衆議院

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第3号 令和5年12月6日(水曜日)

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令和五年十二月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 大串 正樹君 理事 鈴木 隼人君

   理事 関  芳弘君 理事 宮内 秀樹君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      尾崎 正直君    大岡 敏孝君

      神田 憲次君    黄川田仁志君

      国光あやの君    小林 鷹之君

      鈴木 貴子君    冨樫 博之君

      中川 貴元君    福田 達夫君

      細田 健一君    松本 剛明君

      松本 洋平君    宗清 皇一君

      山際大志郎君    山下 貴司君

      吉田 真次君    若林 健太君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山岡 達丸君

      伊東 信久君    市村浩一郎君

      小野 泰輔君    山本 剛正君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   経済産業大臣       西村 康稔君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   経済産業大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    石井  拓君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     長崎 敏志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 鈴木  清君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梶原 輝昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     猪狩 克朗君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松浦 哲哉君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       川野  豊君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     神田 憲次君

十二月六日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     鈴木 貴子君

  小野 泰輔君     伊東 信久君

  笠井  亮君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     山際大志郎君

  伊東 信久君     小野 泰輔君

  宮本 岳志君     笠井  亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長長崎敏志さん、総務省大臣官房審議官鈴木清さん、厚生労働省大臣官房審議官梶原輝昭さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正さん、経済産業省大臣官房審議官田中哲也さん、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長猪狩克朗さん、経済産業省商務情報政策局長野原諭さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、中小企業庁経営支援部長松浦哲哉さん、国土交通省不動産・建設経済局次長川野豊さん及び環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、経済産業分野の中で重要と思われる施策について取り上げさせていただきます。

 日本経済の自律的な好循環、これを実現するに当たり、今、経済の今の状況の中で私が注目しているのは主に二つあります。

 一つは、個人消費です。

 これは、かつて大臣とも別の委員会でやり取りもさせていただいたこともありますが、景気に明るい兆しが見えたかなというタイミングで、この十年、二回消費税が上げられたということもありました。そして、コロナ禍もありました。経済活動がコロナ禍でも抑制されて、個人消費もがくんと落ちてしまった。コロナ禍が明けたら一気に消費に勢いが出るかなと期待をしていたら、今度は物価高で、特に大多数の庶民のお財布を直撃してしまって、買物をする力が弱まっているというような状況です。家計調査を見ましても、直近でも、前年同月比で、三月以降ずっとマイナスになってしまっているのが現状です。個人消費をどうやって手当てするかということは、経済再生には非常に、特に今重要なことだと思います。

 もう一つは、地域経済です。

 東京を中心に、輸出産業は利益を上げているかもしれません。実際に収益が上がっています。しかし、各地域を見ますと、疲弊を残念ながらしてしまっている。これは、少子高齢化ですとか人口減少の影響もありますけれども、プラス、デジタル化で、ネット通販で、東京の方も地方の方も、地元で買物しないで、ネット通販でどんどん買物してしまうというようなことも各地域の衰退を加速させてしまっている。これは、東京でも、商店街が、人口がいっぱいいるのに寂れてしまう、あと、スーパーさえ撤退して買物難民も出てきてしまっているというのが現状だというふうに思います。

 こういった中で、新しい試みも出てきています。各地域の商店で、地元の方々に買物してもらうために、地域限定決済のアプリというものが少しずつ出てきています。

 例えば、東京には特にいっぱいあるんですけれども、私の地元の世田谷区でも、せたがやペイというQRコード決済がちょっと前から始まっています。これは、スーパーでも、その端末を導入していれば、QRコードがあれば利用できるんですけれども、個人商店で買物した方がポイントが多くたまるというような仕組みになっています。なので、人口が多くて、それなりに所得が高い地域ですので、その所得を地元の個人商店ですとか小規模事業者に還流させるというような試みをやっているわけでございます。

 人口が多いということもあり、ダウンロード数は三十万以上で、かなりアクティブに使っているユーザーは七万人以上いるというような状況で、これは、既存のプラットフォーマーを使っているのではなくて、人口規模が大きいということもありまして、商店街連合会がアプリを独自に開発して、加盟店は手数料を払わなくていいということになっています。なので、補助金を入れるようなそういうお金を、そういうアプリの開発とそれから加盟店手数料に充てるようなところに使っているというようなことです。これは、一つの自治体でなくても、近くの、広域で連携してこういうアプリを作るということも可能であるというふうに思います。

 決済額は、多いときは一か月に三十億円以上、直近では、八月の数字が出ていまして、十五億円、決済が行われています。

 デジタル化のデメリットとして、プラットフォーマーは主に海外の企業ですから、富がどんどん海外に流出してしまうというデメリットも私は取り上げてまいりました。生産性向上のために、下手にプラットフォーマーに乗っかっちゃうと、どんどん地域の富が海外に流出しちゃうんじゃないかというようなことも取り上げましたが、こうやって、今デジタル化が進んでアプリの開発も安くできるようになってきたことで、地域限定で、地域通貨のようなものを安価につくるようなことができるようになってきた。

 しかも、コロナ禍においてスマホ普及率はかなり上がりました。総務省のデータを見てみると、世帯当たりではもう九割以上スマホが普及しています。七十代以上も、かなりスマホを個人で持っているというような状況です。

 これは、日本経済の弱点、地域でのお金の循環という弱点も克服できる、それから、デジタル化の弱点、富が海外に拡散していってしまうということも克服できる、そして、中小・小規模事業者の生産性向上にもつながるということで、かなり有効な手段だというふうに思います。

 これは、経産省が、地域経済の振興のためにも、経産省のお金の使い方、こういうところにもしっかりと施策を打っていく。経産省の各部門に聞いてみますと、デジタル決済はこの部署で、地域経済はこの部署でということで、ちょうどこの分野は縦割りになってしまっています。これこそ大臣が力を入れていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のせたがやペイのような、地域独自のキャッシュレス決済サービスについては、従前地域で発行されていたいわゆる商品券的なものをいわばデジタル化するということで、同じ、近い発想であるというふうに認識をしております。まさに、今数字の御披瀝がありましたけれども、四千四百店舗、世田谷区で活用されているということで聞いております。地域経済の活性化につながるものというふうに考えております。

 また、地域社会において、社会奉仕とか善意の活動によって得られて、地域における商品、サービスとの交換等に利用できる、いわゆるエコマネーのようなものにも、地域内の人と人とのつながりを促す効果も期待されているところであります。

 さらに、これらの機能を組み合わせたようなキャッシュレス決済サービスを独自に実施することも可能でありまして、最近では、NFTを活用して地域の外に居住する方にもデジタル住民証明を出して、そして、地域支援活動などに応じて、地元の商店街等で使用できるポイントを発行する、そういった取組もあります。

 加えて、今御指摘がありましたように、こうした事業は、海外のいわゆるデジタルプラットフォーマー、メガ企業ではなくて、国内の企業によって提供されるということであります。そうなれば、その地域の店舗での消費促進、そしてサービス利用料が国内企業の利益にもなるということで、内需の拡大にも貢献し得るものと期待できます。

 こうして、デジタル化、キャッシュレス化、まさに地域活性化の様々な可能性を秘めておりますので、経産省としても積極的に推進をしているところでありますけれども、導入の課題として、加盟店手数料が高額であるとか、キャッシュレス決済導入のメリットが見えづらいなどの指摘もあるというふうに承知をしております。

 経産省においては、クレジットカードのコスト構造の詳細な分析やコスト低減に向けた取組の検討、またメリットの定量化、見える化などを実施してきておりますが、引き続き、決済手数料の低減が実現されるように取組を進めていきたいと思いますし、店舗への導入メリットの周知など、キャッシュレス決済の更なる普及に向けた環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

 その上で、今回、省力化投資の支援、五千億円用意をしておりますので、こういうキャッシュレス、無人決済などの仕組みも、あるいはIT補助金なども活用できると思いますので、小さな店舗であってもこうしたことができるような環境をつくっていきたいと思いますし、御指摘のように、幾つかの分野に分かれておりますので、今回、省力化投資、そして商店街の活性化、デジタル化ということを併せて、一元的に是非こうした取組が進むような対応を考えていきたいというふうに思います。

落合委員 経産省も、キャッシュレスの部門はあります。あと、地域経済の部門はまた別にあります。あと、小規模事業者、個人事業主に対する部門も別にあります。

 せたがやペイはどうやって援助を受けているのかというふうに考えると、総務省が各自治体に援助をしている中で恐らく行われているということで、かなり縦割りになってしまっているのが現状だというふうに思います。これは、産業政策としてもマクロの経済政策としてもかなり有効だと思いますので、是非誰かがリーダーシップを取る必要がありますので、西村大臣、是非、リーダーシップを取るべきだ、経産省こそがこういうのをやるべきだというふうに思います。

 理解については、やはりどの方々も、スマホでQRコードを読み取って決済するというのは、やったことがないと、若い人でも抵抗感がある程度あるというふうに思います。ただ、ポイント目当てでも、一回でもやれば、こんな簡単にできるのかと。それから、昔のようにクレジットカードの端末を置くのではなくて、紙でQRコードを見せるだけで、それをスマホで読み取るだけですので、各店舗のコストは、QRコード決済が広まったことで大分下がっています。ですから、もう条件は整っていますので一気にやるべきだと思いますので、是非、看板政策として提案をしたいというふうに思います。

 では、次ですが、年末ですので、来年度の税制について、与党もそれから野党も、党内でもいろいろな議論をしています。それから、いろいろな方々からお話も伺っています。

 その中で、中小企業関係で、経産省が深く関わる中で、最近、事業承継税制に、この数年、力が注がれてまいりました。

 今日は法人版の事業承継税制について伺えればと思うのですが、今実行されている時限的な事業承継税制の特例措置、ある意味、バーを下げて数年間やってきたわけですが、これは私は、いろいろな中小企業の方々から話を聞いても、一定程度効果が出ているなというふうに思います。それから、時限的だということで、やるなら今やろうというふうなことで、ある意味背中を押しているんじゃないかなというふうに思いますが、大臣、この効果についてはどのように考えられていますでしょうか。

西村国務大臣 私も、若い頃、事業承継税制の設立に党の方で関わった一人であります。中小企業が事業を継続していく、次の代にしっかりとつないでいくために必要な税制だということで取組を進めてきております。

 この間、これまでの五年間で、一万四千件程度の計画の提出がなされております。この税制を始めとする総合的な取組の結果、中小企業の事業承継には一定の進展があったものというふうに考えております。

 他方で、コロナ禍の中でなかなか事業が厳しいんじゃないかということで、次の代の方が承継するのをちゅうちょするような例もありますので、今後本格的に事業承継の検討を再開するとか、あるいはもう少し承継決定まで時間がかかるといったような声を頂戴しているところであります。

 こうした声を踏まえて、この税制が今後も活用されるように、令和五年度末に迫っております特例承継計画の提出期限の延長を要望しているところであります。

 与党税調でも議論が行われておりますので、私ども、しっかりとそれに対応しながら、中小企業の皆さんの声に対応して、スムーズに事業承継がなされるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

落合委員 今決まっている、現行の制度ですと、今度の三月末にもう計画の提出の期限が来てしまいます。実行の期限も、今、五年の十二月ですから四年後ですね、四年後に迫っているわけです。

 これは先ほど大臣も言及がありましたが、コロナ禍で、そもそも去年を振り返ってみますと、いつまでコロナのこれが続くのかというのが分からなかったわけで、業界によっては、これが例えばこの先何年も続くんだったらもうこの事業はどうしようかなというように考えていたのが、今年になって先がある程度見通せるようになりました。そういった中で、じゃ子供に継がせようですとか有能な若い人に継がせようというような判断をする、また新たにし始めているケースがあるわけですので、是非前向きに、経産省からも財務省を説得するべきだというふうに思います。

 今日は、財務省から瀬戸政務官にお越しいただきました。これは、かなり日本経済全体の影響としてもいい影響があるものだと思いますが、延長をある程度の期間行うべきだと思いますが、いかがですか。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 法人版事業承継税制は、平成三十年度税制改正におきまして、中小企業の円滑な世代交代を集中的に促進するため、十年間の期限を区切って、特例承継計画の提出がなされた事業承継について承継時の税負担を実質ゼロとする等の抜本的な拡充を行ったところであります。

 この特例承継計画の提出期限が来年三月末とされているところでありますけれども、先般の経済対策において令和六年度税制改正でその延長等の検討を行う方針が示されておりますが、その際には、事前に特例承継計画の提出を求めることで早期かつ計画的な事業承継を促すという制度趣旨や、令和四年度税制改正におきまして既に新型コロナウイルス感染症を理由に令和六年三月末まで一年間延長した経緯を踏まえる必要があると考えております。

 いずれにしましても、具体的な対応につきましては、現在、与党税制調査会において議論がなされているものと承知しておりまして、その結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

落合委員 一年延長はしていますが、もう実質的にコロナで三年ぐらいは空白期間が経済活動にもあるわけですので、是非、二年ですとか三年ですとか、その分ぐらいはしっかり延長するべきだというふうに思いますので、検討を前向きにするべきだ、是非やるべきだということをお伝えしたいと思います。

 それから、もう一ついろいろと出ているのは、手続の簡素化。これはどんな制度もそうですけれども、特にこの件に関しては、かなり手続の簡素化について意見が出ています。具体的に何の手続をという話になるとかなりややこしい話になるので、その具体例は担当者の方に紙にして渡しました。

 ここでは、総論として、この事業承継の特例措置の手続における簡素化は図るべきじゃないかなと思いますが、いかがですか。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 法人版事業承継税制における各種手続につきまして、事業実態がない会社に対して事業承継税制が適用されることによる租税回避の防止といった観点から、定期的に事業者の方々に各種届出を行っていただき、そしてこれを国税当局において確認させていただいているところであります。

 その上で、こうした手続につきましては、記載事項の簡素化や提出書類の削減など累次の見直しを行ってはきております。更なる手続の簡素化につきましては、事業承継税制の趣旨や課税の公平性等も踏まえた上で、引き続き検討してまいりたいと思います。

落合委員 確認はもちろん重要ですが、簡素化は、工夫すればできるところは多々あると思います。特に、財務省の頭がいい方々が作るルールは本当に意味が理解できないというようなことも多々ありますので、是非、申告する側の立場に立ったルールを再検討いただければというふうに思います。

 これに関しては、導入のときに私も質問に立っているんですが、そのときに懸念点も私は指摘をしています。これは、余りにも第三者に、親族じゃない方々に事業を引き継げるようになると、転売目的でファンドとかが、しかも外資に売り払っちゃうですとか、そういう使い方も悪用すればできるというふうに思います。それから、雇用要件を恐らく外している、前よりか緩和しちゃっているというふうに思います。

 そういうことで、雇用にも、また経済安保上の懸念も多々あることはありますので、そこに注意しながら、真っ当な事業承継はどんどん進めていくという形でやっていくべきだと思います。また、悪用された件ですとかがありましたら、ここでも重大なものは取り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 あと一問だけ取り上げさせてもらえればと思います。

 詳しくは年明けにと思いますが、予算にも、GXですとかDXにどんどん予算をつけています。これは、第二次世界大戦後、特に冷戦後は、高度な自由貿易を前提として、サプライチェーンを世界全体で高度に複雑につくっていくんだ、それが世界全体のためになっていくんだというような産業政策が取られてまいりました。

 しかし、コロナ禍でいろいろな国がそれぞれ経済活動をストップしていったことで、そのサプライチェーンが、一か所が目詰まりしただけで全体が滞ってしまうというようなことも起きました。それから、国際関係が今不安定化、地域紛争などや戦争も起きていますし、それから貿易戦争、経済安全保障の強化ということで、こういう高度な複雑なサプライチェーンを世界全体でつくっていくという、今までこの七十年以上やってきたことがうまくいかなくなってきているというのが現状だと思います。

 そういった中で、重要なものや必要なものはなるべく自前で作れるようにサプライチェーンを変えていかなきゃいけない、これは根本的に産業政策の転換が今何十年ぶりかに求められている段階だと思います。

 必要なものの代表格は、食料であり、エネルギーです。エネルギーは、幸い技術が進んできたことで、再エネにどんどん投資をすれば、それがエネルギー自給率の向上ということで返ってくる段階にだんだんなってきました。

 こういった中で、太陽光パネル、次世代の太陽光パネルと言われている折り曲がるペロブスカイト型の太陽光パネル、これは我が国がトップランナーで開発を走ってきました。しかし、これは、人材が引き抜かれたりですとか、特許の数も、単年度で見ると中国や韓国にもう抜かされてしまっている。累計ではリードしていますが、いずれ抜かされる可能性が高くなってきてしまっています。

 これはGXのために重点的に、かなり最優先でやる分野だと思いますが、大臣、どのように認識されていますでしょうか。

西村国務大臣 御指摘のように、ペロブスカイト太陽電池、これは軽量で柔軟という特徴がありますので、建物の壁にも貼れるということであります。設置が非常に容易であるということ。既に、太陽光、日本では、国土面積当たりあるいは平地面積当たりでも世界トップレベルですので、森林を壊して置く、こういったことは是非とも避けていきたいと思いますので、このペロブスカイト太陽電池、是非進めていきたい。

 さらに、その原材料が、日本が世界第二位の産出量のヨウ素を原材料としておりますので、より強靱なエネルギー供給構造の実現にもつながるというふうに考えております。

 御指摘のように、耐久性、大型化の分野で日本はリードしておりますので、まさにこのリードをしっかりと維持すべく、世界市場をしっかり取っていくべく、投資の規模、スピード面、両面でもしっかりと支援をしながら、諸外国に先駆けて社会実装していきたいというふうに考えております。

落合委員 これは、ほかのことにも優先して、最優先で取っていかなきゃいけない分野ですので、改めて取り上げさせていただきます。

 本日はありがとうございます。

岡本委員長 次に、篠原孝さん。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原でございます。

 今、世界は、気候変動で、COP28で非常に一生懸命議論しているところです。私も、ですから、それに呼応いたしまして、シンク・グローバリー、まあディスカッションはナショナリーにさせていただきたいと思います。

 それで、COPでは、いろいろな提言というか、そもそも論をやっていますから、非常に正直な議論が進んでいるんじゃないかと思います。

 私も、国際関係の仕事をちょっとしまして、APECができたばかりのときに、農林水産省なんかは、そういうのに対応をどうしたらいいか分からないと。どうしたらいいか対応が分からないのは、みんな私にさせるんですよ。適当にやるからと言うんです。それでやってきました。

 OECDとかG7とかいろいろありますけれども、世界の首脳クラスがみんな集まって真剣に議論するものの一番は、まあ一番、二番と言うとまたよくないかもしれませんけれども、COPがあるんじゃないかと思います。

 そこで、ど正論で、二〇三〇年までに再エネの容量を三倍にするというふうに言っているんですね。いいことだと思います。これについてはもう、私、環境委員会にも所属していまして、議論はしました。ですから、新聞にも出ていますけれども、伊藤環境大臣は、いやいや、三倍というのは、日本で三倍にしろというんじゃないぞ、世界全体で三倍にすればいいんだと。それから、二国間クレジットもあるしとか、ちょっと腰が引けたことを言っておられるんですね。それじゃよくないので、日本はやはり世界にちゃんと恥ずかしくないような行動をしていなくちゃいけないと思うんですけれども、これについて、日本が貢献できると思うんですけれども、どの程度真剣にやるおつもりでしょうか。やってほしいんですけれどもね。

西村国務大臣 日本は、二〇三〇年に再エネを三六から三八%にするというエネルギー基本計画の下でそれを進めております。まずこれを実現することで温室効果ガスの排出量を四六%削減するということで、まずこのことに注力して進めていきたいというふうに考えております。

 先ほどのペロブスカイトの御質問もございましたけれども、太陽光も広げてまいりますし、それから風力も、洋上風力を、これを今、公募、第二ラウンドを行っておりますけれども、そう遠くない将来、これも決定できると思いますし、洋上風力、さらには、私は地熱も可能性があると思いますし、できる限り前倒しで、早期に導入を進めていきたいというふうに考えております。

 今から、足下からいうと二倍ぐらいになるわけですけれども、このことにまずは注力していきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 日本は二〇%ちょっとですから、三六から三八というのは、大臣が言われたとおり、二倍ぐらいにしかならないんですね。それは前倒しでどんどんやっていくべきだと思います。

 次に、もう一つ。みんな、三倍が好きなんですね、COP28は。今度は、原発の容量も三倍にと言っているんですね。こっちは日本は喜んで参加するんじゃないかと思いますけれども、これも、だけれども、現実問題としては難しいですよね。これだって、世界で決めたりして、誓約したりしていくわけですから。

 宣言と誓約とか、いろいろ違うようですけれども、約束は約束ですから、そこを目指してやっていかなくちゃいけないと思うんですが、日本はこの点についてはどうやってやっていくつもりですか。

西村国務大臣 先ほどの再エネ三倍も世界全体でということでありますし、この原子力も世界全体で原子力発電容量を三倍にするということでありますので、それぞれの国が全て三倍にするということではございません。

 日本として、先ほど、再エネ、足下倍ぐらいになりますけれども、海外での洋上風力なり太陽光なり支援をしながら、世界全体で進めていくということがございます。特に、アジア・ゼロエミッション共同体構想の中でアジアへの取組を加速していく。

 この原子力につきましても、世界全体で容量を三倍にするということでありまして、日本は足下十二基動いておりまして、五、六%の今電力に占める割合であります。これを二〇三〇年は二〇から二二までできないかということで、原子力規制委員会の新基準に適合したものについて、安全性を大前提として、地域の理解を得ながら再稼働を進めていく方針ですけれども、容量は、足下から日本が三倍になるというのは少し想定されないものでありますので、むしろ、原子力をこれから利用しようとする第三国に対して、いわゆる新しいタイプの革新炉の導入支援であるとか、サプライチェーン、人材、こういったところの支援を各国と連携しながら進めてまいりたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 実際問題として、日本は新設はできない。それから、小型原発、あれは、アメリカはもう余り採算が合わないから中止だとか言っていますよね。日本は、再稼働、まあ今稼働しているのは十二基だけれども、福井県なんかに偏っていますけれども、歓迎しないと。どうやったって増えていかないし、それから、大臣が言われたように、容量を三倍なんていうのもとても無理だと思うんです。

 ですけれども、世界は違う考え方のもあって、二十二か国がこれに賛同しているし、原発がない国までやろうとしている。だから、CO2、CO2、CO2の排出規制と、そればかりが先に行っている。

 アメリカでは明確に原発はクリーンエネルギーと。日本はふにゃふにゃしていますけれども、私は、危険極まりないのでクリーンとは言えないと思いますけれども、まあ、CO2を出さないという点ではクリーンだと思います。

 ここはまあいいんですが、次に、本番のCO2の排出規制ですよ。これについて、岸田総理も、去年は行かれなかったけれども今年は行かれた。バイデン大統領が二回続けて行っているけれども、パレスチナのこともあるし行かないと。行かれて一つは進歩したと思いますよ。僕、表現方法は英語でどうやったのか知りませんけれども、石炭火力の新設は終了したということ、これは一歩前進ですけれども、世界中はもう廃止と言っているんですね。それを、日本は相変わらずなまくらじゃないかと思いますけれども。

 ですから、一日目に、首脳会合なんかが始まる頃に、CANですか、気候変動ネットワークが不名誉な賞をいつも出しますよね。化石賞に、フォッシル・オブ・ザ・デーに、アメリカ、ニュージーランドと並んで、日本は毎度おなじみです。ノーベル賞はもらえなかったですけれども、この間、珍しく誰もいませんでしたけれども、COPの化石賞は日本は常連ですよ。これは恥ずかしいことだと思います。

 何でちゃんと廃止していくということができないのか。世界は、三倍の容量というのは無理だということがありますけれども、やはり努力目標として、それに向けて行こうとしているんです。日本だって、国際会議の場でちゃんとそうした姿勢を明確に示すべきだと思いますが、何でそれができないんでしょうか。

西村国務大臣 石炭火力についての御質問でありますけれども、それぞれの国で地理的な条件、地形的な自然条件など異なりますので、資源も異なります。そうした中で、日本は、資源に乏しい、また、周辺を海に囲まれている、平野部も少ないという中で、まさに、エネルギーの安定供給、経済成長、それから脱炭素化をどう進めていくか。

 それぞれの国で、多様な道筋の中でベストミックスを考えていくということだと思いますが、日本においては、石炭火力はもちろん二酸化炭素の排出量が多いということはよく理解をしておりますので、電力の安定供給ということを頭に置きながら、石炭火力の発電比率をできるだけ引き下げていくというのが基本であります。

 それに加えて、今般、岸田総理から表明のありました、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設は行わないということで、ウィル・エンドという言い方をされて表明をされました。

 他方、必要な供給力は必ずしも十分ではない。これはLNGをめぐって非常に逼迫した状況がしばらく続くと思いますので、直ちに急激に石炭火力を抑制することになれば、電力の安定供給に支障が生じかねないということであります。

 もちろん、CO2を減らすということもありますので、二〇三〇年に向けては、非効率な石炭火力のフェードアウト、やめていくことを着実に進めていく、さらに、悪いのはCO2でありますので、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニア、特にアンモニアの混焼、最終的には専焼していくということでCO2が出ないような形にしていくこと、あるいは、出てきたCO2をCCS、CCUSで貯留をしたり再利用したりということで、脱炭素型の火力発電に置き換える取組を推進していきたいというふうに考えております。

 化石賞というのは、今回アメリカもニュージーランドもどうも言われたようでありますけれども、日本の技術、新しいテクノロジーを理解されていない方々が言っているのではないかというふうに思います。

 CO2を、我々、化学の材料として使うという取組を進めたり、CCSも、今法律の整備も含めて検討していますけれども、既に苫小牧沖で進めております技術がありますので、技術で、イノベーションで、カーボンニュートラルと経済成長、エネルギーの安定供給をしっかりと確保していきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 今、大臣の答弁の中で、ちょっと気になることがあったんですが。

 ちゃんとしたCO2の排出を抑えるような形の石炭火力だったら、これからも造るということなんですか。僕は、もう新規は造らない、それを言ったのかなと思って大きな勘違いをしていましたけれども、新しいのを造るんですか、ちゃんと。アンモニアの混焼とか水素とか言って、これはNGOからは、グリーンウォッシュだ、見せかけだと言われているんですね。そこをちょっとはっきりしてください。

 新しい石炭火力発電所はもう造らないのか、ちゃんと日本の技術を駆使してCO2を出さないように配慮した石炭火力発電所をこれからもどんどん造っていくんですか、どっちですか。

西村国務大臣 今後新たな石炭火力を建設することは考えておりませんが、総理が表明したのは、排出削減措置が講じられていないものはしないということ。

 我々、将来にわたって、エネルギーの安定供給、これはどういう事態が生じるか分かりませんので、いろいろな、多様な道筋、選択肢は残しておく、ただし、申し上げたように、出てきたCO2はきちんと回収して貯留する、あるいは再利用する、あるいは、アンモニアとの混焼、アンモニアの専焼、こういったことを進めることでCO2は削減していくということでございます。

篠原(孝)委員 そういう新しい技術、技術というのは悪いことではないと思いますが、延命のための技術だと思う、石炭火力の。それだったら、先ほど落合議員が指摘したとおり、もっと前向きな、よく発音できないんだけれども、ペロブスカイトですか、そっちの方とかをやるべきであって、石炭火力の延命のためにいろいろお金を使うよりも違うところに使った方がいいんじゃないですか。

 私は、人類の危機は、いろいろあるでしょうけれども、核兵器が一つあったでしょうし、あります。ですから、核禁止条約。そっちの方には何か腰が引けている。ただ、もう一つの凶器、世界の生命全体に対する危機というのが、このCO2、地球温暖化だと思います。ところが、日本はその両方にどうも腰が引けているんじゃないかと思います。だから、そういうのを見透かされている。

 確かに、アジアを引っ張っていかなくちゃならない。アジアの国々は遅れていて、それから、再生可能エネルギーをできる条件が、後でちょっと日本についても触れますけれども、悪いですよね。だから、そういうのがありますから、アジアを引っ張っていかなくちゃいけないと言っていますけれども、それもみんな世界にとってはきれいごとに映るわけですね。

 だから、石炭火力をなくしていこうというのは、もう二〇一七年にイギリスとカナダが廃止連盟とかをつくってやっている。それで、今回、フランスがリードしてまた同じようなことをして、そして、金融機関に石炭火力に対する投資はしないようにしていこうというもの、それにも入らない。そんな調子では世界からますます見放されるんじゃないかと思いますけれどもね。これはちゃんとやってください。

 今回のCOP28の目玉は、パリ協定から、まだ五年たっていませんけれども、国別の目標を立てた、これが一体どれだけ進んでいるかということで、グローバルストックテイク、これについてちゃんと話をして、そして見極めをつけるとなっているようですけれども、この点については日本はしっかり進めているんでしょうかね。

朝日大臣政務官 御指摘のグローバルストックテイクとは、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ一・五度に抑えるよう努力するというパリ協定の目標達成に向け、世界全体の気候変動対策の進捗評価を行うものです。五年に一回評価を行うことがパリ協定で定められておりまして、今回のCOP28において初めて成果物が取りまとめられる予定となっております。

 世界はまだ一・五度目標の道筋に乗っていないため、グローバルストックテイク、今回のこれを契機にいたしまして、世界全体の気候変動対策を加速していくことが重要だと考えております。その成果といたしまして、世界全体の温室効果ガスの排出削減について力強いメッセージで合意できるよう日本政府としても交渉してまいりたい、そのように考えております。

篠原(孝)委員 ちょっと矛盾する指摘というかサジェスチョンとかになるなと思いますけれども、表を見ていただきたいんです、お配りする表を。経産省が作った表をちょっと分かりやすくしたんですけれども、日本の国土面積と太陽光発電。これは一般の皆さんはよく分かっていないと思いますけれども、まあ、知られていない、みんながそれだけ宣伝していないからですけれども、いかに太陽光発電に日本は力を置いて、面積的に見たら大きいか。

 ここの上から四段目のところに、国土一万平方キロメーター当たりの設備容量、先進国で一番なんですよね。さすがに、下の太陽光の発電量のところは、それは、中国やアメリカ、国土の広いところが多いですけれども、一万平方キロメートル当たりの太陽光発電は二位のドイツの二倍になる。下の方のちょっと黒い囲みの中に行って、発電量は多くないですけれども、一万平方キロメーター当たりの発電量も相当多い。

 ここで大事なのは、日本は平地が少ないんですね。平地当たりにしたら、下から二番目ですけれども、平地面積一万平方キロメーター当たりの発電量は二位のドイツの三倍ですよ。満杯なんですよ。

 私、何か腹が立つんですよね、長野を見ると。これは農政とか農業を大事にされていないというのが分かる。平地の、住宅地のすぐ隣の何でも作れるという便利なところが太陽光発電に使われているんです。本当に、こんなばかなことをしている国は世界中にないと思いますよ。平らな土地が少ないのに。どうしているわけ。

 その次のページを、農林水産委員会じゃないんですけれども、見ていただきたいんです。ぱっと見て、数字だけ見て、眺めてみてください。この五十年、六十年で、農地面積が減る。一九五〇年から見ると、もう二百万ヘクタールが減っています。自給率も同じように減っている。

 つまり、何を申し上げたいかというと、一番上に農地面積を書いたのは、農地面積が減ったら作りようがないわけです。だから日本の農業は衰退するわけです。そこに、好きこのんで造っているわけじゃないんでしょうけれども、放置しておくよりいいから、太陽光発電でやった方がいいから、もうけられるからと。途中から、ソーラーパネル、ソーラーシェアリングと。ソーラーシェアリングというのがあって、上で太陽光発電で下は農業と。それはなかなかうまくいかないですよ。私は、平らな農地を太陽光発電にあてがうなんというのは絶対やっちゃいけないことだと思っているんです。

 さっき大臣が森林というのをちょっと言われましたけれども、森林も、緑も大事です。しかし、もっと大事なのは農地ですよ、貴重な。これを是非こういうときにちゃんとやっていただきたいと思います。

 それから次に、洋上風力発電。

 洋上風力発電、よくやっていますけれども、これも私はやっちゃいけないと。今日もNHKのニュースで東京湾に浮体式の洋上太陽光発電と言っていますけれども、日本の周りの海をみんな洋上風力発電などにするような感じで動いていると思います。だから、いかがわしい事件というか、変な、政治家も絡んだのが起きたりしています。

 これは、今、農地を押さえる以上に、所有者が明確じゃない。これは一度やっていますけれどもね。漁業権というのは物権に似たようなもので、きちんとしていないと、それを漁業者に渡さず誰でも彼でもできるようになる。すると、どうなるかというと、誰も所有者でもないから野方図に使っていいというふうになっていっちゃう。これは絶対に私は押さえなくちゃいけないと思いますけれども、そういう気持ち、大臣、おありになりますか。

 ここは相当抑制的にやらないと、日本の海、大臣の地元の、まあ、あそこらは航行が激しくてそんなのじゃないかもしれませんけれども、あの辺あたりもみんな、浮体式の太陽光発電とか、そういうのになっちゃうんですよ。それは絶対に避けなければいけないと思いますが、そういう気持ちはおありになりますでしょうか。

西村国務大臣 再生可能エネルギーを増やしていく中の一つの重要な部分が、この洋上風力だと思っております。ただし、今御指摘ありましたように、洋上風力を進めるに当たって、地元自治体あるいは漁業者を含めて、地域との共存共栄、これが大前提であります。

 このため、再エネ海域利用法に基づくプロセスにおいても、有望区域にする際に、環境省や水産庁を含む関係省庁に対して、当該区域における海洋環境や景観の保全、漁業などを含め、留意すべき事項について意見をしっかりと聞いているところであります。その結果、支障がある旨意見があった場合、有望区域としては位置づけないということとしております。地域との意見調整、これを前提としているということであります。

 さらに、国による促進区域の指定に向けては、各海域ごとに地元自治体や漁業協同組合、漁協など利害関係者で構成される法定の協議会を開催をして、環境配慮事項あるいは風車の設置位置などの具体的な条件を整理をしております。

 一つだけ例を申し上げますと、例えば本年十月に促進区域として指定した山形県の遊佐町の沖では、国定公園区域と重複する範囲には風車を設置しないということとしております。

 こういったことがそれぞれの地域でございまして、選定事業者にはこうした内容を遵守するように求めているところであります。

 引き続き、御指摘のように、海洋環境の保全との調和を図るために、環境省を始めとして関係省庁とも緊密に連携をしながら、地元としっかりと意思疎通を図って、環境保全をしながら洋上風力の発電導入促進を全体として進めてまいりたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 三枚目の資料をちょっと見てください。燃油価格激変緩和事業の推移。これは二年間で六兆円使っているんです。私は、幾ら物価が高騰して大変だからといって。

 これは、お分かりになりますかね。日本の新聞とかはそういうのは書きませんけれども、COPではCO2の排出を抑制している。ガソリン価格が高くなったら需要を抑制することになるわけです。CO2を出さないことになる。それを、日本は一生懸命その需要の下支えをして、今までどおり使っていい、使っていいとやっているわけです。そこに六兆円も使っているんです。皆さん、この矛盾に気がつかない。

 だから、今生活に困っているんだからしようがないというけれども、莫大な金額ですよ。農政ばかり比較して済みませんけれども、農林水産予算は減りに減って、二兆円ちょっとですよ。三倍も使っている。これはおかしいと思います。矛盾し切っているんですね。これよりももっと前向きな、先ほどの、違う技術開発に使ったりしたらどれだけ役に立つか。僕はおかしいと思うんです。

 それからもう一つ、ちょっと大臣に、これが最後です、注文をしておきます。

 今、大臣、ここで私と質疑されていますけれども、最もいるべきところはどこなんでしょうか。ドバイです。環境大臣だけが行っていればいいというんじゃなくて、経産大臣、エネルギー担当大臣の方がずっと関わりがあるんです。だからG7サミットの札幌会合はお二人で出ておられるんですね。だから、どうしてそういうふうにしないのかと思います。

 そういうときに、間隙を縫って東京都知事が行って、ペロブスカイトのことを言っているんです。そんなのは東京都知事が言う話じゃないです。西村経済産業担当大臣が言われるべきことだと思います。

 この二つの点についてお答えいただきたい。以上で質問を終わりますから。

岡本委員長 西村経産大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

西村国務大臣 はい。

 ガソリン、軽油など燃料油については、委員のお地元の長野県もそうだと思うし、私の地元の淡路島もそうですし、日本の地域では、公共交通機関が十分に隅々まで行き届いていない中で、やはり車を利用する方々がたくさんおられます。ガソリン価格、軽油価格が高い中で、国民の負担軽減のために一定のことはやはりしていこうということで、この激変緩和措置を続けてきております。

 一時期は四十円ぐらい補助していたものが、今は、一時期また八円ぐらいまで、何とか出口が見えるかなと思ったんですけれども、また上がってきましたので、今は二十五円程度だと思いますが、いずれにしても、出口を見据えて対応していかなきゃいけないというのはそのとおりでありますので、電気自動車あるいは水素自動車、こういったものの整備、今回、支援策で、一千七百億円、補正でも手当てしていただきましたので、しっかりとそうしたことも進めてまいりたいというふうに考えております。

 国会が許せば、国会の事情が許していただければ、私も必要な海外出張で日本の主張をしっかりとしなければならないと思っておりますが、今回、このように経産委員会も設定されましたので、国会でしっかり先生方に説明するということをしているわけでございます。

篠原(孝)委員 我々は反対なんかしていませんよ、大臣が行かれるのを。それから、この委員会もなかなか開かれなかった。両方とも、審議というか議論というのに後ろ向きなんです。この姿勢を直していただきたいと思います。

 以上、終わります。

岡本委員長 次に、伊東信久さん。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日は、中小企業に対する政府の支援及びフォローについて、透明性と理解を深めるために幾つか質問させていただきます。

 大臣の御地元、タマネギで有名でございますけれども、私の地元もタマネギで頑張っておりまして、ライバルというよりも、多分、兄弟関係のような、親子関係のような関係ですので、また御答弁の方をよろしくお願いいたします。

 その地元の中に泉佐野市というのがあるんですけれども、地場産品の創出支援事業、中小企業の支援事業として、「#ふるさと納税三・〇」という取組があります。これは、企業や個人事業主から新たな地場産品を作り出す提案を広く募集して、それが採択されればプロジェクトを立ち上げ、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングで資金を調達するスキーム。目標額に達すれば新たな地場産品を作り出す事業を開始して、できた地場産品を返礼品としてお届けする、地方の未来への投資となる新しい仕組みで、二〇二〇年、第一弾を実施しまして、そして、翌年、二〇二一年、「#ふるさと納税三・〇UG版」を、これはアップグレードというんですけれども、提案募集して、地場産業の振興に取り組んでおります。

 さて、このふるさと納税を活用して市外から企業の進出を促す仕組みをつくりまして事業化したプロジェクトの第一弾が熟成肉でありまして、事業者は三者、三つの会社を数えて、雇用も生まれました。こうした中、これまで、中小企業の支援策として、事業再構築補助金やものづくり補助金において、熟成肉や精米関係の採択事例もありました。

 資料一を見ていただきたいんですけれども、こうした地方の取組に対して、ふるさと納税ありきでやっていましたので、制度変更が、つまり地場産品の基準変更が総務省において告示されました。内容に関しては、総務委員会や地・こ・デジなどで質疑を行って、地元から出された矛盾点について述べてきたので、詳細の方はあえて質疑はしないんですけれども、熟成肉の科学的なエビデンスに関しての議論になるので、これが産業としてどうなのかということについて議論もさせていただければと思うんです。

 このふるさと納税制度について、泉佐野市がこれまで取組をして、本制度について総務省において基準の見直しが行われた。都度、制度に合わせた運用をしていましたけれども、令和四年九月二十二日付の総税市第八八号、総務省自治税務局市町村税課長より発出されました「ふるさと納税制度の適正な運用について」、これに対して泉佐野市は、九月二十七日付で総務省に対して説明資料を送っているんですね。これが資料一なんですけれども。

 この内容に関して、総務省は何か回答を行っていただいたのか、また、回答をしていないとしたらどのような受け止めをされたのか、まずはちょっと総務省にお伺いしたいと思います。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 令和四年九月二十七日、泉佐野市から送付された資料についてでございますが、当時の基準における地場産品基準への適合性に関して、令和四年度指定に当たっての申出理由を補足説明をいただく内容でございまして、省内での、委員からのお話にありました見直しの検討に当たりまして、参考とさせていただきました。

 熟成肉等については、泉佐野市から資料が送付される直前の令和四年九月二十二日の通知におきまして、今後、告示やQアンドAの改正を行うことを検討することを旨として既にお示しをしていたことから、泉佐野市に対して特段回答は行っていないところでございます。

伊東(信)委員 特段回答をいただいていないということなんですけれども、この経産委員会の場で議論いただきたいと思っているのは、つまり、総務省から九月二十二日にいただいた資料によりますと、広く全国を見ると、熟成肉を冷凍しているだけで、いわゆるまがいものの熟成肉もある、そのことに対して疑義があるので、まず熟成肉自体を外すことを検討していると。それに対して、泉佐野市の熟成肉の取組は、つまり、これは産業としての熟成肉の取り上げ方を議論したいわけなんですね。

 農林水産省に地・こ・デジのところでお尋ねしたところ、まだちょっと基準が決まっていないので今から検討するという御回答をいただいたわけです。その場では、じゃ、基準が決まってからでいいんじゃないかというお話もさせていただいたんですけれども、総務省さんの御回答は、もう一年前にそういった話をしたから今年の秋からは熟成肉を外すというお話でありました。

 ところが、中小企業の支援に関してお尋ねをしたいわけで、泉佐野市の事例のように、これまで取り組んできた自治体による企業の誘致及び企業に投資してきた努力が、今回の総務省の制度変更によって無に帰すことにもなりかねません。これは、企業の損失や、今後も予定していた継続的な雇用が失われた企業というのがあるんですね。

 このことを総務省さんの中で把握されていたのか。若しくは、行ったときにそのときの結果というのも予測されたと思うんですけれども、その辺りは、総務省さん、いかがでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 ふるさと納税は地方団体に対する寄附金という性格でございますから、各団体における寄附金受入額や住民税からの控除額に関する実績と寄附金の使途については、毎年把握をし、公表しておりますけれども、各地方団体が提供しております返礼品の提供事業者に対する影響等については把握をしておりません。

伊東(信)委員 この後経産大臣にお尋ねするわけなんですけれども、その前に、では、こういったところで、企業の中の雇用が失われる、実際に大阪においては、なにわ黒牛というのがありますから、それで対応させていただくんですけれども、やはり絶対数が少ないので、これ自体も減っていくわけで、企業としては大打撃を受けます。それに関して総務省さんは、何か対応を講じていただく、若しくはアドバイスをいただけるという議論はありますか。あるかないかだけでいいです。

船橋大臣政務官 地域経済に与える影響ということでのお尋ねでございましたけれども、私どもとしては、令和四年九月二十二日の通知におきまして、今後の告示やQアンドAの改正などについての検討、これを返礼品として用いることを見合わせることも含めて、適切な対応を取っていただきたいという旨をお示しをし、一年前の早い段階から注意喚起を行ってきているところでございます。

伊東(信)委員 水かけ論になるので申し上げませんけれども、時系列として、その前からハッシュタグ三・〇というのは存在していたんですね。それで、見直しをすると。その中で、熟成肉の製品としての、農業製品というよりも工業製品と捉えてもいいような取組を、私は、医療をやっていますし、科学者の端くれなんですけれども、この資料を見る限り、しっかりとやっているというところがございました。

 一方で、まがいものの熟成肉となるのが、そこの企業には申し訳ないですけれども、日本全国の中にあったのも事実かもしれません。だけれども、その辺りの精査をしていただけていない。その部分によって企業の損失があるんですけれども。

 じゃ、経産省にお尋ねします。

 今回の制度変更で起きた企業における資本損失や今後も予定していた継続的な雇用が失われることに対して、直接的な支援がもしあればありがたいんですけれども、その辺りのお考えはいかがでしょうか。

西村国務大臣 御指摘のふるさと納税の制度変更を始めとして、様々な制度の変更あるいは事情変化によって、中小・小規模事業者はまさにそうした影響を受けやすいわけでありまして、特に今、人手不足でありますし、物価高騰を含めて様々厳しい環境がある中で、特に資力に乏しい事業者ほどこうした影響を受けやすいものと認識をしております。

 このため、まずは、事業において、物価高に対応する価格転嫁対策とか資金繰り支援、これなどを通じて、状況に応じて経営を支えていきたいと思いますけれども、状況を打開して大転換を図るには、まさに企業自らのいろいろな挑戦、意欲的な挑戦も不可欠だと思っております。

 そうした中で、中小・小規模事業者のこうした取組を後押しするために、補正予算におきましても、小規模事業者の展示会への出展とか、あるいは広報戦略、設備投資、新商品やサービスの開発による販路拡大、こうした取組であるとか、あるいは、新規輸出を一万者支援していこうというプログラムを通じて、もう既に千件以上実現してきておりますけれども、海外のECへの出展など、こうしたものを支援し、販路拡大、売上拡大につなげているところであります。

 引き続き、それぞれの中小企業、小規模事業者の事情に応じながら、こうした支援策を用意しておりますので、是非活用いただきながら、事情の変更にも対応して、是非大いにチャレンジ、挑戦をしていただきたいというふうに思います。

伊東(信)委員 大臣の支援のお話、ありがたいお話でありまして、要は、製品に関しての制限があるのであれば、市場の方の拡大ということで、そういった支援をいただけるということで。融資に関してはやはりなかなか借りられないという中小企業さんもありますので、そういったところは十分活用させていただければと思っております。

 さて、時間もあれなんですが、もう一つお尋ねしたいことがありまして。

 ポリ塩化ビフェニルの話をしたいわけでして、PCBの廃棄処理に関してなんですけれども、これは元々、分解されにくく非常に安定しているということで、電気絶縁体とかに使用されていたりということなんですけれども、高濃度のPCBの廃棄物は、別途ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画というのがありまして、処理期限内に処理を終えるとされております。

 ところが、高濃度に関しては全国五か所の事業所においてやられていまして、高濃度のPCBの廃棄物というのは処理が行われていて、計画的処理完了期限というのがありまして、それに基づいて進んでいっているわけなんですけれども、低濃度があるんですね。低濃度のPCBというのが昨今地元でも問題になっていまして、これの無害化処理対策に対しては、全国の無害化の処理認定施設は三十一、都道府県の許可事業者が二事業になっているんですけれども、そもそもちょっと数が不足しているわけで、受入れも難しくて、処理を行う事業者にも負担となっているんじゃないかと。

 若しくは、これを増やしていくと、いわゆる費用に関しても抑えられるような体制づくりになると思うんですけれども、その辺りを環境省さん、教えてください。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 今ほど委員御指摘のとおり、低濃度PCB廃棄物を安全に処理するために、廃棄物処理法に基づきまして、都道府県知事の許可を受けた処理施設に加えまして、環境大臣の認定を受けた無害化処理認定施設において処理が行われているところでございます。

 これもまた御指摘いただきましたとおり、このうち、環境大臣の認定施設につきましては、焼却施設が二十三施設、洗浄施設が八施設ございまして、全国各地で施設が整備されているというふうに承知をしておりますし、また、都道府県知事の許可を受けた処理施設は二施設あるところでございます。

 少なくとも、現段階におきまして、私ども環境省といたしましては、この無害化処理認定施設におきまして、低濃度PCB廃棄物を処理し切れない状況にはないというふうに理解をしているところでございますが、もとより、今後新たに認定の申請がありました場合には、廃棄物処理法に基づきまして、しっかりと適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 実際に、地元とかでソケットレンチの作業工具の製造業を営む会社さんがありまして、鉄工会社の会社さんなんですけれども、本当に、二十名規模なので、小規模企業なんですよね。そういったところで、高濃度に関しては助成金のおかげがあって七十五万円で処理できたんですけれども、低濃度のやつが、二トン超のトランスがあったわけです。そうすると、今言った二社に見積りしていただいたら、運搬と処分だけで約五百万、入替えを含めたら約九百万の見積りがあって、やはりこれはかなり中小企業さんには負担になると思います。

 今後危惧されているのは、それを知らない中小企業さんもあって、わあ、出てきたわ、えらいことやという話になると思うんですよ。それが不法投棄されたり環境問題になったりすると、まさに本当に経済が損なわれるんです。

 だけれども、期限をどの範囲まで認めてもらうかによって資金繰りもあると思うんですけれども、そういった事業者の事情というのは考慮されているか。若しくは、処理を行う意思があっても処理ができない業者も存在してくるわけなんですけれども、この場合、罰則も含めて、何か支援を考えてはるのでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、PCBの処理期限でございますけれども、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約を批准している日本におきましては、PCB廃棄物を適切に処理するため、PCB廃棄物処理特別措置法に基づき、低濃度PCB廃棄物の処分期間を、令和九年、二〇二七年の三月末までとさせていただいております。

 PCB廃棄物処理特別措置法におきましては、処分期間後に低濃度PCB廃棄物が発見され、適切に処分が行われない場合には、地方公共団体による改善命令等の行政処分の対象となり得る、こういう形になっております。

 私どもといたしましては、処理をしていただく事業者の皆様方に対する支援策といたしまして、PCBによる汚染の疑いのある機器のPCB濃度の分析や処理業者との処分委託手続につきまして、手引の作成や事業者向けの説明会の開催に加え、専門家派遣などを行ってきております。また、今年度からでございますけれども、PCB濃度の分析及び低濃度PCBに汚染された変圧器の高効率変圧器への交換に対する補助事業を実施しているところでございます。

 低濃度PCB廃棄物の処理を加速するため、これらの支援策の活用について周知徹底をし、しっかりと支援に取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 済みません、じゃ、経産省からは中小企業対策として、大臣、何か支援を行うことは考えられていますでしょうか。

西村国務大臣 PCBにつきましては、様々な機器、製品に含有されています。その適正な処理は、まさに中小企業を含め、幅広い業種に関わる課題というふうに認識をしております。

 経産省では、環境省と連携をして、中小企業向けの支援策として、低濃度PCB廃棄物の処理に活用可能な低金利の融資制度を講じております。環境省では、御説明にあると思いますが、今年度から、PCBに汚染された変圧器から高効率な機器へ変換する際の補助制度を設けているということであります。

 今後、使用又は保管中の低濃度PCB使用製品の実態把握調査が進められると認識しておりますので、そうした結果も踏まえて、関係省庁と連携を図りながら、PCB廃棄物処理の事業者負担が可能な限り抑制され、処理が円滑に進むよう協力していきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 時間が来ましたので。

 本当にPCBに関してはよろしくお願いしますということなんですけれども、前段の熟成肉について、そもそも総務省というのは、熟成肉の加工の仕方について疑義があるというお尋ねがあって、冷凍庫で保管している、熟成肉としてまがいものの熟成肉があると指摘があった。でも、告示段階では熟成加工の仕方に線引きはできず、代わりに原材料の産地を絞ったわけで、そうすると、まがいものの熟成肉というのは排除できなくて、例えば都道府県の原材料さえ使用すれば、まがいものの熟成肉でもクリアすることになるんです。

 これは厳格化どころか緩和になってしまわないかという心配もございますので、本当に、今回追加されたただし書の熟成肉についてというのは排除するように検討いただければと思うところで、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

岡本委員長 次に、市村浩一郎さん。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 西村大臣、今日もよろしくお願いいたします。

 私はやはり、今日の議論は水素社会の実現に向けてということでございまして、そのためには、水素をどう作っていくか、どう運ぶかということが重要になってまいりますが、まず冒頭、水素を電気分解してマイナス二百五十度に冷やして液化するまでに電気エネルギー換算で何キロワットアワーぐらい使うのかということについて、政府委員の方から御答弁いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、水素をマイナス二百五十三度まで冷却することで液化しまして、そうすると体積が八百分の一まで縮小するため、液化することで大量輸送が可能になると。

 御下問の、まず電気で水素を作って液化するというところ、一トン分で考えますと、合計約六・四万キロワットアワー、電気を使うというのが、現状の性能で見た場合、そう試算されます。

市村委員 それで、じゃ、どこで水素を電気分解して液化するかというところなんですが、私は、この委員会でも、また別の委員会でも、ずっと洋上エネルギーファームということを提言をさせていただいております。

 洋上風力発電というのはありますけれども、洋上エネルギーファームというのは、風力だけじゃなくて太陽光も含め、また、洋上ですから、例えば波力、潮力、それから海洋温度差発電とか、あらゆるものを、技術を利用して、洋上で単位面積当たり最大の電気を取り出す。その電気を取り出したもので水素を取り出し、そしてそこで液化して水素船で運んでくるというのが、今後の水素社会にとっては、私は一番いいアイデアかなというふうに思っているところでありまして、その提案をずっとさせていただいたわけでありますけれども、今、そのことにつきまして、経産省としては、大臣、どのような検討をいただいていますか。若しくは検討していないというのも含めて、どうぞよろしくお願いします。

西村国務大臣 まさに水素社会の実現に向けた課題はコストでありますので、国内で再エネから水素を製造する場合には再エネ価格が重要になってくる、できるだけ安価な再エネによる水素製造が望まれるということであります。

 そして、御指摘の洋上風力、太陽光、潮力発電などを組み合わせた洋上エネルギーファーム、御提案のですね、こういうものであったり、そして、そこで発電した電気を蓄電池にためたり、水素に変換して運搬すること、これは今後の可能性としては考えられるものというふうに思っております。

 まずはそれぞれの技術課題を解決していくことが必要でありまして、例えば、洋上での太陽光発電は、波、波浪や潮流の影響が大きくて、海水による電気設備への塩害の影響なども考えなければなりません。また、洋上風力以外の潮流などの海洋エネルギーについては、現状では世界的にまだコスト面や安定供給面の課題があるということで聞いておりますが、経産省としても、様々な可能性を追求しながら、低コスト化などの技術開発、実証について取り組んできているところであります。

市村委員 ありがとうございます。

 今、洋上風力発電を、さっき塩害等技術課題をおっしゃいましたけれども、もう既に洋上風力発電をやろうとしているわけですね。ですから、そこで課題克服についてはいろいろな方のお知恵をかりてやっているはずです。それから、先ほども、洋上、いわゆる浮力、太陽光発電という議論が出ていましたけれども、そこでも恐らく塩害についても当然考えてやっているはずなんですよね。だから、そういうものを、新しい技術をどんどん取り入れて、やはり単位面積当たり最大の電気エネルギーを取り出す、それで水素を作る。

 蓄電池が発展すれば、もちろんそこに電気をためて運んでくるというのもいいでしょうけれども、なかなか蓄電池はいいアイデアが出てきません。そうすると、やはり水素社会ということを経産省さんもおっしゃっているわけですから、やはりそこは、水素を取り出して、それを液化して運んでくるというのが一番いいのではないかというふうに思っているところであります。

 そして、これをやるとどうなるかというと、いわゆる、道の駅ってありますけれども、これは海の駅ができるんですよね、洋上に。そうすると、今後、電気船とか水素船というのが出てきた場合、洋上で、そこで電気を入れたり水素を入れたりするということができるようになってくるわけです。

 これは西村大臣もよく御存じのとおり、神戸空港の沖に、川崎重工さんが今その実験施設を持っていますね。あれはLNGガス、天然ガスの発電の一部を取り替えただけで水素発電ができる、先日私も視察に行ってまいりましたが、もうそういう技術なんです。

 ですから、水素というのは極めて、経産省さんもおっしゃるように、大変重要なテーマだと思いますので、是非ともこれをやっていきたいと思いますので、是非とも経産省さん、西村大臣を先頭にやっていただきたいと思うところでありますが、ちょっと一言決意をお願いします。

西村国務大臣 御指摘のように、神戸、川崎重工を中心に、水素発電、小型のタービンでもう一〇〇%水素を燃やして電力と熱供給を行っております。町中で取り組んでおりますので、本当に視察も多く来ているというふうに聞いております。

 その水素社会を実現していく上でも、御提案の波力とか潮力とか、それぞれ我々実証もやっておりますので、そうしたものを組み合わせて、将来の可能性を是非追求していきたいというふうに考えております。

市村委員 それで、この間もここで申し上げましたが、そのときは、マイナス二百五十度、二百五十二度なんですけれども、その冷熱をどう利用するかということも、今、LNG、水素はこれからですからまだまだ、川崎重工さんはもう既に冷熱の利用ということも含めて考えておられます。しかし、今の液化天然ガス、LNG、これについて、マイナス百六十度ぐらいの冷熱なんですけれども、これはほとんど捨てているんですね。空気中に捨てています、この冷熱を。これは極めてもったいないんですね。まさにSDGsの発想からすると、捨てているものを使って生かしていくということは、大変重要な発想だと思います。

 そうなると、この間ここでも申し上げましたように、例えば米粉の粉砕とか、米を粉砕して米粉を作るとか、そしていわゆる小麦粉代替にするとか、そういう発想もできるんですね。マイナス百度ぐらいで米を急速冷凍して粉砕するという、もう装置は実はあるんです。やっているところもあるんです、そういうことも。でもしかし、それはマイナス百度まで電気エネルギーを使って下げているわけですね。だからコストが高いんです。ところが、マイナス百六十度の熱をうまくマイナス百度ぐらいで使えますと、捨てている熱を使って米を急速冷凍させて、粉砕して米粉にして、それを小麦粉代替にできるという発想も持てるんですね。

 是非ともこういう発想にも、この冷熱利用というのを、その他、冷熱はいろいろな形に使えます、データセンターにも使えますし、また空調にも使えるというところもあります。捨てているものを使うということの発想で、冷熱利用というのを是非とも、経産省さん、特に西村大臣が先頭に立って訴えていただきたいわけですが、また御決意を聞かせていただければと存じます。

西村国務大臣 以前にも市村委員とは議論させていただきましたし、いつも情熱を込めて話されますので、私も情熱で応えなきゃいけないなという思いになるわけでありますが、まさに、利用されていない冷熱の利用を熱エネルギーの有効利用の観点から進めていくというのは重要な取組だと思っております。

 LNGを気化する際の冷熱、これは徐々に進みつつあるということで聞いております。例えば、LNG基地内でのサーモンの、水産物の養殖であるとかドライアイスの製造、こういった取組も進められているものと承知しております。

 液化された水素が広く利用されるようになれば、御指摘のように、その冷熱も可能な限り有効利用していくことが重要だと思っております。

 それ以外にも、工場での廃熱などを含めて、まだ使われていない熱エネルギーがありますので、これはコストや技術面の課題もあると思いますけれども、幅広くありますので、様々なアイデア、技術の可能性、追求していきたいというふうに考えております。

市村委員 これで終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 おはようございます。国民民主党の鈴木義弘です。

 大臣の所信に引き続いて一般質疑ということで、かぶる内容も幾つかあると思うんですが、お許しをいただきたいと思います。

 新聞でよく報道を目にするんですけれども、中国がやはりいろいろな戦略を立てて、物であったり人であったり、お金もそうだと思うんですけれども。

 この間知り合いから聞いたんですけれども、中国の人が日本で商売されていて、自分の国に帰ったんだそうです、上海で。ほとんど車は今、電動自動車に換わってきちゃっている。日本よりも全然進みが速いというんですね。電気のスタンドもいっぱいあって、不自由することなく電気自動車で走り回れるというのが上海だというふうに聞いたんです。

 ここで、コロナも含めて、生産拠点を海外に移したオフショアリングから国内に戻すリショアリングにかじを切ろう、これは、経産省も含めて、なるべく、アベノミクスのときもそうだったんですけれども、海外から日本に呼び戻していこうじゃないかと。

 一つは、今の、円安と言っていいのか円高と言っていいのか分かりませんけれども、一ドル当たり百四十七円ぐらいの時代で、これがどこまで続くか分かりません。アメリカの金利が下がれば、その分、円高に振れるだろうし、今後、人によっては二百円を超えると言う人もいれば、百三十円よりもっと安くなるんじゃないか、安くというより高くなるんじゃないかというふうに唱える評論家の方もいらっしゃるんですけれども。

 しかし、脱中国に関してはそう簡単にいかないんじゃないか。

 これは一番と三番の質問がかぶってくるんですけれども、緊急経済対策をやって、生産拠点の国内回帰だけではなく、多元化も支援していくんだということがうたわれてきたと思います。生産拠点が一か所に集中するとサプライチェーンが脆弱になり、分散させようというのは理解できるんですけれども、しかし、分散化は必ずしも脱中国依存が進んだことを意味しないんじゃないかという考え方です。

 OECDの付加価値貿易統計によれば、ベトナムの対米輸出を支える繊維製品や電子部品は輸出額の二割相当が原材料や部品として中国から輸入しているということが分かるんだそうです。米国の対中輸入の減少は中国への依存度が低下したことを意味するとは言えないんじゃないかという指摘があるんですね。

 脱中国依存が進まない理由として、第一は、中国の産業集積は非常に厚く、同国を代替し得る国が見当たらないこと。第二は、感染拡大、これは収束してきたんですけれども、中国の生産機能が損なわれる可能性が低かった。

 このような実態で、どこまで国が本気で取り組む考えがあるのかということをまず大臣にお尋ねしたいと思います。

西村国務大臣 冒頭に中国のEVが広がっているというお話、普及が進んでいるというお話がありましたけれども、その電力は、中国は六割石炭に依存しておりますので、本当にクリーンな取組なのかというところなども我々は考えていかなきゃいけないということを冒頭御指摘をしておきたいと思います。

 その上で、中国との貿易関係は幅広く日常的に行われておりますので、これを全てやめる、いわゆるデカップリングをするというのは現実的ではありません。課題は、特定の一つの国に何かサプライチェーンを依存してしまうこと、このリスクを低減する、デリスキングという言い方を最近しておりますけれども、特に、重要な物資についてのリスクを下げる、特定国への依存を下げるということ、それから機微なものについての軍事転用などを避ける、防ぐということだと思っております。

 一方で、こうした重要な物資のサプライチェーンを日本だけで構築していくことも難しいわけでありまして、そのために、アメリカ、ヨーロッパを始めとして、同盟国、同志国と連携しながらサプライチェーンの強靱化をつくっていこうということで、例えばインド太平洋経済枠組みのIPEFであるとかG7であるとか、そうしたところで議論を進めているところであります。また、公平な競争条件の確保とか経済的威圧への対応なども協調した取組が必要だと思っております。

 特に、一部の国では、不透明な産業補助金、あるいは環境規制が緩いということなどを含めて、あるいは労働規制が緩いということで、不当に安価な製品を大量に生産するということもありますので、そうしたことへの取組も必要であります。

 まさに、環境などへの持続可能性や信頼性、こうした要件を満たして、公平な競争条件が確保される公正で持続可能な市場をつくっていくということが大事だと思っております。こういった取組をアメリカやヨーロッパ、EUといった同志国とともに、具体的な議論を加速させていきたいというふうに考えているところであります。

鈴木(義)委員 まあ、日本が行儀がよかったかといったら、そんなことはないんですよね。日本で処理しづらいものを海外にどんどん出していって、環境基準の緩いところにわざわざ品物を出していったり、それは御案内だと思うんです。日本は、工業製品、JIS規格がありますから、農産物でいけばJASがあったりするんですけれども、規格がない国にどんどん出せば、そこでリサイクルするなり違う用途で使い始めても、結局使われちゃうんです。そこに日本と同じような環境基準を当てはめられるかといっても、うちのことだから、それは、余計なことは言わないでというのが今までずっと何十年も続いてきた歴史だと思います。

 例えばバッテリー、車のバッテリーです。日本で処理する会社もありますけれども、バッテリーをそのまま輸出するんです。一番困るのは、希硫酸、バッテリーの中にある。それは、被服につけばみんなぼろぼろ破損していくし、希硫酸の中にある鉛がありますし。

 じゃ、それをどういう処理の仕方をしているのか。日本では基準が厳しいから海外に輸出して、原材料みたいな形で輸出するんですけれども、相手の国でどういう処理をしているかは、全然日本は関知しない。それで、公平な競争をしていくんですといっても、それはなかなか口で言うほど簡単にいかない。人、物、金、どうしても高いところから低いところに流れていくのが経済の原則のような気がするんですね。

 それで一つ。これは、中国企業が、EVに搭載する電池材料であるグラファイト、これは過去に私も質問しています、輸出を許可制にするという発表がこの間新聞で出ていたんです。中国は黒鉛の世界生産の六五%を占め、車載電池向け負極材では中国企業が八割以上のシェアを握っているというふうに見られるということなんですね。中国は、八月にも半導体材料のガリウムなどの輸出を許可制にしたほか、十一月からはレアアースの輸出業者に種類や輸出先などの報告を義務づける制度を始めるなど規制を強化している、これはもう把握されていると思うんです。

 このような一連の中国の輸出に対する規制措置により供給がストップするかもしれないと懸念されているんですけれども、日本の対策はどう考えているのか。これは一日とか一か月とか半年でできることじゃないんだと思うんですけれども、それをやはりやっていかないと、幾ら再生可能エネルギーだ、EV自動車だと言っていっても、結局、物が入ってこなければ作れない。

 今御答弁いただいた、サプライチェーンで、ヨーロッパだとかアメリカだとか、日本と仲よくしてくれる国のところとタイアップしてやる。そこにそれだけの技術力があればいいですよ。冒頭申し上げましたように、結局、中国だって自分たちの戦略でいろいろなことをやっているわけですから、それに打ちかつようなことをやはり経産省が戦略を立てて、物なら物、技術なら技術というふうにやっていかないと、これはもう、一年とか二年でノウハウを蓄積できるほど甘いものじゃないんだと思うんですね。

 太陽光発電のパネル一つだって、八割中国から入ってきている。いいですよ、最初の五年、十年は。二十年たって入れ替えるといったときに、また中国から。じゃ、そのときに、あんたのところには売らないよとなったら、どうするんですか、再生可能エネルギー、太陽光発電。そういったことも踏まえてやはりやっていかなきゃならないんじゃないか。過去に何回か指摘させていただいていると思うんですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

西村国務大臣 かつて中国にレアアースを止められたとき、日本は、代替品、リサイクル、また代替地からの確保など取組を進めて、そうした苦難を乗り越えてきたわけでありますけれども、今回、中国商務部が、八月一日からガリウム、ゲルマニウム、十二月一日からは黒鉛、グラファイトですね、これの輸出管理措置を講じるなど、段階的に輸出管理を強化しているものというふうに承知をしております。

 経産省としては、この中国当局からの公表の後、速やかに関係事業者に連絡をし、サプライチェーンが途絶することがないように、在庫量の積み増しあるいは代替調達先の検討など働きかけをしてきているところであります。

 また先般、王文濤商務部長とAPECのマージンでお会いをしまして、会談をしました。そのときに、日中輸出管理対話を立ち上げることにしておりますので、その場も活用し、輸出管理措置の運用状況などをしっかりと見ていきたいと思っております。仮に我が国に対してWTOなどの国際ルールに照らして不当な措置が講じられているということであれば、ルールに基づき適切に対応していきたいというように考えております。

 また、今年九月には私カナダに出張しまして、カナダでこのグラファイト、黒鉛から蓄電池の負極材を一貫して生産するプロジェクトに関する民間企業同士の協業の合意の場に立ち会ったところであります。

 引き続き、こうした重要鉱物のサプライチェーンの多角化、夏にはアフリカも回ってきましたし、オーストラリアも資源国であります、こうした国々と連携を図りながら、先頭に立って、この重要鉱物確保をしっかりとしていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 私のところの親戚では古紙を扱っているんですね、この紙。古紙の業界の人からも話を聞いたんですけれども、一生懸命古紙を集めるというか、まあ買ってくるわけですね。日本の製紙会社に納めようとすると、おなかいっぱいなんですって。需要が落ちている。でも、古紙の値段が下がらないんです。じゃ、どうしているのと聞いたら、輸出していると。中国はもう要らないと言うんですね。もうもう、うちの方もいっぱい古紙があるから、おたくからは買わないよと。

 じゃ、それで、どこへ行くって、ベトナムだとかマレーシアとか。そこの工場はどこの企業なのかといったら、中国の企業がベトナムだとかマレーシアで工場を建てている。そこを動かさないとどうしても赤字になってしまうから、赤字を縮小させるためにも生産をしていかなくちゃいけない。

 だから、外に出るから。物ってそうですよね、日本の国内で滞留していて行き先がなければ、外に出ていく。当たり前な話です。同じだと思います、レアアースも、レアも、ベースメタルも同じ。

 だから、緊急避難的にどうするかというのをやはり真剣に考えて、どのぐらいストックすればいいかというのも、人間もそうですね、ずっと仲がよかった同級生がある日突然仲たがいするときもある。国も同じだと思うんです。これから百年先までずっと仲がいいかどうかは誰も保証できない。それは、いいときもあれば悪いときも出てくる。それで物を入れる入れないという話になってしまったのでは、日本の産業が成り立たないんじゃないかというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいんですけれども、大臣が所信のときに破壊的イノベーションという言葉をお使いになったんですね。これについての記事を読んだんですけれども、イノベーションのジレンマという言葉なんです。

 大企業、既存プレーヤー、いろいろな会社さんがあります、既存顧客のニーズを満たす目的で持続的イノベーションを起こしたことに注力した結果、破壊的イノベーションを起こせなくなり、破壊的イノベーションを起こす企業に後れを取る現象のことをイノベーションのジレンマというんだそうです。持続的イノベーションとは、破壊的イノベーションの対義語であって、現在の市場で求められる価値を向上させるイノベーションを指すということ、当たり前だと思うんです。

 イノベーションのジレンマの主な内容として、一つ目のジレンマは、継続的イノベーションによりシェアを拡大するたびに、既存事業を脅かすような新事業にチャレンジしにくくなるジレンマを指している。ある事業のシェアが拡大すると、株主や取引先のステークホルダーからの信頼や顧客からのデータを集積することから、企業はその既存事業ばかりに注力してしまいやすい。要するに、いろいろなデータを集めることによって、その顧客のニーズに合わせたもので商品開発したりサービスを提供していけばいくほど、イノベーションが起きていかない。

 二つ目のジレンマは、市場が成熟するにつれて消費者が望む性能水準よりも企業の技術進化のペースが上回るようになって、過剰供給が生じるというジレンマと述べているということなんですね。

 これらのジレンマに陥ると、複雑かつ高価格な商品が市場にあふれ返り、簡単に言えばこのスマホもいい例かなと思うんです、これ。今新しいのを買うと十五万するんですってね。買えないよ。最終的には破壊的イノベーションを起こした企業にシェアを譲り渡す結果を招きかねない。このことから、大企業からすると、破壊的イノベーションは市場における脅威であると言えるということです、逆に言えば。企業シェアを取ろうとして、必死に営業やコマーシャルを駆使して顧客を囲い込もうとする。しかし、そう単純にはいかない。

 大臣が考える破壊的イノベーションを目指した研究開発というのは、どういう考えに基づいているのか。それと、ジレンマがあるわけですね、どんな方策をもって研究開発をしていこうというふうに後押しをされるのか、お尋ねしたいと思います。

西村国務大臣 イノベーション、いろいろな分類というか考え方があると思いますけれども、既に具現化された価値を更に高めていくという持続的なイノベーション、今の商品をよりいいものにしていくというイノベーション、それも大事だと思いますが、それだけでなくて、全く違う新たな価値を生み出す破壊的イノベーション、この創出によって、今まさに、気候変動であるとかサプライチェーンの強靱化であるとか、いろいろな課題を、エネルギーの問題とか、こういったことを解決をし、経済成長を同時に実現していくことが重要だと考えております。

 イノベーションのジレンマでよく言われるのが、フィルムメーカー、フィルムは写真で撮っていたのがデジタルに換わっていくわけですが、フィルムでシェアを取ってもうかっているから、なかなか次の全く違うデジタル化に行けなかった。これはコダックの例がよく言われるわけでありますが、日本の企業は富士フイルムを始めとしてうまく転換をして、そしてまた新しい分野に、医療とかに出て、今しっかりと存続して発展しているわけでありますけれども。

 いずれにしても、持続的なイノベーションも大事ですけれども、全く違う新しい破壊的なイノベーションも重要だということだと思います。

 そして、その革新的な技術、アイデアを持って、こうした破壊的なイノベーションを起こしていく、変革に挑戦するのは、スタートアップこそがその担い手である、重要な担い手であるというふうに考えております。経産省としても、スタートアップ、力を入れて応援をしてきておりまして、具体的には、ディープテックのスタートアップ支援事業で、まさに革新的な技術を開発し、社会実装していく、このディープテックスタートアップの支援を行ってきております。

 また、中小企業もこのイノベーション創出の重要な担い手であるというふうに思います。機動力があるから、大企業だけではなくて、行動が早くできる中小企業による研究開発、また新たな事業活動に対する支援も重要だと思っておりまして、ものづくり補助金とか事業再構築補助金、こうしたものを通じて革新的な新たな事業、製品、サービスの開発に支援を行ってきているところであります。

 さらには、今後のまさに日本の経済成長を左右する鍵となる先端分野、最先端の分野の研究開発支援として、次世代半導体の設計、製造基盤技術の支援であるとか、生成AIの開発に不可欠な計算資源の確保、あるいは量子、量子技術の産業化、グローバル拠点の設置などを行って、新たな産業の創出に取り組んでいるところであります。

 こうした予算を今回の補正予算でも確保してきております。是非、この破壊的な技術、破壊的なイノベーションで世界をリードしていく、そのためにしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 これもジレンマだと思うんですけれども、経産省なり国が一つの方向性を出さなくちゃいけないんですけれども、だから駄目なのかもしれない。もう一回そこのところは、だから、遊び心がなければ新しいイノベーションは起きないということですね。それを国が必ず、経産省もそうですけれども、トレンドを示して、今大臣がおっしゃったように、生成AIだとか、あとは量子だとかロボットだとかAIだとか、もう大体方向を決めちゃうんです。それ以外は補助金を出さない。その考え方自体がやはりイノベーションを起こせないんだということを是非思い残していただいて、頑張ってもらいたいと思います。

 終わります。

岡本委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 質問の機会をお与えいただき、ありがとうございます。日本共産党の宮本岳志です。

 大阪・関西万博について聞きます。

 万博をめぐっては、どんどん膨れ上がる経費に国民の批判が高まっております。会場整備費は、当初千二百五十億円とされたものが、二千三百五十億円に増えました。さらに、十一月二十七日の参議院予算委員会で自見万博担当大臣は、会場整備費以外に、日本館のパビリオン建設費が三百六十億円、途上国の出展支援に二百四十億円、安全確保で百九十九億円、機運醸成に三十八億円と、合わせて八百三十七億円が別途予算計上されていると明らかにいたしました。また、先日は、シャトルバスの整備に千六百億という数字も出てきております。

 会場となる夢洲は、大阪のごみの最終処分場として活用されてきた人工島でありまして、南側に一部コンテナヤードなど物流施設はあるんですけれども、敷地の三分の二は、水道や電気など、インフラも整っておりません。一体、総額幾らかかるのかが問題になってきたんですね。

 自見英子万博担当大臣は、二十九日の参議院予算委員会で、二〇二五年大阪・関西万博の費用の全体像について、できるだけ早急に示すことができるよう作業を加速したいと述べましたけれども、費用の全体像は出ましたか、政務官。

石井大臣政務官 万博準備への国民の皆様の理解を得るためには、透明性を持って経費を含む万博全体の全体像を示していくことが重要であります。

 どのような形で事業の全体像がお示しできるか検討中でありますが、いずれにせよ、できるだけ早急にお示しできるように作業を加速していきたい、そう思っております。

宮本(岳)委員 まだ出ないんですね。

 日本館のパビリオン建設費は三百六十億円ということでありますけれども、更に大阪府や大阪市には大阪のパビリオン建設の費用も生じることになると思いますけれども、経済産業省、これは幾らですか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪ヘルスケアパビリオン、これは大阪府市の事業でございますので、一義的には、公益社団法人二〇二五年日本博覧会協会の、大阪パビリオンにおいて様々な検討が進められているものとして認識しております。

 日本国際博覧会大阪パビリオンを管理する二〇二五年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会事務局から現在公表されている資料においては、民間からの協賛金や寄附金による負担分を含めた総事業規模で、約二百二十億円から二百五十億円と記載されているというふうに承知をしております。

宮本(岳)委員 日本のパビリオン以外に大阪のパビリオンで二百二十から二百五十億円と。一体どこまで膨れ上がるかと、みんなが心配するのは当たり前なんですね。

 結局、全体の経費も不透明なまま、万博は絶対にやめませんなどと言い放ちつつ、大阪府や大阪市も、そして国も万博開催に暴走しようとしております。

 インフラ整備を含めると総額一兆円近くになるとの指摘に対して、今度は経済効果二兆円という話がまことしやかに語られておりますけれども、私も確かに、この基となった、有限責任監査法人トーマツが出した調査報告書も読みましたけれども、約二兆円というものから最大五兆八千億円を超えるケースまで、三倍の開きがあります。これは、一体、本当にそういうふうになるのかどうかは定かでありません。

 さらには、工期の遅れも深刻です。資料一を見ていただきたい。日本建設業連合会の宮本洋一会長は、十一月二十七日の定例記者会見で、海外パビリオンの準備遅れが解消していないことを問われ、もうデッドラインを過ぎていると思ってもいいと述べたと報じられております。

 西村経産大臣は、十二月二日、万博会場予定地の視察の後、記者団に対して、全体としては着実に建設が進んでいると報告を受けた、タイプAでは、まだ建設会社が決まっていない国にはマンツーマンで対応を進め、年内には一定のめどがつくようしっかりサポートしていきたいと述べたと報じられております。

 しかし、建設業者、建設業界の代表がデッドラインを過ぎたと言っているときに、各国にマンツーマンで対応を進めれば、どうやって過ぎてしまったデッドラインから引き返すことができるのか、私には全く理解できません。国民に分かるように、大臣、説明していただけますか。

西村国務大臣 宮本会長の御発言でありますけれども、まさに、これから建設事業者を探すタイプA参加国について、よほど簡易な構造であるか、あるいは部材調達のめどが立っているなど、特段の事情がないと開幕までに間に合わせるのは難しいのではないかとコメントされておりますので、まさにその危機感については私も同様の認識であります。

 既に、様々な建設事業者と参加国、決まっていない国々との話合いは進んでおりますので、この動きを更に後押ししていきたいというふうに考えております。

 こうした考えから、事務方に対しては私から、外交ルートの活用を含む参加国への働きかけ、情報提供の支援強化、また、日本の建設業界への協力要請の取組を進めるよう指示をしておりますし、また私自身も、これまでもそうですし、これからも、参加国の担当閣僚への働きかけ、これも行っていきたい。国交省への協力依頼も行ってきております。

 これまでのところ、約六十の参加国がタイプAを造るということでありますが、そのうちの三十一か国が既に事業者を決定しておりますので、その後、今後の段取りが話し合われているものというふうに思います。

 その上で、御指摘ありましたように、これから事業者を探す、今探している国に対しては、参加国、建設事業者のそれぞれから事業や考え方をしっかりと伺いながら進めていく体制を整備した上で、建設予算の増加あるいはデザインの簡素化などの働きかけ、そして、支援策として、タイプXというもの、こちらが用意するものもあるということも含めて提示を行って、さらに、支払いに不安を抱える建設事業者を支えるために万博貿易保険という新たな仕組みも創設しております。

 十一月に参加国会合出席がありまして、そこにBIE、博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長が出席した際の評価も、非常にポジティブな形で前に進んでいる、時間どおりに進んでいるので、間違いなく参加者は二〇二五年四月に向けて準備を進めているという発言もございました。

 経産省としては、危機感を持ちながら、引き続き、御指摘のようにマンツーマンで個別の伴走支援を行って、バックヤードの確保などの施工環境の改善も含めて対策を取りながら、一丸となって準備を着実に進めていきたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 間違いなく進んでいると誰が言おうが、現場で建設工事に当たる建設業界の代表がそう言っているわけですよね。五百日を切って、既にデッドラインは過ぎております。無理に進めれば、工期が逼迫する中で、働く人にしわ寄せが行くことは明瞭です。

 政府は、労働規制の超法規的措置は検討したこともない、考えていない、こう言われますけれども、与党自民党の中から労働規制の超法規的規制を求める発言が出たということは周知の事実であります。

 資料二を見ていただきたい。東京オリンピック主会場の新国立競技場建設工事で建設会社の男性新入社員が自殺した問題で、新宿労働基準監督署が労災認定をしたという記事であります。

 まず、事実を厚労省に確認しますけれども、この記事に書かれている労災認定の事実は間違いありませんね。

梶原政府参考人 お答えをいたします。

 新国立競技場建設工事で施工管理業務を担当していた労働者が過重労働に伴う精神障害により自殺した事案について、平成二十九年十月に労災保険の支給決定をしております。

宮本(岳)委員 事実が認められました。

 記事では、傍線部一、労基署が建設現場への入退場記録などを調べた結果、死亡前一か月の残業時間は約百九十時間に上ることが判明、新宿労基署は、発症の原因は新国立競技場での極度の長時間労働と断定し、過労自殺だったと労災認定したと報じられております。傍線部二では、被害者が勤めていた三信建設工業の担当者は、記者の取材に、二度と繰り返さないよう、深い反省の下、労働環境の改善に力を尽くすと答え、元請の大成建設の広報室も、下請業者に対し、法令遵守の徹底を指導し、過重労働の防止に努めると語っております。

 デッドラインの語源は、死を意味するために絶対に越えてはいけない線だったといいます。そのデッドラインを過ぎた万博を、間に合わせるためだったら、現場の労働者の命を危険にさらし、国立競技場での悲劇がまた繰り返されてもいい、そんなふうには考えないと思いますけれども、これは、大臣、間違いないですね。

西村国務大臣 もう当然のことながら、労働者へのしわ寄せ又はそれに伴って過労死など、これはあってはならないということは当然のことであります。万博会場内の工事に係る労働者の安全確保を徹底した上で建設作業が進められているものというふうに認識をしております。

 具体的には、建設工事における労働者の安全管理については、博覧会協会がパビリオンタイプAの工事・解体に係るガイドラインとか、それから建設工事に伴う施工ルートを策定をし、事業者に対して、労働基準法、労働安全衛生法などの関係法令を遵守して作業を行うよう指導しているところであります。

 こうした労働者の安全確保徹底を前提とした上で、開幕までに海外パビリオンの建設が間に合うよう、参加国へのマンツーマン、個別伴走支援や施工環境の改善といった取組により、しっかりと準備を進めていきたいと考えております。

宮本(岳)委員 東京オリンピックの準備過程でも、過労死があっていいということで、やっていなかったと思うんですけれども、現実にはこういうことが起こっているわけですよね。万博も、もちろんこれは国家プロジェクトです。会場の準備は絶望的に遅れております。

 我が党は、命と安全が守られず、多大な負担を国民に押しつける大阪・関西万博は、この際きっぱりと中止すべきだと申し上げております。

 共同通信社の世論調査では、大阪・関西万博開催の必要性に関して、開催地の大阪を地盤とする日本維新の会の支持層でも不要だとの回答が六五・七%で、必要だの三三・一%を大きく上回ったと報じられております。他の政党支持層では更に不要の割合が高かったわけですね。にもかかわらず、日本維新の会の代表は、万博は絶対にやめませんなどと言い放ち、政府も、国民の声に耳もかさずに、今、西村大臣のように、万博開催に固執するのは一体なぜなのか。要は、夢洲でカジノをやりたいからではないか、私はそう思わざるを得ません。

 大阪が最初に万博開催を計画したとき、大阪府が二〇一六年十一月の二〇二五日本万国博覧会基本構想案で夢洲と決める前には、万博の会場として大阪府内七か所の候補地が挙げられていたというのは事実ですね。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 開催地については、二〇一五年に大阪府が設置しました国際博覧会大阪誘致構想検討会で検討が開始されまして、二〇一六年に設置されました、有識者、大阪府市、経済産業省、経済団体等により構成された二〇二五年万博基本構想検討会議において、夢洲、彩都東部・万博記念公園、それから、三つ目として服部緑地、四つ目として花博記念公園鶴見緑地、五つ目として舞洲、六つ目として大泉緑地、七つ目としてりんくうタウン、この七か所が候補地として議論が行われたというふうに承知しております。

宮本(岳)委員 二〇一六年十一月に夢洲に決まったというんですけれども、二〇一六年十二月十五日にIR法が成立をいたしております。ベイエリアの活用と称して夢洲にカジノを誘致すると決めた、しかし、カジノのために夢洲のインフラ整備に税金を投入することには国民の批判が強いので、万博開催を口実にインフラ整備を進めようということだと思うんですね。まさに、なりふり構わぬやり方だと断ぜざるを得ません。

 私は、昨年の臨時国会、十月二十七日の総務委員会で、カジノ、IRの用地の借地権設定に向けた不動産鑑定評価で、不当な鑑定を大阪市が主導して行った疑惑を指摘をいたしました。

 この不動産鑑定では、二度にわたって複数の不動産鑑定業者が鑑定評価を行ったんですが、その評価額も利率もぴたり一致するという結果になりました。複数の不動産鑑定の業界関係者は、ぴたりと一致が偶然だとするならば、天文学的であり得ない、依頼者、大阪市のことですけれども、価格を示したか、鑑定評価に関わった業者が示し合わせた談合の疑いがあると指摘いたしました。

 私の質問に対して、国土交通省は、一般論ではあるがとしつつも、依頼者が価格を示したり談合すれば不当鑑定に当たり得ると答弁されました。

 改めて確認をいたします。

 一般論として、不動産鑑定評価を依頼する側が鑑定業者に価格を示し、その価格に合わせて不動産鑑定評価書を作成した場合や、複数の鑑定業者が評価額等を示し合わせた価格等で不動産鑑定評価を行った場合は不当鑑定に当たり得るという答弁に変わりはないか、そして、国土交通省として個別の事案に対して当不当の判断を示すことはあるんですか。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論にはなりますけれども、令和四年十月に答弁させていただきましたとおり、依頼者が価格を提示し、それに合わせて不動産鑑定評価書を作成した場合や、不動産鑑定業者同士で鑑定評価額を示し合わせて不動産鑑定評価書を作成した場合は、不動産の鑑定評価に関する法律第四十条第一項に規定する「不当な鑑定評価等」に該当し得ると考えているところでございます。

 それから、もう一つの質問でございますけれども、国土交通省として個別の不動産鑑定評価の当不当の判断を示すことがあるのかというお尋ねでございますけれども、一般的に、個別の不動産鑑定評価の当不当について、その調査を行っているか否かの事実も含め、国土交通省が見解を示すことは、懲戒処分に該当する事由がなかったと認められる場合に、当該調査対象となった不動産鑑定士等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることなどから、行っておりません。

宮本(岳)委員 個別の評価は出さないんですね。懲戒処分の場合を除きと言うんですけれども、懲戒処分の場合は必ず不当と出るはずですから、当不当のうちの当ということを個別に語ることはないはずなんですね。

 実は、この時点で、我が党のしんぶん赤旗日曜版の記者が、この鑑定に関連した大阪市当局と鑑定事業者間のやり取りについて情報開示請求を行いました。当初、大阪市は、廃棄したとして情報公開に応じませんでした。同時に、国土交通省に対しても同じく、不動産鑑定評価に関し、国交省内や官公庁の答弁書や内部のメールのやり取りについて情報開示を求めました。

 資料三を見ていただきたい。国土交通省が情報開示に応じて提出した資料であります。今年四月十七日の参議院決算委員会での我が党の山下芳生参議院議員への答弁に対しての大臣レク資料であります。今回の鑑定評価は、鑑定評価基準に照らして不当な評価ではないと明らかに記載しております。

 個別の案件に対して当不当は示さないと言ったにもかかわらず、大臣レクでは、不当な評価ではない、つまり適当な評価であると明記しております。全く答弁と違うんじゃないですか。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、個別の鑑定評価の当不当について国土交通省が見解を示すということは行っておりませんと答弁申し上げましたが、これは、対外的に見解を示すことは行っていないということでございます。

 一方で、大臣への報告についてお尋ねがございましたけれども、大阪IR用地の鑑定評価につきましては、その当不当に関する指摘があったことなどを踏まえまして、本年二月に、不動産鑑定評価制度を所管する国土交通省の長である国土交通大臣にその時点の見解を報告したということでございます。

宮本(岳)委員 その後、今年七月になって大阪市は、一旦破棄したとしたメールが手持ちのハードディスクに残っていたと、百九十八通のメールを開示いたしました。

 資料四を見ていただきたい。これは、大阪港湾局が鑑定業者に対して鑑定評価を依頼する際に送ったメールであります。

 このメールに添付されていたのが資料五の一、右下欄外の赤い囲みを拡大したものが資料五の二であります。売却、平米当たり十二万円。ここに価格を示して全ての鑑定業者に送っているわけですね。結果はこの価格のとおりになりました。

 最後の資料六は、大阪市が二〇一九年十一月十三日の第八百二回大阪市不動産鑑定審議会に提出した会議資料です。価格を示し、その後、全く同じ不動産鑑定評価が示されておりますが、これは不当鑑定じゃないんですか。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御答弁申し上げていますとおり、個別の不動産鑑定評価の当不当について、その見解を示すことは一般に行っておりません。

 なお、価格の一致という御指摘でございましたけれども、一般論としてでございますが、不動産の鑑定評価は統一的な基準にのっとって行われるため、評価額が一定幅に収束することはあり得ると認識しているところでございます。

宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、またやりましょう。六月十四日の不動産評価審議会でも、隣接した土地の変電施設の予定地の売却額が保留された、否決されたということも言われています。これをめぐっては、まだまだこれから明らかにしなければならないと思います。

 大臣レクで、不当な評価ではない、こう言いながら、その後、大阪市がメールを開示をして、明らかに不当だという状況が出てくれば、今度は、個別の案件の当不当には答えない、そう言って口をつぐむ、そのような態度は絶対に通らないということを申し上げて、私の質問を終わります。

岡本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五分散会


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