衆議院

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第5号 令和5年3月22日(水曜日)

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令和五年三月二十二日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      石橋林太郎君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    神田 潤一君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    西野 太亮君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      堀井  学君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宗清 皇一君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      大島  敦君    菅  直人君

      階   猛君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      前川 清成君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   財務副大臣        秋野 公造君

   内閣府大臣政務官     里見 隆治君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室長)

   (経済産業省経済産業政策局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        田辺  治君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            井上 俊剛君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     石橋林太郎君

  山際大志郎君     深澤 陽一君

  馬場 雄基君     階   猛君

  山岡 達丸君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     神田 潤一君

  深澤 陽一君     西野 太亮君

  阿部 知子君     山岡 達丸君

  階   猛君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     上川 陽子君

  西野 太亮君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房GX実行推進室長兼経済産業省経済産業政策局長飯田祐二君、内閣官房GX実行推進室次長兼経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎君、内閣官房GX実行推進室次長龍崎孝嗣君、公正取引委員会事務総局審査局長田辺治君、金融庁総合政策局審議官井上俊剛君、財務省主計局次長前田努君、文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、文部科学省大臣官房審議官原克彦君、経済産業省大臣官房審議官藤本武士君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋委員 おはようございます。立憲民主党の田嶋要でございます。今日も貴重な時間をありがとうございます。

 法案の審議が続いておるわけでございまして、前回も参考人の皆様から貴重な御意見を賜ったところでございます。

 カーボンプライシングというのが、ようやく日が当たるようになってきたというか、経産委員会でこうして法案で議論できるようになったことは、これまでに比べますと一歩前進したというような印象も持つわけでございますが、政府の法案で提示をされているカーボンプライシング、具体的には、二〇二八年からの化石燃料の賦課金、三三年から無償、有償のオークションということ、その前提としてのブリッジファイナンシングで十年間ということだと理解しておりますけれども、これは、大臣、満を持してということかもしれませんが、導入のタイミング、その規模感、水準、そして適用対象の範囲、企業、産業の範囲など、どれを取っても、いろいろな心配の声も出ております。

 大臣、まず、これで国際社会に向かって胸を張って我々のカーボンプライシングということで言えるのかどうか、その御所見をいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、経産省を始めとして、政府全体として、非常にこのカーボンプライシングについての取組が慎重であった面は私も否めないというふうに思っています。

 ただ、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す、そして二〇三〇年四六%温室効果ガス削減を目指すということを決めてからの取組は、有識者、外部の方々の意見を聞きながら、私は非常にスピーディーに決めてきたというふうに思っております。

 その一つが今回の法案提出でありますけれども、規模感でいいますと、十年間で二十兆円規模を先行投資して全体で百五十兆円規模の官民投資、これは、国際、欧米と比較しても遜色ない水準であるというふうに思いますし、今回のこのカーボンプライシングで先行投資した企業ほど、取り組んだ企業ほど負担が少ない、それが、御指摘があったように、二六年度排出量取引を本格稼働させ、二八年度賦課金、三三年度有償オークションということで、それまでにできるだけ取り組んでもらうという、ある意味、取組期間を置いたという仕組みを入れておりますので、こういった仕組みを加速することで、私は、二〇三〇年、再エネの三六から三八を含めて、全体四六%削減を加速する効果があるというふうに思っております。

 ただ、技術開発の動向は、これは本当に数年で変わってきますし、十年先になると分かりませんので、そうした状況に応じて、必要に応じてしっかりと見直しは行いながらやっていきたいと思いますが、大きな方向性としては、今回の取組で投資を加速し、まさに脱炭素化に向けた取組を加速するということになっていくと思います。

 いずれにしても、脱炭素化を実現すると同時に、経済成長、エネルギーの安定供給としっかりと両立、共に実現をしていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 大きな方向性として、私も一歩踏み出すことが非常に大事だと思っておりますので、その点に関しては私も評価をしたいというふうに思います。

 配付資料の一を御覧をいただきたいんですが、これは、どなたも御覧になったことがあろうかと思いますが、この炭素税率。今回、炭素税とは呼ばないことにされているということで、ここにもいろいろなからくりがあるんだと思うんですけれども、税にしないところが一つみそかなと思うんです。

 この一の資料は、これはいろいろ説明できるのかもしれませんが、明らかに、今二百三十九円でしたっけ、二百八十九円か、石石税の上乗せ部分のことを呼んでいるんだろうと思うんですが、世界は十年、二十年、三十年早くこういったものを始めて、さっき大臣が、今回の我々の仕組みも、早く始めればそれだけ有利だと。その仕組みは評価するんですが、しかし、世界は日本より早く始めているんですね。

 だから、企業単位で早く始めればそれだけ有利ということと同様に、国として早く始めれば、やはりそれだけ時間をかけて、薄く広く、負担感少なくやれると私は思うんですが、これだけ日本が遅れて始めちゃうと、結果的に、最後、日本全体が大変な負担を負うことになるという心配もあるんですね。

 そもそも、スタートの切り方が全然遅かったと私は考えているんです。終わったことは仕方がないということかもしれませんが、一度確認をしなきゃいけない。

 そして、もう一つ私が期待していたのは、東京都がこの取引制度をスタートしたのは二〇一〇年です。三・一一の前の年に始めているんですね。そして、それに倣って、より工場の多い埼玉県は、一年後の二〇一一年、まさに三・一一の年に同じように排出量取引制度を始めた。

 私は、その先行事例二つをにらみながら、速やかに日本の政府もそれを始めてくれるんだろうというふうに期待していたんですが、今回のこの法案を見ても、えらく始まるタイミングが後ろの方になっているということで、これは最終的には我が国を、競争力をおとしめる、首を絞めることになるんじゃないかということを私は心配している。

 だから、負担感を考えてと言うんだけれども、そのよかれと思っていることが裏目に出るということを私は危惧をしているわけですが、この国際比較において、大臣、これはどのように説明するんですか、社会に向かって。

西村(康)国務大臣 繰り返しになる面がありますけれども、経済産業省を含めて、政府全体で非常に取組が慎重だった面は私は否めないというふうに、私自身は認識しております。

 それは、ヨーロッパの国々と比較をされていますが、アジアの国々と我々はサプライチェーンがあり、そして産業が共に共存している中で、仮に日本が先行的にこのアジアの中で突出して厳しくなると、これは、鉄を始めとして、多くのCO2排出産業が海外、特にアジアに移転をするというふうなことの危惧が私はあったものというふうに思いますし、今や世界で取り組んでいきますから、直ちにということではないかもしれませんけれども、いまだにやはり幾つかの産業では、規制の緩い国にという思いがあるんだろうというふうに思います。

 その上で、取組が遅かったことは否めない。ただ、二〇三〇年四六%削減ということを決めましたので、それに向かって、今回の仕組みを始めとしてしっかりと取り組んでいく。

 ちなみに、東証で実証的に排出量取引をやっておりますけれども、ちょっと、種類によって、省エネだったりあるいは森林由来であったりで金額が変わりますけれども、森林由来であれば、一トン当たり一万数千円で取引をされています。

 そういう意味で、いろいろな水準の、ありますけれども、実証をやりながら、そして、この四月から更にそれをどういう仕組みにしていくのかしっかりとやりながら、二六年の本格稼働に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

田嶋委員 例えば、私の地元でも、基幹産業としての製鉄、今大臣指摘のあった、それが中心ですけれども、いろいろなコストの議論をしてまいりました。例えば電気代の問題とかもありますけれども、このカーボンプライシングに関しては、一番というか、競争している相手に必ず挙がってくるのは韓国なわけですが、カーボンプライシングということでは、中国、韓国の方が日本より先行しているんじゃないんですか、大臣。

西村(康)国務大臣 いろいろな仕組み、それぞれ各国の事情に応じて取組を進めておりますので、EUはEUで取組はありますし、中国は中国、韓国は韓国で、そして日本は日本での取組、特にアジアとのサプライチェーンが非常に強固に日本の産業はできておりますので。

 そうした中で、繰り返しになりますけれども、慎重だった面は私は否めないということを認識をしておりますが、三〇年四六%削減、五〇年ニュートラルを決めた以上、日本の政府そして産業界も、それに向けてもう動き出しておりますし、動き出すと私は速いと。技術開発も加速的に、今回の仕組みも含めて行っていきたいと思いますし、しっかりと国際約束を果たすべく取り組んでいきたいというふうに考えております。

田嶋委員 小さく産んでかもしれませんけれども。

 そこで、次の質問をさせていただきますが、これは遅くスタートしたということは否めないということですから、先ほど言ったように、キャッチアップする角度はどうしてもきつめにならざるを得ないと思います。

 そうしたときに、今後、カーボンプライシングのスケジュールの前倒しあるいは賦課金の水準の変更、一説によると、世界の、EUということでしょうか、世界で求められている水準の一割程度、一万円ぐらいだとすると千円程度の賦課金の水準ではないかというふうに試算もあるようでございます。そうした状況をやはり横並びにしていくには、かなり短期間に角度を上げて規模を増やしていかなきゃいけない。

 今申し上げたスケジュールの前倒し、そして賦課金水準の変更、引上げ、あるいは対象事業者、今、取引制度は有償の場合は電力のみと言っているわけでありますが、そうした範囲を広げるということも含めて、これはもちろん、公平性の原則に基づいて、そして過度な負担が一産業に集中しないように、そうしたことを私は想定しなきゃいけないと考えていますが、それは、今回の法案の下で今後できるという、あるいは大臣は想定しているというふうに理解していいですか。

西村(康)国務大臣 まず、私ども、今の状況をしっかりと検証し分析して、そして将来の三〇年、五〇年の目標に向けて取り組んでいく、それを加速をさせていくという意味で今回の法案を出させていただいておりますので、そういう意味におきまして、私ども、現時点で今の法案はベストなものというふうに考えております。

 ただ、御指摘のように、技術の進展は非常に速いものもございますし、状況は変わり得るわけでありますので、附則十一条でも、様々な実施状況を踏まえて検討を加え、必要があるときはその結果に基づいて所要の措置を講じるということで、見直し規定も附則に書かせていただいているところであります。

 いずれにしても、各国の動向そして国内の取組状況、特に、技術開発、技術進展、どういったものがあるのか。例えば、グリーンイノベーション基金でも今支援をしておりますけれども、既にそれが国際的に開発されて実装が始まるような技術についてはもう取りやめるというようなことも含めて行ってきておりますので、そうしたことを含めて、当然、状況に応じて見直しはあり得ると思いますが、私ども、現時点では、この法案、この仕組みがベストだというふうに考えているところであります。

田嶋委員 御指摘いただいた十一条の一項、二項ですね、二項の方で具体的な二つの部分、化石燃料賦課金、特定事業者負担金は二年以内の制度設計、それ以外に関しても必要があるときは必要な措置、見直していくということが第一項ではないかというふうに理解しておりますけれども、こういったことは、やはり様々な産業界との対話の中で、しかし全体としての公平性を維持しながら行っていく。

 ただ、一つ私も意外だったのは、今回、後年度のこういった仕掛けがあるんですが、その事前にブリッジファイナンスを行って、それが二十兆円ということなんですね。そして、なぜ二十兆かというと、私の認識では、今、産業界、国民に負担になっている石石税の部分とそれから再生可能エネルギーの賦課金、その負担を超えない形でというふうになっているように理解できるんですが、このいわゆるひもづけによって、将来、変更しようにも、その部分に関しては天井を打ってしまうのではないのかなと。

 私は、元々、これは財源としてのこの二つの手段ではなくて、やはり五〇年カーボンニュートラルに向かって必要な投資は行わなきゃいけないということによって総額が決まってくる。しかし、経産省、役所から出ているこの法案というのは、今の負担をベースとして、それで総枠を決めてしまっているような私は認識をしているんですね。

 私は、例えば、大臣、炭素税で特定の産業、企業の負担が上がっても、その分法人税の減税で中和するとか、そういう形によって、まさに、純粋な増税のようなことにする必要はないと思っているんですよ。社会の構造を変えるのがまさにこのカーボンプライシングであって、カーボンということに値づけをして社会の方向性を変えるのであって、これが何か消費税の増税とか、そういうことと同列には議論できないと私は思っているんですね。

 そういう意味で、今のこの政府の提案だと、総枠は何か法律ではめられてしまっている。私たちは、その部分の修正も検討したんですが、あらゆるところに飛ぶのでそこは難しいということで今回断念した経緯がございますが、それは将来、そうした総枠で、それ以上のカーボンプライシングや排出量取引を拡大していくということができないということではありませんか、大臣。そこは広げる余地はあるということでいいんですね。

西村(康)国務大臣 まず、二十兆、百五十兆の枠組み、官民で百五十兆、そのために、官の方で、政府の方で支援策として先行投資を支援するということで二十兆円規模を想定している。これは、まず、国際的に見ても、欧米に比べても遜色ない規模だということでありますが、その内訳は、それぞれの産業界からのヒアリング、あるいは有識者の声を踏まえて、様々な意見を踏まえて積み上げていった結果がそのようなものになって、やはり欧米と比較しても大体そのぐらいの投資が必要だろうということで、まず規模がそちらで先にある。

 一方で、二十兆円をどういうふうに財源を確保するのかという観点、それから、カーボンプライシングをそれにどう組み合わせて、より早く取り組んだ企業ほど負担が少なくて済むということも加味して今回のカーボンプライシングの仕組みを入れていますが、もう一点、御指摘のように、FITの賦課金とそれから石石税で負担がありますので、この負担の総和の範囲内で収めたい。つまり、中長期的に国際競争力を維持し、経済成長にも資するためには、全体、その負担はできれば上げたくないということで今回作らせていただいております。

 その中で、二十兆円を確保するということを想定をしておりますけれども、御指摘のように、今後の技術開発の動向、あるいは、排出量がどのように、我々は本当に減らしていくことができているのかどうかというその実施状況、こういったことも見ながら、附則で見直し規定を入れさせていただいておりますので、今の案、これはベストだと思っておりますし、この下で進めていきたいと思っておりますが、世の中は大きく変化することもありますので、それはそれで、将来の見直しの中で適切な対応を考えていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 負担の規模と始めるタイミングは連動すると思うんですが、お認めになったように、慎重であった、出遅れている。私は、最後の角度が物すごくきつい国になると思うんです。だって、ゴールは一緒なんだから。日本だけ二〇六〇年というわけじゃないですよね。世界中が二〇五〇年と言っているのに、この経済大国が、スタートがこんなに遅れてしまって、最後、一番苦しむと私は思いますよ。

 だからこそ、スピード、タイミングも、早く始めた方が負担感は少ないし、先ほど大臣が、まさに、企業に対しては早く頑張った方が得するような仕組みにしているとおっしゃったじゃないですか。世界だって同じですよ。早く始めた国の方が得するんですよ。だから、非常に今私たちはハンディを背負っていると思います。

 そして今、二つの今の既存の負担、石石税の上乗せとそして再エネ賦課金、それの総和の枠内でとおっしゃいましたけれども、今、後半の御答弁では、その総和の枠内でスタートするけれども、この総和の枠を超えることもあるという認識で、改めて、理解してよろしいですか。イエスかノーでお答えください。

西村(康)国務大臣 私どもとしては、少なくとも今後十年程度を見据えて、先行投資をしっかりと支援をしていきたい。そして、先ほど来の二八年、三三年度にそれぞれ仕組みが導入される、それまでに取り組むことで企業の負担は少なくて済むということで、先行投資を支援しながら加速をさせていくということで、まずは二〇三〇年四六%削減を実現をしたいと思っております。

 その上で、さらに、二〇五〇年に向けては、これはまだかなり先の話で、技術開発なり国際的な動向、これはどんなふうになるか全く予見ができませんので、そのときのことまで今の段階で何か約束するということではなく、いろいろな状況を見極めながら対応は考えていきたいというふうに思います。

 そして、おっしゃるように、遅くなれば負担は、早く取り組んだ企業は負担が低く済みますけれども、やっていない企業は当然負担が上がっていくということですので、これはよく……(田嶋委員「国も一緒だって」と呼ぶ)ええ、角度は急になっていくというのはおっしゃるとおりだと思います。

 ですから、この数年間がまさに勝負だというふうに思いますので、しっかりと技術開発をやり、競争力のある形での脱炭素化の技術を開発し、実装していければと考えております。

田嶋委員 だからこそ、二八年に始めるとか、三三年に始めるというのは、私はよくないと思います、これは。今回、変えようがないから我々も修正には入れませんでしたけれども、この法案のスキームを超えて、もうちょっと、最終的に企業を泣かすことになると私は思いますよ、日本の企業を。

 そして、なぜ財源の上限を、今ある石石税とFIT賦課金の枠で閉じるのか。私は、もっと広げるべきだし、それによって、カーボンプライシングの負担が企業にかかる分を、法人税とか税の全体を見ながら調整するということは十分可能だと思うんですよ。

 財務省といろいろやらなきゃいけないのを避けるためか、全部経産省の中で閉じてできるような仕組みに、今回特別会計も含めてやっているということが、多くの人々にとって奇異に映っているし、そういうこそくというか、そういう取組をしようとする中で、私は自分たちの自由度を狭めてしまっているのではないかというふうに感じております。

 次の質問をさせていただきます。

 手続についてですが、これも、先ほど申し上げたのは、どこかの牛丼チェーンで言っている、早い、うまい、安いの逆だということを申し上げたいんですが、次の質問は、手続に関して、何か経産省に物すごく力が集中しているという、環境省はどこへ行っちゃったのかなというような感じのカーボンプライシングになっているというふうに思います。

 そこでお尋ねは、これも先ほどの法文の六条の関係だと思うんですが、今回の推進法の法案が成立した後に経産省が中心となって戦略を作るということですね。戦略という名の計画ということなんですが、作るということなんですが、経産大臣が案を作るということでありまして、この六条の三項、四項によりますと、財務大臣、環境大臣その他行政の長には協議をするというふうに書いてありますが、しかし、外部の有識者とかそういうのが全く出てきません。

 比較して、エネルギー基本計画、これは非常に重要なものですが、この基本計画の場合には、経産大臣は総合資源エネルギー調査会の意見を聞くということがエネルギー政策基本法で定められているんですね。外部の皆さんです。

 この総合エネルギー調査会というのは、トップは、外部の有識者、学識経験者が座長を務める会ですね。こういう場で意見を聞くというのは、私は当然のことだというふうに思うんですが、大臣、ここはなぜ欠落しているんですか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月に閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針は、少なくとも昨年七月から、産業界、労働団体、消費者団体の関係者そして学識経験者等の外部有識者で構成される、総理を議長とするGX実行会議において精力的に御議論いただき、さらに、環境省の炭素中立型経済社会変革小委員会や、経済産業省のクリーンエネルギー戦略検討合同会合などでの議論やパブリックコメントも含めて様々な方の御意見をいただき、取りまとめていただいたところでございます。

 御指摘のGX推進戦略でございますけれども、このように幅広く御議論、意見をいただき策定したGX実現に向けた基本方針に沿って作成をしたいというふうに考えておりまして、ただ一方で、やはり、GXは国を挙げて取り組む大切な課題であることを踏まえて、必要に応じて、GX実行会議を始め、さらに外部有識者の意見を聞く機会を設けることもしっかりと検討してまいりたい、このように考えております。

田嶋委員 GX実行会議があったのは事実ですけれども、まず、トップが総理大臣だということですね。先ほど申し上げましたこのエネルギー基本計画に関しては、外部有識者が座長を務められているということで、全く違うと思います。法律の根拠もないわけですよね。そういう恣意的といいますか、そういうことで、だからいいんだという話には私はならないと思います。

 エネルギー基本計画以上に、そういう意味では、エネルギーを超えた部分も含めて大きな戦略をこれから立てていくということで、ある意味、この法案というのはがらんどう、枠を決めている。実質的なところは、既に今もう詰められているかと思いますが、この法律ができた後の戦略という名の計画に決まってくるわけで、それを主に担っていくのが経産省、経産省にそうした権限が集中させている中身になっていますが、エネルギー基本計画と同じような仕組みを法文上明記するということは考えませんか、大臣。

西村(康)国務大臣 今、答弁させていただきましたけれども、GX実行会議においても、経団連の十倉会長、それから連合の芳野会長にも入っていただいておりまして、様々な外部の皆さんの意見を聞いております。

 今回、GX推進戦略作成に当たっても、そうした外部の有識者の意見を伺う機会を設けていきたいというふうに考えておりますので、しっかりと手続は踏んでいきたいと考えております。

田嶋委員 だから、財務大臣ほかの協議はするというのはちゃんと法律に入っておりますから、法案に、六条ですね、同じように法案修正してもいいじゃないですか。そういうふうにちゃんと外部の目を入れるということが、経産省だけで全部やってまた大失敗したということの繰り返しになるより、よほどいいんじゃないですか。いろいろな方の意見は実行会議で入った、それは分かりますよ。だけれども、そういうことを言っているんじゃないです。エネルギー基本計画のときには、そういうきちんとした手続が法定されているということを言っているんです。今、同じ法律、法案の議論をしているんだから、同じようにそうした仕組みを法案修正してやったらどうですか。

 それは、やりたければやるというような話になっちゃいますよ、大臣。そういうほわっとしたことでは駄目だと私は思います。世界が、日本が注目するこの戦略をこれからどう具現化していくということですから、そこは是非お願いしたいと思いますが、法案修正は難しいということですか、大臣。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、エネルギー基本計画におきましては、御指摘の趣旨のようなことが法定をされているわけでございます。一方で、地球温暖化対策推進法に基づく地球温暖化対策推進計画においては、御指摘のような特定の審議会プロセスを経ることを法定していないわけでございまして、そういう意味では、法律によってそれぞれ規定が分かれている、こういう状況でございます。

 そういう中で、先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおり、このGX戦略というのは、取りまとめていただいたGX実現に向けた基本方針に沿って策定をしたいというふうに考えておりますし、さらに、具体的な策定の過程におきましては、GX実行会議を始め、さらに外部有識者の意見を聞くということで御答弁を申し上げているとおりでございまして、そういうことでしっかりと戦略を策定していきたい、このように考えております。

田嶋委員 一生懸命ない事例をお探しになられたようでございますけれども、どっちがいいかといったら、外部の、きちんと聞かなきゃいけないんだから、皆さんの判断で気が向いたら聞くみたいな話では困るということなんですよ。きちんと外部の有識者、そうしたことにも耳を傾ける、他の大臣だけではなくて、環境大臣、財務大臣だけではなくてということを、エネルギー基本計画に倣ってきちんと入れていただくということを私は求めたいと思います。

 そこで、経産省にすごい権限が集中する仕掛けが随所に見られる、これは次の二本目も同じかもしれませんけれども、そういった中で、GX移行推進戦略というものがこれから策定される。

 大臣、これは通告の中に入っていないんですけれども、お配りしている三ページを御覧いただきたいと思います。これは、経産省からの累次の説明では一度もいただけなかった資料でございますが、タイムスタンプを見ると、二三年、本年の二月十日ということでございます。

 大臣、これは世の中がいろいろ懸念をしていることに関連するわけでありますが、原発ですね。目の前の再稼働という話ではなくて、次世代革新炉というものに関して、この国民の二十兆円が今後十年間でどうなっていくのか。これは、まさに経産省がほぼ決めたようになっていくんだろうと思うんですが、大臣、今の時点でどのようにお考えになっているんですか。これは、この二十兆円の中で幾らほどを原発、次世代革新炉に向けて充てていくというお考えなのかを御答弁いただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、廃炉を行うものが、今、二十四基想定をしております。福島に十基ありますので、それ以外で十四基で、その廃炉を行ったもので、その敷地内で、地元の皆さんの理解があるものについて次世代革新炉の建設を考えていくということであります。

 その全てができるわけではないと思いますし、そんなに多くはない、幾つかが出てくるかどうかということで我々は考えておりますけれども、その中で、世界中が次世代革新炉に取り組む中で、連携しながら、我々も、より安全メカニズムを組み込んだもの、この資料のとおりですね、これの開発、建設に取り組むということであります。

 そして、GX移行債についての、対象をどうするかということでありますけれども、まさに、排出削減と経済成長、競争力強化の両方を満たしていくものについては支援対象になり得るということで、原子力の分野を排除するものではありません。

 今回、補正予算、法案成立後の初年度において、今回の予算の中で、約一・六兆円規模のGX経済移行債を予定をしておりますけれども、その対象の中に、原子力関係の事業としては、高速炉、高温ガス炉の実証炉の研究開発予算として百二十三億円を計上しているところであります。

 そういう意味で、排除するものではないということでありますが、十四か所廃炉がありますけれども、それを何か、全て次世代革新炉を建設していくということでもないということも御理解いただければと思います。

田嶋委員 そんなふうには全然思っておりませんので御安心いただきたいと思うんですが、今、一・六兆のうちの百二十三億円というふうにございました。十年間で二十兆というふうにもう数字が、法律には入っておりませんが、数字が我々には示されているわけであります。その二十兆円の中で、この次世代原発、原子炉の関係でどれぐらいを使う考えでいらっしゃるかという、今のお考えをお伝えください。

西村(康)国務大臣 原子力分野についても排除するものではありませんけれども、つまり、十年で二十兆円規模のGX経済移行債の対象になり得るということでありますけれども、具体的にそれを、二十兆円規模を何に使っていくかについては、有識者の意見も聞きながら、毎年の予算編成の過程で財政当局と調整の上、国会での御審議を経て決定されることになるということでありますので、現時点で何をどういうふうに使うかと決まっているものではありません。

 百五十兆円全体についてのおおよその、水素、アンモニアを何に使うかとか、水素還元、鉄鋼業界でどういうことに使うのかとか、そういったことの大まかな工程表はお示しをしておりますけれども、現時点で、二十兆円の対象範囲について、何か決まっているものではないということであります。

田嶋委員 官民合わせた百五十兆の話をしているんじゃなくて二十兆円の話をしているんですけれども、これは、先ほども言いました六条、経済産業大臣が推進戦略の案を作成するんですよ、この法律が成就した暁には。しかし、その案の原案はもうできていると思いますよ。そして、お配りしたこの三の資料というのは、経済産業省のホームページにアップされていますから。私たちは一度も説明を受けたことはございませんが、この二月の十日、先月の上旬にアップされているんです。今は誰でも見ることができますが。

 だから、二十兆の中で幾らぐらいの案があるのかですよ。経産省が決めたことが全部そのまま通るとは、今の仕組みでも思いません。しかし、ほぼ経産省の思いどおりになるでしょう、今の仕組みからすると。したがって、二十兆、百五十兆ではなくて二十兆の中で幾らという案があるのかを聞いているんです。この資料に書いてあるんじゃないですか。お答えください。

西村(康)国務大臣 まず、二十兆については、有識者の意見を聞きながら、毎年の予算編成の中で財政当局と調整をして決めていきます。ですので、今の時点で幾ら使うかは決まっておりません。

 百五十兆円については、お示しの資料を含め、水素、アンモニア、鉄鋼、それから原子力を含めて、どの程度百五十兆円については投資が見込まれるかということで、この投資については十年間で一兆円の投資が見込まれるということは書いておりますけれども、二十兆円の対象が幾らになるかということは、この工程表でもお示ししているわけではございません。決めているわけではございません。

田嶋委員 これは水素とかの話じゃないですよ、この資料三というのは次世代革新炉の話ですけれども、二十兆円の中で、今後十年間のGX投資、一兆円の投資というふうに書いてあるんじゃないんですか。これはどうなんですか、大臣。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 二十兆の内訳につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げているとおり、革新的技術の実現可能性ですとか国際情勢等の不確実性を踏まえ、現時点でその支援内容、配分を決め切るのは必ずしも適切でないと思っておりまして、制度実行後の官民でのGX投資の進捗ですとか、グローバルな動向、技術開発の動向などを踏まえて、進捗評価を定期的に実施し、必要に応じて見直すことが適当と考えておりまして、足下でその金額は決めておりませんし、何か経済産業省が案を持っているというわけでもございません。

 二十兆の内訳としては、そういう意味では、個々に、御指摘の今の分野に幾ら使うのかということの数字はないわけでございますけれども、もう少し大ぐくりになりますけれども、非化石エネルギーの推進に二十兆のうち六兆から八兆円、需給一体での産業構造転換、抜本的な省エネの推進に約九兆から十二兆円、資源循環、炭素固定技術などに約二兆円から四兆円という大まかな枠はイメージを持っておりまして、こういう中で、毎年の予算編成の中で財政当局と調整しながら決めていくということにさせていただきたい、このように考えております。

田嶋委員 案の作成までがまず経産省の仕事で、閣議決定を経ないと確定しませんから、それは何も決まっていないのはそのとおりだと思いますよ。

 じゃ、逆の聞き方をしますけれども、大臣、二十兆円の、国がこれから予定している投資、その中に次世代革新炉に関わる投資はないと理解していいんですか。そこははっきりとされた方が私はいいと思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 先ほども答弁させていただきましたけれども、初年度、令和五年度ですね、一・六兆円規模のGX経済移行債を発行することを予定しておりますけれども、その中で、原子力関係の事業として、まさに御指摘の次世代革新炉である高速炉、高温ガス炉の実証炉の研究開発に関する予算として百二十三億円を計上しているところであります。

 繰り返しになりますが、原子力の分野を排除しているものではありませんが、先ほど局長から答弁がありましたけれども、全体で二十兆円規模のうち、産業構造転換とか省エネなんかで九兆から十二兆使うとか、あるいは、資源循環、炭素固定技術で二兆から四兆使うとかいうことを決めている中で、非化石エネルギーの推進という中で六兆から八兆を考えておりまして、その中には水素とかアンモニアとか様々な新しい技術があるということでありますので、その中で、有識者の意見も聞きながら、毎年の予算編成の中で財政当局とも調整をして決めていくということになります。

田嶋委員 こういうのがホームページに上がりながら、事務方から、案もありません、検討も始めていませんみたいな答弁というのは、ちょっとにわかに信じ難いわけでありますが、大臣おっしゃったとおり、まずは一・六兆のうち百二十三億円でありますから、これから十年間の計画もあらあら今議論がなされているんだろうというふうに理解をいたしました。

 私たちは、原発に関しての、新増設に関してはやらないということに方針を立てておりますので、その点は非常に厳しいことになるなというふうに考えておりますが、その点も含めて、是非、そうした検討は、どうせこの戦略ということを経産省が中心で行うわけですから、速やかに情報開示も含めてお願いをしたいというふうに思います。

 アンモニア、水素、何度も言っていただきましたが、そこまで行けないままにちょっと時間になってしまいましたので、以上で終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、経済産業委員会でのお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 私からは、先ほどの田嶋委員のお尋ねの実証炉についても後ほどお尋ねさせていただきますが、まずは冒頭、昨日来ニュースになっております岸田総理のウクライナ電撃訪問ということに関して、私から是非、西村経産大臣に、政府としてお取り組みいただきたいことがございますので、これは通告外、岸田総理の訪問も通告外でありましたので、私も通告する時間がなくて申し訳ありませんが、質疑をさせていただきたいと思います。

 この度のロシアのウクライナ侵攻においては、特にチェルノブイリ原発あるいはザポリージャ原発等々の原発施設が攻撃にさらされる、あるいは占拠されるなどの事態があって、もちろん侵略そのものもけしからぬものだと思いますけれども、ジュネーブ条約の追加議定書五十六条にあるところの原発施設等々の攻撃は、国際的にはこれは禁止をされておるものと思いますが、しかし、実際にそれが起こっているという中であります。

 せんだって、ウクライナのコルスンスキー駐日大使のお話をある防衛関係の会議で聞くことがございまして、そのとき大使の御提案とおっしゃっていたことは、三月の十一日の東日本大震災と並ぶような恐怖を今のロシアの原発施設への攻撃については感じていると。

 そして、ジュネーブの議定書、制定されましたのはもう五十年以上前で、実はアメリカはまだ批准しておりませんけれども、核施設への攻撃は国際的に違法であり、さらに、この間の様々な原発事故を踏まえて、その違法性を私たちは五十年前よりは強く知っているところと思いますので、来るG7広島サミットにおきまして、是非、岸田総理のリーダーシップの下、核施設、原発施設等々の攻撃を違法であるという国際世論を高めるために御尽力いただけまいか、これが一点であります。お願いします。

西村(康)国務大臣 まさにウクライナの皆様が、国民の方々がロシアの侵略によって悲惨な目に遭われ、さらに、原子力の攻撃があるのではないか、そうした大きな心配の下に置かれていること、私もあってはならないことだというふうに思います。

 そうした中で、今回、ゼレンスキー大統領とも岸田総理が会談をされて、まだその内容を聞いておりませんけれども、様々なウクライナ側の提案、要請もあったと思いますし、また、今、阿部委員からそうした御指摘をいただきましたので、私ども、G7の中でどういったことができるか、しっかりと考えていきたいというふうに思います。

阿部(知)委員 核兵器による攻撃も、また原発施設への攻撃も、共に人道への罪に当たると思います。特に、戦争による唯一の被爆国と言っている我が国が、そして先ほど来のいろいろな質疑の中でも、これから原子力をどうするかということの中でも、この大きなリスクということに私たちはまず向き合った上でなければ国民も地球も守れないと私は思いますので、是非、今の西村大臣の御答弁、岸田総理にお伝えいただきたく、また、二〇二二年のG7の外相会談で原発施設への攻撃問題が俎上に上っておりましたので、是非、国際法のルールの中でも更に強化していただきますよう、お願いを申し上げます。

 さて、ここからは通告した質問に入らせていただきます。

 政府は、昨年七月から、いわゆる産業革命以来の化石燃料を中心にした社会、経済、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システムの変革を考えるということで、GX推進会議を開催しておられます。

 ところがと申しますが、実は用語の一つ取っても大変分かりづらくなっていて、これが国民にどう伝わっていくのか。今、正直申しますと、私どもがこの国会で質疑をしておりますGX、トランスフォーメーション、これは英語ばっかりというか、横ばっかりで、Xなんてよく分からないという、これが国民の偽らざる心境だと思いますが、しかし、エネルギー民主主義から考えても、しっかり一緒に考えねばならないことだと思います。

 さて、大臣、少し簡単な用語の説明で確認をしたいのですが、原発は区分分けをいたしますとクリーンエネルギーには入りませんよね。いかがでしょう。

西村(康)国務大臣 グリーン、クリーン、様々な用語の使い方がございます。エネルギー基本計画におきましても、グリーンということは明確に定義がございませんが、今回の法案の中でも、グリーントランスフォーメーション、GXというのはかなり定着してきた用語だとは思いますが、法令用語としては、ここに書いてありますとおり、まさに脱炭素成長型経済構造への円滑な移行という言い方を法令用語ではさせていただいているところであります。

 そうした中で、原子力がグリーン、クリーンに含まれるのかということでありますけれども、EUを始めいろいろな国がそれぞれの国の事情に応じてそうした方向性、用語などを使っていると思いますけれども、私は、原子力エネルギーは、脱炭素という意味ではグリーンであり、クリーンなエネルギーだというふうに認識をしております。

阿部(知)委員 大臣がそう認識されるならば、それを国民との間で対話をしなければならないと思います。

 まず、クリーンということは、いわゆる環境負荷という問題もありまして、放射性廃棄物の問題がありますので、クリーンには、通常、原発は分類をいたしません。これは用語を調べていただくと、先ほど、法令用語で、炭素の排出が少ないということでグリーンと使っているとおっしゃいましたが、クリーンという言い方はふさわしくはない。

 さて、グリーンについては、専らこれまでグリーン電力証書等々は再エネに使われておりましたが、この度、日本政府にあっては、二酸化炭素の排出が少ない、あるいは、ないとは言いません、非化石燃料であるということで、我が国においてはグリーンとニアリーイコールだというふうに考えようとおっしゃっているんだと思います。

 ところが、前回のこの委員会の質疑でもございましたが、世の中の、世界のグリーンボンドと言われるものの中に、原子力や、あるいは水素、アンモニア混焼の石炭火力についても、グリーンボンドでファイナンスしているところはないという認識でよいでしょうか。大臣、お願いします。

飯田政府参考人 先日、この場で、グリーン国債という形で各国が発行して、先例がございますけれども、その中で原子力を使っているものは確認できていないという御答弁をいたしました。

 他方で、グリーンボンドのICMAの定義の中で、これが入る入らないということにはなっておりませんで、これも私ども確認中でございますけれども、民間企業が発行したいわゆるグリーンボンドの中で、原子力に対して支援をしようという動きはございます。

 したがって、グリーンボンドの定義の中に何が入って何が入っていないというものが、国際的なグリーンボンドルールの中で定められているものではないというふうに承知しております。

阿部(知)委員 今の御答弁にも一つのごまかしがあると思うんですね。

 では、国債という言い方をしましょう。グリーン国債に原子力や、あるいは石炭へのアンモニア、水素混焼を入れているところはないという御答弁でありました。

 さて、我が国はどうか。西村大臣はよく御存じと思いますが、いわゆるグリーンイノベーション基金というのが二兆円規模で、経産省、NEDOが預かってやっておられます。この中には、NEDOの資金供与の中には、原子力は入りますでしょうか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーンかどうかの定義と関わりなく、NEDOで実施しております事業には原子力については含まれておりません。これは、創設の経緯のときに、他の機関との役割分担の中で、原子力についてはNEDOにおいて取り扱わないということになったからということでございます。

阿部(知)委員 それはよく承知しております。法律にも書いてございます。

 ところが、グリーンイノベーション基金という言葉が国民に伝わるその内容において、ここに挙げましたけれども、説明、チャート図、この一番下に書いてある原子力産業は、NEDOのグリーンイノベーション基金の対象ではないわけです。

 一つ一つ丁寧に説明をしていく必要があり、まして、今回の移行債は、ある意味、投資効果ではなくて、それをやった場合のリスクも含めて国が背負う、簡単に言うとそういう移行債であります。これは、利潤を目的としていない、いわゆる投資ファンドとは違うんだということは、繰り返し、西村大臣が山岡委員との質疑の中で明確にしておられます。収益性を求めずに債務保証などを実施する、すなわち国民負担であるということであります。そこから収益が出て、戻るものではない。そうすると、私は、丁寧な国民への説明が何より必要となると思います。

 もう一つ、EUタクソノミーでは原子力の扱いはどうでしょう、西村大臣。

西村(康)国務大臣 EUは、タクソノミーの中で、原子力を対象とする条件として補完的委任規則というものを出しておりまして、そこで、新設原発は二〇四五年までに建設許可を受けたもの、あるいは、既設の原発は二〇四〇年までに延長許可を受けたもの、そして、放射性廃棄物の管理については資金面、処分場の計画についての条件があって、二〇五〇年までに高レベル放射性廃棄物処分施設が運用開始できるよう詳細な計画を有していること等、こうした条件の下で対象にしているというふうに認識をしております。

阿部(知)委員 おっしゃるとおりです。EUタクソノミーの中で、いつまでにそれが計画されたものであるか、建設されたものであるかと同時に、最終的な高レベル放射性廃棄物の処理施設を二〇五〇年までに稼働させるということであります。

 大臣も御承知のように、今、新増設の原発は、世界でも時期はどんどん遅れております。これから日本が実証研究して、いざスタートして、本当にここでEUスタンダードに追いつくであろうかというと、私はとても現実性がないと思います。物事は一定のルールで、それこそ無駄な投資はしない、だって国民がかぶるんですから。そのことを特に経済産業大臣である西村大臣にはしっかりと考えて御提案していただかないといけない。

 先ほど、田嶋委員とのやり取りで、百二十三億、実証炉についてということでありましたが、果たしてこれが、私どもはほかの理由で新増設には反対しておりますが、もしこのやり方でやるとして、実際にスタートさせて、EUタクソノミーの標準、水準に合うという確証はどこにあるんでしょう。大臣、お願いします。

西村(康)国務大臣 まず、高速炉、高温ガス炉、これは各国とも研究開発に取り組んでいるところでありますし、日本は一定の、「もんじゅ」を始めとして経験がございます。そうした経験に対する各国からの期待、アメリカ、イギリス、フランスなど、期待感も持っていることというふうに認識をしております。

 その上で、実証炉の開発、次世代革新炉の高温ガス炉、高速炉、これについては、各国とも連携しながら、是非、より安全性の高い、それから廃棄物が少ないということも頭に置きながら進めていきたいと考えておりますが、御指摘のように、我が国にとって最大の課題は最終処分場が決まっていないことであります。これが国民の皆様の大きな懸念の一つであるとも認識を、私どもしっかりと認識しております。

 最重要課題であるということを改めて認識した上で、最終処分に関する基本方針の改定などを通じ、現在、最終処分の実現に向けた取組を加速して、進み始めているところでございます。自治体への説明などを含めて、各省連携をして、支援体制などもつくりながら対応していきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 私ども立憲民主党は、そうした現実の制約も含めて、廃棄物の処分も決まらない、あるいは、「もんじゅ」でも成功はしていなかったわけです。蓄積しているといったって、その知恵が、果たしてどのように私どもは財産にしているでしょうか。

 それらを含めても賛成できませんが、そもそも、リプレースとか新増設ということは、これまでの政府の基本的な、エネルギー基本計画の中でも出てこなかったものであります。再稼働問題は別途意見もあると思いますが、新増設、リプレースについては、これまで、国民との確認とそごがあると思いますし、賛成ができませんし、そのための国民負担の実証実験など、到底そんなお金の余裕はない。我が国の、本当に急いで二酸化炭素削減をしていく近道、早道を考えないといけないと思うんです。

 ここで大臣にまたお尋ねいたしますが、では、GX、トランスフォーメーションについて、国民との対話はどうであったろうかと。

 開いていただいて二枚目の資料に、昨年の十二月から本年の二月まで、GX実行会議から閣議決定に至るまでの間、果たして国民への説明の場はあったろうか。と申しますと、右に赤枠で囲った、各地で行われたいわゆる意見交換会は、全て閣議決定終了後であります。聞く耳を持つはずの岸田総理が、それも原発という、本当に東日本大震災を経験した国民にとって大きな関心事であることが、実はこの各所で行われたヒアリングも参加者が随分少なかったそうでありますし、アナウンスも不徹底であったと伺っております。

 また、パブコメについては、三千件以上に及ぶパブコメ、三千三百三、私もざっと目を通しましたが、やはり、GX自身、G、X、よく分からない、原発はどうなるんだ、そして国民にはどんな話があったのだというパブコメが大変多いように思いました。

 大臣は、恐縮ですが、パブコメは、お忙しいと思いますが、御覧になりましたか。また、こうやって閣議決定してから、それも、ほとんど通じない、アナウンスされない形で説明会をやるような姿勢で、国民のエネルギー主権は確立すると思われますか。お願いします。

西村(康)国務大臣 パブコメについては、三千九百六十六件ということで約四千件寄せられたわけでありますが、その後、名寄せをしまして三千三百三件ということで、それを類型別に御指摘のものに分けて、そして、それに対しての回答を私どもお示しをして、ホームページ上でもお示しをしているところでありまして、そのことについては、私、目を通して、それぞれのものについての回答ぶりなどを確認をしているところであります。

 そして、説明会についても、御指摘のように、非常に多くの回数を開いてきておりますけれども、これについては、GXの基本方針のみならず、今後の政策も含めて幅広く御意見を伺うということで、今後も引き続き継続して行っていきたいと考えておりますし、それぞれの場でどういった意見が多くなされたのかということは、私も報告を受けております。

 いずれにしても、御指摘のように、パブリックコメントをやったからもう終わりとかそういうことではありませんので、様々な機会、この国会の審議も一つの機会だと思いますし、また説明会、意見交換会、あるいはホームページ上、ふだんからいろいろな意見も、ネット上、経産省にも寄せられておりますので、そうしたことを含めて、このGX基本方針を含めた政府の取組については、できるだけ丁寧に分かりやすく、粘り強く説明をしていきたいというふうに考えているところであります。

阿部(知)委員 一方的なものは対話とは申しません。やはり、出ている意見、特に、先ほど冒頭でも申し上げました、原発施設は今二重のリスクが現実にあります。地震大国日本で災害、そして安全保障環境上もいろいろなリスクをはらむ。もちろん人為的なミスもあるでしょう。そして、国民の素朴な感情は、早く原発に代わるエネルギーを安全に使っていきたいということであると思いますので、大臣が今おっしゃった丁寧な本当の対話ということをやっていただいて、物事を決めていっていただきたい。

 ところが、この移行債は特別会計に入り込んでしまいますので。実は、特別会計は、ほとんど国民からは見えない仕組みになっております。私は、皆さんがいろいろ御質疑でしたが、特別会計としてやって、そして、炭素税ではなくて賦課金で、本当に、経産省の経産省による、経産省のためのとは申しませんが、つくりになっていること、非常に国民に開かれていないと思います。

 大臣、これも予告外で申し訳ありません、機構債という話が出ておりますが、こんなの一回もこれまで説明されておりません。移行債じゃなくて、機構債です。この新たにできる機構債、これは何をするんでしょう。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 機構債とおっしゃっているのは、GX推進機構を今回この法案で設立することになっておりまして、この機構が施策を実施する上での財源として、借入れを行ったり、あるいは、機構債を発行して、それでそれを政策実行の支援のための財源に充てるということでございまして、そういう意味では政府が発行するGX移行債とは全然趣旨が別のものでございまして、この法案に機構債を発行することも含めて規定をさせていただいて、提案をさせていただいているところでございます。

阿部(知)委員 おっしゃったとおりです、移行債と違うんです、機構債。でも、これまでの説明資料に一言も出ていなかった。法案にぽっと出てきた。私は、何だろうと思いましたよ。なぜきちんと、この認可法人が機構債を出す、調達するということも含めて、その制度設計とか、誰が何をチェックするのかとかなければ、白紙委任などはできません。こういう論議の仕方を、私は今日三十分しか時間がないので、ここでとどめ置きますが、本当に乱暴で、隠した、よろいの下に何かあるんじゃないかと国民が思ってしまっても無理がないと思います。指摘しておきます。

 もう一つ、この間、IPCCが発表いたしましたが、第六次の報告書の中で、今のやり方では、温暖化、到底目標に到達しない、二〇三〇年までの排出削減が突き詰めて言えば極めて重要であるという指摘ですが、今回のこのGX移行債のやり方、あるいは賦課金の在り方、あるいは、二〇三三年ですか、排出権取引、過ぎちゃっていますよね。それで果たして、今、世界的な危機感のある温暖化に我が国が取り組んでいると言えるのかどうかであります。

 大臣のお手元に示しました資料を御覧いただきますと、ここには、エネルギー基本計画での再エネの比率、三六から三八、二〇三〇年ですね。それから、今、実際に千七百三十八の電気事業者を聞き取って、OCCTO、電力広域的運営推進機関が集計いたしましたところの二〇三一年予測、再エネは二九%、現状から、その予測でいくと。エネルギー基本計画にも到達いたしません。

 でも、エネ基を更に上回るゴールをつくらなきゃいけないということをIPCCが示唆しているんだと思いますが、大臣、こんなゆっくりしたというか、このペースで大丈夫なんですか。いかがでしょう。

西村(康)国務大臣 より加速して取り組むべきという国際的なそうした御意見、評価があるということも承知をしております。

 私どもとして、まずは二〇三〇年の四六%削減、そして二〇五〇年のカーボンニュートラル、これに向けて着実に進んでいくこと。三〇年を実現し、五〇年ニュートラルに向けて進んでいくこと、これをまず実現するために、まさに数年間早く投資をしてもらって、早く脱炭素の技術を開発し、社会実装していくというところを最大限支援をし、そして、日本としての責務を果たしていく、そのことにまずは全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 そうおっしゃっても、再エネを抑制する仕組みが日本の機構の中に私はあるんだと思います。

 大臣のお手元に、IEAが示したデータで、太陽光発電の方がはるかに原発の新増設や運転延長よりもコストパフォーマンスがよいという結果、今日は時間がございませんのでお示しするだけに終わらせていただきますが、とにかく、コストパフォーマンスがよくて二酸化炭素を削減するものに打って出ないと、遅過ぎる、トゥーレートになってしまいます。

 そこで、もう一つ、再エネを大きく阻害しているのが、今の電力カルテルや、あるいは、先日来問題になっております一般電力事業者による顧客情報、再エネの、新エネの事業者の顧客情報を盗み見て、そこに営業をかけるという、極めて不公正な事態であります。

 今日は公取に来ていただいておりますが、この電力会社のカルテルについて、現状、分かっていること、御報告をお願いします。

田辺政府参考人 委員お尋ねの電力会社による独占禁止法違反被疑事件の進捗状況につきましては、現時点では審査中でございますので、具体的なお答えについては差し控えさせていただきたいと思います。

阿部(知)委員 これは質問取りのときにもそうおっしゃっていましたが、しかし、この大事な電力自由化という、これによって多様な電力の事業者が育つようにとやってきたことが明らかに阻害されている現状の中で、この法案の審議にその報告もないという中では、到底やれない。

 私は、本当に今、日本が岐路に立っていると思いますので。電力カルテルだけじゃないんです。さっきの情報の盗み見。本来の所有権の分離まで踏み込んでいない我が国の電力自由化が大きな阻害要因になって。また、この間、再エネ事業者はどんどん潰れていっています。再エネの加速には寄与しない今回の移行債の問題ではないか。再エネを加速するため、大臣、今回の移行債には、太陽光発電と、多少のことはあります。でも、本来の再エネ促進策では、それだけではない、本当に不足している。原発はちょろりと潜り込ませて、実証炉とかおっしゃっていますが、本当にこれでフェアな競争ができるとお考えか。

 また、大臣から急がせてください、公取にも、結果を。その上でしか審議できないと思います。いかがでしょう。

西村(康)国務大臣 まず、今回の百五十兆円と二十兆円規模の官民投資そして政府の先行支援。これについては、工程表の中で、再生可能エネルギーについても十年間で約二十兆円規模の投資を期待をしながら、例えばペロブスカイト太陽光とか様々な取組を、実装に向けての取組など、これは蓄電池も必要になってまいりますし、そうしたことの仕組みをしっかりと支援をして、対応していきたいというふうに考えております。

 そして、公取の今の、処分の、様々、今検討がなされていると思いますけれども、これは、公取は独立した機関でありますので、その手続が、処分が決定されれば、我々としては適切にそれを受けて対応していきたい、そういうふうに考えているところであります。

阿部(知)委員 委員長にお願いがあります。

 公取も電取も、電力の公正な取引を監視するためのものです。その双方から疑義が出ている中で、電力改革の質疑はこれ以上進まない。必ずこの質疑の終わるまでに結果を出していただけますようお計らいいただきますようお願いを申し上げて、質問を終わります。

竹内委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 委員外ではありますが、本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、GX経済移行債について伺っていきたいと思います。

 皆さん御案内のとおり、この法案には、GX経済移行債の発行総額は明記されていません。ただし、今年二月の基本方針には、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を官民協調で実現していくために、GX経済移行債を活用して二十兆円規模の先行投資支援を実行する旨が記載されています。

 なぜ、百五十兆円のうち、GX経済移行債を活用するその金額が二十兆円なのか、その根拠をお答えいただきたいというのが一点。

 もう一点、十五日の当委員会で、GX経済移行債について、二十兆円以上の発行を予定しているものではないという浅野委員への政府答弁がありました。ということは、二十兆円未満となることはあり得るのか、この点をお答えいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、今後十年間で二十兆円規模とするということを基本方針に記載をしているところでありますけれども、この規模につきましては、まさに諸外国の動向とか国際機関の分析、各産業、企業の技術開発への取組の状況、それから脱炭素の既存のプロジェクトなども参考にしながら、GX実行会議あるいは関連する有識者会議での議論を踏まえまして、全体で、官民投資、十年間で百五十兆円、それを実現していくための必要な規模として定めたものであります。

 工程表の中にお示しをしておりますとおり、具体的には、再生可能エネルギーを含む非化石エネルギーに六兆から八兆、それから、産業構造を変えていく、製造業を中心に変えていく、収益性の向上に資する省エネ、燃料転換、これに九から十二兆、そして、資源循環、脱炭素固定技術など新技術開発に二兆から四兆というお示しをしておりまして、この見通しを示すことで民間投資も引き出していきたいというふうに考えておりますが、具体的に、何にどういうふうに使っていくか、現時点で何か支援内容、配分などを全て決め切っているわけではございません。

 今後の革新的技術の実現可能性や、国際情勢も変わってくると思いますので、そうしたことを踏まえて、今の時点では決めずに、今後の動向、グローバルな動向、そして技術開発の動向などを踏まえて、進捗評価を定期的に実施し、必要な見直しを検討していきたいというふうに考えております。

 今後十年で二十兆円という支援の規模については、現時点でこれを変更する考えは、現時点で私どもこれがベストだと思っておりますが、その上で、まずは、この支援の効果的かつ効率的な実行に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 その上で、今の時点で変えるつもりはございませんけれども、見直し条項に入っておりますとおり、官民投資状況、あるいは特に技術開発の動向を踏まえて、進捗を定期的に評価をし、必要があれば見直しも考えていくということで、三〇年に向けてもまだ七年ありますし、五〇年に向けてはまだ二十年以上あるわけですので、どういうふうに技術の動向が変わっていくか分かりませんので、そういったことを踏まえて、状況を見ながら考えていきたいというふうに思っております。

階委員 使途も規模も明確になっていないということを確認させていただきました。

 その上で、この法案の七条一項で、GX経済移行債で調達した資金の使途は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に要する費用ということになっています。極めて抽象的で、解釈の余地が広い、そういうたてつけになっております。

 電気料金について、政府の割引支援が実施されておりますけれども、今、これを例にして考えてみたいと思います。

 まず前提として、電気料金は、現在小康状態かもしれませんが、今後、電力各社の値上げが想定されて、割引支援策も九月で終了するため、十月から国民負担は大きく増えるというふうに考えておりますが、大臣、この考え方で間違いないかどうか、お答えいただけますか。

西村(康)国務大臣 電気料金についての御質問でございます。

 一月使用分、二月の請求分から激変緩和事業ということで値下げを行っているところであります。そして、規制料金の値上げ申請につきましては、直近の燃料価格などを踏まえて再算定を求めたところであります。かなり為替も変動しておりますし、燃料価格も低下傾向、石炭などは昨年の十一月が最もピークでそこから比較的下がってきておりますので、直近の燃料価格を踏まえて再算定を求めたということであります。引き続き、必要な時間をかけて、丁寧かつ厳格に審査を行っていきたいというふうに考えております。

 それと、今日、今朝の物価対策本部で私から報告させていただいたんですが、FIT賦課金について、再エネから買い取って、そして市場で売る価格が非常に高いものですから、FIT賦課金が二円程度四月以降下がるということが見込まれております、現在精査をしているところでありますけれども。したがって、これは全ての、電気を利用している、高圧、特別高圧、低圧限らず、その程度見込んでいるところでありまして、各家庭でいえば、標準的な家庭で八百円程度値下げが期待できるのではないかということで、最終精査をしているところであります。

 いずれにしましても、規制料金の改定内容も含めて、燃料費の動向もありますので、今後の状況を見ながら適切に対応していきたいというふうに考えております。

階委員 電力会社の値上げ申請については、再算定ということで、取下げにはなっていないですよね。だから、再算定で値上げ幅が少し圧縮される可能性はあるけれども、なお値上げの可能性は高いということが一点。

 それから、再エネ賦課金で二円割引になるという話もありましたけれども、今、政府の割引は七円ですから、これを加味したとしても五円、これがもし割引がなくなれば値上げになるわけですよね。

 ということで、私が申し上げたとおり、この秋以降、政府の割引支援がなくなれば、そして再算定により電力会社の値上げが一定程度あれば国民負担は増えるのではないか。これは間違いないですよね。

西村(康)国務大臣 申請はそれぞれ各社によって幅がありますけれども、かなりのパーセントで、二割、三割、四割、値上げ申請になっておりますので、これを、直近の燃料価格で、為替とか石油、LNGの値段、石炭の値段などで再算定するようにと言っておりますので、どういう形になるか、そこは見通しがまだ立っておりません。今厳正に審査をしているところでありますので、それを踏まえなきゃなりませんし、それから、二円程度は四月以降下がることを見込んでおります。

 さらには、今回、一兆二千億円の地方交付金、これは、電気、ガス、食料品の値上げ対策のものとして措置するということを今朝決定をいたしましたので、五千億円分は厳しい世帯に支援をしていくということ、そして、七千億円分は、特別高圧であったり、あるいはLPガスの対策に主として使っていただけるように、私ども、お願いをしていきたいと思っております。

 そうしたことを踏まえて、どのような形になっていくかはなかなか一言では申し上げにくいんですけれども、いずれにしても、国民の皆さんの負担、国民生活への負担、そして中小企業を中心とした事業への負担、こうしたものを見ながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。

階委員 負担が増えないということはおっしゃいませんでしたので、この割引支援がなくなれば、そして電力会社の値上げ申請が再算定により認められれば、負担は増えるということは間違いないと思います。

 そして、ここからが本題なんですが、先ほど言ったように、GX経済移行債は何に使えるかというと、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策、これに使えるわけですね。

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のためには電気料金の負担を軽減して当面の経済悪化を防ぐ必要があるといったようなロジックを立てれば、GX経済移行債で調達した資金を十月以降の電気料金の割引支援策の財源としても使えるようになるのではないか、これが法文上の帰結ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 GX経済移行債を活用した先行投資支援は、まさに、排出削減と産業競争力強化そして経済成長、双方の同時実現、これに向けた支援を行うものでありますので、今後十年間を目途に、社会システムや産業構造改革を前倒しするもの、これに使っていくことを想定をしております。

 したがって、電気料金、ガス料金の激変緩和対策、春以降に想定される全国の負担増も踏まえても、さきの総合対策において激変対策はもう実施されておりますけれども、その制度の趣旨に鑑みれば、先ほど申し上げたように、社会システムや産業構造の改革を前倒しするために使っていくという趣旨から鑑みれば、GX経済移行債の対象にはならないというふうに考えているところであります。

階委員 そこはならないとしても、家庭にしてみれば、どうやったら電気代の負担を下げるかということは切実な問題なわけですよ。企業や家庭が省エネのために建物の断熱化を行う場合の支援金であれば、GX経済移行債で調達した資金を使うことができるのではないか、法文上そのようにも読めるような気がするんですが、この点はいかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 GX経済移行債の支援の対象についてでありますが、まさに、排出削減のみならず、経済成長、競争力強化についても重要な要件としておりますので、具体的には、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業とか、あるいは、国内の人的、物的投資拡大につながるとか、技術革新、事業革新性があるとか、あるいは、技術的に削減効果が高い、直接的に排出削減に資するというふうなものが支援対象になると考えております。

 御指摘の省エネ投資は、まさに、将来にわたってエネルギーコストが低減する持続性の高い事業で、ある意味、構造を変えていく、社会システムを変えていくものの一つだと思います。エネルギー価格が高騰する中で、ますますその重要性は増しているものというふうに思います。

 そうした中で、例えば、住宅断熱性能を大幅に向上する設備の導入支援などを省エネ投資で想定をしておりまして、今後も、技術的に先端的な取組など、支援要件を、先ほど申し上げたような要件を満たすものであれば対象となり得るものというふうに考えております。

階委員 一定の場合で対象になり得るということなんですが、大臣の御答弁の中で、この質問の前のレクでも担当者からも聞いたフレーズとして、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業、これが対象になるということなんですね。

 すなわち、民間では採算が取れない、そんなふうな事業を対象にするのであれば極めてリスクが高いわけでして、二十兆円規模の仮に投資をするのであれば、国がお金を出すのであれば、非常に危ういのではないかと思うんですが、この採算性ということは度外視するということを政府としては考えているんでしょうか。この点、確認させてください。

西村(康)国務大臣 先ほども具体例で挙げましたけれども、住宅の断熱性能を大幅に向上する設備の導入、先端的な取組であれば支援対象になり得るということでありますが、断熱性能を大幅に上げるけれども値段がめちゃくちゃ高いとなってしまうと、これはなかなか導入が難しい。だから、この辺りは、その分、一定の支援を行ってできるだけ広げていく、そういった部分はありますので、例えば水素、アンモニアも、やがては広がれば価格は下がるけれども、まだ既存の燃料と価格差があるわけですので、その価格差、値差支援を行っていくとか、そういったことは対象になり得るものというふうに思っております。

 ですので、当然、どの程度の支援をすればどのぐらい広がっていくのか、民間事業者として採算がどの程度取れていくのか、これは短期的な、今は高いけれども、やがて広がれば値段が落ちてくる、量産すれば落ちてくる、こういった見通しも含めて、そうしたことも当然勘案しながら対象は考えていくことになるというふうに思います。

階委員 民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業というのも曖昧で、ちょっと基準としてどうなのかなという気がしました。

 三点目の二十兆円の支出方法については、ちょっと時間の関係で割愛します。

 四点目の質問に移りたいと思うんですが、この二十兆円の償還の問題に移りたいと思います。

 償還原資である化石燃料賦課金についてなんですが、償還期限である二〇五〇年度までに化石燃料賦課金で総額幾らの収入を見込んでいるのでしょうか。この点、お答えください。

西村(康)国務大臣 まず、法律案におきましては、化石燃料賦課金及び特定事業者負担金の収入によって二〇五〇年度までの間に償還するという規定を明確に書いております。

 今回の制度設計を踏まえますと、石油石炭税がもう下がってきておりますので、直線的に減少し、その減少の範囲内で化石燃料賦課金を導入するという仮定を置いた場合、石油石炭税収の令和四年度の予算額は六千六百億円でありますので、二〇五〇年度までに、化石燃料賦課金の収入総額は九兆円程度となります。

 それから、特定事業者負担金を再エネ賦課金の減少額相当で導入するとした場合に、仮に仮定をした場合、二〇一二年度のFIT制度開始直後の三年間の利潤配慮期間、やや高めに設定をした期間がありますけれども、その認定を受けた相対的に高い額、三十二から四十円キロワットアワー当たり、その事業用太陽光発電が年間約二・四兆円分ありますので、この買取り期間が二〇三二年以降順次終了し、買取り費用の減少に伴う再エネ賦課金の減少効果が見込まれるということから、両方から十分に償還可能なものというふうに考えておりますが、今後の詳細な制度設計、さらには制度の運営において、必要な対応をしっかりと考えていきたいというふうに思います。

階委員 今、後半の方で特定事業者負担金に関わるお話も少しされたように思うんですが、まず、化石燃料賦課金のことについて、さっき九兆円という収入見込み、お示しありましたけれども、その確実性をちょっと確認したいんですね。

 私が思うに、今日お手元の資料、お配りしていますけれども、化石燃料賦課金は、この一ページ目のイメージ図ですね、これでいいますと下の方の濃い三角形の部分、これが化石燃料賦課金の今後の入ってくるイメージだと思うんですよ。だんだんだんだん増えてきますけれども、ただ一方で、せっかく石油石炭税、努力してCO2の排出量を減らして石油石炭税の負担は減るけれども、化石燃料賦課金がそれを埋め合わせる形で増えちゃうわけですね。ということは、負担が結局変わらないわけじゃないですか。

 これで本当にCO2削減のインセンティブになるのか。負担が変わらないのであれば努力するかいがないような、そういう気がするんですけれども、先ほどは順調にこの化石燃料賦課金が増えていくイメージをおっしゃっていましたけれども、本当にそうなるのかなと思うんですけれども、この点、どういうふうに考えていますでしょうか。

西村(康)国務大臣 二点申し上げたいと思いますけれども、一つは、二八年度から賦課金を導入する予定でありますので、それまでの間、今からいえばまだ数年ありますので、それまでの間に炭素排出を減らす取組をした企業は負担が少なくて済むということになりますから、それまでの間に先行投資という形で移行債を発行して支援をすることによって、早く取り組んでもらうということを進めていきたいと思っております。

 他方、これは私からも御指摘ですけれども、先ほどの御質疑の中では賦課が低過ぎるという御指摘を御党からもいただいておりまして、今、御答弁させていただきましたけれども、是非、私どもとしては、負担は上がらない形で、負担をできるだけ、中期的に増えない形で、しかし、先行投資をすることで二〇三〇年四六%削減を目指していきたいというふうに考えているところです。

階委員 ごめんなさい、ちょっと論点を明確にしたいんですけれども、このイメージ図がありますよね、この下の方の部分、細長い直角三角形みたいな部分、黒い部分がありますよね。これが本当にこのように推移するとすると、結局、この高さは、石油石炭税と合わせた高さは常に六千六百億ぐらいで変わらないと思うんですよ。そうじゃないですか。

 つまり、私が懸念しているのは、結局、両者を合わせた負担額が六千六百ぐらいで、業者にとっては変わらない以上、本当にCO2削減のインセンティブになるんだろうかというふうに思ったんですけれども、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 ちょっと繰り返しになりますけれども、まさに減っている部分は賦課金として使える範囲、上限であるということでありますので、これをどう使うかということがあります。

 それから、二八年度から入れますので、それまでに取り組んだ企業は低くて済むということですが、二八年度でどのレベルでどう入れるかというのはまだこれから考えていきますので、その状況を見ながら負担は考えていきますが、一律にこの負担になるということではなくて、やった企業は低くなるし、やっていない企業はそれより高くなるということで、総和としては負担総額は増えないようにしようということであります。

階委員 そういう御答弁があったので、ちょっと質問の順番を変えて、私の通告だと七番のところを確認したいんですね。

 今おっしゃったとおり、ミクロで見ますと、頑張った事業者は負担が減ってくる、それはそのとおりだと思いますよ。ただ、マクロで見ますと、負担総額は変わらないわけですね、このイメージ図のとおりいくと。ということは、頑張ったところは負担が減っていいんだけれども、頑張らないところは今までよりも負担が集中してしまう。本当にこれでこの制度は回るんだろうかという気もするわけですね。この点についてはいかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、全体としての負担は上がらないようにということで想定をしております。そして、早く取り組んだ企業は負担が低くということで、意欲ある企業の取組を促進するという効果があります。そして、全体ではその範囲内にしますけれども、御指摘のように、取組の遅い企業は負担が上がってしまうということはあります。

 その負担額をどのように考えていくかというのは、今後の技術開発の動向とか、そういった国際状況によって、進捗状況を定期的に実施しながら、必要な判断をしていきたいというふうに思っておりますけれども、全体としては負担が上がらないように、さらに、取り組んでいない企業は上がっていくというのは当然そうなるんですが、その場合でも、御指摘のような、物すごく過度な負担で事業ができなくなるような、そういったことはないように、これは適切な運営はしていきたいと思っておりますが、基本は、やはりしっかり取り組んだ企業が低くなり、そうでない企業は、この間、数年間何もやらずにCO2をどんどん出している企業は負担が上がるということは当然想定されることであります。

階委員 合成の誤謬といいますか、しっかり取り組んだところはいいと思うんですよ。ただ、出遅れたところは負担が重くなった結果、さっき九兆円を調達するという見通しも示していただきましたけれども、本当にそれが可能となるんだろうかということを……(発言する者あり)

竹内委員長 静かにしてください、質問中ですので。

階委員 足立さん、ちょっとやじがうるさいです、静かにしてください。

 ということが気になります。

 それで、もう一つの特定事業者負担金について、収入の見込み総額、これがどの程度になるかということを教えていただけますか。

西村(康)国務大臣 先ほど少し申し上げましたが、二〇一二年のFIT開始直後三年間は、利潤配慮期間ということで高めに、相対的に高い価格での買取りを想定しておりましたので、その期間の事業用太陽光発電の買取り費用は単年度で約二・四兆円分あるということであります。

 そして、この買取り費用は、先ほども二円ぐらい四月から下がるということを申し上げましたけれども、買取り費用から、再エネ電気を市場で販売した場合に得られる収入で回避可能費用ということで計算されますので、それを除いて計算されますので、市場が高いと当然低くなるわけですけれども、その部分は今後見通すことは非常に難しいですが、仮に、直近一年間の電力市場価格のように、これまでと比べて電力市場価格がかなり高い水準で今後も推移すると仮定した場合、賦課金が低くなるという保守的な試算においても、先ほどの三年間の利潤配慮期間に認定を受けた、相対的に高い価格で事業用太陽光発電の買取り期間終了によって、再エネ賦課金の総額は年間約一・四兆円で、機械的に試算をしますと累計で約二十兆円程度が減少するというふうに見込まれるところであります。

階委員 ということは、この一ページ目のイメージ図でいうと、上の方の曲線ですね。ピークから二十兆円ぐらいは減る、単年度でいうと二十兆も減りませんよね、この面積のところで、なおかつこの面積、グレーの部分は、下の方は直角三角形になっていますけれども、上の方はこの直角三角形の右上の方がちょっと角が取れているようなイメージじゃないですか。角が取れていないという前提で二十兆、こんなイメージでよろしいんでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘の、下の方の石油石炭税の方は、仮に直線的に下がっていくとした場合には九兆円、上の方の面積は、これはちょっと変動がありますけれども、仮に仮定を置いて計算をしますと、約二十兆円程度、面積として見込まれるということになります。

階委員 それで、不確定要素は、この角が取れているところなんですよね。この角が取れているところを誰が負担するかというと、二ページ目に数式を書いていますけれども、二ページ目の左下の図表七、化石燃料賦課金単価の一の数式を見ていただければ分かるとおり、この角が取れている部分は、化石燃料賦課金単価に反映させるような仕組みになっているんですよ。

 なぜこういう仕組みになっているのか私は理解できなかったんですけれども、もしお分かりになれば教えていただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 ごめんなさい、この数式の、特定事業者負担金ということとの関係ですかね。(階委員「そうですね。化石燃料賦課金、なぜそこが入っちゃっているのか」と呼ぶ)

 基本は、法案にも示しておりますけれども、この一ページ目の図でいう石油石炭税に相当するというか、炭素賦課金というのはそれに相当するものに近い考え方で、FIT賦課金というのは、電力事業を通じて賦課をいただいている分ということでありますので、この特定事業者負担金、いわゆる有償オークションで対応する部分という意味で、一応のそういう想定を置いているわけであります。

階委員 確かに有料オークションですから、入ってくるお金、読めない部分があるので、足らず前が出るところがこの角が取れている部分なんだろうと思うんです。でも、これが化石燃料賦課金の方に上乗せされるような数式になっているので、本当にそれが公平なんだろうかというふうに私は思いました。

 いずれにしても、新しいこのGX経済移行債ですか、これで調達した金額、何に使われるか、そしてどのように償還されるか、この辺が非常に不透明なんですね。

 私がその点で思い起こすのは、これは財務省に来ていただいていますけれども、最後に御質問したいと思います。

 財務省の方では、最近では、年に一回ではなくて数年に一回ですけれども、特例公債の発行に関する法律を国会で通しますよね。そのときは最大五年なわけですよ。一方、復興債を発行するときも法律を通しましたよね。あのときは、復興特別税とか、日本郵政の株を売るとか、メトロの株を売るとか、たばこの株を売るとか、いろいろなことをして、長年にわたって復興債は出すけれども、償還原資というか、それは明確にしていたと思うんですね。

 その辺りが、今回のGX経済移行債では極めて漠然としていて、均衡が取れていないのではないかと思っているんですね、過去の特例公債とかあるいは復興債と比べて。何か法律上は財政法四条一項の例外にするみたいなことが書いてありますけれども、本当にこれを例外として認めていいのかと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からも御指摘ございましたように、財政法第四条第一項では、非募債主義の原則を掲げます中で、ただし書において例外的に公共事業等に限って公債を発行できるとする建設公債の原則を定めてございます。

 今般のGX経済移行債でございますけれども、特別の立法措置によりましてその発行が認められることから、法形式上はこの財政法第四条第一項の例外として整理をされる特例としての公債の一つというふうに考えてございます。

 他方、このような特例としての公債の中におきましても、特定の償還財源を確保しまして、償還期限が定められた公債につきましては、これは財政規律の観点から、従来のいわゆる赤字国債とは違う性格を有するということで、法律用語ではございませんけれども、つなぎ国債と称しまして、過去におきましても、先生御指摘のとおり、復興債ですとか年金特例公債というものの発行を認めてきたところでございます。

 このGX経済移行債でございますが、今、西村大臣からも御答弁ございましたとおり、化石燃料賦課金あるいは特定事業者負担金という償還財源が措置をされているというふうに考えてございます。あるいは、令和三十二年度という償還期限を明示をしているという意味で、その特別の立法措置を行った上で財政法第四条の例外として発行されるものでございまして、過去のいわゆるつなぎ国債と同様のものであるというふうに我々としては考えてございます。

階委員 ここまで時間をかけて、いかに今回のGX経済移行債の償還財源が不明確だったり、使途が不明確だったりということを論じてきたわけですよ。だから、復興債とは全然違いますよ。

 そこで、私は、本当に財政法の例外として認めていいのかということをお尋ねしたんですけれども、ちょっと今の答弁は財務省としていかがなものかな、財政規律をどう考えているのかなということを疑問に思いました。

 時間が来ましたので終わりましたけれども、そういったことでGX経済移行債についてはいろいろ問題があるということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 大島です。

 結構大変な時代に入ったなというのを皆さんの質問を聞きながら思いました。

 昨年の九月、一人でラオスを訪れまして、目的は、中国の一帯一路、ラオス―中国鉄道が完成したので、どういう影響があるのかなと。ラオス―中国鉄道は広軌ですから、一旦タイに入るときには、狭軌、狭くなるので、一回物流がそこで起きるので、ラオス政府の主導権は取れているなと思いました。

 一日かけて、ずっとラオスの山奥の方に、関西電力さんが、二〇一九年、水力発電所を造って、それで売電をしております、タイに対して。一日かけて悪路を通って視察して戻ってきまして、日本と同じように、住んでいらっしゃる方をどうやって移転するかということが結構大変で、現地の少数民族の方とお酒を飲みながら、信頼感を醸成しながらダムの建設が行われたというお話を聞きました。

 そのときに、ラオスは山岳地帯で、ほとんどが水力発電です。それで、タイを経由して、インドシナ、経由してずっと売電しているものですから、シンガポールかな、やはり供給される電力については再生可能エネルギー、ですから、水力を求めているというお話も聞いたりもして、なかなか難しい時代に入っているなと思いました。

 今、日本の各企業でも、どういう電源を買うかについて結構ナーバスになっているかなと思っています。どういう電源を買うのかナーバスになっておりまして、その点について伺いたいなと思っています。

 二〇二三年の三月期から、有価証券報告書にサステーナビリティー情報の記載欄を新設するほか、人的資本、多様性やコーポレートガバナンスに関する開示の拡充を行っている。企業としても、市場の評価を上げるためにも、購入する電力の由来についてこだわることが想定される。火力、水力、風力、原子力など、企業が購入する電源についても、多分、自主的に公開する時代に入っているかなと考えています。

 その中で、レクを受ける中で、先ほどの問いでも出ましたけれども、EUのタクソノミーについて、要は分類ですよね、原子力の分類あるいは天然ガスの分類について一定の方向性が出たというお話を聞きまして、そのことについて確認をさせてください。

井上(俊)政府参考人 まず、金融庁所管部分についてお答えさせていただきます。

 企業情報の開示に関しては、先生御指摘のとおり、内閣府令等をこの一月に改正いたしまして、有価証券報告書において、企業のサステーナビリティー情報に関する記載欄の新設や、人材育成方針や女性管理職比率等の人的資本や多様性に関する開示の拡充、並びに取締役会の活動状況等のコーポレートガバナンスに関する開示の拡充等を行いました。

 本改正を踏まえまして、二〇二三年三月期決算から、有価証券報告書においてサステーナビリティー情報に関する考え方及び取組を開示することが義務づけられるものでございます。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 EUタクソノミーのことについてお尋ねいただきましたけれども、これは、サステーナブルファイナンスを推進するため、経済活動が環境的に持続可能かどうかを判断するための基準として、EUタクソノミーをEU独自に定めているものでございます。

 その中の扱いで、火力や原子力のこともお触れになりましたけれども、原子力及びタクソノミーについても、昨年の七月に、一定の条件を満たす場合にはタクソノミー適格になった、このように承知しているところでございます。

大島委員 私、大分前ですけれども、一九八三年から八七年まで、西ドイツの駐在員の時代に、事務系なんですけれども、技術系の方と一緒にISOのワーキンググループ、小さな国際標準を決める会議に出たことがあります。鉄の鋼管、パイプの非破壊検査の傷の形状、参考になる傷の形状を決める国際会議で、もう今から四十年近く前なんですけれども、当時、技術系、技術者から言われたのは、大島さん、ISOというのは国際スタンダードだけれども、これは非関税障壁をなくす国際スタンダードなんだけれども、EUはこれを自分たちの非関税障壁として使っているという話を、もう四十年ぐらい前に聞いていました。

 EUは今ですと二十七か国、様々な国があります。原子力に依存しているフランスから、スウェーデンから。この二十七か国で一定の基準を決めて、国際会議だと二十七票にばらして投票するものですから、EUのスタンダードをよく見ておかないと、私たちの産業政策の足下がこけてしまうのではないかなという危惧を持っています。

 ですから、二〇一五年ですか、電力のシステム改革を行われて八年たって、僕は一定の見直しを行ってもいいかなとは思っています。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

 先日、おとといですか、姉崎の火力発電所を訪れまして、一番今年稼働した最先端の火力発電所と、四十年以上前の発電所、両方見ることができまして、エネルギー効率は、最先端の火力発電所だと、これは六三%ぐらいかな。四十年以上前だと四割ぐらいですから、大分その燃料効率は上がっています。

 なかなかシステム改革で大変だったなと思うのは、昨年、一昨年の電力が非常にタイトなときに、この四十年前の火力発電所を、廃止を前提としながら一旦休止しているところを、もう一回、作業して発電できるようにしたというのを、プラントを全部見せていただいて聞く中で、これは結構大変なことですよ。

 だって、ズルツァーという、ドイツのモーターがあったりもして、汎用品はほとんどない中で、オペレーションも、最先端の火力発電所は三基あっても四名ぐらいで管理できるようなシステムが、もう壁一面にいろいろな計測装置がついて、スイッチがついて、燃焼していきますから、それをしっかり制御しながらやっていく。要員、作業員はどうしたんですかと伺ったら、昔ここに携わってくれた人を、みんな来ていただいて、ようやくできたということで。

 ですから、電力のシステム改革は、確かに総括原価方式を改めて民間に任せて効率性を狙うというところも必要だと思うんだけれども、効率性を狙うことと、あと安全性を狙うことというのは二律背反だと思っています。特に電力については供給責任がありますから、プラスアルファ供給責任がある中で、効率性、安全性を加味しながら動かすというのはなかなかしんどいかなというのがありまして、これは次の法案のときにしっかりと議論をさせていただきたいなと思っています。

 そこで、こういう時代背景を置きながら、大臣としては、二十兆円の脱炭素成長型経済構造移行債等を発行して、民間から百三十兆円出していただいて、百五十兆円で十年間しっかり手当てをしていくということなんですけれども、方向性としては、私、間違っていないと思っています。

 私は、昨年も議論させていただいたかもしれないんだけれども、新型感染症の財政出動も、去年の二月で二百兆、その後の補正があって二百三十兆ぐらい出していますから、ここ十年間で二百兆円を超えて、研究開発を中心とした需要をつくらない限りは、日本の民間企業は乗ってこないと思っているんです。

 一九九〇年代後半に、日本は産業政策をやめて民間に任せたわけですよ。その中で民間に任せて何が起きたかということなんですけれども、特に一九九〇年代後半、民間に任せて、その後のことをよく考えてみる必要があるかとは思うんですけれども、何が起きたかというと、やはり、私もサラリーマンだったので、上場企業サラリーマンの経営者の心象風景を理解しないとなかなかうまくいかないと思っているの。

 ですから、黒田前日銀総裁が金融緩和を始めたときに、事務次官経験者の経済官僚の方とお話ししたときに、絶対にイノベーションは起きないと断言しておりまして、当時の日本経済は起きないんですよ、イノベーションは。

 特に、今の日本経済、どういう見立てかというと、私、三十八歳で鉄鋼会社から生命保険会社に転職しまして、そのときに、最初は営業の戸惑いがあったものですから、先輩に相談したら、営業心理学という米国人が書いた本を薦められまして、その中で、営業マンは何を売るかというと、ステーキ肉を売るな、ジュージューしているという音を売れ。これは、政策はこうあらなければいけないなと思っていまして。

 こんな例えがありまして、大人が押しても引いてもびくともしない子牛がいた。一向に納屋に入ろうとしない。そこに少女が来て、にこにこしながら子牛の口の中に自分の指を入れると、子牛は、母牛を追うようにおとなしく少女の後に従い、小屋に入った。

 僕、高度成長期の日本経済は子牛だったと思う。当時の通産省の産業政策は、この指だったと思うんです。だから、通産省のように予算規模がそんなになくても、子牛ですから、うまく経済誘導して発展した時代があったかと思うの。

 九〇年代後半、今どうなんですかというと、この間、落合さんが指摘していただいたのを、こういう例えを使うとすれば、日本は、バブル期のトラウマで、二〇〇〇年代以降、非正規を増やすことで人件費を固定費から変動費に変え、銀行からの借入を返済して無借金経営になって、新規事業には臆病になって、そのことで積み上げた内部留保で二〇〇八年リーマン・ショックは乗り切った。

 その後どうかというと、二〇一二年以降は、ゼロ金利、ETFによる株価で支える円安誘導で、リスクを取らない経営こそが株主総会で経営責任を追及されないので、更に内部留保を積み上げて新型コロナウイルス感染症を乗り切っているので、更に多分消極的な経営しかないはずなんです、今、我が国には。だからこそ、私は、逓増的に二百兆の十年間の財政出動は必要だと思っているの。

 今回の二十兆円なんですけれども、いろいろと議論がある中で、財務当局とやり取りがあったと思うんですよ。

 私は赤字国債を発行してもいいかなと思っているの。交付国債等を研究して、発行して、ただ、その使い方については、ちゃんと国会の議論、国民の議論を深めて、どういうふうに研究開発投資をしていくのかを含めて議論した方がいいと思っている立場で。

 財務当局との交渉の経緯で、実はこうしたかったんだけれども、いろいろとあったはずなので、そのことを一言だけ下さい。政府参考人で結構ですので。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話をいろいろいただきまして、本当に日本経済、厳しい状況になっておりまして、先般も御質問いただきまして、私ども、経済産業政策新機軸ということで、日本経済を立ち上げるように、しっかり取組をしております。

 今回のGX推進法もその一つだと思っておりますけれども、二十兆の支援のみならず、カーボンプライシング自体は、これは、炭素排出量を削減した事業にある意味付加価値を上げて、この仕組み自体も、むしろ脱炭素、それから、そういう産業を育成することにもつながってまいりますので、私どもとしては、これは両輪で進めるということでやっておりますので、先生御指摘のように、何か財務省と相談してこうなったというよりは、この両方をしっかりやりたいということで、当初から議論を進めて成案に至った、そういう経緯でございます。

大島委員 特会ですから、内容の透明性についてはしっかり担保してほしいなと思います。

 この二十兆円、どうやって使うかなんですけれども、使い方について分かりやすく言うと、超長期があってもいいと思うの、超長期。

 日本の研究開発の現場、この間も産総研に行ってペロブスカイトの研究者とお会いしてきたり、最近、ここ一、二年は大洗町を訪れまして、そこでは高速増殖炉「常陽」とかあるいは高温ガス炉の研究を聞いたり、あるいは三菱重工さんでは発電用タービンの現場を見たり、あるいは核融合の研究施設の、茨城県あるいは六ケ所でも見させていただいて、核燃サイクルもそうなんですけれども。

 そういう中で、今回の二十兆円は、超長期、要は、研究開発が二、三十年かかりますから、超長期の、運営費交付金を上げていくという超長期、あと長期がありますよね、中期があって、多分、短期の、足下の経済政策がある中で、きっと中期ぐらいかなと思うんだけれども、スコープとしては。その点についてどのように考えればよろしいでしょうか。

畠山政府参考人 GXを進めていく上においては、今まさに先生御指摘のように、超長期の対応、長期の対応、中期の対応、短期の対応、全て必要だというふうに考えております。

 超長期の対応としては、やはり、研究開発だと思っておりまして、これは、GI基金で、先進的な、革新的な研究開発について支援をする、更にその実装まで含めて考えて支援をするということをやっておりますし、さらに、超長期ということでいうと、これは同じGX移行債の対象になるものでございますけれども、文科省の方において、やはり、これはGteXと彼らは呼んでおりますけれども、基金を設けることで予算計上しておりまして、そういう中で超長期の対応も支援する。

 その上で、当然、研究開発がうまくいったものについては、きちっと社会実装をしなければ意味がないということでありますので、その実装に向けた取組、さらには政府による支援も含めて、このGXの移行債、二十兆円の資金も使いながら、そして、カーボンプライシングの仕組みで炭素排出に値がつくということをインセンティブにしながら実現をしていきたい、このように考えているところでございます。

大島委員 分かりやすく言うと、例えば、私、鉄鋼業出身ですから、水素還元製鉄というのは中期ぐらいに入るのかなと思っていて。ですから、今回の資金と民間企業を含めて研究開発、長期的には、ここにも書いてあるんですけれども、核融合炉というのは結構長期のテーマですから、ここには入らないのかなと思うんだけれども、それについて手短に御答弁をお願いします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の核融合炉の実験炉につきましても、支援の要件を満たすものであれば、支援の対象になり得るということでございます。

 一方で、核融合はいまだ国際連携による基礎研究段階にありまして、必要に応じて有識者の御意見を聞きつつ、既存の支援制度の状況も踏まえ、予算編成の過程で検討していくということになろうか、このように考えております。

 経済産業省といたしましても、将来の選択肢として、内閣府や文科省等の関係省庁と連携し、引き続き、こうした核融合炉も含めた研究開発の取組を進めてまいりたいということで考えております。

大島委員 水素還元製鉄はもう前提ということでよろしいですか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 水素還元製鉄は、抜本的にCO2を削減する革新的技術でありまして、既にグリーンイノベーション基金を活用した研究開発が行われておりますけれども、今後、GX経済移行債の要件を満たせば支援対象となり得るということでございまして、鉄鋼業を含めて、こうした産業界の競争力強化と排出削減の両立に向けた真剣な取組は、研究開発のみならず社会実装も視野に入れて、政府として大胆な支援を行っていきたい、このように考えているところでございます。

大島委員 政府が掲げている革新炉ですか、革新軽水炉、小型軽水炉。これはどっちかといえば革新炉と言えるかなと疑問に思っていて、高速増殖炉「常陽」、「もんじゅ」、私が会社に入ったときの一番最初の仕事が、高速増殖炉の核燃料棒を全部ぎしっと詰める六角形のステンレスのシームレスパイプの工程管理だったものですから、もう四十年以上前に知っているワードが「常陽」、「もんじゅ」でして、高温ガス炉、核融合炉、これは研究者の皆さんとは意見交換をさせていただいています。

 その中で、今回のGX投資の中で、本当に商用炉に投資するのか、ある程度、実験炉とか実証炉なのか、その辺のスコープというのは決まっているんでしょうか。

畠山政府参考人 御指摘の、高温ガス炉あるいは高速炉のことに言及をいただきましたけれども、今後十年間ということを考えますと、御指摘の高温ガス炉や高温高速炉というのは研究開発、実証の段階にあるということだと思っております。この点につきましては、既に、第六次エネルギー基本計画においても、人材育成や研究開発等に必要な試験研究炉の整備を進める方針を示しており、高速炉、高温ガス炉の実証炉の建設についての研究開発の取組を進める中で、具体的な対応を検討していくことになると思います。

 ただ、十年間ということでいうと、まずは研究開発、あるいは実証ということだというふうに考えております。

大島委員 あと、残りのものはいかがでしょうか。革新軽水炉と小型軽水炉。

畠山政府参考人 これは、中身について具体的にどういう予算を措置するかということは、先ほど来御答弁させていただいているとおり、毎年度の予算編成の中で検討していくことになります。そういう中で、初年度発行する一・六兆円の中に、大臣からも御答弁申し上げたとおり、百二十三億円の原子力関係の研究開発、実証の予算が入っているというところでございます。

 その意味で、今、予算項目として、商用炉の整備というところの何か予算が計上されているということではないというふうに認識しております。

大島委員 なかなか難しい時代だと思うのは、やはり、先ほど指摘をさせていただいたヨーロッパの原子力とかあるいは自然ガスに対する考え方の違いをしっかり見ておかないといけないのかなと思っていて、原子力は国策民営でやってきていますから、やはり最終処分の問題は、私、結構大切だと思っているの。このまま直接処分だと十万年ですか。再処理した後で八千年ぐらい。高速増殖炉だと三百年とか、あるいは、文科省で研究している群分離・核変換技術の確立と実証などの将来投資とかいうと三百年ぐらいですか。ですから、こういうところは丁寧に行った方がいいと思っているの。十万年とか八千年と聞くと、これはやはりしっかり国として責任を持った方がいい事業だと思うから。

 これは次回の法案のときに議論しますけれども、特に発電部門は合理化を迫られていますから、民間企業としてはコスト部門ですから。合理化と安全性と供給責任のバランスを取るというのが今後の課題だと思っているので、これは次回、議論をさせてください。

 それでは、次の質問なんですけれども、先ほども申し上げました、一つには、特定事業者負担金の対象となる特定事業者、これは発電事業者しかないと聞いておりまして、具体的にどのような発電事業者を想定しているのか、その点について御答弁をお願いします。

 また、特定事業者排出枠の具体的な設定方法、排出枠を超過した場合の対応等についても、手短にお考えを聞かせてください。

畠山政府参考人 御指摘の特定事業者負担金につきましては、諸外国の事例にも倣い、再エネ等の代替手段がある発電部門で、二〇三三年度から導入することといたしております。

 対象となる特定事業者は、効率かつ効果的に発電部門の脱炭素化を進めるため、産業部門など他者に供給する電力が多い電力事業法上の発電事業者のうち、排出量の多い者を対象とするということを規定をしております。

 また、特定事業者負担金につきましては、経済産業大臣が、特定事業者に対して、発電事業者に係るCO2の排出量に相当する特定事業者排出枠を有償又は無償で割り当てることとしておりまして、この有償での割当てについては、入札方式、いわゆる有償オークションで実施するということで規定をさせていただいております。

 今回の法律案では、特定事業者負担金につきまして、こうした制度の根幹を規定しておりますけれども、排出枠を超過した場合というような御指摘の対応も含めまして、制度の実施に必要な詳細の部分につきましては、来年度から開始するGXリーグの実施状況なども踏まえつつ検討していくことになるというふうに考えております。

 他方で、GXリーグにおける排出量取引制度では、自ら排出削減目標を設定し、プレッジ・アンド・レビュー方式で実施するものであり、目標達成に向けた規律が働く、そういう枠組みとなっておりまして、そういう意味では、将来の制度設計においては、今後、関係者ともそこも含めた対話を重ねながら検討を深めていきたい、このように考えております。

大島委員 一つ飛ばしまして、事業者にとって、メンテナンスなど設備更新、様々な合理化や人件費削減にも限度があり、価格転嫁が難しければ、経営としては、安定供給を念頭に置きながらも、火力発電部門からの撤退も考えざるを得ないのではないかと思います。

 人員整理については、電力会社で働く従業員は安定供給と引換えにスト権が認められていないので、その点の考え方を伺いたいんです。

 実は、今回の政府から出ている電源構成を見ると、結構革新的な電源構成でして、化石燃料に頼る部分が半分ぐらいになってしまうという、七年間で。結構革新的な電源構成を得ているものですから、今の化石燃料に携わっている、LNG、石炭、石油等の発電部門の従業員の皆さんが多く影響を受けるのではないかなと思っています。

 これは、総括原価方式と相対でスト権が認められたと思うので、その点について。別にストするわけじゃないんですけれども、僕は経営の緊張感を持ってほしいと思っているの。やはり、民間企業だと、今回の春闘でもスト権を確立してから交渉しているので、より深い議論をしているんですよ、各民間企業は。スト権がないことによって、緊張関係がないことがよくないなと。緊張関係があることが経営に対する安定にもつながると思っていまして、その点についての考え方をお聞かせいただければと思います。大臣、お願いします。

西村(康)国務大臣 まず、電力の安定供給、エネルギーの安定供給は、国民生活、経済活動の基盤でありますので、様々な国際情勢の変化などもありますが、それに適切に対応しながら、安定的、経済的な電力供給を実現するということが重要であります。その観点からも、火力発電は重要であるというふうに認識をしております。

 当然、脱炭素化に向けた取組はしなければいけませんので、その間の、いわゆる過渡期というか移行期間というか、足下においても、再エネの変動性がありますので、天候でかなり変動があります、それを補う調整力や供給力を持つ火力の活用は引き続き重要であるというふうに認識をしております。

 その中でも、特に、石炭、石油に比べて、より排出量の少ない天然ガス、LNG、これはカーボンニュートラルに向けた移行期において必要なトランジションエネルギーだという認識をしております。需給が世界的に逼迫している中で、このことについてはかなり共通の認識が先進国、G7でありますので、G7におきましても、上流投資の必要性についても議論したいというふうに考えているところであります。

 その上で、今回の成長志向型カーボンプライシングにつきましては、先ほど来御説明もありますとおり、繰り返しませんけれども、発電事業者に対する有償オークションは三三年度から導入するといったこと、それから、総負担を中長期的に減少させていく、負担が増えないような範囲内で導入していくこと、そして、先行投資二十兆円、支援をしていくといったようなことを通じて、火力を含めた発電事業者の先行的なGX投資を促しながら、電源の脱炭素化も促していきたい。これは水素、アンモニアの活用なども含めて、そうしたお取組を進めていきたいというふうに考えております。

 あわせて、供給力確保の観点からは、発電事業者の投資回収の予見性を高め、将来必要となる供給力を確実に確保するための制度的措置なども検討し、導入することを考えながら、GXの推進と安定供給、両立を考えていきたいというふうに思っております。

 今回、多くの企業におきまして、ストのようなことが起こらずに、経営者側も非常に前向きに賃上げに取り組んでくれているものというふうに承知をしておりますが、発電所においても、運転、保守、燃料輸送など、まさに我々の生活、経済を支えていただいているということでもありますし、地元の雇用にも貢献されているものと承知をしております。

 GXを推進していく上でも、こうした点、電力の安定供給確保という点も十分に頭に置きながら進めていきたいというふうに考えております。

大島委員 ありがとうございます。

 プラントというのは、特に熱を使うプラントは、熱変動が多いと結構傷むものなんです。火力発電所もそうですし、石油化学もそうですし、鉄鋼業もそうなんですけれども。

 太陽光あるいは風力、非常に大切で、今後伸ばしていくことは大切なんですけれども、変動幅が多いので、これを多分、火力で吸収するわけですよ。そうすると、火力発電所の操業というのは、スイッチを切ったり入れたりしながら、本当に一定の操業レベルを保てないと劣化も激しいはずなの。やはりこれまでとは違う時代かなと思っています。

 そこで、特定事業者負担金の対象となる特定事業者については、発電事業者に限定されると。先ほど申し上げましたとおり、二〇三〇年の電源構成、二〇一九年の電源構成に比べて、火力発電の発電量は大幅に削減される。火力発電に携わり雇用される関連会社、プラントメーカーを含めて、従業員への影響が結構大きいのではないかなと思っています。ですから、この点について是非お願いしたい。

 もう一つは、二〇三〇年の電源構成は、事業を行っている立場から見れば野心的であり、七年後しかないものですから、様々な理由から物事は計画どおりにならないケースもあるかと思うんです。やむを得ず火力発電に頼る場合もあるかもしれない。その場合、火力発電の削減は、自家発電も含めて、政府はどのように対処をしていくのか。もっと進むケースもあると思うし、計画どおりかもしれないし、計画より遅れるかもしれない。様々な要因があるものですから、ここについてどのように考えるのか教えていただければと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員から御指摘いただいておりますように、脱炭素化ということを進めていく上で、一方で安定供給というのは非常に重要で、かつ、欠くことのできないことだと思っております。電力システム改革で自由化がされ、競争の中でという中で補い切れない部分については、それを補完するための仕組みということの観点からの見直し、検討というのは重要な点だと思って、今検討を進めているところでございます。

 今御指摘ございました、今回御提案している制度の導入に伴います負担増ということに伴う発電事業に関する事業の環境の悪化ということに対する対応でございますが、火力発電を始めとした発電事業というものについて言いますと、重要な電源であるということと同時に、地元の経済、雇用という意味で考えましても、これに貢献する大変重要な点がある。休廃止による懸念をする声があることも、よく存じ上げているところで、承知しているところでございます。

 エネルギー基本計画の中におきましても、火力発電所が地方税収、雇用、地元企業への外注等を通じて地元経済に貢献している中で、地域経済や雇用への影響等を踏まえながら、地域の実情等に応じて検討していくことが必要だという旨を記載しているところでございます。

 今後、この制度の導入に伴いまして、様々な導入の状況に応じた変化というのが生じるものと想定されるところでございますが、この状況についてはしっかりと注視しながら、安定供給と脱炭素、そして同時に、様々な経済、雇用への影響等も勘案しながら、対処措置を取っていきたいと考えてございます。

大島委員 ありがとうございました。

 私、考え方として、政治は経済力によって政策の自由度が決まると考えていまして、経済はその国が持っている科学技術の創造性を超えては発展しないと思っていまして。

 私も、産業総合技術研究所、さっき言ったペロブスカイト、あるいは理化学研究所、おおむね全ての研究機関を訪れているものですから、研究者の皆さんから、大島、大変だという声は聞きません。でも、見るからに大変です、資金がありません。もう本当に基礎研究が疲弊しています、我が国は。

 ですから、様々な今出ている今回の政策もそうですし、防衛三文書もそうですし、本当に日本の科学技術力がそこまで担保できるのかというと、担保できないと思っています。超長期的な視野も含めてしっかり温めていかないと、お手元の資料のとおり、研究開発費を削ったら、給与、伸びなかったという時代ですので。

 特に、もう一つ不安定要素があって、言論の自由があって、社会全体での自由な発想が生まれて、独創的な発想が喚起されて、ビジネスのイノベーションが起きると思っているものですから、今の中国のように、三期目に入って、テンセントもそうだし、アリババ集団もそうだし、ティックトックもそうだし、結構、政府の資本が入っていると自由な発想ができなくなりつつあるので、そうすると結構リスク要因かなと思っているんです、こういうところで。

 ですから、今後の日本経済を考える中で、エネルギーをどういうふうにやっていくのか。特に、長期的なテーマ、先ほど私が申し上げました、やはり、三百年。長いですよ、三百年も。そのくらいまで圧縮できるような技術の確立というのは必要だと思っているの。これが、我が国、人類に対する責任だと考えているものですから、その点も視野に入れながらしっかり政策を進めていきたいなと。

 大臣、最後に。

 先ほど子牛の例を出しましたけれども、今の日本企業は、大分、子牛じゃないんですよ。もう成人を迎えて、ひょっとしたらピークアウトしているかもしれないので、それで恐らく今回二十兆円というのが出てきたのかなと思っているの、その文脈の中で。

 だから、要は、しっかりと政府が研究開発の需要を喚起していかないと、当面、民間企業はついてこれないと思っていますので。これは、この間、落合先生がおっしゃったことと同じなんですけれども、是非お願い申し上げます。

 最後に、いつも中小企業のことに、気になるものですから。

 GX実現に向けては、中堅・中小企業を含むサプライチェーン全体での取組が不可欠である、資金力、技術力等でGXへの取組が困難な事業者が取り残されないような支援が必要と考えています。GX基本方針においても、中堅・中小企業のGXを推進していくとしております。政府は、ものづくり補助金のグリーン枠の大拡充や、事業再構築補助金のグリーン成長枠の要件緩和等の取組を行ってきていることは知っているんですけれども、なかなかこういうことができるのは中小・中堅企業でも相当前向きな会社だと私は思っていまして、是非、更なる取組を強化していただきたいということで、最後の御答弁をお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、日本経済、社会を更に発展させていく、より豊かな生活をしていくためにも、イノベーションは欠かせないものであります。産総研も御視察もいただいて、大変前向きな評価をいただいております。しっかりと、国内の民間資金も集めながら、更にイノベーションを進めていくよう取り組んでいきたいと思いますし、また、御指摘の中堅・中小企業がまさにこの大きな流れの中で取り残されることのないよう、むしろ、何か新たに挑戦をしていく、そんな姿勢をものづくり補助金、事業再構築補助金などでしっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。

大島委員 終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 前回も排出権取引市場について質問させていただきましたが、聞いていただいていた方は、見ていただいたとおり、若干、私、勘違いをしていまして、今回の法案、これはまさに脱炭素成長型経済移行ですから、フレームが基本的にはできているのかな、こう思っていたわけですね。

 でも、確かに、条文をもう一回読んでみました。もう一回条文を読むと、基本的なフレームは二年以内につくるということになっているわけで、そこが非常に私の頭を混乱させたわけですね。

 要は、排出権取引市場のフレームは基本的なことも含めて決まっていないにもかかわらず、二〇三三年の有償オークションのスタート地点と規模と対象は決まっているわけですね、細田先生。名前を呼んだら嫌ですよね。

 ほとんど何も決まっていない、それを二年以内につくる、でも、二〇三三年の有償オークションについては三つの点でピン留めをしちゃう。これはちょっと、私の理解がなかなか難しかった点なんですね。今日はその点を解きほぐしていきたいと思います。

 今、政府・与党とも条文についていろいろ議論をさせていただいていますが、ちゃんと、今日御質問させていただくところが一定解消されないとやはり日本維新の会としては賛成できない、こう思っていますので、議論を具体的にさせていただきたいと思います。

 まず、今日財務省に来ていただいています。今回、いわゆるGX移行債の発行と償還というフレームがこの法案にはどんと入っていますね。加えて、その償還財源として石油石炭税と再エネ賦課金の話が出てきて、そこでなぜか、私が冒頭申し上げたように、なぜか不思議と、急に具体的な、化石燃料賦課金が令和十年にスタート、そして有償オークションが二〇三三年、令和十五年にスタートするというところはピン留めしちゃっているわけです。

 これはなぜこんなことになっているかということを経産省の皆さんに聞くと、電力会社の負担という言葉が出てきます。後ほど大臣としっかりこの電力会社の負担というところ、事務方も含めてやりたいと思いますが、そもそも、電力会社の負担というのは、外部費用の内部化ですよね、地球温暖化だから。これは後で大臣とやりますけれども、そもそも地球温暖化というのは外部不経済ですから、この外部不経済、外部費用を内部化するんだから、負担もへったくれもないはずなんです、本当は。

 しかし、まず百歩譲って、では、電力会社の負担という問題があるとしましょう。だからへこむ部分を埋めるんですということが今回出てきているわけですが、そもそも、財務省にお越しいただいたのは、秋野副大臣、ありがとうございます。これはちょっと、財務省がもっとかんだ方がいいんじゃないですかということです。

 というのは、だって、電力会社の負担、負担と言うんだけれども、もし有償オークションで電力会社の負担ががんと上がって外部不経済の内部化を急にできないということだったら、別途、減税してあげたらいいじゃない、法人税とか。さっき立憲民主党からもそういう話がありました。あれは大体、私が前回言ったことの受け売りなんですけれどもね。(発言する者あり)違う、元々一緒。失礼しました、それは。では、思いは一緒ということで。

 秋野副大臣、防衛増税については、防衛増税に係る例の財源確保法案、あれは財務省の法律ですよね。他方、この法律、財務省のコミットがやはり低過ぎて、私は、一つ入れてほしいことがあるんですよ。

 仮に、地球温暖化対策、脱炭素のために必要であれば、必要な有償オークションの規模が今この法案で書いてあるものよりも膨らめば、それが内部化し切れないときには、多少、財務省としても、そこは補助金とか減税とか協力するよ、この法案、財務省もコミットしているんだ、そういう御答弁をお願いします。

秋野副大臣 足立先生、ありがとうございます。

 先生からは、企業の負担を減らすために補助金措置や税制措置をしっかりやっていくべきではないか、こういう御質問と受け止めました。

 企業に対して様々な、多岐にわたる補助金や税制措置が講じられておりますので、その政策目的の下に多岐にわたる内容を一概に申し上げることは困難なわけでありますけれども、その上で、例えば脱炭素社会への取組を進める企業を支援するための措置について申し上げますと、補助金では工場、事業場における先進的な省エネ設備に対する投資支援、税制では令和三年度税制改正で導入したカーボンニュートラルに向けた投資促進税制など、こういった措置を今講じているところでございます。

足立委員 秋野副大臣、最小限の御答弁でありまして、もう全く意味がないわけでありますが、ただ、あえて、せっかく副大臣にお越しいただいたのでひっかけると、今みたいに様々な租特は講じてきたし、これからも講じていくわけですよね。そこで、やはり負担は、要は、脱炭素に取り組む企業の負担はある程度そこで、減税措置なんだから。

 そうであれば、大臣、今日再三、前回からもおっしゃっているような、電力会社の負担が増えるといろいろ大変だから、だから二十兆円の、要は石油石炭税、特に有償オークションについては、再エネ賦課金の減る分を一つの枠として、有償オークションの財源はその範囲内にとどめるんだと法律に書いてある。法律に書いてありますね。

 それはやはり、事務方でいいですよ、ちょっと質問通告をいろいろしていますけれども、もう全部、聞きたいことは一つなんですね。だから、一つ一つはちょっとまた状況に応じて、私の考えていることは質問通告で全部御理解いただけていると思うので、一個一個やると面白くないので。

 要は、今財務副大臣がおっしゃったように、企業負担なんというのは、電力会社の負担なんというのはいろいろできるわけですよ。租特だってこれから深掘りしてもらったらいい、場合によっては法人税の本則でやったっていい。そういう中で、この有償オークションのフレームを再エネ賦課金の減少分に対応させる、そこのリンクを張っているということはやはりやり過ぎじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。誰でも。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと繰り返しになるところもあるかもしれませんけれども、成長志向型カーボンプライシング構想は、特定事業者負担金、化石燃料賦課金の導入を、まず少し時間を、準備する時間を与える。

 それから、エネルギーに関する負担が中長期的に増えないようにということで、これはある意味国民負担になるものですから、時期を明示して導入をして、そのカーボンプライシングで得た財源を来年度から先行的に二十兆円規模の投資に回していくということで、四六%削減、それから二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を図っていくということでございます。そういうことで考えました。

 炭素価格をどう設定するか、いろいろ議論があると思います。もちろん、その進捗が足りなければカーボンプライシングの負担を重くするのもあると思いますし、逆に、確かに補助金で応援するということもあって、いろいろな手段があると思っています。

 今回は、その全体の構想の中で、炭素価格を合理的じゃない形で上げてしまうと、ある意味、必要なエネルギーの安定供給が損なわれるところもあると思っていまして、我々は、今回の制度改正の中では、高ければいいというわけでもないわけですから、そういういろいろな状況を踏まえて、今回のような提案をさせていただいております。

 それから、ではほかのもので埋めるかという議論もございますけれども、例えば、どこの財源かによりますけれども、ほかの財源を、電力、カーボンプライシングを上げながら補助するとか、いろいろなやり方もあるのかもしれませんが、今回、私どもは、まさにカーボンプライシングということで得た財源を、国会でも御議論いただいて、しっかり使っていきたいと思っておりますけれども、カーボンニュートラルに最適な形で先行投資に回していくというのをセットにして出しております。

 こうした案につきまして、まさに産業界、金融界、労働界、消費者も入ったGX実行会議の中で御議論いただいてセットしていますので、いろいろな進捗に応じていろいろ見直せという議論もあるかもしれませんけれども、大臣からも御答弁させていただいておりますように、今、私どもはこの案でしっかり仕組みをつくってまいりたい、そういう考えで提出させていただきました。

足立委員 通告、ちゃんとできていなかったところは、今申し上げた外部不経済という話ですね。

 だから、これはやっても詮ないかもしれませんが、外部不経済の内部化なんだから、電力会社は努力せなあきませんよね、本当は。

 だから、再エネ賦課金でちょっと電力会社は助かるでしょう、再エネ賦課金が減るから助かるでしょう、だからその分はこっちで使わせてくれということで、電力会社とそういう交渉をしているのは分かるんだけれども、しかし、本当に脱炭素経済に移行していくのであれば、やはり本当は外部不経済、外部費用の内部化なんだから、それはもうどんとやればいいと私は思いますよ。そこは余り質問してもしようがないですね。

 だから、これは大臣、ちょっと間の質問を全部すっ飛ばして最後に行きますけれども、結局、冒頭私が申し上げたように、これから考えるんですよね、制度、フレーム全体は。だから、今回の法案は、私的に言えば、GX移行債の発行償還法なんですね、ざくっと言うと。それで機構をつくる。

 だから、GX移行債の発行償還法というのは分かりました。でも、何でそこに二〇三三年、令和十五年の有償オークションのピン留めがされているのか。そこは普通の法案でこれから国会で議論したらいいし、修正というか、政府、与野党でまた法律を整備していくに当たっては、普通は、この法律が施行された後、施行状況を見ながら検討して、必要があれば法制上の措置を講じるというのが普通のローテーションですね。

 ところが、恐ろしいことに、今回の法律は、二〇三三年のことがピン留めされているので、二〇三三年の施行というのは、二〇三三年からですから。だから、私は、施行前であっても今回決めようとしている内容は変わり得ると考えますが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 もう委員お分かりだと思いますけれども、百五十兆、二十兆の枠組みは、いろいろヒアリングをしたり、技術開発の動向とかいろいろなものを聞いて、国際的な、欧米の状況も見ながら、全体の枠組みを決めた。二十兆についてどのように償還をしていくかというのを、今回、枠組みを決めた。できるだけ早く投資した方が負担は低く済む、脱炭素化を進めた企業ほど負担が少なく済む、やっていないと高くなるという仕組みの中で投資を促していく、技術開発、脱炭素を促していく、こういう枠組みにしているという全体像であります。

 それで、各国の事例、EUの事例などを見ても、一定期間を置きながら、そして、電力について有償オークションを行っていっているということでありますので、そういった枠組みも参考にしながら、私どもは制度を決めました。

 それで、三三年度はなぜかというところで、要は、一定期間をどれぐらい置くかという議論をいろいろやる中で、一つの参考状況として、FITが二〇一三年に導入されて、二十年たてばそこから減ってくるであろうということで、大まかな想定でいきますと、実は四月から二円下がるんですけれども、これは状況によって変わりますので、二〇三三年頃からFITの賦課金については下がっていくことが想定されるということもあって、三三年というのを設定させていただいております。

 それからもう一点、金額と期間の議論ですけれども、期間はそういう観点で決めさせていただいた。金額については、例えばFIT賦課金も、これまで総額、ちょっと今、手元に正確な数字が、約十何兆円か、十八兆円、二十兆円近く負担がありますので、これは最終的に電気料金で国民の負担にもなってきているわけでありますので。

 長い目で見て、おっしゃるように、誰かが内部化して費用を負担しなきゃいけないんですが、電力会社も、自分たちでやる部分もあるでしょう。そして、国民全体に広く薄く負担してもらう部分もあるでしょう。その負担も一定の範囲内でとどめておきたい、負担が過度に大きくなることは国民生活や経済活動を考える上で避けたいということで、このような枠組みにさせていただいております。

 その意味で、条文にもありますけれども、この制度設計については、法施行後二年以内に必要な法制上の措置を取るということに、排出量取引制度の本格稼働のための具体的方策については、法施行後二年以内に検討して、そして法制上の措置を講じるということにしておりますので、そういう意味で、今の時点で全て細かいところまで決めているわけじゃありませんが、大きな枠組みとしては、今申し上げたような考え方の下で設定をさせていただいているということでございます。

足立委員 今大臣が言及いただいた法律、附則の第十一条の二項に「二年以内に、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」、ここでありますが、大臣、更問いですが、この二年以内の必要な法制上の措置を講ずるときに、今回の法律で決めたことが修正される可能性というのはあるんでしょうか。

 要は、冒頭私が申し上げたように、今回の法律というのは、二〇三三年のことを決めたわけですよ。それは予見可能性を与えるとかいろいろな議論があるけれども、でも、これだけ激動する世界経済、カーボン戦略競争の中で、二〇三三年に、だって、どうせ有償オークションだってちょっとずつ始めるんだから、それを本当にちょっとでも前倒ししたくならないんですかというようなこととか、いろいろありますよね。

 それは二〇三三年の施行前ですけれども、さらに、この二年間の間だって、昨日も岸田総理がウクライナに行かれて、もう世界は動乱の時代です。カーボンプライシング、排出権取引市場の制度設計をするこの二年の間に、令和七年の通常国会の前に、今回決めた法律事項を変更したくなる可能性というのは私はあると思うんですよ。それはありですね。

西村(康)国務大臣 私どもとしては、今、この枠組みがベストと思っておりますけれども、この十一条は、まさに検討を加えて所要の措置を講じるということでありますので、この枠組みからもう一歩たりとも、一ミリたりとも出ないということではなく、様々な検討の上で制度を決めていくということですが、私どもとしては、二〇三三年度導入がベストだと思って、今、提案をさせていただいております。

 その上で、ちょっと一点だけ修正で、FITの開始は二〇一二年ですので、二十年たってということで三三年、それから、賦課金は約十九兆円これまで負担をいただいているということであります。

足立委員 まさに今大臣が御答弁いただいたことが全てなんですが、もうちょっと、大事なテーマなのでやっておきますが、今回、具体的に、本則と附則がありますから、附則の規定が、何か細かいことは二年以内に、要は、今回決めたことはもうこれで決まり、詳細な制度設計は、本格稼働のための具体的な方策は二年以内と。

 でも、これは具体的なことが書いてあるんですよ。二〇三三年とか、再エネ賦課金との関係とか、電力事業者に限定するとか。その三つ、時期、対象、規模、この三つの点でピン留めがされているんだけれども、それは、だから、大臣が何度もおっしゃっているように、現時点の政府の想定がそうなのであれば、それは否定しないですよ。否定しないけれども、必要な法制上の措置を二年以内に講じるための検討においては、この私が今申し上げた三つについても、一旦法律でピン留めすることは否定しませんが、二年以内の検討において、この三つが動くことはあり得る。

 もう一回、それはあり得るということを、もうややこしいから。足立が言った排出権取引市場の制度設計をこれからやるんだ、そのときに、有償オークションの時期と規模と対象、これはこの二年以内の検討においても検討対象なんだということで、お願いします。

西村(康)国務大臣 まさにこの十一条にありますとおり、実施状況を踏まえ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講じるという条文でありますので、様々な施策の在り方について今後検討を進めるということでありますから、おっしゃっている点を何か全て排除して、一ミリたりとも動かないということではないということであります。

足立委員 これは本当に大事なところで、本当は、私は、では、もうこんなことを書かなくてもいいやんと本当は思っているんですよ。ちょっと書き過ぎじゃないかと。

 すなわち、この法律は、繰り返しになりますけれども、もう一回全部読みました。一行一行、附則まで含めて全部読み直しました。要するに、GX移行債の発行、償還のフレームが書いてあるわけです、それから機構について書いてあるわけです。そこまでだったら、勝手にやってくれという世界ですよ、私たちからしたら。ちょっと、それをどう執行するのかとかいう、先ほど立憲民主党さんからもあったような細かい話はありますが。

 ただ、私たち日本維新の会が今回の国会質疑において関心があるのは、排出権取引市場という、まさに脱炭素成長型経済構造というものは一体どういうものになるのかというときに、さっきのピン留め、時期、対象、規模についてピン留めし過ぎていたら本当にそれで足りるのかという議論が、私たちの党内にはもう議論が沸騰していて、こんなものは駄目に決まっているじゃないかということになっているんです。でも、それを賛成の方に持ち込もうとして一番働いているのが小野理事と私なんです。まあ、当たり前か。余り名前を出さない方がいいですね。

 そのときに、やはりピン留めし過ぎなので、今大臣からおっしゃっていただいた、もう大体御答弁いただいたので、補足はないですね。(西村(康)国務大臣「一点だけ」と呼ぶ)一点だけ、どうぞ。

西村(康)国務大臣 もう一点、大事な点ですけれども、やはり民間投資を、百五十兆官民で投資していくわけですし、二十兆円我々は先行投資支援をしてやっていくわけですから、やはり予見可能性とか、将来にわたる計画性みたいなものがありますので、何年以内にこの技術を開発する、そのために、逆算していって、今年は何をやるか、来年は何をやるか、どう協調していくかというようなことを考えなきゃいけませんので。

 そういう意味で、私は、年次を示して、何年でやっていくということの予見可能性を高めるという意味で、私どもは今の案がベストと思って提案をさせていただいているということであります。

足立委員 私が再三申し上げているのは、予見可能性ももちろん大事だけれども、国益も大事だと。国益というのは、日本経済が成長することです。日本経済が成長する方が高次の価値だと思いますよ。だから、私は、今回の法案を作る過程で様々な調整があったとは思います、当たり前ですね。そういう中で、今回の本則がこうなっていることについては、百歩譲って、御努力は敬意を表したいと思います。

 ただ、繰り返しになるけれども、激動の世界にあって、この二年以内、だって、もう来月何が起こるか分からないときに、十年後のことを決めちゃっているわけですよ。それは、来月何が起こるか分からないんだから、この附則の二年以内に必要な法制上の措置というときに、今回ピン留めしたことはもう触らないよでは困るわけで、それは、先ほど大臣から、それは全く動かさないというつもりもないということで、御答弁をいただきました。

 もうちょっと、あと五分かな、ありますので、もうこれでやり取りは、基本的にやりたいことは御答弁をいただいたんですが、財務省は、済みません、秋野さんに今日はちょっと来ていただきましたが、今私が申し上げたような、二年後に向けてもっと大きなフレームでこの議論をしてほしいから、財務副大臣にもお越しをいただいたということであります。

 これを見ていただいているというか、委員の皆様にも是非御理解いただきたいので、もう一点だけ。

 一問目、二問目に通告させていただいているように、要は、世界の有償オークションを見ると、ちょっとずつ入ってきているんですよ。だから、電力会社の負担とかそんなのは関係ないですよ、ちょっとなら。だから、二〇三三年からちょっとずつ始まるときに、そのちょっと始まるスタート地点を二〇三三年でピン留めするのは私はやり過ぎだということで、問一、問二があるわけですね。

 ここはもうさっきと同じ答弁になるから面白くないですね。何か追加でありますか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 排出量取引の導入時期について、発電事業者に対する有償オークションを二〇三三年度というふうに定めているわけでございますけれども、その前に、二三年、今年の四月以降、GXリーグを開始いたします。これには電力事業者も入っております。それから、二〇二六年度には排出量取引制度を本格稼働させます。これも電力事業者には当然入っていただくものと我々は考えております。そういう意味では、そのちょっとのということでいうと、しっかり彼らとして対応していくことになると思います。

 加えまして、二〇二八年からは化石燃料賦課金がかかります。これは、発電事業者も化石燃料の輸入事業者でございますので、そういう意味では、ここでは負担をするということになります。

 そういう意味では、二〇三三年度から有償オークションが始まりますが、その以前でも、無償での排出量取引制度、あるいは化石燃料賦課金に伴う負担、こういうものは発電事業者としても負っていくということになろうかというふうに考えております。

足立委員 私はそこをピン留めしなくてもいいという立場ですが、政府の答弁はそうなると思います。

 大臣、あと三分あるのでもう一問お願いしたいんですけれども、今日私が議論したことの実は最大のポイントは、さっきの外部不経済の問題なんですね。

 先ほど大臣もおっしゃったように、地球温暖化に係る外部不経済というものを内部化していくに当たっては、もちろん、さっきおっしゃったように、消費者に転嫁されていくものもあるけれども、消費者に転嫁するんだったら、電力会社は何をやっているか分からないわけですよ。やはりそれは、電力事業全体の、ベストミックスの在り方がそこで変わっていくから、まさに日本経済が脱炭素成長型経済に移行していくという、そこが変わらなければ意味がないわけですね。

 そういった意味で、いわゆる今回の排出権取引市場、CPの導入に伴い、やはり外部不経済が内部化されていく、そのときには何か全てが、全てがというか、消費者に転嫁されていくというイメージでよくおっしゃる。そこのパスに言及されることが多いんですが、いや、そうじゃなくて、外部不経済を内部化する一義的な責任は電力会社にあるんだ、そこだけは確認させていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、二〇三〇年四六%削減、そして五〇年ニュートラルに向けては、五〇年の方はまだ技術がどうなるか分かりませんからそこまでの見通しは立っていませんけれども、二〇三〇年に向けては、電源構成を、私ども、再エネは三六から三八、原子力は二〇から二二など、そうした方向性を出しておりますので、それに向かって電力会社は当然しっかりと投資をし開発を行い、投資をし責任を持って進めてもらうというのが大前提であります。

足立委員 ありがとうございました。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宗清皇一君。

宗清委員 自由民主党の宗清皇一です。

 本日は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案の法案審査ということで質問の機会をいただきました。経済産業委員会で質問させていただくのは本当に久しぶりでございまして、機会を与えていただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 世界的な規模でカーボンニュートラル目標を表明する国、地域が急増しており、GXの実現に向けた投資の競争が加速をしているわけでありまして、我が国でも二〇五〇年のカーボンニュートラルを表明しており、これは必ず実現をしなければならないと考えています。あわせて、我が国の産業競争力を強化し、経済成長を同時に達成をしていく、こういう難しい課題であるわけであります。

 政府は、今後十年間で百五十兆円を超える官民のGX投資が必要であるとして、その実現に向けて本法案を提出をされているわけであります。私は、この法律案につきまして、当然、賛成の立場でございますし、その立場から本法律案につきまして一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。

 まず、GX推進戦略の策定と実行についてお尋ねをしたいと思います。

 政府は、GXを総合的かつ計画的に推進するための戦略、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略を策定し、実行に移すということになりますが、脱炭素社会への取組は企業活動や国民生活に大きな影響が出るというように思います。どれだけすばらしい戦略を作っても、やはり民間の方々の御協力、国民各層の理解がなければ実現をしないわけでありまして、絵に描いた餅になるというように思います。

 ここで、基本的なことについて確認をさせていただきたいと思いますが、この戦略を作るに当たり、GX実現に向けて、具体的に、いつまでに何をやらなければならないのか、我が国はどのような社会を目指しているのかなど、基本的なことを国民の皆様に知っていただく必要があるというように思います。GX社会の全体像と、今後どのようなスケジュールで進めていこうと考えているのか、お尋ねをしたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、GXの推進に当たりましては、可能な限り、将来社会の全体像、また今後のスケジュール感を国民にお示しをすることが大変重要だと考えます。

 昨年二月のロシアによるウクライナへの侵略以降、エネルギー安定供給の確保が世界的に大きな課題となっております。GXは、単なる化石エネルギーからの脱却にとどまらず、エネルギー、全産業、ひいては経済社会の前向きな変革を実現していくものでありまして、我が国が先行する削減効果の高い革新的技術を活用して、世界をリードしてGXを進め、脱炭素、エネルギーの安定供給、そして経済成長の三つを同時に実現できる日本を築いてまいります。

 また、我が国企業が予見可能性を持ってGXに向けた取組を進められますように、昨年十二月に成長志向型カーボンプライシング構想を取りまとめました際に今後十年間のロードマップを策定をし、参考資料ではありますけれども、公表させていただいたところでございます。

 例えば、排出量取引制度について、来年度から試行いたしまして、二〇二六年度から本格稼働、そして二〇三三年度から発電事業者を対象に有償オークションを実施、導入するといったスケジュールを、足下からの二十兆円規模の先行投資の支援の実施とともにお示しをしたところでございます。

 その後、この新たな成長志向型カーボンプライシング構想を基に、企業を中心に様々な関係者がGXに関する議論を開始をいただいていると承知をしております。

 本法案の成立により、この構想のスケジュールがより明確になり、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の三つの同時実現に向けた取組を官民を挙げて取り組むことができると考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございました。しっかりと全体像というものを国民の皆様方に広くお示しをしていくというのが大事ではないかというように思います。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、政府はこれまでも、NEDOに二兆円のグリーンイノベーション基金を作りまして、多額の予算を投じてきたと思います。既に今、七割、八割ぐらいの相当数の申込みがあって、いろいろと動き始めていると聞いていますけれども、現時点におけるこれらの取組の評価と本法案との関係、また、二十兆円のGX経済移行債との関係について教えていただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 グリーンイノベーション基金では、排出削減効果や経済波及効果などのインパクト、それから技術的困難度や実現可能性等の政策支援の必要性、それから技術、産業分野の市場成長性や我が国の国際競争力などの観点から、優先順位の高いプロジェクトにつきまして、順次、組成を進めてきております。現在までに、十八件のプロジェクトに対し、十年間で最大約一兆八千三百億を拠出することが決定しておりまして、有望分野において積極的な取組が進められているというふうに考えております。

 一方で、GXに必要なエネルギーの脱炭素化、産業の構造転換等の実現のためには、省エネルギーの推進や再生可能エネルギーの普及に加えまして、より難易度が高いとされております熱源や製造プロセス、原料の脱炭素化に係る革新的技術の研究開発及び社会実装を一層加速させていく必要があると考えております。

 こうした中、例えば、製造分野における熱プロセスの脱炭素化などの新しい技術課題に対して新規でプロジェクトを組成する必要性や、水素還元製鉄に係る実証規模の拡大など、既存のプロジェクトの取組を加速、拡充する必要性が顕在化するなど、追加的な資金需要も出てきているところでございます。

 このような実態に鑑みまして、本法律案の成立による償還財源の確保を前提に発行するGX経済移行債を財源に、グリーンイノベーション基金の拡充を始めとした先行投資支援を行いまして、革新的技術の社会実装の加速化等に取り組んでまいりたい、このように考えております。

宗清委員 ありがとうございます。

 次に、GX経済移行債の発行のことについて確認をしていきたいと思います。今までも多くの委員の皆様から確認なり質問がございましたけれども、私も質問申し上げたいなと思います。

 政府は、GX推進戦略の実現に向けた先行投資を支援するために、二〇二三年度から十年間、GX経済移行債を発行して、GXの推進に関する施策を講じるということになりますが、今後十年間で百五十兆円を超えるGX投資を官民協調で、その実現に向けて、これは午前中も大臣もおっしゃっていたと思いますが、民間の予見可能性を高めるために国として二十兆円の先行投資を実施するということであります。

 我が国の目標であります二〇五〇年のカーボンニュートラル達成に向けて、今後十年間、百五十兆円という規模で達成をできるというか、この百五十兆円が適当な額なのかどうか、この見解をまず聞かせていただきたいと思います。

 次に、政府はGX移行債で二十兆円の規模を想定します。午前中も御議論が少しございましたけれども、その根拠をどのようなものにしているのか、また、二十兆円の具体的な使途等想定しているものがあれば、併せて御答弁をいただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、欧米を中心に世界の市場環境は大きく変化しておりまして、脱炭素を成長のチャンスと捉え、いち早く構造転換を促し、革新的技術の実装と新市場獲得を実現することが重要だ、このように考えております。今後十年間で政府が二十兆円規模の先行投資支援を行いまして、百五十兆円超の官民GX投資を実現していきたい、このように考えているところでございます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現には、エネルギーを含め必要な政策を総動員で講じる必要があると考えておりますけれども、特に経済成長あるいは産業競争力強化を共に実現するため、成長志向型カーボンプライシング構想を通じまして、まずは、今後十年間、百五十兆円を超える官民GX投資の実現が不可欠だというふうに考えております。本構想を早期に実現していく中で、支援策の効果的かつ効率的な実行にしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

 百五十兆円超の官民GX投資や二十兆円規模の政府支援は、諸外国の動向、国際機関などの分析、各産業、企業との様々な議論、既存の脱炭素関連のプロジェクト等も参考にしつつ、総理を議長とするGX実行会議や関連する有識者の議論なども踏まえ、必要な規模を定めたものでございます。

 この二十兆円規模の支援は、具体的に、その内訳ですけれども、再生可能エネルギーを含む非化石エネルギーの推進に約六兆円から八兆円、製造業の構造改革、収益性向上を実現する省エネ、燃料転換に約九兆円から十二兆円、資源循環、炭素固定技術などの新技術開発に約二兆円から四兆円といった見通しを示しておりまして、こういった見通しを示すことで、御指摘があった予見性を高め、民間投資を引き出していくということにしております。

 一方で、革新的技術の実現可能性ですとか国際情勢などの不確実性を踏まえれば、現時点で支援内容、金額の配分などを全て決め切るのではなく、制度実行後の、官民でのGX投資の進捗、グローバルな動向、技術開発の動向などを踏まえまして、進捗評価を定期的に実施し、必要な見直しも検討したい、このように考えているところでございます。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 このGX経済移行債の償還財源は、将来的に得られる化石燃料賦課金と特定事業者負担金、これを想定しているわけであります。二〇五〇年までに償還するということですけれども、先ほど二十兆、百五十兆の規模等々のことについて御答弁いただきましたけれども、これはやはり、大きくなる可能性もあれば、それ以内になる可能性もあります。事業者が脱炭素への移行が想定よりも早くなる場合もあるでしょうし、反対に遅れる場合もあるというように思います。

 この償還について、二〇五〇年までに確実にするということになっていると思うんですが、一点、ここは確認をしておきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 今般導入いたします成長志向型カーボンプライシング構想は、化石燃料賦課金と特定事業者負担金を導入いたしまして、その結果として生じる将来の財源を有効活用して、GX経済移行債を発行して先行投資支援を行うものでございます。

 その際、化石燃料賦課金と特定事業者負担金は、エネルギーに係る負担の総額が中長期で減少していく範囲内、すなわち、石油石炭税収と再エネ賦課金の総額が減少していく範囲内で導入することとしております。

 この中で、それぞれ申し上げますと、石油石炭税収は、足下の令和四年度予算額は六千六百億円でありますけれども、この法律案に基づく政策などの実行を通じてGXが進展することにより、足下で減っておりますけれども、更に長期的に減少していくと考えられること。それから二つ目、再エネ賦課金の総額につきましては、再エネ電気の買取り価格の低下ですとか、二〇一二年度のFIT制度開始直後の三年間、利潤配慮期間と申しまして、相対的に高い価格で買い取る認定をいたしております。この期間での事業用太陽光発電の買取り期間が二〇三二年度以降、順次終了していくことにより、減少していくことが見込まれます。

 これらの点を踏まえますと、GX経済移行債を償還することは十分に可能であると考えられ、本法律案に基づき、適切に運用してまいりたいと考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 次に、成長志向型カーボンプライシングの導入ですね、先ほども少し触れましたけれども。

 まず、化石燃料の賦課金についてお尋ねをしたいと思いますが、炭素排出に対する一律のカーボンプライシングとして、炭素に対する賦課金を導入することになりますけれども、化石燃料の輸入事業者に、これを徴収するということを聞いていますけれども、他方、こうした負担金を求めるということは、結果的に関連産業や国民生活に賦課金分が転嫁されることになると思います。

 今後想定される価格転嫁の在り方や企業や国民負担について、どのようなことを想定し、また、対策を講じることがあればお聞かせをいただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 化石燃料賦課金の転嫁につきましては、民間事業者の経済活動や他の事業者との競争など、様々な個別の要因によって影響され、一概に在り方を申し上げることは困難でありますけれども、適切な転嫁は行われるものと認識をいたしております。

 また、化石燃料賦課金を含む成長志向型カーボンプライシングにつきましては、その導入に当たっては、代替技術の有無ですとか国際競争力への影響などを踏まえて導入しなければ、国外への生産移転が生じる可能性があり、雇用や消費の流出により国益を損なうだけでなく、世界全体で見ればCO2排出量が増加する可能性もある、このように考えております。

 このため、企業がGXに取り組む期間を設けた上で、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で、当初低い負担から徐々に引き上げていく形で導入するなど、負担が過度にならないような工夫を講じることといたしております。

 そして、このスケジュールをあらかじめ示すとともに、足下からGX経済移行債を活用した二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことで、意欲のある企業がGX投資を前倒しで行うことを強力に支援いたしまして、再エネなどの脱炭素電源の低コスト化、化石燃料に要する費用や安定供給に伴うリスクの低減、それから、水素や蓄電池などの新たな市場の早期立ち上げによる経済成長などを進めることにより、むしろ、事業者や国民に恩恵がある形で実現、実行していきたい、このように考えております。

宗清委員 ありがとうございます。

 次に、特定事業者負担金についてもお尋ねしたいと思いますが、二〇三三年から経済産業大臣は発電事業者に対して、一部を有償でCO2の排出枠を割り当てて、その量に応じた特定事業者負担金を徴収するということになっていますが、具体的にどのような発電事業者を想定しているのか。恐らく、大型の火力発電なんかをしている事業者だろうと思われます。

 また、特定事業者排出枠の設定方法、排出枠を今度は超過した場合の対応。例えば、何らかの理由で原発が長期的に停止をした場合や、再エネが思ったほど発電しなかった、こういうときには、安定供給の観点から火力を想定以上に稼働しなければならない事態も想定されるわけですので、このような場合に排出枠を超える可能性がありますが、これについてどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。

畠山政府参考人 御指摘のように、二〇三三年度から導入いたします特定事業者負担金につきましては、発電事業者に割り当てることを想定しております。この発電事業者というのは、電気事業法上の発電事業者で、CO2排出量の一定以上の排出をする者ということで考えております。

 その上で、この法律案で、特定事業者負担金につきましては、経済産業大臣が、特定事業者、この発電事業者ですけれども、発電事業に係るCO2の排出量に相当する特定事業者排出枠を有償又は無償で割り当てることとしておりまして、この有償での割当てにつきましては、入札方式、いわゆる有償オークションで実施するということといたしております。

 有償での割当て量につきましては、本法律案の第十五条第二項に規定しているとおり、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で制度を導入することや、GXの状況、エネルギーの需給に関する施策との整合性等を勘案して決定することとしております。

 今回の法律案では、いわゆる有償オークション制度の対象者や導入時期を始め、制度の根幹を規定しておりますけれども、制度の実施に必要な詳細の部分については、来年度から開始するGXリーグの実施状況なども踏まえつつ検討していくこととしております。

 それから、超過した場合の扱い、こういうことでございましたけれども、GXリーグにおける排出量取引制度では、自ら排出削減目標を設定し、プレッジ・アンド・レビュー方式で実施するものでありまして、目標達成に向けては一定の規律が働く仕組みとしていきたい、このように考えております。

 このように、将来導入する有償オークションにおきましても、事業者にとって自身の排出量の見通しも踏まえて、有償オークションで必要な排出枠を調達することとなると考えておりますけれども、突発的で事前に予見し難い経済、エネルギー事情が起きる場合もあり得るので、そうした場合の対応につきましては、今後検討を深めていきたい、このように考えております。

宗清委員 御答弁ありがとうございます。

 次に、設立を予定されているGX推進機構のことについてお尋ねしたいと思います。

 設立については二〇二四年の四月以降になるというように思いますが、GX推進機構の主な役割は、いろいろ書いてありますのは、第二十三条に、機構の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する合計額と書いてございます。

 政府からの出資額はどの程度想定しているのか、また、政府以外とはどのようなところを想定されているのか、御答弁願います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 GX推進機構でございますけれども、主として、業務は、化石燃料賦課金や特定事業者負担金の徴収、それから排出量取引制度の運営といった公平性、中立性が求められる業務でございます。これに加えまして、官民で百五十兆円超のGX投資を引き出すために、企業のGX投資に対する民間金融機関の資金供給に対して、リスク補完の観点から、債務保証等の金融支援業務を行うこととしております。

 現時点で具体的な金額の想定があるわけではございませんけれども、こうした機構の業務に鑑みまして、政府からの出資のみならず、産業界、金融界などの民間からの出資も募ることで、民間の創意工夫を生かした効率的な運営ができるように組織づくりを進めてまいりたいというふうに考えてございます。

宗清委員 ありがとうございます。

 この機構の役割は、今も少しお話がございましたけれども、民間企業のGX投資の支援、二つ目に化石燃料賦課金と特定事業者負担金の徴収、あと三つ目に排出量取引制度の運営という業務になると思いますが、これは、我が国のGXの旗振り役という重要な役割を担う上に、業務が非常に多岐にわたります。ですから、組織のトップにはかなり専門性や組織マネジメントの経験をされた方が求められるというように思いますが、理事長、組織のトップにはどのような経歴の方を想定されているのか、お尋ねをしたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 GX推進機構は、先ほども申し上げましたけれども、化石燃料賦課金や特定事業者負担金の徴収、排出量取引制度の運営、債務保証等の金融支援業務を行うこととしてございます。

 これらの業務を実施するに当たりましては、GXに関する事業や金融、法律又は会計に関しまして専門的な知識と経験を有する者を中心に構成することが必要で、官民問わず、有為な人材を幅広く登用することが大事であると考えております。

 特に、御指摘の機構の理事長は大変重要な職務であると思っておりまして、GXに関連する事業や金融に対する深い知見ですとか経験、パブリックマインドがあることに加えまして、多様な人材を率いて、効率的、効果的な組織マネジメントを発揮できる人材であることが必要であると考えております。

 機構の設立までには一定の準備期間を置くこととしておりますので、今申し上げたような要件に合うような適切な人材を任命すべく、しっかり人選の準備を進めてまいりたいと考えております。

宗清委員 御答弁いただきましたように、トップの役割は非常に重要でございますので、すばらしい人材が来ていただくように、お願いを申し上げたいと思います。

 機構の主な役割の一つに、先ほど申し上げた民間企業のGX投資への支援ということですけれども、これは債務保証をすることになりますから、これには金融機関で培ってきた目利き力が必要になると思いますし、民間の金融機関でGX投資等に精通している、ノウハウを持った方も、これがないと機構の求める仕事ができない。理事長のみならず、たくさんの人材が要ると思いますが、こういった人材をこれからどのように確保していくのか。民間の金融機関から出向していただくことも想定できますし、政府系の金融機関から来ていただくことも想定できますし、この双方もあると思いますし、直接採用ということもあると思いますが、御見解を聞きたいと思います。

 そして、機構の二つ目に、化石燃料賦課金と特定事業者負担金ということを申し上げました。三つ目に、排出量取引の運営もすることになりますが、特定事業者排出枠の割当てとか入札等、これも高い専門性や膨大な事務量が生じると思われます。恐らく、経済産業省とか環境省や財務省、金融庁の職員がたくさん出向しなければならないということになると思いますが、機構全体の職員体制をどの程度見込んでいるのか。また、多くの公務員の方が出向すれば各省庁が人手不足になるんじゃないかなという心配もしておりますけれども、どのように考えているのか。お聞かせをいただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、機構の業務運営全般につきましては、組織として効率的、効果的なマネジメントを行う観点から、民間の創意工夫が生かされる形とすべき、これは大変大事だと思ってございます。

 その上で、機構の金融支援業務につきましては、民間金融機関ではリスクを取れない部分に債務保証等を行うことを考えておりまして、御指摘いただきましたとおり、民間金融機関や政府系金融機関の人材など、GXと金融に対する知識経験を幅広く有する者を集めることが必要だと思っております。

 具体的に、じゃ、どういう人材を集めるかということでございますが、これも御指摘いただきましたとおり、設立当初は恐らく民間からの出向が中心になるかなと思っておりますけれども、少し時間を経れば、直接採用を含めて採用形態も変化していくものと思っておりますけれども、いずれにせよ、そういう必要な人材をしっかり確保していくということで進めてまいりたいというふうに思ってございます。

 それから、確かに、この機構の業務でございますけれども、膨大な業務になろうかと思います。膨大な業務である上に、化石燃料賦課金の徴収業務等がございますので、公正公平を基本とした、そういう専門性を有する者を集めるということでございますので、これは役所からの出向というのも十分考えられると思いますし、民間、GXに関する事業、金融、法律、会計に知識を有する専門家を集めるということも考えていくということで、かなりの人数が事業の進捗に応じて必要になってくると思っております。

 私ども人手不足でございますので、機構も大変大事でございますけれども、全体としてちゃんと人が回るように、経産省のみならず霞が関全体で人の配置をしっかり工夫しながら対応してまいりたいと思っております。

宗清委員 御答弁にございましたように、機構というのは非常に長期間、大規模な業務をするわけでございますので、適正な人員配置、人手が足らないようなことのないようにお願いしたいと思いますし、民間の金融機関で経験を積まれた方ということになりますと、相当な給料を支払わないと優秀な人材が来てくれないので、これから給料表等の作成をされると思いますけれども、優秀な人材がしっかり来てもらえるような給料体系にしていただきたいと思います。

 それで、次に、中小企業の関係についてお尋ねをしたいと思います。

 日本の国はほとんどが中小企業、九九・七%と言われておりますし、雇用の七割を中小企業が担っていただいていますから、GXを実現していこうと思えば、大企業や発電事業者のみならず、中小企業の取組が肝になると思います。資金力、技術力でGXの取組が中小企業はできないということにならないようにしなければなりません。化石燃料を多く使用している産業から、廃業せずに、脱炭素産業への円滑な業種転換又は労働の移動を促していく必要がありまして、これには人材育成の支援をしっかりやる必要がありますし、雇用もしっかり確保していかなければなりません。リスキリング等の支援も必要であると思います。

 政府はこれまでも、ものづくり補助金のグリーン枠や事業再構築補助金のグリーン投資枠の要件緩和等を行っていただいていまして、中小企業のGXの取組を後押しをしてきていただいたと思いますが、二〇五〇年のカーボンニュートラル達成には更なる支援、取組が必要であると思いますが、政府の見解を聞かせていただきたいと思います。

飯田政府参考人 今御指摘いただきましたけれども、産業競争力の強化とカーボンニュートラルの実現を同時に達成するためには、大企業のみならず中小企業の方も含めたサプライチェーン全体でのGXの取組が不可欠でございまして、これはGX実行会議でも議論になっておりますし、政府がまとめたGXの基本方針の中にもしっかり明記をさせていただいております。

 このため、御指摘もいただきましたけれども、具体的な措置として、令和四年度の第二次補正予算におきまして、例えば、温室効果ガス排出削減に資する革新的な製品やサービスの開発を支援するものづくり補助金のグリーン枠の拡充、省エネ補助金につきましては複数年の投資計画に切れ目なく対応できる新たな仕組みの創設、中小機構においては相談窓口の設置や専門家によるエネルギー使用の改善アドバイスの実施、支援機関からの中小企業への支援策の積極的活用を働きかけるプッシュ型の支援などの措置を講じております。

 加えて、御指摘いただきました円滑な業務転換や人材育成の観点からは、事業再構築補助金による、技術開発や人材育成を伴うグリーン分野への業態転換等の支援、自動車の電動化によって影響を受ける中小サプライヤーが電動車部品の製造等への業態転換を行うための伴走型の支援、中小企業大学校による中小企業や支援機関向けのカーボンニュートラルに関する研修などを行っております。

 さらに、下請事業者の脱炭素化に係る取組も含めた下請中小企業振興法の振興基準の周知徹底、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言の更なる拡大により、サプライチェーン全体でのGXの取組を進めてまいりたいと思っております。

 こうした取組を通じまして、グリーン分野への円滑な業態転換や労働移動を進め、産業全体のGXを推進しているところでございますが、今後とも、中小企業のGXの取組を推進するためには、更に必要な対策があればしっかり講じてまいりたいと思っております。

宗清委員 是非、中小企業施策をど真ん中に考えていただきたいというように思います。

 蓄電池のことについて少し質問したいと思いますが、蓄電池というのは、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現の鍵でございます。自動車等のモビリティーの電動化においてもバッテリーは重要ですし、また、再エネの主力電源化のためにも必要です。電力の需給調整に活用する蓄電池の配置というのが不可欠であると思いますし、5Gだ、通信基地局、データセンターの重要施設のバックアップ電源にもなりますし、各種IT機器にも用いられています。デジタル社会の基盤を支えるインフラだというように思います。また、レジリエンスの強化のためにも蓄電池は重要であるというように思います。

 それと、蓄電池の分野では、日系企業、技術的には、技術面では優位性を世界でも保っているというように言われています。車載用のリチウムイオン電池は、日本、韓国、中国、この三強であるというように言われていますが、問題は、シェアの問題ですね。二〇一五年、我が国の車載用の電池は五一・七%あったんですが、二〇二〇年には二一・一%に落ち込み、韓国は一四・四%から三六%まで伸ばしている、中国も同様に、二七%から三七%に伸ばしている。共に我が国のシェアを奪って伸ばしてきているという状況であります。

 これは、定置用のリチウムイオン電池にも同じことが言えるだろうというように思いまして、韓国がすごくやはり頑張っている。日本は、先ほどの比率でいいますと、今、五・四%程度まで落ちてきていますから、注意をしなければならないと思います。

 今後、車載用の電池、これはもう膨大に需要が増大してくるという見通しですけれども、定置用のものも、これから二〇五〇年に向かっては非常に大きな規模に拡大してくるということが見込まれています。

 蓄電池の世界市場は、二〇一九年では約五兆円と言われていましたけれども、二〇五〇年には百兆円になるというふうにも言われているわけで、初期には一定の市場を我が国は確保してきたと思いますが、市場がどんどん拡大することに伴って、中韓メーカーがやはりシェアを拡大してきている。その一方で、我が国の電池メーカーはそのシェアをやはり大きく低下させてきているというのが現状でございます。

 経済産業省にこのことを申し上げたら、生産量や生産額は伸ばしているというものの、やはり中国、韓国の伸び率とは全然違うわけであります。こうなった原因を経済産業省はどのように考えているのか、分析しているのか。そして、今後どのように巻き返しをしていこうとしているのか、お尋ねをしたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、蓄電池の重要性について、それから、初期の市場を日本企業が獲得していたんですけれども、中国、韓国企業の台頭により、現在、日本のシェアが低下している状況でございます。

 元々、吉野先生がノーベル賞を取った技術でございまして、日本発の技術でございますが……

竹内委員長 もう少し声をはっきりと。

野原政府参考人 はい。

 日本発の技術でございましたけれども、中国、韓国勢、強力な政府支援がございまして、各国、非常に積極的な投資をしたことで、液系のリチウムイオン電池の市場を中国勢、韓国勢が獲得していったということでございます。ちょうど世界的に市場が立ち上がってきているところでございまして、まさに投資競争という状況にございます。

 日本企業も、委員御指摘のとおり、生産能力を徐々に拡大はしてきているものの、全体の世界市場が広がる中で、投資のスピード、供給能力の拡大のスピードが、コンペティター、競争相手に比べるとペースが遅かったということで世界シェアを落としているという状況でございます。

 こういう状況を踏まえまして、昨年八月に取りまとめた蓄電池産業戦略では、従来の方針を見直しまして、日本企業の投資決定のスピードを速めるためにも、国も一歩前に出て、研究開発のみならず、蓄電池の生産基盤の強化に支援をするべきという方向性を打ち出しました。

 この戦略の中では、投資に当たって具体的な目標を掲げておりまして、国内の年間製造能力を遅くとも二〇三〇年までに百五十ギガワットアワーにすること、それから、グローバルでの年間製造能力を二〇三〇年に六百ギガワットアワーにすることなどの目標を掲げておりまして、今後、これらの目標の達成に向けて、国内の製造基盤強化に向けた投資支援、さらには、有志国とのサプライチェーン強靱化に向けた国際連携、それから、上流資源の確保、人材育成、人材の確保等の取組を進めまして、日本の蓄電池産業の競争力強化を加速してまいりたいと考えております。

宗清委員 やはり規模感とスピードだと思うんですよね。今、その蓄電池戦略を作っていただいていますけれども、これは相当な危機感を持ってやはり取り組んでいただく必要がある。従来型の電池の分野では、中国、韓国の台頭で非常に厳しい局面であります。ただ、技術面、安全性なんかの技術面では非常にまだまだ我が国が優位性を保っているというように聞いています。

 次にお尋ねしていきたいのは、次世代の電池のことなんですね。よく全固体電池という言い方をしますが、これは非常に画期的な、電池の分野ではゲームチェンジになる電池であるというように言われておりまして、これは非常に我が国でも期待が高いわけであります。

 他方で、やはり全固体電池というのは、充電と使用を繰り返すと寿命が短くなったり、まだまだ実用化、量産化には一定の時間がかかるというように伺っています。

 この全固体電池を始めとした次世代電池の開発については、国際的な競争が物すごく激しくなってきていますし、特に中国の追い上げがすごいというようなことをよく読ませていただきます。

 政府の方でもグリーンイノベーション基金などを通じて実用化を目指していると聞いていますけれども、私も去る十五日に東京ビッグサイトで第十三回のスマートグリッドEXPOに行ってきまして、ある中国の電池メーカーの説明を聞いて、これは技術者の方がいたんですが、非常に驚いています。

 すごい低温、高温でも使用が可能であったり、急速充電、五分程度のもので自家用車なら三百五十とか四百キロ走れるとか、ロングサイクルで一万一千回の充電ができるとか、自然放電率も年間四%ぐらいと聞いていますので、こんな夢のあるような電池が本当にできているのかなと。信憑性は私もいろいろ考えるところがあるんですが、我が国の技術とどれぐらいの差があるのかも分かりません、はっきり。ただ、中国メーカーは今年から全固体電池をやはり量産化していくというようなことも言っておられました。

 私は、このような状況も踏まえたら、これは非常にスピードアップをしてやはりやって、相当な覚悟でやらないと駄目だと思います。ここは時間の関係で、答弁をもらおうと思ったんですが、要望しておきたいと思いますので、しっかりと中国に負けないように取り組んでいただきたいと思います。

 家庭用の蓄電池の普及についても一言申し上げておきたいと思いますが、これもGX社会の推進には不可欠であるというように思うんですね。家庭用の電池には様々なメリットがあります。当然、災害時に使えるとか、夜間の安い電気を使えるとか、ピークシフトやピークカットにも協力できる。また、太陽光発電と基本的には組み合わせることによって大きなメリットが得られる。

 しかし、やはり値段が高いんですね。だから普及しないということになるだろうと思います。一般的な家庭のもので、安くても数十万、一般的に十キロアワーのものでも百五十万程度あると思います。これは相当な出費になりますから、なかなか一般の家庭で買ってくれない。

 電池はなかなか値段が下がっていないということなので、国の方でも昨年の補正予算において二百五十億円、補正予算を組んでいただいて、補助率三分の一で、一世帯当たり五十万ぐらいの補助金を出して普及をしていただいています。

 二〇三〇年には二十四ギガワットアワー、これは世帯数に換算すると二百万軒とか三百万軒ぐらい、これを目指すというふうに言ってくださっているんですが、この補助金によるサポート、これまで以上に重要になるというように思いますけれども、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、聞かせていただきたいと思います。

竹内委員長 資源エネルギー庁山田長官官房資源エネルギー政策統括調整官。答弁者はマスクを外していただいても構いません。

山田政府参考人 はい。

 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたとおり、導入コストの低減、こういったものを促しつつ、普及拡大を進めていくことは大変重要だと考えております。

 今御指摘ございましたとおり、将来の、二〇三〇年に関する導入見通しの設定を産業界と共有したり、あと、補助金をつけるときに価格のところを考えてやっていくといったようなことを取組を行っておりますし、また、補正予算の取組も進めさせていただいております。

 そういった形で進めておりますし、また、更なる普及拡大に向けましては、こうした導入に向けた支援を行うとともに、家庭用蓄電池なども電力市場に参加できるような仕組みを構築して、早期の開始を目指すための取組なども行っていきたいと思います。

 いずれにいたしましても、このような取組を通じまして、引き続き家庭用蓄電池の普及拡大と導入コストの低減というのはしっかりと進めていきたいと考えております。

宗清委員 最後の質問になりますが、産業革命以来、私たちは化石燃料を大量に消費することで豊かな生活を送ってきました。しかし、地球を傷めてきましたし、異常気象が発生して、気候変動の取組というのは待ったなしであります。ロシアによるウクライナの侵略もありまして、世界各地でエネルギー情勢が不安定になって、価格が上がったり、安定供給もままならないような状況になっています。

 ですから、本法案は、化石燃料中心の社会から大転換を促す重要なインパクトになる取組でございますので、重要であるというように思います。その点、逆に、GXへの対応は、絶対に許されない、もし失敗すれば完全に我が国は産業競争力を失ってしまいますので、このかじ取りを、これから経済産業省、しっかりやっていただかなければなりません。

 我が国がこれからも世界の真ん中で輝く国に、そしてGXの分野で世界をリードできる国にしていかなければならないと思いますが、最後に決意を聞かせてください。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 我が国において、GXとは、産業革命以来の化石燃料中心社会から脱却をし、クリーンエネルギー中心の社会、経済、産業構造へ転換をするものでございます。その実現に向けては、革新的な技術を基礎としたイノベーションの創出が鍵となります。

 我が国は、火力発電の脱炭素化に向けた水素、アンモニア発電技術や抜本的なCO2削減を実現する水素還元製鉄、日本発の次世代太陽電池技術であるペロブスカイトなど、脱炭素効果の高い革新的技術の開発で先行しております。こうした技術に一層磨きをかけ、その社会実装を強力に後押しすることで、我が国がGXで世界をリードしてまいりたいと考えております。

 また、そのためにも、今般、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を含む成長志向型カーボンプライシング構想を具体化、実行し、早期にGXに取り組むほど将来の負担が軽くなる仕組みとすることで、意欲のある企業のGXに向けた取組を強力に支援し、産業競争力強化や脱炭素技術を活用した新たな市場の創出を行ってまいります。

 革新的技術の開発、そしてそれを効果的に事業化につなげ、アジア等にも展開することで、世界の脱炭素化に貢献をするとともに、我が国の経済成長と産業競争力強化を実現してまいりたいと考えております。

 最後になります。また、GXを実行、実現していく上では、大企業のみならず、先生御指摘のとおり、中堅・中小企業も含めたサプライチェーン全体での取組が不可欠でございます。中堅・中小企業が取り残されることのないよう、しっかり支援をしてまいります。

宗清委員 時間が来たので、終わらせていただきます。御答弁ありがとうございました。

竹内委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌です。よろしくお願いいたします。本日最後の質疑になりますが、よろしくお願いいたします。

 気候変動問題は実に長い年月をかけまして、ようやく世界的に脱炭素の取組が行われるようになりました。

 一九九二年に国連で気候変動枠組み条約が採択をされ、一九九七年には京都議定書が採択、二〇一五年のパリ協定で各国の目標が決まりました。欧米各国では、国家を挙げまして温暖化対策を推進しており、脱炭素社会に早期に移行するための取組として、現在、大きな投資支援が行われております。IEA、国際エネルギー機関の二〇二二年の報告書によりますと、世界全体で年間一兆ドルの投資を二〇三〇年までに年間四兆ドルに増やす必要があるとされております。

 日本でも脱炭素の社会を目指し、成長型経済循環構造への移行促進を図るための支援策を講じるわけでございますけれども、これまで続けてきました化石エネルギー中心の産業構造や社会構造を、クリーンエネルギーを中心とした社会に変えていくのは大転換と言っても過言ではありません。

 ただ、日本は今日、半導体や国産ジェットを見ましても、産業、技術で世界に後れを取っている部分もあるかと思います。そこで、この脱炭素社会の構築では、何としても世界をリードしていくくらいの決意と取組が必要だと思っております。

 今回、GX推進戦略の実現に向けた先行投資を推し進めるために、国としてGX経済移行債を発行しまして、この十年間で二十兆円規模の投資を国で支援し、官民としては百五十兆円規模のGX投資の実現を目指しておりますけれども、大規模な産業構造また社会構造の変化を何としても成し遂げていかなくてはなりません。

 温暖化対策としてCO2排出削減ということが大事であるとともに、今回の大規模な取組では、これにより産業競争力の向上ですとか、何といっても経済成長に期するものでなくてはならないと考えますけれども、GX社会実現に向けた政府支援の考えについて御見解をお伺いしたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 現在、欧米を中心に世界の市場環境は大きく変化をしておりまして、脱炭素化を成長のチャンスと捉え、この投資機会を通じた新たな技術、製品の実装と市場獲得競争が始まっております。

 こうした中で、我が国としましては、革新的な技術開発で先行して世界をリードし、いち早く新市場獲得を実現することが重要であります。そのためにも、産業構造転換の前倒しを図ることが必要であります。

 御指摘のとおり、GX経済移行債によります支援措置については、産業競争力強化、経済成長の観点が重要でありまして、支援に際しては、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業を対象に、産業競争力強化、経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献するものであり、そして、クレジット購入など排出削減にしか効かない事業や、国内の人的、物的投資拡大につながらないものは対象から除き、企業の投資や消費者の行動を変えていく規制、制度面の措置と一体的に講じる、こうしたことを基本としております。

 例えば、抜本的にCO2を削減する水素還元製鉄、日本発のペロブスカイトの太陽電池のような技術革新性のある成長投資、そして、次世代自動車、また住宅断熱性能を大きく向上する製品など、全国規模の需要がある製品の初期導入支援、こういったものに支援を振り向けることで、今後の我が国の産業競争力強化と力強い経済成長につなげてまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今、政務官から、新市場をしっかり獲得していくんだ、こういう決意がございましたけれども、これは官民挙げた大規模な取組をしていかなければ獲得ができないと思っております。

 ここで、政府として先行しまして二十兆円規模のGX経済移行債を行うわけであります。その償還財源は、成長志向型カーボンプライシングとして、化石燃料賦課金と排出量取引を組み合わせた形で取り組むわけでありますけれども、この成長志向型カーボンプライシングの意義について、改めて確認をさせていただきたいと思います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 化石燃料賦課金と排出量取引を組み合わせました成長志向型カーボンプライシング、これは、炭素排出に値づけを行うことによりまして、炭素排出の少ない製品、事業の付加価値を向上させるなど、GX投資を促す効果を有するものでございます。

 具体的には、企業がGXに取り組む期間をまず設けた上で、制度の導入時期、それから、当初低い負担から徐々に引き上げていく方針、こうしたものをあらかじめ明確にすることによりまして、早期にGXに取り組むほど将来のカーボンプライシングの負担が軽くなる、こうした仕組みとすることで、意欲ある企業のGXに向けた投資や取組の前倒しを引き出すものでございます。

 この施策自体が、排出削減とそれから経済成長を共に実現していくために有効な手段でございます。

 あわせまして、成長志向型カーボンプライシングの結果として生じます将来の財源を有効活用いたしまして、GX経済移行債を発行することで、先行投資支援を行うこととしてございます。

 こうしたカーボンプライシングや先行投資支援などの組合せによりまして、百五十兆円のGX投資を実現してまいりたいと思ってございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 経済的なインセンティブを付与しながら、一方で、一定の時間を与えながらCO2の排出に対して経済的な負担も求めていく、こういうものであると思いますけれども、この経済的負担が化石燃料賦課金とまた特定事業者負担金、この二つになるわけでございます。

 この二つにつきましては二重賦課となると思われますけれども、これには両制度を調整するために別途法律で定めるとしております。これはどのように調整される予定なのかお伺いをするとともに、また、新たに化石燃料賦課金や特定事業者負担金が課されることで、事業者は化石燃料価格に転嫁をすることになります。化石燃料価格の上昇は、関連する産業ですとか国民生活そのものにじかに影響を及ぼしますので、適切に転嫁されなければ公平な負担が担保されないと思いますけれども、この化石燃料賦課金の導入で、価格転嫁の在り方ですとか、また関連産業及び国民生活への影響についてどのように考えているのか、先ほど宗清議員の質問にもございましたけれども、重なる部分があると思いますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。

竹内委員長 龍崎GX実行推進室次長。なお、答弁者はマスクを取っていただいても構いませんので。

龍崎政府参考人 お尋ねの、化石燃料賦課金と特定事業者負担金の調整につきましては別に法律で定めることとしてございますけれども、先般閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針におきましても、「同一の炭素排出に対する二重負担の防止など、必要な調整措置の導入を検討する」、こう明記してございまして、今後具体的な議論を進めてまいりたいと思ってございます。

 また、化石燃料賦課金や特定事業者負担金による価格上昇分の転嫁につきましては、民間事業者の経済活動、それからほかの事業者との競争など、様々な個別の要因によって影響されるものではございますけれども、適切な転嫁は行われていくものと認識をしてございます。

 もちろん、サプライチェーンにおけるカーボンプライシングの転嫁状況を正確に把握することは世界的にも難しい課題だと思ってございますけれども、どのような方策や工夫があり得るかは、今後検討してまいりたいと存じます。

 その上で、カーボンプライシングの導入に当たりましては、先ほども申し上げましたが、まず、GXに取り組む期間を設けた上で、エネルギーに係ります負担の総額を中長期的に減少させていく中で、当初低い負担から徐々に引き上げていく形で導入するなど、負担が過度にならないように工夫を講じることとしたいと思ってございます。

 このスケジュールをあらかじめ示しますとともに、足下からGX経済移行債を活用しました二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うことによりまして、再エネなどの脱炭素電源の低コスト化、化石燃料に要する費用や安定供給に伴うリスクの低減、水素、蓄電池などの新しい市場の早期立ち上げによる経済成長などを図ることによりまして、むしろ事業者や国民に恩恵がある形で実現、実行してまいりたいと存じます。

中川(宏)委員 次に、特定事業者負担金の対象でございますけれども、先ほどもお話をさせていただきましたが、GXは、社会や産業構造の大転換となりまして、期待される分野となることから、国また産業界、何よりも国民の力を合わせていかなければならないと思っております。この大転換に係る費用についても、社会全体で公平公正ということが非常に大事であり、公平公正に負担をすることが求められると思います。

 そこで、この特定事業者についてでありますけれども、午前中からも質疑がございましたが、これは発電事業者の中でもCO2排出量が多い者を政令で定めるということになっておりますけれども、この特定事業者負担金の対象を発電事業者に限定する理由につきまして、改めて確認をさせていただきたいと思います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルなどの温室効果ガス削減目標に向けましては、現時点で電力部門でのCO2排出量が我が国全体の四割となっていることを踏まえましても、電化の促進それから電源の脱炭素化は大変重要でございます。

 それから、特定事業者負担金の対象につきましては、代替技術の有無それから国際競争力への影響などを踏まえたものにしませんと、排出規制の緩い国への生産移転が発生しまして、雇用や消費の流出によりまして国益を損なうだけではなくて、世界全体で見てもCO2排出量が増加する可能性もございます。

 この点、発電部門は、既に商用化された再エネ等の代替技術を有しておりますし、そうしたことから、諸外国の排出量取引制度におきましても、制度の対象化や、有償比率の引上げなどにおきまして、発電部門での取組を先行させてございます。

 こうしたことを踏まえまして、我が国におきましても、カーボンニュートラル実現の鍵を握ります大変重要な発電部門につきまして、効果的、効率的に脱炭素化を進めるため、発電事業者のうち排出量の多い者を対象といたしまして、特定事業者負担金を導入することとしてございます。

中川(宏)委員 それから、発電事業者に対してですけれども、二〇三三年度から一部有償でCO2の排出枠を割り当てまして、その量に応じて特定事業者負担金を徴収していく予定であります。

 この排出枠の具体的な設定について、いつまでに何を基準としていくのか、また、排出枠を超過した場合の対応、この点につきましても、先ほどの質問であったところですけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。

龍崎政府参考人 本法律案におきまして、特定事業者負担金につきましては、経産大臣が、特定事業者に対して、発電事業に係るCO2の排出量に相当する特定事業者排出枠を有償又は無償で割り当てることとしてございまして、この有償での割当てにつきましては、入札方式、いわゆる有償オークションで実施することとしてございます。

 有償での割当て量につきましては、本法律案に規定しておりますとおり、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で制度を導入すること、それから、GXの移行状況、エネルギーの需給に関する施策との整合性等を勘案して決定することとしてございます。

 今回の法律案では、いわゆる有償オークション制度の対象者それから導入時期を始めとしまして、制度の根幹を規定してございますけれども、制度の実施に必要な詳細の部分につきましては、来年度から開始をいたしますGXリーグの実施状況なども踏まえつつ検討していくこととしてございます。

 御指摘の排出枠の設定方法や事業者が超過した場合の対応につきましても、適切な制度設計となりますよう、今後検討を深めていきたいと存じます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 次に、GX推進機構の規模と運営についてお伺いをしたいと思います。

 GX社会の構築のために、金融面、新たな賦課金の徴収、また排出枠の割当て、排出量取引制度の運営と、多岐にわたる様々なことがありますけれども、これらの運営のためにGX推進機構が設立をされます。

 この機構には、当然として透明性が求められるわけでありますけれども、GX社会実現に向けて、実に大変な役割を担う機構となります。

 このGX推進機構には、人材を幅広く求めて、そして集めまして、公平公正を基本に、機動的な対応、また効率的、効果的な運営を是非とも期待をするところでありますけれども、政府としてのお考えをお伺いしたいと思います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 GX推進機構は、主として、化石燃料賦課金や特定事業者負担金の徴収や、排出量取引制度の運営といった公平性、中立性が求められる業務を担うこととなります。このため、営利を目的とせず、株式会社形態でない法人として、国の認可により設立することとしてございます。

 その上で、同機構の運営につきましては、組織としての効率的、効果的なマネジメントを行う観点から、民間の創意工夫が生かされる形とすることが重要だと考えてございます。

 具体的には、機構運営における重要事項につきましては、運営委員会を設置いたしまして、その議決を経ることとしております。この委員会の委員につきましては、GXに資する事業、金融、法律又は会計に関しまして専門的な知識と経験を有する者を任命することとしてございまして、民間の知識やノウハウが生かされる形としていきたいと考えてございます。

 こうした工夫によりまして、GX推進機構の適切な運営を確保いたしまして、GX投資の促進につなげてまいりたいと存じます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今、民間の創意工夫と民間のノウハウが非常に大事だと。これはとても大事なことだと思います。その視点を是非とも取り入れていただきまして、効果的な運営ができるように是非要望させていただきたいと思います。

 最後に、要望をお伝えして終わりにしたいと思いますけれども、社会全体といたしまして、GX社会へ大きな構造変化をしていく中で、それにより、経済の成長を何としてもかち取っていかなければならないと思っております。GX推進に係るコストをしっかりと見極める、これがまず大事であるとともに、社会全体での公平公正な負担の在り方、これも明確にしていくことも大事だと思っております。この受益と負担の公平性にピントを合わせて、是非、制度設計をこれからしていっていただきたいと思っております。

 そして、ここが一番大事だと思いますが、国民の皆様に是非御理解をいただくように、分かりやすく、かつ丁寧に、これから是非とも説明をしていっていただきたいことをお願いを申し上げまして、以上で質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次回は、来る二十四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時一分散会


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