衆議院

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第14号 令和5年5月12日(金曜日)

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令和五年五月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      勝目  康君    上川 陽子君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      塩崎 彰久君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    深澤 陽一君

      福田 達夫君    堀井  学君

      牧島かれん君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山口  晋君    山下 貴司君

      吉田 真次君    青山 大人君

      大島  敦君    奥野総一郎君

      菅  直人君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      中谷 真一君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 飯田 陽一君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            渡邊 昇治君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 早川 智之君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岩間  浩君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    前田 剛志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    清水 幹治君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            秦  康之君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     吉田 真次君

五月十二日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     塩崎 彰久君

  上川 陽子君     深澤 陽一君

  小森 卓郎君     山口  晋君

  田嶋  要君     奥野総一郎君

  山岡 達丸君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     勝目  康君

  深澤 陽一君     上川 陽子君

  山口  晋君     小森 卓郎君

  青山 大人君     山岡 達丸君

  奥野総一郎君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     石井  拓君

    ―――――――――――――

五月十一日

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣情報調査室次長七澤淳君、内閣府大臣官房審議官飯田陽一君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官渡邊昇治君、警察庁長官官房審議官早川智之君、個人情報保護委員会事務局審議官山澄克君、外務省大臣官房参事官林誠君、文化庁審議官中原裕彦君、農林水産省大臣官房審議官岩間浩君、林野庁林政部長前田剛志君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、経済産業省大臣官房審議官藤本武士君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、特許庁総務部長清水幹治君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、環境省大臣官房政策立案総括審議官角倉一郎君及び環境省水・大気環境局長秦康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原孝でございます。

 まず、余り期待されていなかったかもしれませんけれども、前にここの質疑に立たせていただいたときは、GX脱炭素電源法では三時間質問させていただきますというようなでかい口をたたきましたけれども、ちょっと西の方に、ポリティカル、政治的な、行かなくちゃいけない事情がありまして、ずっといなくて、お気づきかもしれませんけれども、私と同じ年の女性がずっと私のところに差し替えで座っていたと思います。

 改めてですけれども、GX脱炭素電源法、いろいろお聞きしたいことがあったんですが、法案通過しちゃったりしていますけれども、その関連で質問させていただきたいと思います。

 その前に、やはり日本経済全般のことを質問させていただきたいと思います。余りこういうことをしたことないんです、ほかのやりたがる人はいっぱいいますからね。

 なぜ今日するかというと、私は政治家のプロというのが必要だと思うんです、その分野の絶対的な専門家というのが。例えば、税制で山中貞則さんがおられました。経済とかになると誰がいたのかなと。菅(かん)総理のときにおられましたけれども、与謝野さんを経済担当、かじ取りとは違うんですけれども、なってもらっている。

 今はよく分かりませんけれども、ずっと見渡すと、自民党にそういう重鎮おられるんですかね。分からないんですけれども、西村大臣が数少ないその候補生ではないかと思うんです。ですから、これからいろいろ政界の、取り沙汰されていますけれども、ホープで、将来総理になられるかもしれないということで、この私の第一回目の最初の質問は、総理大臣になられたつもりでお答えいただきたいと思います。

 それで、予算、百十四兆円と大型予算ですね。純予算だけじゃなくて、国債をいっぱい発行していると。GX推進法で、そこのところまではよく分からないんですが、二十兆円の何か特別な国債を発行すると。

 ここで、今、円安がある。何かインフレになってきているんじゃないかなというふうに私は思うんです、よく分からないんですがね。ずっとコロナ、コロナで、今まで財政規律、財政規律と言っていたのをどんどん金をつぎ込んで、目に見える予算だけじゃなくて、財投でもいっぱいつぎ込んでいる。そうすると、本格的にインフレになって、そして、インフレになったら普通は景気はよくなるんですが、景気はよくならなくて物価高にばかりなる。例えば、今、これは円安がそうさせているんだと思いますけれども、食料品価格が相当上がっていますよね。簡単なので。いっぱい輸入しているから、円安になるから、みんな高くなるわけです。

 皆さんお気づきかどうか。食品、値上がりしているんですけれども、その中でどれが一番値上がっているかというと、食用油関係なんですね。どうしてかというと、油がほとんど自給されていないんです。ヒマワリなんて作っていない。大豆も、豆腐や納豆や何かに使われるけれども、大豆油、油にする大豆までは作っていない。一番は菜の花、全く消えちゃっているんですね。だから、油を使っている食品がみんな値上がっていますし、それで食用油というのが上がっている。

 それよりももっと前に上がって困っているのは、これはもう一つの要因もあります、卵ですね、卵。卵なんというのは、なんというのはなんて言っちゃいけませんけれども、卵は、まさにあれは加工畜産なんですね。

 我々、我が国は、皆さんとちょっと年代が違うので違うかもしれませんけれども、僕が習った社会科の教科書では、うたい文句で、ずっと小学校から中学校から高校まで、みんなそのうたい文句が書いてあったと思いますけれども、これといった鉱物資源に恵まれない日本は、外国から鉱物資源を輸入して、それを加工して輸出して生きていかなければならないんだというふうになっていて、それで、そのとおりにやってきたんです。

 だから、日本の東京湾、伊勢湾、大阪湾のところはみんな工場地帯になって、みんな岸壁横づけで原材料が来て、そしてその岸壁からまた出ていくということで、長野県なんかはそういったような工場がほとんどないんですよね。諏訪、岡谷に、軽薄短小の、輸送コストがかからない軽いものしか成り立たない。あとはみんな岸壁横づけです。

 私がこの言葉を使い始めたと思っているんですけれども、今や普通に何ともなく使われているのは加工畜産です。飼料穀物を輸入して、農家が工場の代わりに卵や牛乳や肉を作っているんです。だから、原材料の飼料穀物が高くなったりしたら、もうアウトですよね。だから高くなっている。もちろん、そこに鳥インフルエンザも加わっているんですけれどもね。

 日本のいろいろなことがゆがんできているんじゃないかと思うんです、こういうので。結局、誰にしわ寄せが行くかというと、弱者というか、ちょっとそこからずれた人。加工貿易立国の、鉱物資源を輸入して加工して輸出する方は、円高になろうと円安になろうと、円安になったら、原材料は高くなるけれども、輸出するときは輸出はしやすい。それはチャラになるんですよね、いっときは影響を受けますけれども。

 だけれども、畜産業なんというのは、輸入して加工畜産をしていますけれども、そして輸出、輸出、一兆円の輸出産業なんて言っていますけれども、そんなばかなことはできないですよ、外国から輸入してきて、それを加工してまた輸出するなんというのは。うんと技術の粋を凝らしてやった高性能の製品だったらいいですけれども、食べ物なんてそんなに変わりないんですから。それは輸送コストが相当かかりますから、そういう加工畜産貿易というのは無理ですよね。だから、輸出できないから農家がしわ寄せ、そして、価格転嫁できたとしたら消費者が困るわけですね。

 何かもうゆがみ切っているし、こういうのを直しておかなくちゃいけないと思うんですが、今、こういう日本の経済状況全般で、ちょっとゼネラル、一般的過ぎるんですが、この状況について経済産業大臣はどのように思われるでしょうか。

西村(康)国務大臣 篠原委員におかれましては、農政を中心に、私もTPPを担当しておりましたときも含めて、様々、政策的な議論をさせていただいて、いつも楽しみにしているところでございます。

 今日は日本経済全体についての認識の御質問でございますけれども、やはり、この二、三十年続いたと言われるデフレの中で、多くの企業は、投資をせずに、現金で内部留保を増やしたわけですね。これは、現金で持っている方が価値はどんどん上がっていくわけでありますので、デフレの状況では。そして、消費者も、貯蓄をするというのが、基本的には現金で持っている方がいい、消費よりも貯蓄に回すということであります。

 ただ、ここに来て、御指摘のように、輸入物価を中心にインフレ、物の値段がすごく上がってきたということで、いわば慢性的なデフレの中で急性的にインフレが起こっているという状況が昨年あたりから続いてきているものというふうに思います。インフレになってくると、現金で持っていると目減りするわけでありますので、企業は今、投資に向かい始めた。しかも、DX、GXを始めとして、時代の大きな転換点の中で、やはりここは積極的に将来に向けた成長に向けて投資をしていこうという雰囲気が出てきているということだと思います。

 その意味で、昨年来、補正予算などで、我々、投資を後押しするための、ワイズスペンディングで引き出すような予算、これは半導体もそうですし、中小企業関係でも事業再構築補助金で累計で二兆円を超える予算を確保してきておりますので、中小企業も、新たに将来に向かっての成長源となるところへ投資していこうという動きが出てきたものというふうに思っております。

 それに合わせて、企業の方も、デフレの中では売上げは伸びませんので、人件費を抑えようということでやってきました、非正規の社員を増やすということもやってきましたけれども、ここに来て、正規社員も増やしながら、また、賃上げの動きも出てきております。三%を超える賃上げでありますので、何年かぶりの高い水準ということもあります。

 ということで、全体で見れば、慢性的なデフレの中から、急性インフレのきっかけとして少し新しい動きが出始めてきているというふうに思いますので、ここは積極的にそうした企業の取組、これを後押しする、成長に向けた支援をしっかりと充実させていく、そういう段階にあるんだろうなというふうに思います。

 その意味で、今回、GX経済移行債を発行して二十兆円、先行的に支援をするということで、企業に新たなグリーントランスフォーメーションの研究開発や実装を進めてもらう。これについては、一方で、将来に向けて財源も確保しておりますので、何かこれで国債発行額がまたばあっと増えて財政についてマイナスになるということではなくて、将来を見据えた形の制度設計にしておりますので、その点も御理解をいただければと思います。

 さらには、かつてと違うのは、日本一国だけでやろう、半導体にしても、大きな投資を一社だけ、一国だけではなかなかできません。技術開発も一国だけでできない部分がありますので、日米欧、まさに同志国と連携をしながらサプライチェーンを構築していくといった取組を進めていきたいというふうに思っております。

 他方、弱い立場にある中小企業やあるいは消費者、物価がどんどん上がる、調達価格が上がるという中で、こうした弱い方々への目配りもしなきゃいけないということで、まさに円安の中で、自動車や電機メーカーを中心に最高利益ということも報道されております。利益が上がっている企業からは協力企業、下請企業に調達価格を引き上げるという価格転嫁をしっかりやってもらうということも重要だと思いますし、弱い立場の方々への給付金を始めとして、今回も、地方の交付金を含めて、そうした地域地域で実情に応じた目配りをしながら対応してもらうということも併せてやりながら、全体として成長軌道にしっかりと乗せていくという政策を実施していきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 この論争をしていると肝腎のエネルギーの方ができなくなるんですけれども、私が横から見ていますと、今、農業の方で、転作の方で比較しましたけれども、よく比較できるんですよ。農業なんというのは保護しなくちゃいけないというので、その一点張りでやってきています。経産省も、ほかのところの行政、護送船団方式、銀行業界はずっと財務省、大蔵省が保護してきて、潰れないようにやってきた。ところが、日米構造協議等でアメリカからぎゃんぎゃん言われて、そうじゃなくて再編が行われた。

 経産省はどうしたかというと、やはり日本の産業、何から何まで守らなくちゃというので、例えば円高になったときがあります。西村大臣が経産省に入られた頃じゃないですかね。円高不況業種というので、円高対策というので、業種を指定して、そしてバックアップするというのをやっていた。ところが、いつの頃からか、いやいや、競争原理だ、そんなことをする必要はないんだと。駄目な産業、駄目な産業というか、日本に向かない産業は、例えば労働集約的な産業は人件費が高くなったから東南アジアに行っていい、中国に行っていいというような感じで。

 例えば今、半導体を出されましたけれども、半導体なんか、日米半導体摩擦で何かアメリカからさんざん言われて、アメリカの半導体産業をめちゃめちゃにしてしまうのでといって、輸出規制。自由貿易と標榜しながら、日本に違うことをしろと言ってきたりする。

 だから、日本は大丈夫だということで、産業構造は転換していいんだ、ないものはなくていい。例えば繊維産業なんというのは、戦後は一大産業だったのにもう駄目になっている。駄目になっているというのは、田中角栄通産大臣の頃なんかは違って、ニクソンから繊維を輸出し過ぎるからやめろと言われたりする。もう、ばあっと消えていってしまう。農業でいえば養蚕業とかね。

 だから、農業がそういうふうになっても、そこに住んで生活する人がいる、作る品目が違う、例えば長野県の場合だったら、養蚕が駄目になったから果樹にして何とか生き残っているんですが、そういうのをてこ入れする。ところが、行け行けどんどんで、これは竹中平蔵さんが何か悪いのかどうか知りませんけれども、小泉、竹中、ホリエモン路線と僕は言っていたんですけれども、こういうところで、もういいんだ、自由にやってくれというのをやっていた。そうすると、がたがたになってきた。

 僕は、この辺りでちょっと考え直して、必要なものは必要だというので、国内で守るべき産業はちゃんと守るというような方針に経済産業省も変えてやっていった方がいいんじゃないか。そういうニュアンスがいまだもって見られない。もういいんだ、しようがないんだと。また戻ってくるんだったら戻ってくるで、全部、今ちょっと言葉のところに出ましたけれども、一国ではいけないからほかの国とも協調してと言いますけれども、やはり一国が国民に絶対不可欠なものはきちんと提供するというような、そういう姿勢を持っておかなくちゃいけない。

 例えば、典型的なのがマスクですよ。マスク、本当に困ったはず。マスクが困ったのは、ヨーロッパなんかよりももっと困ったわけです、ほとんどなかったんですね。だけれども、しっかりしているなと思ったのは、非常に高級アパレル産業、そういうのを作っているところも、国の一大事だということでマスクを作ってくれた。アメリカはそういうわけにはいかないけれども、国防の関係の法律があって、強制的にこれを作れと。だから、GMかフォードか忘れましたけれども、トランプ大統領がコロナ関係製品を作っている自動車工場に視察に行った。そのときにトランプ大統領がマスクをしていなかったとかなんとか、新聞沙汰になったことがあります。

 それで、日本はどうなったかというと、安倍総理が一生懸命、マスクだと。アベノマスクまでやられたんですが、日本で作り出した企業がほとんどないはずなんです。それで、輸入商社も冷たくて余りやってくれなくて、果物を輸入している福島の業者が輸入したりしたと。どうしてそうなったか、お分かりになりますか。経産省は、一旦はマスクを作ってくれと言ったって、これでマスクを使わなくなったらまたほったらかしで、中国の安い製品が来ればいいんだということで、全然面倒を見てくれない。経産省は、我々の業界というか、競争原理、競争原理で見てくれない。だから、ウの目タカの目で、調子のいい上向きの産業とかそういう製品しか作らないんだ、国民に必要かどうかなんて関係ないんだと。

 経産省自体の産業政策が私はそうなっちゃっているんじゃないかと思う。是非そういうのを改めていただきたいと思います。

 二番目の質問ですけれども、これはエネルギーに関わってきているんですけれども、世界は脱炭素に向かっています。だから、脱炭素ですから石油やガスへの投資が減るという、投資が問題になっていたんですね、だから供給力が減る。そこへもってきて、あのウクライナのがあったりして、エネルギー業界はがたがただと思います。経済も減速している、物価も上昇している、金融引締めも相当してきている、インフレで物価抑制のためと。だから、このままいったら、世界全体で景気が後退していく。

 そうすると、さっき、飼料穀物なんかはほとんど日本で作っていなくて外国から輸入しているわけですけれども、石油、天然ガスは日本に本当にないですから全部頼っているわけですね。これを一体どうするかというのを本当に深刻に考えなくちゃいけないんですけれどもね。将来のことを考えたら、ずっと石油不足と言われています、天然ガスもちゃんと供給しなくちゃいけないし、それは日本は相当気を使ってやってきていると思いますけれども、今後も今までの体制で十分なのかなと、僕はちょっと不安になるんですけれどもね。

 今はもう石油や天然ガスに頼りっ放しですから、これが来なくなったり、あるいは価格が急に上がったりしたら、オイルショックと同じようなことが起きて、もっと日本経済はがたがたになるんですから、このエネルギーの供給不足についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 長い目で見れば化石燃料への依存はなくしていく、特に排出削減対策が取られていない化石燃料はもうなくしていくということで、G7でも合意がなされているところでありますので、再生可能エネルギーそして原子力というようなものをしっかりと活用していくということでありますが、当面、これはヨーロッパもそうであります、化石燃料への依存、特にトランジション、移行期のLNGの役割は非常に重要でありまして、そのことも共有の認識があると思います。

 その中で、私も就任以降、中東、アメリカ、オーストラリアやら東南アジアの諸国、いわゆる産油国、産ガス国に対して、継続的な増産、安定供給の働きかけ、あるいは日本企業の権益確保、この後押しをしてきたところであります。昨年末は、オマーンで、オマーンと民間事業者の間の年間二百三十五万トンのLNG引取りに関する基本合意書に調印をしたところであります。

 また、G7においても、先ほど申し上げたように、将来、ガス市場で不足を引き起こさないようにするために、ガス分野への投資が必要であるということをコミュニケに明記をしたところであります。

 今年の冬も、この終わった冬はヨーロッパも暖冬でありましたので、何とかエネルギー危機という状況を乗り越えてきていますけれども、この次の冬がまたどうなるか分からない状況の中で、それぞれの国が、必要なLNGを始め、確保に取り組んでいるところだと思います。

 価格高騰も今少し落ち着いていますが、今後またあり得るわけでありますので、長い目で見て、危機にも強いエネルギー需給構造、これをつくっていくことも重要であります。省エネということの推進も今回の補正予算でも対応しておりますし、引き続き取り組んでいきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、御指摘のように、長い目で見れば再エネ、原子力でありますけれども、当分の間、移行期間においてのLNGを始めとした一定の化石燃料、この確保はしっかりと取り組んでいきたい、エネルギーの安定供給という観点から対応していきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 本当に難しいと思います、エネルギー関係のことを考えたら。加工畜産と同じだと思います。元々、そういういびつな構造があるんです。

 じゃ、またもう一回、最初の質問と同じような感じになるんですけれども、私は、一九八〇年代の後半、国際関係の仕事を結構していたんですが、その頃は日本は絶好調でして、大臣ももうちょっとたってからですね、アメリカへ留学されたのは九〇年代のようですけれども。八〇年代は四極通商というのが開かれていたんですね。通産大臣は、通産大臣というよりも通商代表ですね、カーラ・ヒルズのときでした。僕はそこに、農林水産省の代表というのは本当はもっと偉い人が行かなくちゃいけなかったんですが、ウルグアイ・ラウンドで忙しいので、それにしょっちゅう、しょっちゅうというか、APECとかそういう会合というと、私が、農林水産省、役人の方で代表みたいな感じで行っていたんですよね。そこで議論されたのは、日本が貿易黒字を毎年ためてためているのでけしからぬ、そういう議論一点張りでしたよ。

 だけれども、それが何で、それから二十年、三十年、失われた三十年、失われた二十年と言っていますけれども、誰かが書いていたので、へえ、うまいことを言うなと思ったので私も使わせていただきますけれども、人ごとのように言っていると。違う、失った三十年であり、失った二十年だ、その間、何をしていたんだと。

 私は、だから、今、エネルギーのところのをちょっと言われて困っているというのは、後でも触れますけれども、エネルギーの転換を失敗しているんじゃないかと、再エネとか蓄電池にするのを。今までのように依存をしていて、それは原発もそうだと思うんですけれども。それから、自動車のEV化なんというのも、テスラやBYDですか、フォルクスワーゲン、こういうのにみんな後れを取っている。こういうのを、何で日本はこうなっちゃったのかなと。

 それから、自動車なんかも、排ガス規制なんかがあったときには日本は先走ってやったわけですね、排ガス規制の方を。小型化したり、燃費がいい車にして、そして日本がリードしていたのに。だから、そうやって節約したりなんかするような方向に行くと、日本が知恵を出してリードしていたのに、今はリードしていないんですよね。

 経産省に入られて、そして経済関係の仕事をされてきて、大臣も最初は経済財政担当大臣、それで経済産業大臣。だから、さっき、経済のことは西村さんにというふうになっていくんじゃないかということでお聞きしているんですけれども、こういうのをどうしていったらいいのかなと。

 僕は四極通商に行きながら、どうでもいい話ですけれども、私の大学同期の望月晴文が武藤嘉文さんの秘書官で、そうしたら、大臣の秘書官って余り、外国に行っても暇なんですよね。僕はいろいろあったんですけれども。彼は、行っている先で食事したときに、ずっと責められて大変だと言っていました。どうでもいい話ですけれどもね。武藤さんのところは八回海外へ行ったと言うんです。そのうち四回、経産省のを見ていると、経産省は局がみんな違うから担当が違う、よく見ていたら俺とおまえが一番一緒に来ていると言う。何を言っているのかなと思ったら、僕はそういうところへ顔を出すので、全部そういうのを一手に、APECとかサミットとか、みんなそうやってやっていたのでね。彼の方は責められるばかり、輸出し過ぎで責められると。我が方は、その代わりに輸入しろ、輸入しろと、米の輸入問題が問題になりました。

 僕、ばかみたいな話だと思いましたけれども、五百億ドルとか何か貿易黒字にして、米を全部輸入したって三十億ドルぐらいにしかならないんです。そんな、農産物を幾ら自由化したってどうしようもないのに、平気でそういう議論をして、そういうふうに言って責め立てられているんです。僕は、ゆがんでいるなと思います。もう最近はそういうことがなくなりましたけれどもね。中国がその五倍も六倍も貿易黒字をため込んでいるから、日本にそういう風当たりはないですよね。

 だけれども、貿易関係ですよ、そして輸出産業。それで、この間は史上最高の貿易赤字だと。戦後は貿易赤字だったんですね、ずっと。だけれども、それを逆にしてきたというんだ。

 だけれども、このままいったら、原材料の化石燃料、それから主要な農業、畜産業の原材料もみんな外国に頼っている。そうすると、慢性的貿易赤字国になっていっちゃうような気がするんですが、これについての対応とかいうのを経済産業省は考えているのかなというのを、余り考えていないんじゃないかという気がするんですが、この点、いかがでしょう。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、八〇年代から、まさにアメリカとの関係で貿易摩擦と言われた時期がありまして、非常に貿易黒字が大きかったということで、ある時期から二つのことを、一つは、内需主導でということで、公共事業を始めとして、国内での投資を増やそうということの方針に大きく切り替わった時期がありました。

 もう一つは、産業政策についてアメリカから様々な指摘があって、やや萎縮ぎみにその後なってきたというところが、私、半導体が当時、八〇年代、五〇%ぐらい世界のシェアがあったものが、今、一〇%ぐらいになっている、この大きな、国の側の、政策の側の要因の一つであるというふうにも思っております。

 そうした中で、他方、長い期間がありますから一概にはなかなか申し上げにくいですけれども、国が取ってきた政策、例えばサンシャイン計画という中で、新エネルギーと当時呼んでいましたけれども、太陽光電池を始めとして一時期は非常に日本の海外シェアも強かったわけでありますし、ムーンライト計画ということで省エネルギーの技術、これも世界に冠たる省エネ技術を確立してきております。

 さらには、今、大きな転換点ですけれども、自動車も、世界を牽引する、日本経済を牽引する産業として大きな力を発揮してきたものというふうに思いますし、半導体分野でいっても、製品はシェアは落ちましたけれども、製造装置やあるいは材料、部品、これについては、引き続き世界のトップシェアの企業がたくさんあります。

 こうしたことも含めて、必ずしも全てが駄目だったということではないと思いますし、また、内需の関係でも、安倍政権そして菅(すが)政権の下で、インバウンドということで、コロナがありましたけれども、国内、地方各地でいろいろな新たな取組が始まってきたということもあると思います。

 他方、エネルギー政策でいえば、再エネも、FIT法導入によって一気にこれは進みましたけれども、しかし、系統整備が十分に進んでこなかった部分、これは我々、反省をしなきゃいけない部分があると思います。出力制御をやらなきゃいけないというところがまだあるわけでありますので、こういった反省も、しっかりと教訓も踏まえながら今回法案を提出させていただきまして、系統整備もしっかりとやっていこうということ、特に加速してやっていこうということで対応させていただいております。

 いずれにしても、日本企業が、資源のない国でありますので、一定部分は海外からも輸入しなきゃいけない部分も引き続きあると思います。御専門であります食料自給率も上げることも取り組んでいかなきゃいけないと思いますし、一方で、輸出もしっかりと進めていくという中で、円安でもありますから、中小企業中心に今、一万者、是非新たな、これまでやったことのない企業も挑戦しようということで応援もしております。

 同時に、国内の内需もしっかりと伸ばしていくべく、国内投資が先ほど申し上げましたように過去最高の今年は百兆円を、言わなかったですかね、百兆円を超えるという見通しでありますので、そうしたものも進めながらバランスよく経済成長していく。何か一本足ではなくて、それぞれの分野で強みを発揮しながら、バランスのいい形で日本経済を成長軌道にしっかりと乗せていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 大所高所の質問が長く続き過ぎましたので、ちょっと省いて、具体的な質問に移らせていただきます。

 もう大臣は耳にたこができて質問されるのも嫌だと思いますけれども、原発の運転期間の問題です。これは、聞いていて、何でこんなことまでするのかなというので。

 プライバシーにちょっと関わることかもしれませんけれども、大臣とはあるところで、行きつけのところで、飲み屋じゃないですよ、ジムでお会いしますね。これを考えたら、第二議員会館の三階で、私も途中から健康に気をつけ出して行っているんですが、あれは、何か体がなまくらになっては、休ませておいてはいけないから、適当に筋肉を動かしたりしなくてはならない、その方が長もちするようになる。ところが、原発は休んでいればカウントしないという。これはおかしいな。じゃ、人間に例えれば、そういう冗談を言った人がいたかどうか知らない、人間に例えれば、ゆっくり寝てひっくり返って、静養して寝てばかりいた人は長生きするのか。違いますよね。寝ていたって何していようが細胞分裂は起こって、年を取っていくんですよ。

 機械だって同じなのに、何で運転休止期間を六十年のところに算定しないなんて、そんなことがあり得るのかなと。そういう技術的な根拠は一体あるのかなという気がするんですが、あるんですかね、これ。

中谷副大臣 先生御指摘の今般の措置は、令和二年七月に原子力規制委員会が、原発の利用をどれぐらいの期間を認めるかについては原子力利用政策の判断とする見解を決定をしたことを踏まえまして、現行の原子炉等規制法における運転期間に関する規定を、利用と規制の観点から改めて峻別し、電気事業法と原子炉等規制法の二つに再整理するものであります。

 利用政策の観点から、運転期間の在り方については、経済産業省の審議会におきまして、多くの有識者から、将来の安定供給の選択肢を確保する観点からは、厳格な規制を前提として、諸外国の例と同様に、運転期間には制限を設けないとすべきとの意見がありました。

 一方で、立地地域等からは、高経年化した炉の運転期間に制限を設けないことへの不安の声が寄せられたほか、東電福島第一原発事故を踏まえて制限を設けた現行の規定の趣旨を考慮すべきという意見もあったというところであります。

 こうした意見を勘案いたしまして、運転期間を最長で六十年に制限するという大きな枠組みは維持することとしつつ、震災以降、法制度の変更などで事業者から見て他律的な要素によって停止していた期間に限って六十年の運転期間のカウントから除外することを認めるという、利用の立場から自己抑制的に、稼働していない期間を算入しないという政策判断を行ったものであります。

 なお、利用政策の観点からの判断にかかわらず、高経年化を踏まえた技術的観点については、高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格な適合性審査を行い、その認可を得なければ運転は一切認められないということが大前提であります。

 以上です。

篠原(孝)委員 それは、制限を設けないというのはあり得ないんじゃないかと思うんですが。

 次、もう一つです。

 福島第一と第二、すぐ近くだった。第一が大被害を受けた。第一がそのときは大体三十年超えていて、三十九年、三十六年、三十四年、三十二年、みんな三十年を超えている。第二は、二十八年、二十七年、二十五年、二十三年、同じような揺れ、全く同じ条件だったのに被害に遭わなかったのは、若かったというか、そんなに使っていなかった、丈夫だったからじゃないかと思うんです。そうじゃないんですか。

中谷副大臣 御指摘の、東電の福島第一原子力発電所の各号機に関わる事故原因の調査については、これは原子力規制委員会の所掌でございますから、経済産業省としてのお答えは差し控えさせていただきたいというものであります。

 なお、その上ででございますが、平成二十八年四月二十一日の衆議院原子力問題調査等特別委員会で、原子力規制庁の政府参考人が、津波により全ての交流電源が喪失し、最終的に原子炉を冷却する手段を失ったことが炉心溶融に至った原因である旨を答弁している。さらに、経年年数の差が事故原因であるとの認識は示されていないものというふうに承知をしているところであります。

 いずれにせよ、利用政策の観点からの判断にかかわらず、高経年化を踏まえた技術的観点については、高い独立性を有する原子力規制委員会の厳格な適合審査を行い、その認可を得なければ運転は一切認められないということは、これはもう大前提でございます。

篠原(孝)委員 検査検査って、それでいいんだと。人によって違いがあるんです。

 これは僕は自制したんですけれども、ここに経済産業委員の年齢の一覧表があるんです。配付しようと思ったけれども、余り露骨なのでやめましたけれどもね。年齢、みんな、女性も四人ほどおられますし、よくないので。平均年齢五十五歳です、経済産業委員会の。大臣は六十歳で、それより五歳上で。平均年齢を高めているのが菅さんと私でして、低めているのが土田さんと馬場さん。

 だから、人によって年の取り具合が違うというのはあると思いますけれども、政治家の耐用年数も、自民党は、七十三歳以上は比例区の重複立候補は認めないとか、七十歳以上は参議院の比例区も認めないとか、だんだん年取って元気なので取っ払われつつあって、それは原発と同じようなことをしているのかなという気がするんですけれどもね。だけれども、基本的には劣化していくわけですよね。だから、それを考えてやっていただかなくちゃいけないと思いますよ。

 それから、今日、資料をお配りしてあります。ちょっと見ていただきたいんですけれども、これは経産省からもらった資料です。これをちゃんと見ていただきたいんですけれども、大変だとは言いつつ、大臣のところ、我が国はエネルギー自給できていないので転換が大変だと言うんですけれども、これは十年前と二〇年と比べたものなので、これをぱっと見、挙げると分かると思いますが、日本を見てください。再生可能エネルギーへの転換と言っていますけれども、ろくにしていないんですよ。

 見ていくと分かるんですが、これをずっと右に見ていくと、日本は、十年前と、一枚めくるとすぐ下の同じところにありますが、「その他」のところが四%が一一%になっただけです。総発電量に占める電源別の割合ですけれどもね。

 一ページ目の右端のイギリスを見てください。これは合計すると四一%なんですが、めくっていただいたところ、十年前は八%なんです。これだけやっているんですよ。それで、原発に頼ったりしているフランスというのも、フランスは左下ですけれども、四%なのが一一%。ドイツも一八%なのが四一%。すごいですよね。十年間でこれだけドラスチックに換えているんです。日本は全然やっていないようなものです。

 ほかにもなまくらな国はあって、日本よりも総発電量に占める電源別の割合で再生可能エネルギーが低いのは、低いのというか、基が低いのでしようがないんですけれども、パーセントが少ないのは韓国とカナダだけですね。カナダはほとんど水力発電ですからね。

 日本は、どこかここ、全然努力していないんじゃないかと思うんですよね。だから、COP27とか28、そういうのになるといつも化石賞をもらうんだ。これはやはり経産省がなまくら過ぎるんじゃないかと思うんですけれども、ここは厳しくやっていただいていいと思う。それがGXだったんです。

 ところが、グリーン化、全然していないですよ。私は、ささやかですけれども、この緑の羽根をやって緑のネクタイをして、マスクも緑にしてこの前やったと思いますけれどもね。本当に緑を目指しているのか。目指していないような気がするんですけれども、その点はいかがですか。

西村(康)国務大臣 G7で、様々議論、エネルギー大臣会合でさせていただきましたけれども、まさに各国、物すごく意欲的に加速して取り組んでいるということを改めて私も痛感をしているところであります。

 再生可能エネルギーにつきましては、FIT法を、私も野党の責任者でありましたけれども、当時、制定に携わって、あの法律制定以降、当時から比べると、まさに見ていただいていますように、倍ぐらいにはなってきているわけでありますが、ここから十年間、二〇三〇年に向けて、もう一度倍ぐらいにしなきゃいけないというなかなか難しい局面でありますけれども、今回の法案も是非成立させていただいて、系統整備も行いながら、再生可能エネルギーを更に加速して取り組んでいく。

 これは風力も、洋上風力、今、四海域、第二ラウンド、公募を行っておりますけれども、今回、デンマーク始め各国でそうした取組も聞いてまいりましたので、是非加速してやりたいというふうに思っております。

 地熱も、アイスランドの取組を含め、各国のノウハウもうまく活用しながら加速していきたいというふうに考えております。

 原子力も、フランスが七割近くあるということ、あるいはイギリス、アメリカも二割近くあるというようなことを含めて、私どもも原子力もしっかり活用していきたいというふうに考えておりますし、ドイツもすごくこれをやっているんです、本当に意欲的に取り組んでいると思いますが、いざというときは隣のフランスから電気が買えるという、グリッドがつながっているという、送配電網がつながっているということがあるということも御理解いただきたいと思いますし、実は、ドイツは一キロワットアワー当たりの平均家庭向けの電気料金が日本の倍であります。やはり相当苦労して負担をしながらやっているということもあります。

 私どもとして、エネルギーの安定供給、できるだけ安定的な価格での供給も含めて、安定供給しながら同時に脱炭素化を進めていくということで、いずれにしても、再生可能エネルギーを最大限入れる、それから原子力も活用するという方針で進んでいきたいというふうに思っております。

篠原(孝)委員 ちょっと時間が来てしまったので、一言だけ言わせていただきます。

 今ドイツのを触れられましたけれども、ドイツは二〇二二年に原発をやめると言って、宣言してやって、それで、ちょっと二〇二二年末には間に合いませんでしたが、この間、札幌での会合のときに高らかに宣言したのが、約束より四か月、三か月ずれたけれどもゼロにすると。ドイツもイギリスもやっているのに、何で日本ができないのか。私は、性根を入れ替えて本当にグリーン化していただきたいと思います。

 そのために、そういうのはある程度役所が、経産省は、民間にできるのは民間にやらせる、そういうのでやってきて、規制というのは悪だみたいな感じに思ってきている点があるんじゃないかと思う。だけれども、僕は環境を守るようなことについては規制以外にないんじゃないかと思う。

 びしばしやっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 よろしくお願いいたします。福島二区、立憲民主党の馬場雄基です。

 本日、パーティションがなくなって西村大臣と論戦をさせていただけること、大変うれしく思っております。

 本日、一般質疑ということで、議論させていただきたいことは、今日は一点に絞らせていただきたいと思います。我が国の省エネ戦略についてでございます。

 私の考えは至ってシンプルでございまして、一度掲げた戦略はやはりとことんやり切っていくべきではないかというふうに思っております。

 エネルギー政策でいえば、原子力エネルギーを低減させるという国家目標、国家戦略が日本にはありました。そして、この国会で大分それが揺らぎ始めているのは、それは皆様が周知の事実だと思っております。ですが、この議論をしていくことの大前提にあるのは、やるべきことをしっかりやってきているか、つまり総需要を減らす努力を本気でやってきたのか、つまり省エネだというふうに思っております。

 とかく、この省エネ、電力をいかに使わないかという議論、これを本当の本当にでき得る全ての手を尽くしてきているのか、これを自信を持って私たちは言うことができるのか、その点について私は問わなくてはならないというふうに思っております。

 もちろん、省エネについては、家電ですね、省エネ家電、節電、こういったものに対して取り組んできたという事実は承知の上ですが、もっと根本的に、もっと大胆に省エネを国家の戦略として土台からつくり直すことがまだできるんじゃないかなというふうに私は思っています。

 本日、そこで注目していきたいのが熱でございます。熱エネルギーの活用について、省エネ国家を実現する上で私は鍵になると思っておりますが、西村大臣のお考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 まさに省エネルギーというのは、GXを進めていく、脱炭素化に向けて最も重要な点だと思います。誰もができる、電気を小まめに消すことを含めてできることでありますので、小さなことも積み上げれば大きな効果が出ますので、これは是非引き続き進めていきたいと思っております。

 そして、その中で、御指摘の、熱を利用するという熱エネルギーの活用も重要であります。伝統的にというか歴史的にも、鉄鋼業などの日本の製造業においては様々な廃熱を有効利用するということが行われてきております。その結果もあって、我が国の製造業は、今でも世界最高水準の省エネルギー、エネルギー効率を達成しているものというふうに思います。

 もう御案内のとおりでありますが、例えば鉄鋼業では、高炉から回収した熱で作った蒸気で発電するなど、廃熱を徹底的に利用しております。省エネ、そしてエネルギーコスト削減を実現しているところであります。また、加熱炉の高温の排気ガスを回収して燃焼空気を効率的に利用する、そうしたバーナーの普及も進んでいるところであります。

 国としても、省エネ法の中で廃熱の回収利用というものを省エネの取組として、事業者が実施すべき取組として法律上位置づけております。省エネ設備への更新を最大二十億円まで支援する省エネ補助金、これで廃熱利用、廃熱を有効利用するための設備、ヒートポンプなどの省エネ設備の導入を促しているところであります。この補助金につきましては、今後三年間で五千億円規模の支援を行っていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、引き続き、こうした熱利用含めて省エネを加速して進めていきたいというふうに考えているところであります。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 まさに廃熱利用、しっかりと日本がこれまで取り組んできたことの経緯は、私もすごくその点は評価しなければいけないというふうに思いますが、もっともっと熱利用というのは幅が広くあって、様々なところにもっと具体的に、もっと戦略的に打てる手があるのではないかという視点に立って、今日は質問させていただきたいと思っております。

 エネルギー基本計画や温暖化対策等において熱利用がどのように記載されているかというと、これはもう法律を見れば、皆様御存じのとおりでございますけれども、ガイドライン等ですね、地域の特性を生かし、効果的に活用していくことも重要というような言葉で記載されております。一体全体これが国家戦略と言える書き方であるのかというところは、やや疑問に残ります。より具体的に申し上げれば、地域の特性を生かした太陽熱、地中熱、バイオマス熱等々をより効果的に活用していくことも重要。

 国家戦略というのは、国のあるべき形をしっかりと示した上で、何が必要で、それを達成するためにどんな努力が必要なのかということを、何が何でもやり切るということをしっかり明記していくことが国家戦略の大前提だというふうに思っております。ですが、じゃ、この熱利用、今挙げた分野に対して、実際にどのような具体的な目標値、数値目標をつけて、どのように実践をしていこうとしているのか、こちら経済産業省さんに伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇五〇年カーボンニュートラルを見据えて、地中熱を効率的に導入、利用することは非常に重要だと考えてございます。

 もう既に委員おっしゃっておられるとおり、第六次エネルギー基本計画では御指摘のとおりの記載が明記されております。

 また、エネルギー基本計画では、大気熱を始めとする再生可能エネルギー熱を活用したヒートポンプにつきましては定量的な導入目標を設定しておりまして、例えば、ヒートポンプ型の家庭用給湯器につきましては、二〇三〇年までに千五百九十万台の導入目標を掲げております。この目標の前提となる、大気熱を利用したヒートポンプ型家庭用給湯器の足下での累積導入台数は約八百六万台でございます。これに対し、地中熱を活用したヒートポンプの累積導入台数は約千二百台と、いまだ限定的にとどまっております。

 現状におきましては、導入目標に地中熱ヒートポンプは含まれておりませんけれども、今後、地中熱利用に係る高額な初期コスト等、こうした課題にも留意しながら、実態をよく見極め、地中熱も含めたヒートポンプ全体の目標設定の在り方について、しっかり検討してまいりたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 限定的な状況になっているというところが今のまさに実態なんだというふうに思っております。

 私が不安なのは、エネルギーの供給量の話というのは、やはりどこまでいっても青天井の話になってしまう。ただ、今私たちの足下でやっている、総需要をいかに減らしていけるかというところが最もやはり大切ですし、そこに手があるならば、それを徹底的にやっていくという、ある意味で国家の威信を懸けてやっていくことが私は国の道だというふうに思っております。

 省エネを本気で考えていく際、先ほど部長もおっしゃっていましたけれども、地中熱、熱は熱でも地中熱というところに私は可能性があるというふうに思っております。

 皆様、よかったら資料を見ていただきたいですけれども、よく地中熱と地熱で間違えられてしまうところがあるんですが、地熱というのが火山活動における地球内部の熱を指しているものですけれども、地中熱は太陽光によって発生する低温の熱。大体地温の、深さでいうと、地中、深さ十メートルぐらいのところにあって、約十五度と一年中安定しているため、例えば、夏であったら冷たく、冬であったら温かい、この熱をどうやってか利用していこうというのが地中熱の考え方です。

 二の、一つめくっていただきたい、その資料にもあるわけですけれども、地中熱は従来と比べてエネルギー消費量を約半減する力を持っているわけです。これ、持っているんです。この技術を使えるなら、使える方法を何が何でも探っていく、まずその姿勢が大切なんじゃないかなというふうに思います。

 実際、東京スカイツリー、横浜市役所さんなどでも導入がされていますし、その部分はあります。私の地元でも、ちょっとちっちゃめではあるんですけれども、喜久田公民館というところでもしっかりと実証実験はされていて、恐らく委員の皆様方のところにも何かしらのものがあるのではないかなというふうに思っています。

 それで、加えて、世界もここは動いていまして、三の資料、三枚目、めくっていただきたいですけれども、日本は技術はあるけれども導入が進んでいないというのが、今の大きな大きな捉えなくてはならない実態なんだというふうに思います。資源は乏しい、電気代は高騰、いろいろな理由があった中で、総供給量を増やす戦略があるのは、これは理解はしますけれども、だからこそ、総需要を減らしていくための努力を国の形としてどれだけ示すことができるか、どれだけ実践できるかが、私は、日本の今考えなくてはならないまさに転換点の場所、岐路なんだと思っております。

 欧州諸外国と比べて日本の地中熱利用が進まなかった理由、これは私、環境委員会でも一般質問で聞かせていただきましたけれども、改めてここでも伺わせていただきたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 地中熱ヒートポンプシステムに関して言えば、日本では二〇二一年度に設備容量ベースで約二百二十六メガワットサーマルの設備が導入されております。一方、地中熱利用促進協会が公表しておりますデータによりますと、中国やアメリカでは二万メガワットサーマルを超えているほか、ドイツでも日本の十倍以上の設備容量とされております。

 このように、日本において地中熱の利用が進んでいない理由といたしましては、掘削工事が必要となるため設備導入コストが高額になることや、十分な設計及び施工のノウハウを有した施工業者が少なく、ないことなどの課題が考えられますけれども、個人、家族の生活スタイルや地質構造などの違いがあり、設備容量の数値のみで諸外国と一概に比較することは困難であると考えております。

 いずれにせよ、日本においても更なる普及拡大の余地があるというものは、これは私どもとしてもそのように考えておりまして、地中熱を含む再生可能エネルギー熱の導入拡大に当たって、地域資源である様々な熱源を地域の実情に応じて有効利用することが重要であると考えております。

 環境省といたしましては、地域脱炭素の推進のための交付金等を活用して、引き続き、熱も含めた地域の脱炭素化をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 前回も議論させていただきましたけれども、ちょっと、今のお言葉だと、私、ひっかかるのが、施工業者が少ないことを理由にするというのはやや乱暴じゃないかなというふうにも今思いました。市場をどうやってつくっていくのか、そこにどれだけのポテンシャルがあるのか。ポテンシャルはあると認めていられるわけで、そこに対して明確なメッセージを発していないから市場が育たないんじゃないのかなと私は思う中で、施工業者が少ないから進みませんというのは何か後づけなんじゃないかなというふうに少し感じてしまったのは私だけではないんだというふうに思います。

 私的に思うのは、コストの面もそうなんですけれども、例えば地質構造が諸外国と違いますよとか、あるいは法律の立ち方が諸外国と違いますよというのもあると思うんです。地質構造の違いでいえば、確かにアメリカ、ヨーロッパ等は熱伝導率が高い岩盤がよくあるというのもよく言われているわけですけれども、地質学的にいえば、日本の有利な点でいえば、地下水がやはり豊富なんだというところだとは思っています。

 地中熱の利用というのは、様々、オープンループとそしていわゆるクローズドループの形のものがあって、地下水を利用するものと地下水を利用しないものとに分けられるわけですけれども、地下水が流れていることをある意味で利点と考えていけば、地中熱利用の中で地下水を活用するヒートポンプをどのように社会展開をしていくかを考えるべきではないかと思いますが、環境省さんとしてはどのように考えられますか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 地中熱利用の方式としては、今御指摘がありましたように様々な方式がございまして、例えば、御指摘のオープンループ方式につきましては、地下水を直接くみ上げて採熱や排熱を行うものであり、掘削コストや熱効率に優れた方式であると承知しております。

 一方で、揚水可能な地下水が十分にない地域や揚水規制がある地域では、導入が必ずしも容易ではないと考えております。また、水質によっては機器の性能低下や腐食等が起こり得る点にも十分留意することが必要であると考えております。

 このため、様々な方式の中でどの方式が優れているかは一概には申し上げられないと思いますけれども、地中熱を利用するに当たっては、地質構造や地下水の状況等の地域の特性を踏まえて導入方式を検討して推進していくことが必要であると考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 もちろん、地域によってそれぞれ特性があるというのはおっしゃるとおりなので、一概にこれが絶対に正しいということではないと思うんですけれども、こういうものに一番可能性があるよ、こういうふうなやり方をすればもっと電力需要を下げられることが道として残っているよというものがあるならば、徹底してやはりそれをやるべきだというふうに思っております。

 一点、やはり気になるのが、例えば、腐食が進むというようなことがあるとするならば、私、環境省さんのホームページ、やや訂正した方がいいんじゃないかなと思うんですけれども。「なっとく!再生可能エネルギー」というホームページ、多分あると思うんですけれども、そこでは、地中熱交換器、密閉式で、環境汚染の心配はありませんというところもあるわけですよね。

 だから、そういうふうな情報の発信の在り方というもの、どこにどれだけの可能性があるのか、こういうところにまだ課題がある、でも、課題があるならば、課題を払拭するためにどういうふうな戦略を立てていくかというところの、一連の川の流れのようなやはり戦略というものがどうしても見えてこないんですよね。どこかぶつ切りになってしまって、場当たり的に説明されているような感がしていて、熱利用、そして総需要を下げるということにどこまで本気で政府が取り組んでくるのかという姿勢が、熱意が、余りここに届いてこないというのが少し残念なところだなというふうに思います。

 一方、法律、先ほど言われましたビル用水法、あるいは各都道府県の条例、様々なところで、地下水の部分が、くみ上げるということが難しくなっている、そういう規制がございます。

 これというのは、実際、社会展開が望めない要因にはなっていると思うんですけれども、くみ上げ規制ができた背景というのは、これは、地盤沈下してきた、主に地下水をくみ上げてきて都市部で起きてきた案件じゃないかなというふうに思っております。

 だから、この地中熱の利用というのは、仮にオープンループでやったとしても、地下水をくみ上げていったとしても、地下水を最後、戻していく戦略、あるいはそういうふうな手法を取っている技術だというふうに思っておりますけれども、つまり、くみ上げても最終的に戻している、地下水の総量は変わっていかないというのが今の技術の形なのではないかなと。

 昔は違ったと思うんですよ。地下水をくみ上げて、くみ上げて、さあどうしようといって地盤沈下が起きましたというのが前の事例でございますけれども、技術が進化してきた中で、そこに対する目線がようやく入ってきたんじゃないかなというふうに思います。

 地下水をくみ上げ、そして地下に戻すのであれば、この規制の緩和というのも検討していいのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

秦政府参考人 地下水を活用して地中熱を利用する場合には、地盤沈下への影響や水質汚濁の有無等も考慮することが必要ではございます。

 とりわけ地盤沈下につきましては、一度沈下した地盤というのは、これは元に戻らない、いわゆる不可逆過程というのもございまして、短期的には沈下量が僅かであっても、それが累積していくことで、建造物の損壊ですとか、あるいは洪水時の被害拡大といったような危険性もあることから、これは一定の対応というのは必要だというふうに認識しております。

 ただ一方で、先生御指摘のように、熱の有効利用という観点から、これは一つの例でございますけれども、令和元年の八月に、国家戦略特区法の枠組みの中で、自治体がリスク管理のための措置を講ずる場合に、実証実験を行いまして地盤沈下を生じないやり方というのが確認されたビル用水のくみ上げに対する特例措置というのが設けられております。

 具体的には、吸水孔の位置、これは法律で一定のところより深いところじゃないと駄目ということになっておったんですけれども、その実証実験を通じまして、もう少し浅いところでも影響はないということを確認できれば、そういった場所でも水を取っても構わないといったような、こういった緩和の方も行わせていただいております。

 これを受けまして、国家戦略特区の指定を受けまして、大阪市では、市内での実証実験の結果を踏まえて今後の取組を検討しているところだと伺っております。

 環境省といたしましても、こうした事例の動向を引き続き情報収集するとともに、地域の実態や地域ごとの地盤環境の違いにも留意しつつ、今後の対応をしっかり進めてまいりたいと思ってございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 事例があるのは私もレクを伺っていた中で分かるんですけれども、あくまでそれはやはり特例の措置だというふうに思いますし、大阪で行われていることは、それはすごくいいことだと思うんですけれども、一般的にどれだけ広がっているか、ある意味でいうと、その特例措置ができるということは、できるということですよね。ちゃんと調べれば、ちゃんとやればできるということを多分おっしゃっているんだと思うわけです。

 でも、それが全国的に一般的になっているかといえば、いかがでしょうか、一般的にはなっていないんだというふうに思います。だから、やれることはやりましょう、やれるなら、総需要を下げることがまだ道として残っているものがあるならばやりましょうということを、私は今日この場で言わせていただきたいというふうに思っています。

 最後、コストの面にもなるわけですけれども、コストを下げていくためには、当然、市場の開発、先ほども申し上げましたけれども、需要を高めていくための、その戦略、政策が必要だというふうに思います。

 温暖化対策法という法律、環境省さん、出されていらっしゃいますけれども、令和三年から、ガイドラインの中で、地中熱などの再生可能エネルギー熱を使用する冷暖房設備、給湯設備などを可能な限り幅広く導入するというふうに書かれております。政府の施設で具体的に導入した例がこの後あったのか、是非お聞かせください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問いただきました、政府施設において地中熱を導入した事例でございますけれども、必ずしも網羅的に把握しているわけではございませんけれども、例えば、環境省が所管するビジターセンター等におきましては八件の導入事例がございます。また、地方合同庁舎においても導入事例があることを承知しております。

 引き続き、政府実行計画に基づき、各府省庁と連携しながら、再生可能エネルギー熱の活用も含め、政府施設における率先実行を進めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 是非皆様も一緒に考えていただきたいんですけれども、令和三年からいよいよガイドラインをやって頑張るぞというふうに言ったそのものが八件。これがいわゆる国の形として私はいいのかどうかというのはすごくやはり疑問。ここに本当に本気で向き合っているのか、何が何でもやはり熱利用を使っていこうとするのか、あるいは発電の総需要を下げていこうとする努力を本当にしようとしているのか。やはり一旦立ち止まって、供給量を増やすという戦略はもちろん大切ですよ、ですが、一旦立ち止まって、今足下で何ができるか、今の技術で何がどうできるのかというところにやはり本気で向き合わなきゃいけないんだと私は思います。

 今この数字で満足しているというふうに受け取らなくていいというふうに私は思いたいんですけれども、この数字で満足していらっしゃるのか、その点だけまず伺いたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましても、二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度温室効果ガス削減目標実現のためには、電力だけではなく、熱の脱炭素化も極めて重要な課題であると考えております。

 このため、地球温暖化対策計画においては、地中熱利用も含めた再生可能エネルギーの導入拡大を目指すとしておりますけれども、更に加えて、再生可能エネルギー熱の利用拡大に係る目標として、その対策評価指標も地球温暖化対策計画に定めております。そこでは、二〇三〇年度の熱供給量として、原油換算で千三百四十一万キロリットルと設定してございます。

 この目標が達成できるよう、環境省といたしましては、地域脱炭素の推進のための交付金等を活用するなど、様々な取組をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 これはちょっと質問の要旨に挙げていなかったんですけれども、今その目標を言われました。でも、ここにあるのは、前におっしゃったようなビル用水法あるいは各都道府県の条例、様々なところで課題がぶつかってきているわけです。つまり、それを改正していく、その準備に取りかかっている、あるいは、その特例と言われるものがちゃんと認められていくように、特例が一般的になるような動きに取りかかっている、そういう理解でいいでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省としては、地球温暖化対策計画それから政府実行計画の取組につきましては、政府全体の取組のフォローアップをすることとしております。こうしたフォローアップの機会を通じて、地中熱利用を含めた再生可能熱の利用促進等が進んでいるかどうか、そうした取組についてしっかりとフォローアップをさせていただいて、各省庁間としっかりと連携をしながら取組を進めてまいりたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 多分フォローアップじゃないと思うんです。つくり上げていく話なので、フォローじゃなくてフロンティアの開発なので、そこはやはり気合を入れていかないと間に合わないと思いますし、おっしゃっているように、課題が見えているわけじゃないですか。そこに対してどうやってアプローチをしていくのかというところを、まさに先駆的に、海外の事例等も把握されながら、日本に合うやり方、日本の地質に合うやり方をどうやってやっていくのかということを、まさに国家のかじ取りをしていくのが皆様方の、本当に行政としての価値あるお仕事なんだというふうに私は思っていますので、是非ともそこを、何とか一線を越えていただきたいなというふうに思っております。

 今日なぜ経産の一般のことでやらせていただいたかというと、やはり省エネの大戦略だと思うわけです。もう課題が見えているわけです。課題が見えてきている中で、ここをやればまだ導入は可能じゃないかと言われている、その導入が可能なことによって、総需要をどれだけ下げられるか。これは、病院とか大きな公共施設とか、本当に熱需要を大きく下げられるチャンスなんです。下手すれば四割、六割下げていける、それだけのポテンシャルを持っているものが既に日本の技術の中にあるわけです。だからこそ、そこに向き合っていく、あるならばやり切るということが私は大切なんじゃないかなというふうに思っております。

 大臣、これはもう御存じのとおりだと思いますけれども、日本のエネルギー自給率、本当に低い状態でございます。だからこそ、省エネと言われるものを国家戦略に掲げていって、どれだけ使わずにいけるのか、どれだけエネルギーの超効率的国家を日本としてつくることができるのかが一番大切なんじゃないかなというふうに私は考えております。

 是非、西村大臣に、日本の取るべき道として指示をしていただきたいと思うんですけれども、省エネを国家の基本戦略として、その道として地中熱もある、その可能性を本気で取り組んでいただきたい。例えば、政府の構造物、新築をする場合には、地中熱を含む再生可能エネルギー熱、これの、導入を義務づけするのは難しいと思います、なので、導入を検討すること、導入を検討することは皆さん一緒にやりましょうということを是非とも御指示いただけないかと思いますが、西村大臣、是非ともよろしくお願いいたします。

西村(康)国務大臣 先ほど来議論をされているとおりでありまして、重要性は分かっている、ただし、コストの問題とか、あるいは土地利用の制約とか、各地域の事情があるということ。

 一方で、大阪の特区で取組も進んでいるということであります、また、温対法に基づいても、政府実行計画の中でも一定の位置づけはされているということでありますので。また、私ども、NEDOの技術実証を通じて、そのコスト低減に向けた取組も進めております。

 こうしたことを加速しながら、御指摘のように、やれることを全部やらないと、この安定供給とカーボンニュートラルの実現というのは極めて難しい課題でありますので、御指摘のようなこの地中熱の活用、省エネ含めて、環境省も一生懸命やってくれているわけでありますが、関係省庁とも連携しながら、やれることを全てやるという姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 今回、この地中熱というものに私がたどり着いた背景には、やはり何が何でも日本の中で総需要を減らすということを国家戦略に立てていきたいと思ったときに、あらゆる手段があったと思うんです、その中で、大きく下げられるポテンシャルがあるところというところで地中熱にたどり着いてきました。

 恐らく、たどり着いてきた方は私だけじゃなかったというふうに思うんですけれども、なかなか議論が巻き起こってこなかった部分は正直あったんだというふうに、関係者の方々に伺っても思います。

 これがなぜなんだろうというところも、やはり鑑みなきゃいけないと思います。この、なぜ議論が盛り上がってこなかったか、技術があるのは知っている中で、なかなか、特定の、まさにおっしゃっていた特例に終わっていて、一般展開にならなかった、この中身をしっかりひもといていかなければいけないんだと思います。

 そして、レクを伺わせていただいた中でちょっと気づいているのが、経産省さんの省エネと言われる部局のところと環境省さんが持っている地質の部分が、どうもやはり、地中熱というところで、どっちだどっちだというところに、なりかねているんじゃないかなというところも感じました。これは非常にもったいなくて、省エネの基本戦略をやはりやっているのは、エネ庁も含めて経産省だと思います。それをいかに例えば水質汚濁とかをしないためにどうやって規制をしていくのかというのが、環境省さんの出番の部分だと思っています。

 これを、地中熱を国家戦略にした上で省エネとしてやり切ろうとするならば、両省のやはりタッグは極めて大事な部分になっていくと思います。是非とも、その両省間のまさに持てる知恵の英知を結集した上で、総需要をいかに下げられるかというところを立てていただきたいというふうに私は思っています。

 供給量の話をするとかなり議論が巻き起こるんですけれども、どうしても、総需要を下げようとするこの熱利用の話は、なぜかどこかちょっと置いていかれてしまっているように私は見えてしまいました。なので、もしよかったら、今日のこの議論を通じた中で是非ともその点をやっていただきたいですし、これがまさに私、政治の責任だというふうに思います。

 今のこのちょっとなぎのような状態に流れをつくっていく、そのための是非とも西村大臣のリーダーシップに私は期待させていただきたいですし、私もでき得る限りの力を尽くさせていただきたいと思いますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 私は、ふだんはほかの委員会所属なんですけれども、今回、コロナで疲弊したブライダル業界の皆様、そして、地域の雇用、経済を支えるLPガスの事業者の皆様からの切実な声を受けまして、ちょっと質問時間を頂戴して質問させていただきます。

 まず一点目、ブライダル業界なんですけれども、これは言うまでもなく、このコロナ禍の三年間で大きなダメージを受けてしまいました。私も、コロナ禍の間に、GoToトラベル、GoToイート、GoTo商店街につけ加えて、GoToブライダル、GoToウェディング、そういったものもして、やはりそういった、少し後押しをするような、そういう施策を取るべきではないか、そんなことを役所の皆さんとも議論させてもらったりしました。

 そういう中で、今回、補正予算で、特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業というものが、経産省さんにつくってもらって、実質、これはブライダルに関する皆様たちが利用できるものなんですよと、そういった説明を頂戴いたしました。

 本当に、こういった事業をつくってもらって、それはそれで評価しますけれども、ただ、私も、これは関係者に聞いてもなかなかちょっと伝わっていないというか、名称からちょっと分かりにくいと思うんです。改めて、これはどういう意図を持ってつくったものかを、まずは質問させていただきます。

茂木政府参考人 御指摘いただきました特定生活関連サービスインバウンド需要促進・基盤強化事業ということで、非常にちょっと抽象的で分かりにくい名前にはなっているんですが、この事業の目的は、ブライダル産業のような生活関連サービスがコロナを契機としてかなり国内の事業環境が変わってしまったということで、特に今回の場合には、ブライダル産業の皆さんが、日本の結婚式の非常にいいところを海外に向けて発信をする取組ですとか、あるいはこれを円滑に外国人にもこのブライダルを使っていただく、そういう意味で、そういった体制整備をするときにこの事業を支援させていただく、こういう趣旨の事業でございます。

青山(大)委員 ちょうど今、一次募集を締め切ったところでございまして、多分これから一次募集を査定するに当たっていろいろな事例なんかが出てくると思います。これから二次募集、三次募集する中で、私は別に、この事業に対して、広報してくれとか、そんなことを言うつもりは全くないんですけれども、こういうのは大体最初はみんな分からないじゃないですか。二次募集、三次募集につれてだんだん認知されてきて、どんどん応募が広がってくる中で、やはり一番困っているブライダル業界、そこにしっかり支援が行き渡る工夫をしてほしいなというふうに思うんですよ。

 なので、今後、そういったいろいろな事例とかをしっかり宣伝していくことと、あとは、どうしてもこのインバウンドというワードだけが独り走りしてしまうので、実はこれはそうじゃないですよと、そういうことをどんどん広報してほしいなと、まずは一点指摘させてもらいます。

 この後、私も時間がないので大臣に聞きますけれども、そういう中で、ブライダル産業、当然、大臣も御承知のように、経済への波及効果が非常に大きい。コロナが始まって、私も、関連する、もちろん披露宴の会場はそうですけれども、衣装ですとか、写真屋さんとか花屋さん、印刷屋さん、本当に広がっていく中で、なかなかそういった切実な声を聞いています。

 コロナ関連の融資だけではもう限界が来ている状況でもございますし、やはり、ある調査では、未婚の方が披露宴に列席すると、結婚式に列席した後に、高まった気持ちとして、自分たちも結婚したい気持ちになる、そういう気持ちになる、又は、子供を持ちたい気持ちになったとか、そういう調査も出ています。

 列席者、披露宴に参加した方たちが、その経験が、今後の婚姻の数が増えたりとか、場合によっては今の日本の一番の危機である少子化対策につながる、まあ、ちょっとこれは論理の飛躍かもしれませんけれども、私は、でも実際そう思うんですよ。

 そういう中で、別に多額の補助をしてくれじゃなくて、やはりそういった機運を高める、GoToトラベルだってGoToイートだってGoTo商店街だって、そういう機運を高めることに私は大いに役立ったと思っています。含めて、私は、こういったブライダル、ウェディングに関しても、そういった施策も、大臣、考えるべきと考えますが、どうでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、ブライダル産業は非常に裾野が広いということで、御指摘のような挙式のみならず、写真とかお花とか、美容、飲食、また地域の産業にも裨益があるということで、裾野の広さ含めて非常に重要な産業であるというふうに認識をしております。

 私自身も、経済産業省にいました頃に、サービス産業課の補佐をしていた頃に、業界団体であります今の日本ブライダル文化振興協会の設立に関わっておりまして、非常に思い出がある業界であります。

 あわせて、今おっしゃったように、参列者の結婚意欲の向上につながるということもあり、やはり、婚姻数が増えることと出生数とは相関関係もありますし、少子化対策にも寄与するものというふうに思っております。

 そういったことを踏まえて、経産省としても、マッチングアプリなどの結婚関連サービスの信頼性向上であるとか、ブライダル産業の振興にも取り組んでいるところであります。

 そして、御指摘ありましたように、コロナ担当大臣のときにもブライダル産業は非常に厳しい状況にあって、しっかり感染対策を取っている、人数制限とか時間を制限しながらパーティションを置いてやる事業者については、緊急事態宣言の下でも休業要請の対象から外すなどの対応を私自身もしてまいりました。

 一方で、足下では、やはり、挙式、結婚式、披露宴に関する考え方も少しずつ変わって、余り多く呼ばなくて小規模で友達だけでやるとか、いろいろな変化もあると思いますので、そうしたいろいろなニーズの変化を踏まえた新しい対応も必要だと思いますし、また、スタートアップもたくさん生まれているというふうに思います。

 そうした観点で、需要を掘り起こす観点から先ほどの補助金なども措置したところでありますけれども、なかなか知られていないということもありますので、広報しながら、さらに、どういった支援策があり得るのか、こういったことも考えながら、ブライダル産業を幅広く振興していきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 GoToシリーズは、もうコロナも終わってしまったので、なかなかそのワードは使いにくいかもしれませんけれども、やはりちょっと機運を醸成する。また、この三年間で、本当は披露宴をしたかったけれどもできなかった方たちがいます。彼らがまたもう一回できるような環境をつくるのも、私は、広い意味で、今、日本が一番抱えている少子化の問題にもつながるのかなと思っていますので、是非御検討の方、お願いします。

 ごめんなさい、時間がないので、もう一点、次に行きます。

 LPガスの方なんですけれども、これも、政府・与党の皆さんの本当にお力添えで、小売価格低減に資する石油ガス配送合理化補助金というのができまして、これはもう事業者の皆さんも、ああ、五分の四の補助ができると。やはり、中小企業、小規模事業者が多いLP業界にとって、これでようやく設備投資ができるということで、皆さんたちもいろいろな、メーカーの方たちが相談して、三月、締切りも短かったんですけれども、頑張って出した。と思ったら、思った以上に応募が殺到してしまって、あれっ、補助率が二分の一、これじゃ今までと一緒じゃないかと。

 しかも、これは、大手企業さんじゃなくて、いわゆるそういった中小、小規模の方たちに向けて当初はやろうと思ったことです。ただ、実際蓋を開けると、たくさんのそういった大手の方たちも応募している状況を見まして、まずは参考人の方に今の現状についてお伺いいたします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたLPガス配送合理化補助金でございますけれども、目的といたしましては、人件費、配送費の抑制に効果がある事業効率化に向けた支援ということで行わさせていただいておりますけれども、現状の状況を申し上げますと、二月の下旬に公募を開始しておりまして、三月末までに申請のあった案件のうち数十件程度の採択をしておりまして、その他の案件につきましても、審査が終了次第、順次交付決定を行っていくというふうにしております。

 委員御指摘ございましたけれども、三月三十一日の第二次締切りで申請された事業者から補助率を、今御指摘のあったとおり、スマートメーター及び配送車両につきましては五分の四から二分の一という形での変更をしておりますけれども、まさに、できるだけ多くのLPガス事業者に補助を行き渡らせることが重要ということで、そういった判断からさせていただいたものでございます。

青山(大)委員 これは当初五分の四ですよ。それを二分の一。全然違うじゃないですか。多分、これで撤退した方も相当いるわけですよ。何でこういう判断をしてしまったのか。

 大臣、もしそれだったら、しっかり、今回、多い場合はまた補正を組むとか進まないと、やはり一番困っているのが、地域の雇用、経済を支えている、本当に中小、小規模の業者の皆さんたちなんです。今回、物価高対策の消費者向けの料金値下げだって、彼らとしては本当に、正直、事務の負担ですとかそういったものを自分たちが負担しながら、消費者のためにと思って頑張った。そういう中で、こういった合理化補助金ができる中で期待があったと思うんですよ。

 大臣、今回全員に採択しなくても、一回絞って、また補正を組むとか、補助率に関してはもう少し見直すとか、その辺のお考えはないでしょうか。

西村(康)国務大臣 私も、報告を受けたときに、おっしゃるような対応ができないのかということも確認をしたんですけれども、LPガスの業界の皆さんとも相談をしながら、できるだけ幅広くということで、このような対応を取っているということでありますので。

 財務当局との関係もあると思いますが、もう一度確認はさせていただいて、業界、特に中小零細の企業の皆さんが多いですから、そうした方々の声にできるだけ応えていけるように対応してまいりたいというふうに考えます。

青山(大)委員 ですから、大臣、これはもう一度ちょっと現場で確認してほしいんですけれども、結局、今回それで五分の四から二分の一に下がって、申請を取り下げた業者はむしろ小規模事業者とか中小の方なんですよ。やはり自分たちじゃ当初見積もった額の半分も負担できない、負担が五分の一だったらできた、そういう中で結構取り下げた。多分、今後も取り下げる事業者は増えると思うんですよ。

 まさに、本来の目的は、そういう地場の、そういう小規模事業者のために、設備投資をしてほしいということで、多分与党の皆さんの後押しでこれができたと思うんですよ。その原点に返って、やはりそういった地元の中小・小規模事業者ができるように、もう一度ここは、大臣、現場の方と相談して見直してほしいと思いますけれども、大臣でも参考人でも結構です、いかがでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたとおり、補助率の変更を行わさせていただいて、これはもちろん、我々、最初の段階でもそういうことはあり得るということは申し上げていたところでございますが、実際に、今回またこういった形でアナウンスをいたしまして、そういった様々な反応などもあると思っておりまして、そういった意味では、今いろいろな方々の御意見なども伺うことも丁寧にやらせていただきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 そうしたら、参考人、当初の説明動画では、五月と七月に二次募集、三次募集するというふうに説明でうたっていましたけれども、その二次募集、三次募集もするのでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさに数千件の申請が出てきておるところでございまして、まさに、様々、手続的に書類の確認などもさせていただいているところでございます。また、申請のありました案件の審査、まだ、しっかりとやってまいらなきゃいけないところでございますので、その審査に全力を尽くしたいと思っておりまして、その上で、予算の状況を踏まえまして、追加公募が可能かどうかというのは検討していくことになると思います。

青山(大)委員 要は、当初の応募でもう予算額を超えるような応募があったわけですから、それで補助率を下げたわけですから、多分、追加公募は普通だったらないわけじゃないですか。

 それについてもう言いませんけれども、是非、大臣、これはもう一回、ちょっと現場の方と相談して、やはり本来の趣旨に沿った、小規模、中小企業者が使えるように、ちょっとそこはもう一回再考してほしいなと思って、要望として、是非。

 与党の皆さんたちも、せっかくLPの方たちも、ああ、やってくれたという中で、あれっという感じですので、そこはもう党派を関係なく、やはり地元の雇用、経済を支える方たちのためにも、そこは、大臣、もう一度再考願いたいと思って、私の質問を、時間ですので、終わりにします。

 以上です。お願いいたします。

竹内委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、経済産業関係で重要と思われる問題について取り上げさせていただきます。

 まず、昨日の朝、関東地方でも大きい地震がありましたが、先週は石川県の能登地方を震源とするかなり大きい地震がありました。いまだ余震も続いているということでございます。お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、被災された方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 事業者も被災をしているわけでございます。中小企業、小規模事業者に対してしっかりと支援をしていくということでよろしいでしょうか。参考人に伺います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、五月五日に石川県で発生いたしました地震によって被災された中小企業、小規模事業者の皆様への支援策といたしまして、災害救助法が適用されました珠洲市を始めとする二市一町を含む石川県に対し、一つ目として、商工団体等による特別相談窓口の設置、二つ目として、日本政策金融公庫等による災害復旧貸付け、三つ目といたしまして、一般保証とは別枠で借入債務の一〇〇%を保証するセーフティーネット保証四号、こういった災害復旧に向けた支援を迅速に実施をしているところでございます。

落合委員 日本は災害が多いということで、災害救助法が適用されればすぐパッケージでやりますということも、中小企業ももうパッケージをつくっています。こういうことがあったときはすぐ政府が対応しますという姿勢は重要だというふうに思います。

 実際にこれがしっかり運用されているか、それは我々政治家が見ていく必要があると思います。見捨てられる方等がいないように、しっかり細やかに状況を把握して、それで必要があれば大臣も施策の後押しをしていく、そういう姿勢であるということで、大臣、よろしいでしょうか。

西村(康)国務大臣 石川県、そして昨日は千葉で地震がございました。被災されている方々には改めてお見舞い申し上げたいというふうに思います。

 石川県の地震、実は、私も二年間、通産省から石川県庁に出向していた時期もございまして、あの日も石川県の方々と連絡を取らせていただきまして、何人かの方からも連絡をいただいたりしております。

 被災された中小企業の方もおられますので、今御指摘があったように、もう体制は整えて支援策を開始しているところでありますけれども、まさに現状をしっかり把握をして、その結果も見ながらでありますが、被災された方々、まさに一人も、誰も取り残さないということで、しっかりと支援をしていきたいというふうに思っております。

落合委員 是非、政治の姿勢として重要なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。何か具体的にありましたら、再度取り上げさせていただければと思います。

 それでは次に、送配電網の整備についてでございます。

 送配電網の整備が重要だということは、政府も、そして大臣も度々答弁でおっしゃっていることでございます。今までは、特に高度成長期は、火力や原子力中心に、大規模集中型電源で、地方で発電したものを都心に大動脈を使って運ぶということが送電網の役割でした。最近は、再エネを中心に、多機能分散型の電源に変わってきているということで、送配電網をもうちょっと毛細血管を広げるような形で整備をしていかなければならないということで、特にFITが導入されて以降ぐらい、この十年ぐらいはかなりそのことが言われているわけでございます。

 それで、送配電網の投資が新しい電力システムをつくっていく鍵になるというわけでございますが、実際には、例として東京電力の設備投資額の推移をお配りさせていただきましたが、これはFIT法が始まって以降でもそんなには伸びていない。九〇年代前半ぐらいの、多分、内需拡大とか公共投資とかでどんどん力を入れていたんだと思いますが、そのときと比べたら断然少ないわけです。東京電力と同じような、全大手電力会社の投資額を足したグラフもあるんですけれども、ほとんど同じような傾向でございます。東電の方が分かりやすいので、配らせていただきました。これを見てみると、政府ですとか電力会社が言っているほどには、実際には投資は伸びていないわけです。

 送電線への投資、調べれば調べるほど、かなりやはり巨額で、しかも、計画してから工事が始まって終わるまで、かなり時間がかかります。なので、中長期的で大規模な計画を立てていかなければならないので、投資に二の足を踏みやすいわけです。

 それから、最近の要素として、電気代が上がっています、FITの買取り価格は上がっていません、なるべく抑えるような方向でいっています。そうなると、売電するよりも自分で使うというのが恐らく増えてくると思います。そうなると、売電しないとなると、送電線を使わない割合が増えてきちゃうわけなので、そこも事業者にとってはリスクになるわけです。

 それから、先日取り上げました蓄電池の技術、これはもう加速度的に上がっているわけですので、蓄電池の値段も一気に下がっていく可能性もあるというふうに思います。

 したがって、年々年々、送電線の計画はぶれが起きやすい状況になってしまっているわけです。こうなると予見可能性が下がりますので、民間投資は二の足を踏むことになる。それが、送電線投資がアナウンスメントよりも伸びない原因になっているというふうに思います。

 したがって、予見可能性を高めるためにも、今よりももっと国が主導して、国が関与を強める必要が、特にこの送電線投資の分野においては必要なんじゃないかというふうに思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、再エネの大量導入そして安定供給、これをしっかり確保していくためには、地域間の電力融通を円滑化する系統整備を加速することが必要であります。送配電網をしっかり整備するということであります。まさに国もしっかりと関与しながら、民間との適切な役割分担の下で進めていくことが重要であるという認識をしております。

 このため、本年三月に、国も関与をして、将来的な系統の絵姿を示すマスタープランを策定したところであります。

 一方、例えば、北海道と本州を結ぶ海底直流送電など、御指摘のような巨額の資金が必要となる送電線整備については、着工から運転開始までの初期費用に係る資金調達が新たな課題として顕在化しているところであります。

 このために、国として、系統整備に必要な資金調達を円滑化するための環境整備を進めるべく、まさに御審議いただいておりますGX脱炭素電源法案におきまして、海底直流送電のような特に重要な送電線については、経済産業大臣の認定を受けて、そして着工段階から再エネ賦課金の交付、あるいは電力広域的運営推進機関、OCCTOによる貸付けによって、必要な資金調達の円滑化をする予定であります。

 あわせて、民間資金の活用に向けては、御審議いただきましたGX推進法案で措置される金融支援の活用も視野に入れて検討を進める予定であります。

 こうした措置を総合的に講じることによって、御指摘のように、国がしっかりと関与しながら、責任を持って、必要な送電線整備を進めていきたいというふうに考えております。

落合委員 一歩、二歩は前進をしているというふうには思います。しかし、今、国は、地域間連系線についても、十年間で過去よりか八倍ぐらい増やしていきますということも言っているわけで、これは、かなり集中的にこの十年ぐらいで整備をしていくということが重要だと思います。

 このマスタープランも、今までよりは進歩していると思います。しかし、二〇五〇年までにこれぐらいやりますということで、やはり今必要なのは、短期的にだあっとやりますというような施策だと思います。このマスタープランも、コストとベネフィットを比べて、ベネフィットが確実に上回っていないと計画はしないわけです、当たり前といえば当たり前なんですけれども。ただ、短期的に増やしていくためには、やはりここももう少し後押しをしていく必要があるというふうに思います。

 実際に、今年、今までは九州電力ですとか、いわば地方の方が出力抑制をしてきたわけですけれども、ついに中部電力管内まで、要は、電力の大消費地があるところまで出力抑制をするというような状況になってしまっています。ここは、やはり政府のやらなければいけない役割というのはありますので、是非、大臣、今、現状が駄目というわけではないんですが、もっともっと背中を押すように、大臣のリーダーシップを発揮していただければというふうに思います。

 もう一つなんですけれども、私、世耕大臣時代に指摘をしてきたことがありまして、是非、今、リーダーシップのある大臣が就いていますので、もう一回、検討するべきだということを提案させてもらいたいと思います。

 福一、福島県の第一原発の廃炉費用として何を原資に充てるかということに当たって、送配電網を、送配電網会社を合理化することで、そこで費用を捻出しますということがはっきり明記されています。何兆円もの規模の廃炉費用を、送電線の合理化によって行うというふうに何年か前に決めているわけです。

 私、当時、そのときに指摘をしました。送配電網の合理化というふうに書いたら、投資の抑制につながる、そうなると、福島の廃炉のために再エネの普及が遅れてしまうじゃないかと。なので、かつて、不良債権問題のときと似ているかもしれないですが、その後ろ向きな部門と前向きな投資を促進する部門は分けるべきじゃないか、前向きな投資をするお金に使うのか、後ろ向きな処理のお金に使うのかで綱引きしたら、前向きな投資は進まないですよということを指摘をさせていただきました。

 それで、配付資料を見てみると、二〇一三年とか一四年とか一五年、一六年は、二〇一二年より投資額が下回っているわけです。やはりこれは、福一の廃炉費用等が、特に東京電力管内の送配電網の整備の足を引っ張ってしまっていると思いますが、福一の廃炉、大変重要です。会計を何らかの形で分けるですとか、とにかく後ろ向きなお金の使い方と前向きな投資はしっかり分けて、後ろ向きな方はもう国が引き取っちゃうか、何らかの工夫をするべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 まず、再エネ導入を最大限進めるに当たって、御指摘のように、まず送配電網をしっかり整備しなきゃいけないということで、中長期的な計画をマスタープランを出して計画的に進めていきたいと思っておりますが、御指摘のように、加速できるところはできるだけ早く取り組むということで、北本、北海道と本州、あるいは東西連系線とか、これはもう二七年度に向けての数値目標がありますので、しっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 蓄電池も、御指摘のように、できる限り配備をして、無駄がないように。そしてまた、余った、どうしても出力制限、出力制限についてもできる限りそれが少なくなるように対応していきたいと思いますし、しなきゃいけないときに、揚水であるとか、あるいは水素の製造であるとか、様々、できることを加速して取り組んでいきたいというふうに思っております。

 その上で、前向きな投資と廃炉の費用というところの論点でありますけれども、まず、廃炉に関する費用は、福島への責任を果たしていく観点から、東京電力がグループ全体で責任を負っているところであります。

 そして、一般の送配電事業者の託送料金においては、一定水準以上の超過利益、超過利潤を累積した場合には託送料金の値下げが求められたところでありますけれども、他方、東京電力のパワーグリッドにおいては、廃炉費用を確実に確保するという観点から、二〇一六年十二月の閣議決定に基づいて、経営合理化によって利益を生み出した場合は、その一部を廃炉費用に回すことができるという仕組みを講じております。

 その上で、東京電力パワーグリッドは、もちろん、電気を安定的に供給する責務を負っているわけでありますので、そのために必要な投資を行っていくことは重要であります。先ほど推移のグラフをお示しいただきましたけれども、近年では、東京電力パワーグリッドの送配電関連の設備投資額は、福島第一原発事故の前の水準を上回ってきているものというふうに承知をしております。

 引き続き、国が認可しております総合特別事業計画に沿う形で、必要な投資が行われるよう、しっかりと指導していきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、系統整備、蓄電池を始めとしてしっかりと進めていくことで、再エネの導入も加速していきたいというふうに考えております。

落合委員 増えてはいます。しかし、三十年前のまだ半分の水準です。これをぼんと増やしていくことが、経済成長にとっても必要な今段階なわけです。

 電力自由化をして三分野に分離をしましたので、グループ全体で廃炉費用を見ていくといっても、安定的な収入というのはほとんど送配電網しか見込めないわけです。恐らく、今のやり方をしていると、例えば、核燃料の最終処分、そういったこともどんどんどんどん託送料金で面倒を見ることになってしまう。

 私は、したがって、廃炉ですとか原発の問題と送電線網の問題は少し整理をする必要があると思います。前向きなことにしっかりお金が使われるように、これはプロの工夫が必要ですので、是非その問題意識を持っていただければと思います。

 具体的にどういうふうに変えるべきかというのは、私も今いろいろ勉強させてもらっていますので、まず、今日は、こういう視点が必要なんじゃないかという指摘のみにさせていただきまして、具体的な話は今後取り上げさせていただければと思います。

 次に、フリーランスについてでございます。

 特に安倍内閣の後半で、働き方改革ということで、フリーランスという働き方も一つ、新しい働き方として注目がされ始めてまいりました。それから、デジタルプラットフォーマーが仕事を紹介したりとかするようになりまして、そういったデジタル技術の進展からしても、フリーランスが増えやすい状況になっているわけでございます。

 しかし、今までも、大企業と中小企業の取引においても、力関係が中小企業が弱いということで、価格転嫁の問題など今までもありました。今度は、フリーランスとなると個人なわけなので、中小企業以上に、価格転嫁の問題や取引関係の問題が実際に出てきていたわけでございます。

 したがって、これも、私も何年か前から、少なくともフリーランス保護のための新法が必要である、今までの中小企業への施策と同じように、フリーランス、個人事業主に対してもそういう保護のルールをある程度決めていくべきであるということを、国会でも取り上げさせていただいてまいりました。

 今回、内閣委員会でですが、フリーランス新法が審議されて、成立をしたわけでございます。個人事業主を所管しているのは中小企業庁、経済産業省でございます。そのトップとして、このフリーランス新法の成立をどのように捉えているか。それから、まだ足りないところもあると思います。そういった点について伺えればと思います。

西村(康)国務大臣 私も、経済再生担当大臣のときにもこのフリーランスも担当しておりましたので、私自身も思い入れもございます。

 まさに働き方の多様化が進んで、約四百六十万人とも言われる方々がフリーランスとして働いておられるところであります。まさに多様な働き方を進めていく上でも、非常にこの方々をしっかり支えていくことは重要だというふうに認識をしております。安定的に働ける環境を整備する、そしてその能力を最大限に発揮していただく、生産性の向上にもつながる、様々な課題もございますので、まさに岸田政権で進める新しい資本主義の実現にも資するものというふうに考えております。

 他方で、個人の事業者、事業主として働く際には、取引条件や就業環境において不利益を受けやすいという実態もあったわけであります。このため、今御紹介がありましたけれども、経産省を含む四省庁で、特定受託事業者に係る取引の適正化等に係る法律案を検討し、この国会に提出をし、その中で、フリーランスの取引について、契約内容の書面等による明確化とか、あるいは代金減額の禁止等により取引適正化を図るということ、また、育児、介護等の両立配慮を求めるなど、フリーランスの方々の就業環境の整備を図ることとしたところであります。

 この法案は、内閣委員会で審議をされましたけれども、先月末、立憲民主党さんも含めて全会一致で賛成いただき、成立をしたところであります。今後、この法律、執行していくことが重要でありますので、所管省庁として、公正取引委員会、厚生労働省に加え、私どもの中小企業庁も一緒に行うということであります。十分な体制整備を行っていく必要があるというふうに思っております。

 また、この本法の内容、趣旨について、発注事業者とフリーランスの双方にしっかりと周知をしていくことが重要だと思っております。このため、関係省庁、特に業所管省庁と連携しながら、各業界団体を通じた周知など、政府一体となって様々な方法で周知をし、本法を実効あるものというふうにしていきたいというふうに考えております。

落合委員 もう少しこの部分を厳しくした方がいいんじゃないかとか、そういう議論もあったわけです。ただ、新法なので、最初から余り厳しくしちゃうとうまくいかないかもしれないということで、まず第一歩というような感じが私も中身を見てします。

 ですから、周知をして運用していく中で、やはりこの部分を入れた方がいいなということが出てきたら見直していくというような姿勢で、大臣、よろしいですね。

西村(康)国務大臣 まさに働き方が非常に多様化し、また、いろいろな業態が出てきております。ちょっと前にはウーバーのような仕組みはなかったわけでありますし。そういう意味で、新しい業態、新しい働き方が出てくる中で、当然、私どもの制度も柔軟に見直していくという姿勢で臨まなきゃいけないというふうに考えております。

落合委員 追加しなければいけない項目は恐らく絶対にあると思っていますので、是非、前向きに、更なるブラッシュアップの検討をいただければというふうに思います。これも、運用が何か問題があるんじゃないかですとか、そういうことにつきましても今後取り上げさせていただければと思います。

 今日は、お忙しい中、公取委員長にもお越しをいただきました。

 これは周知が重要だというふうに思います。公正取引委員会のホームページにガイドラインが載っていまして、結構絵とかを多用して、漫画みたいな形でかなり分かりやすくなっているなというふうに思います。かなり前向きに周知をされているというふうに思いますが、改めて、公取委員長からも、この分野の重要性ですとか御認識を伺えればと思います。

古谷政府特別補佐人 御指摘がございましたように、近年、デジタル経済の進展とも相まちまして、個人の働き方が多様化をしておりまして、フリーランスといった、雇用契約以外の契約形態で働くという方が増加していることを踏まえまして、公正取引委員会として、労働市場や人材市場に対しても、独占禁止法の運用ですとか競争政策を通じて公正な取引環境を確保することが重要であるという考え方をお示ししてきております。

 こうした考え方の下で、御指摘がございましたが、令和三年には業務委託を受けるフリーランスと発注事業者との取引に関してガイドラインを策定しまして、独占禁止法などの法令の適用関係を明らかにするとともに、こうした法律に基づいて、優越的地位の濫用などにつながる問題行為を幾つか挙げて明確化をさせていただいております。

 それに加えまして、こうしたガイドラインも踏まえてのことでありますが、今般、経産大臣からも御説明がございました新しい法律が成立をいたしました。公正取引委員会としましては、フリーランスの方々が安定的に働くことができる公正な取引環境を整備することが大事だと思っておりまして、今後、この法律の施行に向けまして、関係省庁と連携しながら、関係する政令や規則などの整備を進めますとともに、様々な方法で効果的な周知活動に取り組んでいきたいと思っております。

 また、本法の取引適正化に係る部分というのは、公正取引委員会がこれからの法執行の中心を担うことになりますので、必要な体制の確保も図りながら、万全な準備をしていきたいというふうに考えております。

落合委員 フリーランスで働くという方々は、恐らく今後更に増えていくというふうに思います。こういう働き方が増えてきたことで、今まで雇用されていた人がやっていた仕事を、フリーランスという方々が受託をして行う。雇用されていたら守られているのに、個人事業主として同じ仕事をやると守られないということが多々出てきたわけでございます。したがって、こういった法整備を更に進めていくということの重要性を改めて私も指摘をさせていただければというふうに思います。

 タイミングとしては、今年の秋のインボイスの導入もそうですが、フリーランスの方々にとって、政府の施策が足を引っ張ってしまうという部分もあるわけです。したがって、よりフリーランスの方々が生き生きと経済活動ができるように、より注力をいただければというふうに思います。

 最後に、中小企業施策についてなんですが、最近、ニュースを読んでいて、この言葉遣いはいいのかなというふうに思ったのが、大手の通信社が配信しているニュースで、コロナで債務が増えた企業が借金が返せなくなってしまうかもしれないというニュースで、そういう人たちをゾンビ企業というふうに題名にも本文にもはっきりと書いているわけです。ゾンビ企業という言葉は、本来だったら死んでいるはずなのに、税金を使って、みんなのお金を使って生き長らえさせてもらっている企業、こういう企業は必要あるのかみたいな、そういう言葉遣いの仕方をマスコミがやっているわけです。

 しかし、これは前も大臣と議論させていただきましたが、コロナの債務は、特に政府が緊急事態宣言を出して経済活動を止めたわけです。それに対する給付金が間に合わないので、取りあえず借りてくださいというようなことを言ったわけです。そのときは、その期間は売上げがないわけですから、売上げ以上に借金が増えてしまうのは、ある意味、政府が奨励したわけです。今、コロナ後でだんだん需要は戻ってきていますが、ただ、中小企業に関してはまだコロナ前まで景況感は戻っていません。

 こういう中で、政府の施策で借金が増えたそういう企業に対して、ゾンビ企業だ、死んでいるのに公金で生きさせてもらっている、こういうことを大手のマスコミが使っているこの現状、これは経産省の説明が足りないんじゃないかと思いますが、この言葉の使い方について、大臣、適切だと思いますか。

西村(康)国務大臣 コロナ禍の中にあって、私も担当大臣でありました。まさに緊急事態宣言発出などの責任者の一人であったわけでありますけれども、国民の命を守り、暮らしを守る、そして事業、雇用を守っていくという中で、様々な給付金であったり、あるいは実質無利子無担保の融資制度の中でとにかく守っていくということで、最大限の対策を講じてきたところであります。

 その上で、そうした影響によって当然債務が増えていくわけでありますので、一時的にはですね、そういったコロナの影響によっていわば経営不振に陥っているような企業をそのような名前で呼ぶことは、適切であるとは考えておりません。

落合委員 だからこそ、私は、この部分の債務は減免してもいいんじゃないかということで、議員立法も出させていただいております。是非、こういう、自分の国の企業、事業者たちをゾンビ企業と呼ぶような省庁には絶対にならないようにしていただければと思います。

 ちなみに、経済産業省は、ゾンビ企業という言葉を公式には使っているんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 全ての資料を網羅的に確認できているというわけではございませんけれども、国際機関が用いた表現をそのまま記載する場合などを除けば、中小企業庁自らが、こういったコロナなどの外的要因により経営不振に陥っている企業を表す言葉として、御指摘のような名称を用いてはいないものと認識してございます。

落合委員 今、何々を除いてということですが、大臣、経産省の文書にも、中小企業庁の分野ではないですが、いわゆるゾンビ企業という言葉を使っている文書が私も発見をしました。是非、これは厳しく対応していただければと思いますので、事業者をこういう言葉で呼ぶということを許してはいけないという姿勢で臨んでいただければと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、AIについて質問をさせていただきます。

 御承知のとおりというか、自民党でも、私も日頃からいろいろ教えていただいている平将明代議士始め、今、自民党では何かグループの座長をされていて、先日も大臣のところに何か提言を持っていかれたとツイッター等で拝見をしております。また、岸田総理にもいろいろ提言をされた。総理も司令塔をつくるとか、いろいろな話がある。

 加えて、先日、しばらく前に、オープンAIのアルトマンCEOが日本にいらっしゃった。これはやはり日本の著作権法がなかなか興味深いからだと私は思っているんですが。

 そして、昨日かな、グーグルがバードの日本語対応のサービスを始めたということで、大変この話題で持ち切りであります。

 ただ、大変心配しているのは、何か、規制しようという、平さん始め自民党の皆さん、それから政府は基本的には踏ん張っていると思いますよ、踏ん張っていると思いますが、例えば平さんがまとめられたこの自民党のホワイトペーパーを拝見しても、例えば知財についてはちょっと微妙なことが書いてあるので。

 この平さんのやつは、本年四月に、自民党デジタル社会推進本部、AIの進化と実装に関するプロジェクトチームの座長が平さんだと思いますが、それのホワイトペーパーの十四ページにこう書いてあります。「生成系AIをめぐっては知的財産法の解釈に関する議論も注目されている。」、それでべらべらべらといろいろ、「ガイドライン等を積極的に活用するといった工夫も考えられる。」。

 全て受け身なんですよ。受け身というのは、「注目されている。」、自分たちが注目しているとは絶対書かないんですよ。世の中で議論があるから。注目されている。

 先日、山田太郎議員が参議院の決算委員会で岸田総理に同様の質問をしたときも、岸田総理はこうおっしゃっています。AIとこの著作権制度との関係につき、まだ整理されていない課題がある、とは言わないですね。いや、もう本当にうまいというか。AIとこの著作権制度との関係につき、まだ整理されていない課題があるという指摘については承知している、こう言うわけですよ。本当にどうでもいい答弁ですよね。指摘があるのは新聞を読んでいたら分かりますやん、それは。

 だから、そういう議論があるのは分かっているけれども、私が今日伺いたいのは、今日、中原さんも来ていただいていますが、まず著作権をやります。ちょっと大臣に行って、ちょっと休憩していただいて、最後ということになりますが。

 中原審議官、文化庁ね。総理はこうおっしゃっているわけですよ。AIとこの著作権制度との関係につき、まだ整理されていない課題があるという指摘が、ちまたと言ったら怒られるな、世間、広く世間にあるということは総理も知っているんだと言っている。でも、岸田内閣、今の文化庁は、AIと著作権制度との関係について、まだ整理されていない課題があると思っているんですか、ないと思っているんですか。そのあるかないかだけ、まずちょっとお願いします。

中原政府参考人 AIを開発する場面では、他人の著作物をデータとして読み込み、情報解析に用いる必要がございます。このような、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為とみなされる場合については、著作権者の利益を害するものではないため、著作権法三十条の四におきまして、原則として著作権者の許諾なく著作物の利用が可能であるというふうにされております。

 他方、AI開発の場面ではなく、AIによりコンテンツを生成し、それをインターネット上で公開したり販売したりするといった利用の場面におきましては、著作物の通常の利用と同様に、著作権侵害となるかが判断されるものでございます。

 具体的には、著作権法で著作物の利用が認められている場合を除きまして、生成されたコンテンツに既存の著作物との類似性や依拠性が認められれば、損害賠償請求や差止め請求が可能となりますほか、刑事罰の対象ともなるということでございます。

足立委員 今、中原審議官がおっしゃったことは、現在の著作権法を解説し、それは、いわゆる機械学習、深層学習、ディープラーニングみたいな技術で、いわゆる生成系AIと言われているもので生まれた、そこで学習する行為について、あるいはそこで生成されたものについて、今の著作権法の解釈を述べられました。それはそれでいいじゃない。だから、それで課題ないよね、それは。だから、思い当たる節はない。

 いろいろな方が、例えば権利者団体とかクリエーターの皆さんとかが恐怖におののいていらっしゃるわけです、今。その恐怖感から、様々な個人、団体が政治に対して規制強化を求めてきていらっしゃいます。しかし、私は、私はですよ、課題が思いつかないんですよ。何が問題なんだと。

 今まさに中原さんがおっしゃったとおりで、著作権法三十条の四で学習については法的にきれいに整理をされている。むしろ、世界最先端の、昔、グーグル検索が始まった頃に、なぜグーグル検索のようなサービスが日本でできないんだと言ったら、著作権法が悪いんだといって糾弾されて、私も糾弾しましたよ、経産省から。文化庁が悪いんだといって。できた条文が今の条文で、これは世界最先端の、AIにフィットした条文なんです。だから、学習のところはきれいにできている。生成物については、現行法が適用される、丸。

 私は課題が思いつきませんが、中原さん、思いつきますか。

中原政府参考人 著作権法は、著作物の利用実態や技術の進展などの社会の状況の変化を踏まえまして、権利者を含む関係者の御意見を伺いながら、著作物の保護と利用のバランスを取った規定となってございます。生成AIとの関係における著作物の具体的な利用の適法については、これらの規定を踏まえまして、最終的には事案に応じた司法の判断になるものというふうに存じております。

 文化庁としましては、現行の制度について正しく理解していただくことが重要であることから、著作権法三十条の四などの関係条文の考え方やあるいは解釈につきまして、基本的な考え方というものを示しまして、ホームページなどにおいてその周知を行っております。

 今後も、AIの進展や新たな技術の展開等も踏まえ、随時研究を行いまして、引き続き、著作権制度について分かりやすい説明に努めてまいりたいというふうに存じます。

足立委員 まさに今、中原さんがおっしゃったことは、山田太郎さんの質疑でも、岸田総理にいろいろ聞いて、AI開発での著作物利用の適法性については、個別具体の事案に即して最終的には司法判断になると。当たり前ですよね。加えて、文部科学省において関係条文の解釈の周知などを行っていますと。

 今おっしゃった基本的考え方、昔出たやつですよ、ホームページに行ったらあります。三十条の四というのはこういうものなんですよということが書いてある。周知するんです。

 だから、今政府に必要なことは、恐れおののいている方々に、怖がらないでと。時代は変わっていくんだから。かつて写真技術が生まれたときに、写実的な職人的な仕事をされていた絵描き職人の人たちが、写真に仕事を奪われて、印象派、もっとクリエーティブな絵画の世界を切り開いていった。それが文明、文化の発展ですよ。だから、ここで恐れおののいて規制をするんじゃなくて、まさに写真技術が新しいクリエーティビティーを生み出していったような形を、日本政府は徹底して取っていくべきだと思います。

 大臣、今日、大臣にこの経済産業委員会でこういう質問をさせていただいているのは、著作権法が分かりやすいんですが、知財法というのは、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、広く言えば、AIと関係あるかないか分かりませんが、半導体集積回路配置法、あと農水省の種苗法。いろいろありますが、経産省が中心です。

 だから、もう細かいことはいいんですが、今、私、中原さんに伺ったように、私は思い当たる節がないんです。知的財産法制について課題が思い当たりません。むしろ、今大事なことは、今の法律を周知すること。みんな分かっていないから。そして、ちょっと手間がかかるけれども、侵害があると思われるのであれば、司法に訴えていただいて判例を重ねていく、これが大事だと思いますが、経済産業大臣のお立場でお答えいただけることがあればお願いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、著作権法と、それから私どもの特許、意匠、商標権、これはちょっと法体系が変わっておりまして。もう御案内のとおりだと思いますけれども。

 特許、意匠、商標のそれぞれの権利においては、侵害したとされる側が自ら責任がないということを立証しない限りは、その行為に責任があったと認められる規定がありますので、権利はある意味でより保護されている、適切に保護される仕組みになっているということだと思いますので、ちょっと違うんですけれども。

 著作権法は私は直接所管しておりませんので、私の立場で答弁するのは控えたいと思いますが、足立議員の御質問でございますので、雑談風に申し上げるとすれば、はやっている音楽があって、それに似たような音楽を作ると、これは著作権侵害というふうになる可能性があるわけですね。生成AIが、世の中におよそはやっている音楽を全部データを取って、そこからはやっている音楽を作ってきた、それをベースに、ある人がはやる音楽を作った場合に、その権利は一体誰にあって、あるいはどの著作権を侵害しているのかというのは、正直、私自身が今、そういうことは起こり得るだろうなと思って、今、足立議員の高邁な質問を聞いておりまして、頭で少し頭の体操、こういうのもあるのかなと思っていたところであります。

 いずれにしても、判例が積み重ねられることによって権利保護というのはなされていくと思いますので、時代もどんどん変わっていきますし、技術も進化すると思いますので、その中で適切な法制を作っていくということだと思います。

足立委員 雑談風にありがとうございます。

 まあ、雑談と言うと何かしようもないみたいなので、懇談風にみたいな形で言っていただいたらと思いますが、ありがとうございます。

 大臣、ちょっと休憩していただいて。中原さんをもうちょっとやりますので、その間ちょっと休憩していただいて。

 中原さん、今、大臣からちょっと広げて話をいただきましたが、大事なことは日本政府の方針です。私は、平さんたちがおっしゃっているように、ハードローでの対応は反対です。じゃ、ソフトローというけれども、じゃ、ガイドラインというけれども、私は、政府がリードして、要は、例えば判例を解説することは大事ですよ。今、法律はこうなっています、行政府はこう解釈しています、判例が積み上がっていて、あるいは積み上がっていなくて、司法府ではこういうふうになっているんですよ、大体こんなことになっているので、皆さん、それをよく理解して経済活動してくださいねということを周知することは必要だと思います。

 でも、そこにまだルールがないものを、政府が前に出て、私が心配しているのはブルーレイ政令指定ですよ。ああいうしようもないことをやるんだ、文化庁は。だから、時代錯誤の権利者団体の言うことを聞いて、権利者団体の首まで絞めていくんです。それがこの三十年なんです。

 だから、私が中原さんに一言いただきたいのは、そういう、今のところですよ、今のところ、新たな規制、ハードであれ、ソフトであれ、新たな規制を講じる予定はない、そう言ってほしいんですけれども、どうですか。

中原政府参考人 著作権法の改正に当たりましては、我が国における著作物の利用実態や技術の進展など社会の状況の変化を踏まえまして、多くの関係者の皆様の御意見を伺いながら保護と利用のバランスを取る必要があるものというふうに存じております。

 私どもとしましては、こうした議論をしっかりと注視し、そして、委員御指摘のありましたように、現在の著作権制度の分かりやすい説明にも努めてまいりたいというふうに存じます。

足立委員 いや、だから、新たな規範というものを中原審議官は今考えていないね。ちょっと、考えていないなら、いないと言ってよ。一般の抽象論はいいから。今。今日は、だって、私、ここで質問しているんだから。今の時点で、思い当たる何か追加的な規範を政府主導で作るつもりはないと言ってくださいよ。

中原政府参考人 現時点の政府の決定その他におきまして、著作権法の本件に関する改正というものが予定されているものはございません。

足立委員 予定もされていないし、水面下でもまだテーブルにのっていないね。

中原政府参考人 現在、先ほど申し上げましたとおり、予定されているものはございませんので、しっかりと分かりやすい説明に努めてまいりたいというふうに存じます。

足立委員 ありがとうございます。

 今日確認できたことは、とにかく、岸田総理がおっしゃったとおりで、周知なんです。今大事なことは、現行ルールの解説、周知。これは政府がしっかりやっていく。そして、恐怖におののいていらっしゃる方々に安心をしていただく、あるいは、新しい世界に踏み出していっていただく。こういうリードを、岸田内閣、また西村大臣にやっていただきたいと思います。

 最後に、司令塔の議論があります。

 何か会議をつくって終わりじゃないですよね。コロナのときも何かいろいろやって、最終的には、大臣、いろいろコロナでやっていただきましたが、司令塔ができました。そういうしっかりとした行政組織、会議体じゃなくてしっかりとした行政組織が、AIは俺たちが責任を持って見ているんだという官僚チームがなければ、これはすぐ内閣府、内閣官房といくんですが、私は、もう文化庁を吸収合併して、経産大臣が、中原さんはどうせ経産省の人なんだから元々。だから、文化庁を吸収合併して、知財含めてAIは経済産業大臣が司令塔なんだと、私は日本の未来のためにそういうしっかりとした体制をつくるべきだと思うんですが、いかがですか、大臣。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、昨日、官邸でAI戦略会議、開かれたわけであります。私も出席をいたしました。会議の中で、まさに活用の在り方とか懸念、リスク、あるいは対応策、開発に向けて取り組んでいくべきかどうか、こういった幅広い議論が行われたところであります。

 AI政策ですけれども、今も御議論あったように、知財にも関わります、プライバシー、あるいは教育分野における利用の在り方にも関わります。正直なところ、経産省の所掌だけでなかなかとどまらない課題がたくさんあるなというふうに認識をしております。実際、G7のデジタル・技術大臣会合でも、私も出席しましたが、総務大臣、デジタル大臣と合同で、三省庁合同で対応したところであります。

 昨日の会議の場で岸田総理から指示があったとおり、政府全体の方針に関する議論は、総理の下でAI戦略会議やAI戦略チームを中心に進められると。その事務局は、お気に召さないかもしれませんけれども、内閣府が担っていくということであります。

 当然、経産省として、リスクとか、将来のイノベーションの可能性の利活用ということも促していきたい、リスクを認識しながら促していきたいと思っておりますが、競争力ある大規模な言語モデルの開発とか、計算基盤の整備とか、様々な対応をしていきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、まずは、このAI戦略会議において、各省庁と連携しながら対応していきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 終わりますが、私は、AIについて何も議論しなくていいと言っているわけじゃないんです。知的財産法制については周知が大事だ。

 やはり、大議論になっているのは、発明とは何か、あるいは創造とは何かということが問われているわけですね。例えば、よく言われているのは俳句ですよ。五、七、五ですよね。五、七、五の五十音ですから四十六文字かな、掛け算したら、もうこの世に存在している俳句は全てそこにあるわけです。あとは、クリエーティビティーというのは、そこから選択するだけになる。

 創造性って何なんだということが今問われているわけでありまして、そういう新しい時代に、日本維新の会も、平さんに負けないように、党としてしっかりAIについて取り組んでいくことをお誓いして、質問を終わります。ありがとうございます。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 今日は、スパイ防止について冒頭質問していきたいと思います。

 中国でスパイ行為を取り締まる反スパイ法が改正された、七月一日にこれが施行されるということで、国家の安全と利益に関わる文書やデータ、それに資料や物品を盗み取る行為が新たにスパイ行為の定義に加わるということで、対象範囲が拡大していると。さらに、国家機関や重要な情報インフラへのサイバー攻撃なども新たにスパイ行為の定義に加えられているということで、スパイ行為は許されないんですけれども、一方で、法執行や司法のプロセスの透明性というのは必要である。

 これは日本企業のビジネスにとってはリスクがあるんじゃないかというところで、まず大臣にお尋ねしたいんですけれども、反スパイ法のビジネスにとってのリスクについてはどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、中国におきましていわゆる反スパイ法が改定され、その中で、国家の安全や利益に関する情報などがスパイ行為の対象として広く明記されるに至ったというふうに承知をしております。

 また、折しも中国では三月に邦人が拘束されております。こうした邦人拘束のような事案が発生しますと、中国で安心してビジネスができないという不安の声が産業界にあるということも理解できるところであります。

 経産省としては、中国ビジネスに関わる企業関係者の安全確保、そして透明で公平なビジネス環境の確保に向けて、中国側に対して粘り強く働きかけをしていきたいというふうに思いますし、我が国産業界との間で、注意喚起も含めて、適切な対応を重ねていきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 三月にアステラス製薬の社員が拘束されたというところで、これまで十七名の方が拘束をされている、今もまだ五名が拘束中であるというところで、仮にこの容疑が事実であれば、拘束されるのも一定理解があるのかなとも思うんですけれども、一方で、世間話の中で情報交換、世間話をしている中で、これで拘束となると、本当に、到底納得できないと思うんです。

 例えば、北朝鮮の情報について中国政府の者に問い合わせただけで拘束されて懲役六年ということがあったんだということもあったり、つまり、機密情報の定義や範囲も曖昧であって、国際社会には不透明で恣意的な拘束じゃないかなというふうに懸念もされるんですけれども、これは裁判は非公開だというところで、中国におけるビジネス環境の透明性、先ほど大臣も透明性ということをおっしゃられましたけれども、透明性の確保のためにはどのような対応を行っていくのか、お尋ねしたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 中国において透明で予見可能かつ公平なビジネス環境が確保されることは不可欠でございまして、中国側に対し累次にわたり様々なレベルで働きかけを行っているところでございます。

 本年四月の日中外相会談におきましては、林外務大臣から中国側に対しまして、日中間の様々な分野における協力を進めていくためには適切な環境を整える必要がある旨指摘するとともに、現地日本企業が強く要望しております、透明で予見可能かつ公平なビジネス環境が確保されること、また安全面とともに正当な経済活動が保障されることを強く求めたところでございます。

 政府といたしましては、引き続き、様々な機会を通じまして、透明かつ予見可能かつ公平なビジネス環境の確保を求めていく考えでございます。

遠藤(良)委員 私は、中国で以前ビジネスもしていましたし、中国で五年ぐらい住みながら現地で仕事をしている中でジェトロも通じて一緒に仕事もさせていただいたり、現地でビジネスマッチングもジェトロさんはされていると思うんですけれども、そういう中で、中国の企業さんを紹介していただいて仕事につながったこともあるんですけれども、ジェトロさんの中で、中国でビジネスを行う企業等に対して、反スパイ法についての注意喚起など、この辺りはどのように行われているのか、お尋ねしたいと思います。

福永政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣から答弁させていただきましたとおり、先般の邦人拘束事件や反スパイ法の改定による取締り対象の拡大等を踏まえれば、中国のビジネスで留意すべき点について一層の注意喚起が必要である、本当に先生がおっしゃるとおりだと思います。

 まさに、中国に一万二千社、三万事業所以上の日本企業が進出しているのに対して、ジェトロ自体が、北京、香港、上海、大連、広州、青島、武漢、成都の八事務所を通じて、安全確保を含めて、現地で事業活動を行う日本企業の貿易投資相談に日々応じているという実態がございます。そのような事態を通じて、特に中国ビジネスにおける留意事項等について、丁寧に説明するということに心がけております。加えて、東京の方でも、あるいは本部の方でも、各種セミナーを開催するとかメールマガジンでの配信等を通じて、情報提供、注意喚起を行っているところでございます。

 引き続き、先生御指摘のとおり、中国ビジネスに関わる企業関係者の安全確保や透明で公平なビジネス環境の確保に向けて、ジェトロにおいて丁寧にサポートしていく、そういう所存でございます。

遠藤(良)委員 ジェトロからのメルマガであったりとかいろいろな通知はあるんですけれども、結構いろいろな量が来ていまして、この反スパイ法についてということで案内が来ても、なかなか、流れていくんじゃないのかなと個人的には。仕事をしながら、当時は、いろいろな情報も来るので、その中でやはり、例えば現地の駐在のメンバーといろいろ意見交換をする中で、こういうのが流れているよということで、いろいろ口コミでみんな現地で意見交換しているんですけれども、その中で、やはり重要であるということは本当に周知していただいた方が。現地ではいろいろなつき合いをやっていますけれども、ただ、やはりこれだけ本当にこういう事例が出ているので、是非ともその注意喚起というのをしっかりやっていただきたいなと思います。

 日本では、営業秘密については不正競争防止法によって処罰がある。今国会でもこの改正法案が提出されているというところで、この不正競争防止法は、営業秘密の不正取得、使用、開示行為を類型化して不正競争と定義をしている。営業秘密に当たるためには、秘密管理性、有用性、非公知性を満たす必要がある。

 営業秘密の持ち出しを処罰しているんだということなんですけれども、二〇二二年に全国の警察が摘発した営業秘密侵害事案は二十九件で、二〇一三年以降最多であるということで、中国企業に営業秘密を流用させて処罰される事例もあるというところなんですけれども、実際、中国の企業に営業秘密が流出して検挙された事例として、一体どういうようなものがあるのかをお尋ねしたいと思います。

早川政府参考人 お答えいたします。

 中国の企業に営業秘密が流出した事案の検挙事例といたしましては、社員が在職当時に化学メーカーの営業秘密である技術情報を不正に領得するなどした上、SNSを介して接触してきた中国所在の企業の社員に開示した営業秘密侵害事犯を、令和二年十月、検挙した事例がございます。

 警察といたしましては、今後とも、我が国の国益が損なわれることのないよう、関連情報の収集、分析に努めるとともに、あらゆる法令を駆使し、違法行為に対して厳正な取締りを行ってまいる所存であります。

遠藤(良)委員 他方で、中国でも反競争法というのがある。営業秘密の定義、要件に関しては不正競争防止法と大きな違いはないと言われています。

 日本の企業に営業秘密が流出して検挙された、そういったケースについては把握されているのかどうか、お尋ねします。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の中国の反不正当競争法に基づく取締りにつきましては、中国での執行の話でございまして、執行状況や内容を把握することは極めて困難でございます。その中でも把握している限りでは、過去に日本企業が中国の当局からの営業秘密侵害で摘発された事例というのは承知してございません。

 ただ、中国の裁判所が一部公表している情報なんかによりますと、例えば二〇一四年から二一年まで、七年間で、日本の地方裁判所に当たる北京市知識産権法院、これで審理を終結した営業秘密侵害の民事事件は百二十件と聞いております。中国でも営業秘密侵害の係争は発生していることは承知をしてございます。ただ、これは企業名等は公表されておりませんので、日本の企業かどうかというのは分かりません。

 したがいまして、御指摘のとおり、中国で日本企業が営業秘密を侵害し、中国で取締りを受ける可能性というのはあるものと認識してございます。

遠藤(良)委員 中国では反スパイ法、しかし、日本では反スパイ法に該当する法律はないんだというところで、特定秘密保護法のほか、国家公務員法、地方公務員法、自衛隊法などで処罰をしているんだと。

 こうした法律で実際今後対応できるのかなと。法律の制定の必要性はないのかどうか、この辺り、お尋ねしたいと思います。

七澤政府参考人 お答え申し上げます。

 事柄の性質上、詳細については申し上げられませんが、政府としましては、政府の、国内において外国情報機関による情報収集活動が行われているとの認識に立ちまして、必要な対策を講じてきているところでございます。

 その上で、いわゆる反スパイ法、スパイ防止法の必要性につきましては様々な議論があると承知しておりますけれども、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要でございまして、引き続き必要な取組の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 確かに人権侵害の危険性には留意すべきだと思うんですけれども、これは中国との非常に僕はアンバランスを感じるんですけれども、中国人民は中国の国家情報工作に協力する義務がある。

 海外から入ってくる研究者も含めて、しっかりとクリアランスをかける、セキュリティークリアランスを行うべきという見解もあると思います。セキュリティークリアランスに関する規制における見通しについて、現状、どのように捉えられているのか、お尋ねします。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のセキュリティークリアランス制度でございますけれども、これは一般に、政府が保有する安全保障上重要な情報にアクセスする必要がある者に対して政府による調査を実施し、その者の情報管理に係る信頼性を確認する制度として主要国で導入されているものでございます。

 日本におきましては、政府として、二月の十四日の経済安全保障推進会議において岸田総理から、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度のニーズや論点等を専門的な見地から検討する有識者会議を立ち上げ、今後一年程度をめどに、可能な限り速やかに検討作業を進めることという指示がございました。これを受けまして、現在、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議において検討を進めているところでございます。

 この有識者会議では、産業界や関係省庁からのヒアリングを実施しながら有識者による議論を深めてきているところでございまして、我が国の情報保全体制の強化に向けて、引き続きしっかりと検討してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 人権に留意しつつも秘密は保護していく、こうした方向性は非常に重要だと思いますし、引き続きこの内容についてはまた議論したいと思います。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、バイオマス発電のところなんです。

 先日、GX電源法で議論がありました再生可能エネルギーも重要だと思うんですけれども、その中で、バイオマス発電が電源構成で二〇二〇年度で二・九%を占めている、二〇三〇年度には五%程度を見込んでいるんだというところで、私の兵庫県の地元で朝来市というところで、朝来バイオマス発電所というのがありました。これは木質バイオマス専焼発電所で、二〇一六年に運転が稼働されている。ただ、木材の価格の高騰によって事業収益が悪化していったというところで、年間八万トンの木材を燃やす必要性があるんですけれども、二〇二二年十二月、昨年の十二月に発電事業を停止したんだというケースがあって、本当にこれは残念だなというふうに思っているんです。

 木材の有効活用のところなんですけれども、実際、FITで買取りが固定されているので、木材価格の高騰に対応できなかったというところがあると思うんですけれども、バイオマス発電の原料価格の高騰についてはどのように対応されていくのか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の兵庫県の朝来バイオマス発電所、認識いたしております。再エネの導入拡大を進める上では、おっしゃるとおり、残念なことだと我々も受け止めております。

 価格高騰のピークは過ぎている可能性があるというふうには認識しておりますけれども、バイオマス発電事業の安定的な運営には、燃料の安定調達と持続可能性を確保しながら、おっしゃるとおり、燃料費の低減を進めることが極めて重要な課題だと考えております。

 経産省といたしましては、林野庁とも連携しまして、これに向け、建材用途と競合しない木質バイオマス燃料の植林、育林、伐採、搬出方法などを実証するエネルギーの森実証事業でありますとか、木質バイオマス燃料の市場取引の活性化のための品質規格の策定などに取り組んできております。

 こうした取組によりまして燃料費の低減を図ることで、バイオマス発電設備が活用されやすい環境の整備に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 仮に、事業譲渡であったりとか、FIPに移行させることができるのか、この辺り、再度確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 FIT認定の下で発電を実施しているバイオマス発電事業者が、他の事業者へバイオマス発電事業を譲渡したり、あるいはFIP認定へと移行したりするということは、必要な申請を行っていただくことで可能でございます。

 具体的には、事業継続が困難となったバイオマス発電事業者が、FIT認定の下で、例えば、既にバイオマス発電事業を実施していて、燃料確保を含め、地域と長期にわたって共生できる事業者がいる場合、この事業者に対して事業を譲渡することは一つの選択肢でございますし、御指摘のFIP認定に移行するということも、市場売電や相対取引など様々なビジネスモデルを構築することが可能でございまして、実際に、FIP制度が始まりました二〇二二年の四月以降、二〇二三年五月時点で、二十件のバイオマス発電事業者のFIP認定への移行が行われております。

 こうした点もしっかり御説明しながら対応していきたいと考えております。

遠藤(良)委員 茨城県で、木材の調達不足になって一か月止まった発電所もあるということで、バイオマス発電、実際この朝来も含めてこういった事象が起こっている中で、全国的に、このバイオマス発電の普及についてはどのような見通しなのか、お尋ねしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 バイオマス発電は、地域経済の活性化とか経済、雇用への波及効果もあるということで、多様な価値を有する再エネとして、FIT制度開始以来、着実に導入が進んできております。

 他方で、更なる拡大につきましては今のような課題があるというふうに認識しておりまして、昨年九月に閣議決定されましたバイオマス活用推進基本計画では、バイオマス燃料等への国内林地残材の更なる利用に向けた、安定的かつ効率的な供給体制を構築することといったような方針が明記されております。

 また、今年度からは、FIT、FIP制度におけるバイオマス発電、支援対象の新規燃料といたしまして、非可食かつ副産物であり、持続可能性の確認手続が整理された燃料十二種を、事業者の方々からの御要請を踏まえまして、新たに追加するといったような取組も行っております。

 こうした取組や、先ほど申し上げましたエネルギーの森実証事業などの成果も活用して、更なる拡大を取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

遠藤(良)委員 発電の燃焼効率を高めるパームヤシであったりとか、先ほど加えられたというところなんですけれども、緑化を促す建材のピートモス、これらというのは輸入品でやられているというところで、もみ殻で代用する取組が青森県で行われている。もみ殻を有効活用することで二酸化炭素の排出も抑制もできますし、両方効果的なんだと。

 こういった取組については、実際どのような捉え方をされているでしょうか。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございました、もみ殻などの未利用資源、国内の資源をエネルギーとして有効利用するということは、地域の資源循環、環境にも資するという意味での重要な取組であるというふうに考えてございます。

 農林水産省といたしましては、みどりの食料システム戦略、これに基づきまして、エネルギーの調達におきます脱炭素化、環境負荷軽減の推進の観点から、地域の未利用資源の一層の活用を推進しているということでございます。

 具体的な支援ということでございますが、令和四年度補正予算それから令和五年度予算ということで、その中で、みどりの食料システムの戦略の推進交付金、これを措置いたしまして、この中で、地域資源を活用したバイオマスプラント等の整備を支援しております。委員御指摘ございました、もみ殻を活用したバイオマス発電、これも対象になっているということでございます。

遠藤(良)委員 パームヤシの価格が、先ほど、発電で燃焼効率を高めるパームヤシですけれども、パームヤシの価格が円安によって、またこういった素材も高騰化している。輸入材も価格上昇していますし、一方で、厚労委員会でも質問したんですけれども、花粉症の対策の中で、無花粉杉であったりとか少花粉杉の植え替えが今議論になっていると思うんですけれども、まだこれは一%程度しか現在行われていないというところで。

 一方で、木材、国産材を生かして、花粉症対策の植え替えも一環として、こういったバイオマス発電としての利用可能性についてはどういったお考えなのでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、花粉の発生源となります杉の人工林につきまして、切って、使って、植えて、育てるといいました森林資源の循環利用を推進し、花粉の少ない多様で健全な森林への転換を図ってございます。

 こうした中、切って利用する取組を進めていくためには木材の需要拡大が重要と考えておりまして、まずは、住宅や公共施設の木造化といった、価格の高い建築用材への利用拡大を進めるとともに、これに加えまして、伐採に伴って発生する枝葉や小径木などの未利用材を活用し、発電や熱利用など木質バイオマスのエネルギー利用、これを推進することが林業の振興等を図っていく観点からも重要だと考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、全木集材による枝葉の活用や、未利用材の収集、運搬の効率化に資する機材の整備、これを支援いたしますとともに、木質バイオマスの熱電併給等に地域内で取り組む地域内エコシステムの構築などを支援しているところでございまして、引き続き木質バイオマスの利用推進に努めてまいります。

遠藤(良)委員 政府は、バイオマス発電は二〇三〇年には五%を目指すというところで、目指している中で、今日出たいろいろな議論の中で課題はあると思います。

 実際、バイオマスに取り組んだところが潰れているというところは、もう既に矛盾が起こっていたりとか、バイオマスで使おうとしていたものが価格上昇が起こっていたりとか、そういういろいろな背景があると思いますので、是非、政府としても、これは、いろいろな取組をされている中で、先ほども花粉症対策で、結果的には花粉症対策にもなる可能性があるとは思いますけれども、こういった国産材の活用も含めて、包括的に政府としてもしっかり取り組んでいただきたいというふうに要望したいと思います。

 ちょっと時間がなくなってしまったんですけれども、今日、あと一個、質問を用意していましたけれども、それはまた次回に持ち越したいと思います。また引き続きよろしくお願いします。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 足立議員からAIのお話がありました。大変高尚な質問をされておりました。私も、足立さんには負けるかもしれませんが、AIの高尚な質問をさせていただきたいというふうに思っております。前半部分ですね。

 先ほど、いろいろ、中原審議官との質疑の中で、足立さんが明らかにされておりました。多くの方々が生成AIに対して脅威を持っておられる、心配もされているということで、私のところにもいろいろな御相談をいただいておるんですけれども、そういう中で、ただ、大原則としては、著作権法などの法令に従って、AIがもし生成物を何か出してきた場合に、それが既存の著作権などの権利を侵害している場合には、既存の法令に従ってしっかりと対応していくということが原則だということ、これを足立議員が確認をされたということだと思います。

 そして、その中で、そういった不安を、しっかり冷静に対処していただくための周知というものを政府がまずしていくことが大事だろうというようなことがあったかというふうに思います。この点については非常に重要なので、政府としても、これを、様々な今不安を持っていらっしゃる方々に対してお知らせをしていただきたいというふうに思います。

 大きなイノベーションが発生するときには、必ず大きな混乱というのが起きます。ラッダイト運動もそうですね。やはり大きなイノベーションが生まれてきたときに打ち壊し運動が起きるというようなこともありますが、そういったことをやはり人間心理としてどうしてもやるというのも、もう歴史が証明しているわけですので、そこに関しては、是非、政府としても責任を持って、安心をしていただく、今の制度でどこまでできるのかということをしっかりと周知をまずしていただくということが大事だというふうに思っています。

 その上で、様々な提案が例えば著作権を持っていらっしゃる方々からも行われていますし、また海外でも、生成AIに対する規制というものを考えなきゃいけないんじゃないかということで検討が始まっているということでございます。どういう方向に行くのがいいのかというのは、私は、今、役所の皆さんとも議論させていただきましたが、皆さんが結論を持ち合わせているわけでもないということも分かりましたし、私自身も、どういうふうにすべきだということも全く分かりません。

 というのは、私も、チャットGPTをちょっと前に、今は爆発的に誰でも使うようになっていますが、ちょっと前に、こういうものがあるよということをお知らせをいただきまして使い出したんですが、その頃と比べても格段に精度は上がっていますし、できることも増えているということで、AIがまさに日進月歩ではなくて秒進月歩で進んできているという中で、我々が、じゃ、今の制度のままでいいのかということが、本当にそのままなのかというと、分からないところもあります。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの方でも、EUがチャットGPTに対して、著作権情報を公開するようにというようなことを求めてきたりとかいうことがあるわけなんですけれども、そういったことを例えば我々が考えなきゃいけない段階に来ているのかどうか。こういうことを、今、足立さんの質問に対して御答弁されたので、多分同じ答えが返ってくると思うので、本当にさらっとで結構ですけれども、そういった検討状況があるのかとか、あるいは、政府の方で、先ほど私が申し上げたようなEUの状況とか、把握していることがあれば教えていただきたいというふうに思います。

 ちょっと大分時間が、私のところで吸収しなきゃいけないので、まとめて質問したいというふうに思いますけれども、それから、そういった検討の前提となっているような著作権の侵害状況というものを政府として何か把握しているのかどうかということ。

 また、著作権を持っていらっしゃるクリエーターの方々においては、オプトイン方式というものをやはりやらないと、実際に権利の侵害から守ることはできないんじゃないかというようなことも言われています。

 ただ、これも、システム側でどういうふうに対応するのかという問題も非常に難しいというふうに思いますし、また、オプトアウトということで、これは、自分たちが一々、AIのシステムの方に対して、使わないでくれというような拒否をするというようなことなんですけれども、こちらの方ももしかしたら可能性があるのかもしれませんが、ただ、AIというのも、何で自分がこの答えを出したかということ自体を答えを出せないというような、そういったことも聞いたことがあります。そういう意味では、オプトアウトをしたところで、既に学習しているデータを抜いて、そして、その状態に戻ってまたAIとしての機能を果たせるのかという問題もあります。

 ちょっと質問をまとめちゃったので、本当に自由に、懇談会形式でやっていただければと思うんですけれども、繰り返しますと、侵害行為の把握をしているのかどうか、それから、クリエーターの皆さんがおっしゃっているようなオプトインとかそういった対策というものを考えられるのかどうかとか、あるいは、今EUで検討が始まろうというようなことも行われている、そういう国際的な状況、こういったことについて御答弁いただきたいと思います。

中原政府参考人 まず、委員から御指摘をいただきました著作権侵害についての現状でございます。

 著作権侵害につきましては、個別具体の事案に即して、最終的には司法判断によるところでございますので、文化庁としましては、この段階におきまして、具体の侵害行為の状況については把握はしておりません。

 一方で、生成AI等により著作権の侵害の疑いがある生成物が作成、公表される懸念のお声があるということは承知をしてございます。

 それから、オプトイン方式の採用についてでございますけれども、著作権法の第三十条の四におきましては、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用につきましては、著作権者の許諾なく著作物の利用を可能とするというものでありまして、これは、著作物に係る対価回収の機会を損なわず、著作権法が保護する著作権者の利益を通常害しない行為というふうに考えられるものをその対象としております。

 また、同条におきましては、著作権者の利益を不当に害することとなる場合については適用されない旨定めておりまして、利用実態やその権利者を含む関係者の意見を踏まえ、著作権者の利益にも配慮をしているというところでございます。

 このため、いわゆるオプトインのような、著作権者から事前に許諾を得るということを要さずに著作物の利用というものを可能としているところでございます。

 海外の動向を全て把握しておりませんが、AI学習のための著作物利用に係るいわゆるオプトイン方式の導入について検討している国があるということにつきましては、私どもは今のところ承知をいたしておりません。

 それから、三つ目におきまして、事前にAIが用いたデータなどを公表すべきではないかという御指摘でございますけれども、いわゆるAIの学習におきまして、著作物を含め、どのような情報が集められて、どのような技術、形態により行われているかというのを必ずしも詳細に承知しているわけではございませんので、一概にお答えすることは困難でありますけれども、AIの学習に係る著作権法三十条の四の規定は、先ほど申し上げましたように、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用につきまして、著作権者の許諾なくその著作物の利用を可能とするものでございます。このような利用行為は、著作物に係る対価回収の機会を損なわず、著作権法が保護する著作権者の利益を通常害しない行為であるというふうに整理されているため、同条ではそれらの行為を求めてはいないところでございます。

 いずれにいたしましても、いろいろな方々のお声に耳を傾けながら、御意見を拝聴しながら、バランスある運用になるように努めてまいりたいというふうに思っております。

小野委員 ありがとうございます。

 著作権法の三十条の四のところは、解析用というのは、それはもちろん法律に書かれていることで、当然のことだと思うんですけれども、それを生成して、生成AIが、そのイラストを価値あるものとして売る場合というのは、やはり何らかこれは考えるということが必要なのかもしれません。そこは、でも、先ほど足立さんがおっしゃったように、既存の法律で対応できるだろうということもあるんでしょう。ただ、人の手と違って、AIは物すごい速度で作っていくので、それに関してどうするのかという議論がもしかしたらあるのかもしれません。

 EUの方の議論の状況、これも是非注視していただきたいというふうに思います。何しろ、今、ドイツの方で生成AIがあって、それが日本でも使えるようになっているということで、そういう意味では、我が国の法律ということ、我が国の考えということだけではなくて、国際的にやはりどういう議論をしていくのかということを一緒にやっていかなきゃいけない問題だというふうに思っていますので、是非アンテナは高く張っていただきたいなというふうに思うんです。

 この問題について、AIについては内閣府ということでございまして、私も熊本で大変お世話になった渡邊昇治さん、今AIをやっていらっしゃるということで、もう大体、今中原審議官からもお話ありましたが、何か内閣府としてほかに補足してお答えいただけるようなことがあれば、お願いします。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府としましても、今のオプトイン方式ですとかオプトアウト方式について議論があることは承知しておりますけれども、とにかく、メリットあるいはリスク、いろいろな問題があって、内外でもいろいろな議論がありますので、こういったものを、正直申し上げて、今まだ注視している段階でございます。

小野委員 ありがとうございます。

 今の段階で何か規制とかということはないというようなことだと思いますけれども、とにかく状況は、AIもどんどん進化していって状況も変わりますので、そういう中で、不安に思っていらっしゃる方がいるのはこの大きな時代の流れの中で当然だというふうに思いますが、その中で、アンテナをしっかり張って、適切な対応がもし必要であれば行っていただく。しかも、その視点の中で、やはり国際的な協調の中で、EUも本当に、規制をかけるかけると言っていますが、どういうかけ方が実際に技術的にできるのかとか、様々な課題があろうかと思いますが、その辺を是非内閣府として把握をしていただきたいと思います。

 そして、西村大臣にお伺いしますが、AIというのは、やはり産業としても非常に大事なものだと思います。片や、様々な人間の創作活動というものも大事にしていくということも両立させることが必要だというふうに思うんですけれども、生成系のAIの、今回はちょっと画像ということで私はお聞きしていますけれども、商業利用に関する産業政策上の国のスタンスについてお答えいただければと思います。

西村(康)国務大臣 生成AIについてでありますが、多くの産業におきまして、単純な作業の代替や効率化だけではなく、作業者によらず高品質なものを生み出したり、個人の発想を超えてアイデアの革新を促したりするなど、劇的な変革をもたらす可能性があるということだと思います。その一方で、御議論がありますように、著作権侵害などのリスクもあるということであります。

 昨日、AI戦略会議が開催されまして、会議の中でも、AIを活用する際に考慮すべき懸念、リスク、それらへの対応策など、様々な議論があったところであります。

 経済産業省として、まず、AI、特に生成AIが抱えるリスク、著作権などに関する懸念を含むリスクを、しっかりとそこをクリアしながら、踏まえながら、将来にわたるイノベーションの可能性を踏まえた利活用を促していくということで、競争力ある大規模言語モデルなどの基盤的なコンピューター計算能力、こうしたものの醸成に取り組んでいく考えであります。

 一方で、クリエーターの立場からいきますと、権利侵害などを懸念する声が上がっておりますし、こうした声にもしっかりと向き合いながら、また、クリエーティブな活動の中でクリエーターがそれをどう活用できるのかどうか、こういった観点も踏まえて、いわゆる産業政策にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 まさに、技術をどうやって前向きに使っていくか、みんながハッピーになれるためにやっていくかということが、これが産業政策だと思いますので、様々な懸念がある中ですけれども、やはりその中で、アニメーターの方も本当に昔は大変な仕事をされていて、非常に手間がかかる、そして本当に過酷な仕事だったということが、生産性が向上するというようなこともあろうかと思います。片や、著作権をどうやって守るのかということも、ちゃんと安心して確保することができれば、これはもうAIが、人類にとって、あるいはそういったクリエーティブな仕事をする人たちにとって福音となるということだと思いますので、そういった高いところを目指して、是非政府としても頑張っていただきたいと思います。

 残りの時間は、半導体工場の排水についてお伺いをしたいと思います。

 半導体というのはかなりの水を使うということでございまして、その水がどのような形で使われて、そしてその中には、例えば半導体の場合にはかなりの処理工程があって、そこに水が介入するわけですけれども、そこに、製造工程に利用した水にどんな化学物質が含まれているのかということをまずお伺いしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 ナノメートルレベルの非常に微細な加工を半導体は必要とするわけでございまして、僅かなちりやごみが付着しても性能を発揮できないということでございます。このため、各工程の終了後に入念な洗浄を行う必要がございまして、特に半導体の製造には数百から数千もの工程を要します。その都度洗浄が必要となるため、非常に多くの水を利用するということでございます。

 御指摘のように、半導体の製造のためには工程ごとに更に多種多様な化学物質を使用するわけでございますが、具体的には、シリコンウェハー上に薄い膜を生成する成膜工程において使用されるアンモニアなどの窒素化合物、また、ちりやごみを洗い流す洗浄工程において使用されるフッ素化合物などが挙げられるということでございます。

小野委員 ありがとうございます。

 私もニュースで最近見たのは、そのフッ素化合物、広くはPFASと呼ばれているものですけれども、これは工場だけではなくて、原因も、何でそれが出ているのかよく分からないというような状態でもあります。また、PFASに関しては、人体に対する影響もどうなのかというのもまだちょっと分かっていないという部分もあります。

 ただ、そういったものが多く使われて、そして排水の方に含まれていると、やはりそれは不安にもなろうというふうにも思いますし、また、我々が分からない中で、結局、後になってこういうことが原因なんじゃないかということが、水俣病なんかでも、これは熊本の場合には大きな禍根を残したんですが、やはり早くから、できる限りリスクを減らしていく、分からない中でも最大限対応していくということは努力として必要なんだろうというふうに思います。

 そういう中で、例えばPFASの排水の基準値とか、あるいは工場から出ている排水の遵守状況とか、そういったことについて把握していることがあれば教えてください。

秦政府参考人 まず、水質汚濁防止法、これは一般論でございますけれども、半導体製造工場を含みます工場の排水につきまして、全国一律の排水基準を設けまして、これに適合しない排水を排出しないような規制というのを実施いたしております。

 この規制を遵守いただくために、事業者に対しまして排水の測定あるいはその汚染状態の確認を義務づけますとともに、各都道府県等におきましては、必要に応じて工場への立入検査等を行ってございます。環境省におきましても、必要に応じて自治体への指示や技術的な助言等を行ってございます。

 具体的には、フッ素及びその化合物につきましては、八ミリグラム・パー・リットルという基準値を設けております。

 あと、今御指摘のPFOS、PFOAにつきましては、これは、化学物質審査規制法という法律がございまして、新たな製造及び輸入がもう既に禁止をされてございます。現状において、半導体製造工場からの排水に含まれるというのは想定されにくい状況かなと考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 確認なんですけれども、PFOS、PFOAとか、そういったフッ素の化合物が、それが今、暫定目標値になっていますよね。それも、工場から排出するところまでちゃんと見ているんですか。それとも、今全国で千か所以上のところを観測していますけれども、そのレベルなのか。そこをちょっと確認をさせてください。

秦政府参考人 PFOS、PFOAそのものにつきまして、基準値を設定しているという状況にはまだ至ってございません。これは今、科学的知見も、世界的にですが、十分でないことから、現在、専門家会議というのを、環境省、それから水道水質を所管する厚労省と連携しながら設置をして議論しておりまして、今のところ水質については暫定目標値ということで運用しておるところでございます。

小野委員 科学的な知見を積み上げていくことが大事だと思います。国際的にも、今、例えばそうしたPFASについては、ドイツではリッター当たり二十ナノとか、それからアメリカでも四ナノとかという基準が定められて、これから決まろうというようなこともあります。なので、我が国としても、国際的な動向を見ながら適切に対応していくというところも是非これは考えていただきたいというふうに思います。対応が遅れたということで取り返しがつかないというようなことが、先ほども水俣病の例を申し上げましたけれども、我々はすごく経験しているわけですので、そこについては常に注視をしていただきたいと思います。

 そして、最後に、ただ、そうはいっても、技術の方がどんどん発展しているということはあります。例えば熊本のホンダのバイクの工場でも、ほとんど排出する水が出ないというような形で、完全に循環するようなシステムができ上がっていたりします。

 半導体の場合には物すごく多くの水を使うわけなんですけれども、それでも、というか、だからこそ、水をなるべく多く使わないで循環させるような技術の開発というのも大事だと思います。

 アリゾナという砂漠の中に、インテルとか、あるいはTSMCの、日本で作っているよりももうちょっと微細なものを作るというような工場も建っているわけなんですが、砂漠という元々そんなに水がないところで循環をさせて半導体工場を造ろうというようなことも今進んでいまして、こうした水を多く使う産業についての、なるべく循環をして排水も出さないような技術的動向というのをどういうふうに把握していらっしゃるのか、あるいは経産省としてどう関わっているのか、教えていただきたいと思います。

門松政府参考人 お答え申し上げます。

 水の使用量の削減、それは極めて、各社、そもそもコストに関わる部分なので、一生懸命やっておられるというふうに承知をしておりまして、例えば使用済みの水を処理して洗浄用水としてリサイクルをするというのは基本的にやられているところで、技術的にノウハウが各社ありますから、我々も存じ上げないところはたくさんあります。

 また一方で、一度に多数のウェハーを洗うとか、そういう工夫をする工程を組み込んだりして、企業ごとに工夫を凝らしているというふうに承知をしておりますが、基本的にこれは企業のノウハウだというふうに承知をしております。

小野委員 産業政策をつかさどるということでもあります。そして、日本は本当に恵まれていると思うんですけれども、湯水のようにという言葉はほかの国には存在しないということで、それだけ自由に使えるというような環境ではあるんですね。

 ただ、私がいた熊本のところでも、何をやっているかというと、一生懸命、水の涵養をしているんですね。冬にも水を田んぼに張って、そしてそれが浸透するというようなことをやらないと、これからどんどんどんどん、あそこも人口が今調子がいいので増えてもいますし、それから、そうやって半導体の工場がどんどんできていくと使用する水の量も増えていくというようなことでもありますので、やはり、そういった水をどうやって大切に使っていくのかというところについても、今おっしゃったように、各企業のノウハウだというふうにおっしゃいましたが、ここは是非、日本の強みとして、やはり水の処理とかあるいは再生というものも考えていく必要があると思いますので、そこについても経産省がしっかりと関心を持って施策を進めていく、あるいは、それぞれの事業者の動向をしっかりと把握をした上で横展開をしていくですとか、そういった努力もしていただきたいというふうに思います。

 これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十六分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 お疲れさまです。国民民主党の鈴木義弘です。

 質問に入りたいと思います。

 ちょっと古い資料しか見つけられなかったんですけれども、独立行政法人の物質・材料研究機構が二〇〇七年、ちょっと古いんですけれども、二月十五日に発表しているレポートで、「二〇五〇年までに世界的な資源制約の壁」というレポートなんです。これは、各種金属資源の将来消費の予測を実施して、消費量が二〇五〇年までに現有埋蔵量の数倍を超えてしまう金属が多数あることを指摘しているというものなんです。

 このレポートが発表されて十六年たったんですね。経済産業委員会で私もレアメタル、レアアースの質問はしているんですけれども、これも大事な物質だと思うんですが、このレポートでは、二〇五〇年までの累積で現有埋設量の数倍の使用量が予想されている金属が、銅だとか鉛、亜鉛、金、銀、ニッケル、マンガン、アンチモン、リチウム、インジウム、ガリウムと指摘されているんですね。

 ふだんは当たり前のように私たちは製品を使って、スマホも何でもそうだと思うんですね、車も、調達先からお金を出して買ってきて、それで私たちの生活の豊かさを供与してくれているんだと思うんですけれども、これから、GXのときもそうなんですが、再エネの推進やエネルギーの安定供給ということが重要な課題。産業を興していくのにも、電気はどうする、これはもう待ったなしの話になっていくと思うんです。しかし、資源の争奪戦が、レアメタル、レアアース以外のものももう始まっているというんですね。

 もしかしたら日本が出遅れちゃっているのかもしれませんけれども、資源の確保ということに関して、経済産業省の取組をまずお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、各種鉱物資源の需要見通しを踏まえた対策が重要というふうに認識をしております。

 鉱物資源の安定供給確保に向けては、民間による資源確保のための探鉱、採掘、製錬といった事業に対して、JOGMECが出資などのリスクマネーを支援しておりますし、また、各種の税制上の控除措置などを設けているところであります。

 また、国際連携を進めていくという中で、欧州、北米、オーストラリアといった同志国と連携した鉱物資源開発にも取り組んでおります。私も就任後、オーストラリアとの重要鉱物パートナーシップを締結いたしましたし、また、鉱物資源のポテンシャルが高いアフリカの担当大臣、コンゴ民であるとかナミビアであるとか、お会いをし、協力関係の深化について確認をしたりしているところでございます。

 また、G7の気候・エネルギー・環境大臣会合におきましても、まさに重要鉱物の重要性ということで、オープンでマーケットベースの取引の重要性、市場歪曲的な取組への懸念について提起し、共同声明に盛り込んだところであります。加えて、この会合の中では、各国連携による責任ある開発、あるいはリサイクルの更なる推進など、G7各国が協力して取り組むべき対応として、重要鉱物セキュリティーのためのファイブポイントプラン、五つの重要ポイントといったことを提案をし、合意を得たところであります。

 引き続き、この重要鉱物、レアメタルからベースメタルまで、一部のものではなくて幅広く是非しっかりと確保し、サプライチェーンも含めて構築をしながら、安定供給確保に努めていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 幾つかの考え方があって、大事な視点を答弁いただいたんですけれども、それを、じゃ、具体的にどうしていくかという段階に入っているんだと思うんですね。

 例えば原油であれば、二百四十日の備蓄をしています。お話を聞くと、百八十日は政府備蓄、六十日が民間備蓄。ですから、去年の原油の価格が高騰したときに、民間の六十日分を先に出してもらって、後から政府の備蓄したものを出すという形ですね。政府は政府で、使った分を自分たちの、政府の責任において産油国から買ってくる、民間は民間で、需要があればまたそれを手当てするということをするんだと思うんです。

 ベースメタルもそうだし、レアメタル、レアアースもそうでしょうけれども、今でも、ある一定量は国内にストックしている。じゃ、それを誰にやらせているかといったら、JOGMECなんだ、そういう報告は受けます。それで足りるのかという話なんです。先ほどから申し上げていますように、現有の使用量だけで、あと三十年、四十年近くたっていけば、数倍の量のメタルが必要になってくるということなんですね。それを確保できるかという。

 国際協調するとか産出国と仲よくするとかというのは、それは聞こえがいい話なんですけれども、取り合いになったときに、そんなことじゃ買い切れないと思います。もう買い負けしちゃっている分野も、メタルばかりじゃなくたって出ているんです。分かっているんだけれども、やろうとしない。そこが、もう一歩踏み出さないと、あれよあれよあれよという話。

 先ほども、アフリカの方で投資をして、会社に投資をして資源確保していく、中国ももうそんなのはやっていますよ、現実の話。じゃ、どっちがお金を出してくれるのという話になれば、お金を多く出しているところに寄っていくのが資本主義の原理だと思うんですね。そこのところをやはり踏まえて、どう国内にストックするかというのが大事なんだと思うんですけれども、もう一件だけちょっと、もう一回お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御案内のとおり、かつて中国からのレアアースの輸出を止められたことがあって、あれを機に、日本として、リサイクルする技術、あるいは、同志国である北米あるいはオーストラリア、インドといった国々と様々な協力の中でレアアースを確保していく枠組みをつくったところであります。

 そうした経験、教訓を踏まえながら、今まさに新しい時代を迎えている中で、電気自動車であるとか、あるいは5G、まさにAI、量子といろいろなものをやっていく中で、必要な資源を、半導体開発にも必要でありますリチウム、ニッケル、様々な物資について、同志国と連携しながら、上流から、そしていわゆる製錬も含めたもの、そして下流まで、このサプライチェーンをしっかり構築していくということが重要だと考えておりますので。

 他国も、もちろん競争しながらやっている部分もありますけれども、しっかりと同志国と連携しながら、G7でもそうした方向性を確認をしておりますので、日本として必要なものを確保できる、そうした体制、しっかりつくっていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 G7で確認しても、G7は、レアメタル、レアアース、出ているところはほとんどないと思うんですよね。

 もう一つ、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、これから炭素ゼロの柱となっていくのがEVと再生可能エネルギーであるというのは、論をまたないと思うんですね。ここに大量のレアメタル、レアアースなどのバッテリーメタルが使われているということなんです。

 例えばEV車を百万台生産するのには、リチウムイオン電池の主原料であるリチウムで年間七千百五十トン、コバルトで年間一万一千トン必要と言われているんだそうです。この量は、これもちょっと数字が古いんですけれども、二〇一八年、日本の需要に匹敵する、一年間使うリチウムとコバルトの量に匹敵すると言われているんです、百万台造るだけでですね。

 日本で今、五百万台かちょっといっているぐらい車は造られていると思うんですけれども、単純に全部EVに入れ替えるという話になれば、四百万台、五百万台造るといったら、単純に今の技術水準でいったときに四倍から五倍、リチウムとコバルト。リチウムは、御案内のとおり、ほとんど中国から入れています。コバルトも、一部中国以外の国もあるんですけれども、それを確保できるかというような話なんです。

 いかがでしょうか、政府の方で。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、リチウムやコバルトは、リチウムイオン電池の市場拡大に伴いまして急速に需要が伸びております。各国との資源獲得競争も一層厳しさを増しているところでございます。

 このため、経済産業省としましては、蓄電池産業戦略というものを策定しておりまして、この中で、二〇三〇年に蓄電池百五十ギガワットアワーの国内製造基盤を確立するために必要となる原材料として、年間でリチウム約十万トン、コバルト約二万トンを確保することを目標としております。これは、先ほど先生が引用していただいた数字よりも、更なるボリュームをこれから年間ベースで獲得していかなければならないということでございます。

 このため、JOGMECを通じたリスクマネー支援や、経済安全保障推進法に基づきましてバッテリーメタルなどを重要鉱物として指定してございまして、それに基づいて助成事業ができることになっておりますけれども、これらの財源として総額二千百五十八億円を令和四年度補正で措置いただいたところです。

 これまでも、例えばリチウムに関しましては、豊田通商さんがアルゼンチンで行うリチウムの原料採掘事業にJOGMECが債務保証しました。さらに、その原料を電池材料である水酸化リチウムに加工する工程を、帰還支援立地補助金も活用いただいて福島県楢葉町に建設し、二二年十一月に稼働を開始したところでございます。これによって、足下、日本国内で必要な水酸化リチウムのおよそ三割を、鉱山から加工工程まで確保できるような見通しが立ってきております。

 ただし、これでは全然足りておりませんで、今後もこうした事例を更に増やしていくため、先ほどの予算を活用した企業への支援、あるいは大臣からも御答弁しました積極的な資源外交、これらを総動員しながら、バッテリーメタルを含む重要鉱物の確保に努めていく方針でございます。

鈴木(義)委員 再生可能エネルギーだとか蓄電池が待ったなしというのは何回もお聞きになると思うんですけれども、電池やモーターを使う、限られた産出国からしか、そういったレアメタル、レアアースも含めて、偏在していることが一番なんですけれども、今更、じゃ、私たちがどうにかできるものじゃないので、他国との資源獲得競争で負けちゃっているんじゃないかという危機感があってしかるべきだと思うんですね。

 それで、今御説明いただいたように、三割は確保できるんだ、それはその一つの分野の、一つの話で終わってしまっている。じゃ、それの需要がぐっと伸びていったときに、それを一〇〇%だとか二〇〇とか三〇〇に持っていかれないと、結局、足らない、高騰する、高くなってしまったから売れない、安く仕入れて造っているところに持っていかれてしまう、これはもう目に見えるわけです。特に、ガソリンエンジンじゃなくて、モーターで動く電気自動車になっていけば、技術的な革新はほとんどない。モーターで動かせるだけ。あと、デザインとか、中のインテリアの関係。だから、キーになるのはモーターと蓄電池なんですよね。それはもうお仕事されていて分かっていると思うんですけれども。

 だから、日本はやはり、企業と、何というんですかね、補助金の出し方も、その年の予算というのがあるのは承知しているんですけれども、こうやって円安にぐっと振れたときに、最初ストックしてあった予算で買える量が減っちゃうんだよね。百十円で一ドル当たりの計算でやるのか、百三十五円でやるのかで、もう全然、そこで二割変わってきちゃう。

 そういったことも、やはり長期の視点に立ってやらなくちゃいけないんじゃないかというふうに思うんですね。これは、五年がいいのか、七年がいいのか、十年がいいのか。

 それと、使ったものをなるべく国内でストックできるような体制も併せて整備する。リサイクルというと、必ず環境省の話をしたりする。作ったところから最後までまた回すんだったら、そこは環境省じゃなくて経済産業省が産業政策の一環としてやらないと、この問題は解消していかないと思いますよ。こっちの分野はこっち、こっちの分野はこっちと。

 次のところで、国際連携で後れを取っているというふうに言われているんですけれども、大臣からも答弁いただいたんですけれども、そこのところをG7だとか先進国でタイアップしていくというのはいいんですけれども、希少金属も含めて、メタルの関係はほとんど、後進国というんですか、後発国のところに眠っている。

 過去にも質問に使ったんですけれども、ヘリウムガスの話をこの委員会で取り上げさせてもらいました。今までは、アメリカから八割、ヘリウムガスを買っていた。それを国家戦略物資にアメリカが指定していますから、結局、半導体だとか医療関係に大半が使われているんですけれども、なるべく分散しようということで、カタールだとか西アフリカだとかポーランドのウェートを上げていこうと。

 それだって、産出するところというのは限られちゃっているわけですよ。ヘリウムガスを日本で作れるわけじゃない。空気中にあるやつを何とか取ってくるというのは、できなくはないんですけれどもね。そこまでコストをかけてやるほどの金額までいっていないというのが現実だと思います。

 だから、いろいろな面で、資源がない国日本、人材が資源なんだというのはいいんですけれども、実際に、知恵を出しただけじゃ、物がなければ作れないんですよね。だから、なるべく、外から入れたもので、どうしても加工貿易して外に出すときは致し方ないんですけれども、国内で一回消費したものはきちっと国内で回すような体制をつくっていかないと、乗り切れないんじゃないかというんですけれども。

 もう一回、もし何か御答弁いただければ。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これからEVなどが普及していく中で、特にモーターに必要な鉱物というのはレアアースがございまして、これは産出の六割が中国で行われている、それから、バッテリーの方に必要となりますコバルトにつきましては約七割がコンゴ民主共和国で産出されているということで、偏在がございまして、やはり、こういう調達先を多角化していくということは、資源の安定供給を図るための大事な課題であると思います。

 そのためには、委員御指摘のとおり、いろいろな企業同士、あるいは日本と海外の、特に同志国です、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどとの連携を強化していくということが極めて重要な課題だと思っておりまして、我々経産省としても、国内の商社、資源会社の方々と定期的な連絡会を開催しまして、なるべくいろいろな機会に、皆さんで連携しながら、参入をうかがうような動きを促進しているところでございます。

 あと、大臣が申し上げたG7の連携に加えて、アメリカが提唱したミネラル・セキュリティー・パートナーシップという枠組みがございまして、ここにオーストラリア、カナダ、イギリス、ドイツなどと参加して、これも、海外と共同プロジェクトの可能性などについて議論してございます。

 加えて、御指摘のとおり、せっかく日本として確保してきた資源を、国内で有効に、リサイクルも含めて活用していくということも重要な取組でございまして、国内から出てくる家電製品、バッテリーなどのリサイクルに必要な技術開発なども進めているところでございますし、有事に供給が途絶するということへの備えとして、国内でも、レアメタルの備蓄など、原則として六十日分確保するということでやっているところでございます。

 こうした取組を組み合わせながら、必要な資源、外から確保すべきは確保するし、確保したものをなるべく国内で循環して使っていくという方向で取組を強化していきたいと考えてございます。

鈴木(義)委員 今答弁で、六十日は備蓄するというんですけれども、先ほども申し上げたんですけれども、経産省の大先輩で、堺屋太一さんが昔小説を書いた、「油断!」という本を読んだときに、当時、日本で備蓄していた原油の量が九十日分。その小説からきっかけになったのかどうか分かりませんけれども、それで今申し上げましたように、二百四十日分備蓄するようになっているんですね。

 だから、六十日でいいのかといったときに、じゃ、何か有事が起きたときに六十日分で、もう後は作れませんよといって、それから、じゃ、売ってくださいよといって働きかけたって、六十日じゃどうにもならないよね。だから、それを百八十日にするとか、二百四十日にするとか、三百六十日分ストックできるような体制を、いきなりは難しいでしょうから、少しずつやはりつくっていかなくちゃいけないということなんですよね。

 例えば、もう一つ、二〇二一年四月に、遅ればせながら、電池関連産業の国際競争力強化を目的に、日本の名立たる企業五十五社が電池サプライチェーン協議会を設立して、七つの項目を政府に政策要望したという記事を見たんです。ここで、部素材を含む電池サプライチェーンに関する投資の支援、電池原料確保の推進として、リチウム、ニッケル、コバルトなど、資源開発の保証、税制優遇、外交支援、具体的にこういうことを要望しているんですよね。電池リサイクルの仕組みづくりとして、リサイクル材使用のインセンティブ、ルール形成における政府との連携。電力単価の抑制、過渡期の補助など。あと、電池部材、リサイクルの研究開発への支援、ここでも言っていますよ。

 だから、今部長さんがお答えいただいた、審議官かな、定光部長さんでよければ、こういう具体的なもうテーマを出されているわけじゃないですか。それに基づいてやはり計画を作るしかないし、それが法律の改正が必要であれば、法案として出してもらうしかないんじゃないかと思うんですね。

 それと、あと国際標準化活動への支援ということですね。これは七年、八年前にもお尋ねしたんですけれども。

 日本は駄目だ駄目だと言う人もいるんですけれども、やはり技術的な水準はすごく高くて、じゃ、その水準をもって国際標準にする戦略を取らないのかといったら、ほかの国がやめてくれとか、ほかのメーカーがやめてくれと言うから、標準にはしないで、戦略としてその品物を海外に売っていくんだ、そういうふうに経産省の担当から聞いたことがあります。だから、それをやはりちょっとハードルを引き上げて、電池の原材料を売ってもらうことも含めて、結局、日本の技術を国際標準に上げることで、ほかで売るよりは、日本で調達させてもらった方が少しでも高く買えるんだという環境をつくるのが大事なんだと思うんですね。

 それと、あともう一つ、EVの導入見通しの提示が必要だ。さんざん言ってきた。七年で、二〇三〇年で四六%カットするということは、それまでにEV車を何台出していくのか、こういう話になってきます。具体的なタイムスケジュールを出していく時期に来ているんじゃないか。

 去年、ここの委員会でも申し上げましたように、ドイツが、合成燃料だったらエンジンは残していいよ、こういう話にかじを切り直したわけですね。今の話は、二年前にトヨタの社長が、いや、ガソリンエンジンは残さなくちゃいけないんだ、内燃機関は残さなくちゃいけないんだと言っていたのが、二年余りたったら、そっちの方向にヨーロッパは向いたわけです。じゃ、日本はどうするのという話です。

 それから、この要望書を提出して、今年は二〇二三年ですから、もう二年たっているんですね。半導体には、おととし、四千五百億円出したんですけれども、じゃ、再エネの基になる電池だとかモーターにこれから幾ら直接投資すれば何とかなるものなのか。その辺、今の時点でお分かりになるようだったらお答えいただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まず、先生御指摘の電池サプライチェーン協議会の御議論も踏まえた上で、去年、先ほど定光部長からも答弁がありました戦略を作っているんです。その戦略で、いつまでに何をというできることは書いていまして、それに基づいて、例えば蓄電池や材料等の国内生産基盤の確保に向けて、令和三年度補正予算で一千億円、また、令和四年度補正予算において三千三百十六億円の措置を行っています。

 また、蓄電池、モーター、これの高性能化、省資源化、リサイクル等、その研究開発に向けて、グリーンイノベーション基金において千五百十億円の措置を行っている。

 予算は現状そういう形になっていますが、今後の方向性も一応そういう形で、戦略で示した上でというところで、協議会の皆様ともよく相談しながらまた進めていきたいというふうに思っている次第でございます。

鈴木(義)委員 この五十五社の協議会の中にトヨタ自動車が入っていないんだけれども、何でかなと思うんですけれども、そういうのはその会社の戦略があるんでしょうね。だから、パートナーでやるところと、いや、自分のところは独立で、こっちはこっちでやりますよという話なんだけれども。

 そうすると、さっきお尋ねしたような、企業と国ぐるみで闘う姿勢ができるかといったときに、ドイツなんかはBMWにどんとお金を出すんだな。新しい電池を作りなさいとか、材料の製錬とかいろいろな工程がありますから、それを開発するのに、自動車メーカーにどんと出すわけですね。

 日本は、どっちかというと満遍なく。プレーヤーが多いからといって、全ての人たちが満足いくようなお金の出し方、強弱がついたとしてもですね。だから、じゃ、今、一千億、予算確保しましたといったって、百社あれば百社に平らに出していく。だから、イノベーションが起きない。もうそろそろやはり、プレーヤーが多い日本で、確かにそれが活力なんだと思うんですけれども、均等な支援ではなくて、特定の企業にどう巨額の支援を行っていくかというところに来ているんじゃないかという考えを示す人もいるんです。

 今までの政策は、戦後の復興期からずっと余り変わっていないと思うのは、満遍なく全ての人たちに。それでやれたときはよかったんだと思うんですね、全体で大きくなってきましたから。でも、それが先鋭化していかざるを得ない時代に入ったとき、競争が激化しているということです。

 特に、今申し上げましたように、エンジンじゃないもので動力にしていこうとなると、技術革新、確かに超電導みたいなやつを研究開発していたんですよね。マイナス二百七十三度というのが絶対零度と言われていたのが、少しずつ少しずつ研究開発して、マイナス五十度だったか六十度だったか、そのぐらいまで来ているかなとは私の拙い知識の中にはあるんですけれども、でも、普通の使い方はできませんよね、マイナス五十度、マイナス六十度。電気抵抗がゼロだから画期的なものになるんだということで、超電導のやつを研究開発してきたんですけれども、常温の十度とか二十度、三十度で使えるものはまだまだできていないと思うんですね。

 そういう技術革新はしていったとしても、この三つのフレミング左手の法則は全然変わっていないはずなんです。そうすると、モーター自体はどんなに性能がいいといっても、永久磁石を使うか、電磁石を使うか、この二つぐらいしかないはずなんです。もっと違う技術革新が出てくれば別ですよ。

 高性能のモーターといったらこういうものでしょう、電池はこういうものでしょうと。確かに、ナトリウムを使ったり、マグネシウムの蓄電池を開発している。埼玉県ではマグネシウムの取組をしていますけれども、実際まだ実用化されたというところまでは来ない。埼玉で今やっているマグネシウムは、モバイル系の小さいやつはできるんですけれども、大型の蓄電池には対応できない。用途が限られちゃっているということですね。だから、ナトリウムも同じ。どういう使い方をするか。使い方が制約されてしまうと、幾らいいものであっても、幅は広がっていかないという考え方になりますから。

 そこのところを、どう今後取り組んでいくかというところに差しかかってきていると思うんですけれども、御答弁いただければ。

中谷副大臣 先生御下問は、今後のGXとかDX投資は集中して行うべきだということだというふうに理解をしているところであります。先生がおっしゃるとおり、経済安全保障を始め重点分野に対して、ばらまきではなく、一挙にということで、集中的に重点的に投資を進めることは極めて大事であります。

 その上で、先ほどから先生御下問の蓄電池について申し上げれば、蓄電池は装置産業でございますから、投資規模の経済が競争力を左右する重要な要因の一つであるというところであります。政策支援に当たりましては、大規模投資を行う事業者へ集中的に支援することとしているところでありまして、令和四年度第二次補正予算においても措置した三千三百十六億円、これにつきましても、まさにそのような方針の下、支援を行っていくというところであります。

鈴木(義)委員 アベノミクスのときにもいろいろな投資ファンドをつくりましたよね。いろいろな省庁が、うちは何とかファンドだ、何とかファンドだといって。だから、ファンドをつくってそこの会社にお金をどんと入れるんだったら、株を逆に取得してもらって、それがもしうまくいって株価がぐっと上がったら、それで売ってそのさやをいただければ、国民には何の負担もかからない。そのぐらいのことをやらないと、国と企業の連携というのはそういうことじゃないですかね。だから、もう一歩を踏み出さないと。

 先ほどの繰り返しになりますけれども、一千億の枠を組みました、手を挙げてくださいと言ってわあっと来たときに、最初の予定だと百社だったのが二百社になれば、国は何をやるかといったら、枠はいじくらないで、出す金額を下げる。いろいろな補助金を出しているけれども、みんなそういうやり方をしています。二分の一に下げている、枠は取ったけれども。エントリーする人が予想よりも多かったというと、申し訳ありません、早い者順で枠を全部使い切りましたから、もうあなたに出せるお金はありませんから来年度以降ですと断る、そういうやり方をずっとやってきているんです。それで、じゃ、何かいいものが生み出されたのかというところは余り重要視しないんだよね。だから、そういうやり方はもうやめた方がいいんじゃないかという考え方なんです。

 是非、最後に、じゃ、自分ならどうするんだと問い返されたときに、私は、だから、大して真新しい話じゃないんですけれども、一つは、デポジットをもっと取り入れていった方がいいんじゃないかと思います。

 一時期、日本でも、酒の瓶だとかしょうゆの瓶だとか、そういったものは今でもデポジットでやっていますけれども、全然広がらない。ほとんど使い捨て。私たちが使っているスマホでも、携帯電話もそうですけれども、リチウム電池があっても、ただ、回収していますからどうぞショップさんに持ってきてください、ああ、分かりました、そこでお金のやり取りは全然ない。これはデポジットじゃない、ただ集めているだけ。

 そういうものを増やしていって、希少金属も含めたメタルをなるべく寄せていくということをしていかないと集まらないんじゃないかということです。

 それともう一つ。これも簡単にいかないのは分かっているんですけれども、バブルがはじけて、バブルの前もそうです、大量生産、大量消費、大量廃棄で産業の活性化ということでやってきたんですけれども、リサイクルをやはり上げていくというのは簡単にいくわけじゃない。なぜかというと、コストがかかるから。じゃ、そこでどうするという話になったときに、長寿命化を目指すような商品開発をしてもらうように誘導していくかどうかなんです。そうすれば、消費して、結局、廃棄するまでの間のサイトが長くなりますから、その間をリサイクルで物を集めるという仕組みをつくっていくという考え方です。

 昔、特許法の改正のときにも質問に立ったんですけれども、そのとき調べた資料の中に、この世の中に存在している商品、寿命どのぐらいですかというのが記事で出ていたんです。一・九年ですよ、一・九年。そのサイトがどんどんどんどん短くなっている。メーカーさんだとかはいろいろ研究開発して、時間と労力とお金をかけて新しい商品開発をして、物によっては三十年、四十年、五十年もつものもあるし、もっと早くお店の棚からなくなってしまうものも現実あるわけですね。そういう生活様式をこれからも続けていったときに、今回のレアメタルだとかベースメタルを回収するというところにはいかないんじゃないかと思うんです。

 私はこの二つがキーだと思いますので、是非御検討していただけたらなというふうに思うんですが、これは答弁はまたの機会で教えてください。

 じゃ、次の議題に入ります。

 午前中でも御質問に立たれたんですけれども、私は逆に懸念をする方の立場で今日質問したいと思うんです。

 チャットGPTも含めて、活用した方がいいんだとか、午前中の答弁だと、余り規制をかけるんじゃないと言うんですけれども、いろいろな新しいものを研究開発した人が、世の中に物を出した後に後悔の弁を述べているのがいっぱいあるんです。例えば、クローン羊を出したドリーちゃん、それを開発した人が、世の中にこれは出してはいけなかったと後から言うんです。研究開発する人は、新しいものを作りたい、役に立ちたいと思って一生懸命やって世に出すんですけれども、それをすることによって、どれだけ人間社会も含めて地球に負荷がかかるのか、いろいろな問題が出てくるのかというのを、やはり後から。

 それなので、例えば、コンピューターを私たちは当たり前に使っているんですけれども、一九四〇年代に最初のコンピューター。コンピューターという言葉をひもといていけば、最初からこういう箱に入ったものじゃなくて、演算計算をする人間に対してコンピューターという名称を使い始めたんですってね、キーパンチャーじゃないけれども、その操作する人のことをコンピューターと。今は形が違うものに変わっただけの話なので。

 それで、私たちは、コンピューターの形態や機能が劇的に変化してきたのはもう御案内のとおりで、その延長線上にAIがあり、チャットGPTがあるんだと思うんですね。

 スマートフォンやスマートスピーカーなど、いろいろなものがAIを使って商品開発してきているんですけれども、世界ではAIに対するAI倫理と呼ばれる問題に懸念が高まっている。

 AI倫理とは、AIが学習データの偏りや監視といった人類にマイナスの影響を与えるような行動がないように定めた規範のことだと言われているんです。AI技術の開発が進み、人間の知的能力を凌駕するようになったときに、AIが人類にとって脅威になるという説が関係者を中心にささやかれているようになったので、このAI倫理という考え方が出てきたんですね。その結果、AIを人間の制御下に置くための万策としてAI倫理の議論が盛んになっているんだそうです、海外では。

 近年では、AI技術の一つであるディープラーニングにおいて、AIが判断に至る過程が不透明であることから、使用者側が気づかぬうち、使っている方がです、私がプログラミングしてAIを作って販売しました、その販売で、購入して使用している人が気づかないうちに問題を起こしてしまうんじゃないかという懸念がされているということなんですね。

 その辺が全然、昨日、何か第一回目の会議をされたというのはマスコミの報道で知りましたけれども、結局やはり、前提として、先ほど最初に言ったように、研究開発する人は誰もやらないことをやりたいし、誰もやったことがないことで物を作りたいのは、もうそういう心理で研究開発はやりますから、それがいいことなのか悪いことなのか考えない。だから、ある程度の想定をされているときに一つのルールを作った方がいいんじゃないかということなんです。

 それで、昨日から、いろいろな議論がこれから出てくるんだと思うんですけれども、主な議題の中で四つ指摘されているんですけれども、責任の所在。AIを使って何かをやったときに、その結果によって誰が責任を取るのか。AIに取らせるんですか、売った人なんですか、使っている人なんですか。それも全然ルール化されていない。

 分かりやすい言葉で言えば、自動運転の車です。レベル3まではその運転者に責任があるんです。でも、レベル4とかレベル5の車になったら、これはまあメーカーだろうというふうに言われているんですけれども、そこもまだ全然ルール化されていない。

 あと、バイアスと偏見です。意図を持った人がプログラミングして、偏見を持っている人がですよ、それがプログラミングをして、使い始めちゃったら、その結果は偏見を持った結果になっていくということなんです。それはもう世に出たら止められないよという。

 それと、プライバシーと個人情報。ここで言うことじゃないかもしれませんけれども、私も、ここ何年かですよね、パソコンで画面を見ると、勝手に広告が出てくる。確かに私もネットで物を買ったりチケットをオーダーしたりしますから、この人はこういう色の靴が好きなんだなとか、こういう洋服が興味あるんだなと、何日かしないうちにその広告が出てくるんです。

 是非、もう時間が来ているので、きちっとした議論の中で、やはり制約をかけるところはかけるようにしていただきたいと思うんですけれども、大臣、最後に御決意を。

西村(康)国務大臣 昨日、官邸でこのAI戦略の会議がありまして、まさに様々な懸念がございますので、その懸念とかリスクをしっかり踏まえながら、しかし、まだ新しい技術がどんどん開発される中で、働き方あるいは生産性を上げていく、こうしたことにプラスの影響もある面もあると思いますので、その辺りをよく見極めながら、利用していくとすればどういう形で利用していくのがいいのか、しっかりと見極めながら対応していきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 終わります。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、西村大臣に確認いたします。

 四月二十六日の当委員会、原発推進等五法案、いわゆるGX電源法案の審議での私の質問に対して岸田総理は、高い独立性を有する原子力規制委員会が厳格な安全審査を行い、規制基準への適合性が確認できなければ運転は一切認められない、この大前提、変わりはないと考えておりますと答弁されております。

 西村大臣も、規制基準への適合性が確認できない原発の運転は一切認められない、総理と同じ認識、当然そういうことだということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、岸田総理は、四月二十六日の本委員会の場におきまして、高い独立性を有する規制委員会が厳格な安全審査を行い、規制基準への適合性が確認できなければ運転は一切認められないとの趣旨で答弁されたものと承知をしております。こうした認識は私も共有しております。

 実際の確認や不適合な状態になった場合における必要な是正措置については、原子炉等規制法に基づきまして、原子力規制委員会が独立して判断を行うものというふうに承知をしております。

笠井委員 では、山中規制委員会委員長に伺います。

 二〇二二年七月二十二日の原子力規制委員会で、関西電力美浜原発三号機のケーブルが、規制委員会から認可を受けた設計と工事計画、いわゆる設工認と言われますが、それに従って工事が行われていないことが報告をされました。具体的には、火災防護対象ケーブルのA系とB系二つあって、そのA系とB系が系統分離がされていない状態にあるという検査結果の報告でありました。

 火災防護対象ケーブルが認可したとおり系統分離がされていないと、一体どういう危険性があるのか。保安電源設備、非常用発電設備のA、Bと、それから、給電される設備A、Bをつなぐケーブル、A系統、B系統が火災により両方とも機能喪失した場合に、いわゆる共倒れした場合には、起こり得る最悪の事態というのは一体どういうことになるんでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 発電用原子炉の火災対策に関しまして、新規制基準の火災防護審査基準では、火災の発生を防止する、火災が起こった場合には迅速に感知し消火する、火災の影響を軽減するために、多重化されている安全上重要な機器が同時に機能を喪失することがないように、各系統を互いに分離するという三つの対策をそれぞれ求めております。

 今般、関西電力美浜発電所などで判明しているような火災防護対象ケーブルの系統分離が適切になされていない場合、万が一火災が発生して迅速に消火できない場合には、例えば非常用電源や給水ポンプなど、多重化されている機器が同時に機能を喪失するおそれがございます。

 なお、そうした場合であっても、新規制基準では、非常用電源とは独立した別の電源や別の給水手段をあらかじめ準備し、重大事故の発生を防止することを求めております。

笠井委員 最後に言われたところで言うと、重大事故等の対処設備である代替交流電源設備等によって給電が行われるという御説明だと思うんですけれども、私、伺ったのは、起こり得る最悪の事態は何かということなんですね。

 その代替交流電源設備は手動ですよね。それで、多重でなくて一本だけ。それも働かなくなる場合だってあり得る。そうなったときには冷却できなくなると思うんですけれども、そういう最悪の場合、つまり、今、こういうことはできるんですとおっしゃった、それも働かなくなったときに何が起こってしまうのかということについて伺っているんです。

山中政府特別補佐人 例えば非常用電源設備の例を取り上げてみますと、原子力発電所には、万が一、外部電源が喪失した場合には、所内の設備に電源を供給するため、二つの系統の非常用電源が備えられております。

 仮に二つの非常用電源設備の系統分離が適切になされておらず、火災による影響で二系統が同時に機能を喪失し、さらに外部電源が喪失した場合には、発電所内の全交流電源が一時喪失した状態になります。

 なお、そうした場合であっても、重大事故の発生を防止するため、非常用電源設備とは別の電源を備え、必要な電力を確保することを求めております。

笠井委員 別の電源ということも備えてということですが、それも働かなくなると、結局は炉心損傷とか炉心溶融とかメルトダウンにも結びつく、最悪のときになると。だから、そうならないようにということで、今委員長言われたように、規制基準が必要だということで、何重にもそういうことは求めているということで理解はよろしいですか。

山中政府特別補佐人 もちろん、様々な取組をしているわけでございますけれども、全ての設備、一〇〇%安全ということは保証しておりませんので、御指摘のとおりかと思います。

笠井委員 最悪、大変なことになるわけです。メルトダウンということになります。

 原発の非常用電源設備を結ぶ電気ケーブルというのは、火災によって機能を喪失することを防ぐために、規制基準の一つ、位置、構造及び設備に関する基準という中で、保安電源設備の多重性が損なわれないように、ケーブルの系統分離を求めているということであります。

 さらに、火災防護に係る審査基準、火災防護審査基準では、ケーブル相互の系統分離を行って、火災区画内又は隣接火災区画間での延焼を防ぐために設計の基準を細かく定めている。本当にそこは細かくやらないといけないということを定めている。

 山中委員長に伺いたいのは、どういう事故を国際的にも契機にしながら、こういう基準を定めるに至ったんでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 先ほどお答えをさせていただきました火災防護審査基準は、新規制基準の一環として平成二十五年に策定したものでございます。その際に、米国における原子炉施設の火災防護の考え方を参考としております。その米国における考え方は、一九七五年に米国ブラウンズフェリー原子力発電所一号機で発生した火災事故を教訓としたものであると承知しております。

笠井委員 今言われたブラウンズフェリー原発一号機ケーブルの火災というのは、アメリカのアラバマ州の原発ですけれども、ケーブル分電室と原子炉建屋の三か所で火災となった。今委員長が言われたような形で、そういう中で、その事故を契機にしてということで、たしかあれは一九八〇年ですか、指針を作った。それが今に至っているということでよろしいんですか。

山中政府特別補佐人 そのとおりだと承知しております。

笠井委員 美浜三号機の火災防護ケーブルというのは、設工認、設計と工事計画の認可、つまり、規制基準や審査基準どおりに施工されているのかいないのか、その点はどのようになっていますか。基準どおりに施工されているのかどうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 令和三年度第三・四半期に実施いたしました関西電力美浜三号機に対する原子力規制検査におきまして、補助給水系統の設備に関わる火災防護対策について、設計の際に事業者が必要な評価を行わなかったために、認可を受けた設計及び工事の計画どおりに施工されていないことが判明いたしまして、令和四年七月二十二日の規制委員会において規制庁から報告を受けたところでございます。

 また、この不備に関しまして、美浜三号機のその他の箇所について同様な問題がないか規制庁の検査官が検査を行ったところ、電動モーターなどの発火源のない場所において、火災防護対象ケーブルを収納する電線管の系統分離対策が不十分な箇所があったことが判明しております。

 事業者は、発火源が存在する補助給水系の設備周辺の火災防護対策について是正処置を行っており、また、発火源のない場所における電線管については、系統分離対策を行うまでの間、設備対策と同等水準の対策として、対象の電線管の周囲に可燃物を配置しない等の運用を行うとしております。

 規制委員会としては、事業者の是正処置の実施状況について、引き続き原子力規制検査の中で確認を行ってまいりたいと考えております。

笠井委員 対応と対策についてはまたこれから伺いますが、今、要は、質問に対しては、美浜三号機については基準どおりに施工されていないということを確認したということであります。

 規制庁は、美浜三号機以外の稼働中の原発、高浜三、四号、それから大飯の三、四号、伊方の三号、それから川内の一、二号、玄海の三、四号と、あわせて、現在、使用前検査中の原発の高浜一、二号機の火災防護ケーブルの状況について現場確認を行っているということでありますが、その結果について、今年三月二十九日の規制委員会でどのような報告が規制庁からありましたか。

山中政府特別補佐人 美浜三号機においては、電動モーター等の発火源が存在する補助給水系の設備の系統分離と、発火源がない場所にある電線管の系統分離が不十分であった問題が判明しております。この問題を受けて、稼働中の原子炉を保有する関西電力、九州電力、四国電力は同様の不備の有無について調査を実施しております。

 事業者の調査の結果、発火源が存在をする場所においては系統分離が不十分であるような設備が確認されませんでした。一方、発火源がない場所にある電線管については、関西電力の大飯三、四号炉及び高浜一から四号炉、並びに九州電力玄海三、四号炉、川内一、二号炉においても、美浜三号炉と同様に、認可を受けた設計及び工事の計画と整合しない箇所が判明しております。

 事業者は、発火源がない場所にある電線管については、系統分離対策を行うまでの間、設備対策と同等水準の対策として、対象の電線管の間に可燃物を配置しない等の運用を行うこととしていると聞いております。

 規制委員会としては、引き続き、事業者の是正処置の実施状況について、検査の中で確認してまいりたいと考えております。

笠井委員 発火源があるかないかは、別に基準の中には入っていないはずです。

 美浜三号機以外にも、伊方三号機を除く稼働中か使用前検査中の十原発には、規制委員会が認可した設工認に従ったA系とB系のケーブルの系統分離の施工がなされていない。私、三月二十九日の規制庁が規制委員会に出した報告を見ると、そう書いてある。つまり、設計どおりに電気ケーブルが引かれていなかった、発火源の問題じゃありません、そういうことですね。

山中政府特別補佐人 設工認の計画どおりに施工がなされていなかったということでございます。

笠井委員 系統分離対策が行われていない、つまり基準どおりに、設工認のとおりになっていないその電線管の物量、長さというのは、それぞれ何メートルになりますでしょうか。一覧があったと思うんですけれども、それを紹介してください。規制庁からどういう報告を受けているか。

山中政府特別補佐人 今回調査で判明しました系統分離対策が必要な火災防護対象ケーブルを収納する電線管の物量でございますけれども、関西電力においては、美浜三号機で二千四百メートル、高浜三号機で約千四百メートル、高浜四号機では約千四百メートル、大飯三号機では約二百メートル、大飯四号機では約三百メートル、高浜一号機では約二千二百メートル、高浜二号機では約二千三百メートル。九州電力においては、川内一号機で約五百四十メートル、川内二号機では約七百四十メートル、玄海三号機で約百五十メートル、玄海四号機で約二百十メートルであると報告を受けております。

笠井委員 今数字の紹介がありましたが、私も足し算してみて、この表でやったんですが、合計すると、実に一万一千八百四十メートルです。何と十二キロ近くに及ぶというところで、そういう基準に基づくものになっていない。信じられない長さで、火災防護のための系統分離対策が取られていないまま、原発が稼働中か稼働させようとしているということであります。

 これらは規制庁の検査官が全てを現場で確認したんでしょうか。十二キロ。

山中政府特別補佐人 安全の重要度に応じて、抜取りで検査を行っております。

笠井委員 全部は見ていない。重要度というのは、また判断があるわけで、基準は一つなんですけれども、抜取りで見ている。規制庁が直接全てを現場確認したわけではないということであります。

 山中委員長、火災防護の観点で、系統分離がされていないこの状態というのは、原発の安全を確実に確保できていると断言できるんでしょうか。基準を作ってやっているわけですからね。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 少なくとも多層あるいは多重の防護を火災防護対策には行っており、あるいは運用上の対策も行っておりますので、できる限りの安全を原子力規制委員会では審査、検査の中で見ていると考えていただいて結構かと思います。

笠井委員 でも、基準を設けていて、そのとおりになっていなくて、いや、多層でいろいろやっているから大丈夫と言うわけですけれども、じゃ、基準というのは何のためにあるのかということになりますよね。

 だから、やはり、基準どおりになっていないということ自体は、安全を確実に確保できるとは言い切れない、少なくともそこのところはあるんじゃないんですか。そうじゃなかったら、何のために基準を作っているのかとなっちゃいますよね。

 多層で、いろいろなことがそのほかにもありますから、全体としてはと言うんだけれども、だけれども、やはりちゃんと個別には具体的にあって、こういう基準があってということで設工認から含めてやっているわけですから、そこはそういうことじゃないかと私は理解するんですけれども。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 当然、安全の重要度に応じて様々な対策を取っているわけでございますけれども、その対策に不備があった場合でも、安全の重要度が高くない場合には運用を認める、そういう考え方で規制を行っているところでございます。

笠井委員 安全の重要度というのは、基準というのははっきりしているわけで、重要度を判断する、誰がそれをするのか、後でも聞きます、そういう問題になっていく。

 そもそも、規制委員会が工事計画の認可をした状態と異なるケーブルが大量に十二キロにわたって存在していることが、再稼働前の使用前検査段階でなぜ判明しなかったんでしょうか。ちょっとこれは本当に疑問なんですけれども。

山中政府特別補佐人 美浜三号機においては、電動モーター等の発火源が存在する補助給水系の設備系統の分離と、発火源がない場所にある電線管の系統分離が不十分だったという問題が判明しております。

 新規制基準における火災防護対策につきましては、使用前検査において、安全上の重要性を踏まえて設備等を選定をしまして、認可を受けた設計及び工事の計画に記載されている基本的な設計に従って施工されているか、検査官が現場確認を行っております。

 今回問題点が判明せられた電線管につきましては、電動モーターなどの発火源が近傍になく、安全上の重要度が低い箇所でありますために、新規制基準の適合性に関わる使用前検査の際に現場確認の対象として選定しなかったと聞いております。

笠井委員 じゃ、使用前検査というのは誰が行っているんですか。

山中政府特別補佐人 使用前検査は規制委員会で行っております。

笠井委員 それでいいんですか。

山中政府特別補佐人 使用前検査は原子力規制委員会の検査官が行っております。

笠井委員 私が理解しているところでは、事業者が検査をして、その結果を検査官が確認するというふうに今なっているんじゃないかと思うんですけれども、そうじゃないんですか。

山中政府特別補佐人 新検査制度におきましては、事業者が検査を行って検査官が使用前確認を行うというルールになっておりますけれども、美浜三号機につきましては、これ以前のルールに従って運用されておりますので、使用前検査という形を取らせていただいております。

笠井委員 三号機はそういうことでしょうけれども、それ以外のところで、今、十二キロにわたる話を議論していたので、また三号機だけの話をされているんだけれども、その全体にわたって大量にこんなにあることがなぜ使用前検査で分からなかったんでしょうかという質問ですので、そこのところは、じゃ、美浜三号機はそういうことかもしれませんが、それ以外は新規制基準ですから、事業者が行って、それを検査官が確認しているということですか。それでいいんですね。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 再稼働しておりますPWRにつきましては、全て使用前検査の形で、前検査制度の中で、使用前検査という形で検査を行っておるところでございます。

笠井委員 ですから、それはさっき委員長自身が言われた、新規制基準の下では事業者が行って、検査官がそれを確認しているという制度になっておりますと。そういう形でやっているということですよね。

山中政府特別補佐人 今後行います新検査制度に基づいて行う検査につきましては、事業者の検査の後に使用前確認をすると。

 火災防護の今回の事案につきましては、使用前検査という形で検査を行っているところでございます。

笠井委員 よく分からないんですけれども、新規制基準で今やっているわけですよね、再稼働をやっているところも、それから、これからやろうとしているというところもそうですけれども。その下では、だから、委員長がおっしゃったとおり、事業者がやって、検査官がその結果を確認するということでやっているのが新規制基準だと。それに基づいてやっているということですよね。

山中政府特別補佐人 新規制基準に適合した炉で再稼働を行っている炉につきましては、旧検査制度の下で検査を行っているところでございます。

笠井委員 旧制度ですか。(山中政府特別補佐人「そうです」と呼ぶ)今動いているやつ。新規制基準に適合しているかどうかでやっているんじゃないの。

山中政府特別補佐人 もちろん新規制基準には適合しておるわけでございますけれども、新検査制度と新規制基準というのは別物でございますので。

 検査制度の制度が変わったのは二年少し前のお話でございますので、適用されるかどうかというのは再稼働の時期によって異なってくるわけでございます。

笠井委員 じゃ、伺いますけれども、安全上の重要度が低い箇所だと判断して、使用前検査において現場確認する部位としては選定していなかったのは誰ですか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会の検査官でございます。

笠井委員 じゃ、使用前検査を行ったのも、その検査において現場確認部位として選定しなかったのも規制委員会ということになりますか。

山中政府特別補佐人 原子力規制委員会の検査官がそういう判断をしたということでございます。

笠井委員 二〇一七年の法改正、さっき言われましたけれども、それで使用前検査は事業者が行ったものを規制委員会が確認するという、そういう仕組みに変わったというのが、今、その後の話ですけれども。

 じゃ、検査官が火災防護ケーブルを全部直接検査しなかったからこんなことになったということになりますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 新規制基準適合性に関わる使用前検査の進め方につきましては、平成二十七年三月十一日の規制委員会において、規制庁から報告を受けて、安全上の重要性に応じた検査を実施するということで了承しております。

 原子炉施設が規制基準に適合するよう施工することは一義的に事業者の責任であり、規制委員会としては、特に安全に関わるところに重点を置いて、検査に関する資源配分を配慮して、着実に監視していくことが重要であると考えております。

笠井委員 二〇一七年の法改正というのは、機動的に、いつでも必要に応じて何かあれば見るという趣旨でやったということで、私、理解しているんですけれども。

 結局、機動的といいながら、今委員長言われたけれども、法改正が二〇二〇年に施行されてから二年間も、この実態、やはり分かってこなかったんですね、実際には。そういう点でいうと、結局、慌てて、つまり去年の七月に規制委員会として対応した。結局、機動的にしていなかったということで、そういうふうな形で、分からなかったということになるということでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 安全の重要度に応じて我々は検査をしていくということでございます。少なくとも、旧検査制度、あるいは新検査制度においても、同じような考え方で実施しているところでございます。

笠井委員 重要度というのは、どういう判断でどういうふうに、どこまで重要だ、ここは重要でないという判断の基準とかが具体的にあるんでしょうか。例えば、そこに、さっきあったようなモーターがあるとかないとか、そういう話というのは、具体的にはこれがなければいいとか、同等だとかということで、それなら、そこにかぶせてあればいいとか、そういうことを基準で決めているんですか、規制委員会としては。

山中政府特別補佐人 安全の重要度において、機器あるいはその関連する系統の電線、あるいはその他について決定をしているというところでございます。

笠井委員 ですから、その重要度というのがどういう形で、どこが重要だけれどもここは重要でないという基準があって判断する、事業者であれ、検査官であれ、やっているのかと聞いているんです。

 だって、基準を作っているわけですよね。これが必要だということでやって、設工認も含めてやっているわけで、それは、いざ何かあったときに、さっき、最悪でいうと、メルトダウンにならないように、ちゃんとこういう基準もあるし、いろいろなことをやっているんです、多層でということをおっしゃったので、重要度というのは、とにかく、これが重要ですね、これはそうでもないな、大丈夫かなみたいなことでやるんじゃないですよね。そこははっきり明文化されているんですか。

山中政府特別補佐人 新規制基準の中で、安全に原子炉が停止できるような機能、重要な機能を持っているというところを重要度に応じて分類しているわけでございます。

笠井委員 今の話だと、重要というだけで、何が重要なのか何が重要でないかというのは分からないということになると思います。

 じゃ、対策はどうするのかということですけれども、先ほど来も既に幾つか言われていますが、三月二十九日の規制委員会に規制庁が提出した報告には、設計と工事計画の認可、「設工認との整合性に関する事業者の見解」という項目が立っていますが、そこにはどのように報告として言われているでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 この火災防護対策の不備に関する事業者の見解については、本年三月二十九日の規制委員会において規制庁から報告を受けております。

 その際の規制庁の報告によりますと、事業者からの説明としては、電線管内のケーブルは火災が発生しても自己消火すること、電動モーターなどからの火災が発生した場合は感知自動消火設備により火災感知及び消火が可能であること、持込み可燃物については、保安規定に基づき火災防護のための管理を行っていることなどの理由により一定の安全性が確保されているものの、電動モーターなどの発火源になるものがない場所にある電線管の火災防護対策は、認可を受けた設計及び工事の計画とは整合していないとしております。

 このため、事業者は、是正処置として、最終的には火災防護基準に基づく設備対策を実施することとしております。

 対策の実施完了までの間、火災防護審査基準によらない方法によって技術基準に適合される方策として、事業者は、設備対策と同等の水準の安全性を確保できるよう、対象の電線管の周囲に可燃物を配置していない等の運用を組み合わせた処置を徹底することとしております。

 この是正処置の実施に当たっては、事業者は、準備ができ次第、必要な設計及び工事の計画等の申請手続を行うこととしております。

笠井委員 最終的には火災防護審査基準に適合するように系統分離する工事を行うと説明しているわけですが、「完了までに相当の期間を要する」というふうにありますが、相当の期間というのはどれぐらいだと事業者からは聞いているんですか。

山中政府特別補佐人 現在のところ、不明でございます。

笠井委員 不明というよりも、それも確認していないんですか。どれぐらいの期間とか。

山中政府特別補佐人 全ての工事が完了するまでの期間というのは、いかほどになるかというのは事業者から報告を受けておりませんし、私ども、判断できておりません。

笠井委員 報告を受けていなくて、それで、どれぐらいになるのかと聞かないんですか。相当かかるといって、そんな期間を。対策までに相当かかるって。

山中政府特別補佐人 少なくとも、運用上で設計及び工事計画に記載の火災防護対策と同等の水準を担保できる取組をしているという報告は受けておりますので、安全上の影響は小さいものというふうに考えております。

笠井委員 今、委員長自身が紹介されたように、事業者自身が、完了までに相当の期間を要することだから、当面、同等のという話をされているので、相当の期間というのはどれぐらいなのかと。同等でということは、じゃ、本当に同等なのかというので問題になってきますけれども、年単位ぐらいかかるということになっているんじゃないんですか、長いところでいえば。私は規制庁からそういう説明を聞いていますけれども、違うんですか。言いたくないんですか。

山中政府特別補佐人 時期については不明でございます。

笠井委員 相当の期間ということですよ、二千四百メートルとか。じゃ、どれぐらいかかるのかと。私は規制庁から年単位で長いものはかかると聞いています。よっぽどおっしゃりたくないのかもしれませんが、事業者が考えている対策というのは相当の期間を要する工事になるから、それが終わるまで系統分離されていない電線管の周りに可燃物を置かない等の運用で取りあえずしのごうと、同等のということの名目の下に。そもそも、その考え方が無責任ですけれども、規制委員会の対応はどうかということになります。

 三月二十九日の規制庁報告の事業者の是正措置に係る対応方針を了承したという中に、事業者のこの措置というのは、火災防護審査基準とは異なる内容となるため、技術基準規則、設工認に照らして十分な保安水準が確保されているかどうかを確認するというふうに書かれておりますが、火災防護審査基準と異なる内容ならば、なぜ規制委員会として、基準に適合しない対応は認められない、はっきりこうおっしゃらないんですか。基準を作っているわけですからね。それでいいとは言えないよ、認められませんよとなぜ言わないんですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 設計及び工事の計画は、技術基準に適合するための具体的な設備、施設の要件を示すものでございまして、現時点で、認可を受けた計画と整合しない設備は、技術基準に適合しているとは直ちに判断できないものと考えております。

 一方で、事業者は、施設を規制基準に適合させるため、系統分離に関する是正措置が完了するまでの間、本来の系統分離と同等水準の対策として、対象の電線管の周囲に可燃物を配置しない等の運用を行うとしており、直ちに原子炉の停止を命じる必要はないと考えております。

笠井委員 設計と工事計画の認可、設工認を受けたということは、火災防護審査基準に適合しているということが前提であるはずです。認可された設計どおりにケーブルの系統分離の工事がなされていないということが検査で分かったということは、規制基準の一つ、火災防護審査基準に適合していないということが分かったということになると思うんですよ。

 そうしますと、原子炉等規制法の第四十三条の三の二十三で施設の使用停止等というのがありますが、規制委員会は、発電用原子炉施設が規制基準に適合していないと認めたときは、運転の停止を始め必要な措置を命じることができると規定しているわけです。いわゆるバックフィットの規定でありますが、この規定を厳格に適用して、これら先ほど紹介があった十一基の原発の使用停止を命じるべきじゃないかと私は思うんですが、そうじゃないんですか、これは。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 火災防護審査基準にある系統分離の方法といいますのは、技術基準で要求しております、火災により原子炉を停止する機能が損なわれないようにするための措置、具体的な例を示したものでございます。火災防護審査基準の方法とは異なる処置が取られていたとしても、直ちに使用の停止を命じなければならない性格のものではございません。

 今回判明した事案につきましては、電線管の内部のケーブルは火災が発生しても自己消火をする、電動モーターなどから火災が発生した場合には感知自動消火設備により火災感知及び消火が可能である、持込み可燃物については火災防止のために管理を行っていく、事業者が設備対策と同等水準の安全確保を行うことで、対象の電線管の周囲に可燃物を配置しない等の運用を組み合わせた処置を徹底するとしていることなどを踏まえますと、火災によって原子炉を停止する機能が損なわれる可能性は低いと考えております。

 今後、事業者の是正措置の状況については、規制検査の中でしっかりと継続的に監視してまいります。

笠井委員 先ほどから繰り返して言われているんですけれども、同等というふうなことが審査基準には一切ありませんよね。それは事業者が同等だと判断してやったという話で、それは、でも、やれるなら大丈夫ですね、いいですねというふうに言っているということになります。それは要するに審査で申請書の記載内容をチェックして問題なかったというだけになっていて、現場の工事実態というのは違っているわけですから、言い訳にもならない。規制委員会は、火災による原発事故で国民を危険にさらすよりも、原発の運転は止めない、電力会社の利益が大事だということになるのかということになってきます。炉規法に従って直ちに使用停止を命令できるじゃないかという問題になってくると思うんですよ。

 山中委員長、二〇一五年の柏崎刈羽原発の七基全てで、合計三百八十五本のケーブルが分離されていない状態で工事されていることが発覚しました。この問題を議論した二〇一六年の一月六日の規制委員会で、当時の更田委員長代理はどういう見解をこの問題に関して述べられているでしょうか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 平成二十七年度第四十八回原子力規制委員会におきまして、当時の更田委員長代理は、設置許可や工事計画の認可でどれだけきちんと設計しますと約束してみたところで、実際に工事の段階でそれが守られなければ元も子もないと発言しております。

 私も、更田委員長代理が発言されたように、設置許可や工事計画で示されたことが実際の工事の段階でしっかりと守られている必要があるという趣旨については、同じ認識でございます。

笠井委員 元も子もないということでありまして、結局、先ほど山中委員長も、技術基準に適合しているとは判断できないということもおっしゃいました。

 西村大臣、最後に伺いますが、規制委員会は規制基準に適合しているとは判断できないということも委員長ははっきり言われた。つまり、適合しているとも断言できないけれども適合していないとも言えないと。要は、基準への適合性を確認できないということであります。

 冒頭に確認しましたが、岸田総理が、規制基準への適合性が確認できない原発の運転は一切認められないと。大臣も同じ認識だというふうなことを見解としても言われました。ということだったら、今回の問題でも、適合性が確認できない原発は、直ちにこれは運転を止めさせるべきではないか。総理や大臣の認識からしても、そういう問題になるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 個別の発電所が規制基準に適合しているか否かにつきましては、高い独立性を有します原子力規制委員会が判断を行うものでありまして、私の立場、経済産業大臣の立場からのコメントは差し控えたいと思います。

 仮に、原子力規制委員会による審査の事後に基準不適合の状態にあることを同委員会が確認した場合には、同委員会の判断において、原子炉等規制法に基づく施設の使用の停止命令など、必要な措置が講じられるものと承知をしております。

 経産大臣の立場からは、こうした原子力規制委員会による確認や是正措置の判断についてコメントすることは差し控えたいと思います。

笠井委員 今、今日ずっと伺って、大臣、山中委員長ともさせていただきましたが、規制基準と違う事態が起こっているということは認められて、そして、適合性についても規制委員会の委員長が確認できないということを言われている。その原発を動かしていいなどということで、やはり、そんなことになると総理や大臣の答弁とも相入れないと思うんですよ。言っていることとやっていることが違うのかと。

 私は、岸田内閣の原発の最大限の活用という大前提が崩れる、そういう中身になっていると思うんです。参議院で審議中の原発推進等五法案、いわゆるGX電源法案、これはもう廃案にすべきだ、このことは最後に申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。西村経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(康)国務大臣 不正競争防止法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ、中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知的財産制度の一体的な見直しを早急に講ずるべく、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド、デザイン等の保護強化であります。

 第一に、他人が既に登録している商標と類似する商標について、先に登録した商標権者の同意があり、商品等の出所について混同するおそれがない場合は登録可能とするとともに、氏名を含む商標について、一定の場合には、他人の承諾なく登録を可能とします。

 第二に、創作者等が意匠登録出願前にデザインを複数公開した場合の救済措置の手続要件を緩和いたします。

 第三に、他人の商品の形態を模倣した商品を提供する行為について、デジタル空間上での行為であっても不正競争に該当することとします。

 第四に、秘密として管理されたビッグデータも限定提供データとして保護の対象とし、侵害行為の差止め請求を可能とするほか、被侵害者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた損害分も侵害者に使用許諾したとみなして損害賠償請求できるようにする等、営業秘密や限定提供データの保護を強化します。

 次に、コロナ禍、デジタル化に対応した知的財産手続等の整備です。

 第一に、コロナ禍等を契機として生じた影響により在外者へ査定結果等の書類を郵送できない場合に、公表により送付したとみなすとともに、インターネットを通じた送達制度を整備します。

 第二に、特許等に関する手続のデジタル化や商標の国際登録出願手数料の一括納付等を可能とします。

 第三に、中小企業の特許に関する手数料の減免について、資力等の制約がある者の発明の奨励、産業の発達の促進という制度趣旨を踏まえ、意欲のあるスタートアップ、中小企業等によるイノベーション創出を阻害しないよう十分留意した上で、一部件数制限を設けます。

 最後に、国際的な事業展開に関する制度の整備です。

 第一に、経済協力開発機構からの勧告も踏まえ、外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するべく、外国公務員贈賄罪における自然人及び法人に対する法定刑を引き上げるとともに、日本企業の外国人従業員による海外での単独贈賄行為も処罰対象とします。

 第二に、国際的な営業秘密の不正な利用、開示等の事案における手続について、日本の裁判所に訴訟を提起でき、国内法である不正競争防止法を適用する場合を明確化します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十二分散会


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