衆議院

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第7号 令和5年3月29日(水曜日)

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令和五年三月二十九日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上川 陽子君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      堀井  学君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宮澤 博行君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山口  晋君    山下 貴司君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    鈴木 庸介君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    米山 隆一君

      足立 康史君    遠藤 良太君

      前川 清成君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   財務大臣政務官      宮本 周司君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           辻  貴博君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      藤本 哲也君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 茂樹君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           原  克彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       佐藤 一絵君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         上村 昌博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤田清太郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       柏原 恭子君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     猪狩 克朗君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            横島 直彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           笹川  敬君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     深澤 陽一君

  山下 貴司君     宮澤 博行君

  山岡 達丸君     鈴木 庸介君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     上川 陽子君

  宮澤 博行君     山口  晋君

  鈴木 庸介君     米山 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     山下 貴司君

  米山 隆一君     山岡 達丸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案(内閣提出第一二号)

 経済産業の基本施策に関する件(電力システム問題等)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、既に終局いたしております。

 この際、本案に対し、関芳弘君外三名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。足立康史君。

    ―――――――――――――

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

足立委員 ただいま議題となりました脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 この法律案では五年後や十年後に開始する制度についても規定していますが、我が国の繁栄を持続可能なものとするための重要な経済成長戦略としてGXを進めていくためには、二酸化炭素の排出に係る国内外の経済動向等に応じ、枠にとらわれることなく柔軟に制度設計を考えていくことが必要であります。

 法案審議においても、施行後二年以内に講ぜられる法制上の措置において、カーボンプライシングの開始時期や規模、対象について見直すことも排除されない旨の答弁がありました。

 このことを踏まえ、法制上の措置に先立つ検討の対象を法文上でも明確にするため、本修正案を提出するものであります。

 次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。

 附則の検討条項を修正し、政府が施行後二年以内に法制上の措置を講ずる際には、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策の在り方についての検討も行うことを明記することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 政府提出の脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案について、反対の理由を申し述べます。

 現下の気候危機への対応、脱炭素社会の実現は地球規模の要請です。その下で日本経済を成長軌道に乗せるために、脱炭素社会への移行を経済成長のエンジンにする必要があります。グリーントランスフォーメーションの推進は極めて重要でありまして、そのための制度構築には賛成です。

 また、グリーントランスフォーメーションは大きな産業、経済、社会の構造変革を伴うものであり、国がその実行の責任を担い、政官民が一体となって進めることが必須です。特に、基幹産業の構造変革には巨額の投資が必要であり、国家プロジェクトとして国を挙げて支援、実行をすることが求められています。

 さらに、こうした国全体の構造変革において、大企業のみならず中小企業や地域経済への配慮も不可欠です。変革の主役は働く皆様であり、それぞれの持てる力をGXにおいて存分に発揮できるよう、付加価値の高いグリーンでディーセントな雇用の創出、スキルアップのための教育機会の創造など、雇用の公正な移行を実現することがGXを成功させる鍵となります。

 こうした観点から、政府提出の本法案について、以下、問題点を指摘します。

 第一に、投資の規模についてです。政府は、GX経済移行債を発行し、十年間で二十兆円規模の投資を行うとしていますが、償還プロセスについて再エネ賦課金、石油石炭税の減額分を充てるとしており、投資額について実質的にキャップがかかる構造になっています。これでは、必要な規模の投資につながりません。また、民間から投資を呼び込み、官民合わせて百五十兆の投資を見込んでいますが、政府の基本方針からはその道筋が見えません。

 第二に、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略を経産省が策定し、また、脱炭素成長型経済構造移行推進機構の設置、運営も経産省に委ねられておりブラックボックス化が懸念される、経産省にGXを白紙委任するに等しい本法案は憲法上も問題があると言わざるを得ません。失敗を繰り返してきたこれまでの経産省の産業政策からの脱却が期待できません。

 例えば、本法案のベースとなるGX基本方針には、次世代革新炉として高温ガス炉、高速炉の実証炉の開発、建設、運転等が投資対象に含まれるなど、原発依存低減という基本的な方向性に反する政策が盛り込まれている点も大きな問題です。

 戦略策定において地域の声や地方自治体、有識者などの提案を受ける仕組みがありません。また、政労使が関わる社会対話の仕組み、戦略策定プロセスの透明化を担保する規定もなく、問題です。

 第三に、政府が提案している化石燃料賦課金、特別事業負担金、いわゆるカーボンプライシングについても、その導入のタイミングが極めて遅いなど、本法案の制度設計では効果が期待できません。これでは、カーボンプライシングの凍結に等しいと言えます。

 立憲民主党は、今こそ日本の大きな変革のときであり、日本経済復活の最後のチャンスと捉えて、既存の政策の延長にとどまらない大胆かつ実効性のあるGX戦略の立案と、必要な規模の投資の実施、全ての国民の生活と暮らしを支えるGXの実行を訴えて、反対討論といたします。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

 笠井亮君、討論。(発言する者あり)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 本案に対する質疑は終局いたしました。

 討論を続けます。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、GX推進法案に反対の討論を行います。

 国連IPCCは、今のペースで温室効果ガスを排出し続ければ二〇三〇年に排出限度に達するとの新たな報告書を公表しました。グテーレス事務総長は、気候の時限爆弾は時を刻んでいると危機感をあらわにし、先進国に対して二〇四〇年までに実質排出ゼロを前倒しするよう求めました。もはや一刻の猶予もありません。

 ところが、本法案は、原発回帰と石炭火力の延命を盛り込んだGX実現のための基本方針を具体化し、排出削減を先送りし、世界の要請に逆行するものです。

 反対理由の第一は、GX経済移行債を活用した原発と石炭火力混焼への民間投資の呼び込みが省エネや再エネへのグリーン投資を妨げることになるからです。

 質疑の中で明らかになったように、移行債を発行して原発や石炭火力に投資する国は世界のどこにもありません。見せかけの環境投資、グリーンウォッシュと批判が避けられないGX経済移行債は、日本と世界の脱炭素の足を引っ張るもので、到底許されません。二次補正で既に一・一兆円も先行的に発行した手法も、国会軽視であり、看過できません。

 反対理由の第二は、化石燃料輸入事業者に課す賦課金と発電事業者から徴収する負担金がCO2の排出抑制につながらないからです。

 EUから遅れること二十年、ようやく四月からスタートする排出量取引制度は、本法案に何の根拠もない、自主参加型にすぎません。しかも、二〇三〇年代に本格導入される産業界への負担は、あらかじめ石油石炭税とFIT賦課金の減少の範囲内にとどめられ、排出削減につながりません。このことは、石油連盟会長が大した負担にならないと発言していることからも明らかです。

 五月のG7広島サミットでは、排出削減対策の強化が重要課題となります。原発ゼロ、石炭火力の期限を切った廃止をすぐに決断し、徹底した省エネと再エネの普及によって気候危機打開に全力を挙げることを強く求め、反対討論といたします。

竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、関芳弘君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、岩田和親君外三名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小野泰輔君。

小野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 GXの推進に当たっては、エネルギー資源の過度な海外依存からの脱却を実現するエネルギー供給構造の再構築を目指し、エネルギー安定供給、中長期的な国民負担の抑制を前提に、再生可能エネルギーの更なる導入拡大、蓄電システムの導入拡大をはじめとした電化促進等によるエネルギー全体の脱炭素化の推進に取り組むこと。その際、再生可能エネルギー発電促進賦課金の仕組みについて特定事業者負担金に関する制度との関係整理など、費用負担の在り方について検討すること。

 二 我が国が国際的に約束した二〇五〇年カーボンニュートラル等の実現に向け、産官学の十分な連携の下、必要な技術開発や支援措置等にできるだけ早急に取り組むこと。

 三 GXの推進に当たっては、気候危機への対応の緊急性に鑑み、各種分野及び技術の脱炭素効果を的確に評価把握し、投資対効果、実現可能性が高い分野及び技術への重点化を図ること。

 四 GXの推進に当たっては、激化する世界の産業競争下にあって、日本企業が脱炭素分野で確実に市場シェアを獲得、成長できるように、技術開発から技術実装、製品等の量産化まで、産業全体にわたる支援を実現すること。

 五 GXの推進に当たっては、持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現の重要性に鑑み、GX推進戦略等において「公正な移行」の重要性を明示するとともに、その具現化のため、円滑な労働移動や新たな雇用の創出等に対する十分な支援を行い、労働者や地域経済社会への悪影響を可能な限り軽減すること。

 六 GXへの対応の遅れが懸念される中小企業が取り残されることがないよう、中小企業の自主的な取組や大企業のイニシアティブによるサプライチェーン全体での取組を促すなど、実効的な支援策を講ずること。

 七 今後十年間における約二十兆円規模のGX経済移行債による政府支援については、GX実現に資するよう適切に対応する内容とするとともに、民間事業者の予見可能性を高め、民間のGX投資が確実に促進されるよう努めること。

 八 GXの実現は、環境負荷の低減やエネルギー自給率の向上、産業の競争力の強化等を通じた国民生活の向上や国民経済の発展など、広く国民全体の便益に寄与するものであることに鑑み、成長志向型カーボンプライシングなどGXの実現に要する費用は、脱炭素成長型経済構造への移行に向けた人材・技術投資や行動変容を促進する観点を含め、国や地方公共団体、事業者及び国民の適切な役割分担の下、円滑かつ適正な転嫁などを通じ、特定の事業者への負担に偏重せず、広く社会全体で公平・公正に負担するものとし、国は、国民や事業者に対し、負担に対する理解の醸成に積極的に取り組むこと。

 九 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行は、地球温暖化対策、エネルギー需給、産業競争力、雇用など分野横断的課題であるとの観点から、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の案の作成に当たっては、学識経験者や有識者、産業界、労働界等から広く意見を聴くものとし、その意見を十分に斟酌するとともに、そのプロセスの透明性を図ること。

 十 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を早期に実現するため、カーボンプライシングの在り方については、脱炭素への取組を加速化させるとともに、経済的インセンティブを社会全体に効果的に与えるものとなるよう、代替技術の有無、国際競争力への影響、カーボンリーケージの可能性等を勘案しつつ、その導入の時期、対象事業者の範囲等を含め、最適かつ実効性のある制度を検討すること。

 十一 脱炭素成長型経済構造移行推進機構による事業活動への支援に係る基準の策定に当たっては、多様な関係者の意見を幅広く聴取するよう努めるとともに、脱炭素成長型経済構造移行推進機構による金融支援について、脱炭素成長型経済構造移行に真に有益な支援案件を見出していく規律ある運営がなされ、支援内容について説明責任が果たされるよう、政府は責任を持って監督すること。

 十二 脱炭素成長型経済構造への移行プロセスは長期に及び、将来の世界情勢や、国内の産業、エネルギーの供給環境などに不確実性があることを踏まえ、GX経済移行債による支援や化石燃料賦課金及び特定事業者負担金など新たに講じられる制度・施策の進捗状況や費用対効果等については定期的に評価及び分析を行うこととし、必要に応じて柔軟な見直しを行うものとすること。

 十三 化石燃料賦課金及び特定事業者負担金に係る制度の実施に当たっては、国民負担の可能な限りの抑制や制度の明瞭性・簡素性の担保、他のGX推進策との整合等の観点から、高度化法やエネルギー関連税制、再生可能エネルギー発電促進賦課金など既存の規制・制度との適切な関係整理を図ること。

 十四 脱炭素成長型経済構造を実現するに当たり、国内産業の育成及び経済成長を目指すのみにとどまらず、アジアをはじめとした世界において、我が国が脱炭素の取組のイニシアティブを取ることができるよう、戦略的に施策を推進すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、西村国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西村国務大臣。

西村(康)国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

 よろしくお願いいたします。

    ―――――――――――――

竹内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件、特に電力システム問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官吉川徹志君外二十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。馬場雄基君。

馬場(雄)委員 改めまして、おはようございます。福島二区、立憲民主党、馬場雄基でございます。

 本日は、一般質疑ということで、ふだん私が地元あるいはSNSなどで若者や地元の方々からたくさん聞いている声を、ある意味でいうと、幅広く伺わせていただきたいと思います。私だけではなく、今日、数多くの委員が立ちます。かなり多くの幅広い分野になると思いますが、是非とも、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 一つ目、サイバーセキュリティーの問題です。

 今はまさに情報社会となりました。その光を正しく享受していくためにも、影に対する備えをしっかりしていかなくてはなりません。厄介なことは、このサイバーというものは全く目に見えないということでして、不安すら感じずに、いつの間にか危険な状態になっているということが、危険性がたくさんあるということでございます。それは、個人としても、あるいは会社としても、あるいは国家としても、その局面ということには変わりないというふうに思います。

 昨年の十二月十六日、政府は国家安全保障戦略を閣議決定いたしました。サイバーセキュリティーの強化の方針を掲げましたが、そして、本年一月六日に、アメリカの国土安全保障省とMOC、いわゆる協力覚書ですね、それを交わされました。この意義を適切に捉えることももちろん大切なんですけれども、改めてですが、情報に国境はありません。サイバー空間における世界の秩序というものをつくり上げていくためにも、現状に満足することなく、他国間との具体的な取決めを進め、国内外に強く発信をし、適切なルールメイキングをしていくべきだというふうに考えております。

 西村大臣、ここでお伺いさせていただきたいことは、アメリカと交わした覚書の意義について、そして、アメリカ以外でも、二国間でも構いませんので、具体的にサイバーセキュリティーにおける協力体制の構築、そして世界の秩序をつくっていくために日本がリーダーシップを取っていくべきと考えますが、その実践をお願いできませんでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、昨今のサイバー空間におきましては、様々な者が国境を越えてサイバー攻撃を行い、あるいは標的となっているということであります。高度化するこうしたサイバー攻撃に対処するため、有志国との連携は重要であるというふうに認識をしております。

 こうした考えの下、経産省とアメリカ国土安全保障省との間で本年一月に、協力関係を強化するために、米国に出張した際、閣僚級でMOCを締結をいたしました。マヨルカス長官と意見交換を行い、MOCを締結したわけであります。

 この覚書、MOCに基づきまして、情報共有の促進であるとか、あるいはASEANを始めとしたインド太平洋地域でのサイバーセキュリティー演習の実施、こうしたことを通じた能力構築支援、そしてソフトウェア、IoT機器に関する日米のセキュリティー制度の調和などを進めていくことにしております。

 経産省でも、IPAにおいて様々なサイバーセキュリティー対策の研修を実施をしたりしておりますし、ヨーロッパの、NATOのセンターがエストニアにありますけれども、そちらに人を派遣したりするなど、演習に参加するなど、様々な取組を、連携を進めているところであります。

 こうしたアメリカとのMOCの締結などの二国間の協力に加えて、国際会議などの場も活用しながら、有志国との関係強化、連携しながら進めていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 情報共有、ASEANであったりNATOであったり、様々なところの協力体制をつくっていくということ、それは本当に応援させていただきたいと思いますし、可能な限り早く適切にその構築を進めていかなくてはならないというふうに思っております。

 本日は、内閣官房さんにもお越しをいただいております。

 現在、サイバーセキュリティーに関する分野というものは、内閣のサイバーセキュリティセンター、NISCというところで行われております。閣議決定を受けて、様々な業務が追加、体制の強化をされていくというふうに承知をしておりますが、その中身が極めて重要だと思っております。今、昨日レクを伺わせていただきましたけれども、それでもやはりまだ全体観がつかめている状態ではないと思います。

 その中身を、例えば人数体制であったり、あるいは予算体制であったり、どういうふうに具体的に変えていくというふうに考えているのかお聞かせいただきたいですし、それが今検討中という段階であるならば、それをいつまでに、どのように決めていくのかということを教えていただきたいと思います。

小柳政府参考人 お答え申し上げます。

 近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえますと、我が国の政府機関や重要インフラ等に対し、安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃が行われるおそれがあり、こうした重大なサイバー攻撃は、国民の安全と安定した経済社会活動を確保するために可能な限り未然に排除するとともに、発生してしまった場合には被害の拡大を防止する必要がございます。

 このため、政府といたしましては、昨年十二月に国家安全保障戦略を閣議決定し、政府機関等のシステムのセキュリティー強化、能動的サイバー防御の導入、これらに必要となる組織や法制度を含む体制の整備等に取り組み、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させていくことといたしました。これらの取組を実現、促進するために、内閣サイバーセキュリティセンターを発展的に改組し、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設置することといたしております。

 こうした検討を着実に行うため、本年一月三十一日付で内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室を設置したところであり、国家安全保障戦略の着実な実施が図られるよう、委員御指摘の新組織における予算や体制についても今後しっかりと検討を進めさせてまいりたいと思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 伺いたいところは最後の一文だったと思うんですけれども、まだ、つまり、やはり具体的なところまでには至っていないというところなのかなと思っておりますが、早急にやはり動いていかないといけないということは認識をいただいた上で、本当に具体的に進めていただければというふうに思っております。

 この問題は本当に待ってくれません。今私が不安視しているのは、政府の体制だけではなくて、若者にある不安だというふうに思っています。具体的に言うならば、アプリ、ティックトック等々、SNSです。若者世代に大人気になっているアプリがたくさんある一方で、その取扱いについて世界が今揺れているんだというふうに思っています。先日も、アメリカの議会でティックトックが呼ばれて、参考人としていろいろな質問を受けておりましたけれども。

 繰り返しますが、サイバーのセキュリティーということ、サイバーの怖さというものは、本当に気づかないうちにそこに身を置いてしまうというところだというふうに思っています。この点、本当に、SNS等で学生からも多く御意見をいただいているんですけれども、できるなら使い続けたい、でも不安だ、よく分からない、このよく分からない感というのが極めて問題なんだというふうに思っています。

 この不安に対して、アメリカでは具体的な対策というものも見えてくるものではあるんですけれども、日本の政府がどういうふうなこの不安に対する策というものを考えているのか、是非、審議官にお伺いさせていただきたいと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣サイバーセキュリティセンターにおいて、サイバーセキュリティーに関する普及啓発活動の一環といたしまして、インターネットの安全・安心ハンドブックの公開を通じて、SNSなどを利用する際の注意点を発信しております。

 具体的には、SNSは、一旦記憶された情報の確実な消去が困難であるため、個人情報は基本的には投稿しないこと、入力した情報から利用者の関心事項などが把握されるおそれがあるため、個人が特定される写真や情報は投稿しないことなどを周知をしているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、関係省庁と連携して、一般国民に向けたサイバーセキュリティーの普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 今の御答弁では、多分、この不安というのは拭えないんだろうなというふうに思います。

 先ほどの小柳審議官は、せっかく、一元的に総合調整を図っていくというふうにおっしゃっていましたが、今のお言葉では、そういうことはしないでというふうに、一方的にそれをお伝えするということで、この間、遠藤良太議員も同じような質問をされていたと思うんですけれども、なかなか歯切れのいい答弁ではなかったのではないかなというふうに思います。

 ここでちょっと聞き方を変えたいんですけれども、規制をかけていくという方向性なのか、やはりあくまで個人の認識であるというふうに、いわゆる個人の自己責任だというふうに捉えていくのか、どちらであるのか、方向性だけでも教えていただきたいです。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 SNSのアプリには多様なものがありまして、また、様々な利用がなされているものでございます。なので、先ほど申しましたように、ハンドブックの作成、公開などを通じまして、SNSの特徴や、それに伴う利用時の注意点について適切に発信することなどによって、引き続き、国民によるインターネットの安心、安全な利用を促進してまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 やはり今のお答えではよくまだ分からないというところな状態で、多分、危機感というものをしっかり共有していかなくてはならないですし、これは、個人の暮らし、個人の幸せだけではなく、国益そのものにかかってくる問題だというふうに私は認識しています。

 アプリにおけるサイバーセキュリティーのいわゆるリテラシー、それを向上させるためには、簡単に言えば、皆様もお持ちだと思いますけれども、その端末からインストールする段階で一歩踏みとどまれるかどうかが非常に重要だというふうに思います。

 是非、皆さんもアプリをインストールする際の画面を見ていただきたいですけれども、お客様満足度とか、あるいは利用制限年齢ですね、書いてあるんです。利用制限年齢、四歳からというふうになっていることが結構多くて、三歳未満でこれを持つことはあるのかなとちょっと思ったこともあるんですけれども、本当はここにセキュリティーリテラシー、いわゆるセキュリティーの安全度というのが明記されるようになっていくならば、私はまだそのリテラシーというのを向上させるために普及啓発できるんだというふうに思います。

 ただ、これはかなり難しくて、いわゆるアップル社さんとかグーグル社さんに相当なお願いをしていかなくてはならない、なかなか非現実的なのかもしれないなというふうに思うわけです。

 であるならば、せめて政府の中で、一定程度の利用者数を持っているアプリに関しては、あるいは、政府が気づいている、ここはちょっと危険かもしれないという水準にいるアプリについては一覧にして、ここのサイトに来ればそれが分かるよというもの、インストールする前に一旦ここに立ち寄ってくださいねというような、そういう方向性があって初めてリテラシーというのが向上していくんだというふうに思うんですが、実践していただくことはかないませんか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、SNSのアプリには多様なものがございます。また、様々な利用がなされているものでもございます。そういった観点から、政府が一律で評価するというのはなかなか困難なところもあるかと思いますけれども、SNSの特徴や、それに伴う利用時の注意点などについてしっかり発信していくことによって、国民によるインターネットの安全、安心な利用を促進してまいりたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 恐らく、この議論がなかなかかみ合わないなというふうに思うんですが、今のお言葉だと今の延長線上になるんだと思いますが、今の延長線上でリテラシーの向上はなかなか厳しいというふうに言わざるを得ないというふうに思います。一段やはりフェーズを上げていかなければいけないというふうに思います。

 西村大臣、ここを、通告はさせていただいてはいないんですが、是非、ちょっと一緒に考えさせていただきたくて。

 アメリカとはMOCを結んできました。一つ一つのサイバーに関する問題、アプリもその中の一つだと私は認識します。その中において、どういうふうに考えていかなければいけないか。情報社会に、やはりぐっと、レベルが更に上がってきているというふうに思っていますので、よかったら、有志国との連携であったりその中の議論に是非とも具体的に入れていただきながら、一つ道筋を、若者に関するリテラシーの向上をどうしていくのかという点について是非とも具体的に実践いただきたいのですが、御検討いただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 様々なアプリを利用することでいろいろな情報が出ていく、位置情報、あるいはいろいろな情報が取られていくというおそれもある中で、そういったことへの関心を高めていくというのは非常に大事なことだと思います、意識を高めていくというのは非常に重要なことだと思います。

 それは、もちろん国内で、そういった若い人たちへの、利便性と、それから、それによるイノベーションですね、新しい技術を使って何か新しいことに挑戦していく気持ちと、一方でプライバシーとかセキュリティーとかという、このバランスが重要だと思いますので、そうしたことについての啓蒙であったり様々な意識を持ってもらうことに取り組むのは非常に重要だと思います。

 これは、内閣官房を始め各省庁とも連携しながら取り組んでいきたいと思いますし、各国それぞれ苦慮しながら対応しているんだろうと思いますので、各国の動向なども情報共有しながら、我々も、そうした情報をしっかりと取りながら、共有しながら対応を進めていきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり時代が変わってきているんだというふうに思っています。私が実際に高校生のときには、実はまだLINEはなかったんですよね。フェイスブックが登場し始めてきていたぐらいの段階です。やはりこの十数年だけでも大きな急激な変化をしていて、様々なアプリによる、ある意味でいうとメンタルヘルス的な部分も、いろいろな問題が各方向で起きてきているというのが今の時代になっていると思います。

 是非とも、前例踏襲という形ではなくて、新しいものを築き上げていくという観点に立って、若者だけではなく、その利用者層、ユーザー層が安心して使える空間というものを政府一丸となって、ここは早急に私はつくっていただきたい、そのリテラシーを図るためのしっかりとした体制構築、そのツールというものまで準備いただきたいというふうに思っています。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 続きまして、働き方改革、働き方について伺いたい、注目していきたいというふうに思っております。

 本当に様々からお話を言われるわけですけれども、例えばですけれども、今の働き方で子育てはできるわけがないだろうというような怒りの声を含め、例えば学生からは、今のまま社会に出ていったときにとかく不安であるというような、そういうお話を、今ちょうど三月ですので、これから社会人になる方々からたくさんそういうふうな声も聞いております。

 ここで注目したかったのが、経済産業省さんがなでしこ銘柄を発表されたというふうに思っています。これは質問しません。なでしこ銘柄が発表されたと思うんですけれども、これは経済産業省さんが東京証券取引所さんと共同で女性活躍推進に優れた上場企業を選定するもので、三月二十二日に十七社が業種それぞれで選ばれたというふうに思っております。これは本当に、ひとえにすばらしいことだと思うんですが、注目したいことは、この輪が広がってきているかどうかということだと思っています。

 とかく働き方改革で非常に問題なのは、大企業と中小企業との間に大きな差が生まれてしまうというところだというふうに思います。これがなぜなのかということです。この疑問をしっかり解消していかなければ、働き方改革が国全体に広がっていくことはないんだというふうに思うわけです。

 企業数、九九%は中小企業です。従業員数でいえば約七割が中小企業です。つまり、中小企業の働き方改革に目を向けて、そこにしっかりと磁場をつくっていかなければ働き方改革は駄目なんだというふうに思っています。

 じゃ、その中小企業の事情は何なのかというふうに思ったときに、各社それぞれアンケートがある中で、最もやはり意見が多いのが、人に余裕がない、ここなんだというふうに思っています。

 やはり、少数精鋭で行われている中小企業さんですから、一人欠けると困るとか、属人化してしまっているというようなことが様々なところで声が上がっている。つまり、マンパワーの補填というものをうまく循環させていかなければ、ここがうまくはまらないんだというふうに思っております。マンパワーを補填した上で、その情報をしっかりと共有し、知恵を、そのスキルを共有した上でフォローし合う体制を、急ぎ構築していかなくてはなりません。

 それも中小企業さんは分かっているんです。それを分かっているんだけれどもなかなかできないというのが中小企業さんの経営者の、あるいは労働者の悩みなんだというふうに私は認識しています。

 働き方改革をするために人一人加えますというふうに簡単に言えない状況があります。ベネッセコーポレーション、たまひよ妊娠・出産白書二〇二三というお調べがあるんですけれども、男性育休を取得できない理由として最も多いのが代替要員がいないということで、これが実は四五%、約半数を占めているということです。

 つまり、マンパワーの課題を本質的に、ここに向き合っていかない限り、働き方改革も、大企業と中小企業で、できる企業とできない企業でこれからどんどんどんどん差が広がり、格差が進んでしまうということだと思います。ここを私は何とかしたいと思っているわけです。

 今日、厚生労働省さんにもお越しいただいておりますけれども、働き方改革におけるマンパワーの制度、いわゆる補填制度について、どのような支援を現在行っているのかお聞かせください。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、中小企業におきましては、育児休業や介護休業の取得に伴う代替要員の確保などが重要な課題であると認識しております。

 このため、中小企業事業者に対しまして、育児休業取得者の業務を代替する労働者の確保等を行った場合に、育休取得者一人につき四十七・五万円、また、育児休業取得者の業務を代替する周囲の労働者に対して手当の支給などを行った場合に、育休取得者一人につき十万円を支給する両立支援等助成金による支援を行っております。

 また、介護休業につきましても、同助成金におきまして、令和五年度より、介護休業取得者の代替要員の確保などを行った場合に助成をする予定としているところでございます。

 さらに、企業におけます代替要員確保のための計画策定、また、代替要員確保が難しい場合の周囲の労働者への業務の振り分け、外部化などにつきまして、労務管理の専門家による個別の相談支援などの取組を中小企業に対して行っております。

 厚生労働省といたしましては、こうした取組を通じて、中小企業において希望に応じて仕事と育児や介護の両立ができる職場環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今お手元に、「両立支援等助成金のご案内」というものを皆様に御配付させていただいております。まさにこの点の御説明をいただいたというふうに思っております。

 この資料、私は、見せていただいている中で感じている違和感が実は二つありました。一つは、こちら、今日の論点からちょっとずれるんですけれども、そもそもパパ支援というものを特別枠でつくっていることに何となく違和感を覚えてしまいます。やはり男女一緒のものがあって、それを男性が取りやすくしていくというのが多分本質的な問題だというふうに思っていて、パパ支援というよりかは、そもそもの育休支援を、男性が自信を持って使っていいですよというふうに持っていくことが多分私は本質なんじゃないかなというのが一点目のちょっと御指摘です。

 二点目に関しては、ここからが本題になります、業務代替支援というものですけれども、これは三ページ目にあるものなんです。2でニューと書かれておりますので、新しくつくってくださって本当にここは感謝なんですけれども、先ほど審議官さんからお話があったように、一人当たり四十七・五万円、新規雇用で出てくるということなんですが、もちろんこれはあった方がいいんです、あった方がいいんですけれども、全く足らないんじゃないのかなというふうに思うわけです。

 育休というのは、それぞれ、取る期間、様々です。二、三か月の方もいれば、半年の方もいれば、一年の方もいれば、二年の方もいる。つまり、柔軟な制度でなければいけないんだというふうに思うんですよね。それが一律でこういうふうに決められてしまうことのやはり難しさというか違和感は私は拭えないと思っていますし、中小企業の経営者さんあるいは働いて育休を取る側の方々からしても、何なんだろうというふうに思わざるを得ないんだというふうに思います。

 ここで更に思うのが、例えば行政職員さん、行政さんが育休を取るときにどんな制度があるのかということなんですけれども、育休の代替任期付職員という制度があるのではないかなというふうに思います。育休の代替任期付職員です。育休を取られている方のマンパワーを補うために任期つきで職員の体制を補填する、補充していくという制度が行政ではしっかりと確立されているのではないかなというふうに思います。

 行政ではこういうふうな柔軟な考え方を取れるものがある一方で、中小企業、民間では、この支援はあるけれども基本的には自助努力というところが、どうしても私の中でおかしいなというふうに思ってしまう点なんです。

 ここは、もちろん、確かにお金がかかる。お金がかかるということはすごく分かるんですけれども、この制度というものは、私は事業性を評価していただきたいというふうに思っていまして。この制度をしっかり確立することによって、育休を取る方も働き続けることができる環境をつくることができます。また、代替する人にとっては、新しいチャレンジをすることができる可能性だって広がるわけです。

 非正規の方が、そこに対して、新しいスキルをつけながら働く、その視野を広げることだってできますし、会社としても、そのスキルを維持しながら、働き続けられる方々とスキルを向上しながらするということに至っては、最終的に税収でしっかり返ってくるんじゃないかなと。つまり、お金をかけた分、そのスキームを好転させることができれば、税収でしっかり返ってくるシステムが多分この育休の制度なんじゃないかなというふうに私は思うわけです。

 ここで西村大臣に、もしよかったら是非お答えいただきたいのが、この育休の代替任期付職員というもの、中小企業さんのやはり経営者の悩みというのは、マンパワーの補填をどのようにしていけばいいのか。これは人材マッチングの部分も確かに重要だと思うんですけれども、このできる可能性。今の現体制だけに限らず、中小企業の経営者の悩み、育休を取られる方の悩みをまず最大限に考えた上で、制度のある意味でいうと柔軟な変更、拡充というものをお願いしたいんですけれども、お答えいただけないでしょうか。

西村(康)国務大臣 先般も、こうした働き方改革、子育て支援に取り組む中小企業の皆さんを含めて、いろいろ意見交換をさせていただきました。そのときに非常に印象的だったのは、まさにこういう、育児休業が長く取れる、そういうことが今、会社を選ぶ際の大きなポイントになっておりまして、鶏か卵のように、仕組みを最初導入するときは、人手不足、マンパワーが足らなくて大変なんだけれども、やってみると、むしろ人が集まってくれる、採用は非常にしやすくなった、優秀な人材が応募してくれてというお話を伺いました。

 ですから、人が足らないから制度ができないんだということで、どちらかというと内向きの、縮小思考の考え方ではなくて、むしろ、思い切ってそうした制度を導入して、更に、国の求めている最低ラインよりもより働きやすい環境、休みの取りやすい環境、そういったことをつくるほど人が集まりやすいという、前向きなそうした取組が非常に重要だなということを改めて先般感じたところであります。

 そうした大きな方向性は、多くの企業、中小企業が悩みながらもそういった取組をしているということに非常に感銘を受けたわけでありますが、しかし、最初の段階ではそれは非常に苦労するわけでありますし、御指摘がありましたように、そうした育児休業、介護休業の取得促進とか、あるいは働き方改革も進めて、やはり多様な人材が働きやすい環境をつくっていくのが非常に重要だというふうに思います。

 制度面でいうと、私も、石川県庁に経産省から二年間出向した際に、昼休み、宿舎が近かったものですから、子供ができて、お昼、毎日、家に帰ってお風呂に入れるのが仕事というか生きがいでもあり、子育てを実践したわけですけれども、育児休業も、大分取りやすくなっているんですが、例えば時間単位とか半日単位とか、もう少しきめ細かく取れる仕組みとか、御指摘があったような、そんな柔軟な仕組みも考えていくことも大事かなというふうに思います。

 そういった提案、我々としても、いろいろな声を聞きながら、耳も傾けながら対応していきたいと思いますし、いざ人が少ないときに効率よく仕事をするためのIT導入補助金とか、自動化とか機械化、オンライン化、そういったことを是非、省人化など、進めていく仕組みでしっかりと支援もしていきたいというふうに思っておりますし、子育て支援や女性活躍推進に取り組む、そうした企業を加点をするような、そうした仕組みも私ども導入をしておりますので、是非そうした取組を進めていきたいと思います。

 さらに、セミナーとかマッチングなどで、より多様な人材、特に女性や高齢者、フルタイムは難しいけれどもこの時間なら働けるという方もおられると思いますので、そうした方々とのマッチングなども含めて進めていきたいと思いますし、今後、そういったこと全体のガイドラインなども考えていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、人手不足が今大きな課題になってきておりますので、その中でも、そうした柔軟な働き方、多様な働き方を認めるような方向性を是非後押しをしていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 中小企業さんの経営者の悩みというものをしっかり酌み取って、経産省さんだけじゃなくて厚労省さんとしっかりと意見を吸い上げながら、柔軟な制度に変えていくということが必要だと思います。

 もちろん、いろいろお話を伺うと、前はそんな制度はなかったんだから今はまだ恵まれているじゃないかというような御指摘もたくさんあるんですけれども、それは私、分かるんですが、今はもう時代が大きく変わっていますので、この時代とどう向き合うかがすごく重要なんだと思っています。

 私は、働き方改革は、単に人事問題ではなくて、経営問題だというふうな戦略にちゃんと立つ、経営戦略として働き方改革を見ていかなければいけないというふうに思っていますので、是非ともよろしくお願いいたします。

 また、さらに、この点で私自身が思っているのが、まさに今日、西村大臣が先ほどおっしゃってくださったんですが、国の事業や補助金あるいは支援金を募集した際の審査項目についてお伺いさせていただければというふうに思います。

 働き方改革を国の形にしていくならば、やはり、大切ですという言葉だけではなくて、しっかりとそういうふうに、やり切るぞというような国からの強力なメッセージが私は必要だというふうに思っています。その機運を高めていくことこそが、様々な行政官僚、そして行政省庁の皆さん方の手腕なんじゃないかなというふうに思っております。

 本日は国交省さんにもお伺いしたいというふうに思っているわけですけれども、国交省さんが、実は、令和四年六月、そして令和五年の一月から変わった、いわゆる経営事項審査というものがございます。この経営事項審査というものですけれども、いわゆる公共事業を受注する際にかかっていく審査、いわば統一的基準がこの審査項目ですが、女性活躍推進を認定する例えばえるぼし認定であったり、育休など子育てを支援するくるみんマーク、あるいは若者を支援するユースエール、様々なこういった取組について、それに取り組んでいるか否かをちゃんと指標化しているというところが大きな変化だったというふうに思っております。

 ここで国交省参考人さんに伺いたいと思うんですが、経営事項審査の項目に追加した意義とその期待について、簡潔にお答えいただければと思います。

笹川政府参考人 お答えいたします。

 建設業の経営事項審査でございますけれども、これは公共工事を直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査でございまして、経営状況、技術力、企業活動の実態等を客観的に評価するものでございます。

 議員御指摘のとおり、本年一月から、経営事項審査におきまして、ワーク・ライフ・バランスに関する認定制度であるえるぼし認定、くるみん認定、ユースエール認定の取得状況に応じまして加点評価をしております。

 こうした制度改正を通じまして、建設業界においてワーク・ライフ・バランスに関する取組が推進され、働き方改革が進むことを期待しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 やっと動いたというふうに思って、私、すごくうれしかったことがあったんですけれども、つまり、これがすごく大事だというふうに思います。

 経営事項審査というのは、本当に普遍的価値、国交省さんにとってはまさにそこを指しているわけですけれども、経産省さんの中に、確かにその評価項目があるのは私分かっているんですが、例えば一つ一つの補助金申請であったりいわゆる事業プロジェクトを、募集要項等々を見ていったときに、大きくそこがしっかり一つ一つの事業で書かれているかと言われると、是非見ていただきたいんですが、まだそこまでに至っていないというふうに思っています。是非、一つ一つのプロジェクトに落とし込んでいく、やり切るというその姿勢が私は大事だというふうに思っています。

 是非、西村大臣、この点、一つ一つのプロジェクトにもその思いを、部分を、息吹を吹きかけていくというその御決意、是非お願いできないでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、経産省において、先ほど御紹介のあったえるぼし認定とか、くるみんとか、あるいはユースエール、こうした認定を受けた企業に対して、いろいろな申請があったときに加点評価をする仕組みになっているんですけれども、御指摘のように、それがどこまで周知ができているかということ、あるいは、経産省全体でそういうふうな大きな方向性で取り組んでいるということを理解をしてもらいながら、是非、企業のそうした企業行動の中で働き方改革も進めながら、そのことがまさに成長につながっていく、先ほど申し上げたように、優秀な人材を確保しやすくなるというふうなことも含めて、そうした大きな方向性を是非後押しをしていきたいというふうに思っております。

 幾つか、生産性革命のものづくり補助金とか事業再構築補助金などで加点をしているんですけれども、これをもっと広げていくことができないか、全体として推し進めることができないか、それぞれの補助金の目的もありますから一律に全部というわけになかなかいかないかもしれませんけれども、是非そうした検討は更に進めていきたいと思いますし、働き改革と成長を両立していく、むしろ好循環の中でそれができるような仕組みとなるよう、経産省としてもしっかりと後押しをしていきたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 まさに、私はこれは好循環できるものだというふうに信じています。まさに、国の事業を一緒に、官民一体でやりたいならば、当然ながらそこはクリアしてきているよねというような、そういう多分機運を高めていくところが私はすごく重要だと思っています。当然、全てというところには、なかなか難しいところのハードルもあるのかもしれないですが、是非そこにチャレンジしていただきたいですし、そうでないと、やはり国の形はなかなか変わっていかないんだというふうに思います。

 働き方改革が大事だと言われてもう大分時間がたってきていますが、なかなか、そこに行けた企業と行けていない企業の差がだんだん広がってきてしまっているというのが今の実態だと思います。これを当たり前にしていくときには、やはり国一丸となって、経産省さんは国の国家プロジェクトをたくさん、多く持っているまさに巨大な省庁でございますので、その省庁が一丸となってやるというふうになっていけば、恐らく、もう国交省さんは既にされていますけれども、ほかの省庁さんにも広がり、それが民間でも一体となって進んでいくんだというふうに思いますので、是非ともお願いさせていただければと思っております。

 さて、続いて、後半戦に移りたいと思います。

 今度は、休眠基金について伺いたいというふうに思います。

 先日、新聞記事ですけれども、「十八基金、連続三年超「休眠」」という見出しの記事がありました。基金という形はあるんですけれども、特段の事業は既に行っておらず、管理費のみ支出しているというのがその実態だったというふうに私は認識しています。

 もちろん、事前のレク、伺っているんですけれども、事業は行っていないんですが、それは事業が一段落したということであって、その事業の継続の支援であったり、終わっていく際の様々な事務処理を行っていくというふうに説明をいただきました。

 このところですけれども、私、ちょっとやはり違和感を覚えるのが、確かに言われている趣旨は分かるんですけれども、元々民間にいたからなのか分からないんですけれども、同じ人がずっとやり続けた方がいいというのは多分ちょっと違うなと思うんですよね。

 なぜかといえば、多分、行政省庁の方々、行政職員さんも、恐らく二年や三年でどんどんどんどん人が移り変わっていくというふうに思いますので、人が移り変わることというのはそんなに難しくないというふうに思いますし、立ち上げるときにはパワーがかかるのはすごく分かるんです、やり遂げるときにもパワーがかかるのは分かるんですが、一段落したときというのは、やはり柔軟にその部署の体制というのは入れ替えていく、大きさを変化させていくということは当たり前なのかなというふうに思うわけです。

 ここで、是非、西村大臣に伺いたいんですが、事業が一段落した基金に関する事務局について、例えば統合して一括して管理する、例えば国庫返納準備室みたいな、分からないですけれども、そういう名前の部署をつくって一元的に管理していく、つまり、事務局、事務所の圧縮というのを図っていくというのを検討してもいいのではないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 基金事業につきましては、補助金交付が終了した後も、関係法令や交付規程に基づいて、事業者からの成果報告の受取であるとか、あるいは補助金で取得した財産の処分であるとか、あるいは不正受給が発覚した場合の対応など、様々な管理業務を行う必要があります。

 こうした管理業務は、基金事業の一環として、補助金交付を通じて得られた情報や知見を活用しながら対応する必要がありますので、やはりそれぞれの基金についての事務局の方々が引き継ぐのが適切であるというふうに考えているところであります。だから、事業の内容とかそのことを全然知らない人がやるよりかは、引き続き事務局の方が継続して行うのが適切ではないかというふうに考えているところです。

 なお、基金事業について、御指摘のように、管理事業について本当に無駄がないのかありますので、毎年の事業レビューも行っておりますし、不用な額があれば国庫返納をするということにしておりますので、令和三年度においては約五千三百三十億円返納しております。そして、令和五年度からは、全ての基金事業について毎年外部有識者のチェックを受けることにするということにしておりますので、御指摘の終了した後の管理も含めて、基金事業の適正な運営に努めてまいりたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 必要という話で言ってしまうと、多分、全部必要になってしまうというのがこの問題の難しさだなと思っていて。

 私も、不必要と言うつもりはないんです、必要だというふうに思っているんですが、やはり大切なのは価値を出し続けていくことですし、民間の会社ではよく当たり前に行っている部屋の増やし方、減らし方、力の入れ度合いの変え方というところを行政の中でもやはり、元々、前例踏襲の中で、機構とはこういうものだとか、基金とはこういうものだというのが多分あるのかもしれないんですが、是非ともそこら辺を柔軟に考えた上で、必要な措置というものを私は取るべきじゃないかなというふうに、ここは御指摘させていただければというふうに思います。

 最後になります。ALPS処理水についてでございます。

 こちら、残念ではあるんですけれども、先週の三月二十一日、プーチン大統領、そして習近平国家主席が会談した後に署名した包括的パートナー関係深化の共同声明というものがありまして、その中に処理水の海洋放出計画について深刻な懸念を表明したというふうに思っております。

 本日、外務省さんにもお越しいただいておりますが、それに対し、日本政府は現在どのように対応しようと考えているのか、お聞かせください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 中国、ロシア両国が、中ロ首脳会談後の共同声明におきまして、ALPS処理水の海洋放出について事実に反する言及を行ったことは大変遺憾であります。

 今回のALPS処理水の海洋放出に関する事実に基づかない発信につきましては、既に中国及びロシアに対しまして、しかるべく抗議を行っております。

 これまでも我が国は、ALPS処理水の取扱いに関する中国及びロシアによる事実に基づかない発信などに対しまして、科学的な根拠に基づき、しかるべく反論を行ってきております。

 国際会議の場において、中国やロシアなどから我が国の立場と相入れない発言が行われた際には、いずれも、しかるべく反論を行っております。

 ALPS処理水の海洋放出につきましては、これまでも、国際社会に対して、科学的根拠に基づき高い透明性を持って説明してきております。今後もしっかりとこれを継続してまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 福島のものを扱うとき、私もここの場で何度も何度も繰り返し申し上げていますが、堂々とやっていただきたいというふうに思っています。

 抗議を行っているというふうにおっしゃったと思うんですけれども、具体的にどういう抗議を行ったのか教えてください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的な内容につきましては、外交関係でございますので差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、事実に基づかない言及に対して、具体的に我々の立場について反論をしております。

馬場(雄)委員 どのように抗議したのかが分からないというのは、今この委員会の部屋で多分皆さんが思ったクエスチョンだというふうに思います。堂々とやっていただきたいんです。堂々とお願いします。真っ正面からしっかりとやっていただかないと伝わらないんです。

 具体的にどうやったのか、お願いします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、委員御指摘の中ロの共同声明に関して申し上げますと、中国につきましては、外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第二課長から在京中国大使館参事官代理に対しまして、ロシアにつきましては、外務省欧州局ロシア課長から在京ロシア大使館参事官に対しまして、我が国の立場についてしかるべく抗議をしております。

馬場(雄)委員 しかるべくというのがやはりよく分からないんですよね。しかるべくというのを具体的に教えてください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、中国、ロシアはこの共同声明の中で、事実に反する言及、汚染水といったような言葉を使っているというものでございますので、それに対しまして、それは違うということで、我々の立場についてしっかりとそれは伝えたということでございます。

馬場(雄)委員 しかるべき方法でと言ったので、しかるべき方法を教えてくださいとお伝えしたんですけれども、そこはやはり教えていただけないということでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、中国、ロシアに対しましては、これまでも何度も我々の立場について説明をしてきているというものでございます。我々の取組について説明を行ってきている、先ほど申しましたように、科学的、専門的見地から個別に対応してきており、そして、個別に、いかなる国に対しても対応する用意はありますよということであります。

 共同声明につきましては、先ほど申し上げたように、放射能汚染との表現を用いて一方的に懸念を表明した、これに対して抗議するというような形で来ております。

馬場(雄)委員 多分、もうこれ以上ここをお話ししてもしようがないと思いましたので、委員長、よかったら、個別具体的な、様々な、さっき言った、しかるべき方法といったところについて、是非、委員会のお取り計らいで、その資料を出していただけるようにお願いできませんでしょうか。

竹内委員長 後刻、理事会で協議します。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 繰り返しますが、堂々とお願いします。やってきたことはやってきたことなので、我々として、そこはやはりしっかりと伝えていかなければいけないというふうに思っています。

 声明では、日本は、近隣国や関心を持つ国、国際機関に透明性を持って接し、包括的な協議を行うべきというふうに記載があったというふうに思っています。

 私は、ここ経済産業委員会、そしてあるいは環境委員会でも、国際的な理解の醸成というのが極めて大切なのではないかというふうに思い、ずっとその思いで私は質問させていただいておりますけれども、そのたびに政府側の方々から言われるのが、IAEAには中国であったり当事国も含まれていますよ、だから、そこにちゃんと伝えていますよというふうに言われるんですが、これはずっといつも平行線なんですよね。それが逆に、好転できればいいんですけれども、結局、共同声明が出されてしまうほど悪化してきているというふうな状況なんだと私は認識しているわけですし、ここがすごい不安なんです。

 だからこそ、日本がIAEAに基づいた方法で堂々と行っているならば、なぜIAEAがロシアと中国に対して注意や警告がないんだろうかというふうに、すごく私は疑問に思うわけです。国際機関として日本から働きかけをお願いすることは私は当然だというふうに思っていますし、堂々とやるならば、日本政府だけで取り組むのではなくて、国際機関も巻き込んで、チームとして、我々はしっかりと透明にやってきたんじゃないのかというところを声を合わせて訴えていくということが、この段階では極めて重要です。

 少しでも間違えれば、風評被害がやはりもう一回出てきてしまいます。それは、出さなくてよかった風評被害です。分断を生まなくてよかった風評被害を自らつくり上げてしまいかねないというところは、私はやはり指摘させていただきたいですし、何としてでもここで食い止めなければいけないというふうな思いで今この場に立っています。

 是非、西村大臣、IAEA等に対して速やかに御対応をお願いしまして、例えばこの問題、共有して、どういうふうに解決していけばいいのかというところを、中国、ロシアに対する、共同声明に対する対処というものも具体的にIAEAにもお願いしていくことは日本の当然の権利だと思うんですが、是非働きかけをお願いできませんでしょうか。

西村(康)国務大臣 IAEAは、これまで何度もレビューに福島にも来てくれております。その際には、ロシアや中国の専門家も含めて来て、いろいろなレビューをしてくれております。

 その上で、今年前半には包括報告書を出す予定にしておりますので、この内容を我々からもしっかりと発信をしたいと思いますし、IAEAからも世界に向けて発信をしていただきたいというふうに思っております。

 連携して取り組みたいと思っております。

馬場(雄)委員 大臣、是非よろしくお願いいたします。

 今は多分報告書のお話でしたが、共同声明と報告書は多分違うと思います。共同声明は今リアルで起きていることですので、ここに対してリアルに対応していかなければいけないというのが私の問題意識です。

 一つ一つのこの今の方向性に、あるいは決断に確実に未来が懸かっていると私は思っていますので、是非、覚悟を持って対応をよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して質問いたします。

 ちなみに、時間の方ですが、先ほどのちょっと延びた分を私の方で調整させていただきます。

 それでは、私は韓国に対する輸出規制についてまずお伺いしたいんですけれども、二〇一九年七月に、半導体などの製造に必要なフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの三品目の対韓輸出規制を強化いたしました、日本が。翌八月には、輸出管理の優遇対象国、グループAから韓国を除外したということをしました。

 そうしたら、韓国も対抗措置ということで、まず、韓国、同年九月に日本の措置が不当だとしてWTOに提訴いたしまして、さらに、輸出手続を簡素化するホワイト国から日本を除外するということが起こりました。

 それが、この三月十六日からの、三日間にわたる日韓輸出管理政策対話が実施されて、韓国側の輸出管理の実効性が確認されたということで、韓国側が三月二十三日付でWTO申立てを取り下げて、日本側も三品目への特別一括包括の適用に必要な局長通達の改正を行い、双方の国カテゴリー、それぞれがホワイトに戻すことについては、改善に向けて対話を継続するというふうになったというふうに伺っております。

 これは、建前はともかくとして、どう見ても、時系列を見ますと、二〇一八年十月に韓国大法院が日本企業に強制徴用被害者への賠償を命じる判決を出したことを契機に規制がなされ、今般三月六日に韓国政府が解決法を提示したことによって解除に向かったと見るしかないんだと思うんですね。

 建前でおっしゃるように、本当にそんなに実質的なことをやっていますというんだったら、こんなに徴用工のいろいろなことと、最初も一致している、最後も一致しているというのはおかしいじゃないですか。幾ら何でもこれは、要は、徴用工対策でやられたんですねと思うんですけれども、経済産業大臣の御所見を伺います。

西村(康)国務大臣 御指摘の輸出管理の運用見直しについてでありますけれども、軍事転用の可能性のある貨物の貿易や技術の移転、これを適切に管理するための措置でありますので、労働者問題とは全く別のお話であります、問題であります。我が国として判断をしていくものであります。

 御指摘のフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの三品目については、当時も韓国側の輸出管理について非常に疑問があったものですから、それのことについて懸念があったということで、包括許可から個別許可にしたというのが当時の経緯であります。

 そして、今回、三月六日、韓国によるWTO紛争処理手続の中断を受けまして、要は、WTO手続の申請をしたものですから対話ができなかったわけですけれども、この手続の中断の発表を受けて、三月十四日から集中的に十六日にかけて政策対話を行いまして、そして双方の輸出管理制度、特に我々からすると、韓国側の輸出管理、運用状況、こうしたものはどうなっているのかということについて対話を行ったわけであります。

 その上で、経緯を簡潔に申し上げますが、三品目に関しては、個別許可を行ってきた中で、その都度きちんと輸出管理ができているという輸出の実績の積み上げがあったということ、それから、三品目についてこの政策対話の中で入念に韓国側の輸出管理の体制、運用などを検証した結果、その取組、実効性の改善が見られたということ、さらに、三月二十三日付でWTO事務局に対して韓国から、日本の輸出管理に関するWTO紛争手続を取り下げるという旨の正式の通知がなされたということがありましたので、これらを踏まえて、我が国の判断として、この三品目につきましては、二十三日に運用見直しに係る通達改正を行ったということであります。

 したがいまして、韓国側の体制の整備などをしっかりと確認をしながら、我が国の判断として見直しを行ったということであります。

米山委員 今の御答弁の中でちょっと御確認させていただきたいんですけれども、WTOに提訴されたから一切対話ができなかったというお話だったんですが、ああ、そういうものなんですかというところがあって、それがもし本当だとすると、WTOに提訴されたら、もう一切合切、何の対話もできなくて、一切合切、相手の体制も確認できない、そんなことありますかね。だって、そんなことをしたら、提訴しちゃったら、もう全然交渉なんかできなくて、ひたすらやれという話になっちゃうと思うんですが。

 WTOはWTOで、そこで紛争しているわけですから、さすがに公式にいろいろなことはできないにしたって、事務レベルでいろいろなことを確認することだって、特に通関体制の確認なんということは幾らでもできると思うんですけれども、それはしなかったんでしょうかね。もうWTOをやっているから、全然我々は韓国にそういうことを確認することはしないということをずっとされてきたということでよろしいんですか。

猪狩政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国との間では、二〇一九年七月に輸出管理の運用の見直しを行って以降、韓国側がWTOの提訴の手続を進めるということでございまして、韓国との対話ができない状態が続いておりましたが、韓国側が三月の六日に輸出管理、WTOの提訴の手続の中断を発表した。

 二〇一九年十一月にも、韓国が一度WTOの手続を中断するということで、日本との間で対話を再開するということがございましたので、その後、二〇一九年十二月と二〇二〇年の三月に韓国との間で政策対話を開催しました。

 ただ、その後、韓国が再度WTOの手続を再開するということでございましたので、当局間での対応ができなくなったということで判断して、これまでに至っているというところでございます。

米山委員 今の御説明ですと、要するに、韓国側が一切合切の対話を拒んでいたからしようがなかった、そういうことでよろしいですか。

猪狩政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国との間では、日本側としても、政策対話の中で、日韓の懸案事項について対話を通じて解決していくという話を二〇二〇年の三月の政策対話においても確認をして、その旨、プレスリリースにもしておりましたが、その後、韓国が対話というプロセスではなくてWTOの手続ということを選択したことにより対話が継続できなくなった、そういう経緯がございました。

米山委員 これはもうこれ以上は押し問答しないんですけれども、非常に歯切れの悪い答弁で、恐らくなんですけれども、それはこっちも対話を求めなかったんじゃないですかとしか見れないわけなんです。結局のところ、それは、本当に単に手続上の問題であるなら、お互いに対話で確認すればいいわけなので、背景にあったのは、それはどこからどう見たって、政治的な問題だったんじゃないんですかねとしか見えないということは御指摘させていただきます。

 ちなみに、この規制によって、この規制、二〇一九年八月から二〇二三年三月まで二年半余り続いたわけなんですけれども、この間、日本のフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの韓国への輸出はどのようになったでしょうか。

猪狩政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問のございました半導体関連の三品目につきまして、一部品目で韓国への輸出量が従前より減少したものもございますが、日本企業は引き続きこの三品目について高い国際競争力を有しているというふうに認識してございます。

米山委員 韓国への輸出、一部、何がどのぐらい減ったか、お答えいただけますか。

猪狩政府参考人 お答え申し上げます。

 今のフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの三品目につきまして、貿易統計上、それぞれに直接対応する統計品目番号というものが設定されてございません。ということでございまして、個別にお答えするのは非常に難しいところではございますが、ただ、一例として、貿易統計上、フッ化水素につきましては、韓国向けの輸出量、これが、二〇一九年に一万九千七百九十四トンであったものが、二〇二二年には六千七百六十四トンになってございます。

 このフッ化水素につきましても、外為法で規制されている対象と税関の方で取っている統計品目が必ずしも同じものではございませんが、一例としてこういう数字の推移がございました。

米山委員 まずもって、統計上にないからとか言いますけれども、フッ化水素やフッ化ポリイミドやレジストの、正直、事実上の輸出規制をかけたのは、それは、あちこちの企業で幾らでも作っていたら、そんなことをしたって意味ないわけですよ。それは、かなり特定の企業が、しかも結構なシェアを占めているから意味があるわけなので。それは、そもそもこの規制をかけた時点で、その後どうなるのか調べておくべきだと思うんですよ。調べておいて、こういうことに対してちゃんと答えられるべきだと思うので、それは、本当にやっていないんでしたら、それ自体問題だと思います。やはり、それはちゃんと数値を持っておくべきでしょうということを言わせていただきます。

 しかも、結局これは、韓国に減った分はほかの分で増えたとかということなのかもしれませんけれども、正直、日本企業にとってだって随分マイナスであったわけですよね、随分マイナスであったわけです。

 かつ、ちょっと遡ってお伺いしたいんですけれども、結局、確認したら大丈夫だったということは、これはちょっと通告から外れますが、更問いの中で許していただいて。遡っていろいろ確認したら大丈夫だったということですから、結局、この規制を厳しくしたけれども、特段、韓国から何か問題になるような第三国への輸出は確認されなかったということでよろしいですか。

猪狩政府参考人 お答え申し上げます。

 今年の三月十四日から十六日の間、韓国との間で政策対話ということで、局長級、私が日本側の代表として韓国側と対話を行いました。その中で、十三時間かけまして、韓国側の制度の改善、韓国は、二〇一九年七月当時は彼らの政府の中で輸出管理の担当部局が十名前後の体制であった、それが、二〇二〇年五月には三十名の体制になったと。このようなことも含めて、韓国側の体制が従前から改善されたということを一つ一つ確認したところでございます。

 その中で、日本側として、韓国側の輸出管理の制度、体制、運用、少なくともこの三品目につきましては従前より改善されたということを評価した上で今回の見直しを行ったというところでございます。

米山委員 そうすると、今度は、質問にはお答えいただけなかったんですけれども、要は、何か違反事例があったとか、第三国へ何か不当な輸出がされたとかということは、そもそも確認すらしていなくて、全然そちらは何の確認もしていなくて、単に韓国の体制が十名から三十名になったから、ああよかった、そういう話なわけですよね。だったら、そこまで、こんなことをする必要はあったんですか。それなら、三十人に増やしてくださいよと言えばよかったんじゃないですかと思うんですが、そこは。

 じゃ、次の質問に移らさせていただきます。この間、韓国の半導体生産はどのようになりましたでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 韓国の半導体生産の具体の生産実績の数値、これは非公表データで、我々も把握はできません。ただ、工場の供給の能力については、公表している資料で分かる部分はあります。それを踏まえれば、世界的に半導体需要が拡大傾向にあって、韓国の半導体の供給能力も二〇一八年から二二年にかけては増加したということは明確ではないかというふうに認識をしております。

米山委員 そうだと思うんです。

 ちなみに、WTO提訴、韓国は取り下げてくれましたけれども、これは負ける可能性はあったのか、御所見を伺います。

柏原政府参考人 仮定の御質問にお答えすることは差し控えさせていただきたく存じます。

 なお、日本が二〇一九年七月に公表した韓国向け輸出管理の運用見直しは、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から行ったものでございまして、WTO協定にも整合的なものと考えております。

米山委員 これは幾ら聞いたって、きっとそう言われるんでしょうけれども、そもそも韓国だって、全く勝つ可能性がないようなことはしないわけですから、それは負ける可能性はあったんだと思いますよ。

 私も一応弁護士をやっているので、あらゆる裁判というものは負ける可能性があるというか、誰に当たるか分からない。結局、幾らこちらが自分は正しいと思っていたって、人がそう思ってくれるかどうかは別ですから。かつ、絶対確実に、何があっても負けるようなことは人は裁判にしないので、裁判になるという時点で既にそれは負ける確率があるということではあるんですよね。

 結局、これを全部見て、解決したからよかったなではあるんですけれども、正直、日本として、日本の評価を下げただけじゃないんですかね。結局のところ、変わったのは、単に韓国が体制を三十人に増やしただけ。輸出が減って損をしたのは日本企業。韓国は全然、半導体生産も特段の影響もございませんでした。日本は、皆さんは、これは正当な行為だ、正当な行為だと言いますけれども、誰がどう見たって、単に政治的な問題に絡めてこれを使ったわけですよ。そういうことをする国だと思われただけではないのかと私は言わざるを得ません。

 是非、西村大臣には、建前としてそうじゃないと絶対言われるんだから、何を聞いたって余り意味がないんでしょうけれども、やはり、こういう手を使う国もたくさんありますけれども、日本はもっと正々堂々とやってほしいなと思うんです。韓国との徴用工問題なんて、私は韓国の言っていることに分はないと思いますよ。でも、それはそれで、そう言えばいいのであって、正直、関係ないこういったことをやられると、日本だっておかしいじゃないかという話に私はなってしまうと思うので、そこは是非、それこそ堂々と、我々の主張は堂々と言えばいいのであって、こういう方法を使ってはほしくないということを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、GX移行債についてお伺いします。

 まず、このGX移行債で、次世代革新炉の開発に力点が置かれている、私は見る限り思います。それは恐らくそうだと思います。この中で最も現実的といいますか、実際に作製されそうなのがいわゆる革新軽水炉というものなんですけれども、さらに、この中で、主力企業の一つである三菱重工の設計コンセプトというのが資料で出ております。公表されている資料でございます。

 お手元の資料を御覧ください。一ページから七ページぐらいまであるわけなんですが、これを見ますと、どこをどう見ても単なる軽水炉なんです。どこも革新的なものはない。どこも次世代だとは思えない。ただし、安全装置はやたらいっぱいついている。

 要するに、現在の日本の原発というのは、造った後でいろいろ新しい適合性基準ができたわけですから、それに合わせて後から後からどんどん安全装置をつけたのを、最初からつけていますという以上のものだとは思えないんですけれども、一体、何でこれを次世代革新炉と呼んでいるのか、その御理由をお伺いします。

西村(康)国務大臣 委員、資料を出されておりまして、それぞれのページに書いてありますけれども、私自身も現場の状況などを視察をしてまいりました。

 まさに革新軽水炉と呼ばれるものでありますけれども、耐震性を向上させるための半地下構造、これは二ページのところにもありますし、万が一の炉心の溶融した場合の自然冷却させるコアキャッチャーとか、あるいは電力が失われても燃料冷却が可能な受動的な安全システムであるとか、あるいは万が一のときの放射性ガスを分離、貯留する機能であるとか、まさにここに御説明がある、資料にあるような新たな安全メカニズムが盛り込まれる設計、これを全体として盛り込んでいる設計になっているという点であります。

 海外では、こうしたものの一部が先駆的に導入されているものもありますけれども、開発中の革新軽水炉と呼ばれるもの、こうした海外の事例なども見ながら、安全メカニズムをより先進的で、幅広い事象に適用されるものとすべく、技術的な検討を更に進めているものというふうに承知をしています。

米山委員 そう答えられるんだろうなとは思うんですけれども。

 ちなみに、うちの母は非常に高齢で、運転は余り上手じゃないんですけれども、軽自動車に乗っているんですけれども、今の軽自動車はすごいんです。まず、うちの母はバックにするときによく当てたのが、ミラーがついていて、線が入っているから、バックで当てなくなった。縦列駐車も簡単になった。しかも、ブレーキセーフティーがある、ブレーキもついている。だから、ちまちました事故、あっちにぶつけ、こっちにぶつけしながらが一切なくなった。キーも、ボタンを押せばいいようになった。確かに軽自動車は非常に進んだんですけれども、これは単に安全装置がついているだけで、これを次世代革新軽自動車とは言わないわけなんですよ。

 何を言いたいかというと、それは単なるネーミングの問題だと言うのかもしれないんですけれども、ちょっとやはりこれはイメージとして余りにも間違っておる。

 安全装置がたくさんついていることはもちろん認めます。確かに、うちの母がコツコツぶつけたような事故がなくなるのと同じように、恐らく、これを使えば、それこそ、原発は結構ちまちました事故もありますから、事故というか、ちまちましたものがありますから、そういうものが減ったりはするんでしょうね。でも、それをまるで全く違うものかのように言って、しかも、それに対して非常に多額の国費の投資をすることを正当化するというのは、それはちょっと看板に偽りありが過ぎるのではないかなということを指摘させていただきたいと思います。

 次に、その次のページの方に行きますと、さらに、経産省の二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の資料とかというのがありまして、こちらには小型軽水炉というものが検討されています。SMRと言われているものですね。これは恐らくアメリカのニュースケール社のようなものが想定されているんだと思います。

 こちらの小型軽水炉、これもGX移行債での投資の対象となりますでしょうか。

西村(康)国務大臣 GX移行債につきましては、まさに排出削減のみならず、経済成長、競争力強化についても重要な要件としておりまして、民間企業のみではなかなか投資判断が真に困難であるとか、あるいは事業革新性、技術革新性があるものといった要件を満たすものについて対象になり得るものということであります。

 ちなみに、原子力関係につきましては、この四月から始まる初年度におきまして一・六兆円規模の発行を予定しておりますけれども、原子力関係でいいますと、高速炉、高温ガス炉の実証炉の研究開発に関する予算として百二十三億円を計上しているところでありまして、これについては着実に進めていきたいというふうに考えております。

 現時点で何かそれ以外の原子力についてはありませんけれども、今後、それぞれの時点で、技術開発の動向なども見ながら、世界のグローバルな動向、こうしたものを踏まえて、進捗を見ながら必要な対応を考えていきたいというふうに思います。

米山委員 この資料、経産省の二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略というので出されているわけなので、しかも、その中で、「米国・カナダ等で二〇三〇年頃までに実用化」「日本企業が海外実証プロジェクトに参画」とかと書いてあるわけですから、私が勝手に書いたものじゃないですからね、経済産業省が出したものですから、普通に考えると対象になるんだろうなと思われるわけです。

 ところが、小型炉というのは一体何なんだという話をしますと、それは単に小型なわけですよ、単に小型。これも別に何かすごい革新的じゃなくて、だって、原子力潜水艦とかにあるのは小型なわけですから。そもそも、炉というのはちっちゃいところから造って、だんだんだんだん効率性を求めて大きくなってきたわけなので、別にこれも新しい技術じゃない。単に大量生産ができるというぐらいなものなわけです。

 しかも、普通に考えて、効率性を求めて大型化したわけですから、小型にすると効率性は落ちるわけなんですよね。当然、落ちます。

 さらに、小型だといろいろなところに置けます、大型よりは置きやすいですというのがある種売り文句なんですけれども、日本の置き場所というのは、もはや既存の原発の敷地内以外はちょっとあり得ないと思うんですよね。まさか、東京のど真ん中にどこか置きますか、お台場に造りますかということは、それはなかなかあり得ないことだと思うんです。

 しかも、経産省の資料自体でもあるように、こういうのは大体、本当に開発しようと思ったら実証実験が物すごく大事で、でも、日本ではそもそもが実証実験する場所すらないだろうということだと思うんです。逆に、アメリカみたいなところは実証実験をどんどんできる、だから進むということもあるんだと思うんですよね。

 要は、SMRとかというのは割にもてはやされがちなんですけれども、実は、先ほど出された次世代革新炉と呼ばれている名の、従来の大型、従来の原子炉に安全装置をつけたものとは、まず、制度設計といいますか、思想としては真逆ということだと思うんです。

 全く決まっていないということなので、これ以上質問したってしようがないんでしょうけれども、でも、そうはいったって、経産省のところに書いてあるわけですから、やる気もあるのかもしれないなと思うんですけれども、やはり、ひたすらはやっているものに何でもかんでも投資すればいいというものじゃなくて、日本企業が一番得意なところで、日本にとって一番あり得るというところにそこは集中していただきたいなということを御指摘させていただきたいと思います。

 ちなみに、今ほどお話がありました一・六兆円のうちの一体幾らが高速、ガス炉になるのか、また、一体幾らが次世代革新炉に使われるのか、よく分からないんですけれども、二十兆円のうちの一体どのぐらいの部分が原子力に充てられるというふうに、原発の開発に充てられるということになっているのか。決まっていないと言われるのかもしれませんけれども、本当のところはそんな決まっていないわけはないと思うので、その概算がお分かりでしたらお答えください。

西村(康)国務大臣 まず、初年度について、先ほど申し上げましたように、高速炉と高温ガス炉でそれぞれ、高速炉の実証炉開発に七十六億円、高温ガス炉で四十八億円で、合計百二十三億円を計上しているところであります。

 その後につきましては、これも技術開発の動向がどういうふうになっていくのかということで、今の時点で何か決めているわけではございませんので、それぞれの時点で進捗状況を、まさに技術開発の進捗あるいはグローバルな動向、こうしたものを踏まえて、また専門家の意見も聞きながら、その年その年のまた予算編成の中で検討を進めていくということにしております。

米山委員 これも結構矛盾した話でして、もちろん、技術開発ですから確かに柔軟にしなきゃいけないんですけれども、同時に、原子炉の、それこそ次世代革新原子炉なんというものの開発をしたいんだったら、それは、相当長期に一定程度この額行きますよと言われないと、開発する方だって、それはむちゃを言ってくれるなという話だと思うんですよ。人員だって要るし、施設だって要るし、そんな簡単にもう来年は切れるかもしれませんとか言っていたら、そんな大型の炉なんて試してみようがないわけなんです。

 なので、本来ならやはりここはもう既に一定程度決まっていないと、大型炉とかの人たちは困っちゃうと思うんですよね。だから、そこは柔軟な、相矛盾するんでしょうけれども、投資とはそういうものでしょうから、柔軟でありつつ、しかし、一定程度はこうなるということをちゃんと示していくということをされないと、やはりそれこそ無駄な投資になっちゃうのではないですかということを申し上げさせていただきたいと思います。

 また、GX移行債全体についてですけれども、大まかに出ている制度設計はぼやっとしているのでよく分からないんですけれども、二〇二三年から三三年の十年間で二十兆円を使って、二〇三〇年から五〇年の、これは二十年間ですよね、二十年間で償還する。そうしたら、大体毎年一兆円ずつぐらい償還する、そういう趣旨なんですかねというふうに思っております。

 ところで、じゃ、これは一体どのぐらいの利率で出して、何年債ぐらいを出す気なんですか。余り、皆さん、利率のことを考えていないんですけれども、一%の利率で十年間というのをやりますと、二兆円ずつ出して十年後に償還するのは、それは二千億円の負担が生じるわけなんです。何かもう、成長するからいいやみたいな話になっていると思うんですけれども、結構これは、今年に出して五〇年までで償還していくということだと、三十年間分ぐらいの利息を払わなきゃいけない。しかも、利息を払うときというのは日本の人口は減少しているんですけれども、大体、それは重い重い負担となって次世代にのしかかるわけなんですよ。

 それは一体全体どのぐらいの利率で、どのぐらいの期間で償還しようと思っているのか、その概算を教えてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の成長志向型カーボンプライシング構想では、新たにGX経済移行債を創設いたしまして、二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うとともに、規制、制度的措置を一体的に講ずることで、百五十兆円を超える大規模のGX投資を実現していく考えでございます。

 お尋ねのGX経済移行債につきましては、御指摘のように、令和五年度から十年間にわたり、二十兆円規模のGX経済移行債を発行いたしまして、二〇五〇年度までに償還を終えるということにいたしております。

 その発行方法につきましては、これまでの建設国債や特例国債等の国債と同様に同一の金融商品として発行する統合発行に限らず、国際機関が定める基準への準拠について第三者認証を取得し、新たな金融商品として発行する個別銘柄発行も目指して検討しているところでございます。

 その上で、償還年限を含めた詳細の設計につきましては、市場環境や市場関係者の意見等も踏まえて決定していく必要があるものと認識しており、財政当局ともよく連携して、検討してまいりたいと考えております。

 ちなみに、他国の事例を見ますと、通常の国債と大きく変わらない利率で発行されている例がある、このように承知をしているところでございます。

米山委員 先ほど来から、結局、これはGX全部そうなんですよ。投資先、分かりませんと。超大型投資をするのに、いやいや、毎年毎年決めます、全然分かりません、超大型の資金調達をするのに、いやいや、毎年毎年決めます、全然分かりません、こういうことをおっしゃられているわけなんです。

 でも、先ほど私が言ったSMRみたいに、SMRとか、私、決まっていないそうですけれども、もしやったらそれは失敗する可能性が随分高いんじゃないのかなと思いますし、実際問題、経済産業省が今までやったことといえば、クールジャパンしかり、JDIしかり、ひたすら死屍累々というのが本当のところだと思うんです。

 そうすると、GX移行債はまるですばらしいことかのように言いますけれども、何の計画性もない、投資先も分からない、調達の仕方も分からない。二十兆円の先行投資に失敗したら、国民は何も得ることがないのに、人口が減った状態で、しかも、これから利率は恐らく上がるわけですから、何%かの利払いに苦しむことになるわけなんです。

 しかも、それを運用するのに、一体全体、誰がちゃんと統合するんですか。だって、話としては、事前のレクでそうじゃないと言われましたけれども、超大型投資銀行をつくりますみたいな話に近く見えるわけですよ。そうじゃなくて、GX推進機構は全然、各省庁の事務機関で、単に資金を集めるだけで、配るだけですみたいなことなのかもしれないんですけれども、それに関してはまた真っ当な制度設計がない。

 そうすると、一体全体、これ、本当に動くんですか、本当に皆さんが言っているようにできるんですかと思うんですけれども、一体全体、GX推進機構なのか、若しくは全体の統括というのか、どのような人員で、どのような規模感で、誰がどう司令塔になるのか、概略で結構ですので教えてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 GX推進法案に基づき設立を予定しておりますGX推進機構につきましては、主として、カーボンプライシングの徴収ですとか排出量取引制度の運営を担うものでございます。

 これらの業務に加えまして、官民で百五十兆円を超えるGX投資を引き出すための金融支援業務を実施いたしますが、これは、企業が行うGX投資に対する民間金融機関の資金提供に対して、リスク補完の観点から、債務保証等を実施するものでございます。

 また、GX推進機構の体制、人員、予算規模につきましては、現時点で未定でございますけれども、GX機構に拠出される資金につきましては、国会の議決を経た予算で措置をされるということになります。

 また、機構運営における重要事項につきましては、運営委員会を設置することとしておりまして、この委員会の委員につきましては、GXに資する事業、金融、法律又は会計に関して専門的な知識と経験を有する者を任命することといたしております。

 機構の運営におきましては、組織として効率的、効果的なマネジメントを行う観点から、民間の創意工夫が生かされる形とすべきことは重要であると考えておりまして、適切な組織づくりに努めてまいりたい、このように考えております。

米山委員 今ほど、またよく分からない御回答をされているわけなんですけれども。もしそうだったら、別にこれ、単に普通に国債を発行して、普通の予算内で、普通にそれぞれの案件をやればいいんじゃないですかと思うわけなんです。だって、GXといいますけれども、住宅の省エネと大型炉の開発とかって、まるっきり別な話なんですよね。ほとんど共通点はないと言っていいぐらいなんだと思います。

 そういったものを、何か無理やりまとめて、無理やりGX推進機構にして、何かやっている感を出して。でも、GXの名の下に、何かいきなり、各案件も決まっていないのに、だってそうでしょう、先ほど来幾ら聞いたって、各案件、投資案件も決まっていないのに、なぜか十年間で二十兆円だけ決まっている。何でですかという話だと思うんですよ。それぞれの、これとこれとこれが要るから二十兆円ちゃんと調達します、それなら分かるんですけれども、やることは毎年毎年決めます、案件も決まっていません、なのに二十兆円だけ決まっていますというのは、それは極めておかしい。

 しかも、そんなふうにして二十兆円とやったら、それは無駄な投資が山のように出てきますから、またぞろ死屍累々、またぞろあちらこちらで、何か取りあえず二十兆円使っちゃえという話になるんだと思うんですよ。それで、失敗する。それは結局、国民の負担になるということですから。

 これ、本当のところ、別にGX移行債はいいのかもしれませんよ、でも、こんなわざわざ二十兆円なんということを決めずに、だって、そもそも決める必要もないじゃないですか、投資案件、決まっていないんだから。そんなことを決めずに、単に毎年毎年ちゃんと各省庁で投資案件を決めて、それに合わせて調達したらいいんじゃないかと思うんですけれども、経済産業大臣の御所見を伺います。

西村(康)国務大臣 二〇三〇年温室効果ガス四六%削減、あるいは二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して、様々な技術開発を進めながら再エネ、そして、我々、原子力も活用しながらと思っておりますけれども、そうした大きな、いわば中長期的な、大きな方向性を共有しながら予見可能性を持って取り組んでいくために、御指摘があります二十兆円規模の投資の支援、それから全体で百五十兆円規模、これは、工程表の中で大枠は示しております。鉄鋼のまさに水素還元の方法であるとか、水素、アンモニアであるとか、様々な取組の方向性、技術開発の方向性などを示しているところであります。

 そして、二十兆円についても、非化石エネルギーの推進ということで、原子力、水素、アンモニア、再エネ、こうしたもので六兆円から八兆円の投資支援をしていくということで、大きな枠は、大体の枠は示しているところであります。こうしたものも踏まえて、民間の企業側も予見可能性を持って取り組んでいただくということがまず大きな目的であります。

 その上で、このカーボンプライシングを導入することで、早く取り組んだ企業ほど負担が低いということになりますから、これで更に加速してカーボンニュートラルを目指していくということになります。

 そして、その中身については、今申し上げましたような大きな方向性についてはお示しをしているところでありますけれども、技術の不透明性が高く、リスクのあるそうした革新的技術開発を進めていくということ、そして、外部の専門家の目も入れてしっかりと実行していきたいと思いますし、関係省庁と連携しながら、何か経産省が勝手にやるとか、あるいはGX推進機構が何か勝手にやるということではなくて、まさに効果の高い施策について、専門家の目も入れながら技術開発に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 ちなみに、推進機構が何かそうした中身を決めていくということではなくて、公平な立場で、そうした排出量取引の市場であるとか、そうしたことをしっかり見ていくということでありますので、是非御理解をいただければというふうに思います。

米山委員 もう押し問答になるからこれはいいんですけれども、それなら本当に二十兆円なんて決める意味ないんですよ。そうやって、毎年毎年、各省庁で専門家の言うことを聞いて、必要なものを調達したらいいんです。二十兆円なんて最初に決めて、じゃ、それを使わなくちゃになったら、無駄な投資が出るんですと言っているわけです。

 なので、投資としてやるんだったらもうちょっと冷徹であるべきというんですか、最初から額なんか決めずに、本当に必要なら必要で、必要でなくなったらさっさと切るという決断をしなきゃいけないわけです。逆に、福祉政策みたいな、若しくは産業政策としてやるんだったら、それはもう最初から決めて、これだけやるぞとやらなきゃいけないんですよ。

 GX移行債って、投資なのか産業政策なのか、非常に中途半端で、こういうことをやるから日本のプロジェクトは失敗するんじゃないですかねということを、また繰り返さないことを日本国民として切に祈りますよといいますか、そのたびごとに問題点は苦言を呈させていただきますということをお伝えさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。

 時間がないので次の質問は中途半端に終わると思うんですが、でも、またほかのところでも聞きますので、お伺いします。

 原子炉の使用年数を、現在の原則四十年、最長六十年とする現在の原子炉等規制法から削除して、経済産業省が所轄する電気事業法に移して、停止期間分を加算して六十年を超えて運転できるようにする改正案について御質問いたします。

 この改正の中身の当否はまずおいておいたとして、何でこの法律、別に原子炉等規制法でいいじゃないですか。何でわざわざ、原子炉等規制法第四十三条の三の三十二の改正ではなくて、これをわざわざ削除して、電気事業法二十七条二十九の二に移したのか、その理由をお伺いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、提出している法案がございますけれども、この措置というものは、資源価格の高騰、ウクライナ侵攻等のエネルギー情勢の一変した状況の中で、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立ということを進める中で、原子力を含むあらゆる選択肢を追求するためのものでございます。

 今般の措置は利用政策の立場からこれを行うものでございますが、その前提といたしまして、令和二年七月の原子力規制委員会の見解を踏まえたものでございまして、現行の原子炉等規制法における運転期間に関する規定を、利用と規制の観点から峻別して、電気事業法と原子炉等規制法の二つに再整理するものでございます。

 すなわち、安全規制に関しましては原子炉等規制法の審査で行う、これを通るものでなければ運転することはできないわけでございます。その大前提の上で、合格した、審査を通った原子炉をどこまで使うのかという利用政策に関しては、利用政策としての事業法である電気事業法の中で規定しているものでございます。

 具体的には、複数の案を比較検討いたしました。安全規制審査を通っている以上、利用政策からの運転期間の規制というのは要らないのではないかという議論もあるわけでございますけれども、一方で、立地地域からの不安の声など、様々な御意見を総合的に勘案し、実質的な運転期間を六十年という上限は維持しつつ、震災以降の法制度の変更など、事業者から見て他律的な要素によって停止した期間に限り、六十年の運転期間のカウントから除外するということを認めるという、利用の立場からの政策判断を政府として行ったものでございます。

米山委員 ちょっと時間が過ぎていましたけれども、党内で調整させていただきます。済みません。

 今、ちょっと、なかなか、ほほうという御答弁があったんですけれども、今ほど、何か、使用年数の制限は要らないんじゃないかという議論があった、そうおっしゃられたということですよね。これは驚くべき御主張だと思うんですけれども。検査するから大丈夫、だから、使用年数は期限は要らないと言うかと思うんですけれども。

 ちなみに、ちょっと自分の話で恐縮なんですが、私は、車、長く乗るタイプなんです。前の車、三十年間乗りました。三十年乗るとどうなるかというと、最後の方は、車検を通しても通してもすぐ故障するんです。車検をちゃんと通して検査しているはずなのに、あっちで故障、こっちで故障。要するに、物というのは全て経年劣化するから、故障箇所を全部調べ切れなくなるんですよね。だから、三十年で、これはどんなに通しても無理だ、あらゆる故障箇所を検査するのは無理だと思って諦めました。三十年もつき合ったから随分愛着がありましたけれども。

 原子炉だって同じだと思うんです。それは、脆化があって、もちろん中性子は脆化するし、中性子が脆化しなくたって、そもそもあらゆるものは酸化するわけですよ。世の中、酸素がありますから。酸素があって、あらゆるものは経年劣化するんです。それを極論するなら、百年でも千年でもたっても、原子力規制委員会が検査さえすれば、あらゆるところを何か問題があれば全部チェックできるんだ、それを全部埋められるんだというのは、それは新たな審査神話ですよ、新たな安全神話です。そういうことをやったら、また事故が起こるんだと思います。

 ですので、利用年限が要らないということも考えられたということに関して、それはもう一度、むしろ西村大臣にその御見解を伺います。利用年限は要らないというのは、通産省の見解ということでよろしいですか。

西村(康)国務大臣 今回の法案には、四十年、そして二十年の延長、プラス止まっていた期間ですね、これは、他律的な要因で、新しい規制に対応するためとか、その部分については延長を申請することの可能性があるということの法案であります。ですから、我々、利用期間について制限がないということは言っておりません。

 途中段階で様々な議論がある中でそんな議論もあったということで、これは、米国、英国、フランス、オランダ、こういったところではその上限は定められておりませんので、そうした諸外国の例についても議論があったということでありますが、私どもは、四十年、二十年と、他律的な要因で止まっていた新しい基準に対応するための期間であるとか、そういったものの範囲で申請ができるということであります。

 御指摘のように、規制委員会が、これは世界で最も厳しい基準だということで規制委員会自身も発言がこれまでもありますけれども、三十年、そして十年ごとにそうした最も厳しい基準で審査を受けますので、これは、車の車検と私は同一視はできない。安全性について物すごく様々な視点から厳しい審査を受けて、そして、それに合格した、認可を受けたものだけが稼働ができるということになりますので、いずれにしても、長くやりたいと思っても、これは、四十年、二十年、プラスアルファやりたいと思っても、規制委員会が十年ごとに見る中で駄目だと言われると、もうこれは運転できませんので、是非御理解をいただければと思います。

米山委員 もちろん、法律がそうなっているのは存じ上げているんです。これで終わりにしますけれども、でも、そこは重要なので是非確認したいといいますか。制度設計といいますか、制度哲学だと思うんですけれども。

 先ほどの政府参考人の御答弁も今の西村大臣の御答弁も、話としては、それはもうずっとできるんだ、ずっと原子炉というものは動かすことができて、もし何か劣化している部分があったら、それは必ず原子力規制委員会が審査で確認できて、だから、適合性審査基準にちゃんと適合さえすれば、要は、原子力規制委員会が審査して大丈夫でありさえすれば百年でも千年でもできるんだ、期限を決めているのは、それは皆さんが不安だからだ、そういう御答弁をされた。

 それは、今笑いが出ましたけれども、哲学ですから、やはり基本的に、どういう設計、どういう哲学を持って制度設計するか。それはやはり時間がたったら検査し切れないと思っているのか、それとも、どんなに時間がたっても検査できる、どんなに時間がたっても、検査することによって、車検とは違う、俺たち原子力規制委員会はすごく賢いから、ありとあらゆる劣化を全部調査できて、それは全部大丈夫なんだという哲学の下に制度設計するかは非常に重要なので、どちらかお答えいただきたい。

 それは、幾ら年限がたっても、原子力規制委員会が検査すれば大丈夫だという思想の下に制度設計されているんですね。

西村(康)国務大臣 私ども、四十年が基本であり、二十年の延長があるというこれまでの基本的な枠組みは維持をしております。それに加えて、新基準に対応するための期間であるとか、その期間、止まっていた期間については申請ができるということですから、何も百年も千年もできるという仕組みにはなっておりません。四十年、二十年の枠組みを維持した上での法案でありますので、これは御理解いただいていると思いますけれども。

 その上で、これは、我々、利用者側、事業者であり、振興する立場の経産省がこういう整理をした上で、炉規法においては規制委員会が三十年で、そして十年ごとに厳しい審査をされるということでありますし、御指摘のように、規制委員会の令和二年の七月の見解にもありますけれども、当然、止まっている期間においても劣化はあり得るということでありますから、その期間、そのことについても厳しく審査を受けますから、これで規制委員会が駄目だと言われれば、もうこれは運転できないということでありますので、そのことを是非御理解いただければというふうに思います。

米山委員 では、ここで時間になりましたので、また質問は別の機会にさせていただきますけれども、法律としてそうなっているのは分かりますけれども、制度設計といいますか制度哲学が非常に重要ですので、また御質問させていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 大島です。

 今回の法案の御審議に当たって、馬場委員の二項対立には陥らないという発言は結構重く受け止めていまして、どちらがよくてもどちらが悪いわけでもなくて、やはり政治というのは、もう始めたことですから、一定の決着を模索するのが政治だと思っておりまして、そういう観点から何点か質問させてください。

 冒頭、西村大臣、落ち着かないと思うので、ちょっと中座して結構ですので。

 では、冒頭、京都議定書、今回はパリ協定ですか、前回は京都議定書を発効するタイミングで、当委員会で何回か質問させていただいたことがあります。

 京都議定書の評価、本当に京都議定書がよかったのか。当時、一九九七年の十二月の十一日かな、当時は米国副大統領のゴア氏が各国しっかりやろうじゃないかと声をかけて、でも、米国は批准しませんでした。日本はしっかり批准をして、かつ、しっかり最後まで約束を守った。カナダは批准したんだけれども、途中で離脱しているはずです。

 そのことについて、政府参考人に、京都議定書を批准をしたことによってどういう効果があったかなということについて、答えられれば答えてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 京都議定書、これは国際的な合意の下で排出削減をする、こういうことで、日本も批准をしてそれに取り組んだわけでございます。評価はいろいろ分かれるところはあると思いますけれども、日本のCO2排出を削減していくということの流れをつくり、それが今の二〇五〇年カーボンニュートラル、あるいはその前の二〇三〇年四六%削減という流れにつながっているものだというふうに考えております。

大島委員 ありがとうございました。

 京都議定書は、今のパリ協定よりももっと拘束力がある、各国ごとの協定だと考えておりまして、実施期間が二〇〇五年から始まっています。二〇〇五年以降、二〇〇〇年代の中国の、CO2を一番出すのは鉄鋼業ですから、毎年粗鋼ベースで一億トンぐらいかな、日本の鉄鋼業と同じぐらいの規模が毎年毎年増えていって、CO2、これは発展の過程だから仕方がないと思いますけれども、そういう国がありました。

 一番危惧しているのは、当時もそうなんですけれども、もう一回確認したいんですけれども、京都議定書で、我が国の排出量を守るために他国から排出権を購入したと思います。我が国が他国から購入した排出権の金額についてお答えください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 京都議定書の第一約束期間である二〇〇八年から二〇一二年までの約束達成に当たりまして、日本政府は、NEDOを通じまして九千七百五十万トンの京都メカニズムクレジットを取得いたしました。ちなみに、その取得に要した予算は二千四十七億円だったというふうに認識をしております。

 その上で、これに加えまして、民間が取得した分もございまして、それは政府が購入したものよりも多い、こういう状況でございます。

大島委員 当時、日本だけです、政府だけでも二千億円を超える国富を排出権を購入するために支払った。民間だと電力及び鉄を中心としながら、民間企業も多くの排出権を、どのくらいの金額で購入したかどうか分かりませんけれども、買っているということです。

 私としては、できるだけ我が国から出ていく支出を抑えたいと思っていまして、今回、成長志向型カーボンプライシングをやって、外国に多分、日本から富が流出することはないかとは思うんですけれども、そのことについて確認をさせてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 京都議定書は、国として批准した、法的拘束力を有する国際枠組みでございます。先ほど御答弁させていただいた京都メカニズムクレジットの購入は、その京都議定書に基づく我が国の削減義務を達成するために実施したものでございます。

 一方で、今御指摘ありました今回の法律案に定める成長志向型カーボンプライシング構想は、GX投資を加速し、脱炭素だけでなく、経済成長の両立を目指すための国内の枠組みでございます。このため、京都議定書のときと同様の事態にはならない、このように考えているところでございます。

大島委員 今回も指摘をさせていただいているんですけれども、京都議定書のときは、基準年を、EUは東欧をのみ込んだ後の排出量で基準年を設定していると理解をしております。ですから、東欧をのみ込んでいる上での、一番CO2を出していたときを基準にしていますから、守りやすかったことはEUは確かなの。やはり、どういう条約を結ぶかというのが、前回も指摘したとおり、結構、ノルディック種目で日本人が勝ち続けるとルールを変えるように、ルールを変えてきますから。だから、そこはしっかりウォッチをしながら、EUと組んでもいいかもしれないし、ルールを作るところにしっかりコミットメントしていただければと思います。

 もう一つは、この取引のシステムでして、私も、前の、穀物の取引所とか、あるいは、もう一つはメタルですか、金属類の商品の取引所を視察したときに、システムは、日本のシステムではなくて、パッケージの米国のシステムを使っていると理解をしている。システムの中に全ての思想が入るものですから、このシステム開発は日本独自で詳細設計していただきたいなと思うんですけれども、その点について御答弁ください。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 排出量取引制度では、多くの参加企業のCO2排出量や企業間の取引を管理することとなるため、デジタル技術を最大限に活用して制度を運営していくことが重要だと考えております。

 例えば、昨年九月から本年一月末までの東京証券取引所で実施したカーボンクレジット取引市場の実証では、取引所自体が、システム開発のノウハウを持つ国内のベンダーと共同で、取引を行うためのシステムを開発、稼働しております。

 排出量取引制度の本格稼働は二〇二六年度を考えておりまして、具体的なシステム開発の進め方は今後検討すべき課題と認識しておりますけれども、御指摘の観点も含め、排出量取引制度が円滑に実施できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

大島委員 取引の中には先物も含めて、結構精緻なシステムになるかと思いますので、是非、国内のベンダーは結構大変だと思うんです、起用すると。何か類似のパッケージソフトを使った方が楽だなと思いながらも、この点にはこだわっていただきたいなと考えております。

 今回の二つの法案の審議に先立ちまして、何か所か視察をさせていただいているところがあります。一つは量子科学技術研究開発機構の、これは那珂の研究所ですが、茨城県にある。もう一つは青森県の六ケ所研究所。一月の午前中に訪問させていただいて、核融合炉の研究の個々について詳しく伺うことができました。午後は核燃料サイクルについて視察をさせていただいて。私は敬意を表しておりまして、研究者の皆さんあるいはそこで働いていらっしゃる皆さんはしっかり働いていらっしゃるし、プライドを持って働いていらっしゃるので、そこは理解しながら質問をしたいと考えています。

 その中で、六ケ所の核燃料サイクルですか、訪問するに先立ち、六ケ所原燃PRセンターを一通り見学をさせていただくと、その中で流れる説明のテープの中で日米原子力協定というワードが出てくる。はっきりは覚えておりませんけれども、日米原子力協定に基づいて核燃料サイクルの研究開発が進んでいるのかなと理解をさせていただきました。

 私も、日米の原子力協定は外交のテーマでもあるかなと考えております。なかなか深いテーマだと思っていて、この場で私の私見を述べるにはまだまだ時間を要するんですけれども。

 一九五三年十二月二十日の、アイゼンハワー、国際連合総会における平和のための原子力というところから始まっているわけです。ソ連が翌年、一九五四年に商用炉を稼働させたので、その後、一九五五年に日米原子力研究協定というのが結ばれております。これが今の原子力協定の前の協定だと思います。

 今、原子力協定がどうなっているかについて、外務省から御答弁をお願いします。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 一九八八年七月に発効しました現行の日米原子力協定は、その第十六条の規定によりまして三十年間効力を有し、その後は、日米のいずれか一方の政府が六か月前に他方の政府に文書による終了通告を行わない限り、同協定の効力は存続することになっております。

 二〇一八年七月に協定発効から三十年が経過いたしましたが、その後もかかる終了通告は行われていないということですから、現在も引き続き効力を有しております。

大島委員 一九八八年から現行の日米原子力協定に移行をして、大きなそれまでの協定との違いは個別同意制度。ですから、日本の研究開発については個々個別に日米間で合意形成をしながら進めていくことを、一九八八年以降は包括事前合意ということで、包括して合意しているので個々の合意形成は必要ないよと私は理解したんですけれども、外務省、答えられれば、私の理解でいいか、お答えください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、現行の協定におきましては包括的事前同意ということ、すなわち、事前同意権を個別のケースごとに行使するのではなく、あらかじめ一定の条件を定めて一括承認する方式が与えられたものでございます。

大島委員 これは今後確認したいと思うんですけれども、最終処分についてもこの協定がないと難しいのかなと理解をするんです。これはまだ役所の方には通告していないし、まだ役所の方からも伺っていないんですけれども、私の理解が間違っていれば後で指摘してください。最終処分についてはどう考えるかということですね。

 次に、文科省の方に確認したいんですけれども、直接処分をした場合に、放射能レベルが天然のウラン鉱石並み、皆さんの例えだと天然のウラン鉱石の放射線量というのが一つの基準だと伺っているので、そこのレベルまで下がるのにどのくらいの期間が必要なのか、教えていただければと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年に策定された原子力政策大綱によれば、各放射性核種の人体への影響で重みをつけた指標である潜在的有害度を算出しており、軽水炉の使用済燃料を直接処分する場合、その潜在的有害度が天然ウランと同程度まで低減する期間については、約十万年との試算がなされていると承知しています。

大島委員 これは西村大臣に、私も十万年と聞いて、想像を超えた空間と時間かなと思いまして、どういうふうに受け止めるのか、十万年と聞くと。その点について、お答えがなければ、もう一回、次回のタイミングで答えるよでもいいんですけれども、答えていただければと思います。

西村(康)国務大臣 いや、気の遠くなるというか、もう気もなくなっているわけでありまして、十万年という果てしないものでありますが、まさにそれを再処理をすることによって、よく委員おっしゃいますけれども、八千年であったり、あるいは高速炉で三百年ということで有害度を低下させていくこと、さらには、まさに、高レベル放射性廃棄物の発生量自体も四分の一とか七分の一とかにも減らすことができるということでありますし、資源を有効利用するという観点を含めて、私ども、この再処理サイクルを維持するという方針で臨んでいるところでございます。

 六ケ所についても、様々な経緯がございますけれども、しっかりと稼働すべく、今、日本原燃の方で取組は進められておりますし、私どもとして、しっかりと指導しながら、安全性を最優先しながら進めていきたいというふうに考えております。

大島委員 大臣の答弁の一部はこれから質問する内容でしたので、これから文科省に確認をしていきたいと思います。

 私、研究については進めるべきだという立場です。高温ガス炉あるいは高速炉についても、大洗まで伺いまして、視察をしながら研究者との意見交換もさせていただきました。長く研究するということが必要ですし、今後の時代は分からないので、研究だけは続けておいた方が私はいいと思う立場です、核融合炉も含めてですね。

 その場合、軽水炉の再処理とか高速炉の再処理を行った場合、天然ウランと同程度まで有害度が低減するのにどのくらいかかるのか、もう一度、文科省から教えてください。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお話しした潜在的有害度の算出によれば、軽水炉再処理によりウラン、プルトニウムを回収した場合は約八千年で天然ウランと同程度、また、高速炉再処理によりウラン、プルトニウムに加えてマイナーアクチノイドを回収した場合は約三百年になる、こういう試算がなされていると承知しております。

大島委員 確認なんですけれども、再処理した場合にウランとプルトニウムを分けるので、ウランとプルトニウムは十万年ぐらいで、残りのマイナーアクチノイドは、結構放射性レベルが高い核種と言われるやつですか、マイナーアクチノイドというのは、それが八千年ぐらい、そういう理解でよろしいですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほどウラン、プルトニウムは十万年とおっしゃいましたけれども、基本的にはプルトニウムの影響が大きいのではないかと理解をしております。

 また、マイナーアクチノイドについては、詳細なデータはありませんけれども、マイナーアクチノイドを除くと八千年が三百年になるということでございますので、先生の御指摘のとおりだと理解をしております。

大島委員 そうすると、今、文科省の中で研究しているテーマがあると承知をしておりまして、まずは、分離変換技術ということで核種を分離するということと、もう一つは、加速器を用いて核変換技術の研究をしていると伺っているものですから、その点について御説明していただければと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 我が国においては、第六次エネルギー基本計画において、使用済燃料の問題の解決に向けた取組の一つとして、放射性廃棄物の減容化、有害度低減のための技術開発を推進するとされております。

 また、海外においては、例えばベルギーでは、加速器駆動システム、ADSと呼んでおりますけれども、これを用いた多目的照射炉プロジェクトであるMYRRHA計画、これが二〇一九年から始動しており、また中国では、二〇一一年より広東省に加速器複合施設の一部としてADSを建設する計画が進められていると承知しています。

 また、文部科学省では、科学技術・学術審議会原子力科学技術委員会の下の作業部会における議論を経て、原子力機構の中期目標の中に、国際的なネットワークを活用しつつ、高速炉や加速器駆動システム、ADSを用いた核変換技術の研究開発に取り組むこと、研究開発を通じた将来の有望性の判断に資する成果を得ることなどを位置づけております。

 これを踏まえまして、原子力機構において、ADSに関する要素技術の開発を進めているところでございます。

 文科省としても、引き続き、必要な予算を確保するとともに、これらの研究開発を中長期的に支援していきたいと考えております。

大島委員 先ほどの説明を、私は事務系なものですから、技術系じゃないので、事務系の私が理解すると、高速炉を用いて核変換すると、プルトニウムを除けば大体三百年間ぐらいに短くなると理解して、もう一つは、マイナーアクチノイドというんですか、それに中性子を当てると、それも三百年間ぐらいに、天然ウランの放射性レベルまで落ちるまで期間が短くなるというふうに理解したんですが、それでよろしいでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 核変換の中身につきましては、使用済燃料の中からプルトニウムとウランとさらにマイナーアクチノイドを回収をして、それを燃料にすることによって、加速器にしても高速炉にしても、高速の中性子を当てることによって、十万年のものが三百年になるということでございます。

 八千年と申し上げたのは、プルトニウムとウランだけを取り除いて核燃料サイクルを回していけば八千年ということを申し上げたということでございます。

大島委員 これは質問通告していないんですけれども、今の御答弁だと、ウランとかプルトニウムも高速の中性子を当てると何か三百年ぐらいまでで収まるような感じがしたんですけれども、そういう理解でいいのかしら。

林政府参考人 お答えいたします。

 ウラン、プルトニウムを取り除いて残った使用済燃料といいますか廃棄物、その有害度は、天然ウランと同程度になるまでが八千年ということです。使用済燃料からプルトニウムとウランを取り除いて、それで残った使用済燃料が廃棄物になりますけれども、その有害度が低減するのが八千年ということです。

 さらに、使用済燃料からウラン、プルトニウムに加えてマイナーアクチノイドまで取り除いて、残ったその廃棄物が天然ウランと同程度の有害度になるのが三百年、そういうことでございます。

大島委員 ありがとうございます。

 文科省が今進めている加速器を用いた核変換技術、ADSというらしいんですけれども、そうすると、中国とベルギーが開発途上にあって、計画は持っているという理解を今させていただきました。こういう技術がしっかり確立すると、多分考え方が変わると思うの。最終処分の考え方が、こちらの方で最終処分が確立すれば、こちらの方で、要は、直接処分じゃなくて、ヨーロッパの形、直接処分じゃなくて、こういうふうな処分方式に変えた方がいいんじゃないのかなと何か言われそうな感じが私はするんですよ。

 ですから、日本で今のこの研究の予算というのは五億円しか使っていないそうなんだけれども、しっかりこういうところはやっていただいた方がいいかなと思っています。

 もう一つ文科省に確認したいのは、核融合炉も、那珂と、あと六ケ所の研究所を見させていただいて、一つには、六ケ所の研究所だと、核融合炉のブランケットの材質を決めるために、ヨーロッパ、これはスペインとイタリアなどの共同開発で、高速の中性子を、陽子のビームを中性子に変えて当てて材質を見極めるという研究は、こちらの研究と極めて類似なのかなとは思うんですよ。

 だから、一緒にやると非常にいい結果が出るように思えるし、あるいは、核融合炉については、これは中性子を飛ばすことによって熱源を取るので、多分同じ理屈で、期間を低減できるのではないかなと思うんだけれども、素人の考えなんだけれども、その点についての御所見があったら伺わせてください。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のあった、まず六ケ所の方です。QSTの六ケ所研究所、国際核融合材料照射施設では、核融合炉材の中性子の耐久性を調べるための中性子発生装置に必要な重陽子になりますが、重陽子ビーム加速器の研究開発、これを欧州と協力して行っています。

 ただ、その設計は、核融合の材料照射に適した設計となっております。この要素技術は、加速器の要素技術、いわゆる中性子を出す方の要素技術になると思いますが、これは、長寿命放射性核種の有害度を低減する研究にも応用可能だとは思いますけれども、やはりその装置、装置、研究目標に適した新しい設計が必要になるもの、こう考えております。

 また、核融合炉でマイナーアクチノイドに中性子を当ててという話もございました。マイナーアクチノイドに中性子を当てて短寿命核種に変換する消滅処理、この際の中性子は、エネルギーレベルが十分であれば、どのような反応から生じた中性子であるかは関係ないものと承知しております。

 したがって、加速器で作ったもの、高速炉で作ったもの、核融合炉で作ったもの、全てにおいて可能だと考えておりますので、核融合炉を用いてマイナーアクチノイドのような長寿命核種の放射能を減少させることは、理論的には可能だと思いますけれども、実際にやろうと思うといろいろ課題があるかと承知しています。

大島委員 理論的に可能なことは可能だと思っていまして、量子コンピューターを一番最初に開発したのはカナダのDウェーブ、二〇一一年に商用の量子コンピューターを開発した。元々の研究論文は、一九九八年の東工大の先生の研究論文を基にして、百五十億円のベンチャー資金を集めて開発したわけですよ。

 理論的に可能なものはできると思うの。やはり十万年というのは長いですよ。人類に対する責任として、これをある程度、できるだけ低減する研究開発をやはり進めるべきだと思っています。

 その点について、大臣の御所見もなかなか難しいとは思うんですけれども、一言いただいて、終わります。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、技術の可能性というのはもう限りなくあると思いますので、様々な視点から、そして、できるだけ多様な人材を活用し、各国とも連携しながら、技術開発、イノベーションを起こしていくべく、関係省庁とも連携して取り組んでいきたいというふうに思います。

大島委員 ありがとうございました。

 文科省も応援しますし、経産省もこの分野については応援していますので、やはり技術で先行することがルールメイキングできると思っているので、全ての分野において。技術で先行しないと、全部向こうの理屈の中で、私たちは防御に回らなければいけないので、その点の研究開発を進めていただくことを心よりお願い申し上げまして、大島からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 午前中の最後のバッターで、御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、前回に続きまして、もう少し西村大臣と産業政策、エネルギー政策について議論をさせていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 西村大臣、これは御所見をいただきたいんですけれども、今、日本が世界に誇れる産業だとか製品だとかというものはどういうものがあるか。日本が今世界に誇れる産業や製品、どんなものがあるか、それから、経産省が主導する日本の産業政策で成功しているものはあるのかどうか、お答えいただけますか。

西村(康)国務大臣 数多くの製品、商品が世界で日本製のものを使われているものと思います。自動車がやはり一番有名だと思いますが、トヨタを始めとして、世界で日本車のブランドは非常に評価が高く、安全性、乗り心地を含めて非常に高い評価を受けてきたものというふうに思いますし、様々な、今や白物家電はもうほとんど日本製のものはないですけれども、電気製品も、これまでの間、日本製は非常にブランドがあって人気があったものというふうに思います。様々な、半導体関係、蓄電池なども含めても、材料については、それから部品についても、日本の中堅・中小企業を含めて非常に幅広いサプライチェーンがあって、そこの中で様々な技術開発などが行われ、すばらしい材料、部品を提供してきているものというふうに思います。

山崎(誠)委員 産業政策で、経産省が自信を持って、これは成功しているんだ、これが今、日本の経済、産業を支えているんだというものはありますか。

西村(康)国務大臣 製造業においては様々な技術開発を進めてきておりますし、また、日本企業が貿易・投資を行っていくにふさわしい環境をつくっていくということで、例えばTPPも、アメリカが抜けましたけれども、それでも日本が主導する形でCPTPPというものを実現をし、東アジア、アジア太平洋地域において貿易・投資のルールを作ってきた、これも大きな産業政策の一つだというふうに思います。RCEPもできましたし、今はアメリカと一緒にIPEFというものも進めてきているわけであります。

 多くの国で、自由で開かれた、そして公正なルールに基づく経済システムをつくってきているということは、私は日本経済発展のための大きな基礎になっているものというふうに思います。

山崎(誠)委員 残念ながら、今、貿易赤字ですよ。これはもう定着しそうになっている。私は、例えばエネルギー政策、もうこれは何度もお話をしていますけれども、再生可能エネルギーであれば、太陽光パネルや風力の機械、日本のメーカーは完全に世界の市場からもう撤退状態であります。それから、皆さん回帰しようとしている原発だって、元々、東京電力福島第一原発の過酷事故を起こしているんです。原発、ある意味、大失敗ですよ。六ケ所村の再処理工場の運転開始も二十六回延長になっています。「もんじゅ」もナトリウム漏れの事故を起こしていますし、もう完全に頓挫です。安倍総理がトップセールスと称して進めた原発輸出も、成果はゼロですよ。原発関連事業で失敗した東芝は破綻です。日本のエネルギーの自給率、これは二〇一九年の数字ですけれども、一二・一%、OECDの三十六か国中の三十五位ですよ。

 私は、こういうエネルギー政策の失敗、これは前回、例えば再エネの失敗や原発輸出の失敗について、その理由を大臣にお尋ねしました。議事録も読み直しましたけれども、私は分析が十分にできているというふうには思えない。例えば、中国がGX分野でどれだけこれから投資をしていくのか、対抗、競争相手ですよ、それについて、どういうふうに把握しているのかとお聞きしましたけれども、経産省として、私は、分析をしている様子は感じられないのであります。

 失礼ではありますけれども、これだけの失敗を重ねてきた責任、やはり経産省に私は大きな責任があると思います。エネルギー政策、これは誤ってきたんじゃありませんか。だって、元々世界に、再生可能エネルギー、太陽光パネルなどはあったわけですよ、日本のシェアというのは。非常に強い分野があったんだけれども、それが伸びてこなかった。

 この間の答弁では、要は官民挙げての投資が足りなかったという話でありますよ。だけれども、それが今までできていなかったわけです。方向性を間違ってきたわけですよ。今やろうとしていることは、世界が目指す再エネ導入についてはFITに任せて消極的、原発や化石燃料の延命にはこのGXで一生懸命応援をしようというのが政府の今の方向性じゃないですか。

 大臣、資料一を見ていただきたいんですけれども、これは自然エネルギーの目標の比較であります。見てください、日本は二〇三〇年に三六から三八%の自然エネルギーを入れようとしています。グラフは、見ていただくと、矢印がついているのは、ウクライナの侵略戦争後に、主要国、みんなではありませんが、多くの国は、この目標を引き上げて、再エネにシフトしようということで動いているのであります。日本は、この表を見ただけでも、再エネに対して後ろ向きじゃないですか。もっと野心的な目標を持つべきではないですか。

 恐らく大臣は、いや、日本には適地が限られるんだというようなことを言われると思いますが、決してそんなことはありません。環境省のポテンシャル調査の結果を踏まえれば、十分にまだまだポテンシャルは残っていますよ。この表を見て、どういうお考えをお持ちですか。

西村(康)国務大臣 まず、私ども、真摯に過去の政策を分析、検証し、何も百点満点で全てうまくいっているということを申し上げるつもりはありません。半導体についても太陽光パネルについても、かつては大きなシェアを持っていた日本企業がシェアを失っていったこと、これは、官の側、民の側、それぞれに要因がありますし、産業政策というものも、時代に応じて真摯に適応してこなかった面ももちろんあると思います。

 それを踏まえて、私ども、今回の半導体もそうですし、エネルギー政策についても、真摯に、反省に立った上で、過去の教訓をしっかりと胸に刻みながら進めているわけでありまして、第二回のGX実行会議においても、我々、反省ということをしっかり書いて、教訓というものを書いて、それに基づいて政策を進めていこうというわけであります。

 再生可能エネルギーについても三六から三八%を目指すということで、もちろん、これは世界を見渡すと、それぞれの国がそれぞれの事情で進めてきております。

 実は、ドイツも石炭をまだ使っておりますし、原子力六割、七割のフランスからエネルギーも買えるというのもあります。ヨーロッパはグリッドで結ばれておりますので、ヨーロッパの多くの国々は何か調整もお互いにできるという中でありますけれども、日本は、残念ながら日本の国内だけで進めなきゃいけないということであります。

 再エネについても、最大限進めようということで、新たな技術開発、ペロブスカイトを始めとして技術開発も進めながら、また、導入においては、公共施設の屋根にも置いていくこと、また送配電網、蓄電池を進めながらやっていくということで、私ども、最大限導入に向けて取り組んでいるところでありますので、各国それぞれの事情の中で進めているということも御理解いただきながら、安定供給と、そしてカーボンニュートラル、同時に経済成長にもつながるような仕組みを是非考えていきたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 反省をしているというお言葉をいただいたのは、私はすごく重要だと思っておるんですよ。

 私は、これまでのやはりいろいろな取組、失敗した事例、あるいは日本の現状、今の厳しい状況というものを踏まえた上でGXの推進をしなきゃいけないというのが、今この我々の責任だと思うんですよ。GX推進法を見て、これは経産大臣が戦略を策定することになっていますよね。これは六条の三項。四項には、経産大臣は、事前に財務大臣、環境大臣その他関係行政機関の長と協議するということにはなっていますよ。でも、例えば外部の有識者から意見を聞くとか国民から意見を求めるみたいなプロセスというのは、全くこれは法定されていないです。それはやるとはおっしゃいますけれども、だけれども、何で法定して、今の大臣の反省があるんだったら、そういったことをきちっとこの中に入れ込まないんですか。

 私は、GXの戦略の策定、経産省、経産大臣主導で大丈夫か、また失敗するんじゃないかと、申し訳ないけれども、非常に危惧をしています。過去を振り返って、経産省として、GXについて本当にどう対応するつもりなのかと。

 次に審議しますGX脱炭素電源法、これについても、経産省主導で、原発の再稼働、運転延長、新増設、こういったものを既定路線化しようとしていると思います。GXの推進機構の運営についても、経産省主導でブラックボックス化されるのではないかと。日本のGXを経産省に白紙委任するような法律の数々じゃないんでしょうか。

 私は、こうしたことに先ほどの反省というのは全く生かされていないというふうに思うのでありますけれども、もう一回、西村大臣、どうですか、これは白紙委任になっていませんか。

西村(康)国務大臣 まず、今後、GXの推進戦略を作るに当たってのことでありますけれども、これまでも、GX基本方針、これについては、経団連十倉会長、あるいは連合の会長を含め様々な有識者の方に入っていただいて、そして、皆さんの御意見も聞きながら進めてきたところであります。芳野会長からいただいた公正な移行というものも、その中に盛り込んでいるところであります。労働者の皆さん、働く皆さんが、このGXに応じて円滑に労働移動ができる、リスキリングも含めてできるような、そんな発想、考え方も取り込んでいるところであります。

 その上で、この法案におきまして、推進戦略を作る際に関係大臣とも協議をするわけですが、外部の有識者に聞くことについての規定については、これは法律によっていろいろなパターンがありますので、例えば地球温暖化対策推進計画も同様に審議会のプロセスは書いておりません。様々、法案によってはいろいろな仕組みがあるわけでありますが、私どもとしては、まさに十倉会長、芳野会長を始めとして、有識者の皆さん、GX実行会議がございますので、そういった外部の有識者の意見をしっかり聞く機会、これを設けることは考えていきたいと思っております。

 実態上、何か経産省が勝手に決めるということではなくて、外部の有識者とのいろいろな意見交換の中で考えていきたいと思いますし、さらに、GX移行債二十兆円の使い道についても、大きな方向性については工程表の中でお示しをしておりますけれども、毎年の予算編成過程の中でも審議をしっかりしていただきたいと思いますし、また、外部の有識者、特に技術の進展は速いですから、このことについてはしっかりとお伺いしながら進めていきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 この委員会での御答弁は重いので、当然、そういう形で、今後、運営は十分注意していただいて、広く意見を聞いていただくものだと思います。

 例えば、エネルギー基本計画を作るときには、エネルギー政策基本法で総合資源エネルギー調査会がちゃんとあって、そこに有識者が集まって、分科会もたくさんあって、徹底的な議論をして作られるわけであります。エネルギー基本計画、定期的にこれは新しいものに更新をされる、そういうエネルギー政策でも、今、これだけのいろいろな問題を抱えている。そんなような状況の中で、例えばGXの戦略の見直しのタイミングというのは決まっていませんよね。これはどういうタイミングで見直していくつもりですか。

西村(康)国務大臣 まず、この法案の三条に、GXへの円滑な移行ということ、GXの推進でありますけれども、エネルギー基本計画、それから地球温暖化対策計画、これと整合性をしっかりと図りながらやっていくということになっておりますので、そういう意味で、既に定めておりますこの二つの計画と軌を一にしながらGXを進めていく、エネルギーと地球温暖化対策ですね、これを進めていくということであります。

 エネルギー基本計画の方は、御指摘のように総合エネ調で審議をいただく、また、地球温暖化対策計画の方は何か外部の有識者のことが書いてあるわけではありませんが、いずれにしても、軌を一にして進めていくということでありますから、何か勝手に経産省がやるということではありませんので、それも御理解いただきたいと思います。

 先ほど修正もいただきましたけれども、今後の取組については、附則の第十一条で、まさに、GX推進戦略の実施状況を踏まえて施策の在り方については検討を加え、必要があるときは所要の措置を講ずるとなっておりますし、第二項で、そうしたことも含めて、先ほど御修正もいただきましたので、検討を加えて、この法律の施行後二年以内に必要な法制上の措置を講じるものというふうになっておりますので、この附則の規定の考え方も頭に置きながら、法を成立させていただけた後の施行後におきまして、まずは推進戦略をしっかりと作らせていただいて、そして、その後の状況に応じて適切に判断をしていきたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 修正案は、二年後に、カーボンプライシングの二つの制度を制度設計するときに、いろいろな諸般の事情もちゃんと加味しなさいという意味でありまして、それが戦略に利いてくるわけではありませんので、法案の次のカーボンプライシングの準備に諸般の事情を考慮しなさい、そういう修正だということでありますので、ちょっと今の答弁は正確ではないと思います。

 私は、本当に、その戦略をどういうふうに作って、それをどういうふうに見直していくのか、そういったことを、恣意的ではなくて、ちゃんと透明なルールの下で、そして、様々な有識者の意見や関係者の意見、連合の会長さんあるいは経団連の会長のお話を聞くのももちろん結構であります。でも、例えば地方自治体の首長の声を聞いた方がいいと思いますし、あるいは、例えば再生可能エネルギーなどを地域でやっている、そういう方々はGXの推進者ですよ。そういう方々の声をやはり聞くべきであります。あのGXの実行会議には、そういうメンバーは残念ながら入っていないと思いますよ。

 もう一つ。二十兆の移行債の使い道、対象分野でありますけれども、四条を見ると、その技術及び事業に革新性があり中長期的に高い政策効果が見込まれる事業に政策資源を集中的に投入するというふうに書かれていますよね。今まででもいろいろ、これは何度も議論になったポイントだと思います。これですと、今現場で求められている支援にお金が回らないのではないかというのが私の懸念であります。

 もちろん、研究開発は大事ですよ。だから、研究開発は、それは一定、支援をするという枠組みはあってもいいと思います。それが二十兆の中でやるべきなのか、あるいは文科省の予算でやるべきなのか、それはいろいろ議論はあると思います。ただ、この二十兆というのは、GX、目的がはっきりしていて、とにかく脱炭素社会をつくる、そして、それとともに経済の活性化、成長を実現をするということであれば、その使い道というのは、ある意味、私、選択と集中という言葉を使いましたけれども、見極めていかないと。その効果や、そして本当に落とすべきところに。

 例えば、再生可能エネルギーの導入にはどのぐらいこれが使われるのか。ペロブスカイトのお話は何度も何度も出てまいります。そういう研究開発に使うというのは結構であります。ただ、現状、再生可能エネルギーが、例えば太陽光発電を見ていただくと、資料二を見ていただきたいんですけれども、激減する太陽光認定量。太陽光発電は、これまで世界第三位に導入をしてきたというふうに御説明をされています。それは事実でありますけれども、今、ほとんどこれは認定がもう止まってきている。これを見たとおりであります。鈍化して、ほとんど伸びていない。

 例えば、大型の太陽光発電、いろいろ環境の問題などもあるし、そういう大型のものを簡単に造れる適地が減ったのかもしれません。でも、太陽光発電というのは、まだまだ可能性はあるんです。例えば、屋根の上に太陽光パネルを設置する、まだまだ始まって本当に初期の段階だと思いますよ。それから、何度も我々提案している営農型の太陽光発電、ソーラーシェアリングなどは、まだまだ本当に微々たるものであります。こういったものをちゃんと伸ばさないと、太陽光発電、終わっちゃいますよ。そこに、大臣、この二十兆のお金をちゃんと使えるようにしてもらいたいんですよ。そういうお考えはありますか。

 この四条がある以上は、大臣、なかなかそう言えないと思いますけれども、本当に必要な、国のお金を使うべき場所というのはこういうところにあるはずなんですよ。いかがですか。

西村(康)国務大臣 まず、GX経済移行債、二十兆円の支援の対象でありますけれども、まさに産業競争力強化、経済成長の観点も重要であります。支援に際しては、条文もありますけれども、民間企業のみではなかなか投資判断が困難な、真に困難な事業を対象に、国内の人的、物的投資拡大につながるというもの、そして、競争力強化、あるいは経済成長、排出の削減、いずれにも資するものということについて、企業の投資や消費者の行動を変えていく、規制、制度面の措置と一体的に講じることを基本としております。もうペロブスカイトのことを申し上げませんけれども、そうした観点からいうと、蓄電池とか太陽光の分野についても、要件を満たすものは支援の対象になり得るということだと思います。

 ただ、お話がありましたけれども、太陽光など再エネにつきましては、まずFIT制度がありますので、これに基づいて、一定の買取りがあり、支援もあります。

 ただ、それだけではなかなか進まない、適地が減ってきたことというのもありますから、公共施設の上であるとか工場や倉庫の屋上、屋根の上の導入、こういったことも進めているところでありますし、さらには、送配電網、蓄電池、こうしたものも併せて整備を進めていく。

 蓄電池等併設するものについては、これは環境省の方でも支援策があるということでありますので、各省それぞれの実装していくところの支援策もありますので、それはそれで役割分担をしながら、まさに事業の革新性とか、なかなか民間のみでは投資が進まない、そういったところに支援を行っていくことになります。

 いずれにしても、再エネの分野にも当然対象になり得るものは出てくると思いますし、この工程表の中でも、非化石エネルギーの推進ということで、水素、アンモニアなども含めてですけれども、新しいエネルギーについて、六兆円から八兆円の事業規模、そのぐらいの支援が行われるものという、大まかな目安のようなイメージは公表しているところであります。

山崎(誠)委員 二の資料でお示ししたとおり、認定量がどんどん減っているということは、FITの支援ではもう太陽光が伸びなくなっているということの私は証左だと思います。この制度設計が、FITの賦課金が減っていく、その減った分を使ってこの投資二十兆を償還していくということですから、FITが終わっていくということが前提でこの事業は設計されているわけですよ。その中で、残念ながら太陽光発電が伸びていないという現状があるので、私は、ちゃんと冷静に現状を見極めなければいけないと思うんです。

 例えば、地域分散型の再生可能エネルギー、熱利用みたいなお話、地産地消のエネルギーみたいな話をやろうと、環境省なんかは一生懸命、先進地域を指定して応援しています。

 ここで問題になっているのが、大臣もお話ありましたけれども、系統の接続の問題です。

 基幹の系統だとかローカルの系統を整備しよう、それを一定の送配電の費用の中で見ていこうというような動きはある、それは分かります。さらに、もう一つは、例えば発電所につなぐ部分、これは受益者の責任だということで、今、日本では、それは発電事業者負担になっておりますけれども、資料の三につけてありますけれども、これを、全体、公的な負担にしようという、これはシャローという考え方らしいんですけれども、そういったものに切り替えていくということができないかと。今、発電者負担になっているその接続の負担についても、発電者から切り離して、さらに公的な負担にしていく、そんな取組がもしできれば、これまた発電事業の採算がよくなって、再エネが入っていくと思います。

 それから、例えば四番の事例を見ていただきたいのでありますけれども、これはデンマークの、こういう事業、いいなと思うんです。例えば、風力発電と地域熱供給、コジェネ、ヒートポンプ、貯湯のタンク、こういったものを組み合わせて、発電して余った電気を熱にして、大きなお湯にしてためる。蓄電池じゃありません。熱をタンクでためて、その熱を地域の冷暖房に使っていくような、こんな取組もあります。

 例えばこういった仕組みを寒冷地などで日本でも導入をしていったら、地域のエネルギーを自給自足しながら地域の独立したエネルギーの仕組みというのがつくっていけると思います。これも、デンマークなどではこうやって制御をしながら動かしているわけです。こういう事業というのは、一つ一つの技術というのはもう既存にある技術でありまして、それを組み合わせることで実現できる、こういった仕組みです。

 これは二十兆の支援の対象になりますかね。今、二つ事例を挙げました。シャローみたいな、系統の接続について発電事業者を応援するような支援、あるいは、こういうデンマークのような、既存の技術を組み合わせて大きな新しいシステムをつくっていくような支援、こういったことに二十兆使えますか。

西村(康)国務大臣 まず、送配電網でありますけれども、再エネをできるだけ入れるという観点から、かなり工夫もしておりまして、これまでなかなか接続しにくかったところについて、出力を一部抑えることを条件に、既存の容量を最大限生かしてより多くの再エネを送電網に接続していく仕組み、いわゆるノンファーム型と言われる接続を二〇二一年一月より基幹となる送電網で受付を開始しておりますし、この四月からは、基幹系統よりも更に下のローカルな系統でも受付を開始する予定にしております。そうした工夫をしながら、また、蓄電池を配備することによって、系統の混雑の緩和を図るような実証も進めているところであります。

 こうした仕組みを様々私どもなりに、各国によってそれぞれ事情がありますので、また、電源とかいろいろなところでの負担も違いますので、いろいろな、各国のそれぞれの事情に応じて対応しているものと思いますけれども、私どもなりに、送配電網を更に強化をしていこうということで進めると同時に、今のようなノンファーム接続みたいなものを進めているところであります。

 その上で、先ほど申し上げましたとおり、GX経済移行債について、二十兆円については、まさに民間企業のみではなかなか投資が進まないといったような案件が対象でありますので、また、系統整備に係る制度全体の状況、これも見ながら支援の在り方は検討する必要があると思っております。

 他方、確かに九州などで再エネの出力制御が行われている地域がございます。毎年のように、五月、六月頃、まだ需要は、そこまで夏の需要は伸びないけれども、太陽はすごく日射が多く、その時期によく起こるわけでありますが、そのときに、まさにこのデンマークの取組のように、太陽光などで余剰の電力を蓄電池に蓄える、あるいは、水電解装置、水素を作るといったようなことの取組を今後進めていきたいというふうに考えております。

 既存の技術でうまく工夫することによってできるものについてはなかなか対象にするのは難しいのかなと思いますが、しかし、民間のみではなかなか投資が進まないような、そうした技術革新を伴うようなものについては、幅広く検討しながら対象は考えていきたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 今の、いいところまで行った雰囲気だったんですけれども、最後でつまずいているような気がしますよ。

 私は、GXの推進というのは、本当に、効果もしっかり見極めながら、脱炭素を実現するためにどういう社会をつくっていくかという、その見極めが極めて大事だと思うんですよ。そのために二十兆円を使わないと、せっかくいろいろ地域で分散型のエネルギーの使い方としていい仕組みがあるんだけれども、ただ、それは、一定、新しい取組だからやはり資金が欲しい、そういったものを排除されるようなGXの戦略ではやはり困るのであります。

 ちょうど今いろいろお話が出ましたので、ちょっとこの後、実際の現場の声に基づく幾つかの提案。

 時間もありませんので全部はできないんですが、例えば、今、住宅用の余剰買取りのFITの改善として、太陽光プラス蓄電池をセットしたようなシステムをFITに新たに加えていくというようなことはどうでしょうか。昼間の余剰ぎみになっている太陽光発電の電気を足りなくなっている朝とか夕方に振り向けていく仕組み、屋根置きの太陽光と蓄電池、このセットの有効性というのは極めて高いと思います。蓄電池のコストが回収できるようなFIT買取り価格を設定するとか、買取りの時間帯の設定に工夫をするとか、こういったことをきちっとやっていくことがGXの推進にもつながると思います。

 ハワイでは、スマート逆潮流と言われて、こういった管理、コントロールをしようとしている事例もあります。これは日本で次のFITとして検討いただけませんか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電力システム全体の調整コストの抑制のためにも、例えば、家庭用の蓄電池を含めて、蓄電池の併設型の再エネの導入拡大を進めていくということは非常に重要な課題だと思っておりますし、特に、御指摘のとおり、太陽光発電についてはそうしたニーズが高いというふうに考えております。

 このため、我々といたしましては、再エネ事業者に電気の需給状況、市場価格を意識して電気の供給を促す、市場連動型のFIP制度を今年度から導入しているところでございます。こうした取組で、御指摘のとおり、蓄電池もという観点から、令和四年度の補正予算にも新たな予算を計上しまして、蓄電池設置も支援しているといったような状況でございます。

 また、住宅用の太陽光、家庭用蓄電池の件につきましては、我々も工夫してきておりまして、様々な予算制度はまず講じております。例えば、住宅のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化に当たりまして、蓄電池設置の場合の補助金増額制度であるとか、ディマンドレスポンスの活用にも資する家庭用蓄電池の設備導入支援であるとか、オンサイトPPAにおける住宅における太陽光発電、蓄電池の導入支援、これは環境省、国交省と連携して導入促進に取り組んできております。

 FITでの在り方も含めて更に検討していく必要があると思いますけれども、まず、こうした今までの取組をしっかり進めつつ、その効果も検証していきたい、かように考えてございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 是非これはFITに入れてもらいたいんですよ。補助金というのは、手続しなきゃいけないし、年度の予算が切れたりなんかいろいろあります。ではなくて、安定的な制度として、これをFITに入れる意義というのは私は大きいと思います。是非、FITの見直し、前向きに検討してください。

 最後になりますけれども、先ほど西村大臣から九州電力のお話がありまして、この三月も相当抑制が発生しているという話であります。

 短期的には、こうしたことが起きるというのは、要するに、需給の調整がまだ十分にできていない、再エネがせっかく発電できるのに、それを吸収する蓄電池だとか系統だとか、そういったものの整備が進んでいないということが大きな理由です。

 これはどっちが先かというのはあるんですが、入れた再エネをきちっと使い切る、そうした仕組みを早くつくらなきゃいけない。それができていない間のこの出力の抑制というのは、これは一方的に発電事業者のリスクというか負担になっている、それがかなり大きくなっているのが現状なんですよ。何とかこのリスクを発電者に負わせない工夫ができませんかね。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネの出力抑制、供給、需要バランスを保つために今行われているものですけれども、おっしゃるとおり、大変もったいないというところが実態だと思っています。

 これにつきましては、まず、地域内の火力の出力を最大限制御して蓄電池や揚水発電等によって需要を創出するとか、地域間連系線を通じて余った電力を他地域に送電するとか、あるいは、それでもなお供給が需要を上回る場合には再エネを出力制御するといったようなものでございます。

 このような工夫をしてもなおエリア全体で電気の余剰が発生している場合には、余剰電力の価値はないという状況なものですから、国民負担を市場原理に反してまで拡大すべきではないということを踏まえて、余剰電力に補償といったようなことはなかなか難しいというふうに考えております。

 他方で、委員御指摘のとおり、この課題は大変重要でございまして、再エネの導入拡大に向けて、どれだけこれを低減していくか、極めて重要な課題と考えております。

 これまでも様々なパッケージを検討してきておりますが、蓄電池あるいは水電解装置の導入、オンラインによる制御の推進、地域間連系線の整備など、既にパッケージを考えておりますが、更に対策を加速化していきたい、かように考えてございます。

山崎(誠)委員 時間になりましたので終わります。

 是非これは農水省にもお聞きしたかったのでありますが、次回に回させていただきますが、本当に、GXの実効性を高める意味でも、こういう今取り上げているような個々の現場の声がきちっと反映できるGXにしていただきたいとお願いをして、終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、集中的一般質疑ということで、重要と思われる分野について質問させていただければと思います。

 まず、今日の新聞の一面にも載っていましたが、自動車産業についてでございます。

 EUが二〇三五年までに元々ハイブリッド車を含むエンジン車の新車販売を禁止するということを目指してきたわけですけれども、ドイツとEUが交渉をして、二酸化炭素の排出が実質ゼロとされる合成燃料の使用を条件に、エンジン車の販売継続を認めることで合意したというようなことでございます。

 自動車産業、我が国にとって大変重要な産業でございます。これについて、大臣、どのような御所見をお持ちでしょうか。

西村(康)国務大臣 昨日、欧州の新車販売における電気自動車などの割合を二〇三五年に一〇〇%とする規制がEU理事会で採択され、決定されたところであります。これに併せて、欧州委員会が、合成燃料のみで走行する内燃機関を搭載する車について、新車販売を認めるための措置を今後提案していく旨を発表したものというふうに承知をしております。

 他国の制度に関するものでありますので、日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、近年、言うまでもなく、自動車産業において地殻変動ともいうべき大変革が起きているわけであります。そうした中で、欧州として今後どのように脱炭素を進めていくのか、私自身も先般、ドイツのショルツ首相を始め閣僚が来られた際に閣僚級の会談も行いまして、その中で様々意見交換を行ったところであります。引き続き、様々なチャンネルを通じ、いろいろな機会を通じて、G7の機会もありますので、率直な意見交換を重ねていきたいと思っております。

 その上で、我が国は、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げております。従前から、電気自動車、燃料電池車に加えて、合成燃料の活用も選択肢の一つとしているところであります。合成燃料のよさは、既存の施設を割合使いやすいという面が、そのまま使えるという面もあります。こうした国際的な情勢も踏まえながら、その商用化に向けて、引き続き、グリーンイノベーション基金で支援も行っておりますし、技術開発など取り組んでいきたいというふうに考えております。

落合委員 日本の目標の電動車一〇〇%の電動車の中には、ハイブリッドとかプラグインハイブリッドも入っている。ヨーロッパの場合は、入れないということで決めてきたのがこれまでの議論でございました。歴史的にもヨーロッパは世界のルールを決めることを得意としてきたわけで、電動車にはハイブリッド車とか入れないというふうにばんと数年前から言ってきたわけですけれども、今回少し状況が変わってきたのかなというところでございます。

 合成燃料をオーケーというふうにヨーロッパが認めたとしても、いろいろと調べてみますと、やはり合成燃料、商用化ができたとしても、ガソリンよりはかなり、二倍とか五倍とか高いだろうということが現状言われているわけです。そうなると、ハイブリッドというのはなるべく燃料を使わないで電池で補完していきましょうという技術ですので、日本のハイブリッド技術もこれで可能性が見えてきたところだと思います。

 ヨーロッパがルールを決めるのはヨーロッパの中で話し合うわけですけれども、是非、日本の国益のために、こういった日本の技術がしっかりGXの中でも生かされていくように、積極的に対外的に活動をしていくべきだと思います。国際的なルール作りにもしっかり経産大臣として働きかけていくということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のとおり、合成燃料とかEメタンとか、化石燃料から作るのではなくて水素、CO2から作っていくということで、しかし、最終的には、燃料として使ったときにはCO2は発生するわけです、それが相殺されるという考え方ですけれども。別のところで作って、持ってきて、その国で発生したとしたらそのカウントをどうするのかとか、御指摘のように、ルール、あるいは合成燃料そのものの規格の話なんかもあると思いますし、いろいろなルールについては国際社会の中で様々な議論があると思いますので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 御指摘のように、日本は、内燃機関、エンジンについては非常に強い技術を持っておりますので、そうしたことをどういう形で生かせるのか、そんなことも含めて、技術開発、そして社会実装、価格差の部分をどう対応していくのかということまで含めて、しっかりと国際動向を見ながら進めていきたいというふうに考えております。

落合委員 前回も取り上げましたが、年々、製造業でも、世界で勝てる分野というのが我が国は少なくなってきてしまっているので、数少ない貴重な分野が自動車産業だというふうに思います。我々もそれはしっかりと認識をしていまして、野党側からも、自動車産業の未来を考えるというような形の議連も発足をしております。日本の貿易を支えていく上でも重要な産業ですので、適宜取り上げさせていただければというふうに思います。

 続きまして、デジタルプラットフォーマーの関連につきまして、今日、まとめて残りの時間、幅広く取り上げさせていただければと思います。

 デジタルプラットフォーマーという言葉は、少なくとも十年前は聞いたことがなかった言葉でございました。一般的に使われ始めたのはここ数年なんじゃないかなというふうに思います。

 デジタルプラットフォーマーというのは、国境を越えて活動している巨大なデジタル企業で、しかも、オンライン上で市場機能を有している、市場の運営をしているような企業でございます。代表格は、GAFAと言われたように、多くの世界の方々が知っているようなグーグルですとか、アマゾンですとか、フェイスブックですとか、アップルが代表格と言われてきました。

 三年前ぐらいから巣ごもり需要というのが特に先進国で世界的にありまして、かなり好調で、オンライン化もかなり進んだわけですけれども、今、反動で少し苦しんでいるところです。しかし、中長期的に見ていくと、これらの企業は経済を大きく変えたというふうに思います。

 我が国を見ても、例えば小売は、二十年前、三十年前は、もっとデパートもありましたし、スーパーもありました。今、それらの企業はかなり業績も苦しんでいます。競合をネットとしてしまっているということでございます。

 それから、運送業は、仕事が増えたものの、利益率は下がってしまっているということで、業況が悪い業界の上位の一つに運送業が最近常に入ってきてしまっているという状況でございます。

 それから、ゲーム産業、これはこの三十年ぐらい日本がずっとトップを走ってきたはずなんですけれども、プラットフォーマーを抑えてこなかったので、全部、消費者が買うときに、中抜きでアプリ手数料が取られて、利益率ががくんと下がってしまっているというような現状でございます。

 この巨大なデジタル企業が世界を股にかけてデジタル空間で商売をしている規模というのは、経済規模が小さい国のGDPに匹敵するような、それぐらいの規模になってしまっているわけで、国境も越えてしまっているので、ルールというものをしっかり作っていかないと、その国の富がどんどんどんどん吸い取られていってしまうということになるわけです。

 それから、最後の方にも取り上げますが、税収も、本社が我が国にあるわけでもありませんので、税収も上がらなくなってしまっている。これは国際的な問題になっています。

 こういったデジタルプラットフォーマーに対してしっかりルールを作っていきましょうということで、我が国でも、この経済産業委員会で審議もされました。二〇二〇年にデジタルプラットフォーム取引透明化法というものが成立をしております。

 昨年末に、この法の運用の実績を発表しています。それを見てみますと、世界が、特にあらゆる先進国がデジタルプラットフォーマーと結構最近は厳しく戦っている中で、日本の実績が、指導が四件、しかも、その指導の方法は、口頭で注意が四件ということでございます。今の時代のニーズからすると、状況からすると、姿勢が弱いんじゃないかなとも思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、GAFAを中心としたデジタルプラットフォーマーについては、ネットワーク効果もあって、本当に大きな規模で、様々なネットワークを組みながら、いろいろなビジネスモデルを展開しているところだと思います。

 そうした中で様々な課題もあるということで、取引透明化法で、規制対象となるデジタルプラットフォーム事業者に対して、その事業運営の透明性、公正性について、経産大臣が評価をして、改善を促していく枠組みを設けると同時に、取引条件等の開示義務違反についても勧告、公表などの措置を規定しているところであります。

 そして、御指摘の、昨年十二月に透明化法施行後初めてとなる大臣評価を公表いたしました。規制対象事業者の情報開示や苦情対応に係る体制整備は総じて改善してきているものというふうに思います。その一方で、アプリストアの手数料に係る不透明性とか自社サービスの優遇、一方的な取引条件の変更、また、不十分な苦情相談の対応、こういった課題に対して、更なる手続、体制整備や説明対応など、一定の改善を求めたところであります。

 今後、改善に向けた取引状況をしっかりと注視していく考えでありますけれども、御指摘の口頭注意四件に関しましては、透明化法上の義務に違反するおそれがあったものの、当該行為の重大性や悪質性が高くはなく、また、規制対象事業者自身が自主的に改善措置を講じたことから、今回は勧告とはせずに口頭注意としたものであります。

 いずれにしても、健全に発展していくことが大事だと思いますし、まさに、透明性、公正性とイノベーション、利便性、この両立をどう図っていくかという難しいところですけれども、しっかりと法律の運用、取り組みたいと思っております。

落合委員 世界の特に先進国がデジタルプラットフォーマーとばちばちやり合っている中で、そういう国と比べるとかなり消極的なんじゃないかなと私は思います。後半、世界との比較も行いますけれども。

 去年の八月に、今まではこの透明化法は通販とかアプリが対象でしたが、広告にも対象を広げますということを発表しています。この意図についてお考えをお聞かせいただければと思います。

西村(康)国務大臣 デジタル広告は、多様なチャネルを通じて中小企業による販路拡大にも寄与するということなど、日本の、我が国の産業や国民生活にとっても重要な基盤となるものであります、重要なものであります。一方で、大規模なデジタルプラットフォーマー、事業者が取引条件やシステムを突然変更するなど、様々な懸念や課題も指摘をされております。

 そこで、経済産業省におきましては、二〇二一年二月に公正取引委員会が公表した実態調査報告、それから、二〇二一年四月に内閣官房が事務局を務めるデジタル市場競争会議において取りまとめられました最終報告などを踏まえまして、デジタルプラットフォーム取引透明化法の規律対象にデジタル広告を追加したところであります。

 デジタル広告市場の健全な発展に向けて、規制対象事業者によるプラットフォーム運営の透明性、公正性、これを高めていくことが重要でありまして、産業界の声に耳を傾けつつ、公正取引委員会などの関係省庁とも連携しながら、適正な執行に取り組んでいきたいというふうに考えております。

落合委員 ちょっとだけというか、重要な広告について範囲を広げたわけですけれども、三年前の法案の審議のときも、もうちょっと厳しくやった方がいいんじゃないですか、そういう規定を設けるべきじゃないですかということも質疑で取り上げてまいりました。そのときは、いわば小さく産んで大きく育てるというような、まずはやってみて、そこから見直していくんです、新しい分野なのでそういうふうにしていきますというような当時の大臣の答弁だったんですが、より厳しくする方向に、検討の課題、検討議題の一つであるというふうに大臣はお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、内閣官房が事務局を務めておりますデジタル市場競争会議での議論、これは私も官房副長官をしておりましたときに関わっておりましたが、当時の議論でいいますと、イノベーションと規律、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、このバランスをどう取っていくのかという議論、それを取りながら健全な市場発展を図っていくという、そのために政府が大きな方向性を定めて詳細は事業者の自主的な取組に委ねるという、共同規制という言い方をしていますけれども、その枠組みを措置したところであります。

 一方で、社会のデジタル化が更に進んでいるわけでありますし、デジタルプラットフォーマーの影響力もより大きくなってきております。その規制の在り方について、海外でも御指摘のように様々な議論があって、特に欧州では、一定の行為の義務づけや禁止といった、いわゆる事前規制、これを含む法律が昨年成立したものと承知をしております。

 今後の具体的な政策の方向性につきましては、こうした国際動向も踏まえながら、昨年四月にデジタル市場競争会議で提示されたモバイルエコシステムに関する中間報告、それから、本年二月に公表されました公正取引委員会のモバイルOSなどに関する実態調査報告書、これらを踏まえまして、内閣官房が中心になって検討を進めているところであります。

 経産省としても、産業界の声にしっかりと傾けながら、このイノベーションと規律のバランスという難しい課題を乗り越えて、是非、健全な発展につながるように、海外の事例なども参考にしながら、検討に協力をしていきたいというふうに考えています。

落合委員 自由にやらせるのと規制するののバランスをという、この答弁の内容も本当にバランスが取れ過ぎていて、どっちだかよく分からないんですけれども。

 今言及のあったEUは、恐らくEUが一番厳しくしているんじゃないかなというふうに思います。日本の場合は、自主的な取組ということで、実質的には規制ではなくて、自主性に任せますという形が透明化法なわけですけれども、EUは包括的に規制を、何を駄目ですというものを決めました。それが事後規制じゃなくて、事前規制であるということは、ここも厳しくしているわけです。

 それから、読んでいてびっくりしたのが、違反すれば最大で世界の売上高の六%に罰金をかけますというような、GAFAの売上げの六%にかけるというのは大変な額になるわけです。なので、日本の政府のやっている大臣による口頭注意四件と、このヨーロッパの姿勢というのは全然違うわけです。

 何でここまで規制するのかな、この規制の意図というのは何なのかなというふうに調べてみると、何もデジタルのビジネスに対してブレーキをかけようというふうに思っているわけではないようなんです。適正に規制をかけることで、今の大きいデジタル企業に規制をかけることで、EU発の新興のそういう企業を育てようという産業政策的な狙いもあるということをヨーロッパはしっかり発信をしています。

 やはり、デジタルの分野での産業政策という観点からも、今勝ち過ぎているところには、もう少し新興企業が伸びるようなルールはしっかり日本も決めていきましょうという姿勢は必要だと思うんですが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 欧州の意図、取組について私からコメントするのは控えたいと思いますけれども、恐らく、GAFAというアメリカの大きな企業がヨーロッパでも事業を展開し、様々なデータも当然収集する中でいろいろなビジネスチャンスを広げていること、そして、それにどう対応していくか、そういう考えもあるんだと思いますし、日本においても幾つかの新興的な企業が、こういうデジタルプラットフォーム的な、フォーマーとしてやっていこうという、そんな企業もありますので、日本の企業をどう育てていくかという観点もありますし、様々な視点、イノベーションと規律、余りバランス、バランスと言うとよくないのかもしれませんが、そういったところをよく見ながらやっていく必要があると思います。

 欧州のデジタル市場法においては、まさに、大規模な事業者は自社以外のアプリストアを利用できるようにすることが義務づけられる、あるいは一定の行為の義務づけや禁止、先ほども申し上げましたいわゆる事前規制を含むルール整備が行われているものというふうに思います。

 我が国におきましても、内閣官房が中心となって議論を進めておりますので、産業界の声も聞きながら、競争上問題があるという場合には、実効的に対応することができる方策、これはしっかりと考えていきたいというふうに思います。関係省庁と協力しながら進めていきたいと思います。

落合委員 発動するかしないかはどちらにしても、ルールが全くなかった分野のビジネスですので、規制というよりも、やはりルール作りというのはより強化をしていく必要があると私は思います。特に、もう透明化法ができて三年たっていますので、是非検討する段階に来ているのではないかというふうに思います。

 今日は公取委員長にもお越しをいただいております。公取委員長に、二問、まとめて質問をさせていただければと思います。

 例えばアメリカは、アメリカといえば自由放任というふうな競争政策が取られてきていたというふうに思います。事業者が自由放任で競争することで、それが消費者利益につながるというように考えられてきたわけですが、このデジタルプラットフォーマーが出てきた頃から、だんだん、アメリカさえ、競争政策への姿勢が変わってきています。一定のルールで足かせをはめていく、ルールは作っていくべきだ、規制を作っていくべきだと。それが、勝者総取り、全部一社とか二社で取っていっちゃうんじゃなくて、それを抑えて、それがイノベーションを起こすことにつながっていくんだというような考え方に変わってきているわけでございます。

 このアメリカの競争政策の姿勢の変化について、日本の競争政策の番人の長としてどのように考えるかということと、それから、先ほどの、より厳しい欧州の包括的事前規制の導入についての見解も伺えればと思います。

古谷政府特別補佐人 御指摘のとおり、アメリカにおきましては、特に民主党のバイデン政権になりましてから、デジタルプラットフォーム事業者に対して極めて積極的に競争法を執行するとともに、規制を強化するための新たな法案が超党派で議会に何本か提出されたといったような動きがございました。去年の中間選挙で民主党が下院で多数派を失ってから、必ずしも現時点で議会での議論ははかばかしくないと受け止めておりますけれども。

 いずれにしましても、こういうデジタル経済が進展する中で、御指摘のありました寡占、独占が進んでおりますデジタルプラットフォーム事業者に関する競争上の問題への対応を強化していこうという動きは、アメリカのみならず、世界に共通した潮流になっているというふうに受け止めております。

 また、これも御指摘のありましたように、EUの方は、デジタル市場法という、デジタルプラットフォームに対していわゆる事前規制を行う新たな法律が昨年十一月に発効いたしまして、これから、ゲートキーパーと称されていますが、対象となるデジタルプラットフォームを選んでいくといったような、執行に向けた作業が進んでいくんだと思います。

 一方で、私ども公正取引委員会では、経産大臣からもお話がございましたが、今年二月にモバイルOSなどの実態調査報告書を取りまとめまして、スマートフォンのアプリの流通市場などにおける競争上の課題を具体的に指摘をいたしました。

 そこで、我が国のモバイルOSですとかアプリストアで、アップルとグーグル、この二社が寡占状態にあるわけでありまして、是非この二社には健全な競争環境の整備に取り組んでもらうことが重要であって、それを期待しているというメッセージを出すとともに、必要な範囲で法律による制度整備を行うことが有効であるという公正取引委員会としての考え方を明らかにさせていただいているところでございます。

 経産大臣の方からお話がございましたように、この問題は、内閣のデジタル市場競争本部の下で政府一体となって検討する体制ができておりまして、私ども、いろいろな実態調査もしてきておりますので、それを踏まえまして、この作業に、先ほど申し上げた二月の報告書の考え方も踏まえて、積極的に参画をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

落合委員 積極的にということで、公正な競争を監視する番人として、リアルな商取引とは違う問題がデジタルプラットフォーマー等が出てきたことで起きてしまっているというような御認識はかなり強く持っているということでよろしいですね。

古谷政府特別補佐人 御指摘がございました。

 私ども、独占禁止法という大変重くて強い規制の法律を持っておりますけれども、この法律は、違反行為を事後的に発見をして、証拠立てをして、立証をして競争制限行為を排除するという作業を行います。

 一方で、大変イノベーティブで変化の激しいデジタル分野にこの独占禁止法でこれまでと同じように適切に対応できるのかどうかという問題意識は強く持っておりまして、EUのデジタル市場法のような、いわゆる事前規制の導入といったことも今後議論が我が国でも展開されていくことが望ましいという、私どもの競争当局としての考え方はそういうことでございます。

落合委員 割とはっきりと言っていただいて、ありがとうございます。私も、それは検討するべきだというふうには思います。中身はしっかり議論をしなきゃいけませんが。

 今日は財務政務官にもお越しをいただいております。ありがとうございます。

 法人税の納税というのは、本社があったりですとか、あと、恒久的な施設ですね、工場ですとか店舗ですとか、そういうところに法人税がかけられてきたわけですけれども、デジタル上で、オンライン上で取引がされてしまうと、特に日本に何にもなくても、取引額だけは膨大でも、何もほとんど税金をかけることができないというような事態にもう既になってしまっているわけでございます。同じぐらいの小売企業と比べると三十分の一しか納税していませんよとか、そういうような指摘もいろいろな専門家からされています。

 ただ、課税するには、日本だけそういうルールを作ってもすぐ逃げていっちゃうわけですので、やはり国際的なルール作りというのは大変重要です。

 OECDで、各国みんな同じような悩みを抱えていますので、やりましょうということが決まりました。具体的にはまだこれからだとは思いますが、急ぐべきだというふうに思います。いかがでしょうか。

宮本大臣政務官 今委員御指摘の件に関して、お答えをいたします。

 二〇二一年の十月に、OECD、G20のBEPS包摂的枠組みにおきまして、今委員御懸念の、いわゆる市場国に物理的拠点を置かずにビジネスを行う大規模で高利益水準の多国籍企業に対しまして、市場国で課税を行えるようにするための国際課税原則の見直し、これについての合意がなされました。これはまさに歴史的な合意と言ってもいいと思っております。

 俗に第一の柱と呼ばれますけれども、市場国への新たな課税権の配分、これを実施するために今国際的な交渉が行われているところでございますけれども、現時点では、この多国間条約に関しましては、本年、二〇二三年の前半には署名を、そして来年、二〇二四年のうちには発効、これを目標として今取り組んでいるところでございます。

 この第一の柱も含めまして、二〇一二年にOECDの租税委員会におきましてこのBEPSプロジェクトが立ち上がって、当時、委員会の議長を務めていたのが、当時の財務省財務官の浅川財務官でもございました。以来、日本はこの議論を積極的に発展させてまいりましたし、本年は議長国を務めてG7も開催されますので、国際的な協調を主導することに専心努力をしてまいりたいと思っています。

落合委員 DXを経済成長の柱にするのであれば、急ぐべき問題だというふうに思います。納税もされないというような経済をつくってしまっては大きな問題が起こりますので、それを指摘をさせていただければと思います。

 経産大臣に伺います。

 私、ごもっともだと思ったのが、前の公取委員長の杉本元委員長があるインタビューに答えていまして、ざっくりと言うと、このままだと日本企業が海外のプラットフォーマーの下請になりかねないんだ、だから、踏み込んでいこうというふうに思ったというように回想されておりました。

 経産省は、下請法ですとか取引関係について、中小企業政策として所管をしながら重視をしてきたわけでございます。今度、デジタルプラットフォーマーは、下請というよりも、市場そのものを運営していて手数料を取っているわけですけれども、新しい下請問題、取引問題として、しかも中小企業や個人事業主が弱い立場に立っているという大きな新しい問題が起きています。

 これは、今までの下請法等で扱ってきたように、中小企業それから個人事業主、フリーランス等を、しっかり利益が確保できるように、弱い立場の人たちが自由に伸び伸びと経済活動をすることができるように、そういう観点からもデジタルプラットフォーマーを見ていきますということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 まず、先ほども申し上げましたが、デジタルプラットフォーム事業者、ある意味、イノベーションの担い手で、様々なビジネスモデルをつくってきたという中で、中小企業におきましても、それを利用して国内外の顧客、新規顧客の開拓機会を見つけることができるなど、そういう機会を与えてくれるということで、非常に重要な存在であることは事実であります。

 他方、御指摘のとおり、中小企業がこうして大規模なデジタルプラットフォームを利用せざるを得ない状況が生じているのも事実であります。ネットワーク効果の中で取り込まれていくというか、その中で、事前の説明もないままに取引条件が一方的に変更されたり、取引拒絶の理由は示されなかったり、あるいはそのことについての問合せや意見に対応する体制、手続が不十分であったり、また、自社サービスを優遇しているとの懸念もあります。

 したがって、こういった取引上の課題を解決をしていかなきゃいけないということでありますが、その中でまさに、繰り返しになりますけれども、イノベーションと規律、このバランスをどう取りながら進めていくのかというところですけれども、いずれにしても、中小企業者のためにもデジタルプラットフォームの透明性、公正性を向上させていくことが重要でありますので、この取引透明化法を適切に執行していくことが重要だというふうに思っております。

 御指摘の中小企業者のみならず、ギグワーカーと言われる人やあるいは個人事業主を始めとして、利用する方はたくさんいると思います。特に弱い立場にあると思いますので、こうした個人事業主などの声も踏まえて、規制対象事業者に更なる体制整備や説明対応などの改善も求めておりますし、今後もそうした取組は進めたいと思っております。

落合委員 時間が来ましたのでこれで終わりにしますが、販路拡大というこの答弁は、少し強調し過ぎじゃないかなというふうに思います。なぜなら、ゲーム産業も、ダウンロード数は増えたんです、ただ、利益ががくんと減って、もう産業として成り立たなくなりつつあります。運送業もそうです。仕事は増えたのに、やっていけなくなっているわけです。だから、政府が何とかルールを作っていかなきゃいけない。こういう今状況ですので、是非取り組むべきだということを強調させていただきます。

 今日はありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今朝は、GX推進法案について、我が党が準備をしてきた、協議をしてきた内容について修正可決を委員会でいただきました。本当に関係の皆様には感謝を申し上げたいと思います。

 内容については朝私から趣旨説明を申し上げましたが、これは、条文を見ると、修正案を見ると軽微な修正に見えるかもしれませんが、大変大きな修正であると提案者は思っております。というのは、今回の、今日朝、委員会可決を、修正可決をしたGX推進法案は、排出権取引市場について、特に有償オークションについて一定のピン留めがされているわけですね。これを我が党は、現時点はともかく、施行から二年以内に、より詳細な、具体的な、包括的な排出権取引市場の設計をしていくに当たっては、ここは改めてテーブルにのせるべきだという趣旨での修正でありますので、大変大きな意味がある、こう思っていますが、大臣の受け止めをいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 この間、足立議員とは様々な観点からいろいろな御議論をさせていただきまして、その上で、御党から、附則の第十一条に関しまして、二酸化炭素の排出に係る国内外の経済動向などに応じて柔軟に制度設計を考えていくことが必要である、その観点で、法律施行後二年以内に講ぜられる法律上の措置に先立つ検討の対象を法文上でも明確にするという、その観点から修正案を御提案いただき、与野党間で協議を経まして、修正がなされたものというふうに承知をしております。

 御指摘のカーボンプライシングの時期や規模、この制度設計につきましては、現時点では私どもとしてこの案がベストだということで提出をさせていただいておりますけれども、御指摘、御提案を受けて修正された附則の規定、あるいは附帯決議なども踏まえまして、GX投資の進捗状況、あるいは技術開発や国際的な動向、企業の予見性の確保、様々な観点を踏まえて、必要に応じて適切な見直しは検討していきたいというふうに思います。

足立委員 重ねてというか、もう十分ですが、見ていただいている方々、関係者多いですから、同じことをもう一回いただきたい。

 今、時期、規模とおっしゃいました。できれば、時期、規模、対象と言ってほしいんですけれども。時期、規模、対象について、今回の法案で、本則で決まったことについても、この二年以内の検討、テーブルにのるんだと、ちょっと改めてお願いします。

西村(康)国務大臣 与野党協議の中で、そうしたことも含めて修正案には含まれているものというふうに思いますので、しっかり検討していきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 大変ありがたい。普通は、なかなか、閣法で出た法案、こういうことは難しいことが多いと思いますが、大臣も、あるいは関筆頭理事始め与党の皆様も、とにかく国のためだと。要は、国益に何がいいのかという一点で柔軟に御調整いただいたし、またこれから柔軟に検討いただく、こういうことだと理解しまして、改めて感謝申し上げたいと思います。

 実は、私が、私たちがこの修正にこだわった理由は、一番、一つの目標というか、勝手な目標です、これは御理解いただけているとは思っていませんが、四たびにわたってこの場で大臣にもいろいろ御質問してきたことについて、私は私の持論だと勝手に思っていたら、いろいろ調べていると、まさに、ある有識者の方が同じことをおっしゃっているんですね。それはどなたかというと、まさに、経産省でカーボンの検討会の座長とかをお務めいただいていたか、いるか、ちょっと分かりません、現在か過去形か分かりませんが、早稲田かな、有村俊秀先生がいろいろなところで御講演されているものを拝見すると、要は、炭素税収の使い方について二重の配当ということを提案されている。

 それは、まさに私が何度も申し上げているように、カーボンプライシングで出てくる税収、歳入、これを、先生がおっしゃるのは、一つ目の配当は脱炭素のために使うんだと。これはまさにやっていただいている。脱炭素のために使うんだと。もう一つは、経済成長のための、GDPをアップさせるための、二つ目の配当、これは減税だと。端的に言うと、法人税減税に使えばいいんだ。これは私がまさに財務副大臣をお呼びして、小さな折り合いのよさではなくて、要は減税したらいいんだから、だからこそ、有償オークションの規模についても、そこは柔軟に考えたらどうかということを申し上げてきたわけであります。

 これは、振っちゃっていいですか。これは通告していないんですけれども、木原さん、私の敬愛する副長官と同じ名前なんですけれども、さっき聞いたら何か同学年だという、勝手な、済みません、要らぬことを言いまして。木原さん、ちょっとお願いします、その点について。

 要は、有村先生がおっしゃるような炭素税収、新たな歳入の使い方について、二つの配当、脱炭素のために生かすということと、法人税減税に生かす、この二つの配当という考え方、いろいろなところで先生がおっしゃっていますが、そういうことも含めて検討していただきたいなというふうに、通告なしでごめんなさい、さっき思いついたので。ちょっと、可能な範囲で御答弁をお願いします。

木原政府参考人 カーボンプライシングと法人税減税との活用の仕方についてのお尋ねでございます。

 今般の制度は、早期にGXに取り組むほど将来のカーボンプライシングの負担が軽くなる、すなわち、GXに向けて頑張った企業ほど、税でいえば減税と同じような経済効果をもたらすことが可能な制度設計になっているというふうに認識しております。

 御指摘の、カーボンプライシングの財源を活用した一律の法人税減税という措置に関しましては、税務上の黒字法人のみに効果が限定されてしまうという課題ですとか、脱炭素の実現に向けて大変重要な水素、アンモニア、水素還元製鉄、次世代太陽電池、革新的な蓄電池といった技術分野などに対して、一律の措置で集中的な投資を促すことが難しいという課題がございます。

 一般論として、税の原則というのは、公平、中立、簡素ということでありまして、既存の税制は、それぞれの税目における課税根拠等に応じて、その必要性や許容性を精査の上、制度が措置されているということでございまして、今般の法案のみを契機に検討するというのはなかなか難しいところでございます。

 以上でございます。

足立委員 直前に言ったら何かもうちょっと面白いことを言ってくれるかなと思ったんですが、ちゃんと、さすが経産省の官僚の優秀な方ですから、ありがとうございます。

 でも、大臣、繰り返しになりますが、有村先生って、大臣、余りおつき合い……(西村(康)国務大臣「まあまあ知っています」と呼ぶ)一応、御存じ。経産省でもいろいろ有識者としておつき合いされているようでありますので、大臣から、私が今申し上げた二重の配当、そういう大きな議論をですね、それは、足立さんが言うことは俺は分かる、事務的にはどうか知らぬけれども自分は分かるから、そういうこともテーブルに、それは別に排除はしないと。ちょっとお願いします。

西村(康)国務大臣 足立議員の思い、願いはよく分かります。

 確かに、今回我々が考えたのも、脱炭素と、それからエネルギーの安定供給もありますし、それから経済成長にやはりつなげていく、そうした取組を、両立を実現していこうということでありますので、御指摘のように、二重の配当という言い方を有村先生はされているようでありますが、まさにそうした考えでこのカーボンプライシングを成長志向型というふうに名づけているわけでありますので、思いは共有しているところはございます。

足立委員 ありがとうございました。

 これで、今日の採決を受けての確認ということは以上にさせていただきます。ついては、大臣はもうお役御免ですので、いていただいてもいいし、自由にしてください。あとは、部長さんたちとちょっとじっくりやりたいと思います。ありがとうございました。

 今日は、あとの残りの時間を使って二つのテーマをやります。一つは電力システムです。それからもう一つは、ちょっとこれは皆様なじみがないと思いますが、実は政治資金規正法の話をやります。なぜ政治資金規正法の話をやるかというと、実は、産業競争力強化法のグレーゾーン解消制度に基づいて私がやってきたことがあるので、それの関連で、ちょっと経産委と関係ない、他省庁に関わることでありますが、場所をおかりしてやらせていただきたい、こう思います。

 まず、電力システムでありますが、これはもう大変重要な問題だと思っています。

 要は、自由化を進めてきたけれども、例えば、所有権分離の議論が今出ている。内閣府の再生可能エネルギー等規制等総点検タスクフォースの委員の人たちが所有権分離の提言をされたりしています。他方、いろいろ、ちょっとそれ、自由化というけれども、ここに来て、行け行けだけの議論でいいのかというような感じが、細田先生なんかの顔を見ているといつもそう感じるわけでありまして、やはり両論が相当拮抗しているというか、せめぎ合っているようにお見受けをします。

 平成二十五年の電力システムに関する改革方針に基づいて、電力広域的運営推進機関の創設をやったり、送配電部門の法的分離をやってきたけれども、ここはこれからどっちに向かっていくのかということを、ちょっと今日は三十分ぐらいかけて松山部長と討論したい。冗談です。

 その辺、部長から、これは大臣でもよかったんですが、部長に思いのたけをちょっと語っていただきたいということで、部長に通告をさせていただいています。まあ、気楽にやってください。お願いします。

松山政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御指摘がありました電力システム改革でございますが、御指摘がありましたように、平成二十五年の閣議決定、これを踏まえて順次進めてきたところでございます。

 電力自由化前若しくはシステム改革前というのは、供給エリアというものを決めて、地域独占と規制料金という形で費用回収を保証された電力会社というものが、安定供給ということを実現するということに、よりふさわしいメカニズムだったのだと思います。これは、大規模電源の開発ですとか、若しくは地域での供給保障という面では非常に大きい面があったわけでございます。

 一方で、地域独占があるがゆえに、なかなか競争が働くわけでもございません。自由化を順次進めましたけれども、なかなか競争他社というのが生まれるわけでもない。需要家の選択肢が狭まってしまうという一つの側面と、あと、特に、再エネの導入の拡大が進んでくる中で、エリア、エリアということで切っていくだけでは需給管理というのがなかなかままならないというのは、もう今直面している現実だと思っています。

 そうなってくると、全国大の仕組みをつくっていく必要があるわけでございますので、安定供給の確保、電気料金の最大限抑制、そして需要家の選択肢の拡大と事業者への機会の確保といった観点からの改革を進めてきているというのが今の現状だと思っています。

 その中で、まず全体としての広域融通、全体としての需給管理という側面で考えますと、先ほど委員からも御指摘がありましたように、広域機関というものができまして、全国大での電力融通ができる仕組みは動き出しました。これによって、地域間連系線の運用管理ですとか、需給逼迫時の指示ということも的確になされるようになりまして、結果的に、例えば、昨年の三月、福島地震の直後ですとか、六月の逼迫、若しくは昨年、一昨年の冬の需給逼迫期というところを全国の全電力事業者さんが協力連携することによって大規模停電を起こさないことができたということは、非常に大きな、新しいシステムの移行としては大きな成果があったのではないかと思っています。

 一方で、ただ、まだ十分ではない。全国大でのネットワークの高度化、計画的な整備というものは必要でございますので、現在、マスタープランの策定等、海底直流送電を含めた様々な新しいネットワーク形態をつくること、その運用ということは取り組んでいかなければならないと思っています。

 一方で、競争という側面について、盛んに最近、御指摘を頂戴しているところでございます。小売全面自由化によって多くの小売事業者さんが参入して、多過ぎるのではないかという指摘もあるぐらい、たくさん入られました。同時に、様々なサービス、特に規制料金より安い自由料金というのがたくさん提供されるようになっておりますので、一定の成果は出てきているかと思います。

 他方で、競争、効率ということの追求ということと安定供給の確保ということのこの両立の難しさというのに今まさに直面しているところであり、これを補完するためのメカニズムの創出、導入ということが非常に大きな課題であり、これに全力で取り組んでいるところでございます。

 ですので、容量市場、新規投資の促進といったこともどんどん進めていき、供給力を安定化させるという策を自由化とともに進めなければならないと思っています。

 その上で、一番最後に申し述べておきたいと思っておりますのは、今回の不祥事、送配電の事業者の人たちが持っております顧客情報の漏えいですとか、若しくは競争の環境が十分ではないとかいった課題がありました。これは根幹を揺るがす問題になりかねませんので、これはしっかりと検証して、再発を防止する策を取らなければならないと思っております。

 その中で、所有権分離というお話もございましたけれども、電力システム全体として見て、日本の電力としての安定供給と効率というもの、競争の促進というものを、ちゃんとバランスした仕組みを取るにはどうすればいいか。これまでの道のりでの成果、課題ということをよくよく見詰め直しながら、虚心坦懐に議論していく、この姿勢で引き続き不断の見直しを続けていきたいと考えております。

足立委員 さすがは松山部長、大臣もうなずいていらっしゃいますけれども、大変分かりやすい。もうこれで質疑を終わろうかなというぐらい、分かりやすいわけでありますが。

 他方、私も党のメンバーでありまして、ちょうど昨日、我が党が電力取引における公正競争の促進法案というのを出しまして、そこに所有権分離と書いてあるんですよ。

 だから、一応まだ党にいますので、ちょっとそういう観点からいうと、どちらかというと、党のポジションは、内閣府のタスクフォースのポジションと似ているので。内閣府にもお越しをいただいていますので、辻次長から、この件について、まさに内閣府のタスクフォースは何を言っているんだ、委員の意見なのか、それはもう河野大臣が政治生命を懸けてやっているのか、ちょっとその辺を教えてください。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお話がありましたとおり、三月二日に、大手電力会社の情報漏えい及び不正閲覧問題、これを議題といたしまして、再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースが開催されました。この日の会合で、タスクフォースに所属しております四名の構成員連名で提言書が出ておりまして、その中身が、御指摘のあった所有権分離の実現のほかに、今回の事案の真相の徹底究明とか、大手電力会社に対する行為規制、罰則の強化、そういったものが入っておりまして、それを受けて議論が行われたということでございます。

 私ども規制改革をやっております当局としては、やはり、需要家に再生可能エネルギープランの提供に非常に力を入れている新電力と、大手電力会社の小売部門が公平に競争できる環境が整っていることが重要というふうに考えておりまして、タスクフォースの議論も踏まえまして、まず、所管の経済産業省において、実効性のある再発防止策、これをつくっていただくことを期待しているという立場でございます。

足立委員 なるほど、ありがとうございました。

 これはすごく本当に大事な議論でして、繰り返しになりますが、我が党も、まあ不祥事はちょっと分けた方がいいと思うんですけれども、不祥事もあり、やはり所有権分離の議論をやるならこの国会でちゃんと議論を深めていきたいと思っているんですよ。

 だから、所有権分離の議論をやるのかやらないのか、というか、ある意味でそっちへ突っ込んでいくのか。河野太郎大臣ばりに、経済学的にはそういう理屈もロジックとしてはある。いろいろ問題が起こるのは、自由化が中途半端だから問題が起こっているんだから、徹底すればいいんだというのが、今の内閣府のタスクフォースの委員の人たちの、多分、所有権分離論なんですね。

 先ほど松山部長がおっしゃったように、まあまあ、しかし、こうよというところなんですが、松山部長、改めて、もうそれは、今の内閣府の話は聞いていらっしゃるわけだから、知っているわね。だから、私たちも、私たちって、党を代表していませんが、私の個人の気持ちとしては、しっかり議論した上で、でも、所有権分離の議論をするんだったら、まさに今やっていかなあかんタイミングだと思っているんですけれども。だから、ある種、議論のラストチャンスというか、この議論を真面目にテーブルにのせて判断をしていく。判断というのは、もちろん最後は大臣が判断するんだけれども、でも、国会としても考えていく非常に大事な局面に今来ていると私は思っているわけです。

 そのときに、じゃ、経産省はというと、この議論は、さっきあったみたいに、内閣府はそんな感じだと。経産省の仕事なんだけれども、こういう経緯で意見は言ったと。この所有権分離の議論は、経産省としてはもうテーブルにのっていないのであるということか。もう言っちゃったらいいと思うんですよ、ないならないと、はっきりとね、ちょっと報道に載るぐらい。だから、今日、明確にもう所有権分離の議論は経産省として受け取っていないと言っていただいたら、いろいろな人が成仏できると思うんですよ。

 その辺、できるだけはっきりしたいなということで、今日、ちょっとお時間を頂戴しています。どうでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、電力システム改革の意義、評価及び今後の進め方というのは、先ほど御答弁申し上げたとおりかと思います。

 その上で、このシステム改革の在り方というのは在り方として、不断に見直しを進めていくということかと思います。その意味でいうと、システム改革の狙いであった全国大の融通というものが今うまくなされているかいないか、改革するためにはそれは何が必要かでしょうし、小売間の競争について足りないものは何なのか、それについて解決策として取らなきゃいけないものは何なのか、こういう視点でシステム改革の見直しということはしっかり進めていくということかと思います。

 システム改革を行った当時も、法的な分離ということを最終的には取って今動いてきているわけですが、様々な案を検討しながら進めてきたところであります。ですので、電力システムの在り方として、どの選択肢を排除するということはないわけですけれども、あくまでも、今、この電力事業というものが継続的になされ、安定供給というのが確保されなきゃいけない中で、現実的な中で、どういう形で取れば今課題となっている問題に対して対応ができるのかということについては、虚心坦懐に議論をしていくしかないと思っております。

 そうなってみますと、今足下で起こっております供給の問題、競争の問題と併せて、今回の大手電力による一連の情報漏えい、不正閲覧事案、この中で競争に関する懸念というのも生じたわけですけれども、これを防止するための手だてが何が必要なのかということは、様々な可能性については議論していく必要があるかと思っておりまして、現在、内閣府の有識者会議の提言も含めて様々な案がございますが、それぞれに一長一短、課題もありますし、いいところもあるかと思っております。まだ今、この調査自体、進めているさなかでございますので、しっかりと有識者会議、これは省の中の審議会でまずはしっかりと議論していくことになりますけれども、引き続き、不断の見直しという中で、徹底的に議論していきたいと考えてございます。

足立委員 ありがとうございました。

 明確に言っていただいたらいいなと思ったんだけれども、まあまあ、そんなところですね。じゃ、それはありがとうございました。そういう御答弁でまずは承りたいと思います。

 今、松山部長からも再三言及があった、顧客情報とかカルテル疑惑とかいろいろあって、これも消費者庁が、家庭向けの規制料金の値上げに絡んで、電取委の審査にそういうものの影響をちゃんと組み込めということをおっしゃっています。片岡総括審議官、ちょっとその辺、御紹介ください。

片岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 まさに委員御指摘のカルテル、それから顧客情報の不正閲覧といった不適切な事案が立て続けに発覚をして、消費者の信頼を損なわれているということが大変深刻な状況であるというふうに考えております。

 そういった意味で、現在、規制料金の値上げ申請が行われているわけでございますけれども、こうした事案が料金に与える影響について、まずは経済産業省にしっかり検証いただく必要があるかなというふうに考えているところでございます。

足立委員 これはこれで、今の話を受けて、経産省は、この電取委の審査において、その影響についてはどう考えるんだという質問をもう一回していいんだな。新川さん、経産省の立場を御答弁ください。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大手電力における一連の情報漏えい、不正閲覧は、小売電気事業者間の公平な競争や一般送配電事業者の中立性、信頼性に疑問を抱かせるものであり、極めて遺憾であると思っております。今後、当委員会としては、調査結果を踏まえ、厳正に対応していく所存でございます。

 また、カルテル事案につきましても、独占禁止法に基づく公正取引委員会の処分が決定した後、当委員会としても適切に対応してまいりたいと考えております。

 消費者庁の御指摘は、カルテルや不正閲覧といった不適切事案について、しっかりその影響を検証すべきという御趣旨と理解をしております。

 大手電力における情報漏えい等の不適切事案につきましては、厳正に対応していくとともに、料金審査との関係でも、真に必要な費用のみ原価に算入されているかなど、引き続き厳格かつ丁寧に審査を行ってまいりたいと考えております。

足立委員 ありがとうございました。そういうことで結構だと思います。しっかりよろしくお願いします。電気料金は本当に大事なので、しっかり、新川さん、お願いをしたいと思います。

 この電力の話をあと一問だけ。

 インボイスの影響について、共産党がえらいわあわあやっています。これはどういう状況か、井上部長から御答弁いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT制度では、再エネ導入を促す観点から、法律上、電気事業者に対して再エネ電気の買取りを義務づけております。

 インボイス制度の開始後、仕入れ税額控除ができない場合には、再エネ電気を買い取る義務のある電気事業者に新たな消費税負担が生ずることとなります。

 こうしたインボイス制度の導入に伴う買取り義務者への影響を抑制するため、課税事業者であるFIT認定事業者に対し、インボイス登録に対する周知を経産省としても一生懸命やっております。

 その上で、なお、FIT制度に基づく再エネ電気の買取り義務を行う中で、仕入れ税額控除ができないことによりやむを得ず生ずる負担分につきましては、法律に基づく再エネ電気の買取りが困難とならないよう、資源エネルギー庁の審議会での御議論も踏まえまして、二〇二三年度につきましては、FIT制度において再エネ賦課金から手当てするということとなっております。

 この二〇二三年度に必要となる金額というお尋ねでございますけれども、FIT認定事業者に対して我々が実施したアンケート調査の回答結果から機械的に単価に換算いたしますと、〇・〇〇七円程度パーキロワットアワーということになります。これは、二〇二三年度の賦課金単価一・四〇円となりますけれども、これの〇・五%程度の水準であるということでございます。

 引き続き、課税事業者のインボイス登録に関する周知を通じまして、インボイス制度の導入に伴う買取り義務者への影響の抑制に取り組んでまいりたいと考えてございます。

足立委員 井上部長、ありがとうございます。よく分かりました。

 この規模感というか、影響は今の〇・五%ですか、ですから、余りないとか言うと怒られるけれども、余りないわけであります。これを赤旗が針小棒大にキャンペーンを張るものだから、私も赤旗の被害者ですので、共に闘っていくということで思いを共通にしていきたい、こう思います。

 一旦、これで経産省の皆様は結構ですので、もしお忙しかったら引いていただいて。後半も面白いので、また聞いておいていただいても結構です。

 ここから、あと残るは総務省と厚労省に今日はお越しいただいています。

 何で政治資金規正法の話が出てくるかといえば、実は私、会社をつくっています。株式会社をつくっていて、その株式会社で政治活動をやっています。株式会社の営利事業として政治活動をやっているんですよ。私はその会社を選管に持っていって、政治活動をやっているから、政治資金規正法の三条一項にこれは該当するから、お願いだから受理してくれ、書類を全部出すからということを言ったら、駄目だと言われたんですね。ちょっとこれ、詳細は後にしますが、政治資金規正法ってそういうことは結構難しいんですね。

 ごめんなさい、今、政府参考人の方、問いの四、五、六は後ろからいきます。済みません、後ろからね。

 まず、通告の六番ですが、皆さん、Colaboって聞いたことありますか、Colabo。若年被害女性等支援事業かな、ネットでえらい大騒ぎになって、実際、東京都やColaboにずさんさがあったということで、これ、暇空茜さんやったかな、ある男性の方が住民監査請求をして、実際に、東京都が珍しく、これはいかぬということで監査報告を出しています。

 二つ、厚労省に御答弁いただきたいのは、東京都の調査を踏まえて加藤厚労大臣も必要な対応を行っていきたいとおっしゃっていました。必要な対応がなされたのか。

 それから、特になぜこれが炎上しているかといったら、Colaboの代表の方が辺野古に行ったり慰安婦の何かをやったりとかいうことで、結構政治的なんですね。共産党とか何党かは、政党性はちょっとよく分からないけれども、とにかく政治的なんです。それでえらい炎上しているんですが。Colabo等の政治性、すなわち、この若年被害女性等支援事業というのは国もお金が入っていますから、国の事業ですから、これの実施要綱に規定する「政治活動を主たる目的とする団体」に該当すると、これは事業を受けられません。これに該当するかどうかも含めて御紹介ください。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 Colaboの問題に対する必要な対応ということでございますが、その団体及び東京都における対応を踏まえまして、厚生労働省といたしましては、補助金の適正な執行を図る観点から、去る三月二十四日付で、各地方自治体に対しまして、この若年被害女性等支援事業を行う際は、国庫補助金について、ほかの用途に使用されることや、重複して同一対象経費に充てられることがないよう、適切に確認等を行う必要がある旨等を通知したところでございます。

 もう一点、実施要綱に規定する「政治活動を主たる目的とする団体」に当たるかどうかにつきましては、この一般社団法人Colaboは、十代の若年女性等を対象として、夜間巡回、相談、一時的な居場所の提供、食事、衣類等の提供など、困難を抱える若年女性を支援する活動を主として行っている団体と承知しております。このため、若年被害女性等支援事業の実施要綱に規定する「政治活動を主たる目的とする団体」には当たらないものと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 今、二つの議論をしましたが、まず、二十四日付で「若年被害女性等支援事業に関するQアンドAについて」というのが今御紹介あったように出て、私も手元に持っています。これは、だから、何か国として事業のフレームを変えるということではなくて、QアンドAで、都道府県がちゃんとやってねということを確認したものであるということなので、東京都の監査報告を受けて、一応、必要な対応はこれで一旦終わりということなのかどうか、改めてちょっとお願いします。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおりでございまして、これは、都道府県が実施主体となる、都道府県等が中心となる事業でございまして、国はそれに補助しているものでございます。

 都道府県において適切に委託先などとの関係で経費の支出を処理していただくべく、都道府県に補助している国といたしまして、必要な通知で、QアンドAも含めて示したところでございますので、必要な対応をしたと考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 私も、従来から、この問題、実は幾つかの政党が国会でも取り上げ始めていて、衆参の本会議でも取り上げた方がいらっしゃるし、それから、我が党の政調会長も長文の質問主意書をお投げをして対応いただいて、お手数をおかけしましたが、そのいわゆるずさんさ、行政事務のずさんさについては本当にあってはならないことなので、このQアンドAも含めて、問題があった東京都を中心に、これはちゃんとやってもらわなあかん。小池知事も、これはこうやって国会でも取り上げられているんだから、このずさんさについてはちゃんとやってもらったらいい。これで、私の主たる関心はそこで終わりです。

 ただ、もう一つ、主たる関心。ずさんさに関しては一旦、一つの区切りだと思うんですが、さっきの政治性ですね。

 今御答弁いただいたように、Colaboの代表が、何か辺野古で辺野古反対とか、慰安婦で何かどっちの国の立場か分からないような活動をしているからといって、そんなことをいえば、いろいろな事業をやっている株式会社の代表が自民党の選挙応援していたりすることはあるわけですから、それは、政治活動は自由なので、何かそれをもってわあわあ言うのは私はおかしいという立場で、実は、そのわあわあ言っている人たちとけんかしてきたんですよ。ほんなら、もうネット上でぼこぼこで、足立さんはそんな人だったのかみたいに、もうぐちゃぐちゃにされていましてね。挙げ句の果てに、足立の兄は、実は福祉系のNPO法人の理事長をしているんですよ。ほんなら仲間だろうとかと言われまして、それでもうえらいことになったんですが、それは、当事者が、我々はそんなずさんなことはやっていませんよと言って終わっています。終わっていますが、もうとにかくそういうふうに、わあっとなるわけですよ。

 私は、この件については、従来から実はライフワークで、さっき冒頭申し上げたように、要は政治資金規正法なんです。もしColaboの代表が何かやっている、それがColaboなのかColaboじゃないのか分からないけれども、組織的、継続的に何か政治活動をやっているんだったら、それは政治資金規正法で規制せなあかんわけですから。規制というか、規制下に置かなあかんわけですから。それじゃ、政治資金規正法の政治団体に該当するのかという、それしかないじゃないですか、政治って。政治をつかさどっている政党法ってないんですから。政治活動規制法もないんです。あるのは、収支を明らかにする等の、あるいは寄附金規制とかの政治資金規正法があるだけなんですよ。だから、意見があるんだったら政治資金規正法の議論をしようやと僕はずっと言ってきたわけですけれども、誰も相手にしてくれない、独りぼっちなんですが。

 何でこの話を、あえて今日はこれをしたかというと、実はほかにも重要な話に広がっていきます。

 まず、私の兄がやっているみたいなNPO法人とか、あるいはColaboは一般社団法人です、あるいは一般財団法人、そういうNPO法人とか一般社団とか一般財団とかの非営利法人については、仮に、そうした団体が政治活動をやっているいわゆる政治資金規正法の三条一項に該当するんだったら、これは、いわゆる私たちがつくっている政治団体じゃなくて一般の非営利法人であっても、それは政治団体に該当する場合があると私は考えますが、そうですかということ。

 例はありますか。例えば、一般財団法人と称している非営利法人の中に政治団体登録届出をしている団体がありますかというのをお答えいただけますか。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 政治資金規正法第三条第一項におきまして、政治団体とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること、特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することのいずれかを本来の目的とする団体、又は、これらの活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体とされているところでございます。

 今ほど申し上げた政治資金規正法第三条第一項に規定する政治団体のうち、総務大臣届出団体において名称に一般財団法人が含まれる団体として、一般財団法人WIN WINというのを把握をしております。

足立委員 ということなんですよ。

 だから、余りよく皆さん知られていないんだけれども、非営利法人でも、実態として、その本来の目的や主たる活動が政治であれば、それはやはり収支を明らかにせなあかんのですよ。だから、もし皆さんの周りで、何か政治活動をばりばりやっていて、これは政治活動やんというのがいるけれども選管とか総務省に登録されていないで不透明な形でやっているところがあったら、それはちょっと違うんじゃないかと言っていいはずで、少なくとも、今私が探した限りでは、そのWIN WINしか見つかっていません。ほかにももっとあっていいと思うんですけれどもね。

 あるいは、もしColabo等の団体がけしからぬという人がまだいるんだったら、私はもうそうは思わないよ、思わないけれども、けしからぬという方がいらっしゃるんだったら、政治資金規正法のそこの三条一項を改正して、もっとそこの定義を広げたらいいんですよ、ということをずっと私は主張してきている。

 なぜ、以上のような議論をこの経済産業委員会でやっているかというと、もう一回さっきの話に戻りますが、実は、会社と労働組合は、政治資金規正法の政治団体の対象にはなり得ないことが明らかになっています。それは私が、産業競争力強化法のグレーゾーン解消制度に私の会社はどうなんだということを照会した結果、それは対象になり得ないという回答を文書でいただいています。

 この辺りの簡単な経緯と、経緯はあってもなくてもいいけれども、その辺の感じをちょっと教えてください。

森政府参考人 グレーゾーンの解消制度に関しての経緯は、今ほど先生の方から御指摘いただいたとおりでございます。

 政治資金規正法第三条第一項においての政治団体の定義、先ほど申し上げたとおりでございまして、政治上の主義、施策を推進、支持、これに反対することや、特定の公職の候補者を推薦、支持、又はこれに反対することのいずれかを本来の目的とする団体、又は、これらの活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体とされておるわけでございます。

 そしてまた、政治資金規正法第二十一条第一項におきまして、会社、労働組合、職員団体その他の団体が政党及び政治資金団体以外の者に対して政治活動に関する寄附をしてはならないこととされておりますが、同条第二項において、政治団体がする寄附については同条第一項を適用しないこととされております。

 仮に、会社法の規定によって設立された会社が政治団体になり得るのであれば、同条第二項により同条第一項の適用が除外され、会社から政党及び政治資金団体以外の者に対する政治活動に関する寄附をすることが認められることになりますが、企業・団体献金を制限した同条の趣旨を没却するおそれや同条に対する脱法的な手段となり得ることなどから、会社は政治団体になり得ないものと解されます。

 また、労働組合については、労働者がその労働条件の維持改善等を図ることを主たる目的として組織する団体であり、政治活動をすることを本来の目的とするものではないことから、政治団体とはなり得ないものと解されるところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 経産省の皆さん、済みません、余り面白くなかったですね。あと一問で終わりますから、最後までちょっとおつき合いください。

 あと五分ですが、非営利法人のことは今申し上げたとおりです。それから、株式会社を含む会社については今御紹介いただいたとおりです。

 私が今日、改めてこの場でやる、産業競争力強化法というきっかけがあったのでこの場をおかりしていますが、非常に私が問題だと思うのは労働組合ですよ、労働組合。労働組合も、さっきやったように政治団体ではないんですね、政治団体にはなり得ないんです。

 ところが、政治資金規正法の逐条解説を拝見すると、こう書いてあります。そうなんだけれども、仮に、当該労働組合が事実上、政治活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行っているとすれば、それはやはり政治団体と解されることになるんだと書いてあるんですよ。分かりますか。労働組合だと言っている団体があっても、政治活動ばかりやっていたら、何か僕、多くの労働組合が政治ばかりやっているような気もするんだけれども、とすれば政治団体と解されると書いてあるんですよ。すごいでしょう。政治団体と解されるんですよ。加えて、その場合には、もはや当該団体は労働組合としての性格は失われていることになろうと書いてあるんですよ。

 だから、例えば、私が再三国会で取り上げてきた連帯ユニオン関西生コン支部というのがあります。逮捕者を五十人以上出しました。私はこう言っているんです、労働組合を装った反社会的団体だと言っているんですよ。

 そういうことだよねということなんだけれども、だから、一見、労働組合だと自称している人たちの中には、労働組合ではなくなってしまっている、単なる政治団体だということがあるということでいいですね。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 恐縮でございますが、個別の事案そのものにつきましてはお答えを差し控えさせていただきたいのですが、一般論としまして、労働組合法上、労働組合とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体でございまして、主として政治運動又は社会運動を目的とするものについては労働組合法上の労働組合と言えないものとされております。

 なお、労働組合がその活動の従たる面において政治活動を行うことは、もとより差し支えないと解されているところでございます。

足立委員 これはすごく私は大事な議論だと思っています。これから日本の政治が、私はよく、脱五五年体制、五五年体制の亡霊にとどめを刺すと言い続けてきました。自民党は全国の豪族たちに支えられていると僕は勝手に言っているんですが、いわゆる野党第一党を始めとする維新以外の野党の多くは、まさに労組に応援されているわけです。だから、立憲と国民もそういうことでわあわあ、連合とかとやっているわけです。

 でも、さっきやったように、政治活動、政治運動を目的とする団体は労働組合ではないんです。労働組合法第二条の定義に、左の各号の一に該当するものは労働組合ではないと書いてありますよ。その四号に、主として政治運動又は社会運動を目的とするものと書いてあるんです。それは何かといったら、政治資金規正法と同じようなことがいろいろコンメンタールには書いてあるんだけれども。

 だから、私の地元で今度府会議員に出ようとしていた方が、参議院の繰上げ当選で恐らく今度参議院議員になられます。その方はまさに、連帯ユニオン関西生コン支部の執行委員長、何回も有罪になっている人と密接に関係ある人が今度参議院議員に上がってきますけれども、それを応援している連帯ユニオン関西生コン支部というのは、私は、いや、これは分からない、個別の事案については分からないけれども、分からないって、誰も断言はできないし、それは司法的な当局が判断することだけれども、国会議員の一人として私の所見を申し上げれば、それは、労働組合であることを装った暴力主義的な、そういう犯罪を何度も犯している、そういう団体じゃないか、それは労働組合じゃないじゃないかということを思っています。

 だから、何党とは言いませんが、これまで国会の野党を仕切ってきたところは、今私が申し上げた労働組合と政治団体の関係、これについて改めて思いを致しながら、公正な形で、透明な形で政治活動をしていただくようお願いして、そうすべきだと訴えて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 まず冒頭に、今朝、採決して可決いたしましたGX推進法、私どもで修正案を出させていただきまして、関筆頭を始め理事の皆様方にも御理解もいただきまして、大変いい内容になったんじゃないかというふうに思っています。

 先ほど足立委員からもありました、私も質問の中で何度も大臣にも問わせていただきましたけれども、やはりスピード感を持ってやっていくということが大事だと思いますし、この二十兆という予算規模に限らず、やはり必要なことはやっていく。

 今、世界中で、今日も先ほど落合委員からもお話がありました、ヨーロッパの方でも電動車に関しての考え方も刻々と変わっているということで、我々もタイムリーに、足立委員が言っていたピン留めということにこだわらずに、機動的に制度を、その時期に応じて、あるいは世界の趨勢に応じて対応していくということが大事だと思いますので、これから二年間、まさに作業が始まるということでございますので、是非いいものにできるようにということでお願いしたいというふうに思います。

 今日は、電力システムに関する集中審議というようなお題もついておりますので、私もそのこと中心に質問させていただきたいと思います。

 まずは、再生可能エネルギー賦課金の単価の引下げというニュースがありました。二〇二三年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金、いわゆる再エネ賦課金の単価が、経産省が決定をしましたということでニュースにもなっていました。

 四月以降の賦課金の単価が一・四〇円、これがキロワットアワーの単位で決められたということですけれども、二〇二二年度の三・四五円から大幅に低下をしたということで、これはFITが導入されてから初めてのことだと。今までずっと上がってきたということですが、非常に大きなニュースだったというふうに思います。

 この結果、今年の五月の検針分から一般的な世帯で約八百円ぐらい月々電気料金が下がっていくということで、国民の皆さんもこれに関しては大いに胸をなで下ろしておられるというふうに思っておりますけれども、まず最初にお伺いしたいのが、この令和五年度の再エネ賦課金の単価が下がった理由というのをお答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ賦課金単価につきましては、再エネ特措法に基づきまして、年度の開始前に経済産業大臣が、再エネ特措法で定められた算定方法にのっとり設定することとなっております。

 具体的には、再エネ特措法上、賦課金単価は、再エネ電気の買取り費用から再エネ電気を卸電力市場に売電した場合に得られる収入を除いた額を販売電力量で割って得られた額を基礎に定めるということになっております。

 こうした再エネ特措法で定められた算定方法にのっとる形で、再エネの導入状況であるとか、あるいは卸電力市場価格といった客観的なデータ、その見込みに基づき設定を行っております。

 具体的には、まず、再エネ電気の買取り費用でございますけれども、こちらは、再エネの導入拡大に伴い、約四・七兆円へと増加いたします。一方、再エネ電気の販売収入は、ウクライナ情勢に起因する年間を通じた市場価格の実績などを踏まえまして、こちらが約三・六兆円へと増加します。販売電力量は、過去の実績を踏まえて、約八千億キロワットアワーと設定してございまして、こうした諸元を基に算定した結果といたしまして、委員御指摘のとおり、一キロワットアワー当たりの再エネ賦課金単価は、二〇二二年度三・四五円から二〇二三年度一・四〇円へと低下することとなったということでございます。

小野委員 制度の詳細にわたって御説明いただきましたけれども、一言で言うと、再エネの賦課金が下がったというのは、これは太陽光とかで発電した再エネも含めて、燃料価格が高騰したから、それによって電気全体の買い取る費用というのが跳ね上がって、その上がった分だけ、賦課金として国民の皆さんにひとしく負担いただく部分が軽くなったということだというふうに思いますけれども。

 ただ、よく考えてみると、何で燃油価格が高騰したのに燃油を使っていない再エネの電力まで上がってしまうんだというようなことがあろうかと思います。これは仕組みがそうなっていると言えば一言なんですが、ただ、何でそうなっているのかというのを、国民の皆さんも素朴な疑問を持たれている方も多いと思うので、そこをちょっとお答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 新電力であるとか電気の小売事業者が再エネ電気を調達する手段としては、まず、FIT認定事業者からの調達という形と、FIT制度なども活用した再エネ発電事業者との相対契約による調達、こういったものが考えられます。

 もう委員御指摘のとおりなんですけれども、FIT認定事業者から再エネ電気を調達する場合ですが、こちらは、再エネ特措法に基づきまして、小売電気事業者が負担する費用というのは卸電力市場から電気を調達する費用ということに制度上なっております。このため、市場価格が高騰した場合には、小売電気事業者が電気を調達する費用は増加する一方で、先ほど御答弁させていただいたとおり、需要家に御負担いただく再エネ賦課金が低下する、こういう仕組みになっております。

 こうした制度の中で、FIT制度に基づく再エネ電気を多く調達している一部の新電力の皆様は、足下の卸電力市場価格高騰を受けて経営状況が厳しいという声も承っております。

 新電力が安定的に再エネ電気の調達を行うためには、卸電力市場からの調達だけに依存しないような環境の整備を行うことが我々としても重要だと考えておりまして、具体的には、今年の四月から導入されているFIP制度、こちらですと、FIPの認定事業者、発電事業者は、自らが相対取引等を行いつつ一定のプレミアムを受け取ることができる制度になってございまして、こちらにつきましては、FIT制度を活用することで市場価格によらない再エネ電気の調達が可能だという制度はございます。

 加えまして、FIT、FIP制度によらない相対取引に関しましては、長期の相対契約による再エネ電気の調達を行う、需要家が発電事業者と一体となって太陽光発電の導入を行う、こういった場合には、令和四年度補正予算、あるいは、御成立いただきました令和五年度当初予算でも措置しておりまして、予算としての支援も行っていきたい、かように考えております。

 また、市場価格変動リスクを低減する保険商品というものも出てきておりまして、我々、予算でも支援させていただくなど、リスクマネジメントの普及啓発を進めていく。

 こうした新電力による電力調達におけるリスクを低減する取組というのを更に促進していかないと、今の制度としては委員御指摘のような点もございますので、その点、我々としても更なる取組が必要だ、かように考えてございます。

小野委員 ありがとうございます。

 電気に色はついていなくて、もちろんそれを、例えば証書として発行して、その価値に対してお金を払って取引するとかというようなこととかありますけれども、電力市場の中で電気が扱われてしまえば、それはどういったことで発電が行われたのかということを捨象して扱われるというのは仕方のないことだとは思うんですけれども、ただ、やはり、我々、脱炭素社会を目指していくという以上は、化石燃料を使わずに、CO2を排出せずに作った電気が化石燃料の市況に引っ張られてしまうというのは、やはり非常に皮肉な結果だなというふうに思いますので。

 私も、答弁をお聞きしながら、じゃ、どうやればいいのかというのは、まだまだ本当に緻密な議論が必要だと思いますし、また、あと、相対取引がもちろん一番簡単なわけなんですけれども、でも、相対というのはそんなに簡単にやれるわけでもありませんし、そういう意味では、市場を通じた形で、そういった電力がどういう形で作られたのかということによって価格がちゃんとそれなりに評価されるということも大事なんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、ちょっと一つお聞きしたいのが、GX推進法でも我々議論をしてまいりましたけれども、今後も、有償オークションが、例えば二〇三三年に電力会社さんに適用されるというようなことで始まるわけなんですけれども、そうすると、化石燃料を使って発電をしている電力会社が作った電気というのは、当然オークション分だけそれは付加された価格になるということで、もし、再生可能エネルギーの導入度合いがそんなに高まらないということになって、しかも取引制度が今のような感じでずっと続くとすれば、また同じように、有償オークションが導入されたときに、再生可能エネルギーの価格も燃料価格に左右されてしまうようなことがあるんじゃないのかなというふうに思いますが、この辺、どうお考えでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 有償オークションを含めたカーボンプライシングは、炭素排出に値づけをするわけでございますので、GX関連製品、ここでは電気ということになってくるわけでございますが、そこについての一定の選別を促すようなシグナルを発することが期待されるところかと思います。

 今委員からも御指摘ございましたように、調達の仕方、販売の仕方というのは、卸市場を経由する場合と相対取引という両方があるかと存じます。

 市場の方について申し上げると、現状の日本卸電力取引市場のスポット市場というものについて申し上げると、売手と買手があって、一つの財としての電気をどう一律で買えるか売れるかという市場でございます。ですので、需給に応じてコストをベースとしながらシングルプライスを決めるという仕組みになってまいりますので、このカーボンプライシングが成り、一般的には転嫁されるわけでございますので、入れる価格自体は上がりますが、結果的にそこで落札されたときの価格というのは同一になるというのは委員御指摘のとおりかと思います。

 一方で、実際の価格の見通しというのは、現時点で、電源構成とか需給動向ですとか燃料価格、様々な要因で影響が出るので具体的に申し上げるのは困難でございますが、仮にそうやって安いものが取られていくことになりますと、より高い値のついた、カーボンプライシング、高いものについていうと、枠の中にはまらずに落札できないというような形でそれが表れてくることも一つあろうかと思います。

 なかなか難しい御指摘でございますが、相対取引のところもやはり促進していくことは大変重要なことかと考えております。有償オークションの導入によって価値が高まった非化石電源というものを電気の需要家が直接選択する需要も拡大することに対する取組を、これを促すための取組を進めていく必要が重要かと思っておりますので、この制度の導入に合わせて、それが実際の取引の中で反映されるような取組を後押しすべく、私どもも取り組んでまいりたいと考えてございます。

小野委員 ありがとうございます。

 電気に色がついていないことがもちろん大きく起因しているんですけれども、我々が今やっていることの制度の本質というのは、発電する側がどういった選択を取るのかという方に対しての行動変容を促すということが、電力市場は中心になっていると思うんですね。

 もちろん、脱化石燃料ということを消費者の方、顧客先に説明しなければいけないので、企業の側も、例えばRE一〇〇を目指しますという行動は分かるんですよ。分かるんですが、それはあくまでも経済行動としては割高なものを選んでいるということになるので、私が今回の質問でちょっと申し上げたかったのは、再生可能エネルギーをより生み出した方が、そっちの方が安くて、みんなが、消費者が選んでもらうというような理想形に何かいけないんだろうかなということを、今日は一般質問なので、私が悶々と考えていることを、これは政策論というよりも、一体そういうことが可能なんだろうかということを、ちょっと私の中で問題意識がありまして、御質問をしているわけなんです。

 さっき松山部長が少しおっしゃったことがヒントだというふうに思うんですけれども、今回、燃料価格が上がった、それで電力料金も上がったというような状態がこの電力市場の中で起こったわけなんですけれども、分かりやすくざっくり言うと、今回の状況で一番誰が得をして誰が損をしたのかというのを是非、これはなかなか言いにくいかもしれませんが、一般論的なものでもいいですから教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 なかなかこれは一概にお答えしづらいところだと思いますが、電力の市場を通じて購入する人、それを売る人ということになりますと、その値が上がるわけでございますので、売手である発電者のサイドにより多くの収入が入ってくる、逆にこれを買手である小売事業者のサイドにとって言うと、お支払いする金額が増えてくるということになってまいります。そのお支払いする金額は最終的には需要家の方々に転嫁されていくわけですので、需要家である我々消費者のサイドが負担が増えてくるということになっているというのが全体的な構造でございます。

 ただ一方で、発電者のサイドも、より化石燃料に依存する人であればあるほど燃料の購入価格というのが上がってくるわけでございますので、その依存の高い人たちは、それを作るための費用としての燃料費が上がりますので、より利益が得られるといいながら、その利益はよりちっちゃくなってしまう、そうでない燃料代が上がっていない人たちにとっては、相対的に考えればその上がりは少なくなっている、こういったところが概括的なことかと考えております。

小野委員 非常に抽象的な言い回しをされましたが、一言で言うと、再エネ電力をやっていらっしゃる方が相当もうかっている方がいらっしゃるということだと思います。

 化石燃料はこれだけ上がっていますので、今、大手電力会社も含めて赤字にもなっているということですけれども、電力料金が上がる中で、我々日本国民が全部化石燃料で暮らしていれば、多分、日本国民全員が損をしていて海外に国富が流出しているという状態ですけれども、再エネの方には、ある意味、電力料金がどんどん上がっていく中で、でも化石燃料を買っているわけじゃないので、そういう意味ですと、それは再生可能エネルギーをこれから導入しようというようなインセンティブになる可能性もあります。

 ただ、先ほど質問された方もいらっしゃいましたけれども、それほど再生可能エネルギーは今伸びているわけでもないというような状況があります。ですけれども、やはり燃油高騰というのは、それはもちろん国民経済を逼迫させるということもありながら、再生可能エネルギーを導入するというドライブにもなっていく、そして、そういったところで経営がちゃんとよくなっているところもあるんだということをしっかり、これを割とちゃんと説明していくことも大事なんじゃないのかなというふうに思います。

 もちろん、理想は、再生可能エネルギー賦課金がなくならないとと。そうはいっても割高な料金でまだやっていますよという状況なので、これを下げる努力をしていくためにも、このGXの投資というものをもっと大胆にやっていかないと。技術開発にも当然お金を投じるべきだと思いますけれども、今ある技術で再エネの導入を進めていくというところに集中的にやっていただいて、そして、私が先ほど質問したように、化石燃料が上がって再エネまで上がってしまうみたいな世界を早く終わらすということを是非やっていただきたいと思います。

 また、目下の電力料金の高騰に関してちょっと話を戻しますけれども、確認のためですけれども、再エネ賦課金が今回引下げをされました。それによって、月々の電力料金、各家庭で非常に助かるということでございますけれども、今、経産省に対して大手電力会社が料金の値上げ申請をしていますが、この再エネ賦課金の引下げというのは何かその審査に関わりがあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 再エネ賦課金の単価につきましては、先ほども御説明をさせていただきましたけれども、再エネ特措法に基づいて、年度の開始前に経産大臣が再エネ特措法に定められた算定方法にのっとって設定することとされております。二三年度の賦課金単価についても、先ほど説明がありましたけれども、一キロワットアワー当たり一・四〇円ということになっております。

 再エネ賦課金は電気の規制料金の原価に含まれるものではありません。規制料金の改定申請については、引き続き、必要な時間をかけて、丁寧かつ厳格に審査を行っていきたいと思います。

小野委員 もちろん、言わずもがなのことだと思いますけれども、やはり国民はちゃんと見ているということで、家庭が負担する料金が今回の再エネ賦課金で下がったからといって、そのこととは別だよと。ちゃんと、電力会社の料金の値上げについては、これまで大臣が御答弁いただいたとおり、粛々と、そして厳格に一つ一つ精査をしていくということでお願いをしたいと思います。

 そして、今、政府の方で、電力料金の高騰に対応する、例えば低圧であればキロワットアワー当たり七円というような補助金が入っておりますけれども、今回、平均的な家庭は、今回の再エネ賦課金の値下げによって、そして、今政府が決めておられる補助金と合わせると、結構、高騰前の値段ととんとんになるんですね。これは本当に偶然の一致なのかというぐらい、政府の補助金が入ったことによって、これから仮に、例えば東電が六月に値上げ申請したとしても、高騰が始まる、政府が補助金を入れる前の水準と変わらないというようなことになるんです。

 このように、様々、コントロールできないような理由で、結構電力料金がこれから動き出すということがあると思います。政府の補助金が九月で切れた後は、また再度上がってしまうというようなことになります。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、今決めているその七円という補助金というのは、今粛々とやっているわけですが、状況の変化に応じてこれを柔軟に考えていくというお考えがあるのか、そこをお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 もう御案内のとおり、総合経済対策に基づきまして、二月の請求分から、低圧の需要家についてはキロワットアワー当たり七円、高圧の需要家については三・五円の値引きを行っているところであります。

 そして、四月の使用分、五月の請求分から適用される再エネの賦課金が約二円程度下がるということでありますので、これは、低圧、高圧、それから特別高圧問わず、全て電気を利用する方が下がるということであります。これに伴って、値下げ支援、先ほどの七円、三・五円、この水準を変更することは考えておりません。引き続き、値引き支援を確実に届けられるように取り組んでいきたいと思います。

 その上で、九月以降のことについては、燃料価格がどんなふうに推移するのか、まだ予断を許しませんので、これは、国際情勢の変化、どう動くかということにもよると思いますので、今後の国際的な資源価格、電気料金の動向、それからGXの推進状況、こうしたものも踏まえながら適切に判断をしていきたいというふうに考えております。

小野委員 状況に応じて、国民生活を守るために御判断いただきたいと思います。

 それでは、電力システムの改革についてお伺いをしたいと思います。

 足立委員からもお話がありましたので、共通するところは余り深入りはしませんけれども、一連の電力会社の不祥事、これは大臣も重く受け止められておられると思いますけれども、まず、送配電事業、これは法的分離ということでやってきたわけなんですが、それでも今回の不正が防げなかったというのはどういうふうにお考えでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年四月に電力システム改革第三弾の改正電気事業法が施行されまして、送配電部門の一層の中立化を確保するため、送配電部門を分社化する法的分離が義務づけられるとともに、中立性確保を目的とした、行為規制を遵守するための体制整備が義務づけられることになっております。

 こうした法律上の義務があるにもかかわらず、今般の事案につきましては、一般送配電事業者が漏えいしてはならないとされております顧客に関する情報が、グループ内のみなし小売電気事業者の社員などから閲覧可能な状態になっており、かつ、多数の閲覧が行われていたものと認識をしております。

 事案の内容、背景につきましては、現在、電力・ガス取引監視等委員会において調査中でございまして、また、再発防止策についても同委員会の有識者会議において議論中でございます。

 その上で申し上げますと、今週月曜日に開催されました電力・ガス取引監視等委員会の有識者会議におきましては、情報システムの不備により小売部門側から顧客情報を閲覧できる機会があったということや、今回の事案には情報遮断や行為規制に関する関係者の意識の問題が関わっており、会社の内部統制に問題が生じている可能性があるということなどを事務局から御指摘をさせていただいた上で、再発防止策について御議論いただいたところでございます。

 今回の事案の調査、解明や再発防止策の検討を踏まえて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

小野委員 これから原因究明を更に進めていかれるということだと思います。

 その上で、今までの仕組み、これは、法的分離ということで、様々、やってはいけないこと、行為規制をかぶせてきたわけなんですが、それが徹底されなかったというような事実がありますので、今のままで別にオーケーというわけにはいかないと思います。今後注意しますだけでは済まされはしないというふうに思いますので、そこは、国民の信頼を取り戻すという観点から、どういった制度にすべきなのかということも考えていただきたいと思うんですね。

 先ほど足立委員からもありました、所有権分離というのが必要なんじゃないかと。我々も昨日法案を提出しまして。

 ただ、私自身も、所有権分離をすれば何か解決するというふうには思っていません。もっともっと精緻な制度設計が必要だと思いますし、所有権分離をしたことによっての弊害だって当然あろうかと思いますけれども、所有権分離を経産省の中で何か少しでも考えているということがあればその状況とか、あるいは、それをするしないに関して、何か理由があって、そういうことは考えているとか考えていないとかというのがあれば教えていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の大手電力によります一連の情報漏えい、不正閲覧の事案というものは、委員から御指摘ございますように、送配電事業の中立性、信頼性、電力システムの今回の改革の在り方としてゆゆしき事態。これに対しては徹底した解明を行って再発を防止しなければならないということで、先ほど新川局長の方から答弁ございましたけれども、現在、調査を行い、それを踏まえた再発防止策ということを検討しているところでございます。

 これから議論が進んでいくところでございますので、まだ予断を持ったことは申し上げられませんが、送配電の情報管理の適正化ということはやらなければならない、同時に、その履行を確保するためのメカニズムをしっかりつくらなければならない、そして同時に、これは所有権分離の前提としてよく言われる話でございますが、小売間の競争環境というのをしっかり確保する、これが目的であるわけでございます。そうしたときに、今回の事案も含めた上で、電力システムとしてどうあるべきかということを考えていくということなんだと思います。

 その際には、システム改革の狙いと、いわばここまでたどってきた道のり、そこで得られた成果と課題ということが顕在化してきているわけでございますので、安定供給と競争ということを両立していく仕組みを考えていかなければならない。どの選択肢を排除するというわけではなく、これは虚心坦懐に、課題ということを整理した上で対応策を検討していきたいということで考えているというのが現状でございます。

小野委員 小売の競争環境、これをちゃんと、我々、自由主義経済に生きているわけですから、競争環境をちゃんと中立なもの、そして公正なものにするというのが、これが大前提だと思います。私たちも、西村大臣にも、我が党の電力に関する、エネルギー政策に関する提言もお持ちをさせていただきましたが、その中にも、中立で公正な市場を達成すること自体がやはり大切なんだということだと思います。それが、今の電力システムでは残念ながら欠けているところがある、あるいは徹底できていない部分があるというふうに思います。

 片や、我々も、何でもかんでも競争だけ促せばいいというものでもないと思います。資源のない中で、どうやってエネルギー枯渇しないような安定供給をしていくのか、エネルギー安全保障を図っていくのか。それが、自由競争がどんどん進んでしまったら阻害されるようなことがあるのであれば、それは手当てをしなければいけないんですが、ただ、そのことが所有権分離の否定につながるのかどうかというところも、これも徹底的に議論していかなければいけないことだと思います。

 原則的に、競争環境をしっかり整備するということであれば、それはやはり所有権分離の方がフェアだというのは間違いないことではありますので、私たちは、そこが原則、軸足というふうには考えておりますが、ただ、そこに、一〇〇%それを実現するというふうに固執しているわけではありません。ただ、今の制度が別にベストではない、そして、これだけの問題が起こっているということを共通理解とした上で、いいものをつくっていくという議論を、これから調査結果が上がってくるわけでございますので、それをしっかりとこの国会でも引き続き議論をしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 先ほど、システムの話もありました。内閣府の規制改革推進室のタスクフォース、先ほども話が出ましたけれども、この提言書の中に、システムを物理分割すべきではないかというような指摘がありました。

 実際に、今の電気事業法の中にも定められていて、施行規則の第三十三の十五というのがありまして、そこにシステム要件が書かれています。特定された者のみが情報を入手できるようにしなければいけないんだという旨のことが書かれていますが、今の運用を考えていると、システムがつながっていて、IDとパスワードだけで入れてしまうというのはやはり問題なんじゃないのかなというふうに思いますが、この物理分割のことについてどう思われますでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の電気事業法におきましては、御指摘のとおり、一般送配電事業者が情報システムを発電、小売等と共有する場合のシステム要件としましては、アクセス制限やアクセス者の識別等の措置を講ずる、いわゆる論理的分割を最低限義務づけているところでございまして、システムを物理的に分割するという、いわゆる物理分割までは求めていないという状況にございます。

 他方で、今般、一般送配電事業者がグループ内のみなし小売電気事業者と共用するシステムにおきまして、アクセス制限の不備など論理的分割が不十分であったために、新電力の顧客情報が漏えいした事案が発生をしていると認識をしております。

 事案の内容、背景については現在当委員会において調査中でございますし、また、再発防止策についても当委員会の有識者会議において議論中でございますが、その上で申し上げますと、今週月曜日に開催した当委員会の有識者会議において、事務局からも、情報システムを物理分割するなど、対策の徹底により、一般送配電事業者が保有する非公開情報を閲覧できる機会をなくすという対策の方向性をお示ししたところでございます。

小野委員 一番物理分割して困るときというのは、災害対応とかなのかもしれません。やはり、物理的に分割されていると、いざというときに、小売の方にお願いしますよということがなかなか言えなくなるとかということがありますが、ただ、それも、送配電事業者の方に、災害対応もするべきだというようなことも提言でも書いてあったりして、ここは、同じことをもう二度と繰り返さないような仕組みとは何なのかということで是非対応をしていただきたいと思いますし、その上で、災害対応をどういうふうにするのかということを考えていただきたいというふうに思うんですね。

 そして、違反行為があったときの罰則についても、軽過ぎるんじゃないかという指摘があります。

 今、間接罰ということで、経産大臣の停止、変更命令に従わなかった場合に初めて罰金三百万円ということになっているんですけれども、カルテル事案の場合には桁違いに厳しいサンクションが科されていて、例えばこの間のカルテル事案で、課徴金、中国電力に七百七億ですかね、非常に厳しい課徴金が課されているんですが、しかし、やはり三百万円で、しかも、これは、経産大臣の命令にも反することはないでしょうから、結局はおとがめはなし、罰金はなしということだと思いますが、これで十分なのかどうかということをちょっとお答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 この一連の情報漏えい、不正閲覧の事案に関する再発防止策ということ、これを確実に履行するための仕組みづくりというのは、まさに今検討している最中、これから調査結果を踏まえてやっていくことになるわけでございますが、その際に、委員から御指摘ありましたように、どう履行を確保するかという意味でのサンクション、制裁措置としての罰則というものは一つの重要な要素かと考えております。

 ですので、当然のことながら、これも今後の検討としてはやっていかなければならないということかと認識してございますが、情報の漏えいというものの取扱いの難しさというものもあろうかと思っております、認定の難しさでありますとか。

 そもそも、情報漏えいしない仕組みをつくること自体が目的でございます。ですので、履行を確保するための仕組みをいかにして実現するかということについて、例えばほかの法令若しくは情報の漏えいに関する規律とのバランスですとか、事前の規制と事後のサンクションとの全体的な法体系としての整理、様々な観点から整理する必要があろうかと考えてございますが、そういった履行の確保の手段についてもしっかりと検討していきたいと考えてございます。

小野委員 私がなぜ軽過ぎると申し上げているかというと、我々の国は自由で公正な市場を約束しているんですよね。それを侵すような行為は、それによってどれぐらいの実害が発生したかどうかというよりも、やはりそういったことを許してはいけないんだというような姿勢はすごく大事だと思うんです。だからこそ、公取委はあれだけの強大な権限を持って、しかも、桁が何桁も違うような課徴金も課しているわけですね。ですから、やはりそこの重さというものを是非今回の事案でも考えていただいて、制度改正を必要な範囲においてすべきだというふうに思いますので、これは是非議論の中でそのことを念頭に置いて進めていただきたいと思います。

 そして、それを取り締まる電取委の体制、これも脆弱だということがずっと言われていまして、ちょうど提言書の中に具体的に数字も書かれていました。電取委の職員さん、本省で七十名程度、地方局で五十名程度、合わせて百二十名ぐらい。これに対して証取委が七百名ぐらいいらっしゃるということで、同じ八条委員会ではあるんですが、規模が大分違うなと。やはり、不正をしっかりチェックするためには、それぐらいの体制というのも必要なんじゃないのか。

 私自身は、公取委、今回政府は大分人数を増やすということで、私も本当にそれはよかったなというふうに思うんですが、ただ、公取委も全然人数が足りないと思うんですね。

 私、価格転嫁ができない理由というのは、これはやはり、取引をする中で発注者の地位が物すごく高過ぎることに問題があると思っています。自由で公正な市場をちゃんとチェックするためのルール作りとか、あるいは体制づくりというのが行われていないので、日本ではなかなか、物価が上がったとしても、取引先が我慢して泣き寝入りをしてしまう、そして、それに対するチェックも働いていない。だから、この二十年、三十年間、給料が上がらないということが続いてきたんじゃないかというふうにも思っているんです。

 電力の取引の適正化に関して、私は、電取委の体制強化が必要だと思っています。三条委員会まで持っていくべきだという議論も我々はしておりまして、今回の法案にも盛り込んでおりますが、それをするかどうかは別にしても、少なくとも電取委の強化というものは必要だと思いますが、この点、いかがでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 大手電力による一連の不正事案につきましては、電力市場の公正な競争を阻害し、また、電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものでありまして、誠に遺憾であると考えております。

 それぞれの事案につきましては、現在、電力・ガス取引監視等委員会や資源エネルギー庁が事案の解明に向けた調査を行っているところでございますが、まずは、その結果を精査していくということだと思っております。また、電力・ガス取引監視等委員会や資源エネルギー庁における公開の有識者会議において、再発防止策などについて議論を開始しているところでございます。

 私ども、電力・ガス取引監視等委員会を、経済産業大臣直属の八条委員会として、エネルギー政策の枠組みの中で業務を行うこととしているという状態でございますが、これは、安定供給や保安の確保、再生可能エネルギーの普及の観点から合理的とされて設定されているものと理解をしております。

 今後、我が委員会におきます有識者会議の議論を踏まえて、電力市場の監視機能の強化について、体制面も含めて、しっかりと対策を検討してまいりたいと考えております。

小野委員 これは、新川事務局長じゃなくて大臣に答えていただいた方がよかったですね。今、一瞬の間があって、俺が答えていいのという感じで。済みません、私も大臣にお聞きすればよかったです。

 大臣、やはり私は、電取委の強化は本当に大事なことだと思いますので、是非そこは、現場は頑張っていらっしゃると思うんですが、ただ、今回も、本当に我々が悔しいのは、この不正事案も電取委が見つけたわけじゃないということですよね。これは関西電力が、もううみは出し切らなきゃいけないということで、自ら申告してきた。私は、そのことについてはもちろん評価はしているんですけれども、ただ、やはりそれだと、これからも、本当にサンクションが強化されたときには見つかってこない可能性があるわけですね。

 ですので、やはり電取委の強化というのは、これはもう避けては通れないんじゃないのかなというふうに思っておりますので、現場からなかなか言いにくいかもしれませんが、大臣にそのことは、やはり、こういう体制で、こういう仕事をやっていきたいんだということを是非おっしゃっていただきたいと思います。

 次に、この不正事案をいろいろケースごとに報告書では分析をしているんですね。その中で、送配電会社に在籍をしていた社員さんが異動されて、それで小売の方に行かれて、元いた同僚の人にIDとパスワードを聞いて、それでシステムにログインしてみるというような類型がありました。そういう意味では、役員ですとかあるいは社員さんが一定期間、送配電事業会社とそれから小売の会社を行ったり来たりできないようにというような規制も必要なんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現行の電気事業法におきましては、行為規制の観点から、一般送配電事業者の取締役や従業者などが特定関係事業者の取締役などを原則として兼職してはならないと規定をされております。

 さらに、会社間の異動など人事交流につきましては、適正な電力取引についての指針において、一般送配電事業者とその特定関係事業者との間で出向、転籍といった人事交流を行う場合には、情報の適正な管理及び差別的取扱いの禁止の確実な確保の観点から、社内規程等により行動規範を作成し、それを遵守することが望ましいとされており、各社は行動規範を定めて公表しております。

 例えば、東京電力パワーグリッドにおきましては、その取締役にあっては、退任後二年間、みなし小売電気事業者などの取締役等や、電力取引業務及び電源開発計画策定業務を行う箇所への人事異動を行わないとの行動規範を定めているところでございます。

 なお、電気事業法におきまして、電力会社等の役職員の人事異動などについて広範に制限する規定は導入されておりませんが、この点につきましては、過去の電気事業法改正法の国会審議において議論され、内閣法制局の参考人から、職業選択の自由につきましては、憲法二十二条第一項において保障されておりますところ、この憲法上の要請を踏まえ、広範な制限規定を設けることが適切であるかどうかの趣旨から再考を求めたところ、現在の法律案のように、必要性を踏まえた合理的な範囲で最小限の制限を課す規定となったとの答弁があったと承知をしております。

 いずれにしましても、現在、電力・ガス取引監視等委員会において事案の解明を進めているところでございますが、調査結果を踏まえて、再発防止策について検討してまいりたいと考えております。

井上政府参考人 申し訳ありません。先ほどの私の答弁の一部訂正でございまして、FIP制度の導入を今年四月からというふうに申し上げましたけれども、二〇二二年四月からでございます。大変失礼いたしました。

小野委員 この人事の制限、もちろん憲法上の問題もありますし、私もそれにこだわるわけではありませんが、ただ、今も一定の規制があるわけでして、それを見直すとか、より効果的な方法があるのであれば検討いただきたいと思います。

 大分時間がなくなってまいりましたが、ちょっと簡潔にお伺いをしたいと思います。

 中立性の問題という意味を扱う場合に、社名の問題、これも混同しないような工夫が必要じゃないかということがヨーロッパでも言われています。

 提言書の方でもそのことが書かれていて、例えば、東京電力パワーグリッドと東京電力、あと、関西電力送配電と関西電力、これはやはり何か混同するんじゃないですかというふうに思うんですが、私は、やはりもうちょっと、この中立性をちゃんと目に見える形で示すためにも、社名をもっとちゃんと変えるというようなことも徹底した方がいいんじゃないかというふうに思いますが、どう思われますか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の電気事業法その他の関係法令などにおきましては、一般送配電事業者がその特定関係事業者たる発電事業者や小売電気事業者と同一であると誤認されるおそれのある商号、商標を用いることは原則として禁止されるとしております。

 その上で、電力システム改革時の議論におきましては、一般送配電事業者と特定関係事業者との間の資本関係を許容していることから、グループ会社であることの表示は許容されるものと整理をされたところでございます。

 なお、一般送配電事業者は中立性が求められる事業者であるところ、そのことが外形的に判断できる表示がない場合、特定関係事業者と同一視されるおそれがあることから、一般送配電事業者がその商号の一部にグループ名称を使用する場合において、その商号において、送配電、ネットワーク、パワーグリッドといった一般送配電事業者であることを示す文言を入れることと整理をされております。

 いずれにしましても、今回の事案を踏まえた再発防止策については、事案の調査を踏まえて、当委員会や資源エネルギー庁の有識者会合で議論して、検討してまいりたいと考えております。

小野委員 何とか電力というのが入っている時点で、やはり、一般の消費者の方は、送配電事業者と小売というのが、何か余りその違いも分からないでしょうし、ここはやはり徹底すべきなのかなというふうに私は思っています。

 今、御答弁をお聞きしながら、私も思い出しました。私が新卒で入った外資系のコンサル会社、名前はここでは言いませんけれども、エンロン事件で、やはり同じような不正があって、それでコンサル部門と会計部門を分離したんですよね。そのときも、名前もがらっと変えました。

 だから、やはり今回も、そういう思い切ったことも、改革をちゃんと目に見える形でするという意味でもやるべきなんじゃないのかなというふうに思いましたので、ちょっとそれをつけ加えておきたいと思います。

 もう時間がなくなりましたが、一番大切な質問を大臣にさせていただきたいと思います。

 これまでの電力自由化、これは先ほど足立委員からもありましたけれども、私も、何でもかんでも自由化をすればいいというものでもないとは思います。ただ、一方で、今、電力自由化と言われてきたものが、一連の不祥事が出たということを見ると、公正な市場が形成されていたというふうにも言えないというふうに思います。

 これまで長らくやってきた電力市場改革をどのように大臣として総括をされているのか、お伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、御議論いただきました一連の電気事業における不適切事案、これはまさに中立性、信頼性に疑念を抱かせるものでありますので、極めて遺憾だというふうに思っております。

 先ほど来説明がございましたので重複は避けますが、まさに再発防止という観点から虚心坦懐に御議論いただいておりますので、いろいろな提言も出てくると思いますから、提案が出てくると思いますので、それをしっかり踏まえながら対応していきたいというふうに考えております。

 その上で、電力システム改革についてでありますけれども、まさに、これも御議論ありましたように、需要家にとっては選択肢が広がるということ、それから比較的安価でずっと推移してきたという面もあります。

 ただ、一方で、ここに来て、燃料費が上がることによってマーケットが高くなり、多くの新電力が撤退をするというような事態もあります。また、採算性が悪化した火力発電、この休廃止も進んでいるということで、安定供給に支障が生じかねない状況もあるということでありますので、こうした点をしっかりと検証し、分析をした上で、もちろん必要な対策を打っていく。これは、保険とか先物取引とか、そういった技術も使っていけると思いますし、いろいろな仕組みも変えていく、相対取引のものについては補助をつけていく、いろいろなことはあると思いますけれども。そして、供給力を確保していくための仕組み、オークションの話もありました、そういった取組も進めていきたいと思っております。

 いずれにしても、今回の事案も含めて、この間の電気事業をめぐる様々な状況、これは、安定供給と、できるだけ安価で、そして全体としてシステムが安定するようにということと、技術革新もやはり起こっていくようにしなきゃいけないと思いますので、そうした側面から、是非、制度を不断に見直していきたいというふうに考えております。

小野委員 大臣の御尽力に期待をしたいと思います。

 最後に、一点だけ簡単に。

 サハリン1、2の権益確保を我々はしているわけですが、この状況、そして今の操業の状況をちょっと簡単に、それだけお答えください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 サハリン1は、足下で原油輸入の九割以上を中東に依存する我が国にとって、貴重な中東以外の調達先であります。サハリン2の方は、我が国のLNG輸入の約一〇%を供給し、総発電量の約三%に相当するなど、いずれも我が国のエネルギー安全保障の観点から重要なプロジェクトでございます。このため、国としては引き続きこれらの権益を維持する方針でございます。

 いずれのプロジェクトにつきましても、昨年、ロシア大統領令に基づきロシアに新会社が設立されまして、そっちの方に日本企業が引き続き参画する、操業を続けるということについてロシア政府から承認を得ているところでございまして、現時点で石油、天然ガスの操業は継続しておりまして、特段支障が生じているということは聞いてございません。これらのことは、我が国のエネルギー安全保障の観点から大変意義が大きいことだというふうに考えてございます。

 引き続き、我が国のエネルギーの安定供給の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 エネルギーは本当にきれいごとではいかなくて、我々は、戦略的に、しかも冷徹にやっていく必要があると思いますので、その点の大臣のリーダーシップもよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 先週に引き続きまして、何点かお尋ねをしたいと思います。

 今日は、一般質疑ということで、少し細かいことを、確認を踏まえて質問をしていきたいと思います。

 先週もカーボンプライシング、Jクレジットについて質問申し上げたんですけれども、カーボンクレジットの制度の在り方についてのうち、今日までいろいろな議論がされてきているんですけれども、法的な論点までは議論が進んでいないのではないかという現状を指摘している識者がいました。一つは、カーボンクレジットの保有者は、クレジットを保有しているだけでは、クレジットの運営主体である国や運営団体に対して何か請求できる権利を有しているわけではなく、特定の人に対する請求権とは明確に言えないため、債権と言い切ることができず、物権として解釈すべきか、債権として解釈すべきか、明確に判断されていないという指摘なんです。

 法的性質が何になるのか、まずお尋ねしたいと思います。

中谷副大臣 先生御下問のカーボンクレジット、Jクレジット制度が法的性質は何かというところでございますけれども、これは結論から申し上げますと、法令上、明示されているものではないというものであります。

 カーボンクレジット自体は、多様な主体による炭素削減や吸収の活動を金銭価値化をして取引を行うということで、排出削減と投資促進の好循環を促し、社会全体で費用対効果の高い取組を進めることができる手法であります。

 我が国において、中小企業や自治体、個人を含めた様々な主体による排出削減量、吸収量をクレジットとして認証するJクレジット制度を、経産省と環境省そして農林水産省で共同運営をしているという状況にございます。

 このJクレジット制度でございますが、これの位置づけでありますけれども、これは地球温暖化対策計画に位置づけられている施策であります。法律に基づくものではないというところでありまして、先ほど申し上げたとおり、法令上、明示されているものではないというところであります。

 その上で、カーボンクレジットの一般論といたしましては、同じクレジットを複数人に売り渡すような二重譲渡等々があったときについては、カーボンクレジットの取引における取扱い、これはそれぞれの制度の規程などにおいて規定をしていくというものであります。実際に、Jクレジット制度においても、実施要綱において取扱いを明確化しているというものであります。

 政府といたしましては、今現在、その取扱いについては、東京証券取引所の取引所実証など、カーボンクレジットの活性化に向けた適切な市場の設計などの取組を進めているところであります。必要な対策についてしっかりと検討していきたいというふうに考えております。

 先生が、法的にした方がいいのではないかということでありますけれども、これは例えばでございますが、一九九七年にありました京都議定書については、京都メカニズムクレジットということで、京都議定書は国としても批准した法的拘束力を有する国際枠組みでありましたから、地球温暖化対策の推進に関する法律ということで、これに関連して規定が設けられておりました。これは法的なものでありました。ただ、これは今はもう現在使われていないということでありまして。

 パリ協定、二〇一五年にありましたパリ協定がございますけれども、このパリ協定について、どういうふうにしてカーボンクレジットを取り扱っていくべきか、これについても、今、国際社会で話合いが行われているところでありますが、これがしっかり明確になっていないというところもございまして、日本においても、まだ現在、法的にこれを担保するものにはなっていないというのが現状であります。

 こうした過去の制度も踏まえまして、今後、カーボンクレジットをどうしていくかということはしっかりと検討してまいりたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 長々と答弁いただいたんですけれども、要するに、法的解釈をきちっと、性質的にですね、それを取り入れていくというふうに考えるのか考えないのかというふうにお尋ねしているんです。今、ずたずたずたずた説明を受けたって、法律で明記していない。

 だから、要するに、例えば、不適切な例えかもしれませんけれども、昔、ゴルフの会員権を持っていて、私も二つぐらいあったんですけれども、パンクして、供託金が戻ってこないんですね。会社でいけば、株式を持っていればその会社の株主になるんですけれども、あくまでもゴルフだとかスポーツ施設の利用権だから、それが使えなくなってしまっても、何にもないんです。

 だから、同質のものではないかもしれませんけれども、それを売り買いすることで、人気があるゴルフ場は会員権が上がっていくんですよ。人気がないところは、要するに、会員の数が多くなっちゃうと、なかなか予約が取れないとかコースのメンテナンスがよくなくなるんじゃないかというので、会員権の相場が下がっていくわけですね。いつの間にか運営会社が破綻して、会員権はパー。

 だって、二十兆から百五十兆に育てていこうという大きな市場なんでしょう。それでなぜ、じゃ、債権として位置づけるのか、動産として位置づけるのか、それもまだ決まっていない。国が責任を持ってやりますからといって、最初は二十兆出します、最終的には百五十兆の市場にしていきたいんですといっても、次に併せて質問いたしますので、それについてどうお感じになるか、感想でも結構ですから、法的性質が定まらないことに起因して、実務上は様々な局面で法的な問題が発生するということです。

 取引検討時の担保権の設定に関する問題、取引実行時の二重売買に関する問題、今、副大臣がお答えいただいたのもここに入ってくると思うんです。契約締結時の差押え、執行に関する問題、それと倒産時の対応不明瞭を生じさせることになるというものが懸念されているということなんです。どのように対応していく考えなのか、まず初めにお尋ねしたいと思います。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 企業間で取引を安全に行うためには、例えば、カーボンクレジットの保有者を明確にするための取決めなどが必要となると認識しております。そのため、国が運営するカーボンクレジット制度では、Jクレジット制度においては、クレジットの保有情報を記録する口座簿の名義人を所有者とみなすということや、同一のクレジットを複数の者に売却した場合の取扱いなど、これをJクレジット制度実施要綱に定めてございます。

 また、国内におけるカーボンクレジット取引所の創設を目指して昨年九月から本年一月まで実施をしましたカーボンクレジット市場実証事業におきましては、市場運営者である東京証券取引所が市場参加者間の資金決済やクレジットの移転を仲介することで、資金やクレジットの移転に係るリスク回避をするシステムを構築してございます。

 こうした仕組みを通じて、国内におけるカーボンクレジットの円滑な取引に向けた環境整備に取り組んでいるところでございますが、引き続き、国内における取引の進展の状況も踏まえながら、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

 その上で、カーボンクレジットを担保とすることが可能であるかといった点や、差押えの可否などについては、民事執行法等の個別法における解釈に従うものと考えてございます。

 カーボンクレジットについては、我が国が運営するJクレジットのほか、外国の政府や団体が運営されるものもあり、取引において問題が生じた際に必要となる対応について、一概には言えませんが、各制度の規約、個別の契約において必要な取決めがなされているものと考えてございます。

鈴木(義)委員 じゃ、もう一点、別の角度からの指摘なんですけれども。

 ボランタリークレジット取引においては、登録簿においてクレジットの所有者が確認できる一方で、クレジットの購入方法として、直接取引のほかにも、プロバイダーが本当に取引の権利を有しているのか、問題になり得るというふうに指摘なんですね。保有者との直接取引とプロバイダーを通した取引が同時に行われるような場合、登録簿上の保有者が真の権利者でない可能性が生じる問題についてどう対応していくのかということです。二重取引みたいなものでしょうね。そのときにどうするか、もしお分かりになれば。

木原政府参考人 ボランタリークレジットに関してのお尋ねでございます。

 これにつきましても、取引において問題が生じた場合に必要となる対応については、ボランタリークレジットに関していろいろな仕組みが物によって異なりますので、ここについては、各制度の規約、個別の契約において必要な取決めがなされておりますので、民事執行法の個別法における解釈に従うというふうに考えてございます。

鈴木(義)委員 今、御答弁の中で、契約時にきちっとした取決めをしていきましょうというふうに答弁いただいたんですけれども、それであれば、直接取引なのか、プロバイダー取引なのか、市場に入札でという形で、三通りが今のところ考えられるんだと思うんですね。直接取引するんだったら、やはりスタンダードな契約書を、標準契約書というのを国民に示す必要があるような気がするんですね。プロバイダーで、一番私は困るなと、何回も何回も同じ話をするんですけれども、結局、金もうけにこのカーボンプライシングだとかJクレジットに入ってこられたんじゃ困るんですよ。それでいいように高値で売られて安値で買って、株じゃないけれども、売ったり買ったりしてさやを取るだけ。先週の答弁を聞いていても、金融機関だとか投資家の人に入ってもらった方が活性化するんだと。その人たちは、金もうけしか考えていない、CO2の削減をしようというふうに思っているわけじゃないんですよね。

 だから、電力の卸売事業のところでも申し上げたように、電気を作っている人が参加して、例えば、ある電力の関係者の人に、いや、いけなかったら発電した電気を全部卸に入れちゃったっていいんじゃないんですかと言ったら、面白い発想だねというふうには言われました。小出しに出すんじゃなくて、作った発電の量を全部卸に卸しちゃう。そうすれば、その中で需給もあります。ただ、そうなって一番困るのは国民です。その人が、じゃ、例えば、再生可能エネルギーがどんどんどんどん普及して、曇りの日が二週間も続いちゃって発電量が落ちたときに、どこから電気を調達してくるのか。そうしたら、そこから高い電気を買わざるを得ない。需要家は個人であろうが企業者でも一緒ですよね。そういうことが起こり得るというのを想定して制度設計しなくちゃいけないんじゃないかということなんです。

 それともう一点。取引後にカーボンクレジットの瑕疵が発覚した場合の、その瑕疵についてどのようにするのかというのが処理されていない、制度上それが明確になっていない、こういう指摘なんです。

 意図的にやるのかどうか、分かりません。例えば、私は十キロCO2を削減したんです、でも、ある外国から指摘されたら、おたくの計算式の十キロが実質八キロしかないんじゃないのと指摘されたときに、そこに二キロ分の瑕疵が出るはずなんです。じゃ、そうなったときに、十キロだと思って買った人が後から八キロしかないんですよと言われたときに、どういう取扱いをするんですか。買う方は、善意の第三者じゃないけれども、十キロだと思って買いました、売る方も十キロだと思って売りました、直接取引の場合ですね。そのときに二キロ、本当は足りなかったという計算式。

 だから、何回も同じ話をしますけれども、私がどのぐらいCO2を出しているのか、個人のレベルでも事業者のレベルでも、それが把握できなければ今みたいなことが起こり得るだろうということなんです。制度上の問題点として、今の時点で改善できることを御答弁いただきたいと思います。

木原政府参考人 お答え申し上げます。

 クレジットの品質の担保というのは極めて重要なことだと考えております。

 国が運営するカーボンクレジット制度であるJクレジットの制度におきましては、品質担保のために、一つには、クレジット創出の方法論について、Jクレジット制度運営委員会が審査の上、適正であると定めるとともに、当該方法論について実施される各プロジェクトの妥当性、これについては第三者の審査機関が認証を行う、更に、三つ目に、Jクレジットの制度の認証委員会が確認を行うという仕組みを構築して、排出削減の裏づけのないカーボンクレジットが流通するリスクを回避してございます。

 その上で、Jクレジット制度利用に係る約款では、本制度の利用に伴い、何らかの経済的、社会的問題が生じた場合には、プロジェクト実施者が責任を負うという旨を定めておりまして、万が一カーボンクレジットの瑕疵等が発覚した場合の対応について規定してございます。

 こうした仕組みを含め、引き続き、取引参加者が安全にカーボンクレジットを売買するための環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 関委員長さん、よろしくお願いします。

 これも何回もくどいように申し上げているんですけれども、二〇三〇年までに四六%、CO2を二〇一三年度比で削減するという目標があるわけですね。約七億トンを超える削減量を達成しないと、その四六%はいかない。

 これを個別に見ていったときにどうなんですかといったら、そこがなかなかやはり見出せない。これだけ多くの品物が日本の国内にもあるし、いろいろな大中小の、零細の事業者さんもいるし、何をどのぐらい使っているのか、どういう形態で取引をしているのか、把握するのは難しいと思うんです。

 でも、今何回も申し上げておりますように、何をやったらどのぐらい出る、これを使ったら幾ら出るというのをある程度国民に開示をしていかないと、クレジットの信用力が上がっていかないということです。そこのところを、法律で規定してあるからといっても、相対して直接取引しちゃったら、よっぽどじゃなければ分からないですよ。それを認定するのは誰が認定するんだ。

 私のところは十キロ下げた、じゃ、それをクレジットとして、あなたの分の十キロを合わせて、うちは五キロ、あなたの五キロを合わせて十キロ削減するから、その五キロ分買ってくださいよというのが直接取引だと思うんですね。その価格はどこから持ってくるのかといったら、市場で取引している価格から、今日なら今日の時点の取引で一万円というふうに値がついていれば一万円で、五キロ分で五万円で買ってください、こういう話になっていくと思うんです。

 でも、自分が削減する五キロ分というのかな、それを誰が検証するのかということなんです。何百万社もあるんですよ、日本の国内に。経産省が一人で何千社も見るというんだったら可能性はあるんでしょうけれども。そういったスタンダードな基準を早いうちに出していって協力を仰いでいかないと、達成できないんじゃないかなと思うんですけれども、もう一回、副大臣、どうですか。

中谷副大臣 先生おっしゃるとおり、そこのルールを非常に明確にしていくことは、カーボンクレジットの信用という意味では極めて大事というふうに思っているところであります。

 これは、日本国内でも今現在Jクレジットを回しているわけでありますが、今後、世界中でカーボンクレジットということで取引が始まるというところであります。世界の動向も見ながら、これをしっかり、早期にしっかり明確にしていくということはこの制度を進める上で大事でありますので、しっかりと検討してまいりたいと思っているところでございます。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(義)委員 余り早期にやらない方がいいんじゃないかという考えです。何でかといったら、後でそごが出る可能性がないかもしれないということじゃない、可能性があるから。だったら、やはりよく見定めて制度を設計していかないと、最初にぱっといったからといって、さもよさそうに見えるかもしれないけれども、後で手直し、手直し、手直しとなったら、一番割を食うのはみんな国民ですよ、最後は。お金を出すのは事業者じゃない。事業者が価格を転嫁して、最終的には消費者である国民に買ってもらうなり、サービスを提供、いただく、してもらう、お金を対価として払う。最後に割を食うのは私は国民だと思っています。だから、それまでにはやはりよく見定めて。

 前任の人が質問したように、ガソリンエンジンをやめちゃうと言っていて、急に日本もかじを切ったんだけれども、トヨタ自動車の社長が去年おっしゃっていたじゃないですか、ガソリンエンジンはなくしちゃ駄目なんだ、だからうちは水素をやると。そのとおりになっただけの話。

 だから、余り早くぱっとかじを切ったからって、全てうまくいくかといったら、今回の件は、私は、よく見定めて制度設計した方が、最後に負担を強いるのは国民だということです。そこのところを忘れないで携わってもらえればなというふうに思います。

 昨年の法律の改正で、蓄電池が発電施設として位置づけられた、そういうふうに記憶しているんです。これは一つの事例でありますので、蓄電池を題材にして幾つか質問をさせていただきたいんです。

 一般的にEVと言われる電気自動車、ガソリン車よりも環境に優しいとされているんですけれども、確かに充電は二酸化炭素の排出が伴うんですが、これはクリーンではない電力も利用するからだ。とはいえ、全体で見ると環境に配慮した電力は増えており、大量のガソリンを燃焼し続けるよりは電気で動く車の方が格段にいい選択肢と言っていいだろう、これは当たり前だと思うんです。

 ただし、バッテリーの材料の脱炭素化はこれよりも難しくなる、中でも正極材料の方が環境に与える影響は大きいと指摘しているんです。二酸化炭素の排出量だけじゃなく、リチウムやニッケル、コバルトといった鉱物の採掘による環境破壊や人権侵害の問題もあるからだと。

 去年も幾つか事例を挙げて経産委員会でも質問にこの案件を使わさせてもらったと思うんですけれども、やはり、安く労働力を求めていろいろなところに工場を出していったり、そこから取引するのが、ちょっと今、人権に配慮していないんじゃないのと。そこのところで、例えばリチウムイオンを中国から買っていますけれども、そこで、どういう状況でそのリチウムを採掘しているのか、そういうことにつながっていくだろうということですね。

 コバルトとニッケルの依存をやめようと、ほかの金属へ切替えを図る自動車メーカーも登場している。今言ったリチウム、ニッケル、コバルトといった、いろいろ環境問題だとか人権の問題があるような素材を使うんじゃなくて、違うものに代替していこうということを研究開発している自動車メーカーも出てきている。

 じゃ、だからといってグラファイトが合格とは言えないんじゃないかというものです。これで、二つの論文の中で一方の識者が指摘しているんです。自動車メーカーの場合は、これまでには、バッテリーを始めとする各種部品を生産する広範囲なサプライチェーンによる二酸化炭素の排出と、充電ケーブルに電気を送り込むことに関連する排出が含まれている、だが、これらを正確に把握することは容易じゃないとこの識者は言っているんです。そうだなと思います。

 こんな細いハーネス一つ、カプラー一つ、その中にある端子一つ、どこで作られて、何の電気で、何の材料でということを一つ一つ拾っていったら、普通のガソリンエンジンだけで、小さいビスからいって三万点の部品を使っているというふうに言われているんです。ハイブリッドになったらもっと多い、機構が複雑ですから。それを一つ一つ、どうやってサプライチェーンでCO2が出ているのか、環境問題に優しいのか優しくないのかというのを調べていくだけでも相当な時間がかかると思うんですね。

 何度も申し上げておりますように、何の材料をどのぐらいの加工をすることによってCO2がどのぐらい出ているのか、そういうことを、使用量を、材料とエネルギーの使用量できちっとした把握ができないと、なかなか、そこのところを、どのぐらい下げていけばいいのかというところにつながらないんじゃないかということなんです。

 特に指摘しているのは、蓄電池の中でグラファイトなんです。この研究結果によると、環境への影響の算出のためによく参照にされる参考資料は、古い製造マニュアルの情報や、アルミニウムといったほかの素材の加工工程の排出量に基づく推論が含まれているんです。炭素由来のほかの素材の排出量の推定値をそのまま使用して、原子の配列を変えてグラファイトにする特殊な製錬過程の消費エネルギーの多さを考慮していないデータもあったと指摘しているんです。

 先ほど前段で申し上げたように、幾ら私は五キロ、十キロ削減したんだと言っても、その根拠が薄弱になってしまったのではもう一回やり直せという話になるだろう。それに伴って、取引で不具合が出たときに混乱を来すじゃないかということなんです。

 先日の質問でも、素材、製品を製造する、素材別というんですかね、製品別にCO2がどのぐらい排出されているのか、エネルギー消費だけでも量を定めるのが容易ではない。電気メーターをつけて、今日は一日何キロ使ったかというんだったら単純なんでしょうけれども、そう単純じゃないと思うんですよね。

 政府として指針を出せるのか、お尋ねしたいと思います。

中谷副大臣 まさに先生おっしゃるとおり、環境に配慮してEVを造るわけですが、これには大量の蓄電池が用いられるわけであります。この蓄電池を造るのに大量のカーボンを出していては意味がないというところでありまして、先生と同じ認識であります。

 そういったこともありまして、欧州では、他の製品に先駆けて、蓄電池のカーボンフットプリントの把握等の規制が先駆けて提案されていると承知をしているところであります。蓄電池のライフサイクル全体で、二酸化炭素の排出量、いわゆるカーボンフットプリントを正確に把握するためには、先生が言われるように、厳密な算定ルールを定めることは極めて大事というところであります。

 他方で、これまで、欧州を含め、海外でも厳密な算定ルールについてはまだ確立をされていないという状況でありまして、一定程度の困難さを伴うというふうに認識をしているところであります。

 こうした中で、経産省では、蓄電池のサステナビリティに関する研究会を開催をいたしまして、カーボンフットプリントの算定ルールや、実際に事業者が算定を行うに当たり直面する課題などについて、今現在、検討を行っているというところであります。引き続き、研究会などの議論を通じまして、我が国として、蓄電池のカーボンフットプリントを正確に把握するための取組を続けてまいりたいというふうに考えております。

 また、そのほかのものについても、これは非常に難しくて、蓄電池だけじゃなくて車全体という話になってきますけれども、これも非常に難しいところではありますけれども、製品別や素材別のカーボンフットプリントの把握、見える化についても、これもしっかりと進めていきたいというふうに考えているところであります。

 素材に関しては、他の者から答弁させます。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 乾電池のカーボンフットプリントの算出は、サプライチェーンを遡り、各部素材のカーボンフットプリントを足し合わせることで行うこととなっております。具体的には、各原材料や電力等の使用量に、それらの単位当たりの二酸化炭素排出量を掛け合わせることで計算するということになります。

 先生御指摘のとおり、サプライチェーン全体にわたって各原材料や電力等の使用量を正確に把握しようとしますと、国内だけではなく、海外も含め、事業者間で膨大なデータのやり取りが発生するため、多大な苦労を要すると認識しております。

 経済産業省としては、こうした課題を踏まえまして、産業界の実態にもかなう合理的な算出ルールを検討するための実証事業を行っておりまして、その参加企業に対しまして、カーボンフットプリントの算出に係る費用への補助等の支援を行っております。

 また、国や複数の企業をまたぎまして、部素材の二酸化炭素排出量のデータを円滑に共有、活用する仕組みも重要でありますことから、電池のサプライチェーンに関するデータ流通のためのプラットフォームの構築の検討を進めているところでございます。

 引き続き、国内外を含め、サプライチェーン全体の排出量の算定を行うための環境整備を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 副大臣からも御答弁いただいたんですけれども、欧州でもまだきちっとしたものが確立されていない。だから、私がさっき申し上げたように、余り急いでやって、いいものを作れないんだったら、ちょっと一呼吸置いて、様子を見てからきちっと組み上げていくというのが大事なんじゃないかと思います。

 今御答弁もいただいているんですけれども、今回のこの今指摘している人が、グラファイトの生産の基本的なプロセスを検証するところから手をつけたんだそうです。負極に使うグラファイトの九割超が中国産で、その大半がエネルギーは安価だが石炭火力発電に依存する内モンゴル自治区で製造されていることが分かったのは計算の助けになった、こういう報告書なんです。電力供給の炭素強度が分かっているので、次のグラファイトから負極を製造する複雑な工程についても調べ上げられたんだというんですね。

 今御答弁もいただいたんですけれども、海外で生産された素材や部品の排出量を算定するのには膨大なデータと正確な数量が必要になると考えるんですけれども、それは政府がきちっと責任を持って収集するということでよろしいのか。また、それに対して、外郭団体がやるのか、メーカーというより民間企業にお願いするのかといったときに、それこそ民間企業にお願いしたときには、そのデータが正しいか正しくないか、誰が判断するのかという問題が出てきます。また、そういう民間企業にも支援をしていくんだということであれば、何かここにきちっとした基準点を作って、そこと対比をさせる形になって、上がってきたデータの信憑性を高めていくという制度をつくらないと、このことはクリアできないんじゃないかと思うんですけれども、今の立場で御答弁いただければと思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、そこらあたりのルール作りにつきましては、経済産業省としましては、産業界の実態をよく見まして、それに合った合理的な算出ルールを、先ほどの副大臣が申し上げました検討会の中を通じましてルール作りを行っておりまして、また併せて、そのルールが適切に機能するかという実証事業も行っております。

 こうした中で、官民が共同してルール作りを行い、そして経済産業省としましても、その算出に係る費用の補助なども行って進めておる、そういった状況でございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 じゃ、もう一点、同じ、関連する質問なんですけれども、グラファイトには天然のものと人造のものの二種類があるんだそうです。天然のグラファイトの場合は、約千三百度の炉で十五時間にわたって粒子を熱する必要がある。人造グラファイトは、一般的に製造する際には、石油コークスなどの炭素を含む物質を数週間にわたって千度で加熱する。こうして均一な素材が作られるわけだが、続く黒鉛化の過程では、温度を三千度まで上げて、数日間かけて熱する。工程では、密閉されていない炉で加熱することが多く、高温を保つために大量の電力が必要になる。

 グラファイトが環境に与える総合的な影響を二つの研究チームが調べたところ、前段と同じなんですね、企業が環境影響評価によく用いている数字について、実際より大幅に影響を低く見積もっていることをどちらの研究も、まあ、二つの研究がしているということですね、研究を示したものだったということなんです。

 推計では、人造グラファイトの実際の二酸化炭素排出量は、公表されている標準的な推定量の最大十倍、天然グラファイトでは八倍だったというんです。公表されている、一般的に使っている数字ですよね。

 より正確な推定値を算出するためには、どちらの研究チームも更なる研究とデータの必要性を訴えているという報告なんです。

 現時点で、このような結果で正確なデータを把握できるものなんでしょうか。大変だと思います。まあ、意気込みで結構ですけれども。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、二酸化炭素の排出量は、各原材料や電力等の使用量に、それらの単位当たりの二酸化炭素排出量を掛け合わせて算出するものでございます。後者の数値は、データベースとして整理されているものを用いることが可能になります。

 我が国には、独立行政法人産業総合研究所が所有しているIDEAというデータベースがございます。網羅性、代表性、完全性、透明性を担保できるように開発が進められているところでありまして、経済産業省が検討を進めているカーボンフットプリントの算定ルールにおきましては、このデータベースを用いて算出することを基本としております。

 一方で、先生御指摘のとおり、このデータベースも、全てのプロセスを網羅しているわけではございませんことから、実際の値よりも低く算出されてしまうということもあることなど、まだまだ改善の余地があるものと認識しております。

 引き続き、産業総合研究所と連携しまして、データベースのアップデートに取り組みまして、より正確な二酸化炭素排出量の算出ができるように、環境整備を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 今日はマニアックな質問なので。ただ、経済産業省という役所の性格からいっても、少しマニアックなところをお聞きしているというのを御容赦いただきたいと思います。

 この識者が言うには、排出量を削減する有効な手段の一つはグラファイトの再利用だ、副大臣が欧州の事例を挙げて御答弁いただいたんですけれども、そういうことをこの研究者は指摘している。つまり、寿命を終えたバッテリーから負極を取り出して、細かな粉末状のグラファイトを新しいバッテリーに再利用するということだというんですね。使用済みのグラファイトを再利用すると、最初から製造するよりも炭素強度が低い場合が多い。ところが、グラファイトは潤沢に存在していて安価なので経済的に合わない、これがキーになってくるんです。

 地球環境でCO2を削減するためにリサイクルをしていかなくちゃいけないんですけれども、そのリサイクルしたときのコスト、また、電気を使う、エネルギーを使うことで、そのリサイクルをした方がいいんですけれども、それがまたCO2を排出する。社会ベースの中で、安いものと、リサイクルして高くなったものがあったら、お客様はどっちかというとこっちを買う、これが今の現状だと思うんです。これをバランス取っていくのはなかなか至難の業だと思うんですね。

 リサイクル業者は、より価値が高いコバルトやニッケルといった金属を中心に扱い、再利用の過程でグラファイトは燃やしてしまっているというんです。これこそ、グラファイトによる環境への影響の正確な評価が重要な理由であるということなんですね。バッテリーとして重要だというのを研究者は指摘しているんですけれども。

 今申し上げましたように、欧州では、再生利用するものを新しいものに何割混ぜろというふうに言っているか分かりませんけれども、それを義務づけさせているんですね。コストパフォーマンスというより、コストベースじゃないということですね。

 そこまで踏み込んでやってもらおうとするのか、それが、海外では九割も作って、中国にそれをやれと言って、やってくれるかというの。日本の自動車で、物によっては四割から五割五分、もうちょっといっている部分もあるでしょうけれども、海外で作った部品を日本に輸入して組み立てて製品として、車なら車、家電なら家電、いろいろなものを作っているわけです。そこにそういう、お願いじゃなくて強制を働かせられるかということです。そうしないと、CO2の削減には日本国内だけでは限界が出てきちゃいますよということなんです。

 どうでしょうか、もう一度御答弁いただけますか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 先生からお話がありました諸外国の取組についてでございますが、在外公館やジェトロ等による情報収集、それから各国政府、民間企業との意見交換等を通じまして、的確に状況を把握し、その分析も行っているところでございます。これらの諸外国の動向も参考にしつつ、我が国の現状も踏まえた上で、政策の検討を行っているところでございます。

 御指摘のとおり、特に欧州の新バッテリー規制案では、リサイクル材の使用義務化等が提案されております。積極的にリサイクルの取組を進めていくものと承知しております。

 リサイクルの推進は、資源の確保やサーキュラーエコノミー実現の観点から大変重要なものと認識しております。このため、経済産業省では、使用済蓄電池の流通実態の把握に努めつつ、リサイクル材の回収率、品質の向上、コスト削減等を実現するため、グリーンイノベーション基金で蓄電池のリサイクル技術の開発支援を行うとともに、経済安全保障推進法に基づきまして、蓄電池を特定重要物資として指定することで、リサイクル施設の設備投資に対する支援等も行うこととしておるところでございます。

 引き続き、海外の動向も注視しまして、我が国においてもリサイクルの推進の取組を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 じゃ、もう一点だけお尋ねします。

 より環境負荷の少ない電力供給が可能な場所にグラファイトの製造工程を移すことだとこの識者の人は言っているんですけれども、ノルウェーの金属メーカーは、ノルウェーの豊かな水力発電を動力源として、エネルギー効率の優れた密閉型の炉を使用して人造グラファイトの製造設備の建設を進めているという。欧州のゼネラルマネジャーを務める方は、環境に配慮しているという評価を高めたい事業者から関心が寄せられているという。世界で最もクリーンなバッテリーでも、内部のグラファイトが二十キロ相当の二酸化炭素を排出していたら意味がありませんよと指摘しているわけですね。それではまずいでしょうと。

 そこまで情報の収集とお願い方をやらないと、この十一億トンを二〇五〇年にニュートラルにするのはなかなか至難の業じゃないかなというふうに思うんですね。

 あと、もう一つ、最後にこういった指摘もされています。中国企業は負極材に適した品質のグラファイトの製造において数十年の経験があり、西側の企業、日本も含めてですね、争うことは難しいんじゃないかと。

 今更、だから、日本で技術開発をして、その設備投資を国内でやって、九割のグラファイトを中国から輸入してバッテリーで使っているこの日本の今の現状を置き換えられるかといったら、中国はもっと、コストの安いかは分かりませんけれども、違う形で取り組み始める。ノウハウの蓄積が日本と全然違うということです。

 そういう状況に置かれていながら、日本が優位な産業と言われている自動車だとか、マシンだとか、化学製品もそうだと思うんですけれども、そういったものをより先に出させていくのにはよっぽど覚悟が必要だと思うんですけれども、大臣、もう時間が来ているので、どうでしょう、今、お話を聞いていただいていると思うんですけれども。

 大臣は、早くやった方がメリットがあるからといってカーボンプライシングの話をされるんですけれども、今日の議論をお聞きいただいていて、余り早くやったからって、きちっと、何か、ぱぱっとピラミッドが組み上がるみたいにして、私はできないんじゃないかと思うんだよな、答弁を聞いている中では。

 だったら、よく見定めて、今申し上げたように、積み上げていくデータもさることながら、数量の把握だとか、いろいろなファクターがいっぱいあり過ぎちゃっていて、どこから手をつけていったら正確な数字が出てくるか分からないんですよね。法案は朝一で通っていますから、これから実行を移すに当たっては、先ほど答弁いただいたことも加味しながら、二年先ぐらいで、こんなものでいいんじゃないですかというのをつくっていくしかないのかなと思うんですけれども、最後に御所見を聞いて、終わりにしたいと思います。

西村(康)国務大臣 私どもも、サーキュラーエコノミーという発想で、循環経済ということで、資源の制約もあるし、CO2も減らさなきゃいけないという中で、今説明がありましたように、カーボンフットプリントということで、生産から流通、消費まで、一連のライフサイクルの中で、どれだけの資源を消費し、CO2を出すかというデータベースもこれは構築をしていかなきゃいけませんし、それを見える化していくことによって、消費者の行動、あるいは我々の、国民の意識も変えていかなきゃいけないということでありますが、他方、重要物資については、蓄電池始め、御指摘があったニッケル、コバルトを始め重要物資については、これは経済安全保障という概念の中で、自分たちの中でサプライチェーンを持たなきゃいけない、また、有志国ともサプライチェーンを構築していかなきゃいけない、そっちの視点もあります。

 こうしたことを、全体像を見ながら、GXについては、このカーボンプライシング、成長志向型ということで、早く投資をしていく方が負担が軽くなる仕組みをつくっておりますが、全体として、イノベーションを起こしていかなきゃいけないという面と、早くやらなきゃいけないという面と、そうしたいろいろなシステムを構築していく中で、全体で意識を変えながら、また資源を節約し、またCO2を減らしていくという仕組みもしっかりとつくっていかなきゃいけませんので、継ぎはぎ的にできるものでもない面もあります。おっしゃるように、その辺り、全体を見ながら、国際社会の動向も見ながら、私どもとして、これも戦略的に考えていきたいなというふうに思っております。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 三月十日の当委員会で、大手電力会社の不正事案の解明と再発防止抜きに、エネルギー関係の法案、これは審議できないということで、私自身、集中審議の開催を求めました。一本目のGX推進法案は本日の午前の委員会冒頭で採決とされましたが、二本目のGX電源法案の審議入り前に、六時間半の電力システム問題等で集中的一般質疑が実現したわけであります。

 そこで、質問いたします。

 昨年末から大手電力会社の不正が相次いで発覚しております。西村大臣は、三月十日の当委員会で、一連の情報漏えい、不正閲覧、カルテル、この三つの事案を挙げられましたが、十四日には四つ目が発覚いたしました。関西電力送配電の大阪府内の一部営業所で、電気事業法で義務づけられた電圧の測定、記録保存を怠っていたというものであります。

 経産省は関西電力送配電に対して、三月二十二日までに本事案の概要及び経過と対応状況、類似事案の有無、原因及び再発防止策について報告を求めました。

 大臣に伺いますが、関西電力送配電からどんな報告がありましたか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、今月八日に関西電力送配電より、関西電力送配電の一つの配電営業所におきまして、二〇二〇年度分の電圧測定と記録を実施していなかったことについて一報を受けました。

 このため、経産省として、今月十四日付で、電気事業法に基づき、同社に対して事実関係と原因究明、再発防止策を報告するよう求めたところであります。

 これに対しまして、二十二日付で、一つの配電営業所において過去数年間にわたって電圧測定及び記録が適切に実施されていなかったこと、その他の営業所では適切に行われていたと報告があったところです。

 また、報告では、担当者の理解不足や組織体制が不十分であったことを原因としており、進捗管理の仕組みの導入やコンプライアンスの浸透などの再発防止策について説明があったところであります。

 経済産業省では、現在、報告内容を精査をするとともに、再発防止策が十分なものかどうか確認を進めております。今後、必要に応じて、追加的な報告を求めることや指示を行うことなどについて検討を進めております。

 いずれにしましても、供給される電気の質を確保する観点から、こうした事態が発生したことについて、経産省として重く受け止めております。再発することがないように厳しく対処していきたいと思います。

笠井委員 じゃ、伺いますけれども、そもそも、電気事業法の第二十六条の第三項で、一般送配電事業者に対して、供給する電気の電圧や周波数を測定して、その結果を記録、保存するように求めている、その趣旨は何ですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電気の安定供給のためには、電気の需要と供給を常に一致させることが重要でございます。このバランスが崩れた場合には、周波数が変動して停電に至ることが考えられますし、また、電圧の標準値からのずれが大きくなりますと需要家の機器に悪影響を与えることが考えられます。

 このため、今御指摘いただきました電気事業法の第二十六条でございますが、この第一項におきまして、電気の使用者の利益を保護する観点から、一般送配電事業者に対しまして、電圧及び周波数の値を維持するよう努めなければならない義務を定めておりまして、その上で、第三項におきまして、その電圧及び周波数の維持を確認するために、測定と記録の保存の義務を定めているものでございます。

笠井委員 三月二十二日に提出された関西電力送配電の報告を読んで、私、驚きました。こうあります。「当該担当者は、定期電圧測定業務が電気事業法に基づく重要な法定業務であることも、業務の詳細も正しく理解していなかった。」と。これはひどい話ですよ。

 経産省は、二〇二二年三月に、関西電力に、電気事業法に基づく業務改善命令を出しました。ところが、業務改善を行っているはずの関西電力が四つの不正事案の全てに関わっている。どこも法令遵守、コンプライアンスの問題で、根本問題です。

 大臣、電気の質の確保は電気事業者の責務の基本中の基本だと思います。それを知らなかった、こんなことを言う関西電力を、業務改善命令に真摯に対応している、こう思われますか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、今説明もありましたけれども、何よりも電気の安定供給、安全に安定供給することが大事でありますので、当然の果たすべき義務ということだと思います。そのことについて、御指摘のように、理解が十分でなかった、あるいは、組織としてのチェック体制、こうしたことが十分でなかったということでありますので、先ほど申し上げましたように、現在その報告内容を精査をしておりまして、それを踏まえて厳しく対応していきたいというふうに考えております。

 これまでの幾つもの事案が重なってきております。改めて関西電力には、こうした、中立性、信頼性を失い、また消費者の皆さんからも信頼を失うようなことになっておりますので、厳格に、厳正に対応していきたいというふうに考えております。

笠井委員 その程度じゃ済まされないと思うんですよ。安定供給のためには原発が必要だといって関西電力が動かしたりすると、冗談じゃないという話になります。

 関西電力は、業務改善命令を受ける前から定期電圧測定業務をきちんと実施しておらず、業務改善命令を受けて、口ではコンプライアンスを徹底すると言いながら、その後も法定業務である電圧測定を実施しない。今回の問題が発覚したら、そんな大事な業務だと知らなかったと言っている。

 大臣、関西電力の電気事業者としての適格性そのものが問われるということじゃないんですか。

西村(康)国務大臣 様々な事案につきまして、今調査なども行われております。もう既に私どもから様々な形で指導なども行ってきているところでありますけれども、改めて、この調査結果などをしっかりと踏まえて厳正に対応していきたいというふうに考えております。

笠井委員 電気事業者としての適格性が問われるのは関西電力だけではありません。十の電力全てが四つの不正事案に関わっているわけであります。しかも、中立公平であるべき送配電事業者が関わっているんですから、事は極めて深刻です。地域独占と総括原価方式による十電力の支配体制が何ら変わっていないということだと思うんです。発送電を分離した電力システム改革の根幹に関わる重大問題だと認識すべきだと思います。

 西村大臣は、この電力システム問題を国会で問われると、この間も、現在調査しているので、まずはその結果を精査したい、結論ありきではなく、虚心坦懐と。虚心坦懐というのは何度も聞きました。議論したい、何度もこう言われているわけですけれども、しかし、それは、ゼロベースではなくて、電力システム改革の趣旨に照らしながら考えると。つまり、十年前の電力システム改革専門委員会の報告書の指摘にどう応えるかというのが出発点でなければいけないと思うんです。

 そこで、確認しますけれども、二〇二〇年四月に送配電事業者は法的分離されました。旧電力も新電力も送配電網を共有しながら電気事業を営むわけですから、電気事業法では、一般送配電事業者に対して全ての小売電気事業者を平等に取り扱うように求めている、これは間違いないですね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電気事業法第二十三条第一項第二号におきまして、一般送配電事業者の禁止行為といたしまして、託送供給及び電力量調整供給の業務その他の変電、送電、配電に係る業務について、特定の電気供給事業者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えることを規定しているところでございます。

 これは、一般送配電事業者の中立性、公平性確保の観点から、一般送配電事業者が行う託送供給業務等において、特定の事業者に対する不当な差別的取扱いについて、有利、不利を問わず禁止するものでございます。

笠井委員 今回明らかになった不正のうち、自社グループの小売事業者に新電力の顧客情報を閲覧させていた事案や再エネ業務管理システムへの接続を許していた事案は、自社グループの小売事業者を新電力と比べて有利に取り扱っていたわけで、電気事業法の禁止行為との関係で明らかに問題になり得ると思います。

 では、伺いますが、発送電分離には、四段階、こう言われていますけれども、分離度合いの弱い会計分離、それから機能分離、法的分離、そして送配電事業者を完全に分けた所有権分離まで四つの類型がある。二〇二〇年四月に実施された法的分離前は会計分離だったわけですね。これは二〇〇三年に導入されましたが、十年間それをやってみたものの、送配電網の中立化を図れなかったということだったと思うんです。

 このことについて、電力システム改革専門委員会の報告書がありますが、その三十一ページ、どうこのことを指摘しているか、該当部分を読み上げていただきたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございました、二〇一三年二月の電力システム改革専門委員会報告書におきましては、会計分離による中立性確保について、当時の認識といたしまして、二〇〇三年の制度改正で会計分離を導入後、約十年が経過した現在に至るまで、送配電部門の中立性の確保がなお不十分であるとする指摘が絶えないこと、再生可能エネルギーやコージェネレーション、自家発など分散型電源の推進という観点から送配電部門の一層の中立性確保を求める声も大きいことが指摘されております。

 その上で、系統利用者の多様化に応じた公平性、中立性の確保、小売全面自由化に向けた競争環境の整備、需給調整における多様な電源の活用といった理由から、これまでの送配電部門の中立性確保策を前提とせず、送配電部門について一層の中立化を行う制度上の措置を講じることが必要と報告書において整理されたというふうに承知しております。

笠井委員 いろいろな部分を読まれましたけれども、要は、我が国では中立性確保のために発送電分離の一つの類型である会計分離を二〇〇三年の制度改正で導入し、併せて情報の目的外利用や差別的取扱いを禁止してきた、しかし、制度改正後約十年が経過した現在に至るまで、送配電部門の中立性の確保がなお不十分であるとする指摘が絶えない、そう言われた中で、そういうことが明確になるわけですね。

 後に電取委の初代委員長になられた八田達夫氏は、二〇一二年の電力システム改革専門委員会で、会計分離が導入された際の経緯をこう語っておられます。前に二〇〇二年だか三年だかの自由化が起きたときというのは、ほとんど物理的な分割までいきそうになったのですけれども、そこを電力会社が巻き返して、中立性を実質上きちんと担保して、発送電分離のいいところは生かすから、物理的には分離しないままでやらせてみてちょうだいということで決着した、こう言っているわけですね。

 そこで、確認しますが、二〇一二年からの電力システム改革専門委員会で、会計分離では送配電部門の中立性の確保がなお不十分であったために更に発送電分離の強化について議論してきた、その中で、中立性、公平性、透明性について整理をされているということだと思います。

 そして、整理の一覧表がここにありますけれども、その中で、大臣、なぜデメリットのない所有権分離ではなくて、中立性、公平性確保の度合いが小さくて、競合者を不公平に扱うインセンティブが残る、こう書かれているような法的分離でよしとしたんでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘の送配電部門の中立性確保の方式に関してでありますけれども、まさに電力システム改革を議論した有識者会議におきまして、当時採用されていた会計分離の方式では改革後の中立化策として不十分であるとして、法的分離又は機能分離の方式による送配電部門の一層の中立化を図る方向で検討が進められたというふうに承知をしております。

 そして、両方式を比較した結果、各側面についてそれぞれの方式で得失があるとされましたけれども、送配電業務のうち、運用・指令機能のみ独立系統運用者など別組織に移管する機能分離よりも、送配電部門における行為、会計、従業員を一体として別会社とする法的分離の方が、明確に区分することが可能であり、送配電部門の独立性が明確であるなどの観点を踏まえ、法的分離が採用されたものと承知をしております。

 その上で、所有権分離につきましては、改革の対策を見極め、それが不十分な場合の将来的検討課題として位置づけられたところであります。

笠井委員 いろいろ比較したけれども、最も肝である中立性、公平性、透明性ということではデメリットがないというのが所有権分離。将来的課題の問題は議論しますけれども、まさにそういうことであれば、やはりこれだけ問題になって、十年間やって解決しないわけですから、本当にそこを踏み出さなきゃいけないということになってくると思うんです。

 当時、我が党、日本共産党は所有権分離まで踏み出すように求めたわけですけれども、課題が多いということで、法的分離にとどめられたという結果がありました。

 電力システム改革専門委員会報告書では、もう一つ、法的分離に当たっての重要な指摘をこう行っております。

 法的分離の場合、企業グループ内の資本関係があることから、グループ内の発電・小売会社を有利に扱う誘因がある、そのため、これらに対して、親事業者(持ち株会社又は発電・小売会社)も対象とした十分な行為規制を講じることが必要となると三十四ページに書いてあります。

 行為規制、すなわち、一般送配電事業者の中立性確保のために、やってはいけない禁止事項を法定化をして、その遵守状況を経産大臣が確認する、そういう仕組みを盛り込むということであります。

 そこで、伺いますが、一般送配電事業者を法的分離し、行為規制を置く、それでも中立性確保が不十分だった場合には、将来的な課題として所有権分離を検討する、これが十年前の電力システム改革の結論。報告書の三十三ページに何と書かれているか、紹介してください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年三月の電力システム改革専門委員会報告書におきましてでございますが、会計分離、法的分離、所有権分離、機能分離のおおむね四つの方式に分類されるとした上で、法的分離又は機能分離の方式による送配電部門の一層の中立化を図ることが必要であるが、両方式について様々な側面からの評価を行ったとした上で、所有権分離については、「なお、中立性を実現する最もわかりやすい形態として所有権分離があり得るが、これについては改革の効果を見極め、それが不十分な場合の将来的検討課題とする。」と記載されていると承知しております。

笠井委員 一般送配電事業者は、行為規制の遵守状況について、経済産業大臣に体制整備等報告書の提出が義務づけられております。電気事業法の第二十三条の四第二項であります。

 電力システム改革を具体化するために設置された制度設計ワーキンググループでは、行為規制の遵守状況について、国として厳格な監視を行うことになるが、併せて遵守状況の公表を義務づけることで、国以外の第三者による監視も行われることとなるというふうにしております。

 そこで、伺いますが、電気を利用する消費者や新電力などの事業者が一般送配電事業者の行為規制の遵守状況をきちんと監視できるようにするために、当然、国民には公表されているんですね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年に実施された法的分離に際しまして、情報の管理や監視等の体制を整備することを義務づけ、この実施状況を経産大臣に毎年報告することとしている法第二十三条の四は、委員の御指摘のとおりでございます。

 現在、一般送配電事業者から提出される体制整備等報告書自体については、現時点で公開してございません。

 なお、電力・ガス取引監視等委員会において、一般送配電事業者の行為規制に係る体制整備等について毎年度監査を行ってございまして、当該監査結果についてウェブサイト上で公表しているところでございます。

笠井委員 公表はされていないと。

 私は、報告された中身をそのまま公表しろとは言っていないんですね。第三者の視点での監視が必要な項目をピックアップするなど、やり方は工夫すればいいと思います。報告書を受け取った経産省側が長年にわたる顧客情報の不正利用を見抜けなかったことからも明らかなんですけれども、電力会社と経産省だけの閉じたやり取りでは監視機能は働かない、これが現実だと思います。

 大臣に伺います。やはり、体制整備義務の遵守状況を分かりやすく公表することで消費者や新電力など第三者による監視機能を働かせるように、これはもうすぐにでも、こういう事態が重なっているわけですから、実行すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに、こうした一連の不適切な事案がございましたので、御指摘のような一般の方からの監視的なそうした機能、あるいは、今日も御議論ありましたように、電力・ガス取引監視等委員会の機能強化、こうしたことについて、一連の今調査などを行っておりますので、その精査されたものがまとまってき次第、私どもとして、再発防止策、まさに厳格に対応しながら、中立性、信頼性をしっかり確保できるような措置を考えていきたいというふうに思います。

笠井委員 済みません、公表については今後検討するというぐらいはおっしゃるわけですね。

西村(康)国務大臣 全体として、再発防止策としてどういったことがふさわしいのか、それはまさに、これまで申し上げているとおり、虚心坦懐に様々議論する中で考えていきたいというふうに思います。

笠井委員 だから、その中で公表するということも検討の課題になりますね。少なくともそれぐらいおっしゃれますよね、これだけ問題になっているわけですから。それで、閉じた、クローズのところでやったら、また重なっているわけですから。

西村(康)国務大臣 先ほども答弁ありましたけれども、セキュリティー上、秘匿すべき情報もありますので、現時点では公表していないということでありますけれども、その点を含めて検討したいというふうに思います。

笠井委員 私は、だから、全て公表しろと言っているわけじゃないと申し上げているわけで、それも含めて検討と。

 大臣、行為規制がやはり機能していないという現実がこれだけあるわけですから、法的分離にとどめた前提がある意味崩れる、この間の経過からしても。将来的な課題というふうに、そのときには、十年前になったけれども、しかし、こういう事態になった中で、やはり、十年前の電力システム改革専門委員会の報告書の指摘どおり、所有権分離に踏み出す、こういうことが必要じゃないかと思うんだけれども、その点はどうなんでしょうかね。

西村(康)国務大臣 繰り返しになりますけれども、まさに、一連の不適切事案、これは電力事業の中立性とか信頼性に疑念を抱かせるものでありますので、極めて遺憾であるというふうに何度も私も表明しておりますし、そういう認識であります。

 その上で、今、事実関係の確認、原因分析のための調査を実施しておりますので、まずはその結果を精査をしていきたいというふうに思いますし、その上で、一連の事案の解明に向けた調査内容を踏まえながら、電取委の有識者会議では、情報システムの物理分割を求めるなどの再発防止策ももう既に示されているところであります。

 引き続き、電取委や資源エネルギー庁の有識者会議におきまして、電力システム改革の趣旨に照らしながら、再発防止策について、様々な観点を考慮しながら、まさに虚心坦懐に御議論をいただいているところでありますので、経産省として、そうした議論も踏まえて適切に対処していきたいというふうに考えております。

笠井委員 虚心坦懐と何度も言われるんですが、この間、そういう中で、ベースがあって、この間の積み重ねがあるわけですから、やはり、ゼロベースの話じゃないということで、きちっと経過を踏まえてやる必要があると思うんですね。

 今大臣が言われた、情報システムを物理的に分割するという話がありましたが、そういう検討と言われますが、じゃ、分割したら不正は起きないのか。

 確認しますが、東京電力、四国電力、九州電力は、この情報システムを物理的に、実際にはもう分離しているんじゃないんですか、事実。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、東京電力、九州電力、四国電力については、システムの物理的な分割を行ってございます。

笠井委員 分割ですね。分割しているわけですよ。しかし、物理的に分割している事業者でも顧客情報の不正閲覧を起こしているわけで、物理的分割では問題は解決しないと事実が示していると思います。

 大臣、電力会社の自主的な再発防止待ちでは駄目だと思うんですよ。法的分離にとどめた前提が崩れているわけですから、所有権分離にやはり踏み出す以外にないんじゃないか。これは十年来の宿題です。

 しかも、これ、言いますと、私はまた、昨日また新たな事実があったということで、驚いたわけです。

 昨日、関西電力が、五名の社員に関西電力送配電の顧客管理システムへのアクセス権限を付与して、新電力の顧客情報を閲覧していたことが発覚した。うち一名は特別管理職です。その管理職自らがアクセス権限を付与している。それで、四名が閲覧している。閲覧した六十九の契約のうち、関西電力送配電側の報告を見ますと、五十契約、六十九分の五十の契約が、閲覧後に新電力から関西電力に契約を切り替えているわけですね。経営活動に使っていないという言い逃れはもう通用しないような事態まで来ているということだと思うんですよ。

 ですから、しっかりこれは国の責任で所有権分離まで踏み出す、その上で、課題をどういうふうにするかということで、きちんと整理するということが必要じゃないかと思うんだけれども、ここまで来てまだ、まだまだ将来です、いろいろなやり方がありますと言っていても駄目だと思うんですよ。いかがですか、大臣。

西村(康)国務大臣 昨日の案件につきましては、まだ、今日、朝からずっと国会の対応で、詳細、報告を受けておりませんが、しかし、営業活動に使っていたということは報告を受けておりますので、そうしたことも含めて、まさに中立性、信頼性を失うような事案であります。厳格に対応していきたい、そういう思いでおりますが、更に調査が進められておりますので、それを踏まえて厳正に対応していきたいというふうにも考えております。

笠井委員 調査を踏まえてといっても、事実がもう幾つも並んでいるわけですね。

 それで、虚心坦懐ということを繰り返し、まあ、私もそのことを繰り返して申し上げますが、大臣が言われるけれども、ここまで来たら、とにかく、この間整理したことに基づいて、次はどれなのか、四つの分類をしたわけですから、整理したわけだから、やはり四つ目のところまで向かうということを明確にして、その立場からどうやって課題を整理するかとやらなかったら、これは何のためにずっと積み重ねて議論してきたのか。

 にもかかわらず、こんなことが繰り返されているわけなので、またそこで、事実で、調査した結果、どうしますかと、また虚心坦懐で始めちゃっても、せっかく十年来やってきた、その前のずっと経過があって、ここまで積み重ねて政府の側でもやってきたわけですから、ここはもう明確な方向性として、大臣が、こっちの方向でやろうじゃないか、そういう方向でやるとしたらどういうことができるのか、何が課題なのか、整理してどうすべきなのかというふうに、やはりこれは大臣のイニシアチブがなかったら、また繰り返しますよ。

 そうしたら、関西電力は、電力事業者として、原発も抱えながら、本当にこんなこと、資格あるのかと、みんな、国民も思うし、やはりこういうことは絶対あっちゃいけないんじゃないですか。だって、電気はみんな必要なんだしね。だけれども、事業者がこんなことを繰り返していて、コンプライアンスもあったものじゃないみたいなことになっているわけですから。

 そこは本当に、虚心坦懐と言わないで、とどまらないで、本当に決断する。どういう方向にするんだといって、じゃ、どうなんだと大臣が言わなきゃいけないんじゃないでしょうか。どうですか。

西村(康)国務大臣 まず、この一連の不適切な事案につきまして、様々な調査が行われておりますので、それを踏まえて厳正に対応、処分なども含めて対応していきたいというふうに考えております。

 その上で、電力システム全体の話につきましては、不適切な事案で中立性、信頼性が失われるような事態を招いているという面と、それから、この間の燃料費の高騰で、安定供給そして安価な供給がいろいろ揺らいできている面があります。

 今後も、安定供給を進めていく、さらにはGXも進めていく、再エネなども進めていく、送配電網、蓄電池などの配備も進めていく、そうした全体像の中で、電力システムの在り方について、ここはまさに虚心坦懐に、どういう仕組みがいいのか不断の見直しを行いながら判断をしていきたいというふうに考えております。

笠井委員 いつまで電力会社任せにするのか、経産省自身が大手電力の規制なき独占を許していると言わざるを得なくなってまいります。こんなことを続けていたら、電力システム改革のツケを国民に押しつけることになります。このことを厳しく指摘をしておきたいと思います。

 次の問題ですが、明日の衆議院本会議で審議入りする、いわゆるGX電源法では、原発の運転期間についての条文を、原子力規制委員会が所掌する原子炉等規制法から、原発推進の経産省が所管する電気事業法に移そうとしております。

 昨年七月二十七日の第一回GX実行会議で、岸田総理から、原発再稼働等の政治決断が必要な事項を示すように指示をされたと。その翌日、二十八日から、資源エネ庁の申込みに応じて、原子力規制庁とエネ庁の担当者が非公式の面談を重ねてきたことが昨年末に発覚をいたしました。

 そこで、エネ庁に伺います。原子力規制委員会は、十月五日の第四十二回原子力規制委員会でエネ庁から、松山部長御本人ですけれども、原子力小委員会での検討状況を聴取するまでの約二か月の間に七回の面談を行っていたことを認めておりますが、これは事実ですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月二十七日のGX実行会議において、今委員から御指摘ありましたように、岸田総理から原子力に関する検討の指示を頂戴しました。これを受けて、経済産業省資源エネルギー庁としては、この総理の指示を具体化するためにどうすればいいかということについて、原子力規制庁のみならず、関係する省庁、原子力は非常に幅広いものですから、関係省庁との間で情報交換及び今後の進め方についての調整をその翌日から進めてまいりました。

 その意味で、委員から御質問を頂戴しました、昨年七月二十七日から十月五日までの間、原子力規制庁との間では、この運転期間の在り方に関するところを含む面談を七回実施していたことは事実でございます。

笠井委員 十月五日以降も、運転期間に関する制度について、エネ庁と規制庁の間で情報交換を行っています。

 規制庁は十月七日、二十八日、十二月二日、十二日、十六日、二十六日の六回と言っております。それ以前の七回と合わせて十三回になりますけれども、この面談の記録というのは当然ありますね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたけれども、日常の行政事務の一環といたしまして、関係省庁とは日々連絡を取っております。個々の面談等について、やり取りについては記録は保存してございません。

笠井委員 これは重大な政策を変えようということのやり取りですよ。日常的なやり取りだからない、それ自体がおかしいです。管理職同士が面談したのに記録さえないのかと。

 大臣、これはどうやって国民に対して説明責任を果たすんですか。

西村(康)国務大臣 まさにこのような形で御審議をいただいて、いろいろな形で御説明を申し上げておりますし、また、いろいろな機会で、エネルギー政策につきましては、日々オンライン上での声もいただいておりますし、様々な説明会などを実施してきているところでありますので、そのような機会を通じて、私どもも、丁寧にエネルギー政策については説明をしていきたいというふうに考えているところであります。

笠井委員 これは、規制庁の側は公表したりしているわけですよね。そういう記録はあるけれども、エネ庁としての記録というのはないと。

 西村大臣は、三月十五日の当委員会で、行政文書についてこう答弁されました。行政文書は、まさに、現在及び将来の国民に対する説明責任を全うするものであります、民主主義の根幹を支えるというものだ、ここまで言われたわけですよね。

 こうやって政策を転換するということをやった経過について、その中身についても記録もない。メモであっても行政文書でありますが、面談記録を提出していただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、行政文書としてしっかり作成しているものについては、もちろんこれについてはルールにのっとってきちんと公表、公開をしていきたいというふうに思いますけれども、今も説明がありましたけれども、日常的な事務のやり取り、これについてはそうした記録は作成しておりませんし、そうしたルールはありませんので、私ども、いろいろな形で説明はしてまいりますけれども、何か記録として残しているというものではないということです。

笠井委員 これはメモであっても行政文書なんですよ。それも、ちゃんと、そうやって求めて、出したこともあるわけですよ。大臣御自身が、行政文書というのはとにかく現在と将来の国民に対する説明責任を全うするものだ、民主主義の根幹だと言われているわけですよね。国会で、出しなさい、出してくださいと言っても、これを出さない。大体、ないと。なかったらどうやって歴史の検証をするんですか。何で出さないんですか。何でないというふうに。何にもないんですか、本当に。

西村(康)国務大臣 行政文書は、私も、まさに民主主義の根幹を成す、いろいろな議論の過程も含めて、いろいろな会議の記録とかを残していくということは、これはルールが決められているところであります。この内閣においても、そのルールに従って公開、公表しているところであります。

 ただ、日常的なやり取り、事務連絡などのやり取りは、これはルールとしてはありませんので、何か記録を残しているということは私は報告を受けておりませんので、これについてはありませんので公表はできませんが、ただ、エネルギー庁の会議はそもそもオンラインでオープンに行っておりますし、いろいろな会議の記録などについては行政文書のルールに従ってしっかりと公表していきたいと思います。

笠井委員 事は、東電の福島第一原発事故の痛苦の反省を受けて盛り込まれた推進と規制の分離を大本からゆがめたという、そうした法をめぐる重大問題であります。前提問題。

 これは、記録については何もないということはないでしょう、メモだってあるわけですし、それも行政文書だと。大臣、ごまかしちゃいけないですよ。

 委員長、昨年七月二十八日以降の原子力規制庁とのやり取りのエネ庁側の記録について、当委員会への提出を求めますので、理事会での協議をお願いします。

竹内委員長 後刻、理事会で協議します。

笠井委員 資料を出さないことも問題ですが、更に重大なのは、情報公開を避けるためか、エネ庁と規制庁の担当者が役所の外で資料を受け渡していることであります。

 規制庁は、三月十日の衆議院環境委員会で、資源エネ庁と駅で資料を受け渡したことを認めました。エネ庁もこの事実を認めるのか、そして、いつ、誰が、どこで、何の資料を手渡したんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいた件、調べてまいりますと、お渡ししたのは、資源エネルギー庁の審議会に向けて作成した資料の案だと聞いております。これは、先ほどございました、規制庁の間との様々なやり取りの中で、一回御説明していた、うちの審議会にかける資料について、いろいろと書き込みをされて、新しい資料が、きれいな資料が欲しいという御要望があったようでございまして、今年の一月頃、当庁、資源エネルギー庁の職員が、霞ケ関の駅だったようでございますが、お互いの便のいいところで、改めての資料をお渡しするに当たってやり取りをして、過去にお渡しした資料の一部、その当該審議会の資料でございますが、この求めに応じて再度手交したというふうに聞いているところでございます。

 資料の受渡しがあったのみであり、面談は行っていないというふうに聞いております。

笠井委員 今言われた資料名は何ですか、具体的に。渡した資料、いつのどういう資料ですか。

松山政府参考人 今、手元に具体の資料のペーパー自体があるわけではございませんので、ちょっとお答えしかねるところでございます。

笠井委員 これは通告していますよ。資料がないなんて、ごまかしちゃ駄目ですよ。

竹内委員長 時計を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 松山部長。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 担当者に記憶をたどって聞いているところでございますが、審議会の資料の一部なんですけれども、具体に、どの資料、どのタイトル名かということについては確認ができなかったため、済みません、こういう御答弁になっているところでございます。

笠井委員 確認ができないって、だって、資料をくれと言ったから渡したんでしょう。確認できないもないじゃないですか。じゃ、何を渡したの。審議会なんかいっぱいあるよ、だって。どの資料なの、いつの。

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 松山部長。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、審議会の名前は原子力小委員会でございます。運転期間の話を含めて、資源エネルギー庁の下にあります原子力に関する政策を議論する審議会、そこに運転期間の関連の資料を提出しているわけでございますが、その資料の一部ということについては……(笠井委員「いつ付ですか。何度も聞いています」と呼ぶ)これは、今ちょっと確認いたしますが、ちょっと確認できておりません。

笠井委員 ちゃんと質問することを言っているんですから、答える方が分かるようにやってくださいよ。

 じゃ、エネ庁の何課の方ですか、管理職ですか。それから、霞ケ関の駅の何線ですか。改札の中で、外で渡したのか。

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 松山部長。(発言する者あり)不規則発言はやめてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 日付、何回かこの審議会を行っておりますので、九月の二十二日の審議会ではないかということでございますが、ちょっと定かではございません。

 受渡しを行った職員は、管理職ではございませんで、当省の職員でございます。

笠井委員 こんな時間稼ぎは駄目ですよ。何課ですかと聞いているんだ。もう通告しているんですからね、委員長。

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 松山部長。

松山政府参考人 電力・ガス事業部の職員でございます。

笠井委員 何課か聞いたんです。

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 松山部長。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電力・ガス事業部の原子力政策課の職員でございます。

笠井委員 資料なら、メールを送れば済むはずですよね。なぜわざわざ駅で渡す必要があったのか。メールで送ると記録が残るからか。役所でやると面談になるからか。何でこんなことをやったんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどと重複いたしますけれども、職員からの聞き取りによりますと、その前に規制庁の職員の方々と面談を行い、この原子力小委員会の資料をお渡ししていろいろと御説明申し上げた。先方が、いろいろと聞いたことをその資料の上にいろいろ書き込まれたものですから、これを、きれいなものが改めて欲しいという御要請がございました。(笠井委員「メールでいいじゃないですか」と呼ぶ)当方からいたしますと、これをメールで送ることももちろん可能でございますけれども、先方からのお求めに応じまして資料としてお渡ししたものでございます。

笠井委員 面談じゃない、メールだとか、そんなもの、本当におかしいですよ。大臣、こんな情報公開逃れみたいなやり方を経産省はよくやっているんですかね。

 経産省ではこれまでも職員一人一人のコンプライアンス意識向上に取り組んでいる、公文書管理法等に基づいて適切な行政文書の作成、管理をしてきている、こう言われてきたわけですけれども、これ、どこがコンプライアンスなんですか。何でこんなことになるんですか、大臣。

西村(康)国務大臣 今の、経緯は説明があったところで、ちょっと、どういう理由で紙で渡すことになったのか、私も確認しましたら、私も同じ質問をしたんですけれども、先方は紙で欲しいというふうに言われて、そちらの方に行くからと。間違っていれば修正、訂正してもらったらいいんですけれども、そういうふうに聞いて、それじゃ、両方の途中の駅、霞ケ関駅で渡そうということになったようですが。

 いずれにしても、御指摘のように、駅で受渡しするようなことは、まさに情報漏えいのリスクもありますので、これは厳に慎むべき話だと思います。改めて、そうしたことがないように徹底していきたいというふうに考えております。

笠井委員 記録はない、しかも駅で受渡しする。スパイ大作戦みたいな話ですよ、これ。国民と国会に全く説明できないじゃないか、証拠がないじゃないか。

 規制側と推進側がずぶずぶで、国民に隠れて陰でこそこそお膳立てして、原発回帰大転換ということなど断じて認められないということを申し上げて、質問を終わります。

竹内委員長 次回は、来る四月五日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


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