衆議院

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第18号 令和5年5月31日(水曜日)

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令和五年五月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      東  国幹君    石井  拓君

      石川 昭政君    石橋林太郎君

      石原 正敬君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上川 陽子君

      神田 潤一君    岸 信千世君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      鈴木 淳司君    土田  慎君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      深澤 陽一君    福田 達夫君

      堀井  学君    牧島かれん君

      松本  尚君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山下 貴司君    吉田 真次君

      大島  敦君    菅  直人君

      後藤 祐一君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            尾崎  有君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            新発田龍史君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房スタートアップ創出推進政策統括調整官)        吾郷 進平君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    角野 然生君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   参考人

   (株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長)    関根 正裕君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     松本  尚君

  上川 陽子君     石橋林太郎君

  國場幸之助君     石原 正敬君

  山際大志郎君     岸 信千世君

  吉田 真次君     東  国幹君

  田嶋  要君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     吉田 真次君

  石橋林太郎君     上川 陽子君

  石原 正敬君     國場幸之助君

  岸 信千世君     深澤 陽一君

  松本  尚君     石井  拓君

  後藤 祐一君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     神田 潤一君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長関根正裕君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総合政策局参事官尾崎有君、金融庁総合政策局参事官新発田龍史君、消費者庁審議官植田広信君、財務省主計局次長寺岡光博君、国税庁長官官房審議官植松利夫君、経済産業省大臣官房スタートアップ創出推進政策統括調整官吾郷進平君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、中小企業庁長官角野然生君及び中小企業庁事業環境部長小林浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日も質疑の時間をいただきました委員長、理事そして委員の皆様に感謝を申し上げながら、本日は、いわゆる信用保険法、そして商工中金法の改正案ということでございますので、金融のお話を中心に伺っていきたいと思っております。

 その前に、北海道で半導体の動きがありましたので、そのことについて、まず西村大臣にお伺いしたいと思います。

 先週の月曜日、五月二十二日になりますけれども、北海道千歳市、次世代半導体メーカー、ラピダスが進出を決めている場所でありますが、そこで、次世代半導体プロジェクトということで、その説明会が開催されるということがありました。

 地元はもちろんでありますけれども、国、北海道、苫小牧を含む近隣自治体、一般参加者含めて、千四百人という方が短い周知期間だったのにもかかわらずお集まりになるということで、大変高い関心が寄せられているということがうかがえました。

 地元でプロジェクトの説明を聞くという機会がなかなかないということもありまして、私も参加をさせていただいて、そのお話を伺うというところでございました。

 その中で小池社長が、大変、プレゼンテーションは独自性にあふれて、熱意を感じる、ここの地域へ進出していくという理解の増進に非常に効果的だなということも思いながら、説明を、明快なお話をいただいたわけであります。

 私も、本会議を含めて西村大臣には、この北海道、半導体のこと、特にラピダスのことは伺っておりまして、三月九日には、まさに人材確保のことについて、理系人材というのが、北海道にも各種、大学、専門学校を含めて、工業高校もそうですけれども、様々あるということの中で、この地域からどうやって人材を確保していくのかというお話につきましては、コンソーシアムを形成して、北海道でしっかりそういう取組をやっていくというお話もいただきまして、間もなくそのことも具体的に動き出すというお話も伺っているところであります。

 北海道も、北海道だけの事情で言えば、道内の理系の大学あるいは専門学校等を卒業した後に、なかなか就職の受入先が簡単にあるわけではないので、本州に移動してしまうということでありますから、地元に就職していただくというのは大変ありがたいわけであります。もちろん、日本全体でいえば、理系人材全体が不足していくということでありますから、これは全国での課題でもある中ではあります。

 その一方で、このラピダスというのは、次世代半導体ということでありまして、最先端の、いわゆる高度な、世界中で競えるような人材も集めてこなきゃいけない、その課題もあろうかと思います。

 大臣には、地域の人材をしっかりとコンソーシアムの中で集めていくんだという意欲を示していただいていることは大変心強く思いますが、あわせて、世界と戦う人材を、世界も含めて、もちろん日本もそうですし、北海道の中で優秀な方がいれば、そうした方も当然そこに参画していっていただきたいと思うわけでありますけれども、その高度人材というのをどのように確保していくということを今描かれているか、そのことについて御見解をまず伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘の次世代の半導体は、今後、AIであったり、あるいは自動運転など、まさに新しい時代のデジタル技術を支えるキーテクノロジーであります。日米欧で連携をしながら、二〇二〇年代後半の製造基盤確立に向けて、取組を今進めているところであります。

 先月、ラピダスの今年度の計画を承認しまして、二千六百億円の追加支援を決定したところであります。御指摘のように、小池社長はレジェンドと言われているお一人でもありまして、非常に情熱的な方でありますし、国際的な知名度もある中で、このラピダスの取組によって、北海道に恐らく多くの半導体関連の企業、これは国内外の企業が更に投資をする可能性も出てきている中で、是非我々、まさに人材をしっかりと確保していきたい、育てていきたいという思いであります。

 御指摘のように、千歳市でパイロットラインの構築に向けた工事も開始されていくということで、二十二日に道庁、千歳市、ラピダスの共催で取組に関する説明会が開かれたということで承知をしております。経産省としても、是非多くの方々にこの意義を理解していただくよう、引き続き丁寧に説明をしていきたいというふうに思っております。

 そうした中で、先般も御議論がありました人材の確保、育成でありますが、六月二日に産学官が連携した人材育成コンソーシアムを北海道で立ち上げるということで予定されております。

 さらに、次世代を担う研究開発、人材育成を進める主体としてLSTC、技術研究組合最先端半導体技術センターを発足させておりまして、このLSTCにおきまして、国内外の半導体関連トップ企業と教育研究機関が連携したトップ人材の育成プログラムを作成すべく検討中であります。

 また、五月二十六日、アメリカにおきまして日米商務・産業パートナーシップ閣僚会合というのを開きまして、レモンド商務長官との間で、このLSTCとアメリカの国家半導体技術センター、NSTCとで、研究開発だけではなくて、人材育成についてもより一層連携することで合意をしたところであります。

 北海道が高度人材にとって魅力的な場所となるよう、ラピダスのプロジェクトの推進と人材育成、確保を車の両輪としながら、地元の皆さんのいろいろな御意見も伺いながら、スピード感を持って、是非、大きな大きな成果が上がる、そうしたプロジェクトとして成功させていきたいというふうに考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 大臣から、国家プロジェクトとしての意欲として、今も本当に迅速に動いていただいているというお話もいただきましたが、最後に北海道を魅力ある地域にというお話もありましたが、これはまた北海道も努力していかなきゃいけないと思っております。

 世界から集まる方々が、これは医療、教育、交通もそうかもしれませんし、レジャーもそうかもしれませんが、住んで、やはりここはいいところだねというように思っていただけるような場所づくりということも非常に重要だと思っております。元々、イメージとしてのアドバンテージはあるかと思っておりますけれども、こうした方がとどまっていただけるような環境づくりというのが、一つ大きな目標として北海道全体で描いていかなきゃいけないと思っておりますので、また様々、経済産業省の知見からもいろいろアドバイスあるいは後押しもいただきたいということも申し上げさせていただきたいと思います。

 この間、私も質疑を大臣にさせていただく中で、北海道は、再生可能エネルギー、洋上風力もそうですが、陸地のエネルギーもそうですけれども、様々エネルギーが生まれる中で、電力需要を地域で生んでいってほしい、その政策も是非進めていくべきだというお話をさせていただいた中でも、大臣は非常に前向きな御答弁をいただいて、心強く思っていたところであります。

 そのことを具現化するように、今回、西村大臣の下でまとめられました半導体・デジタル産業戦略の中で、北海道、九州に対して、データセンター、大量の電気が一般には必要だと言われています、この設立支援をするという方向性も明示いただきました。北海道でいえばラピダスでありますし、九州でいえば熊本、TSMCの日本法人の進出という動きの中で、一貫した分かりやすい姿勢を示していただいているというのが、私たち地域にとっても非常にこれは重要なことだと思っておりまして、この方向で、とにかく産業分野、突き進んでいくぞということを私たちも受け止めさせていただきたいと思っております。

 このデジタル社会ということが、これは経済産業省資源エネルギー庁に確認したいと思いますが、非常に電力も必要になる社会じゃないかということも一般的に言われています。

 経産省資源エネルギー庁はエネルギー基本計画をまとめているわけでありますけれども、令和三年に第六次の基本計画がまとめられたわけでありますけれども、その後に起こるこの劇的なデジタル展望の変化というような、この展望、将来像の変化というのが、このエネルギー基本計画に反映しているという状況とは言い難いんだ、私はそのように思っております。

 デジタル化の電力需要というのは相当増加という視点もある一方で、ラピダスの二ナノという新しい分野の半導体は、高性能はもちろんでありますけれども、低電力を目指すということもございまして、非常に測りにくいところではあるかと思うんですけれども、しかし、基本計画にやはりきちんと電力のこと、先ほどは人材のことを伺いました、人材と電力というのが非常に半導体を支える、あるいはデジタル社会を支える上で重要だと思うときに、このいわゆるデジタル社会のエネルギー基本計画への反映というのをどのように考えているか。

 そして、私は、令和三年、定期的に見直しがありますけれども、これは速やかに改定をして、見直しをしていただきたい、そのことも申し上げさせていただきたいんですが、答弁をお願いいたします。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘の点でございますが、今後、AIですとか自動運転などDXの進展によりまして、データ処理量の増大、したがいまして、半導体やデータセンター等の電力消費量は今後一層増加するというふうに見込まれていると考えております。

 第六次エネルギー基本計画で示しましたエネルギーミックスでは、徹底した省エネルギーを行うことを前提に、経済成長や電化率、主要産業の活動量など、そうしたものを考慮して電力需要を想定しておりますが、今後は半導体やデータセンターの電力需要についてもより一層精緻に見込んでいくことが重要である、そのように考えているところでございます。

 エネルギー基本計画の改定につきましては、少なくとも三年ごとに、我が国を取り巻くエネルギー情勢の変化や国際的なエネルギー施策の動向などを踏まえ、見直しの要否について検討を行うものでありまして、今後、半導体ですとかデータセンター等の今後の電力需要の見通しを含めまして、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

山岡委員 今、精緻なということをおっしゃっていただきました。省エネというのも極めて重要でして、二〇三〇年には省エネ等が進むから消費量が減るんじゃないかという見立てもありますが、この電力という基盤の一つ、人材、電力、その他様々あると思いますけれども、そのことが整っていないばかりにこの政策が進んでいかないというようなことは是非避けなきゃいけないということを思っておりますので、また引き続き、私も関心を持ってこの議会でも取り上げてまいりたいと思いますので、また進捗を伺っていきたいと思います。

 今日は、いわゆる商工中金、そして信用保険の法律の改正でありますので、この後は金融政策の方の質問に入らせていただきたいと思います。

 大臣に伺いたいと思いますけれども、直近で、私たち日本として、大きな金融のありがたみでもあり、非常に政策的にも大きなインパクトがありましたのは、いわゆる二〇二〇年から新型コロナが大変大きく広がる中で、ゼロゼロ融資という言葉もありましたけれども、多くの事業者の皆様が、ここの部分に頼って、そして何とか乗り越えてきた、この現実がございます。

 北海道は三月に全国に先駆けて緊急事態宣言というのが発せられて、全国でその後広がって、人流が停滞すると、宿泊、飲食、観光等、これはもう委員の皆様も十分御承知のとおりでありますけれども、非常に経済的な打撃が出て、そしてその影響は今も残るという中で、今、物価高等、ほかの課題も含めて多くの状況が生まれているわけであります。

 この当時の状況をいえば、本当にお困りの方が金融のこのゼロゼロ融資を借りてとにかくしのいだというのも事実であり、その一方で、当時、先行き見えない状況であったという中で、政府がそういう制度融資を設けてくれる以上、借りられるうちに借りておいた方がいいという中で、この融資を受けたという事業者の方も一定数いたというのは、私も現場を歩いていて感じましたし、恐らく、多くの皆様、そういう方もいたのも事実だということは御存じのことだと思います。

 借りていても金利も事実上つかないということであれば、しかも借りやすいということであれば、借りておくわけでありますけれども、しかし、それはやはり借金でありますから、御自身の事業がそんなに問題なければ、もうほとんどお返しをされているというような状況にもなっています。

 そうしますと、この返済状況の波というのが、もう大分このゼロゼロ融資の部分は返済が相当進んでいるというような説明もありましたけれども、その一点をもって、いわゆる本当に厳しい方々が融資を受けた、この問題が解決しているということを受け止めてはいけないのは、当然皆さんも感じておられるところだと思っております。

 またこの後、制度の切れ目があるときに、またもう一度、融資の返済のピークがもう一度来るかもしれません。しかし、やはり本格的に私たちが真剣に考えなくてはいけないのは、その先でもまだ多額の借金を抱えながら、しかし、コロナが戻る中で日常に戻ったとしても、今度は返済負担がある、この状況をどう受け止めていくかという状況を考えていかなければならないと思っております。

 この提案については我々も様々しておるところでありますが、大臣に、コロナのこの状況のまず現状認識、伺えればと思います。御答弁願います。

西村(康)国務大臣 まさにコロナ担当大臣をしておりまして、あの時期に、経済を止めることで感染を防ごうということで緊急事態宣言などを発出をさせていただいて、その間、経済を止めるわけですから、事業、雇用を守っていくということで、民間のゼロゼロ融資を含めて様々な仕組みを構築をし、守ってきたところであります。

 その官民金融機関によるコロナ融資が、本年三月末時点で約六割の事業者が返済を開始しているということでありますけれども、今後、返済本格化を迎えることになります。民間ゼロゼロ融資でいえば本年七月に約五万件、日本公庫のコロナ融資で本年六月に約三万件の融資の返済が開始される見込みであります。このため、資金繰り支援は引き続き重要な課題であるというふうに認識をしております。

 民間のゼロゼロ融資につきましては、返済期間を長期化しつつ、その間に収益力改善を支援するコロナ借換え保証制度を本年一月から開始をしております。既にこれまでに約三万八千件、一兆円の借換え申込みを承諾しているところでありまして、また、日本公庫のコロナ借換えを、融資の借換えを支援するために、本年三月にコロナ資金繰り支援継続プログラムを公表しまして、スーパー低利融資やあるいは資本性の劣後ローンの申請期限を本年九月末まで延長しているところであります。

 こうした支援を実施してもなお増大する債務に苦しむ中小企業に対しましては、個別の事案に対して、それぞれの事情に応じて、債務圧縮や減免などを含む事業者の再生支援が重要となってまいります。

 もう御案内のとおり、四十七都道府県に設置されております中小企業活性化協議会が再生計画の策定を支援をし、これまでに支援した再生計画のうち一六%は債務圧縮や減免を実現しております。こうした再生支援につきまして、官民の金融機関、支援機関が総力を挙げて取り組むため、本年四月から、金融庁とともに全国説明会を開始し、連携強化をして取り組んでいるところであります。

 引き続き、こうした取組を通じて、コロナの影響がまだ残る、さらには、いろいろな物価高、エネルギー高でなかなか厳しい状況が続いておりますので、そうした中小企業への支援をきめ細かく取り組んでいく考えでございます。

山岡委員 大臣から今御答弁がありました。そうした状況で、様々な制度を打ってもなお厳しいところに対しては、個別の事情に合わせて様々対応していくということが重要だというお話がございました。

 様々、幅広くいろいろな課題はあるんですけれども、一つ、経産省の方に、この大臣の答弁を受けて確認しておきたいことがあるんです。いわゆる借換えの制度もあり、あるいは条件変更、リスケともいいますけれども、これまでの御答弁でも、そういう申出があれば九九%程度応じているんだ、だから万全の体制で行っているということもお話があるわけでありますけれども、私が地域を歩いていて、一つ、非常に深刻に御相談いただいた件のものとして、一度お借りした融資を全額返済した後に、やはり厳しいと。返済した金額全てじゃなくても、その一部だけでももう一回借りられないかということを政府系金融機関に申入れしたら、制度が切れているということの事情もあるんだと思いますけれども、それはあえなく断られるという事例も発生しているところであります。

 これは、行政機関の皆様からいえば、制度がもうここで終結しているということは別の枠組みなんだという事情なのかもしれませんが、事業者にしてみれば、融資を返済しないでリスケをする、あるいは借換えする人と、一度前向きに返済した後、その一部だけでもいいから、資金繰りに困っているんだ、何とかしてほしいと言っている方にどれほどの違いがあるのか。むしろ、返そうという意欲を持っている方の方が、これはもっともっと頑張ろうと前向きさすら感じるようなことを思うときに、この取扱いの違いもやはり是正していただきたい、そのことを思うわけでありますが、経産省、御答弁いただけますか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 新規融資についてのお尋ねでございました。

 御案内のように、厳しい経済、経営環境に直面しております中小企業の資金繰りということを支援するため、本年三月に西村大臣、鈴木大臣等から、官民の金融機関に対しまして、事業者の実情に応じた迅速かつ柔軟な対応を継続することを要請いただいております。

 その際には、条件変更や借換えといったもののみならず、御指摘の新規融資についても、ポストコロナに向けた設備投資に要する資金、運転資金等、こういったものについて貸し渋り、貸し剥がしを行わないこと、それから、そのような誤解が生じることのないよう、引き続き事業者の立場に立った最大限柔軟な資金繰り支援を行うこと、こういったことも併せて求めているところでございます。

 足下の条件変更については、先生御指摘のとおり、応諾率九九%と多くの事業者の申出に応じているところでございますが、新規融資においても同様に、丁寧かつ親身に対応し、事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を徹底すべき旨、官民金融機関等に対して引き続き求めてまいりたいと考えてございます。

山岡委員 今御答弁の中で、三月にはそういう、貸し渋りもないようという通達をしているということでお話はあるわけでありますけれども、しかし、現に現場で起こっているということも受け止めていただきたいですし、再度通告するのであれば、そのことをまた踏まえて対応していただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 返した人が損をするという言い方はなんですけれども、もちろん借金ですからいずれは返すということがあるわけでありますけれども、しかし、資金繰りに困る中でこういう状況が生まれているということは、今御答弁いただきましたけれども、やはり受け止めなければいけない事実だと思いますし、よく現場でありがちなことだとも思うんです。そういうつもりじゃないということを政府が考えていても、現場では、制度がもう終わって一回返済しているので、別の考え方ですのでということがありがちだということもありますので、是非点検していただきたいと思います。

 過去に私も、ちょうど三年前ぐらいでありますけれども、いわゆる、今日、商工中金の皆様がおられますけれども、商工中金を頼って、とあるレジャー会社が借入れを申し入れたら、その会社が和議債権を大変大量に持っていたということで、当時コロナ禍であるのにもかかわらず、和議債権を持っているという事業者に対しては融資の相談自体を受けないという元々の取決めをそのまま四角四面に導入して、事実上、門前払いをしていた、そういう状況についてここで取り上げさせていただくこともありましたが、そのとき、非常に速やかに御対応いただいて、内容を変更していただくような、改定、見直ししていただくような措置もありました。

 やはり政治の場で、現場で起こっていることの課題はここで取り上げさせていただくことも非常に重要だと思っておりますので、このことはまた是非受け止めていただいて、そして、私たちの立場からもいろいろ申し上げさせていただきたいと思っております。

 今日、商工中金の関根社長にも今お越しいただいておりますので、残りの時間、最後に一問、お伺いさせていただきたいと思います。

 今回の法改正で、商工中金、この株を全て売っていくというような中で、危機対応融資も行っていくというような、その二つの側面でこれからやっていくということであります。

 政府のコロナの政策というのは、当時は、とにかく融資を受けてくれ、厳しいところはまずここで一時的にしのいでくれ、さらに、売上げが落ちたところには給付金をお配りする、そしてまずこれでしのいでくれという、この期間があったわけであります。しかし、今、いわゆるポストコロナという状況の中で、まずこの経産省の政策も、事業再構築補助金等を、この事業を変換していくとか変えていくとか、あるいは小規模事業者持続化補助金もそうかもしれませんが、前向きな投資等に対して、やっていこう、これを大いに活用してくれという枠組みになっていっているわけでありまして、その考え方は非常にクリアなんだと思っております。

 その中で、いわゆる民間金融機関は、この国の補助金で事業再構築やりませんかということで、チームをつくって営業をかけて、そして中身をつくっていく、そういう要件も入っているわけでありますけれども、積極的な営業もしています。

 商工中金は、いわゆる民業圧迫規定というのもある中で、ただ一方で、コロナの政策が変化する中で、積極的にこういう国の補助金を使った取組というのをやっていただきたいということを思うわけであります。

 是非こうした、今新しく改革が進んで生まれ変わるわけでありますけれども、ポストコロナの中で、国の政府系金融機関であったとしても、国の補助金を使ってしっかりやっていくんだということについての意欲がもしあれば、御答弁願いたいと思います。

関根参考人 お答えいたします。

 まず、補助金制度は、中小企業にとって、設備投資費用の低減等を図るメリットがございます。一方で、自社に適した補助金の情報収集や補助金の認定申請を、自社のみで完結させることが難しい面もあると承知しております。

 商工中金としましては、中小企業による中小企業のための金融機関として、補助金の制度の周知、申請のサポートを積極的に行っております。例えば事業再構築補助金については、累計で千七十八社の支援を実施しております。うち採択は五百三十一社でございました。

 商工中金法においては、引き続き他の金融機関と適正な競争関係の確保を求められており、リレーションに基づかない金利面での競争等は行わず、むしろ、中小企業の企業価値向上に向けて良質な連携を行っていく所存でございます。

 補助金申請サポートについても、お取引先中小企業を深く理解し、その課題解決に向け、最適な補助金を紹介、サポートするとともに、協働できる金融機関と連携したり、時には切磋琢磨もしながら、お取引先中小企業の企業価値向上を図ってまいる所存でございます。

山岡委員 事業者の再生のためには、是非、民間金融機関と大いに競争していただきたいということも申し上げさせていただいて、時間が来ましたので、質問を終わらさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 いわゆる信用保険法及び商工中金法の一部を改正する法律案ということで、発言通告に従いまして質疑をさせていただきます。

 まず、法律案に入る前に、冒頭、先ほど山岡委員からもございましたけれども、コロナ対策融資の実効性と今後の融資環境の課題についてお伺いしたいと思います。

 コロナ禍におきまして、中小企業を守るための金融政策として、商工中金の危機対応融資二・七兆円、日本政策金融公庫の実質無利子融資十六・一兆円、民間金融機関のゼロゼロ融資二十三・四兆円という大規模資金繰り支援が実施をされまして、この対策で助かったというお声も多くお聞きしております。

 五月八日からコロナが五類になり、今、観光を見てみましても、インバウンドも戻り始めておりまして、新たなフェーズがスタートした感がありますけれども、中小企業の足下を見ますと、先ほどもありましたが、夏頃から民間ゼロゼロ融資の返済が開始をされるため、厳しい状況は続くと思います。

 この対策といたしましてコロナ借換え保証が創設をされまして、先ほど、実績として一兆円の実績がある、このようにお話がありましたけれども、残念ながら、足下を見ますと、倒産件数は増えている実態がございます。

 政府といたしまして、中小企業への金融支援の効果、それから、これからの課題をどのように見ているのか、まずお伺いしたいと思います。

角野政府参考人 お答え申し上げます。

 コロナ禍においては、臨時異例の措置として実施されてきた民間ゼロゼロ融資などのコロナ融資や各種給付金などの施策によって、中小企業の事業継続を支え、倒産件数は低位で推移してきたものと承知しております。

 他方で、課題としては、コロナの影響の長期化や原油価格、物価の高騰に加え、民間ゼロゼロ融資の返済本格化を迎えるなど、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にございます。

 倒産件数についても、御指摘がございましたように、コロナ前と比較して、引き続き低水準ではあるものの、直近で十三か月連続、前年同月を上回っており、今後の動向への注視が必要と考えております。

 こういった中、コロナ融資については、本年三月末時点で約六割の事業者が返済を開始しておりますが、今後、返済が本格化を迎える中で、民間ゼロゼロ融資で本年七月に約五万件の返済が開始される見込みであります。このため、コロナ借換え保証制度を本年一月から開始したところでございまして、これまで、約三万八千件、一兆円の借換え申込みを承諾しているところでございます。

 加えまして、本年三月にコロナ資金繰り支援継続プログラムを公表しまして、スーパー低利融資あるいは資本性劣後ローンの申請期限を本年九月末まで延長したという措置を講じたところでございます。

 また、増大する債務に苦しむ事業者の方々に対しましては、これは個別の事案に応じてでございますが、債務圧縮や減免などを含む事業者の再生支援が重要でありまして、各都道府県に設置されている中小企業活性化協議会が再生計画の策定を支援しているところでございます。

 こうした資金繰り支援について、官民の金融機関や支援機関が総力を挙げて取り組むため、本年四月より、金融庁などとも全国説明会を開始し、連携強化に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じまして、コロナの影響の残る中小企業の支援をきめ細かく取り組んでまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今御答弁があったとおり、多くの企業はまだこれから厳しい状況が続くということで、今、連携強化というお話がございました。しっかりその辺を対応して、きめ細やかなまた支援をしっかりと見ていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、法律案の内容に入っていきますが、まず、経営者保証に関するガイドラインについてでありますけれども、二〇一四年に民間の自主的なルールとして運用が開始をされましたこの経営者保証に関するガイドラインでありますが、二〇二〇年の状況では、認知度が五八・四%、また、金融機関から説明がなかったという経営者が六六・九%ということでございます。また、ガイドラインで示された三要件を満たしていますが経営者保証を付保された事例も多々見受けられた、このように中小企業政策審議会で報告をされております。

 先ほども言ったとおり、金融機関からの説明がなかったというのが六六・九%ということでございますが、この点をどう分析して、今後どのように改善していくのか、お伺いをしたいと思います。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁といたしましては、個人保証に依存しない融資慣行の確立のために、これまでも、経営者保証に依存しない融資の割合を公表するなど、金融機関のガイドラインの活用促進に取り組んでまいりました。この結果として、新規融資に占めます経営者保証のない融資の割合というものが二〇二二年の上期で三三%近くに達するなど、それなりの効果は出ていると思いますが、一方で、御指摘のとおり、事業者の方からお話を伺いますと、金融機関からガイドラインの説明を受けていないという声も多うございます。

 その中には、金融機関における保証人に対する説明が不十分であったりですとか、あるいは、従前からの慣行ということで、漫然と経営者保証を取っていたんじゃないかというふうに疑わざるを得ないようなケースもございます。そういった点については改善をする必要があるというふうに考えてございます。

 このため、金融機関が個人保証を徴求する際には、事業者に対して、どの部分が十分でないために保証契約が必要となるのか、あるいはどの部分を改善すれば外れるのかといったことについて、個別具体の内容をきちんと説明をしていただくように監督指針を改正したところでございます。

 今後、この四月から経営者保証ホットラインというものをつくっておりますので、事業者からの御相談あるいは苦情といったものにきちんと耳を傾けて、必要に応じて特別ヒアリングといったものも実施をしたいというふうに考えておりまして、こういうことを通じて金融機関の取組状況をしっかりフォローアップするということで、金融機関による、安易な個人保証に依存したような融資を抑制するとともに、事業者の理解ですとか納得感というものを高めてまいりたいというふうに考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 冒頭でも申し上げましたけれども、このガイドラインというのは自主的なルールで位置づけられておりますので、最終的に、経営者保証を解除するかの最終的判断、これは金融機関に委ねられますし、また、法的な拘束力、これもない状況ではありますけれども、それぞれの関係者が自発的に尊重してこれを遵守していくこと、これが極めて大事なことだというふうに思っております。そういう意味で、説明の改善が図られるよう、引き続き各機関と連携を取っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今回の法改正では、無担保保険等におきまして、一定の経営規律等に関する要件を満たす場合に、保証人による保証を徴求しないこととしております。これは、経営者保証ガイドラインの三要件よりも緩和することを検討する一方で、通常の保証料率に一定の上乗せを認めますけれども、保証料の上乗せに関する事業者負担を軽減することも併せて検討されているところでありますが、一定の経営規律等に関する要件の設定についてはどのようになるのか、お伺いをしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正によって整備いたします新しい制度については、経営者が経営者保証の提供の有無を選択できる制度の整備ということでございまして、経営規律等に関する一定の要件を満たせば、〇・二五%といった保証料の上乗せにより経営者保証を求めないことを定めることとしております。

 御指摘の要件、経営者保証を求めない要件ということでございますが、一つ目として、経営者本人が保証料の上乗せをすることで経営者保証の非提供を希望しているということ。二つ目として、法人から代表者への貸付け等がないこと。三つ目として、財務書類を定期的に金融機関に提出していること。四つ目として、直近の決算期において債務超過でないこと、又は直近二期の決算期において減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと、このいずれかを満たしていること。こういった四つの項目を省令において定めることを想定してございます。

 それから、この要件の具体化に当たっては、例えば、今申し上げました法人から代表者への貸付け等がないことの要件の中で、役員報酬や配当等が社会通念上適切な範囲を超えないこと、こういったものを位置づけることも考えられると思ってございます。

 こうした点を含めて、金融機関における実務を踏まえながら、引き続き具体的検討を進めてまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 続きまして、セーフティーネット保証の申請、認定手続についてお伺いをしたいと思います。

 このセーフティーネット保証でありますけれども、自治体による認定審査がありまして、申請は自治体の窓口に行く必要があります。経営者又は金融機関が代理として申請に行く。私も、金融機関出身でございますので、代理で自治体の窓口に申請に行った経験もございます。

 コロナ前は、窓口に足を運び、混んでいてもその日には申請できましたけれども、コロナ禍では、窓口で申請すること自体、ネットで予約しなければならない状況でありました。しかも、一日の受付の件数も制約をされておりまして、受付の順番が何週間も先という事態も見受けられたところであります。

 さらに、審査自体でありますけれども、早いところでは即日、長ければ約二週間程度かかり、セーフティーに関わる、すぐに必要な書類であるはずなんですけれども、結果、一月もかかってしまうということも実際には起きております。

 このセーフティーネット保証の認定申請ですが、本年四月から、中小企業者認定・融資電子システム、いわゆるSNポータルによって電子申請が可能となりました。申請者にとっても、また自治体にとっても事務負担の軽減になり、デジタル化のメリットがよく分かります。しかし、このSNポータルでございますけれども、地方自治体が利用を認める場合のみ利用が可能とのことであります。

 政府として、隣の自治体ではこの制度が利用できて自分の自治体では利用できないという、国民サービスとして、不公平感は回避していかなければならないと思いますけれども、SNポータルの自治体での利用状況、あわせて、政府としてどのように利用促進を図り定着化をさせていくのか、お伺いをしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 セーフティーネット保証というものは、経営の安定に支障が生じている事業者に対して、一般保証とは別枠で保証を実施するものでございまして、例えば、コロナ禍においては、セーフティーネット保証四号というものと五号、この二つを発動いたしまして、合計で約百二十三万件、約二十一兆円が利用されているところでございます。この利用をする際には、委員御指摘のとおり、一定の売上高減少要件等を満たしていることを自治体が認定する仕組みとなってございます。

 この認定事務については、既に石川県や横浜市などの一部自治体においては独自に電子申請システムというものを導入しておりまして、オンライン化に取り組んでいるところでございます。横浜市では、この認定に係る時間を最大六分の一程度に大幅削減しており、電子申請というのは自治体の業務負担の軽減にもつながるものと考えてございます。

 こうした中、中小企業庁では、統一的なオンラインプラットフォームとして、御指摘ございました中小企業者認定・融資電子申請システム、略称SNポータルというものを構築いたしておりまして、本年四月より利用できるようになりました。現在約六十の自治体から今年度中に導入したいとの希望をいただいておりまして、特に早期の利用を希望する自治体については、個別にアプローチの上、実際の利用に向けたサポートを行っているところでございます。

 それから、一部自治体からは、本システム利用に当たっての自治体の費用負担を懸念する声もあると承知してございますので、当面は、国の予算措置により自治体による費用負担を生じさせないなど、本システムの利用を促進する措置を講じておりまして、近々改めて全自治体向け説明会を開催して、本システムが多くの自治体に活用されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今、自治体にとっても非常にメリットがあるというお話がございましたけれども、これは、パイロット事業をやったときに、全国の年間利用件数一万件、これをコロナ直前の平時の申請数とした場合に市区町村側で年間最大約八千時間の削減効果が見込める、また、電子化による認定一件当たりのコスト削減効果、これが確実に出る、こういう結果も出ております。

 また、今後の、今デジタル化が進展している中で、更に様々な手続がスピード感を持って早くできる、こういったこともこの中にはしっかりと着目していかなければいけないと思っていまして、例えば、全国信用保証協会連合会とのデータ連携によりまして、より保証申込み、審査につなげていくこと、それからまた、地域で中小企業をしっかりサポートしていただいている商工会議所ですとか商工会による補助的業務の取扱い、こういったところにもしっかりと目を向けていく必要があると思いますので、この点も併せて是非御検討いただきながら、しっかりサポートしていただいて、定着できるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、今回の改正では、流動資産担保保険でも付保対象となる信用保険でも、保証人の保証を徴求することを許容する規定を削除することとしておりますが、実際には、引受件数二百八十一件の九九・三%で経営者保証が徴求をされていたり、経営者保証に依存しない新規融資では、信用保証協会の案件は横ばいの状況であります。

 また、経営者保証を外すことで経営者の規律づけが失われてモラルハザードを招くのではないかという懸念ですとか、また、経営者保証に依存しない融資のモニタリングが必要との指摘がありましたり、また、コストがかかる財務制限条項の活用で、経営者保証がなくても企業への規律づけに期待するなど、政府といたしましては、様々なメニューによって経営者保証を撤廃することによる影響を低減しようとしていると見えます。

 経営者保証の撤廃は、私も金融機関出身でありますので、現場に伺いましたところ、金融機関の貸し手側にとりましては、貸倒れのリスクが増え、貸出先の先細りにもつながりやすいですとか、また、融資先の減少で融資業務の安定性にも影響が出る可能性がある、こんなお話ですとか、また、借り手側といたしましては、貸し渋りや金利の引上げ、借入限度額の縮小や、申請手続が多くなり時間がかかる、こういった懸念があると言われております。

 この改正で大事なところですけれども、中小企業や金融機関にとって、双方にとって悪い影響が出ないよう、政府としてしっかり対策を講じていくことだと思っておりますが、このことは改めて強く指摘をさせていただきたいと思いますが、この点につきましての見解をお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 経営者保証を提供しないことについては、金融機関等側からは、経営者の規律づけの低下につながるといった懸念も指摘されておりますけれども、今回の法改正によって整備する新しい制度を利用する際には、先ほど御答弁もさせていただいたとおり、〇・二五%等の保証料の上乗せに加えて、法人から代表者への貸付け等がないといった要件を満たすことが必要でございますので、一定の経営規律を求めるものとなっていると考えてございます。

 また、委員から御指摘ありました、今度は事業者側からという視点で、資金調達の幅を狭めることにならないかといった御懸念の指摘もございますけれども、今回の制度はあくまで経営者の選択肢を増やすものでございます。一定要件の下で経営者保証を提供しないで保証を受けるのか、従前の条件で保証を受けるのか、これは経営者が判断できるものでございまして、資金調達の幅を狭めるものではございません。

 こうした趣旨や制度の内容、これを事業者や金融機関などの関係者にしっかりと周知をして、円滑な資金調達、創業や積極的な設備投資、再チャレンジなどを促してまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、商工組合中央金庫法の改正についてお伺いしたいと思います。

 商工中金ですが、いわゆる小泉改革で民営化を目指しましたが、リーマン・ショックですとか、また東日本大震災の影響によりまして、二度、完全民営化が延長されましたが、これまでも、中小企業にとりましては、政府系金融機関としての大きな役割を果たして、スタートアップですとか、またセーフティーという部分でも力を発揮してきたと思っております。

 残念ながら、二〇一六年の危機対応業務の不正事案を受けまして今回の改正がなされるわけですが、一九三六年に設立した当時の理念、中小企業による中小企業のための金融機関、これを是非原点としていただきまして、中小企業の味方として、能力が発揮される組織、また機関になっていただきたいと念願します。

 そこで、まず、問題意識といたしまして、なぜこのような不正が行われたのか、この点について、どう分析し、改革していかなければいけないとお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

角野政府参考人 お答えいたします。

 商工中金においては、二〇一六年十月に危機対応融資の要件を満たすように商工中金の職員が書類を書き換えるという不正事案が発覚したことから、危機対応融資二十二万件の全件調査や主務省庁による立入検査を実施してまいりました。

 この全件調査や立入検査の結果を踏まえた、二〇一七年十月発出した主務省庁による業務改善命令においては、不正事案の根本原因として、第一に、危機対応業務に依存していたビジネスモデル、第二に、取締役会が形骸化するなど、不正を見抜くことができなかったガバナンスの欠如、そして第三に、過度なノルマ主義や上意下達の組織風土にあると指摘しているところでございます。

 その上で、商工中金は、不正事案を踏まえた業務改善計画を主務省庁に提出し、事業性評価に基づく融資など危機対応業務に依存しない新たなビジネスモデルの確立、取締役の過半数を社外取締役とするなど取締役会の機能強化、そして、営業店への一方的なノルマ割当てや職員個人についても定量的な目標設定を認めないなど、ノルマ主義の廃止などに取り組むことで、ビジネスモデルの転換やガバナンス強化に取り組んできたところであります。

 そして、こうした経営改革の取組については、政府が設置した第三者委員会であります商工中金の経営及び危機対応業務に関する評価委員会によって進捗をフォローアップしてまいりまして、二〇二二年八月に取りまとめられた評価委員会の報告書では、ノルマ主義や経営陣からの過度なプレッシャーなど、過去の不正事案の根本原因については解消された、このような評価がなされているところでございます。

 その上で、今回の改革でございますが、不正事案以降の四年間の経営改革で確立したビジネスモデルを更に進化させていくため、委員に御指摘いただきましたように、中小企業のための商工中金改革を目的として、全国中小企業団体中央会などの中小企業側からの要望も踏まえながら、業務範囲見直しによる再生支援などの強化などを進めていくこととしている次第でございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 続きまして、商工中金の強みと民間の連携についてお伺いしたいと思います。

 改正されて公布後二年以内に政府保有株が全て売却されるとのことでありますが、完全民営化した後、商工中金は民間の金融機関とは出どころが異なるため、商工中金のアイデンティティーというものが強みになると思います。この特性は、民間との連携、また協業路線を深化していくために生かしていかなければならないと思っております。

 現在も、事業再生分野においては、約百行の地域金融機関との業務協力文書を締結して、地域金融機関との連携、協業を進めてきているとお聞きをしておりますが、この点については、まず着実に進めていただきたいと思っております。

 一方で、このアイデンティティーが逆の方向に向けば、商工中金が競争優位に立ちまして、昔で言う民業圧迫への懸念、また、商工中金と地域金融機関が貸出金利のダンピングにしのぎを削るような過当競争が起きないかという懸念の声も聞かれます。

 企業体質の改善により、この民業圧迫回避規定をどのように遵守をさせていきながら民間金融機関と適正な競争をして連携、協業を推進させていくのか、お伺いをしたいと思います。

角野政府参考人 お答えいたします。

 二〇一五年の法改正により措置されました、民業圧迫回避規定でございます。これを踏まえまして、商工中金では、取引先に対して他の金融機関の金利などの取引条件を下回るような提案を行わない運用を行うとともに、民間金融団体との定期的な意見交換の場を設置してきたところでございます。

 加えまして、二〇一九年には、民業圧迫回避規定を具体化する形でクレジットポリシーを策定し、地域金融機関との信頼関係に基づき連携、協業を行うこと、そして、顧客とのリレーションに基づかない金利面のみでの競争を行わないことなどを明確にし、今回の改革案を議論した政府の検討会におきましても、商工中金の関根社長からは、低利融資で民間金融機関の肩代わりを推進するといったことはクレジットポリシーに反する行為であり、断じて行わないという表明もされているところでございます。その上で、今回の改正法におきましても、民業圧迫回避規定を存置しているところでございます。

 連携、協業については、これまでも、商工中金が得意とするシンジケートローンなど、民間金融機関との積極的な協調融資を進めるとともに、民間金融機関と業務協力文書を積極的に締結する方針が示されておりまして、ただいま御指摘いただきましたように、再生、経営改善分野で百以上、全体として三百八もの業務協力文書を締結するなど、具体的な連携を図ってきたところでございます。こうした分野において商工中金と民間金融機関の連携を一層強化する観点から、連携、協業の規定を新設するということにした次第でございます。

 さらに、今回の法改正を踏まえまして、商工中金から政府に対する半期ごとの事業報告においても、民業圧迫回避の取組に加え、連携、協業の状況を報告するように求めるとともに、法施行後二年以内に、民間金融機関との適正な競争関係の確保や、連携、協業を含むビジネスモデルの確立状況について政府が検証することとしておりまして、政府としても商工中金の取組をしっかりと監督してまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今回の法改正を機に、官民の関係、これを、転機を迎えているというふうに捉えていただきまして、引き続きのお取組をお願いしたいと思います。

 続いて、商工中金が目指すビジネスモデルの推進と地域金融への影響についてお伺いしたいと思います。

 商工中金が二〇一八年に策定をしましたビジネスモデル等に係る業務の改善計画では、経営支援、事業再生、高リスク事業、創業等の四つを重点分野としまして、危機対応業務に依存しない新たなビジネスモデルの確立に向けた取組を進めております。特に、創業のスタートアップ支援ですとか事業再生支援など、脱金利競争分野を目指していることは重要であると思います。

 商工中金の支店は、大半の県で一、二店舗と、限られております。各地域に豊富な店舗網と情報網を持つ民間金融機関との連携で、企業支援の効率が高められるはずだと思っております。

 今後、商工中金が、スタートアップ支援や事業再生支援を中心に、地域金融機関との連携、協業で地域金融機関に果たすべき役割について、この点につきましてのお伺いをしたいと思います。

角野政府参考人 お答えいたします。

 商工中金は、各都道府県に店舗があり、全国ネットワークを有しているという特色を有しておりまして、これまでも、リーマン・ショック以降に全国の再生案件に関与することで、再生支援人材を維持、育成するなどにより、事業再生支援の優れたノウハウを有しているところでございます。また、積極的にスタートアップ向けの融資に取り組むとともに、事業性評価も大きく進んでいるところでございます。

 一方で、御指摘いただきましたとおり、地域ごとの支店数や職員数は決して多くはなく、地域におけるネットワークや地域密着型支援につきましては地域金融機関の方に強みがあるというふうに認識してございます。

 このように、両者の強み、特色は異なるため、全国的な知見、ノウハウを有する商工中金と地域に密着した地域金融機関が連携、協業し、地域の中小企業の成長や地域経済の活性化を実現することが目指すべき姿であるというふうに考えてございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、ちょっと、あと二問ぐらいありますけれども、まとめさせていただきますが、今おっしゃったとおり、地域の金融機関が持つ各地域に根差した情報、また、商工中金の機能、ノウハウを是非とも融合させていって、双方の顧客がいるんですけれども、この顧客の基盤に対しまして、一つは高度な金融分野、そして本業支援分野等の幅広いニーズへの対応力、これを今回を機に是非とも強化をしていただきたいというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時九分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島委員 冒頭、事業環境部長に伺いたいんですけれども。

 商工中金の株主は、中小企業等協同組合、中小企業組合ですか、あるいはその構成員たる会社と思うんです。私の地元にも物づくりの協同組合があって、ずっとおつき合いをさせていただいて、かつ、時々はメンバーの会社の工場見学もさせていただいておりまして、皆さん、経営者としては一流の経営者の方です。

 先日も、浜松に伺う機会があって、大手の自動車会社の一次下請のやはり協同組合があって、そこの専務理事だと思うんですけれども、お話をさせていただいたところ、企業のサプライチェーン、今、後継者がなかなか見つからなかったり、後継者がいらっしゃらなかったりして、サプライチェーンが途絶するかもしれないという検証を行っているというお話を伺いました。

 そうすると、私、商工中金の融資先はいい会社だと思っているの。皆さん、協同組合をつくるだけの体力があって、かつ経営的なセンスがある皆さんなので、融資先としてはいい融資先だと思います。

 一点、冒頭聞きたいのは、不正事案の中で、商工中金が被害を被った、あるいは不良債権ですか、抱えてしまったとか、金銭的な損失があったかどうか。通告していないので、もしも知っているようでしたら教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 手元に詳細なデータはないわけでございますが、不正事案の際、先生がおっしゃられたような、商工中金側が、改ざんをしたものにつけてしまったことで直接の被害というものは余り聞いてございません。政府から金利部分を少し補填しているところを、むしろ商工中金に少し返させたとか、そういうものはございますけれども。そういったのが私の認識でございます。

大島委員 したがって、商工中金の経営はオーソドックスにやっていれば無難に終わる、無難に経営できる会社かなと思っていて、今、冒頭伺ったのは、やはりメンバー、構成する企業の皆さん、非常に優良な企業が多いと私考えているものですから、まずそのことを冒頭確認させていただいて、議論を進めていきたいと思います。

 実は、二〇〇〇年代初頭は、民営化すれば世の中は全てよくなるという世論が大分主流を占めていて、二〇〇五年には郵政民営化の法律が成立をして、二〇〇六年には行革推進法が成立をしています。そのときの行革推進法の、この間まで北九州市の市長をされていた北橋先生が筆頭理事で、私が次席理事を務めておりまして、伊吹文明委員長の下、自民党は園田博之さんが筆頭理事だと記憶しているんですけれども、そのときに、商工中金を完全民営化するものとし、二〇〇八年度において国の関与を縮小して経営の自主性を確保する措置を講ずるものとされた、こういう法律が成立したときに、与野党共に附帯決議をつけさせていただいています。

 やはり危機対応についてはしっかりと取り組んでほしいということで、二〇〇六年の四月十九日の特別委員会の附帯決議では、「商工組合中央金庫について、政府出資のかなりの部分の準備金化等強固な財務基盤や当分の間金融債の発行を継続するなど円滑な資金調達基盤を確立するとともに、完全民営化後も中小企業向け金融機関であることを確保するよう制度的に措置すること。」ということで、当時から、与野党共に、商工中金含めて危機対応については取り組んでほしいということを附帯決議でつけさせていただいております。

 その後、商工中金法は、リーマン・ショックの後の二〇〇九年、東日本大震災後の二〇一一年、二〇一五年と三回改定されておりまして、政府保有株式の全部処分が延期をされてきた経緯があります。

 このうち、二〇〇九年改正については、二〇〇八年十月の株式化に前後してリーマン・ショックが発生し、経済状況が急激に悪化したことを受けて、二〇〇九年に実は議員立法で商工中金法改正案を成立させた経緯があります。当時の当委員会で与野党共にこの商工中金法改正案を成立させた経緯がありまして、これに、危機対応業務を拡張するために必要な財政基盤を確保すべく危機対応準備金を新たに設けた上で、政府株式の全株式処分を延期する内容でありまして、実はこの議員立法は私も提出者となっていて、検討条項の修正を行いました。

 その主な内容は次のとおりでありまして、第一に、政府の検討事項として、商工中金による危機対応業務の在り方のほか、政府の保有する商工中金の株式の処分の在り方及び商工中金に対する国の関与の在り方を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。第二に、政府は、その措置が講ぜられるまでの間、株式を処分しないものとするということでして、この二〇〇九年の修正後も、東日本大震災、コロナ禍という深刻な危機が生じたことを踏まえると、当時の修正の趣旨の意義や重要性はこれまでずっと変わるものではなかったと考えております。

 まず、今回の改正は二〇〇九年の与野党共に行った修正を踏まえたものなのかどうか、また、二〇〇九年改正の検討事項に基づいて、どのような観点から、何をどのように検討して、具体的にどのような結果が得られたのか、政府の見解を伺いたい。

 また、今回の改正案では、現行商工中金法附則第二条の三に示された六項目、危機対応業務の実施の状況、商工中金の財政基盤、社会経済情勢の変化等を勘案した上で、政府保有株式を全部売却すべきとの判断に至ったことは承知しておりますが、改めて、その判断に至った根拠について政府の見解を伺いたいと思います。

 ですから、二〇〇九年の政府提出法案ではなくて、議員立法によってまず法律が改定されたことによって、危機対応業務の円滑な実施のための必要な財政基盤の確保のために政府出資による危機対応準備金が設けられ、また、危機対応業務への対応に万全を期すため、政府保有株式を全部処分する期限が延長され、二〇一二年四月からおおむね五年後から七年後を目途とするとされておりまして、今の二点について大臣から御答弁いただければ幸いと存じます。

西村(康)国務大臣 大島委員におかれましては、この間、商工中金の在り方について様々御提案をいただき、そしてまた議員立法提出もされたということで、改めて敬意を表したいと思います。

 その上で、今、この間の経緯についても御説明がありましたけれども、少し重なる点もありますが、改めて私から申し上げますと、御指摘のように、リーマン・ショックを踏まえた平成二十一年の改正法では、完全民営化の時期を延期するとともに、御指摘の検討条項で、平成二十三年度末を目途に、商工中金に対する出資の状況、危機対応業務の状況、財政基盤、株主となる中小企業組合などの資金余力、社会経済情勢の変化などを勘案し、まず、危機対応業務の在り方、それから政府保有株式の処分の在り方、そして商工中金に対する国の関与の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうにされたわけであります。もう御案内のとおりであります。

 その後、東日本大震災がありまして、それを踏まえまして、平成二十三年、二〇一一年に、検討時期の目途を平成二十六年度末へと延ばしたわけであります、改正をしたわけであります。

 そしてさらに、平成二十七年、二〇一五年には、平成二十一年法の検討条項に基づいて、商工中金に危機対応業務の実施の責務を課すということ、それから、商工中金が危機対応業務を的確に実施できるよう、当分の間、政府が必要な株式を保有することとする旨の商工中金法の改正を行ったということであります。

 この改正法では、施行後の適当な時期に、危機対応業務を行う指定金融機関に係る制度の運用状況とか商工中金の財政基盤などを勘案して、商工中金の危機対応業務の在り方、国の関与の在り方を検討することとしたということであります。東日本大震災がその後あったということも大きな背景となっております。

 そして、今回の政府保有株式の全部売却の判断は、この平成二十七年、二〇一五年の改正法の規定に基づいて検討した結果となっております。

 商工中金は、先ほどありました平成二十八年、二〇一六年の危機対応業務の不正事案、この発覚を踏まえた経営改革を行ったその結果、商工中金の財務状況が大きく改善してきた、そして、政府が商工中金の株式を保有する意義が大きく低下してきたということがあります。

 加えて、この四年間の経営改革の中で確立してきたビジネスモデルを更に発展させ、まさに、真に中小企業による中小企業のための金融機関として生まれ変わっていくためには、より柔軟で自立した民間のガバナンス移行を目指し、まさに中小企業による中小企業のための金融機関との位置づけを更に明確化するということで、意識改革によって職員が更に中小企業支援に踏み込んでいく、支援をできるようにするということが重要であります。そのために、政府保有株式を全部売却するという判断をしたものであります。

 加えて、例えば全国中小企業団体中央会からは、中央会に株主資格を付与してほしいとか、そういう要望を受けておりますし、改正法案が成立すれば、まさに中小企業のための金融機関という根幹を変えない範囲において、株主構成の多様化を図る観点から、政府保有株式を処分するまでの間に、中小企業団体中央会などの中小企業を支援する機関も株主資格の対象とする、その政令改正を行うことを検討しているところであります。

 こうした状況、背景を踏まえまして、今回、この改正案におきましては、まさに改革していく中で、政府保有株式の全部を処分するということにしたものであります。

大島委員 実は、二〇〇九年の議員立法による改正について、私、すっかり忘れておりまして、参議院まで出向いていって答弁まで、趣旨説明までしておりまして、意外と仕事をしていたんだなと改めてびっくりしました。

 続きまして、コロナ禍の金融支援ではゼロゼロ融資に注目が集まったが、商工中金、危機対応業務の実績も約二・七兆円に上り、相当のインパクトがあったと思います。二〇〇九年改正によって新設した危機対応準備金は、不正事案の後に一部が返納されましたが、危機時におけるその重要性を考えると、今後もこれを最大限活用して、商工中金には危機対応業務を確実に実施してもらう必要があると考えます。

 本改正案において、商工中金に課せられる危機対応業務の実施の責務が確実に担保されるのか、政府の見解を伺いたいと思います。

角野政府参考人 お答えいたします。

 危機対応業務についてでございますが、今回の改革の狙いは中小企業のための商工中金改革でありまして、商工中金自身も、組織のDNAとして危機時の資金繰り支援を担っていく意思を表明しており、定款にも危機対応の責務を有する旨を記載する方針でございます。

 今回の改正法案におきましても、商工中金に対して危機対応業務を実施する責務規定を附則から本則に位置づけ直すとともに、政府保有株売却後も危機対応業務の実施と株主資格の制限を全国中小企業団体中央会が強く要望していることも踏まえまして、中小企業組合等への株主資格制限を維持することとしております。加えまして、商工中金が的確に危機対応業務を実施できるよう、危機対応準備金の制度も存置しているところでございます。

 危機対応準備金につきましては、リーマン・ショックの際の危機対応融資の残高の減少度合いを加味し、過去に一部返納、例えば二〇一八年度に百五十億円、二〇一九年度に五十五億円の返納をしたところでございますが、その後、新型コロナで再度、危機対応業務を発動した際には、危機対応のための予算措置、これは令和二年度の二次補正でございますが三千九百八十七億円、結果的に出資には至りませんでしたが、こういったことも行ってきたところでございます。

 こういったことも踏まえまして、今回の改革後も、危機対応業務については、危機対応準備金とともに万全な仕組みとなるよう努めてまいりたいと考えてございます。

大島委員 この場でも質問が何回も出ています特別準備金、四千億円強あると思うんですけれども、今回の改正案では、商工中金は、財務の健全性が確保されるに至ったと認める場合に国庫に返納をするとしております。商工中金は、特別準備金を今後も最大限活用して、創業や事業再生など民間金融機関が対応困難なリスクの高い分野について、より踏み込んだ支援を積極的に行っていただきたい。

 ある程度時間をかけて地道な支援を続けた結果、利益剰余金が積み上がり、国庫に返納する余地がおのずと出てくると考えられます。そのために、当分の間、国庫返納については慎重に判断すべきであると考えますが、政府の見解を伺わせてください。

 ただ、冒頭申し上げましたとおり、商工中金の融資先というのは、企業組合ですか、中小企業等協同組合でもあって、経営が安定した企業だと思っています。今、構成のメンバーの皆さんから聞くと、結構MアンドAが多くて、物づくりの会社で後継者がいない結構大きな会社が、企業を全部売却してしまって組合から抜けられるとか、あるいは、私もこの間、物づくりの協同組合のメンバーの企業の方とお話をしていると、やはり企業買収についての話が日常茶飯にあるそうなんですよ、企業を売却してくれないかということで。売却先がどういうところなのか、私はまだ承知はしていないんですけれども、日本のサプライチェーンが途絶するおそれがあるなと思っています。

 私も、様々な、小さな会社も含めて、工場を見させていただくと、製造業は本当のビジネスだと思っています。設備投資金額が数千万から億円を超えていきます。従業員の皆様の物づくりのスキルを上げることについての社内教育、あるいはISO等認証も取らなければいけない、どんなに小さな会社でも、出荷するときには必ず品質のチェック、品質保証が入るというこの一連の営みというのは本当のビジネスだと思っていて、その割には、経営者の皆さんと話すと、なかなか楽にならないのが物づくりなんです。

 もう少し、下請価格の価格転嫁をもっともっと図ってあげるとか、大企業のサラリーマン経営者の皆様もしっかり、どうしてビジネスが成り立っているのか。小さな会社のそれぞれ、僕は時々、中小・小規模企業の皆さんに、この製品はおたくの会社しかできないんですから、もっと価格交渉を強気に臨んだらと言うことはあるんですけれども、なかなかそういうことも、これまでそういう経験がないから、本当に、結構安い値段で請けていることも確かで。ただ、その方が経営の一線から手を引いてしまうと、その会社自身がなくなってしまうおそれがあって、サプライチェーンが途絶するので。

 やはり、新規事業もいいとは思うんですけれども、まずは日本の融資先についてのサプライチェーンがしっかり、途絶するのかどうか。新規というのは難しいです、これは。失敗も多いですから。今の質問では新規ということは触れていますけれども、やはりサプライチェーンを途絶しないように、一回、物づくり中心に、商工中金さんの仕事かどうかは分からないんですけれども、そういう観点で仕事をしていただければなと思いますので、まずは特別準備金についての答弁をお願いします。

角野政府参考人 お答えいたします。

 今回の改革の狙いは、先ほども申し上げましたとおり、中小企業のための商工中金改革でありまして、商工中金には、中小企業向けの金融機能の底上げとして、再生、ベンチャー支援に代表される専門性、あるいは御指摘いただきました事業承継やMアンドA、こういった専門性を必要とする事業に注力するビジネスモデルの確立が期待されているところでございます。

 そのため、御指摘のとおり、こうしたリスクの高いビジネスの実施を担保するため、今回の法律案では、特別準備金の制度は存置し、商工中金法は維持し、監督することとしております。

 また、この特別準備金でございますが、民間金融機関にはない制度であることから、民間金融機関とのイコールフッティングの観点も踏まえまして、改正法案では、金融機関の自己資本比率の水準を定めたバーゼル規制の普通株式等ティア1資本への算入が維持されることを前提に、一定の条件の下で商工中金自身の判断により返納することとしております。

 当該規定につきましては、商工中金が、その自己資本の充実の状況その他財務内容の健全性が向上し、その健全性が確保されるに至ったと認める場合に行われるものでありまして、その返納に当たっては、再生、ベンチャー支援等、リスクの高い事業を的確に実施する観点も十分に踏まえて判断することになりますし、今御指摘いただきましたように、物づくりのサプライチェーン、これは大手と中小のウィン・ウィンの関係が非常に大事でございます。途絶させないためにも、こういった面も含めまして十分に判断をしてまいりたいというふうに考えてございます。

大島委員 長官、御答弁ありがとうございます。

 ベンチャー投資は結構難しいです。これは、融資でやるよりも、本来であれば出資を仰いだ方がいいかなというのが私の立場でして、ベンチャー投資、本当に日本でしっかり判断できる方がいらっしゃるのかなと思うと、なかなかいないと思っています。これは、技術を見抜く能力を含めて、結構高い能力が必要とされて、日本国内で本当に見抜く能力のある人がそんなに数多くないので、まずは商工中金さんには、ベンチャーも大切かもしれないけれども、伝統的な業務をしっかりやっていただく方が安全かなと思っています。

 次に行きます。

 商工中金の完全民営化は第一条の目的規定に明記されており、今回の改正でもこの点は変わらない。政府保有株式が全部売却された後、将来的な商工中金法の廃止については、今回の改正案では、附則第二条を改正して、様々な事情を勘案した上で、商工中金に対する国の関与の在り方について検討を加え、商工中金法を廃止するための措置を講ずることができると認めるときは、直ちに当該措置を講ずるとしております。

 完全民営化に向けた流れ自体は変わらないとしても、本来の危機時に傘を差す存在として、何らかの形で、残すべきものは必ず残す必要があると考えます。

 商工中金は、将来、法を廃止した後も、必要な機能を維持して、中小企業による中小企業のための金融機関として存続し続けるのか、法の廃止後の商工中金の最終的な姿としてどのような絵を描いており、そのための国の関与の在り方としてどのような方策を考えるのか、経産大臣の御見解を伺わせてください。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 商工中金は、各都道府県に店舗がありまして、全国ネットワークを有しているというこの特徴があります。そして、これまでも、またリーマン・ショック以降、全国の再生案件に関与するということで、再生支援のノウハウ、また人材を積み重ねてきているということであります。事業性評価も大きく進んでおります。

 一方で、地域ごとの支店数や職員数は決して多くありませんので、地域におけるネットワークあるいは地域密着型支援については地域金融機関に強みがあるということであります。

 こうして、両者の強み、特徴は異なるため、商工中金と地域金融機関が連携、協業を進める中で、商工中金がこれまで培ってきた全国ネットワークそして再生支援のノウハウ、これを活用して、民間金融機関とは差別化された違うビジネスモデルを確立していくことが必要でありますし、それは可能であるというふうに考えております。

 その上で、改正法案では、将来の完全民営化について、先ほどもありましたけれども、特別準備金を全額国庫納付しているか、商工中金に危機対応業務の責務を課さなくとも危機時の資金繰り支援に支障がないか、そして中小企業のための金融機関としての商工中金のビジネスモデルがまさに確立できているかどうか、こうしたことを勘案した上で改めて判断する旨を法案に規定をしているところであります。

 また、今御指摘がありました附則には、商工中金を廃止し、完全民営化を行う際に、併せて、商工中金の組合金融機能の根幹が維持されることとなるよう、株主資格を制限するための措置などの必要な措置を講ずることも規定をしているところであります。

 このため、将来、仮に完全民営化の判断を行ったとしても、そういう方向を望んでいるわけでありますが、期待をしているわけでありますが、中小企業による中小企業のための金融機関としてビジネスモデルを確立して、是非、中小企業のために活躍する金融機関であっていただきたい、このように考えているところであります。

大島委員 最後に一言だけ。

 二〇〇六年から始まっている行革の流れで完全民営化なので、急ぐ必要はないと思っていますので、そのことをつけ加えて、終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 大変、この経済産業委員会、静かな雰囲気ですばらしいですね。議論が低調と捉えるのか厳粛と捉えるのか、ちょっとよく分かりませんが、まあ、しっかり御質問していきたいと思います。

 まず、法案に入る前に、信託型ストックオプション、大変今報道もされておりますが、一部、混乱を見せております。私、スタートアップ支援という観点で、日本の経済の在り方、日本の経済成長に向けて、こうした事案の処理の仕方というか、これをどう捉え、どう対応していくかということが極めて重要だと。今日のテーマの中小企業金融にも関わる、関わるというか、中小企業の振興ということに関わるテーマですので、若干お時間を頂戴して、質問させていただきたいと思います。

 もう私からいろいろ申し上げるまでもなく、報道されていますが、国税庁として、あるいは財務省として、しっかりそこを、二十九日、今週月曜日かな、おとつい説明会もあって、こういう立派な資料で説明をされてきておられます。

 改めて、この国会の場で、財務省、国税庁の考え方、これを、プロの方々、当事者の方々にとっても分かりやすい、また、一般国民の皆様から見ても、なるほど、そういう問題かと御理解いただけるような形で、十分ぐらい使っていただいて結構ですから、御説明を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

植松政府参考人 お答えいたします。

 一般に、企業が役員等に付与するストックオプションにつきましては、税制適格ストックオプションに該当する場合などを除きまして、ストックオプションの行使時に給与所得として課税するという取扱いを行っております。

 その上で、いわゆる信託型ストックオプションにつきましては、ストックオプションを一旦形式的に信託に移していることから、一部の信託会社等においてストックオプションの行使時に給与課税されないとの見解があることは承知しておりますけれども、国税当局としては、役員等へのストックオプションの付与を目的としたものであることから、従来から、ストックオプションの行使時に給与課税されるという取扱いを行っているところでございます。

 国税庁におきましては、これまで関係業界等に対し、こうした考え方を丁寧に説明してきたところでありますが、今般、信託型ストックオプションの課税関係をより広く周知するため、QアンドAを取りまとめ、昨日公表したところでございます。

 委員の御指摘の観点でございますけれども、今後の対応というか、考え方でございますけれども、信託型ストックオプションを導入している企業であっても、まだ役員等にストックオプションを交付していない場合につきましては、今後、ストックオプションを交付する契約において、税法上の要件を満たせば、給与課税を要しない税制適格ストックオプションとして取り扱うことも可能と考えております。

 既に組成されております信託型ストックオプションについて、ストックオプションを交付する契約がどのような内容であればこの税制適格の要件を満たすことができるのかについて、現在、関係業界と協議中であり、柔軟に対応してまいりたいと考えております。その協議が調い次第、信託型ストックオプションに係る税制適格ストックオプションの取扱いについて、関係業界を通じて周知を図ってまいりたいと考えております。

 もう一点でございますけれども、税制適格ストックオプションの要件の一つに、権利行使価額は契約時の株価以上であることというものがございますけれども、企業が税制適格ストックオプションを導入しようとする際、どのように権利行使価額を設定すればこの要件を満たすことができるのかを容易に判断できるようにするため、今般、国税庁におきまして、契約時の株価につきまして、財産評価基本通達による方法を、算定することを認める旨、通達改正を行う予定としております。

 この通達改正により権利行使価額の設定が容易になることで、企業において税制適格ストックオプションがより使いやすい制度となるものと考えておりまして、関係業界等からも御意見をいただきつつ、前向きに検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

足立委員 私は、今の御説明で、今、私たちがどこに立っているのかということは大変よく分かります。

 後ほど大臣にもちょっと質問させていただきますが、その前に、今説明がありましたように、この信託型ストックオプションへの対応については幾つかのステージがありますね。今あったように、新株予約権の交付が行われていないケースについては、税制適格ストックオプション、すなわち、税法の本則ではなくて租特で決められている、要は、給与所得課税ではない形で処理できる、そういう制度の運用の明確化、これをパブコメも含めてやっていただいているということですが、これは是非やっていくべきだと思います。

 先に、じゃ、大臣から、そういう今御紹介があったようなスタートアップの育成に向けたストックオプションについての環境整備、これは経産省が、例えば租特であれば最終的には税法ですから財務省ですが、経産省がスタートアップを振興するという観点から様々な議論をしてこられていて、来年度の税制改正に向けても取組があると聞いていますので、その辺、大臣から、アピールというか、こういうのをやっているんだと御紹介をいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、ストックオプションは、手元資金がまだそんなにない、乏しいスタートアップ企業においては優秀な人材を確保するために有効な手段である、そして、その活用に向けた環境整備は極めて重要であるというふうに認識をしております。

 このため、経産省におきましては、これまでも、税制適格ストックオプションの権利行使期間の上限の延長とか、制度の拡充に取り組んできたところでありますけれども、御指摘のように、今後、この権利行使限度額の大幅な引上げや撤廃など含めて、制度の更なる使い勝手の向上に向けた検討を進めているところであります。

 今国税庁から説明がありましたけれども、この信託型ストックオプションについて、利用しておりました企業、あるいはその利用者と国税庁の間でちょっと解釈の違いがあって、少し混乱もありましたけれども、国税庁も、無償かつ税制適格となるこの信託型ストックオプションの要件を検討しているということでありますので、それを見守りながら、いずれにしても、引き続き、スタートアップ企業が優秀な人材を確保していく、そしてスピード感を持って成長していけるように、このストックオプション制度についても、更に環境整備、改善に努めていきたいというふうに考えております。

足立委員 是非お願いします。

 今あったように、この税制適格ストックオプションの要件、これは、もっと使いやすくしてほしい、こういう要望が当然あるわけであります。二十九日の説明会の資料にもありますが、税制適格ストックオプションの付与対象者を広げるとか、あるいは、権利行使限度額、権利行使価額の年間の合計額が一千二百万円を超えないという現在の要件をもっと広げられないかとか、それから、その他もろもろ、税制要望をしていただけるというふうに期待をしておりますので、しっかりこれは議論していきたい、私たちも応援をしていきたい、こう思います。

 今回もめているのは、先ほど国税庁から御紹介があった、出口はあるんだということですが、問題は、既に権利行使が行われた、株式の交付が行われている場合について、大変な追加の納付、源泉所得税の納付が必要になる。それが想定外で、関係者によっては、これは想定外でえらいことだということで問題になっているわけであります。

 これは、私は何か救済できないのかなと思うんですが、そうやって注目をしていたら、昨日の財務大臣の会見で、財務大臣からこういう発言がありました。一部の信託会社等がストックオプションの行使時に給与課税されないとの説明を行ってきたことは承知している、こういう発言がありました。

 要は、国税庁も、一部の信託会社等が、そういう今回示された明確な解釈、これまでも問合せがあれば答えてこられていると思うんです、そういう国税庁の説明とは違う説明があったことを承知しているとおっしゃっているんですが、そういう実態を承知されているんでしょうか。されているのであれば、それはやはり私たちも国税庁がどう承知しているのか知りたいんですが、どんな感じでしょうか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 私の方からも、先ほど、承知している旨、答弁させていただきましたけれども、これは、例えばホームページ等で信託会社等が国税庁の見解と異なる説明を行っているものがあるということを踏まえたものでございまして。

 いずれにしても、国税当局におきましては、信託型ストックオプションである旨の説明を受けた上で課税関係について問合せがあった場合には、従来から、ストックオプションの行使時に給与課税される旨、回答を行っているというところでございます。

足立委員 問合せがあれば答えるということなんだけれども、ホームページとかを見ると、明らかにそういう説明をしてきているところがあることが散見されるわけでありまして、これは何か、もうちょっと積極的に実態把握したり、国税庁としてアクションを取るということはないんでしょうか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として言いますと、課税関係については事実関係に基づいて決定すべきものというふうに考えておりますので、事実関係が分からない中で個別の取引についてこちらから見解を示すということは、なかなか難しいということは御理解いただきたいと思います。

 そういうことで、先ほども申し上げましたとおり、国税当局におきまして、信託型ストックオプションである旨の説明を受けた上で課税関係について問合せがあった場合については、回答を行っているというところでございます。

足立委員 本件はこれでもう終わりますが、終わりますというか、もう一言欲しいんですが、大変現場は大混乱です。

 私の一般的な一国民としての感覚、国会議員としての感覚は、これは訴訟が起こるんじゃないかなと思うんですよね。民民の訴訟、だって、明らかに、そこで間違った説明、当局と違う説明で当該処理をストックオプションについてしてきたスタートアップ企業群があるわけですから、これは民民の訴訟だって起こると思うし、場合によっては国税庁だって訴えられるかもしれないと私は認識しているんですが。それは、だから司法で解決されるわけですが、大体そういうことでいいですね。

 私は、国税庁だって訴えられる可能性はあると思うけれども、一義的には民民の訴訟があり得ると。でも、それは、繰り返しになるけれども、国税庁として何か積極的にアクションを起こすというよりは、司法マターだなという理解でしょうか。ちょっと確認だけ。

植松政府参考人 お答えいたします。

 個別の事案についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論で申し上げますと、民民あるいは国税当局との間で訴訟等が起こり得ることは、一般論としてはあり得ると思ってございますけれども、いずれにしても、国税当局としては、丁寧に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

足立委員 ありがとうございます。

 私も、ここ月火水と、一両日ちょっとこれを見てきましたが、大体そういう整理で、仕方ないというか、まあそうなるだろうなと。私が財務大臣でもそうなるだろうなと思いますので、仕方ないといえば仕方ないんですが。

 今日は、国税だけじゃなくて、財務省主税局にも来ていただいている、あっ、これは金子政務官かもしれませんが。

 結局、何でこんなことが起こるかですよ。それはやはり、給与所得課税の世界、総合課税されている給与所得の世界と、分離課税されているいわゆる金融所得課税、これの間に大きな断絶というか、当たり前ですね、税率が全く違うんだから。そこで例えば一億円の壁みたいなことも起こっているんだけれども、一億円の壁問題というのは、グラフに描いたら分かるから、それはそれで、これまでも国会でも取り上げてきました。

 今日私がこれはやはり課題だよなと思うのは、ビジネスを一生懸命やっているスタートアップの人たちがどうやって優秀な人材を確保するかというときに、当然、給与よりもストックオプションの方が、要は、給与はそんなに、キャッシュがいっぱいないわけだから、だからストックオプションを使う。でも、そのときにどういう税制が適用されるかということで、先ほど大臣からも御紹介があったような、租特で、租税特別措置で税制適格のストックオプションというのがセットされているので、毎年それの拡充を議論する。

 かつて、事業承継で、事業承継税制を毎年見直していたみたいですね。給与所得と金融所得の間にある断絶を、租特という、悪い意味で言うと小手先でそれを修正して、その修正の仕方については毎年微調整していくみたいなことをやっていることが、私は、選挙が近いので、ちょっと僭越ながら、自民党的だと思うんですね。

 私たちは、やはりこういうことを抜本的に見直していかなければ日本のスタートアップの振興もなければ経済成長もないということで、実は大改革プランということを言ってきました。

 一言で言うと、五五%といういわゆる給与所得の税体系をもうちょっとフラットにして、場合によっては最高税率を三〇パーにして、二十何パーでもいいですよ。そして、金融所得も、今二〇パーですが、いろいろ議論がありますが、これは余り言うとまた党内からも、増税みたいなことを言うと首が飛ぶので、ちょっと気をつけて、私も除名にならないように言わないといけないんですが。

 申し上げたいことは、まあ税率は議論したらいいですよ、でも、給与所得課税をもうちょっとフラットにして、そして、給与所得ともうちょっと平仄を合わせていく、そして総合課税化する。

 いわゆる制度の壁のどっち側に自分がいるかということにきゅうきゅうとする、スタートアップの人たちがそんなことにきゅうきゅうとしていること自体が非生産的であり、ビジネスを成長させる、スタートアップを成功させることにもっと注力してもらわなあかんのに、こんなことで、いや、源泉所得税がまた増えるから困るとかいうので金策に走り回るということが僕は非生産的だと思うんです。

 これは政務官でいいですか。ちょっと、政務官もお若いので、そうだと、実は維新の会が言っている大改革プランというのは、単なる一億円の壁とかいう、そういう問題じゃなくて、もっと深いテーマであって、これは議論に値するものである、是非、財務省としては難しいのかもしれぬけれども、個人的に足立さんとまた議論したいと言っていただけないでしょうか。

金子大臣政務官 ありがとうございます。

 個人的に議論はしたいですが、今日は財務省の答弁をさせていただきたいと思います。

 今お話を賜りました御指摘というのは、今ある金融所得というものの課税方式を給与所得と合わせて総合課税にすべきだという御議論だったというふうに思います。

 その上で、御存じのとおり、上場株式等の譲渡益、また配当などの金融所得に関しては、金融商品間の課税の中立性、また、分かりやすい税制、あともう一つは個人の投資リスクの軽減という観点から、金融所得内においての金融所得課税の一体化という取組を財務省は取り組まさせていただいておりまして、今、一律の二〇%の分離課税になっております。こうした経緯を踏まえれば、現在の金融所得の課税方式というのは一定の合理性があるんだろうというふうに思います。

 さらに、先ほど大臣が御答弁いただきましたけれども、令和五年度の税制改正においても、スタートアップの問題意識を御議論賜りましたけれども、税制改正においても、特に再投資に着目した非課税措置は設けさせていただいたところでございます。

 そして、議論をお伺いをしていて、少し補足をさせていただきたいんですけれども、例えばアメリカの場合は、給与所得に金融所得を合算した所得金額に応じて適用させる累進課税になっておりまして、むしろ、日本の制度と近い部分がある一方で、足立委員がおっしゃられる制度に若干近いのかなというふうに思いますけれども、一方で、その場合、特定口座を、日本みたいに一律じゃありませんので、必ず確定申告をしないといけなくなるなど、国によっていろいろ文化がありますので、大事なのは、しっかりと、各国いろいろな、統一性の仕組みはございませんので、また我が国に即したふさわしい税制というものを議論していくことが必要なんだろうというふうに思います。

 財務省としても、環境整備を通じてしっかりとスタートアップ育成に取り組んでまいりたいと思います。

足立委員 金子政務官、ばっちりです。ばっちりですというか、丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 同じ問いを大臣にも振っているんですが、何か、ここは言わせろというのはありますか。ない。いいですね、もう。ちょっと割愛で。いや、今ちょっとメモっておられたので、言いたいことがあるなら。

 じゃ、ちょっと大臣も。

西村(康)国務大臣 税制については、何より、やはり経済の活力、これをどう維持するかということがまず大事だと思います。その上で、一定の税収の確保も必要だと思いますし、さらには、今累進課税の説明もありましたけれども、格差というものに対してどう考えていくかということも必要になっています。

 その上で、自民党的と言われるかもしれませんけれども、政策的な税制を租特で組んでいるということでありまして、その政策目的にそぐわないものはもうやめていくということだと思いますが、そうした上で、おっしゃるように、やはり簡素でなきゃいけないということもありますので、そういった様々な観点から、私は、やはり不断の見直しを税制についてはしていくべきだというふうに思っておりますので、今回は、このスタートアップ、成長する企業をしっかりと応援していく、そうした税制も我々としては考えていきたいというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 是非、先ほども御答弁があったように、来年度税制改正に向けて、私は、その租特の細かい制度の、一千二百万円の上限をもうちょっと上げられないかとか、何かそういう議論をせこせことしていること自体がもう小さいと。もっと大胆な制度改正の議論を国会では是非させていただきたい。でも、これはこれで大事なので、税制要望、しっかりお願いしたいと思います。

 さて、本題の商工中金が時間がなくなっちゃいまして、今日、社長にも、済みません、お忙しいところ、ありがとうございます。

 いろいろ通告をさせていただいていますが、関根社長のお取組に敬意を表しておりますし、私も中小企業庁にいたことがありますので、一緒に仕事をした仲間が何人もいて、敬意を持っているし、それから、その優秀さ、これも太鼓判を国会議員の一人として押させていただきたい、こう思いますが、ただ、私は、中小企業金融政策については若干懐疑的であります。

 ちょっと時間の関係で幾つか割愛しますが、実は、信用保証の規模とか、それから中小企業金融に公的な直接貸出しがどれだけの規模でそこに入っているかとかいうことが、国際比較すると、いろいろな議論があります。要は、世界の中でも、日本の中小企業金融、そして公的な中小企業金融は特殊じゃないのかという議論があって、これは、ごめんなさい、全部割愛して、そういう議論があるということです。

 大臣にその関連で通告させていただいているのが、そういう政府関与の在り方が日本の産業競争力に私はネガティブなインパクトを与えてきた可能性があると思っているんです。要は、一言で言うと、信用保証であれ直接貸出しであれ、中小企業庁が頑張り過ぎた結果、日本の中小企業の新陳代謝とか構造改革とか、そういうことにマイナスのインパクトがあった可能性があるんじゃないかと私は思っているんですね。

 これは検証がなかなか難しいですが、大臣、その辺の問題意識、いや、全くそういうのはないとお考えか、議論の大事なポイントだとお考えか、ちょっと御見識をお願いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 これも私自身よく答弁させていただいておりますけれども、コロナの担当大臣の折には、これはもう緊急時で、経済を無理やり止めて、そして感染を抑えるということをやりましたので、緊急事態宣言などですね、この間は、やはり給付金とかゼロゼロ融資とかもフルに稼働して、そして、事業を守る、雇用を守る、生活を守るということをやってきたわけでありますので、これは私は、必要な施策、各国ともやっている施策だと思います。

 一方、このコロナ禍が収束に向かってきて、そして、いわば政策が、経済全体が静から動へ変わってきた。やはりここはフェーズを変えてやっていかなきゃいけないということで、ゼロゼロ融資が終わり、その後の借換え保証なり、スムーズに資金繰りがいくようにはもちろんやっていっておりますけれども、やはり、挑戦する企業を応援をしていく、苦しいけれども何か一歩踏み出す、そういう企業を是非応援をしていきたい。フェーズは変わってきているものというふうに思います。

 もちろん、セーフティーネットも必要ですし、様々な施策は必要ですけれども、過保護になっちゃいけないということだと思いますので、是非企業の皆さん方にも一歩、新しい時代を迎えているわけですので、一歩踏み出していただいて、その挑戦を応援していく、そういう政策を是非推進していきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 私も、とにかく日本の経済、これは大事です。そのときに、やはり一つは労働市場。労働市場の在り方というのはずっと議論されてきたし、今も議論されています。

 もう一つは、やはり中小企業の在り方。特に金融がそれを支えているわけですから、中小企業金融の在り方はまさに日本の未来をつくっていく上で大変重要だ、こう思っています。

 関根社長においでいただいているので、是非、たくさん実は通告をさせていただいていて本当に申し訳なかったんですが、最後にビジネスモデルの話をさせていただいて締めていきたいと思うんです。

 通告としては、例えば、なぜ間接的な関与である信用保証に加えて政府系金融機関による直接貸出しが必要なのかとか、あるいは、危機対応等のために直接貸出しが仮に百歩譲って必要だとしても、公庫もあるんだから、何で公庫とは別に商中が要るのか、そんな通告もさせていただいていますが、時間がないので、ちょっと全部飛ばして。

 完全民営化に向けてということで、関根社長のリーダーシップで、独自の新しいビジネスモデルの確立ということをやっていただいているわけですが、これは私、やればやるほど完全民営化から遠ざかると思っているんですよ。だって、新たなビジネスモデルが確立して居場所ができれば、それは相応のポジションで、例えば、仮に資本は引いても法律が残っていくとか、むしろ遠ざかるような気がする。

 本当に公的な関与を排除するのであれば、場合によっては、完全に解体していく。優秀な方はたくさんいらっしゃるので、商中で働いている方々はみんな民間に羽ばたいていただいて解体した方が、実は、皆様が持っている経営資源、ノウハウというものが、日本の金融界、民間の中小企業金融に埋め込んでいけるんじゃないか、そんな問題意識を持っていますが、いかがですか。

関根参考人 お答えいたします。

 まず、中小企業団体とその構成員に対する金融円滑化を目的とする商工中金としましては、他の民間金融機関が十分対応できていない分野に取り組み、適正な収益も上げていくという新しいビジネスモデルを実施しつつ、危機対応業務といったセーフティーネット機能の発揮という役割を求められているものと承知しております。

 このような役割は、職員の中小企業に貢献したいという熱い思い、そして事業性評価ノウハウ等の経営資源、そして商工中金法に定められている法目的、株主資格制限、特別準備金、危機対応準備金等の各種制度が相まって初めて機能が発揮されるものであり、解体してはできないと考えております。

 また、このような役割、ビジネスモデルは、当金庫の強みである全国ネットワークや再生等のノウハウを含めて事業性評価を強力に磨き上げていくことで、中小企業専門金融機関として、完全民営化後も含めて永続的に機能を発揮できるものと確信しております。

 なお、今回の法案では、民間金融機関との連携、協業規定も措置されており、手前どものノウハウ等については、今後も、必要とする地域金融機関の皆様に、地域経済のために共有させていただきたいと考えております。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、とにかく、今日申し上げたように、大変重要な分野です。今日の、今日恐らく採決があるのかな、しっかりこの法案を仕上げた上で、今日申し上げたような観点から、引き続き、中小企業の在り方、中小企業金融の在り方について議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前川清成君。

前川委員 日本維新の会の前川清成でございます。

 質疑に先立って、大臣や政府参考人の皆さん方の御答弁の参考になるように、まず、私の旗幟を鮮明にさせていただきたいと思います。

 私は、中小企業信用保険法の改正によって、一定の要件の下、信用保証協会が経営者保証を取らないとすることに大賛成です。むしろ、金融機関が経営者保証、さらには第三者保証を徴求しないように、更にドラスチックな改革、金融機関側からすればもっとラジカルな改革が必要ではないか、この改革、今回の改正は一歩前進だけれども、まだまだ足りない、こんなふうに思っています。こんな観点で今日は質疑をさせていただきます。

 それともう一つ、今日は経済産業委員会ですので、そちらの方は余り言わないつもりですが、私は、保証人というのは消費者問題だ、保証債務というのは消費者被害だと思っています。これは私に限らず、消費者問題に取り組んだ弁護士、とりわけ多重債務、サラ金やカード、高利貸しの問題に取り組んだ弁護士からすれば、共通の問題かと思います。

 ただ、今日は経済産業委員会ですので、経済という点で、少し大臣の哲学、フィロソフィーをお聞きしたいと思います。

 お手元に、一九八九年と現在の世界の株式の時価総額、その一覧表を配らせていただきました。言うまでもありませんが、一九八九年というのはバブル経済の真っ最中です。このとき、見事に日の丸が並んでいましたが、現在では見る影もありません。さらには、例えば、NTTの一九八九年の時価総額と二〇二三年アップルの時価総額、見比べていただいたら、まさに桁が違う。NTTの一九八九年当時の時価総額であれば、二〇二三年当時の五十位にも入らない、こんな状況になっています。

 この企業の株価を見て、委員の皆さん方が何をお感じになるかです。この三十年間、日本は経済がほとんど成長してきませんでした。アメリカのGDPは二倍になってきました。日本は何が足らなかったのか。日本は、この時価総額の一覧表を見ていただいてもお分かりのように、新しい企業が、新しい産業が誕生してこなかったのではないのか。

 日本は、開業率、そして廃業も少なく、企業の、産業の新陳代謝が滞っているように思います。中小企業庁の資料ですが、日本の開業率、二〇一九年で四・二%、アメリカは二〇一八年で九・一%です。廃業率、日本は二〇一九年で三・四%、アメリカは八・五%。

 廃業率、これは先ほどゼロゼロ融資の件でも議論になっていましたが、廃業率というのは低ければ低いほどいいのか。私は、そうとは限らないと思っています。俗に、ゾンビ企業という言葉もあります。もうからない、成長しない、そういう分野にしがみつく、そうではなくて、社会的なニーズのある分野に資材や人材を振り向けていく、こういう必要があるとも思っています。

 いずれにしても、新しい産業や企業が生まれるためにはイノベーションも必要でしょうし、お金も人材も必要だと思いますが、個人保証、今日、主に議論させていただく個人保証は、私は、新しい産業や企業のスタートを阻害する、こういうふうに考えておりますが、この点でまずは大臣の御所見をお伺いしたいと思っています。

西村(康)国務大臣 まさに、この三十年強ですかね、この間の日本の経済の状況を顧みますと、私自身も経済政策に携わってきた立場で申し上げれば、じくじたる思いもございます。

 一言で言えば、デフレの傾向の中で、企業が、そして人が挑戦をしてこなかったということだと思います。御指摘のスタートアップ、新しい企業が生まれてこなかったということも含めて、挑戦をしてこなかった。大企業も、内部留保を蓄え、大胆な投資をしてこなかった。投資もせず、人への賃金も上げず、内部留保を増やしてきた。そのことが、結果的に、新たなものを生み出す力がなく、イノベーションを起こせず、今のような状況になってきたということだと思います。

 ただ、足下、若い方々を始めとして、スタートアップに取り組む、学生時代から挑戦する人も出てきておりますし、雰囲気はかなり変わってきた。大企業におきましても、今年の国内投資は、バブル期を超える、百兆円を超える見込みでありますので、ようやく、デフレのマインドから、挑戦をしていこう、イノベーションを起こさなきゃいけないと。これは、時代背景、コロナ禍があり、また一気にデジタル化がそれで進んだ面もあります。GXにも取り組まなきゃいけない。

 そうした時代背景の中で、挑戦をしていく、そんな機運が今出てきておりますので、今回、御指摘がありましたように、経営者保証なりを外す選択肢も取れるわけでありますので、是非大いに、若い人たち、企業の挑戦を後押ししていく、イノベーションを起こしていく、その応援をしていきたいというのが私の今の思いでございます。

前川委員 大臣、そのとおりで、挑戦してこなかった、足下では挑戦する若い人たちが出ている、こういうことですが、その挑戦に当たって、個人保証、経営者保証というのが邪魔になりませんかという質問です。

西村(康)国務大臣 全くそのとおりでありまして、一歩踏み出そうとするときに、経営者保証がつくということで戸惑いを持つ方が多いというのは、データ上も出ております。挑戦を後押しするという観点から、商工中金も公庫も、いろいろな形で、できるだけ、特に創業のときは外していこうということにだんだんなってきておりますし、全体で見れば増えてきておりますけれども、もう一段、ここで選択肢を入れて、経営者保証はなくてもいいという仕組みを導入することで、大いに、その挑戦、一歩踏み出すところは後押しできるようにしていきたいというふうに思っております。

前川委員 なぜ個人保証が挑戦を阻害するのか、そこをお聞きしたいと思っていたんです。

 大臣が言いづらいのであれば私から申し上げますので、もしもそのとおりだったら、前川さんの言うとおり、こう言っていただきたいし、何かちょっと足立さんみたいになっちゃいましたけれども、もしそうでなかったら反論していただきたいと思います。

 要は、優秀な若い人が、商売をやろう、何か新しい技術を開発した、これを製品にして世の中に問いたい、こう思ったときに会社を起こす。でも、会社を起こす際に、あなたも連帯保証人になりなさいよ、こういうふうに金融機関から言われてしまう。新しい挑戦ですから、必ず成功するとは限りません。失敗する場合もあります。その場合に保証人になっていたら、全財産だけではなく、将来の収入も含めて、全て請求を受けてしまう。法律的には責任財産になってしまう。

 これだったら、日本社会というのは安定していますから、何も自分が荒海に乗り出さなくてもいいや、大企業に就職しよう、あるいは中央省庁に就職しよう、こういうふうになってしまって、大企業に就職することや官僚になることが悪いとは言いませんが、決して言いませんが、新しく挑戦する人が出ないと新しい産業が生まれない。マイクロソフトも出てこないし、アルファベットも出てこない、こういうことなんだろうと思うんですが、この辺の認識、大臣と私と見解は異なるでしょうか。

西村(康)国務大臣 共有をしている部分が大半でありまして、俗な言葉で言えば、挑戦をしたいけれども、失敗したら身ぐるみ剥がれてしまうということ。もう一つは、そういう失敗した人に対しての、日本社会がこれまで許容度が低かった、一回失敗したら駄目だという感じがやはり何となくあって。アメリカは、何度失敗しても挑戦をしていくという風土があります。ここの違いもあります。

 そしてまた、もう一つ言えば、初期の段階で、何かやろうとするときに、アーリーステージよりも更に前のシードの段階と言ってもいいと思うんですけれども、そのときに投資をしてくれる、そういうエンジェル、ベンチャーキャピタルも日本は層が薄いということもありますので、やはり、お金を借りて挑戦しようというときに、経営者保証を外すことによって後押しをしていくと同時に、今申し上げたような雰囲気も変えていかなきゃいけない。失敗した人でもまた次が、その失敗を糧にして次は挑戦する、そういったことも応援していければというふうに思います。

前川委員 午前中の質疑の中で、大臣が、経済、静から動に変わってきたんだというふうなお話をされていました。私、冒頭、日本が廃業率が低いことを申し上げました。廃業率が低いというのは、必ずしもいいことではないのではないかと。企業の新陳代謝を促すという意味では、廃業率、むちゃむちゃ高いのは、それは困りものですけれども、やはり一定の水準というのが必要ではないかと思っています。

 この廃業ということに関して、個人保証が廃業を阻害する、こういう御認識はもちろんお持ちですよね。

西村(康)国務大臣 この点についても、この間、政府の会議でも議論になっておりまして、なかなか退出をしようと思っても退出できない、身ぐるみ剥がれてしまうというふうなこともありますので、退出しようと思っている人に退出しやすい環境をつくることも課題の一つだと思っております。

 そういう意味で、これもよく申し上げますけれども、乗り物も人力車、馬車、自動車、飛行機と変わっていく中で、当然、それを支える産業、雇用、企業、変わってきていますので、当然、時代の、技術の進化に応じて変わってくる部分がありますから、構造改革はやはり進めていかなきゃいけない。社会のニーズに合った形の産業、これを育てていくのは当然の姿でありますので、共通の認識を持っているところであります。

前川委員 各論の話をする前に、もう一点、フィロソフィーの話をしたいんですが。

 前回、私も尊敬しております階委員が、保証人を外す、保証人を取らない仕組みに関して、他方で、安易に保証を外して国民にしわ寄せが来るようなこともあってはならない、こういうふうにおっしゃっているんです。このこと自体は非常に常識的で、そのとおりだと私も思います。しかし、その一方で、かつてのホンダやソニー、あるいは京セラ、日本電産のような新しい産業、そしてそれを担う新しい企業が生まれてこないと、日本経済が成長できない。

 しかし、今大臣がおっしゃったように、スタートアップ、必ず成功して、必ず大もうけできるとは限りません。失敗した場合、全財産を失ってしまう、将来の収入も差し押さえられてしまう。なかなか容易には挑戦できません。

 スタートアップに成功して、起業者、これは例えばIPOで大もうけできるかもしれませんが、例えばテスラが日本に誕生していたならば、トヨタのように何十万人の人たちの働く場所を提供することもできたはずです。スタートアップを支援する、これは、その起業家だけが個人として金もうけをするんじゃなくて、社会を、日本経済を成長させる、そういう側面もあるんだと。

 そうだとしたら、万が一の場合のリスク、これを、その個人ではなくて社会全体で分かち合う。信用保証協会でいえば、損失補填ということで税金が入ることになるかもしれませんが、それは、一定限度、そのリスクを社会全体で分担をして、新しい産業、新しい企業を応援するんだ、そして日本経済を成長させるんだ、こういう理解、こういう見方もできるのではないかと私は考えておりますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、おっしゃったように、一定程度というところがまさに鍵ではないかと思います。

 信用保証の中で、スタートアップについてはまさに経営者保証を不要とする仕組みを設けて、スタートアップについては設けているところでありますけれども、安易な利用を排除する制度設計もしております。できるだけ創業時の事業者に対して信用供与を行うということでありますので、信用保証協会にとっても一定のリスクはあるわけであります。

 このために、御案内のとおり、信用保証協会がリスクの高い創業時の事業者に対しても信用供与を行うように、できるように、スタートアップ創出促進の保証を政策金融公庫による信用保険の対象として、万が一、利用先がデフォルトした場合には、信用保証協会の代位弁済の八割を日本政策金融公庫が補填する仕組みとなっております。

 ですから、いわゆる保険の仕組みを活用して、こうして失敗したときのリスクを国も含めて分かち合うという仕組みをつくってきております。こうした形で、当然安易な利用は排除しなきゃいけませんけれども、挑戦する人の起業やスタートアップのリスクも一定程度分かち合いながら、新たな産業を興していくという取組を進めているところであります。

前川委員 その上で、今回の中小企業信用保険法の改正において、一定の要件を満たせば経営者保証を取らないことになっています。

 その一定の要件ですが、まず一つ目は、法人から代表者への貸付けなどがないこと。二つ目は、財務書類を金融機関に提出していること。三つ目は、直近決算期において債務超過ではないことか、あるいは直近二期の決算期において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと。この三点が要件だというふうになっていますが、これで間違いがないのか、あるのかだけ、まず結論だけ参考人の方からお答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正で整備する新しい信用保証制度ということで、この要件という御質問でございました。

 先生から三つおっしゃっていただいたもの、法人から代表者への貸付け等がない、財務書類を定期的に金融機関に提出している、それから財務状況、この三つに加えてもう一つ、経営者本人が保証料の上乗せをすることで経営者保証の非提供を希望していること、この四つということでございます。

前川委員 小林部長、四つ目をつけ足しておっしゃったけれども、どこの経営者が保証人になりたいと希望するんですか。まずいないと思いますよ、そんな変わった人。

 その上で、今回改正される中小企業信用保険法の第三条の二ですけれども、今小林部長がおっしゃったような要件はどこに書かれているんですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の無担保保険を始めとする信用保険法の改正ということでございますが、今ここで議論になっておりました四つの要件というのは省令に位置づけるということでございます。

前川委員 そうじゃなくて。この第三条の二の主語は「公庫は、」でしょう。述語は「締結することができる。」でしょう。改正の部分は括弧の中にあって「当該中小企業者が」云々かんぬんと書いてあるでしょう。どこを読んだって、一定の要件を満たせばこれからは経営者保証を取りませんよとは書かれていない、書かれているようには読めない。なのに、どうしてこういう条文の書き方になったのでしょうかという質問です。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 この条文ということで、無担保保険ということで申し上げますと、信用保険法の第三条の二ということでございまして、現行法では、要件として、担保を提供させないことが規定されております。

 他方で、その規定の中ですが、保証人による保証は、取らない担保の例外という形で現行は規定されておるものですから、今回の改正では、一定の要件を備えた事業者については、その例外から外す規定とすることによって、担保を取らないということに戻って、当該要件を備えた事業者の経営者からは保証を徴求できないようにするということでございます。

前川委員 委員長も含めて、この委員会室にいらっしゃる国会議員の先生方で、条文を読みながら、今の小林部長の説明に納得された方がお一人でもいらっしゃるでしょうか。小林さんを追及するつもりはありません。きっと、法制局からこういう書き方をしろと言われたと思うんですけれども、いずれにしても条文が分かりにくい。

 この条文が、例えば信用保証協会の職員さんの元に届いた際に、この条文だけを見て、これからは、こうこうこういう要件の下で、私が言った三つの要件、あるいはあなたがおっしゃった四つの要件の下で、経営者保証を取らないんだなというふうに理解できる人はまずいないと思うんです。

 今般の債権法改正の際に、当時法務省の顧問だった内田貴教授がおっしゃったように、やはりこれからの法律というのは、プロが見たら分かる、プロだけしか分からない、こういう書き方ではなくて、一般の方々、法律を利用される方々が分かるような書き方にしていかなければならないのではないか、私はそう思っています。

 その上で、この法律が一日も早く成立することを願っていますが、成立した暁には、是非、中小企業庁の方から、各地の信用保証協会に分かりやすい説明をしていただくようにお願いしたいと思います。この点、よろしいですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、法律だけ読んでいると、必ずしも分かりにくいところもございますので、るる、ここで議論させていただいている内容、趣旨、これをしっかりと分かりやすい形で周知をしてまいりたいと存じます。

前川委員 その上で、先ほど私が申し上げた要件ですが、一つ目が、法人から代表者への貸付けがないことではなくて、貸付けなどがないこと、こういうふうになっています。このなど、これは何かをお聞きしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問いただいたのは、法人から代表者への貸付け等がないこと、この等は何かという御質問でございました。

 これは、この委員会でも御議論いただいたところでございますが、役員報酬や配当といったものが社会通念上適切な範囲を超えていないこと、こういったものも含めて位置づけることを検討してまいりたいと思っております。

前川委員 貸付けがないことではなくて、貸付けなどがないことになってしまうと、このなどが拡張解釈されると、あるいは類推適用されてしまうと、保証人を取らないというそのルールが骨抜きになってしまう、このことを私は危惧しています。

 今、小林さんの説明によると、報酬や、何が過大でないこととおっしゃったんですかね。(小林政府参考人「配当」と呼ぶ)配当ね。配当や報酬が過大でないこととおっしゃったけれども、じゃ、過大とはどれだけなんですか。

 スタートアップ企業で、それこそ土日も夜中もなく朝から晩まで、例えばそのまま大学に残ったら教授になるかもしれない人たちが挑戦するわけだから、それなりの報酬を得ても私は当然だと思うんです。だから、過大と言われても、一体どれぐらいを過大というふうにお考えになっているのか、もう少し明確なメルクマールが私は必要だと思いますが、いかがですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 役員報酬や配当等が社会通念上適切な範囲を超えていないということを、どう解釈していくかということだと思います。これについては、この法律を成立させていただければ、中小企業政策審議会の場でこの金融、信用保証の話もしておりますので、そういったところでも、実務的にもどういったものが適切なのか、こういったものを議論を深めた上で検討し、執行していきたいというふうに考えてございます。

前川委員 国会で法律を議論するわけですから、私たち国会議員からすると、法律を提出する際に明確な要件を示してほしいというのが偽らざる本音だと思いますし、それが憲法四十一条の趣旨ではないかと私は思います。

 それで、要件についてもう少し議論もしたいんですが、ちょっと金利のことを取り上げたいと思います。

 金融機関の融資が焦げついて信用保証協会が代位弁済する際の弁済率、いわゆる保証率、これは、一般保証だったら八割ですが、セーフネット保証だったら十割、一〇〇%代位弁済されます。この一〇〇%保証、これが、保証債務の残高でいうと、今、全体の六割を占めているそうです。つまり、保証協会の保証がついている融資のうち六割は金融機関のリスクがゼロなわけです。

 リスクがゼロの一〇〇%保証がつく場合と、八割保証で金融機関が融資する場合と、金融機関の金利は異なるのか。この点、お伺いしたいと思います。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 保証割合が一〇〇%の場合と八〇%の場合ということで、金融機関、幾つかヒアリングさせていただきました。仮に、貸出金利の設定に当たり考慮すべきほかの条件が同一であればということでございますけれども、一〇〇%の場合は、八〇%の場合と比べて債権の保全率が上がりますので、信用コストが下がります。したがいまして、貸出金利の低下につながるというふうに一般論としては考えてございます。

前川委員 大臣、今の答弁をお聞きになって、私は、新発田さんには申し訳ないけれども、頼りないなというふうに思いました。

 金利というのは何なのか。それは、一定期間他人のお金を使わせてもらうレンタル料、それと万が一返済できない場合の保険料、これが合わさったものが私は金利だというふうに理解しています。一〇〇%保証だったら、今申し上げたところの保険料は要らないわけです。レンタル料だけ払えばいい、銀行の方からすればレンタル料だけ取ればいい。

 じゃ、レンタル料の方はどうかというと、調達金利、預金者に支払っている金利ですけれども、メガバンクに定期預金を一千万円預けても、今〇・〇〇二%です。〇・二%じゃありません、〇・〇〇二%です。仮に、仕入れた〇・〇二%の十倍でお金を貸すとしても、〇・二%で済むわけです。

 民間の金融機関の金もうけに金融庁や経済産業省が過度に介入するというのは、できないとは思います。でも、例えば、ある場合には信用保証協会の保証料を援助する、こういうこともやってきたわけで、やはり中小零細企業者にとっては金利の問題は大事だと思います。

 そこで、これは私の一つのアイデアですけれども、やはり経済産業省で、あるいは金融庁で、各金融機関の金利についてもモニタリングをして、余りにも高い金利を、一〇〇%保証であっても高い金利を取るような金融機関については、もう信用保証は認めない、それぐらいのことも考えなければならないのではないかと思っているんですが、大臣はいかがでしょう。

西村(康)国務大臣 まず、信用保証つきの融資については、全国の保証協会連合会が示すガイドラインに基づきまして、保証料率については、一〇〇%保証は創業時などリスクの高い事業者に適用されるということで、回収リスクが高まるということで、基本的に、保証料率は八〇%保証より高く設定されています。これは理屈があると思います。

 その上で、各金融機関が独自に設定する貸付金利の水準については、これはそれぞれの経営判断でやっておられることでもありますので、私どもとして申し上げることは適切ではないと考えておりますが、あえて申し上げると、金融機関同士の競争もあるわけですので、当然、リスクに応じて金利は高くなるはずなんですけれども、高くなったり低くなるわけですけれども、一〇〇%保証されているにもかかわらず高い金利というのは、確かにこれは、競争でそこは適切な範囲に落ち着いていくんだろうと思います。

 いずれにしましても、問題意識は共有できる部分もありますので、私どもとして、民間が経営の判断でやることでありますので、口出しするのは適切ではないんですけれども、いろいろ勉強はしていきたいというふうに思います。

前川委員 時間が参りましたのでこれで終わらせてもらいますが、競争ということでいえば、今、メガバンクでも預貸率は七割を切っていると思います。地方銀行だったら六割ぐらい、信用組合、信用金庫だったら五割ぐらいだと思います。

 そういう金融機関の、言葉は悪いですけれども、お金を貸さない体質、これは経済産業省も金融庁も是非考えてほしい。要は、国債を買っていたら、その金利で何とか経営が成り立つ、これは金融機関本来のありようではないと思います。このことも是非御検討いただきたいと思いますし、この保証問題は、私はある意味ライフワークとして取り組みたいと思っておりますので、今日通告してお尋ねできなかった部分は来週お願いしたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。よろしくお願いします。

 先ほど、前川議員からも個人保証のところをお話しされていましたけれども、大臣も、雰囲気が変わってきたんだということで、私も個人保証の、経営者保証のところを少し質問させていただきたいんです。

 経営者保証は、事業が失敗したときに個人に責任を負わせるというところで、やはり再チャレンジしにくいんじゃないかなというところで今回の法改正だと思うんですけれども、二〇二一年で、無担保保険で経営者保証の徴収は九二・三%であった。今回の改正案では、無担保保険での信用保証について経営者保証を求めないことは一定評価できるんだと思いますけれども、ちょっと確認で、既存の契約がある場合には借換えのときに新たに経営者保証を求めないことになるのかどうか、まず確認したいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 信用保証付融資の融資期間というのは、大体、統計を見ますと、コロナ以前の平時においては平均四年程度ということでございます。このため、既存融資の融資期間が終わり、新たな融資を受ける場合、若しくは借換えの場合、このタイミングで、今回の法改正で措置をいたします新しい信用保証制度を活用することで、経営者保証を求めない融資を受けることができるというふうに考えてございます。

 今回、改正法が成立させていただければ、改めて、借換え時、それから新たな融資のタイミング、こういったものにも当然新制度が活用できるということを周知をしてまいりたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 最近、この経営者保証に依存しない新規の融資が増加してきたんだというところで、政府系金融機関で五二%、民間金融機関で三三%だというところなんですけれども、こういった、経営者保証に依存しないというところの新規の融資がこうやって増えてきたところ、これはどのような形で取組を行ってきたのかをお尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 経営者保証については、経営への規律づけ、若しくは資金調達の円滑化といった意義が指摘される一方で、今もこの議場でも御議論いただいておりますが、創業意欲の阻害、思い切った事業展開の抑制、こういったマイナス面も指摘されておりますので、こうした課題の解消に向けて、全国銀行協会と日本商工会議所が、二〇一四年二月から適用いたしておりますが、経営者保証に関するガイドラインというのを策定いただきました。

 このガイドラインにおいて、経営者保証を提供することなく資金調達を受ける場合の要件として、法人、個人の資産分離であるとか、財産基盤の強化、経営の透明性確保といったものを定めておりまして、このガイドラインの活用促進というのをこれまで政府としても進めてきたところでございます。

 その結果として、委員今御指摘のように、新規融資に占める経営者保証を徴求しない融資の割合が、これは信用保証付融資でございますが、二〇一八年度で二五%だったところ、二二年度上期には二九%まで増加している、それから、信用保証がついていないものも増加してきている、こういったことでございます。

 そうした中で、創業、積極的な設備投資などを更に促進していく必要があるという観点から、昨年十二月に経営者保証改革プログラムを策定いたしました。これに基づきまして、本年三月から、創業時の経営者保証を不要とする信用保証制度の開始、それから金融庁さんの方で、監督指針の改正を通じた金融機関による経営者保証徴求手続の厳格化、これは本年四月から適用開始、こういった取組を進めておりまして、この延長線上で、このプログラムに基づいて今回の法改正というのも御提案をさせていただいている次第でございます。

遠藤(良)委員 今回の法改正の中で第三者保証も禁止される方向性だということなんですけれども、これは望ましいと思います。返済リスクへの対応はどういうふうなリカバリーをしていくのかというところで、保険料の上乗せであったりとか流動資産担保で対応したりとか、この辺りというのはどういう形でカバーができるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正によって措置いたします、経営者保証の提供がなくても信用保証がつくというものについては、るる御議論いただいているように、一定の経営者への規律づけというための要件を幾つか用意しているところでございます。

 それから、経営者保証を求めないことによる経営規律の低下、信用リスクの増加に対応する観点という意味で、一定の保証料の上乗せというのも求めることにしております。

 また、上乗せ保証料の水準は、通常の場合〇・二五%を一つの目安として検討していきたいと思いますが、財務状況が悪い事業者、具体的には、直近決算期において債務超過、又は直近二期の決算期において減価償却前経常利益が連続して赤字のいずれかに該当する場合には、上乗せをして〇・四五%ということを検討してございます。

 このように、経営者保証を求めないことによる経営規律の低下、信用リスクの増加に対応しつつ、中小企業の約四割が利用する信用保証付融資について、経営者保証に依存しない融資を促進してまいりたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 コロナ禍で、実際、信用保証の利用が急増したんだということで、保証債務残高が四十二兆円だと。金銭面で倒産防止の役割は一定あったと思います。実際、実質無利子無担保融資の、ゼロゼロ融資の返済が始まってくると思いますけれども、これに関しては借換えを促進していくんだと。

 収益性が改善できる見込みのない企業の借入れの中で、要するに過剰な債務になっているところ、この過剰債務の企業が今一〇%を超えているということなんですが、実際、その辺り、企業の収益性を高めていくよう支援していくべきだと思うんですけれども、この構造の転換自体を図って経済の効率性を高めていく必要があると思いますけれども、この辺りはいかがでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 コロナの影響の長期化や物価の高騰に加えて、今後、今御指摘ありました民間ゼロゼロ融資の返済本格化を迎えるなど、中小企業を取り巻く環境は引き続き厳しいものと認識してございます。

 そして、今お話ありましたコロナの借換え保証制度というのを、こうした中で、本年一月から開始しておりますが、まさにこの制度は、売上高増加率や営業利益率などの目標を設定した経営行動計画書の策定、それから、その計画実行に当たっての金融機関による伴走支援というものを求めて、要件としているところでございまして、借換えということで少し返し方を長くして楽にするだけではなくて、今申し上げたような経営改善といった取組をセットにして取り組ませていただくことで、中小企業の今の事業の状況を改善していただこう、こういう趣旨でございます。

 というわけで、今、三万八千件、九千七百億円の借換え申込みを承諾しているところでございます。

 他方で、それでもなお増大する債務に苦しむ中小企業の方ということであれば、全国四十七都道府県に中小企業活性化協議会というのを設置しておりまして、個別の事案に応じて債務圧縮や減免を含む再生支援などのお手伝いもしているところでございます。

 こうした再生支援についても、官民の金融機関や支援機関の協力を挙げて取り組むために、本年四月より、金融庁共々、全国説明会を開始して、連携強化に取り組んでいるところでございます。

遠藤(良)委員 実際、ビジネスモデル自体がもはや破綻している、そういう場合ももちろんあると思いますし、是非これは実利が伴うような形で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、商工中金のところの質問をさせていただきたいと思いますけれども、今、政府保有株式の売却をしていくんだということで、これが公布の日から二年以内に売却をすると。

 その中でも、株主構成としては、三・五万が中小企業組合、二百万が構成企業ということなんですけれども、現状、中小企業団体中央会などの中小企業団体も株主の資格対象とする方向性のようなんですけれども、実際、改定の見通しであったりとか、政府の株式をいつ頃売却していくのかとか、こういった辺り、今、現状、どういうふうな形になっているでしょうか。

角野政府参考人 お答えいたします。

 現在、政府は、商工中金株式の四六・五%に当たる一千十六億円を出資しているところでございます。その株式につきましては、御指摘のとおり、国会での御審議を経て改正法案が成立すれば、公布の日から二年以内に全部売却することが政府の基本方針でございます。

 こうした中で、財務状況に問題のない、商工中金の主な取引先の事業者の方でございますが、利益剰余金を含む自己資本は二〇一五年対比で一・五倍になるなど、取引先の株式購入余力は増加している状況でございます。

 加えまして、商工中金改革を議論した検討会におきましては、株式の購入意向を表明する経営者もおりまして、改正法案が成立をすれば、株主資格を有する者に対して積極的に情報提供を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 さらに、御指摘いただきましたように、全国中小企業団体中央会からは、中央会に株主資格を付与してほしいとの要望も受けておりまして、改正法案が成立すれば、中小企業のための金融機関という根幹を変えない範囲において、株主構成の多様化を図る観点から、政府保有株式を処分するまでの間に、中小企業団体中央会等の中小企業を支援する機関も株主資格の対象とする政令改正を行うことを検討しているところでございます。

 このように、政府としても、政府保有株式の全部処分に向けた取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

遠藤(良)委員 今回、特別準備金のところが四千億円というところなんですけれども、商工中金の利益準備金は二千億円を超えて二〇〇九年の三倍になっているんだと。これは、民間金融機関との公正な競争条件から、早めに国庫に返納すべきだというところなんですけれども、商工債による資金調達も、今、現状、六七%から三六%、自己資本比率も一二・八というところで、財政基盤が強化されつつあると思います。

 今、大まかな目安として、財務の健全性を維持しながら、いつ頃までにどの程度、この特別準備金と言われる四千億円を国庫に返納するのか、その辺りをお尋ねしたいと思います。

関根参考人 お答えいたします。

 まず、特別準備金は、中小企業に対する円滑で継続的な金融機能の発揮のために二〇〇七年の商工中金法制定時に措置され、当時、この経済産業委員会でも、商工組合中央金庫の完全民営化後においても、中小企業向け金融機能の役割が確実に果たされるよう、財務基盤が十分に確保されるまでの間特別準備金を有効に活用との附帯決議がございます。

 現在でも、例えばスタートアップや再生企業支援など、リスクの高い分野に積極的に取り組んでいるところでありますが、今後も、まずは中小企業のためにしっかりと活用してまいる所存でございます。

 その上で、具体的な時期を申し上げることはできませんが、法律の規定にのっとって、自己資本の充実の状況その他財務内容の健全性が向上し、その健全性が確保されるに至ったと認める場合に株主総会に諮り、返納の適否を検討していくものと承知してございます。

遠藤(良)委員 あと一つ、確かに、危機対応という意味では必要なところはあると思いますけれども、この危機対応準備金、これが、二百億円を国庫に返納した、現在千三百億円程度あるんだというところで、実際、この危機対応準備金が、先ほどお話ししたみたいな形で財政基盤が十分に確保されれば、国庫にこれも返納することになっていると思います。

 目安として、危機対応準備金、国庫に返納する見通しがあるのかどうか、その辺りをお尋ねしたいと思います。

関根参考人 お答えします。

 危機対応準備金は、リーマン・ショック時に、危機対応業務の円滑な実施のために必要な商工中金の財政基盤の確保に資するものとして措置されたものと承知しております。その返納は、具体的な時期を申し上げることはできませんが、法律の規定にのっとり、危機対応業務の円滑な実施のために必要な財政基盤が十分に確保されるに至ったと商工中金が判断できる場合に、返納を検討してまいる所存でございます。

 現在のところ、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者からの資金繰り相談に適切に応じた結果、危機対応業務の残高がボトムの約六千六百億円から二〇二三年三月時点では約二兆三千億円へと大きく増加していることから、現在の危機対応準備金残高千二百九十五億円は必要と認識しております。

 その後の融資先の信用悪化影響やプロパー融資への借換えによる信用リスク増加等の状況を長期的に見極め、その必要性を判断していくものと考えてございます。

遠藤(良)委員 少し質問を飛ばさせていただいて。

 この商工中金法を廃止して完全民営化を目指す方向性だということなんですけれども、実際、完全民営化においては、危機管理対応は商工中金を含めて民間企業が担うことになると思います。

 中小企業向けの危機対応融資を担う民間の金融機関が、実際、危機時の役割を本当に補完し切れるのかという懸念の声もあると思いますけれども、民間金融機関に危機対応業務を行いやすいような制度整備をしていく、この辺りのところ、どのような対応をされていくのか、お尋ねしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の危機対応業務、これは金融機関が手を挙げて指定金融機関になるという制度でございますけれども、現在、中小企業向けということであれば、商工中金のみがこの指定金融機関を担っているわけでございます。

 商工中金等に限らず、民間金融機関が参入して危機対応業務を担うことが期待されているところでございますが、全国の地方銀行協会等から、参入に当たっては、日本公庫への報告やシステム対応などが負担が大きいとの意見が出されているところでございます。

 このため、制度を所管する財務省とも連携し、二〇二二年には、厳格な債権回収義務を課している危機対応融資について、融資先が事業実態を喪失しているなど、明らかに回収の見込みがない場合には債権回収努力義務を解除するでありますとか、それから、債務者に三か月以上の延滞が発生した場合などにおける日本公庫への報告頻度を直ちにから週単位での報告に見直したことによる報告負担の軽減、こういった運用改善を実施してきたところでございます。

 また、危機対応業務のシステムに関しては、融資の要件確認や、主務官庁と公庫への報告のための実績管理などを行う、こういったシステムを構築するための負担が課題であるという意見もございます。

 そこで、システム面で民間金融機関の参入を促す取組を今後検討していきたいと思います。例えば、本法案が施行されますと、業務範囲の見直しによって商工中金はシステムを販売することも可能となりますので、商工中金が保有する危機対応業務のシステムを他の金融機関に提供することも選択肢の一つと考えてございます。

 引き続き、民間金融機関が指定金融機関に参入しやすい環境整備に取り組んでまいりたいと存じます。

遠藤(良)委員 最後、大臣、この民営化のところ、どのような意気込みでしていくのかをお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 今回、法改正をさせていただきますけれども、その後も将来的に完全民営化を目指すという方向、方針は変わっておりません。

 今回のこの改正を機にしてビジネスモデルをしっかり確立をしていってもらうということ、その観点からは、先ほど来申し上げていますように、全国にネットワークがありますし、再生支援などを行ってきたノウハウがありますので、各地の地銀、営業人員も多く、支店の数も多く、地域密着型でやっている、そういう地銀とのすみ分け、かつ、連携をしてビジネスモデルを確立していってもらうという中で、将来、完全民営化に向けて歩んでいっていただきたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 大臣、大事な答弁、ありがとうございました。

 時間になりましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 お疲れさまです。国民民主党の鈴木義弘です。

 なかなか、商売をやる方からすると、お金を借りて設備投資したり運転資金に回したりするんですけれども、私のところもお金を貸してもらって設備資金に使ったり運転資金にしたりするんですが、昔、祖父が元気な頃よく言っていたんですが、何か借金して、仕事で、商売に使うといったときに、半分ためてからやれ、こういうふうによく言われました。一千万借りるといえば、五百万種銭をつくって五百万を借りれば楽に返済できるんだ、それがやはり商売の鉄則なのかなとたまに思うときがあります。いろいろなパターンがありますので、一概にどれがいいということはないんでしょうけれども、全部借金で、資金が回らなくなったからまた貸してくれというのは、商売をやる側からすれば、やはり多少種銭をためる。個人でためるのか、法人なり事業所でためるのかは別にして。

 やはりそういうことを日々考えながら、資金繰りを何とか楽にしていかなくちゃなという中で、最近の、うちの出入りしている都市銀行だとか地銀さんなんかはほとんど営業に来ません。何で来ないんだとうちの資金担当の部長に言ったら、結局、金利が安過ぎちゃって、例えば一億借りても百万円しか利息がつかないんだそうです。だから、積極的にお金を貸し出すように営業をかけるかといったら、そこに労力を使ってコストをかけても幅が小さいものですから、違うところでもうけた方がいいんじゃないかというのが、ここ何年かの私は風潮かなと。逆に、信用金庫さんとか信用組合さんの方が一生懸命営業に来て、何かあったら借りてくれ借りてくれ、こういう話になります。

 だから、商工中金の、これから法律の改正以降、どっちの方向へ向いていくのかというのは、これはなかなか、社長一人の判断だけじゃなくて、どうしても、認可をしている経産省、経産大臣の考え方いかんによって方向が私は変わっていくんじゃないかというふうに思っております。

 まず一番目の質問は、インターネットの検索で、商工中金と入れて検索と入れると、いろいろな記事がばらばらばらっと出てくるんですね。その中で、商工中金を取り上げた資金繰り等のホームページのサイトに、商工中金の不正融資事件の記事を載せて、ビジネスローンイコール借金ですが、ファクタリングは借金ではありません、あなたの会社に売り掛け債権があれば、その債権を買い取ってもらうことですぐに現金ができるのがファクタリングですという記事が記載されている。これもビジネスだからどうこう言えないんでしょうけれども、昨日もレクに来られたときに、動産と同じ扱いになれば、質権設定じゃないけれども、そういうことも売り掛け債権に関してはできるんだと思うんですね。キャッシュフローがきつくなれば、明日にでもキャッシュが必要なのは理解ができます。そういう、いかにもお金を出しますよというようなホームページのサイトなんです。

 ファクタリングは融資の貸金業法には該当しないと聞くんですけれども、割引という言い方がいいのか分かりません、買い取る債権のときに、一千万だったら何%とか、最低があるのか上限があるのか、それはその会社さんによって、あとはその債権が大手さんの債権なのか、中小零細、個人の債権なのかで、買い取る側の、ファクタリングをやる会社自体もやはりある程度ランキング分けしているんじゃないかと思うんですけれども、その辺について、まず初めにお尋ねしたいと思います。

尾崎政府参考人 お答えいたします。

 ファクタリング自体は、それが適正に行われているという場合には貸付けに当たらず、金融庁の方で規制しているというわけではございませんけれども、先生がおっしゃるように、適正に譲渡がされていれば、売り掛け先の信用ということが重要になってくるので、当然そちらの方を審査した上で手数料を設定しているというふうに考えております。

鈴木(義)委員 要するに、手数料の上限を決めているのかということなんです。

 過去に経産委員会で割賦販売法の改正のときに質問に立ったんですが、そのときも、カード会社さんは上限設定していないんですよね。何でといったら、貸金業法じゃないからだと。だから、あるカード会社さんは一パー、二パーしか手数料を取らないのに、ある会社さんは六パーも七パーも取る。これはきちっとルール化した方がいいんじゃないのと。

 ファクタリングも同じです。今は余り騒がれていないだけの話で、結局、債権を買い取ってといったとき、上限がなければ、極端な言い方、五〇パー取ったって、別に今、何の法にも触れていない。世間を騒がすようになると、じゃ、法律を作って規制をかけましょうかと。それじゃ遅いんだと思うんですよね。

 その辺について検討することがあるのか、上限設定する考えがあるのか、お尋ねしたいと思います。

尾崎政府参考人 失礼いたしました。

 お答え申し上げます。

 売り掛け債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取る、いわゆるファクタリングが適正に行われている場合には、原則として金銭の貸付けには当たらず、金利の上限に関する規制は適用されないというふうになっております。

 ファクタリングが適正に行われている場合には、売り掛け債権を売却する事業者にとっては、資金調達の一つの手段になっているという面もあると認識しております。

 悪質なファクタリング業者の中には、捜査当局に摘発されたような事例もあるというふうに承知しておりますけれども、更にファクタリングに対して法整備を行うということが必要かどうかについては、幅広い観点から慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

 もっとも、ファクタリングを装って違法な貸付けを行うという業者が存在するということは我々も承知しておりまして、金融庁では、これまでも、ホームページやSNSなどを通じて代表的な手口等について注意喚起を行っているほか、貸金業登録を受けない者に関する情報を得た場合には、捜査当局と連携しつつ、実態把握や警告を行っているということでございます。

 いずれにしても、金融庁としては、ファクタリングを装って違法な貸付けを行う業者に対しては、引き続き捜査当局等と緊密に連携しつつ、まずは貸金業法の適切な運用を通じて厳正に対処していきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 御答弁いただいたんですけれども、ここまでは貸金業法だけれども、ここからこっち側にある場合は、これは適正じゃないけれどもグレーゾーンだよね。法律がないんだから、処罰の対象といったって、行政指導はできたとしても、協力してくださいね、何やってくださいねと言うことはできても、はい、分かりましたと言う人はそういう仕事はしませんよ。それが世の中ですよ。

 だって、お金を貸して、割り引いて、その債権を自分で現金化することはなく、また違う業者に債権を流せばいいんだから。二社、三社行って、また元に戻るかもしれないし。だから、そういうことを想定した中でやはり体制をつくらないと私は駄目だと思いますので、これは財金での質問じゃないので、ここで終わりにします。

 次に、商工中金でいえば、LCR、流動性カバレッジ比率は、国債、地方債の割合が二〇二二年三月末時点で八一・六%と、適格流動資産を、危機時に強く、当面の間、業務運営に必要なボリュームを十分に確保している状態というふうに聞くんです。

 私、そもそもなんですけれども、日本国債はそんなに安全なのかということなんです。日本の国会議員の一人で国債は大丈夫かって不思議に思うかもしれませんけれども、私は、一千兆円以上の国債を発行している中で、いつ暴落してもおかしくないんじゃないかというふうに思う一人なんですね。

 いや、そんなことはないよと大概の人は言います。でも、日銀の金庫に約六百兆近い国債が保管されているわけですね、民間を経由して。市場に出回る国債の量が、極端に一時期よりも、アベノミクス以来すごく少なくなった。そうなってくると、結局、玉がないものですから、売ったり買ったりしたときに乱高下すると言われています。私は金融の商売をやってきた人間じゃないから、そこのところはよく分かりませんけれども。

 有価証券投資の構成のままで、前段で申し上げました八一・六%の状態のままで今後いいのか、リスク分散をしなくていいのかという考え方です。これは商工中金の社長でよろしいですか。

関根参考人 お答えします。

 まず、御指摘のように、日本国債の価格が大きく変動するということは想定し得る事態だというふうに思っています。私どもとしても注視が必要と認識しております。もっとも、足下では、日本国債の価格の変動幅は、米国債と比べては大きくなっているわけではないというふうに認識しております。

 また、日本国債の格付は国内最高水準でありまして、流通量も国内最大、日銀への担保の差し入れ、これも容易であるなど、流動性が極めて高く、様々な資産の中でも有力な運用の手段であるということも間違いございません。

 もちろん、御指摘のとおり、特定の資産への過度な偏重はかえってリスクを高める面もあるため、引き続き国債等を中心としつつも、環境変化に強いポートフォリオを構築すべく、資産の多様化、分散化を意識した運営をしていきたいと存じます。

鈴木(義)委員 一般の企業でも、不動産を持てとよく言われるんです。不動産を持って、事業用物件であれば倉庫がいいのかテナントビルがいいのか分かりませんけれども、賃料収入をもらえるような状態をつくっていった方が財務内容はよくなるんです。

 だから、国債で持っていれば安心なんだというんじゃなくて、金を買ったっていいだろうし、現物を持つということが大事だと思うんです。紙に書いてあるのは上がったり下がったりするということです。だから、そういうことも、財務内容を強化していくという考え方でいくんだったら、民間に近いような発想で、やはり自分で財産を持つということが必要じゃないかと思います。

 次に、前任の方も御質問されたと思うんですけれども、例えば、危機対応準備金というのが二〇〇九年の法改正で設けられた制度で、二〇〇九年の補正予算で一千五百億円の政府支出で、二千八億返していますよということなんですけれども、またもしかしたらコロナと同じような状況が、五年先なのか十年先なのか、例えば、東京直下型地震が三十年以内に六〇%、七〇%起こる確率がというのがもう十年前に言われているわけです。そうすると、二十年以内に高い確率で直下型の地震が起きるんじゃないか、これも危機対応になっていかざるを得ないと思うんですね。そのときに、なるべくだったら返すものだけ返しちゃって、またそのときの政治判断で、千五百億じゃなくて二千億でも三千億でも入れてどんどん貸した方がいいというふうな政治判断になるかもしれないんですけれども、やはり財務内容を強化させるのと軽くさせるというのが私は大事なんじゃないかというふうに思うんです。

 それともう一つ、二〇二三年の三月末まで四千八百億円もある特別準備金、これは五年も十年もほとんど変わっていないんですね。じゃ、これは何のために、四千八億円、ずっと手つかずで残すのかということなんです。

 今申し上げましたように、危機管理対応というのは、いつどうなるかというのは何とも、誰も予測できないと思うんです。だから、逆に、財務内容を強化するなり、ちょっと身軽にしておいた方が動きやすいんじゃないかという考え方なんですけれども、それについて、これは政府参考人でいいんですかね。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 特別準備金と危機対応準備金の二つについて、お尋ねがございました。

 まず、特別準備金でございますが、四千八億、今ございますが、二〇〇八年の商工中金の株式会社化の際に、商工中金が中小企業に対する円滑な金融機能を継続的に実現できるよう、強固な財政基盤を確保するためということで、当時の政府出資約三千億円及びその出資金由来の利益剰余金約一千億円を準備金に振り替える形で措置されたものでございます。

 今回の改正法案では、商工中金による事業再生支援などのリスクが高い事業の実施を担保するため、特別準備金の制度は存置させていただいており、民間金融機関とのイコールフッティングの観点も踏まえ、改正法案では、危機対応準備金と同様に、一定の条件の下で商工中金自身の判断により返納を行うこととさせていただいております。

 また、危機対応準備金ということでございますが、これは、リーマン・ショックの際の危機対応融資の残高の減少度合いを加味をして、過去に一部返納し、現在、準備金額は一千二百九十五億円でございます。

 これも先ほど関根社長からも御答弁がありましたけれども、足下、二〇二三年三月末時点でコロナ関連の危機対応融資の残高が二・三兆円ございまして、このうち約四割の事業者が据置期間中であるということでございます。それから、商工中金のプロパー融資と比較しても、危機対応融資の不良債権比率は高い、危機対応は大体三・八七%のところ、プロパーで二・一二%、こんな数字もございます。こういった状況も踏まえつつ、商工中金において返納の可否を判断することとなってございます。

 いずれにせよ、政府としては、新型コロナで再度、危機対応業務を発動した際は、危機対応のための予算措置というのも行っておりまして、令和二年度二次補正で三千九百八十七億円、一度措置をしております。結果的には、これは使わないで済んだ、出資はしなかったということでございますが、今回の改革後も、商工中金が危機対応業務を的確に実施できるよう、危機対応準備金による対応も含めて努めてまいりたいと考えてございます。

 なお、両準備金の額の見通しやその根拠につきましては、毎年度、主務大臣に報告を受けることになってございますので、政府としても、商工中金の事業を随時検証していきたいと考えてございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 もう一つお尋ねしたいんですけれども、剰余金の分配ですね。職員の人がいろいろ努力したり、役員も知恵を絞ったりされるんですけれども、二〇二二年度三月末の時点で四十四・九億円、剰余金を配当しているんですね。これを前年も、ずっと何年か前を追っかけていっても、大体四十五億円出しているんです。

 これは何か基準があるのかなと思うんですね。毎回毎回、同じような配当を出す。もうかったらたくさん出せばいいし、もうからなかったら下げればいいだけの話で、私はそう個人的には思うんですけれども。ここの、何か内規じゃないけれども、このぐらい出さなくちゃいけないというものが、ずっと関根社長の前から同じような申し送りでやってきたのか、そこのところ、あれば教えてもらいたいと思います。

関根参考人 お答えいたします。

 まず、当金庫の民間株主は、株主であると同時に取引先でもございます。当金庫に対する期待は、中小企業の金融円滑化機能の発揮にあると認識しております。加えて、配当につきましては、株主組合の重要な財政基盤となっていることもありまして、業績連動ではなく安定配当への期待が大きいものと承知しておりまして、基本的には安定配当を続けていくということでございます。

鈴木(義)委員 安定配当というんだったら、じゃ、例えば、通常、今期は利益が出そうだなと思ったときに、三月前に、決算前に決算賞与を出せるんですよね、それは損金で落とせますから。そうすると、やはり職員のやる気にもなっていくんじゃないかと思うんですよ。だから、そこのところがやはり、民間から商工中金へお越しいただいて、そのところが釈迦に説法になるような言い方なんですけれども、やはり臨時にボーナスをもらうと喜ぶものなんだそうです。私、もらったことないんですけれどもね。だから、そこのところが大事なことだと思います。

 それに基づいて、不正事件が発覚してから人事制度の見直しを行ったと聞くんですね。ペーパーもいただきました。二〇二二年三月末の決算資料を見ると、給与手当で三百四十一億八百万、二〇二一年末で三百六十八億、二〇二〇年で三百七十三億円、二〇一九年度で三百七十九億、二〇一八年で三百八十一億、二〇一七年で三百八十八億、毎年毎年、給与手当が減っているんですね。減らしていくというのはいろいろ事情があるんだと思うんですけれども、利益が出そうなときは、再度同じ話になっちゃうんですけれども、やはりボーナスを出して、やる気を出すとかというふうな形を私は取っていった方がいいんじゃないかと思うんですね。

 今まで、人数が減れば全体の量が減るというのは、これは分かるんですけれども、一人当たりの受取額というのを、例えば二千人いたときの幾ら、一人当たりにしてですね、それが千五百人になったんだけれども一人当たりの人件費に係る部分は下げていないよ、逆に上がっているよということであれば、それを端的に御返答いただきたいと思います。

関根参考人 お答えします。

 まず、職員の平均給与月額について、二〇一七年度、一月当たり約四十六万三千円だったのに対しまして、二一年度は四十四万六千円、マイナスの一万七千円となってございます。これは、この改革期間において職員の平均年齢が若くなり、平均勤続年数が短くなったことが要因でございまして、一人当たりの人件費を下げたということではございません。

鈴木(義)委員 勤続年数の長い人が退職されれば、その分、全体は圧縮されるので。

 だから、先ほどからくどいように申し上げていますように、次に同じことをお尋ねするんですけれども、今申し上げましたように、人事制度の見直しをされているわけですね。今後、民間に移行していく。今政府が持っている株をどんどん放出していって、一〇〇%、政府が基本的に関与しないような形になっていったときに、やはり、人事評価制度を確立して、職員の能力を最大限発揮できる職場環境を整備する。これは、私が言っているんじゃなくて、経産省の方で出てきたペーパーにそう書いてあるんです。職員の働きがいと生産性を向上させることを表明しているんですけれども、どう見ても、その資料を見る限りは、給与や賞与に反映させる仕組みになっていないんじゃないかと思うんです。書いてないんですよ、人事考課は、人事評価制度は今までと違うやり方をしますと。

 やった結果として、ボーナスを増やすのか、給料を上げてあげるのか、そういったことをきちっと評価として実利を出してあげないと、一生懸命知恵を出すとか汗をかくということをしなくなっちゃうんじゃないかと思うんですが、その辺のお考えをちょっとお示しいただきたいんです。

関根参考人 お答えします。

 まず、職員賞与ですけれども、賞与につきましては、職員組合と協議をしつつ、毎年きちんと支給を行っております。二〇二二年度の賞与は、職員への還元の観点から、前年度の総資金量を超える水準を支給するとともに、成果に適切に報いる観点からめり張りある支給体系に移行しております。

 今後も、当金庫の業務運営の結果として生み出された収益、成果については、従業員への還元、それから、先ほどございましたけれども、株主還元も含めて、多様なステークホルダーに対して納得ある配分を行ってまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。社員のやる気を出すような制度を是非つくってもらいたいなと思います。

 次の質問なんですけれども、商工中金の金利は申込企業によって変動するため、基本は公表しない、商工中金のホームページでそう書いてあるんですね。完全民営化に向けて、このやり方を今後も続けていこうとするのか。

 日本はもう人口減少社会に入ってきているということになれば、事業者数も減少していくというのは、長期的に見れば減っていくのは、廃業したり、MアンドAして統合したりするんですけれども、そうなってくると、地域の金融機関と競合する厳しさが増すのは誰もが予想できると思うんです。その中で生き残っていかなくちゃいけないのに、協業化を否定するものではないんですけれども、他の金融機関が手を出さない案件ばかり融資すれば、不良債権比率が、これは二〇二二年三月末時点で二・五四%というふうに資料をもらっています。大規模地銀の平均一・三八より高い状況が更に高まるんですね。だって、リスクを取れと言っているんだから、民間が貸さないところの融資を商工中金でやれと言っているんだから、リスクは高くなりますよね。不良債権化することもあるわけじゃないですか。じゃないと民業圧迫だと。いや、民間がリスクを取ってくれれば、商工中金も民間と同じような経営の仕方ができると思うんですよ。だから、政府から一千五百億円入れて危機対応に金を出してやれ、こういうふうになるわけじゃないですか。そこのところのやはり考え方というよりバランスが難しいと思うんですね。

 さっきもお尋ねした、余剰金の配当を大体何年もずっと固定している、業績が上がろうが下がろうが配当は一定の方がいいんだと。中小組合だとかいろいろな、九十何年前にできたときの起こりの話も聞きました。でも、じゃ、そのために、財務内容を強化できないとか、職員にやる気を出すためのボーナスを出せないとか、配当が固定化することによって結局それができないのか、できるのかというところになっちゃうと思うんです。あるときはたくさん出したっていいけれども、うまくいかないときは下げたっていいんじゃないかというのが、私は民間の商売だと思うんですね。

 だから、そこのどこでバランスを取るのか。あらかじめリスク管理をするのであれば、どのような対策を講じてそのバランスを取ろうとするのか、もしお答えできるところ、これは大臣ですかね。

西村(康)国務大臣 関根社長からお答えいただいた方がいい部分もあるかもしれませんが、私から先にお答え申し上げますと、商工中金のプロパー融資の金利は、これは申込企業の経営状況、業況によって変動するということでありますから、個別に何か公表しているわけではないと承知をしています。民間金融機関とここは同様に、事業者には支店窓口に相談していただく運用ということになっております。

 なお、公表はしていないんですけれども、商工中金のプロパー融資の平均金利については、例えば長期金利について、地方銀行平均の〇・八%を上回る一%となっているということで、おっしゃるように、リスクの高いところをやれば当然高めに出るということだと思いますが、業況の厳しい先であっても、適正な金利を設定することで、経営支援と組み合わせた長期融資、五年超の融資が約半分あると聞いておりますが、積極的に実施をしているためと聞いております。

 政府の立場で申し上げれば、今後も、民業圧迫回避規定それから連携、協業規定、これがありますので、それを実効性を確保をしていくためにも、こうした平均貸出金利の状況などの公表は求めていきたいというふうに考えております。

 私から取りあえず以上申し上げて、必要があれば関根社長からお聞きいただくのがいいんじゃないかと思います。

鈴木(義)委員 大臣にお聞きしたかったのは、リスクを取れ、財務内容をよくしろ、民業圧迫にならないようにやる、じゃ、どこでバランスを取るのかというところをお尋ねしたかった。これを社長にお尋ねするのは、リスクを取りたくないので、正直な話、民間の金融機関からお見えになっていればなおさらだと思うんです。

 ちょっと飛ばして、同じような内容なんです。

 第一地銀協の資料では、政府系金融機関の役割として、民間で対応可能なものは民間に任せ、民間だけでは困難な案件に限定、創業期や再生期などにおける高リスク案件において、民間金融機関と協調、連携して対応すべきというふうに、第一地銀協がこういう資料で出しているんですね。私たちはリスクを取りたくないんですよ、それは商工中金さんでやってくださいよといったら、私はたまったもんじゃないと思うんですけれども。ちょっと少々都合がいい話に聞こえるんじゃないかとコメントが添えられていました。

 だから、これは商工中金の在り方にも問われてくることだと思いますので、その辺を、大臣、今のお考えで結構ですから、どう捉えているのか、お尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 おっしゃるとおり、ビジネスモデルを確立していく、商工中金がしていくことはなかなか難しい面があるというふうには認識をしております。

 ただ、リーマン・ショック以降も全国の再生案件を手がけてきた、関与してきた、再生支援人材を維持、育成してきた、ノウハウも有しているという中、また、全国各都道府県に店舗があって全国ネットワークがあるという、こうした特徴を持っております。

 こうしたことを強み、特徴として、今後、政府保有株式を全部処分していくわけですが、その中で、意識改革を通じて職員が更に一歩踏み込んで、いわば政府をバックとしたというのはなくなるわけでありますので、自立をしていく中で中小企業に対しても一歩踏み込んだ支援をやっていく、そうしたことを期待をしたいと思いますし、この商工中金の事業再生のノウハウも一日も早く広く活用していくために、再生企業への出資機能など、業務範囲の制約も見直すことにしております。

 他方、地域におけるネットワークあるいは密着型支援については地域のそれぞれの地域金融機関が強みがあるわけですので、この両者が、強み、特徴が異なりますから、商工中金と地域の金融機関が連携、協業を進めることによって、更に地域の中小企業、地域経済を支えていただく、そうした取組を進めていただきたいということで、申し上げたいのは、地域金融機関とは差別化された違うビジネスモデルを、全国のネットワークとこれまでのノウハウ、これを生かしてビジネスモデルを確立していただきたいということであります。

 御指摘のように、リスクの高いところもやっていくとすれば、政府保有株式を処分した後も、こうしたリスクの高い事業にもしっかりとやっていただくという観点から、特別準備金制度は存置をしていくということであります。

 リスクの高い事業にも積極的に取り組んでいただきながら、その商工中金のビジネスモデルなどの事業の状況を随時検証しながら、将来の完全民営化に向けて取り組んでいただきたいというふうに考えているところです。

鈴木(義)委員 リスクと一言で言ってしまったら終わりなんですけれども。売り掛け債権があって回収できないというリスクなのか、元々長年そこで商売をやっていたけれども、そこの地域が高齢化してしまってお店に来てくれないというのは、百キロも離れたところからそこのお店に来るということは考えられないわけですね。そうすると、潜在的なリスクが高まっちゃっているという地域に幾ら融資をつぎ込んでも、それは持ち直せないですよ。だって、高齢者の人しか住んでいない地域が幾つも出てきちゃっている、そういう地域特性も出ちゃっていて。

 一概にリスク、高いリスクを取ればいいんだというだけで話を終わらせるんじゃなくて、リスクにもレベルワンとかツーとかスリーとかフォーとかファイブぐらいなもので、やはりちょっと見える化していく中で、どこのレベルまでだったら取れるのか取れないのか。全部ひっくるめてリスクということじゃなくて。やはり地域もあるし、年齢差もあるし。中小企業の中でも、元気のいい中小企業が多く集まっているところは、リスクが高くたって、どんどん融資すればリターンが来ますよ。でも、ちょっともうくたびれちゃっていて、高齢者の社長が従業員何人かでやっていて、後継者がいないといえば、それはこの先なかなか、リスクになっていくと思うんですよね。そこをやはり内部できちっとランキングするというのは、私は必要なのかなというふうに思います。

 それともう一点、ちょっと通告にないんですけれども、商工中金というのは、外国人の方が中小企業を設立したところも融資の対象になるんですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 商工中金の融資の対象は組合若しくは組合の構成員ということでございますので、外国企業の方が日本で法人をつくられて、それがその組合に入られてという形であれば、これは融資の対象になり得るということでございます。

鈴木(義)委員 これから気をつけなくちゃいけないのは、日本人は人がいいから、性善説でいろいろなことをやろうとすると思うんですね。でも、ちょっとひっかけてやろうかという人は、法人をつくって、組合なら組合の会員になって、お金を引っ張るだけ引っ張って、一、二年でドロンしちゃう、そういうこともある話は聞きます。何年か自国に帰って、また何年かして結局また戻ってきて、違う会社を設立してまた商売を始める。そういうことが、最初からそれを目的にやられちゃうと、日本人は誰でも助けなくちゃということでがっと構えるんですけれども、それで融資をどんどんどんどんしてしまったら、不良債権の比率がどんどん上がっちゃうんじゃないか。

 だから、先ほどからくどいようですけれども、リスクのレベルをちゃんと酌み上げするのと、不良債権の中身もきちっと精査していって、こういう案件だから取れなかったとか、そこと連動するような資料箋もやはり作って情報公開していくことが、経営の透明化が図られるんじゃないかというふうに思います。

 時間が来たので、終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、信用保険法改定案について質問いたします。

 信用保証制度の二〇二一年度末の利用者は百五十八万者、中小企業全体の四割強と、特に、小規模事業者は百三十三万者、利用者数の八割を占めております。小規模事業者にとって命綱の役割を果たしてきた。

 二〇〇七年から、責任共有制度、部分保証が導入をされて、当初は一般保証を対象に保証割合が八割に引き下げられました。

 二〇一五年の信用保険法改正で、小規模事業者を対象とした特別小口保証にも、全額保証の条文上の担保をなくして、部分保証が可能な条文に改悪をされました。当時、宮沢経済産業大臣は、引き続き一〇〇%保証として運用していく、重い答弁をさせていただいたと思っております、こう答弁で約束をされました。

 そこで、西村大臣に伺います。

 特別小口保証を全額保証で運用するとした当時の宮沢大臣の約束、これは大臣も守られるということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 お尋ねの特別小口保険であります。

 物的、人的担保の提供が困難な小規模な事業者、小規模企業者の方々に対しまして、資金の融通の円滑化を図ることを目的とした制度であります。無担保、無保証人で信用保証付融資を利用することが可能ということであります。

 現在、NPO法人を除いて一〇〇%保証となっておりますこの特別小口保険については、引き続き、一〇〇%保証を維持していくということで、資金に乏しい小規模事業者の資金繰りをしっかりと支えていきたいと考えております。

笠井委員 もう一点、確認したいと思います。

 二〇一七年に、業況が悪化している業種を対象にしたセーフティーネット保証五号を、一〇〇%保証から八〇%保証に引き下げてしまいました。

 大臣、五号以外のセーフティーネット保証に部分保証を導入するということはないですよね。

西村(康)国務大臣 セーフティーネット保証におきましては、御指摘の、全国的に業況の悪化している業種について発動する五号以外にも、金融機関の経営の合理化に伴う信用収縮の発生時に発動する七号、RCC、整理回収機構へ貸付債権が譲渡された中小企業者の再生を支援するために発動する八号については八〇%保証、いわゆる責任共有制度が導入されているところであります。

 感染症あるいは地震などの突発的災害が発生した際に発動するセーフティーネット保証四号など、現在一〇〇%保証となっておりますセーフティーネット保証につきましては、引き続き一〇〇%保証を維持する方針であります。

笠井委員 本来は一〇〇%保証ですので、部分保証を拡大すべきではないと思います。

 次に、危機関連保証について伺いますが、これは、二〇一七年の改正で導入をして、原則一年、最大二年とされたものであります。当時、世耕経済産業大臣は、全国の影響が二年を超えてということはなかなか想定できない、こうされていました。コロナ禍で初めて発動されたわけですが、これはどういう適用期間だったでしょうか。

角野政府参考人 お答えいたします。

 危機関連保証は、例えば、リーマン・ショックと同程度に資金繰りDI等の指標が短期かつ急速に低下しているなど、著しい信用収縮が全国レベルで生じる場合に発動する、一〇〇%の信用保証制度であります。

 その発動期間は、リーマン・ショック等の過去の危機を分析しても、信用収縮は基本的に一年程度で発生する前の水準まで戻っていることを踏まえまして、御指摘のとおり、原則一年以内としております。

 他方、危機によっては一年で収束しない場合もあり得ることから、経済産業大臣が認める場合には、更に一年の延長を可能としているところでございます。

 お尋ねの点でございます。

 今般のコロナ禍において、二〇二〇年二月に、制度創設以降初めて発動したものでありまして、二度にわたり延長を行い、資金繰りDIの改善状況や危機関連保証の利用状況を踏まえまして、二〇二〇年二月から二〇二一年十二月、二十三か月にわたる指定期間を終了したところでございます。

笠井委員 二十三か月、一年十一か月ということでありますが、二〇二一年十二月三十一日にこれは解除されたということで今言われましたけれども、その後、コロナ感染で緊急事態とか蔓延防止等の重点措置の指定というのはなかったんですか。

角野政府参考人 はい、そのとおりでございます。

笠井委員 緊急事態とかあるいは蔓延防止等の重点措置の指定というのが、その後、二〇一一年の十二月三十一日以降なかったかどうか、そういう措置が。

角野政府参考人 緊急事態の宣言、その措置はございました。

笠井委員 どれぐらいの期間だったんですか。

竹内委員長 角野長官、ちゃんと質問の意味をよく捉えて、落ち着いて答えてください。大丈夫ですか、質問の意味。

角野政府参考人 緊急事態宣言の期間ということでございましょうか。失礼いたしました。今、ちょっと手元にございません。

笠井委員 二〇二一年十二月三十一日で、先ほど、一年十一か月で切れた、解除されたと言って以降、緊急事態宣言とかあるいは蔓延防止等重点措置という指定があったかなかったか、その期間がどれぐらいあったかということを聞いているんです。

竹内委員長 質問の意味、分かりますか。大丈夫。じゃ、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 角野長官。

角野政府参考人 済みません、今、手元にデータがございませんので、また後ほど御説明したいと思います。(発言する者あり)

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 角野長官。

角野政府参考人 緊急事態宣言の最中に、この危機関連保証というものは適用されておりました。

笠井委員 いや、ちょっともう何度言ってもあれなんですけれども、要するに、二〇二一年十二月三十一日に解除された後に、お答えできないんだったらあれですけれども、二〇二二年に、年が明けてからですよ、蔓延防止等重点措置というのが、ここにも一覧がありますけれども、三十六都道府県で一月から三月にかけてあったんです。大臣、よく御存じだと思うんですよ、うなずいていらっしゃいますけれども。(西村(康)国務大臣「もう大臣を辞めていましたから」と呼ぶ)いやいや、そんなことないです。担当されていたから、その前に。

 大臣に伺いますけれども、二年超というのは想定できないというふうに世耕大臣が言われて、今も答弁があったんですけれども、最大二年と言われるけれども、一年十一か月ということで解除した後、なおかつ蔓延防止等重点措置が、全国的にはそういう事態があったわけですから、結局、そういう想定自体が既に崩れているといいますか、やはり危機関連保証の二年上限というのは、これは見直して改正すべきだったんじゃないんですか、今回。

西村(康)国務大臣 お尋ねの危機関連保証でありますけれども、先ほど来御議論がありますように、リーマン・ショックと同程度に資金繰りDIの指標が短期かつ急速に低下している場合など、著しい信用収縮が全国レベルで生じた場合に発動することを想定をして、いわゆる一般保証があって、更にセーフティーネット保証があって、それとは別に、別枠の保証限度を二・八億円措置するものでありますので、いわば三階建ての部分であります一〇〇%保証枠であります。

 コロナ禍で、二〇二〇年二月に、制度創設以来初めて発動したところでありますけれども、今お話がありましたとおり、発動期間は、リーマン・ショックなどにおいても基本的に一年程度で発生前の水準まで戻っていることを踏まえて、原則一年以内、ただし、経済産業大臣が認める場合は更に一年の延長ということで、御指摘のように二年ということになっております。そして、コロナ禍については、今御説明を長官からしましたけれども、二〇二一年十二月に合計二十三か月の指定期間で終了しております。

 なお、指定期間から二年を経過しても災害からの復旧等に引き続き時間を要する地域に対しましては、自然災害等を対象とする一〇〇%保証のセーフティーネット保証四号を通じて支援していくことを想定しております。

 したがいまして、三階建てであるということ、それから、今申し上げた一〇〇%セーフティーネット保証の四号があるということから考えて、私ども、現時点では今のこの対応は適切ではないかと考えているところであります。

笠井委員 今答弁がありましたけれども、実態的には、原則一年だけれども二年でと言っていて、実際にはそれを超えてということがあったわけですよね。

 それで、答弁を大臣がされましたけれども、危機関連保証は三階に当たります。セーフティーネット保証の四号は二階部分であって、これは別物であって、東日本大震災でもコロナ禍でも、僅か一、二年では元の状態に戻っていない。東日本大震災だって緊急保証をやりました。だけれども、それから十二年たった今も、まだ必要だから続いているわけであります。したがって、この現実を踏まえて、期限は撤廃すべきだということを私は強く求めておきたいと思います。

 次に、株式会社商工中金法改定案について質問いたします。

 前回、二〇一五年の改正で、政府保有株式の売却期間というのはどういうふうに規定されているでしょうか。

角野政府参考人 お答えいたします。

 二〇一五年の法改正時には、政府は、当分の間、指定金融機関に係る制度の運用の状況、危機対応準備金に係る株式会社商工組合中央金庫に対する出資の状況、株式会社商工組合中央金庫による危機対応業務の実施の状況、株式会社商工組合中央金庫の財政基盤、株主となる中小企業団体及びその構成員の資金の余力、社会経済情勢の変化等を勘案し、株式会社商工組合中央金庫が危機対応業務を的確に実施するために必要な株式を保有していなければならないと規定しておりました。

笠井委員 大臣に伺います。

 株式会社商工中金法制定時とその後の二回、二〇〇九年と一一年の改正では、いずれも五年から七年を目途とするとしていたのが、今答弁がありましたけれども、二〇一五年の改正時には、当分の間という形で、明確な期限を区切らなかったという理由は何でしょうか。

西村(康)国務大臣 二〇一五年の法改正当時は、民間金融機関が指定金融機関に参入しておらず、商工中金が危機対応業務を担うということが必要である中で、当時の商工中金の財務状況などを踏まえますと、危機対応業務の的確な実施のためには、政府の株式保有による信用力向上を通じた安定的な資金調達が必要であったということから、株主となる中小企業団体及びその構成員の資金の余力も踏まえて、政府が引き続き必要な株式を保有することとしたわけであります。

 その際、こうした状況が解消される具体的な期限を設定することが困難であったということから、政府が株式を保有する期間を当分の間という形で規定したところであります。

笠井委員 まさに、期限を設定することが困難であったと言われたところが、当時、宮沢大臣自身が、民間金融機関が危機対応業務ができるめどが立たないために困難であると言われたということだと思うんですが、じゃ、危機対応業務への民間金融機関の参入の実績というのはあるんでしょうか。

角野政府参考人 お答えいたします。

 危機対応業務は、リーマン・ショックやコロナのような内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害等に対応するため、指定を受けた金融機関が事業者に対する必要な資金の貸付けを行うものでございます。

 民間金融機関の危機対応業務への参入については、これまでも個別に問合せを受けたことはございますが、現在、中小企業向けでは、商工中金のみが危機対応業務を行う指定金融機関となってございます。

 ただ、商工中金に限らず、民間金融機関が指定金融機関に参入し、危機対応業務を担うことが期待されておりますところ、全国地方銀行協会等から課題として上がっております報告負担の軽減、こういったものに努めているところでございます。

笠井委員 参入実績があるかないかと伺ったので、いろいろ言われるけれども、要するに、ないということですよね。

 じゃ、今後、参入するという確実なめどというのは立っていますか、いろいろな期待はあるにしても。

角野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたように、全国地方銀行協会等から様々な課題について伺っているところでございます。

 報告負担の軽減といった運用改善を実施し、そしてまた、システムについても今後検討していきたいというふうに考えてございます。

笠井委員 ですから、参入するという確実なめどが立っていますかということです。

角野政府参考人 今申し上げたことを含めまして、万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。(笠井委員「ちょっと最後がよく分かりません。めどが立っているかどうかと聞いているんです」と呼ぶ)

竹内委員長 もう一度、分かりやすく。

角野政府参考人 現時点でめどが立っているわけではございませんが、今言ったことを含めて、努めてまいりたいというふうに考えてございます。

笠井委員 めどが立っていないと。

 大臣に伺います。

 今回の、二年以内のできるだけ速やかに完全売却というのは、これはかつてない短期間での売却ということになると思うんです。過去の答弁では、国民共有の財産でもあり、国庫収入という観点から、最大化を図る観点も踏まえるというふうに答弁がありましたが、そのことについては変わらないですね。国庫収入の観点から、最大化を図る観点も踏まえると。

西村(康)国務大臣 改正法案におきましては、「公正な価格及び方法で政府保有株式の処分を行う」と規定されているところであります。政府が保有する商工中金の株式は国民共有の財産でありますので、国庫収入という観点からも、状況を見ながら、その最大化を図るという観点も踏まえて検討していくべきものと考えておりますので、その考えに変わりはございません。

 具体的な売却のスキームなどにつきましては、他の政府保有株主の売却事案と同様に、改正法案の成立をさせていただきましたら、その後、財政制度等審議会国有財産分科会における審議を踏まえて決定されていくことになります。

笠井委員 国庫収入の最大化を図る考え方は変わらないと。

 では、その国庫収入を最大化するための株価水準というのは幾らになりますか。

角野政府参考人 具体的な売却のスキームなどにつきましては、改正法案の成立後、財政制度等審議会国有財産分科会における審議を踏まえて決定されることになるため、現時点で株式の売却価格についてお答えすることはできないと考えてございます。

笠井委員 法律でスキームは決めるけれども、どうなるか分からないと。それでどうやって国庫収入の最大化を図るというふうに言えるんですか。

角野政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますが、現時点で売却価格についてお答えすることはできませんが、そういった視点も含めまして今後検討がなされるというふうに考えております。

笠井委員 そういった視点といっても、大臣御自身が国庫収入の最大化を図るのは変わらないと言っていて、それはどうやってやるかはまだ現時点では分からないと。これは本当にこんなことでいいのかということになります。

 じゃ、どこが引き受けてくれるということになりますか。

角野政府参考人 お答えいたします。

 例えば、足下で財務状況に問題のない商工中金の取引先、利益剰余金を含む自己資本が二〇一五年対比で一・五倍になるなど、取引先の株式購入余力は増加しておりますので、そういったところに対して考えられるところがございます。

 それから、商工中金改革を議論した検討会におきましても、株式の購入意向を表明する経営者もおりましたので、法案が成立しましたら、株主資格を有する者に対しても積極的に情報提供を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

笠井委員 一・五倍というのは、正常先の一部のいいところだけです。私もちゃんと調べてみました。商工中金の貸出先は要注意先が増えているのが現実です。それ以外にいろいろ期待を持てるとかあると言うけれども、当てはないけれども期限はある、二年と。二年で完全売却できる保証というのはあるんですか。

角野政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたように、取引先の株式購入余力は増加していることから、そういったところに対して、それから、実際に購入意向を表明する経営者もおられますので、そういったところも含めております。さらに、全国中小企業団体中央会からは、株主資格を付与してほしい、こういう要望も受けておりますので、こういったところを含めまして、しっかりと処分に向けて努力してまいりたいというふうに考えてございます。

笠井委員 頑張ると言うだけで、正常先にいいところはある、意向の表明はある、中央会なんかもそういうことをやってもいいかなと言っていると。これは完全に売却できる保証なんかないじゃないですか。

 大臣、法律上、二年の期限が来たら政府は株を持てなくなる、今度やれば。それで、結局、期限ありきで、ともかくそうなったらたたき売りでも売却となれば、国民共有の財産を毀損するというおそれにつながるんじゃないかと思うんだけれども。

 さっき大臣御自身が国庫収入最大化と言われたし、まさに国民共有の財産、これは毀損しちゃいけないと思うんだけれども、こういうことでやっていったら、今めどもないわけですよね、それで、二年が来たらもう法律上は持てなくなる、そうしたら、とにかく売らなきゃいけないとなったときには、安くても買ってくれという話になって、国民共有の財産を毀損するおそれにつながるということにならないでしょうか。

西村(康)国務大臣 商工中金の経営の状況を見ますと、二〇一〇年以降着実に利益を上げてきておりまして、関根社長から答弁いただいた方がいいのかもしれませんが、一時期、二〇一八年、二〇一九年には国庫返納も行っているように、着実に経営は安定をしてきております。

 その上で、配当も、先ほど来御議論ありましたけれども、民間にも毎年三円ということで確実に配当を継続して行っている中、先ほど長官から答弁がありましたけれども、商工中金の株を持ちたいという中小企業者、あるいは、全国中小企業団体中央会からも株主の資格を付与してほしいとの要望もございます。

 そうした中で、私どもとしては、具体的には財政制度等審議会国有財産分科会における審議を踏まえて決定されますので、何か予断を持って申し上げにくいんですけれども、今の経営状況、そしてこれまでの配当の状況などからして、あるいはそうした要望などからして、私ども、二年で売却できるということで思っているところであります。

笠井委員 これは、かなりできるとか、先ほど長官がおっしゃったように、頑張るという話しかないわけですよ。経営状況だ、配当だ、持ちたいということや要望もある、しかし、具体的には財政審だということになる。結局、できるのかという、そこがはっきりしていなくて、二年と区切っちゃう。それで今度は、二年たったらもう持てなくなるということになったら、ならば二年などと期限はつけられないんじゃないかということになると思うんです。

 結局、今伺っていても、基本的に二〇一五年当時の答弁と状況は大きく変わっていないのに、なぜ二年以内のできるだけ速やかに完全売却するというふうに今回したんでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、今回の改革の原点は、二〇一六年に不正事案が発覚をして、その後、一七年から五年間かけて、経営改革を進めていくという中で政府内でも議論し、中小企業団体中央会始め中小企業の要望もしっかりと踏まえて改革案を形にしてきたものであります。まさに、民間ゼロゼロ融資の返済が本格化し、今後、中小企業の事業再生支援ニーズが高まるというこの今の時点で改革案を実行していく、この商工中金のまさに事業再生支援などの機能強化を図るということに資するわけであります。

 まさに、先ほど来議論がありますとおり、商工中金の全国のネットワークであるとか、あるいは再生のノウハウ、蓄積がある、それをしっかりと地域の金融機関とも連携をするということ、そして、民間の金融機関からはいわゆる民業圧迫の懸念もあるわけでありますので、業務制約の見直しを行っていくとともに、政府株主の全部売却をこのタイミングで行っていくということの判断をしたものであります。

笠井委員 そういうようなことで判断したということですが、結局、新たなビジネスモデルを踏まえた商工中金の在り方検討会で報告書が出て、それを踏まえて今回法制化したということになるわけですね。

西村(康)国務大臣 御指摘の新たなビジネスモデルを踏まえた商工中金の在り方検討会、昨年十二月から、二月十七日に報告書を取りまとめていただいたわけですが、この間、計七回にわたって様々な中小企業からのヒアリングなども行い、私も何度か出席をして聞きながら、それを、報告書を踏まえて本年三月十日に閣議決定したものであります。

笠井委員 その在り方検討会の七回にわたる議事概要を私も拝見しましたが、そこを見ても、委員の方々からは二年という発言は全くありませんでした。誰がどこで二年というふうに入れたんですか。

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 角野長官。

角野政府参考人 お答えをいたします。

 二年以内に処分する基本方針については、先ほど来申し上げておりますこの在り方検討会において、政府保有株式の全部処分を今行うべきだ、こういう意見が、委員を含めまして一致する中で……(笠井委員「二年というのは誰が入れたのか」と呼ぶ)政府保有株式の売却方針の決定手続に一定期間が必要となることも踏まえ、事務局より提示しまして、委員の方々にも御賛同いただいて取りまとめられたものでございます。

笠井委員 提示したのは、第何回目の会議で事務局が提起したんですか。

角野政府参考人 第六回目でございます。

笠井委員 驚きました。とにかく、事務局、中企庁側から持ち込んだ、二年間と。

 第六回目の議題というのは自由討議となっておりますが、そこで事務局提出資料というのは非公開とされております。そこで提示したんですね。なぜ非公開にしたんですか。

角野政府参考人 委員の間の忌憚のない意見交換をするために非公開とさせていただきました。

笠井委員 忌憚のない意見交換とは違います。事務局提出資料で二年というふうに提起して、みんなから賛同があったと。提起したという資料について、何で非公開にしたんですか。

竹内委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 角野長官。

角野政府参考人 お答えいたします。

 第六回の議論におきましては、株式の売却処分以外にも様々な論点について議論がありましたので、非公開とさせていただいた次第でございます。

笠井委員 二年という大事な問題について提起したのに、それについて非公開としているのはおかしいと思うんですよ。

 大臣、これまで五年から七年めど、当分の間としてきたのに、突然二年以内という期限が、事務局、中企庁の提案として出されてきた。それも非公開。二年というのは、これは大臣の指示で、元々、事務局にそうやって二年と言わせたんですか。

西村(康)国務大臣 私もこの検討会に何度か出席をしておりますし、議事録を読んできておりますけれども、委員の間で共通の理解は、やはり民営化に向かって政府保有の株式をできるだけ早期に売却をしていくということ、これは、特に民間の金融機関からも、いわゆる民業圧迫にならないように、イコールフッティングという観点からは是非早く売却をというふうな、様々なそうした御意見がある中で、また、商工中金関根社長も、ここまで改革を行ってくる中で、自立をしていく、政府からいわば株式を売却する形で自立をしていく、そうした大きな方向性も希望、期待感を持っている中で、事務局が二年ということで提案をし、委員の皆さんに賛同を得られたということだと思います。

笠井委員 できるだけ早期にという意見があったというのと、二年以内ということが具体的に出されたということは別問題ですので、非公開の部分で二年以内というふうに言ったことについての該当のところについてで結構ですが、これは公開していただきたい。

 委員長、法案審議の前提になります。在り方検討会第六回の非公開の事務局提出資料の当委員会への提出を求めたいと思います。理事会で協議をお願いします。

竹内委員長 理事会で協議します。

笠井委員 大体、二〇〇八年以来、十五年間も延期してきたものであります。なぜ、そこにこっそり、中小企業のために仕事をする中企庁が提案してまで二年以内と急ぐのか。

 法案の前提となっている新たなビジネスモデルを踏まえた商工中金の在り方検討会の第一回、これは、さっき大臣も言われましたが、昨年十二月十六日に第一回開催で、七回やられて、今年二月十七日に報告書が取りまとめられて、三月十日に閣議決定、それでこの法案ということになっています。

 たった二か月で議論を終えて、今年三月十日に閣議決定。直前の二月までは、政府自身が国会に対しての法案提出は検討中と説明した後に、急にねじ込んできたというものであります。

 昨年十二月八日に、岸田総理は官邸での政府与党政策懇談会で、防衛力整備計画四十三兆円の財源確保のためとして、コロナ対策予算や国有財産をどうするというふうに述べたか、その部分についてだけ端的に紹介してください。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、昨年末に新たな防衛力整備計画を閣議決定し、今後五年間の防衛力整備の水準を四十三兆円程度と定めたところでございますが、委員御指摘のとおり、昨年十二月八日の政府与党政策懇談会においては、新たな防衛力整備計画の財源確保のための議論が行われ、総理からは、歳出改革や特別会計からの受入れ、コロナ対策予算の不用分の返納、国有財産売却などの工夫を行うようお示しされたところでございます。

笠井委員 きちっと正確に言ってください。まずは、歳出改革や特別会計からの受入れ、コロナ対策予算の不用分の返納、国有財産売却などの工夫を先行して始めることとし、来年度からの国民の負担増は行わず、令和九年度に向けて複数年かけて段階的な実施を検討いたします、そう言ったんですね。ちゃんとそこのところを紹介してくださいよ。

 その後、十二月十六日に安保三文書が閣議決定されて、通常国会に軍拡財源の確保法案を提出するという政府方針が明らかになりました。商工中金の在り方検討会の第一回も、くしくも同じ十二月十六日であります。

 西村大臣、四十三兆円の財源確保のために、商工中金の政府保有株を、急いで、二年以内のできるだけ速やかに売却する、こういうことにしたんじゃないですか。

西村(康)国務大臣 先ほど来申し上げていますとおり、この商工中金の改革は、不正事案が発生しました後の二〇一七年から五年以上かけて議論してきたもの、その成果、結果として、政府保有株式の売却を行う、民営化に向かって進んでいくということでありますので、この防衛財源確保とは全く関係のない話でございます。

笠井委員 関係ないと言われますが、急に二年という話が出てくる、しかも日付も十二月十六日と同じ日ということになってきます。そういう検討が具体的に始まると。

 昨年十二月八日の政府与党政策懇談会メンバーの萩生田光一自民党政調会長、前経済産業大臣は、文芸春秋の二〇二三年三月号の「防衛費大論争」と題する座談会で、防衛関係費の財源検討に関する特命委員会を自民党政調に設置して年明けから議論しているというふうに言われて、こう述べております。

 防衛費の増額分の四分の三については、歳出改革や国有財産の売却等で確保することになっていますよね、来年度は東京・大手町の複合ビルを約四千億円で売却することが決まっていますが、それ以降はどこを売るのか、そもそも売れるものがあるかも分かっていない、特命委では財源の内容を具体的に見直し、可能であれば一兆円の増税分を圧縮する方法も探っていきたい、ここまで具体的に言われているわけですね。まさに、総理が指示したその政策懇談会、政府・与党の政策懇談会メンバーとして出られている萩生田氏がこういうふうに言われている。

 大臣、そういう検討の流れの中で、この商工中金の政府保有株千十六億円についても速やかに売却するということにしたんじゃないんですか。

西村(康)国務大臣 私も、できるだけ増税の額は小さくした方がいい、しかも時期は後ろの方がいいと、今、賃上げ、投資が民間企業でようやく進み始めた、潮目が変わってきたところですので、そういう考えを政府内でも述べてきております。

 ただ、その話とこの商工中金の改革は全く別の話で、過去何年もかけて議論してきた、そして特に年末からこの年始にかけて集中的に議論してきたことを踏まえて、中小企業のための金融機関として自立をしていってもらう、民営化を進めていくという観点で進めたものでありまして、私から何かこの売却について、これだけの金額が出るとかという話も、政府内、あるいは与党としたことは一切ございません。

笠井委員 大臣自身がしたかどうかというんじゃなくて、要するに、そうやって、増税しないにこしたことはないと言われるけれども、軍拡財源確保が前提の問題です。

 じゃ、伺いますけれども、岸田総理が述べたコロナ対策予算の不用分のうち、中小企業に関わる項目と額というのは幾らになりますか。

角野政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症基金につきましてでございます。

 新型コロナにより業況が悪化した中小企業に対する融資のうち、当初三年間分を実質無利子化するために造成した基金でございます。これは、民間金融機関が令和三年三月末に、政府系金融機関は令和四年九月末に申請受付を終了いたしました。

 申請受付を終了したことで、基金から支出が見込まれる最大額の算定が可能となったことから、対象となる融資の貸付状況を踏まえて、令和五年度の国庫への返納予定額を二千三百五十億円と算出してございます。

笠井委員 実際、そうやってかき集めているわけですよ。

 コロナ禍で中小企業は借りるに借りられず、残余となった中小企業支援の予算です。当然、中小企業支援に使うべきなのに、大軍拡の財源を確保するために現に軍事費に流用している。四十三兆円もの軍拡財源確保のために、中小企業を支える予算や仕組みまで差し出すなど、断じて許されないと思います。

 危機対応業務を担う政策金融から商工中金が撤退する完全民営化は、完全に破綻している。撤回をして、中小企業の資金繰りを下支えする政策金融機関として位置づけ直すことを強く求めたいと思います。

 先ほどの、法案審議の前提となる資料も、非公開というのも出ていない。質疑終局、採決には反対であって、更に徹底審議を求めて、質問を終わります。

竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、信用保険・商工中金法案に反対の討論を行います。

 三年もの長きに及んだコロナ禍の間、信用保証制度と政府系金融機関は、中小・小規模事業者の資金繰りを支えるセーフティーネットの役割を果たしてきました。資金繰りの命綱を断ち切る本法案は、断じて容認できません。

 反対理由の第一は、僅か二年という性急な株式の売却が、商工中金の政府系金融機関としての役割の放棄と、国民の共有財産の毀損をもたらしかねないからです。

 商工中金は、預金、決済、貸付けのフルバンク機能を持つ唯一の政府系金融機関です。その重要性を踏まえ、これまで政府自身、株式の売却期限を、民間金融機関の危機対応業務への参入後、五年から七年のめどと繰り返し答弁してきました。前回、二〇一五年改正時には、民間参入の見通しすら立たないため、当分の間としたではありませんか。今なお、民間の担い手は現れていません。にもかかわらず、期限ありきで売却する本法案は、これまでの大臣答弁をもほごにするものです。

 しかも、株式の売却に際して、国庫収入の最大化の観点を考慮しないことも重大です。国庫収入に大きな穴を空けることになりかねません。

 反対理由の第二は、商工中金の危機対応業務で危機関連保証の利用を認めないことが、中小企業の資金繰りの手段を奪うことになるからです。

 二〇一七年に創設された危機関連保証は、コロナ禍で初めて適用されたものの、最長二年の上限が制約となりました。危機時における資金繰り支援の更なる円滑化というのであれば、現実に見合わないこの制約こそ取り払うべきです。

 金融危機や大災害を全く想定していない政策金融改革の破綻は、誰の目にも明らかです。商工中金の完全民営化方針は撤回し、真に中小企業のための政策金融機関として位置づけ直すべきです。

 中小企業のための予算や仕組みすら四十三兆円もの軍事費を捻出するために流用する政治から、中小・小規模事業者の抱える困難を地域経済、地域金融全体の問題として捉え、国と自治体が全面的に支援し、地域経済の立て直しを図る政治への転換を強く求め、討論といたします。

竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、岩田和親君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山崎誠君。

山崎(誠)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業信用保険法及び株式会社商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 経営者保証を求めない信用保証制度の要件については、貸倒れの増加による信用保険財政の悪化や会社財産の経営者への流出による従業員や取引先の不利益を防ぐ見地から、一定の経営規律等を担保する客観的かつ具体的な要件とするとともに、一般の中小企業者にとって充足困難な要件とならないよう留意すること。また、信用保証制度における取組が、中小企業金融全体における経営者保証に依存しない融資慣行の確立に道筋を付けるものとなるよう、関係省庁の連携の下、その実効性の確保を図ること。

 二 既に契約済みの経営者保証及び第三者保証についても、可能な限り保証人の責任を軽減する方策を講じ、必要な措置をとること。

 三 融資を受ける事業者が本改正に定める一定の要件を満たし、信用保証協会が当該事業者に経営者保証を徴求できなくなった場合において、当該保証対象である金融機関による融資について当該金融機関が経営者保証を求めることがないよう働きかけるとともに、本改正の趣旨や内容の説明を徹底するよう努めること。また、事業者が失敗しても、その経験を生かして再挑戦できる事業環境をつくり、わが国において一層の起業の促進を図る観点から、金融機関によるいわゆるプロパー融資についても、経営者保証を求める場合には、求める理由を明確に説明するよう、金融機関に働きかけを行うとともに、金融庁の監督指針でガイドラインにのっとった運用が適正になされるよう徹底すること。

 四 株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)における過去の不正事案が発生した根本原因を再確認し、政府保有株式の全部処分後においても、商工中金による自律的なコンプライアンス及びガバナンス態勢の更なる強化に向けた取組が着実に実施されるよう、再発防止に向けて適切に監督すること。

 五 特別準備金及び危機対応準備金については、民間金融機関のみでは対応が困難な分野への積極的な資金供給や、危機対応業務を適切に実施するための原資として活用するものとし、特別準備金及び危機対応準備金が民間金融機関との競争上優位性のあるものとして活用され民業圧迫が生じることがないよう、必要最小限の保有金額とするなど適切な管理に努めること。

 六 商工中金の政府保有株式の全部を処分するまでの間において、商工中金の取締役の選任に関し、株主としての権利を行使するに当たっては、民間企業等において中小企業金融に関する豊富な経験と優れた実績を有するなど、商工中金において自主性及び創造性にあふれ、効率的な経営を行うことのできる資質及び能力を有している者が選任されるよう、特に配慮すること。

 七 商工中金の完全民営化の実現に向けて、自己資本の充実の状況や危機対応業務を含む事業の状況等を適切に勘案し、商工中金に対する国の関与の在り方について十分な検討を加え、その結果について公表すること。また、完全民営化後においても、商工中金が中小企業による中小企業のための金融機関として中小企業に寄り添った支援を継続的に実施するよう、必要な措置を講ずること。

 八 商工中金の危機対応業務とその他の業務を区分するなどして、それぞれの業務の財務状況が明らかになるようにすること。

 九 商工中金の政府保有株式の全部処分に当たっては、本法の公布から二年以内に、公正な価格及び方法による売却が行われるよう、十分配慮すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、西村経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西村経済産業大臣。

西村(康)国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

竹内委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 次回は、来る六月七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十五分散会


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