衆議院

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第10号 令和5年4月12日(水曜日)

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令和五年四月十二日(水曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上川 陽子君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      古川 直季君    堀井  学君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宗清 皇一君

      山際大志郎君    山下 貴司君

      阿部 知子君    大島  敦君

      菅  直人君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山岡 達丸君

      足立 康史君    遠藤 良太君

      前川 清成君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   内閣府副大臣       小林 茂樹君

   文部科学副大臣      井出 庸生君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松下  整君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            覺道 崇文君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           田辺 康彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           弓削 州司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥山 祐矢君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     深澤 陽一君

  土田  慎君     古川 直季君

  山際大志郎君     本田 太郎君

  篠原  孝君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     上川 陽子君

  古川 直季君     土田  慎君

  本田 太郎君     山際大志郎君

  阿部 知子君     篠原  孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官松下整君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官覺道崇文君、消防庁国民保護・防災部長田辺康彦君、文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、経済産業省大臣官房審議官弓削州司君、経済産業省大臣官房審議官恒藤晃君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、資源エネルギー庁長官保坂伸君、資源エネルギー庁次長小澤典明君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房審議官奥山祐矢君、原子力規制庁次長金子修一君及び防衛省大臣官房審議官小杉裕一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日は、質問の機会をいただきました委員長、理事の皆様そして委員の皆様に感謝申し上げながら、今回の委員会の中心的議題であります、いわゆるGX脱炭素電源法案ということに私の立場からも質問をさせていただきたいと思います。

 GX脱炭素電源法案というのは束ねの法案でありますから、原子力の利用、廃炉、そして再エネ、系統整備まで様々、幅広い内容が一くくりとされているものであります。それぞれについて質問をさせていただきたいという思いでありますが、まずは、一番注目もされておりますけれども、原子力に関わる部分について質問をさせていただきたいと思っております。

 今回政府が提案された、この束ねの中の一つの原子力基本法の改正案、この中について、まず基本方針の部分について伺っていきたいと思います。

 この基本法というところの基本方針に、第二条になりますが、「国及び原子力事業者が安全神話に陥り、」と、いわゆる東日本大震災に伴う東京電力の第一原子力発電所の事故、これを防止することができなかったことを真摯に反省するということを明記しているという改正提案になっているところでございます。

 ここの部分について、まず趣旨を大臣に伺うわけでありますけれども、安全神話に陥ったことの反省をするということは、つまり、今後はこうした安全神話にとらわれない、こうしたことに陥らないようにするということもその趣旨から読み取れるわけでありますけれども、事故を想定して防止する、起こさないようにする、だから大丈夫だというような考え方であれば、それは安全神話の範囲から抜け出ていないというふうに思うわけであります。

 いわゆる安全神話に陥って事故が起きてしまったことを反省するということであれば、むしろ、事故が起こることを想定していくということをきちんとこれは踏まえていくんだ、こういう立場に立つんだということがこの基本方針ということに書いているんじゃないかと私は推察するわけでありますが、国として、その立場に立ってこれから取り組んでいくという考え方なのかどうか、まず大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のとおり、原子力につきましては、安全神話に陥ってしまってこの東京電力福島第一原発の事故が起きたわけであります。その反省を踏まえて、いかなる場合もゼロリスクはない、事故は起こり得るという認識を持ちながら、しかし、それを起こさないために、世界で最も厳しい水準とも言われるこの新規制基準の策定など、そして何より、利用と規制を分けたわけであります。そうした上で、安全性の確保を最優先として取り組んでいきたいというふうに思います。

 こうした考えの下、今回の法案で、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、国及び原子力事業者が安全神話に陥り、事故を防止できなかったことを真摯に反省をし、原子力事故の防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識の下で、これを行う旨を原子力基本法に、「安全神話」という言葉を憲政史上初めて使うわけでありますが、明記したところであります。

 御指摘のように、ゼロリスクはないということ、そして事故は起こり得るということを頭に置きながら、しかし、それを起こさないために全力を尽くしていくということで、安全性を全てに優先させ、信頼回復、そして、そうした考えの下で政策を進めていくということでございます。

山岡委員 済みません、大臣にもう少し踏み込んで確認のために伺いたいんですけれども、事故が起こらないようにする、する、するというのは、受取手としてはある種の精神論にも聞こえるわけであります。

 事故が起こるという現実を踏まえた対応をしていく、そういう考え方でよろしいかということなんですが、大臣に伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まさにその点が重要でありまして、具体的にどういう取組をしていくのか、これは、原子力規制委員会の厳しい新規制基準の下で、今もそれぞれの原発で様々な対策が進められております。

 私も視察をしてきておりますけれども、竜巻対策のために鋼鉄製のネットを張り巡らせる、あるいは電源の多重化、電源を失ってしまって対応ができなかったということでありますので、電源の多重化、あるいは外部からの冷却を行う設備、いわゆる水を導入するための池も、貯水場、貯水池も整備をする、あるいは火災に強いそうした新素材への交換、それから、建屋の鉄筋コンクリートの厚みをこれまで以上にかなりの厚さにする。様々な対策を具体的に、原子力規制委員会の新基準の下でそうした対応が進められているところであります。

 私ども、ゼロリスクはないことを頭に置きながらも、しかし、事故が起こらないようにするための具体的なそうした対策をしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

山岡委員 今回、法律に書き込むわけでありますから、大臣は今非常に言葉を選びながら御答弁いただいたと思いますけれども、やはり、事故が起こった後をどうしていくのかということをきちんと政府として示していくということは極めて重要だと思いますし、この法案にこう明記するという考えを示すのであれば、その姿勢は是非、今後示していただきたいと思っているんですけれども。

 この原子力基本法の改正案の第二条、国の責務ということを明記されています。このことも私は法律に明記するというのは非常に大きいなと思うわけでありますけれども、今皆様のお手元にも、それをちょっと抜粋した資料がお手元にはありますけれども、全て大事な項目ではあるんですが、この中に、いわゆる国民の原子力発電に対する信頼を確保し、その理解を得るために必要な取組も行うと。もちろん、これまでもやっていたという答弁もあるのかもしれませんが、しかし、法律にこのように明記するわけであります。

 安全神話に陥らない、事故も起こる、そして国民の信頼確保、理解を得る取組をしていく、このことを総合的に考えたときに、今日、資源エネルギー庁の長官にお越しいただいていますから保坂長官にも伺いますけれども、これは、事業者に任せるのでなくて、政府として原子力政策を今進めるという方針を決めているのであれば、事故が起こって、起こった後こうなるという不利益情報をやはり国民の皆さんにちゃんと示していく、その考えをしっかり持っているのかどうか、このことを伺いたいと思います。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、GX基本方針におきましては、国民各層とのコミュニケーションの深化、充実に国が前面に立って取り組むこととしております。このことは、前回のエネルギー基本計画にも明記してございます。

 その際、御指摘のとおり、エネルギー情勢や原子力の重要性のみならず、原子力が持つリスク、それから事故による影響を始め、事故を踏まえて整備した規制基準や安全対策の状況、重大事故を想定した防災対策などにつきまして、国民の皆様に丁寧に説明していくことは重要と認識をしてございます。その意味で、委員御指摘の内容も含まれているということでございます。

 これまで、全国各地での説明会、意見交換会の開催や、ホームページを通じた情報発信、紙面やSNSなど複数のメディアを組み合わせた広報活動に取り組んできたところでございます。

 今後とも、多様な手段を通じて、原子力の重要性のみならず、万が一の事故による影響なども含めまして、国民の皆様に丁寧な説明を尽くし、幅広い御理解を得られるよう粘り強く取り組んでいく所存でございます。

山岡委員 このことがきちっと行われているかどうかというのは、やはり今後もきちんと私の立場からもこれは確認していかなきゃいけないと思っているんです。

 今、メリットのお話も少し触れられていましたけれども、政府が進めるということは、それなりにメリットがあるという説明をするんだとは思うんですけれども、原子力というのはこれからやはり国民的議論が非常に必要なテーマであるということを思ったときに、全ての情報をきちんとテーブルにのせた上で、きちんと国民的議論を踏まえた中でやっていくということが極めて重要なんだと思っております。

 基本法に今回こういうのを明記していくという方針であるんだとすれば、これまでもやっていましたということが今お話にありましたけれども、やはりどこか、事業者が自治体とかにいろいろ説明したり、そういう部分に寄っていたといいますか、事業者に任せているような部分が常々感じられる部分もありましたので、国としてきちんとそのことをやっているのかということは、これはしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、今後もちょっと取り上げていきたいと思っております。

 今日は、原子力規制委員会山中委員長もお越しいただいております。委員長にはちょっと端的にお伺いしたいんですけれども、この原子力基本法に、今お話しさせていただきましたが、安全神話に陥ったことの反省、あるいは国民の理解を得る、信頼を確保する、このことについては原子力規制委員会としても同じ立場であるということでよろしいかどうか、伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓と反省に基づき設置されたのが原子力規制委員会でございます。

 原子力の確かな規制を通じて、人と環境を守るのが私どもの使命でございます。

 原子力に一〇〇%の安全はないということを肝に銘じながら、独立性と透明性を堅持しながら、厳正な原子力の規制を行っていくのが私どもの役割であると考えております。

山岡委員 済みません、私の質問は、この考え方に基づいているということでよろしいですねということだったんですが、それでよろしいということでよろしいですか。この原子力基本法に今回書かれる考え方と立場を共にするということでよろしいですよねということなんですが。

 もう一度、一応確認のため、お答えください。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会としても同じ立場であるというふうに考えていただいて結構だと思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 委員長から、今回、国全体としてこういう基本法に書き込むということでありますから、規制委員会としても同じ立場だということも確認させていただきました。

 原子力規制委員会は、原子力規制庁が事務方として支えているわけであります。事務局にちょっと伺いたいと思いますが、今回、原子力基本法は、これは内閣府の所管として、内閣府を中心にこの法改正の検討を進めたんだと思っておりますが、他方、原子力規制庁、こちらには、原子力規制委員会の設置法であったりとか、あるいは原子炉等の規制法という直接所管する法律も原子力委員会とともに持っておられる、見ておられるという状況であります。

 今回、基本法がこういうふうに改正する提案を政府がするということをすることに当たって、規制庁として、御自身たちが直接所管しているこの法律を、同趣旨、あるいは基本法を受けての基本的な部分の法改正、このこともあってもよかったんじゃないかと思いますが、そのことは検討されなかったんでしょうか。伺います。

金子政府参考人 御指摘の原子力基本法の改正そのものについては、実は、事前に協議の形ではいただいておりますけれども、事前の検討の段階では必ずしも情報共有いただいておりませんので、その時点で法案の検討ということに反映をしておりませんけれども、一方で、今回、原子力委員会がおまとめになりました原子力政策の基本的考え方、これが基本法と考え方をパラレルにしているようなものになっておりますので、それを踏まえたような形ということでも私どもは念頭には置きながら、原子炉等規制法などの検討は行ってきたというような経緯でございます。

山岡委員 原子力基本法という、かなり全体を包括する中身であって、原子力規制庁、私は委員長にこのことを求めるのは酷だと思うんですよ。この法案の枠組みを議論するのは、当然、政府の立場であられます規制庁がそこに関わっていくということが当然だと思うんですけれども、事前の検討に関わっていなかったという話は、ちょっと伺って、非常に驚くところであるんです。考え方とパラレルだからということでありますけれども、基本法に書き込んでいくということを、御自身たちが事前に聞いてもいない中で、内閣府で検討が進んでいると。しかし、本来であれば、安全の先頭に立っていくべき規制庁が、仮にその法律改正の方針を、事後に話を受けた後でもいいんですけれども、御自身の所管している法律にそのことをどう考えるべきかと。

 検討したとおっしゃいました。検討した結果、書かなかったのはなぜですか。伺います。

金子政府参考人 先ほど申し上げましたように、法案の各関係省庁間での協議の段階では、当然、協議を受けておりますので、その段階でそごがないことは確認をしてございます。

 それ以前の段階につきましては、先ほど申し上げたように、基本的考え方に即しているかどうかというのをチェックしてまいりましたけれども、その中で、私どもの今回の改正法案について、特に修正をするとか、あるいは検討を追加的に盛り込むといったような点はなかったように記憶をしてございます。

山岡委員 技術的なことは、様々、法律によって趣旨は違うと思うんですが、いわゆる基本法の基本方針というふうに係る部分は、本来であれば私は規制庁が先頭に立つべき話だと思いますが、その後の協議において特に異論はなかったですということのお話そのものについても、私は今回、規制庁の主体性というものに非常に心配するところが多いこの経過だなということを感じるわけであります。ちょっと後にまたその質問をしますけれども。

 先ほど大臣にもお答えいただいたことではありましたが、いわゆる事故を想定した対応をしていく、その責任も含めて政府としてきちんと国の責務を明記してやっていくというような趣旨として今回の法案が提案されているんだというふうに思っておりますけれども、済みません、これは山中委員長にお伺いします。昨日も、この質問に当たって、いわゆる質問通告、質問レクということで、事故後の対応ということについて話をいろいろしたときに、いわゆる炉内のことについては原子力規制委員会がして、その事務局として規制庁があるわけでありますけれども、そうした立場にあられるということも伺っているところでもあります。

 原子炉内で事故が起きたというときに、福島の震災のところを思い返しても、やはり一義的には事業者がというような話でずっと進んでいたというふうに見受けられるところでもありますが、今回、基本法を改正するに当たって、やはり国民の信頼をきちんと確保していく、そういう考え方を示していくのであれば、炉内のことについても事業者と共同で原子力規制委員会、あるいは規制庁もそうですけれども、これは責任を持って対応していくという考え方というふうにあるべきだと思いますが、委員長のお考えを伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 原子力発電所内における事故対応というのは、施設の状況を一番把握しており、事故時の対応手順を整備し、それに基づき日頃から訓練を行っている事業者が責任を持って対応すべきものであると考えております。

 その上で、国、原子力規制委員会としては、原子力事業者等から得られた情報を踏まえまして、原子力施設の状況を分析し、今後の事故進展予測を行い、関係機関に情報共有を行います。

 また、必要に応じて、実動組織を含む関係機関と連携しまして、原子力事業者の事故収束対応を支援するとともに、オンサイトに関わる、発電所内に関わる原子力事業者の対応について助言、指導を行います。そのほか、必要に応じて原子炉等規制法に基づく停止命令等も行います。

 いずれにいたしましても、関係機関と連携して対応してまいる所存でございます。

山岡委員 事前のやはり事故対応の計画といいますか、そうしたことも事業者に提出させて、見ていくということも原子力規制委員会の役割なんだと思っております。

 しかし、事故が起きれば刻一刻と状況は変わる中で、事前の様々な計画を見ているとはいっても、臨機応変の対応も求められてくると思うんですね。そのときにやはり、委員長の立場で専門性の高い立場から今お話をいただいたと思うんですけれども、やはり共同の責任を持ってこれは対応していくという覚悟と決意をしっかりと示していくということも今回の法案の趣旨なんだと思いますが、そうした、少し精神的な部分の話にもなりますが、その辺りの決意、覚悟について委員長にお伺いしたいと思いますが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 原子力の安全確保についての第一義的な責任は事業者にあると考えております。

 その上で、最新の知見を取り入れ規制基準を策定し、科学的、技術的な知見から厳正に審査を実施するとともに、リスクは決してゼロにはならないとの認識の下、残されたリスクを低減させるべく継続的な改善を努めることが原子力規制委員会の使命であり、責任であると考えております。

山岡委員 一義的な責任は事業者にあるという言葉を常に繰り返す、そうした答弁の中身が、かなり不安を覚える中身ではあるんですが。

 済みません、じゃ、今日、保坂長官にも伺いたいと思います。原子炉内のことは、ある種、規制庁、規制委員会の分野でありますけれども、事故が起こるということの対応、事故の状況の被害を最小限にしていくという意味でいえば、やはり地域住民にとって実効性のある避難経路が作成されているかということは極めて重要ですし、それがきちんと適用して進めていけるのかということを常に確認していくことというのは非常に重要だと思うんですけれども、今の法律の整理の中では、やはりそこは自治体が行うという形になっています。もちろん自治体が作るに当たって、様々な知見を、政府であったり、あるいは事業者であったりとか、そうしたところから集めるんだと思いますが、ただ、実態として、これが本当に実効性を伴っているのかというような、疑義が呈されるような避難経路というようなものも提示されているということも事実なんだろうと思っているんです。

 法律の体系の中で、自治体が一義的には作るものみたいなことにはなっているのかもしれませんが、しかし、基本法に、こうした安全神話に陥らないこと、事故が起こるということを前提に動くこと、そして国民の皆さんの信頼を得て理解を得る、そういう取組をするのであれば、やはり主体的に政府が、これはサポートをするという言い方がいいのか分りませんが、自治体の組んでいる避難経路の内容をチェックして、そして必要に応じてきちんとした対応を図っていくこともそうですし、あるいは作成段階から関わっていくということが極めて必要なことだと思いますが、答弁をお願いしたいと思います。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 避難計画につきましては、地域の実情を熟知する自治体が作成する、委員御指摘のとおりでございますが、作成することになってございますが、国といたしましては、自治体任せにすることなく、避難先施設や避難手段の確保など、地域が抱える様々な課題に対応した避難計画が策定できるよう、関係省庁等から成る地域原子力防災協議会の枠組みの下、関係自治体と一体となって計画策定を行っているところでございます。

 さらに、こうして取りまとめられました避難計画は、同協議会におきまして、原子力規制委員会の定める原子力災害対策指針等に沿った具体的かつ合理的な内容であることを確認し、総理が議長である原子力防災会議におきまして了承することとしてございます。

 そして、原子力防災会議で了承した避難計画につきましては、訓練の結果等を踏まえ、継続的に改善充実を図っており、引き続き、関係省庁一体となって、防災対策の充実にしっかり取り組んでまいる所存でございます。

山岡委員 今、自治体任せにはしないというお話をいただいたわけでありますが、どこの地域ということは言いませんが、やはり現実には、地元の皆様から、今の避難経路で、原子炉の脇を通っていくというような考え方の計画で大丈夫なのかという不安の声というのが上がっているということも事実ではありますが、そうした現実があるということについてどう考えますか。御答弁願います。

保坂政府参考人 私どもにも、地元等からいろいろな御意見等が届いていることは事実でございます。内閣府とも相談をしながら、そういう事情も踏まえながら検討してまいりたいと思っているところでございます。

山岡委員 今回、原子力基本法の考え方の中にここまで大きな話を書き込むのであれば、やはり、そうした声が届いていることを聞きおいただけということじゃなくて、積極的な対応をしていく。これは、利用政策を担うという整理の中でいえば、経済産業省がやはりその理解を促進していくに当たっては積極的に対応していかなきゃいけないと思うんですよ。ですから、これ以上は聞きませんけれども、こうした対応というのは、今後更に踏み込んでやっていただきたいということもまた申し上げさせていただきたいと思います。

 四十年、六十年のこのルールのことについて伺いたいと思います。

 先ほど山中委員長は、いわゆる基本法に明記されている安全神話に陥らないということの部分と、あるいは、国の責務として、様々な部分は原子力規制委員会としても立場を同じくするということもお話がありました。

 皆様にお配りした資料の二ページ目に、いわゆる令和二年文書というものがございますけれども、令和二年の時点で原子力規制委員会として一つの見解を出されているわけであります。

 この中を要約して申し上げれば、いわゆる今回の法改正の中でも四十年、六十年は出てくるわけでありますが、しかし、これは、原子炉等規制法が成立した段階においても、四十年、六十年という、四十年を基本として最大二十年の延長ということが記載されているここの部分の考え方について、原子力規制委員会では、あくまでも、非常に丸まった言い方をすれば、四十年、六十年というのは政治的な決定であり、安全基準の考え方がということであれば別であるということ。そして、四十年というのは一つの区切りであって、三十年頃からです、三十年から十年ごとに原子力規制委員会としてはチェックをしていく中で、年数にかかわらずこれはやっていくということでありますから、この四十年、六十年、どれぐらいが適切な数字なのかということは原子力規制委員会の立場からは提示することは適切ではないという趣旨のことを令和二年に御説明をいただいているわけであります。

 この令和二年の内容の是非はまた様々、皆様、御意見あるんだと思いますが、これは、二〇一二年以降、いわゆる制定当時、四十年という数字の設定が非常に政治的なもので科学的な根拠に基づかないという、この原子力の、原子炉等の規制法の制定当時の提案者の趣旨の説明ですね、政治的なもので科学的な根拠に基づかないということや、新たな規制委員会ができた後に委ねられるべき見解だ、専門性を持って判断していただきたいということを四十年、六十年のことで述べていることや、あるいは、運転制限の規定を含めて、施行の状況を勘案して検討を加えるということも、制定の当時の趣旨としてお話があったわけであります。

 令和二年というこの年に、これは様々賛否はあるんだろうと思いますが、一定の原子力規制委員会の結論として、安全上の観点からいえば年数は言うことが適切ではないということを出したんだろうということで、そうしたこととして受け止めているわけであります。

 しかし、一方で、今回、原子力基本法の改正の中で、いわゆる安全神話に陥らない、そのことの反省と、特に、国民の信頼を得て理解を得るということをきちんと国として取り組んでいく、そして、原子力規制委員会としてはその同じくする立場であるということもお話しいただきましたが、やはり、専門性の高い皆様の立場からいえば、一概に年数を、原子炉ごとにも違うし、その年数を言うのは適切じゃないというのが極めて専門家としての御意見なのかもしれませんが、しかし、政治の要請として、これは立法時もそうでありますし、あるいは国民の素朴な思いとして、利用政策としての四十年、六十年というのは分かりました、しかし、長期の見通しとして、安全性の観点から、じゃ、大体どれぐらい使われるというものが妥当なものなんですかというのは、やはりこれは示していくということが国民に対する誠意なんじゃないかなということを私は思うわけであります。

 これまでは専門性の高い立場からそうした論を述べられていたと思うんですが、今回こうした基本法の改正が提示されて、国民の信頼と理解をより深く得ていくというようなことであれば、やはり安全行政を担う原子力規制委員会の立場から、この長期の見通し、しかも、科学的根拠に基づく安全性の観点からどの程度なのだということはしっかり発信する必要があると思いますが、山中委員長、お考えを伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 委員から御指摘をいただきましたように、原子力規制委員会としては、令和二年の七月に、原子力発電所の運転期間は利用政策上の判断であるとの見解を決定をいたしました。その利用政策の観点から、昨年より、経済産業省において運転期間に関する検討が行われてまいりました。

 原子力規制委員会としては、運転期間に関する定めがどのようであれ、高経年化した原子力発電所の安全規制が損なわれることがないよう、厳格な制度案の検討を行ってきたものでございます。今後も、基準に適合しない発電用原子炉の運転は認めることはございません。

 また、新しい制度においては、公開の検討チームを立ち上げて、国民の御理解を深めていただけるよう、分かりやすい資料作りなどを取り組んでおります。先日の規制委員会でも中間報告を受けたところでございます。

 公開の場で引き続き丁寧に議論をして、国民にも分かりやすく、高経年化した原子力発電所についての安全規制、説明していきたいというふうに考えております。

山岡委員 委員長にもう一回お伺いしたいんですけれども、私は、素朴に、国民の皆様への誠意として、やはり様々、個別の議論はあると思うんですが、シンプルに皆様が求めているのは、安全上の観点から、大体どれぐらいが数字として原子力というのは使えるものなんですかと。この数字が今ないから、四十年、六十年はどうなんだ、こうなんだとか、様々な、国会でも議論がなかなか深まらないのかなと個人的には思いまして、そこの部分というのは示していくというお考えはありませんか。伺います。

山中政府特別補佐人 これまでの国会答弁の中でもお答えをしてきておりますが、原子力発電所の寿命というのを一律に科学的、技術的に定めることは困難でございます。

 したがいまして、個別の原子力発電所について、高経年化した原子炉の安全規制を厳格に行っていくというのが原子力規制委員会の姿勢でございます。

山岡委員 では、逆の聞き方を委員長にさせていただきたいと思いますが、原子力発電所が百年を経過して稼働するということについても、原子力規制委員会の基準を満たす限りは否定しないということが原子力規制委員会の委員長のお立場ということでしょうか。伺います。

山中政府特別補佐人 運転期間がどのような期間になりましょうとも、我々が定めた新しい制度に基づいて、基準を満たしていれば原子力の発電所の運転は認めますし、基準を満たしていなければ原子力発電所の運転を継続させることは認めることはないというふうに考えていただいて結構かと思います。

山岡委員 重ねて伺って恐縮ですが、それが百年だったとしてもということでよろしいですか。

山中政府特別補佐人 新しい制度の中では、物理的な性質だけではなくて、設計の古さについても基準の中で盛り込み、高経年化した原子力発電所の安全規制を行っていく予定にしております。

 新しい制度については、これから詳細な技術的な検討を行っていく予定でございます。あくまでも、安全規制については厳格に行い、基準について認められなければ運転は認められないということになろうかと思います。

山岡委員 今、委員長が、新しい基準には設計の古さも入れていくということもお話しされましたが、これは、安全上の観点から、年数の部分も考えていく可能性もあるということでよろしいんでしょうか。伺います。

山中政府特別補佐人 年数については、運転期間の問題になりますので、私どもが意見を申し述べる立場にはございません。

 あくまでも、基準上、物理的な性質、あるいは非物理的な設計の古さについて基準の中に盛り込んでいくということでございます。

山岡委員 国民に全ての情報を提供してきちんと議論を呼んでいくという視点において、こういう安全基準の年数、これは、専門家の立場からいえば、そのことに大きな意味を持たないということかもしれませんが、やはり国民に対する誠意として、私は、安全をつかさどる皆様としての発信は必要だということを重ねて申し上げて、今後はまた議論の中でこのことも触れていきたいと思います。

 ちょっと原子力規制庁の方に伺いたいと思います。

 今回の一連の経過を見ていて、主体性に疑問が残るということを私は申し上げました。いわゆる原子炉等規制法とか原子力委員会設置法についても、基本法は改定されるのに、安全の先頭の立場である規制庁の方がそのことについて何も動けなかったというような、異論ということではありませんが、自分たちが何ができるのかを考えてこなかったというような趣旨があったときに、非常に驚いたんですけれども。

 今回入る三十年から十年ごとの検査ということも、はっきり言えば、これまでもやってきたことなわけであります。もちろん、これから測定方法の提出も求めていくということでありますが、これも事業者が任意で行ってきたことでありまして、そもそも、原子力規制委員会が令和二年においてこの判断を出した、自分たちの親会議がこの判断を出した時点で、その部分の事務局を担う皆様として、今御自身たちが持っている原子炉の規制法と原子力規制委員会の見解にずれが生じているわけです。

 今回、GXの話に端を発して、この改定を、本当に最小限みたいな話ではなくて、令和二年の時点で、自分たちの立場で、何が今、規制委員会との見解の中で、今持っている法案とのずれをどうしていくのか、そして、安全規制を自分たちの中で再整理して、法的にどう整理していくのか、これは自分たちで考えるべきだったんじゃないですか。それはなぜ検討しなかったんですか。

金子政府参考人 御指摘のように、現行の原子炉等規制法にあります四十年、そして一回に限り二十年を限度として延長するという運転期間を前提にした制度であれば、原子力安全規制についても変更する必要がなかったというのが、これは規制委員会での御議論でもあり、私ども規制庁もそのように認識をしておりました。

 したがって、今回のように、利用政策として運転期間の見直しを検討するということがない限りは、安全規制そのものを見直す必要がなかったという認識ではございました。その上で今回のものがあるということでございます。

山岡委員 いや、原子力規制委員会は、専門性の高い立場から、その考え方を、いわゆる、よく言えば、二〇一二年に制定した当時の規制委員会、新たな規制委員会で考え方を示すべきだということに答えたんだと思うんですよ。しかし、原子力規制委員会に法改正のことまで求めていくというのは、ちょっと違うと思うんですよね。その見解まで。

 それは、やはり行政機関として担っているのは、その事務局である規制庁であると思うんですよね。その皆さんが、規制委員会がそう考えなかったから法改正は必要ないと思ったと言いますけれども、むしろ、その法改正の必要性を考えるのは規制庁の立場じゃないですか。規制委員会との考え方が、令和二年の時点で法律とずれて、所管しているものとずれているわけでありますから、そのことをきちんとやってこなかったことが、結局、今回、一部報道では、何か、資源エネルギー庁の方に法案の文章まで提示されたというようなことが出されていますけれども、それで資源エネルギー庁けしからないみたいな話もありますけれども。

 これはそもそも、令和二年に、私は、本来、主体として検討すべき規制庁がやってこなかったことが原因だと思いますよ。そして、このことを規制庁が主体でやってきていたら、もしかしたら、もうちょっと違う中身になっていたかもしれない。原子力規制委員会の設置法についても、いわゆる炉規法と言われる原子炉規制法も、これは、全くそうした基本理念の部分がいじられないままの、この状況ということも全然違ったかもしれないということを強く感じるわけであります。

 いわゆる原子力規制庁については、ガバナンスの問題も非常に懸念する話があるわけであります。

 皆様にお配りした資料の四枚目ですかね、原子力規制委員会、これは十月の議論でありますけれども、この議事録が載せられていますけれども、この法改正の今回の話について、十月の時点では、原子力規制委員会全委員が異論なしというような話でありました。しかし、二月の時点では、最終的に委員が反対をして、全会一致にならなかったという経過があります。これは、もちろん、山中委員長も残念だという趣旨のお話もされていますけれども、でも、十月の時点から二月の時点まで、この委員の真意は測りかねますが、私は、原子力規制庁の、十分な調整をしっかりしてこなかった、このことの結果なんじゃないかということも思うわけでありますよ。

 そして、最近、情報流出といいますか、リーク等も相次いでいる、原子力規制庁の中でです。今回の流れについて納得していないという方が中にいるから、こういう話になっているんじゃないかなと思うわけでありますよ。

 これはガバナンスの問題。原子力規制庁はいわゆる安全を担う政府側の立場でありますけれども、どうしてこういうような状況がずっと続いているんですか。お答えください。

金子政府参考人 原子力規制庁はあくまで原子力規制委員会の事務局ではありますけれども、個々の職員が当然いろいろな政策的な考え方を持って、いろいろな立案をさせていただいている役所でございます。

 その意味では、中でいろいろな議論があり、それを集大成をして提案をするような仕事をしてございます。その中では、いろいろな思いのある職員、いると思いますけれども、そういったものが全て取り込めるというわけではございませんので、個々の職員の思いについてここでつまびらかにすることはできませんけれども、いろいろな考え方があるというのは当然だというふうに考えております。

山岡委員 いろいろな考え方はあると思いますよ。でも、それをきちんと取りまとめていくというのが、規制庁の立場として、今回、閣議決定までして提案していくということじゃないですか。

 山中委員長にも恥をかかせている話だと思うんですよ。それは、山中委員長に答弁を求めれば、トップとして残念だとか、こういうことがないようにしたいということなのかも分かりませんけれども、それはやはり、そこを担っておられる事務方の調整をきちんとしてきたのかということが私は非常に疑義があるわけです。

 しかも、それは、令和二年に規制委員会が見解を示した後の、何もしてこなかった、検討してこなかった、GXの推進という法案をやることを機に、一部報道によれば、資源エネルギー庁側から法文の提示までされて、そのことに乗ってやってきていることとも全てつながっているんじゃないかということを私は強く思います。

 山中委員長にもお伺いしたいと思うんですけれども、こういうガバナンスの問題、委員長に正直ここまで求めるのは酷だと思うんですが、しかし、委員長のお立場でありますから。今後の原子力規制庁の事務局としての機能というのは、やはり多くの事業者の皆様やあるいは国民から信頼を得る上で非常に重要なことなんだと思います。こうしたガバナンスの欠如みたいなこと、相次いでいるということについて、これを強化するなり、あるいは調査して指導していくなり、委員長として規制庁にしっかりそのことを指導していただきたいと思いますが、山中委員長の見解を伺いたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制庁の独立性に疑義を生じるような様々な案件が出てきたということは、私も深く反省するところでございます。

 その件、様々な案件を受けまして、原子力規制庁の透明性を高めるということを重視をいたしまして、様々な新しいルールを導入をいたしました。文書の公開についても、透明性を持って高めていくという努力を今後も努めてまいりたいというふうに思います。

山岡委員 山中委員長のお立場からいえば、それは非常にこの状況を謝る立場だと思いますけれども、私は、恥をかかせているのは規制庁の本当にこうした状況だ、これまでの経過だということも強く申し上げたいと思います。

 今日、本当は、廃炉のことについても、あるいは再エネの様々なことについてや洋上風力や、あるいは系統の整備のことについても、法案のことを伺いたかったんですが、ちょっと今日は今いただいた時間が来てしまったので、ここまでとさせていただきたいと思います。このテーマはまた今後も様々な形で私も関心を持ちながら、必要に応じて質疑していきたいと思いますので、是非またそのときにお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 大島です。

 運転員の規則違反や運転管理上の問題などが重なって大事故に陥ったのが、一九八六年四月二十五日のチェルノブイリ原子力発電所の事故でした。私、この一九八六年、西ドイツで駐在員をしていまして、五月の初旬に、オーストリアのアルプスの山奥、氷河の上まで旅行に行っていました。帰ってきて新聞を読むと、私の旅行先が汚染地域でして、ですから、放射性プルームが風に乗って拡散しているということは当時認識をさせていただきました。

 これは二〇〇一年の九月十一日なんですけれども、世界貿易センタービルにジェット機が二機目突入するシーンを見たときに、私、世界中でこのオペレーションが行われていると思いまして、夜中、東京に出てきたことを覚えています。翌日の議員会館は、のんびりした空気が漂って、平常どおりでした。

 二〇一一年の三月十一日、大臣もそのときのことを覚えていらっしゃると思います。どういうふうにこの三月十一日を覚えていらっしゃるのか、手短に答弁ください。

西村(康)国務大臣 私は、あれは予算委員会がたしか開かれていたと思いますけれども、正直申し上げて、私自身は午後地元に、予算委員ではありませんでしたので地元に戻っていました。

 それで、あの時刻に、午後ですけれども、事務所でその話を聞いて、ちょっとその後のことは今手元にないので記憶が定かでありませんけれども、その日か次の日か、経産部会長でもありましたので、東京に戻ったという記憶で、そこから様々な対応、野党でありましたけれども、野党の責任者の一人として対応したということで、鮮明にそのときのことは覚えております。

 特に、テレビを見ておりましたので、非常に揺れて、菅総理がこうやって椅子なりテーブルなりを触っておられる姿もよく覚えております。

大島委員 私も、三月十一日は痛烈に覚えています。テレビ報道を見た時点でメルトダウンを覚悟しました。だから、友人、特に私の同僚議員には電話をして、メルトダウンに陥るのではないかということを連絡をさせていただいたのを覚えています。この発言を覚えている党職員もおりまして、相当な危機感を持っていました。三月十一日。

 土曜、日曜を挟んで月曜日に東京に出てくるんですけれども、今回、質問するに当たって私の妻に言ったら、こういうことを言われたと言われまして。今まで生きてこれてよかったじゃないか、一人で頑張ってくれ。と言って、東京に私は戻ることになる。

 でも、三月十一日、私の友人の国交省の政務官室を訪ねてみると、皇居をジョギングされている方がいらっしゃったんです。国のありようとして、ちょっと様々な思いが浮かびました。

 それで、三月の十三日だと思う、その日に、日本で最初のジョージ・ソロスのパートナーで、当時は中立的なアナリストをしていた草野豊己さんから電話がかかってきて、外資証券会社の日本人社員から連絡が多くあったそうです。出社したけれども、外国人職員は誰もいなかった。

 シンディ・ローパーさんは、当時日本にいて、三月十六日からコンサートを続行してチャリティーイベントにしたということは物すごく立派なことだと思っています。

 二〇〇九年、内閣府の副大臣、防災担当で、Jアラートがうまく機能しなかった。今でも機能していないわけでして、私たちの国のこの危機管理のレベルで原子力を扱うことについては、相当の覚悟を持って原子力を扱わなければいけないなと思っています。そのことを前提としながら質問をしていきたいと思います。

 一九五三年、国連でのアイゼンハワー大統領による演説、平和のための原子力を発端に、一九五四年六月に世界に先駆けてソ連で商用原子力発電所が稼働したことを契機に、米国は原子力平和利用促進政策を国際的に推進することになりました。

 一九五五年十一月十四日に日米原子力研究協定が締結されました。我が国の原子力政策は、米国の外交、原子力政策の一環として、国主導、つまり国策として始まったと考えています。したがって、原子力事業は、震災前までは国が政策を決め、具体的な事業者の活動は総括原価方式で保障されていたと理解しています。いわゆる国策民営です。

 しかし、震災以降、我が国の原子力政策については国の意思が感じられません。電力会社に任せ切りのように思えます。それは、電力システム改革で、送配電のみが総括原価方式を踏襲しましたが、小売と発電部門は完全に自由競争にさらされるようになりました。したがって、原子力発電についても電力会社に全てが委ねられていると考えています。

 私は、製鉄所勤務を経験しているので、コスト合理化と安全を維持することの二律背反の整合性を取ることがいかに難しいかを理解しておりまして、製鉄でも、あるいは石油化学でも、プラントを長期にわたって操業する経験の中から、合理化と安全維持のバランスが取れるようになったと考えています。

 発電部門でも、水力や火力は、長年の経験則から、合理化を追求しても安全性を確保できる知見はあると考えております。原子力については、合理化と安全性を同時に追求することは難しいのではないかなと思っています。

 安全を考える際には、原子力規制委員会の委員長がいらっしゃっていますけれども、原子力規制庁は、ISOの認証、これは書面主義です。私もISOの認証に鉄鋼会社のときに携わったことがありまして、今、山岡先生の御質疑を聞いていても、原子力規制庁はあくまで基準を定め、手順を定め、その基準、手順どおりにしっかりと行われているかということを検査されるのかなと考えています。どちらかといえば静的な安全対策だと思っていまして、私は、動的な、というのは、会社の操業レベル、チームワーク、忠誠心、危機管理能力、事故に対する対応力のような、動的な安全が不可欠だと考えています。

 そのためには、十分な人的リソースが継続して操業に携わり、その改善ノウハウを組織として蓄積し、進化させていくことが不可欠であると考えています。火力や水力と比較して原子力は歴史が長くはなく、かつ、極めて複雑な技術要素のすり合わせであります。だからこそ、質、量共に、十分な人員配置を始めとして、経営合理化の観点からはコスト要因として切り捨てかねない要素こそ、継続的かつ安定的に補充していくことが私は必要ではないかと考えています。

 ここで今の安全審査の在り方の是非を私は論じたいわけではありません。原子力規制委員長という立場というのではなくて、むしろ、長年にわたって原子力プラントの設計や評価に携わってきた技術者としての視点から是非お考えを伺いたいんです。

 こうした、原子力規制委員会とか規制庁の評価と動的な評価の難しさについての率直な御所見を伺いたいと思います。お願いします。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力の安全確保を図る上で、原子力事業者において、原子力発電所の運転等に関わる人材が安定的に確保され、知識、ノウハウ等が組織的に伝承されることは私も重要であるというふうに考えております。

 原子力規制委員会では、その審査の中で、運転、保守に関わる技術者の確保、技術者に対する教育訓練などについて審査を行っております。事業者とも意見交換を行い、認識の確認、共有を行っているところでございます。

 事業者との意見交換の中で、例えば、事業者から、運転経験のない原子力発電所員の割合が四割程度になり、この課題について、火力発電所における研修や他社との協力などの訓練などの対応を行っているとの説明を受け、こうした若手社員の技術力の維持といった課題について意見交換を進めているところでございます。

 原子力発電所の運転に関わる人材の育成、確保については、運転に関する安全確保のための技術が適切に承継されていることが重要であると考えておりまして、事業者の取組については、意見交換の場等を通じて更に確認を続けてまいりたいというふうに考えております。

大島委員 率直な意見というよりも、役所とすり合わせた意見のような感じがするんですけれども。

 私、物すごく危惧しているのは、この職場は三直四交代です。夜勤勤務があります。本当に優秀な方たちが今集っていただいているのかということなんです。鉄鋼会社でもそうです。私が入社したときから、三直四交代の職場にはなかなか人が集まらなかった。静的な検査ではなくて、本当に必要なのは、経営体力として、経営として本当にできるかどうかということだと思う。ここのところは、原子力規制庁なり原子力規制委員会では私は難しいと思っている。

 ですから、先ほどの山岡さんの答弁の中で、原子力委員会及び原子力規制庁は全ての責任は負えないわけなんです。全ての責任は政治が負うと私は考えている、事故が起きたときには。仕組みをつくるのは私たちだから。

 このように、組織としての継続的なプラントの操業の改善とか進化を考えれば、原子力発電所を民間企業のコスト部門に置いていることは、行き過ぎた合理化にならないか私は不安なんです。原子力の導入を進めてきたのは国の政策、方針でありました。総括原価によるコスト回収の保証は、新たな技術体系である原子力を運営していくために十分なリソースを継続的に注ぎ込む上では一定の合理性があったと評価しています。それが一転して、自由化と言えば耳触りはよいが、事業者の活動に対する制度的な保障のないままに一民間企業に任せておくことになっているのではないかと考えています。

 私も、もしも電力会社の一経営者であれば、原子力発電所についても株主の利益は考えざるを得ないと思います。収益を上げるために、できるだけコスト削減や合理化を行う。メンテナンスも含めて、より少ない要員で操業を考える。ここは、原子力規制庁、原子力委員会の指針があるので過度にはならないとは思いますけれども、プラスアルファ、どこまで会社として要員を確保できるのか。また、分社化によるコスト削減も実施すると思います。会社内のマネジメントがどうなっているのかについては、原子力委員会及び規制庁は関与しないと思います。そういった状況では、動的な安全を維持していくことは正直言って難しいのではないのかな、経営としてそこまでできるのかなという思いがあります、長期的な視野に立って。

 大臣に伺いたいんですけれども、安定供給の確保という観点から原子力を活用するという判断を行うのであれば、操業に十分な人員を含めて、安定的なリソース確保が可能な制度的保障を行うことがむしろ国に求められると考えておりまして、この点について大臣の所感をお願いします。

西村(康)国務大臣 将来のエネルギーの安定供給の選択肢の確保、そして脱炭素社会の実現に向けましては、必要な規模の原子力を持続的に活用していくということが必要であるというふうに考えております。そして、御指摘のように、その大前提となるのは安全性の確保でありますし、原子力事業者は、自由化の下にあっても安全規制を充足する、これをちゃんと満たすということのみならず、不断の安全向上に向けて、御指摘のように、質、量共に必要な人員を手当てしていくということが求められるというふうに思います。

 経産省としては、事業者に対しまして、安全性確保に向けたたゆまぬ経営努力を続けていくよう指導するとともに、中長期的な安全要員の確保、育成を含め、安全確保に向けた取組をバックアップしていくという観点からも、事業環境整備の在り方について引き続き不断の検討を進めていきたいというふうに考えております。

大島委員 大臣に更問いをしたいんですけれども、共通認識を持っていただいているかどうか。完全自由化ですから、原子力事業部門が。経営としては、ここに対してコスト合理化せざるを得ないですよ。要員だって、十分な要員をそこに投入できるか分からない。あるいは、コスト合理化するためには分社化することだってあり得るわけですよ。

 一体として管理すること、全責任は私は国が負うべきだと思っている立場なの、これは国策でやってきたから。ですから、本当に今、そういう国としての責任を自覚してこの原子力事業については施策を行わなければいけないと思っているんですけれども、その点について、もう一度、大臣の率直なお考えを聞かせていただけると助かります。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、それぞれの電力事業者は、この自由化の中にあって、なかなか厳しい、難しい判断をしていかなきゃいけないと思いますけれども、安全性の確保につきましては、原子力規制委員会が厳しい基準の下でその審査を行い、それに従って事業者はしっかりと安全対策を向上させていくということであります。

 そして、そのためにも人材が必要でありますし、国としてそのことは責任を持って、先般も、関係事業者のサプライチェーン全体の協議会、ネットワークを構築をし、人材育成を進めていくという取組を改めて開始をしたところでありますけれども、そうしたことを含めて、最終的には、この安全性、そしてエネルギー政策を進めていくということは国が責任を持って取り組んでいくべきことというふうに考えております。

大島委員 今回、安全審査については、PWRあるいはBWRで対応するコストは異なると考えておりまして、その対策の費用についてまず政府参考人からの答弁をお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力の安全対策投資については、PWR、BWRといった炉型の差のほかに、立地状況や設備の形状などによって大きく異なるものでございますので、その費用規模を一概にお答えすることはなかなか難しいかと認識してございます。

 ただ、一般論としてお答えすれば、PWR、BWRという御指摘がございましたので、この炉型に関して申し上げますと、PWRの方は、炉心を直接冷却する一次系とタービンを回して発電を行う二次系というのは分離されておりますが、一方で、BWRは、簡素化をされて、分離が行われておりませんものですから、耐震補強や火災防護等の対策が必要となる部分が大きくなる面がございます。また、BWRは、PWRに比べまして地理的に太平洋側や北日本に立地しているものが多いものですから、結果といたしまして、津波対策など、いわゆるハザード対策等が大規模になるものが多うございます。

 結果的に、全体として見ますと、BWRの方が多額の費用を要する場合が多いと承知しておりまして、ちょっと例として申し上げますと、電力会社が公表している数字によりますと、BWRである東北電力女川二号機の安全対策投資は約五千七百億円と公表されております。また一方で、PWRである四国電力伊方三号機の安全対策投資は約二千百億円となっているというふうに承知してございます。

大島委員 もう一つは、事故が起きたときの株主代表訴訟の賠償があると思う、事故が起きたときには。そのときの賠償金額というのはどのくらいなんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電力会社に対する株主代表訴訟が提起されていることは承知しておりますが、いずれの訴訟も民事訴訟でございますので、国は訴訟の当事者でないものでございますのでコメントは差し控えたいと存じますが、例えば、福島第一原子力発電所事故により損害を被ったとして、東京電力旧経営陣に対し約十三兆円の賠償を命ずる判決が地裁で下され、現在も係争中の事例があると承知しております。

大島委員 このように、原子力は収益性がより厳しくなっています。しかし、制度的な回収保証はなくなってしまいました。そうなれば、少しでも長く運転して投資回収期間を長くしなければ、経営は厳しくなっています。先ほど、PWRで二千百億円、BWRで五千七百億円です。つまり、率直に言って、今回の原子力発電所の運転期間の延長が求められたことは、電力自由化に向けて行われた電力システム改革に起因しているのではないかと私は考えています、民間企業としては。その点について、西村大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、背景として、もう言うまでもございませんけれども、コロナ禍からの需要回復でエネルギー需要が非常に増えてきた、その中で価格が高騰しておりました中で、さらに、昨年二月以降、ロシアのウクライナ侵略によって供給面での制約が出てきたということで、エネルギー情勢が一変したわけであります。

 今回の運転期間に関する規定の創設は、あくまでも将来のエネルギー供給の選択肢を広げていく、確保していくという観点から行ったものであります。

 ただ、御指摘のように、安全性の確保を最優先にしながらも、立地地域の理解を得ながら再稼働を進めて、運転期間の延長も含めて既存の原子力発電所を着実に運営していくことで、安定的な価格による電力供給を実現しつつ、さらに、将来の投資などへの取組に向けた経営基盤の強化にもつながっていくものというふうに考えております。

 その上で、御指摘のように、自由化の下で、将来にわたる電源設備の形成、あるいは現場人材の維持拡充含めた安全投資の確保、これは事業者にとりまして大きな課題であるというふうに認識をしております。

 事業者に対しては安全性最優先の経営判断を求めつつも、そのための事業環境整備をしっかりと考えていきたいというふうに思いますし、繰り返しになりますが、先般もサプライチェーン全体含めたプラットフォームを構築をし、その中で人材育成、確保、安全対策をしっかりと行っていける、そうした環境整備もサポートしていきたいというふうに考えております。

大島委員 プラントの操業というのは練度が必要でして、例えば安全についても、今でも私、横断歩道を渡るときには指さし呼称してしまうんですけれども、相当練度を高めていかないと、それでも事故が起きるのがプラントなんです。ですから、本当に民間セクターにさらされたままでいいのかどうかというのは国の問題だと思う。

 ですから、先ほど申し上げましたとおり、今後、原子力発電に関わる経営者の責任が一般企業の経営責任を超えて重くなっていく。今後、経営者が現れないのではないかと危惧しているんです。給与に見合わないかもしれない。率直に言って、原子力事業を民間企業に任せていることの合理的な理由は、私はなくなっていると考えているんです。国が責任を負うべきです。

 このように、原子力事業は大きなリスクを持っており、もはや民間の事業者単独で抱えることは僕は難しいと考えています。原子力発電部門については、総括原価方式で原子力発電所の体制が整っていたことは、私は否定できないと思う。潤沢な費用によって、しっかりとした要員、すばらしい作業を行う方が確保された。私も、六ケ所村に訪れたときに、かつて原子力発電所の制御室で働いていた方とお話しする機会がありました。全て分かっています、原子力工学含めて。工業高校卒業でいらっしゃっていて、物すごく優秀で、すばらしい方で。そういう方たちが日本の原子力を守ってきたわけですよ。それは、しっかりとしたコストを国が持っていたから守れたと思っている。

 ですから、他国の状況がどうなっているのか。一九九〇年代後半、民間に任せておけばいいじゃないか、自由化すればいいじゃないかという世論で電力のシステム改革が行われました。他国でも電力自由化を行ってきたと思いますが、原子力を活用する上では限界があることが明らかとなり、方針を転換して、総括原価の復活や事業の再国営化といった動きもあると聞いています。原子力の活用を目指して、諸外国の現状はどうなっているのか、伺いたいと思います。

 大臣は、どうぞ中座していただいて。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、諸外国においても、日本も同様でございますが、電力の自由化というものがなされ、民間事業を中心に電力事業というものが進められるような方向の改革が進められてまいりました。

 一方で、御指摘ございましたように、様々な環境の変化というのが生じ、安全と両立する中での事業運営若しくは経営基盤という様々な要素がある中で、一方で原子力の活用ということを進めていく中で、それぞれの状況を踏まえ、諸外国においても必要な事業環境の整備が進められているものと承知しております。

 幾つか例をちょっと御答弁申し上げますけれども、例えばイギリスにおきましては、二〇二二年に、電力事業者の収入を安定的に保証する制度といたしまして、規制当局が認可した投資を規制料金を通じて回収する方式、RABモデルというモデルがございまして、これに原子力事業の適用をすることが法制化されてまいりました。

 一方、フランスにおきましては、二〇二二年、フランス国内の全ての原子力発電所を保有する電力事業者でありますEDFを完全国有化する方針が発表され、現在、政府による株式取得が進められてございます。

 また、韓国におきましても、二〇二二年、原子力の活用を進める方針を打ち出すとともに、韓国国内の全ての原子力発電所を保有する韓国水力・原子力発電会社の親会社でございます韓国電力公社、KEPCOの株式の過半数を政府及び政府系金融機関が保有しているというような策が取られているものと承知してございます。

大島委員 政府参考人に改めて伺いたいんですけれども、各国においては、一旦民営化したんだけれども、それをもう一度国に戻しているという理解でよろしいでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは国によって事情はそれぞれちょっと違うところがございますので、ちょっと詳細にはお答え申し上げにくいところでございますが、全体、概括的に申し上げますと、電力の自由化が各国においても進められていく中で、これは原子力に限った話かどうかというものもございますが、発電事業、電力事業の経営、安全との両立、様々な、これは国によっても状況は違いますけれども、事業環境の整備という観点からの措置が取られてきているものと認識してございます。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

大島委員 私は、電力というのは産業の基盤ですので、長期的な投資と長期的な回収も必要ですし、エネルギーの確保についても、天然ガス等についても長期契約の方が安定しているので、本当に、自由化を行ったことによって制度が更に複雑化していて、なかなか見えにくいところがあると考えています。ですから、今後の電力の進め方についても、そういうことをしっかり理解していただきながら進めていきたいなと考えておりまして。

 大臣が来ましたので、続けます。

 今、大臣、政府参考人に、他国でも電力自由化を行ってきたと思うがという質問をして、今日の朝のレクで聞いているとは思うんですけれども、他国においても原子力については、国有、国の関与を強めています。特に、私は、安全については、国策民営で始めたので、直接的に国が責任を負う制度が必要と考えています。

 つまり、過度な合理化にならないためにも、安全については国が応分の負担をすべきと考えておりまして、やはり我が国においても、国が原子力事業に対して直接的に資本的、制度的な責任を負うこととし、それによって安全に関する応分の負担をすることを真剣に検討すべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 現段階におきまして、先ほども各国の取組の説明があったと思いますけれども、原子力事業を国有化するということは適切とは考えておりませんけれども、原子力の利用に当たっての様々な課題に、御指摘のように国が責任を持って取り組むべきという考え方は共有をしているところであります。

 その上で、御指摘のように、原子力事業者が安定的に投資を行っていくためには、現在の事業環境の在り方について検討を加えていきながら、適切な政策的措置を行っていく必要があるというふうに認識をしております。

 このため、今般の改正案におきましても、原子力基本法に、国が講ずべき基本的施策として、安全対策投資を行うことができる事業環境の整備を明記したところであります。

 安全投資を継続的に可能にしていくために、官民でどのような取組が必要になるのか、また、役割分担、民間の能力、活力を生かしながら、しかし、国が責任を持って進めていく部分、こういったところについて、今後とも、電力会社とも率直に意見交換、コミュニケーションを取りながら、よりよい仕組みとなっていくように不断の見直しを行っていきたいというふうに考えております。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

大島委員 一方で、難しいのは、国が関与することとなった場合、事業経営、とりわけ現場のモチベーションをどうやって維持していくのか。これは、国が関与しなくても、現場のモチベーションをどうやって維持していくのかということが大切だと考えています。

 これまで、日本の電力会社で働く社員には、現場主義を根底にして、自らが携わる発電プラントや送配電設備への帰属意識、責任感を強く持ち、それらの設備を象徴する会社への健全な愛社精神を持っていた人が多いと感じています。そして、そうした会社で一生懸命に働くことが、地域の安定供給、暮らしを支えることにつながるという公の心、気概を強く持っています。これは一朝一夕には育まれるものではなく、我が国が世界に誇るべき得難い財産であると思います。私が危惧するのは、電力自由化やその後の分社化等の動きによって、こうした風土が失われていくことでした。

 一方で、これまでの電力経営はどうだったでしょうか。現場たたき上げの幹部がマネジメントに十分携わる体制になっていたでしょうか。いわゆる下請、孫請の協力会社も含めて、組織を一体的に運営していくためのマネジメントが持てていたでしょうか。

 私は、土光敏夫氏、一九八一年、臨時行政調査会会長、一九六七年、日本経済団体連合会会長、この土光敏夫氏に経団連の会長だった時代にお仕えしていた経団連の職員の方から聞いた話がありまして、経団連会長として、他社であっても、事故が起きると、その会社の経営者、社長を、経団連までお越しいただいて、事故について詰問されたそうです。要領が得ないと、もう一度詳しい方を同行させて、事故の原因を聞いたそうです。

 こういう経営者が僕は必要だと思う。社長自らが細かい事故に対しても全部把握している。こういう経営者がいらっしゃらないと、なかなか原子力全体を任せ切らないかなと思っています。

 たとえ経営の安定が国によって制度的に保障されても、経営が現場の肌感覚で理解できなければ、動的な安全の確保を含めて、そこにリソースを十分に割き、様々な関係者のモチベーションに配慮した判断をすることは難しいと考えます。会社によっては、かつての総括原価の下でも、こうした問題が少なからずあったのではないかと考えています。

 このように、国がしっかりと責任を負う形を取りながらも、民間の能力、モチベーションを適切な形で活用する、経営の自由度とのバランスには気をつけることも肝要であり、そうした視点に立った事業環境の整備が必要と思います。

 具体的なイメージでいうと、例えば、これは私の考えですけれども、偶発的な事故を起こさないためにも、安全を確保するコストは国が責任を取る。特に、再処理、バックエンド等の国がより責任を負うべき事業については、国主導で責任を持って行う体制に組み替える。そして、その上に、現場からの乖離を防ぐために、原子力事業の運営については、私は、電力会社、プラントメーカー、下請会社など、従業員全員が一つの会社に出向するかあるいは社員になって、同じ身分で、同じ制度で、同じ制服で、指揮命令と責任を明確にして発電所の操業とメンテナンスに当たる。また、現在稼働していない原子力発電所の職員については、稼働している発電所での訓練により、動いている発電プラントでの経験値の維持を行うことが必要だと考えます。

 このように、まずは安全確保のコスト、バックエンドの責任は国が負う、同時に、現場主義で経験値を維持強化する運営体制をつくる、こうした複眼的な取組が今後も日本が原子力を活用していくならば確実に必要であるし、そうでなければ原子力の安全は維持できないと考えます。そのためには、国も電力会社の経営者も相当な意識改革が迫られることになると考えます。

 こうした、国が安全確保、バックエンドに果たす責任を強化するとともに、電力事業が現場と一体となった事業運営ができるような環境をつくり出す、そうしたシナリオを具体化していくことが求められます。もちろん簡単ではありませんし、今からしっかりと検討を始めるべきではないかと考えます。大臣の御所見を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 私も、昨年の就任以来、全国の原子力発電所、あるいは再処理工場、六ケ所の現場なども訪問をしてきておりますが、それぞれの現場で、作業に携わっておられる社員の皆さん方、また協力企業の社員の方々が緊張感を持ちながら取り組んでおられる姿、また説明なども伺ってまいりました。

 その上で、経営陣の皆さんに対しては、現場の作業環境の安全確保に十分配慮をし、また安全第一で組織運営に当たるよう、また現場の声を大事にしながら様々な取組を進めてもらえるようお話をしてきたところでありますけれども、御指摘の原子力事業における現場と経営のコミュニケーションの在り方、また今後の原子力事業の組織運営の在り方につきましては、まずは、一義的には経営者自らが現場とのコミュニケーションを重ねながら検討すべきものであるというふうに思いますけれども、経産省としても、やはり安全マネジメントの観点からも、不断の向上に向けましては、経営と現場の意思疎通を強化をしていくこと、また、それを踏まえた組織運営の見直しを行っていくように、しっかりと指導していきたいというふうに思います。

 先般来、NHKの報道、特集でも福島の事故の場面が再現をされていましたけれども、まさに現場の皆さんがそれぞれの判断で最善を尽くしておられる姿、非常に感銘を受けましたし、まさに、その現場の力と経営陣、経営サイドがうまくコミュニケーションが取れてスムーズにやれればいろいろな危機も乗り越えていけるものというふうに思いますので、そうした組織になるように、是非我々としてもしっかりと指導していきたいというふうに思っております。

大島委員 御発言ありがとうございます。

 福島での事故の職員の皆さんの対応には本当に深く敬意を表したいと思っていまして、そういう体制をつくれたのは、十分な多分費用もかけられたことがあったと思います。十分な手当てがあってこそ、できたことであると考えています。

 例えば東京電力さんですと、私の中学校の同級生が東電学園という高校に入って、ここは東京電力が持っている学校です、二〇〇六年にコスト合理化で閉じられてしまったんですけれども、そこで皆さん、しっかりとした技術、あるいは先ほど申しました忠誠心、チームワーク、全てそこで醸成された方たちが各発電所の原子力発電を含めて操業に携わっていらっしゃる。

 やはり、人というのは丁寧に育てないと育たないものなんです。ここのところが今の乾いた経営の中だとなかなかできていないと思う。やはり泥臭い経営が私は必要であると考えておりまして、大臣にも是非その点を、MBAを取って数字だけの経営ではなくて、しっかりワンチーム、ワンチームですから、何回も申し上げますとおり、やはり、分社化するのではなくて、下請構造をずっとつくっていくのではなくて、全てが一つの会社で、同じ制服で、同じ考え方で、同じ経営者の下で、それでワンチームでやらない限りは安全性は確保できないと思いますので、その点、是非大臣にはリーダーシップを取っていただいて、お願い申し上げます。

 次の質問に移りたいと思います。

 天然ウラン鉱石の放射線量まで減衰する期間は、直接処分で十万年、再処理しても八千年を要します。その期間を三百年まで短縮するには再処理して核種を分けることが必要でして、十万年前の日本の地図を見ていましたら、地続きになっていて、日本海が池になっていましたので、十万年というのは結構な期間があるかなと考えております。

 文科省の政府参考人にお伺いしたいんですけれども、使用済核燃料が天然ウラン並みの放射線量に減衰するまでの期間が少なくとも三百年までに圧縮できるように、国は全ての研究開発資源を投入すべきと考えますが、政府の考え方をお伺いしたいと思います。世界に先駆けてその技術が確立できれば、原子力や環境対策の標準を決める際には我が国の貢献を示すことができると思うんですけれども、答弁をお願いします。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次エネルギー基本計画において、放射性廃棄物の減容化、有害度低減に向け、高速炉や加速器を用いた核種変換などの技術開発を推進することとされており、原子力機構等において研究開発が進められているところです。

 高速炉につきましては、「もんじゅ」等の知見を生かしつつ、引き続き戦略ロードマップに基づいて着実に開発が行われていくものと承知しており、文科省としましても、高速実験炉常陽の運転再開を始めとする取組を進めているところです。

 また、加速器を用いた核変換技術、ADSにつきましては、科学技術・学術審議会、原子力科学技術委員会の下の作業部会において必要な研究開発項目などについて議論の上、令和三年十二月に報告書を取りまとめ、これに基づき原子力機構の中長期目標にも位置づけているところでございます。

 これを踏まえて、原子力機構において、ADSの実現、実用化等の判断に必要な技術基盤の確立を目指し、核破砕ターゲット材、冷却材として使用する鉛ビスマス合金、これの挙動を確認するための流動試験や材料腐食試験、あるいは、ADSに用いる大強度陽子ビームの制御技術の開発などを進めているところと承知しております。

 文科省としましては、引き続き、必要な予算を確保するとともに、これらの研究開発を中長期的に支援してまいります。

大島委員 ありがとうございました。

 残余の質問については次回いたしますので、ここで大島の質問は終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 GX脱炭素電源法について、質問を続けさせていただきます。

 今の大島委員の質疑は大変重要な指摘を含んでいたと私は思います。原発というのは、やはりそのくらいしないと安全に運転をすることはできない。要するに、人づくりから徹底的に国が支える、そして、お金もかけて動かさなければいけないものなんだということだったと思います。私も同感であります。

 それで、今のエネルギーの安定供給のためには原発が必要だということを西村大臣も繰り返し説明をされています。GXでも原発が必要だということでお話をされるのでありますけれども、原子力発電が電力の安定供給に資する施設であるという根拠が、私には明確に分かりません。

 というのは、大規模な停電が起きている。例えば東日本大震災後の計画停電、あるいは胆振東部の地震のときの巨大なブラックアウト、これは、大規模な集中型の仕組みの脆弱性だったというふうに思います。原発というのはそういうものであります。だから、安定供給のためにということを言うのであれば、速やかに再生可能エネルギーなどを中心にした分散型のネットワークに切り替えていくというのが、より、脆弱性という意味では、安定した強固なシステムをつくることに資するんだというふうに私は思います。

 ほかに選択肢がないのであれば原発というのがあっても仕方がないんだと思いますけれども、今は再エネのエネルギー供給の仕組みというのがどんどん進化をしています。蓄電池の技術とか需給のコントロールの技術などが進化していますから、まさに近未来的、すぐ現実になるものとして、再生可能エネルギーが一〇〇%に近い形で電力を安定供給する時代が来ます。安価で安全でGXにも完全に適合する、そうした再エネ中心の供給システムが、その可能性が見えている中で、私は、原子力というものについて一定それに頼るということ、政策として訴えることについては、短期的には理解をしたとしても、中長期的には明らかに、原発依存から脱却していくという道は選択肢としては大いにあると思うんですよ。

 この点、大臣は必ず、二者択一は避けるべきだ、エネルギーミックスというのは全ての可能性を排除しないで進めていかなければいけない、そういう御説明をするわけでありますけれども、この二者択一で、例えば再エネの道というもの、再エネ、省エネ、組み合わせて、エネルギーをそういった形で供給していく。

 少なくとも、原発は止めても大丈夫だという選択肢を取れない理由は何なんですか。二者択一は悪いんですか。そこを、大臣のお考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 私どもは、エネルギーの安定供給について、今も、そして将来も責任を持つ立場にあります。同時に、脱炭素化も進めるという世界的なこの共通の課題に取り組んでいるわけであります。したがって、あらゆる選択肢を追求しながら、国民生活や経済活動を守り、維持をし、そして脱炭素化も同時に進めていく、そのためのエネルギー政策を責任を持って進めなきゃいけない立場にあります。

 その中で、御指摘のように、再生可能エネルギーについても、私も大きな可能性があると思っております。洋上風力についても、新たに四地域、四区域の入札を行っているところでありますし、地熱、水力も更に可能性があると思いますし、太陽光については様々な地域との共生の課題がありますので、これを乗り越えながら、ビルの上とか公共施設の上なども含めて可能性を追求していくということで、私どもも最大限これは進めていきたいというふうに考えております。

 しかしながら、立地すべき地域の限界もありますし、また、更に言えば、安定性の課題もあります。繰り返し申し上げますが、二〇一七年、ヨーロッパで、太陽光も風力もほとんど稼働しなかった時期もあります。調整電源も必要であります。そうしたことを考えると、私は、これまで日本が培ってきた原子力の技術、これもあるわけでありますので、もちろん福島第一原発の教訓の上に立って、これをいっときたりとも忘れることなく、安全性を最優先でありますけれども、原子力についても、脱炭素そして安定供給の観点から、私どもは進めていくという考えでございます。

山崎(誠)委員 大臣、よく私の話も聞いていただきたいのであります、答弁にはそう書いてあるんでしょうけれども。

 大規模システムというのはブラックアウトの危険などがあって、現実にそういう停電がもう起きているんですよ。胆振東部は石炭火力でありますけれども、原発ではないかもしれないけれども、大きなシステムというのは脆弱だと言われている。それから、蓄電池の技術とか需給のコントロールの仕組みというのがどんどんどんどん今進化して、世界で入って、再エネの不安定性などというのは克服されているんですよ。だから言っているんです。

 私がなぜここで前提で言うかというと、今回のこの電源法で、原発の利用を、非常に、守ろう、固定しよう、そういう原子力基本法の改正であったり、そういうふうに見えてならないのでありますよ。

 これで、この後御質問しますけれども、新しい原子力基本法が動き出したときに、電力事業者が、原発はもう終わりだ、経済合理性もないしリスクもあるし止めたいといったときに、止められなくなっちゃうんじゃないかと思っているんですよ。そのぐらいこの法律は強力に、原発を国の責務として支えなきゃいけないと言っている。国の責務として、事業環境、先ほども出ましたけれども、それを整えると言っているんですよ。お金が合わなくなって、経済合理性がなくて、電気も足りている、そういう状況の中で、この原発を事業として成り立たせるための支援を国がすると書いてあるんですよ。私は、これは本当に不合理な法案だ、改正だと思います。おいおいお話しします。

 前回の御質問に続けていきたいんですけれども、改正に関わる省庁間の協議や議論の経緯について出してもらいたいということを何度も言っています。多くの委員がこれを質問しています。中身の議論しろとかというやじも飛ぶのでありますけれども、これは大事なんです。なぜならば、これは単に手続の問題というよりも、規制と例えば利用の分離というこの大原則に抵触するようなことが起きているから。

 だから、大臣、今の法案の中で、立地自治体の住民の皆さんを始めとする国民の原子力発電に対する信頼確保とあるでしょう。信頼確保という改正をするのに、その手続で信頼を破壊しているんですよ。だから言っているんですよ。

 これは内閣府との関係でも同じです。内閣府に基本法を置いている意味をこの後お聞きしますけれども、これは大事です。法案の議論というのは、もちろん省庁間でも議論しなきゃいけない、不可欠だと思います、それは認めます。でも、その協議について秘密裏に行う必要はないんじゃないですか。堂々と議事録を残して、どういう議論をしました、それが今回のこの法案ですということでお示ししたらいいじゃないですか。何でメモもない。頭の体操で法案の中身を議論しないでいただきたいんですよ。質問でお願いをして、徐々に徐々に出てきている。これって隠しているとしか言いようがないじゃないですか。

 私は前回も指摘しましたけれども、原発回帰を国が進めようとしていて、その法整備を一気にやってしまおう、それが今回の束ね法案ですよ。それを経産省が主導で全ての法案の調整をして、それで、各省庁のもそれを取りまとめているから、そうした利用中心のこの法案の議論の過程を見せたくないんでしょう。

 西村大臣、これ、本当に重要な信頼の破壊につながっていると私は思いますけれども、いかがですか。

西村(康)国務大臣 私ども、資料もしっかりと提出をして、途中経過、これは私から見ると本当に課長レベルで、ある意味、個人のアイデア的なもので、非常に生煮えの案も含めてやり取りが行われたこと、そのことも含めて今回提出をさせていただいております。

 文書、資料はこのような形で残っていますので、これはこれで途中の経緯は分かるわけでありますが、公文書管理法そしてガイドラインがございますので、それに基づいて記録などは残しているところであります。本来、役所として共有をしていくもの、そうしたものでなければ、軽微なものについてはこれは記録する必要がないとされておりますので、そのルールに従って、私ども、きちんと残しているところであります。そして、資料については、このような形で共有しているものについては保存をし、このような形で公開させていただいたところであります。

 そしてまた、私どもの資源エネルギー庁の原子力小委員会であるとか、あるいは内閣府の原子力委員会とか、こうした公開の場で議論をしながら、議事録や資料なども全て公開をしているところでありますので、これによってずっと経緯は分かるわけでありますので、事後的な検証は可能であるというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ずっと経緯は分かるとおっしゃいますけれども、大事な経緯、全然公開していなかったじゃないですか。だから言っているんですよ。言って言って、出してきて、ようやく出てきて今のこのレベルですよ。初めからばっと全部出てきているんだったら、大臣がおっしゃっているとおりだと思いますよ。違いますよ。どれだけ事務方が一生懸命、委員会に間に合わせようと思って出しているか、分かっていますか。

 本日も、原子力基本法については星野副大臣がお答えになられるということです。副大臣、前回の質問に私は全くお答えいただけていなかったと思いますが、どうして答えられなかったんですか。

星野副大臣 通告をいただいておりませんでしたので、お答えを差し控えさせていただきました。

山崎(誠)委員 通告していますよ。

 じゃ、副大臣にお聞きします。

 この原子力基本法の改正について、副大臣の星野さんが答えなければいけない理由は何ですか。

星野副大臣 内閣府の所管であるからでございます。

山崎(誠)委員 じゃ、原子力基本法というのは、原子力行政にあってどういうものと理解されていますか。

星野副大臣 原子力行政の基本となるものだというふうに理解をしております。

山崎(誠)委員 じゃ、実施法との関係を説明してください。

星野副大臣 基本法があって、それに基づいて実施法が実施をされているというふうに理解をしております。

山崎(誠)委員 今回、この基本法の改正は極めて重要な大幅な改正だと思いますが、副大臣、どういう認識でいますか。

星野副大臣 ロシアによるウクライナの侵攻等の地政学リスクの増加によるエネルギー安全保障強化の必要性、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現の観点等から、原子力を含むあらゆる選択肢を追求することがますます重要となってきております。

 今般の脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案では、既存原子力発電所の最大限の活用や廃止措置の円滑化等に向けた法的措置を講じることとしておりますが、これらの法制度の運用を含めた政策判断のベースとなる基本原則について、法律レベルで明確化することが適切であると考えております。

 このため、原子力のエネルギー利用に関する基本原則として、国及び原子力事業者が安全神話に陥り、東京電力福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定をし、その防止に向けて最大限努力すること、エネルギーとしての原子力の利用に当たっては、電力の安定供給の確保、カーボンニュートラルの実現、エネルギー供給の自律性向上に資するよう、国が必要な措置を講ずる責務を有すること、安全性の確保を前提に、原子力事故の防止に安全の措置を講じ、国民からの信頼確保、立地地域の課題解決に向けた取組を推進することを原子力基本法に明記する改正案の法律を提出をしたところでございます。

 本年二月に内閣府原子力委員会が改定をし、政府としても尊重する旨を閣議決定をされ、原子力利用に関する基本的考え方においても、原子力利用に当たっての基本原則は法令等で明確化することが望ましいと明記をされておりまして、今後の改正案はこの基本的考え方と方向を同じくするものであると理解をしております。

山崎(誠)委員 長々と御説明ありがとうございます。

 では、聞きます。

 二条には、原子力事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、エネルギーとしての原子力利用を行うというふうにあります。最善かつ最大の努力とは何ですか。

竹内委員長 西村国務大臣。(山崎(誠)委員「違う、違う。西村大臣に聞いていません。副大臣に聞いているの。所管の大臣に聞いているんだから。所管の大臣なんです」と呼ぶ)

西村(康)国務大臣 私から、全体の、今回、責任者でありますので、私から答弁させていただきたい。

 まさに原子力規制委員会の厳しい規制基準の下に、先ほども少し申し上げましたけれども、電源の確保あるいは水源の確保、さらには強固なコンクリートの壁など、そうしたものの取組を、これは事業者がまずは規制委員会の基準に基づいて進めることでありますけれども、国として、そうしたことをしっかりと指導しているところでございます。(山崎(誠)委員「副大臣、答えてください」と呼ぶ)

星野副大臣 御指摘の規定は、エネルギー計画で示された、政府及び原子力事業者があらゆる安全神話に陥り、悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省をする等の政府方針を踏まえ、原子力に絶対の安全はないという認識に立って、安全性の向上に向けて不断の努力をしていかなければならないという趣旨で規定をしたものであります。

 同様の規定は、現行の原子力規制委員会設置法にも存在するところ。当該規定は、同法が制定された際、当時の与野党による協議の結果、規定されたものであることを踏まえ、今回の法案においてもそのまま採用をさせていただいたところでございます。

山崎(誠)委員 答えていただいていないです。

 最善かつ最大の努力というのは何を指すんですか。具体的にはどういうことを国として行うんですかね、これ。私は、新たな安全神話をここでつくっていると思うんですよ。

 では、最善かつ最大の努力というのは何ですか。努力は、これ、努力義務、努力をすればいいんですか。努力をすればいいんですか。その先、それを認識すればいいんですか。

星野副大臣 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、エネルギー基本計画で示された、政府及び原子力事業者がいわゆる安全神話に陥り、悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省をする等の政府の方針も踏まえ、原子力に絶対の安全はないという認識に立って、安全性の向上に向けて不断の努力をしていかなければならないという趣旨で規定をしております。

山崎(誠)委員 絶対の安全はないから、不断の努力をしても事故は起きてしまうんじゃないの。だから、努力というのは意味がないんじゃないですか。

 それは、最大限努力をして動かしても、事故が起こるんでしょう。安全神話というのはそこから生まれたんじゃないですか。絶対の安全はないというのを認めて、その上で国は何をするかといえば、後ろからちょこちょこちょこちょこ言わないでくれないかな、政府参考人つけていないよ。答えてくださいよ、副大臣。

 例えば、地震が起きれば、地震大国日本は、原発の基準地震動を超える地震はたくさん起きているんですよ。これは更田さんも認めていますよ。基準地震動を超える地震が原発を襲ったら、例えば原発停止ができなくて過酷事故になりますと、それは認められています。私、何度も確認しています。それが原発の状況です。

 本当に原発事故の発生を常に想定したならば、原発は動かせないんじゃないんですか、副大臣。

星野副大臣 絶対に安全、ノーリスクというものはありませんけれども、その前提に立って、最善の努力を続けていくということだと理解しております。

山崎(誠)委員 じゃ、最善の努力をして、最大の努力をして、そう認識をしていれば事故が起きてもしようがない、それがこの原子力基本法の前提だということですね。いいです、いいです。そういうお話になります。

 では、次、聞きますが、国の責務について、改正前と改正後では何がどう変わったんですか。

星野副大臣 改正前は国の責務についての規定がありませんでしたけれども、改正後は国の責務についての規定を盛り込ませていただきました。

山崎(誠)委員 何で国の責務を書く必要があったんですか。

星野副大臣 二〇二一年秋から資源価格の高騰や、二〇二二年二月からのロシアによるウクライナ侵攻等により、我が国を取り巻くエネルギー情勢は一変をし、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル実現の両立に向けて、原子力を含むあらゆる選択肢を追求することはますます重要となっております。

 こうした状況を踏まえ、今般の法案では、既設の発電所の最大限の活用や廃止措置の円滑化に向けた法的措置が講じられることと承知をしておりますが、予見性の確保の観点からも、これらの法制度の運用を含めた政策判断のベースとなる基本原則について、法律のレベルで明確化しておくことが適当であると考えております。

 このような考え方の下、政府として尊重する旨の閣議決定がなされた原子力利用に関する基本的考え方では、原子力利用に当たっての基本原則は法令等で明確化することが望ましいとされていることも踏まえ、国及び事業者の責務を明確化することといたしました。

山崎(誠)委員 西村大臣にお聞きしたいんですけれども、再生可能エネルギーの支援でも私は同様のことが言えると思うんですよ。

 何で再エネ特措法には国の責務は書かないんですか。これは公平性を欠きませんか。他の法律とのバランスを欠く内容に今なっていませんか。

 ウクライナの戦争で電力逼迫、GXの必要、安定供給。だったら、再生可能エネルギーだって、同じように国が支援してやっていくべきじゃないですか。何で再エネ特措法にそうした国の責務を書かないんですか。

西村(康)国務大臣 原子力につきましては、原子力基本法が元々存在をし、そして、一条の目的に、かつての目的は、まさに、原子力の研究、開発、利用について平和利用に限って行っていく、これが基本方針にも書かれているところでありますけれども、一条の目的も、将来のエネルギー資源は確保するけれども、そのことから更に、今回の事故を踏まえて、そしてエネルギーの危機を踏まえて、私ども、基本方針の中に、安全神話に陥らないという趣旨と、それから、国の責務として、エネルギーの安定供給、脱炭素社会の実現、そして安全性をより確保していくということを明記をしているわけであります。

 そして、今回、再エネ法につきましても、様々な課題がありますので、それについては今回の事業規律ということで強化をするわけでありますので。

 そういう意味で、原子力については、大きな事故があったことも踏まえて、今回、国の責務、事業者の責務ということも改めて記載をさせていただいたところであります。

山崎(誠)委員 星野副大臣は法律にする意義をお話しになりましたよ。法制化することが大事なんだと。国の責務を明確にして、法律に書き込むことが意義があると言っている。そう答弁されましたよ。

 西村さん、何で再エネについては法制化しないでいいんですか。法律に、国の責務として、例えば住民の皆さんの理解促進とか事業環境の整備とか、何で入れないんですか。

西村(康)国務大臣 そもそも、エネルギー全体については、国の責務、これは原子力も再エネも火力も含めて、エネルギーの安定供給、需給について責任を持つということはエネルギー政策の基本法に書かれておりますので、全体としてはそこでカバーをされている。特に原子力については、今回の事故もございました。そして、脱炭素化と安全性の確保について、特に国の責務として明記をし、基本方針の中に、最善かつ最大の努力ということで、先ほど御指摘のあった点についても、事業者の責務も含めて書かせていただいたところであります。

山崎(誠)委員 今、現場では、例えば再生可能エネルギーについても、地域住民の皆さんの理解が得られずに頓挫するようなプロジェクトも散見します。これはいろいろな理由があるんでしょう。でも、こうした事態に国として何らかの責任を果たすことは、原発との公平性、バランスを取るという意味では必要だと思うんですよ。

 そういう動きを今、どこかでできますか。

西村(康)国務大臣 したがって、再生可能エネルギー法の改正案の中で、地域での住民への説明の義務とか責務、説明会の開催とか、こうしたことについて求めているところであります。

 様々な課題を乗り越えながら、再生可能エネルギーについても最大限導入していくという方針であります。

山崎(誠)委員 これ、逆の意味ですよ。再エネの規制を強めているんですよ。国が前に出て説明を、より住民の皆さんに納得いただく、そういう方向性の法案じゃないですよ、これ。

 では、もう一つ。例えば、先ほどもちょっと触れたんですけれども、電力会社が原子力発電事業からの撤退を決めた場合には、国はどういうふうに対応するんでしょうか、この原子力基本法の改正を受けて。国が主導して環境を整備して、原子力事業の撤退を延期してくれ、事業を継続してくれということで動くんでしょうか。これは大臣、どっちでもいいよ。

西村(康)国務大臣 発電の電源をどういうふうにしていくか、経営をどういうふうに考えていくか、これは一義的には民間事業者の判断がございます。

 その上で、原子力事業について運転を続け、再稼働する、あるいは今後、延長をする、そうした申請をする、そのことについては、まず民間事業者が判断をし、申請を行い、経産大臣が認可をしていくという仕組みになっております。もちろん、安全性の確保については規制委員会の厳しい基準で安全審査が行われ、その認可を受けないと稼働はできないということでありますので、一義的には事業者の判断ということになります。

山崎(誠)委員 原子力利用に関する基本的施策という中の第二条の三の第三項に、事業環境を整備するという施策があるんですけれども、ここにこう書いてあるんです。「電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況においても、」とあります。電力事業に関わる制度の抜本的改革が実施されたというのは、どういうことを指しているんでしょうか。

 それにおいても、事業環境を整備するための施策を国が講ずるということになっていますけれども、これは星野副大臣、どういう意味ですか。

星野副大臣 例えば、第六次エネルギー基本計画では、電力システム改革等の進展の状況を踏まえながら、引き続き、廃炉も含めた、利用からバックエンドまでの安定的な事業環境の確立に向けて、必要な対応に取り組むという旨が記載をされております。

山崎(誠)委員 違いますよ。法律に「電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況においても、」とあるのは、どういう意味ですかと聞いているんです。エネルギー基本計画に書いてあるのは関係ありません。

星野副大臣 これまで、電力システム改革の進展状況を踏まえながら、引き続き、廃炉も含めた、利用からバックエンドまでの安定的な事業環境の確立に向けて行ってきたということです。こういうことを行うということです。

山崎(誠)委員 違うでしょう、これ。

 「電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況においても、」と、将来的に抜本的に様々な改革が進んで状況が変わっても、それでも原発を維持できるように事業環境を整えますと言っているんですよ。今のエネルギー基本計画のことを言っているんじゃないですよ。どうですか。

西村(康)国務大臣 この第二条の三の三号のお話ですね。

 ここのまさに「制度の抜本的な改革が実施された状況においても、」というのは、電力システム改革などの進展の状況を踏まえながらということで、これまでも行ってきておりますし、今後も進めていく。その中においても、引き続き、廃炉も含めた、利用からバックエンドまで安定的な事業環境の確立に向けて、必要な対応に取り組むという旨が記載されているところであります。

 この趣旨を踏まえて、安全性向上に向けた技術、人材の確保や安全対策投資も含めて、しっかりと行われるよう必要な施策を講じる旨を規定をしております。

 先ほども、システム改革の進展によって投資が行われないんじゃないかという御指摘を大島委員からいただいたところでありますけれども、まさに、そうした改革を行う中でも安定的な事業環境の確立に努めるという趣旨を明記をさせていただいております。

山崎(誠)委員 経産大臣の西村さんにお聞きしたいんですけれども、それは本当に大丈夫なんですか。世界は本当に再生可能エネルギーに向かっていく、ウクライナの戦争を受けて、各国は再エネシフトを加速しているんですよ、再エネの目標を前倒しして、早く増やそうとしている。なぜですか、安全で安いからですよ、安定的だからですよ。そうやって世界が動いているのに、日本は、これからどんなにシステム改革が進んでも、原発は国が事業環境を整備して何としても維持する、動かそうと。

 これ、私は分かっているんですよ、申し訳ないけれども。電力会社も、この先、原発をやるのは自分たちだけじゃ不安だ、国がちゃんと後押ししてくれるんだったら考えるけれども、そういう話じゃないですか。それは、大島先生の言っているとおりですよ。簡単にはいかないんだもの。一事業者にとっては余りにも重荷だから、今回、この原子力基本法という法律を変えて、国の責務を厚く、分厚くするから、これで予算もつけることができるでしょう、これで追加のいろいろな政策も打てるでしょう、原発をこれからも使い続ける事業環境、いろいろなものが入るでしょう、そういう法律にしているんじゃないですか。それが、日本の将来、未来にとって本当に大事なことなのか、意義があることなのか。

 逆じゃないですか。日本を縛って、日本の再エネの衰退をこれからもますますひどくするんじゃないですか。大臣の認識を聞かせてくださいよ。

西村(康)国務大臣 まず、御指摘のように、安全対策に非常に大きな費用がかかっている、これは事実であります。世界で最も厳しいとも言われる規制基準に対応して、安全性の確保を最前提として、最大限それを進めていくという前提で原子力を稼働していく、活用するということでありますので。したがって、御指摘のように、電力事業者の中には、これはコストが見合うのかという不安を、懸念も持っている方もおられるかと思います。

 他方で、今回の電気料金の値上げの申請を見てみましても、やはり九州電力、関西電力は原子力が稼働しているということで、値上げをせずとも経営がしていけるということ、燃料費が、コストが少なくて済んでいるということもあります。したがって、安定的なエネルギーの供給そして経営ができているという面もありますので、そうした中で、私どもとしては、これは事業者の皆さんも思っておられることだと思いますが、日本が培ってきた技術、人材、サプライチェーンがあります、したがって、これらを生かして、エネルギーの安定供給に責任を持っていこうということであります。

 そして、もう一つだけ言わせていただきますと、世界の国々で、状況は、エネルギー事情は違います。再エネを最大限進めようという国、これは多くの国がそうでありますし、日本もそうですが。原子力についても、例えばフランスも、二〇五〇年まで六基の大型革新炉を建設する、あるいはイギリスも、二〇五〇年までに最大二十四ギガワット、二十四基程度ですね、それから、アメリカも九十二基が運転中で、さらに、八十年まで認可を受けたものが六基あるということで、それぞれの国の事情の中で安定供給と脱炭素化を進めていくということになります。

山崎(誠)委員 それぞれの国の事情でエネルギー政策を考えるのであれば、日本は原発を動かせない国ですよ。日本は再生可能エネルギーを主軸にするべき国ですよ。環境省のポテンシャル調査は御存じですよね。まだまだポテンシャルはあるんですよ。それをちゃんと使って原子力依存を低減させていくのが、国の事情を配慮した最も合理的な判断じゃないですか。

 フランスと日本で、どっちが地震が起こるんですか。どっちが地震が起こるか、教えてくださいよ。

西村(康)国務大臣 日本で地震が多いことはもちろんよく分かっておりますが、それも踏まえて、規制委員会が厳しい基準で、地震にも耐えられる、そうしたものの基準の中で原子力を活用しているということでございます。

山崎(誠)委員 原発は、基準地震動を超える地震が起きたら、これは過酷事故につながるんですよ。そういう地震がたくさん起きている。そういう地震よりも今の基準地震動は小さいんですよ。それは更田前委員長も認めている。山中さんには時間がないのでお聞きしませんけれども。

 私は、本当に、今のお話を総合して、このエネルギー、基本法の改正は合理性を欠いていると思います。星野大臣の答弁にも私は納得いきません。

 やはり所管の大臣であります高市さんにお話を聞きたい。その旨お伝えをして、委員会にお取り計らいをお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いします、委員長。

竹内委員長 後刻、理事会で協議します。

山崎(誠)委員 では、次、安全性の話に移りたいと思います。

 本改正で、原子力発電事業の安全性は向上しましたでしょうか。これは西村大臣、お答えください。

西村(康)国務大臣 済みません、安全基準の規定につきましては、本来であれば規制委員会なりが答弁していただく話でありますけれども、規制委員会の下で、今回、炉規法が、三十年の審査、そしてその後十年以内の審査ということでありますし、山中委員長も既に答弁されていますが、長くなればなるほど厳格化していくという趣旨で答弁がされているものというふうに承知をしております。

山崎(誠)委員 済みません、じゃ、山中委員長にお聞きします。

 素人で申し訳ないですけれども、運転期間に上限を設けるということは、劣化したらそれ以上は運転できない、廃炉にするということですよね、運転期限を設けて運転を止めるということは。その原発のリスクと、厳しいと言われる検査を実施しながら運転するのと、安全の程度や事故のリスクというのは同じですか。

山中政府特別補佐人 御質問の趣旨は、運転の期間に上限を設けるということと新しい制度を比較してどうだという御質問だったと考えまして、お答えをさせていただきますと、まず、運転期間がどうなろうとも、高経年化した原子炉の安全規制を厳格に行うというのが今度の新しい制度の提案でございます。

 ということで、運転期間によらず、三十年より更に運転を続けようとする原子炉につきましては、十年を超えない範囲で厳格に審査を行っていくというのが私どもの新しい制度の提案でございます。

山崎(誠)委員 例えばですよ、皆さん、六十年まで運転しました、現行の制度で。最長六十年で止まりました。それからはもう廃炉作業ですから、基本的な運転をしていく上でのリスクとかはないわけですよ。検査も必要ない。廃炉の手続に入っていく。廃炉のリスクはあるかもしれないですよ。運転上のリスクはないです。そこから、じゃ、二十年、十年延長しましょうと。六十年後ですから七十年まで運転しましょうといったときのその十年のリスクというのは、止めた場合と運転した場合はどっちが大きいですか。

山中政府特別補佐人 当然、原子炉が運転され続ければ、劣化が進んでまいります。リスクも上昇してまいります。

 私どもは、少なくとも、高経年化した原子炉に対しての基準を策定して、高経年化した原子炉に対する基準を満たしていなければ原子炉の運転延長は認めないという、それが我々の務めであるというふうに考えております。

山崎(誠)委員 まあ、いいです。

 私は、だから、この法案の改正をもって安全性が高まったとか、そういうお話はないと思うんですよ。安全性が高まった、あるいは安全性は維持されているというのは、私は違うと思います。

 もう一つ、これは私の根本的な疑問なのでありますけれども、運転期間の制限は、安全規制上の必要で定められたものではなくて、利用政策の定めだということです。

 そもそも、利用政策とは何ですか。なぜ、利用政策上、安全でGXにも必要と主張される原発に運転期間の制限を設ける必要があるんですか。西村大臣。

西村(康)国務大臣 この運転期間については、私どもの資源エネルギー庁の審議会でも、専門家の意見を聞きながら、様々な意見がございました。イギリス、フランスは運転期間の定めがございませんし、アメリカも八十年まで認めたものもあります。したがって、運転期間について何か定めを設ける必要はないという意見もございました。

 他方で、私ども、福島の事故も経験している中で、そのときに改正された、四十年、二十年、一回延長の、六十年の枠組みを維持していく、そして、規制の改革、規制の変化によって、規制が変わったことによって取り組まなきゃいけない他律的な要因によって運転が止まっている期間についてのみ、その期間には入れないということで追加の延長ができる、追加的にできるというこの方針を、利用政策の観点からいわば抑制的にこの方針を決めたということであります。

山崎(誠)委員 利用政策は何かと聞いています。利用政策の観点、何ですか。

西村(康)国務大臣 まさに今回の基本方針の中に、利用に当たってはということで書かれているとおり、エネルギーの安定供給、脱炭素社会を実現していく上で、私ども、これらに責任を持って、特にエネルギーの安定供給、生活、経済を守っていく上で責任があるということでありますので、その利用に当たっての、今回の、国の責務を基本法の中に書かせていただいているところであります。

山崎(誠)委員 安定供給、GX、そのために資するのが原発だというんだったら、運転を長くした方がいいんじゃないですか、制限しないで。山中委員長がちゃんとチェックしてくれているから安全なんですよ。だったら、運転を続ければいいじゃないですか。何でそれを、安くて安全で、そしてGXに資するのに、止めろという規定を入れるんですか、わざわざ。

西村(康)国務大臣 立憲民主党としてそのような御提案をなされるのであれば、修正案を出していただいて、与野党協議の上で私どもは判断していきたいと思いますが、私どもとしては、期間を認めなくてもいいという意見も審議会の中では多数ございました。しかし、事故の経験を踏まえて、私ども、いわば自己抑制的に、四十年、二十年という枠組みを維持してということを決めたところでございます。

山崎(誠)委員 自己抑制的にって、それで利用政策なんですかね。

 じゃ、お聞きします。じゃ、GXの観点という意味では、石炭火力発電所へ何で利用期限を定めないんですか。期限の制約を決めた方がいいんじゃないですか。原発と石炭火力、どこが違うんですか。石炭火力は、本当にCO2をたくさん出して、問題になっていますよ。これからいろいろ混焼だとかやるでしょう。それでもまだまだ出しますよ。それには何で運転期間の制限を設けないで、原発に設けるんですか。

西村(康)国務大臣 やはり原子力は、大きな事故を我々は経験をした。その安全神話に陥ってしまったことの反省の上に立って、今回、利用と安全の条文上の整理をきちんとし、高経年化に対しても、規制委員会の方でこれは基準をしっかりと作ってもらって、厳しい基準、厳格化された下で審査が行われていく。これは石炭火力とは違うというふうに思います。

 ただ、石炭火力につきましても、私ども、これを永遠に続けていくということでなくて、まずは高効率なものに替え、さらに、CO2はそれでも出ますから、それについては、CCS、CCUSも活用して、安定供給の観点からこれは使っていくということでございます。

山崎(誠)委員 これ、法律に書くんですよ、運転制限を。石炭火力だって書けばいいじゃないですか、じゃ、法律に。是非書いてもらいたいと思います。

 私は、これは妥協の産物だと思っています。安全規制上、本当は設けられた運転期間の制限というものを、無理やり利用政策ということでつじつまを合わせて、矛盾を含んだまま無理に残そうとしたからこういうことになっちゃっているんですよ。こうなっちゃっているんですよ。

 以前の皆さんの議論の中に面白い記述がありまして、規制庁とエネ庁が議論している中で、ちょっと資料をつけました。資料の三番に、これはエネ庁の方がメモとして書いたということですけれども、私は看過できない一文があります。全部おかしいなと思うんですけれども、一番最後です。

 「一方、安全規制が緩んだように見えないことも大事」。これ、見えないことも大事というのは、見えなきゃいいんですか。規制が緩んでも見えなきゃいいという、そういう、これ、一担当が頭の体操で書いたメモにしては余りにも大胆な、余りにも間違った考え方をしていると思う。こういう方はすぐ担当を外してください。

 どうですか、この一文の意味。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、極めて不用意なメモ、不用意な表現だと私も思います。

 私も本人から聞きましたけれども、当該部分ですね、運転期間のありようについての部分ですけれども、安全規制の在り方に影響を与えるとの誤解を与えることがないよう経産省としても説明には十分注意すべきという、留意すべき点と考えた点をメモにしたということでありましたけれども、まさに大きな誤解を与えてしまう表現であります。非常に不用意な表現だと思います。私から直接、書いた管理職に厳しく指導を行ったところであります。

山崎(誠)委員 これは、今お話ししたとおり、議論してきたとおりで、規制の後退なんですよ。明らかに規制の後退だから、それを何とかつじつまを合わせようとして、利用政策だから、だから、こっちに残したからいいでしょうと。これは、私は、国民に対する、本当に信頼を逆に傷つけるからやめてほしいんです、こういうことは。真っ当な議論しましょうよ。こそくです。

 もう一つ、経年劣化についてお聞きをしたいと思います。山中委員長にお聞きしたいと思います。

 原子力発電所に絶対安全はない、一〇〇%過酷事故を防ぐことができないということは、もう何度もこの委員会でも御発言がありました。そのとおりだと思います。では、皆さん、検査や点検というものにはどこまでの信頼性を置いていいんですか。

 一〇〇%の信頼を置ける検査というのがあり得るのかどうか、技術的あるいは論理的に、どこまで劣化した原発の安全を検査で確保できるのか、山中委員長、御所見をお聞かせください。

山中政府特別補佐人 今般取りまとめました高経年化した発電用原子炉の安全規制に係る新制度案におきましては、事業者に対して、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、また十年を超えない期間ごとに長期施設管理計画の策定を義務づけております。原子力規制委員会では、この計画が対象機器を適切に抽出して、着目すべき経年劣化事象を適切に評価しているかなど、基準に適合しているかを審査することにいたしております。

 一方で、事業者は、原子炉圧力容器を含む安全に関する機器に対して、その重要度に加えて、予防的に交換するか、劣化兆候のような状態を監視しながら保全するか、機器の特徴に応じて優先度を考慮し、日々の点検を行うべく保全計画を策定します。

 原子力規制検査において、リスク情報も活用しつつ、事業者の安全活動の実績を踏まえて、認可された計画に定められた措置を事業者が実施しているかについて確認することとしております。

 他方、こうした検査によってもリスクがゼロになることはありません。その残されたリスクを低減させる活動に、規制当局と事業者の双方が継続的に取り組むことが重要であると考えております。

山崎(誠)委員 最後の御答弁は大変私は重要だと思います。だから、検査によってもリスクをゼロにすることはできないと。

 資料の四を見ていただきたいのでありますけれども、今行われている特別点検について、これは専門家の皆さんのコメントであります。

 読みますと、圧力容器の超音波探傷検査は、それまで、溶接部、溶接線近傍に限って実施すればよいということでしたが、炉心部内部全て、母材と溶接部へ対象を広げましたと。これは、より検査を徹底したということです。

 ところが、PWRについては、炉心領域一〇〇%としているのに対して、BWRについては、炉心領域、接近できる全検査可能範囲と記載されています。これは、検査が困難な箇所があるということを認めていらっしゃる記述ではないですか。

 格納容器については、PWR、BWRとも、接近できる全検査可能範囲と記されています。これは、同じく検査ができないところがあって、それについては仕方ないねということを認めた特別点検の規定なんじゃないですか。委員長、どうですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力事業者に対しましては、原子炉等規制法に基づきまして定期事業者検査の実施を義務づけております。その際、原子炉圧力容器を開放して燃料を取り出した後、水中テレビカメラ等を用いて内部に異常がないかを確認するなどの検査により、安全性の確認が行われております。

 こうした検査に加えまして、委員御指摘の、運転開始後四十年目にその後最大二十年の劣化評価を行うに当たって、その時点での劣化状態をできる限り詳細に把握するため、特別点検を行うことを求めております。PWRとBWR、いずれにおきましても、母材及び溶接部の炉心領域のうち、技術的に点検できるところは全て点検するとしております。

 つまり、PWRについては、母材及び溶接部の炉心領域の全てに対して点検が可能であるため、炉心領域一〇〇%を点検するとしております。BWRにつきましては、母材及び溶接部の炉心領域ほぼ全てについて点検が可能であり、その意味で、炉心領域、接近できる全検査可能範囲を点検するとしております。

 特別点検においては、原子炉格納容器の検査につきましては、埋設部、あるいはダクトや電線管等の移動に切断を要する干渉物が接近する鋼板等が点検できない箇所であるものの、ほぼ全ての部分について直接又は間接、遠隔にて目視で確認することができており、安全性を確認する上で問題となるものではございません。

山崎(誠)委員 今の最後も大事ですね。これは私の認識は、ここの専門家が指摘しているように、接近できる範囲でいいよ、接近できないところは残念ながら検査できません、それでも安全性が確保できる、そういう御主張なんだと思います。

 私は、そもそも検査には一〇〇%はない、それが山中委員長の御見解だったと思います。であるならば、運転期間を定めて廃炉にするというのは意味があるんじゃないですか。原発の事故のリスクは、一〇〇%では、絶対安全はないというのはあったとして、検査はせめて一〇〇%やってくださいよ。接近できない、もしかしたらここに劣化している部分が残っているかもしれないというリスクがある、不安があるんだったら、運転はもう終わりにしてくださいよ。それが廃炉期間の決定なんじゃないですか。それが安全神話から脱した日本の原子力政策の在り方じゃないですか。どうですか。

山中政府特別補佐人 令和二年の七月の見解にも決定されましたとおり、運転期間については原子力規制委員会が意見を申し述べる事柄ではございません。

 私どもは、高経年化した原子炉についての安全規制を厳格に行っていくこと、それがすなわち我々の責務であるというふうに考えております。

山崎(誠)委員 私が説明を求めたのは、御見解を求めたのは、検査が一〇〇%ではなければ、検査できない部分から核事故のリスクがあるから、止めなきゃいけないんじゃないか、それが安全上のルールなんじゃないかと。それでこのルールが決まっている。だから、利用政策に移しちゃいけないんだというのが、私は今の検査の実態からしたら、山中規制委員長の判断でなきゃいけないと思いますよ。

 時間なので、取りあえず今日は終わりにしますけれども、私はこうした点から、今回の改正というのは大変大きな問題を抱えているというふうに思います。

 私は資料をいろいろ要求いたしましたが、その中で、内閣府とエネ庁のやり取りが出てきたのでありますけれども、内閣府からのコメントが一切出てこないんですよ。

 内閣府にお願いをします。

 内閣府内で、エネ庁から受けた改正のいろいろなアイデアについて、どんな議論をなさったのか、大臣やあるいは副大臣にどんな説明をして、どんな協議をしたのか、その記録の議事録、提出をお願いいたします。それをベースにして次の質疑をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

竹内委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 私は、本日は原子力基本法の改正というところにかなり焦点を絞った御質疑をさせていただきます。

 そもそも、原子力基本法の改正というものを審議するに当たって、ここには内閣の担当の高市大臣はおられません。星野副大臣が来てくださっておりますが、やはり所管の大臣がしっかりと出席される下で審議されるべきだと思います。この点は、委員長にも今後の更なる御尽力をお願いしたいと思います。冒頭、よろしくお願いします。

 その上で、まず、この原子力基本法の改正は、多くの原子力に関わってきて、また、福島事故を経験した、日本の中の原子力がどうあればいいかを考える方からも懸念が示されております。

 鈴木達治郎さんとおっしゃって、二〇一〇年から二〇一四年の三月三十一日まで原子力委員会の委員の委員長代行を務められた鈴木達治郎さんに、せんだって、私のやっております原発ゼロの会というところでお話を伺う機会がありました。

 少し御紹介をさせていただきますが、まず、原子力基本法とは何かといえば、原子力利用に関わる憲法であり、規制や政策の詳細は記述をしない、そして、今回の改正案の概要は、電気事業法、再処理法改正との整合性を持たせる意味もあるのかもしれないが、これまでにない詳細な国の責務を記述しており、これも違和感を覚える、加えて、改正の必要性、合理性はどうかというと、基本法にそぐわない詳細な規定があり、既存の他の法律、例えばエネルギー政策基本法等の改正で十分ではないか、政策そのものの合理性、必要性が不透明な状況で基本法に書き込むことの危険性。この最後のところは、例えば、これから原子力をめぐる環境が様々に変化した場合にも、それを維持、産業基盤を支えるとなっております今回の改正についての御懸念であります。

 まず冒頭、星野副大臣に伺いますが、こういう御意見がかつての原子力委員会のメンバーからあるということは、私は原子力委員会の在り方としても大変重要だと思うのです。そのことを踏まえました上で、果たして、こういう法律改正ですから、当然、政務の皆さんが関わられると思いますが、星野さんと高市さん、あるいは政務官の担当の間では、そもそも、いつからこうした原子力基本法の改正が議論をされ、意見交換がされたでしょうか。

星野副大臣 原子力委員会における議論の状況に加えて、GX実行会議や他省庁の審議会等における議論の状況も踏まえ、昨年の九月の半ばから事務的な検討作業を開始をいたしました。

阿部(知)委員 今おっしゃったのは事務的な検討だということでありまして、私が伺いたいのは、政務の中で、例えば高市大臣と星野副大臣、あるいはほかの政務官もおいででしょう、法律改正ですから、当然、政治家が関わることですので、基本法の改正ということが政務の中で話題になり、お話をされたのはいつでしょう。

星野副大臣 高市大臣におかれましては、昨年の十月十四日と記憶をしております。その後、我々に対しても同様の説明、検討が行われたというふうに記憶をしております。

阿部(知)委員 では、星野副大臣は、高市大臣は十月十四日に、これは事務方からお聞きになったんだと思いますが、星野副大臣はいつ法律改正についてお聞きになりましたか。御自分のことなので、後ろから言わなくてもお分かりだと思います。

星野副大臣 大変恐縮ですが、昨年の話でありますので、正確な日付については記憶をしておりませんが、高市大臣に説明があった後であったことは確かでございます。

 以上です。

阿部(知)委員 その後、何回くらいお話しになりましたでしょう、政務の三役で。

 実は、原子力基本法の改正はとても重要なんだと思うんです。それでこれをお伺いしています。

 どこまで政治としてこの話が詰められたかということであります。何回くらい。十月十四日に高市さんに御説明、その後を受けて星野副大臣も受けたと。では、政務の間で、高市さんと星野さんでもいいです、いつ、何回くらい。例えば、問題がないのか、改正すべきなのか、そういうことはどうでしょう。

星野副大臣 大変恐縮でありますが、正確な記録が残っておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

阿部(知)委員 申し訳ないけれども、記録も記憶もないのでは元々審議になりません。さほどに重要な原子力基本法の改正というのは、私は、法律の中でも原子力の憲法と言われているものですから、それについてのお話合いの記憶も記録もない中で改正されていくというのはいかがかと思います。どうでしょう。

星野副大臣 日付の正確な記録がないと申し上げさせていただきました。検討は随時行っております。様々な方法で行っております。

阿部(知)委員 私は何回くらいと聞きましたが、様々な方法で行っていると。では、後ほどまた少し詳細を詰めさせていただきます。

 お手元に原子力基本法とは何かというのと、福島事故で一部改正をされたわけです。さほどに福島の事故というのは、その後の原子力の在り方について私どもに大きな問いを投げかけ、そしてここでは、二条の二のところで、「国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。」という改正が、これは事故直後に行われました。

 今回、福島原子力事故に次ぐような大きな環境変化と、その中で、原子力基本法の改正でならねばならない理由、あるいはあるべきだと考えられる理由、これについては、星野副大臣、どうでしょう。

星野副大臣 お答えいたします。

 ロシアにおけるウクライナ侵攻等の地政学リスクの増加によるエネルギー安全保障強化の必要性、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現の観点等から、原子力を含むあらゆる選択肢を追求することがますます重要となっていると認識をしております。

 今般のGX脱炭素電源法案では、既存原子力発電所の最大限の活用や廃止措置の円滑化等に向けた法的措置を講じることとしておりますが、これらの法制度の運用を含めた政策判断のベースとなる基本原則について、法律レベルで明確化することが適切であると考えております。

 このため、原子力のエネルギー利用に関する基本原則として、国及び原子力事業者が安全神話に陥り、東京電力福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定をし、その防止に向けて最大限努力すること、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、電気の安定供給の確保、カーボンニュートラルの実現、エネルギー供給の自律性向上に資するよう、国が必要な措置を講ずる責務を有すること、安全性の確保を前提に、原子力事故の防止に万全の措置を講じ、国民からの信頼確保、立地地域の課題解決に向けた取組を推進することなどを原子力基本法の改正案に規定をすることといたしました。

阿部(知)委員 それは、先ほども読み上げられましたけれども、やはり説明ではないと思うんです。

 例えば、エネルギー政策基本法をお手元につけましたが、ここには、原子力に対するものも含めて、エネルギー政策においての様々な環境への配慮の問題、地球温暖化の防止及びエネルギーの需給に関する施策を総合的に行うこと、そして、国及び地方公共団体の責務を明らかにすることということが既に規定をされておりますし、特に、今おっしゃったような原子力をめぐる更なる踏み込みであれば、一方で、このエネルギー政策基本法を改正するという道もあったと思います。私はその立場ではありませんが、原子力基本法がなぜ改正されねばならないのか、そしてそれは、原子力の電源としての積極的な利用や最後の処理まで全て国が関わっていくという、かなり原子力に対しての重装備というか、保護を強くうたったものであります。

 果たして、原子力基本法と申しますのは、上につけましたこの資料で読んでいただいても分かりますけれども、基本的には平和目的で、自主、民主、公開で、詳細は別に法律で定めるところによると。一番上の資料を見ていただければ分かりますが、基本法についてのこれは位置づけであります。これをわざわざ改正されているというところの問題を私は十分にお話しされていないと思いますし、そこが非常に、逆に言うと、今後の大きな禍根になるかと思います。

 開いていただいて三枚目の資料、四枚目になりますね、これは実は、資源エネ庁と原子力規制庁の間で取り交わされた頭の体操、西村大臣の頭の体操の御指摘の文書で、ここには七月二十八日と八月十九日の面談資料が載せてございます。これらの面談資料では、A案とB案、プランAとプランBが当初はございまして、八月十九日には合体したような形に頭の体操がなっておりますが、この中でも、エネルギー政策基本法の中でエネルギーとしての原子力利用政策の原則を定めるというふうな案も出ております。

 これは資源エネ庁の資料ですので、いずれもそうなっておりますから、エネルギー政策としての原子力利用の原則をエネルギー政策基本法に定める、私は、やるとすればこの方法なのかなと思いますが、西村大臣は、これらの資料を御覧になったのは二週間前ということでありましたので、そもそも、経済産業大臣として、あるいはGX担当大臣として、そういうもう一つのオプションは念頭には置かれていないのかどうか、お願いいたします。

西村(康)国務大臣 長くは申し上げませんが、先ほど来、御答弁が山中委員長からありますとおり、令和二年七月の規制委員会の見解、これは、運転期間、利用については規制委員会が述べる話ではないということでありますので、規制と利用の条文上の整理をきちんとしなきゃいけないということが長年のいわば課題で、数年間の課題であったわけであります。

 それについて応えていくということと、今般のロシアのウクライナ侵略などによってエネルギー危機のような状況が起こる中で、エネルギーの安定供給とそして脱炭素化を同時に進めていくという極めて難しい局面にある中で、GX実行会議で議論を進めたわけであります。

 昨年の夏頃から事務方は様々な案を、担当者レベル、管理職レベルなどでいろいろな案があって、ここにお示しされたとおり、エネルギー政策基本法についても修正を行うべきだ、改正を行うべきだという議論も含めて様々行っていたというふうに承知をしております。

 具体的に、大きな方向性、つまり、再整理を行わなきゃいけない、利用と規制の条文の再整理を行わなきゃいけない、あるいは、原子力の運転期間についてどう考えるか、これは資源エネルギー庁の審議会でずっと議論をしてきたところでありますけれども、そうしたことについて条文上しっかりと書くということは事務方から随時報告を受けていたところでありますけれども、法技術的にどういう修正を、改正を行って、どういう形にするのかというところまでは、実際にそうした条文の形で見たのは年が明けてからでございます。

 昨年来、大きな方向性については、議論を私も主導しながら進めてきたところであります。

阿部(知)委員 私は、その大きな方向性が原子力基本法の改正なのかエネルギー政策基本法なのかなんだと思うんです。

 原子力基本法の方に本来持たせるべき原子力政策の役割と、いわゆる憲法に例えられるのは幹で、枝葉の一つに他の政策があるということで、元々、原子力基本法の制定過程ではそのように考えられ、昭和三十一年度版の白書にもそのように記載がございます。と申しますのも、原子力政策を今度のように基本法でがっちり固めて推進、保護をうたった場合に、将来のエネルギー、原子力とも限りませんので、その柔軟性も持たせておくべきだということなんだろうと思うんです。

 ところが、今大臣おっしゃいましたけれども、見たときにはもう決まっていたような、すなわち原子力基本法の改正で事が決まっていたように思います。

 では、それがいつからそのように決められていたのかということですが、昨日の夕方いただきました、こんな分厚い資料、質問の前の夕方五時頃に持ってきてくださって、お役所も大変とは思いますけれども、私たちも、このいただいた、これは内閣府と資源エネ庁とのいわゆる面談等に使用した資料であります。この前までは規制庁と資源エネ庁、今度は資源エネ庁と内閣府。でも、同時期、面談が走っていたという記録でございます。

 開けまして一枚目、この分厚い資料の開けた一枚目には、もうはなから、これは七月二十七日の資料だそうですが、原子力基本法の改正がもうここには載せられています。これは資源エネ庁と内閣府がお話しになった七月であります。

 先ほど星野大臣は、事務方がやっておられることは知っていたけれども、高市さんとお話しになったのは十月以降で随時というふうな御答弁でありましたが、果たして、原子力基本法の改正、これは内閣府と資源エネ庁のやり取りではありますが、既に、ある種、事務方既定路線ではあったわけです。もう改正ということは俎上に上がってここにあるんだと思いますが、そういう御認識はおありですか。

西村(康)国務大臣 昨年の夏頃から様々な議論をしていく中で、事務方レベルでは、この資料にありますとおり、いろいろなアイデア、考え方を出していたんだろうというふうに思います。

 特に、繰り返しになりますが、令和二年七月の規制委員会の見解によって、規制と利用の、条文上、整理をしっかりしなきゃいけないというところは課題でありましたので、この資料の一ページ、先ほどお示しされた、御指摘いただいた炉規法と電事法の関係の整理が必要だということ、そして、原子力基本法については、まさに開発、利用を推進することによって、エネルギー資源の確保は書いてあるわけですけれども、全体として、二条の基本方針には、「平和の目的に限り、」ということで、先ほども御指摘いただいた、利用に当たっての考え方が、いわば平和利用のところでこう書かれておりますので、今回、大きな改正をする中で、安全性の確保であるとか、あるいは脱炭素といったようなことも方針としては明記していくのが適当ではないかと。こうした方針、考え方については、昨年の十月上旬頃に私は事務方から説明を受けたところであります。

 そして、最終的には、これは法技術的な、どういう整理をしていくかということでありますので、原子力基本法がいいのかエネルギー政策基本法がいいのか、このことについては法制局の審査を経てこのような形の整理になったということでありますので、事務方が夏の段階で考えてきたものとはまた変わってきているということであります。

 いずれにしましても、もちろん、大きな方向性については、私、確認をしながら進めてきておりますが、条文上どういう整理をするかというところは極めて法技術的な議論でもありますので、法制局の審査を経て今の案になっているというところでございます。

阿部(知)委員 極めて法技術的なところ以前に、大臣、資源エネ庁と規制庁は炉規法の改正も含めたお話合いをしていて、そこではエネルギー政策基本法の改正ということもオプションにはあったわけです。

 一方、同時期、内閣府とは、原子力基本法の改正を資源エネ庁が持ちかけているわけです。なぜそういう言い方をするかというと、この資料の下に書きましたが、「原子力基本法の改正に向けた資源エネルギー庁と内閣府との面談等に使用した資源エネルギー庁作成の資料」であります、これは。これはそのまま写しましたから。私は昨日いただいた資料をそのままここに持ってきております。

 すなわち、資源エネ庁は、内閣府に対しては原子力基本法の改正、こちらの、環境省の外局である規制庁には炉規法の改正、全部一つハンドルして、あっちとこっちと、私は、値踏みしながらと言うと適切じゃないかもしれない、あれこれやっておられるんだと思うんです。

 それを聞くと、大臣は官僚の動きだとおっしゃるかもしれませんが、では、政治の間、政務の間ではどのように話されたかということを私たちは知りたいんです。もちろん、いろいろなオプションが出されることはあるでしょう。でも、二月二十日に原子力委員会が基本方針を発表されて、二月二十四日には幾つかの省庁の請議、幾つかの省庁が集まって法律改正を上げられて、二十八日の閣議で決定されていますが、二月二十日から二月二十四日まで、中身を取ったって三日しかないです。

 二月二十日に原子力委員会が考え方を発表されて僅か三日で、このあちこちやっていたものをどうやって政治の場で一つの結論に持っていかれたんでしょうか。西村大臣、お願いします。

西村(康)国務大臣 まず、高市大臣とは、閣議で基本的にはお会いしますので、その前後でこの大きな方向性についてお話ししたことはございます。ただし、何か紙を用いて細かく、こういうふうに条文をしますよとか、そんなことは話してはございません。

 繰り返しになりますが、法技術的な整理を要する事項でありますので、法制局がきちんと審査をしてくれて、その上で事務方が整理をした今の成案となっているわけであります。

 そして、去年のGX実行会議、そして十二月二十三日に原子力関係閣僚会議も開いております。

 この原子力基本法の改正につきましては、九月半ば頃から事務的な作業を開始したと聞いておりますし、昨年十二月末に、大きな方向性、原子力委員会が、原子力利用に当たっての基本原則は法令等で明確化することが望ましいとの記載を含む基本的考え方を決定をしたというふうに承知をしておりますので、何か二、三日でこれだけのことを決められるわけはございません。

 昨年夏からの議論を経て、そして、年末に原子力委員会として方向性を決められたものというふうに認識をしております。ですので、しっかりとした審議を経て今の成案を得ているということでございます。

阿部(知)委員 審議を経てというところを私たちにも見える化してくださいと申し上げているんです。三日で確かにできないですよ。三日で、法律のあちこちに働きかけていたものを一本化するというのはできないでしょう。

 請議の文面を見せてくださいと申しましても、持ってきてくれません。昨日からずっと私はお願いしています。請議は幾つの省庁でやられましたか。そして、その文面をいただきたいですけれども、委員長、お願いします。

竹内委員長 後刻、理事会で協議します。

阿部(知)委員 そんな、幾つの委員会が関わっていたかの請議の文書一つ出せないなんて、本当に審議に協力的じゃないですよ。これだけの省庁が関わったらどういう議論が必要なのかということを私は知りたいと思って、お願いをしたわけです。

 そして、西村大臣、本当に失礼ですが、原子力白書といって、基本法を後追いするような白書がございますが、これの三十二年の十二月、いわゆる三十一年度版というのは御覧になったことがあるでしょうか。ここには、その当時ですけれども、原子力法というような原子力開発利用全般を包含する一般法を制定するかどうかについては、我が国の従来の法律観念からすれば原子力に関する一般法を立案するには時期尚早だと、このときは書いてあるんです。じゃ、時期尚早じゃなくなった理由、そして、おまけに基本法に入れ込む理由を私たちは知りたいんです。

 こうやって基本法ができて、そして白書ができて、その中で様々な経緯が書かれているわけです。それを今、基本法にそういうものを織り込むのであれば、憲法改正と一緒ですから、それに見合う御説明が必要だと思います。どうですか、大臣。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、原子力基本法は、原子力利用が平和の目的のみに限られるということが大きく基本方針のところにも書かれているとおりでありまして、この下の条文にあります、「平和の目的に限り、」と書かれているところであります。

 そして、今回、炉規法と、そして私どもの電事法の改正を行って、原子力についての大きな方向性、特に運転期間の問題、一定の整理をして今回提案をさせていただいておりますし、さらに、脱炭素化という新しい時代の要請がございます。そうした事柄について大きな法改正を行うに当たって、原子力基本法についても何か書く必要があるのではないかという、こうした考え方で事務方が整理をしたものというふうに思います。

 その上で、各省庁の調整を経て、そして法制局の審査を経て今の成案を得ているところでございまして、大きな方向性を今回お示しをしておりますので、原子力基本法においても、国が責任を持って取り組むべきこと、あるいは事業者が取り組むべきこと、こうしたことを明確にしながら、安定供給と脱炭素化、そして安全性の確保、これを国民の皆さんの理解を得ながら進めていくということを明記をさせていただいているところであります。

阿部(知)委員 今大臣がおっしゃったようなことは、福島の事故の後の原子力基本法の改正で既になされております。温暖化対策、安全云々、更にここに細かな、運転の時間とか様々なことまで入れるのは法の本来の体系に合わないということで、なぜ合わないかといえば、それは基本法に入れた途端に様々な今後の原子力をめぐる環境の変化とそごを来すということであります。

 繰り返し指摘させていただいて、質問を終わります。ありがとうございます。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党の田嶋要でございます。

 休憩前から他の役所の方もお見えでございますので、ちょっと順序を変えまして、まずは内閣府の関係の、星野副大臣、ありがとうございます。

 午前中も、原子力基本法の改正ということに関して、阿部先生、山崎先生を始め、いろいろと出ておりまして、私も相当の違和感を感じるわけでございますが、まず、その前にお尋ねしたいのは、原子力基本法というものは、これは原発基本法ではなくて原子力基本法なわけでございますが、今の法文上に原発とか原子力発電という文言は明文として出てくるのでしょうか。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の原子力基本法では、原発や原子力発電所を規定した条文はございませんが、原子炉を規定した条文がございます。例えば、第十四条、十五条、十六条においては、原子炉の建設等の規制について規定をされてございます。

田嶋委員 発電事業、そうしたことに関わる記述は今ないということなんですけれども、やはりそうしたことを考えても、なぜ今回わざわざ原子力の基本法にまで手をつけなきゃいけないのかということは、所管大臣が違うとかそういうことも含めてでありますが、非常に無理をしているような印象を感じます。

 また、先ほど、国の責務の関係で、再エネ特措法との差異ということも御指摘がありました。

 改めて星野副大臣にお尋ねしますけれども、逆の聞き方をして、今回のこの束ね法の中で、この基本法の改正がないと何が不都合なんですか。

星野副大臣 今般の脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案では、既存原子力発電所の最大限の活用や廃止措置の円滑化等に向けた法的措置を講じることとしているところ、これらの法制度の運用を含めた政策判断のベースとなる基本原則について、法律レベルで明確化することが適切であると考えたため、今般、原子力基本法の改正を行うこととしたところでございます。

田嶋委員 延長の話は、炉規法から電事法という話も後ほどやりますけれども、そういうところの束ね法案を出すということではなくて、それに加えて、原子力政策の憲法に関してまで手を入れたものを出してくる。それ、ないと実現できないということですか、副大臣。

星野副大臣 原子力基本法の改正を行わずとも、電事法を始めとする各作用法を改正をすれば、それぞれの作用法における制度的措置は講じられることとなります。

田嶋委員 だから、それでいいじゃないですか。それでいいじゃないですか。

星野副大臣 はい、そうなんですが、繰り返しになって恐縮でございますけれども、これらの法制度の運用を含めた政策判断のベースとなる基本原則について、法律レベルで明確化することが適切であると考えたため、今般、原子力基本法の改正を行うこととしたということでございます。

 また、原子力委員会の基本的な考え方というものが出されておりますけれども、その中でも、明文化すべきという意見が出されておりますので、それと考え方を軌を一にさせていただいたというところでございます。

田嶋委員 非常に、将来的な政策の判断の柔軟性を奪うのではないかとか、いろいろな懸念が出ているんですけれども、内閣府としてそれでいいんですか。そういうように選択肢を狭めるような懸念が、鈴木達治郎先生を始めいろいろなところから出ているにもかかわらず。やってもやらなくてもよさそうな話じゃありませんか、副大臣。

星野副大臣 ロシアによるウクライナ侵攻、侵略等の地政学リスクの増加によるエネルギー安全保障強化の必要性、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現の観点等から、原子力を含むあらゆる選択肢を追求することがますます重要となっているものと認識をしております。

 今般の脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案では、既存原子力発電所の最大限の活用や廃止措置の円滑化等に向けた法的措置を講じることとしておりますが、これらの法制度の運用を含めた政策判断ベースとなる基本原則について、法律レベルで明確化することが適切であると考えております。

 このため、原子力のエネルギー利用に関する基本原則として、国及び原子力事業者が安全神話に陥り、東京電力福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故の発生を常に想定をし、その防止に向けて最大限努力すること、また、エネルギーとしての原子力利用に当たっては、電気の安定供給の確保、カーボンニュートラルの実現、エネルギー供給の自律性向上に資するよう、国が必要な措置を講ずる責務を有すること、安全性の確保を前提に、原子力事故の防止に安全の措置を講じ、国民からの信頼確保、立地地域の課題解決に向けた取組を推進することなどを原子力基本法に明記する改正案を提出したところでございます。

 繰り返しになりますが、本年二月に内閣府原子力委員会が改定をし、政府としても尊重する旨が閣議決定をされた原子力利用に関する基本的考え方においても、原子力利用に当たっての基本原則は法令等で明確化することが望ましいと明記されており、今般の改正案はこの基本的考え方と方向を同じくするものであると理解をしております。

田嶋委員 先ほど西村大臣もおっしゃった、原子力、原発を含むあらゆる選択肢という話がよく出ますけれども、それは一見よさそうに聞こえても、私は、そのあらゆる選択肢ということを考えるべきでは必ずしもないと思っています、少なくとも、原子力に関して。

 だから、やはり、選択と集中という考え方もありますし、再エネの中にも様々な選択肢があるわけでありますので、あらゆる選択肢といって原発を正当化するべきではないというのが私の考えでございます。

 この原子力基本法に関しても、今、副大臣がおっしゃった、三・一一、安全神話、その反省、そこは書き込むことは私はいいというふうに思うんですけれども、それ以外の部分に関して、今後、本当に間違った方向に突き進んでいく、そのための、水戸黄門の印籠みたいになってしまうんじゃないかということを大変懸念する立場でありますので、是非副大臣にはそういうことを私はお伝えさせていただいて、間違った法改正になるというふうに私は考えます。

 それでは、副大臣、お引き取りください。

 その原子力基本法の改正には、私は基本的に反対をいたします。

 それで、次に、文科省から井出副大臣がお越しでございます。ありがとうございます。

 先日の本会議に登壇させていただいて、その中で、核融合に関してもお尋ねをさせていただきました。私もそんなに詳しいわけじゃありませんが、少なくとも核分裂技術に基づかないんだということぐらいは私も聞きかじっておるわけでございますが、やはり政府の方は、次世代ということの五つの中の一つということで、資料も拝見をいたしております。

 そこで、せんだっての岸田総理の答弁は若干曖昧でございましたので、改めて確認させていただきますが、核融合炉であっても、福島で起きたようなことは起き得るということでいいですか。事故が起きて、放射能が地域社会に拡散するということは起きるということでいいですか。

井出副大臣 よろしくお願いいたします。

 核融合炉につきましては、先生も御存じのとおり、燃料の原子核同士を超高温のプラズマの下で融合させるものでして、核分裂炉とは全く異なるものです。燃料の供給を停止したり、また電源を止めるということによって、それが直ちにその反応の停止につながりますので、メルトダウン等も起こらない。このことから、核分裂炉に比べれば、事故などによって多量の放射能が地域社会に拡散するリスクは低いと考えております。

 今申し上げましたのは原理的な話でございまして、具体的なリスクの程度については、例えば炉の大きさですとか燃料の量ですとか、そうした設計に依存することなので、現段階で、先生に対する見解をお示しすることは、御質問に対する見解をお示しすることは難しいと考えております。

 今後とも、安全を第一の研究開発というものに取り組んでまいります。

田嶋委員 総理も、私に対する答弁で、メルトダウンは起こらないというふうに断言をなされました。

 それで確認したかったのは、リスクは小さい、低いということでありますので、低かろうが高かろうが、福島のような、放射能が地域に拡散して汚染されるということは、残念ながらというか、核融合という新しい技術をもってしても起き得るということは、今御答弁いただいたということでいいですね。

井出副大臣 事故の状況ですとか、どの部分が破損とか、そういう個別のケース、いろいろあろうと思いますので、ちょっと一概に今、見解をお示しするというのは難しいと思います。

田嶋委員 それでは、ミサイル攻撃を受けた場合に、核分裂の原発と同じようなリスクがあるのか、それとも、それもうんと低くなるのか、その辺りはどうですか。

井出副大臣 分裂炉は、燃料が自然に反応している状態を制御棒とかでコントロールするので、そのコントロールが利かなくなると大きい事故に実際つながったということでございますが、先ほど申し上げたとおり、核融合の方は、燃料の投入ですとか電源を止めることが直ちにその反応自体を止めることになりますので、そういう意味では、最初申し上げたとおり、メルトダウンがないということは申し上げられます。

 ただ、それは原理的な話でして、ミサイルの大きさですとか、ミサイルが一体どこに当たるのかとか、そういうことを考えれば、今、何か明確な、ミサイル攻撃が来ても大丈夫とか大丈夫でないとか、そういうことをちょっとお示しするのは難しいと思います。

田嶋委員 私は、今の時点ではまだ期待しているんですよ、核融合に関しては。核分裂は駄目だと思っていますけれども、核融合はまだ期待を残しているので、そういう中で聞いているんですよ。だから、メルトダウンがないということは結構なことなんですが、随分そういう報道も見聞きするようになって、京都大学発のスタートアップなんかの話もよく聞きます。

 ですから、今の時点では言えなくても、例えば、同じ百万キロワット、よく原発は百万キロワットという説明がありますね。同じ百万キロワットの発電を核融合でした場合に、どういったそういう被害が起き得るのかということを比較して、定量的に、どこかのタイミングで国民に発信をしていただきたいというふうに思いますので、副大臣、よろしくお願い申し上げます。よろしいですね。

井出副大臣 今お話ししたように、メルトダウンが起こらないというようなこともありまして、私も核融合に対しては先生と同じように期待もしておりますし、今、世界の期待があって、フランス等で研究が進んでいると思います。少しまだ先の話になりますが、それがいよいよ日本で実用化、炉が具体的に設計となれば、先生御指摘のように、まず安全第一、それから周辺の環境を考えた様々なことはお示しをしなければいけないんだろうというふうに思います。

田嶋委員 是非よろしくお願いします。期待したいと思います。

 そして、もう一点だけ。高レベル放射性廃棄物は生じないということも岸田総理が断言をなされました。では、低レベルに関してはどうなのかということも当然あるわけでございます。その点に関しても御答弁いただきたいと思います。

井出副大臣 御指摘のとおり、高レベルの放射性廃棄物については、核分裂の生成物を生成しないというのが核融合の特徴でございますので、そこは分裂炉とは違う。ただ一方で、中程度、低程度のものは廃棄物として発生するということは核融合の方もございますので、具体的なところは、先ほどの繰り返しで恐縮ですが、やはり具体的な炉の設計によって示されてくるものだろうと考えております。

田嶋委員 資料の五に、政府の資料で次世代革新炉というのが五種類提示されていて、五番目に核融合というのが現に入っているわけですね。私はここに入れることもどうかなというふうに思うんですが、こうやって、概念設計だ、詳細設計だと、もう随分具体的に入っているわけですね。しかし、核分裂と違って核融合は全然安全なんだとか、その辺のところが見えないままに、国民も判断しようがないと思うんですよ。

 したがって、一日も早く、メルトダウンは起きない、高レベル放射性廃棄物も出てこない、それはいいニュースは二つあるんですが、そこから先の話が、結局は同じじゃないかという話にもなりかねないので、そこは、今無理でも、一日も早く、それを定量的に何がしかの想定を置いてお示しできるように、お願いをしたいと思います。

 それでは、結構です。ありがとうございます。

 それでは、原子力の基本法についてのお話。

 それでは、今、次世代革新炉について入りましたので、ちょっと幾つか確認をさせていただきたいと思います。

 次世代革新炉は、廃炉のところに置いていくようなことをおっしゃっておるわけでありますが、新増設というのは全国の幾つの箇所での立地になり得るのかを教えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月に閣議決定いたしましたGX実現に向けた基本方針の中で、原子力の安全性向上を目指し、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発、建設に取り組む、その上で、地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象とするということを盛り込んだところでございます。

 今お尋ねの、これの箇所数、具体的な地点ということについて申し上げますと、原子力発電所の立地については、何より地元の御理解が大前提でございます。現時点で候補となる立地について予断を持ってお答えすることは差し控えたいと存じます。

田嶋委員 いずれにしても、今、原発があって、それが将来的にとか、廃炉になった場所にしか今後も考えないということは間違いないんですか。その点は。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、廃炉を決定した原子力発電所の敷地内での建て替えを対象とするという方針を示してございます。

田嶋委員 そうしますと、その中にはSMRというのが、この五つのうちの二つ上にあります小型軽水炉ですね、これは先ほど分散化、集中化という話が、私もちょうどお尋ねしますけれども、小型の軽水炉であっても新設の立地が今おっしゃるような地域に限定をされるということになると、SMR、スモール、要するに、全国分散的に、例えば政令市には一つずつとか、そういうようなことを考え得る技術なわけでしょう。しかし、実際には、やれる場所は今までと一緒だということでしょう。何にも意味ないじゃないですか。何するんですか、小型原発、SMRで。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げました次世代革新炉のリプレースといいますか、建て替えの話でございますが、まず、足下から考えますと、恐らく次世代の軽水炉を中心とした建て替えということが想定されることかと存じます。そういう中では、廃炉の決定した敷地の中における建て替えということになります。

 一方で、次世代の革新炉の開発ということについて申し上げますと、今委員御指摘のございましたように、小型炉、いわゆるSMRのような、モジュール炉のようなものの技術開発、これらの高温ガス炉や他の、五つお示ししているということを御指摘頂戴しましたけれども、様々な技術開発は進めていかなければならないと考えております。こういうことを今後、技術開発を進めていく中で、様々な検討を進めていくということになろうかと考えております。

 現時点で私ども考えておりますのは、廃炉を決定した原子力発電所の敷地内への次世代革新炉への建て替えを対象とするという方針でございます。

田嶋委員 余り現実的じゃない絵がたくさんあるという印象ですけれども、十万キロワットとか、そういう小型の原発を同じ敷地に十個とか並べるというような、そんなことを考えているんですかね。何か本当にイメージが湧かないというか、そんなこと現実的じゃないと私は感じております。

 それからもう一点、資料、一番最後のページ、御覧ください。これは更田前委員長が、ここで、下の方でございますが、書いてあるんですが、これは恐らく田中元委員長も同じ発言をなさっていたと思うんですが、次世代革新炉というのは、多くは直接処分を前提とした技術であるということですね。

 以前、この問いを現委員長、山中委員長に私、させていただきましたよね、そうですよね。答弁をされませんでしたけれども、改めて確認させていただきたいと思います。

 こういうことが、もしこれが事実であるならば、こういう方がおっしゃっているんだから、私は事実だと思いますよ。そうすると、今、日本の政府は、全量再処理方針ということですね。皆さん方がこれは革新的だとか言ってやろうとしていても、この記事にあるように、指摘されているSMRとそれから高温ガス炉に関しても、直接処分じゃなきゃいけないということをおっしゃっているわけですね。

 これ、どうするんですか、こんなふうに全然矛盾することを言われていて。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございました、核最終処分といいますか、核燃料サイクル及びその処分ということは、原子力発電を進めていく上で非常に重要な課題だと思っております。

 その中で、減量、減容、資源の有効活用という観点から、政府といたしましては、これを全量再処理をするという方針を定めて、現在進めているところでございます。

 ただ、現状におきまして、軽水炉を通じての発電を通じて出てまいります使用済核燃料というものについて申し上げますと、これを通じた再処理、最終処分という方式が前提となってございます。

 これから様々な形の次世代の革新炉というのは出てき得ると思います。同時並行いたしまして、その出てまいります使用済燃料の処理の技術、これについての技術開発も進めていかなければならないものだと考えております。

 時間軸が非常に重要になってまいるわけでございますが、足下での軽水炉による発電、これに伴う使用済燃料の処理、これにおける全量再処理ということを基本としつつ、将来の技術開発の下で再処理をどう進めていくかということは、未来に向けてしっかりと検討、技術開発を進めていく必要があろうかと考えております。

田嶋委員 不透明なことがたくさんあるという印象で、これから本当に、今回の束ね法で原発にのめり込んでいく日本が瀬戸際にあるということで、本当にここは重要な局面にあるのではないかなということを改めて感じます。

 それでは、西村大臣、関連でお尋ねしますけれども、全ては発電コストの話につながってくると思うんですね。

 これだけ太陽光、風力が世界的に劇的に価格が下がってきているということで、質問リストの二番でございますけれども、せんだって、改めて総理にお尋ねをしたところ、岸田総理からは、再エネと原子力のどちらが安いと一概に言うのは困難、こういう発言がございました。どうも、こういうことを信じて、これからもあらゆる例外なく全ての選択肢をやるんだ、その中の一つが原発だと言い続けることで、日本が大きくまた道を間違えるのではないかということを私は感じざるを得ないんですね。

 おつけしている資料の四ページ、四番、これが政府の試算だということでありますが、この試算だけでは絶対に読み取れない世界の大きなトレンドというのを、大臣のところには情報がたくさん入っていると思うんです。

 原発をやっている国は確かに、イギリス、フランス、アメリカ、ありますけれども、しかし、世界の大きな流れということと、それから本会議で申し上げました量産効果、これを時間軸で見ていったときに、明らかにこれから変わっていく、状況は劇的に再エネに有利に働いていく。原発が今もコストは上がっています。

 大臣、そのグラフを前回もお見せしましたので御存じだと思いますけれども、こういう瞬間風速の発電コストの比較だけじゃなくて、中長期のトレンドとして、もはや太刀打ちできるような状況にはないと私は思っているんですね。そういう中で、大臣があらゆる選択肢を考えるんだということを言い続けることで、最終的には国民負担の大変大きい原発に巨額のお金がこれからも注ぎ込まれていくということを私は懸念しておるわけでございますが、大臣、改めていかがですか。

西村(康)国務大臣 まず、先ほど、簡単に述べますけれども、原子力基本法の議論を聞いておりまして、一条のところに、原子力の開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保しということが明記されているわけであります。これは平成二十四年の、この条文、福島の事故を受けて原子力基本法を改正したときも、民主党政権もこれを維持して、まさに原子力、開発、利用を推進することで、将来におけるエネルギー資源を確保しということを言われているわけであります。

 その上で、その後の様々な、もう繰り返しませんが、ロシアのウクライナ侵略などによってエネルギー危機のような状況があり、私どもとしてエネルギーの安定供給に責任を持つという立場から、今回、再エネも推進するし、原子力も活用するという法案を出しているわけであります。

 そして、コストについて言えば、二〇二一年のコスト検証では、発電設備を更地に建設、運転した際のコストを、一定の前提で試算をしております。この検証における、まさに二〇三〇年見通しでありますけれども、事業用太陽光は一キロワットアワー当たり十一・二円、原子力の一キロワットアワーは十一・七円以上ということであります。しかし、実際には、悪天候のときのバックアップなど、これは火力のバックアップのコストなどありますので、原子力よりも再エネの方が一概に安いとは言えないというのが私どもの認識であります。

 これは、IAEAの国際試算によっても、一メガワットアワー当たりの発電コスト、中央値レベルで陸上風力五十ドル、洋上風力八十八ドルなどなど、原子力は三十二ドルということで試算もなされております。

 いずれにしても、コストも我々は重視して考えていかなきゃいけない、安定供給も考えなきゃいけない、様々な視点の下で責任を持ってエネルギー供給をしていく観点から、多様な選択肢を追求するということであります。

田嶋委員 安定供給という言葉がありましたけれども、大臣、この四ページの原子力のところ、今おっしゃった十一・七という数字が書いていますね。何で原子力だけ上の数字がないんですか。

西村(康)国務大臣 賠償それから再処理などを含めて、これは不透明な部分があるからというふうに承知をしています。

田嶋委員 そういうことで、単なるここにある数字を見るだけじゃなくて、原子力、原発のコストというのは青天井だということを言っているんですよ、これ。安くても十一・七円だけれども、何か一たび起きれば青天井だ、極めてリスクが大きいということをまさにこの表も示しているんですね。

 そういう中で、太陽光や風力のコスト競争力がどんどん上がっている。原子力は、今でも安全のためのコストというのは日に日に上がっている。去年の数字は、おととしの数字より更に上がっています。そういったことを国際社会が共有できている中で、今大臣がおっしゃったようなことを頭から信じて行っていけば、政策的に間違った方向に行くのではないかということを改めて強く指摘をしたいと思います。

 そして、今、エネルギーの安定供給。先ほど山崎委員からもございました。何を指して安定供給とおっしゃるのか、本当に不思議ですね。

 千葉県房総半島は、台風十五号で一か月近く停電になりました。北海道も胆振東部で同じようなことが起きました。全域停電ですよ。分散型でそんなことが起きますか。

 何を指して安定供給とおっしゃるんですか。原発のみならず、大規模集中というのは、決定的にそこが弱いということを改めて我々は学んだはずなんですよ。しかも、ウクライナで、自然災害だけじゃなかったんだ、ミサイルが飛んできても同じですよ。分散型だったら強靱ですよ。電気のなくなる家もあるかもしれないけれども、多くの家は救われる。しかし、大規模集中をやっている限り、一発そこを狙えば、みんなブラックアウトでしょう。それを安定供給というんですか、大臣。

西村(康)国務大臣 もう委員御案内だと思いますけれども、ヨーロッパにおいても、再エネを進める、当然我々もそうですけれども、その中で、天候によっては動かないことがあり、かつ、今回、ロシアからのエネルギー供給が減ることによって極めて高いエネルギーコストになって、あれだけ大規模なストまで起こっているという状況であります。

 私どもとして、再生可能エネルギーももちろん進めていきますし、原子力も活用しながら、また、バックアップ電源、移行電源としての、移行エネルギーとしてのLNGを含めた火力も必要な程度にやはり維持していかなきゃいけない、そういう方針で臨んでいるところであります。

 我が国の立地状況、これは、海に囲まれ、遠浅の海が少ない、あるいは平地面積も非常に少ない中で、平地面積当たりの太陽光は非常に高い数字、ヨーロッパと比べても高い数字になっております。そうしたことも含めて、それぞれの国々によって立地条件が異なる中で、将来にわたって日本においてエネルギーを安定供給させていく、そのために、まさに安全性、安定供給、それから経済効率性、こうしたことも含めて、そして最近では、脱炭素化を含めた環境適合、これを含めて安価で安定的なエネルギー供給を行っていく、これが安定供給ということでございます。

田嶋委員 昨年、フランスは、五十六基の原発の中で三十基が止まっていたということですね。それによって、過去三十年で初めて電力の輸入国になった、こういう報告もなされております。いかに安定供給にマイナスかということを、この一国、原発大国のフランスが如実に示してくれていると私は思いますよ。

 だから、あらゆる選択肢といって原発を残せば、そこが一番のウィークポイントになるということは、私は十分考えられるというふうに思います。これ以上話しても平行線だと思いますので、やめますけれども。そういう意味では、あらゆる選択肢の中に原発を残すということは、日本の国にとっては特に最大のリスクだという側面を是非御理解いただきたい。供給の安定性にはつながらないということを申し上げたいと思います。

 それでは、冒頭の方に戻りまして、原発についてお尋ねをしたいというふうに思っております。

 四点目の質問に行きたいと思うんですが、これまでの四十年ルールというのがありました。それで、今回、運転可能期間というのを加えるわけでありますけれども、そこで、予見し難い停止期間というものが言葉として出てまいりました。これはどういう期間でしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回御審議を頂戴しております法改正案の中で取っております運転期間に関する措置というものは、実質的な運転期間の四十年という上限を維持しつつ、震災以降の法制度の変更など、事業者から見て他律的な要素によって停止した期間に限り、六十年という運転期間のカウントから除外することを認めるという利用の立場からの政策判断を、法的な措置としたものでございます。

 法案の中におきましては、改正後の電気事業法第二十七条の二十九の二第四項第五号イからホに列挙している規定のとおり、東日本大震災後において、第一に、法令の改正等に対応するため、原子炉を停止した期間、第二、法律に基づく処分によって原子炉を停止したが、その処分が後に取り消された場合の停止期間、第三に、行政指導に従って原子炉を停止した期間、第四に、裁判の仮処分命令を受けて原子炉を停止したが、後にその命令が上級審等で是正された場合の停止期間、そして第五、その他、事業者が予見し難い事由として省令で定めるものに対応するため、原子炉を停止した期間が該当するものとして規定しているところでございます。

田嶋委員 ちょっと一問通告していなかったんですが、先ほどの資料の七、ちょっと御覧いただけますか。これは、更田委員長当時が、一番上のところの私の線を引いてあるところですね、「裏返せば事業者の審査対応が遅れている。事業者がまだ説明したいというから二年を超えて審査を続けているだけで、期間を守れといわれれば不許可にせざるを得ない。」こういうふうに言っているわけですね。

 こういうような状況も、今おっしゃった、他律的とおっしゃいましたかね、他律的な期間に入るんですか。これは、もうちょっとやらせてくれ、もうちょっとやらせてくれといって、事業者がまだ説明したいと言ってくるというふうに言っているわけですよ、だから延びているんだと。恐らく、審査が長過ぎるという批判を相当受けて委員長はこういう御答弁をなさったんだと思うんですけれども、こういうケースも、今回、他律的で乗せるということですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、具体の運用は法案が成立した暁に具体的に定めていくということになるわけでございますが、まず、事業者からしますと、安全審査を受けている中では、できるだけ早くこれを動かすべく努力をするのが通常でございます。意図的にこれを遅らすということはまずないかと考えてございます。

 その上で、これが、明らかに事業者の責により故意に、若しくは相当重い責により遅らせているというようなことになれば、こういうものからは除外されないということになるかと思いますが、いずれにせよ、審査が適正に進められている中では、当然のことながら、事業者からすると、これを疎明するために全力を尽くす、安全審査を行う規制委員会からすると、これがしっかりと大丈夫なものかということについての厳格な審査を続けていくということになりますので、それが進んでいる中では、先ほど申し上げたような形で、期間が経過したものについてはカウントから除外するものになるものと考えてございます。

田嶋委員 松山さん、意図的ということは私は何も言っていないですよ。言っているのは、二年を過ぎて長々とやっている批判があるけれども、事業者側がもっと説明したいと言っているということなんですよ。

 だから、他律的じゃ僕はないような感じがするんですけれども、こうやって、事業者がもっと説明させてくれと言って二年半、三年、四年と延びた場合も、その四年が今回乗っかることになるのかという確認なんですが。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、まず、基本から申し上げますと、先ほど申し上げた五つの項目に該当するものとして申し上げますと、新規制基準を含めた法令等の変更への対応というものはカウントの除外になるものと考えてございます。もちろん、その停止期間中についても様々な形で審査がなされていくわけで、時間が長くなればハードルも高くなるということも生じるものでございます。

 しかし、いずれにせよ、当事者、事業者にとっては審査を引き延ばすというインセンティブはないわけでございますので、最終的にどれだけの実働的な運転期間ということが確保できるかということを考えたときに、他律的な要素、予測し難い状況の中で運転が停止していた期間は、安全審査を通じて認可されているということは大前提でございますが、利用政策の観点から、どれだけ安全が認められた、安全性の審査を通った発電所を利用できるかという観点の運転期間という概念の中では、このカウントの中からは除外して適当なのではないかと考えてございます。

田嶋委員 お配りした資料の一、御覧をいただきたいんですが、そして、今回、法改正によって上乗せされようとしている年数というのは、私はここまで長い年数のことだとイメージしていなかったんですけれども、先ほど御指摘があった法文の中の三つのケース、行政指導や新規制基準、全体として、多くの原発が、今回の法改正がなされれば、十年とかそういう期間、六十年に上乗せをされてしまうということだということが改めて確認されるわけでございます。

 ちょっと、そこで、最近どうも私が思うのは、今回の法改正で六十年に乗せるか乗せないかの議論が何か中心な感じがするんですけれども、元々は四十年でしょう。四十年ですよね。六十年じゃないですよね。

 それで、我々の政権の時代に、大臣が細野さんという方ですけれども、大臣ですけれども、細野さんが何度も強調していたのは、四十年が六十年になるのは極めて限定的なケースだと。極めて限定的なケースだということを何度も強調しているわけですね。

 そこで、確認させていただきたいのは、今回、この法改正で六十年の上に乗せる今の話が強調されるわけですが、四十年を六十年にする、あるいは六十年プラスアルファにするという変更に関して、延長許可に関しては、当時の政府の考え方である極めて限定的なケースだということは踏襲されるのでしょうか。

西村(康)国務大臣 当時の細野大臣、それから立法者、議員立法の提案者、様々な答弁がありまして、細野大臣も、四十年たてばそのときから急に危険になるというわけではないという答弁もあります。また、立法者、提案者からは、四十年は政治的な数字であり、科学的な知見だけに基づいて決定した数字でもないという答弁もありました。

 私ども、これは、各国の規制を見てみましても、何か科学的根拠に基づいて決められたものではなく、ある意味、審査、安全審査を行う一つのタイミングということで理解をしております。

 その上で、今回、四十年プラス二十年という基本的枠組み、法改正があった、福島の事故を受けて法改正をしたその基本的枠組みを維持しながら、運転期間のカウントの中に、他律的な要因で止まっていた部分はカウントしない、そういう、ある意味、基本を踏襲しながら、今回の事情によってこんなことが生じていますので、そういう政策判断をしたということであります。

 ただし、三十年、そして十年以内ごとに行われる規制委員会の安全審査で、どの段階でも駄目だと言われればもう運転できないという厳しい審査があるということでございます。

田嶋委員 規制と推進の話は、先ほど山崎委員もしっかりやっていただいて、私も大変違和感を感じます。何のために推進側の電事法に持ってきながら年数を切らなきゃいけないのかということで、非常に分かりにくくなっているし、今日、ちょっと、委員長に御質問できなくて申し訳ないですね、済みません、そういう状況が国民に新たな不安を私は与えていると思います。

 そして、最後にもう一度確認ですが、大臣の今の御答弁は、要するに、これまでの枠組みがきちんと踏襲されるということであれば、四十年を六十年プラスアルファに延ばす可能性というのは、基本的には極めて限定的だと。今日までの実績だと、資料の二ですけれども、関西電力の美浜三号機が唯一、四十年超えで今稼働しているという理解でございますが、立法者が立法意思として当時答弁なさっているその考え方、極めて限定的なんだということは今後も同じだということでいいですね。

西村(康)国務大臣 基本的な枠組みは踏襲するというふうに申し上げたわけであります。

 四十年を原則として、二十年延長ができる。それに加えて、止まっている期間については、そこからカウントしないということの政策判断をしたということでありまして、安全性につきましては、規制委員会が三十年に行い、またそれ以降、十年以内ごとに行うということでありますので、安全規制が担保できていれば、規制委員会から認可が受けられればそれは運転できますし、認可を受けられなければ運転できないという、安全性については規制委員会が厳しく見るということでございます。

田嶋委員 原則と例外がひっくり返るようなことのないようにお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日も、山崎誠委員が大変問題のある質問を多くされていました。いや、これは別に批判するんじゃないんです。というのは、あっ、批判しているか。この委員会で今やっている議論は本当に大切なんです。だから、本当に大切な議論をしたいんだけれども、手続論に終始しているのは本当に問題だと思います。

 手続論も、実は切り口があるんです。それは、今日、私も手続論を若干やりますので、本来この立法府でちゃんと議論すべき手続論は何かということを、ちゃんと私から申し上げたいと思います。

 それから、若干、委員会運営で、この竹内委員長の下の議事運営ですから、全くすばらしい采配をしていただいていると思いますが、とにかく、星野副大臣を呼んで、西村大臣は手を挙げるな、政府参考人は前に出るなという、そういうのは、知りたいことがあるんだったら誰でもいいじゃない。

 だから、やはりそういうのはもう、僕は本当に、この昭和の国会というのはもう踏んづけて、令和の国会をしっかりつくっていきたいという観点から、今日改めて根本的な話をさせていただきたいと思います。

 原子力規制委員会、今日、委員長、お越しをいただいていますが、原子力規制委員会の在り方は重要だと思います。これは重要。いろいろ立憲の皆さんもぎゃあぎゃあおっしゃっていますが、私が常々感じている原子力安全規制の問題は、ガバナンスはやはりまだまだ課題があると思うんですね。

 まず、金子次長、規制庁の金子次長、毎度ありがとうございます。

 かつて保安院の時代、保安院の時代というのは確かに、私も資源エネルギー庁にいましたからよく分かるんですけれども、要は、安全規制と今の話でいうと利用側というか、規制と利用が同じ役所にあった、だから分離するんだと。今それが、例えば電波行政で総務省をどうするとか、常にある議論ですね。それは、確かにそういう議論があったので、一元化するということで今のような形になっているわけですが、当時、思い起こすと、保安院などの規制行政庁は、原子力安全委員会というものがあって、チェックする複層的体制にはなっていたんですよね。それが、現在の原子力安全規制の体制は、そういう複層的なチェック体制は、やはりそれは欠けているように私は感じますが、これは事実関係をどう認識されていますか。

金子政府参考人 御指摘の原子力規制委員会に対する外部からのチェックについては、国会事故調で御議論をいただいた提言に基づいて、国会が規制当局をまず監視するという目的で、衆議院に原子力問題調査特別委員会が設置をされております。これがまず第一でございます。

 規制委員会が自発的に取り組んでいる例を二つ御紹介申し上げれば、国際原子力機関、IAEAが、各国の安全規制あるいはIAEAの安全基準との整合性を評価する総合規制評価サービス、IRRSと呼んでおりますが、これを定期的に受け入れることや、海外の経験豊富な規制機関の有識者を国際アドバイザーという形でお招きをして助言を得ることなどに取り組んでいる状況でございます。

足立委員 今おっしゃったことは重要で、国際的な枠組み、それから、その前におっしゃったのは特別委員会です。これ、私も今も所属しています。できたときから、一時抜けましたけれども、一貫して。塩崎恭久さんとかが走り回って特別委員会をつくって、アドバイザリーボードというのをつくって。私は、今それが十分に機能しているとは余り思っていないんですが、少なくともそういうことがあるということは十分承知をしています。

 他方、広い意味での行政府、国内の広い意味での行政府に限って言えば、かつて複層的なチェック体制があったが今は一元化されている、これは事実ですね。

金子政府参考人 議員御指摘のは、例えば米国の原子力規制当局であるNRCには、監察総監室というふうに日本語訳されておりますが、オフィス・オブ・インスペクター・ゼネラルというようなものが置かれており、これは外部からの監査機能という形になっております。あるいは、米国の会計検査院は行政機関の事務や運営についての評価、分析を行うような機能も持っておりますので、そういうものを念頭に置いておられるのではないかと思いますが、そういう意味では、現在、これと同様の機能を持って原子力規制委員会を監視あるいは監査する機関は存在していないと理解しております。

足立委員 これはもう本当に、今日それこそ山崎さんがずっとおっしゃっている、ガバナンスはどうなっているんだと言うんだけれども、ガバナンスというのはこういう議論をすべきであって、何か、いつ打合せしたんだとか、まあ、それはそれでやったらいいけれども。また、高市さんを呼ぶとか、まあ、呼んだらいいけれども。

 しかし、明らかにガバナンスというのは大事なんです。例えば、委員長、私は、この規制委員会の、あるいは規制庁のガバナンス、原子力安全規制のガバナンス問題というのは不断の見直しが要ると思います。

 話がちょっと全然違う分野に行きますが、例えば金融政策。日銀がありますね。私たちは、今年かな、日銀法改正案というのを出しまして、もう常に日銀のガバナンスというのは問題になっているわけです。それは、日銀総裁は、当然、委員長と同じで同意人事ですから、内閣が指名か何かして国会同意ですから、入口はそうです。裁判所もそうですね。

 それに加えて、日銀の場合には、アコードを結び、そして政策決定会合には財務省が入っているわけですよ。だから、日銀は独立、独立というんだけれども、アコードで手段は独立だけれども目的は共有するんだと。それで、実際に政策決定会合には、独立といいながら、財務省か経済財政何とか担当大臣の関係も入るわけですよ。それは日銀法十四条か何かに書いてあるわけです。

 そういうことを考えると、私は、原子力安全規制の在り方というのは、これはそれこそ百点というのはなかなかなくて、常にそのガバナンスの設計については改善の余地があるし、特に民主的統制、もちろん国会が、特別委員会が、衆参の原子力問題調査特別委員会がしっかりと目を光らせていくということは当然やるんだけれども、それにとどまらず、立法府、行政府を股にかけて、原子力安全規制のガバナンスの設計ということについては私は不断の見直しが必要だと思いますが、いかがですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会では、その組織理念におきまして、独立した意思決定とともに、国内外の多様な意見に耳を傾けて孤立と独善を戒めるということを掲げております。

 その理念の下で、国会審議の場における御指摘はもちろんのこと、地方自治体、事業者、国際機関、海外規制機関など、幅広い主体との意見交換を積極的に実施しております。運営や規制制度の継続的な改善に日々努めてきております。

 さらに、民主的な統制という観点では、先ほどから次長も答弁させていただいておりますけれども、国会として規制当局を監視するために、衆議院に原子力問題調査特別委員会が設置されているほか、委員長及び委員の任命がいわゆる国会同意人事とされているところと認識しております。

 原子力規制委員会を監視し改善を促す組織の在り方については、まさに国会の場において御議論、御審議いただくべきものと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに国会でそれを議論すべきということで、この安全規制については今回も検討条項があります、細かいことはもうやりませんが。

 やはり、今私が申し上げたような観点で、より広い、この法案を成立させた暁に、その先の話をしているわけです、この法案を成立させた暁に、また、今申し上げたような趣旨で、本格的な、本格的というか、要は、限定せずに、より広範な課題というか、今私が申し上げているようなガバナンス上の課題というものをしっかりと行政府、政府でまた改めて検討いただく必要があるという趣旨を、やはりしっかりとこの条文上も明確にしていくべきだと訴えてまいりたい、こう思います。

 さて、それが前半なんですが、加えて、確かに、私は山崎委員の質問は感心しませんよ。だって、何分かけて同じテーマをやっているんだと。ねえ、大臣。うなずくわけにいかないか。だって、ずっと同じことをやっているわけです。あれと一緒、森友学園と。それで、結局何が生まれたんだ、あの二年か三年か大騒ぎして一体何が生まれたんだと。よく分からない。これをすぐ答えられる人はいないんですよ。加計学園もそうです。だから、やはり出口を見据えた国会論戦をしっかりとやっていかなあかん、こう思っています。

 そのときに、私がかねがね原子力政策について若干違和感がある、違和感というか、なぜ立憲が暴れているかですよ。なぜ万年野党たちが暴れるかというと、やはり政府にも問題があると僕は思っています。

 それはどういうことかというと、彼ら、彼女たちが指摘するように、原発の抱えるリスクはやはり特殊なリスクだと思います。それは、大規模であるし、複雑であるし、様々なステークホルダーがいるから、私は政治の責任は極めて重いと思う。

 今回の法案が、GX実行会議で、まさに西村大臣が中心になってGX実行会議で昨年からずっとやってこられた作業、これは私もつぶさに拝見をしてきましたが、そこで、次世代革新炉とか、あるいは運転期間の問題とかをずっと議論してきた。

 ただ、ある人に言わせると、もう最初から方針が決まっていて、官邸にも様々な関係者がいるし各省庁にも様々な関係者がいる中で、行政官の皆さんが基本的にはこういう方向でやっていこうと決めたことを、自民党なり政治なり内閣なりがそれを、じゃ、これでいこうということでやっている。もちろん、細かく指示されているのは、それは当然だと思います。

 ただ、そのやり取り、西村大臣は、このGX電源法案が目指す道と、多分選択肢はほかにもあったと思うんですよ、別の道もあったんだけれどもこの道を選んだ。それは政治家として、大臣として選んだ。選んだときに、今回の道のプロコン、そうじゃない、立憲が指し示す道は、そんなものはないんですが、立憲というのは原発ゼロ法案というのを出していましたが、もう取り下げていますから、だから、今立憲民主党はアイデアなしなんです。

 それに対して、私たちは、橋下代表の時代から原発再稼働責任法案というのを作り、電力市場の環境が全部変わってきていますから、また新しく、今年、発電に関する原子力の利用に係る責任を明確化するための改革の推進に関する法律案というのを国会に出させていただいています。

 私たちは一貫して、責任明確化、国の責任、電力事業者の責任、地域の責任、それを明確化するべきだということをもうずっと言い続けてきて、その一部が、今回、大変評判の悪い原子力基本法。でも、私は極めてすばらしいと思う、原子力基本法にいろいろ責務が入っていることは。私はいいことだと思うんだけれども。

 ちょっと話を戻すと、その幾つかの選択肢を、行政がちゃんとプランAとプランBを大臣に示して、プランAのプロコンはこう、プランBのプロコンはこうだということをちゃんと国民に見える形でやれていないんじゃないかなと。だから国会があるわけ、だから国会で伺うんですけれども、やはりそういうプロコンが国民に見えないと、いつまでもこの人たちがはびこってくるわけです。

 一定の国民がずっといる中で、たくさんの有権者が、あるいは国民がいる中で、一定の層はあるわけです、反原発みたいな、原発ゼロみたいなこと。でも、立憲民主党はもう腰砕けですよ。だって、法律を出していないんだから。でも、国民の皆様にはやはり一定のそういう層があられるわけです。

 私たちは、やはりこれから原発をこういう形で進めていくに当たっては、もっともっと国民の理解というものを促していく、促していくというか、まさにこの基本法の「国の責務」に書いてあるような形で国が責任を持って原発について国民の理解を得るためには、私は、もっと選択肢それぞれのプロコンをテーブルにのせ、大臣がどの資料を見て判断したのかが国民に見える形にすべきだと常々思っているんですが、大臣、どうでしょう。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、我々、検討に当たっては、資源エネルギー庁の審議会を動かしながら、様々な観点から専門家の皆さんに、今お話があったように、原発についても、賛成、反対、反対の方の御意見も聞きながら進めてきたわけであります。

 幅広い選択肢、よく提案もなされますが、再生可能エネルギー最大限導入で原発はもう要らないんじゃないかという御意見から、原発を新設、増設、運転期間の定めもなく海外でやっている部分もあるから、それもあるんじゃないか、この幅広い意見の中で、私ども、原子力の、福島の事故も経験した国民感情も踏まえながら、基本的に再エネも、やれる範囲、やれる範囲というか、限界はもちろんあるわけですけれども、最大限導入するということで、今回、送配電網の整備とか、あるいは地域との共生の、そんな規定も入れさせていただいた中で、再エネも増やしていく、しかし原子力も活用していく。

 それで、運転期間については、基本の枠組み、四十年、二十年の枠組みを維持しながら、一定期間については、他律的な要因で止まっている期間は認める。しかし、安全規制は非常に厳しい基準で審査してもらうという枠組みを構築し、さらには、新設、増設を現時点で何か認めるということではなく、廃炉があった敷地内だけで、次世代革新炉、より安全性の高い装置を盛り込んだものについて考えていく、地元の理解を得ながら考えていく。

 こうした、ある意味、様々な、いろいろな意見がある中で、我々、一定の範囲内に集約できるもの、国民の皆さんに理解が得られるものについてこのような提案をさせていただいて、これでエネルギーの安定供給と脱炭素化を進めていけるという、そうした案にしているところでありますが、御指摘のように、まだまだ国民の皆さんへの理解を得なきゃいけない部分もあると思いますので、御指摘のような様々なプロセスも含めて、プラス、マイナス、メリット、デメリット、解決すべき課題、こうしたことも含めてしっかりとお示ししながら、理解を得られるように努めてまいりたいというふうに考えております。

足立委員 是非お願いしたいと思います。

 今御質問申し上げたのはGX大臣に対してでありますが、もう時間がなくなってきましたが、もう一つ、残る最後のテーマですが、経済産業大臣に改めてちょっと議論させていただきたいのは、ALPS処理水ですね。

 これは、私、もういいんですが、もう進んでいるわけですから、そこでとやかく、がたがた申し上げるつもりはないんですが、前回の質疑でもたしか申し上げましたが、大阪湾にという議論がずっとあったわけです。本当にこれは議論してくれたのかなと。

 いろいろ、どこまで御答弁いただけるか分かりませんが、まず質問としては、松井大阪市長が大阪湾にと提案をしたことについて、若干、議事録とかにも出ている部分があるんですが、その案、要は福島以外に処理水を持ち出す案について、それが実現していない、却下された経緯みたいなことについて、もし御答弁いただけるようでしたらお願いします。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のALPS処理水の大阪湾放出に関連する東京電力福島第一原発の敷地外の移送、保管につきましては、専門家から成りますALPS小委員会におきまして、第十三回、二〇一九年の八月ですけれども、東京電力から説明をし、原子力規制庁から規制上の取扱いについての説明があったと承知してございます。

 その上で、その次の第十四回のALPS小委員会におきまして、委員のお一人、森田委員から、前回の議論を踏まえまして、大阪湾での放出の可能性について、規制上の論点について質問がございました。これに対しまして、資源エネルギー庁と原子力規制庁より、規制上の取扱い、あるいは移送、保管に係る関係者との調整の必要性などについて説明してございます。

 こうした議論を踏まえまして、ALPS小委員会の報告書、これは二〇二〇年の二月にまとまってございますけれども、ALPS処理水の敷地外への搬出や保管につきましては、ALPS処理水の敷地外への搬出は、法令に準拠した移送設備が必要となるほか、移送ルートとなる自治体の理解が必要になる、そのため、実施に際しまして、大量の処理水を移送する手段の検討、準備に相当な時間を要するとともに、多岐にわたる関係者との事前調整が必要であること、また、福島第一原発の敷地外に新たに敷地を確保しALPS処理水を保管する場合、保管施設を設置する自治体の理解を得る必要があるほか、原子炉等規制法に基づく事業許可を得た上で、同法に基づく保安検査を受ける必要がある。

 このように、相応の設備や多岐にわたる事前調整、認可手続が必要でありまして、相当な時間を要する、このような指摘がなされてございます。

足立委員 大臣、これは、さっきのプロコンというか、メリット、デメリット、選択肢ごとのメリット、デメリットという話に通ずるので、一つの事例として申し上げているわけですが、今、片岡さんから御紹介があった資料、私も拝見しています。元々これは読んでいたんですけれども、改めて、逆に言うと、これが全てなんだなと。

 今、片岡さんから御紹介があった、これはデメリットですよね、デメリットというか課題。もし、私たちが申し上げている選択肢を、要は福島の外に持ち出して大阪湾に出すと言ったら、それはこんなに大変だからという課題なんです。

 でも、繰り返しになりますけれども、何事もメリット、デメリットがあって、私は、この話はメリットもすごく大きいと思うんです。だって、そうですよね、問題ないんだから、処理水。だって、元々、再処理施設とか、世界中でそれは海洋に放出されているんだから。ところが、韓国とか中国とか、そういうところが絶えないわけでしょう、いろいろ風評をまき散らすわけです。

 かつ、原発については復興所得税の議論もありましたけれども、僕はあの税は反対でしたが、国民が連帯してそこは支えていくという議論もあったと思います。

 だから、処理水について、やはり私は、コップ一杯でいいんですよ。いや、一杯というわけにいきませんよ、一杯というのは子供の遊びみたいなものですから。だから、コップ一杯じゃいかぬけれども、コップ一杯でいいんですよ。だから、やはり電力大消費地がそういうものを、負担をしっかりと一緒に負っていく。基地負担もそうですよ、沖縄の基地負担。

 私たちは大阪でできた政党ですが、常になぜ私たちが大阪で踏ん張ってきたかといったら、大阪が、戦後、経済復興、それから経済成長の中で東京一極集中が進む中で、一番経済的にあおりを食ってきたのが大阪だったわけです。だから、経済的には大変つらい立場をずっと負ってくる中で、その経済再生、大阪再生ということをこの十年やってきた。

 同じように、私が注目している、やはりずっと力を入れてきたのは三つあるんですよ。大阪の経済再生と福島の復興と沖縄の基地問題ですよ。全部同じなんです。東京一極集中の、言ったら永田町政治の中で、それが特定のところに負担がしわ寄せになっているわけですよ。それをどうやって国民全体で負担していくかというのが日本維新の会の党是としてずっとあるから、思いつきで大阪湾と言っているんじゃないんですよ。これはもうポリシーなんです。

 だから、私は、もうこれをひっくり返すつもりはありませんが、やはり改めて、大臣、こういうところも、大臣がちゃんとそのメリットを、今私が申し上げたのはメリット、国家的メリットです。国民全体で負担するというのは国家的なメリットがあったはずなんです。でもそれは、今、片岡さんがおっしゃったような課題で却下した。本当に政治家が、大臣が、総理が机の上に並べて判断したんですかという問題意識を今日は申し上げたかった。

 同じことになりますが、しっかり選択肢のプロコンをやっていくと改めて御答弁いただければ。

西村(康)国務大臣 私ども、何かいつも結論ありきで物事を進めているわけではなくて、建設的な御提案があれば、それを真摯に受け止めて、検討した上で判断をしていくという方針でありますし、今回は、今答弁ありましたように、福島で、敷地で、千ものタンクで、もう満杯になって時間がないという中で、今回の御提案については、専門家の判断で、かなりの時間を要してしまうということから採用はできませんでしたが、今後も、様々な御提案をいただく中で、真摯に検討して政策決定していきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。ありがとうございます。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 GX脱炭素電源法、質問させていただきますが、まず、先ほども山崎委員からも御質問がありました延長期間の話ですね。

 これは、先ほど西村大臣が珍しく少し感情的にもなられて、立憲民主党さんに、じゃ、法案を出してくださいというようなことも、修正案を出してくださいというようなことをおっしゃいましたが、実は、それは山崎さんは逆説的におっしゃったんだと思いますが、私は本音で修正案を出したいというふうに思っているんですね。

 今回、様々な御苦労があって、四十プラス二十という基礎の上にいわゆるアディショナルタイムというものを、これを認めるというような改正案を出されているんですけれども、私はやはり、他の諸国と同じように、先ほど田嶋委員もおっしゃっていましたが、利用と規制ということをしっかり今回整理をするということであれば、四十プラス二十ということではなくて、利用については利用でちゃんと、しっかり利用できるだけ利用していく、ただし、規制の側でしっかりそれは、長期間運転していく場合には厳しく見ていくんだと。

 過去の答弁においても、長期間になればなるほどより厳しい規制というものをやっていくので、結果的に安全じゃないものは使えなくなりますよというようなことも、これは国会の審議の中でも明らかになっているわけです。

 私は、一番問題だと思うのは、例えば、我々の将来世代が、また同じように国会で多大なる政治コストを払って、じゃ、もうちょっと新しいリプレース、もしかしたら、これは立憲民主党さんの多くの皆さんがおっしゃっているように、原発はもう合わなくなるということで店じまいをするということもあり得るんだと思いますが、仮にそのまま原子力を、我が国の脆弱なエネルギー事情からして、もうちょっとやはり使わなきゃいけないとか、もう米国の方では八十年ということもあります、それから、次の次世代型の新しい技術が出てくるまでにまだちょっとつなぎが必要なんだという場合に、そのときに、また何か今回のような大きな政治コストを払って、そして審議も費やさなきゃいけないということは、私はこれは避けるべきだったんじゃないのかなというふうに思うんですね。

 そこで、最初に大臣にお伺いするんですが、運転期間の制限を撤廃するような議論も審議会でもなされたというふうに承知をしておりますが、今回のような形で、四十プラス二十そしてプラスアルファというような形での改正になった理由をお答えいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 今回の措置でありますけれども、何よりも、繰り返し述べておりますとおり、令和二年七月に原子力規制委員会が、利用の期間を認めるかどうかは利用政策の判断ということで、規制委員会が判断すべきものではないという見解がまとめられて、私ども、利用と規制の条文の整理をしっかりしなきゃいけないというのが元々にあったわけであります。

 その上で、その後のロシアのウクライナ侵略などあってエネルギー危機ともいうべき状況になって、エネルギーの安定供給と同時に、長年の課題である脱炭素化、カーボンニュートラルを進めるという中で、原子力が重要な位置づけになるということで今回提案をさせていただいているんですけれども、よく御存じのとおりであります。

 その上で、この運転期間については様々な議論がございました。英国、フランスは御案内のとおり上限がありませんし、アメリカも八十年まで認めたものが六基あるということで、非常に長い期間を認めているということで、審議会の専門家の中からは、この運転期間について、上限を認めなくていいんじゃないか、まさに御指摘のように、我が国のエネルギー安定供給の観点からは将来のことも考えて認めなくてもいいのではないかという御意見があったことも事実であります。

 他方、立地地域からは、高経年化した炉の運転期間、これに制限を設けないことへの不安の声が寄せられました。また、福島第一原発の事故のことも、私ども、国民感情も含めて、やはりこの事故のことをいっときたりとも忘れてはならないということ、そして、その事故を踏まえて作られたこの現行規定、現行法制、この趣旨も考慮すべきだという御意見もいただきました。

 そうした中で、今、いろいろな幅広い御意見があった上で、私ども、政策判断として、四十年、二十年の枠組みは維持をして、そして、規制が厳しくなっておりますから、その規制に対応するための運転を止めていた期間についてはそれを除外するという案もお示しをして、最終的に審議会で御了解をいただいて、政策判断としてこの案を提案をさせていただいたということであります。

 いずれにしても、規制委員会は規制委員会で、三十年、十年以内ごとに厳しい審査がありますので、それが通らないと、その認可を受けないと運転はできないということは、これは安全大前提の下で進めていく上で当然のことでありますけれども、利用側の政策としては、政策判断で、いわば自己抑制的にそのような判断をさせていただいたということでございます。

小野委員 御心配が地域の皆様にあるとか、あるいは自己抑制的にというようなこと、政府の中でも相当いろいろな議論をされたことはもちろん分かるんですが、ただ、やはり我々は、もうちょっと本当に政策に関しては冷徹にやらなければいけないというふうに思っていまして、利用する側と、それから規制する側というのは、これは役割を明確にした上で演じていくということもやはり我が国では私は必要なんじゃないかと。非常に日本的だというふうに私は思うんですが。

 この先に続く質問も同じようなことに関わるんですが、このプラスアルファのアディショナルタイム、これは先ほど松山部長も答弁の中で全部お読みをされていましたので、この内容については私も指摘をしませんが、様々な例えば新規制基準ができたことによって、それに対応するために、まさに大臣がおっしゃる他律的な理由によって運転ができなかった期間を合わせた上で、そして、六十年のうちからプラスで認めていくような期間を乗っけていくというようなことなわけですけれども、この五つのアディショナルタイムの性格というものが私はすごく気になるんですが、どういう考え方でこれは定めたのかというのを御説明いただきたいんです。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の運転期間の在り方に関しては、審議会で様々御議論いただいた上で案を作ったわけでございますが、その際には、イギリス、フランス、アメリカのような、制限を設けないという案ですとか、現行のままを維持するという議論とともに、利用政策上、運転期間の上限を設けつつ実質的に六十年動かすというような、限定的なカウント除外をするという案をお示しし、議論に至ったわけでございます。

 この三つ目の案というものは、審議会の中の議論で様々な御指摘をいただいたわけでございますが、運転の停止期間というものは運転できる期間としての年数のカウントに入れるべきではないのではないかという御指摘を多々いただいたところでございまして、そういった事業者の責にはよらない他律的な要因によって止まった期間についてはカウントせずに、それ以外のところで運転の期間ということを考えていくべきではないかという御意見、考えがたくさんありましたので、それを反映しつつ案を作ったものでございます。

 今委員から御指摘ございました五つの項目というものが、今回の条文として、案としてお示ししているわけでございますが、それもいずれも、今申し上げた中で、他律的な事項についてはこのカウントから除外する。

 他律的ということは、逆に申し上げますと、事業者の責による、明らかに事業者の責任において止まってしまったというようなものについてまで認めてしまいますと、これはモラルハザードに陥ってしまいますので、そういうことを除く趣旨から、他律的な事由による停止期間に限って除外するという考えにし、それを具体化するものとして五つの項目をお示ししているものでございます。

小野委員 これも、先ほどの話と同じように、非常に日本的だなと私は感じるんですね。他律的なものはアディショナルタイムとして認めるけれども、自らの責めによるべきものは、これはまかりならぬというような整理がなされているわけなんですが、結構それはもっともらしく聞こえるんですが、全然科学的じゃないと思うんですね。

 つまり、そもそもこれは何でアディショナルタイムを認めているのかというと、それは、中性子脆化とかそういったものがないでしょう、ですから、そこについては使えるようにしましょうというようなことだったはずなんですけれども、そこが、何か事業者がへまったからということで、どんどんどんどん狭まっていく。彼らも、確かに悪意もあるでしょう、ただ、経営体力が落ちている。例えば東電なんかだと、本当に優秀な人材がどんどん抜けちゃっている。私の知り合いの人でも、やはり残念ながら、福島の事故の後に東電を見限って出ちゃっている優秀な人がたくさんいます。

 そういう中で、何とか原発を再稼働に向けて頑張っていこうと言いながらも、ガバナンスも、そして人材も非常に厳しくなっているというような状況があって、これはもちろん責めによるものでありますが、ただ、私は、国民の皆さんにも申し上げたいことというのは、原子力発電所というのは、これは国策だと思うんです、民間で進めるようにはなっていますが。そして、これは推進するにせよ廃止するにせよ、我々の税金を投入しなければいけません。

 こういう中で、私たち日本は、ずっとエネルギーに苦労していた国民でもあります。そういう中で、いかにして使えるものはしっかり安全性を確保しながら使っていくのかということが一番私は大事だと思っていて。なので、刑法を勉強すると、行為無価値と結果無価値という話があって、何かそれに似ていて、結果無価値というのは非常にドライに判断するんですが、行為無価値というのは、結構、その行為自体がどうなんだということを問う。でも、やはり利用と規制の問題というのは、刑法以上に我々は厳格に、どこまで使えるのか、そして、それをどれだけ厳しくちゃんと技術的に評価するのかということを峻別しなければいけないんじゃないのかというふうに思っています。

 ちょっと質問を、この流れでいうと、一つ飛ばしますね。

 例えば、今回の法案にこういう条項があるんですね。原子力発電事業の譲渡とか事業者の合併とか分割とかということが規定をされていて、私も、先ほど申し上げたように、電力会社の経営が原発を維持するには非常に厳しいんじゃないかということは、これは前回、予算委員会でも質問させていただいたことでもあるんですけれども、そういう中で、じゃ、事業承継をした、例えば、今の電力会社だとちょっともう原発を維持できないので、これは再編も考えなきゃいけないねということも後でちょっと質問したいと思いますが、そういうふうにした場合に、例えば延長の取消しとかが前の事業者であった場合に、次の承継した人はその地位も承継して、延長のプラスアルファが認められていたものが取り消されたからといって、じゃ、もうそれは責めによるべきことで却下されたので、新しい人もそれを承継してくれということで認められないのかどうか。この辺についてどうお考えでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今般講じます措置におきましては、運転期間に係る認可が取り消された場合でありましても、事業者が改めて認可を申請することを制限しておりませんので、改めて申請することが可能になります。このことは、認可を取り消された事業者の発電事業につきまして譲渡、合併、分割などがあった場合も同様でございます。ゆえに、新たにその事業を営むこととなる事業者は、改めて認可を申請することが可能となります。

 その場合には、改めまして申請された中身について認可基準に適合するかどうかを厳格に審査することとなりますので、個々別々に認可に該当するかどうかということが判断されることとなると認識してございます。

小野委員 もうちょっと確認したいんですが、通告のときにはそこまで厳密に私も質問をお伝えしていなかったと思いますけれども、要するに、責めに帰すべき事由があって、それでカウントされなかったという期間が例えば二年ありましたと。でも、そういうものが次の事業者に移った場合、取り消されたときに、そういうものも次の事業者は、承継した事業者は前の会社とは関係ないので、そこも含めて復活する余地があるんでしょうか。更問いなので、別に分からなきゃ分からないでいいですよ。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これはもう、この法案が成立した暁の後に定めますルールによりけりということになるわけでございますが、非常に漠然としたことしか申し上げにくいわけでございますが、いずれにしろ、認可のもう一回申請をいただいて、その個別の審査ということになるわけでございます。

 事業者が当然のことながらその権利を引き継ぎますので、そのときに、前の事業者の行った責めによる事由のものがどれぐらい引き継いだ事業者の中に引き継がれるものかどうかということが、恐らく審査の中身になってくるわけでございます。

 というところまでしかちょっと今は申し上げられないところでございますが、一般的にはそういうことで、個別に審査することになるかと認識してございます。

小野委員 ありがとうございます。

 そういう面倒くさい事例は起こらないんじゃないかという先ほど声もありましたが、私は起こり得ると思っているんですね。

 これからちょっとお聞きしたいんですが、電力会社の再編とか、そういったものをやはり考えないと原発を維持できないんじゃないかというようなことを私は思っていますが、そのことについて青写真を描いて、やはり原発をちゃんと安全に動かす、そのためには事業環境もしっかり充実させることが大事だと思っていますが、そういったことを今経産省の中で検討しているということがあればお聞きしたいんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 電気事業者がまさに電力の安定供給の責務を果たしてもらう、あるいはバックエンドも含めた原子力についての責任を果たしてもらう上で、御指摘のように、経営基盤をしっかりと維持し、強化をしていくということは極めて重要であるというふうに認識をしております。

 これも、一義的には民間事業者の側で、何か再編も含めて事業運営や連携をしたり、そういったことについては、まずはそれぞれの事業者の経営判断があるものというふうに思いますが、その上で、今回、国の責務も明記をするところでありますし、私ども、エネルギーの安定供給をしっかりと責任を持って果たしていくという中で、今の時点で何か直ちに再編が必要であるとは考えておりませんけれども、今後も、安定供給をしっかりしていくという観点から、事業環境の整備を進めていくと同時に、全体の体制の在り方については、事業者とも率直に意見交換しながら、ある意味、不断の見直しは行っていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 すぐにということはもちろんないとは思いますけれども、ただ、そのうちこれはやはり考えなければいけないことだと思います。本当に原子力を生かしていくというようなことであれば、それは責任を持って国が、先ほど足立委員からもありましたが、責任を持ってちゃんと安全に動かせるような環境づくりというのは大事だと思いますし、そして、先ほど、午前中の質問にもありましたけれども、大島委員からも、安全対策に関しては数千億規模のものが一基に対して必要になると。今、例えば中国電力とか北陸電力というような電力会社は、総資産でも二兆、三兆しかないわけですね。そういう中で、やはり安定した原発を動かしていくための経営体力というものが必要だと思いますので、そこはしっかりと検討していただきたいと思います。

 あと、時間、十分ぐらいですけれども、今日は原子力規制委員長の山中委員長にもお越しをいただいておりますので、私も何度も質問していることでございますが、改めてお伺いをしたいと思います。

 審査の効率化というものは非常に大事だと思います。もちろん、これはスピード重視で安全性をないがしろにしていいというものではありませんが、ただ、私もATENAの議論とかを聞いておりますと、やはりまだまだ、先ほど更田前委員長の新聞記事も、田嶋委員、非常にあれはいい記事だなというふうに思いましたが、やはりコミュニケーションをしっかりもっと柔軟にしていく努力が必要だと思います。

 そして、様々な厳しい目がありますので、それをどうしても避けてしまうようなところが、私は、エネ庁とそれから規制委員会、どちらにもあるような感じがするんですけれども、私はやはり堂々とやるべきだと思うんですね、堂々と。例えば、そういう頭の体操というのももちろんあったんでしょうけれども、ただ、やはりしっかり文書で示せるようなことを堂々とやったらいいと思います。それに関してちゃんと国民が理解してくださるようであれば、堂々とちゃんと原子力行政を進めることができると思います。

 その上で、審査の効率性について改めて委員長にお伺いをしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力の安全の追求には妥協は許されません。審査では、規制側と事業者側の双方が納得いくまで議論することが不可欠です。

 その上で、審査プロセスの改善は、もとより原子力規制委員会としても強く望むところでございます。様々な工夫を現在行っているところでございます。

 具体的には、事業者の地質等の調査方針や実施内容をあらかじめ確認して早い段階から指摘を行う、審査会合の最後には指摘事項を双方で確認して共通理解を得る、審査項目ごとに事業者の資料準備状況や想定スケジュールの提示を求め確認するなどの改善の取組を行っておりますが、事業者が提示した時期に必要な資料が整わないなど、スケジュールの遅れもいまだ見られるところでございます。

 いずれにいたしましても、審査を着実に進めていきますためには、事業者、規制側の双方の努力が必要であると認識しております。

小野委員 まあ、従来どおりのお答えですけれども。スムーズなコミュニケーション、特に、全てフルオープンとか何だとかということもあるかもしれませんが、それも、実質的にちゃんとオープンさを確保できるということで、しかも生産性を上げられるような取組はどんどんすべきだと思いますし、いろいろな批判が来るとは思うんですけれども、私はやはり堂々と説明すべきだと思うんですね。

 このままだと、アメリカの規制委員会の人たちから、日本の一体この原子力行政というのは、本当にコミュニケーションがうまくいっていないよねというのが毎年毎年同じことを言われ続けている、これはやはり改善をしていただきたいと思いますので、とにかく、様々なことをおっしゃる方はいますが、逃げずに堂々と主張するというのを是非やっていただきたいと思います。私たちは、それは全面的にバックアップしたいというふうに思いますので、是非それはよろしくお願いいたします。

 あと、今回の運転期間の延長ということで、長期施設管理計画の審査というのもこれからどんどん出てくるわけなんですが、再稼働の申請、新規制基準の審査のスケジュールとか、業務量が多くなるわけなので、何か影響があるんじゃないかというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 今回国会に提出させていただきました原子炉等規制法の改正案では、新制度が施行されるまでの期間において、あらかじめ新制度における長期施設管理計画の申請、認可ができるように定めております。その期間は現行制度と並行して審査を行う必要がございます。

 業務量につきましては、まず事業者において申請時期等の検討がなされるものであるため、具体的には今お示しすることはできません。しかしながら、一方で、既に原子力規制委員会として確認している審査内容を新制度において活用するといった合理的な審査や、審査体制の強化も含めて、審査を着実に進めていくための取組を引き続き検討してまいりたいと考えております。

小野委員 ありがとうございます。いろいろな工夫をしていただいて、迅速に、そして規制委員会の皆様の審査の生産性を上げていく努力、工夫をしていただきたいと思います。

 次に、今回の法案でも、今度は再エネの方、こちらに行きたいというふうに思うんです。

 再エネの認定事業者が、様々な、例えば住民説明会とか、いろいろ今回、規制が加わっているんですね、そういうものをやっていないとかということで、それで認定がされなくなるみたいなこともあるわけですが、その途中過程において、交付金相当額の積立金をちゃんと積みなさいというような制度ができ上がります。

 つまり、再エネを発電して本当は入ってくるお金が、それが違反事項があった場合、地域にとって迷惑施設みたいなことがあって、それを是正させるためにそのお金を積立金として一時預かるというような制度ができたわけなんですけれども、これは、私ももちろん迷惑施設みたいなものは是正しなければいけないと思うんですが、やはりそういうようなことがあると、資金的なリスクというのも結構発生してきます。

 我々、まだまだ再エネを伸ばさなきゃいけないという環境の中で、こうした今回の、太陽光が中心だと思いますが、普及は、ある程度規制をかけてしまうような方向が結構たくさんあるなというふうに思っているんですが、この辺は普及に水を差すようなことにならないのかどうか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の制度につきましても、我々も問題意識を同様に持っておりまして、今回の制度では、事業者による関係法令違反が解消された場合は、違反期間中に積み立てられた支援額を取り戻すことができる仕組みにしてあります。

 これによって、事業者による早期の違反解消と関係法令を遵守した再エネ事業の実施を促す、こういう仕組みになっているということを、法案を成立させていただいた暁には事業者の方々にもしっかりお話をしていって、御説明もしていって、過度なリスクになっているわけではないので、引き続き、再エネをしっかりやっていただきたいということに水を差さないように取り組んでいきたいと考えております。

小野委員 違反している事例というのは、多分、相当、比率としては多くはないんですけれども、目立つので、やはりこういう対応もしなければいけないということだと思いますが、規制は規制ですから、そこを、こういう形でしっかり守ってくれればいいんだよという説明もしっかりしていただきたいと思います。

 大臣、この再エネをどんどん伸ばしていこうという意気込みを是非、これは規制が結構いろいろありますが、その点、お述べいただければと思います。

西村(康)国務大臣 私も、かつて経産省におりました折に、省エネ法、新エネ法の改正などに携わりましたし、また東日本大震災のときには、経産部会長、野党の経産委員会の筆頭理事でありました。FIT法の改正案を野党として提出をして、それの下に成立させたという経験もございます。まさに再エネに取り組んできた一人だというふうに自負もしております。

 今答弁がありましたけれども、地域との共生というのは非常に重要な点でありまして、環境あるいは景観、これを乱しているものもございますので、そうしたものに留意をしながら最大限進めていく、そうした方針で、今回も、送配電網の整備、あるいは、蓄電池は別途予算を確保して開発も設置も進めていくという中で、しっかりと再エネ、できる限り導入を進めていきたいというふうに考えております。

小野委員 その姿勢でしっかり進めていただきたいと思います。

 最後の質問なんですけれども、ちょっとパネルを使わせていただきます。

 今回、再エネの賦課金を、それを事前に、再エネを送配電するような大規模な系統を造っていくということで、今までは太陽光発電所とかそういうところに再エネ賦課金を支払っていたんですけれども、それを、そういった系統をやはり造っていかないと再エネも普及できないということで、入れていく、使っていくということなんですけれども、ちょっとお伺いしたいんです。

 再エネの賦課金の用途、これは国民が相当なお金を、月々千円とか、そういうものを払っているわけなんですけれども、再エネ発電事業者に対して支払われている額とそれ以外の比率というのはどんなものなんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二三年度の再エネ賦課金でございますけれども、支出の方、四・七兆円を見込んでおりますが、このうち、再エネ発電設備で発電された電気の買取り費用が約四・五兆円と、ほぼ全てでございます。これに加えまして、FIT電源の発電量の予測誤差への対応、このために調整力を確保しなきゃいけない、これに約〇・二兆円を見込んでおります。

 二三年度につきましてはここまででございまして、今後、系統にも出ていくということでございます。

小野委員 こういう質問をするときに、国民の皆様に分かりやすくということで、ちょっと今日はパネルを使わせていただきました。

 再エネ賦課金というのは、我々、相当割高な電気料金を皆さん支払っているわけですが、今までは、これはそういう太陽光発電の事業者だけに支払われていましたが、これから系統とか、あるいは、太陽光の裏で、ちょっと天気が悪かったりして発電できなかった場合のほかのバックアップ電源にも回っているとか、こういう事実もありますので、これから再エネをしっかり普及させていくためにはいろいろなお金の使い方をしなきゃいけないんだということも、我々、消費者のレベルでもしっかり説明もしていただきたいと思います。そういうことが普及にもつながるというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 冒頭、大臣、通告はしていないんですけれども、元々、僕、三月二十四日に質問したくて時間がなかったんですけれども、チャットGPTについてちょっとお尋ねしたいんです。

 十日、総理がオープンAIのチャットGPTのCEOに面会をしたと。その後、大臣の方が十一日にコメントを出されているんですけれども、その中で、実際、大臣の方で、このチャットGPTについて、今後業務としてどういうふうに活用されていくのか、再度コメントをいただきたいなと思います。

西村(康)国務大臣 記者会見で、閣議後の会見でお答えをしたんですけれども、チャットGPTを始めとして、まさに高精度な言語AI、これは、更なる性能向上で、私は、様々な可能性、これはコンサルティングあるいは検索サービス、言葉を使う仕事など、抜本的に変える可能性があるというふうに認識をしております。

 したがって、経産省としても、補正予算で九百億円いただいておりますので、これに向けてコンピューティング基盤をしっかり強化をしていくということで方針を組んでいるんですけれども、今後、どういった分野で活用が可能か、あるいはどういうふうに日本として開発利用していくのか、これは是非戦略を詰めて考えていきたいというふうに思っております。

 その上で、行政での利用についての御質問だと思いますけれども、課題はもちろんございます。セキュリティー、プライバシー含めて、様々な課題がございます。今、政府機関においては、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準というのがございますので、これに基づいて、経産省でも、仮にチャットGPTを利用する場合にも、これを踏まえて、基づいて、業務上の必要性やリスクを踏まえた上で利用の可否を判断していく必要があるということがまず前提であります。

 更に申し上げれば、こうした懸念点が解消された場合、当然、機密情報の取扱いへの対応など、こういったことも含めて懸念点が解消された場合においては、これは公務員の様々な事務作業においても、国会答弁などにおいても、もちろん答弁はそれぞれ閣僚なり政務、政府参考人がするんですけれども、その作成の過程では非常に効率的にできる面もあるというふうに思いますので、懸念点を解消しながら、そうした可能性も追求はしていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。

 僕も、一回、大臣の名前、チャットGPTで調べたんですけれども、東京都出身になっていましたね。お父様が不動産をされていて、それを継いでいるという、そんなことになっていたので。まだまだこれ、ちょっと難しい部分はまだ現状あると思いますけれども、是非、大臣、答弁いただいたように、今後、可能性は非常に高いのかなというふうに思います。

 それでは、ちょっと原発の稼働、廃炉についての質問をさせていただきたいと思います。

 二〇三〇年度に原子力の電源構成を二〇から二二%程度を占めることを想定していると。温室効果ガスの排出量についてちょっと確認したいんですけれども、石炭火力、石油火力、LNG火力に比べると、原発のCO2などの温室効果ガス排出量についてはどの程度なのか、確認したいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力は発電によりCO2を排出しないのに対しまして、火力発電につきましては、環境省によれば、例えば、従来型の石炭火力は一キロワットアワーの発電により〇・八六七キログラム、従来型の石油火力は一キロワットアワーの発電により〇・七二一キログラム、従来型のLNG火力は一キロワットアワーの発電により〇・四一五キログラムのCO2を排出するとされております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 例えば、原発なしで脱炭素化の目標を達成することが実際できるのかどうか、また、再生可能エネルギーで脱炭素化を進めようとするとどういう限界が存在するのか、確認したいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度四六%温室効果ガス削減を目指す上で、徹底した省エネや非化石エネルギーの拡大を進める上での需給両面における様々な課題の克服を想定した場合にどのようなエネルギー需給の見通しとなるかを示すものとして、二〇三〇年度のエネルギーミックスをお示ししているところでございます。

 二〇三〇年度のエネルギーミックスでは、二〇三〇年度の電源構成につきまして、再エネ三六から三八%、原子力二〇から二二%、火力四一%、水素、アンモニア一%との見通しを示しているところでございますが、仮に脱炭素電源である原子力発電を利用しない場合、再エネや水素、アンモニアの更なる導入により代替するか、あるいはCCUSや水素、アンモニア混焼等によって火力発電の脱炭素化を進めるということになるわけでございますが、我が国の再エネ適地の状況であったり、現時点での技術水準を踏まえますと、これを実現することは困難であると考えられます。

 このため、原子力発電を利用することなく二〇三〇年度四六%温室効果ガス削減という国際公約を実現することは、少なくとも現時点では困難であると考えております。

遠藤(良)委員 原発なしではこの目標を達成できないということだと思うんですけれども、今日も原発の運転期間の延長の話がずっと出てきていますけれども、その中で、四十年を二十年超える場合、二十年を、運転を停止していた期間に限り、これを更に延長できるということなんですけれども、安全性が問題なければ、アメリカのように延長制限を設けないことも考えられると思うんです。足立議員が質問した中で、立地地域から不安の声があったとのことだったが、それについては、延長期間の制限を設けるのではなく、場合によっては意見を聞くといった手続を設けることで足りたのではないかなというふうに思うんですけれども、この辺り、実際どのように捉えられているか、確認したいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の運転期間をめぐる措置については、やや繰り返しの御答弁になりますけれども、審議会の中で様々御議論がございました。欧米のように、欧米というか、イギリス、フランス、アメリカのように制限を設けないという案と、現行のような形の期限を残すという案と、そして一方、実質的な六十年といいますか、四十年プラス二十年ということを維持しつつ、カウントの中で一定のものを除外するという案とございました。

 様々な御意見がございまして、これはあくまでも、原子力規制委員会の安全審査を通った発電所をどこまで使うかという利用政策の議論でございます。既設の原子力発電所というかなり昔にできたものをどう使い続けるかということでございますが、その際には、安全性という側面もあれば、安定供給という側面もあれば、脱炭素という側面も、様々ございます。その際に、もうこの規制、規律、要らないのではないかという御議論があると同時に、一方で、そういう高経年している発電所について、動き続けるということについての不安というのもございます。ですので、同時に、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて制限を設けてきた現行の規定の趣旨を考慮すべきだという御意見もやはりございました。

 そういうことを様々考えていった場合、個別の意見ということを聞くということではなく、制度論として考えた場合に、今回、案としてお示ししているような形で、実質的な、既設の発電所の運転し続ける期間というもの、この実質のところを、六十年という上限を維持しつつ、運転期間のカウントから一定の停止期間を除外することを認めるというのが、利用政策上のエネルギー政策としての考え方としては、政策判断として妥当ではないかという結論に至り、今回提出している案になっているところでございます。

遠藤(良)委員 これは、テロとかそういった想定をした施設である特定重大事故等処理施設の建設が遅れて停止となった期間も、電気事業法二十七条の二十九の二第五に該当して、この延長期間に含まれるということでよいのか、確認したいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもちょっと、趣旨のところだけ繰り返して申し上げますと、今回の運転期間に関する措置は、実質的な運転期間の六十年という上限を維持しつつ、震災以降の法制度の変更など、事業者から見て他律的な要素によって停止していた期間に限り、この六十年という運転期間のカウントから除外するということを認めるという案でございます。

 そうした場合、今御質問を頂戴しました特定重大事故等対処施設の設置につきましては、東日本震災後に制定された新規制基準において新たに要求されたものでございますので、これに対応するための停止期間というものは、事業者から見て他律的な要素によって停止していた期間とみなされ得るため、カウント除外の対象となり得ると考えているところでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、個別の当てはめについて申し上げますと、具体的な期間等を含めまして、事業者からの申請内容を個別に審査した上で判断することになるというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 これは、むしろ、特重施設のみが完成していないものについて、規制委員会が認める場合は運転を可能にすべきだというふうに思うんです。この辺り、いかがでしょう。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 特定重大事故等対処施設につきましては、その位置づけが重大事故対策の信頼性の向上のためのバックアップ施設でございます。その設置の有無が直ちに安全性に影響を与えるものでないため、当初は、新規制基準施行後五年の経過措置を設けました。

 しかしながら、この経過措置について、事業者からの意見を聴取した上で、新規制基準適合性審査において、本体施設の詳細設計が固まった上でなければ審査することが困難であること、新規制基準適合性審査が当初の見込みより長期化していること等の事情を踏まえた上で、その経過措置の起点を変更し、本体施設の設計及び工事の計画の認可後五年と見直しをいたしました。

 一方で、特定重大事故等対処施設を備えることによりまして、安全性が高まったり、テロへの備えが強化されたり、重要な改善が進むことも事実でございます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の最も重要な反省の一つは、継続的な改善が欠けていたということであります。その約束が、改善が果たせないという事態は避けるべきであるというふうに考えております。

遠藤(良)委員 今回、原子力基本法の目的に地球温暖化の防止が入るという改正案だと思います。

 この中で、革新軽水炉については、既存の軽水炉をベースとしていて、商用化しやすいんじゃないか。他方で、高温ガス炉、高速炉の開発について予算が計上されている。

 優れたこういった技術をどんどん生かしていくべきだと思うんですけれども、この中で、高温ガス炉はヘリウムガスを使用している、高速炉はナトリウムを使用している。この中で、高温ガス炉と高速炉の開発を担うのはJAEAという認識でよいのか、確認したいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘ございましたように、今後の原子力技術、未来に向けて、次世代の革新炉の開発というのは私どももしっかり進めていかなきゃいけないと考えているわけでございますが、まず、足下では、軽水炉技術、次世代軽水炉というのが中核になりながら、実際の実働に向けて進めていくということが、中核として一方で動くわけですが、これは、今後、開発中のものも含めまして、高温ガス炉、高速炉といったものの開発も併せて進めていく、研究開発を進めていくということで考えております。

 その際の実証炉の開発について申し上げますと、これは、外部の有識者による技術評価を踏まえまして、先ほど御指摘いただいた予算を確保しつつプロジェクトを組んでいくわけでございますが、今後、開発を担う民間企業を、その有識者による技術評価を踏まえた上で選定し、設計等の作業を進めていくことになる。民間企業のコンソーシアムというか、プロジェクトの体制で進めていくことになろうかと考えています。

 その際、御指摘のございました日本原子力研究開発機構、JAEAでございますけれども、こちらは様々なノウハウ、技術を持っている機関でございます。技術基盤の整備、安全性向上に関わる要素技術の開発、こういったものをこの機構によって担っていくということが想定されると考えてございます。

遠藤(良)委員 実証炉の建設については、高温ガス炉も高速炉も同じ事業体で実施した方が原子力プロジェクトのノウハウが共有できていいと思うんですけれども、その辺り、どうでしょう。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、高温ガス炉については旧日本原子力研究所、旧原研でございますけれども、この下で実験炉のHTTR、高速炉につきましては旧動力炉・核燃料開発事業団、旧動燃でございますけれども、この下で実験炉常陽、原型炉「もんじゅ」というものの開発が進められてきたところでございます。それぞれ研究開発の初期の段階であったために、これらの組織が主体となって独自にプロジェクトを進めることで、知見、ノウハウを集積してきたという歴史と積み重ねがあるのは事実でございます。

 今後の開発ということを考えた場合、これまでの実験炉や原型炉の段階から、商業化を見据えた実証炉の段階に進むことになるわけでございます。このため、こういう機構ということだけではなく、むしろ、プラントメーカーはもとより、電気事業者の参画も幅広く得ながら、関係者の英知を結集する体制を新たに構築することが重要になってくる。その際に、JAEAの基盤技術、知見というのを生かしていくことは、御指摘のとおりだと考えてございます。

 海外の例で見ましても、高温ガス炉では、イギリスの実証炉建設に向けた開発のパートナー候補として、JAEAが参画するグループが選定されているほか、高速炉で申し上げますと、フランスとの基礎研究における連携、二〇三〇年頃に実証炉開発を進めるテラパワーとの技術協力、こういったものも進んでいるところでございまして、こういったノウハウ、英知を結集することで進めていくということだと考えてございます。

 いずれにしましても、JAEAを含めて、電力事業者等の関係者が結集した形で、オール・ジャパンの司令塔組織の下で体制を組み、取組を進めていきたいというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、JAEAのそういったノウハウを生かして、新型の革新炉であったり実証炉の建設についての検討を進めていただきたいと思うんです。

 我が党の足立議員もずっと、責任の明確化というところ、話が出ていたんですけれども、維新の会では、申請時の都道府県知事の同意であったりとか、原子力規制委員会の許可に当たっての内閣総理大臣の同意を必要とするという案を出していますけれども、他方で、同意をした都道府県は事業者支援の努力義務を課すことにする、こうした手続の要件を明確化していこうと。

 以前、大臣の方から、立地自治体等の関係者に対する理解活動を丁寧に進めることが重要であるという答弁があったと思います。これは確かに重要だと思うんですけれども、しかし、最低限の法定要件として、知事や総理の同意を明記しつつ、国は原子力事業者に援助していくことで責任が明確になる。やはり知事や総理の同意を法律で定めていく、こういったところについてはどのようにお考えなのか、お尋ねします。

西村(康)国務大臣 まず、原子力施設の安全規制についてでありますけれども、これは、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的見地から行うべきものでありますので、専門性を持たない自治体やあるいは総理による判断はなじまないというふうに認識をしております。

 その上で、原子力発電所の稼働については、地元の皆様の理解と信頼を得ながら進めていくことが重要であります。ただし、各地によって事情は様々であることから、国が何か法令によって一方的、一律的に進め方を決めるのではなく、それぞれの地域の事情に応じて、地域の方々と丁寧に相談しながら対応することとしております。

 今御議論がありました次世代革新炉の建設の際、これは廃炉になったところの敷地内ということでありますので、かなり限定的でありますけれども、これについても同様と考えております。対象となる地域の状況に応じて、理解活動を丁寧に進めていくことが重要であるというふうに考えておりますが、その上で、原子力政策を含めたエネルギー政策は、広域の電力供給の安定性など、我が国の国民生活、社会、経済全体の状況を踏まえて、国が責任を持って決定すべきものであるというふうに考えております。

 したがいまして、各自治体にその判断を委ねることは適当ではなく、国がその責任をしっかり負うべきだというふうに考えているところであります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 国が責任を持っていくというところで、万が一事故が起こった場合の責任の所在が曖昧だ。今回、原子力規制法で、安全神話という文言を入れていると思うんですけれども、この安全神話というところで、責任の所在を明確にすべきだと思うんですけれども、原子力損害の賠償に関して、原子力事業者の負担を有限として、これを超える金額は国が負担するということを法定することについてはどのようにお考えなのか、お尋ねします。

西村(康)国務大臣 原子力事故の損害賠償に関しましては、原子力損害賠償法の規定によりまして原子力事業者に無限の責任を負わせる一方で、千二百億円とする損害賠償措置を超える賠償については、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく事業者間の相互扶助によって、その賠償資力を確保する制度となっているところであります。

 事業者の責任を有限とすることについては、過去の法改正時にもかなりの議論が行われましたけれども、被害者保護のための賠償資力を最大限確保しつつ、どのように責任限度額の水準を決定するのかなど、様々な課題があります。どのレベルまでにするのかということですね。そうした議論を経まして、無限責任を維持することは妥当というふうにされたものと承知をしております。

 国としては、今後も、事業者が、賠償規模を問わず、必要な資力の確保を行い、迅速かつ適切な被害者救済を行えるよう、原賠制度を適切に運用することで責任を果たしていくことが重要だというふうに考えております。

遠藤(良)委員 再処理等拠出金法の改正の中で、廃炉については一基について三十年かかると。廃炉が決定しているのは現在六十基のうち二十四基である。今回、原子力事業所から廃炉拠出金を納付することを規定していると思いますけれども、キャッシュを確保することは非常に重要で評価できるんですけれども、ちなみに、アメリカでは、原子力事業者を責任主体としつつ、実施主体は廃炉事業者にあって、廃炉がビジネス化されているんだと。イギリスでは、国営機関が廃炉事業を統括していると。

 実施主体を責任主体と同じ原子力事業者にしていることのメリットについてはどのようにお考えなのか、お尋ねします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 この廃炉の実施体制につきましては、今委員から触れていただきましたけれども、アメリカ、イギリス等々、それぞれの国ごとに、事業の行われている状況に応じた形で体制が取られているものだと認識しております。それを踏まえて日本はどうするべきかということについては、資源エネルギー庁の審議会でも専門家の方に御議論を頂戴した上で、今回の案になってございます。

 具体に申し上げますと、例えば海外の事例で、アメリカでいいますと、国内に三十以上の原子力事業者が百基以上、原子炉を有してございます。それを受けて、幾つかの廃炉を専門とする事業者がこの原子力事業者から事業を請け負うことによって、知見、ノウハウが蓄積し、効率的に廃炉を行うというビジネスモデルが確立している状況でございます。これを受けた形での制度がつくられている。

 一方、イギリスで申し上げますと、旧国営の原子炉が多数を占めており、同時に炉型の共通性もあるというのがイギリスの特徴でございます。そうなりますと、国営の廃炉機関、これはNDAと呼ぶんですけれども、ここが国内の廃炉を一元的に管理し、知見、ノウハウの蓄積、効率化を図っているという事情がございます。

 その上で、日本国内の事情でございますが、発電所ごとの炉型が、BWR、PWR、ガス冷却炉と様々ございます。また、原子炉の設置、運転に当たりまして、立地地域を始めとする関係者との調整において、全国に十一ございます原子力事業者が中心となり、それぞれ取り組んできた経緯、基盤がございます。こうしたことを考えますと、多数の原子力事業者の廃炉を一元化するニーズは必ずしも大きいとは言えずに、原子力事業者それぞれが自ら責任を持って廃炉に取り組むことが実態に適合であるというふうな議論をいたしまして、今回の法改正の案として御提示しております。

 すなわち、今回の法改正では、各事業者がそれぞれ行うということとした上で、効率的な廃炉を進めていくための制度的な措置として、使用済燃料再処理機構に廃炉を円滑かつ着実に進めるための業務を追加したという案をお示ししているものでございます。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

遠藤(良)委員 使用済燃料再処理機構を使用済燃料再処理・廃炉推進機構と名称変更していると。

 原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律七十一条で、使用済燃料再処理・廃炉推進機構とJAEAは連携をし協力する努力義務を定めているというところなんですけれども、これはどういった連携を想定しているのか、確認します。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構、JAEAでございますけれども、こちらは、一九九六年に日本最初の発電用原子炉でありますJPDRの廃止措置を完了した経験を有しております。これに加えまして、現在も、高速増殖原型炉「もんじゅ」、また新型転換炉原型炉「ふげん」の廃止措置に取り組んでいることがございまして、原子炉の廃止措置に関する知見、ノウハウを蓄積している機関と認識してございます。

 その上で、原子力事業者が行う商業用の原子炉の廃炉とJAEAが保有いたします研究開発用の原子炉の廃炉には、原子炉等の解体、廃炉により発生する廃棄物の保管、処理など、共通する知見、ノウハウが複数存在することが想定されておるところでございまして、このため、今般の法改正によって廃炉に関する業務を担うこととなります使用済燃料再処理・廃炉推進機構が、これはNuROと略称しておりますけれども、JAEAからこれらの知見、ノウハウの提供を受けることによって、我が国全体で円滑かつ着実な廃炉を実現することが期待できるものですから、同機構とJAEAの連携規定というものを法案の中に設けているものでございます。

 具体的な連携内容については、今後、NuROとJAEAの間で検討されるものと承知しておりますが、例えばで申し上げますと、放射性廃棄物の保管技術ですとか処理技術、こういったものに対する情報共有、共同研究といったものが想定されると考えてございます。

遠藤(良)委員 処理のところなんですけれども、今、原発の再稼働が進んでいる中で、放射性廃棄物の最終処分施設が課題だと思いますけれども、最終処分施設建設地の選定であったりとか、選定に係る期限を設けるべきだというふうに思うんですけれども、この辺り、いかがでしょうか。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 最終処分場が決まっていないことが、原子力に対する国民の皆様の懸念の一つであり、原子力を進める上で重要な課題であると認識をいたしております。

 他方、エネルギーの安定供給等の観点からは、原子力の活用は欠かすことができず、最終処分の問題と同時に議論を進めることが重要と考えております。

 その上で、最終処分場の選定は、最終処分法に基づき、地域の理解を得ながら、段階的な調査ステップを踏みつつ取り組んでいくものでございます。こうしたプロセスを経ずに性急に進めることは、なかなか難しいと考えております。

 国としては、最終処分の実現に向けまして、地域に寄り添いながら、基本方針の改定案に沿って取組を加速してまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 少し時間がなくなってきたので、次に行きたいと思います。

 太陽光パネルの国産化というところなんですけれども、再エネ特措法の改正の中で、太陽光発電設備の廃棄、二〇二〇年改正で廃棄費用の積立てがある。今回の改正で、再生可能エネルギー発電事業所の認定に当たっては、周辺地域の住民に対する説明会の開催などを計画に記載することになる。これは今、どの程度の規模で太陽光パネルを設置するときに説明会とかこういったものが必要になるのか、確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電とかの事業規模や設置形態によって周辺地域や環境へ及ぼす影響は異なりますことから、その影響の度合いに応じて説明会開催などの手続を定めていく方針でございます。

 例えば、高圧電源、五十キロワット以上の場合については、原則、御指摘の説明会の開催を求める。一方で、低圧、五十キロワット未満の小規模電源でありましても、土砂災害警戒区域内とか景観等の条例がある場合には説明会の開催を求める。こういう形で検討しておりまして、今後、有識者の審議会でも更に議論を深めていただいて、省令やガイドライン等で明確化していきたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 そういう条件があって、その中で説明会を開催していく必要があるというところだと思います。

 既存設備の更新で、これまでは全ての設備に新しい買取り価格が適用されていた。今回の改正で、更新や増設をした部分については新たな買取り価格が適用と。太陽光パネルで、壊れた部分の更新が進んでいくのかなというふうな期待もあるんですけれども、この意義と国民負担についてはどのようにお考えなのか、確認します。

井上政府参考人 委員御指摘のとおり、適地への新規の再エネ大量導入に加えまして、既に土地や系統が確保されている既設再エネの有効活用もすごい重要だと。このために今御指摘の制度をつくろうというふうに考えてございますが、適切な国民負担とのバランスも図るということは肝要でございまして、地域共生とか円滑な廃棄を前提に、追加投資を行った場合でも、出力増となる部分のみ最新の安い価格を適用し、既存の再エネの容量相当についてはこれまでどおりの価格を維持する、こういう制度にしております。

 こうしていくことによりまして、御指摘の国民負担につきましても、更新、増設により出力増となった部分については最新の十分低い価格で支援する制度ということになりますので、新規に太陽光発電設備を認定する場合と同程度の負担ということになりますから、適切な国民負担を実現しつつ、太陽光パネルの更新、投資を促していくという制度になるのではないかと考えてございます。

遠藤(良)委員 太陽光パネルの問題をちょっと挙げたいんですけれども、昨年七月に事業者による廃棄費用の外部積立てを開始したというところなんですけれども、太陽光パネル、もう十年前ぐらいから設置されてきた中で、去年ようやくこの外部積立てをした、ただ、それ以前についてはこういう積立て自体をされていないというところで、廃棄については非常に費用がかかるんだというところなんです。

 実際、廃棄のピークに間に合うのかなというふうに思うんですが、ここの辺り、どうでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、すごく大事な問題だと思っておりまして、委員おっしゃるとおり、廃棄に向けた源泉徴収的な外部積立制度は、もう法改正いただいていて始めております。

 他方で、今後ピークは、環境省さんとも議論していますけれども、二〇三〇年台後半には出てくる、それに向けて先手を打っていく必要はあると考えてございまして、先般の再エネ水素等関係閣僚会議で取りまとめられたアクションプランでも、環境省さんと一緒に早めに新しい制度的措置を検討しようという流れになっておりまして、近々、新たに研究会を開始し、年内に一定の取りまとめを行いたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 年内というところで、是非これ、非常に問題が山積みなのかなというふうに思うんですけれども。

 一方で、太陽光パネル自体が中国への依存度が非常に高いというところで、今後、国産化を含めたサプライチェーンの構築であったりとか、していった方がいいんじゃないかなというふうに思うんです。この今後の方向性についてどのようにお考えなのか、お尋ねします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 全く同じ問題意識を持っておりまして、大臣からも御答弁申し上げているところですけれども、我々といたしましては、我が国の技術自給率の向上にもつながる国産再エネの普及、その一つの例としては、次世代太陽電池のペロブスカイト太陽電池といったようなものは効果的なんじゃないかと考えてございます。

 これは今までも支援をしてきておりますが、一方で、中国であるとか欧米でも、その技術開発と生産競争、大変厳しい状況になっておりまして、我々としてもしっかりリードを生かしてやっていかなきゃいけない。その意味では、スピードと生産の規模がすごく大事でございますので、しっかりとしたてこ入れをして、委員御指摘のとおり、国内のサプライチェーン構築を取り組んでいきたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、国内産の太陽光パネル、積極的に開発を含めて検討いただきたいと思いますけれども、一方で、廃棄の部分も、国産もいいんですけれども、廃棄を更に含めた技術開発というのも必要なのかなというふうに要望したいと思います。

 最後のところで、洋上風力の発電にちょっと移りたいんですけれども、維新の前川議員の方が質問の中で、大きなポテンシャルがあると大臣の方も答弁されていたと思います。

 今年度から、JOGMECが調査をして、セントラル方式で北海道三区域が選定された。実際、このセントラル方式を取ることによってどういった効果があるのか、確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 洋上風力の案件形成ですね。現状、複数の事業者が同一海域において風況等について重複した調査を実施しておりまして、この点での非効率さ、あるいは受け手の方で、地元の漁協の皆様なんかからすると、調整等の負担が過度に生じるといったような課題が、我々もお聞きいたしております。

 このため、こうした課題を解消しようと、政府が初期段階から関与し、より迅速、効率的に風況とか地盤の調査を行うセントラル方式の確立、このために、昨年、JOGMEC法も改正いただいておりまして、今年度から調査を開始する。

 こういう形で、洋上風力発電の案件形成を効率的に、またスピーディーに、国がもっと前に出る形で進めていくということがポイントかなというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 漁業関係との調整というところだと思うんですけれども、二〇三〇年度まで、十ギガワットまで増やすという目標に向けて、今こういう目標を掲げていると思います。この辺り、見通し、最後にお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 二〇三〇年再エネ比率を三六から三八%にするという目標達成及び二〇五〇年カーボンニュートラル達成に向けては、御指摘の洋上風力発電、これは最大限導入していきたいというふうに考えているところであります。

 御指摘のように、二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件形成目標を示すということでありますので、二〇四〇年には、最大、原発四十五基分ぐらいということになります。そうした中で、既に再エネ海域利用法に基づいて合計三・五ギガワットの案件を創出しているところでありまして、着実に案件形成に取り組んでおります。

 また、今御説明ありましたけれども、二〇二三年度から、政府が初期段階から関与し、風況や地盤調査などを行うセントラル方式を導入することで、より迅速かつ効率的に案件形成が進めていけるようになってきております。

 さらに、先ほど太陽光のサプライチェーンの話もございましたけれども、産業競争力の強化に向けては、着床式洋上風力を中心とした需要を呼び水としながらも、更に拡大が期待されるいわゆる浮体式の洋上風力についても、グリーンイノベーション基金を活用して、将来のアジア展開も見据えた技術開発、実証事業、さらにはサプライチェーンの構築、こうしたことを進めていきたいというふうに考えております。

 加えて、排他的経済水域、EEZを含む沖合での大規模な浮体式洋上風力発電の導入も目指し、今後、浮体式の導入目標を掲げるとともに、具体的な制度的措置等を行うための検討を関係省庁と連携して急いでいきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、洋上風力最大限導入に向けて、政府一丸となって取り組んでいきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 大臣、ありがとうございます。本当に期待したいなというふうに思いますので、是非とも、引き続きよろしくお願いします。

 質問を終わります。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 私は、商売をやるときに、亡くなった祖父がよく言っていた言葉、この経産委員会で過去にも質問したときにも使わせてもらったんですけれども、売ってくれというのと買ってくれというのは雲泥の差だと。当たり前のことなんです。売りに行くということは足下を見られて安くなる、相手が買いに来たときには相手が欲しい値段までつり上げていっても買ってくれる、そういうのが商売だと思っています。

 それで、今回、電源法の改正が上程されているんですけれども、再生可能エネルギーをどんどんどんどん増やしていきたい、これは待ったなしの話だと思うんですね。GX推進法のときも、四六%どうやってカットするのか、具体的な話は答弁を全然もらえなかったんですけれども、結局、今問題になっているのは、中国政府による高性能レアアース磁石の製造技術の輸出規制の動きが出ているよということなんですね。

 レアアース磁石、採鉱から製造まで完結、世界で唯一中国だけ、脱炭素の主導権を握る構えだ、これはニュースで出ていたので御案内だと思うんですけれども、中国の習近平政権が高性能レアアース磁石の製造技術の輸出規制に動き出した、環境分野で国際社会の対中依存を強めさせ、脱炭素社会の経済モデルの主導権を握ろうとしているものだというんですね。中国は、レアアースを用いた高性能磁石の原料の採鉱、精錬から合金、磁石製造まで自国内で完結できる体制を世界で唯一構築しているというものです。今後もレアアースの生産を増強し、磁石の製造設備も大規模化して低コストを図り、世界市場の支配を狙うというものなんです。

 じゃ、日本の政府として、どうやって対応していくのか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、永久磁石は、例えばモーターの性能などを決定づける基幹部品であります。デジタルトランスフォーメーション、あるいはカーボンニュートラルに向けたトランスフォーメーションの実現に向けて、今後ますます世界で市場拡大が見込まれる重要な物資であるというふうに認識をしております。

 他方で、御指摘のように、日本の永久磁石のサプライチェーンについては、原材料であるレアアースの供給を特定国に過度に依存している、あるいは、国内需要に応じた国内の生産能力増強が進まず安定供給が維持できなくなるおそれもあること、さらには、市中回収される永久磁石のリサイクルが進んでいないといったような課題もございます。まさにサプライチェーンの強靱化が急務となっている状況であります。

 このため、昨年十二月に、経済安全保障推進法に基づきまして、永久磁石やレアアースを含む重要鉱物を特定重要物資に指定をしたところであります。経産省として、令和四年度の二次補正において、永久磁石で二百五十三億円、重要鉱物で一千五十八億円の予算を措置しているところでありまして、永久磁石の生産能力増強、それから省レアアースの磁石の開発、また、リサイクル技術の開発導入、レアアースの重要鉱物の権益確保に向けた取組を進めていきたいというふうに考えております。

 御指摘のように、上流から下流まで含めたサプライチェーン全体を是非しっかりと確立をしていきたいというふうに考えております。こうした取組を通じて、永久磁石の安定供給確保を図っていきたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 いろいろなものがその国にとっては戦略物資になってしまうんだと思うんですね。例えば、今余り話題になっていないヘリウムガス、アメリカから八割日本は輸入していました。八割の輸入をするのは六割ぐらいに収まってきているんですけれども、ほかの国から採掘してヘリウムを使うといったときに、採掘して自分たちでヘリウムを作れるのならいいんですよ。半導体の材料もそうですよね。シリコンはどこから買っているのということです。

 例えば農業で、窒素、リン酸、カリ、これは三大栄養素と言われている。じゃ、このうちのリンはどこから買っているのって、中国から八割買っているんですよ。それで、食料自給率が四〇%とか云々とかとおっしゃるんですけれども、リンを入れないよ、あんたには売らないと言ったら、もう日本の農業は終わっちゃいますよ。もうそこまで来ていると私は思うんですね。

 国際状況も日々変わるし、今は仲よくしていても、将来、五十年、百年先まで仲がいいかというのは誰も保証できない。そういう状況の中で、GXだ再生可能エネルギーだ何だと、まあ同時並行でやっていかなくちゃいけないと思うんですけれども、そこのところをやはりきちっと。

 じゃ、例えば永久磁石で中国がやり始めて、自分のところは一万円で磁石が作れちゃいましたと。日本もEV化をすることによって電気自動車をどんどん造っていきたいといったときに、あんたのところに売る磁石は、申し訳ない、一万円じゃなくて十万円で売りますよと。それを海外にもし売っていくとなったときに、コストが日本の場合は上がっちゃって、電気自動車の場合は余り性能の差がないとよく言われます、そうなったときに競争力が下がっちゃうというのが現実の話だと思うんですね。

 それと、もう一点。同じような話なんですけれども、中国がレアアースの対日輸出規制をかけたのが二〇一〇年、今から十二、三年前ですね。この頃の中国政権の複数の高官は、日本に対して、レアアースの応用技術を持ってくればレアアースを供給すると言っていたんだそうです。日本政府は、レアアースを、二〇一二年にキャッチオール規制の対象に磁石を追加したというんですけれども、ちょっと遅い気がしないわけでもないです。

 それについて御所見を伺いたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 経済産業省では、外為法に基づく安全保障貿易管理制度を実施しておりまして、大量破壊兵器等の開発や製造等に用いられるおそれの高い貨物の輸出、また技術の提供を輸出者が行う際には、事前に経済産業大臣の許可の取得を求めております。

 御指摘の焼結磁石については、当時、技術開発の進展等により、高性能な焼結磁石に対する軍事用途のニーズが急激に高まっていたことを受けまして、二〇一〇年に外為法に基づくキャッチオール規制の対象として焼結磁石を追加をし、日本から輸出される焼結磁石が通常兵器に用いられるおそれがある場合には、事前に経済産業大臣の許可を取ることを必要とする見直しを行ったものでございます。

 二〇一二年の制度見直しはあくまでも軍事転用懸念のある取引を未然に防ぐためのものでありまして、御指摘は当たらないというふうに考えております。

鈴木(義)委員 分かって聞いているつもりなんですけれども。民需も軍需もどこで線を引けばいいかといったら、あくまでも開発するときは民需で開発したんですけれども。だって、切れ味のいい包丁を作って、魚も肉も切れますよ、でも人間も切れるということ、使い方によっては武器にもなるし、人に危害を加える道具にもなるということですよね。

 今日も太陽光パネルの質問もあったと思うんですけれども、今、日本に入ってきている太陽光パネルの八〇%が中国製と聞くんですね。最初は日本が結構先を行っていたんだと思うんですけれども、価格でどうしても。

 太陽光を屋根の上に上げて、大体、話を聞くと、二十年ぐらいはもつんだそうですね。十年ちょっとたつと、太陽光パネル自体はもつらしいんですけれども、周りの端子というんですか、電気を取り出す部品がくたびれてくる。それを入れ替えなくちゃいけないといったときに、メンテナンスをするのにもお金がかかりますよね。戸建ての屋根が余り高くないところだったらいいんですけれども、高層ビルみたいなところの上に設置するとかという話になれば、じゃ、そのメンテナンスはどうするんだ、こういう話になっていくと思うんです。

 これも、中国の輸出規制リストの改正案は、太陽光パネルの材料となるシリコンの製造技術についても輸出制限の対象に加えたということなんです。太陽光、太陽光とおっしゃる方はいっぱいいらっしゃるんですけれども、中国から八割買っているのに、あんたには売らないよと言われたらどうするのかということです。

 太陽光発電の分野でも供給網の中国化を進めようとしていると聞くんですが、政府としての対応はどうしていくのか、お尋ねしたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 その前に一つお断りでございますが、先ほど、外為法に基づくキャッチオール規制の対象の追加、二〇一〇年と申し上げましたが、これは先生がおっしゃるとおり二〇一二年でございますので、訂正申し上げます。失礼いたしました。

 今の御質問に対して御答弁申し上げます。

 中国政府が改定作業を行っております、中国からの輸出を禁止又は輸出制限をする技術リストの中で、太陽光パネルのシリコン製造技術について、輸出を許可制にする方向で検討がなされているということは承知をしております。

 今回の改定案が我が国に与える影響については引き続き注視をしてまいりますけれども、いずれにしても、エネルギー安全保障の観点からは、特定国からの供給状況に左右されることなく、より強靱なエネルギー供給構造を実現していくことが重要であると考えております。

 こうした中、例えば次世代型太陽電池のペロブスカイト太陽電池は、日本発の技術であり、また軽量で柔軟性を有していることから、建築物の壁面など、これまで設置が困難であった場所にも設置が可能でありまして、主な原材料でありますヨウ素も日本が世界第二位の産出量となっております。

 経産省では、ペロブスカイト太陽電池の国産のサプライチェーン構築も見据えまして、グリーンイノベーション基金を活用し、研究開発から社会実装まで見据え、これを切れ目なく支援し、早期の実用化を取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 取り組まれていると思うんですけれども、じゃ、あと七年で、二酸化炭素、地球温暖化ガスを四六%カットするといったときに間に合うのかということですね。それまでに中国が、パネルはもう売りませんよ、シリコンは売りませんよという話になったときに、やはり、それをどんどんどんどん、今ヨウ素ならヨウ素で結構ですからやらないと。あと七年しかないんですよ。間に合うのかなと思うんですよね。

 それと、もう一つ、輸出の関係で、米国が韓国の電池素材に関税、中国製中間財を迂回輸出、米商務省が最近、韓国のアルミ箔メーカー六社に対して制裁措置を下したことが確認されたという記事を目にしました。

 今回の制裁は、中国製中間財を韓国で単純加工して米国に迂回輸出する場合、不利益を与えるというメッセージであり、韓国電池業界は確実な脱中国サプライチェーンを構築しなければならない負担を抱えることになった。同じようなことが日本でも起こり得るんじゃないかと私は危惧する一人なんですけれども、どういう対応をしていくのか、お尋ねしたいと思います。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、韓国企業が中国製アルミニウム箔を迂回輸出したことを理由に、米国商務省がアンチダンピング措置と相殺関税を適用する方針であることについては承知をしております。

 今般の措置は、二〇二二年七月から米国商務省において実施をしました関税法等に基づく調査を踏まえたものと承知しておりますが、当該調査は日本に対しては実施をされておりません。

 また、日本においては、ブラジル、アラブ首長国連邦、オーストラリア等から原料を輸入し、日本で電池向けのアルミ箔に加工しておりまして、中国に依存したサプライチェーンにはなっていないと産業界からは聞いております。

 したがいまして、現時点において、今般の米国政府の韓国に対する措置と同様の措置が我が国に対して行われる状況にはないと考えておりますけれども、引き続き状況については注視をしてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 注視するのは結構な話なんだけれども、ただ見ているだけで何の手も出さないというんじゃ対応できないんじゃないか。これは、一つは、アルミ箔を題材にした電池の話で終わっているだけの話なんです。

 例えば、TPPのときに最後までアメリカとせめぎ合った一つは自動車と聞いています。日本の自動車メーカーさんは海外に、部品を作って輸入して組み立てて製品として出す。物によっては四〇から五五%ぐらい、外国で作らせた部品を日本で組み立てて出している。それがメイド・イン・ジャパンと言えるのか、こういう話でせめぎ合ったという話は後から聞きました。だから、それと同じようなことがやはり起きると思ってどう対応するのかというのをやらないと、いざそれで、売らないよ、売ってもいいから倍、三倍、五倍、十倍の金額じゃないと売らないよと言われたときに、さあ日本でどうしますという話なんですね。

 だから、そこのところは、やはり注視するというだけじゃもう全然話にならないと思うんですけれども、もう一回、大臣、どうですか。

西村(康)国務大臣 TPPのときも、御指摘のように、様々な議論、その後も、いわゆる原産地規則として、その国で、日本であれば日本からの輸出を認めるときにどれだけ積み上げるかということで一定のルールを決めようということが、いわゆる同志国の間で、加盟国の間にサプライチェーンをつくっていく上で非常に重要な、その国々に投資をしていく、お互いに信頼関係にある国々でサプライチェーンを積み上げるという意味で非常に重要な視点でありました。

 様々な議論でもそういった議論が行われるんですけれども、今回のこのアメリカの韓国に対する措置が、現時点において日本に対して何か行われるという状況にはないというふうに考えておりますけれども、今後も様々な議論があると思いますので、引き続き状況はしっかり注視をしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 大臣に聞いても注視すると言われちゃうと、それ以上対策を取ろうという考えがないのかなと思うんですね。

 例えば、日本が輸出して、お金をもうけるという言い方はちょっと語弊があるんですけれども、それで稼がせてもらっているのは、今、円安に振れていますから、もっと金額は多いんだと思うんですけれども、ちょっと前で九十二、三兆だったと思います。そのうちの輸出先で一番多く物を買ってくれているのはアメリカ。十六兆から十七兆だったと記憶しています。そのうちの二十兆を、中東を始め、サウジアラビアも含めた原産国、原油を買ったり石炭だとか天然ガスを買うのに、エネルギーとして調達するのに二十兆ぐらい使った。それが今回ウクライナの戦争によって高騰している。円安によっても高騰しているから、いろいろな対策を取ってきたんだと思うんですけれども、元々日本は資源がない国だから、悠長なことを言っていたら、やはり物が作れなくなっちゃうんじゃないかと思うんですね。

 先ほども太陽光パネルの御質問があったんですけれども、再生可能エネルギーを導入していくのには待ったなしの状況だというのは誰も異論がないところだと思います。しかし、いつもそうであります、光と影の部分で、光の部分は誰でも推奨、推進しろと言うんですけれども、影の部分に関しては問題が起きてからじゃないと対応しようとしないんですね。

 例えば、今、八百四十万戸を超える空き家がある。空き家対策法を作って対策するんですけれども、全てのものが、私、同じだと思います。太陽光でも、原発の発電所、こういう建物もそう。造るときはいいんです、みんなわあっと造るんだけれども、壊すとき誰が金を払うかという話なんです。

 それをルール化していないで、どんどんやれ、どんどんやれと推奨してきた結果、先ほど、前任の方も御質問したように、一年前から結局廃棄するのに積立金をする、じゃ、その前はどうなっているの、全然関係ない。もう、破綻し始めた、自己破産したというところがぽつぽつ出てきているんです。じゃ、それを地元の自治体で代執行して、税金でそれを投入して撤去させるということをやるのかということですね。

 だから、自動車でもそう、家電リサイクル、自動車のリサイクルもそうだし、容器リサイクルもそうだし、問題が起きてから、じゃ、どうしようかといってルール化をして、最初に預り金、デポジットみたいな形を取ってやるんですけれども、もうそろそろ、業界もいろいろあるんでしょうけれども、同じようなことをやはりこのエネルギー政策の中にも入れていかないと、後になって、二十年たって、その会社が存続していればいいですよ、五十年、百年続いて存続できていればいいけれども、さっきの太陽光パネルもそうですけれども、二十年で駄目になって、次の投資をするかといったときに、投資するものが回収できるという見込みがなければ、二十年でやめちゃうということですね。そういうことが起こり得ると思って制度をやはりつくっていかないと駄目なんじゃないかと思うんですね。

 今申し上げましたように、太陽光パネルの寿命が二十年から三十年というふうに言われているんですけれども、二〇四〇年前後には年間八十万トンの太陽光パネルが廃棄されるという予想が立っているんです。じゃ、パネルのリサイクルは進んでいるんでしょうかとお尋ねしたいんです。

奥山政府参考人 お答えいたします。

 使用済太陽光パネルにつきましては、委員御指摘のとおり、二〇三〇年代後半に年間五十から八十万トンの排出量のピークを迎えるというふうに想定されておりまして、これに対しては計画的に対応していくことが重要だというふうに考えております。

 そのため、環境省といたしましては、これまで、ガラスや金属などの分離回収をした上で、素材ごとにリサイクルを可能とする高効率のリサイクル設備の導入に対する補助ですとか、あるいはパネルのリサイクル技術に関する実証事業などを実施してまいりました。

 その上で、また、将来の太陽光パネルの大量排出に向けまして、経済産業省と共同で有識者検討会を立ち上げまして、再エネ発電設備の廃棄、そしてリサイクルにつきましての制度的対応を含めた検討を進めていくということで予定をしております。

 いずれにしましても、今後も関係省庁と連携いたしまして、パネルのリサイクル、適正処理の推進に向けました取組を進めてまいりたいと思っております。

鈴木(義)委員 これは太陽光パネルのシリコンを使うんでしょうけれども、その中に鉛だとかセレンなどの有害物質も含まれているんですってね。じゃ、それをどうするということも視野に入れてやらないと駄目だし、今御答弁いただいて、実証実験までしているんですけれども、じゃ、何%リサイクルできているのかということですね。端子の部分だとか鉛だとかというのはどういうふうに取るんだか分かりませんけれども。鉛は磁石でつかないから。

 鉛を取りました、じゃ、太陽光パネル、大きさがまちまちあるんですけれども、そのうち、今、実証実験をして、どのぐらいリサイクルに回して、じゃ、シリコンウェハーをもう一回使い直すことができるのかどうか。それをしなければ、さっき申し上げたように、シリコンをあなたの国には売らないよともし言われたときに、太陽光発電自体ができなくなっちゃうんです、シリコンがないんだから。それを、もし数字が分かれば。大体、雑駁で結構ですから。

奥山政府参考人 お答え申し上げます。

 リサイクルの関係の量につきましては、先ほどの二〇二一年度の調査におきましては、リサイクル量が大体二千八十六トンということで、回収量の二九・八%、これをリサイクルしているという形になっておりますけれども、その詳細、どういった形のリサイクルということにつきましては、済みません、まだ情報がございませんので、申し訳ありません。

鈴木(義)委員 しつこく聞くんですけれども、じゃ、シリコンウェハーはもう一回使い回しができるのかという、そこのところはどうなんですか。できるのかできないのかで結構ですから。

奥山政府参考人 お答え申し上げます。

 その点につきましては、今後の実証の中で進めていくというふうに考えております。

鈴木(義)委員 まあ、押し問答してもしようがないので。

 次に、もう一点。太陽光とか風力発電、地熱発電、先ほど大臣も答弁されたときに、浮遊型の風力発電をどんどん推進していきたいというんですけれども、同じことなんです。二十年、三十年たって壊れたら誰が撤去するの。そのときに事業者がまだ存続していればいいですよ、その事業者の責任において。じゃ、それを撤去するのに何億もかかるといったら、その会社に体力がなければ、会社は破産して終わりです。放置されたままになる。これは陸上でも海上でも同じことだと思うんですね。

 だから、それについて、いろいろな形でもう既に再生可能エネルギーをスタートさせていると思うんですけれども、例えば老朽化した施設により事業継続が困難になった場合の措置はきちっと取られてきたのかどうか、現状はどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、太陽光発電に関しましては、委員の御指摘にもありましたけれども、法改正いただいて、廃棄等費用を源泉徴収的に外部積立てさせる制度を昨年七月から開始しております。発電事業者、あるいは、それが事業承継がいかなかった場合、これは資源エネルギー庁の審議会でもそういう御議論をいただいておりますけれども、その場合、事業の承継人などが適切に廃棄等を実施する、そうでない限り今の積立金の取戻しを認めない、そういう制度になっておりまして、元々の事業者あるいは承継人による適切な廃棄を促すというのが一つの制度の中身になってございます。

 また、委員御指摘のとおり、そういう事業者すらいなくなった場合には自治体が代執行する、御指摘のとおりだと思います。その場合の資金につきましても今の積立てから回収するといったような制度になっているというのが一つでございます。

 それから、その他の風力、地熱、水力につきましては、FIT、FIP制度の中で、御指摘の点も踏まえまして、リプレース買取り価格区分というのをつけておりまして、当初X年間やった後にちゃんとリプレース等をしてその場所を長期に使い続けるという場合には、買取り価格がゼロになるわけではなくて、一定の価格で買い続けるという制度を講じておりまして、長期的なビジネスの継続を支援しているといったような制度がございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のとおり完全ではない状況でございまして、様々課題はあると考えておりますところから、環境省さんともよく連携して、先ほど申し上げたように、新しい制度の在り方、これは太陽光だけに限らず議論を始め、年内に一定の結論を得たい、かように考えてございます。

鈴木(義)委員 例えば事業をやろうとしたときに、これは経産省ばかりじゃなくてほかの所管庁でも、事業認可を与えるに当たって保証金を取る制度がありますよね。物によっては百万とか五百万とか一千万とか、もっと多い金額をお預かりするということもやっているわけですよね。だから、そのぐらいのことをやって本気で取り組むということを事業者側にもお願いしないと、いいときだけぱっとやって、もうかるだけもうかっちゃったら、あとは、自己破産しましたとか会社を潰しましたといって、今御答弁いただいたんですけれども、代執行で、税金で当たり前に出すようなやり方だったら、食い逃げされるだけの話じゃないですか。そこのところは、やはりよく制度を吟味してつくっていってもらいたいなというふうに思います。

 それと、再生エネルギーを大量に導入していく時代に入ってきたんだと思うんですけれども、これは過去にも議論されたと思うんですが、一番大切なのは系統制約の問題と承知しています。容量面での系統制約と変動面での系統制約が大きく分かれて、容量面でのエリア全体での需給バランス、送電容量の制約がどこまで解決したのかということですね。解決していなければ、これからどう解決していこうとするのか。

 エリア分けしていく、それは私もいいと思うんです。でも、そこの今御指摘させていただいた二つが解消されないと、どんなに手を挙げて再生可能エネルギーをやりたいんだと言っても、電力事業者さんが、もうこれは、だって九州で一回起きていることだから。それで、その後、原発を再稼働させて、バックエンドとして使い始めているわけじゃないですか。じゃ、そういうことが日本全国で起こる可能性が出てきたときにどうするんですかというお尋ねです。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、再エネの影の部分は大変大事な課題だと考えております。

 御指摘の需給バランスの制約の部分につきましては、現状、供給が需要を上回る際に、供給エリア全体の安定供給を支えるべく、残念ながら、出力制御を行っているというのが実態かと思います。

 これをどうやって避けるのかというのは、委員とも、私も、前任始め、この場で議論させていただいておりますけれども、現状、例えば、蓄電池等の導入支援といたしまして、令和四年度には総額二百五十億円と、今までよりも大規模な措置を講じております。加えまして、先日閣議決定されたGX実行に向けた基本方針、こちらでは、地域間を結ぶ御指摘の系統につきまして、今後十年間程度で、過去十年間と比べて八倍以上の規模の整備に向け、取組を加速していくということを閣議決定しているところでございます。

 次に、二点目の、送電容量の制約の御指摘でございますけれども、こちらにつきましては、再エネ等を円滑に系統接続するために、既存系統を効率的に活用するノンファーム型接続という制度、もうよく御存じかもしれませんが、これを、二〇二一年一月から基幹系統、二〇二三年四月からローカル系統で始めておりまして、二〇二二年十二月末時点で約四千八百万キロワットの接続検討、それから約九百万キロワットの契約申込みが来ている。このノンファーム型接続の促進によって、系統接続までの費用と工期を短縮できる効果が見込まれるのではないかと考えております。

 他方で、こうした二点につきまして取組は進めてきているんですけれども、まだ課題は解決し切れておりませんので、こうした取組を更に進めて再エネの導入拡大につなげていきたい、かように考えてございます。

鈴木(義)委員 御答弁の中でもありました、蓄電池を活用していくといったときに、再生可能エネルギーは全部直流なんですよね。私たちが当たり前に使っているのは交流。一部、直流に変換して使っているんですけれども。そうすると、蓄電池もみんな直流ですから、やはり、再生可能エネルギー、規模を十キロとか百キロとかと区切ると、じゃ、その下はどうするんだと。

 先日、レクに来てもらったときも、百キロでもし切ろうとしたら、十キロを十基造ると百キロになるんです。そういう規制のかけ方じゃなくて、やはり発電容量に基づいて、蓄電池も、一週間分がいいのか一か月分がいいのか、コストも上がりますよね。それは、個人の事業者さんにお願いする部分と、系統の間の中にバッファーをかませてやる、そこに蓄電池を備えることで、計画停電にならないように、災害が起きたとか、何かあった、急変したときに、まあ一か月分といったら何とかなるかなと思うんですけれども、例えば、原油の備蓄は今二百四十日分備蓄しているんだそうです。おととし、バイデン大統領から言われて備蓄を出せといったときに、六十日分は民間が持っていて、百八十日分は国が管理している。最初に民間の分を出した後に、使った分だけ国から出すというやり方、それと同じようなことをどこかでやらないと、やはりうまくいかないんじゃないかと思うんです。

 個人でもお願いするし、やはり、発送電事業者というのかな、送電事業者さんにも協力いただくような形を取らないと。今申し上げたように、再生可能エネルギーをどんどんどんどん作って、設置してもらって、CO2の削減につなげていこうとするんだけれども、系統のスムーズに動かすような工事も大事。

 それと、あと蓄電池の、まあ、どのぐらいの大きさのやつ、また容量のやつがあるか私は分かりませんけれども、それをやはりネットワーク化していくということで、災害のときに備えるとか風水害のときに備えるということが必要じゃないかと思うんですけれども、その辺のお考えは。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道で、風力発電を導入する際には蓄電池を併設してもらうといったような制度を組んで、トライしてみたという経験もございますが、まさに答弁を先取りされてしまったんですけれども、委員御指摘のとおり、そうやって個別にやっていくのか、変電所ベースでやっていくのか、全体システムで最も効率的にどうやって蓄電池を拡大していくのかというところにつきましては、資源エネルギー庁の審議会でも議論を続けているところでございまして、様々な海外の事例も踏まえながら、テクノロジーの進展も踏まえて決めていく必要があると思っております。ただ、現状において、こうすべきだという結論はまだ出ておりません。

 他方で、同時並行で、再エネ発電事業者による蓄電池の活用、これを促進するために、令和四年四月から導入された市場連動型のFIP制度であるとか、先ほど申し上げた補正予算の活用などで蓄電池導入に向けた取組をとにかく加速していく必要がある、また、そのコストダウンも図っていく必要があるというのが現状の取組状況でございます。

鈴木(義)委員 国が方針を出して、ここのところで法律の改正を上程されたわけですから、国の事業としてやはりやっていかないと駄目なのかなと思います。そのぐらいの意気込みでやらないと四六%カットするというのは達成できないんじゃないかなと。七年しかないので。

 じゃ、次に、ちょっと飛ばさせていただいて、放射性廃棄物の件でお尋ねしたいと思います。

 安全性の確認がされた原子力発電所の再稼働を推進する方向にかじを切ったんですね。それで、今回その法律が上程されたんですけれども、各地の原子力発電所の使用済燃料の貯蔵量は、二〇二〇年十二月末時点で合計約一万六千四百八十トン。Uと書いてあるのでウランのことをいうんでしょうけれども、このまま再稼働が進めば、近年、貯蔵量の限界に達している原発もあると聞くんですけれども、これで原発を再稼働しやすくなる環境がもしできたときに、貯蔵量は限界に来ちゃっていると言われているのをどうするんですか。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 原子力事業者は、使用済燃料対策推進計画というものに基づきまして、約六千トン分の貯蔵能力の拡大に向けて取組を進めている状況でございます。

 具体的には、例えば二〇二〇年九月に四国電力伊方発電所、二〇二一年四月に九州電力玄海発電所の乾式貯蔵施設が原子力規制委員会の安全審査に合格をしたところです。また、東京電力と日本原子力発電が設立したリサイクル燃料貯蔵のむつ中間貯蔵施設についても、二〇二〇年十一月に原子力規制委員会の安全審査に合格をいたしております。現在、約四千六百トン相当の貯蔵容量拡大に向けて、既に具体的な取組が進展している最中ということでございます。

 国としても、立地自治体の意向も踏まえながら、事業者とともに関係者の理解の確保等に前面に立ちながら、乾式貯蔵や中間貯蔵等の使用済燃料の貯蔵能力の拡大に主体的に取り組んでまいります。

鈴木(義)委員 じゃ、もう一つお尋ねしたいんですけれども、放射能が減衰する時間は、使用済核燃料であれば、ガラス固化体であっても数万年かかると言われているんです。人類の記録されている歴史をはるかに上回る超長期の安全が問われている問題に対して、大臣はどう取り組んでいこうとするのか。

 今御答弁いただいたように、前面に立ってやるんだというのは、口で言うのは簡単なんですけれども、じゃ、今この問題をどう取り扱っていくかと言われたときに、経産省のトップとしての御見解をいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、使用済燃料が既に存在している以上、高レベル放射性廃棄物、この最終処分、必ず解決しなければならない重要な課題だというふうに認識をしております。

 最終処分場が決まっていないことが国民の皆様の原子力に対する懸念の一つであることも認識をしながら、原子力を進める上で重要な課題であることを改めて認識した上で、将来世代に負担を先送りしないよう、我々の世代で解決に向けた対策を確実に進めていくことが重要であるというふうに思います。

 こうした考え方に基づきまして、二月十日の最終処分関係閣僚会議におきまして、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の改定案という形で取りまとめをさせていただきました。御指摘の、国が前面に立って取り組むという点については、当該基本方針の中でも、国が、政府一丸となって、かつ政府の責任で最終処分に向けて取り組んでいく方針をお示しをしております。

 具体的には、基本方針の改定案に沿って、国、原子力発電環境整備機構、NUMOですね、そして事業者で体制を強化し、全国のできるだけ多く、少なくとも百以上の自治体に最終処分事業に関心を持ってもらうように掘り起こしに取り組んでいくこと、また、関心や問題意識を有する自治体の首長などとの協議の場を設置し、最終処分を始め原子力をめぐる課題と対応について国と地域で共に議論、検討するということで、先般開かせていただいたところでございます。

 そして、従来の公募方式と市町村長への調査実施の申入れに加えて、手を挙げてもらうのを待つだけではなくて、自治体の調査受入れの前段階から様々なレベルで段階的に理解活動の実施や調査の検討などを申し入れること、さらには、文献調査の受入れ自治体、関心を持つ自治体に対して政府一丸となった支援体制を構築すること、こういった取組を整理をさせていただいたところでございます。

 こうした取組の強化策にしっかりと取り組んでいきながら、前面に立って責任を果たしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 先ほど議論の中でも申し上げたように、最後のところをどうするかというのを考えてスタートしなくちゃいけないということだけは忘れないで取り組んでもらいたいと思います。

 終わります。

竹内委員長 次回は、来る十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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