衆議院

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第16号 令和5年5月19日(金曜日)

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令和五年五月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      英利アルフィヤ君    勝目  康君

      上川 陽子君    小森 卓郎君

      國場幸之助君    杉田 水脈君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      堀井  学君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宗清 皇一君

      山際大志郎君    山下 貴司君

      吉田 真次君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    大島  敦君

      菅  直人君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山岡 達丸君

      足立 康史君    遠藤 良太君

      前川 清成君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          畠山陽二郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            渡邊 昇治君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 内藤 茂雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永井 雅規君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           安楽岡 武君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           伏見 啓二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           松尾 浩則君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房スタートアップ創出推進政策統括調整官)        吾郷 進平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           恒藤  晃君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤田清太郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (特許庁長官)      濱野 幸一君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    清水 幹治君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    角野 然生君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石原  大君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     池光  崇君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     深澤 陽一君

  土田  慎君     勝目  康君

  冨樫 博之君     渡辺 孝一君

  山際大志郎君     杉田 水脈君

  篠原  孝君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     土田  慎君

  杉田 水脈君     英利アルフィヤ君

  深澤 陽一君     上川 陽子君

  渡辺 孝一君     冨樫 博之君

  阿部 知子君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  英利アルフィヤ君   山際大志郎君

    ―――――――――――――

五月十八日

 中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房GX実行推進室次長畠山陽二郎君外三十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小森卓郎君。

小森委員 自由民主党の小森卓郎です。

 貴重な十五分間をいただきました。どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 まず、今月、石川県珠洲市で震度六強を観測した地震への対応について伺います。

 これまで、家屋や事業者の被害状況の確認が進んでおりまして、発災後一週間となる先週金曜日には、被災者生活再建支援法が珠洲市に適用されました。

 また、資料一にありますように、中小企業等の被害も明らかとなり、日曜日時点の石川県の取りまとめでは、約三十二億円の被害が出ております。今回の地震は、昨年六月にやはり珠洲市で震度六弱を観測した地震などとともに、一連の群発地震の一つでありますが、昨年の被害額約七千万円と比べて約五十倍近くに上っております。

 月曜日には、石川県の馳知事が岸田総理そして西村大臣などにも要望活動を行い、私も同席をいたしました。要望は多岐にわたりますが、今日は中小企業に関わる部分を質問いたします。

 政府には、この中小企業の被害に関して、局地的な激甚災害指定に向けた早急な調査、確認をお願いしておりますが、作業の現状、そして今後の見通しを伺います。

上村政府参考人 激甚災害の指定につきましては、中小企業の被害状況や、また、道路、河川等の公共土木施設、農地等の関係施設の被害状況を把握することが必要であります。

 現在、自治体や関係省庁で被害状況の把握が進められておりまして、その進展を踏まえまして、指定基準に照らし、適切に対応してまいります。

小森委員 是非、早期の御対応をお願いしたいと思います。

 今回の地震は、一件当たりの被害金額も大きくなっております。また、宿泊のキャンセルなども能登地域そして石川県内全域で起きておりまして、被害は現在進行中でもあります。

 西村大臣は、石川県、そして珠洲市の状況にも通じておられますけれども、この被害の状況の受け止めと、そして支援に当たる思いを伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まずもって、地震で亡くなられた方に御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げたいというふうに思います。

 私も石川県に出向しておりました経験もありますので、直後から、連絡をもらったり、あるいは私も連絡を取らせていただいて、被害の状況などを確認をさせていただいたところでありますけれども、経産省としては、被災された中小企業の皆さんに対しまして、翌営業日であります五月八日に特別相談窓口を開設した上で、被災された中小企業、小規模事業者の皆様を対象とした災害復旧貸付け、そして信用保証などの支援策を開始したところであります。

 能登も、私も何度ももちろん出向時代も訪問しておりますし、その後、輪島で地震があった後、私の地元の兵庫の明石、淡路の後援会の皆さんと、バス十台ぐらいで能登に後援会の旅行に行ったこともよく覚えております。皆様方が様々な災害を乗り越えて、頑張っておられる姿に感銘を受けたことも記憶しているところであります。

 今般も、被害の状況、かなり大きな被害が中小企業の皆さんに出ていると聞いておりますので、十五日に馳知事、そして小森委員からもその状況もお伺いをいたしました。

 現在、その被害の状況、詳細把握を努めているところでありますけれども、状況も見ながら、かなりの被害が出ておりますので、中小企業の支援に是非万全を期していきたいというふうに考えておりますし、私も、タイミングを見て、是非訪問も考えたいというふうに思っております。

小森委員 温かいお言葉、そして前向きな姿勢を示していただきまして、本当にありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、この地震は数年前から続いている群発地震であります。単発の災害とは違う特性がありますので、経産省そして各省庁におかれましては、この特性に応じて最大限柔軟な対応を行って、被災者の方々を助けていただきますように、心よりお願いを申し上げます。

 次に、エネルギー価格や人件費等の価格転嫁について伺います。

 昨年のエネルギー価格の高騰以降、私は、様々な場において、価格転嫁を行う必要性、重要性をしつこいくらいに主張をしてまいりました。

 政府も、これまでにない取組を行っています。昨年の年末からは、公正取引委員会そして中小企業庁は、企業や業界の価格転嫁への姿勢や取組を公表しました。とりわけ、個別の企業名を明らかにした前例のない公表でありまして、世間の注目も集めました。

 このように異例とも言える取組をしているゆえん、すなわち、価格転嫁の意義について、経済産業省に確認します。とりわけ、岸田政権の重要政策である構造的な賃上げの実現には価格転嫁が不可欠と考えますが、いかがですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今年二月には、昨年九月の価格交渉月間の調査結果に基づきまして、受注者側企業から一定割合の回答がございました約百五十社の発注側企業について、価格交渉、価格転嫁の状況のリストを初めて公表したり、いろいろな取組をしているところでございます。これはひとえに、発注側企業により一層、価格転嫁、取引適正化に取り組んでもらいたい、こういう趣旨を込めた取組でございまして、政府を挙げてやっているところでございます。

 この趣旨は、先生おっしゃられましたように、原材料価格やエネルギー価格が高騰している中で、サプライチェーン全体でコスト上昇分を適切に価格転嫁できる環境を整備する、そして、中小企業が賃上げの原資を確保して持続的な賃上げを実施してもらう、これが極めて重要だということでございますので、こうした価格転嫁対策をしっかりと引き続き取り組んでまいりたいところでございます。

小森委員 少し大きな話に踏み込みまして、なぜこの構造的な賃上げが重要なのかを確認したいと思います。

 遡りますと、一九八〇年代や九〇年代前半までは、物価や賃金や金利がプラスなのが当たり前でした。九〇年代後半以降にこれらが横ばい若しくはマイナスとなり、かつ、それが一時的なものではなく、長期間にわたって定着をしてしまい、経済主体の行動に影響を与えました。

 例えば、消費者向けの商品を提供しているほとんどの企業では、値上げをせずに、製造費用や人件費などを切り詰めるやり方が勝ち筋として定着をしました。これは、横ばい経済における個別企業の行動としては合理的でしたけれども、結果として、合成の誤謬が起きて、横ばい経済を更に強化、定着させることにもなりました。

 経済の現在の局面は、こうした三十年近く続いた横ばい経済から、物価、賃金、金利などがプラスとなる、プラス経済に戻すことができるか否か、この鍵を握る重要な段階と認識しています。このプラス経済への移行には、持続的な賃上げ、そしてその原資を確保するための価格転嫁が死活的に重要だと認識しております。

 西村大臣に、現在の経済状況についての認識、とりわけ、この持続的な賃上げ、そしてその前提となる価格転嫁の重要性に関する認識を伺います。

西村(康)国務大臣 まさに大きな転換点を迎えておりまして、人手不足も顕著になってきております。また、コロナを機にデジタル化とかいろいろな動きが加速している中で、経済が、需要も回復し、いろいろなものがウクライナ危機を機にまた上がってきているという状況の中で、やはりしっかりと価格転嫁をしていくということが大きな課題として、私ども認識をしているところであります。

 そうした中で、それに見合う、あるいは、世界的に見て日本の賃金は低い状況にありますので、伸びが低い状況にありますので、賃上げというものがその中でも特に重要な役割、位置づけになるということであります。

 いろいろな支援策も講じながら、また、働きかけも行う中で、この春の賃上げ率は三十年ぶりの高さとなるということでありますので、この動きを大企業のみならず中小企業にも広げていくということが重要であります。そのために価格転嫁対策と生産性向上が重要ということであります。

 価格転嫁対策については、九月、三月に価格交渉促進月間ということで行っておりまして、先ほど御指摘がありましたように、私どもとしても、調査を行った百五十社についての公表を行い、また、個別に企業名も、評価も公表を行ったところでありますし、公取も独自に企業名の公表などを行っているところであります。

 そうした中で、価格転嫁を、パートナーシップ構築宣言を広げていく、あるいは下請Gメンを拡充するということなどで進めていきたいと思っておりますし、生産性向上も重要でありますので、事業再構築補助金あるいはものづくり補助金などで、賃上げをするような企業への補助上限、補助率のかさ上げ、あるいは加点措置なども行って、賃上げに前向きな中小企業を後押ししていく、応援をしていく、そんな取組も更に広げていければというふうに思っております。

小森委員 ありがとうございます。

 賃上げや価格転嫁を通じて新しい循環を回していくことが大事だと思いますので、是非よろしくお願いします。

 資料の二を御覧いただきますと、昨年九月時点の価格転嫁の状況について資料が出ております。円グラフの青い1のように十割転嫁できているところもあれば、5とか6のようにゼロだとかマイナスの企業も存在しておりまして、このように企業ごとのばらつきが非常に大きいことを強調しておきたいと思います。

 そしてまた、資料三のとおり、転嫁の状況は業種ごとにまちまちでありまして、労務費や原料費等、価格要素によっても転嫁の度合いが異なる状況です。

 価格転嫁は、全体として道半ばであるとともに、その状況が非常に多様であります。詳しくは論じられないんですけれども、費用の要素、企業の規模、そして何よりも、業界の状況、買手と売手の力関係、業界内の各企業の行動の態様などで、価格転嫁が比較的順調か非常に困難なのかが分かれております。

 こうした実態に対応するため、公正取引委員会そして中小企業庁は体制を強化をしてきております。公正取引委員会は、昨年十二月に五十人の定員を緊急増員いたしました。そして、調査人員を二倍以上に増強しております。中小企業庁も今、先ほど大臣からもありましたが、下請Gメンの人数を二段階で増強しておりまして、百二十人から三百人へと増やしております。

 価格転嫁をめぐる状況がこのように多様であることを踏まえれば、一罰百戒のような全体的でシンボリックな対応だけではなく、多様性に対応したきめの細かい取組が重要だと思います。

 私も石川県庁に三年間出向しておりましたが、その大先輩でもあります公正取引委員会の古谷委員長に見解を伺いたいと思います。

古谷政府特別補佐人 御質問ありがとうございます。

 御指摘ありましたように、価格転嫁をめぐる状況が業種、業態によって大変多様であるということは、私どもが昨年かなりの規模で行いました緊急調査でもそういう結果が出ていると思います。

 公正取引委員会としましては、買いたたきを始めとした優越的地位の濫用といった不公正な取引方法を監視して取り締まるという観点から、取引当事者の間で価格交渉あるいは協議を公正にやっていただいて円滑な価格転嫁が実現されるということが重要だという観点から、従来にない取組を行っておるわけですけれども、御指摘もいただきましたけれども、昨年末に、この対策のためにということで五十人の緊急増員をいただきました。

 こうした体制も活用しまして、今年も、昨年の緊急調査を上回る規模の業種を対象として、幅広く多くの取引についてきめ細かく手当てができますように、更に取組を強化したいと思っております。

 また、一罰百戒というお話がございましたけれども、もとより、私ども、独占禁止法、下請法に違反する事案について厳正に法執行するというのが基本的な役割でございます。各種の取組を通じて、多くの業種、業態でサプライチェーン全体を通じて価格転嫁が円滑に行われますよう、更に力を入れてまいりたいと考えております。

小森委員 力強い答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。

 価格転嫁を通じて構造的な賃上げを実現してプラス経済に転換していく、こうした死活的な段階であればこそ、これを行き渡らせるための取組が本当に重要な局面だと思っております。状況に応じて更に人員や調査件数を増やすことも含めて、果断に取組を続けていただくことをお願いいたします。

 スタートアップについてもお聞きをしようと思っておりましたけれども、ちょっと時間が足りませんので、おわびを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 本当にどうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 先ほど小森委員からもございましたけれども、五月五日に石川県能登地方を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生し、珠洲市では、震度六強、五強と立て続けに大きな地震が発生をいたしました。また、十一日には千葉県で最大震度五強の強い地震があったほか、東日本の太平洋側や、奄美から沖縄でも地震が続いている状況であります。

 これらの地震によりお亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、けがをされた方、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 私も発災の翌日に珠洲市で調査させていただきましたが、今回の地震では、先ほどもあったとおり、地元の産業が大きな打撃を受けております。影響については、現在調査中、被害状況を積み上げているということでございますけれども、珠洲市の伝統産業である珠洲焼も、制作中や過去の作品も割れまして、窯が停止してしまい、大きな影響を受けているとお聞きをしてきました。

 事業者は、昨年も発生した地震で壊れた窯を個人の資金で再建したばかりであります。他産業も含めまして被害状況を見極めた上で、災害時の事業者向け補助制度等による支援のほか、コロナで打撃を受けている業種においては、ゼロゼロ融資の返済も始まる中での今回の被害であります。きめ細やかな金融支援も併せて是非お願いしたいと思います。

 先ほどと重なる部分はあるかと思いますが、西村大臣にお伺いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思いますし、中川委員におかれては、早速に現地視察ということで、敬意を表したいというふうに思います。

 経産省としては、被災された中小企業の皆さんに対して、翌営業日であります五月八日に特別相談窓口を開設をいたしまして、被災された中小企業、小規模事業者の皆様を対象とした災害復旧貸付けあるいは信用保証などの支援策を開始したところであります。

 さらに、日本公庫などに対しまして、本年三月にも事業者の実情に応じた柔軟な対応の継続を要請したところでありますけれども、今般の災害を受けまして、被災された中小企業、小規模事業者の皆様についても、更に厳しい状況にあるというふうに思われますので、実情に応じて、既往債務の返済猶予あるいは貸出手続の迅速化、担保徴求の弾力化などを改めて要請をしたところでございます。

 現在、御指摘のように、石川県とも連携しながら被害の状況など把握を努めているところでありますけれども、その結果も踏まえながら、かなりの規模の被害が出ている模様でありますので、引き続き、被災された中小企業の支援に万全を期していきたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 いわば群発地震という中で、精神的に皆様大変だと思っております。そういうときこそしっかりとしたメッセージを出していきたいなと思っておりますので、大臣、是非よろしくお願いを申し上げます。

 そして、先ほどもお話がございましたが、観光にも大きな影響が出ております。景勝地であります見附島を調査しましたが、地震で山肌が一部崩れまして、島まで続く石の道は立入禁止となっておりました。政府からの報告では宿泊キャンセルは五%程度とお伺いしましたが、観光業界からは今後の影響を懸念する声が上がっております。

 県や被災市と強力に連携をしながら、まずは正確な情報発信に努めるとともに、被災観光地への支援を是非検討すべきと考えますが、お伺いをしたいと思います。

池光政府参考人 お答え申し上げます。

 この度の地震によりまして、珠洲市内の宿泊施設において一部損壊等の被害がありましたほか、被災地域から離れた和倉温泉におきましても宿泊予約のキャンセルが発生するなど、観光に影響が生じておると承知しております。

 委員御指摘のとおり、まずは、交通機関それから宿泊施設など、観光地の状況について正確な情報発信を行い、風評による影響を防止することが重要だと考えております。

 このため、地震発生翌日、五月の六日以降、宿泊団体や旅行業協会に対しまして、正確な情報発信等に関します通知を観光庁より発出をいたしましたほか、地元の自治体とも連携しつつ、観光庁のホームページやツイッター、こういったものからまた情報発信を行っているところであります。

 石川県においては、需要喚起ということで、六月末まで全国旅行支援を実施する予定となっております。また、再生・高付加価値化事業ということで、宿泊施設、観光施設等の改修につきましても、被災地域であります輪島市、珠洲市、能登町等が一体となって今般申請をいただいておりまして、今後、計画内容の磨き上げのための伴走支援を行ってまいりたいと考えております。

 引き続き、地震による石川県内の観光の影響につきましても注視をしつつ、地元の要望等を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。

中川(宏)委員 ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、半導体について質問をさせていただきたいと思います。

 私の地元の長野県ですが、電子部品産業が製造品出荷ベースで全国二位になるなど、半導体産業が重要な産業となっております。長野県といたしましても、更に産業の振興のために、今年三月ですが、長野県産業振興プランを改定し、物づくり産業や、本社機能、研究開発拠点の誘致などを推し進めておりまして、半導体産業の活性化により、企業立地が進むことに大きな期待が強まっているところであります。

 半導体産業ですが、日本では、最盛期には世界シェア五割を誇っておりましたけれども、現在のシェアは約一割に落ち込んでいる状況です。この要因をどのように捉えているのかお伺いをするとともに、政府は、世界的な半導体不足や経済安全保障の観点から、国内の製造基盤の確保と強化に力を注いでおりまして、二〇二一年六月には半導体産業やデジタル産業を国家戦略として推進をする半導体・デジタル産業戦略を取りまとめましたけれども、この取組状況についてお伺いをしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、我が国の半導体産業でございますが、一九八〇年代は世界一の売上高を誇ってまいったものの、その後、競争力を落としてきたという歴史がございます。

 その要因の一つは、当時の政府が世界の半導体産業の技術の潮流を見極めることができなかった、また、諸外国が国を挙げて積極的な投資支援を行う一方で、我が国は適切かつ十分な政策を講じなかったことにあると認識をしておりまして、この点については真摯に反省しなければならないというふうに考えております。

 こうした背景を踏まえまして、経済産業省では、二一年六月に半導体・デジタル産業戦略を策定したわけでございますが、法律改正や大規模な財政支援を講じまして、例えば熊本のJASMの新工場を始めとした複数の大規模国内投資、これを実現してまいりました。

 また、次世代半導体の量産化に向けまして、研究開発拠点のLSTCが発足いたしました。これに加えて、量産拠点となるラピダス社が設立され、今年二月には、同社が北海道千歳市に次世代半導体の量産拠点を整備するということを発表したということでございます。

 こうした動きを加速するために、令和四年度補正予算では、半導体関連予算として約一・三兆円を計上しておりまして、引き続き、我が国半導体産業の復活に向けた取組をスピード感を持って進めていきたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 東京大学大学院教授の黒田忠広先生のお話を引用しますと、国内の半導体産業を維持強化することが国の将来と国民の安全にとって重要な戦略となる、半導体は国の最も重要な戦略物資と言って過言ではないと言います。また、黒田先生は、高度な半導体は韓国と台湾で作られているが、対中国を背景とするアメリカからすれば地政学的にリスクがある、一方、アメリカと日本は強いパートナーシップで結ばれており、心強い連携相手だと言われておりまして、アメリカからも、昨年十一月に、トヨタ自動車やNTTなど八社が共同出資し、政府も最先端半導体の国産化を国策と位置づけまして七百億円を助成した、世界初の二ナノを目指した、先ほどもお話がございましたけれども、新会社ラピダスに期待が寄せられているとの認識であります。

 加えて、半導体の製造が川中だとすると、川上に位置する半導体材料や製造装置の分野などでは、日本はいまだ強い国際競争力を持っていると言います。いわば日本は半導体を作る土台としては十分なポテンシャルを持っており、次世代の半導体を生産できる条件は整っていると言えます。

 戦略物資を持つ日本が国際連携をすることで世界の最先端の半導体を開発していけると思いますけれども、日本の半導体における川上での強さを生かしましたアメリカとの連携について、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 まさに先生がおっしゃるとおりだというふうに思っております。日米の強みを生かして協力関係を構築することは極めて大事でございます。

 具体的な日米協力として、昨年五月に米国と合意をいたしました半導体協力基本原則に従いまして、双方の強みを生かす、その観点から、日米両国間で、次世代半導体の研究開発や人材育成、サプライチェーンの強靱化といったことについて、取組を現在進めておるということでございます。

 特に、次世代半導体プロジェクトでございますが、日米さらには欧州も含めた国際連携の象徴でございまして、ラピダス社が北海道千歳市における次世代半導体の製造拠点整備を発表してございます。二〇二〇年代後半をめどに、次世代半導体の製造基盤の確立に向けた着実な取組が進んでいるということでございます。

 今後とも、米国を始め海外の研究機関、産業界と連携しながら、我が国半導体関連産業の競争力強化につなげてまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 今お話のあったとおりに、世界は、日本の今一番熱い製造装置、素材、ここにしっかり目を向けてくれていると思っております。それをしっかりと呼び水にして、国際連携することによって日本の半導体産業が更に伸びていくように、是非とも国際連携をお願いしたいというふうに思っております。

 そして、半導体戦略の部分では、三つの柱があると言われております。一つ目は、半導体の微細化であります。この部分では日本は遅れていると言われております。二つ目は、半導体の3D化であります。これにより、エネルギー効率が大幅に改善できるということであります。また、製造装置や材料に関する技術を始め、チップをパッケージ化する技術などを組み合わせることで、世界に貢献できる急所を握る開発につながってまいります。三つ目は、半導体を利用してイノベーションを起こすということであります。アップルのiPhoneですとかテスラの自動運転技術などを見ますと、その鍵は、資本ではなく、人間の頭脳だと言われ、つまり人材であります。

 先ほどのラピダスなどを契機に、日本の人材の育成に力を注ぐことが大事になってきております。半導体に携わる人材育成についてどのような対策を考えているのか、お伺いをしたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 半導体人材の育成、確保は非常に重要な論点であります。先生御指摘のとおりでございます。一方で、こうした高度な先端技術を扱う人材は一朝一夕に育てられるものではございません。産学官が一体となってその育成に取り組む必要があるというふうに認識をしております。

 経済産業省といたしましては、半導体人材の育成、確保に向けて、地域単位で、産学官連携による半導体人材育成コンソーシアムの設立を進めております。ラピダス社が量産拠点を整備する北海道においても、六月初旬をめどに設立する予定でございます。

 加えて、全国単位の取組としては、ラピダス社と両輪となって次世代半導体プロジェクトを進めている研究開発拠点のLSTCにおいて、次世代半導体の設計、製造を担うプロフェッショナル、グローバル人材の育成、これに取り組むべく、現在、外部有識者との検討を行っておるというところでございます。

 次世代半導体プロジェクトの成功、我が国半導体産業の復活には、それらを支える人材の育成、確保は不可欠でございますので、引き続き、官民挙げて、スピード感を持って取り組んでまいります。

中川(宏)委員 時間が参りましたので終わりにしたいと思いますけれども、日本として、半導体産業、反転攻勢への最大のチャンス、また最後のチャンスと捉えまして、国家戦略としてしっかり取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日も、経産省の施策等につきまして、重要と思われる分野について質問をさせていただきます。

 まず、各委員会で行っている質問ですが、天下りの実態について、経産省についても伺えればと思います。

 特に二〇〇〇年代の前後、天下りという問題が世の中の大きな問題となりました。監督官庁から所管先の民間企業にその役所のOBの再就職が押しつけられたり、公的な組織が再就職の指定席になっていたり。それらの中には、報酬に見合った仕事をしているとは言い難い高額な報酬をもらっていたり、かなりの高齢になるまで役所やOBのネットワークで再就職を繰り返している、高額な報酬をもらい続けている、わたりというものも問題にされてきました。

 二〇一一年の五月の日経新聞に、こういう記事がありました。経済産業省は、過去五十年間に六十八人の幹部が電力会社に再就職をしていたとの調査結果を明らかにした、事務次官五名、資源エネルギー庁長官三名も含まれるという記事でございます。

 この調査がされたのは、この二〇一一年は三月に東日本大震災がありました。その震災の少し前に前資源エネルギー庁の長官が東京電力の顧問に再就職をしていたことが、天下りの批判が集中したようでございます。当時の枝野官房長官が、東電へのチェック体制が甘くなったと疑義を持たれるのは当然だとして辞任を促して、その方が辞任をしたようでございます。それを受けまして、海江田万里経済産業大臣の指示で、経産省は、過去の調査をして、電力会社への幹部の天下りの自粛を発表をしております。これが十二年前の五月でございます。

 この十年間、二〇一三年以降の幹部の再就職先を、私自身、改めて全部調べました。電力会社への役所の幹部の再就職は、調べた範囲では今はなくなっておりました。しかし、ほかの報道を見ますと、電力会社本体への天下りは自粛をされているが、電力系の関連団体への再就職は続いているというような指摘もいまだございます。それが癒着を生んで、今の電力業界へのチェックの甘さを生んでいるというような指摘も今でもなされているところです。

 今日は、政府参考人として藤木官房長にお越しをいただいております。

 現行法では、押しつけ的な天下りをなくすということで、一番目に、現職職員による再就職のあっせん、それから二番目に、在職中の利害関係先に対する就職活動、三番目に、再就職した元職員による出身官庁への働きかけは禁止になりました。

 まず、経産省として、組織として再就職をあっせんするということはもちろんしていないということでよろしいでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話にございましたように、国家公務員の再就職については、国家公務員法上、各府省の職員による再就職のあっせん等は禁止されているところでございます。経済産業省としても、これをしっかり遵守しているところでございます。

落合委員 国交省では、外部に非公表の人事情報を出しているということが問題となりました。これは、経産省ではどうなんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省として、公表前の職員の異動情報など、非公表の人事関連情報を外部に提供しているということはございません。

落合委員 今、公表前のということを強調されたような気がしますが、公表後はあり得るということでよろしいですね。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば管理職員の場合、発令後の人事異動情報については報道機関にも提供したりしておりますので、報道機関に提供して公表したものについては、求めがあれば提供するということがあるということでございます。

落合委員 国交省の場合、職員が外部に非公表の人事情報を出しているということが報道されているわけですけれども、なぜこういうことを習慣的にしているのかなという理由を考えますと、役所本体は法律でも禁止されているのであっせんはしていません。しかし、これは度々指摘をされてきましたが、OBによるあっせん、OBのネットワークによるあっせんが抜け道になっていると指摘をされているわけです。

 経産省は、こういうOBのあっせんの実態、それから実例は把握をされていますでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 退職後の職員が一個人として行動するということについては国家公務員法上の規制の対象外ということでございますので、個人として行われていることについて、私ども、役所として全て把握しているということではございませんし、またその立場にもございません。

 ただ、いずれにしても、私ども経済産業省としては、職務の公正性、それに対する国民の信頼の確保という観点から、法令に従って再就職規制等をしっかり遵守してまいりたいというふうに思っております。

落合委員 法令には役所OBによるあっせんは禁止がされていないんですが、実質的にOBによる組織的なあっせんが行われないように注意をするというような姿勢ではあるんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば経産省という組織を背景に民間企業に何か無理押しをするというようなことはやはり問題だと思っておりまして、私ども、そういった事例は今承知していないわけでございますが、そういったことが起こらないように、我々として、しっかり法令の遵守、そういう徹底ということを図っていきたいというふうに思っております。

落合委員 私も与党筆頭の関筆頭も実は同じ銀行で働いていたんですけれども、銀行もいろいろ、OBのネットワークですとか、そういうのはあるというふうに思います。

 私、今回、十年分の経産省の局長以上の方々の再就職先を全部調べました。かなりの数でございます。正直に申し上げて、完全な民間企業であっても、毎年とか二年に一回は必ず事務次官級ですとか長官級の方々が顧問に就いている有名な民間企業が数社ございます。これが問題かどうかはしっかり調べなければならない問題ですが、実質的に天下りのようなことが、表面上、見ると、行われているということは確かであると思います。

 大臣にお伺いします。この天下りの問題について、大臣はどういう姿勢で臨んでいますでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず一般論として、天下りとかあるいは癒着といった、そういう事態を招かなければ有為な人材というのは各方面で活躍すべきである、また日本全体としての人材の交流は活発に行われるべきだという基本的な考え方を持っております。経産省も、今答弁ありましたように、法令にのっとって対応しているものというふうに思いますけれども、経産省で得られた経験を求められていろいろな民間企業などで生かしていく、これは私はあり得べき姿の一つだというふうに認識をしております。

 その上で、国家公務員の再就職については、まさに法令上、第三者機関である再就職等監視委員会による厳格な監視の下、各府省による再就職のあっせんなどは禁止されております。公務の公正性を確保し、その実行を担う公務員に対する国民の信頼を確保することは、これは行政の大前提でありますので、経産省として、引き続き再就職規制の遵守の徹底を図っていきたいというふうに思います。

 ついでにと言うと失礼ですけれども、申し上げれば、私は、官民人材交流センター、これをつくりましたので、これをもっと生かしたらいいんじゃないかというのを常々思っております。

 経産省も時折、何人かはこれも活用して再就職をしているようでありますが、透明な形で公正中立にこうした民間との交流、求められて民間の企業で活躍する、こういった姿は望ましいのではないかというふうに考えているところであります。

落合委員 天下り問題の反省を受けて、各省庁横断的に交流センターができたわけですので、これをどんどん活用していくということは重要だと思います。しかし、国交省の例を見てみましても、実質的に昔の仕組みがまだ残っているんじゃないかというようなことがあるわけです。

 経産省は、全ての事業会社をある意味管轄しているわけなので幅広いわけですが、特に電力の分野においては、ある程度役所が統制しているわけですので、癒着の問題というのは気をつけなきゃいけない問題だと思います。いまだにまだ、最近の指摘でも、人事を原因とした癒着、これが指摘をされています。

 それから、先ほど申し上げました、なぜか同じような役職だった人たちが同じ企業に定期的に再就職をしているということが経産省においても行われています。これも、ある意味、経産省とその会社が癒着をしているんじゃないかというふうに言えると思うんですが、現状でもまだ癒着の問題が人事によって行われているんじゃないかというこの指摘については、大臣、どう思われますか。

西村(康)国務大臣 役所が何か事業会社なり民間企業のある特定のポストを既得権益のように扱うようなこと、これはあってはならないことだと思います。

 私自身、経産省のOBがどういう形で退職後活躍されているか、全てを承知しているわけではありませんが、知る限りでも、あの会社に一時期先輩が行っていたけれども今は行っていないなとか、そういったこともありますので、私は、経産省は法令にのっとってちゃんと対応してくれているものというふうに思いますし、何か疑念があれば、しっかりと確認をしながら、そして、法令にのっとって適切に対応していく。

 その上で、有為な人材が民間企業を始めいろいろなところでその経験を生かして活躍すること、これは私はあり得べき姿だと思っておりますので、そうしたことも頭に置きながら、しっかりと引き続き法令遵守していくように、私も事務方にもしっかりと指導していきたいというふうに思います。

落合委員 各役所で働いている方々が再就職後も生き生きと活躍をしていただくということは、国にとっても大切なことではあると思います。

 万々が一、もし、押しつけ的な事例、明らかに癒着しているという事例が出てきた場合は、大臣はしっかり厳正に対処するということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 法令を遵守するということで、法令にのっとって適切に対応していきたいというふうに思います。

落合委員 法令はかなり緩く、かなりというか、もっとここもたがをはめた方がいいんじゃないかというところはたがを取りあえずはめないで、二〇〇七年でしたか、今の天下りの禁止法案が改正されております。法令にのっとってというとバーが少し低いので、法令もそうですが、プラス厳正に規律を求めていくという姿勢でよろしいですね。

西村(康)国務大臣 癒着とか押しつけ的な人事があってはならないということは、これはもう間違いないというか、当たり前のことですので、そうした思いで対応していきたいというふうに思います。

落合委員 第一次安倍政権の渡辺喜美行革大臣のときに、たがをはめようということでスタートしているわけでございます。それでも、その後、民主党政権のときに、エネ庁長官が東電に再就職をしていたことが問題視されて、海江田大臣の、電力会社等への再就職を厳しくするというような行動になっているわけでございます。

 これは、法令がオーケーだから大丈夫ですという姿勢以上に、政治がリーダーシップを取る必要があると思いますので、大臣にその点を求めていきたいと思います。

 それでは、次の議題で、中小企業政策への姿勢についてでございます。

 藤木官房長、これで大丈夫ですので、ありがとうございます。

 前回の質問で、ゾンビ企業という言葉、特に、コロナの後に、ゾンビ企業という言葉を安易に使うべきではないという、その言葉遣いについて取り扱わせていただきました。

 ゾンビ企業というのは、もう死んでいるのに公金を使って生き長らえている、我々の税金をあの人たちは使って生き長らえているんだというようなことです。自国民が自国民に対してそういう言葉を使うことは、私は慎むべきであるというふうに考えております。

 同じような議論が、特に菅内閣の頃でしょうか、中小企業とか小規模事業者はもっと少なくていいんだ、特に、余り生産性が高くない事業者は退出をどんどんさせた方がいいんだというような意見が出ました。

 そういう方針というのは、今のこの内閣、そして今の経産省にも、その考え方で進めていこうというものは続いているんでしょうか。

西村(康)国務大臣 私も、経済再生担当、成長戦略を担当していた大臣でもありましたので、アトキンソンさんとも何度も議論をさせていただきました。

 私どもの考え方を申し上げますと、中小企業、小規模事業者は、雇用の七割、付加価値の五割を占める、まさに、日本経済を支えてくれております屋台骨でありますし、特に地域経済を支えているという重要な存在であります。地域コミュニティーの中核機能も担ってくれております。また、人口減少など、まさに構造的な課題が顕在化する中で、地域課題解決の担い手としても期待されているところであります。

 こうした中で、中小企業、小規模事業者に関しては、その数が多い少ない、多寡ではなくて、それぞれの状況に応じてきめ細かな支援を行っていくということが重要だというふうに思っております。

 そういう重要性を認識した上で、他方、時代は、もちろん社会は変化をしていきますので、構造は変わっていきますので、これまでも申し上げたことはあったかもしれませんけれども、移動手段についても、馬車であったものが車、電車、飛行機とどんどん進化をしていますし、将来は、近い将来、自動運転も入ってくるんだろうというふうに思いますので、そうした技術の変化によって、当然、産業構造や社会構造も変わってくるわけであります。中小企業、小規模事業者の皆さんも、この変化に前向きに対応していく、これも重要なことだというふうに思っております。

 そうした視点から、私ども、事業再構築補助金で、これは二兆円を超える支援をこれまで確保して対応してきていると思いますけれども、新たな取組を支援する、新たな挑戦を支援する、こうした支援、また、後継者がいないという企業も多数ありますので、第三者承継などによって経営資源の散逸を防ぐ、こういった支援も行ってきております。

 いずれにしても、地域、日本経済を支える重要な存在でありますので、持続的な成長、そしてあるいは事業規模の拡大なども通じて、その成長を後押ししていくということで臨んでいきたいというふうに思います。

落合委員 この菅内閣のときの問題提起があったことによって、今でも、小さい企業はもっとなくていいという有権者、世論も、それなりの一定数おります。

 これは中小企業庁が発表している数字ですけれども、二〇〇九年から比べて、大企業の数というのはほとんど変わっていません。それから、中規模企業の数も、上下はあるんですけれども、ほとんど水準は変わっていません。しかし、小規模企業というのは、二〇〇九年から二〇一六年を比べても、一七%減っています。わざわざ小規模事業者を減らすべきと言わなくても、ずうっと小規模事業者は減っています。自然に淘汰がされてしまっています。それを国民には知らせないで、もっと減らすべきだと言うのは、小規模事業者を減らすことをかなり加速させることになってしまうというふうに思います。

 それから、大臣の答弁の中で、地域課題の担い手という言葉がありました。私は、これがかなり重要だと思っています。

 我々、政治家ですので、各自地元を回っていますけれども、例えば商店街の街灯、あれは半額商店街が負担をしているわけです。それから、道の清掃も町会やそれから商店街がやっています。それから、消防団も自営業者の方々が主に担い手となっています。これは、商売の生産性だけを考えるのではなくて、そういう人たちがいなくなったら社会的なコストは増大をするわけです。全部行政がやらなきゃいけないということになるわけです。社会が成り立たなくなってしまう。

 なので、私は、小規模事業者に対する政策というのはやはり生産性だけで判断をするべきではない、世の中全体に生産性以外でも貢献をしているんだということを強調していきたいと思います。そういった方々が事業を永続できるようにすることが政治の役割である、市場だけには任せられないので、政治が役割を果たすべき分野であるというふうに思います。

 度々取り上げていますが、こういった小規模事業者がどんどん苦しくなっている原因の一つとして、今年導入されるインボイスですとか、ちょっと前に導入された複数税率ですとか、やはり、事務作業が煩雑にどんどん増えてしまっている、政策によって小規模事業者が苦しんでいる部分があります。経産省として特にこういったところには気を配っていくことが健全な社会そして健全な経済成長につながっていくと思いますので、その点を指摘をさせていただきたいと思います。

 関連するんですが、今までは、この二、三年は、コロナを乗り切れるように政策を打っていかなきゃいけないということで、様々な議員も、この委員会でも取り上げてまいりました。今回、コロナも一つの新しいステージに入るということで、アフターコロナ、ポストコロナを見据えた中小企業政策が必要になってくると思います。去年やおととしと経産省の姿勢も変わってくると思うんですが、そこについて、どう変わっていくつもりなのか、大臣の御見解を伺えればと思います。

西村(康)国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、中小企業の役割、これは、日本経済を支えてくれている、また特に地域の様々な経済社会を支えてくれている存在ということで、重要であるということで、それぞれの置かれた状況に応じてきめ細かな支援を行うことが重要、これがまず大きな基本的な考え方であります。

 その上で、コロナ禍のときは、私も担当大臣でありました、とにかく雇用、事業、国民の生活を守るということで、給付金、協力金、ゼロゼロ融資を始めとして、守るという姿勢で臨んでまいりました。最大限の支援を講じてきた、対策を講じてきたということであります。

 さらに、その後の物価高を始めとして、厳しい経営環境にありますので、資金繰り支援、あるいは取引適正化、価格転嫁など、全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

 他方、コロナがあって、そしてウクライナ侵略があり、また技術の進化で、世の中の変化のスピードは物すごく速いです。したがって、我々の姿勢も、守る、維持から、変化する、挑戦する、いわば静から動へ、大きくこれも変化させていかなきゃいけないのも事実であります。

 したがって、中小企業がこの変化に対応するために、何か新たな挑戦をしよう、それをしっかりと応援をしていきたい。それが、事業再構築補助金が典型でありますが、二兆四千億の予算を確保して、これまで七万件近く採択をして、中小企業の新たな挑戦を応援をしてきております。

 それに加えて、もう御存じのとおりの、ものづくり補助金、IT補助金、こういったものを含めて、あるいは、この機会にこれまでやったことはないけれども輸出に挑戦しよう、その企業を一万者、今支援を積み重ねているところであります。

 こうした、変化に対応した新たな取組を応援しつつ、そして持続的な成長を後押しをしていく、是非、成長していく、そして賃金、所得も上がっていく、この好循環を実現をしていきたいというふうに考えております。

落合委員 今の中小企業の実態、小規模事業者の実態を見ますと、やはりデジタル化への対応というのは大きな課題になると思います。実際に、一割ぐらいでしょうか、対応していると答えている企業はそれぐらいしかありません。

 今、様々なデジタル化のための補助金等も出しているわけですが、IT企業から中小企業の方に補助金がありますよと提案して、その会社の余り使えないようなIT化が行われて、補助金が出て、手数料はもらうというような商売もかなり横行していることは確かだと思います。

 これだと、IT化のための補助金が使われても、実際には経済の生産性は上がるかは分からないという状況は実際にあるというふうに私は回っていて思いますので、そこは経産省として、より細かに、アドバイスの部分も含めて、実態に即した施策を打っていただければというふうに思います。

 最後の一問なんですが、六月一日から標準的な契約の電気代が値上げされます。値上げ申請が認可されたということでございます。

 今、大体二割ぐらい政府が家庭に対して補助を入れて、実際に家庭が払う分より二割ぐらい低い金額を払えばいいようになっています。これは、予算を見てみますと、大体十一月の請求ぐらいからいきなり、だんと電気料金が上がってしまう、その補助が切れてしまうわけです。

 これは、補正予算を組むのかどうだか、崖ができてしまうわけですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、激変緩和をするということで、今年の一月分の使用分から電気料金の負担軽減策を講じているところであります。

 他方で、御指摘の十月使用分、十一月支払い分以降のことについて、今の段階で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、国際的な資源価格の動向、特にウクライナ情勢の動向などをよく注視しながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。

 その上で、今後の状況いかんにもよるんですけれども、今のところ燃料価格は少し落ち着いておりますが、喉元過ぎて熱さ忘れるではなくて、将来また何かそうした危機が起こるということに備えて、やはり今の段階から、省エネ、これを徹底していくことが重要だというふうに思っております。

 このため、企業向けには、省エネ設備への補助、最大二十億円支援をする、これを今後三年間で五千億円規模で支援を行っていくことにしておりますし、家庭向けにも、住宅の省エネ化に向けて、国交省、環境省と連携して合計二千八百億円、断熱窓とかそうしたものの支援を行っておりますので、是非こうしたものを御活用いただいて、長い目で見て、エネルギー危機、エネルギーコスト高に強い社会も構築していきたいというふうに考えております。

落合委員 これで終わりますが、電気を使っていない家庭というのはありませんので、低所得層にとってはかなり重要な問題です。補助を入れるべきところは入れていくべきである、電気代の支払いに対してですね。

 それから、我々はこれまで、補正予算ですとか本予算のときに対案を出してきました。この電気の分野については、それこそ政府案よりか、省エネを促進をしていくべきであるということを、次の質問の田嶋委員を筆頭に案を作ってきています。

 もっともっと政府が省エネに対してやるべき施策はございます。是非もう少し前のめりにやっていただければと思います。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 田嶋要でございます。

 西村大臣から省エネという言葉が出たのは評価をしたいというふうに思います。イの一番にそれを言っていただく。まさに、構造を変えないと永遠にお金を出し続けるような話になりますから、是非。それで、今、落合さんからも言っていただきました、もっと力を入れるべきと。先ほど二千八百億とおっしゃいましたですよね。桁が一つ小さいんじゃないかなというのが私の印象でございますので、是非とも政府に更なる取組をお願いしたいと思います。

 そして、先ほどの落合委員とのやり取りの中で、アトキンソンさんの話が出ました。大臣が強調されて、何度も議論したと。何度も議論するからには、相当、傾聴に値するから何度も議論したんだと思うんですね。一回会う人も多いですからね。何度も議論したと。

 何度も議論した結果、何か考え方に賛同し、政府の政策として取り入れられた部分というのは逆にあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 個別に面談したことも何度かございまして、これは、アトキンソンさんが提言、提案を持って、様々なデータをアトキンソンさんがいつも示されますので、それについてこういう見方がある、こういう考え方があるということもお示しをされたり、あるいは、成長力戦略会議、ちょっと名前が当時と違うかもしれませんけれども、メンバーでありましたので、その場でも意見をいただき、やり取りもさせていただいたこともありますので、そういう意味で、かなりの数、やり取りはしているものというふうに思います。

 その上で、最終的に成長戦略もまとめましたし、アトキンソンさんも了解、了解というか理解をされて、彼の意見なども取り入れながら、また、いろいろな対立、意見の違いもありましたけれども、それを乗り越えて、まとめております。

 基本的に、先ほど申し上げたように、中小企業の皆さんの役割、これをしっかりと評価をしながら、しかし、やはり変化には対応していかなきゃいけない。それは何か淘汰をしていくということではなくて、先ほど落合さんも言われましたけれども、全体、人口も地方は減ってきているわけですから、当然、オーバーストアの面、オーバー、数が多い企業については自然に減っていく部分もあるでしょうし、高齢化に伴って、後継者がいないということで廃業される方もおられると思いますし、いろいろな、自然の中でそういったことも起こるということ。

 あるいは、更に言えば、その中で、MアンドAを含めて、MアンドAというと、何か買収というと、上から、大きい企業が中小企業を食い物にするみたいなイメージですけれども、そうではなくて、対等で合併をすることもありますし、事業承継などを円滑に進めていくことで、そして、地域のそうした中小企業の持っている技術とか力をしっかりと維持していこう、こういった方向で最終的に成長戦略をまとめておりますので、その成果として、事業再構築補助金とか様々な施策を、我々は対応しているということでございます。

田嶋委員 ありがとうございます。

 それで、それに関連して、最初の質問として通告しているものでお尋ねします。

 我が国の、失われた三十年とも言われますけれども、産業競争力が過去三十年間落ちてきているということがよく指摘されますが、逆に、この三十年間で著しく強化された産業分野はどこであるというふうに、外に向かって、大臣だったら御説明なさいますか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、全体として日本の成長力が思うように伸びなかったところは、これは私もじくじたる思いがございます。改めて、日本の競争力、成長力、これを強くするということで決意を新たにしているところであります。

 いろいろな評価があると思いますけれども、二つ申し上げると、一つは、労働生産性に着目しますと、化学産業、これはアメリカよりも生産性が高いということが言えます。これは、機能性の、電子部品なんかも含めてかなり事業転換が進んできている分野だというふうに思います。

 さらに、世界シェアで見ますと、自動車は引き続き、今大きな転換点にありますけれども、現時点でハイブリッドという技術を含めて世界トップクラスであります。また、半導体製造装置、部素材、これも世界シェアトップの企業が多いです。そして、この半導体関連で、製造装置や部素材が競争力がある企業が多いからこそ、昨日も、TSMCやマイクロンあるいはインテルが日本に投資を拡大するということの表明がございました。

 こうした今申し上げたような分野は、これまでも政府の研究開発などの支援もあって実現できているものと思いますけれども、更にここから、先ほど申し上げた成長力、競争力を更に強化をしていく重要な局面であります。産業政策も、いわば有志連合、そしてオープンイノベーション、全部一社でやるとか全部日本だけでやるではなくて、有志国、同志国と連携をしながら果敢に挑戦をしていく、連携しながら挑戦をしていく、そうした政策の下で日本の競争力、成長力、強化をしていきたいというふうに考えています。

田嶋委員 本当に、次の飯の種のために与野党を超えて知恵を出していかなければいけないと、私も大臣と同じように強い危機感を持って様々な御提言もさせていただきたいと思います。

 自動車産業は若干心配も広がっている感じがいたしますが、特にこの委員会の関係では、私自身、今、関心を持って見ているのが全固体電池とそれからペロブスカイトであります。昨日、今日も研究者がペロブスカイトもやばいぞというようなレポートを出されたようで、終わった後、読みますけれども。

 ちょっと、同じようなパターンで負けが続くということに対して強い危機感を持っておりまして、上流は強いけれども、下流、川下に行くと例えば中韓が先行しているんじゃないか、そういう危機感を持っておりますので、大臣には改めてそれを繰り返さぬようにお願いしたいと思いますが、同じ問題意識でしょうか。

西村(康)国務大臣 共有をしている部分は多くあると思います。

 各国の競争は非常に、最先端分野での競争は激しくなっておりますし、競争する部分、そして同志国で連携しながら協調していく部分、特に、大規模な投資、開発には大規模な資金が必要ですので、繰り返しになりますが、一社ではなかなかできない、あるいは一国でもできない部分もありますので、連携をしながら、そして最先端の技術、競争力のある技術を、日本としてしっかりとこれを強化をしていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 大規模な投資はもちろんだと思います。であるならば、なぜ人口で半分の韓国が日本よりも的確に動けているのかというところは、やはり研究に値すると私は思います。韓流、ポップとかそういうことだけではなくて、いろいろな分野で大変評価すべき動きが私は多いのではないかというふうに改めて思っております。日韓の関係も非常にいい方向に向かっているということでございますので、是非そうした研究もジョイントでなされるといいのかなということを御提案申し上げたいと思います。

 それで、具体的に、今回は意匠法についての質問に入らせていただきたいと思います。

 この間まで知的財産の議論が行われたわけでございますが、配付資料の一を御覧をいただきたいというふうに思います。

 大臣、これは今回の担当の大臣のその前の話なので、ちょうど宗像さんが長官をされたときなんですね。これは前々回の改正なんですけれども、私の部屋にこの資料を持ってこられまして、彼女が強調したのは、韓国も中国もとっくにやっているんです、だから改正させてください、簡単に言えばそういうことなんですね。この間の改正もそうですけれども、なかなか反対するような話は余りなくて、どんどんやってくださいということになる場合が多いわけですけれども、逆に何でこんなに遅れたんですかという議論で、随分と議論をさせていただきました。

 欧州と韓国は同じ二〇〇三年ですね、これは偶然とは私はちょっと思えないですね。研究をお互いにしているのかなという感じがいたします。中国でも、日本から十年近く前にはもう既に実現していた。

 改めて確認ですが、特許庁長官、画像デザインの保護に関して我が国の法整備はどのように後れを取ったのか、御説明ください。

濱野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年度意匠法改正に至る状況についてお答え申し上げます。

 令和元年意匠法改正におきまして、ネットワークを通じて提供される画像や、物品以外の場所に投影される画像を保護対象に追加をいたしました。

 このうち、ネットワークを通じて提供される画像につきましては、スマートフォンの普及やアプリケーションソフトウェアの市場拡大等を受けまして、平成二十三年から平成二十六年にかけて、保護対象として追加することを検討いたしましたが、当時は、ユーザーから、権利侵害を回避するための調査負担が重いとの反発が強うございました。

 このような調査負担の軽減のため、平成二十七年から画像意匠の検索を容易化するためのツールの提供を開始をいたしまして、その後、当該ツールによる調査負担の軽減について理解が浸透したことや、物品との一体性で認められる範囲を超える画像を保護するニーズが産業界においてより一層高まったことから、ネットワークを通じて提供される画像を保護対象に追加をすることといたしました。

 また、物品以外の場所に投影される画像につきましては、平成二十九年の知財高裁の判断におきまして、道路に投影される画像に対して保護対象に当たらないことが示されたことを受けまして、産業界のニーズも踏まえ、保護対象とする法改正を行ったものでございます。

田嶋委員 大臣、産業界のニーズを素直に受け止めながら、一回見送ったりしながら前回の改正になったということなんだけれども、そんな状況というのはどこの国だってあるはずなんですね、どこの国だってあるはずです。

 そういう中で、宗像さん、正直におっしゃっておるわけなんですけれども、例えば、日本における意匠の出願が減少しておる、他国では意匠が増えている、そういうものが保護されていないので出願ができなかったということで減ってしまっているのだと思いますと。そして、その結果として、GAFAや、中国でもアリババ、テンセントとか、そういうネットワークを活用した企業が成長しておりますので、彼らが失敗したということではなかったと思っております、こういう答弁ですね。

 つまり、逆に言えば、そういうことを保護できなかった我々は、知的財産の保護ができなかったという意味で、大企業も中小企業もそうしたところのビジネスで後れを取る環境を経産省がつくってしまった、私はそういうことだというふうに考えているんです。こういうことが、先ほどの全固体電池にせよ、ペロブスカイトにせよ、ずっと延々繰り返されているんじゃないかというのが私の問題意識です。

 この間までの知財の改正も、誰も反対しませんよ、共産党さん含めて全員が賛成、あっ、ごめん、名前出しちゃっていけなかったね、済みません、みんな賛成する。大体、今までもそうだと思いますよ。知財の法改正で誰かそんな猛烈に反対するなんということはないでしょう。やればいいんですよ。だけれども、遅過ぎるということがこの日本の問題なのかなというふうに思います。

 そこで、世耕大臣が、当時、私とやはり懸念を共有するということをおっしゃる中で、こういう答弁がありました。私は何を申し上げているかというと、世界中にネットワークを持っているだろうと。二百名以上の方を海外に駐在させて。先ほど、なぜ韓国が欧州と同じ年にそういう保護ができたのか、やはり情報を取って、ライバルが動いたらすぐこちらも動く、なぜそういう保護を行ったのかという検討をする、そして必要性を議論して国内法の整備に入ったということだと私は思いますよ。何でそれができないんですかということを申し上げておりまして、世耕さんも、同じようなことを共有しているという中で、仕組みはある、ただ、それがアクションにつながっているかどうかというところは、まさに田嶋委員と私も同じ懸念を共有しておりますということを平成三十一年四月十日に答弁されています。

 さて、そこで、そこから大分日にちがたちました。そういう懸念は払拭されるような環境、体制ができているのかどうかを、御答弁を大臣からいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 国際経済秩序がいろいろな変化、あるいは技術が進化する中で、様々な国、各国の事情に応じて産業政策に取り組んでいるというのが、まず基本はあると思います。他方、日本として、日本の企業が競争力を発揮できるように、アジア、欧米のみならず、世界各国のまさに政策の動向に目を配りながら的確に政策を企画、実施していく、これは重要な視点だと思います。

 このため、御指摘のように、政策立案に必要な諸外国の制度に関する最新情報を収集できるように、経産省では、省内職員はもとより、海外各地に職員を派遣しておりますし、関係団体、ジェトロなどもございます、そうしたものを通じて得られた国内外のビジネス、技術革新の動向、外国政府の取組などについて情報収集、分析を進めた上で政策立案を行っているところであります。

 御指摘の知財についても、今回の不正競争防止法の改正においては、デジタル空間、メタバースなどにおける模倣品の提供行為を不正競争行為とするということを先般御議論いただいたわけでありますが、現時点で確認している限り、他国で明確に規制したこうした法令はないという中で、我が国が世界に先駆けて明文化するということでありますので、そういう意味では、いろいろな情報収集を含めて対応しているということであります。

 さらに、私自身も、諸外国の経済学者とかシンクタンクとかいろいろな、もちろん政府間のいろいろなやり取りもありますけれども、あるいはいろいろな海外の論調、マスコミ報道なども含めて、できるだけアンテナ高く、目を目配りしながら対応しているところでありますし、職員にもそうしたことを徹底をしているところであります。

 もう一点だけ申し上げれば、半導体も今回大きく投資をしてくれることに、海外からありますけれども、評価として、日本がかつては、私がアメリカに留学、ちょうど同じ時期だったと思いますけれども、あの頃は日本はトゥーリトル・トゥーレートとよく言われたわけですが、今回、TSMCも九州に立地をし、更に拡大するということで、拡大投資をしたいということで表明がありましたけれども、やはり日本の意思決定の速さ、あるいは支援の大きさ、こうしたことを評価をされたものというふうに思います。

 経済安全保障分野では、特に連携も重要となってきておりますし、各国と歩調を合わせてやる部分、そして競争でより速くやる部分、あると思いますので、的確に政策の検討、実施、行っていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 今の、各国に先駆けて動けたという御指摘も受け止めさせていただいて、変化が、兆しが見えるのであれば評価もしたいし、期待もしたいと思います。

 前回、世耕さんがこういうふうに言っていましたね。非常に重要な国に、合計で二百名を超える職員を派遣、常駐させていて、日常から、現地の情報収集、動向調査云々と。ただ、それがアクションにつながってきているかどうかというところは、まさに同じ懸念を共有するということでありますので。

 明治維新の頃の、海外にそうやって送り出されたそうした有為な人材、そうした方々の、歴史の本なんかもいろいろ登場人物はおりますけれども、やはりこの二百人というのは、我が国一億人を超える日本の国益を代表してそういう国々にいらっしゃるわけですから、寝ても覚めてもそうした視点を常に持ち続けて、ほかの国が先んじて、我が国の国益にマイナスのような状況になってきたら、瞬時にそれを本国に届けて、その情報を基にして我が国の対策を練るというような、そうした仕組みづくりということをちゃんと確立させていただきたいということを、改めてお願いをしたいというふうに思います。

 今、大臣が強調された、そうした各国に先駆けてという部分が、今後、我々の競争を優位に、資することを期待して、注視をしていきたいというふうに思います。では、よろしくお願いします。

 次の質問に移ります。

 これは、林野庁に今日お越しいただいておりますが、経産大臣、経産省も、クライアントは経産省なわけですね。クライアントということは、太陽光を増やす、地上の風力を増やす、やっていく中心は経産省になるわけなので、西村大臣、是非お聞きくださいね。

 本当に今まで悩んできた問題であるし、与党も野党も、これはもう頭の痛い問題ですね。原発のように、遠くで知らないところでやっている話で、事故が起きても自分の地域じゃない、そういう感覚になりがちな話と違って、みんなNIMBYなんですよ、みんなNIMBY。目の前に広がっている目障りな太陽光とか、山の山肌が削られたてっぺんに風力が建つとか、いいかげんにしろという話はもう日本中で起きているわけですから、その部分に関してずっと私も取り組んで、苦しんできております。なかなかこれは解決策が、基本的に、個人の土地所有権とか、そういう話にも入ってきて難しい感じもするんですが。

 まず、その前に、埼玉のアセスの問題がありまして、これは大規模なメガソーラーですが、参考人、来ていただいていますよね。これは、事業ステータスは、要するに、問題だといって初めて環境大臣が意見をしたというわけでありまして、このフロー、資料を御覧いただきたいんですが、配付資料の二でございますけれども、この配付資料の二の赤線を引いてあるところに、環境大臣が意見をできる仕組みになっておるわけです。今、このプロジェクトというのはどういうステータスにございますか。簡単に言ってください。

辻本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の事業につきましては、令和四年二月、昨年の二月に、事業者に対しまして、環境大臣、埼玉県知事、一般の方々の意見も勘案して、電気事業法に基づき、経産大臣から環境影響評価準備書の勧告を行っております。

 具体的には、その事業者の事業、切土や盛土に土地の改変、外部からの大量の土砂の搬入、大規模な森林伐採を行う計画に対しまして、盛土による土砂災害の誘発を懸念する地元の声などを勘案し、計画の抜本的な見直しや、地域住民に対する丁寧な説明を行うということを勧告したところでございます。

 現在のステータスでございます。現在、勧告を行いまして一年三か月が経過しておりますが、事業者から、その次の段階でありますけれども、環境影響評価書等の提出がされていない、こういう状況でございます。

田嶋委員 よかったと思っています。経済産業大臣、つまり、私、何となく、環境アセスというのは悪いプロジェクトを止める力はないのかなというのがずっと私の認識だったんですけれども、このフローの一番最後のところで下線が引いてある、そうした環境省からの意見も含めて、変更命令というのを環境大臣が出す。これ、無限ループに入っていけるんですね。

 だから、よくないものは実質的に断念させる力があるというふうに私は理解しておるので、もっとこの環境アセスの仕組みを、経産大臣も意識を持って、そして環境大臣と連携しながら、あるいは地元の首長、県知事とも連携しながら、止めるものは止めるということで私はやっていただきたいというふうに思いますが、それでお願いできますか。意識として。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のように、電事法で、一定規模以上の太陽光発電設備の設置に際しては、地盤の安定性や希少な動植物への影響など、環境保全への適正な配慮を確保するため、経済産業大臣が必要な勧告をすることができると。そして、その勧告に従う場合など、お示しいただいているとおり、必要があると認められる場合には、評価書の変更を命ずることができるということでありますので、事業者が命令に従わず電気事業法に基づく工事計画を届け出た場合には、経産大臣としては評価書に従っていないということで計画が受理されないということでありますので、事業を開始できません。

 御指摘のように、こうしたこと、環境アセスについても十分目配りをしながら対応していきたいというふうに考えています。

田嶋委員 私の地元の千葉県も、鴨川というところにもっとでっかいのが、日本最大と言われていますが、これも止めていますから、一生懸命止めていますから、地元と頑張って。本当にどうしようもないのがたくさんある。

 もう一つ申し上げたいのは、太陽光のこういう問題ケースは、ピークは過ぎていると私は思います、ある意味。だけれども、陸上風力はこれからですからね。だから、改めて、諦めることなく、いろいろな、手替え品替えやっていただきたいというふうに思いますので、このアセスを有効に使ってほしい。

 ただ、もう一つ、私が長年悩んでいたのは森林法の部分でございますが、森林法の十条の二というところ、配付資料の三を御覧いただきたいんですけれども、このところに、「次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、これを許可しなければならない。」という規定があるんですね。許可権者は県知事ですよ。

 そして、こうすると、この規定があるので、事業者から訴訟提起を恐れる都道府県の不許可処分が行いにくくなっていると。つまり、許可せざるを得ないんですよねというふうに、県の職員が、言い訳というか逃げというか、そういうふうに言っちゃうケースを私も何度も見ておりまして、そういう話をよく聞くんですね。困ったものだな、仕方がないのかなと、そこから先、私は知恵がありませんでしたが、最近、有識者の団体の方々からも、この条文を少し変えるだけでも効果が出るということで、提案をいただいておるのが次の問題意識です。

 まず、この不許可処分が出しにくくなっているという声は届いているんでしょうか。林野庁の副大臣。

野中副大臣 許可しなければならないということを明記しているのは、許可権者である知事が自分の権限の範疇を超えて私権をいたずらに侵害しない、そのために私どもはこの明記をしているところであります。

 実際に、せざるを得ないという県の声があるということですけれども、基準に合わない場合は不許可処分と実際にしている事例もございますので、都道府県が不許可処分を行いにくいという実態は私どもはないというふうに承知をしております。

田嶋委員 私がずっとこの七、八年間いろいろなところから聞いている話とはずれていますね。だから、是非もう一度、改めてそういうヒアリングをしていただきたいというふうに思います。

 それで、今回その有識者も含めて提案が来ているので、私の方から申し上げたいんですが、今の十条の二第二項の柱書きの規定は、このように、例えば逆側から書く。つまり、次の各号のいずれにも該当しないと認められない限り、これを許可してはならないと。

 許可してはならないというふうに書くだけでもやはり現場の人々の意識が変わってくるという提案をいただいておりますので、そこは林野庁の受け止めは違うかもしれませんけれども、山のてっぺんを破壊して風力をいっぱい造る事例がこれから増えますから。そうですよね、だって、風力発電、これから力を入れるんだから。洋上風力の方がポテンシャルは大きいかもしれないけれども、陸上だってこれから頭の痛いのがいっぱい出てくる。洋上は住んでいる人いませんから、そこに。

 だから、そういう話で、是非、林野庁、これはこのままでいいんだと考えずに、ちょっともう一回、虚心坦懐に、ここの法文を変えるだけでもどうか。

 それと連動して提案したいのは、次の各号の中の、新たに、今のこれは三までしかないですよね、一から一の二、二と三しかないんです。それに四というのを加えていただいて、そこに、例えば、生物多様性と景観の維持その他の公益的機能を害するなど森林法の目的に反するおそれがあることという、そのような、一種何というか、景観ということ、あるいは生物多様性ということを言葉にしていただくということも私は大事かなというふうに思います。

 事前のヒアリングで、いやいや、三の「環境」で全部含めているんだよみたいな話があったんですけれども、更にそれを深掘りしていくと、言ってみれば、ガイドラインというんですか、そういうマニュアルがありますよね、その中でも明確にはなっていないということで、景観を重視するということは必ずしも強調はなされていないということであります。

 そして、今申し上げたことを森林法の目的の部分でも、景観形成というような公益的機能を明文化するという提案を、私だけが言っているわけじゃなくて、今申し上げた有識者の団体からの御相談も受けて今日この場でやらせていただくけれども、これは私が長年、この鴨川だけじゃなくて、長年いろいろなところで、現場の皆さんが手が出せなくて、悔しいけれども環境破壊が進んでいるという事例が全国にたくさんありますから、そしてこれからも出てきますので、改めて、林野庁には重い責任があるということです。

 農地の方は農地法とかでしっかり守られている部分があるのに対して、森林の方は、そこはやはり弱いのではないのかなという感じがするのですね。是非そこはお願いをしたいというふうに思いますので、一言だけ、頑張りますと言っていただきたいと思います。

野中副大臣 一言で申し上げますと、田嶋先生と共有するところは、私どもも、むやみやたらな乱開発、林地開発というのは望んでおりません。ですので、しっかりとしたルールに基づいて開発をしていただきたいというふうに思っております。

田嶋委員 それはそのとおりなんですよ。ただ、現場の職員さんが、そこがやれるかということなんですよ。訴えるぞとびびらせながら、やられている可能性はありますよ。そういうときに、いやいや、こういうふうに、なければやってはいけないと書いてありますと言った方が、許可しなければならないというと、やはりちょっと怖いと思いますよ。こういう強い書きぶりはなかなかないという話も聞きました、法文として。

 だから、ささいなことに見えるかもしれないけれども、僕にはそこまで知恵がなかったけれども、今回そういうようなヒントを有識者からいただいたので、ああ、そうだと。長年苦しんでいた話と符合するので今日提案させていただきますので、是非それをお願いしたい。

 それから、経産大臣、これは無関係の話じゃない、当然ですけれども。経産大臣が推進する風力の話ですから、これは是非中身をちょっと考えていただいて。さっきの文は単なる例示でありますので。経産省も力をかしてくださいよ。どうですか、これ。これから地域の理解を得ながら、風力発電も、そしてもちろん太陽光もこれからだって広げていかなきゃいけないわけですから、重要なことだと思います。

 何か森林法の関係でできないか。経産大臣の力をかりたいと思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 再エネ特措法では現在も関係法令の遵守を求めているところでありますし、関係省庁と連携して議論も進めております。

 御指摘の森林法に基づく林地開発許可などの土地開発に関する許認可については、認定申請前の取得を求めるなどの対応を、省令改正で本年夏頃までに具体化をしたいというふうに考えております。

 御指摘のように洋上風力も進めたいと思っておりますが、欧米で見ますと、やはり平地にたくさん造っているんですね、私も今回ヨーロッパをずっと視察をしてきましたけれども。日本の場合、なかなか適地がないということで、山を開発、私の地元、淡路でも山の上に造っておりますけれども、やはり環境との関係、それから地元住民との関係などもあって、なかなか難しい部分もあります。

 今、野中さんから答弁がありましたけれども、まさに乱開発とならないように、環境保全、そして地域との共生をした形で是非進めていきたいというふうに考えております。

田嶋委員 法令遵守は当然なんですけれども、みんな多分同じ問題意識を持っていて、みんな頭痛いなと思っているんだけれども、進めないわけにもいかないんですから。

 是非、もう一度、法律自体の書きぶりを変えることによっていい効果が生まれる可能性だってあるわけですから、法改正も含めて、僕らも考えなきゃいけないけれども、是非、経産省にも関心を持っていただいて、この森林法ということに関して注目をいただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。以上です。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 一回、私、転職していまして、一九九四年かな、日本で一番最初のインターロップ、インターネットの見本市を幕張で見たときに、世界は変わると思って転職した。鉄鋼会社から生命保険会社に移って、一九九五年にインターネットで保険を売ろうとしてサイトを立ち上げたんだけれども、早過ぎました。でも、反応はありました。手応えは感じました。

 今回の物流もいいテーマだなと思っています。何ゆえに生命保険会社に転職したかというと、営業の手法として、まだまだ開発の余地があるなと思ったものですから。物流も全く同じで、日本の神経系というのかな、血管というのかな、これを全て改めることができるのが物流とか倉庫だと思っています。ですから、この物流の問題、あるいは倉庫の問題は、倉庫については今最先端の方に行っているんですけれども、物流は日本で一番様々なビジネスのチャンスがあるところだと思っています。

 ただ、政府のクラウドは、今、外国の企業に依存しているので、この物流のシステムも外国の会社に、企業に依存することは避けたいなと思っています。

 私も、もう七、八年ぐらい前かな、カーナビをやめてグーグルナビに変えまして、これは物すごく精度がよくて、私たち、選挙区を抱えておるものですから、移動時間が一番短くて済む。これはやはり外国の企業に依存しているシステムであって、将来的には一番近い距離にいるのが、こういうナビシステムを持っているグーグルかなと思うところもあります。

 何年か前にウズベキスタンに行きました。ウズベキスタンのタクシーのナビシステムは、スマートフォンなんですけれども、これはロシアの地図情報データを使っています。恐らく衛星はGLONASSだと思います。

 こういうことというのは結構大切なことでして、また、この物流の分野で我が国がシステムとして外国に依存するようになることは避けたいなというのが基本的な考え方です。ですから、今日は短期的な話をさせていただきます。

 二〇二四年の問題、この問題は短期的な問題なんですけれども、これをきっかけとしながら物流が大きく変わる転機になるかなと思っておりまして、まず、いわゆる二〇二四年問題について、二〇二四年四月からトラックドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用されますが、拘束時間や休憩時間がどのように変わるか、分かりやすく説明してください。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トラックドライバーを含む自動車運転者の労働時間等の規制につきましては、厚生労働大臣告示、自動車運転者の労働時間等の改善のための告示、いわゆる改善基準告示により、拘束時間、休息時間などについて上限基準等が設けられてございます。

 同告示については、運転者の過労死等の防止の観点から、厚生労働省の労働政策審議会の下に設置された、労使それぞれの代表も参加した専門委員会において議論がなされ、労使双方の合意の下、昨年十二月に改正されたものと承知してございます。

 改正後は、一か月の拘束時間につきましては、二百九十三時間を超えないことから、二百八十四時間を超えないことに、一日の拘束時間につきましては、原則十三時間以下、最長十六時間から、原則十三時間以下、最長十五時間に、また、一日の休息時間につきましては、八時間以上与えることから、十一時間以上与えるよう努めることを基本とし、九時間を下回らないものとすることと、それぞれ変更になります。

大島委員 なかなか分かりやすい説明とは思うんですけれども、具体的なイメージが湧かないものですから、審議官、もう一言だけいただきたいのは、トラックの、特に長距離だと思うんですよ。

 長距離のトラックで、今までだと、一人の運転手が行ってそのまま帰ってくるということが多分皆さんされていて、結構過酷な労働時間だったかなと思うんですけれども、これが変わることによって、一回ドライバーを替えなければいけないとか、そういうことが起こり得るかなとは思うんだけれども、その点について、ほんの少し補足してください。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、時間が変わりますと、これまで一人で運べていたところにつきまして、二人にするとかいったことも必要になってまいります。このため、事業者の方におきまして、十分な計画的な運行計画を策定していただくということが必要になってまいります。

大島委員 ですから、今答弁ありましたとおり、トラックに携わっていらっしゃる会社も改善の余地が結構あるかなとは思うのが一点です。

 そして、トラックドライバーに対する時間外労働規制の適用を受けて、物流の停滞が懸念されます。いわゆる二〇二四年問題の影響により物流分野の人手不足が加速すると考えられますが、輸送能力がどれくらい不足するのか、特に不足が深刻な業種としてはどういったものがあるか、国交省から答弁をお願いします。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トラックドライバーの働き方改革として時間外労働規制が適用され、何も対策を講じないと物流の停滞が懸念される、いわゆる二〇二四年問題の解決に向け、迅速に対応する必要があるというふうに考えてございます。

 このため、荷主を所管する経済産業省、農林水産省と共同で、持続可能な物流の実現に向けた検討会を開催し、検討を進めているところでございます。

 この検討会におきまして、何も対策を取らない場合、輸送能力が二〇二四年度には一四%不足し、二〇三〇年度には三四%不足する可能性があると指摘されてございます。

 この輸送能力不足の程度につきましては、業界ごとに差がございます。二〇二四年度について見ますと、特に不足が深刻となる農産・水産品の業界において、三〇%以上不足する可能性があると見込まれてございます。

大島委員 二〇二四年で三〇%程度だとすると、結構大きな問題ですよね。

 トラック運送業は、労働時間が長く賃金が安い状況にあると思われますが、国交省の認識を教えてください。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック運送業につきましては、他の産業と比較して労働時間が約二割長く、賃金が約一割低い状況にあると認識してございます。このため、荷主等の協力の下、荷待ち時間の削減や適正な運賃を収受できる環境を整備することが重要であるというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、貨物自動車運送事業法に基づきまして、標準的な運賃の周知、浸透、また適正な取引を阻害する疑いのある荷主等に対する働きかけや要請などに取り組んでいるところでございます。

 またさらに、中小企業庁や公正取引委員会と連携し、下請代金法、独占禁止法等の法執行による取引の適正化を推進するとともに、先ほども申し上げましたが、経済産業省や農林水産省と共同で開催しております検討会におきまして、適正な取引環境の実現に向け、検討を進めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、こうした取組を通じて、トラック運送業における働き方改革と適正な運賃収受に向けた環境整備を図ってまいります。

大島委員 これは価格転嫁問題でも取り上げたんですけれども、トラックドライバーがトラックドライバー以外の仕事、例えば荷降ろしをしなければいけないとか、そういうことを結構強いられるケースが多いので、その点については是非今後解決に向けて取り組んでください。

 トラック運送業における取引関係には、下請事業者に委託するたびに、元請事業者が収受した運賃から利ざやが引かれ、実際に運送業務を担う事業者の運賃が不十分になるという重層下請構造が存在します。トラック運送業の多重下請構造の是正について、国交省の見解をお願いします。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック運送業は中小企業が多く、荷主や元請事業者などに対する交渉力が弱いという状況にございまして、安定的な物流を確保するために、取引環境の適正化が喫緊の課題になっていると認識してございます。

 委員御指摘の多重下請構造の是正につきましては、全日本トラック協会の自主行動計画でも原則二次下請までに制限する旨が盛り込まれるなど、業界においても取組が進められているところでございます。

 また、国土交通省では、令和四年度末に、荷主を所管する経済産業省や農林水産省と連携し、多重下請の現状や契約と実際の業務内容の関係を把握するための調査を実施したところでございます。この結果、多重下請構造が実運送事業者の適正な運賃・料金の収受を妨げている要因の一つとなっているということが考えられることから、運送体制の可視化を通じて多重下請構造の是正が必要であるというふうに認識してございます。

 国土交通省といたしましては、関係省庁や業界団体とも連携し、実効性のある方策の具体化に向けて、スピード感を持って対応してまいりたいと考えてございます。

大島委員 人手不足、新型感染症の三年間は、本当は人手不足だったんですけれども、人手がちょっと過剰かなという錯覚を得ておりまして、実は今本当に人手が不足しております。

 人手不足が進めば物流業界の構造にも変化が起きると考えられる中、運送の効率化や生産性の向上の観点から、物流分野におけるDXの推進が一層重要になると考えます。

 物流DX推進に向けて、関係各省で連携して取り組むべきじゃないかと思うんですけれども、お願いします。

岡野政府参考人 お答えいたします。

 物流が直面する担い手不足やカーボンニュートラルへの対応などの課題を解決するためには、機械化、デジタル化を通じて生産性の向上を図り、物流のこれまでの在り方を変革する物流DXの推進が不可欠であるというふうに認識してございます。

 そのため、国土交通省では、共同輸配送システムや配車システム、自動化機器など新技術を導入し、生産性の向上を図る物流DXの取組に対する支援や、それらの取組の普及促進に取り組んでいるところでございます。

 さらに、三月末に設置、開催されました我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議におきまして、岸田総理より、六月上旬を目途に政策パッケージを取りまとめるよう御指示があったところでございます。この政策パッケージには物流のDX等による効率化も含まれてございまして、国土交通省といたしましては、関係省庁と緊密に連携し、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

大島委員 大臣、関係閣僚会議が開かれてよかったと思っていまして、多分、前回物流について質問したのは関係閣僚会議が立ち上がる前だったと思います。やはり政府全体として、結構地味なところで、産業の全ての難しいところは物流に押しつけてきたところがありまして、だから、その物流をやはり各産業と整えていくことが本当に重要だと思っています。

 そして、国交省にあと二問あるので、二問まとめて答弁をお願いします。

 高速道路におけるトラックのレベル4の自動運転の社会実装が行われると承知しておりますが、今後どういう取組が行われるのか。また、自動運転の取組と併せて、荷物を積み替える拠点も必要となると考える。これは前回指摘しています。スムーズに整備が進むように支援をお願いしたい。なかなか、道路工事でも十年ぐらいかかりますので、始めてから。今のうちから物流拠点の整備は必要かなと思っています。

 いわゆる二〇二四年問題への対応として、中距離輸送において鉄道網を有効に利用できないか、鉄道貨物ですよね。ここについての見解、答弁を二点お願いします。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路におけるトラックの自動運転は、ドライバー不足や労働環境の改善など、物流業界が直面する課題の解決につながるものとして期待されてございます。

 このため、二〇二五年度頃の高速道路におけるレベル4自動運転トラックの実現、また二〇二六年度以降の社会実装を政府目標として掲げ、現在、技術開発を進めているところでございます。二〇二四年度には、新東名高速道路において自動運転レーンを設定し、実証実験を行う予定としてございます。

 委員御指摘の荷物の積替え拠点の整備につきましては、物流総合効率化法の枠組みに基づき、国土交通大臣の認定を受けた事業におきまして、自動車ターミナル等の広域物流拠点ですとか、あるいは中継輸送拠点等の整備に対して、財政融資を活用した長期かつ安定的な資金の貸付けといった支援を行ってございます。

 今後も、これらの拠点施設を活用しながら、関係省庁とも連携して、トラックの自動運転の実現を推進してまいります。

石原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、いわゆる二〇二四年問題への対応としまして、特に中長距離輸送につきましては、貨物鉄道を有効に活用する、これが極めて重要な課題と認識しているところでございます。

 昨年、国土交通省におきましては、そのために有識者会議を設置いたしまして、貨物鉄道の輸送力、これを増やすため、様々な観点から御指摘を提言の中で頂戴しております。実際には、災害等輸送障害時の対応力など十四の具体的な課題が指摘され、また、その解決方策も示されたところでございます。

 これを受けまして、JR貨物では、取組目標を具体的なKPIに落として、そして、国の支援を活用しつつ、例えば災害時の代行輸送の拠点となる貨物駅の施設整備に着手するなど、必要な対策を講じてきているところでございます。

 国土交通省としましても、貨物鉄道に期待される役割、これが存分に発揮できますよう、関係省庁やJR貨物等の関係者と連携しまして、トラック等他の輸送モードとの連携強化、ネットワークの強靱化、リダンダンシーの確保、更なるDX化、GX化などの課題にしっかり取り組んでまいりたい、このように思っております。

大島委員 ありがとうございます。

 先ほど御答弁いただいた、ETCを出た後の物流拠点の整備は、是非国土交通省で全国的に、こことここ、必要かなという検討もしてほしいと思いますし、特に鉄道貨物については、今回、多分今後、中長期的にはシステムの中に組み込まれていくと思うので、スムーズにシステムに組み込みながら、物流の基幹として鉄道貨物が利用できるように是非計画を進めてください。お願いします。

 先ほど答弁のあった、二〇二四年で三〇%ぐらい影響を受けるのが農産物という話を伺いましたので、物流の二〇二四年問題によって、特に青果、花卉、水産品の輸送能力の不足が深刻と予想されますが、農水省としては、二〇二四年四月一日以降どのような問題が生じるのか、想定しているのか、伺わせてください。

安楽岡政府参考人 お答えします。

 先ほど国交省からも答弁ございましたけれども、農水省、経産省、国交省の三省で開催する持続可能な物流の実現に向けた検討会における試算によれば、物流効率化に取り組まなかった場合、特に農産・水産品については輸送能力の三割余りが、三二・五%という試算でございますけれども、不足すると試算されておりまして、何も対策を行わなければ遠隔地を中心に物流の停滞が懸念されるというふうに認識をしております。

大島委員 三問続けて質問しますので、一括して答弁をお願いします。

 青果、花卉、水産物について、短期的には農林水産省としてはどのような対策を考えているのか。

 そして、青果、花卉、水産物について、中長期的には農水省としてはどのような対策を考えているのか。

 そして、ドライバーの労働時間の規制により、物流コストが上がり、納期が守れない事態も出てくると想定されることに対する農水省の考え方を教えてください。

安楽岡政府参考人 お答えします。

 トラックドライバーの労働時間を削減するためには、ばら積みを主体として行われている生産物流通をパレット化をして、卸売市場等、場内の物流を円滑にすることで、トラックドライバーの荷積み、荷降ろし時間、荷降ろし待ちの時間等を削減することが有効であると考えております。

 このため、青果と花卉について、千百ミリ四方のパレットを推奨するなど、流通標準化ガイドラインというものを今年三月に策定し、水産についても検討会で議論を開始したところでございます。

 また、地方農政局、都道府県等を通じて産地、物流、市場等の関係事業者に問題を周知することで問題意識を共有し、産地における短期的な取組を後押ししているところでございます。

 また、中長期的対策ということでございますけれども、中長期的な物流合理化対策としては、やはりサイズを統一したパレットを利用して、産地から小売まで一つのパレットに載せたまま輸送する、いわゆる一貫パレチゼーションですとか、あるいは、物流情報のデジタル化、電子タグ等を活用した共同輸送、混載輸送、そして、市場、物流拠点等における自動化、省人化の推進等に取り組むことが重要であり、これらに向けてモデル的な取組の支援を行っているところでございます。

 また、納期が守れない事態に対する対応ということでございますけれども、農水省としては、物流合理化の取組と併せて、リードタイムの延長など、荷主、物流事業者間の商慣行の見直しも重要であるというふうに認識をしております。

 このため、パレット化による荷積み、荷降ろしの効率化のほか、トラックから鉄道、海運への輸送切替え、いわゆるモーダルシフト等への支援を行うとともに、経産省、国交省と共同で実施している検討会の二月の中間取りまとめに基づき、関係省庁と連携をして、規制的措置など、実効性のある措置の検討を進めるなど、総合的な対応を関係省庁と連携して行ってまいりたいと考えております。

大島委員 本来であれば農水大臣に質問したいところなんですけれども、農水産物の物流の二〇二四年問題に向けて、概算予算のシーズンに入ると思うので、対策費を立てた方がいいのではないかと思うんですけれども、考え方を教えてください。

安楽岡政府参考人 先ほどもお話ございましたけれども、三月三十一日、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議が開催されまして、総理から、関係省庁で一層緊密に連携し、物流の標準化など、我が国の物流の革新に向けてスピード感を持った対策を講じること、六月上旬をめどに、緊急に取り組むべき抜本的、総合的対策を政策パッケージとして取りまとめることについて指示がございました。

 農水省としては、農水産物の持続的な物流の確保に向けて、荷主、物流事業者間の商慣行の見直し、物流の標準化やDX、GX等による効率化の推進、荷主企業や消費者の行動変容を促す仕組みの導入などについて、国交省、経産省など関係省庁と連携して、しっかり対応してまいりたいと考えています。

大島委員 是非、対策費も盛っておいた方がいいと思うので、よろしくお願いします。

 地元の中小・小規模企業は物流の二〇二四年問題の認識が意外と低いです。知らないと言った方がいいかもしれない。中小・小規模企業、事業者に対して、物流の二〇二四年問題に対する注意喚起を行ってほしいんですけれども、中小企業長官からの答弁をお願いします。

角野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、物流問題につきまして、中小企業を含めまして、荷主企業の理解と協力が不可欠でございます。

 このため、これまでも、経済産業省、厚生労働省、国土交通省等が連携し、物流事業者等の働き方改革などについて、所管する荷主企業へ働きかけを行ってきたほか、様々な場を通じまして、商工会議所等に対して情報発信や働きかけを行ってきたところでございます。また、価格転嫁が物流事業者においても円滑に行われますよう、中小企業庁において、価格交渉促進月間の実施とその結果の公表、パートナーシップ構築宣言等を通じ、物流事業者を含む中小企業の取引適正化にも取り組んでまいりました。

 二〇二四年四月まで残り一年を切る中、幅広く中小企業を含めた企業が危機感を共有し、社会インフラである物流基盤の改善につながるよう、中小・小規模事業者に対しても注意喚起を強化してまいりたいと考えております。

大島委員 ありがとうございます。

 私も、地元の中小・小規模企業に対して、物流についての勉強会をさせていただきました。意外と知らないです。どういうことが起きるのか、まだ具体的なイメージを持っておりません。私も、地元の中小・小規模企業に対して、物流問題を知っているのか、知っていないのか、どういうことをお考えなのかというアンケート調査をこれからしようかなと考えています。やはりそういうことによって来年の四月一日以降をちょっと想定していただくことが、国土交通省さん、農水省さん、経産省さん、関連事業者に注意喚起していただくことが必要かなと思っています。

 最後に大臣に伺いたいんですけれども、経済産業省として、物流の二〇二四年問題に対してどのような対応を取っていくのか。

 もう一点。現在、トラックドライバーが不足しており、積載率も四〇%以下に低迷する中で、中長期的な積載率の向上等の物流対策に向けて、経済産業省としてはどういうふうに取り組んでいくのか。

 やはり経済産業省さんが、農水省、国土交通省、あるいは厚生労働省の医薬の物流も入ってくるので、トータル、日本の物流システムをどう考えるかの中心になるかなとは思うものですから、答弁をお願いします。

西村(康)国務大臣 まさに御指摘のとおり、物流は、我々の生活、そして経済活動を支える不可欠な社会インフラであります。物流が停滞、途絶することがないよう、まさに今日御質問いただいたように、政府全体で対応していくことが重要であると認識しております。

 関係閣僚会議で、六月目途に政策パッケージ取りまとめの指示も総理からあったところでありますので、連携して取り組んでいるところでありますが、経産省としては、長時間の荷待ちあるいは手作業での荷役作業などの削減が、当面、短期的には大きな課題であり、また有効だというふうに考えております。

 こうした中で、物流効率化に資する設備投資の促進とか、あるいは標準パレットの使用など商慣行の是正など、荷主側の取組を推進すべく検討を進めているところであります。

 そして、御指摘のように、積載効率が平均四割ということでありまして、中長期的に更なる人手不足も見込まれますし、商慣行是正による、とにかく短期的にはこの是正をしていくことによって、働き方改革に加えて、ロボット、AI、省人化、効率化、こういったことも進めて、積載効率を上げていくことが大事だというふうに考えております。

 そのためには、物流はいわば非競争領域ということで、共同して取り組む、例えば共同輸配送を進めることが重要ではないかと。

 他方で、これを進めようとすると、企業にとってみれば、何をどこにどれだけ運ぶか、これがまた大事な営業秘密でもあって、この物流情報を他社に知られたくないということもあって、共同輸送、配送が進まない阻害要因となっております。

 そこで、こういった企業秘密なんかをどう守るかという課題を乗り越えながら、少しこれは中長期的になりますが、デジタル技術を活用して、自社が自社の物流情報を適切に管理しながら、しかし業種を超えて共同輸送、配送を可能とする、フィジカルインターネットと呼んでおりますけれども、これを実現すべく、空いたところを管理しながらAIが調整していくということ、これを実現すべく、今、ロードマップを作成して、標準化やデジタル化を進めているところであります。

 あわせて、デジタルライフライン全国総合整備計画策定に向けた検討を加速しておりまして、ドローンを活用するということで、ドローンが飛ぶ航路を設定したり、あるいは新東名で自動運転の専用レーンを設定をしたりとか、様々、関係省庁とも連携しながら、この物流システム全体の革新に向けて取り組み、何とかこの課題を乗り越えていければというふうに考えております。

大島委員 冒頭、インターネットの話をしました。インターネットは、TCP/IPのコードで、パケットで情報が送られます。恐らくフィジカルインターネットというのは、個々の物流が全てパケットとして最適化を図りながら物流をこれから行っていく。中長期的なことだと思いますので、それでやっていただくことをお願いするとともに、実は、研究開発費の予算を増やしてほしいのと、宇宙開発の質問が漏れてしまいましたので、これは次回にします。申し訳ありませんでした。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日も、質疑の時間をいただきました委員長、理事の皆様、委員の皆様に感謝申し上げながら、質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、初めに、産業界と専門高校の連携した人材育成の取組についてお伺いしたいと思います。

 委員の皆様にもお手元に資料を配付しておりますが、一ページ目にありますのは、日本農業新聞が取り上げていますけれども、北海道日高地域という、いわゆる軽種馬といいまして、サラブレッドですね、競馬とかで走る、これの生産地であります。全国で生産頭数のうちの八割ぐらいは日高と言われていまして、九八%が胆振、日高という地域でつながっているんですけれども、大体八割ぐらいがこの地域ということで、軽種馬の産地ということになるわけであります。

 そこの地域の農業専門高校が、いわゆる地域のJAの方に学校の管理職に入っていただく。これまでは講師派遣とか、いろいろそういうことはあるわけでありますけれども、マネジメントの中に入って、授業の構築、様々なことに関わっていく中で非常に大きな成果を上げているということで、その一端を紹介するのがこの新聞記事でもあります。

 この静内農業高校、実際、実施したところに話を聞いても、管理職になるということで、授業の構築が、レベルが上がることはもちろんなんですが、そこの組織内にいる職員の皆様、教員の皆様との連携といいますか、そういう一体感も非常に強く生まれて、単にゲストで来て講師していただくということとはまた違った意味で、この学生の皆様、生徒の皆様の育成に非常に大きな効果があって、大変有意義な取組だということをお話しされておりました。

 こうした体制が取れたのは、今日、後に話を伺いますが、文科省さんがつくったいわゆるマイスター・ハイスクール事業ということによるものなんですけれども、今日は、農林水産省から、経済産業委員会なんですけれども、野中副大臣がお越しいただいております。

 野中副大臣におかれては、二〇一八年の二月になりますが、この同じ日高地域で珍しい大雪が、余り北海道でも雪が降らない地域なんですが、大雪が降って、農業用ハウス五百個も壊れて、そのときに、私も国会で取り上げたときに、政府が様々、最終的に支援を決めていただいたんですが、そのときに、当時は野中政務官でしたけれども、大変心を寄せていただく御発言もいただいて、この地域に大変、本当に大きな心を寄せていただいていると思っております。

 当時は政務官でしたけれども、今回は副大臣ということで、この地域の、いわゆる軽種馬産地の高校と、JAとかあるいは自治体とか様々な、地域全体で人材を育てていくという取組について、まず、どのように評価されるか、そのことを御見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

野中副大臣 当時政務官だったとき、たしか分科会で先生が質問されたのに答弁をさせていただいたことを、今、山岡先生の発言で思い出したところであります。

 先生の御地元の静内の農業高校でありますけれども、先ほど御説明いただいたように、地域ぐるみで、またJRAなどとも連携して実践的な教育を行って、一例を申し上げますと、フランス農業高校との国際交流に取り組むなど、人材育成に精力的に取り組んでいただいているというふうに承知をしているところであります。

 農業高校が産業界と連携して、生徒が地域で活躍する方々から直接学ぶ機会を創出することは、地域や農業に対する魅力を高め、就農意欲を喚起するものというふうに考えております。

 私どもといたしましても、外部の専門家による出前授業の実施、地域の先進農業者の下での現地研修、若手農業者等との交流会など、農業高校における実践的かつ魅力的な教育の実施に必要な取組を支援しているところであります。

 よく光を浴びるのは、現場、競走場、レース場ですね、競馬場に関わる騎手とか、調教師とか、オーナーとかに光が当たりがちですけれども、やはり農業全般において必要なのは、まず生産者であります。生産者に関わる人材確保というのは何より大切でありますので、地域ぐるみで創出していただける、そういった環境が続くように、これからも文科省と連携しながら充実を図ってまいりたいというふうに思っております。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

山岡委員 ありがとうございます。

 本当に、人を育てるということについては、これまでも骨を当然砕いていただいているといいますか、様々力を入れていただいていると思っておるんですけれども、今回、非常に高校側も、実際、中に入っていただいて授業を構築していく、あるいは経営をしっかりやっていくという感覚を持って、皆さん、チームでやっていくということが非常によかったということでありまして、結果として、この三年間プログラムしていく中で、地元に就職してもらうことが一番の目的の事業ではないとは思っておるんですが、しかし、全国からこの学校に集まって、軽種馬のことを学んで、その結果、軽種馬産地でありますけれども、地元に就農するという生徒さんも生まれているということで、これは本当に力を入れて、生産現場を守っていくためにも、こういう高校のいわゆるレベルアップをしていきたいということを思っているわけであります。

 文科省さん、今日来ていただいていますけれども、これは文科省の事業で、モデルをつくるという採択事業でありますから、この三年間は一〇〇%、モデル構築ということを理由に、国費の中で支援しながらやってきたわけであります。

 いわゆるこの事業そのものなんですけれども、全国で、昨日聞いたら十五事例ほどということなんでしょうか。こういうふうに、高校の授業派遣ということじゃなくて、実際、高校に入っていくという考え方、これは農業だけにかかわらず、産業界全体でありますけれども、この事業は継続もしていくべきだし、拡充もしていくべきだし、広げていくべきだと思いますが、文科省の今の考えを伺いたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 職業学科を設置する専門高校では、科学技術の進展、グローバル化、産業構造の変化等に対応しつつ、地域の産業を支える人材を輩出していく必要があります。

 このため、文部科学省では、令和三年度より、産業界と専門高校が一体となり、地域産業の持続的な成長を牽引する最先端の職業人材の育成を推進するため、マイスター・ハイスクール事業を実施しております。

 この事業では、専門高校を指定しまして、産業界と一体となってカリキュラムの刷新を行うこと、また、企業等の人材を専門高校の管理職として、企業連携等のマネジメントを行うこと、また、企業等の技術者、研究者を教員として採用し授業を行うことなどにより、専門高校と地域の産業界が連携、協働しながら、最先端の職業人材育成のモデル構築に取り組んでいるところでございます。

 各地域の産業界の担い手を育成する専門高校、こちらが産業界と連携して教育活動を充実していくことは重要でありまして、こうした取組を全国的に広く展開し、地域の実情に応じた主体的な取組としていく必要があります。

 このため、文部科学省としましては、この事業の中で指定した専門高校に、様々な分野の専門家がチームで助言等を行う伴走支援を併せて実施しているところでございます。こちらの知見を集めまして、各地域における自走に向けた取組を支援するとともに、この事業の成功モデルを示しながら、全国への横展開、これに向けて本事業の充実に努めてまいりたいと考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 文科省から今、意義も重ねてお話しいただきましたが、最後に自走に向けた取組というお話がありました。三年間はモデルでやっているわけでありますけれども、最終的には、産業界と高校が連携した中で、いつまでもいつまでも国が補助であったりあるいは採択事業である形で支援していくというわけにはいかない中で、やはり産業界の大きな理解の中でこういう形をつくっていくということが非常に重要なんだということを感じるわけであります。

 経産大臣には後ほど産業界全体のことについて伺いますけれども、このいわゆる新ひだか町静内の農業高校の話は、軽種馬の話です。産業界でいえば、もちろんJAはこれは参画しているわけでありますけれども、しかし、いわゆる競馬ということでいえば、JRA、最もやはり生産現場を大事にしなければいけない、支えなければいけないというような皆様、財政的な基盤も含めてこうした仕組みを整えていかないことには、やはり一定の負担と一定の人材拠出の中で授業を構築していくということになりますので、そうした視点も必要なんですけれども、私はまず少なくとも、この状況については、人材育成という観点でJRAが大きく更に踏み込んで関わっていただきたいと思うわけであります。

 今日、JRAの皆さんを呼んでいるわけではありませんが、文科省がやっている事業なので、農水省に伺いたいと思っています。

 農水省のお立場から、やはり密接な関係性にあるJRAに対して、派遣ということのみならず、やはり専門高校への関与という、管理職的な関与も含めた、直接的にできなくても、あるいは財政的な部分かもしれませんが、様々な形で支援の呼びかけ、働きかけ、是非農水省の立場からもしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野中副大臣 このマイスター・ハイスクール事業でありますけれども、実際このモデル事業で私どもは成果を上げているというふうに思っております。それと、地域の方にも本当に積極的に関わっていただいているというふうに思っております。

 JRAと関われという先生の提案でありますけれども、現在の事業においても、静内農業高校において、JRAの日高育成牧場において職員が乗馬指導を行うなど、JRAも積極的に対応しているというのが私どもの認識であります。

 人材確保が馬産地においても喫緊の課題でありますから、牧場への就農に関心ある者に情報提供するためのウェブサイトの開設、人材育成、就農促進に関するイベントの開催などの支援を行っているところであります。

 JRAだけではなくて、今後とも、地方競馬全国協会などとも連携して、馬産地の人材確保について取り組んでまいりたいというふうに思っております。

山岡委員 今、日高育成牧場についてJRAの関わり、お話しいただきましたが、この事例は一つ大きな地元の評価をいただいているわけであります。

 ちょっと聞き方を変えますが、この事業も含めて、JRAはやはり今後とも生産現場には密接に関わって様々な支援をしていくべきだということを思うわけでありますが、その点に関しては副大臣の御認識はいかがでしょうか。

野中副大臣 先般改正されました競馬法において、馬産地の振興というのが入っております。そこにJRAからの入るお金、そしてまた、先ほども申し上げましたが、地方競馬から入るお金を通じて、やはり馬産地、生産地の充実、そのための人材確保というのは本当に必要であるというふうに思っておりますから、答弁重なりますけれども、しっかり支援をしてまいりたいというふうに思っております。

山岡委員 ありがとうございます。

 人材確保の視点からこれは支援を行っていくというべきだというお話も今お話しいただきましたので、大変心強く、これからどういう形でやっていくかというのは、また個別、その話があると思いますので、それはまたいろいろ私も関心を持っていきながら、必要に応じてまたここで取り上げさせていただきますけれども、御答弁、大変ありがとうございます。

 これに関連して、経産大臣にも伺うわけであります。

 農業の事例は、生産現場もある程度集約もされ、地域の認知も高く、そういう意味では、JAとの関係もあり、自治体もそういう認識ですし、いわゆるJRAも、この部分を含めていろいろな形で関心を寄せるわけであります。

 じゃ、私の選挙区でいえば、その近くに苫小牧という町もありますが、ここは物づくり、工業地帯でありますけれども、工業高校もありますが、一方で、具体名を言ってしまいますが、トヨタであったりとか王子製紙であったりとか日本製紙であったりとか、全国に展開するような大手の企業もあるわけでありますが、そうした地域、一体的な地域ほど簡単な事情でもないとは思っておりますが、しかし、こういう取組が重要なんじゃないかと思っております。

 高校側にしてみれば、地元に大きな工場があっても、本部機能が地元にないとどこに働きかけしていいかも分からないですし、そもそもそういう発想も持っていいのかということも、今まだいろいろ思うところもあると思います。そして、事業者側にしてみれば、全て自分の企業に来る人材であればまたいろいろ支援の仕方もあるかもしれませんが、もちろん長い目で見れば、その地域で工場があって、その地域の人材の技術が上がっていくということでいえば、間違いなく企業にも恩恵があるわけでありますけれども、しかし、短期的な視点でいうとなかなか考えにくい。

 しかし一方で、文科省もいろいろ取り組んでいて、今、農水省、野中副大臣からも様々心強い答弁いただきましたけれども、私は、やはり経産省が省庁の垣根を越えて連携しながら、専門高校のこういう取組、事業者への理解も深めていく、こういうところに是非力をかしていただきたいというふうに思うわけであります。経産大臣の御答弁をいただければと思います。

西村(康)国務大臣 まさに、専門的な技能を身につけて活躍したいと思って、工業高校あるいは農業、そういう分野で活躍したいということで、農業高校など専門の高校に入って意欲を持って取り組んでいる、そうした若者が産業界の動向などもしっかりと頭に入れながら進んでいく、こうしたことは非常に重要だと思いますので、まさに産業界との連携、意味があるというふうに思っております。産業界にとっても、そういう専門性の高い人材というのはこれから必要となって、更に必要になってくると思いますので、まさに若者、そうした人材と産業界がウィン・ウィンの関係で取り組んでいくというのは非常に重要だと思います。

 そうした観点から、例えば半導体とか蓄電池とかロボットとか、こうした分野においては、経産省と文科省と連携しながら、いわば経産省が橋渡し役となって、そうした工業高校や高専と産業界とを結びながら、人材育成コンソーシアムなども設立してきております。実践的なカリキュラムとか教材の開発、そして産業界から講師派遣とか、こういったことでできるだけ、実際に活躍できる、そうした環境を頭に浮かべながら勉学に取り組んでもらうということを進めております。

 また、先般、ラピダスがこの地域に、北海道の千歳の地域に次世代の半導体の開発、生産拠点を整備するということでありまして、まさにラピダスが選んだ理由の一つに、北海道の人材を期待をしているというところがあります。道においても、産学官連携による半導体人材育成コンソーシアムを六月最初にも設立をする予定というふうに聞いておりますので、そうした取組も我々は後押しをしていきたいと思います。

 トヨタの工場にも、私、視察に行ったことがありますし、何度か答弁させていただきましたCCSの現場も見させていただきました。工業の盛んなところでもありますし、また、私も競馬ファンの一人として、競馬を応援する一人として、先ほど農業高校との、あるいはJRAとの連携なども聞かせていただきましたけれども、そうした地域密着で専門性を身につけたような人材に、さらに、最新の産業界の動き、DXであったりGXであったり、こうしたこと等もうまく組み合わせながら、まさに、特定の技術、技能を身につけた若者はそうした新しい技術との親和性もあると思いますので、是非、地域の将来を担ってもらえるように、また、日本の将来を担ってもらえるように、しっかりと我々も人材育成、関係省庁と連携しながら取り組んでいきたいというふうに思います。

山岡委員 ありがとうございます。大変心強い御答弁をいただいたと思っております。そしてまた、苫小牧のエリア、あるいは北海道のエリアにも大変深い知見を有していただいていて、本当にありがたく思っております。

 この取組はまさに一歩踏み込んでいまして、私も本当に、高校の管理職側に人が入っていくということはまた新しい考え方だなと思いますので、総合的な取組、ラピダスのことも含めて、いろいろ心を砕いていただいているのは本当に承知している中で、いろいろな提案をしながら、ただ、やはり、同じ政府の中でもいろいろ事業を行っていますので、その中も活用していただきながら是非進めていただきたいのと、私もまた折々、こうしたテーマを取り上げさせていただきますので、そのとき進捗もまた確認させていただきますので、是非よろしくお願いできればと思います。

 野中副大臣、ここまで一応この事業の話ですので、もしお時間が、この後ありましたら、ここで退室いただいても大丈夫ですので。ありがとうございます。

 そして、今少し次世代の事業の話もお話しいただきましたが、今日、残りの時間で、宇宙、衛星の事業についても少し伺いたいと思います。

 皆様にお配りした事業の三つ目ではありますが、これは、イーロン・マスク氏という実業家が設立したスペースX、カリフォルニア州に本社を置いていますけれども、航空宇宙メーカーが、いわゆる地上の5Gの基地局と円滑に連携する形の衛星を打ち上げて、これからは、いわゆる私たちのスマートフォンとかもそうでありますけれども、宇宙からいろいろつないでいくというような事業の、これは進めていくんだということで、大きく報道されていたものを拾ってきたものであります。

 ちょっと時間の関係で、総務省さん、来ていただいているんですが、質問はさせていただく時間がないかもしれないんですけれども。

 三年ほど前に、5Gの地上の基地局の設置を促進するための税制措置ということに関する法案の審議をこの委員会でもさせていただいておりました。その中で、いわゆる日本は地上局の設置を促進させるということで、伺うところによりますと、令和三年の時点では、人口カバーが九三%程度で、いわゆる面的な展開でいえば四三%程度の親基地という部分がもう設置されている中で、今年にかけてそれが加速度的に進んでいるというお話は確認をさせていただいているところであります。

 この通信の話も、当時の政府の説明、経産省、総務省の説明によれば、3Gでは日本は相当世界を席巻するほど非常に伸ばしたけれども、4Gでは大きく後退して、5Gはいわゆるキャッチアップのための取組、その中で地上局というのを大いに増やしていくんだ、日本が本当に大きく展開していくのはポスト5Gであったりとか6Gであると。そういう部分において大きく逆転をしていくということの説明が三年前にあったわけであります。

 基地局を大きく広げていることに対しては非常に敬意を表するわけでありますが、一方で、米国のメーカーは、もう地上ではなくて宇宙か、そういう話になっているわけであります。そうしますと、日本の通信の、5Gを含めた、あるいは衛星を含めた事業は大丈夫なのかということを強く感じるわけであります。

 TSMCは、日本の法律の中で大きく支援してでも、もちろん日本法人をつくってもらったわけでありますけれども、こういう企業を国内に入れて産業をキャッチアップするということまでやったわけであります。衛星の事業について経産大臣に伺いますけれども、これは、そうした目標を掲げながら、宇宙の事業がもう既にまた他国に大きく進展を許しているんじゃないかという中で、例えばTSMCのような、同じような枠組みを使ってでもキャッチアップしなくていいのかというような、すごい危機感を覚えるわけであります。そして、経済安全保障上の観点でいえば、やはり国内で産業を構築していただく、その分野でもあると思っております。

 大臣の今の認識、そして国内産業の育成についてどのように考えておられるか、伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、宇宙について言えば、私ごとでありますが、宇宙基本法を制定するときに、超党派の議員連盟の事務局長で、提案者の一人として携わった経験があります。また、種子島に実際、H2Aロケットの打ち上げにも立ち会ったこともございます。経産大臣になってからも、何社も国内の宇宙ベンチャー、世界的に最先端の技術に取り組んでいるベンチャーもたくさんありますので、是非応援をしたいということで支援をしているところであります。

 そして、御指摘の、特にビヨンド5G、いわゆる6Gを見据えて、世界でまさに開発競争が激化をしております。そうした中で、我が国としても、衛星を活用した次世代通信ネットワークの構築に挑戦していかなきゃならない。その基盤となる国内宇宙産業の育成は、御指摘のように、経済安全保障の観点からも極めて重要であります。まさに、イーロン・マスク氏のスターリンクがウクライナにおいて活用して支援をしたということは、記憶に新しいところであります。

 近年、宇宙への輸送手段の低コスト化あるいは衛星の小型化などの技術革新が進んで、結果、我が国においてもベンチャーや異業種による宇宙ビジネスの参入、先ほど申し上げたとおり、大きく増加をしてきているところであります。今や、官主導から民主導の時代になってきているのかなという印象も持っております。我が国としても、是非、このゲームチェンジを好機と捉えて、国内の宇宙産業、これを成長につなげていくことが重要だと思っております。

 北海道大樹町でもインターステラテクノロジズが小型ロケットの開発を進めておりますし、まさに革新的な技術を武器に宇宙に挑戦する宇宙ベンチャー、これに対して、内閣府や文科省とも連携して、是非スピード感を持って支援をしていきたいと思っております。

 特に、衛星通信の分野においては、経産省において、次世代通信網のキーテクノロジーであります、経済安保上も重要となる衛星間光通信技術、これについて、経済安保の技術育成プログラムを通じた技術開発支援、それから、実装において必要となる小型衛星の量産化支援などを通じて、いわゆる小型衛星のコンステレーション、この構築に向けた支援を行っているところであります。

 御指摘のように、衛星通信分野における世界の動きは物すごく速いものがあります。我が国の宇宙産業がまさに世界に伍してやっていけるように、危機感を持って経産省としても取組を進めていきたいというふうに考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 本当に、三年ぐらい前から、通信を含めた、もちろん、衛星は観測であったり測位であったりとか様々な役割を果たす中で、今お話しいただいたんですけれども、どうしても、これに関しては、JAXAもあるわけでありますが、余り喜べるニュースもそんなに最近出ていないのかなとも思います。

 航空機というのは、言葉がいいかどうか分かりませんけれども、純国産主義みたいなところもこだわりが強くあった中で、進んでこなかったのかなということも所感としては思う中で、宇宙産業、川上から川下まで国内の何かメーカーでという思いもあるかもしれないんですけれども、キャッチアップとして海外のいろいろな事業を、もちろん日本の法人としてつくっていただいた中で支援するというような形もあろうかと思いますので、様々な形で是非検討いただきたいと思うんです。

 済みません、大臣から今、北海道大樹町のことにも触れていただきまして、本当にありがとうございます。北海道というエリア、次世代の半導体においても、自然豊かな、再生可能エネルギーも豊富で、水も豊富ということで選んでいただいたわけでありますが、広大な大地も持つ中で、宇宙産業というのも是非役割を果たせると思っておりますので。もちろん、全国で、各地それぞれ特性を生かして、こうした次世代の様々な産業を呼び込みたいと思っているわけでありますが、そういう意欲で私もいろいろアンテナを張っていきたいと思っております。

 さっきのいわゆる農水省、文科省、経産省の関係にも通じたものがあるんですが、この件は総務省、経産省。そして、経済産業省の中にも、いろいろ伺うと、宇宙の事業担当部局、5Gは5Gでとか、様々分かれているわけでありますが、やはり省庁間の垣根はもちろん、省内のチームも、宇宙事業には一体的なチームとして取り組めるような体制、あるいはその知見がお互い生かせるような体制をつくっていただきたいと思いますが、最後に大臣の、政府としての省庁の在り方、政府の在り方についても伺って、質問させていただければと思います。

西村(康)国務大臣 まさに問題意識、共有しております。

 先ほど申し上げたように、宇宙基本法を作るときも、超党派の議員連盟で議論をし、そして私、事務局長としてその制定に携わったわけであります。宇宙開発本部、あるいは内閣府の宇宙事務局もその後できたわけでありますが、まさに政府全体で省庁の垣根を越えて進めていくという観点から設けられておりますし、御指摘のように、経産省の中でも縦割りはあります。利用する側からいうと、全ての業態、そして全省庁関係すると言っても過言でないと思いますので、省内の縦割りを越え、また各省間の縦割りを越えて、全省的に、政府一体となって取り組んでいきたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣から力強いお話もいただきました。引き続き、この話はまた取り上げさせていただきたいと思います。

 時間の関係で、総務省の皆様にお越しいただきましたが、質問させていただけなかったことを申し訳なく思いますが、またいろいろ情報を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 今日は、ちょっと趣向を変えまして、着物のことについて御質問させていただきたいと思います。

 私も、着物を着るのは好きでして、事あるごとに、ハレの日、それからあと、行政をやっていた時分には、外国のお客様をお迎えするとかプロモーションに行くときには着物を好んで着ていたわけなんですけれども、大臣にお伺いしたいんですが、着物への御関心はあられますでしょうか。

西村(康)国務大臣 今日も答弁しましたけれども、石川県庁に出向した時期もあり、伝統文化、伝統工芸、さらには、まさに和装、このことには私も強い関心を持って、和装振興議員連盟のメンバーとして、通常国会の開会式はいつも和装で登院をしております。

 ただ、もっと腹を出さないと似合わないよと、小野議員もそうかもしれませんけれども、よく言われておりますが、それでも似合うような男になりたい、そう思っているところであります。

 いずれにしても、着物を着る機会はなかなか少ないんですが、私、たまに地元でのお茶会とかのときに着ていったりすると、皆さん本当に和装で集まって喜ばれますし、やはり、日本の伝統文化、伝統を是非大事にしていきたいという思いからも、和装の振興、引き続き取り組んでいきたいというふうに思います。

小野委員 ありがとうございます。

 大臣はスーツが非常にお似合いだなというふうにいつも思っているんですが、着物も大丈夫だと思いますので、より機会を増やしていただければというふうに思っています。

 この後の質問はちょっと大臣にお聞きするものはないので、そのお気持ちだけしっかり受け止めたら、もう自由にお立ちいただいて結構ですので、よろしくお願いいたします。

 ただ、着物、非常に危機的な状況にあるということもあって、様々な方も、これをどうにかしなきゃいけないということで動かれていて、今日質問させていただくことも、そういった方々からの強い思いがあってということなんです。

 そこで、ちょっとお伺いしたいのが、資料をお配りしておりますけれども、現状分析ということを、伝統工芸について、総務省が行政評価ということで分析をしているんですね。課題として、後継者の不足、これはいろいろな分野であります。それから、需要が減少してしまっているということ。そして、原材料、用具等の不足。これは需要が不足しているというようなことから起因しているというところもあって、この三つの要素が複雑に絡み合っている、関連しているということなんですけれども、それによって、基本的には、もう産地が後継者不足になって、そして先細っていくというようなことがございます。

 こういう中で、我々が本当に伝統的にずっと積み上げて、インバウンドの皆さんにも憧れを持って受け止められている、そうした着物を始めとする伝統工芸とか伝統文化というものが非常に厳しくなっている、こういう中で、技の伝承、そして維持発展について、現状、どのように課題を整理していて、そして政府としてどのような対処方針を掲げておられるのか、お伺いしたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 着物を含みます伝統的工芸品産業は、生活様式の変化、安価な輸入品の増加などによりまして、市場が縮小傾向にあります。職人の高齢化や後継者不足が各産地において課題となっております。

 このような状況の中、伝統的な技術を伝承し、維持発展させていくためには、技術、技法を次の世代が利用できる形で残していくことに加えまして、社会の変化に対応して新たな需要を開拓するなど、需要と供給の両面から取り組むことが重要だと考えております。

 経済産業省といたしましては、伝統的工芸品産業支援補助金によりまして、例えばデザインをデータ化する事業や口頭で伝承されていた技法を文書化する事業など、技術、技法を記録、収集、保存する事業に対しまして支援を行っております。これらの事業の成果は、後継者育成のための研修教材としての活用も期待されております。

 また、新たな需要の開拓の動きとしまして、伝統的な絹織物が車の内装やインテリアに活用されるなどの先進的な事例が増えてきております。

 経済産業省におきましても、例えば、伝統的工芸品の作り手が専門学校の学生と協同して新たなデザインの浴衣を開発する取組ですとか、途絶えかけている技術、技法を用いた着物の試作品開発など、伝統的な技術、技法を生かした新商品の開発を支援しております。

 引き続き、伝統的な技術、技法の保存、継承と新たな需要の創出を両輪として、伝統的工芸品産業の維持発展に取り組んでまいりたいと考えております。

小野委員 ありがとうございます。経産省としても、需要と、それから供給側の方、生産をされている側、両面からの支援をしていくというようなことでもございます。

 その中で、例えば伝統工芸士制度も、これも経産大臣の認定の下で指定をしていくというようなこともありますけれども、ただ、これも、もうちょっときめ細かくやっていただきたいということがあります。

 いろいろな工芸品、例えば石川にもたくさん優れたものはありますけれども、ある程度のまとまりで組合になっているものに対して、様々指定をして補助をしていくというようなことがあろうかと思うんですけれども、やはりもうちょっと、地域の中では、例えば都道府県の単位で見れば伝統的なものが実はいいものがあって、それほどまとまりとしては大きくないんですけれども、これは残したいというようなものがあろうかと思います。

 地域の思いというものを丁寧に拾い上げて、そして、その作っている人たちの技術の伝承とか、あるいは需要の創出というところに対して、もっともっとサプライチェーン全体でしっかりと支援をしていくような取組が必要だというふうに思っているんですけれども、そのサプライチェーンの担い手を支える仕組みづくりとして、更に踏み込んで考えるようなことがないのかどうかというところもお伺いしたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省では、伝統的工芸品産業支援補助金によりまして、産地組合などが行う伝統的工芸品の製造工程を担う方々の技術継承研修や、実技指導を始めとした後継者、従業者育成事業に対して支援を行っております。

 一方で、委員御指摘のとおり、伝統工芸品のサプライチェーンを考えますと、この製造工程は分業化されておりまして、産業の維持には、作り手のみならず、素材や部品の製造、伝統的な道具の製造を行う方々も必要不可欠となってきます。こうした中、これらのサプライチェーンを担う方々に対する人材確保、後継者育成も重要な課題になりつつあると認識をしております。

 伝統的工芸品のサプライチェーン維持のために、産地の声を丁寧に聞きながら、各産品における実態をよりきめ細かく把握し、どのような対応が可能か検討してまいりたいと考えます。

小野委員 着物とか帯を作るときも、お話を伺っていますと、様々な工程があって、五百ぐらいに及ぶというようなことになっているんですね。そこで様々な職人さんが介在しますし、また、そのときに、原材料、それとあと道具も結構いろいろ必要になっているんですが、これが、だんだん需要が落ちてくると、そういった道具自体もなくなっていくとかということで、存続が難しくなっていくということがあるというふうに伺っています。

 そういうことで、こういった伝統工芸を守っていくために、やはりすごくミクロな視点で細かく見ていく必要があるというふうに思っておりまして、その辺の現場の声が届くような是非産業政策というのをこの伝統工芸についてもやっていただきたいというふうに思っています。

 先ほど非常にすばらしいなと思ったのは、伝統工芸品を、最新の、例えば自動車とかそういった製品のところに入れていくと。

 昔、日産のプレジデントという車がエンブレムを七宝焼にしていたというのがありました。ああいうものを今こそまさに我々が、付加価値を高めるためには、昔は大量に壊れない車を造っていたというような時代でしたけれども、これからやはり我々が競争力を高めていくためには、日本の伝統的な技、そして海外の人が憧れているようなものをどうやって入れていくのかということも、これは経産省しかできないことだと思いますので、そういった視点も是非入れながら進めていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、サプライチェーンということでいうと、やはり支える側が、お客さんといいますか、伝統工芸品、着物なんかを楽しむ人たちを支えるということも大事だというふうに思っています。

 私のところにも要望が来ているんですけれども、例えば着物を着ている人が町中にすごく多くなると町の色も変わってきますし、そして、今も、この東京も、皆さんもお感じだと思いますけれども、インバウンドの方がたくさん増えている。

 そういう中で、着物を着る人をどんどん奨励していくような仕組みづくり、例えば、着物を着ている人に対してはポイントが支払われるとか、あるいは、今でももうあるんですけれども、着物を着ている人に対してはお店で割引が受けられるとか、そういった日本文化をどんどんどんどん我々国民もまた積極的に取り入れていって、それを生活の中で、そして多くの人たちに見える形で実践をしていくというようなことが大事だと思うんです。

 そういったポイント制度なんかは一つの一例ですが、こういったことを導入する仕組みというのを考えていないかどうかということについてお伺いしたいと思います。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 着物関連産業の振興のためには、着物に触れたり実際に着たりする機会を増やして、人々の着物への関心を高め、需要の拡大につなげていくことが重要だと考えております。

 委員御指摘のとおり、着物業界では、東京や京都などの地域におきまして、着物を町中で着ることによって協力店や施設での割引や特典を受けられるパスポート事業などの取組が行われております。こうした取組を多くの人に知っていただくことが重要だと考えています。

 経済産業省といたしましても、和装関係のイベント、展示会に対する開催支援や後援、着物の販売促進事業や若年層をターゲットにした広報事業に対する支援などを行ってきておりまして、着物に触れ、着用する機会を増やす活動を後押ししてきております。

 また、着物の日であります十一月十五日前後には、経産省の有志職員が和装での勤務を実施しております。

 引き続き、こうした取組を通じまして、人々が着物に触れ、着用する機会の確保ですとか、関係業界とも連携した特色ある取組の周知に努めるとともに、更なる支援として何ができるか検討を進めてまいりたいと考えます。

小野委員 ありがとうございます。

 そこまで力を入れて答弁いただきましたので、審議官も是非着物を着ていただいて、皆さんで経産省でも盛り上げていただきたいというふうに思っています。私もそれを心がけたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次に、EVの充電器の普及についてお伺いをしたいと思います。

 これは、西村大臣に、昨年九月三十日、私が質問させていただいたということ、就任後初めての質問を私、大臣にさせていただきましたが、その続きということでございます。

 普及目標というものをそのときの答弁でもいただいたわけなんですけれども、公共用のEV充電器というものの設置目標が各国で今定められていて、二〇三〇年においてドイツが百万基、アメリカ五十万基、英国三十万基、日本が十五万基ということで、今の導入実績、二〇二一年時点ですと、ドイツ五万、アメリカ十一万、英国四万、日本三万ということで、ここのスタートライン自体は私はそんなに大きく後れを取っているわけでもないとは思っているんです。

 ただ、やはり問題は、目標設定がかなり低いんじゃないかということが非常に気になっていて、今のところ目標も変わっていないということなので、大臣にお伺いしたいのは、EVを普及させるにはやはり充電インフラが大事だと思いますが、この普及目標の妥当性について御見解を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、二〇三〇年までに公共用の充電器を現状の約五倍とする、十五万基とする目標を掲げているところであります。

 諸外国の公共用充電器に対する二〇三〇年の設置目標と比べてみますと、確かに、ドイツは百万基、アメリカは五十万基、イギリスは三十万基と掲げております。基数だけ見れば、確かに、これらの目標と比較して、我が国の目標値が低いというのは事実でありますけれども、電気自動車の普及状況、あるいは国土の大きさ、路上駐車の習慣なども踏まえますと、一概に評価することはなかなか難しいのかなと思っております。

 ただ、やはりスピードアップすることは重要ですので、まずはこの今の充電器を五倍に増やすという目標を、二〇三〇年を待たずにできるだけ早期に実現するという方針で臨んでいきたいと思っております。

 これに向けて、予算につきましては、前年度の約三倍となります百七十五億円の補助金を確保しておりますし、民間事業者においても、急速充電では、高速道路において、二〇二五年に現状の二倍以上となる千百口を整備する計画があります。また、普通充電では、スタートアップが多く参入しておりまして、各社を合わせると二〇二七年度までに十三万基以上を設置する計画が掲げられておりますので、かなり動きは加速化しております。

 いずれにしましても、重要なことは、電気自動車に乗る方が不自由なく利用できる充電インフラがあるということでありますので、不安があると、EVの方も買わない、購入にちゅうちょするということでありますので、鶏か卵かの議論でありますが、その観点でも、是非、今後、電気自動車の普及状況、充電器の設置状況も踏まえながらですが、設置目標は不断に見直していきたい、官民一体で取組を前に進めていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 前倒しということも、力強い御答弁もいただきましたので、それを急いでいただきたい。

 ただ、十五万基を、それを前倒しといっても、やはりほかの国がそれ以上の勢いでやっておりますので、それを、目標を達成して満足とかではなくて、更に上積みしてやっていくというところも視野に入れて取り組んでいただきたいと思います。

 先ほど質問した点は、これは公共用の充電器ということでございまして、やはり、お住まいの家庭で自分の車を、その置いてある時間が長いわけですので、そこで充電ができるというようなこと、これを目指すのが一番大事だろうというふうに思っています。

 そういう中で、賃貸マンションへの普及というものが私はすごく大事だと思っています。

 この間の質問でも申し上げましたが、分譲マンションの場合ですと、マンションの管理組合の決議が必要だとかということで、結構ハードルが高い部分もあろうかと思います。もちろんそれも、マンションの管理組合が負担しなくていいようなスキームをつくればいいということもこの間申し上げましたが、今日は、賃貸マンションへの普及というものを進めるべきだというふうに思うんですが、でも、私も、見ていて、なかなかこれは進んでいないなと。私も賃貸マンションに今住んでおりますけれども、何でなのかなと。この隘路について、経産省でどういうふうに見ていらっしゃるのか教えてください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 電気自動車の普及に向けては、充電インフラの整備が不可欠ですが、課題も存在しております。特に、賃貸の集合住宅における充電設備の普及に当たりましては、分譲のような管理組合の合意形成などは必要ないものの、設置費用そのものの負担に加えまして、住人が比較的替わりやすく、設置した場合の継続的な利用については不確実性が高いといった課題があると認識をしております。

 まず、設置費用の負担につきましては、補助金によりまして、設備費の二分の一、工事費の一分の一の支援を行うことで設置者の負担を減らすとともに、予算額についても大幅に拡充してまいりました。また、マンション用の充電インフラの導入促進に向けたパンフレットなども活用しまして、充電事業者に加えてマンション計画修繕施工協会などにも周知を行うなど、情報発信に努めているところであります。

 こうした取組もありまして、令和四年度は、前年度の設置実績と比較して約四倍となる約千二百基が集合住宅に設置されており、このうち約三割が賃貸の集合住宅分と認識しております。普及に向けて動き始めているものと認識しています。

 先ほども大臣から答弁がありましたとおり、多くのスタートアップが充電事業に参入するなど、充電インフラ整備に向けたモメンタムが高まっていると認識をしております。

 経済産業省といたしましても、充電事業者に加えまして、ディベロッパーやマンション管理の業界団体などとも議論を深める場を持ち、新築、既築を問わず賃貸の集合住宅に充電器の普及が、導入が進むよう、検討を進めてまいりたいと考えます。

小野委員 詳細に御答弁をいただきましたけれども、様々な努力をされているということは理解をいたしました。

 そういう中で、使っていくということがやはり大事だと思うんですね。この件に関してはうちの党の猪瀬直樹さんもすごく力説を毎回しているんですけれども、実際に使ってみると、やはりEVはすごくいいんですね。私も、熊本にいた時分に公用車が、地元にホンダの工場があったので、公用車はPHEVを使わせていただいていたんですが、もう戻れないですね。ふだん通勤していると、ほとんどガソリンを使わないんですよ。全部、充電しているEV部分の方から先に使っていきますので、こんなに変わるのかというふうに思いました。

 EVは、確かにいろいろとまだ、遠出したときに不安だなとか、自分が出かけていったところで充電できるかなとかというのがあると思うんですけれども、日本の場合には、PHEVは今非常に力を入れている、すごくすばらしい車がたくさんありますし、それを使っていただけるように、例えば、ディベロッパーの話が先ほどありましたけれども、標準で置いていくぐらいのことは、この間、GXで二十兆円、経産省は得たわけですから、そういったところに使う分には全然やっていいというふうに思います。

 あとは、マンションの方でEV充電器が、例えばマンションの地下の駐車場でかなりつくと、受変電設備とか、そういう部分の問題もあるのかもしれません。技術的なこともちょっと今日は議論したかったんですが、ただ、そういった隘路を全て塞いで、そして、これを積極的にやっていくというぐらいの気合の入れ方をやはりしていただきたいというふうに思うんですね。住民が替わりやすいからとか継続して使ってもらえるからとか、そういうことを言うんじゃなくて、本当に、使っていただくと、これは、みんなもう普通のガソリン車には戻れないぐらいのインパクトがありますので、そういった形で、是非皆様も。

 特に、あと経産省の車も、何か昔の古いクラウンとかを使っていますけれども、ああいうのは早く替えてしまって、そして、政策をつくっている皆さんがEVのよさというものを体感すると、そうすると政策ががらっと変わってくると思いますので、大臣、この辺は、経産省、あそこの周りに止まっている車は全部EVにするというようなぐらいで頑張っていただきたい。それは本当に有効な投資だと思うんですね。是非よろしくお願いいたします。

 そして、今日は国交省さんにも来ていただいておりますが、先ほどもちょっと新築の話も出ましたけれども、新規の集合住宅においてEVの充電器の設置促進策を、やはりこれは国交省と経産省が連携してやるべきだと思っていますが、この施策について御説明いただきたいと思います。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 新築分譲マンションにおきますEV充電器の設置につきましては所有者の合意形成が不要でございますけれども、EV充電器の設置費用は最終的にはマンションの販売価格に転嫁をされますので、EV充電器の利用の見込み、それから費用負担、その辺のバランスを踏まえながら分譲事業者の方で設置の判断が行われているというふうに承知をしております。

 こうした現状を踏まえまして、EV充電器の普及に向けまして、先ほど御答弁が経済産業省からもありました充電インフラに対する補助金と併せて、国土交通省におきましても、昨年度から低炭素建築物の認定のための要件にEV充電器の設置というものを追加をいたしまして、当該建築物の整備に対しまして、税制の措置、融資による支援を行わせていただいているところでございます。

 今後も、国土交通省といたしまして、経済産業省と連携をし、新築分譲マンションにおきますEV充電器の設置が積極的に行われますように、必要な対策を引き続き検討してまいりたいと存じております。

小野委員 資料をもう一枚お配りしておりまして。今御答弁いただきました低炭素建築物の認定制度ということで、右側に要件が掲げられていて、再生可能エネルギー、太陽光パネルを導入するとか、そして、あと、選択メニューとしてほかに選べるようになっていて、その中に電気自動車の充電器というようなものも導入すると優遇が受けられますよというようなことになっているわけなんですが、これは選択式じゃなくて国家政策として、日本の裾野が広い自動車産業をどうやって維持発展させていくのかという観点から、これも新規については必須項目にするぐらい、そういったことをやはり思い切ってやっていただきたいと思うんですね。

 EVに関しては本当に驚くべき格差が、例えば中国とかヨーロッパと比べても販売数がかなり差がついているということで、やはりそういった危機感から我々は施策を組み立てなければいけないというふうに思いますので、その点については、是非、両省で連携して進めていただきたいというふうに思うんですね。

 楠田審議官、ここまでですので、ありがとうございました。御退室いただければと思います。

 そして、次に、残りの時間もちょっと限られておりますけれども、これは簡単に御答弁いただければと思いますが、中国の方では様々なEVに関する取組が進んでいて、電池を交換するような車が出てきているんですね。

 我々は、今、スタンドに行って充電をする。ただ、EVの場合には結構時間がかかるんですけれども、カートリッジの形にして車の電池を交換するようなステーションが中国の方でも結構な普及を見せているんですが、こうした交換式の電池ステーションの評価をどのように経産省はされていますでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 中国では、確かに新興EVメーカーであるニオという会社によりまして、交換式電池ステーションが設置されているものと認識しています。

 日本国内でも、民間事業者が実証的に交換式電池ステーションの導入を始めておりまして、政府としても、グリーンイノベーション基金におきまして、交換式バッテリーを活用した実証事業を支援する予定にしております。

 交換式電池ステーションにつきましては、充電時間の短縮ですとか電力消費の平準化の効果が期待できる一方で、設置場所の確保や設置費用が高額であるといった課題があるものと承知をしています。このような実証を通じまして、交換式電池ステーションのメリット、デメリットをよく整理をしまして、関係事業者とともに検討を深めていきたいと考えています。

小野委員 私も交換式は運用上どうなのかなとかといろいろ思うんですが、ただ、中国がそうやっていろいろ考えることを次から次へとやっている、しかも、実証実験とかではなくて、もう商用でやっているというところが脅威的だと思うんですね。

 そういう意味で、我々も、あれは失敗するだろうとか何だろうとかと見ているだけじゃなくて、やってみるということを是非進めていただきたい。別にこれをやれというわけではないんですが、そういうふうに、我々がいいと思ったものはどんどんどんどんスピード感を持って負けないようにしていくということが大事だと思います。

 残りの時間、ほとんどありませんが、ちょっと電力システム改革について質問させていただきたいと思います。

 発販分離のところですね。今国会で、我々、電力システム改革の法案を出させていただきました。もちろん、所有権分離を全部進めればそれでうまくいくものではないということは承知はしているんですが、ただ、頭の体操といいますのか、消費者にとってどういう形が一番いいのか、それは現状の維持でもないと思うんですね。そういう意味で、発販分離ということも我々は可能性を今模索をしているんですが。

 ただ、電力会社さんに聞くと、もちろんそこにはいろいろな課題があって、電力自由化によっていろいろ市場が混乱してしまったという中で、発電をしっかりして、それを確実に投資を回収するような取組を進めるために、やはり一定程度、自分の系列会社のところで売らせてほしいというようなことも言われたりしていますが、この発販分離をした場合の課題というのはどういうふうに経産省は認識していらっしゃいますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、電力の小売販売に関しまして、適正な競争環境が大変重要だと考えております。その際には、販売する電源の調達に関しまして、取引の機会ですとか条件というものが公平、平等、非差別的な形でなされることが大変重要でございまして、御指摘がありましたけれども、安定供給ということ、これを大前提とした上で、これを確保できるという形になった上で、競争と両立する形での電源へのアクセス環境を整備することが重要だというふうに考えてございます。

 このため、いわゆる内外無差別的な取引、これは、いわゆる大手電力会社の発電部門と小売部門が社内取引でやるときと外の方々とやるときに、非差別的な形でやるということの取引を進めるために、二〇二〇年七月、電力・ガス取引監視等委員会から旧一般電気事業者に対してコミットメントを要請し、今、これを確認し、公表しているところでございます。

 先日、大臣の方からも、いわゆる内外無差別な取引を進めるための仕組みを検討するようにという御指示を頂戴しており、今後検討を進めていくわけですが、今御質問を頂戴しました、それを組織形態として分けるかどうかという発販の分離ということについて申し上げますと、現状でいえば、東京電力、中部電力のように既に実施しているところと、そうでないところ、それぞれございます。ただ、いずれもまだ、それが内外無差別になっているかどうかについては懸念がございます。

 ですから、組織形態そのものというもの以前に、まず、取引がしっかりとなされているかどうか、これを進めていくことが重要だと考えておりますし、その際の懸念点ということについて申し上げますと、今委員からも御指摘いただきましたように、自社で確実に見渡せる需要分のみの供給力を調達しようとされることによって、供給の見込みが立たなくなるというようなことの安定供給に対する不安ということが、早急に移行してしまうと、生じる懸念が出されているというものも私もよく承知しているところでございまして、こういう安定供給とのバランスということもよく見ながら、公平かつ健全な競争が実現するような仕組みづくりというのを検討してまいりたいと考えてございます。

小野委員 もっともっとこれは議論しなきゃいけないというふうに思うんですね。今日は田嶋さんが何か資料を用意しながら質問されなかったので、私がその資料もちょっと提示しようかと思ったんですが、ちょっと時間がなくなっちゃいました。

 繰り返しになりますが、これは今のままで放置していていい問題ではないと思うんですよね。そもそも、内外無差別はやはり、なくそうという、そういう議論があるということは、結局、自由化はなされていないということだと思いますし、何でもかんでも自由化がいいとも思いません。もちろん、エネルギー安全保障はありますが。ただ、いずれにしても、済みません、時間がなくなりましたので終わりますが、引き続き、この問題、これは党派を超えて議論すべき問題だと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 十二時になっちゃいまして、昼を過ぎた時間帯にちょっと私がバッターに立っていますが、これは私が求めたのではなくて、何でか知らぬけれどもこうなっているので、だから、何か理由があったんだと思いますが、お昼に食い込んでいるのは私の責任ではありませんので、御理解を賜りたいと思います。

 ただ、もういいですから、座っていなくて。だって、動画で残るんだから。だから、定足数とか、もう要らないと思うんだよね。だって、みんなどうせ、まあやめておきましょう、ちょっと。

 今日は、ごめんなさい、お昼どきに、よく考えたら、たくさんの偉い方々に質問がちょっと多岐にわたるので来ていただいているんですが、忙しい方ばかりなので通告してから反省をしておりますが、できるだけ有意義にやりたいと思います。

 まず、一言ちょっと、質問通告外でございますが、天下りの話がありました。大臣、質問はしませんが、先ほど藤木官房長がいらっしゃっていましたが、これからちょっと議論になると思うんですね。やはり国交省を中心に議論になっていて、私たちも注目しています。立憲民主党のように一方的に、今の国交省は大分問題がありますが、役所にいろいろ追及するばかりのことはしません。むしろ、やはり制度に若干課題があると思っています。

 どういうことかというと、これは国土交通委員会でも若干私取り上げたんですが、天下り規制は第一次安倍内閣の二〇〇七年にできたわけですが、その後五年近く、ほとんど機能しなかったのです。なぜ機能しなかったかというと、民主党が邪魔したからです。

 当時の天下り規制については、民主党は、こんなものを、何と言うんだっけ、ずさんじゃなくて、要は出来が悪いということで、もっと厳しいことをやれと言ったのかな、正確にちょっと理解していないんですが、いずれにせよ、第一次安倍内閣でできた天下り規制については問題があるということで、野党のときには同意人事にいろいろ反対をして、与党になってからは同意人事の提案をしない。与党というか、政府、政権を取ってからですね。そういうことで、二〇一二年まで再就職等監視委員会の委員が決まらない状態が五年間続いたわけですね。

 そういう中で、機能しないで、先ほど大臣も活用しようよとおっしゃった官民人材交流センターも、その間に、本来は出口は必要ですから、だから、官民人材交流センターへのあっせんの一元化ということを決めたんだけれども、それが形骸化して、なかなか生かされていないまま今日に至るというのが私の理解です。せっかく二〇〇七年に制度をつくったのに、それがワークしないまま、その原因は、私は、やはり当時の野党民主党そして民主党政権にあった、こういうふうに申し上げていて、だから、余り、元民主党の方々が偉そうに何か言うことについては、やはり経緯的には違和感がある。

 私たち日本維新の会は、そこについてやはり課題があるのであれば、地方で天下り規制のフレームをつくってきた経験もありますから、そうしたことも踏まえて、より真っ当な規制体系をもう一回ちょっとつくり直した方がいいんじゃないかという議論をこれからしたいと思っています。

 天下りについてはそういうことで、昨日、今日も、国交大臣、大騒ぎになっていますが、国交省はその典型というか象徴でありますが、霞が関全体の職員の皆様が、また第二の人生に、例えば中小企業に転職するとかいろいろな形で活躍していかれる、そういうフレームを、私たちも野党でありますが貢献をしていきたい、こう申し上げておきたいと思います。

 だから、大臣、御答弁はいいですが、天下り、改めてそういう目で、先ほど立憲の方への御答弁で、官民人材交流センターをもうちょっと使ったら、もっと生かしたらどうかという御発言がありましたが、是非そういうことも含めてリーダーシップをお願いしたい、こう思います。

 中身でございますが、今日は三点やります。一つはGX、一つは半導体、一つは電力です。できるだけ、今日来ていただいているので、何とか収めていきたいと思いますが。

 まず大臣に、今日、先般私どもも修正可決をし成立をさせていただいたGX推進法が本日公布をされました。おめでとうございますというか、ありがとうございますというか。修正にも応じていただいて、できたということです。私たちがこだわったのは、排出権取引市場、排出量取引市場がしっかりとできることであります。もちろん、法律が公布されたばかりですから、全てはこれからだと思いますが、再来年の通常国会には本格的な制度が出てくるということを私は期待をしています。

 そう考えると、いやいや、GXリーグをやっていますだけでは、GXリーグの様子を見てということだけではちょっと私は物足りないというか、是非そこに私たちも意見を言っていきたいので、修正したんだから当事者として意見を言っていきたいので、是非、その辺の段取りについて、もし今の時点で大臣から教えていただけることがあったらお願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、修正提案をいただいて、与野党で協議の結果、修正され、成立、本日公布というGX推進法でありますけれども、まさに修正をいただきました附則十一条において、今回の法律の規定した内容の具体化に向けて、必要な法制上の措置を二年以内に講じるということであります。

 そして、御指摘の排出権取引制度、排出量取引制度、本年度からGXリーグを開始して試行を実施するわけでありますが、まず、その進捗、あるいは国内外の政策動向もよく見ていきたいと思いますし、二〇二六年度からの本格導入、二〇三三年度からの有償オークション、段階的導入に是非しっかりとつなげていきたいというふうに思っております。

 また、排出量取引を行う市場として、カーボンクレジット市場の取引実証を昨年度は東京証券取引所で実施をいたしました。今年度には市場の創設を予定しておりまして、足下から取組を着実に進めていきたいと思っております。

 こうした制度設計の検討を行う際は、GXリーグに参加している企業との対話を行ってきておりますし、また、学識、有識者の意見も聞いていきたいと思っております。開かれた場で議論を進めていきたいと思っておりますので、様々な形で、与党、野党を通していろいろな議論が行われると思いますので、私ども、しっかりと耳を傾けながら対応していきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 とにかく、ただでさえ若干遅れてきた部分が、世界の潮流の中でやはり急いだ方がいいというのは、私たちずっと申し上げてきました。是非、この制度設計についても、お忙しいというか、仕事はたくさんあると思いますが、早期の制度設計、お願いしたいと思います。

 私たちも、排出権取引市場、排出量取引市場については、与党のつもりで意見を申し上げていきたいと思いますので、御指導よろしくお願いします。

 この排出権取引市場を議論するに当たっては、今回の推進法で、いわゆるGX移行債ということで二十兆確保されるわけでありますが、私たちは、経済産業省を始めとする政府による税の投入というものが本当にうまくいくのかということを、本当に心配しています。心配していますと別に上から目線で言うわけじゃなくて、やはり難しいからですね。やはり呼び水であれ何であれ、税を入れて、新しい資本主義ということで、内閣を挙げて国が一歩前に出るということでやっていらっしゃるんだと思いますが、心配しています。

 だから、政府を信用しない立場からいえば、できるだけそういうのは縮小して、排出権取引みたいな市場メカニズムをうまく使ってGXが進む。そこに政府がかむかみ方は、よっぽどうまくやらないと失敗する可能性もあるということであります。

 そうした観点で、これは事務方で結構ですが、要は、二十兆を百五十兆に膨らませる、レバレッジを利かせていかなければならないわけでありまして、本当に、二十兆が三十兆では困るわけですね。二十兆が百五十兆に膨らむ、そのためにはやはりレバレッジがちゃんと利いていかなあかんわけで、そういう観点での工夫というか、取組の方針みたいなものがあれば教えてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 今後十年間で官民百五十兆円超のGX投資を実現するため、GX経済移行債による御指摘の二十兆円規模の先行投資支援と併せまして、やはり民間金融機関などによる積極的なファイナンス、これがポイントになるというふうに思っております。

 政府といたしましては、脱炭素に向けた代替手段が技術的、経済的に存在しない産業が着実に炭素中立に向かうための移行段階に必要な取組に対する資金供給、いわゆるトランジションファイナンスと言っておりますけれども、この推進が必要であるというふうに考えております。先日のG7気候・エネルギー・環境大臣会合ですとかG7財務大臣・中央銀行総裁会議におきましても、このトランジションファイナンスの有用性が合意されたところでございます。

 また、GX経済移行債につきましては、これまでの建設国債などと同様に同一の金融商品として発行する統合発行に限らず、国際標準に準拠した新たな金融商品として発行する個別銘柄発行、例えばトランジション国債としての発行も目指しているところでございます。ここも今、検討を進めております。こうした新たな国債の発行を通じまして、民間におきますトランジションファイナンスに対する国際的な理解醸成、この後押しにもつなげていきたいというふうに思っております。

 加えて、GX分野は、民間金融だけではリスクを取り切れないケースもございます。したがいまして、個々の事業の実用化の段階、事業リスク、さらには市場、製品の性質などに応じまして、企業の様々な資金調達手法に即して、補助金、債務保証、あるいは出資などを適切に組み合わせて、効果的かつ効率的に実施していきたい、このように考えているところでございます。

 こうした公的資金と民間資金を組み合わせるブレンデッドファイナンスの考え方は、欧米を始め各国でも重視されてきておりまして、我が国におきましても、GX推進機構がこうした金融手法を実施していくことにしたいというふうに考えているところでございます。

 さらに、我が国は、気候関連情報開示の世界的な枠組みでありますTCFD賛同企業数が世界一になっておりまして、企業の積極的な情報開示を進めております。気候変動情報の開示も含めまして、サステーナブルファイナンスの推進に向けた環境整備を行ってまいります。

 引き続き、こうした取組も深化させてまいりまして、GX投資を強力に促進していきたい、このように考えているところでございます。

足立委員 丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。是非成功させていただきたい、こう思います。

 今の答弁にも一部含まれていたかもしれませんが、税を入れるわけですから、民間から見たときの予見可能性、透明性、公正性、こういうものが確保できなければやはりそれは失敗する、こう思いますが、その点での御答弁はありますでしょうか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 GX実現に向けた百五十兆円超の官民投資、これは、例えば、FIT賦課金などの既存の支援策もございますし、さらに、今回新たに導入することにしますカーボンプライシング、そして、御指摘もいただいていますこの二十兆円規模の先行投資支援などを併せて活用することで、強力にGX投資を引き出すことにより実現していくものだと考えております。

 GX実現には、革新的技術の研究開発など、長期間にわたるリスクの高い投資が鍵を握っておりまして、この促進のためには、御指摘のとおり、民間企業の予見性を高めること、これが極めて大事だというふうに思っております。

 こうした観点から、カーボンプライシングの導入に当たりましては、導入時期や、あるいは、当初低い負担から徐々に引き上げていく方針をあらかじめ明確にして、それで予見性を向上させようということを考えているところでございます。

 また、先行投資支援につきましては、各分野における新たな製品の導入目標や、規制、制度的措置の導入時期、今後の官民投資の見通しを道行きとして一体的に例示し、GX実現に向けた基本方針の参考資料としてお示ししているところでございます。

 一方、この二十兆円につきまして、これは、革新的技術の実現可能性や国際情勢などの不確実性を踏まえますと、現時点で支援内容、配分などを全て決め切るというのは必ずしも適切だと思っておりませんで、制度実行後の官民でのGX投資の進捗、グローバルな動向、技術開発の動向なども踏まえて、進捗評価を定期的に実施し、必要な見直しを検討していくことが必要であるところ、民間企業の予見可能性確保に配慮した形で進めていきたい、このように考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 藤本さんに電気自動車の話を振っていますが、ちょっと時間が、最後まで行きたいので許してくれる、済みません。EVの、先ほど小野委員からもありましたが、やはり予算の執行の面で、ちょっとできるだけ工夫してできるようにということで、事務的にできると思うので、また事務的にやらせてください。だから、藤本さん、忙しかったらもういいですよ。

 畠山さん、もう一問かな。これも畠山さんでいいですか。GX実現に向けた基本方針で、二十二分野が例示されています。若干無理やり作った感もあるんですが、二十二分野の一つに自動車産業もあり、二十二分野の一つに農林水産業もあります。

 農林水産業ももちろん大事で、今日も、何でか知らぬけれども、農林水産関係の質問が結構出ていましたが、何で農林水産関係の質問がいろいろ今日出ているかというと、農林水産委員会、余り開いていないんですよ。まあ、やめておきましょう。私、委員なんですけれども、もうちょっとやれよと思うんだけれどもね。多分、与党も野党も族議員が牛耳っているから、余りやりたくないんですよ。あっ、失礼しました。でも、すごい世界です、農林水産業の世界は。まあ、おいておいて。

 何が言いたいかというと、二十二分野と例示されているんだけれども、やはり自動車とか戦略分野があって、もちろん農林水産業も大事なんだけれども、この辺の、一体、二十兆が二十二分野にどのように流れていくのであろうかということについては、あの表にも、数字が入っているページもあれば、数字が入っていないページもあります。基本方針の資料についている二十二分野の例示というのは、一体あれは何なんだと。意味がある資料なのか、イメージなのか、その辺を教えてください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の二十二分野の道行きにつきましては、今後十年間に官民協調によって実現することが必要とされる、百五十兆円を超えるGX投資の分野の例示としてお示ししたものであります。現時点におきまして、今後十年間に各分野で期待される投資額を示しているところでございます。

 ただし、こうした見通しは今後変わり得るものだと思っております。例えば、分野ごとの投資の見込みにつきましては、企業における投資戦略の見直しですとか検討の深掘りがなされることにより、変化し得るものと認識しておりますし、革新的技術開発が早期に成功すれば、投資額が大きくなるというような性格もあると思います。また、世界各国の取組状況あるいは各国との競争の状況によっても変化するなど、様々な要因の影響を受けるものだと認識しております。

 このため、現時点でそういう意味では決め切っているというものではありませんで、進捗評価を定期的に実施し、柔軟に見直していくということも考えていく必要があると思っております。

 いずれにせよ、今般のGX推進法に基づきます成長志向型カーボンプライシングの実現、実行によりまして、GX投資を強力に引き出して、経済成長、産業競争力強化と排出削減、双方に効果の高い事業を絞ってしっかりと支援していきたい、このように考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 畠山さん、もうこれで大丈夫ですから、お忙しかったら本当に外してくださいね。ありがとうございます。

 それでは、半導体をちょっとやっておきたいと思います。同じ問題意識があります。

 ラピダス、注目をされています。ただ、ちょっと気になるのは、税金が先行し過ぎていて、本当に民間の資金調達、今のさっきの話と一緒ですね。何かいろいろ報道ぶりを見ると、とにかく税金だ、もっと税金をくれと。民間の調達の見通しは余りまだ立たない。それでは困るわけで、困るというのは、それでうまくいくんですかという感覚を私は個人的に持っていますが、いかがですか。

野原政府参考人 ラピダスについてでございますが、AIなど、データ量が非常に増えることで、データの情報化に合わせて電力消費も増えていきますので、半導体のイノベーションで省電力にするというのがないと、全体としては帳尻が合わないわけであります。そういう文脈で次世代半導体は非常に重要でありますが、ラピダスは、二〇二〇年代後半の二ナノ世代の次世代半導体の製造基盤構築に向けた研究開発プロジェクトに今取り組んでいるところでございます。趣旨に賛同した国内企業八社が出資をしております。

 このラピダス社が開発している二ナノ世代の次世代半導体は、海外のトップメーカーを含めて量産には至っておりません。まだ研究開発の段階でございます。そういう状況でございますので、現時点では国が一歩前に出て支援をしていく段階にあると認識しております。一方、量産段階になりますと、民間からの資金調達が必要でありまして、その点はラピダスも認識をしているというふうに承知をしております。

 IBM、IMECを始めとした海外のトップ企業、研究開発機関との連携により研究開発を着実に支援をしまして、二〇二〇年代後半の量産を実現したいというふうに考えております。

足立委員 とにかくこれも失敗できないプロジェクトでありますから、何か批判する意味じゃなくて、本当に成功させていただきたい。そういう意味で、恐る恐るというか、情報を拝見しているということですので、お願いしたいと思います。

 ラピダスにとどまらず、半導体分野、令和三年補正、令和四年補正、昨日も大臣、世界の七社ですか、すばらしい会合であったと報道で拝見をしていますが、この補正予算を中心とする兆規模のお金、公的支援、どのような形で今配分が進んでいるか、紹介してください。

野原政府参考人 令和三年度の補正予算におきまして約八千億円、それから令和四年度の補正予算におきまして約一・三兆円を計上したところでございまして、これを活用いたしまして、熊本県におけるTSMC、JASMの先端ロジック半導体の工場の建設に対して最大四千七百六十億円の支援を決定し、それから、委員御指摘のラピダスの研究開発プロジェクトに対して令和三年度補正、令和四年度補正、合計で今三千三百億円の予算を承認しているというのが大きなところでございます。

 詳細にいきますと、令和三年度の補正は、先ほどのTSMC、JASMの熊本の件に四千七百六十億円、それからキオクシア、ウエスタンデジタルで九百二十九億円、それからマイクロンのワンベータの投資で四百六十五億円など、大体七千億円台の支出ということで支援決定をしているところでございます。一・三兆円の方の昨年の補正に関して今執行を始めているところでございまして、経済安保基金に積んだところについて、第一弾の支援決定を四月の下旬に、ルネサスとイビデンの投資について支援決定を行ったところでございまして、第二回の申請の受付が終わったところで、審査に今入っているところということでございます。

足立委員 ありがとうございます。ちょっと通告の私のあれもあって、失礼しました。

 大臣、ちょっと心配しているのは、単年度主義ということもあるし、補正でいつも積むわけですね。令和三年補正、令和四年補正。令和五年補正はといったら、まだやるかどうか分からない。やると思うんですけれどもね。

 だから、大臣のお立場からすると、一兆三千億があるから取りあえず足下はお金があるのかもしれませんが、そういう予算、本当に勝負に勝ちに行くためにはもっとお金が要るのかもしれないし、それは、令和五年補正についても大臣の頭の中では大体想定しながらいろいろ事務方と、あるいは産業界と議論されているのかもしれません。

 その辺、どうですか。予算規模とか予算制度とか、何かやりにくいということがあればちょっと国会でも取り上げていきたいと思いますが、いかがですか。何か変な質問ですね。

西村(康)国務大臣 足立議員にはいつもユニークな質問をいただいておりますので、動じず答弁しなきゃいけないと思っております。

 御指摘のように、半導体のみならず、GXもそうですが、やはり大規模な投資が必要となってきますので、当然、民間もちゅうちょする部分も、将来が見えない部分もありますので、そこをうまくカバーし合いながら、呼び水となるように、ワイズスペンディングでいかなきゃいけないと思いますが、何でもかんでもということではなくて、そこの部分をしっかりと政府が支援することで、引き出しながら将来の成長につなげていく。GXの先般認めていただいた二十兆円、百五十兆円もその考えで取り組んでいるところであります。

 したがって、基金とか国庫債務負担行為とか、ちょっと工夫をしながら、複数年度にまたがってできるような仕組みも入れて取り組んでいるところでありますし、岸田総理ともいろいろな議論をする中で、必要な経済対策はしっかり考えてほしいということは指示を常々受けておりますので、投資、研究開発、この進捗も見ながら、長い目で見て日本が成長軌道に乗せていけるように、世界をリードしていけるように、しっかりと検討を進めたいというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 ちょっと、あと一、二分になっちゃいましたが、済みません、本当に。松山さん、新川さん、お忙しいところ、ありがとうございます。

 これから議論したいことは、今日はもう、まあ一言いただきたいんですけれども、さきの家庭向け電気料金の値上げ認可、ありました。でも、こういうのというのは、これからもずっと続くんじゃないですよね。

 三要件を満たせば、規制料金は撤廃される。撤廃されると、しっかりと競争が働いていなければ消費者にとって負担になっていくわけですから、しっかりとその辺の規制料金の撤廃みたいな段取りが消費者の利益につながる形で進んでいくように、電力システム改革を進めていかなければならない、そういう理解ですが、これから経済産業委員会で何度かこれを取り上げていきたいと思いますので、ちょっとその辺の触りだけ、そういう認識でいいか。要は、消費者の利益ということを考えたときには、いずれ規制料金は撤廃されるが、そのためにも一定の競争的な電力システム改革というのはやはり必要だ、バランスだということだと思いますが、ちょっと一言いただけますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革をやり、電力の小売自由化をやりました。一方で、消費者に対する規制なき独占による弊害が生じないように、規制料金の経過措置として今置いているところでございます。最終的にはこれはなくなっていくということで、健全な競争の下でサービスが提供されることが、我々の目的として追求するべきところだと思います。

 その上で、調達できる電源というものが公平に非差別的に調達できる、他方で、それが安定供給を損なうことになってはいけない、これを両立するための仕組みづくり、これからしっかりと検討していきたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 新川さん、失礼しました。

 以上で終わります。ありがとうございます。

竹内委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 お疲れさまです。国民民主党の鈴木義弘です。

 先週の一般質疑のときに、時間がなかったので、総括して大臣にお尋ねしたんですけれども、通告もしてありましたので、今回、ちょっとAIについてのうち、細かいことをお尋ねしていきたいと思っています。

 AIが何か問題や事故を起こした際、AIアルゴリズムの複雑化により、AIが出力した結果を説明することができず、責任の所在を明確化できていないという指摘があります。責任の所在が分からなければ、AIを用いた商品やサービスを開発、提供してもユーザーから信頼を得られないんじゃないかという考え方です。

 AIを用いた商品、サービスの開発、提供のためには学習データやアルゴリズムに透明性が求められるが、技術面、コスト面から現状では実現が難しいんじゃないかというふうにされている。

 これは避けて通れない課題だと思いますし、アルゴリズムも含めて、深層学習というんですか、それを解明しようとして研究に取り組んでいるところの話も聞くんですけれども、現状ではまだそれが解明できていないという中で、経産省としてどう捉えるかということをまず最初にお尋ねしたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 AIについては、様々な分野で国民生活を便利にし、幅広い産業分野において大幅な生産性向上をもたらす可能性があると承知しておりますが、一方で、委員御指摘のような、AIを用いた商品やサービスの開発、提供において、AIの信頼性を向上させることが重要だという御意見があることも承知しております。

 こうした中で、イノベーションの促進とリスク対応の両立といった課題、それから、AIの推論結果を人間が理解、納得できない、あるいはAIの品質評価や管理手法が確立されていないといった技術的な課題もございます。

 こうした課題に対応するため、経済産業省ではこれまでに、企業のAIガバナンスに関して、企業の取組を支援するためのガイドラインを作成し、企業にお使いいただいているといった取組を行っております。

 また、二〇二〇年度からは、品質管理手法の確立に向けた研究開発も、独立行政法人のNEDOで、研究開発プロジェクトとして取り組んでおります。説明できるAIの基盤技術開発という技術開発をしておりまして、AIの推論結果とともに推論過程や推論の根拠を提示するようなAIシステムに関する基盤技術開発というのを、二〇二〇年度から二〇二四年度までの五年間の研究開発プロジェクトとして取り組んできたというところでございます。

 このように、AIが抱えるリスクに対応しながら、AIを用いた商品、サービスが開発、提供され改善されていくことで幅広い分野において生産性向上につなげていけるよう、関係省庁とも連携しながら、行うべき取組を検討してまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 かぶるところも出てくるんですけれども、例えば、AIの多くは学習の内容を理解しているわけじゃないんですね。学習パターンと合致する結果を出力しているので、AIの学習モデルに用いるデータが人権や民族、性別などによる偏見の影響にある場合、AIも偏りのある分析や結果を出力します。

 要するに、中身のことを、まあコンピューターといっていいのかな、プログラム、AIが理解をしているわけじゃなくて、人間が入れたデータを、何らかの形、どこかの系統を通って一つの答えを導き出しているだけの話だから、だから、差別や偏見のある結果を出すことに対して最終的にジャッジするのは人間の私たちだと思うんですね。

 AIが出してきたことをうのみにするのかしないのかということになっていくんですけれども、それが、今申し上げたような、偏見のある人がプログラミングしたときに、出てきた結果も偏見のあるものになってしまうんじゃないかという懸念があると思うんです。

 だから、私は、AIを全部規制をかけろと言っているんじゃなくて、結局、ルールを作った方がいいだろうという考え方なんです。全部駄目だといって、今やり始めてどんどんいいものができてくるのに、全部規制でやらせないということじゃなくて、人間社会に影響を及ぼすような結果が出たときに、それはAIが出した結果なのか、それとも、その結果を基にして自分たちで最後判断するのかというところが大事なんだと思うんですね。

 だから、今一つお尋ねしたかったのは、差別や偏見のある結果に対してどう捉えていくかということを、今の時点のお考えで結構ですから、お示しいただきたいと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの御質問に対する答弁で少し触れましたが、経済産業省でこれまで企業のAIガバナンスに関する取組を支援するガイドラインを作成しておりますが、このガイドラインの中で、企業に対して、AIの利活用のリスクを正しく認識した上での対応を促しておりまして、例えばチェック項目の中で、システム開発者が不当な差別を維持、助長するような出力となっていないか評価を行ったかどうかというのをチェックするようにというのをチェック項目として挙げておりまして、差別的出力への対応を求めております。

 AIの利活用に関しては、今御指摘ありましたけれども、イノベーションによる便益とリスク管理を適切にバランスさせることが重要でございまして、このようなガイドラインを通じまして、企業自らが適切なガバナンスを考えながら、差別的出力への対応も含め、ガバナンス体制を構築、運用していくように促してきたところでございます。

 先日、G7のデジタル・技術大臣会合がございまして、西村大臣に取りまとめをいただきました新興技術のガバナンスの部分につきまして、閣僚宣言でアジャイルガバナンスの五原則に合意をしたところでございます。イノベーションの機会の活用、法の支配、適正手続、民主主義、それから人権の尊重の五つの原則に合意したわけでありますが、この人権の尊重の部分は、まさに委員御指摘の差別や偏見の問題についての言及する部分でございます。

 また、先日、政府でAI戦略会議が開催されまして、会議の中では、AIの利用や懸念、リスク、開発等について議論があったと承知しております。

 今後、AI戦略会議での議論も踏まえまして、必要に応じて更なる検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

鈴木(義)委員 今は、ガイドラインで何とかやりましょう、こういう方針でやりましょうと言っているにしかすぎなくて、世の中はいい人が大半なんだと思うんですけれども、中にはやはり悪意を持った人もいないわけじゃないと思うんですね。それで、すごくAIにたけた能力のある人が悪意を持ってプログラミングしていったときに、それはガイドラインだけでは止められないと思うんです。

 先ほどの一番のところでお尋ねしたときに、例えば、去年のたしか警察庁の方で出してきた自動運転の車の取扱いの、法律が出てきたかな、答申だけだったか、ちょっと私も記憶が定かじゃないんですけれども、例えば東京から青森までトラックを走らせるのに自動運転でやったときに、全部の都道府県の公安委員会の許可を取ってくれ、こういう説明だったんです。

 レベルは今3までしかないので、運転手が乗っていないと道交法上は駄目なんですけれども、これがレベル4とか5というレベルになってきたときに、運転手が乗車しなくてもトラックを走らせることができるようになる。じゃ、そのときに誰がこの責任の所在を持つのかという話を申し上げたんです。そうしたらば、そのトラックにカメラをつけてモニターで見ている、だから、トラックを運行する事業者の責任なんだというんですね。これもちょっと変な話なんですね。

 事業者がトラックを運行させるんですけれども、結局モニターでずっと、そのトラックが走っている十時間なのか十五時間なのか分かりませんけれども、ずっとこっちで監視していなくちゃいけない。今はそこまでのレベルなんです。

 でも、レベル4とか5というのがもし何年か先にできてきたときに、そのときに、さあどうしましょうかということじゃなくて、今から、じゃ、ここまでのところはドライバーならドライバーの責任にすると。例えば、ハンドルから手を離していても、アラームが鳴ったり何なりしたときはすぐハンドルを握ってブレーキを踏まなくちゃいけないとかというルールで今やっているんだと思うんです。

 私もテスラという車に一回だけ乗ったんですけれども、そのテスラという車でレベル2・5だと言われました。今、ホンダが出しているレジェンドがレベル3。それはまだ乗ったことがないんですけれども、確かに、ボタンをぴっぴっぴっと押して手を離すと、真っすぐ走っていくんですよね。そこまでのレベルに来ている。

 じゃ、この先、どこまで技術開発されていくか。いろいろなメーカーさんが取り組んでいると思うんですけれども、そこで出てきてどうするという前に、今御答弁いただいたんですけれども、ちょっとルール作りを早めていった方がいいのかなと思うんです。それでお尋ねしているんです。

 もう一つ。AIの学習データには個人情報が含まれているケースがあります。個人情報の取得を承諾していないにもかかわらず、ウェブサイトから個人情報を収集したり、カメラやセンサーから収得されたデータの用途が不明瞭であったりすれば、多くの人のプライバシーや個人情報に不安を覚えるんじゃないかと思うんです。既にもうされていると思うんですね。

 私も、パソコンでいろいろな情報を取ったり、チケットを予約してみたり、いろいろなサイトを見たときに、前にも質問申し上げたときに、物を買ったりしますから、そうすると、見たくもないのに広告がぺろっと出てくるんだね。

 この間、普通の運動靴みたいなものを買ったら、それに何か近いようなやつが広告でぽっと出てくる。ということは、私の興味を示した商品が、その行った先で、何かの仕組みで、じゃ、これなら大丈夫だろうといって広告が出てくるわけですね。私はそれをやってくれと一言も言っていない。でも、もうそれで動いちゃっているんです。誰も疑問に思わない。では、広告の規制をかけるかといったら、いや、それをやるとIT産業がうまくいかないから、そういうのは規制をかけない方がいいと。

 私たちのいろいろな嗜好だとか欲しいものを買った履歴から推測して広告がぽろっと来て、そこをクリックすると、その画面に出ていって、興味をそそるような、また、買ってみたいなというような画面に変わっていくわけですね。そういうことをもう既にやられてしまっているのに、全然、個人情報に対してルールを決めましょうという話になっていない、今の段階では。

 だから、そこのところを、現状に対してどう対応していこうと考えているのか、お尋ねしたいと思います。

山澄政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法におきまして、事業者は、個人情報を取り扱うに当たりましては、利用目的をできる限り特定し、その利用目的をあらかじめ公表している場合を除きまして、速やかに本人に通知し、又は公表しなければならない、こういう規定がございます。

 こういう通知、公表に当たりましては、事業者の事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じて、合理的かつ適切な方法によらなければならない旨を私どもとして示しておるところでございまして、AIの局面におきましても、当然ですが、こういうような規定が適用されますものですから、これらを的確かつきちんと運用することを通じまして、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益保護を引き続き図っていきたい、こう考えてございます。

鈴木(義)委員 じゃ、今私の画面で見ているのは違法なことなのか、そうじゃないのかといったら、どうなんですか。私は認証した覚えがないんですよね。

 だから、今の御答弁だと、個人の確認をしてから情報を出しなさいよというふうに御答弁いただいているんですけれども、でも、パソコンを開いてやっていると、ぺっと広告が出てくるんだけれども、別にそれは私が欲しいと思って認証したわけじゃなくて、もう相手方のサイトから広告が入ってきてしまうというのはどういうことなんですか。それは違法なんですか、違法じゃないんですか。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護法の規定に従いますと、一般的には、個人情報につきましては、先ほど申し上げましたように、利用目的を通知又は公表するという規律がございますのですが、必ずしも利用者の承諾、認証というものを要件としておりませんので、通知、公表が適切にされているかというところがポイントになるかと思っております。

鈴木(義)委員 最後のところがよく分からないんですけれども。

 じゃ、そこのところは厳格にやろうというふうに事業者に指導するんですか。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの繰り返しになりますが、私どもの考え方といたしましては、事業者の事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、合理的かつ適切な方法で通知、公表しなければならない、こういうふうに定めておりますので、その基準に照らしまして適切でないというときには、私どもとして、しかるべく対応していきたいと思っております。

鈴木(義)委員 だから、今懸念を申し上げているとおり、一応建前はそうなっているんでしょうけれども、じゃ、取締りをしたという話は全然聞かないし、行政指導したという話もほとんど聞かないですよね。それでずっと流れてきちゃって。

 一応ルールはルールであるけれども、じゃ、従ってくださいね、こうやってほしいですよというふうにおっしゃるんだけれども、それが、だって、今私が見ているサイトだけでも出てきているんですよね。それは、個人情報委員会の方に苦情みたいな形で言えば対応してくれるということでよろしいんですか。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 今、個々のサイトについてどうこうは申し上げられませんが、もちろん、そのような御指摘があれば、それにつきましては、私どもとして、それが、先ほど申しました合理的かつ適切な方法かどうかということに照らしまして判断していきたいと思っております。

鈴木(義)委員 では次に、近年では、チャットボットやECサービスなど、AI組み込み型アプリケーションが多く開発、提供されていると聞きます。AIの権利を守る法律が整備されていないということですね。

 特許権、著作権は人のみが有する権利だというのは承知しています。ただ、AIが創造したものには権利は発生しないというんですけれども、AIで絵やデザイン、音楽も含めて作成をしたりした場合の著作権は、今のところ、データを入れる人間がいれば、人間が著作権を持つがというふうにお聞きはしているんですけれども、それが、AIがもうちょっと進化していったときに、自分がいろいろなデータを、まあ、音楽のデータでいいと思うんです、絵でもいいんですけれども、入れていったときに、自分でAIが自発的に音楽を奏でた場合に、人間がデータとして入れ込まなければ、AIが作っちゃったものというのが今後出てくると思うんです。

 基本的には、AIには、人じゃありませんから、特許権だとか著作権というのが付与されていないんだと思うんですけれども、これからどんどん発達していったり発展していく中で、こういう権利、工業所有権も含めて、AIにあるのかどうか。

中原政府参考人 いわゆるAI生成物を生み出す過程におきまして、AIの利用者に創作意図があり、かつAI生成物を得るための創作的寄与があるというふうに判断されますと、利用者がその思想、感情を創作的に表現するためにAIという道具を使用してAI生成物を生み出したものとして、当該AI生成物は著作物となると考えられます。この場合、著作権者となる当該利用者がそのAI生成物の著作権者となります。

 なお、そのAI生成物のうち、利用者の寄与が認められないような、簡単な指示を入力して生成したにとどまる場合などにおきましては、AIによって自律的に生成されるAI生成物については、現行の著作権法上は著作物とはならないというふうに考えられます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 次に、AI技術においては、シンギュラリティーというんですか、技術的特異点、それと、二〇四五年問題と呼ばれる概念が存在していると言われています。

 これまで人間が開発してきたAIなんですけれども、ある時点から自ら学ぶ性質を持ち、成長して、人間の想像を超える知能を持つことを問題視するというふうに言われています。二〇四五年問題というのはそういうことです。もしかすると、もっと早くそれが到達する可能性がないわけじゃないと思うんですね、未知の世界にどんどん入ってきていますから。

 そうなったとき、AIが人間の知能を超え自ら学ぶようになったとき、倫理のない状況では、悪意なく社会に負の影響をもたらしてしまうんじゃないかということが懸念されています。

 これを避けるには、開発段階から倫理に基づく設計を行う必要があり、AI倫理について世界的に深く議論し、早急に方針を定めるべきとの指摘があるんですけれども、それに対しての御所見を伺いたいと思います。

渡邊政府参考人 AI倫理についてのお尋ねでございますが、AI倫理、非常に幅の広い問題でございまして、例えば開発者にとっては、不適正なデータで学習していないかとか、あるいは不適切な出力をしていないかという問題があります。あるいは利用者についても、不適切なことをAIから引き出すとか、そういった様々な問題がございます。

 こういった問題に関しましては国内外で大変活発な議論が行われておりまして、先月のG7のデジタル大臣会合におきましては、人間中心の信頼できるAIという概念が合意をされているところでございます。

 国内におきましても、様々な、AIの技術だけではなくて、法制度とか倫理とか、広い専門分野を持った有識者を集めてAI戦略会議というのを立ち上げたところでございまして、こういったところで今後検討をさせていただきたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 検討していくのはいいんですけれども、検討した結果、やはりある程度規制をかけていく方向で検討するのか、いや、規制をかけないで自由にやってもらった方がいいというふうになるのか。でも、自由にやってもらうと、今言っている二〇四五年問題は解消できないんですよね。もう一度、じゃ、お考えを。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 国際的にも様々な議論がありまして、また非常に複雑な問題でございますので、大変恐縮ですが、この場で規制をするとかしないとかということは申し上げられないんですけれども、ただ、単純に規制をするかしないかということではなくて、いろいろな方策を組み合わせてやっていくというのが国際的には割と主流な議論になっているのではないかと思います。

 そういった議論を見ながら、決して拙速ではなく、でも迅速に検討してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 AIの話になると、昔映画で見たターミネーターを思い出すんですけれどもね。ロボット対人間の戦いなんですけれども、じゃ、そうなるのに何がきっかけだったのというと、人間の安全というのが一つのキーワードで、それを高度化していくのにネットワークを組んで、核戦争が起きて、みんなが亡くなっていく中でロボットだけが残っていくわけですね。ロボットは知能がありますから、それが映画でターミネーターワンだ、ツーだ、スリーだとなっていくんですけれども、いや、現実のものになってきているのかなと。笑い話に聞こえるかもしれませんけれども、十年後、二十年後といったら分からないような。

 いろいろなところで使われています。医療界でも使っているし、新薬を作るときのやつもAIで、どういうパターンだったらこの薬が効くのか効かないのかというのを全部AIでやったりするわけですよね。新しい製品を作ろうとしてもAIで、取りあえず、人間が時間をかけるよりAIの方が早く結果を出す。それから検証したり、薬でいけば、認証をもらうのに手間暇かけていくんですけれども、なるべくコスト、時間をかけなくていいところはAIを使うとか、いろいろなところで使い始めているから、だから今からルールをある程度作っていった方がいいんじゃないかということなんです。

 これは、この間、新聞の記事が出ていたもので、米国で人工知能、AIがもたらす雇用への影響に懸念が高まっているというものなんです。アメリカのハリウッドでは、AIに仕事を奪われかねないとして、映画脚本家らが大規模なストライキを実施、世界で三億人の雇用が失われるとの民間試算もあり、今後、議論が活発になりそうだという記事なんです。

 その争点の一つとなっているのがAI規制だというものなんです。今、まだ規制をかける段階ではないですと御答弁いただいているんですけれども、AIが文学作品を作成してはならない、作品をAIの訓練に使ってもいけないと脚本家の人たちが言っている。脚本家の間では、AIの中でも自然な文章や画像を作り出す生成AIが、脚本家らの著作権を無視して学習し、強みとする創作分野にまで入り込みかねないとの危機感があるということなんですね。

 確かに、それをやった方がコストを下げる、また商売につながっていくというふうに考える人たちもいるんでしょうけれども、今それで仕事としてやっている人たちからすれば、たまったものじゃないという気持ちは分からないわけでもないと思うんです。

 なおかつ、AIがもたらす雇用への影響は映画界以外にも広がっている。

 幾つかの事例です。例えばアメリカのIT大手のIBMは、AIで代替可能な事務管理など、今後数年間の新規採用を停止すると発表したという。フランスでは、コールセンター運営会社が、AI導入で今後三年の通話量が最大三〇%自動化できるという見通しを立てました。米オンライン学習サービスのチェグは、チャットGPTの普及を機にサービス利用者が減少したというふうに説明しているというんです。雇用への影響は無視できない。何回も同じことを言っています。アメリカの金融大手ゴールドマン・サックスは、生成AIが世界で三億人の雇用喪失につながる可能性があるというふうに指摘しているというんですね。

 もう対岸の火事では済まなくなってきていると私は思うんです。いずれ日本にも同じような課題が到来すると思うんです。半年なのか一年なのか分かりませんけれども、そのときにどういう対応を取ればいいのか、その前にどういう対応を取っていくのか、大臣にお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 ターミネーターのお話をされましたけれども、私が最近思うのは、ロボコップみたいな、画像認識で犯罪者を直ちに突き止める、そんなものも必要になってくるか、あるいは実用化してくるかという時代、あるいは、更に言うと、「二〇〇一年宇宙の旅」で、最後、コンピューター、AIが意思を持つというようなことが起こり得る時代にだんだん近づいているのかなということで、非常に関心を持って、また危機感を持って、あるいは期待感も併せて持ちつつ取り組んでいるところであります。

 まさに生成AIの登場は世界の様相を大きく変えております。チャットGPT、半年前、知っている人はいなかった。これはアルトマンCEOがアメリカの公聴会でも述べております。僅かサービス開始から二か月で一億人のユーザーがあるそうです。そして、今では教育から金融まで幅広い分野で使われております。サマーズ財務長官は、これを印刷機や電気の発明、車両、火の発明と同じぐらいのインパクトがある、あるいはビル・ゲイツ氏は、インターネット、携帯電話と同じようなインパクトがあるというふうに述べているとおり、非常に大きな影響がある、これはプラスもマイナスもあるというふうに思います。

 この二か月の変化を見ておりまして、このスピードの速さに私も正直驚いておりますし、これから一年、二年でどのぐらい変化するか、恐ろしいことが起こるんじゃないかということも含めて、危機感を持ちつつ、しかしイノベーションも起こしていくということも含めて対応しなきゃいけないと思っております。

 御指摘の雇用への影響、プライバシーの懸念も指摘をされるところで、先ほど来答弁がありましたけれども、先日のG7のデジタル大臣会合で人間中心のAI社会原則というものを打ち出しておりますので、プライバシー確保とかセキュリティーの確保、これが何より重要だということ、先ほど来御議論いただいた点であります。

 と同時に、イノベーションの原則ということも打ち出しておりまして、やはり進化をさせていくということも重要であります。一律に規制をかけるのではなく、イノベーションと規律、規制とのバランスを取ることも重要なのかなというふうに感じております。

 政府でもAI戦略会議が立ち上がっております。様々な懸念について議論をしていくことになっておりますし、G7の会合でも早急にこうした議論を進めるための場を設けることにもなっております。

 経産省として、バランスの取れたルール作りに貢献していきたいと考えておりますが、一方で、こうした大規模言語モデル、日本も産総研に基盤がありますので、これを活用して開発していくこと、さらには、言語モデルだけじゃなくて、画像とかロボティクスなんかを含めた、マルチモーダルモデルと言われていますけれども、そうしたものの開発も含めて、イノベーションの部分もしっかりやっていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 電力七社の電気料金値上げについて質問いたします。

 本日午前、西村経済産業大臣は、大手電力七社の規制料金の値上げ申請を認可いたしました。産業や国民生活に不可欠な電気料金の負担が、経営を直撃し、暮らしと家計を更に追い詰めることになりかねない。

 そこで、まず伺います。

 電力七社の電気料金の値上げ率というのは、それぞれ何%になっているでしょうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナ侵攻に伴う燃料価格の高騰などを背景に、電気の規制料金につきまして、北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、北陸電力、中国電力、四国電力及び沖縄電力の七社が、約三割から五割の値上げの申請を行いました。

 これらの申請につきまして、電力・ガス取引監視等委員会の有識者会合で、合計十六回にわたって厳格かつ丁寧に審査を行い、五月十六日に開催されました物価問題に関する関係閣僚会議で査定方針が了承されております。

 有識者会合における審査では、燃料価格などが変動したこと等を受けまして、本年三月に、直近の燃料価格などを踏まえて原価等を再算定することが適切であるとの見解が示されました。

 これを踏まえて、経済産業大臣の指示により、各事業者が燃料原価の補正を行った結果、多くの事業者で燃料費や購入電力料などが大幅に減額となっております。

 また、修繕費などの固定的な費用についても、最大で二三%の費用削減を求める経営効率化など、前例にとらわれない極めて厳格な査定を行ったところでございます。

 これらの厳格かつ丁寧な審査の結果、標準的な家庭における電気料金の改定率は、北海道電力が申請時の三二%から二一%に、東北電力が申請時の三二%から二四%に、東京電力エナジーパートナーが申請時の二八%から一四%に、北陸電力が申請時の四八%から四二%に、中国電力が申請時の三四%から二九%に、四国電力が申請時の二九%から二五%に、沖縄電力が申請時の四二%から三八%に、それぞれ値上げ幅が圧縮されております。

笠井委員 圧縮されたとはいえ、最も高い北陸電力で四割を超える値上げとなるということであります。

 岸田総理は、電気料金値上げの審査について、二月二十四日の物価・賃金・生活総合対策本部や三月三十日の衆議院本会議で、国民の理解を得るため、真に必要な費用のみ織り込まれているか、厳正に審査すると答弁しておりますけれども、果たしてそうか。

 そこで、料金原価のうち、他社原発からの電力購入費用について確認をしたいと思います。東北電力、東京電力エナジーパートナー、北陸電力の三社の購入費用というのは、それぞれ幾らですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の規制料金の改定申請において、他社購入電力料に原子力発電所からの購入を織り込んでいるのは、東北電力、東京電力エナジーパートナー、北陸電力の三社でございます。

 それぞれの査定後の、送配電関連を除く総原価に織り込まれている原子力発電所からの購入電力料は、東北電力においては約二百六十五億円、東京電力エナジーパートナーにおいては約四千九百四十億円、北陸電力においては約百四十二億円となっております。

笠井委員 そのうち、日本原子力発電、日本原電分というのは、各々幾らですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 査定後の総原価に織り込まれている原子力発電所からの購入電力料のうち、日本原子力発電からの購入として織り込まれている金額は、東北電力においては約百二十七億円、東京電力エナジーパートナーにおいては約五百五十億円、北陸電力においては約百四十二億円となっております。

笠井委員 日本原電の原発、東海第二原発と敦賀二号機でありますけれども、原価算定期間、二〇二三年度から二五年度の間に再稼働というのは想定されているのかどうか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の規制料金の改定申請において、東北電力、東京電力エナジーパートナーは、原価算定期間における東海第二発電所からの受電量を織り込んでおりません。また、北陸電力は、原価算定期間における敦賀発電所二号機からの受電量を織り込んでいないと承知をしております。

笠井委員 三年間の原価算定期間中の稼働は想定されていないと。つまり、発電電力量ゼロの原発に、東北、東京電力エナジーパートナー、北陸の三社で年間八百十九億円もの電気代を支払うということを大臣が認可したということであります。

 日本原電敦賀二号機は、中部電力、関西電力とも契約をしております。値上げ申請を行っていないこの二社分を加えますと、原電が受け取る金額は更に膨らむことになる。

 お手元の配付資料でありますが、資源エネルギー庁から提出をされた日本原電の販売電力料の推移であります。二〇一二年度以降の十年間の電力会社ごとに支払った金額を一覧にしたものであります。

 そこで、確認したい。東北、東京、中部、北陸、関西の五社が日本原電に支払った販売電力料の二〇一二年度以降の年度ごとの金額は幾らか、お答えください。

松山政府参考人 お答え申します。

 年度ごとの総額ということでよろしいですね。二〇一二年度で千五百十億円、二〇一三年度千二百四十三億円、二〇一四年度千三百三億円、二〇一五年度千百二十七億円、二〇一六年度千六十六億円、二〇一七年度千百三億円、二〇一八年度千九十一億円、二〇一九年度九百五十九億円、二〇二〇年度九百三十三億円、二〇二一年度九百六億円、そして二〇二二年度が九百一億円というふうに承知しております。

笠井委員 昨日、日本原電が発表した、二〇二二年度の決算を含めて今御答弁があったということだと思います。

 二〇一二年度から二二年度、今お答えがありましたが、十一年間の総額というのは足し合わせると幾らになりますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一二年度から二〇二二年度までの十一年間で、日本原電が各社から支払いを受けた販売電力料の総額は、合計して約一兆二千百億円であると承知してございます。

笠井委員 二〇一二年度から二二年度までの間に日本原電が発電した電力量というのは、どれだけになりますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一一年五月に敦賀発電所二号機が稼働を停止して以来、日本原電は、保有する全ての原子力発電所が停止した状態でございます。現在、東海第二発電所及び敦賀発電所二号機の再稼働に向けて、原子力規制委員会による適合性審査が進められている状況でございまして、このため、この間、発電をした実績はなく、御指摘の二〇一二年度から二〇二一年度までの十年間の発電電力量はございません。

笠井委員 二二年度もありませんね。

松山政府参考人 大変失礼いたしました。

 二〇二二年度までの間の発電電力量はございません。

笠井委員 何と驚くべきことでありまして、発電電力量ゼロの原電の原発に十一年間で実に一兆二千億円を超える電気代が支払われていると。

 二〇一九年度の東北電力とそれから東京電力パワーグリッドの支払い額、二〇二〇年度、二一年度の電力会社ごとの支払い額が明らかにされておりません、この一覧表を見ていただいても。それはなぜでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今お示しいただきました、私どもから提出した資料を基にお作りいただいているものだと思いますけれども、これは、日本原電が販売電力料の各社別内訳につきましては金融商品取引法に基づきまして開示を行っているものを、私どもの方で整理した、それで提出したものを基に作られているものと承知しております。

 この点で申し上げますと、日本原電は、それまでの間、公募社債を発行していたわけでございますが、公募社債を発行している間、金融商品取引法に基づいて必要な開示が義務づけられていたわけでございますが、この社債の償還が完了したことに伴いまして、二〇二〇年度以降、有価証券報告書の提出義務がなくなったことから、販売電力料の総額については公表しているわけでございますけれども、各社別の内訳を公表されていないということから、公表はされていない状況になっているというふうに承知しております。

笠井委員 理由はそれだけですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 そういった状況の下で公表がされていないというふうに承知しております。

笠井委員 その取引先の契約情報を開示することについては、そういう理由に挙がっていないんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、各社におきましては、金融商品取引法等、関連の法令に基づきまして適切に開示がされているものと承知しております。

 その際、この二〇二〇年度以降開示がされていないということに関しましては、同社の個別の契約取引の内容になるものですから、日本原電として、その取引相手との取引関係等に配慮しつつ、開示されていないものと私ども承知しております。

笠井委員 今のことで、大臣、要するに、今部長が言われたのは、取引先別の契約情報を必要以上に開示すると、これは日本原電の公正な取引を阻害するという趣旨だと思うんですけれども、電気事業というのは公益事業であります。そんなことは理由にならないんじゃないか、これは開示すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 日本原電は、保有する全ての原子力発電所が停止した状況ではありますけれども、電力各社との契約に基づいて、その安全を維持するために必要な費用を収入として得ているというふうに聞いております。

 日本原電が決算情報や他社との契約内容等をどう開示するかについては、日本原電及びその契約の相手方で決めるべき、民民のお話でもありますので、ルールに基づいてやっておられるということであります。国の立場からのコメントは差し控えたいと思います。

笠井委員 原資は電気代であります。公正な取引を阻害するなんということで出さないとすれば、株主は電力会社と原発メーカー、取引先は電力会社、電気代として国民や事業者から集めたお金を原発利益共同体がいわばぐるぐる回しているというだけじゃないかということになります。

 過去の査定と同様という考え方でやったということで言われておりますけれども、東京電力の二〇一二年の値上げの際の査定方針では、どういう理由で、日本原電に支払う販売電力料の原価算入を認めることが妥当だとしたんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一二年に当時の東京電力株式会社が値上げがされたわけでございますが、その際、二〇一二年、平成二十四年でございます、五月十一日付で当時の東京電力株式会社が経済産業大臣に対し行った、供給約款変更認可申請に係る査定方針というところでは、お尋ねのとおり、日本原電に支払う販売電力料、すなわち、日本原電からの購入電力料を原価に算入することを認めてございます。

 この査定方針では、購入電力料のうち原子力発電に係る費用につきましては、原価算定期間における受電量をゼロと見込んでいるものの、停止中の原子力発電所に係る維持管理や安全対策工事などに必要と見込まれる費用につきましては、購入の相手方との契約書原本等を確認された結果、当該原子力発電所が契約の相手方との共同開発であると認められる、このため、人件費、修繕費や減価償却費等の原子力発電所を安全に維持管理する費用や将来の稼働に向けた投資に要する費用についても、自社電源同様、負担する義務があると考えられるとの理由から、料金原価に算入することを認めることが適当であると結論づけられているものと承知してございます。

笠井委員 当時は、受電量自身はゼロだけれども、二〇一五年以降の発電再開を計画をして、原電も再開に向けた準備を実施中だという認識の下にやったということなんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも、今申し上げた内容が当時の査定方針及びそのときの考え方でございますので、当時のところの考え方についてここで御答弁申し上げるのはなかなか難しいところではございませんが、日本原電、現在においても再稼働に向けて審査、準備を進めているところでございますので、将来に向けて必要な費用についての算段については原価算入することを認めていたものだというふうに考えてございます。

笠井委員 いや、当時どういう判断だったのかということを聞いているんです。それが、再開の見通しがあるということで、準備中だということの認識があったのか、ないか。だって、それは難しいと言うけれども、当時それで査定したわけですよね。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、当時、日本原電としましては再稼働に向けた準備を進めていたところでございますので、それに向けて必要な費用については原価算入を認めることが適当であるというふうに結論づけたというものというふうに承知してございます。

笠井委員 しかし、再稼働の見通しがあるという認識の下に、これについても了とするということだったかどうかということなんです。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、当時において、日本原電の状況、すなわち、その当時におきましては、数多くの原子力発電所、新規制基準の策定ということの前のお話、現在の審査という前の状況でございますので、一律に物を論じることはできませんけれども、様々ございます原子力発電所につきましては、新しい安全最優先の下での審査に対応し、地元の御理解の下で再稼働していくという方針でございましたけれども、その下で、日本原電におきましても準備を進め、そのために必要な費用については原価の算入に認めることが適当であると結論づけられたものだというふうに承知してございます。

笠井委員 当時の公聴会及び「国民の声」の主な意見というのは、どのようなものだったんですか。端的に。その報告書に書いてあると思うんですが。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、公聴会及び「国民の声」のお尋ねがございました。先ほどお尋ねを頂戴しました東京電力の二〇一二年の値上げに関しましては、二〇一二年六月七日に東京にて、そして九日に埼玉にて公聴会を開き、また、同年の五月―六月にかけましてパブリックコメントで、「国民の声」という形でお声を頂戴したところでございます。

 その中で、恐らくこれは日本原電に関する御意見ということの御質問だというふうに理解した上で申し上げますと、再稼働が見込めない原子力発電に年間一千三億円を支払うのを認めるべきではない、購入電力料について、日本原電、東北女川は供給する見込みがないのに千三億円を見込んでいる、発電していないのに入っているのは国民の理解は得られない、発電しないのに購入電力料を一千億円計上している、そっくりカットすれば値下げ率は削減される、購入先である日本原電の固定費を支払うのはなぜか、支払うとしても、なぜそれを適正と考えているのかといった、委員の今御指摘いただいているような御懸念の声、こういったものにつきましては、公聴会及び「国民の声」の中でも寄せられていたことは承知してございます。

笠井委員 主な意見は懸念ばかりだということであります。

 昨日の参議院経済産業委員会で、東京電力ホールディングスの山口副社長は、我が党の岩渕友議員の質問に対して、東海第二原発からの受電に期待をしていると答弁いたしました。

 東海第二や敦賀二号機の再稼働のスケジュールに具体的な見通し、今あるんですか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の再稼働に当たりましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認められた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくというのが政府の一貫した方針でございます。

 そういう中で申し上げますと、今、スケジュールのお尋ねでございますけれども、今、日本原電、工事を進め、同時に審査への対応というのを進めているところでございますが、将来の原子力発電所の稼働状況につきましては、個別の発電所に関し、事業者の判断及び原子力規制委員会による適合性審査の状況によって決まるものでございますので、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたい、そういうものであるというふうに認識してございます。

笠井委員 予断を持って答えられないと。再稼働のスケジュールなどを立てられる状況にないということであります。

 大臣、過去の査定と同様に原価算入を認めることが適当だと判断したと昨日も答弁されましたが、発電量が一年間ゼロだった前回、二〇一二年とは前提が全く異なる。その後十一年間も全く発電していないという実質的事実の上に立って、改めて原価算入の可否を判断すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 今回の規制料金の改定申請に当たりましては、電力・ガス取引監視等委員会の有識者会議におきまして、中立的、客観的かつ専門的な観点から、厳格かつ丁寧な審査が行われたものと。そして、消費者庁との協議を経て、査定方針が取りまとめられたところであります。

 その査定方針の中で、他社購入電力料のうち、原子力発電所からの購入については、いずれも、まず契約書原本等で契約の相手方との共同開発と認められ、人件費、修繕費や減価償却費などの原子力発電所を安全に維持管理する費用や、将来の稼働に向けた投資に要する費用についても、自社電源同様、負担する義務があるというふうにされております。

 また、他方で、事業者は契約の相手方に対して効率化努力を求めていくべきであって、既設分の減価償却費や固定資産税といった効率化努力が見込めない費用を除く人件費や修繕費等について、事業者自身による効率化努力分と比較し、既に織り込まれている効率化努力分では足らざる分については、料金原価から減額するなどとされております。原価に算入することを認めることが適当とされたところであります。

 この考え方は過去と同様でありまして、三年間の原価算定期間中の稼働、非稼働の見込みにかかわらず適用されるものであるというふうに承知をしております。

 その上で、先ほど東海第二、敦賀二号機の再稼働のスケジュール、答弁をさせていただきましたけれども、日本原電によれば、東海第二は工事終了時期を二四年九月と公表しております。敦賀の二号機については、再稼働の時期はまだ公表しておりませんけれども、東海第二については、避難道路、避難計画なども、私どもも協力しながら取組を進めたいというふうに思っておりますので、地元の理解も得ながら、もちろん安全をしっかり確保するという観点で適合性審査をしっかり受けて、合格した上に再稼働をしていく方針であります。

笠井委員 今言われるわけですけれども、大臣は五月十六日の会見でも、前例にとらわれず極めて厳格な査定を行ったと言われますけれども、結局、今伺っていると、この十一年間の実績についても踏まえていない。それから、これからの見通しだって、避難計画だってまだできていないわけですよ。来年三月と二月と、あと三月とか言われるけれども、そういう見通しだってないということが明らかな中で、結局、過去の査定と同様ではないかということになると思います。そんな説明で消費者、国民の理解も納得も到底得られない。

 発電量ゼロの原発に十一年間で一兆二千億円を超える電気代を払っている。大臣、これほど高い電源はないと思われませんか、率直に。

西村(康)国務大臣 今般の電気料金の規制料金の改定につきましては、まさに、ウクライナ侵攻、侵略に伴う燃料価格の高騰などを背景として、燃料費あるいは卸電力取引市場における調達費用が大幅に増加したことが主な要因で、原因であります。

 その上で、原子力発電所からの電力の購入については、先ほどお答えをしたとおりでありまして、査定方針において、原価に算入することを認めることが適当とされているわけであります。

 こうした点について、消費者の皆さんの理解を得られるように、分かりやすく丁寧な情報提供、また説明を行ってまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 大臣はよく原発は安い電源と言われますけれども、実際には、東北、東京電力エナジーパートナー、北陸の三社を見ただけでも、日本原電への八百十九億円が、今回の値上げでも、とにかく電気料金の底上げになっているじゃないか。既に、原発の維持、運転、廃炉のために高いコストが電力料金に含まれているわけであります。

 しかも、現在参議院で審議中のGX電源法案、原発推進等の五法案で、東海第二は七十二年間も運転可能ということになる。料金値上げの見返りに事故のリスク、これでは踏んだり蹴ったりではないかということになる。だから、公聴会でも、原発の廃炉を決めて維持費をなくした方が電気料金は下がるとの厳しい声が寄せられたわけであります。

 そこで、最後の問題ですが、今回の値上げ前から、LNGなど燃料費の輸入価格の高騰によって、電気料金は急上昇しておりました。規制料金の値上げは経産大臣の認可が必要ですが、自由料金は電力会社が自由に独自に決められる。

 そこで、一般向け、家庭向けの自由料金プランにおける燃料価格の上限設定について確認したいと思います。大手十電力のうち、二〇一六年の料金自由化時から設定していない事業者はどこか、上限をですね。それ以外の事業者が上限を撤廃したのはいつですか。端的に数字だけお願いします。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの二〇一六年の小売全面自由化時点において、一般家庭向けの標準的な自由プランで上限を設定していなかった大手電力は、東京電力エナジーパートナー、関西電力、中国電力、九州電力、沖縄電力の五社でございます。

 それ以外の五社につきましては、自由化時点では上限を設定したわけでございますが、北陸電力が二〇一八年四月、東北電力が二〇二二年十一月、北海道電力及び中部電力ミライズが二〇二二年十二月、四国電力が二〇二三年五月に上限を撤廃してございます。

 なお、沖縄電力は、先ほど最初設定していなかったということを申し上げましたけれども、実は、二〇二二年四月に燃料費高騰の影響を踏まえまして特別措置として上限を設定し、二〇二三年四月に撤廃しているところでございます。

笠井委員 昨年十月から十二月にかけて、自由料金で燃料価格の上限を撤廃する電力会社が相次いだと。規制料金の値上げは、認可申請、有識者会議による原価査定や公聴会などを経て、大臣認可という手続が必要になるために時間がかかる。電力会社の一存で変更できる自由料金に先に手をつけた形であります。

 大臣、最後に伺いますが、電気料金が青天井になってどんな事態をもたらしたか。例えば、北海道電力は、二〇二二年十二月に一般家庭向けの自由料金プランを変更して、それまであった燃料価格の上限を廃止しました。この下で、暖房をつけずに夕方には布団に入る生活をしている、年金額よりも電気代の方が多く、もう暮らしていけない、そういう悲鳴のような訴えが札幌市や旭川市でも地元の新日本婦人の会にも次々と寄せられました。

 電気料金は公共料金であり、セーフティーネットの役割もある。ところが、自由料金の引上げによって、電気代が暮らしを押し潰すような事態がもたらされた。今回の規制料金の値上げ、大臣が認可をされました。規制料金でも同じような状況が起こり得るということではないんですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、電気は我々の生活そして経済活動に不可欠なものであります。電力料金の値上げ、これは国民の皆さんの生活にも大きな影響を与えるものというふうに認識をしております。

 そうした影響を緩和するために、今年の一月から、標準的な世帯では二千八百円の負担軽減となるいわゆる激変緩和策を、一月の使用分から実施をしているところであります。

 今回の値上げにつきましては、まさにロシアのウクライナ侵略を契機として、燃料代が、調達費が非常に高騰したことを背景としておりますけれども、経営の効率化をしっかりと求めていくということで、その点、特に前例にとらわれず、調達費についても、トップランナー方式で最も効率的に調達をしているところに合わせていくというようなことを含めて、また、経営効率化も、最大二三%というこれまでにない厳しい厳格な査定を行ったところであります。

 その上で、FIT賦課金の低下分とか激変緩和額あるいは緩和措置、そして、最近の燃料価格はまた落ち着いておりますので、その調達額の調整額がありますので、それを全部加味すると、ロシアのウクライナ侵略前のそのほぼ同じ水準、あるいはそれ以下に結果としてなるものというふうに思います。

 もちろん、上がる分については、その対応ということで交付金、自治体に向けて、厳しい世帯の皆さんにも交付金、あるいは子育て世帯にも交付金を行って、緩和も行っているところであります。是非、そうしたものも活用していただきながら対応していきたいというふうに思います。

 いずれにしても、長い目で見て、エネルギーコスト、また上がる可能性もありますので、省エネも進めていくことも大事だということで、各家庭向けに、断熱窓への改修あるいは給湯器の高効率化、こんな支援に約二千八百億円手当てをしているところであります。いずれにしましても、動向を見ながら、国民生活、経済、できる限り影響のないように、対応をしっかりとしていきたいというふうに思います。

笠井委員 激変緩和策があっても、それも全く足りないぐらいの、目の前での本当に大変な状況が消費者にはある。

 電力の小売自由化から七年たってなお、大手電力が絶対的な力で電力市場を支配している。電力販売をめぐるカルテルや、それから新電力の顧客情報の閲覧など、大手電力の相次ぐ不正が明らかになっている。その真相究明もないままという状況で、まして、こんな大幅な電気料金の値上げは許されない。認可の撤回を強く求めたいと思います。

 十年前の電力システム改革の宿題に答えて、今こそ所有権分離に踏み出すべきだ、このことを申し上げて、終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。西村経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(康)国務大臣 中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 地域の経済、雇用を支える中小企業がコロナ禍を乗り越え、更なる成長を実現することができる環境を整備するためには、中小企業に対する金融機能を強化しなければなりません。平時の金融機能の強化として、円滑な再チャレンジや積極的な投資を促す経営者保証改革を進めるとともに、多くの地域の中核企業と取引をしている株式会社商工組合中央金庫による事業再生支援の強化等を進める必要があります。

 株式会社商工組合中央金庫については、その財務状況が大きく改善し、信用力が向上したことにより、政府が株式を保有する意義が低下していることも踏まえ、中小企業による中小企業のための金融機関としての位置づけをより明確化し、事業再生支援等において幅広く柔軟な支援を可能とすることが急務となっております。加えて、コロナ禍のような危機時の資金繰り支援の更なる円滑化を図る必要があります。

 こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、中小企業信用保険法の一部改正です。

 第一に、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速するため、無担保保険等において経営者保証を求めない要件を定める措置を講じます。

 第二に、危機時における資金繰り支援の更なる円滑化を図るため、危機関連保証の適用要件を緩和します。

 次に、株式会社商工組合中央金庫法の一部改正です。

 第一に、コロナ禍からの地域経済の再生等に当たり、株式会社商工組合中央金庫の事業再生等のノウハウを広く活用するため、その業務範囲の制約等を見直すための措置を講じます。

 第二に、株式会社商工組合中央金庫と地域金融機関の連携を強化するための措置を講じます。

 第三に、政府が保有する株式会社商工組合中央金庫の株式を全部処分し、その議決権株式の株主資格の有資格者から政府を削除する措置を講じます。

 第四に、株式会社商工組合中央金庫の中小企業のための金融機関という性格を維持するため、議決権株式の株主資格の制限や特別準備金の制度は存置します。

 第五に、株式会社商工組合中央金庫による危機対応業務の的確な実施を担保するため、政府が保有する同社の株式を全部処分した後も、同社に危機対応業務の実施を義務づける措置を講じます。

 第六に、株式会社商工組合中央金庫の完全民営化については、同社の特別準備金の状況を含む自己資本の状況、ビジネスモデルの確立状況、危機対応業務の在り方等を勘案し、改めてその実施を判断することとします。

 このほか、今回の制度改革後においても、政府が同社のビジネスモデルの確立状況を逐次チェックすることとします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十六分散会


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