もう既に政府の方もGXリーグというのをやって、自主的に頑張る企業を募ってきて、それが既にCO2排出量の四割をもう占めているということでございますから、ですから、やはり、ちょっとこのスケジュールはもっともっと早めていただく必要があると思います。そのための努力も、政府は私はやってきたと思いますし、それを企業の皆さんに理解を求めてやっていくということはできると思うんですね。

 ですから、もちろん、カーボンリーケージですとか、あるいは日本の企業の競争力が下がってしまうとか、そういう懸念があるのはもうもちろん承知していますが、ただ、先ほど申し上げたように、枠の中に入れて、その中で負担を課さなくても、ちゃんと、どれだけ頑張っているのか、あるいはこれから頑張るつもりがあるのかということが分かるような仕組みに一日でも早く持っていくということが、これが日本の企業が生き残っていくために本当に大事なことだと思います。

 先週も、ニュースで、トヨタ自動車も時価総額世界トップ五十からも外れてしまったと。我々、もうトップ五十に企業がいなくなっちゃったということもあります。脱炭素をしっかりと実現して、そして競争力がある、そういった企業をつくっていくというのは、これは、経済産業省だけの問題じゃなくて、国全体で考えなければいけないことだと思いますので、是非そこは、もっともっと、もちろん緊張感がないわけじゃないと思うんですけれども、ただ、もっと危機感を持っていただいて、そして、企業の側にも、企業の側はもうビーレディーというか、本当にやる気は私は伝わりますので、そこはもっともっと引っ張っていただきたいというふうに思っております。

 排出量取引制度に関しても、今、これは、特定事業者ということでは電力会社に限っていますけれども、その電力会社というのは一体どの程度の規模のものなのかということ、それから、発電事業者以外をそもそも特定事業者として対象とするということも考えていないのかということについて、お伺いしたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの鍵の一つである電源の脱炭素化を加速させるために、諸外国の排出量取引制度の事例にも倣いまして、再エネ等の代替手段がある発電部門で、有償オークションの対象化など、取組を先行させる方針で考えております。

 そのため、本法案におきまして、有償オークションの対象となる特定事業者につきましては、効率的かつ効果的に発電部門の脱炭素化を進めるため、他社に供給する電力が多い電気事業法上の発電事業者のうち、排出量の多い者を対象としております。

 具体的な排出量の水準は政令で定めることといたしますけれども、二〇三三年度の制度開始までに、実効性や諸外国の事例等を勘案して定めるということで考えていきたいというふうに考えております。

 それから、発電事業者以外をどうするかということでございますけれども、この発電事業者以外も対象とする排出量取引制度につきましては、本年四月から開始する、先ほどから話をしておりますGXリーグにおきましてはそういった事業者も入っておりまして、ここにおいて排出量取引を試行的に実施をいたします。

 また、GXリーグにおきまして、国、企業双方が知見やノウハウを蓄積して、先ほど来申し上げているとおり、二〇二六年度から排出量取引制度を本格的に稼働させていく方針でございます。

 一方、カーボンプライシング、有償でやるかどうかというところにつきましては、その代替技術の有無や国際競争力への影響等を踏まえれば、国外への生産移転が生じて、世界全体で見ればCO2が増えてしまうという可能性があるだけでなく、雇用や消費の流出により国益を損なうことになるということのために、これは諸外国におきましても、各国の産業の状況を踏まえ、様々な工夫を凝らしながら制度を導入してきているものと承知しております。

 したがって、発電事業者以外を特定事業者に含めることにつきましては、代替技術の開発動向、GXリーグの実施状況、国際動向を踏まえた検討が必要だ、このように考えているところでございます。

小野委員 排除をしているわけではないというような理解はしておりますけれども、先ほどからの答弁で、海外に事業が逃げてしまうとかというようなお話もありますが、ただ、逆のこともちゃんと考えていただきたいと思うんですね。

 つまり、EUとか、ほかの、日本がマーケットにしているところは、我々よりもちゃんと上の基準を設けて、そして、そういう競争の中でやってくださいというふうに、この排出量取引についても設定した場合には、これは対象外としていると逆に通用しないということにもなります。

 そういう意味では、これから情勢がいろいろ変わる中だと思いますけれども、かたくなな形で特定事業者は電力事業者だけだというふうには言わずに、その状況に応じて、ちゃんと、排出量取引自体、私はこれは炭素賦課金よりもよっぽど排出量の削減には利いてくる制度だというふうに思っておりますので、その点は、最初から決め打ちではなくて、しっかり情勢を見ながら柔軟に対応していただきたいと思っております。

 時間がもうなくなってまいりました。グリーンイノベーション基金のことについては、済みません、ちょっと飛ばさせていただきますけれども、最後に、脱炭素成長型経済構造移行推進機構の組織について、これも本会議でも質問いたしましたが、改めて質問させていただきたいと思います。

 化石燃料賦課金の徴収ですとかそういった業務は、公平性、中立性が求められる業務を行うために、営利を目的とせず、株式会社形態ではない認可法人としますというふうに大臣はこの間お答えになりましたけれども、ただ、やはり公設民営でやれないこともないだろうというふうに思うんですね。巨大なまた行政官庁のようなものができてしまうということも、果たしてこれはどうなのかということもあろうかと思います。

 そして、実際に東証がこの一月三十一日までカーボンクレジット市場の実証実験もやっていたということもありますし、私たちは、ほかの国の制度というのも見る必要があると思いますけれども、公設民営、民間でしっかり市場の適正化をコントロールするということは、これは証券市場でもやっていることでもありますし、それをしっかりと行政側として見ていく必要はあると思いますけれども、できないことはないというふうに思います。

 そこで、公設民営化できない理由、この間と同じような答弁になるのかもしれませんが、それに加えて、EUなど先行国、先行地域の状況というものをお伺いしたいと思います。

畠山政府参考人 GX推進機構、これは主として、御指摘のように、化石燃料賦課金や特定事業者負担金の徴収などといった公平性、中立性が求められる業務を行うことを踏まえまして、営利を目的とせず、株式会社形態でない認可法人として設立することとしております。

 また、諸外国の状況でございますけれども、必ずしも網羅的に把握できているわけでございませんけれども、民間主体が賦課金の徴収を実施している例は承知しておりません。また、金融支援業務について、アメリカでは、政府機関自身が債務保証等の支援を実施するなど、政府が一定程度関与した上で、外部の知見を活用しているものというふうに承知をしているところでございます。

小野委員 時間が参りましたが、最後に一言だけ。

 大臣、このGX機構、例えば民に任せるところは任せられるということも私は結構多くあるんじゃないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、この機構の運営については、やはり効果的そして効率的なマネジメントを行う必要があると思いますので、民間の持っておられるノウハウとか創意工夫、これをできる限り生かす形にはしたいというふうに思っておりますので、運営委員会であるとかそういう場面でも、民間からの出向なども含めて、有為な人材を幅広く登用していく、そうした組織づくりをしたいと思いますし、全体の議論として、何か我々凝り固まって、これから一切変えないということではなくて、附則にも、今後の状況を踏まえて、必要があると認めるときは、検討を加えて、そして所要の措置を講ずるという規定があります。技術革新などいろいろなことを、進むか進まないか、これも見ていかなきゃいけないと思いますので、何か、この十年間、かちっとこれで何も変えないということではありませんので、是非いろいろな御提案もいただきながら、そうしたことを踏まえて対応していきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 我々も、この法案、賛成するかどうするか、まさに、どれだけGXに対して本気で突っ込むのか、やっていくのか、そこだと思うんですね。それをしっかり、この後、足立委員からもより厳しい質問があると思いますが、是非そういったやる気を見せていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 小野泰輔理事からくぎを刺されました足立康史でございます。上品にやりたいと思いますが、まず、今日午後一時からまた参議院で予算委員会がございまして、立憲のトップバッターの杉尾秀哉さん、また総務省の放送法の話ばかりやるみたいです。やめておきましょう、最低と言いかけたんですが。あっ、言ってしまいましたけれども。やはり経済産業委員会のカーボンにもっと注目すべきですよ、マスコミは。それを何か、今週の月曜日に、大臣レクがあった、なかったという話は終わったんだから、もういいでしょうと私は申し上げたいと思います。

 ツイッターでは、立憲民主党にうんざりというハッシュタグが今トップを独走していまして、やはりモリカケもそうでしたが、そういう揚げ足取りを取るような国会質問が続くと、本当に立憲民主党は野党第一党からずり落ちる。引きずり降ろすために私たちも頑張りますが、それは改めて指摘をしておきたいと思います。

 行政文書がどうとか大臣レクがあったとか、経産省は私もいましたけれども、そういうつまらない、大臣レクがあった、そんなものは十年前でも何年前でも分かりますよ、それぐらいのこと。だって、六人も同席しているんだから。だから、大臣から是非、郵政省はレベルが低いと一度言っていただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 非常に上品な御質問をありがとうございます。

 行政文書は、まさに、現在及び将来の国民に対する説明責任を全うするものであります、民主主義の根幹を支えるというものでありますので、公文書管理法そして行政文書の管理に関するガイドラインなどを踏まえて、これは適切に作成、管理することが重要であるというのはもう大前提、当たり前のことであります。

 このため、経産省では、これまでも、職員一人一人のコンプライアンス意識向上に向けた研修の実施とか、あるいは文書管理に関する省内監査、この実施などに取り組んでいるところであります。

 これらの取組を通じて、公文書管理法等に基づいた適切な行政文書の作成、管理をしてきているというふうに聞いておりますし、これからも引き続きしっかりと管理をしていきたいというふうに考えております。

足立委員 ちょうど今日の午後一時からは私が農林水産委員会、私、農水委の理事を今していまして、ちょうど十三時から農林水産委員会で、水産業、日本は海洋大国ですから、海洋国家日本の水産業、漁業の在り方について質問しますので、参議院予算委員会の杉尾さんの質問ではなくて私の農水委での質問に御注目をいただきたい、こう思います。大臣に申し上げても仕方ないですけれどもね。(発言する者あり)誰、今の、ちょっと。

 大臣、今日はカーボンの話をやりますが、負担金というか増税みたいな話もあるわけであります。ただ、まさに大臣が今日も小野理事の質問に対しておっしゃっていただいているように、減る分を埋めるというようなことで、増税にならないようにということで、いろいろ御配慮されているということであります。

 防衛増税について、大臣は、たしかこれは昨年の十二月の九日の閣議後の会見でいろいろおっしゃった。もう報道されていますが、思い出していただくという意味で、このタイミングで増税は慎重になるべきだ、今後五年間は日本経済再生のラストチャンスという思いで取り組まなければならない、大胆な投資のスイッチを押そうとしているときに水を差すようなことにならないように、増税については慎重にやるべきと。全く同感ですが、その思いは変わらないということでいいですね。

西村(康)国務大臣 その思いを持って、政府内、そして与党内で様々な議論が行われました。その結果として、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置においては、一般の中小企業の負担が増えることのないよう、九四%の企業を対象外とするなど、経済や暮らし、雇用に悪影響を及ぼさないよう、最大限配慮する仕組みとされたところであります。

 企業においても、この期、大変革期でありますので、物価高騰に直面しながらも投資や賃上げをやっていこうという、まさにそういう雰囲気が出てきておりますので、その中で、私としては、税制措置の実施に当たっても、そうした企業の意欲に水を差すようなことがあってはならないという観点で、様々な議論、提案を行ってきたところであります。

 岸田総理とも何度となくお話しさせていただきまして、そして、今後どのような形で進めていくかは、与党において今、様々議論、検討されているというふうに承知しておりますが、総理からは、経済あっての財政である、必要な経済対策、これはちゅうちょなく行っていく、これは国債を発行してでもやるということで言われていますので、私としては、経産省として、国内投資、賃上げ、ようやく機運が出てきましたので、これを後押しして、デフレ脱却をしっかりやって、そして経済成長を軌道に乗せていくという、そのための対策、引き続き講じていきたいというふうに考えております。

足立委員 地元を回っていると、私の地元にも、例えば自動車部品とか、大変重要な役割を担っていただいている超優良企業、地元、例えば、私が今申し上げたのは大阪の茨木市ですが、池田にはダイハツの本社もあります。大変厳しい国際競争、経営者の方々とお会いすると、電気代の問題もあるし、何よりも人材確保、人件費、様々な、あっ、これも質問しませんが、厳しい経営環境の中で国際競争、グローバル競争を勝ち抜くために、日夜、本当に懸命に経営をされている。お会いすると、大臣も地元でお会い、経済産業大臣としてもそういう接点、多いかと思いますが、本当に、ここで増税かと。法人増税ですね。それも、九四%の法人には増税しないんだ、六%だというんだけれども、その六%が日本経済を支えているんですね。懸命にグローバル競争で戦っている人たちです。

 だから、私はやはり、大臣が十二月におっしゃったポジションというのは正しいと思うし、防衛費に必要な財源を割り当てる、これはいいですよ。じゃ、別のところでちゃんと法人、要は企業経営を支えるために、ちゃんと税制、私は講じていく必要がある、こう思っているわけでありまして、ここは本当に、地元で企業を回り、企業の経営者の方とお会いすると、本当に申し訳ありませんというか、そういう話になります。だから、大臣は、もう言うまでもないことですので、是非しっかりお願いしたいと思います。

 それから、今日は、政府参考人、新居総括審議官はもう終わりましたので結構ですが、もしお時間があったら、この後、この法律の修正協議をちょっと今日しますので、修正協議。だから、官房もちょっと関係ありますので、新居総括審議官におかれても、時間があったら、この修正協議を官房から支えるということで、ちょっといていただければと思います。

 それから、飯田経済産業政策局長も、お忙しい中ありがとうございます。今日は二つ目の通告で、そもそも今大臣がおっしゃった、経済なくして財政なし、経済成長なくして財政再建なしなわけですから、どういうふうに経済成長を確実なものにしていくかということで通告をさせていただいて、お越しをいただいていますが、ちょっと後回しというか。

 なぜこの話を、飯田局長、これを申し上げたかというと、やはりさっきの増税の話もそうです。西村大臣のセンスは僕は正しいと思う。でも、岸田総理のセンスがやはり若干問題がある。特に、新しい資本主義ですよ。新しい資本主義ということで、仕方ないので内閣一致してそれをやっていますが、新しい資本主義で言われている官民の関係、官が民にどう手を突っ込むかというところのセンスは、私はやはり岸田内閣には異を唱えざるを得ない。そういう意味で通告しましたが、お答えは、やはり内閣ですから、新しい資本主義のフレームの中で、経済産業省としても産構審等でいろいろやっていますとか、こういうことをやっていますということになると思うので、ごめんなさい、勝手ながら、これもちょっと後に回しますが。ただ、飯田局長も、是非ちょっと時間があったら、あと二十分だけお聞きをいただけたら光栄でございます。

 さて、小野泰輔理事からも申し上げたカーボンですが、それから、財務省坂本さん、ありがとうございます。小野理事からは、とにかく私の友人だからひどいことを言うなということを言われましたが、せっかくこういうことをやるのなら、石油石炭税の抜本見直しとか、そういうことをやはりやるべきだと思うけれども、それは大臣からも再三、その話はまた別途ということでおっしゃっているので、それはちょっと小野理事に任せますが、私がずっとこだわっているのはガソリン税の当分の間税率ですよ。

 石油石炭税の抜本見直しをやりましょうとは言わないよ。いや、言うんだけれども、ここでは言わないですよ。しかし、ガソリン税の当分の間税率ぐらい、もう早く、当分の間というのは何とかしたらどうですかということだけは申し上げたいと思いますが、いかがですか。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 揮発油税等の燃料課税についての、いわゆる当分の間税率の経緯についてでございますけれども、昭和四十九年度以来、道路財源の充実ということで、暫定措置として本則よりも高い税率を設定し、それを引上げも含めて延長してきたという経緯の後、平成二十一年度に一般財源化された際に、一般財源化後においても、自動車ユーザーが道路整備等における恩恵を受け、また、道路損壊をもたらしている、あるいは温室効果ガスの増大、大気汚染等々の社会的費用がある、そして極めて厳しい財政事情にあるということに鑑みて、引き続き課税をお願いすることとし、平成二十二年度改正で税率水準を維持した上で当分の間税率とされたという経緯でございます。

 地球温暖化や厳しい財政事情というこの税率を据え置いたときの状況は、当時よりも更に深刻の度を増しているというふうなことを踏まえますと、この税率を見直すということについては慎重であるべきというふうに政府としては考えてございます。

足立委員 異論はありますが、また別途やりたいと思います。

 さて、本論でありますが、先ほども何度か答弁があって、大臣からも若干数字の訂正がありましたが、ちょっともう一回。

 今回の二十兆円については、まさに法律の十二条等に規定があって、令和四年度の石油石炭税の収入額の総額、これは事務方でもいいですよ、数字の確認です。

 それから、第十二条一項一号イ、ロとあるわけですね。イは令和四年度の石油石炭税の収入額の総額、ロに令和十四年度の納付金、再生可能エネルギー、要はFIT賦課金ですね。

 これは、令和十四年度にピークを迎えるということで、その数字だと思いますので、この令和四年度の石油石炭税の収入額の総額と、令和十四年度に見込まれるFIT賦課金の額、数字、もう一度確認させてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度、令和四年度、これは予算になりますけれども、石油石炭税収の予算額は六千六百億円でございます。

 それから、再エネ賦課金の方でございます。お尋ねは令和十四年度でございますけれども、まず足下、二〇二二年度でございますので令和四年度ということですけれども、この再エネ賦課金の見込額は約二・七兆円でございます。

 その上で、二〇一二年度のFIT制度開始当初に認定を受けた相対的に高い価格の事業用太陽光発電設備が、順次二十年間の買取り期間の終了を迎えるため減少に転じる、それは二〇三二年以降ということですけれども、減少に転じる、このように考えております。

 ただし、今後の再エネ導入状況によっても賦課金の金額というのは影響を受けますので、現時点で、少なくとも、令和十四年度の具体的なピークの金額、総額の水準を申し上げることは難しいという状況にございます。

 以上でございます。

足立委員 なるほど、そうか。

 すると、この法律案十二条の一項の一号のロは、じゃ、今分からないなら、これは、ごめん、勉強不足で、どうやって計算をするんでしたっけ。

 これが、各年度の炭素賦課金、化石燃料賦課金単価はこうやって決めていくわけですね。そのときに、その単価を決めるときに、一号に掲げる額を超えない範囲内。この一号に掲げる額というのは、まさにイ、ロに掲げる額の合計額から云々と。

 ちょっと解説だけ、簡単に。

畠山政府参考人 これは、そのときに水準をどう決めるかということでございますけれども、令和十四年度の納付金、ここからの、実際、当該年度に見込まれる納付金の総額を控除して得た額になっているわけでございますけれども、その当該年度というのが令和十三年度以前である場合、すなわち、化石燃料賦課金が入り、まだ特定事業者負担金が入っていない時点、その時点ではゼロとしてカウントするというのが括弧に書いてございまして、そういう計算になるということでございます。

足立委員 なるほど。

 ここで議論したいことは、各年度の、これはだから、別に石炭賦課金だけではなくて、その後に第二節で第十五条以下の特定事業者負担金に跳ねてくるわけだと思いますが、要は、カーボンプライシングの規模がそこで抑えられるというのが前回大臣と議論した話ですが、結局、毎年度のカーボンプライシングの規模というのは大体どれぐらいを見込んでいらっしゃるのか、まず、結果のところだけ教えていただけますか。

 今のは理屈ですね。それをずっと計算、それを考えると、当面というか、まだすぐ始まらないわけでしょうが、あっ、賦課金は始まるのか。その合計、必要な財源、いわゆる二十兆と言っているものを単年度で割り振ると、一番大きなところで大体どれぐらい、私は三兆以下だと見ているんですけれども、もっと低いんですか。分かりますか。質問が悪いなら、逆質問してください。

畠山政府参考人 まず二つ要素がございまして、一つは、石油石炭税が減少していくその幅、それから、FIT賦課金が減少していくその幅、その合計額の中に収める、こういうことでありますので、これは後になればなるほど幅は大きくなってまいります。

 我々は十分、先ほど申し上げたように、二〇二二年度においても例えばFIT賦課金であれば二・七兆円の規模があって、これが二〇三二年度以降減っていくということで考えておりますので、そういう意味では二十兆に達する十分な水準になると思っておりますけれども、ただ、年度展開で毎年幾らという数字を必ずしも持っているわけではございません。

足立委員 分かりました。分かりましたというか、理解が深まりましたが、細かいことをやる時間がないので、本質的なところにちょっと入っていきたいと思います。

 それでも、今二・七兆円で、今じゃないか、二・七兆というのはいつでしたっけ。足下の見込み。足下のFIT賦課金の見込みが二・七兆円ですから、それは減っていく、もう減り始めているの、まだ増えるんだな。なるほど、なるほど。

 だから、しかし、まだ増えるにしても、私、結論を言うと、年度ごとに、二兆とか三兆とかにキャップがはまる。それは二兆なのか三兆なのか四兆なのか、ちょっとまた改めて精査しますが、今日それをやる時間ないのでやめますが、もしかしたら数千億かもしれないし、一兆、二兆、三兆、四兆あたりの議論がなされていくわけでありますが、私が問題にしたいのは、大臣、ここからはもう本当に修正協議をやりたいんですよ、修正協議。

 この間、私、河野大臣とマイナンバーの話をやったんです、予算委員会の分科会で。足立さんの言うことはすばらしいからデジタル大臣補佐官に任命されまして、この間も、ある公共の乗り物のところで、また補佐官としてアドバイスするように言われまして、まあ、それはちょっとあれですけれども。経済産業大臣も、私、手伝いますから、手伝う。だから、デジタル大臣補佐官とともに経済産業大臣補佐官に任命していただいて。

 気持ちは分かるんですよ、この法案は、気持ちは分かるんですけれども、これはよく見たら、第十五条の、まさに私たちが重視しているのはこの第十五条の排出権取引ですよ。第十五条の排出権取引について、第十六条の三項に、各年度の特定事業者負担金の総額はということで、また範囲内、ここでキャップがはまっているわけですよ。キャップというのは、いわゆる排出権取引のキャップ・アンド・トレードのキャップじゃないですよ。日本の排出権取引制度の規模にキャップがはまっているわけですよ。

 ねえ、局長、違う。まず、ここまで正しいですか。

畠山政府参考人 十六条に規定しておりますのは、これはまさに、有償オークションということで申し上げている特定事業者負担金、これの範囲、枠でございます。

 排出量取引というのは、そういう意味では、GXリーグを発展させていく中で、無償で割り当てられる、あるいは、割当てといいますか、目標を設定して、それで取引をするという仕組みも想定をしておりますので、そういう意味では、そのうちの一部ということになろうかと思います。

足立委員 ごめんごめん、ちょっと片手間で勉強していまして、済みません。ちょっと補佐官にふさわしくないですね、済みません。

 まさに今御答弁があったように、化石燃料賦課金については第一節、それから特定事業者負担金については第二節ですが、排出権取引制度というものは別途用意されて、それについてはまた法律を作るよ、細かいことはということだから、もう一回確認しますけれども、いわゆる排出権取引制度というのは、規模に制限は、この法律はかからないという理解でいいですか。

畠山政府参考人 今、この法律におきましては、排出量取引に係る有償オークション、それは実は特定事業者負担金ということで、特定事業者が実際これを負担するわけでございますけれども、これは、今は発電事業者ということに限っております。その仕組みについて上限を定めているものでございまして、私が先ほど申し上げた排出量取引、これは今、何ら法律に規定をされておらないところでございますので、そこにこの今お示ししている法律が及ぶということはないというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 第十九条に、今ぱぱっと見ているだけでちょっと不正確かもしれないけれども、特定事業者排出枠、これはまさにもうちょっと広い話ですね、じゃないのか。特定事業者排出枠の割当て及び入札の実施に関する事項その他特定事業者排出枠、ここで言う排出枠はどっちですか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 まさにここで申し上げる特定事業者というのは、この法律におきまして発電事業者のことになっておりますので、これは発電事業者に割り当てられる枠のことでございます。

足立委員 すると、いわゆる排出権取引制度については全く書いていないんだね。それは業務としては書いてあるんだっけ、書いていないね。じゃ、この法律は、何だ、そういうカーボンプライシングの一番大事なところは何も書いていなくて、二十兆円のところの財源確保法みたいなものだな、だから。だって、排出権取引制度という大事なことについては一文字も書いていなくて、いわゆる防衛増税と一緒だ。この関係でできるいわゆる賦課金と負担金についての規模はまさに減る分の中でやりますよという法律だから、排出権取引制度については何も書いていないのか。これは寂しいね。

 時間が来ちゃうな。もうちょっと大事なことをやりたくて。

 大臣、本当に今、世界は日本が排出権取引制度についてどうするかを見ているわけですよ。こんな何か小さな話、二十兆円とかはどうでもいいんですよ。もう立憲民主党に任せます、そこをどうするかは、質問はね。私たちが関心があるのは排出権取引制度ですよ。排出権取引制度をどうするかと考えたときに、まさにグローバルな中で、ヨーロッパ、EU、アメリカ、中国、インド、これを見据えながら、グローバルな中での日本の政策はどうするんだということが問われているときに、いや、何も書いていませんと。

 グローバルな観点から、ちょっと御答弁を。

西村(康)国務大臣 世界でそれぞれの実情に応じながら様々な取組がなされていると思いますけれども、先進的と言われるEU、欧州では、まさに排出量取引制度と化石燃料への賦課金の双方を利点として導入されているわけでありますので、私ども、それも参考にしながら、両方の仕組みを入れて、何度も言いますけれども、早く取り組んだところは負担が低い、遅くなったところは負担が上がるという仕組みの中でこういう制度をつくっております。

 さっきも答弁しましたけれども、附則の中にも、様々な検討状況を踏まえて必要な法制上の措置は取るということでありますので、是非、様々な御提案もいただきながら、検討を更に深めていきたいと思っております。

足立委員 時間が来たので終わりますが、排出権取引制度について、義務化がどうという議論もありますので、これはまた改めて、時間がまだもう一回あると思いますから、議論させていただくことを申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。終わります。

竹内委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十五分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山岡達丸君。

山岡委員 質疑の機会をいただきました。ありがとうございます。

 本会議に続きまして、西村大臣に、このGX推進法について伺わせていただきたいと思います。

 三月九日の本会議登壇の中で、私、雇用に関すること、あるいは地域経済を含めた公正な移行のことについて伺わせていただきました。

 そのときに私が申し上げたのは、いわゆるGXの基本方針といいますか、こうした議論の経過の中においては、参加者の中の声を踏まえて、失業なき労働移動、あるいは地域経済のことも踏まえた公正な移行ということが最終的に盛り込まれたわけでありますが、今回の法律には、目的や理念、あるいは戦略という項目もそれぞれ設けられているんですけれども、本会議の御答弁上は、西村大臣としては、極めて重要な、公正な移行という考え方が重要だというお話はあったわけでありますが、最終的に法文になぜ入らなかったのかということを問うたわけでありますけれども、そのことは十分なお答えはなかったというふうに思っております。

 私自身は、やはり法律そのものを修正してでも、こうした公正な移行という言葉を入れるべきだとは思っておりますが、今回質問させていただくのは、原案に基づいて、大臣が御答弁いただいたこと、本会議で、公正移行、雇用の確保を重要なことだと受け止めた上で、それに基づいて戦略を作っていくという御答弁をいただいております。

 ここで伺いますけれども、今後作っていくこの戦略においては、雇用あるいは地域経済を含めた公正な移行という考え方を具体的に明記して戦略を作っていく、そのことはここで御答弁いただけないでしょうか。伺います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、公正な移行は、まさにGX実行会議におきまして、連合の芳野構成員の御意見も踏まえて、働く方々の立場を重視し、本年二月に閣議決定したGX実現に向けた基本方針にも明記しているところであります。

 この方針に従いまして、CO2多排出産業などでのGXに関する革新的技術開発などの投資を促進し、雇用確保の観点をしっかり踏まえるということ、それから、リスキリングなど人材育成の取組とグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動を同時に進めるという方針で臨んでいきたいと思っております。

 その上で、GX実現、実行には、GX推進法案に規定するGX推進戦略が今後要となってくるわけでありますが、法案成立後、御指摘のように、GX推進戦略を策定する際には、公正な移行、これをしっかり明記したいというふうに考えております。

 具体的には、雇用の確保の重要性を踏まえ、我が国でGXを実現、実行するに当たって、公正な移行の観点から、新たに生まれる産業への労働移動を適切に進めていくことなどを含めて、しっかりと盛り込んでいきたいというふうに考えております。

山岡委員 そこまでおっしゃっていただいて、なぜそのGX推進の理念に入らなかったのかということはこの場で繰り返し申し上げさせていただきますが、戦略にはそういう方向で明記しながら入れていくということでありますけれども、その具体的な措置として、いわゆる政労使、労使だけではありません、政府も含めた、やはり協議の場をきちんと設けながら、公正な移行という言葉で、言うはやすしでありますけれども、働く一人一人のことを考えますと、重層的なセーフティーネットの枠組みも含めた様々な形を構築しながら進めていかなければならないということを考えたときに、こうした協議の場、是非やっていただきたいと思いますし、早期にそれを進めていただきたいと思いますが、大臣の御見解を伺います。

西村(康)国務大臣 GXの実現、実行に向けた政策については、昨年七月以降、総理を議長、GX実行推進担当大臣である私を副議長としますGX実行会議が開かれております。このGX実行会議におきまして、連合の芳野構成員、そして経団連の十倉構成員などにも加わっていただき、まさにこの公正な移行の重要性も含め議論し、GX実現に向けた基本方針を取りまとめたところであります。

 御指摘のとおり、GXの実現、実行に当たっては、雇用の確保、そしてセーフティーネットの整備、そして新たに生まれる成長産業への円滑な労働移動の観点が大変重要であるという認識をしておりますので、こうした場も活用して議論を深め、更に、GXの実現、実行に向けて、進捗状況なども評価を定期的に行って取り組んでいきたいと考えております。

 繰り返しになりますけれども、このGX実行会議には連合の芳野会長、そして経団連の十倉会長も参加をされておられますので、私、実質的には政労使会議のような、そんな意識を持って臨んでいきたいというふうに考えております。

山岡委員 枠組みについて、今大臣から実行会議をうまく活用していくという趣旨の話がありましたが、そういう形がいいのか、新たに協議を設けるのか、これは様々な手法があると思いますが、いずれにしても、この産業の大きな変革の中で、働き手の立場というのが極めて重要なポジションになる中で、そうした代表される皆様の納得のいく形の進め方というのを是非進めていただきたいということも改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 あわせて、本会議の答弁を受けて、もう一つ、本会議の場では明確に御答弁いただけなかったなということについて、この場で伺わせていただきたいと思います。

 それは、この法案に基づいて設立が予定されるGX推進機構と、環境省の方で既に昨年、令和四年十月二十八日に設立されている株式会社脱炭素化支援機構の違いについて、これは、同じような趣旨であれば、いわゆる行政の、行革の視点から非常に様々指摘を受けるんじゃないかということを申し上げました。

 そのとき、クールジャパンとのことも兼ね合いに出して、GX機構とクールジャパンのことについての御説明はあったんですが、このいわゆる環境省の機構との話については触れていただかなかったので、ここで改めて伺いたいと思います。

 皆様にお配りした資料の二ページ目は、いわゆる、この脱炭素化支援機構、環境省の機構が、法律に基づいて、こういう目的だということで書かれた概要でありますが、三ページ目にこの設立総会でのことが紹介されていますので、是非ここに皆様に御注目もいただきたいんです。

 この中で、西村大臣、環境省の方の西村大臣でありますけれども、最初の挨拶で、線を引っ張らせていただいておりますが、脱炭素支援機構が、今後十年間で百五十兆円もの脱炭素投資を実現する政府方針の先駆けとなって資金を供給し、このようなことを述べています。

 その後、社長のスピーチとして、株式会社でありますから社長のスピーチとして、金融機関を含めた民間企業の投融資の呼び水の役割を果たすというふうに言っておりまして、まさにこの法案を審議するに当たって経産省が唱えている文言がここでお話しされているわけであります。

 こういうような姿を見ますと、トレンドの一つの政策に基づいて、ここぞと、チャンスとばかりに各省が競い合うようにいろいろな機構をつくっていく、こういう姿がここに見て取れるんじゃないかという指摘があるのは、これは当然のことだと思うわけでありますが、西村経済産業大臣に伺いますけれども、この違い、今回、いわゆる環境省の機構はもう既にでき上がっているわけでありますけれども、経産省として機構を新たにつくる、このことについて十分な御説明をいただければと思います。

西村(康)国務大臣 まず、環境省から特に必要であれば御答弁いただくか御説明いただければいいと思いますけれども、この脱炭素化支援機構、これは、脱炭素事業への投資を促進するという、まさにそこの西村環境大臣の方の説明にあったとおり、促進する財投機関として、長期的な収益性の確保を前提とした支援を行う株式会社の形態で設立されておりますので、地方創生への貢献も重視した投資活動を実施していくものというふうに考えております。

 他方、私どものGX推進機構は、これは、主たる業務が化石燃料賦課金とか特定事業者負担金の徴収、それから排出量取引制度の運営などであることに鑑み、営利を目的とせず、株式会社でない認可法人として設立を行うものであります。したがって、出資等を行う株式会社である脱炭素化支援機構、環境省の方の機構と全く異なる、いわゆる官民ファンドとは組織が、形態が異なるということであります。

 GX推進機構は、もちろん、民間金融機関の投資判断を促すための金融支援業務を実施しますけれども、これは、民間金融機関ではリスクの取り切れないGX関連事業について、収益性を求めずに債務保証などを実施するものでありますので、国会の議決を経て、予算の範囲内で実施していくものであります。

 端的に、投資活動で収益を目的とする官民ファンドと、それから私どもの、こうした公平、中立に業務を運営する認可法人とは形態が異なるというのは、目的、実態に照らしても大きく異なるというふうに認識をしておりますが、御指摘のように、屋上屋を重ねたり焼け太りになってはいけませんので、よく業務については整理をしながら、そうしたことがないように進めていきたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣の御答弁を伺うと、いわゆるリスクの取り切れないことに対して支援するんだということは同じで、その先に収益を求めるのか求めないのかの違いがあるので機構が別でいいんですというお話であると思うんです。

 それが十分な説明になるのかということは、今ここでは、ちょっと時間がありますので、これ以上は聞きませんが、しかし、今後モニタリングをさせていただきながら、やはりそういう、国民の目から見て非常に容認し難い中身であるんじゃないかという目は、厳しく見られているということは是非意識していただきたいと思います。

 環境省の審議官の方にも来ていただいているので、ちょっと伺いますけれども、今お話がありました、ある種、クールジャパン機構と非常によく似ているのが株式会社脱炭素支援機構なんだと思います。官民ファンドで、収益を出す。でも、クールジャパン機構は、累積三百億もの赤字を出して今見直しになっているという中で、この政策の新しいトレンドができたから、でも同じようなことをやろうというふうに映るわけですが、これは機構としての運営は大丈夫なんでしょうか。御答弁いただけますか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 議員から先ほど御指摘ございました、脱炭素化支援機構の設立に際しての問題でございますけれども、設立に際しましては、既存の官民ファンドで様々な課題が指摘されている点も承知してございまして、既存ファンドが抱える問題を踏まえた制度設計を行ったところでございます。

 具体的に分野、形態を限定してしまいますと、投資機会が限られ、収益性を重視した投資活動が非常に困難になるおそれがあるということもございますので、投資対象の制約を必要以上に設けないで、脱炭素に資する多様な事業に幅広く支援することとしてございます。

 また、投資実務等に専門的知見を有する者で構成される脱炭素化委員会が、その目利きの力を生かしまして事業の収益性、成長性を精査しながら支援案件を決定することとしてございます。

 これらの制度設計を踏まえながら機構の運営を行いまして、今後成長が見込まれる脱炭素事業における投資活動の収益性を確保していく所存でございます。

 また、収益性確保のために、機構の投資活動全体の在り方として、多様な案件につきまして個々の案件のリスクとリターンを見極めながら全体としてバランスよく投資していくなど、ポートフォリオの管理を徹底するということとしてございます。

山岡委員 そうした運用をしっかり頑張るという中でクールジャパン機構も同様の道をたどっておりますので、これ以上この質問の場では問いませんが、厳しい目で見られているということを十分に意識した上で環境省の皆様も御対応いただきたいと思います。

 法律の中身について更に少し伺いますが、今回、皆様の四ページ目の資料でしょうか、成長志向型カーボンプライシングの中長期イメージということをつけさせていただいておりますが、ここに、負担についての考え方を今回の法案に基づいて規定しているというところの説明資料です。

 本会議において大臣は、制度設計はこれからだということと、公平性、透明性の観点、この辺は十分に勘案するということがございました。これから制度設計していく、その中で、このグラフの形に負担を、最大をここに持ってくるんだというお話でありますけれども、これは、大臣もそうでしょうし、いらっしゃる委員の皆様もそうだと思いますが、これまでも事業者の皆様から、いわゆる脱炭素に関わる負担、具体的に言えば、石油石炭税や揮発油税、高度化法、省エネ法に関わる負担、自主的な取組もそうでありますし、温暖化対策税など、そうした負担がいろいろ重なる中で、まず、これそのものを、制度全体そのものを見直してほしい、トータルをまず議論し直してほしいという声は相当、私の元にも届いております。

 GXの議論をするというのは、ちょうどいい機会ではありませんでしょうか。各省庁をまたぐ話というのは承知しておりますが、事業者を代表される経済産業省として、これは大臣から、この総合的な見直しの議論というのを是非発議していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルの達成、脱炭素、そして、他方でエネルギーの安定供給、さらには経済成長、三つを同時に実現するためには、今般の成長志向型カーボンプライシング構想のみならず、様々な政策措置を総動員していくことが必要と考えております。

 その上で、税制についてでありますけれども、御指摘のように、私も一般論として申し上げれば、税の原則は公平だし、中立ですし、そして簡素でなきゃいけないということは、強く、常々認識をしております。

 ただ、既存の石油諸税については、それぞれの税目における課税根拠などに応じて、その必要性とか許容性を精査の上、制度措置がされているということでありますので、今回のこの法案のみを契機として全体調整を行うのはなかなか難しいというふうに思いますが、繰り返しになりますけれども、一般論として言えば、原則、やはり簡素でなきゃいけないということですし、公平、中立でなきゃいけないと思いますので、常にそういった視点は持ち続けなきゃいけないと思っております。

 その上で、今回は、実際には石油石炭税が減っていきますので、きちんと二酸化炭素の排出に対応している企業について言えば、早くやれば負担は低いままで、しかし、対応が遅いと逆に負担が、賦課金がかかってくるということになりますので、そういう意味では、早く取り組むという意欲をある意味引き出していくということでもありますし、結果としては、きちんと取り組む企業は、ある意味減税的な、負担が低くなるということでありますので、そういった面も含めて、いずれにしても、できるだけ公平、中立、簡素というのは常に頭に置いておかなきゃいけないというふうに思っております。

山岡委員 大臣から一般論としてのお話をいただきましたが、この法案を審議するときにこの見直しの議論をしていかなければいつ行うのかという、そうした切実な事業者の声を受けて私も質問させていただいております。これは多分、いらっしゃる委員の皆様もみんな、それぞれ言われていることだと思いますが。

 じゃ、この法案のみではということでありますけれども、意欲で結構です。これは問題で、やはり長い年月をかけて少しずつ増えてきたわけですよ。これに対して更に上に乗るのかということが、これからいろいろ負担をお願いする上において、その議論の前に、どうせまたその上に乗っけるだけなんでしょうという疑念が拭い切れない。

 これは問題だと感じている、そして、このタイミングじゃなくても、これはやはり問題提起をどこかのタイミングでやっていきたいというような決意がもし大臣からあればまた違うと思うんですが、もう一度御答弁願えますか。

西村(康)国務大臣 二点申し上げたいと思いますけれども、まず一点目は、今回の仕組みを仮に導入させていただければ、しっかり取り組んだ企業は結果として負担が重くならずに済む、むしろ減っていくということになりますので、そうした状況は実際、現実にどうなっていくのか、技術開発の動向とか、そういったことも見ながら、常に、先ほどの税制の在り方、公平、中立、簡素ということも頭に置きながら考えていかなきゃいけない。その上で、このカーボンプライシングについても、将来にわたってどういう在り方がいいのかというのは常に見直していかなきゃいけない、考えていかなきゃいけないというのが一つです。

 二つ目は、確かに、おっしゃるように、ある意味、税に消費税がかかっていますので、タックス・オン・タックスというような状況にもなっていますから、そういう意味で、石油をめぐる、あるいは自動車をめぐる様々な複雑な税制については、これも常に、簡素にしていく、公平、中立の下で簡素にしていくということは常に頭に置いて、ある意味不断の見直しをやっていかなきゃいけない、そういう気持ちを持ちながら対応していかなければならないというふうに思っております。

山岡委員 大臣から、常に頭に置いていくというお話をいただきました。このタイミングのみならず、私もまた様々な機会で申し上げていきますけれども、問題意識は持っていただいている、そして、その考えも、その部分は心強く思いますので、今後の議論で是非また議論を深めさせていただきたいと思いますので、お願いいたします。

 成長志向型カーボンプライシングのイメージについて、少し経産省にも話を伺いますけれども、このグラフでは、二〇三二年、いわゆるFITの再エネ賦課金ですね、これの一番ピークが来るであろうというこの時期をピークにして、これ以上の負担にはしないんだということを書いてあるような中身ではあるんだと思うんです。そしてまた、導入においては、初期を小さめに、そして、いずれ大きくなっていくという考え方に基づいているということだと思うんですけれども、しかし、後ろが二〇五〇年になっているということになれば、どこかでやはりカーブが大きくなっていって、上昇している、加速していくという負担になっていくということになるんだというふうに見て取れるわけであります。

 この負担の、これ以上増えないというこのグラフは、いわゆる日本全体の総額であって、これは、個別の事業者単位で見れば、事業者には偏る可能性がある、そういう見方をしていいんでしょうか。伺います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、二〇三〇年度四六%削減や二〇五〇年カーボンニュートラルといった野心的な温室効果ガスの削減目標を掲げております。この目標を、エネルギー安定供給や産業競争力強化、経済成長と両立させて、持続的な形で実現していくことが重要だ、このように考えております。

 このため、今般新たに導入いたします成長志向型カーボンプライシングは、企業活動や経済への影響等も踏まえまして、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていくという、お示しいただいたようなイメージで考えているところ、その範囲内でやる。すなわち、今後、石油石炭税収がGXの進展により減少し、再エネ賦課金がFIT制度導入初期の案件の買取り期間終了などによりピークを迎えた後に減少していく範囲内で導入していくこととしております。これは法律にもそのとおり明記をさせていただいているところであります。

 その上で、偏りが出ないのかというお話もございました。この点につきましては、有償オークション、これは二〇三三年度から導入いたします。もちろん、取り組む期間を十分に設けた上で導入していくわけでございます。それから、併せて、足下から二十兆円の規模の大胆な先行投資も行っていくということで、GX投資を促して電源の脱炭素化を促していく、こういうことにしているわけでございます。

 炭素の排出が残る方に、負担がその分だけ多くかかるというのは、大臣からも再三、早く減らした人はその分かからないということを御答弁させていただいているとおりでございまして、減らない人の方が後々プライシングがかかっていくというのは、そういうことになろうかと思います。

山岡委員 質疑時間が限られていますので、是非端的に、次の質問、伺いたいんですけれども。

 このイメージ図は、再エネ賦課金の、これ以上にならないという書き方をしているわけでありますけれども、再エネ賦課金というのは今、需要家、一般消費者であったりとか企業が負担しているわけでありますけれども、これは、発電事業者が全て、このかかっている負担を、そうした皆様に転嫁できるという前提でイメージを作っておられるということになりますでしょうか。端的な答弁をお願いします。

畠山政府参考人 御指摘の転嫁につきましては、本法案では特段の規定を置いてはおりません。

 ただ、民間事業者の経済活動や他の事業者との競争など様々な個別の要因によって影響されるものと認識しておりますけれども、適切な転嫁は行われるものだというふうに考えております。

山岡委員 転嫁が行われる前提じゃなければ、やはり事業者が全てかぶってくださいという話にはならないと思うんですよね。公平な負担の中で、国民全体で進めていくというお話でありますから、法律で規定されていないということでありますけれども、そこの部分は十分に意識して進めていただきたいということを思います。

 大臣にここからは伺うわけでありますが、この制度設計の中で、私が非常に懸念する点を申し上げさせていただきたいと思います。

 もちろん、GXの推進というのは、この委員会でも、大きく、もっともっと、急げ急げという視点での質問もあるかと思いますが、私は、ちょっと、逆の方向の見方から懸念することを伺うわけでありますけれども。

 先ほども申し上げたように、一定の時期から急カーブをしてくる、しかも、事業者は、限られたところに負担が行く、そうなりますと、最も負担がかかってくるのは、いわゆる電気事業者でいえば火力発電所なわけであります。

 火力発電所は、そうしたことが予見されるということになれば、先ほど大臣は、早く取り組めば負担が少なくなるという話でありますけれども、早く取り組むというのは、何も高度化だけを早く取り組むわけじゃないわけですね。そこから退出することだって、事業者の判断として早く決めた方が負担が来ないということを考え得るということが想定されるわけであります。

 二〇三〇年には、大臣もツイッターで上げていますが、エネルギー基本計画には、それでも四〇%は火力発電所に頼るんだというお話があるわけでありますが、この制度設計、ありようによっては、負担が生じる前にその分野から退出する、いや、それが制度の狙いかもしれないんですけれども、電力の安定供給という状況が昨今非常に脅かされている状況がこの自由化の中で生まれているということが議論されている中で、この制度設計の仕組みを間違えれば、二〇五〇年どころか、二〇三〇年前後の安定供給が失われるようなことを招きませんでしょうか。大臣に伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、電力の安定供給、これは、国民生活、経済活動を考えても最も重要な我々の責務だと思っておりますので、引き続き、いろいろな状況に対応しながら、安定かつ経済的な電力供給を実現していきたいと思っております。

 そして、御指摘のように、脱炭素化は一遍にできるわけじゃありませんので、移行期間という過渡期があります。その過渡期、移行期間においては、特に再エネの変動性を補う調整力も必要でありますし、供給力を持つ火力は重要であります。特に、その中でも、天然ガス、LNGはカーボンニュートラルの移行期に極めて重要なトランジションエネルギーということで、これはG7の多くの国で共有をしておりますし、上流投資の必要性についても議論したいと思っております。

 その上で、カーボンプライシングはもうよくお分かりのとおりでありますので、いろいろなGX投資を促しながら電源の脱炭素化も図っていくわけですが、供給力の確保に関しましては、発電事業者の投資回収の予見性を高めて、将来必要となる供給力を確実に確保するための制度的措置、これも今検討を進めているところでありますし、更に言えば、水素、アンモニアなどの混焼、あるいはCCS、CCUSも組み合わせる、この辺りも支援をしながら、トランジション、移行期間としての火力は重要だという認識でおります。

山岡委員 今日皆様にお配りした資料の中で、五ページ、六ページ、七ページは、自由化が行き過ぎて火力がなくなって、そしていろいろな、キロワット公募とかキロワットアワー公募とか、あるいは容量市場の見直しとか、様々な手を打っていくという流れを少し資料につけさせていただきますが、時間が足りないのでそのことの説明はもうしませんが、最近、法律でも、火発の退出について、事後届けじゃなくて事前届けにすると、様々な手を使っているわけであります。

 大臣、今お話ありましたけれども、私は、事業者の選択肢として、これは別に、事業者は、制度に基づいて、あるいは市場に基づいて進むわけですから、何も悪くはないわけでありますけれども、もし、この火発について、もちろん、国際社会で厳しい目で見られているのはよく承知しておりますが、しかし、日本の現状の中で、制度設計の仕組みの中で、もう高度化するよりも退出した方が採算が合う、そっちの方の選択に走ったときに、私は、このGXの問題とは別に、安定供給の問題が生じると思います。

 大臣、今の御答弁を踏まえて伺うんですけれども、その選択を、それでも安定供給に資するようにこの電源の脱炭素ということに対しての支援、政府からの支援というのは、それなりの腹を決めてきちんとしていかないと、そういう行動になっていくと思うんですが、この支援を十分にしていくという考え方、今、お話しできますでしょうか。伺います。

西村(康)国務大臣 カーボンニュートラルに向けて、電力の安定供給も確保しながら進めていくということでありますので、まさに御指摘のように、発電部門の脱炭素化、これを一層進めていく必要があります。

 こうした観点から、脱炭素発電施設への新規投資を促す措置でありますいわゆる長期脱炭素電源オークションにつきまして、二〇二三年度の導入に向けた検討を審議会において行っているところでありますし、また、先ほど少し触れましたが、火力発電の脱炭素化に向けて、水素、アンモニア混焼に向けた支援をグリーンイノベーション基金で行っておりますし、また、サプライチェーン構築もやっていきたい。

 さらに、CCSも不可欠であります。二〇三〇年までのCCS事業の開始に向けて、先進性のあるプロジェクトの支援を行っていく。そして、新法としてCCS事業法をできる限り早期に法制度化することを目指しております。

 お地元の苫小牧でもCCS実証試験をやっていただいておりまして、既に三十万トン貯留をしているということで、世界的にも非常に珍しい、住民の生活圏に近いところで皆様の協力をいただいて進めておりますので、感謝申し上げたいと思います。

 いずれにしましても、再エネ、原子力と併せて着実にこうした施策を進めて、電力の安定供給と脱炭素化実現をしていきたいというふうに考えております。

山岡委員 私の地元にも触れていただき、感謝申し上げます。

 もう時間がないのでここまでとしますが、やはり安定供給は国が責任を持つべきだと思いますし、私は、市場の中で解決するとか、そうしたことで果たして本当に国が思い描くような電源の配分になるのか、構造になるのかということも非常に疑問でありますし、必要に応じて見直していくことも必要だということを申し上げて、また次回の質問に移りたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、GX推進法案、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案の審議でございます。

 今回のこのGXは、岸田内閣の成長戦略、産業政策の柱の一つであると思います。デジタルのDXと環境のGXを二本柱に岸田内閣はしているのかなというふうに思います。

 振り返ってみますと、この三十年、残念ながら、成長戦略、産業政策は余りうまくいってこなかったというふうに思います。特に近年、産業競争力の数値がかなり落ちてきている、そういった数字がどんどん出てきてしまっています。

 振り返ってみますと、かなり前から、二十一世紀は自然エネルギーが主役になるということも言われてきました。しかし、太陽光パネルの例えば世界シェア、二〇〇〇年代半ばは四割だったのが、今は、最新の数字等を見てみますと、〇・三%という数字が出ています。あと、デジタルの時代も、三十年前、四十年前から、将来は高度情報化社会が来るんだというふうなことが予想がされていたんですが、半導体の生産、三十年前は世界シェア五割だったのが、今、一割に。あと、電動車の時代なのにもかかわらず、二〇一五年、車載用のリチウム電池は、世界の半分、日本の企業が生産していましたが、たった五年で二割まで低下をしています。前回取り上げたクラウドも、クラウドがないと経済活動ができない時代なのにもかかわらず、なかなか自前で日本でできない。ドローンも、日本企業、リードしていたような気もしたんですが、全く今は太刀打ちできない。スマホも、部品の多くは日本の部品が使われていますが、スマホの全体、スマホ自体は外国メーカーのものを我々は使っているわけでございます。

 残念ながら、初めは我が国がリードしていた分野も、一気に世界に抜かされてしまっている、これが今の現状だと思います。これはやはり、これが世界で広まるということをしっかりと示して、そこに一気に民間投資を呼び込んでいく産業政策が不十分というか、的確じゃなかったんじゃないかというふうに感じるんですが、大臣、過去の産業政策についてはどのようにお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 私自身、アベノミクス、最初から関わっておりますし、その時々の課題に対応しながら、一定の成果を上げてきたものというふうに認識をしております。

 詳しく申し上げませんけれども、この十年間におきまして、企業収益拡大し、雇用拡大、あるいは賃金上昇、これは毎年二%程度ではありましたけれども、つなげてきた、税収なども過去最高になってきているということで、ある意味、経済の好循環を回り始めてきた、そういった効果はあったものというふうに思っております。

 他方、やはりデフレを脱却できなかったというのは、私自身もじくじたる思いがございます。やはりデフレの中では、投資するより現金で持った方が相対的に価値は上がるわけですので、企業は内部留保をためてきたわけであります。設備投資や人への投資を行わず低迷してきたわけでありまして、結果として所得も伸び悩んで消費も伸びない、そうした中で、御指摘のような、思い切った投資を行わないということも含めて、結果としてそういう現実はあるものというふうに思っております。

 その間、産業政策としての、政府もアメリカからいろいろな指摘をかつてに受けて、産業政策自体を遠慮ぎみになったということも含めて、思い切った投資の支援などを行ってこなかった面もあります。

 これは、官民両面でそれぞれ背景があったものというふうに思いますが、ここに来てようやく、日本の企業もDXの遅れなどの課題に対処しなきゃいけないということで、投資も、日銀短観によりますと、今年度の設備投資計画は八三年の調査以来、過去最高の伸びということでありますし、特にソフトウェア投資については、より高い伸びで、積極的な投資計画が示されておりますので、政府も補正予算などで大胆な支援策を用意をしております。

 その意味で、是非、民間の投資を更に促しながら、来年度の経済見通しでは過去最高の百兆円規模の設備投資も見込まれておりますので、これを実現し更に伸ばしていくということと同時に、人への投資も行ってもらうという中で、投資、そしてイノベーション、所得向上、この三つの好循環を実現していきたいと思いますし、その投資の観点から、今回の成長志向型カーボンプライシング構想において、官民の投資百五十兆円、十年間で引き出していく、行っていく、そのことを是非実現もしていきたいというふうに考えております。

落合委員 過去の経済成長戦略についてですが、大臣はアベノミクスの担当でございましたので、その専門であると思います。雇用、企業収益、それから賃金等について言及されましたが、企業収益は確かに史上最高の収益を上げられたというふうに思います。雇用については、効果はあったけれども、完全にアベノミクスの効果かなというと、私はそこはちょっと疑問に思っています。なぜなら、雇用が底を打ったのはリーマン・ショックの後、二〇〇九年の後半とか二〇一〇年の前半ぐらいが底で、そこからもう反転をし始めていて安倍政権にバトンタッチされたというような状況だと思います。

 賃金も、ちょうど今日、私の配った資料の一枚目が賃金について言及していますが、賃金は上がっているんですが、賃金よりか物価の方が上がっているので、実質賃金は下がってしまっているわけです。実質的な賃金が下がれば、世帯消費も下がる。思った以上に大きく下がっていて、コロナもありました、GDPの六割はもういかないですけれども、五割以上の個人消費の足を引っ張ってしまっている。安倍政権が始まったときよりか後半の方が個人消費の指数が低いという状況になってしまっているのは、残念ながら現状だというふうに思います。

 なぜこういうふうになってしまったのかというところを改善をさせるということが、これからの経済成長戦略、産業政策を成功させることにつながるというふうに思います。先ほど大臣は、思い切った投資が今までは行われなかった、最近はそういう兆しが変わってきていると。確かに、設備投資額もかなり上がってきていますので、兆しはあると思います。これをしっかりと軌道に乗せていって、永続的に収益を上げられるようになり、雇用も安定化させて賃金も上げていく、個人消費を増やしていくことで需要と供給がいい循環を回っていくというような経済状況をつくっていかなければならないわけでございます。

 先ほど、デジタルの時代はもう八〇年代ぐらいから言われていたということを申し上げましたが、アメリカですとか、フランスですとか、中国もそうですけれども、中国はちょっと経済の全体のパイがどんどん広がったので、全部数値が上がっているんですけれども、アメリカとかフランスとかも、デジタル投資は三十年で三倍ぐらいになっている。その中で、最近まで日本は、三十年間ずっと横ばいで来ました。だから成長できなかったということが言えるんだと思います。

 資料の二枚目を御覧いただければと思います。この委員会でも、一、二回この資料は使わせていただいています。この四半世紀の法人企業統計の数字を足したもの、日本の企業がどのようなお金の使い方、どのような数字を上げてきたかというものを足し算したものでございます。

 残念ながら、経済規模が大きくなっていないので、売上高は二十五年間余り変わりません、ちょっと増えているぐらいです。ただ、びっくりするのは、売上高が増えていないのに経常利益は三倍になりました。何で売上げが増えていないのに利益三倍になったのかというと、よく見てみると、平均給与ですとか、それから設備投資額は減ってしまったわけでございます。全体的に見ると、人件費を節約して、将来への投資も節約して、経常利益を頑張って三倍にしました、それが残念ながらこの十年間の数字で見て取れる状況なわけでございます。

 史上最高の企業収益を上げているのに、何でデフレから脱却できないのか。これは、短期的に収益を上げることに注力し過ぎた経済政策にあるのではないかな、産業政策にあるのではないかなというふうに思います。ですから、短期で利益を出させる政策というのは、なるべく転換をしていくべきである。これは、岸田総理が、短期主義の見直し、金融市場改革というようなことを言われています。

 もう一つは、重要だと思うのは、約百年前、ある有名な経済学者がこう言っています。今までの経済学は、供給すれば需要が増えると言っていました。しかし、実際には、供給しても需要が生まれない場合がある、経済が拡大しない場合がある。それは、不確実性が高いと投資や消費をしないでお金を貯蓄してしまうからです。そうすると、だんだん経済にブレーキがかかっていきます。ですから、不確実性をなるべくなくして、予見性を高める政策を国が打っていくことが、経済の好循環、不況からの脱却には重要なんだということを言っているわけです。

 確かに、この十年間、企業は収益を上げてきました。しかし、お給料や設備投資には回らずに、内部留保も同じようにどんどん増えました。十年間で三倍ぐらいでしょうか、増えました。個人の預金も増えました。やはり、予見性を高める、不確実性を低くしていく、そういう政策を打っていく必要があるわけです。企業が予見性、予見を持って投資ができるようにする必要があるわけです。

 そういう意味で、去年、経済産業省は、経済産業政策の新機軸というものを打ち出しました。それでまさに、短期主義からの脱却もそこで打ち出しているわけです。国としては、予見性を高めていくために、大規模、長期、計画的な政策を打っていきますということを掲げているわけです。これによって民間の大規模な投資を呼び込んでいく、私はこれは、総論はまさに合っているというふうに思います。

 この大規模、長期、計画的というものが、今までの産業政策には、特にこの三十年、欠落をしていた。まさにこれが、アベノミクスが半ばである原因の一つでもあるというふうに私は思いますが、大臣、この大規模、長期、計画的、これは産業政策の柱として本当に重要であるというふうに思いませんでしょうか。

西村(康)国務大臣 非常に多岐にわたっての御指摘でありまして、まず、なぜ設備投資、人への投資が進まなかったのかというのは、おっしゃるとおり二つありまして、一つは、まずはやはりデフレなんですね。デフレで、現金で持った方が相対的に得だと。インフレになると、現金で持っていて相対的に価値が下がりますから、やはり投資をしていくということになるわけですが、デフレを脱却できなかったという本当にじくじたる思いがありまして、今、ようやくというか、対外的な要因で物価が上昇してきているわけでありますが、この機に転嫁も進めて、デフレ脱却に向けてしっかりやるということが大事だというのが一つ。

 それから、御指摘の二点目。おっしゃるとおり、予見可能性、これで企業も投資をしていくということでありますので、今回のカーボンプライシングも、早く投資をすれば負担が低くなるという、大きな、長い目で見た、そうした方向性をお示しをしておりますので、是非そうした方向で企業の投資を進めていければと思います。

 社会課題と言われている、御指摘のあったDXとか、そしてGXもそうですけれども、これをこれまではコストと見て、何とか削減しようということで、余り進んでこなかったわけですが、むしろ、今や世界が変わって、DX、GX、取り組むことこそが企業の評価につながり、更に成長力につながる、まさに成長のエンジンになるというふうに社会が変わり始めてきたわけでありますので、是非そうした取組を企業側が思い切って進められるように、御指摘の大規模、長期、計画的な、そうした投資を進める枠組み、取組、そして支援策をしっかり用意していきたいというふうに思っております。

 そうした方向性を経済産業政策の新機軸として、引き続き推進をしていきたいというふうに考えております。

落合委員 アベノミクスは、元々、三本の矢で、金融政策、財政政策、産業政策でした。金融政策に後半偏り過ぎてしまったと。私は、デフレ脱却しなかったから、デフレ脱却できていないから投資が増えなかったということを、やはり経産省が言ってはいけないと思います。経産省が投資を呼び起こすことでデフレ脱却できたというような状況をつくれなかったことが、やはり問題だというふうに思います。

 具体的には、二つ今日は具体例を挙げさせていただければと思います。今回のGXの計画の中にも二つとも入っています。その中の二つ、大変重要な分野だと思いますので伺えればと思いますが、まずは水素還元製鉄についてでございます。

 日本の製造業のCO2排出量の何と四割が鉄鋼業界が排出しているということで、かなりこれはでかいわけでございます。この分野のカーボンニュートラルが進めば、一気に日本の産業界のカーボンニュートラルがどんどん進むということでございます。

 その中で、今は鉄を作るのには石炭を主に使っています。これを、スクラップ鉄などを溶かして鉄を作るものについては、電炉といって、電気を使う炉への転換が進んでいます。これは、CO2の排出量が現行の四分の一で済むということで、これも有為な転換であるわけです。スクラップ鉄から鉄を作るのではなくて、鉄鉱石から作るものについては、まだ今、電炉では対応できないということで、水素還元製鉄という技術が待たれているわけでございます。これを、技術を確立させて、グリーン水素を使えば、世界的にもかなり爆発的に広がる技術になるわけでございます。

 しかし、これは、研究開発に四千億から五千億、また、実用化には四兆以上、資料によっては十兆必要というものもあります。これだけ大規模だと、やはり政府が音頭を取って、保証もしてお金も出すということをしていかないと、民間も踏み込めないというような状況です。

 先ほども申し上げましたが、今必要な分野というのは、日本は元々強い分野だったのに、研究開発は成功していても、社会実装の分野で、世界に広げるという部分で負けてしまっていることが多いわけです。水素還元製鉄の技術をしっかり確立させて、しかも、これを世界のスタンダードにしていくというところまで政府はしっかり後押しをしていく必要があると思います。

 水素還元製鉄という言葉が計画の中にも入っていますが、これは、計画に入っている分野が、ある意味、縦割りで、全部ばあっといろいろな分野のものが載っているわけですけれども、その中の重点的なものの一つが水素還元製鉄だということでよろしいでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、簡潔に申し上げますが、アベノミクス、三本の矢で、金融緩和も大胆に行いました、財政出動も機動的に行いました、それから、成長戦略も、規制改革、特区制度を始めとして様々な施策を行って、例えばインバウンドも三千二百万人まで増やすことができました。それでも、民間側のアニマルスピリッツに火がつかなかったということだと思います。

 これは、官民両方にそれぞれの要因、背景はあると思いますけれども、経産省として、ようやく機運が向いてきましたから、これを投資、そして人への投資、後押しするということで、昨年の補正予算でも五兆円規模の投資の予算を確保して、残念ながら立憲民主党は反対されましたけれども、我々、デフレ脱却に向けて、そして、まさに投資、設備投資、人への投資、これをしっかりと進めていきたい、デフレマインドを是非払拭して大いに進めていきたい。その中の一つが今回のGXでありまして、御指摘の、鉄鋼業の、世界に先駆けて技術革新に挑戦するという中で、グリーン市場の獲得、世界の市場の獲得につなげていきたい、これは最大の課題の一つというふうに認識をしております。

 鉄鋼業界では、二〇五〇年までに少なくとも十兆円の投資が必要というようなことも見込まれておりますけれども、私どもとして、GXの基本方針の中で、今後十年間で官民合わせて三兆円を超える投資を実行していく必要があるということで、まさに御指摘の水素還元製鉄を始め、直接還元技術あるいは大型電炉における不純物除去技術などの革新的な技術開発をグリーンイノベーション基金などを通じて支援をしているところでありまして、今後も、国際競争の状況なども踏まえながら、支援拡充をしっかり検討していきたいというふうに思います。

 いずれにしても、鉄鋼業を含め、十年間で二十兆円規模の先行投資支援を行ってまいりますので、ようやく私は民間企業にそうした意欲が出てきたと思いますので、それをしっかりと後押ししながら、官民で投資を増やし、そして脱炭素と経済成長を共に実現する、そうした取組を、御指摘の社会実装も含めて、大胆に支援をしていきたいというふうに考えております。

落合委員 三本の矢のそれぞれの評価というのはまた改めてやらせてもらえればというふうに思いますが、水素還元製鉄にプラスして蓄電池、これも、自動車業界が今大変な、危機的な状況を迎えていて、自動車業界自体も危機感を持っているということをはっきりと言い始めています。

 電気自動車の価格の三分の一は、電池の価格だそうです。ということは、電池を制することが自動車業界を制することになるわけでございます。今、日本の貿易黒字を支えているのも、ほとんど自動車が支えているという状況ですので、電池の競争力をしっかり持つということは大変重要なことでございます。

 しかし、車載用の電池、リチウムイオン電池ですけれども、これも、日本が一番強かったのに急落してしまっているわけです。二〇一五年、車載用の電池を五一%生産していたのは日本の企業です。しかし、五年間で二一%までシェアが下がっています。車載用じゃない定置用のリチウムイオン電池も、世界の三割近く日本が生産していたのが、今は五%まで、四年間で五%まで三割から下がっているわけです。これこそ、もう二〇一五年でしたら電動車の時代が来るということも分かっていたのに、一気に世界のトップから転がり落ちてしまったわけでございます。

 例えば、再エネを進めていくにも蓄電池の技術がないといって、時期尚早だということも経産省も言ってきたわけですけれども、じゃ、蓄電池が進んでいないといっても、世界で一番進んでいたのは日本だったわけです、そのとき。それなのに、時期尚早だといってこの分野の成長の頭を押さえているうちに、世界がその分野に飛びついて、全部シェアを取られてしまったというようなことで、まさに産業政策が間違えていた、エネルギー政策も含めて間違えていたわけです。

 リチウムイオン電池は元々強かったわけですから、ここを強化していくことというのはゼロからやるわけじゃないということと、それから、その次の次世代車載型の電池は全固体型電池と言われています。ここはまだ世界的に技術が確立していません。ここも日本は力を入れてきて、それなりにリードはしています。

 現状のリチウムイオン電池と次世代の全固体型電池、しっかりこれも世界トップを狙っていく、いっぱいGXの開発項目が並んでいますけれども、電池は重要だということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、車載用電池市場、立ち上がった二〇一〇年代前半には五〇%を超える世界シェアがありましたけれども、その後、シェアを年々低下させ、現在は二〇%程度ということであります。このままでは、まさに日本企業が投資競争の中で劣後する状況が続けば、蓄電池の製造基盤が国内から失われるおそれがあるという強い危機感を持っているところであります。

 電動車についても、EVについても、ソニー、ホンダが開発をし、また、日産、ルノーの関係も深化をしていく中でEVもやる、あるいは、トヨタも新社長の下でEVを起点とした事業改革を進めていくということでありますので、是非、蓄電池を重視しながら進めていきたいと思っております。

 昨年八月に策定しました蓄電池産業戦略におきましても、遅くとも二〇三〇年までに国内の年間製造能力も百五十ギガワットアワーにすることなどの目標を示したところでありますし、また、経済安保法において、特定重要物資として蓄電池を指定をいたしました。その上で、設備投資などへ支援を行うために、補正予算で三千三百十六億円という大きな金額を措置しておりますし、国内市場拡大のための定置用の蓄電池の導入支援であるとか、あるいは、御指摘の、まだまだ直ちに導入というわけにはいきませんけれども、全固体型、全固体の蓄電池を始めとして、研究開発の予算なども確保しているところであります。

 こうしたことを進めていく中で、蓄電池の技術で世界をリードしていけるように、引き続き競争力の強化に向けた取組を後押ししていきたいというふうに考えております。

落合委員 これからのポイントは、GX移行債を二十兆発行していく中での使い方だと思います。今までの予算のつけ方でいくと、全部の業界に気を遣ってちょっとずつ出しますと、それで結局、効果が少ししか出ないで終わってしまうということもこれまでも行われてきました。今申し上げたような肝になる部分は、ばしっと取っていくというような予算のつけ方をしていかなければいけないというふうに思います。

 GX債ですとか、保証をするに当たって、決め方なんですけれども、専門人材というのも必要だと思うんですけれども、決め方はしっかり専門人材も確保してやっていくということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 まさにこの移行債、二十兆円の支援対象として、再エネであったり、それから御指摘の、今日御議論いただきました水素還元製鉄であったり、革新的な蓄電池の技術開発であったり、さらには、着実に排出削減可能となる省エネ、エネルギー転換、いわゆるトランジションファイナンスのようなものも含めて対象としていきたいと考えておりますが、専門家の目も入れながら考えていきたいと思いますし、さらには、予算で毎年審議していただくことになりますので、こうした審議を通じてしっかりとチェックもいただきながら、限られた財源ですので何でもかんでもというわけにはいかないと思います、工程表で大きな方向性はお示しをしておりますので、それも踏まえながら、重点的にやはり競争力の必要な分野、そして民間だけでは取り組めない分野、さらには、まさに世界をリードしていける分野、こうしたところに重点を置いて、具体的な制度、検討を深めていきたいというふうに考えております。

落合委員 時間が参りました。

 大規模、長期、計画的という軸をしっかり持って当たっていただければと思います。

 終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 久しぶりの経済産業委員会での質疑となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、GX推進法の質疑ということで、全部で九問、質問を用意させていただきました。三十分間という限られた時間ですので、できるだけ簡潔に御答弁いただけますように御協力お願いいたします。

 まず一問目なんですけれども、政府はこれまで、二〇三〇年までに二〇一三年度比四六%の温室効果ガス削減、そして二〇五〇年までに炭素中立、カーボンニュートラル社会の実現という目標を掲げていますけれども、まず、この目標の実現に向けて、この法案がどのような貢献をしてくれるのか、その役割を含めて教えていただけますでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに、この成長志向型カーボンプライシング構想によって、一定の期間、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、当初低い負担から徐々に引き上げていくということで、早くやった方が負担が少なくて済むということであります。その早く取り組むところを、十年間で二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行っていこうという構想でありますので、意欲ある企業のGX投資、取組を加速させる効果があるというふうに思っております。

 その上で、二〇三〇年の温室効果ガス四六%削減の達成を確実に行っていく、確実性を高めるという効果があるというふうに思っております。

 二〇五〇年に向けては、これはまだ、技術開発がどの程度進むかとか、様々不確定要素がありますので、現時点で必ずしも道筋を明らかにしているところではありませんけれども、実際に負担額が、カーボンプライシングが導入されて上がっていく中で、炭素排出の少ない製品の付加価値が上がっていくわけですので、消費者としてもそちらを選んでいく、というのは、負担も少ないわけですから、そちらを選んでいくということも期待もできますし、GX投資、取組が更に加速することを期待しております。

 それから、二〇三〇年を越えて技術開発が成功して社会実装が進むということで、先ほど議論があった水素還元製鉄もそうですし、お地元、日立でいえば、次世代の蓄電池、次世代モーター、こうした開発もGI基金で支援をしているところでありますので、二〇三〇年を越えて更に技術開発が進むような取組、こうしたものも進めていければと思っております。

 いずれにしましても、GX実行会議などにおきまして進捗評価を定期的に行いながら、確実にカーボンニュートラルに向けて取り組んでいければというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 最後の、進捗評価を定期的に行うという部分について少し具体的に伺いたいんですが、やはり、二〇三〇年の四六%、そして二〇五〇年に向けてということで、今大臣がおっしゃったように、それぞれの民間あるいは官民連携でのGX投資が進んでいく中で、二〇三〇年目標あるいは二〇五〇年目標に対して、ちゃんと達成できるような進捗が得られているのかどうかをしっかりその途中途中で確認する必要があると思うんですが、先ほど定期的な検査、点検ということを申しておりましたけれども、具体的にはどのようなイメージをお持ちなんでしょうか。

西村(康)国務大臣 我々、このカーボンプライシングの枠組みを今回設定をし、先行投資支援を二十兆円規模で順次行っていくわけですが、その支援に伴ってGX投資が実際にどの程度進んでいるのか、それから、世界的な技術開発の動向とか経済への影響なども含めて、世界的にどういうふうに進んでいくのか、こうしたこと。それから、技術開発の動向なども、繰り返しになりますが、踏まえて、これはGX実行会議などの場で定期的に、きちんと進んでいるかどうか、あるいは、十分にもう進んでいる面もひょっとしたら出てくるかもしれませんし、世界との比較の中で遅れている面も出てくるかもしれませんし、そうしたものを評価しながら、不断の見直し、工程表は作っておりますが、技術革新は早く進むかもしれませんし、遅れるかもしれませんから、そうしたことを踏まえながら必要な対応をしていきたいというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。GX実行会議での定期的な確認をしていくということで、ありがとうございます。

 次の質問ですけれども、今申し上げたような二〇三〇年、二〇五〇年の目標達成には、やはりあらゆる分野においてこのGXを進めていかなければなりませんし、排出削減を進めていかなければなりません。

 その一方で、この法案では、特定事業者負担金を納付しなければいけない者が第二条に規定されておりまして、電気事業法に基づく発電事業者のうち、その発電事業に係る二酸化炭素の排出量が多い者として政令で定める者ということで規定されています。つまり、電気事業法に基づく発電事業者であり、さらに、排出量が多い者であるということなんですが、全体で取り組まなければいけないものなんですけれども、この負担金の納付対象を限定した理由はどこにあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、発電部門のCO2排出量が我が国全体で四割になっていることを踏まえましても、電化の促進と電源の脱炭素化、これは大変重要であります。

 そうした中で、一つには、既に商用化された再エネなどの代替技術があるということ、それから二つ目に、電力事業は海外に、日本は島国でありますので、グリッドが外の国とはありませんから、外には移転できないわけでありますので、そうしたことの観点から、電源というものを重視して考えているということ。ちなみに、諸外国の排出量取引などの制度においても、制度の対象化などにおいて発電部門を先行させているということもありますので。こうしたことを踏まえて、まさに鍵を握る発電部門について、効率的、効果的に脱炭素化を進めるために、発電事業者のうち排出量の多い者を対象として特定事業者の負担金を導入することとしているところであります。

浅野委員 今、四割を占めているところからまずはというような考え方を示していただきましたけれども、やはり、そうはいっても、四六%を二〇三〇年までに減らすというのはそう簡単ではなくて、発電部門、産業部門のみではやはり難しいというのも、現実問題、ございます。

 本法案の第二条第一項から第二項を読んでみますと、そこに込められた思いとして、GX移行債を財源とした様々な今支援が予定をされているということなんですが、この支援を受ける者は、例えば、産業活動において使用するエネルギー及び原材料に係る二酸化炭素を原則として大気中に排出せずに産業競争力を強化するという、恩恵を受けることが書かれております。

 つまり、この特定事業者、第二条で規定されている者以外にも多くの者がこの支援を受け、そして恩恵を受けるということですから、最初は、特定事業者による負担金の負担、あるいは化石燃料賦課金の負担というのがあるのかもしれませんが、特定事業者負担金についてはより幅広い者から徴収すべきではないかという意見があるのもまた事実であります。

 そういう意見に対してどういうふうにお考えになるのかということと、少なくとも、今回は無償枠を割り当てられる方々についても、永続的に負担金の納付を避けられるというわけではないですよね。この点を確認をさせていただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、特定事業者負担金の対象については、代替技術の有無、それから国際競争力への影響なども踏まえて判断しなければならないというふうに思っております。

 この法律案では、御指摘のように、発電事業者以外が将来にわたって永続的にこの特定事業者負担金の対象とならないということを規定しているわけではございませんけれども、EU等の事例を踏まえれば、既に商用化された技術、再エネなどの代替技術を有する発電事業者を特定事業者負担金の対象としているということも、EUの事例なども踏まえて、そういう判断をしたところであります。

 その上で申し上げれば、排出量取引においても、自分自身でプレッジをして目標を定めて、それを上回る排出があればどこかから買ってこなきゃいけないという負担も生じますし、それから、賦課金について見れば、広く薄く負担がなされていくことになりますので、公平性の観点からもそうした仕組みも必要だと思っておりますが、この特定事業者の負担金につきましては、まずはEUなどの例も踏まえ、また代替技術や国際競争力を踏まえて、発電事業者を対象としているところでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 私自身も、例えば多排出産業なんかが代替技術がない中で負担金を負担しろと言われても、やはりそれは厳しいものがありますから、私はすぐさま負担をさせるべきとは思っていません。

 ここは、慎重な議論、やはり業界動向も踏まえて議論をした上でしっかり決めていくべきだと思うんですけれども、やはり今後、この制度が始まった後のことを考えたときに、GX移行債を財源としたGX投資をしっかり重点的に、そしてスピード感を持ってやっていただく必要というのはいずれにしてもあると思いますので、永続的に負担が免除されるわけではないという部分については国全体のコンセンサスにしておくべきではないかな、これを申し上げさせていただきたいと思います。

 続いての質問になります。

 GX移行債について少し伺っていきたいと思いますが、GX移行債の発行額については第七条に規定がございます。その中で、各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で発行するというふうにされています。つまり、二十兆円規模という言葉が盛んに使われていて、あたかも二十兆円くらいというものが決まっているようなやり取りが多いんですけれども、この法案の条文上は二十兆円規模というのはどこにも書かれておりません。

 実際の発行額はいかようにも変えられるような法のたてつけになっているわけですけれども、この発行額、毎年毎年の国会の議決の中で決めていくわけですから、どのような基準で毎年の発行額を決めるのか。そのプロセスについて教えていただきたいのが一つと、あとは、私はやはり、二十兆円規模ということで今からキャップをはめるのではなく、二〇五〇年という中長期的なスパンでしっかりこれを実現することが大事だと思いますから、それは二十兆円ありきの議論にはすべきではないと思うんですが、この点についても大臣のお考えを伺えればと思います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先般閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針では、GX経済移行債を活用した投資の支援につきましては、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業を対象にいたしまして、国内の人的、物的投資拡大につながりまして、また、産業競争力強化、経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献するものについて講ずることを基本としてございます。

 委員御指摘のとおり、各年度における具体的な支援内容それから必要な発行額につきましては、財政当局との調整も経た上で、国会の議決を経て決定することとなります。

 また、GX経済移行債の発行総額につきましては、先ほどのGX実現に向けた基本方針において二十兆円規模と明記をしてございます。これから始めるということでございますので、政府としては、それ以上の発行を予定しているものではございません。

浅野委員 今からどの程度の投資が生まれるのか、そして、それが呼び水となって更にどのくらい民間投資が活性化していくのか、また、実際に技術開発がどの程度進み、どの程度社会実装されるのか、これは本当に今の時点では分からないと思います。ただ、予見可能性が低い事業だからこそ、国が関与をして、しっかり資金投入をしていくわけですよね。

 ですから、二十兆円規模というのが多過ぎるという声もあるのかもしれませんが、やはり国全体のカーボンニュートラル実現というのは、これは物すごいことをこれからやろうとしているわけですから、今から二十兆円以上は使いませんというようなことは決して政府も言わないとは思うんですけれども、是非これは現場の状況に応じて必要な支援をしっかりできるように、国の方が出し渋りをしないように、是非そこはお願いをしたいというふうに思います。

 続いての質問ですが、これも移行債についてなんですが、本法案の附則第十一条というのがありまして、この附則では、いわゆる見直し規定が記載をされてございます。いろいろな事情を、今後の様々な事情を勘案しつつ、GX移行債の発行可能期間というのは、一応、今回は令和十四年度までというふうに発行できる期間は定められているんですが、この附則十一条を読みますと、施策の在り方を含めて検討を重ね、必要な措置をすると書いてありますね。

 ということは、このGX移行債の発行可能期間も、一応、十四年までとは置いたものの、見直しによって更に延長する可能性というのは否定されていないというふうに私は解釈をしているんですが、その解釈は成り立つのかどうか、発行期間の延長についての政府見解をいただきたいと思います。

畠山政府参考人 御指摘のとおり、GX経済移行債は今後十年間で二十兆円規模を発行するということで、大胆な先行投資支援を行うこととしております。

 この法律案におきましては、GX経済移行債の発行期間は御指摘のとおり十年間としておりまして、その意味で、延長を行うということを現時点で想定しているわけではないんですけれども、御指摘のように、見直しの規定がございます。GX移行債の発行期間のことだけではないと思いますけれども、その進捗の状況を踏まえて、そこで必要な議論をしていくということだというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 是非、ここは私は柔軟に考えていくべきだという立場ですから、そこを確認させていただいたんですが、幾らでも青天井にどんどん出してくれというわけでもないんですね。やはりこれは償還をしなければいけません。

 次の質問なんですけれども、GX移行債の償還に係る内容は第八条に規定をされていまして、令和三十二年度、二〇五〇年度までに償還を終えるように設計をするというふうにされています。

 私は、しっかり必要な移行債を発行して、二〇五〇年までにきっちり償還をする、返す、この考え方は非常に大事だと思うんです。

 ただ、国民が不安なのは、その償還の財源とされる予定の化石燃料賦課金と特定事業者負担金の徴収がいつまで行われるんだというところなんですね。これは、現に石油石炭税も存在していて、この税金は、一応、地球温暖化対策というもののために今特例法で税率が上乗せされておりますし、また、実際その税収は、エネルギー特会にのってエネルギー需給の高度化支援事業に充てられています。つまり、同じような趣旨だと私は感じています。

 これは二〇五〇年の償還が終わるまではこの償還財源にしますということなんですけれども、五〇年、償還が終わった後、どうするんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 このカーボンプライシング制度につきましては、先ほど来御説明がありますので、まさに負担を徐々に引き上げていくということであります。それによって、二〇三〇年温室効果ガス四六%の削減の達成の確実性を高めるものというふうに思いますし、その先の二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指していくということだと思いますが、現時点において、これらの制度の具体的な終期を何か定めること、議論することはなかなか難しい。

 これは、経済状況もありますし、カーボンニュートラルを目指す中で、官民のGX投資がどのように行われていくのか、あるいは、グローバルな動向もあります。技術開発の動向、特に、革新的な技術がどのタイミングで実装できるのかということは非常に重要だと思いますので、そうしたことも踏まえて適切な終期については検討していくことになるものというふうに認識をしております。

浅野委員 今すぐに決められる問題ではないとは思いますが、償還が終わった後の賦課金と負担金の存在する意義というものが何なのかというのは、非常にやはり私は理解が今難しいと思っております。

 終期というものを今定めていないということですから、一応、この法律のたてつけとしては、償還が終わった後も徴収は継続されることになるわけですけれども、それをするのであれば、是非、石油石炭税も含んだ税制全般の在り方を見直すことによって、公平、中立、簡素な体系に見直すべきだと思うんですね。いろいろな税目あるいは賦課金という名目で徴収を受ける側としては、これは納得性、透明性が非常に問題になってくると思いますので、ここは今のうちから問題提起をしておきたいと思います。

 続いて、引き続きこの賦課金と負担金について質問させていただきたいんですが、化石燃料賦課金と特定事業者負担金は、それぞれ納付者が規定されております。この納付分をしっかり適正に価格転嫁をすることが、非常に私は、それなしにはこの制度は成り立たないと思っております。

 つまりは、化石燃料の輸入事業者等がしっかりとそれを販売価格に反映させる、そして、特定事業者の納付する負担金をしっかりと、小売電気事業者に対する売電価格に適正に反映させる、これが前提とならなければこの制度はうまくワークしないと感じていまして、政府がどう考えているかをまず伺いたいと思いますし、価格転嫁となればしっかり透明性を確保する必要がありますが、ここをどう担保していくべきなのか、ここについても政府見解を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘の、化石燃料賦課金それから特定事業者負担金といったカーボンプライシングの転嫁についてであります。民間事業者の経済活動、そして他の事業者との競争など、様々な個別の要因によって影響されるものではありますが、適切な転嫁は行えるものというふうに認識をしております。

 そして、サプライチェーンを通じてカーボンプライシングの転嫁状況をどうやって公平、正確に把握するかということですが、これはなかなか、世界的にも難しい課題となっていると思います。どういう形で把握していくのか、方策や工夫があり得るかということについては、今後真摯に検討していきたいというふうに考えております。

浅野委員 この質問通告の際に省庁の方ともいろいろ意見交換をさせていただいて、やはり私が特に大事だと思うのは、発電事業者からまず小売電気事業者に行って、この小売事業者が消費者に対して、電力自由化の枠組みの中でそれぞれ値づけをして販売をします。この自由化のいろいろな値づけの仕方まで含めてしまうと透明性確保というのは難しいと思うんですが、発電事業者から小売電気事業者までの販売ルートというのは、これは比較的ちゃんと透明性が確保できるのではないかというふうに思いますので、ここをしっかり重点的に透明化をしていただいて、あとは、電力自由化の枠組みの中で、いかに消費者負担というものを過剰にしないかというのは、各社の経営努力や様々な対策方法があると思いますけれども、しっかり、今回、新たな負担を特定事業者に強いるという設計をするのであれば、そこまで考えていただく必要があるのかな、そういうふうに思いますので、意見として申し上げたいと思います。

 続いては、公正な移行というものについて質問していきたいと思います。

 GX実現に向けた基本方針の中では公正な移行という言葉が使われておりましたが、本法案の中では一か所も使われておりません。代わりに円滑な移行という言葉が使用されていました。

 公正と円滑という言葉そのものは明らかに意味が違う言葉なわけですけれども、これら二つの言葉のそれぞれの解釈の違い、政府の解釈の違いというものを示していただきたいと思いますし、なぜ今回、公正な移行という言葉を基本方針には入れたのに法案には入れなかったのか、その理由についても教えていただけますでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘の公正な移行については、雇用の確保、それから社会保障や公共サービスへのアクセスなど幅広い観点を踏まえ、持続可能な形で気候変動に対応する考え方を示すものというふうに承知をしております。

 こうした考え方も踏まえた上で、本法に規定をされております脱炭素成長型経済構造への円滑な移行は、脱炭素と経済成長を両立させ、雇用の創出、所得の拡大につなげ、成長と分配の好循環を生み出すことを意味をしております。

 この意味で、公正な移行、特に働く人の立場を重視する考えは、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に含まれているもの、含意されているものというふうに考えております。

 そして、GX推進戦略に公正な移行を実現するために必要な事項は含まれ得ますので、法案成立後のGX推進戦略を策定する際には、公正な移行ということをしっかり明記をしていきたいというふうに考えております。

 雇用確保の観点、それからリスキリングによる人材育成の取組、こうしたことなど、公正な移行の実現に必要な方策はしっかりと書き込み、また、取り組んでいきたいというふうに考えております。

浅野委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 しっかりと書き込み、明記をしていただけるということで、次、最後の質問になるんですが、今回、まずは、この法案が成立をしましたら、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略というものを策定することになると思いますが、その中に幾つか、この項目については定めなければならないという事項が幾つか、条文の中にもございました。

 例えば、この中で公正な移行という言葉を使いつつ、その概念をしっかり戦略の中に盛り込んでいただきたいと思うんですけれども、この戦略、これから策定する戦略において、そのような対応をしていただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 繰り返しになる面がありますけれども、御指摘のように、GX推進戦略を、今後、法案成立後には策定をしていきますので、その際には、公正な移行、これをしっかり明記をしたいというふうに思います。

 その上で、政府として、特に多排出産業などでGXに資する革新的技術開発などの投資を促進して雇用を確保するという観点をしっかり踏まえたいと思いますし、リスキリングなどの人材育成の取組、そしてグリーン分野を含む成長分野への円滑な労働移動、これを同時に進めていくことなど、公正な移行の実現に必要な方策についてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

浅野委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 最後に一言だけ申し上げたいと思うんですが、今日ちょっと時間がなくて質問の中で取り上げられなかった部分で、この法案の第十九条の中に、いわゆる二重負担を防止するための調整規定というのが含まれております。

 やはり、これから、化石燃料賦課金、成長志向型カーボンプライシングが始まった際に両方を負担しなければいけなくなる方々というのが一定程度出るのではないかというのが容易に想像できるわけですが、ここの対応、調整というものが具体的にどのような調整内容になるのかというのは、できるだけ早めに具体化していただいて公表していただくことが、現場で活動している方々の予見可能性向上にもつながるというふうに思いますので、ここは、最後、意見として申し上げさせていただいて、本日、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 国連IPCC一・五度特別報告書は、二〇三〇年までに温室効果ガス排出を二〇一〇年比で四五%削減をし、二〇五〇年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温上昇を産業革命前に比して一・五度までに抑え込むことができないことを明らかにいたしました。

 そういう中で、二〇三〇年まであと七年ということになります。思い切った削減が決定的に重要だというのが世界の合意であります。

 そこで、まず西村大臣に伺います。

 今回のGX推進法では、GXというのを条文上どのように定義をしているということになるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに我が国も、二〇三〇年四六%削減あるいは二〇五〇年カーボンニュートラルといった野心的な削減目標を掲げております。この目標を、エネルギーの安定供給、そして産業競争力の強化、さらには経済成長と両立させて、持続的な形で実現していくことが大変重要だと認識をしております。

 このため、GX推進法、今回の法案におきましては、GXを脱炭素成長型経済構造への円滑な移行というふうに規定をさせていただいております。

 具体的に、脱炭素成長型経済構造とは、第二条の第一項におきまして、「産業活動において使用するエネルギー及び原材料に係る二酸化炭素を原則として大気中に排出せずに産業競争力を強化することにより、経済成長を可能とする経済構造」というふうに定義しているところでございます。

笠井委員 脱炭素では、多く排出する多排出部門の削減が決定的に重要であります。日本の排出量の内訳の中で、最大の排出部門というのはどこになるでしょうか。そして、その比率というのはどれぐらいですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 最新の国家インベントリーに基づき作成した資料によりますと、二〇二〇年度、日本のCO2排出量は十・四億トンでございます。御質問のあった産業別では、排出の一番多い部門は電力、三・九億トン、三七%でございます。二番目は鉄、そういう感じになっております。

笠井委員 電力のグリーン化というのが重要だということであります。世界では、脱炭素を目的としたグリーンプロジェクトの財源を確保する、この大変大事な仕事の手段として、環境国債、グリーン国債を発行する国が増加傾向にある。

 環境省に伺いますが、世界で環境国債を発行している国の数、そしてその総額、全体の額ですね、そしてグリーンボンドに占める比率というのは今どうなっているでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 国債を含む債券の発行に関しては、発行主体がそれぞれ行っており、統一的な統計は存在しておらず、一般に使われているものも、民間団体、メディア等が独自に調査して公表している数字となっております。

 その中で、ニュースメディアであるエンバイロンメンタル・ファイナンスの現時点のデータベースによると、これまでグリーンボンドと銘打って発行されている国債は、世界で三十三の国と地域が発行しており、それらの発行額を単純に足し合わせた総額は約二千八百億米ドルとなっております。

 また、同じくエンバイロンメンタル・ファイナンスの現時点のデータベースによると、これまでの国際的なグリーンボンドの累計発行額に占める国債の割合は約一二%となっております。

笠井委員 環境省のグリーンボンドガイドライン二〇二二年版を見ますと、第一章の本ガイドラインの目的という部分がありますが、その部分には、世界的なグリーンボンド市場の拡大の中で、グリーンウォッシュに対する懸念が強まってきたなどの説明が書かれております。

 グリーンウォッシュの定義も含めて、具体的にどうその部分に書かれているか、紹介してください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のあった部分について、次のとおり読み上げます。

 世界的なグリーンボンド市場の拡大の中で、グリーンウォッシュ、すなわち、実際は環境改善効果がない、又は調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず環境面で改善効果があると称することに対する懸念も強まっており、さらには、グリーンボンドの評価に当たっても、発行体全体としての環境パフォーマンスやサステーナビリティー、ESG戦略を考慮する動きが強まるなど、市場の要求水準も高まっている。そのため、今後、市場の更なる拡大を図っていく上でも、グリーンボンドに対する市場での信頼性を担保することが不可欠な状況にある。

 以上でございます。

笠井委員 今紹介がありましたグリーンウォッシュ、実際は環境改善効果がない、又は調達資金が適正に環境事業に充当されていないにもかかわらず環境面で改善効果があると称することと。

 つまり、要するに、見せかけの環境対策、そういうことだと思うんですが、それへの対応として策定された国際基準としては、国際資本市場協会、いわゆるICMAが二〇一四年に策定した自主的ガイドライン、グリーンボンド原則、GBPというのがあって、それと整合する形で環境省のグリーンボンドガイドラインが策定をされております。

 そこで伺いますが、このグリーンボンドガイドラインには明確な環境改善効果をもたらすグリーンプロジェクトというのが例示をされておりますが、その中に、原子力、石炭火力混焼発電というのは例示にありますでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境省が策定しているグリーンボンドガイドラインの附属書一の別表において、グリーンボンドで調達される資金の充当対象となるグリーンプロジェクトについて、国内外の知見や発行実績を踏まえ、資金使途の例示をしております。

 当該例示は、グリーンボンドにて資金調達を行う事業会社等の利便に資するため、国内の状況を踏まえ、グリーンプロジェクトとして整理されるものを例示したものですが、例示の内容に限定する趣旨のものではなく、今後も、国内外の知見や発行実績等を踏まえ、継続的に見直しを行っていくこととしております。

 その上で、御指摘の原子力、石炭火力混焼発電については明示的に例示しているものではありません。

笠井委員 原子力と石炭火力混焼発電については明示的に例示をされていないと。

 昨年八月二十四日の第二回GX実行会議で、林礼子委員、バンク・オブ・アメリカの日本法人のBofA証券の副社長をされておりますが、この林礼子委員が、原子力をめぐる国際資本市場の現状について、こういうふうに指摘をされています。「グローバルの各地域、関係者ごとに、見解は十分に統一されておらず、議論が継続している。」「「トランジション」に必要とされる投資を対象とする場合には特に、丁寧かつ慎重な準備と市場関係者との議論が不可欠」、このように提出資料で指摘をされているわけであります。

 そこで環境省に伺いますが、環境国債で原子力それから石炭火力混焼発電に投資をしているという国は世界にあるでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境国債、いわゆるグリーンボンドとして発行される国債に関し、各国・地域がホームページで公表している情報等を基に環境省において確認する範囲においては、御指摘の原子力、石炭火力混焼発電について、明示的に資金使途として示されているものは承知しておりません。

 加えて、それに基づいて、各国において実際に投資されているか否かについても把握をしておりません。

 以上です。

笠井委員 把握している限りは世界で一つもないということでありまして、原子力への投資がグリーン投資であるとの国際的な認識の一致というのは存在していないということは明らかになっていると思います。

 そこで、国立国会図書館に伺います。

 フランスでは、グリーン国債、グリーンOATで調達した資金の支出の対象から、原子力活動、軍備及び主に化石燃料に関連する全ての支出を除外しているというのは事実でしょうか。

樋口国立国会図書館専門調査員 公表された文献に基づきお答えいたします。

 フランス国債庁のウェブサイトに掲載されておりますグリーン国債のフレームワークに関する二〇一七年一月十日付のフランス語版及び英語版の文書には、グリーン国債で調達した資金の支出対象を選択する省庁間会議が、原子力活動、軍備及び主に化石燃料に関連する全ての支出を支出対象から除外することを目的としている旨の記述があります。

 以上でございます。

笠井委員 原子力大国のフランスでさえ、環境国債において原子力活動を投資対象にしていないと明確にしていると。

 国会図書館に更に伺います。

 欧州の外部評価機関であるビジオ・アイリスが、フランスのグリーン国債に、サステーナビリティー、持続可能性に関する保証レベルについて、三段階中最も評価の高い、合理的というふうにしているというのは事実でしょうか。

樋口国立国会図書館専門調査員 こちらも公表された文献に基づきお答えいたします。

 フランス国債庁のウェブサイトに掲載されておりますビジオ・アイリスの二〇一七年一月の意見書によりますと、フランスのグリーン国債につきまして、三段階中最高の、リーズナブル、すなわち合理的との評価を行っております。

 野村サステナビリティクォータリー二〇二〇年夏号所収の江夏あかね、富永健司両氏の論文では、この評価は、発行者であるフランス政府が既定の方針や目標等に沿った行動を取ることについて高い期待が持てるとの内容であると述べております。

 以上でございます。

笠井委員 ありがとうございます。

 日本が、環境国債ではなくてトランジションボンド、GX経済移行債を本法案で導入をして、原子力、そして石炭火力混焼発電への公共投資を呼び水にしながら民間投資を呼び込むことを政策目標にするというのは、ある意味、世界の中では異様であります。世界からグリーンウォッシュの批判を浴びるのではないか、こう考えざるを得ないことが出てきていると思うんです。

 そこで、環境省に伺います。

 グリーンボンド原則では、グリーンボンドの透明性向上のためにどんな対応を求めているでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のグリーンボンド原則は、国際資本市場協会、ICMAが策定しているものと承知しておりますが、グリーンボンドの発行に関する国際的な基準として一般的に認識されているものであります。

 当該グリーンボンド原則においては、調達資金の使途、プロジェクトの評価と選定のプロセス、調達資金の管理、レポーティング等について市場に対してしっかりとした説明を求めるなど、透明性を持って実施するための基準が定められているほか、こうした基準との適合について外部レビューを受けることを強く推奨しているところでございます。

笠井委員 そういう中で、このグリーンボンド原則には、投資対象を示して透明性を確保することでグリーンウォッシュを排除する仕組みがあるということでありますが、だから、投資家は安心して投資もできて、グリーン投資としてこれがまた評価をされるということになっていく、こういう仕組みになっているということだと思います。

 そこで、更に伺いますが、国債として移行債を発行したという国は世界にあるんでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 CO2多排出産業を含めて、着実にカーボンニュートラルを実現するためには、再エネ等に係るグリーンファイナンスに加えて、移行段階に必要となる取組への資金を供給するトランジションファイナンスの活用拡大が重要だと考えております。

 欧州などにおいては、再エネ等を主な支援対象としたグリーン国債、先ほど御答弁がありましたけれども、発行する事例が存在しておりますが、移行債の発行事例については、現時点において把握をしてございません。

 なお、世界の金融機関の有志連合であるGFANZにおきましてトランジションファイナンスのガイダンスが策定されるとともに、欧州のグリーンタクソノミーにおいても最終的にトランジションの概念が追加されるなど、世界的にもトランジションに対する理解は深まっているものと考えております。

笠井委員 あれこれいろいろなことを言いたいんでしょうけれども、要するに、そういう国はないということですよね。国債として移行債を発行した国はないということであります。

 大臣、本法案でGX経済移行債の透明性を確保するルールというのは一体何なんでしょうか。

西村(康)国務大臣 GX経済移行債でありますけれども、このGX推進法案におきまして、令和五年度から十年間、毎年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で発行することとしており、国会の議決ということで、審議を経るということで、透明性のあるプロセスを担保しているところであります。

 また、GX経済移行債を発行する際には、金融市場にとって透明性と信頼性を確保することが重要であるというふうに認識をしております。このため、新たな国債を発行する場合には、調達する資金の使途やレポーティング方法なども示したフレームワークを策定した上で、国際資本市場協会が策定する国際標準への準拠について第三者認証を得ることを想定をしております。

 今後、国内外の国債、社債市場における類例や足下の市場動向なども踏まえつつ、財務省始め関係省庁と協力して検討を深めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 国際標準への準拠というのは、国際標準というのは何を具体的に指して、何に対して準拠するということを、何をもって透明性を担保すると言われているんですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーンボンドにつきましても、ICMAで、例えばレポーティングの方法ですとか開示の仕方、そういうフレームワークがございますけれども、トランジションボンドにつきましても同様のルールが定められておりまして、ICMAが定めるトランジションボンドのルールに従って、国債の発行について検討してまいりたいと考えております。

笠井委員 要するに、準拠するということであって、それから、大臣も言われたけれども、これから決めるんだということでありますので、グリーンウォッシュを排除する仕組みも定まっていない。クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブックにしても、ハンドブックであって、適合性を評価するものではありません。

 そして、ICMAということもありましたが、ICMAがグリーンボンド原則のような評価原則を移行債についてまとめることができなかったからそういうふうになっているわけで、移行債というのは、投資家がグリーン投資とはっきりと判断できないということになってくるわけであります。そういう問題がある。

 そこで伺っていきたいんですが、大島堅一龍谷大学教授は、ボストン大学のソバクール氏らが二〇二〇年にネイチャーエナジー誌に発表した論文を紹介しております。ソバクール氏らは、世界百二十三か国、二十五年間のデータを分析をいたしまして、その中で、一つは、原子力発電に熱心な国は再エネ導入量が少ない、そしてもう一つは、再エネに熱心な国は原子力発電が少ないとデータから確認をされて、原子力発電と再エネの利用というのは相互に排除し合う傾向がある、こう結論づけているわけです。

 西村大臣に伺いますが、原子力に投資すればするほど再エネの普及というのを妨げていくということになるんじゃないでしょうか。この点はいろいろな実態から見ても言えると思うんですが、その点、どういうふうにお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 本年二月に閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針におきましては、第六次エネルギー基本計画の方針も踏まえまして、いわゆるSプラススリーEの原則の下、あらゆる選択肢を確保することを前提に、徹底した省エネ、その推進と、それから、再エネ、原子力など、脱炭素電源への転換を推進する方針を明確にしているところであります。

 エネルギーの安定供給を確保しながら脱炭素電源を確保するためには、再エネか原子力かという二元論ではなくて、利用可能な脱炭素電源をしっかり活用することが重要であるというふうに考えております。

 このため、原子力を活用していく上でも、産業全体としての人材、技術を維持強化していく必要があります。次世代革新炉の開発、建設を含めて、原子力に対する投資が安定的に行われる必要があるものというふうに考えております。

 他方、再エネについても、主力電源化に向けて最大限導入を進めていきたいと考えております。そのために、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などを加速した上で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら、二〇三〇年度の電源構成に占める再エネの比率を三六から三八%にする、この目標の確実な達成に向けて取組を、これもまた全力で進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 あらゆる選択肢と言いながら、世界の大きな流れはとにかく環境国債ということで、ずばりそのものに対して投資をするということで再エネを始めとしてやろうとしているときに、その中であえて移行債ということで、原子力とか、それから石炭の混焼なんかの問題についても投資していくということになると、本当に力を込めてやらなきゃいけないときに、実際にはそういうふうになっていかない。最大限導入、再エネと言われるけれども、それだって最大限にならない。結局、足を引っ張ることになる。実際には出力抑制だって、原子力をやればやるほどやっているわけですから、そういう問題が出てくると思うんですよ。

 それで、さっきEUタクソノミーという話もあったんだけれども、先ほどのGX実行会議の林礼子委員はEUのタクソノミーの規則に関連しても発言されていまして、EUタクソノミーの規則において、原子力については、ライフサイクルの温室効果ガス排出量、安全、規制の遵守、廃棄物、廃炉の基金や最終処分場の確保などのスクリーニング基準など、厳しい前提条件が設けられていることも指摘されているわけですね。実際に投資の観点からいったって、この点はいかがかという意見も出ている。

 だから、あらゆる選択肢ということで、こっちもやります、しかし原子力もやっていくんですといって、そこにもまた仕組みをつくって国債を発行するということをやったら、実際には再エネ自身の普及ということについても妨げていくということになるんじゃないかということを聞いているんです。

西村(康)国務大臣 私ども、再エネ、二〇三〇年、三六%から三八%導入ということで、できる限り、いろいろな課題がありますけれども、地域との共生、住民への説明など、様々なそうした課題を乗り越えながら、できる限り導入をしていきたいというふうに考えておりますが、再エネだけに頼るわけにはいかない。

 二〇一七年一月にヨーロッパで起きた事象、一月だったと思いますが、ヨーロッパで風も吹かない曇天の日が長く続いて太陽光も風力も非常に出力が落ちたというときに、非常に厳しい電力需給の状況になったわけでありますし、最近でも、イギリスで風が吹かないというときが何回かあって、そのときにはマーケットでLNG、天然ガスに対する需要が上がり、価格が上がるということも経験をしているわけであります。

 エネルギーの安定供給ということにも私ども責任を持たなきゃいけないという中で、再エネか原子力かという二元論でどっちが大事だということではなくて、この日本の状況を鑑みてあらゆる選択肢を追求していくという中で、再エネも最大限導入しますし、原子力についても安全性の確保を大前提とした上で再稼働を進め、また、より安全の確保をする装置を組み込んだ次世代の革新炉についても開発、建設を進めていくというのが私どもの方針でございます。

笠井委員 世界の大きな流れを見なきゃいけないと思うんですよ。RE一〇〇ということでは、産業界でもどんどんそういうことが世界でも広がっているし、日本でもそういうふうに、加わっている企業が増えているわけです。昨日もそういうふうな取組の会合も開かれておりましたけれども。

 まさにそういう状況の中で、イギリスで風が吹かないとかとヨーロッパの話もされるけれども、しかし、日本経済新聞の三月十四日付に記事もあって注目しました。再エネが世界で昨年の一・四倍。ウクライナ侵攻で導入加速。EU、ガス火力を上回る。日本、なお化石燃料頼みということも含めて、もちろんイギリスはEUじゃありませんが、ヨーロッパ的にも世界的にも、この記事によれば、ウクライナ危機を受けて各国が再生可能エネルギーの導入を加速している。国際エネルギー機関のIEAによると、二〇二二年の世界の再エネ導入量は最大四億四百万キロワットに上る見通しだ。ウクライナ危機前の二一年の一・四倍の規模に当たる。エネルギー安全保障上、燃料を輸入に頼らずに済む利点が急拡大を後押ししていると。まさに、ここに本当に着目して取組を集中する必要があると思います。

 世界が環境国債で再エネに集中投資して二〇三〇年までの排出削減を本気でやろうとしているときに、日本だけは、環境国債ではなくて移行債で、原子力や石炭火力混焼にも投資しようとしている。しかも、アジア・ゼロエミッション共同体だといって、石炭火力発電のアジア輸出を拡大しようとしている。脱炭素を遅らせて世界の足を引っ張っているんじゃないかと言わざるを得ないと思います。

 世界の流れは、事業で使用する電力を一〇〇%再エネとするRE一〇〇の時代、まさに申し上げたとおりですが、米国のアップル社は、自社の再エネ比率一〇〇%を達成した後、サプライヤーにも再エネ利用を求めている。日本がこのまま原発固執で再エネ普及を妨げていると、あるいは再エネ由来でないものをどんどん使っていくということになっていくと、日本企業は世界のサプライチェーンからもはじき出されてしまう。

 西村大臣、日本企業が再エネによるグリーンな電気が調達できなければ日本で事業を続けられないことになってしまうんじゃないか、世界の流れだってそうなっているし、実際にそういう動きが強まっているわけですから、そういうふうにはお考えになりませんか。

西村(康)国務大臣 世界的に、再エネを増やしていこう、これは、大きな流れもありますし、私どもも最大限導入するという方針で繰り返し述べているところでありますが、課題はございます。先ほどの、天候に依存するということ、あるいは系統をしっかり整備しなきゃいけないこと、あるいは、そうした出力が落ちたときに調整電源としてバックアップの電源が必要だということもあります。蓄電池なども整備を進めていくというふうな課題も乗り越えながら、私ども、再エネも最大限導入したいというふうに考えております。

 他方で、世界の全ての国が原子力から何か撤退しているかのような御発言でございますけれども、フランス、イギリス、アメリカ、こうした国々は原子力の重要性を、引き続き認識を私どもとも共有をし、フランスは六割、七割を原子力に依存し、ドイツは、原子力をやめるとは言っていますけれども、他方で、いざというときはフランスから電力を買える、融通ができるというグリッドが結ばれております。イギリス、アメリカとも、次世代の革新的な革新炉を協力して進めていこうということでありますので。

 私ども、どちらか一つだけということではなくて、安定供給と脱炭素化を進めていく上でしっかりと取組を進めたいと思いますし、個別の企業で再エネのエネルギーを購入するというのは、様々な枠組みの中で、直接購入、あるいはバーチャルでPPAというものもございますし、様々な仕組みの中でそれぞれの企業が脱炭素化に向けて取組を進めていく、そのことをしっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。

笠井委員 私は、大きな流れが再エネへ一〇〇%向かっているというふうに言っているので。大臣は口を開くととにかく最大限導入しますと再エネを言われるけれども、悪口ばかり言われるんですね。天候は組合せでやればいいわけです。系統は整備すればいいわけです。バックアップは蓄電池でやればいいわけですよ。そのために投資すればいいわけです。

 これまで世界の自動車業界をリードしてきた日本の自動車メーカーは、現実に世界のEV競争に取り残されようとしているわけですよね。あらゆる可能性を排除しないなどというエネルギー戦略というのは、その二の舞になりかねない。再エネに思い切って集中せずに、今後十年間も原子力や石炭火力に巨額の予算と人的資源を投入するということは、それこそ脱炭素あるいは経済成長に逆行するものだと思います。

 最後に伺いますが、昨年二月二日の予算委員会で、当時の萩生田経産大臣が私の質問に、箱根駅伝に例えるならまだ折り返しまで行っていない、二〇五〇年の最後のゴールをしっかりめくってまいりますと答弁いたしました。

 西村大臣も、二〇五〇年までに帳尻を合わせればいい、二〇三〇年じゃなくて二〇五〇年、最後へ行けばいいんだ、とにかく最後のゴール近くになってそこでばっと走れば間に合うんだ、そういうお考えですか。

西村(康)国務大臣 私ども、二〇三〇年に温室効果ガス四六%削減、そして二〇五〇年カーボンニュートラルという二つの目標を掲げております。そして、二〇五〇年に向かっては、技術革新がどの程度進むのか、社会実装がどう進むのか、これはまだなかなか予見可能性が低い、予見し難いものですから、まずは二〇三〇年への道筋として、エネルギー基本計画におきまして、繰り返しになりますが、再エネも三六から三八%、これは今の二〇%の約倍にするということでありますので、私どもも最大限、系統、蓄電池の整備を進めていきたいと思いますし、地域の環境、景観を悪くするという、そうした課題も出てきておりますので、地域との共生についても電源確保法案の中でそうした事業規律の強化も盛り込んでいるところであります。

 いずれにしましても、国々それぞれ、経済状況、それからエネルギーの状況、資源の状況など様々でありますので、多様な道筋は必要だというふうに考えております。

 フランスとアメリカと日本とそしてアジアの国々、目標は同じでも、それぞれ進んでいく道は違うわけであります。日本は日本として、安定供給も確保しながら、しかし、しっかりと三〇年の四六%、二〇五〇年カーボンニュートラル目指して、実現していきたいというふうに考えております。

笠井委員 世界から見たら、今大臣が言われた方向というのは恥ずかしいですよ。とにかく取り残されてしまう。本当に、ラストで間に合わせればいいんじゃないし、二〇三〇年だって、はっきり言って日本の目標は野心的じゃありません。これも低いですから。やはり、破局的な気候危機を本当に回避しなきゃいけないときに、二〇三〇年までの本気度が根底から問われる、そういう点を指摘して、引き続きこの法案についてはただしてまいります。

 終わります。

竹内委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日、最後の質問でございます。今日、この法案の審議初日でもございますので、少し総論的なところから、通告に従いまして質問をさせていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案であります。

 私ども公明党も、一貫して、地球環境問題、これは非常に重要であるということを考えてまいりましたし、また、二〇五〇年カーボンニュートラル、これをしっかりと実現をするべきだということも、政府に先立ちまして、これもしっかり訴えさせていただいております。昨年の十二月に、今後のエネルギーの安定供給確保とGXの実現に向けた提言というものも、党の方から提出もさせていただきました。

 まず冒頭、少し総括的な、総論のところで、今までの日本のGXに対する取組の総括というか現状認識の方をちょっとお伺いしたいと思うんです。

 いわゆる、今まで、環境なのか経済なのかみたいな議論もあったかと思うんですけれども、今回、GXというのは、カーボンニュートラルもしっかり実現をしていくし、そして日本の成長戦略でもあるということもしっかりやっていくということだと認識をしておるんですけれども、このGXの関連分野、我が国の企業も大変多数の特許を保有するなど、ポテンシャルは高いということは言われております。

 例えば水素一つ取りましても、日本の、EUもそうですけれども、非常に特許を多数保有しているという中で、他方、この脱炭素の分野で、じゃ、今まで産業として日本の存在感が発揮できてきていたかということを考えますと、どうしても、エネルギーの構造ですとか、いろいろな要因はあったかと思うんですけれども、例えば再エネの風力発電一つ取りましても、なかなか、こうした技術、日本の技術力というのが生かしてこれていなかったのではないか、こういうふうに感じております。

 これをしっかり、やはりこのGXの中で、日本が産業、成長戦略として、新しいところでしっかりこの産業の力を発揮していかないといけない、こういう思いを持っておりますけれども、今、現状認識として政府はどう考えておられるかというのをまずは答弁いただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 例えばでございますけれども、我が国の再エネ率は、二〇一〇年度の約一〇%から二〇二一年度には二〇%を超えて、この十一年で倍増しておりますけれども、残念ながら、クリーンエネルギー関連設備の生産は海外製が多いことは、これは事実でございます。

 今委員からも御指摘ございましたけれども、複数の海外の調査機関においても、GX関連分野における日本の技術ポテンシャルは高いと言われておりますし、可能性は高いと私ども思っております。

 大事なことは、こういう技術ポテンシャルを死蔵させずに、社会実装の段階で負けることなく、最大限活用、発展させていく、これが大事だと思っております。

 このため、革新的な技術に対する研究開発を加速していくとともに、今後、開発された技術を活用して事業展開していく段階においては、投資規模を拡大していく、事業化を進めていくということが大事だと思っております。

 我が国においては、足下でも、グリーンイノベーション基金を始め既に様々な支援を行ってきているところでございますけれども、その上で、今般の措置により先行投資支援、債務保証等を行って、こういうポテンシャルを具体化、実現していくことを強力に支援してまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 そこで、先ほど局長が述べられた、今後の支援の在り方ということだというふうに思います。

 ちょっと大臣にお伺いをしたいんですけれども、大臣も、通産省御出身ということで、今まで日本の産業戦略に関わってこられたと思うんですけれども、やはり、日本の今までの取組として、どうしても民間任せにしてしまうというか、半導体とかいろいろな分野でありましたけれども、技術はあるという中で、しかし、それを果たして産業化をしていく、あるいは、そういう新しいルールなども含めて、こういう新しい市場の中でしっかり成長産業化をさせていくという取組が本当にしっかりできてきたのかという問題意識がございます。

 やはり、このGXの分野においては、しっかり官民力を合わせて、何としても成長産業化させていかないといけない、そのための非常に大事な法案だというふうにも思っております。

 今、政府の方でも、十年間で百五十兆という投資をしていくという方針もございますし、その財源をこれで確保する、GX経済移行債というわけでありますけれども、EUも米国も、このGXの投資、更に加速させていく、こういう状況であります。改めて、今後の支援の在り方、しっかり日本の成長戦略としてGXの分野を成長産業化させるということについて、大臣の御見解を伺いたいというふうに思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、脱炭素の分野では、革新的な技術開発、これを基礎としたいわゆるイノベーション、この創出が鍵となってきます。

 我が国は、抜本的なCO2削減を実現する例えば水素還元製鉄とか、あるいは日本発の次世代太陽電池技術であるペロブスカイト、こうした脱炭素効果の高い革新的技術での開発では先行をしております。ただ、御指摘のように、国際競争は非常に激化をしてきておりますので、その革新性あるいは不確実性の高さから、民間のみでそれを全部やるというのはなかなか難しい状況にもなっておりますし、投資判断を行うこと自体、困難なものがございます。このため、御指摘のように、政府が大胆な投資支援を実施していくことが重要だという認識、これは共有をしております。

 そして、こうした状況を踏まえて、今般提案をさせていただいている法案では、全体として負担を増やさない範囲で、しかし二十兆円規模の大胆な先行投資支援を含む成長志向型カーボンプライシング構想を提案をさせていただいております。これを早期に具体化、実行することで、早くGXに取り組んだ企業ほど負担が低くなるという仕組みとすることで意欲ある企業の取組を強力に支援をしていこう、これによって、産業競争力強化、脱炭素技術を活用した新たな市場の創出を行っていく、こうしたことで世界をリードしていきたいというふうに考えております。

 こうした革新的技術の開発、そしてそれを効果的に事業化につなげてアジア地域などでも展開することで、世界の脱炭素化に貢献するとともに、我が国の経済成長そして競争力強化を実現していきたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣もおっしゃっておられた、まさにどのように市場の中で事業化をしていくかというところ、これからの投資の在り方も含めて、やはりルール作り等も含めて非常に肝になってくると思いますので、是非引き続きよろしくお願いいたします。

 大臣への質問は以上でありますので、もしあれでしたら中座していただいて結構でございますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほどまさにありました、成長志向型のカーボンプライシングの在り方ということで、一つ御質問をさせていただきます。

 特に、成長と両立をする形でのカーボンプライシングというものを積極的に導入をしていくべきであるということは訴えさせていただきました。そういう意味では、非常に重要な制度を今回規定していただくんだと思っておりますけれども、いわゆる排出量取引制度、そして化石燃料に対する賦課金、二つの制度がございます。

 先行する欧州の例を見ましても、今回、百五十兆円の投資をするためのGX経済移行債の財源としてという考えも一つあるとは思うんですけれども、やはり、脱炭素化を加速をさせていくために、この制度をしっかり活用するということも大事だと思っております。

 やはり、化石燃料賦課金は全体にばあっとかかってきますので、どうしても、代替性があるかどうかとか、そういうことにかかわらずかかってきますので、排出量取引の仕組みというのは幅広く広げていった方がいいのではないかというふうに、脱炭素を加速するという意味では、というふうに思っております。

 今回、ここの排出量取引というのは、具体的に言うと、想定されるのが電力に対する有償オークションだというふうに承知をしておりますけれども、しかし、ほかの分野もどんどん技術革新が進んでいって、代替ができる、あるいは国際競争力が十分に確保できるというふうな、そういった投資も進めていく中で脱炭素を加速するという意味では、この取引の仕組みを広げるということは非常に大事ではないかと思っております。

 今やっておりますのは、自主的なGXリーグのような取組をやっておるんですけれども、やはり、国際的にいろいろな企業の意識も高まっていく中で、この取組というのがどんどん広がっていくということも十分に想定されますので、将来的にこうした取組をGXリーグなども活用しながらどんどん広げていくということが、やはり脱炭素の加速につながるのではないかというふうに思いますけれども、この点についてどうお考えか、答弁を求めたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの鍵の一つは、やはり電源の脱炭素化、これだと思っておりまして、この電源の脱炭素化を加速させるために、諸外国の排出量取引制度の事例にも倣い、再エネ等の代替手段がある発電部門で有償オークションの対象化などの取組を先行させる方針でございます。

 そのため、効率的かつ効果的に発電部門の脱炭素を進めるため、他社に供給する電力が多い電気事業法上の発電事業者のうち排出量の多い者を有償オークションの対象とする、発電部門以外の有償オークションの対象化につきましては、GXリーグの発展を含め、成長志向型カーボンプライシング構想の進展や国際的な動向も踏まえた検討が必要だというふうに認識をしております。

 GXリーグの発展、これは他の産業も入っていただいているわけですけれども、既に我が国の排出量の四割以上を占める六百七十九社から賛同を得ているところでございまして、二〇二三年度から排出量取引を試行実施いたします。

 二六年度からは、多排出産業を中心に、企業ごとの状況を踏まえた野心的な削減目標に基づき、排出量取引制度を本格稼働させるということで考えておりまして、このように、政府といたしましては、多くの業種から構成されるGXリーグを発展、活用していく方針であり、引き続き多くの企業の参画を呼びかけてまいりたい、このように考えております。

中野(洋)委員 最後のGXリーグの話は非常に大事だというふうに思っております。ここの裾野が広がらないと、電力だけなのかという、やはり全分野でしっかり取組を進める必要があると思います。

 もう一点、カーボンプライシングの導入の時期についてなんですけれども、賦課金が二〇二八年、有償オークションが二〇三三という想定がなされていると思うんですけれども、二点あると思っていまして。

 一つは、事業者であるとか国民の負担というものがやはりあると思います。エネルギー価格、今まさに非常に高くて、電力、ガス等も含めて政府が全力で支援をしているというエネルギー価格の状況みたいなことも当然あると思いますし、もう一つは、安定供給という意味でも、いつも冬場になると電力が逼迫をする、これも、考えますと、やはり再エネが入って、火力の稼働が落ちて、調整力としての火力というのがなかなか維持しにくくなっていく中で逼迫をするというふうなこともあり、有償オークションというのは、いわゆるここの、火力の部分に更にかかってくるということでもあると思いますので、やはり安定供給という観点もあるかと思います。

 総じて言うと、やはりスリーEプラスSのところをバランスよく見ながら、この導入の時期、経済状況も含めて、しっかり見ていきながら検討していくことが大事なのではないかということを考えておりますけれども、この点について、政府、いかにお考えか、答弁いただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三〇年度四六%削減、あるいは二〇五〇年度カーボンニュートラルといった野心的な削減目標に向けて排出削減をしていく、こういうことにしております。他方で、これはまさに御指摘のように、エネルギー安定供給、それから産業競争力強化、経済成長と両立させて、持続可能な形で実現していくことが何よりも重要だというふうに考えております。

 カーボンプライシングは、度々答弁しておりますけれども、代替技術の有無あるいは国際競争力への影響等を踏まえて導入しなければ国外への生産移転が生じる可能性もあって、そうなると、世界全体で見ればCO2排出量が増加する可能性もございますし、雇用や消費の流出により国益を損なうことになります。

 したがって、企業がGXに取り組む期間をしっかり設けた上で、御指摘のように、二〇二八年度から化石燃料賦課金、二〇三三年度から有償オークションを導入する。しかも、それはエネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で、当初低い負担から徐々に引き上げる形で導入していくということとしております。

 まさに御指摘のように、企業活動あるいは国民生活への影響をしっかり踏まえて成長志向型カーボンプライシングを導入することで、排出削減とエネルギー安定供給、さらには競争力強化、経済成長を両立させていきたい、このように考えております。

中野(洋)委員 済みません、もう一問通告しておりましたが、時間が参りますので、本日は以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時一分散会


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