衆議院

メインへスキップ



第12号 令和5年4月21日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年四月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      今枝宗一郎君    上川 陽子君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    福田 達夫君

      古川 直季君    堀井  学君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      大島  敦君    菅  直人君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    遠藤 良太君

      前川 清成君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   内閣府副大臣       小林 茂樹君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     石橋林太郎君

  土田  慎君     西野 太亮君

  堀井  学君     武部  新君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     上川 陽子君

  武部  新君     本田 太郎君

  西野 太亮君     土田  慎君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     塩崎 彰久君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     鈴木 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     加藤 竜祥君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     堀井  学君

同月二十一日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     古川 直季君

  篠原  孝君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     稲田 朋美君

  阿部 知子君     篠原  孝君

    ―――――――――――――

四月二十日

 原発を廃止し、再生可能エネルギーに転換する原発ゼロ基本法の制定に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第九四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、資源エネルギー庁長官保坂伸君、資源エネルギー庁次長小澤典明君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君及び防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島委員 先日の質問に引き続き、残余の質問をさせてください。

 前回は、安全を考える際には、静的な安全だけではなくて、動的な安全が不可欠であるという指摘をさせていただいて、そのためには、十分な人的リソースが継続して操業に携わり、その改善ノウハウを組織として蓄積し、進化させていくことが不可欠であるということで、例として、政府臨調の会長だった土光敏夫氏の例を挙げて、やはり経団連の会長だったときに、他社であっても、工場で事故が起きると、経営者を呼んで、それを全部詰問していたというお話をさせていただきました。ですから、議論としては、やはり動的な安全管理が必要だと思っています。

 そのためには、指摘させていただいたのは、動的な安全管理をしっかりするためには、やはり現場からの乖離を防ぐため、原子力事業の運営については、電力会社、プラントメーカー、下請会社など、従業員全員が一つの会社に出向するか社員になって、同じ身分で、同じ制度で、同じ制服で、指揮命令と責任を明確にして発電所のメンテナンスと操業に当たることが必要だという指摘もさせていただいています。やはり経営トップの意識として、常に現場のことまで気を配る、意識するということが必要だと思っています。

 最後に、使用済核燃料が天然ウラン並みの放射線量に減衰するまでの期間が少なくとも三百年まで圧縮できるように、国は全ての研究開発資源を投入すべきという質問もさせていただいて終わっておりますので、引き続きの質問をさせていただきます。その上で、研究開発の具体的な進め方について質問をいたします。

 国の研究所との共同研究は不可欠であり、民間企業では限界があると考えます。そのためにも、これまでどうしてうまくいかなかったのか、失敗の本質の検証が必要と考えます。そして、国が責任を取る前提での組織の再構築が必要と思います。その点について、高速増殖炉の研究開発については、まず、「もんじゅ」の廃炉ができたことを前提にしたいと考えています。

 「もんじゅ」については、達成すべき目標や研究開発の範囲がうまく設定できなかったのではないかと考えておりますが、どこに問題があったのか、参考人の答弁をお願いします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 高速炉「もんじゅ」の開発、運転における反省点といたしまして、昨年秋に資源エネルギー庁の審議会におきまして、当時の関係者にヒアリングを行いました。その中では、まず、全体の方針や将来の方向性を決定する司令塔組織が非常に脆弱であった点、それから、現場を監督するマネジメント機能が弱く、保守管理等が十分に行えなかった点、そして、予算の管理が硬直的で、突発的な計画変更やトラブル等に機動的に対応できなかった点、地元への丁寧な説明が行われず、立地自治体からの信頼を十分に醸成できていなかった、こういった点が指摘をされてございます。

 この中で申し上げれば、司令塔機能が弱かったことによって、御指摘のような達成すべき目標あるいは研究開発の範囲の設定、これが十分でなかった可能性もあったかというふうに考えてございます。

 今後の高速炉の開発に向けましては、こうした反省点を踏まえた体制整備を行いたいというふうに考えてございます。

大島委員 私が一九八一年に鉄鋼会社に入社をして、常陽とか「もんじゅ」というのはその当時から先輩から御説明を受けていまして、私の一番最初の仕事は、常陽とか「もんじゅ」の核燃料棒を束ねるラッパー管、包む、シームレスの、ステンレスの、結構難しいパイプの工程管理から入っていまして、あれから結構時間がたっているなと思っています。特にサプライチェーンの問題については、今日触れられないかもしれないんですけれども、やはり研究開発をするためにはサプライチェーンが必要です。私が新入社員のときに携わっていた特殊管の工場はもうありません。極めて難しいです、このパイプを作るのは。日本の中でも作れるメーカーはほぼなくなりつつあるかなと思っているので、研究開発にはこういうサプライチェーンがまず必要だと思っています。

 私、もう一つは、二〇〇九年、一〇年だったかな、内閣府の副大臣を務めているときに、「もんじゅ」を視察したことがあります。そのとき、なかなか難しいかなというのが直感でした。いろいろな工場のプラントを見ているものですから、なかなかこれは難しいかなというのが直感で、やはりその失敗としてはプラントメーカーの力量が大きく左右しているのかなと思っています。

 原子炉については、私は、建設よりも廃炉が難しいと考えています。廃炉する過程で様々な知見が得られると考えます。特にナトリウムの処理については、今後、実証炉を視野に入れるのであれば、世界で初めての廃炉であり、得られる知見は多岐にわたると思います。また、廃炉の過程で、廃炉に携わるプラントメーカーの総合力も評価できると考えています。

 特に難しいのは、ナトリウムをどうやってプラントから取り出すのか。汚染されたナトリウムとそうでないナトリウムがあって、扱いが非常に難しいと思います。

 したがって、「もんじゅ」の先の実証炉を造っていくのであれば、まずはナトリウムの取り出しの方法など、「もんじゅ」の廃炉をしっかり進め、廃炉ができた上でその先へと進めていく計画的な取組が必要と考えていますが、いかがでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 「もんじゅ」につきましては、委員御指摘のように、二〇一六年の原子力関係閣僚会議におきまして廃炉が決定され、現在、二〇四七年までを想定して、ナトリウムや使用済燃料の取り出し、施設の解体等の廃止措置が進められているところでございます。

 こうしたナトリウムの取り出しも含めまして、その着実、安全な廃止措置が重要でございまして、引き続き、「もんじゅ」の廃炉を進めております日本原子力研究開発機構、JAEAにおきまして適切な対応が取られることを期待したいというふうに考えてございます。

 その上で、こうした廃炉措置の過程では、委員御指摘のナトリウムの処理処分についての先進的な技術あるいはノウハウ、貴重なデータ等が蓄積されることが期待されます。今後、高速炉の開発、実証について取り組んでいくに当たりましては、こうした「もんじゅ」の廃止措置の過程で得られる様々な知見を十分に活用して、計画的な開発を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 第六次エネルギー基本計画におきましても、「もんじゅ」の廃止措置中に得られる知見、技術については、将来の高速炉研究開発において最大限有効に活用するということが記載されておりまして、この方針に沿って対応したいというふうに考えてございます。

大島委員 原子炉に係る、核融合炉もそうですけれども、これまで、ここ半年間のうちに全て視察をさせていただいておりまして、高速炉もそうですし、あと高温ガス炉も、あるいは核融合炉も六ケ所ともう一つが茨城県の那珂市。私、事務系なんですけれども、研究者と話していると、六ケ所の核融合炉のブランケットの材質をどうやって見極めるかの、中性子を飛ばす機械とか、全ての技術が「もんじゅ」も含めて連関していると思っています。極めて近い技術です、これは。

 ですから、一つ一つを取っていくと、私はやはり、十万年と聞くと長過ぎるので、少なくとも三百年ぐらいには圧縮したいなと思っていまして、そのためには、核燃サイクルも含めて様々な技術は、やはり僕は持っておいた方がいいと思っている。その上に、「もんじゅ」はしっかりと廃炉ができた上での僕は高速炉。やはり原子力の発電については、最終処分まで見極めないで進めたことが、今私たちが背負わなければいけない負担になっているかなと考えています。

 そして、あわせて、実証炉を検討するのであれば、さっき申し上げました「もんじゅ」の失敗を十分に研究し尽くした前提で行うべきだということ。

 「もんじゅ」の建設に携わったプラントメーカーについては、失敗事例も含めた事案の検討、マネジメント能力、経営体力、研究開発力、プラントを設計し、組み立て、操業する技術力、その技術の安定性など、多角的な評価が必要と思います。つまり、これまで起用したプラントメーカーの評価はしっかり行ってほしい。会社の体質を変えるのはなかなか難しく、同じことを繰り返す体質があるかもしれないので。また、複数のプラントメーカーの顔を立てて混在させると、責任区分が曖昧になり、うまく機能しないおそれがあると考えています。

 このように、プラントメーカーについて、これまでの実績を踏まえた多角的な評価、そして護送船団方式にとらわれない体制構築を行う必要があると考えます。どのように進めていくのか、お考えを聞かせてください。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 昨年秋の関係者へのヒアリングにおきましては、「もんじゅ」は、中核の会社を設けず、参加する事業者が横並びでプロジェクトを請け負っていたため、プロジェクト全体の司令塔機能が脆弱となり、十分な管理が行えなかった点が指摘されているところでございます。

 こうしたことを受けまして、私どもでは、今後の実証炉の開発に当たっては、的確なリーダーシップによって一連の工程を指揮命令する司令塔機能、マネジメント体制を設けるとともに、特に技術的な面につきましては、設計から開発、製造、建設に至るまで、その中核を担うメーカーを中心とした体制構築を行いたいというふうに考えてございます。

 その際、こうしたメーカー等による体制の構築に当たりましては、御指摘のように、全体をマネジメントする能力や十分な技術開発力、こうしたものを有する事業者を多角的、総合的に評価して選定していく必要があると考えてございます。こうした点から事業者を適切に評価した上で、開発推進体制を構築していきたいというふうに考えてございます。

 委員御指摘のような責任が曖昧な護送船団、こうした形にならないように、体制をしっかりつくっていきたいというふうに考えてございます。

大島委員 あの「もんじゅ」の事故は極めて単純な事故だと思っていて、ナトリウムの、動いていますよね、流体ですから、そこに温度計が一本挿さっているわけですよ。普通でしたら、温度計のここの根元の部分は、丸くカーブを切って、できるだけ圧力がかからないようにするところを、そのままぽんと挿したものですから、折れてしまったということなので、そんなに難しくない事故だと思っています。

 ですから、こういう細かいところも含めてしっかりとした設計をし、責任を取る体制をつくっていかないと、実証炉はもっと先の話だと思うんですけれども、是非、その点をお願いします。

 高温ガス炉について質問します。

 国は使用済核燃料の最終処分までの技術を確立しないままに、先ほど申し上げましたとおり、原子力を進めたことで、問題を先送りして今に至っていると考えています。実証炉の具体的な研究開発を進めるのであれば、その前提として、高温ガス炉、高速炉も含めて、まずは、高速炉では、「もんじゅ」の廃炉と、廃炉技術や使用済核燃料の処理処分の技術の確立が必要ですし、高温ガス炉では、使用済核燃料の処理処分技術の確立が前提だと考えています。十万年とか八千年とか、最終処分を受け入れる自治体はなかなか大変危惧をしておりまして、この点については、十万年、八千年と聞くと最終処分については危惧をしておりまして、天然ウラン並みの放射線量に減衰する期間が、少なくとも三百年までに圧縮できることが前提だと思っています。

 そこで、政府は高速炉や高温ガス炉を次世代革新炉として開発、建設を推進する方針を打ち出していますが、過去の開発の教訓も踏まえて、官民における実効的な開発体制をつくるためにも、高温ガス炉についても、高速炉と同様、やはり国が主導して体制整備を行っていくべきと考えてはどうかなと思うのです。

 ただ、前提としては、高温ガス炉の場合には燃料が特殊なので、ゴマ粒大のセラミックの中にウランが入っているので、普通の処理ではなかなか難しいと考えています。ですから、前々回ぐらいに述べたように、この被覆をできるだけ薄くして、要は、中性子を当てることによって放射線量を落とせないかという技術革新とか、幾つか乗り越えなければいけない山はあるかと思うんですけれども、そういう点も踏まえて御答弁をお願いします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 高温ガス炉の開発、実証に当たりましては、「もんじゅ」の開発等における反省を生かしまして、国が所要の予算措置を講じて、全体をリードしながら、民間の力を最大限発揮できるような実効的な組織、体制をつくる必要があるというふうに考えてございます。

 このため、国がリードして、適切なマイルストーンの設定、それから、定期的な評価、検証によるPDCAサイクルを継続して行いながら、日本原子力研究開発機構、JAEAや電力会社、民間事業者と協力して取り組むことといたしまして、そのために必要となる的確な司令塔機能、マネジメント体制や、中核を担うメーカー等が開発から建設まで手がける体制を整えたいというふうに考えてございます。

 引き続き、JAEAや事業者とコミュニケーションを取りながら、高温ガス炉の開発の具体化を図ってまいりたいというように考えてございます。

 その上で、委員御指摘の高温ガス炉の燃料、これは炭素やセラミックによって三重、四重の被覆が実際にございます。例えばこれを、将来的には再処理を可能とするような技術開発、こういったものも重要かというように考えてございますので、これについてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

大島委員 後半の部分が大切だと思っていまして、高速炉についても高温ガス炉についても最終処分の技術が確立できた上での話であって、ここの技術開発をしないとまた十万年という話が出てくるものですから、そこのところは重々、その開発については、これは文科省、経産省を含めて。

 議員の立場だと横断的に全部視察ができるわけです。研究者とも意見交換できるので、ああ、こういう技術があって、こういうふうに連動しているし、こことここを生かせるんじゃないのかなと気づくところがあります。政治はできるだけ、無理だと思っていても、研究開発の目標は上げた方がいいと思っているんです。技術者、特にプラントメーカー技術者の皆さんは、仕事となると、これは無理だよという領域が多分出てくると思うんですよ。でも、科学的に、それが理論的に可能であれば、そこまでしっかり追い込んでいかないと、お願いして、チームワークでやっていかないと難しい領域なんです、ここは。

 今、見ていると、それぞれが一生懸命やっているんだけれども、うまく連携して連動していると一定の解が出るかなと思っています。

 今日、文科省の方、来ていただいているので。先ほどの、高速増殖炉の炉心部の、核燃料棒を束ねるシームレスでステンレス製で六角形のラッパー管を製造できる国内企業は存在しているんでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 高速炉の燃料棒を束ね、燃料集合体とするための六角形状の収納容器であるラッパー管については、これまでの常陽、「もんじゅ」の開発の中で、国内企業が製造した実績を有しております。

 原子力機構によれば、現在は、製造した経験者の減少などにより、国内企業において同等の性能のラッパー管をすぐに製造することは難しい状況と聞いております。

大島委員 やはり日本の産業全体の腕が私は落ちていると思っていまして、これまでもこの委員会で発言させていただいたとおり、米国については、やはり航空、宇宙については全て自国内で部品は作れると思っていまして、我が国のサプライチェーンは半導体も含めて相当傷んでいると思っています。

 今後、サプライチェーンは途絶するのではないかということで、国が研究開発を進めるに当たっては、国内での部材の調達に必須と思う部材については、政府はどのように考えているのか。研究開発で使用する部材や部品のサプライチェーンについては、文科省、特に経産省はしっかり確保していただきたいと思うんですけれども、その点についての答弁をお願いします。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、原子力につきましては高いレベルの技術、人材、産業基盤を維持してまいりましたが、東日本大震災以降、原子力発電所に関連する工事あるいは物づくりの現場が以前に比べて少ない状況が継続してございまして、現場の技術、人材の維持強化が非常に重要な課題だというふうに認識してございます。

 こうした中で、本年二月のGX実現に向けた基本方針の中では、原子力に関する研究開発や人材育成、サプライチェーン維持強化に対する支援の拡充などを盛り込んだところでございます。

 経済産業省としても、地域経済産業局と連携しまして、先般、原子力サプライチェーンプラットフォームを設立して、研究開発に必要な部材、部品の製造技術を持つ企業を含む、全国に約四百社ほどございますけれども、こうした原子力関連企業を念頭にしまして、ヒアリング等を通じて、個別のニーズを的確に把握しながら、今後の事業展開等をサポートしているところでございます。

 また、先ほど御指摘いただいたような機器製造から撤退する企業、この技能承継に対する支援も展開しているところでございます。今後とも、サプライチェーンの実態に即した支援の強化に着実に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

大島委員 半導体の製造の技術というのは、これは半導体を作る機器に依存します。ですから、職人技みたいなところはないんですけれども、作り込んでいるという領域だと職人技の領域がありまして、一回工場を閉めると二度と同じものは作れない。技術の伝承というのは物すごく難しいんです。

 これは、先ほど申し上げました最終処分も含めての技術開発も技術力が必要ですし、今後の、どのように展開していくのかについても技術力をしっかり残さないといけないものですから、その点については国としてしっかり取り組んでほしいということを最後にお願い申し上げまして、私の残余の時間については、少ないんですけれども、山岡先生にお譲りをして、私はここで終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日も質問の時間をいただきました委員長そして理事の皆様、委員の皆様に感謝申し上げながら、早速ではありますが、質疑に入らせていただきたいと思います。

 今回のGX脱炭素電源法ということで、法の改正の提案ということでありますが、原子力の話が基本的に委員会で中心的に行われていますが、幅広い改正を含んでおりますので、今日は、再生可能エネルギーのこと、そして系統整備とか、そうしたことを私の方からちょっとまた質疑をさせていただきたいと思います。

 再生可能エネルギー導入支援のための固定価格制度ということで、再エネ特措法の中で、FITの制度ということで、こうした、いわゆる再生可能エネルギーを導入した事業者あるいは個人の方に固定価格で二十年間支援するという制度があるわけでありますが、この政策によって、各地で再生可能エネルギーというのは大きく増えたということは間違いないわけでありますけれども、一方で、これは多分、委員の皆様を始め皆様が全国で感じておられると思いますが、様々、地域の調和という意味でトラブルが起こっているというのも現実でございます。

 私は北海道の地域で政治活動をさせていただいていますが、私の活動地域の一つであります北海道登別市という町、登別温泉という全国でも知られている町でありますので、観光地としても大変知られている、世界的にも多くの方が訪れる地域でもあるんですけれども、その登別温泉の豊かな自然も、そこを切り開く形、切り崩す形で太陽光パネルが設置されていて、景観を損なう、あるいは災害のリスクが高まるというような、そうした声というのが地域の中でも高まりつつありまして、温泉事業者の経営者たち、そうした方も中心になりながら、登別の自然を守る会、そうしたグループも結成されて、登別市に対して条例制定というのを求める署名活動も始めていくという今動きにもなっているところであります。

 登別市では、条例をしたことによるそこの効果がどの程度のものなのか、そのことを見極めていくということも踏まえて、情報収集をしたり検討をする、そういう段階にあるので、まだ条例を作るというところに決定したわけではないんですけれども。しかし、本来、政府としても最大限の導入を目指す再エネなんですけれども、地域とのそういう関係性がうまく築けなければ、やはり今後伸びていくということに関しては大きな障害になるということも、私も地元、登別のこの件からすごく感じるところでもございます。

 今回、政府から私も事前にこの法案の改正の説明を聞いておりますけれども、悪質とまで言っていいか分からないんですけれども、事業者が、意図的にでも意図せずとも、いわゆる地域との調和が取れていないというようなことに関して、これまでは、固定価格の制度の、認定した後の交付の取消しという制度はあったわけでありますけれども、この取消しまでの間に、言葉で言えばいわゆる凍結、交付金を積み上げていただいて、支払われないという措置もこの法律の中に組み込んでいくということを今回提案されているわけであります。

 まず、経済産業省資源エネルギー庁の方に伺いたいと思いますが、今、こうして条例を作ろうというふうに検討している町もあるわけでありますけれども、今回の法改正は、こうした地域自治体の条例と連動する形で、この太陽光パネルのほか、同意なくといいますか、こういう地域との関係性を悪化させながら進めていくという件があった場合に、それにどういうような効果が今回の法改正で生まれて、特に伺いたいのは、新設のパネルとかそうしたものに対してのみならず、既設のものに対しても効果が発揮するのかどうか、この法律の仕組みを含めて、ちょっと御解説をいただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネ特措法では、自治体が定めた条例を含む関係法令の遵守を事業者に求めておりまして、条例における罰則の適用など違反が認められる際には、再エネ特措法上の指導、改善命令等を経て、改善されない場合には認定を取り消すという厳格な取組を行ってまいりました。

 それに加えまして、本法案では、委員御指摘のとおり、関係法令違反の場合に、今までは流れ続けてしまっていたFIT、FIP交付金による支援を一時停止することで、違反の早期解消を促す措置というものを加えております。あわせて、違反が解消されず認定取消しに至った場合には、違反期間中のFIT、FIP交付金による支援額の返還を命じる措置も新たに盛り込んでございます。こうした関係法令違反には、御指摘の条例違反も含まれるという制度といたしております。

 なお、関係法令に含まれる条例の制定の時期によらず、改正法施行後に条例違反が認められる場合には、こうした改正法案の措置の対象となるという制度となってございます。引き続き、自治体とよくよく連携しつつ厳格に運用することで、地域と共生した再エネの導入拡大に取り組んでいきたいと考えてございます。

山岡委員 もう一言いただければと思うんですけれども、先ほど、既存の制度では、条例の罰則に基づいて、停止といいますか、認定取消しというのがあったと。今回は、条例の罰則に伴って凍結ということで、やはり条例を作るに当たっては罰則を作るということがポイントになるというお考えでよろしいのか、伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的にどういう条例が関係法令に含まれるかというのは、個別の事案によって見ていく必要がございます。一概にお答えすることは難しいんですけれども、一般論としては、個別の条例において罰則の適用あるいは行政処分がなされるなど違反が認められれば、再エネ特措法に基づき厳格に対応していくこととなります。

 したがいまして、罰則規定があれば、それは、明確な関係法令違反が定義できるという観点から円滑な連携が可能になりますし、必ずしも罰則がなくても、行政処分が明確に行われる形になっていれば円滑な連携が可能になるのではないかと考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 今、お話の中で、理念の条例ではなくて、行政処分なり、あるいは罰則なり、そういうことを明記していくということで円滑な連携ができるというお話も伺いました。

 さはさりながら、全国に条例を作っておられるところも数々ありますので、そうした地域もあろうかと思うんですけれども、この登別のように、これから検討していくというところも、これからこの法律がもし改正されるのであれば、そのことを検討していくところも増えていくと思うんです。そのときに、今お話しいただいた中身を含めて、各自治体が個別に自分たちの考えのみで作っていけるかということは、非常にこれは簡単なことじゃないなということを思うわけであります。

 大臣にもお伺いしたいと思うんですけれども、今回の法律、もちろん、事業者の皆さんがいわゆる再エネを普及するに当たったり、あるいは個人の皆さんが普及するに当たって、過度の制限になるような話にはなってはいけないと思うんですが、地域の調和という意味で各町が条例を作るということになるのであれば、是非エネ庁の方にも御指導いただいて、こうしたサポートをしっかりと国としてもやっていく、そのことを是非大臣にここでお考えを述べていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 今答弁をさせていただきましたけれども、再エネ特措法におきましては、条例を含む関係法令の遵守を事業者に求めているところであります。違反が認められる際には、必要に応じて認定を取り消すということにしております。

 御指摘のように、近年、再エネに関連した地域でのトラブルが増えておりまして、これへの対応として、再エネ設備の設置に関する条例を策定する自治体が増加傾向にあります。このため、条例策定や改定を検討する自治体が参照できるよう、経産省として、把握できる全ての条例を毎年度更新し、データベース化をし、そしてそれを自治体向けに公開をしているところであります。

 また、各地域の条例などの情報を自治体間で共有するための、いわゆる車座会議を地域ごとに開催もしております。昨年開催した北海道での車座におきましては、お地元の登別市にも御参加をいただいているというふうに聞いております。

 地域と共生した再エネの導入には、自治体との連携がこれはもう不可欠であります。経産省として、地方経済産業局において、自治体からの様々な相談にきめ細かに応じているところでありますが、登別市を含め、自治体から個別の相談があればしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣から心強い答弁をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 系統整備の考え方についてもお伺いしたいと思います。

 今回の法案で規定されるのは、大規模な系統整備ということの増強が含まれているわけであります。

 皆様にもお配りしていますが、二ページ目に資料がありますけれども、これは、エネルギー経済社会研究所の松尾さんという方が作られた図で、大変分かりやすい図なので、私、今回使わせていただくんですけれども。

 いわゆる赤字のところが系統の空き容量に余力がない、そして青字は比較的余力があるというようなイメージでありますと、北海道、東北は、いわゆる洋上風力が非常にこれから期待される地域でありながら、系統が極めて脆弱な地域であるということも端的に示された図でもあります。

 この中で、長距離にこれから海底ケーブルをつなぎながら、この全国の網を強化していくという話でありますけれども、これは前例のない工事であります。技術面の課題が今後見つかってきて、そうした仕様の変更もあるかもしれませんし、利害関係者の調整とか、あるいは自然災害の発生や建材費の世界的な高騰など、予測できない事態で工期の変更があったり、あるいは価格の変更があったりする可能性はあるわけであります。

 今回、その制度をつくるわけでありますけれども、しかし、こうした予想外の変化に対して、少なくとも、事業者に責があったら別ですけれども、事業者が予測することも難しいということであれば、これは、長期にわたる工事の変更に対しても確実にこの建設費用が回収できるような、そうした制度上の担保とか、あるいは状況の変化に応じた国の支援を行うべきだと考えますけれども、是非、大臣、御答弁いただければと思います。

西村(康)国務大臣 海底直流送電のような地域間の電力融通を円滑化する系統整備につきましては、具体的な設備構成や各事業者における費用負担などを検討した上で整備計画を策定してまいります。

 現行の整備計画における費用につきましては、一般送配電事業者の託送料金における回収に加えて、二〇二二年四月のエネルギー供給強靱化法の施行によって、再エネ賦課金を費用の回収に充てることが可能となっております。

 その上で、御指摘のような状況変化によって工事費の増額などの変動が見込まれる場合には、その要因等に応じて、現行計画を変更し、費用負担の枠組みも変更することになります。

 いずれにしましても、北海道からの海底直流送電線、これは図でお示しをいただいておりますように、非常に融通が厳しい状況になっておりますので、この海底直流送電線は非常に重要だというふうに我々は認識をしております。こうした重要性を踏まえながら、着実に整備を進めていきたいというふうに考えております。

山岡委員 今、現時点で状況の変化があるというわけではありませんので、状況の変化があった場合には、今お話もいただきましたけれども、私もまた取り上げさせていただくかもしれませんが、是非、進めなきゃいけない事業として、国としても全面的に支援していただきたいということも改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 洋上風力の系統整備のルートなんですけれども、海にある電源ですから、いろいろなつなげ方があるんだと思います。

 北海道の立場でいえば、二〇一八年に北海道胆振東部地震ということで、私の地元がこの震災の中心地であったんですけれども、この地域の震災で多くの方もお亡くなりになって、このことのお悔やみを申し上げますとともに、復興に向けた取組をしているわけでありますが、併せて全道停電という大変過去にない事態に遭遇しました。

 この全道停電のときに、皆さんにお配りした三枚目の資料にありますけれども、最初、停電したときに、僅かな時間だけ一回電気が戻りましたが、それに大きな役を果たしていただいたのが北本連系線という北海道と本州をつなぐ連系線で、このときは六十万キロワットの連系線だったんですが、北海道、大体五百万キロワット使いますから、その中で、六十万キロワットでも、一瞬でも電源が戻ったということでありました。

 そうした系統の、これから洋上風力を含めたいろいろな進め方については、少なくとも北海道周辺の海域については、まず北海道に電力を上陸させる形で本州につなぐという考え方を、この全道停電を経験した私たちの立場から、是非強く申し上げさせていただきたいということが一つ。

 そして、もう一つは、ラピダスの事例のように、再生可能エネルギーが地域に本当に事業、工場を造っていただけるきっかけになったということを、私も三月九日の本会議で取り上げ、大臣からも北海道の可能性というのを大いに言っていただいたわけでありますが、そうした視点から、洋上風力、直接東京に届けるのではなくて、北海道もそうですし、北海道内で生産されたものを道内で使えるような、活用できるような、そうした考え方で進めていただきたい。そして、もちろん、道内で、あるいは各地域で電力需要を生み出していただきたいということを思うわけでありますが、大臣に最後に御答弁いただければと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、脱炭素化を進めていくという観点から、再エネの大量導入、それから供給の安定性強化、この二つの実現に向けて、地域間の電力融通を円滑化する系統整備、これを加速していくことは極めて重要だと認識をしております。

 御指摘のように、北海道の域内の系統と本州内の系統を接続する方向で考えておりまして、北海道で生まれる再生可能エネルギーを始めとして、これは道内で当然使うことが、活用されることが期待をされ、そして、もし余れば本州にまた送ってもらう、あるいはその逆もまたあり得るわけであります。

 したがって、供給の安定性強化という点でも重要だというふうに思いますし、また、多くの、ラピダス社もそうですし、IT関係、半導体関係の事業者の皆さんと話しておりましても、使う電源、大量に電気を使うわけですが、脱炭素電源がやはりいいと。いわゆるカーボンフットプリント、サプライチェーン全体で、そして使うものを含めて脱炭素化していくという方向性を共有されておりますので、そういう意味で、北海道は再生可能エネルギーが非常に豊富だということも立地の背景の一つにあるというふうに思います。

 今後、定置用蓄電池とか電力多消費産業であるデータセンター、こうしたような設備について、御指摘の北海道を始めとして、多くの再エネ導入が見込まれる地方への分散立地が期待されるとなりますので、私ども、予算も活用しながら、そうした方向性へ進めていきたいというふうに考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 チャットGPTの日本での開発なんということもニュースになっていますが、どれだけのデータセンターが必要になるのかとか、データセンターは電力が必要でありますから、そうした動きが地域、地方に広がるように、是非大臣にこれからも政策を打っていただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 衆議院議員の阿部知子です。

 本日は、二十分のお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 まず、早速質問に入らせていただきます。西村経済産業担当大臣並びにGX担当の西村大臣にお伺いいたします。

 今般、原子力基本法の改正、特に原子力基本法の二条の三というところは、今後の原子力の利用ということに非常にいろいろな意味での環境整備をするということが書かれております。特に三の三では、今後、電気事業に係る制度の抜本的な改革が実施された状況においても、もろもろあるけれども、その事業を行うことができる事業環境を整備するとなっております。

 西村大臣の原子力についての基本的認識を伺いたいわけですが、お手元に示しました資料、せんだって参考人の大島教授の出されたもので、現在、日本の原子力発電の利用は、この図から見ると、主要電源でもなくベースロード電源でもない、三・九%であるということであります。

 果たして、原子力というのが今後も、コストの面においてもリスクの面においても、我が国がある意味ベースロードとしていける電源なのかどうか。特に一問目はコストについて大臣の御認識を伺います。高いか安いかです。

西村(康)国務大臣 これまでも答弁させていただいておりますけれども、周囲を海に囲まれ、ほかの国と送配電網、グリッドがつながっているわけでもありません。また、すぐに使える資源も乏しい我が国であります。安定的で安価なエネルギー供給を確保するためにも、SプラススリーEの原則の下、コストが高い安いという、もちろんその判断もあります、それに加えて、安定供給など、SプラススリーEの考えの下で、再エネ、原子力、火力など様々な電源をバランスよく活用していくことが重要と考えております。

 IEAの分析も承知をしておりますけれども、私ども、様々なデータ、IEAのレポートも幾つかございまして、国際的な試算では、原子力は安定的で安価な電力供給に貢献できるというふうに考えております。

 IEAの国際的な試算を見ますと、一メガワットアワー当たりの発電コスト、中央値ベースで、陸上風力五十ドル、洋上風力八十八ドル、事業用太陽光五十六ドルとなっている一方で、運転延長した原子力は三十二ドルでありますので、長期運転による大幅なコスト削減も見込まれるところであります。

 今回も、様々、原子力が再稼働しております関西電力と九州電力は値上げの認可申請を行っておりません。そうしたことも踏まえて、私ども、原子力も活用していく考えであります。

阿部(知)委員 安定的でもなく、安価でもないわけです。

 トレンドを見ていただきますと、資料の三枚目に載せてございますが、原子力のコストはどんどん上がってまいりますし、今大臣が言われたような洋上風力等々は下がってきて、今最もコストのよいのは太陽光発電であるということは、お示しした三枚目の資料でも明らかであります。

 大臣がわざわざ言及してくださいましたが、脱二酸化炭素という意味で考えても、二酸化炭素を削減するために、果たして原子力でかかるコストと太陽光でかかるコストはどうか、これも太陽光の方がはるかに優れているということであります。

 例えば、当面の間、利用せざるを得ない状況等々はあるやもしれませんが、今回の基本法の改正では、これがどんないわゆる抜本的な改革が実施された状況においてもとなっておりまして、ここまで将来を縛ることの問題を繰り返し指摘しております。基本法の第二条の三、とりわけ三の三であります。我が国の経済にとっても、また国民負担にとっても望ましくないと思うものであります。

 大臣にお手元の資料二枚目を見ていただきたいと思いますが、東電のいわゆる特別負担、福島事故に関しての特別負担というものが、今年は赤字を理由にゼロであります。事故を起こして東電自身が賠償できない分を国民負担でやっているわけで、返却されるものがゼロであります。このようなことを考えると、どんどん国民負担が増す、安定的で安価であるとはとても私は言えない、これは到底国民的には納得し得ないです。

 東電が赤字だから賠償の特別負担金はゼロである、これは大臣が認可をされたといいます。果たして、国民にどう説明されますか。

西村(康)国務大臣 福島第一原発に伴う御指摘の被災者の方々への賠償費用につきましては、全ての原子力事業者が支払う一般負担金と、それから東京電力が追加的に支払う特別負担金とで構成されております。これらの金額は、毎年度、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の運営委員会において、各原子力事業者の収支状況を踏まえて決定しているものと承知をしております。

 二〇二二年度、東京電力は、一般負担金は六百七十六億円支払うこととしておりますが、御指摘のように特別負担金はゼロであります。これは、特別負担金の金額が、法令上、収支の状況に照らして経理的基礎を毀損しない範囲でできるだけ高額の負担をするものと定められております。この規定に基づきまして、東京電力の収支が大幅に赤字を想定しているということを踏まえたものと承知をしております。

 特別負担金は毎年度決定をするものでありますので、過去には一千百億円負担をしてもらって回収していた実績もあります。

 東京電力には、福島への責任を貫徹してもらうということであります。そのために、非連続の経営改革も進め、また十分な利益を捻出することで、賠償、廃炉に必要な資金の安定的な捻出に努めていただきたいというふうに考えているところです。

阿部(知)委員 到底、負担金ゼロというのは、国民的には納得できないということです。それを安定、安価と言われますと違うのではないか。

 引き続いて、今般、運転の延長ということの中で、いわゆる行政指導を受けた事業者の停止期間についても、これは、後々、申請されれば、六十年の追加期間の中に入り得るというような法体系を取っておると思うんです。

 山中委員長に伺いますが、敦賀の日本原子力発電所二号は、この度、行政指導を受けておられますね。確認です。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の文書は、日本原電が審査において提示いたしました新規制基準への適合性の判断の根拠となります科学的、技術的データに誤りが続き、実質的な審査が着手できないという不適切な状態を解消すべく、行政指導として、本年四月十八日に設置変更許可申請の補正を求めたものでございます。

阿部(知)委員 今言われたように、例えば、提出資料、活断層の評価の書換えとか、非常に問題が多い日本原電の敦賀の二号が行政指導を受けたわけです。でも、これも、この止まった期間、後々運転延長がかなうかもしれないという法体系を取っているのが今回の改正法です。

 西村大臣に伺いますが、加えて、こうした原子力事業者に対して、原子力発電を運営するある意味の企業の適格性があるかどうかということも私は問題だと思うのですが、それも今般の改革ではどのように考えられるのでしょうか。コンプライアンスが悪い、あるいは法令違反を、書換えというのは重大な問題ですので、そういうことを繰り返して、それでも事業者としての、例えば、この運転期間延長認可の基準で、発電事業を遂行する態勢の見直し及び改善に継続的に取り組むことが認められるということで、認められていくのでしょうか。いかがでしょう。

西村(康)国務大臣 個別の原子力発電所の新規制基準への適合性審査につきましては、原子力規制委員会の所掌でありますので、私からはコメントを控えたいと思いますが、事業者を所管する立場から、今回、日本原電において資料の誤りが続いているという状況は極めて残念であります。

 原子力は安全性の確保が最優先でありますので、原子力規制委員会の指摘をしっかりと受け止め、今後、ラストチャンスというふうに思って、緊張感を持って、まずは審査に誠実かつ的確に対応してもらいたいというふうに思っております。

 その上で、運転期間の延長の認可につきましては、事業者からの申請が行われた段階で、その申請内容を踏まえて個別に判断をしていきたいというふうに考えておりますので、現時点で予断を持ってお答えすることは控えたいと思いますが、審査に当たっては、その原子炉に係る発電事業に関する法令の遵守、それから安全マネジメント、防災対策の不断の改善、それに向けて、経営層による意思決定へのコミット、あるいは第三者からの意見聴取など、適切な体制を整備しているかどうか、これも確認していることを想定しております。

 ただ、いずれにしても、今後、法律の施行に向けては、行政手続法に基づく審査基準を策定することとなります。その中でしっかりと考え方を示していきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 私が指摘したいのは、こうした行政指導を受けたところでも申請すれば上乗せの可能性もあり得る、そういう法体系を取っておるということで、国民的信頼を損ねる。原発の運転には、技術もさることながら、それをしっかり管理していくコンプライアンス、会社の姿勢も重要であります。連合審査で、日本原燃の方ですね、六ケ所村の、あそこも幾つかの問題がございました。相次いでいます。やはり原子力というものに対しての事業者の自覚なり国民への責任なりということをきちんと経産省も指導していただきたい。

 続いて参りますが、今回の改正で最も私が懸念いたしますのは、いわゆる安全性であります。規制基準は決して安全基準ではないと山中委員長もおっしゃっていまして、では、誰が安全性を担保するのか。

 一つの事例は避難であります。柏崎刈羽、新潟ですね。大雪が降って、その中で、重複、自然災害と原発事故のような事態でどうなるかということで内閣府の原子力防災にお尋ねをいたしましたが、あそこには三十三か所、一時集合場所があって、逃げられない、遠くへ逃げるリスクよりは、そこで一旦留め置くということも考えるということでありますが、この三十三か所のうち、いわゆる放射能に防護の態勢を持ったものは幾つあるでしょう。また、そこまで行けなかったらどうなるんでしょう。内閣府の原子力防災。

小林副大臣 お答えをいたします。

 放射線防護施設の機能を兼ね備えた一時避難地については四か所ありまして、現在、一か所建設中ということであります。

 豪雪時、避難行動を取ると人命を危険にさらすリスクがございますので、他の地域と同様に、そのリスクを回避するために屋内退避を優先をし、天候回復等により安全に避難できることが確認された後に原子力災害に対する避難等の対応を取る、これが基本でございます。

 以上です。

阿部(知)委員 私が昨日伺ったのは二か所でありましたが、四か所に増えたのはいいことです。

 三十三か所あって四か所。あとは自宅ですか。そこまでどうやって行くのですか、雪が豪雪だというのに。日本家屋の古い家屋はほとんど放射能を防護できません。まあ、半減くらいはできると昨日いただいたデータで見ましたけれども。すなわち、被曝を不可避とするということで、とても安全な避難計画とは言えない。

 もう一つ国民の懸念の材料は、この度のロシアのウクライナ侵攻以降、原発が攻撃の対象とされ得るということが明らかになり、そのことに不安を感じると回答した自治体、これは新潟日報から取りましたが、何と十一市町村あるということであります。

 防衛省に伺います。

 攻撃事態等々では防衛省の担当だということになっておりますが、私は、その施設が、攻撃という形でなくても、何らかで巻き込まれたような状態でも、まずそこの施設から情報が発信されなければ全体に放射能の飛散状況とかは把握されないものなのか、もっと能動的に、こうした攻撃で放射能が拡散するような事態は把握できないのかと。政府としてはどう考えられ、防衛省としてはどう対応しておられるでしょう。

井野副大臣 武力攻撃事態においては、自衛隊の何よりも重要な役割は、まずは国民の生命財産を直接脅かす武力攻撃そのものを排除していくということになります。

 そういった中で、万が一にも武力攻撃、原子力災害が発生してしまった場合には、警察などを中心とする関係機関と連携して取り組んでいくことが重要だと考えております。

 自衛隊としても必要に応じて原子力災害に対処することになりますが、自衛隊は、関係機関と緊密に連携し、速やかにNBC防護の専門部隊などを派遣するなどの対処に当たることとしております。

阿部(知)委員 質問の趣旨を聞いておられないと思います。NBC部隊は、その現地で化学兵器あるいは核兵器に対しての防護です。

 情報の把握と共有と発信。今の原子力防災の仕組みだと、最初の情報が事業者から出ることになっております。本当に把握できるのか、そういう攻撃の事態に。真剣に検討していただきたい。国民の保護ということの中に、今ではこの被曝ということが大きな懸念になっているから、十一自治体がこういう答えを出すわけです。

 引き続いて、時間がないので伺いますが、これらは既にパブコメを取った中で、先ほどの避難問題、あるいは武力の攻撃問題等々、多くの懸念の声が寄せられていますが、今般の原子力基本法の改正にあっては、基本的考え方をまず作られて、それにパブコメを取られて、そこから基本法の改正という形になっておりますが、私は、このパブコメが十分に基本法に反映されていないと思います。

 星野副大臣に伺いますが、果たして国民の声はこれで聞いたと言えるのかというのが一点と、あと、せっかく皆さん調べてくださいましたので、私が前回、星野副大臣に伺った、いつこの基本法の法律のことをお知りになったかについて、再度答弁を求めます。二問、お願いします。

星野副大臣 お答えいたします。

 原子力利用に関する基本的考え方の改定に向けては、原子力委員会において、約一年にわたり、原子力分野の専門家に加え、社会、人文科学の専門家や、民間の事故調査委員会の有識者を含め、多様な分野や立場の有識者から広範に意見を聴取をし、議論を行っております。また、パブリックコメントでいただいた国民の皆様の御意見についてはグループ化をし、それぞれに対して原子力委員会としての考え方を、公開の場である原子力委員会で議論、説明をした上で、必要な修正を施し、基本的考え方を原子力委員会で決定をしており、国民の皆様の声も踏まえたものであると認識をしております。

 今後、原子力政策を進めていくに当たっては、基本的考え方でも示していますように、国民の皆さんの声に謙虚に耳を傾けるとともに、原子力利用に関する透明性を確保していくことが重要であると考えております。

阿部(知)委員 済みません、時間を過ぎておりますが、御答弁がありません。いつ法律についてお知りになりましたかと伺いました。

 内閣府からいただきました資料ですと、二月九日と。先回の御答弁は昨年であるやの御答弁でありました。本当にしっかりしていただきたいです。そして、基本法には反映されていない。

 最後の資料は、申し述べますが、副大臣と大臣が閣議でどういう形でこの基本法の改正を認められたか。高市大臣は代決、星野大臣は代理であります。こんなに簡便な形で大事な法律の改正が行われていることは極めて遺憾ですし、立法府がこれだけ後退することにも私は懸念を覚えます。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 GX脱炭素推進法もかなりの審議時間を重ねておりますが、私どもも修正案をこれから用意するということでございますけれども、その前にちょっと、大変恐縮ですが、私どもが毎国会毎国会、法案を出している旧文通費問題、これについて大臣にお尋ねを一点だけいたしたいと思います。

 私どももずっとこれを提案してまいりまして、その中で、特にまだ解決をしていない文通費の使途の公表、それから、余ったら返還しましょうというものでございますが、この点に関して、これは一政治家としての見解で結構でございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、一般論として、予算については、その性質に応じて、できる限り透明性を確保していくということが望ましいというふうに考えております。

 その上で、お尋ねの旧文通費につきましては、政府としてお答えすることは差し控えたいと思いますが、国民の皆様の御理解を得られるよう、各党会派で是非御議論いただきたいというふうに考えております。

小野委員 これは、解決するまで私どもは毎回法案を提出するということを続けたいというふうに思っているんです。

 私も、言い出しっぺといいますか、自分自身が、十月三十一日、おととし当選したときに、自分の机の上に百万円が載っかっていて、一日しか国会議員の身分が発生していないのに、やはりこれは受け取れないだろうということで、そのとき私も、全ての国会議員の皆様を敵に回すだろうなというふうに思いましたが、ただ、やはり自分自身としては、これは絶対に受け取れないなという思いがありました。

 先ほど、透明性、国民の納得というようなことも大臣はおっしゃいましたが、まだやはり今の状況で納得は国民の皆さんもできていないというふうに私は思いますので、本音でいろいろ自民党の議員の皆様とも話をしていると、やはり今の政治にすごくお金がかかっているということもあります。

 そういう中で、もっと政治の仕組みそのものもやはりオープンに議論していった方がいいんじゃないのかというふうに私は思っていますので、是非、ここにいらっしゃる皆様方もそうなんですけれども、やはりもっともっと政治が国民にも納得感のあるような、そして、本当に国のことを思って活動している国会議員も堂々とやれるようにしていきたいなというふうに思いますので、この点、私ども維新としても、ずっとこれは主張していきたいというふうに思っております。

 済みません、法案の内容について入りたいというふうに思います。

 今国会、西村大臣にも、私どもの法案を提出させていただきました。お受け取りもいただきまして、ありがとうございます。

 原子力利用責任明確化改革推進法というものでございまして、その中身、主なことをちょっと触れますと、原子力損害賠償に関して、事業者の有限責任化というものをやはり進めなければいけないんじゃないかとか、最終処分施設の建設の選定を新増設の条件にしていくとか、新たな許認可の前提として、核のごみ問題、ちゃんと進まないとこれは進めてはいけませんよというようなことも申し上げています。

 そしてまた、検討事項として、原発はやはり国策で進めたものでもあります。コスト的にも、先ほども阿部議員からもありましたが、非常に多くのものがかかっているということで、やはり国の関与、国の責任というのが大事なんじゃないのかと思っていますが、私ども日本維新の会が提出したこの法案についての御所見をお伺いできればと思います。

西村(康)国務大臣 様々な御提案をいただいております。現段階において、原子力事業の国有化が適切とは考えておりませんけれども、ただ、原子力の利用に当たっての様々な課題に国が責任を持って取り組むというこの考え方は共有をさせていただいているというふうに思います。

 御指摘がありました最終処分場が決まっていないこと、これが原子力に対する国民の皆様の懸念の一つであります。原子力を進める上で重要な課題であるということを改めて認識した上で、将来世代に負担を先送りしないよう、我々の世代で解決に向けたそうした対策を着実、確実に進めることが必要であるというふうに認識しております。

 本年二月の最終処分関係閣僚会議では、基本方針の改定案を示して、国は、政府一丸となって、かつ政府の責任で最終処分に向けて取り組んでいく旨を掲げたところであります。

 また、原子力事故の損害賠償につきましても、これは、原子力損害賠償法の規定によって原子力事業者に無限の責任を負わせているという一方で、千二百億円とする損害賠償措置を超える賠償については、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく事業者間の相互扶助によってその賠償資力を確保する制度になっております。

 様々手当てをしてきているところでありますが、国としては、今後も、事業者が賠償規模を問わず必要な資力の確保を行い、迅速かつ適切な被害者救済を行えるよう、原賠制度を適切に運用することで責任を果たしていくことが重要だというふうに考えておりますが、御指摘の、国が全体として原子力政策に責任を持つというところは共有をしておりますので、そうしたことを頭に置きながら、今後も不断の見直し、不断の検討、これは行っていかなきゃいけないというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 繰り返し御答弁をいただいておりますが、原発を国の責任でしっかり面倒を見ていくんだというのは、これは最終処分のところだけではなしに、賠償もそうですし、それからあと、原子力発電所そのものをこれからどういうふうに活用していくんだというところ、そこに対してのコストの面ですとか、そういったものもやはり考えなければいけないんだというふうに思っています。

 もちろん、大きな事故を起こした、福島の事故、ありましたが、それも一義的に事業者の責任というのはもちろんそうなんですけれども、ただ、我々がこの民主主義の国家の中でどういう電力政策をやっていくのかというのは、これは国民全体でやはり考えなければいけないことだというふうに思いますし、これからちょっと質問することとつながるんですが、やはり、大手電力会社がしっかり持続的に経営ができるのかということも、原発を維持するにしても、あるいはこれから店じまいしていくにしても必要なことだというふうに思いますので、今の答弁ではなかなかやはりこれからもたないんじゃないのかなと思いますので、是非そのことを常に検討していただきたいと思います。

 この間も大臣にも御質問もさせていただきましたけれども、大手電力会社の経営状況は非常に厳しい状態で、株価純資産倍率、PBRが、一・〇を切っているどころか、大体〇・五とか、この周辺に張りついていて、市場からも全然投資対象とみなされていないというようなことがずっと続いておりますけれども、これへの経産省の状況認識、そして、なぜこのようなことが起こっているのかということと、これを今後向上させるために必要なことは何だというふうにお考えでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、個別企業の株価について評価申し上げることはちょっとここでは控えさせていただきたいと考えてございますが、その上で、東日本大震災以降、大手電力会社を取り巻く経営環境はかなり厳しい環境が続いてきていると認識してございます。

 原子力発電所が停止いたしまして、それに伴う燃料費が大幅に増加している。特に足下では、世界的な燃料高ということによって、その負担が一層大きくなっているということ。また、再エネの導入拡大に伴いまして、火力発電所の稼働率が低下してございます。このことによる負荷というのが非常に大きくのしかかっているということ。また、販売面を考えてまいりますと、小売全面自由化の後に、新電力として参入される方々が非常に多い中で、需要を取られることによる販売シェアが低下しているということも直面している現実の課題かと認識してございます。

 こうした経営環境の変化に対応することが各電力会社においては大変重要なわけでございますが、一方で、安定供給の担い手であるわけでございます。

 こういうことを考えますと、まずは、原子力発電所、既設のものについての再稼働をしっかり進めていくという、この取組をしっかり進めていかなければならない。また、燃料の調達ということについての効率化を図らなければならない。また、販売の面で考えますと、他の業種とも連携した強い販売戦略をつくっていかなければならない。こういった様々な経営努力を継続することが重要だと考えますし、その中で、国としても、応援していくべきところはしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。

小野委員 様々な要因が一気に重なってきたということがあると思います。

 福島の原発事故で原発の稼働が止まったということで、収益を生まない施設がどんどんどんどん管理費だけかかっていくというようなことが当然あったわけですね。

 私も非常にショックだったんですが、熊本にいた時分に九州電力の役員さんがおっしゃっていたこと、本当に驚愕したんですが、原発事故以降、三年間で、今まで戦後ため込んできた七千億円もの内部留保が、これが僅か三年で吹っ飛んだということだったんですね。

 例えば、九州選出の議員の方はもう本当にお感じだと思いますが、というか、地方の方は皆さんお感じだと思いますけれども、日本の地方というのは、基本的には電力経済なんですよね。電力会社がしっかりと地域の電力供給の経営を健全にやっていくことによって地域経済が潤うというようなことがあるんですけれども、やはり、原発をこれからどうするかというのはそれぞれの御意見があると思いますが、日本の経済や地域の活性化をしっかり安定させるためには、電力会社の経営というもの、これをどうするのかということは抜きにしては語れないというふうに思います。

 ということで、私ども、原発を再稼働、これはもちろん安全性はしっかりと確保しなければいけないという前提ですが、やはり大事なものだというふうに思っております。

 また、あと、先ほど火力発電所のお話もありました。当然、再エネが進んでいって、火力を減らしていこうということは、これはもう時代の流れだというふうに思いますが、そういう中でも、一定程度、今、バックアップとして使わなければいけないということもあって、そういったことも大手電力会社がちゃんと担保しながら経営しなきゃいけないという非常に厳しい状況が、この原発の停止せざるを得ない状況に加わってきた。脱炭素によってそういった状況も加わってきたということで、より更に経営環境が厳しくなっているということなんですけれども。

 そういったいろいろな重荷を背負っている電力会社の経営のインパクト、先ほどの火力、やはりある程度持たなきゃいけないんだとかいうことがありますが、それについてのインパクト、それからあと、国としての対策というのはどのようなことをお考えでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災以降、例えば原子力発電所を停止した代わりに火力発電所のたき増しを行っていただいております。燃料費の増加というのがありますとともに、委員から御指摘いただいたように、かなり老朽化した火力発電所をかなり高い維持費、メンテナンスを続けながら稼働してきていただいている、そのための負担というものをある程度大手電力が負っていただいてきているということはあろうかと思います。

 その上で、火力発電所の稼働率が低下してきてまいりますので、そうしますと、人件費、修繕費等の固定費を回収できないという中、火力発電所が退出していくということが、一昨年来生じております電力の需給の逼迫というもののベースとなる大きな課題だと思っておりますし、同時に、大手電力の方々にとってみれば、安定供給を確保するために取らなきゃいけないわけですけれども、一方で、経営面等考えますと、非常に大きな課題、影響が生じているということかと考えてございます。

 こうした中で、まずは足下の供給力について、しっかりとした費用の回収ということを前提とした上での供給力確保を図っていくために、容量市場というものを二〇二四年度から開始することとしております。

 また、老朽の火力だけに頼っているわけにはなりません。将来、脱炭素化ということと安定供給ということを両立させていくということが重要でございますので、脱炭素電源への新規投資を促す措置というものを、二〇二三年度の導入に向けた検討を進めているところでございます。

 電力の安定供給というのは国民生活、経済活動の基盤だと考えてございますので、こうした措置も通じながら、電力の安定供給が損なわれることとならないように、電力事業の経営環境ということも念頭に置きながら対策を進めてまいりたいと考えてございます。

小野委員 前回の私の質問でも、FIT賦課金が、実は、太陽光発電だけに支払われているんじゃなくて、例えばそういう調整火力とか、そういうところにも回っていっているような事情もありますが、そういったものも含めて電力というのは供給しているんだということを、政府としてもやはりちゃんと国民にお伝えするという必要もあると思います。もちろん、ちゃんと再エネが普及していくことは前提ではありますけれども、全体として安定した電力供給が可能になる体制というのはどうなっているんだという、そのコミュニケーションも是非やっていただきたいというふうに思っております。

 前回、電力会社の再編の必要性についてお伺いをしました。そのときに大臣から、現時点で直ちに再編が必要であるとは考えていないというお言葉でしたが、私もその後考えてみて、しかし、大手の電力会社が、先ほどの火力を維持するとか、あるいは原発をこれからどういう方向に向けてやっていくのかということについても、やはり経営基盤がしっかりしていないとこれはもたないということで、今の時点で何かお答えできることが、じゃ、二日後に何か発生したかというと、そんなことはないと思うんですが、ただ、やはりこの問題意識は、本当に今考えていないということで足りるのかどうかというのは、是非、そこは再度、大臣に御質問したいと思います。

西村(康)国務大臣 電気事業者がまさに電力の安定供給を担うその責任、責務、そしてバックエンドも含めた責任を果たしていくということは非常に重要であります。当然のことであります。したがって、そのことを進めていく上で、経営基盤を維持強化していく、このことが大事になってくるわけであります。

 その際に、その再編も含めて、事業運営の在り方を見直す必要があるかどうかについて、まずは各事業者の経営判断において検討されるべきだというふうに思います。その上で、国として、エネルギーの安定供給に責任を持つわけでありますので、その立場から、今回の改正案におきましても、原子力基本法に、国が講ずるべき基本的施策として、安全対策投資等を行うことができる事業環境の整備ということを明記をしております。

 現段階において、この間御答弁させていただいたのと同じですけれども、安定供給の維持のために直ちに再編などが必要になるというふうには認識をしておりませんが、政府としても、今後とも事業者が安定供給の責務を果たしていくということができるよう、常に、あり得べき姿、これについては不断の検討を行っていくということと同時に、事業者とも率直に意見交換をしていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。半歩ぐらいは進んでいるんじゃないかなというふうに思いましたけれども。

 歴史を見ましても、例えばバブル崩壊の後に金融機関、これは大幅に再編をされましたし、また、石油業界、鉄鋼業界、造船業界、こういうものも、やはり先行き本当に大丈夫だろうかということで再編をしているわけですね。

 経産省とも打合せをしていると、そういうのは民間で判断することですというふうにおっしゃるんですが、しかし、それは本当に建前にすぎないと思います。やはり、国家戦略としてどういうふうに産業をちゃんと維持発展させていくのかというのは、これは経産省がちゃんと青写真を描かなければいけないことだと思いますので、その点はずっと考えていただきたいと思います。

 私も何度も指摘をさせていただいていますが、やはり、原発を維持するにしても、それを処理するにしても、今の電力会社の経営体力だと厳しいだろうというのが明らかな会社があると思うんですね。やはりそういったことをしっかりと見据えた上で、検討は、これはずっと、表ではなかなか言えないかもしれませんが、是非進めていただきたい。

 そのことは次の質問に関わるんですけれども、私は、日本の大手電力会社というのは、すばらしい、配電とか、あとは発電とか、様々なソフト面での管理、あるいはその裏づけとなる技術、そういったものを持っていると思うんです。そういう中で、海外に対しても日本のそういった優れたインフラをどんどん外国に売り込んでいくというようなことも必要だと思っています。例えば日本のプラントメーカーもそうですし、それから新幹線なんかもそうです。ところが、電力会社は、今、もう経営体力も全然なくて、地域の電力の需給に対してどう責任を果たすかしか見えていないということなんです。

 そこで、ちょっとお伺いしたいのが、大手電力会社の国際的な強みがどういうものがあって、それを武器に海外に進出した実績があるのかとか、あるいは、今後、海外で勝負しようというような、そういった野心的な見通しというのがあるのか、これについてお伺いしたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 大手電力会社の多くは海外展開を経営戦略の一つとして既に位置づけておりまして、これまで国内外で培いました火力発電所や再生可能エネルギー、電力系統の運用などの技術やノウハウを活用しながら、アジア、欧米、中東諸国などで各社のネットワークを生かして国際展開を行っていると承知しております。

 加えて、また、昨今の脱炭素化の流れの中で、水素、アンモニア、CCUSといった火力発電の脱炭素に資する新たな技術の海外展開に向けた取組が始まっているところであります。

 その上で、一般論として申し上げますと、海外におけるビジネス展開は、まさに日本の電力会社にとって新たな機会の創出になる可能性、これがあると考えているところであります。

 特に、世界の成長エンジンとも言われるアジアに関しましては、経済成長と両立させたエネルギートランジションが求められているところでありまして、私たちも、このような考え方を共有するASEAN等の国々とともに、アジア・ゼロエミッション共同体という協力枠組みを先日立ち上げたところであります。

 各国からは、冒頭述べましたような日本企業が強みを有する脱炭素技術に対する強い期待が寄せられておりまして、我が国としては、標準作りといった政策協調や脱炭素技術の開発、実証に向けたファイナンス面、人材面での支援を行っていくことで脱炭素技術への需要を取り込み、まさに大手電力会社を含めました我が国企業の競争力を強化すべく、後押しをしてまいりたいと思っております。

小野委員 力強い答弁をいただきましたが、レクをしていたときには余りそういうことをやっているというような話が聞こえてこなかったので、これは本気でやっていただきたい。

 そのためには、経営基盤の強化というのは本当に大事だというふうに思いますので、是非これは、国内のエネルギー需給をどうするかということはもちろん大事ですが、やはりそれ以上のことをちゃんと実現するために、電力業界をどんどん強くしていくということを、これも常に頭に置いて施策も進めていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.