衆議院

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第20号 令和5年6月9日(金曜日)

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令和五年六月九日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君 理事 中野 洋昌君

      池田 佳隆君    石井  拓君

      今枝宗一郎君    上田 英俊君

      小田原 潔君    上川 陽子君

      小森 卓郎君    高村 正大君

      鈴木 淳司君    田所 嘉徳君

      土田  慎君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    福田 達夫君

      堀井  学君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      吉田 真次君    荒井  優君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      山岡 達丸君    足立 康史君

      遠藤 良太君    前川 清成君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   外務副大臣        武井 俊輔君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大橋 一夫君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            屋敷 利紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          木村  聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     田所 嘉徳君

  稲田 朋美君     池田 佳隆君

  國場幸之助君     上田 英俊君

  牧島かれん君     高村 正大君

  山下 貴司君     小田原 潔君

  馬場 雄基君     荒井  優君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     稲田 朋美君

  上田 英俊君     國場幸之助君

  小田原 潔君     山下 貴司君

  高村 正大君     牧島かれん君

  田所 嘉徳君     石川 昭政君

  荒井  優君     馬場 雄基君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官大橋一夫君、金融庁総合政策局審議官屋敷利紀君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房参事官林誠君、経済産業省貿易経済協力局長木村聡君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君及び防衛省防衛政策局次長安藤敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山岡達丸君。

山岡委員 衆議院議員の山岡達丸です。

 本日も質問の機会をいただきました委員長、理事の皆様、委員の皆様に感謝申し上げながら、本日は、北朝鮮に対するいわゆる経済制裁とその継続に関する国会承認、そうしたことが中心の委員会でございますけれども、今日は、その北朝鮮のことと、それに関連して、資源のことも含めて、限られた時間ではありますけれども、少し質問をさせていただきたいと思います。

 北朝鮮に対するいわゆる経済制裁は二〇〇六年からということで、核実験を強行したことを受けて、同年十月に、まずは輸入の全面禁止ということを開始しました。二〇〇九年には輸出入全面禁止ということに踏み切って、トータル十七年に及ぶわけでありますけれども、今年四月、また閣議決定の中で政府は二年の延長を決めて、国会に承認を求めているわけであります。

 この間、北朝鮮の体制も世代が替わり、いわゆる金正恩氏というのは、先代の金正日体制の軍部偏重といいますか、そうした路線から、並進路線という言い方をしていますけれども、軍拡とともに、食料増産やあるいは農政改革を含めた経済政策ということにも大きく力を入れてきたということも伝えられているところであります。

 そんな北朝鮮の体制のいろいろな取組もあってなのかということは、これからまた政府にも確認しなきゃいけませんけれども、コロナ前の二〇一九年頃には、餓死者というのがほとんど報告として見られないような状況。コロナがあって、中国との貿易がかなり難しくなったということもあって、一時期は国内における供給不足も伝えられるところもありましたけれども、最近の伝えられているところによれば、やはりコロナ以前並みにいろいろ戻ってきている。

 その上で、我が国に対しては、我が国に対してといいますか国際社会に対してでありますけれども、ミサイルと見られるような飛翔体の発射を続けている。私の地元、北海道でありますけれども、近隣に着弾するということもありまして、住民感情はしばしば逆なでされているということが続いています。

 まず、政府に確認したいと思うんですけれども、こうした長期にわたる制裁を続けているわけでありますけれども、現在の北朝鮮の経済力というのはどう分析されているのか。特に、制裁の中で、そうした飛翔体と言われるものを発射し続けている。何らか資金源があるなり、何らか物資を調達するルートがあるなり、現状そのことがあるからそうした素地が、そうした発射が行われているということを思ったときに、実効性のある制裁が行われているのかという視点も含めて、もちろん承認そのものについては私たちも当然だという思いではありますが、しかし、これだけ長期にわたりますと、やはり政府の分析というのもここでひとつ確認させていただきたいと思います。答弁お願いします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮の経済力、経済状況についてでございますけれども、これらにつきまして一概に申し上げることは困難でございますが、例えば、韓国銀行によりますれば、二〇二一年の名目国民総所得は三百十七億ドル、実質国内総生産の成長率はマイナス〇・一%となってございます。マイナス四・五%と大幅減となりました二〇二〇年に続き、二年連続のマイナス成長になったと推計されているものと承知しているところでございます。

 北朝鮮による核・ミサイル開発のための資金源の詳細につきましては、事柄の性格上、断定的にお答えすることは困難でございますけれども、例えば、これまでの国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる報告書におきましては、北朝鮮が、石炭、鉱物資源、繊維製品等を不正に輸出しているということ、金融機関や暗号資産取引所等へのサイバー攻撃を通じまして暗号資産を窃取し資金洗浄していること、例えば中国、アフリカ、東南アジア、ロシアにおきまして北朝鮮労働者の雇用が継続していることなど、北朝鮮による制裁違反、回避が疑われる事例が報告されているものと承知しているところでございます。

 一方で、我が国といたしましては、国連安保理決議に基づく制裁措置に加えまして、我が国自身、独自の措置といたしまして、今般お諮りしております北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を講じているところでございます。

 これらの措置は、日本からの物資の調達でありますとかあるいは資金の獲得の阻止に寄与してございまして、北朝鮮の厳しい経済状況と併せて考えました場合に、一定の効果はあるものと認識しているところでございます。

 経済産業省といたしましては、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、対北朝鮮の措置を厳格に実施してまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

山岡委員 今、御答弁の中で、一定の効果はある、それで継続するというお話がありました。もちろん、継続そのもの、これは続けていくべきだと私も思うわけでありますが、大臣にも伺います。

 やはり長期にわたる中で、この状況の中でも、きちんと国が回るように順応していくという状況も出てきています。外為法によらずとも、ほかの国との様々な措置で、日本が何らかの形で輸出を制限するような形になれば、日本以外のルートから様々物資を調達するということも、ほかの諸外国でも見られることなんです。

 こうした状況の中で、一方で、北朝鮮に対してはやはり厳しい措置というのが求められてきますけれども、経産大臣として、どういう姿勢を持って、この北朝鮮に対する経済産業部門、あるいはそうした輸出入を管理する立場からお考えか、御見解をお願いいたします。

西村(康)国務大臣 まさに北朝鮮は、前例にないような頻度と態様で弾道ミサイルの発射を続けているわけであります。我が国にとって、まさに重大で、かつ差し迫った脅威であるということでありますので、断じて容認できるものではありません。

 日本として、各国とも連携しながら、そして、経済産業省として関係省庁とも連携しながら、強い経済制裁の措置を厳格に実施をしていくということで臨んでいきたいというふうに考えているところであります。

山岡委員 厳格に臨んでいただく中で、やはり、北海道の立場からしても、この状況が変わってほしい、こういう状況もすごく願われているところでもありますので、政府を挙げて取り組んでいただきたいということもお伝えしながら。

 先ほど政府のお話にもありましたけれども、いわゆる石炭等の不正な輸出、そうしたことも経済状況を助けている一因なのではないかという分析が、国連の中でもそういう指摘もされているというお話もありました。

 そうした中で、石炭等の、今、折しもこの国会では、脱炭素ということで、GXの政策も含めて、世界的な脱炭素の流れをつくっていくということで日本も乗っているわけでありますけれども、経済制裁という意味においてもこうしたエネルギーの脱炭素化というのは非常に重要だということも、北朝鮮のこういった一件からも考えるところでもあります。

 このほど政府がまとめられた水素基本戦略の中で、そうした様々資源がある中で水素も重要な一つであると思いますので、この質問の機会に水素のことも大臣に伺いたいと思います。

 前回、水素基本戦略は二〇一七年に取りまとめて、六年間という歳月がたつ中で情勢は相当変わりました。エネルギーの多角化という視点で、もちろん水素は重要なわけでありますけれども、脱炭素もそうですし、経済安全保障、多くの観点からそうした水素の活用というのも考えていかなきゃならない。コストの壁もあるわけであります。

 大臣に伺いますけれども、国内産業で、水素利用を国産化していくということの意義というのは、大臣、今どうお考えなのかという点。

 いわゆる海外から、当面、市場を形成する上で海外から水素を輸入するということになりますと、例えば、具体的には、オーストラリアなどで産出される褐炭、いわゆる品質が余り高くない石炭などから水素を取り出すということ、そうした水素をコスト面からも考えていくということになると思います。精製過程で当然CO2も相当程度生じるというのも事実なんですけれども、脱炭素という流れの中に水素があって、海外由来の水素の脱炭素というのはどの程度まで担保されていくのか、こうした今のお考えを大臣に伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 水素は、発電だけではなくて、産業、運輸など幅広い分野で脱炭素化を進めていく上で、その実現で不可欠な重要なエネルギーだというふうに認識をしております。

 エネルギー自給率の向上という観点からは、御指摘のように、国内における水素の製造、供給基盤の構築が重要であります。政府としても、大規模な水電解装置を用いた水素製造技術の開発そして実証、さらには国内における水電解装置の導入、普及、これも積極的に支援をしているところであります。

 水素について、コスト削減しながらより一層利用を進めていくためには、供給体制と同時に、需要をまず喚起していくこと、投資を呼び込んでいくことも重要であります。この需要喚起を促すために、当面は海外からの安価な水素を輸入することも考えております。その製造源は、化石燃料由来もあれば、再生可能エネルギーから製造するものも多いということで、御指摘のとおりであります。

 そして、その点について、私、議長をしましたG7の札幌での気候・エネルギー・環境大臣会合におきまして、そのコミュニケの中で次のような内容を盛り込んでいるところであります。すなわち、製造方法を基準とせずに、単位当たりの水素製造時に発生するCO2排出量である炭素集約度という考え方を取り入れて、炭素集約度を基準とすることの重要性を確認をし、コミュニケに内容を盛り込んだところであります。

 こうした考え方を踏まえつつ、我が国においても、当面、需要喚起からいくと、炭素集約度、つまりCO2排出量の多いものも含めて対応していきますけれども、永続的にCO2を処理していない水素を使い続ける考えはございません。例えば、現在検討しております化石燃料との価格差に着目した支援制度におきましても、CO2排出量が少ないクリーンな水素のみを支援の対象とするということを検討しているところであります。先般改定した水素基本戦略におきましても、このような方向性をお示しをしております。

 引き続き、こうした取組も含め、クリーンな水素社会の実現を目指していきたいというふうに考えております。

山岡委員 水素というのは、やはり産業の世界では非常に期待もされている。コストの面をどうクリアしていくかという中で、私も、北海道、苫小牧もそうですが、室蘭という鉄鋼の町も抱えていますけれども、いわゆる水素還元の高炉ということも鉄の将来ということを考えたときに非常に重要な視点の中で、ここの部分を、今、やはり国際社会の脱炭素の大きな流れの中で、日本がどれだけ力を入れていくかというのは非常に重要だと思っていますので、また私も引き続き委員会の場で問うていきたいということを思います。

 いわゆる水素精製、今お話にもありましたけれども、当面はやはり一定の炭素が出てくるというお話でありましたけれども、オーストラリア等では、CCSという、地中に二酸化炭素を埋めていくという考え方の、これをセットで、こうした生産を行っていくということになっていくんだろうと思います。

 日本国内においても、CCSという、脱炭素の中でかなりのボリュームを持って効果が出るであろう、いわゆる地中に埋めるということを国内で行えないと、これから国際社会の中で脱炭素が、大きくコスト、それぞれ競争になっていく中で、ある日、日本ができないということで莫大なコストを求められるような、そういうことも生まれるということで、この委員会でも非常に推進が重要だということも私も申し上げさせていただいて、今、大臣からも前向きなお話もいただいているわけであります。

 一方で、これまでずっと、CCSを事業としてきちんと日本で確立していくために、一定の法律が必要だと。いわゆる地中の中の権利設定等も含めて、そこも、鉱業のように採掘する方の権利はいろいろ定まっていても、そこに埋める、そうした権限も定まっておりませんし、どこまでをCCS事業としていくのかとか、様々な観点があると思うんです。かなり検討も進められてこられたんだということを、いろいろな議論の中でも私も見ておりますけれども。

 是非、この政府からの提案というのは、私は願わくば次の国会には出てきてほしいということで、国際的にこういう状況がどんどん進んでいく中で、やはり日本も法整備をしっかりやって、ちゃんと道しるべをつくっていくということが大事だと思っております。大臣、この法制化に向けた、このことは決まっていますけれども、スケジュールという意味においてどのようにお考えか。私の立場からすれば、次の国会にも提出いただきたいと思いますが、どうお考えでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、どうしても出てくるCO2について、地下に貯留するCCSの取組が不可欠であります。

 御指摘の法制度の整備も、これまで議論しておりまして、論点整理をいただいているところであります。

 この実現に向けて、今年度から、先進的なモデル性のあるプロジェクトを、先進CCS支援事業として約三十五億円の予算を取っておりますので、これを実施していくということで、現在、審査を行っております。

 こうして、CCS事業の開始に必要な試掘については、早ければ来年度の開始を考えている事業者もおりますので、御指摘のように、必要な制度の整備が間に合わなければなりませんので、できる限り早期にCCS事業に関する法制度を整備してまいりたいというふうに考えております。

山岡委員 できる限り早期にという意欲も示していただきました。

 予算化をしていただいていろいろな事業も進んでいますし、地元との関係の中で理解を進めていくということも必要だと思っておりますけれども、やはり政府としてきちんと柱をつくっていただきたい、このことを申し上げさせていただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 早速、冒頭、質問通告をしていないんですが、旧文通費について少し質問させていただきたいと思います。

 昨年、国会中に結論を得るということで約束を、自民党が一方的にこれをほごにして進んでいないということです。旧文通費ですね、百万円の。

 大臣、今、現状、生鮮食品であったりとかエネルギーを抜いた消費者物価指数が四%を超えてきた。さらに、電気料金も更に負担をしていただく、国民の方々には負担をしていただかないといけない。

 加えて、我々、これだけ国民にお願いをしないといけないという状況で、国会議員自体がまずは、国民の皆様にお願いするのであれば、自分たちがこの旧文通費をまずは改革しないといけないんじゃないかなというふうに思うわけなんですけれども、大臣、是非、この国会中に結論を出すということが当然だと我々維新としては考えているんですけれども、是非、大臣、政治家として、自分の言葉で答えていただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 まず、議員の活動に関わる話ですので、これは、国会におきまして、議運を中心にだと思いますが、各党会派で議論を重ねていただいて方向性を出していくのがまず筋だということで申し上げたいと思います。

 その上で、一般論で申し上げれば、予算について言えば、国民の皆様からいただいている税金でありますので、これをできる限り効率的に有効に活用していくことを、そして透明に活用するというのは当然のことでありますので、様々な予算について、これは経産省の予算もそうでありますが、そうした方針の下で進めていかなきゃならないというふうに考えております。

遠藤(良)委員 文通費は、使途の公開と、残った残金については国庫返納する、これはセットで、国会の議論はもちろん必要なんですけれども、是非、自民党、まずリーダーシップを取っていただいて、やっていただきたいと思います。

 それでは、今回の閣法の質問に移りたいと思います。

 二〇〇六年十月から北朝鮮からの輸入全面禁止、二〇〇九年六月から北朝鮮への輸出全面禁止ということで、輸出入の全面禁止の継続は当然だと思います。

 日本の輸出入全面禁止によって、北朝鮮の経済への制裁効果、これをどのように捉えられているか、お尋ねしたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、今御指摘ございましたように、外為法に基づきまして、二〇〇六年から輸入について、二〇〇九年から輸出について、それぞれ禁止する措置を講じさせていただいているところでございまして、この措置を現在まで継続しているところでございます。

 輸出入禁止措置を講ずる前の二〇〇五年の北朝鮮からの輸入額は約百五十億円、北朝鮮への輸出額は約七十億円でございましたけれども、輸出入禁止措置を導入いたしまして以降、北朝鮮との間の輸出や輸入は原則として行われてございません。

 対北朝鮮輸出入禁止措置は、日本からの物資の調達でありますとかあるいは資金の獲得の阻止に寄与してございまして、足下の北朝鮮の厳しい経済状況と併せて考えました場合に、一定の効果はあったもの、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

遠藤(良)委員 北朝鮮は、石油や石炭を瀬取りで確保しているんだということです。これは中国が関与しているんじゃないかと。日本は、瀬取りが疑われる行為を発見した場合には国連安保理に通報しているんですが、安保理の報告書では、制裁違反や回避活動に対する中国企業等への強い疑いが指摘されているんだということです。

 制裁の実効性を高めるために、瀬取りの対応、これをどのようにされているのか、お尋ねしたいと思います。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、北朝鮮による関連国連安保理決議違反が疑われる活動について、平素から情報収集、分析に努めております。その一環として、米国及び関係国と連携し、航空機による警戒監視活動を行うとともに、艦艇による洋上での警戒監視活動を行っております。

 こうした中、我が国は、二〇一八年一月以降、これまでに二十四回、安保理決議違反が強く疑われる瀬取り行為を確認してきております。それらを公表するとともに、安保理の北朝鮮制裁委員会等への通報や関係国への伝達を行ってきているところでございます。

 これらの取組の結果、例えば、日本が通報した船舶のうち五隻の船舶が二〇一八年の安保理制裁委員会によって新たに制裁対象に指定されるなど、具体的措置が取られてきております。

 一方で、瀬取りを行う船舶は巧妙な手口を用いており、瀬取り行為を完全に防止するには至っていないことも事実でございまして、我が国としては、全ての国連加盟国が瀬取りの防止を徹底していくよう、米国を始めとする関係国と連携して対応を強化していく考えでございます。

遠藤(良)委員 北朝鮮では、サイバー攻撃で違法な収益を取得しているんじゃないかということですけれども、報告書では、二〇二二年で六億三千万ドルの暗号資産を取得したということで、十億ドル以上ともされています。

 政府は、二〇二二年十二月、独自制裁の措置として、北朝鮮偵察総局傘下のラザルスを資産凍結の対象に指定したんだということで、二〇二二年四月に、警察庁は、サイバー警察局と重大事件の捜査を担うサイバー特別捜査隊を発足させたということです。

 暗号資産を狙ったこういったサイバー犯罪への抑止力を高めるためにどのような取組を行っているのか、また、各国とどう連携していくのか、これをお尋ねしたいと思います。

大橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、北朝鮮は、外貨獲得等を目的として様々なサイバー攻撃を行っていると見られているところ、暗号資産窃取に関しましては、昨年十月、警察庁のサイバー特別捜査隊の捜査等により、国内の暗号資産関係事業者が北朝鮮当局の下部組織とされるグループの標的とされていることが強く推認されることから、金融庁、NISCと連名で広く注意喚起を行ったところであります。このように、警察では、我が国として攻撃者を公表し非難する、いわゆるパブリックアトリビューションの実施に貢献し、サイバー攻撃の抑止を図っております。

 また、捜査や海外の治安情報機関との情報交換を通じたサイバー攻撃の実態解明、警察と事業者等で構成する情報共有ネットワーク等を通じた情報の集約、分析及びその結果に基づく注意喚起などの活動を行っており、引き続きサイバー攻撃対策の強化に努めてまいります。

遠藤(良)委員 北朝鮮では、更にそれ以外で、偵察総局の傘下に複数のサイバー組織を持っているということも言われているんですけれども、アンダリエルというところが、防衛、エネルギー、旅行、暗号資産関係の会社を狙ってサイバー攻撃を行っているということを言われています。このアンダリエルなどの別の団体についても資産凍結する必要があると思うんですが、この辺り、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、現時点におきまして、御指摘の団体を資産凍結等の措置の対象として指定しておりませんが、北朝鮮に関する対応につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けまして、何が最も効果的かという観点から不断に検討をしてきておりまして、今後も、米国を始めとします関係国及び関係国際機関とも緊密に連携しつつ検討していく考えでございます。

 また、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、我が国として取っている措置の実施を徹底しておりまして、今後もこうした取組を継続していく考えでございます。

 以上でございます。

遠藤(良)委員 暗号資産の事業所であったりとか銀行とか証券会社とか、こういった金融機関がサイバー攻撃に対しての対応を学ぶということも必要だと思います。

 金融庁としては訓練の機会を設けているということなんですけれども、一方、暗号資産では、業界団体に加盟していない小規模な事業者も多いということがあると思います。金融機関とか暗号資産事業者に対して、サイバー攻撃からの被害を防ぐために実際どういった対応をしていくのか、お尋ねしたいと思います。

屋敷政府参考人 お答えいたします。

 昨今、サイバー攻撃が一層巧妙化していることを踏まえまして、金融庁では、金融機関のサイバーセキュリティーを強化する目的で、モニタリングや業界横断的なサイバー演習に取り組んでおります。

 まず、モニタリングにつきましては、サイバー攻撃を受けた際の影響度に応じて、金融機関のサイバーセキュリティーに関するガバナンス、リスク管理、技術的対策などの有効性を検証しておりますが、特に暗号資産交換業者につきましては、暗号資産への不正アクセスを防止するための対策を重点的に検証しております。

 また、サイバー演習につきましては、銀行、証券、保険、暗号資産交換業者など幅広い先を対象に、最新の脅威動向を踏まえたシナリオで実施しております。演習結果につきましては、初動対応や復旧手順等における課題のほか、良好な事例を還元することで、金融機関がサイバー攻撃を受けた場合の事態対処能力の向上を図っているところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、金融機関におけるサイバーセキュリティーの強化にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

遠藤(良)委員 北朝鮮のミサイルのところを質問していきたいんですけれども、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗して、二回目の打ち上げを計画しているんだということで、北朝鮮は、二〇二二年九月に、核兵器の使用について、国家指導部や重要戦略対象などへの軍事攻撃が行われたかあるいは差し迫っていると判断された場合には、核兵器を使用することができるということに変更されているんですけれども、軍事偵察衛星が打ち上げられることは、安全保障上のリスクだというふうに思います。

 軍事偵察衛星の打ち上げに対して、資産凍結等の制裁を行うという方向性、この辺りはいかがでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 先月三十一日の北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した発射を含めまして、これまでの一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないものでございます。また、衛星と称しましても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も禁止しております、関連する国連安保理決議に違反するものでございます。

 また、今委員からお話がありましたように、今後、北朝鮮が、衛星と称するものの発射を含め、更なる挑発行為に出る可能性があるというふうに考えてもございます。

 我が国の独自の措置を含めました今後の対応につきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えますけれども、我が国としては、引き続き、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対して、関連する国連安保理決議を遵守し、更なる発射を行わないよう求めていく考えでございます。

 以上です。

遠藤(良)委員 打ち上げた衛星が日本の領域内に落下する可能性もあったりとか、そういうことでJアラートとかも出ていると思います。これは本当に非常に危険な状態だと思います。

 防衛省では、日本の領域への落下にも備えて、防衛大臣による破壊措置命令に基づいて迎撃する態勢を取ったんだということです。二回目の打ち上げについても、きちんと対応していくということを事前のレクでも聞いているんですけれども、是非、対応、しっかりお願いしたいと思います。

 六月三日の日韓防衛相シンガポール会談、この中で、韓国とはレーダー照射の問題があったと思います。会談では、各国のレーダーが捉えた北朝鮮のミサイル関連情報をリアルタイムで共有できる仕組みを年内に運用開始することで合意しているんだということです。

 北朝鮮のミサイル問題に関して、日米韓防衛相シンガポール会談の意義についてどのように捉えているか、お尋ねをしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十一月の日米韓首脳会談における共同声明を踏まえまして、北朝鮮のミサイル警戒情報のリアルタイム共有につきましては、本年四月の局長級の防衛実務者協議を含め、実務者レベルでの議論、検討を進めてきたところでございます。

 今回の日米韓防衛相会談におきましては、これまでの検討状況を確認するとともに、メカニズムを年末までに始動するため、今後数か月中の初期的運用の開始に向け、更に進展させることで一致したところでございます。

 この取組は、北朝鮮から発射されたミサイルの脅威を探知し評価する各国の能力を向上させるためのものと考えておりまして、早期に実現できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 時間になったので、終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 おはようございます。国民民主党の鈴木義弘です。

 すぐに質問に入りたいと思います。

 今回の案件、過去の六年前か八年前に、この経産委員会でも同じ質問に立ったなと記憶しているんですけれども、じゃ、今、そのときとどのぐらい、先ほども前任の方が、実効性がどのぐらいあったのかと。大臣から、一定の効果があったと。じゃ、その一定の効果というのは何なのかという話なんですね。

 結局、約百六十か国と外交関係を有する北朝鮮は、依然、世界中の様々な国々と経済的取引を継続しており、北朝鮮との全面貿易禁止措置を導入した日本は、世界的にはむしろ例外であると聞くんですね。日本は全面的に禁止をするということを選択したんですけれども、結局、百六十か国の国が北朝鮮と貿易をずっと続けているわけですね。

 二〇〇六年の十月に北朝鮮に制裁をスタートしてから十七年がたったんですけれども、昨年も今年も、何度となくミサイルが撃たれていますよね。回を重ねるたびに射程が延びていく中で、世界的に脅威になっているんですけれども。

 これは、じゃ、中国に向けて撃っているのか、ロシアに向けて撃っているのかといったら、もう分かっているわけなんですけれども、関係国とといったときに、どこに向けて撃っているのかというのはもう分かっているわけなんだから、やはり、きちっと対応すべき時期に来ているんじゃないか。

 十七年間同じことをずっとやってきたということを踏まえて、今後の、日本政府が科している制裁の実効性を問われたときに、一定の成果が上げられている、去年の十月に林大臣が記者会見でそう述べているんです、一定の効果があったと。でも、実際はミサイルが撃ち続けられている。どこかでお金を稼いで、その物資もどこからか、まあ自分のところで調達しているのか分かりませんけれども、どこからか輸入して、そのミサイルの打ち上げに使うような燃料だとか技術、そういったものが収得されているわけですよね。

 その状況において、これまでの外為及び外国貿易法に基づく北朝鮮への禁止措置の有効性について、まず経産大臣にお尋ねしたいと思います。

西村(康)国務大臣 先ほども答弁ありましたけれども、北朝鮮との間の輸出入について、我が国は、第三国を経由したものも含めて、二〇〇六年に輸入を禁止、そして二〇〇九年に輸出を禁止ということで、現在までその措置を継続してきております。

 この輸出入の禁止措置は、日本からの物資の調達や資金獲得の阻止に寄与しておりまして、北朝鮮の厳しい経済状況と併せて考えた場合、御指摘ありましたように、一定の効果はあったものと認識をしております、貿易額もないわけでありますから。

 そして、その実効性を高めるために、経由地となり得る国、地域における厳格な輸出管理も御指摘のように重要でありますので、アジア諸国への輸出管理制度の構築、運用支援を実施しているところであります。

 具体的には、アジア輸出管理セミナーを毎年開催しておりますし、国連安保理決議の履行状況等の情報共有、そして日本の対北朝鮮輸出入禁止措置の理解増進などに取り組んでいるところであります。また、二国間協力として研修、セミナーを開催し、実務人材の育成や現地産業界への普及啓発も行っているところであります。

 引き続き、経産省として、関係省庁とも緊密に連携しながら、アジア諸国への輸出管理制度の構築、輸出支援を通じた、迂回輸出入の防止も含めて、北朝鮮との間の輸出入禁止などの制裁措置を厳格に実施してまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 サイバー攻撃につきましては、前任の方が質問したので、かぶるので、これはちょっと省略させていただきたいと思います。

 北朝鮮にとって特に重要なのは、中国やロシアの国内の活動拠点と外国人協力者の存在であり、両国では、北朝鮮の制裁違反に加担する企業や銀行、個人が後を絶たないと言われています。それらの情報を収集して、その団体や個人に対して日本独自の制裁を科す考えがあるのか、お尋ねをしたいと思います。

秋本大臣政務官 我が国といたしましては、国連安保理決議に基づく特定品目の輸出入禁止措置や資金移転防止措置に加えまして、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止の措置を取っておりまして、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置を実施してきております。

 なお、我が国がこれまで資金凍結等の対象として指定した団体、個人の中には、中国及びロシアの団体、個人も含まれております。また、例えば国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネル報告書において、中国企業等による海上制裁回避のネットワークへの関与等が指摘されていると承知しております。

 我が国は、我が国が収集した情報等の提供を含め、国連安保理北朝鮮制裁委員会や同委員会の専門家パネルの作業に積極的に協力するとともに、関係国に対し様々なレベルで決議の完全な履行を働きかけ、安保理決議の実効性の向上に取り組んできております。

 我が国といたしましては、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて何が最も効果的かという観点から、不断に検討してまいりたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 政務官はそのように御答弁いただいたんですけれども、今話がありました国連の専門家パネルの報告書によれば、中国、コロンビア、コスタリカ、ガーナ、インド、メキシコ、モザンビーク、ニカラグア、フィリピン、タイ等に、北朝鮮から禁輸品の鉄、鉄鋼製品の不正輸入が確認されているんですけれども、これらの国々に対して日本はどういう処置を取ってきたのか。過去こういうふうにやっていました、今現在こうしていますというのを、簡潔で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

秋本大臣政務官 今委員の方から御指摘がありました専門家パネルの報告については、承知をしております。

 我が国は、北朝鮮に対して、国連安保理決議の下での義務に従うことを求めてきております。また、国連安保理北朝鮮制裁委員会や同委員会の専門家パネルの作業に積極的に協力しております。また、関係国に対して様々なレベルでの決議の完全な履行を働きかけ、安保理決議の実効性の向上にも取り組んでおります。

 我が国といたしましては、引き続き、日米、日米韓で緊密に連携し、国際社会と協力しながら、安保理決議の実効性の向上にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 冒頭申し上げましたように、二〇〇六年からこの法律を施行して日本は全面的に禁止をしてきたんですけれども、今名前を挙げた国以外、冒頭言ったように百六十か国。先日も、広島でサミットがあったときに、インドの首相もお見えになっているわけじゃないですか。インドにも相当な額を日本がODAで援助しているわけですよ。外交上、そういう働きかけをしているんだといっても、お金も出しているわけです。

 でも、もう一歩、日本ができることを踏み出すときにもう来ているんじゃないかという考え方です。例えば、ODAでサポートする国があったとして、やはり、日本とすれば脅威な国なのに、なぜそこにサポートをするのか、そういったところまで踏み込まないと、止められないんじゃないかという考え方です。

 働きかけをします、いろいろなレベルでお願いしていますと。お願いしただけで、じゃ、言うことを聞いてくれなかったら、日本に協力してくれなかったら。そこにお金をつけて出しているんですよ、今。それについてどう考えるかということです。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員からお話がありましたように、北朝鮮による制裁違反、回避が疑われる事例、多くございます。具体的に申しますと、国連の専門家パネルの報告書でも、石炭や鉱物資源、繊維製品等の不正輸出や、金融機関、暗号資産など、さらには、お話がありましたように、中国、アフリカ、東南アジア、ロシア等からの労働者の雇用の継続など、様々な事例が報告はされております。

 我が国といたしましては、北朝鮮自身に対して安保理決議の義務に従うことを求めてきているほか、専門家パネルに積極的に協力するとともに、関係国に対しまして、あくまでも様々なレベルで決議の完全な履行を働きかけて、安保理決議の実効性の向上に取り組んでいくということに尽きるかと思います。

 以上でございます。

鈴木(義)委員 同じ答弁をもらったって、先に出ないで十七年間来ちゃったということですよね。やはり覚悟を示せていないから相手はなめるんだと私は思うんですね。だって、協力してくれないのに何でお金を出すんですか。

 去年とかおととしにこの法律を作って、一回目の更新をするために今日の会議をやっているというんだったら分かるんですけれども、十七年間もずっと同じことをやり続けてきて、それでもミサイルの打ち上げは全然止まらない、拉致は全然解決しない。おかしいじゃない。

 そんなに外交というのはいい顔をしないと駄目なんですか。たまには、般若の顔をしろとは言わなくても、やはり、ちょっと違うだろうと、その態度を示さなかったら、この問題、あと二年先にまた同じ法案が出てきました、また二年先、同じ法案ですと、これはずうっと永久的にやっていくんですか。それじゃ、やはり懸案の、拉致だとかミサイルだとか核実験を阻止というのか停止させる、問題の解決の糸口すら見つけられないんじゃないかと思うんですけれども。

 これは、役所の方が答えるよりも、政務官、せっかく来ているので、政治家としての立場で御答弁いただきたいと思います。

秋本大臣政務官 先ほど経産大臣の方からもお答えがありましたけれども、対北朝鮮措置の有効性を一概に申し上げることは困難ではありますけれども、これまでに我が国が実施してきている安保理決議に基づく措置及び我が国自身の措置は、北朝鮮の厳しい経済状況と併せて考えた場合、一定の効果を上げているというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)委員 押し問答をしたくないんですけれども、一定の効果といってふわっと言われたって、何が効果か分からないよね。だって、一定の効果を上げているのに何でミサイルを撃ち続けられるんですか。稼いでいるから撃てるんでしょう。だから、今おっしゃられたように、専門家パネルの報告、また、いろいろな情報収集に日本も協力するんですと言っていながら、禁輸品の不正輸入をされている国がありながら、ただお願いしますお願いしますで問題の解決にならないだろうということなんです。じゃ、その一歩先、何をするかということです。

 もう一回お尋ねしたいんですけれども、まあ、政府側どちらでも、御答弁できれば。同じ答弁だったら答弁要らないので。

 もう一点だけ、お願いというよりお尋ねしたいんですね、今のことと併せて。

 多国籍企業が節税や脱税を目的に構築したグローバルネットワークのシステムを、北朝鮮は制裁回避目的にそのまま適用しているというんです。関係国の法執行当局の追及を困難としている、よく分からなくなっちゃっているということなんです。

 それで、今回議論になっている、経済制裁だけ、外為法の改正だけ北朝鮮に対してやったとしても、もう実効性が上がらないんじゃないかということです。だから、相手はそのぐらい、手を替え品を替え、暗号資産に手を出してみたり、サイバー攻撃して、それを人質にして身の代金を取ったりしているのも、事実、分かっているんだったら、もう一歩先に行った措置を取らないと、ただ、法律作りました、いろいろな情報は収集しています、関係国と協議して一緒にやっていますと言うだけで、これは解決の糸口は見つけられないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員からお話がありましたように、北朝鮮は様々なルートから資金を調達しているということが専門家パネル等で報告されているわけではございます。これに対しまして、我が国としましては、繰り返しになりますけれども、安保理の北朝鮮制裁委員会や同委員会の専門家パネルの作業に積極的に協力するということ、さらには、関係国に対して様々なレベルで決議の履行を働きかけ、実効性の向上に取り組むということで取り組んできているところでございます。

 我が国といたしましては、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決のために何が最も効果的かという観点から、不断に対応を検討していくということでございます。

鈴木(義)委員 やめますけれども、ODAのことも踏まえて考えていく時期に来ているんじゃないかと思います。

 終わります。

竹内委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 北朝鮮制裁承認案件について質問いたします。

 本件は、二〇〇六年七月の北朝鮮による弾道ミサイル発射及び同年十月の核実験を契機に実施された我が国独自の北朝鮮への制裁措置の、二〇二五年四月まで二年間延長について国会承認を求めるものであります。

 前回、二〇二一年四月の延長時に、我が党は、北朝鮮の国際社会の批判を無視した挑発姿勢に鑑みれば、輸出入を全面禁止する本措置は、北朝鮮を六か国協議などの対話の道に復帰させ、問題の平和的、外交的解決を図るための手段として引き続き必要だということで、賛成をいたしました。

 そこで、まず西村大臣に伺います。

 前回の制裁措置延長後も、北朝鮮は、二〇二一年に三回、四発、二二年三十一回、五十九発、二三年も四月十三日までで七回、八発ということで、相次いで弾道ミサイルを発射しております。この状況からも、問題の平和的、外交的解決がいよいよ必要だ。政府としても、北朝鮮を対話の道に復帰させるための措置として、引き続き制裁措置が必要と判断したということでしょうか。

西村(康)国務大臣 経産省として、これまで、拉致、核、ミサイル、こういった諸懸案の包括的解決に向けまして、関係省庁と緊密に連携しながら、北朝鮮との間の輸出入禁止などの制裁措置、これを厳格に実施してきているところであります。

 御指摘のように、前例のない頻度と態様で弾道ミサイル発射を繰り返しておりますので、我が国の安全保障にとって、これは重大かつ差し迫った脅威であるということであります。

 さらに、北朝鮮は、累次の安保理決議が求めている、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄、これを行っていないわけであります。

 拉致問題についても、北朝鮮から解決に向けた具体的な動きが示されていないところであります。

 こうした状況を踏まえまして、また安保理決議の履行を担保するとの観点も踏まえて、北朝鮮への措置として実施しております輸出入禁止の期限を二年間延長するということにしたものであります。

 まさに、制裁措置を厳格に実施していくということでございます。

笠井委員 北朝鮮の行動は、弾道ミサイルを含めて核兵器関連のあらゆる活動を禁じた累次の国連安保理決議に違反するものであります。航空機と船舶の運航の安全を脅かすのみならず、地域と世界の平和と安定に逆行する暴挙だと言わざるを得ない。よって、我が党は、今回の制裁措置延長の案件に賛成をいたします。

 そこで、政府は、北朝鮮が五月三十一日午前に弾道ミサイルの可能性があるものを発射したと発表いたしました。弾道ミサイルであれ衛星であれ、弾道ミサイル技術を使った発射は、累次の国連安保理決議で禁止されているものであります。

 日本共産党は、国連安保理決議に違反した北朝鮮によるロケット発射に強く抗議して、更なる発射を繰り返さないように厳重に求めるものであります。

 そこで、武井外務副大臣に確認したいと思いますが、今回の発射について、北朝鮮に対して政府はどう対応しましたか。端的にお願いします。

武井副大臣 お答えいたします。

 先月三十一日の、先ほど委員よりお話もございました北朝鮮による弾道ミサイル技術を利用した発射も含め、これまでの一連の北朝鮮の行為は、我が国及び地域、そして国際社会の平和と安全を脅かすものであって、断じて容認できないものであります。このような発射は、衛星と称しておりますが、いずれにいたしましても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も禁止をしているところであります、関連をする国連安保理決議に違反するものであります。

 いわゆる北朝鮮の大使館ルートを通じまして、直ちに北朝鮮に厳重に抗議をいたしまして、強く非難をしたところであります。

笠井委員 北朝鮮への対応として、政府は度々、今ありました北京の大使館ルートというふうに説明してまいりました。

 そこで、確認しますが、大使館ルートというのは、具体的にどことどこの間のルートということになりますか。

武井副大臣 この北京の大使館ルート、いわゆるというふうに言っておりますし、文字で書く場合はかぎ括弧をつけておるわけでありますけれども、これは具体的には、在中国日本大使館及び先方の在中国の大使館、我が国は外交関係がございませんので、かぎ括弧つきでしているわけでありますけれども、こちらとの間ということであります。

 これ以上の詳細につきましては、今後の対応の在り方に支障を来すおそれがありますので、差し控えたいと思います。

笠井委員 二〇一六年三月十八日の参議院予算委員会で、当時の岸田外務大臣は、北京の大使館ルート等を通じまして抗議を行うなど北朝鮮とやり取りを行っているのは事実と答弁をされております。

 やり取りを行っているという理解でよろしいんですね。

武井副大臣 現在も、このいわゆる北朝鮮の大使館ルートを通じて北朝鮮側と意思疎通を図っているということであります。

笠井委員 ですから、やり取りを行って意思疎通と。

武井副大臣 意思疎通ということでございますので、現在も、今、意思疎通を図っているわけでありますが、これ以上の詳細につきましては、今後の対応に支障を来すおそれがありますので、答弁は差し控えたいと存じます。

笠井委員 どういうことをやっているかを聞いているので、そこの確認なんです。

 今お話があったので、改めてですが、二〇一五年に、八月三十一日の参議院の拉致特で、当時の岸田外務大臣は答弁で、外交ルートとしましては、まず、北京の大使館を通じての大使館ルート、これは様々な機会に、そして様々な機会を通じて意思疎通を図ってきております、このルートが基本になるというふうに答弁をされております。このルートを基本に意思疎通を図ってきている、そういう理解でよろしいんですね。

武井副大臣 北朝鮮については水面下を含めて様々な働きかけも行ってきているところでありますが、このような取組を進めるに当たって、北朝鮮への接触の方法、内容、形式といった具体的なやり取りの詳細を明らかにすることは、北朝鮮側が今後の日本とのやり取りをちゅうちょするなど、意図しない影響が出る可能性を排除できないところでございますので、こうした考え方の下、今後の北朝鮮とのやり取りに支障を来すおそれを踏まえて、これ以上の答弁は差し控えたいところであります。

笠井委員 いや、私、今、外務大臣が言われたことを確認しているだけなんですからね。

 いいですか。岸田外務大臣が、当時、外交ルートとして、大使館ルートで意思疎通と。副大臣も言われたとおりです。そのルートが基本になるとおっしゃいましたね、そういうことなんですね、そういうルートを基本に意思疎通をやっているんですねということを言っているんです。

武井副大臣 これにつきましては、先ほど御答弁をさせていただきましたとおり、北京の大使館ルートを通じて意思疎通を図っているということでございます。

笠井委員 何か、余りこんがらがることを言わなくていいんですよ。私は単純に、きちっと確認しているんですから。

 ということは、当時の大臣も含めて、答弁にあったように、北朝鮮の大使館ルートというのは、北朝鮮に対する抗議をやるのはもちろんですが、それにとどまらず、両国大使館同士のやり取りで、今副大臣も言われたように、意思疎通を図ると。岸田外相が当時言われたとおり、それが外交ルートの基本になると。考え方、そういうことでよろしいですね。

武井副大臣 今委員が御質問があったことを基調にして、今取り組んでいるということであります。

笠井委員 この大使館ルートが外交ルートの基本だという説明があったと受け止めました。

 我が党は、北朝鮮への抗議にせよ、両国間の懸案問題の解決にせよ、直接の対話ルートを持つことが重要だということで一貫して求めてまいりました。今こそ、そういう点では、北朝鮮との間に存在する外交ルート、これをきちんと、しかも太く確立をして、北朝鮮に対する抗議はもちろんですが、意思疎通、つまり互いの考えが通じる対話努力を重ねることが急務だということを強調しておきたいと思います。

 この点で、岸田総理が五月二十七日に、北朝鮮による拉致被害者の救出を訴える集会に出席をされて、日朝の首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと表明された。それに対して北朝鮮のパク・サンギル外務次官が、朝日両国が互いに会えない理由はないという談話を出したこと、これに注目をいたしております。

 過去の日朝間のハイレベルといえば、すぐぱっと浮かぶのが、二〇〇二年九月には小泉総理と金正日総書記の会談が行われて、その結果、日朝平壌宣言に署名するという、そういう両首脳によってのハイレベル。行われていた、それはそのとおりですね。

武井副大臣 二〇〇二年九月の当時の小泉総理によります訪朝の経緯につきましては、外交上のやり取りでありますため、詳細は差し控えたいと存じますが、当時の福田官房長官が述べておられるとおり、北朝鮮との間では、一年にわたり公式、非公式の会談を様々に積み重ねて日朝首脳会談につながったと認識をしております。

 これ以上につきましては、外交上のやり取りでありますので、詳細、差し控えたいと思います。

笠井委員 これ以上のやり取りにつきましては、私、詳細に聞こうと思っているんじゃなくて、ハイレベルといえば、そういうことがありましたよね、首脳間でと。

 そうですと言っていただければ。そうですよね。

武井副大臣 今申し上げたとおりでございまして、そういった様々なレベルでの会談を積み重ねて実現をしたものと認識をしております。

笠井委員 西村大臣に伺いますが、五月二十七日、総理が言われた集会で、横田めぐみさんのお母様、早紀江さんは、金正恩との対面、目を見て話して、そして岸田首相と金書記の一対一の話合いができればいいな、その日が早くどうしたら来るんだろうといつも願っておりますと訴えられた。本当にそのとおりだと思いました。

 横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されて、もう四十五年以上がたちます。私も、拉致された現場、実際に委員会からの派遣で行ってまいりましたが、めぐみさんを始めとして、いまだに多くの被害者が北朝鮮に取り残されている。御家族ももう高齢になられて、そして次々と亡くなられるということになっておりますが、そういう中で、やはり拉致問題の解決にとってもう一刻の猶予もないという事態になっている。

 大臣、岸田内閣の閣僚として、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル、過去の清算という両国間の諸懸案解決のために、内閣を挙げて、やはり対話の努力を強める必要があるんじゃないか。当然だと思うんですが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 私も、安倍政権の下で官房副長官をしておりまして、まさに対北朝鮮の政策にも関わってまいりました。

 当時、安倍総理は、圧力と対話ということをよく言われておりました。厳しい制裁で圧力をかけながらも対話を行う、特に、厳しい制裁が対話につながるということもよくおっしゃっておられました。

 まさに、当時、安倍総理とトランプ大統領の会談の中でも、この議論、もう何度も私も目の当たりにしたところでありますが、トランプ大統領が非常に厳しい姿勢で臨んだからこそ、北朝鮮との対話が実現したのではないかというふうにも思っておりますし、安倍総理自身も、当時、物すごい反対がありましたけれども、平昌オリンピックに出席をして、そして、夕食会の後、当時の北朝鮮の金永南、最高人民会議の常任委員長だったと思いますがのところに歩いていって、そして拉致、核、ミサイルの話をされました。

 特に拉致について、おっしゃったように、もう時間がだんだんだんだん迫ってくる。私の地元の有本恵子さんのお母様は亡くなられて、お父様も、もう大変高齢で、車椅子のような生活をされております。

 そういった意味で、圧力、厳しい制裁を取りながらも対話も考えていくということで、岸田総理が先般言われた、まさに、あらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるということ、そして、総理直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと述べられたわけでありますので、これは、私も政府の一員として、私ができることを全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

笠井委員 日本政府が今やるべきは、軍事対軍事の悪循環に陥る危険な道ではなくて、北朝鮮の軍事的挑発のエスカレートを抑えて問題の外交的解決のために実効ある取組を進めること、そのために北朝鮮との外交ルートを通じた対話による諸懸案解決が重要であって、そこにこそ全力を傾注するように強く求めて、私の質問を終わります。

竹内委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五分散会


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