第8号 令和6年4月5日(金曜日)
令和六年四月五日(金曜日)午前八時五十分開議
出席委員
委員長 岡本 三成君
理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君
理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君
理事 荒井 優君 理事 山岡 達丸君
理事 守島 正君 理事 中野 洋昌君
井原 巧君 石井 拓君
大岡 敏孝君 加藤 竜祥君
神田 憲次君 国光あやの君
鈴木 淳司君 関 芳弘君
田所 嘉徳君 冨樫 博之君
中川 貴元君 福田 達夫君
細田 健一君 堀井 学君
宮内 秀樹君 宗清 皇一君
山際大志郎君 吉田 真次君
和田 義明君 若林 健太君
大島 敦君 落合 貴之君
小山 展弘君 重徳 和彦君
田嶋 要君 山崎 誠君
市村浩一郎君 小野 泰輔君
山本 剛正君 吉田 宣弘君
笠井 亮君 鈴木 義弘君
…………………………………
経済産業大臣 齋藤 健君
農林水産大臣政務官 舞立 昇治君
経済産業大臣政務官 石井 拓君
経済産業大臣政務官 吉田 宣弘君
政府参考人
(林野庁次長) 小坂善太郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 茂木 正君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 荒井 勝喜君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 殿木 文明君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官) 村瀬 佳史君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 木原 晋一君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 定光 裕樹君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術参事官) 西村 拓君
政府参考人
(環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 神谷 洋一君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 奥山 祐矢君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 堀上 勝君
経済産業委員会専門員 藤田 和光君
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委員の異動
四月五日
辞任 補欠選任
冨樫 博之君 田所 嘉徳君
同日
辞任 補欠選任
田所 嘉徳君 冨樫 博之君
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四月五日
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
同日
岸田政権の新原発推進政策の撤回に関する請願(吉田統彦君紹介)(第八八八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(内閣提出第一六号)
二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提出第一七号)
――――◇―――――
○岡本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として林野庁次長小坂善太郎さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正さん、経済産業省大臣官房審議官荒井勝喜さん、経済産業省大臣官房審議官小林出さん、経済産業省大臣官房審議官田中一成さん、経済産業省大臣官房審議官殿木文明さん、資源エネルギー庁長官村瀬佳史さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官木原晋一さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、国土交通省大臣官房技術参事官西村拓さん、環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官神谷洋一さん、環境省大臣官房審議官奥山祐矢さん、環境省大臣官房審議官前田光哉さん及び環境省大臣官房審議官堀上勝さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀井学さん。
○堀井委員 おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。
本日は、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案、いわゆるCCS事業法案と、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案、いわゆる水素社会推進法につきまして、質問の機会をいただきました。委員長始め理事各位の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。誠にありがとうございます。
近年、大規模、高頻度で起きている異常気象は、地球の温暖化による気温上昇に起因すると考えられており、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた取組が世界中で加速をしております。我が国としても、問題解決に向けてしっかり対応していかねばなりません。
その意味で、二〇二四年二月十三日に両法案が閣議決定され、カーボンニュートラル実現に向けた取組を広げるために必要な法制度が整備されることを、高く評価したいと思います。
これまで様々な質疑が行われてきました。論点の整理が行われてきたものだと承知をいたしております。先日行われた参考人の方々からも大変貴重な御意見をいただきました。
法案成立の暁には、我が国の成長戦略として位置づけ、国のリーダーシップの下に、研究開発支援の継続と国内企業への支援策が重要であると再認識したところでもあります。世界のグローバル競争に打ちかち、ビジネスモデルを構築すれば、必ずや国益に資するものと確信をいたしております。経産省、資源エネルギー庁に限らず、我が国全体として、エネルギーの大革命とも言える本事業を成功に導くことができるのではないかと思っております。
それでは、まず、CCS事業についてお尋ねをしたいと思います。
私の地元でもあります、理事の山岡さんも同じ選挙区でありますから同じ地元です、北海道の苫小牧市において国家プロジェクトとして行われているCCS実証実験は、これまでに行われてきた人口約一万一千人のカナダ・エステバンや人口約六千人のドイツ・ケッツィンなど世界の他都市と比較し、人口十六万六千人の苫小牧市という、人口密集地の近くで行われているという例は世界でも珍しく、このことに加え、胆振東部地震や災害等の影響も乗り越えてきたことを含め、大変注目を集めておることは承知をいたしております。
本事業推進に当たり、苫小牧市を始め、市民の皆様、関係各位に私からも感謝を申し上げたいと思います。
苫小牧市で行われている本実証実験は、日本国内のみならず世界で展開を見据えたものだと承知しておりますが、これまでの実証実験で得られた成果や評価について伺います。また、CCS事業は苫小牧市で日本初となる大規模プロジェクトとして注目されておりますが、日本国内で同事業普及に係る各種取組についてお尋ねしたいと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省といたしましては、世界で初めての市街地近傍の大規模CCS実証拠点であります苫小牧CCS実証試験センターにおいて、二〇一六年度から日本初の大規模CCS実証試験を実施し、二〇一九年、当初目標としておりました三十万トンのCO2の貯留を達成したところでございます。
苫小牧の地元の皆様の御理解と御協力もありまして、市の中心地から約二、三キロと、住民の生活圏の近くで貯留が達成できた点も含めて、この事業は今後国内でCCS事業を進める上でのモデルの一つとなる重要なプロジェクトであると考えております。
今後でございますが、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けて横展開可能なビジネスモデルを確立するために、この実証で得られた成果などを踏まえて、先進性のあるプロジェクトの開発及び操業を支援していくこととしておりまして、具体的には、令和五年度に先進的CCS事業で、この苫小牧地域を含む七つのプロジェクトを採択しておりまして、民間事業者による事業性調査などの取組の支援を開始したところでございます。
さらに、CCS事業のコスト低減に向けた研究開発、CCS事業に対する国民理解の増進、あるいは海外でのCCS、貯留の実施に向けた検討など、総合的な取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○堀井委員 ありがとうございました。
本法案成立によって、今後、CCS事業は官から民へ移行し、経済産業省はCCS事業の次なる地域の選定や二〇五〇年目標数値の達成に向けて事業を推進していくことになるでしょうが、その一方で、排出制限が負担となる事業者を支援する取組も同時に重要になってくると思っております。
特に二酸化炭素を排出せざるを得ない事業者にとって、カーボンニュートラルへの挑戦は新たな設備投資や研究開発など更なるコスト増にもつながりかねず、CCS事業推進と同時に、これらの事業者への負担軽減措置、例えば税制面で優遇措置等についても検討すべきと思われますが、この点について見解をお聞かせください。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
まず、EUや米国では、近年、予算や税制など、CCS事業に対する様々な導入支援制度が構築されておりまして、CCSの本格的な導入に向け、環境整備が進んできております。その結果、事業の予見可能性が向上してきているという状況にございます。
例えば、米国では、CO2貯留一トン当たり八十五ドルの税額控除が認められるほか、連邦エネルギー省もCCSプロジェクトを支援してございます。また、英国では、CCS事業に対して二百ポンド、日本円にして約三兆八千億円ですが、の支援を決定しております。
我が国では、昨年GX推進戦略も踏まえて取りまとめました分野別投資戦略において、予算、税、クレジット、カーボンプライシングなどの諸外国の支援措置などを参考に、我が国にふさわしいビジネスモデルを踏まえ、最適な支援制度を組み合わせた支援制度の設計について検討していく方針を示しておりまして、今後、具体的な検討を加速していくこととしております。
その際、二〇三〇年にCCS事業を開始するためには、二〇二六年を目途に事業者が収支見通しを得て投資決定を行う必要がありますため、こうした時間軸を踏まえて検討をしてまいります。
また、委員御指摘のとおり、CCS事業のコスト低減、これは重要な課題でありまして、エネルギー効率の高い回収方法や液化CO2船舶の大容量化、低コストなモニタリング技術など、必要な研究開発を国としても計画的に進めていくこととしております。
○堀井委員 ありがとうございました。
CCS事業は、現在のところ、大手事業者を中心に進められることになっておりますが、先ほども申し上げたとおり、多額な費用が必要となり、研究開発支援や設備投資支援等が求められていると思料します。
次に、将来的に本事業をオール・ジャパンで取り組むに当たり、実証実験を成功させた苫小牧の地で、大企業のみならず、中小企業も巻き込んで推進する必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。
○定光政府参考人 済みません、まず冒頭に、ちょっと先ほどの答弁、一点だけ訂正させていただければと思います。英国での支援で二百ポンドと申し上げましたが、正確には二百億ポンドでございました。失礼申し上げました。
御質問の方ですけれども、委員御指摘のとおり、CCSの利用を広げていくためには、大企業の排出事業者と貯留事業をつなぐだけではなく、将来的に、中小企業を含め幅広くCCSが利用できるように、CO2の分離・回収や輸送のサービスについて面的な広がりを持たせることが重要と考えております。
その際、各排出源からのCO2を集約し、輸送、貯留プロセスを共有し、最適なネットワークを形成するハブ・アンド・クラスターのような形でインフラを整備することができれば、中小企業の初期投資やリスクの低減、あるいは効率的なCO2バリューチェーンの構築につながっていくと考えてございます。
加えて、こうしたハブ・アンド・クラスターが形成されれば、中小企業が、CO2を再利用し、コンクリートなどの製品を製造するカーボンリサイクルなどの新しい分野に参入することも期待されます。
引き続き、諸外国の支援制度などを参考に、ビジネスモデルの構築や支援策の在り方について検討を深めてまいりたいと考えております。
○堀井委員 ありがとうございました。
CCSの実証実験を成功した苫小牧の地をモデル地域として今おっしゃっていたハブ・アンド・クラスターを構築して、中小企業や市民の取組を先行してスタートすることも提案をしておきたいと思います。
では、次に、いわゆる水素社会推進法案について伺います。
低炭素水素等を国内で製造、輸入して供給する事業者や低炭素水素等をエネルギー、原材料として利用する事業者を招致するに当たり、各事業者にとってインセンティブとなり得る支援策はあるのか、この点についてお願いいたします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、苫小牧もそうですけれども、鉄鋼や化学といった脱炭素化が難しい分野において低炭素水素等を活用したGXを推進していくことが不可欠でございます。
しかし、足下では低炭素水素等の市場は黎明期にございまして、民間事業者が投資判断にちゅうちょしてしまうことから、サプライチェーンに対する投資の予見可能性を高めるための措置等を講じることが必要と考えてございます。
このため、水素社会推進法案では、低炭素水素等を供給する事業者とそれから低炭素水素等を利用する事業者が一体で計画を作成し国の認定を受けた場合には、低炭素水素等と既存の化石燃料との価格差に着目した補助、いわゆる価格差に着目した支援と、あと、低炭素水素等のタンクやパイプラインといった共用設備に対する補助、いわゆる拠点整備支援といった支援措置、加えまして、規制の特例措置を講じることで、低炭素水素等の供給と需要を同時に立ち上げていく枠組みとなってございます。
これらの支援措置を通じて、大規模かつ強靱なサプライチェーンの構築に取り組み、低炭素水素等の供給及び利用を促進していきたいと考えてございます。
○堀井委員 ありがとうございました。
価格差支援、拠点整備支援が着実に進められるようお願いを申し上げたいと思います。
さて、本二法案が成立すると、我が国のカーボンニュートラル社会を推進していく上で、新たなビジネスモデルを構築する事業者と新たなビジネスモデルを利用する事業者が現れることとなり、そうなると、利益を得る事業者と負担が増える事業者に分かれ、両者のバランスをどのように図るのかが問題となりますので、国は双方に対策を講じる必要があります。
そこで、世界各国の取組についてお伺いしたいと思います。
我が国の開発支援や負担軽減等、事業者支援として参考になり得る諸外国の取組はあるのでしょうか。また、諸外国における同事業への支援額と比較した場合、我が国の支援額は遜色のない予算措置と言えるのかについて見解を伺います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
GX分野の国内投資を強力に推進するために、各国政府は大胆な政策を次々と打ち出しているというのが現状でございます。
例えば加盟国二十七か国から成るEUでございますが、彼らは、排出量取引制度等の規制、制度中心に政策を構築しております。その結果として、官民GX投資目標として、十年間で約一兆ユーロ、百六十兆円を掲げております。
一方、米国でございますが、支援策を中心に政策を構築しておりまして、例えばクリーン電力に対する支援を含めまして、十年間で三千六百九十億ドル、約五十兆円の、こちらは支援を打ち出しているところでございます。
こうした中、我が国は、成長志向型カーボンプライシング構想を掲げ、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の投資促進策を構築することとしておりますが、それだけではなく、カーボンプライシング、そしてまた本法律案等、規制あるいは制度的措置を効果的に組み合わせることで、規制、支援両面から我が国のGXを強力に推進していくこととしております。
これによって、日本一国の目標として十年間で百五十兆円超の官民投資を掲げておりますし、また、加えて、FIT、フィード・イン・タリフあるいはFIP制度等の既存の支援策も活用することなどを踏まえますと、我が国の官民投資額の目標、支援額の規模は諸外国と比較しても遜色ないものと考えております。
○堀井委員 ありがとうございました。
我が国のGX予算は、他国と比較しても、規模感も、また額面も、拡充が図られていることが分かりました。
諸外国の取組として、国内企業の特に厳しい排出規制がかかる分野や企業に対して、支援策で国内企業を保護している国もあると伺っております。破格な価格を設定しております。各種負担が増えることによって、世界との価格競争で太刀打ちできない状況になりかねないのがこの取組になると思います。他国に引けを取らない、イコールフッティングになるよう、更なる予算措置、また支援等の充実強化をお願いしたいと思います。
では、次に、この事業を推進するに当たって、我が国が取るべきリーダーシップについて伺います。
各国が自国企業を保護するのは当然だと言えます。GX、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現をするために、多額な研究開発費を支援したり設備投資を行ったりするほか、各企業は、コストを抑えて、厳しい国際競争の中で利益を得る必要があります。カーボンニュートラル、脱炭素社会が実現される以前の製造品価格、またカーボンニュートラル、脱炭素社会実現後の製造品価格を比較した結果、後者の価格が割高となり、結果として、他国の企業に取引先を奪われるということが考えられます。また、我が国の目指す社会に協力した結果、コスト増となり、価格面で負けてしまうことがあれば、国益を損なう結果になりかねません。
また、そのほかの国の動向に目を配ると、脱炭素社会から距離を置く国々もあり、そうした国々を拠点に活動する企業は、品質を落とさず、価格面で圧倒的に有利な状況になることが考えられます。こうした国々とも戦うことを強いられることを見越した上で、支援体制を構築する必要があると理解をしております。
こうした中、国際的な取組、いわゆる欧州主導により取り決められたCO2削減によって作られた製品等の国際的な取引に係るルール作りについて、日本がリーダーシップを取って進める必要があると考えております。
同志国、同盟国とクリーンな製造品の取引に係るルール作りが必要と考えますが、この点について経済産業省はどのようにして取り組むのか、お伺いをいたします。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
脱炭素に向けたルール作りについては、各国がそれぞれの戦略に基づきまして、独自の取組を模索している状況であると承知しております。今後、国、地域を越えた国際的なルール作りを進めていかなければならない状況であるというふうに認識しております。
このような中、我が国としても、GXの推進を日本企業の競争力強化につなげていく観点から、まさに委員御指摘のとおり、国際的なルール形成及び環境づくりに、リーダーシップを持って、積極的に取り組んでいく必要があるというふうに認識してございます。
こうした観点から、昨年、G7気候・エネルギー・環境大臣会合におきまして、議長国を務めた日本が主導した形で、まずは、国際的に議論が先行している鉄鋼分野におきましてグリーンスチールなど国際評価手法の確立に向けた枠組みを立ち上げまして、IEAそしてOECD等の国際機関とも連携いたしまして議論を進めているところでございます。
また、経済産業省では、企業による削減貢献、これを定量化する仕組みの構築に向けて、国際的な民間団体でございます、持続可能な開発のための経済人会議、WBCSDというふうに言われておりますが、こちらとともにその具体化に取り組んできております。
昨年のG7札幌気候・エネルギー・大臣会合においても、削減貢献量を認識することの重要性、さらに、それが脱炭素技術の展開を加速するための資金動員につながり得ること、国際標準の必要性など、今後の発展に向けた期待と課題についてG7間で初めて共通の認識を持つことができた状況でございます。
○堀井委員 最後に、大臣に決意をお伺いしたいと思います。
今回提出された各法案を着実に進めるに当たり、私は、国を挙げて、国内企業を必ず守り、GXを成功させ、我が国の企業を成長させるのだという国家の意思表示が最も重要になると考えますが、大臣の決意をお願いいたします。
○齋藤(健)国務大臣 我が国のGXは、二〇五〇年カーボンニュートラル等の国際公約達成だけではなくて、産業競争力強化、経済成長を両立して達成をしていくというものであります。
世界では、GX分野の需要創出や大規模な投資促進などに向けた政策が打ち出され、国内外で排出削減を目指す企業も増加をしてきています。その中で、我が国が強みを持つ日本発の次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池や水素還元製鉄、CCSを始めとする排出削減効果の高い革新的技術の開発、実装を進め、国内外の排出削減と我が国の産業競争力、経済成長を実現をしていきたいと思っています。
このように、GX実現に向けた施策を実行し、変化に先手を打つことが、国内投資の強化や地域の雇用維持、個々の企業の成長にもつながるものと考えているところであります。
○堀井委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、宮内秀樹さん。
○宮内委員 おはようございます。自民党の宮内秀樹でございます。
自民党の質問が最後になるかも分かりませんが、多くの方々に御質問があって、そして数多くのやり取りをさせていただきましたし、合同審査も行われたということで、かなり議論が深まってきたのではないかなというふうに思うわけでありますが、まずは、エネルギー転換をしていくということは、国民生活にとっては大変大きな影響が及ぶことであると思いますし、コストもかかるような状況になる。何でこういうことに取り組まなきゃいけないのかということを国民の方々に分かりやすく、理解をしていただく、こういう作業が必要になってくるというような観点から質問をさせていただきたいと思います。
地球温暖化問題は、国民生活に直接影響を与える問題でもありますし、生活のコストに直結することでもありますけれども、そもそも、コストのかかる水素は国民生活の中で何で大切なんや、どうしてCO2を海底に埋めたりまでしなきゃいけないのか、こういうことについて国民の方々に、どうしてこういうことの必要があるのかということを、お尋ねしたいと思います。
そもそも、なぜCO2の排出が問題となっておって、その削減が取り沙汰されているのか、温暖化対策の必要性につきまして、改めて丁寧に分かりやすく御説明をいただきたいと思います。環境省さんですかね。
○奥山政府参考人 お答えいたします。
気候変動は、化石資源などの利用に伴って急増しました人間活動に由来する二酸化炭素などの排出、これが原因で引き起こされまして、洪水などの自然災害、それから食料生産の減少、感染症などの人の健康など、幅広い分野で悪影響を及ぼして、それに関連した損害が引き起こされているというふうに言われております。
そして、気候変動に関して世界中の専門家が集まって行われた評価によりますと、気温上昇の幅を工業化以前に比べて一・五度付近以下に抑えることで影響の大幅な低減につながり、そのためには二〇五〇年前後の二酸化炭素の排出量を正味ゼロとする、そういった必要があるとされております。
こうした科学的な知見を踏まえまして、気候変動に関するパリ協定の下で、我が国が二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して国全体で取り組んでいく、そういった必要があるということでございます。
政府といたしましても、一丸となって様々な施策を総動員してまいりたいというふうに考えております。
○宮内委員 分かりやすく、説明を繰り返し行っていただきたいと思います。
そこで、地球温暖化対策としての二酸化炭素削減に向けて、大きく世界が動き出しております。そもそも、エネルギー転換としての水素等につきましては、なぜこれが必要なのか、背景を交えながら、エネルギーとしての水素等の必要性や産業政策としての可能性について御言及をいただきまして、水素社会推進法の果たすべき役割を分かりやすく述べていただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
水素は、再生可能エネルギーを始め様々なエネルギー源から作ることができ、燃焼時にCO2を排出しないということから、我が国のカーボンニュートラル実現に向けた突破口となるエネルギーの一つであると考えてございます。
加えまして、日本は世界で初めて水素基本戦略を策定し、グローバルな水素社会をリードしてまいりました。また、燃料電池など水素関連技術の特許数も世界を牽引してきているほか、近年は、液化水素による運搬船や水電解装置など、日本が強みを持つ技術が多数ございます。
世界各国で水素分野における投資競争が起きている中、我が国の水素関連産業が海外市場を獲得し、良質な雇用を生み出すためにも、先行的で自立が見込まれる水素のサプライチェーンの創設、拡大を目指していく必要があると考えてございます。
このため、水素社会推進法案に基づく支援を通じ、早期にプロジェクトを立ち上げ、必要な水素の供給に向けた環境を整備していくことが重要と考えてございます。
○宮内委員 国民の皆様方の中には、そもそも水素というのは何かというのはなかなか分かりにくい、水素は爆発するので怖いじゃないかというようなことが、ちまたの中ではそのようなレベルの認識というのはまだまだたくさんあるんじゃないかと思うんですね。扱いにくいイメージがあったりとかするような状況の中で、導入拡大に当たっては何よりも国民の理解が必要だというふうに思っておりますので、水素が安全で、かつエネルギー転換のためには必要なエネルギーであるということの理解を具体的に深めていただくように、これからも丁寧に御説明を続けていただけたらありがたいというふうに思います。
そこで、我が国において水素社会を推進していくに当たりまして、いかに水素を調達したり、いかに安価に調達するかということは大変重要であるというふうに思いますし、近い将来は、資源のない我が国においては、独自に水素を作る、そういう時代を目指さなければいけないというふうに思っております。
そのためには、水の電気分解の技術開発など、先日は新聞でも、原子力を利用した水素製造みたいな、そういう記事も出ておりましたけれども、このような様々な形で政府は思い切った支援を海外に負けないようにやっていくべきだというふうに思っておりますけれども、それらのことにつきまして、経産省からの見解を伺いたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、政府としても、国際的に負けないようにしっかりと支援をしていく必要があると考えてございまして、一つには、グリーンイノベーション基金等を活用し、現在の水電解装置のコストを最大六分の一程度にまで二〇三〇年に向けて低減するための技術開発など、水素製造コストの大幅な低減に取り組んでいるところでございます。
また、今後五年間で四千二百億円超のGXサプライチェーン構築支援事業によりまして、国際的な産業競争力を持つ水電解装置やその部素材の国内サプライチェーンの立ち上げをしっかりと後押ししていきたいと考えてございます。
これらに加えまして、総額三兆円規模と見込まれる価格差に着目した支援により、競争力のある国内事業も最大限支援し、先行的で自立可能なサプライチェーンの構築に資する案件を選定していきたいと考えてございます。
○宮内委員 やはり具体的に効果のある政策を思い切った形でしっかりやっていくということで、世界の中でもリードできるような、そういう、政府が引っ張っていくんだという考え方の下に政策を進めていっていただきたいというふうに思います。
また、大規模なサプライチェーンの構築とか、それを契機とした産業政策の広がりにつきましては、予算支援だけではなくて、作って運んだり使ったり、そういう連携が大変重要なことであるというふうに思います。オール・ジャパンの発想で取り組んでいく、その必要があるんじゃないかと思いますが、例えば、それらを、コンソーシアムの形成など、具体的に政府が進めていこうというような、そういうアイデアは今のところあるかどうか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
水素でございますけれども、世界に目を転じますと、カーボンニュートラル宣言を機に、安価で低炭素水素の製造が可能な適地の確保など、既に権益獲得競争が始まっておりますし、低炭素水素等の関連市場は広がりつつある。
したがいまして、御指摘のとおり、そもそも、水素等のサプライチェーンは製造、輸送、利用の多岐に広がるため、事業者任せとするのではなくて、オール・ジャパンの俯瞰的な視点を持って、官民の緊密な連携が大事だと考えてございます。
既に、関連事業者で水素バリューチェーン協議会であるとかクリーン燃料アンモニア協会といったようなものが組織されておりますが、こうした団体とも緊密に協力しながら、国際標準作りであるとか官民ミッションの派遣、あるいは政府間対話など、民間団体とも密に連携して、積極的にオール・ジャパンで進めていきたいと考えてございます。
○宮内委員 まさに、資源のない我が国において、新しいエネルギー改革の中で世界との競争の中にあるわけでありますので、是非、政府が主導していくんだ、そういう意識で、多くの民間の方々とも考えを一つにしてやっていくことが大切だというふうに思いますので、この法案を契機にそういうことを具体的に進めていただきたいというふうに思っております。
さて、私も、自民党の中に十年ほど前から水素に対する議連を立ち上げまして、その推進に取り組んできた立場といたしまして、なかなかこれが進んでこなかった、その原因の大きな一つとして、安全基準の壁というのがあるというふうに思っておりました。自治体ごとに許可を得なければいけないところを今回の法律で経済産業大臣に一元化するということで、当然スピード感が生まれるなど、様々なところでいい形の結果が出るというふうに評価をしております。
そこで、今後は、このような特別な措置を超えまして、新しいイノベーションを柔軟に取り込めるような枠組みが重要であると思いますし、規制体系をより抜本的につくり変えていくという必要があるというふうに思っております。その辺のことにつきまして、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。また、そのためには、国に十分な人員の確保ができないとこの辺のところがさばけていかないのではないかというふうに思っておりますが、その人員を確保しなければいけないということについて、その対応について十分な措置を考えるおつもりがあるかどうか、これも併せてお聞きしたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、宮内委員が長年にわたって水素社会の推進のために御貢献をくださっていることについて感謝を申し上げたいと思います。
大変大事な質問なんですけれども、まず前提として、大規模な水素等の供給事業はまだ黎明期にあるということであります。国内外の事業の進捗、この進捗に応ずる形で、安全確保を前提に、適時に合理的、適正な保安規制を構築をしていくということ、こういう段取りになるんだろうと思っています。
このような考え方の下、本法案において、国が一元的に保安確保のための許可等を行うことを可能とする措置を講じているわけでありますが、さらに、大規模な水素等の供給事業の将来像も見据えながら、官民が連携し、安全確保を裏づける最新の科学的データ等の収集や規制の国際調和等に取り組むことにより、保安規制の合理化、適正化に一層取り組んでいきたいと考えています。
また、こうした取組を進める中で、委員御指摘のとおり、国における十分な人員の確保は重要であると認識しておりまして、現在、経済産業省本省及び全国九か所の産業保安監督部等と合計して約四百名の職員が産業保安に関する業務を担当しているところでありますが、今後も継続して体制を確保するとともに、人材育成にも力を入れていきたいと考えております。
○宮内委員 ありがとうございます。
もちろん安全は第一でございますけれども、その安全が確保できましたら、スピーディーに判断をする、スピーディーに判断をして現場を動かす、こういうことの考えが非常に重要だというふうに思いますので、この法案を契機に、そういうことを、進むんだというようなことを関係の方々にしっかりと認識をしていただいて進めていただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
さて、今回の法律では、港湾の特例も措置をされておるということでございます。
かねてから、低炭素水素等のサプライチェーンの構築におきましては、港湾の重要性、その拠点の重要性が叫ばれているところでありますし、また、水素等の大規模な需要を生み出す場として今後の重要な役割を果たすところが港湾であるというふうに私も常々思っているところでございます。
そこで、カーボンニュートラルポートの必要性やその背景と形成の取組につきまして、状況を、今日は国土交通省の港湾局にも来ていただいておりますので、お尋ねしたいと思います。
○西村政府参考人 お答えいたします。
港湾は、低炭素水素等の輸送や貯蔵の拠点として重要な機能を果たすことが期待されており、国土交通省では、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素等の受入れ環境の整備等を図るカーボンニュートラルポートの形成に取り組んでおります。
その推進のため、令和四年に港湾法を改正し、港湾管理者が官民の関係者による協議会を開催し、脱炭素化の取組等を定めた計画を作成することとするなど、関係者の連携と取組の実効性を確保する仕組みを法定化いたしました。
また、大量の水素等の安全な取扱いや効率的な輸送体系の構築に向けた検討を行うとともに、水素を燃料とする荷役機械や船舶への低炭素燃料の供給機能の導入に向けた検討や現地実証などに取り組んでいるところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、経済産業省を始めとする関係省庁、港湾管理者、民間企業等と連携して、カーボンニュートラルポートの形成を推進してまいります。
○宮内委員 ありがとうございます。
もう一問国土交通省にお伺いいたしますが、この法案に基づく拠点整備支援でございますけれども、カーボンニュートラルポートの形成の取組と密接な関連があると思います。拠点となる港湾におきまして、いわゆる塊の需要を創出する、こういうモデルとなる取組に対しましては、実証事業や補助事業の実施を支援するなど、政策資源を重点的に振り向けていく必要があるのではないかというふうに考えております。
そこで、選定に当たってどのように経産省と国土交通省と連携していくのか、この点につきましても御答弁をいただきたいと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の拠点整備支援におきましては、低炭素水素などの大規模な需要創出と効率的なサプライチェーン構築を目的として、タンクやパイプラインなどの貯蔵や輸送のための共用設備に対して支援を行うことを想定してございます。
その支援に当たっては、SプラススリーEを前提に、GX実現などの観点から個別の計画を審査した上で認定していくこととしておりますけれども、カーボンニュートラルポートといった港湾における脱炭素化の取組とも緊密に連携をしていきたいと考えてございます。
具体的に、法案では、港湾において低炭素水素などの供給、利用施設を整備する計画が申請された場合には、経済産業大臣とともに国土交通大臣も主務大臣となって港湾計画などとの適合性を確認していくこととなるほか、委員御承知のとおり、計画認定を受けた事業者に対する支援措置には、港湾法に基づく港湾区域内の工事等の許可があったものとみなすなどの特例も含まれているところでございます。
経産省といたしましては、国交省とも連携しながら、拠点整備支援の制度設計及び支援策の充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○宮内委員 ありがとうございます。
連携を密に取っていただきまして、その拠点の重要性を認識しながら、一緒になって取り組んでいただきたいというふうに思っております。
さて、自民党の議連におきましても、様々な、FCVとか、自動車における水素利用、この普及を通じて社会に効果的な利用を進めようということで様々取り組んできたわけでありますけれども、水素の車両の普及に当たっては、私は従来から申し上げておるんですけれども、商用車が水素利用をするというような状況をつくることによって、スピーディーに、圧倒的にその普及が進むのであるというふうに思っておったわけであります。
その商用車の水素利用についてなんですけれども、利用者側への規制の後押しも含めまして、トラック及びバス等の導入拡大に向けた政府の方針があればお伺いしたいと思います。
○岡本委員長 経済産業省田中大臣官房審議官、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
FCV、燃料電池自動車、これはEVと比べて航続距離が長く充填時間が短い、そういう特性があることを踏まえますと、委員御指摘のとおり、今後は商用車に重点を置いて普及を促進していくことが重要と考えております。
まず、普及支援の観点からは、車両を導入する事業者への補助を行うとともに、水素ステーション設置事業者への補助などを通じて戦略的な整備を進めることといたしております。
また、制度的措置の観点からは、輸送事業者や荷主に対して、省エネ法の非化石エネルギー転換の措置に基づき、燃料電池自動車、FCV等の非化石エネルギー自動車の導入を促してまいります。
こうした総合的な取組を通じまして、FCVの商用車の普及を促してまいりたいと考えております。
○宮内委員 どうもありがとうございました。
国民の立場に立って、国民の側から見てということを大切にしながら、そして使う人の立場に立ってということで、これらの法律をこれから社会にとって有益なものになるようにそれぞれ取組をお願いをして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、中野洋昌さん。
○中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。
早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。
今回の、水素社会をつくっていくための法案とCCSの事業法ということで、何回も審議を積み重ねてまいりまして、参考人質疑もやってまいりました。
水素社会の法案について、前回少し聞けなかったところもお伺いできればと思うんですけれども、私も、参考人の質疑をずっと伺ってまいりまして、やはり、水素社会をつくっていくということでいろいろな技術を開発をしてきたというところなんですけれども、日本も、その技術は今、非常に確かな技術を持っているということなんですけれども、やはり官民挙げてビジネスでこれをどう勝っていくかというところも非常に大事だということを非常に強く主張しておられたというのを、私も非常に印象に残っております。
やはり、そのためには、民間もリスクを取って大きな投資を進めていくのが水素であります。ですから、それを、呼び水となる、あるいは民間の迅速な意思決定を後押しをしていくような、そういう政策が必要なんだろうというふうに思います。ですから、私は、この法案を成立を早くさせてしっかり支援を始めないといけない、そういうふうに思っております。
他方で、今回、値差支援ということで、サプライチェーンの構築全体を支援をしていく。ある程度の、やはりプロジェクトとしてはかなり大きなものが中心になってくるのかなというふうに私自身は少し感じております。
他方で、党内で議論しているときにもこういう意見は出たんですけれども、水素社会の裾野を広げていくという意味では、中小企業でも、やはり、こういうやる気のあるところ、こういうことを挑戦をしたいというところがどんどん出てくると思います。そういうところがリスクを賭してチャレンジをするというところをしっかり巻き込んで水素の利活用を行っていくということも、やはり私は非常に大事ではないかというふうに思っております。
こういう点について、どういう形で経産省として後押しをするのかというところを、まず政府参考人に御答弁をいただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員の御指摘、大変重要だと考えておりまして、中小企業による水素の利活用につきましては、地域における水素社会モデル構築の実証事業に支援を行ってきておりますが、例えば、福島県の地元のガス会社の方にこの予算を活用いただいて、水素をLPガスに混合して供給し、事業性や安全性を検証するなど、中小企業の方にも活用いただいているという実績がございます。
また、物づくりをなりわいとする中小企業の皆様との関係では、例えば近畿経済産業局が、水素産業関係者が一堂に会するイベント、関西水素産業交流ラウンジというのを開催しておりまして、水素関連の大手企業と中小企業とのビジネスマッチングというものを取り組んでおりまして、中小企業による水素関連ビジネスの創出という取組を進めております。
こうした取組に加えまして、今回の水素社会推進法案におきましても、低炭素水素等のサプライチェーンの構築を進める中で、御指摘のとおり、中小企業の方々も国が前面に立ってしっかり巻き込んでいきたい、かように考えてございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
もう一点、水素に関して確認をしたいのが、安全の確保、保安のことについてであります。
これも参考人質疑でも少し指摘もありましたけれども、なかなかやはり、水素は、非常に低温で、かつかなり高圧ということで、取扱いが非常に難しいという点があるというのが難しいところでありまして、そういう意味では、私、地元にも水素ステーションというのがあるんですけれども、普通のガソリンスタンドを造っているところが水素ステーションも造って、やった方にも伺ったんですけれども、やはり全然違うと。かつ、かなり劣化も激しいので、非常にスペックの高いものをかなり換えていかないといけないというふうな、そういう意味ではやはり非常にコストがかかる部分があるというふうに伺いました。
ですから、運営コストを下げるためには、もちろん安全最優先でということであるんですけれども、じゃ、どこまでこういう規制が見直せるのかというところも非常に要望もありまして、そして、段階的に今までそういうことも工夫しながらやってきたというふうな経緯もあったかと思います。
もちろん、安全を確保しないといけない、これは最優先で当然やっていくんですけれども、しかし、技術開発もしていく、その中で、じゃ、どういう合理的な規制の在り方が考えられるのか、どうやったらコストが下げられるのか、こういう視点で、やはりこの法案についてどう両立させていくのかというのが非常に大事だというふうに思います。そうすることで水素もより使いやすくなっていくのではないかというふうに思いますけれども、こうした点についてどうお考えか、政府の答弁をお願いしたいと思います。
○殿木政府参考人 水素の活用に係ります安全の確保と規制の在り方等についての御質問でございますけれども、水素の供給及び利用の拡大に当たりましては、安全確保を大前提としつつ、水素保安をめぐる環境変化と課題に応じたルールの整備を進めるということが重要であるというふうに考えているところでございます。
これまでも、水素に対する保安規制につきましては、今申し上げました観点から見直しを進めてきておりまして、具体的には、累次にわたり閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、水素ステーションにつきましては、水素を充填するディスペンサーと公道等との離隔距離の短縮、あるいは遠隔監視技術の活用によるステーションの運転の無人化などの見直しを行ってまいったところでございます。
さらに、御質問の点に関して申し上げれば、水素のサプライチェーン全体を見渡した保安の在り方に関する官民の行動指針として、昨年三月に水素保安戦略を策定したところであります。この水素保安戦略におきましては、規制の合理化、適正化等のために、官民一丸となって安全確保を裏づける科学的データを収集するとともに、規制の国際調和等にも取り組むべきことが示されているところでございます。
経済産業省といたしましては、安全を確保するとともに、このような取組などを通じて、適時に水素に係る合理的、適正な保安規制の在り方を検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございました。
新しい技術ということでありますので、保安戦略も全体で今作っていただいていることで答弁もありました。安全の確保と合理的な規制というところの、なかなか難しいところではありますが、是非、こうした技術開発も含めてしっかりやっていただければと思っております。
CCSの事業法について、質問がまだできておりませんでしたので、基本的なところも、ちょっと改めてという部分もありますが、お伺いをしたいと思います。
やはり、参考人質疑でも私も確認させていただきましたけれども、CCS事業自体は、今までもずっと取り上げられてきた、ある程度歴史のあるものだというふうにも認識をしております。参考人の皆様からも、今まで歴史的には何回かブームがありましたというふうに。洞爺湖サミットのとき、あるいはパリ協定のとき、CCSが大きく取り上げられたという時代が過去も何回かあったということで。
国によっては、事業としてそのまま進んでいくというところもあったんですけれども、今、カーボンニュートラルというところが、二〇五〇年を目指してということで、かなりいろいろなものが具体的になっていく中で、やはり事業法というものを作らないといけない、私はそう感じたところであります。
改めてでございますが、大臣に、このタイミングで今まさに事業法を作っていく、こういう意義ですとか、今、前提となる国際情勢をどう御認識されるか等も含めて、お伺いをしたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、カーボンニュートラルは実現をしなくちゃいけないんですが、現実に排出削減が困難なセクターというのも存在をしているわけでありまして、こうしたセクターにおける解決策の一つとして、昨年十二月に開催されたCOP28の合意文書においても解決策の一つとして明記をされているという国際情勢があります。
欧州や米国では、既に二〇一〇年頃に、民間事業者がCCS事業を実施するための環境整備の一環として、法制度が整備をされています。加えまして、これらの国では、近年、予算や税制など、CCS事業に対する様々な導入支援制度が構築されてきておりまして、CCSの本格的な導入に向けた更なる環境整備が進んできています。
この結果、二〇三〇年に向けてCCSの導入が加速すると見込まれておりまして、貯留適地の確保や事業モデルの構築をめぐる国際的な競争も始まってきています。
我が国におきましても、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、産業や発電の脱炭素化、低炭素水素の製造などの分野でCCSの導入が必要となるわけでありますが、現状では、CCS事業を規制する包括的な法律がないということであります。
このため、昨年七月に閣議決定されたGX推進戦略におきまして、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けて制度的措置を整備するとされたところであります。
これを踏まえて、CCS事業法案におきましては、事業に必要な許可制度や事業規制、保安規制等の措置を講ずることとしておりまして、こうした措置を通じて、CO2の安定的な貯留やCCS事業の適切な運営、これを確保していきたいと考えています。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
私も全く同感であります。今まさに、カーボンニュートラルに向けて、CCS事業、国際的にかなり今大きく前に進んでいるというこの時期でありますから、やはり、これに日本が遅れることがあってはならないというふうな思いでございます。
他方で、参考人質疑でも私も指摘もさせていただいたんですけれども、CCSをやっていく中に当たっては、そもそも、なぜこれをやるのかという国民的な理解もそうでありますけれども、じゃ、これが果たして技術的にどうなのか、安全なのかというところも含めて、やはり社会的にこういうところが認識をされているという段階にまだ至っていないのではないか、こういうふうな思いもありますので、我々、こうした点をしっかり、法案審議も通じて改めて確認もさせていただきながら、これをしっかりと理解をしていただきながら事業を進めていくというところがやはり大事なのではないかというふうに思っております。
今回、でも、苫小牧の実証事業も含めたいろいろな議論もさせていただきましたけれども、これも改めてになりますが、CCSをやるに当たって、どうしても地震との関係というのを指摘をされる方が非常に多い。そういうところを御心配をされる方が非常に多いんだろうと。これはいろいろな実証事業の中でもそうですし、これからいろいろなところで、恐らく、適地の中で、これができるのかというところで進めていく中でも同じような指摘というのはあるんだろうというふうに思っております。
典型的にありますのは、地震があって、それでCO2が海中に流出をして、海洋の関係の環境は大丈夫なのかという御指摘と、もう一つは、CO2を注入をするということで地震が起こりやすくなるんじゃないか、基本的にはこの二点が指摘をされます。
参考人の質疑でも、この二点についてそれぞれいろいろな質疑もありまして、科学的なところではいろいろな解説も、これは大丈夫なんだということで、できるという中で、それを、じゃ、例えばどうやって分かりやすく国民に伝えるのかというふうなところも含めて質疑もあったというふうに承知をしております。
改めて、政府に対して、CCSの安全性、これをどう考えて、これを政府としてどう訴えていくのかというところについて答弁をいただきたいと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
まず、安全性に関する御指摘の一つ、地震などによるCO2の漏えいの可能性についてでございますけれども、CO2を貯留する層から地上に至る断層、あるいはCCS事業などに用いる井戸がCO2の漏えいの経路になる可能性はございますが、公益社団法人地球環境産業技術研究機構、RITEによれば、これまで漏えいが発生したとの報告例はないというふうに承知してございます。
また、もう一つのリスクであります誘発地震の可能性ですけれども、例えば、CO2の注入によって断層などの地下構造が悪影響を受けた場合には地盤が滑るということが起こり得ますが、国際エネルギー機関、IEAなどによれば、これまでCCSの実施によって人間が感じることができるレベルの地震は発生していないということでございます。
また、国内のCCSの実証例、これは苫小牧に加えて長岡でもかつてありましたが、これらにおいても、専門家による検証の結果、地震との因果関係があるとされたものはないと承知してございます。
いずれの場合も、必要な安全性、これは非常に大事でございまして、それを確保するために、貯留事業を実施する場所の選定やCO2の注入に当たって、事業者に適切なリスクマネジメントを求めていくということにしておりまして、国としても、最新の科学的知見を踏まえて、地質学などの外部専門家の意見も聞きつつ、適切に審査、監督を行ってまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 安全性については、私も、改めてそこは大丈夫だと思ってはいるんですけれども、これをどう御理解をしていただくのか、地元理解の中でどう進めるのかというところが大事だと。社会的受容というふうなことで、参考人質疑でもありましたけれども、それをどうやってプロセスの中で進めていくのかということが大事だと思います。
この点について、法律上どういう仕組みがあるのかということも併せて確認させていただければと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、安全性も含めて、地元の自治体、住民の方々の御理解を得ていくということは極めて重要でございます。
CCS事業法案におきましては、関係する自治体や地域住民などの関係者の皆様の御意見を踏まえた上で、貯留事業に関する許可、不許可の判断を行っていくという観点から、経済産業大臣が貯留事業に関する許可を行う際の手続として、関係都道府県知事との協議あるいは利害関係者からの意見募集に関する規定を設けてございます。
その上で、実際に貯留事業を実施するに当たっては、自治体や地域住民の皆様に対して安全性も含めた丁寧な説明を行うなど、関係者の御理解を得るための取組を事業者にしっかり求めていくことに加えて、国としても、CCSの政策的意義、それから負担、あるいは安全性などについて、丁寧に御説明していきたいというふうに考えております。
○中野(洋)委員 最後に、今後の支援の在り方というか。
CCSは基本的には外部不経済なので、市場原理だけでは成り立たない分野だというのは参考人質疑でも指摘はありました。カーボンプライシングのような規制的措置によって、それが対応しないといけないということになるのか、あるいは、アメリカのように補助金を出して、これでやってもらうというふうな、やり方はどっちかだというふうには思うんです。
他方で、やはり、それと、このCCSの事業性を確保するというか、事業として成り立たせる、コストもできるだけ下げてもらうというふうなことを両立をさせるやり方を何らか考えないといけないんだろうというふうに思っておりまして、法律はできたんですけれども、それを、じゃ、事業としてどう成り立たせるのかというところは、これからしっかり考えないといけないんだろうと思っています。
ここについて、今完全に決まったことはないかもしれませんけれども、どういう方向性で考えていくのか、政府に最後に御答弁いただきたいと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、今回の法律では、安全規制、あるいは貯留権といった地下を利用する権利の設定などの、いわゆる事業に関する枠組みを設けさせていただくことにしておりますけれども、それを事業として成り立たせるためには、規制なのか支援なのか、ないしはその組合せなのか、そういう支援策というのを今後検討していく必要があると考えております。
その前提として、今、国では、先導的CCSのモデル事業に対して、七プロジェクト、支援を開始してございますけれども、そういういろいろ企業レベルでの様々なモデル事業を踏まえて、どういうビジネスモデルないしは支援制度が日本にとってふさわしいのかということを今後検討していきたいというふうに考えております。
加えて、やはり全体のコストを下げていくということも重要な課題でありまして、これに関しては、エネルギー効率の高い回収の手法あるいは大型の液化CO2輸送船などの研究開発などを通じて、国としてもコスト削減についても必要な取組を進めていきたいというふうに考えてございます。
○中野(洋)委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、重徳和彦さん。
○重徳委員 立憲民主党の衆議院議員の重徳和彦です。
初めに、昨年我々が行いました提言の申入れに対する御回答を大臣からいただきたいと思います。
昨年六月八日に、立憲民主党と日本維新の会共同で電気料金高騰対策の提言を提出させていただきました。省エネ予算の大幅な拡充を求めるという内容について、当時の西村経済産業大臣に直接申入れをさせていただきました。具体的には、省エネ推進のための既存予算を大幅に拡充して、特に、省エネ設備の導入が難しい中小事業者とか家庭なども含めて、支援範囲、単価の引上げも含めて大胆に支援をしていくべきだと申し入れました。西村大臣にも、御意見を踏まえて検討すると、力強い回答をいただいたところであります。
省エネというのは脱炭素につながりますので、今の法案にも関係してくると思っております。その後、具体的に、検討状況はいかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 言うまでもないことなんですが、省エネはエネルギー危機に強い経済社会構造への転換を進めていくために重要な取組でありますし、加えて、GXの実現に向けた取組を進めるに当たっても、御指摘のように、特に中小企業や家庭にとっては、その第一歩の取組が実は省エネだということになるんだろうと思います。
そのため、令和五年度補正予算を活用しまして、企業、家庭の省エネ支援をパッケージとして取りまとめたところであります。
具体的には、企業向けには、省エネ設備への更新を支援する省エネ補助金について、中小企業にも多く活用していただいているところではありますが、今後三年間で七千億円規模で支援するよう支援の規模を拡充をしたほか、脱炭素につながる電化、燃料転換を促進する新たな類型も、この補助金の中で設けたところであります。
それから、家庭向けですけれども、高効率給湯器の導入や断熱窓への改修等、住宅省エネ化の支援を経産省、環境省、国交省の三省連携で進めておりまして、総額約四千六百億円規模と、支援の規模を、これも拡充をいたしました。
このうち給湯器につきましては、設置スペースが確保できないなどの理由からヒートポンプ給湯機等の導入が困難な賃貸集合住宅向けに、潜熱回収型給湯器の導入支援、これを新たに新設をいたしました。
加えて、これらの支援策が中小企業や家庭にもしっかり行き渡るように、周知、広報も重要であります。省エネ補助金は、三月下旬に、補助金を活用いただく事業者向けの公募を開始したところでありますので、周知、広報にもしっかり取り組んでいきたいと考えています。
昨年、立憲民主党と日本維新の会からも提言いただいたということでありますが、企業、家庭の省エネ支援を強化していくことは、繰り返しになりますが、GXとエネルギー安全保障の両方の観点からも必要でありまして、引き続き、国会でも御議論いただきながら、様々な施策を検討、実施していきたいと考えています。
○重徳委員 ありがとうございます。
国会質問も大事なんですけれども、こうして大臣に直接提案を投げかけさせていただきまして、具体的に検討いただいて結果を出していただく、これは国民生活の向上に役立つことであります。大変建設的な取組だと我々も思っておりますので、是非、与野党超えてよろしくお願いしたいと思います。
さて、私、先般の本会議質問におきまして、エネルギーのゲームチェンジという表現で申し上げました。資源の乏しい日本はエネルギーを海外に頼っている、みんな教科書で学んでいますけれども、この現状を少しでも変えていきたい、ゲームチェンジしていきたい、こういう思いでございます。
その現状なんですけれども、三菱総研のレポートがホームページにありましたのを発見しまして、今日、資料として配付しております。石田裕之さんという研究員の方のレポートであります。
図二をまず御覧ください。エネルギー自給率の高い国ほど低コストでエネルギーを供給できているという相関関係があるというデータでございます。
これは産業用の電気料金と産業用のガス料金についての相関関係を示す図なんですが、日本は産業用電気料金がイタリアに次いで高くて、これはG7、二〇一八年のデータですが、イタリアに次いで高い十八円・パー・キロワットアワー。アメリカとかカナダの二倍ですね。それから、日本の産業用ガス料金は、G7の中で最も高くて、一・四円・パー・メガジュール。アメリカ、カナダの三、四倍という高い料金だというデータでございます。
電気料金というのは、言うまでもなく国民生活に直結します。国内で見ているだけでは余り感じないかもしれませんけれども、こうして国際比較で見て高いということは、国民生活ももちろんですが、特に産業競争力には直結する問題だと思っております。
この国際比較において、各国のエネルギー自給率と電気・ガス代との相関関係、政府としてはどのように分析をされていますか。
○木原政府参考人 お答え申し上げます。
電気・ガス料金は、国際的な燃料価格の動向や、電気・ガス事業や再エネ導入に係る各国の制度などにも影響を受けるため、エネルギー自給率と電力・ガス料金の関係性について正確に申し上げることは困難でございますが、御指摘の分析では、化石燃料を輸入に頼りエネルギー自給率が低い国は、自給率が高い国と比べて電力・ガス料金が高い傾向が示されていると承知しております。
我が国は、すぐに使える資源に乏しく、山と深い海に囲まれ、再エネ適地が限られており、化石燃料の大宗を海外からの輸入に頼らざるを得ないという厳しい状況にございます。産業競争力の観点からも、安定で安価なエネルギー供給の確保が重要だと考えております。
このため、我が国では、将来にわたってエネルギー安定供給を確保するため、SプラススリーEの原則の下、あらゆる選択肢を確保することを大前提に、化石燃料への過度な依存からの脱却をするべく、徹底した省エネや、再エネ、原子力などのエネルギー自給向上に資する脱炭素電源への転換を進めてまいります。
○重徳委員 余り明確な御答弁ではありませんでしたけれども、こういう指摘があるということは、確かにこういう数字はあると思いますので、御認識いただきたいと思います。
そして、ちょっと、今日、資料にはつけておりませんが、三菱総研のレポートによりますと、再エネが各国で普及することによって、日本と他の国との電気料金、ガス料金の差は縮まってきているというようなエビデンスも見られるということを指摘しています。要するに、日本にとって、再エネが普及するということは、今御答弁いただいたように、国内自給率を上げるということにつながるわけでありますが、世界中で再エネが、今、取組が進んでいるわけですから、ここ十年、二十年ぐらいの間に、電気料金そのものが、日本国内で再エネが普及したら下がったとか、まだそういうところまでは行っていないとは思いますが、しかし、この調査によりますと、例えば、他国、とりわけドイツ、イギリス、フランスとの料金の差が何か縮まっている、こういうことが指摘されているんですよ。
こういう料金の絶対価格というもの以上に、国際比較における差が縮まることというのは、これは産業競争力上プラスになるんじゃないかと思いますが、その辺りについては、何か分析があれば御答弁願います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のデータ、済みません、私、今手元にないのでございますけれども、そのような指摘があるということは認識しております。
一方で、委員の御指摘も踏まえて考えますと、再エネの普及拡大というのは日本の産業競争力にどういう影響を与えるのかねという問題につながる御質問かなと考えます。この点、今まさに委員御指摘いただきましたけれども、再エネというのは、いい面でいえば重要な国産エネルギーでありまして、国際情勢の不安定化などに伴う国際的な燃料価格の変動に左右されないというメリットはあるんだろうなと。
一方で、現状では、やはり化石燃料に比べて国内の再生可能エネルギーは高い。であるがゆえに、再エネ特措法に基づきまして、幅広く電気の利用者の方々から再エネ賦課金をいただいているという状況でございます。これは、産業競争力の関係では十分考慮しなければいけないという観点から、国会でも御審議いただきまして、国際競争力とのバランスを踏まえて、この賦課金の減免制度も措置しているというところでございます。
再エネの導入に当たっては、御指摘のとおり、コスト低減は非常に重要でございまして、様々取組を行ってきております。現状では、事業用太陽光の調達価格は、FIT制度導入時の四十円キロワットアワーから、足下では約九円キロワットアワーぐらいまでは低下してきている。ただし、その取組を更に強化していかなければいけないし、競争力という観点では、再エネの国産化に向けた取組もやっていく必要があるというふうに考えてございます。
○重徳委員 それでは、通告の次の問いをちょっと飛ばして、資料の図一を御覧いただきたいと思います。
これは、同じ三菱総研のデータでありますが、G7における化石燃料の正味輸出額。輸出額とありますが、御覧のとおり、一番左の日本は大幅にマイナスになっている。すなわち、化石燃料をG7の中では最も輸入しているということを表しています。まさに海外に頼っている。教科書に載っているとおり、教科書どおりのことを示しているというのがこの図であります。
このデータは一ドル百十円のときのデータでありますので、現在一ドル百五十円前後で推移していることからすれば、これは大変な、更なる輸入幅の大きさ、円ベースでいうとそういうことになります。令和四年には三十三兆円の鉱物性燃料の輸入があったということでありますので、数字的には大幅な貿易赤字の要因だということだと思います。
エネルギーの自給率というのは、経済成長とかGDPに影響していると思います。特にGDPというのは、計算上、貿易収支の要素がありまして、貿易赤字が増せばGDPは小さくなるということですので、輸入が非常に多い化石燃料、この要素がGDPのマイナス要因になっていると見られます。
この辺り、これは大臣にお聞きしたいと思いますが、エネルギー自給率というのが経済成長とかGDPとかにどのように影響しているのか、御答弁願います。
○齋藤(健)国務大臣 先ほどから、委員の問題意識は大変興味深い切り口で質問されていまして、我々もそれをしっかりと把握をしていかなくちゃいけない切り口だなというふうに思いながら聞かせていただきました。
それで、経済成長とエネルギー自給率ですけれども、GDPは、国内で一定期間内に生産された物やサービスの付加価値、これの合計額であります。当然のことながら、エネルギー以外の様々な要素を含んでまいりますので、エネルギー自給率とGDPとの関係性について一概に申し上げることは困難かなと思っています。特に、国際比較をする場合にはますます困難になるんじゃないかと思っています。
例えば、自給率が日本みたいに低くても価格競争力の強い産業をたくさん持っている場合には、これは自給率が低くてもGDPは大きくなるわけでありますので、いろいろな要素が絡んでくるので、一概には言えないんじゃないかなというふうに思っています。
なお、輸入はGDPにおける当然控除項目でありますので、仮に化石燃料みたいなものを輸入しないという場合におきましては、ほかの条件が全て変わらないというふうにすれば、化石燃料の輸入額の控除がなされない分、当然GDPは増加をする、そういう関係にはあると思います。
我が国にとって大事なことは、残念ながら輸入にエネルギーを頼らざるを得ないという国でありますので、供給途絶リスクというものを抱えているわけでありますので、それがほかの国よりもはるかに考慮要因として大きくなってくるんだろうと思っています。持続的な経済成長の観点からも、やはりエネルギー安定供給の確保というものも、自給率のみならず、重要な視点になってくるんだろうなというふうに私は思っています。
このため、GXを通じて、化石燃料への過度な依存から脱却すべく、徹底した省エネや、再エネ、原子力などのエネルギー自給率向上に資する脱炭素電源への転換、これは一生懸命進めていかなくてはいけないと思っていますし、同時に、エネルギー安定供給、脱炭素、経済成長の同時実現、これを目指していくこともまた必要なんだろうというふうに思っています。
○重徳委員 今、大臣の御答弁を聞きながら思ったんですけれども、やはり輸入に頼らざるを得ないというふうに大臣も言われるわけなんですよね。これを変えられないかなということなんですよ。
化石燃料の輸入も減らします、その代わりこれからは水素です、水素はまた輸入に頼ります、これでは、問題の半分、環境とかいろいろなそういう問題は解消できても、輸入に頼っている、様々なリスクにさらされている、ここは変わらないわけなんです。
日本のエネルギーの自給率というのは、昔からこんなに低いわけじゃなくて、戦前とか戦争直後は八〇%ぐらいあったというんですね。産業構造がもちろん違ったし、経済規模も小さかったから賄えたということはもちろん理解の上でありますが、経済成長する中で化石燃料に依存し、結果的に自給率が下がっていく、だけれども、オイルショックという厳しい状態にさらされた、そこを何とか乗り越えようと原発などを動かし始めたけれども、また東日本大震災で原発も動かせない状態になった、今度はどうする、再エネかというような状況ですが、足下、二〇二二年度の速報では自給率一二・六%ですね。ですから、エネルギーの自給の在り方というのは、戦争とか震災とか、国家の命運を左右するということだと思います。
その意味で、我が国は二〇一七年に、世界に先駆けて水素基本戦略というものを発表して、このときは国内水素市場をつくるということも掲げていたはずですよね。今すぐにとはいかないという事情は分かりますが、何か、水素というのは、サプライチェーン、輸入なんだというのが主体となって説明されているように見受けられます。
大臣、水素輸入依存というのは最終的に、これは国益の観点から目指すところではないということを是非宣言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 一言で言えば、段階的に進めていく必要があろうかと思いますし、全て国産でやれれば、こんなにいいことはないという思いは委員と一緒であります。
水素社会への移行に当たっては、私は、エネルギー自給率の観点からも、やはり、国内における低炭素水素等の製造、それから再エネの最大限活用、それから供給体制の構築に取り組むことが重要で、まずは国内におけるこういった取組を進めていく。このため、価格差に着目した支援においては、十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する見込みのある国内事業を最大限支援していくという方針であります。水素の国内生産を進めていきたいと思っています。
一方、当面の間は、国内での低炭素水素等の製造規模が、やはり海外案件に比べて小規模かつ高コストであるという現実もあります。したがいまして、国内製造のみでは低炭素水素等の需要量を賄えないおそれが現実にあります。
加えて、安価に低炭素水素等の製造が可能な適地の確保を見てみましても、世界では既に低炭素水素等のサプライチェーン構築に向けた競争が始まっている状況にもありまして、こっちに目を向けないわけにもいかないということもあります。
そのため、国産技術等を活用して製造された低炭素水素等であって国内よりも相対的に安価かつ大量供給が可能な輸入事業についても、当面はその重要性を精査して支援していく必要があるのではないかと考えていますが、将来的には国内における低炭素水素等の製造を拡大をさせていきたいというふうに思っています。
○重徳委員 次に、EUとの関係について議論していきたいと思います。
先日、参考人として意見表明されました東京工業大学の柏木孝夫先生が、日本というのは技術で勝つけれどもビジネスモデルで負けるんだよね、こういう皮肉を述べられました。技術を持っている経済は一流だが政治は三流と言われているような感じがして、ここは政治も頑張らなきゃ、こういう思いがいたしました。
現に、EUは先行的にルールを作っていますね。EU―ETS、EU域内の排出量取引制度をいち早く始め、そして、その無償割当ても廃止して、二〇二六年から、EU―CBAM、炭素国境調整メカニズムにおいて輸入課金をするということで、いよいよ世界にもそのルールを広げていこうというような動きが見られます。
こういう、EUが先行する、あるいは主導しようとしているルール作り、ここら辺についてどう評価されますか。EU主導で世界が進んでいくということでいいのか、日本はどう対抗していくのか、御答弁願います。
○齋藤(健)国務大臣 今委員おっしゃいましたように、技術ではリードするけれどもビジネスで負けるというのは、私は率直に言ってそういう傾向があるなと思っています。特に、地球環境問題のように、国際的な取組が必要な分野におきましては、やはりルールメイクというものがむしろ競争の基盤をつくっていくということでありますので、ルールを作っていく政治、行政の競争力も実は問われているんだろうと私は思っています。
EUは、EU域外からの鉄やアルミなど六つの分野の対象製品を輸入する際に、既に、製造過程における炭素排出量に応じて課金するEU―CBAMを導入することとしておりまして、昨年十月から導入に向けた移行期間が始まって、二〇二六年一月から課金が始まるというふうに、先行しているわけであります。
このような中で、我が国としても、GX推進を日本企業の競争力強化につなげていくためには、炭素排出量の算定方式も含めて、国際的なルール形成に積極的に取り組んでいく必要があるということであります。
こうした観点から、昨年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合におきまして、日本が主導して、まずは国際的に議論が先行している鉄鋼分野でグリーンスチールなどの国際評価手法の確立に向けた枠組みを立ち上げて、IEAやOECD等の国際機関と連携し、議論を進めているところであります。
また、日本の産業の脱炭素化を後押しするためには、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の先行投資支援や成長志向型カーボンプライシングの導入などによりまして、早期のGX投資を促して、日本企業の国際競争力を同時に高めていくということに取り組んでいきたいというふうに考えています。
○重徳委員 次の二問を併せて大臣にお聞きしたいと思います。
現在、六品目ですね、EU―CBAMの対象品目は。これは、これから追加される可能性があるものもあるというふうに聞いております。それらが日本に実際どう影響するのかということが一つ。
それから、もう一つは、今後EUのルールが拡大していく、もちろん日本もそれに負けじと今おっしゃるようなルールメイキングに取り組んでいくわけですが、やはり日本の企業の漠然とした不安というのは、例えば、日本の電力というのは火力発電が主でありますので、この状況のまま、こんな国に立地している製造業というのはグレーな製造過程を経るわけだから、それ自体がマイナスになるなんということになることが不安だ、こういう声は実際にあると思います。
その意味でいうと、日本が電力をグリーン化していくというのは、それはもう今まさに一生懸命やっておられるところでありますが、それがちゃんとグリーン化する前に、いろいろなルールで、日本という国に立地することが製造業を始めとした企業にとって不利なんだ、こんなことにゆめゆめならないように、ルールをしっかりと先導していく、主導していくという姿勢が日本には特に求められると思うんですが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 結論から言えば全く同感なんですが、日本への影響についての御質問がありましたので、まずそこをお話しさせていただきます。
炭素国境調整措置であるEUのCBAMの対象製品拡大の可能性、これは、法令において定められておりまして欧州委員会が二〇二五年末までに実施するレビューの中で検討することとなっておりまして、その具体例として有機化学品とポリマーが挙げられている、これがまた加わってくる可能性があるということです。
それらの製品は、マクロで見れば、例えばEUの輸入に占める日本の割合は一から二%であります。一〇%を超える米国や中国等と比べると我が国への影響は彼らほど大きなものとはならないと見込まれていますが、当然、EUに対象製品を輸出している個別企業にとりましては大きな影響となるわけであります。また、例えばEUに輸出していた企業がアジア向けに輸出を変更するなど、貿易構造が他国も含めて大きく変わる可能性もあると認識していますので、今後は、我が国産業界とも対話を続けて、EUの動向もしっかりと見極めていきたいと思っているのが影響に対する御答弁です。
それから、もう一つは、おっしゃるように、化石燃料を利用した発電が多い日本の立ち位置というお話だろうと思いますけれども、正直申し上げまして、日本で生産される製品の脱炭素化を進めて世界で競争力を持つためには、製造プロセスにおける電化や非化石エネルギーの活用を進めるのとともに、熱需要など、電化が困難な分野の脱炭素化も併せて進めていくことが重要で、このため、研究開発支援や製造プロセス転換への設備投資支援等を通じてGXの取組を推進しているところであります。
御指摘のように、こういった日本の取組を反映した国際的なルールメイクというのがやはり重要、それをやっていかなくてはいけないということなんだろうと思います。
ただ、ネットゼロの実現に向けては、電源構成を含めまして、それぞれの国やセクター特有の状況がありますので、様々な道筋をたどることを認識しながら産業の脱炭素化を着実に進めていく必要があると思っていまして、この旨は、昨年の日本が議長を務めたG7の共同声明にも明記をしたところであります。
先ほども申し上げましたが、こうした考え方の下に、グリーンスチールなどの国際評価手法の確立に向けた枠組みをもう既に立ち上げましたということと、また、脱炭素に果敢に取り組む企業群から構成されるGXリーグ、これにおいては、企業の社会への削減貢献が適切に評価されるような仕組みづくりというものが、世界的な団体とも連携しつつ進められています。
こうした取組を引き続き経済産業省としてもリードしていって、脱炭素化の取組を着実に進め、日本製品が正しく評価される国際的なルール形成を進めていかなくてはいけないというふうに考えています。
○重徳委員 時間の関係で、最後に一問、大臣にお尋ねしたいと思います。
先ほどから、EUのルールメイキングにどう対峙していくかという議論をさせていただいておりますが、そうはいっても、日本というのは欧米先進国グループですよね、世界で見ると。そのときに、我々がケアしていかなきゃいけないのは、やはりアジアだと思うんですね。だからこそ、EUのルールに追随するだけではいけないんじゃないか。日本どころかアジアが全然ついてこないということになると思っています。むしろ日本に、更なる役割として、アジアをちゃんと抱えて前に進んでいくという責任があると思います。
例えば、インドとか東南アジア、石炭火力は廃止させた方が一般的にはいいんでしょうけれども、十年未満の石炭火力が六割を占めると言われております。それをやめろとはなかなか言えないというか、無理があると思っております。ですから、アンモニア混焼とか専焼とか、そういう技術をアジアに向けて日本が発していくというようなことだと思うんですが、アジア始め新興国は、先進国はさんざん化石燃料を使って成長して豊かになっているのに、何で俺たちはそれが許されないんだという思いは、むしろ持つのが当然、当たり前だと思っております。
そして、二〇五〇年カーボンニュートラルといいますが、しかし、ある推計では、世界全体の鉄鋼蓄積量とか自動車保有台数というのは今の二倍ぐらいになるという数字も見ております。これも止められない。
そういう意味で、日本はアジア・ゼロエミッション共同体においていろいろルールメイキングを主導していくという役割があると思うんですが、もう一点、ここをないがしろにすると、やはり、もう大国と言っていいでしょう、中国がそこで、言い方はあれですけれども、漁夫の利を得るということを指摘する識者もいます。
その意味で、ですから、中国はインドと一緒になってEUのルール作りを牽制しているという話も聞きますが、日本として、その辺り、中国の影響力というものをどう見ているか、そして、そこにどう向き合っていくかということについて大臣から御答弁願います。最後です。
○齋藤(健)国務大臣 まず、EUについては、日本が不当に排除されないようなルールメイクを、されないようにしっかりと我々は見ていかなくちゃいけないし、共に取り組んでいかなくてはいけないと思います。
それから、ASEAN始めアジアにつきましては、AZEC、昨年十二月に首脳会議をやりましたけれども、アジアの国々は多様です。その多様性を尊重しながら、CO2削減にどのようにそれぞれの国が取り組んでいくかということについて日本が積極的に貢献しようということで、たしか三百五十本だったかな、覚書を結んだりしています。彼らに一律に押しつけるのではなくて、彼らの多様性を尊重しながら、その国に日本がどういう形で貢献できるかというきめ細かい貢献をしていくということが、ASEAN始めアジアでは大事なんだろうと思っています。
中国に関しましては、同じような思いで中国も恐らく東南アジアに対していろいろな働きかけをしてくるのだと思いますので、それは、中国以上に魅力的な協力関係を日本が積み上げていく以外には方法としてはないかなというふうに今思っています。
○重徳委員 日本国政府の通商政策が試されるところだと思いますので、しっかり頑張っていただきたいと思います。我々も頑張ります。
以上です。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、山崎誠さん。
○山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。今日もよろしくお願いをいたします。
審議になっております水素社会推進法、そしてCCS事業法ですけれども、審議も大詰めということだと思いますので、まず初めに、私から五点、問題提起というかポイントを述べさせていただきたいと思います。
第一に、これまでもずっと議論してきたことでありますが、気候変動対策としてのコスト対効果が優れて、効果が得られることができる、その第一は、やはり省エネの深掘りであって、あるいは再生可能エネルギーの最大導入だ、これに全力を注ぐことが大前提だということであります。これは、もう大臣も何度も答弁いただいている内容だと思います。
第二点目は、その上で、低炭素水素等に関する支援については、その用途をやはり再生可能エネルギーでは賄えない分野に限定をしていく。産業用の熱源であるとか、水素還元製鉄だとか、船舶、航空機の燃料などですね。
目指すべきは産業構造の変革であって、単なる既存の化石燃料依存の産業構造の延命ではない。これは、大臣には是非御理解をいただき、当然そういう思いではあると思うんですけれども、そうでないと、私は日本の成長はないというふうに思いますので、この点も大事だと。
それから第三点は、低炭素水素等については、やはり国内のグリーン水素化というのが最終的な目標、着地点ではないか。それに向けて、早期の低炭素化、脱炭素化を実現する戦略を早く示してもらいたいということであります。
それから第四点目、CCSについては、これも何度も議論されていることでありますけれども、安全、環境保全を大前提に、これまでの豊富な知見があるということでありますから、その知見を生かして、地域合意の下に実施をする。
そして、これも強くお願いをしたいんですけれども、環境アセスメント、この実施についても、是非このCCSを対象に入れるという方向での検討を進めていただきたい。これは、これまでも議論がありました太陽光発電、元々環境アセスの対象でなかったということで、やはり乱開発のきっかけにもなりました。これは是非教訓にして、CCSについては早め早めの対応をしていただきたいと思います。
第五点目、これは答弁もいただきたいのでありますけれども、両法案とも、制度の詳細というのは省令等によるところがやはり多いというふうに認識をしています。今後も、国会への報告等、あるいは事業の進捗については随時報告をするというような機会を、やはり経産省として責任を持って確保していただきたいと思います。
そしてまた、投資対効果を見て、なかなか民間事業として成り立たない、そういう厳しい見通しがもし出てきた場合は支援の在り方等も見直していくということ、やはりこれは大胆にやっていただきたいと思うんですが、この最後の点については答弁をいただけますか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
最後の点、委員御指摘いただきました必要な見直しについては、この委員会でも様々御議論いただいていると思います。
まず、この水素社会推進法案、御成立いただいた暁には、それをしっかり運用していきながら必要な見直しも行っていきたい、かように考えてございます。
○山崎(誠)委員 報告、これは大事だと思うんですよね。是非、やはり新しい事業でありますから、定期的に、例えばエネルギー白書などもあると思いますけれども、正確な情報を発信をしていただきたいということをお願いをいたします。
それでは、今るる申し上げたのが私からの主張のポイントなのでありますけれども、改めてその幾つかを、データをお示しをしながら議論していきたいと思います。
まず、気候変動対策の施策の優先順位ということについて議論をしたいと思います。
言うまでもないのでありますけれども、気候変動対策、脱炭素化に向けての様々な施策があります。これをうまく組み合わせて実施することがこの脱炭素社会実現にはどうしても必要であり、不可欠な要素だというふうに思います。その中で、ポイントは、脱炭素の効果の最大化、スピード、そして投資効率だというふうに思うんです。
それで、今日資料におつけしましたのはマッキンゼーのレポートで、「日本の脱炭素化 二〇五〇年に向けた展望」という資料から引用をいたしました。たくさんいろいろな指摘があるんですけれども、その中で、今のこの論点についての資料をおつけしました。
資料一でありますけれども、脱炭素化の上位十五施策で二〇五〇年までに排出削減量の八五%を削減可能と。これは、マッキンゼーのモデルで計算をして、こういう施策がこのぐらい利くんだというデータであります。
見ていただいて、例えば、一六%というのが、活動レベルの低下、省エネですね、それから二番目が洋上風力発電。それから、九%ということで、電力部門のCCUS、そして分散型太陽光発電。建物のヒートポンプ、電気自動車というふうに並んでいます。これを集計しますと、CCSに関連するのは全体の中の一四%、それから水素等が出てくるのが一〇%です、残りが六〇%なんですね。
これは二〇五〇年の一つのモデル的な絵姿だと思いますけれども、CCS、水素、私はもう少し少ないんじゃないかと思うのでありますけれども、一四%であったり、水素であったら一〇%というのが削減の寄与度だと。要するに、省エネだとか再エネの導入、電気自動車への転換、あるいはヒートポンプなどの熱利用の効率化、こういったことはやはり大事だというのは言うまでもない。このバランス感覚は、私は、政策を議論する上でどうしても必要だろうというふうに思っております。
資料二の方を見ていただくと、これは、成熟度別の技術の寄与度というのかな、寄与度を成熟度別に整理されています。成熟度というのは、要するに、成熟済みというのはもう既存にある技術です。だから、新たな研究開発投資とかではなくて、今あるものも入れていく、もちろん研究が必要な部分はありますけれども。例えば、太陽光発電はもう既にあるもの。陸上風力、建物の電化、あるいは電炉の利用だとか、こういったことはもう実際に技術があって、成熟している技術なので、これをやはりきちっと入れていくということ。そして、早期導入というのは、その次の段階ですね。もう今導入段階で、可能性が広がっているもの。洋上風力など、あるいは電気自動車などもそういうカテゴリーに入っています。
こういった各技術の性格あるいは特徴、費用対効果、効果の大きさ、そういったものをしっかりと戦略に取り込んでいかなければいけないというのがこのレポートからの学びだと思います。例えば水素とかCCSの利用というのは、重要なのでありますけれども、あくまでも補完的であり、あるいは補助的なもの、これがあれば脱炭素が実現できるという技術ではないと思います。
こうしたデータ、分析について、齋藤大臣の御見解をお求めします。
○齋藤(健)国務大臣 大変興味深い分析なんだろうと思いますが、二〇五〇年といいますと、余りにまだ不確定要素が多い、そういう年なんだろうというふうに思っていますので、私どもとしては、水素もそうですし、洋上風力もそうですし、あらゆる選択肢が今同時並行的に走っていて、技術開発の進展度合いによっては力点の置き方というのも変わってきながら、何とか二〇五〇年にカーボンフリーを実現する道筋を、その重心を移しながら、いろいろな選択肢を追求しながら、しかも状況変化に応じて重心を少し移しながら、最後は二〇五〇年カーボンフリーに到達するというのが、二〇五〇年を見据えた場合に我々がやはり持つべき基本スタンスなのではないかなというふうに思っていますので、結果としてそのようになればいいんですけれども、ちょっとまだまだコメントをしにくいなというふうには思います。
○山崎(誠)委員 是非、これは一つの分析かもしれませんけれども、いろいろなシナリオを分析する中で、こういったシナリオというのはあり得る話でありますし、この後お話ししますけれども、再生可能エネルギーの可能性などがやはり日本は大きいので、これはちゃんと入れれば私はこの絵姿に近づいてくるんじゃないかなというふうに思います。
そして、この後も議論しますけれども、やはりコストなんですよ。結局、このCCSを使う、水素を使う、例えば電気をそれで得ることができたとしても、コストで競争力がなければアウトでありますから、そういった分析と併せて、やはりベストなミックスというのはどういうものなのか、政策のミックスというのはどういうものなのかというのはちゃんと見据えていかないと本当にいけないというふうに思います。
次のポイントなんですけれども、私、すごく気になっているのは、大臣が再生可能エネルギーに対してちょっと過小評価なんじゃないかなと思うんです。いや、もちろん大事だとはおっしゃっているけれども、この間自信を持って、再生可能エネルギーだけでは絶対駄目だと言っていらっしゃいましたね。
それで、もちろんなかなか一〇〇%というのは難しいですよ、ただ、可能性はあるし、二〇五〇年、水素やCCSに二〇%あるいは三〇%依存するのか一〇%依存するのか、それは再生可能エネルギーの利用の高度化で、私は随分変わるんだと思うんですよ。私は、できるだけのことをやった方が、先ほどの重徳さんのお話にもありましたけれども、エネルギー自給率だって再生可能エネルギーでやはり高めていく、一〇〇%にしたいですよ。
それで、大臣も御存じだと思いますけれども、環境省は、再生可能エネルギーのポテンシャル調査というのをやってくださっていて、非常に精緻化した今データ分析を重ねてこられています。私はいつもこれを出すんですね。
資料三を見ていただくと、これは環境省の二〇一九年の調査の結果だということでありますけれども、再生可能エネルギーポテンシャルは、タイトル、現在の電力供給量の最大二倍ある、資料を見てくださいね、そういうポテンシャルがありますと。
これは、ある意味、導入ポテンシャルという考え方に基づいて、最大値であります。だから、ここまでは伸びないかもしれない。でも、このぐらいの規模を、これは具体的にゾーニングをやりながら、現実的な可能性だとか経済性なんかも見ながら出した数字ですから、いいかげんな数字ではない。環境省、この数字の意味をもう少し説明できますか、端的に。
○神谷政府参考人 今お示しいただいた数字は、環境省が令和元年度に実施した調査の結果を基に令和四年四月に公表した、我が国の再エネ導入ポテンシャルの数字でございます。一定の条件下で再エネ種ごとの推計を単純に足し合わせた場合、年間一兆九百五十四億キロワットアワーから二兆六千百八十六キロワットアワーと記載をしてございます。
一方で、再エネ導入ポテンシャルの推計値というのは、国土面積等からいわば機械的に算出したものでございまして、再エネの導入可能見込み量を示すものではございません。例えば、太陽光発電と陸上風力発電に関して、同じ土地でポテンシャルを重複して計上しているという点については留意が必要です。また、例えば自治体や地域住民の意向を考慮していないこと、あるいは系統の空き容量についても考慮していないことといった留意点もございます。
このため、実際の事業の実施や政策立案に当たっては、実現可能性を踏まえて考慮すべき要素が複数あるものと考えております。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。一定のモデルですからね、条件を置きながら調査をしているんでしょう。
私、昨日も環境省の方と議論したんですよ。それで、積み上げはちょっと勘弁してくださいみたいなことを言う。なぜかと聞いたら、いやいや、ゾーニングが太陽光と風力がダブっているかもしれない、だから積み上げられると困ると言うんですよ。
いや、いいですよ。今、二兆六千億キロワットアワーあるんだけれども、例えばそのうちの陸上風力と太陽光がダブるかもしれないというお話なので、じゃ、風力発電の四千五百億キロワット、例えばこれをマイナスしたって、ダブったとしてマイナスしたって、二兆キロワットアワーを超える発電ポテンシャルがあるんですよ。更にいろいろな条件があるでしょう。だから、一兆五千億キロワットぐらいになるかもしれないけれども、元々このぐらいのポテンシャルが日本にはあるという前提が私は大事だと思うんです。
大臣、いや、再エネだけでは無理だと言いますよね。なぜならば、不安定で、ためることができなくてみたいなお話になるのでありますけれども、我々が御提案をしているのは、例えば、太陽光だけじゃないですよ、今、太陽光一本足だから弱いんですよ、風力もバランスよく入れます。太陽光、風力、水力も、バイオマスも、地熱もあるでしょう、そういうものをバランスよく入れる。だから、太陽光だけじゃないですからね。風力がちゃんと動くとき、太陽光が動くとき、これを合わせれば安定化は図れますよ、一定ね。蓄電池、揚水発電、これもちゃんと入れましょうよ。計画的に入れます。
系統も、今お話ありましたけれども、きちっと計画的に増強をし、例えば東京、関東エリアと東北、北海道をつなぐような連系をちゃんとつくって生かす、二〇三〇年、二〇五〇年の話ですから。そして、更に言えば、デマンドレスポンスですよ、ちゃんと需給のコントロールもできるようにする。
これだけのことをやれば、私は、再エネで、一〇〇%は無理かもしれないけれども、九〇%は十分にいける、少なくとも電力はいける。私が問題にしたいのは、電力だけではなくて、例えば動力、運輸系のエネルギーとか産業系のエネルギーとか、そういうものも全部再エネ由来の電気でやるとなるとなかなか厳しいけれども、それでも、今のような組合せをちゃんと実施をすれば、二〇三〇年、二〇三五年、二〇五〇年に向けてやっていけば、まだまだ伸びる余地はある。大臣、いかがですか。
○齋藤(健)国務大臣 今委員がおっしゃったような世界が実現したとして、そのときの電力料金が幾らになっているのかということが大変興味があります。
もし非常に高い電力料金で、日本の鉄鋼企業も自動車業界も、みんな海外へ出ていきました、それでカーボンフリーが実現しましたでは困るわけでありますので、ですから、私どもは、しつこく言っていますけれども、SプラススリーEをしっかりと見据えながら、しかし、再エネというのは私は非常に有効なCO2削減のツールだと思っていますので、地域との共生も必要ですけれども、地域との共生を前提に最大限導入していくというのはもう政府の基本方針でありますので、そこは御理解をいただきたいなと思います。
○山崎(誠)委員 すばらしい答弁でしたね、ちょうど私も次の資料をお見せをしたいと思って。
資料四番を見ていただきたいんですよ。これはブルームバーグのレポートから取ったのでありますけれども、では、今大臣がおっしゃった、コストがどうなのという話ですよ。
これを見ていただくと、左から、陸上の風力プラスバッテリー。二番目は、太陽光発電プラスバッテリーのコストですよ。次が、アンモニアの混焼、石炭混焼二〇%、次が五〇%。アンモニアの専焼。このレベルなんですよ。分かりますか。下は、二〇三〇年、二〇五〇年ですよ。
どこが一番安いですか。一番高いのはアンモニア専焼なんですよ。これは一つのモデルかもしれない。でも、これだけコスト差がありそうだ、あるんだということなんですよ。再エネが高いから、再エネがたくさん入ったから電力料金が高くなるというのは、それは全く科学的な根拠がないです。(齋藤(健)国務大臣「だから、幾らかって聞いてる」と呼ぶ)だって、これを見てくださいよ。だから、この電気を、これは発電のコストですからね、この電気をうまく……(齋藤(健)国務大臣「だから、幾らになるんだと聞いてるんだ」と呼ぶ)
どういうことですか、それは。ここに書いてあるじゃないですか。このコストですよ。(齋藤(健)国務大臣「幾ら、それは」と呼ぶ)だから、このコストを、じゃ、高い安いで見てくださいよ。明らかにアンモニア専焼よりも再エネ、それもバッテリーを組み合わせた再エネの方が安いとなっているんですよ。これは世界の潮流ですよ。IEAだってそうですよ。
大臣の先ほどの見解は間違っていますよ、あえて言わせていただければ。再エネをたくさん入れたら高くなる、違うでしょう。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員が最初におっしゃっておられたマッキンゼーであるとか様々な方々とは我々も意見交換を深めておりますが、申し訳ありませんが、このブルームバーグの資料については、委員の御指摘を踏まえて初めて拝見しました。どのような試算の前提になっているかというところを含めて、精緻な試算をされていると思いますので、よくよくブルームバーグの方々とも意見交換を深めたいと考えております。
したがいまして、どちらが高いかどうかよく分からない部分はありますけれども、我々、アンモニアの活用を進めていこうということとの兼ね合いでいいますと、そもそも、ベストミックスを進めていく上で、再エネだけではどうしても、委員も御指摘いただいているとおり、調整力等に問題がございますので、それを担保する、調整力としての火力発電に当面依存する必要がありまして、そこの脱炭素化を進めていく。ステップ・バイ・ステップで、その上で、技術開発も進めておりますので、アンモニアの専焼についても、コストが下がっていく暁にはしっかりと専焼もやっていきたいということでございます。
○山崎(誠)委員 私は、急に全て変えるのは難しいとは思いますよ。いや、だから、その転換期にどういう政策を取るかというのはもちろん理解しているつもりです。
水素は必要ですよ、これは先ほどもお話ししました。ただ、例えば、電力の転換を担うためにもしやるとしたら、それなりの施策でやらないと、その先の、出口もちゃんと見据えていかないと、いつまでもいつまでも混焼、応援をし、そして専焼、応援をし、もしこういうコスト構造になったときに、そこから脱出できなくなったときの日本が私は非常に心配です。
さっき、大臣、キロワット当たり幾らになるかと。じゃ、出しましょうよ。我々も出しますから、政府もちゃんと出してくださいよ。こういう試算、例えば、CCSプラス……(齋藤(健)国務大臣「うちはそんな政府試算を出す必要ないよ」と呼ぶ)何と言ったの、今、ちょっと。(齋藤(健)国務大臣「答弁させてよ」と呼ぶ)
○齋藤(健)国務大臣 まず、二〇五〇年のカーボンフリー、この道筋は残念ながら描けていないんですよ、今。描けていないの。そして、なおかつ、極めて高いハードルなんですよ。だから、あらゆる選択肢を同時並行に走らせて、もしかしたらこの技術が先に行くかもしれない、水素がよくなるかも、洋上風力がもっと行くかもしれない、そういうものを見極めながら、重心を移しながら、何とか到達できるかどうかというのが二〇五〇年のカーボンフリーなんですよ。
もちろん、その中で、太陽光も含め、再生可能エネルギーというのは有力なエネルギーだと思いますよ。だけれども、今この段階で、私がそれだけでできるということは言えないということ。
○山崎(誠)委員 大臣、私、齋藤大臣はもうちょっと冷静に議論できる方だと思ったんだけれども。
だって、再生可能エネルギー、全部でできるなんて言っていないですよ、一言も。ちゃんと使い道を見極めて、投資対効果をきちっと見て、そして、大事ですよ、モニタリングしながらエネルギー政策をコントロールしてくださいとお願いしているんですよ。
例えば、二〇三〇年のコストが出ているんですよ。だから、こういうのはもうすぐの話ですよ。だから、これをちゃんと見てほしいと。だから、お願いしますよ。これは、ブルームバーグを見ていないんだったら、ブルームバーグのレポートも読んでください。
このぐらい、ホームページに出ているようなレポートも読んでいないで、私はエネルギー政策を語ってほしくないですよ。(発言する者あり)まあ、いいですよ。常識でしょう、常識だと思いますよ。まあ、いいです。まあ、そこは認識の違いでしょう。
では、次、最後に、水素、アンモニアに対する支援策について、資料の六……(発言する者あり)ちょっとうるさいので言ってください。
○岡本委員長 お静かにお願いいたします。
○山崎(誠)委員 資料六を見ていただきたいと思います。水素、アンモニアの経済支援体制というのがやはりかなり厚くあるということです。
これを見ていただくと、技術開発段階で経済産業省のエネルギー関連予算それからグリーンイノベーション基金で補助が行われています。そして、次、既存の化石火力、新規の火力、あるいは既存の火力の混焼、こういったものにも、容量市場という電力市場を通して一定の支援が行われている。そして、今回、GXの経済移行債を使って値差支援とかインフラ拠点整備とかに支援が回るということであります。
一定の支援をしたいというのは分かるのでありますけれども、私は、これだけのことが今行われているんだというのは認識をすべきだと思っています。というのは、例えば技術開発で、グリーンイノベーション基金で、再エネ関連のプロジェクトにどれだけ予算が振り向けられているか、水素、アンモニアにどのぐらいの予算が振り向けられているか、お答えできますか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
水素、アンモニアの技術開発につきましては、グリーンイノベーション基金を通じまして様々取組が行われておりまして、総額約四千四百億円を支援することといたしております。
加えまして、本法案のサプライチェーン構築に向けた価格差に着目した支援、GX移行債を活用して、十五年間で三兆円の支援を想定しております。
○山崎(誠)委員 このグリーンイノベーション基金で、再生可能エネルギーには幾らぐらい補助がありますか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
グリーンイノベーション基金で、例えばですけれどもペロブスカイトあるいは洋上風力発電、こういったものに対して総額約千八百億円。加えまして、GX移行債を活用して、十年間で一兆円のサプライチェーン支援を検討いたしております。
○山崎(誠)委員 今お話があったとおりでありまして、再生可能エネルギーの倍ぐらい、水素、アンモニアに支援が行くんですよ。
私は、これは先ほど、一番初めにお見せしたとおりで、水素をやるなとは言っていないんですよ。ただ、再エネとのバランス、全体のエネルギーミックス、脱炭素社会をつくるための施策のバランスが取れていないんじゃないの、そういう指摘です。
時間になりましたので、また引き続き議論をさせていただきますけれども、私は、是非、今日お話ししたようなポイントをもう一回精査していただいて、今後の施策、本当に戦略の構築をお願いをしたいということで御要望させていただきます。
終わります。
○岡本委員長 次に、市村浩一郎さん。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。
まず、CO2の分離・回収そして利用ということで、CCSではなくて、CCUについて少し議論させていただきたいと思っております。
CO2の分離・回収にはアミン溶液を使うということが今行われているということでありますけれども、これはコストが高いということで、溶液ではなくて、これを固体吸収材というものを作っていくと、今それがかなり実用化されているということでございまして、アミンの溶剤だと大体今四千円台らしいんですが、一CO2トン当たり四千円台なのが、この固体吸収材を使えば二千円台まで下がるということで、これはかなり実用化していると。
ここの委員会でもかなり膜分離法ということが出てきていたんですが、これはまだあと五年ぐらいは実用化にはかかる、こういうことです。ですので、まず、この固体吸収法というものをもっと促進する、そして将来的には膜分離法でいくということで、膜分離だと千円台になるということでありますので、こうした形でCO2を分離、吸収する。特に化学コンビナート、化学メーカーが集うところではこれが非常に有効ではないかというふうに言われておるんですが、いかがでしょうか。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
CO2分離・回収技術は、排出されるCO2を回収して資源として利用するCCU、カーボンリサイクルや地下に貯留するCCSに共通する重要な技術であります。
既に実用化されております御指摘の化学吸収法のほか様々な方法が開発されておりまして、分離・回収に要するエネルギーの低減、そしてCO2の排出源ごとに異なるCO2の濃度や圧力に応じて最適な分離・回収技術を開発していく、これらが主な研究開発課題というふうに認識しております。
今後ですけれども、固体吸収法に関しては、化学吸収法よりも御指摘のとおり分離・回収に必要なエネルギーが低減され安価となるという点に利点があると考えておりまして、本年の三月から石炭火力発電所を対象とした実証試験を開始しているところでございます。
また、更なるコスト低減、あるいは濃度が低い排ガスへの適用を目指した中長期的な技術課題についても、グリーンイノベーション基金なども活用して、膜分離などの新たな技術の確立に向けて取り組んでいるところでございます。これらのコスト削減を実現すれば、コンビナート等でのCCUの活用ということもより広がってくるというふうに考えております。
いずれにせよ、分離・回収コストの低減、そして社会実装に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
それから、先ほども、化学コンビナートあたりではそうやってアミンでCO2を分離・回収するということですが、各メーカーごとが各工場ごとでやるよりも、各工場から出たものを集約するような、こういうことをやるとより効率的に分離・回収及びその使用につながると思うんですが、大臣、この点について御見解いただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 委員御指摘のとおり、コンビナートなど産業の集積地域において、中長期的にCO2を集約をして資源として化学品や燃料などに活用するカーボンリサイクル、この取組を行うことは、地域全体でCO2排出削減ができることや、安定的、効率的なCO2の利活用につながるということや、もっと言えば、新たな産業育成による地域活性化にもつながるので、有意義な取組だろうと思います。
このため、昨年六月にカーボンリサイクル政策の手引となるカーボンリサイクルロードマップを策定をいたしましたところであります。さらに、CO2の排出者と利用者の連携、これを促進するため、様々なCO2の集約、利活用の構想についての実現可能性調査の支援を行っています。
引き続き、CO2サプライチェーンの構築やカーボンリサイクルの社会実装に向けて取り組んでいきたいと思います。
○市村委員 ありがとうございます。
次に、CCSの方で、今、苫小牧あたりでは海底の地下の方にCO2をためているというところでありますが、これが万が一漏れた場合ということも議論が行われました。
海底ですから、海底の下ですから、漏れた場合、例えば地震が起きて地層がずれて、そこから漏れるということになった場合、余り漏れないらしいんですが、まあ漏れたとした場合、いわゆる海洋生物、魚介類に与える影響というのが考えられるんですが、それはいかがでしょうか。
○前田政府参考人 お答えします。
専門機関であるIPCCの知見によりますと、二酸化炭素の貯留地点を適切に選択し管理した場合、二酸化炭素が漏えいする確率は長期にわたって非常に低いとされております。ただし、万が一貯留した二酸化炭素が海洋中に漏出した場合、貝類など海底付近に生息する生物に影響を及ぼす可能性がございます。
こうした点を踏まえ、これまで、海洋環境の保全に支障が生じないよう、海洋汚染等防止法におきまして許可制度を設け運用してきたところでございます。CCS事業法案におきましても、現行の海洋汚染等防止法と同様、貯留層での二酸化炭素の安定的な貯蔵が可能か国が確認するとともに、事業実施中も事業者がモニタリングを実施することとしてございます。
答弁は以上です。
○市村委員 ありがとうございます。
次に、やはりCO2の吸収という点では、やはり何といっても、森林の活用というか、森林の役割というのが大きいということであります。特に木材の利用というのは、吸収して固定化させたCO2をそのまま、固定化したまま使えるということでありまして、この森林の役割、特に日本は七割が森林と言われておりますから、森林をしっかりと整備していく、いわゆる循環利用ということを言われていますが、していくことが大変大切だと思います。そのためには、やはり木材の需要を高めなければいかぬ。
私も先日、大林さんとかがやっている十一階建ての木材だけで造ったビルとか、あと、東京駅の近くにも今住友林業さんがもっと高いビルを木材で建てている。こうやって、木材の利活用というのを進めていく。あとは、大阪・関西万博では、いろいろ今御懸念もありますが、リングはもう全部木材でやっているということでありまして、木材の利活用というのを進めていく、そして森林を循環利用していく、木材を循環利用していくということが大切だと思います。その点、今日お越しですが、舞立政務官、よろしくお願いします。
○舞立大臣政務官 御質問ありがとうございます。
二〇五〇年のカーボンニュートラルへの貢献に向けまして、切って、使って、植えて、育てるという森林資源の循環利用を確立することにより、炭素貯蔵機能を有するとともに、鉄などの他の資材と比べて材料製造時の二酸化炭素排出量が少ない木材利用を進めていくことは大変重要と考えております。
このため、国産材の利用意義を分かりやすく情報発信し、住宅での利用拡大とともに、中高層の建築物や住宅以外の建築物での利用を促進すべく、国交省等とも連携しつつ、強度や耐火性に優れた建築用木材の技術の開発普及、そして公共木造建築物等への建築支援などに取り組んでいるところでございます。
さらに、製材など、より付加価値の高い木材製品の輸出促進や木質バイオマスのエネルギー及びマテリアル利用等の推進など、こうした取組によりまして国産材の更なる需要拡大を図ってまいりたいと考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
次に、水素の利活用について少し議論させていただきたいと思います。
ここではよく、水素ということでは液化水素やアンモニアということもありましたけれども、ちょっと出ていたんですけれどもメチルシクロヘキサン、MCH、実は昨日、私は、いろいろお話を聞いて、なぜこれをもっと議論できなかったのかということを思いました。
これは大変いいと思います。というのも、常温常圧で運べるということもありますし、また、運ぶだけじゃなくて、これを利用して、例えば今もうゴルフカートとかでも実証実験もやっているということでありまして、このMCHを利活用するというのは私は水素社会においては大変重要な視点ではないかなと。
先ほどアンモニアは大変コストが高いとありましたが、このMCHは多分低いんだと思います。というのも、トルエンという日常的に今使われているものを使うということでもありますし、常温常圧でいけるというのもあります。だから、このMCHの利活用というのが大変重要な視点ではないかなと思っておりますが、この辺について、またお願いします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、MCH、御指摘のような特徴を有している有望な技術だと考えております。
こうした考え方から、国としても、これまでグリーンイノベーション基金を活用しまして、MCHをどうやって製造するか、あるいはMCHで運んだ後にどうやってMCHから水素を脱水素するかといったようなものの研究開発、それから現状ではまだ高いコストの削減をどう進めるかという取組を進めてきております。また、MCHによる水素の輸送も、世界初の国際間水素輸送を実現しておりまして、世界でもトップレベルの技術力を日本企業は有していると考えております。
現状、御審議いただいております水素社会推進法案に関しましても、MCHを利活用してという御提案も複数の企業で御検討いただいていると承知いたしております。
○市村委員 ありがとうございます。
ここはまず、後でちょっとまたMCHのことで議論したいことがありますので、次に、再生可能エネルギー発電についてちょっと議論させていただきたいんですが。
私もこの場で何度も洋上エネルギーファームのことをお話しさせていただいています。ただ、たしか先日、前の委員会のとき、まだ大臣からは洋上風力発電という表現なんですね。だから、いや、もちろん風力発電も含むんです、洋上エネルギーファームは。
今後、水素船とか、再生可能エネルギーで電気分解して水素を作るとなると、やはりその船を着けなくちゃいけないわけですね。では、船を着けるとなると、今の在り方では、結局、発電しても、海底ケーブルで陸上に持ってきて系統につなぐという発想なんですね。
でも、今後、洋上エネルギーファームで水素を作るには、水素の電気分解する装置も要りますし、やはりそういう場所が必要になってきます。だから、洋上エネルギーファームという発想で、そこで、それなりの面積を持った場所を造って、そこに風力も立てるし、例えば太陽光パネルも敷くし、可能であれば海洋温度差発電とか、あとは、なかなか今はまだ難しいですけれども、波力とか潮力とかも使えるということで、単位面積当たり最大の電力を生み出すにはどうすればいいかという発想、テーマなんですね。これが洋上エネルギーファームなんです。
やはりこの洋上エネルギーファームという発想でいかなくちゃいけないと私は思うんですが、大臣、まずお願いします。
○齋藤(健)国務大臣 洋上における再生可能エネルギー利用については、既に実用段階に入っている洋上風力に限るものではないと思っていまして、今後の可能性としては、洋上太陽光ですとか潮力発電なども組み合わせた、御指摘のような洋上エネルギーファームもあり得るんだろうというふうに考えています。
ただし、その実用化に向けては、それぞれ解決しなければいけない技術課題があるなとも思います。例えば、洋上での太陽光発電は、波ですね、波浪や潮流の影響が大きく、海水による電気設備への塩害等の影響も検証、考慮する必要があって、これはなかなかハードルが高いかもしれないなというふうに思いますし、洋上風力以外の潮流などの海洋エネルギーは、現状では世界的にコスト面や安定供給面の課題を克服する必要があると言われています。
経済産業省としては、こうした技術動向、国際的な動向や課題も踏まえつつ、未来の利用可能な技術について、低コスト化などの技術開発や実証等について取り組んでいきたいと思っています。
○市村委員 洋上では、とにかく塩害というのは大変ですね。大変対策が難しいというのも分かります。でも、今はそれでも洋上風力発電をやろうとしているわけでありますし、これはもう世界各国で進んでいます。また、何か洋上で海岸沿いにそれこそ太陽光パネルを敷くなんというのを見たことがありますし、いろいろパネルの技術も大分進んでいると思いますので、是非とも取り組んでいっていただけたらと思っております。
そこで、風力なんですが、風力というと、我が国ではレンズ技術という言い方をしていますけれども、レンズ風車発電ということなんですが、九州大学さんが取り組んでおられますが、これは、環境省さんでもう十年以上も前から資金を出されて、それで、例えば、洋上、まさにエネルギーファームの実験もやっております。これについて環境省さんから御説明いただけますでしょうか。
○神谷政府参考人 御指摘のレンズ風車でございますけれども、環境省事業において、過去、技術開発を支援してまいりました。
そこでの成果も踏まえながら、令和四年度からは、既存の数キロワットの小型レンズ風車を二百キロワット級に大型化するとともに、これを組み合わせた二基構成のマルチレンズ風車の開発に取り組んでいるところでございまして、引き続きしっかり進めてまいりたいと思います。
○市村委員 大臣、このレンズ風車技術というのは、これは国産の技術でありますし、実は、日本では、独自の風力発電装置というのを持っているメーカーはないんです。日本発の国産風力発電システムというのをつくろうという志で、九大の方たちも取り組んでいるということであります。是非ともこれは注目いただきたいんですね。輪っかをつけることによって、集風効果というのがあります。風力の増した分の三乗に比例して発電します。ということは、大体二六%、レンズをつけることによって風力が増すと、一・二六掛ける一・二六掛ける一・二六は二なんですね。つまり、輪っかをつけないのとつけたのでは、発電量が二倍違うんです。二倍になるんです、これは。
だから、こういう技術を磨いているというのが日本でもありますので、是非ともこのレンズ風車というものについても日本はもっと注目をしていただいて、これは日本の技術ですから注目していただいて、是非ともこれは取り組んで、また、もっと、環境省さんだけでなくて、経産省さんも支援していただきたいと思うところであります。
それからまた、そのウィンドということでいうと、さっきのMCHのことと絡むんですけれども、面白いのは、ウィンドハンター計画というのを商船三井さんがやっておられるんですけれども、これはどういうものか。
今、実証のちっちゃいやつを造っておりますが、将来的には、今年中には七十メートル級のでかいやつをやろうと。何かというと、これは帆船なんです。だから、つまり、風力で、風の力で動いていくわけですね。それが動くことによって、恐らく回転を生み出して、それでタービンを回して発電をする。発電したもので水の電気分解をして、そして水素をためる。どこにためるかというと、まさにMCHなんですね。メチルシクロヘキサンに作った水素をくっつけて運んでくる。
これだと何にもCO2とか使わないんですね。まさに風力で動いていって、外洋に出て、そして電気を自ら発電して、それで水を分解して、MCHで水素をつかまえて、常温常圧で運んできて、陸揚げする。三百度の熱を加えるとMCHは水素を離してくれるということでありますので、これをたくさん造って、どんどんどんどん出ていく。
昔マグロ遠洋漁業とかってありましたけれども、あんな感じで、よっしゃ行くぞ、海の男だ、別に今は女性でもいいんですけれども、行ってくるぞと言って、外に出ていって、どんどん水素を作って戻ってくる。ロマンがあるんですね、これは。なかなかあると思います。
こういう感じで、今はマグロはちょっと、天然マグロを捕るといろいろまた問題ですから、ですから、これは、水素をよし作りに行くぞという感じで、どんどんこういうのをやると私は大変面白いかなと。そのときにMCHが大変いいんじゃないかということなんですが、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 低炭素水素については、まさに市場の黎明期でありますので、議員御指摘のように、ウィンドハンター計画始め、民間を中心に様々な構想や検討が進められていると承知しています。
こうした構想が具体化する中で、従来の水素生産や供給方法の常識を覆すようなイノベーションが起きる可能性もあるわけであります。そこはしっかりと見ていきたいなと思っています。
国としても、国内外で過熱する水素関連産業の競争の中で市場を開拓し、我が国の産業競争力の強化や脱炭素に資する技術を生み出そうとする事業者、これをしっかりと応援していきたいと考えています。
○市村委員 終わります。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、守島正さん。
○守島委員 日本維新の会の守島です。
今日で、本会議とか参考人の質問を合わせて五度目の登壇になりますが、維新として最後をさせていただきます。
おとといの質問の続きからしたいというふうに思っておりますが、前回の流れとしては、GX投資は重要で方向性は同意するけれども、道筋は技術見合いで合理的に考えてほしいということを私からお願いさせていただきました。大臣は、仮の話はできないので、二〇五〇年カーボンニュートラルは必要なため、水素もCCSも、できることはやっていかなければならないという旨を、先ほども語られておりましたが、その点は同意していますが、私、少し仮の話を続けさせていただきます。
もし順調に、前回言ったIGCC・CCSなどの技術が確立して社会実装が進めば、化石燃料を活用した発電を行っても低コストで炭素貯留を可能にし、脱炭素に寄与できるということもありますし、既にもう構築されているサプライチェーンを活用すれば供給面という面ではずっと安定しているというふうに思っています。
こうした先に、例えばDACとかネガティブエミッションというような方向性も見えてくるというふうに思ってくるんですけれども、先日、自民党の議員からも石炭悪玉論に対する牽制的な質問もあったと思うんですけれども、私もCO2排出が抑えられるなら過度に化石燃料を悪と捉える必要はないと思っていて、この点、山崎委員とは考え方が違うかもしれないんですけれども。
二〇五〇年断面のエネルギーミックスの具体的な数字というのはないんですけれども、基本的には再エネと原発を主として電源構成が考えられる中、こうしたCCSとかネガティブエミッション次第では、二〇三〇年以降も化石燃料は発電における有用なエネルギー資源と捉えることが僕自身はできると思うんですけれども、将来的な化石燃料に対する大臣の率直な見解をお聞かせください。
○齋藤(健)国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けて、電力の安定供給を確保しつつ、足下で電源構成の七割を占める火力発電についても、まず、水素、アンモニアやCCUSなど、様々な選択肢を活用して脱炭素化、これを進めていかなくてはいけないと思っています。
将来的には、こうした様々な選択肢の中で、技術的にもコスト的にも優れたものが選択をされていくようになるんだろうと認識をしています。そのため、現時点において、CCSを用いた火力発電について具体的な見通しをお示しすることは困難でありますが、仮にCCSの技術、仮にですけれども、CCSの技術開発が進んで低コストで導入可能となった場合には、CCSを導入した火力発電所において化石燃料を活用する可能性もあると考えています。
いずれにせよ、こうした脱炭素化された火力発電が二〇五〇年カーボンニュートラルの有効な選択肢になるかもしれないということもありますので、水素、アンモニア等のサプライチェーン構築や、先進性のあるCCSプロジェクトへの支援などに取り組んでまいりたいと考えています。
○守島委員 大臣、ありがとうございます。
先ほどのやり取りでもそうなんですけれども、国内で資源がない国としては、今輸入に頼っているという中で、これまでのエネルギー供給を考えたら、やはり石炭とかも安定した財源なので、技術進展見合いではそういう方向性もしっかりと見ておいてほしいなというふうに思っています。
今回の法案なんですけれども、将来的なエネルギーミックスに向けて、どちらかというと、これまでイデオロギー的に、化石は悪だとかありだ、そういう話だったと思うんですけれども、そういうふうに是非を決めるんじゃなくて、現実として、大臣が言ったように、有用かどうかとか、コスト見合いかどうかということをしっかり判断するためにも必要な法案かなというふうに思っております。むしろ、本法案を通じてサプライチェーンを構築した上で、どれが妥当かというのを考えていただきたいし、それこそ理念的に走ってしまって、さっき大臣が言ったように、電気料金が上がったりサプライチェーンが断絶したりして日本の産業に影響を与えてしまうことが一番よくないと思うので、やはり安定供給、低コストというところに関してしっかり考えてほしいというふうに思っております。
例えばトランプなんて当選したらパリ協定から離脱すると言っている中で、これからの世界というふうなことを考えると、何が正しいという価値観すらも変わり得る中で、技術的な選択肢を多様に持った上で合理的な選択をしていくということが僕は非常に肝要だというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
そうした方向性は理解するんですけれども、これまで質問をさせていただきましたように、税を投入する以上は、政府投資に対する効果はしっかり求めてほしいということも言わせていただいております。
これまで参考人からも、投資対効果は重要で、検証していくという答弁もいただいているんですけれども、一般的に政府投資というのは、効果検証とか事業評価というのは適切にされていると思うんですけれども、その結果を踏まえたアクションというのが弱いなというふうに思っていて、例えば、政策を進めたメンバーがコミットしているとなかなか出口戦略が描きづらかったり、いざ出口に立つと、これまで補助金の恩恵を受けていたプレーヤーからのバイアスというのがかかって、なかなか自立につながらなかったりということもあります。ガソリン補助金なんかもやめどきというのが分からないように、現場で補助を受けている人からしたら、継続してほしいというバイアスにもなってくると思いますので、結果として、それがコストダウンにつながらないという遠因になることもあるかと思っています。
マーケットの自立を促すという方向性はいいんですけれども、それ以降は、補助とか税制といった公共政策じゃなくて、やはりフェアな市場環境をつくってほしいなと思う中で、先日、水素社会法の参考人であった佐々木先生が、今回の法案の十五年に続くプラス十年の供給を継続するよう企業に求めたらいいと。つまり、二〇五〇年まではレールを引いてあげるべきとおっしゃっていました。まあ、それは一定規制をするとは思うんですけれども。
そうした意見も踏まえて、低炭素水素に関して、二〇五〇年に向けてどのような出口戦略を考えているのか、これも大臣にお伺いします。
○齋藤(健)国務大臣 国の認定を受けた事業者が、支援終了後、予算支援に頼ることなく、競争力のある価格で低炭素水素等を販売し、自力で顧客を獲得していくといったビジネス、これを展開していくことが必要なんだろうと思います。
そのため、価格差に着目した支援では、経済性やコスト優位性を評価し、支援終了後にも経済的な自立が見込まれること、委員おっしゃったように、これを制度上も担保する観点から、支援終了後、十年間の供給を継続をすること、加えて、新産業、新市場を開拓するなどの取組も計画に盛り込むこと、これらを要件とする予定であります。
こうした支援措置に加えて、規制、制度的措置も通じた低炭素水素等の需要拡大を目指すことも重要であります。そのため、既に、電力、ガス、燃料、産業、運輸等の関連審議会等において、新たな市場創出、利用拡大に向けた議論も行っています。
こうした取組を通じて、国の支援終了後においても、自立して低炭素水素等の供給が継続するサプライチェーンの構築を実現をしていきたいと思っています。
○守島委員 一定、供給ルールをプラス十年でしっかり求めていくというのはいいと思うんですけれども、事業を採択された企業から一定要望があって、だらだら補助を続けるということだけはないようにしてほしいと思いますし、今回の法案の対象というのは比較的大企業が受益者になるので、政治的な力も有している企業になってきますので、その点だけはお願いしたいというふうに思っています。
十五年たっても私はまだ五十代ですので、政治家を続けていたら、このやり取りをしっかり覚えておいて、やはりバイアスを受けているじゃないかということを言わないように、是非経産省の皆さんにもよろしくお願いしたいと思います。
関連しまして、CCSに関して、これも、さきの参考人の質疑の際に、コストを市場採算ベースまで減らすためにどうしたらいいかということを松岡参考人に聞いたところ、端的に言うと、やはり企業間競争を誘発するしかないんじゃないか、いろいろあるんですけれども、そこが一番じゃないかという話でした。
その点は、自立するマーケットをつくるというのは先ほどの水素関連と同じなんですけれども、CCSというのは特に大規模な装置産業になるので、発電所には耐用年数のルールはないし、例えば高炉とかも、耐用年数はあるけれども、れんがの改修とかで炉をもたせていくということで、耐用年数の概念がなかなか難しいと思うんですけれども、減価償却とかを考えると、やはり二〇五〇年以降のことを考えた投資を行わないといけないと思うんですけれども、将来的なCCS市場をどう見通しているのか、確認させてください。いいですよ、参考人で。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
カーボンニュートラル二〇五〇年、この目標の実現に向けては、産業や発電の脱炭素化、低炭素水素の製造などの分野において、CCSの利用を想定しているところです。
また、御質問の二〇五〇年以降についてですが、ここは将来の産業構造あるいはエネルギー需給の変動による影響を受けることが見込まれますため、CCSの需要を確定的に申し上げることは現時点では難しい状況ではありますけれども、海外でも引き続き二〇五〇年以降もCCSの利用が見込まれております。
加えて、我が国においても、先ほど申し上げたような産業、発電、低炭素水素の製造などの分野における継続的な利用に加え、大気中のCO2を直接回収して地下に貯留するDACCSなどの需要が今後拡大していくとの指摘もありますため、二〇五〇年以降もCCSに対する相応の需要が残り得るというふうに考えております。
いずれにせよ、御指摘のとおり、事業者が中長期的な見通しを持ってCCSに取り組めるよう、事業環境整備を進めていきたいと考えております。
○守島委員 ありがとうございます。
CCSに関しても、二〇五〇年を起点に拡大するのか収縮するのかというのは見ていかないといけないと思っていて、RITEさんの海外の分析では、七〇年断面でもCCSは拡大というようなふうに見ていたので、それが、カーボンニュートラルを実現した後、どういうふうにエネルギー構成というか脱炭素市場が変わっていくのかというのを見た上で、その事前の投資をしっかり選択してほしいなというふうに思っております。
もうすぐ時間なので、最後に、未来の話をしたついでに、化石燃料が今後も活用されるとして、CCSも拡大するならば、カーボンニュートラル持続のためには、今も少し話されたと思いますけれども、更なる技術開発が必要とされる中で、火力発電における更なる効率的な発電、脱炭素に向けた取組や方向性を確認させてください。
○定光政府参考人 火力発電に関しては、第六次エネルギー基本計画において、今後、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めつつ、火力発電の次世代化、高効率化を進めていくというふうにしてございます。
先ほども御議論いただいています火力発電、とりわけこれからの次世代の技術でありますIGCCあるいはIGFCにつきましては、広島県大崎上島にある大崎クールジェンにおいて二〇二二年度まで実施された実証試験により、CO2の分離・回収を含めて実用化に向けた技術面での検証を行うことができております。
また、二〇二三年度からは、石炭とバイオマスの混合燃料を用いて脱炭素化に向けた実証試験を進めているところでございまして、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアの、あるいはCCUS等の活用をすることで脱炭素型の火力に置き換える取組を進めていきたいというふうに考えてございます。
○守島委員 前向きな技術開発に期待します。
以上で終わります。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、笠井亮さん。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
まず、高温ガス炉実証炉事業について、去る三月二十七日の当委員会で私が求めた契約書が、理事会協議を経て、ようやく提出をされました。一つは、高温ガス炉実証炉の設計に係る研究開発の契約書、もう一つは、超高温を利用した水素大量製造技術実証事業の契約書であります。
そこで、まず齋藤大臣に伺います。
資源エネ庁と三菱重工業との契約額、原子力研究開発機構、JAEAから三菱重工業への再委託による契約額、これはそれぞれ幾らでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 令和五年度高温ガス炉実証炉開発事業における資源エネルギー庁と三菱重工業との契約額は約二百四十四億円、日本原子力研究開発機構から同社への再委託の契約額は約三十億円であると承知しています。
○笠井委員 JAEAに委託する超高温を利用した水素大量製造技術実証事業における二〇二三年度の再委託、外注率は何%か。それから、実証体制を見ますと、再委託先には三菱重工業も含まれておりますが、二〇二三年度のJAEAから三菱重工業への再委託比率は何%でしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 超高温を利用した水素大量製造技術実証事業における令和五年度実施分においてお答え申し上げますと、経済産業省と日本原子力研究開発機構との契約額に対しまして、原子力機構と外注先との契約額の比率は九九・一%となっております。そのうち、原子力機構と三菱重工業との契約額の比率は八三・五%となっています。
○笠井委員 齋藤大臣、昨日、四月四日の日本経済新聞に、「水素製造 小型原発活用へ」という記事が掲載されましたが、この事業に関するものであります。「技術確立まで国が主導し、その後の普及段階では民間企業に引き継ぐ。」というふうにありますけれども、高温ガス炉、新型原子炉による水素製造を実用化した暁には、民間企業である三菱重工業に引き継ぐ、引き渡すということになるんですか。
○齋藤(健)国務大臣 笠井さん、済みません、ちょっと事前に質問をいただいていないので正確なお答えはできないんですけれども……(笠井委員「全部は質問していないけれども、流れですから」と呼ぶ)済みません、流れでも、事実関係みたいなものはちょっと私の能力では難しいかなと。
ちょっと、決まっていないと思いますけれども、確認をさせていただきたいなと思います。
○笠井委員 資源エネ庁からの直接契約額のほかに、JAEAからの二〇二三年度の再委託の額の実に八三・五%もが三菱重工業に支払われる。実用化の見通しもまだなくて、事故の危険があって、使用済燃料や放射性廃棄物の処分のめどもないのが原子炉による水素の製造技術であります。民間企業のために巨額の国費をつぎ込んではならないと思います。
高温ガス炉だけではありません。エンジン車で利用が想定される合成燃料、e―フュエルの支援について伺います。
総合資源エネルギー調査会と産業構造審議会の小委員会による一月二十九日の中間取りまとめの十一ページの表で、合成燃料の課題は何だというふうに指摘しているでしょうか。
○定光政府参考人 御指摘の経済産業省の小委員会の中間取りまとめにおきましては、合成燃料、合成メタンについて、長所と併せて課題を指摘してございますが、その課題とは、水素を原料とするため、水素の直接利用に比べて追加コストが発生すること、そして、燃焼時CO2を排出するため、国内排出削減に資するのか、排出削減の算定の仕方の整理が必要といった課題を掲げているところでございます。
○笠井委員 その課題がある合成燃料ですが、いつまでに商用化を目指しているということになりますか。
○定光政府参考人 合成燃料に関しましては、最大の課題が現状では高いコストにございまして、これらを削減するための研究開発などを進めることにより、二〇三〇年代前半の商用化を目標として掲げてございます。
○笠井委員 齋藤大臣に伺います。
この合成燃料は、一リットルで三百円から七百円と非常に高い。本法案の価格差支援は、既存原燃料と低炭素等の価格差について全部又は一部を支援するとしております。何年間支援をして、累計額はどれぐらいになるのか、その後何年間の供給継続を求めるということになるんですか。
○齋藤(健)国務大臣 価格差に着目した支援では、低炭素水素等を供給する事業者に対して、供給開始から十五年間にわたる支援を予定しています。その際、経済的な自立が見込まれることを担保する観点から、支援終了後に更に十年間の継続した供給、これを求めることとしています。
額ですが、昨年十二月に開催されたGX実行会議におきまして、価格差に着目した支援額の総額の見通しについては、供給開始から十五年間で三兆円規模とお示しをしているところであります。
○笠井委員 岸田政権は、その合成燃料の製造技術開発、それから製造設備等に今後十年間で官民投資四千億円を、合成燃料を含めた水素等の価格差支援には、今大臣から答弁がありました、十五年間で三兆円を投入するということであります。
特に、この価格差支援は、事業者が事前に基準価格の算定式若しくは固定値として提示するというふうにされていて、ほぼ事業者の言い値で決められる仕組みで、私は至れり尽くせりになっているなと思います。
二〇三〇年代から十五年間の支援を行い、その後十年間の供給を求めたら、二〇五〇年を過ぎてもCO2を排出する合成燃料とエンジン車が大量に残るということになります。
そこで伺いますが、合成燃料(e―fuel)の導入促進に向けた官民協議会の民間構成員の企業はどこでしょうか。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の合成燃料官民協議会には、行政機関などと併せて、合成燃料の取扱いに関心を有する供給側と利用側双方の民間団体あるいは企業に参加いただいておりまして、具体的には、石油連盟、ENEOS株式会社、全国石油商業組合連合会、一般社団法人日本自動車工業会、日本内航海運組合総連合会、一般社団法人日本船主協会、定期航空協会の七団体等でございます。
○笠井委員 その団体で、その構成員の中でも企業がありますね。具体的にどこですか。
○定光政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、この中での企業はENEOS株式会社でございます。
○笠井委員 一般社団法人自動車工業会はどこですか。それから、一般社団法人の日本自動車工業会でもう一方いらっしゃると思うんですが、その企業の方、どこの企業の方がその中に出ているか。
○定光政府参考人 一般社団法人自動車工業会の代表としてあくまでも出席いただいておりますけれども、その方は企業も兼務しておられまして、お一人はトヨタ自動車株式会社、もう一方はいすゞ自動車株式会社の方でございます。
○笠井委員 団体ということですが、企業の代表ということでありますが、これらの企業が石油連盟や日本自動車工業会の立場で発言をして、二〇二三年六月三十日の中間取りまとめでも、合成燃料の導入拡大やコスト低減に向けた政府支援を要望されております。
岸田政権による二〇二二年六月の新しい資本主義実行計画ですけれども、自動車の部分の記載では、同年の五月三十一日、第八回会議に提出された案には、「二〇三五年までに乗用車の新車販売を電動車一〇〇%とする等の目標に向け、」というふうにありました。それが、六月七日の閣議決定、ここでは書き加えられて変更になりまして、「将来の合成燃料の内燃機関への利用も見据え、二〇三五年までに乗用車の新車販売をいわゆる電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブリッド自動車)一〇〇%とする等の目標に向け、」というふうに、大幅に、五月三十一日の時点では記載がなかった合成燃料、内燃機関への支援ということが急遽盛り込まれておりますが、これはなぜでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 二〇二二年の新しい資本主義実行計画では、御指摘のように、「将来の合成燃料の内燃機関への利用も見据え、二〇三五年までに乗用車の新車販売をいわゆる電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブリッド自動車)一〇〇%」と記載をしています。
御指摘の点につきましては、原案では単に電動車となっていたんですね。最終版では、電動車という意味をやはり明確化した方がいいだろうということで、中身は変わらないんですけれども、詳しく括弧書きに書かせていただいたという経緯であります。
○笠井委員 意味を明確化ということで詳しく書いたというふうな御答弁だったんですが、ロイター通信の二〇二二年六月二十四日の報道によれば、甘利明自民党元幹事長が同年六月六日の自民党政調全体会議で、豊田章男会長と話をしたけれども、ハイブリッドを否定するような政権は全く賛同できないとおっしゃっていたと語り、政府側の文案の修正を求めた、これを受けて即座に修正をされて、翌七日に閣議決定されたという。甘利氏本人も、豊田氏との会話を受けて修正を求めたことをロイター通信に認めているということで言われております。
要するに、トヨタの圧力で書き換えられたということじゃないか。大臣、公正であるべき経済政策が、トヨタの意を受けて、二〇五〇年以降もエンジン車を延命させる手段にされていいのか。いかがですか。
○齋藤(健)国務大臣 甘利さんとトヨタの間のやり取りは分かりませんが、電動車と書いただけでは何が入っているか分かりにくいということで、確認的に括弧の中に書いたというのが経緯であります。
○笠井委員 確認的にとどまらず、こういうやり取りがあって、甘利氏自身もそういうことがあったということをお認めになっている。
多様な選択肢を追求をして、そして、従来からの活用の話があって、多角的な議論を踏まえたということで、意味を明確にと言うんだけれども、そういうことであれば、早い段階からではなくて、なぜ急遽に土壇場で盛り込んだのかということになって、豊田会長の圧力と無関係だったと言い切れるのか。この点はいかがですか、大臣。
○齋藤(健)国務大臣 繰り返しになりますが、甘利さんと豊田さんのやり取りは、私は詳細を承知しておりませんが、直前に文言調整をするということはよくあることです、政府の中では。
○笠井委員 しかし、結果として、豊田会長の要望どおり合成燃料支援になっているということですよね。
○齋藤(健)国務大臣 豊田会長と甘利さんのやり取りを私は承知をしておりませんが、明確化するための表現ぶりだということであります。
○笠井委員 甘利氏自身も、そういうやり取りがあって、急遽ということでお認めになっている、こういうことが明確だと思うんですが。
今年二月二十八日付の日刊工業新聞に、「車向け合成燃料 EUが厳しい規制」という寄稿が掲載をされています。これを見ますと、欧州委員会が二〇二三年十二月に行った提案によると、三四年までは、合成燃料の全バリューチェーンからの二酸化炭素(CO2)排出量について、ガソリンやディーゼル用軽油を使う内燃機関の車からのCO2排出量よりも七〇%少なくする、三五年以降は一〇〇%削減することが義務づけられているということであります。
そういう大きな流れが今ある中で、日本が二〇五〇年を過ぎてもCO2を排出する、合成燃料、内燃機関への支援を続けたら、これは、EUを始め、世界市場から日本の企業は相手にされなくなって、私は、ビジネスにとってもマイナスではないか、やはり、そうした大局観を持って、今、この法案についても、そしてこうした仕組みについてもよく検討する必要があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、この点ではいかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 二〇五〇年、あるいはその先のことを笠井委員おっしゃいましたので、そこはまだ何とも、私、コメントできませんけれども、考え方として、あらゆる選択肢の中で、日本の企業にとっても環境にとってもベストな道を探っていくというのが今の時点で言える最大限のことだと思います。
○笠井委員 だから、この法案によって新たな仕組みをつくるわけですよね、水素、CCSということも、どうするのかということで。それで結局、今後、二〇三〇年だ、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けてということで、それで動き出す。予算も大きくつぎ込んで、そしてまた資源もつぎ込むという形でやるということになると、この方向を誤っていくと、後で修正するというのが本当に大変なことになって、そのときにはもう、世界の技術が違う方向でとにかく今はどんどん進んでいて、そして、脱炭素ということで、今申し上げたような点でも、合成燃料だとかその他についても、もうこれは駄目だよという話になってきたときに、また日本が後れを取っていて、そして相手にされなくなる。やはり、風力発電だって、太陽光だって、日本は優れていた。半導体だってそうです。かつてはよかったんだけれども、失敗した。経産省に説明を求めると、四つの理由があるんですと言われるんだけれども。
でも、先を見据えるからこそ、今どうするかということについては、やはり本当にきちっと検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、もう一回、どうでしょう。
○齋藤(健)国務大臣 一般論で言えば、笠井委員と私も同感でありまして、一回動き出したから、それはもう変えちゃいけないということではなくて、世界も変わりますし、そういう意味では、柔軟に対応していくということはしっかりとやっていかなくちゃいけないと思いますよ。
○笠井委員 世界の大きな脱炭素の流れ、よくよく見極めて、今何をすべきかということについては、やはりこれは党派を超えてきちっと詰めて議論しなきゃいけないし、間違った選択を決めてはいけないと思います。
最後になりますが、二月十四日にGX経済移行債の第一回の入札が行われました。これに先立って、認証機関のクライメート・ボンド・イニシアチブのショーン・キドニーCEOが二月八日にコメントを発表しましたが、石炭火力発電所でのアンモニア混焼についてどのように言っているか、紹介いただけますでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 本年二月に、世界初のトランジション国債として、クライメート・トランジション利付国債を一・六兆円発行しました。本発行に当たりましては、ESG金融において国際的に著名なNPOである、御指摘のクライメート・ボンド・イニシアチブの認証を取得しました。
二月に初回発行した一・六兆円の国債による資金使途は事前に公表をしておりまして、その資金使途としましては、石炭火力へのアンモニア混焼に関する事業は含まれていない。
その上で、御指摘のCBIのコメントですけれども、二月八日の認証付与のプレスリリースでは、石炭火力発電所でのアンモニア混焼の運営に係る一切を対象から除外、十四日の認証の概要レポートでは、石炭火力発電所でのアンモニア混焼の運用に係る一切が資金使途に含まれていないと記載されているものと認識をしています。
なお、CBIのCEOであるショーン・キドニー氏は、認証に当たり、今回の発行はトランジションファイナンスにとって重要なマイルストーンとなると、高い評価のコメントを発表をしています。
○笠井委員 アンモニア混焼やCCSは石炭火力発電の延命だという批判が強い。今後、アンモニア混焼やCCSを対象にすれば、海外の投資家が敬遠するのは明白じゃないかと思います。
日本経済新聞の三月十九日付は、欧州などの海外投資家から、石炭火力の延命、グリーンウォッシュという批判が出たとはっきり書いております。石炭火力の全廃を宣言をして、省エネ、再エネの最大限導入こそ世界の流れだ。
二法案にはまだまだ問題が山積であります。質疑終局には断固反対で、更に徹底審議を求めて、この質問は終わります。
○岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。
○鈴木(義)委員 この法案の最後の質疑に立ちますので、明確な答弁をいただければと思います。
国民民主党の鈴木義弘です。
まず一番目に、CCS事業の計画地域に丁寧な説明というくだりがあるんですね。ということは、事業主体である事業者と経産省が一緒に地域に説明するということでよろしいんでしょうか。また、この計画地域に何かメリットがあるものなんでしょうか。そこを併せてお尋ねしたいと思います。
○石井大臣政務官 鈴木委員の質問にお答えさせていただきます。
CCS事業は、貯留を行う地域の方々の理解を得つつ進める、これが極めて重要であると認識しております。
そのために、事業者には、地元の自治体や利害関係を有する事業者、住民などに対して丁寧な説明を行うなど、理解を得るための取組を行うことを求めてまいります。
同時に、国としてもしっかり説明責任を果たすことは極めて重要であります。このため、関係する地元自治体や事業者などと連携して、CCSの政策的な意義や最新の知見などについて丁寧に説明してまいります。加えて、広く国民に理解を得る観点から、国主導により地域ごとに説明会を開催するなどして、CCSの安全性、立地による地域への投資効果、雇用創出効果など、丁寧に説明してまいります。
そして、あと、どのようなメリットがあるかという御質問でございますが、CCSは、カーボンニュートラルの実現に向け、産業や発電の脱炭素化、低炭素水素の製造などの分野でCO2排出を抑制していくための重要なインフラであります。こうした分野の施設が立地する地域でCCS事業を行うことで、地域の産業の維持や発展、関連する自治体の税収増にも寄与することが期待されております。
また、CO2の分離・回収、輸送、貯留などCCS事業に関連する産業や、将来的には、分離・回収したCO2を使って化学品、コンクリートの原料や合成燃料などの製造をするカーボンリサイクル産業などが立地する可能性もあります。
さらに、これらの産業による他産業への総合的な波及効果についても期待できるものと考えております。
以上です。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
例えば、私がこの自治体の首長をやっていたら、CCS事業はいいでしょうというふうになったときに、議員に話をして条例を作って、法定外税というのをかけて、一トン当たり百円になるか十円になるか分かりませんけれども、埋めるに当たって税金をお預かりして、それを町のいろいろな事業に使っていくという発想をやはり持っちゃうと思うんですね。私だったらそうします。
それを認めるか認めないかといったときに、総務省の方からレクを受けたときに、総務大臣の同意基準というのがあるんですね。これは一番、二番、三番があって、国の経済施策に照らして適当でないことは駄目なんだということなんですけれども、もし各自治体で、対象地域で、目的税だ何だといって、法定外税金を条例でつくりますよといったときに、国も駄目と言うことはないということでいいんですかね。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の法定外税については、自治体が法定外税を新設しようとする場合には、地方税法に基づいて、総務大臣に協議し、その同意を得なければならないとされておりまして、仮に委員御指摘のような法定外税の新設について協議があれば、これは総務大臣が法律に基づいて適切に判断されるものと承知はしておりますけれども、CCS事業を担当している我々経済産業省の観点からいたしますと、これは国の成長戦略やカーボンニュートラル政策と密接に関わるものでありますため、全国的見地から適切な事業環境が整備されるべきものというふうに考えてございます。
○鈴木(義)委員 何か難しい答弁なんですけれども、要するに、先ほど政務官にお尋ねしたメリットって何だといったときに、今、いろいろな仕事、事業がそこに付随してくるんじゃないかというふうな話があったんですけれども、もしかしたら人が住んでいない地域に適地があるかもしれない。そこが山合いのところで、少し切り崩したところに造って、そこから埋めていきますよという形になったときに、その周辺の事業者に応援してもらってといったときに、本当に、じゃ、CO2を使って何か違う事業がトライできるのかといったときに、難しいところが私は出てくると思うんです。
そのときには、やはりパッケージで、CCSもやるけれども、それに付随した産業も誘致するぐらいなことをやらないと、地元の説明責任をしたときに、ただ埋めるだけでは私は心もとないんじゃないかと思うんですけれども、その辺、参考人の方の答弁だと、いいと言うのかいいと言わないのか、何かよく分からない答弁だったんですけれども、認めるという方向でいいんですかね。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
その点につきましては、地方税法の規定に従って総務大臣の方で判断されるということだというふうに認識してございます。
他方で、やはり、CCS事業を普及させていく上では、地元に対して何らかのメリットがあるということも大事なことだと思っておりまして、今後、CCS事業の立地の際に、いろいろ、地元自治体や住民の方とお話合いをする中で、具体的なお考えや御要望を承ってまいりたいというふうに考えております。
○鈴木(義)委員 しつこく聞かないんですけれども、よく内部で協議して、そういう対応もできるようにやってもらいたいと思います。
例えば法定外普通税というので、これは五百三十八億ぐらい、二十二件。例えば、石油価格調整税とか核燃料税だとか、まあ御案内だと思うんですね。あとは、産業廃棄物税だとか宿泊税だとか乗鞍環境保全税とかいって、これをお預かりして、地域の振興なり環境保全に役立っているということも実際今あるわけですから、起こり得ることだろうというふうに私は思いますので、是非対応を考えてもらいたいなというふうに思います。
それと、先週、何年かぶりで、レース用のエンジンを造っている会社の社長と話をして、今、レースの業界でも、ガソリンだけ使っているんじゃなくて、もう合成燃料を使い始めて、レギュレーションを変えてやっているんだそうです。
その社長が、最終的にはやはり水素のエンジンで動くようなレースになっていくんじゃないか、こういう話なんですけれども、水素自体は燃焼速度がすごく速いので、エンジンに付随するいろいろな装置を研究開発していかないとやはりそれは無理だろうと。出力が高過ぎちゃうので、どれだけ少ない量の水素を入れてエネルギーとして使っていくか、こういう説明を少しいただいたので、先々週だったですかね、川崎重工の社長に、参考人招致をしたとき、やはり車とかバイクはなくさないでほしいと。全部電動化は駄目だというふうに私は個人的に思っているんです。
やはり、内燃機関は人間が発明したある意味では一つのエネルギーの調達方法だと思うんですね。それを全部電気に変えていくのが全ていいかといったときに、やはり、エネルギーというのはいろいろなパターンがあって初めて安全保障の面も、電気だけがいいんだとか何がいいんだとかというんじゃなくて、私は四つや五つぐらいのパターンがあってしかるべきじゃないかなと。一つが止まってしまうと全部止まっちゃうという考えなんです。
それで、過去にも質問させてもらったんですけれども、水素社会推進法の中で、再エネから水素を作っていきましょうというのを考えておられると思うんです。でも、前にもお話ししたように、今日本で設置されている太陽光発電の八割は中国から入れているんですね、最初の頃は日本のメーカーさんがやっていたんでしょうけれども。そうなってくると、太陽光発電を日本で設置して、どんどん再エネから水素を作っていくとなったときに、中国で造った製品がCO2を幾ら出しているのか分からないで、どんどんパネルを設置していっていいのかという話が必ず出てくると思うんです。
そのほかの風力だとか地熱だとか潮流だとか、いろいろなことをトライしているんですけれども、やはりその装置自体を国産化にしていって、ちゃんと管理ができるような形を取らないと、せっかくGXに向けてみんなで走り出そうとなったときに、いや、これは日本じゃ造れない、ここはやはり駄目ですと。
そこに必ずコストとの兼ね合いが出てきますから、簡単にはいかないと思うんですけれども、その意気込みを是非述べていただきたいと思います。
○石井大臣政務官 お答えいたします。
エネルギーサプライチェーンの強靱化の観点から、我が国の技術自給率向上につながる国産再エネを普及させていくことは非常に重要であります。
このため、経産省では、日本発の技術であります、これまで設置が困難であった場所に設置可能で原材料のヨウ素も国内で調達可能なペロブスカイト太陽電池や、国内調達比率を二〇四〇年までに六〇%にするという産業界目標を掲げる洋上風力について、グリーンイノベーション基金などを通じて、技術開発から社会実装まで切れ目なく支援を行っているところであります。
加えて、令和六年度予算で五百四十八億円の措置をしたGXサプライチェーン構築支援事業を活用し、次世代型太陽電池や浮体式洋上風力についても、国内製造のサプライチェーンを構築してまいります。
また、再エネ設備の適切な廃棄、リサイクルについても、地域共生における重要な課題と認識しております。
経済産業省では、太陽光パネルのリサイクル技術の開発に取り組むとともに、環境省との共同検討会において、本年一月には、確実な引渡し、取引がなされ、再エネ設備の適切な廃棄、リサイクルが行われる制度の在り方について課題整理を行ったところであります。引き続き、環境省と連携しつつ、制度的な検討を含め、必要な対応を行ってまいります。
○鈴木(義)委員 ありがとうございます。
これは経産委員会で言う話じゃないかもしれませんけれども、今回のCCSもある意味では公共事業に該当してくるのかなと思うんですね、公の利益のためにやるので。
それで、一番忘れちゃいけないのが、責任施工じゃないんだということなんです。発注者責任ということを、公共事業をやる側からしても、国でも県でも市町村でもそうですけれども、発注しちゃって責任施工でやれば、あとは業者の責任ということじゃないんだと思うんですね。それで訴訟を起こされたときに、じゃ、国や自治体が耐え得るか。それは、現場現場でいろいろ今までやってきた中で、そういうことが起きなかったんですけれども、これからはやはり発注者責任というのも強く考えてもらえたらなというふうに思います。
もう一つ。新しい事業をやろうとすれば、必ず人材育成と人材確保というのが、今回の事業でもうたわれるんですけれども、じゃ、例えば大学の科目を増やしてくれというふうに働きかけるのか、そこから出た、NEDOだとか、NEDOは直接やりませんけれども、産総研だとか物質研だとか、国のいろいろな、理化学研究所もそうですね、そういったところに働きかけるのか、民間の研究所にお願いするのか。じゃ、そのためには何人必要で、大学でトレーニングするのか、大学院まで行くのか。
そういうある程度のボリュームとスケジュール感を出さないと、ただ人材育成というだけではやはり現実味が湧かないと思うんですけれども、その辺をどう考えるか、お尋ねしたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、例えば水素につきましては、現状、水素に特化した専攻分野を設けている大学は非常に僅かでございます。参考人質疑で出てきた佐々木先生の九州大学等、一部かと思います。
このため、経産省では、一月に一回のペースで、現状では、企業や大学等の技術者、研究者、学生を対象に、水素の基礎講習であるとか最新の技術課題等を学ぶ機会を設けて、担い手の掘り起こし、育成を行っております。
他方で、こうした取組だけでは不足すると考えてございますので、委員の御指摘も踏まえまして、一体どれぐらいの時間軸でどういう知見を持った人たちが必要なのか、そこを数値的にも考えながら、どのような形で整備していくか、これは洋上風力でも同様の取組をやってきておりますので、しっかりと検討してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(義)委員 長い間、お疲れさまでした。
終わります。(石井大臣政務官「訂正があります」と呼ぶ)
○石井大臣政務官 先ほど、答弁の中で、再エネ設備の適切な廃棄、リサイクルについての説明を申し上げたところ、確実な取引と申し上げたんですが、引渡しと引取りという言葉に訂正させていただきます。
大変失礼いたしました。
○鈴木(義)委員 じゃ、本当に終わります。
○岡本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○岡本委員長 これより両案に対する討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。笠井亮さん。
○笠井委員 私は、日本共産党を代表して、低炭素水素等供給利用促進法案及び二酸化炭素貯留事業法案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、化石燃料からの脱却という世界の本来の脱炭素の流れに逆行するからです。
気候危機打開のための勝負の十年とされ、二〇三〇年までに温室効果ガスをいかに削減するかが問われています。もはや一刻の猶予もありません。ところが、両法案は、それまでに普及、実用化する見通しもない水素等による燃料代替やCCS事業を支援する仕組みをつくるもので、パリ協定に基づく一・五度C目標と整合性が全くありません。
第二は、石炭火力、原発延命に多額の資源、予算をつぎ込むからです。
両案によって、CCSを前提に化石燃料から製造するブルー水素、高温ガス炉など原子力由来の熱や電気により製造するピンク水素への支援をしていくことや、アンモニア混焼やCCSで、G7で唯一日本が石炭火力を使い続けることになります。
しかも、両法案で巨額の国費を投入するのは、高コストで高リスクの事業です。アンモニア、合成メタン、合成燃料をも水素等とし、国費で支援となります。
CCSは、業界自らが、技術確立に係る不確実性が高い、多額の投資が必要となる一方、リスクも非常に高いとしています。そのコストとツケは電気代や税金として国民に転嫁されることになります。
第三に、事業者への安全規制を後退させ、推進側の経済産業大臣に権限を集中しているからです。
水素法案で、高圧ガス保安に係る権限を都道府県知事から取り上げたり、港湾法上の届出を不要としたり、導管敷設の際に道路管理者に対して占用許可を義務づけることなど、認められません。CCS法案では、都道府県知事は試掘、貯留事業を許可する際の協議対象でしかなく、環境影響評価の対象事業でもなく、住民、自治体が意見を述べる機会は担保されていません。安全面、環境影響の重大な懸念があります。
自民党、国民政治協会がCO2多排出企業、団体から多額の献金を受け取り、両法案がその要求を受けて具体化したものであることは重大です。
徹底した省エネと純国産の再エネの最大限の活用にこそ政策と予算を集中すべきことを強く求め、反対討論といたします。
○岡本委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○岡本委員長 これより採決に入ります。
まず、内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○岡本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○岡本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、山下貴司さん外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。荒井優さん。
○荒井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。
一 我が国が、パリ協定の一・五度目標と整合的に二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために、既に確立された技術をもって低廉なコストでその達成に貢献できるとされる再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化の取組を更に強化するとともに、本法に基づく支援措置については、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立、国民負担の過度な増大に留意しながら適切に進めること。
二 低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する各種施策については、省エネルギー化や再生可能エネルギーの普及拡大等の推進を前提として、再生可能エネルギーによる電化では代替が困難な分野への活用に優先的に取り組むこととし、GX経済移行債をもって行われる他の脱炭素の施策を含めた総合的な効果等を適時分析し、その評価に基づいて投資対象の拡大又は縮小を含めた見直しを的確に行うこと。
三 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行において、我が国のエネルギーの自給率の向上や経済安全保障の観点からも重要となる国内における低炭素水素等のサプライチェーンの構築を着実に進めるとともに、競争力確保の観点から、徹底したコスト削減を図るため、必要な措置を講ずること。
四 低炭素水素等に関する技術や製品による我が国の産業振興や競争力強化に向けた取組や世界の脱炭素政策、とりわけ欧州で炭素国境調整措置が整備されつつある現状に鑑み、各種産業に係る国際的なルール形成や国際標準化で主導権を取ることができるよう施策を戦略的に実施するとともに、生産過程における脱炭素化を図る取組を推進すること。
五 我が国が持つ低炭素水素等の製造、搬送、活用その他の脱炭素技術について、特に二酸化炭素の排出量の多い国々における産業やエネルギーの脱炭素化への国際貢献も視野に、その質を更に高めるよう取り組むこと。
六 低炭素水素等を活用するための施策が長期にわたって必要となることを踏まえ、事業者が確実に事業に取り組むことができるよう、GX経済移行債の先行投資支援を始めとした資金調達及びコスト回収を可能とする制度措置を講じ、必要な人材の確保及び育成、技術の強化、水素等が利活用される機会と分野の拡充等に向けた事業環境の整備を進めること。
七 低炭素水素等のサプライチェーンの構築における地方公共団体の果たす役割の重要性に鑑み、地方公共団体における地域産業や利用者の視点でのエネルギーインフラの整備等の取組が着実に進むよう必要な措置を講ずること。
八 低炭素水素等の基準の設定においては、本法成立後速やかに公表するとともに、将来的には、国際的なルールの動向を踏まえて、低炭素水素等の生産時のみならず、利用までのサイクルを踏まえた評価を検討すること。また、基準の見直しや支援の在り方の検討に当たっては、水素等の更なる低炭素化・脱炭素化が進むよう配慮すること。
九 GX経済移行債の先行投資支援を活用した価格差に着目した支援及び拠点整備支援といった政府による財政支援は、将来的に事業者が自立することを前提とし、事業者が予見可能性を持って確実に事業に取り組むことができるよう必要となる条件等の詳細を明確に定めるとともに、カーボンニュートラルを加速する制度設計とすること。また、支援の実施に当たっては、多額の国費を活用して行われる事業であることや国民負担、国際競争力への影響、炭素リーケージの可能性、負担と受益の公平性等を踏まえ、その施策の進捗状況や費用対効果について定期的に評価及び分析を行い、投資対象も含め必要に応じた柔軟な見直しを行うこと。
十 水素の特性による漏えい、爆発の危険性を鑑み、その製造から輸送・利用・取扱い等における安全性を確保するとともに、保安体制の充実を始め製造保安責任者等への指導、教育の充実など、安全性向上のための取組を進めること。
十一 低炭素水素等の供給を促進するため水素等供給事業者に求める自主的な取組を促すための措置については、事業者が取り組むべき基準を明確に定めるとともに、その運用に当たっては、事業者に過度な負担とならないよう十分留意すること。
十二 本法に基づく支援措置の実施に向けての制度設計に当たっては、学識経験者や有識者、産業界、労働界等から広く意見を聴き、その意見を尊重するとともに、意思決定過程の透明性を確保すること。
十三 低炭素水素等の利用を促進するため、国民に対して低炭素水素等に関する適切な情報が提供されるよう、必要な措置を講ずること。
十四 政府は、毎年、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策の実施状況に関する調査を行い、その結果をエネルギーに関する年次報告の中で国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。
十五 低炭素水素等の国内における供給及び利用の状況、技術の進捗その他諸課題について適時調査を行い分析し公表すること。
十六 低炭素水素等の供給及び利用の状況その他の事情が著しく変動したときは、速やかに低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。
以上であります。
附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○岡本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○岡本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
―――――――――――――
○岡本委員長 次に、内閣提出、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○岡本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○岡本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、山下貴司さん外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。荒井優さん。
○荒井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
二酸化炭素の貯留事業に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。
一 政府は、CCSの分離回収、輸送、貯留に係る技術概要、これを導入する意義や必要性等について広く国民の理解を得るため、前面に立って丁寧に説明すること。その際、二酸化炭素の地下貯留に伴う国民の様々な懸念の払拭に最大限努めること。
二 政府は、CCS事業を実施する地域の選定に当たって、北海道苫小牧市等の先行地域の事例を参考にしつつ、地域住民や地方公共団体、利害関係者をはじめとする幅広い国民の多様な意見を丁寧に聴取し、それらの意見を十分に踏まえるとともに、事業者に対し、こうした意見を十分に踏まえて事業を実施するよう求めること。あわせて、地域で活用できる交付金制度を含め、関連する産業や雇用の創出等に向けた支援の仕組みを検討すること。
三 CCS事業の特性として、分離回収、輸送、貯留に至るバリューチェーンの過程で多数の関係者が関与し、事業実施期間が長期に渡る上、地下地質に係る不確実性を伴うことから、政府は、その実施に当たって、二酸化炭素が漏えいすることがないよう、公共の安全の確保と環境の保全に万全を期すこと。とりわけ、環境の保全の観点からは、鉱業法や環境影響評価法等を参考にしながら、必要な対応を検討すること。その際、最新の科学的な知見に基づき、事業者の負担にも十分配慮するよう努めること。
四 政府は、CCS事業の実施に当たって、労働団体等の意見も十分に踏まえ、労働者の安全の確保に万全を期すこと。
五 政府は、貯留事業者によるモニタリングの内容や項目、貯留事業者から独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に貯留事業場の管理業務を移管する際の要件や期間等は、科学的な知見に基づいて定めること。
六 政府は、鉄鋼等の脱炭素化が難しい事業分野において、グリーントランスフォーメーションの推進が図られるよう、当該事業分野におけるCCS事業の支援に努めるとともに、こうした支援と並行して、既に確立された技術をもって低廉なコストで二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に貢献できるとされる再生可能エネルギー等の導入や省エネルギー化の取組を更に強化すること。
七 政府は、民間事業者によるCCS事業への積極的な参入を促すため、過度な規制が事業推進の阻害要因とならないよう留意しつつ、分離回収に係る保安措置等の事業規制の在り方を含め、ビジネスモデル構築に向けた環境整備の検討を加速するとともに、事業者が投資回収の予見性を確保できるよう、予算措置や税制措置、カーボンプライシング制度の在り方など、経済的な支援措置や制度的措置を早期に明確化すること。その際、政府による財政支援措置は、CCS事業を将来的に民間事業として自立させ、二〇五〇年カーボンニュートラル実現への道のりを加速できる制度設計とすること。
八 政府は、CCS事業にかかる費用の低減と安全性の確保を両立するため、二酸化炭素の分離回収や液化二酸化炭素輸送船等に係る技術開発の取組を強化するとともに、CCSを含めた脱炭素技術の研究開発の状況など、CCS事業を巡る状況が著しく変化したときは、速やかにCCS事業に関する施策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。加えて、分離回収に係る技術は、CCSに限らず、カーボンリサイクルの実施の前提となる共通技術であることから、当該技術の研究開発の積極的な推進により、カーボンリサイクルに係る新たな産業分野の育成にも努めること。
九 政府は、CCS事業に係る人材育成の取組を強化するとともに、貯留適地の調査や貯留事業場の管理業務を担う独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の体制強化に取り組むこと。
以上であります。
附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○岡本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○岡本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、両附帯決議について、齋藤経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。齋藤経済産業大臣。
○齋藤(健)国務大臣 ただいま御決議のありました両法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
―――――――――――――
○岡本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○岡本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十四分散会