衆議院

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第19号 令和5年6月7日(水曜日)

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令和五年六月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      東  国幹君    石井  拓君

      石川 昭政君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上川 陽子君

      小森 卓郎君    鈴木 淳司君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    深澤 陽一君

      福田 達夫君    堀井  学君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      松本  尚君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山口  晋君    山下 貴司君

      吉田 真次君    大島  敦君

      菅  直人君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   文部科学副大臣      井出 庸生君

   農林水産副大臣      野中  厚君

   経済産業副大臣      太田 房江君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   経済産業大臣政務官    長峯  誠君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   会計検査院事務総局第四局長            片桐  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            新発田龍史君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 植村  哲君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           林  孝浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           永井 雅規君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本  圭君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            前島 明成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           常葉 光郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           藤本 武士君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         奥田  薫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長)佐々木正士郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 平嶋 隆司君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       角倉 一郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月七日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     深澤 陽一君

  福田 達夫君     山口  晋君

  山際大志郎君     東  国幹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     松本  尚君

  深澤 陽一君     堀内 詔子君

  山口  晋君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     上川 陽子君

  松本  尚君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

六月六日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

同月七日

 岸田政権の新原発推進政策の撤回に関する請願(大石あきこ君紹介)(第一七六〇号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一七六一号)

 同(たがや亮君紹介)(第一七六二号)

 同(吉田統彦君紹介)(第一七六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 本委員会は、去る五日に、経済産業等の実情調査のため、十一名が参加し、京都府内の企業の視察を行いましたので、その概要について御報告申し上げます。

 まず、株式会社クロスエフェクトから、同社の事業内容、物づくりの現状及び課題等について説明を聴取いたしました。

 同社は、開発試作品の製作等を手がけており、企画、設計から試作、少量生産まで幅広く対応し、高度かつ効率的な技術を有しています。また、3Dプリンター技術を活用した心臓シミュレーターの開発に携わり、物づくりを通じて医療関係者をサポートすることにより命を救う一端を担うといった使命を掲げ、困難な課題に日々取り組んでいます。

 中小企業においては生産性の向上が重要な課題とされる中、同社では、顧客に提供できる最大の価値は時短であると捉え、従業員の意識改革を進め、開発手法や生産技術に工夫を加えていることを伺いました。

 あわせて、開発試作の現場を視察したほか、竹田社長及び同社の関係者の方々と、物づくりに対する基本的な考え方や、海外市場への進出に向けた取組、中小企業を取り巻く現状及び課題等について意見交換を行いました。

 次に、株式会社最上インクスから、同社の事業内容、物づくりの現状及び課題等について説明を聴取いたしました。

 同社は、薄板金属の精密プレス加工を行うメーカーで、設計提案から試作、量産まで幅広く対応しており、微細加工などの高度な技術を有しております。

 中小企業においては下請構造からの脱却と付加価値の向上が課題とされる中、同社では、時代の変化に合わせて請負型から提案型ビジネスへの転換を実現させ、事業機会の増大につなげています。

 また、複数の物づくり中小企業の連携による京都試作ネットという組織を立ち上げて発展させるなど、京都を試作の一大集積地にするための様々な取組について伺いました。

 あわせて、部品加工の現場を視察したほか、鈴木社長及び同社の関係者の方々と、中小企業を取り巻く現状及び課題、中小企業の連携の意義等について意見交換を行いました。

 以上が、今回の視察の概要であります。

 最後に、視察に当たりまして御協力をいただきました関係者の皆様に深く感謝の意を表しまして、御報告といたします。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房審議官上村昇君外二十九名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第四局長片桐聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今枝宗一郎君。

今枝委員 おはようございます。自民党の今枝宗一郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、早速質問に入ります。

 まず、先週発災をいたしました豪雨災害につきまして、一問だけちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 六月二日、緊急安全確保が発令された愛知県においては、市街地や農地の広い範囲において、道路や鉄道の寸断はもちろんですけれども、民家が押し潰されたり、農業用のハウスとかが壊滅的な被害を受けたり、工場が被災をしたりと、本当に数多くございます。

 私もこの土日に地元を回って、ボランティアも多少手伝わせていただきましたけれども、被害は本当に大きいです。地元の建設業や国交省を始め、政府、地公体、また消防団など、夜を徹した作業を頑張っていただいていることに本当に心から感謝を申し上げるものでありますが、とても全てをカバーできるものではありません。

 とにかく一日も早い復旧復興が必要でございます。激甚災害指定を早急に、遅くとも三週間で行っていただきたいと思いますけれども、内閣府がどうかというのを聞きたいと思います。

 また、農業について、今後被害額を集計されると思いますけれども、その際には、現場に寄り添って、できるだけ幅広にカウントをいたしまして、それこそ令和二年七月に行いました農林漁業者の生活・生業支援パッケージのような、そういった支援策を行うべきだというふうに思いますので、農水省の御見解をお聞きしたいというふうに思います。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 激甚災害の指定についてお答え申し上げます。

 激甚災害の指定につきましては、道路、河川等の公共土木施設、また農地等の関係施設の被害状況を把握することが必要であります。現在、自治体や関係省庁において被害状況の把握が進められているところでありまして、いつまでというのはなかなか申し上げにくいんですけれども、今後、その進展を踏まえまして、指定基準に照らし、適切に対応してまいります。

野中副大臣 今回発生した台風二号によりお亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げるとともに、被害に遭われた全ての方々にお見舞い申し上げたいというふうに思っております。

 昨日、今枝先生に同行していただきまして、被害に遭われた愛知県、そして関係自治体の方々に私ども農水省にお越しいただきました。その際、私どもが把握している以上に、四百五十ミリ、五百ミリ発生した自治体や、それぞれの自治体で、農作物被害、そして施設被害を受けられた、まさに現場の生の声、農業団体の方にもお越しいただきました、お聞かせいただいたところでございます。それを受けて、今枝先生が今おっしゃられたとおり、可能な限り寄り添ってまいりたいというふうに思っております。

 現段階では、迅速な被害の把握や早期復旧を支援するため、現時点で延べ三十四名の職員を派遣しております。昨日愛知県さんにも申し上げましたけれども、御要望があれば、愛知県の方にも職員を派遣したり、また、ポンプ等の貸出し等も行ってまいりたいというふうに思っております。

 引き続き、現地との連携を密にしまして、被害状況を把握した上で、農林漁業への影響が最小限になるように、現場に寄り添って対応してまいりたいというふうに思います。

今枝委員 大変ありがとうございます。

 野中副大臣はお忙しいと思いますので、ここまでで結構でございますので、御退出ください。ありがとうございました。是非、被災者、被災地に寄り添った支援をお願い申し上げます。

 また、経産省、中企庁にも、是非、様々これからまた出てくると思いますので、また支援をお願いしたいというふうに思います。

 さて、それでは、経産省にこれから質問していきたいというふうに思います。

 今回の豪雨でも明らかでございますけれども、気候変動対策、カーボンニュートラルの重要性、これは待ったなしでございます。しかし、例えば自動車で考えていきますと、イコールこれを電気自動車、いわゆるBEVというふうにする意見がありますけれども、BEVは、蓄電池開発や、そのための原材料であるレアメタルが非常に特定の国に集中をしているということもありまして、依存を強くしなくちゃいけないという、経済安全保障上のリスクもあります。

 にもかかわらず、世界各国がBEVしか販売ができないような規制を予定しているのは、自国の自動車産業を伸ばすためとさえ言えるのではないかというふうに思っています。すなわち、エンジンイコール内燃機関は、日本などの先行メーカーの技術に追いつくのに参入障壁が高いので、BEVのようなモジュール型で参入障壁が低いものの方が、新たにシェアを取っていきやすいということであります。

 しかし、BEVは、部品点数も三分の二になりますし、我が国にとりましては、経済的にも、また雇用も、それだけマイナスの影響が出てしまう、そういうリスクが強いわけであります。

 特に、ロシアによるウクライナ侵略戦争以降、流れは世界中で変わりつつあります。電気自動車が普及したら電力が全く足りなくなり、これはBEV一辺倒の流れをつくってきた欧米にも言えることだというふうに思っております。

 我が国は、内燃機関はありながらのカーボンニュートラルを模索すべきだというふうに、ここは強く私の思いとして申し上げたいと思います。それには、燃料の脱炭素化を進める合成燃料が一番いいのではないかというふうに思っています。政府も、成長戦略の中で、二〇四〇年の商用化を目指しております。

 ただ、二〇三五年に新車販売は全て電動車になるというのを我が国でも目標にしているわけであります。もちろんBEVだけではなくてハイブリッドなども入るわけでありますけれども、このままいけば、内燃機関が大きく減ってしまうリスクがあります。また、燃油高騰の中でも全国津々浦々で頑張ってきていただいているガソリンスタンドも厳しい影響を受ける、そういうリスクもあります。

 そこで、二〇三五年よりも前に合成燃料の商用化を、これは絶対にやるべきだということを、私はこれまで何度も主張してまいりました。西村大臣と一緒に予算委員会の理事を私がやらせていただいているときに、予算委員会の質問でもこれを強く申し上げてまいりました。

 今こそ実用化を、これは五年前倒しをして二〇二五年に、そして商用化を六年以上、できれば十年前倒しをして二〇三〇年代前半として、二〇三五年には合成燃料が、国内中のガソリンスタンドで普通に利用する状況をつくっていく、そうすべきだというふうに思っております。

 これは是非、真剣に検討を進めて、政府の目標としてもらいたいと思いますし、骨太の方針には間に合わせて、政府としてコミットメントをお願いしたいというふうに思いますけれども、大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘の合成燃料ですけれども、既存の内燃機関とかガソリンスタンドを使える、既存のインフラを使えるということで、非常に有意義な一つの取組だというふうに認識をしております。

 御指摘のように、これまで、二〇四〇年までの商用化という目標を掲げて、グリーンイノベーション基金などによるプロジェクト、技術開発を進めてきたところであります。

 他方、御指摘のように、二〇三五年乗用車新車販売の電動車一〇〇%という政府目標と時間軸に不整合が生じているということで、前倒しをすべきという御意見を各方面からいただいておりますし、委員からもそうした御意見をいただいているところであります。

 これらを踏まえまして、この前倒しに向けた具体的な方策を検討した上で、今年五月に開催した合成燃料の導入促進に向けた官民協議会においては、これまでの二〇四〇年までの商用化から、二〇三〇年代前半までの商用化へと前倒しする方向性を示し、各構成員から賛同を得たところであります。これを新たな目標として是非掲げていきたいというふうに考えております。

 そして、これを達成するためには、今後、GI基金による更なる加速化、その支援拡充、そして、既存技術を用いて早期の供給を目指した国内外プロジェクトの組成、参画の促進、さらには、米国やドイツを始めとする各国との連携による環境価値の取扱いに関する国際的な合意形成などに取り組んでいきたいというふうに考えております。

 最近では、四月の群馬で開催されましたG7デジタル大臣会合の場におきまして、ドイツのヴィッシング大臣、デジタルも担当しているんですが、交通大臣でもありまして、意見交換をしました。まさに合成燃料の活用について世界の議論をリードしていこうということで、日独で一致したところであります。このアクションとして、国際的なワークショップ開催に向けた事務的な意見交換ももう既にスタートしております。

 是非、こうした国際連携も含めて、日本としても、前倒し、加速をして取り組んでいきたいという考えでございます。

今枝委員 ありがとうございます。

 大臣から初めて国会でこのように答弁をいただいて、気合を入れた話をいただきました。本当にありがとうございます。

 ただ、現在考えられている二〇三〇年代前半の合成燃料の生産量は、実は一日一万バレル程度であります。現在のガソリンの利用率でいうと、一・数%にしかならないんです。残りの九九%弱、どうするんでしょうか。

 今年度からもう議論をすぐ始めて、できれば来年、遅くとも二年後の次期エネルギー基本計画までには、合成燃料一〇〇%の世界をつくるまでのロードマップを策定するべきだと考えますが、いかがでしょうか。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 今大臣から御紹介ございましたとおり、商用化時期に関する目標の前倒しは一定の結論を示したところですが、委員御指摘の供給量の方の目標というのは、今回は関係者間での議論が十分深まらなかったことから、今後の戦略的検討課題として整理をさせていただいたところでございます。

 引き続き、官民協議会の下に設置しておりますワーキンググループにおきまして、諸外国の動向、供給事業者における技術開発の進捗、自動車、航空、船舶などユーザー業界の意向等を踏まえながら、合成燃料の供給量の目標の設定や、それを担保する制度的枠組みについて検討を続けてまいります。

今枝委員 ありがとうございます。

 是非前向きに検討をやって、お尻を切ってこれからはしっかりと進めていただきたいと思います。

 続いて、合成燃料の価格について質問したいと思います。

 本来、新車販売が全て電動となる二〇三五年の商用化は、価格もガソリンと比べても遜色ないレベルになるべきだと考えます。現在、国内で合成燃料を製造する場合は、水素価格が大体ノルマル立米当たり百円であることから、リッター七百円に計算上なります。海外ではグリーン水素がノルマル立米当たり三十二・九円ということでありますので、海外で製造する場合は、リッター当たり三百円というふうになります。

 ただ、合成燃料価格は水素の価格だけで決まるものではありません。現在、逆シフト反応、FT合成では収率が四〇%程度と言われていますけれども、GI基金で、二〇二八年までに収率八〇%の高効率化をさせる技術開発も行っておるというふうに聞いておりますし、実現すれば、計算上リッター当たり百五十円となります。

 しかし、ここに利益が乗って、更に税も乗ると、非常に高額になってしまうというふうに言えると思います。いち早くガソリン価格並みの状況を実現するためには、全国で合成燃料が当たり前に流通する環境となる必要もあると思いますので、合成燃料の税負担を軽くしたりとか、財政措置で価格低減補助をする値差支援が必要だと考えますが、経産省としての決意をお伺いしたいと思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、合成燃料の価格は、水素燃料を考慮しても、今、一リットル当たり三百円程度になるだろうという試算結果がございます。

 そこで、合成燃料の価格をよりリーズナブルなものにしていくということで、グリーンイノベーション基金等で、大容量かつ高効率な燃料製造が可能となる技術の確立を目指しているところでございます。

 このような取組を通じまして最大限の価格低減を図ることと併せ、商用化段階におきましては、諸外国の動向やほかのカーボンリサイクル燃料への支援なども参考にいたしながら、必要な支援策を検討してまいりたいと存じます。

今枝委員 ありがとうございます。是非お願いをしたいというふうに思います。

 続いて、世界の新車販売のルール形成についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 昨年まで、EUの二〇三五年新車販売ルールというのは、BEV、FCVのみとなっていましたけれども、今年の三月に、ドイツが合成燃料を使うことを条件にエンジン車販売の継続を認めるように求めて、それにブルガリアとかほかの国も、一緒に議論をしていただいて、合意に至りました。つまり、カーボンニュートラル規制で世界をリードしてきたEUでも、合成燃料を使えばエンジン車も販売できるようになったわけであります。

 そのような折、我が国では、先ほどのお話のように、二〇三〇年代前半に合成燃料を商用化するわけですから、これは非常にタイムリーだというふうに思います。さらに、先日発出されたG7サミット及び閣僚会合のコミュニケでは、初めて、新車の十五倍以上と言われる今ある保有車両、これの脱炭素化の重要性が認識をされました。そして、それには新車販売促進だけではやはり不十分であり、合成燃料が一つの道であることが共通理解となりました。

 ここは一気呵成に、合成燃料の利用でエンジン車の販売を可能とするルールを米国など世界中に働きかけていくべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、G7におきましては、カーボンニュートラルの着実な実現を目指す観点から、新車における対応だけではなく、保有車両全体からのCO2排出削減を進めていくことの重要性ですとか、その具体化に向けた、合成燃料やバイオ燃料も含め、各国が取る方策には多様な道筋があることにつきまして、G7全体の共通理解を醸成できました。

 また、欧州におきましては、合成燃料のみで走行する内燃機関を搭載する車について二〇三五年以降も販売を認める方向で合意がなされておりまして、今後、欧州委員会において具体化が進められていくものと承知をしております。

 合成燃料官民協議会におきましても、合成燃料の国際的な認知と環境価値の取扱いを課題の一つとして掲げております。既にドイツとは対話をスタートしておりますけれども、今後、米国との二国間の対話や関係国とのワークショップなども呼びかけながら、各国との連携を図ってまいりたいと考えております。

 引き続き、カーボンニュートラルの実現に向けた多様な選択肢を追求していく中で、諸外国に対しまして、合成燃料の活用についても積極的に発信をしていきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございました。是非積極的に進めてまいりましょう。

 終わります。

竹内委員長 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして質問に入らせていただきます。

 今週金曜日、経産委員会でも視察に行ってまいりまして、京都で非常に頑張る中小企業を見てまいりまして、やはり、こういうところを応援していくことで中小企業が元気になるということが、本当に、日本の経済にとって大変大事であるということを改めて痛感したところでございます。

 今日は、中小企業の賃上げ、そしてまた、業種も少し絞って、ちょっと運送業の関係のところの取組を質問させていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 賃上げに関して言うと、最近のニュースだと、実質賃金でいうとやはりちょっと下がっている、なかなか物価の上昇に賃上げが追いついていっていないんじゃないかというふうなニュースもございました。

 他方で、今年、三十年ぶりの高い水準の賃上げということで、経団連や連合の調査でも、非常に、三%を超える賃上げということになっている。中小企業でも、五月の数字でも三・三五%ということで、上がってはいるんですけれども、なかなか物価の上昇のところに追いついていっていないということがあるのかなというふうに思っております。

 ですので、やはり政府としても、持続的な賃上げを是非実現していかないといけないんじゃないかということで、これを進めていかないといけない、一年で、今年で終わってはいけないというふうな思いでございます。

 賃上げの状況、中小企業庁が価格転嫁の状況をフォローアップしております。昨年のデータも見たんですけれども、いろいろな原材料が上がっているということもありまして、原材料費の転嫁というのは非常に進んでいるというのが経産省のデータでも分かります。昨年でも四八%近く転嫁ができているんじゃないかというふうな話もございます。

 他方で、今回、非常に中小企業は頑張って賃上げをしていただいているんですけれども、では、労務費は転嫁をできているかというところのデータを見ると、去年は三二%ということで、これは原材料費に比べて、原材料が上がったというのは転嫁はしてあげるけれども、労務費というのは自分のところで頑張って何とかしてよというところが、やはり現状、非常に多いのかなというふうに思っております。

 今日は長峯政務官が来ていらっしゃいますので、ちょっと質問をさせていただきたいのが、持続的に賃上げをしていかないといけない、もちろん生産性を向上させていくということは非常に大事であるというふうに思いますけれども、他方で、労務費が上がっていくというのをしっかり転嫁していくのもやはり理解をしていただかないと、併せてやらないと、これはなかなか幅広い業種で持続的な賃上げというのができないんじゃないか、こういう思いがございます。

 これについて、経済産業省の認識や、あるいはどういう取組をするのかということを、まず政務官にお伺いをしたいというふうに思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、原材料費に比べまして労務費の転嫁率が低いというのは私どもも把握をしておるところでございます。この要因といたしましては、労務費については受注側が経営努力で捻出するものだという商慣行が今まで浸透していたのではないかなというふうに認識をいたしております。

 そこで、経産省といたしましては、価格交渉促進月間についてフォローアップ調査を実施中でございまして、その結果を踏まえた発注側事業者の価格交渉、価格転嫁状況のリストを公表するでありますとか、あるいは、評価の芳しくない親事業者につきましては経営陣に対し指導助言を行う、また、下請Gメンを三百名体制に増強いたしまして、業界別に作成している自主行動計画の改定や徹底への取組、また、パートナーシップ構築宣言の拡大等を実施いたしておるところでございます。

 こんな中でございますけれども、最近は、価格交渉のフォーマットに労務費を項目の一つとして明記するという親事業者側の取組も出てきております。また、親事業者側の方から、労務費を含めたコスト上昇分の転嫁の申入れをレターで呼びかけるなどの動きも出てきております。これまでより踏み込んだ対応というのも見えてきておりますので、こういった事例が更に広がるように取り組んでまいりたいと存じます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 済みません、ちょっと言い忘れたのですが、大臣、今日は質問はありませんので、もしあれでしたら、ちょっと外していただいても大丈夫でございます。

 先ほど、労務費の関係の取組についてもお話をいただきました。私、今回、運送業を取り上げようと思っていますのは、経産省の業種別の転嫁率の調査で、運送業というのが最下位なんですね、二十七位ということで。

 これはやはり対応していかないといけないなということと、所管の国土交通委員会でやればいいんじゃないかというふうなお声もあろうかと思いますけれども、運送業というのは、どうしても運送事業者だけでは取組が進まなくて、荷主がどういう形で物を運ぼうとしているのかというのが非常に大事だというふうなことを思っておりますので、では荷主がどうしたいのかというところをしっかり対応しないと、これは解決しないんだろうなと思っております。

 特に、働き方改革の法案にも伴いまして、物が十分に運べなくなるんじゃないかといういわゆる二〇二四年問題ということも取り沙汰されているわけではございまして、これはやはり荷主がどうしていくのかというのが大事だ、ということは、経済産業省がどういう取組をするのかというのが私は非常に大事だと思っております。

 そういうことで、官邸の方でも、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議というものを開催していただいております。この二〇二四年問題、何も対策を講じなければ日本の物流が停滞をしてしまうという大変大きな問題でありまして、これをどういう形で荷主が対応していくのか。先日、この閣僚会議でも、今後の方向性というものが示されたというふうにも承知をしております。

 経済産業省としての取組を今後どのようにしていくのかということにつきまして、答弁を求めたいというふうに思います。

澤井政府参考人 お答え申し上げます。

 物流の二〇二四年問題への対応におきましては、物流事業者だけでなく、荷主企業の協力が不可欠でございます。これらの企業がその意識を変えて、これまでの商慣習を是正することが必要である、このように考えてございます。

 こうした中で、六月二日に決定されました物流革新に向けた政策パッケージにおきましては、物流の適正化や生産性向上を確実なものとすべく、荷主企業や物流事業者に対する規制的措置の導入等に関する法案について、次期通常国会への提出を目指すということとしたところでございます。

 さらに、農水省、国交省とも連名で、規制的措置の導入に先立って、発荷主企業、着荷主企業、物流事業者の三者が早急に取り組むべき事項をまとめたガイドラインを策定いたしたところでございます。このガイドラインでは、物流への負担となる商慣行の是正、それから契約の適正化について、具体的な取組を示しているところでございます。

 特に、荷待ち時間や荷役作業等にかかる時間の削減が重要でございます。これらの時間を把握した上、二時間以内に削減し、さらに、一時間以内を目標に、更に時間の短縮に努めることを荷主企業に強く求めているところでございます。また、バース予約、パレット化等の即効性のある物流効率化のための設備投資の促進についても推進をしているところでございます。

 その上で、二〇二三年中に、業界団体や複数企業の協働による、ガイドラインを業界や分野の特性に応じて実施するための自主行動計画の作成、公表についてもお願いしておるところでございます。

 こうした取組を通じまして、荷主企業に実効性のある対応を求め、物流の生産性向上を進めることで、二〇二四年問題に取り組んでいきたいと考えてございます。

中野(洋)委員 法制化も含めた規制的措置もしっかり検討していく、速やかに、それを待たずに、ガイドラインなどを作ってしっかり促していく、こういう答弁でございました。

 具体的に、では、荷待ち時間を荷主がどうやって削減させるのかですとか、どうやって効率的な運送をしていくのかとか、こういうことは、やはり規制的なところも含めて、荷主に我が事として取り組んでいただかないとこれは進まないというふうに思いますので、そうした方向でやっていただきたいと思うんです。

 他方で、荷主側も、この物を運んでほしいということで、運ぶ相手はお客さんだということもよく聞いております。いわゆる荷待ちとか荷役とかそういうことでいうと、荷物をお願いするお客さん、いわゆる発荷主だけではなくて、それを送る相手先、着荷主に対しては、やはり荷主も、着荷主というのはお客さんですので、なかなか、ではこうしてくださいというのは非常に言いにくいというふうなお声も聞いております。

 こうしたいろいろな関係者がいるわけでありますから、着荷主も含めてトータルで、では、労働時間の削減とかそういう取組が本当にできるのかということが非常に大事だというふうに思いますけれども、こうした着荷主も含めてしっかりと対策をしていく、こういうことでいいのか、こういうことについて、もう一度答弁を求めたいと思います。

澤井政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、効率的な物流の実現に向けまして、サプライチェーン全体の最適化を実現するためには、物流需要の起点であります着荷主企業の協力、これが不可欠でございます。こうした中で、規制的措置の検討に当たっては、着荷主企業に対しても、物流負荷の軽減に向けた取組を求めていきたいと考えています。

 また、それに先立ちまして取り組んでいただきますガイドラインの中でも、例えば、発注日に即日配送してもらうということではなくて、翌日以降の納品を認めるといった納品リードタイムの延長や、バース予約システムの導入といった、着荷主に対して取り組んでいただきたい事項についても盛り込んでいるところでございます。

 経済産業省といたしましては、こうした施策を通じて、着荷主を含めた荷主企業全体の取組を積極的に後押ししていきたいと考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 こうしたことを法制化していくということでありますけれども、それに先立ってのガイドラインというのを作って、まずは自主的な取組をしていただくというところの答弁であったと思います。

 私もそのガイドラインの内容も見せていただきましたけれども、確かに非常にいいことが書いてある。こういう労働時間の、しっかりみんなで協力をして、効率化をさせていく。

 当然、効率化をさせていく中で、適正な運賃をしっかり支払うようにするというふうなことが実現できれば非常にすばらしいわけでありますけれども、では、本当にこれが実効性を持って実現をできるのかということが大変大事なところであろうと思います。

 今日、国土交通省にも来ていただいておりますけれども、こうしたものが本当に実現をしていくのかというところについて、問題があれば運送事業者から意見を上げていけばいいじゃないかというふうなお声もあるんですが、これはよく経産省で下請の問題をやっているのと同じで、なかなか、下請から元請に声を上げるというのは非常に難しいというふうな現実的なお声もあるわけであります。

 そうした中で、こうしたガイドライン等も含めて、しっかりと実効性を持たせる取組というのが本当にできるのか、これが大きな課題だというふうに思っておりますけれども、これについて、国土交通省はどのように取り組んでいくのかということを答弁いただきたいと思います。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック運送業は、中小企業が多く、荷主や元請事業者などに対する交渉力が弱い状況にあることから、取引環境の適正化が喫緊の課題であると認識してございます。

 御指摘のございましたガイドラインにつきましては、先ほど御答弁にもございましたが、物流革新に向けた政策パッケージを踏まえて、早急に取り組むべき事項を関係省庁と連携して策定したものでございます。

 国土交通省といたしましては、荷主企業や物流事業者に対して、年内を目途に物流の適正化、生産性の向上のための自主行動計画を作成、公表いただくよう、経済産業省、農林水産省とも連携して促してまいりたいと考えてございます。

 また、貨物自動車運送事業法に基づき、標準的な運賃の周知、浸透、また、適正な取引を阻害する疑いのある荷主等に対する働きかけや要請などに引き続き取り組むとともに、これらの制度の実効性を確保するために、仮称ではございますが、トラックGメンといった体制も整備しまして、荷主等への監視を強化していきたいというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、こうした取組を通じて、トラック運送業における適正な取引環境の実現に努めてまいります。

中野(洋)委員 以上で終わらせていただきますが、これからいろいろな、実効性を保つ法改正も含めて、様々な取組がございます。是非とも全力で取り組んでいただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山崎誠君。

山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。

 経産委員会、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、少し多岐にわたる話題について議論をさせていただこうと思いまして、多くの皆様にお越しいただきまして、ありがとうございます。

 質疑の順番をちょっと変えますが、済みません、三番のその他の一、視察に行ってまいりました、竹内委員長からも御報告があった、京都への視察、大変すばらしい、有意義な視察でありまして、その中でお聞きをしたお話をまず取り上げさせていただきました。

 伺いましたクロスエフェクトという会社が、資料三につけましたけれども、医療現場で、心臓病の手術をする、特に、生まれたばかりの赤ちゃんの心臓の手術をしなきゃいけない、百人に一人が心臓に疾患を持って生まれてきているというお話がありまして、その手術をうまく成功させるために、クロスエフェクトが、この資料にもありますけれども、心臓の本当に詳細な3Dモデルを完成をさせています。これを使って手術の前に本当に手術と同様なシミュレーションができるようになったということで、先生方も絶賛をしている、お医者様も、本当に革新的な開発だということでございました。今、この技術が、薬事法の申請をされて、承認を待っているというプロセス、その後、保険の適用にもなって、医薬の技術として広く日本に広がっていくという段階というふうに聞いております。

 是非こうした開発を、これは中小企業というよりも、本当に、日本の医療の、今、例えば新薬の開発とか、海外になかなか追いついていけないということで苦戦をしている領域でもあります。そういったところで、この革新的な技術というのが、私は、日本を本当に引っ張っていくような技術になるんじゃないかなというふうに思います。

 是非、AMEDによって支援もされているわけでありますけれども、財政的な支援とともに、こうした承認だとか、この技術についてお墨つきを与えるという、それも大きな支援だと思います。

 もちろん、審査を簡単にとかというわけにはいかないと思いますけれども、中小企業と言われる企業、なかなか人材もやはり十分ではないでしょう、様々、分からないことを試行錯誤しながら取り組んでいると思います。是非、本当に伴走的に寄り添ってこうした申請も進めて、早急に医療機器の承認を与えていただけるようにお願いをしたいのでありますが、厚労省から来ていただきました。所見、現状を踏まえて、いただければと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案の審査の状況等に関しましては、公にすることによって申請企業の正当な利益を害するおそれがございますため、具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと考えております。

 その上で、一般論としてでございますが、承認申請された品目につきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、いわゆるPMDAというところで必要な審査を速やかに進めているところでございます。

 また、今後、薬機法上の承認がなされれば、保険適用につきましては、専門家の御意見も踏まえつつ、有効性と安全性に基づきまして、中央社会保険医療協議会におきまして検討をしてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 プロセスについてはそのようになっていると思うんですけれども、是非ここは、やはり、命の問題と、そして日本の医療界、技術も含めて、これをどういうふうに伸ばしていくのかということで、そういう視点でも、是非、厚労省もサポートいただきたいというふうに思います。

 お話を聞きまして、この承認が日本で取れれば、それをもって海外でやはり展開ができる。中小企業にとっては、なかなか、海外の市場に手を出すのは、お金もかかるし、パートナーも要るし、大変だ、だけれども、日本できちっと承認が取れていますよ、そういうお墨つきがいただければ、それが非常に大きな力になるというお話もお聞きをいたしました。そういう意味でも、この取組、一つの例だとは思います、是非、ほかの事業も含めて、御支援という視点でも取組を進めていただきたいとお願いをさせていただきます。

 私、この視察を通して、社長が言っていたので、要するに、下請じゃないんだ、自分たちは、その下請というところから脱却をするというお話、非常に力強くお話をされておりました。

 もっと言うと、私は、中小企業への視察というこの言葉自体がふさわしくないな、すごく何か恥ずかしい思いを持ちました。そういうくくりではなくて、本当にクリエーティブな、イノベーティブなそういう会社を、もっと別なネーミングで、創造企業、革新企業、何かそういうカテゴリーをしっかりつくって、そういう企業をやはり我々は育てていかなきゃいけないんだ、そういう経産省の取組もやはり必要なんじゃないかなと強く思いました。

 是非、厚労省の皆様、経産省の皆様、力を合わせて、こういう新しい分野の開発、本当にイノベーティブな企業の皆さんを応援いただければと思います。

 西村大臣、せっかくですので、一言何か所見があれば。

西村(康)国務大臣 日本の物づくり、製造業の技術力、これは、大企業から、御指摘あったような中堅・中小企業、そしてスタートアップ、まさに革新的な事業を行っている企業、技術力そしていろいろな創造力、発想力があると思いますので、本来もっと、医療機器、医療分野でもいろいろな製品を開発し、海外を含めて展開してしかるべきだと思うんですけれども、全体として医療機器については貿易上は大幅な赤字になっておりますし、もっと果敢に挑戦をしていただきたいと思います。

 おっしゃったように、経産省の様々な事業でも、ネーミングも、医工連携イノベーション推進事業とか、ここでは中小企業という言葉を使わずにそういった言い方もしております、実際には中堅・中小企業を応援しているわけでありますけれども。

 そうしたことを含めて、是非様々な挑戦を応援をしていきたいと思いますし、厚労省におかれましても、もちろん命に関わることですから審査はしっかりやってもらわなきゃいけないんですが、様々な仕組みは、特例なども、条件付とか特例とかいろいろな仕組みもできてきておりますので、そうしたところの手続も含めて、是非イノベーティブな企業が果敢に挑戦する、そんな取組を応援していきたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 本当に、心臓のモデルを、委員、理事の皆さん、触って感激したと思います。本当に詳細に再現されていて、切ってみると、中まで、本当にひだ一本一本が再現されていて、手術をするときに、これを使ってトレーニングしておけば、本番が全く同じように再現できるということで、大変すばらしい技術だと。改めて、クロスエフェクトさん、頑張っていらっしゃいますので、応援をさせていただきたいと思って質問させていただきました。どうぞよろしくお願いします。

 この質問は終わりですので、厚労省の皆さんは御退席いただいて結構です。

 では、これも順番が変わって申し訳ないんですが、二番のテレワーク、リモートワークの普及ということでお話をお聞きをしたいと思います。

 コロナ禍におきましてやはり大きな変化は、新しい働き方で、テレワーク、リモートワークと言われるようなものが広がったというのは、これは私は大きくやはり評価すべき変化ではないかなというふうにも思っております。一極集中の働き方、例えば通勤のラッシュのようなことが日本の象徴みたいに言われているところから、テレワークで自宅から、在宅から仕事ができるような、そういう働き方が定着をしてきている。場合によっては、少し環境のいい離れたところに住んで、そこからテレワークで例えば週一回、週二回、会社に通うというような働き方というのは、やはり日本の大きな構造の改革であって、過疎化の解消であるとか一極集中の解消だとか、あるいは災害時のBCPみたいな観点からも、また重要な変化だと思います。

 こうしたテレワーク、リモートワークというものがこのコロナ禍で伸びてきた、その状況と、それから、こうした取組をやはり国として今後どういうふうに進めていくのか、応援していくのか、その辺りを、総務省に来ていただいていますので、お聞きをしたいと思います。

植村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、テレワークの普及の状況でございますけれども、新型コロナ感染症の拡大に伴いまして導入が進みまして、令和四年時点で、雇用者数、百人以上の企業へのアンケートでございますが、導入率五一%まで進んでおります。

 このテレワーク、申すまでもございませんが、ICTを利用し、時間や場所を効果的に活用して柔軟な働き方を実現する手法でございます。地方への人の流れの創出、活力ある地域づくり、これに貢献することは言うまでもございませんけれども、就業者のライフ・ワーク・バランスの向上、企業の多様な人材の確保など、経済社会的にも多くのメリットをもたらすというふうに認識しております。

 このテレワーク、コロナ禍への対応のような、いわゆる危機管理の手法として活用するにとどまらず、引き続き一層の普及、定着を進めることが重要である、このように認識をしておりますので、総務省といたしましては、関係府省とも連携をしながら、まず、テレワークの技術面と労務面、これを統合したワンストップ相談窓口の設置でありますとか、専門家の派遣、オンラインによる無料相談、また、商工会議所等と連携した、地域での中小企業へのテレワーク導入支援、それから、先進的なテレワーク事例の企業、団体への表彰、事例集の公表なども実施をしております。

 こうした取組を通じまして、テレワークの更なる普及、定着を推進してまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 国の方針として、テレワークの更なる普及推進ということでございまして、今、五一%ぐらいの民間の企業に普及をしていて、ヒアリングでお聞きをしましたけれども、九割ぐらいの方々が、一回テレワークを経験した方は、継続していきたいというお話であります。私は、これは一定定着をするだろうし、定着をさせようとしているのが国の方針だということだと理解をいたします。

 GXだとかグリーントランスフォーメーションみたいなお話をするときにも、移動を減らしていくということは、やはりエネルギーの消費というような面からも、私は大きなメリットがあるんだろうと思いますし、あるいは、子育てや介護だとか、そうしたニーズとこのテレワークというのは一定整合性があるというか、そういうお話もございました。

 そういう意味で、これは国の新しい在り方として定着をしていくし、伸ばしていくべきだという考えであります。

 その上で、私が今取り上げたいのは、リニア中央新幹線の計画について、今日は政務官にもお越しをいただきました。

 今お話をいたしました、人の移動がやはり変わってくるという節目になっているのではないかなというふうに思います。そういう中で、鉄道輸送の需要というものにこうしたテレワークがどう影響していくのか、今お話ししたような、社会の構造が変わっていく中でどういう影響が出てくるのかなというのをお聞きをしたいのであります。

 コロナ禍では、がくっと減りましたよね、通勤客の方なんかもがあっと減って、需要が減って、採算も厳しくなった。私鉄もJRもそう、JRも私鉄でありますけれども、JRもそうでありました。そういう中で、今需要は戻ってきてはいるかもしれませんが、このリモートワーク、テレワークの影響というものがどういうふうに鉄道輸送に表れているのか、お聞きをしたいと思います。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、足下の新型コロナウイルス感染症による全国の鉄道の旅客需要の推移でございますが、鉄道輸送統計では、令和二年度が約百七十七億人、これはコロナ前の平成三十年度に比べますと約三〇%の減でございました。令和三年度には、その約三〇%減という数字が約二五%減になっておりまして、その意味では回復傾向にあると言ってもよいのではないかと考えております。

 また、東海道新幹線の利用者数につきましては、これも同じく平成三十年度と比較いたしまして、令和二年度は三割台にとどまっておりました。それが今、最新の数字では、令和五年五月の利用者数はコロナ前の九割台にまで回復をいたしております。

 議員からは、働き方、住まい方の変化に伴い、どのように見込んでいるのかというお話でございます。確かに、リモートワーク、ワーケーション、二地点居住など、こうした新しい働き方、住まい方、あるいは価値観の変化というものが期待されていると考えます。そうした中で、例えば、地方都市に住んで、ふだんはリモートワーク、必要があるときにはリニア中央新幹線や東海道新幹線など使って都市に赴くといった新しい生活スタイルの選択肢が生まれ、新たな輸送需要も生じる面もあるのではないかと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 当初の見込みの計画がありますよね。JR東海の言葉でありますけれども、東海道新幹線とリニアを合わせて、輸送実績が一・五倍になるから採算性があるんだというのが、かなり昔の話でありますけれども、当初の計画ということで、そういう説明があると聞いております。

 例えば、これも古いお話でありますけれども、この資料では、輸送実績二〇一一年度と書いてありますけれども、東海道新幹線の輸送実績が四百三十三億人キロ、これが二〇四五年にはリニアだけで四百十六億人キロになると。東海道新幹線の輸送実績が四百三十三億人キロが、四百十六億人キロ、これがリニアだけだと。東海道新幹線が二百五十九億人キロと減るのでありますけれども、トータルで六百七十五億人キロということになるので、一・五倍の需要があるから、二〇四五年、合わせて採算が取れるという見込みを立てているということでございます。

 ちょっと、数字、分かりにくかったかもしれませんけれども、かつてはこういう想定をしていたのでありますけれども、一つは、人口減少がどんどん動いて始まっているという影響、そして、今、テレワークの影響、こうしたことが社会の構造や働き方を大きく変えている中で、このような見通しで、東海道新幹線、リニアの、合わせて東海道新幹線の一・五倍の需要が生じるから採算が取れるというこの計画自体について、私は見直す必要があるんじゃないかな、少なくとも採算の再計算が今必要なのではないかなというふうに考えているのでありますけれども、政務官、どうお考えでしょうか。

古川大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、コロナにより、コロナ前に比べると利用者数、例えば東海道新幹線の利用者数が一時的に落ち込んだということがありましたが、今急速に回復をしている状況にありまして、近々、これまでを超えるのではないかというふうなことも言われているところでございますし、また、こうした中、JR東海の決算につきましても、純利益が三年ぶりに黒字に転換するなど、回復傾向にございます。

 確かに、これからライフスタイルが変化していくということはございますが、これまでも様々な形でライフスタイルやワークスタイルというものの変化がございました。そうした中で、この東海道新幹線、リニアの沿線地域におきましては、様々な経済活動が活発になることによって、あるいは、大変魅力的な観光地が、内外から来られるというようなことが増えていくことによって、利用者の数が増えていっているということがあっていると思っております。

 大都市圏と地方圏の中で新しい関係が構築されることによって、地方における人口増加、地方と都市との交流人口の増加、こうしたことが期待できるということもあって、リニア中央新幹線計画について、直ちに需要の低下が懸念される状況にはないと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 考え方でありまして、私が前提でなぜテレワークの話をしたかというのは、これだけテレワークが増えてくれば、今まで新幹線で移動していた、コロナ前は移動していた人が、間違いなくテレワークで半分は消えているということだと思います。これが、リニアができたからじゃまた戻るかといえば、私はそうはならないと思います。やはりここは冷静に、今、新しい、コロナを経た日本の在り方をベースにした需要の検討ということを是非やっていただきたいと強くお願いをします。

 というのは、今日は突っ込むのはやめますけれども、財政投融資で三兆円お金を出している。そして、この事業、なかなか工事も難工事であります。もっとお金がかかるかもしれない。JR東海がやっている民間の事業とはいえ、国がここまで支援をして、お金を貸して、これは返済をきちっとしていただかなきゃいけないのは言うまでもありません。そういう事業だということである。

 私は、昨日、レクチャーで国交省の皆さんとお話をしていたんですけれども、余りにも他人事です。財政投融資の説明をしてくれと言われて出てきた資料がこれですよ。ちょっと、大臣、見てください、これ、一枚。後で見てください。全く何にも書いていないですよ。私にはこのぐらいの説明しかしてくれないということだとは思います。このぐらいでいいんだろう、山崎は、と思われているのかなと思って、非常に残念でならなかったです。

 真剣に、この東海道、どういうふうに日本をこのリニアで変えていくのか、そのために、どのぐらいのお金が必要で、それをどう回収して、それが日本の経済発展、国土の発展にどう生きるのか、これは国交省を挙げてきちっと説明できないと、この三兆円の意味、説明できませんよ。

 私は、今のリニアの進め方というのは、大変今、多くの問題や課題や検討すべきことがある、その中で進んでいると思います。採算性というのもその大事な大事な一つです。是非、これは国交省、他人事ではなくて、民間の事業ではなくて、国交省、国を挙げて応援をしているんだから、しっかりと管理監督、そして検討、検証を続けていただきたいと強くお願いをいたします。

 では、二番の質問はこれで終わりますので、どうぞ、政務官、御退席ください。

 それでは、最後の順番になってしまいまして、一番であります。

 令和四年度の電気・ガス価格激変緩和対策事業費補助金に係る補助事業ということでございまして、これは、立憲民主党の参議院の田島麻衣子先生が三月二十二日に予算委員会でも取り上げているお話でありまして、私、それを見て知りまして、調べさせていただきました。

 以前、持続化給付金の業務委託の問題で、委員会でも何度も質問をさせていただきまして、余りにも不透明で、そして事業の経費がかかり過ぎているというようなことでお話をしてきたのでありますけれども、今回のこの事業も、私は、持続化給付金のとき以上にひどいと思います。分からないことが多いし、この事業内容、公募のプロセス、私は大変問題だと思って質問をさせていただきます。今日は質問し切れないと思いますので、次回にも続けていきたいと思うのでありますけれども。

 まず、公募のプロセスが余りにも不透明です。八日間という公募の期間で公募をしているのでありますけれども、この公募の募集要領というのが、見ても全く、どういう事業をやるのか、どういう補助金の配付をするのか、詳しく何も書かれていません。全くこれでは分かりません、事業の内容。激変緩和で、値上げをしないように、そのための補助を配るんだとしか書いていないんですよ。これでどうやって提案をするんでしょう。私は、まず大きな疑問です。

 この公募の前に実は意見募集をしているんだということで説明を受けました。確かに、直前に意見募集というのをやっているんですよ。事務局事業実施に当たる資料提供依頼、意見募集ということで、これも八日間ぐらいやっているんですよね。それが終わったら途端にこれを作って公募しているんですよ。

 このプロセスはおかしくないですか。意見募集して提案を求めたら、その提案に基づいて公募を作って募集をかけるというのは分かるんですけれども、この意見募集、提案とこの公募は全くくっついているんですよ。この意見募集に誰が参加したかは、六者という会社しか分かりません。誰が参加したか教えてくれない。ブラックボックスです。

 この意見募集も含めて、事前に綿密に調整しなかったら、こんな事業の公募に手を挙げる事業者なんかありませんよ。こんな資料だけで公募ができるわけがない。

 十一月一日に説明会をしたので、質問があればその説明会で答えて提案してもらっているから大丈夫だと。十一月一日に説明会をやって、十一月の四日の十二時までに出せと言っているんですよ。それまではこの情報提供しかないんですよ。ほかの企業が手を挙げることができるわけがない。何でこういう、時間がないかもしれないけれども、余りにもずさんであります。

 大臣、一言いかがですか。

西村(康)国務大臣 今御説明ありましたけれども、この経緯、十月の半ばぐらいから十二日間意見募集をやって、六者が参画をしたと。その後に公募を実施し、実際、予算が閣議決定するのは十一月八日で、成立するのは十二月二日でありますので、そこから、特に冬の需要期になって一月以降非常に量も使う、何とか負担軽減をしようということで、一月から事業をやろうということで急ぎましたので、そうした中でしっかりと手続を踏みながらやってきたものと承知をしております。

 特に、最終決定、採択に当たっては、第三者委員会を開いて、その審査結果のとおり決定するということで、外部有識者三人から構成される第三者委員会で、実施方法や計画、実施体制、コスト、こういった観点から総合的に評価、採点を行って、最終的に博報堂が採択事業者となったということでありまして、この手続、審査結果の概要などもホームページにおいて説明をしております。

 引き続き、透明性ある形で、国民の皆さんの理解を得られるように説明していきたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 これじゃほかの企業は手が挙げられないと言っているんですよ。よくよく読んでいただきたいです、これを。国民の皆さんにも是非見てもらいたい。これで公募ができる企業なんてあるわけがないですよ、何にも書いていないんだから。そうやって決まった事業者が取っていくんじゃないですか。それをやめてくださいというのが持続化給付金でさんざん議論していたことですよ。同じか、それ以上のこと、もっと悪いことが起こっている。

 大臣は、今回のこの公募の評価で、博報堂さん、コストパフォーマンスが高いという評価で選ばれたと、参議院の予算委員会でもそのように御説明されています。

 じゃ、コストパフォーマンスが高いかどうか、確認しましょうよ。

 今、資料の一を見てください。例えば人件費。これは、右左があるのは、右が提案書で、左が交付申請書なんですよ。これが百億円も上積みされているというので大きな問題なのでありますけれども。

 どちらでもいいです、じゃ、例えば交付申請書の人件費を見てください。二十六億円ですよ。業務委託、外注、委託に七一%の事業を出しているんですよ。二百二十七億八千万も外注に出して、残りがこの博報堂の事業分なのでありますけれども、その人件費二十六億円。この事業は、ざっくりでありますけれども、十五か月ですよ。一か月一億七千万円も人件費を使っているんですよ。

 内訳を説明してくれ、どうしてこんな人件費がかかるか説明してくれ、いや、これは非公開でありますと。

 一億七千万円、月の人件費、百人で働いたとして、一人月百七十万円ですよ。管理業務、百人みんながやって、本当にそれだけ人がかかったのかも分かりません。一人百七十万円のこの予算が、交付申請ですからね、単なる提案から更に議論を重ねて、経産省が認めた金額ですよ。

 この人件費、何ですか。何で一人百七十万円もかかるんですか。大臣、お答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員の方から仮定としてでお話しされていらっしゃると思いますけれども……(山崎(誠)委員「仮定しかないんだから、資料を出さないんだから分からないじゃないですか」と呼ぶ)

 今回の事業をこの冬場の非常に料金が高くなっている時期に早急に措置する必要がある。同時に、それこそ、以前、私どもも反省しておりますように、中抜きのようなことがあってはいけない、不正使用のようなことがあってはいけない、しっかりした審査体制が重要だということは、我々も過去の反省に、御指摘をちゃんと踏まえて、そのための審査体制の強化を図りました。

 その観点から、人件費の部分、審査体制の強化という点については、私ども、第三者委員会の中での検討の中ではしっかりと審査いただいたもの、そのように認識してございます。

山崎(誠)委員 全く内訳もない。何人その管理業務に関わったかも分からない。どういう人材が関わったかも分からない。合計しかないんですよ。だから、百人で割ってみるしかないじゃないですか。どこでこれがコストパフォーマンスがいいんですか。中抜きそのものじゃないですか。

 じゃ、もう一つ聞きましょう。

 コールセンターの業務とあるんですよ。次の表を見てください。チェックをしている四者がこのコールセンターの業務を受けています。それぞれ七億一千二百万、全部同じ金額が四者並んでいますよ、コールセンターの。

 コールセンターの実績も、これまでの実績をお聞きしました。コールセンター七億一千万円、四者ですから、二十八億円ぐらいになります。十一月から五月までの電話を受けた実績が三万三千ぐらいですね。

 例えば最後までこのコールセンターをやったとして、例えば六万五千件ぐらいのコール、こんなにならないと思いますけれども、そういうふうに計算をして、この二十八億円を割ったら、ワンコール幾らですか。四万三千八百円ですよ。ワンコール四万三千八百円。

 これは高過ぎませんか。電話を受けるだけですよ。いや、いろいろな調整、マニュアルづくりをやっているんだと。マニュアルづくりはその上でお金を取っているじゃないですか、その上の企業が。たっぷりお金を払っていますよ。この企業は電話を受けるだけです。これでどうしてコストパフォーマンスが高いんですか。

 もう一つ。資料の二、下に、デジタルシティという会社がホームページを作成しています。ホームページ、御覧いただいたことはありますか、大臣。普通の、一般的に情報提供するためのホームページです。普通のページですよ。QアンドAがあって、QアンドAというか、QAみたいなものがあったり事業の宣伝がざあっと書いてある普通のホームページ、これが三・八億円ですよ。こんなにかかるはずないですよ。相みつを取りましょうか。一千万、二千万もかからないよ。どうしてこんなにお金がかかるのか、内訳も工数も教えてくれません。これでどうしてコストパフォーマンスが高いと言えるんですか。

 じゃ、ホームページ、例えばいろいろな申請システムも入っていますよ、申請システムは上に書いてある。この三億八千万、内訳は分かりませんけれども、空っぽですよ。ただの情報提供のホームページに三億八千万円もかけているんです。それが、先ほど言ったような公募、訳の分からない公募プロセスを経て一者に決まって、こんな事業をやっているんですよ。

 これで何でコストパフォーマンスが高いんですか。大臣、答えてください。

西村(康)国務大臣 おっしゃるとおりであります。

 我々、電力、ガス一千社を通じて一億数千万人の国民の皆様にこの電力、ガスの緩和を届けていく、そのために万全を期して、審査を経て、第三者委員会を経てこの体制を取っております。

 その上で、我々、コールセンターも万全を期して、人数も配置し、場所も取り、やっておりますが、実際にそれほどの数字が出なければ、おっしゃるように本数が来なければ、中間検査もやって、どんどん人も減らしていっていますので、詳細は答えさせますけれども、最終的に確定検査をやって、使わなかった分、取り過ぎていた分、しっかり返していただきます。

山崎(誠)委員 当然ですよ、そんなの。使っていないお金を返してもらうのは当然ですよ。ただ、事業を始めるときに適正に評価をして事業をやらなくてどうするんですか。だって、費用も何もないじゃないですか。百七十万ですよ、月一人。そんな事業に何で予算をつけるんですか。

 終わります。

竹内委員長 次に、大島敦君。

大島委員 政府参考人の皆さんには、本当にありがとうございます。これまで何回か来ていただいた方もおりますので、今日で終わる方もいらっしゃると思いますので、よろしくお願いします。

 時々、産総研、産業技術総合研究所、あるいは理化学研究所などを訪問して、研究者の皆さんと意見交換をしております。

 昨年も十一月に産総研にお伺いをして、当委員会でも何回も、国会でも取り上げられたペロブスカイト太陽電池ですか、研究者の方とお話をさせていただきました。面白かったです、何か研究者の方が、スイスの研究所で研究しているときに、一緒にお酒を飲んでいた、ビールを飲んでいたイギリス人の研究者の方と話している中で思いつかれたという話を伺ったりして。いろいろ、研究者の皆さんは、それぞれが話し合う中で次のアイデアが出てくるのかな、言論の自由というのは結構大切かなと思いながら聞いておりました。

 大臣にお伺いしたいのは、このペロブスカイト太陽電池も含め、日本発の新技術について、日本が競争力を維持していくための方策について伺いたいなと思っています。

 これはもちろん、概算要求にこれから入りますので、研究開発費についてはできるだけ増やしたいという立場で、もちろん財政当局が関わりますから、そことの交渉にはなるかと思うんですけれども、やはり、本当に研究者の皆さん、どの研究所を訪れても、私に対してこうしてほしいなんて一言も言っておりません。ただ、見ていると、産総研のつくばの研究所も大分建屋も古くなっているかなとか思ったりもしながら、ぎりぎりの環境の中で一生懸命、まずは研究開発に取り組んでいただいていて、かつ、給与も結構不安定かもしれないなと思うんです。

 理事長の給与も、私はジョブサイズに応じて給与を払う時代に入ってきたのかなと思っています。事務次官給与よりも高くなってはいけないという縛りを外していかないと、そろそろ理事長も、希望者が少なくなってくるのかなと思っています。

 私、十年以上前ですか、今の沖縄大学院大学の設置法の責任者をしているときに、部局から学長の給与の上限を外したいと言われたので、いいですよと伝えました。ですから、あそこだけ学長の給与が非常に高いので、世界中から一番いい学長が来るので、いい研究者が集まって、いい成果が出るという好循環です。

 ですから、産業総合技術研究所、経産省が持っている一番大きい研究所ですので、ここについても是非、研究者の皆さんの待遇とか、あるいは研究費とか、様々これから、改善というのかな、前向きな改革が必要かと思うので、その点について大臣から一言下さい。

西村(康)国務大臣 産総研の研究所、私も行くのが楽しみでありまして、これまで四か所訪問してまいりましたけれども、おっしゃるように、研究者の皆さんが生き生きと、いろいろな発想で、特に、日本の強みを更に発展させていこう、あるいは新しい発想で技術開発しよう、そうした取組、本当に行くたびに刺激を受けております。

 そして、新理事長の下、民間からの資金、共同研究なんかも含めてかなり積極的に取り組まれておりまして、今、非常に活力ある研究開発が進められているものというふうに思います。

 その上で、理事長は、民間の経済界から、実績のある方になっていただいていますので、そうなると、やはり所得の面では、給与の面ではかなり、恐らく減っておられるんだと思います。

 そうしたことを考えると、今後、様々な研究を進めていく中でリーダーシップを発揮していただく中で、これは全体の国家公務員の給与体系、あるいは独法の給与体系などを含めて、様々な制約、一定のルールの下でやっておりますけれども、新しい時代になってきております。果敢に民間資金も導入しながら挑戦をしていくという中では、いろいろな可能性を不断に考えていかなきゃいけないのかなということで、御指摘の点も含めて、今後、私どもの課題として是非考えていきたいと思いますし、経産省としては、まずは様々な研究者が伸び伸びと自由な発想で新たな研究開発に取り組めるように、必要な予算の確保に努めていきたいというふうに考えております。

大島委員 財務当局も、研究開発については、これまでとは違って多少緩くなっている時代に入ってきたのかなと思うので、この産総研、私の地元の企業でも、産総研と、協力を得ながら技術開発している中小・小規模企業もあるものですから、そういう民間の活力を引き出すためにも、是非その点もお願いしたいと思っています。

 もう一つが、H2ロケット。

 失敗してしまいましたので、私、決して失敗したことを悪いことだとは思っていません。

 野口宇宙飛行士がスペースXで宇宙ステーションに行ったとき、宇宙と地上を結んでのインタビューを聞いていたときに、はっとしたのがあります。

 スペースX社は、まずは打ち上げてみるんですって。JAXAあるいはNASAというのは、ほんの少しでも不具合があると、全部原点に戻ってきてもう一回組み直すので、時間がかかる。スペースX社においては、まずは打ち上げてみるといって、打ち上げてみてから、問題点を抽出しながら研究開発するので、開発時間が短いという。

 ですから、四月にも、大型宇宙船のスターシップ試験打ち上げで爆発しても、イーロン・マスクさんは全く動じることなくにこにこ記者会見しているというのは、そこにあると思うんですよね。

 ですから、H3ロケットも、何か一回か二回、空でいいから打ち上げた方がよかったんじゃないのかなと私は思っていまして、二百億円のNECが造った人工衛星まで積んで一発勝負というのはなかなか難しいので、やはりそういうような考え方が取れないのかなということを政府参考人に伺わせてください。

永井政府参考人 お答えいたします。

 H3ロケット試験機一号機の打ち上げが失敗したこと、そして搭載していた衛星を失ったことを重く受け止めてございます。

 現在、文部科学省としては、原因究明を進めているところですが、ロケット打ち上げまでの各種準備には相当の期間を必要とすることなどから、次の試験機に係る政策的な検討も進めてきているところでございます。

 その結果、五月二十四日に開催された文部科学省の宇宙開発利用部会では、衛星の搭載方法等について審議を行い、H3ロケットの試験機二号機には、当初計画されていた先進レーダー衛星「だいち」四号ではなく、ロケット性能確認用ペイロードを搭載する等の方向性を確認し、また、五月二十六日に開催された宇宙政策委員会でこれを報告したところでございます。

 文部科学省としては、引き続き、JAXAとともに早急かつ丁寧な原因究明等に最大限努め、打ち上げ成功に向けて全力で取り組んでまいります。

大島委員 ありがとうございます。

 私、失敗したことを全然責めているわけでもなくて、失敗を繰り返さないと成功に結びつきませんし、MRJでも全然、延期されたことに対して私は不満もないし、ただ、最後までやってほしかったなという不満だけが政府にありますので。

 大臣に、今後のこういう宇宙政策について一言いただければと思います。

西村(康)国務大臣 宇宙政策をめぐって、私も、若い頃ですけれども、超党派の議員連盟の事務局長として、まさに宇宙基本法を議員立法で提出をし、その制定に携わった経験もありますので、非常に思い入れも持っております。種子島で実際にH2Aロケットの打ち上げを見たこともございます。

 最近では、宇宙のベンチャーの方々と、スタートアップがたくさん出ておりますので、多くの方と意見交換し、まさに宇宙に広がる壮大な夢を皆さん語っておられる姿に非常に感銘を受けているところであります。

 そして、御指摘のように、宇宙開発においては、これまでも、過去も失敗を糧に成功につなげてきたということであります。もちろん失敗しない方がいいわけですけれども、失敗したからといってそこでとどまるのではなく、それをまた糧にして次の成功につなげていくという姿勢がまさに大事だと思いますので、今回の失敗からも教訓を得て、次の成功に是非つなげていただきたいというふうに思いますし、宇宙をめぐっても、各国、非常に競争が活発になってきておりますので、私どもも、スタートアップへの支援も含め、また、文科省と一体となって、打ち上げの成功に向けても是非取り組んでいきたいというふうに考えております。

大島委員 文科省さんもよろしくお願いします。

 結構、開発手法を見直す時代かもしれないですよね。試しに打ち上げてみる、それで不具合を見つけてからやり直すという方が短時間で済むかもしれないので、是非、その点、お願いします。

 この間、東京商工会議所の方とお話をさせていただいたときに、お手元の資料なんですけれども、私の現状認識と全く同じでした。中小・小規模企業、特に価格転嫁の問題も、これまで大臣にも、パートナーシップ宣言、取り組んでいただいて、ありがとうございました。

 やはり実態は、中小・小規模企業、物づくり、結構大変なことは変わりません。給与は上がっていません。かつ、原材料費あるいは電力、エネルギーのコストアップについては対応していただいておりますけれども、人件費というのは合理化努力の結果だから、人件費については面倒を見ないというのが大手企業の基本的な考え方です。

 地元の私の知り合いの物づくりの経営者の皆さんとこの間お話しする機会があって、息子に継がせられないなという声があるんです。従業員規模が三十人から五十人ぐらいの会社です。利潤も出ています。安定的に発注もあります。息子さんが工学部を出て、大手の製造メーカーに入って今働いていらっしゃっていて、なかなか継がせられないな、こういう会社は多いと思うんです。

 今の日本の物づくりは、これまでここで取り上げたように、本当のビジネスですから、投資規模だって億円単位だし、従業員のスキルアップを常に図らなければいけないし、次の受注に向けて常に営業活動を社長自らしながら、そして、クレーム対応と検査工程まで持って、認証も受けていく。その割には報われていないんです。ここまで日本の中小・小規模企業の物づくりを追い詰めていくと、産業基盤がなくなるというおそれがある。

 その点、大臣からも是非、大手の経営者の皆さんに、このままほっておくと、この間も取り上げましたけれども、今、多くの会社がMアンドAで声がかかっています。私がこの間会った十社ぐらい、二十社ぐらいのうち数社は、MアンドAで、買収に応じませんかという声が常にかかっていると言っているんです。福島に工場を持っていた大きな会社も、全部売却しました。本当にこのままで日本のメーカーがもつとは思えない。

 是非、その点、大臣から一言いただけると助かります。

西村(康)国務大臣 価格転嫁をめぐっては、御指摘のように、労務費の転嫁がなかなか難しい、併せて、エネルギーコストの転嫁が難しい。原材料費の分はかなりの程度見てくれるようになっているという声もありますし、また、データ上もそういうふうに出ております。

 私、特に思うのは、業種別にどのぐらい労務費、原材料費、エネルギー費が転嫁できているかという数字を発表しておりますし、今なお三十万社のアンケート調査を行っておりますので、これがまた整い次第、公表していきたいと思いますし、各社ごとに、発注事業者、親事業者ごとに評価も発表したいと思っておりますけれども、一番悪い業種がトラックなんですね。

 トラックは、全体のコスト増に対して二割しか転嫁できていない、おっしゃった労務費は一五%しか転嫁できていない。もう来年、労働時間の規制も入ってきますし、まさに二〇二四問題と言われるように、物が運べなくなる。それなのに、発注側はトラックの事業者のコストを見ていない、これはもう自分の首を絞めているものだというふうに思います。自社の物を運べなくなるわけでありますから、物流の事業者に対しても、労務費、エネルギー費も含めてしっかりとコストを見てもらって、そして物流をしっかりと維持していく。

 このことは、今、国交省を始め関係省庁と我々は連絡会、検討会をやって、また、荷主の方々にもいろいろな要請をしておりますけれども、トラックに限らず、おっしゃったように、今一例だけですけれども、労務費、エネルギー費、しっかりと転嫁できて、そして、大企業とそれを支える中堅・中小企業、これはまさに共存共栄していく、パートナーシップ宣言のまさにその精神のとおり、日本経済全体が持続的に維持、継続、そして発展していけるように取り組んでいきたい、価格転嫁、しっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

大島委員 大臣の御発言、ありがとうございます。

 大きな会社の経営者の意識を変えていかないと、やはり日本の物づくり、今のように金融資本主義で、株価のボラティリティーというんですか、乱高下が激しいと、金融でお金、利潤を稼げばいいやというふうに割り切りますよね。こんなに苦労してまで現場に出て、生産を常にし続けて、本当に割の合わない日本の物づくりだと思っているので。

 やはり金融経済から実体経済、実物経済に変えていかないと、日本の繁栄はないと思うんです。ドイツの場合だと、やはり物づくりということに焦点を当てているので、しっかり温めているわけですよ、ここを。ここは是非、皆さんにも御理解いただきたいなと思っています。

 最後になりますけれども、厚生労働省、ありがとうございます。

 大臣、中小・小規模企業の皆さんは、申し訳ないんだけれども、時間がないんです。時間がないというのは、資金繰りで手いっぱいで、自分の企業を存続していくだけでもうほとんど、大変な状況の中で、今度、新しいDXとか生産性の向上とか人材育成とかをしなければいけなくて。

 厚生労働省には、積極的な能力開発に取り組んでほしいということを常々お願いしていて、そのことについて、もう時間がないので、一言だけ。

 また今後も質問していくんですけれども、役所の皆さんですから、こういう問題意識を持っているということは理解してください。

 非常にいいメニューを持っているのは全部承知しています、日本の職業能力訓練のメニューは。視察もさせていただいて、個々に取り組んでいる実態もよく分かります。それをもっと、例えばキャリアコンサルタントを中小企業に派遣して、何が中小企業の人材として必要なのかとか、積極的な労働行政に変えていかないと。これは経産省とコラボしながら、経産省だと、商工会議所とか商工会とかに経営指導員の方がいらっしゃいます。あと、ハローワークさんのそういうキャリコンの人たちが一緒になって、中小・小規模企業に対する意識を若干変えていかないと、多分更に人が集まらなくなってくると思います。

 人が集まらないというのは、やはり今の若い人たちは、残業は余りしたくないし、あるいは有休は取りたいし、そして、プラス、残業、有休、育児休業とか、多様な働き方に対応していないとそこに手を挙げなくなっていて、明らかに今、売手市場に今後ずっと変わっていくので、そこの意識についていっていないんです、中小・小規模企業の皆さん全体が。

 その点は、是非、西村大臣、厚労省の皆さんと、今でもやっているかと思うんですけれども、中小・小規模企業の皆さんに対しての支援をお願いいたしたいと思いますので、厚労省から一言お願いします。

松本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の点について、私どもも、まさにそのとおりだと考えているところでございます。

 先般、三位一体の労働市場改革の指針も定められておりますけれども、こういったことも踏まえまして、求職者の側にはキャリアコンサルティング、また、個別の企業には求人の条件でありますとか労務管理の在り方について助言ができるような体制をより充実させていくべく、頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

大島委員 時間が来ましたので、また引き続き質問させてください。

 ありがとうございました。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田嶋要君。

田嶋委員 午後のトップバッター、よろしくお願いします。田嶋要でございます。

 今日は国土交通省からも、政務官の方にお越しいただき、ありがとうございます。ちょっと順番を、そういう意味で入れ替えさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 世の中には枯れた技術という言葉がありまして、これからまだ未知な部分の技術に対して、もう既に社会に広がっている技術という意味だというふうに理解をいたしておりますけれども、配付資料の三ページを御覧いただきたいと思います。

 せんだって超党派の議員連盟が新たに立ち上がりまして、かなり大々的に、恐らく参加された与野党の議員の方も多いかと思いますが、共同代表方式らしくて、我が党からは福山先生、自民党さんからは小渕優子先生が共同代表になられて、大勢参加。

 そこで、この配付資料の三は、プレゼンテーションがございました東大の高村ゆかり先生、しょっちゅう日経新聞にお顔が出てくる、この分野の第一人者。そして、次の資料四が、こちらも有名な江守先生ですね。このお二人から、直近の温暖化とか気候危機の問題の様々な点についてのブリーフ的なプレゼンテーションをしていただいたんですが、三の資料を見ていただいても、二〇三〇年目標に向かってどうやってギャップを埋めていくかということで、こういうようなデータがあるわけでございます。

 西村大臣にも御注目いただきたいんですけれども、とかく開発中の技術、いろいろなことに熱心な経産省ではございますが、目の前で既に市場化されている技術にもう少し注力をしないと、何だか、やっていることが、目の前から着実に結果を出していくということにつながらないのではないのかなという危機感、これは私だけが申し上げているのではなくて、多くの方に、そういう指摘があるということですね。これが高村先生の資料。

 次の四ページを御覧いただいても、IPCC統合報告書というのが最近出ましたが、ここで、とにかく早くやった方が絶対いいし、そのために必要な資金も技術の大部分ももう持っている、今すぐに急激にかじを切らないともう間に合わないんだということですね。現在の転換スピードでは遅過ぎるということを言っているので。

 西村大臣には、特に経済産業省に私はそういう傾向があるというふうに思います。未来のどうなるか分からないRアンドDも非常に大事でありまして、そこから大化けする可能性もあるわけでありますが、しかし、目の前で既に市場化されている技術ということで是非ともお願いしたいと思いますが、西村大臣、覚悟の一言をお願いしたいと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘の気候変動への対応、カーボンニュートラルの取組も、やはりイノベーションを起こしていき、それを実装していくということが大事だと思いますし、様々な課題を乗り越えていくには、私はイノベーションだというふうに思っております。

 その中で、御指摘のように、カーボンニュートラルに対する取組、私自身ももっとスピードアップしないといけないという思いを非常に強く持っておりまして、これはG7で各国の取組を聞いておりましても、日本ももっとやらなきゃいけないという思いを強くしているところであります。

 そんな中で、当然、将来に向けた、イノベーションに向けた研究開発もやっていきますし、足下のいろいろな技術も実装していく。枯れたという表現をされましたけれども、例えばヒートポンプ、これは日本ではかなり定着をしておりますけれども、今、ヨーロッパやアメリカで爆発的に出ていまして、こういう技術で省エネ的にできるのかということで広がっておりますので、これで日本の企業も非常に貢献をしております。

 その意味で、もう一定、定着した技術でありますけれども、まだまだ世界では、実装していく、そういう場面は広くありますので、御指摘のように、日本の持っている技術をもっと広げていく、実装していく、これは新しい技術、イノベーションを起こしていく研究開発と同時に進めていかなきゃいけない、そして、これを加速しなきゃいけないという思いであります。

田嶋委員 既に手に入っている技術、そして、それがとりわけ、ヒートポンプの例のように、日本発だったらもう最高ですよね。だから、そこを、ただ、大臣はそうおっしゃっても、経産省の性癖として、どうもRアンドD、そうした部分に巨額を投じる一方で、ややもすると、社会実装ということは何かほかの役所がやればいいような感じでいられると困るなという気持ちであります。

 これを御覧いただくと、三で、市場化された技術によってギャップが埋められる割合が八二%ということは、よく、二〇三〇年までが正念場だとかそういうことを言う割には、開発中の技術の一五%の方に経産省の関心が強いのではないかということを改めてアラートしたいというふうに思います。

 そこで、今日は国土交通省にお越しいただいて、実は去年の三月八日に環境委員会で本件を取り上げて、そのとき三回目の定点観測をさせていただきました。今回は四回目でございますが、やはり、そういう意味では、枯れた技術、市場化された技術の一つとしてのLEDということでございます。

 LEDは、もう国民は大体知っているわけで、自分の家の電気もLEDになっているということだと認識をしているのですが、そこで、政府によるLED普及のフローベースとストックベースの目標と進捗についてお尋ねします。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の政府によるLED普及のフローベースとストックベースの目標でございますが、過去のエネルギー基本計画におきまして、業務、家庭部門においては、高効率照明、例えばLED照明であったりとか有機EL照明でございますが、これについては、二〇二〇年までにフローで一〇〇%、二〇三〇年までにはストックで一〇〇%の普及を目指すという目標を掲げるところでございます。

 また、普及率でございますが、これは日本照明工業会の統計がございまして、LED照明の普及率、二〇二三年三月時点においては、フローベースで九九・六%、ストックベースで五五・三%となってございます。

田嶋委員 フローベースということは、もう既に世の中に出回っている照明はほぼLEDになっている、フローでですね。ただ、ずっと昔から使っているものがほったらかしになっているから、ストックベースでは今五割ぐらいということですね、二〇三〇年一〇〇%ということでありますが。

 そこで、もうこれは何度も定点観測させていただいている、まず隗より始めよということで、民間はともかく、道路の国道だとか県道だとか市道はさっさとLED化すればいいのにと思っていたら、今から七年前ぐらいに、千葉市が半年間でほぼ八割以上の、市道に関するライトを全部LED化した。そのときに、リース方式を使って、いわゆる行政の財政に負担をかけることなくやったということを七年前に御紹介し、以後二回取り上げているんですが、非常に国土交通省の動きが鈍いということを申し上げておるわけでございます。

 そこで、今日、国交省政務官にお尋ねしますけれども、国道の既設照明のLED化について、同じように、目標と、そして進捗率をお答えください。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 国が管理する道路上にある約六十万灯の道路照明のうちLED化されているのは、二〇二二年度末時点では約二十四万灯で、全体の約四割となっているところでございます。

 このLED化については、令和三年度から令和四年度までの直近の二年間で年平均二・六万灯ペースで進めてきており、平成二十六年度から令和二年度までの七年間の年平均一・七万灯のペースと比較すると、大幅に進捗率を伸ばしてきているところでございます。

 また、今年度より、一部の地方整備局において、委員御指摘のとおり、リース方式によるLED照明への切替えにも取り組むこととしており、来年度以降も更に拡大していく予定でございます。

 さらに、近年、灯具の交換が不要で光源部のみを交換することでLED化が可能となる新技術が開発されており、これを適切に活用することで、コスト縮減を図りつつ、LED化を加速化させてまいります。

 このような取組により、道路照明のLED化を更に加速させ、目標の前倒しを図ってまいりたいと思います。

田嶋委員 ありがとうございます。

 事前レクでは聞かされなかったことを二点おっしゃいましたので、頑張っていただいているということで。

 リース方式も七年前から意見、提言させていただいているんですが、今日までやっていないというのは非常に遅いですね。今検討が始まっているということなので、是非やっていただきたい。

 それから、理由として、何か光源部だけじゃない部分の取替えがあるからどうのこうのという話もありましたが、それは市道だって同じなんだということで、今の話だと、そういう新しいものも開発だということで、やっていないよりは評価をしたいと思いますが。

 そこで、経産大臣、私が思うのは、経産省は強い危機感をお持ちで、もっともっとスピードアップしなければならないという趣旨のことを先ほどおっしゃられたと思います。そういう意味で、省エネでありますから、何といっても、一日早くやれば一日早く省エネになるわけだから、これはもうやらない理由がないということでありまして、サプライサイド、要するに、年間どのぐらい、今五百万個ぐらいのLEDの製造キャパシティーだというふうに理解をいたしておりますが、国のプロジェクトとして目標設定すれば民間の投資が動きやすいというのは言うまでもありませんし、やはり民間の需要を、先に需要を形成するという意味でも、政府の取組が非常にオープンになっていくことが私は大事だと思います。

 国土交通省の動きが、少なくとも今日まで、非常に私は十分ではないというふうに思っておりますが、西村大臣におかれては、是非、製造メーカーへの働きかけも含めて更に加速をし、先ほど政務官はおっしゃいませんでしたけれども、現在四割ということでございますが、国のストックベース三〇年一〇〇パーに対して、国土交通省だけはストックベースで三〇年五〇パーというようなことを、ちょっと寝ぼけたようなことを言っているということを指摘させていただきました。それは、民間よりも遅いペースではなくて、是非、二〇三〇年にストックベースで一〇〇%、五〇パーではなくて一〇〇%ということ。

 政務官、これは初めてお知りになりましたよね、恐らく。そうですよね。まあ、いいですよ。

 そうした、国交省だけ間違った目標設定で、そこまでいけばいいんだじゃなくて、是非、民間に言っているような、ストックベースで、二〇三〇年、あと七年後に一〇〇%ということで、もう一度、三回目の、今日は念押しのお願いでございますので、よろしくお願いしたい。

 西村大臣、是非、そうした国交省の取組を、先ほどの資料三でお見せいたしました、枯れた技術、市場化された技術の社会実装を隅々までやるということも、国交省や環境省の方に任せておくんじゃなくて、経産省がちゃんと責任を持って、企業とも対話をする、支援をしていただきたいというふうに思いますが、西村大臣、一言お願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のとおり、国道のLED化も含めて、国内でLED照明を普及させることは、省エネの観点から極めて重要であります。まさに省庁の縦割りを排して、国全体で取り組んでいかなきゃいけないということだと思います。

 国内の業界団体からは、今お話があったLED需要に対する供給能力は十分である、特段問題はないというふうに聞いております。それからまた、お話のあった、光源のみの交換でその他周辺の照明器具の交換が不要な技術も実用化されてきております。導入コストが大幅に削減されるということで、LED化を更に加速化する切り札になり得るというふうに考えております。

 エネ基で既に、御指摘のように、二〇三〇年ストック一〇〇%という目標を掲げておりますので、これは閣議決定しておりますから、是非、今後も国土交通省とよくコミュニケーションを取って、LEDの目標の前倒し、普及促進に取り組んでいきたいというふうに考えております。

田嶋委員 今後もというか、今まで余り話していないそうなんですよ。国交省は経産省に相談は一度もしていないということなので、これではよくないということを、是非お願いしますよ、政務官も。今回、記録に残しますので、また来年、私が同じ質問をしなくていいように、是非お願いしたいというふうに思います。

 生産能力自体は問題ないということですが、ひょっとしたら財務省の予算の問題があろうと思うんですけれども、ここは、省エネができたらその日から節約できるんですから、税金を、電気代という税金を。だから、やらない理由がないんですよ。是非、両省で協力してお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、政務官、ありがとうございました。

 当初の予定の最初の質問に移りたいと思いますが、電力規制料金が値上がりすることになりました、なってしまいましたということでございますが。

 しかし、ウクライナへのロシアの侵略は続いてはいるものの、LNG価格を含めて、市場の資源価格は随分落ち着いてきている印象であります。

 大臣、なぜ値上げ申請を認めることになったのか。何か少し遅らせて、いろいろな不祥事があったので、そのままオーケーは出せないけれども、少し世論が落ち着いた状況を見計らって目立たなく値上げをするのかなという印象もあるんですが、国民生活は物価高で大変な状況で、なぜ値上げをするんですか。

西村(康)国務大臣 大手電力の七社から、二社、九電と関電は原発が動いているということもあって値上げを今回申請しませんでしたけれども、除いて、あと、中部もなかったですね、七社から規制料金の改定申請が行われました。それは、昨年十一月とかそれから今年の一月時点での申請でありますので、まさにLNG、石炭、こういったものが、ウクライナ侵略によって、それ以前と比べて相当程度高い水準であった、いわゆる規制料金の上限値まで張りついていたという状況の中で、経営をかなり圧迫しているという状況で申請が行われました。

 その上で、審査の過程においては、その後、今お話のあったとおり、燃料価格も落ち着いてきていますので、昨年の十一月、十二月の高いときではなくて、やはりできるだけ直近の落ち着いている価格を反映させて審査を行うべきだということで、まさに直近の燃料価格に基づいて再算定を行って、前例にとらわれない、経営効率化も、極めて厳格に行いまして、それで認可を行ったところであります。

 さらに、認可後においても、月々の燃料価格の変動については、燃料費の調整制度がありますので、それぞれの月の電気料金に反映される仕組みとなっておりますから、今後も、燃料価格が落ち着き、下落した場合には、電気料金も下がるという仕組みになっております。

 実際、足下で、LNG価格はウクライナ侵攻前の水準まで下落しておりますので、石炭及び原油価格はまだ少し上回っておりますけれども下落傾向にもあるということで、各社の改定後の規制料金メニューについては、最新の燃料費調整額を標準的な家庭で試算しますと、七月の請求額は、燃料調整費で八百円から千七百円程度下がるという見込みになっております。

 いずれにしましても、直近の価格で査定をしたということであります。

田嶋委員 このメカニズムは非常に複雑で、なかなか全部の理解が困難で、国民の皆さんからすれば、割り切れないところが大きいのではないかというふうに思います。

 燃調費に天井があって、上に張りついているという意味は、だけれども、これはまさに、規制料金というのは消費者保護ですよね。だから、天井に張りつくということは、そこから上へ行かないわけですから、消費者が保護されているという状況ですよね。それが本来、規制料金のあるべき姿ですよね。そうじゃなかったら、自由料金と一緒にぼんと上がっていくわけだから。

 それを何か、燃調費がそういうメカニズムで消費者保護をしているのに、基の、ベースの電気料金が上がっちゃったら消費者保護にならないんじゃないですか、大臣。そこはどう考えていますか。

西村(康)国務大臣 上限に張りついてからの期間が余りにも長くて、各社の経営は大幅に、もう一千億、千億の単位で赤字になっております。このままでは、安定供給に向けての人員の確保であったり、あるいは投資であったりということも厳しくなってくるということであります。

 もちろん、できるだけ安価で、安定的な価格で供給をしたいということでありますが、やはり経営の安定ということも必要でありますので、そういった観点から、申請について、しかし、経営効率化は徹底して求めたということであります。

田嶋委員 消費者保護はもちろん大事だけれども、限界に来ているということで、やむにやまれずということだというふうに理解をいたしました。

 では、なぜ中部電力は、原発が動いていないのに、今回値上げ申請する必要がなかったんでしょうか。

西村(康)国務大臣 今申し上げたことにも関連するんですけれども、燃料費調整の上限に到達したのが昨年十月時点ですので、電力会社主要の十社、大手十社の中で最も遅かったということであります。もう何年も値上げをしていない、四十年前後値上げしていない北陸電力なんかもありますし、早く上限に張りついたところもあります。そんな中で、比較的というか、最も遅かったということ。

 それから、規制料金ではない自由料金の販売電力の割合が、中部電力は大手の平均よりも大きかった。つまり、愛知県中心に製造業の基盤がありますので、製造業に対して、自由料金での取引が一定割合、ほかのところよりも多いということがあります。

 そうしたことから、燃料価格の高騰の影響がほかの電力会社よりも小さいということでありまして、しかも二二年度の決算は黒字でありますから、経営判断として値上げの申請は行わなかったというふうに聞いております。

田嶋委員 そうなんですけれども、実際そのとおりだと思うんですが、だからこそ経営手腕の差だというふうに言えるような気がするんですが、今回、トップランナーという御説明も政府からいただきました。

 これは要するに、中部電力のようにうまくやれている会社がある中で、経営力の差によって、電気料金を上げざるを得ないところは消費者が負担を増やすことを余儀なくされる。しかし、経営を相対的に上手にやれたところに関しては値上げもする必要がないというような、何か不公平感があるような感じがするんですが、そこはどのように御認識されていますか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の規制料金の審査におきましては、例えば、LNGなどの燃料調達費用につきまして、各大手電力の調達価格の実績値を調査し、トップランナー査定を行っております。また、修繕費などの固定的な費目について、各大手電力の費用水準を比較し、最大で二三%の効率化を求めるといった厳格な査定を行ったところでございます。

 これらの査定につきましては、御指摘のとおり、より効率的な調達等を行うことができているいわゆるトップランナーと各事業者との経営効率化の取組状況を比較し、各事業者の足らざる部分について査定するものとなっているものと認識をしております。

田嶋委員 ちょっと私がよく分からないのは、中部電力がトップランナーじゃないのと言っているんですよ。だって、国民負担を増やさずに経営しているんだから。だから、本当のトップランナーとの比較を私はすべきじゃないのかなと思うんですけれども。

 値上げを申請しているいろいろな六社か七社の中でどこが一番かということで、そこに寄せた、それだけの値上げしか認めなかったということですが、値上げをしなくても経営できているところがトップランナーなんじゃないですか。そこはどういうふうにお考えなんですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 値上げ申請の審査におきましては、燃料費とか修繕費などの各費目に分解をして、そして、トップランナー査定を含めた丁寧な査定を行ったところでございます。総体としての電気料金ということで一律に判断をしたものではございません。

田嶋委員 そういうことは聞いていないんだけれども。

 さっき、原発が動いている、関電、九電は。中電は原発を動かしていないんですよ。だけれども値上げしなかったんですよ。私は、それこそトップランナーだと。国民から見れば一番いいじゃないですか、消費者からすれば。

 そこがトップランナーでしょう、そこをベンチマークにして考えなきゃいけないんじゃないかと私は思うんですけれども、そこはどうですかという質問です。大臣、答弁していただけますか。

西村(康)国務大臣 私の理解を申し上げますので、もし何か補足、あるいは違っていれば言っていただきたいんですけれども、トップランナーとして評価する項目も幾つもあるわけですね。その中には、中部電力が、中部と東京電力で一緒につくったJERAという会社があります。JERAの燃料の調達は非常に効率的に、国際的なプレーヤーとして行っていますので、例えば、その価格をトップランナー方式として採用するというのは当然あると思いますし、項目によっては、中部が一番でないかもしれない、それはほかのところのトップを採用するということでありますので。

 ただ、先ほど申し上げた自由料金の範囲がほかの電力よりも広い、自由度が高い、それから黒字である、そのことを背景として、それから上限に張りついたのが一番遅かったというようなことがありますから、必ずしも全てがトップかどうかは、詳細は答弁させますけれども、当然、調達価格なんかはトップのところを採用しているということであります。

田嶋委員 私も全部は分かっていない前提でしゃべっているんですけれども、しかし、値上げをしなくて済んでいるかどうかというのはすごく大きな差ですよね、国民から見れば。だから、私は、中部電力が総合力として一番いい経営をしているからそうなっているんじゃないのかな、だから、それはやろうと思えばできたんじゃないか。

 先ほどの自由化とか張りつくタイミングが遅かったとか、それは、遅かったというよりは、やはりうまいことやったから遅くまで張りつかずに済んでいるわけだから、何かそうしたところが消費者は負担しなくて、そうじゃない経営のところは負担が大きくなっているという印象が私は否めない。そこは、やはり国民からすると、この生活の苦しいときに、何だか不公平感があるような気がします。

 そして、もう一点だけ。

 昨日、役所の方から、物価上昇している中で、賃上げの織り込みをしていた会社があると。これはちょっと通告していませんけれども、通告している質問につながりますから。賃上げの織り込みをしていた会社があったけれども、その賃上げの織り込みは原則として認めないという査定をして、圧縮させたという話を聞きました。それはなるほどということなんですが。

 そこで、実は、料金の値上げを認可した直後に、配当に関して、値上げの直後に増配を決定した会社があるんですね。

 これは、聞くところによると二社、私は一社しか気づいていないですが、二社あるということですが、これもまた、どうも私はよく分からないですね。ぎりぎりで、圧縮して、先ほどの財政上の状況、電力の安定供給で大変だから値上げをしたということなんですが、値上げをオーケーされた翌日に株主に対しての増配を決定するというのは、何か、もらったお金の追加分がすっと株主に抜けていくような印象を私は持つんですが、西村大臣、これはどうなんですかね。こういうファクトを御存じだったかどうか分かりませんが、どう思われますか。

西村(康)国務大臣 規制料金の部分と自由料金の部分があるということですね。

 規制料金については、まさに料金算定のルールにおきまして、借入金に対する利子とか株主への配当とか、全体として電気事業に必要な資金の調達に関する費用の算定方法が定められておりますので、その算定結果に基づいて、必要な費用を料金原価に含めることとされているわけであります。

 一方で、実際に配当するかどうかは、自由料金の部分、つまり、自由な経営の中でやっている部分も含めて、各企業が経営判断をしていくものであります。

 その上で、御指摘のように、七社のうち、料金改定申請を認可した後、中国電力と四国電力が二三年度の業績見通しを公表して、これまで未定としていた分の二三年度分の配当を行う予定であるということを公表しているものと承知をしております。見込み業績予想は僅かに黒字に転換をするということで、その中で配当を行うということで聞いております。

 いずれにしましても、民間企業の資本政策でありますので、その目的、方法を含め、経営上の戦略に基づいて、各企業において経営判断されるべき性質のものと認識をしております。

田嶋委員 そこの、どこまでが企業の裁量なのだ、どこまでが規制産業として、規制料金の下でやはりそこは自由にはできないのかというところの線引きが私はよく分からない。

 ただ、先ほど申し上げたとおり、人件費、賃上げの織り込みは駄目よというルールなんですよ。そうですよね。料金審査のルール上は、賃上げの織り込みは駄目よ、働いている人の給料を増やしていくことは、料金査定の中で認めない。だけれども、料金が上がることを国から認められた翌日に株主に対する増配を決定するというのは、私はちょっと腑に落ちない感じがするんですけれども、では、西村大臣は、それはもう経営の判断だということですかね。

 消費者から見ると、電気代が上がるんですよ。上がるけれども、上がった部分が株主に流れるというふうに普通思いますよね。それは道義的にも全然問題ないというお考えでいいんですか。

西村(康)国務大臣 会社は会社で、安定的な経営をしていかないと、その後の安定供給、そのための必要な人材を確保したり、投資もやっていきますので、当然、会社に投資をしてくれている株主への還元も考えなきゃいけない、これは民間企業として当然だと思います。

 その中で、確かに、おっしゃるように、規制料金と自由料金がありますので分かりにくい部分がありますけれども、規制料金については、厳格なルールの中で、しっかりと、最も厳しい経営効率を求めて、過去にないレベルを求めて今回査定をしておりますので、そこは厳しくやっている。

 他方で、自由料金、自由な経営の部分がありますから、それも含めて全体として民間企業の判断だということでありますが、国民の皆様には、できるだけ丁寧に、分かりやすく説明をしていきたいと思います。私どもの支援策も含めて、ウクライナ侵略前の水準になっておりますので、引き続き丁寧に説明していきたいと思います。

田嶋委員 規制料金の値上げをした翌日に、値上げが認められた翌日の配当なんですよ。だから、規制料金部分と自由料金部分、両方あるのはそのとおりですよ。だけれども、今回は、規制料金の値上げ申請が了解された翌日に増配するというのは、これは印象として非常によくないと私は思います。そこは大臣とちょっとすれ違っている感じがしますが。

 ちょっと質問時間、最後の質問はもう駄目ですね。残念です。

 いいですか。では、最後にもう一問、ここで区切りがいいので。

 最後に、本件に関して、これはいろいろな不祥事もあったわけでございますけれども、私が思うのは、料金の引上げは認可されちゃいました、しかし、こういった事態は、一三年の報告書にきちんと記述もあるんですね。読み上げます。

 「中立性を実現する最もわかりやすい形態として所有権分離があり得るが、これについては改革の効果を見極め、それが不十分な場合の将来的検討課題とする。」こういうふうに当時書いているわけであります。

 しかし、その点に関して、政府は今、料金の値上げは認めた、しかし、不祥事に関しても、手は打っていただいている部分もあるけれども、こうした根っこの部分の検討を始める状況にあるというふうに御認識をされているかが一点。

 それからもう一つは、配付資料の一を御覧いただきたいと思います。

 法的分離をした会社の社名やロゴマークの話なんですが、これは同じ問題がドイツでも過去にありまして、そして、この名前が紛らわしいことが中立性を阻害しているという反省の下に、ドイツは二〇〇九年に、RWEという会社が、送配電会社の会社名をまるっきり違う名前に変えているんですね。それは有識者からも、日本も速やかにそうすべきだという声が出ております。どなたから出ているかというのは、電力・ガス取引の前の委員長の八田さんなどが中心にそういうことを言われているんですよ。私は重く受け止めるべきだと思いますよ。

 この点に関しても、やはり大臣から、こうした社名も含めて、ドイツは普通に名前を変えているけれども、これを見れば、みんな紛らわしいですよ。これで中立性だといったって、なかなか消費者は、ああそうですかとは思えないですよね。こういうところも、やはり本当に魂を入れて、本当の意味での中立的な送電事業になっていただきたいと私は思うんですが、大臣、その二点に関してのお考えをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 まず、その前に、先ほどの、認可の直後に配当ということになったということでありますが、タイミングが、本来、四月からの値上げの申請をされていたところが多かったわけですが、残念ながらというか、先ほどのお話のとおり、価格が落ち着いてきましたので、やはり直近の価格で査定しようということで、審査を行い、五月に認可を行い、六月から値上げになったということで、タイミングがたまたま一緒になったということでありますが、これも含めて、各電力会社も丁寧に説明をしてもらいたいと思いますし、私どもも丁寧に説明していきたいと思います。

 その上で、一連の事案については、まさに電気事業の中立性、信頼性に疑念を抱かせるものでありますので、私も極めて遺憾なことだというふうに認識をしております。

 先月、こうした事案も踏まえて、今後の電力システム改革の趣旨に沿った小売電気事業の健全な競争環境の実現に向けまして検討を進める旨、私自身公表し、私どもの審議会の小委員会、それから電取委の有識者会議などにおきまして議論を進めているところであります。

 中身としては、まさに一般送配電事業者が保有する非公開情報へのアクセス遮断を徹底する制度、仕組み、それから、内外無差別で安定的な電力取引を実現する仕組みの構築、そして、魅力的で安定的な料金、サービスなどの選択を可能とする事業競争環境の整備ということを、審議会の小委員会、それから電取委の有識者会議において御議論いただいているところでありまして、しっかり議論していただいて、その結果を踏まえて必要な対策を講じていきたい、いずれにしても、小売電気事業の健全な競争が行われる環境を実現していきたいというふうに考えております。

 あわせて、名称の件ですけれども、まさに一般送配電事業の中立性を確保することが極めて重要でありますので、電気事業法によって、一般送配電事業者は、小売電気事業や発電事業を営む関係会社とは別会社とすることが義務づけられ、また、関係会社と同一の会社と誤認されるような名称や商標を使うことも禁じられております。

 こうした規制を踏まえて、まさにお示しされた、会社の名称に送配電をつけたり、ネットワークをつけたり、パワーグリッドをつけたり、それなりに工夫をして誤認が起きないようにしているわけでありますけれども、まずは、今回の情報漏えい事案において問題となりました一般送配電事業者が保有する非公開情報へのアクセス遮断、これを徹底する制度、仕組みの構築に取り組んでいきたいと思いますし、関西を近畿と変えるとか、何かエリアを示す、なかなか、この御質問をいただいて私も考えてみたんですけれども、いずれにしても、まずはそうした仕組みの構築を徹底していきたいと思いますし、引き続き、しっかりとした競争環境ができるような取組は進めていきたいと思っております。

田嶋委員 ちょっと答弁が抜けていますけれども、まあいいです。では、また次回。

 終わりにします。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 誰にも優しい、特に敬愛する同僚議員には優しい、立憲民主党の衆議院議員の篠原孝でございます。

 それでは、私の質問をさせていただきたいと思います。

 資料を四ページお配りしております。

 今話の中にも出てまいりましたけれども、洋上風力発電、非常にみんな熱心でして、今、JERA、東電と中部電力の、この企業も石狩湾沖で洋上風力発電をやっていますね。それから、グリーンパワーインベストメント。Jパワー、九州でも、北九州、湾上でやっています。東京ガスも熱心になっている。それから、ユーラスエナジーホールディングスとか。

 今、言ってみれば、再生可能エネルギー、GX推進法、GX脱炭素電源法、ありましたけれども、その中に、へんちくりんなんですけれども、原発まで入って、六十年に運転期間を延長するとか、ああいうものは別の法律でやるべきであって、それをGXの中に入れているのはおかしいと思います。

 なぜそういうことを考えるかというと、原子力、明るい未来のエネルギーと言っていたんです。今は、再生可能エネルギー、再生可能エネルギーで、僕はそれは大好きなんですよ、ファンですけれども、余りにもそれが前面に出過ぎている。狂騒曲、そこのけそこのけ、その中でも洋上風力発電が通るという感じじゃないかと思います。

 そうしたら、大臣の著書、古いの、古くないですかね、二〇一二年だから十一年前の「繁栄か衰退か 岐路に立つ日本」の中に、風力発電の決め手は洋上風力、送電網の整備と。これを読んでみましたら、本当に読みやすくて、分かりやすくて、今のことをみんな当てているんですよね。十年年を取ってちょっと頭が柔らかくなくなってきていると思いますけれども、十年前はまだ真面目な役人の素養が残っていたから、本当に、見てみて、これだけちゃんと的確に書いているのはなかったと思うんですね。

 私がちょっと見てみましたら、駄目なところは、遠浅だ、洋上風力発電といったら漁業補償の問題があると。だけれども、浮体式でも長崎県の五島列島でやっているよ、着床式は北九州沖、銚子沖でやっていると。秋田沖も入るわけですね。下に書いてある福島県沖のは、これはちょっと頓挫して、撤退したんじゃないかと思いますけれども、大体そのとおりなんですね。それで、送電網の整備が必要だと。

 ただ、下の方に書いている、ずらっと三行書いてバツなのは、農地転用の円滑化とか何か、兵庫県の養父市の延長線でこういうことを言っている、これは関係ないので、これは大きくバツなんですけれども、一つのバツにしてあるだけです。だけれども、蓄電池が必要だと、本当に大臣の指摘されたとおり、このとおりになっている。

 この考えは、十年たって、今大臣になって、これを大々的に推進できる立場におられるわけです。その考えは変わりないですか。

西村(康)国務大臣 全く変わっておりませんし、むしろもっと加速してやらなきゃいけないという思いを非常に強くしております。

 まさに、二〇三〇年、再生可能エネルギーを三六から三八%、私ども、原子力発電所も活用してまいりますけれども、再エネを最大限導入するという、いわば二本柱でカーボンニュートラルと安定供給を進めていこうという考えでありますので、その中で、風力は四番バッターという位置づけだと私は思っております。

 二〇三〇年までに十ギガワット、二〇四〇年までに三十から四十五ギガワットの案件形成を目指して、まさに再エネ海域利用法で、今第二ラウンドの入札を行っているところでありまして、これで合計三・五ギガワットでありますから、まだまだ足りませんので、さらに、二〇二三年五月には、今年の五月ですね、北海道の五海域を有望な区域として整理をしております。

 是非この導入を大胆に進めていきたいと思いますし、まさに浮体式が今後重要となってまいりますので、グリーンイノベーション基金を活用したまさに技術開発、さらには、排他的経済水域、EEZを含む沖合における導入を目指して、これは法律の制定も含めて、関係省庁と連携して進めていきたいというふうに思っております。

 農地の点でいえば、今回ヨーロッパを少し回ったときも、農地、平地にもヨーロッパはたくさんあるんですね。これは、環境アセスが非常にスムーズにいっているのか、理由は分かりませんけれども、私は、平地、日本の場合は少ないんですけれども、でも、できるところがないのか、地域の理解も得ながら、また、地域と共生する形でできないのか、この点も是非探っていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 大臣、欲張りですね。洋上風力発電はいいですよ。ですけれども、原発にも、あっちもこっちもと。

 前も申し上げましたけれども、ドイツを見てください。ちょっと延ばしましたけれども、二〇二〇年に原発ゼロというのを、ロシアのウクライナへの侵攻で天然ガスが来なくなったから延びましたけれども、G7サミットに付随して行われた環境大臣会合で、札幌で高らかに原発ゼロを宣言しているわけです。私は、きちっと整理するなら整理する。

 それから、農地への、優しく言っているのに、また突っかかるから嫌になっちゃうんですけれどもね。今、太陽光発電の面積、日本は国内の面積の割合だったら一番高いわけです。平らな土地がこんなに少ないのに、そんなことをやっているところはないわけです。

 まして風力発電なんか駄目で、ヨーロッパが洋上風力発電と言っているのは、陸上の風力発電は、バードクラッシュもあるし、騒音もあるし、いろいろ問題があるので、洋上だったら少ないからといってやっているのに、陸上もまだやるんだとか洋上もやるんだとか、そういうのはやめてください。四番バッター、何か、野球部でサードであったり何番バッターだったか知りませんけれども、四番に集中してやってください。

 それで、副大臣、大臣がちょっと触れられましたけれども、二つまとめて答弁してください。

 日本は、一番安い着床式が向いていないんですね、残念ながら、すぐ深くなっちゃうので。ヨーロッパがうまくいっているのは、北海もバルト海もせいぜい六十メートルぐらいの遠浅なんです。だからできるんです。だから、着床式というのはそんなに世界でやっていないんじゃないかと。

 それで、五島列島の例。大臣の著書にも書いてありますが、やっていますけれども、それほど大々的じゃない。ヨーロッパではノルウェーがフィヨルドのところでやっていますよ。だけれども、分からないんですが、あっちにはどういう嵐があるか知りませんけれども、日本は、六月にもでっかい台風が来ましたけれども、台風がありますでしょう。本当に、そんな鎖でつなげておいたものでうまくいくのかなと思うんですけれども、この二つの点について経産省ではどのように考えておるんでしょうか。

 僕は、着床式はもう技術的には確立されていると思いますけれども、浮体式はなかなか難しくてうまくいかない、だから、日本も、やってはいいんですけれども、もっと着実に一歩一歩やっていった方がいいような気がするんですけれどもね。マイナカードと同じように、余り焦ってやると墓穴を掘るので。どうでしょうか。

太田副大臣 お答え申し上げます。

 まず、洋上風力、四番バッターということでございますけれども、洋上風力につきましては、再エネ海域利用法が施行されました二〇一九年以降、今、八つの促進地域で合計三・五ギガワット、案件を形成しております。

 委員御指摘のとおり、遠浅の海が長く続く欧州と違って、日本はそういうところが少ないものですから、これまでのところは、沿岸域を中心にして、主として着床式を対象とした案件が形成されつつあるということは事実でございます。そして、その場合には、漁業者や航路の利用等に支障を与えないようにということで、着実に今、着床式の風力発電、案件形成を行っているところでございます。こうしたことは丁寧に進めていくべきだと思います。

 一方で、御指摘の浮体式の洋上風力でございますけれども、御指摘のあったように、五島市沖において一・七万キロワットということで、まだまだ規模が小さいというのが実情でございます。

 大臣も申し上げたとおり、これをもう少し、四番バッターにふさわしく、より利活用を進めていくべきであるということは、私もそのとおりというふうに思いますけれども、諸外国でも、やはり、浮体式洋上風力は、着床式に比べて一基当たりの規模が比較的小さい、そして大型化に向けた研究開発、実証が今進められているというふうに聞いております。

 我が国もこれに負けないように、グリーンイノベーション基金を活用して、二〇二一年からはいろいろな要素技術の開発、これを進めてまいっておりますし、今年度からは、その要素技術を集めて、これを実際の海域で実証事業を進めていこうということにしております。

 今申し上げたように、今両方で進めておりますけれども、浮体式洋上風力産業を国内に育成しながら、二〇四〇年の三十から四十五ギガワット、この案件形成に向かっていきたいと考えております。

篠原(孝)委員 副大臣も黄緑色で、グリーンにアピールしてやっておられるんです、私も緑で支えていこうと。

 それでは、二ページ目の洋上風力発電の日欧比較というのを見てください。

 これは釈迦に説法かもしれませんが、頭の整理でよく見ていただくと、僕はけちをつけているんじゃないんですよ、そう簡単じゃないと。今、遠浅のを見ました。風速、風況。東北、北海道はびゅうびゅう風が吹いていますけれども、毎度じゃない。ヨーロッパは大体こんな、普通にそれなりの風が吹いていて、洋上の方が強い。だからちょうどいいんですね。

 じゃ、船と漁業とどうやって調整しているか。日本の周りの海の方がよっぽど船が盛んに航行しています。これとどうやって折り合いをつけるか。漁業は問題ですよ、大臣のところにも書いてありますように。それで、後でこの問題はちょっと時間があったら触れますけれども、ここのところを相当きちんとやっておかないと。農業や林業だと、土地があって所有者があって、漁業は、漁業権でふわっとしているんですよね。漁師はかわいそうなんですよ。追いやられちゃうんです。何にでも使えるから。

 着床式と浮体式のはもうお分かりいただいていると思います。三十年間借りてやるというのでちょうどいい期間かと思います。

 よく知りませんけれども、三十年をどうやって定めたのか分かりませんが、原発は六十年と言っていますけれども、風力発電の一般的な寿命は、洋上風力発電では二十五年かそのぐらいなんだそうです。だからちょうどいいんじゃないかと思います。そのときが一区切りですね。

 それから、港なんかが整備されているか。でっかいのをやるから、ちゃちな港だと沈んでしまったり岸壁が駄目になるので、きちんとしなくちゃいけない。下の、工事技術になるとこれは本当に、太陽光発電は日本がさんざんやっていたのに、中国にみんなさっと持っていかれちゃったりした。それに対して、風力発電というのは元々日本にもないんですね。私が知る限りでは、ミドルグルンデンというのは、デンマークで市民が投資して二十年前に始まっていた、これは本格的な、もっと前から始まっていましたけれども。我が国には蓄積がなくて、GEとかオーステッドとかヴェスタスとか、そういう外国の企業ばかりです。

 今、日本の洋上風力発電で国内調達率は二割ぐらいしかない、それに対して中国は一番進んでいるんですよね。これは余り知られていないことですけれども、中国は風力発電や何か相当やっていて、そして部品もみんな自前なんです。こういうことをしている。

 それで、もう時間がないので言ってしまいますけれども、ほとんど日本が配慮していないのが、下から二番目の環境、景観、離岸距離です、海岸からの距離。これはちゃんと考えてもらわないと困るんです。これは漁業を守るためにもそうなんですが、日本の沿岸漁業というのは立派で、資源を枯渇させずに漁民がちゃんと自らルールを作ってやってきたんです。

 ヨーロッパ、僕は、高レベル放射性廃棄物の処理に関する研究議員連盟の事務局長というのをやっていまして、二年か三年に一回、お金がないので私は二年か三年に一回ですけれども、引退された増子輝彦さんや富田さんなんかは毎年行っていたんです。私は、そのうちの何回かつき合って行きましたけれども、代わるべきエネルギーも見てまいりまして、二〇一九年、コロナになる前に、デンマーク、オランダ、ベルギー、一週間行って、沖合まで行って、すぐ近くまで行って見てまいりました。びっくら仰天でしたよ。洋上風力発電だっていうから行ったら、海岸から見えないんです。見えないように、行ったところにしか造らせないんです、景観を考えて。海底ケーブルはどこにあるのかといったら、それも、見えないように下を行って、どこか分からないところにやっている。それだけ景観を考えている。もちろん近くにも造りましたが、基本的に、十二海里、領海内。

 ここに書いてあるとおり、余り環境を考えない中国ですら、沖合から、十キロメートルじゃなくちゃいけない、圧迫感とかがないようにする。日本なんか、全然そういうことを考えていないんじゃないか。最初から環境を配慮していかなくちゃ、私は駄目だと思います。

 下の、鳥とか生物とかいうのも、生物多様性とか言っていますけれども、余り考えていないんですね。沖合にというのは、海岸の近くだと、鳥もその海岸に沿って飛んだりするんです。湿地もあります。飛行ルートがあったりするんです。こういう配慮、こういうのをきちんとやらなくちゃいけないのに、何にもしないで、それはいいんだから、洋上風力発電、洋上風力発電と言って、漁業との調整もそんなにせずに、たったたったとやってきちゃっているんです。これは私は問題だと思います。それで、やたら競争原理、競争原理というふうにやる。

 次に、やり始めたんですけれども、新聞紙上で去年の秋ぐらいにわあわあ言っていたんですね。三菱商事連合は、秋田と、それから千葉もそうですけれども、洋上風力発電の全てを三菱商事のいたところが落札してしまった。前経産大臣もそれにくちばしを挟んだりして、結構がたがたしたと思います。競争でやって、でっかいところが育ってもらわなくちゃいけないけれども、裾野も広くしなくちゃいけない。

 この点について、かじ取りは難しいと思いますけれども、私は、ここは民間企業に任せるだけじゃなくて、経産省が刺さり込んで、みんながやらなくちゃいけないところは経産省がやり、はい、あとは皆さん競争でやってくださいというのをやるべきだと思います。

 だから、例えば、今三菱だからいいけれども、余りにも痛めつけると、上限はここまでだというと、外国の企業は、日本がいいお客様だからやろうと思って投資しようと思っているのに、逃げ出しちゃいますよね。その点について、どのようにかじ取りしていくつもりでしょうか。

太田副大臣 第一ラウンドの公募では、御指摘のように、三菱商事連合が全て落札をしたということでございました。

 ただ、現在公募をしております第二ラウンドにつきましては、同一の発電事業者が落札できる発電設備容量の合計を一ギガワットとする落札制限を設けることによりまして、できるだけ多数の事業者に参入機会を与えるように工夫をいたしております。

 そういったことを通じて、より多くの国内企業がこの風力発電の分野に参入してきていただけるように工夫をしていく、これはアメリカもやっていることでございますから、そのようなことに努めてまいりたいと思っております。

 それから、そうすると今度は欧州の企業が逃げてしまうのではないかということですけれども、実態をいろいろ調べてみますと、今回の公募におきましても、四区域それぞれに、国外の発電事業者も複数来てくださっているようですし、また、国内の発電事業者についても、応募している発電事業者についても、欧州からの技術導入を、人を派遣して、ノウハウ等を蓄積している事業者もあるようです。

 こういったことがございますので、私どもとしては、欧州企業の日本市場に対する関心は薄れていない、強くなっているというふうに思っておりますし、また、欧州企業からの我が国企業への技術導入も進んでいるということで、こうした相まった様々な動きを経て、できるだけ多くの風力発電に関わる企業を育成していきたいと考えております。

篠原(孝)委員 次に、六番目と七番目の質問を一緒に答えていただきたいと思います、時間が余り、前半のあれでなくなってしまったので。

 僕は、これは地元の産業の活性化に是非つなげていただきたいと思っているんです。原発の問題点は、電源立地地域対策交付金で、迷惑料で金をばらまいている。常識的に言ったら、そこに安い電力があるんだから、その電力を使った産業をそこに興していればいいんです。よく知りませんよ、アルミ製錬に電力をいっぱい使うんだったら、アルミ製錬業をそこのところにつくっておけばいいのに、みんな東京に送っている。場所を貸しているだけですよ。

 第二の原発にならないように、洋上風力発電は。無理かもしれません、無理じゃない、ここは経産省がやらなくちゃいけないことだと思います。バックアップすべきですよ、地元の産業を興すために、そこで産業、部品の調達ができるように。そうじゃなかったら、私はよくないと思います。大都市にばかりお金が行って、電力も行ってという。

 秋田は何か、三菱商事がしばらくぶりに支店を設けた、日本郵船も設けた、いい傾向だと思います。これだけテレワークとか何かオンライン会議とか言っているんですけれども、東京、これだけコロナで大都市に集中すべきじゃないと言っているのに、また人口集中が始まっている。

 経産省は、今まで一生懸命、地方に興業とか言っているけれども、何一つ成功していないんですね。ゼロです。みんな東京へ集中して、東京へ集中しただけじゃなくて、ほかの国に行ってしまって、田舎はすっからかんです。全然熱を入れて地方の振興をやっていないからですよ。だから、二度と同じようなことをしないようにしていただきたいと思います。

 この点について、何かどこを見たって余りぱっとしない。いや、ありましたよ、GX脱炭素電源法のときに、地域というのがちょっと出てきました。何かありきたりのきれいごとが書いてあるだけで、大臣のこの著書の延長線上のような感じで、余り、悪いことは書いていないんですけれども、具体的なことは書いていないわけですよ。

 びしばし、電源立地地域対策交付金と同じように、こういう新しい再生可能エネルギーをやるところにはお金をつける、それこそ異次元のGX対策だと思いますけれども、大臣、今は自由にできるんです。十一年前著書に書いたことを思い切ってできるんです。やってください。

西村(康)国務大臣 ちょっと後先になりましたけれども、私の著書を線を引くまで熟読をしていただきまして、ありがとうございます。

 その上で、実は、線が引いていないところを、著書の、私の本の一ページ目の二段目なんですが、また、風車に用いる部品点数も多く製造業の厚みにつながっていることから、ドイツにおいては工業団地を整備しているということは書かせていただいております。

 実は、洋上風力発電の部品点数は三万点にも及ぶということでありまして、これは、日本の製造業、特に地域の鉄工所を始めとして金属加工の方々、これは十分にできるということで、私ども、二〇二〇年に官民で策定しました洋上風力産業ビジョン、ここにおいては、二〇四〇年までに国内調達比率を六〇%にするという目標を掲げておりますし、まさに秋田などで、こうした事業者と地元企業が協議会を設置してマッチングを行うというようなことも進んでおりますし、国としても、サプライチェーン補助金によって、この洋上風力の企業の設備投資、これは地域の企業、たくさん支援をしております。

 こうしたことで、是非、私の本にはドイツの例を書いておりますが、将来書く本には日本の例を書きたいというぐらいに応援をしていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、グリーンイノベーション基金での浮体式のやつもありますし、しっかりと技術開発を支援をし、そして、中小企業の、そうした地域の企業の取組も支援をしていきたいというふうに思っております。

 直接関係ないんですけれども、地域、何もやっていないかというと、そうではなくて、今まさに半導体の企業を中心に、各地、九州・熊本のTSMCを始めとして九州全体で投資が活発になってきておりますので、いわば田中角栄さんの列島改造論が、令和のまた列島改造論的に今なっておりますので、しっかりと支援をしていきたい。

 最後になりますが、緑ではありませんけれども、私、ブルーのネクタイでありますので、洋上風力、海を、しっかりと洋上風力を頑張っていきたいと思います。

篠原(孝)委員 デンマークのエスビアウ市ですか、それからイギリスのハル市ですか、それからドイツのここも、一万人とか八千人とか、そういう規模のものができているんです。あっちでやっているんですよ。日本はこういう配慮が本当に欠けているんですよ。だから、これをちゃんとやってくださいよ。

 それから、問八と九はちょっと省かせていただきます。

 和田内閣副大臣、おいでいただいていたのに済みません、一つだけ質問させていただきます。ただ、これは地こデジ委員会の方で、本チャンでやりますけれども、ちょっとだけ、触りだけさせていただきたいと思います。せっかくおいでいただいたので。資料の三ページと四ページはそれ用なんです。

竹内委員長 そろそろおまとめいただければありがたいです。

篠原(孝)委員 和田副大臣に悪いので、一つぐらい聞かないと。せっかくおいでいただいたので。

 この表を見ていただきたいんですけれども、これは今、内閣機能の強化というのをずっとやってきて、本当にそれが成功しているんです。成功し過ぎて内閣にいっぱい行き過ぎちゃって、漁業法の改正、二〇一八年にやったんですけれども、どこから取っかかりが出てやっているかというと、国家戦略特区でもって、一四年からいろいろやっているんです。そして規制改革会議に行き、最後に水産政策審議会に行ってやっているんです。これは、やってもらってもいいんですけれども、やはり内閣ばかりやって、こっちで押しつけるみたいな感じになっているんです。これはちょっと、全体の問題なんですけれどもね。

 またこの次やりますけれども、三十二も内閣に委員会、何とか会議があるんです。ちょっと横暴過ぎると思うんです。これについてどうお考えか。これだけで結構です。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 平成三十年の漁業法改正につきましてですけれども、平成二十九年四月の改定水産基本計画におきまして、資源管理の充実や漁業の成長産業化等を強力に進めるために必要な施策について、関係法律の見直しを含め、引き続き検討を行うと定められたことを端緒として、農林水産省において法改正に向けた検討が開始されているものと承知しております。

 規制改革推進会議においては、農林水産省の検討が始まって以降、農林水産省のほか、様々な漁業者や事業者等から丁寧にヒアリングを行いつつ議論が進められ、平成三十年六月に、漁業権に関し、既存の漁業権を受けた者が適切、有効利用をしている場合は継続利用を優先し、それ以外の場合は、地域の水産業の発展に資すると総合的に判断される者に付与するというふうな内容の答申を取りまとめました。

 その後、規制改革推進会議の答申も踏まえて水政審議会で改めて議論を行った上で、農水省として改正法案を取りまとめたものと承知しており、水産庁よりも規制改革推進会議等が強引に議論を行ったという御批判は当たらないというふうに思っております。

篠原(孝)委員 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会、小野泰輔でございます。

 今日は、以前も何回か質問させていただいているバイオディーゼル燃料のことについてお伺いをしたいというふうに思います。なかなかいい回答が来ないんですが、私も行政の立場でやっておりましたが、早く問題解決をしていただきたいというふうに思うんですね。明らかにやらなければいけないことが放置されているということで。

 今日は、たくさん、テレビ、インターネット中継を見ていらっしゃる関係者もいらっしゃいます。ツイッターでも、今日の話はちょっと分かりにくいので、配付資料を、これはネットにも上げておりますので、それを見ながら御視聴の皆様も是非一緒に考えていただければというふうに思います。

 まず、配付している資料、電車といいますか車両の写真が出ていますけれども、岐阜県に明知鉄道という鉄道がありまして、ここが実証試験を行っているんですね。昨年の十二月から、BDFを、これはB30ということで三割のBDFを混ぜて、そして動かしているということなんです。

 今、品確法において、車を走らせる場合にはB5までしか認められていないんですが、ただ、西村大臣の前の萩生田前大臣のときにも私は質問をいたしました。そして、熊本空港におきまして、B30を使ったトーイングカーというもの、よく飛行機を押したり引いたりしている車両がありますけれども、あれをB30でやっているということで、脱炭素を進めようということで、航空会社、それから空港の運営会社も協力してやっているということで、萩生田大臣に、そういった実証試験をやっていることを御存じですかというふうにお聞きしましたら、何を言っているんだ、俺が認可したんだというふうにおっしゃっていました。

 そこで、このB30を使った明知鉄道の車両の実証実験、これは誰が許可したのかというのを、まず、これは電車だと思いますので、国交省にお伺いしたいと思います。

奥田政府参考人 お答えをいたします。

 御質問のございました明知鉄道の実証実験でございますが、既存の手続を経た車両で、そこに入っている既存の動力発生装置を使用してやる実験ということでございますので、この実験に先立って新たに必要となる鉄道所管の手続というのはございませんので、御質問のあった許可とか、そういう行為は、国土交通省としては発生してございません。

 以上です。

小野委員 奥田審議官、ありがとうございます。

 私も結構びっくりしたんですね。車両の場合には、結構、BDFを使うことに関してはかなり厳しく品確法によって定められている一方で、ディーゼルエンジンの列車に関しては、何か、どういう燃料を使わなきゃいけないとかということが特に定められているわけではないということで、そういう意味では、私は、国が定めている規制とかというのも、合理性があるようであって、どうなんだろうかと思えるようなこともたくさんあるので、やはり、必要性に応じて大胆に見直していくことも必要なんじゃないのかというふうにも思ったりはしたわけなんですが、そのことは本題ではありません。

 これからお話しする事例が、BDFを普及させよう、そして、これが、例えばてんぷら油とかそういったものを再生させて、そして循環可能なエネルギーとしてやっていこうというふうに努力している人たちの熱意を非常に傷つけるものだということをこれからお話をしたいというふうに思います。

 奥田審議官、ここでもう退席いただいて結構ですので。ありがとうございました。

 次に、それでは、総務省も今日は来ていただいております。中川政務官もありがとうございます。今日は、軽油引取税について、まず一般的なことをお伺いしてから話に入りたいというふうに思うんですけれども、軽油引取税が免税になるケースというのをまずお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 軽油引取税が免除となるケースでございますけれども、軽油引取税につきましては、軽油の引取りで本邦からの輸出として行われたもの、既に軽油引取税が課された軽油に係る引取り、石油化学製品の原料の用途に供する軽油の引取りなどに対して、課税免除措置を講じているところでございます。

 このほかにも、特例措置といたしまして、鉄道用車両の動力源ですとか農業用機械の動力源等の特定用途に供する軽油の引取りに対しましても、課税免除措置を講じているところでございます。

小野委員 お答えいただきましたけれども、最後に触れていただきました特定用途ということで、鉄道を動かすとき、あるいは農業用の機械を動かすとき、こういったときには、これはある程度の公益目的とかあるいは農業振興の目的とか、様々あるんでしょうけれども、軽油引取税は免除されているということを総務省も定めているということなんですね。

 もう一つお聞きしますけれども、B100、つまりバイオディーゼル燃料一〇〇%のときには軽油引取税はかかるんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 軽油引取税につきましては、軽油等の炭化水素を含む炭化水素油に課税することとされております。お尋ねのB100につきましては、炭化水素を含まないものと承知をしておりまして、軽油引取税が課されることはございません。

小野委員 B100のときには課税はされないと。炭化水素が含まれているかどうかということが基準になっているわけなんですけれども、それは制度としてルールということは私も理解はしているんですけれども、次にお話しする内容が非常に矛盾をはらんでいるというか、現場で必死になって頑張っていらっしゃる方の熱意それからやる気というものをそぐような内容になっています。

 お手元の資料二枚目を御覧いただきたいというふうに思うんですね。

 明知鉄道の場合もそうなんですけれども、B30で燃料を作って、そしてそれを鉄道に使ってもらうということで、右下がその鉄道会社というふうに御理解いただければと思います。右上の販売業者というのが、バイオディーゼル燃料を、左上の元売、これは大手の石油元売というふうに考えていただいていいですけれども、そこから軽油を購入をして、そして自分で精製したバイオディーゼル燃料とこれを混ぜて燃料を作っているということなんですけれども、ここで、先ほどお答えいただいた軽油の引取税が免除をされるということがまずあるわけなんです。鉄道用で使っていれば、右下の使用者の方々は税金を払わなくて済むわけなんですけれども。

 ところが、これはちょっといろいろ複雑な仕組みにはなっているんですけれども、一言で言えば、簡単に言えば、販売業者の方は、七割分、千リットルのうちの七百リットルは軽油を使っているので免税措置が受けられるということですけれども、三百リットルのBDFの部分に関しては、みなし申告ということで、都道府県に軽油引取税を払わなきゃいけないというようなことになっています。つまり、軽油一〇〇%で使っている場合には税金が免除されているのに、BDFを使うことによって、その三割分、使った部分は課税されているというようなことになっているんですね。

 このような、B30分がみなし申告になって販売業者が納税をしなければいけない、負担しなきゃいけないというようなこと、これが何で起こっているのかということを御説明をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 石油製品の販売業者が、軽油に、お尋ねのB100を混和いたしまして、B30のような軽油を製造するといった場合、その軽油を他者に譲渡する場合や自ら消費する場合には、地方税法第百四十四条の三第一項第五号の規定により、当該譲渡を軽油の引取りとみなしまして、軽油引取税を課すこととしております。

 軽油引取税につきましては、課税の対象となっていない重油や灯油などの混和による不正軽油が問題となってございまして、元売業者の指定を受けていない業者でございましても、軽油を製造し、これを自己消費したり他に譲渡する場合が生じるおそれがございます。これらについて、軽油引取税を申告納付させる制度を設けているところでございます。

小野委員 以前、私もこの委員会とか予算委員会で質問をさせていただいたときに、普通の車の場合は、これは政策的に政府がそういうふうに割り切るんだったらしようがないなと思うんですけれども、BDFを混ぜた燃料と、それから軽油だけで走っている車、これを同じように課税しますというのは、ある意味割り切りだと思います。それは、西村大臣としてはじくじたる思いがあろうかと思いますけれども、私は、そういう考えは、政府がそう考えているんだったらそれはしようがないかなというふうには思っていたんですが、今回のケースはそれよりももっと理不尽なんですね。

 つまり、軽油を一〇〇%使っていれば免税されているのに、三〇%BDFを入れたら課税されてしまう。これはどう考えても、政府が、とにかく一生懸命、西村大臣がGX大臣として脱炭素をやろうと、そして、私も現場の皆さんは本当にすごい御努力をされているというふうに思います、てんぷら油を集めて、そして、それを壊れないようなBDFにちゃんと精製をして、そして持続可能な社会をつくろうと思って頑張っておられる、そういった取組に対して全く逆のことをやっている。

 これは西村大臣にお伺いしたいんですけれども、こういう状況をどういうふうに御覧になっていますか。GX担当大臣としてコメントいただければと思います。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、気動車で使用する場合に、軽油分については免税になるわけですけれども、混和した、一緒に入れたバイオディーゼル燃料分が課税ということで、何とも言えない気分になるわけでありますが。

 私どもにとっても、そして国交省にとってもそうですが、バイオディーゼル燃料の導入は、運輸部門の脱炭素化の大きな有効な手段の一つだというふうに認識をしております。

 経産省の取組は、先ほど御紹介あったように、自動車分野における取組として、三〇%混合してどのような影響があるかということの試験研究、認可を行っておりまして、熊本の事例とか、全国各地で取組が、皆さん苦労されながらやっておられます。

 そうしたことを踏まえて考えますと、御指摘の税制についても、バイオ燃料に対する課税によってカーボンニュートラルの実現に支障が生じないように、どのような対応があるのか、ちょっとこれは関係省庁とよく連携して考えていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 やはり、政治家もそうですし、行政もそうなんですけれども、おかしいなと思うことを直せない政府は信頼されないと思うんですね。私も、やはり自分自身が行政をやっていたときも、できる限り、おかしいと思うことは解決しなきゃいけないということで、いろいろやってきました。

 ある熊本県内の干拓地で、畑地指定しかされていないんですが、塩が多い地域ですから、なかなかそんな、畑地といっても作れるものも限られていて、水田になっている。ところが、水田として指定されていないので、結局、戸別所得補償とかをもらえずに苦しんでいるというような地域があったんですが、私、何としてでもそれは田んぼに変えなきゃいけないということで、努力して変えていただきましたけれども。

 やはり総務省さんも、ちゃんと仕事をしていると言うんだったら、そういう状況を見て、そして、それを放置してはいけないということで仕事をやっていただきたいというふうに思うんですね。

 今、その事業をやっていらっしゃる方々、このBDFの事業をやっていらっしゃる方々から二つの提案が出ています。一つが、経産大臣が許可をした特定加工業許可を得ているB30燃料の製造販売業者にも免税証を使用して免税が受けられるようにすべきじゃないかというようなこと、これを一つ提案をされています。あるいは、もうちょっと単純なやり方なんですけれども、事前にバイオ混合燃料の利用を申請をすることによって、みなし申告自体を免除すべきではないか。

 こういう二つの提案がなされているんですけれども、これは今すぐにやりますとは言えないかもしれませんが、こういう主張に対してどういうふうにお考えでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 免税証について御提案がございました。

 免税証というのは、軽油の消費者でございます免税軽油使用者が特定の免税用途に供する軽油の引取りを行う場合に使用するものでございます。したがいまして、製造販売業者に対して免税証の使用を認めるということは、制度上困難であると考えております。

 また、軽油引取税につきましては、課税対象でない物質を混和した軽油により脱税を行うことが可能であるという問題がございますので、御指摘のようなバイオ混合燃料の利用を申請することにより、B30燃料の混和分について軽油引取税の免除措置を講じようとする場合には、混和による課税逃れの防止を行うための仕組み、これを構築することが前提となると考えております。

小野委員 本当に政府は脱炭素をやろうと思っているんですかね。

 脱税の問題とか、そういうのはあると思いますよ。ただ、一言申し上げたいのは、特定加工業というのをこの右上の販売業者さんは持っています。これは非常に厳しい要件の下で経産大臣が認可しているものです。ですから、様々な、成分の分析とかをちゃんと委託して、それを報告するとかという義務もありますし、そして、それが徹底をされていない、あるいはそれに違反した場合には、認可が取り消されるとか、あるいは罰則というものもあるわけですね。ここで総務省がそのようにおっしゃっておりますけれども、ただ、これは縦割りだと思うんです。経産省からちゃんと説明もしていただきたいというふうに思います。

 そして、先ほど、税金逃れだとか何だとかと言いましたけれども、今、この中継を見ている人たち、本当に怒っていると思いますよ。真面目にやっている人たちがちゃんと報われるような制度を考えましょうよ。そういうことをやはり行政が本当に責任を持って努力するということが必要だし、そういうことを一つ一つ、いろいろ制度を考えるのは大変かもしれませんけれども、誠実にやっていくということがないと、政府だって信頼されない、そしてカーボンニュートラルも実現できないというふうに思っているんです。

 私は、この問題が解決するまでやりますよ。だけれども、そんなことをずっと続けていても時間の無駄だし、もし、皆さんが、政府がそういう制度の改正をしなくても、今頑張っている人たちは負担をしながらでもやっているんですよ。だから、そのことをちゃんと想像力を働かせて、そして自分たちの仕事にも生かしていく、こういったことがやはり政治も行政も大事だというふうに思います。

 総務省、今日は中川政務官、おいででございますけれども、そして、GX担当大臣として西村大臣、お二人のお考えをお聞かせください。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘をいただきましたとおり、カーボンニュートラルの促進、この点につきましては、必要であり、かつまた重要である、そういう認識はしているところでございます。

 ただ一方で、混和について免税措置を講じていく場合につきましては、先ほども、繰り返しになって恐縮ですが、政府参考人から申し上げましたとおり、混和による課税逃れの防止を行う、そういうことも想定をしながらここへの対応をしていくことが必要となってこようかと思っています。同時に、その仕組みを考えていくこと、これも今委員から御指摘をいただいたかと存じますが、この仕組みを構築していくこと、これもやはり前提として考えていく必要があろうかというふうに思っています。

 そのために、このような仕組みが構築できるかどうか、この点につきまして、関係省庁や都道府県、また石油流通業者等の関係者の意見を誠実にそして丁寧に聞いていきたいというふうに考えております。

 御理解をいただきたいと存じます。

西村(康)国務大臣 総務省あるいは政務官から答弁ありましたように、幾つか課題はあるんだと思いますが、おっしゃるように、不合理な仕組みになっているということだと思いますし、何より、やはりバイオディーゼルは今後運輸部門の脱炭素化の大きな有効な手段の一つですから、しっかりとこれは関係省庁と連携して、不合理な、あるいは矛盾のようなことがないように、是非、バイオディーゼルが広がっていくように取組を進めたい、早急に検討したいというふうに思います。

小野委員 中川政務官そして西村大臣、ありがとうございます。お気持ちはすごく伝わりました。

 いろいろな、やらなきゃいけない解決策はあると思うんですね。不正対策をしっかりしなければ課税の公平性というのが確保できないということで、これは当然のことなんですが。

 ただ、以前からの答弁のようであっては私はいけないというふうに思うんです。一般的に言って不正があるからということで、できませんというんじゃなくて、じゃ、例えば、先ほど私が指摘したような、経産省がわざわざ制度として定めている特定加工業者、こういった制度、これが総務省の側から見てどれだけ不正防止対策として機能し得るのかということ、これは是非、すぐにでも検討していただきたいというふうに思いますし、逆に、今この特定加工をやっている方々からヒアリングをしていただいて、そして、混入をして税金をちょろまかそうとするような人たちなのかどうか、是非確かめていただきたいと思います。

 そうではなくて、本当にBDFを、各家庭から、そして企業から集めて、今、大手のスーパーとか飲食店とか様々なところがこのプロジェクトに、これは全国的な動きで協力をしているんですね。それをちゃんとまともなBDFにして使おうというふうに、真摯にやっていますよ。そういう人たちの目の前で、あなた方、税金をごまかすんでしょうというふうに本当に言い切れるのかということを是非。

 これは、今日までの答弁は私はそれでいいと思いますが、今後もそういった私が提案したような作業をしないで同じような答弁を繰り返すようであれば、私は、政治も行政もやる資格はないというふうに思っていますので、少なくとも私はそんなことはしません。それをまた次回聞きますので、どういう進捗になったのかを是非御確認をしていただきたい。

 そして、残念ながら、てんぷら油を使ってBDFを作って、それで様々な重機を動かしたりあるいは乗り物を動かしているという量はそんなに多くないんです。でも、やはり、そういったことをこつこつ積み上げていくというような人々の心をちゃんとモチベートしていくような政府にしたいじゃないですか。是非それを、中川政務官、そしてGX大臣として西村大臣も頑張っていただきたいというふうに思っています。次回また同じように聞きたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 総務省の皆さんはこれで退席していただいて構いません。ありがとうございました。

 それでは、残りの時間はもう僅かでございますけれども、少しずつ電力システム改革はやっていく必要があるというふうに思っていますので、残りの時間は非常に少ないんですけれども、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

 大手電力会社が、旧一電が発電をしていて、自分が発電している量だけだとなかなか計算が難しいんだということですけれども、一電が、自分の自社発電もそうですし、それからそれに加えてほかから調達した部分も含めてでいいんですけれども、その電力のうち、自分の系列の電力会社に卸している量というのは、割合、どれぐらいか、教えていただきたいと思います。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 電力・ガス取引監視等委員会事務局にて各社に調査を行ったところでは、旧一般電気事業者による卸売のうち、社内、グループ内向けの卸売と、社外、グループ外向けの卸売の割合につきまして、販売電力量で比較をいたしますと、二〇二〇年度実績では、前者が九五・六%、後者が四・四%、二〇二一年度実績では、前者が九〇・九%、後者が九・一%、二〇二二年度見込みでは、前者が八七・九%、後者が一二・一%とそれぞれなっていると承知をしております。

小野委員 ありがとうございます。

 我々が電力自由化というふうには言っておりますけれども、実際には系列の方に卸しているものが非常に多いということで、これがいいか悪いかという議論はあるんですけれども、ただ、こういった現状を踏まえてこれからのシステム改革というのを議論していかなければいけないというふうには思っております。

 当然、前回もちょっと議論をさせていただきました、前回も余り時間が十分ではありませんでしたけれども、我々も法案を提出はしておりますけれども、ただ、何でもかんでも自由化がいいわけでもありません。やはり、公正なルールとか、そして何より大事なのは、エネルギーの場合には安定供給とか、先ほど田嶋委員からもありましたが、価格の安定ということも、価格の納得性ということもあろうかというふうに思いますので、そういったものも確保しなければいけません。

 そういう中で、発電側が先を見通せるような形で投資をしっかりできるということも、当然、安定的な電力を確保するためには大事だというふうに思っておりますけれども、先ほど、多くの、大手電力が調達している電力、それがその系列の方にそのまま流れていくというような状況がありました。

 今日はもう時間がないのでこの一問しかできないので、また続きをやりたいと思いますが、松山部長にもお伺いしたいと思いますが、そういった状況を踏まえて、新しいこれからの電力システムの改革の在り方、電力の卸市場のあるべき姿というのをどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一六年の小売の全面自由化がなされまして、今、システム改革は途上のところでございます。スポット市場を拡大いたしまして、競争は進みました。新電力のシェアは今、約二割ぐらいまで、一時期ずっと伸びてきたところではあるんですけれども、一方で、参入の拡大に伴いまして、発電設備の稼働率が下がり、そして、今、委員からも御指摘がありましたように、予見可能性がなかなか見えづらくなってしまったということで、一方では、安定供給に対する懸念というのがこの数年、非常に顕著に表れてきている。

 安定供給というものと競争の促進をどうバランスさせながら、日本の電力システム改革というのを更に前に進めていくかということが今、我々、必要なことかと思ってございます。

 必要な供給力の確実な確保という観点からは、委員御指摘ございましたように、発電側の経営の安定化、収益といいますか、事業自体の予測可能性というものがつかなければならないというふうに考えております。これは、新規投資もそうでございますが、既存の発電所の運営という意味でもそうでございます。

 その意味では、来年度から容量市場というものを運用開始していくわけですが、これを着実に運用していくとともに、さらには、新しい電源、新しい投資というものを支えていけるような、長期脱炭素電源オークションというものも検討しているわけでございまして、こういうことをまずしっかりと制度としてつくっていくということが一方では重要かと思っています。

 その上で、卸取引の在り方についての御指摘、御質問、頂戴しましたけれども、一つには、短期、短期に議論がいろいろと進んでいるわけでございますが、一方で、燃料の確保ということを考えてまいりますと、ある程度長期安定的な取引というものも重要かと考えています。

 そういう意味でいうと、短期から長期まで多様な取引、そういうポートフォリオを組まれる形で発電側として取引をつくり上げる。同時に、このことが、小売の事業者の立場からしましても、事業の継続性向上につながっていくのではないかなと考えています。

 このことと競争ということを考えてまいりますと、いわゆる内外無差別と言われたりしますけれども、取引の条件ですとか機会というものが公平公正な形で確保できるような、そういう環境をつくるということについて、大臣からも指示を受け、今、検討を進めているところでございますが、早急にこの検討を深めてまいりたい、このように考えてございます。

小野委員 ありがとうございます。

 今、客観的にいろいろと、こうあるべきだということを決めずに議論をやはりしていくのが大事かなと思っていますので。

 松山部長も今のままでいいというふうには思っていないというようなことが今の答弁の端々からも感じられましたので、そこは、今はある意味、系列の会社にそのまま流れていって、そして、スポットも広がってきてはいるんですけれども、もちろん、すぐに全部、一〇〇%開放するのがいいのかどうか、それは安定供給の面からいってどうなのかとか、あるいは、発電する側がちゃんとしっかり安定して売れるのか、ちゃんとした価格で売れるのかというところも含めてのことだと思います。でも、それは、今の系列の一連の会社だからできるんだということでもないというふうには思うんですね。

 だから、そこの制度設計というものを、こういう形でもう行くんだというような決め打ちではなく、是非幅広く考えていただきたいと思います。我々も政策のブラッシュアップはこれからもしていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 篠原さんのオーバーしたものを私でちょっと取り戻そうというふうに思いましたが、無理でした。そのままの時間で、ちょっと皆さん、オーバーするんですが、私のせいではありませんのでお許しいただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、前川清成君。

前川委員 日本維新の会の前川清成です。

 先週に続いて、保証人について議論をさせていただきたいと思います。

 その前提として、保証人の債務と物上保証人の責任、これを整理したいと思います。

 五月二十四日の質疑で、私も尊敬しております立憲民主党の階委員が、経営者保証は原則外すが、物上保証を求めるなら本末転倒だ、こんなふうに質問をされて、金融庁の新発田参事官は、個別保証を免除する代わりに、すり替えるような形で経営者に物上保証を求めることは適切ではない、こういうふうに答弁しておられます。この答えが正しいでしょうか。

新発田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、物上保証と個人保証につきましては、責任財産の範囲等が異なってくるということでございますけれども、私どもといたしましては、これまでも金融機関に対しまして、担保、保証に過度に依存せずに、事業の内容ですとか成長可能性というものをしっかり見た融資を行ってほしいということを繰り返し申し上げてきたというところでございます。

 その上で、先日答弁させていただきましたところにつきましては、個人保証をなくす代わりにそれが物上保証になるというような話につきましては、個人保証を免除する代わりに物上保証を求めるというのは、今回の経営者保証改革の趣旨に照らすと適切ではないのではないかというふうに、そういう趣旨で申し上げたところでございます。

 その点につきまして、ガイドラインのQアンドAなんかも参照させていただきましたところで、あくまで、物上保証につきましては、そもそも、まず企業の資産というところを見た上で、そこの返済可能性というものを見た上で、その補足的なものとして物上保証の有無を見るということでございますので、そういったことも勘案して金融機関に対応していただきたいということを答弁申し上げたところでございます。

前川委員 今の議事録、是非読み返していただいたら、ちょっと論理的な答弁にはなっていないと思います。

 私が申し上げたいのは、物上保証だったら、担保物権に関して責任を負うだけ。ちょっと専門的な用語であれかもしれませんが、債務は負わない、責任を負うだけです。保証債務であったら、保証人の全財産、しかも、今の財産だけじゃなくて将来の収入も含めて、それが全部債務の引き当てになる。そこが大きく違う。

 具体的に申し上げれば、会社の債務に関して経営者が自宅を抵当権に入れたとしても、万が一の場合、経営者はその自宅を失えば、もうそれでおしまい。その後、金融機関から経営者に請求することはありません。請求することはできません。しかし、保証であれば、自宅についても強制執行されるし、さらには、再就職して新しい勤め先から給料をもらった、それについても差押えの対象になる。保証人の方がはるかに再スタートを阻害してしまう。

 だから、金融庁の方がそこを区別した上で階議員の質問に答えておられたのかどうか大変心配なので、確認をさせていただきました。

 私が今申し上げたことは、新発田さんは十分理解していただいている、こう聞いていいですか。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 個人保証と物上保証の違いについては理解した上で、申し上げたかったのは、今回、経営者保証をなくす、そういった取扱いを求めるときに、安易に、そういうケースがあるかどうかというのはまたあれですけれども、物上保証を代わりに取るというようなことになってしまいますと、今回の改革の趣旨が没却されてしまうのではないか、そういう観点で適切ではないと申し上げたところでございます。

前川委員 それで、ちょっと通告と順番を変えて、プロパー融資について議論をさせていただきたいと思います。

 先週の改正は、中小企業信用保険法を改正して、保証協会の保証つきの融資については、一定の要件の下、保証人なしにしましょう、こういうことでしたが、金融機関の中小零細企業に対する融資では、どの程度の割合で信用保証協会の保証がついているんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二一年度末時点での中小企業向けの総貸出残高、これは三百二十四・七兆円でございます。そのうち信用保証協会の保証債務残高というのは四十一・九兆円になってございまして、これを分母、分子で割りますと、信用保証つき貸出しの中小企業向け残高全体に占める割合は一三%となっております。

 また、件数で申し上げれば、二〇二一年度末時点で我が国の中小企業は約三百五十八万いるということでございますが、そのうち四四%に当たる百五十八万者が信用保証を利用しているところでございます。

前川委員 そうしたら、今の御説明によると、貸出額でいうと約九割については信用保証協会の保証がついていません、九割はプロパー融資だ、こういうことだと思います。

 プロパー融資についてはどのようにして経営者保証から卒業していくのか、この点をお伺いしたいと思います。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 プロパー融資につきましては、今回の金融庁の監督指針の改正によりまして、金融機関の保証徴求手続の厳格化を図ることで、安易に個人保証に依存した融資というものを抑制していきたいというふうに考えてございます。

 具体的には、保証契約の締結時におきまして、どのような改善を図れば保証契約の変更、解除の可能性が高まるのかということを、個別具体の内容を金融機関から借り手の方に御説明をしていただくということでございます。

 その上で、その説明の内容につきましては、債務者の状況に応じて、可能な限り、資産とか収益力については定量的に、その他の要素については客観的、具体的な目線を示すということで、事業者の知識や経験に応じて、その理解と納得を得ることを目的とした説明に努めていただきたいということを要請しているところでございます。

前川委員 保証人になろうとする人に対して説明をするんだというのは分かりましたけれども、どういうメルクマールで、どういう場合には経営者保証をお願いして、どういう場合は経営者保証はお願いしないのか。その区別、線引き、それはどうなっているんですか。

新発田政府参考人 経営者保証ガイドラインにおきまして三要件というものが示されてございますので、それぞれ、法人、個人の別がなされているのかという点、あるいは財務基盤の強化がなされているかということ、それから、金融機関に対して財務状況が明らかにされているのか。済みません、ちょっと詳細なところ、必ずしもガイドラインそのものの字面とは違いますけれども、それぞれの点につきまして、収益とか資産とかにつきましては定量的に、そのほかについては個別具体的に説明をお願いするということでございます。

前川委員 プロパー融資における経営者保証の卒業についても、先ほどの小野さんではありませんけれども、また時々、こういう場で議論をさせていただきたい、進捗状況をお尋ねしたいと思っています。

 その上で、経営者保証じゃなくて、次は第三者保証、これについてお伺いしたいと思います。

 第三者保証の意味については、もう大臣、一々説明する必要はないと思います。会社の経営者が保証するのが経営者保証。経営者じゃなくて、例えば取引先とか、親戚とか、従業員とか、あるいは従業員のお父さん、お母さんとか、そういった方々に保証をお願いするのが第三者保証です。

 第三者保証の当事者である一方は事業者である金融機関、一方は個人である保証人。私は、この金融機関と保証人との間には、消費者基本法第一条に言うところの情報の質及び量並びに交渉力の格差、しかも大きな格差が存在していると考えています。

 まず、当事者に関してですが、金融機関は金を貸すプロ、保証人は素人。

 判断材料、情報ですが、金融機関は融資の前に借主からいろいろ提出させて、プロとしての知識や経験に基づいて目利きをして、貸しても大丈夫と自ら判断した上で金を貸す。保証人の方はそうじゃなくて、友達だから、親戚、知人、取引先、あるいは従業員だからという個人的な情義で、しかも、借主本人の方からは、あるいは経営者からは、絶対に迷惑はかけない、こういうふうに言われたから、頼み込まれて、そうか、判こを押すだけか、こういうことで安易に保証人になってしまうケースが多い。

 利潤ということでも、金融機関は金利という利益を得ています。保証人は、信用保証協会と違って、保証料ももらいません。

 当事者間では、金融機関と保証人では、能力、知識、情報全てが隔絶している。それにもかかわらず、融資が焦げついたときは、金融機関は保証人の、第三者の全財産を、そして将来の収入も差し押さえてしまう。したがって、保証人の被害は大変大きい。私は、まさに消費者被害の一典型だと考えておるんです。

 今日は、消費者庁から植田審議官にお越しいただいています。消費者庁として、この第三者保証、これを消費者問題だ、自分たちも取り組むべき課題だ、こういうふうに認識したことは今までありましたか。

植田政府参考人 お答えいたします。

 事業用の融資の保証を個人が行う場合ということかと存じますけれども、御指摘のとおり、保証を業としておらず、自身の事業のために保証契約を締結するものではない個人、消費者でございますけれども、消費者と貸付けを行う金融機関等との間で締結される第三者保証契約につきましては、一般論で申し上げれば、消費者契約に当たり得るものというふうに考えております。

 したがいまして、第三者保証契約が締結されている場合、契約上のトラブルが生じている場合には消費者問題に当たり得るというふうに考えております。

前川委員 植田さん、そういう形式的なことを私は今答えてもらいたいと思って言ったんじゃなくて、消費者庁というのができたときに、例えば経産省とか金融庁とか、これまでの役所はどうしても事業者目線だった。これやったらあかんということで、福田委員のお父さんのときに消費者庁をつくりました。あのとき私は参議院でしたけれども、消費者庁なんか要らぬのちゃうのと。なぜならば、金融問題については金融庁が、例えばPL問題については経産省が、それぞれ事業者目線じゃなくて消費者目線になればいいんだ、だから、新しい消費者庁という役所、これをつくる必要がないんじゃないのか、こういうふうな議論をさせてもらった記憶があります。

 今のお話、植田審議官の答弁でいうと、要は事業者と、金融機関と保証人との間に隔絶した情報量、能力、あるいは立場の違いがあるんだ、だからそこに被害が生じやすいんだ、だから自分たちもこの問題に取り組まなければならないんだ、その辺の熱意みたいなものが一向に感じられなかったんです。そうだったら、単に消費者契約法が適用されるかどうかの解釈をするだけだったら、私は、消費者庁という役所がやはり要らないんじゃないか、こんなふうに思ってしまいます。

 その上で、今度は大臣にお答えいただくんですかね、第三者保証についてです。

 中小企業信用保険法を改正して、保証協会の融資については経営者保証を求めないことにしました。今金融庁からも答弁がありました。金融機関のプロパーの融資においても、保証人を取る場合には説明を求めるなどして経営者保証を制限する、監督指針を変えたんだ、こういう説明がありました。第三者保証について、大臣、これをどうお考えですか。

西村(康)国務大臣 先般御議論いただきました経営者保証につきましては、思い切った事業展開の抑制というマイナス面が指摘される中、既存の融資も含めて、経営者保証に依存しない融資慣行を確立していく、これを更に加速していきたいというふうに考えているところであります。

 そして、今回の法改正により整備する、まさに経営者が経営者保証の提供の有無を選択できる制度は、新規に信用保証付融資を受ける際に適用され、経営者保証だけでなく、第三者保証も含まれます。

 その上で、既存の信用保証付融資の融資期間は、大体、過去を見てみますと、ゼロゼロ融資を実施した二〇二〇年度以降は長期化する傾向がありますけれども、コロナ以前の平時においては平均四年程度でありますので、このため、既存融資の融資期間が終わって新たな融資を受ける場合や借り換える場合において、そのタイミングで今回の法改正で措置する新しい信用保証制度を活用することで、経営規律に関する一定の要件を満たせば、〇・二五%などの保証料の上乗せを要件に、経営者保証や第三者保証を求めない融資を受けることができるものと考えております。

 既存の融資も含めて、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速するため、国会での御審議を経て改正法案が成立すれば、既存の融資の借換え時にも新制度が活用できることを中小企業や金融機関に周知をしていきたいというふうに考えております。

前川委員 大臣、今、私、消費者庁と議論をさせていただいたとおり、経営者保証と第三者保証はやはり被害の質が違うと思うんです。だから、経営者保証に依存しない融資は大事だと思いますけれども、もっと、第三者保証、これはもう一挙に禁止するぐらいの法改正も考えたらいいのではないかと私は前々から思っています。

 経済産業省から資料をいただいたんですが、中小企業に対する融資で第三者保証を取っている割合、二〇〇四年は一五%あったそうです。それが二〇二〇年には四%に落ちている。一五から四なので、第三者保証だけ考えると、実は七割減少していることになります。その分、第三者保証の役割というのも小さくなっている。金融機関の方も、別に第三者保証がなくても金を貸せる、そういう実務が定着している。

 そうであれば、どこかのタイミングで、今日すぐとは言いませんが、もう第三者保証は一切禁止します、これぐらいの改革があってもいいように思うんですが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、事業に関与していない第三者が経営者の個人的な関係により引き受けて、やむを得ず保証人になって、その後、借り手企業の経営悪化などによって重い負担を強いられるということは避けなければならないというふうに思います。

 このため、二〇〇六年から、信用保証付融資では、経営者本人以外の第三者を保証人として求めるということを原則禁止しております。特別な事情があって第三者保証が提供される場合であっても、民法改正によって、二〇二〇年から、原則、公証人による保証意思の確認が必要となるなど、その手続が厳格化されているところであります。

 御指摘のありましたように、足下、信用保証付融資で第三者保証の提供がある新規融資は〇・六%まで減少してきております。先ほど答弁もさせていただきましたけれども、今回の改正法案では、一定の要件を満たせば個人保証を求めないということにしておりますので、これには、経営者保証だけではなく第三者保証も含まれます。こうした取組を通じて、引き続き、可能な限り第三者保証を求めることがないよう取り組んでいきたいというふうに考えています。

前川委員 可能な限り第三者保証を取らない、その取組を進めていくという前向きの御答弁をいただきましたので、ちょっとこれから嫌なことを言いにくいんですが、二〇一三年の五月九日に、金融機関の融資に際して第三者保証を禁止しましょう、こういう民法改正案を、議員立法を当時参議院に提出いたしました。つるしも下りまして、六月十二日に参議院本会議で採決がありました。賛成百十六、反対九十七で参議院を通過しました。

 このとき反対した九十七、これは大臣の自民党と委員長の公明党だったんです。自民党として、あるいは公明党として、今の与党ですよね、これは政党の考え方として第三者保証の禁止に反対、こういうことはないですよね。

西村(康)国務大臣 ちょっと私、その当時のことを、二〇一三年、野党のときですか。我々がもう与党になっているぐらいですか。ちょっと、よく記憶をしていないんですけれども。

 先ほど答弁申し上げたとおり、事業に関与していない第三者がまさに保証人となって重い負担を強いられるということは避けなければならないと思いますので、引き続き、可能な限り第三者保証を求めることのないよう取り組んでいきたいと考えておりますので、検討を進めていきたいというふうに思います。

前川委員 二〇一三年五月ですので、安倍第二次政権が誕生して、ただ、まだ参議院では当時の野党が多数を持っていた、こういうときです。

 次に、今回の中小企業信用保険法の改正時の附帯決議、その第二項に、「既に契約済みの経営者保証及び第三者保証についても、可能な限り保証人の責任を軽減する方策を講じ、必要な措置をとること。」とあります。

 先ほど保証の期間について言及されておられましたけれども、大臣におかれましては、なぜこの契約済みの保証契約に関しても保証人の責任を軽減する方策が必要か、もちろん御理解いただいていると思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 今まで御議論させていただいたとおり、経営者保証を求めない、そうした仕組みをつくっていく、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を更に加速していくという中で、当然、これまでの御議論のとおり、経営者保証だけでなく第三者保証も含まれるということでありますので、既存のものについても、先ほど少し答弁させていただきましたけれども、借換えのタイミングであるとかいろいろなタイミングを見て、第三者保証を求めない融資に転換をしていくということで、こうした仕組みも含めて、中小企業や金融機関に周知をしていきたいというふうに考えております。

前川委員 もう既に二十年以上昔の話なんですが、私が、住管機構、住宅金融債権管理機構、あるいはRCC、整理回収機構で不良債権の回収をしていた頃があります。そのときに、包括根保証という契約を見つけて驚いたことがあります。

 包括根保証というのはどういうことかといいますと、例えば、A会社がB信用組合と取引を始めます。そのときに、そのときの社長さんであるCさんが信用組合取引約定書に署名捺印する。その信用組合取引約定書には、Cは、社長は、現在及び将来A社が貴信用組合に対して負う一切の債務について、A会社と連帯して保証人になります、保証します、こう書かれているわけです。

 そこから十年たって、Cさんが退任をしてDさんが社長になった。また十年たって、Dさんが社長を辞めてEさんが社長になった。Eさんのときに、バブルで、お金を借りて株に投資をした、でも失敗した。A会社はB信用組合に対してお金が返せなくなった。すると、会社を引退して二十年も三十年もたっているCさんのところに、包括根保証があるから、信用組合取引約定書に現在及び将来A会社が負う一切の債務について連帯保証すると書いてあるから、こういう理由で、当時の金融機関は、Cさんに対して保証債務の請求をしていたんです。

 それで、民法が改正されました、大臣おっしゃったとおり。ただ、それは施行後の保証契約についてしか適用されません。過去の保証契約というのは有効なんです。ということは、もうほとんど少なくなっているのかもしれません、そうであるべきかもしれませんが、今申し上げたCさんのような悲劇がこれからも起こりかねないわけです。

 そうであれば、金融機関が回収するに当たっても、やはり現行法の理念とかそういうことも勘案しながら、保証人の責任の範囲というのを合理的な範囲で制限しておく、こういう運用が必要ではないかと私は考えます。大臣、この点、いかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のような既存の信用保証つきの融資において経営者保証を提供する場合でありますが、その場合において、引き続き誠実に返済をしてきた保証人からの申出があり、その資力に応じた一定の弁済がなされた場合には、例えば残りの保証債務を免除するなど、個々の債務者やその保証人の実情に応じた柔軟な対応に努めていくことを信用保証協会に求めていきたいというふうに考えております。

 まさに大きな方向性として、経営者保証、第三者保証を求めない、そうした融資の慣行を確立していこうとしておりますので、そうした考えに基づいて、できる限りそうした対応を取っていきたいというふうに考えております。

前川委員 今の大臣の御答弁ですと、誠実に履行してきた保証人については、その余の債務を免除する、こういうふうにおっしゃったと思うんですけれども、といえば、私が今、包括根保証の例で挙げたCさんについて、保証債務の履行を求める、求めた上で、Cさんが全財産を例えばもう使い尽くしちゃった、支払い尽くしてしまった、その段階でお役免除するんですか。私は、そうじゃなくて、そもそもCさんに対して請求してはならないんじゃないのかな、こう思うんですが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 個別に様々なケースがあると思いますので、そうした事情に寄り添いながら、できる限りの対応を保証協会に求めていきたいと思いますし、何か一定のルールを作った方がいいのか、あるいはそれぞれの事情に応じて対応していくのか、いずれにしても、大きな方向性は、経営者保証、第三者保証に依存しない、そうした慣行をつくっていくということですので、そうした考えに基づいて、できる限りの対応をしていきたいというふうに思います。

前川委員 この点については、経営者保証ガイドラインというのもあって、保証人の債務をどういう範囲で制限していくのか、この点も議論していただいていると思います。

 ちょっと、正確には通告できていないかもしれませんが、もし金融庁の方で、今の包括根保証の制限について、経営者ガイドラインに既に記述があれば御説明いただきたいと思うんですが、大丈夫ですか。

新発田政府参考人 お答え申し上げます。

 必ずしも先生のお答えに沿っているかどうかあれですけれども、民間金融機関の包括根保証の取扱いにつきましては、まさに先生御指摘のような既往の債務についてもきちんと目を向けなければいけないということでございますので、今回、四月以降、各金融機関との意見交換会の席上で、既往の債務につきましても、例えば借換えのタイミングですとか新規の実行時とか、そういった機会を捉えて適切に、新規の融資と同じような説明をすることを求めているというところでございます。

前川委員 是非、その作業を進めていただいて、明確な基準があるように。今大臣おっしゃったように、個別具体的な事情があると思います。ある人は得をしたけれども、ある人は損をしたとかということになってもいけないと思いますので、是非、その点は議論を進めていただきたいと思います。

 残念ながら時間が参りましたので、これで終わりますけれども、今の点も含めて、またどこかで議論させていただけたらと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 お疲れさまです。国民民主党の鈴木義弘です。

 今日は、なかなか、質問する自分で、答えをどうやって出すかなというところが悩ましい質問をさせていただければと思います。

 世界で最悪の学ばない日本の大人、実は残業していない人の方が勉強していなかったという記事を目にしたんですね。

 ある研究員は、個人のやる気に期待するこれまでのやり方では社会人の学ばない傾向は変わりようがない、幾つかの要因が絡み合っている、こうやって指摘しているんですね。

 企業視点でいえば、一つには、国際的な人的資本投資、人的資本開示の流れがある。日本は他の先進各国と比べて企業の従業員に対する投資額が圧倒的に少ない、これはもう前から言われているんです。かつ、過去と比べても減ってきているというふうに、人に対する投資が。

 あるいは、人手不足もあって、各業界でDXが喫緊の課題となりました。この経産委員会でも、GXをやる前にDXだろうというふうにも問いかけでさせてもらっているんですけれども。

 では、DXはただデジタルに詳しい人材を外から採ってくれば済む話じゃなくて、ビジネスのトランスフォーメーションが本質だからというふうにこの方は指摘しているんですね。その業界、その事業の収益構造やバリューチェーンが分かっている人間が取り組まなければDXは達成できません、したがって、中途採用しつつ、既にいる内部人材のスキルをデジタルシフトしていく取組が必要であるというものなんです。

 全国の正規雇用者全体に対する調査では、一般的なリスキリングの経験がある人が約三割前後、また、常に新しい専門性やツールなどを学び続けているというリスキリングの継続的な習慣がある人も三割弱にとどまっているというものなんです。日本の雇用形態はメンバーシップ型で、職務を超えた業務異動命令があり、その後、それまでとは異なるスキルを学ぶことを迫られるような事態が日常的に生じているため、三割ぐらいリスキリング経験があると答えているんですね。

 要するに、自発的に学習をするということじゃなくて、人事異動をされることによって結局新しいスキルを身につけなくちゃいけないという、今までの慣行でやってきているというのを指摘しているわけです。だから、これを除けば、人事異動の、業務の異動命令がない中で、自律的な学びは圧倒的に少ないというふうに言われているわけです。

 社外学習機会に関する国際調査を見ると、日本だけが、何もしていない人の割合が五割を超えているというんですね。他の先進国は多くても二割程度で、日本人は圧倒的に学習意欲がなく、学びの習慣がついていないと指摘しているんです。これでは、幾らDXだ、GXだ、イノベーションが起こるはずもないんだと思うんですね。

 この状況に対して、まず初めに御所見を伺いたいと思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、日本人は、諸外国と比べても、社外学習や自己啓発等によりまして学び直しをする意欲が低いとの調査結果が出ております。こうした背景には、新卒一括採用や年功序列に特徴づけられるいわゆる日本型雇用慣行の中で、必ずしも、自ら学び直しを行い、キャリアを描いていく習慣がなかったという背景があると考えております。

 一方で、イノベーションの源泉は人材であり、デジタル化や脱炭素化により産業構造が急速に転換していく中にあっては、リスキリング等によりまして新たなスキルの獲得を進めていくことが重要というふうに認識をいたしております。そのために、既に意欲を持つ方だけではなく、あらゆる方が自らのキャリアを見詰め直し、自律的なキャリアパスの下で学び直しを進めていただく必要がございます。

 経済産業省といたしましても、関係省庁と連携をしながら、正規、非正規、社内、社外を問わず、個人のキャリアアップを後押ししてまいりたいと存じます。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 過去の経産委員会でも質問したんですけれども、まず隗より始めよといったときに、役所の勤務評価というんですか、人事考課制度が、いまだに俸給表で行われているんですね。役職がつけば、本給に対して一三%、一五%、一八%、二〇%、二五%の管理職手当をつけて、結局、ずっとその役所にいるのを前提にした人事制度になっているわけですよね。それに準じて、大手の企業さんも、大体俸給表でやっているところが多いんでしょう。だから、社会が変わらなくちゃいけない、個人が変わらなくちゃいけないといいながら、役所の仕組み自体が全然変わってきていないんですよね。だから、役所に準じた方がいいだろうという考え方がこれまでなんでしょうけれども。

 特定のスキルを学ばないという話じゃないんだというんですね。変化が、正しいのは、今政務官が御答弁いただいたんですけれども、それに合わせて学び続ける人をどれだけつくれるかにかかっている。実際には、この資格を取れば稼げる的な話がメディアには躍っているんですね。インターネットを見れば、いろいろな、これだけの資格を取れば稼げますよ、今何百万の人は何千、何倍にもなりますよとかいって、株でもうけたとかいって、そういうのがホームページで躍っているんですけれども。

 統計的には、特定資格の取得が賃金上昇に結びつくかどうか、そもそも怪しくて、かつ、個人の努力に頼るやり方では学びはなかなか続かない、だから、キャリアの仕組みを変える必要があるというふうにこの人は指摘しているんですけれども、併せてもう一回、御所見を伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 大変大所高所からの御議論でありますけれども、実は、今お話を聞いておりまして、私、五月の連休でデンマークに行って、雇用省の幹部とラウンドテーブルのような形で一時間半ほど意見交換、議論したんですけれども、デンマークはリスキリングで非常に有名だということでありまして、学び続けているということでありますので、聞いたんですが、二つ驚いた点がありまして、一つは、出てくる写真、出てくる写真に、現場の鉄工所の方がリスキリングをやっているような、研修を受けているような写真が多いんですね。

 それで、現場のワーカーの方々だけなんですか、ホワイトカラーの事務職の人はやらないんですかという話を聞いたら、事務職は自分で勝手にやっていますから、政府としては支援をやっていませんという答えが一つ。これは、日本にとって、今、むしろホワイトカラーのデジタル化への対応とかリスキリングが非常に重要になっているんですけれども、もちろん、現場の方もいろいろ技能を磨き上げていくことも大事だと思いますが、その点が一つ。

 もう一つは、リスキリングという言葉ではなくて、アップスキリングという言葉と使い分けていまして、同じ職種で技能を磨いていくことをアップスキリング、そして、転職を考えて別の新たなものを身につけるのをリスキリング、こういう使い分けをしているというのがありました。

 大変参考になったんですけれども、もちろん、デンマークが一生懸命やっている理由は、解雇が比較的自由にできる雇用制度でありますので、ヨーロッパの中では最も解雇しやすい環境だ、それもあって、解雇になった人はそうした研修を受けられるということであります。

 日本の場合は、解雇はむしろ非常に厳格な、四要件などで決められておりますので、なかなかそういうことは自由には経営者はできないわけでありますが、逆に言えば、一つの会社に入れば、これまでは、終身雇用の中で、いわば一本道のキャリア。その会社の中で経験を積みながらキャリアを積んでいくということでありましたけれども、最近は、いろいろな、まさにリスキリングで、転職も含めて自分のキャリアを上げていくという、その意味で、学び続けていく。

 アップスキリングとリスキリング、どちらにしても学び続ける、そんな仕組みが必要だという中で、経産省として、若いときからいろいろな経験を積めるように、兼業、副業の支援の予算であったり、それから今回、リスキリングの予算、補正予算で七百五十億確保しておりますので、これをできるだけ早く執行していきたいと思っておりますけれども、いろいろな経験を若いうちから積んでいく、そして、中高年の方も含めてそうした取組を、学びの仕組みを経産省として応援していきたいというふうに考えております。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(義)委員 昔の経産省の若い官僚の皆さん方は、何年か経産省で働いたら、どんどん民間に出ていく人が多かったんだそうですね。最近は、いや、一生経産省で俺は働いて、国のために汗を流したいという若い人が増えてきたという話も漏れ聞きます。どっちがいいかは分かりませんけれども。

 もう少し民間と行政の垣根を低くしようというのは昔から言われてきたんですけれども、これはなかなか、国から各地方の自治体に出向で行くことは昔からやっているし、地方からまた国の方に出向では来るんですけれども、民間から来てまた民間に出ていくというのは、余りまだ活発に行われている感じではないんだと思うんですね。

 話をしていく中で、フランスという国は、意外と民間企業よりも国営企業が日本よりも多くて、官僚になると、ある程度の経験を積んでいくと、民間企業に天下っていくんです、それが国営企業なんです。だから、世界の中で、官僚の中で一番居心地のいいのはフランスじゃないかというんですけれども、日本はなかなかそこは難しいんだと思うんですね。

 何かといえば天下りとか、民間に行けば何々だと批判ばかりされるんですけれども、結果を出せばいいんだと思うんですね。だから、スキルを上げて、結局、それをきちっと企業なり役所が評価してくれれば、それはスキルを自分から学ぼうということになっていくんだと思うんですけれども、学んでも何しても、給料は年功序列で、俸給表でやっていきますよといったら、自分で勉強する必要性を感じるという人の方が私は少ないんじゃないかと思うんです。だって、やってもやらなくても同じ給料をもらえるんだったら、やらない方がいいですよ。

 私も携帯でいろいろな情報を取ったりしますけれども、今、大体、電車に乗ると、ほとんど、スマホをいじっていない人を探すことの方が、少ないような気がするんですね。それが日本の企業であったり日本の経済にとってプラスになっていくのかといったときに、それは、移動する時間だから自由に自分の時間を使ったっていいということなんでしょうけれども、やはり元々の、個人を評価するということを少し避けてきたんじゃないかと私は個人的にずっと思ってきたんです。

 次に、自律的学びやキャリア自律という教科書的なきれいごとでリスキリングを進めても、日本のほとんどの従業員は、先ほど申し上げましたように、学ぶ習慣などついていないんだということなんです。だからこそ、企業が、組織として、仕組みとして、個人のやる気に頼らずに取り組むように仕向けていかなくちゃいけないんじゃないかという考え方です。

 自発的にとか自助努力で、先ほど大臣がおっしゃられたように、デンマークを一つの事例にされたんですけれども、では、そういう形に向けていくのに、大臣が一生懸命情報発信したとして、民間の企業さんが、はい、分かりました、では頑張ってやりましょうというふうに簡単にはならないと思うんですね。だから、そこに何らかのアクセントをつけるなり、やはり向けていくような仕組みが私は必要じゃないかというふうに思うんです。

 これは強制的にやった方がいいのかどうか分かりません、税制的に優遇させるのか、それとも、例えば、個人のスキルを身につけるときの学習の部分を税金の控除の対象にしてあげるとか。そういう税金の話をすると、所管外だと必ず答弁されると思うんですけれども、産業政策としての人材育成ということに鑑みれば、そのぐらいのことを財務省なりどこかに発信していくのもやはり経産大臣の役目じゃないかと思うんですけれども、その辺の取組の意気込みがあれば、お示しをいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 今の日本経済の最大の課題は、これから、将来も含めてですが、人手不足だというふうに思っております。この人手不足、これを起点として、人への投資を増やしていく。いる人材をどう活用していくか、活躍してもらうか。そのために、アップスキリングだったりリスキリングなり、いろいろなことをやってもらわなきゃいけないというのは、私は、今企業にとって最も切実な、そして最も重要な課題になっているというふうに思います。

 そうした観点で、岸田政権においても、人への投資を増やすということで、政府としての取組、先ほどの経産省の七百五十億のリスキリングの予算もそうなんですが、厚労省のキャリアアップ助成金とか、様々な支援の中でそうした取組を進めているところであります。

 昨年には、まさに人的資本経営というもの、人を中心とした経営をするということに取り組む場として、人的資本経営コンソーシアムというものを設立いたしまして、四百法人を超えて参加をいただいております。これは、企業間で先進事例の共有などを通じて、例えば、自社の経営戦略を踏まえて必要となる人材やスキルを定義して、そのためのリスキリングを提供するとか、あるいは、公募制の導入による自律的なキャリア意識の形成、公募をやることによって、また意識が芽生えるわけですね、ああ、ああいうポストに今度は就いてみようと。そして、個人のキャリア意向に合わせた職務へのアサインメントなど、こんな取組を今促しているところであります。

 経産省としても、予算についてはいろいろ取り組んでおりますけれども、さらに、税制も含めて、御指摘のようなことを、これからの人への投資を進めていく中で、人手不足を起点としてそうしたことを進めていく上で、必要な政策をしっかり検討していきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 今年も賃上げ国会みたいな意味合いがあって、大手を中心に、中小でも賃上げをしなくちゃいけないだろうと。うちの会社も、大した額は上げられなかったんですけれども、四月に少し昇給させてもらったんですね。

 でも、昇給すると必ず、日本は累進課税を取り入れている国ですし、また、社会保険料はたしか二年ごとの見直しをしていく中で、ステージをどんどんどんどん上げることによって、社会保険料の負担額が上がってくるわけですね。四十年前、五十年前から見たときの国民負担率というのが、いただいているサラリーのうちの二七%だったのが、今四八%ぐらいになっちゃっている。だから、スキルを上げて給料をたくさんもらって、手取りが減っちゃうんですよね。それが現実です。だから、国民負担率が年々年々上がってきている。給料を上げても追いつかないんです。

 だから、やはり全体的な見直しを図る時期に来ているにもかかわらず、先ほど申し上げましたように、俸給表で給料を上げていったりですね。だから、どこかに施策を打って、人材育成に力点を置くんだということであれば、やはりそれなりの体制をつくっていかないと。

 補助金を出したとかというのは、それは個人がもらうわけじゃない、企業がもらっているだけの話。そうすると、今冒頭申し上げたように、企業の中での学習機会を設けて、そこに補助金を出しているだけにしかすぎない。個人的な学び直しをするとか、リスキリングを自発的にやるという方向には向いていかない、あくまでも企業が主体になる。そういう施策の打ち方でいいかといったら、もう少し踏み込んだ自発的なやり方をしていかないと、少し手遅れかなと思うんですけれども。

 では、もう一点、九割の人が知らないという言い方の記事なんですね。最新の脳科学が出したよい勉強方法と悪い勉強方法の結論という記事なんです。政務官、にこっと笑ってうなずいているので、お読みになったと思うんですけれども。

 スタンフォード大学のオンラインハイスクールは、オンラインにもかかわらず、全米トップテンの常連で、二〇二〇年は全米の大学進学校で第一位になったんだそうです。

 多くの人は、慣れない方法をあえて試す必要はないと考えるんですけれども、それぞれの子供に合った学習スタイルがあるから、そのスタイルでとことん学ばせる方がいいと考えている。みんなそういうふうに大体の人は言いますね。その子供に合った、個性を大事にした教育をした方がいい、その子の能力に合ったやり方をした方がいいというのが今の学習の仕方なんでしょうね。だから、得意な学習スタイルでとことん学ばせる考え方は、学習方針や教育理論の基礎的な考え方で、世界的にも共有されてきたものですと指摘しているんです。

 しかし、近年の認知科学が出した答えは、子供が得意だと思っている学習スタイルで学習効果が上がるという考え方には科学的根拠がないというものなんです。最先端の脳科学を基にした学びの科学では、ある特定の方法で学ぶより、様々な学習の方法を通じて学んだ方が学習効果が上がることが明らかにされたというものなんです。

 人間の脳は非常に柔軟で新しい学び方に適応でき、多様なやり方で学ぶ方が学習効率がいい。様々な体験からあらゆる能力を伸ばすことができ、脳を効率よく成長させるベストなサポートで、結果的に成績アップの近道になる。現に、数々の偉業を達した偉人の脳を分析した研究では、異なる脳の部分のつながりが非常に強くなっていることが発見されたというものです。

 これは学校教育だけの問題じゃなくて、経済界の中でも、人材に投資するということは今御答弁いただいたんですけれども、結局、そもそも、学習の機会とか、自分に合うとか合わないとか、先ほどとかぶってくるんですけれども、自分がやりたいものだけやるという話じゃないんじゃないかということなんですね。

 これから日本を背負っていく若い世代の人、私たちも負けないように頑張らなくちゃいけないと思うんですけれども、新しい技術や素材、サービスが生まれていないのは、多くの人が、慣れない方法をあえて試す必要がないと考えているんじゃないかということです。子供の頃から、自分の好きなように、自分のやりたいような学習をしてくればいいんだ、それに基づいた評価をして、テストをするとか入試をするとか、そこで勉強をする中で社会に出ていくんですけれども、多くの人が組織する企業や大学、人の意識が変われていない、変わろうとしていないんじゃないかと私は思うんです。

 それについて、これはなかなか簡単に、はい、分かりました、こうしましょう、ああしましょうということじゃないんですけれども、そういったところからもやはり直していかないと、新しいイノベーションを生ませるんだというふうに言っておきながら、自分たちの思考回路が変わっていないと生まれてこないんじゃないかという発想です。

 もし御所見があったらお聞かせいただきたいんですけれども、これは政務官、さっきずっとうなずいていたから、お分かりいただいていると思いますので。

長峯大臣政務官 今委員御指摘のお話は非常に興味深く聞かせていただきましたけれども、自らの常識を疑ってかかるということは大変重要なことだと思いますが、今、日本も社会全体がそういう方向に向かっているんじゃないか、そのきっかけというのは、やはり人材不足に起因するんじゃないかなと思っています。

 人材不足になってくると、会社は、人を採りたい、あるいは働いた人が生きがいを感じられるような会社にしなければいけないということで、やはり今までのままでは駄目だなというふうな認識を持っていらっしゃる経営者の方、これはもう大企業から中小企業、小規模事業者の経営者の方々も、そういうふうにすごくマインドが変わってきているなという気がいたしております。

 また、我々の世代と今新卒で就職する若い世代の方の考え方というものも本当にギャップを感じますし、そういう意味では、そういう人手不足というものが一つの契機になって、いろいろな企業が、体質改善、あるいは経営者の方の発想の転換というのが生まれてくるような空気感というのを今私は感じているところでございます。

鈴木(義)委員 地元に帰りますと、中小零細企業の社長さん方、経営者、若い世代で二代目、三代目の人と話をする機会があるんですけれども、やはり、業種とか業態によって、昔の私たちの父の世代ですね、八十から、もう他界された方もたくさんいらっしゃるんですけれども、一種独特なんです。不思議なぐらい、みんな個性の塊みたいな人ばかり。だからついてきたんです。

 今、いろいろな学習をすることによって、確かに、組織論だとか労働環境を整えていくことは大事なことなんですけれども、それをやればやるほど、カリスマがなくなっていくんです。この人についていってみようとか、この人の夢を一緒に実現しようということが、これは二代目、三代目、私もある会社でいえば三代目、ある会社では二代目、私が創業した会社もありますけれども、結局、私についてきているわけじゃなくて、私の父とか祖父についてきてくれていたんですね。

 大手さんは、組織化されている中で、一つの企業理念とか企業目的とか、こういうものがきちっと確立されているから、ああ、あそこの会社に行こうとなるんだけれども、中小零細の場合はそういうものじゃないものでやってきたところが多かったと思うんです。だから、そこのところが難しいなと、自分自身も。経営者のカリスマがあってみんなついてきてもらうというのも現実にあったと思うんですね、これは理屈じゃなくて。

 だから、そこのところがちょうど今転換期に来ているかなというんですけれども、なかなか、理屈だけで人は動くわけじゃないし、お金だけ出したから来てくれるわけでもないし、そこのところのバランスをどう取っていくか。

 これは人からいろいろ学ぶことよりも、自分で実践していく、先ほど申し上げましたように、いろいろな経験を積んでいく中で、経営者としてはどうあるべきなのか、役員としてどうあるべきなのか、管理職としてどうあるべきなのかというのを常に模索しながら、自分自身もアップデートしていかないと、社員だとか従業員だけ、職員の人たちだけがアップデートすればいいんじゃなくて、トップに立つ人ほどやはりアップデートしていかなくちゃいけない時代なのかなというふうに思います。

 では、もう一つ違う質問をさせていただきたいんですけれども、「ホウレンソウに不信感 日系企業はアジアで人気低下」という記事なんです。

 政府は、日本で働く優秀な外国人技術者などが滞在一年で永住権を申請できる制度の導入を決めました。これから具体的に入っていくんだと思います。日本や欧米の大企業は、中国やインドなど有能なアジア人材の確保に躍起だ、しかし、アジア主要国の日系企業への就職志向は下がっているというものです。かつての日本企業は憧れの存在で、入社して学べるものがたくさんあった。しかし、もう一度二十代に戻って、日本の会社を選択肢にするかどうか分からない。

 アジアのホワイトカラーの人材が働きたい企業の国籍は、二〇〇八年はトップが米国企業で八六%、欧州系の企業で八一%、日系企業で七四%の人が働くことに興味を持っていたというものです。今から十五年ぐらい前です。しかし、二〇二二年の調査では、米国は六七%、欧州は五八%、日本は四〇%なんです。それぞれ下がったんですが、日本の落ち込み幅が特に大きかったというものです。一方で急伸したのは自国の企業で、二〇一四年は五八%だったものが、二〇二二年に八二%でトップとなったというものなんです。

 要するに、管理職になるような世代の、スキルを持った人方のことを言っているんだと思うんですけれども、今、日本で人手が足らないといって、ワーカーの人をどんどんどんどん入れることをこの何年かやってきたと思うんですね。では、そのワーカーの人よりも上のクラスの人たちがもう日本に来ない。例えば、聞くところによれば、インド人のIT技術者といったら、年俸一千四百万払わなければ来ない。日本のIT技術者は平均すると八百万。では、どうやってインド人の人に日本に来てもらうのか。

 時間がないので、もう一つ重ねてお尋ねしますけれども、企業を選ぶ基準が大きく変わっているというものなんです。

 調査によると、二〇一四年の選択順位は、企業のブランド、製品、サービス、企業規模の順番だったんだそうです、外国の人が日本を選ぶときに。二〇二〇年は、成長のための育成の機会、報酬、福利厚生、事業の成長性に変わったというものなんです。大学教授は、特にZ世代と呼ばれる二十代は、大企業志向より個人にとってプラスになるか否かに基準が置き換わっているという方もいらっしゃいます。

 かつて、日系企業で働く障害は圧倒的に言葉の壁だった。しかし、二〇二二年は、言葉に次いで、閉鎖的な雰囲気、限定的な昇進、低い報酬を問う声が高まっている。日本の会社の課題は、言葉以上に、昔から言われていた、島国根性と呼ばれていた閉鎖性なのかもしれませんとこの人は指摘しているんです。

 民間企業に官が口を出すのは慎まなければならないんでしょうが、体質を変えるためには外からの指摘や刺激が必要だと思うんですけれども、併せて御所見を伺いたいと思います。

長峯大臣政務官 高度外国人材は、日本企業にとりましても、活性化を促し、イノベーションを促す大変重要な存在でございます。

 こういった外国人材の日本企業への就職を促進するために、高度外国人材の活躍を後押しする伴走型支援でありますとか、あるいはキャリアフォーラムやジョブフェア等を開催して、日本企業の発信に取り組んでいるところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、日本企業自体も、同質的な企業文化から脱却いたしまして、外国人を含む多様な人材が活躍できる環境をつくっていく必要があるかと思います。ただ、今でも、外国人材から見ますと、日本に対してそういうネガティブな評価がある一方で、ポジティブな評価もございますので、そういったところをしっかりと見定めながら、支援を進めてまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 終わります。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 高速実証炉開発事業について質問いたします。

 西村大臣、経済産業省は、GX移行債を財源として、エネルギー対策特別会計、エネルギー特会の電源利用対策費の中に脱炭素成長型経済構造移行推進対策費というのを設けて、今年度予算に委託費として約百二十三億四千万円を計上しております。うち、七十五億七千万円を高速炉実証炉開発事業費に充てていますが、この事業の目的、端的に何でしょうか。

西村(康)国務大臣 高速炉につきましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減、そして資源の有効利用といった核燃料サイクルの効果を更に高める可能性を持っているものというふうに考えております。

 昨年十二月の原子力関係閣僚会議におきましても、高速炉開発の戦略ロードマップを改定し、今後の研究開発に向けて、複数の候補となる技術のうち、ナトリウム冷却高速炉が最も有望であるとの専門家による技術評価を確認した上で、二〇二四年度以降に実証炉の概念設計を開始できるよう、基本的な仕様、炉概念の選定や、プロジェクトの中核となる企業の選定を進めていく旨の内容を盛り込んだところであります。

 今後とも、有識者による中立的な技術評価を踏まえながら、研究開発の取組を着実に進めていきたいと考えております。

笠井委員 大臣、この高速炉開発というのは、実験炉、それから原型炉、そして実証炉、商用炉、いわゆる実用炉という四段階の開発段階を経て進める長期プロジェクトの計画だとされてきました。実験炉で技術の基礎を確認し、原型炉で発電技術を確立する、必要に応じて経済性を見通す実証炉の段階を経て、商用炉として進む、こういう流れということであります。

 実証炉の前段階の原型炉「もんじゅ」というのは、二〇一六年の十二月二十一日に正式に廃止、一般に言う廃炉とすることが決まったわけですが、なぜ廃止になったのか。「もんじゅ」のプロジェクトは失敗だったという認識は大臣にはあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 高速増殖炉の「もんじゅ」でありますけれども、平成二十七年十一月に、原子力規制委員会から文部科学大臣に対しまして、日本原子力研究開発機構以外に「もんじゅ」の出力運転を安全に行う能力を有する者を具体的に特定することが困難であるならば、「もんじゅ」が有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、「もんじゅ」という発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すべき旨の勧告が発出されました。

 これを踏まえて、平成二十八年、二〇一六年十二月の原子力関係閣僚会議におきまして、「もんじゅ」を廃止するということ、そして、その経験を踏まえた課題や教訓については今後の実証炉開発等に活用していくことが必要であるとの決定がなされたものであります。

 この「もんじゅ」の開発、運転における反省点としては、昨年十一月に、資源エネルギー庁の審議会におきまして、当時の日本原子力研究開発機構などの関係者に改めてヒアリングを行ったところ、一つには、現場を監督するマネジメント機能が弱く、保守管理などが十分に行えなかった、また、予算の管理が硬直的で、突発的な計画変更やトラブルなどに機動的に対応できなかった、さらには、地元への丁寧な説明が行われず、立地自治体の信頼を十分に醸成していなかった、これらの問題点への対処を含め、全体の方針や将来の方向性を決定する機能が非常に脆弱であった、こういった指摘があったところであります。

 これらのヒアリングの指摘から明らかなように、プラントの運営管理も含めた様々な課題を統括してプロジェクト全体のマネジメントを行う、いわば司令塔機能が不在であったということが根本的な問題であったと考えているところであります。

 今後の開発に向けましては、こうした反省点を踏まえた体制整備を行いたいというふうに考えております。

笠井委員 今説明があったんですけれども、経済産業省は、原型炉から実証炉へと、次の段階に進もうとしているわけですけれども、今伺っていても、「もんじゅ」の廃止を真摯に総括、反省しているとは思えないんですね。「もんじゅ」の廃止が決まったのに、実証炉開発についてはっきりと分かる形で国民に向けての説明がないことがその証拠であります。

 原型炉「もんじゅ」の総括を明確に国民に示さずに、原子力関係閣僚会議で決めた高速炉開発の方針と戦略ロードマップの内容だけで、次の実証炉開発ということで進めていいというふうに大臣はお考えなんでしょうか。

西村(康)国務大臣 私ども、原子力発電については、まさに脱炭素とエネルギー安定供給の観点から必要だと。さらに、高速炉については、原子力発電所の、先ほど申し上げた有害廃棄物の減容化とか、あるいは低減、有効利用という観点で有効であるということで、まさに、「もんじゅ」のこの経験を踏まえて更にこれを進めていく。

 御案内のとおり、実験炉常陽も、先般、原子力規制委員会によって設置変更許可に関する審査書が取りまとめられたところでありまして、来年度の再稼働に向けて、安全工事などの取組が進められているところであります。

 この常陽は一九七七年から運転を開始しておりますので、その経験、そして、「もんじゅ」は先ほど申し上げたような様々な課題があって失敗、廃止になりましたけれども、その経験を踏まえて、私ども、安全性を最優先にしながら取組を進めたいと考えているところであります。

笠井委員 今、失敗ということも、くしくも言われたわけですけれども、そういう事態になっているということですが、原子力発電、有効利用ということと、「もんじゅ」の経験を踏まえてということで言われたわけですけれども、その経験ということで見ますと、「もんじゅ」が稼働したのは延べ二百五十日しかありません。ナトリウム漏えい事故が九五年にあったことは記憶に新しいわけですが、発電炉としての出力試験というのは四〇%までしか達成できなかったわけですね。つまり、フル出力の運転ができなかったということは、これはもう厳正な事実であります。

 会計検査院に伺いますが、二〇一七年度の決算報告で、「もんじゅ」の性能試験開始後における技術成果の達成度ということについてどう述べているでしょうか。

片桐会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、平成三十年五月に、会計検査院法第三十条の二の規定に基づき、高速増殖原型炉「もんじゅ」の研究開発の状況及び今後の廃止措置について報告しており、その検査状況の概要を平成二十九年度決算検査報告に掲記しております。

 お尋ねの技術成果の達成度等につきまして、この報告書では、会計検査院において「もんじゅ」の性能試験開始後における技術成果の達成度を試算したところ、「もんじゅ」の廃止措置への移行が決定した二十八年十二月時点で一六%となり、「もんじゅ」の継続的な運転、保守管理を前提とする試験等項目については達成されていなかったこと、研究開発の進捗状況について、四年十二月に性能試験が開始された後、七年十二月にナトリウム漏えい事故が発生したことから、性能試験が中断されており、実施を予定していた試験項目百四十二項目のうち完了した試験項目は五十項目にとどまったこと、その後、二十二年五月に性能試験が再開されたが、同年八月に炉内中継装置の落下事故が発生したため、実施を予定していた試験項目百十七項目のうち完了した試験項目はなかったこと、「もんじゅ」の出力試験において、熱出力を四〇%、七五%、一〇〇%と段階的に上昇させることとしていたものの、四〇%出力試験の実施中にナトリウム漏えい事故が発生したことから、性能試験を中断したことなどについて報告しているところでございます。

笠井委員 惨たんたるものであります。

 会計検査院の報告には、「もんじゅ」に対して二〇一六年に廃止を決定するまでに投じた総支出額があると思うんですが、それは幾らというふうにされていますか。

片桐会計検査院当局者 お答えいたします。

 報告書におきまして、「もんじゅ」の研究開発に要した経費につきましては、昭和四十六年度から廃止措置へ移行が決定された平成二十八年度までの間の総支出額は、一兆一千三百十三億六千四百三十九万余円と報告しているところでございます。

笠井委員 文部科学省に伺いますが、高速増殖炉について、一九六七年の当初、建造費や人件費を含む総所要資金は幾らと見込んでおりましたか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 一九六七年の時点で、同年四月に原子力委員会で策定されました原子力研究、開発及び利用に関する長期計画に基づいて、高速増殖炉の開発を進めていくための資金として、十年間で約千二百六十五億円程度と見込まれていたと承知をしております。

笠井委員 総所要資金は千二百六十五億円で、先ほど、実際には一兆一千三百億円以上ということですから、当初の見込みより約十倍に膨らんでいる、しかも惨たんたる結果。「もんじゅ」に一兆一千三百億円超もかけて、二十五年間で稼働は僅か二百五十日間で、技術成果の達成度は一六%しかない。

 大臣、発電技術を確立する原型炉開発としては、これはもう明らかに失敗ではないかと思うんですが、そこははっきり認める必要があるんじゃないでしょうか。

西村(康)国務大臣 私が先ほど失敗と申し上げたのは、まさに経営全体の取組であるとかマネジメントができていなかったということ、このことはもう完全に失敗であったというふうに思いますので。

 ただ、何時間かは、今お話ありましたけれども、運転を行い、そしてもう一つ、常陽の運転は一九七七年から二〇〇七年まで行ってきておりますので、そういう意味で、日本として一定の経験、蓄積があります。このことは、アメリカやフランス、他の国からも、日本の経験を生かしてほしいということで、共に取り組んでいこうというお話をいただいているところであります。

笠井委員 稼働したのが何時間かはと、くしくも言われたわけですが、二百五十日間しか稼働しなかった。成果は出ていないわけですよ、必要な所期の成果はないわけですから。

 「もんじゅ」の廃止を決めた同じ日に決定した、経産省所管の高速炉開発の方針というのがありますが、その「はじめに」の中に、私、驚くべき一文を読みました。こうあります。「国産技術で「常陽」及び「もんじゅ」の建設・運転を成し遂げた事実は、当時における世界最高レベルの技術力を示すもの」と。

 技術成果の達成度が一六%のどこが世界最高レベルなのか。この程度で、なぜ実証炉という次のステップに進むことが、大臣、できるんでしょう。

西村(康)国務大臣 まさに、実験炉常陽が一九七七年に運転を開始しまして、そして二〇〇七年に工事のため停止をしましたけれども、再び、今回、原子力規制委員会により設置変更許可に関する審査書がまとめられたということで、来年度の再稼働に向けて安全工事の対策が、取組が進められていきます。

 また、原型炉「もんじゅ」、先ほど来のお話のとおりですが、二〇一六年に廃止が決定されたわけですが、それまでの運転期間の中で、燃料、安全評価、ナトリウムの取扱いなど、今後の実験炉開発に必要な知見を獲得できたものというふうに考えております。

 まさにアメリカで進めようとしております、これはビル・ゲイツさんがテラパワーという会社に出資をしてつくられ、近々、二〇年代後半にワイオミングで建設を計画しておられますけれども、このことについて、ビル・ゲイツ氏と私もお会いしまして、昨年の八月だったと思いますが、様々、日本の経験を是非共に生かして取り組んでもらいたいというお話がございました。各国から、こうした日本の経験についての期待感はあるものというふうに認識をしております。

笠井委員 しきりに常陽のことばかり言われるんですけれども、「もんじゅ」の話、ずっと、先ほど来明らかになったような実態があって、知見を獲得したと言われるけれども、本当にそれが注目されているといって、そんな世界に誇れる話じゃないわけで、原子力小委員会の山口彰委員長も、「もんじゅ」が失敗したと認めておられるわけですね。しかも、発電もせずに、廃止が決定された後五年間、それを見ただけでも、維持費は九百九十一億円もかかっています。

 大臣、伺いますが、高速実証炉開発は、GX実現に向けた基本方針によると、概念設計、基本設計、詳細設計を経て二〇三〇年代後半に建設、先ほどおっしゃった、二〇四〇年代に運転というスケジュールが描かれているわけですけれども、運転に至るまでの総事業費というのはどんな見込みなんでしょうか。

西村(康)国務大臣 実証炉実用化までの総事業費については、実際の立地環境あるいは設置条件などの条件に加えて、今後の研究開発の進展等にも関わってきます、変わってまいります。また、諸外国での開発あるいは連携もどのように進展していくかということにもよりますので、現段階でどの程度になるか見通すことは難しいものというふうに思います。

 いずれにしても、経済性、社会的ニーズも見極めながら、しかし安全性というものを最優先して今後の研究開発は進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 現段階で見通すことは困難ということは、総事業費はどれだけ膨らむか分からないということになりますか。

西村(康)国務大臣 技術開発の進展度は非常に速いものがあります。アメリカでも、先ほど申し上げましたように、非常に進捗をしてきているものと思いますし、もちろん我々として、経済性そして社会的ニーズ、こうしたものも見極めながら、エネルギーの情勢、脱炭素化の進展、様々な技術の進展、こうしたものを見極めながら、今後の研究開発は進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 今の話があっても、総事業費、どうなるか分からない、膨らむか分からないということになりますと、技術開発の進展一般の速さにということではなくて、実際に「もんじゅ」自身が失敗ということなので、失敗を失敗と捉えて、本当に真剣にそれに対して向き合っていかないと、結局、どんどん税金をつぎ込んでいく、青天井で無計画の事業というのは「もんじゅ」の二の舞になるだけだと強く指摘をしたいと思います。

 そこで、西村大臣、「もんじゅ」は既に廃止作業が始まっております。経済産業大臣を含む原子力関係閣僚会議、二〇一六年の十二月二十一日決定した、「もんじゅ」の廃止措置に関する基本方針には、「特に、使用済燃料、ナトリウム及び放射性廃棄物の搬出及び処理処分については、政府として責任を持って取り組む。」こうあるわけですが、これらの処分について、国の責任を明確化しているわけであります。

 実際に、使用済燃料、それから冷却材のナトリウム、放射性廃棄物の処分、つまり後始末というのは問題なく進んでいるのか。実証炉開発を進めるのであれば、まず失敗した先行の原型炉「もんじゅ」の後始末の展望を明確にしてからではないかと思うんですが、その点はどうお考えでしょうか。

林政府参考人 「もんじゅ」の廃止措置の取組状況についてお答えいたします。

 「もんじゅ」については、廃止措置計画に基づき廃止措置を着実に進めているところであり、昨年度に第一段階の燃料取り出し期間が終了し、今年度から第二段階の解体準備期間に移行し、燃料体以外の遮蔽体や制御棒の取り出し、ナトリウムの抜き出し、搬出等を実施することとなっております。

 文部科学省としましては、引き続き、「もんじゅ」の廃止措置について、安全を最優先に計画的かつ着実に進め、地元の理解を得つつ、政府一体となって対応してまいります。

笠井委員 今言われたような形で、そのとおり、絵に描いたように進むのかということが問題になってきます。

 そこで、文科省に伺いますが、「もんじゅ」の冷却材は、水ではなくてナトリウムであります。ナトリウムは、水に触れると激しく発熱をする、水素が発生して、着火すれば爆発するという、扱いが本当に非常に難しいような物質であります。

 一九九五年十二月八日に「もんじゅ」では、二次系のナトリウム配管から約七百キログラムのナトリウムが漏れて炎上する事故が発生している。大問題になりました。「もんじゅ」で保有しているナトリウムは総量で何トンあって、そのうち抜取り可能なナトリウムの重量、それから、現時点では抜取りがなかなかできないというナトリウムの重量というのは、それぞれ何トンというふうに見ていますか。

林政府参考人 お答えいたします。

 「もんじゅ」で保有しているナトリウムの総重量は、約千六百六十五トンと試算しているものと承知しております。このうち、通常の方法で抜取りが可能となる重量は約千五百八十八トンであり、機器の構造上、タンクの底部等、系統内に一定程度残留する量としては約七十七トンと試算をしているものと承知しております。

 なお、系統内に一定程度残留するナトリウムについても、可能な限り回収するという方針にしておりまして、具体的な回収方法につきましては、残留する場所、その量の評価、その後のナトリウム機器の解体工法を含め、更に検討がなされることと承知しております。

笠井委員 今最後に、残留しているものは可能な限り取り出すということを言われたんですが、抜取りがなかなかできないというナトリウムは、残留ナトリウム一滴も残らずに完全に抜取りできるということは実証されていますか。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、系統内に残留したナトリウムは七十七トンということでございますけれども、これは通常の抜取り方法ではできないんですけれども、専用器具等を用いて可能な限り抜き取る、こういうことをこれから、検討をしているところでございます。

 なお、専用の器具等を用いた抜取り作業の後も系統内に残留したナトリウム、これは一定程度あると考えておりまして、それは施設解体時に空気等と反応しないように安定化させる、これは炭酸化、炭酸塩化でありますとか水酸化ナトリウム化というのを想定しておりますけれども、こういうふうに安定化させる作業を行った上で、最終的に廃棄物として適切に処分する予定であると承知しています。

笠井委員 完全に抜き取れないということで、残ったものは炭酸化するような形でできるという方向だけれども、それもはっきりしていないわけですね。

 じゃ、ナトリウムの処分はどうするんですか、国内で処分するんですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 「もんじゅ」のナトリウムの処分については、英国事業者、キャベンディッシュ社の方に委託をするということで、先般、そういった契約を締結したところでございます。

笠井委員 抜取りできないナトリウムの処分というのは、日本国内に放置しておく、結局そういうことになりますか。

林政府参考人 先ほどお答えいたしましたけれども、安定化して、安定化するということは炭酸塩化あるいは水酸化ナトリウム化するということで、最終的には廃棄物として処分するということになろうかと思います。

笠井委員 安定化自身も、まだこれは確実なわけじゃないわけです。

 井出文部科学副大臣に伺います。

 ナトリウム処分委託先が、先ほど英国のキャベンディッシュ社ということでありました。なぜこの社なのかということで一つ問いが出てくるわけですが、その中で、文部科学省に、同社との枠組み契約、その契約書と契約に至る検討過程に係る決裁文書の提出を求めたんですが、一切文部科学省は拒んでおります。なぜでしょうか。

井出副大臣 御指摘の契約でございますが、四月の二十八日に、先生おっしゃった、キャベンディッシュ社と契約を結んでおりまして、作業全体の概略工程、個別契約の枠組み、責任の所掌、守秘義務等の内容を締結をしております。

 これが開示できない理由でございますが、開示することによって法人の正当な利益を害する可能性がある。そのことにつきまして、相手方の法人にも確認をした上で、開示することが難しいということを原子力機構から承知しております。

笠井委員 国の事業の契約なのに、国民の代表たる国会議員が問い合わせても、開示するとなぜ相手企業の利益を害することになるのか、国民の利益という点ではどうなのか、海外の原子力産業の利益確保の方が重要なのか、その辺はどうお考えですか。

井出副大臣 JAEAの方は、おっしゃるように公的機関でございますし、とても重要な任務を負っておりますので、先生御指摘のとおり、国民に対する説明責任はあろうと思います。一方で、相手方企業は民間でございますので、契約においては、一般的に開示できない部分というものは当然出てくるんだろうと思っております。

笠井委員 ナトリウム処理に係るキャベンディッシュ社への支払いの金額は幾らですか。

井出副大臣 四月の二十八日に契約を結びましたが、先ほど御説明いたしましたとおり、まだ全体の概略工程ですとか大枠で、これから個別の契約を結んでいくこととなると承知しておりますので、現時点で、私の方ではまだ承知しておりません。

笠井委員 額も分からない、枠組みだからという話でありますが、ナトリウム処分委託契約を結びながら、幾ら払うかも示せない。そして、その中身というのは、相手企業の利益に関わるからということで、公開できない、明らかにできないということです。

 そもそも、国内でナトリウムを処分する技術はないのかという問題もあります。どういう経緯で英国に、その会社に、特定の会社に処理を頼んだのか、文書を公開しないので全く分かりませんよね。国民への説明責任、これじゃ果たせないんじゃないですか。やはり、ちゃんと提出をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

井出副大臣 今の段階でこの契約に関して文書を提出するというのは、先ほど説明した理由から難しいと考えております。

 しかし、先生御指摘のとおり、JAEAの側は、重要な任務を負っておりますし、公的機関ですし、それからまた、国民に対する説明責任というものは言うまでもなくあろうと思いますし、それは今後、しっかりと受け止めて、原子力機構と検討してまいりたいと思います。

笠井委員 これは非常に、これまでの経過、先ほど申し上げたような形で、やり取りしたように、非常に大きな額もかけて、そして労力もかかった中での話で、廃止して処分するという話なんですね。それに対して、本当に、またお金もかけてやっていく、どういう形でやるのかということについて、なぜそこをまた選んだかということについても、これは本当に国民的には分からない、今まで。

 今、JAEAの話をされて、そういう点では、JAEAとの関係ではやはり必要なことがあるかもしれないとおっしゃるけれども、やはり、国民への説明責任で、これだけの大きな事業についての後始末ということになりますから、しっかりと出していただく必要があるんじゃないでしょうか。よくこれは文科省でもきちっと検討して、政府としてもそれをやるということで、やっていただくということにしたいんですが、いかがですか。

井出副大臣 現時点でこの契約について開示、提出できるかと言われれば、繰り返しで申し訳ありませんが、相手方からもその開示はまかりならぬというような返答をいただいておりますので、それは控えたいと思います。

 しかし、JAEAとして、公的機関としての説明責任ということは重々私も分かっておりますので、今後しっかりとその節目節目で検討させていただきます。

笠井委員 相手方がまかりならぬという話だからという話が出てきましたが、現時点ではと言うけれども、現時点が大事なんですよ。だって、これからどんどん進んだところで、後から、じゃ、どうするのかって、契約しちゃっているじゃないかと、今度逆に向こうから言われる。

 委員長、「もんじゅ」のナトリウム処分委託についての英国キャベンディッシュ社との契約書、契約に至るまでの決裁文書の当委員会への提出を求めたいと思います。理事会で協議をしていただきたい。

竹内委員長 後刻、理事会で協議します。

笠井委員 西村大臣、経済産業省は、実証炉の概念設計の対象となる炉概念の仕様と中核企業の選定に係る委託事業者の選定の公募を終えていると思います。公募に応じたのは何者でしょうか。

西村(康)国務大臣 本年三月から四月にかけまして、高速炉の実証炉開発に当たりまして、基本的な仕様、炉概念の選定や、プロジェクトの中核となる企業の選定に向けた公募を行ったところであります。

 現在、応募された内容について外部有識者による技術審査をいただいているところでありまして、まずはこうしたプロセスを進めてまいりたいというふうに考えております。(笠井委員「公募に応じたのは何者ですか」と呼ぶ)

 選定プロセスのためまだ答えられないということで事務方からは聞いているんですけれども、ちょっと確認をしたいと思います。

笠井委員 どこかと聞いているんじゃない、何者ですかと聞いても答えられない。一者だから言えないんじゃないかと思うんですが、現在審査中の委託先企業というのはいつまでに決定しますか。

西村(康)国務大臣 複数者来ていることは申し上げたいというふうに思います。

 その上で、審査結果の公表は本年夏頃を見込んでおりますが、今後の予定につきましては、審査の進捗状況を踏まえながら、適時適切に公表していきたいというふうに考えております。

笠井委員 最後に一問ですが、大臣、原型炉「もんじゅ」の後始末さえ先行き不透明で展望もないのに、なぜ次のステップ、実証炉に進めるのか。また多額の税金をつぎ込んで「もんじゅ」の二の舞になるだけだ、先の見通しのない高速炉開発事業は中止すべきではないか。まず立ち止まるべきじゃないか、それで中止すべきじゃないか。いかがでしょう。

西村(康)国務大臣 私は、常陽そして「もんじゅ」の経験を将来に生かせるというふうに思っておりますし、これは海外の、アメリカ、フランス、イギリスを含めて、様々な国々とこうしたことについて確認をしているところであります。

笠井委員 経験を生かすと言われますけれども、実績はないんですよ。

 三年間の委託事業費は四百五十億円です。高速炉を引き受けられる企業というのは限られていて、数者と言われたけれども、事業を受託した企業がもうかるだけ、利権の場をつくるだけになります。

 この事業の中止を強く求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。西村経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(康)国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件の提案理由及び要旨につきまして御説明申し上げます。

 日本は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする日本を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を厳格に実施してきました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日以降、北朝鮮への輸出の禁止などの措置を厳格に実施してきました。

 関連する国際連合安全保障理事会決議は、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めていますが、いまだにその実現には至っておりません。また、拉致問題については、現時点においても、解決に至っておりません。

 政府においては、こうした北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、令和五年四月七日の閣議において、引き続き令和七年四月十三日までの間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を実施することを決定いたしました。

 これを踏まえ、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による令和五年四月七日の閣議決定に基づき、同年四月十四日から令和七年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、並びに北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 本件につき、御審議の上、速やかに御承認くださいますようよろしくお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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