衆議院

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第13号 令和5年4月26日(水曜日)

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令和五年四月二十六日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上川 陽子君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 馨祐君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      堀井  学君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山下 貴司君    渡辺 孝一君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山岡 達丸君

      足立 康史君    遠藤 良太君

      前川 清成君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   議員           福島 伸享君

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   西村 康稔君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   環境副大臣        山田 美樹君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     由良 英雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥山 祐矢君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   金子 修一君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          森下  泰君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     塩崎 彰久君

  上川 陽子君     堀内 詔子君

  冨樫 博之君     渡辺 孝一君

  松本 洋平君     鈴木 馨祐君

  山際大志郎君     深澤 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     今枝宗一郎君

  鈴木 馨祐君     松本 洋平君

  深澤 陽一君     山際大志郎君

  堀内 詔子君     上川 陽子君

  渡辺 孝一君     冨樫 博之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房GX実行推進室次長龍崎孝嗣君、復興庁統括官由良英雄君、文部科学省大臣官房審議官林孝浩君、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官辻本圭助君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、資源エネルギー庁長官保坂伸君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房政策立案総括審議官角倉一郎君、環境省大臣官房審議官奥山祐矢君、原子力規制庁次長金子修一君及び原子力規制庁長官官房審議官森下泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日もお時間いただきまして、ありがとうございます。大事な法案でありますので、早速質疑に入らせていただきます。

 大臣にはこれまでもいろいろとお聞きをしてきたのでありますが、どうしてもやはり腑に落ちない点が幾つかというか、たくさんございます。今日も重ねての質問にはなりますが、国民の皆さんに是非とも、やはり、大事な法案が今審議にかかっている、そして、その中身についての問題、課題がどこにあるのかというのを何とか御理解をいただきたいということで質問を組み立てておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、大前提で、原発の事故について。

 これも前回も取り上げたのでありますが、あの三・一一、東京電力福島第一原発の事故、十二年たっておりますけれども、事故の収束というのはまだ見えていない、現場での廃炉作業も大変厳しい状況、それから三万人を超える方がまだ避難生活、そんなような状況であります。

 当時を振り返れば、東日本壊滅の日本の危機がすぐそこまで迫っていた。奇跡的な幸運が重なって、その最悪の事態を回避できたということでありました。もし、その最悪の事態が発生していたといえば、この東京を含め関東エリアも避難しなければいけない、そういう事態だったということであります。

 これは、本当に日本の壊滅、破滅につながった、そういう事故だったんだということを我々はもう一回再認識をする必要があるというのが、私は大事な点ではないかと思います。政治はそうした現実から目を背けてはいけない。原発に絶対安全がないという以上は、こうした国の存続に関わるリスクを背負うことになるんだ、これが許されるのかというのをきちっと踏まえて原子力政策というのは考える必要があるという前提を、まず確認をさせていただきたいと思います。

 次は、グリーントランスフォーメーションについてであります。

 脱炭素社会を目指すこの動き、世界的な要請であり、次世代に健全な地球を引き継ぐためにも、また、産業政策としても、日本の本当に今低迷している産業、経済を再び成長軌道に乗せるためにも、極めて重要な機会です。日本の復活のラストチャンスと言ってもいいのではないか、そういうGXであります。

 しかしながら、政府が取ろうとしているこのGXの施策には、私は大きな問題があるという認識であります。まず、政府は、エネルギーの在り方について、いまだに二十世紀型の大型の火力発電や原発の延命を図ろうとしています。少なくとも、短期的にそうしたエネルギーへの依存というのを認めるにしても、中長期的には、環境面からも経済性からも合理性がない化石燃料や原発依存というものは低減して、脱却していかなければいけない。

 しかしながら、今回のこのGXの推進法案、例えば原子力発電について言えば、この依存を固定化するような、そういう制度設計になっています。これでは、日本はまた世界から置いていかれてしまう。申し訳ないけれども、経産省主導の産業政策の新たな失敗を積み重ねることになると、ここではっきりと申し上げたいと思います。

 日本のエネルギーミックスについて改めてお聞きをしたいと思います。

 ウクライナ戦争を受けましてエネルギー事情は大きく変化をしていて、世界は再生可能エネルギーへのシフトを加速化しようとしています。武力攻撃の目標となる原発は、その存在自体が国家安全保障上のリスクであるという認識も広まっています。例えばドイツは、四月十五日に残っていた三基の原発を停止をして、脱原発を完了いたしました。それと併せて、再生可能エネルギーの導入目標を引き上げ、化石燃料からの脱却を加速化しようとしています。

 こういう話をすると、西村大臣はこういうふうに答弁なさいます。エネルギーに関しては、各国、事情が異なるので比較することはできない、完璧なエネルギー源が存在しない以上、全てのエネルギーの利用を進める、それが正しい選択だと。そうやって、原発や化石燃料、化石エネルギー依存を正当化しようとしています。

 それでは、日本のエネルギーに関わる条件、日本はどういう条件を持っているのかを確認をしたいと思います。

 西村大臣が進めようとしている原発でありますが、これも繰り返しの議論でありますが、日本は地震大国です。例えば、地震の心配のないフランスやイギリス、あるいは米国の中東部地域などでは、地震がほとんど起きない。根本的に条件が異なります。

 原発の耐震基準については、何度も議論してまいりました。資料一にあるとおりなのでありますけれども、原発の耐震基準の基準になっています基準地震動、これは残念ながら大変低くて、よくても千ガルとか、六百や七百ガルという原発もあります。このガルというのは、地震の加速度、揺れの大きさ。

 見ていただいて、この資料の右側にあるとおりで、点線の四角で囲ってあるところは、これは住宅メーカーが基準にしている地震動であります。三千ガルあるいは五千ガルを超えるような地震に対して、耐震性能を保持をしようとしている。原発は下であります。千ガルを下回るような基準で原発はできているのであります。真ん中にたくさん数字が並んでいますのが、日本の実際に起きている地震の揺れであります。見ていただいているとおりで、千ガルを超えるような地震は多発しています。

 日本は、こうした地震が平気で起こる国であります。どこで起こるか予測できません、これは気象庁にも確認をしました。たとえ原発推進の皆さんが原発の敷地ではそれ以上の地震は起きないんだと言っても、これは自然現象でございます、起きるときには起きるし、そのリスクというのは決して小さくないのであります。

 東日本大震災の教訓で日本の原発は安全になったというけれども、例えば、電源を二重化するというような対策は取ったかもしれません、あの東日本大震災と同じような津波の被害は免れるかもしれません、でも、地震の揺れに対してのこのリスクというのは、例えば緊急停止ができなくなるとか、あるいは大事な配管が多数破断をしてしまうとか、そうした致命的な暴走のリスクをはらむ事故につながる、過酷事故につながります。これが地震大国における日本の原発のリスクであります。

 結論として、日本はやはり原発を動かしてはいけない国ではないか、これは揺るがぬ事実でありますから、もういかんともし難いと思うのであります。西村大臣、この地震のリスクについてどうお考えですか。

西村(康)国務大臣 これまでも何度か御説明をさせていただいておりますけれども、ヨーロッパの各国でもそれぞれ対応が違います。それぞれの国の事情に応じてエネルギー政策が取られているところであります。

 ただ、全体として、安定供給をしながら二〇五〇年カーボンニュートラルを目指そう、このゴールは同じであります。多様な道筋も、G7でお互いに確認をしたところであります。

 例えば日本は、平地面積は三割しかありません。平地面積当たりの太陽光の導入量はドイツよりも多い数字であります。また、遠浅の海も少なく、イギリスの八分の一しか着床式の風力発電を置ける場所がございません。そんな中で、我々も、再生可能エネルギーを最大限導入していこうと努力を重ねているところであります。公共施設の上の太陽光であったり、あるいは浮体式の風力であったり、しているところであります。

 その上で、地震について申し上げれば、新しい規制基準、これでは、東日本を始めとした過去の知見を踏まえて、地震、津波など自然災害の想定を大幅に引き上げて対策は強化されてきております。

 地震動については、発電所内外の断層を十二万年前から十三万年前まで遡って徹底的に調査をし、ボーリング調査も数百本打って、活断層でないことを確認をしているわけであります。そして、そこから生じる地震動に設備が十分耐えられるような、そういう制度設計が要求されているわけであります。

 さらに、継続的に安全性を高めるために、新たな知見が規制基準に反映されて、事業者に対応を求めるバックフィット制度も設けられております。二〇二一年四月に、地表に表れていない断層による地震動に関し、規制基準の見直しが行われたものと承知をしております。今後とも、新たな知見に応じて、これは規制委員会で取られる話でありますが、規制基準の強化が図られるものと思います。

 いずれにしても、こうした地震、津波への対応、これはまさに福島第一原発の、我々、教訓、反省、安全神話に陥らないと今回、原子力基本法にも明記をさせていただきました。改めて肝に銘じて、安全性の確保、これを最優先にしながら、エネルギーの安定供給そしてカーボンニュートラルを進める、そのことに責任を持って進めていく上で、原子力の利用を安全性を最優先の上で進めていくということでございます。

山崎(誠)委員 申し訳ございませんが、極めて、地震のリスクってこれだけはっきりしているんですよ。これは更田委員長にも前にお聞きをした。やはり基準地震動を超える地震が起きた場合の安全性というのは大変脆弱であります。議事録にも残っていますので、確認してください。

 私が言っているのは、そうやってまた新たな安全神話に突き進んで、原発のリスクに目を塞いで、これは日本の特殊性です、それで原発を進めようとしている。維持をしていこう、これを二十年、三十年続けていこうということについて、本当に責任を持っていただけるのかどうかです。

 今、くしくも答弁の中で出てきました。再生可能エネルギーは設置面積がない、太陽光発電にはこれ以上導入することができないんだというようなお話でありますが、これは科学的根拠はありません。印象操作です。

 環境省のポテンシャル調査の資料をつけました。資料の二です。これは見ていただいて分かるとおりであります。

 当然なんですけれども、再生可能エネルギーというのは太陽光発電だけではありません。風力発電をたくさん入れます、地熱もあれば、バイオマスもあれば、水力もあります、そういったものをきちっと組み合わせて安定電源化することは、再生可能エネルギーだけでも可能であります。蓄電池も入れましょう、系統の整備もして日本全体でつながるネットワークをつくりましょう、省エネ、節電もやりましょう、そうやってエネルギーの供給を今変えよう、世界はそうやって取り組んでいるんです。日本は、このポテンシャルを見ていただければ、十分にポテンシャルがあるんですよ。

 環境省、来ていただいています。このポテンシャルについて、簡単でいいので、説明いただけますか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省におきましては、昨年四月に我が国の再生可能エネルギー導入ポテンシャルの推計結果を公表しております。

 この試算では、一定の条件の下で、年間発電電力量のポテンシャルを幅を持ってお示ししております。最大限のケースで、日本全体で二兆キロワットアワー程度と推計しており、これは現在の電力供給量全体の約二倍となっております。

 ただし、この推計におきましては、自治体や地域住民等の意向を考慮していないでありますとか、再エネ導入に不可欠な系統の空き容量について考慮していないなどといった課題が存在するため、実際の事業実施や政策立案に当たっては、こうした様々な要素を更に考慮する必要があるものと考えております。

山崎(誠)委員 見ていただいたとおりでございまして、最大、ポテンシャルから絞って絞って計算して、最終、実現可能な容量というのがこういう数字だというふうに私は読みました。そして、それで最大二兆キロワットアワーですかね。でも、二兆まで要らないのであります。一兆あれば足りるのでありますから。

 更に条件を絞っていって導入を進めていけば、再生可能エネルギーの可能性というのは、日本においては、大臣、決して小さいものじゃないんですよ。日本の特性なんですよ、これ。メリットなんです。再生可能エネルギーをたくさん入れれば、地域で活性化できて、ネットワークで自給自足できて、いいことずくめですよ。海外から資源を調達する必要もない。今、コストもどんどん落ちています。

 何で、ここに日本の特性があるにもかかわらず、目をつむって、全部のエネルギーと。再生可能エネルギーは不安定で当てにならないと言う。

 太陽光発電だけたくさん入れるとそうなっちゃうんですよ。風力発電も入れて、水力も地熱も組み合わせてくださいよ。それが再生可能エネルギーですから。そういう発想をきちっと持っていただかなければならない。

 だから、今の政府の方針というのは、こうした日本の特性にも合っていないんです。地震大国で原発にはリスクが伴う。再生可能エネルギー導入のポテンシャルがたくさんある、これをしっかりと伸ばしていこうという方針にはなっていない。

 特にこのGXの電源法案は、原発依存を固定化しようとしています。これでは、せっかくのGXで国が二十兆お金をつくって投入をしていくといっても、また同じ失敗で、日本はどんどん世界から置いていかれますよ。断言します。

 法案の内容についても触れたいと思います。

 私は、原子力基本法の方を特に中心に質問してきました。この原子力基本法、私は、極めて大事な、原子力利用の要だ、そういうふうに思います。

 資料四で見ていただけると、原子力基本法があって、炉規制法があって、そして電事法があって、ほかにも法令はありますけれども、大きく言うとこの三つ。

 この資料の作り方も私は非常に不愉快なのでありますけれども、原子力の基本は平和利用であって、原子力基本法がまず最上位にあって、利用するのであれば平和利用、そこからスタートをして、安全を確保するためには炉規制法があって、その範囲内で電事法で利用を検討するという仕組みだというふうに思っております。そういう意味で、原子力基本法というのは要です。

 今、その法律の大改正が行われているのでありますけれども、所管の大臣は出てこられません。質問にもお答えいただけない。副大臣も出てきていただいていますけれども、私から言わせれば、的を得た御回答をいただけていません。

 副大臣にお聞きします、星野さん。

 二月の、皆さん、資料三にあるこの一枚のポンチ絵で、法律の改正の内容の説明を受けた、説明をしたというふうにお話を聞きました。それから、この条文が提出されて、請議にかかったのが二月二十四日であります。この一枚のポンチ絵から、次の法文を皆さんがチェックをされたのはいつですか。

星野副大臣 原子力基本法の改正を含むGX脱炭素電源法案については、私は、本年二月九日に事務方から法案の概要の説明を受け、その内容について了解をしております。

 その後、正確な日付については記憶が定かではありませんが、条文を確認した上で、二月二十二日に法案の閣議請議に関する起案の決裁を行っております。

山崎(誠)委員 私は、この今の御説明、非常に正直に御説明いただいたと思うんですけれども、二月の九日にこの一枚ぺらで、法案をこういうふうに修正しますよ、いいですか、理解をした、オーケーだと。その後、法文はどこで見たか分からないんですよ。法文をいつ受け取ったかも分からない。法文を読んでいないんじゃないんですか。いきなり請議ですよ。だって、受け取った日付も分からないで。じゃ、チェックしたのはいつですか。それに対して、副大臣はどんなコメントを出したんですか。条文についてどういうコメントを出されたか、それは分かりますか。これは時間がないのでやめますけれども。

 本当に今の政府は、申し訳ないけれども、たるんでいます。大事な法案の法文も、これだけの大改正ですよ。大臣、目を通してくださいよ。ちゃんと、いつその法案を受け取ったかぐらい記録を取っておいてくださいよ。誰も法文を、草案を受け取った日を知らないんですよ。そんなのありますか。いやいや、秘書官に渡したと。じゃ、秘書官に渡したのはいつですか、日付は分かりませんと。今、副大臣もそういう答弁じゃないですか。それで我々に法文をチェックしているんですと言えますか。

 私がこのお話をしたら、担当官は、日付は関係がないと開き直るんですよ。本当ですか。こんな大事な法案を、皆さんは日付も確認しないまま、あっちからこっちから流して、承認、承認といくんですか。

 私は、日本の原子力行政というのは完全に今崩壊していると思います。この法案の改正のプロセスを見ると、規制と利用の分離もできていない。経産省が全部手を突っ込んで作っていますよ。それを隠そうと議事録も出てこない。私は誠実にやってもらいたいんですよ。

 質問の冒頭でもお話ししたとおり、原発の利用というのは、国の存亡に関わるような事故、リスクの可能性というのを常にはらんでいるんです。そういう真剣さ、そういう誠実さがかけらも見えないのが今回の改正ではないでしょうか。

 四十年の運転のお話、運転期間については四十年の廃炉というのが原則であったはずです。この廃炉の原則はどこへ行ってしまいましたか、西村大臣。

西村(康)国務大臣 民主党政権時代にできた法律で、四十年、二十年の一回延長を認める法律がありますので、私ども、その基本原則を維持しながら、しかし、他律的な要因で、新しい適合基準に、規制基準にしっかりと適合するために対応している期間など、こうした部分については延長のいわば申請ができると。

 ただし、規制委員会の厳しい適合性基準、これに合格しないと、認可を得ないとできないということでありますので、最終的には安全確保を最優先、大前提として運転期間は決められるということであります。

山崎(誠)委員 法律、今の炉規制法では、四十年が基本的な期限で、二十年延長は例外的な規制であります。

 もちろん安全は最優先ですよ。その上で、四十年で廃炉をしようというのを決めていたのであります。それがいつの間にか、今回、利用政策の問題なんだということで、私は、四十年、廃炉するんだというこの法律の意義が失われたと思っています。

 もちろん、四十年のこの根拠については、科学的根拠も私はあると思いますけれども、あとはやはり、原発依存を低減させるという政治的な意思もあったはずです。それが、いや、四十年には安全規制のそういう意味はないんだというその一言で、ああ、そうですかということで取っ払われていいんでしょうか。私は大きな問題だと思います。

 利用政策と言いますけれども、この利用政策の意味、利用政策とは何ですか。これは今でも、これだけ質疑をしても分からないんですよ。利用政策というのはどういう意味ですか。

 例えば、四十年から先の延長を求めてきたときに、利用政策の観点から運転を認めないとする、そういう理由というのはどこにあるんですか、大臣。

西村(康)国務大臣 私ども、福島第一原発のあのときの事故の教訓そして反省に立って、当時、経済産業省におきまして、利用、つまり、原子力をエネルギーの安定供給としてフルに活用していこう、できるだけ長い期間、これはもちろん四十年、二十年のルールはあるんですけれども、していこうという中で、経産省の中で、いわゆる規制、これも行っていた。当然、仲間内で利用と規制、推進と規制側が一緒に同じ組織でやっていたわけでありますし、人事も当然いろいろなローテーションの中で動いていたわけであります。そこに甘えがあったということで、私はそのように認識しておりますし、これまでも、事故調の報告書でもそのようなことが記載をされているわけであります。

 その反省、教訓の上に立って、明確に、規制は原子力規制委員会。これは、民主党政権の下でつくられた規制委員会が、適合性基準を、しっかりと安全性は見ると。

 私ども経済産業省、これは事業者を所管する観点から、エネルギーの安定供給、安価な価格で供給をしていくという観点から、原子力政策をしっかりと活用するという立場で我々は所管をしているわけでありまして、この分離が今回明確に法制上なされるということでありますので、是非、理解をいただければと思います。

山崎(誠)委員 長々と説明をされていますけれども、私の質問には答えてくれていません。

 だから、利用政策と言っているのは何ですか。利用政策上で期限を決めて切る理由はどこにあるのか、分からないんですよ。

 私は、これは無理やり規制にあったものを利用政策の方に持ってきて、だから曖昧になってしまっていると思うんですよ。理由ないですよ。

 じゃ、四十年、延長したいと言ってきて、安全はもちろん大前提ですよ、審査は通っていて、それを止める、四十年なんだから止めようと利用政策から言う理由はありますか。私は、全くそれは見出せません。今の説明でもないですよ、その説明。いいです。

 また、国の責務というところ、あるいは基本的な施策でも、国が例えば必要な措置を講じる。原子力の利用に当たっては、原子力発電を電源の選択肢の一つとして活用する、そのために必要な措置を講ずる責任があると国の責務を決めています。原子力をとにかくこれから電源の一つとして維持をしていくために、国は必要な施策を講じなきゃいけないと言っている。国の責務、二条の二の一項です。それから、二条の三の三項では、同じように原発ですね、原子力発電事業、これを安定的に行うことができるような事業環境を整備するための施策を行うと言っています。

 これで言っている具体的な措置とか具体的な施策というのは何ですか。何を国がこの原子力事業に対してやっていこうということなんですか。

西村(康)国務大臣 まず、先ほどの点で、利用政策の観点からは運転期間の制限を設けなくてもいいじゃないかという、これは審議会で議論がありました。現にアメリカも八十年まで認めていますし、認める基が何基かございますし、フランスやイギリスはこの期間を、定めが、上限がありません。そういう議論もありましたけれども、我々は、事故もありましたその教訓の上に立って、自己抑制的に、四十年、一回二十年延長プラス、そして他律的要因で決まっている部分だけは認めることができるということの提案を利用側からさせていただいているわけであります。

 そして、国の責務として、今回、基本法の中で明記をさせていただきました。まさに、原子力を活用しながらエネルギーの安定供給を図るという、目的にも書かれております。民主党政権のときにもこれは確認をされているものと思いますけれども、その上で、私ども、いろいろな変化がございました。まさにエネ基もありましたし、温暖化計画もできました。そして、今般のエネルギー危機ともいうべき状況があります。そうした中で、エネルギーの安定供給や脱炭素社会を実現をしていくこと、そして自律性の向上、こうしたことを国の責務として明記をしたわけであります。

 さらに、安全の確保をしていく上で、国民の信頼を確保し理解を得るためにしっかりと取組を推進するということを明記し、そのことを私ども着実に実行していくわけであります。

山崎(誠)委員 もう時間がないんですけれども、大臣、何にも具体的に答えてくれていない。

 国のお金を使って原子力事業を維持するんですね。経済的に合理性が失われた原発は、民間事業者をもう止めなきゃ、やっていけなくなりますよ。そういう時代がすぐ来る。高いエネルギーを国が支えて、原子力事業をやるということですね。お金を投入する、あるいは原子力発電の電気を例えば買い取らなきゃいけないような、そういうルールを作る、原発版の固定価格買取り制度みたいなものを作る、そういうことを国がやって原発を延命させようとしているんじゃないですか。具体的な施策、事業環境、投資を維持する、民間が投資ができるようにするというのは、そういうことじゃないですか。

 全くお答えいただけないので、私は、これで質疑の終局というのはあり得ないと思います。是非、継続的に、具体的にどういうことをやろうとしているのか明確にしていただかないと、この法案の賛否を決めることはできませんので、そのように申し添えて、終わります。

竹内委員長 次に、前川清成君。

前川委員 おはようございます。日本維新の会の前川清成です。

 今日で四回目の質疑に立たせていただくことになります。これまでは、原発の経済的合理性、再生エネルギーとの比較であったり、万が一事故が起こった場合の費用であったり、あるいは、十万年間と言われる使用済燃料の処分のことだったり、そんなことを考えれば、原子力発電には経済的合理性がないのではないか、こんな観点から質問させていただきましたけれども、今日は、今、山崎委員からもありましたが、事故のことについてお伺いをしたいと思っています。

 そのために、今日は山中委員長に御足労いただきました。ありがとうございました。

 原子力発電については安全最優先なんだ、これは大臣も、あるいは委員長もおっしゃいますし、第六次エネルギー基本計画にもそう書かれています。先日の連合審査では、環境大臣が、安全最優先なので、二度と事故は起こさせない、そこまで言い切っておられました。しかし、今までも、あるいは福島第一原発の事故以前も、安全を最優先してきたはずではなかったのか。国民は、私たちは、やはり原発の事故を心配していると思います。

 そこで、山中委員長にお尋ねをしたいんですが、原発の規制、安全性のチェックに関して、何がどう変わるのか、あるいは変わったのか、端的に、具体的に教えていただきたいと思います。そして、安全を最優先したならば、もう二度と福島第一のような事故は起こらないのか、このこともお尋ねしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえまして、平成二十五年七月に新規制基準を策定いたしました。既設炉に対してそれらへの適合性を求めました。

 この基準では、地震や津波等に対する基準を強化するとともに、それでもなお事故は起こるものと考えて、炉心損傷の防止、格納容器の破損の防止、放射性物質の拡散抑制としての対策を要求しております。これらの対策により、今後、東京電力福島第一原子力発電所事故と同規模の事故が起こる可能性は極めて低く抑えられていると考えています。

 他方、原子力規制委員会としては、考えられる限りの規制基準を要求し、いかに事業者が安全の確保に努めても絶対安全とは申し上げられない、新規制基準への適合は、リスクがゼロであるということを保証するものではありません、そのように認識しております。

 安全神話に陥ることなく、過酷事故が起こるリスクは存在するものとして、その残されたリスクを低減させる活動に事業者と規制当局双方が継続的に取り組むことが重要であると考えております。

前川委員 今委員長の御答弁にありましたけれども、原発事故はやはりリスクが残るということであれば、そのリスクがどの程度あるのか、原子力発電によって、もしかして安い電力が安定的に得られるとするならば、そのリスクとベネフィットをどうてんびんにかけて、これからの日本のエネルギー政策を考えていくのか、こういうことなんだろうと思うんです。

 ついては、今委員長が、福島第一原発のような事故が起こる可能性は極めて低い、こういうふうにおっしゃいましたけれども、極めて低いというのはどれぐらいの確率なのか、お答えいただきたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 規制委員会における新規制基準適合性審査では、重大事故が発生した場合でも、事故の対処に必要な設備や体制が整備され、原子力発電所の事故による環境への影響をできる限り小さくする設計となっているかを確認しております。

 具体的には、重大事故が発生した場合でも、格納容器の破損を防止し、放射性物質が敷地外に異常な水準で放出されることを防止するための必要な措置が講じられる設計ということを確認しております。その際、重大事故に対する対策の有効性につきましては、放出されるセシウム137の量が東京電力福島第一原子力発電所事故の百分の一に相当する百テラベクレルを下回っていることも確認しております。

 そのため、その対策の有効性を確認できた原子炉において、東京電力福島第一原子力発電所事故のような放射性物質の大量放出を招くおそれは極めて小さく抑えられていると考えております。

前川委員 委員長、私が今聞いたのは、今も最後におっしゃった極めて低いというのがどれぐらいの確率なのかということをお尋ねしたいんです。

 ついては、大臣、よろしいでしょうか。政府は福島第一原発のような過酷事故が起こる割合を、四千炉あれば年に一回、こういう確率で起こるというふうに、逢坂誠二さんのお出しになった質問主意書に対して、平成二十八年、お答えになっておるみたいなんですけれども、政府としても、極めて低いというのは、四千炉あれば年に一回ぐらい、この質問主意書で答えている確率ぐらいを想定しているわけですか。

西村(康)国務大臣 済みません、ちょっと手元にその質問主意書の回答が、閣議決定したものはないんですが、私ども、今答弁もありましたけれども、いかなる原子力のプラントであってもまずゼロリスクはない、そのことを頭に置いて、安全神話には陥らない、もちろん規制委員会が、極めて厳しい、世界で最も厳しいとも言われるような、そういう基準で適合性審査をやっていただいておりますけれども、その上でも事故は起こり得るということで進まなきゃいけない、取り組まなきゃいけないと思っております。

 そして、これまでIAEAにおいて広範囲な影響を伴う事故とされる例としては、二〇一一年の福島第一原発、これは、一九六三年から今まで、六十年間において、当時までは約六十基動いていた中で事故が起こりました。また、旧ソ連では、一九八六年当時、一九五四年から原子力は動いております、今まで六十八年間動いておりますが、チェルノブイリで一回、そしてアメリカも、一九五七年から今まで動いております、一九七九年当時、八十一基が動いていた中でスリーマイルで事故がありました。

 ということで、これまで世界中で、いわゆるシビアアクシデントと言われるものはこうしたものが例があるわけでありまして、もちろん、それ以外にも、カナダ、韓国、スウェーデンなど、かなりの原発が動いておりますが、シビアな事故はこういったものがあるということでありますので、これまでの経験則からいくと、この間動かしてきた中で、六十年、七十年近く動かしてきた中でこれだけの事故があったということが経験則からは出てくるわけであります。

 そして、いずれにしても、重大事故が起こり得るという前提で、様々な、新規制基準に適合させること、そして不断の安全性向上の取組、訓練も含めてそうした取組を行いながら、万全を期していきたいというふうに考えております。

前川委員 お手元にないということですが、政府の答弁書は、平成二十八年十二月二十日、当時の安倍総理の名前で衆議院議長宛てに提出されております。その答弁書だと四千炉あれば年に一回というふうに書いてあるんですけれども、今大臣がおっしゃったように、震災前は五十四基、およそ六十基、原発が動いていました。そうすると、四千を五十四で割ると、七十年に一回、事故が起こってしまうことになる。それで本当に大丈夫なのかという心配なんです。

 今大臣の方もおっしゃいましたけれども、一九七九年の三月にアメリカ・スリーマイル島の原発事故が起こりました。その年の四月二十七日に衆議院本会議で、当時の江崎、当時ですから通産大臣は、日本は厳しい規制を行っています、このため、米国で起こったような事故が我が国で起こる可能性はほとんどありません、こういうふうにおっしゃっている。一九八六年の四月二十六日にチェルノブイリ原発の事故がありました。その年の五月七日、参議院本会議で、当時の中曽根総理は、日本は厳しい安全規制を実施している、ソ連の型と我が国の型とはまるっきり構造が違う、だから日本では事故が起こる心配はない、こういうふうにおっしゃって、しかし、それでも福島の事故が起こってしまった。

 だから、私も、そして多くの国民の皆さんも、委員長が、福島のような事故が起こる可能性は極めて低い、こうおっしゃるけれども、本当に大丈夫なんだろうか、ただただ、安全を最優先、環境大臣のように、事故は起こさせない、こうおっしゃったところで、それを本当に信じていいのかという気持ちを持っているということを申し上げたいと思います。

 それで、前回、連合審査の際にも申し上げましたが、福島の事故、これは決してお金だけの問題ではないと思います。大勢の皆さん方に塗炭の苦しみを与えています。

 今、政府も東電も懸命に廃炉作業を行っていると思いますが、二〇二一年までに取り出す予定のデブリ、これについて、まだ手がついていません。デブリの量は八百トンあります。三月二十九日、NHKの報道によると、二〇二四年の後半に数グラム取り出すことができるのではないかという報道がありました。

 八百八十トンで数グラムだったら、一体いつになるとデブリを全て取り出すことができるのかというふうな気になるんですが、この点はいかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、福島第一原発の廃炉でありますが、これは、中長期ロードマップを定めておりまして、これに基づいて、二〇四一年から五一年の廃炉措置完了を目指して取組が進められているところであります。

 そして、御指摘の福島第一原発の燃料デブリの総量ですけれども、国際廃炉研究開発機構、IRIDの試算によりますと、御指摘のように、約八百八十トンと推計されております。

 その取り出し作業は、まさに世界でも前例のない作業でありますので、困難な作業であります。このため、作業を進めながら徐々に得られる情報、経験に基づいて柔軟に方向性を調整するいわばステップ・バイ・ステップのアプローチで進めておりまして、中長期ロードマップでは、具体的に取り出し完了の時期をお示しをしていないところであります。

 まずは、現在準備を進めております二号機での試験的なデブリ取り出しから始め、徐々に得られる知見を踏まえ柔軟に作業を見直して、段階的に取り出し規模の拡大をしていくことにしております。

 私自身も、昨年十月、楢葉にあります試験施設、ここで、実物のロボットアーム、これを見ながら説明を受けましたけれども、まさに内外の技術の粋を集めたロボットアームで外からデブリを取り出す作業、その開発を進めておりまして、二〇二三年度後半目途の取り出し着手に向けて準備が進められているところであります。

 引き続き、この中長期ロードマップに基づいて、安全かつ着実に取組を進めていきたいというふうに考えております。

前川委員 デブリを取り出す時期、全部取り出せる時期はまだはっきり分からない、こういうことですけれども、仮に取り出せたら、これは八百八十トンという膨大な量の核廃棄物、核のごみになると思います。福島県は、これを県外に持っていってほしい、こういうふうに求めているそうですが、取り出したデブリ、これについてはどこでどのように処分するんでしょうか。

西村(康)国務大臣 福島第一原発から取り出した燃料デブリについてでありますが、国が定めました中長期ロードマップにおきまして、「容器に収納の上、福島第一原子力発電所内に整備する保管設備に移送し、乾式にて保管を行う。」ということとしております。

 その上で、その処理処分方法については、燃料デブリ取り出し開始後に、燃料デブリの性状の分析などを進めて、技術的検討を経た上で決定することとしております。

 この燃料デブリが適切に処理処分されるよう、国としても、最後まで責任を持って対応したいというふうに考えております。

前川委員 デブリの取り出しの時期も、その最終処分をどうするかも決まっていないということなんですが、大臣が先ほどおっしゃったように、二〇四一年ないし五一年までに廃炉は終了する、こういうことになっています。

 ここで言う廃炉の意味がちょっと分からないんですけれども、廃炉になれば、二〇四一年あるいは二〇五一年の段階で福島第一原発というのは更地になっている、こういう意味でいいんでしょうか。

西村(康)国務大臣 福島第一原発における廃止、廃炉の措置でありますけれども、放射性物質によるリスクから人や環境を守るための継続的なリスク低減活動と位置づけておりまして、こうした方針に沿って、二〇四一年から五一年の廃止措置完了を目指して、燃料デブリの取り出しについても安全かつ着実に進めていくこととしております。

 いずれにしても、困難な作業が予想されておりますけれども、この四一年から五一年までの廃止完了を目指して、国も前面に立って着実に進めていきたいというふうに考えております。

前川委員 もちろん、この廃炉作業が大変困難な作業だ、人類の歴史において前例のないことだというのはよく分かります。だから、工程どおりになかなか進まない等というのはよく分かるんですが、この廃炉にかける費用、あるいは時間、手間、これもやはり原発のコストとして考えないといけないと私は思っています。大臣おっしゃるように、事故が起こることはゼロリスクではないというのであれば、この廃炉、万が一事故が起こったときの費用、困難も踏まえて、原発が本当に安くて安全な電気なのかというのを考えておく必要があると思っています。

 その上で、時間が残り少なくなってきましたので、十万年管理しておかなければならないという使用済核燃料について質問したいと思います。

 大臣、先日、そのままの直接処分は想定していないんだ、再処理をして高速炉でもう一度使って、そうなれば三百年程度の管理で済むんだ、こういうふうに御答弁されました。そのためには高速炉が完成する必要があります。

 高速炉の原型炉である「もんじゅ」というのは、一九八五年に建設が始まって、平成六年、初臨界いたしました。平成四年までに一兆一千四百八十四億円の経費を要した、こういうふうに文科省から説明を受けました。ただ、「もんじゅ」が動いたのは合計二百五十日間、一日当たりで計算をすると四十五億円になります。「もんじゅ」の廃炉に幾らかかるか、まだ分からないそうです。仮に廃炉に一兆円かかるとしたら、一日当たり八十六億円お金をかけて壮大な実験をしたことになります。

 ここまでお金をかけて動かした「もんじゅ」なんですが、「もんじゅ」、原型炉までは文科省の仕事で、ここから先、実証炉を造っていく、さらには商業炉、これは経産省の仕事なんですというふうに文科省から説明を受けました。

 ついては、経産大臣にお尋ねしたいんですが、この「もんじゅ」の二百五十日間の運転で、実証炉の建設、そして安全な運転、これに必要な知識や技術というのは獲得できたんでしょうか。

西村(康)国務大臣 高速炉についての御質問でございます。

 御指摘の原型炉「もんじゅ」の開発が進められてきましたが、残念ながら、二〇一六年に廃止が決定されております。他方、実験炉で常陽、これについては二〇二四年度の再稼働に向けての取組が進められているところであります。いずれにしても、これらの過去の運転を通じまして、燃料、安全評価、ナトリウムの取扱いなど、今後の実証炉開発に必要な知見を獲得できたものと思っております。

 その上で、実証炉を実際に建設していくに当たっては、まずは立地地域の方々の御理解をいただくことが大前提であります。具体的な建設時期など、現時点で明確化することはできませんけれども、エネルギー庁の審議会で産学官の関係者が整理した、研究開発を進めていく上での目標時期としては、二〇四〇年代半ば頃の運転開始を見込んでいるところでありますし、海外でも、アメリカ、フランスなど、そうした開発が進められておりますので、連携しながら、技術の共有なども図りながらこうした取組を進めていきたいと考えております。

前川委員 残念ながら時間が参りましたので、これで質疑を終わりますが、やはり、十万年の未来に核廃棄物の負担を押しつける、これは許されないことではないかと私も思っています。かといって、本当に、高速炉と再処理、高速炉というのが可能なのか、原子力発電というのは、もう少し立ち止まって、ゆっくり検討しながら進めていかなければならないような気がしております。

 そのことを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 おととい月曜日に、茨城県にある日本原電に視察に行ってまいりました。党の中にあるエネルギー調査会が主体になって、何人かの議員と。一つは日本原子力研究機構という国の関係ですね、それと午後には東海第二原発。

 私も生まれて初めて、核廃棄物を収納しているドライキャスクがあるんですね、こういう円筒型の、そこに手を当ててみてくださいと。温かいんですよ、まだ核廃棄物を収納して何年もたっていないもの。十年近くたっているやつは、確かに触ると温度が違う。

 そこで現場の人の話を聞いたんですけれども、今、この空間にもう何基もドライキャスクが立っているんですね。堅牢な土台のところに、いろいろ規制委員会から指導をいただいて、最初は四つ股のところの、ローラーみたいなところで固定してあるんですけれども、それをまた補強して。だから、見れば分かるんですね、古いタイプのやつと新しいタイプのやつ。

 じゃ、ここにあるものを何基ストックできて、その後どうしますかと尋ねたんです。結局、どんなに核廃棄物を場内でストックしたとしても、コンクリートで堅牢なものを造ったとしても、キャパシティーというのは決まっちゃうんですね。一年間もし百十万キロワットの発電を、まだ再スタートしていませんけれども、するようになったら、ドライキャスクを何個必要になるんですかと尋ねたら、三本ストックしなくちゃいけない。そこに置けるスペースというのが限られているわけです。

 だから、それに基づいて、前任の方も同じような質問をされていたと思うんですけれども、放射性廃棄物の件についてお尋ねしたいと思います。

 昨日もレクを受けたんですけれども、二〇一八年の十二月に原子力関係閣僚会議にて決定された戦略ロードマップにおいて、これは昨年改定されたとお聞きしたんですけれども、そのときに今後十年の高速炉の研究開発に関して方向性が提示されているんですが、例えば、私たち素人に分かりやすい言い方で結構ですから、現状、富士山の頂上に登るといったときに今何合目にいるのか。難しいことはいいんです、一合目にいるのか、五合目にいるのか、八合目にいるのか。今の前任の方も質問したとき、二〇一六年に「もんじゅ」がもう停止しているんですね。これから高速炉を再スタートさせるんだというのを二〇一八年に言って、昨年の二〇二二年のときに改定をしているんですけれども、じゃ、何合目まで来ているのか、まずお尋ねしたいと思います。

中谷副大臣 富士山に例えるのは少々難しいというところであります。

 原子炉の開発は一般的に、原子炉、原型炉、実証炉、商用炉の四種類の開発段階を経て、商用化が進められるものであります。

 高速炉では、国内でこれまで、最初の段階であります実験炉常陽、二番目の段階であります今現在先生がおっしゃった原型炉「もんじゅ」の開発、建設が行われたというところであります。

 今後の高速炉の開発につきましては、これまでの実績を踏まえまして、第三段階、三番目の段階であります実証炉の開発を目指しているところであります。

 三番目でありますこの工程を実現化していくべく、昨年の十二月に高速炉を開発する戦略ロードマップを改定をいたしまして、二〇二四年以降の実証炉の概念設計と研究開発の進め方をお示しをしたというところであります。

 その上で、実証炉を実際に建設していくに当たりましては、まず立地がありますので、立地地域の方々の御理解をいただくことが大前提であります。具体的な建設時期につきましては、現時点で明確にすることはできませんが、資源エネルギー庁の審議会では、産学官関係者が整理したところ、研究開発を進めていく上で目標時期といたしましては、二〇四〇年代半ばの運転開始を見込まれているというところであります。

鈴木(義)委員 長い間かけて「もんじゅ」を開発というのかな、研究してきていながら、うまくいかなかった。それが今二〇二三年で、四〇年目途に高速炉をまたやるんですといったときに、本当にできるのかなと。

 おととい現場で聞いたときに、天然ウランを〇・七%から一%に濃縮することが、燃料に使うんだそうです、この〇・七から一%の間をどうするかというので、MOX燃料を作ったり何なりしていくんだと思うんですけれども、それでも使い切るというのはできないと言われました。何らかの形で放射性物質が出てしまう。一〇〇%、核燃料を発電に使うんですけれども、燃やし切ることができるか、核分裂を全部最後までできるかといったら、できない。どうしてもやはり核廃棄物になってしまうんですよね。だから、そこのところの技術が確立できているのか。

 私も九年前に衆議院に当選したときに、文科省の担当の人に来てもらって、今の原子力というより核廃棄物の、例えば中性子線を当てて崩壊を早めることによって半減期を短くする、前任の方も十万年と言っていたんですけれども、それを中性子を当てることによって早く崩壊させることで、三百年とか二百年とか、コントロールできるところまでつくれるんじゃないか。九年前で、そのときに、実験室ベースではそれをやっているけれども、実際、商業ベースにするのに、当時、原発の事故が起きた後の話ですけれども、年間一千トン処理しないと核廃棄物を処理できない。商業炉にしていく、処理施設とすれば二百五十トンが四基必要になる、じゃ、それを実際に商業ベースに持っていくのに何年かかりますかといったら、三十年かかると九年前に言われたんです。

 今回のこの法案が上程される前に文科省の担当の人に来てもらって、九年前に三十年と言って、もう九年たって、あと二十一年しかなくて商業ベースはできますかと尋ねたら、まだまだ研究開発をしないと難しいという答弁をもらったんですね、それはレクのときなんですけれども。細かい話は省きます。

 それが現実なのに、必ず西村大臣も、国が前面に立ってという言葉をよくお使いになるんですね。じゃ、最終処分場は国がやる考えがあるのか。レクで聞いているのは、株式会社なのか公設民営なのかよく分かりませんけれども、そこが処理するんだといっても、それでは国が前面に立つというんじゃなくて、やはり民間任せ。民間に近いような団体に任せているといって、国はぱっと線を引く、私たちは管理監督だけしているんだ、民間がやったことだろうと。それはちょっと前面に立つということにはならないんじゃないかと思うんですけれども、そこのところをまずお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘の高レベル放射性廃棄物の最終処分場の運営についてでありますが、法律、最終処分法に基づく実施主体でありますNUMO、原子力発電環境整備機構が、これは特別認可法人、法律の下でつくられた法人でありますが、NUMOが責任を持って運営し、国がこれを監督するということであります。

 当然、決してこの特別認可法人であるNUMOに任せ切りではなく、国が責任を持って取り組むということでありますが、最終処分場が決まっていないことが、原子力の国民の皆様の懸念の一つであるということであります。原子力を進める上で重要な課題であることを改めて認識した上で、将来世代に負担を先送りしないように、我々の世代で解決に向けた対策を確実に進めていくことが必要であるというふうに認識しております。

 こうした考え方に基づきまして、二月十日の最終処分関係閣僚会議におきまして、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の改定案を取りまとめたところであります。御指摘の、国が前面に立って取り組むという点については、当該基本方針の中でも、国が、政府一丸となって、かつ政府の責任で最終処分に向けて取り組んでいく方針をお示しをしているところであります。

 この基本方針案に沿いまして、関心自治体を掘り起こすための全国行脚や、国から地域への文献調査受入れの検討に関する段階的な申入れなどの取組を加速していきたいと思いますが、まさに法律に基づいて認可された特別認可法人のNUMOが主体でありますが、国がしっかりと監督をしながら、我々の世代でしっかりと道筋をつけていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 先ほどの富士山に例えて、るる御説明いただいたんですけれども、何合目とやはり答えが出ないんですね。何合目とはっきり言えないということは、まだまだずっと先になってしまう、一合目も行っていないのかということになるんですよ。

 そこのところは事実を羅列するだけで、自分たちが今やっていることがどこまで来ているのかというのが認識できていないで、早くもっと頑張れ、予算をつけてやるから頑張れというふうにならないんですね。暗中模索でどこにいるのかよく分からないのに、じゃ、予算をつけてやれば技術開発ができるのかというところも全然分からないで、頑張ってやっています、やってもらっていますというだけでは、全然問題の解決にならないんじゃないかと思います。

 先ほども廃炉の話が出たんですけれども、例えばJPDR、一番最初に日本で商業運転した原子力発電所が、一九七六年に運転を終了して、その後、解体作業が行われて、現在は更地になっていると聞くんです。この解体時に発生した廃棄物は、高レベル放射性廃棄物、低レベル放射性、どの分類をどこで処分したのか、まずお尋ねしたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、日本原子力研究開発機構におけるJPDRの廃止措置により発生した放射性廃棄物については、低レベル放射性廃棄物が約三千七百七十トン発生したと承知しております。このうち、ごく低レベルのコンクリート約千六百七十トンについては、原子力機構原子力科学研究所の敷地内において、埋設処分の安全性実証試験を目的とした埋設実地試験に使用されております。また、そのほかの約二千百トンについては、廃棄体化をして、原子力機構の保管廃棄施設において管理されていると承知しております。

 なお、解体廃棄物においては高レベル放射性廃棄物に該当するものはございませんが、JPDRの運転により生じた使用済核燃料約九トンについては、原子力機構の東海再処理施設において再処理をされて、ガラス固化体として保管されていると承知しております。

鈴木(義)委員 三十年ぐらい前の話なんですけれども、燃料棒を作っている施設に出入りしている事業者の方の話を聞いたんです。ハザードマークがありますよね、放射性廃棄物。衣服だとかいろいろな器具類を、結局、低レベルだからということで、建屋を建てて、ドラム缶に詰めて、人が中に入らないようなことはするんでしょうけれども、毎回行くたびにその施設が増えているというんだね。敷地内にどんどんどんどん建屋が建っていくんだそうです、低レベルなやつ。

 だから、原発の施設内でまだストックできるうちはいいんですけれども、本格的にまた稼働していけば、原発の施設、発電施設ばかりじゃなくて、燃料棒を作っているところも同じなんですよ。だって、濃縮ウランにして燃料棒にするわけだから。そこでも、被曝というんですかね、放射能を浴びたいろいろなものを結局ストックしているのが現実ですよね。その敷地がまだ余裕があるうちはいいけれども、どんどんどんどん増えていって、これからまた何基も何基も再稼働させていく中で、そういうことが起きたときに人任せでいいのかという問題が出てくると思います。

 じゃ、今御説明いただいたんですけれども、今国内で、五十万キロワット、八十万キロワット、百十万キロワット、細かい数字はちょっと勘弁してもらいたいんですけれども、原発があるんですね。もう既に廃炉を決めている原発の施設もあります。そうすると、単純にはいかないかもしれませんけれども、JPDRは一万二千五百キロワットの発電施設だったと承知しています。桁が全然違うんですね。五十倍なのか、八十倍なのか、百倍なのか、そういった施設から出てくるものが、単純に言えば、十倍になるか、五十倍になるか、百倍になるかは分かりませんけれども、そういったものが出てきたときに処理できるのかという問題が必ず出てきます。

 建てっ放しで、日本原電に行ったときに、もう四十五年か四十八年前の施設が、コンクリートの打ちっ放しの施設がそのまま残っていました。もう休止しているんです。これから解体していくんだと思うんですけれども。

 そういう現実の話があって、どう処分していくのかという道筋をやはりつけてあげないと。それを前面に立って、事業者任せじゃなくて、国がやはりやらないと。事業者がコンコンとたたいて、うちのこれを解体したんですけれども、ちょっと放射能があるかどうか分かりませんが預かってもらえませんかといって、はい、分かりましたと言う事業者はいないと思います。

 ちなみに、核廃棄物の施設に入って、私たちが、一緒に同行してくれた案内の方がガイガーカウンターを持っていて、〇・〇五ミリシーベルトの放射量を浴びている。じゃ、皆さんは年間どこまでの許容量で仕事をされているんですかと言ったら、五十ミリシーベルトです。だから、一万分の一ぐらいの許容量で、私たちはすぐ入って出てきただけですから影響はないんだと思うんですけれども、すごい気を遣って、この議員会館だとか国会とはもう比べ物にならないぐらい厳格な検査をして中に入れる、場内を動くということをされていたので、ああ、ここまで厳しくやっているんだなというふうに思ったんですけれども。

 廃棄物の話ですから、そこのところの道筋が、どのぐらいの量が出て、処分先をどこにするのか、お尋ねしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の放射性の廃棄物、高レベルの話がよく御指摘いただくわけでございますが、委員から今回御質問を頂戴した低レベルのところも含めた全体としての放射線に対する管理と適切な処分ということは、しっかり進めていかなければならない課題であり、事業者任せにせずに国も一緒になって考えていく、若しくはリードして進めていく必要があるかと考えてございます。

 お尋ねの量のお話をまず申し上げますと、廃止措置に伴い発生する低レベル放射性廃棄物につきましては、建設中のもの及び福島第一原子力発電所のものを除きました国内の原子力発電所五十一基から、約四十五万トンが発生するものと試算してございます。

 これら低レベル放射性廃棄物につきましては、放射能のレベルの高い順からL1、L2、L3という形で分類をいたしておりまして、それぞれ、これは放射線の強さが違いますものですから、処分方法が定められておりまして、現在、その処分の実施と処分場確保に向けた調整が行われているところでございます。

 現状について申し上げますと、まず、L1という一番強い放射線が残っているものについて申し上げますと、地下七十メートル以上の深さに埋設する中深度処分という方法での処分を考えてございまして、この実現に向けて、これは国の事業でございますが、青森県六ケ所村の試験空洞というものを活用いたして調査研究を実施しているところでございます。

 次の中規模帯になりますL2につきましては、既に青森県の六ケ所村におきまして、原子力発電所の操業中に発生するものを対象に実質的に処分が進められているところでございます。

 最後、L3でございますが、現在、各発電所の中で保管されているわけでございますが、廃炉の作業の進捗に応じて処理が進められているところにはなりますけれども、特に日本原電の東海発電所のサイト内、恐らく委員が御視察いただいたところだと思いますけれども、この発電所の廃炉に伴い発生するものを対象に処分する計画があり、原子力規制委員会に対して埋設事業の許可申請がなされていると承知してございます。

 高レベル放射性廃棄物につきましては、今、最終処分場として、別途またこの最終的なところの確保に向けて、国も前面に立って取り組んでいるところでございます。

 いずれにいたしましても、放射性廃棄物についての処分の円滑な実現に向けて、国としても、事業者における取組をしっかりと促して支援してまいりたいと考えてございます。

鈴木(義)委員 今御答弁いただいたんですけれども、原発の燃料棒を作っているところでも低レベルのやつがどんどん出るんですけれども、それは四十一万トンの中に入っているのか入っていないのか、それだけちょっと確認したいんですけれども。

竹内委員長 確認できますか。

 時計を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 じゃ、速記を起こしてください。

 資源エネルギー庁松山電力・ガス事業部長。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたのは原子力発電所の方から発生するものでございますので、量としては小さくなるとは思いますけれども、その中には含まれてございません。(鈴木(義)委員「燃料棒を作るところですよ」と呼ぶ)

竹内委員長 手を挙げて質問していただけますか。

 鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 マスクをしているのでよく聞き取れなかったので、済みません。

 じゃ、もう一つ、次の質問に移りたいと思います。クリアランスレベル基準以下の放射性廃棄物についてお尋ねします。

 クリアランスレベルの基準以下の放射性廃棄物は産業廃棄物として処分することが可能とされているんですけれども、原発施設から排出された廃棄物を受け入れてくれる施設が本当にあるのかということなんです。

 例えば、やっとコロナが収束に近づいてきたかなというふうに私は感じる一人なんですけれども、三年前のときに、感染したマスク、私たち、当たり前に使っていますけれども、本当はもしかしたら感染性廃棄物で処分しなくちゃいけないのに、誰も疑問に思うことなく、ごみのステーションに捨てるんです、そのとき。でも、感染性があるかもしれない。みんな、使い古しのマスクをごみ箱に入れて、それをごみのステーションで焼却なりなんなりして処分しているんですね。

 だから、原発の施設から出たというだけで、それが騒ぎ立てられたときに処分してくれる先が本当にあるのか。国はいいですよ。高レベルの1だ、2だ、3だ、そういうものは受けてやりましょう。それ以外で、クリアランスレベルの低い、でも、放射能としてはまだ付着している可能性があってもレベルが低いんだから出しましょうというものを、受け入れてくれる産廃施設があるのかということです。最終処分場があるのか、そういうお尋ねなんですね。

 だから、規模が小さいところは、コンクリートを砕いて敷地のところに埋めて整地して、今、更地になっているというのは、前段で申し上げたJPDRという施設はそういう処理の仕方をしているはずなんです。

 私は不安なんですよね。高レベルの話だとか中だとか低はいいんです。そうじゃない、そこの基準から下がったところですね。

 例えば、一般の研究開発をしているところで、同位性の放射性同位元素を使って突然変異をさせたり研究開発して、小泉改革のときに、規制緩和の一環として、放射能が出ないものは産業廃棄物として扱っていいと。それ以前は、日本アイソトープ協会、高い金をそこに払って、実験で使った薬剤というんですかね、ものを、そこに処分してもらっていたんですけれども、それを境にして、一般の産業廃棄物として処理していい、放射能が出なければ、そういうふうにやったんですけれども、現実は受け入れてくれるところがないですよ。だって、放射能を出していた物質が安定化したんだというのは、私たちの目で見ても分からない。

 だから、解体されたクリアランスレベルの基準以下の放射性廃棄物の中でリサイクルするというふうに説明も受けているんですね。金属の類いだとか非鉄の類いだとか、あとはコンクリートも一部そうなんでしょう。それを受けちゃったところで、地元の方から、原発施設から来たものだというふうに、いや、放射能はないんです、クリアランスレベルを、基準値を下がっているんです、だからリサイクルするのでといったときに、騒ぎ立てられたらもう二度と入れてくれないですよ。もう商売も終わっちゃうかもしれない。

 だから、そんな、皆さんが考えるほど単純にはいかないというのだけ、よく考えてもらいたいんです。だったら、そこまできちっと国が面倒を見るぐらいなことをやらないと。例えば、じゃ、そういう中間処理をやってリサイクルするんだったら、そういうプラントもやはり国が直営みたいな形でやらない限り、民間じゃ受けてくれない可能性があるということなんです。

 そのときに国としてどう対応するのか、お尋ねしたいと思います。

松山政府参考人 先に、今の事実関係、どういう状況かということで御答弁申し上げます。

 クリアランスレベル以下の廃棄物につきましては、平成十七年の原子炉等規制法の改正によりまして、原子力規制委員会による認可、確認を受けたものについては、委員御指摘のように、リサイクル含めて処分できる仕組みということが導入されているところでございますが、御指摘いただいたように、これを実際に受け入れていただけるかどうか、リサイクルに使う事業者が出てきていただけるかどうかという、事業者を始めとした国民の皆様の御理解ということが大変重要なところだと考えてございます。

 現時点におきましては、事業者において、原子力事業者が業界内の再利用又は発電所内で保管するという対応がなされているのが現状でございますが、事業者が、自社施設内のベンチ、テーブル等への再利用ということでどんどん積極的に使っていっていただくということとともに、広報等の理解活動に取り組んでいるところでございます。

 国としては、これに対して、社会定着、再利用拡大に向けて、今現在、福井県で県内の事業者と連携して、クリアランス物の加工実証事業というのを国の事業として進めて、理解の促進ということを進めているところでございますけれども、今後、量がこれから増えてくる中で、この国民理解への対応というのは進めていく必要があると認識してございます。

鈴木(義)委員 福島に積んであるあの汚染土も同じだと思います、三十年たったら県外に出すというふうな方針を示しているんですけれども。

 例えば三・一一のときに、私は三郷市の出身ですけれども、下水処理場と浄水場の施設が市内の中にあるんですね、三・一一の原発の事故が起きたとき、気流の関係でうちの方は放射線量がほかの地域より高い地域だった。千葉の一部と私どもの三郷、八潮、吉川がちょっと高かったんですけれども。そのときに、下水処理場だとか浄水場というのは、そこに不純物が混ざっているものを濃縮させますから、放射線量が上がるんです。それは浄水場でも同じことが起きています。下水処理場でも同じこと。じゃ、どこに持っていくのといったら、受入先がない。どうしたといったら、場内でストックしたんです。これが一年たち、二年たち、放射線量が下がってきたので、一応、排出してもいい基準に下がった段階で外に出すんですけれども、外に出した先は、申し訳ない、私は当時、県会議員だったんですけれども、県議の方にも教えられないと。もし情報が漏えいしてしまったら。随分信用ないんですね、私は県会議員をやっていても。でも、情報を漏えいされちゃって、もしそこに品物を持っていっているといって周りが騒ぎ立てたら、もう持っていき先がないと。でも、下水道、止められないんですよ。上水道も止められない。それで、私たちは利益だけは享受している。

 誰だってそうですよ。汚いものとか嫌なものは自分の見える範囲からどこかに遠ざけたい、これはもう真理だと思います。でも、それを受け入れるところまできちっとやはり国がやらないと、結局、私たちの生活が成り立たないということ、そこのところを是非お考えになって事業を進めてもらいたいなというふうに思います。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 当委員会での本法案に関する私の対政府質疑はまだ二回目でありますが、今日は原発の運転期間について質問いたします。

 西村大臣、原子力基本法改定案は第十六条の二を新設しております。原子力事業者は、別に法律で定めるところにより政府の行う運転期間に係る規制に従わなければならない、こうしておりますが、その該当する法律は何の何条でしょうか、大臣。

西村(康)国務大臣 電気事業法であります。そして、条文は、同法改正法案の第二十七条の二十九条の二から二十七条の二十九の六までの規定及びこれに関連します罰則の規定などでございます。

笠井委員 つまり、原子力基本法によって、電力会社は電気事業法で定める運転期間の規制、ルールに従うことと義務づけているということですね。

西村(康)国務大臣 基本法に記載がしてあるとおりでございます。

笠井委員 義務づけているということです。従わなければならない。

 運転期間について、今回の改定では、電気事業法に移して、運転期間四十年、延長は二十年プラスアルファ年、他律的な要素により停止していた期間ということで、経産大臣が認可とありますが、この延長回数に限度というのはありますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の延長につきましては、特段、回数の制限を設けるものではございません。

笠井委員 ないということです。

 現行の原子炉等規制法、原則四十年、延長は原子力規制委員会が認可した場合に一度だけ最大二十年で、六十年ということでありまして、それ以降はつまり廃炉ということですが、今度は仕組み上は何度でも延長が可能ということになります。

 今回の改定案に運転期間延長の申請期限というものの規定というのはありますか、いつまでにという。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正の中では、あらかじめ運転の延長につきまして申請をする必要があるということでございますが、特段、いつまでにということに具体の条文を設けているものではございません。

笠井委員 現行の原子炉等規制法では運転期間満了の一年前までということでありますが、今度は特段ないということで、直前でも、あらかじめということであればいいと。

 今回の改定案では、二十年超の運転期間延長申請に必要な添付書類というのは何でしょうか。

竹内委員長 答えられますか。大丈夫ですか。

 速記を止めて。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 松山事業部長。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今回御提案申し上げております改正電気事業法の二十七条の二十九の二第三項におきまして、申請書に経産省令で定める書類を添付するということになっておりまして、その中に、一号、氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名、二号といたしまして、運転期間を延長しようとする発電用原子炉を設置する営業所の名称及び所在地、そして三号といたしまして、延長しようとする運転期間、二十年を超える場合にあっては、申請に係る発電用原子炉の運転を停止した期間、同項の第五号イからホまでに掲げる期間に該当するものに限る、及びその理由、そして第四号として、その他経産省令で定める事項、こういったものを添付として提出することになってございます。

笠井委員 現行の原子炉等規制法では、規制委員会規則で定める基準に適合していることが要件だったわけですが、今度の改定案では、今、松山部長が読み上げられましたけれども、要するに、科学的、技術的な要件はどこにあるのか、ないじゃないかと。つまり、脱炭素、安定供給のために、安全よりも利用が先ということであります。

 大臣に伺いますが、現行法による運転期間延長では、四十年の一年前まで、それまでに、事業者が自ら行った特別点検報告書、劣化状況評価書、施設管理方針書を添付して申請をして、規制委員会による科学的、技術的な審査に適合して初めて、一回限り、最大二十年まで延長して、その後には、延長できませんから廃炉、そうでなければ、延長しなければ四十年で廃炉だったわけであります。

 ところが、今答弁がありましたが、形式的な書類が整っていれば、今度は経産大臣が認可するということになってしまうんじゃないんですか。

西村(康)国務大臣 私ども、利用する側の観点から電気事業法でこのような規定を定めておるところでありますが、その上で、原子力規制委員会の適合性基準の認可、これは炉規法の規定によって、三十年、そして、その後十年以内ごとに審査を受けなければなりませんので、その適合性審査に合格をしないと、安全性が確認されないと運転できないという規定は何ら、何らというか、いわば、委員長も言われているように、より厳格化されているというふうに認識をしておりますので、そういう意味で、安全性確保の大前提は変わらないということであります。

笠井委員 私は電気事業法のことを聞いているんです。

 大臣、電気事業法に運転延長の認可の審査基準というのはあるのか、誰が審査するのか、審査は公開されるのか。それは法律のどこに書いてありますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、今回は、安全をめぐる新規制基準に対する適合という原子力規制委員会の話と、それとは別に、それで基準適合が認められたものについて、どういう形で、原子力事業、発電事業としての、エネルギー利用政策として、それをどう使っていくかということを峻別して、その後者について電気事業法で定めるものでございます。

 その場合の適合性が、延長の認可につきまして、先ほど申し上げた二十七条の二十九の二第四項として、適合性について判断する事項が列挙されてございます。

 第一号として、平和の目的以外に利用されるおそれがないこと、二号として、原子炉等規制法による許可の取消し等の処分がされていないということ、そして三号といたしまして、この運転の延長が、脱炭素社会の実現に向けた利用の促進を図りつつ、電気の安定供給を確保することに資すると認められること、四号として、原子力発電事業者が、法令の規定を遵守して業務を実施するための態勢を整備していること等、継続的に取り組むことが見込まれること、そして五号として、その運転期間が二十年を超える場合にあっては、その期間が、その後、各号列記されている事項を合算した期間以下であること。こういった各号の要件を満たしているかということについて、経済産業大臣が判断して認定することになります。

 その際、審査の基準につきましては、具体的な基準につきましては、この法律が成立した暁には基準を定め、公表していくことにしているところでございます。

笠井委員 いや、私は基準を聞いたんだ。基準はないわけですよ。これからでしょう。さっきずっと何号と言われたやつは、科学的、技術的な審査じゃないですよ。延長に当たって、大体今までだったら、現行法では基準適合があって、それで延長を認可するというわけだった。それが今、三十年から十年の話じゃないんですよ、今度、延長認可は経産大臣がやるというので。その基準については今なくて、これから策定すると。

 じゃ、誰が審査するんですか。誰が審査するのか、審査は公開されるのか、その二点だけ答えてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたけれども、二十七条の二十九の二、四項各号に具体的な考慮しなければならない事項というのが列記されてございます。

 安定供給、脱炭素への影響等につきまして基準を定めていくことになりますけれども、法律と、その法律の実施に関してでございますので、法律が成立した暁には、しっかりした形で、手続を経て、これを審査いただくための体制をつくっていくことになりますし、基準についてもそれを踏まえて定めていくことになると認識をしてございます。

笠井委員 審査する基準とか、それからしっかりした体制、これから考えますと。結局名ばかりの話で、実際それでもう法律を通そうとしている。科学的、技術的な審査もなくて恣意的に決める、経産省と事業者間でブラックボックスで進められていくことになってしまいます。

 山中規制委員会委員長に伺います。

 長期施設管理計画の審査の際に、実際に発電所で設備や機器の状態を確認するということになりますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 長期施設管理計画の審査は、運転開始後三十年を超えて運転しようとするとき、また、その後十年を超えない期間ごとに、事業者からの申請を受けて公開の場で審査を進め、必要に応じて現地を調査して、原子力規制委員会で議論の上、長期施設管理計画の認可の可否を決定いたします。

 具体的には、長期施設管理計画において記載された劣化の管理の方法等が災害の防止上支障がないこと、運転しようとする期間において生じる劣化を考慮しても発電用原子炉施設が基準に適合することを確認をいたします。

 現行制度と比べて、より高い頻度で、また詳細な記載を求めることで、より厳格な審査を行うことになります。その結果、運転期間がどうあれ、事業者においては基準の適合性を立証できない場合には運転を認めません。

笠井委員 現地に行くのかと質問したんですが、必要に応じてということで、マストになっていないということであります。

 その認可に当たって、規制委員会は電力会社の申請資料の内容をチェックするというのが基本だということでありますけれども、大臣、こういうことでは、運転延長した老朽原発の事故の危険性というのは減らすことができない、その危険性がなくなるということはないというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

西村(康)国務大臣 電気事業法で経産大臣が認可をする、これはエネルギーの安定供給の観点から原子力を利用していく上でチェックすべき項目について私ども確認をしているわけでありまして、平和目的以外に利用されるおそれはないかとか、それから許可の取消しを受けていないかとか、あるいは安定供給を確保するということがちゃんとできるかとか、そういう観点から私ども確認をして認可をするわけでありまして、利用政策の観点から審査をして確認をします。

 一方、安全確認については、適合性審査を規制委員会の方で行うということでありますので、これは、今回、利用と規制を明確に法文上整理をいたしましたので、今回の改定で安全性のリスクが下がることはない、むしろ、委員長が言われているように、厳格化するという意味で、より安全性を高めるというふうに理解をしております。

笠井委員 利用政策の観点、安定供給ということで、結局、六十年超の認可ということについては、これは経産大臣がやるということになるわけで、総理も経産大臣も、原発の運転期間四十年プラス二十年の枠組みを維持していると言われるけれども、今回の改定案というのは、四十年の数字はあるけれども、それは実際、利用政策ということで骨抜きにされて、意味がなくなるということになると思うんです。

 今度の電気事業法改定案では、運転期間にカウントしない、他律的な要素により停止していた期間について述べております。経済産業大臣の認可で二十年プラスアルファ年延長できるとする、このプラスアルファ年というのは、第二十七条の二十九の二第四項の五号にありますけれども、これは、新規制基準への適合性審査期間、それから行政指導による停止期間、裁判所による仮処分命令で停止した期間など、電力会社の他律的要素により停止していた期間というふうにしております。これは経産省の資料にもはっきりそのことが書いてある。

 そこで、配付資料を御覧いただきたいんですが、原子炉の停止期間の一覧を経産省が、私どもも求めて提出したものであります。停止期間の合計が最長十二年というものであります。

 西村大臣に伺いますが、運転開始日から起算して四十年に二十年プラスアルファ年を加えると、最長が、アルファ年が十二年ゼロか月でありますので、七十二年ゼロか月というのが、東北電力東通一号機、女川一号、二号機、中部電力浜岡三号機、北陸電力の志賀一、二号機、関西電力の高浜一号機、日本原電の東海第二ということになります。そして、それ以外にも、日本の全ての原発が六十年超どころか最長七十年超まで運転延長が可能になる、仕組みとしてはそういうことになるということですね。

西村(康)国務大臣 これは、個別に、この法律制定後、私ども、行政手続法に基づきます基準をしっかりと定めますので、それに基づいて一つ一つ、申請が出てくるときに判断をしていかなきゃいけないと思いますが、御指摘のように、四十年、そして二十年以内の延長を認めながら、その間、他律的な要因によって止まっていた期間、つまり新規制基準に対応するために止まっていた期間など、そうしたところを含めて申請できるという規定でありますので、新規制基準に対応していた期間が実際にそうなのかどうかなど、その辺りの基準と、それから、それに適合するかどうかを一つ一つ個別に判断していくことになるというふうに思います。

笠井委員 一つ一つ個別に判断ということですけれども、法的には最長七十年超まで運転延長できる枠組みができる、それをつくるということはそういうことですね。

西村(康)国務大臣 いや、これも事業者がどのような申請をしてくるかということにもよりますし、それから、個別の審査にしっかりと一つ一つ判断しなければなりませんので、予断を持って申し上げることは差し控えたいと思います。

笠井委員 今、法律の議論をしておりますので。法的にはそういう枠組みができる、もちろん、一個一個個別にということで先ほどから言われている、私もそのことを言ってきましたが、法的にはそういうことが可能になる枠組みだということは、違うと言ったら大変ですよ、これは法律の議論ですから。

西村(康)国務大臣 法律ができた後に新基準を、私ども、新基準というか、行政手続法に基づきます基準をしっかりと定めますので、それに基づいて、事業者がどのような申請をしてくるかは今の段階では分かりませんが、仮に、一番長く止まっていた十二年間、これが、行政指導と新規制基準対応、この期間が的確なものかどうか、これは基準に照らさないと分かりませんけれども、仮に全てこれが基準に照らして認められる期間であって、他律的な要因ということで認められる期間であって十二年の申請が出てくれば、それは可能ということであります。

笠井委員 可能ということです。

 山中規制委員会委員長に伺います。

 停止期間中は運転期間に含めずに時計の針を止めるカウントオフというのは、これは規制委員会の立場とは違うんじゃないかと思うんですが、どうですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会が行う規制の観点からいたしますと、規制の対象期間から運転停止期間を除外することはいたしません。

笠井委員 まさにそういうことだと思うんですよ。

 令和二年の七月の見解、改めて確認したいと思うんですが、よく委員長もそれを言われると思います。

 昨年四月七日の原子力問題特別委員会で、私、当時の更田委員長に、電事連を超えた規模の、ATENAという電力会社と原発産業の集まりである原子力エネルギー協議会と規制委員会での意見交換会の場での事業者側の要求に端を発して、それへの対応として作られたと書いてある、規制する側が規制される側に支配されるという規制のとりこになるのではないかとただしたわけですが、山中委員長、それに対する当時の更田委員長はどう答弁されたでしょうか。

山中政府特別補佐人 更田前委員長の答弁を読み上げます。

 見解の内容を見ていただければお分かりいただけると思いますけれども、ATENAの要望をはねつける見解となっております。停止期間を四十年から除くべきでないかという主張を再三ATENAから求められたのに対し、私たちは、運転期間から四十年、時計の針は止めないという旨の見解を述べたものでありますので、規制のとりこという御批判は当たらないというふうに考えております。

 以上です。

笠井委員 あの当時委員だった山中委員長も含めて、全会一致で出された見解がそういうことであったと。

 大臣、運転開始から四十年、時計の針は止めない、これが規制委員会の見解であります。大臣が二月十五日の衆議院予算委員会で認められたように、私の質問に、現在六十年を超えて運転している原発は世界に一つもないと。ある意味で未知の領域であります。それを利用政策で決めれば、先ほどありましたけれども、七十年超の運転まで可能にする枠組みをつくるということになるわけですね。

西村(康)国務大臣 利用政策の観点からは、私ども、繰り返しになりますが、四十年と二十年に加えて、他律的な要因で止まっていた期間についてはその分申請ができるという、いわばそういう規定になっております。

 他方、原子力規制委員会が、この適合性審査、これについては、三十年以内、その後十年以内ごとに行われますので、仮に、さっき御指摘があったように、七十年の申請が出てきて、それを我々がそこもいいと言ったとしても、規制委員会が、三十年、十年、十年ごとに厳格な審査が行われますので、そこで仮に三十年で駄目だと言えばもう三十年でそもそも駄目ですし、四十年目、五十年目で駄目だと言われたらもう駄目ですので、何よりも規制委員会の適合性審査、これが最優先であります。

 安全性の確保がなされないと、幾ら利用者側、事業者が長く運転したいと言ってもできないルールになっているところであります。

笠井委員 幾ら利用者側が言ってもできない、規制委員会のことだとおっしゃったので、山中委員長に伺います。

 原子力規制庁は、運転開始から長期間経過した発電用原子炉の安全性を確保するための規制制度の全体像ということで、私もここに持ってまいりましたが、こういう形でホームページに公開をされております。原子力規制庁、令和五年四月十三日ということでありますが、ホームページで公開、公表されている。

 山中委員長に伺いますが、規制委員会として、原発の運転開始から六十年以降の劣化状況の審査方針というのはもう決まったんでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 六十年目以降における評価につきましては、これまで実施してきました高経年化した発電用原子炉の審査や検査の実績を土台とすることが可能であると考えております。審査手法を大きく変える必要はないと考えております。

 具体的には、これまでの高経年化評価で得られた物理的なデータや予測式に加えて、今後実施される五十年の時点における評価の実績や劣化評価に関わる技術的な知見の蓄積を踏まえまして、科学的、技術的に確認を行うことができると考えております。

 その上で、公開の高経年化に関する検討チームにおいて規制制度案の詳細な検討が現在進められております。これまで計四回の検討チーム会合が開かれ、本日も午後、開催予定でございます。また、原子力規制委員会においても、既に二回、これまで検討状況等の中間報告がなされました。

 いずれにいたしましても、今回の改正法案附則の規定により、その公布後六か月以内の政令で定める日までに一旦検討結果をまとめるべく、取り組んでいるところでございます。

笠井委員 今、私もるる答弁されたのを伺ったんですが、質問としては、運転開始から六十年以降の劣化状況の審査方針は決まったのかということを伺ったんです。科学的根拠を基に厳格な審査ができるものと考えているという趣旨で、ホームページにもそういう形で全体像の中に書かれているんですが、要するに、まだ議論中で、今日も午後やるし、六か月以内にとか、これから決める、まだ決まっていないんだということでよろしいんですか、これは。

 どの辺が一番問題になってくるんですか。それで、なぜそんなふうになっているのか。別に決めろと言っているわけじゃないんですが、その辺、どういう技術的な問題が、いろいろ検討してクリアしなきゃいけないというふうになっているんでしょうか。

山中政府特別補佐人 先ほども申し上げましたとおり、六十年目以降における高経年化評価につきましては、これまで実施してきました高経年化した発電用の原子炉の審査や検査の実績を土台とすることが可能であると考えております。審査手法を大きく変えることのない制度の枠組みとして取りまとめたものでございます。

 こうした技術的な詳細については、法律ではなくて、規則や内規等に委ねられるのが一般的であると考えています。そのため、今回新たに設置をいたしました検討チームにおいて、詳細な検討を公開の場で丁寧に議論をさせていただいているところでございます。その上で、時点時点での知見や経験を踏まえまして、継続的に規制の拡充を行っていくものと考えております。

 中間報告では、運転開始後六十年を超える場合にも中性子照射脆化を含む経年劣化に関わるこれまでの評価手法が適用できるか、また、プラントが設計されてから長期間経過していることに伴う設計の古さがもたらす課題への対応についての検討状況が報告されております。

 引き続き、検討チームでの検討が進められるものということを考えております。

笠井委員 今伺っていても、まだ検討が相当要るのかなと。これまでの手法、やり方で可能であるというふうに考えている、中間報告ではというお話もありましたが。しかも、要件というのは、技術的な詳細は法律で決めないでというふうな話になってくると、要するに、まだその辺の肝腎のところは決まっていないということですよね。

 ところが、先ほど大臣も御答弁されたけれども、規制委員会がちゃんとやる、その点をやるから大丈夫ですと言わんばかりの話をされて、だから、それを前提にして、これからやることで大丈夫だということで前提にして、そして法律を通そうとするというのは、これほど無責任なことはないと思うんですよ。

 原子炉圧力容器の設計寿命は四十年。原発は停止期間も劣化は進んで、そして安全リスクは増大する。あたかも新制度のように言う規制委員会の長期施設管理計画の認可制度も、安全を担保するものには、まだ、これで大丈夫というふうになっていない、担保するものになっていない、到底なり得ないということですよね。これでも、大臣、通していいということになりますか、法律。

西村(康)国務大臣 高経年化炉に関する規制の強化、原子力利用の在り方については、私ども、安全最優先が大原則であります。

 先ほど来委員長の答弁もありましたけれども、規制強化についての詳細検討がまとまらないうちに運転期間の延長に係る利用政策上の措置を講じることはあり得ません。規制委員会でのそうした基準、規制の今議論が行われていると承知しております。当然のことながら、今回、これらの関連法案の施行は同時として、規制をクリアしなければ運転できないものというふうに考えております。

 先ほど来答弁ありますように、規制委員会におきまして議論が、この高経年化炉に関する規制の基本的な枠組みが決定されて、今、公開の場で詳細検討が行われているというふうに承知をしております。

 運転期間六十年に至るまでは、十年以上のまだ猶予があります。国会における審議を経て法令が施行された後も、原子力規制委員会の下で規制の最適化が進められていくものと理解をしております。

笠井委員 今、安全最優先が大前提だと言われたが、これはいつまでにできるか分からないですよ。十年以上あるといったって、それまでに、じゃ、できるのかという詳細が分からないうちにとにかく法律を通そうなんというのはとんでもない話だと思います。

 最後に、大臣に伺います。

 四月十九日の連合審査で、原子力基本法第二条の二で、原子力利用の国の責務の新設について、大臣は、何も永遠に原子力をやり続けるということではない、少なくとも現時点では、二〇三〇年に向けては二〇から二二%、原子力の活用という、そうした方針で臨んでいると答弁されましたが、ということは、この基本法の条項というのは時限立法なんですか。それが法律のどこに書いてあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 将来のことは、まだ技術がどういうふうに進化をしていくか、様々な技術がございます。それを見ながら、私ども責任を持って、エネルギーの安定供給、国民生活、経済を守っていくということ、できる限り安定的な価格で安定供給をしていくという中で、原子力は重要な位置づけにあるということ、この認識は、何か未来永劫とまでは言いませんが、私ども、しばらくの間は、これは重要なエネルギーとして位置づけをしているところであります。そのことは是非御理解をいただきたいと思います。

笠井委員 未来永劫と言わずといっても、こうやって書けば、時限立法でなければ、これは恒久法です。時限立法じゃなくて、原子力利用の国の責務を新設する、まさに将来にわたって原発を活用する、まさに恒久的な法的枠組みをつくって縛るということになるじゃないか。

 四月十九日の連合審査で大臣は、成立した暁には、それぞれの法律はそれぞれの所管の大臣がおられるので、その下で執行されていくというふうに答弁されました。であれば、やはり原子力基本法については、今後も長期にわたって政策の指針となるわけですから、その責任を負う所管の高市大臣が答弁することがどうしても必要だと思います。

 国会としてこのまま通せない、審議はまだとば口に入ったところでありますので足りない、質疑終局という提案が与党からありますが、これについては断固反対だし、さらには徹底審議すべきだということを強く求めて、今日の午前の質問は終わります。

竹内委員長 この際、議員福島伸享君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 福島伸享君。

福島議員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は、委員外議員としてこのような機会をいただいたこと、理事や委員各位に感謝を申し上げます。また、特に、前川先生の時間を削っていただきまして、この懐かしい経済産業委員会に帰ってきたことに感謝を申し上げます。

 まず、この法案を見てびっくりしたのは、六つもの法案を束ねている法案で、しかもその中身は、再エネの部分と原子力の部分と、結構違う中身のものを束ねているというのはいかがなものかなと思うんですけれども、見解は時間があれば後でお聞きしますけれども、私はその両方について、たった十分の時間ですけれども、議論させていただきたいと思っております。

 まず、議事録を資料としてお配りさせていただいたんですけれども、昨年の二月十四日の予算委員会の場で、地元の様々な実例を受けて、太陽光発電の規制について当時の萩生田経済産業大臣と議論いたしました。

 その中で、例えば森林法というのは一ヘクタール以下は全く規制の対象外になっていたり、環境アセス法は四万キロワット以上が対象で、それ以下はガイドラインだけれども法的拘束力がなかったり、この当時は住民説明会の実施が配慮義務となって全く法定の義務がないとか、あと、私、国土交通委員会で、昨年の盛土等規制法、足立議員とともに様々な議論を行ったんですけれども、これも規制がかかるエリアは生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域で、多くの森林は対象外になったりとか、様々な個別法の穴があるので、省庁の縦割りを超えた制度や法律を作るべきという議論を行いました。

 そのときに、萩生田大臣から、関係省庁と議論を交わして、必要があれば法律を対応する、そういうことも含めて検討は続けてみたいという前向きな答弁をいただいて、そのおかげもあって、経産、国交、農水、環境の四省で再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会というのが開催されて、十月七日に報告がまとめられて、今回の法案提出に至ったと認識しております。

 その中で、私が言った中で実現されているのは住民説明会の義務のところでありまして、それは今回の改正法の九条第二項第七号において、説明会の開催その他の再生可能エネルギー発電事業の実施に関する事項の内容を周知させるための措置として経産省令で定めるものというふうにされております。

 これを、悪質な事業者というのは、例えば説明会は賛成派の住民だけに周知しておざなりのものをやったり、あるいは、説明会だけじゃなくて、経済産業省令で定めるものとありますから、インターネットにちょこっと出したりとか、それだけになる可能性もあるんですね。

 抜け道をつくらないためにはこの経済産業省令の中身が大事だというふうに思っておりまして、どういう経済産業省令を定めるのか、御答弁をお願いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、FIT、FIP認定の際に、御指摘の住民説明会の開催など、地域の方々への事業内容の事前周知を認定要件といたしまして、認定申請までに事前周知を行わない場合には認定を行わないということとしております。

 その際、事業規模や設置形態によって周辺地域や環境へ及ぼす影響が異なりますことから、その影響度合いに応じて説明会開催などの厳格な手続を求めていく予定でございます。

 例えば、高圧以上の電源の場合につきましては、原則、説明会の開催をしっかり求める、低圧の小規模電源でありましても、御指摘のような土砂災害警戒区域内や景観等の条例がある場合にはしっかりと説明会の開催を求めることなどを検討しております。

 こうした具体的な省令の中身については、抜け道がないようにしっかり作るべきだという委員の御指摘、全くそのとおりだと思っておりまして、今後、自治体にも参画いただいております審議会において更に議論を深め、省令やガイドライン等で明確化していきたいと考えてございます。

福島議員 丁寧な答弁、ありがたいんですけれども、時間がないので簡潔にお願いいたします。

 それで、今回の法改正は経産省所管だけなんですよ。先ほど言ったように、森林法とか盛土規制法、環境アセス法、全て穴があるんですけれども、ほかの省のものについては、関係法令の許認可取得を再エネ特措法の申請要件とするとしているだけで、こっちはいじっていないんですね。やはりこれは縦割りじゃ駄目だと思うんですけれども、是非、大臣、時間がないので質問はしませんけれども、この検討会、引き続き続けて、特に他省庁の法令についてもう一度チェックをして、改正すべきことは改正していただきたいと思います。

 最後に、原子力規制の在り方なんですけれども、私は、通産省で、ジェー・シー・オー事故の前後の頃、二十世紀末の頃ですけれども、原子力行政を担当したことがあって、そのときから、規制機関は三条機関にすべしと省内で言っていたんですけれども、なかなか理解は得られませんでした。

 今回の法案の策定に当たって、一部の報道が、経産省が原子力規制委員会に不当な申入れを行っているという趣旨の報道があったんですけれども、私はこれはすごい違和感がありまして、全て原子力規制委員会の役割なのかといったら、そうじゃないと思うんですね。

 それは、橋本行革というのがありましたけれども、そのときに出されたのは、政策立案機能と実施機能を分離する、分離を行って、それぞれの責任と分担関係を明確にすると。実施機能については可能な限り外局にということで、この国家行政組織法三条に基づく行政委員会というのは、公正中立や専門技術性等を必要とされるため、内閣から独立した地位にある機関としてやるんですけれども、そのときに、政策の企画立案部門と実施部門は、もとより緊密な連携強化の下に置かなければならない、実施部門、規制機関においては、政策の企画立案過程における意図と目的が十分に伝えられ、的確な行政の実施が図られなければならないと言っていて、規制機関が独立するというのは想定していないんですよ。

 当然、政策実施あるいは推進部門との対話の中で規制のルールというのを作るというのが想定されることであって、日常的に、私は、原子力規制委員会と経済産業省の間で規制の在り方について議論が行われるのは当たり前だと思うんですね。

 原子力規制委員会の役割というのは、法律に基づいた審査を独立、中立の観点から科学的専門性を持って行うのが役割であって、大きな規制の枠組みとかそういうものは、規制委員会ではなくて政府全体、もっと言えば立法府、我々は立法府ですから、国会で決めるべきものなんですよ。だから、そういう意味では、この規制の在り方そのものが国力を決めるという観点からすれば、三条委員会だからといって、規制の企画まで三条委員会の役割で、そこは侵すべからずというものではないと私は思うんですね。

 私は、もっと西村大臣は積極的に原子力規制の在り方について物申せばいいと思うんです。規制をとかく厳しくすればいい、それは厳しいにこしたことはありません。でも、厳しい規制が安全性を担保するかというと、そうじゃないんですよ。今の厳しさというのは書類上の厳しさであったり時間がかかる厳しさであって、質の厳しさではないと思うんですね。科学的に合理的な規制をいかにやるかということが安全にとっても大事であって、規制の質が大事で、その枠組みを決めるのは原子力規制委員会ではなくて、本来、立法府、あるいは政府全体として決めるべきであると思うんですけれども、そういう観点から、西村大臣、原子力安全規制について、積極的に物を申すつもりはあるか、その点について答弁をお願いいたします。

西村(康)国務大臣 やはり、我々、福島第一原発の事故の反省、教訓の上に立って、当時、利用も規制も一緒に経済産業省の中でやっていたということで、監督機能など機能せずに甘えがあったものというふうに私も認識しておりますし、国会事故調もそういうふうに報告されているところであります。

 その上で、三条委員会を提案されていたとおり、高い独立性を持つ原子力規制委員会がこの規制については一元的に所掌するということでありますので、明確に利用と規制が分かれたということであります。

 私ども事業所管官庁、所管大臣の私の立場から、電力事業者に対しては、この規制の在り方の議論も含めて、安全性の更なる向上に向けて原子力規制委員会との間で率直な意見交換を行う、そして、それに真摯に対応するようにということで指導してきているところでありますし、今後もそうしていきたいと思います。

 経済産業大臣としては、以上のように申し述べて、今、この規制の在り方についても与野党間で様々、修正協議も含めて議論が行われていると承知をしておりますので、そうした議論も見守りながら、いずれにしても、安全性を最優先としながら原子力の活用に取り組んでいきたいというふうに考えております。

福島議員 何でそんな慎重な答弁なのか理解できないんですけれども、もっと言っていいと思うんです。

 ただ、それが実現するわけじゃないですよ。当然、規制の側の論理と進めなきゃならない場合の論理があって、その折り合いの中で規制のルールというのは作られるべきであって、規制側だけの論理でやってはいけないということなので、是非、何を恐れているのか分からないですけれども、前向きに考えていただければと思います。

 そのことも含めて、我々と日本維新の会、国民民主党さんの間で、附則のところに規制の見直しという条項を入れております。是非その見直しの議論を有意義にやっていただくことをお願いを申し上げまして、私からの質疑とさせていただきます。

 ありがとうございます。

竹内委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 GX電源法につきまして、いよいよ、岸田総理に御出席をいただきまして、まさに大詰めの質疑でございます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 一点目は、再エネ、水素の導入拡大ということであります。

 脱炭素社会の実現に向けまして、再エネや水素を最大限導入をする、それをどれだけ加速化してできるのか、これが大変に大きなGXの鍵であるというふうに思っております。

 公明党としても、三月二十九日、この提言を出させていただき、私も本会議でも、再エネ水素関係閣僚会議の開催、これが非常に大事であるということを求めさせていただきました。先日、六年ぶりにこの会議の開催が実現をしたということは大変大きな意義があるというふうに考えております。

 今回の委員会の質疑でも、やはり、再エネ、水素の導入拡大に向けては、政府が一丸となった関係省庁の連携が大変大きな鍵である、こういう指摘が様々ございました。

 例えば、系統の整備のために既存のインフラを活用するということも考えられるでありましょうし、あるいは太陽光や風力につきましても、今、設置をどれだけ加速ができるのか。

 例えば、二〇三〇年電源構成、再エネ比率三六から三八という目標がございますけれども、これを確実に達成をする。そして、やはりもっと取組を加速化して、前倒しをしていかないといけない、こういう意見もあるわけでありまして、しかし、実際、日本においては、いろいろな、こうした再エネの適地というのが本当にどこまであるのかという議論もあります。

 今回、この委員会の中で、どうやってそれが進めていけるのかという中で、やはりこれは経産省だけではできないと。関係省庁がしっかり連携をして、例えば港湾であるとか空港であるとか、いろいろな公共の設備に太陽光を設置をしていくということも考えられるでありましょうし、こうした、総理のリーダーシップをもって、やはり各省庁が持っているリソースを再エネや水素の導入拡大ということに向けて最大限充てていく、省庁横断でしっかり取り組んでいく、こういうことが何としても必要であるというふうに思います。

 これは総理の力強いリーダーシップで是非加速化をしていただきたい、このように考えておりますけれども、総理、いかがでございますか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、四月四日の日ですが、再エネ水素等関係閣僚会議、開催をいたしました。その中で、再エネについては、導入拡大に向けて、関係省庁連携によるアクションプラン、これを取りまとめるとともに、水素の方は、世界に先駆けて国家戦略として策定した水素基本戦略、これを五月末をめどに改定することといたしました。

 具体的には、太陽光発電については、省庁横断で連携をして、公共施設の壁面、工場、倉庫など建築物の屋根、さらには空港、鉄道の未利用地などの活用を促して、地域と共生した導入拡大に取り組んでいくということ。また、系統については、道路、鉄道網などのインフラを活用しつつ整備を推進するということ。また、水素についても、発電、モビリティー、産業といった様々な分野において、関係省庁が一体となって大胆な支援策を講じ、水素の利活用を促していく、こうしたことに取り組んでいきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、政府一丸となって、再エネ、水素導入に強力に施策を進めていきたいと考えています。

中野(洋)委員 総理の、やはり関係省庁、政府一丸となってということの後押しを是非お願いをしたいと思います。

 総理に、もう一問、福島の復興についてもお伺いをしたいと思います。

 原子力基本法では、福島の原発事故を受けて、安全神話に陥ったことの反省ということを初めて盛り込む、こういう改正が今回なされております。政府が、福島の事故の反省を忘れることなくエネルギー政策を進めていくんだ、こういう決意を示したものであるというふうに私も考えております。

 しかし、やはり福島事故への反省を忘れないということは、今まだ、福島の復興はまだまだ道半ばであるというふうに考えております。この復興をやはり最後までやり遂げる。しかし、この福島の復興を最後までやり遂げるということがなければ、私は、政府のエネルギー政策に対して、本当の意味での信頼回復というのはやはりできないのではないかというふうに思っております。

 総理に、福島復興に臨む決意と、やはりエネルギー政策への信頼回復という意味で、福島復興を必ずやり遂げないといけないんだ、こういうことを、改めて総理の御認識をお伺いをしたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 本年三月十一日で、東日本大震災発災から十二年となります。被災地の状況は、被災地の方々の大変な御努力によって復興が進んでいるとも感じていますが、一方で、いまだ避難生活を送られている方々がおられる。被災地の状況は地域によって様々であるということも感じています。

 その中にあって、福島の復興に向けては中長期的な取組が必要であり、福島第一原発の廃炉・汚染水・処理水対策、風評対策、また、F―REIを始めとした福島イノベーション・コースト構想の着実な推進、また、帰還困難区域における避難指示解除に向けた取組や解除後の生活環境の整備、こうしたものに取り組み、本格的な復興再生に向けて全力を尽くしていかなければならない、引き続きこうした努力が求められていると感じております。

 福島の復興、これは政権の最重要課題であると同時に、エネルギー政策を進める上でも原点であると認識をしております。安全性最優先で取り組んでいくことをエネルギー政策の大前提としつつ、福島の復興に政府を挙げて取り組んでいきたいと考えております。

中野(洋)委員 もう一問、今度は西村経済産業大臣にお伺いをしたいと思います。

 事業者のコンプライアンスの問題であります。

 特に原子力事業者というのは、コンプライアンスの徹底をするというのは私は必要最低限の条件であるというふうに思います。しかし、ここ最近、やはり情報漏えい、あるいはカルテル、通常の企業に求められるようなコンプライアンスが相当揺らいでいるのではないか、こういうふうな懸念を大きく持っております。

 そもそも、やはり、例えば今、東京電力の柏崎刈羽でありますとか、安全文化、核セキュリティー文化、本当に高いレベルのこうした文化が保持できているのか、こういうふうなところも問われている中で、最低限のコンプライアンスが徹底できていないという状況では、私は、本当に原子力発電所を運営できるのか、こういった御心配があるというのもそれは仕方ない声だというふうに思います。

 ですから、電力会社の法令遵守の徹底、どう立て直すのか、これが非常に大事だと思います。これは是非、経済産業大臣にやっていただきたいと思いますが、答弁を求めます。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、電力各社の一連の不適切事案、まさに電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものであり、極めて遺憾であるというふうに認識をしております。

 情報漏えい、不正閲覧事案につきましては、本年四月十七日付で、関係各社に対しまして、電気事業法に基づく業務改善命令を行いました。まさに御指摘の、コンプライアンスの遵守等を内容とする内部統制の抜本的強化などを命じたところであります。

 また、カルテル事案につきましては、三月三十日付で、公正取引委員会が関係各社に排除措置命令を行い、電力・ガス取引監視等委員会からも報告徴収を行ったところであります。今後、報告内容を精査、分析した上で、厳正に対応していきたいというふうに考えております。

 さらに、四月三日には、こうした事案を踏まえまして、関西電力ほか九社に対しまして、補助金交付等の停止及び指名停止措置を行ったところであります。

 電力各社においても、一連の不適切事案を踏まえ、システム面での対応のほか、法令遵守に向けた教育、研修の実施、外部人材の活用を含む検証体制の構築等の取組を進めていくものというふうに承知をしております。

 いずれにしましても、公益性の高い電気事業を行う、特に原子力という安全性が最優先されるこうした事業も扱うわけでありますので、法令等遵守を徹底するよう、引き続き厳しく指導監督していきたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 質疑時間が参りましたので、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 本日は、岸田総理が経済産業委員会に御参加の下での質疑ということで、質問の機会をいただきました委員長、委員そして会派の皆様に心から感謝を申し上げながら、質問に入らさせていただきたいと思います。

 今回、岸田総理は、原子力について、エネルギーの安定供給という観点は、そこは元々あったわけでありますけれども、そこに加えて、脱炭素のエネルギーの柱として、そう位置づけて推進するということを方針として決定された。これは本当に大きな方針決定であるということを私は感じています。

 今回の委員会で、二十時間にも上るような議論の中で、原子力のリスクについての答弁は、リスクはゼロではないということとか、あるいは、事故の起こる可能性を限りなく小さくするために世界で最も厳しい安全基準を持っている、そうしたことは語られるわけでありますけれども、安全対策を幾ら厳しくしても、どんなに安全対策をしても事故が起こる可能性がある、この立場できちんとやはり総理から、総理の言葉で語っていただかなきゃいけないということを考えております。

 事故が起こった後に、それはどういうことが起こるのか、そして国はどうするのか、もちろん総理が方針を説明するに当たって原子力のメリットも説明されるんだと思いますけれども、この不利益な事実を、不都合な事実をきちんと国民の皆様に総理の口から語っていって、そしてこの政策を推進されていくその覚悟、お考えがあられるか、まず伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 東京電力福島第一原子力発電所事故が起きた反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクではないとの認識に立ち、世界で最も厳しい水準の新規制基準の策定などの措置、これを講じてきました。今後とも、高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格に規制を行っていく、この方針は全く変わることはありません。

 そして、委員も御指摘のように、原子力の重要性のみならず、安全性の確保について、さらには使用済燃料の問題など原子力の持つリスクへの対応も含めて、政府を挙げて、説明会、意見交換会など、国民の理解に向けた取組を進めていくことが重要であると認識をしています。そうした政府の取組と併せて、私自身も、国会審議等の場を含め、正面に立って説明をしていきたいと考えております。

山岡委員 今のお話でもゼロリスクや安全性の確保という話はあるのでありますけれども、それでも事故が起こる、そのときにどうする、どういう責任を持っていくのかということこそ、やはり政策推進していく立場の総理として語っていただきたいという思いなんです。

 例えば、伺い方を変えますけれども、じゃ、事故が起きたら、これは、炉内は事業者の責任であるとか避難経路は自治体の責任であるとかそういうことではなくて、誰のせいでもなく、政策遂行をしてきた岸田総理が御自身の責任を明確にされる、そのお考え、そのお覚悟があられますでしょうか。伺います。

岸田内閣総理大臣 もちろん、事故が発生した場合の対応とその責任の問題等は関連法令に従って厳正に対応していくということでありますが、そうした、自治体であれ事業者であれ、それぞれの取組に関しまして、政府としても国としても大きな責任を負っているということについては、絶えず念頭に置いていかなければならないと思います。

 法律に従って様々な対策を進めていく、その際に、国の責任ということもしっかり念頭に置きながら、こうした取組を支援するなり、推し進めるなり、政府としての責任を果たしていきたいと考えております。

山岡委員 原子力の議論は国民の中でも分かれている中で、推進するならどれほどの覚悟を持ってやっていくのかということが非常に重要な中で、ちょっと、今の御答弁でそれが十分なのかどうかというのは、またこの後いろいろ検討させていただきたいと思いますけれども、本日、原子力の是非とはまた別に、共通の課題として、今ある原子炉のこれからをどうしていくのかということも総理に伺いたいと思います。

 今ある原子炉の中にも、事故機も含めて二十四基は少なくとも廃炉が決定されていまして、二〇二〇年の後半には一斉にこの解体というのが始まってくるわけでありますけれども、ほかのこれから始まってくる廃炉を含めれば、私たちの子供世代、孫世代、相当長期にわたってこの取組は必要であるという状況でもあります。

 一方で、原子力というのは様々議論が分かれている中で、原子力の現場で働いている皆様は、自分たちの状況が先行きがあるのかどうかということは非常に不安に思う中で、今ある原子炉を何とかするためにも人材や技術の確保、強化が必要なのにもかかわらず、皆様、職業選択の自由もありますから、これは先行きがないと思えば、今ある状況すらも対処できないぐらい、その部分が弱くなってしまう可能性もあるというのが私は現状だと思っております。

 この安全技術あるいは人材の確保というのは、先々のことにかかわらず、非常に重要なことだと、事業者のみに任せるのではなくて、国が責任を持って対応していくということも、是非、総理のお立場からメッセージを発していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 具体的な人材、技術の話ですので、私から答弁させていただきます。

 まさに御指摘のように、今後、原子力を利用するに当たって安全性を確保していかなきゃいけない、また、御指摘のような廃炉の作業も出てくるわけであります。原子力の人材、技術など、産業基盤を維持強化していくことは極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。また、将来の研究開発等も見据えた取組も進めていくことが重要であります。

 こうした方針を明確にするために、今回、この法案の中で、原子力基本法第二条の三第一号に、基本的施策の中で、まさに人材の育成及び確保、それから、技術の維持、開発のために必要な産業基盤を維持する、強化をするための施策と規定をさせていただいております。

 また、本年三月には、関連する企業、団体から成る原子力サプライチェーンプラットフォームを立ち上げまして、全国約四百社の関連企業で、今後、技能実習、人材育成などを行っていくということでありますし、G7の中でも、アメリカ、フランス、イギリス、カナダとこうした取組を連携していこうということを確認をさせていただきました。

 いずれにしましても、御指摘のように、国が責任を持って、原子力の安全性を確保しながら安定供給をしていく、そのための人材、技術、産業基盤の維持強化、全力を挙げていきたいというふうに考えております。

岸田内閣総理大臣 今大臣からお答えさせていただきましたように、人材、技術、産業基盤、これは、安全かつ着実な運営のみならず、円滑な廃炉に向けても不可欠であると認識をしております。

 そして、その際に、委員が御指摘のように、国の責任ということにつきまして、今回の原子力基本法改正案において、国が講ずるべき基本的施策として、技術開発、人材育成、産業基盤の維持強化に関する施策、これが法律の中に盛り込まれているわけであります。人材、技術、産業基盤の強化、政府としましてもしっかりと取り組んでいきたいと考えます。

山岡委員 人材、技術の面で伺いましたけれども、これから最終処分ということの議論も必要になります。政治では、高レベルの放射性廃棄物、これを、最終処分場をどうするかという議論が今中心的ではありますけれども、いわゆる廃炉をしたときに出てくる廃棄物というのは、高レベルのものだけではありません、低レベルの放射性廃棄物も出てくるという状況であります。

 日本における低レベルの放射性廃棄物の規制基準は、最近になってようやく決まった。しかし、これも、何とか埋めていくなり、あるいは、本当に放射性の低いものについてはリサイクルのような形の議論もありますけれども、いずれにしても、各自治体の理解であったりとか、あるいは産業界の理解であったりとか、こうしたことも必要になってくるわけであります。

 今、もう目の前に廃炉の二十四基も進んでいく中で、高レベルのみならず、低レベルの放射性廃棄物の先行きといいますか、そうしたことも十分に決まっていないという現状もあるわけであります。これ、廃止措置をこれから進めていくというのであれば、早急に進めるべき話だと思いますが、総理、いかがですか。お考えを述べてください。

岸田内閣総理大臣 廃止した原子力発電所の解体等によって生じる低レベル放射性廃棄物の着実な処分、これは、廃炉を円滑に進め、安全を確保していく上で重要な課題であると認識をいたします。

 解体等の作業が進展している日本原子力発電の東海発電所では、低レベル放射性廃棄物の敷地内処分に向けて、安全審査等が進んでいます。一方、その他の商業炉については、解体等が今後本格化する見込みであり、それに応じて、処分地も決定していくものであると承知をしています。

 今回の原子力基本法の改正案では、国が講ずるべき施策として、発電所の廃止措置の円滑かつ着実な実施を図るための関係地方公共団体との必要な調整その他の必要な施策、これを明記したところです。この考え方に基づいて、原子力事業者が廃炉の責任を貫徹できるよう、低レベル放射性廃棄物の処分地の決定を含め、国としても、事業者へのサポートや指導、これをしっかり行ってまいりたいと考えます。

山岡委員 これからやっていくということだと思います。

 時間が来ましたので質問はここまでとさせていただきますけれども、利用することを決めて、しかし一方で、国として責任を持って検討すべきことはまだまだあるんじゃないか。まだまだ議論がこれは尽きない話だということも強く申し上げながら、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。

竹内委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党・無所属、田嶋要でございます。

 核なき世界の実現、こういうことを掲げる岸田総理に、G7を控えて、このタイミングで質問させていただくことを感謝申し上げます。

 総理、質問通告はしていないんですが、今日、三十七年前の今日がどういう日かというのは、事務所、役所から聞いていらっしゃいますよね。今ですか。じゃ、どうぞ。

岸田内閣総理大臣 四月二十六日、三十七年前に、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所、最近はチョルノービリ原子力発電所、この発電所で事故が起こった日であると承知をしております。

 それから、委員、ちょっと先ほど発言の中で、私が核なき世界を目指すというふうにおっしゃいましたが、私は核兵器のない世界を目指すということを強調させていただいております。

田嶋委員 失礼しました。新聞では、核なきと書いてあったりということですね。

 それで、今日の午前中の前川委員の質問の中でも、私、非常に驚いたのは、チェルノビルに関して、当時の中曽根総理がああいうことは日本では心配ないと断言された、そういう答弁も後ほど確認させていただきまして、やはり誰にとっても絶対ということはないんだなということを改めて、そしてまた、歴史が繰り返しては本当にいけないな、そんなことも、今日、本当に特別な日に、こういうタイミングでGX二本目の審議ということで、何とも言えない気持ちでございます。歴史の審判は後々下るのであろうということを、総理に、非常におこがましいですけれども、やはりそういう覚悟で御判断をいただきたいというふうに私は考えております。

 それで、最初にお尋ねをいたしますが、岸田総理、原発、どうなんですか。日本の国土になくても大丈夫なら、ない方がいいというふうに総理は考えていらっしゃるのかどうか。多くの国民はいろいろ知りたいと思いますが、広島御出身の総理でもあり、そうした中で、そこに関してもう一度お言葉をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 原子力というものが我が国にとって必要なものなのかどうかという御趣旨の御質問かと思いますが、我が国は、まず、多くの資源を輸入に頼っています。現実として、世界最低水準のエネルギー自給率であるという指摘がある、これが我が国の置かれている立場であります。

 そして今、世界的なエネルギー危機が生じています。その中にあって、他国も同じでありますが、エネルギー安定供給と脱炭素、これをいかに両立するか、これが大きな国家的な課題となっています。

 我が国のエネルギー自給率を考えますと、あらゆる選択肢、これを追求することによって、エネルギー安定供給と脱炭素、この両立を図っていかなければならない、これが我が国の立場であります。その選択肢の一つとして、原子力、低炭素の準国産エネルギーとして、これは我が国にとりまして重要な取組であると認識をしております。

田嶋委員 今日、資料も一、二とおつけしましたので。誰でも知っている日本の逆さ地図、これは安全保障との関係。そして二番の方は、今のウクライナの話というのは両面あるということですね。それもよく御認識だと思いますが。

 岸田総理、今も目を下に落としながら書類を読まれておりました。それは教科書的にそういう説明になるんですが、総理御自身の頭で考えて、もう一度聞きますよ、日本に原発がなくて大丈夫なら、ない方がいいと総理は思っているんですか、どうですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、我が国として国家的な課題であるエネルギーの安定供給とそして脱炭素、これを両立させるためにあらゆる選択肢が求められている。その選択肢の一つとして、原子力は有力な選択肢であると認識をしております。原子力はそういった位置づけであると認識をいたします。

田嶋委員 岸田総理は非常に僕は誠実なお方だと思いますが、そういう答弁を地域の集会でやったら、やはり国民は変だと思いますよ。

 私の質問はそうじゃないんですよ。なくて済むなら、ない方がいいかを聞いているんです。原発がなくて済むなら、ない。あらゆる選択肢の一つというのはよく分かりますよ、それが本当にいいかどうかもありますが。

 私が聞いているのは、原発がなしで済むんだったら、ない方がいい、そう考えていらっしゃるのか。なくて済むけれども、それでも原発は残したいとお考えかを、逆に言えば聞いているんです。そこはどうですか、総理。

岸田内閣総理大臣 先ほどあらゆる選択肢と申し上げましたが、我が国の置かれている条件の中で選べる選択肢、これは限られております。その中において、原子力というのは大切な選択肢であるということを申し上げています。

 国民の皆さんに説明するに当たりましても、今、世界的なエネルギー危機の中において、我が国においても、エネルギー価格の高騰など、生活に大きな影響が生じている。また、この事態が深刻したならば、エネルギー途絶リスクにもつながりかねない。さらには、未来を考えた場合に、我々、社会のDXを進めていかなければいけない、電力の消費量は格段拡大していく、こういった未来も考えていかなければいけない。こういったことを考えますときに、このエネルギーの選択肢の一つ、重要だという説明をさせていただくことが大切だと考えます。

田嶋委員 国民には伝わりにくいと思いますよ、総理。ただ、真面目にそうおっしゃっているんだというふうに理解いたしました。

 一方で、原子力依存はできるだけ下げたいともおっしゃいますよね。そういう思いは矛盾するように私には感じますが、そうだということをこの岸田内閣でも強調されています。

 私は、あした原発なしというふうに言っているわけじゃないんですね。今回、新増設も含めて、のめり込んでいく印象を多くの国民は持っていますが、原発がなくても大丈夫な社会を目指しませんか。それはどうなんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 それについては、第六次エネルギー基本計画、あるいは昨年末のGX基本方針においても基本的な考え方を明示させていただいています。原子力について、原発依存度を可能な限り低減する一方で、必要な規模を持続的に活用していく、こうした方針を明記させていただいております。引き続き、この方針を維持していきたいと考えます。

田嶋委員 ということは、原発がなくても大丈夫な社会は目指さないということでいいですね。

岸田内閣総理大臣 今、我々が置かれている状況を考えますときに、先ほど申し上げた、原発依存度を可能な限り低減する一方で、必要な規模を持続的に活用していく、この方針は維持しなければならないと考えています。(発言する者あり)

田嶋委員 明快ですか。いや、矛盾するようにも聞こえますよ。片っ方で可能な限り低減、片っ方で維持する。

 じゃ、私はもう一度聞いているんです、国民にとって理解されることが大事ですから。原発がなくても大丈夫な社会を目指すんですか、総理は。目指さないんですか。どっちですか。

岸田内閣総理大臣 国民生活そして事業を守るためのエネルギー政策を、政府として責任を持って進めなければなりません。その政策を先ほど来説明させていただいています。

 政府の方針については、先ほど申し上げたとおりであります。

田嶋委員 責任持って進めるのは当たり前のことですね。あくまでもそうやって、少し逃げる答弁に私には聞こえますよ。(発言する者あり)逃げていないですか。(発言する者あり)逃げていますよね、本当に。

 目指さないなら、そう言ってくださいよ。国民はその方が安心しますよ。安心というか、ある意味でははっきりしますから。なぜおっしゃらないんですか。

 原発のない、原発がなくても大丈夫な社会、ほかのいろいろな選択肢を駆使するということですよ。ほかのいろいろな選択肢を駆使して、原発なしでもいけそうだ、そっちで頑張りたいという御意思はないということでいいんですか。

岸田内閣総理大臣 エネルギーをめぐる環境については、国際情勢やあるいは国内における様々なエネルギー事情など、様々な要素が絡んで、政府として方針を決定しなければなりません。現状においては、先ほど来申し上げた方針、これを維持していくと申し上げている次第です。

 そして、それは何のために行うのか。これは国民の生活とそして事業を守っていく、そのためにこの政策を維持していくということを申し上げております。

田嶋委員 目指すべき社会の方向をしっかりと総理に指し示してほしいんですよ。はっきりしない。ちょっとこれ以上、はっきりしないですよ。

 実現するんですか、どうですか。

岸田内閣総理大臣 今、この国際社会におけるエネルギー事情も大きく変化をしています。また、エネルギーをめぐる技術水準も今後大きく変化をしていきます。その中にあって、国民生活を守る、そして国民の経済を守る政策をしっかり維持してまいります。現状においては、先ほど申し上げたとおりであります。

 今後、不透明な様々な課題についても、今の政策を維持しながら、この方向性をしっかり考えていきたいと思っております。

田嶋委員 これは、どっちが絶対正しいとか、どっちが絶対間違っているという価値判断なんですよ。だから、それを明確に表してほしいと言っているんです。総理の場合には、原発のない社会は目指さないということをはっきり確認させていただいたというふうに私は理解いたしました。

 最後の質問になろうかと思いますが、もう一つ、四十年ルールというのがうやむやにされるのが今回の法案の一つの側面ではないかと非常に懸念をしますが、確認させてください。

 これは先ほど西村大臣も答弁がありました。基本原則は維持しながらとおっしゃいました。それがどういう意味かがはっきりしませんが、岸田総理はこの点、御理解なさって、こういこうと思われているんですね。

 すなわち、四十年が大原則、六十年は例外的であるという原則と例外をひっくり返して、基本は六十年、必ず、ほぼ間違いなく。今も関西電力が高浜の三号、四号、申請していますね。基本は六十年に変更するんだという理解でいいですね。実質そうなるでしょう。そういうことですね、総理。そこは国民にごまかさず、いや、いいんですよ、一つの選択として。ごまかさず言ってください。

岸田内閣総理大臣 原則と例外について御質問ですが、原子力発電所の運転期間については、現行制度と同様に、今回の改正案においても、事業者から申請がなければ四十年であることを法律上明記しており、この点は全く変わりません。

 そして、運転期間の延長認可に当たっては、原子力規制委員会において、科学的、技術的な見地から厳格な審査が行われてきたものだと承知しております。

 よって、これまでも、そして今回の電気事業法の改正案においても、条文上に原則や例外といった表現は用いておりません。原子力規制委員会による厳格な審査をクリアしたもののみ運転することができる、この方針、これは何ら変わるものではないと認識をしております。

田嶋委員 実質的に、これからどんどん四十年を超えた稼働が行われるのではないかというふうに大変危惧して、なし崩しだと私は思いますが、文章を読んだだけじゃなくて、それを理解して総理がおっしゃっているというふうに当然理解しましたので、それは一つの判断として、私はそれは尊重しますが、私は反対します。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 今日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、法案の審議に入る前に、二つ総理にお尋ねをしたいと思います。

 一つは、旧文通費の問題です。

 維新はこの旧文通費に関しましてはずっと議論してきましたけれども、今回、調査研究広報滞在費と名前が変わって、これは議論がなかったかのようになっていると思います。

 ここで総理にお尋ねしたいのは、この旧文通費の使途の公開、そして残金の国庫返納について、是非、自民党総裁として、また政治家のお一人として前に進めていただきたいと思いますけれども、そこはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、調査研究広報滞在費の使途公開等については議員活動の在り方に関わる重要な課題であり、これは各党各派において御議論いただくべき課題であると考えています。

 そして、御党と一致、確認した事項も踏まえ、国民の皆様から御理解いただけるような合意に至るよう、各党会派における協議において是非本格的な議論が進むこと、これを期待したいと考えています。

遠藤(良)委員 是非リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。

 二つ目が、今回、このGX電源法案については非常に重要な法案だと思います。その中で、今回、総理が会見で、解散・総選挙は考えていないという報道があったと思います。今回、成立後、六月の解散を考えていないのか、若しくは、施行、四月、臨時国会の冒頭を含めて年度内での解散等はあり得るのか、この辺り、確認したいと思います。

岸田内閣総理大臣 私が申し上げましたのは、今は、重要法案あるいは重要課題、これらに一つ一つ結論を出していくことが重要であり、それに全力を尽くすべきであると申し上げております。

 そして、今解散は考えていないと申し上げました。別に時期がどうのこうのでなくして、今解散は考えていない、これだけ申し上げた次第であります。

遠藤(良)委員 時期については、これは総理の専権でありますから、私からはもうこれ以上言わないですけれども。

 それでは、質問に移りたいと思います。

 今回、電源法案について、運転期間を延長するというところで、電事法の二十七条の二十九の五で運転停止を定めているところで、これは命じることができるんだと規定していると思います。経産大臣の裁量を認めているんだと。

 ここでちょっと確認したいんですけれども、延長された運転期間を超えたとしても、自治体が延長に対して反対をしていなければ運転停止命令を発出しないということがあり得るのかどうか、確認したいと思います。

西村(康)国務大臣 今回の運転期間に関する措置は、まず、四十年、そして延長を認める期間は二十年という現行制度の枠組みを維持しながら、そして、他律的な要因によって止まっていた期間、その中でも安定供給に資するなど一定の要件を満たす場合に限って、その期間を除外するということを認めるということにしたものであります。これは、世界の原子力発電を利用している国々、主要国では期間の定めとか上限がない中で、いわば自己抑制的に、私ども、このようなルールを作ったところであります。

 その上で、カウントから除外する期間の算定が法に照らして適切か否かも含めて、基準をしっかりとお示しした上で、経産大臣が審査し、認可する仕組みとなっております。

 そして、御指摘の電気事業法に定めがあります運転停止命令でありますが、認可を受けた期間を超えて運転した場合に、これを是正する趣旨で設けたものであります。仮に地元の理解が得られているとしても、法律に基づく手続を経ずして運転を行うことは認められないものであります。

遠藤(良)委員 G7の気候・エネルギー・環境大臣会合で、化石燃料については廃止時期は明示しない、段階的に廃止することが共同声明として盛り込まれたというところなんですけれども、報道ベースでは、この化石火力発電の廃止時期の明示については他国からのプレッシャーが強かったんだということなんですけれども、西村大臣、参加されてどのような所感をお持ちなのか、お尋ねします。

西村(康)国務大臣 G7の大臣会合におきましては、石炭火力につきまして、二〇三五年までに電力部門の完全又は大宗の脱炭素化の達成ということ、そして、気候上昇を一・五度に抑えることを射程に入れ続けることに整合した形で、国内の排出削減対策が取られていない石炭火力発電のフェーズアウトを加速するという目標に向けて、具体的かつ適時の取組を重点的に行うというコミットメント、公約といいますか、これを再確認したところであります。

 また、同時に、水素、アンモニアなど、ゼロエミッション火力に向けた電力部門での脱炭素化に資する点も明記したところであります。

 こうした合意は、先ほど来総理も御説明ありましたけれども、エネルギーをめぐる各国の状況も千差万別でありますので、その中で、多様な道筋を認めながら、最終ゴールはネットゼロを目指す、これを共有しながら、それを目指して連携して取り組んでいこうということの重要性で合意ができたものというふうに思っております。

 ただ、石炭火力につきましては、こうした大きな方向性が出ておりますので、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けまして、安定供給を大前提としながらも、できる限りその発電比率を引き下げていくという方策で進めていきたい。特に、二〇三〇年に向けては、非効率な石炭火力をフェードアウトさせる、これは着実に進めていきたいと思いますし、更にその先も見据えながら、水素、アンモニア、そしてCCUS、こうしたものも活用して石炭火力を脱炭素型の火力に置き換えていく、こうした取組を進めていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 二〇五〇年に向けて、国際的にも化石燃料のフェードアウトの機運が高まっているというふうに感じるんですけれども、実際、再生可能エネルギーはそこまで急激に伸びていくわけではないんじゃないかなというふうに思います。

 原子力が二〇から二二%程度を想定している。原発を稼働させると、もちろん使用済燃料というのは発生する。MOX燃料を利用するプルサーマル、高速炉といった核燃料サイクル、これは理解はできるんですけれども、日本でプルトニウム保有量が四十六トンである。うち国内の保有が九トン。

 報道では、岸田総理の御地元の広島での五月のG7広島サミット、ここでG7の首脳と被爆者との面会を調整しているんだと。原爆の惨禍を直接訴えることで、G7首脳と核軍縮を目指す決意の共有を狙うというふうにされているんだということなんですけれども、核兵器の原料となるプルトニウムを平和利用していくという観点から、核燃料サイクルを実現させていく方向性が考えられると思いますけれども、総理、この点についてはどのようにお考えでしょう。

岸田内閣総理大臣 閣議決定しました第六次エネルギー基本計画にあるとおり、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、資源の有効利用などの観点から、核燃料サイクルを推進することが政府の基本方針となっています。

 具体的には、使用済燃料を再処理し、回収したプルトニウム等を原子力発電所において再利用するとともに、再処理に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現、これを目指しています。

 そして、こうした核燃料サイクルの実現に向けては、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則、これを堅持し、プルトニウムの最適な管理と利用を行っていく、これが大前提であると思います。

 原子力の平和利用という観点からも、こうしたプルトニウムの適切な管理と利用、これは重要な視点であると認識をいたします。

遠藤(良)委員 プルトニウムの管理と利用はしっかりとされていくというところなんですが、革新軽水炉が二〇三〇年代に商用炉建設、高温ガス炉と小型軽水炉は二〇三〇年代に実証炉の建設、高速炉は二〇四〇年代に実証炉の建設、こうした原発の開発であったりとか核燃料サイクルにはコストがかかるんだと。他方で、再エネでももちろん系統整備のためには大きなコストがかかりますし、是非コストもしっかりと考慮していただきたいというふうに思います。

 原子力の人材の減少の問題があると思います。東日本大震災前にはメーカーの原子力従業員の数が一万四千人いた、二〇二一年度には一万人まで減少したんだということで、一方で、廃炉を進める上でも原子力の人材は欠かせないと思います。

 プラントのメーカーの二十代、三十代の、原子力発電所の中核部分の建設プロジェクトの経験者がほとんどいないんだということで、技術継承ができずに将来に禍根を残すことになるのかなというふうに思うんですけれども、ここのところで、原子力発電所の建設に関わる人材育成についてはどのように図っていかれるのか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、安全性を確保しながら原子力発電所を活用していく、そして、将来に向けて廃炉もあるという中で、人材の確保、非常に重要であります。

 私自身、茨城県の日立製作所であるとか兵庫県の三菱重工など、まさに革新炉の設計に取り組む現場も視察をし、様々な御意見も聞いてきております。技術、人材の維持強化の必要性、ますます高まっているものと思います。

 今回、原子力基本法第二条の三の第一号に、まさに基本的施策として、人材の育成、確保ということも明記をさせていただいております。

 また、関係するサプライチェーン約四百社から成るプラットフォームを立ち上げ、人材育成に向けて連携していこうということでありますし、G7におきましても、アメリカ、カナダ、イギリス、フランスといった国々と、こうしたサプライチェーンの維持、確保、そして人材の育成などについても連携していこうと確認をしているところでございます。

 今後とも、人材そして技術の維持強化、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 今回、原子力基本法で安全神話という文言を入れられていると思いますけれども、当然、事故が起こらないようにすべきでありますし、起こしてはならないというところで、ただ、万が一事故が起こった場合の責任の所在についてなんですが、原子力損害賠償に関して、電気事業者の負担を有限として、これを超える金額は国が負担するということを法定化する、この点について、どのようにお考えでしょう。

岸田内閣総理大臣 原子力事故の損害賠償に関しては、原子力損害賠償法及び原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく事業者間の相互扶助スキーム等を整備し国が支援する、こうした制度になっています。

 そして、御指摘の事業者の責任、これを有限にする、責任の問題でありますが、これについては、平成三十年の原子力損害賠償法の改正に際し、事業者と国の責任の在り方についても検討をし、有限責任とすることは様々な課題があることから、事業者の無限責任を維持することが妥当とされたと承知をしております。

 政府としては、原子力損害賠償法を中心とした枠組みに基づき、被害者に対する賠償が迅速かつ適切になされるよう責任を持って対応してまいりたいと考えます。

遠藤(良)委員 最後なんですけれども、原発の稼働で高レベル放射性廃棄物の最終処分施設が必要となります。期限を設けて最終処分施設の選定を定めること、この期限について、めどでもいいですし、目標について、いつまでにこれを行うのか、最後、お尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 使用済燃料の行き先が決まっていないということが原子力に対する国民の皆様の懸念の一つであると認識をしており、原子力を進める上での重要な課題として、将来世代に先送りしないよう、我々の世代で解決に向けた対策、これを確実に進めることが必要です。

 ただ一方で、最終処分場の選定、これは地域の理解を得ながら取り組んでいかなければなりません。これは性急に進めることはできないと考えています。

 最終処分の実現に向け、先行する諸外国では十件程度の関係地域から順次絞り込んでいるように、我が国でも、最初の段階である文献調査の実施地域の拡大、これが課題であると認識をしております。

 具体的方策を進めるべく、最終処分関係閣僚会議を開催し、基本方針の改定案を取りまとめたわけでありますが、基本方針を踏まえて、従来の公募方式と市町村長への調査実施の申入れに加えて、手挙げを待つのではなくして、地域に対し政府から調査の検討を段階的に申し入れるなど、政府として責任を持って取組を進めていきたいと考えます。

遠藤(良)委員 原発は稼働すると使用済燃料は増加していく一方ですし、是非これは責任を持って政府として取り組んでいただきたいというふうに申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 岸田総理と質問させていただくのは昨年の六月の予算委員会以来でありまして、失礼を承知で質問したなというふうに思っております。幸せって何だろうかという話。それに、ある意味じゃ、一年たって、このGXもDXも同じことなんだと思うんです。人の幸せのためにやる。それが日本だけじゃなくて世界の人たちの幸せも含めて地球温暖化を抑止していこうということなので、このGX推進法、また電源法というのが提案されたんだと承知はしています。

 過去に、この経産委員会、午前中も西村大臣にも質問しましたけれども、いろいろな角度から質問させていただいたんですけれども、明確な年数だとかロードマップというのは余り示されないんです。

 例えば地球温暖化の、CO2を削減するんだといったときに、十一億五千万トン、今、CO2が出ているんです、去年の十二月末の段階で。それを、四六%カットするということは、七億六千万トンカットしなくちゃいけない。じゃ、具体的に何の業種にお願いする、私たちの生活様式もそうでしょうし、それを具体的に数字を出してくれと言っても、ほとんど数字は出てきません。

 これが、七年の間で四六%達成できるか、こういう話で何回も質問させていただきました。ただ、なかなかロードマップも出ないし、一つ当たりのCO2の排出量がどのぐらいあるのかと。消費者である国民も選択肢がまだできないんです。それを早く示してもらわないと四六%カットできないんじゃないかというのを、いろいろな方面から質問させてもらったんです。

 先日、北海道で、G7の気候・エネルギー・環境大臣サミットで、これは私の聞き間違いだというんですけれども、GX推進の足並みがそろっていなかったという報道がされたんですね。後からもらった資料だとGX推進というのがうたってあるんですけれども、そういう報道がなされるということ自体が、G7の中でGXを推進していく議長国の日本として、そういう報道がされちゃうということ自体が、足並みが乱れているというふうに捉えられてしまうのをどう感じるかというのを、まず最初に質問したいと思います。

岸田内閣総理大臣 札幌で行われたG7気候・エネルギー・環境大臣会合における議論についての質問ですが、GXについて足並みがそろっていない、こういった報道がされたという御指摘でありますが、大臣会合の中で、GX、これは当然造語でありますので、GXの言葉の使い方について議論があったということは報告を受けております。

 しかし、そうした議論はありましたが、最終的に共同声明は取りまとめることができ、この共同声明の中に、我々は、包括的かつ社会、環境面で持続可能な経済成長と開発及びエネルギー安全保障を確保しながらグリーントランスフォーメーションを世界的に推進及び促進する、こうした文言が盛り込まれました。その上で、遅くとも二〇五〇年までに温室効果ガス排出ネットゼロを達成するために、我々の経済を変革することを目指して各国が協働する、こうした共同声明を取りまとめることができました。

 結論として、GXに向けてG7は協働して取り組む、こうした基本的な方針を確認することができたと認識をしております。

鈴木(義)委員 時間がないので、はしょっていいんですけれども、例えば、インドでは二〇七〇年までCO2の削減をしないとか、隣の中国は、二〇三〇年までは今のままでいいんじゃないか、そこから下げていくというふうに言っている国もあるわけですね。

 だから、そういう状況の中で、日本でいろいろ取り組んでいくのはいいんですけれども、エネルギーコストが上がっていった中で、そこで作った製品が、コストが上がったものを海外の人たちが買ってくれるのかというのが一つ懸念材料なんです。確かに、GXは推進しました、CO2は削減できました、でも、日本から売るものが高価格になってしまって買う人がいなければ、産業は成り立たないということです。そことのバランスをどう取っていくかということが一番難しい。

 時間がないので、もう一つ併せて言いたいんですけれども、例えば、今、中国からの部品だとか材料の調達の依存度が高いんです。太陽光パネルのシリコンウェハーも八割は中国から入ってきている。中国は、国家戦略として、環境問題で商売になると思っていますから、一貫した製品を作ってそれを海外に出して、それを日本に安く売ってくれる保証は全然ないんです。

 再生可能エネルギーもやりましょう、原発の再稼働もやりましょう、分散エネルギーでやっていくんですというのはいいんですけれども、その元が売らないよというふうに言われたときに、例えばこれも経産委員会で事例を出しました。韓国では、アルミを中国から買って電池を作ったら、アメリカが、あんたのところのアルミが中国で作ったアルミを使っているようだったら電池は買いませんとはっきり言われているんです。

 そういう状況の中で、このGXと実際のエネルギーの調達の元、それになる材料ですね、製品も含めて、その辺をどうこれから考えていくのか、併せてお尋ねしたいんですが。

岸田内閣総理大臣 まず、気候変動問題に対応するという人類共通の課題に向けては、どの国がやるとか、我が国だけがやるとか、そういうレベルで論ずるのではなくして、世界各国が足並みをそろえて取り組むということ、これがこの問題解決に向けて重要だという点は共有していかなければならないと思います。

 そして、あわせて、グリーンな製品、技術に強みを有する企業が世界で適切に評価される、あるいはその製品や技術を世界に広めていくための資金が集まっていくような環境整備、こうしたものを用意することも重要だと思いますし、また、委員の今出された例でいきますと、やはり経済安全保障の問題と関連してくる問題ではないかと思います。

 環境問題、もちろん大事でありますが、今、国際社会の変化の中で、経済安全保障という観点も、こうした各国の経済、貿易を考える際に重要な課題として浮かび上がってくる。この両方について、あるべき現実的な対応が求められている、こうしたことではないかと考えています。

鈴木(義)委員 コストを度外視してでも海外に調達先を求めている再生可能エネルギーも含めて、全部国産化していくという考えでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 環境問題については、先ほど申し上げました、世界規模で考えていかなければなりません。

 しかし一方で、経済安全保障の観点から考えた場合においては、委員の方から、全部国産にしていく、こういった方向を考えるのでよいのかという御質問ですが、これは全て国産ということは現実的ではないと思います。だからこそ、サプライチェーンの強靱化が求められている。

 同盟国、同志国、あるいは価値観を共有する国々との間でサプライチェーンの強靱化に向けて取組を進める、こうした方策が重要になってくると考えます。

鈴木(義)委員 最後にサプライチェーンという言葉でごまかされちゃうんですけれども、先ほどの中国を一つの例にしましたけれども、太陽光パネルは、パネルの八〇%が中国から来ている。そこで作ってもらったものをうちで使って発電しましたって、あんたのところで作った電気は国産じゃないじゃないと言われたら、もうそれで終わっちゃう話になるんですよね。

 だから、経済安全保障も大事だし、資源がない国日本でもあるし、それと、あとGXも推進していかなくちゃいけない、こういう幾つものファクターが重なり合っちゃっているのは正直分かるんですけれども、だったら、それに基づいて計画を立てていくしかないんじゃないかという考え方なんです。それを総理大臣がやはり旗を振るべきだと思うんですけれども、もう一度だけ御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の課題、気候変動を始め、経済安全保障等、様々な国際的な課題を考える際に、そのベースとなる国際情勢あるいは技術基盤、これは絶えず変化をしています。その中にあって、先ほど申し上げました、基本的にはサプライチェーンの強靱化というこの方策を考えていかなければならないと思いますが、実際の具体的な取組については、今申し上げた国際情勢やら技術基盤の変化等に適切に対応しながら、国民の生活や事業を守るためにどうあるべきなのか、政府として責任を持って政策を考えていくことが重要だと考えます。

鈴木(義)委員 終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 岸田総理に質問いたします。

 総理の号令一下、昨年の参議院選挙後にGX実行会議がつくられて、GX実現への基本方針を閣議決定して本法案が提出されたものであります。

 法案審議の中で、原子力の規制よりも利用が前に立って、七十年超の運転まで可能とする法的枠組みづくりであることが明確になりました。

 そして、原子力基本法の改定で、国と事業者の責務を新設をして、原発の利用を将来にわたって固定化、永続化する、まさに東京電力福島第一原発事故の反省ということを言われながら、法案でもありますが、しかし、それと全く逆行する法案ではないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 ロシアによるウクライナ侵略に伴い、歴史上初の世界エネルギー危機とも言われる状況に直面する中で、エネルギーの安定供給と気候変動問題への対応の両立、これが最重要の国家課題となっています。

 このようなエネルギー情勢の変化、これを踏まえれば、国民生活や産業の基盤となるエネルギーを気候変動問題への対応と両立する形で将来にわたって安定的に供給する体制を構築すべく、再エネ、原子力を含め、あらゆる選択肢を確保していくことが重要であり、原子力政策についてもそういった観点から進めていく必要があると認識をしております。

 当然のことながら、原子力を活用するに当たっては、東京電力福島第一原子力発電所事故が起きた反省をしっかりと踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識の下、安全確保に取り組む必要があります。高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格な安全審査を行い、規制基準への適合性が確認できなければ運転は一切認められない、この大前提、変わりはないと考えています。

笠井委員 エネルギーの安定供給、そして気候危機打開に必要、だから選択肢の一つとして原発というふうに言われるから、結局、福島忘却宣言だとか、あるいは福島忘却法案ということを、このまま成立させるべきではないという形で新聞で、例えば東京新聞なんかの社説でも言われるわけであります。

 総理は選択肢の一つと今も言われました。原発を活用ということですが、そこが問題だと思うんです。

 三月二十日に公表されましたIPCCの第六次統合報告書で採用された、科学誌ネイチャーエナジー掲載のソバクール氏らの論文は、世界百二十三か国、過去二十五年間のデータから、原発が増えてもCO2排出削減はもたらされないが再エネを増やせば排出削減がもたらされたこと、原子力発電を増やすと再エネが伸びにくいことが明らかにされております。世界百二十三か国、過去二十五年間のデータですから。

 しかし、そういうことでいきますと、どっちもではなくて、やはり軸足を再エネに置くべきではないか、ここは本当に政治がそうやってきちっと決断すべきではないかと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 学術的な研究論文の内容の一部に関してコメントすること、これは差し控えますが、エネルギーをめぐる各国の事情、これは様々であり、それぞれ、異なる経済事情あるいはエネルギー事情を踏まえながら、エネルギー安定供給の確保や脱炭素の実現に取り組んでいるものと認識をしています。

 資源の乏しい我が国において、エネルギー安定供給と脱炭素を両立させるためには、省エネ、再エネ、原子力など、あらゆる選択肢を追求していく必要があると考えております。

笠井委員 資源が乏しいと言われるけれども、予算委員会でもやりましたが、再エネの潜在量は五倍から七倍あるという中でのことでありますので、それはもう通用しないと思います。そんなことをおっしゃっているから、大手電力会社が再エネ事業者に発電停止を連日のように指示する出力抑制が急増しております。

 二〇一八年に、再エネの発電割合が高い九州電力が初めて実施をして、これまでに九州電力は五百四十四日間も抑制指示を出して、再エネを捨てているということになっています。北海道、東北、北陸、中部、中国、四国、沖縄の各電力エリアでも実施をしている。東京電力のエリアでも、ゴールデンウィークの期間の初の制御を検討しているということになっている。

 現在の再エネ比率というのは一八%です。これでは本当に、政府自身が第六次エネルギー基本計画で掲げる、二〇三〇年、三六から三八%の目標さえ達成できないんじゃないか、私はこう思うんですけれども、総理はどういうふうにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 再生可能エネルギーは重要な国産エネルギー源であり、地域との共生、あるいは国民負担の抑制を図りながら最大限導入していくことが政府の基本方針です。

 そのため、本法案では、系統整備に必要な資金調達を円滑化する仕組みの整備を進め、また、地域と共生した再エネの導入加速のため、再エネ特措法に基づく手続において事業者の規律強化が図られるよう制度を見直すこととしています。

 電気の需給バランスが崩れるのを防ぐために実施することになっている出力制御については、可能な限り低減するため、蓄電池の導入や、あるいは地域間連系線の整備などを進めてまいります。

 四月四日には、再エネ水素等関連閣僚会議、これを開催し、再エネ導入拡大に向けた関係省庁連携によるアクションプラン、これを取りまとめました。建築物や住宅の屋根への太陽光発電の設置促進、洋上風力の導入拡大などの取組を通じて、再エネの導入拡大、これを着実に進めてまいります。引き続き、政府挙げて再エネ導入に強力に取り組んでいきたいと考えます。

笠井委員 いや、原発を優先してやっているから、そういう形で、結局、再エネをどんどん捨てているという事態が起こっているじゃないかということを私、申し上げているんですね。やはり、多様な再エネを組み合わせて地産地消でやっていくということが本当に大事だということも議論されてきたんだけれども、なかなか本格的に政府自身がそのために本腰を入れていない。

 今、系統整備とか、それから広範囲に電気を融通するような送配電網の強化とかをやっていきます、蓄電池もやりますというふうにおっしゃるんですけれども、一向にこれまで重要性と言いながら進めてこなかったじゃないか。それで、一方では原発を進める中で再エネを捨てている、こういう事態が起こっているわけで、ここで本当に軸足を切り替えて再エネを本格的に普及しないと、ますます原発そして巨大電源を使うことになる、いつまでたっても解決しないということになるんだろうと思うんです。

 そこで、今、脱炭素社会に向けては様々な努力が世界的にもやられています。日本でも、民間、市民団体の皆さん、そして地域ごとの自治体でもいろいろな形でやられていると思うんですけれども、その中で、私自身も超党派の議連にも参加しながら注目していますが、やはり企業グループの中でもそういう動きが出ている。

 例えば、日本気候リーダーズ・パートナーシップ、JCLPというのがあります。顧問は大島前衆議院議長がなさっていますが、やはり経済界でも、あるいは産業界でも、世界的な視野でビジネスをやろうと思ったら、やはり世界的な流れを本当にしっかり見据えてやらなきゃいけない。世界の大きな流れである再エネ一〇〇%、RE一〇〇が必要だとの認識、その意識が日々強まって努力をされているということであります。

 総理、原発を最大限活用して二〇三〇年に二〇%から二二%まで残すという計画自身が、そういう様々なレベルでのRE一〇〇を目指している取組、もうそれを諦めろと言っているようなものじゃないかと思うんですけれども、総理の率直な御意見を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、経済界においてRE一〇〇に関する取組が広がっていることについて、ESGの観点はもちろん、再生可能エネルギーの価値を積極的に評価し、国際競争力の強化につながるという観点からも、これは歓迎すべき動きであると考えています。

 こうした機運を後押しするためにも、第六次エネルギー基本計画で示した二〇三〇年度の再エネ比率三六から三八%という目標実現に向け、地域との共生と国民負担の抑制を図りながら最大限導入してまいります。そういった取組を通じて、日本企業における再エネの選択肢が拡大していくことを期待いたします。

 同時に、ロシアによるウクライナ侵略に伴い、歴史上初の世界エネルギー危機と言われる状況に直面する中で、気候変動問題への対応とエネルギーの安定供給の両立を図るべく、再エネのみならず、原子力を含め、あらゆる選択肢を確保していくことが重要であり、原子力政策についても責任を持って進めていく必要があると認識をしております。

笠井委員 終わりますが、再エネ、RE一〇〇を歓迎すべきだとおっしゃった、ならば本当に軸足を再エネに切り替えるべきだ。

 この法案は、原発利用を将来にわたって固定化、永続化する、そして原子力、石炭火力などの大規模集中電源を温存するものであります。脱炭素の世界の要請にも真っ向から逆行する、こんな法案をG7前に通して世界に恥をさらしていいのか。やはり廃案にして、原発ゼロの決断、再エネへの転換を図ることを強く求めます。

 そして、原発回帰に大転換する重大法案の質疑終局と採決については断固反対ということで、私の総理質問は終わります。

竹内委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、本案に対し、関芳弘君外三名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小野泰輔君。

    ―――――――――――――

 脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小野委員 ただいま議題となりました脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 これまでの我が国の原子力利用は、原発立地地域の電力の安定供給に対する理解と協力の下で進められてきました。しかし、高レベル放射性廃棄物の最終処分やALPS処理水の取扱いを始めとした原子力に係る課題については、原発立地地域のみならず、電力の大消費地である東京、大阪などの都市の住民を含めた国民全体の理解と協力を得ることが重要であります。

 また、本法律案により、原子力規制委員会は、発電用原子炉設置者が三十年を超えて発電用原子炉を運転しようとする際に作成する長期施設管理計画の認可を行うこととなりますが、原子力規制委員会の業務が増大する中にあっても、発電用原子炉の設置の許可等の審査に遅れが生じることは、電力の安定供給の観点からも避けなければなりません。

 以上のような状況を踏まえ、本修正案を提出する次第であります。

 次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。

 第一に、原子力基本法に新たに規定する国の責務のうち、原子力発電に対する国民の信頼を確保し、その理解を得るために必要な取組を推進する責務について、国民の例示に電力の大消費地である都市の住民を加えるとともに、国民の理解と協力を得るために必要な取組を推進する責務とすることとしております。

 第二に、発電用原子炉の運転期間、発電用原子炉施設の劣化の管理等に係る改正の施行後五年以内に政府が行う検討の対象として、原子力規制委員会による発電用原子炉の設置の許可等に係る審査の効率化及び審査体制の充実を含めた発電用原子炉施設の安全の確保のための規制の在り方等を追加することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。菅直人君。

菅(直)委員 政府提出のGX脱炭素電源法(脱炭素社会の実現に向けた電力供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案)について、反対の理由を申し述べます。

 亡くなられた安倍晋三元総理の祖父である岸信介元総理は、東条英機内閣の商工大臣だったときに太平洋戦争開戦の詔勅に署名し、戦後、A級戦犯容疑で逮捕、収監されました。今、原発を推進していこうという趣旨の法律を成立させることは、約八十年前にアメリカと戦争をすることに賛成したのと同じぐらい、後になって犯罪だと批判される政治判断である、このように言わざるを得ません。

 二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故のとき……(発言する者あり)

竹内委員長 お静かに願います。

菅(直)委員 私は、内閣総理大臣として、この国に暮らす人の命と財産を守る責任を持つ立場の人間でした。刻一刻と変化していく事故の状況の報告を受け、東日本壊滅、つまりは日本壊滅を覚悟いたしました。これは私だけではありません。現場の責任者である吉田所長も、国の原子力行政を担う原子力委員会の近藤委員長も東日本壊滅を覚悟したのであります。

 どんなに安全基準を厳しくしても、どんなに事故を起こさないように努力しても、地震国である日本で、この先何十年にもわたり、原発が地震や津波の被害に遭わない保証はありません。むしろ、地震に遭う確率の方が高いのです。

 飛行機事故、鉄道事故、高層ビルの大火災、石油コンビナート火災などの大災害と原発事故とは根本的に異なります。それは、一たび大事故が起きたら誰にも制御できなくなるということです。

 私は、原発事故の恐怖を身をもって感じました。日本壊滅のイメージが頭から離れず、眠れない夜を過ごしました。だから私は脱原発にかじを切ったのです。私の内閣のこの決断を、多くの国民は支持をしてくれました。当時は、自民党も脱原発には反対しなかったではないですか。

 約二年間にわたって原発による発電がゼロだった時期もありましたが、日本のどこにも大停電は起きませんでした。原発ゼロでもやっていけることは既に実証がされています。

 東京電力福島第一原発事故を教訓に定められた原子力規制の柱である、重大事故対策の強化、バックフィット制度、四十年運転規制、そして規制と利用の厳格な分離について、これに変更を迫る立法事実は存在しません。これを堅持しなければなりません。

 ウクライナ戦争を受けてエネルギー事情は大きく変化しており、世界は再生可能エネルギーへのシフトを加速化しています。武力攻撃の目標となる原発は、その存在自体が国家安全保障上のリスクであるとの認識も広がっています。それなのに、今回の原子力基本法改正は、原子力産業への支援が国の責務として詳細に規定され、原発依存を固定化するものとなっています。

 確かに、地球温暖化も深刻な問題で、火力発電について、いつまでも頼れないことも事実です。だからこそ再生可能エネルギーを推進すべきなのに、自民党、公明党の政権はそれを怠ってきた。そのツケを原発を再び推進することで払おうとしている、これがこの法律の本質ではないでしょうか。

 子供や孫に借金を残してはいけないのと同じように、子供や孫に原発を残してはいけないのです。くしくも、三十七年前、一九八六年の今日、四月二十六日は、チェルノブイリ原発事故が発生した日です。今後十年、二十年の間に天変地異や有事で老朽原発の事故が起きたときに、子や孫から、このような法律を成立させたために、あなた方に責任があると批判されても反論できません。

 大臣として太平洋戦争開戦に賛成した岸信介氏が戦犯容疑で逮捕されたように、この法律に賛成する人は未来に対する罪を犯したことになる、私はこのように考えます。

 私は、未来への責任を持ちたい。だからこそ、この法律には反対です。

 以上です。(拍手)

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等改定案に反対の討論を行います。

 今、福島原発事故を忘れたのかと、国民の怒りが広がっています。原発回帰に大転換の本法案審議を、僅か一か月足らずで質疑終局、採決に厳しく抗議します。

 IPCC第六次統合報告書は、今のペースで温室効果ガスを排出し続ければ二〇三〇年に排出限度に達すると警告しています。グテーレス事務総長は先進国に対して、二〇四〇年にできるだけ近い時期に、排出ゼロ達成約束の前倒しを求めています。本法案は、この世界の要請に逆行するものであり、断じて容認できません。

 反対理由の第一は、原発の利用を将来にわたり固定化、永続化するものだからです。かつてない重大な改定を所管大臣不在のまま強行したことも看過できません。

 改定原子力基本法は、原発の利用を国の責務とし、原子力産業界の事業環境整備を支援する原子力産業救済法へと変質させるものです。多くの国民が願う原発ゼロへの道筋をも断ち切ることになりかねません。

 第二は、原発の運転期間を四十年とする原則を投げ捨てるものだからです。

 推進側の経済産業大臣による延長認可は、形式的な事項を確認するのみです。科学的、技術的な審査抜きに七十年超の老朽原発運転を可能とする本法案準備は、資源エネルギー庁と原子力規制庁の密談から始まりました。東京電力福島第一原発事故の反省と教訓に立った推進と規制の分離を踏みにじるものにほかなりません。

 原子炉圧力容器の設計寿命は四十年。原発が停止している間も経年劣化は進み、安全上のリスクは増大します。原子力規制委員会の長期施設管理計画認可制度も、電力会社の申請書類をチェックするだけで、安全を担保するものになり得ません。

 第三は、大手電力の意向を強く反映した系統整備計画が、再生可能エネルギーの導入拡大にはつながらず、原発や石炭火力の温存になるからです。

 化石燃料の価格高騰が電気料金の大幅な引上げを招いています。こんなとき、燃料費ゼロの再エネの出力を抑制する、これほど愚かなことはありません。

 破局的な気候危機回避には、もはや一刻の猶予もありません。RE一〇〇など、経済界の期待も需要も大きい再エネを最優先し、原発ゼロに転換することを強く求め、反対討論といたします。(拍手)

竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、関芳弘君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、岩田和親君外三名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小野泰輔君。

小野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 今後、三十年を超えて運転する発電用原子炉について、長期施設管理計画等の審査が行われることにより原子力規制委員会の業務が増大する中においても、再稼働等に係る審査業務の円滑化を図ることができるよう、原子力規制委員会は、審査業務の効率化に努めるとともに、事業者等とのコミュニケーションを適切かつ積極的に進め、手戻りのないよう努めること。その際、事業者等との打ち合わせ等の議事録や会議資料は、国民に説明できるよう、整理し、保存に努めること。

 二 発電用原子炉の運転期間の除外期間を算定する基準を具体化するに当たっては、原子力規制委員会による適合性審査や、事業者による産業全体の取組において示されている科学的な見地からの意見等も念頭に置きながら、分かりやすいものとなるように策定するよう努めること。

 三 原子力発電所の廃炉は長期間を要することを踏まえ、今後本格化していく廃炉の円滑かつ着実な実施を推進していくために必要な措置を講ずること。特に、廃炉に伴う放射性廃棄物について、処分場の確保やクリアランスの推進等の取組が着実に進むように必要な措置を講ずること。

 四 原子力事業者が原子力施設の安全性を確保するために必要な投資を行うことその他の安定的にその事業を行うことができる事業環境を整備するための施策については、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用しつつ、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減することとした第六次エネルギー基本計画との整合性を図ること。

 五 安全確保を大前提とした原子力施設の研究や運営・保守管理、廃止措置等、原子力の安全のための施策が長期にわたって必要となることを踏まえ、原子力事業者を取り巻く経営環境にかかわらず、施設の安全性の向上等に事業者が確実に取り組むことができるよう、必要な人材の確保及び技術の維持・強化等に向けた事業環境の整備を進めること。

 六 原子力規制委員会及び原子力規制庁は、事業者に規制基準を遵守するよう求める立場であること、規制と利用の分離の重要性に鑑み、組織内部のガバナンス強化、マネジメントの検証、改善等に不断に取り組み、主体性をもって制度の運用に当たるとともに、その検証結果や取組状況等を公表すること。

 七 太陽光パネル等の再生可能エネルギー発電設備については、耐用年数経過後の廃棄物の発生を抑制する観点から、設備のリサイクルシステムの構築等、早急に必要な措置を講ずること。

 八 太陽光発電については、大きなポテンシャルを有する営農型太陽光発電の農業政策に留意した普及など、地域との共生を前提に、最大限の導入及び維持管理に必要な措置を講ずるとともに、太陽光パネルを特定の国からの調達に依存している現状を早期に是正するため、実用化が期待されるペロブスカイト太陽電池をはじめとした太陽光発電に関わる産業の国内におけるサプライチェーンの構築を促進すること。

 九 原子力については、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用しつつ、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減することとした第六次エネルギー基本計画を踏まえ、再生可能エネルギーを中心としたマイクログリッドを含む自立・分散型エネルギーシステムの構築を進めること。

 十 法令違反を行っている再生可能エネルギー発電事業計画の認定を受けた事業者に対する交付金相当額積立金制度や、同計画を認定する際の事業者に対する住民への説明の要件化、委託先への監督義務の創設など、本法で行われる規制の強化については、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギーの普及拡大に対して必要以上の制約とならないよう、その実施状況を把握し、必要に応じ適切かつ柔軟に制度の改善を図ること。また、景観・環境への影響その他の課題について地方自治体が主体的な立場で解決につなげるための条例を定めること等に対し必要な支援を行い、地域社会との調和の中で再生可能エネルギーの普及が進むよう努めること。

 十一 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた系統整備を進めるに当たっては、二〇一八年九月六日に発生した北海道胆振東部地震に起因する北海道における大規模停電等の事態を踏まえ、災害等に備えて重層的に電力を供給できるネットワークを整えるとともに、各地域に新たな電力需要が創造されるよう必要な支援を行うこと。

 十二 長距離の海底直流ケーブルの敷設を伴う系統整備を進めるに当たっては、工事費が巨額であることに加え、当該系統整備が重要であることに鑑み、技術面の課題に伴う仕様の変更、利害関係者との調整、自然災害のリスクの発現等により、費用や工期などの変更が余儀なくされた際、事業者が負担する事業費の増大等のリスクにも配慮し、事業者の予見性を高めるよう必要な措置を講ずるとともに、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた系統整備費用の負担について、国民理解の醸成に取り組むこと。

 十三 カルテル事案や顧客情報不正閲覧事案等の電気事業における市場環境を揺るがす事案が相次いでいることに鑑み、電力システム改革の効果を検証し、発電、送配電、小売事業の在り方や電気事業法等における法令遵守を担保するための措置の強化、電力・ガス取引監視等委員会等による取組の在り方等について検討を加え、実効性のある取組を早急に進めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、西村国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西村国務大臣。

西村(康)国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

竹内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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