第12号 令和6年4月24日(水曜日)
令和六年四月二十四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 岡本 三成君
理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君
理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君
理事 荒井 優君 理事 山岡 達丸君
理事 守島 正君 理事 中野 洋昌君
青山 周平君 井原 巧君
石井 拓君 大岡 敏孝君
加藤 竜祥君 神田 憲次君
国光あやの君 小寺 裕雄君
杉田 水脈君 鈴木 淳司君
関 芳弘君 高木 啓君
冨樫 博之君 中川 貴元君
福田 達夫君 古川 康君
細田 健一君 堀井 学君
宮内 秀樹君 宗清 皇一君
柳本 顕君 山際大志郎君
吉田 真次君 和田 義明君
若林 健太君 大島 敦君
岡本あき子君 落合 貴之君
小山 展弘君 神津たけし君
重徳 和彦君 山崎 誠君
市村浩一郎君 小野 泰輔君
山本 剛正君 吉田 宣弘君
笠井 亮君 浅野 哲君
鈴木 義弘君
…………………………………
経済産業大臣 齋藤 健君
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
経済産業大臣政務官 石井 拓君
経済産業大臣政務官 吉田 宣弘君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 塩崎 正晴君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 鈴木 清君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 藤木 俊光君
政府参考人
(経済産業省大臣官房首席スタートアップ創出推進政策統括調整官) 吾郷 進平君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 荒井 勝喜君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 哲也君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省経済産業政策局長) 山下 隆一君
政府参考人
(経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官) 吉田健一郎君
政府参考人
(経済産業省産業技術環境局長) 畠山陽二郎君
政府参考人
(経済産業省製造産業局長) 伊吹 英明君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 山影 雅良君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 定光 裕樹君
政府参考人
(特許庁総務部長) 滝澤 豪君
政府参考人
(中小企業庁次長) 飯田 健太君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
経済産業委員会専門員 藤田 和光君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
辞任 補欠選任
鈴木 淳司君 高木 啓君
宮内 秀樹君 小寺 裕雄君
山際大志郎君 柳本 顕君
和田 義明君 古川 康君
小山 展弘君 神津たけし君
田嶋 要君 岡本あき子君
鈴木 義弘君 浅野 哲君
同日
辞任 補欠選任
小寺 裕雄君 宮内 秀樹君
高木 啓君 青山 周平君
古川 康君 和田 義明君
柳本 顕君 杉田 水脈君
岡本あき子君 田嶋 要君
神津たけし君 小山 展弘君
浅野 哲君 鈴木 義弘君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 鈴木 淳司君
杉田 水脈君 山際大志郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
――――◇―――――
○岡本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官塩崎正晴さん、総務省大臣官房審議官鈴木清さん、財務省大臣官房審議官小宮敦史さん、財務省主計局次長吉野維一郎さん、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之さん、経済産業省大臣官房長藤木俊光さん、経済産業省大臣官房首席スタートアップ創出推進政策統括調整官吾郷進平さん、経済産業省大臣官房審議官菊川人吾さん、経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎さん、経済産業省大臣官房審議官荒井勝喜さん、経済産業省大臣官房審議官田中哲也さん、経済産業省大臣官房審議官小林出さん、経済産業省大臣官房審議官田中一成さん、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行さん、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆さん、経済産業省経済産業政策局長山下隆一さん、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官吉田健一郎さん、経済産業省産業技術環境局長畠山陽二郎さん、経済産業省製造産業局長伊吹英明さん、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官山影雅良さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さん、特許庁総務部長滝澤豪さん、中小企業庁次長飯田健太さん、中小企業庁事業環境部長山本和徳さん及び環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。落合貴之さん。
○落合委員 おはようございます。立憲民主党の落合貴之でございます。
本日は、新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について、質問をさせていただきます。
まず、法案の冒頭のところに提案理由というのがいつも書かれているわけですけれども、この法案の提案理由のところには、経済の潮目の変化という言葉が強調されて書かれております。これは、前後の文章を読んでも、経済がいい状況に転換している、潮目が変わっているというような意味で使われております。
しかし、実際に近年の数値を見てみると、ニュースもいろいろ見てみると、例えば、実質賃金は二十三か月連続してマイナス、これはリーマン・ショックによる景気低迷期に並んで、過去最長に下がり続けています。そうなると、実質賃金が下がるとどうなるかというと、やはり、家計調査を見ても、例えば消費支出額、これは十二か月連続して前年同月比でマイナスが続いているわけでございます。
これは今、潮目の変化が起きているというふうに書いていますが、大臣、この今の状況、経済がいい状況と言えるかどうか、どう認識されていますでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、この数年、様々取り組んできた政策がございます。その成果も出始めて、日本経済はマクロ面において大きく変化するチャンスを迎えているんだろうというふうに考えています。
今年の春季労使交渉の第四回集計では五%を超える賃上げの数字が示されておりますし、二年連続で企業の賃上げの動きというのは加速をしてきている。また、三十年ぶりとなる百兆円規模の国内投資が実現するなど、そういう意味で、我が国経済には潮目の変化が生じてきているものというふうに認識をしています。
ここで気を緩めてチャンスを逃してしまうと、また元のもくあみになってしまいますので、私はこれからが正念場だというふうに考えています。将来の飯の種を生み出す社会課題解決型の国内投資を後押しするためにも、積極的な産業政策を更に展開し、継続をしていきたいと思っています。
○落合委員 好転するチャンスを迎えているということで、大臣の認識としてはまだはっきり好転というわけではないというようなことが言えると思います。
選挙が近づいているからか、ちょうど自民党のホームページを見ていたら、「数字で見る経済再生 実感をあなたに。」というのが載っています。これは、要は、経済再生した実感をあなたにということで、分かりやすく言うと、再生しましたということをPRしているんだと思います。
この手法というのは、アベノミクスのときも、今デフレから完全に脱却する兆しが見えてきました、ただ、それは一部の恩恵にとどまっているので、津々浦々にそのアベノミクスの恩恵を行き渡らせるんですということをずうっと言い続けていたんですが、なかなか本当の好転には至らなかったわけです。永遠に道半ばとも言われていましたけれども。
このアベノミクスのときの手法とか説明の仕方をそのまま岸田政権は引き継いでいてはならないというふうに思います。やはり、しっかりと何が弱いのかを認識して、国民に説明をして、そして官僚の皆様にも理解していただいて、正しい政策を打っていく、これでないと、経済の本当の好循環は実現できないというふうに思います。アベノミクスの達成できなかったことを達成するために、岸田総理は新しい資本主義を打ち立てて、家計にも恩恵をもたらすという経済政策をやるはずだったと思いますので、是非そこを注視をしていただければと思います。
これは前回、前々回の大臣所信の質疑のときも配りましたが、参考資料を御参考にいただければと思いますが、アベノミクスが始まる前を一〇〇とすると、アベノミクスの間で、結局、実質賃金は上がりませんでした、下がってしまいました。当然コロナもありましたが、その前から、世帯消費はアベノミクスの前よりか低いわけです。
強いて成果を言えば、物価をマイナスではなくプラスにしたということがあるかもしれませんが、これは消費税を二回上げているんですよね。消費税というのは物価に含まれます。なので、消費税を上げれば、そのパーセンテージ分、物価は上がります。このアベノミクスの間に消費税は五%分上げていますので、物価が十年間で一〇%ぐらい上がったという中に、消費税分は五%ぐらい含まれている。となると、物価もそんなに上がっていないです。
したがって、これは同じような経済政策を打っていては経済は好転しないわけですので、しっかり、すぐもう今結果が出ましたというよりも、中長期的にこれが課題です、今もこれが課題ですということをはっきりと国民にも説明することが重要であるというふうに思います。
実際に世論調査でどうなっているかなというふうに見ますと、三月十八日の朝日新聞の世論調査に、景気がいいという実感はありますかというアンケートで、実感がないという人が八八%いらっしゃいます。やはりこれが世の中の実態ではあると思いますので、正しい経済政策を打っていくために正しいアナウンスをしていただければと思います。
こういう状況の中でも、景気がいいというか、いいと言っている中で物価が上がっているのは、いわばコストプッシュインフレ、需要が増えて物価が上がっている部分は少しはあるかもしれないですけれども、はっきりと表れているのは、ロシアがウクライナに侵攻した後に物価がきゅうんと上がっているわけです。これは、やはり外国からの輸入品が上がっていたり、原材料費が上がっていたり、コストプッシュインフレです。
それなのにもかかわらず、需要増のインフレではないにもかかわらず、日銀は前のめりにどんどん利上げをしていくというような姿勢を見せていますので、これは私は、経済を客観的に見ると、ある意味リスクが高まっている、危機がある意味あるというふうに思います。中国の経済の数値もよくありません。
したがって、これはむやみにいい状況だというふうに言える状況ではありませんので、是非御認識をいただければと思います。
その中で、投資を促進して、それから新しい事業を創出していくというための法改正を行っていくわけでございます。
今まで経済産業省の産業政策は、大企業と中小企業に事業者を分けて政策を打ってきました。大企業に対しては、政策減税などでピンポイントに政策誘導していくというような、ピンポイントに政策を打っていたのかなというふうに思います。中小企業に対しては、補助金等で満遍なく、なるべく幅広くお金を供給していく、満遍なくお金を援助していくというような形だったと思います。
今回、その二つだけの区分だと日本経済の成長に不十分だということで、中堅企業というものを打ち出します。大企業の中でも、その中で中堅企業というカテゴリーを作って、そこはバックアップを強力にしていきますということでございます。
改めて、今まで二つしかなかったカテゴリーを三つにする意義、これをお聞かせいただければと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、委員に、先ほどの経済状況についてですけれども、私が申し上げたのは、いい兆しは出てきているが、ここで気を緩めてチャンスを逃してはいけない、元のもくあみにしてはいけない、これからが正念場だということですので、委員の御指摘とかなりかぶるところがあるのではないかなというふうに思っています。
それで御質問ですけれども、中堅企業は、十年前と比較しますと、大企業を上回る従業員数ですとか給与総額の伸び率がございまして、国内売上げ、国内投資の着実な拡大を通じて、地方における良質な雇用の提供者でありますし、さらには、経営資源の集約化によって前向きな新陳代謝の担い手としての役割を果たしている重要な企業群であると認識しています。
こうした特性から、中堅企業の成長は日本の成長型の経済への移行において極めて重要であるというふうに認識をしています。
本法案によって、中堅企業のうち、特に賃金水準や投資意欲が高い中堅企業を対象に、複数の中小企業をMアンドAした場合の税制措置等を講じ、中堅企業の更なる成長や中堅企業、中小企業によるグループ一体での収益力の向上等を促進していきたいと考えています。
そして、中堅企業支援の枠組み構築を通じて、成長意欲のある我が国企業が、中小企業から中堅企業、そしてその先へと、シームレスに成長を目指せるような環境の整備につなげていきたいと考えています。
なお、地域の経済や雇用を支える中小・小規模事業者の持続的な発展を支援すること、これは引き続き重要な政策課題であると考えていますので、手を緩めることなく、その成長を後押しする政策、これは継続、強化していきたいと考えています。
○落合委員 伸びる企業を伸ばしていく、そういうカテゴリーが今までなかったということで、そういった工夫をする、こういう施策を打っていくということは、私もいいことだというふうに思います。これがうまく成功していくように、微修正もこれからあると思いますので、政策の効果をしっかり見ていくことが重要だなというふうに思います。
後半、言及をいただきましたが、今まで、特に大企業を中心に、あとビジネス誌とかも見ますと、大企業の立場から言っているわけですが、日本の産業政策は中小企業に手厚く援助をし過ぎだ、それが日本経済の成長を阻害をしてきたというような指摘もこれまでもされてきました。これは、中堅企業のカテゴリーをつくったことでそっち側にシフトしていって、中小企業政策は比重がちょっと中堅企業に寄るということはないと先ほど答弁にもありましたけれども、中小企業支援の在り方を変えていくということではないということで、改めて、よろしいですね。
○齋藤(健)国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、地域の経済や雇用を支える重要な担い手が中小・小規模事業者だと思っていますので、そこは手を緩めることなく、その後押しをしていきたいということであります。
○落合委員 我々政治家は選挙区がありますので、役所の方々よりももしかしたらそういう地元の事業者に会っている、しかも話を聞いているかもしれません。その方々がいかに社会に貢献しているかというものも目の前で見ているわけです。是非この声はしっかり役所の政策にも反映していくということが重要であると思います。
何年か前に、中小企業政策を見直した方がいいんじゃないかと、特に菅政権のときに議論が起こったことがありました。分かりやすく言うと、ある方が、中小・小規模事業者が日本は多過ぎるので、それを減らしていくことが日本経済、そのときも新陳代謝というような言葉を使っていましたが、減らしていくことが日本経済の生産性を上げていくことにつながるというようなことも言っていた方もいらっしゃるわけでございます。菅政権のときだったと思いますが、私はそのときもここの委員会の委員で、絶対にその政策は取るべきじゃないということを申し上げました。
これは、実際に見てみると、もう既に中小・小規模事業者は、十年単位で見てもかなり減ってきています。それは、後継者がいないですとか、あと、大企業はもうかっているけれども、中小・小規模はもうかっていないので、事業をやめちゃう方もいました。それから、中小企業は地方都市に多いわけですけれども、地方都市の景気が長く悪かったということもあるというふうに思われます。なので、放っておいても減ってきているのに、それを更に減らす政策を取るべきなのかというようなことを私はそのとき申し上げました。
さらに、この中小・小規模事業者というのは、日本の社会では経済活動以外の役割も担っているというふうに思います。例えば、日本は消防士さんだけでは災害で対応できません。なので、消防団という仕組みをつくっています。その消防団の構成員は大企業のサラリーマンではありません。多くが自営業者の方々でございます。それから、通りに上に夜ついている街灯、あれは、例えば商店街のところについている街灯は、半額、商店街が負担をしているわけです。要は、個人商店たちが半額払って街灯をつけているわけでございます。それから、町の掃除、お祭りの寄附、防災訓練、その地区その地区の中小・小規模事業者が経済活動以外にコストを払って、各地域の町を維持しているわけでございます。したがって、海外と同じような認識で、生産性だけで見ては、日本の社会が成り立たなくなってしまうわけです。
これからも経産省にまつわる議論の中でそういう意見を言う方もいらっしゃるかとも思いますが、国によって文化が違う、公共的な役割を町の小さな事業者が担っているということを是非忘れずに施策を考えていただければと思います。
ちなみに、私はそのときに、何を根拠に中小企業は生産性が低いというふうに言っているんですかということを質問主意書で出しました。あと、何を根拠に中小企業が多過ぎると言っているんですかと。そうしたら、特に多過ぎるとか生産性が低いとか高いとかの評価もしていないというふうな答弁です。これは、経産省としては、生産性が低いという根拠も持っていないですし、中小・小規模事業者が多過ぎるという根拠も持っていないわけです。是非、行き過ぎた中小企業淘汰論に対しては、はっきりと、それは間違っているということをおっしゃっていただければというふうに思います。
しかも、働き方改革の中で、フリーランスがどんどんどんどん増えています。中小・小規模事業者とか個人事業主に対する施策というのは、むしろこれから大きくなっていくはずです。DX化すればするほど、フリーランスも増えていくはずです。そこにも目を持っていって、次のいろいろな法改正にも取り入れていくべきだということを申し上げていきたいと思います。
より小さな事業者に目を向けていく施策というのは、もちろん、フリーランスも含めて経産省は事業者全体を所管していますので、やっていく、これまでを維持するけれども、プラス、力を注いでいくということでよろしいですね。
○齋藤(健)国務大臣 まず、委員御指摘のように、私も中小企業庁に勤務をしていた経験がありますが、実際に自分が政治家になって、地域の活動に参加するようになりますと、当時思っていた以上に、中小零細企業の方々が地域のために、それこそ損得なく貢献されている姿を目の当たりにしておりますので、そこはもう委員と認識は共有できていると思っています。
私は、御指摘のとおり、様々な課題がありますが、中小企業、小規模事業者が、例えば地域課題解決の担い手としても期待をされていることもあります。今後いろいろな環境変化があろうかと思いますけれども、その環境変化に応じて、しっかりとした中小企業、小規模事業対策を講じていくということは、これまでもそうでありましたし、今後も変わらないということであります。
○落合委員 そこで、役所の中でもいろいろな意見があって、それを一つの政策にまとめていっているんだと思います。今回の法案も、新陳代謝の促進という言葉が入っているわけです。これは、参考人質疑でも、中小企業家同友会の参考人の方が少し懸念をするようなこともおっしゃっていましたけれども、これはどういう意味で使っているか、やはり中小企業淘汰論的な考え方が入っているのかどうか。これは、大きな、ある意味分岐点というか、政策の評価の分かれるところだと思います。
これはどういう意味で使っているんでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 これは言葉の話なので、ちょっと丁寧に申し上げますと、新陳代謝については、産業競争力強化法には産業活動における新陳代謝が定義をされておりまして、事業者自身が経済環境の変化に対応してビジネスの力点を変革していくとともに、成長が期待できる事業分野に資金や人材を振り向けていくこと、こう認識をしています。
本法案では、国内投資の拡大につながる新陳代謝やイノベーション、これを促進するための措置として、我が国経済の牽引役である中堅企業等による他社の保有する技術等の獲得や新事業開発等を通じた事業拡大を促すため、中堅企業等による複数回のMアンドAを後押しする税制措置、あるいは、スタートアップ企業等による新技術等を活用した新しいビジネスの創出を後押しするため、産業革新投資機構の運用期限の延長やNEDOによるディープテックスタートアップの事業開発活動への補助等、これを講じているわけであります。
こうした取組を強力に推進することで、新事業の創出を更に活性化をして、また成長が期待される事業への投資をより一層促進をして、我が国経済を持続的な成長軌道に乗せていきたい、こういう趣旨で使われているということであります。
○落合委員 決して、弱肉強食で、一部の企業の成長で、社会全体の経済は成長しないということにはならないように、御注意をいただければというふうに思います。
それから、最近気になっているのが、大手の新聞社も含めて、ゾンビ企業という言葉を使う、公式のものでも使っているものが見受けられるようになりました。これは、先ほど申し上げた、社会に貢献している人たちに対しても、ゾンビ企業という言葉を平気で大手の新聞社も使っているわけです。
私は、いい傾向ではない、言われた方はどう思うのかな、これだけ地域のためにやっているのに、そういうふうに思います。こういう風潮も考えていかなければならないというふうに思います。
特に、そのゾンビ企業という言葉を使っている内容を見てみると、大きな原因が、コロナ禍で、ゼロゼロ融資や政策融資で融資が増えてしまった、その事業者の売上げに対して借入れの額が増えてしまったというような問題が起こっている、だからゾンビ企業は問題なんだというような形なわけですが、これは、平時の経済活動において借入れが増えたわけではないということを考慮しなきゃいけないというふうに思います。
二〇二〇年から三年ぐらいにわたって、特に前半は、政府が経済活動を止めました、緊急事態宣言等で。特に二〇二〇年は、いきなり経済活動を止めたりして急ブレーキがかかったので、助成金、補助金も間に合わない、支援金も間に合わない、なので取りあえず借りてくださいということを中小企業庁もやったわけです。政府全体でもやったわけです。
したがって、政府が急ブレーキをかけたことで、債務が増えました。それを小さい事業者が返すのは、かなり時間がかかるわけです。しかも、コロナの分類が変わったのも、まだ一年もたっていないぐらいです。要は、自己責任ではない、主に政府の政策で債務が増えている状況に対して、その企業、事業者たちをゾンビ企業と呼んでいる、これは間違っているんじゃないかなというふうに思います。
私は、こういう傾向は改めるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 どの報道機関がどういう言葉を使っているかということについて、私はコメントは差し控えたいと思っていますが、私としては、厳しい環境にある中小企業、小規模事業者を御指摘のような名称で呼ぶべきとは考えていません。零細企業の方が、一生懸命子供を育て、雇用を確保して、その結果、借金や赤字があるかもしれませんが、それを一律にゾンビ企業だという言い方は、私にはできないということであります。
また、そうした厳しい環境にある企業を含めて、地域の中小企業、小規模事業者の経営を支えつつも、一方で、経営者自らが状況を打開し、転換を図るべく、成長、こういったものを後押しする施策を展開していくことが重要だと思っていますので、いろいろな方面で目配りしながら、中小企業、小規模事業対策に取り組んでいきたいと考えています。
○落合委員 今の答弁にコロナの原因でという答弁はなかったんですけれども、例えば、ある新聞の今年の一月の記事に、「「ゾンビ企業」三割増」とでかく出ています。その隣に、「ゼロゼロ融資の余波」というふうにちゃんと書いているんです。なので、ゾンビ企業は自分の能力でゾンビ企業になったわけじゃない、政府の緊急事態宣言始め、経済にブレーキをかけたことでゾンビ企業が増えてしまったというようなことなわけですので、こういう状況をしっかり加味して政策を打っていかなければならないと思います。
なので、コロナが明ける前に、例えばゼロゼロ融資の分は一部債務を減らすですとか、そういう政策をもしも打っていたら、いわゆるこれで指摘している企業は少なかったわけですので、しっかりそれを考えた上で、中長期的な中小・小規模事業者対策を打っていくべきだということを指摘をさせていただきたいというふうに思います。
今回、中堅企業という分野を大企業の中から切り出すわけですけれども、それでも残る大きな大企業というものがあるわけでございます。大臣のインタビューもどこかで拝見したときに、大企業については、今ある自分のお金でもっと工夫ができるんじゃないか、工夫の余地がまだあるというふうに考えています、この部分の政策についてはというふうに答えているようなのをどこかで拝見したような記憶があります。
実際に、具体的な言及はそこのインタビューではなかったんですが、この中堅企業にも入らない大きな大企業は、その企業が持っているお金をいかにうまく使っていくか、それはどういう政策で促していくことを大臣は頭に想定されていますでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、これまでの日本経済を振り返ると、これまでも申し上げてきておりますが、大企業を含め、企業がコストカットに注力をして、そういう形での利益拡大を図って、設備投資や人への投資が抑制され、経済成長の抑制にもつながってきていると認識していますので、先ほど来申し上げているように、今後、足下の三十年ぶりの高水準の国内投資、賃上げといったこの潮目の変化、これを確実なものとしていかなくてはいけないと考えています。
我が国経済の成長型経済への移行を実現する上では、大企業も含めて、事業者自身が経済環境の変化に対応してビジネスの力点を変革していくとともに、成長が期待できる事業分野に資金や人材を振り向けていく、これが重要だと考えているので、この法案におきましては、企業における事業構造の転換を後押しし、国内投資を促進するため、国際競争に対応して内外の市場を獲得することが特に求められる戦略分野への国内での新たな設備投資を促進する、生産、販売量に応じた大規模、長期の減税措置、また国内での研究開発により取得した知的財産権から生じる所得を対象に減税措置を講じる、いわゆるイノベーション拠点税制等の措置を講ずることとしています。
加えて、本法案以外にも、大企業向け賃上げ促進税制については、令和六年度税制改正によって五%及び七%の高い賃上げ率の要件を創設をして、これまでより高い賃上げへのインセンティブとなるようにしたところであります。
こうした取組は、大企業にも当然のことながら適用されるわけであります。こうした取組を通じて、我が国経済の構造改革、これを実現していきたいというふうに考えています。
○落合委員 その言及された減税ですとかこれまでの規制改革ですとか、本来であればそれで投資が促進されていたはずなんですが、例えば、三十年前にシェア五割を握っていた半導体、何でシェア一割になっちゃったのかな、十数年前までシェアの半分近くを握っていた太陽光パネルの生産も、何で。要は、デジタルも再エネも、これから伸びるということがはっきり分かっていて、それなりに政策の措置をしたにもかかわらず、投資が促進されず、先ほどおっしゃっていた、投資の削減と人件費の抑制で当期利益を上げてきた、これを残念ながらやってきたわけです。
私も投資家の方ですとか企業経営者の方々に聞くと、私から見ると明らかにその分野がもうかるのに、なぜかお金を出さない。やはり、不確実性というものがもしかしたら大きな要素に年々なっているのかなと。なので、経済産業省は、新機軸を打ち出して、大規模、長期、計画的に国が関わることで不確実性を下げて民間に投資をしてもらうという政策を打ったんだと思います。
これは、具体的に今までどういう産業政策を日本が取ってきたのかなとデジタルの部分を中心に見てみますと、この前も大臣所信の質疑で私は取り上げさせていただいたんですが、内外の国際収支を見てみると、デジタル収支はどんどんどんどん広がっている。エネルギーにしても食料にしても、生活や経済活動に必要不可欠なものが日本は自給率が低かった。今、DXの時代を迎えるに当たって、デジタルまで自給できなくなってきてしまっているわけでございます。これは明らかに、私が子供の頃から高度情報化社会が来ると言われていて、明らかにその時代が来ると分かっていても、投資が行われなかったわけです。
これはよく調べてみると、二〇〇一年にe―Japan戦略というものが掲げられて、五年以内に世界トップのIT国家になるというふうに政府は言っています。では、その前の年の二〇〇〇年と最近のIT投資額を比べますと、OECDの統計ですが、アメリカは一・七倍に二十年ぐらいで増えました。イギリスは一・五倍、フランスは二・二倍。しかし、日本は、この戦略を掲げているのにもかかわらず、IT投資がマイナス一〇%、マイナスになってしまっているんです。
ハード面では、光ファイバーの普及ですとか成果はあったかもしれませんが、今はやっているスマホにしろクラウドにしろ、5G、6G、ドローン、AI、デジタルプラットフォーム、みんな劣勢に立たされている。二〇〇一年に五年以内にトップになると言っていたのは、全然成果が出ていないわけです。
やはり、先輩たちの政策を振り返ってみると、これは正直失敗だったな、改めるべきところは改めなきゃいけないなというふうに、大臣、思いますでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 大きな流れとして申し上げれば、やはり長引くデフレというのが大きかったかなと私は思っていまして、企業が足下の利益の確保のために、国内投資などを抑制するコストカットにどうしても力点が置かれてきたということが大きな流れとしてあると思いますし、それに加えて、政府も、民間主導という考え方の下で、民間の制約を取り除く市場環境整備策を中心としてきたゆえに、新たな価値創造に向けた積極的な取組というのが、全体として見れば、結果として不十分であったのではないかと私は思っています。
したがって、こうした状況に対応すべく、二〇二一年より、経済産業政策の新機軸が必要だということで、GX、DXなど社会課題解決分野を成長の源泉と捉えて、国内投資ですとかイノベーションですとか所得向上を促す積極的な産業政策に切り替えていこうということで取り組んでいるわけであります。
従来の市場の失敗への介入を超えて、民間市場だけでは進みにくい社会課題解決に向けて、政府が一歩踏み込んで、潜在需要を掘り起こしつつ、これに向けた供給力強化を官民連携で図るというアプローチで、産業政策を強化する姿勢に転換をしてきているわけであります。
今般の産業競争力強化法等の一部改正法案におきましても、この新基軸の考え方を反映しております。具体的には、戦略分野国内生産促進税制なんかもそうだと思いますし、イノベーション拠点税制もそうだと思いますし、また、中堅企業を集中的に支援する枠組みの構築なんかもその考え方でありますし、JIC、産業革新投資機構の運用期限の延長等の措置によって国内投資とイノベーション及び新陳代謝を促進する、こういったことも、こういう考え方に基づいて進めてきているものであります。
ただ、本法案だけで全てがうまくいくというわけではありませんので、予算や税制等のあらゆる政策ツールを組み合わせつつ、この考え方の下で、長期、計画的に取り組んでいくということをしっかりやっていきたいというふうに考えています。
○落合委員 私、十年近く経済産業委員会に所属をしているんですが、十年前も、税制措置ですとか長期のローンですとか、そういう政策が並んでいたなと。正直、そんなに大きな違いを、具体的に見ると感じないわけです。
それから、今回DXとかGXに絞るということでしたが、先ほど申し上げたように、二十年前からもうITを先頭にしてそういう国家をつくるんだということを、高々と、しかも五年間でやるというふうに言っていたわけです。やはり同じことを繰り返していてはならないというふうに思います。
具体的な産業を見ていくことで、やはり何をやるべきか。私は財政の使い方をもう少しうまくやることだと思うんですが、時間が来ましたので、あさってまた具体的に取り上げさせていただければと思います。
今日はありがとうございました。
○岡本委員長 次に、国光あやのさん。
○国光委員 自民党の国光あやのでございます。
今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
よく見渡したら、今、委員会に女性は私だけなんですね。(発言する者あり)そうですね。今、気づいてしまいました。
産競法は、地元や国内の女性の起業家の皆様方や経営者の皆様方、委員の皆様方、非常に関心の高い部分でありますので、そういうダイバーシティーも踏まえながら、是非、心を込めて質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。
この産競法、産業力強化法、私、是非質問に立たせていただきたいと本当に前から思っておりまして、非常に期待をしております。それは、先ほど申し上げた女性の皆様も期待しているというのもありますし、私の地元の茨城県でも、やはり産業競争力強化法、特に今日御質問したいのは中堅企業の部分であります。
年明けから結構ニュースになって、今回、法案は投資の拡大とかいろいろあるわけですけれども、一番地域経済の皆様に目立つというのは、中堅企業を新しくつくります、これは一体何だろうかと。国光さん、これは何と。これはどういうふうに進むのかなと、すごく期待感が出ているように私は受け止めております。
そういう中堅企業はやはり、先ほども御質問ありましたけれども、中小企業から今まではすぐ大企業で、中小は支援がいっぱいあったのに大企業はないから、中小にとどまっちゃって、なかなか規模が進まないということが、今の日本の一番の課題である。失われた三十年を取り戻すという意味での投資の拡大であるとか、設備投資であるとか、人手不足解消であるとか、そういうところのボトルネックに大きくなっていたと私も思いますので、そういう中で新しく、すぐ谷にぽこんと落ちるわけではなくて、中堅企業の枠をしっかりつくって、そこでまた御支援をしていって、中小から中堅、そしてさらに大企業と、しっかり国内外で花開いていただくように、投資も拡大するように成長していただくことが非常に重要だと思います。
あと、もう一つ理由があります。注目している理由です。
これは、かつて、五年前、十年前はまだちょっとタブー感があったかもしれませんが、政治が日本の産業のために取り組まなきゃいけない課題は、私はやはり前向きな事業承継、事業再編であったり業界の再編であったり、やはりMアンドAだと思います。
これはやはり、先生方も地元で、ちょっとお酒が入ると、もうそろそろうちの企業を売りたいの、あるいは買いたいの、どこかいいところないかなとか、どうしたらいいかなという相談というのは結構増えていませんか。私は非常にこれを実感します。私、当選以来八年になりますけれども、全部の相談をカウントしていますけれども、当選したときの二、三年はほとんど数件でしたけれども、去年だけで、売りたいです、買いたいですという御相談、実は八十件ほどありました。これほどさように、やはり人手不足でみんな困っているし、そしてまたオーナーの方はやはり高齢化していますよね、先生方の地元もそうだと思います。
そういうときに、何となくタブー感があるから黙ってその政策課題に触らないというよりは、私はやはり、これこそ、本来私たちが国会議員になっている大きな意義は、少し痛みが伴うかもしれないし、タブーだったことにも挑戦するということが私たちのいる意味だと思います。
そういう意味で、今回の中堅企業が、MアンドAに関しても、促進税制、中堅・中小グループ化税制など、それでしっかり中堅・中小を前向きにMアンドA始め再編していこうということは、盛り込まれていることは大きく評価をいたしますし、それがきっかけで是非日本の成長力を高めていっていただきたいと思います。
お手元に配った資料も、実際にこれ、私も一応元々理系なので、どうしてもエビデンスが気になります、エビデンスでしっかりデータで調べたところ、やはり、おめくりいただいた二ページ目にありますけれども、中堅企業によるMアンドA、非常に結論的に有効であって、明らかに、MアンドAをなさった結果、売上高が成長しているとか、あと、成長志向の中堅企業の取組として必要だと思っているけれどもできていないことの最大理由の一つにMアンドAとDXがあったりするわけであります。これは是非、この産競法、産業力強化法が前向きに取り組む起爆剤になっていただければと思っております。
そこで、今日は政務官ありがとうございます、いつも御答弁いただきまして。お尋ねなんですが、非常にそのように世間的な期待感が高まっている、一応、手札として、ツールとしても、税制であったり、あるいは支援策で政策金融公庫のツーステップローンなどもあるということがあります。
ただやはり、私は産業政策で大事なのは、法律を作りました、制度をつくりましたが、いかに社会に実装していって使われることかと思います。単にぶち上げただけで使われないと、それは机上の空論です。大変恐縮ですけれども、経産省さんはそういうの結構ありますよね。使われていない補助金、使われていない税制。何か使いにくいよね、知らないよねみたいな話。これを解決していきたいんです。
そのために、私、是非お願いしたいのは、この法律をしっかり早期成立を目指していただきたいと思いますけれども、社会実装するためには、やはり各地域地域でしっかりとステークホルダー、特に注目しておりますのは金融機関です。
実は、こういうことがありました。私の地元の茨城県では、やはり、事業承継とかMアンドAとか、もう避けられないし、やらなきゃいけないよねと。それで、県内の金融機関、常陽銀行さんとか筑波銀行さんとか信用組合さんとか五つあるんですけれども、三月にMアンドAアライアンスというのをつくりました。恐らく、県内の全ての金融機関が入っているのは茨城県だけなのではないかと思うんですけれども、お客様、クライアントである中小企業様、中堅企業さんのために、MアンドA、事業承継を前に進めていきたいという座組まで三月につくっていらっしゃるところであります。
是非ここは、政務官、この法律が成立した暁には、中堅企業、せっかくつくったんです、これだけ注目されているんです、これをポシャらせたら嫌ですよね。しっかりここが社会実装するために、中堅企業とそれから金融機関などの支援機関をしっかりきずなを強くして、お互いにウィン・ウィンになるような、そしてさらにその地域経済を更に牽引していく、そういう座組をつくっていただきたいと思いますし、そこへの注目や、それから広報なども是非お願いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石井大臣政務官 国光委員の御質問に答えたいと思います。
実は私の地元ももう、中堅企業というべきか、優良企業で、やはりMアンドA、しかしこれは敵対的なMアンドAではなく、地域の経済を守るという意味、そして雇用も守るという意味、そして業界のお客様も守るという意味で、もう既に進めている会社もございます。その中でこの法律の提案ということになっております。
そしてまた、委員の御指摘のとおり、本法案などにより立ち上げる中堅企業政策を全国各地の中堅企業に周知をしなきゃいけない、更なる成長に向けて活用していただくことが重要であります。引き続き、地方の経済産業局を活用した地域イベントやネットワーク構築などを通じて周知に努めてまいりたいと思っております。
加えて、今回の支援策なども活用しながら、地域の中堅企業の成長意欲を高め、自律的に成長していく環境を構築することが中堅企業政策を進めていく上で重要でございます。このため、これもまた御指摘のとおり、中堅企業の経営戦略に対して客観的な視点から助言を行う支援機関の役割が重要となってまいります。
こうした考えの下、本年三月に官邸で開催した中堅企業等の成長促進に関するワーキンググループにおいて、金融機関の代表を始めとする支援機関の参加も得て、中堅企業の成長戦略を推進していくことを確認いたしました。さらに、今後、各地の地域ブロック単位で中堅企業の成長を後押しする体制を構築していくことといたしたところでございます。
引き続き、全国各地の中堅企業に政策を届けるとともに、支援機関とのネットワーク構築を進め、中堅企業の自律的な成長を促進してまいりたいと考えております。
○国光委員 ありがとうございます。
経産省を始め、そして関係者で、全てのステークホルダーがウィン・ウィン・ウィンになれるような、そんないいきっかけに是非していただきたいと思いますので、地域経済、それぞれ皆様方も注目が高い部分ですので、是非リーダーシップを振るっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
実は、社会実装というところで、今日は、特に分野を絞って、重要だと思う分野についてお尋ねを更にしていきたいと思います。
今日は、厚労省から塩崎政務官、ありがとうございます。
私、全ての分野に、この産業力強化法、中堅企業の位置づけ、そして支援策、非常に重要だと思っていますが、特に必要なことでいうと、国民にも大きなインパクト、影響を与えるということとして、やはり厚労の中の、特にお伺いしたいのが、今、薬、各地元で、医療機関で、薬局で、ジェネリック医薬品、いまだに足りていない、大きな課題になっています。このジェネリック医薬品の話と、それから介護のお話です。やはり、介護事業者は非常に経営が大変で、なかなか難しいので倒産した、私の村にはもう全然介護事業者がなくなってしまったというふうなことがあります。是非、この産業競争力強化法がこのジェネリック医薬品と介護の部分にもしっかり適用していただけるようになっていただきたいと思います。
これはなぜ重要かというと、私も元々ずっと厚労畑、専門でもあります、医療現場でも働いて今でもいるんですが、厚労省の施策、ジェネリックも介護事業者も、ジェネリックだったら、その原資は、企業を支える原資は何でしょうというと、ほとんどが診療報酬ですよね。さらに、介護事業者だったら介護報酬です。
皆さん、この四月、地元で言われませんか。保険料がまた高くなって大変だ、このまま保険料がどんどん高くなっちゃうと本当に大丈夫なのかと言われますよね。野党の皆さんもうなずいていただいて、ありがとうございます。
そこなんです、皆さん。私は経産委員会でこの質問を是非したかった。厚労省でずっと質問したけれども、なかなか解決は見つからなかったからです。済みません、笑っていただいてありがとうございます。
やはり、経済成長と、そして社会保障と財政は、それぞれウィン・ウィン・ウィンにならねばなりません。これができないと日本社会は沈没します。私はそう信じています。おっしゃるとおり、持続可能にするためにはこれをウィン・ウィン・ウィンにしなきゃいけない。
そういう中で、今回、それぞれ、ジェネリックの企業さんだったら、課題は、もちろんみんな企業さんは頑張っていらっしゃるけれども、やはり、百四十社近くあるんですけれども、中小であったり、非常に小さかったり、そこが、実は安定供給が患者さんのためにできない、そして、そこを何とか黒にするために、保険料の、診療報酬改定のニーズも高まる、そうすると、皆さんの保険料になる、ここが全部つながっちゃっているんですね。
私は、やはり、単に薬価を上げるとか、報酬改定をプラスにするとかだけでなくて、本当にやらないといけないことは何でしょうということを問うと、やはりこれは、ジェネリック業界の皆様、大変お気持ちはよく分かります、私も医療者の一人で分かりますが、避けちゃいけないのは、業界の再編だったり、やはり、規模の拡大、MアンドAであるかと思います。これを是非前向きに、より成長していくんだと、それぞれの個社の方が収益を確保する、あるいはそこに勤めている雇用者の方も賃金が上がるんだということを目指して、この産業競争力強化法を、是非、社会実装をジェネリックもしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○塩崎大臣政務官 国光委員の御質問にお答えします。
今、委員からも御質問ありましたように、ジェネリック医薬品の安定供給、まさに、非常に大きな社会課題だというふうに考えております。
後発医薬品の製造管理につきましては、やはり、安定供給、そして、品質管理のために一定の規模、そして、コストがかかってくる。そして、生産効率の向上を図っていくためには、こういう規模を担保していくことで生産や品質管理を行っていくことが大変重要であるというふうに考えております。
このために、コンソーシアムであるとか、または企業結合、こういう様々な企業間の連携協力、これを後押しして、後発医薬品企業の生産効率、収益性の向上、そして、生産能力の強化、これを図っていかなければならない、そういう思いでは全く同じ思いでございます。
今回、具体的な対応策については、厚労省の有識者検討会でも議論をしていただいておりますけれども、産競法の改正によって、特定中堅企業、こちらの事業再編を推進する枠組みとして、事業再編計画に対する税制、そして、金融上の優遇措置などを講じる仕組みがあるというふうに承知しております。後発医薬品企業においても、こうした枠組みを活用することも有効だというふうに考えております。
改正法が施行される際には、厚生労働省としても、事業者への制度の周知、そして、円滑な認定など、経産省と連携して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○国光委員 ありがとうございます。是非お願いいたします。
私、厚労省の職員、十三年ほど実はやっていたんですね。それで、政務官、是非ちょっと頭の片隅にとどめていただきたいんですけれども、経産委員会の場で暴露しちゃって恐縮なんですけれども、厚労省の職員の皆さんは非常に熱心だし、心優しき、本当にすばらしい方々ばかりです。ただ、余りにも忙し過ぎて、そして、ほかの、例えば経産省のいろいろな手段、こういうすばらしい法律もあって、いろいろな優遇措置もありますよね。でも、実は、これ、質問しますよというふうにお伝えしたときに、産業競争力法を今から勉強しますみたいな、そんな感じなんですね。
これ、是非、政務官同士でちゃんと連携していただいて、職員の皆さん、やはりスーパー忙しいので、なかなかやはり見えないんだと思います。やはりジェネリックの再編だって、もう三年、四年言われ続けて、下手したら二十年ぐらい言われていますよね。
でも、産業政策としての視点を、やはり厚労省だけでは私は限界だと思っていますので、そこはいろいろな経産省のツール、今はもう割愛しますけれども、いろいろな、県で相談窓口があったり、事業承継引継センターもありますよね。いろいろな補助金も経産省にもありますよね。ジェネリックの企業さんは、社会福祉法人でもない、医療法人でもありませんから、民間企業様ですから使えるんです。知らないんです。厚労省も知らないし、ジェネリック企業も余り知らない。もったいなさ過ぎます。これは是非、連携して、普及啓発していただきたいと思います。
そして、ちょっと塩崎政務官にもう一つ聞かせてください。
非常に私、注目しておりますもう一つのテーマは、やはり介護事業者です。
介護事業者、非常に分かりやすく、データもあります。これはお配りした資料を御覧いただきますと、今回、かなり介護報酬改定も、プラス一・三%ほど介護報酬プラスにいたしましたが、経営のデータを見ますと、やはり規模の経済が、スケールメリットが非常に利く部分です。これは明らかに、特養でも、老健でも、訪問看護でも、通所介護でも、全てやはり規模ですね。定員の規模や利用者さんの数が多いほど、やはり経営的には安定をします。
是非、介護の部分、介護事業者は約半数ぐらいが民間事業者で、残りはみんな社会福祉法人などなので、後者の方には今回の産業競争力法が使えないんですけれども、半分は民間事業者、営利企業ですよね。ですので、是非、この辺り、やはり介護の現場からは非常に苦しいというお声、私も身近ですので非常にいただきます。介護はそこにないとやはり困るサービス提供の主体ではありますので、やはり経営的に難しくなっていなくなられる前に、しっかりそこにいらっしゃりながら、別に看板を替えなくてもいいわけですよね、しっかりそこにいらっしゃりながら、中の経営は安定する、中の賃金も上がるというような、そういう目的を持って、是非、産業競争力強化法、活用いただきたい。
そういう事業者さんがいたら積極的に、さっきおっしゃったみたいに、厚労大臣の認定だとか、主務官庁の大臣としてですね、そして、いろいろな支援策の御周知だとかを進めていただきたいと思いますが、いかがですか。
○塩崎大臣政務官 お答えします。
先ほど委員からもありましたように、厚労省の職員、忙し過ぎるんじゃないか、まさにそういう面もあろうかなと思います。そういった意味では、今日こうして委員会の場で御質問をいただくようなきっかけで、また厚労省の中でもこういう新しい、前向きな施策について気づきを得て、そしてまた積極的に取り組んでいく機会をいただきましたこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。
そういった意味では、今御質問のありました介護分野、まさに大変重要な課題を抱えている分野であるというふうに、思いを同じくしております。
今、介護人材の確保が非常に喫緊の課題となっている中で、まさに御指摘がありましたように、介護サービスの質を確保しながらサービス提供体制を維持していく。そのためには、例えば単独の事業所ではどうしても限界がある、そういったときに、人材募集等の面で複数の事業所で協働して、一緒に協力して行うなど、経営資源を有効に活用する手段として協働化そして大規模化、こうしたことについて後押ししていくことが大変重要であるというふうに考えております。
厚労省においても、今、介護事業所の経営の協働化そして大規模化の事例集の作成、また、第九期の介護保険事業計画等の基本指針の中において、経営の協働化、大規模化が人材、資源を有効に活用するための有効な手段である旨を明記させていただいております。また、令和五年の補正予算においては、経営の協働化、大規模化等の取組を後押しするための支援を盛り込んでいるところでございます。
今般の産業競争力強化法の改正案、これが成立した際には、経産省とも連携しながら、先ほどお話のあったような様々な施策、しっかりと推進に向けて必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
○国光委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
なお、介護については、これはお願いだけなんですけれども、社会福祉法人さんや医療法人さんの設置主体の方も非常に多くて、これは今回、この法案、使えないわけですよね。そこについては、是非、お願いなんですけれども、令和四年、二年前にできた社会福祉連携推進法人、これは医療法人でも社会福祉法人でも、そして民間企業様でもいいんです、それぞれ中の、例えば介護報酬の請求事務を協働化するとか、人手が足りなくなって、ああ、そこの、このワーカーさん、ちょっとコロナでお休みになったというときに、すぐ人をブリッジングできるとか、そういう法人を、連携推進法人をつくっております。ただ、たったの、三年間で何と三十件しかないんですね、この法人。ちょっと少な過ぎますよね。是非、ここはしっかり、もっと使いやすい制度になるように、目くばせをお願いできればと思います。
続きまして、ヘルスケア産業、今のお話の延長でヘルスケア産業について、経産省、これは参考人等にお伺いをしたいと思います。
今のお話を聞いても、やはりジェネリックやあるいは介護、それ自体、そしてその周辺にあるもの、非常に成長産業であるわけであります。私はやはりこのヘルスケア産業を日本の産業の中のキーコンテンツとして、是非、安心と成長のエンジンに更にしていっていただきたいと思います。いろいろな仕組みを取ればそれは可能になると思います。
今、お手元の資料、最後にお配りをしておりますけれども、ヘルスケアの産業マーケット、やはり大きいです。もちろん、情報通信とか半導体とか自動車も大きいんですけれども、それに肩が並ぶ、大体ベストファイブぐらいに入っていますよね。しかも、国民に非常に身近で、関心も高く、そして分かりやすいというものがあります。
今、二〇二〇年には二十五兆円のマーケットです。これを最近、経産省さんが推計でお出しになっていらっしゃるかと思うんですが、二〇五〇年には七十七兆円。いやあ、大きいですよね。これを促進していく。
私は思うんです。私はやはり中にずっといたから分かるんですが、七十七兆どころかもっと伸びるはずです。というのが、やはり高齢化でニーズが非常に高まっているということと、それから、ヘルスケアのいわゆる公的皆保険、医療保険や介護保険の外にあるもの、ここの図でいうところの食とか運動とか、いろいろな、遊ぶ学ぶとか、それから民間保険とかもありますけれども、非常に伸びている。特に、例えばインバウンド、今非常に入っていて、やはりヘルスツーリズムとかも非常に伸びておりますし、民間保険の市場も伸びています。
さらに、さっき介護の質問をしましたけれども、私は一つ確信しているんですが、介護事業を介護保険だけで、つまり公的保険、介護報酬だけで担うことは可能でしょうか。賃金、これからずっとそれで原資として上げられますか。多分無理です。私、中にいるので分かります。
そのときに何をすべきかというと、やはり介護保険のサービスは大事だけれども、その外にあるサービス。例えばこんな事業所もあります。デイサービスで、利用者さん、ずっとデイサービスで通所介護している。だんだんよく、サービスしたら治っていくんですね。要介護二ぐらいが要支援一とかになって、自立とかになるんです。でも、大体その利用者さんはそこに愛着があって、通い続けたいんです。今までは、もうあなたは介護認定外れちゃったからもう通えないよなんてなるんですけれども、もったいなさ過ぎます。
実は、東京を中心にこういう企業も結構出てきています。事業者も増えているんですけれども。自立した後に、例えば家事支援とか、その方が通勤する支援、地下鉄の駅まで介護福祉士さんが同行して、ちゃんと通えるかなというのを一緒にケアしている、これを一時間幾らとか、自己負担をいただきながらやっている。
これで、例えばこの事業所は、何と賞与を非常に上げられたとか、そして人手も更に雇用することができたとか、そういう介護保険外のサービスが二〇%近く利用者さんもいらっしゃったりとか、非常にそういう取組が増えています。
是非そういうところも前向きに広げていただくと、恐らく二〇五〇年には七十七兆どころか百兆ぐらい目指せるんじゃないかと勝手に思っているわけであります。それぐらいやはり、ここにビジョンを、国民の安心にもつながるわけですから、単に企業が稼げればいいわけじゃないわけで、社会的な課題解決になります。
是非、この辺りの推進をしていただきたいと思いますし、一つだけお願い、これは質問に答えていただきたいんですけれども、その中で、一応私も医師なので、医療の質、サービスの質は非常に気になります。どことは言いませんけれども、やはりちょっと危ないよねというのが出てきていますよね。今ニュースになっているのもありますし、ニュースになっていないものもある、それが見えるんです。
なので、お願いなのは、しっかりここに、例えば専門職の、例えば学会とか、例えばがん検診的なものだったらがん学会とか、あと、いろいろな、血圧をふにゃららするみたいなサービスだったら高血圧学会とか、そういうところが何らかの認証をするとか、ガイドラインを作るとか、質の安心というのはやはり国民、消費者にとって非常に重要です。それが分かりやすさにもなります。
是非ここも拡大していっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○山影政府参考人 お答えさせていただきます。
議員御指摘のとおり、ヘルスケア産業は、国民の健康を下支えする産業であるとともに、二〇五〇年には市場規模が七十七兆円まで拡大する可能性があると私どもも見てございます。これは非常に狭く見積もってもございますので、議員おっしゃったとおり、いろいろな広がりがございます。そういう意味でいうと、七十七兆円を超えるかもしれません。
ただ、いずれにしろ広がりがあるだろうという認識がございまして、いずれにしましても、我が国経済を牽引することができる重要な成長分野の一つであると認識してございます。先日の産業構造審議会新機軸部会におきましても、そういう議論をさせていただいてございます。そういう認識が共通化されてございます。
その上で、まさしくヘルスケア産業の発展に当たりましては、まさに国民に提供されるサービスの質の担保が重要であると認識してございます。その観点から、経済産業省といたしましては、エステやリラクゼーション、フィットネスなどの業界団体等によります自主ガイドライン、こういったものをお作りいただくべく、それを通じまして、それぞれの業界ごとに品質の担保に向けた取組を支援させていただいてございます。
あわせて、生活習慣病ですとか女性の健康分野、こういった分野につきまして、学会によります医学的観点からの予防、健康づくりに関するエビデンス、この整理の指針作りというものも支援させていただいております。具体的には、AMEDを通じまして、研究支援という形でさせていただいております。
個々の取組を通じまして、いずれにしましても、一定の品質が確保されたヘルスケアサービス、これを消費者に安心して利用していただける、そういう環境の整備を図り、ヘルスケア産業の成長発展を進めてまいりたいと考えてございます。
○国光委員 ありがとうございます。
是非、新しい資本主義の中のセンターに位置づけていただき、しっかりと牽引をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
続きまして、今の関連なんですけれども、インパクト投資についてお尋ねをしたいと思います。
これは、やはり収益を拡大する、投資を拡大するという中で、今グローバルのトレンドは何かというと、もう委員長もお詳しいかと思いますが、やはり収益を上げるだけではなくて、日本の、あるいはグローバルな社会課題を解決する、それを意図を持って、インテンションを持って取り組む、これがインパクト投資の極意であります。
海外では、投資家の皆さんや各国政府も、やはり投資案件などに関しては、インパクトはいかがでしょうという具合で、インパクトと非常に出ます。この間、インドネシアの政府の方とお話しして、やはりインパクトと言います。アフリカのケニアの方もおっしゃって、やはりインパクトと言います。日本では、さて、どうでしょう。まだやはり、ちょっと乗り遅れているんじゃないのというところが、正直、実感でございます。
今、様々な、昨年来、金融庁や経産省がコンソーシアムをつくったり、それから、いろいろな、ソーシャル・インパクト・ボンドやゼブラ企業など、取組を進めていらっしゃいますけれども、私は更にこれを促進していただきたいと思います。
特にお願いをしたいのが、やはり、インパクト市場、投資や資本の拡大のためには、特に立ち上げですよね。例えば、それが、その担い手がスタートアップであったり、あるいはNPOだったり、こういうセクターがあっていいと思います。介護の回りであったり福祉の回りであったりするようなところでもいいと思います。そこにしっかり、立ち上げの資金調達も含めての、しっかりジャンプアップできるような、公的機関と民間機関、連携をして、エクイティー投資、特にお願いしたいと思います。この取組を推進していくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吾郷政府参考人 お答えいたします。
社会、環境的効果、いわゆるインパクトと事業成長の両立を目指すインパクトスタートアップを支援して、これを我が国の経済成長の原動力の一つにしていくということは非常に重要だと考えておりまして、出資や融資等の資金供給を官民連携して活性化させていくということは非常に重要だと考えております。
先ほど先生からもお話がございました、昨年十一月から、投資家、金融機関、企業、自治体等が参画をする官民連携のインパクトコンソーシアムというのを立ち上げております。金融庁とともに、起業家の方でありますとか金融機関の方の御意見なども伺いながら、インパクト投資促進のためのデータ整備、評価手法の確立、あるいは自治体とスタートアップとの連携促進、そういったものに取り組んでおるところでございます。
また、経済産業省といたしましては、昨年十月に、潜在力の高いインパクトスタートアップに官民一体で集中支援を行うJ―Startup Impactというプログラムを新設いたしました。ロールモデルとなることが期待される約三十社を選定いたしまして、専門家によるインパクト測定やグローバル認証取得などに関する支援、あるいはグローバル市場への展開支援などを実施しているところでございます。
今後とも、金融庁などと連携いたしまして、インパクト投資の促進や、インパクトスタートアップの海外展開支援などに官民連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○国光委員 ありがとうございます。是非促進をお願いします。
済みません、ちょっと時間切れで、最後、自分の地元の話だった、つくばの産総研を軸としたエコシステムですね、オープンイノベーション、エコシステム、これを是非質問したかったんですが、時間切れになってしまいました。是非、非常に、筑波研究学園都市、旧通産省のお力でもつくった産総研もありますよね。日本一のイノベーションシティーであります。でも、しっかり今、再起動が必要だと思います。なぜなら、みんな省庁縦割りだからです。是非そこの部分、しっかり取組を進めていただきたいことを、またこれは別途、別の機会でお尋ねしたいと思います。是非よろしくお願いいたします。
済みません。以上です。ありがとうございます。
○岡本委員長 次に、若林健太さん。
○若林委員 自由民主党、長野一区、衆議院議員の若林健太でございます。
今日は、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。参議院時代を含めて、経済産業委員会で質問するのは十年ぶりぐらいだと思いますが、改めて、気持ちを新たに質問させていただきたいと思います。
一九九〇年バブル崩壊以降、失われた三十年と言われています。日本企業は技術で勝ってビジネスで負けるといった事例が続いたわけでありますが、研究開発から社会実装に至るまでの官民挙げた取組に問題があったのではないか。これまでの経済産業政策についての検証、その上で、今取組を進めている産業競争力強化に向けた視点について、まずお伺いしたいと思います。
○石井大臣政務官 若林委員の御質問にお答えしたいと思います。
もちろん、この産業競争力強化でございますが、何度もお話があるとおり、失われた三十年と呼ばれる期間がございました。日本経済は、デフレマインドが広がり、企業の国内投資が停滞し、賃金も横ばいになる状況が続いたと多くの方からも御指摘をされ、そのとおりであると承知しております。
こうした状況を生み出した原因は様々ではありますが、政府も、民間主導という考え方の下で民間の制約を取り除く市場環境整備策を中心に行っており、新たな価値創出に向けた取組が結果として不十分な側面があったと考えておる次第であります。
そこで、経済産業省としては、二〇二一年以降、GX、DX、経済安全保障などの世界的な社会課題を起点に、ミッション志向で政府も一歩前に出て大規模、長期、計画的に取り組む経済産業政策の新機軸を始動いたしました。
足下の三十年ぶりの高水準賃上げ、国内投資という潮目の変化を確実なものとして、投資も賃金も物価も伸びる成長型経済への転換を実現するため、本法案において、社会課題解決型の国内投資の後押しや、投資拡大につながるイノベーション、新陳代謝の促進のための措置により、委員の御指摘のような、研究開発から社会実装に至るまでの取組を官民で推進するための措置を強化してまいります。
○若林委員 今ちょうど、日本経済に潮目の変化が起きている、そういう意味では、この産業競争力に向けた政策、極めて重要だというふうに思います。
アベノミクスというのは、デフレからの脱却に向けて一定の役割を果たしたというふうに思っております。しかし、企業が積み上げた五百五十五兆円とも言えるような大きな内部留保、これがなかなか国内の有形無形の固定資産に投資されることなく、海外投資を含むその他固定資産へ向けられてしまいました。大企業から中小企業、あるいは地方へ向かったトリクルダウン、これがなかなか起こらなかったというのがアベノミクスの限界だったというふうに思いますが、今まさに、米中対立など地政学的なリスクから世界的にデカップリングが進み、国内経済の潮目の変化が起きている今こそ、国内投資へ誘導していくことが極めて大事だというふうに思いますが、この点についての御見解をお願いしたいと思います。
○石井大臣政務官 お答えいたします。
委員の御指摘のとおり、また経済の世界的な状況も踏まえて変わってきている、これまでの日本経済を振り返ると、企業がコストカットに注力して利益拡大を図るコストカット経済となっており、日本国内における設備や人への投資は諸外国に大きく後れを取っていた。その中で、委員の御指摘のとおり、国内のコストカットで生み出した利益を主に海外投資に使うことで収益性を高め、企業収益は最高水準となっていったと考えます。
しかし一方で、世界的な不確実性の拡大、米中対立などの国際秩序の変化、産業政策の活発化の動きが起こっております。こうしたマクロ環境の変化に加えて、国内では積極的な産業政策も背景として潮目の変化が生じておると言えます。国内投資は二年前から拡大が続き三十年ぶりの高水準、賃金も、今年の賃上げ率は直近の集計で五・二%と、昨年に続き高水準となっております。
この潮目の変化を確実なものとするために、先ほど申し上げましたとおり、社会課題解決分野を成長の源泉と捉え、産業政策を強化する経済産業政策の新機軸に継続的に取り組んでまいります。
まさに、将来の飯の種を生み出して、賃金や成長の源泉となる社会課題解決型の国内投資を後押しするべく、あらゆる政策を総動員し、民間企業の予見性を高め、投資を引き出すことを主眼としております。
ここからが正念場と思っております。三十年間続いたコストカットの縮み思考の経済を、積極的な産業政策を更に展開し継続することで、投資も賃金も物価も伸びる成長型経済に転換してまいりたいと思います。
○若林委員 ありがとうございました。
今まで総括的なお伺いをしたんですが、具体的に、戦略分野国内生産促進税制についてお伺いしたいと思います。
この税制については、対象物件について、電気自動車、グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF、半導体などを産業競争力基盤強化商品として特定されているわけでありますが、一方、水素や蓄電池といったようなものは対象とされていません。対象物資を特定分野に限定した趣旨、また、強化法の二条十四項に、その他事業適応に資する商品として政令に定める商品、こういうふうに出ておりますが、その内容、さらには、今後、この対象物資について拡大される可能性についてお伺いしたいというふうに思います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
投資促進策でございますが、これは様々な手法がございます。分野ごとの特徴なども踏まえて講じることが重要であるというふうに考えてございます。
本税制につきましては、戦略分野の中で、特に生産段階におけるコストが高いことなどから投資判断が困難な分野について、新たな国内投資を引き出すべく、生産段階への措置を講ずるものでございます。具体的には、まさに委員御指摘のとおり、電気自動車あるいはグリーンスチールといったものを対象とさせていただいております。
一方、例えば、御指摘いただきました蓄電池でございますが、国内生産基盤の強化を進めるために、生産工場の初期投資に対する補助金を支出してございます。令和三年度から本年度にかけて九千二百七十四億円を措置させていただいておるところでございます。
また、御指摘いただきました、その他政令で定める商品や本税制への対象の追加につきましては、現時点では具体的に想定している分野というのは存在はしてございません。しかしながら、今後の技術や世界の動向なども踏まえまして、税制のほか、補助金、そして規制、制度といったやり方も含めまして、効果的な投資促進策を不断に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○若林委員 生産促進税制の対象物件としては蓄電池や水素はなかなか入っていないけれども、他の支援策がある、こういうことでありました。事業環境というのはどんどんどんどん変化していくものでありますから、そのときに合わせて、例えば対象物件についての検討なども、是非柔軟に対応してもらいたいというふうに思います。
この税制について、事業計画認定時から十年間の税制措置というふうにされております。一方、生産設備を導入してから本格的な製品の生産、販売を開始するまで相当のリードタイムを要するような場合もあります。十年とした根拠、これについて教えていただきたいと思います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
本税制は、対象となる戦略分野において、投資収益について、長期にわたる予見可能性を確保するということによって国内投資を促進するということを目的としてございます。こうした観点から、本税制の適用期間については、十年間という比較的長期の措置期間を設けさせていただいておるところでございます。
一方で、事業者に対してできるだけ早期に国内投資や生産を促すということも重要であるというふうに考えておりまして、御指摘の生産設備の導入から生産、販売までの期間も含めて、本税制の措置期間を事業計画認定から十年間というふうにさせていただいているところでございます。
○若林委員 この分野は技術革新もどんどんどんどん進んでいくし、手をこまねいていてはということだと思います。長期的な投資が必要な一方で、事業者には早めの決断というのを促すという意味だというふうに思います。
この税制の対象になるのは、例えば、自動車会社だったり、あるいは半導体だったり、そういう意味では、完成品メーカーが中心となるわけで、全体の産業からすると、極めてごく一部ということになると思います。
ただ、もちろん、自動車の裾野は広いし、半導体関連について言えば、素材産業など、世界に競争力のある、そういった企業もいっぱいあるわけであります。
どうやってこの税制が、例えば十年間でおよそ一・九兆円と言われるその効果を、この税制の効果をサプライチェーンに広げていくか、この方策が必要だと思いますが、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
欧米を始めといたしまして、戦略分野における投資を自国内で実現するための産業政策が国際的に活発化してございます。こうした中で、我が国としても、戦略分野における国内投資を強力に促進していくという必要がございまして、本税制はその重要な柱の一つとさせていただいております。
本税制の対象物資は、まさに委員御指摘のとおり、大変広範なサプライチェーンを持つものでございます。こうした分野における国内投資を実現し、生産を拡大することで、サプライチェーンを通じた部素材等の発注、そして供給の拡大、そして確保、さらには関連分野の投資、そして雇用、所得への好影響など、幅広く経済波及効果を生じさせたいというふうに考えております。
さらに、産業競争力強化のためには、本税制に限らず、サプライチェーンを構成する中小企業への対策もまた重要であるというふうに認識しているところでございます。したがいまして、中小企業向けの賃上げ促進税制、そして徹底した価格転嫁対策、革新的な製品、サービスの開発、そしてIT導入や人手不足に対応した省力化投資といったものに引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。これによって、本税制のメリットをサプライチェーン全体へしっかり波及させていくということに努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○若林委員 国内経済全体に波及をさせていく、そのことが極めて大事だと思いますので、この税制のせっかくの効果、これをまた今のお話のような総合的な政策で、是非地方にも、そして中小企業にも波及できるような取組をお願いしたいと思います。
続いて、イノベーションボックス税制について伺いたいと思います。
このイノベーションボックス税制の対象となる所得というのは、知財由来のライセンス所得や、あるいは譲渡所得ということになっておりますが、本当は、知財由来の所得、利益ということでいえば、製品の中に組み込まれているその知財、それによる収入というのが圧倒的に大きいわけでありまして、そういうふうに思うと、ある程度限られた譲渡所得と、あるいはライセンス所得というところへ絞り込んでいったということについて、その経過、それから、今後の見直しの必要性についてお伺いしたいというふうに思います。
○田中(哲)政府参考人 お答え申し上げます。
研究開発拠点としての立地競争力を強化し、無形資産投資を後押しする観点から、知財を生み出した事業者が自らその知財を活用して事業化した製品やサービスの売却益を制度の対象に含めるべきだという御指摘については、経産省としても十分承知しております。
ただ、他方で、知財を組み込んだ製品やサービスの売却益を本制度の対象とする場合、売却益の中からその知財由来の所得を客観的に特定するため、国際ルールに沿った計算を税務当局が認める形式で申告者が行う必要がございます。
こうした作業負担への対応とか、あるいは立証責任の所在等を含めて、適切な執行が可能かどうかの検討を要するため、今回、制度創設時においては、対象知財を組み込んだ製品等の売却益を対象外としたところであります。
まずは、我々として、本制度の着実な執行に努めまして、その上で、他の税制と同様に、制度の執行状況や効果を検証し、本税制がよりよい制度になるように、御指摘の本税制の所得の対象範囲も含めまして、不断の見直しを行っていきたいと考えております。
○若林委員 小さく産んで大きく育てていくということで、こうした新しい税制、考え方、是非また育てていくような努力をしてもらいたいと思います。
このイノベーションボックス税制というのは、二〇〇〇年代、欧州を中心に導入されて、近年はアジアにも広がってきているわけで、OECDルールというのは二〇一五年には既に形成されています。我が国において導入がこのタイミングになった、もうちょっと早くならなかったのかということも思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います。
○田中(哲)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、欧州を中心に二〇〇〇年代から、研究開発の結果生まれた知的財産権から得られる所得に対する減税措置、すなわち、今回のイノベーション拠点税制のような制度の導入が進展しておりました。
その後、二〇一五年に、これも委員御指摘のとおりでありますが、知的財産権由来の所得への減税措置に係る国際的なルールがOECDにおいて整備され、それを受けて、欧州のみならずアジア諸国での導入も進んできております。
こうした中、近年、MアンドAなどによりまして我が国企業が海外の研究開発拠点を取得したり、あるいは、研究開発活動がグローバル化する中で、研究開発の立地選択において、本税制の有無がその意思決定に影響を及ぼす状況になってきておりまして、我が国としても本税制を導入する必要性が高まってきたというふうに認識しております。
加えて、研究開発費を大幅に増加させている国がある一方で、我が国国内の研究開発投資は横ばいで推移しておりまして、日本としては、先ほど石井大臣政務官からもありましたように、将来の飯の種を生み出す研究開発投資の現状に危機意識を持っている状況であります。
こうした状況に鑑みまして、今回、我が国で初めての制度となるイノベーション拠点税制を措置するということにいたしました。
○若林委員 大変重要な税制でもありますし、この先の日本の産業競争力にとっても重要だというふうに思いますので、小さく産んで大きく育てるという部分、また是非取り組んでもらいたいと思います。
ちょっと時間がなくなってまいりましたので、少し飛ばして、次に、産業革新投資機構、JICについてお伺いしたいと思います。
このJICについては、その前の出資案件として、株式会社ジャパンディスプレイへの出資というのがありました。しかし、これは巨額の債務超過となって、現在もいちごファンドの下での再建が取り組まれている、こういう状況になっておりまして、業界再編による経営救済というようなものについて、本当に産業革新の目的にかなっているのかといった批判的な意見もありました。この点についての反省、感想というのをお聞きしたいと思います。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
旧産業革新機構によるジャパンディスプレイへの支援については、二〇一二年のソニー、東芝、日立のディスプレー事業の統合支援以降、中小型の液晶ディスプレーのグローバル市場での競争力の強化を念頭に、産業革新委員会でも収益性等を確認しながら支援を実施してきたものと承知をしております。
旧産業革新機構による投資決定の時点では、中小型の液晶ディスプレー分野はスマートフォンやタブレットを中心に日本企業の有する高い技術力を活用できると考えられておりましたが、例えば、有機EL技術の立ち上がりが予想より早かったこと、車載やゲーム等の新規市場の立ち上がりが遅れたこと、こういったことなどから事業環境が悪化いたしました。
このため、結果的にジャパンディスプレイの経営は依然として厳しい状況が続いていると認識しておりますが、この間における旧産業革新機構から同社に対する追加的な支援は、企業の価値や競争力の更なる向上、強化に向けたものと承知をしております。
現在、ジャパンディスプレイについては、いちごトラストを中心に事業再建に向けた検討が進められているところであり、ジャパンディスプレイが新たに開発した有機ELに関する新技術の活用や、ウェアラブル、VR等の新規市場の取り込み、こういったことなど、今後の成長に向けた事業戦略の検討が進められているものと承知をいたしております。
旧産業革新機構から持分を引き継いだINCJも引き続きジャパンディスプレイの一定の株式持分を保有しており、引き続きジャパンディスプレイの事業再建、成長に貢献していただきたいと考えているところでございます。
○若林委員 私の地元の長野市に本社のあります、新光電気工業という会社があります。これは創業者が、長野市では立志伝中の会社でありました。取引先だった富士通の傘下に入って、この度、富士通の事業再編の中で、JICの子会社であるJICキャピタルがTOBをして株式取得するというようなことが報道されることになりました。
公的資金を原資とする大規模な出資を行うわけでありまして、ジャパンディスプレイの二の舞になっちゃ困る、こういうふうに思っているわけですが、この点について、この先の将来、投資の見込みというようなことについてお聞きしたいというふうに思います。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
技術開発や事業化までに長期間を要する大規模な成長投資や、事業再編のように中長期で取り組む必要がある経営改革については、リスク、リターンの観点から、現状では民間のプライベート・エクイティー・ファンド等のみでは支援が難しいものも存在していると認識をしております。
これら政策的意義の高い案件については、民業補完を徹底した上で、JICキャピタルによる投資活動を通じた支援を行う必要があると考えております。
新光電気工業に対する投資については、半導体の更なる高機能化、低消費電力化ニーズに対応するため、半導体の後工程分野において、同社が有する半導体パッケージ基板の多層化、高密化技術の重要性が高まっていること、また、次世代半導体技術である光電融合技術の実用化に向けても同社のパッケージ関連技術の活用が想定されており、事業化には長い期間を要する一方で、我が国発の技術でグローバルに大きなゲームチェンジを起こし得るポテンシャルを持つものと理解をしております。こうしたことなどから、JICキャピタルによる支援を行う意義のある案件と認識をいたしております。
世界規模での競争が一段と激化する半導体市場において、新光電気工業の企業価値の向上、技術の進化を続けることは、我が国半導体産業の国際競争力を高めていくことにつながるもの、大変重要な取組であると考えております。
○若林委員 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、残念ながら、ディープテックスタートアップに関する質問をしたいと思っておりました。せっかく山下局長に来ていただいて、済みません。是非、十年ぶりにまた質疑させていただきたいと思っておりましたが、残念でございました。
新光電気工業について、今のような前向きなお話、是非、しっかりと取り組んで、半導体産業を再生できるように御期待申し上げたいというふうに思います。
これで終わりたいと思います。ありがとうございます。
○岡本委員長 次に、大岡敏孝さん。
○大岡委員 滋賀県の大岡でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速ですが、産業競争力強化法について質問を進めさせていただきます。
まず、日本経済は、これまでの三十年とは局面が大きく変化をしてきました。円安、物価高、これにどう対応して、そして、付加価値そして実質賃金をどう上げていけるのか。今回の法律がその名前のとおり産業競争力を強化できるのかどうか、中身について質問をしてまいりたいと考えております。
今回の法案の中で、EV、半導体など、今後も国内に一定の投資をするということを条件にして、税額控除などの優遇策を出すとしています。まず、この減税規模は年間どのぐらいを想定しているのか、教えていただきたい。
そして、これによって輸出を増やし輸入を減らすということができれば、当然、為替、貿易収支を改善するという狙いがあることは分かります。しかし一方で、現在、六兆円にも上るガソリンに対する補助金、これはまだ継続するとしているんですね。この結果、貿易赤字は増やして、そして円安を更に誘導する効果が出てしまう。これはつまり、アクセルとブレーキを同時に踏んでいる、さらにはお湯と氷を一緒に入れているというのと同じで、効果が相殺されてしまいます。これは国家の財政資源効率の点でも大きな問題だと考えておりますけれども、この点についてどのように考えているのか、教えていただきたいと思います。
○菊川政府参考人 今委員の方から御指摘ございました、今回提出している本法案でございますけれども、この促進税制につきましては、物づくり全般の基盤として事業の変革、拡大が求められる戦略分野、これを対象といたしまして、大規模、また長期の税制措置を講じるということで、戦略的な国内投資を拡大していくということが目的になってございます。
そうした上で、まず一つ御質問ございましたが、減収額はどうなっているのかということでございます。
これは、昨年末、税制改正大綱において記載されておりますが、一定の仮定に基づき機械的にちょっと試算をしております。最初はどうしても減収額は低く出るわけですけれども、その後、増えていく。これをならした上で、大体これぐらいの規模になるという、いわゆる平年度ということになりますが、平年度ベースで申しますと、二千百九十億円という数字をお示しをしているところでございます。
そうした中で、アクセルとブレーキという御指摘がございました。
投資の促進税制につきましては、冒頭申し上げましたような目的で行っているわけでございますけれども、一方で、燃料油価格の激変緩和の事業、これにつきましては、国民生活や経済活動に与える影響を軽減すべく、一時的な緊急避難措置として実施しているものと認識しておりまして、政策目的が異なるものではないかというふうに認識をしております。
〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕
○大岡委員 政策目的が異なるというだけで済ませられる問題ではないと考えておりますので、これは速やかに改善をしていただきたいと思います。
その上で、減税規模年間約二千億の財源を使う、つまり十年で二兆円使うわけですね。これはしっかり成果を出さないと、最近も、何か億じゃなくて兆の単位でじゃぶじゃぶじゃぶじゃぶお金を使って、効果が出ているのかどうかはっきりしないという政策も見受けられますので、そこは心して進めていただきたいと思います。
次に、EVについてお尋ねをいたします。
完成車を出荷をして国内販売あるいは輸出した場合に、最終完成をした企業に一台当たり四十万円の税額控除を行うとされています。これも、先ほど申し上げたとおり、輸出を増やして輸入を減らす、これは一定の効果があるものと思います。
だとすると、ここで完成車に対して支援をするということなんですが、例えば、国名を挙げるのもどうかと思いますけれども、分かりやすくするように、例えば中国の企業が、中国のモーターを輸入してくる、中国のバッテリーを輸入してくる、中国の車体を輸入してくる、中国の操作系システムを輸入してくる、そして最後に、完成車として国内に一定のラインをつくって完成車工場を造りました、この場合支援するのかどうか、教えていただきたいと思います。
逆に、日本の部材産業が海外のEVメーカーに対してモーターやバッテリー、コンピューター、操作系などのシステムを出荷する場合は何らかの支援があるのかどうか。
つまり、これは何が言いたいかというと、付加価値が一体どこでたくさんついているのか、どの国の付加価値が多いのかということを戦略的に考えることができているのかということを聞きたいわけです。
御存じのとおり、日本が世界の中で競争力を持っているのは車両の最終組立てだけではないんですね。当然、部材だとか、あと、いわゆる操作系、制御系にも世界的な競争力を持っているわけです。こうした分野と政策との整合性が取れているのかについて教えていただきたいと思います。
○伊吹政府参考人 お答え申し上げます。
まず、自動車部門でカーボンニュートラルを進めていくというときの選択肢の一つがEVということでありまして、全体は、多様な選択肢の中で、ほかに合成燃料とか水素とかをやっていますけれども、やはり、EV、これから伸びていくということは確実だと思いますので、ここの立地をかち取るということがすごく大事だということだというふうに思っています。
こうした観点から、今般、戦略税制においてEVを対象物資として位置づけているということなんですが、先生の問題意識にあります、サプライチェーンにどういうふうに影響するかということについて言うと、自動車は構成部品が非常にたくさんありますので、その多くのサプライチェーンに波及させる観点から、やはり完成車を対象にするというのは一つの方法論かなというふうに思っています。
実態的に、じゃ、どうやってサプライチェーンに裨益をさせるのかということですけれども、これはこれから制度の詳細設計とか運用とかを考えていかなきゃいけないんですが、この税制が適用されるときは、ある事業を認定をするということをします。事業を認定するときには、いろいろな認定要件というのをこれから検討するわけですけれども、その中で、実態的に経済波及効果が十分に生み出される計画かどうかということを確認する方法というのはしっかり検討していく必要があるかなというふうに思っていますので、そうした観点で、国内の自動車サプライチェーンの競争力強化にちゃんとつなげるような仕組みにしていきたいというふうに考えてございます。
〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
○大岡委員 つまり、そういった中国の企業が進出してきた場合も支援の対象にはなり得るということでございますけれども、だとすると、やはり我が国の成長にしっかり取り込めるかどうかの戦略性を持ってこの詳細をしっかりと詰めていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
次に、今回の法案で、新たに中堅企業という枠組みを設置することとしました。これはかねてから議論を続けてきたことでもありますので、理解をし、評価をいたしますが、一方で、同時に議論してきた中小企業の定義を変えていないんですね、今回。
そうするとどうなるかというと、例えば、具体の企業名はこういったところで言うべきではないと思いますので言いませんが、ある企業は、資本金が少なくて従業員がめちゃくちゃ多い、こんな企業はたくさん実在しております。そうすると、実態は大企業、でも中堅企業ではない、でも中小企業。まあ、やじでいろいろ出ていますけれども、例えばそういったことがあり得るんですね。これは極めて大きな矛盾を残すことになってしまいます。
したがって、本来は、やはり、中小企業あるいは小企業をちゃんと定義をして、中堅企業を定義して、残りを大企業とする、この整理が必要だと考えておりますけれども、我が国の企業群全体を見て、全体を整理する議論を始めるべきではないかと思いますが、この点についてどのように考えておられますでしょうか。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業の実態、これは委員の方がよく御承知だと思います。業種ですとか組織の形態ですとかも様々ございまして、中小企業の支援を行うときに、施策の対象としてどういう企業を捉えていくかということにつきましては、これは、いろいろな法律でございますとか、予算もいろいろございます、税もいろいろありますけれども、個別の施策において、それぞれの施策の目的に応じて個別に検討して定めているということだと理解をしております。
代表として、中小企業基本法がございますけれども、中小企業の定義といたしましては、外部からの把握が容易であること、それから変動が少なくて安定的に把握が可能であるといった観点から、資本金額と従業員数を用いて業種ごとにこれらの具体的な水準を定めておりますし、また、これらの水準につきましては、いろいろな変化に応じまして、これまで見直しも行われてきたところでございます。
また、繰り返しになりますけれども、これは基本法でございますために、具体的な施策の支援対象については個別に定められておるところでございまして、例えば、今回の法改正の狙いとも関連すると存じますが、企業の成長発展を促す施策として、中小企業の関連では経営強化法というのがございます。これにつきましては、令和三年の法改正におきまして、資本金基準によらず、中小企業の定義よりも従業員基準を引き上げた新たな支援対象類型を創設したところでございまして、従業員基準によっております。これは、中小企業は、まず資本金額を増加させて事業を拡大して、その上で従業員数を増加させるというパスに沿って成長することが多いということを踏まえたものでございます。
加えて、今般の産業競争力強化法等の一部改正法案において、御案内のとおり、中堅企業支援の枠組みを創設いたしますけれども、これは、成長意欲のある我が国企業が、中小企業から中堅企業、そしてその先へとシームレスに成長を目指せる環境の整備に資すると考えているところでございます。
以上でございます。
○大岡委員 そのビジョンは是とするんですけれども、同時に、国民に分かりやすくするためには正しく整理をしないといけないということを言っているわけですので、答えは残念ながらいただけませんでしたけれども、速やかにこれは整理をするべきだということをしっかりと言っておきたいと思います。
同じゆがみは税法上の中小企業でも起きています。
特に、地方税においては、大企業並みの事業規模を持ちながら中小企業と同じ優遇を受けている企業、これはどのぐらいあるのか、それから、今回の税制で一部対応されたと承知をしておりますけれども、今後の課題として考えている点があるか、これについてお答えいただきたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
法人事業税の外形標準課税は、法人の事業活動の規模に応じて薄く、広く、かつ公平に地方団体の行政サービスの対価を御負担いただくことを目的として、平成十六年度に導入されたものでございます。その適用対象につきましては、現行、資本金一億円超の法人としていることから、資本金を一億円以下に減資することなどにより企業が意図的に課税方式を選択しているとの、課税の公平性の観点からの課題が指摘をされてございました。
外形標準課税の適用対象法人につきましてはピーク時に比べまして約一万社減少をしておりますが、この間の一定期間につきまして、都道府県の協力を得てサンプル調査をいたしましたところ、減少要因のうち、減資によるものが約六割と最も多かったところでございます。
こうした課題への対応といたしまして、今回の税制改正では、現に外形標準課税の対象であった法人が減資により資本金一億円以下となった場合の補充的な基準を導入することなどとしているところでございます。
今回の見直しは令和七年四月以降に順次適用することとされており、公平公正な税制の実現に向け、施行後の状況を十分注視してまいりたいと考えております。
○大岡委員 一万社のうち一定程度は、この税の優遇を受けたくてなったところがあると。当然、先ほど最後におっしゃったとおり、公平公正な税制上は、これは上から下に意図的な中小企業成りと思われるものを止めるだけではなくて、やはりこれはしっかりと、恒久的なというか、安定的な制度として措置をしていただくことを求めたいと思います。
時間の関係で一問飛ばして、MアンドA政策についてお伺いしたいと思います。
今回、中堅企業について、MアンドAで他の企業の買収を行った場合、損失に備えた準備金を積める。一回目はその買収額の七〇%、二回目は九〇%、三回目以降は一〇〇%となっておりますが、これについて二点伺いたいと思います。
一つの買収対象企業があったとします。これは当然、企業ですから、どんな形態にも変えられるわけですけれども、それをホールディング化あるいは分社化して、この分割したものを一社ずつ順番に買っていくとすると、その小さく切った一社目は七〇%、次は九〇%、また次のパーツからは一〇〇%ということで、そういった準備金の制度を使うことができるのかどうかについて教えていただきたいと思います。
あわせて、企業買収には当然のれんというものが伴ってきますけれども、こののれんの関係はどうなるのか。のれんはのれんで償却をしつつ、買収資金は準備金として全額損金になる、この重複が可能なのかどうか、この点について聞きたいと思います。
○菊川政府参考人 今、グループ化税制についての御質問を二点いただきました。
まず一つ目は、複数回の株式取得でパーセントが違うということで、一〇〇%損金算入を受けたいがために分割をしてという形でやるのがどうなのかという趣旨だと思います。
これは、我々は、あくまでも経営統合のリスクに対応するための措置だと思っておりますので、そうした政策目的に合致しないMアンドAで形式的に回数を増やしていこうとする行為というものは望ましくないというふうに認識をしております。したがいまして、例えばですけれども、一億円以下の小規模なMアンドA、分割すると小規模になる、また、計画内で行う事業譲渡、吸収分割で受ける権利義務の承継等はMアンドAの回数に含めないといったようなことで、詳細はこれから、御審議いただいた上で、通過した後ということになりますけれども、下位法令で定めてまいりたいというふうに思っております。
また、のれんについてでございますが、これは、株式取得の最大一〇〇%損金算入ということで税務上はできますけれども、会計上は連結の財務諸表においてのれんとして資産計上されるということになっておりますので、あくまでも、税務と会計上のものは違うということで、連結決算における会計処理で発生するものであって、税務上は償却とか損金算入については発生しないというふうなものだと認識をしてございます。
○大岡委員 特に、これは税も関わることですので、しっかり制度設計をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
あわせて、日本企業の買収に今非常に強い関心を持っているのは、御案内のとおり、中国を始めとする近隣の外国ですよね。そうした目的を持った国家あるいは企業が日本に合同会社などの法人を設立して企業買収を始める、その場合、この優遇を受けられるのかどうか、教えていただきたいと思います。
同時に、今回の法律で措置していますツーステップローンがありますね。ツーステップローンは、このステップに例えば中国の銀行あるいは欧米の銀行を指定することができるのかどうか。さらには、INPITによる、課題になっている知的財産の支援、あるいは、NEDOによる開発研究だとか量産化、事業開発、こういったことも、こうした買収を目的とした外国由来の企業にも我が国は便宜を与えるのかどうか。この点についてお尋ねをしたいと思います。
○菊川政府参考人 重要な御指摘をいただいたと思います。
今回のこの措置につきまして、人、物、金、アイデアを積極的に日本に呼び込んでいくということで、我が国全体の投資を拡大させてイノベーション力を高めていくということでございます。それが更なる経済成長そして産業競争力につながっていく、こういう趣旨で行うものでございますので、外国資本であることそのものを理由に本法案の支援措置の対象から排除をするということではないということだと思っております。あくまで日本の産業競争力強化に資することを目的としているので、その観点から見ていくということかと思っております。
例えば、中堅・中小グループ化税制につきましては、例えば、国内で事業実態がないような外国の企業によるMアンドAでありますとか、そういったことについては、どういうふうにここを配慮をしていくかということについてはしっかりと検討していかなきゃいけないと思っておりますし、先ほど幾つか御指摘ございました、ツーステップローンでありますとか、そういったところについても、特定中堅企業者の要件といたしましては、親会社が二千人を超える大企業の場合は対象から除外することとしておりますので、そういったことも含めて、結果的に外国の例えば大企業の支援になるようなことにならないということで検討、対応していきたいというふうに思っております。
○大岡委員 事実上、排除できないということなので、これは我が国の成長にしっかり取り組めるように、戦略性がやはり大事ですので、この詳細な設計をしっかりやり抜いていただきたいと思います。
続いて、コロナ対応についてお尋ねをしたいと思います。
コロナについては異例の経済政策を進めてきましたが、もう五類になってから一年になります。しかし、先日、コロナのときからやっている事業再構築補助金、何と十二回目の公募を発表していました。これは一体いつまでやるつもりなのか。それよりも、省人化、デジタル化、高付加価値化など、本来、この今の時代に合ったことを集中してやるべきではないかと考えますが、どのように考えているのか教えていただきたいと思います。
○飯田政府参考人 お答え申し上げます。
事業再構築補助金でございますけれども、様々御指摘をいただく中で、新型コロナ対策として実施していた特例的措置である事前着手制度の原則廃止、それからコロナの影響を受ける事業者向け支援の対象の限定や審査の厳格化、EBPMの強化、こういった見直しを行った上で御指摘のとおり十二回公募を開始したところでございまして、今後の追加公募についてのお尋ねでございますけれども、これは、ポストコロナの経済社会において中小企業が置かれたその時々の状況などを勘案して、必要性を検討させていただきたいと考えております。
それから、内容でございますけれども、委員の御指摘のとおり、ポストコロナの経済社会の変化に合わせて制度を改廃していくことは大事であると思っております。事業再構築促進基金につきましても、こうした方向で内容の見直しを行ってきたところでございまして、例えば、成長分野進出枠におきましては、成長市場やグリーン分野などの市場が拡大する事業への進出を要件としているほか、デジタル技術の活用、高付加価値化を目指す事業を採点基準で高く評価していくことで、デジタル化、高付加価値化についても強く推進してきたところでございます。
また、加えて、カタログから選ぶ簡易で即効性のある省力化投資も支援してまいりたいと思っております。
引き続き、時代の変化に合わせて制度を適切に見直して、中小企業を支援してまいりたいと考えております。
○大岡委員 いや、それは、私だってそんな、あと十回も二十回も三十回もやるとは思っていないわけですよ。ちょっともう少し誠実に答弁してもらわないと。
もうコロナが終わって一年たっているんですよ。一年前の古新聞を見て経営している人なんかいないんですよ。一か月前の新聞を見ながら経営している人もいないんですよ。やはり、そのぐらいのスピードでみんな厳しい競争を戦っているのが経済の世界ですから、ちょっと、幾ら何でも、時代の認識がずれているんじゃないかと聞いているのに、時代に合わせて判断しますというのでは、それは答弁にならないですよね。もういいです、もう時間がないので。
最後、せっかく吉田政務官が待機していただいておりますので。
経済産業省の政策、私はちょっと、ここしばらく残念に思っているんですね。それは、経産省自身が、やはり国家の産業力、国力そのものを扱っているという誇りやプライド、使命感、これをどこまで持っているのかというところに少し疑念を感じざるを得ない。目的、成果が、まあ考えてはいるんだろうけれども、私たちから見たら出ないようなことに巨額のお金を突っ込んで検証もしないということを考えると、私がかつていろいろな政策を教えてもらった経産省の先輩が言っていたこととは少し変わってきたのかなという残念な思いを持っています。
私は、国がリスクを取るのは別に悪いことだと思わない。それは、これまで民にリスクを取らせようとして減税もしてきたけれども、残念ながら民がリスクを取ってくれないのであれば、じゃ、国がリスクを取りましょうと。その代わり一定の税収はもらわないと、これは持続可能じゃないですよね。民間企業からすると、リスクも取らない、補助金はもらうだけもらう、そして税金も払わないとなったら、これはどうやって持続するのかということになってしまう。
私は、これは政策判断だからいいと思うんですけれども、もう少し、国家全体、国自体も事業体なんだ、だって、経産省は事業体を扱っておられるわけだから、国自体も経営体であり事業体なんだということを考えると、もっと収支の構造まで踏み込んで経産省は考えて、自分たちが稼がないと国家そのものが持続しないんだというぐらいの強い使命感とそして強い誇りを持って仕事をしていただきたいと思っているんですけれども、この点について、今後、吉田政務官、どのように経産省を指導されるのか、教えていただきたいと思います。この質問をもって終わりにさせていただきたいと思います。
○吉田大臣政務官 御答弁申し上げます。
日本の稼ぎを増やす方法、これを考えることが私は経済産業省の大きな仕事だというふうに思っております。
我が国の経済の持続的な成長のために、今後、GX、DXなどの社会的課題解決分野を成長のエンジンとして捉え、そして官民連携で国内投資に取り組むことが極めて必要であるというふうに認識をしております。この際、政府の予算も呼び水として前向きな民間投資を引き出すことで、雇用の創出や税収などの効果も期待できるのではないだろうかというふうに考えております。
例えばではございますけれども、半導体の大規模投資プロジェクトでございますけれども、地域経済に大きな波及効果を生み出し、税収を生み出す可能性があります。私の地元であります熊本でございますけれども、熊本に立地しましたJASMでございますけれども、これは一号棟に関してというふうなことでございますが、政府として最大四千七百六十億円の支援を決定をしました。ただ、ここを起点に、これは地域に十年間で六兆九千億円の経済効果を生むという試算も出ているところでございます。
予算事業といいますものは、毎年度ごとに策定するものではございますけれども、その効果につきましては、複数年にわたって様々な経路を通じて経済実態に波及していくものでもあるというふうに認識をしておりまして、そのためにも、経済活性化を通じた税収面の効果もしっかり念頭に置きつつ、心に置きつつ、適切な政策というものを検討してまいりたく存じます。
○大岡委員 ありがとうございました。
天下国家、そして我が国の経営体としての国家をどうマネジメントするかという大局的な視点に立って御指導いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、中野洋昌さん。
○中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。
私で午前中の最後の質疑となります。よろしくお願いをいたします。
産業競争力強化法等の一部を改正する法律案ということで、本日は、私も四十分時間がありますので、昨日の参考人質疑も参考にさせていただきながら、戦略分野国内投資促進税制に絞って質問をさせていただければというふうに思っております。いろいろな分野があるんですけれども、また次の質問の機会のときにさせていただければと思います。
大きくは総論としての国内投資の促進というところと、幾つか、戦略分野ということで、いろいろな物資を支援をしていくということでございますので、私、今日は、一つはグリーンスチールについて、もう一つは半導体についてということで、少し分野も絞りながらちょっと確認をさせていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
まず、吉田政務官に来ていただいておりますので、全体の問題意識、特に国内投資についての現状認識や今までの施策の在り方、あるいは今後の方向性も含めて、冒頭、ここの確認をさせていただければというふうに思っております。
昨日も、参考人の質疑で、この点については参考人の皆様からいろいろな御意見があったというふうに思います。例えば滝沢参考人の、済みません、今日、ちょっと私、資料を特に配ってはいないんですけれども、やはり、過去三十年の日本の経済というものを見たときに、どうしても低成長というものが続いてきた、そこは、日本の経済といっても、例えば生産性の分野というのもありますし、そして国内投資というところ、GDPがなぜ成長していかないのかというところで、やはり投資が停滞をしていたというのが一つ大きな原因なのではないか、こういう指摘もありました。
よく言われますけれども、日本は、企業は調子がよくて内部留保はどんどん積み上がっていっても、これは何をしているのか、全然国内投資に回っていかない、こういう御意見もよく聞くところでありますけれども、ただ他方で、企業の投資活動としては、国内は今ある工場をどんどん古くなっていってもある程度使っていく、成長セクターは海外に投資をしてここでもうけていく、もうかったらまた海外に投資するみたいな、そういうところを続ける中で、よく、国内だけで見ると、設備も古くなっていて、そうすると、やはり生産性も、政務官も多分、御地元を回られたら、製造業とかの、私も地元は兵庫県の尼崎というところで製造業が多いんですけれども、やはり昔ながらの工場というのがかなり残っている。そういう意味では、設備がやはり古いなと。これで生産性が上がらないと言われたら、確かに、それは生産性を上げていくには投資をしないといけないということだと思います。
他方で、経済産業省の今までの考え方としては、やはり市場に任せるということで、まず産業政策として国が何か大きく支援するみたいなことは多分やってこなかったんだろうというふうに思っております。
ただ、昨日も議論がありましたけれども、経済産業省も、これはもう少し変えていかないといけないということで、いろいろな分野、GXですとか経済安保ですとか、やはり、国がこれをやるんだということで、しっかりとミッションを打ち出して、国もそこに向かってある程度投資をする、ある意味リスクを取るという中で、民間にも投資をしてもらう、こういう転換もあったんだというふうに思います。国内投資を増やしていかないといけない、まさに今、ちょうど更新をしないといけない設備もやはり多いということで、この機を逃してはいけないという思いもあります。
まず、冒頭、政務官に、この国内投資についての現状であるとか、あるいは今後の方向性であるとか、全体の問題意識を答弁いただきたいと思います。
○吉田大臣政務官 御答弁申し上げます。
これまでの日本経済を少し振り返ってみますれば、企業がコストカットに注力をして利益拡大を図る、コストカット型経済となっていたのではないかと思います。国内における設備投資や人への投資が、このコストカット型経済で進んでこなかったのではないかというふうに認識をしております。
こうした現状に至った背景を少し考えてみますれば、バブル崩壊後の不良債権問題、またリーマン・ショック、長引くデフレ経済など、様々な要因があるとも認識をしております。政府も、今委員も御指摘ございましたけれども、民間主導という考えの下で、民間の制約を取り除く市場環境整備策が中心であったということで、新たな価値創出に向けた取組が結果として不十分な側面があったと認識をしております。
こうした現状認識の下でございますけれども、経済産業省では、二〇二一年より、GXやDXなど、社会課題解決分野を成長の源泉と捉え、産業政策を強化する経済産業政策の新機軸に継続的に取り組んでおります。まさに、将来の飯の種を生み出し、賃金や成長の源泉となる社会課題解決型の国内投資を後押しをすべく、あらゆる政策を総動員し、民間企業の予見性を高め、それに基づき投資を引き出すことを主眼としているところでございます。
ここ数年取り組んできた積極的な産業政策の効果もあってでございますが、足下の日本経済は潮目の変化を迎えております。国内投資は二年前から拡大が続いておりまして、三十年ぶりの高水準でございます。また、賃金も、今年の賃上げ率、直近の集計でございますけれども五・二%と、昨年に引き続き高水準でございます。
ただ、三十年続いてきたコストカット型の縮み思考と言われるものは、この二年間で簡単に変えられるほど甘くもないと考えています。ここからが正念場でございますので、積極的な産業政策を更に展開し、継続をしてまいる所存でございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。政務官から全体的な問題意識は答弁をしていただきました。
今、国内投資に関しては非常にいいのだと思います。かつ、経団連等、経済界も、これからかなりまとまった投資をちゃんとしていくということも発表もされておりますので、それは非常に私はいい方向性だと思っております。
他方で、やはりここで手を緩めてはいけないというのも全く同じ思いでありまして、たまたま賃上げも、いろいろな要因で物価が上がっていくという中で、今回、人手も足りない、人手不足感もかなり強いという、そっちの供給もある中で進んでいっているというふうなことも思っておりまして、やはり成長の源泉というのが必要だ、そういう分野の投資をやることが必要だというのは全く同じ思いであります。
そういう意味で、今回、まさに戦略分野国内投資促進税制という新しい制度を導入をするという法律でありますけれども、改めて、かなり思い切った支援をしていく形になる、前例のない形になるというふうに思っております。
経産委員会で議論しました水素社会の法案もそうですけれども、かなり長期的な支援をしていく、特に、国際競争に対応していろいろな物資を指定をして、ずっと議論がありますEVでありますとかグリーンスチールでありますとかいろいろなものを指定をして、生産、販売量に応じて税額控除をしていく。しかも、通常は税制支援というのは単年度なんですけれども、それを、たしか十年ぐらいだったというふうに想定は聞いておりますけれども、生産をした措置について支援をするという、極めて前例のないような思い切った支援なんだというふうに思っております。
基本的には国際競争に対応してということでありますし、当然、アメリカのインフレ抑制法、IRAのような、かなり思い切った、国内投資を呼び込もうと各国がこれをやっている。半導体に関してはCHIPS法もありました。
そういう国際競争にあくまで勝って日本の国内投資を促進するには、これだけ思い切った税が必要なんだというふうなことは思っておりますけれども、改めて、こうした前例のない形での制度を導入をしようというこの問題意識について答弁をいただければと思います。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
国際競争と御指摘をいただきました。まさにおっしゃるとおりで、諸外国を見ますと、言及もされました米国のインフレ削減法、IRA、それからCHIPS法、さらに、欧州を見ますと、グリーンディール産業計画を始め、戦略分野に関する投資を自国内に誘導するための国際的な産業政策競争が活発化をしている、このように認識しております。
こうした状況の中で、先ほど吉田政務官から申し上げましたように、我が国経済の潮目の変化を持続的な成長軌道につなげていくためには、国内投資を強力に推進していく必要があると考えております。
このため、戦略分野国内生産促進税制におきましては、戦略分野のうち、特に生産段階のコストが高いことから従来の初期投資支援だけではなかなか投資判断が容易でない分野につきまして、企業の投資判断を強力に引き出すべく、生産段階における措置を講じることとしておりまして、これまでに例のない税制で思い切って措置をしていきたい、このように考えております。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
生産段階でもコストがかかるものをどう支援するかという、先ほどの問題意識というか、まさにこの税を導入する狙いについては答弁いただきました。
少し改めて確認をしたいんですけれども、私、今まで経済産業省が、戦略物資的な、そういう分野に限ってかなり思い切った産業政策をやるよということでかじを切って、いろいろな投資が結構これで増えてきているなというのは非常に思っております。
改めて、今回、どのくらい生産するかも含めて、それが十年間でどのくらいになるのかというのが、比較的予測が難しいところはあるかもしれませんけれども、今回の前例のない規模でのこの税制の想定される支援の予算規模ですとか、あるいは、それによってどういう投資の効果が得られるかですとか、数字的なところでちょっと今現在想定しているものがあれば答弁いただければと思います。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
本税制につきましては、御審議をいただいておりますまさにこの産競法が成立した後、この法律に基づく認定を取得し、国内での新たな投資を決定、開始した企業のみが対象になるということでございます。
加えまして、実際の税額控除額は、生産、販売量や事業者の課税所得など、外部要因も含めた様々な要因により決定をされるということになります。
こうしたことから、現時点で、予算規模とおっしゃいましたけれども、減税規模を正確に見通すことは難しいという事情があることは御理解をいただければと存じます。
その上で、この税制の適用額、減税額について、一定の仮定を置いて機械的に試算をいたしますと、年度当たり最大二千百九十億円と昨年末の税制改正大綱においてもお示しをさせていただいているところであります。
また、この税制によります投資促進効果でございますけれども、この税制を始め、予算措置ですとか、あるいは成長志向型カーボンプライシングなどの規制、制度も含めて政策を効果的に組み合わせることで、例えばですけれども、グリーンスチールについては今後十年で三兆円以上の投資を実現することですとか、あるいは、自動車につきましては蓄電池を含めて今後十年間で三十四兆円以上の投資を実現すること、こうしたことなどを、昨年末に取りまとめたGXの分野別投資戦略というものがあるんですけれども、ここに明記をして、この実現に向けて取り組んでいこうとしているところでございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
昨日の参考人の質疑でも少しこうした点は議論になったかと思います。長期的な支援をしていく、長期にわたるコミットをしていくという中で、やはり企業も、これは単年度の投資で済まないわけでありますので、企業も長期的にしっかりコミットをさせるんだということなんだと思っております。
他方で、やはり、そうするためには、余り前例のない長さの支援になりますので、じゃ、どうやって効果を測定していくかとか、長期的に支援する最初の政府の目利きがちゃんとしているかですとか、参考人の質疑の中でも様々御指摘はあったかと思います、またこうした点については改めて質問させていただければとは思ってはおるんですけれども、しっかりとそういう点も加味しながら政策を進めていく必要があるかなというふうには思っております。
ちょっと、もう一点、確認なんですけれども、先日も、私、齋藤大臣が訪米されたときに、日米の間でのハイレベル対話というものをしっかりやっていくということについて確認をさせていただきました。特に、脱炭素分野において日米連携をということを前回確認させていただきましたけれども、やはり、戦略分野全体でしっかり連携をしていく必要はあるんだというふうに思うんですね。もちろん、IRAの分野というのは競争分野でもありますので、競争するという側面もあるんですけれども、半導体等も含めて、しっかり戦略的に連携をしていくということが必要かと思います。
この日米での連携、協働の在り方ということで、どういう進め方をするのか、答弁いただければと思います。
○荒井政府参考人 お答えさせていただきます。
委員から御指摘ございましたとおり、先日訪米しました齋藤大臣と米国のポデスタ大統領上席補佐官との間で、温室効果ガスの排出削減とエネルギー移行の加速に加えまして、持続可能なサプライチェーン構築、産業競争力向上、そういった観点から、GX推進戦略とアメリカのインフレ削減法の間のシナジーを高めていくということで対話を行ったところでございます。
その上で、御指摘のとおり、脱炭素に加えまして、ほかの戦略分野におきましても、米国との連携、これは大変重要なことだと考えてございます。日米経済版2プラス2、昨年も開催いたしましたが、そうした機会を通じまして、さらにはバイ会談を通じまして、例えば、半導体、AI、量子、バイオといいます重要・新興技術における日米協力、それから、強靱かつ持続可能なサプライチェーンの構築、そのためには戦略製品の需要を創出しなければいけないという観点で、日米で政策協調を図っていく、こうしたことについて議論を行っているところでございます。
こうした取組は、先日の日米首脳会談の成果にも盛り込まれてございます。さらに、首脳会談の前後には、齋藤大臣とレモンド商務長官の間で、日米商務・産業パートナーシップ、そういった呼び名をしておりますけれども、バイ会談を行いまして、今後の具体的な政策協調の在り方について議論を行ったところでございます。
引き続き、脱炭素に加えまして、重要・新興技術、それからサプライチェーン構築といった幅広い分野で日米連携を加速していきたい、そう思っているところでございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
特に、いろいろな分野で、先ほども戦略分野の需要創出みたいなお話もありましたけれども、例えば、そういう国際ルール形成ですとか、戦略的に組んでやっていかないといけない分野、あるいはサプライチェーンも、やはりこういう同志国、同盟国、こういうところとの連携というのは非常に大事だと思います。是非これは進めていただければというふうに思っております。
それで、グリーンスチールについて何点か議論させていただければと思います。
製鉄の分野は、やはりCO2の排出量が非常に多いと思っています。私も、データを見ますと、二〇二〇年のエネルギー起源CO2排出量で、例えば日本全体は、家庭でいうと一七%ぐらいなんですけれども、鉄鋼のセクターだけで一三%ということで、その他産業に比べてもやはり非常に大きいセクターだなというふうなことは思っております。
私も、製鉄関係、様々地元に産業もあるんですけれども、鉄鋼業の関係でいうと、最近は中国が本当に生産量が多くて、世界全体で見るともう半分以上中国みたいな、そういう世界の中で、やはり品質の高い鉄というものに皆さん注力をされて、例えば自動車向けですとか、そういう中で、ある意味国際競争力を保っているという分野でもあろうかというふうに思います。
ですので、排出量の多いセクターではあるんですけれども、やはり国際競争力という意味では非常にしのぎを削っている分野、それはもちろん自動車等も含めて当然そうだとは思うんですけれども、どういう形でこれをグリーンにしていくかというのは非常に大きな分野であると思っております。
その中で、今回、グリーンスチールを支援をするということで、今回の税制の中で入っていくわけでありますけれども、水素のときもあったんですけれども、そもそも、どういう形のものを支援するか。
水素であれば、例えば炭素集約度で比較をして、こういうものは少なくともやっていこうですとか、国際的な議論も進んできたというふうに聞いております。鉄についても、じゃ、そもそもCO2をどうやって計測するんだとか、どこからがグリーンなんだとか、これは国際的な議論が様々あるというふうなことも聞いております。
こうしたルール形成も含めて、しっかりと日本の主張すべきところは主張するということも非常に大事だと思っておりますけれども、こうしたグリーンスチールをめぐる国際的な議論、現状、どういう状況かというのをまずは答弁いただければと思います。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
グリーンスチールをめぐりましては、鉄鋼の脱炭素化技術の開発につきまして、国内外で様々なアプローチが試みられているところでございます。また、国内外の鉄鋼メーカーも、独自にグリーンスチールと位置づけた鉄鋼をそれぞれ販売開始をしておりまして、市場の黎明期と言えるような状況にございます。こうした中で、現時点で、グリーンスチールの定義として国際的に統一されたものはないというふうに承知をしております。
こうした中、我が国といたしましては、GX価値の見える化が公平公正な形で行われていくということが競争上重要と考えておりまして、経済産業省といたしましては、こうした考え方の下、見える化の前提となるCO2排出量の測定手法を国際的に共通化していくことが必要と考えております。昨年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合におきましてグローバル・データ・コレクション・フレームワークを提案し、合意を得て、具体的な議論を開始しているところでございます。
こうした取組を通じまして、国際社会の中で共通の考え方で排出量や炭素集約度を測定できるよう環境整備を進めるとともに、グリーンスチール市場のルール形成においても我が国がリードできるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 御説明いただきました。そういう意味では、かなり黎明期というか、まさに今これを決めていくような、そういう途上であるというふうな分野だと思います。
そうした中で、やはり非常に国際競争の激しい分野でもありますので、しっかりとこうしたルールを形成をまずはしていくということなんだろうと思っております。
一応、その中で、今回、グリーンスチールの生産について、生産、販売量に応じた税額控除を行うということで、支援が具体的に開始をするということであります。ですので、少し確認なんですけれども、今回、グリーンスチールに関して支援をする、そうした対象、どういうものを対象にして支援をしていく想定なのかというところを確認したいと思います。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
今般の税制におきましては、令和八年度末までに具体的な投資案件として主務大臣の認定を受け、新たに国内投資が開始されるものを対象としておりまして、製鉄プロセスの脱炭素化に向けて早期に実装可能と見込まれる投資案件を想定をしてございます。
具体的には、高炉、転炉を革新的な電炉に転換することで、生産時のCO2排出を大幅に削減した鋼材がグリーンスチールとして本税制の対象となるというふうに考えてございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
そうなんです。今回、いわゆる電炉、革新電炉、高効率なものへの転換ということだと思うんですけれども、電炉を支援をしていくということだと思います。
製鉄は、高炉と電炉、委員の皆様もよく御承知だと思いますけれども、作り方が二種類あって、高炉については、水素を使っての水素還元製鉄というふうな、そういう、抜本的に革新をしていくというまさに技術開発、これは非常に大きな技術開発だと思っておりますけれども、今回は早期に実装可能なものを支援をするということで、革新的な電炉について支援をするということを伺っております。
私も、鉄の分野でいろいろお話を伺うと、やはり日本の技術力の強みというのは、割と高炉のところで、非常に特殊性の高いというか質の高いようなものを作っていくというのが非常に強いというふうに聞いております。
もちろん電炉も、特殊鋼も作っていっている分野もあるというふうに聞いておりますけれども、割と、スクラップの鉄を電炉でやって、普通鋼というか、建設資材みたいな、そういう分野も作っているような、そういうところなのかなというふうに思っておりまして、そうすると、電炉を革新的にやっていくという中でも、かなり技術的には、じゃ、その中でどうやって質の高いものを作っていくのかとか、技術的な課題というのもやはりあるというふうにも思っておりますし、そういうところも含めて、いろいろな支援をしていく必要があるのかなというふうには感じております。
今回、革新電炉の方を支援するということで、いわゆる電炉法の関連の技術的な課題であるとか、また、そういう今後の取組であるとか、そういうことについても是非答弁いただければと思います。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
電炉法につきましては、主な原料である鉄スクラップの品質にばらつきがございますため、自動車などに用いる高機能な鉄鋼製品の製造には一定の限界がございます。加えまして、そもそも鉄スクラップの供給量には制約がございまして、今後の鋼材需要を賄うためには還元鉄の活用も必要となってくるなどの問題もございます。
このため、経済産業省といたしましては、品質のよい鉄スクラップの供給を円滑化するため、鉄スクラップに混入した不純物を検知し、品質に応じて分別する技術や、鉄スクラップに含まれる銅やスズといった不純物の影響を軽減しながら鉄鋼製品を製造する技術、電炉において還元鉄を活用した場合に効率的に不純物を除去する技術、こうした研究開発の支援に取り組んでいるところでございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
そうなんです。当然、いろいろな技術的な制約もありますし、今すぐ早期にCO2を下げるという実装という意味では電炉だと思うんですけれども、やはりどこかで水素還元製鉄のようなかなり技術的なブレークスルーというのをやっていかないと、当然、電炉もスクラップの鉄を溶かしますので、原料の鉄を、じゃ、そもそもどうするんだみたいな。やはりどこかで、高炉のところでしっかり技術をやっていかないといけないんだと思っています。
製鉄の日本の業界も、やはりこれはしっかりやっていくということで、当然やっていっているというふうには思うんですけれども、そして、水素還元ですので、根本的に、水素で還元させると熱を吸熱するという、非常に矛盾するようなこともありますので、非常に難しいんだろうというのはよく分かってはおるんですけれども、ただ他方で、これの技術開発というので国際競争に負けることがあっては、やはり非常にこれは問題なんだろうというふうに思っております。
例えば韓国ですとか、この水素還元製鉄の技術開発、実際どこまで進んでいるのかというのはあるかと思いますけれども、早期にこの技術開発を完了させるぞというふうないろいろな発表があったりですとか、やはりこの水素還元製鉄の技術開発というのは、私は急ぐべきなんだろうというふうに思っております。
こうした認識と、今の現状あるいは今後の取組について答弁いただければと思います。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
水素還元製鉄技術につきましては、欧州や中国、韓国などが国を挙げて開発を加速しておりまして、国際的な競争が激化している状況でございます。
こうした中で、我が国では、グリーンイノベーション基金を活用いたしまして、高炉を用いた水素還元製鉄技術の開発を進めているところでございます。CO2の排出を五〇%以上削減していくということが目標でございまして、この目標の達成に向けて、小型の試験炉での実証試験では、これまで三三%削減という効果を確認をさせていただいているところでございます。
この基金による研究開発におきましては、昨年末に試験規模の拡大などのために支援拡充を行うとともに、目標である社会実装時期を二〇四〇年代半ばから二〇四〇年に前倒しをさせていただいたところでございます。
できるだけ早期に水素還元製鉄の社会実装を実現するべく、官民連携して、着実に研究開発を進めてまいりたいと考えてございます。
○中野(洋)委員 目標の前倒しというところも、先ほど答弁もありました、しっかり進めていただければと思います。
グリーンスチールの関連で最後にちょっと指摘をさせていただきたいのが、よく言われるんですけれども、グリーンスチールだからといって、今までの鉄より性能が上がるわけではないということはよく言われます。同じ鉄で、全く性能も同じで、作り方が違うのでコストがかかっているというふうな。
ですので、グリーンスチールを今回支援をしていくということを始めるわけでありますけれども、そうすると、グリーンスチールに対する需要がないと、やはり幾ら作るのを支援しても、これは鶏と卵みたいな。水素と同じような議論かもしれませんけれども、やはりどうやって需要をつくり出すのかというところがないと、どうしても、企業の判断としては、投資の予見性が立たないねということになってくるんだろうというふうに思います。
他方で、これはなかなか私も難しいなと思いますのが、これを、製品がよりコストがかかるような形に今恐らくなっていると思いますので、やはり国際的な方向である程度足並みをそろえるというか、余りコストが高くなるようなことになっても、逆にこれは国際競争という意味では難しいのかなというふうにも思っております。
そういう意味では戦略的にしっかりと需要をつくり出すということが大事なのかなというふうに思っておりますけれども、こうしたグリーンスチールの需要をどうつくっていくのか、あるいは投資予見性をどう高めていくのか、こういうことについて今どうお考えかというのを答弁いただければと思います。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
高炉から革新的な電炉への転換など、鉄鋼業の脱炭素化に向けたプロセス転換は大規模な投資となります。生産コストの大幅な上昇が避けられないと考えてございます。一方で、現状においては、コストアップがあってもグリーンスチールの持つGX価値が国内外の市場で認められるか、見通しを持つことが難しいという課題がございます。
このため、政府といたしましては、GX経済移行債を活用した大胆な先行投資支援を講じることに加えまして、成長志向型カーボンプライシングの導入など、規制、制度等を通じたGX市場創出に向けた取組についても車の両輪として一体的に進めることで、民間企業による大規模な投資を促進していきたいというふうに考えているところでございます。
その際の市場創出の前提となります、GX価値の見える化や評価基準の国際標準化など、GX価値を有する製品に対する需要の創出、拡大が進むような市場環境の整備に取り組んでいくことが重要でございます。
齋藤大臣訪米時のポデスタ大統領上級補佐官との閣僚級対話におきましても、日米間でこうした政策連携について協力していくことの重要性を共有したところでございます。
GX価値が国内外の市場において適切に認められるよう、必要な検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○中野(洋)委員 是非よろしくお願いをいたします。
最後、残り五分、ちょっと途中までになるかもしれませんが、半導体についても確認をさせていただきます。
経済産業委員会でもずっと半導体の議論を今までしてまいりました。世界シェアもかつて高かったんですけれども、地位も大きく低下をしているという中で、これを何とか立て直さないといけない。経済産業省も半導体・デジタル産業戦略も作っていただき、経済産業委員会でも、5Gの法案であるとか、いろいろな議論も今までしてまいりました。そうした中で、かなりスピード感のある形で、熊本の吉田政務官のところのJASMでありますとか、あるいは北海道ではラピダスという具体的な動きがどんどん目に見えてきているということは評価をしたいというふうに思っております。
私、この半導体とか、こういう戦略分野の投資みたいなことでいろいろな学者の方とも議論をさせていただいたりしたときに、やはり、JASM、かなり補助金の金額としては大きな、例のないような非常に大きな金額だったというふうに思うんですけれども、その後の九州あるいは熊本、そういうところの投資を見ていると、やはりあれだけスピード感を持ってしっかり政府が支援をしたという中で、かなり高い経済効果を生んでいるのではないかというふうに私も感じております。ですので、こうした経済波及効果も含めて、こうした戦略分野への投資というものの経済効果がかなり大きいというふうな思いもあります。
このJASMへの補助、例えばこうした半導体への投資、様々やってきた中での経済効果というものについてどう考えているのか、まず答弁いただければと思います。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、半導体プロジェクトへの投資は、その波及効果は極めて大きく、熊本でのJASM一号棟を例に取れば、その工場建設を起点に、地域に十年間で約六・九兆円の経済効果、そして約一万人を超える新たな雇用を生むとの民間の試算も出てございます。さらに、賃金についても、JASMでは全国平均より五万円以上高い水準の初任給が実現してございます。また、九州では、製造業の二〇二三年度の設備投資計画が前年度の二倍以上となっており、賃上げと投資の好循環が生まれていると認識をしております。
さらに、日本全体を見てみますと、半導体や電子部品など、これらを生産する情報通信機械の二〇二三年十月から十二月の設備投資が前年比六五・八%増となっており、製造業全体を牽引している状況と認識をいたしております。
今後も、半導体産業の投資が地域そして我が国の経済全体に大きな波及効果を生み出すことを期待し、経済産業省としても、その支援に全力を挙げてまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 最後に、先端半導体分野の復活への政府のビジョンということで確認をしたいと思います。
台湾のTSMCがかなり初期の頃にインタビューをされた方に話を伺ったことがありまして、まだ当時ファウンドリーという業態が余りなかったような時代から、やはりすごくビジョンが明確だったというふうなことが強い印象だったというふうな話も伺ったことがあるんですね。やはり最初から、こういう形で世界を取れるはずだということで、大きなビジョンの中で進められてきたのかなというふうに思います。
先端半導体分野、キャッチアップしないといけないロジックの分野で、あるいはビヨンド二ナノ、かなり難しい分野だとは思っております。こうした中での政府の復活の全体のビジョンをどう考えているのか、これについて、最後、御確認をさせていただければと思います。
○岡本委員長 経済産業省西村大臣官房審議官、中野委員との申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。
○西村政府参考人 はい。
お答え申し上げます。
経済産業省としては、昨年六月に改定した御指摘の半導体・デジタル産業戦略において、我が国の半導体産業の復活に向けた三つのステップを掲げ、政策を展開しております。
まず、ステップの一としては、国内の半導体生産基盤の確保を図るということでございます。5G促進法に基づいて、TSMC、JASM等の生産拠点の整備を支援しているところでございます。これにより、我が国に供給能力がなかったミッシングピースが埋められ、我が国の産業全体のサプライチェーンの強靱化に大きく貢献しているものと理解をしております。
ステップ二は、次世代技術の確立でございます。ラピダスプロジェクトを始め、米国等の有志国と協力しながら、研究開発をしっかり進めてまいります。ラピダス社が二〇二〇年代後半に量産化を目指す二ナノ世代の次世代半導体は、技術的な難易度は確かに高いものでございますが、外部専門家の協力を得つつ、技術開発の進捗、必要な資金等について精査を行いながら、しっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
最後に、ステップ三でございます。これは、更なる将来技術の研究開発でございます。具体的には、ビヨンド二ナノ世代、若しくは光電融合、こういったものに対する支援を行っているところでございます。
また、半導体のユースケースの創出に向けた支援も行ってまいります。
今後も、技術で世界をリードし、それを我が国に根づかせていくための取組について、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 以上で終わります。
ありがとうございました。
○岡本委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十六分休憩
――――◇―――――
午後零時三十分開議
○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山崎誠さん。
○山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。
今日も貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。
産業競争力強化法等の改正ということで、本当に今、日本の産業の行く末を決める大きな法案だろうということで、私は議論を進めていきたいと思います。
もう何度も大臣も聞かれて大変だとは思うのでありますけれども、日本の産業の現状と経済産業省の政策というものがどうなるのかということをもう一回私としてもお尋ねしたいと思います。
残念ながら、やはり日本の産業の現状というのは大変厳しい、衰退という言葉を使っても当てはまってしまうのではないかなというふうにも思います。その原因をどういうふうに分析をしているのか、そして、経済産業省として様々な産業政策を当ててきているはずなんだけれども、こういう状況からなかなか改善が見られないと。
潮目が変わったというお話はあるんですけれども、例えば大企業が今、空前の利益を上げているといっても、私は、その大きな部分というのはやはり円安の影響だと。これは大きいと思うんですよ。それを除いてみて、じゃ、どれだけ新しい産業力というか分野で伸びているかというと、私はやはりまだまだクエスチョンだと思うんですよ。
それから、例えばガソリン価格の高騰、これも、今何とか収まっているのは税金を投入して抑えているからであって、これは、その投入をやめてしまえば大変な事態になって、産業、生活、経済全体が本当に失速するかもしれない、そういう瀬戸際だというふうに思うんです。こういう状況を見ると、潮目が変わったといっても、私は喜んでいられない状況にあるんだと思うんです。
大臣、この辺りの所見を、新任の経産大臣としてやはり分析して評価をいただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 これも従来から申し上げていることでありますが、確かに、三十年間、デフレ状況に加えまして、投資が十分でなかったとか賃金が上がらなかった状態が続いてきて、それで、ようやくここで賃金も二年続けて上昇をし、設備投資が増えているというところは、確かに御指摘の点は分かるんですけれども、私は、これは一つの大きな変化が表れてきているんだろうと思っていますので、ちょうどその潮目の変化でありますので、ここで手を抜いてはいけないという認識で、これからしっかりとした政策を組んでいかなくちゃいけないというのは、就任してすぐ強く思ったことであります。
○山崎(誠)委員 ありがとうございました。もう少し踏み込んで、いろいろとお聞きをしたいのでありますけれども。
今日、たまたまこの法案の議論の参考ということで、冨山和彦さん、おなじみであると思うんですけれども、とお話をする機会をいただきました。
私は、日頃から、何でこの日本の衰退、原因はどこにあるのかということで、御質問したところ言われたこと、今日資料にしたのがその一部でありますけれども、タイトルは非常に刺激的です。「会社はやっぱり、頭から腐る 社長人事を変えなければ生き残りはない」ということで、ちょっとタイトルはどうかなとは思ったのでありますけれども、中身は私はすごく大事だと思って、非常に腑に落ちたのであります。
ちょっと資料を読ませていただくと、表面の真ん中の下線を引いたところ、グローバル化の進展とデジタル革命という二つの大きな流れがあり、相当激しいビジネスモデルの転換を、かなりのスピードでやらなければならなくなった、この判断を誤ると、事業が消えてしまうこともあるし、若しくは会社そのものが死んでしまうということにもつながりかねない、スポーツに例えるならば、やっている種目が、いきなり、野球からサッカーに変わるほどの変化が起きている、激しいビジネスモデルの転換が必要になり、従来の会社の形のままでは対応できないのですと。
私は、潮目の変化というのは、もうこれはかなり前の話ではありますけれども、まさにこういうゲームチェンジが起きていたときにこそ、その潮目の変化を日本がどうつかまえる展開ができるかということがやはり問われたんだと思っています。残念ながら、それができなかった。
右側の列に行きますと、これらの基本は大量生産と大量販売、こういうビジネスモデルから、いかに、付加価値産業というんですか、付加価値を求める産業に転換できるかどうかということがあったのではないかということであります。
裏面を見ていただいて、真ん中。日本企業は一般的に、新卒一括採用で、ずっと同じメンバーでやっているわけです、極めて同質的、閉鎖的な村のようになっていると。特に大企業はその傾向が強いんじゃないでしょうか。
そうなりますと、ここで書いてあること、要は、野球をずっとやってきている経営者、その中で育ってきた社員、そうすると、野球は強いかもしれないけれども、ゲームチェンジが起きたときにどうしてもそれについていけない。私は、そういうことがやはり今日本で大きく起きているんじゃないかというふうな問題意識を持っています。
私は、経済産業省の経済政策も、これは余り議論を深めたくないのでありますけれども、政治にやはり影響力のある大企業の方を向いて進められてきたのではないか、そういうバイアスが強かったんじゃないかということ、大企業バイアスみたいなものがどうしても経産省の政策の中にはやはりあるのではないかなというふうに思って見ております。
今回の法案の改正でも、結局、お金を、これは計算してないですけれども、大きくかけるところは戦略分野国内生産促進税制という分野、ここがかなりの、十年間お金をかけるんだと思います。そうしますと、これも、中身を見れば、やはり大企業への支援の一環であるのは間違いないと思います。
私は、大企業が悪いと言っているのではなくて、そこがどういうふうに変わるのか、変わっていって時代の流れにどうついていくのか、あるいは時代の流れをつくっていくのか、そういう支援にならなければいけないんじゃないかという思いであります。
例えば、これはエネルギー政策でも同じでありまして、原子力とか化石燃料、これまでもいろいろ議論してまいりましたけれども、そういった既存の仕組みも、一部は残さなきゃいけないかもしれないけれども、大きなシフトチェンジをしなければいけないのは、再エネだったり分散ネットワーク型のそうしたエネルギーシステムへの転換ではないか。
例えば製鉄でも、高炉による生産、それを例えば電炉、循環型のそういう仕組みに変えていく、これも私はある種大きなゲームチェンジだろうと。自動車であれば、ガソリン車からEV、これは、業界は変わらないけれども、私は、中身は大きなゲームチェンジだと思うんですよ。
だから、こういうことに本気で挑む必要がある、大企業、この中身を変えていく、そうした取組が必要だと思うんですけれども、大臣、所見をいただけますか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、冨山和彦さんは私の高校の一つ後輩でありまして、時々飲んだり議論したり、彼の本も読んでおりますので、彼の大企業論というのはそれなりに承知をしているところであるし、共感できるところも随分あるなと実は思っています。
それで、ただ、日本企業も、一くくりするだけではなくて、やはり努力しているところもありますので、余り一般論で述べるのは私は慎重でなくちゃいけないなというふうには思っているんですけれども、マクロでいえば、従来から申し上げているように、やはり全体としてコストカット重視の時代を長く続けてきたということもありますし、同時に、政府としても、新たな価値創造のための取組というものが不十分であったということ、それは私はあるんだろうというふうに思っています。
ですから、大企業を批判して済むという話じゃないので、もっと我々は前向きに政策を展開していかなくちゃいけないんだろうということで、少し発想を変えようということで、もうこれまでも何度か答弁していますが、経済産業政策の新機軸ということで、政府も一歩踏み込みますよということを示しながら、GX、DXなどの社会課題解決分野を成長の源泉と捉えて、大企業のみならず、官民連携で積極的な産業政策をやっていこうということで、今踏み込んできているというわけであります。
個々の法案について何をやっているかというのは割愛しますけれども、そういう考え方で今取り組んでいるということであります。
○山崎(誠)委員 もうおっしゃるとおりだと思うんですよね。
私は、経産省の役割も本当に今大事だし、問われているんだと思うんですよ。いかにこのゲームチェンジを日本に根づかせていくか、日本の経営に呼び込んでいくかということだと思うんですよ。その後押しをしなければいけないんですよ。
それは、私は、野球しかできない企業に、これからも野球をやっていけるように環境を整えたり後押しすること、それに一生懸命じゃやはり駄目だと思うんです。もちろん、それは、ある部分は必要かもしれないですよ、ある部分はね。全部は否定しないです。ただ、野球を一生懸命やってきた、俺たちはまだまだ野球を続けたいんだと。ゲームチェンジしている、環境が変わっているのに、ああ分かりました、じゃ野球ができるように補助金出しましょうか値差支援しましょうか、そうやってやっていくことが本当に経産省のやるべきことなのか。
場合によっては、それは、大企業にとって、野球しかやってこない人にサッカーをやってくださいと言うのはつらいかもしれないけれども、でも、それをできるように後押しするのが経産省の大事な役割だろうと私は思ったんです。
私は二十年間サラリーマンをやって政治の世界に入ったので、経産省の皆さんにビジネスマンが少ない、ビジネス経験が余りない人がやっているということについて何か抵抗感はあったんですけれども、でも、今思うと、こういう議論をしていると、私は経産省の皆さんこそチャンスだと思うんですよ。
というのは、野球をやっている人ともつき合いがあるし、サッカーをやっている人も知っているし、海外の企業ともつき合えるし、幅広く様々なゲームチェンジのきっかけとか方向だとか戦略とかに触れる機会があるから、だからこそ、経産省の皆さんが旗を堂々と振っていただいて、今言っているようなゲームチェンジを推進してもらいたいんですよ。ゲームチェンジを阻害するような既存の仕組みの応援に終始するのではなくて、ここは思い切り、やはりそういう新しいゲームチェンジをやるんだと、それをもっと前面に出してもらいたいというふうに思うんです。
もっと言うと、私は経産省を何とか褒めたいと思ってはいるんですが、経産省の中にも、やはり野球しかやってきていない人がいて、野球を続けたいなと思っているそういう方が、幹部なのか分かりませんが、いらっしゃるんじゃないかなという気もすごくするんですよ。そうではなくて、今お話しした、若手の方とか中堅の方とか、いろいろな経験を積んで様々なゲームチェンジのアイデアを持っている人をもっと活用して、大臣、経産省はやはりそこも変わっていただかないと、日本の経営者、大手の経営者と経産省が同じマインドだと、もうどうにもならないと思うんですよ。そこ、どうですか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、野球からサッカーにゲームチェンジが起こったかどうかということについては、ちょっと私はコメントできないんですけれども、ただ、物すごく変化のスピードが速くなっている現状において、日本企業が例えばアメリカや中国の企業と比べて同じようなスピードで対応できているかという点については、私は個人的に、十分な対応ができてこなかったのではないかなというふうに思っています。これは、多分冨山さんの議論につながっていくんだろうと思っています。
これから、じゃ、どうするかということに関して言うと、世界でこれから需要が伸びる分野で、じゃ今度は日本が勝負をしていくということで、挽回をしていくということが一つの方向性としてあると思っていますので、まさにそれがGXでありDXで、一歩でもリードをして世界の市場を日本が取れるように、企業を含めて、政策で応援することもあれば、企業が頑張ってもらう部分もあればということでやっていくということです。
私は、着任してから今まで、職員と話している限りにおいては、そういうことでみんな進んでいるなという印象は持っている、これは申し上げておきたいなというふうに思います。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
やはり、付加価値の高い、そういう産業分野をどう見つけて伸ばしていくか。単に大量生産、大量消費のモデルというのは、ある意味、もう中国だとか韓国だとか、そういうところに取って代わられているということだと思いますよね。
半導体産業については、これもよく言われることでありますけれども、半導体の製造装置だとか検査装置だとか素材だとかは日本は強いわけですよね。だから、逆に言うと、私は、それももうありだし、そういう付加価値の高いところで日本はきちっとビジネスをやっていく、そういうネタをたくさん見つけていくというお話なのかなと思いました。
この間、冨山さんからもお話があった、例えば新幹線の制御技術みたいなもの、あれだけの高速の鉄道を何分かの間隔で安全に走らせることができる、その技術というのはすごいと。だから、ここは本当にニッチなところで、新幹線の車両自体はいろいろなところが造るかもしれないけれども、制御だったら日本の方が絶対負けないみたいな、そういうことというのは、今後の日本の産業をつくっていく上で極めて大事だと。
これは言うまでもないんだろうとは思いますけれども、やはり量よりも質であって、そういう日本の転換、だから、大企業で、大きな組織でつくる分野ばかりではないし、大企業の中にそういう分野がたくさん立ち上がってもいいし、あるいは、今議論になっている中堅企業や中小企業の中にそういう力を持ったところが伸びてきてもいいし、そういう発想の転換というのがやはり必要なんだろうと思います。
それからもう一つ、ここも大事な指摘だと思うんですけれども、どうしても経産省の施策というのが物づくりに偏っている。今回のこの施策の一連の流れを見ても、やはり物づくり産業なんですよね。だから、物づくりバイアス、これもやはり払拭していかなきゃいけないと思います。
今日の委員会の質疑でも、様々な、ヘルスケア産業だとか観光、農業、これも私は十分に産業であり、経済の大きな発展、復活の要素だと。言うまでもないと思います。ただ、経産省と、例えば国交省だったり農水省だとか、あるいは文科省なのかな、そういう横断的な政策がちゃんと、私はでき上がっていないのではないかなと。内閣などでそういう戦略を立てるのでありましょうけれども、私は、経産省としてはそういった領域にもちゃんと目を配って、こういう政策が届くようにしていただきたいと思うんです。
この物づくりバイアスに偏っていないんだ、偏っていないよねというのを、どうですか、大臣。
○齋藤(健)国務大臣 ちょっと、今、事前に聞いていない議論なのでアバウトな答えになってしまうかもしれませんが、まず、物づくりというのが日本が大事にすべき強い分野でありますので、そこを軽視してはいけないと私は思っていますが、私は、それの上で、じゃ、経産省がサービスの分野について、そんな、バイアスをかけて手を抜いているかという印象は、私自身がもう既に染まっているのかもしれませんが、そんなに感じていないということは率直に申し上げたいなというふうに思っています。
○山崎(誠)委員 ちょっと物足りない答弁ですね。
いや、私はこの法案を見ているだけで、何か割にNEDOが出てきたり、物づくりも製品まで挙げてそこに税額の控除を出すとか、かなり、やはり物づくりだと思いますよ。もっとこれは見えるように、ほかの産業分野、サービス、あるいは農業みたいなものも含めて、やはり見えるようにしていくべきじゃないかなと強く思いますので、これは要望させていただきます。
次に、GXに関わる事業あるいは投資など、これまでの政策と、法案に入っていきますけれども、今回のこの法案の関係性、これはどういう形でパッケージ化されているのかというのが私はやはり聞きたいところであります。
グリーンイノベーション基金があり、GXの経済移行債があり、そして、今回のこうした取組、産競法の改正の中でいろいろ出てきている施策がどういう整合性が取れて一体になっているのかということを、これは大臣にお答えいただけますかね。
○齋藤(健)国務大臣 まず、GX実現に向けましては、昨年、GX推進法とGX脱炭素電源法が成立しまして、そしてGX推進戦略を決定をいたしました。これらによりまして、脱炭素電源の導入拡大に加えて、GX経済移行債による二十兆円規模の投資支援策や成長志向型カーボンプライシングの導入など、GX政策の大枠がまず決まりました。
昨年十二月には、重点分野ごとのGXの方向性と官民の投資見通しを示しました分野別投資戦略をまた取りまとめています。さらには、本年二月に世界初のトランジション国債としてGX経済移行債を約一・六兆円発行して、これを財源に、GX分野の設備投資支援や家庭部門のGX推進に対する投資支援策などを具体的に実行に移してきているところであります。
グリーンイノベーション基金も御指摘をされましたけれども、この基金におきましては、次世代型太陽電池であるペロブスカイトや抜本的なCO2削減を実現する水素還元製鉄を始め、革新的な脱炭素技術の開発を進めるということになっていますし、さらには、本法案で措置している税制ですとかGX分野のスタートアップ支援の強化も取り組んでいるところであります。
加えて、昨年度からは、GXに果敢に挑戦する企業群から成るGXリーグにて排出量取引制度を試行的に開始をしており、現在、日本の排出量の五割超を占める企業が現に参画をしています。
GXは、そういう意味ではまさに実行フェーズに来ておりまして、今後とも、国際情勢や技術開発動向も注視しつつ、これらの施策の実行とともに進捗評価を定期的に実施をして、必要な政策の強化などを通じて、我が国の経済成長と排出削減、共に実現をしていきたいというのが全体のピクチャーであります。
○山崎(誠)委員 是非ここは、それぞれの政策の相乗効果というんですか、そういったものをちゃんと視野に入れて運用していただきたいと思います。
例えば、これからいろいろな計画を作ってもらって提出してもらって、それに対して例えば税額控除だとか補助をしていったりとか、そういう動きになってくるわけでありますけれども、それが本当に、今までのそういう流れ、そしてそれから次のステップということにちゃんとつながっていくようなガイドだとか評価だとかをしていただきたいと思いますので、これは要望させていただきます。
関連して、私は、ディープテックという言葉がよく出てくるんですけれども、何かよく分からないんですよ。定義していただいてもよく分からないんです。
これは私は余りいいことじゃないと思うんですよ。というのは、これまでいろいろな政策を打ってきている中で、これをどう継続的に、そして発展させていくのかというような視点でいくときに、また新しい概念を出してしまうと、私は、政策の継続性だとかそういったものを失うんじゃないかなと。なので、このディープテックということ、この言葉を使う目的、理由、そしてこのディープテックの特徴、これをどういうふうに捉えるのか、これを分かりやすくやはり説明をし、みんなが共通の理解の中でこのディープテックに挑んでいかなきゃいけないと思うんですけれども。これは参考人で構わない。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
ディープテック、まさに御指摘のように、明確な定義があるわけではないのでございますけれども、AIやロボティクス、新素材、量子、航空宇宙、バイオサイエンス、ライフサイエンスといった分野の科学的な知見に基づく技術であって、事業化されれば我が国や世界が直面する経済社会課題を解決に導く、そういうものを指しているということでございます。
ディープテックというのは、私どもが名づけたというよりは、それを担っている、その分野を見ている人たちから発生している言葉でありまして、そういう意味では、そういうものを指しているディープテックというのを明確にしながら、きちっと支援もしていくということを今後やっていきたいというふうに考えております。
○山崎(誠)委員 ディープテックにサービス産業みたいなものは入りますか。
○畠山政府参考人 科学的な知見に基づく技術でありまして、そういう意味では、サービスを排除しているわけではないんですけれども、今挙げられているものは、やはり物づくりに関連する技術が多いように思います。他方で、サービスとも組み合わさって提供されるものがすごく多いということかと思っております。
○山崎(誠)委員 私は、先ほども言いましたけれども、物づくりバイアスみたいなものがこのディープテックという中にやはり出てくるんじゃないかなというふうにもすごく思います。いや、いいんですよ、一定、物づくりが大事だというのはもちろんですけれども、更にそういった分野を広げていくような、やはり発想の柔軟性というのを私は経産省にはちゃんと持っていただいた上で、こういう新しい投資のスキームですから、充実させてもらいたいなと思うんですよ。
例えばNEDOにこれを任せれば、NEDOというのはやはり物づくりの巣窟みたいなところですから、その分野はすごく強いでしょうけれども、そうしたサービスモデルみたいなものを展開する力とか、そういったものについてはどうなんでしょう。そういう方も一部いらっしゃるのかもしれないけれども、私はやはり、もっと違う視点、切り口で、このディープテック、あるいは今、インパクト投資みたいな話もありますよね。社会的な課題というのは何も物づくりだけで解決するものではないので、言うまでもありません、そうした展開にもちゃんと目くばせをした施策にここは是非してもらいたいなという思いであります。
そして、今NEDOの話を出したんですけれども、今回は、事業開発活動支援という、領域を広げて、より商業化に近いプロセスをNEDOが応援をするというスキームをつくったわけであります。
これは私は、NEDOにそこの辺りの支援のノウハウがあるのかどうかと。というのは、これはビジネスセンスというか、ビジネスをどういうふうに展開していくかというところのノウハウなので、私は、もしかすると、NEDOではなくて、例えば、いろいろな経営コンサル的な仕事をしている人たちの方が目利き力があって、この技術だったらこの分野に行くべきだという、そんなことを指導できるんじゃないかと思うんですけれども、NEDOにこういうプロセスがあるのかどうか。
そして、もう一つ追加で質問すると、この分野というのは、研究開発とはまた違う意味での試行錯誤だと思うんです、市場との対話があったりね。だから、そういったことで、どういうふうに今回追加した支援というのを展開していくのか。
場合によっては、失敗をしてしまって、市場で、ある市場を目指したんだけれども、その技術がうまくいかなかった、でも、Aは駄目だけれども、B、Cと別な市場でチャンスがあるかもしれないみたいな、もう完成された一定の技術がある、そういう展開をどういうふうに支援していくのか、アイデアがあれば教えていただきたいと思います。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、NEDOに今回、事業開発活動に対する支援を追加をするということにしております。この業務は、ディープテックスタートアップが市場を立ち上げるために行う事業活動、例えば大規模な商用の設備投資などへの補助を行っていくという意味で、まさに事業面での見極めが一層重要になってくるということだと思っております。
もちろん、NEDOはそのディープテックスタートアップの支援というのをずっとやっておりますので、その意味での、どういうものが事業として成り立ち得るのかということについて一定の知見はあろうかと思いますけれども、その上で、支援対象の選定におきましては、事業者が有する技術の革新性、先進性に加えまして、事業面での競争優位性や将来性、スタートアップの経営体制や営業などの組織体制、そして顧客や市場からの具体的なニーズや評価など、事業面に重点を置いた審査を行っていく必要があるというふうに思っております。
このため、こうした事業面の評価を重視する審査基準を作成した上で、事業会社における事業開発の経験や投資実務の経験のある方など、多様な背景、知見を有する外部有識者で構成する審査体制の整備、これも行いますし、あわせて、事業性の評価にたけているベンチャーキャピタルなどと連携して事業を進めるなど、支援対象を適切に選定する体制の整備を進めていきたい、このように考えております。
また、こうして選定したディープテックスタートアップに対して、まさにそこから先の展開ということも含めてだと思いますけれども、伴走支援を実施できるよう、NEDOにベンチャーキャピタルでの実務経験を有する者を配置をするということも含めて、適切な整備も進めてまいります。
そうしたことで、当初想定した事業からの更なる展開ということについてもきちっと対応していきたい、このように考えているところでございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
ある意味、NEDOにとってはチャレンジだと思いますので、今お話ししたことは非常に私は大事だと思いますし、うまく進めていただきたい、強力に進めていただきたいとお願いしておきます。
次に、これも私は非常に一つ腑に落ちないところなんですけれども、戦略分野国内生産促進税ということで制度をつくっているんですが、私は、この物品のリスト、これがすごく唐突感があります。税制改革大綱から出てきているということで、経産省がどこまでこれにコミットして出てきたのか。当然、財務省だけで出てくるものではないと思うので、皆さんのアイデアも入っているのはもちろんそうだと思うんですけれども、これは本当にこれでいいんですか。
例えば、FCVが電動自動車等の中にも入っています。これは燃料電池車ですよね。これはいわゆる自動車の燃料電池車をこれからこのスキームを使って応援をするということなのか、どうなのか。私は非常に懐疑的です。FCVは燃料電池のトラックとかバスの分野の応用というのはありだと思っていますけれども、乗用車については、やはりEVが今主流になっています。これをあえてこの制度でFCVの乗用車を応援を今からする意義というのが本当に経産省としてあると考えているのかどうか。
それから、半導体についても、かなり細かく、それぞれの控除額なども定められていますけれども、半導体も十年のスキームでこの額、控除額を決めているんですよ。半導体というのは、私の認識では、技術の展開が速くて、どんどんどんどん新しい技術あるいは新しいチップが出てくるような分野にこの十年の控除のスキームを当てるということは、私は政策が間違っていると思いますよ。別な支援の仕方があると思います、この分野であれば。例えば再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、これは毎年買取り価格を見直しますよね。状況が変わるに応じて、どんどんどんどん価格を変えていくというような、そういう制度で応援をしているわけですよ。これはちょっと別な分野でもありますけれども。
むしろ半導体を応援するんだったら、例えばそういう見直しだとか、展開のスピードに合わせたスキームが必要だと思うんですけれども、この辺り、大臣、どうですか、FCVやあるいは半導体、この支援について。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
まず、この戦略分野国内投資促進税制でございますけれども、我が国の持続的な成長軌道につなげていくために、国内投資を強力に推進していく必要があるということで措置をするものでありまして、戦略分野のうち、特に生産段階のコストが高い分野について、従来の初期投資支援策では企業の投資判断が容易でないことを踏まえまして、新たに生産、販売量に応じた税額控除措置を講じるものでございまして、事業者の予見性を高めることで投資を強力に促す、こういうことで措置しております。
そして、対象の品目でございます。これにつきましては、各分野ごとの特徴や既存の支援策の制度も踏まえまして、経済産業省がこの税制の対象分野の案を策定をいたしました。その後、もちろん、新しい資本主義実現会議ですとかGX実行会議、あるいは経済産業省における新機軸部会などにおきまして、この案を提示し、これらの会議における議論を経た上で、昨年末に、これは閣議決定ですけれども、税制改正大綱として取りまとめをして決めたものでございます。
その中で、具体的な項目として、FCVの御指摘をいただきました。
自動車分野におきますカーボンニュートラルの実現に向けては、完全な技術は存在していないというのが現状だと考えておりまして、EV、合成燃料、水素など、様々な技術の間の技術中立性を確保しつつ、多様な選択肢を追求する方針を取っております。
その意味で、FCVは、足下では、先ほど申し上げたような理由で事業採算性を取ることが難しく、エンジン車やハイブリッド車とは事業環境が異なるというふうに考えております。
そういうことで、EV車と同様に、FCVについても諸外国に負けずに立地促進を図っていくことが重要であるということが措置をしている理由でございます。
それから、半導体についても御指摘がございました。
これは、GXあるいはDX、経済安全保障の観点から極めて重要な戦略物資であるというふうに考えております。この税制の対象であるマイコン、アナログなどは、自動車、家電などの幅広い産業で今後も長期間にわたって使用されることが見込まれ、経済社会活動を下支えする、まさに産業の米ともいうべき重要な物資でございます。主要国が補助金あるいは税制等の投資促進策を講じ、競争力を強めている領域でもございます。
この税制、まさに冒頭申し上げたように、生産段階のコストが大きく、本税制で、投資判断を引き出すことが有効な物資を対象としてございますけれども、マイコン、アナログはまさにこの特徴に当てはまるということで、税制の対象にしているものでございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
時間になったので終わりますけれども、本当ですか、それ。これだけピンポイントの品目を挙げて応援をするということは、私はもう本当に経産省の意思がこれに表れていると思いますし、それが正しい方向に向かっていればいいけれども、この政策、この制度とこの品目の選択というのは、私は問題であると思っています。
ここは是非フレキシブルに今後も見直してもらって、十分に、本当に経産省の目指すところに合致するような政策、これまでも議論してきましたけれども、物づくりに偏らない、大企業に偏らない、そして新しい付加価値の高い産業をつくるんだ、そういう施策に切り替えていただきたい。お願いして、終わります。
○岡本委員長 次に、荒井優さん。
○荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。
実は、今週の月曜日に、山岡先生に連れていってもらいまして、苫小牧のCCSの施設を見学しに行ってまいりました。今はまだ国会で、参議院の方で審議中だとは思いますが、前回、こっちの衆議院では、附帯決議をまとめるとかも含めてずっと関わらせてもらって、非常に自分としても思い入れがありましたので、行ってみて改めて、二酸化炭素を地中に埋めていくという非常に大きな取組を、地元の人たちと一緒になって、皆さんが一生懸命やっているのに非常に胸を熱くする思いでした。先日参考人にもお越しいただいた日本CCS調査会社の中島社長に大変丁寧に御案内いただいたというふうに思っております。
こういうふうに国会で審議していることと、ああいうふうに、まさに、物づくりバイアスともいうかもしれませんけれども、大きなものを造って新しい取組をしているということに連携というものを感じましたし、改めてここに立っている責任も非常に強く感じた次第です。そのうち大臣もきっと見に行かれると思いますので、是非よろしくお願いいたします。
そういった中で、こうやって新しい取組をしていく中で、まさにこういう取組に効果があるのかどうかという政策の検証をしっかりしていく、最近はEBPMというふうな言われ方がすると思いますけれども、この取組が世界中で広がっているんだというふうに拝察しております。
まず、今日は最初に大臣に、まさにこのEBPMの経産省の取組の現状、課題、対応みたいなお話を是非お聞かせいただきたいというふうに思いました。
といいますのも、今日、資料を一枚つけさせていただいております。ちょうど先月、日経新聞に載っていましたが、アメリカに学ぶEBPMということで、アメリカでやっているイヤーアップという、高卒で所得の低い十八歳から二十四歳に対して就労支援のプログラムをやってみたところ大変効果が出たというのを、これをEBPMで評価された、そういう記事を拝見いたしました。
ちょうど、大臣がアメリカに行き、アメリカといろいろとやっていくんだということもありますし、是非、こういう一つ一つの政策でも、ちゃんと効果が実証できるというものを取り組んでいくという姿勢は、やはり、僕も国会議員になってみて、改めて、一つ一つの政策やお金のかけ方が本当にどうだったのか、もちろんやる前はそうなるはずだという仮説の下になるわけですが、しっかり検証することが大事かなというふうに思います。
この質疑とはあれですけれども、ちょっと、是非このグラフのところだけもう一度見ていただきたいんですが、これは実は、十八歳の、高卒のアメリカの若者たちに対して、ITや金融のスキルの習得と、あと包括的な就労サポート、そして雇い主と連携した学習、インターンシップというものを、一年間、十八歳から十九歳までやるんですね。
グラフを御覧いただくと、一回、政策を受けなかった群というのは右肩上がりにずうっと賃金が上がってきているんですけれども、ただ、一年間プログラムを受けている最中は、当然、多分勤務時間が減るからだと思いますが、思いっ切り下がるんですけれども、やはり一年後には高くなってきて、そしてこれがプログラムの実施後もずうっと伸びているんだという、そういう記事になっています。
ちなみに、この新聞記事の下の方には、実は、このEBPMを取り組むに当たって博士課程のスタッフをそれぞれの役所に相当数設けていて、このプログラムをやっている保健福祉省では予算額が二百三十億円、そのEBPMの部局だけにもあるということで、日本と比べると大分アメリカはそこに手厚い、そんなことも書いてあります。
是非、こういったことも含めて、先進事例に学ぶということも含めて、大臣には今の取組や今後の熱意をまずお聞かせいただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 今、委員からアメリカのお話がありましたけれども、私は、一般論ではあるんですけれども、日本というのは一回物事が動き始めますとなかなかそれを途中で変更することが難しいという、そういう傾向が日本の組織にはあるような気がしていますので、そういう意味では、合理的根拠に基づいて政策立案を行うEBPMというのはより一層重要なんだろうと思えてならないということであります。
EBPMを進める上では、特に大規模な予算の効果検証、それから専門人材の活用、こういったことが課題ではないかと考えておりまして、近年重点的に対応してきています。
大規模な予算につきましては、例えば先端半導体基金事業、それからグリーンイノベーション基金事業について、有識者の意見も踏まえて効果検証のシナリオを策定したところでありまして、今後、事業の進捗や効果をモニタリングしつつ、改善につなげていきたいと考えています。
また、二〇二二年四月には、経済産業政策研究所に博士号を有する専門人材などから構成されるEBPMセンターを設置をいたしまして、政策の効果検証に対して専門的な助言を受けているところであります。
こういった対応を進めながら、引き続き、EBPMにしっかり取り組んだ上で、めり張りのある政策の実施を進めてまいりたいと考えております。
○荒井委員 ありがとうございます。
是非、EBPM含めて、特に、RIETIというんですか、博士課程の方を大分入れているというお話でしたので、是非ここの予算も含めて、特に博士課程の人材が活躍するというのは大変重要だというふうに思っています。大学院や博士課程の人たちの就労場所若しくはインターン場所としてうまく活用できるように、大臣からもお願いしたいというふうに思っております。
続いて、本法案のことについて、本当にお聞かせいただきたいと思うんですが、僕もずっと、議員になってまだ二年半ですが、まだ一期生ですし、分からないことがたくさんあります。特に、経産委員会に関して、ここまで自分の委員会だなと思いながらやっているのは本当に今回が初めてで、一生懸命、今議論していること、そしてやろうとすることをなるべく、分からないなりにも理解しようというふうに思っていますので、ここは忌憚なく教えていただきたいというふうに思っております。
ペロブスカイト太陽電池のことについてまずお伺いしたいんですが、元々、この法案が作られる前のGX実行会議では、ペロブスカイト太陽電池もこういった税制の、租税特別措置等、若しくは支援していく製品としてGX実行会議では入っていたものの、最終的には、これが抜け落ちているというか、入らなかったという形になっているわけです。これは一体、いつ、どこで、どういうふうな形でこの意思決定がなされるものなのかというのを教えていただけますでしょうか。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、ペロブスカイト太陽電池につきましては、GX実行会議の中で重要な分野として取り上げておりまして、その意味では、技術開発から社会実装まで各種の支援策や制度措置を講じて、これをいかに社会に実装させていくのかということで取り組んでおります。
そのためには投資促進が必要でございますけれども、この投資促進策につきましては様々な手法が考えられます。分野ごとの特徴や既存の支援策、それから制度なども踏まえまして、効果的に講じていくことが重要でありまして、それを観点に決めてまいります。
御指摘のとおり、今回の戦略分野国内生産促進税制ではペロブスカイト太陽電池は対象となっておりませんけれども、この背景としては、まず第一に、現在、グリーンイノベーション基金を活用して研究開発投資を強力に進めていることがまず挙げられます。
それから二番目に、令和六年度予算におきましては、ペロブスカイト太陽電池に係る国内サプライチェーンを構築すべく、ペロブスカイト太陽電池及びその部素材の製造事業者に対し、製造設備への投資を支援する新たな予算を措置をしていること。
それから三つ目に、これは既存の制度ですけれども、再エネにつきましては、発電設備を導入する事業者による投資回収の予見可能性を向上することで再エネ導入を促進するFIT、FIPの制度がございます。こうした効果が、このFIT、FIPの効果がペロブスカイト太陽電池の製造事業者にも及ぶことで、その製造に係る事業採算性を向上させる効果もあるというふうに考えております。
こうした様々な施策を組み合わせることでむしろ投資促進が図られるので、その意味では、今回の税制の対象にするということにはならなかったということでございます。
○荒井委員 追加でちょっと伺いたいんですけれども、今回は入らなかった、それはまだ、ペロブスカイト太陽電池そのものが、商品化するのが、もう少し研究開発の余地があるとか、もう少し手前にあるからだというふうな今、理解をしたんですけれども、今後、こういうものがもっとより社会実装が進んでいくようになると、租税特別措置の対象になることも十分あり得るという、そういう理解でもよろしいんでしょうか。
○畠山政府参考人 確かに技術開発を同時に進めているということも申し上げましたけれども、一方で、実際、その設備投資を行うための、税制ではない初期投資支援の補助金ですとか、あるいは、そもそも、FIT、FIPによる制度があるということも含めて考える必要があろうかと思います。
その上で、この税制の対象につきましては、今、ペロブスカイトを追加をするということは具体的には想定をしていないんですけれども、今後の技術や世界の動向なども踏まえて、これは税制に限りませんけれども、税制、補助金、あるいは規制、制度などを含む効果的な投資促進策は必要だというふうに思っておりまして、これは不断の見直し、検証をしていきたいというふうに思っております。
○荒井委員 今回の戦略分野国内生産促進税制の対象商品の中には、蓄電池に関しては、EVの蓄電池は対象になるけれども、それ以外の蓄電池は対象にならないということで書いているかと思います。
ただ、元々、蓄電池というものは、GX、DX、経済安保といった、そういった分野においても非常に大事なものが蓄電池というふうに言われていて、それはEVの中の蓄電池というだけでもないように思うんですが、今回、あえてEVの蓄電池だけに今回の税制が対応するようになった、その理由について教えていただけますでしょうか。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
本税制は、GX、DXなどの中長期的な経済成長を牽引する重要な戦略分野において強力な国内投資促進策を講じるものでございまして、その意味では、蓄電池もそうした分野の一つだというふうには認識しております。
他方で、蓄電池に関する投資促進に当たりましては、現時点では、むしろ初期投資の大きさ、これが課題でありまして、その課題を乗り越えるべく、むしろ初期投資支援、初期投資に対する補助金ということで措置をしております。
具体的には、蓄電池につきましては、その国内生産基盤を強化するために、生産工場の初期投資に対する補助金として、令和五年度補正予算で二千六百五十八億円、令和六年度当初予算で二千三百億円の多額の補助金を計上しているところでございます。
本税制におきましては、蓄電池の主な需要先である電気自動車の国内生産を強力に促進するということで、蓄電池も含めた電気自動車の国内製造基盤の確立を進めようということで、電気自動車などの製造を対象としているということでございます。
○荒井委員 ありがとうございます。
今のこの辺りの話が今回僕が一番聞いてみたかった根幹の部分でもあるんですが、まさに政府が民間の事業者に対して様々な施策を打つときに、補助金と税金を下げるという二つのやり方があるんだなというのを、改めて今回、自分なりに勉強というか読んで分かったわけですね。
元々、この一枚のペーパーでいろいろと今回の法案について御説明いただいたときから、実は、産業競争力強化法というその法律の名前からイメージしたときに、僕自身がどちらかというと人に対してのこだわりが強いのかもしれませんが、今の企業にとってはやはり人の問題の方がはるかに重要なんじゃないかと思っていて、なぜ税制の措置のことばかりこの法案の中には書いてあるのかなというのが最初非常に分からなかったんですが、いろいろ読んだり、聞いたり、勉強していく中で、なるほど、昨年の年末に与党も含めた政府の税制の、そこで決められたものが、今回、この産業競争力強化法の中で、そこで決まったことを今度、経産省としてこの法案の中に入れる、そういうプロセスなんだなというのを、済みません、皆さんの中では当たり前のことなのかもしれませんけれども、今回改めてよく理解をいたしました。
ただ、野党の国会議員からしますと、税制の決定のプロセスというのはなかなかうかがい知るところができないところでもありますし、なるほど、テレビで見る、年末に自民党の建物の中でたくさんの人たちがわあわあやっているというのは、あれがまさに税制の決定の大きなプロセスの一部でもあるんだなというのを、改めて今回、この法案を通じて僕自身も知るところになったわけですが。
でも、一方、租税特別措置というもの自体の、曖昧さと言うとちょっと言い方に語弊がありますが、元々、戦後にシャウプ勧告があって、やはり租税特別措置というのは税の公平性からすると決していい仕組みではないから余りしない方がいいということを勧告も受けてきている中で、なぜ租税特別措置というものにこだわってやっていく必要があるのか。
補助金に関しては何となく分かりやすいんですが、租税特別措置に関しては、決まる形成プロセスにおいても、国会、特に野党側からすると、見えないところが多々あるような気がしていますし、その中でも、先ほど来大臣も、産業政策の新機軸を打ち出すんだ、国の政府として非常に大きな関わりをしていくという中に、ちょっと語弊があるのかもしれませんが、補助金という仕組みは透明性が高いような気がするんですけれども、租税特別措置でどの会社がどういうふうに裨益を受けたかどうかというのが分かりにくいものが、本当にこれによって進めていっていいものなのかどうかというところが、済みません、非常に素人っぽい質問なのかもしれませんけれども、教えていただければと思います。
○齋藤(健)国務大臣 どういう対象にどういう政策を講じるかによって、補助金が優れているのか、税制でやるのが優れているかというのはケース・バイ・ケースなんだろうと、私も経験上、そう思っているわけでありますが。
仮に補助金等の予算措置と租税特別措置とを比較して考えた場合には、租税特別措置については、適用を受けるためにはまず黒字化が必要だということもあります。したがって、企業にとりましては、収益を上げなくちゃいけないというインセンティブが同時に働くという、補助金と違う意味合いもあります。
また、毎年度国会の議決を経る必要がある補助金と比して、これはちょっと国会軽視と受け止められるといけないんですが、事業者にとりましては、相対的に措置の予見可能性が高いというところもあろうかと思いますので、そういうものにふさわしい政策についてこの手段を用いるということなんだろうと思っています。
したがいまして、結論は、政策効果を始めとして、個々のケースに応じてふさわしい方法を取っていくということになろうかと思います。
○荒井委員 ありがとうございます。済みません、大臣にお答えいただきまして。
確かに、会社からしてみたら、補助金は、赤字でも、もらってしまったらどう使うかというのは会社に任されるし、赤字かもしれません。ただ、税金が控除されるということは、利益を出さないとそもそもできませんから、利益を上げようということで頑張るということも、確かにそのとおりだなというふうには思います。あと、長いスパンをかけてやっていけるというのも、企業からすると、その投資に、やっていこうというふうに思うかもしれません。
例えば、今回の租税特別措置に関して、先ほどの質疑の中でも、どれぐらいの税収減を予見しているのかということで、たしか、二千百九十億円というような金額が出てきたと思うんですが、それはこの法案全部の話だと思っていまして、これは戦略国内生産促進税制であったり、そのほかにもイノベーションボックス税制とか、今回は税制に関していろいろな租税特別措置をするというふうになっていると思いますので、この法案全体でいうとそれぞれ、できるだけ細かく、どれだけの税金が国としては減収になるのかという見込みがあるのか、教えてもらってもいいでしょうか。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
今回の産業競争力強化法の改正法案に関連する主な租税特別措置による減収額は、一定の仮定を置いて計算した経済産業省の適用見込みなどに基づけば、いずれも平年度ベースですが、戦略分野国内生産促進税制の創設については二千百九十億円程度、イノベーションボックス税制の創設については二百三十億円程度、中小企業事業再編投資損失準備金制度の改正については三十億円程度と見込んでいるところでございます。
○荒井委員 ありがとうございます。
これは、それぞれの金額を見込まれているわけですけれども、当然、先ほど来申し上げているように、利益が出ないとこの税金の話にもならないわけですから、それだけの売上利益を立てる事業体が幾つかあってこれだけのという、非常に、つかみというとちょっと言い方は雑駁かもしれませんけれども、随分想定しながら作った数字で、でも、確かに、新規事業をするときには、こういうふうに何らかの数字を想定しなければいけないわけですので、その想定した数字に基づいて、こういうふうになったらいいなという形であるんだろうというふうに思います。
そして、先ほど冒頭に大臣に伺ったEBPMの話とも重なってくるんですけれども、こういった、元々幾らぐらいを想定しているというものが、EBPM的にというか、EBPMというほどでもないかもしれませんけれども、政策の評価として、どのようにこれを検証しているのかというのも教えていただけますでしょうか。
○菊川政府参考人 今、租特に関しての、どういう試算をして、それをどう評価、検証していくのかという御質問だったかと思います。
まず、先ほど財務省の方から、大体こういう額になるのではないかということの見込みを、御答弁があったかと思いますけれども、それは、いわゆる税制を要望しようとする我々省庁の方から、関連する公的な統計でありましたり、企業のヒアリング、こういったものをやりまして、一定の仮定を置いて試算をしているということでございます。
先ほど財務省の方から答弁ありましたけれども、イノベーションボックス税制ということで例えば申し上げれば、企業活動基本調査といった統計を基に、例えば、ライセンスや譲渡取決めの仕組みがどういう形であるだろうかということを仮定を置いたり、あとは、民間調査結果なんかも聞きながらはじき出すということになります。
したがいまして、それをどう効果検証していくかということで申し上げますと、実際、我々が見込んだ企業に、もちろん使っていただくように広報、周知していくわけですけれども、その結果、使っていただいた企業の使われ方、また、その使い勝手がよかったかどうかというところを検証しながら、また、税制は改正するタイミングがございますので、そういったところで一定の反映をできるだけしていくということで行っているものだと承知をしております。
○荒井委員 今日、ちょっと資料としてはお配りはしていないんですけれども、先日の四月十九日の朝日新聞の朝刊の一面のところに、法人税の優遇は減収二・三兆円、そういう記事があったんですけれども、その中にこの租税特別措置のことについても、るる、その課題に関しても書いてあったんですが、その中で一つ、すごく気になったのが、政府としては、守秘義務の観点から、どの企業がどれくらい租税特別措置を受けて減税されているのかというのを細かくは出していないということで伺っているんですが、実態としては事実なのか、ちょっと財務省にお伺いしてもいいですか。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
減収効果のある法人税関係の租税特別措置につきましては、適用件数、適用金額等を租税特別措置の適用実態調査の報告書という形で毎年国会に報告をしておりまして、その中で、各租税特別措置の適用上位十社について、その適用額を掲載しているところでございまして、企業名というものは公表はいたしておりません。
○荒井委員 これは、どうして企業名は、公表というのはしないものなんでしょうか。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
企業名の公表につきましてでございますが、国が個別企業の納税情報を公表することについて、一般に、価格交渉への影響といった競争上の不利益が生じかねないといった懸念がございます。
また、租税特別措置の適用実態調査の報告書については、租税特別措置の利用状況を明らかにして政策の企画立案に役立てていくことを目的としておりまして、こうした目的に照らすと、個別企業名まで公表する必要はないという整理が、この報告書の根拠法である租税特別措置の透明化法の立案当時からなされている、そういったことから適用企業名の公表は行っていないところでございます。
○荒井委員 今日の冒頭からお話ししているEBPMみたいな話をしていくと、やはり企業名が分かった方が、その会社がその減税を受けた上で実際どれぐらいの効果を発揮したのかということも後から調べることができていくんじゃないかというふうに思っています。これはお願いというか、今日は自分の考えを披見するだけですけれども、ただ、今日ずっと大臣からの答弁にもありましたが、新しい産業政策で、新機軸で、国の税金を、補助金なり租税特別措置なりで、企業に対して大きくかけていこうとしていくときに、この透明性というのはやはり必要になってくるんじゃないかというふうに思っています。
先日、レクを受けたときに、海外ではどうなんですかというふうにも聞いたら、海外もそんなにはっきりは出していないんじゃないかということをお答えいただいたんですけれども、ちょっとそこに対して僕も検証するだけの時間はありませんが、でも、日本が本当に再起をかける中で大きなお金を張っていくのであれば、それを受けた会社が実際どうなったのかということは非常に重要な、まさにEBPM的な視点だと思っていますので、是非そういう産業政策に変わっていくといいなというふうに正直思っております。
その上で、これは大臣と最初にお話しさせていただいたときからずっとこだわって、本会議場でも伺わせていただいた、まさにこういう企業の政治献金の在り方の話にもつながっていくんですが、租税特別措置を受けた会社がどの企業か分からない中で、それが政府・与党、どこかの政党に政治献金として入っていくことは、これは透明性をやはり確保していかないと、国民の皆さんからも疑われることにもつながりかねないんじゃないかというふうに思っています。やはり今までの慣習的になのか、それは、政府としてはきれいに整えているものと政党というものは別々なんだという考え方なんだとも思いますが、でも、だんだんそういう、外から、素人の目線から見ていっても、やはりここはしっかり正していかないと、李下に冠を正すみたいな形をやっていかなければいけないんじゃないかというふうに思っています。
何度も伺っているところではありますが、齋藤大臣、こういった観点でどのようにお考えなのか、是非お聞かせいただければと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、荒井委員が先ほどおっしゃった、個別の企業が租税特別措置をどのくらい利用しているかということについて公開をすべきではないかという議論に対しまして、私はやはり行政としては慎重であるべきだなと思っていまして、というのは、どの分野で今度その企業が投資を重点的にやって勝負をしようとしているのかというのは、ある種の企業秘密に関わるところがあろうかと思いますので、それを役所が把握して、本人たちが公表もしていないものを、役所のサイドでどんどん外へ出していくというのは、やはり慎重であるべきなんだろうというふうに、原則論として思います。
ただ、担当部局がその政策効果を把握する上で、守秘義務を前提に把握をするということは、これはやっていくべき、物によってですけれども、価値があるんだろうなというふうに思っています。
それで、従来からの答弁になってしまうんですが、献金の在り方につきましては、各党各会派で御議論をいただくしかないかなと思っておりまして、この場で経済産業大臣としてお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、租税特別措置は、国会で御審議をいただく法律やそれに基づく政令等に規定された明確かつ形式的な要件に基づいて、これを満たす納税者がひとしく適用を受けることが可能な仕組みとなっておりますので、特定の企業の献金を念頭に、その企業にメリットが行く、そういう制度のたてつけにはなっていないということは御理解いただきたいなというふうに思います。
○荒井委員 ありがとうございます。
先日の参考人質疑で滝沢美帆参考人も、税制がこういうふうになっているんだということをしっかり周知する必要がありますよということを申し上げたその後で、やはりその後の効果測定が非常に大切だということもおっしゃられていました。
まさにその効果測定するためには、僕はやはり企業名が分かっている方が、いろいろな人たちが、それが効果が検証されるんじゃないかなということは思ってはいますが、ただ、先ほど大臣がおっしゃられた、それぞれの企業の戦略、戦術みたいなことも今伺って、なるほどというふうに思ってはいる次第です。
あと、今日、たしか大岡先生だったかと思うんですけれども、御質問の中で、この国内促進税制が、例えば中国の会社に適用はされ得るのだろうかという形を、たしか質問があったように思うんですね。
中国の会社が日本で組み立てた場合に、それを出したらそれが適用されるのかというところで、それは適用されるんだなというふうな形で答弁を聞いていて理解したんですが、となると、まさに租税特別措置というものを受ける会社の中に、そういう外国籍の会社が入っていることも十分想定し得るんだな、ただ、外からはそれがそうなっているかどうかというのが分からないんだなということを、改めて今日の質疑を通じて理解したんですが、そういう理解でよろしかったでしょうか。
○菊川政府参考人 大岡委員の午前中の答弁で、今、済みません、登録がなかったので、どういう答弁したかを思い出しながら少し申し上げますけれども。
大岡委員には、外国資本であることそのものをもって、それだけを理由に本法案の支援の措置の対象から排除しているわけではないというふうに御答弁を申し上げたと記憶しております。
他方で、同時に申し上げましたのは、あくまでも、今回の法案は、日本の産業競争力に資するかどうかという点で、この法案をしっかりと執行していくという観点から、様々な運用でありましたり、委員から先ほどから御指摘いただいているような効果検証、そしてまた、その先にある税制が改正されるときの見直しでありましたり、そういったところに、どういう、るる委員から御指摘があったEBPMのような観点で、それを効果検証して対応していくか。
あくまでも、日本の産業競争力に効果が出ているかどうか、こういった点で見ていくものではないかと認識しております。
○荒井委員 もう一枚資料をつけてありますので、そちらについても是非、最後に教えてください。
これも日経新聞の一月の記事ですが、「租税支出の透明性を高めよ」ということで、関西大学の教授の方が書かれた記事があるわけですが、ここで、非常に日本の租税支出の透明性が低いんだということを書かれているわけですが、そのうちの一つの理由として、経済産業省は産業税制ハンドブックというものを前は出していたけれども今は出していなくて、それが透明性が低い理由の一つだというふうに書かれているんですが、これは事実なんでしょうか。
○岡本委員長 経済産業省菊川大臣官房審議官、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。
○菊川政府参考人 簡潔に申し上げます。
この産業税制ハンドブックは、平成三十年を最後に発刊できていないんですけれども、この中身、増減収見込額につきましては、国会の方に提出をさせていただいております。
したがいまして、国会図書館等で閲覧することができますので、そういう点からは、情報については透明化を図っているというふうに理解をしております。
○荒井委員 ありがとうございます。
是非、これからも透明性の高い政策を進めていただければと思います。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、市村浩一郎さん。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いいたします。
今回は、産業競争力強化法の一部改正案ということでございますが、このいわゆる産競法と言われているものが最初にできたのが二〇一三年、平成二十五年ということでありまして、ちょうどアベノミクスの初年度ということだと思います。私も一二年の十二月に、残念ながら、三期目は落選いたしまして、この一三年はこの国会にいなかったというところでありますけれども、そのときに、あのときのいわゆるアベノミクス、第一本の矢が異次元の金融緩和、第二本目の矢が積極的財政、最初は逆かもしれませんね、それで、三本目の矢がいわゆるイノベーションというふうに。私も国会を離れて見ておりましたけれども、その後の経過を考えると、一本目の矢と二本目の矢はまあまあちゃんと飛んで的に当たったのではないかということでありますが、三本目の矢がどうやら飛ばなかった、若しくは、そもそも的があったのかという議論がその後行われたというふうに私は承知をしております。
そもそも、一三年のときの、いわゆるこの産業競争力強化法ができたときの的、ターゲットは何だったのか、いま一度、また大臣の方から教えていただければと思います。
○齋藤(健)国務大臣 産業競争力強化法は平成二十五年に制定をされておりますが、この法律は、アベノミクス三本の矢の一つである成長戦略を実行をし、過剰規制、過少投資、過当競争、こういった日本経済の三つのゆがみを是正するということで、この三本の矢の一つである成長戦略として、規制改革のための制度等を新たに設けるということで立案、制定したものであります。
制定当時は、企業の自発的な判断による新たな挑戦というものを積極的な事業活動の原動力だというふうに考えまして、産業競争力の強化を図ることを狙いとしていたのでありますが、国が特定の産業分野、要するに的みたいなものをつくって、そのターゲットに向けて措置を講じるという性格ではなかったというふうに私どもは理解をしているところであります。
○市村委員 そうですね。ですから、結局、的がなかったということで、当時は、まさに規制緩和とか、どちらかというと、産業政策というよりも、民間の自由な活動、新自由主義的な発想で、民間にもっと頑張ってもらおうということで、余り国は口出しをしない方がいいということがあったのかもしれません。
しかし、今般、また改正案なんですが、その前に、二〇二一年にまた改正案をされている。ここで多分、産業政策、いわゆる国がもっと積極的に関与しようと。いわゆるGX、DX等々、あと、経済安全保障等、国がやはり積極的に関与をしていかなくちゃならないという流れになったのかなというふうに認識をしているんですが、その認識は間違いないでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 産業競争力強化法は、平成三十年、令和三年と、その後改正が行われてきておりまして、国内外の競争環境の変化に対応した形で、企業の生産性向上ですとか需要開拓、そういったものに対する支援措置を強化しようと改正を重ねてきております。
具体的には、令和三年の改正では、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション等を促進するための措置を導入をしてきました。政府の政策も、民間の制約を取り除く市場の環境整備策のみならず、事業環境の変化を踏まえた、今申し上げたような特定課題に対応する投資の必要性に着目した産業政策に取り組むように変化をしてきたというふうに認識をしています。
○市村委員 済みません、平成三十年も改正があったということで、浪人中でしたので存じ上げず、失礼しました。
それで、何回かの改正を経て、今回また改正をする、とにかく産業競争力を強化しようということでありまして、しかも、これは民間だけに委ねるものではなくて、官民が協調しようということだというふうに思っています。私は、大変重要なことだと思っていますし、これはどんどん進めていかなければならないと思っています。
昨日、東大の大橋先生も、参考人質疑に来られたときに、これをやるに当たっては、やはり単年度主義とか、ある意味での透明性、また公平性から脱却していかなくちゃいけないよねということをおっしゃっておられました。また、失敗を恐れない、いわゆる行政の無謬性から政策立案を解放するということも大切で、間違っちゃいけない、絶対失敗しちゃいけないということになると、もうこれはがちがちになってしまいます。やはり、ある程度チャレンジをする、挑戦をするということが大切だということでありまして、また、そういう方向で、この強化法をしっかりと実効性のあるものとしていかなくちゃいけないということだと思います。
そこで、今回、また改めて改正ということで、幾つかの具体的な方向性が示されていると思いますが、その一つとしましては、NEDOの活用ということがあると思います。
それで、NEDOさんなんですが、私、九年浪人していまして、二〇二一年にまた四期目の当選をさせていただいたんですが、その間、この九年の間にいろいろやらせていただきました。その一つに、何をやっていたかといいますと、九州大学発のベンチャー企業の社長もさせていただいたんですね。よくここで洋上エネルギーファームのことをお話しさせていただいていますが、レンズ風車を開発する、その上に載っける、輪っかをつけた風力発電システムを国産で開発しようという志を持った会社が九州大学発でありまして、そのベンチャー企業、最近はスタートアップでありますが、そのいわゆるスタートアップ企業の社長をさせていただいておりました。そのときにやはり、NEDOさんにお世話になったというか、NEDOさんにいろいろ資金を得ながらやっておったというところもあります。
そのときに、ちょっと私、私が直接的にNEDOさんとの交渉に関わったわけじゃないんですけれども、はたで見ていたことから考えて、NEDOがせっかく今回、グリーンイノベーション基金も今二兆円ほど積んであります。これからまた特例公債を発行して、恐らくNEDOにまた更に基金が積み増されると私は思っておりますが、そのせっかくのお金をやはり生かさないかぬと思うわけです。
今回は、NEDOさん、市場化まで持っていこう、工場建設まで伴走支援をしていこうという流れも持っておられます。ただ、それはとてもいい方向だと思いますが、私が見ていて、NEDOの支援というのは、例えば、いわゆる審査の在り方といいますか、それから採択の方法も含めて、もっと改めた方がいいかなと。
そのときに、さっきも話を出させていただきました大橋先生、先日の東大副学長の大橋先生が、外部有識者による委員会形式の評価は穏当になりがちで、ここで求められる、ここでというのは、つまりこの産業競争力強化法の改正案で求められる、とがった産業政策の評価にどこまでふさわしいか検討が必要である、こうおっしゃっていまして、私、我が意を得たりだな、こう思いました。
やはり、外部有識者の皆様の御審査というのも、それは一つ、正当性を持たせるために必要かもしれませんが、特にスタートアップとかいうときに、それを皆さんは分かっておられるのかなと。それは、皆さんそれぞれの技術的な見識とかはお持ちであるし、それなりに、産業政策等、今までの個別の産業とのおつき合いの中での、いろいろなそういう政策は知っていらっしゃるかもしれませんが、やはり、新しいもの、ゼロから一をつくり上げていくといいますか、そういうことについて、本当に有識者なのかなと思うところも、これはあったりとかします。
そこで採択をされたとして、今度は、採択をされた場合は、これはNEDOの資金とか、環境省も同じだと聞いているんですが、いわゆる後払いなんですね。後払いなんです。つまり、一年間の事業をやった場合は、一年間終わったら、その所定の、約束したお金が入ってくるということで、ある程度の企業であればキャッシュフローはあるでしょうけれども、スタートアップ企業はキャッシュフローがないんですね。
キャッシュがないということは、どうするかというと、お金を借りてこなくちゃいけないんですね。どこかから当座の間、一年後には入ってくるでしょう、ちゃんとやればお金が入ってくる、一年後には入ってくるけれども、キャッシュフローがないということがありまして、私も、ボランティア社長でしたけれども、銀行からお金を借りるとなった場合は、済みません、社長、実印をついてほしいというわけですね。
これはなかなか、私も、人生で借金をするという気持ちは全くないので、嫌だなと思いましたけれども、しかし、これは皆さん一生懸命取り組んでおられるし、仕方ありません。私も、皆さんを信じて、国を信じて、ちゃんとやればお金は入ってくるから返ってくるんだろうということで実印はつかせていただきましたが、しかし、できるだけそんな苦労をしなくても、もうちょっと柔軟にお金を出せないものだろうか、しかも、後払いじゃなくて前払いにできないかと。
かつ、スタートアップで、特に大学発のベンチャー企業ですから、職員の皆さんもいろいろな事業をやっているわけですね。NEDOの事業だけじゃないわけです。そうすると、やはり、NEDO事業に一体その日の何時から何時まで携わりましたかという日誌をつけていかなくちゃいけないんですね。これがなかなか大変なんです、日誌をつけるというのも。何時から何時までNEDO事業に関わりましたということで。
確かに、税金、今後は国債とかでしょうから、公的なお金ですから、そんなにいいかげんには使っちゃいけないというのは当たり前なんですけれども、非常に煩雑なペーパーワークをしないと駄目だということにこれはなるわけでありまして、ただでさえスタートアップで人が少なくて製品開発に集中したいのに、結局、ペーパーワークに時間が取られるということでいく。それで、だんだんだんだん皆さんやる気がなくなってくるというところも、それでも鼓舞して、やはり頑張らないかぬ、せっかくお金を得たし、やらないかぬということで頑張るんですけれども、何となく楽しくないんですね。楽しくなくなるということになります。
だから、そういうところも含めて、審査の在り方とか採択の在り方、あと後払いのいわゆる支出方法とか、やはりもっとスタートアップの目線に立った在り方があるんじゃないかと思うんですね。しかも、それはスタートアップだけじゃなくてNEDO事業全体にも言えることじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。大臣からちょっといただければと思います。
○齋藤(健)国務大臣 いろいろ御指摘がありました。実際にNEDOをお使いになった委員の御意見です。私は使ったことがないので、そういう意味では重く受け止めなくてはいけないと思っています。
外部有識者のお話もありました。まず、それにつきましては、やはり事業化を支援するということになりますと、単に技術の評価だけではなくて、事業性ですとか、将来性ですとか、そういった多様な観点からの支援先選定ということもありますので、やはり様々な事業領域で事業経験をしている人ですとか、スタートアップへの投資実務をしてきた方など、いわゆる複数の外部有識者により総合的な評価をするということも必要なのではないかなというふうに思っています。
ただ、その手続において、御指摘のように煩雑でやる気がなくなってしまうというのは、やはり避けなくてはいけないと思っています。したがって、事務負担を軽減をさせるということ、このNEDOが行うディープテックスタートアップ支援事業においても手を打つということで、事業の経理を行う社員の人件費も補助対象費用に含めるということをしたり、それから、補助事業の支払いに必要な業務日誌、日誌のお話がありましたけれども、記載の仕方、これをより簡素なものに変更したりして事務負担の軽減に努めているというところであります。
それから、後払いの話がありましたが、補助金の支払い時期につきましては、補助事業が終了して事業期間中に支出した額を確定してから支払うというのが、税金でありますので基本なんですが、事業者の要望等に応じまして支出額の確定前に概算でのお支払いも可能としておりまして、そういう点も現実に応じて御活用いただくということもあるのかなというふうに思っています。
○市村委員 ありがとうございます。
そういう事務負担の軽減というか、今、経理とかのいわゆる事務の作業をされる方への人件費も出すと。本当に、是非ともお願いしたいと思います。大企業ならば、法務部門とか総務部門とかがちゃんとあって、そういうことをちゃんとやってくれる方がいらっしゃると思うんですが、スタートアップは本当にみんな一丸となってやっています。もちろん事務作業をしていただけている方もいますが、そういう補助金とかに全然慣れておられない方が一生懸命いろいろ電話して聞きながらやっているというのが現状であります。ですから、そういうところも是非とも軽減していただければなと思うところであります。
それから次は、採択いただいて、これから商品化をする、いわゆる実装していく、社会実装に持っていって、しかもこれが商品化、売れるようにしていくというふうになったときに、私が見ていて思ったのは、この間ここでもいわゆるMRJ、三菱のリージョナルジェットの話もさせていただいたときに型式認証の話もさせていただきましたが、風力発電の開発に携わっていた会社でしたけれども、結局、型式認証の問題が出てくるんです。
特許の話は後でしますが、型式認証を得られないと、なかなか商業化はできないということになります。ところが、風力発電システムの認証をできるところというのが、一応、担当は日本海事協会さんだったんですけれども、日本海事協会さんが、じゃ、その型式認証のノウハウが十分であったかというと、私が見ていて、必ずしもそうではないと思います。さらに、今回は輪っかをくっつけるというものがありましたから、誰もこれを審査できないという問題がそこに出てきました。
ある意味でいえば、開発していた九大の先生が、大屋先生とおっしゃいますが、大屋先生が一番の権威者であって、よく知っていらっしゃる方なんですが、その方が申請者なものですから、やはりなかなか、その方がこっちの審査の方に関わるわけにいきませんので、そうすると、結局、そういうところで遅れていく。
委員会でもこの間もありましたけれども、結局、国産のナセルとかブレードというのはなかったんですね。今、ブレードは国産でもあるというふうに認識していますが、ナセル、すなわち発電機のところはないということで、だから、国産初の風力発電装置を造ろうという志を持った会社なんです。今でももちろんありますから。今、頑張っています。今でも環境省さんから大きなお力をいただいて、二百キロワット型のレンズ風車を今開発中だと。今年の八月ぐらいに実装されるというふうに聞いていますが、商用化まではいけません。というのも、商用化にいくときは型式認証が必要になってまいります。
そのように、型式認証を始め、例えばJIS規格などでしょうか、いろいろなものを商品化しようとすると、そこにやはりいろいろ規制があるわけですね。そういうところも含めて、伴走支援といいますか考えて、支援をしていただくということが必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
研究開発の成果を実際に事業化をする、これは極めて大事だと思いますけれども、これをするためには、よい研究開発成果を出すだけでは十分ではなくて、まさに御指摘のように、社会実装に向けまして、御指摘のあった型式認証、それから規制対応、資金の確保、それから知財確保、標準化などといった様々な要素を満たしていく必要があるというふうに考えております。
このため、政府が研究開発を支援する際には、例えばNEDOの事業におきましては、事前に社会実装までの道筋を計画に盛り込むことを求めるようになりました。その上で、節目節目で進捗状況を確認をするということとしております。
また、こうしたプロジェクトを管理する人材が手薄なスタートアップ、特にスタートアップにつきましては、この役割を支える取組も大事だというふうに思っておりまして、NEDOのスタートアップ支援におきましては、支援先の進捗に応じまして有識者が定期的に助言する機会を設定をしております。また、ベンチャーキャピタルなどが経営人材をスタートアップにマッチングする事業も開始しておりまして、総じてスタートアップ業界でのこうした人材を厚くする取組を進めているところでございます。
こうした様々な措置を実施しながら、同時に、研究開発から社会実装につなげるための支援の在り方についても不断の見直しを行って改善を重ねていきたい、このように考えております。
○市村委員 この度の競争力強化法の場合、大学等との連携ということがあって、ちょうど今挙げた例というのは、大学教授の方がいわゆるスピンアウトしてスタートアップ企業をつくったということで、実はそれ以外にも、やはり幾つかの大学教授の方が関わったいわゆるスタートアップというのが多分これから出てくると思うんですね。
そうすると、ある意味で、外部有識者たるべき人が実はそこに社長としていたりとか取締役としていたりとかして、結局、申請する側の方になっちゃっているというと、本来、その人が一番よく知っているので、本当はこっちの外部有識者にいた方がいいんですけれども、いないということで、結局、誰もそれを判断できる人が、外部有識者の方には手薄になってしまうということが考えられることもありますので、これは答弁を求めませんが、是非ともそういうところは、現実、起こっているということも含めて、いわゆる外部有識者ということについてしっかりと選んでいただきたい。
余り、権威というよりも、スタートアップはやはり、この間のマイクロ波の方みたいに、ああいう、現場を知っている、しかも苦労してきた方が外部有識者としてこっちに座っていただいて、むしろ一緒にやっていきましょうと。何か、上から、いや、これはどうかとかじゃなくて、ああ、それはいいから一緒にやっていきましょうと、まさに伴走していただけるような外部有識者がいていただくことがいいかなと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
それで、次に産総研。今回、産総研は入っていませんが、産総研というのは、何といっても、あの有名なリチウムイオン電池を開発して世に出した研究所でありますし、また、燃料電池車も産総研から出ているということでありまして、非常に日本が誇る大研究所ということでありますが、私はやはり、この産総研も、技能の研究開発力というのもまさに強化しなくちゃいけないと思うんですが、これにつきましても、また政府の方からお願いします。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の産業技術総合研究所、産総研につきましては、研究開発の成果をより社会実装につなげるということを今目標に掲げております。もちろん、研究開発を究めて新しいものを生み出していくということと同時に、やはり社会実装をやるということにも強化をして取り組んでいるところであります。
こうした目的から、二〇二三年四月、去年の四月ですけれども、科学技術・イノベーション活性化法に基づく成果活用等支援法人であります株式会社AISTソリューションズというものを設立をいたしまして、現在、企業ニーズに基づいて、産総研と企業との共同研究を組成するコーディネート事業を中心に取組を進めております。
直近では、例えばですけれども、脱炭素を目的とした化学品製造工程における化石原料から植物由来原料へ転換をする、そういう共同研究ですとか、あるいは、水素普及に向けた水素製造コストを低減するための共同研究ですとか、こういった共同研究の組成をコーディネートしているところでございます。
経済産業省といたしましては、産総研本体で研究開発をしっかりやるということに加えまして、こうしたAISTソリューションズの活用も含めて、研究成果をしっかり社会実装までつなげていくということで取り組んでいきたいというふうに考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
そのときに、産総研の研究者の方にそういうような事業をやらせてはならないと私は思います。やはり、研究者は研究を専らやっていただかないかぬと思うんですね。そういう人たちに事業化しろ事業化しろと言うと、それこそ非常に慣れないことをやらないかぬということで、研究にも身が入らないということになってまいりますので。
だからこそ、ここで必要なのは、やはり、そういう優れた将来有望な技術を発掘して、それを実用化、事業化するための道筋をつけることができる人材をやはり積極的に育成していくべきじゃないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
まさに御指摘のとおり、産総研は、研究をしっかり行うということに加えて、その研究をしっかり企業にも広く周知、広報し、事業化を見据えた企業との共同研究、こういうこともやっていかなければいけない、その上で社会実装をしていかなければいけない、こういうことだと思っております。
しかも、その業務を、おっしゃるとおり研究者が例えば実装支援をするというのは、必ずしも得手とするところではない可能性がありますので、そういう意味では、そういうマーケティングの人材もしっかり確保していかなければいけないということだと考えております。
こうしたことから、少し前ですけれども、二〇一五年からは、産総研で技術マーケティング室というものをつくりまして、マーケティングのための体制の整備をし始めました。その後、体制も強化いたしまして、それが、先ほど申し上げた、去年四月に設立しましたAISTソリューションズという形で結実をしておりまして、ここでは、そういうマーケティング人材についても、一定額以上の処遇もできる、産総研にいるときよりも処遇もできるというような格好にしておりまして、そういう意味で、マーケティングにたけたそういう人材もちゃんと活用できるということにしておりますので、研究者による研究の深掘りと、それを実装につなげるこういうマーケティング人材とを双方組み合わせることで、社会実装をしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
○市村委員 ありがとうございます。
続きまして、INPITについて少しお話ししたいと思います。
知財戦略は極めて重要であります。かのアインシュタインも、どこであの特殊相対性理論の発想に至ったかというと、彼はスイスの特許庁に勤めていたわけですね。特許庁に勤めながら、審査官をしながら、いろいろな特許を見ていたわけですね。それで、アインシュタインさんの言葉をかりると、自分は、三年間、特許に携わりながら、物理学のいろいろな考えを思い巡らせることができたというふうに回想されています。そこで、結局、特殊相対性理論に行き着いたと。
特殊相対性理論につきましては、一般相対性理論はアインシュタイン独自の力だということなんですが、一九〇五年の特殊相対性理論のときは、ポアンカレさんが同じようなことを言っていて、どうもそのことをアインシュタインは知っていたんじゃないかということもあって、ちょっと怪しいんじゃないかという説もありますが、しかし、アインシュタインがどこでそういう発想を持ったかというと、自分は特許庁に勤めていたときにそういう発想を持ったということで、やはり知財というのは極めて重要だと思います。
ですから、今回、知財戦略をいよいよ日本もちゃんとやろうと。これまでどれだけ日本から知財が外に本当に出ていっちゃったかということで、そのいい例がペロブスカイトなんですね、ペロブスカイト太陽電池。
これは宮坂先生が、十年以上前かな、いろいろ言っていて、日本で何とか特許を取りたいと思ったらしいんですけれども、結局、日本で特許を取ろうとするとお金もかかって、しかも、日本だけならいいんですけれども、やはり、アメリカの市場とか中国市場とかヨーロッパ市場とかを考えますと、全部取っていかなくちゃいけないんですね。それで、結局取っていないんですよ。日本だけは特許庁がいろいろ便宜を図ってくれたというふうに思っていますが、中国、特に一番大きなマーケットになるはずだった中国で取っていないがために、結局、今、中国の方がどんどんどんどんこの関係の特許を取っていっているということで、知財があっちに蓄積されているということで、やはり知財戦略というのは大変重要だと思います。
しかも、知財戦略は重要だと分かりながら、しかし、いわゆる特許を取るというときに非常に費用がかかるんですね。取得の費用もかかるし、あと維持の費用もかかるんです。こういうのもやはり国としてしっかりと支援していくということが私は必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○滝澤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のペロブスカイト太陽電池の事例につきましては、自国内での特許出願件数が多い中国に対しまして、日本は、事業化を念頭に二つ以上の国、地域に出願した特許件数でトップ水準に位置しており、特許の面で国際競争力を有しているというふうに考えております。
その上で、今般のペロブスカイト太陽光発電の事例のように、大学やスタートアップなど資力が少ない場合、費用面の課題から、海外への特許出願等をちゅうちょする事例があることは承知をしております。
このため、特許庁では、中小企業やスタートアップ、大学等が海外で特許権等を取得するための出願手数料、代理人費用、翻訳費等の補助を行い、費用負担の軽減を図っております。
加えて、特許庁では、国内の審査請求料や特許料の軽減を行っております。特に、大学やスタートアップにつきましては、審査請求料の軽減に加えまして、登録から十年目までの特許料についても、大学については二分の一、スタートアップについては三分の一まで大幅に軽減をさせていただいているところでございます。
また、費用面での支援だけではなく、スタートアップ企業に対して経営戦略と一体となった知財戦略の構築を支援するため、ビジネスの専門家とともに弁理士、弁護士等の知財専門家を派遣したり、革新的な研究開発プロジェクトの研究成果が迅速に社会実装されるよう支援するため、大学等への知的財産マネジメントの専門家を派遣するなどの取組を実施しております。
このような政策を通じまして、大学やスタートアップによる海外への特許出願支援も含めまして、知財戦略、経営戦略の立案を支援してまいります。
○市村委員 今お話しいただいたとおり、是非とも支援してください。これが現実的に、やはりきちっと支援になるようにお願いいたします。そうしないと、これから、ペロブスカイト、ペロブスカイトといって日本が一生懸命それを導入したとしても、作るのはどこかというと、ほぼ中国だというふうになるわけですね。だから、我が国の経済成長にも資するのか、結局、お金がもっと出て、国富がどんどん外に出ていくというところになりかねないということになりますから、この知財戦略、これは極めて重要だと思いますので、よろしくお願いします。
その知財戦略も含めて、さっきからのNEDOの話や産総研の話も含めて、やはり何といっても大切なのは人材なんですね。人なんです、やはり。幾らお金があろうと、技術があろうと、やはりそれをしっかりと、まさに、マーケティング、市場化していく、社会実装して、いわゆる市場をつくっていくということまで考えて、技術だけじゃなく経営という観点も持って、いわゆる俯瞰的に物を見て判断をし、決断をできる人材が必要だ、こう思っております。特に今、スタートアップ、ベンチャー企業においては、そういうところまで、まさに上場も含めて、IPOも含めて、そういう人材が必要だと思います。
具体的に言いますと、例えば、アップル社というのは、よく言われるように、ウォズニアックさんが技術を持っていたんですね。しかし、ウォズニアックさんだけでは多分今のアップルはないわけであって、やはりそこにスティーブ・ジョブズという希代の経営感覚を持った、映画でも出ていますけれども、初期のときは、期待を持たせるために、ある種、ちょっと怪しい、違法な言い方でお金も集めないといけないというようなことも含めて、資金調達をしながら製品化をしていくというような、ああいう人。技術的には、例えば3GのiPhoneなんというのは、いや、これ以上はもう隙間を埋められませんと技術者は言っていたけれども、いやいや、まだまだ隙間がある、これを埋めろと言って作ったのが3GのiPhoneです。ですから、ああいう経営者がいて初めてまさにイノベーションがあるというところでありまして、だから、そういう人材が必要だと私は思います。
こういう人材を私は伯楽人材というふうに呼んでいます。やはり、千里の馬は常にあれども伯楽は常にあらずでありまして、なかなか伯楽人材というのはいないんですが、しかし、伯楽人材がいないと、この馬は本当に一日で千里を駆ける馬かどうかを見抜く人がいないと、能力的にはいるんですね、いろいろ、たくさん馬がいて、普通の人は分からないわけですね。けれども、どうもこれは一日で千里を駆ける馬のように思うと見抜く人、まず発掘して、しかもそれを実際に千里の馬にできる人という、まさに伯楽が必要だと私は思っておりますが、大臣、いかがお思いでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、スタートアップ支援を強化する上で、投資や伴走等によって技術シーズを事業価値に変える、そういう人材が強く求められていると思います。
これまで、NEDOにおいて、革新的な技術の事業化に取り組むスタートアップを支援する際に、事業と技術の両面から将来性を見極めるベンチャーキャピタルとも協調することによって、こうした人材が育つ場を広げてきています。
また、NEDOにおいてスタートアップに伴走支援する人材の育成にも継続的に取り組んでおりまして、例えば、この中で育成された人材が事業の審査やフォローアップに関わるなどによって、技術を見極める人材が能力を高め発揮する場、こういったものも拡大をしてきています。
現在、大学発スタートアップの数も増えてきて、研究者以外が経営を担う事例も出てきています。また、ディープテック分野で活動するベンチャーキャピタルの数やファンド規模も増加をしてきています。御指摘の人材は我が国でも育ってきていると考えています。
イノベーションにおけるスタートアップの重要性が高まる中、御指摘の人材の厚みを増やしていく必要があるということは委員と共通の認識であります。技術を生み出す人材とともに、伴走支援する人材の育成にも取り組んでいきたいと考えております。
○市村委員 本当に一番重要なところだと思います、人材が。
それで、最後になりますけれども、また、大橋先生のお話、昨日の先生のお言葉の中で、私、やはりそうだと思うのは、官民共同でやっていくときに、官の方もやはり死なばもろともという覚悟でやってほしいというお言葉が昨日あったと思います。腹をくくって、死なばもろともの覚悟でやってくれということだと思うんですね。
これは官僚の方だけじゃなくて政治家もそうだと思いますし、やはり民間も、これだけ日本も、失われた三十年を経て、今やもういわゆる潜在的成長率はマイナスということで、もうこのままでは投資は集まらない、実際、そうなっているわけですね。日本に希望がないということで、いろいろな分野の人から、もうこれ以上日本に投資していいかどうか迷っているんだと、海外の企業も含めて思っているわけです。
一応これは投資を促そうとしているわけですけれども、期待度がないわけでありまして、そこの期待度をつくっていくためにこの産競法があるということであれば、大橋先生がおっしゃるように、やはりここは腹をくくって、死なばもろともの覚悟で、官民、しかも政治家も頑張るということが必要だと思います。私ももちろんその志であるということをお伝えして、私の質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○岡本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後二時二十一分休憩
――――◇―――――
午後三時二十一分開議
○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小野泰輔さん。
○小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔です。
齋藤大臣、本当にお疲れさまです。万博でもお世話になっておりますが、是非これからの時間はリラックスして臨んでいただくようにというふうに思っています。また、瀬戸政務官にも前回に引き続きお越しをいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
産業競争力強化法の質疑をさせていただきます。
前回、私の方でその前振りみたいな形で産業政策についての御質問をさせていただきましたが、今日の議論でも各委員の方からもいろいろな議論がありました。政府が思い切ってリスクを取ってやっていく、そういう時代になったということだと思いますし、私は、そういう方向をやはり今、日本のそれぞれのポジションにいる人が共有するということは非常に大事かなと思っているんですね。レッセフェールで競争環境、事業環境を整えるという形で走ってきた時代、それは多分、時代の状況によってはそれが有効なときもあったんですけれども、やはり今、大きな技術的な、そして社会環境的な変化がある中で、国家が果たさなければいけない役割が大きくなっているということだと思いますので、そういう状況の中でこういった法律が出てきたというのも時宜にかなっているのかなというふうには思っております。
今回の戦略分野の国内生産促進税制、今日も例えば若林委員とか荒井委員からももうたくさん質問がありましたので、私もちょっと重複するところがあるんですけれども、質問を進めさせていただきたいと思います。
最初にする質問がもう既に重複しているんですけれども、ただ、多くの方々が同じことを考えていると思うんですね。蓄電池とかペロブスカイト太陽電池というものが今回の産業競争力基盤強化商品には指定されていないので、ここに関しては生産促進税制の対象にはなっていないということなんですが、この理由をお聞かせいただきたいと思います。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
投資促進策には様々な手法があるというふうに考えておりまして、分野ごとの特徴や既存の支援策や制度も踏まえまして、効果的に講じていくことが重要だというふうに認識をしております。
この税制は、戦略分野の中でも特に生産段階でのコストが高い等の理由から初期投資支援では投資判断が難しい分野について、新たな国内投資を強力に推進する観点から創設するものでございます。
御指摘のありました蓄電池やペロブスカイト太陽電池につきましては、初期投資の大きさといった課題、これがあると思っておりまして、初期投資支援の補助金などを措置しているところでございます。
具体的には、蓄電池につきまして、その国内生産基盤の強化を進めるため、生産工場の初期投資に対する補助金として、令和三年度から本年度にかけまして、九千二百七十四億円を措置しているところでございます。
また、ペロブスカイト太陽電池につきましては、再エネに関連する投資回収の予見性を担保することで再エネ導入を促進するFITあるいはFIPの制度に加えまして、グリーンイノベーション基金を活用して研究開発投資を強力に進めるとともに、令和六年度予算におきましては、これらのペロブスカイト太陽電池及びその部素材や製造設備の製造に係る事業者に対し、製造設備への投資を支援する予算を新たに措置するなど、強力に支援を行っていく考えでございます。
○小野委員 既に御答弁いただいたとおりですが、ただ、今回は、どなたかも質問されていましたが、状況によって見直しも図っていくというようなことも答弁の中でありました。私はそれがすごく大事だと思っていまして、先ほど答弁いただいた中で、初期投資がかなり大きいのでそちらの方を手厚くしてやってきているんだということを、特に蓄電池の場合はそうだと思うんですけれども。
ただ、国内で作っているメーカーが、じゃ、販売する段になって、例えば中国から輸入しているものと比べて割高なのかどうなのかというところをやはり考える必要はあると思うんですね。経済安全保障それから重要な物資はやはり国内でできるだけ産業を育成していこうという発想でやっていますので、ですので、もちろん、初期投資をしっかりやっていくということは、それは政策的に必要なことでしょうし、その後に、悪貨が良貨を駆逐するじゃないですけれども、そうやっててこ入れしたものの価格競争で負けてしまうということで、結局駆逐されてしまうということであれば、それはどうなのかなと思いますので。
ペロブスカイトに関しては、何人もの方が質問をされているんですけれども、私もちょっと余り納得いくような答弁ではないなというふうには感じていまして、ここはやはり絶対負けないようにするということで、どういう戦略を考えて実行していくのかというのは、またこれは継続してこの委員会の中でも議論をしていきたいと思いますし、やはり、二度と同じ轍は踏まないというような反省を、我々、特に経産省を含め、考えてやっていくことが必要だと思います。
今、半導体はそういったことでやっていると思うんですね。かつて、日米の貿易の摩擦によって我々が自分たちで非常に自制的にやらなきゃいけなかったところもありますし、また、水平分業、そういう時流の変化についていけなかったということもあって、今、経産省は真摯に反省して取り組んでもらっていると思うんですけれども、ペロブスカイトの太陽電池とか蓄電池ということについても、本気で国内でちゃんとシェアを取りたいということであれば、やはりそこら辺をしっかり考えていただく必要があるのかなというふうに思っております。
そうやって今回の税制を展開するとしても、これも既に参考人質疑でもいろいろと取り上げられていましたが、対象が完成品となっていて、大企業に限定される可能性が高いんですけれども、私も改めてお聞きしたいと思うんですが、中堅・中小企業を含む国内のサプライチェーン全体に波及させるためにはどのような措置をこれから取っていけばいいのかということをお答えいただきたいと思います。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
欧米を始め、戦略分野に関する自国内での投資を実現するための投資促進策が世界的に活発化する中で、我が国におきましても戦略分野において強力な国内投資促進策を講じていく必要があり、本税制はその重要な柱の一つだというふうに考えております。
この税制の対象分野における国内投資を実現し、生産を拡大することで、サプライチェーンを通じまして、地域の中堅・中小企業を含めた部素材等の発注や供給の拡大あるいは確保、さらには関連分野の投資、あるいは雇用、所得への好影響など、幅広く経済波及効果が生じるものと考えております。
加えて、本税制に限らず、御指摘のあったサプライチェーンを構成する中小企業への対策も重要であるというふうに認識しておりまして、中小企業向けの賃上げ促進税制や徹底した価格転嫁対策、革新的な製品、サービスの開発、IT導入や人手不足に対応した省力化投資などに引き続きしっかりと支援を講じ、取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○小野委員 中身については、これは本当に一行、二行で答えられるほど簡単では全然ないと思うんですね。ここが一番大事だというふうに思っていまして、前回の委員会で鈴木委員が、お客様は神様だという考え方がやはりおかしいんじゃないかとか、今日も、日本の商慣習というのが結構、価格転嫁が進まない上では大きな影響があるんじゃないかというお話がありました。
私もよくお話しする話なんですけれども、三波春夫さんのお客様は神様ですという言葉がありますよね。これを結構日本人は勘違いしている人が多くて、お客様は神様なので、何でも言うことを聞かなきゃいけないんだということを結構言う人がいます。特にカスハラをしている人はそういう人が多いわけなんですけれども、皆さんも注意していただきたいと思いますが。
ところが、これは三波春夫さんのホームページに書いてあって、明確に否定をしているんです。三波さんは、何でお客様は神様だというふうにおっしゃったかというと、「神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な芸をお見せすることはできない」と。ですから、そういう、神様を前にしているような気持ちで歌うんだということをおっしゃっていて、そして、この三波春夫さんのホームページでは、何をされようが我慢して尽くしなさいなどと発言したことは全くありませんということで、日本人全体に対してもちょっとくぎを刺しているんですね。
私も、三波春夫さんの歌を聞いた世代じゃないんですけれども、でも、やはり、お客様は神様ですというふうに三波さんがおっしゃっている映像は何回も見たことがあって、それをみんなが何か勘違いしてしまうというようなことがあるんじゃないのかなと。
おもてなしの話も今日ありましたけれども、それもやはり、日本人がサービスをするときには、おもてなしというのは心を尽くしたものなんですけれども、それも過剰なサービスにつながっている。サービスという言葉自体がそもそもただだというイメージがあるということ自体、私は、やはり日本語として、日本人の認識を変えていかなきゃいけないのかなと。そうしないと、やはり付加価値に対して適正なお金を払っていくというような商慣習が生まれないのかなというふうに思っていますが。
そこを是非経産省も、これは大企業に対して多額のお金を入れていくわけですので、そこから先の、トリクルダウンはうまくいかなかったんだという話は、私は、アベノミクスの欠陥だったというよりも、日本社会の空気とか、あるいは商売をする側でのお互いの気持ちの持ち方というところにも問題があったんじゃないかなというふうに思っています。そこは是非、これは、結構、笑い話じゃなくて、本当に大事にしないと、結局、こういう政策を取っても、中小企業はいつまでたっても乾いたタオルで、絞られるというようなことになっちゃいますので。
ここは、この政策、私は、これは進めていただく必要はあるとは思っていますが、やはりそこをちゃんとやらないと、結局は大企業がまた内部留保だけためて終わるみたいなことになっちゃうというふうに思いますので、是非それは経産省としても、あと公取にも本当は頑張ってほしいんですよね。
私は、税務署の職員が五万人以上いるのに、公取の職員が千人もいないというのはおかしいと思っていまして、もっともっと、日本が公正な取引をするために、人数をかけるべきだろうというふうに思っています。
それができないんだったら、私は、契約情報とか受発注情報をやはりデジタル化して、これを当局がちゃんとデジタルでチェックできるという仕組みをつくることが、適正な取引をちゃんと確保する上では大事だと思いますので、この辺も是非、中小企業政策としても展開していただきたいというふうに思っています。
そういうことで、あとは、この税制の、生産量を増やしていった場合に税額控除ができるということなんですが、これは国内生産をどこまで高めていくのかというところ、この間もちょっと私お聞きしましたが、そうはいっても、我が国は中国からいろいろ入れて、それを使って完成品を作っているということもありますから、どの程度の生産を国内でやることを求めるのか、ここら辺についての考えを教えてください。
○畠山政府参考人 本税制を通じまして、対象となる戦略分野における投資を国内で実現することで、これらの分野が有する幅広いサプライチェーンを通じて、地域の中小・中堅企業を含めた部素材などの発注や供給の拡大、確保、さらには雇用、所得への好影響など、本税制の効果を波及させていく考えでございます。
そうした効果が実現するよう、本法案に基づき、対象製品を国内で新たに生産するための投資を行い、当該設備を用いて国内で生産を行う計画を認定することとしております。
なお、本税制の対象分野の生産に用いる原材料には、例えばバイオエタノールなど、国内供給が限定的であるものも存在していると認識をしております。こうした中で、本税制において関連部素材の調達先に一律に要件を付すことについては、生産拡大の障壁となったり競争力の低下を招く可能性すらあるというふうに考えております。
また、この税制の適用を受けるための要件として対象物資に国産の部素材を用いることを求めることは、WTO協定違反になる可能性があるというふうに認識をしております。
これらのことも踏まえまして、そうした要件を本税制において課すことは考えていないというところでございます。
○小野委員 ここは非常に難しいと思うんですね。
結局、国内で例えばEVを造るといっても、その材料は、重要な部品も中国からかなり入っちゃっているということになると、本当に政策目的としてこれは何か意味があるのかという話にもなります。
例えばアメリカのIRA法だと、バッテリーのセルとかモジュールとか、いろいろなものに対しては、それをちゃんと認定するようになっていて、アメリカの方がある意味強気で国際交渉もできるというようなこともあるのかもしれませんが、ただ、ここはちょっと、是非、今もうあっさりと、そこは設けておりませんというようなことでしたが、いろいろとどこまでできるのかというのは是非ぎりぎりまでやはり工夫していただきたいし、ここに関しては、日本の有望な企業が、その戦略的物資であるので、やはり、ここで要件化しようということは、是非もうぎりぎりまで頑張っていただきたいなというふうには思っています。
あとは、こういった、どこまで国内生産を求めるのかとか、あるいは、先ほども荒井委員から租税特別措置を受けている企業の公表とかということもありましたが、私もそれは、戦略的に考えればやはりそこまで必要というか、必ずしも国民全員が知るかどうかというのはまた別なんですけれども、ただ、やはりこの政策がどこまで本当に国内の産業育成につながっているのかという評価は必要だと思うんですね。それをどうやってやっていくのかというところについてお答えいただきたいと思います。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
本税制の対象分野の投資や生産が実現、拡大することによりまして、サプライチェーン等を通じて部素材等の発注や供給の確保、拡大、さらには関連分野への投資など幅広く経済波及効果をもたらす、そういった分野だというふうに考えております。
その上で、事業者が本法案に基づいて提出する対象分野の生産、販売計画を認定するに当たって、こうした経済波及効果が十分に生み出される計画となっていることを確認していくということにしたいというふうに思っております。
○小野委員 ちょっと、今の御答弁だと私もはっきりイメージしにくいなと思うんですけれども、いずれにしても、国会でしっかり、どういう形でこの税制が適用されて、国内の投資促進につながっているのか、産業育成につながっているのかということを是非報告していただくのは非常に大事なことなんじゃないかなと思っています。巨額の税金が使われていますし、その効果は非常に大事だと思いますし、あと、世界各国も同じ施策をやっているので、それに比べて我々は効果を上げているのかということをちゃんと比較していくことは大事だろうと思っています。
そういうことで、アメリカのIRA法、インフレ削減法との比較ということでちょっとお伺いしたいと思うんです。
今回の税制は、十年間で総額一・九兆円の優遇という措置を行うんですけれども、アメリカのIRA法の方で税額控除の総額が幾らかというのは私はちょっと把握していなくて、十年間で五十兆円で対策をやるということなんですけれども、そういう意味では、それと別に、直接は比較できませんが、この十年間で一・九兆円という我が国の措置というのは、アメリカと比べて見劣りするのかしないのかというところについては、どういう所感をお持ちでしょうか。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
戦略分野の国内投資を強力に促す投資促進策は、税制だけではございませんで、予算措置あるいは成長志向型カーボンプライシングなどの規制、制度といった政策を効果的に組み合わせて実行していくことが必要であるというふうに認識しております。
御指摘の米国のインフレ削減法、IRAに含まれる支援策の多くは気候変動分野のものでございますけれども、我が国におきましても、GX分野の投資を促進すべく昨年成立させていただきましたGX推進法に基づきまして、今後十年間で二十兆円規模の支援を行うこととしてございます。
また、米国のインフレ削減法で比重が置かれております再生可能エネルギーにつきましては、今回の税制の対象とはなっておりませんけれども、我が国では、FIT、FIP制度により事業者の投資回収の予見可能性を確保することで、再エネ導入を強力に促進することとしております。さらには、託送制度や既存の各種の予算措置などもございます。
このように、我が国では、政策を総合的かつ効果的に講じていくことで強力にGX投資を促進していくこととしておりまして、米国にも決して見劣りしない内容となっていると認識しております。こうした政策を確実に実行し、効果を上げていくとともに、その状況もよく注視しつつ、更に政策のブラッシュアップなども検討、実行してまいりたいと考えております。
○小野委員 見劣りしないということで、自信を持たれているということなので、頑張っていただきたいというふうに思うんですね。
あと、IRA法というのは、我々、日本企業にとっても結構大きなインパクトがあるのかなというふうに思っているんです。米国に多くの会社が日本も進出をして、そこで、現地で生産をしているわけですね。それが、我々は国内回帰みたいなことも考えているんでしょうけれども、アメリカとすれば、それがずっと定着してほしいということで、国内で作ってくれということをやっているわけです。
そこで、ちょっと確認なんですけれども、IRA法は現地に行って作っている日本企業も適用対象になるということでいいですか。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
米国のインフレ削減法におきましては、例えば、車両の最終組立てが北米域内である電気自動車等の購入者に対して税額控除が措置されておりまして、その控除要件といたしましては、まず一つは、バッテリー部品の一定割合が北米域内で製造又は組立てされたもの、二つ目には、バッテリーに含まれる重要鉱物の一定割合が米国若しくは米国とFTAを締結している国で抽出若しくは加工されたもの、又は北米地域内でリサイクルされたものといった、部品、重要鉱物の生産地に係る要件が課されております。
日本企業でありましても、これらの要件を満たし、北米で電気自動車等の最終組立てを行った場合には、同様の税制上の恩恵が受けられるものというふうに承知しております。
○小野委員 ということは、アメリカへ進出してそこで生産している日本企業は、アメリカでもそういう措置があるわけなので、当然そこで作り続けるというふうにも思います。
では、我々はこれを何のためにやっているのかというと、国内投資をできるだけ呼び込むことというふうにやっているわけなんですけれども、でも、結局、アメリカの人口が増えていって、そっちの方の需要がどんどん高まるだろう、日本は人口減少によって自動車の新車販売台数も減っていくだろうということになると、我々も防衛策のためにアメリカのIRA法と同じような形でこういった税額控除措置をやっていくということは、それなりに防衛策としては意味があるとは思うんですが、ただ、積極的に国内投資を選択していただくというようなことにはつながらないのかなというふうに考えていて、何か私はちょっと悶々としたんですが、ここは齋藤大臣も同じようにお考えなのか、どういうふうに思われていますか。
○齋藤(健)国務大臣 本税制の対象分野は、GX、DXなど今後グローバルに市場が拡大をすることが期待される分野であります。一方で、足下では市場創出が世界的に見ても不十分、そういうことなので、民間だけでは投資判断が難しいという状況です。
そのため、御指摘の米国インフレ削減法始め、戦略分野での投資促進策が各国で打ち出され始めています。こうした中で、我が国がこの戦略分野における国内外の市場を獲得していくには、本税制を始め、これらの分野における国内投資を強力に促進して、先んじていくということが大事なんだろうと思っています。
さらには、例えばグリーンスチールやSAFといった分野の生産拡大、競争力強化に当たっては、本税制に加えて、需要の拡大に向けた施策もやらなくてはいけないということで、経済産業省としては、投資促進策に加えて、成長志向型カーボンプライシングの導入を始め、規制、制度等を通じた市場創出の取組も進めていく。
繰り返しになりますけれども、こうした施策を効果的に組み合わせることで、我が国における戦略分野の投資、生産をできる限り迅速かつ大規模に実現、拡大をして、海外も含めた市場をしっかりと獲得をしていく、そういう姿勢で取り組んでいきたいと考えています。
○小野委員 ありがとうございます。
御答弁を聞きながら思ったのは、恐らく、やはりスピードなんでしょうね。スピードを速くして、ほかの国よりも確立した、世界に先に打っていけるようなことができるのかどうかというところが、恐らく我々がこの政策でやるポイントなのかなと今思いました。その意味だと、やはり我々はもっと頑張らなきゃいけない。役所もそうなんですけれども、民間の側もちょっとやはり生ぬるいかなと私は思っています。
TSMCの工場というのは僅か一年でできたんですね。そのときに、鹿島建設さんが全国の協力会社を集めて、あそこに立派なアパートも建てて、二十四時間体制、三交代制で工事をやって、一年間でやったんです。私も経産委員会の視察でお邪魔したんですけれども、あのときに、地元の県議さんで建設会社をやっておられる方がいて、その方が、いや、あれをやったらうちの社員はもたないのでうちはやれないということで、結局、鹿島建設さんが自分の責任で、施工できるパートナーを集めてきた。物すごい巨大な寮も造って、やっている。
やはり、今大臣がおっしゃった、世界的な競争に我々が国内投資で勝っていくためには、相当なスピードが必要だろうというふうに思うんですね。さっきも万博の、いろいろ御答弁されていたようですけれども、あれも結構造るのもかなり苦労していますし、我々国内の中で建設の作業員をどうやって集めるのかというところも大変でしょうし、そして、TSMCが一年でやるんだというような決意がちゃんと現場に通っているからあれは一年でできたんですけれども、やはり我々日本人同士の中でそこまで厳しい姿勢でスピードの勝負をやれるのかというところが本当に大事だと思いますから。
これは、経産省もそうですし、それからあと企業の側もそうですが、やはり我々はもっともっと、働き方改革はもちろん無視してはいけないと思いますけれども、でも、どうやってスピードを高めていくのか、あるいは無駄な時間が発生しないようにどんどん生産性を高めていくのか、やはりそこをやらないと負けてしまうというふうに思いますので、その点については、大臣も御答弁の中であったのでもうお分かりだというふうには思いますけれども、是非そこを頑張っていただきたいなというふうに思います。スピードがやはり一番、勝っていくためには大事なんだろうと。アジャイルで、失敗はあるでしょうけれども、やはりスピード重視でやるということで、経産省も是非一丸となって頑張っていただきたいと思います。
次の質問は、ちょっと時間がなくなってきたので、時間が残ればやりたいと思いますが、ほかの、自動車の減税とか補助金との関係ですね。
次は、イノベーションボックス税制についてお伺いをしたいと思います。
私は、これは、やはりほかの国で、知財から得られた成果というものをちゃんと評価して、そして税制上の優遇措置を与えようということがもう行われていますので、それに対抗した措置かなというふうに思っているんですけれども、これは、日本のグローバル企業の場合においては我が国で今回イノベーションボックス税制を整備することによってどんなメリットが生じるのかというところ、これはちょっとお聞きしたいなというのと、あと、日本政府にとっては、もちろんそのメリットは税収が図れる、それから国内に当然研究開発の拠点が残ってくれるということだと思いますけれども、特に企業にとってどういうメリットが今回の措置であるのかということを答弁いただきたいと思います。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
近年、国外の市場獲得の重要性が高まる中で、国内の研究開発費がここ十五年間横ばいで推移する一方で、国内企業の海外での研究開発費は年々増加しているところでございます。
また、近年、企業買収などを通じまして、海外に研究開発拠点を設ける事例も増えてきておりまして、研究開発活動のグローバル化が進展していることも事実でございます。
こうした状況の中で、企業が自ら国内で行った研究開発の結果生まれた知的財産権から得られる所得に対する減税措置、すなわち今回のイノベーション拠点税制のような制度が欧州を中心に進んでおりまして、研究開発の立地選択において減税措置の有無が意思決定に影響を及ぼす状況になりつつあります。
したがって、イノベーション拠点税制につきましては、積極的な知財の活用を進める企業にとりまして、知財から得られた所得が税制上優遇されることにより国内で研究開発を行うインセンティブとなります。
したがって、政府にとってももちろん、研究開発拠点を国内にするということでメリットがございますけれども、グローバル展開している企業にとりましても、特定の国、自分が研究開発拠点を置こうとする国の選択肢も広がるということでございますので、十分メリットがあるということだと考えております。
このような背景を踏まえまして、イノベーション拠点税制を導入することで、我が国の研究開発拠点としての立地競争力を強化し、研究開発の海外への流出を防ぐとともに、日本企業が国内において研究開発投資を行うインセンティブを強化していきたいというふうに考えております。
○小野委員 やはり防衛策なのかなというふうに私は思いまして、積極的に呼び込めるというよりも、やはり外に流出するのを防止しようという観点が強いのかなとは思っています。
次の質問でちょっとお聞きしたいんですけれども、市場実装で得られた利益というのが海外にあった場合に、国内の企業がその知財を使って海外でもうけたという場合に、そこで得られたものについても減税対象にはならないですよね。
○畠山政府参考人 お答え申し上げます。
イノベーション拠点税制は、企業が自ら国内で行った研究開発の成果である特許権等の知的財産権について、それらから生じるライセンス所得又は譲渡所得に対して減税措置を適用するものでございます。
このうち、ライセンス所得につきましては、原則として、国外の事業者に対象の知的財産権をライセンスした場合の所得は対象となることになってございます。一方、譲渡所得につきましては、技術流出を抑制する観点から、国外の事業者に対して譲渡した場合の所得は対象外ということにしてございます。
なお、国外の現地子会社等の資本関係の強い関連者に対するライセンス所得につきましては、今回は、我が国で初めてこの制度を創設する上では、国際ルールとの整合性から追加で生じる負担への対応を含めて、適切な執行が可能かどうかなど検討を要するため、制度創設の際には対象外と整理されたところでございまして、まずはこうした制度で着実な執行を努めていきたいというふうに考えております。
○小野委員 国際的な動向もあると思うんですけれども、ブラッシュアップは是非いろいろ考えていただきたいと思うんですね。
よく言われていることに、ライセンス料とそれからあと知財の譲渡所得というだけで限られると非常にその効果は乏しいんじゃないかという指摘もありますし、子会社に対してというのは、ちょっとそれは節税目的みたいなのがあるので、それはそれでいいと思うんですけれども、ただ、やはり、私は、エンベデッドIPという、結局、製品が、その付加価値の中の知財の占める割合が相当大きいというものについて評価してあげたら、そうしたら、やはり日本で研究開発拠点を置いていこうかなというインセンティブがより働くかもしれません。
ただ、それも他国との見合いなので、別にそこまでしなくても残ってくれるよねということだったら全然いいんですけれども、これは本当に知恵比べなので、ほかの国がそういうふうにやってきた場合にはやはり我々もそうするということも必要なんだろうというふうに思います。
だから、アニメ産業とか、あるいはそれを作るための技術とかということだったら、そこはそういう発想、やはり付加価値の多くの部分が知財によっているみたいな、そういう業界があるようだったら、そういうことも将来考えることも大事なんじゃないのかというふうに思っています。
そして、イノベーションボックス税制の最後のところはちょっと飛ばしたいというふうに思います。
中堅企業の政策について、これは、私も熊本で行政をやっていたときに、地域未来投資についてはやっていました。それを利用しながら、地域の特性を生かしながら、ちゃんと中小企業が成長していける、そして地域の雇用も生み出すというようなことで、結構これは頑張ってやっておりましたけれども。
最初の質問は、もうちょっと、ごめんなさい、時間、飛ばしますので、ちょっと現状をまた別途機会を設けて教えていただければと思うんですけれども。
今回、この地域未来投資税制、これもいろいろと優遇税制があって、固定資産税とか設備投資とかというところでいろいろなメリットが受けられるということでありますが、今回の法案で含まれている中堅企業という政策で、これを特定中堅企業者という形で認定されると地域未来投資税制が拡充されるということになっています。ただ、二つの制度をまたがっていると非常に煩雑なので、やはり一つの制度、もう既に地域未来投資の方で事業認定されている人にとっては、簡便な形で、しかもシームレスに、本当はどっちかというと特定中堅企業者とかというようなことで分けずにもうちょっとシームレスな設計も必要かなと思うんですが、この辺についてはこの制度設計をどういうふうにお考えなんでしょうか。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
地域未来投資促進税制の中堅企業枠、これは特に賃金水準や成長意欲が高い特定中堅企業者が行う地域に極めて高い経済的効果を及ぼす事業を対象としており、事業実施主体と事業内容について確認することとしております。
その際、産業競争力強化法改正案に規定する特定中堅企業者への該当性の確認は、地域未来投資促進税制の要件確認の一環として行うことで、事業者の申請手続が複雑なものとならないよう十分配慮してまいる予定でございます。
さらに、特定中堅枠の適用に必要な要件や手続については、ホームページ等において分かりやすく周知、広報するなど、活用しやすい制度の運用に努めてまいります。
○小野委員 ありがとうございます。
危惧していたことはないようで、本当に、ワンストップといいますか、二つの認定を得るためにかなりの事務量が発生するみたいなことはないというような形にしていただければというふうに思っています。
この中堅企業政策、MアンドAのところはちょっと飛ばして、最後の時間で、この間ちょっと御指摘したことについて今日は瀬戸政務官にお答えもいただきたいなというふうに思っているんですけれども。
経産省の予算編成について、この間私が指摘させていただいたように、補正予算の方が当初よりも膨れ上がっている、コロナの対応とかということもありますけれども、その理由についてお知らせいただきたいのと、それから、今後ですね、これから、今年度の補正予算、そして来年度もそうなってしまうのか、ここについて御答弁いただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、経産省の予算について、前回の御質問でも補正の予算が多額だという御指摘をいただいております。
近年の補正予算では、当省の補正予算ですが、新型コロナウイルス感染症の影響というのがありまして、経済社会の維持を図る必要があった、あるいは物価、エネルギー高を乗り越えて国民生活や事業活動を守り抜かなくてはいけなかった、さらには、デフレから完全脱却し、持続的な賃上げ、所得向上を図るといった観点から、緊急性のある政策課題がメジロ押しだったということもあります。その政策課題に対応するために必要額を精査をして計上してきたということでありますので、そういう事情については御理解いただきたいなというふうに思っています。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
経済産業省の予算につきましては、特に令和二年度以降、補正予算の規模が増大しておりまして、結果として補正予算の額が当初予算の額を上回ってきました。これは、新型コロナウイルス感染症への対応や経済安全保障の観点を踏まえた半導体等のサプライチェーンの強靱化、GX投資等のために必要な予算を大規模に措置したこと等が主な要因であると認識しております。
今後の経済産業省の予算の規模等につきましては、現時点で予断を持ってお答えすることは困難であることを御理解いただければと思います。
その上で、一般論として申しまして、補正予算は当初予算編成時において見込めなかった財政需要に対応するものでありまして、緊要性等の要件を満たすものに限って措置されるべきものです。財務省としましては、こうした財政規律の下で、今後とも適時適切な予算編成を行っていくことは重要と考えております。
○小野委員 ありがとうございます。
私は、余り建前論とかは好きじゃないので、これから本当に経産省の予算編成が、ある程度、企業のスケジュールとか様々な事情によって、補正予算で積むタイミングの方がいいんだというんだったら、別にそれでも構わないと思っているんです。ただ、その代わり、審議時間は、そっちはちゃんと確保しないといけないので、そういう意味だと、経産委員会はクリスマスもやる、それから年末までぎりぎりに詰めてやるということでも全然いいと思うんですけれども、そこはちょっとレクのときにも役所の皆さんに申し上げたんですが……(発言する者あり)嫌でしょうけれども。やはり、必要なタイミングで必要なものを積むという観点で、本当に必要なんだったら別にやってもいい。
いろいろおっしゃいましたが、今年度もやはりちょっと何か補正予算が多くなりそうだなという気がしているんですよね。去年もそうでした。ある程度、去年、もうコロナ対応は終わっているわけですので。ですから、そこは、ただ来年はちゃんと原則どおりに戻っていただくことを期待していますが、もしそうじゃない場合には、国会の審議をちゃんと取るということはやはりやるべきだというふうに思いますので、最後にそのことをお願いしておきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、笠井亮さん。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
今回の産競法改定案の中堅企業関連措置について今日は質問いたします。
近年、中小企業の定義やそもそもの政策の在り方をめぐって、政権の中枢や経産省幹部の方々の様々な発言が行われてまいりました。今回の法案で中堅企業を重点的に支援することは、いわば中小企業政策に大きな影響を与えるというものだと思います。したがって、事実に基づいたファクトベースの議論が不可欠だ、そういう見地で伺っていきたいと思います。
まず、前回、二〇二一年の産競法改定の前年九月六日の日本経済新聞に、「中小企業の再編促す 競争力強化へ法改正検討」という見出しで、総理就任直前の菅義偉官房長官へのインタビューが掲載されました。そこに、相対的に大きい中小企業が、「中小への手厚い優遇措置を受けるためあえて資本金や従業員数を増やさない例もあった。」とあります。中小企業支援が手厚いから中堅に成長しないと言わんばかりの話であります。
そこで、財務省に確認しますが、中小企業対策費は経済産業省、財務省、厚労省に計上されておりますが、二〇二四年度当初予算での合計額は幾らになっているか、東日本大震災復興特別会計に計上分は除いた額で言っていただきたいと思います。また、当初予算で二千億円超が中小企業対策費として計上された直近の年度はいつで、額は幾らでしょうか。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年度一般会計予算に計上されました中小企業対策費は千六百九十三億円でございます。
また、お尋ねの一般会計の当初予算に二千億円超の中小企業対策費が計上された直近の年度につきましては昭和六十一年度であり、その額は二千五十二億円でございます。
○笠井委員 昭和六十一年度というのは一九八六年ということでありますが、一九八七年度以降、中小企業対策費は二千億円を切って、自民党など政権与党が三十年以上にわたって削減を進めてきた。どこが手厚い優遇措置なのかということになってまいります。
そこで、菅前総理のインタビューでは、「中小への手厚い優遇措置を受けるためあえて資本金や従業員数を増やさない例もあった。」と言われております。そういう議論の中で前回のこの産競法改定が行われたわけでありますが、経産省に伺いますけれども、中小企業は一九六三年の中小企業基本法制定で定義をされました。そして、製造業での資本金規模による定義というのは、その後、一九七三年改正と一九九九年の改正でどのように改定されてシフトしてきたのか、紹介してください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
製造業における中小企業の定義は、委員御指摘のとおり、一九六三年の中小企業基本法制定時におきまして、資本金五千万円以下又は従業員数三百人以下とされておりました。
一九七三年の基本法改正におきましては、資本装備率の上昇によりまして、製造業における従業員三百人に対応する資本金規模がおおよそ一億円程度に高まったことから、資本金基準を一億円に引き上げたところでございます。
一九九九年の基本法改正におきましては、一九七三年改正時より資本装備率が三から五倍に増加していたこと等の理由から、資本金基準を三億円に引き上げたところでございます。
○笠井委員 中小企業政策を受けたいために、相対的に大きい中小企業や中堅企業が中小企業定義の上位シフトを要求して、自民党政権がそれに応えてきた。そうやって中小企業の定義を拡大してきた結果、そもそも貧弱な予算しか持たない中小企業政策に上層の中小や中堅が食い入るようになったのが現実であります。
菅前総理へのインタビュー記事には、「菅氏は小規模の利点を生んでいた同法の区分要件の改正を念頭に置く。」とも記されております。
そこで、齋藤大臣に確認しますが、一九九七年に純粋持ち株会社が解禁されて、多数の大企業系の中堅企業や中小規模企業が生まれた、そういうことではないのでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 一九九七年に独占禁止法が改正をされて、原則として禁止されてきました持ち株会社について、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立などを除きまして、解禁されたものと承知しています。
これは、経済界を中心に度重なる規制緩和の要請があったということに加えまして、企業活動のグローバル化や我が国経済における産業の空洞化の懸念といった内外の諸情勢、この変化を背景として見直されたものというふうに承知をしています。
その後、純粋持ち株会社の数は徐々に増加してきておりまして、平成二十四年には三百六十五社、平成二十八年には八百六十一社、令和三年には二千二十四社となっています。
これら純粋持ち株会社について、例えば令和三年においては、中小企業基本法上の製造業等の中小企業の定義に該当する企業が千九百七社、今回、産業競争力強化法で新たに定義する中堅企業に該当する企業が百十五社存在している状況となっています。
○笠井委員 今あったように、こうした大企業系列会社が小規模の利点を利用してきたのが現実ではないかと思います。
そこで、経産省に伺いますが、一九九九年中小企業基本法の改正について、二〇二〇年版の小規模企業白書では何と言っているか。第三部の第一章の二のところで、「中小企業基本法の抜本的改正(一九九九年)」の部分を紹介していただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
そのまま読み上げさせていただきます。
一九九九年十二月に公布された改正中小企業基本法では、中小企業を「多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、多様な就業の機会を提供し、個人がその能力を発揮しつつ事業を行う機会を提供することにより我が国経済の基盤を形成するもの」と位置付けて、これまでの「画一的な弱者」という中小企業像を払拭した。
また、中小企業は、1新たな産業の創出、2就業の機会の増大、3市場における競争の促進、4地域における経済の活性化、の役割を担う存在であることを規定するとともに、これまでの「二重構造の格差是正」に代わる新たな政策理念として、「多様で活力ある中小企業の成長発展」を提示している。この新たな政策理念を実現するため、独立した中小企業の自主的な努力を前提としつつ、1経営の革新及び創業の促進、2経営基盤の強化、3経済的社会的環境の変化への適応の円滑化、の三つを政策の柱としている。
以上でございます。
○笠井委員 今紹介いただきました、一九九九年、二十五年前に既に、画一的な弱者という中小企業像を払拭して、多様で活力ある中小企業の成長発展、つまりベンチャー企業を指していると思うんですが、これへの支援に政策理念を転換している。
さらに、経産省に伺います。
二〇二一年の産競法、前回改定の際に、中堅企業への成長促進として、中小企業経営強化法、地域未来投資促進法、中小企業基盤整備機構法に特定事業者と、特定事業者の定義を新設いたしました。どのような定義でしょうか。
○山本政府参考人 お答えします。
二〇二一年の産競法等の改正におきましては、海外での競争を目指す中小企業の中堅企業への成長を後押しするため、規模拡大に資する支援策について、資本金によらず、中小企業の定義よりも従業員基準を引き上げた新たな支援対象類型として特定事業者を創設したところでございます。
その特定事業者の定義につきまして、具体的には、製造業は従業員数五百人以下、卸売業は従業員数四百人以下、サービス業、小売業は三百人以下の会社又は個人としているところでございます。
○笠井委員 じゃ、今回の産競法改正をめぐってはどうかと見てみますと、三月八日の日経トップリーダーで、経済産業省の菊川審議官は、中小企業に対しては様々な支援を行ってきた一方で、中堅企業には十分なフォーカスが当たってきませんでした、中堅企業にはこれまで法的な定義さえありませんでしたと述べております。
齋藤大臣に伺いますが、御自身は、四月十二日の日本経済新聞のインタビュー、前回にもいろいろと議論で紹介されていましたが、そこでこう言われています。これまでの中小企業政策は、力の強い大企業に対し弱い中小を支えるという発想に立ってきた、同じ中小規模でも、スタートアップのようにどんどん成長していこうという企業は中小政策の主眼ではなかったというふうにされて、力ある中堅を後押しする、こう述べられております。
一方では、先ほど答弁ありましたけれども、中小企業対策費を減らしていきながら中堅企業支援に重点をこれから更にシフトすれば、全体のパイというか枠が減ってきているわけですから、圧倒的多数の中小企業はこの支援の外に置かれていくことになるということではないかと思うんですが、いかがですか。
○齋藤(健)国務大臣 笠井さんが今言及されたあのインタビューで、私はほかのところで、小さな企業が子供を育てながら、雇用を維持しながら頑張っている企業も大事にしなくちゃという趣旨の発言もしていますので、ちょっとつけ加えさせていただきます。
中小企業、小規模事業者は、企業数全体の九九・七%、従業者数の七割、付加価値の過半を占める日本経済の屋台骨でありますので、一方で地域経済を支える重要な存在でもあります。
一方、一般的に中小企業は、景気やコスト増といった環境変化の影響を受けやすくて、大企業に比べて資力や信用力にも乏しい。このため、市場任せではその十分な事業の成長も見込めない場合があるということで、中小企業の成長に向けては国や自治体による適切な支援が重要であって、国において毎年度、国会で御審議をいただきながら、必要となる中小企業対策費を措置しているところであります。
地域の中小企業にも裨益する中堅企業の創出、これは大事であるので今回法的対応もするわけでありますが、そういった支援と併せて、引き続き、中小企業、小規模事業者の成長、これを適切に支援してまいりたいと考えています。
○笠井委員 私も大臣のインタビューは全体を読んだ上で質問させていただいているんですが、圧倒的な中小企業の皆さんからは、全商連、全国商工団体連合会とか、あるいはいろいろな団体に入っていらっしゃる皆さんからもそうですが、中小企業対策費を、足りない、もっと増やしてほしいということがどんどん出ているわけですよね。
それで、大臣御自身は中堅も中小も大事にされると。今日午前中、落合議員の質問に対しても、地域の雇用を支える重要な担い手が中小企業だ、手を緩めることなく支援をしていきたいとおっしゃるんだけれども、しかし、今年度予算でも、中小企業対策費を今度前年比で見ただけでも十一億円減らしているわけですよ。一方で、中堅、中核企業の経営力向上支援などを実際に増やしているということになっていて、結局、どっちも大事だとおっしゃりながら、重点をそうやってシフトするということになると、一握りだけ伸ばして多数が外に置かれていくということになってしまうのではないか。
これで本当に日本経済全体がよくなるのかということが問われるんじゃないでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 笠井さんも御存じの上で御質問されていると思うんですけれども、中小企業対策は、別に予算だけではなくて、膨大な金融支援というものも行っています。信用保証協会の信用保証なんかは恐らく、私、今手元に数字はありませんけれども、かなりの中小企業が利用されているというふうに思っています。
その時々の環境に応じて予算の変動はあるかもしれませんが、そういった金融措置も含めて、しっかりと対応していきたいと考えています。
○笠井委員 予算というのは重要なメルクマールで、もちろん予算だけにとどまらないとおっしゃるけれども、金融の問題だって、なかなか、それ以上借りたくて借りられないとか、いろいろな問題も抱えながら中小企業は頑張っているわけであります。その点をやはり見ていく必要があると思います。
そこで、今回の産競法改定案の内容に関わって、具体的に幾つか伺っていきたいと思います。
今回の法案の基になっている、産業構造審議会の第十七回経済産業政策新機軸部会、二〇二三年の十一月七日において、「「産業競争力強化法の見直し」について」という資料が経済産業省から提出をされました。その十九ページに、中堅は、「中小企業を卒業し、グローバル大企業へと至る過程の成長段階の企業。」というふうにされております。
私、これを拝見して、いかがかと思ったんですが、この表現は、菅前総理が成長戦略会議のメンバーに選んだデービッド・アトキンソン氏の言説を思い起こさせるようなもので、中小企業が多いのは中小企業経営者の能力が低いためだと言わんばかりだというふうに思うんですけれども、大臣、どのように受け止められますか。同様の考えに立たれるでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 御指摘の新機軸部会の資料に記載されているとおり、中堅企業は、中小企業を卒業した企業であって、規模拡大に伴い、経営の高度化や商圏の拡大、事業の多角化、そういったビジネスの発展が見られる段階の企業群であります。こうした成長の姿の一つとして、グローバルに活動する大手の大企業があるわけであります。
ただ、他方、私の考えは、全ての中堅企業や中小企業が事業規模の拡大を目指すものだとは考えておらず、規模を維持しつつも、地域経済、雇用やサプライチェーンを下支えする重要な企業も存在すると私は認識をしています。
○笠井委員 私は、単純な物差しで中小、中堅、大企業を比較すること自体にやはり問題があるんじゃないかと。
そもそも、中小企業と大企業に必要な経営者能力について、両者の優劣を比較するような表現ぶりとか、中堅企業、大企業の方が優れているみたいな、そういう表現はやはりするべきでないなというふうに思います。その点はどうですか、大臣。
○齋藤(健)国務大臣 中堅企業もいろいろでありますし、中小零細企業もいろいろでありますので、一くくりに断ずるということは慎重であるべきだと思います。
○笠井委員 問題はそれだけじゃなくて、その資料の三十二ページでありますが、一社当たりの純利益率の差を単純に比較して、中堅企業と大企業の間に大きな差としております。しかし、大企業の高利益率の背景には、下請やサプライチェーンに対する下請問題が厳然と存在をしている。
大臣に伺いますが、価格転嫁の問題に手をつけずに中堅から大企業への成長をあおるというのは、中小企業が苦しんでいる下請問題を更に深刻にするだけではないか、中小企業の賃上げ努力にも水を差すものではないか、下請企業への根本的な価格転嫁対策こそ必要じゃないかと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 この点は珍しく笠井委員と意見が一致しておりまして、三十年間続いたコストカット型の縮み思考から投資、賃金、物価が上昇する成長経済への転換のために、私は、サプライチェーン全体で価格転嫁を進めていく徹底的な対策が必要だと認識しています。
具体的には、毎年三月と九月を価格交渉促進月間と位置づけ、企業リストを公表したり、状況が芳しくない経営トップに対する事業所管大臣名での指導助言など、私が経済産業省に勤務していた頃には考えられなかったような思い切った措置を講じてきています。
また、三百三十名体制に増員した下請Gメンによる取引実態把握にも取り組んでいます。
さらに、中小企業の賃上げ交渉が本格化している三月下旬以降、発注側である大企業の業界団体、電子情報技術産業協会ですとか自動車工業会の経営トップに対しまして、私自身が直接、価格転嫁を強く要請しております。
こうした対策を粘り強く継続をして、下請中小企業の価格転嫁、これを後押ししていきたいと考えています。
○笠井委員 価格転嫁対策が必要という点では一致する、これは大事だと思うんですが、価格転嫁の企業名公表なども大事だと思うんです。同時に、やはり、下請代金法の罰金の引上げとか、あるいは被害救済の違反金の制度をつくるなど、下請企業が価格転嫁ができるようにすべきだということ、そして、賃上げに向けては、私、我が党も提案しておりますが、内部留保課税に踏み込むということも併せて必要だということを強く申し上げておきたいと思います。
さて、中小企業は、賃上げ支援策として、社会保険料の負担軽減などの直接支援を求めております。岩手県で昨年十二月に成立した補正予算には、賃上げを行った県内中小企業を対象に最大一千万円を補助、従業員一人当たり五万円、一事業者当たり最大二十人まで支援を行う施策が盛り込まれました。
齋藤大臣、三月二十二日の参議院財政金融委員会で、我が党の小池晃議員の質問に鈴木財務大臣は、自治体の独自の取組として評価したいと答弁されました。私は、国としてもこのような中小企業への直接支援に踏み込むべきときではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 各自治体においては、賃上げ促進に限らず、様々な政策分野で、それぞれの地域の実情に応じて独自の政策を講じていて、岩手県の取組も、そうした独自の政策としてお進めいただいているものと承知しています。
政府としては、持続的で構造的な賃上げに向けては、直接支援ではなく、中小企業が収益や売上げを拡大し、しっかり賃上げして人材を確保し更なる成長につなげるという、好循環による自律的な成長の中で賃上げを実現していくことが必要だという考えであります。
その好循環を実現するための環境整備こそ国の重要な役割であると考えておりまして、価格転嫁や生産性向上に強力に取り組んでいくということではないかと考えています。
価格転嫁対策としては、先ほど御説明をさせていただきました。
また、中小企業向けの賃上げ促進税制についても、前例のない長期となる五年間の繰越措置の創設により、赤字でも賃上げに挑戦する中小企業の後押しをしたいということで抜本強化をいたしました。
加えて、生産性向上のため、カタログから選ぶような簡易で即効性のある省力化投資や、新商品、サービスの開発に向けた設備投資等の支援を令和五年度補正予算にて既に措置しております。
こうした取組が、厳しい環境にある中小企業、小規模企業者にしっかり届くことも大事でありますので、全国四十七都道府県に設置しているよろず支援拠点等における経営支援の中でも丁寧にサポートしていきたいと考えています。
○笠井委員 実際に振り返って、好循環、なかなかうまくいっていないというところで今問題になっているわけで、そこのところは、やはり地方の取組を大いに参考にしながら生かしてやっていく必要があるということだと思います。結局、大企業や中堅企業支援ばかりに真剣ではないかと言われるようなことがあってはならないというふうに思います。
そればかりか、今回の法案というのは中小企業に一層のしわ寄せをするおそれもある。
経済産業政策新機軸部会、二〇二三年の十一月七日の「「産業競争力強化法の見直し」について」という資料二十四ページで、中堅企業が成長する際の経営課題は、「人材確保が最大の課題だが、特に中堅企業で顕著。」として、その対策として本法案で中堅企業MアンドAの推進が盛り込まれています。
経産省に伺いますが、二〇二三年八月一日の中小企業庁、「「中小M&A推進計画」の主な取組状況 補足資料」というものでは、劣悪なMアンドA専門業者の実態が報告をされております。三十ページ、三十一ページの四事例を端的に紹介してください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の資料におきまして、MアンドA支援機関登録制度において設置している情報提供受付窓口に受け付けられる典型事例と、実際に寄せられた過剰な営業行為や仲介契約締結時の説明不足に関する事例を掲載しているところでございます。
具体的には、典型事例として二つ、一つは、仲介事業者とフィナンシャルアドバイザーの違いについて説明がなかったという事例、二つ目、仲介事業者に支払う成功報酬は譲渡価格の一定割合と聞いていたが、最低手数料が適用されて、想定よりも高い手数料を払うことになったという事例を紹介しております。
加えて、実際に寄せられた事例として更に二つ御紹介をしております。MアンドAの内容に興味がなく、電話をしてこないように伝えているにもかかわらず、営業電話がしつこく困っているといった営業時のトラブルに関する事例、最後に、先ほどの手数料に関するものに加え、買収に当たって必要となる譲渡側についての調査も提供されると思っていたが、実際には資料提供のみで専門的なアドバイスを受けることができなかったという契約締結時の説明不足に関する事例を御紹介しているところでございます。
○笠井委員 こうした被害を受けるのは立場の弱い中小企業でありますが、MアンドAに明確なルール、あるいはMアンドAを規制する法律がやはり必要じゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 MアンドA仲介事業者につきましては、政府参考人が答弁した先ほどの事例にもありますように、過剰な営業や仲介契約等の締結時のトラブルが報告されています。
こうした点も踏まえまして、中小企業庁では本年四月より、中小MアンドAガイドラインにおいて、仲介者、FA、これはファイナンシャルアドバイザーですが、仲介者、FA等の支援機関に対して、仲介契約、FA契約の締結前に契約内容や手数料等の重要事項について書面により説明を実施することを求めるとともに、その遵守を登録の要件とするMアンドA支援機関登録制度によって実効性の確保を図っているところであります。
また、民間事業者の自主的な努力も重要で、仲介事業者の自主規制団体である一般社団法人M&A仲介協会におきましては、過剰な広告や営業の防止を含む自主規制ルールを策定し、今年四月から施行されているところであります。
法規制によるのではなく、これらの取組によって、民間事業者による適正化に向けた動きを促していくことが重要であると考えています。
MアンドAが中小企業の事業承継や生産性向上につながる喫緊かつ重要な取組であることも踏まえ、引き続き民間事業者の動向をしっかりと注視していきたいと思います。
○笠井委員 大臣に更に伺いますが、現在、事業承継総合支援事業を担っている事業承継・引継ぎ支援センターは、将来にわたって公的相談窓口として存続をさせて責任を果たすということになりますか。
○齋藤(健)国務大臣 中小企業の事業承継やMアンドAにつきましては、MアンドAの実施件数が増加傾向にあるなど、一定程度進んできていると認識しています。他方、七十歳以上の経営者割合は過去最高となっておりまして、引き続き事業承継は喫緊の課題であります。
そのため、経済産業省では、四十七都道府県に設置している事業承継・引継ぎ支援センターにおいては、地域の事業承継の事情に詳しい専門家による相談対応などのワンストップ支援を実施しています。
なお、事業承継・引継ぎ支援センターは、民間の支援機関による支援が行き届いていない比較的小規模な中小企業や地方の中小企業も支援対象としておりまして、事業承継、引継ぎの実現が難しい案件を中心に支援を行っております。
いずれにいたしましても、事業承継は喫緊の課題であります。現段階では官民一体となった支援が重要だと思っております。今後のセンターの在り方については、その時々の事業承継における課題に応じて検討していきたいと考えています。
○笠井委員 今伺っても、MアンドAを推進をしておきながら、公的な責任を放棄していこうとしている動きがあるのではないかと。その時々を見ながらということでは、MアンドAを通じた中小企業淘汰と言われても仕方がないということになります。
そこで、齋藤大臣、昨日の参考人質疑で、中小企業家同友会全国協議会、中同協の中山英敬幹事長は、新陳代謝という考え方とは逆に、一社も潰さない、共に学んで、よい会社、よい経営者、よい経営環境をつくろう、一緒に頑張ろうと取り組んでいるというふうに話されました。
中堅企業で人材確保が課題だから中小企業を統合再編すればよいなどというのは、やはりそういう点でいうととても恥ずかしい発想だという御認識は、大臣、おありでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 私も、MアンドAに関しては、いろいろなケースがあるなということは十分承知をしております。
ですから、今回新しくつくる制度におきましても、この制度の趣旨がしっかりと貫徹されるように、中小にも中堅にも両方メリットが及ぶような形で運用されていくということが大事だというふうに思っています。
○笠井委員 法改正までしてMアンドAを誘導しているんじゃないかと。無理やりではないというんだったら、やはりMアンドA偏重ではなくて家庭内の承継とか社内承継の願いにきちんと寄り添うべきだし、事業を継続できるための経営環境の整備にこそ全力を挙げるべきだと思います。
大体、今回の法案で支援対象とされるのは、ごくごく僅かな中堅企業であります。
経産省に伺いますが、先ほどの新機軸部会資料の三十四ページに中堅企業は約九千者とあります。このうち大企業の支配下にあるみなし大企業は支援対象にしないということで間違いがないか、それを除いた中堅企業は一体何者になるでしょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、常用従業員数が二千人以下であって中小企業でない企業を中堅企業と定義し、この基準に該当する企業は、経済センサス活動調査を用いた試算によりますと、約九千者ということでございます。
そのうち、特に、成長発展を図るための事業活動を行っている企業を特定中堅企業者と定義しまして支援を行うものであります。
この特定中堅企業者の数でございますけれども、別途経産省が行っている企業活動基本調査に基づく試算によりますと、約一割が該当するということでございますので、機械的にその割合が特定中堅企業者であるというふうに仮定しますと、この九千者のうち、その一割でございますので、九百者程度というふうに推計されます。
それで、もう一つ、みなし大企業の関係でございますけれども、個別の政策の内容に応じて、御指摘のような場合においても対応が必要というふうに認識しておりまして、例えば本法案におきましては、特定中堅企業の要件について、従業員数が二千人を超える大企業の子会社等を大企業とみなして、それを除くということで、大企業子会社を除くということですとか、あと、グループ化を促進する税制措置におきまして、既に大規模なグループが形成されている企業を支援対象から除く等を現在検討しているところでございます。
○笠井委員 約九千者の半数、四千五百者だけの支援ということになると、こうした一握りの中堅企業や生産性が高い中小企業に対する支援というのは全く新しいことではありません。過去にも行われて、失敗したことが明らかになっております。
一九九九年の中小企業基本法改正は、先ほど大臣とやり取りしたように、中堅企業、ベンチャー企業への重点的支援への転換だった。一九九九年の十一月五日の衆議院本会議での中小企業基本法改正案の質疑で、当時の深谷隆司通産大臣は、「中小企業の枠を広げることによって中堅企業がしっかり前進して、さらに活力を増すことが大事だ」と明確に述べております。それまで基本法では曲がりなりにも掲げていた中小企業と大企業との格差是正や不利の補正などの理念をかなぐり捨てた結果、中小企業全体を底支えする政策が転換をされて、中小企業の減少が加速したわけであります。
そこで、経産省に伺いますが、経済センサスで一九八六年、一九九九年、二〇二一年の中小企業数の推移はどうなっているか、そのうち小規模企業について、一九九九年、二〇二一年の数の推移も述べていただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
ただいま御質問のありましたそれぞれの年についてお答えをいたしますが、その前提として、統計が事業所・企業統計調査から現在の経済センサスへ変更されておること、また、先ほどお答えしたとおり、中小企業基本法改正による定義の変更ということがあることも踏まえる必要がありますが、中小企業の数につきまして、一九八六年は約五百三十二万者、一九九九年は約四百八十三万者、二〇二一年は約三百三十六万者となっております。また、そのうち小規模企業の数につきましては、一九九九年は約四百二十二万者、二〇二一年は約二百八十五万者でございます。
○笠井委員 一九八六年がピークで五百三十万者だったのが現在三百三十六万者で、特に、九九年の中小企業基本法改正以降、百五十万者減少で、そのうち小規模企業は百三十八万者、この現実をよく踏まえる必要があると思います。
齋藤大臣に伺いますが、中小企業の減少というのは、雇用、就業の場を喪失させて、中小企業から排出された労働力は、大企業の労働市場に吸収されることなく、多くの中小企業から排出された労働者は生活基盤の喪失を余儀なくされた、そういう認識はおありでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 いろいろなケースがあり得るんだろうなというふうには思います。
○笠井委員 中小企業における雇用、就業の場の喪失は、働く貧困層、ワーキングプアの土壌となった、この頃から高齢者、若手を中心とした貧困が目に見えてくるようになって、さらに、子供の貧困の基盤を形成してきた。中堅企業の重視、MアンドAによる中小企業の統合再編は、これを更に深刻にするものだと言わざるを得ないと思います。
そこで、経産省が発表した二〇一二年六月の“ちいさな企業”未来会議の取りまとめは、一九九九年の中小企業基本法改正の反省を打ち出しました。経産省、八ページの「4.これまでの中小企業政策の評価(反省)」の(1)の部分を読み上げてください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の報告書におきましては、「中小企業の中でも比較的大きな企業(中規模企業)などに焦点が当てられがちで、必ずしも、小規模企業にしっかりと焦点を当てた政策体系となっていない。また、既存の支援施策(補助金等)も、小規模企業が活用しやすい制度・運用になっていない場合があり、見直すべき点がある。」といった指摘がなされております。
○笠井委員 齋藤大臣、極めて明確な反省であります。
これが、二〇一三年の小規模企業活性化法、二〇一四年の小規模企業振興基本法、小規模企業支援法制定という一連の小規模支援施策につながった、こうした経過というのはあると思うんですけれども、それは否定されませんよね。
○齋藤(健)国務大臣 今、事務方から報告書の点について指摘を紹介させていただきました。
その後、二〇一四年に小規模企業振興基本法が制定をされまして、成長発展のみならず、事業の持続的発展を積極的に評価すること、これが位置づけられました。
そして、小規模事業者の持続的発展を支えるべく、直面する人手不足や物価高騰等の課題に対応し、資金繰り支援ですとか徹底した価格転嫁対策を進める、そして、生産性向上や販路拡大に向けて、革新的な製品、サービスの開発、IT導入や人手不足に対応した省力化投資、新規輸出の実現を引き続きしっかりと支援をしていきたいというふうに考えています。
○笠井委員 一九九九年の八月二十五日の日本経済新聞は、当時の小渕総理が、一九九九年の通常国会での産業競争力強化法の前身である産業活力再生特別措置法の成立を受けて、さきの国会では産業再生関連法案などを通したが中小企業問題は残っていると発言したことを報じています。
実際に、その年の秋は中小企業国会となって、中小企業基本法改正の流れとなりました。すなわち、産活法、産競法と中小企業基本法は最初から一体で考えられていた。
そういう点でいうと、産活法で、アメリカ式の選択と集中で、合併、分割、リストラを進めた結果、生み出されてくる大量の失業と、アウトソーシングの受皿として中小企業に役割を求めるという方向性が志向されていた。それと同時に、中小企業は自立を強制をされて、新たな分野への移動、参入を強制されて、倒産や廃業を通じて既存の部門からの退場を余儀なくされた。
大臣、失われた三十年というんだったら、大企業、財界や政権与党の都合で中小企業政策を使ってきたこと、これこそ反省すべきだと思うんです。この問題も含めて、更に次の機会にまたただしていきたいと思います。
今日は終わります。
○岡本委員長 次に、浅野哲さん。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日、最後の質疑ということで、長時間、大臣もお疲れのところと思いますが、最後までよろしくお願いいたします。
本日は産競法の質疑ということで、私が今日取り上げたいのは、戦略分野の国内生産促進税制、そしてイノベーション拠点税制を中心に質疑をさせていただきたいと思います。
私は、国会議員になる前は民間企業の研究業務に従事をしておりまして、そこで様々な技術開発、知財の創出活動をしておりました。また、この国内生産の重要性についても昨今の経済安全保障の議論の中では強く感じておりまして、今提出されているこの法案については、その重要性というのは認識をしております。ただ、やはり、しっかり法案の中身を、効果を発揮していくためには、もう少し詰めて議論したいところがありますので、今日は、職場時代の経験も踏まえて、少し細かな部分も質疑をさせていただければと思います。
まず、戦略分野国内生産促進税制についてなんですけれども、大臣の御認識をまず伺いたいと思います。
アメリカのインフレ削減法始め、最近は欧米各国が大規模かつ長期的な優遇策によって自国内への企業の立地、投資を誘致している動きが見られています。これまで長くそのことは重要視をされてきたんですが、特に最近、ここ数年、これまでになく大規模な予算がついたり、あるいは税制優遇施策が取られたりしてきているんですが、じゃ、なぜ、各国がこのような取組を加速させているのか。経済安全保障の重要性を認識して、その確保のためなのか、あるいは、国際競争が激しくなる中で、自国内の産業競争力、イノベーション創出力を高めるためなのか。どういった背景があるのか。これだけ世界で同じような動きが出ているものですから、その背景にある要因について、大臣の認識を伺いたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 国によって若干色合いの違いがあるかもしれませんが、世界各国が産業政策を活発化させている背景には、世界的な不確実性の拡大、大国間競争の激化等の国際秩序の変化がまずあるんじゃないかと思います。それから、気候変動、人権など、世界規模での社会課題への対応の必要性の高まりもあろうかと思います。また、中間層の停滞ですとか格差拡大といった様々な、それぞれの国の国内事情も含めて、世界のマクロ環境の変化があるというふうに認識しています。
例えばアメリカでは、CHIPS法やインフレ削減法に基づいて、半導体やEVなどに大規模かつ長期の政府支援を展開していますが、これらの政策は、米国内に雇用を創出しつつ、米国が先端技術やクリーンエネルギー分野における優位性を確保し、自国のサプライチェーンや産業基盤を強化しようとするものであると私は認識をしています。
また、欧州においても、例えばネットゼロ産業法に基づきまして、競争が激化するグリーン産業の域内競争力強化と経済安全保障の観点から、域内のグリーン産業の成長支援などを実施をしているというふうに認識をしています。これによって、域内への産業誘致と気候変動対策を同時に推進しようとしているものと承知をしているところであります。
○浅野委員 ありがとうございます。
やはり、大臣も冒頭おっしゃられたように、国際社会の不確実性の高まり、そして大国間の経済覇権争いの激化、これが大きな要因とおっしゃって、それ以外にも、社会課題解決であったりとか雇用の創出であったりとか、各国が持つニーズをクリアするために行っているというのは私も認識は同じなんですが、やはり私の認識では、まずベースに来るのは経済安全保障の観点なのかなというふうに思っております。
今回、この産競法の改正内容を見ますと、日本においても、米国のインフレ削減法と同様な部分がありまして、EVやグリーンスチール、グリーンケミカル、SAF、半導体、こういった物資について優遇施策を取る、国内製造をどんどん促進していこうという優遇策が取られるということなんですが、非常にこれは大事なことだと思うんですけれども、一方で、昨日、今日も報道で出ておりますように、例えば蓄電池などは、国内メーカーによってカナダで二千億円規模の投資が行われていたり、そういったこともあります。ですから、しっかり国内企業が国内で生産をすることにインセンティブを感じて、それが実現可能な条件でなければいけないと思うんですけれども。
そこで伺いたいのは、例えば、今回法案の内容に含まれているEVなどでは、どういった要件を満たせばこの優遇策を受けられるのか。例えばアメリカでは、アメリカ国内での最終組立てというものが要件化されています。今回の日本におけるこの産競法においてはどのような要件が設けられているのか、教えてください。
○齋藤(健)国務大臣 欧米始め、GX、DX等の戦略分野における国内投資促進策が打ち出されている中で、我が国も、各戦略分野の特徴を踏まえて、予算、税制、規制、制度といった政策を効果的に講じていく必要があります。
本税制は、戦略分野のうち、特に生産段階のコストが高いことなどから投資判断が容易でない分野を対象に、生産、販売量に応じた税額控除措置を講じるものですので、税制適用の要件といたしましては、電気自動車やグリーンスチールなどの対象物資につきまして、令和八年度末までに本法案に基づき生産、販売計画の認定を受け、国内における新たな投資を決定、開始するということが必要であります。
また、本税制のみならず、やはり予算、規制、制度も含めて、政策を効果的に組み合わせることも大事だと思っています。
○浅野委員 ちょっと更問いをさせていただきます。参考人でも結構ですので、答弁いただきたいんですが。
今大臣がおっしゃった、令和八年度末までに計画認定を受けて国内で新たな投資をすること、これが要件だということであります。気になるのは、じゃ、新たな投資というのが、例えば、国内の製造工場を新しく造ることを指しているのか、既存の製造工場に新たな投資をしてその生産能力を高めることも含まれるのか。
アメリカの場合は、先ほど申し上げたように、自国内での最終組立てを要件としているんですが、最終組立てというのがもう前提として組み込まれているのかどうか、その辺り、もう少し細かく教えていただけますか。
○畠山政府参考人 この税制の対象になる投資の認定につきましては、そういう意味では、その詳細はまた規定をもって決めていくということになろうと思いますけれども、基本は、国内で生産工場、すなわち組立て工場をしっかり造るということが必要になってまいりますので、ここで言う、今大臣が申し上げた、新たな投資を決定、開始するということは、これはまだ完全に決まっておりませんけれども、基本的には、何らかの投資行為が行われるということがその要件になってくる、そこがまず端緒として要件になってきて、それで、最終的に生産がされた段階で税額が実際控除されるということになるわけでございます。
○浅野委員 ちょっともう少し具体的、明確な答弁をいただきたかったんですが。
やはり、現場、産業界から見ますと、新しい工場をゼロ一で造ることを要件としているのか、既にある工場を補強しても優遇が受けられるのか、そしてやはり、サプライチェーン全体のうちの最終工程が国内になければいけないのか、そうとは限らないのかというのは非常に重要な情報だと思いますので、そこは、これから政令で定めるのであれば是非配慮していただいて、柔軟な運用ができるように配慮をしていただいて、それをできるだけ早期に明示をしていただかないと、令和八年度末というと、そう遠くないですね。具体的な計画を立てて政府に申請をするまでにも、そんな数週間でできる話ではありませんので、できる限り早くその辺りは条件を明示していただきたいと思います。
それでは、三問目、大臣に伺います。
今回の法改正では、いわゆる最終製品を作っている事業者に対して税制優遇が働くような印象を持っているんですが、ただ、この最終製品を作るための部材、素材を提供している中堅企業以下の事業者も国内になければ経済安全保障上いけないと思います。
この中堅企業以下の事業者に本制度の恩恵が届かないのではないかという懸念の声が届いておるんですが、最終製品を国内生産化する、そこだけを見ればいいのかどうか、ちょっと大臣の見解を伺いたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 基本的考え方として、申し上げておりますように、我が国が強みを有する物づくりの基盤を支える重要な分野で国内投資促進策を強力に講じていく必要があって、本税制はその柱の一つだということでありますので、本税制により、対象分野の国内投資を実現し、生産を拡大するということで、サプライチェーンを通じた部素材等の発注や供給の確保、拡大につながっていくものでありますし、それがさらには雇用、所得への好影響など、私は、この税制によって幅広く経済波及効果が生じるというふうに考えています。
その上で、本税制にとどまらず、サプライチェーンを構成する中小企業への対策も重要であると認識していますので、様々これまでも申し上げておりますような対策も併せて講じていくということであります。
○浅野委員 これまでの当委員会、そして本会議での質疑の中でも、最終製品を製造する事業者に優遇措置が取られた後、その受益をどう中堅企業以下に行き渡らせていくのか、つまりは価格転嫁の促進だったり、多面的な対策が必要になっていくと思いますので、ここは引き続き別の機会に議論させていただきたいと思いますが、その点も十分政府には御配慮いただきたいと思います。
次の質問です。
今回、この戦略分野の中にはSAFが含まれておりますけれども、今後サステーナブルな社会、持続可能な社会を形成する上では非常に重要な物資だと思っております。ただ、SAFの製造拠点に対する投資を後押しするのみならず、これは原材料の調達が非常に今難しい状態になっているという現状があります。
例えば、SAFの原材料とされている廃食油については、国内で年間に消費される食用油二百三十四万トンのうち、廃食油の発生量は五十二から五十四万トンというふうに言われております。更に調べていくと、この廃食油を取り扱っている団体のホームページを見ますと、約五十万トンの廃食油のうち、燃料転換されているのは一、二万トンだという報告書が過去出されておりました。
やはり製造拠点をつくるのは、これは大事なんですけれども、そこに注ぎ込む原材料をどう確保していくのか、ここについてもしっかり考えていかなければならないと思いますが、この現状、そして今後の対策について政府に伺いたいと思います。
○定光政府参考人 お答え申し上げます。
SAFの安定供給に向けては、御指摘のとおり、原料の確保を含めたサプライチェーンの構築が重要でありまして、特に、国内の廃食用油は、貴重な国産資源として活用していくことが重要な課題でございます。
御指摘の団体、全国油脂事業協同組合連合会の資料によりますと、事業系の廃食用油は年間約四十万トン発生しておりまして、そのうち約九割が回収されておりますけれども、御指摘のとおり、その多くは飼料用であったり化学工業の原料に回っておりまして、燃料として活用されている量はまだごく僅かという状況でございます。
加えて、一般家庭からも約十万トンの廃食が出ていますけれども、この大半は実はまだ回収されていない、したがって活用できていないという状況にありまして、これらの回収を拡大していくということも今後の課題と考えております。
経産省といたしましては、国内の廃食用油の回収拡大に向けた取組などについて廃食油業界と意見交換を実施しております。その中で、先ほどの全国油脂事業協同組合連合会の会員企業の中には、これらの一般家庭などの廃食用油の回収拡大に向けた取組を既に進めているところも聞いております。
また、将来のSAFの供給、需要を満たしていくためには廃食用油の活用だけでは十分ではなくて、国産資源活用の観点から、まだコストなども含めて商用化に関する課題はあるものの、国産の紙パルプなどからSAF原料となるエタノールを製造する取組なども行われているところでございます。
こうした様々な動きを見ながら、必要に応じた後押しをしながら、環境省、農林省、それから業界団体とも連携をして、国産資源を活用したSAFの製造拡大に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○浅野委員 ありがとうございます。
非常に多面的な取組が必要だということが理解できました。
先ほど答弁の中でも触れておりましたが、家庭から出る廃食油、これも実は貴重な資源ですが、先ほど答弁にもあったように、今、回収する仕組みができていないということで、今日は環境省にも来ていただいていますので、環境省の方からこの家庭から出る廃食油の回収に関して現状を教えていただけますでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
家庭から排出される廃食用油につきましては、様々な自治体で分別回収の取組が今進められているところでございます。分別回収を行っている自治体の数は、令和四年度実績で五百四十九団体でございまして、全体の約三割となっております。また、家庭から排出される廃食用油のうちバイオディーゼル燃料化されている量でございますけれども、約四千三十トンとなっているところでございます。
廃食用油を分別回収するかどうかにつきましては、地域の特性に応じて回収後の再生利用先を含む廃棄物処理体制などと一体的に検討される必要がございますので、その取扱いにつきましては各自治体において決められる形になっております。
こうした中で、環境省では、一般廃棄物の標準的な分別収集区分や適正な循環的利用、適正処分に関する指針を示しておりまして、この中で標準的な分別収集区分の一つとして廃食用油等を位置づけておるところでございまして、その分別回収を後押ししているところでございます。
また、環境省では、廃食用油からの持続可能な航空燃料、いわゆるSAFの製造など、化石由来資源を再生可能資源に転換するための技術実証や設備導入への支援も行っておりまして、引き続き、廃食用油を含む様々な一般廃棄物の再生利用に関する実態把握に努め、その結果も踏まえた上で、廃食用油などの廃棄物由来の再生可能資源を活用する取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○浅野委員 次の質問に移ります。
今回、国内生産の促進ということでこれまでるる議論してきたんですが、次は、じゃ、どの場所でやるのか、その場所が確保できているのかということについて伺いたいと思います。工場を造るにはそれなりの土地が必要です。ただ、用地が今国内にどのくらいあるのかという部分について、用地政策の現状や今後の見通しについて伺いたいと思います。
特に国内にある購入可能な工業用地、今、私の地元でも工業用地が全て売れて、また新しく造らなきゃいけないというような状況になっておるんですが、今、工業用地が多く空いている自治体について、上位の主な都道府県を教えてください。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二三年度の民間設備投資実績見込額は百兆円規模を記録するなど、国内投資が過去最高水準を示し、また、国内の立地計画を持つ事業者の割合は増加傾向にあります。
こういう中、経済産業省といたしましては、事業者の立地に必要な用地がしっかりと確保されることが重要と認識しておりまして、例えば、立地の際に地域未来投資促進法を活用した農地転用等の土地利用転換が必要な場合、その迅速化を図るため、昨年十一月の経済対策におきまして、地域未来投資促進法を活用した土地利用転換手続に要する期間の短縮等が盛り込まれたことを踏まえまして、昨年末、関係省庁と連携して、制度改正等を実施したところでございます。
また、工場立地法に基づく地方公共団体を通じた工場適地調査、これを活用いたしまして、産業用地情報をホームページで公開しておりますけれども、昨年度、このホームページを一新いたしまして、インフラ等の情報の充実、機能向上を行い、用地を探している事業者の利便の向上を図っているところでございます。
それから、議員からお尋ねのございました分譲可能な工業用地が多い都道府県につきましてですが、工場適地調査によりますと、昨年十二月時点で面積の大きい順に、北海道、青森県、茨城県、福島県、三重県となっております。
○浅野委員 ありがとうございます。
最後、工業用地の多い都道府県を五つ挙げていただきましたけれども、懸念をしているのは、やはり、使える土地がそれぞれの地域に偏在していることによって、事業者から見たときに、新しい工場を造りたいんですけれども自分が希望する地域に造れないとか、そういった状況が発生するのではないかというふうに懸念をしておりますので、是非、国内生産促進税制の運用に当たっては、立地政策の担当者と事業者とのコミュニケーションをしっかり取っていただいて、本当に官民一体となって、国内の生産が効率よく実現できるようなサポート体制も是非政府側で整えていただきたいというふうに思います。
国内生産促進税制については最後の質問になりますが、大臣に伺います。
以前も私もこれは本会議でも質問させていただいたんですが、やはりこの税制措置、令和八年度末までに認定を受けて、そこから十年間ということでありますが、これは是非、認定を受けてから設備の着工をして、そして竣工して、そこから生産が初めて始まります。ですので、このリードタイムの部分に対する配慮というのはやはり私は必要だと思うんですね。十年間のうち、建物を建てるのにある程度の規模であれば最低一年はかかりますし、今は半導体が足りない、物資が足りないで、それがどんどんどんどん延びている状況にありますので、計画認定時から十年間というものを、計画認定時に約束をした、設定をした生産開始時期から十年間というふうに、運用上で何とか柔軟な対応をしていただけないか、改めて大臣に伺いたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 本税制は、戦略分野のうち、特に生産段階のコストが高い等の理由から投資判断が難しい分野について、国内投資を促進する観点から税額控除措置を講ずるものであります。
こうした分野においては、企業の国内投資判断を引き出すためには、まず長期にわたる予見可能性の確保、これが必要なので、十年間という長期の適用期間を設けています。
これもまた繰り返しになりますが、さはさりながら、この分野の戦略性の重要性に鑑みれば、できる限り早期に国内投資や生産を促すということも重要であるので、したがいまして、生産設備の導入から生産、販売開始までの期間も含めて、本税制の適用期間を事業計画認定時から十年間と定めているという点、この点は御理解いただけたらなと思います。
○浅野委員 なかなか、前回の答弁と同じで残念ではありますが、是非、着工から生産開始までがスムーズに行えるようなサポートも併せてお願いしたいと思います。
残り時間が僅かとなってきましたが、残りはイノベーション拠点税制について伺いたいと思います。
今回、イノベーション拠点税制の対象となる所得の範囲について、ライセンス所得と譲渡所得、この二つが法改正の中身には含まれておりますが、昨年の経済産業省の中間取りまとめの資料を見ますと、これ以外に、対象知財を組み込んだ製品の売却益というものも記載されておりました。
ただ、今回の法改正の内容を見ると、その製品の売却益部分がなくなっておりまして、これは、現場の産業界からも、何でなくなったのか、この売却益をちゃんと控除対象にすることによって、やはり大きなインセンティブが働くんじゃないか、そんな指摘も受けておりますが、なぜなくなったんでしょうか。答弁を求めます。
○齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、経済産業省の研究会の中間取りまとめにおきましては、イノベーション拠点税制について、対象知財を組み込んだ製品の売却益を対象にすることを視野に検討してはどうかという考え方が示されておりまして、私、経済産業大臣を拝命する前は、自民党の税調の副会長をやっておりまして、当時は、なかなかいいじゃないかと正直思っていたこともありましたが。
他方で、議論を進めていきますと、知財を組み込んだ製品やサービスの売却益を本制度の対象とする場合には、売却益の中から、知財由来の所得というものを客観的に幾らというふうに特定をする必要が当然出てくるわけでありますが、その特定の際には、OECDが定めた国際ルールというのがありまして、それに沿った計算を申告者自身が税務当局が認める形式で行う、そういう必要が出てまいります。
そうしますと、作業負担というものがかなり出てくるということや、立証責任の所在等を含めて適切な執行が可能かどうかという点が浮上してまいりまして、引き続き検討を要するということで、今回、制度創設時においては、対象知財を組み込んだ製品の売却益は対象外としたところであります。
まずは本制度の着実な執行に努め、その上で、他の税制と同様に、制度の執行状況や効果を検証して、本制度がよりよい制度となるよう、御指摘の適用所得の対象範囲を含めて、不断の見直しは行っていきたいと考えています。
○浅野委員 計算が複雑、負担がかかるという御懸念はそのとおりかもしれないんですが、ただ、現場では、当然、知財というのは、知財を生み出した人物がおります。この知財を生み出した人物に対して、企業というのはその製品の売上げの一部を報奨、ライセンス料といいますか、貢献した分をその発明者に対して支払いをしている場合が大変多うございます。
その計算の中では、当然、製品売上げがあって、その製品売上げの中で、じゃ、その知財がどの程度貢献をしたのかという計算をして、その知財における発明者の寄与割合みたいなものを掛けて、そして支払いをしているわけです。
ですから、知財を活用して発明者に対して報奨している多くの事業者は、既に社内で計算手段というのを持っているというふうに思いますし、そこまで厳密に計算すべきかどうかも含めて、もう少し簡便な計算方法もあるかというふうに思いますし、ここは今後不断の見直しの中で是非検討していただきたいと思います。
時間が参りましたので、今日はここで終わりにいたしますけれども、是非、最後に質問しようと思っておりました知財開発のための適格支出についても、より分かりやすい情報発信を政府にはお願いして、今日は終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十四分散会