第9号 令和6年4月17日(水曜日)
令和六年四月十七日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 岡本 三成君
理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君
理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君
理事 荒井 優君 理事 山岡 達丸君
理事 守島 正君 理事 中野 洋昌君
井原 巧君 石井 拓君
大岡 敏孝君 加藤 竜祥君
神田 憲次君 木村 次郎君
国光あやの君 鈴木 淳司君
関 芳弘君 冨樫 博之君
中川 貴元君 福田 達夫君
古川 直季君 細田 健一君
堀井 学君 宮内 秀樹君
宗清 皇一君 柳本 顕君
山際大志郎君 吉田 真次君
和田 義明君 若林 健太君
大島 敦君 落合 貴之君
小山 展弘君 近藤 和也君
重徳 和彦君 田嶋 要君
山崎 誠君 市村浩一郎君
小野 泰輔君 山本 剛正君
笠井 亮君 鈴木 義弘君
…………………………………
経済産業大臣 齋藤 健君
農林水産副大臣 鈴木 憲和君
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
経済産業大臣政務官 石井 拓君
環境大臣政務官 朝日健太郎君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 古谷 一之君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 高村 泰夫君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 藤吉 尚之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 浅野 敦行君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官) 山下 恭徳君
政府参考人
(スポーツ庁スポーツ総括官) 先崎 卓歩君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 秋葉 一彦君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 藤木 俊光君
政府参考人
(経済産業省大臣官房総括審議官) 南 亮君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 茂木 正君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 杉浦 正俊君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 哲也君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省通商政策局長) 松尾 剛彦君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 山影 雅良君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 山田 仁君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 定光 裕樹君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 松浦 哲哉君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 鎌原 宜文君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 長井 総和君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局次長) 久保田秀暢君
政府参考人
(国土交通省航空局安全部長) 北澤 歩君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 堀上 勝君
経済産業委員会専門員 藤田 和光君
―――――――――――――
委員の異動
四月十七日
辞任 補欠選任
山際大志郎君 木村 次郎君
落合 貴之君 近藤 和也君
同日
辞任 補欠選任
木村 次郎君 古川 直季君
近藤 和也君 落合 貴之君
同日
辞任 補欠選任
古川 直季君 柳本 顕君
同日
辞任 補欠選任
柳本 顕君 山際大志郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
――――◇―――――
○岡本委員長 これより会議を開きます。
経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫さん外二十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宗清皇一さん。
○宗清委員 おはようございます。自由民主党の宗清皇一でございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
この国会で、金融庁から、事業性融資の推進等に関する法律案が提出をされていると思います。
この法案の趣旨は、不動産担保や経営者保証などではなく、事業の実態や将来性に着目し、無形資産を含む事業全体を担保とする企業価値担保権の創設が盛り込まれておりまして、金融機関の形式的な担保に依存した融資慣行を変えていくことになるというように期待をしております。
担保力のないスタートアップは、たとえ将来性があったとしても金融機関から十分な融資を受けることができませんし、また、中小企業の経営者が高齢化を理由に従業員等へ事業を継承する際も、金融機関は経営者保証の継続を求めますので、嫌がられて事業継承ができなくなるというケースもあるというように思います。もしこの法案が通れば、今申し上げたような様々な課題を解決することができるというわけであります。
当然、お金を貸す金融機関側も、事業性担保ということになれば、目利き力が求められます。金融機関側の取組は、この委員会で議論するところではないので金融庁に任せるといたしまして、事業者側から見たときに、この法律案の趣旨、使い方、一番大事なのは、経営者の意識改革や経営改革を本気で促していく必要があるというように思います。
この法案の本来の意図するところは、事業者側こそがこの法案を十分に理解し、自社の強みや将来性がどのように評価されているのか十分に認識をして、意識改革や行動変容に対して、こういった問題は経済産業省が事業者側を指導していくという必要があるというように思います。
そこで、全国の商工会議所の力をかりたり、よろず支援拠点等でしっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、今後どのように取り組もうと思われるか、お聞きをしたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘のありました推進法案で創設される企業価値担保権に関しましては、不動産担保や経営者保証による従来の融資手法ではなく、事業の実態や将来性に着目して融資を行うことを目的としているものと承知しております。
このうち、経営者保証につきましては、経営者による思い切った事業展開をちゅうちょさせる課題を有するということを踏まえまして、中小企業庁として、本年三月から、保証料上乗せによって経営者保証の提供を選択できる信用保証制度を開始するなど、従来の融資手法にとどまらない経営者保証改革に取り組んできているところでございます。
新たに創設されます企業価値担保権についても、まずはこれを知っていただくことで、ユーザーたる中小企業の自らの企業価値に関する意識改革などが求められるものと認識しております。
金融庁と連携いたしまして、全国の商工会議所等を通じまして、中小企業に対して周知を行うとともに、活用を促してまいる所存でございます。
○宗清委員 よろしくお願い申し上げます。
次に、ガソリンの補助金について質問したいと思います。
自動車には、一般的に、購入のときにかかる費用、また維持費、それに使用する際のガソリン代ということがありますけれども、自動車の購入費用というのは、デフレ下であったこの三十年、軽自動車も高級車も、恐らく価格というのは二倍ぐらいになっていると思われます。デフレであっても車体価格は上がっているというように思います。
反対に、ガソリン代というのはどうだったかということを考えてみたいというように思います。
家計に占める自動車に係る全体の費用で見ると、維持費はそんなに変わっていない。ガソリン代は、まあまあ、一時期高いときもありましたけれども、私が一番初めにガソリンを入れた三十数年前もリッター百二十円前後でありましたから、ガソリン代というのはこの三十年間そんなに上がっていなかったと思うんですね。
そこで、補助をする際に、毎年、物価とか賃金、そしてガソリン代との関係ですね、家計支出に占めるガソリン代がどうなっていったのかということをきちっと検証してこれから補助を考えていただきたいというように思います。
加えて、現在の原油価格というのは、補助金を始めた当時、WTIの価格でいうと、一バレルが約八十四ドル前後であったというように思います。今それぐらいの価格になっていると思いますので、補助を始める前の価格に戻りつつあるというように思います。
ガソリン代を始めた当時のドルと円の関係でいうと、一ドルは百十五円程度、今現在は百五十円を超えていますので、ガソリン代が高いのは完全に円安の影響によるもので、円安補助金に今はなってしまっていると思うんです。そうすると、ガソリン代だけ円安補助金をするという理屈もなかなか成り立たないというように思います。
他方で、GXを推進している、CO2を減らそうとしている経済産業省がガソリン補助をするというのは政策矛盾があるという指摘も一方でもあります。
本来、ガソリン代が高いときに人は行動を変えていくわけでありまして、例えば近くだったら自動車に乗らずに自転車で行こうとか燃費のいい車に変えていこうとか、こういう、高いときに人々というのは行動を変えていきますし、それを後押しするのが経済産業省の仕事ではないでしょうか。
中東情勢が緊迫していまして、原油価格が今後どのように推移するのか予断を許さない状況ではありますけれども、原油価格が落ち着くようであれば、きちっと国民の皆さんに説明をした上で一定の区切りをつける、見直していくという方向に持っていっていただきたいと思います。
他方で、御商売でたくさんガソリンを使う方については、人手不足、人件費の高騰、加えて、トラックの購入費用というのは、これはもう一昔前と比べて倍ぐらいになっていますから、また、この四月から残業規制も導入されますから、一台のトラックで稼げる額というのは、償却できる率ですね、確実に下がっています。
しかも円安で燃料代も高いということで、物流に関してはやっていけないというお声も多くありますので、これは、日本全体の産業や物流業界が成り立つようにしっかり個人とは分けて支援策を考えていくべきだと考えますけれども、見解を聞かせていただきたいと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
まず、ガソリン等の激変緩和事業でございますけれども、これは、御指摘のとおり、一時的な緊急避難措置として実施しているものではありますけれども、委員先ほどおっしゃったように、国としては、GXの取組を通じて、化石燃料への過度な依存から脱却し、エネルギー危機にも耐え得る需給構造を人や事業者の行動様式の変容も含めて実現していくということが重要だと考えておりまして、このために、製造業の燃料転換、電動車の普及、徹底した省エネなどの需要側の取組に加えて、供給側では、再エネや原子力などの脱炭素電源への転換を行う方針を明確にしているところでございます。
その上で、この激変緩和対策なんですけれども、委員御指摘のとおり、ガソリン乗用車の燃費で見ますと、過去二十年で約八割改善するなど着実に改善傾向にございます。また、原油価格も、為替の影響を除けば、ウクライナ侵略前とほぼ同程度の水準に戻ってきているというふうに理解しておりまして、これらの点も含めて、国民に丁寧に説明していくことが重要だと思います。
あくまでも一時的な緊急避難措置ですので、本筋はGXや脱炭素化を進めていくということだと考えております。いつまでもこの補助事業を続けるものではないと考えておりますが、国際情勢、経済、エネルギーなどをめぐる様々な情勢をよく見極めながら、出口戦略をしっかりと考えていきたいというふうに考えております。
また、最後に御質問いただきました物流事業者に関してですけれども、これは、トラック事業者がコストに見合った適正な運賃を受け取るようにするためには、燃料費、人件費などのコスト上昇分を適正に運賃に転嫁することが重要であります。
国交省において、本年三月、標準的運賃の見直しがなされ、これらの高騰分を反映させたものというふうに承知してございます。荷主企業の多くを所管する経産省といたしましても、物流における取引環境の改善のためには荷主の理解、協力が不可欠との認識の下、今回の標準的運賃の見直しなどの措置について、既に関係業界に対して周知を行い、協力要請をしているところでございます。
経産省としても、引き続き、関係省庁と密接に連携して、しっかりとこの物流事業者に関しての取組も含めて進めていきたいと考えてございます。
○宗清委員 しっかり取り組んでいただくようにお願いをいたします。
次に、基金のことについて質問したいと思います。
四月三日の新聞に、経産省が設置している基金について「基金事業「企業丸投げ」禁止」という見出しがありまして、この報道を残念に思います。
現在、経産省には六十八の基金がございますが、この基金の事業の必要性については十分に理解をしています。その前提で話を聞いていただきたいと思いますが、具体的に申し上げると、環境パートナーシップ会議を始め、基金設置法人から事務局が外注されているものが六十八基金のうち十五基金ございます。質問のレクでは必要であるという説明でしたし、理解はしているんです。しかし、今後改善すべき点はないのかということなんですね。
できるだけNEDOのような、基金を設置する機能と事務局も兼務できるような組織に事務をやはり担当させるのが理想的だというように思います。事業によっては、基金を設置しなくても、国庫債務負担行為をすれば基金の管理というのも不要になりますし、より効率的な執行ができるというように思います。この債務負担行為をすれば、基金同様に複数年度のコミットを示すことができるだけでなく、毎年の予算措置、毎年度の国会の議決が必要となりますので、経済産業省自身も各事業をより綿密に執行管理をするインセンティブも生まれるというように思います。
仮に事務局機能を外注する場合は、原則としては外注しないというルールを定めた上で、例外的にどういった場合に事務局機能を外注できるのか、あらかじめ統一したルールを作っていく必要があると思いますけれども、見解を聞かせてください。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
基金を設置して行っております事業、これに関しましては、その資金をしっかりと管理運用をしていただくという仕事、それから同時に、その基金から先に公募をしたり審査をしたり、あるいはいろいろな苦情、相談にお答えするといったような様々な業務が必要でありまして、それぞれのノウハウが必要となるところでございます。
基金の造成に関しましては、しっかりと資金を管理していただく、また、税務上の問題もございまして、一般的には非営利団体が選ばれるということが多うございます。また同時に、公募でありますとかあるいはコールセンターとか、こういった機動的に体制を組んでいくという意味では、やはり民間事業者のノウハウの活用ということも重要ではないかというふうに思っておりまして、それぞれの事業に応じて的確な体制を組んでいく、効率的な体制を組んでいくということが重要だろうというふうに思っております。
一方で、御懸念のように、これが何か中抜けであるとか丸投げであるとかといったような御疑念を招かないような形で基金の設置法人及び国がしっかりと業務をグリップしていく、そしてこの体制が適切なものであるということをしっかりと御説明し、また情報もしっかり公開していくということが重要だというふうに考えておりまして、私ども、基金の在り方、こういうものをいろいろ検討する中でしっかりとこうした原則を貫いてまいりたいというふうに思っております。
○宗清委員 次に補助金の在り方について、最後に質問いたします。
この数年、気候変動問題また安全保障環境への対応で、アメリカも欧州も、各国で経済への国家の関与というのが高まっているというように思います。我が国でもTSMCやラピダスに対して補正予算で三・九兆円程度の財政支援というのをしていますけれども、アメリカは突出して高いわけですけれども、日本の支援というのは、諸外国と比べても、GDPで比較しても全く負けていない措置をしていますから、経済産業省としてしっかり取り組んでいただいているというように思います。
他方で、アメリカは、二〇二二年八月に税制改正を盛り込んだインフレ抑制法というのを成立させています。十年間でエネルギー安全保障、気候変動投資など四千三百七十億ドルの歳出をする代わりに、税制改正等で七千三百七十億ドル規模の歳入も確保しようとしています。政府が、多額の歳出でインフレにならないように、同時に歳入歳出のバランスもしっかり取っている支援であるというように理解しています。
私は、しばらくの間、この半導体産業を中心に政府が大規模な投資はしなければならないというように思います。それには、政府の支出に対して確実な財源を確保していく必要があるというように思います。今や経済産業省が支援している予算というのは一桁もう多くなっているわけですから、この多額の財源を、GX経済移行債のように、これは財源とセットになっていますし、十年間で二十兆という投資額も決まっていますから、民間も投資をしやすいと思います。
このように、財務省に財源を任せるのではなくて、経済産業省自らが主体的に財源について示していく必要があると思いますけれども、見解を聞かせていただきたいと思います。
○岡本委員長 石井経済産業大臣政務官、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔な答弁を、御協力お願いします。
○石井大臣政務官 お答えいたします。
御指摘のとおり、昨今の当省の補正予算が極めて大きな額に上っていることは、委員のおっしゃられるとおり、御指摘のとおりだと思っております。しかし、国として取り組むべき緊要性が高い事業に限って、予算を適正に計上して、効果的に執行していくべきことも当然であると認識しております。
その上で、経済産業省として取り組んでいる予算事業のうち、例えば戦略分野への設備投資支援などは、この予算を呼び水として民間の投資を引き出し、雇用の創出や税収効果などの効果が期待できると考えておるわけでございます。そして、地域経済に大きな波及効果を生み出し、大きな税収を生む可能性もあると考え、取り組んでおるところでございます。
そういった中で、事業予算は単年度ごとに策定するものでございますけれども、効果は複数年にわたって様々な経路を通じて経済の実態に波及していくものでございます。経済活性化を通じた税収面の効果も念頭に置きつつ、適正な政策が何かを考えていく必要があります。財源の確保の仕組みと併せて整備することもあり得ますけれども、財源の確保と一体で政策パッケージを策定することが民間部門における予見可能性も高めるという観点もございます。こうしたことも認識した上で、事業の性質に応じて適切な政策立案を検討してまいりたいと思っております。
○宗清委員 時間を超過して申し訳ありません。
質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、中野洋昌さん。
○中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。
早速質問に入らせていただきます。
今国会でも、脱炭素やGXというのは大きなテーマであります。エネルギーの基本計画の見直しもいよいよ始まりそうだという報道もございます。関連して、何問か質問をさせていただきたいと思います。
冒頭、大臣にお伺いをしたいと思います。
大臣の訪米、大変にお疲れさまでございます。様々な分野で日米の連携の強化、こういうのが具体的に取組を進められているということを非常に感じさせていただきまして、私は大変有益な訪米であったのではないかというふうに思っております。
その中で、ちょっと、脱炭素という分野ということで、ポデスタ米国大統領上級補佐官と政策対話というのをされておられたかと思います。こういう非常に重要な戦略分野でアメリカと日本が連携をして効果を最大化させていくというのは、非常に大事なことだというふうに思っております。ある意味、少し競争するようなところもあるかもしれませんけれども、しかし、やはりしっかり協調して進めていくということは非常に大事だと思います。
まだ具体的にはこれからだということだとは思うんですけれども、今回、この政策対話を行われた狙いや、また今後の意気込みなどについて、是非大臣から御答弁いただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 先日実施した米国のポデスタ大統領上級補佐官との政策対話におきましては、まず、温室効果ガスの排出削減とエネルギー移行の加速、持続可能なサプライチェーンの構築、それから産業競争力向上のため、GX推進戦略と米国のインフレ削減法のシナジーを高めていくこと、この点で合意をいたしました。
特に、経済成長、排出削減、雇用創出の原動力として重要なのは企業による投資であると。日本としても重要な洋上風力やペロブスカイト太陽電池、水素、アンモニア、ヒートポンプ、カーボンマネジメント技術等の分野において、日米双方で投資を促していくための環境整備を進めていこうということになりました。
また、特定の国に過度に依存しない戦略物資のサプライチェーンの実現に向けても、日米双方で、持続可能性などの原則に基づいて供給力強化と需要創出の両面で取組を加速していこうということであります。
閣僚級政策対話の翌日には、早速、事務方でのフォローアップ会合も開催をいたしました。そして、次回の閣僚級の政策対話もなるべく早期に開催をして、具体的な議論を着実に前に進めていきたいと考えております。
○中野(洋)委員 アメリカ、そして日本、これから産業競争力強化法の議論もいよいよ始まろうかというところだと思うんですけれども、経済安全保障という意味でも大変重要で、そしてまた、国内投資の促進、こういった投資の促進、こういうところも含めて非常に大事な分野だと思っております。是非、実りあるこれからの対話ということで進めていっていただければということで、改めてお願いを申し上げさせていただきます。
続きまして、エネ基の議論に向けての前提となる認識をちょっと何点か政府にお伺いをしたいというふうに思います。
総理からも、例えば燃料油など、化石燃料は非常に高止まっているような状況、あるいはエネルギー安全保障、そして脱炭素というのがまた成長分野でもありますから、そうしたいろいろな観点が必要だというふうな、そういう御認識もあったかと思います。
先ほども少し議論になりました燃料油価格、特に化石燃料の関係、特にロシアのウクライナ侵略以降、大変高止まっているということで、中東情勢もまた非常に、ここに来て更に不安定になりそうな懸念もあるということで、円安も今非常に歴史的な水準という、いろいろな要素もあるかと思います。先ほどの議論ですと、恐らく、今この瞬間は、円安の影響というのも、為替の影響も非常に大きいのではないかなというふうにも思います。
こうした燃料油価格の補助金の出口というか、そういういろいろな課題もあるかと思いますけれども、やはり、化石燃料によって非常に日本の国富、これが流出をする、輸入の金額が非常に大きくなっているというのは、私も非常に課題だと思っております。この状況についての問題意識、エネ庁としてどういう問題意識を持っているのか、現状認識も含め、政府参考人にお伺いをしたいと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
財務省貿易統計によりますと、我が国の化石燃料輸入額は、二〇二二年は三十三・七兆円、二〇二三年は二十七・三兆円となっていまして、これは、ウクライナ危機前、二〇二一年で申し上げますと十七兆円でございましたのと比べますと、高い水準でございます。これは、原油を始めとする化石燃料の価格が世界的に高くなっていることや為替の影響によるものというふうに考えてございます。
引き続き、我々といたしましては、中東情勢あるいはウクライナ情勢、国際エネルギー市場の影響などについて、緊張感を持って注視していく必要があると考えてございます。
その上で、原油につきましては、IEAや主要な消費国と連携して、産油国に対して、原油市場の安定化に向けた働きかけ、これを続けていく必要があると考えておりますし、LNGにつきましても、LNG産消会議の場などを通じて、産消一体となって、天然ガス、LNG市場の安定化に向けて取り組んでいく必要があると考えてございます。
いずれにしましても、政府としましては、省エネなどの需要側、それから再エネ、原子力推進などの供給側、これらを併せて需給構造の構造改革を進めることによって、化石燃料への過度な依存から脱却し、御指摘にありましたような国富の流出の抑制につなげていきたいというふうに考えてございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
数字も改めてお伺いをすると、やはりロシアのウクライナ侵略前に比べると相当な水準ではあるなというふうなことを改めて感じております。やはり、こういうエネルギーの構造自体に問題意識を持って、これを改善をしていかないといけないのではないかと改めて思っております。
そういう意味では、先ほどおっしゃられたような価格の安定化に向けたいろいろな働きかけ、取組というのは当然やっていただかないといけないですし、為替というのはこちらの方でどうこうというのはちょっと正直難しいところではございますけれども、そして省エネルギーを進めるというのも非常に大事なことかと思っております。いろいろな要素がある中でやはり問題意識を持って進めていかないといけないんだろうという中で、次の日本のエネルギーの構造をどうしていくかという議論もしていかないといけないんだろうというふうに思います。
エネルギーの関係で、やはり幾つか論点というか考えなければいけない点があると思います。当然、いろいろな要素を考慮して、今、経済産業省はスリーEプラスSというふうな考え方も出されているかと思いますけれども、特に総理が言及されていた点は、私が拝見すると、エネルギーの安全保障という観点が大事だ、しかし脱炭素ということもある、そして稼ぐ力、これも両立をさせたい、三点おっしゃられていたと思います。私は、三点とも非常に大事な要素なんだろうと思います。
なかなか難しいのが、脱炭素を進めるということと稼ぐ力を両立させるというのをやはりうまく両立させないといけないということだと思います。
私は、脱炭素で政府がしっかり野心的なビジョンを示していくということは非常に大事だと思っております。それをすることで、エネルギー安保も進み、そしてビジネスの投資もできて、結果的に稼ぐ力が得られるんじゃないかというふうなこともあります。他方で、そうならない形、脱炭素はすごくやるビジョンなんだけれども、この稼ぐ力とか安全保障という観点が抜けた議論になってしまうと、私は、やはりそれはよくないんだろうというふうに思います。
こうした両立をさせるということが非常に大事だと思いますけれども、この点について、少し全体的な議論ですが、どういう認識を持っているかということをお伺いしたいと思います。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
日本のエネルギー自給率は、約一三%と低い水準でございます。このため、御指摘のとおり、国際的な燃料価格の変動の影響を受けやすくて供給途絶のリスクも抱えるという状況にございます。エネルギーは国民生活や経済活動の基盤でございまして、エネルギー自給率の向上を通じたエネルギー安定供給の確保が非常に重要な課題であると認識をしてございます。
また、脱炭素に向けた取組をエネルギー安定供給や経済成長と両立させて実現していくということも重要でございます。このような観点から、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の投資促進策と成長志向型のカーボンプライシングとを一体的に講じて、今後十年間で百五十兆円を超える官民のGX投資を実現してまいりたい、このように考えております。
また、今後、次期エネルギー基本計画の検討を行っていくことになりますけれども、そういった意味でも、国民生活や経済活動の基盤となる安定的で安価なエネルギー供給を確保すべく、国際的なエネルギー情勢やGXを通じた経済成長などの観点も踏まえながら、しっかりと議論をしていきたいと考えております。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
ちょっと最後に一問、全然観点は変わるかもしれませんが、エネルギーの問題というのは気候危機などの問題と大きく連動をしている問題であります。
私は、党の中でも青年委員会という立場で活動もしている中で、特に気候危機は、若い世代、将来世代、こういう人たちに非常に大きく影響をする観点でありまして、そういう将来世代の声というのをどういう形で政策に反映をさせていけるのかというのが一つ、そういうことを大きなテーマだなというふうに感じて、活動させていただいております。
その中で、やはり政策の中で、例えば、そうした若い世代の委員を入れたりであるとか、あるいは、若者団体のようなところの委員を入れて議論をしたりですとか、あるいは、こうした将来世代のいろいろな声を政策に反映をさせていくとか、いろいろな御提案、御提言などもいただいてきたところであります。
特に、若い世代の声を直接政策に反映させるという意味では、少し分野は変わるんですけれども、こども基本法みたいな基本法の中で、そうした将来世代みたいな、やはり直接当事者となるような世代の声というのは政策に反映をさせていかないといけない、こういうふうな政府の方針というのも全体としてはあるんだろうというふうに思います。
そうした中で、やはり今度の、エネルギーをこれからどうしていくかという議論の中で、こうした将来世代の声にどう向き合うかというのも私は一つ大事なテーマなんだろうというふうに思っております。いろいろな形でそういう声を政策に取り入れていくような取組もまた是非行っていただきたいというふうにも思っておるんですけれども、最後にこれについて政府がどうお考えかということを答弁いただければと思います。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
エネルギー基本計画で申し上げれば基本政策分科会ということで検討、議論していくというような形でございます。
委員の選定といたしまして、公平性などの観点から、年齢のみに着目した選定は行ってございませんが、若者を含む各階層の様々な世代の意見を聞きながら施策を検討していくことは重要であると考えております。
エネルギー基本計画の策定に際しましては、約一か月間のパブリックコメントを実施して、若者を含めた国民の皆様から広く御意見をいただくプロセスを採用していくことを考えております。また、昨年以来、経産省の職員が若者団体と定期的に意見交換会を実施するなど、若者からの意見を伺う機会も設けているところでございます。
引き続き、将来世代を含め、幅広い意見をいただきながら、エネルギー政策について検討を進めてまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、小山展弘さん。
○小山委員 静岡県中東遠地域出身の小山展弘です。
それでは、質問させていただきたいと思います。
まず、今日は一般質疑ということで、公正取引委員会さんに質問させていただきたいと思います。
現在、熊本県漁連さんや有明漁協さんなどから、公正取引委員会の排除措置命令の事前通知について差止め訴訟が起こされていると伺っております。現在も調査中ですし、また訴訟中とのことですので、このことに詳しく立ち入るということではないんですけれども、争点は、協同組合組織が独禁法の適用除外となっていることと、その範囲内の行為であるかどうかというところが論点となっているのではないかなと推察しています。
もちろん、協同組合が独禁法適用除外だからといって何をしてもよいということでは全くないと思いますけれども、一方で、規制改革会議などからは、協同組合の独禁法除外を廃止すべきじゃないか、こういう指摘があったとも伺っております。
ここで、協同組合が独禁法除外となっていることの意義について、改めて公正取引委員会の見解を伺いますとともに、規制改革会議の指摘の前後で、公正取引委員会の、協同組合の独禁法除外となっていることについての認識に変化があったのかなかったのか、お尋ねさせていただきたいと思います。
○古谷政府特別補佐人 お答えいたします。
農協とか漁協などの協同組合は、独占禁止法二十二条に基づきまして、組合員が相互扶助の観点から共同事業などをなさる場合の組合の行為については、独占禁止法の適用を除外をいたしております。
これは、単独で大企業と競争することがなかなか困難な中小の事業者が相互扶助の観点から協同組合としてまとまって取引上の交渉を行うことは、公正かつ自由な競争を促進する観点からも合理的であるという考え方の下で、独占禁止法が制定された当時から適用除外とされているものでございまして、私ども、現在でもこのような適用除外制度の意義は変わっていないというふうに認識はしております。
ただ一方で、独占禁止法二十二条のただし書というのがございまして、協同組合が不公正な取引方法を用いる場合等にはこの適用除外は適用されない、そういう規定になっております。
公正取引委員会としましては、例えば、組合が組合員に系統出荷を強制をされるといったような、取引の拘束とか制限ということになりますと、この不公正な取引に該当する可能性がありますので、こうした協同組合による独占禁止法違反行為に対しては、従来から厳正に対処をさせていただいておりまして、その点は御理解をいただければと考えております。
○小山委員 今おっしゃられたとおりで、不公正な強要のようなものについては、やはりこれはやるべきではありませんし、また、そういったことも自己改革も含めて協同組合の方にも頑張ってもらいたいと思います。
一方で、来年の二〇二五年は国連の定めた国際協同組合年ということで、改めて、世界で協同組合が果たしてきた役割について注目し、また、その認知度の向上を図るとともに、各国で様々な取組が行われようとしております。これは、岸田総理も、内閣府に共通の政策部署をつくるということで、予算委員会で答弁もいたしております。
一回目の二〇一二年の協同組合年の後に、日本政府が、農協法の変更で、私はちょっと改悪と申し上げているんですけれども、ICA、国際協同組合連盟から非難声明を出されるというようなことがございました。
こういったことがないように、是非、協同組合に対する理解を深める活動も、政府としても、来年に向けて、今回は様々な協同組合側の民間団体も、連携組織もできておりますので、また、御理解を深める活動を官民一体となって国民的に行っていただければと御要望申し上げたいと思います。
次に、よく岸田総理の施政方針演説とか齋藤大臣の今までの答弁の中にもあったかと思いますが、コストカット経済あるいはデフレマインドについて、この具体的に意味するところをお尋ねしたいと思います。
○菊川政府参考人 委員の方から御指摘ございました、まずデフレマインドというところについてでございますが、国内での投資も賃金も消費も抑制される中で、将来にわたって賃金も物価も上がらないのではないかというふうに考える国民や企業のマインド、こういうことを指していると承知をしております。
そうした中で、これは二〇〇〇年頃の当時のFRBのグリーンスパン議長も言っているようでございますけれども、そうしたデフレマインドが蔓延するような状況が続きますと、価格と賃金が毎年据え置かれるような状況になりますので、そうすると企業は価格を上げることができない、そうすると、企業は攻めのビジネスで売上げを伸ばすことを諦めて、コストを抑えることに力点を置くような経営を始めてしまうというような指摘もあるようでございます。
そうした整理の中、バブル崩壊後の日本経済において、様々な外部環境もある中で、賃金や成長の源泉であります国内投資、これをマクロ的にも抑制したことが消費の停滞や物価の低迷、さらには経済成長の抑制につながってきたのではないか。こういった状況をコストカット経済というふうに表現したものではないかというふうに承知をしております。
○小山委員 まさに国内投資が十分に行われてこなかったというところは私もそう思っておりまして、安倍さんや黒田さんは、貨幣の量が少ないということで、貨幣の量を増やせば、円の価値が下がって、それでインフレの状態、二年でこれはそうなるんだと。そうすることによって、貨幣の価値は下がっていくわけですが、個人消費が刺激をされる、非常に単純化して申し上げれば。
でも、それよりも私はやはり実体経済の方に問題があったと思っておりまして、その点で、今度の経産省から出てくる法案もそうですけれども、やはり国内投資あるいは実体経済というところに注目されているところは私も認識を共有するところでございます。
ただ、価格が上がらない、利益が上がらない、それでなかなか賃金が上がっていかないというところについて、ちょっと関連して次の質問をさせていただきたいと思うんです。
四月八日の厚労省の発表によりますと、大変賃上げ賃上げということが言われてきましたが、実質賃金は二十三か月のマイナスということになりました。もちろん、名目賃金の方も賃上げはないよりあった方がまだいいわけですけれども、実質賃金がマイナスということでは、まだまだこの賃上げが足りないということではないかと。
ただ一方、その原因が、報道などによりますと、統計などでも出ておりますが、中小企業さんでの賃金上昇が見られなかったということが原因じゃないかと。なぜ中小企業さんで賃金上昇が見られないかということは、この経産委員会ではもう釈迦に説法ですけれども、まさに価格転嫁が進展しなかったということが報道の中でも挙げられております。
中小企業さんにとっては、価格転嫁できないのに賃上げをすれば、これは減益となり、あるいは経営悪化、最悪の場合倒産ということにもつながりかねないということはもう自明の理かと思います。ですから、私は、価格転嫁なくして賃上げなし、そういう強い価格転嫁への意識改革というものが必要じゃないかなと思っているんですけれども。
ところで大臣、答弁していただかなくても大丈夫ですけれども、乾いたタオルって絞ったことがありますか。いや、私も、これは実はある企業さんに行って、乾いたタオルをおまえ絞ったことがあるか、いや、ありません、乾いているんだから絞らないですよねと。じゃ、乾いたタオルを絞って一滴の水が出てきたことはあるかと聞かれて、いや、あるわけがない、そもそも乾いたタオルは絞る必要がないと。
その方は、もちろんその企業さんの中のことですのでいろいろな要因があるかと思うんですけれども、社長さん夫妻は、自分自身の報酬はもらわずに年金で暮らしている、自分の会社は、従業員の方、小規模な会社さんですけれども、路頭に迷わせちゃいけないということで、何とか雇用を維持している。そういうときに親事業者からこういうような例えを言われて、こんなひどい言葉はないと思ったというんですね。
確かに、これは例え話なんかでそんなに目くじらを立てるということではないかもしれないですけれども、ただ、適正価格と真逆の例え話じゃないかというふうにも思います。
こういった親事業者による過剰なコスト削減要求などの取引慣行も、私は、コストカット経済の一面だったんじゃないだろうか、そんなふうにも思っているんですけれども、この価格転嫁の更なる取組といったところで、経産省と公正取引委員会のそれぞれの認識をお尋ねしたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 日本経済は、御案内のように、国内投資拡大それから賃上げといった、私は、久方ぶりの潮目の変化を迎えているな、この機を大事にしたいというふうに思っていて、何としても、投資、賃金、物価が上昇する成長経済へと転換したいと思っています。
一方、三十年間続いたコストカット型の縮み思考というものが僅かこの二年ぐらいの変化で改善できるというものでもないと思っていまして、まさにこれからが正念場なのではないかと思っています。したがって、御指摘のように、経営者の賃上げ決断というものを徹底して後押しをするというのが今最も求められているのではないかなと思っています。
まずは、経済産業省、発注側の経営者の意識を、発注側ですね、変革すべく、年二回の価格交渉促進月間において、企業リストの公表ですとか、あるいは状況が芳しくない経営トップに対しては事業所管大臣名での指導助言を行うみたいに、かつてない思い切った措置を講じてきています。
私が現役の頃を振り返ってみますと、こういう価格交渉そのものに経産大臣がここまでやるかというのは、まさにかつてない取組をやっているなという印象を率直に持っています。ただ、容易ではありません。
さらに、中小企業の賃上げ交渉が本格化しているこの三月下旬以降、発注側の大企業の業界団体、JEITA、電子情報技術産業協会あるいは自動車工業会の経営トップに集まっていただきまして、私自身が直接、今が正念場だということで、価格転嫁を要請をいたしました。
引き続き、経営者の意識の変革によって、中小企業の賃上げとその鍵となる価格転嫁に徹底的に取り組んでいきたいというふうに考えています。
○古谷政府特別補佐人 公正取引委員会としましても、労務費の価格転嫁を通じて中小企業の賃上げの原資を確保するということは極めて重要であるという基本的な認識を持っております。
御承知のように、昨年十一月に労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針というのを公表させていただきましたけれども、これを、発注者と受注者双方がこの指針に沿って対応していただくことが大変重要であると思っておりまして、公正取引委員会としましては、この指針の周知徹底を行いますとともに、今後、指針の実施状況についてフォローアップしていくための特別調査を実施したいと思っております。
これと並行しまして、指針に沿わないような行為をすることによって公正な競争を阻害するおそれがある場合には、独占禁止法や下請法に基づいて厳正に対処をしてまいりたいと思っております。
今年に入りまして、買いたたきですとか減額などに該当する下請法違反事案に十件の勧告を行いました。また、多数の取引先に対して協議とか交渉をせずに価格を据え置いていた十社の企業名を公表するなど、従来にない取組を行ってきております。
さらに、目下、買いたたきによって下請事業者の利益を損なって経営を圧迫することを防止するために、下請法の運用基準の改正についてもパブリックコメントを行っているところでございまして、公正取引委員会としましても、価格上昇局面における価格転嫁の問題に対して、独占禁止法の優越的地位の濫用ですとか下請法の積極的な執行を図りまして、適切な価格転嫁ということが新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させることができるように取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○小山委員 私も認識を共有するところが多々ございます。この十年間の中で、円安効果で特に輸出企業さんは過去最高益といったものを計上したというところがあって、全くそれがその会社さんの賃金であるとかあるいは価格転嫁といったものがなかったわけではないとは思うんですけれども、やはり価格転嫁がもっとなされてもよかったのではないだろうかと。
そういったところで、たしか大島敦議員が、この円安状況そして金融緩和の状況の中では何もしないことがそのときの経営者にとっては一番ベストな判断になり得るような環境だったのではないかというお話もあったり、あるいは、ちょうど岸田内閣にもアドバイザーになっていらっしゃった、公益資本主義の原丈人さんという、ストックオプションとかああいった制度で経営者が株を自分で持って切り売りをして、株価が上がって自分も辞めてゴールデンパラシュートしていくというようなこととか、株主が強くなり過ぎることについて批判もあって、たしか委員会でも株主への配当の方が多くなってしまったというようなこともあって、かつての中小企業さんあるいは発注先への価格の向上というよりも配当の方が多くなってしまったというのは、経済構造の変化というものもあろうかと思いますが、乾いたタオルは絞っても一滴の水も出てこない、もちろん、コスト削減を努力する企業さんは、それはすばらしいと思いますけれども、是非イメージとしてそういう適正価格をつくっていくというようなことをやはり国民的世論として形成していく必要があるのかなというふうにも思っております。
次に、物流関係のことを国交省さんの方に伺いたいと思います。
私の地元の袋井市というところはちょうど東京、大阪、名古屋の中継地で、物流関係、トラック事業者さんも多いんですけれども、あるトラック事業者さんが、国交省さんが悪質な荷主への是正指導について、そういうケースがあれば連絡してほしいということで啓発をされていて、それ自体は大変ありがたいんだけれども、実際には、連絡をすると、どこでどういうことがあったんだということで、これは当然なんですが、詳細なケースを話さなきゃいけない。そうすると、どこの企業が訴えて、どこの企業との取引があったのかとかがだんだん分かってしまう。そうすると、訴えが通っても、その後、もうおたくとは取引しないみたいなことに、結果として競争他社に取引自体が取られてしまったり、そういう不安があるということでなかなか連絡しづらいというようなことを先日伺いました。
ということは、今報告、連絡のある、こういったトラックGメンさんでつかんでいることの背景には、それこそ、かつて生産管理で一つミスがあれば三十ぐらい、ヒヤリ・ハットの法則というのがありましたけれども、もっともっとたくさんの悪質なケースがあるんじゃないかということも想像されるんですけれども、こういった連絡、報告しづらいというようなトラック事業者さんからの声について、国交省さんとしては、できる限りのというところになるかと思いますが、どのような対策を講じていこうとお考えでしょうか。
○長井政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省におきましては、昨年の七月、全国で百六十二名体制で、トラックGメン、これを設置をさせていただいております。
具体的な活動といたしましては、長時間の荷待ちですとか契約外の附帯業務、これは一例でございますけれども、こういった適正取引を阻害するような行為、これが疑われるようなことをしておられる荷主さん等に対しまして、貨物自動車運送事業法に基づく是正指導を行わせていただいているところでございます。
これまででございますけれども、七月の設置以降、二件、勧告、公表、これは公表の際には社名も公表をさせていただいておりますけれども、そういったほか、百七十四件の要請、それから四百七十八件の働きかけ、こういったことを実施をさせていただいておりまして、そういった結果として、荷待ち時間の短縮ですとか、それから運賃の引上げ等につながった実例が報告をされている、こういったところでございます。
また、こういったトラックGメンの活動ですとか、勧告、公表等の是正指導の実績が、荷主等に対する抑止力となり、荷主等の行動変容につながっている、こういった声も承知をしておりまして、トラックGメンによる監視は一定の効果がある、このように考えているところでございます。
一方で、御指摘があった点でございます。
訴えたトラック事業者さんが不利益を被ることへの不安がある、こういった点でございますけれども、トラックGメンに通報を行った事業者に不利益が及ばないように、私どもといたしましては、是正指導を複数の者からの情報提供に基づくように努めているほか、単一のトラック事業者に対して発注をしている荷主さんもいらっしゃることから、場合によっては、一定地区内の荷主に一律の調査をかけるといったようなことも工夫させていただいておりまして、事業者の通報を端緒としないような配慮、こういったことも取組をさせていただいております。
また、通報を原因とした取引停止などが確認された場合には、事案の内容に応じまして、関係省庁とも連携をして対応していく、このような対応をさせていただいているところでございます。
○小山委員 先ほどお尋ねもしたとおり、なかなか個別の事案で、よっぽど悪質な場合は、もう本当にトラックGメンさんの今のお話のあった活躍で、あるいは抑止効果ということもあるかと思いますが、その背景にある、そこまで至らないものでもやはり改善していく必要があります。これについては、個別のことを拾っていくというよりも、やはり、お話にもありましたが、トータルで、荷主さんというか発注業者も含めた国の指導というか、全社的な指導というようなところで、政策で見直しを図っていくということが大事なことではないかなというふうに私も思っておりますし、是非、これからも力を入れて、この商慣習、あるいは時によって優越的地位の濫用に取りかねないような企業慣習といったものの改善に取り組んでいただければと思います。
もう一個、質問を用意していたんですが、今のやり取りでほぼカバーされておりますので、一問飛ばさせていただきたいと思います。
公正取引委員長、もうあと質問はございませんので、是非御退席いただいても構いませんので。ありがとうございました。
○岡本委員長 古谷委員長、御退席ください。
○小山委員 次は、日本の技術力のことについてお尋ねしたいと思います。
資料を御覧いただきたいと思います。
これは、文部科学省から出されております、いわゆる一般的によく言われる、引用される自然科学論文数というものの世界ランクでございます。
この中で、一九九八年の時点、九八というところを見てみますと、日本は全体に占める比率が七・三%で世界四位、日本より上はドイツとイギリスとアメリカということでございました。
ところが、この黄色く見えている左の方は、それこそ九〇年代のときには全く、十四位にも入っていなかった国が今一位になっている。二〇一八年から一位になっているのが、これが中国です。もちろん、引用される論文数が全ての技術力を表すわけではないんですけれども、中国というと、模倣経済で、何かほかの先進国の製品を模倣したものを作るというようなイメージを持っている方がいまだに多いんですけれども、結構研究開発もやはり人口が多いだけあって進んできているんだと思っています。
残念ながら、赤い線で右肩下がりに、特に二〇一三年以降つるべ落としに落ちているのが、これが日本でございます。今や十三位ということで非常に落ちている。これだけ落ちたのは、どこの国が先に行っているんだろうと思ったら、八位以上は余り、その中での入り繰りはあるわけですけれども、変わっていないわけですね。イタリアとかフランスも上位にありますし、あるいはカナダもある。まあ多分お隣の国には抜かれているんだろうと思ったらやはりしっかり抜かれていまして、韓国も今や十一位というか、日本よりも引用される論文数が多い。衝撃的だったのは、今回追い抜かれたのは、今国際情勢で話題となっているイランです。イランにも既に抜かれている。
繰り返しになりますが、もちろん、これだけが技術力や研究開発力を示す指標で、これだけで全てということではないんですけれども、よくこれは比較になるランキングではございますが、ここまで日本の相対的地位が低下したことについて、政府はどのように分析、認識をされていらっしゃいますでしょうか。
○山下政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど先生御指摘のとおり、文部科学省から公表しております科学技術指標二〇二三におきましては、他の論文から引用される回数の多い論文数の上位一〇%について、国別で見たときに、日本は現在も十三位というふうになってございまして、近年相対的にその順位は低下しているという状況になっております。
このような低下の原因につきましては多角的な分析というものが必要でございますけれども、諸外国の研究開発投資の増加が著しいということに加え、例えば、我が国におきましては、大学等の現場におきまして研究者が腰を据えて挑戦的な研究に取り組める環境が不足してきていること、あるいはキャリアパスの不透明さなどにより博士後期課程への進学者数が伸び悩んでいること、さらに国際頭脳循環の流れに出遅れていることなどがその原因としては考えられるところでございます。
こうした状況を踏まえまして、政府あるいは文部科学省におきましては、近年、科学技術予算の拡充を進めるとともに、イノベーションの源泉である科学技術力を強化するため、博士後期課程学生を含む若手研究者、女性研究者などへの支援あるいは活躍促進、それから自由で挑戦的な研究への支援の強化、さらには戦略的な国際共同研究等を通じた国際頭脳循環の加速などに取り組んでいるところでございます。
文部科学省といたしましては、第六期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、引き続き、関係府省と連携しつつ、研究力向上に向けた取組を進めてまいります。
○小山委員 軍事的な安全保障も、その国の防衛力による、つまるところ、この軍事的な安全保障も経済的な豊かさといったものも、多分、技術、技術力というものがその源泉ではないかと思っております。
まさに技術は国家なりと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、是非、その研究開発というところでは、この場で申し上げるのもなんですが、総予算に占める文部科学予算というのは五%前後で、過去に比べると減っておりますので、やはり研究開発に対する国の投資、今、他国が伸びているのは政府からの非常に大きな研究開発の投資が著しいということがございましたが、日本政府としても、やはり、これはあくまでも一指標ではございますけれども、こういった研究開発あるいはアカデミックなものに対してもっと力を入れていくということが必要なのではないかなと思っております。
次に、スピンオフ、スピンオンのことについて大臣にお尋ねしたいと思います。
この委員会でもたしか以前質疑で、質問者からの主張でこんなことがございました。防衛、軍事技術の国家予算の投資というのは巨額ですから、ですから、民間の一企業が研究開発しようと投資をするよりも、単純比較すれば非常に大きな金額を投資できますし、やはり国家プロジェクトとしてやるので、そういったところで先端技術が生まれる、だから防衛産業によって先端技術が生まれ、それが民生技術に派生して、その国の産業の発展に寄与する。こういうスピンオフの効果を強調するというような、特に最近日本の技術力がというようなことで低下しているんじゃないかという中で、このスピンオフをもっと強化していこうというような声が聞かれて、これはよくアメリカ、フランスの技術開発のパターンだと言われております。
ただ、よく考えてみますと、じゃ、どの国もその派生してきたスピンオフの技術を単独で開発しているかというと、そうではないと思っておりまして、例えばインターネットなんかについては、これはアメリカの開発ですけれども、今や中国だって使っているわけでして、一国で全ての技術を開発するということではないと思います。
また、こういう研究者の論文もありまして、国防部門での技術開発は、今まさに日本でもセキュリティークリアランス法なんかもできましたけれども、機密保護とか技術の過剰装飾化というような制約要因があったり、あるいは予算の確保に安易に頼る姿勢も生まれるということで、スピンオフの範囲が狭まったりあるいは開発スピードが鈍化するというようなことを指摘する研究者もおります。ですから、防衛産業がもうちょっと盛んになってスピンオフができてくれば日本の産業もまた著しく隆盛になるというのは、ちょっと過大評価も時としてあるんじゃないかということを考えております。
加えて、アイゼンハワー大統領が離任の際に軍産複合体の弊害についても述べておりますし、スピンオフを否定するわけではないんですけれども、まさに石橋湛山も提起したような、防衛そのもの、防衛産業あるいは防衛費そのものは経済への投資効果というものは極めて少ない、こういう現在にも通用する指摘もあるものですから、余りの規模になるほど、軍産複合体ができてしまうほど、やはりスピンオフというものあるいは防衛産業といったものに過大な期待をしてしまってはいけないのではないかと思います。
一方で、振り返れば未来という言葉もありますけれども、日本が最も経済的に、あるいは技術面でも世界のトップクラスだった一九八〇年代、まさに齋藤大臣が経産省で大活躍を職員さんとしてされていた時代には、スピンオフを期待する声というのは余り聞かれなかった。むしろ、民生技術として開発した技術が、結果としてですけれども、軍民両用技術として米国の防衛産業からも欲しがられるような、そういう事態が発生していました。
TDKが開発した電磁波を吸収する素材技術がステルス戦闘機の性能向上に大きな役割を果たしたりとか、一九八九年にアメリカの国防総省がアメリカの上院に提出をした中核技術計画では、ガリウムヒ素、光ファイバー、バイオテクノロジーでは日本は米国技術を凌駕している、マイクロエレクトロニクスとか機械知能、耐熱高強度軽量素材、超電導の四分野では米国と同レベルにある、これはアメリカの国防総省がそういうことを報告しているんですね。
こういった民間の技術といったものが軍民両用技術となって転用されるということをスピンオンと表現する学者もおります。民間の方が市場も広いということと競争も激しいということで、かえって技術が生まれるというような考え方なんですけれども。
日本は、明治以来、産業技術の国産化というものを志向してきまして、こういった明治以来の積み重ねといったことも、一時期、八〇年代、非常に日本のスピンオンが生まれるほどの技術力になったと思いますが、こういった技術の裾野を広げていくという発想、考え方の方がかえって高い技術が生まれるんじゃないか、こういう過去の八〇年代の日本にこそ、今後の日本の技術力の回復といったもののある意味の手本といったものがあるんじゃないかと思います。
こういった、平和戦略ともある意味軌を一にする技術開発と考えますが、この点について、スピンオンのこういった考え方についての大臣の御認識と、あわせて、裾野が広いというところで、中小企業さんや町工場さんが東大の研究室でも開発できないような技術を持っていた、こういうことがよく言われていましたけれども、ここが今、後継者がいなかったりとか廃業したりということがあるんですが、まさにこういう町工場のような零細企業さんへの支援も必要だと思いますけれども、この点についての大臣の御認識も併せて伺いたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、委員御指摘のように、スピンオンは日本の持ち味だと思っていますので、これは非常に重要だと思います。
一方で、私が勤務していた頃も、やはり、アメリカのスピンオフはなめてはいけない非常に大きな要素でありまして、アメリカは、その膨大な予算を投入して軍事技術を開発して、そして、その開発した人が今度は民間に出て、技術だけじゃなくて技術者まで民間に出て、それを活用して民生用のディベロップメントをしていくということでありましたので、これは非常になめてはいけないとずっと当時から思っていたわけであります。
ただ、日本がその道を追求すべきかというと、私は、必ずしもそうではないので、スピンオンで勝負をしていくんだろうというのは委員御指摘のとおりなんだろうと思っています。
今注意しなくちゃいけないのは、まさにGXとか半導体とかAIとか量子、こういった分野の技術革新が、かつてない、とてつもないスピードで進んでいるということにどうやって対応していくかということなんだろうと思っています。まずは、日本はこうした分野の研究開発、これは強化をしなくちゃいけませんし、その成果をやはり世界に先んじて社会実装していくというところに、私は、日本の将来の経済成長や産業競争力が懸かっているのではないかなというぐらい、技術変化の速度について思っているところであります。
ここから先は御案内のとおりのことばかりだと思うんですけれども、私が特に注意をしたいなと思っていますのは、御指摘のように、裾野を広げるという意味でいうとスタートアップ、このスタートアップの支援というものはこれから一つの大きな鍵になっていくのではないかなと思っていまして、革新的な技術等を基に起業する人材の発掘や育成、それから実用化に向けた研究開発から量産化までの実証の支援ですとかディープテックスタートアップへの支援強化というのが、まさにこういう技術革新が速い時代には重要なんだろうなというふうに思っていますし、委員御指摘のように、これが、もしかしたら地域の中小企業、中堅企業が実は持っているというようなこともありますので、寄り添い型の支援みたいなものも重要になってくるんだろうなと思っています。
こういった取組は、結果的に民生技術の防衛への転用を通じた総合的な防衛力強化にも貢献する場合もあるのではないかなというふうに思っているということであります。
○小山委員 私も認識を共有するところは多々ございまして、中小企業さんに対して、逆に海外の、ひょっとしたら日本にとって脅威となり得る国からの企業ごとの買収というようなものもあって、それを防ぐための外為法の改正などもこれまでも行われてきましたけれども、是非、日本で技術が残って、またこれが民生に活用されて、日本の経済、産業にも資するようになっていくように、また、ちょっと、今日は済みません、通告をしていたのに、あと五分ということで、そこまで質問が行けなくて申し訳ないですが、かつてのアメリカがある意味日本をモデルにして、日本株式会社と言われたような、これはちょっと今の産業政策とは違いますけれども、しかし、当時の通産省がかなり旗を振って日本の産業を育ててきた、官民一体となってやってきたところにはヒントになることも多いかと思いますので、是非、今の齋藤大臣の意欲で、この日本経済あるいは日本の産業の振興にまた取り組んでいただきたいと思います。
それと、内閣府にお尋ねしたいと思います。
今申し上げた経済安全保障のことについて、去年、経済安全保障関係の法案が初めて国会にも提出されましたけれども、このときには定義はないと。今までの外為法であったりエネルギー安全保障であったり食料安全保障であったりということで対応していないところをカバーするものだということで、情報とかサイバーとか、そういうことだったんですけれども、改めて、その後、国家安全保障戦略の中で少しこの経済安全保障についても言及する部分もあるんですが、現在の経済安全保障という言葉についての政府の定義、あるいは、この言葉の使用法というものが当時と変わっていたり、あるいは新たに定着してきたというものがあれば、そこをお尋ねしたいと思います。
○高村政府参考人 お答えします。
御指摘のとおり、経済安全保障は多岐にわたる課題でありまして、我が国を含め、主要国において確立した定義があるとは承知しておりません。
その上で申し上げれば、令和四年十二月に閣議決定した国家安全保障戦略においては、「我が国の平和と安全や経済的な繁栄等の国益を経済上の措置を講じ確保することが経済安全保障であり、経済的手段を通じた様々な脅威が存在していることを踏まえ、我が国の自律性の向上、技術等に関する我が国の優位性、不可欠性の確保等に向けた必要な経済施策に関する考え方を整理し、総合的、効果的かつ集中的に措置を講じていく。」という記載がございます。
この方針に沿って、必要な体制を強化し、同盟国、同志国等との連携を図りつつ、また民間とも協調しながら、必要な取組を進めているところでございます。
○小山委員 なかなか、言葉が躍っているようなところがありまして、みんな経済安全保障と言いやすいものですから話しているんですけれども、お互いに話している言葉の中身が違うことを言っているんじゃないかと思うようなこともあって、そういった意味でも、是非これからもこの言葉を明確にしていっていただければということで、今質問させていただきました。
少し最後のところの質問をさせていただければと思うんですが、これは大臣に伺いたいんですが、冷戦後、とりわけWTOとか自由貿易体制のルールが是とされて、日本国内に対しても非関税障壁の撤廃などが求められて、前回のときの日米半導体協議もそうだったんですけれども、こういった自由貿易体制のルールというところにのっとって、郵政民営化などもこういった文脈の中で要求されてきたのかなと思っていますが、今では、そうではなくて、安全保障上の必要といいつつも米中が互いに鉄鋼などに関税をかけ合うなど、WTOが理想とした世界経済の状態とは乖離しているんじゃないか。
まさに、今の経済安全保障という言葉に象徴されるような、国家間の経済、技術競争の要素が強まった、国産化を志向するような時代に入っているようにも思いますけれども、この自由貿易体制の変容について、最後に大臣の認識を伺いたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 極めて重要な御指摘だと思います。
過去三十年間にわたって、我が国を始め世界の多くの国々は、WTOの下で、ルールに基づく貿易秩序、これをつくり上げようという努力を積み上げてきました。しかしながら、地政学リスクですとか、一部の国の不公正な措置等の現在の自由貿易体制下で生じたゆがみ、これが各国の保護主義を助長をしてきておりまして、私は、グローバリゼーションは第二次世界大戦以降で最大の転機を迎えているのではないかなと認識をしています。
このような中で、パワーゲーム、私の言葉では弱肉強食に陥らないルールベースの貿易秩序を守るということはこれまで以上に重要になってきていますので、WTOの普遍的な重要性は疑いのないものでありますので、私は、我が国としては、引き続き、WTO体制の維持と改革推進、これに取り組んでいかなくてはいけないと思っていますが、一方で、経済安全保障上の要請やクリーンエネルギーへの移行によって、各国において産業政策を行う必要性が高まってきていまして、それらが保護主義的な動きにつながっていくということを抑制をしていかなくてはいけないとも思っています。
したがって、産業政策面での協調というものも同時にやっていかなくてはいけない時代に入ってきているんだろうと思っていまして、先日の訪米においても、商務省レモンド長官やポデスタ大統領上級補佐官との間で、こうした問題意識に基づく政策協調の方向性についても議論をしてきたということであります。
引き続き、各国との産業政策の協調やそのためのルール作りを通じて、時代に即した新たな形の、ルールに基づく国際経済秩序の形成に力を尽くしていかなくてはいけない、大事な局面なんだろうと思っています。
○小山委員 自由貿易のルールを守りつつも、また産業の各国の競争もある、また、経済的相互依存の関係も、それぞれの国で他の国との関係も違いますので、非常に難しい時代だと思いますが、是非これからも今答弁いただいたようなことでまた御活躍いただければと思います。
以上で終わります。
○岡本委員長 次に、近藤和也さん。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。今日はよろしくお願いいたします。
能登半島地震が発災から今で百七日目になります。齋藤大臣始め経済産業省の皆様にも、被災地に入っていただき、様々な形で御支援をいただいていますこと、心から感謝を申し上げます。
質問に入らせていただく前に、私はこの委員会では今年に入って初めてということでございますので、被災地の現状を少しお話しさせていただいて、そういう背景があるからこういう質問をするんだということを受け止めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
現在、能登を中心としたこの被災地では、復興という面では、実際には、心の復興の面、気持ちが前向きになってきている、そういった方もいらっしゃいます。物理的には、なかなかこの復興というところにはまだいっていない、復旧さえもまだままならない、そういった方々もいらっしゃいます。
分かりやすい例でいけば、まず一つが道路です。道路は、町と町同士はある程度は行けるようにはなりましたが、道がまだがたがたのところがあります。応急復旧をしても、一月たって、二月たって、またがたがたという道が幾つもございます。ですから、例えば今能登空港で、来ていただいて、能登空港から珠洲市に行く間は、ジュースやコーヒーを買うときには、蓋がついていないと、もしくはペットボトルでないとお勧めできません。こぼれるからです。
そしてまた、水という状況においては、珠洲市、一番先の、人口が一万二千人の市なんですけれども、まだ八割程度のおうちに水が来ていません。三日や十日ならいざ知らず、百日間水がない生活というのは、恐らく皆さんも想像がつかないと思います。普通の生活だけではなくて、これは事業者にとってみても、水が来なければ、例えば家が無事であっても会社が無事であっても商売を始めることができないということでございますので、この復旧復興という点では、かなりまだら模様。
この珠洲市の中でも、飲食店を開いているところもあるんです。全部が全部遅いというわけではないんですけれども、あとは、やはり下を向いてばかりいられないですから、元気を出していこうということで、桜もちょうど咲いている時期でもありますので、元気にイベントをやっていただいていますが、実際には、なかなか足下のところでは、自分の生活を前向きに、まだ第一歩が進めることができていないというところがあることを御理解いただければと思います。
そして、能登だけではなくて、金沢に一番近い内灘町というところは液状化が大変厳しいです。実は、私は一月の閉会中審査のときにもこの内灘町の事業者のことを取り上げさせていただいて、当時はグループ補助金という言い方でしていましたが、グループ補助金、四分の三出ます、前向きにやっていきましょうと、その事業者の方もおっしゃっていました。
先週、この事業者と商工会の方との打合せにも私も参加をさせていただきましたが、実際には、まだなりわい補助金の申請には至っていません。なぜかといいますと、液状化で地面がそのままずれている、その場所で建物を、事業を再開してもいいかどうかがまだ判断がつかない、そして、境界そのものがずれているわけなので、周りの方々との話合いもしていかなくてはいけない。
もう図面は描いています。一月のときから、一日でも早く商売を再開しようという気持ちがあっても、そして、なりわい補助金、こういういい制度もしっかりと準備をしていただいても、まだ一歩を踏み出していない。もしも事業をその場所で再開することが大丈夫ですよとなっても、恐らくはあと半年ぐらいはかかるということで、年内に商売を再開できるかどうか、これが現状でございます。ですから、ありとあらゆる制度で準備をしたとしても、現実的な第一歩を踏み出すには相当時間がかかる、今、これが被災地の現状でございます。
ということで、今少し概要をお話しさせていただきましたが、まずは電気のことについてお話をさせていただきたいと思います。
この内灘町から能登の中部に至るところまでは、特に繊維業が盛んでございます。ちなみに、私の近所の繊維業は、この地震で破綻をいたしました。大変悲しい現状でございますが、この繊維業は二十四時間稼働いたしますので、電気をかなり使います。
この事業者から伺ったお話なんですが、この事業者も、例えば一月からもう工場を再開させているところもあれば、水が来ないから再開が遅れているというところもある。従業員が避難をしているから事業の再開が遅れているというところもあれば、自分の商売の相手が、次がまだ動いていないから事業を再開できていないということで、一月に再開できているところもあれば、まだ再開できていないところもありますし、その稼働割合を落とさざるを得ないという事業者もいらっしゃいます。かなり千差万別と言ってもいいです。そして、その方から、電気代が、今、この四月、五月、六月の段階で、再エネの賦課金が上げられる、そしてさらには、経済対策の中で、物価高対策の中で、電気・ガス価格緩和対策、これも切れるということで、しんどいという声をかなりいただいております。
そして、その中で、例えばですけれども、電力料金の賦課金減免措置がございます。これはコロナのときにもこの委員会で質問させていただいたんですけれども、百万キロワットを使うかどうかというところが一つのラインになります。
石川県内の特に内灘町から北、能登全域に至るまでの事業者さんで、この減免制度の対象、受けている企業を調べましたら、やはり百万キロワット台の会社だけでも十社近くあるんですね。ぎりぎり、何らかの理由で事業を、例えば八割だとか五割しかできないというときには、この減免措置が受けられないということになってしまいます。
そこで、大臣にお願いをしたいのですが、電気料金全般を、被災地対応ということで、上げないでいただきたい、何らかの支援をしていただきたいということが一つあるんですけれども、せめてこの賦課金の減免措置について、この一月以降の基準ではなくて、以前の基準のままで、例えば、今年の使用量が九十万キロワットアワー、八十万キロワットアワーであったとしても、同じように支援を受けられるように検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、珠洲において、一万二千人人口がいる中で、八割が断水だとか、それから、内灘町で液状化で前進ができないですとか、道路ががたがたですとか、委員のお話を伺いながら、まだまだ道半ばも行っていないのかなというふうに改めて思いました。
その中で、一つだけ言及したいのは、この間の日米首脳会談におきまして総理からバイデン大統領にプレゼントしたのが輪島塗のカップでありまして、大統領と大統領の奥さんの名前を入れて、被災地で、被災しながら作っていただきまして、それを大統領にお渡しするということで、多少なりともPRにつながればよかったなというふうに思っています。
電力料金のお話ですが、結論を申し上げますと、なかなか難しいんですけれども、FIT、FIP制度に伴う費用というのは、再エネ賦課金を御案内のように電気代に上乗せをするという形で、一般家庭や中小企業の方々を含めて全ての電気利用者に公平に負担をしていただくという大原則があります。
その中で減免をしているのは、国民負担の公平性と、一方で国際競争力の維持強化というものもあるので、その双方のバランスが必要だろうということで、FIT、FIP制度における例外として、国会の審議を経て措置をされている、そういう制度になっています。
この制度は、大量の電力を使用する事業者において多額の賦課金負担が生じるということなので、その負担を軽減をしようというものであります。そうした観点から、対象の事業者につきましては、国会での審議、議論を経て、法律上、年間の電気使用量が一定量を超える者、つまり負担の大きい者ということで決められているわけでありますので、引き続き、再エネ特措法に基づいて、負担の大きい方への減免制度ということを適切に執行していくということが我々の義務としてあるということなんですね。したがって、今直ちに、負担がそれほど大きくないからというところを手をつけられるかというと、なかなか現時点では難しいかなというふうに思っています。
ただ、能登半島地震で被災した中小企業、小規模事業者の支援については、委員御指摘のように、なりわい再建に向けた支援など、様々な支援に取り組んでいきますので、被災事業者の実情に寄り添いながら、何ができるかということをやはり考えていくということだろうと思っています。
○近藤(和)委員 賦課金減免については、これは、時期を、以前の適用した時期にそのままで据え置くということは可能だと思うのですが、いかがでしょうか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
再エネ特措法の制度は、今大臣から御説明あったとおりでございますけれども、対象事業者については、国会での審議、議論を踏まえまして、法律上、年間の電気使用量が一定量を超える者とされていて、今、政令では、議員御指摘のとおり、年間百万キロワットアワー超という形で制度化されております。
様々な御事情があるということは我々としても重々考えていく必要があるとは思っておりますけれども、制度としては、今までの国会審議を踏まえて今の点、設定されておりますので、御指摘のとおり措置することは、現状ではなかなか難しいというふうに考えております。
○近藤(和)委員 適用の時期をずらすことができないということであれば、例えば百一万キロワットアワー使っていた事業者が、何らかの理由で九十九万キロワットアワーだったら対象外という。九十九万キロワットアワーであれば、大量の電気を使用しているということにならないということなんでしょうか。
これは、法律を変えなきゃいけないということで、何もできないということなのであれば、そういった事業者の方がいらっしゃるということは是非とも大臣には受け止めていただきたいと思いますし、なりわい補助金はなりわい補助金です。電気料金とは直接には関係ありません。電気料金が一番高い水準から比べれば、まだその域には行っていないという見方はされるかもしれないですけれども、少なくとも、コロナがあって、物価高があって、地震があってですから、事業者の方々の責任ではありませんので、こちらの賦課金のところができないのであれば、違う形での支援をしっかりとしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
なりわい補助金について質問いたします。
一次の申込みが終わりました。六件の採択ということだったと思いますけれども、何件の申込みがあって六件になったのか、そして、この数字についての認識を伺います。
○齋藤(健)国務大臣 なりわい補助金ですけれども、これは、被災された方を勇気づけて、復旧復興に向けて立ち上がっていただくべく準備をしたものでありまして、事業に不可欠な施設設備の復旧、これを支援するものであります。
被災地域の復旧復興に当たりましては、まず重要となるのは、まずは生活の再建であり、インフラの立ち上がりだと思っています。
そういう状況の中で第一次公募を行ったわけでありまして、その結果は、御質問ありましたが、石川県で、申請二十七件で交付決定が六件ということでありました。
これは、まだまだライフラインの確保そのものが引き続き課題となる中においても、地域の復旧復興を牽引すべく立ち上がってこられた被災者の皆様によるものでありまして、現時点において、こういう状況でありますので、決してこの件数が少ないとは思っておりません。
県と連携して実施した合計三十五回の政府支援についての説明会におきまして、これまで延べ約四千七百人の参加がありました。現在、補助金申請に向けた具体的な相談が増加してきておりまして、全国の商工会、商工会議所の経営指導員や専門家の応援派遣を得ながら、個別の申請のサポートも今行っています。
第一次公募において交付決定まで至らなかった二十一件がございますが、これは期日までに必要な申請書類が整わなかったという事情がありました。石川県では、二次公募の申請受付を四月一日よりもう開始をしておりますので、現在、これらの案件についても、再申請に向けて個別にサポートを行わせていただいているという状況であります。
なお、過去の大規模災害の際を振り返ってみましても、なりわい補助金の申請件数は、やはり公募開始から一定期間経過後、生活再建やインフラの立ち上がりとともに増えてくるという傾向があります。
今後も、被災地の動向を注視しながら、引き続き、被災事業者に寄り添った支援、これをしっかり進めていきたいと考えています。
○近藤(和)委員 絶対数そのものは私もこれからだというふうに思っていますが、この二十一件の不採択はやはり相当気になっています。やはり、申請者にとってみてはショックです。地震でしんどい思いをして、そして手続で面倒くさい思いをして、ようやくたどり着いたのに不採択となったらがっくりきますから、手続上の何らかの告知が少し至らなかったのか、期間も含めて、手続の簡素化も含めて、できる限り寄り添っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
そして、なりわい補助金については、上限額十五億、これについて、やはり私の地域からは、そろそろ引き上げてくれないと困るという声を伺っています。複数の事業所を持たれる方、そして、特に和倉温泉、皆様も行かれた方も多いかと思いますが、旅館一つ一つがかなり大きくて、一つだけの旅館であればこの十五億で間に合うのかなというふうには思いますけれども、複数所有の事業者の方もいらっしゃいます。
これは能登に限らず、今後のことを考えてみても、和倉温泉だけではなくて、違うところにも旅館をお持ちの方が例えばいらっしゃって、南海トラフのような形でもし広域で地震があったときに、この事業者の方が、あっちもこっちも直したいけれども、ここしか直せない、こちらは地域の復興のためにはなりわい補助金はいいですけれども、こちらは上限額にもういっていて諦めて、この地域での復興ができないということは十分想定されます。
それで、この十五億ということに関しては、一番最初、グループ補助金ができたときから変わっていないんですよね。
資料の一を御覧いただければと思います。これは建設資材物価指数でして、一般財団法人の建築物価調査会の作られた資料です。「(東京)」となっていますが、全国の数字もほとんど変わりませんので、こちらを使わせていただいていますが、熊本地震がありましたのは二〇一六年ですが、二〇一五年からのチャートで三割から四割建設資材が上がっているということでございます。これだけ上がっている中で、上限額が全く変わっていない。
本来であれば、小規模事業者持続化補助金についても同じことが言えるんですが、例えば被災者生活再建支援金、今回、三百万円から、別の交付金をつけて実質六百万円まで、倍増に近い形で支援をしていただくことになりました。そして、例えば災害救助法の基準額、支援をしていく、避難所一人当たり幾らまで出すという支援額についても、こちらも適時見直しが行われています。
なりわい補助金については、この上限額がもう十年以上変わっていない。一方で、建設資材はこの十年の中でもう三割から四割上がっていく。被災地支援ということも含めて、そろそろ見直す、今回で見直していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 御指摘のグループ補助金やなりわい補助金の補助上限額は、御指摘のように、一事業者当たり最大十五億円というふうになっておりますが、これは、大規模災害時の特例な措置として、平時の中小企業向け補助金と比較して極めて高い金額になっていることと、実際に、経済統計を見ても、ほとんどの中小企業の対象資産がカバーされる水準となっている、現状においても。
その上で、極めて規模の大きい中小企業に対しても、まずはしっかりと耳を傾けた上で、なりわい補助金だけではなく、金融支援や他省庁、自治体の支援施策も組み合わせた上で、どういった対応が考えられるのか、これは寄り添いながら適切に支援を進めていきたいと考えています。
そうした中で、被災地域の復旧復興の促進のため重要ななりわい補助金、これをどのような形で活用いただくのが最も効果的か。
個別具体的な事情も様々あろうかと思います。補助金の実施主体である県や関係者と相談しながら、引き続き適切に対応してまいりたいということなんですが、例えば、私も和倉温泉を視察をさせていただきましたが、和倉温泉につきましては、経済産業省から専属職員を派遣をさせていただいておりまして、今、事業者の声に耳を傾けながら、きめ細かく、ハンズオン支援をどういうふうにやっていくかということもやらせていただいておりますので、そういった中で適切な答えを出していきたいというふうに考えています。
○近藤(和)委員 この適切な答えというのが、前向きな答弁なのか、それともゼロ回答なのか、何とも。私とすれば、何とか前向きな答弁だというふうに受け止めたいと思います。
やはり、想像していただければと思いますが、和倉温泉で、輪島もそうなんですけれども、二つ三つあった旅館、建物が一つしかもう直らないということであれば、それだけでも、空間ができますから、物理的な穴、心理的な穴、本当に大きなものがあります。元々は、グループ補助金そのものが、日本の今までの、個人の財産権に介入すべきではないといった常識を打ち破ったものだと思いますので、経済産業省こそが柔軟な、無から有を生み出す省庁だと思いますし、齋藤大臣はその象徴的な人だというふうに私は思いますので、何とか、検討するということが前向きな検討であることを期待をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
そして、今回のこのなりわい補助金についてなんですけれども、建物を壊さなければいけない、壊して建て直さなければいけないという公費解体のこの基準について、今、被災者生活再建支援法のところから、幾ら支援金が来るか来ないかといったところ、そして、罹災証明の段階によって、普通であれば中規模半壊以上がこの公費解体の対象になるんですが、今回は激甚ということで半壊以上なんですね。基準が変わっています。
このなりわい補助金については、大規模半壊以上が公費解体の基準ということで、これも動かしていく必要があるのではないかな、半壊以上を公費解体の水準にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 なりわい補助金は、被災地域の復旧復興の促進に向けて、被災中小・小規模の事業に不可欠な施設設備の復旧を支援をさせていただくものでありまして、施設設備の復旧に当たり、半壊など修繕による対応が可能な場合は、原則、修繕による対応を行うということになっています。
ただし、半壊の場合でありましても、修繕による原状回復に必要な金額を上限に建て替えを認めるという制度になっておりまして、そこは柔軟に対応させていただいているというところであります。
引き続き、まだまだ被災事業者の声をしっかり聞き続けるということも大事だと思っていますので、寄り添いながら、いい知恵を出していくということだと思います。
先ほど、私の答弁が前向きなのか後ろ向きなのか分からないという話がありましたけれども、経産省の職員を現地に派遣してまで寄り添ってやっているわけでありますので、これは前向き以外の何物でもないというふうに考えていただければと思います。
○近藤(和)委員 改めて、前向きだという御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。
この半壊以上の公費解体については、やはり現地では、皆さん、何で大規模半壊以上なんだという声がかなりございますので、建て替えの費用の方が安いということであれば公費解体の対象なんだよということはしっかりと告知をしていただけたらというふうに思います。
それでは、二重債務問題についてのファンドについて伺います。
今回、能登半島地震復興支援ファンドがつくられますけれども、対象地域が三市三町です。これはなぜかということは強い憤りを感じています。現状でも、被災者生活再建支援金と類似のもので、その上乗せ部分に関しての新しい交付金、これは厚労省なんですけれども、その範囲も三市三町だけなんですね。
地図を、資料の二を見ていただきたいと思いますが、この三市三町というのは、七尾市、志賀町から北の地域になります。そして、ほかの地域はこの対象から外れる。新しい交付金については、これは高齢化率云々ということも含めての言い訳を厚労省がしていますが、じゃ、隣の羽咋市、中能登町はどうなのか、そして内灘町はどうなのかということを考えてみれば、差をつけることには、全くこれは理解できません。
左下の写真は、これは内灘町の液状化の状況です。右上の写真は津幡町。余り報道はされていませんけれども、崖が崩れる、ガレージがそのまま崩れてしまっている。ほとんど報道されていない地域ではございますが、大変大きな被害が出ています。
そして、今回のなりわい補助金についての六者の採択でございますが、御覧いただいていますように、四者については南の方なんですね。なりわい補助金は、三市三町という線引きは一切していません。そして、例えば、今回の復興ファンドについては、熊本地震などのとき、また豪雨災害のときも含めて、その地域全域を、都道府県をカバーしていたはずです。
今回、この三市三町で線引きをすることは、これは被災地の声としておかしいと、そして今からでも改善をしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 この復興支援ファンドにつきましては三市三町が支援対象となっていますが、熊本地震の際に組成されたファンド、これは十年間よりも長い十五年間を存続期間としているというところもあります。また、支援対象地域である七尾市に中小・小規模事業者の相談窓口となる能登産業復興相談センターを設置し、きめ細かく支援をしていくこととしています。
他方で、三市三町以外の石川県の被災中小企業に対しましても、二〇二〇年に中小企業基盤整備機構が石川県内の金融機関とともに設立をしたいしかわ中小企業第三号再生ファンドにより、復興支援をさせていただくということにいたしております。
このファンドは、能登地震復興支援ファンドと同様に、債権買取りを通じた既存債務の減免を行うファンドでありまして、金沢市に設置している石川県中小企業活性化協議会において支援についての御相談を受付をさせていただいているということであります。
このファンドを活用しながら、三市三町以外の被災事業者の方々にも寄り添って支援をさせていただきたいというふうに考えています。
○近藤(和)委員 時間が参りましたが、住む地域によって支援の差が生まれるというのは、被害が出ているのは一緒ですから、これはあしき前例にならないように、これは法律のことではないと思いますので、是非ともこの部分については、まだ時間があります、改善をしていただくことを願いまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、山崎誠さん。
○山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。いつもお世話になります。
今日は、前回に引き続きまして、エネルギー政策、また議論させていただこうと思います。
齋藤大臣、訪米お疲れさまでございました。激務の中で、こうした委員会対応も本当にお疲れだと思いますけれども、是非前向きな議論ができればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
まず、前回に続けてなのでありますけれども、二〇五〇年のエネルギーミックスに向けてどういう議論を積み重ねていくべきかということで、質問をさせていただこうと思います。
前回法律が通りました水素社会推進法案、我々も賛成させていただきましたが、その中で、利用促進のために十五年の値差支援というのがこれから決められていく、その後十年間は事業継続がうたわれるということで聞いております。そうなりますと、大臣、この水素については、この先二十五年間、ある意味、道行きを決めるということになるわけですよね。
大臣とこの間議論していた中で、二〇五〇年のミックスというのは決められない、難しいということをおっしゃっていたと思うんですが、その難しい中で、水素については二〇五〇年までの道行きをこの法案に基づいて決めていくということについては、私はすごく違和感があるんです。
もちろん、二〇五〇年、将来がどういうふうに動くかというのは非常に難しい問題だというのは私も共有しているんですけれども、であるならば、例えば水素についても柔軟にいろいろな施策が展開されなければいけない。この法案で、これから計画が提出されて、認定されて、支援が始まると、二十五年ですから、例えばアンモニア混焼のようなプロジェクトも恐らくその中に入ってくるのではないかというふうに思います。
二〇五〇年までここでピン留めするということについては、大臣、どのようにお考えですか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
水素社会推進法に基づきまして、御指摘いただきました、支援を進めていくということでございますが、二〇一七年当時に水素基本戦略を作りまして、その時点、二〇五〇年に水素換算二千万トンを目指すというところが決められております。
他方、その後、この法律が仮に参議院での御審議を踏まえて成立した暁には、この法案の効果も踏まえて、二〇五〇年、どういう形で水素、アンモニアなどを考えていくかということは検証していく必要がある、かように考えてございます。
○山崎(誠)委員 これは、途中の方針転換などもあり得るということでよろしいでしょうか。
私が心配しているのは、この段階で、今この計画を作ってピン留めをしたら、それは二十五年スパンで事業をやっていかなきゃいけない、逆に言うと。補助も受けるんだから二十五年やらなければいけない。事情変更が非常にしにくい、日本の典型的な、一旦始まると方向転換ができない、ブレーキがかからない、やめられない、そういう事業になってしまうんじゃないか、そういう懸念なんですけれども、どうですか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
値差支援に基づいて、議員御指摘のとおり、十五年、十年と認定されれば、そうした支援を行っていくことになります。
ただ、これから法律ができた暁には、夏めどに施行させていただいて、具体の計画を拝見していくという段取りになります。そういう中で、一体どれだけの量になるかというのは、今後検証していきたいというふうに考えております。
○山崎(誠)委員 是非、計画を、これから、これまでもいろいろ議論してきた、水素はどうあるべきか、低炭素水素をどう使っていくべきかというその方向を見誤らないように、慎重にやってください、これは。是非お願いします。
次のポイントは、再生可能エネルギーなんです。この後議論しますけれども、水素はこうやって道行きをかなり決めて、応援のスキームも決めてやっていく中で、再生可能エネルギーはどうなんだろうと。もっと積極的に導入の目標も決めて、それぞれの発電方法についての詳細な分析をして、決めていくべきだと思うんですよ。
例えば、再生可能エネルギーの導入ポテンシャル、これはこの間も資料を出したので資料一を見ていただきたいんですけれども、電力供給総量の二倍ぐらいのポテンシャルがあるという調査が出ています。この数字は、ゾーニングなども行って、あるいは事業化の可能性なども検討して、エリアを絞って出した数字だから、一定の根拠のある数字ですよ。
大臣、このポテンシャルについての受け止め、お聞かせいただけますか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、先ほど委員の御指摘の、二〇五〇年はまだなかなか先が見通せないので柔軟性というものが必要だという点については、私も全く同感であります。
その上で、再生可能エネルギーの件につきましては、これも前回もお話し申し上げましたけれども、地域との共生、これは当然前提になりますが、最大限導入していくというのがもう政府の基本方針だということは、繰り返し申し上げているところであります。
それで、FIT制度を導入した後、電源構成に占める再エネ比率は、震災前の約一〇%から、二〇二二年度には二〇%まで倍増してきておりますし、太陽光発電につきましては、もうこれも繰り返し申し上げていますが、平地面積当たりで主要国で最大級の導入という、そういう現実になってきているということであります。
一方で、田嶋委員からも御質問いただいていますが、再エネ導入の拡大に伴って、地域との共生上の課題というものも顕在化をしてきているということであります。
御指摘の、再エネの今後、目標、ポテンシャル、環境省も調査をしていますけれども、これは国土面積等から機械的に算出しています。自治体や農業、漁業関係者、地域住民との共生ですとか系統の制約など、再エネ拡大を図る上で不可欠な要素というのは考慮されていないので、我々としては、これは考慮せざるを得ないということであります。
こうした中で、経産省としては、再エネの導入に向けて、壁面など従来設置が困難な場所にも設置を可能とするペロブスカイト等の次世代太陽電池の技術開発や早期実用化、これがどこまで前進できるか、それから、浮体式洋上風力発電の技術開発や排他的経済水域での導入、そこまで可能とする制度を整備していきたいと思っていますし、あるいは、北海道―本州間の海底直流送電線の整備をして再生可能エネルギーの有効活用ができるようにということで、今最大限の努力をしているところでありますので、そこは御理解をいただきたいなというふうに思っています。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
努力していただいているのは結構なのでありますけれども、それがきちっと二〇五〇年につながらなきゃ意味がないと私は思います。
環境省さん、私は、再生可能エネルギー情報提供システムというのを立ち上げていただいて、REPOSというのを見ました。
今大臣がおっしゃったのは、ちょっと私は環境省としては納得いかないんじゃないかと思いますよ。というのは、例えば太陽光発電であれば、建物系、土地系と分けて、建物の種類ごとに、公共施設だとか、細かく分析をして、地図上に落として、そしてポテンシャルが分かるようにしているんですよ。地域の合意形成にも役立つような、そういうデータベースを作って提供しています。これは本当によくできていると私は思いますよ。決して、今言ったような、面積をどうの、考慮してという、そういう単純なものじゃないです。
建物の屋根などもきちっと計算をしながらやっている、こういうシステムがあるんですけれども、経産省、このシステムをどういうふうに活用していますか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
環境省さんの再エネポテンシャル調査、委員御指摘のとおりだと思いますが、一方で、環境省さんが公表されている資料にも、大臣から御指摘いただいているような点は考慮されていないと記載されております。
いずれにしましても、各省連携しながら、こうしたものも活用しながら検討を進めているところでございます。
○山崎(誠)委員 どう活用しているか、もう少し具体的に教えてください。どう活用していますか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
今までも再エネの、大臣からもお答えしているとおり、最大限取り組んできているわけでございますが、さらに、どのような対策を講じていくと導入可能量が高まるのかというところは、環境省さんのデータ、あるいは環境省さんとの意見交換も踏まえながら最適な取組を検討している、そういう形で具体的に活用させていただいております。
○山崎(誠)委員 じゃ、ちょっと質問が飛びますけれども、三番のところに、太陽光発電という項目で、屋根置き太陽光発電の普及状況と課題というのをお聞きしようと思っていました。
屋根置きの太陽光発電の設備容量というのは今どうなっていて、目標値はどういうふうに設定していますか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
屋根置き太陽光については、二〇一二年にFIT制度が創設されて以降、住宅の屋根に設置されたFIT導入量は、二〇二三年三月末現在で約一千万キロワット、約二百万件でございまして、導入の進展が見られるというふうに考えてございます。
一方で、二〇三〇年には更なる高みを目指していくという目標を掲げておりますので、これに向けて様々な取組を進めているというところでございます。
○山崎(誠)委員 更なる高みという文学的な表現で逃げないでくださいよ。導入目標、屋根置きの太陽光の導入目標は幾つですか。設定しているのか、設定していないのか。なぜ設定していないんですか。
環境省のデータベースを見てくださいよ。屋根の、公共施設から住宅の屋根から細かく分類して、ポテンシャルが出ていますよ。そのポテンシャルをベースにしたら、導入目標を入れることはできないですか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
現在のエネルギーミックスでは、二〇三〇年に新築住宅六割への太陽光発電の導入を目指し、三・五ギガワットの導入目標を掲げて取り組んでいるところでございます。
○山崎(誠)委員 公共施設はどうですか。今の公共施設、建物、住宅、どういう分類にしているんですか。
○井上(博)政府参考人 ただいま、それぞれの内訳のデータを、私、手持ちに持っておりませんけれども、先ほど御質問いただきました環境省さんの調査結果なども踏まえながら、二〇三〇年のこの目標は設定してきている経緯がございます。
○山崎(誠)委員 環境省のデータなどを参照してと言っています。じゃ、ほかは何を参照しているんですか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
公共建築物の導入については、環境省さんと特に連携してやっておりますが、例えば国土交通省さん、あるいはその他の省庁についても御検討いただいておりまして、公共建築物についてはこうしたデータを基に検討しております。
また、民間事業者についても、それぞれの実態状況をFIT制度をベースにデータを取っておりますので、それを踏まえて検討してきているというところでございます。
○山崎(誠)委員 では、次、お聞きします。ソーラーシェアリング。
農水省さんに来ていただいています。ソーラーシェアリングの導入状況を教えてください。
○鈴木副大臣 御質問ありがとうございます。
営農型太陽光発電の実績ということでありますが、制度を開始をした平成二十五年度から令和三年度末までに、全国で四千三百四十九件、千七・四ヘクタールについて農地転用の許可が行われたところであります。
なお、設備容量など、転用の許可の判断に関わらない発電に関するデータについては、農林水産省としては把握をしていません。(山崎(誠)委員「経産省、ソーラーシェアリングの……」と呼ぶ)
○岡本委員長 山崎さん、申し上げます。委員長の指名の後に御発言をお願いいたします。
山崎さん。
○山崎(誠)委員 経産省、農水省から今お話がありましたが、ソーラーシェアリング、営農型太陽光発電のポテンシャル、目標をどういうふうに考えていますか。
○井上(博)政府参考人 営農型の太陽光発電も大変重要な取組だというふうに考えてございまして、これまでFIT、FIP制度の執行において把握しているデータに基づきますと、二〇二〇年度から二〇二二年度までの三年間だけで、再エネ特措法に基づき導入された営農型太陽光発電は、約三万キロワット、五百七十件という形で増えてきているところでございます。
○山崎(誠)委員 ちょっともう一回聞きます。全体で、今、設備容量は幾らになりましたか。年間、例えば、これは数字が今、令和三年までしか出ていませんけれども、令和三年でどれだけ増えましたか、どれだけのソーラーシェアリングが増えましたか。設備容量で答えてください。
これは、私、これまで何度も質問してきたんですよ。農水省さんは農地の転用の件数で答えるんだよ。経産省さんは、ソーラーシェアリングというカテゴリーで分析していないから、数字を持っていないんですよ。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
再エネ特措法での営農型太陽光発電の認定と導入量でございますけれども、まず、認定につきましては、二〇二〇年度、議員御指摘の設備容量で申し上げると十六・九万キロワット、三千五百七十件。導入につきましては、二〇二〇年度、容量一万六千三百九十九キロワット、三百三十一件。二〇二一年度、二〇二二年度につきましても同様の数値を取ってございます。
○山崎(誠)委員 同様の数値ってどういうことですか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二一年度については、認定について、設備容量二十・九万キロワット、件数四千百五十二件、導入は、一万二千九百七十三キロワット、件数二百二十一件、二〇二二年度は、認定容量が五・八万キロワット、件数が九百八十九件、導入が、容量七百七十五キロワット、件数十八件という形になっておりまして、これを足し上げた数字が先ほど申し上げた導入量となっております。
○山崎(誠)委員 私、レクのときにはもらえなかったので、後でデータをちゃんと出してもらいますけれども、どんどん減っていませんか、導入量、設備容量で。件数は増えているかもしれないけれども、設備容量ベースじゃ、どんどん減っているんじゃない。
経産省さん、このソーラーシェアリング、営農型太陽光発電について、目標は設定しないんですか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
現状において、営農型太陽光発電の導入目標は設定しておりません。
他方で、この取組が非常に重要であるという観点から、農水省さんを始め、関係省庁とも連携しまして、経産省といたしましても、FIT制度の地域活用要件における低圧太陽光発電の自家消費要件の特例の設定であるとか、営農型太陽光発電等の設計施工に関するガイドラインの策定であるとか、FIT制度を活用せず需要家との長期契約により太陽光発電を導入する場合の補助金による支援など、とにかく地域と共生することが重要でございますので、地域と共生した営農型太陽光発電の導入拡大を図っているところでございます。
○山崎(誠)委員 でも、設備容量は減っているんですよ。導入が進んでいないのはどうしてですか。ねえ、どうしてですか。進んでいますか。増えているんですか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
我々としても導入拡大を図っていきたいということで取り組んでおりますが、一つの要因は、全て、それぞれ固有の事情がございますけれども、やはり地域における共生というところが大きな課題になっている。このため、この委員会でも御審議いただいて、昨年、事業規律強化の法律をお通しいただきまして、この四月一日から施行しているところでございます。
こうした地道な取組で、地域においてこうした太陽光発電の重要性もしっかり御説明をして地域共生を図っていくことが最速の道ではないか、かように考えてございます。
○山崎(誠)委員 地域共生は当然大事ですよ。だけれども、ソーラーシェアリングの目標も定まっていません、屋根置き太陽光の目標も定まっていません、内訳も分かりません、これでは戦略にならないんですよ。FITの認定数も落ちていますよね。今、この太陽光発電が、ある意味、止まっちゃってピンチなんですよ。そういう中で、これはこれから伸ばさなきゃいけないんですよ。
自民党の皆様は余り太陽光に興味がないみたいで笑っていますけれども、私は非常に危機感を持っています。(発言する者あり)じゃ、笑わないで聞いていてくださいよ、大事な議論なんだから。
私たちは、ソーラーシェアリング、これは専門家の皆さんと議論をして計算しました。導入目標です。いいですか、例えば、農地、耕作放棄地の三・五%、三・五%に設置をすると、ソーラーシェアリング、五千万キロワットの太陽光発電の容量が得られます。これは現時点の野立ての太陽光発電とほぼ同等の発電の設備になるんです。農地の、あるいは耕作放棄地の三・五%ですよ。一〇〇%じゃありません、三・五%で現在の野立ての発電容量に匹敵するんです。
例えば二〇五〇年、私の目標は、例えば九%。これは小さい数字ではありません、九%です。そうすれば、今の野立ての太陽光発電の倍の設置可能性があるんですよ。どうですか、これは目標を定めて、農水省さんと検討をして、支援して入れていったらどうですか。
私は、太陽光発電、先ほど大臣は、平地面積、最大入っていると言うけれども、これから、この後も議論できればと思うんですけれども、メガソーラーみたいな形で、環境を破壊しながら進めていくメガソーラーを終わりにしても、この農地の利用だとか屋根置き太陽光、これを進めれば、十分に太陽光発電で政府が掲げている目標よりも多くの発電が可能だと。これは目標と戦略がきちっと定まっていれば可能ですよ。
どうですか、今の目標設定について。まあ、これは我々の計算ですから、皆さん是非検証してもらいたいんですけれども、そういう計算ができるんだということです。
私は、今、メガソーラーについて一つお聞きをしたい。やはり環境破壊が続いている、これが実態だと思います。多くの皆さんは、逆に言うと、環境破壊してしまうので太陽光発電はけしからぬという声がいろいろなところから聞こえてくるわけであります。
これは法アセスの対象に令和二年からしていただいていますけれども、法アセスの対象になったメガソーラー事業というのはこれまで何件あったか、お答えいただけますか。
○朝日大臣政務官 お答え申し上げます。
アセス法の対象になったのは、委員御案内のとおり、令和二年からでございます。その対象は、四万キロワット以上のものを対象としておりまして、令和四年度までの間に審査を行った件数は全体で十三件となっており、全体容量で八十万キロワットとなっております。
○山崎(誠)委員 これは全体の太陽光発電導入のどのぐらいの割合ですか。分かりますか。
○朝日大臣政務官 令和二年度から令和四年度までの間に導入されました、十キロワット以上の太陽光発電事業の全体の容量のうちの、六・五%となっております。
○山崎(誠)委員 条例アセスが対象になるものもあると思うんですけれども、条例アセスの実態は把握できていますか。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
条例アセス全てについて把握をしているということはございません。条例アセスも、対象になるのは、面積要件であったり出力要件であったり、いろいろありまして、その全てをちょっとまだ把握し切れているということではございません。
○山崎(誠)委員 是非把握してくださいよ。
私は、本当に、太陽光発電をうまく進めていくためには、今お話ししているのは、いわゆる野立てのメガソーラーのようなもの、これはもういろいろな問題でブレーキがかかっていく、そういうステージになっていますよ。だから、これはある程度規制をしながら、環境アセスだとかをやりながら、やはり一定の良質なものに絞っていく、そういう戦略に切り替える、そして、ソーラーシェアリングだとか屋根置き太陽光のような、まだコストは少々高いけれども可能性がたくさん残っているところに支援をシフトしていく、そして、目標を定めて、きちっと業界や様々な関係者を応援をしてこれを入れていく、そういう流れをつくるべきだというふうに思うんですよ。
例えばFITですけれども、FITの議論もいろいろしたかったんですけれども、一定、FITの役割というのはできてきて、次のFITはどうなるのか。
例えば、ソーラーシェアリングだとか今お話ししたような屋根置きの太陽光だとか浮体式の洋上風力だとか、そういったところに支援を当てていくように、FITの価格のコントロールなんかをしなけりゃいけない。
もう時間がなくなったので、ペロブスカイトのお話はちょっとできないかもしれないんですけれども、例えば、ペロブスカイト型の太陽光電池を設置をして発電をすると、やはりまだコストが高い、そんな分析結果も出ていました。そうすると、そういったものについてはFITを特別に当てて、高めの価格で買い取ることで応援を続けるとか、今、そういう転換期なんじゃないかと思います。
支援の仕方についてお考えを聞かせていただけますか、今のソーラーシェアリング、屋根置き。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
まず、屋根置きの件でございますけれども、既に調達価格等算定委員会で委員御指摘のような御議論をいただいておりまして、二〇二三年度下半期から新たに区分を設け、屋根置きにつきましては地上設置より二割程度高い価格を設定し、導入を促進しているところでございます。
また、ペロブスカイトにつきましても、調達価格等算定委員会において、どうしたコストになるのかということを踏まえて、同様の新たな区分の検討について、御検討を開始いただいているところでございます。
○山崎(誠)委員 是非続けてください。
最後に、ペロブスカイト、御質問したかったんですけれども、日本の支援が十分に届いているかどうか、いい支援になっているかどうかというポイントで、今、中国とか韓国のすごい追い上げに遭っている。特に実用に向けては、いつものことなのでありますけれども、中国はすごい勢いで伸びています。特許でも日本は負けています。特許の中身が、中国の特許はそんなに質の高いものではないみたいなことを言いますけれども、じゃ、一つ一つ、一件一件、その特許の中身も検討したんですか。そういう思い込みというか、日本が勝てるんだみたいな思い込みで戦略を練っていると、また失敗しますよ。
大臣、ペロブスカイト、今、大変な追い込みで、厳しい状況になってきていると思いますけれども、最後に御所見をお聞きして、終わりにしたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 我々は決して思い込みでやっているつもりはありませんで、これは日本が持てるポテンシャルが高いと思っていますので、それを何とか実装化をしていこうということで努力をしているということは是非御理解いただきたいし、一緒に、一緒の思いでやっていただけたらありがたいなと思います。
現在は、グリーンイノベーション基金を活用しながら、研究開発から社会実装まで切れ目なく支援をしようということで、今後の社会実装に向けて、世界に引けを取らない投資の規模とスピードを実現をしていこうという気持ちでやっています。
このため、令和六年度予算でも、二〇三〇年を待たずに、早期に、ギガワット級の量産体制、これを構築すべく、サプライチェーンの構築を支援する予算を措置し、民間投資を強力に後押しをしていきたいというふうに考えています。
また、需要の創出も重要ですので、関係省庁と連携しながら、公共施設やビルなどの壁面、工場、倉庫、学校施設などの耐荷重性の低い建物の屋根とか鉄道ののり面ですとか、そういった公共インフラ、様々な分野への導入も進めていきたいと思っています。
今後は、量産技術の確立ですとか生産体制の整備ですとか需要の創出といった三位一体の取組が必要ですけれども、諸外国に先駆けて社会実装できるように、全力で取り組んでいきたいと思っています。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
私も、需要創造は絶対大事だと思いますよ。今、世界の市場を中国、韓国にやはり取られているでしょう。ここからペロブスカイトだけ世界に売り出すというのは私は至難の業だと思います。(齋藤(健)国務大臣「でも、やるんだ」と呼ぶ)それをやるんですよね。でもやるんだという、そういう強い決意を聞きました。そのための施策を、我々も応援しますので、一緒にやらせてください。よろしくお願いします。
終わります。
○岡本委員長 次に、荒井優さん。
○荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。
学校教育と人材育成について、この経産委員会で伺いたいと思います。
二〇一六年から二〇二一年までの約六年間、学校の校長をしていましたが、その期間中のときに、たしか二〇一八年だったと思いますが、経産省に教育に関する部署ができた、学校教育に関わる部署ができたというふうに思います。
当時、学校の現場からすると、学校にとっては文部科学省が基本的に向き合う場所、これは私立でもそうですが、だと思いましたので、経産省が教育、学校についてどんなことをするのかなと多くの人たちが、学校現場の人たちがみんな最初は不思議に思っていたというのが正直なところではあります。ただ、実は、だんだんやっていくうちに、経産省の職員が学校現場にどんどん、御用聞きという言い方が正しいか分かりませんが、先生たちが本当に何を困っているのか、結構細かく聞きに来てくれて、だんだんみんな頼りにするようになった。
逆に言うと、文部科学省の人たちは余り学校現場に入ってこないような感じ、よくアンケートは来るんですけれども、でも、なかなか現場に入ってくるということがめったになかったような気がしていますが、経産省の職員が足しげく通って、頼りにすることが多かったというふうに思っています。
そして、その活動が非常に成果が出たのが、まさにGIGAスクールだったと思っています。コロナ禍のときに、当時、ほとんどの公立学校で生徒がパソコンを使っていなかったときに、これは一人一台だということに、特に経産省のそういった活動も後押しして導入されたというふうに感じております。
今日は文部科学省にも来ていただいておりますが、GIGAスクール、各小中高の生徒に一人一台パソコンを入れるという施策だったと思いますが、これの現状について、課題と対応も含めて教えていただければと思います。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
GIGAスクール構想により整備された一人一台端末の活用が本格化しており、児童生徒への学びの保障や個別最適な学びへの効果などの成果が出てきていますが、端末の活用が進むとともに、課題も顕在化していると認識しております。
特に、喫緊の課題としては、地域間や学校間における端末の活用格差の是正、端末の更新やネットワークの改善など、学校のICT環境の充実であると考えております。
端末の活用格差の是正に向けては、効果的な実践事例の創出と横展開、全額国費によるアドバイザー派遣、省内の特命チームによる伴走支援の強化等の取組を加速させているところでございます。
また、学校のICT環境の改善に関して、令和五年度補正予算において、都道府県に基金を造成し、計画的に端末更新を進めるための経費を確保したところでございまして、端末更新を着実に進めてまいりたいと思います。
一方で、学校のネットワークの遅延解消に向けて、その原因は様々であることから、まずは適切なアセスメントの実施を強く促すとともに、令和五年度補正予算で、アセスメント実施に係る経費を補助する事業を盛り込んだところでございます。
これらの取組により、GIGAスクール構想を更に推進してまいります。
○荒井委員 ありがとうございます。
文部科学省も大変頑張ってここまで進めてきていることもつけ加えておきたいと思います。連携してやってきたというふうに感じておりますが。
確かに、今、GIGAスクールに関しましては、約四年たってきたと思います。端末は大体、生徒が使っている端末も、決して高性能なものでは元々ないですね。端末の一台一台の価格は低いものですから、やはり四、五年たつと大分スペックが劣ってくるというふうに感じています。おおよそ五年たつと、今後買換えが出てきますので、次に来るのは、まさにこの後、一、二年かけて端末をまた更新していくための大きな予算がかかっていきます。
文科省には、せっかくの機会でしたので、これがずっと続くようにどうぞ頑張っていただきたいと思いますし、しっかり応援していきたいというふうに思っております。
そして、ネットワークのことに関しましては、まさに、普通の会社とは違って、一斉に生徒たちがネットワークにアクセスして動画を見たりしますので、使うときには本当に一気にアクセスが集中して、そして先生たちは、それがくるくる回ってつながらないと、パソコンを使った授業はもう嫌だというふうに思ってしまいますので、本当に、太い回線、特にラストワンマイルのところが大事だと思います。ここにはできるだけの予算をつけることを是非お願いしていきたいというふうに思います。
また、こういうことを、まさに学校現場からすると思いもつかなかった事態みたいなものを、経産省の方で、当時、未来の教室という形です、今もやっているかと思いますが、未来の教室という経産省の部門がいろいろなサポートをしてきて、補助金だったり、また、たしか先生たちの働き方の在り方につきましても、この未来の教室の中でもコンサルタントに依頼しながら、働き方の実態なんかも、非常に僕も勉強になったところがございます。
今度は経産省に伺いたいんですが、今、未来の教室の経産省の取組の現状、そして課題や対応についてどう考えているのか、教えていただけますでしょうか。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
まず、未来の教室の取組の成果でございますが、まさに経済産業省では、委員おっしゃったとおり、文部科学省が進めるGIGAスクール構想と連携して、様々なエドテックを活用した新しい学び方の事例の創出を未来の教室の実証事業として進めてきたところでございます。
その中で、例えばAIドリルを用いた学びについて実証を行ったこともございます。その学校では中学校レベルの学習内容に課題を抱える生徒も多数おったのですが、AIドリルを用いて各生徒の学力レベルに応じた学びを促したところ、低学力層の生徒数の減少又は中学の授業以上に分かったと思う生徒が高い率になった、そういった結果が得られているところでございます。
このように、GIGAスクール構想により整備された一人一台端末に加えまして、AIドリルを始めとした民間教育サービスを活用することで、それぞれの子供の達成状況に応じた学びを提供し得るということが示せたと思っております。
学校現場で民間教育サービスも含めた様々なサービスの導入を促進するためには、実際に使ってみる、そして現場のニーズに合致しているかを確認する、こういったことが重要であると考えまして、経済産業省としても、そうしたことを通じてサービスの導入を支援してきております。
こうした未来の教室に関する取組を通じまして、文部科学省と連携しながら、GIGAスクール構想を着実に進めてまいりたいと思いますが、そうした中で、先生から今後の課題はというお話もありましたので、それも併せて申し上げますと、このGIGAスクール構想を通じて進めていくんですが、様々な多様な学びを実現しつつあると考えておるところですが、他方、例えば民間教育サービスを活用した場合、やはり費用負担が生じてきます。経済産業省としては、この費用負担の一つのルートとして、例えば、企業や個人と連携して寄附や支援、そうしたものをこの追加的な費用負担に充てられないかと考えておりまして、今そうした方策を検討しているところであります。
このような取組を通じまして、未来の教室が展開されていくよう、経済産業省としても着実に取組を進めてまいりたいと思っております。
○荒井委員 ありがとうございます。
今お話ありました公立高校での取組、すごく重要だったというふうに思っております。
今日、資料で皆様方のお手元に西日本新聞の二〇一八年の記事をお持ちしております。僕は、これは学校現場にいたときに本当に重要なことだと思っていますので。
ちょっと線を引いていませんから、先生方に見ていただきたいのは一番上の段のちょうど真ん中あたりなんですけれども、「調査では全体の約三割が中三時点で小四の学力平均を満たしておらず、」という、もう一度読み上げますね、全体の三割の中学校三年生が小学校四年生の学力平均を満たしていないというのが、これが今の日本の教育の実態なんだということを是非経産委員会の先生方にも御理解いただきたいんですね。これは九州のある地方での調査なんです。
この記事全体には、それは、学力格差は経済格差とつながっている、そういう分析はあるんですが、ただ、ファクトとしては、これは僕も学校にいてよく分かったんですが、中学校三年生の三割が小四の学力がないという現状を、こういうのが今の日本の現状だということを理解した上でやらなければいけないというふうに非常に思っております。
僕は高校でしたので、つまり、そうすると、僕の高校も学力が非常に低い学校でしたので、こういう小学校四年生の学力に満ちていない人たちが、でも高校に入ってくるんですね、義務教育を終えて高校に入ってくる。そして、そうすると、数1の先生は、その子供たちに高一の数学の授業を教えなきゃいけないという大変難しい現状にあるわけです。
この現実にずっと先生たちも学校も苦しんできている中で、いろいろ先生たちも頑張っていますが、一つの解として、今回、まさに未来の教室等でエドテックがやっている様々なソフトを使うと、個別最適の学習をしますから、小四の学力しかなかった子たちに小四から教えられるようなソフトで、みんなそれで面白いと思ったんです。
少し別の視点から申し上げますと、「ビリギャル」という映画が昔はやりましたけれども、あのビリギャルも、慶応に入りたいんですというふうに塾の先生に言ったら、じゃ、まず小学校四年生のテキストをやってごらんと言われて、そこからやっていくうちにだんだん慶応に入るぐらいの学力に到達するんですね。ですから、学校現場はみんな知っていまして、どこでつまずいているかというと、小四、小五からみんなつまずいているんです。
こういうことをしっかりと向き合っていくためにも、まさにエドテック、現場の先生たちはもちろんそうですが、こういったGIGAスクール、ITのツールというのが非常に有効だということが今回学校の中でもよく分かってきたと思います。そのきっかけをつくったのは、僕は、本当に未来の教室という事業だったというふうに思っております。
ただ、今後、本当にこの未来の教室、民間企業もこうやって学校にたくさん関わるようになってきて、学校現場をもっとサポートしたいという思いもある一方で、やはり、だんだんコロナが明けて、少しずつ学校も頑張りながら、次にどうしていくのかというところのビジョンが少し不明確になってきているように感じております。僕としては、この未来の教室は、次に未来の学校みたいな形で、学校の在り方そのものにもっともっと踏み出していっていいのではないかというふうに思っておりまして、大臣にその辺の話を少し伺えたらというふうに思います。
と申し上げますのも、今ちょうど学校、あれは校舎はコンクリートでできていますので、おおよそ五十年ほどすると建て直していかなければいけないわけですが、人口減の中で、今本当に多くの地域が、学校の校舎を建て直すことがどんどん難しくなってくるわけですね。
でも一方、子供たちのためだけの施設であれば確かに難しいですが、地域の皆さんが集まるような施設として、非常にいい場所にありますから、例えば小学生、中学生、高校生、でも大人が集まってもいいようであったり、老人の方だったり、若しくは旅人が来るような形でもいいんじゃないか。そういう新しい学校のコンセプトみたいなものを、この未来の教室から始まった経産省らしい取組として、地方創生であったり若しくはアントレプレナーシップ教育であったり、そういったものを含めた、そういう新しいコンセプトというものを是非打ち出していっていただくことを考えていただいてもよろしいんじゃないかというふうに思っています。
最後に伺う前に、もう一つだけつけ加えますと、特にこの未来の教室は、恐らく萩生田さんが大臣のときに始められたと思っていまして、文部科学大臣もされていましたから、学校のことをよく御存じな上での経産省としての取組としてスタートしたんだと思うんですね。是非、齋藤大臣には、これをもっとブラッシュアップしていきながら、更に経産省らしい学校や地域のサポートの在り方というのを、学校を拠点に考えていただく機会をつくっていただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 まず冒頭、委員が経済産業省の職員に対してポジティブなコメントをしていただきまして、大変ありがたく思いましたのと、うちの職員は褒めれば褒めるほど一生懸命やりますので、是非御活用いただきたいなと思います。
今、教育の現場におきまして、AIを始めとして新しい学びの仕方というものが徐々に定着をしつつあるということは、私は、これは日本の教育を大きく変えていく一つの契機になり得るのではないかなというふうに個人的には思っています。ですから、大事なのは、やはり文部科学省といい連携をしながら、いかに効率的に、しかし思い切ったことをやっていけるかということに懸かっているのではないかと思っています。
私自身は教育についての政策は余りやったことがないんですけれども、日本にとりまして、人材が唯一の資源でありますので、これを磨き上げるための教育というのは、国の存亡に関わるテーマじゃないかと思っています。
中三で三割が小四のレベルだという話は衝撃的であります。経済産業省にやれることは限られているかもしれませんが、この新しいAIを始めとする技術を、企業の人も巻き込みながら、教育現場でいかに活用していただけるかということについては、私自身も目配りをして前進をさせていきたいというふうに強く思いました。
○荒井委員 ありがとうございます。
未来の教室の担当をしていた経産省の職員とも話していて、僕も逆に感じ入ったんですが、みんな大体、地域のいい学校出身で、東大出身で、それでいろいろな学校に行ってみて、改めて、農業高校とか工業高校とか、そういった高校で実はこの未来の教室的な在り方が非常にうまく取組を進めてくれているということに経産省の職員もびっくりしていましたし、そういった学校のことを喜々として語っておりました。
一方、その学校の先生たちも、今、学校教育においては、どうしても農業高校や工業高校というのは、統廃合の中ではどっちかというと普通科高校にどんどん置き換わる流れの方が強い中で、逆に、中央官庁がこうやって自分たちのやってきたことを認めてくれているということに物すごく心意気を感じた先生たちが増えているというのは、僕はすばらしい取組だというふうに思っておりますので、是非、こういった学校と一緒に、各役所と一緒にやっていくことをやめずに続けていっていただきたいなというふうに思います。
先日の本会議での質問においても人的資本経営ということについても御質問させていただきましたが、まさに、どうしても、人的資本経営というと、今の会社にいる従業員の皆さんのリスキリングだったり、そういったことに目が向きがちですけれども、前回の水素社会やCCSの話でも人の話をさせていただいていますけれども、やはり、次の世代を育てていくというためにも、今、実は、結構、既存の産業から若い人たちに対して、特に中学や高校生に対して、こういうことを我々はやっているんだよ、こういういい若い大人がいるよということを伝える機会がどんどん増えてきておりますので、これもまた人的資本経営そのものだというふうに思っています。
先ほども南さんからもお話がありましたけれども、企業型ふるさと納税だったり、あと、総務省のいろいろなスキームで、地域と学校を結ぶということに様々な企業の人たちが入り込んでやっています。それは決して大企業だけじゃないわけですね。是非、そういった取組に関して経産省としてもサポートしていきながら、広い意味での人的資本経営を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、小野泰輔さん。
○小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔でございます。
今日は、瀬戸政務官にもお越しをいただきまして、ありがとうございます。
産業競争力強化法等の改正案がこれからこの経産委員会で審議をされますが、それに差し当たって、私は、今日は産業政策のことについて齋藤大臣と議論させていただきたいと思います。
私が初当選したのが二年半前の十一月、十月三十一日の選挙のときでしたけれども、そのときに、すぐに予算委員会の質問の機会を臨時国会で党から与えていただいたんですが、そのときに質問したことが、私がいた熊本のTSMCの工場に四千七百数十億ということで、多額の補助金が投入されるということについての是非を質問させていただきました。
我が党は、やはり民間の活力を生かして、なるべく公共が介入しない形でというようなことを志向するような政党では基本的にはあると思っているんですが、私個人の考えといいますか、これからうちの党もやはりそういうことも考えていかなきゃいけないと思っているんですが、明らかに時代が変わったというふうに思っているんですね。
先ほど、今いらっしゃいませんが、小山議員もちょっと議論をしていましたけれども、我々の産業政策というのが、明らかに、世界の趨勢の中で、国がしっかり青写真を描いて、そして民間を引っ張っていく、また、未知の世界とか、あるいはカーボンニュートラルで解決しなきゃいけない社会的な課題というものに対して、国家がしっかりビジョンを描いて、それに向かって、最初は採算は取れない分野ですけれども、やっていかなきゃいけないんだと。先ほどペロブスカイトのお話でも、齋藤大臣が、これはやっていくんだというお話もありました、この間のCCSでもそういうような御発言があったと思いますけれども。やはり、私は、国がそういう役割を果たさないと、日本全体の産業がこれから競争力を保っていくことは難しいだろうというふうに思っています。
そういう中で、私は、齋藤大臣も経産省にいらっしゃったということで是非御教示いただきたいというふうに思っているんですけれども、日本の高度成長期以来の産業政策において、国家がどのような役割を果たしてきたのかという変遷について、是非御講義をいただきたいというふうに思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、戦後、焼け野原になって、これから日本は何で飯を食っていくかということになったわけです。産業はもう崩壊をしているという中で、やはり、これは政府が主導して守って、外資に全部取られるということは何としても防ぐと。そして、税金をつぎ込み、保護して成長させるという政策を取る。これはどこの国でも多分そうなんだろうと思うんですけれども。
実は、高度成長期をその後迎えまして、そして、一九八〇年代にかけまして、日本は、市場の失敗の是正ということと幼稚産業保護を理論背景とした、特定産業の保護、育成を中心とする、伝統的と言っていいと思うんですけれども、伝統的な産業政策を展開してきたわけであります。いわば、民間市場任せにはしないで国家としても関与していくという積極的な姿勢が見られた時代だったんだろうと思います。
ところが、一九八〇年代に入ってきますと、経済的に台頭する日本を抑え込もうというアメリカの姿勢が鮮明になってまいりました。ちょうど私が経済産業省に入る頃であります。その頃は、日本は積極的な産業政策というものをどんどん後退をさせてくる時期に当たります。より根本的には、日本が先進国になって、中国などの新興国の追い上げを受ける立場になる中で、従来の途上国的なキャッチアップ型の成長モデルというのが限界を迎えて、伝統的産業政策の転換というのが求められるようになってきたという背景も一方であったのではないかと思います。
こうして、一九九〇年代以降になりますと、日本はもう民間主導だという考え方の下で、民間の制約を取り除く市場環境整備策、これを中心とした政策ということで、明らかな政策の変化が起こったわけであります。国家としても、政府の失敗というものを懸念いたしまして、官は民を邪魔しないことに徹するということで、新自由主義的と言ってもいいのかもしれませんが、そういった姿勢に転換をしてきたと承知をしています。その中で、新たな価値創出に向けた取組というものが、結果として私は不十分になって、アメリカなど世界で急加速した技術革新に後れを取ることになったのではないかなというふうに思わざるを得ないところがあります。
しかし、二〇一〇年代以降になりますと、中国等の新興国で産業政策が今度は活発化してまいりました。欧米等の先進国でも産業政策の議論が活発化してまいりまして、こうした中で、日本においても、国家として、従来の市場の失敗への介入を超えて、民間市場だけでは進みにくい世界規模の社会課題の解決に向けて、政府が一歩踏み込んで、潜在需要を掘り起こしながら、それに向けた供給力強化というものを官民連携で図るというアプローチを必要とされるようになり、そして、そういう産業政策を強化する姿勢に転換をしてきているのではないかなというふうに思っています。
○小野委員 ありがとうございます。
御講義をいただきましたけれども、私は、本当に大事だと思っているのは、是非、こういう世界の流れの中での我が国の産業政策というのを政治家全員が理解する必要があるかなと思っております。もちろん一つが正しいというわけでは全然なくて、当然、自由主義的な、官が民を阻害しないような政策というのは常に求められると思いますし、かといって、政府が何も旗を振らないということでは、今のこうした社会情勢の変化、特に地球環境問題とか、個別の企業でやってもなかなか難しいものについては、国がちゃんとリードをしていかないとどうにもならないというようなことが様々今顕在化をしていますので、そういう認識が必要なんだろうというふうに思っています。
私も、当選してすぐに経産省の方がレクに来ていただいたんですけれども、経済産業政策の新機軸という文書があって、私は、これは本当に秀逸だと思うんですけれども、是非皆さん見ていただきたいと思いますけれども、そういった認識の中でどうやって経済政策をしていくのかというのが大事だと思います。
そこで、次に齋藤大臣にお伺いしたいんですが、そういった、先ほど御答弁いただいたような我が国の経済政策の推移がある中で、ここ最近、大胆に経済産業省が財政出動して、脱炭素に向けての動きあるいは戦略的物資としての半導体の開発、こういったところに多額の補助金を入れる、あるいは税制優遇措置をやっていくというようなことをやっているわけなんですけれども、こういった、一見するとブロック経済主義的な動きが世界中で広まっているわけなんですけれども、これが始まった契機というのをどういうふうに考えておられますでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、世界各国が産業政策を活発化させているという背景は、私は、一つは世界的な不確実性が拡大をしてきているということと、米中対立などの国際秩序の変化ですとか、あるいは気候変動、人権などの世界規模での社会課題、こういったことへ対応しなくちゃいけないという必要性、それから中間層の停滞や格差拡大といった、様々な世界のマクロ環境の変化があると思っています。
その中で、例えば中国においては、二〇一五年に公表した中国製造二〇二五に基づいて製造業を強化するといった動きがあり、中国の産業競争力が強化をされてきました。アメリカでは、中国の台頭を念頭に、CHIPS法やインフレ削減法に基づいて、半導体やEVなどに大規模かつ長期の政府支援を展開をしてきています。欧州においても、自分の地域でのサプライチェーン強化と気候変動対策のために、グリーンディール産業計画に基づいて、各国におけるグリーン産業の補助金規制の緩和といった事業環境整備を推進してきているということであります。
そういうのを見ながら、一方、国内に目を向けてみるとということなんですけれども、民間主導という考え方の下で政府は市場環境整備策を中心とした政策を進めてきたわけでありますが、結局のところ、企業が足下の利益の確保のために賃金や成長の源泉である国内投資というものを抑制をする傾向が見られて、その結果もあるんでしょう、消費の停滞や物価の低迷、さらには経済成長の抑制につながってきた。
こういう状況をひっくり返すというか変えるためにどうするかということで、経済産業省では御指摘の新機軸ということで考えをまとめつつあるわけでありますが、経産省では二〇二一年より、GX、DXといった社会課題解決分野を成長の源泉として捉えようと。これは、各国がGX、DXで投資を増やしてきますから、日本が先行して各国の市場を取っていこうということにもつながっていくんだと思いますけれども、そういった意味では、産業政策を強化して、経済産業政策の新機軸というものを打ち出していこうと。まさに将来の飯の種となるようなものを生み出して、賃金や成長の源泉となる社会課題解決型の国内投資、これを後押しをしていこうということで、もうあらゆる政策を総動員して、民間企業の予見性も高めながら投資を引き出そうということを主眼とする政策に今取り組んでいるということなんだろうと思っています。
そうした取組もあって、足下で賃上げの継続ですとか国内投資の拡大、潮目の変化がようやく見られるようになってきたということであります。ただ、繰り返しになりますが、この好転の兆しがあるからといって、ここで気を緩めてはいけないというふうに強く思っていますので、ここからが正念場だと思っていますので、様々な法案も御審議をお願いしていますけれども、積極的な産業政策というものを更に展開していきたいというふうに思っています。
○小野委員 大臣、ありがとうございます。
国際的な流れ、国家間競争みたいなことも始まっていて、そして、あと、私が答弁としてすばらしいなと思ったのは、日本が何で今、投資が進まず、国内で経済がなかなか思うようにいかないのかというところまで含めて経済産業政策を語っていただいたということで、私が言うのも失礼なんですけれども、非常にいい答弁だったなというふうに思っています。
その中で、ただ留意点があると思うんですね。
こうやって経済産業省が行け行けどんどんで、未来をつくるためにリーダーシップを発揮していくということは、私もそれはすべきだというふうには思っているんですが、予算額も増えていって、そしてGXの二十兆円ということも成立をしましたし、これから攻めの段階に入っていくんですが、そこでやはり忘れちゃいけないこと、気をつけて仕事を進めなきゃいけないことというのは、大臣、どういうことをお考えでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 いろいろあると思うんですけれども、まず、近年の傾向として、地政学的なリスクというのがやはり高まってきているように思いますので、重要物資の途絶というものをコロナのときにも経験をしましたし、そういった供給を特定の国に過度に依存することのリスクというのを認識しながら政策は展開していく必要もあるんだろうと思っていますので、サプライチェーンの強靱化というのが、さっき私が申し上げたのと同時に必要になってくるんだろうというふうに思っています。
長くは申し上げませんが、国際環境としては、やはり、各国が産業政策にかじを切る中で、一方で、国際的なルールというものはしっかり守り続けなくちゃいけないということも、政策の力点を変えると同時に、そっちもしっかり維持をしていかなくちゃいけないとも思います。
予算に関して言えば、もちろん多額の予算をいただいているわけでありますので、その政策評価というものも、エビデンスに基づいて政策立案を行うEBPMというものもしっかりやっていかなくちゃいけないというふうに思っているところであります。
また様々御指摘をいただきながら、しっかり取り組んでいきたいと思います。
○小野委員 ありがとうございます。
様々な御指摘をいただきましたが、さっきの小山さんの議論でも出てきた、国際的な通商環境、やはりルールをちゃんと作ろうよというような姿勢も同時に忘れないというのは大事だと思います。
今、まさに各国で、仁義なき戦いで、自分の自国産業には補助金をばんばん導入する、それからあと関税障壁はどんどんかけていくというようなことにもなっているんですが、我が国は、そういうこともやって競争をしていくというのは当然やらなきゃいけないんですけれども、それと同時に、やはり、ルールをちゃんと国際的に作っていって、まとめていきましょうという方向も、ちゃんと忘れずにやっていくことが必要だというふうに思います。
あと、国内投資という動きは当然やっていかなければいけないんですが、我が国はやはり資源がない国なので、これは水素のときにも議論しましたけれども、信頼できる、価値観を共有できる国としっかりパートナーシップを組んで、国内だけにもとらわれないということもまた視点として持つことも必要なんじゃないかなというふうに思っています。
いろいろな論点があるんですけれども、あともう一つ、私が経産省に是非申し上げておきたいことは、この新機軸の論点のところにも載っているんですけれども、やはりフェールファストというのはいいと思うんですね。
つまり、国が自ら挑戦して失敗してもいいということを、やはり我々日本国民が許容するというのは大事だというふうに思うんですね。それをやって、ほかの国がやっていないことを、国としても、民間としても、どんどん挑戦をしていって、そして最終的には我々が果実を得るということをやっていくべきだと。国民全体としての意思として、そういったことを税金を使ってでもやっていくんだということが、これから先、我々が、先ほど将来の飯の種をどうやってつくっていくのかというような御発言もありましたが、それを考えていくことが非常に大事だろうというふうに思っております。
そこで、今日は瀬戸政務官にもお越しをいただいているので、齋藤大臣と政務官にお答えをいただきたいんですけれども、経産省の予算というのは、私はいいことだと思っていますが、非常に予算規模が膨れ上がっているんですね。
コロナ対応で、なりわい補助金とか、あるいはエネルギー対策のガソリン補助金とか、電気代の補助というのもこの間まで行われていました。こういったことも当然あるんですけれども、ただ、それを差し引いても、結構予算規模というのは膨れ上がっていまして、前年度の補正予算と合わせた上での十五か月予算ということで比較すると、コロナ前の令和二年の当初プラスその前の令和元年の補正と合わせた額が二兆一千八百億円余なんですけれども、これが例えば令和二年、三年、四年だと、五兆円台、六兆円台、十二兆円台というふうにどんどん膨れ上がってきて、そして、コロナがある程度終わった今年度、令和六年当初と令和五年の補正を合わせた額も六兆四千百億円余ということで、経産省の予算はどんどん膨張しているということなんです。
私は、先ほどのような文脈から産業政策を国が引っ張っていくという意味では、この方向性はいいとは思っているんですが、ただ、やはり、そこで、先ほどのフェールファストということも許容しながらも、ちゃんと本当に正しい方向に向かって国民の税金が使われているのかという不断のチェックというものが必要だというふうに思います。
そこで、お二方にお伺いしたいのは、経産省の予算が拡大していることについてどういうふうにお感じになっておられるかということと、それに合わせて政策評価というものを強化する必要性があると思いますが、この点をお答えいただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、先ほど来申し上げていますが、半導体やGXなど高い成長が見込まれる分野への大胆な投資支援というものは今必要になってきておりまして、予算を呼び水として前向きな民間投資を引き出して、そして雇用の創出ですとか賃上げなど経済の好循環を実現していく、そういう局面にいるということなので、経済産業省としては、予算を適正に活用して、より高い効果が出るような産業政策を実施していく観点から、御指摘の産業構造審議会の新機軸部会におきましても、特に大規模な予算事業については、合理的根拠、エビデンスに基づいて政策立案を行うEBPMを進める方針を打ち出してきています。
例えば、先端半導体基金事業とグリーンイノベーション基金事業については、有識者の意見も踏まえて効果検証のシナリオを策定をさせていただいたところでありまして、今後、事業の進捗や効果をモニタリングしながら事業の改善につなげていくということになろうかと思います。
今後も、このような政策評価にしっかり取り組んだ上で、めり張りのある予算執行を通じた産業政策というものを進めてまいりたいと考えています。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
経済産業省の予算につきましては、委員御指摘のとおり、特に令和二年度以降その予算が増大しておりますが、これは、新型コロナウイルス感染症の蔓延や国際的なエネルギー価格の高騰への対応に加え、経済安全保障の観点を踏まえた半導体等のサプライチェーンの強靱化やGX投資のために必要な予算を大規模に措置したこと等が主な要因であると認識しております。
こうした財政支出の拡大の背景に、近年、各国における産業政策の在り方の変化があるとの御指摘があることは認識しておりますが、累次の補正予算の編成等によって一層厳しさを増す我が国の財政状況も踏まえれば、これまでの産業政策の効果等を適切に評価、検証しつつ、選択と集中を図っていくことが重要であると考えております。
このため、引き続き、行政事業レビュー等も十分に活用しまして適切な予算計上に努めていくとともに、財務省としましても、産業政策の在り方について経済産業省と真摯に議論を深めてまいりたいと考えております。
○小野委員 ありがとうございます。
瀬戸政務官の言葉を一言でまとめると、経産省甘えるなよということだと思います。私もそのとおりで、やはりそこは厳しくEBPMを、経産省自身もやることが大事なんですが、やはり外の目が必要だと思うので、そこは是非やっていただきたいと思います。
そして、あと、私がこれは毎回言っていることなんですけれども、うちの青柳さんもよく言っているんですが、やはり経産省の予算というのは当初が少なくて補正がめっちゃ多いんですね。こういう傾向があるので、ここは大臣に是非変えていただきたいと思うんです。私も執行部にいた側で、地方議会ですが、やはり補正が多いというのは何事だと議員さんからめちゃくちゃ怒られますよ。やはり当初でちゃんと必要な予算を計上するというのが本来の在り方だと思いますので、来年の予算は是非、まさに夏の仕事を経産省さんはみんな頑張っていただいて、そして当初でちゃんとのっけて、そして本当に戦略的に、ちゃんと勝負していけるような予算をつくり上げていただきたいなというふうに思っています。やはり、補正で時間をかけて議論するというのは我々はなかなかできないので、是非お願いしたいと思います。
瀬戸政務官はこれで結構でございます。ありがとうございます。
○岡本委員長 瀬戸さん、御退席ください。
○小野委員 残りの時間、すごく少ないんですけれども、グリーン関連分野における産業政策ということでちょっと伺いたいんですが、多分、全部できないと思いますけれども。
先ほど山崎委員からもいろいろありました、再生可能エネルギーは私も導入していかなければいけないと思っているんですが、ただ、国内の産業政策をどうこのグリーンを進める上で考えていくかということについては、やはりいろいろ考えなきゃいけない。
一つ私が思うのは、例えば太陽光パネルを導入するということについてとかEVを導入するに際しても、当然、これは国内産業に対してどういうインパクトがあるのかということを考えなければいけないというふうに思うんですね。太陽光パネルは、皆さん御存じのとおり、もう世界シェアの九割は既に中国になっていて、ペロブスカイトはこれからですけれども、そういう中で、じゃ、我々が、再生可能エネルギーも入れつつ、自国でも経済的にちゃんと成長していく道筋をどう考えるのかということについては、よくよく考えなければいけない。
例えば、太陽光であれば、FITでその価格が高いものについては支えるような仕組みになっていて、つまり、これは国内産業を支えることにはなっていないわけです。それから、EVに関しても、今、国内とか中国産のEVについて、何かその産地によって差を設けている、補助金に差を設けているということはなくて、アメリカの方ではもうそういったことは行われていますが、我々が、社会的課題の解決に必要な産業分野で、そういった、単に脱炭素を目指す以外のことをやはり考えるべきじゃないか。補助制度とか、それから税制の措置についても、様々、国内産業をどうやってちゃんと保護、育成していくのかという観点が必要だと思うんですが、この点に関して、経産省、どのようにお考えでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
グリーン関連設備、製品につきましては、今後、市場の拡大が期待され、また、我が国経済を再び成長軌道に乗せる起爆剤としての可能性を秘めてございます。そのため、これらの分野で新たな市場を創出することなどにより産業競争力強化を図っていくことは重要という点、まさに委員御指摘のとおりでございます。
他方、日本はこれまで貿易立国として、国際的なルールに基づいて、自由でオープンな国として戦後の経済成長を実現し、また経済を運営してきております。この方向性は今後も変わらないというこの点、また議員の御指摘のとおりでございます。したがいまして、グリーン関連設備、製品における政策上の措置を講ずる際には、国際ルールにのっとった制度設計及び運用、これが大事になるというふうに考えております。
そうした考え方の下、例えば太陽光パネルにつきましては、日本企業が強みを持ち、今後市場拡大が見込めるペロブスカイト太陽電池、これにつきまして、早期に市場を立ち上げるために、FIT、FIP制度において新たな区分制度の創出の検討に着手しております。
また、蓄電池、それからEVについてでございますが、例えばEV等の購入補助金の補助額の決定に際しましては、持続可能なEV市場を構築する観点から、車両性能のみならず、充電インフラの整備、それからCO2排出削減の観点も含めたライフサイクル全体の持続可能性の評価など、メーカーの取組を総合的に評価する措置を講じてまいっております。
グリーン製品市場では、まさに御指摘のあったとおり、過去、海外市場が猛烈なスピードで拡大する中で、市場の拡大を見通した設備投資の不足、あるいは厳しい価格競争によって、市場拡大が海外に後れを取ったものも多うございます。GXを進める上では、こうした反省もしっかり踏まえつつ、産業競争力強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○小野委員 もう時間が来たので終わりますが、今の御答弁だと、やはり今までの自由主義的なルールを守りながらというようなことを重視しているように思うんですね。世界は、自国の産業をもっと盛り上げるため、振興するためにかなり露骨にやってきているので、やはりしたたかにやらなきゃいけない。
もちろん、我々がアメリカとか中国とか巨大市場を相手にしていて、それで等しい取引関係が必要だというのは分かりますが、やはりもうちょっとしたたかにやらないと、またペロブスカイトも同じような運命をたどるんじゃないかと思いますので、大臣、この辺は本当に、我々、したたかに、そして日本の国の産業が本当に強くなるための努力を是非していただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○岡本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。市村浩一郎さん。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いします。
それで、今日は、本当は、完全暗号等、CBDC、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーもやりたいなと思っていたんですが、また改めてそれはさせていただくことにしまして、来週から産業競争力強化法の改正案というのが議論されるに当たりまして、ちょっとそれに関連した質疑をさせていただきたいというふうに思っております。
まずは、今回、水素社会のときもありましたが、グリーンイノベーション基金ということで、十年間で二十兆をまずは目標とするということでつくられるということです。
基金という考え方そのものについては、私は大賛成であります。私も初当選当初から、やはりどうしても予算というのは、単年度主義ということになりますと、今年予算がついていても、来年つくかどうか、これは、大体普通はつくんですけれども、分からないということで、そうすると、一緒にやろうという人たちも、今年は予算がついて補助してもらえるけれども、来年は大丈夫なんですかというと、いや、必ずしもそれは一〇〇%大丈夫とは言えないということで、なかなか二の足を踏むということもありましたので、やはりプロジェクトファイナンスという考え方で、長い期間かかる場合があるという場合は、やはり基金というものを活用するということは大切だということで、基金の議論があったということがありました。それで、いろいろな基金ができていったという経緯がありました。
ただ、一方で、ちょっと、そこはやはり、基金はいいんですけれども、それを、ある意味でいえば、所期の目的どおりに使うのではなくて、何となく基金をつくっておいて、しばらくの間お金をプールしておいて、あとはそこに、ちょっとありていな言葉で言うと、天下っていって、それでしばらくしのぐというようなことも言われたこともありましたし、そういう基金もなかったとは言えないかなと。別に経産省さんというわけじゃなくて、全体としてあったと思います。
特に私が思い出すのは、二〇〇九年の民主党政権交代前のときに、これはどうも与党が危なそうだということになると、非常にその前は基金ばやりだったという記憶があります。
基金をたくさんつくっておいて、しばらくこの危機をしのごうというようなこともあったような話もありましたので、そういう基金の使われ方はしちゃいけないということで、ただ、やはりプロジェクトファイナンスということで、複数年度にわたる場合はしっかりと基金を活用するということが大切だと思います。
そこで、経産省さん関連の基金が六十強と私は聞いておりましたが、先ほどの質疑にもあって、あのときは六十八ということであるようでありましたが、これまで経産省さん関連でつくってきた基金について、ちょっと総括的な反省をいただければと思います。よろしくお願いします。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のように、基金を造成して事業をするということで、あらかじめ複数年度にわたる財源を確保して例えば補助金を交付するとか、こういったような事業をやっていけるという、あるいは不確実な事故の発生に応じて資金をあらかじめ用意しておくといったようなことで、使い方によって大変意義の深い使い方ができるわけでありますが、同時に、その基金事業が当初の効果をちゃんと発揮しているのかどうか、そして、それが本当に効率的に運営されているかどうかということは不断にチェックをしていかなければならないというふうに思ってございます。
私どもも、そうした観点から、過去造成した基金につきまして、その運用状況がどうなっているか、その事業がちゃんと行われているかといったようなことをチェックをしているところでございまして、例えば令和三年の三月に造成いたしました、先端低炭素設備導入促進補償制度推進事業ということでつくった三十八億円の基金につきましては、これは、採択が思ったように進まなかったということで事業を見直しまして不用額を返納し、そして基金自体も統廃合するといったような措置を取らせていただいたところでございます。
今後とも、事業の執行が効率的に、そして効果的に行われるよう、しっかりとチェックをしてまいりたいというふうに思っております。
○市村委員 是非とも、必ずしも絶対成功しなくちゃいけないということではないと思いますが、不断の見直しをお願いしたいと思います。
そこで、今、いわゆるグリーンイノベーション基金がNEDOにできていまして、今度、いわゆるGX経済移行債がこれから十年で二十兆ということになってまいります。これは、言えば国債です。昔建設国債というものがあったように、今もあるんでしょうか、こういう、GX国債ということだと思います。
それで、その一部がこのグリーンイノベーション基金に入るということで、先ほど資料を見ていますと、今二兆円ぐらいの基金があるというところで、NEDOの方、グリーンイノベーション基金、是非ともこれを、本当に、産業力強化という意味でも、やはり生かしていただきたいということで、再三この場でもお話をさせていただいていますが、洋上風力発電はもちろんいいんです、ただ、浮体式洋上風力発電の今後の事業の在り方について、やはりもう少ししっかりと未来を見据えて見直していくことが必要ではないかなと思っているんですね。
それで、浮体式の話を、あれから私も大分またいろいろ学ばせていただいておりますが、着床式はいいんですけれども、浮体式についてはまさにこれから実証実験を行おうという状況だということでありまして、もしこれから浮体式の方の実証実験を行うならば、大臣からはまだ技術的課題が多いと言われている、私が提唱しております洋上エネルギーファーム、これも実証をしてほしい、こういう思いであります。
しかも、風力発電の仕組みについては、これは国産の仕組みを取り入れているんです。この前もここで御披露しましたが、レンズ風車という、集風効果を持った輪っかをくっつけることによって発電量が二倍ぐらいにはなる、ちょっと簡単じゃないんですけれども、輪っかの太さとか幅とか、これは結構、なかなか大変で、いろいろ研究を進めておりますが、環境省さんも、二百キロワットタイプの能力の風車を、八億円ぐらい補助をいただいて、この八月ぐらいに、これは陸地ですけれども、一応できるそうです。
こういうやつをもうちょっと大きくして、かつ洋上に浮体式で持っていく。そのときには、浮体というのは、今のように一本だけでっかいのを立てるんじゃなくて、水の電気分解で水素を作るような装置も置けたり、かつ太陽光パネルも張れたりするような、洋上エネルギーファームという発想でやった方が、私は、将来性もあるし、グリーンイノベーションですから、まさにイノベーティブな事業であると思います。
しかし、一企業ではそれこそできないんです、これは。一生懸命、九大発のベンチャー企業さんもやっているんですけれども、資金が全然足りません。こういう国家プロジェクトでやはりこういうものはやった方がいいと私は思いますが、大臣、いかがでございますでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 洋上における再生可能エネルギー利用については、洋上風力に限るものではなく、今後の可能性としては、洋上太陽光や潮力発電なども組み合わせた、御指摘のような洋上エネルギーファームもあり得るものと考えています。
現在、今後本格的な社会実装が期待される浮体式洋上風力について、グリーンイノベーション基金を活用し、将来のアジア展開も見据えた技術開発や実証事業を進めているところであります。
委員御提案の洋上エネルギーファームについて、今後の実用化に向けては、様々な技術的な論点を解決して進めていく必要があります。
御指摘のグリーンイノベーション基金については、CO2の排出削減効果や経済波及効果などの観点から、外部有識者の議論も経て対象分野を選定しております。今後、様々な検討の中で、当該基金における洋上エネルギーファームのプロジェクト化が必要かも含めて見極めてまいりたいと考えています。
○市村委員 ありがとうございます。今までの答弁からすると大分前向きに御答弁いただきまして、感謝申し上げます。
別にこれは私が言っているからやってくれという話ではなくて、やはり日本の未来のために、特に、水素社会ということで、もうこの間、衆議院を通過して、これから参議院でも多分成立するでしょう。だから、そういう水素社会に向けたという意味でも、やはり洋上での再生エネルギー、とにかく洋上で再生エネルギー発電をやる、そして水素を作って運んでくるということで、そういう流れをやはりつくるべきだと思います。
そのときに、今考えられている、一本どんとでっかいのが突っ立っているようなやつではなかなかそれが難しいと思いますし、しかも、浮体式の洋上風力発電という意味では、まだ世界でもそれをちゃんとやれている事業者というのは、そういないんですね。しかも、やっているところは、四百キロぐらいの沖合に、東京ドーム四万個ぐらいの敷地の中に百五十七基を建てる。でっかいのを、超大型じゃないけれども、大型を百五十七基です、百五十七基。それぐらいの規模でやらないとということなんですね。
しかし、これを日本から四百キロ沖に造るのかと。しかも、前も申し上げましたが、日本の場合、ケーブルがめちゃくちゃ高いんですね。一キロ大体十年前で一億と言われましたから、今一・五倍ぐらいになっているんじゃないでしょうか。四百キロとした場合、六百億。それじゃ、ケーブルだけで六百億かけますかという世界。しかも、これは非常に安全保障上問題なんです。つまり、一本のケーブルを洋上にはわせておくと、今いろいろな国の潜水艦がいろいろうろちょろしています、日本近海。こんなもの、そこでぱちっとやられたらもう全て終わりということになります。
だから、やはりしっかりとそういう安全保障上の対策も考えておくと、何かそういう海底ケーブルで、一本でつないでおくなどという発想はやめた方が将来のためにもいい、安全保障上もいいというふうに私は思っていますので、是非とも、洋上エネルギーファームで分散させるということもありますし、あと、浮体式のエネルギーファームだと、これは、そこで邪魔になると言われたら、どこかに曳航できるんですね。曳航してもいいということで、だから、一個そこに置いておくんじゃなくて、どこかに曳航して、じゃ、ここならいいとか、季節によっては、この辺りの方が風がいいという場合は、風力発電はやはり風の道に置かないと何の意味もないものですから、そういうこともできるということで、是非とも御検討いただきたいと思います。
それから次に、カーボンプライシングの本格導入というのを二〇二六年から進めるということで、三〇年代に入っていくと有償オークションも始めていくということになる。カーボン排出権の市場をつくるということになるんでしょうけれども、私も前もここで申し上げましたが、日本は、先ほど乾いた雑巾はもう絞れないということでありましたが、私もこの場で、乾いた雑巾をもっと絞れと言われているようなものだということで申し上げましたが、やはり日本は、これから大切なのは、安い電力をとにかく作るというか、コストがかかっても、国が補助してでも安くする、電力料金を。
そうしないと、結局、データセンターという、これからDXの社会に行くとデータセンターというのは非常に重要なものなんですが、日本は電気代がとにかくばか高い、元々ばか高いところです。国際標準の二倍とか元々言われていたところに、今回、ウクライナ情勢等々もあって更に高くなっているということ。落ち着いてきたといえども、元々高いわけですから、なかなか日本でデータセンターをやろうという発想にはならないんですね。結局、電気代の安いところに持っていく。あとは寒冷地に持っていくとか。やはり、熱が出ますから、冷やさなくちゃいけないということで。ただ、そうやって高い電気代を放置しておきますと、どういうことになるかといいますと、結局、そういう産業は日本には来ないということになります。
ですので、やはり電気代をとにかく下げていくということになると、なかなか日本の場合は、後でちょっと議論させていただきたいんですが、核、いわゆる原発ですね、原発の議論をさせていただきます。本当は原発をどんどんやるのがいいわけです。圧倒的に効率がいいわけです、原発は。原発がこれぐらいあると、本当に、ほかのやつは全部この辺のところなので、圧倒的な違いがありますから、やはり原発がいいんです。脱炭素ということもあって原発がいいんだけれども、しかし、原発ができないので、じゃ、火力発電とか、やはり石炭、石油、ガスということで日本はしばらくはやらなくちゃいけないということで、二〇五〇年に向けて、カーボンニュートラルに向けて、水素社会なんですが、しばらくの間は石炭火力も頑張ろうということです。
本当は、私は、石炭火力を含め、しばらく日本はちょっと安い電気を作らせていただきたい、こういう方向がいいと思うんですが、仕方ないということになりますと、カーボンプライシングというようなことで、CO2をたくさん出している産業の皆さん、発電とか鉄鋼とか、あと化学とか交通とか、そういうところに少し負担していただこうということで、企業の行動変容を促すという発想になっているんだと思います。しかし、これをやると結局また企業負担も増える。そこでまた、今のFITの再エネ調整金を上回らない額で個人にも負担していただこうというスキームになっちゃっているわけですね、これは。
そうすると、電気代を安くした方がいいんですけれども、このままいくと電気代は、安くなるどころか、もっと高くなるという方向になります。だから、じゃ、これについてどう考えるか。カーボンプライシングはやるとして、今、ガソリンの高騰についての補助金を出していますが、じゃ、しばらくの間、日本がもっと産業が復活するまで、電気代はもう国家が持つというぐらいの発想をするのかどうかも含めてやはりこれは議論しておかなくちゃいけないと思いますが、大臣、どうお考えでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
カーボンプライシングの導入に当たりましては、国際競争力への影響等を踏まえまして、経済活動を維持そして強化しつつ、雇用も守りながら排出削減を進めていくという強い決意で臨んでおります。
そのため、企業が先行してグリーントランスフォーメーションに取り組む期間をまず設けた上で、エネルギーに係る負担の総額を中長期的には減少させていく中で、当初低い負担から徐々に引き上げるような形で導入するといった形で、負担が過度にならないような工夫を講じることとさせていただいております。
政府としましては、グリーントランスフォーメーション、GXを通して、エネルギー安定供給、それから経済成長、その上での脱炭素を同時に実現するということを目指しております。安定的でかつ安価なエネルギー供給の確保はGXの取組の基盤となるものであるというふうに認識しております。
今後とも、安定的で安価なエネルギー供給の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○齋藤(健)国務大臣 電力始めエネルギーは国民生活や経済活動の基盤でありますので、安価で安定的なエネルギーを確保するということは最重要課題だと思っています。
このため、安全の確保というのを大前提としつつ、安価で安定的なエネルギー供給の確保と、それから気候変動問題への対応も進めていかなくてはいけませんので、いわゆるSプラススリーEを実現するためにあらゆる政策を総動員していく必要があるわけでありますが、委員御指摘のように、安価で安定的なエネルギーの確保、これは最重要課題であります。
○市村委員 本当に、電気代を安くするというのは大切だと思います。もちろん熱の利用というのもあるんですが、やはり電気が一番使いやすいと思いますので、とにかく安い電気をどうやって作れるかということを考えていくべきだと思います。それが一番、エネルギーは今、産業の米というか食糧でありますから、是非ともいろいろなアイデアで、とにかく安く供給できるようにしていくということが必要だと思います。
だから、そのためにも、やはり本当は原発がいいということで、大臣の所信でも次世代革新炉ということに頑張っていくということをおっしゃっていただいているんですが、いろいろお聞きしますと、やはりどうしても、これはまだ十年以上後の話であります。
これがスタートしていくのは恐らく十年以上後の話でありまして、その間、その研究開発はしつつ、やはりいわゆる現状の原発の再稼働をしていくということが当面大切だと思います。もちろん、安全基準とかをしっかりと満たした上ででありますが、是非とも経産大臣の思いを、また現状の再稼働に関する思いをちょっと聞かせていただけたらと思います。
○齋藤(健)国務大臣 将来にわたりまして、エネルギー安定供給の責任を果たしつつ、脱炭素社会を実現していくこと、これは極めて重要な課題で、原子力は、再エネとともに脱炭素電源として重要な電源でありまして、安定供給の観点からも、安全性の確保を大前提に活用を進めていきたいと考えています。
その上で、原子力発電所の再稼働が進み、火力発電の燃料費が抑えられれば、委員御指摘のように、電気料金の抑制にも寄与するものとなります。したがって、安全性の確保を大前提に、地元の理解を得ながら、原子力発電所の再稼働を進めていくということは重要だと思っています。
そのため、新規制基準の適合性審査に関する知見の共有や人材の相互支援など、事業者間の協力を強化するよう産業界を指導していきたいと思っていますし、また、地元の理解を得られるよう原子力の必要性や意義を丁寧に説明するなど、安全性が確保された原子力発電所の再稼働に向けて、国が前面に立って取組を進めていきたいと考えています。
○市村委員 ありがとうございます。
最後に、次世代国産航空機の開発、またMRJ、頓挫しましたが、また頑張るということで聞いておりますが、やはり、前回のときの問題、ここでも一回申し上げたんですが、型式認証ということが問題だったような気がします。
また改めて来週、競争力強化法の方で、NEDOのことではやりますが、今日は国交省さんから来ていただいていますので、MRJのときの型式認証についての思いを聞かせていただければと思います。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
三菱スペースジェットが開発中止に至った背景には、開発者における安全性に関する規制の認証プロセスへの経験、ノウハウの不足、エンジンなどの主要な装備品を海外サプライヤーに依存することでの交渉力の低下、さらにはリージョナルジェット市場の環境変化など、様々な要因があったと聞いております。
国土交通省としては、三菱スペースジェットの開発が始まって以来、安全性審査が円滑に進むように、本格的な技術審査組織を開発拠点に設置し、審査要員を拡大するなどして対応してまいりました。また、安全性審査活動において、米国や欧州の航空当局との技術審査に関する協議を通じた認識や知見の共有により、我が国の審査能力の向上が図られるとともに、当局間で緊密なネットワークを確立することができ、加えて、相互に強力な信頼関係も構築することができました。
国土交通省といたしましては、これまで培ってきた審査体制や審査能力、国際的に緊密なネットワークと信頼関係を生かしつつ、安全確保を旨とし、今後のプロジェクトにおいても、これまで得られた知見を可能な限り産業界と共有するなど、経済産業省とも連携し、我が国の航空機産業の発展に貢献してまいります。
○市村委員 大臣、また来週やらせていただきますが、この型式認証のことは余りおっしゃらなかったんですが、結構やはり、私が聞いている範囲では、MRJの場合、型式認証のいろいろな課題があったというふうに聞いています。
また来週やりますけれども、NEDOでまたいろいろ、私の経験上、NEDOとの関係の中で、型式認証のことについていろいろ思いがありますので、また来週やらせてください。
では、ここで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、守島正さん。
○守島委員 日本維新の会の守島です。よろしくお願いします。
まず、大阪・関西万博について、来年四月十三日の開会まであと一年ということになりましたので、改めてこの機にお伺いしたいと思っております。
その前段として、昨日の、CCS関連法案の審議の際、参考人としてお招きした公益財団法人のRITEさんが大阪・関西万博に実証プラントを出展するということなので、その点に関して一つお聞きします。
それこそRITEでは、この間議論してきましたネガティブエミッションなんかを実現する未来技術として、大気中のCO2回収技術である、いわゆるDACとCCSを組み合わせた実証プラントを設置し、その回収したエネルギーを利活用するといった施設を展開する予定なんですけれども、万博における当該パビリオンへの期待と、経産省としてのタイアップとかも含めて、大臣の考えを教えてください。
○齋藤(健)国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けまして、まずはCO2の排出削減の取組が重要であります。
その上で、鉄鋼などの産業プロセスのように全てのCO2排出をゼロにできない部門におきましては、残りの排出分を相殺するために、大気中のCO2を直接回収するDACとCCSを組み合わせたDACCSなどの、ネガティブエミッションと呼ばれる技術が重要になります。
大阪・関西万博では、政府が進める研究開発の一環といたしまして、DACCSについて展示予定であります。RITEを始めとする事業者と連携をしまして、来訪者に分かりやすい展示の仕方など工夫を凝らしまして、DACCSについての国民の皆様の理解、認知度が上がるようにしていきたいと考えています。
日本におきましては、DACCSを始めとするネガティブエミッション技術は研究開発の領域にまだとどまっておりまして、万博の機会なども最大限生かして、一日も早い実用化、産業化につながるように取組を進めていきたいと考えています。
○守島委員 さきの法案審議でも、大臣、未来社会を認識してもらうためには国民の理解がやはり大事だとおっしゃっていましたので、まさしく万博は未来社会の実験場ということもあるので、こうした官民の取組をうまくPRして、カーボンニュートラル実現後の社会というもののイメージを共有していく場にしていただきたいなというふうに思っています。
続いて、万博全体についてお伺いしますが、昨年、本委員会で万博の経済波及効果に関して質問した際に、私自身で勝手に、会場整備費が当初の額の千二百五十億円から二千三百五十億円に上がったことを前提に、そのコスト増分に合わせる形で産業連関表の基の母数を修正して、このぐらい経済効果が上がるんじゃないかみたいな話をさせていただきました。
母数を、会場整備費を入れるだけで大体そのとき二千億円ぐらい増えるというふうな試算になったんですけれども、今日、茂木参考人も来ていただいておりますが、参考人からも、計算はそのときはしていないけれども、支出増によって波及効果は増える方向には変わるだろうという話をしていただいた。
もちろん、じゃ、コストを上げたらいいということではなく、収支に関しては厳しいスタンスで臨むべきと思っているんですけれども、とはいえ、一定、政府投資による乗数効果ということを求めるのであれば、この経済波及効果という数字も重要な指標になるかなというふうに私自身は思っています。
なので、経済波及効果の再試算に関しては、計算の基となるコストが増えてプラス方向に働くというのは前提として、数字的には、先日経産省さんが約四千億円アップした数字を出されていたので、僕自身が会場整備費だけ修正したものとは若干の数字の乖離があったということで、改めて経産省が経済効果を再試算した経緯と評価方法を教えてほしいというのと、加えて、大阪府市でも大阪府内、域内の経済波及効果というのを算出した記事が最近出ていましたが、この計算根拠等も分かる範囲で教えていただければと思います。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございましたとおり、先日、三月の二十九日でございますけれども、大阪・関西万博の経済波及効果の再試算の結果を公表いたしました。
今回の再試算を行いましたのは、経済波及効果への期待のみが万博を開催する目的ではないんですけれども、国費も措置しながら進めている公的な事業でございますので、経済的な影響についてもお示しするという意味で再試算をさせていただきました。
今回の試算におきましては、二〇一八年に実施した前回の調査結果というのがございますが、この時点からの変化を踏まえて、最新の産業連関表をまず用いております。
それから、インプットの数字については、これも先ほど委員から御指摘ございましたが、会場内の建設投資費用ですとか、それから運営費の増額、さらには近年の建設費や物価の上昇なども考慮をいたしまして、試算の前提条件の見直しを全般的に行っているということでございます。
その結果として、経済波及効果の試算の結果が、二〇一八年の約二・五兆円から四千億円増えて、約二・九兆円というふうに試算をされているということでございます。
それから、大阪府市による試算というのがございます。これは大阪府が行ったものでありますので、我々がお答えする立場にはないんですけれども、府市側が用意した産業連関表というのがございまして、この産業連関表に経産省の試算と同様のインプット数値は使っているというふうに聞いておりますが、これを用いて計算した結果だというふうに聞いております。
○守島委員 ありがとうございます。
今参考人からあったように、運営費とかの増も含めて現状のコストに合わせたというのと、産業連関表自体も見る数字を新しいものに合わせたということで、現行、実態に見合ったものに近いものになってきたというふうには感じています。
大阪と経産省は元々経済波及効果の違いがあったので、その数字がどちらに寄与するべきかというのはしっかり見ていきたいというふうに思っております。
どちらにしろ、実態に見合った経済波及効果が出てきたのかなというふうに思っていますし、当初懸念されていました工事進捗に対しても、昨年は非常に厳しい状況というふうに聞いていたんですけれども、経産省もそうなんですけれども、政府、そして総理からの強いコミットがあって、体制強化も一定図られることで、先日、関経連の松本会長なんかも、昨年は厳しかったけれども、昨年当初から比べると比較的楽観的という話もされていまして、これはやれるんじゃないかという発言も先日されていたようです。
私自身、先日、現地を視察をさせていただきまして、進捗というか、進み具合に関しては、本当に目覚ましい進展があるなというふうに思った次第です。
とはいえ、引き続き官民連携して会場建設にはしっかりと取り組んでほしいと思いますが、ここで、齋藤大臣、本年、就任されましたので、当委員会で改めて、万博に対する思いとか期待とか、大臣としての見解をお聞かせいただければと思います。お願いします。
○齋藤(健)国務大臣 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマであります。ポストコロナの新たな世界ですとか未来社会がそこに行くと体験できて、我が国のイノベーションの可能性を感じることができる、未来社会の実験場であります。
来場者、特に、私は、将来を担う子供たちが未来社会を実感し、どういう未来をつくっていくべきかを考える、万博ならではの貴重な機会を提供しなければならないと強く思っています。
先日十三日に行われました開幕一年前イベントにおきましては、八人のプロデューサーによるテーマ事業の紹介がありまして、命を通じて我が国の未来の姿を示す、万博の目玉となるプロジェクトとして、私自身、大いに期待をしています。
例えば、いつも言う話ですが、石黒浩プロデューサーが手がけるパビリオンでは、たくさんの人間そっくりなロボットに囲まれた未来の暮らしを体験でき、さらに、千年先の人間の姿を想像させるアンドロイドも展示されるという予定でありまして、未来社会がもう間近に来ているということを多くの方に実感をしていただけたらと思っています。
これは一例なんですが、このような万博の具体的な中身をこれからより明確にしていきまして、博覧会協会において、広報発信コンテンツの制作や様々なメディアとも連携しながら、今後、効果的な発信を行っていきたいと思っています。加えて、SNSを含むデジタルメディアを積極的に活用していくことで、ターゲット層も意識しながら、スピーディーかつ効果的な発信をしていきたいと思っています。
多くの国民の皆さん、特に日本の将来を担っていく子供たちに是非万博会場へ足を運んでいただきたいと思っていますので、万博に行けばどのようなものが見られるのかとかどのような体験ができるのかといった、そういう万博の意義や魅力を具体的に関係者一丸となってしっかりと発信していきたいというふうに考えています。
○守島委員 大臣、ありがとうございます。
おっしゃったように、イノベーションの可能性というのをしっかり示していただいて万博の意義とかを伝えてほしいと思いますし、コンテンツの周知はこれからというふうな形だったんですが、しっかり周知していただいて、次は、機運醸成が足りていないという指摘もされているので、その点、よろしくお願いします。
大臣おっしゃったように、冒頭、DACCSとかでも触れましたが、未来社会を実現する場でもありますので、ここがうまくいくかいかないかが、未来社会にスムーズに移転する分水嶺のようなイベントになると思いますので、どうぞよろしくお願いします。
続いて、残りの時間で中小企業施策に関して聞きます。
最近のニュースでは、昨年コロナにおけるゼロゼロ融資の返済ピークを迎えたということもありまして、二〇二三年度の全国の倒産件数が九千件を超えるという報道があります。借換え保証で、さらに五年の据置きができたので、延命につながっている企業もたくさんあると思うんですけれども、中長期的には、コロナ禍の手厚い支援というのがなくなっていくと思うので、一定淘汰されていくのかなというふうに思っていますし、倒産件数予測なんかでも、二〇二四年、今年は一万件を超えるんじゃないかという話も出ています。
こうした現況に関して、ある種ネガティブな報道が多いんですけれども、私自身は、災害時ではない平時に中小企業施策を過度に行うことは、市場原理をゆがめる上、生産性向上とか新陳代謝とは逆のバイアスがかかるんじゃないかというふうに思っていて、ある種厳しいスタンスを持っています。
ちなみに、私自身のバックボーンを説明すると、今、金属部品を加工する小さな町工場を営んでおりまして、かつ、十五年間、中小企業診断士という、まさに経済産業大臣に登録される国家資格者でありました。国会議員になって、なかなか実務に当たれないので、この三月で資格の更新をやめて、今はこの四月から元職になったんですけれども。
そういうバックボーンがあるので、種々の中小零細企業を見てきた中で、コロナにおけるゼロゼロ融資を始めとした支援の在り方とか、非常事態が終わって支援措置を少し延長するということは、悪く言えば、リーマン・ショック後のモラトリアム法案を見ているような既視感があって、結果、貸倒れする企業が増える状況というのは、案の定というふうに感じています。
なので、公平な市場環境が失われると、企業の生産性とか成長が鈍化するんじゃないかなというふうにも感じていて、この点、前任の西村大臣に率直に話をさせていただいたところ、緊急のコロナ対応は必要だったとした上で、もちろん倒産はない方がいいけれども、新陳代謝とか構造改革は進めないといけないという話でした。なかなか、マクロ的な視点であるべき論を語るというのは批判にもつながるので、そういった中、率直に語ってくれたことは本当にうれしく思いました。
中小企業の倒産を避けるべく、先月もゼロゼロ融資の借換え保証を今年の六月末までと延長されましたが、焦げつき自体に関してはシビアに見ていくべきだというふうに私自身は思っていますし、期間を延長して猶予期間中に次なる支援をしていくということに関しては、もろ手では賛成できる状況ではないんですけれども、企業の廃業はネガティブなことなのか、円滑に撤退すること、具体的には廃業とか会社の解散が能動的になされることに対する意見を、時間がないので、大臣の率直な感想を教えていただきたいと思います。
○岡本委員長 齋藤経産大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。
○齋藤(健)国務大臣 企業の倒産件数につきましては、これは、九千という数字はありますが、コロナ前の平年並みの水準になってきた、そういう数字かなと思います。
コロナでいろいろ御支援をしましたが、政策を平時に戻していかなくてはいけません。その中で、雇用の七割を占める中小企業の稼ぐ力を高めながら平常に戻していくということが大事なんだろうなと思っていますので、中小企業が直面する人手不足ですとか物価高騰等の課題に対応し、資金繰り支援や徹底した価格転嫁対策を進めると同時に、生産性向上や販路拡大に向ける前向きな挑戦というものを後押しをしていくということが大事なのかなというふうに思っています。
○守島委員 この論点、時間も経過したので、次の法案審議のときに話したいと思います。よろしくお願いします。
以上です。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、笠井亮さん。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
まず、四月十日の日米首脳会談等、齋藤大臣の訪米に関わって伺います。
今回、日米首脳は、原子力発電の推進を確認いたしました。岸田総理の米国訪問ファクトシートによりますと、バイデン米大統領は、岸田政権の原発再稼働政策を称賛し、小型モジュール炉、SMRなどの導入に向けた共同の取組を確認をいたしております。
このSMR、小型モジュール炉は、まだ世界のどこでも実用化していない。今回の確認によって、これを実現するめどというのは立っているんでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 今月十日に行われました日米首脳会談後に公表されたファクトシートにおきましては、SMRを含む次世代革新炉の導入に向けた共同の取組について、日米両国の継続的なパートナーシップを確認をしているということです。
現在、米国を始め、各国でSMRの実現を目指した研究開発が行われているものと認識をしています。その中で、例えば、米国のニュースケール社は、二〇二九年に初号機の運転開始を目指しているというふうに承知をしています。
政府といたしましては、我が国の原子力関連サプライチェーンや技術基盤の維持強化の観点から、まずは米欧での先行プロジェクトに日本企業が参画することを支援をしていきたいと思っています。
○笠井委員 これは、日本でSMRを導入をして建設する具体的な計画というのはあるんでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 現時点におきまして、日本国内におけるSMRの建設について、具体的な計画は承知しておりません。
○笠井委員 四月十一日の、日本、フィリピン、米国首脳による共同ビジョンステートメントには、「日比米三か国は安心で安全な民生用原子力の能力構築に関するパートナーシップの拡大を追求する。」とあります。同日の日米比商務・産業大臣会合では、このSMR、小型モジュール炉を共同で進める方針を確認をしております。
そこで、齋藤大臣に伺います。
現在、フィリピンで建設が検討されているというSMRというのは、どこが出資する、どの事業者によるものでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 現在、フィリピンにおいて、特定の出資者や事業者がSMRの建設について具体的な検討を行っているという事実は、我々は承知をしておりません。
○笠井委員 国際協力銀行、JBICと日揮ホールディングス及びIHIが出資する米国のニュースケール・パワー社、先ほど、大臣、ニュースケール・パワーということでおっしゃいましたが、ここがそういうことで検討していると。
フィリピンは、二三年の十一月に米国と民間の原発利用に関する協定を結んで、このニュースケール・パワー社が二〇三一年までに最大七十五億ドル、約一兆一千三百億円投資する計画である、こう言われていますけれども、そういうことは検討されているということがあるんですね。
○齋藤(健)国務大臣 フィリピンにおいて、繰り返しになりますけれども、SMRの建設について具体的な検討を行っているという事実は承知をしておりませんので。重ねて答弁させていただきます。
○笠井委員 そういう、実際に今申し上げたようなことについて検討されているという報道があるのは事実だというのは承知されていますか。
○齋藤(健)国務大臣 済みません。直接、今、目にしていないので、あるのかもしれないし、ないのかもしれません。
○笠井委員 今実際に報道されているというのが、この間、経済紙などを含めて出ておりますが。
このJBICと日揮、それからIHIが出資する米国の新興企業、ニュースケール・パワー社は、昨年十一月に、米西部のアイダホ州でのSMR建設計画を中止をしております。
一部報道では、インフレや金利高による建設費増加が要因だとしておりますけれども、実際には、多額の補助金を投じてもなお、SMRからの電気は再エネよりも高くて全く価格競争力がなかったためだ、こうされているわけです。
このSMRというのは、小型などと装いを新たにしようとも、やはり高コストで実現のめども定かでない、そして、事故のリスクや、発生する核のごみの処分の見通しもないということは実際にあります。
先ほど研究開発の中で、二〇二九年にはニュースケール・パワー社が初の初号機を目指しているということを大臣も言われましたが、それはどこで目指しているというようなことで言われているんでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 済みません、笠井さん、事前に御指摘いただければ、きちんと御答弁できたんですが。済みません。(笠井委員「いやいや、大臣がおっしゃっているんですから、二〇二九年って」と呼ぶ)場所についてはですね。(笠井委員「いや、大臣の答弁で自らおっしゃったので。事前に言いようがないですよ。大臣が二〇二九年と」と呼ぶ)
○岡本委員長 では、追加答弁で。
○齋藤(健)国務大臣 二〇二九年以降の運転開始を予定する米スタンダード・パワー社の事業に変更するということで計画が変更されたわけですが、その場所は、オハイオ州、ペンシルベニア州にあるデータセンター用の動力源として変更したというふうに聞いておりますが。
もう少し事前にいただければ、きちんと答えられたと思います。
○笠井委員 いや、私の方でなくて大臣の方から、二〇二九年でと、ニュースケール・パワー社とおっしゃったので、それはどこですかというふうに伺ったので、事前にちょっと私が質問通告のしようのないことでありまして、いずれにしても、ニュースケール・パワー社が初号機を目指していると大臣がおっしゃった。しかし、まだ世界でどこでもSMRが実用化されていない。実際に、ニュースケール・パワー社は、昨年十一月に、アイダホ州での建設計画を中止をしているということであります。
だから、小型だということで装いを新たにしても、コストは高いし、実現のめどもまだ定かでない、事故リスクや発生する核のごみの処分も見通しがない。結局、今度は、日本、フィリピン、アメリカとの関係で確認もしながら、そういうSMRをフィリピンに押しつけて、やらせてみようということではないんですか。
○齋藤(健)国務大臣 世界の国々は、それぞれに異なる経済事情ですとかエネルギー事情を踏まえながら、エネルギー安定供給の確保や脱炭素化に取り組んでいるわけであります。
SMRの導入検討を含めまして、フィリピンがエネルギー政策についてどういう位置づけでどう考えているかということについて、我が国がその是非を論じるというのは適切ではないと思っていますが、国際的には、昨年のCOP28の成果文書であるグローバルストックテイクにおいては、原子力は気候変動に対する解決策の一つとして位置づけられているというふうに承知をしています。
○笠井委員 フィリピンがどういう選択をするのかはフィリピンのことだというふうにおっしゃいますが、日米比でそういう形でSMRを進めるということで確認をして、実際にそういうことでいろいろなことが動き出す。
アイダホでの建設中止というのは、ニュースケール社による建設単価の引上げや株価の下落などの、SMRの持つ経済的な脆弱性の結果であります。
そして、今回の日米首脳会談というのに戻ってみますと、軍事、経済、エネルギー分野でも、中国と覇権を争う米国のために、日米一体で取り組むというものになっている。原発問題でいえば、日本は、東京電力福島第一原発事故、これを起こして体験した国である、その国がフィリピンに対して原発を押しつけて、事故のリスクをもたらしたり核のごみを残すなどということは絶対許されない、そんなことは許されないということを申し上げておきたいと思います。
次に、スポーツ成長産業化との関わりで、再開発のことについて伺います。
岸田政権は、様々な分野で成長戦略を掲げております。そこで、齋藤大臣、安倍政権で始まったスポーツ市場の拡大を目指すスポーツの成長産業化を経産省がスポーツ庁とともに主導しているのはなぜでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 スポーツは、人々に熱狂や感動をもたらし、スポーツを中心とする経済活動、ひいては地域経済の活性化にも貢献する重要なファクターなんだろうと思っています。その振興を図ることで、我が国の経済成長にも寄与することができるのではないかと考えています。
例えばプロスポーツは、世界で非常に大きなビジネスに成長をしたものも存在するわけであります。そのため、経済産業省として、プロスポーツによる海外需要の獲得を後押しするための支援などに現在取り組んでいるところであります。
スポーツ庁とも連携しながら、スポーツ産業をしっかりと稼げる成長産業とするために取り組んでいくこと、これは重要なことではないかなというふうに考えています。
○笠井委員 稼げる成長産業というところが非常に一つ大きな問題になってくると思うんですが、今、東京は、渋谷、八重洲、日本橋、虎ノ門、麻布台、湾岸エリアなどで、東京大改造と称する巨大開発ラッシュであります。
そういう中で、明治神宮外苑では、開発事業者の三井不動産等が、にぎわいあふれるスポーツの拠点として更に発展させていくということで、神宮球場と秩父宮ラグビー場の移設、建て替えと高層ビル建設を計画をいたしております。
そこで、経産省に伺いますが、政府は、スポーツの成長産業化として、二〇二五年までに何か所のスタジアム、アリーナを新たに実現して、どれだけの市場規模にしようとしているのか、そして、それは現在の何倍になるということになるんでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
スタジアム、アリーナにつきましては、これは二〇一七年の六月に閣議決定をされました未来投資戦略におきまして、多様な世代が集う交流拠点として二〇二五年までに二十拠点を実現するとしておりまして、現時点で十四拠点が選定をされております。
それから、市場規模についてでございますが、これは、日本再興戦略二〇一六におきまして、スタジアム、アリーナを含むスポーツ産業の市場規模を二〇二五年までに、当時の市場規模、約五・五兆円だったと思いますが、その三倍程度に当たる約十五兆円に拡大するという目標を掲げているところです。
○笠井委員 二〇一七年に経済産業省が提出して成立をさせました地域未来投資促進法ですけれども、これは、認定した地域経済牽引事業計画に対して、補助金、税制、金融、情報、規制の特例措置によって政策資源を集中投入して支援するという触れ込みでありました。
法律案の概要資料というのがありますが、そこでは、スポーツ成長産業化の目標をどのように設定をしていたか。また、この資料には投資案件の例としてスタジアム、アリーナという記載はありますでしょうか。
○茂木政府参考人 御指摘の法律の法律制定時に経済産業省が作成した資料がございまして、その中で、観光、スポーツ、文化、町づくりの投資案件の例としてスタジアム、アリーナの整備事業についても記載をしております。
また、今御指摘のありました目標ということでございますが、これは目標ということではないんですが、その資料の中で、先ほど申し上げました日本再興戦略二〇一六における、スポーツ市場の規模、二〇二五年までに当時の市場規模の三倍程度の十五兆円を目指す、こうした記述を記載しているところであります。
○笠井委員 スポーツ庁に伺います。
スポーツ成長産業化の具体化のために、経済産業省と合同でスポーツ未来開拓会議を設置をして、スポーツアリーナ改革を推進してまいりました。二〇一九年十一月のスポーツ庁「スタジアム・アリーナ改革推進の取組」という資料がありますが、その四ページに「現状」と「目指す姿」ということが四点にわたって端的に書かれておりますが、それぞれ何をどうするというふうに書かれているでしょうか。
○先崎政府参考人 お答え申し上げます。
スタジアム、アリーナは、するスポーツの施設という観点だけでなく、見るスポーツの施設という観点から、コンスタントに多くのお客様が集まる施設としての特徴を踏まえていく必要がございます。
御指摘の資料につきましては、「現状」と「目指す姿」の四点が記載されております。
まず一点目については、プロスポーツの試合は、一年間を通じて開催される試合数というのは限定されております。そこで、スポーツイベントのためのみの単機能施設ではなくて、コンサートやコンベンション等多様な利用シーンを実現できる多機能型の施設を目指す必要があるということ。
それから二点目といたしましては、公費負担を軽減して効率的かつ効果的な施設の整備、管理を行うためには、行政指導で行うより民間の資金や経営能力、技術的能力といった民間活力の導入を目指すということが重要であるということ。
それから三点目でございますけれども、スタジアム、アリーナが集客力や地方への効果というものを高めるためには、多くの人にとって利便性が高く、また、他の集客施設等との複合化や連携を図りやすい町中立地を目指すということも重要であるということ。
四点目として、スポーツ施設について収益性の観点が不足してきたわけですけれども、そこから脱却をして収益性改善を目指すということも重要であるといった、スタジアム、アリーナに対して持つべき今後の考え方の変化を示しているものでございます。
○笠井委員 この資料の八ページの「スタジアム・アリーナの新設・建替え構想と先進事例形成支援の現状」という一覧がありますが、その中に神宮球場それから秩父宮ラグビー場という記載があるかないか。あるかないかだけ答えてください。
○先崎政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の資料は、スタジアム、アリーナの新設、建て替えの全国状況について、各種発表資料を踏まえて、全国約九十か所について記載をしたものでございますが、その中の一つとして、御指摘の名称も記載されているところでございます。
○笠井委員 経産省に伺います。
二〇一八年の経産省とスポーツ庁のスタジアム・アリーナ改革ガイドブック第二版がありますが、ここには、「都市/市街地再開発や建設・運営が周辺市街地へ波及したスタジアム・アリーナの海外事例」ということで、アメリカのMLBサンディエゴ・パドレス本拠地であるペトコパークが掲載されている、それは事実ですね。
○茂木政府参考人 御指摘のペトコパークについては、当時のスタジアム・アリーナ改革ガイドブックの海外事例の一例として掲載されております。
○笠井委員 明治神宮や三井不動産、伊藤忠商事、JSCが神宮外苑の再開発事業者でありますが、このアメリカのMLBサンディエゴ・パドレス本拠地であるペトコパークをモデルとして視察をしたという事実はありますね。
○茂木政府参考人 御指摘の神宮外苑再開発事業者がペトコパークを視察したかについては、関係者が視察を実施したという報道については確認をしております。
○笠井委員 報道と同時に、事業者によるホームページで、QアンドAの三十二番目にそのことが書かれております。
それでは、東京都は、二〇二三年二月十七日の神宮外苑地区におけるまちづくりファクトシートで、アメリカ・サンディエゴのペトコパークのように野球場を整備というふうに記載がありますね。
○茂木政府参考人 東京都が公表しております神宮地区におけるまちづくりファクトシートに同施設が記載されているかということでございますが、公表資料において記載があることは確認をしております。詳細については承知をしておりません。
○笠井委員 そうなりますと、今ただしてきたんですが、経産省とスポーツ庁がスポーツ成長産業化を推奨し、その下で事業者と東京都が神宮外苑を再開発しているということではないかと。
この神宮外苑の再開発は、都市計画公園の一部を廃止をして百九十メートル級を始めとした超高層ビルを建てる、そういう前代未聞の事業になっております。
四月五日のNHKでは、三井不動産などの事業者は、三棟の高層ビルによって生まれるフロア、いわゆる保留床から得られる収益によって開発事業費の全額を賄うというふうに報道しております。三井不動産の鈴木真吾専務執行役員は、我々が事業をあそこでやらせていただいてしっかり稼いでいくということも経済的には必要なのは自明だ、ここまであけすけにインタビューで答えておられます。つまり、収益追求のための高度利用、超高層ビル、それが今回のスポーツ成長産業化という名目の下で使われているということになると思うんです。
国交省に伺います。
第十二版都市計画運用指針というのがありますが、この二百七十二ページに都市計画公園の変更に関する項目があります。我が国の公園等の公共空地の整備水準、都市計画公園の性格、それから見直しの必要性について、この二百七十二ページの項目の中の後段になると思うんですけれども、該当部分を紹介していただきたいと思います。
○鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
都市計画運用指針は、都市計画制度の運用に関して、地方公共団体に対する技術的な助言としてお示しをしているものであります。
当指針におきまして、御指摘の箇所につきましては、我が国の公園等の公共空地の整備水準が欧米諸国と比較しても低く、公園等は他の施設等の用地として使われやすい性格を有していること、また、公園等の都市計画の見直しにつきましては、慎重に検討することが望ましく、長期未着手だけでは変更する理由に相当しないなどとされているところであります。
以上です。
○笠井委員 今、紹介いただきました。私はとても大事な指針だと思います。
齋藤大臣もよく海外で御覧になっていらっしゃるというふうに思うんですけれども、ともすると、空き地があれば、ビルやマンション、これを建てて侵食されがちな日本と比べて、特に欧米では、首都でも公園がきちんと整備されて、そしてきちんと公共空地を長期的な視点で守ろうというふうになっているんじゃないか。僕はそれは本当に大事なことだと思うんですが、大臣、それ自体は大切なことだという認識はやはりお持ちですよね。
○齋藤(健)国務大臣 私も海外にいろいろ行ってすばらしい公園なんかもたくさん見てきているわけでありますが、日本の都市計画公園をどうするかということに関しましては、ちょっと私の立場で答弁することは控えたいなと思います。
○笠井委員 多分そういうふうにちょっと警戒されるんじゃないかと思ったんですが、都市計画公園をどうするかとか、それは国交省だ何省だとかいう話、そういうことではなくて、私は、やはり本当に、そうした公的空地そして公園というのが大事だなと率直に思うものですから、そこでの共有ができればと思ったんですが、ちょっと警戒をされたようであります。
実際には、この外苑の再開発では、地区の容積率を二〇〇%から九〇〇%に増やして超高層ビル建設に道を開いて、今年二月三日の東京新聞は、再開発で外苑内に新たにできる施設の七割弱がオフィスや商業施設という、建築士である若山徹氏の分析を報じております。ですから、スポーツというので成長産業化といいながら、実際には七割弱がオフィスや商業施設ということで、もうけに使われるという実態が現実にある。
外苑近くに住む住民が高層ビル計画を知らされたのは今から五年前の二〇一九年四月ということで、球場やラグビー場を建て替えるだけだと思っていたのに、想像していた以上の大規模な開発に言葉も出なかった、こう語っておられます。
大臣、スポーツの成長産業化あるいはスタジアム・アリーナ改革と旗を振ってきた結果がこんなことに使われている、これでいいんでしょうかということを率直に伺いたいんですが。
○齋藤(健)国務大臣 私は新宿で生まれ育っているものですから、この辺のことについては土地カンが非常にあるわけでありますけれども、この地域をどういうふうに、都市計画公園ということで、都市計画法に基づいて都市計画に定めることができる公園ということでありますので、同法の法目的である都市の健全な発展と秩序ある整備に資するものであらなくてはいけない、一般論でそう申し上げるということが私の答弁としては限界であります。
○笠井委員 答弁として限界とおっしゃいましたが、やはりさんざん、そういう意味では、スポーツの成長産業化ということをスポーツ庁と一緒に旗を振ってきたのが経済産業省ということだと思うので、その結果、現実にこういうことが進行しているということでは、うちは関係ないよ、ちょっと責任は違うのでというふうに逃れるのはまずいんじゃないかと思うんですね。外苑を結局そういう再開発の、もうけ優先の場にしていいのか、再開発が、稼ぐために一等地の都市計画公園を企業が利用する、それに利用される計画になっている、このことは本当に重大だと思います。
それから、それだけじゃないと思うんです。この再開発では、高さ三メートル以上の七百四十三本もの樹木が伐採される計画であります。これに対して、外苑の緑を守れという運動が急速に広がっております。一年前に他界された音楽家の坂本龍一さん、作家の村上春樹さん、漫画家のちばてつやさんなど多くの著名人がこれに声を上げられて、サザンオールスターズも楽曲をこのために作られたということで発表されています。
ユネスコの諮問機関イコモス、国際記念物遺跡会議の本部は、昨年九月にヘリテージアラートというのを出しまして、都知事や事業者だけじゃなくて、総理や国交大臣、文科大臣、環境大臣にもそれが送付されている。国会では、超党派の議員連盟、これが自民党から共産党までということで各党が入ってできていまして、私も発起人の一人であります。
大臣、これも限界だとまた言われて言われないかもしれないけれども、新宿で生まれ育てられた、まさにそばで見られていて、あそこは百年の歴史があって、元々、民間の手でというか、若い皆さんが青年団ということで植樹もされて、そしてここまで来たという外苑ですが、スポーツ成長産業化のためだったら、百年の歴史、豊かな樹木がある、この外苑の緑が損なわれても仕方がないとは思われませんよね。
○齋藤(健)国務大臣 笠井委員の御質問は、一般論をおっしゃっているようで何か具体的なプロジェクトを想定をされているように思うので、答弁はどうしても慎重にならざるを得ないわけでありますが、本再開発事業につきましては、国土交通省や環境省等とは異なりまして、経済産業省は関係法令を所管しておりません。経済産業大臣としてコメントすることはやはりここは控えざるを得ないということで御理解いただきたいと思いますが、一般論としては、都市計画等の権限と責任を有する東京都及び新宿区、港区において、地権者を始めとする関係事業者と協議しながら適切に対応をされるものだろうと考えています。
○笠井委員 慎重にならざるを得ないということで随分消極的に言われるんですが、しかし、やはり、スポーツの成長産業化ということを旗を振ってこられた経産省ということでいうと、その結果がどういうことで今使われているかということについてはよく見ていただく必要があると思うんです。
この再開発事業に伴うCO2の排出量というのは年間で五・六五万トンです。既存の樹木を大量に伐採するためにその部分もCO2吸収量が減ってしまって、気候危機対策、これは政府としても大事だと先ほど来大臣御自身もおっしゃっている、それにとっても大きな逆行になるんじゃないかと。
私は、少なくとも、スポーツ成長産業化ということで、スポーツを活性化して、それが国民のために本当に活用されるようにというふうに言われた冒頭の趣旨からしたら、様々なことがそれの結果として使われたり起こっているということについてはよくフォローする必要があるというふうには思うんですけれども、最低限、どんなことになっているか、このスポーツ成長産業化の中でいろいろなことが起こっているよねということについては、つかむ必要があるということはおっしゃられますよね。
○齋藤(健)国務大臣 結局このプロジェクトを前提とされている質問でありますので、私の答弁は前回同様とさせていただければと思います。
○笠井委員 私は、経済産業大臣としては、旗を振られてきた経産省として、このスポーツの成長産業化ということがいろいろな意味で使われたり、あるいは影響を及ぼしたり、あるいはプラスもあるかもしれない、そういうことについてはきちっと検証をして、見ていかれる必要があるというふうに思いますので、検証するということぐらいおっしゃってください。
○齋藤(健)国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、このプロジェクトについての権限……(笠井委員「プロジェクトじゃなくて」と呼ぶ)いや、でもプロジェクトを前提として話されているので、絶対これは前提としてしゃべられておりますので、何の権限も今経済産業省には本件はありませんので、私の方からコメントは控えざるを得ないということは御理解いただきたいなと思います。
○笠井委員 経産省が旗を振って、経団連が求めてきたスポーツの成長産業化の下で外苑再開発が実際に進められている、そして三井不動産などがそれを先頭になってやっているわけですが、その不動産業界や日本建設業連合会から自民党、国民政治協会への献金は十年間で四十三億円あります。財界、ディベロッパー、ゼネコンのための巨大開発ではなくて、住民参加と主体、あるいは情報公開、環境や地域社会と調和した町づくりにこそ転換すべきだし、スポーツ成長産業化ということであれば、旗を振ったそれがどうなっているかということについては、きちっとやはり大臣としても責任を持ってつかんで検証いただく、これからの日本にとっても大事なことだと思いますので、そのことを強く求めて、今日の質問を終わります。
○岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。
○鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。
最近、視力がだんだん悪くなってきて、まだ小さい字は眼鏡をかけなくて見れるんですけれども、だんだん先が見えなくなってきたなと自分自身に問いかけているんです。
去年も齋藤大臣が法務大臣のときに質問したのがクレジットカードの件なんですね。それをもう一度。割賦販売法というのは経産省が所管している法律なので、ちょうど七年か八年前に割賦販売法の改正のときにも質問に立たせてもらったんですけれども。
二〇二三年のクレジットカードの不正利用被害額というのが過去最大で五百四十一億円。高度な本人認証の普及に向け、官民対策会議が開催されたと聞きます。デジタル化が日進月歩の発展が図られる中で、事業や生活の利便性が向上していると感じる一人です。しかし、昨年の法務委員会でも指摘したように、クレジットカードを今持っている人が本人かどうか、チェックが曖昧だというふうに考えています。それで、この不正利用に拍車がかかっているんだと思うんですね。
私たちも便利にクレジットカードを使っていますから、これはなかなか難しいと思うんですけれども、ここに写真も何もないんですね。これからどんどんデジタル化に移行していく時代の中で、やはり一番、本、キーになるのは本人確認だと思います。
カード会社に例えば写真添付を義務づけるようなことを働きかけるとか、EUでは既に、カード会社に強力な顧客認証、SCAを義務づけていると聞きます。日本の対応をどうしていくのか、お尋ねしたいと思います。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、近年のクレジットカードの不正利用の被害でございますが、これは、フィッシングメールから偽サイトに誘導してカード番号を入力させるといったような、こういう手法によってカード番号を窃取する、それをECサイト等のオンライン決済で不正に利用するという、こういうケースが、先ほど言及がございました五百四十一億円の九三%を占めるということでございます。したがいまして、御指摘のとおり、こうしたクレジットカードの不正利用を防止するためには、こういうECサイトにおける本人認証をしっかりやっていくというのは非常に有効な手段になってくるわけです。
それで、経済産業省では、まず、電子取引におきまして本人認証の普及というのを進めてきております。二〇二五年の三月末までにクレジットカード会社や加盟店に対して本人認証を可能とする仕組みを導入するように、これは昨年の三月からそうした考え方を出して求めてきております。
また、例えばパスワードを入力したり、あるいは、本人であるということが確認できるスマートフォン等にワンタイムパスワードを送っていただいて、これを入力する、こういった手法があるわけですが、カード利用者において、本人認証が可能となるようなスマートフォンの設定ですとかメールの設定ですとか、こうしたものをしっかりしてもらうことで本人認証というのは非常に確実になってくるということで、これを官民で周知を強化しているというところでございます。
先ほど委員からも御指摘ございました、クレジットカード会社、決済代行事業者、学識者、国民生活センター、それから警察庁や消費者庁にも御協力いただいて立ち上げました官民対策会議の場でも、まず、この点の、本人認証の仕組みをしっかりと進めるように取り組んでまいりたいというふうに思っています。
それから、顔写真についての御言及がございました。顔写真の添付を今サービス提供しているクレジットカード会社もあるということは私どもも承知をしております。一方で、これは店舗での不正利用というのが先ほど申し上げたように非常に限定的であることと、一方で、ネット取引における本人認証の仕組みの強化というのが非常に重要でございますので、現時点におきましては義務づけについては検討していないということでございます。
○鈴木(義)委員 今御答弁いただいたんですけれども、名札に写真がついている人もいれば、ついていない人もいるんだね。これは経産省でルールを決めているんですか。私、ちょっと本当に視力が悪いので、写真、ついていますか。ついていないの、それ。写真じゃないんですか。ついていない人もいるでしょう。何か違いがあるんですか。
○岡本委員長 どなたか御答弁できますか。
鈴木委員、ちょっと答弁の準備ができていないようですが、確かに、ついていらっしゃる方とついていない方がいらっしゃいます。
○鈴木(義)委員 いや、だから、そういうことですよ。世の中で、今、カードでやっている事業所もあれば、やっていないところもあるんだから、ちゃんと名前、私たちも本当はつけなくちゃいけないのかもしれないですね。
去年の法務委員会で齋藤大臣に、私が鈴木義弘かどうか、私自身は分からないと言ったんです。小さいときから鈴木義弘、鈴木義弘でずっと育てられてきたから私は鈴木義弘だというふうに認識しているだけで、分からないということなんです。
議員の皆さん方に笑われましたけれども、誰一人分からないんですよ。だって、そういう仕組みの中で社会が動いてきていて、本人確認をしろとか本人認証しろとかダブルチェックしろとかというふうにやったって、それをチェックしている人間が、私なのかどうかが分からないという前提に立って商取引が行われているということなんです。
だから、そういう意味で、やはりきちっと強制力を持った法律の改正なりをしていかないと、この問題は解決にはつながっていかないんじゃないかと思います。
それと、車に関わる質問を何点かお尋ねしたいと思います。
GXを推進するのに自動車のEV化は避けて通れないと認識しています。しかし、昨年末から、マスコミの報道は、EV化が進展するのが加速するより、減速又は逆行している状況が報道で見て取れます。電気自動車の牽引役だった米テスラの成長に陰りが見えている、二〇二四年一月―三月期の世界販売台数は四年ぶりに前年実績を下回った、中国ではBYDなどが値下げ攻勢をかけている、お膝元のアメリカではインフラ整備の遅れもあり需要が伸びていない、米中対立下で電池などのコスト競争でも厳しい状況に立たされていると。
日本でも、経済安保や日米同盟など、米国と同じような状況にあると考えるんですが、二〇三〇年に向けてそれを打破していこうとする方策があるのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、一部メーカーや政府におきましてEV目標の見直しなどの動きがあることは承知しております。
他方で、EU、米国、中国などの諸外国においては、EVの導入を推進する政策の方向性に大きな変更はなく、EVの普及は世界的に今後も進むものと認識しております。委員御指摘の米国におきましても、EV販売の伸び率は鈍化しておりますが、二〇二四年一月から三月は、対前年比で一一%程度EVの販売が増加しております。
自動車分野のカーボンニュートラルに向けては、完全な技術はいまだ存在していない中で、我が国は、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げまして、EVだけではなく、合成燃料や水素の活用など、多様な選択肢を追求することを基本方針としております。
その実現に向けて、具体的には、G7などを通じて諸外国に対してこうした考えを継続的に発信し、グローバルな市場形成を図るとともに、グリーンイノベーション基金などを活用しまして、全固体電池や合成燃料などの革新的技術の開発及び社会実装に向け、取組を進めております。
その上で、今後市場を拡大していくEVでも勝つことが重要と考えております。そのため、購入補助や充電インフラ整備、こういったものを通じた国内市場の立ち上げ、蓄電池の国内製造基盤の強化や上流資源の確保などを総合的に講じてまいる所存でございます。
○鈴木(義)委員 これもちょっと前に言ったら少しせせら笑われたんですけれども、新しい新築の家なんですが、例えば暖房器具なんかは二百ボルト、床暖房も二百ボルト、空調も二百ですね。今の日本のホンダだとか日産だとか一部のメーカーさんが出している電気自動車もみんな二百ボルトなんです。でも、私たちが生活のベースにしているのは百ボルトなんです。世界の中で百ボルトを使っているのは日本だけなんです。百から二百にもできるんだけれども、二百から百に下げることはもっと簡単にできる、トランスをかませればいいんだから。
だから、もし日本のEVを、ステーションをどんどんどんどん造っていくよりも、個人だとか集合住宅みたいなところにターミナルをつけて、そこで充電させていくということになれば、二百ボルトを主体にした電力政策をしていくというのが一つの答えになっていくんじゃないかなと思うんです。
一つは、再生可能エネルギーは直流なんです。私たちが当たり前に使っているのは交流。でも、電気自動車はみんな直流です。太陽光でも風力でも全部直流。それをわざわざ交流にして遠くに飛ばしているわけです。そういったことも踏まえて、やはりインフラ整備を一般の家庭も含めて奨励していかなければ、このEVは増えていかないと思うんですよ。
特に、航続距離が長いのがまだ出ていない。近場で百五十キロや二百キロ走るぐらいだったらいいけれども、何か、新しい電気自動車に乗っている人の話を聞いたら、もうちょっと延びるようになったよと。それでも二百とか二百五十キロ。電池はどんどん劣化していきますから、長く乗れば乗るほど航続距離が落ちていく。これはもう分かっているわけですから、それの対策を取らない限り、EVの普及、今売れていますよといったって、まあまあ近場の距離で動くぐらいの人が乗っておられるんじゃないかと思うんです。
それをやはり、インフラ整備も含めて経産省が旗を振っていかなければEVの活用にはなっていかないと思うんですけれども、その辺の意気込みを。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁しましたとおり、我々としましても、EVの拡大に向けまして、まずは充電設備の整備、こういうところを進めております。その中で、昨年、新しい整備方針を示しまして、できるだけ高効率の設備を増やしていく、そういうものを提案して、かつ、それに見合った予算をいただいて、それを執行してきておるところでございます。
委員御指摘の交流、直流、百ボルト、二百ボルト、そういったものを含めまして、どういうものが適切か、引き続き検討してまいりたいと思います。
○鈴木(義)委員 じゃ、次にもう一つ。中国製のEVは、昨年、国内外で大躍進を遂げた、しかし、その陰で非EV車が激減している。当たり前ですね、EVにどんどんシフトしていくんですから。ガソリン車からEVへの転換は各企業にとって至上命題だが、EV市場が既に過当競争状態にあるんじゃないかとも言われています。将来的に何百ものガソリン車の生産工場が閉鎖されることが危惧されている、EVが成長しているにもかかわらず、中国の自動車産業の従業員数は二〇一八年の約五百万人から五十万人減少したとの試算があると言われているんです。
日本もEVを推し進めれば、自動車産業に携わるのは、例えば、今の普通のガソリンエンジンで部品が三万点使われていると言われているんです。一番部品が多く使われているのはエンジンの部分とトランスミッションのところ。まあまあ、もろもろいっぱい入れればの話なんですけれども、それがモーターに置き換わってしまうと、極端な言い方、三分の二の部品メーカーは要らないということになっていく。これはもう電気自動車がスタートしたときから言われていることなんですね。
中国でももう五十万人の人がなくなる。今日のネットのニュースを見れば、テスラで一万人のレイオフをするわけです。それが現実に起きているんですね。だから、EVを推し進めなくちゃいけないんですけれども、自動車産業に携わる三分の二の方々、先ほども大臣の答弁の中で、何を飯の種にしていけばいいのかというのが見えない中で、もう次から仕事がないからどうぞお引き取りくださいとできるかということなんです。
そうならないように、国としての方策、参考人の方が御答弁できるのか、三役の方にお願いするのか、どちらでも。
○石井大臣政務官 お答えしたいと思います。
我が国は、EVだけではなく、合成燃料や水素の活用など多様な選択肢を追求することを基本方針としております。
そのため、委員が念頭に置かれておるような、EVの販売比率だけが急激に上昇するような事態は想定しにくいと考えておりますが、電動化の進展によりエンジン部品の需要が減少していくこと、また逆に、蓄電池や電動車部品などの新しい需要の発生など、様々な変化が想定されております。
こうした中、新たな市場においても日本企業がシェアを確保していくことが、雇用維持の観点からも重要であります。
経済産業省としては、エンジン部品メーカーなどの中堅・中小サプライヤーが、電池やモーター、電子部品など、電動化に伴い必要となる新たな事業領域に前向きに参画していただくための事業展開支援に取り組んでおります。また、今後競争力の鍵を握る技術のイノベーションを促進して我が国の国際競争力の向上を図るべく、次世代電池、モーターなど、イノベーションを促進することに加えまして、経済安全保障上も重要な物資である蓄電池について、国内生産の基盤強化などの産業戦略を推進するなど、総合的に取組を進めてまいります。
以上でございます。
○鈴木(義)委員 じゃ、もう一つ事例を挙げます。
日本のトラックメーカーいすゞ、EV開発へ逆張りという記事が出ていたんですね。いすゞ自動車は三日、二〇三一年三月期までの中期経営計画を発表し、計二兆六千億円にも上る成長投資のうち、エンジントラックなど既存事業に一兆六千億円、電動化や自動運転には一兆円を費やす、商用車の電動化は航続距離や価格面で課題が多く、普及に時間がかかる、当面は稼げるエンジンで次世代投資の原資を確保し競争力を高めるという報道だったんです。メーカーも、二〇三〇年、CO2の四六%カット、これは全体の話なんでしょうね、でも、一応二〇三五年には、経産省が旗を振っている電動化に全部向けていきますよと。
消費者調査などの結果から、海外では、BEVよりガソリン、ディーゼルエンジン車の購入を希望する消費者の割合が高くなっているというものもあるんです。日本でも、エンジン車の購入意向を示す消費者が増加、一方で、BEVの購入意欲は減少しているというふうにも言われています。
あと六年で二〇三〇年を迎えるんですけれども、これも去年の経産委員会で質問に立ったときに使わせてもらったんです、例えば自動車、いろいろな種類があります、商用車の中にトラックだとかダンプだとかトレーラーとかあります。これが、今オーダーをしたときに何年先に納車されるかというのを聞いたことがありますか。一年先だとか、物によっては二年先というものもありますよ。それだけ生産台数を増やさないんです、先の見通しがないから。
あとは、年間に売れる車の量というのはある程度その車両によって目測が出ていますから、それ以上たくさん造っても売れなければどうしようもない。だから、受注生産をするような形になってきている。商用車は特にそうです。
そうなってきたとき、二〇三〇年とか二〇五〇年、あと十年ちょっとあるから大丈夫だろうなと思っていても、二年も三年も先にならないと納車させられないような車を造らざるを得ない、オーダーしてもすぐに入ってこない、そういうことも想定して開発の後押しをするとかインフラ整備をしていくということをしないと、これは電動化には絶対間に合わないと思うんです。
答弁になると、水素がいいだとか、合成燃料がいいですか、何があるという話になってくるんだけれども、でも、実際メーカーの方は、先の見通しを、自分たちは自分たちで経営していかなくちゃいけないから、だから、今のディーゼルエンジンやガソリンエンジンの開発をベースにしてもうけていきましょうという発想になってしまう。それを国としてどう応援するかということなんですよね。
もう一度御答弁いただければありがたいんですけれども。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のように、企業に対してある程度の予見可能性を与えていく、そういった将来の見通しを政府が示していくべきではないかというのは御指摘のとおりかと思います。
我々としては、先ほど委員からもありました、二〇三五年電動車一〇〇%、これを目指しておりまして、商用車の御指摘もありましたけれども、商用車につきましては、特に先ほどの、電気自動車については航続距離が短いという御指摘もありましたので、水素を少し集中的に支援していくところでございます。そういった取組を通じて、企業にも今後の脱炭素化への取組を加速してもらいたいと思っております。
○鈴木(義)委員 もう一点、車に関わるものです。
SDV、ソフトウェア定義車両というんですか、この市場規模は少なく見積もっても二〇三〇年に二千億ドル市場に成長するというふうに予測されているんだそうです。SDVを実現するためには、各社のネットワーク、クラウドに車がリンクしていること、性能などをアップデートできる優れたソフトウェアを内製することが条件となる、テスラなどの新興EVメーカーは既にこうしたネットワークを構築しているが、既存大手自動車メーカーはこの点で後れを取っているという記事なんですね。
耐久性や信頼性等の点で実用化にはまだまだ時間がかかるというふうに聞くんです。先行しているメーカーさんもあれば、国内のメーカーということですね、このソフトウェアの部分、国の支援をしてきたのか。今もやっているということであれば、やっていますということで結構ですし、既にやっていれば、やっているで。
それと、さらに、ちょっとこれは言葉が足らないので勘弁してもらいたいんですけれども、オンラインでアップデートができる仕組みがもしできてしまうと、ディーラーで今車を売ったりメンテナンスをしたりして、町場には自動車整備工場がある、ここが、結局、その情報をきちっとキャッチしてお客様の車にダウンロードできるような仕組みを持っていればいいんですけれども、逆に言えば、日本で外国の車を売りたいといったときに、サービスはどうするんですかと必ず日本人の場合聞くんですね、どんなにすばらしい車であっても。そうすると、ディーラー網がきちっとできているかできていないかで車が売れる売れないというのが出てきます。逆に言えば、ディーラー網が重過ぎるので課題がのしかかるということも言われてくるわけです。
EV自動車を、SDVをどんどん売っていこうとすればするほど、そこのコスト、アメリカでもディーラーを解雇しているわけですよ、何十万人も、EV車になることによって。それで、ディーラー含めて、町場の自動車整備工場はどうすればいいのかというお尋ねなんです。御答弁いただきたいと思います。
○田中(一)政府参考人 お答え申します。
まず、前者のSDVへの支援について御答弁申し上げます。
委員御指摘のSDV、すなわち、これはソフトウェア・ディファインド・ビークルでございますけれども、これは、外部クラウドとの通信により車載ソフトウェアを書き換えることで自動車の機能を継続的にアップデート可能な次世代の自動車であると認識しております。
このSDVは、運転支援機能の高度化など、従来車にはない新たな価値が実現可能であり、今後大きな市場の拡大が見込まれておりますが、現状においては、高度なソフトウェア開発力を有するIT系の新興メーカーが先行していると認識しております。
こうした状況への強い危機感の下、経済産業省では、昨年、新たに産学の有識者による検討会を立ち上げまして、SDV開発競争を始めとした自動車、モビリティーのDXに関する中長期的な勝ち筋や取組の具体化に向けた議論を進めておるところでございます。
その中で、SDV開発の促進に関しましては、先端車載用半導体やシミュレーション環境などのSDVの鍵となる技術や開発基盤の構築、ソフトウェア人材の開発や、スタートアップ、異業種との連携促進といった横断的な取組の推進、こういった施策に既に取り組んでおりまして、更にそれの深掘りを検討しているところでございます。
こうした施策の方向性を早期にモビリティDX戦略として取りまとめた上で、具体的なアクションへと速やかにつなげてまいりたいと考えております。
○久保田政府参考人 二点目の整備事業に対する影響についてお答えさせていただきたいと思います。
委員御指摘のとおり、近年、OTA技術を搭載したいわゆるSDV、あるいはパワートレインの多様化が進展しておりますので、これらの自動車を安心して使っていただくためには、ディーラーを含む、町工場を含めた全国の整備工場が新技術を含めて適切に点検整備を行えるようにすることが大事だと考えております。
このため、国交省では、全国の整備工場が新技術を含めて適切に点検整備が行えるよう、自動車メーカーに対しまして、必要な技術情報を整備工場に情報提供するということを道路運送車両法により義務づけております。
それから、自動ブレーキのような高度な電子制御装置の点検整備を行う整備工場に対しまして、故障診断を行うためにスキャンツールと呼ばれる機器が必要になりますけれども、この保有を義務づけて、この導入に必要な経費を一部国から補助をするということもやっております。
また、自動車整備士の質の向上も必要でございますので、資格要件として電子制御に関する知識を新たに求めたり、既に整備士の資格を持っている方に対してもそういった研修を実施して整備士の質の向上を図る。
国土交通省といたしましては、こういったことを通じまして、SDVを始めとする高度化する技術に適切に対応できるよう、引き続き取組を継続していきたいと考えてございます。
○鈴木(義)委員 時間がないんですけれども、是非国内のメーカーさんに、OSの部分は共通して使えるような形で指導してもらいたいんですね。そうすることによって、町場の自動車工場もそれをベースにして、いろいろなプログラムは違うんでしょうけれども、それで結局お互いにメンテナンスをしていく。何とかそれが飯の種になっていくという方策でやっていただきたいと思います。
終わります。
――――◇―――――
○岡本委員長 次に、内閣提出、新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。齋藤経済産業大臣。
―――――――――――――
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○齋藤(健)国務大臣 新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
我が国経済は、国際的な経済秩序の変化やコロナからの再興といったマクロ環境の変化に加え、気候変動やデジタル化といった新たな社会課題の解決に官民連携で取り組んできた効果もあり、過去最高水準の国内投資の見通し、三十年ぶりの高水準の賃上げの実現など、潮目の変化が生じています。
こうした潮目の変化を持続させ、長年続いたデフレ構造から完全に脱却すべく、国民や企業の将来への期待を高めることを通じて、民間企業が投資、イノベーションを主導し、高い水準の賃上げが続いていくような、成長型の経済に移行することが求められています。
そのためには、戦略的国内投資の拡大と国内投資拡大につながるイノベーション及び新陳代謝の促進といった取組の強化が必要です。こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、産業競争力強化法の一部改正です。
第一に、戦略的国内投資の拡大のための施策を講じます。
国際競争に対応して市場を獲得することなどが特に求められる商品を生産、販売する事業者の計画を認定し、商品ごとの生産、販売量に応じた大規模、長期の税額控除などの措置を講じます。また、政府が事業者の事業活動における知的財産権の活用状況等を調査する規定を根拠に、国内で自ら研究開発した一定の知的財産権を用いていることを確認できた場合には、当該知的財産権から生じるライセンス所得及び譲渡所得に対する所得控除を行うこととします。
第二に、国内投資の拡大につながるイノベーション及び新陳代謝の促進のための施策を講じます。
まず、常用従業員数が二千人以下であって中小企業者ではない会社等を中堅企業者と、このうち成長発展を図るための事業活動を行っているものを特定中堅企業者と定義します。そして、特定中堅企業者又は中小企業者が複数回のMアンドAを行う計画を認定した場合に、税制優遇等の措置を講じます。また、産業革新投資機構が有価証券等の処分を行う期限を二〇五〇年三月末まで延長するとともに、スタートアップがストックオプションを機動的に発行できる仕組みを整備します。加えて、共同研究開発を行う企業、大学等について、標準化と知的財産権を活用した市場創出の計画を認定した場合に、独立行政法人工業所有権情報・研修館と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構による助言等を行えるように措置します。
次に、投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正です。
投資事業有限責任組合の取得及び保有が可能な資産に暗号資産等を追加するとともに、株式等の保有率を五〇%未満に制限される外国法人の範囲を見直します。
次に、独立行政法人工業所有権情報・研修館法及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部改正です。
独立行政法人工業所有権情報・研修館の業務に、中小企業者及び試験研究機関等に対する工業所有権の保護及び利用に関する助言並びに工業所有権の保護及び利用に必要な助成金の交付などを追加します。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務に、革新的な鉱工業技術を活用して新たな事業の開拓を行う事業者に対して、その研究開発の成果の企業化に必要な事業活動に係る補助金の交付などを追加します。
以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
○岡本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○岡本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る二十三日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十五分散会