衆議院

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第2号 令和5年11月8日(水曜日)

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令和五年十一月八日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 大串 正樹君 理事 鈴木 隼人君

   理事 関  芳弘君 理事 宮内 秀樹君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      尾崎 正直君    大岡 敏孝君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      小林 鷹之君    冨樫 博之君

      中川 貴元君    福田 達夫君

      古川 直季君    細田 健一君

      本田 太郎君    松本 剛明君

      松本 洋平君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    柳本  顕君

      山際大志郎君    山下 貴司君

      吉田 真次君    若林 健太君

      荒井  優君    大島  敦君

      菅  直人君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬場 雄基君

      山岡 達丸君    市村浩一郎君

      小野 泰輔君    山本 剛正君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   経済産業大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    石井  拓君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房政策立案総括審議官) 品川  武君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            若原 幸雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   吉野維一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         上村 昌博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    辻本 圭助君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           荒井 勝喜君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西村 秀隆君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       柏原 恭子君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (特許庁長官)      濱野 幸一君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    須藤  治君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           勝又 正秀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           岡野まさ子君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  宗清 皇一君     宮路 拓馬君

  山際大志郎君     古川 直季君

  馬場 雄基君     荒井  優君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     柳本  顕君

  宮路 拓馬君     宗清 皇一君

  荒井  優君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学さん、公正取引委員会事務総局官房政策立案総括審議官品川武さん、金融庁総合政策局審議官柳瀬護さん、金融庁総合政策局参事官若原幸雄さん、総務省大臣官房審議官鈴木清さん、財務省主計局次長吉野維一郎さん、文部科学省大臣官房文部科学戦略官中原裕彦さん、厚生労働省大臣官房審議官原口剛さん、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上村昌博さん、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官辻本圭助さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正さん、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市さん、経済産業省大臣官房審議官菊川人吾さん、経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎さん、経済産業省大臣官房審議官荒井勝喜さん、経済産業省大臣官房審議官田中哲也さん、経済産業省大臣官房審議官田中一成さん、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行さん、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆さん、経済産業省通商政策局通商機構部長柏原恭子さん、経済産業省貿易経済協力局長福永哲郎さん、経済産業省商務情報政策局長野原諭さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、特許庁長官濱野幸一さん、中小企業庁長官須藤治さん、中小企業庁事業環境部長山本和徳さん、国土交通省大臣官房審議官勝又正秀さん、国土交通省大臣官房審議官岡野まさ子さん、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官佐藤暁さん及び防衛装備庁装備政策部長坂本大祐さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。関芳弘さん。

関委員 では、トップバッターで質問させていただきます自由民主党の関芳弘でございます。

 大臣所信に対しての質問ということで、大臣が今回非常に強い御決意で、経済産業大臣として、政権運営の根幹たる経済政策に全身全霊で取り組み、山積する課題に一つ一つ答えを出していくと言われました。本当に私は是非頑張っていただきたいと思います。それほど、今の日本の経済状況というのは大変な状況になっていると思っております。

 この大臣所信の中に、こういう大臣からのお言葉がございました。過去最高水準の国内投資の見通しだ、また、高水準の賃上げの実現が見えてきておりまして、潮目の変化が生じている、このように言葉がございました。まさにそのとおりだと思うんですね。

 先般も、七日前の日経新聞だったと思うんですが、トヨタ自動車、純利益最高だ、三・九兆円と。何と六割増の上方修正、見込みを、これはすごい利益が出たなと思うわけでございます。

 ただ、このお話、私は、ちょっとひとつ、よくよく見ておかないといけない点があるのかなと思って、今日はその点、質問をさせていただければと思っております。

 といいますのは、経済全体の数字というのは、全部合計すると、先ほどのトヨタ自動車なんかがばあんと引っ張ってくれて、いい数字が出ていますよと。しかしながら、私なんかも地元の神戸の企業、中小企業、特に小規模事業者なんかのお話を聞かせていただいておりますと、そう今、本当にいい状況だと思っていないという声がたくさん聞こえますね。

 ですので、私は今回聞いてみて、まず一番目の一つの問題として、円安、一ドル百十円ぐらいだったのが百五十円になり、輸入するものに対しては、輸入資材がすごく上がっています。ガソリンなんかもそうですね。こういうふうな環境の中において、一方、トヨタは最高益。ですので、いわゆる輸出産業なんかで牽引してくれている企業がだあんと大きい利益を出してくれています。しかし、数は、企業数とすればそんなに多くはない。

 一方、企業数として大半を占めておられる中小それから小規模事業者、その数は本当に大規模よりも、比べて非常に多くあります。日本の企業は、三百五十万者のうち九九・八%ぐらいは中小企業だと言われております。

 だから、そういう中において、数字で足し算をすると、いっぱい高収益を出す企業が少数の数で莫大に利益を出して、数とすればすごく、その何十倍も何百倍もの中小企業は、実際には余り楽はできていない。ただ、足し算をすると、トータルのマクロの数字はいいんですが、ミクロを見ていくと苦しい企業というのが多いような感じが地元を歩いていて感じます。

 こういうふうな中において、やはり中小企業、今、経済産業省も中小企業対策をしっかりとやっていこうと方針を立ててくださっておりますが、そういうふうに今困っていらっしゃる企業に対する対策をいかに取っていかれるのか、まずそこを聞かせていただきたいと思います。そして、それをまた、私も地元に行って、今苦しいなと言われておられます中小企業また小規模事業者の経営者にお話をしていきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、経済の状況は、全体としては改善しつつある指標が多々ございますけれども、多くの中小企業におきましては、人手不足や物価高等の課題に直面しているものと認識しております。

 まず、電気・ガス料金や燃料価格の激変緩和措置や資金繰り支援、またコスト増に直面する中小企業の価格転嫁対策促進などによりまして、中小企業の経営を下支えすることが重要と認識しております。

 民間ゼロゼロ融資の返済の本格化も迎えてまいります。金融庁とも連携いたしまして、経営改善、事業再生を進めるべく総合的な対策をまとめていく所存であります。

 また、地域の中小企業にとりまして特に重要でございますのは、持続的な賃上げの実現であります。小規模事業者の販路拡大や新規輸出支援を通じて売上げの拡大を図りますとともに、価格交渉促進月間や業界全体での取引方針の改善を通じた価格転嫁対策を進めさせていただくとともに、IT導入や設備投資など生産性向上をしっかり進めてまいる所存であります。

 また、人手不足に関しましては、今般の経済対策によりまして省力化対策を抜本的に強化する所存でございます。

 これらの施策を動員いたしまして中小企業の大転換を支援してまいりますけれども、重要となりますのは、果敢に挑戦する経営者の姿勢でございます。よろず支援拠点、地域の商工会、商工会議所とも連携いたしまして、意欲的な中小企業の挑戦を後押ししてまいる所存でございます。

関委員 ありがとうございます。

 よろず支援拠点も非常にいい制度だと思います。そして、いろいろな業種、税理士の方とか金融の方だとか、それからいわゆる経済団体ですね、そういう方々と本当にみんなが力を合わせて、実質みんな一体なんだというふうな意識を持って中小企業の方々を応援していただきたいと思うんですが、いかんせん、やはり企業数というのは非常に多いので、よろず支援拠点一つ取りましても、一つの県に一つとか二つとか、こうなってくると、片道二時間かけてそこに話しに行きましたと。その企業のことは一から十まで全部なかなか理解はしづらいし、企業の状況も一社一社全然違います。仕入れ先も異なれば、販売先も異なる、業種も当然異なる。こういうふうな中において、本当に寄り添った支援をやっていこうというのは、実現してそれが効果にまでつながっていくというのは、非常に課題としては重たいんですが、そういうふうな方法しか、実際には、具体的にはなかなかいい、取れる方法もないのもまたこれは事実だと思います。

 そういう際に、それぞれの、言えばステークホルダーの人たちそれぞれ一人一人が、今ちょうど御答弁していただきましたように、しっかりと応援していこう、そして経営者自身も、そこの会社で働いている労働者自身も、みんなで本当に自分の力を一〇〇%出していこう、こういうふうな意識を持って、今のこの厳しいファンダメンタルズの経済環境の中をみんなで乗り切っていこう、そのように私もお声がけを地元でもしてまいりたいと思います。またどうぞ御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。

 二点目でございます。

 賃上げなんですね。この賃上げ、高水準の賃上げが実現していく見込みが出てまいりました。これもよくニュースでも出ておりますが、そうだと思います。ただ、この賃上げ、私は本当に、経営者側の方からすれば、非常になかなか、頭を抱えるというか難しいなというふうな形で、それでも全体の物価が上がっていく中で経営者は頑張ってやってくれているんだろうなという気はするんです。

 ただ、この賃上げを考えてみますと、経営の中身の分析からしますと、先ほど御答弁をいただきましたけれども、電気、ガス、ガソリン、この政府の支援も春ぐらいまで延長しようということも方向性で言っていただいておりますが、そういうふうに考えますと、企業の経営からしますと、会計上も、言えばコストが増加しているわけですね。

 このコスト増加が、物をまずは仕入れて製造物を売るまで、加工して製造物を売るわけですが、仕入れる価格が上がっている、電気もガスも上がっている、水道も上がっている。こういうふうな中にあって、コスト増の中で収益がばあんと少なくなっていっているのが普通に考えられます。価格転嫁が、最終の製造物に転嫁できないと、普通は、利益は下がりますよね、少なくなる。その中において、人件費である部分も上げてくださいというと、更に利益分というのは企業は少なくなるのは、これは普通の会計上の当たり前の原理なんです。

 それでもこの物価高に対応するために、経済の好循環を新しくつくっていこうとすることにおいて、何とか賃上げをやってください、これは政府の方からも経済界にすごく話しかけていただいているところでございますが、それをでは実現しようとすると、経営者とすれば何をしないといけないのか。

 一つは、売上げをばあんと増やして、一個の製品が売れたときの利益をその売った個数で掛けて利益は出ていくわけですから、たくさん売上げを上げていけば、言えば売上げの量が増えていけば、それは当然のことながら利益も多くなるだろう。これは掛け算の世界で、それは方法と考えられますが、そう簡単に多く急に売れたりするようになるのは難しい。

 一方で、どんどんと技術革新を自分の会社の中でやっていって、それを取り入れていって、そして、いわゆる一つのものを作るときの単価をがあんと落として、売上げの量が変わらなくても利益を多くする、この方法もありますよね。それも、ただ、一両日では進まない。

 こういうふうなところで、私なんかの事務所でも、パートさんで来てくれている方々がいらっしゃいます。その方々に、このパソコンのこのソフトを入れたので使えるように頑張ってねと言うんですが、なかなか上手に使えるようになるのはやはり時間がかかりますね。そういうふうな中、新しい装置を入れてもなかなかそれを使いこなしていくのには時間もかかるだろうと思うわけです。

 そういうふうに、コストを削減する、いわゆる製造コストを削減したり、また売上げを急に増やして、これもなかなか、こういうふうなところに、時間がかかるようなところをうまくクリアしながら、言えば増収ができるからコスト部分である人件費は増やしていけるだろう、それを価格転嫁していこうというのも推進してくれているのもよく分かるんですが、それが、価格が上がっていくと、実際に買う人は、高くなったから買い控えなんとか、今まで百個買えていたものが八十個しか買えないわとなって、売上げ自身の個数が減る可能性もありますね。

 こういうふうな経済全体の理屈の中において、でもいかにやはり賃上げにつなげていくのか、この必要性は当然のことながらみんなが感じているところなんですが、これをうまくマッチさせるために経済産業省は何をしてくれようとしているのか、これを是非PRしておいていただきたいと思います。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 今委員の方から御指摘ありましたとおり、企業コストが非常に増加をしている、こういう中で賃上げを実現していかなければいけないというところにつきましては、やはりその賃上げの原資となる付加価値をしっかり継続的に力強く高めていくということが非常に重要であろうというふうに認識をしてございます。

 このために、今般経済対策が取りまとめられましたけれども、その中で、地方、中堅・中小企業を含めた持続的な賃上げ、所得向上と地方の成長を実現するということで、一つ大きな柱を立ててございます。

 こうした中で、例えば、今委員の方からも御指摘があったとおり、できるだけ簡易に、かつ早く現場で導入が進められるように、ある種、カタログの方から、メニューから選べるような省力化対応製品を導入できるような即効性のある支援措置を設けていきたい。そしてまた、事業の実情に合わせた生産プロセスの効率化、高度化、こういった支援措置を盛り込んだところでございます。

 また、持続的にというところで申し上げますと、やはりGX、またDX、こうした大胆な国内投資、世界をリードするような技術、イノベーション支援、こういったところで、持続的かつ長期的な視野で、売上拡大につながっていくような事業者の挑戦を後押しをしていきたいと思っております。

 他方、委員の方から先ほど御指摘があったとおり、それが一人一人の経営者に対してしっかりと届いていかないといけないということで、非常に数も多いわけですけれども、先ほど中小企業庁の方から答弁もありましたけれども、商工会議所や商工会、そして税理士さんだとか自治体、また経産局は当然のことながら、そういったところがしっかりと、事業者に伝わるようにしっかりと皆さんネットワークをつくって、きめ細やかに対応していきたいというふうに思っております。

 また、今年度末で期限を迎えますけれども、賃上げ税制、ここについても強化をして、賃上げを行う企業の裾野を拡大をしていきたいというふうに思っております。

関委員 ありがとうございます。

 本当に、是非そこら辺の政策をどんどん進めていっていただきたいし、カタログをこの政策の中に入れて効率化を図ろう、非常にいいと思うんです。

 それともう一つ、一個お願いをしたいのは、実際にそれぞれの企業が持っているよさ、製品のよさというのを、技術はしっかりといいものを持っているんですが、PRするのが下手だという日本の企業は多いですね。そういうPRもうまくお手伝いしてあげられたらありがたいと思います。

 それでは、三問目に行きます。だんだん時間がなくなってきましたので、今度、大臣にお伺いしたいと思います。

 イスラエルとガザ、すごい戦闘で、毎日毎日テレビニュースで流れておりますし、また、中国の不動産会社、ナンバーワン、ナンバーツー、ナンバースリーが経営危機に陥っていると。世界経済への影響が出てくるんじゃないかと心配もしております。また、ロシア、ウクライナの戦闘も全然止まらない。こういうふうな感じで、今、世界の政治経済というのは非常に不安定化してきております。

 こういうふうな中において、今よく言われておるのが経済安全保障という概念なんですね。経済が安全保障に非常にキーポイントになるぞということを言われておりますが、その中で半導体についてお伺いしたいと思います。

 半導体は、千工程ぐらい、一つの半導体を作るのに工程がありますが、その中で七割から八割、十割ぐらい持っている工程の部分、日本が持っているというふうなところもあったりしますが、これは、逆に言えば、戦闘をやっているときには武器に、どんな武器も電子部品が使われるから、半導体がないと造れないわけですから、安全保障、半導体はもう出しませんよ、日本から出しませんよ、高い割合、シェアを持っている日本の企業が半導体を止めてしまいますよなんというふうな形もできるわけですね。

 経済安全保障でキーを握るということでも非常に半導体は重要だと思うんですが、この半導体産業を戦略的にもっともっと増やしていくということも大事だと思うんですが、そこに対しての大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

西村国務大臣 関議員御指摘のように、半導体、まさに今後のデジタル化あるいは脱炭素化、あるいは様々な産業で使われているという視点で、経済安全保障の観点からも、しっかりと我が国は半導体の供給を確保していくこと、極めて重要だというふうに思います。議連をつくられて、事務局長として様々な提言をいただいていること、改めて感謝申し上げたいと思います。

 その中で、必要な半導体をまず確保するという観点から国内の投資を進めておりまして、まさにサプライチェーンを強靱化していくという視点で、熊本のTSMC、JASMの工場建設を始め、国内で複数のそうしたプロジェクトの大型投資を実現をしてきているところであります。半導体製造の工場、またそれに伴うサプライチェーンの様々な企業の支援を行ってきているところであります。

 加えて、将来必要とされる、まさに将来の成長力を左右するような、二ナノと言われるような最先端の次世代半導体についても、しっかりと日本で、国内で供給を確保できるようにということで、二〇年代後半の量産を目指して、北海道でラピダスのプロジェクトを今推進をしているところであります。既に最大三千三百億円の支援を決定しているところであります。

 今回の経済対策においても、こうした全体、今必要としている半導体を確保していくこと、そして将来必要な半導体、最先端のものを確保する、これをしっかりと実現していくために、今回、経済対策の中でも支援策を盛り込んでいるところであります。

 あわせて、御指摘があったように、最先端の技術、機微な技術については、しっかりと管理をしていく、軍事転用されないようなそうした工夫、取組も進めていかなきゃならないと思っております。

 いずれにしても、半導体は極めて重要な産業でありますので、しっかりと国内での供給、そしてサプライチェーン確保、強靱化を進めていきたいというふうに考えております。

関委員 ありがとうございます。

 熊本のTSMC、一回目の工場、一つ目の工場で四千六百億ぐらい政府は補助してくれたと思うんですが、それが誘発となって、いろいろな企業が投資をして、四兆円まで民間投資が広まった。すごい、こんなにいい、いわゆる本来としての政府の補助の形が実現できたと思いますので、そういうふうな観点と経済安全保障の観点と両方で、是非、半導体業界を育てていきたいと思います。

 最後に、短く一点お伺いしたいんですが、AWSという話がよく世の中で出ます。いわゆるクラウドのシステムが非常に増えてきているんですが、ここに日本の企業は、巨大企業、大きな資源がないので、それを利用する際、海外にキャッシュアウトでどんどんお金が流れていってしまって、お金が日本から出ていくので、それを抑えるために、日本はもっとその分野を強くして国内でというような考え方ができると思うんですが、それについて今進めている内容をまた短く教えていただけたらと思います。

岡本委員長 野原商務情報政策局長、短めでお願いいたします。簡潔に。

野原政府参考人 委員御指摘のとおり、足下でコンピューターサービス領域の貿易赤字が大きく拡大をしております。今後もそういうのは進展してまいりますので、一定の仮定の下で二〇三〇年に貿易赤字が約八兆円まで拡大するという推計もあるところでございます。

 生成AIを始めとして、情報処理能力に対する需要は非常に高まっておりますし、国際的にも官民を挙げて取り組んでおりますので、日本政府としても、我が国のインフラとなる計算資源の国内整備に向けて、これまでも取り組んでいますが、今回の経済対策の中でも、民間や産総研のAI橋渡しコンピューターの整備拡充など、支援策を講じているところでございます。

関委員 これで終わります。

 今回の経済政策、期待しておりますので、是非頑張ってください。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、本田太郎さん。

本田委員 よろしくお願いいたします。自由民主党の本田太郎でございます。

 限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 先般の大臣所信におかれましては、西村大臣から、今後も継続する構造的な人手不足、人口減少といった状況を乗り越え、持続的賃上げを実現する新しい時代の経済構造への転換、改革を図る必要がありますという状況認識といいますか御決意といいますかを述べられました。

 私も全く同感でございまして、ちょうど臨時国会が始まる前、地元を、様々な企業、業界、そして個人の方々のところと、御意見、御要望等を伺って回っておりました。そのときにやはり実感いたしましたのは、私どもは京都府北部でございまして、織物業とか、特殊な伝統産業もあるわけでございますけれども、織物のみならず、建設業や観光業、また運送業など、もうありとあらゆる業界の方々が人手不足で悩んでいるというようなことをおっしゃっておりました。

 また、福知山という町がございまして、そこには長田野工業団地という団地もございます。そこは大手企業の工場が立地をしているわけでありますけれども、そういうところはそういうところなりに人手が不足しているとおっしゃるわけでありますけれども、しかし、個人でやっておられる中小零細の方々から聞きますと、そういった地方の中ででも、例えば、地元の高校を卒業した高校生等がやはり大企業の工場の方に行ってしまって、中小零細は特に人を採りたくても採れない、そういう状況があるということがよく分かりました。この状況というのは、恐らく、私の選挙区の京都府北部だけではなくて、全国津々浦々、どの地方も同じような状況なんだろうなというふうに想像いたしております。

 そこで、こういった厳しい人手不足という状況に対してどのように対応したらいいのかということなんですけれども、一つは、人が増えればいいわけですが、人口は急に増えないということでございますので、考えていくと、例えば、女性の就労環境をよりよくしてより働いていただける、活躍していただける場をつくるですとか、障害のある方でもその能力を生かせる職場を用意をして活躍をいただくとか、また、さらには、物理的に、外国の方に働く環境を整えて働いていただくというような様々な方策があり得ると思うんですけれども、そんな中、経済産業省としてはこの深刻な人手不足に対してどのような対策を考えておられるのか、まずはこの点についてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の従業員の不足感についてでありますけれども、本年七―九月期の全産業における中小企業の従業員数の過不足のDIというものがございます。こちらがマイナス二二・五ポイントとなっておりまして、大変強まる傾向にございます。中小企業、小規模事業者の人手不足は重要な課題となっていると認識しております。

 このような人手不足に対応いたしますためには、経営者自らが生産性向上や労働時間の短縮等の労働環境改善に向けた取組を進めつつ、自社の魅力を高めることにより、人材を引きつけていくことが重要であります。

 このため、中小企業、小規模事業者が人手不足に対応していくための支援といたしまして、委員から今御指摘もございましたけれども、副業、兼業の活用や、就職氷河期世代、女性、高齢者、高度外国人材等の多様な人材の確保や職場環境改善による人材の定着を図るセミナー、またマッチング等の支援を実施しております。

 また、とはいえ、日々の経営課題に忙殺されて、経営者は人材戦略に取り組む余裕がなかなかないというお声も聞いてございます。このため、様々な経営課題の背景にございます人材課題への取組を促すために、本年六月に人材活用ガイドラインを策定いたしまして、その普及啓発に取り組んでいるところでございます。

 また、IT導入補助金等によります中小企業、小規模事業者の生産性向上に向けた支援、こちらに取り組んできておりますけれども、今般の経済対策によりまして省力化投資につきまして支援措置の抜本的な強化、これも図ってまいります。

 これらの施策を通じまして、中小企業、小規模事業者の人材確保、活用をしっかりと支援してまいる所存であります。

本田委員 ありがとうございました。

 まさに様々な施策を総動員してこの人手不足に対応していただくということでありますので、是非とも、ここは正念場だと思いますので、頑張っていただきたい。私も、できることはしっかりと、地元に施策、こんな施策をやっているんだよ、あんなことをやっているんだよというようなことで紹介をするなど、協力をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、少し毛色の変わった話になるんですけれども、今現在、脱炭素化ということが叫ばれております。英語で言うカーボンニュートラル、この大きな目標達成に向けましては、二〇二一年に作成されました第六次エネルギー基本計画がございまして、ここには大きなテーマが二つあると存じております。

 一つは、世界的に取組が加速化している気候変動問題への対応ということでございます。二〇五〇年カーボンニュートラルという目標と、二〇三〇年度の温室効果ガス排出四六%削減という野心的な目標の実現に向けて、エネルギー政策の道筋を示したということになっております。

 もう一つは、気候変動対策を進めながらも、Sプラス三E、要するに、安全性またエネルギーの安定供給、そして経済効率性の向上と環境への適合という基本方針を前提として取組を進めていくということでございます。

 今申し上げた、こうした目標ですとか基本方針を実現するためには、温室効果ガス排出の八割以上を占めるエネルギー分野の取組が極めて重要であります。再エネとか原子力などの実用段階にある脱炭素技術を活用して着実に脱炭素化を進めなければならない、また、水素やアンモニアを使った発電を行って、CCUSですとかカーボンリサイクル、こうしたことを前提とした火力発電などのイノベーションを追求するといったことなどによって様々な取組を同時に進めなければならないというふうに考えています。

 そうした中、今後の我が国において同時にエネルギーの安定供給も実現しなきゃならないということでございますので、今後、どういったエネルギーミックスがベストなのかですとか、また、どういった新技術に重点的に力を注いでいくのかとかいったことが極めて国の方針として重要になってくると思いますので、この点について経済産業省としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、気候変動問題への対応が喫緊の課題となる中で、また、ロシアによるウクライナ侵略以降、世界のエネルギー情勢は一変をしております。このような状況を踏まえまして、まさにエネルギー安定供給と脱炭素に向けた取組を両立していくことが重要だと考えております。

 本年七月に閣議決定したGX推進戦略におきましても、第六次エネルギー基本計画の方針も踏まえて、SプラススリーEの原則の下であらゆる選択肢を確保することを前提に、徹底した省エネの推進に加えて、再エネや原子力などの脱炭素電源への転換を推進する方針を明確にしております。

 また、今先生から御指摘のとおり、どういった取組を具体的にというようなことがございましたけれども、再エネにつきましては、主力電源化に向けまして、全国規模での系統整備あるいは海底直流送電の整備などを加速いたしまして、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を進めていくという方針でございます。

 また、原子力につきましても、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めるとともに、次世代革新炉の開発、建設などの取組を進めてまいりたいと考えております。

 火力につきましては、まさに非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めつつ、水素、アンモニア混焼などの活用によりまして、既存火力発電の脱炭素化を進めてまいります。

 エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台でございまして、安定的で安価なエネルギー供給を確保することは政府の最重要課題でございます。引き続き、脱炭素とエネルギー安全保障の両立に向けまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

本田委員 ありがとうございます。

 今ちょうど我が国も、ウクライナ戦争以降、原油高等々で、エネルギーに関しては非常に苦しい立場にあるという現実がございます。こんな中で、今後は気候変動対策ということで、カーボンニュートラルの件も含めて、本当にきちっと戦略を練ってエネルギーの安定供給がなされるように取組を進めていただきたい、このように考えております。

 その中で、特に水素につきましてなんですが、水素は水から作ることができるということですし、燃焼してもCO2を排出しないエネルギーでございます。そういう意味では、気体、液体、固体など様々な状態で貯蔵や輸送が可能となっております。高いエネルギー効率で低い環境負荷、そして非常時の利活用も見込まれ、まさにカーボンニュートラルの時代において中心的な役割が期待されるわけでございます。

 他方で、普及がなかなか進まないというのには幾つかの理由があるとも言われております。最大の理由は、これまで化石燃料ありきでつくられているインフラの制度や、また、水素を主力なエネルギーとするためには、まさにゲームチェンジャーと言えるほどの様々な変化が今後必要になってくるということでございます。

 安全で経済的な水素社会へ移行するということを求めるのであれば、水素の製造、貯蔵、輸送、利用という水素サプライチェーンの構築と、その効率化と、さらには低コスト化が不可欠だと考えております。こうしたボトルネックをクリアすることができれば、私は、水素エネルギーに非常に将来性がある、このように考えておるのですが、経済産業省としてどのような見通しを持っておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 水素をめぐる状況、課題、これからやっていかなきゃいけないことというのは、委員が今お示しいただいたとおりだと我々も考えております。

 委員御指摘の水素の可能性をこれから更に開いていくためには、やはり一番大事な課題はコストなんだろうと思っております。このコストをしっかりと下げていくという観点から、これまでも、グリーンイノベーション基金を活用しながら、低コスト化、大規模化に向けた技術開発、実証を進めてきております。

 また、御指摘いただきましたけれども、やはり強靱で大規模なサプライチェーンをしっかりとつくり上げていくことが肝要でございまして、このためには、規制、支援一体でしっかり民の方々の取組を後押しする必要があると考えてございます。こうした観点から、例えば、既存燃料との価格差に着目した支援であるとか、産業集積につながる供給インフラへの支援といったようなものも、今、具体化に向けた検討を加速しているところでございます。

 あわせまして、やはり、御指摘のとおり、日本のテクノロジーは進んでいる部分もございまして、優れた企業もございます。こうした強みを生かしながら、国内に、例えば水電解装置など、こうした水素関連の設備を造り上げていく製造のサプライチェーンをしっかり築き上げていくということがGXのためにも大変重要だと思っておりまして、GX経済移行債も活用しながらこうした取組もしっかり進めていきたい、かように考えてございます。

本田委員 ありがとうございます。

 今、具体的に、テクノロジーは日本はよいんだ、ですので、水電解の設備などサプライチェーンをしっかり構築していくことが大事だ、まさに御指摘いただいたとおりだと私も思います。今後、そういったところにも民間事業者が投資しやすい環境整備に向けて御尽力をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間が迫ってまいりましたので、四番を飛ばしまして、五番の質問に入らせていただきたいと思います。

 冒頭、質問の最初に申し上げた人口減少に関わる話でございますけれども、人口減少期には、経済規模がえてして小さくなるなどして、経済の国際競争力が落ちる、いわゆる人口オーナスなどとも呼ばれておりますけれども、こういった現象が見られるわけでございまして、日本も、失われた三十年と言われる部分も含めて、こういった現象の一つなのかもしれないというふうにも思います。

 こうした中、デジタル化やイノベーションなどで生産性を向上させて、また、政策面でも金融政策や税制措置などの手段を駆使して競争力を保持しようということで、今我々頑張っているわけでございます。そうした様々な手段を経て、将来的に我が国がどういう産業構造の国になっていたいのか、また、どういった分野を我が国の強い経済分野として世界で勝負していくのか、そういった大局的な視点というか戦略を聞きたいと思うんです。

 ビジネスでも同じだと思うんですけれども、そもそも大局的な視点だとか戦略というのがあって、それに向けて様々な施策を考えていくわけであります。それが当たればいいんですけれども、もちろん、将来予測ですので外れることも当然あります。外れた場合は速やかに戦略を見直して次の戦略にまたトライする、そういう取組が大切だと思います。そして、何度かトライしていくうちに成功に結びつくというのが実態だと思うんですね。

 一発で成功に結びつけばそれはそれで非常にありがたいんですが、世の中そう甘くないということでございますので、経済産業省としても、今後、先ほど申し上げた大局的な方向性だとか戦略だとか、そういったものについてお聞かせをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本が人口減少社会に突入しておりますけれども、中国や韓国、ヨーロッパの一部の国でも人口減少社会に突入しつつあるというような状況でございます。加えて、国際経済の秩序の変化、そしてデジタル化、グリーン化で、まさに世界的に時代の転換点を迎えているというふうに認識しております。

 こうした中で、人口減少イコール国際競争力の低下という固定観念があるのであれば、それを乗り越えていくことが重要というふうに認識をしております。日本経済を持続的な経済成長の軌道に飛躍させていくための構造改革、こちらを更に進め、併せてエネルギー危機に強い構造に変えていくことが必要、こういうふうに認識しております。これらによって、当面人口減少が続いても、力強く成長していける経済構造を実現していくことができるというふうに考えております。

 そのための具体的な方策といたしましては、国内投資、すなわち、省エネ、再エネ、原子力といったエネルギー危機に強い構造になるための投資ですとか、省人化、省力化といった人手不足に対応するための投資、そして、グリーン、デジタル、バイオなど戦略分野で世界をリードするための成長投資、同時に、大企業の構造改革、MアンドA、スタートアップや中堅企業の成長を通じた新陳代謝も重要でございますし、そのため必要な労働移動というためのリスキリングも重要になってくるというふうに思います。さらに、高い付加価値を提供してそれにふさわしい適正な価格設定も進めるということも重要でございまして、これらを一体として進めていくということだというふうに思っております。

 昨日、産業構造審議会で、まさにこうした構造転換を進めていくための将来見通しについて議論を始めたところでございます。GXやDXなどの地球規模で人類が直面している難題を同時に乗り越えていくことを目指す中で、世界的な経済、社会、技術の動向を見据えながら、企業は何をなすべきか、その結果それぞれの産業はどのように進化をしていくのかという目線から将来像を示し、共通認識の醸成に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

本田委員 どうもありがとうございました。

 これで質問を終わります。

岡本委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 本日は、中小企業の支援、特に賃上げというところで少しテーマを絞って質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 経済対策ということで与党でもずっと議論をしてまいりまして、これから補正予算ということでありますけれども、やはり賃上げが非常に大事だということはその中でも非常に大きな要素でありますし、これは恐らく、与野党の皆さん共通して、やはり賃上げを今しっかりしていくことがとにかく大事なんだということは共通の問題認識であるというふうに思っております。

 その中でも、特に今、一つは物価高ということがあります。物価高を乗り越えていくためには、いろいろな対策をやってはおるんですけれども、やはりそれを上回る賃上げをしっかりしていかないと、電気、ガスの支援とかいろいろやっていますけれども、しっかり賃上げが実現しないと本質的にはこれは解決できないというふうにも思っておりますし、また、長らくずっと取り組んできましたデフレの完全脱却ということで議論もございます。それもやはり、こうした資材の高騰であるとか、いろいろなものが値上がりをしていく中で、それを上回る賃上げをしていくということが大事なんだろうというふうに思っております。

 今年は、春闘で、こうした物価高も踏まえて、人手不足も当然ありますので、中小企業も含めて三%以上の賃上げということでございますけれども、現場でいろいろな会社、企業の方にもお話を伺いましても、やはりかなり無理して賃上げをしているというふうなお話も伺います。

 そういう意味では、これを継続したトレンドにしていくということが、我々、何としてもやらないといけないとは思ってはいるんですけれども、次の春闘あるいは賃上げ、これはまさに正念場であるんですけれども、やはり、これはなかなか、中小企業の経営の現場を見ても、非常に大きな課題である、相当後押しをしていかないといけないというふうな思いがございます。

 やはりあらゆる政策手段を用いていかないといけないと思っておりますし、特に中小企業というところを考えると、一つは、価格転嫁をやっていくというのはどうしても不可欠なんだろうというふうに思います。もちろん、生産性を上げていくということは必ず必要であります。これをやっていく中で、もう一つはしっかり価格転嫁もしていくという、この大きく二つ。

 これ以外にも、資金繰りの課題とかいろいろな経営課題を抱えておられる中での、今回、更に賃上げをしていかないといけないということでありますので、我々公明党としても、こうした問題意識で、中小企業等の賃上げ応援トータルプランということで、やはり総合的な支援が、後押しが必要であろうということで、これも提言もさせていただいたところでございます。

 こうした全体の問題認識、中小企業、特に賃上げの現状の認識でありますとか、あるいは今後の政府の取組の方向性、大きくこうした問題意識について、大臣にまず冒頭、御質問したいというふうに思います。

西村国務大臣 御指摘の中小企業の賃上げの課題であります。

 今年の春の賃上げ率は、中小企業においても、連合集計によりますと、三・二三%ということで、三十年ぶりの高水準であったということであります。

 ただ、どうしても、苦しいけれども上げざるを得ない消極的な賃上げも多かったのではないかと思います。やはり、収益を上げて、そしてしっかりとそれを還元していく、そういった前向きな、積極的な賃上げにつながるような、そういう環境をつくっていかなきゃいけないというふうに認識をしております。

 そのために、公明党さんからも提言をいただきましたトータルプラン、それも踏まえまして、御指摘ありましたように、一つは価格転嫁、これを強力に進めるということ、そしてもう一つが、やはり、売上げを上げていくため、あるいは人手不足を解消していくための投資、省力化投資、省人化投資、これによって生産性も上げていく、この大きく二つの取組を是非進めていかなきゃいけないと思っております。

 価格転嫁につきましては、御案内のとおり、年二回、三月、九月、価格交渉促進月間、ここにおいてしっかりと交渉ができるように我々働きかけをしながら、今調査も行っております、その調査結果もまとまり次第公表したいと思います。

 そうした中で、取組の悪い親企業には指導助言していきたいと思いますし、同じく下請Gメンもヒアリングもしておりますので、そうした内容も踏まえて、業界全体で価格転嫁が進むような取組を更に進めていきたい。これは公取とも連携して進めていきたいと思っております。

 それから、サプライチェーン全体で共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言、これもまだまだ大企業で宣言していない企業もありますので、しっかりと宣言してもらい、その実効性を上げていくという取組を進めていきたいと思っております。

 あわせて、生産性を向上していくために、省人化投資、省力化投資、これも支援をしてまいりますし、新たなサービス、新たな商品開発、新規事業にも取り組む、こうした前向きな挑戦を後押しするような対策、これも経済対策の中でしっかり盛り込んでおりますので、必要な予算を確保したいと思っております。

 いずれにしても、まずは収益を上げていく、そのために、こうした投資を支援をしていく、さらには価格転嫁をしっかりと進める、この車の両輪で進める中で、中小企業の皆さんも賃上げをしっかりとできる、そうした環境をつくっていきたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 冒頭大臣の方から、二つの大きな両輪でというお話もいただきまして、ちょっとそれも踏まえまして、もう少し各論で、少し政府参考人の方にも質問をしていきたいと思うんです。

 大臣が挙げられた価格転嫁、先ほど、下請の取引の実態調査、価格交渉促進月間というのを設定していただきましたので、まずこれを、そもそも交渉しようというところからやはり促していくというところなんでありますけれども、今、資材がかなり高騰しておりますので、そういう意味では、資材の高騰についてはかなり聞いてもらえるようにはなってきた。全く門前払いみたいなことはなくて、それは資材の高騰は大変ですねということで、かなり現場でも聞いてもらえるようにはなったというふうな、そういう声も伺っております。

 問題なのは、やはり労務費の方をどうするかということでありまして。やはり、例えば製造業とかでも、資材が上がったのはしようがないということで見るんですけれども、しかし、賃上げができるかどうかは、そこはそれぞれ効率化したり生産性を上げたりということで、それは中小企業の努力でやってほしいというふうなお声もいただいたというふうなことも聞くときもございますし、やはりこの労務費の価格転嫁というのがなかなか進んでいないんだろうなというふうな、肌感覚としてそういうことを非常に感じております。

 他方で、業種にもよりますけれども、中小企業は元々労務費の割合というのが高かったり、あるいは労働分配率が高かったりとか、なかなか、これをどう効率化していくのかというところも限界があるというふうなところもあるんだろうなというふうに感じてもおります。ですから、労務費の転嫁をどうするのかというところが大きな課題だと認識をしています。

 今、政府の方でも、やはり、これをやりやすくするために指針を作っていこうというふうなことも伺っております。この指針が具体的にどのくらい使えるものになるのかというのが非常に大事だというふうに思っております。実際の次の交渉を考えても、これを早急にやはり作っていくべきだと思いますし、やはりこれは、労務費がこういう形で上昇している分は転嫁してしかるべきものであるというふうな流れ、これをつくっていくために大事なものであるというふうに思っております。

 こうした労務費の価格転嫁の取組について、更に具体的な取組、これを政府参考人にお伺いをしたいというふうに思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 価格転嫁につきましては、原材料やエネルギー費に加えまして、委員御指摘のとおり、労務費も重要な課題だというふうに認識しております。

 かつては、労務費は、賃上げしたければ合理化努力で費用を捻出すべきだという取引慣行が根づいておりまして、値上げ要求がしづらかった側面がある。したがって、その転嫁を進めることは重要と考えております。

 今年三月の中小企業庁による調査結果でも、労務費の転嫁率は約三七%でございまして、コスト全体の価格転嫁率四七%と比べまして一〇%ポイント程度低い水準でございます。

 このため、内閣官房及び公正取引委員会において、業界ごとの労務費に係る実態を調査、把握した上で、年内に労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針を作成するものと承知をしております。

 公正取引委員会等とも連携をいたしまして、指針も活用しながら、労務費も含め、価格転嫁の対策を強力に推進をして、中小企業の賃上げのための環境整備に取り組んでまいります。

中野(洋)委員 指針の作成、急ぎますということで、長官からもお話がありましたけれども、やはり労務費を価格転嫁していくというのがなかなか理解を得られないというのが、非常に、取引の慣行として、私、結構これは根強いんじゃないかなというふうに感じております。それを言っても、それはなかなか聞いてもらえへんでというふうな、やはり皆さん、そんな交渉が本当にできるのかというふうな感想をよく現場でお伺いをするんですね。

 確かに、重層下請構造の難しい業界とか、よくある建設業とか運送業とか、そういう業界は、それぞれ業法を持っている業界もありますので、そうした業法の中で例えば何かもっとできないのかとか、それぞれ各担当の省庁でそういう議論もしているというふうな話も今聞いてはいるんですけれども、製造業ですとか、より幅広い分野においては、経済産業省であるとか公正取引委員会であるとか、やはりこうしたところが一般的にやっていかないといけないという中で、指針も含めて、具体的に転嫁についてどう後押しできるかということが大事だというふうに思うんですね。

 その中で、一つ事例として、今、党の方で作ったトータルプランでも取り上げましたのが、中小企業組合法の団体協約、これが例えば活用できないのかというふうなことも指摘をさせていただきました。

 これは、法律を見ますと、サービスの最低価格がどうだとか、取引条件はこうだとか、独禁法の適用除外で、かなり強力なことも設定をできるような、ツールとしてはあるんですけれども、他方で、余りこれは、知らないとか活用されていないとか、現実的にはそんなに使われていないんだろうなというふうなこともあります。

 やはり、余り今まで取引慣行として労務費の転嫁というのができていない、あるいは皆さんそれができると感じられていないという中で、いろいろなツールを総動員するという意味では、これも非常に大事なツールではないかというふうなことも感じますけれども、もう少し活用を促していくようなことを是非お願いをしたいと思うんですけれども、中小企業庁、いかがでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の団体協約でございますけれども、中小企業等協同組合法に基づき、取引の相手方との関係で社会的、経済的に弱い立場に立たされている中小企業が、独占禁止法の適用除外として、組合を組織し、交渉力を高める手段として認められるものでございます。

 委員御指摘のとおり、組合として相手方と交渉が可能となり、また交渉の相手方は誠意を持って交渉に応じるものとされているために、価格交渉力の向上につながることが期待されます。

 他方、事業協同組合等は、組合員の福利厚生や共同購入を主たる目的として設立されることが多く、本年六月に全国の二千四百四十八組合を対象に行った調査によると、現在、団体協約を締結している組合は、回答のあった千五百八十四組合のうち百八十六件にとどまっておりまして、今後の団体協約の活用に向けた周知が重要と考えております。知られていないんじゃないかという御指摘もございました。

 この周知のためには、全国津々浦々でございますので、中小企業団体との連携が重要だと思っております。一例でございますけれども、中小企業団体中央会、本年七月には団体協約の活用に向けたパンフレットを作成されたりとか、団体協約についての相談対応に取り組んでおります。

 こうした中小企業団体等とも連携をしながら、この団体協約の周知をしっかり進めてまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 今、具体的な数字も出てまいりまして、やはりこうした活用もしていくと。中央会さんとかいろいろな関係の団体とも連携をするという答弁でありましたので、是非お願いをしたいというふうに思っております。

 公正取引委員会にも来ていただいております。

 私、下請取引適正化で、中企庁さんもいろいろな取組もやっていただいているんですけれども、やはり公正取引委員会もしっかりと動いていただくというのは非常にインパクトが大きいのではないかと思っております。

 公正取引委員会さんの方でも下請取引の調査を毎年されていて、悪質な事例では企業名を公表するというふうな取組も行ったというふうなこともありまして、ああしたことが、結構皆さん、ああ、そこまでやるのかということで、非常に下請の企業の方にとっても、こうした取組をやっていただけたらいろいろな交渉もやりやすくなるんじゃないか、こういうことも伺いました。

 今年もそういう調査もしているというふうに聞いておりますけれども、しっかりと価格転嫁をしていくという意味では、余りそういうのが進んでいない、あるいは非常に優先的な地位を濫用したりして悪質なような状況であれば、やはりこうした企業名の公表も含めて積極的に私はやっていくべきだというふうに思っているんですね。あるいは、そうした独禁法や下請法といった法律そのものの違反という事例もあると思いますので、やはりそれの是正をしていくというのも非常に抑止的な効果もあるというふうに思っております。

 こうした取引の適正化において、公正取引委員会に積極的に是非役割を果たしていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございますか。

品川政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会は、昨年来、中小企業等が労務費等のコスト上昇分を適切に転嫁できるようにして賃金引上げの環境を整備するために、従来にない取組を行ってきたところでございます。

 具体的には、先ほど委員御指摘のありましたような優越的地位の濫用に関する緊急調査というものを行いまして、問題につながるおそれのある行為が見られました四千三十社に注意喚起文書を送付しております。また、この調査で、多数の取引先に対して協議することなく価格を据え置いていた十三社につきましては、事業者名を公表するということも行っております。

 本年も、昨年より幅広い業種を対象にこの優越的地位の濫用に関する特別調査を、十一万社を超える企業を対象として現在実施しておりまして、年内を目途に結果を取りまとめる予定でございます。

 このほか、下請法の重点的な立入調査でありますとか、法遵守状況の自主点検の要請といった取組も行っておりますけれども、昨年も、下請法で価格転嫁についての買いたたき事案というもので勧告をした、もちろん企業名も公表したというような事例もございますので、独占禁止法又は下請法に違反する事案につきましては、これまで以上に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

中野(洋)委員 是非お願いいたします。

 今までにない取組をやっているということで御答弁もありましたが、是非これは継続して、こうした価格転嫁がしっかりと根づいていくまで是非お願いをしたいと思います。

 ちょっと時間もありませんので、最後に、生産性の向上のところで、DXについて一問御質問したいと思います。

 DXの推進というのは生産性の向上で非常に大事な側面なんですけれども、中小企業の現場からですと、やはりそれを担う人材が会社の中にはいない、効率化したい、向上したいけれども、やれる人がいないということをよく伺います。ですので、人材の育成、こういうものも非常に大事だと思っておるんですけれども、中小企業がそういうのをうまく使えるかというと、なかなか使えないというふうな御意見もいただいております。

 厚労省の部分でやっていると思いますが、是非、中小企業がより活用しやすく、DXの人材が育成できるような、そういう取組をしていただきたいというところを最後御答弁いただきたいと思います。

岡本委員長 厚生労働省原口大臣官房審議官、簡潔な答弁に御協力お願いします。

原口政府参考人 お答えいたします。

 中小企業を始め、DX人材の育成に取り組む企業への支援は重要であると認識しておりまして、厚生労働省といたしましても、支援の強化に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、企業が労働者に対しまして訓練を実施した場合に訓練経費等を助成する人材開発支援助成金におきまして、中小企業における人材育成を高率助成をすることにより手厚く支援しているほか、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が全国に設置しております生産性向上人材育成支援センターにおきまして、中小企業等を対象としたデジタル対応に係る人材育成等の相談であるとか、DX関連の生産性向上の支援訓練を実施しているところでございます。

 これらの施策を通じまして、引き続き、中小企業によるDX人材の育成に支援してまいりたいと考えております。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、馬場雄基さん。

馬場(雄)委員 おはようございます。福島県出身、立憲民主党の馬場雄基です。

 少し、秋の花粉症の季節で、鼻水と、ちょっと喉がやられておりますけれども、秋花粉症の皆様と一緒に頑張りたいなというふうに思って……(発言する者あり)ありがとうございます。今日も元気に頑張りたいと思います。

 本年三月、委員会で取り上げさせていただきました、まずはガソリン補助金について取り上げていきたいというふうに思います。本話題、間違っていただきたくないのは、私は議論したいというわけではなくて、しっかりと誇りある政府の体制をつくっていただきたいという願いを持って質問させていただくという趣旨を御理解いただければと思います。

 ガソリン補助金、目的は当然、国民の足とも言える、特に地域の方にとっては本当の足とも言える車の燃料、ガソリン代の価格を引き下げていくことだというふうに思います。

 再度確認をさせていただきたいと思うんですけれども、補助金を出したものの、昨年の三月から七月の間、四か月間の間で、想定していた価格と実際の価格との間に乖離があり、その差は百十億円であったということ、財務省の皆さん、もう一度確認をさせてください。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました燃料油価格激変緩和対策事業につきましては、ガソリン価格が一定の水準を超えた際に、元売の事業者などに価格抑制の原資を補助金として支給し、ガソリンなどの燃料油の卸売価格の抑制を通じて小売価格の急騰の抑制を図る事業でございまして、事業の狙いどおり、補助金がガソリン販売価格に転嫁され、抑制されているかといった観点から予算執行調査を行ったものでございます。

 御指摘のとおり、令和四年度の執行調査におきましては、燃料油価格激変緩和対策事業に関しまして、補助金支給単価と抑制額の幅を比較し、令和四年三月から七月のガソリン販売実績量を基に機械的に推計いたしましたところ、ガソリン分で実際の抑制額が補助額を約百十億円程度下回る結果となっているという試算を行ったところでございます。

 その上で、本補助金が効果的に小売価格の引下げにつながることが重要との問題意識から、小売事業者への制度趣旨の周知徹底を図るよう指摘させていただきましたところでありまして、所管の経済産業省におかれまして、これを踏まえて改めて事業者に対する周知等の対応を行っていただいたものと承知しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 まさにその御答弁を今年三月にいただいたというふうに思っています。問題点を認識し、そこで様々な観点から分析を行うということも含め御答弁をいただいたというふうに思っています。

 今国会、早速質問主意書を提出させていただいております。今まで行った期間の総額、そして、想定していた価格引下げ額と実際の引下げ金額、どれほどの乖離幅があったのかということを問わせていただきました。お返事、二日にいただきましたけれども、経済産業省において乖離幅は算出しておらず、把握していない、これが質問主意書の答弁でありました。

 これはかなり望ましい状況とは言えないと思いますが、経産省さん、説明をお願いします。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業につきましては、補助金の額も毎週変化してございます。そして、各ガソリンスタンドの在庫の状況によりまして、小売価格への反映におのずと、在庫分がありますので、時間差が生じるということがございました。こういった事情から、当省としては、御指摘の乖離額の試算は行ってございません。

 他方、補助の効果が適切に価格に反映されることは重要でありますので、ガソリンスタンドに対する全数調査、あるいは全体よりも小売価格の引上げの度合いの大きいガソリンスタンドに対する個別訪問などを通じて、小売価格への適切な反映が行われるよう促してきているというところでございます。

 引き続き、価格のモニタリングや業界団体を通じた周知徹底などによりまして、この事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 今の御答弁ですと、経産省さんとしては財務省さんのやり方はやや違うのではないかということを言っているようにも聞こえるわけですけれども、財務省さんとしてもそこは誇り高く分析を行ってきているのではないのかなというふうに思いますし、しっかりと、やはり政策は分析をしっかりできる状態をつくらなくてはならないと思います。

 時間差という表現がありましたけれども、私があのとき質問しているのは三月です。今、十一月。八か月も、この間、あのときにしっかり分析を行うという答弁をいただいていたのにもかかわらず、いまだそれはやり方も分からず、モニタリング調査を継続していますという答弁では、国民の皆様方の理解は到底得られるものではないと私は思います。

 各党いろいろな意見があるのは分かりますけれども、我が党を始め、一リッター当たり二十五・一円、暫定税率の引下げがまず最初ではないかというふうに申し上げているのは、価格の乖離、本来補助金で全てのお金が価格の転嫁に使われているならこういう話は余りないのかもしれませんが、まずは暫定税率の引下げで国民の生活を圧迫しないようにやる手段があるのならば、減税政策が先なのではないか、これが筋なのではないかというのがこれまでの議論だったというふうに思います。だからこそ、今回の価格の乖離、いまだにちょっとうやむやな状況であるならば、西村大臣、改めて、政策の優先順位を暫定税率の引下げの方に持っていき、筋の通った政策を行うことが必要ではないかと思いますが、御答弁お願いします。

西村国務大臣 私どもとして、全数調査を行っております。精算払いもしております。したがって、全ての補助金、私どもが元売に出している補助金は全て価格引下げに使われているという認識をしております。

 財務省の調査もありました。これについては、事務方同士やり取りをしながら、今も説明がありましたけれども、在庫を持っていますので、それを出していく期間もあります。当然、時間のずれというのは、その在庫のはけるまでの時間のずれとかこういったものについて、私どもから丁寧に財務省にも説明し、お互い共通の認識、共有の認識をしてきているものというふうに思います。

 一円も無駄には使っておりません。

馬場(雄)委員 財務省さんは今のお言葉を伺ってどういうふうに感じられるのか、お願いいたします。

吉野政府参考人 お答え申し上げます。

 いずれにしましても、この対策事業につきましては、執行調査で、我々の問題意識といたしましては、効果的に小売価格の引下げにつながることが重要という問題意識が基本でございまして、小売事業者への制度趣旨の周知徹底を図るよう指摘したところ、経産省におかれまして、改めて周知徹底を行っていただいたと認識しております。

 今後、具体的にどのような形で乖離を把握されるかどうかは所管省庁において判断いただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、経済産業省におきまして、更なる制度周知の徹底を含めまして、予算執行の適正化に一層努めていただければというふうに考えております。

馬場(雄)委員 どうしても余り両省かみ合っていないなというふうなのが、恐らくここにいる皆様方は分かってくださるのではないかなというふうに思います。

 大臣のお言葉を私は信じたいと思っています。一円たりとも無駄にしない、その決意で政策実行を行っていただきたい。ただし、別な省庁に行けば、いやいや、それは乖離があったのではないかと。それは経産省さんから言わせれば、そもそもの分析の仕方が違うんだと。

 このやり取り、余り生産性がないやり取りになり始めてはいないかがすごく気になります。だからこそ、今この場でしっかりと経済産業省として、モニタリングだけではなく、乖離の幅が生まれていないとするならば生まれていないことをしっかりと説明する、あるいは、それを証明していく分析をいつまでにやるのか、それをどんな手法でやるのかというところは、ここは明言いただきたいんですけれども、お願いできないでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 当省につきましてはこの乖離自体の調査は行っていないというふうに先ほど大臣も答弁したところですけれども、実は昨日、会計検査院が財務省さんの予算執行調査と同様の方法によりまして乖離幅の計算を行った結果が発表されてございます。財務省さんの調査では、五か月間のサンプルを取りまして、その間の乖離幅が百十億円だった、会計検査院の調査では、より長い十四か月間の期間を取ってその間の乖離幅を取ったところ、補助金の交付額が約一・三兆に対して百一億円であったということでございます。

 より長い期間を取ったにもかかわらず乖離幅がほぼそんなに変わらない水準だということで、これは、まさに事業が続いている限りは在庫が常に小売店に残っているという状態にありますので、小売価格に反映し切れていないものが事業が続いている限り残っている、まさに一定水準は未反映分として残っている、それが乖離幅ということで把握されているということなのではないか。

 更なる精査を要するとは思いますけれども、そういうことも含めて、よく総合的に我々としては政策効果の把握、検証に努めていきたいと考えてございます。

馬場(雄)委員 今の答弁は余り認めることができないと思います。百一億円ならばいいという問題ではないでしょうし、加えて、もしその答弁がはっきりとするならば、いずれは乖離幅がゼロ円になるということ、会計検査院の方からそういう資料が、それは一年後になるのか分かりませんけれども、必ずゼロになるということで間違いないんでしょうか。

定光政府参考人 ちょっとそこは会計検査院とも我々よく議論をして御報告する必要があると思いますけれども、基本的に、これはサンプリング調査でございますので、全体の大きな方向を把握するということが目的だと思います。

 乖離幅については、ゼロになるかどうかというのは、これはサンプリング調査なので正確にお答えするのはちょっと適切じゃないと思いますけれども、基本的には限りなくゼロに近い水準になるというふうに我々としては考えてございます。

馬場(雄)委員 是非、委員の皆さんも今日の議論を覚えていていただきたいですけれども、今の最初の御答弁がそのとおりであるならば、いずれ乖離幅はゼロになるというところだというふうに思っていますし、ここが意外にゼロにならなかった場合、一年後にゼロにならなかった場合は、それはやはり改めて政策がおかしかったというところを、ごめんなさい、これは確実に言わなければいけないというふうに思います。

 これは追及したいんじゃないんです。誇りある政府をつくっていただきたい。我々は、まずは暫定税率の引下げが先、価格の乖離とかが生まれないやり方が先なんじゃないかということを、ここでずっと議論してきたわけですから、それがゼロになるということを、経産省さん、そして財務省さんも含めて、仲よくしっかりと連携して、確かな数字、確かな分析を行っていただきたいというふうに思います。

 今日はここまでにしましょう。ありがとうございます。

 そして、もう一方、これは激変緩和措置というふうに、激変というふうに言われていますが、これが実際行われていたのは菅政権のときでした。菅政権のときは激変です。確かに激変です。しかし、岸田政権にとっては、もうこれは普通の状態になり始めています。

 この激変化、それをずっとずっと激変だ、激変だと言い続けても、もう政策的効果は表れません。もう補助金をやめてくれというような業種も現れてきました。運送業です。価格の転嫁をしっかりして、しっかりとした分で売りたいけれども、補助金が出るんだからまだ安くて大丈夫でしょう、そういうふうに業種間でのやり取りが、価格間のやり取りがされている場面も見受けられてきました。

 一時的な小売価格の急騰抑制策ではなくて、中長期的な価格抑制政策に移行していくべき、そういうふうな予算をしっかり確保していくべきというふうに考えますが、西村大臣、いかがでしょうか。

西村国務大臣 激変緩和ということでスタートをいたしました。ただ、様々な国際情勢の中で原油価格が高い状況が続く中で、エネルギー価格について、国民生活そして経済活動に与える影響、これが大きなものがあるという中で、一定の負担軽減は続けていこうということで、当面の間継続していく必要があるということで判断をしているものであります。

 一方で、これも永遠に続けられるものでもありません。やはりエネルギー危機に強い構造をつくっていかなければなりませんので、まさに省エネ設備への更新、住宅の省エネ化、あるいはクリーンエネルギー自動車の導入など、様々な形で省エネ型、脱化石燃料型の経済社会構造をつくっていくということが重要だと思っております。

 まさに今回も、そうした視点から、経済対策の中でそうした支援策を盛り込んでいるところであります。必要な予算を確保していきたいと思います。

 そういう意味で、長い目で見てエネルギー危機に強い構造にしながら、激変緩和措置、価格が安定してくれば、もちろん出口に向かっていかなければなりません。そうしたことを柔軟に、機動的に実施しながら、まさに中長期的にそうした構造に転換していく、そうした取組をしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 是非とも力強く、もう激変からやや通常状態に変わってきている、そして、円安の構造、なかなか今厳しい状況があると思います。だからこそ、この予算規模、かなり大きいです。今までやってきたものでも、数億円ではなく数兆円の、そして、それが一兆とかではない、かなり大きな規模で動いているものですから、しっかりと、国民の足、特に地域にとっては本当に足になっています。だからこそ、その暮らしの圧迫を是非とも政府を挙げて少しでも和らげていく政策を、何というんでしょう、しっかりと落とし込めるように、お願いを切にさせていただきたいというふうに思います。

 次に、水素について議論させていただきたいというふうに思います。

 日本は、二〇一七年、世界に先駆けて水素基本戦略を作り、長らく世界を牽引してきたというふうに思います。それは特許数の観点から見てもはっきりとしていることだと思いますが、策定から六年がたち、ここに来て海外の猛追を受け、かなり厳しい状況になってまいりました。国際競争を勝ち抜いていくためにも、国内産業を適切に育成して各地域に水素の息吹を吹きかけていく、これが経済産業省の役割だというふうに思っています。

 土台をつくり上げていくためにも、この今回お配りさせていただいた資料を御覧いただきたいのですが、コスト目標、まず単位について注目したいというふうに思います。

 コスト目標、現在、これはNm3と書いてあるんですけれども、ノルマル立米という単位らしいですが、一ノルマル立米当たり百円ということを書かれています。ノルマル立米、ちょっと私、勉強不足ではありましたけれども、水素はこの単位を用いるのかといえば、世界を見てみると、これはキログラムになっています。

 経産省さんにお伺いしますけれども、日本ではノルマル立米を基本的に使い、諸外国ではキログラムを使っている、このような実態で間違いはないでしょうか。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 水素の単位でございますけれども、委員御指摘のとおり、二〇一七年に世界で初めて水素基本戦略を策定した当初から、水素コストの表記に関してはノルマル立米という単位を用いてきております。この理由は、一般的に気体の体積の単位につきましては立米を用いることが多くて、水素につきましては、その状態によって体積が変わることから、標準状態、ノルマルの体積を表すノルマル立米を用いてきたという経緯がございます。

 一方で、昨今、諸外国では、水素の価格として、御指摘のとおり、単位重量当たりの価格で表記しているケースもございます。私も、ノルマル立米のやつを大体十一掛けるとキログラム単位になるんですけれども、それを使ってやっておりますが、こうした状況も踏まえまして、御指摘いただきました改定した水素基本戦略では、単位体積当たりの価格と単位重量当たりの価格の両方を併記するという形に変えてきておりまして、国際的な動向もしっかり踏まえて取り組んでいきたいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 もう今ここで少し御決断いただきたい部分でもあるとは思うんですけれども、やはり、最初はノルマル立米であった、そして、価格、国際競争を勝ち抜いていくために、その部分の単位の変更を両方つけてもやっていこうというふうに、今、日本政府も変わってきた。しかし、海外を見ればほとんどがもうキログラムに変わっている。

 国際競争力を勝ち抜いていくためにも、もうここ日本でもキログラムにしていく必要性が私はあるのではないかなというふうに思います。やはり、アメリカ、一キログラム当たり一ドルにするというような国家基本戦略もアメリカでは作られていますので、日本としてもそれが分かりやすいように併記するということは、私は必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

西村国務大臣 今も御説明がありましたけれども、日本におきましては、水素などの気体については単位体積当たりの価格を用いることが一般的な商慣習として定着しているということでありますので、これまでの単位については単位体積当たりの価格を用いてきたということです。

 一方で、御指摘のように、海外の取引は単位重量当たりの価格を用いているということがあります。

 今後、海外で生産された水素を日本に輸入もすれば、あるいは海外展開するということで、グローバルなサプライチェーンをつくっていくということも念頭に置きますと、御指摘のように、海外で使われている重量当たりのものも必要になってくるという観点から、今年改定した基本戦略においては、単位体積当たりの価格、円・パー・ノルマル立米というものと、それから単位重量当たりの円・パー・キログラムを併記をしております。今後も当面両方併記をする形で進めていきたいというふうに考えております。

 国際的な標準というのは非常に大事でありますので、そうしたことも頭に置きながら対応していきたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 西村大臣だったら今日変えると言ってくださるかなというふうにも思ったんですけれども、でも、一応併記をしてくださるということで、国際競争にもしっかりと勝ち抜ける環境を是非ともつくっていただきたいですし、単位の変更というのは、簡単には言いますけれども、行うは難しの世界だとも思っています。だからこそ、しっかりと日本の技術が世界に打って出ていけるような、しっかりとした流れを経産省としてもつくっていただけるように心からお願いを申し上げたいというふうに思います。

 このまま行きたいと思いますけれども、目標価格についても、先ほど言いました、アメリカでは十年で一キログラム当たり、あえて一キログラム当たりにしますが、一ドルということですが、日本の場合、二〇五〇年まで、これから約三十年かけて一キログラム当たり二百二十三円、これはノルマル立米の単位になっているから、よくぎろぎろっとなっちゃうわけですけれども、アメリカ、十年で一ドル、日本、三十年かけて二百二十三円、さすがにこれは差があり過ぎる。もちろん、現実的な数字をこれは拾ってきている上での経産省さんとしてのお考えだと思うんですけれども、これだと仮に目標を達成したとしても国際競争力では後塵を拝すことになってしまわないかということ、つかみかけた光そのものが消えてしまわないかということも、やや危惧をしております。

 国力をしっかりとここに投じて何とかして打開するという覚悟を示す必要性もあるのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村国務大臣 御指摘のように、アメリカでは、クリーン水素の製造コストについて十年間で一キログラム当たり一ドルを実現するという、大胆な目標を掲げているということであります。これは、アメリカは豊富で安価な再エネもありますし、それから自国で生産される天然ガスもありますので、水素製造が可能である、そうしたものから。これは自然条件がかなり、前提が異なるという点があります。

 我が国の水素戦略におきましては、先ほど御指摘がありましたけれども、二〇五〇年に向けて、二十円・パー・ノルマル立米ということですね。これをキログラムに換算すると、先ほど、十一倍すればいいということですけれども、二百二十四円になる、二〇五〇年であります。その前段階で二〇三〇年の水素供給コストを三十円、これはキログラム当たりに直しますと三千三百三十四円ということでありますので、かなり差があるということであります。

 この差を埋めるべく、国際的な水準に引き下げるべく、グリーンイノベーション基金を活用して、水素電解装置の大型化、製造効率を高めることで、できる限りこの水準にまで引き下げるための技術開発に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 さらに、水素運搬船の大型化に向けた技術開発、実証であるとか、既存燃料との価格差に着目した支援、これは、事業の予見可能性を高める、こういったことも含めて、いずれにしても、国際的な動向をしっかり見極めながら、水素のコスト低減、これは相当加速して取り組んでいかなきゃいけないと思いますので、全力で取り組んでいきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 やはり、ここは本当にしっかりと取り組んでいかなくてはならないということを改めてお願いしたいというふうに思います。

 基本戦略を見ている限り、年間当たり十五ギガワット、水素の水電解装置の目標が作られています。この水電解装置、やや気になるのが、国内外における日本関連企業の導入を十五ギガワット、国内外とあえてつけていらっしゃるんですよね。

 この十五ギガワット、つまり、日本関連企業で作る国内分と海外分で合わせて十五ギガワットと。つまり、国内で生産し国内で消費するわけではなくて、海外で生産しというところも含めた十五ギガワットというふうになっていますが、以前レクを伺ったときに、国内分で十五ギガワットのうちの何ギガワット作るのかはまだ決まっていないと。これはこれでまた問題じゃないかなというふうに思うわけですが、これは少し安全保障の観点から考えたいんです。

 そもそも水素というのは、しっかりと自分たちで作りエネルギーの安全保障を保つためにも本来これが必要だというふうに言っていたはずだと思うんです、二〇一七年の当初のとき。ですが、今エネルギーの安全保障を見ても、九割が輸入のことで頼っているわけですから、やはり、国内で生産し国内で消費するというところでしっかりと水素基本戦略を、軸足をつくらないといけないと思っています。

 ここで相当な予算が必要ということは、西村大臣も再度、繰り返しおっしゃってくださいますけれども、予算がなかなかないのであれば、これはいろいろな議論が必要かもしれませんけれども、安保三文書の中にもエネルギー安全保障は書かれています。この部分から予算を少し確保できないのか。

 そういった観点の議論や、そういった予算措置の意向も含めて、私は、幅広くエネルギー安全保障の中で水素を語るということが必要ではないかなというふうに思いますけれども、西村大臣、いかがでしょうか。

西村国務大臣 まず、済みません、先ほど、二〇三〇年の水素の価格、三十円・ノルマル立米、これはキログラム当たり三百三十四円ですね。いずれにしても差があるということで、訂正、十一倍で大体三百三十四円、キログラム当たり。ちょっとさっき数字を言い間違えましたので……(馬場(雄)委員「二〇三〇年のですか」と呼ぶ)ええ。言い間違えましたので、まず訂正をさせていただきます。

 そして、水電解装置の導入目標十五ギガワットについてでありますけれども、これはまさに、導入量、世界的な脱炭素の潮流の中で増加が続く見通しであって、この目標の中で、脱炭素化、産業競争力強化の両面から事業者の取組を後押しすることとしております。

 御指摘の国内の水素製造については、水電解装置の導入支援を行っておりますけれども、更に何ができるのか、御指摘の国内の水電解装置の導入目標の設定も含めて、何が有効かという観点から、あらゆる選択肢について検討を行っていきたいと思っております。

 例えばトヨタも、ミライで水素自動車を走らせているわけですが、あの電解装置を外販するという方針も出されていますので、国内でどういったものができるのか、是非、これは御指摘のように、経済安全保障の観点から、エネルギー安全保障の強化につながりますので、そうしたことについて是非取り組んでいきたいと思いますが、基本的に、GX経済移行債の活用を念頭に置いて、様々なサプライチェーン構築、また価格差の支援なども考えておりますので、基本的には財源も確保しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 あと、含めて、念のための確認をさせていただきたいと思っています。

 水素基本戦略はあくまで日本の戦略であり、途上国の支援とは性質が異なるものだというふうに思っています。今回、海外での取組も含むというところがありましたので、念のため確認ですが、ODA、政府開発援助の取組とこの水素基本戦略は同一ではない、そのことを、西村大臣、確認をさせてください。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 水素社会の実現に向けて、日本企業が先進的なテクノロジーで世界で活躍していくというのはすごく大事だと思いますが、一方で、委員御指摘のODAは、開発途上国の主体性尊重という観点から、要請主義に基づいて今まで運営されていると思います。

 現状においては、水電解装置、技術開発のしのぎを削り合っているという状況でございまして、私が認識している限り、現時点では途上国からODAについての要請は受けていないかなと思っておりまして、これまでのところ、現時点ではODAの援助は行っておりません。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。こちらは念のための確認のため伺わせていただきました。ありがとうございます。

 少し順番が前後いたしますが、地元でもお話を伺ってまいりました水素ステーション整備事業費補助金についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 資料の裏面、少し字がちっちゃくなって恐縮なんですけれども、左側、令和三年度の交付内容、右側、令和四年度の交付内容を表させていただきました。

 この水素ステーション整備事業費補助金ですけれども、この表、やや気になるなというふうに思いました。例えば、左、令和三年度、上から四番目、運用終了というふうに書かれていますけれども、右側に移ると、通し番号四番、もうこれは消えています。三番も実は消えちゃっているんですよね。

 これは、運用終了というふうにして、運用終了したものは消えていくという理解でいいでしょうか。しっかりとここは分かる形にすべきではないかなというふうに思うんですけれども、その点を含めてお伺いします。

井上(博)政府参考人 ありがとうございます。

 今御指摘の資料を、ちょっと私、しっかり事前に把握し切れていないんですけれども、御指摘のとおり、表から漏れているということは、残念ながら運用を終了しているところがございます。我々の方でもデータは取ってきておりまして、こうしたことが残念ながら生じている。

 コストの問題がございますので、何とかそういうことを減らして、しっかりと営業活動を続けていただけるような環境にできないかと思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まあ、ありがとうございますと言っていると、ちょっと現場の方々に申し訳ないのであれですけれども、運用終了する理由、運用終了しなくてはならなかった理由をどういうふうに分析されているのか、少しお伺いできないでしょうか。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 水素ステーションにつきまして、これまで技術開発であるとか規制改革とかをやってきた中で、整備費、運営費共に低減しているという実態はございます。他方で、依然としてコストの問題でなかなか悩ましい、事業性の確保が課題だというところになっています。

 我々としては、コスト低減を図っていくということと同時に、やはり需要を増やして、それによって事業活動が永続的にできるような環境をつくるということも大事だと思っておりまして、いわゆる燃料電池自動車をもっと普及拡大していく、特に商用車ですね、こうした取組を車の両輪でやっていく必要があるというふうに考えております。

 まだ道半ばという状況なので、更に取り組みたいと考えております。

馬場(雄)委員 改めて確認したいんですが、この水素ステーションに関しては国策だというふうに思っています。しかし、一事業者、一企業が投資を行うには余りにも大きな金額が動いています。もちろん、経済産業省さんのこの補助金、大きく補助をいただいているものですから、大変ありがたいものだということを地元からも伺っていますけれども、チャレンジャーの方々にとっては、実力以上の投資をそこでしていることが多分にあるというふうに思っています。だからこそ、これは、例えば、地域に行けば地域に行くほど水素の需要の確保というものはかなり厳しい実態が生じています。

 これを、例えば、今のお言葉をそのまま頂戴して、コストがなかなか下がらなかった、需要がなかなか上がらなかった、だからもう運用終了してくださいとかあるいは運用終了しますといったときに、分かりましたというふうに受け取っているようでは、いつまでたっても水素立国にはならないというふうに思っています。国策だからこそ、やはり真っすぐ前を向いて、チャレンジャーの人たちと一緒に手を携えてやっていくということが私は必要だと思っていますし、運用終了するならば、運用終了したことも含めて真っすぐにここも私は記入すべきだ、残すべきだというふうにも思っています。

 念のため確認ですが、いつまでに補助金を打ち切るとか、あるいは一事業当たりにこうやったら運用終了するとか、まだまだ需要が伸びてきていないわけですから、そういったことが、区切りがあるわけではないということをちょっと確認させてください。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 今までの補助制度は設備投資補助と運営費補助という形がございまして、必ずしもここというところになっているわけじゃない。もちろん、設備投資補助は、設備投資させていただいたときの三分の二、上限額幾らということになっておりますが、そうしたところで切っているから運営が途中で止まるというわけでもないという状況だと思いますが、更に制度の改善を考えていきたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 一応、この資料についても、運用終了するならば運用終了すると、これは多分、次に行くと通し番号さえ変わってしまうんじゃないかなというふうにも思いましたので、ここのやはり資料の提示というものは私は求めたいと思いますけれども、御留意いただけないでしょうか。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 我々として、課題にちゃんと向き合うということが大事だと思っていますので、何か隠し立てしようと思ってそうしているわけじゃないので、その点、委員の御指摘を踏まえながら、どういう形で情報発信していけばいいのか、しっかり考えたいと思います。

馬場(雄)委員 水素立国というのは、チャレンジャーの人たちの下の上に成り立つというふうに思っています。その人たちが流してきた汗、やはりそういったものをしっかりと受け止めた上で次にどんどんつなげていかなくてはならないと思っていますし、でき得る限りの最初の汗を、一番最初にこの棒を、旗を立てた人たちを何としてでも後押ししていくという国のやはり気合というものが私は必要だというふうに思っています。

 西村大臣、最後に、この点、水素ステーションも含めてですけれども、しっかりと政府が後押しするんだということのメッセージをいただけないでしょうか。

西村国務大臣 御指摘のように、水素社会を実現していくという観点から、この水素ステーションをしっかりと整備していきたいと思いますし、特に福島は水素製造の拠点ともなっておりますので、例えば東京と福島のトラック輸送を重点的に水素のトラックで動かすというようなことも含めて、重点的に取り組むことを含めて、しっかりと水素ステーションを整備していきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 西村大臣、福島を触れていただき、ありがとうございます。

 日本の技術で作った水素が日本のエネルギー安全保障を豊かにして、よって実りある国民生活が実現できていくように、私も私の立場で頑張っていきたいと思いますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、大島敦さん。

大島委員 大島です。

 何点か質問をさせてください。

 今日は、まず中小企業の特許。

 中小企業が持っている知的財産が私は大切だと思っていまして、今回の下請価格、なかなか転嫁できないということと同じように、これは、発注元の会社に対して、中小・小規模企業が特許を取得したとき、大きな会社から是非その特許を使わせてほしいといったときに、なかなか断り切れなかったり、あるいは特許の知的財産の移転が行われたりして、中小・小規模企業、特に技術開発志向のある中小企業の皆さんの利益が移転してしまうのではないかなというおそれがあるものですから、その点について、まず冒頭、質問させてください。

 大臣は、政府参考人のときは席を若干外していいですから、今若干外してまた戻ってきていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 その点について、大企業からの要請に従い、下請中小企業が、自らが開発した技術等を差し出さざるを得ない現状があると思っています。中小企業が自らの技術を守るためには知的財産の広報あるいは普及啓発が極めて重要であり、政府としてはどのような中小企業の知財活用支援に取り組むのかということについて答弁をお願いします。

濱野政府参考人 申し上げます。

 知的財産は企業のイノベーションの源泉であり、その活用は企業の経営力強化の観点でも極めて重要でございます。そのため、経済産業省におきましては、中小企業における知的財産を活用した経営力の強化や知財取引適正化に向けた支援を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、中小企業が技術、ブランド、デザインなど知的財産について相談可能な知財総合支援窓口の全国四十七都道府県への設置、また、三百名体制の下請Gメンによります取引実態の把握の中で、技術、ノウハウの保護に関しても重点的な項目の一つとしてヒアリングを実施、また、これに基づく業界全体での取引方針の改善、全ての中小企業を対象に審査請求料や特許料を軽減することによる費用面での支援、中小企業等による外国への出願費用や海外で権利侵害された場合の訴訟費用への助成、さらには、知財の活用に対する意識の向上や理解促進のため、初心者向けの知財説明会や知財普及啓発セミナーを開催するとともに、知財学習Eラーニングサービスで知財取引適正化に関する動画教材を配信するなどの取組を鋭意実施しているところでございます。

 加えまして、本年三月には、特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館、INPIT、日本弁理士会及び日本商工会議所が知財経営支援ネットワークを構築をいたしまして、知財適正取引への支援も含め、知財経営の推進や事業化をワンストップできめ細かく支援する体制を強化したところでございます。

 これらの取組によりまして、中小企業における知財取引の適正化や知財経営の更なる定着を図り、稼ぐ力の向上に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。

大島委員 このことは周知をしてほしいと思うんです。今おっしゃられたとおり、政府としては取り組んでいらっしゃるんですけれども、どこまで中小企業に浸透しているかということがあります。ですから、各都道府県あるいは商工会議所、商工会等々で是非支援をして、知的財産が適正な条件で移転するようにしてほしいものですから、中小企業長官にも是非お願いをいたします。

 中小企業長官に質問したいのは、今回、防衛整備に関して様々な施策を、これは防衛産業の強化法案を通して、それについて防衛省としても防衛産業のサプライチェーンをしっかりこれから把握して守っていくというお話をしておりまして、中小企業長官にはその点についての御答弁を是非お願いしたいと思っています。

 防衛産業についての中小・小規模企業、そのサプライチェーンについて、まず一問は、防衛省に。今年十月に防衛生産基盤強化法が施行された。この法律に基づくサプライチェーンの調査に当たり、防衛装備品の製造に関する企業を把握すべきと私は考えていまして、その点についての進捗、あるいはどうなっているのか、手短に答弁をお願いします。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 装備品等の製造等に係るサプライチェーン、これは、プライム企業のほかにかなり多数のサプライヤーから構成をされております。このサプライヤーの中には、事業撤退であるとかあるいは原材料の入手等といった、安定的な製造を脅かす様々なリスクが存在するのではないか、このように認識しているところでございます。

 このため、防衛省といたしましては、委員から御指摘のありました防衛生産基盤強化法に基づきまして、防衛装備品のサプライチェーン調査を行った上でサプライチェーン上のサプライヤーを含めた企業のリスクを把握したい、このように考えているところでございます。

 防衛省といたしましては、今回、この法律、十月一日から施行されたところでございまして、まさにこれからこの調査を進めていくところでございます。

 本調査も含めた各種取組を進めまして、効果的に防衛生産、技術基盤の強化を図ってまいりたい、このように考えてございます。

大島委員 中小企業長官の答弁をお願いします。

 防衛産業のサプライチェーンは多くの中小企業で構成されており、中には、重要な機微技術を保有する企業も多数存在していると承知をしております。

 こうした中小企業が、後継者不足により事業が継続できず、事業から撤退し、外国の、懸念される国に売却されてしまうことで機微技術が流出してしまう懸念が存在しております。

 こうした事態に対して、防衛省は生産基盤強化法において事業継承等の基盤強化の措置に取り組んでおりますが、経産省としても事業継承に対してしっかり取り組むべきではないかと考えています。

 あわせて、既存のプレーヤーだけでなく、新たな防衛産業のプレーヤーの育成に取り組んでいくことが重要と考えておりまして、経済産業省は、これまでのスタートアップなどに対する支援策の知見を生かし、防衛省と提携して新たなプレーヤーの参入促進、育成に取り組んでほしいと考えておりまして、その部分の答弁をお願いします。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘がありましたうちの事業承継の部分について、私の方からお答えをさせていただければというように思います。

 御指摘の中小企業に対する事業承継の支援、これは、お話がございましたように、防衛関連産業でも非常に重要なことと思っております。

 ここでは、事業承継・引継ぎ支援センターによる相談対応によるワンストップ支援、あるいは事業承継・引継ぎ補助金による事業承継時の専門家の活用による支援や事業承継後の設備投資や販路開拓等の新たな取組、あるいは事業承継税制による税負担の軽減など、総合的な支援策を講じているところでございます。

 事業承継につきましては、とにかく早め早めに御相談をいただくということが一番重要かと思っておりますし、また、相談に応じる方々についても、まさに今先生から御指摘がございました、それぞれの産業の特性といいますか、こういうところもちゃんと頭に置いて対応していくということが重要だろうというように思っております。

 この点、中小企業関係団体ともよく連携をして対応を進めてまいりたいというように思っております。

田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、いわゆる防衛生産基盤強化法の話が防衛省の方からございました。これで事業承継などを含む基盤強化の施策、これが措置されました。防衛装備品などのサプライチェーン上の様々なリスクに対応した措置、これを防衛省が取ることが可能になったところでございますが、経済産業省としても、防衛省が進める基盤強化の施策に対して、同法に基づき、必要に応じた連携協力を進めてまいりたいと考えております。

 また、新たなプレーヤーの参入促進、スタートアップの連携の御指摘がございました。

 防衛産業への新たなプレーヤーの参入促進、育成に向けましては、防衛省と連携しまして、スタートアップ企業などが有する先端技術の防衛装備品への活用、これを促進していきたいと考えております。このため、本年六月に防衛産業へのスタートアップ活用に向けた合同推進会、これを設置しまして、防衛省・自衛隊のニーズとスタートアップ企業などとの具体的なマッチングに取り組むとともに、これらの企業などと先端技術の活用、育成に向けた意見交換も実施しているところでございます。

 引き続き、スタートアップ企業などの防衛産業への参入促進に向けた取組について、防衛省とともに検討を深めてまいりたいと考えております。

大島委員 ありがとうございました。

 大臣、私、日本の製造業は大分危機的な状況だと思っています。先ほどの後継者不足、事業継承、事業継承税制は延長していただくということでありがたいなと考えておりまして、ただ、機微技術を持っている会社、恐らく防衛省さんが押さえている、これから押さえよう、多分押さえていらっしゃるとは思いますけれども、逆に、買収しようと思う側は、もうほとんどスタディーは終わっていると思います、どこに日本の機微技術があって、どういう中小企業、小規模企業が持っているのか。そこが事業継承がうまくいかなければ、それを、直接じゃなくて、ダミーの会社を使いながら買収していくということはこれから起こってくるかと思います。

 もう一つは大企業ですよね、アクティビスト。この話を聞いたときに、大学時代に読んでいた城山三郎の「乗取り」という本、これは白木屋事件です。でも、当時は、横井英樹氏がこの「乗取り」という城山三郎の本の主人公なんですけれども、これは売り抜けるという話じゃなくて、経営権を取って経営しようと思っていた方なんですよ。長期的な視野に立った買収事件だと思っていまして、まだ当時は意外と牧歌的な感じがしますよね。今は、情報の非対称性ですよ。米国だと、このアクティビスト、物言う株主に対しての規制が強化されたので、日本は規制がまだ進んでいないから、これはと皆さん大挙して来て、一定のマニュアルにのっとって企業買収が行われているかなと私は認識をしています。昨今の新聞報道等もあります。

 その中で、政府の参考人を務めていた方で、太田洋さんという方の「敵対的買収とアクティビスト」の中に定義が書いてあって、その潜在的な資産価格に比較して株価が割安な対象会社の株式の数%から数十%を取得して、対象会社に経営の効率化や株主還元の強化等の要求を行ってその株価を引き上げる等した上で、数か月から数年後に保有株式を売却してリターンを上げる投資家と呼ばれていると書いてありまして、ですから、ここの、要は物言う株主、特にアクティビストの皆さんに対しては、私は決して企業買収が悪いとは思っていません、余り芳しくない経営者よりも、よりよい経営者がそこに座ることによって、経営することによって、企業の価値が上がり、かつ配当そして従業員への処遇がよくなれば、それはいいことだと思っています。ただ、短期的な利益を得るために日本の資本主義が脅かされることは余り芳しくないなと思います。

 私も、もう何年も前かな、量子科学技術研究開発機構、重粒子線の治療をやっている病院、千葉県を訪れたことがありまして、バックヤードは巨大なプラントです。そこには東芝と書いてあった。今は東芝どうしちゃったのかなと思うんですよ。

 こうやって日本の研究開発力が衰えていくこと、特に円安がこのまま続けば更にこの状況は続いていくと思うので、そのことについて、まず政府の近年の上場企業の買収を取り巻く環境に関する認識とそれに対する対応について、参考人からの御答弁をお願いします。

菊川政府参考人 お答えいたします。

 今るる委員の方から御指摘ございました。上場企業の買収を取り巻く環境につきましては、日本企業が関連するMアンドAの取引の件数、件数自体は増加傾向にございます。他方で、金額ベースで過去二十年間に大きく伸びたのは海外向けのMアンドAの取引ということになっておりまして、また、国内企業の中でのMアンドA取引についての伸びは相対的にはまだ大きくないというふうに全般的には承知をしております。

 また、今るる委員の方からの御指摘もあったような、買収対象会社の取締役会の同意を得ずに行われる買収、これ自身は、昔と比べますと珍しくはなくなってきておるということかと思います。投資ファンドに限らず、事業会社がこうした買収提案を行うという事案も一定数見られるということかと思います。

 また、当初の買収提案を契機に第三者の方から対抗の提案が提示をされて、それぞれの評価をめぐって見方が分かれるようなケースが増加しているということで、取締役会が検討、対応すべき事項が非常に複雑化している、先ほど委員の方から、昔、牧歌的なという御指摘もございましたが、非常に複雑化しているのではないかと思っております。

 こうした潮流を踏まえまして、同意なき買収の局面も含めまして、上場企業の買収一般を対象にしまして、買収に関する原則論やベストプラクティスを新たに提示することを目的に、企業買収に関する行動指針の策定、これを本年の八月に行ったところでございます。

大島委員 私も、経産省のホームページから、企業買収における行動指針、結構大部なものです、プリントアウトさせていただいて、目を通しました。なかなか理解するのが大変でした。経産省もなかなか学術的な研究をしているのかなと思います。

 ただ、今の短期的な、指針ですから、法的規制がないわけですよ、これは。あくまで、やはり悪意を持って買収する側、短期的な利益を得るがために買収する会社は法のぎりぎりなところを狙ってくると思う。

 ですから、今だと一%以上の株式を持って六か月以上保有すれば、まず提案ができますよね、株主提案が。それで、三%以上の株式を保有すれば、臨時株主総会を開けということになるわけですよ。

 この企業買収に対する耐性が日本の経営者の皆さんはなかなかできていなくて、この人たちは米国で様々な経験を積んだ人ですから、日本の会社というのは、悪い言い方だけれども、赤子の手をひねるように駆逐をされてしまう感じがするんです。

 ですから、そうすると、今後、アクティビストが中長期的な企業価値向上に資さない買収提案をしかけてくることも考えられると思います。そうした行動を規制する必要が私はあると思うんですけれども、どう考えているのか、お答えください。

菊川政府参考人 今、委員の方から、中長期的な企業価値のある種向上に資さないような形での買収提案、こういったところに対してどう行動を、規制といいますか、していく必要があるのかというような御指摘がございました。

 経済産業省といたしましては、買収提案者がどのような者であっても、企業価値、ひいては株主共同の利益、これを確保、向上させることが望ましいというふうに考えてございます。

 こうした観点から、企業買収における行動指針、先ほど述べました、策定いたしましたこの指針におきましては、企業価値や株主利益の向上に資するかどうか、これを取締役会や株主がちゃんと判断を、きちんと判断をしていただくために、買収後の経営方針など買収者による適切な情報開示、これを推奨するということをベストプラクティスとして提示をしているところでございます。

 指針の趣旨を正しく理解いただけるよう、引き続き周知、広報を行って、経済社会にとって望ましい買収の行動規範として定着するよう努めていきたいと思っております。

 もう一つ、ソフトローといいますか、そういったところで完全なる規制ではないというところについての御指摘もございましたけれども、そこについては、これまでも、経済産業省で策定してきました指針についての原則論、こういったものにつきましては一定程度尊重されておりまして、実務や司法判断のところにも影響を与えてきたものと認識をしております。

大島委員 ありがとうございます。

 私、もう大分前なんですけれども、学生時代にドイツに渡って、電力会社の支社の人事課で人事管理の研修をドイツ人の中で受けたことがあって、そのときのテーマが従業員の経営参加だったんです。

 やはり、ドイツにおける企業統治システムは日本と異なります。会社の意思決定する監査役会は、従業員側が半分、使用者側が半分ですから、そういう統治システムを持っている。ほかの国でも、スウェーデン、あるいはこれはオランダかな、私の記録だと、スウェーデンとデンマークですか、ここは役員会に労働者代表が入っているということもある。

 今まで、これまでずっと政府が例えば価格転嫁してくれとか言っても、なかなか聞かないわけですよ。企業の統治システム自体をそろそろ変えてもいい時代かなとは思っている。やはり、しっかりとこれだけ政府が、大臣が、首相が安倍政権のときからずっと取り組んできても、ふうんという感じで無視しているというのはどういうことなのかなと思うんですよ。だから、ここはやはり、仕組みを変えるのが私たちですから、私は仕組みを変えた方がいいと思います、企業の統治システム自体を。

 やはり今、安全保障環境も変わりました。九月に台湾に行って様々な方と会ったときに、蔡英文政権は去年、四か月の徴兵制を来年から一年に延ばします。来年の総統選挙の争点になっていないんですよ。安全保障環境が相当厳しいという認識。与那国島の百十一キロ先の国のことです、これは。

 こういう環境を踏まえると、私たちの、これからどうしても守らなければいけない工場、技術についてはしっかりガードした方がいいと思っていまして、買収により雇用が失われ、労働分配率が減少することにつながるおそれもあると考えます。買収後の雇用計画についても情報開示を求めたりして、あくまで、民間企業経営者が物言う株主に対して物を言える環境を遅ればせながら整備する必要があると思うんですけれども、政府参考人の御答弁をお願いします。

菊川政府参考人 今委員の方から、ドイツの制度、また、別の外国についての制度についても言及があった上で、企業統治の在り方について見直す必要があるのではないかという御指摘があったかと思います。

 日本の上場会社における企業統治に関する機関設計については、現在、会社法において、三つの形態いずれかを選択するということとされているというふうに承知をしております。

 いずれの機関設計を行う場合であっても、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値、これの向上に資することが重要だというふうに思います。その際、従業員を含めて、先ほどドイツの中で雇用者についての点を御指摘ございましたけれども、従業員を含めた様々なステークホルダーの貢献の重要性を認識し、適切な協働に努めることが期待されております。

 そうした中で、安全保障の観点も御指摘ございましたが、どのような企業統治、機関設計の在り方が望ましいかは、会社法を所管する法務省も含めて、諸外国の取組も参考にしながら、引き続き関係省庁と議論していきたいというふうに思います。

大島委員 私も、何年か前、数年前に法務委員会で会社法の改正案の審議をしたことがあります。当時は、社外監査役を増やすということで、二人、三人、複数名にした方がいいのではないかと、当時の議事録、大島としては何か真面目に取り組んでいた議事録で、読める議事録だったんですけれども、その中で、要は、かたくなに増やさなかったんですよ。だけれども、翌年かな、東証のガバナンスコードを変えたら、あっという間に二人に増えちゃったりして、どういうことかと。

 法務省に任せておくと遅いんですよ、これは。彼らは今のこの激変する環境についていけないと思うので、その点、是非、大臣、法務大臣の方に強く働きかけをお願いします。

 次は、買収を行わないまでも、アクティビストが臨時株主総会開催請求や株主提案を行うなどの例も見られます。これは、米国に比べて株主提案に対するハードルが低いと言われていることが理由とも指摘されておりまして、日米の株主提案に関する規制にはどのような違いがあるのか、手短に答弁をお願いします。

菊川政府参考人 手短に御説明いたします。

 臨時株主総会の請求につきましては、日本では、議決権の三%以上を六か月以上継続して有する者が行うことができる一方、今御指摘がございました米国内、ここでは先進的な会社法制であり、また多くの米国企業が準拠して設立されているデラウェア州、ここの法律に基づきますと、定款に記載された者のみが行うことができるということで承知をしております。

 また、株主提案につきましても、日本では一者につき十個までということになっておりますが、一方、デラウェア州の法律では一つ、一個しか認められないということで、その内容や形式面で違いがあると認識しております。

大島委員 やはり、これが冒頭に述べた情報の非対称性。ですから、そういう規制が起きる前に、様々な訓練を積んだ人たちが今日本の上場企業に対して押しかけてきているという認識でして、米国の制度を踏まえた上で、臨時株主総会請求のハードルを上げるなど、株主提案の規制を図る必要があるのではないか。過去にそのような検討はされているのか、御答弁をお願いします。

菊川政府参考人 今、過去の検討状況について御指摘ございました。

 令和元年、二〇一九年でございますが、会社法の改正におきまして、株主提案を、株主に対する通知を請求することができる数につきまして、一者につき十個までとする上限を新たに設けるなど、一定の手当てはしたところでございます。

 他方、それ以上についての株主提案の内容の制限につきまして、政府提出の法案につきましては、濫用的な内容を含む株主提案を制限する旨の規定が、当時は提案をしていたわけでございます。その中で国会審議がなされまして、審議の過程で様々な議論がなされたものの、最終的に改正には至らなかったと承知をしております。

大島委員 当時と今の状況は大分様変わりしていると思うので、今後、余り芳しくない経営者を残すことは私は芳しくないと思っていますので、ですから、そこはしっかりバランスを取りながら、今後もこの点については当委員会で取り上げていきたいと思いますので、私からの質問はここで終わります。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸です。

 質疑の時間をいただきました委員長、理事そして委員の皆様に感謝申し上げながら、今日は大臣の所信に対する一般質疑ということで、質問にこれから入らせていただきたいと思います。

 十月からインボイス制度が始まっています。今日は、公正取引委員会の委員長にも出席をいただいているところであります。

 このインボイス制度、委員の皆様もそれぞれ事業者の方から様々お話を伺っている方ばかりだと思いますが、導入から様々な混乱も今生じているところであります。

 この中で、皆様にお配りした資料の二番目になりますけれども、これは、令和四年一月、昨年の一月に、このインボイスの制度を取引者間でどういうふうに進めていくかということで公正取引委員会が注意を発したという内容でありますけれども、インボイス制度は、免税事業者と言われている皆様がこれからは消費税を負担していくのか、あるいは、負担しない場合は、その発注元になる方々が、今まで認められていた消費税分の仕入れ控除が認められなくなるということでありますから、何らかの負担が生じる中で、発注側の人たちが、もうこれからは価格を引き下げますから、消費税分の負担も引き下げますから、そんなことを一方的に通知することがないようというようなことの趣旨だという内容になっています。

 この二番目の資料の一番下にありますけれども、免税事業者との間では十分に協議を行っていただいて、仕入れ側の事業者の都合のみで低い価格を設定することがないよう注意してくださいねということが書かれているわけです。

 このことを受けて、今、私たちの会派も、来年に向けた税制要望もございますから、いろいろ団体さんからお話を伺いますけれども、このいわゆる発注先に対する説明、大きいところだと一万社にも及ぶような取引先があって、そこに一年もかけて、やはり相当な事務負担をしながら、合意をいただきながら、この体制を備えてきたという話を私たちも聞いているところでもあります。

 そうした中で、いわゆるJASRACが、一般社団法人日本音楽著作権協会でありますけれども、発付した文書がそうした業界の皆様に波紋を呼んでいるということで、そのことについて取り上げさせていただきたいと思います。

 皆様のお手元に、また資料、一枚目がございますけれども、これはネットメディアのビジネスジャーナルさんというところが掲載されているものをお借りさせていただいておりますが、このメディア以外もこの件は取り上げられているところでありますけれども、この資料の中にも端的に黄色い線を引かせていただいておりますけれども、二〇二三年十二月分配の分配使用料から消費税額分を実費として差し引いてお支払いしますということが書かれたものが発付されている。

 JASRACというのは特殊な地位があります。いわゆる取引の関係性ということでいえば中間の事業者であって、信託法に基づいて、託す形でそうしたお金のやり取りをしているわけであります。ただ、JASRACは、文化庁さんが所管する著作権等管理事業法に基づいて管理委託されているということもあって、事実上ほとんどの音楽関係の著作権の取扱いを行っていて、著作権側が利益を得る上での選択肢は事実上JASRACに委託するという選択以外に取れる状況にはない中で、こうした、今後、免税の事業者に該当する皆さんには差し引きますというお話をしているわけであります。

 委員長にお伺いしたいと思います。信託法に基づく特殊な立ち位置にあるJASRACでありますけれども、一部報道によると、信託法に基づくそういう団体だから、いわゆる優越的地位の濫用等に該当しないのだというような報道もありますけれども、これは委員長に確認したいんですけれども、そうした法律にかかわらず、実態として、そうした独占的な状況、優越的地位の状況が懸念される状況であれば、これは公正取引委員会の範囲として、この問題についても、この注意もそこにも対象になるということでよろしいでしょうか。お願いいたします。

古谷政府特別補佐人 資料でもお示しいただいておりますように、私ども、このインボイスの問題については、免税事業者に対して、課税事業者にならないと取引価格を引き下げるなどと一方的に通告をした場合には、独占禁止法上、優越的地位の濫用に該当するおそれがある、そういう問題がありますよということは、インボイスのQアンドAを公表してお示しをしているわけですけれども、今御指摘がありました優越的地位の濫用に該当するかどうかという点に関しては、信託取引であるとか仲介取引であるとか、そういうことをもって独占禁止法上の取引から外れるということはないというふうに私ども考えております。

山岡委員 委員長から今明快な答弁がありました。別に、信託の形式だからといって、独禁法に当たらないということはないということであります。

 済みません、もう一点お伺いしたいんですけれども。

 今、現時点で、既に一方的なやり取りをしているということで注意も発付されていますけれども、そのケースというのは、六年間のインボイス導入からの経過措置があるんですが、そのことも全く無視した上で消費税分を差し引いて提示しているようなケースについてはいわゆる公取の方で注意を喚起しているようですが、ただ、別に、六年間の経過措置を踏まえた中でも、一方的にこれを値引きするというようなことを示すことは、この優越的地位の注意の範疇に入ってくるという理解でよろしいんでしょうか。伺います。

古谷政府特別補佐人 個別の事案についてのコメントは控えさせていただきたいと思いますけれども、御指摘ありましたように、私どもが現在このインボイスの関係で、数十件になると思いますけれども、注意をいたしておりますのは、御指摘のあったような、経過措置があるにもかかわらず、免税事業者に生じる消費税負担分相当額全額を値引きするようなことを通告しておられるような事例については注意を促しているという点はございますけれども、いずれにしましても、一方的に決めるのではなくて、双方でよく話し合っていただいて、発注者側の都合だけで価格決定がされないようにということが重要だと思いますので、そういう観点から私どもは注視をしていきたいというふうに思っております。

山岡委員 ありがとうございます。御答弁いただきました。

 その経過措置も無視してやっているケースは、外形的にも分かりやすいケースですから、注意もしやすいんだと思いますけれども、今御答弁にもありましたように、どういう形であっても、全体として、一方が決めるような形であってはいけないというようなお話をいただきました。

 JASRACは、三か月前に突然この文書を出しているわけであります。御説明によると、相談をする窓口をつくっているんだとか、説明会を開いたんだとかいう話をされているところも昨日確認しましたが、しかし、私自身が、各事業者の皆様がどれだけの思いと苦労をして一つ一つ丁寧にやっているかということを私たちが聞いている限りにおいては、そうした乱暴なやり方をしているということが正直信じ難いというのが、今回、国会でもこの問題を提起させていただいた動機でもあります。

 私は、JASRACは文化庁さんが所管しているということで、今回は公正取引委員会の委員長にもお越しいただいている、文化庁の長官にもこの国会にお越しいただいて、当然言い分があるでしょうから、事情を言っていただきたいということを、文化庁は今京都にありますから、余り直前に言ってもお越しになれないかもしれないということで、二日前からそうした通告をさせていただいておりました。

 今の長官、民間の方ではありますけれども、都倉俊一長官は、長年にわたってJASRACの評議員も務め、会長も務め、およそ四十年でしょうか、長官に就任されるまでの期間も、その月まで特別顧問のお立場にあった。

 法律も所管していますけれども、その所管しているところから長官が誕生して、まさにJASRACの様々な課題について承知していて、ここで当然、今、今日は済みません、この後の質問に中小企業の関係の質問もあるからだと思いますけれども、中小企業庁の長官も御出席をいただいております。私は経産省にお任せしたんですけれども、それは中小企業のことであるから長官自ら出席するということで今回こちらにいらっしゃっているんだと思いますけれども、その姿勢は本当にありがたいと思っております。

 それに比べて文化庁は、昨日の段階から長官を国会に出しませんという趣旨を私の方にお話しいただく。いやいや、国会としては、この状況を私たちとしては是非長官に説明していただきたいので、ここは出席要請をいたしますということを申し上げたら、与党の理事会、否決されますから、別の参考人を立ててくださいと。そんなことまで、恐らく与党の皆さんにその話もしていないと思いますよ、文化庁の関係者がそういう話をされる。そして、今日どういう理由を与党の皆さんに託したかといえば、国会で説明をすると長官が傷つくのでと国会軽視をど真ん中で言うような理由を託して、そして、今日は長官をここに説明者として出席させない。

 与党の皆さんにも失礼だと思いますよ、こういう話で。もちろん、立場としては、そういう要請があれば、この国会、委員会で出さない方向で協力されたんだと思いますけれども、正直、信じ難い対応であります。

 これはせっかくなので大臣にもお伺いしたいんですけれども、中小事業者含めて、本当に厳しい思い、苦労した思いでインボイスに対応されています。私たちの会派としては、この時期のインボイスの導入がいいのかということで凍結法案も出して、そうした基本的な議論もありますけれども、しかし、十月から始まったこのインボイスの制度であります。大変な御労苦をかけて皆さんが事業に当たっているのに、この一連の文化庁の姿勢は大臣から見てどのように映られるか、ちょっと伺いたいと思います。

西村国務大臣 まず、私どもの立場として、中小企業の皆さんがインボイスの導入に伴って様々な負担が生じたり、どういうものかよく理解できないというような方々の声に寄り添いながら相談事業を行ったり、あるいは、先ほど公取委員長の説明がありましたけれども、どういった場合が、今度は取引先の親企業というか、取引先側が一方的に何か取引価格を下げるとか、免税事業者に対して課税事業者にならなければそういったことをやるといったようなことは独禁法の問題になるおそれがあるというような考え方をお知らせをしたりとか、様々な啓蒙活動をやってきております。

 そうした中で、これは関係省庁それぞれの立場で連絡会議のようなものも開かれていますので、閣僚会議も開かれていますので、そうした中でお互いに共有しながら対応しているものと思いますが、ただ、どういう個別の事情があるか、文化庁に、これは承知をしておりませんのでこれ以上は控えたいと思いますが、いずれにしても、政府全体として、このインボイス導入に当たって多くの事業者の皆さんが理解をして、そしてしっかりと対応できるように、きめ細かな相談などの対応が必要だというふうに認識をしております。

山岡委員 公正取引委員会委員長にもお伺いしたいと思います。

 今日は、文化庁の長官に説明していただきたいということで質問通告していたんですけれども、いらっしゃらないので、言い分をこの場で御説明いただくことはできませんが、信託であっても、その外形的な状況で独占的であれば、これは十分独占の、いわゆる優越的地位の濫用に気をつけなければいけない、だからこそ丁寧な対応が求められるというようなお話がずっとあるわけでありますけれども、今回のJASRACの状況、事実上そこしか選択肢がない、そこから、もう十二月から引き下げますからという通知が来る、これはまさにその事例に該当するんじゃないでしょうか。調査をすべきじゃないでしょうか。委員長にお伺いしたいと思います。

古谷政府特別補佐人 個別の事案についての言及は差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、私ども、先ほど指導というふうに申し上げましたけれども、QアンドAも発しておりまして、こういう点については注意してほしいということは周知をすることを積極的にやっているつもりでございます。

 その上で、独占禁止法に違反するような事案があると考えられる場合には、独占禁止法上、こちらに申し出ていただくという仕組みもございますので、そういうことも考えていただければ、私どもとしては、必要な措置を取るということが法令にも書いてありますので、個別の事案についてどういうふうな状況になっているのか必ずしも詳細は把握しておりませんけれども、そういう手段もありますので、お考えいただくということは一つの選択肢だというふうに思います。

山岡委員 今回、国会で確認をさせていただきたかったのは、そうした中間の団体であってもその立場は逃れられないということを委員長から明確におっしゃっていただきましたので、私の思いとしては、これは、多くの関係者、声が上がってくるということになれば、やはりきちんと調査していただきたいということも申し上げたいと思いますし、JASRACと公正取引委員会の関係では、これは権利者側じゃなくて使用者側の方でありますけれども、テレビ局やラジオ局との包括契約をめぐっても、過去にいわゆる独占的な実態の中で様々な問題を指摘してきたという経過もありますので、是非厳しく当たっていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 インボイスをめぐっての議論は本当に様々ありますけれども、今の聞こえてくる話でいえば、混乱に混乱を極めているという話が本当に聞こえてきますので、私たちの立場としては、このインボイス、この時期に導入ということはやはり凍結すべきだったということも申し添えながら、このテーマはここまでとさせていただきたいと思います。

 公取の委員長、関係の皆様、今日、国会の質問ではここまでですので、もし御予定があるようでしたら、ここで御退室いただければと思います。ありがとうございます。

 続きまして、大臣にお伺いをしたいと思います。半導体のことについてお伺いさせていただきます。

 私は、北海道で政治活動をさせていただいております。千歳市にラピダスという次世代の半導体の工場建設、これが決まっておりまして、二〇二七年ということを目指しているわけであります。先日、九月一日になりますけれども、この工場建設に当たっての起工式も千歳市で行われまして、私も参加をさせていただきましたが、大臣もそこに駆けつけていただいて、強い意欲をお示しをいただきました。

 様々な質問は私も前国会からさせていただいておりますが、しかし、ここに来ていろいろ見えてきますのは、やはりプロジェクトそのものの大きさが非常に大きいというのは元々分かっていたわけではありますが、しかし、具体的な数字になってきますと、いろいろな報道を通じて、予算の財政出動も相当程度な、関係者から、数兆円程度、それ以上かもしれないというお話もあるところであります。これは、やはり財政出動が本当に社会あるいは世論の想像を超えるような話になってくるんだとしたら、相当な説明力が求められるんだということを思っております。

 大臣に伺いますけれども、このプロジェクトの財政出動、本当に破格の状況で、既に報道にも出ていますけれども、どのような形で世間に理解を得ていくか、そのことをまず伺いたいと思います。

西村国務大臣 この北海道のラピダス社のプロジェクトでありますけれども、御指摘ありましたように、二〇年代後半、二七年頃の、二ナノという次世代の半導体の量産を目指すということであります。まさにこれからの時代のデジタル化あるいは脱炭素化、様々な分野で不可欠な最先端の半導体であります。また、経済安全保障の観点からも重要な、戦略的な物資だという認識であります。

 将来、これはもう近い将来かもしれません、自動運転であったり、今話題の生成AI、量子、そしてライフサイエンス、創薬、こういった分野において、まさに今後の日本経済の競争力、経済成長を左右するような、極めて重要な最先端の半導体技術であるというふうに理解をしております。この最先端の半導体を生産をし、そして使いこなせるかどうか、ここに日本経済の将来が懸かっていると言っても過言ではないというふうに思います。

 大事なことは、この最先端の半導体の技術と、そして使いこなすユーザー、この産業群、この双方を国内に産業基盤としてしっかりと確立をしていくことだというふうに思います。

 例えば、自動車の世界においても、電動化、自動運転、自動走行、この両方を実現するためには、極めて高い計算能力、また消費電力も極めて抑えていかないとならない、そうした最先端の半導体の利活用が不可欠であります。仮に、この最先端の半導体供給を海外に依存して、何か不測の事態があってこれが提供できない、供給を受けられないということになると、まさに日本の屋台骨、経済の屋台骨である自動車産業の競争力に大きなインパクトを生じかねないわけであります。

 ラピダスのプロジェクトは、まさにこうした事態における日本の経済産業活動に関するリスクの発生を未然に防いでいくということ、そして、デジタル化、脱炭素化による我が国産業の競争力強化を強力に牽引してくれる、そういうことを可能にする、極めて大きな意義を有するプロジェクトというふうに認識をしております。まさに日本を代表する企業が出資をして、今このプロジェクトを進めているところであります。

 こうした視点から、経産省においても、これまで、最大三千三百億円の支援を決定しているところでありますけれども、引き続き、この半導体、最先端の技術を日本に根づかせる、そしてこれを生かしていく産業を育てていくという観点から、量産の実現に向けてしっかりと支援を継続していきたいというふうに考えているところであります。

 こうした点について、地元の北海道の皆さん始め、そして、大きな金額を支援をしていくものでありますから、しっかりと日本の国民の皆さん全体に理解をしていただけるように、丁寧な説明を重ねていきたいというふうに考えております。

山岡委員 北海道は当然、そのプロジェクトを進めていく地域でありますから、いろいろな声を上げさせていただきたいと思っておりますが、そこに大きな財政出動が伴うときに、そのことを全国に理解していただけるのかということは本当に極めて重要なことでありますので、是非その思いは大臣にもまた共有していただきたいと思うんですが、一つ、ちょっと角度を変えて申し上げたいんですけれども、じゃ、北海道がきちんとそのことを協力する、支援するという形につなげていくためには、やはり地域住民、周辺地域を含めて、その理解と協力も必要だということも申し上げさせていただきたいと思います。

 一年近く前のTSMCでは、やはり、熊本でありますけれども、もう建設が先に進んでいますが、既に道路渋滞等の、様々、地域住民の声というのが上がっておりますし、私も苫小牧が居住地でありますけれども、今もう相当な渋滞も起こっている、顕在化し始めているところであります。

 あわせて、これから、ビジョンとしては、世界から、二十代、三十代、四十代かもしれませんけれども、IT人材と言われるような、家族ぐるみでこの地域に来ていただいて、そして居住いただく。

 どこまでオープンにされている議論か分かりませんが、ラピダスが北海道を選んでいただいた事情も、再生可能エネルギー、水も豊かだということもあると思いますが、一方で、北海道のブランド力として、外国の皆さんが、北海道なら居住してもいいじゃないかと、レジャーの豊かな北海道というところに対する期待も大きいものだということを私たち聞いているところでもありますけれども、地域住民からも信頼を集め、かつ、多くの世界中からの優秀な人材が集まる地域にしていくということは、やはりプロジェクトの成功に極めて重要だということも申し上げさせていただきたいと思うんです。

 隣接の安平町、厚真町、むかわ町という町は、居住者を受け入れていきたいという体制を整えていこうと今努力をしていますし、ウポポイというアイヌの皆様の象徴空間がある白老とか平取とか、そういうアイヌ民族の共生の地域もあれば、少し広げますと、日高、新冠、新ひだか、浦河といった軽種馬という馬の産地もあれば、更に言えば、ユネスコに認定されるようなジオパークと地質も認められるような様似町、洞爺湖町、温泉の有名な登別とかもあります。

 非常に地域としてはそういうレジャーはそろっているという中で、やはり、そうした総合力を高めていくことも含めたインフラ整備、これが私はこのプロジェクトを大きく成功させていく上で非常に重要だということを申し上げたいと思っておりますが、大臣から、この北海道の魅力、アクセスも含めて、こうしたインフラ整備に関しての考え方、見解を伺いたいと思います。

西村国務大臣 まさに、このラピダス社の小池社長とお話をしておりますと、小池社長はなぜ北海道を選んだのかという中には、もちろん、今御指摘あったように、再生可能エネルギーが豊富にある、土地が広い、こういったこともありますけれども、特に、今御指摘のあった、大自然の中で、まさに落ち着いた環境の中で、研究者も開発者も、あるいは作業する方々も、この大自然の中で、ゆったりとした気分で豊かな発想を湧き立てながら仕事ができる、これがまさにシリコンバレーにも通じるところがある、そういったお話をされておられました。

 私も六月、九月と二度訪問しましたけれども、そういった大自然の中で、しかも、周辺にはエプソンを始め幾つかの半導体関連企業もありますし大学もあるということで、人材も、これは北海道、地元市町村が集まって協議会をつくられて、大学とも連携して人材育成も取り組んでおられます。

 そうした環境の中でこの地に決めたということでありますので、是非、この北海道の魅力を存分に発揮をしていただきながら、このラピダスのプロジェクトを成功させていきたいというふうに考えております。

 そうした中で、御指摘のように、やはりインフラの整備が必要になってくると思います。今般の経済対策の中で、まさにこうした国家プロジェクトの生産拠点整備に当たっては、下水道とか道路のインフラとかを整備するための交付金の創設を盛り込んでいるところであります。

 必要な予算を補正予算の中で確保しながら、しっかりとインフラ整備も行い、まさに北海道の魅力を存分に生かしていただきながら、最先端の半導体の開発、量産に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣から今心強い御答弁もありましたが、関連インフラの整備というのがどの範囲を示すかというのが今まだ明確ではないんですが、道を始め各自治体がやはりそうしたビジョンを持って申し上げてきたときには、是非大臣からも、各省庁への働きかけも含めて応援をいただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 これは閣議決定している事項ですから、各省庁、基本的には認識を共有しているものだと思いますが、今日は国交省さんの、特にちょっと鉄道局の担当の方もお越しいただいているんですけれども、JR北海道があります。なかなか経営状況は厳しい。コロナで更に厳しくなって、いつも支援をいただくという立場でありますので、なかなか前向きな発想でこれからの経営計画を立てられるという環境にないのも事実なんですが、しかし、ラピダスのこの事業、一番基本的なインフラであるこの鉄道インフラ、極めて重要なポジションになると思うんですけれども、是非、鉄道局から、いわゆるJR北海道の役割、これをラピダスに関連して、非常に大きな役割を果たすんじゃないかということの御見解、どう考えておられるか、伺いたいと思います。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 次世代半導体は、デジタル化や脱炭素化の実現に不可欠であり、経済安全保障の観点からも重要な戦略物資であると承知してございます。このため、お尋ねのございました新工場の建設を含め、次世代半導体産業への投資等を進めていくことは大変重要であると認識してございます。

 先生からも御指摘ございましたが、現在、JR北海道は、経営自立に向けて各種施策に取り組んでいるところでございます。こうした中で、御指摘のございましたラピダス新工場の建設のような北海道内の事業環境の変化に的確に対応し、どのように地域に貢献できるかという視点を持つことが重要であるというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、JR北海道が地域の関係者の方々の御意見を伺いながら必要な協力を行うよう、関係省庁とも連携しつつ、助言等を行ってまいりたいと考えてございます。

山岡委員 新千歳空港とのアクセスを含めて、やはり鉄道は非常に重要なんですけれども、JR北海道は、鉄道・運輸機構という国交省の管轄の一〇〇%株主、株を持っておられますから、国交省の指導もかなり大きいと思いますので、是非、様々、経営計画を作るに当たっても、今のお話を反映していただきたいということもお願いさせていただきたいと思います。

 ちょっと、残りの時間の中で、航空宇宙産業についても伺いたいと思います。

 経産省の、所信の中でもいろいろ大臣に触れていただいておりますけれども、西村大臣は、宇宙基本法を制定する際に超党派の議連の事務局長もお務めになられて、前の国会でも、私、取り上げさせていただいたときにも、非常にこの分野は意欲を持って、決意を持って取り組まれるということもお話しいただきました。

 北海道では、大樹町というのが一番有名ですけれども、小型ロケットを開発含めて進められているところであります。

 是非注目いただきたいのは、皆様にお配りした資料の三枚目、四枚目になりますけれども、物づくりの地域として知られます室蘭市。室蘭航空宇宙産業ネットワークというチームを、町工場の、スタートは四社だったんですが、今は五社でありますけれども、そこが、国が取り組む最先端の分野に対して、いわゆる中小企業というのがチームをつくって、共同受注体制を弱点を補い合いながらやっていきたいという、企業連合で。

 いわゆる重厚長大な、大きな企業が様々日本の国の国家プロジェクトというのは関わりますし、経産省もそういうところとのつき合い、つながりというのは非常に強いんだと思いながらも、私、大臣にお伺いしたいんですけれども、中小事業者というのが、特に物づくりの技術の蓄積した地域というのは様々な技術が眠っているという中で、こういう取組、是非応援をしていただきたいということも思いますが、大臣の認識、ちょっと伺いたいと思います。

西村国務大臣 宇宙開発、宇宙へのプロジェクトへの参画についてのお話であります。

 まさに、この宇宙開発、各国共に官中心から民主導に大きく移行をしてきております。そうした中で、民間の様々な技術を持った企業が参入をし、あるいは連携をして取り組んでいくというふうな動きが広がってきているところであります。日本におきましても、まさにゲームチェンジともいうべき好機でありますので、宇宙産業の成長に民間の技術を導入していく、そして宇宙産業を成長につなげていく、こうした必要があるというふうに認識をしております。

 地域の中小企業がその技術の強みを生かして宇宙産業に参入していくというのは、大きな可能性もあるというふうに思っております。御指摘がありました北海道でありますけれども、大樹町は確かに打ち上げをやり有名でありますけれども、多くの中小企業やベンチャー企業が参入をしているという認識をしております。

 その中で、室蘭は元々鉄の町、日鉄、新日鉄の大きな工場もありました。様々な金属加工を始め、そうした中小企業が加工技術を持っている。そうした企業がたくさんあるものというふうに思います。

 そうした中で、何社か集まって地域発でこうした取組が行われているというのは、大変頼もしく思っているところであります。是非、きらりと光る技術を持った中小企業が、こうした宇宙の分野、あるいは航空の分野、こうした分野で活躍していくことを期待をしたいというふうに思います。

 今回、まさに宇宙分野における商業化を強力に後押しするために、総合経済対策におきまして、JAXAに十年間の宇宙戦略基金を設置をして、複数年度にわたる支援を実施していく、いわば基礎技術のあるような企業がそれを商業化していく、そうしたことを支援をしていこうということを決定したところであります。

 経産省としても、こうした取組を通じて、是非、技術を持った企業が参入をし、全体として日本の宇宙産業が国際市場でしっかりとリードしていけるような、そうした支援を継続をしていきたいと思いますし、特に、中小企業の皆様方の裾野の拡大に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

山岡委員 大臣に最後、もう一つ伺うんですけれども。

 共同受注の体制が全国で初のケースなのか、これはちょっと私も全てを把握しているわけじゃないんですが、相当珍しいケースなんだろうと思いますし、今のお話のように、是非、期待を深めていただくのはありがたいところなのでありますけれども、例えば、JAXAでいえば、打ち上げについて余り芳しくないニュースもあったり、航空事業でいえば、MRJ、国産ジェットが、型式証明の技術はあっても、技術があることを証明することが難しいという壁の中で、なかなかうまく進まなかった。

 この五社も、航空分野への対応、国際的な規格を取るためにいろいろな努力もされていたり、具体的な努力もされています。二〇二〇年からコロナが始まってしまって、航空分野がちょっと停滞してしまったので、そうした遅れはあったんですけれども。

 こうした中で、やはり役所に中小企業への支援と伺うと、どうしてもものづくり補助金とか事業再構築とか、ごく一般の、中小企業一般で皆さんが自主的にこの補助金を使ってくださいというものに限られますという話なんですけれども、今回、半導体、ラピダスみたいに国がプッシュしてそこをやっていくという考え方に切り替えていく中で、例えば国際規格を取るというところのもっと具体的な支援もあるかもしれませんし、たとえ中小企業のグループであっても、やはり具体的なプッシュ型の支援というのも是非検討していただきたいと思うんですが、最後に大臣に御見解を伺いたいと思います。

西村国務大臣 まさに産業構造が大きく今変わろうとしている中で、この宇宙分野、航空分野というのは非常に魅力的な新しいニューフロンティアとして期待できる分野でありますので、中小企業の皆さんがこうした分野に参入していく中で、もちろん、技術を展開していく、その支援もそうですし、おっしゃるように、特に国際的な規格であるとか、こうしたものを満たしていかなきゃなりませんので、そうしたことへの支援もしっかりと行っていきたいというふうに考えております。

山岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、山崎誠さん。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 今日は質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。大事な時間ですので、早速進めたいと思います。

 まず、大阪・関西万博についてです。

 二〇二五年四月開幕の大阪・関西万博ですが、本当に予定どおりに開催できるのか、国民の多くが心配をしております。残すところ一年五か月ですが、開催準備の進捗状況等についてお聞きをしてまいりたいと思います。

 こうした大事業については、プロジェクトマネジメントというのが極めて重要でございます。これは言うまでもないのでありますが、私は、前職でエンジニアリング会社に長く勤めておりました。プロジェクトマネジメントの重要性というのは現場で学んできたつもりであります。

 プロジェクトマネジメントの基本は、コスト、スケジュール、それからロジスティック、物流ですね、それから品質、安全、こうした管理の柱を有機的に総合的に結合して、それをマネージしていくということであります。これが大阪・関西万博で本当にできているのかどうかという問題であります。

 コストについては、予算委員会などで議論がありましたけれども、最大二千三百五十億円に上振れする見込みだと、当初予算から二倍近いコストアップという話になっています。これは、コストコントロールという意味では、ある意味非常に大きな問題がある。

 スケジュールについても、建設工事の遅れがあるのではないか、極めて難しい局面にあるのではないかというふうに感じております。急いで工事を進めれば、品質とか安全だとか、こういった問題にまたつながる、そうしたリスクも大きくなるということでございます。

 具体的にここからお聞きをしたいんですが、万博の準備作業に関わるプロジェクトマネジメント体制がどういうふうになっているか。これは幅広いのでありますけれども、特に会場整備について、整備局というのが協会の中にございます。整備調整部があって、会場整備部というのがある。具体的に、どんな組織をつくって、どういう人員で、責任者は誰で、どんなコミュニケーションが図られているのか。

 プロジェクトマネジメントというのは、スキルと経験が不可欠です。誰でもできる仕事ではありません。組織にそうした人が本当にいるのかどうか。土木や建築や設備、それから電気設備、コスト、スケジュール、それぞれどういう専門家が今この組織に配置をされていて、それぞれの担当者のスキルはどういうレベルなのか、できるだけ具体的にお示しをいただきたいと思っております。

 そして、市やあるいは府から出向者がいる。大半の方がそういう方なのでありますけれども、市や府にそれだけの人員が本当にいたのかどうか。逆に、多くのそういう大事な人材が市や府からこの協会に来ているとすると、じゃ通常業務は大丈夫なんだろうか、そんな疑問も湧くのでありますけれども、このプロジェクトマネジメント体制についてできるだけ具体的に御説明いただきたいと思います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 まず、大阪・関西万博の博覧会協会の実施体制ということでございますけれども、今委員からも御指摘ございましたが、特に整備に関する部分については、大阪府、大阪市から出向した建築、土木、設備系の経験を有する技術職員が中心になって構成をされています。整備局全体では、今九十一人の人員になっておりまして、うち七十六名が府市からの出向者ということになります。残り十五人は民間からの出向者でございまして、この民間からの出向者も、ゼネコンそれから設備メーカー、インフラ企業、こういったところから来ている技術系の職員が中心になります。

 今どういうスキルの方がいるのかという御指摘がございましたが、今、土木関係で五年以上の業務経験がある方が全体で二十三人、建設関係で五年以上の経験がある方が四十九人ということで、これで全体の七十数名以上は土木建築の経験がある職員ということになります。こうした職員が工程管理を行っていくわけでございますが、これは、施工に関わるコンサルタントにも外注をしまして、こういった事業者に入っていただきまして、工程管理を続けております。

 博覧会協会と施工を行う施工事業者の間でも週一回の定例の会議が行われておりますし、それから、博覧会協会と施工事業者、そしてプロジェクトマネジメントを行う支援事業者の三者においても週一回の定例会議を実施しまして、全体の総合工程の管理それから課題の整理、また、ここで出てきた課題の調整あるいは全体工程への反映、こういった作業を行っているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 府市から七十六名も来ていらっしゃるということであります。ほとんど、その方々がやはりキーパーソンかなと思うんですね。

 組織についてお聞きをしているんですけれども、私は、具体的にどういう部門がどういう区画、整理をしながら仕事をしているか、何度かお尋ねしたんですが、なかなか全体像が見えません。

 それから、プロジェクトマネジメントというのは大勢集まればいいというものではなくて、マネジャーが、誰がその部門の責任者で、その人たちがどういうスキルとそして経験を持ってやっているかというのが、非常に、ある意味私はキーになると思います。

 全体の会場整備のプロジェクトマネジャーは誰ですか。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 協会のこうした会場整備の責任者は、田中さんという副事務総長が担当しています。この方は、大阪府、大阪市、それぞれで副市長、副知事もお務めになって、建設土木部門のトップをずっと経験されてきた方で、この方が責任者になって、全体のプロジェクトマネジメントをしております。

 また、その下に各局がありますが、その整備局長も、これは大阪市からの出向者ということになっております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 私が心配するのは、やはりこうした体制。それぞれの専門家が来ているのは分かりました。それで、市、府、それぞれ違う組織から、違う風土の中で経験をしてきた人たち、それに民間も入り、そして支援の組織も入れているというのは聞きました。そういった方々が、ある意味、寄せ集めでできている組織で、今言ったような本当に複雑な、管理しなければいけない要素をちゃんと工程管理ができているのかどうか。

 例えば、ロジスティックですけれども、これからいろいろな建設工事が進むと、それがどんどんどんどん搬送作業で、資材の搬送、重機の搬送、いろいろなものが錯綜すると思います。それは誰がコントロールしますか。

茂木政府参考人 まず、先ほど申し上げましたとおり、全体の統括は、今申し上げた副事務総長をヘッドにした博覧会協会がこれを行います。もちろん、全体の工程を組むに当たりましては、支援事業者になっておりますプロジェクトマネジメント会社が入りまして、ここに協議体というのができます。施工事業者の協議体ができまして、この協議体の中で全体工程の調整をしていきます。

 それから、もう一つは……(山崎(誠)委員「ロジスティックの担当は誰かと聞いているんです」と呼ぶ)ロジスティクスも含めて、ここで全ての工程調整を行います。

山崎(誠)委員 ロジスティックの調整担当は誰ですか。もう一回。

 これは大事ですよ。これからいろいろなものがどんどん動く中で、特に橋だとか、アクセスが限られると言われています。これから短い期間に大量の工事を一斉にやらなきゃいけない、そういうときに、それを誰がマネージするのか。協会全体じゃないですよ。誰ですか、それは。

茂木政府参考人 ロジスティクスも含めまして、工事全体は協会がマネジメントしますけれども、当然、その周辺の道路環境の整備ですとか、それからロジスティクスの、例えば周辺の駐車場をどう整備するかとか、こういった点も入ってまいりますので、これは大阪府市が入りまして、夢洲の連絡調整協議会というのがございます。ここには国と府市と協会が入りまして、さらに施工事業者の意見も聞きながら、ここで具体的なロジスティクスのインフラ整備なんかも含めてやっているわけです。

山崎(誠)委員 それは今お話しした工程会議だとかとはまた別に動くんですかね。

 私は、本当にそこはキーなので、これからの工事を円滑に安全に進めるためには、そして残業だとかそういったものも規制しなきゃいけないんでしょう。そうなったら、本当にそういったところも含めて、設計から建築から調達から、それから、そういうロジスティック、安全、品質、それを統合して本当に管理できる体制というのはかなり専門的ですし難しい、そういう認識で、是非、これからも組織運営、整備していただきたいし、私もそういう視点で見てまいりたいと思います。

 委員会に是非その組織体制、詳細の様子がなかなか教えてもらえないんですよ。九十人ぐらい、市から何人、府から何人、それ全体の組織図をいただけませんかね。これは委員会に提出をお願いします。

岡本委員長 理事会で協議します。

山崎(誠)委員 それからもう一点、工程会議の議事録、これはどんな工程会議が行われているか、これも是非、やはり、知りたい、大事なポイントだと思っています。今のようなロジスティックの話が後回しになってはいけないので、それがどういうふうに組み込まれているのか、コストもありますよ、工程もありますよ、安全も、こういったことがどういうふうに議論されているか分かるように、できましたら八、九、十で、工程会議でどんな議論がされたのか、議事録の提出をお願いしたいと思います。

茂木政府参考人 今御指摘ございました議事録でございますが、先ほど申し上げたような博覧会協会と施工事業者で行っております協議体でございますが、ここで行われている協議、会議の状況につきましては、これは、施工事業者それからプロジェクトマネジメント支援事業者が、各者の技術ですとかノウハウ、知見に基づく議論が実施されておりますので、当該者の今後の業務に影響を及ぼす可能性もございますから、公表は差し控えたいというふうに存じます。

山崎(誠)委員 委員会には是非提出をお願いをしたいと思います。

 いや、秘密の部分はいいですよ、黒塗りで。どういう頻度で、どういう人たちが、どういうふうに、名前は要らないですよ、どういう役職の方々がどういうふうに会議をしているかが知りたいんです。秘密は隠していいです。黒塗りで構いません。提出を求めます。委員長、お計らいください。

岡本委員長 理事会で協議いたします。

山崎(誠)委員 続けてですが、この進捗の中で今一番心配になっているのは海外パビリオンだと、これは所信の御挨拶の中でも大臣も認めていらっしゃいます。この海外のパビリオンの建設が遅れている、これは全体像がなかなか見えません。

 何か国がエントリーしようとしているのか、その国がどこなのか、それぞれの国の準備がどこまで来ているのか。例えば、エントリーを希望している国が何か国、五十か国、六十か国、それから、基本計画が提出されている国は。ぽつぽつとメディアでは報道されますけれども、全体、どこがどういうふうに提出したのか、仮設の許可申請は済んでいるのか、建設工事の契約が済んでいるのはどこなのか、いつ着工する予定でいつ完成する予定なのか。こうした情報がないと、もうプロジェクトマネジメントが成り立たないと思うんですよ。

 これは、もちろん、一定の、何か契約がまだなので秘密なんだというお話をされるのでありますけれども、国民も非常に関心が高くて、これからチケットを買うにしても、どういう国のパビリオンが建設されるかなんというのは知りたいわけですよ。でも、どこの国が本当に出てくるかも分からないし、その進捗も分からない。

 こういう状況というのは、私は、情報管理はもちろん大事ですけれども、誰が把握をして管理をしているのか、少なくともこれはオール・ジャパンのプロジェクトと言っているんだから、協会任せだったり、あるいは大阪市、大阪府に任せるのではなくて、国もきちっと把握しているという認識でよろしいでしょうか。

西村国務大臣 海外パビリオンについてでありますが、百五十を超える参加国のうち、約百か国が入るタイプB、タイプC、これはもう博覧会協会が建設するもので、建設事業者は決まっておりまして、既に着工済みであります。

 そして、参加国が自前でパビリオンを建設する、これがいわゆるタイプAですけれども、現時点で約五十か国ありますが、そのうち二十四か国が建設事業者を決定し、着工に向けて準備をしているという状況というふうに承知をしております。

 そして、このタイプAの、まず出展する参加国の総数でありますが、参加国の出展形態は博覧会協会との参加契約により決定されるものであります。協議中のものもありますので確定的な国数は申し上げられませんが、各国が自ら公表しているところがありますので、これは、十八か国においては締結した旨をもう公表しております。アメリカ、オーストラリア、イタリア、オーストリア、カナダ、オランダ、サウジアラビア、スイス、ブラジル、フランス、こういった国々を含めて十八か国は、自ら、締結したことを公表がなされ、博覧会協会において締結した旨を公表されております。

 したがって、それぞれの国の事情がありますので、国の了解なしに一つ一つの国がどうなのかということは申し上げられない状況にはありますけれども、しかし、できる限り透明に、公表しながら進めていきたいと思っております。

 現在、建設事業者が決定をしております、先ほど申し上げた二十四か国のうち、重なる部分もありますが、イタリア、カナダ、フランス、ベルギー、ルクセンブルクの五か国は、先ほどの十八か国に含まれておりまして、参加の旨を公表しております。

 ということで、各国ちょっと事情はありますが、いずれにしても、参加国にマンツーマンで今個別の伴走支援を行って、早く事業者を決定してほしい旨、そして、こちら側からは事業者とマッチングなども含めて進めているところでありますので、いずれにしても、できる限り早期に着工し、着実に建設を進めていきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 この後、対応をお聞きをしたかったのでありますけれども、マンツーマンで対応しているというお話であります。これは、どのぐらいの体制でマンツーマンといってもやられているのか。特に、国の関与だとか、多分、外務省の方が手伝ったりとかいろいろあると思うんですけれども、それがきちっとできているのか。それが、本当にめどが、例えば五十か国、まあ、これはなかなかお答えにくいと思いますけれども、皆さん、ちゃんと支援すれば具体的にプロジェクトになるのかどうか、その辺りの見通しと体制、支援の仕方を教えてください。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 まず、体制としては、これは、博覧会協会の方には国際局というところがございまして、ここに六十名ほどいまして、これがカントリーマネジャーという形で参加国に、参加全体ですから百五十を超える国に対してそれぞれの担当がついています。

 それから、今回、海外パビリオンを独自で建てるタイプAという国が五十か国程度ございますが、これらの国についても、これは国の方でも、先ほど申し上げたマンツーマンのサポート体制を置いておりまして、これは私どもの下のチームで、合計十人ほどがこれに対応しています。

 これに加えて、各国といろいろな連絡調整をしたりしますので、これは外務省としっかりと連携をしていまして、各国の大使からそれぞれの国のハイレベルに働きかけたり、あるいは駐日の大使に働きかける、そういったことをやっております。

 そういう中で、タイプAの参加を検討している全ての国とは常に連絡を私ども取っておりまして、各国の進捗状況の把握に努めているところであります。既に施工事業者が決まったと言っている国におきましても、工程のヒアリングはもう既に始めておりまして、こういったヒアリングの結果を全体の工程にも反映させているところであります。

 今後も、順次ヒアリングを続けて、全体の工程を詰めていきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 是非、所信ででもパビリオンのAタイプが心配だなんということは言わなくて済むように、是非、これは万博の華と言われている大事な部分でありますから、進めてください。

 もう一つ、これは大きな話題にはなりますけれども、万博の開催意義について確認をしたいと思います。

 これは言われていることでありますけれども、インターネット時代で、どこにでも世界の情報にアクセスができる、どこにいても世界の情報にアクセスができる、万博自体の意義が失われているのではないかというようなこともちまたでは言われています。例えば空飛ぶ車を見せるために万博があるのかといえば、決してそれだけではないし、それは余りもう意味がない時代なんじゃないかなというふうにも思います。

 これだけ国際的な紛争、緊張が続いています。万博を開く意義というのも、そういった国際情勢にもきちっと配慮して、あるいは、そことどういうふうに結びつけていくかというのは、やはり今、日本は問われていると思います。極めて難しい課題だとは思います。例えば、ロシア、ウクライナの出展というのはどうするのか、あるいは、パレスチナ、イスラエルはどうするのか、北朝鮮は、中国は、極めてその中身が今重要になっている、問われていると思います。

 大臣、これは西村大臣、どうお考えですか、どうお感じですか。

西村国務大臣 おっしゃるように、万博の意義、これは時代を経ている中で変わってくるものというふうに思います。私が八歳だったですかね、まだ小学生低学年かだった頃の大阪万博、月の石を見るためにえらく並んだ記憶がありますけれども、あのときに、いろいろ宇宙に思いをはせた、そんな記憶もございます。

 日本にとりましては、この二五年の大阪・関西万博で、日本の、まさに今潮目が変わって、新しい技術、日本は技術開発、イノベーションで世界をリードしていくという決意で臨んでいく中で、新しいイノベーションの可能性をしっかり示して、未来社会を示していくという、そうした場にしていきたいと思っておりますし、それを子供たちや若い人たち、老若男女問わず、それに刺激を受けていろいろなことに挑戦していこうという気持ちを持ってもらえるような、そんな万博にしていきたいと思います。

 確かに、単体でいえば、空飛ぶ車もやがて、どこでも見られるようになると思います。大阪ならではのアンドロイドロボット、それからiPS細胞で心臓のシートであるとか、心臓が再生細胞でまさに動いていく、そうしたシーンであるとか、多言語翻訳の技術であるとか、あるいは新しいエネルギーの技術であるとか、様々な未来のテクノロジーをこの一か所で体験できる、見られる、そして各国が、それをいわば切磋琢磨しながら、それぞれの魅力を発信をしていく。これはこれで、私は、大きな魅力あるコンテンツがそろうものというふうに期待をしておりますし、必ず、多くの皆さんに未来を予見してもらえるような、そういう万博にしていきたいというふうに考えております。

 今月末からは入場券も販売されますので、子供料金など、前売りで千円とか千二百円とか非常に安い価格も設定されておりますので、是非、そうした若い人たち、子供たちが見て未来に挑戦をしていくという気持ちを持ってもらえるような、そんな万博にしていきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 そこまでは多分今までと同じ答弁でよかったんだと思いますよ。ただ、今は国際情勢が違うからね。やはり今非常に難しい局面の中で、これは、もちろんそういう外交的な側面というのは、もしかすると余り好ましくないのかもしれませんけれども、私は、日本がやる以上は、極めてそこの、平和をどういうふうにこれからつくっていくのか、そういう視点でも是非、この万博をうまく、いい意味で活用していただきたいと思うので、今日全然それに触れていただかなかったんですが、そこも大事なポイントだということを指摘させていただきます。

 時間がないのでありますが、二〇二七年に国際園芸博覧会が、これも第一級の事業が行われます。こちらのマネジメントは大丈夫ですかというのが今日の御質問でありまして、例えば、当初の予算というのはもう見直しをしなければいけない、そういうタイミングではないかなという気もするし、また、海外と、参加国とのコミュニケーションなんかも、早め早め、先手先手で行ってほしいですし、それから、これは今日の答弁でも、そういうことはないんだというふうなことでありましょうけれども、万が一、大阪・関西万博の開催が遅れたような場合は、これは、二〇二七年の花博、国際園芸博覧会、二年後と決まっていますから、これにも直接影響してきてしまう。

 こういったことを踏まえて、この国際園芸博覧会が、今どういうマネジメントを行われていて、今後、この万博の経験なども生かしてどういうふうにやっていこうとしているか、お聞きをしたいと思います。よろしいですか。

石橋大臣政務官 御質問ありがとうございます。山崎委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 御指摘のとおり、二〇二七年の国際園芸博覧会であります、今準備を目下進めているところでありまして、まず一点目の、外国の参加国とのコミュニケーションでありますけれども、現在、本年の二月から、在外公館を通じまして、各国に対して正式に参加の招請活動を開始をさせていただいたところでございます。

 また、在京の大使館に対しましても、大使館への訪問等を実施しまして、各国に対しての着実な参加を呼びかけをさせていただいているところでございます。

 もう一点、先ほどの、二〇二五年に大阪万博、関西万博がありまして、二〇二七年の国際園芸博覧会まで余り時間がないということの御指摘がありましたけれども、おっしゃるとおり、我が国でこれまでに開催された国際博覧会の中で最も短い間隔においての国際博覧会の開催ということでございますけれども、現在、大阪・関西博の準備状況をしっかりと参考にしながら、国際園芸博覧会の方もスケジュールに遅れが決して生じることのないよう、関係府省庁、また博覧会協会などと連携をして、万全の準備を進めてまいりたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 是非、今日のお話も参考にしていただいて、プロジェクトマネジメント、強化をしていただきたいと思います。

 残り時間が、質問がたくさんあるんですが、限られております。

 次の話題。ALPSの、この処理の設備、東京電力福島第一原発であります。その配管の洗浄時に汚染廃液が飛散をしてしまったという事故について。これは、二名が入院するということでありまして、私は極めて重大な事故が発生してしまったと認識しております。

 経緯とか、細かくはちょっとお尋ねできないところでありますけれども、規制委員会の委員長、山中委員長に来ていただいています。これはどういうふうに報告を受け、今この事故にどういうふうに対応されているのか、お聞きをしたいと思います。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 事故当日、私は、午後二時前に事故の実情を報告を受けました。規制委員会には、事故直後に連絡があったというふうに報告を受けております。

 現在、現地の検査官が中心となりまして、主に作業の品質管理の観点と放射線業務従事者に対する放射線安全の観点から検査を実施し、保安上の問題点の確認をしているところでございます。

 具体的には、当該事案の発生経緯、発生要因等を確認をいたしまして、作業に関わる品質管理が実施計画に定められたとおりに行われていたかを確認しているところでございます。

 また、作業員への放射線による影響については、現在、東京電力が行っている被曝線量評価の結果を規制委員会として確認する予定にしております。

 最終的に、実施計画違反の影響の程度や発生防止策の妥当性等については、この検査結果を受けて判断する予定であり、その判断に基づき、必要な改善策の実施について東京電力を監視、指導してまいります。

山崎(誠)委員 ちょっとはしょりますけれども、私は、この事故、やはり重大な事故でありまして、このまま作業を続けさせていいのかどうか、保安検査だとか規制委員会の調査が入る間は、少なくともALPSの運転の停止だとか、あるいは、少なくとも同一下請会社の作業の停止等を命じる、命じることができなければ、それはちゃんと相談をして東京電力に対処を取らせるべきだと思いますけれども、これは西村大臣、いかがですか。

 今の、ただ厳重注意だけで、それで済ませて、この後どういう結果になるか分かりませんけれども、きちっとここで、今の段階で危険が発生しないように対処すべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

西村国務大臣 私どもとして、作業に適した装備の徹底を図るなど、改善すべき点はありますので、これについてはもう既に指導をしておるところでありますけれども、引き続き、経産省として、再発防止を徹底して、安全確保に万全を期すように東京電力を指導していきたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 時間がなくなりました。

 最後に、ALPS処理水の海洋放出が今行われています。このプロセスが正確に確実に行われているかということ、これは生命線です、この海洋放出の。

 東京電力に、今回のような作業上のルール違反だとか、今日触れられませんでしたけれども、この事故を隠蔽するようなそういう報告、そうとも取られかねないような報告などがあれば、私は、海洋放出の前提が大きく揺らぐと思います。

 こうしたトラブルとか隠蔽というのは今回だけではありません。厳しいことを言えば、現在の東京電力に原子力発電事業を本当に任せておいていいのかどうか、そういう今重大な事態が起きているんだというふうに私は認識しております。

 東京電力も対応が甘いし、政府も私は対応が甘いと思います。これは極めて重要なことが起きているんだと、もう一回しっかりと経産省の中でも議論していただいて、厳しい対応を取っていただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。

 以上です。

岡本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山本剛正さん。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 阪神も優勝して大臣も機嫌がいいから、そのときにいろいろ聞こうかと思っているんですけれども、二十分しかないので、最初に、冒頭、ちょっと苦言を申し上げさせていただくんですが、午前中にちょっと定足ぎりぎりということがありました。

 経済産業委員会、非常に重要な委員会です。例えば、国土交通委員会が国土をデザインすることを目的とするのであれば、経済産業委員会はまさに日本の生活と未来をデザインする非常に崇高な委員会でございまして、その大臣所信に対する委員会でやはりああいうことがあるのは、私は喜ばしくないなという思いがしております。

 委員会の運営でございますので、委員長、是非、次回の理事会でしっかりとその辺の申合せをよろしくお願いしたいというふうに思います。

岡本委員長 確認いたします。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 それで、総理も西村大臣も、所信ではそれぞれ、日本の経済が改善しつつある、潮目の変化が生じているという前向きな発言がありました。

 この所信を見てみますと、一つだけちょっと提言というか提案というか。脱炭素とかALPSとか。

 ALPSという設備が、僕は英語は苦手なんですが、アドバンスド・リキッド・プロセッシング・システムの頭文字ですよね。ALPSというと、どうしてもやはりアルプス山脈とか美しいイメージを想像するのに、その水が美しいとレッテルを貼っているような、何かそういう雰囲気も、だからこそ、何か逆レッテルを貼られて汚染水とか言われていて、僕は本当に感じが悪いと思っているんですよ。やはりそういったこととか、あと、脱炭素も、カーボンニュートラルを目指しているわけであって、炭素のない社会を目指しているわけではないので、そこら辺をしっかりとやはり捉えていくべきなのかなという思いをしております。じゃないと、人間の吐く息にも税金をかけるぜみたいな話になってしまいかねないので、脱炭素とか言い始めると。

 だから、やはりそこは正確に発言をしていくことが重要かなというふうに思っておりますので、大臣にも経済産業省の皆さんにも御検討いただければなというふうに思います。

 経済産業委員会というのは、非常に明るく楽しくやる、与党も野党も関係なく、やはり、日本の経済はこうやっていくんだ、日本の未来はこうやってやっていくんだという明るさがないと僕は駄目だと思うんですよ。でも、ちょっと、所信を見ると、何かきれいな言葉を並べてわくわくしなかったんですよ。まあ、わくわくするのがいいか悪いかは別にして、でも、日本の未来を最も考えておられる西村大臣ですから、やはりそのわくわく感は僕は欲しかったなと。

 だから、この場で是非、唯一お金を生み出すことのできる省庁である経済産業省の心意気というものをしっかりと出していただくためにも、もっと野心的な目標や施策を積極的に講じていく必要があるということを大臣の口から是非述べていただきたいと思います。

西村国務大臣 前回までは足立議員とそんなやり取りをさせていただいてまいりましたけれども、今回は山本議員とこうしてざっくばらんに、いわば本音で語り合える、議論ができる。大変うれしく思っております。

 まさに、日本経済が今潮目が変わってきたというふうに申し上げていますが、やはり三十年間停滞したわけですね。二十年のデフレもありました。賃金も上がらない、売上げも上がらない。総理は、そのためにコストをカットしたということで、コストカット型経済と言われています。まさに人件費も抑え、やってきた。拡大、何か成長していこうという感じが見られなかった、投資もなかった。それが今の現状につながってきたんだと思います。

 この間、私も、経済政策に関わる中で、じくじたる思いもあります。それが、今潮目が変わってくる中で、まさに企業も時代の変わり目にどんどん挑戦していこうと。まさに期待したいのはアニマルスピリッツで、まだ誰も開拓したことのないような、デジタルの世界、あるいはカーボンニュートラルに向けてのいろいろな技術、これに挑戦をしようという意欲は物すごく強く出ていますので、これを後押ししていきたい。これによって、成長していけば当然所得も上がっていく、賃金も上がっていくという社会をつくっていかなきゃいけない。今、それを今回の経済対策は第一歩としてスタートを切ろうということでやっているわけであります。

 もちろん、足下、物価が高いですから、物価高がありますので、それに賃金がまだ追いついていませんので、その状況はやはり家計が苦しいということでありますので、家計への支援ということで給付、減税を行いますけれども、これは、いわば、まだまだ賃金が追いついていない状況でやることでありますので、基本はやはり所得を上げていく、賃金を上げていって成長していく社会をつくっていくということだと思いますので、そのための投資を、今、民間企業のやる気をもっと引き出していくような、そうした税制であり補正予算でありにしていきたい、対応していきたいというふうに思っています。

 そうした中で、まさに半導体とか蓄電池とか、あるいは水素、今日も議論がありました、水素とかアンモニア、あるいは5G、自動運転、こういった世界で、世界をリードしていく技術で、イノベーションで世界をリードしていく、そうした世界がつくれるような経済政策をしっかりと打ち出していきたいというふうに思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、新しい時代に見合うものをしっかりとやっていかなければいけない。でも、経済政策というのは、経済産業省がやっていくのは、例えるならば、やはり、暗闇を歩く日本の今の経済状況の中で、光をしっかりとその道しるべに当てていく、道筋に当てていくことがまず大事かなというふうに思いますし、よく最近、賃金、賃金という話が出ます。政治の側が賃金、賃金と言うのは別に悪いことではないんですが、やるべきは、やはり、それに対する税制とかそういったことだと思うんですね。税こそ、やはり我々国会議員がやらなければならない最もたるもの。

 これは後でまたお話をしますけれども、そういった具体的な、かつ、国民の皆さんが、そして事業を営まれている皆さん方が、よし、これならこれから未来に向けてやっていこうと思えるようなものを一つ一つ打っていくことが私は大事かなというふうに思っておりますので、是非一緒になってやっていきたいというふうに思います。

 そういった中で、釈迦に説法でありますけれども、産業革命以降、例えばイギリスが、世界の工場がイギリスにあって、それがイギリスからアメリカに移転して、アメリカから日本、それで日本から中国、そしてインドネシアと今移転をどんどんしていっている中で、じゃ、イギリスは世界の工場がなくなって何で飯を食っているか。それは、金融という新しい分野を確立をして、今それが世界を席巻している。

 アメリカから日本に世界の工場が移ったときに大きな経済摩擦がございました。でも、その中でもアメリカは、私は、宇宙工学とインターネット、ITで今まさに世界を席巻していると思うんです。

 じゃ、翻って日本を見たときにどうか。いまだに、やはり製造業。日本の製造業はすばらしいですよ。でも、製造業には、例えば大量生産であったりとかそういうものがかかったときに、やはり人件費の問題とかいろいろ出てきます。そういった中で、やはり製造業も大事だけれども、それにプラスアルファした、新しい、全くもって違う産業、例えば、空はもうアメリカに牛耳られているとするならば、私、冗談のように人に話すんですけれども、どんな熱にも耐えられる、どんな岩盤でも貫き通すドリルを開発をして、ある日突然、平壌にぴゅんと出ていくとか、それぐらいの、そんなことできるわけないよというようなものを発想をして、それをやっていこうというようなことがやはり僕は必要だと思うんです。

 私は、クールジャパンというのがあったんですけれども、あれこそが日本の大きな変革になると思っていたんです。僕があのとき言っていたクールジャパンは、世界の技術が日本に来れば、日本というのは、技術力もあるけれども、やはりアレンジ力がすばらしいんですよ。その日本のアレンジ力で、世界の技術やアイデアが日本に集まって、プラットフォーム化して、世界の片隅にいる人が日本を目指せば、俺のこの技術がもしかしたら世界で花開くかもしれない、それが僕はクールジャパンだと思っていたのに、やれアニメだ、やれ何だのといって、結局、変なものに食い潰されてしまって、おかしなことになってしまった。

 私は、もう一回それをやっていくべきだというふうに今でも思っております。名前は変える必要があると思いますが、そういう新たな産業というものを、先ほど大臣もおっしゃられましたけれども、我が党は、やはり成長力の強化とか国内投資の促進には夢のある規制改革や構造改革が不可欠だということを馬場代表も代表質問の中で言っております。我々日本維新の会は、やはり潮目を迎えているからこそ様々な分野で大改革が必要だということで、日本大改革プランというものもお示しをしているわけでございます。

 是非、大臣も所信では、新しい時代への経済構造の転換、改革を図る必要があると述べられているわけでございますが、その内容というものを具体的にお示しをいただきたいというふうに思います。

西村国務大臣 おっしゃったように、まさに新しい発想で、大胆な発想で、これまでの前例とか既存の価値観にとらわれないような何か斬新なアイデア、日本ではよく、異端とかはみ出した人は何となく疎外されるみたいなことがこれまでありましたけれども、そうではなくて、そういう変わった考えを持って何かチャレンジする、新しい技術に挑戦する、奇想天外と言われようとも挑戦をしていく。

 今、宇宙エレベーターを造ろうとしている企業もあります。宇宙で大太陽光パネルを開いて、そこで発電して、レーザーで地球に送ってこようという、そんな技術もやろうとしている人がいます。そうした大胆な発想を歓迎して、それを是非挑戦していけるような、そうした環境をつくっていきたいと思います。

 そうした中で、いろいろなことをやろうとするとどうしても規制があるということですので、我々としても、その規制を、既存の規制があって何か新しいチャレンジができない、障害になっている、これはもう是非見直していくべきだというふうに思っております。

 そういうときに、サンドボックス制度とかグレーゾーン制度等があって、サンドボックスはまさに砂場という意味で、子供が自由に何かやっているのと同じように、新しい発想で自由に何かできる、そうした制度があります。

 これで実は、電動キックボードのシェアリングビジネス、これも、最初はそこでやりながら、今はもう一般のビジネス化しているわけでありますし、新薬の治験のデータの信頼性をブロックチェーン技術によって確認するビジネス、こうした分野も展開をしてきました。これまで約三十件ぐらいの、そうした規制改革に挑戦をして実現をしていっております。

 もう一つ、グレーゾーン解消制度。これは、黒なのか白なのか分からない、やっていいのかどうか、そういったものについて確認をしていく制度。グレーゾーン制度、これはこれまでに二百六十三件あって、新事業特例によって十六件、新しい事業が展開してきております。

 こうした仕組みがありますので、新しい産業、何か挑戦するときには、いろいろな規制改革、もちろん特区の仕組みもありますので、こういったものも使いながら、それでできるとなれば規制を変えていけばいいわけですので、是非大いに挑戦をしていただきたいというふうに思います。

 税制の議論もありました。知的財産から生ずる所得に対して優遇する減税制度、イノベーションボックス税制というのも各国で導入されております。これで利益が出れば次のまた投資ができますので、継続的なイノベーションを後押しするということで、こうした制度についても創設に向けて検討を進めているところであります。

 是非、大いに新しい産業に挑戦をしていただきたいというふうに思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 是非、本当にやっていただきたいというふうに思いますし、未来を見据えた経済産業省の施策に期待をしたいというふうに思います。

 大きな話から、先ほど誇り高き馬場先生もお話しになられたガソリン補助金についてちょっと話をしたいと思うんです。

 まず、一点確認なんですけれども、今年の五月まで、毎週のガソリン全国平均価格への激変緩和事業、ガソリン補助金の効果について、支給額と抑制額を発表したものが過去にわたって見られるようになっていたんですけれども、五月以降、毎週発表はあるんですけれども、過去のものが見られなくなっている、この理由をちょっと教えていただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、以前は週ごとのガソリン価格や抑制額を全て記載してございましたけれども、事業期間の経過に伴い、週を重ねるごとに、文字が小さく、グラフが見えにくくなってしまいましたため、基本的な推移をお示しするに十分な程度まで価格や抑制額の記載を簡略化させていただくこととしたものでございます。

 いただいた御指摘を踏まえて、引き続き、分かりやすい公表方法を工夫させていただきたいというふうに考えてございます。

山本(剛)委員 是非お願いしたいと思います。

 私は、二月の予算委員会で西村大臣とガソリンの補助金の話をしました。予算ベースでガソリンと灯油に絞ってやったんですけれども、重油だのジェット燃料だのという話が出てしまって、ちょっとぼやっとしてしまった話になったので、今回は予算じゃなくて実績からひもといてみたんです。

 今日お配りしている資料を皆さんも御覧いただきたいと思いますが、この激変緩和対策事業で、実績ベース、七十週間の平均単価が二十四・二円なんですが、その期間の販売量の実績値五百九十五億リットルを乗じて算出すると一兆四千三百八十九億円、トリガーを引くと、同じような七十週の平均引下げ額で一兆四千三百五十八億円。それで、引下げ効果はそれぞれ二十四円と二十五・一円でございまして、一・一円。

 でも、これだけじゃないんですよ、実は、補助金の場合。管理費というものがありまして、石油協会に基金を積んで、それを博報堂さんがやられているかと思うんですが、そこで結構な金額が実は管理費として、九月までの段階の多分試算だと思うんですが、百四十二億円あるんです。九月から春まで延長になっていますので、これが更に加算されるというふうに考えると、やはりトリガーだった方がよかったんじゃないのかなと。

 先ほど、価格が反映しているのか反映していないのかみたいな話もありましたが、この価格の反映の話にしても、調査があって、調査では、約二割が補助金全額分抑制できていない、約三割のSSが補助金全額分抑制できているか分からないという回答があったというのが出ているんです。

 そうすると、いろいろなことを考えなければいけないんですけれども、確実に、消費者目線で考えたときには、実感をお届けをするのであれば、私は、トリガーの活用、そして最終的には暫定税の廃止、やはり長きにわたってやっているこの暫定税を廃止する方向で考えるべきだというふうに思うんですけれども、是非、その辺はいかがでございましょうか。

西村国務大臣 まず、激変緩和措置を行ってきておりますけれども、その仕組みとトリガー条項の発動とどちらがいいかという点でありますが、先ほどもおっしゃいましたけれども、まず、今回、灯油や重油についても対象にしておりますので、その点が違うということですね。それから、迅速に、臨機応変に価格抑制を図ることができるということがあります。それから、補助の仕組みを調整することによって、価格が下がりそうだというときは買い控えが起こりますし、今度は、上がりそうだというときは駆け込みで買いだめとかをするということが起こりますので、流通の混乱を防ぐことができるというメリットがあります。

 全体として、そういう意味で、税制による対応よりも柔軟性が高いということで、状況を見ながらきめ細かに対応できるというメリットがあると思います。

 それから、今、総額の指標を出されましたけれども、補助が高いときは、二百十円を超すようなときに四十円前後の補助金を投入するということで、トリガーの発動の二十五・一円よりも更に価格抑制を図ることができるというメリットもあります。

 御指摘のように、補助金の場合には管理コストがかかるという御指摘ですけれども、他方で、トリガー条項発動の場合は、ガソリンスタンドの経営者に、今度は在庫に係る揮発油税等の還付申請の事務が発生をします。事業者に事務負担が発生するという課題もありますので、そういったことを総合的に判断して、私ども、今、激変緩和措置で対応しているということであります。

 そして、補助の効果が適切に価格に反映されるよう、元売がその分引き下げたことを確認して、事後払い、事後精算でやります。それから、全数調査もしております。

 もちろん、市況は動きますので、下げたけれどもその後上がってくるということもあるでしょうし、下げた以上に周りとの競争で下がることもあるでしょうから、いろいろと状況は日々変わりますので、なかなか、一概に把握するというのは非常に難しいんですけれども、しかし、事後精算をするということでしっかりと、投入した金額は値下げに使われたことを確認して支払いをしていくことにしておりますので、無駄のないように対応していきたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 ガソリンの買いだめというのはいまいち、僕、ちょっとぴんとこないんですけれども。車に入れられる量というのは決まっているから、持ち運びはかなり危険なのでできないということで。

 また、トリガーを引いたら事務負担が増えますよ、それは分かります。でも一方で、じゃ、暫定税を廃止したら別にその事務負担はないので、やはりこれは大きな議論が必要だと思うんです。

 二重課税と言われる問題もあります。これは政府からいうと、ガソリンについては庫出税だから、軽油は引取税だから、各々税の負担者が違うからというような話で、税はコストみたいなことを言うわけですけれども、じゃ、コストというんだったら、企業努力でどうにかできるものもあるわけですよ。そうすると、じゃ、五十三・八円かかっていますよ、ガソリン税。でも、うちは企業努力をしていますから四十五円にしますわなんというところは一個もないわけです。つまり、負担はやはり消費者なんですよね、こういうふうに考えると。

 やはりそういうふうに考えたときに、この税の在り方というのは、ちょっと時間が来てしまったので、質問、申し訳ありません、これはまた次回やりますけれども、この大きな議論を、予算の枠組みとかそういったものは役人の皆さんもできるし、役人の皆さんの知恵がなければできない。でも、税の話、特に税率を決める話、これは実は役人の皆さんにはできないんです。国会議員だけができるんですよ。これこそが、私はやはり日本の国会議員が真剣に、真摯に議論していかなければいけない問題だというふうに思っておりますので、是非、大きな議論をこの暫定税についてやっていくことを、私もその議論をしっかりとやっていくことをお誓いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。質問、ちょっと申し訳ありませんでした。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、市村浩一郎さん。

市村委員 日本維新の会の市村でございます。

 今日は、こうして西村大臣と議論できることを楽しみにしてまいりました。西村さんとは、もう二十世紀の後半ぐらいから御縁をいただいていますので、足立さんや山本さんみたいにはなりませんけれども、ざっくばらんに議論をさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

 それで、まず最初に、送電網の整備推進ということを所信で述べておられています。それ自体にも大変興味があるところですが、私は、今日はその議論ではなくて、電気ということに、第二次産業革命は、第一次が蒸気であり、第二次が電気だったんですけれども、大変それは革新的なことだったわけでありますし、電気を用いていくということを百年以上にわたりまして世界はやってきているわけですけれども、しかし、その前は、電気がない前は、じゃ、どうだったのかというと、例えば熱というものを効率的に使っていた。効率的だったかどうかはちょっとおいておいて、熱というものを使ってきた。ですから、やはり我々は、熱というものを使うことを、熱を熱として使うことをちょっと忘れているのではないかな、こういうところを思うところがあります。

 熱には温かい熱と冷たい熱というのがあるわけでありまして、温熱ということに関しては、例えば製鉄所から出る温熱を発電に利用しようとかいうことで、神戸製鋼さんとかもそういう発電所を持っておられるということでもあると思いますが、じゃ、一方、冷熱というものをどう使うかということもやはり私は議論すべきであると思っております。

 じゃ、冷熱は一体どこにあるのということなんですね。冷熱を生み出すのにまた電気を使うんじゃないかとか。確かにそうなんです。

 しかし、今日も、先ほども水素の議論もやっていましたけれども、あれは液体にして運んでくるのが一番いいわけですね、体積がちっちゃくなりますから。じゃ、そのときに一体何度の冷熱を使っているかというと、マイナス二百五十度ぐらいです。あと、LNG、液化窒素、液体ですね。それは大体マイナス二百度ぐらいです。そこまで下げて液化して運んでくるということです。

 じゃ、その運んできた冷熱を今どうしているかというのを、大臣、これは御存じでしょうか。大臣じゃなくても、その冷熱、運んできた冷熱を今どうされているか御存じでしょうか。どうぞ、お願いします。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 冷熱につきましては、一部につきまして活用されている例もございますけれども、先生御指摘のとおり、温熱に比べますと、これからの活用の仕方というのはまだ課題が多いかと思います。

市村委員 そうなんですね。結局、一部は使われているんですが、ほとんど捨てているということです。窒素にしても水素にしても、空気中にたくさんありますから、空気中に捨てれば別に何の被害もないわけで、我々の人体に何か被害があるわけじゃないので捨てています。でもしかし、これを試算している人がいるんですが、捨てているこの冷熱、かなり使えるということなんですね。

 それで、一番の問題は何だったかというと、これはまさに、送電じゃなくて、送るときに結局熱がどんどんどんどん、この場合、上がっていくわけですね。温熱は下がっていくということになるんでしょうけれども、この場合、どんどんどんどん上がっていきます。だから、結局それで使うのが難しいねと。

 なら、じゃ、捨てるのが一番かなということになるんですが、まさにこれは、十年前ぐらいですけれども、経産省さんが約五十億ぐらい出して、冷熱を送れるような送管というか、こういうのを実験的に造って、実は成功しているんです。

 それは何のためにやったかというと、超電導送電だったんですね。超電導にするためには、それこそマイナス二百度近い温度が必要。でないと超電導現象を起こせないということですから、それだけの冷熱をずっと送れるというか保てる送電網というのを、実は経産省さんが五十億ぐらい出して造って実験しているんですね。これが実は捨ておかれているんです。

 だから、これをいま一度しっかり使って、送電ということも、もちろんこれは大切なことだと思いますが、やはり私、送エネルギー網、送エネ網といいますか、こういうものをいま一度しっかりと考えていく、せっかく技術もあるということであれば、そういうのを考えていく必要があるというふうに考えておりますが、大臣、いかがでしょうか。

西村国務大臣 御指摘の件は石狩市での取組ではないかと思いますが、LNGを気化する際に未利用の冷熱を高温の超電導ケーブルの冷却に活用するということで、データセンターなどへの効率的な電力供給を目指したということであると認識をしております。

 まさにそうした利用されていない熱エネルギー、最近でいいますとヒートポンプなんかも欧米で非常に人気でありまして、非常に日本のメーカーが今活況を呈しておりますけれども、まさに利用されていない冷熱の利用というのは非常に重要であるというふうに認識をしておりますが、輸送時のロスがあるということで、遠いところでなかなか使えないというところがありますので、足下では、まさに、LNGを気化するときの冷熱、あるいは近接するLNG基地内での水産物の養殖とかドライアイスの製造、こういった取組が進められておりますので、更にどういったことができるか、引き続き、様々なアイデア、技術、その可能性を追求していきたいというふうに考えております。

市村委員 今、送電ロス、まさに送エネロスなんですが、実は、まさに経産省さんが造ったやつは、三十キロ送っても〇・〇五度しか上がらない、済みません、キロメートルごとに〇・〇五度しか上がらないということでありまして、これはもっと改良していけば数百キロでもいけるんじゃないかと。まあ、私はエネルギーというのは地産地消がいいと思っていますから、別に、また何百キロということじゃなくてもいいと思うんですね。

 とにかくLNG基地とか液化水素基地があるところの近くに、まあ、ちょっと離れてもいいです、数十キロ離れてもいいでしょうけれども、何か、例えば、今考えているのは米粉の粉砕なんですね。米をどんどん作って備蓄していくために、米として置いておくよりも、この冷熱を使って米粉を作る、それで備蓄していくという考え方もあるというふうに思っています。

 ですから、そういうことで、やはり是非とも、送電網ということについてももちろん大切なんですが、熱というのも、せっかく研究されているわけですから、熱を使う、特に捨てている冷熱を使うということも大切かなということを今日は御指摘したいと思います。

 また改めてこれは議論させてください。

 次に参ります。

 次は、あと、大臣が所信では、サイバーセキュリティー対策を強化する、この話をされました。じゃ、今、例えばクレジット専用ネットだけで年間二兆ドル、日本円にして三百兆円ぐらいが消えるということは、こういう実態は経産省さんは把握されていますでしょうか。どうぞ、お願いします。

上村政府参考人 お答えいたします。

 昨今のDXの進展やサプライチェーンの多様化等によりまして、サイバーリスクが急速に高まっていると認識をしています。サイバーインシデント等に伴う経済的損失については、御指摘の試算を含めて多様なものがあろうかというふうに思ってございます。

 こうした現状を踏まえて、機密情報の漏えいや金銭の搾取、事業活動の停止など、企業や社会に様々な被害をもたらすサイバー攻撃への対策の強化は、政府としても重要な課題であります。

 したがって、先週取りまとめた経済総合対策においても、中小企業における対策の強化を始め、産業界におけるサイバーセキュリティー対策の強化に向けた施策を盛り込んでおります。

 引き続き、我が国産業界へのサイバー攻撃を抑制、防御し、事業活動への影響を最小化するための様々な取組を進めていきたいと考えております。

市村委員 今ちょっとおっしゃっていたかもしれませんけれども、じゃ、サイバーセキュリティー対策で一体何を守ろうとされているんでしょうか。具体的に何を守ろうとされているんでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 サイバー攻撃は様々なものがございまして、その狙うものも、情報、機密情報であったりとか、それから金銭的な目的、また事業停止に至るような場合もございます。

 したがって、重要な情報を守る、それから、事業停止に至らないように継続性をしっかり確保する、こういったことが、特段、現状の産業界においてセキュリティー対策として重要になってきている、経営層においてもしっかり認識することが大事になっていると思います。

市村委員 今おっしゃったように、やはり情報なんですね。守るべきは情報なんです。しかも、守るべき情報を守るということが大切なんですね。

 実は、サイバー空間のセキュリティー対策を高めるといういろいろな対策はされているんですけれども、多分これはもう守り切れないというのが一般的、アカデミズム的に常識だというふうに聞いています。幾らウォールを高くしても守り切れないということなんですね。

 じゃ、守り切れないことを前提にどう考えるかというと、守るべき情報を、それは一番いいのは手渡しするのが一番いいかもしれませんね、サイバー空間を通さなくて手渡しするのが。しかし、そんなことは言っていられないわけですね。特に防衛情報とか、ミサイル発射とか、一秒どころじゃない、もうコンマ何々々秒で、どこに撃つかを全部把握して撃たなくちゃいけないですね。これはもう人間の手じゃありません。それだけの計算能力、計算していかないといけない。

 だから、何を守るかというときに、やはり情報を守る、守るべき情報を守るということにまずスタート地点は立って、そこから考えなくちゃいけないんだと思うんですね。

 サイバー空間は、基本的には守り切れないというのが前提だ、前提にしなくちゃいけないということになる。どんなにやっても守り切れない。じゃ、どうやってその情報を守るかというときに必要な考え方が、完全暗号ということが言われているわけであります。

 暗号もいろいろありますけれども、しかし、やはり破られてしまうんですね。今は大体素数を使って、要するに何万桁とかいう素数を使ってやっているというふうに聞いていますが、しかし、これは量子コンピューターが現れた世界になりますと、例えば中国が二〇二一年か何かに発表した話だと、量子コンピューターで、例えば日本の「富岳」が一兆年かかる計算を、〇・〇〇〇〇一三秒で解いたということなんですね。一兆年かかる、「富岳」で一兆年かかるんですよ。〇・〇〇〇〇一三秒です。だから、今、耐量子コンピューター暗号という言葉が出てきているぐらいに、量子コンピューターの時代になりますと、これまでの暗号技術ではもう無理なんだというふうに言われています。

 ならば、じゃ、本当に破られない、どんなことがあっても破られないという完全暗号はあるのかというと、実は、あるということになっているんですね。あるということになっているんです、これが。

 しかも、その技術は、一九四九年にこの考え方はもうできているんですね。シャノン教授というのが一九四九年につくっている。しかし、四つの必要なことのうちの二つはシャノン教授がやったんですが、あと二つは日本人が実は二〇〇五年に完成させています。中村さんという方なんですが、完成させています。

 ということで、この完全暗号を使いますと、情報そのものを守るんですね。だから、どんな劣悪な環境に通したとしても、盗もうとしたとしても、盗んだとしても、結局その情報は漏れないというか、使えないということです。完全に暗号化されていますから。しかも、破られませんから。

 ということは、そっちの方に物事の考えを、つまり、サイバーセキュリティーではなくて情報セキュリティーという考え方が必要ではないかというふうに私は考えるわけであります。

 こうなってくると何ができるかというと、今日は済みません、金融庁の方も来られているんですが、結局、電子決済、情報とか大変重要ですよね。済みません、金融庁の方、来られているのに申し訳ない。本当は、金融庁がいかに御苦労されているかというのがちょっとお聞きしたかったんですが、守るために。

 電子決済とか、あとは防衛情報とか、こうした守るべきものをしっかり守っていく、そのためには情報そのものを暗号化するということで、どこを通しても、たとえ奪われても中身は見られないという方に立脚して物事を考えていった方がいいんじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

西村国務大臣 まさに、軍事転用されかねない機微な技術であったり、貴重な個人のデータであったり、様々なものを、守るべきデータをしっかり守っていくというのは非常に重要であります。

 そうした中で、おっしゃるように、サイバーセキュリティーの分野、暗号技術を含めて、非常に技術の進化が速いです。量子にしても、世界で今しのぎを削っている米中、そして日本も、理化研であり、また産総研であり、また民間でも取組が進んでおります。こうした技術をフルに活用しながら、最先端の技術を生かして、おっしゃったような守るべき技術をしっかりと守っていく、そうした取組を加速をしていきたい。

 同時に、中小企業であっても、自分たちの大事な顧客データとか技術とかがありますから、そうした中小企業の皆さんにも、日本の守るべき宝がありますので、そうした方々にも、そうしたサイバーセキュリティー、守るべきものを守れる技術を提供できるような、そうした環境をつくっていきたいというふうに考えております。

市村委員 ですので、それはサイバーセキュリティーという発想ではなくて、情報セキュリティーという発想、そして、サイバーセキュリティーは実は情報セキュリティーの一部門である、一部であるという発想に立って物事を考えるべきであるというふうに思いますので、大臣、よろしくお願いします。

 今度は、今日はもうしませんが、CBDC、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーの議論を是非とも次にやらせていただきたいと思います。これは大変重要です。これは、さっき税の話もありましたが、これだけで、この完全暗号の技術を用いることによりまして決済税が実現します。そうすると、年間百三十兆、それだけで入ってくる。つまり、消費税も所得税も法人税も全部やめても百三十兆円入ってくるという試算もあるぐらいです。ですから、決済税の話も今度は是非ともさせていただきたいと思います。今日は本当にありがとうございます。

 金融庁さん、済みません、本当に申し訳ありません、せっかく来ていただいたのに。ありがとうございます。

 それで、最後に残りの時間で、今度はASEANとの連携強化ということ、これをおっしゃっています、大臣。これは是非とも大臣の方から、ASEANとの連携強化につきまして、ASEANとの共創ということだと思いますが、ちょっと大臣からこの取組に対する意気込みを最後にとうとうと述べていただければと。よろしくお願いいたします。

西村国務大臣 日本は、少子高齢化が進んで、非常に成熟した社会、社会の安定性もありますし、もちろんその中で革新的な技術も出てきているわけでありますが、市場としては、若い市場、そして、どんどん人口も増える、成長もする、世界で最も成長するアジア、ASEANと言っていいと思いますけれども、その地域とともに経済成長していくということ、ある意味で需要も取り込みながら、そして、その若い世代に様々なもの、日本の技術を提供していく、製品を提供していくという大きなチャンスがあるということでありますが、日本だけ独り勝ちするというわけにもいきません。まさにウィン・ウィンの関係をつくっていく中で、コクリエーション、共創ですね、共につくるということで、時代が大きく変わってきている。新しい技術、新しい市場を共につくっていこうという考え方で、日・ASEAN、今年五十年を迎えます。年末には、日・ASEAN、特別の首脳会談も予定をされております。そうした中で、未来に向かって共につくるということを進めていきたい。

 そうした中で、新しいそうしたプロジェクトを幾つか、各国、いろいろなところに重点を置きながら政策を進めておりますので、それぞれの国とパートナーシップをつくりながら、フラッグシップとも言える象徴的なプロジェクトを幾つかつくっていきたい。そのための必要な予算もこの経済対策の中で盛り込んでおりますので、補正予算でしっかり額を確保して、幾つかの象徴的なプロジェクトをやりながら、新しい時代をASEANとともに切り開いていく、そんな意気込みで臨んでいきたいというふうに思います。

市村委員 あと一分ありますので。

 今年はインドネシアが議長国で、六月には今上天皇皇后両陛下が行かれています。もちろんインドネシアを含むASEAN諸国との関係というのは今後の日本の生命線だと私も思いますので、大臣、是非ともASEANと共創関係を築くために、共に頑張ってまいりましょう。

 本当に今日はどうもありがとうございました。以上で質問を終わります。

岡本委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 早速、大臣所信に対する質問をさせていただきます。

 まず、大阪・関西万博に関してですが、大阪維新の会は、当初から起案者でもありますし、大阪府、市役所も誘致活動を担ってきた当事者ということもありますので、万博の開催者は博覧会協会ではありますが、大阪府市の役割は大きく、さっき山崎委員の質問でもあったように、博覧会協会に府市の職員を多く派遣しているところでございます。

 なので、大阪選出の維新議員として、しっかり課題にも目を向けていくべきと思っていますが、ここで改めて、博覧会協会による会場建設費の精査において再びのコスト増が表明された件に関しまして、今回の精査結果や内訳、予備費の考え方などを簡単に説明してください。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 大阪・関西万博の会場建設費の見直しにつきましては、国、大阪府市、経済界が三分の一ずつ負担するという会場建設費を最大二千三百五十億円に見直すという博覧会協会の精査結果につきましては、先日十一月二日に、西村、自見両大臣から、国として受け入れることを表明したところでございます。

 今般の見直しは、主に物価上昇の要因に伴うものではございますが、それが、五百二十七億円の物価上昇の影響が生じているという結果が示されました。また一方で、調達方法の見直しですとか会場デザインの変更などの工事内容の見直しによりまして、百四十八億円の合理化もするということも報告されております。

 また、更なる物価上昇、これは既に物価上昇をある程度見込んでおるわけですが、それを超えるような今後物価上昇があったり、あるいは突発的な工事等の予期のできない万一の事態に対応するという観点から、通常の民間発注の工事の例あるいは官公需に係る文献等を参考にしながら、工事費の六%に相当する百三十億円が予備費として見積もられているというふうに考えています。

 今後、博覧会協会におきまして、再度の増額が発生することのないようにしていただくことはもちろんでございますが、予備費として見積もっている百三十億円の費用についても安易に支出することがないよう、引き続き、経産省としても博覧会協会の執行の監督を徹底してまいりたいというふうに考えております。

守島委員 現下の物価上昇に加えて、労務単価を上げた、それが建設費増の理由ということで、あと、ほかに工事見直しによるコストカットを行ったり、リスク含みで予備費を積み上げた結果ということなんですが、コストが上がることに関しては、現下の状況で一定避け切れない中で、そこの批判に対しては、国もしかりですけれども、この事業を推進してきた大阪府市や我々にも向けられることは当然と思っています。

 ちなみに、維新の会の大阪府議の代表質問で負担を国に求めたということもありますが、やはり、信頼関係も含めて、あくまで閣議了承されている、今審議官がおっしゃってくれた、経済団体と国と地方が三分の一ずつ負担するというのは維持されるべきと思いますし、最も経済効果の恩恵を受けるのも地元大阪なので、その点に関しては自治体としてもコスト負担に対して責任を持っていくべきということで、これは、実際には、大阪府、市役所も関西経済界も含めて、負担を認める旨を協会に通知しているというふうに思っています。

 もちろん、いたずらにコストが上がることは許容するべきじゃなくて、今後のコストマネジメントはしっかり取り組んでいただきたいと思っているんですが、コストに対比するものとして、やはり効果をしっかり見ないといけないと思います。

 ちなみに、万博の経済効果は経産省が試算したもので二兆ぐらいになっているんですが、効果の測定方法をどういうふうに決めたのか、また、今回の物価高騰で会場建設費が増えることの影響というのはどういうふうに経済効果としては捉えることができるのか、教えてください。

茂木政府参考人 大阪・関西万博の経済波及効果でございますけれども、これは、平成二十八年の誘致の際に、万博によって増加する支出を基に産業連関表を用いて試算を行った結果がございまして、こちらが約二兆円と見込んでいます。内訳は、建設費で四千億円、運営費で五千億円、それからそれに関連する消費支出で一・一兆円の合計で二兆円という試算を当時行っております。

 今委員から御指摘ございましたとおり、これらの試算は平成二十八年度に行っているものでございますので、建設費等が上昇していけば、これに伴って数値の変動があり得るものというふうには考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 ちなみに、資料配付を今日させていただいているんですけれども、経産省や大阪府が出している経済効果試算の表の下に、会場建設費が過去のものということで、上振れした分の、インプットする数字を現在のものに置き換えた表を勝手に僕の方で作らせてもらいました。非常に簡単な計算なんですけれども、右下の経済効果の差額になると、当初より二千億から三千億程度、経済効果が増えるというふうになっています。

 単純に、さっきの経済効果の試算ルールに基づいて会場建設費を今回の額に見直すとこういうふうになったんですけれども、これというのは、もし試算をもう一度したらこういうふうな数字に近いものになるのか、ベクトルとしてはそもそも、経済効果はこういうふうに増えていくだろうということであながち間違っていませんか。イエス、ノーでいいので、審議官。

茂木政府参考人 私どもとしては、今新しい経済波及効果を試算しておりませんので正確なところは分かりませんが、当然全体の支出額が増えてまいりますので、増える方向には変わるのではないかというふうに考えます。

守島委員 ありがとうございます。

 経済効果は、そもそも千三百五十億前提でインプットされているので、現下の状況に見直すと増える方向で変わるということで。

 僕は決してケインジアンではないんですけれども、政党によっては公共投資による乗数効果を高く評価する方も多いはずですから、委員各位においても、今回の会場建設費の上振れは、企業への価格転嫁とか労務者の賃上げをするという今の世の中に必要な流れをくんでいることに加えて、かつ、経済効果にもプラスの影響を与える側面もあるということを理解していただきたいと思っておりまして、この資料を作りました。

 加えて、関西万博、会場以外の関西でのイベント需要なども見込んだ拡張ケースというもので見ると、プラスの経済効果が新たに見込めるという民間の研究所の試算もあり、拡張ケースの経済効果は主に大阪以外の地域で相対的に高まるとされていまして、万博に付随する効果というのは大阪以外の需要増にも貢献できるという期待もあります。なので、厳しい指摘に加えて、こうした経済への影響も踏まえて、日本にとってプラスになることもしっかり皆さんにおいては発信していただきたいというふうに思っております。

 とはいえ、我々も、経済効果とコストを直接差引きするというのはナンセンスで、財政面の負担は当事者として重く受け止めるべきと思っています。なので、コスト抑制に関してはこれからもしっかりやりつつも、万博の開催による経済効果及びその他の効果を発揮して、やはり国益につなげていくことが一番大事だというふうに思っていますので、西村大臣、万博の意義をどのように捉えているのか、その意義をどうこれから周知し、機運醸成につなげていくのか、見解を教えてください。

西村国務大臣 まさに、ポストコロナであり、いろいろなことが世界で起こっている中で、変革のときを迎えているということだと思います。次世代の技術、新しい社会の姿、まさに、いろいろなことが起こっているゆえに、この「いのち輝く」というところもしっかりとお示ししながら、世界の、そして我が国がイノベーションに向かって取り組んでいく姿、その可能性を大いに発信をしていければというふうに思います。

 そのことによって、日本中の子供たち、若い人たち、老若男女問わずですが、やはり若い人たち、子供たちがそれに刺激されて、将来こんなことに挑戦してみたい、やってみたい、そういう気持ちを是非かき立てるような、そんな万博に是非していきたいというふうに考えております。

 もう既に出ておりますが、アンドロイドのロボットであったり、空飛ぶ車であったり、iPS細胞であったり、新しい技術であったり、エネルギー技術であったり、それから多言語の翻訳、同時翻訳の技術であったり、いろいろな新しい姿を是非多くの人に見ていただきたい、特に若い人たち、子供たちに見ていただきたい、そんな思いであります。

 そうなるように必要な予算を確保していかなきゃいけないと思っておりますが、やはり、費用は無駄使いすることなく徹底して管理しながら、すばらしい万博となるようにしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 是非、心がかき立てられる万博をつくっていただきたいと思いますし、与野党議員一丸となって一緒に実現していきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

 懸念点のもう一つ、工事進捗なんかを聞こうと思っていましたが、ちょっと時間の都合上、山崎委員からの質問もありましたので、割愛させていただいて次回にさせていただきたいというふうに思っています。

 次に、中小企業政策についてお伺いします。

 もちろん、我々、政府の取組において、価格転嫁とか生産性向上とか賃上げが進むための諸施策に関しては応援するスタンスです。とはいえ、税の投入であるということで、効果という点では、常に投資対効果を検証して政策目的が達成できているのかは確認すべきと考えていますので、まず政府の中小企業に対する取組と評価を、現時点での評価をお願いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、中小企業、やはりコロナの対応に苦しんでまいりました。事業者向けの給付金等につきましては既に終了しておりますけれども、本年五月の新型コロナの五類移行を踏まえまして、なお残る新型コロナ対応のために講じた支援措置につきましても、徐々に施策を平時の状態に移行していく流れにあると思っております。

 他方、足下の状況では、経済全体としては改善しつつあるものの、中小企業は人手不足、エネルギーコストの上昇、物価高騰等、様々な課題に直面しておりますので、価格転嫁を強力に進め生産性向上を図ることにより、構造的な賃上げを実現することが重要な局面だと認識しております。

 この価格転嫁につきましては、今年三月の価格交渉促進月間のフォローアップのために実施した調査によりますと、高い割合で価格転嫁ができている中小企業は増加傾向にある一方、全く転嫁できていない企業もありまして、全体としては二極化が進展していると認識しております。労務費を含め、関係省庁と連携し粘り強く進めていく必要があるものと考えます。

 また、生産性向上に関しましては、賃上げや人手不足解消に向けた省力化投資が十分には進んでいないという状況だと考えておりまして、今般の経済対策により支援措置を強化してまいる所存であります。

 引き続き、しっかり取組をレビューさせていただきながら、必要となる施策を講じてまいる所存でございます。

守島委員 ありがとうございます。

 価格転嫁は増加傾向ではあるけれども、まだし切れていないということで、先ほど午前中の中野委員の質疑では、価格転嫁できているけれども、原材料は四割程度、労務費は三割程度ということで労務費が追いついていないということで、価格転嫁率も半分にも満たず、実際としては多くの企業は利幅を下げることでインフレに対する対応をしているというのが事実だと思います。

 なので、今おっしゃってくれたように、中小企業の付加価値というのをこれから上げていかないといけないと思うんですけれども、あくまで政府の中小企業支援策、これは先ほども言いましたが、税投入なので効果の発揮が求められますし、効果の発揮がはっきりしないままでやみくもにやると、市場原理をゆがめてしまい、僕は、結果として企業の生産性を落とすリスクもあると思っています。

 実際に、昨日、会計検査院の調査報告では、コロナ禍に対応した実質無利子無担保のゼロゼロ融資とか低金利貸付けのうち、もう千九百億円が焦げついて、一兆円近い債権が回収困難な状況にあるというふうな報告を見ました。これは案の定という思いです。

 ちなみに、ゼロゼロ融資の返済ピークも来ていると思うんですけれども、足下の倒産や失業の動向というのを教えてください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 倒産件数につきましては、民間信用調査会社のレポートによりますと、本年九月の倒産件数は七百二十件でございまして、一か月当たりの平均倒産件数で見ますと、コロナ禍の二〇二一年五百三件を底といたしまして、徐々に増加傾向ということになってございます。コロナ前の水準である二〇一九年の六百九十八件、二〇一五年の七百三十四件、このような程度の水準に戻りつつあるものと認識しております。

 他方、失業率につきましては、コロナ前の二〇一九年に二・四%、コロナ禍の二〇二〇年十月には三・一%まで増加しております。足下、二〇二三年九月は二・六%と低水準で推移をしてございまして、これは、人手不足の中で、労働力の活用が全体として進展しているものと考えております。

 中小企業庁としては、引き続き、これらの状況を注視して、必要な対応を講じてまいる所存でございます。

守島委員 倒産に関して、今は平時に戻りつつあるということで、必ずしも絶対数が多いというわけではないんですけれども、トレンドとして、倒産は増えていて、失業率は減っていないということです。

 ということは、世の中の需要はあるにかかわらず倒産企業が一定増えているというと、やはり、産業の構造転換がうまくいっていなくて、業界ごとの需給のアンマッチが起きているんじゃないかなという、その証左だと思います。かつ、これまで倒産件数がコロナ禍で大幅に抑制されていたということは、政府融資がそもそも生産性の低い企業に対する延命措置になっていた可能性もあるし、案の定、債権の焦げつきが深刻化していますし、これからもっと深刻化するんじゃないかなと思っています。

 つまり、これまでの中小企業政策というのは、政府が目指している生産性向上と逆のベクトルの予算を注いできたんじゃないかなというふうにも見えてしまうんですね。もちろん、コロナ禍のように、緊急時に企業とか雇用を守る措置というのは大事で、それを否定する意図はないんですけれども、かといって、これはやり過ぎていいという話ではなくて、例えば、リーマン・ショック後のモラトリアム法案とかセーフティーネット保証の効果というのは低くて、投じた財政的な規模からすると経営再建の役に余り立たなかったという評価もあるのが実態です。

 そうした中、多くのモラルハザードも生まれましたし、返済猶予後の倒産企業が生まれたように、必要以上な措置というのは決して企業のためになるとは言えないし、血税を投じているにかかわらず、中小企業施策が政府の目的とずれた方向に進んではいけないなというふうに思っています。

 こういうことを言うと、中小企業者に厳しいというふうに思われるかもしれませんけれども、私もこれまで、町工場の経営者として町工場を見てきて、かつ、中小企業診断士という中小企業を見る国家資格を持つ一人でもありますので、多くの現場を見てきています。

 そんな中、例えばリーマン・ショックのときは、セーフティーネット保証とか責任共有制度の適用除外となる場合は、金融機関は貸倒れのリスクというのがほぼないので過度な融資競争が起こっていて、今回のゼロゼロ融資の焦げつきなどは、まさに似たようなことが現場で起こっているんじゃないかなというふうに想定できるんです。

 そうした経験則から、行政の補助をたくさん申請したから、その分、会社が単純に生産性が上がるという実態は見えてこないですし、その辺りの定量評価というのは非常に難しいと思っています。

 維新は、産業構造の変化に対応するため、一定、企業の倒産とか撤退を許容した上で、再チャレンジとか被雇用者のリスキリングとか、そういう社会のセーフティーネットを整備しつつ雇用の流動化を高めていくということを重視する立場です。なので、企業や雇用を守ることは大事なんですが、施策として、やはり持続的で成長する日本をつくっていくために公共セクターは力を発揮するべきだと思いますし、ばらまきとか延命措置になってはいけないというふうに考えますが、やはり中小企業施策というのはめり張りが大事だと思います。

 そのめりと張りの部分、あめとむちの部分、両方かもしれませんが、大臣にそのバランス感に関して聞きたいと思います。

西村国務大臣 大変いい御指摘をいただいたと思っておりますし、私も共有できるところは多々あります。

 コロナの担当大臣をしておりまして、あのときは、とにかく経済を止めないと感染を抑えられないということで緊急事態宣言を発出し、とにかく経済を止める。しかし、そうすると、みんな経済活動できませんし、食べていけなくなりますので、事業、雇用を守るということで給付金を出し、そして、いわゆるゼロゼロ融資で企業に対して事業をしっかり守るということで取り組んできたわけであります。

 その状況から、コロナも五類に移り、世界的に、そして国内も経済活動が活発になって、インバウンドの人たちも、中国を除いてほぼコロナ前に戻ってきているという状況で、宿泊施設なども非常に高い稼働率になってきている、むしろ人手不足が課題になってきているという状況であります。

 そして、倒産の状況の説明がありましたけれども、倒産は、それは少ない方がいいに決まっています。中小企業の皆さんが頑張って、それで継続してやっていける、更に拡張していけるというその状況が望ましいことはもちろんですが、倒産がゼロの社会が望ましいかというと、これも本当にそうなのかと。

 やはり、新陳代謝があって、時代とともに新しい事業に展開していく、そして雇用も成長分野に移っていくという姿が望ましいんだと思いますので、倒産はない方がいいんですけれども、しかし、新陳代謝、構造改革はやはり進めていかないと社会経済は発展しない、成長しないということだと思います。

 そういう状況の中で、ゼロゼロ融資の、まだ返済期間が、終わって、これからピークを迎えますが、コロナの借換え保証も行っておりまして、実は、民間のゼロゼロ融資、百三十七万件借りられて、そのうちの十万件がコロナ借換え保証を使われています。十分の一弱、十二、三分の一、三、四分の一ということだと思いますが、この企業の皆さんは一定期間猶予されますので、返済期間、もう少し時間をかけて、需要の回復を待って返済できます。

 しかし、その間に、将来どうするかということを是非決めていただきたい。まさに委員のような中小企業診断士とか税理士さんが中小企業の立場に寄り添いながら経営改善の計画を作ってもらうということの中で、こういうことを新しくチャレンジして取り組んでいこう、いやいや、これはもう後継者もいないし、年齢もいってきたからそろそろ退出を考えようか、そうした計画を作ってもらうことが大事だと思います。

 その中で、挑戦しようという企業は今回の経済対策でもしっかりと応援したい。これは人手が足らないけれども省人化、省力化投資をやろう、これを応援したいと思いますし、事業再構築を始め、何か新しいことにチャレンジしよう、これも応援していきたいと思います。頑張る企業、挑戦する企業はどんどん応援したい。

 一方で、退出を望む企業は、スムーズに、円滑に退出できるような環境もつくっていかないといけないと思っております。

 そうした中で、御指摘があったように、金融機関がリスクがないわけですね。一〇〇%信用協会が保証していますので、潰れようが何しようが金融機関は関係ない、リスクはないという世界で、これが最も私ども何とかできないかということで、先般、金融庁とも相談をいたしまして、金融機関にもこの経営改善計画に関わってもらおうということで、金融庁は監督指針を変えてモニタリングをしっかりしていく、金融機関がどう対応しているかというところ。

 そして、私どもからは、金融機関が寄り添って中小企業の経営改善計画を作る手伝いをするときに、中小企業に対して支援をしていこうじゃないかということで、金融機関にそうした取組を促しているところであります。

 いずれにしても、おっしゃるように、新陳代謝、構造改革を是非この機に進めていきたい、失業率は上がっていませんので、スムーズに、円滑に労働が移動するということ、これはリスキリングの支援もやりながら是非進めていきたいというふうに考えております。

守島委員 大臣、本当にありがとうございます。

 やはり、ゼロリスクのときの金融機関の貸出営業とか見るに、結局、債権が焦げついても責任を取らないという状況で、お金だけじゃぶじゃぶになって、経営改善の計画もなしに延命できる予算だけあっても、本当に生産性向上につながっていなかったんですね。

 今大臣おっしゃったように、自主的に伸びようとする、チャレンジしようとする、そういうところにちゃんとお金を投じれば、それがまた生産性向上につながって、更なる賃上げとかにつながっていくと思うので、守るべきところは守りますが、やはり攻めるところに対してしっかり投資してほしいですし、大臣のように、政治家というのは守る以外のことを言いづらいと思うんですけれども、新陳代謝も含めてそうしためり張りが大事とおっしゃってくれたことは非常にうれしく感じております。

 時間が来たのでこれも最後にしますが、実際に僕も中小企業の現場を見ている中で、雇用調整助成金なんかも結構長く続いて、結果として、雇用保険会計も厳しくなって雇用保険の保険料も去年上がったりしたように、やはり、最初きれいごとを言って延命してしまうと、その後、企業環境というのは苦しくなってきてしまうんですね。やはり厳しいことも言っていかないといけないし、雇調金なんかも、普通の平均給与より最初のうちは高く支出し過ぎたんじゃないかなというふうに思っていて、やはり企業が自分たちでもうけるということに対してちゃんと助力する、公助するという方向が、僕は役所がやる責任の部分だというふうに思っていますので、どうぞその点も考えて、しっかりと、投資対効果高く、中小企業施策を応援してほしいと思います。

 あと、水素還元製鉄に関してやろうと思ったんですけれども、時間がなかったこと、申し訳ありません。次回の一般質問に回したいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 三人ほど拍手をいただきました。ありがとうございます。お疲れだと思うんですけれども、もう少しおつき合いをいただきたいと思います。

 今何か議論を聞いていて、大臣の答弁がどうかなと思うんですけれども、誰だって自分のところの会社を畳みたいとか潰したいとか思って商売をやっている人は一人もいないと思うんですね。結果的に、ここでやめるしかないかなというふうに思って決断しているだけなので、ちょっとやはりそこのところの気持ちを酌んでおいてもらいたいなというのが質問に入る前にあります。

 最近、タクシーが全然つかまらない。ここの前もそうなんですね。夕方になってなかなか、まだ国会のこの周辺はタクシーがある方なんですけれども、私も含めて誰もが、何かタクシーいなくなっちゃったよなって。今年の五月にコロナが二類から五類になったんですけれども、これから本格的な経済回復へ向かうだろうと誰も思っていたんですね。でも、タクシーがつかまらないという事態になっている。

 地元のタクシー会社の社長に、うちの地元でも八か所駅がありますから、時々その場所からタクシーに乗るんですけれども、タクシーが八時ぐらいで一台も止まっていないんです、モータープールに。何で、社長、これ車一台もないのと聞いたら、車はあるんだそうです、ドライバーがいないんだって。だから迎えに行かれない。この十月から、地域によって格差があると思うんですけれども、運賃が上がってそれに伴う賃金が上昇するといっても、ドライバーが戻ってきてくれるかなと少し肩を落として話をしてくれたのが九月だったんです。でも、余り、何かそういう状況になっていないんじゃないかなと。

 ある識者は、日本経済はコロナを境に一変したと言われているんですけれども、私もそう思う一人なんです。この約三年間の間、四年間でもいいんですけれども、コロナだからという言い訳が社会の中に蔓延していたんです。コロナだから客が来ないんだ、コロナだから何かできないんだということが商売をやる上で、うちの方もそうですけれども、それを一つの言い訳、原因にしてきたと思うんです。でも、もしかしたら、コロナ以前に状態がもう悪くなってしまっていたところにコロナが追い打ちをかけたんじゃないかという考え方ですね。

 一昨年から、御案内のとおり、石油が高騰したり原材料が高騰したりして、これから補正予算を組んで物価対策だとかエネルギー対策に国が支援策を出してくるんだと思うんですけれども、でも、例えば宅配で指定日に荷物が到着しないとか、建設工事が、これは役所の工事もそうです、鉄骨が入ってこないから橋が架けられないって。今月の二十六日の日にうちの地元で、やっと念願、四十年以上かかって、橋が架かるんです、埼玉県と千葉県の間に。この県境とか都県境の境に橋を架けるというのは、五年、十年じゃできない。三十年、四十年は当たり前。それだって本当は今年の四月に竣工を迎えるはずだったのが、十一月になっている。何でそんなにずれたの、鉄骨が入ってこないんだって。これが一つの言い訳です。これは、今まで余りなかったことだったと思うんですね。

 これまでの日本経済はデフレであり、九年前、十年前を思い起こしてもらえば分かると思うんですけれども、アベノミクスをすることによって需要を喚起する、需要者は消費者ですから、そこにお金が行くようになれば需要が喚起されて供給がきちっと出せるんだから、それで経済を回していこうというふうな考え方で経済政策を打ってきたんだと思うんです。

 でも、デフレであり、需要が足りないということは本質的な理由があると言われているんだけれども、多くの専門家はこの現実から目を背けて、単純な需要不足であるとして、各種の金融政策や財政政策を提言してきたが、全くとは言わないんですけれども、余り効果が得られなかったしわ寄せがコロナ前に来ていたんじゃないかという考え方です。私もそう思う一人なんですけれども。

 最近聞かなくなったんですね、リフレ派ってどこへ行っちゃったんですかね、リフレ派。ヘリコプターマネーだとか、どんどんお金を出してやればそれで需要が喚起されて物が売れるんだ、だから好循環になると。リフレ派って、国会議員の先生方の中でいますか、今。ほとんどリフレ派と言う人はいない。ということは、今の経済政策を打とうとするときに、同じようなやり方じゃやはり根本の解決にならないんじゃないかということですね。

 日本経済はこれまでにないインフレに直面しているものの、賃金は物価上昇に追いついていない、これはもう前任者の方も何回も言っていると思います、物やサービスの供給がままならない状況、日本はまさに不景気とインフレが同時に起こるスタグフレーションとなりつつあるんじゃないかという考え方です。今なっているとは言わないですよ、なりつつあるんじゃないかと。賃金が追いついていかない、物価が上がっちゃう、景気はよくない。

 確かに、統計を見ると、輸出でもうけている会社は、円安もありますから、すごい高収益。商社も含めて、税金もばんばん、法人税を納めてもらえる。でも、地元を歩くと、製造業は、まあ七月ぐらいから仕事がちょっと細ってきた、九月に入ったらちょっとないんだよねという話を、地元を挨拶に回るとそれをよく聞きます。飲食店も同じです。夜のお客さんを一番ターゲットにしているようなお店は、一回転しかしない。昔は二回転、三回転した。でも、鈴木さんさあ、タクシーが来ないから、タクシーを呼ぶ前にお客さん帰っちゃうんですよって。

 これはちょっと悪循環に入ってきているんでしょうねというふうにお話はしたんですけれども、日本の経済の状況をどのように認識しているのか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。

西村国務大臣 答弁させていただく前に、先ほど、最初に御指摘があった点ですけれども、どんどん潰れればいいなんということは私は思っていなくて、できる限り企業は継続してもらって、どんどん成長してもらうのがすばらしいと思います。ただ、もう難しいなと思ったときに、このまま閉じてしまうと身ぐるみ剥がれてしまう、全て個人保証していて、全部取られてしまって生活できなくなってしまうというふうな状況を避けられないがゆえに、もうやめたいけれどもやめずに、じりじりじりじり継続するという状況は避けるべきではないかというふうに思っております。

 そうした個人保証の制度とかは今改善をしていっておりますので、そうしたことのないように取り組んでいきたい。できれば企業は存続していただきたい、そのための応援をしていきたいというふうに思っております。

 その上で、経済の状況ですけれども、デフレの状況がこの間続いてきておりますので、当然需要が少ないわけですから、需要を増やさなきゃいけない。できれば民間で需要が増えてくればいいんですが、それを引き出すための財政、需給ギャップがある部分に対して財政が出動して、その部分を埋めながら民間の需要をできるだけ引き出していこうということで政策をやってきました。その結果、今や需給ギャップがほとんど解消された状況ですので、この間の政策が間違っていたとは思いません。

 ただ、今の状況で、輸入物価を中心に物価が上がっていますから、リフレ派と言われる人も、この状況でどんどんお金をまいて金融緩和をもっとやれば、当然もっと物価が上がってしまいますので、したがって、リフレ派と言われる人たちも、今、金融政策よりも、重点は財政政策に、経済学の流れも財政政策が中心の、今は議論になってきております。当然、財政をどのように使っていくのか。需給ギャップはないですけれども、まさに、よく言われる議論は、カーボンニュートラルを目指して、この温暖化の対応のためのいわば新たな公共事業的な、政府が出動するこうした技術開発とか、そうしたものを引き出していく、そうした財政政策が今議論の中心になってきているものと思いますし、政策の中心になってきているというふうに思います。

 そうした中で、まさに、今おっしゃった人手不足への対応が地域経済を含めて最も重要な課題でありますので、今回の経済対策においても、省人化、省力化対策の設備投資など支援、これはハード、ソフトそれぞれ支援ができる仕組みをカタログ方式のような形で、小さな企業でも使えるような支援策を用意していきたい。これによって、人手不足を解消して事業を継続していける、さらには、それであればもっと新しいことに挑戦しようという企業の皆さんに投資の支援をしていく、さらには、もっと長い目で見て、新しい分野の、まさに半導体、蓄電池、あるいは水素、アンモニア、いろいろなことに挑戦してみよう、こういったところに思い切った投資をして、世界経済をリードしていく上で、技術、イノベーションでリードしていこう、こうした経済政策を取りまとめたところでありまして、今、補正予算にそれを落とし込んでいる状況であります。

 日本経済全体として、投資も増えている、賃上げの流れも出てきた、そして需給ギャップもなくなってきた中で、今度は、持続的な成長に向けてしっかりと財政政策、これは税制も含めてですけれども、しっかりと支援をして成長軌道に乗せていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 御質問した続きなんですけれども、こういった状態になっている原因は、複数の要因が複雑に絡み合っていて、最も大きいのは低賃金の慢性化と、それに伴う労働力人口のシフトであるというふうに言われています。

 私も六年前か七年前に、宮沢大臣のときに質問をしたんですけれども、実質二%物価を上げていきましょうというのが当時の目標だったと思うんです。でも、二%ずつ上げていって、賃金が上がらなければ、結局は苦しくなるのは消費者である国民じゃないですかというふうな。今は賃上げ賃上げと言うように、去年あたりから言うようになりましたけれども、当時は賃上げのチの字もなかった。でも、物価は上がりましたよ。需給ギャップがプラスになったからデフレじゃないんだというふうに数字上は出てくるんですけれども、それに伴った賃金の上昇が見込めていなかった。特に中小零細は、価格転嫁ができない、交渉すらできない。数字を出すという話になればまた別の機会で質問をしたいと思うんですけれども、それが、逆に言えば、今の経済を厳しくしているんだと思います。

 それで何が起きたのかといったら、低賃金による家計の収入不足を補うために、特に多くの高齢者が就労を続け、これが経済全体の供給を支えてきたと言われているわけですね。私のところも、六十で定年だ、一年ごとに再雇用をしましょうというルールでやってきましたけれども、五年前に六十五まで定年を延ばしました。なぜか。入ってこないんです。ただそれだけの理由です。入ってくれば新陳代謝。役所はそうじゃないですか。六十、六十五で定年ですよといっても、入ってくるから、どうぞ第二の人生ってできるだけの話。中小零細はそういうわけにいかない。だから、七十になっても八十になっても高齢者の経営者が現場に出て、油まみれで製造業に従事しているのが現実ですよ。

 その中で、本当は働きたくない、収入があれば第二の人生を謳歌したいというのは私も同じです、でも、やむを得ず高齢者が働くことで、何とか企業のオペレーションが維持されていた、何とかそれで商売が成り立っていたということです。高齢者が低賃金で働いてくれるので、企業にとっては、経営を改革して賃金を上げる努力を放棄できたという、ちょっと言い過ぎた言い方かもしれませんけれども、この識者はこういう言い方をしています。

 経済の仕組みが質的に転換している場合、統計上の数字が変化したときには、事態が相当程度、進行していることがほとんどであると。数字に表れるのには必ずタイムラグが出てきます。だって、統計を取るのにずれてきて、集計して、何か月かずれます。下手すれば、私たちがよく目にするものは、国勢調査というんですか、五年に一回やる、それに基づいていろいろな指標を出してきますから、もしかすると四年、五年は当たり前にずれてきた資料しか、私たち、一番直近のものが欲しいんですと言っても、実際は出てこない、そういう調査の仕方になっていないから。

 こうした状況下において、認知バイアスという言い方をするんですけれども、回避するためには、現場の声をどれだけ拾い上げ、既に起こった未来を見つけ出す以外に方法はないとこの人は言っているんですね。逆に言うと、真面目で優秀とされる専門家ほど判断ミスをしがちじゃないかと。

 この認知のバイアスは現在進行形であり、今、発生している極度の人手不足や物流の混乱も一時的なものと考える専門家は依然として多いと言うんです。外国人労働者の大量受入れや、残業規制の一時的な緩和とか、高速道路の速度規制緩和など、場当たり的な対策を次から次へと提言しており、一部からは多少の効果をもたらすかもしれないけれども、発生している問題の根本は、慢性的な企業の低収益とそれに伴う賃金低下という構造的要因であり、企業経営の在り方を根本的に変革しない限り、状況が好転する可能性は低い、この人はこう指摘しています。

 今、大臣の所信の中でも幾つか述べられたことで、それで問題の根本の解決につながることになるのかというのを再度お尋ねしたいと思います。

西村国務大臣 先ほど来御議論があるところですけれども、私は、人手不足は今非常に危機的な状況で、地域においても人が集まらない、事業が継続しにくいという状況があります。

 他方で、そうした企業に対して、今回、省力化投資、省人化投資をしっかり行ってカバーできるように、それを乗り越えていけるようにしていこう、ITを使って何かやろう、ロボットを使って何かやろうといったようなことを、カタログ方式で、ハード、ソフト、用意をして支援をしていく、そうした対策、そして補正予算を今まとめているところであります。

 そうしたことで、是非とも、これを乗り越えていっていただきながら成長することで、いわば新陳代謝、構造改革も起こってきますので、労働移動をスムーズに進めるためにもリスキリングということで新たな技能を覚えてもらったりというところの支援も、これは正規、非正規問わず、しっかりと支援を行って、取組を進めることで、成長分野に人も集まり、そして所得も上がっていくという中で、おのずとそういった構造改革に向けた流れができてくるもの、それを私どもしっかりと支援をつくっていきたいというふうに思います。

 もちろん、人材の確保、定着のために、中小企業の皆さんがそうしたことができるように、人材活用のガイドラインというものを策定をして、それに伴って、中小企業のいろいろな戦略を策定することの支援とか、人材のマッチングなどのそうした支援も行ってまいりますが、政策を総動員しながら、企業も存続する、あるいは新しい分野で成長していく、あるいは労働移動で成長分野で人が確保できていく、全体として日本経済が成長し、所得が上がっていくように、そうした取組を進めていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。なかなか答えがあるようでないのが、この構造改革ということだと思います。

 人手不足の状況が今どうなっているのかといったときに、総務省統計局が出している令和五年の九月末の資料によると、二〇二一年八月現在で、正規職員、従業員ですね、三千六百十三万人働いてもらっているんだそうです。非正規職員、従業員が二千六十六万人。これが、二〇二三年八月、二年後です、正規職員、従業員の方が三千六百三十六万人、非正規で二千百八万人。二年間で両方とも、正規も非正規も増加しているんです。

 それで、八月の完全失業率は二・七%。ということは、九七%ぐらいの人はみんな何らかの仕事に就いているということですね。それをどこかに集約させるとか、こっちに来させるとかというのは、そう簡単にはいかないと思うんです。

 パソコンを買ってあげたから、さあ、それを手慣れてできるようになるのに、私だっていまだに平仮名打ちしているよ。笑うけれども、じゃ、スマホを使うときにはこれでやるけれども、タブレットを使うときはローマ字打ちにするんです。だから、それは、全部ローマ字打ちじゃなくちゃいけないとか、平仮名打ちじゃ、笑われたけれども、それでやっていますよ。

 いつでも使いこなせるように、どうすればいいか。今の若い世代の人たちは、スマホはこれはできるんだそうです。パソコンはやったことがないんだって。そういう人が会社に入ってきて、これしかやったことないのに、どうやって打たせるの、すぐ打てないですよ。現実、そういうことが起きている。これは今年だとか去年の話じゃないんですけれども、そのぐらい、どこでも人手がいない。

 エッセンシャルワーカーが大事だったというふうに、コロナのとき政府もよくおっしゃっていたんですね、医療関係だとか保育士さんだとか幼稚園の先生だとか。

 エッセンシャルワーカーを日本語に訳すと、社会に必要とされている職業のことをいうんですよ、エッセンシャルワーカーというのは。ほとんど全てじゃないですか。それがなぜ、医療関係、介護関係、何というふうにさばきができるのか、私は不思議でしようがない。そうじゃなくたって、私たちの身の回りのことで仕事、従事してもらっている人が、私たちが豊かな生活を送れているのも事実。それを、こっちが足りない、あっちが足りないといったら、それを国が差配するといったら、やはり自由主義でもないし資本主義の考え方でもないんじゃないかと思うんですけれども、その辺の人手不足をどう解決するか、もう一回お尋ねしたいと思います。

西村国務大臣 先ほど御指摘がありましたように、高齢者の皆さん、健康で元気で意欲ある高齢者の皆さんもたくさんおられますので、その方々が就業されて、この間、恐らく数百万人だと思いますが、就業されて、労働人口の減少を支えてくれた。また、女性もこの間数百万人の方が職に就かれて、まさに労働人口が減るところを支えてくれてきたわけであります。

 ところが、高齢者の方々も、これ以上なかなか増えてくる感じ、頭打ちというか、もう限界に来ていると思います。女性の方はもう少し、いわゆる年収の壁を乗り越えれば、この制度が改革できれば、もう少し働ける。さらには、今は非正規だけれども正社員になりたい、フルタイムで働きたいという女性もたくさんおられますので、その希望もしっかりと実現していければ、もう少し女性の方は労働人口として活躍できる部分があると思いますけれども。

 それでも限界に近づいていますので、やはり省力化投資、省人化投資、これをしっかりと進めるということも大事ですし、足らない業種を特定して、そして管理をする形で外国人の活用をしていただく、それが特定技能の考え方だと思います。一定の技能を持った方に、その分野で、足らない分野で足らない人数の方々に、そこで対応してもらうといったようなことを通じて、この人手不足、人口減少を何とか乗り越えていければと。

 この間、もう既に人口は日本は減ってきていますが、それでもGDPは成長を続けていますので、人口が減るからといって成長できないということではないので、それをカバーするだけの投資、そして生産性の向上を実現できれば成長していけるということで、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 よく中小企業、零細は生産性が低いからもっと生産性を上げろという議論になるんですね。大手さんは生産性が高いんだと。

 これは私の見方だから合っているかどうかは分かりませんけれども、地元で下請、孫請、ひ孫の仕事をしている人たち、社長さん方と話をすると、結局、何てことない、生産性の悪い仕事しか上から落ちてこないんだって。ロットが小さくて、納期が短くて、それでどうやって生産性を上げろというんだと。だったらそれに見合う賃金でも工賃でも下さいよと言っても、それはまかりならぬと。

 昔聞いた話です。日本が一ドル当たり七十五円のときに、海外に製品を売っている元請さんがあって、そこが七十五円でも売れるぐらいコストカットしてやりなさいよと。それが、八十五円、百円近くなっても、七十五円のままのコストでやってくれと言うんだそうです。それでどうやって新陳代謝を図れというんですか。新しい機械を買えというんですか。人を雇い入れればいいんだと。そこのところは、やはりもう一回見直しをかけてもらわないと。

 まあ、やめていって、一番最後、割を食うのは大手さんじゃないかと思いますよ、仕事を発注している先。だって、誰もやらなくなっちゃう。そういう状況に陥らないように、じゃ所得の再分配だ何だというのが今求められていることじゃないかなというふうに思います。

 もう時間も随分押してきたので、インボイスの話をお聞きしようかと思ったんですけれども、前任の方でもインボイスにちょっと触れられた方がいらっしゃるんですが、一か月ぐらいしかたっていないので、実際どういう数字が出ているかというのは九月末時点のデータしかなかったので、これから、このインボイスについては次回に回させていただきたいんですけれども。

 私が地元でサッカー協会の会長を引き受けておりまして、一年に一回イベントをやるんですけれども、企業に協賛広告を毎年毎年、私もお願いに行ったんですけれども、課税業者の方から、協賛金のインボイスの取扱いを確認してくれと言われたんです。それで、国税庁に確認したら、地域社会にあるPTAだとかグラウンドゴルフだとかサッカー協会とか、いろいろな団体がイベントをやるので、例えば商工会の花火をやりますとか、イベントをやるから、一万円、三万円、五万円、協賛広告を下さいと言ってきたときに、インボイスの登録をしていないと一〇〇%仮払い消費税としてはみなさないんだそうです、全ての団体だって。

 この間レクに来てもらって、国税庁の人に聞いたんです。私たちのパーティー券を一万円だ二万円だって買ってくれた企業が課税業者だったら、私たち、インボイス登録しなくちゃ駄目なんですかと聞いたんです。そうしたら、大臣ならいっぱい買ってもらう人がいらっしゃるんでしょうけれども、一千万を超えると、何かぐずぐずという言い方をしていました。じゃ、これは、大臣に質問するときは余りしつこくは言わないから教えておいてくれないかなという話はしたんですけれども。全ての、任意の団体も、全部インボイスの登録がないと消費税の仮払いとしての対象にはならないと言われました。

 この三年間は八〇%、仮払い消費税のうち、見るのは。御案内だと思うんです。三年後で五〇%。六年後はゼロ。一万円払ったら、要するに、千円分を、九・一で計算すれば九千円ちょっとなんですけれども、それを消費税としてみなすかみなさないか。

 そうすると、そういった寄附をもらっているとか協賛広告をもらっているとかとなったときに、寄附の場合、ちょっとまた扱いが別だと思うんですけれども、これからどんどん世の中混乱していくんじゃないかと思うんです。それについてのきめ細かな対応をしていくというのを、インボイスのところで、大臣、表明されているんですけれども、これは事業者を対象にしていると思うんですが、事業活動ではないんだけれども団体として活動しているところもその対象だということになると、ちょっと社会が混乱していくんじゃないかと思うんですけれども、それに対するきめ細やかな支援というのをお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

西村国務大臣 経産省においては、これまでも説明会の開催、リーフレットの送付などによる制度、支援策の周知、広報に取り組んできているところでありますが、課税事業者を選択した場合の事務負担についても支援策を講じてきているところであります。

 それで、委員御指摘のように、任意団体でありますが、制度導入後三年間は免税事業者からの仕入れであっても八割の仕入れ税額控除ができますので、それで対応していくということで、そうした制度を含めて、様々な負担軽減策を講じているところであります。

 この導入後も、関係閣僚会議において、政府全体で事業者の状況あるいは課題を把握、整理、共有をして、必要な対応策を講じることとしておりますので、この枠組みも活用しながら、今の御指摘の点など含め、事業者の皆様の声をきめ細かく伺いながら、関係省庁と連携してしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 趣旨が違うんですけれども、これは予算委員会でも質問をしたように、労働集約型の産業ほど消費税を納める額が多くなるんですね。だから、例えば、今申し上げたように、協賛広告だ何だと地域との関わりを持って商売をされているところもたくさんあるし、営利目的じゃない団体もたくさんあるわけですよね。そこのところが困らないような配慮をするのが必要なんじゃないかというふうに思います。

 次に行きますが、サプライチェーンの強靱化ということを大臣強くおっしゃっているんですけれども、新型コロナウイルスでサプライチェーンが長ければ長いほど影響が多かったという考え方に基づいて、なるべく短くしようじゃないか、中には国内に戻そうじゃないかと、日本も、大手企業さんが日本に戻ってきているような話も聞くんですけれども。

 ちょっと将来を考えたときに、今は円安だから、国内で製造した方が、海外に製品を売っていく、出していくといったときにはすごく利益が増えると思うんです。これがまた円高の方に振れていったときに、やはり外に出ていかざるを得ないということが必ず来るんじゃないかと思うんですね。だから、政府がサプライチェーンを強靱化する、短くするといって、国内に戻ってきてくれというのはあったとしても、どのぐらいの規模を考えておられるのか、これはなかなか簡単にはいかないと思うんですけれども。

 でも、実際、日本より人件費の安いところ、私の地元でも、中小企業さんですけれども、タイに工場を出している会社の二代目の社長とも話をしましたが、じゃ、一人当たり、一か月ワーカーとして働いてもらった場合に幾ら給料を払うのと聞いたら、込み込みで、全部で六万円だそうです。日本の三分の一、二分の一、もっと差が開いていると思うんです。

 そういって一回外に出たところが、幾らサプライチェーンの強靱化だといっても、人件費がこういうふうに違っちゃっているところでは、やはりなかなか、戻ってきたくとも来れないんだと思うんですね。その辺をどのように目標を設定してやろうとするのか、お尋ねしたいと思います。

岡本委員長 西村大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いします。

西村国務大臣 全ての品目を国内に戻すとかということではなくて、やはり経済安全保障の観点から、いわゆる重要物資、半導体、蓄電池など、こうしたものについて国内で一定の供給を確保し、あるいは同志国でサプライチェーンをつくっていくということで考えておりますので、いわばデリスキングというか、リスクを減らすためのサプライチェーンを構築をしていくということで、それぞれの産業によって立地が適したところがあると思いますので、それを全て何か国内に戻そうということではなくて、重要物資についてはそうしたサプライチェーンの強靱化を図っていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 岸田政権は、さきの通常国会で強行した原子力基本法など原発推進の法改定に基づいて、早速、再稼働、運転期間延長などを推し進めております。そこで、今日は西村大臣に質問します。

 関西電力は、自社の三つの原発が立地する福井県に対して、本年、二〇二三年末までに県外に使用済核燃料の中間貯蔵施設を確保する、それが守られなければ、稼働中の美浜三号機、高浜一、二号機の三基を停止すると約束してきました。

 去る十月十三日に杉本達治福井県知事は、それぞれ面談した森望関電社長と西村大臣の決意と覚悟、これを確認したとして、関西電力の搬出計画に同意する考えを示して、これら運転開始から四十年超の原発の運転継続を容認いたしました。

 そこで、西村大臣は県知事に対して、国としても前面に立ち主体的に取り組み、総力を挙げて関電を指導すると約束されましたけれども、じゃ、一体、具体的に何をやるということなんでしょうか。

西村国務大臣 御指摘の、関西電力が、使用済燃料の県外搬出に向けた取組、これはロードマップで示しているところでありますけれども、私自身も出席をする使用済燃料対策推進協議会を開催して、この関西電力のロードマップで示した取組について報告を求め、その内容が確実に履行されるよう、進捗を確認し、指導していきたいというふうに考えております。

 具体的には、まず、六ケ所の再処理工場の竣工目標実現に向けて、産業大での更なる人材確保などを強く指導してまいります。また、使用済みMOX燃料の再処理実証研究について、計画どおりの搬出に向け、必要な政府間調整、これはフランスに向けて搬出することになっておりますので、これについても政府間でしっかりと調整を進めたいと思います。また、中間貯蔵施設の地点確保について、事業者とともに前面に立って、それらの地点の御理解を得られるよう、主体的に取り組んでいきたいと思っております。

 こうしたことを通じて、政府として必要な取組をきめ細かく行っていきたい、関西電力が示した取組を一つ一つ着実に実現していけるように指導していきたいというふうに思います。

笠井委員 今大臣が触れられたことの関連ですが、本年六月十二日に関西電力は、自社原発の使用済みMOX燃料十トン、通常の使用済みウラン燃料百九十トン、合計で二百トンをフランスに搬出してMOX燃料の再処理実証実験を行うと公表して、これをもって県との約束は果たされたとしました。

 西村大臣は翌日の記者会見で、今回の対応は使用済燃料の県外搬出という意味で中間貯蔵と同等の意義がある、こう評価されましたけれども、同等の意義があるというふうに大臣がお考えになる理由は何でしょうか。

西村国務大臣 御指摘の発言でありますけれども、本年六月に関西電力が使用済みMOX燃料の再処理に係る実証研究のために使用済燃料を海外に搬出する計画を示したことについて、使用済燃料の県外搬出を確実に行う手段の一つとして、中間貯蔵と同等の意義があると考えるという旨を申し上げたものであります。

 その上で、残る使用済燃料についても、十月に関西電力から、先ほどもありましたけれども、六ケ所再処理工場の早期竣工や中間貯蔵施設の個別地点の確保など、あらゆる取組によって確実に県外搬出を進めるべく、ロードマップが示されたところであります。

 政府としても、その実現に向けて最大限指導を行っていくということは申し上げたとおりでありますが、杉本福井県知事からは、一定の前進があったとの評価をいただいたところであります。

 今後も、このロードマップにおいて約束した取組が関西電力において確実に履行されるように、エネルギー政策に責任を持つ政府としても、しっかりと指導していきたいというふうに考えております。

笠井委員 今大臣が、県外搬出を確実に行う手段の一つと言われましたが、関西電力が保有する原発の使用済燃料は合計で約三千六百八十トン、その中で二百トンをフランスにということで、僅か五%にすぎません。

 六月二十三日の小沢典明資源エネ庁当時次長の説明に対して、桜本宏福井県副知事は、県民には分かりにくい、二千トン規模の中間貯蔵施設についても、計画の着実な実行を担保、約束していただく必要があるということを始めとして、そのことを言われて、四項目への回答を求めているわけです。しかも、関西電力が原発の稼働を続ける限り、この使用済燃料というのは増え続けるということになります。

 大臣、同等の意義どころか、これは本当に根本的な解決にならないんじゃないか、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。

西村国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、使用済燃料の県外搬出を確実に行う手段の一つとして、中間貯蔵と同等の意義があると考えるという旨を申し上げたものであります。

 その上で、県と関西電力の様々なやり取り、また私どもと県のいろいろなやり取りの中で、県の方も、なかなか分かりにくいという、今御指摘があったとおりでありますので、関西電力として改めて先ほど申し上げたロードマップというものを示して、これは表も示されておりますけれども、フランスのオラノ社に搬出する分二百トン、それから六ケ所の処理工場に行く分として、長い目で見れば八百トンぐらいが行くという図になっておりますけれども、そして、併せて二〇三〇年頃から、中間貯蔵施設、場所を確保してここに搬出するということで、全体として、今保有しております三千トンを超える使用済燃料をこういう形でしっかりと県外搬出していくということの計画を示した上で、福井県知事からは、一定の前進があったという評価をいただいたところであります。

笠井委員 中間貯蔵施設という話がありましたが、ロードマップの中にあると。

 島根原発二号機の再稼働を目指す中国電力は、本年八月二日、同社が山口県上関町の上関原発建設予定地として所有している敷地内に原発の使用済燃料の中間貯蔵施設を関西電力と共同で建設する調査、検討を進める、こう公表いたしまして、上関町長に建設調査の実施を申し入れました。

 八月十八日、西哲夫上関町長は建設に向けた調査を容認する方針を伝えて、電力会社による文献調査などが今進められている。

 大臣、この調査に対しても、国が総力を挙げて指導していくということに入ってくるんでしょうか。一体、その点では何をやると国としてはお考えですか。

西村国務大臣 本年八月に中国電力が山口県上関町に対し申入れを行った中間貯蔵施設の立地可能性調査につきましては、まずは中国電力自身が主体的に地元に向き合い、丁寧な説明を行いつつ検討を進めるべきものというふうに認識をしております。

 こうした中国電力の調査、検討について、関西電力は、中国電力の求めに応じ必要な対応をしていく方針であるというふうに承知をしております。

 その上で、国も中国電力とともに前面に立ち、地元の意向も踏まえながら、原子力政策に関する理解の促進に主体的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 なお、先ほど申し上げた、関西電力が十月に策定したロードマップにおける中間貯蔵施設の地点確保については、同社は、現時点で上関など特定の地点を想定したものではなく、あらゆる可能性を追求する旨を説明しているものというふうに承知をしております。

 いずれにしても、中国電力がこのような取組をする中で、上関そして周辺の自治体の皆さんも含めて、原子力政策に関して理解が促進されるよう、国としても前面に立って取り組んでいきたいというふうに考えております。

笠井委員 中国電力が関西電力と共同で行うという計画である上関の建設の計画地というのは、豊かな自然に囲まれた、希少な動植物が生息する瀬戸内海国立公園の中にあります。

 去る十月八日、私自身、大平喜信元衆議院議員と現地周辺を訪れまして、原発に反対し上関町の安全と発展を考える会、上関原発建設計画に反対する二市四町議会議員連盟の方々と懇談をしてまいりました。

 おっしゃっているのは、共通して、中間貯蔵施設というけれども、これは最終処分場になってしまう、上関を核のごみ捨場に絶対にさせないと。これが原発建設計画にずっと当初から反対して頑張っておられる祝島の島民の皆さんを始めとして四十一年間も原発建設を止めてきた住民ならではの怒りだと、私はそれを強く受け止めました。

 大臣、地元の理解の促進ということで国もやるんだと言われましたけれども、町民の合意などないわけですね。町民の分断を深めるような中間貯蔵施設の押しつけというのは電力会社にはやめさせるべきだ、こうやって言うべきじゃないんでしょうか。

西村国務大臣 想定される中間貯蔵施設でありますけれども、使用済燃料を発電所内のプールで冷却した後に、頑強な専用容器に入れて、再処理工場に搬出するまでの間、一定期間、一時的に乾式貯蔵により管理するものであります。一定期間の後には、使用済燃料は必ず搬出されます。最終処分場になることはありません。この趣旨を私は談話として町の方にもお伝えをしているところでありますし、地域の皆さんにもそうしたことをお伝えをしているところであります。

 なお、こうした乾式貯蔵では、水や電気を使わず、外気による自然冷却により燃料から発生する熱を除去する方法によって使用済燃料を保管するものとして、安全性に関する原子力規制委員会による審査を経て進められるものであるということで、既に全国各地で利用されているもの、建設が進められているものであります。

笠井委員 今大臣は、必ず搬出される、最終処分場にはならないと語気を強くして言われましたが、おっしゃったみたいに、中間貯蔵施設で一時保管して、一定期間を経たら使用済核燃料は再処理施設へ運び出されるというふうに言うんですけれども、それが本当にそうかという問題です。

 関西電力は、十月十日、先ほどから累次大臣がおっしゃっている使用済燃料対策のロードマップを作成、公表いたしました。ポイントは三つあって、一つは六ケ所再処理工場への使用済燃料搬出、二つ目にプルサーマル発電で使用したMOX燃料の再処理実証研究に伴うフランス・オラノ社への使用済燃料の搬出、そして、三つ目に中間貯蔵施設の二〇三〇年頃の操業開始と準備ということであります。

 私、見逃せないのは、日本原燃の六ケ所再処理工場への使用済燃料搬出が、二〇二四年度上期のできるだけ早い時期の竣工と翌二五年度から再処理開始が前提になっていることであります。

 大臣、このスケジュールどおりに到底今いかないんじゃないですか、これは。どうですか。

西村国務大臣 六ケ所再処理工場でありますけれども、まさに核燃料サイクル政策の中核であります。その竣工、操業は使用済燃料対策を進める上での最重要課題というふうに認識をしております。

 この六ケ所再処理工場ですけれども、二〇二〇年七月に事業変更許可を、そして、昨年末には第一回の設計及び工事計画の認可を取得をしております。そして、既に主要な安全対策工事もおおむね完了するなど、二四年上期の竣工目標に向け、プロセスが着実に進捗しているというふうに認識をしております。

 私どもとしては、原子力規制委員会の審査、検査への円滑な対応に加えて、竣工後の安定的な操業を見据え、産業大での更なる人材確保を強く指導するなど、安全性の確保を大前提にしながら、竣工目標の実現と操業に向けた準備を官民一体となって進めていきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、重要施設であります。二四年度上期の竣工目標に向けて、着実に進捗していくように指導していきたいというふうに思います。

笠井委員 日本原燃の六ケ所再処理工場は、経産省の核燃料サイクルの仕組みを描いたイメージ図にもありますが、実際には完成していないし、現時点で、実に二十六回も竣工延期を重ねて、当然ながら、操業もしておりません。一九九三年四月に建設を始めて九七年十二月に竣工予定でありましたが、そして、二〇二四年度上期に竣工予定といいますけれども、着工から三十年たってもまだ竣工できない。

 大臣、なぜいまだに竣工できないというふうにお考えですか。

西村国務大臣 もちろん、新しい基準の下で、原子力規制委員会の、これは厳しい審査と申し上げていいと思いますけれども、安全を確保していく上で、新基準に適合する厳しい審査を受けております。私も視察をいたしましたけれども、竜巻対策として新たに鉄の網を張り巡らせたりとか、様々な対策、追加の工事も行ってきております。

 そうした中で、先ほど申し上げましたとおり、二〇年七月に事業変更許可を受け、昨年末には第一回の設計及び工事計画の認可を取得をしておりますし、主要な安全対策の工事もおおむね完了してきておりますので、二四年上期の竣工目標に向けて、プロセスは着実に進捗しているものというふうに認識をしております。

 この間、電気事業連合会においても、事業者間の連携の具体策を検討、実行する体制を構築をして、電気事業者から発電所の審査、検査の経験を有する約八十名の人材派遣も行われております。メーカー、ゼネコンも含めて総力を挙げて協力体制を構築し、そして発電所の審査知見を共有する仕組みをつくり、この審査への対応を進めてきております。

 是非、引き続き緊張感を持って審査、検査に臨んでもらいながら、来年度、二四年度上期の竣工目標に向けて着実に進捗していくように指導していきたいというふうに思います。

笠井委員 山中規制委員会委員長に伺います。

 六ケ所再処理工場は、二〇二〇年七月二十九日に原子力規制委員会から事業変更許可を受けました。現在は次の段階のいわゆる設工認ですが、設計及び工事計画の認可の審査を受けている途上にある、こういうふうに私は承知しているんですけれども、それに二年以上もかかっているのはなぜですか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 日本原燃株式会社の再処理施設につきましては、令和四年十二月二十一日に第一回の設計及び工事の計画の認可を行っており、現在は令和四年十二月二十六日に申請がなされた第二回の設計及び工事の計画の認可申請の審査を規制委員会において行っているところでございます。

 この審査に関しましては、本年十月四日の規制委員会において、審査チームから再処理施設の入力地震動の算定や強度評価が必要な設備の類型化に関する整理などに時間を要しているとの報告を受けております。

 原子力規制委員会としては、引き続き厳正な審査を努めてまいります。

笠井委員 審査対象となる申請書に問題があって、添付書類の誤記とか、耐震設計の計算資料の落丁が数ページではなくて少なからずの量があるとか、単純な間違いではないということも言われているんですが、その点はどうなっていますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 昨年十二月に提出されました再処理施設に関する設計及び工事計画の認可に関する申請書において、誤記や落丁、古い設計情報の記載といった不備が確認をされました。これを受けまして、原子力規制委員会としましては、本年四月十四日、日本原燃の増田社長との意見交換を公開で行いました。

笠井委員 まさにそれは事業者たる日本原燃の技術的理解が足りないということじゃないか。仮に設工認の審査が終わっても、使用前確認というステップを経なければならないので、人員を増員してと言われますけれども、とにかく原燃自身がそういう認識だと。

 それでは、規制委員長、今のスケジュール感で二〇二四年度上期に竣工できるというふうに思いますか。率直な認識を伺います。

山中政府特別補佐人 審査の終了時期についてはお答えをしかねますけれども、日本原燃の社長との意見交換の中でも、申請書の不備につきましては経営層のマネジメントの問題も一因であるということが考えられるので、社長が責任を持って対応すべきであるとの旨をお伝えをしたところでございます。

 原子力規制委員会としては、引き続き厳正な審査を努めてまいります。

笠井委員 見通しは言えない、経営層のマネジメントも一因だと。重大だと思うんですが。

 竣工というのは、単に設備の完成ではなくて、検査まで終了することを意味します。審査が終われば、日本原燃による使用前事業者検査の結果を規制委員会が確認する手順でありますけれども、実際には、使用済燃料のアクティブ試験を行っているので、既に。既に施設が放射性物質で汚染されている、そのため人が近づくことが困難な機器が膨大にあるというふうに承知しております。

 日本原燃は、アクセス困難な場所は何か所で、どう対応すると説明していますか。

山中政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、日本原燃再処理施設におきましては、過去のアクティブ試験の影響等により、アクセスすることが困難な機器が存在することは以前より認識しております。これらの機器に対する使用前事業者検査を日本原燃がどのように実施するかについては、令和三年九月一日の原子力規制委員会において報告を受けております。

 その上で、日本原燃は、設計及び工事の計画の認可申請の対象設備のうち高放射線量などの理由によりアクセスが困難な機器は、強い放射線を遮蔽するために設けられた小部屋の内部にある二千二百五十一機器、その外にある二千二百九十六機器の合計四千五百四十七機器、また、使用済燃料受入れ貯蔵施設にある三百二十九機器としております。日本原燃は、これらの機器につきましては、過去の記録等により要求事項への適合性を判断することで使用前事業者検査が実施可能であるとしております。

 原子力規制委員会としては、今後、日本原燃からの使用前確認申請を受け、使用前事業者検査が適切な方法によって実施され、再処理施設が要求事項に適合するかどうかについて、原子力規制検査によって確認をしてまいります。

笠井委員 放射線量が高くて、人が近づいて使用前事業者検査を行うことが難しい対象が五千か所近くもある。驚くべきであります。機器は一たび使えば劣化するのに、過去の記録を組み合わせることで新規の検査に代えることができるなんて言っているのは、とにかく安全軽視も甚だしいということになります、事業者。

 再処理施設では、高レベル濃縮廃液の冷却に失敗をして、溶液が沸騰しながら放射性物質を放出し続けて、原発よりも危険な事故が起きる可能性があります。規制委員会は、このような日本原燃の考え方を了承することなどあってはならない。しかも、今答弁もありましたが、伺っていても、二〇二四年に竣工なんて見通しなんか全くない。

 そこで、改定された原子力基本法は、第二条の二の第一項で国の責務の規定を新設をして、原発を活用し続け、推進することを明記いたしました。第二条の三では国の基本的施策の規定を新設をして、その四号で、再処理等や使用済燃料に係るその貯蔵能力の増加その他の対策としまして、核燃料サイクルを国の基本的施策の一つに掲げております。

 経産省が、核燃料サイクルの目的、錦の御旗とするのが三つあって、高レベル放射性廃棄物の減容化、それから有害度低減、資源の有効活用でありますが、いずれも、再処理工場が順調に事故なく操業を開始して、使用済燃料の再処理が順調に行われて、回収したプルトニウムなどを再利用して高レベルの放射性廃液を安全にガラス固化体にすることができて、地下数百メートルの空間に設けた最終処分場、まだどこか決まっていませんよ、そこに埋設できて、初めてこのサイクルというのは成り立つことであります。

 大臣、六ケ所再処理工場の竣工さえ見通せない状況では、このサイクルの輪というのは完結していませんよね。

西村国務大臣 御指摘のように、高レベル放射性廃棄物の減容化とか、有害度の低減とか、あるいは資源の有効利用の観点から、核燃料サイクル、これを推進するというのが私どもの基本方針であります。

 その中で、六ケ所再処理工場はまさにこの核燃料サイクルの政策の中の中核の施設であります。原子力規制委員会の厳しい審査を受けながら、安全性、新基準に適合するということを行って安全性の確保に万全を期しながら、主要な安全対策工事もおおむね完了しておりますので、二四年度上期の竣工に向けて、私はプロセスが着実に進捗しているというふうに理解をしております。

 その上で、この施設を竣工させ、そしてまた、大きな課題である最終処分場についても、今、全国いろいろな自治体と対話を重ねながら、文献調査を行ってくれるところ、今、北海道の二つの自治体でありますけれども、それについても理解を求めて進めてきているところであります。

 この核燃料サイクルの御指摘の完了というか、成し遂げるにはまだまだ課題はありますけれども、難しい課題がありますが、これをしっかりと乗り越えて実現してまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 サイクル完了には課題があるということであります。

 核燃料サイクルの大前提が崩れて破綻しているという状況ですから、これ以上、その場しのぎの先送りを重ねるんじゃなくて、島根二号機を始めとして、全国の原発再稼働も上関の中間貯蔵施設の建設計画もきっぱりやめて、原発ゼロの決断こそすべきだ。

 この八月、衆議院の欧州各国経済産業事情等の調査議員団に私も加わって、主テーマの半導体とともに、再エネの実情を見てまいりました。どこも、地球沸騰化対策、それからロシアのウクライナ侵略に伴うエネルギー確保に真剣、本当にその姿勢を感じました。私は団で共通の思いであったと思います、それは。

 再エネ一〇〇%を目指すデンマークのエネルギー庁では、雇用と経済成長につながる再エネの意義というのを語られまして、条件が違っても日本でもできる、日本こそできると促されるという場面もありました。大いに参考にして、省エネ、再エネに転換すべきだと申し上げておきたいと思います。

 そこで、最後になりますが、そのことと関連ですが、ところが、大臣、こういう省エネ、再エネの議論なんかも大いにやるということで、それはいろいろな意見があっても必要だと思うんですけれども、その基礎となる経産省審議会資料にまたもやミスが判明いたしました。十月十六日の総合資源エネルギー調査会第四十八回系統ワーキンググループに事務局のエネ庁が提出した全国の再エネ出力制御量のグラフが間違っていた。私の事務所の問合せに対して、十一月六日に資源エネルギー庁から報告があったわけであります。

 昨年の通常国会で、高圧ガス保安法等改正案の根拠となる審議会資料の誤りに、当時の萩生田経済産業大臣が参議院経済産業委員会で、組織全体として重く受け止め、省を挙げて再発防止策に取り組むと謝罪をされました。

 ところが、その後、省エネ法の概要説明資料で、火力発電所新設、廃止の見通しに関する数字に誤りが判明をしまして、西村大臣は昨年九月三十日の当委員会で、資料の誤りは決してあってはならない、政策を考える上で、しっかりとしたデータ、数字に基づいて政策を立案していかなければならないので誠に遺憾、全省的に再発防止に取り組むと約束されましたが、それから一年、またかということであります。

 大臣、再発防止策が全く徹底していないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

西村国務大臣 御指摘のとおり、昨年の審議会資料の誤りを踏まえまして組織全体として再発防止策を取ってきたにもかかわらず、今回、このような資料の誤りが生じたことは誠に遺憾であります。改めて再発防止を徹底したいと思います。

 再発防止に向けては、昨年十月に、御指摘のように、私から省内に対して、組織全体として業務全体のデジタル化を推進して、ヒューマンエラーの防止も含め、データの取扱いや処理に関する見直しを進めていくよう指示をしておりました。これを踏まえて全省的に再発防止の取組を進めてきていたものというふうに承知をしておりますが、そうした中で、今回、担当部局では、データに即した政策議論を深める観点からこのデータを初めて提示をしたわけでありますが、その際、短時間で業務をデジタル化することが困難であったということの一方、手作業で作成した資料のデータを確認する十分な人員の確保が間に合わず、結果的に誤りが発生したというふうに報告を受けております。

 そういう原因があるとしても、この資料の誤りについては、組織全体の問題として、改めて重く受け止めたいというふうに思います。

 今後、これまでも進めてきているんですけれども、更に、省内研修の徹底に加えて、今回の事案も踏まえた更なる対応も検討しながら、再発防止に改めて省を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

笠井委員 時間ですので、最後に一言申し上げて終わりますが、今回誤りがあった資料の元データというのは、電力会社が公表したエリア別の需給実績で、時間ごとで、すごい膨大なものです。それをエネ庁が手作業で集計までやって入力したというんですけれども、何で監督官庁が電力会社の下請のような仕事をしているのかなと私が本当に思ったことです。しかも、エネルギー政策の基本となる重要なデータなのに、データの形式が電力会社ごとにばらばらになっている。単位すらそろっていない。これではせっかくの貴重なデータが活用できない。大臣、再発防止策は当然なんですけれども、データ公表も、活用を見据えて、とにかく統一させるということが求められる。是非検討をいただきたい。

 共通の正確なデータを土台にして、フェアな議論が必要だと思います。そうじゃなくて、結論、期限ありきで突き進んでいるようなエネルギー政策の根本的転換も必要だ、このことを強く申し上げて、質問を終わります。

岡本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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