第14号 令和6年5月15日(水曜日)
令和六年五月十五日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 岡本 三成君
理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君
理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君
理事 荒井 優君 理事 山岡 達丸君
理事 守島 正君 理事 中野 洋昌君
井原 巧君 大岡 敏孝君
加藤 竜祥君 神田 憲次君
杉田 水脈君 鈴木 英敬君
鈴木 淳司君 関 芳弘君
高木 啓君 冨樫 博之君
中川 貴元君 西野 太亮君
福田 達夫君 細田 健一君
堀井 学君 本田 太郎君
三谷 英弘君 宮内 秀樹君
宗清 皇一君 森 由起子君
山際大志郎君 吉田 真次君
和田 義明君 若林 健太君
大島 敦君 落合 貴之君
小山 展弘君 重徳 和彦君
田嶋 要君 馬場 雄基君
山崎 誠君 市村浩一郎君
小野 泰輔君 山本 剛正君
吉田 宣弘君 笠井 亮君
鈴木 義弘君
…………………………………
経済産業大臣 齋藤 健君
国務大臣 自見はなこ君
法務副大臣 門山 宏哲君
文部科学副大臣 あべ 俊子君
内閣府大臣政務官 平沼正二郎君
経済産業大臣政務官 吉田 宣弘君
国土交通大臣政務官 石橋林太郎君
政府参考人
(人事院事務総局給与局次長) 箕浦 正人君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局長) 奈須野 太君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 塩崎 正晴君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 向井 康二君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 坂本 三郎君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 辻 貴博君
政府参考人
(財務省主税局国際租税総括官) 細田 修一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 奥野 真君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 長崎屋圭太君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 上村 昌博君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 哲也君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省通商政策局通商機構部長) 柏原 恭子君
政府参考人
(経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長) 猪狩 克朗君
政府参考人
(経済産業省産業技術環境局長) 畠山陽二郎君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 山影 雅良君
政府参考人
(資源エネルギー庁次長) 松山 泰浩君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 山田 仁君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 定光 裕樹君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 舟本 浩君
政府参考人
(国土交通省航空局安全部長) 北澤 歩君
政府参考人
(環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 神谷 洋一君
経済産業委員会専門員 藤田 和光君
―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
石井 拓君 鈴木 英敬君
国光あやの君 西野 太亮君
宮内 秀樹君 三谷 英弘君
山際大志郎君 高木 啓君
若林 健太君 本田 太郎君
落合 貴之君 馬場 雄基君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 英敬君 石井 拓君
高木 啓君 杉田 水脈君
西野 太亮君 国光あやの君
本田 太郎君 森 由起子君
三谷 英弘君 宮内 秀樹君
馬場 雄基君 落合 貴之君
同日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 山際大志郎君
森 由起子君 若林 健太君
―――――――――――――
五月十四日
スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案(内閣提出第六二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案(内閣提出第六二号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
――――◇―――――
○岡本委員長 これより会議を開きます。
経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、人事院事務総局給与局次長箕浦正人さん外三十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤竜祥さん。
○加藤(竜)委員 おはようございます。長崎二区選出、自由民主党所属の加藤竜祥でございます。
本日は、経済産業委員会におきまして初めての質問をさせていただきます。このような機会を賜り、理事を始め委員の皆様に感謝申し上げながら、時間も限られておりますので、早速質疑に入ります。
まずは、次期エネルギー基本計画についてお伺いをいたします。
御承知のとおり、エネルギーは暮らしや経済活動にとってなくてはならない必要物資であり、特に電力がないと、現代の生活や経済は成り立ちません。資源が少ない我が国において、世界情勢に左右されることなく、電力を安全に、そして安定的、経済的に供給することが国として最重要課題であると認識をいたしております。
将来においては、AI、IoT、電気自動車、データ使用量がますます増え、電力需要が増加することは必然であり、かつ、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて脱炭素化の取組が進む社会の中では、量と質の両面での電力安定供給が求められております。
現在、電源構成の七割近くを占める化石燃料は、ほぼ全て海外からの輸入に頼っており、また、再生可能エネルギーの中でも、太陽光や風力発電の多くについても中国や欧米企業に頼らざるを得ない状況でございます。
経済活動の根本を成すエネルギー安全保障を確保するためには、電源構成に関する長期的な展望を国がしっかりと示し、国の責任で、再生可能エネルギーを始めとする新技術や供給体制を構築し、国内関連産業を育てていかなければなりません。また、長期的な見通しを立てることは、企業の投資を促すことにもつながります。
今後、エネルギー安全保障と脱炭素を両立し、我が国の経済成長につなげるためには、安定的な脱炭素電源による電力供給が不可欠です。そのためには、脱炭素電源の拡大に向けて、国が具体的な方針や支援策を示しながら、事業者が積極的に投資できる環境を整備することが必要と考えております。
そこで、お尋ねをいたします。
今後、脱炭素電源の確保が重要となります。事業者にどのように脱炭素電源への投資を促していくのでしょうか。また、次期エネルギー基本計画の議論が開始されておりますが、こうした点についてしっかりと検討を深めていくべきではないか。経済産業省の御見解をお伺いいたします。
○吉田大臣政務官 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、生成AIの普及やデータセンターの増加などのDXの進展に伴い、今後、電力需要が増加するとの指摘があると認識をしております。例えば、電力広域的運営推進機関が本年一月に公表をしました今後十年の電力需要の見通しにおいては、データセンターや半導体工場の新増設により、電力需要の増加が見込まれております。
電力の安定供給を確保しつつカーボンニュートラルを実現していくためには、脱炭素化を前提として、電源の新規投資を促していく必要がございます。このため、脱炭素電源への新規投資を広く対象に、投資回収の予見性を確保するための長期脱炭素電源オークションを昨年度から導入をしており、こうした取組を通じて、事業者に脱炭素電源への投資を促してまいります。
次期エネルギー基本計画の検討に際しましては、DXの進展による電力需要増加の可能性や光電融合のような省エネ技術の開発が進む可能性を踏まえつつ、エネルギー供給を確保するための電源投資の在り方を含め、我が国の目指すべき将来のエネルギー政策の方向性についてしっかりと検討をしてまいります。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
次に、浮体式洋上風力発電についてお伺いをいたします。
排他的経済水域にも洋上風力発電が設置できるよう、再エネ海域利用法改正案を今国会において審議をしているところと承知しております。
四方を海に囲まれている我が国にとって、洋上風力発電はエネルギーの切り札となり得ます。我が国は、国土面積が世界六十一位にすぎないものの、EEZと領海を含めると世界六位になります。洋上風力の設置面積の余地は大きく、日本風力発電協会によると、EEZまで広げれば、洋上の余地が陸上風力の三・五倍程度になると試算されております。
特に国境離島地域は、洋上風力発電の拠点として最適であると考えます。既に、私の地元長崎県では、五島沖の浮体式洋上風力発電が事業化に向けて先行しております。さらには、対馬や壱岐においても、本土との間に送電設備さえ整えば洋上風力発電に挑戦をしたいという声があります。電源的に独立している離島地域の需要を満たすだけではなく本土と接続をして、国境離島における重要産業の一つとして成長できるのではないかと、地域振興の面からも期待をいたしておるところでございます。
一方で、水深が深くなるEEZでは浮体式洋上風力が主体となることが想定をされますが、浮体式洋上風力はいまだ発電コストが高いと聞いております。水深の深い場所での設置技術、沖合での風の状況の調査といった大きな課題に向けた技術支援や海底ケーブルなどの送電設備の整備が重要であると思います。
現状、数多くある課題を乗り越えて浮体式洋上風力発電を他国に先行して開発できれば、海外展開や国際競争力の向上が見込まれ、国内産業としても大きな可能性を秘めております。政府が本腰を上げて取り組むことを宣言し、民間の投資を積極的に呼び込んでいただきたいと強く願っております。
そこで、お尋ねをいたします。
経済産業省として、浮体式洋上風力発電の可能性をどのように考え、技術開発や国内サプライチェーン強靱化に向けてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
洋上風力発電は再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札、御指摘のとおりと考えておりまして、特に日本の周辺海域の特性を踏まえますと、深い水深に適用可能な浮体式洋上風力の導入に向けて御指摘の様々な課題を乗り越えていくことが極めて重要だと考えてございます。
現在、浮体式洋上風力、欧州では小規模なプロジェクトが進んでおりますけれども、日本がグローバル市場をリードしていくためには、十メガワット超の大型風車と浮体との一体システムを低コストに量産する技術を確立することが重要でございまして、現在、グリーンイノベーション基金を活用して大規模実証を実施する方向で進めております。
また、今年三月には、日本の発電事業者十四社で構成するFLOWRA、浮体式洋上風力技術研究組合というものが設立されておりまして、様々な技術開発を進めようとしておりますが、国内のこうした産学による取組、経産省としても強力に支援していきたいと考えてございます。
また、諸外国との積極的連携は重要でございまして、例えば米国とは、先月の日米首脳共同声明におきまして、両国が連携して取り組む旨合意したところでございます。
また、国内におけるサプライチェーン形成は非常に重要でございますので、GXサプライチェーン構築支援事業として措置している予算も有効活用して進めていきたい、かように考えてございます。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
また、浮体式洋上風力発電所の技術が向上をして発電量が大きくなることを見越して、国が主導で送電網の整備を進めることも重要なんだろうと考えております。送電網の整備に当たっては、離島地域の再生可能エネルギー導入のポテンシャルも考慮に入れて、適切に支援していただきたいと考えておるところでございます。
そこで、浮体式洋上風力発電の導入に当たって、送電設備整備についてどのような考え方で費用を負担しているのかについてお伺いをいたします。
○井上(博)政府参考人 お答えを申し上げます。
現在、洋上風力につきまして、発電所と変電所をつなぐ電源線については、発電事業者が負担して進めております。また、その先の、変電所から先の送配電設備につきましては、一般送配電事業者が託送料金等を通じまして、エリア内、九州であれば九州電力管内全体で広く回収する形になっています。
さらに、地域的に偏在性のある洋上風力の全国での活用に向けては、こうした管内を越えて広域的に大消費地とつないでいくことが重要でございまして、マスタープランを二〇二二年三月に策定、公表したところでございます。これに基づいて整備を進めていきますが、こうした地域間連系線の整備費用につきましては、全国の託送料金や再エネ賦課金等により負担することとしております。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
また、地域においても主体的に洋上風力発電の関連産業の振興に取り組むためには、自治体への財源確保が必要なんだろうと思います。
現状、電源施設を有する自治体の貴重な財源になっている電源立地地域対策交付金は、洋上風力は対象外となっております。制度趣旨に照らして、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた重要電源である洋上風力をこの交付金の対象電源に追加することが有効であると考えますが、経済産業省の御所見をお聞かせください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねいただきました電源立地地域対策交付金は電源開発促進税という税を財源としておりまして、長期的に安定的な電力の供給を可能とする長期固定電源を対象といたしまして、その設置促進や安全の確保などを図るためのものでございます。現時点では、再生可能エネルギーである地熱、水力や、原子力、そして一部の火力発電施設のみを対象としてございます。
御指摘の洋上風力は、現時点では、その発電特性上、長期的に安定的な電力の供給が可能である長期固定電源には該当しないため、電源立地地域交付金の対象ではございませんけれども、長期固定電源の範囲は技術革新によって変わり得るため、将来的には検討し得るものと考えてございます。
○加藤(竜)委員 大変難しいと承知をいたしておりますけれども、引き続き、地域に耳を傾けながらまた施策を講じていただきたいと思うわけでございます。
洋上風力発電の発展は、資源が大変少ない我が国エネルギー安全保障にとって重要なだけではなく、地域産業にとっても大きな、大きな大きな期待をいたしております。経済産業省におかれましても、洋上風力発電の分野において世界的に我が国がリードできるよう、適切に、かつ力強い御支援をいただきたいと考えております。
最後に、我が国の経済安全保障を支える半導体の経済基盤確保について質問をいたします。
国が本腰を上げて半導体を始めとする戦略分野への設備投資支援を行うことは、民間投資を引き出し、雇用創出や税収効果など地域経済に大きな波及効果を生み出します。
実際、私の地元長崎県諫早市は、千人規模の新規雇用を見込む半導体大手企業の工場拡張、新設が発表をされました。これが引き金となって、住宅の建設ラッシュが起きております。高層マンションの整備が相次ぎ、賃貸アパート建設への民間投資も進んでおります。さらに、人口増を見込んだ大型商業施設の開業も予定され、地域に大きな経済効果をもたらしております。
半導体需要はIoT、EVやAIの普及による増加が見込まれる中で、経済安全保障の観点からも地域振興の観点からも、国内生産基盤を増強し、さらに半導体供給網を整備することが求められております。
そこで、お尋ねをいたします。
今後、半導体の生産基盤の確保に向けて、国としてどのように支援を行い、民間投資を促すのか、御所見をお聞かせください。
○岡本委員長 経済産業省野原商務情報政策局長、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。
○野原政府参考人 半導体の重要性は委員御指摘のとおりだと思います。
経産省としては、半導体の復活に向けて、ステップワン、ツー、スリーの戦略を同時に展開するということで進めております。
ステップワンが足下の供給能力の確保でございまして、TSMC、JASMの熊本のプロジェクトがフラッグシッププロジェクトになっております。ステップツーが次世代の半導体の研究開発、量産化の確立ということで、北海道のラピダスが中核になっているプロジェクトでございます。ステップ三が、先ほど吉田政務官の答弁にもありましたけれども、光電融合のプロジェクトでございます。
これらに加えまして、半導体の人材育成、インフラ整備、ユースケース、需要サイドの強化、AIの強化ということですけれども、に同時に取り組んでいるところでございます。
我が国の半導体産業の再興に向けまして、既に大きな一歩を踏み出しておりますが、いまだ道半ばでございまして、ここからが本当の勝負、ここで止めるわけにはいかないというふうに考えております。引き続き、国の支援に加え、民間の投資もしっかり引き出すことで半導体の生産基盤確保に取り組んでまいります。
以上です。
○加藤(竜)委員 ありがとうございました。
終わります。
○岡本委員長 次に、中野洋昌さん。
○中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。
今日は、少しいつもとテーマを変えまして、人への投資ですとかあるいは少子化、こういうところで少し議論をしてまいりたいと思います。
今国会、少子化対策というのは間違いなく国会での一つの大きな柱だと思います。本当は、こども家庭庁とか厚労省とか、そういうところが議論の中心なのかもしれないんですけれども、少子化の動向がどうなるかというのは、恐らく、ひいては日本の経済がどうなるかということでもありますし、また、長期的な投資をしていく上でも、どういう傾向になっていくのかというのは、恐らく大きな判断の一つの大事な政策なんだろうというふうに思っております。そうした観点から、やはり、経済産業省であるとかあるいは経済界としても、この少子化にどう取り組むのかというのは非常に大事だと思っております。
冒頭、大臣に、その観点の中から、人材育成というところも少しお伺いをしたいと思っております。
少子化の対策ということで、よく、子供を育てやすい環境、共育て、共働きみたいな、男性も女性も仕事をし、また子育てをするというふうな議論もずっとあるんですけれども、もう一つよく言われますのが、そもそも、子供が育てやすいというのも大事なんだけれども、結婚する方も非常に減って未婚率が上がっているというのが一つ大きな原因なんじゃないかという御指摘はあります。そうすると、何が原因かというと、やはり経済的な要因だとお答えをされる若い世代の方が多い。となれば、やはり若い世代が経済的に安定をする、安心ができる、これは非常に大事なんだろうというふうに思います。
政府全体としては、持続的な賃上げというのが一つの大きな柱だと思っております。不安定就労から脱していくというのは、恐らく厚労省などもやっていくことだと思うんですけれども、特に成長分野へ人材を流動させていくということについては、やはり経済産業省も一つ大きな取組として是非お願いをしていきたいというふうな、そういう問題意識であります。
特にデジタル、あるいは、先ほども議論があった半導体みたいな、やはりどんどん成長していくという分野。こうした分野については、こういう、特に賃上げの率も高い、そしてこれから成長するというところに人が行くのがいいだろうということもありますし、また、企業から見ても、やはり逆に人手がいない分野、足りない分野でもあるというふうに思っております。
例えば半導体とかですと、恐らく、地域ぐるみでいろいろな、しっかりと人材を供給しようというふうな取組もやっておられますし、あるいはデジタル、このデジタル人材の育成というのは、経産省はずっとやっていただいていると思うんですけれども、やはり、中小企業でDXをやろうというふうなことを言うと、どうしても企業側からすると、やりたい、やりたいんだけれども企業内にやれる人はなかなかいない、こういう、DX人材というのが本当にいないというお声もよくいただきます。これをうまくマッチングをすることで、やはり生産性の向上ということにも恐らくつながっていくんだろう、こういう問題意識であります。
そういう問題意識から、冒頭、経産省が、こういった成長分野へ人材を育成をする、あるいはリスキリングをしていくということについてどうお考えか、またどう取り組まれるおつもりかということを御答弁いただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 デジタル化や脱炭素化の進展によりまして、本当に急速に産業構造が転換をして、成長のエンジンとなる事業も大きく、しかも急速に変化をしていく中で、これらを支える人材が不足しては、これは成長の制約要因になります。したがって、こういった人材の育成、確保というのは極めて重要な課題だと思っています。
経済産業省としては、特にデジタル等の成長分野で活躍できるスキルの習得、これをしていただくために、デジタル人材育成プラットフォームを通じたデジタルスキルに関する民間の様々な教育コンテンツや実践的な学習機会の提供、これなんかは中堅・中小企業の方にはいいんじゃないかなと思いますが、それから、半導体や蓄電池の分野についていえば、産学官連携した人材育成等コンソーシアム、これの設立ですとか実践的なカリキュラムや教材の開発、それから産業界からの講師の派遣などを進めているところです。
こうした個別分野に特化した支援に加えまして、在職者に対するキャリア相談からリスキリング、転職までを一体的に支援する事業を通じた企業間、産業間の労働移動の円滑化とリスキリングの一体的な促進みたいなものや、あるいは大企業に在籍したまま起業する出向起業、こういったものの支援などによって、分野横断的な支援にも取り組んでいるところであります。
こうした取組を通じて、成長分野における人材育成ですとかあるいは成長分野へと労働移動できる環境整備を進めることで、日本全体の競争力強化につなげてまいりたいと考えています。
○中野(洋)委員 大臣、ありがとうございます。
やはり、今までどうしても、労働移動とか人材育成というのは、厚生労働省が割とやっていた、予算的にもかなり大きいものだというふうに思っているんですけれども、成長分野への人材育成というのがなかなかまだまだ足りないという中で、やはりこれは、経済産業省としての取組を今いろいろやっていただいているのは非常に大事なことだと私は思っておりまして、是非力を入れていただきたいというふうに思っております。
少子化の対策として経済側でできること、いろいろあるかと思うんですけれども、もう二点ちょっと今日はお伺いをしたいと思っておりまして、一つ目は、奨学金の返還の肩代わりという取組であります。
これは、公明党としても、かなり今までずっといろいろなところで要望をさせていただいて、特に若い世代の経済的な負担が、奨学金を借りられて、これの返済負担が非常に大きいというふうなことがある中で、これを代理返還という取組を進めてはどうかということは訴えてまいりました。
これは、自治体が支援するようなケースもありますし、企業が社員に対してやるケースもあります。特に今、人口減少ということで、なかなか人手が足りないという地方部、あるいはもっと若い人を呼び込みたいというふうなところにとってもメリットが恐らくこれはあるんだろうというふうに思っております。
これはかなり今数も増えてまいりまして、例えば企業等による代理返還制度というのは、最新のデータで拝見すると、令和五年度は四千四百七十七人、令和六年度三千六百四十三人ということで、令和三年度に始めた制度がどんどん数が増えてきているという状況だと聞いております。
他方で、企業が奨学金の代理返還をするとその金額の取扱いがどうなるのかについて余り理解が進んでおらず、これをもっと経済産業省としても、ちょっと、企業にこういう制度だよということを広めていただく中で、かなり取組を推進できるんじゃないかという問題意識があります。
例えば、給与として損金算入をすることができるお金であるということであるとか、あるいは、賃上げ促進税制の対象にも一定の要件を満たせばなる、そういう位置づけのお金なんだという、いわゆる給与というかそういう取扱いになるんだろうということだと思うんですけれども、余り知られていないということも聞いたことがあります。ですから、いろいろな形でこれを知っていただくことで、それだったらうちもやってみようというふうなところも増えてくるんじゃないかというふうに思っております。
これは是非党としても推進していきたいと思いますので、是非お願いしたいと思いますが、答弁をお願いいたします。
○菊川政府参考人 今委員の方から御指摘があった件につきましては、本国会の三月だったと思いますが、予算委員会の場でも、委員から文部科学省に御指摘があったものと認識しております。
その後、我々としても、文科省と連携をしながら地道に周知、広報を行ってきておりまして、三月の末から四月末の一か月、予算委員会でやっていただいた後でも、利用企業数が百五十社程度増えておりまして、二千社程度に全体として増加してきているという状況でございます。
企業による自社の魅力向上を通じて人材確保とか定着を後押ししていくということにつきましては、るるここで議論されております産業政策といった観点からも非常に重要だと考えておりまして、実際に奨学金の代理返還支援を行っている、例えば建設業でありましたり外食産業でありましたり製造メーカー等々の企業において、そうした支援を行うことによって人材確保等につながっていった事例があるということも承知をしております。
代理返還制度の周知、広報につきましては、昨年来、今先生の方から御指摘があったように、文部科学省と連携をいたしまして、経済界に更なる周知、広報をしていくべきということで、我々も、今委員の方から御指摘がありましたような、代理返還に充てる経費が賃上げ促進税制の給与等支給額の対象になるという税制上のメリットがあるんだということ、ここを併せまして賃上げ促進税制のホームページにおいて紹介を開始するなど、また、税制のガイドブックにおきましてもそういった制度を紹介をする、こういったことも併せまして、経団連や日商、そうした経済団体でありますとか、中小企業向けでありますけれども、よろず支援拠点、こういったところを通じた広報、経済産業省から企業への直接の広報、こういったところに更にしっかりと取り組んでいきたいと思います。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
少子化の関連でもう一問、家事支援サービスの普及促進というのも、是非経産省としてもやれることがあるんじゃないかということで質問させていただきます。
子育て家庭への支援そのものは厚労省とかこども家庭庁がやるんですけれども、じゃ、実際に支援をして、いろいろな子育てのサービスを使おうとしたときに、現場でなかなかそういうサービスが普及促進していない、こういう課題をずっと感じております。産前産後のケアに大事なサービスなんですけれども。この普及促進という意味では、やはり経済産業省が事業者側あるいは企業側の立場でできることがまだまだあるんじゃないかという問題意識であります。
この家事支援サービスの普及促進に向けた取組ということも答弁をいただければと思います。
○山影政府参考人 お答えします。
共働き世帯が増加する中で、家事支援サービスの活用による家事負担軽減は、利用者が仕事の時間を確保しやすくすることによる企業の人手不足解消、あるいは、可処分時間の増加によりまして子育てと仕事の両立に寄与する観点で重要であると認識してございます。
経済産業省といたしましては、家事負担を軽減するサービスの適切な利活用に向けた環境整備のため、家事代行サービスの認証制度の普及促進のほか、サービスの利用機会を福利厚生として従業員に提供しようとする中小企業等の取組に関する実証事業を実施しているところでございます。
本実証事業の成果も踏まえまして、家事支援サービスの活用に関する好事例の周知等に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
最後に一問、前回の産業競争力強化法のときに質問をどうしてもしたかったんですが、時間が足りなくてできなかったという質問をさせていただければと思います。
法律そのものの改正に関連してという質問であったんですけれども、標準化の取組の推進というのが実は法律の最後のところにありました。
私、やはり日本というのは、特許の関連もあると思うんですけれども、標準化をしていくというのがなかなかどうしても、ルール作りが得意でないというところがあるとずっと思っております。技術は勝つけれどもルールの形成で負けるみたいな、結果、ビジネスとしては何か余りうまみがないみたいなことがすごくいろいろな分野であったと思っております。
標準化の取組やいろいろな知財の、オープンにするのかクローズドでやっていくのかという戦略も含めて、やはりそれをしっかり支援をしていくということをいろいろな分野で是非進めていただきたい、こういう問題意識を持って前回質問をしようとしておったんですが、できませんでしたので、最後にこの取組について是非答弁いただきたいと思います。
○田中(哲)政府参考人 お答え申し上げます。
標準化は、製品の強度の確保、図記号の統一など、安全、安心の確保のような社会的基盤を支える重要な役割を担っております。加えて、委員御指摘のように、近年では、標準化が企業の競争力を左右する戦略的なツールとして用いられてきており、我が国企業の強みを適切に市場に反映させる上でも重要になっております。
そうした中、今後も日本の標準化活動を持続的に活発化させていくためには、新たな規格の開発の支援に加えまして、一点目としては、標準化人材の育成、確保、二点目としては、企業経営層による標準化の重要性に対する認識の向上や経営戦略における標準化の位置づけの向上、三点目としては、研究開発の早期段階からの標準化戦略の策定などの課題に取り組んでいく必要がございます。
そうした中で、経済産業省としましては、規格開発を支援するための予算を令和六年度で約四十七億円措置するとともに、日本の標準化人材のデータベースの構築、企業における標準化戦略担当役員、いわゆるCSOの設置や統合報告書における標準化戦略の発信などを企業に慫慂し、また、グリーンイノベーション基金等の国の研究開発事業における標準化戦略策定のフォローアップなど、総合的な支援策を講じているところでございます。
あわせて、今国会で御審議いただいております産業競争力強化法の一部改正案におきましては、企業、大学等の共同研究開発において、研究開発段階から標準化戦略や知財戦略を含めたオープン・アンド・クローズ戦略を構築する取組を支援するための認定制度を創設することにしております。これによりまして、標準化による研究開発成果の社会実装の確度を高めるとともに、企業や大学の標準化に対する積極的な取組を促すことができると考えてございます。
○中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、大島敦さん。
○大島委員 よろしくお願いします。
これまで当委員会で、航空機開発、三菱リージョナルジェット、MRJについて、納期あるいは型式証明が遅れるのは、初めての取組ですから、これはそういうものだなと思っていて、政府としてもしっかりと後押ししてほしいというお話をさせていただきました。
今回、四月かな、航空機産業戦略というのができておりまして、この中で、三菱リージョナルジェット、三菱のMRJではなくて、三菱のスペースジェットと名前が変わっているものですから、その名前の差異についてちょっと冒頭確認させてください、同じものでいいのか、若干変わるのかということについて。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、MRJ、三菱スペースジェット、名前は変わりましたけれども、基本的には同じものでございます。
○大島委員 ありがとうございました。
では、私としては、呼び慣れたMRJで質問をさせてください。
それで、今回、二つの法律を目を通させていただいて、航空機製造事業法と航空機工業振興法です。
この二つの法律の目的規定を読んだときに思い浮かべたのが、私が大学のときに、朝日ジャーナル、当時は筑紫哲也氏が編集長の時代に、連載された、本田宗一郎と藤沢武夫氏の「車に賭けた男の物語」のこの連載、これが一番いい、ホンダの歴史の連載でして、これの一節を思い出した。
その中に書いてあることは、昭和三十六年、一九六一年六月、通産省は産業合理化審議会で、自動車工業に対する今後の施策方式という政策を説明し、いわゆる三グループ構想をぶち上げた、この構想は、乗用車メーカーを、量産車グループ、ミニカーグループ、特殊グループに分け、自動車への新規参入は認めないというものであったと。
その後、これは、「官僚たちの夏」に出てくる佐橋滋企業局長が中心となって、三グループ構想のための特定産業振興法案をまとめ、三十八年の、一九六三年ですね、通常国会に提出したが、継続審議になった。通産省は同年の臨時国会、翌年の通常国会と、手を替え品を替え、この法案を持ち出した。
ホンダはこのため、四輪車の進出の予定を大幅に繰り上げ、乗用車生産の既成事実をつくることになった。
こういうのがありまして、何か、今回のこの法案を見ていると、このときの特定産業振興法を思い浮かべたんです。
ですから、ひょっとして、この二つの法案がなければ、日本の航空機産業はもっと発展したのかなと思ったんですよ。これはよく見ると違うかもしれないけれども、結構大切な法律だと思っていて。
その中で、冒頭聞きたいのは、まず、産業構造審議会製造産業分科会航空機産業小委員会が今年の四月に新たに航空機産業戦略と定めた、この戦略の政府内での位置づけについての御答弁をお願いします。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
世界的に航空需要の拡大が見込まれる中、脱炭素化やデジタル化といったゲームチェンジをチャンスと捉えまして、航空機産業の競争力を強化していくことは、経済成長はもちろん、経済安全保障の観点からも極めて重要と考えております。
こうした認識の下、昨年六月以降、産業構造審議会でも議論いただきまして、先月、我が国航空機産業の課題と成長の方向性を取りまとめました航空機産業戦略、委員御指摘の戦略を策定いたしたところでございます。
この戦略は、経済産業省に設置されました産業構造審議会から、政府及び航空機産業界に対する提言として位置づけられるものでございます。
○大島委員 そうすると、省内の文書であって、閣議決定とかして政府としての方向性を示したわけではないという理解でよろしいでしょうか。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、閣議決定をしたものではございませんけれども、この産業審議会のオブザーバーには、国土交通省、文部科学省、防衛装備庁も入って議論をしておりますし、横断的な取組をしております。そういう意味では、一定の方向性を政府内で共有できていると思っております。
○大島委員 そうすると、各府省の共通認識と、業界団体の方も入っていらっしゃるので、その共通認識をつくった文書であるという理解でよろしいわけですね。
それで、その中で、安全保障の維持、強化の観点から極めて重要な産業として位置づけておりますけれども、手短に具体的な理由を答弁願います。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
航空機産業戦略でございますけれども、その中では、航空機産業の発展を目指す意義としまして、我が国の社会経済活動上の重要インフラとしての自律性の確保、国際的な航空需要の成長の国内産業への裨益に加えまして、安全保障の維持、強化の観点から極めて重要な産業と位置づけております。
その理由といたしましては、航空機の開発、製造が世界的にも一部の国、企業に限られている状況におきまして、我が国がその能力と産業基盤を維持、獲得することは経済安全保障の観点から重要であるということ、また、航空機産業の発展は、我が国の安全保障を担います防衛航空機産業とのシナジー効果も期待できるということが挙げられます。
○大島委員 この中で、先ほど申し述べました航空機工業振興法は、条文の中で「航空機等の国際共同開発を促進するための措置等を講ずる」と書いてありまして、当時の解釈としては、これは一度、通産省は八六年に、民間航空機の製造を支援する航空機工業振興法を改正し、国際共同開発に限って補助金を出す仕組みに改めた、国産計画に補助金は出ない、産官共に国産機の開発を断念し、国際共同開発を選択したという日経新聞の記事があって、当時の議事録も読ませていただきました。ですから、ここの解釈についての御答弁をお願いします。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
航空機の開発には、巨額かつ回収期間の長い投資を要します。大きなリスクを伴います。また、その完成機メーカーは、ボーイングやエアバスといったごく少数の外国企業に限られております。
こうした背景から、委員御指摘の航空機工業振興法、この法律は、我が国の国際共同開発への参画を促進するため講ずることによって、航空機工業の振興、産業の技術の向上、国際交流の進展をその目的として定めております。
○大島委員 今の答弁は一九八六年の議事録とほぼ変わらない答弁だと思っていて、恐らく、この規定があるから日本国政府は五百億円しかお金を、資金を供与できなかったと思う。やはり法律というのは結構大切でして、三菱MRJを手がけるんだったら、この法律は変えた方がよかったかもしれないなと思いました。これは感想です。
次に、私が三菱MRJを遅れてもいいから最後まで完成してほしかったのは、航空産業を育成するに当たって最も重要と考えるのは、耐空証明と型式証明と考えています。
まず、両証明について、どのようなものか説明を求めます。
なぜかというと、日本の国内に大型航空機の型式証明をできる検査官を育成して、持ちたかった。これを持つことによって、様々な企業が参入できるから。その点について、まず理解を深めるために、耐空証明と型式証明について御答弁ください。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
航空法の規定に基づき、航空機が飛行するためには、一機ごとに耐空証明が必要であり、その証明に当たっては、国土交通大臣が個々の航空機について安全基準及び環境基準への適合性を検査することとなっています。
また、型式証明は、航空機の型式の設計について、国土交通大臣が安全基準及び環境基準への適合性を審査し証明するものであり、型式証明を取得した型式の航空機については、個々の耐空証明における検査の一部を省略することができます。このため、航空機が量産される場合には、航空機メーカーが型式証明を取得することが一般的となってございます。
○大島委員 この間、国土交通省の北澤部長の部下の方とお話ししたときに、一番よく分かっている人を答弁者に選んでくださいとお願いしたら、北澤さんだとおっしゃっていましたから、多分、日本で一番ここで詳しい方だと思う。
私、レクを受けながら思ったことがある。私が前に海外駐在していたときに、パイプの非破壊検査の本当に小さな傷の形状のISOの会議にうちの技術者と一緒に出たことがあって、その技術者が、ほかはギルドだと言う。みんな、何十年も同じ人たちがここに携わっていると言っていて、恐らく検査の部隊も同じかなと直感した。
やはり、ヨーロッパとアメリカは違うと聞いていて、アメリカの場合だと、検査官はボランティアでやっていらっしゃる。給与はボーイングなりが出している。それで、設計段階から様々な議論をしながら、どうやったら安全確保するかということを議論して安全確認をしていくと聞いた。基準があるのかというと、検査官を納得させることが基準だとも聞いたことがある。
多分ヨーロッパは違う仕組みかもしれないけれども、恐らくアメリカの検査官もヨーロッパの検査官も、それぞれがお互いの技術レベルを認め合って、それでお互いの型式証明について、安心して、相互でいいよと言えることを目指しているのかなと思っていて、三菱MRJの型式証明を取る段階で、恐らく北澤部長も、多分アメリカの航空当局あるいは欧州の航空当局と様々議論をしていると思うんですよ。
そういう信頼関係のその先にあるのが、日本で航空機産業がもっと自由に、これから空飛ぶ自動車の型式証明は同じ部隊ですから、同じ検査官がやることですから、だからこそ国土交通省さんの仕事が物すごく大切だと思っている。
それで、日本の耐空証明、型式証明を取得できれば米国や欧州での相互主義で型式証明が認められることが望ましいと考えるが、政府の見解を問う。まあ、航空機産業を育成するに当たって、最も重要と考えるのは耐空証明と型式証明と考えているので、それぞれの制度について今説明をいただきました。我が国の耐空証明等を取得した場合の米国や欧州での取扱いについても教えてください。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
我が国において型式証明を受けた航空機が欧米などで型式証明を取得する際には、我が国における審査を踏まえまして、原則として、欧米などにおける型式証明の審査が簡略化することとなります。
○大島委員 そこの一番最後の部分が大切だと思う。日本で型式証明を取れれば、海外でも型式証明、その部分については認めていただける、そういう発言でよろしいですか。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に、航空機を欧米などに輸出する際には、輸出先においても耐空証明は必要でございます。
我が国において型式証明を受けた航空機については、欧米等で型式証明を取得する際の重複した検査の省略ですとかといった、型式証明の審査が簡略化されることとなってございます。
○大島委員 そうすると、MRJ開発では、耐空証明や型式証明に関して何を目指していたのかを聞きたい。今言っていた、日本で型式証明を取れば、その部分については欧州あるいは米国でも簡素化できるという御答弁だったんですけれども、そこを目指していたのかどうか。要は、航空当局同士の、検査官同士の信頼感だと思うから、ちょっとその点についての御答弁をお願いします。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
三菱スペースジェットについては、国土交通省としては、設計国としての責務を果たすとともに、我が国の審査が諸外国においても円滑に受け入れられるよう、欧米とも連携し、型式証明に係る審査が的確かつ円滑に進むよう努めてまいったところでございます。
○大島委員 いや、この間、役所の方と話していて、本当によかった、それに気づいたから。ですから、やはりギルドの中の一員に入れるかどうかだと思うから。
今後、同戦略に基づいて、日本での航空機を開発する際の耐空証明や型式証明の在り方について、まず経産省から、それから国交省からの答弁をお願いします。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
航空機産業戦略、この中におきましては、海外主要航空機メーカーとの国際連携の枠組みの中で、部品サプライヤーとしての地位に満足せず、収益性が見込まれる具体的な開発プロジェクトにおいて設計などの上流工程にも参画する、それにより、完成機事業を実施できる技術的、事業的な能力をステップ・バイ・ステップで獲得していくということとしております。
御指摘の型式証明などの取得につきましては、完成機事業の実施に当たって不可欠と考えておりまして、我が国企業が航空機開発において事業を拡大するに当たって重要な要素であるため、国際連携の枠組みの中でその知見、ノウハウを着実に蓄積していきたいと考えております。
こうした方針の下、経済産業省といたしましても、認証取得に向けた能力向上に資する形で技術開発、実証などを進められるよう、国土交通省と連携しプロジェクト立案を行うなどの取組を進めてまいりたいと考えております。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
今後の航空機開発につきましても、国土交通省としては、設計国としての責務を果たすとともに、我が国の審査が諸外国においても円滑に受け入れられるよう、これまで得られた知見、さらに欧米とのネットワークなどを通じまして、的確に型式証明に係る審査を行うとともに、産業界などとも協力して新しい技術に係る基準の策定に努めるなど、我が国の航空産業の発展に貢献してまいりたいと考えてございます。
○大島委員 若干質問がかぶるんですけれども、MRJの型式証明の審査に当たっては、国土交通省では、人員や組織など、どのような体制で臨んでいたのか。また、米国当局への検査官などの派遣など、特別な取組を行ったのか。そして、次も答えてください。MRJの型式証明を通して新たな知見を得ることはできたのか、具体的に説明をしてほしいんですけれども、よろしくお願いします。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省としては、三菱スペースジェットの開発が始まって以来、型式証明に係る審査が的確かつ円滑に進むように、本格的な技術審査組織を開発拠点に設置し、審査要員も七十名規模に拡大するなどして対応してまいりました。
また、三菱スペースジェットの飛行試験が米国で実施される際には、その拠点であったモーゼスレーク空港にも職員を常駐させ、米国の航空当局とも連携して審査などを進めてまいりました。さらに、米国や欧州の航空当局とは型式証明に係る審査に関する協議を頻繁に行っておりました。(大島委員「知見、具体的に」と呼ぶ)
はい、知見につきましてお答え申し上げます。
三菱スペースジェットの型式証明においては、例えば航空機の電気配線に関して、世界的にも新しく導入された基準の設定の背景や具体的な審査の手法等について、米国や欧州の航空当局と意見交換を行うなどにより知見を深めることができたと考えております。
また、米国や欧州の航空当局とは、先ほども御答弁申し上げましたとおり、型式証明に係る審査に関する協議を頻繁に行うことで、認識や知見を共有するとともに、当局間で緊密なネットワークを確立することができ、加えて相互に強力な信頼関係も構築することができたと考えております。
こうした知見や欧米当局との緊密なネットワークについては、今後開発される航空機などの審査においても活用できるものと考えてございます。
○大島委員 今の、新しい技術の知見について深められたという部分は結構大切だと気づきました。
一番最初にジェット機を造ったのはドイツですよね。ドイツのドイチェス・ムゼウムに行くと、スイスから返していただいたメッサーシュミットのジェット機の実機が展示してあって、そこの解説を読むと、当時のアルミのフォーミング技術はいまいちだったから、当初の性能が出なかったとか書いてあったりするわけですよ。
イギリスでもコメットというのが一番最初の旅客航空機だったけれども、あのときは、多分金属疲労が分からなかったから、何回か落ちて、航空機産業からは撤退しましたよね、英国は。
私が駐在していたとき、もう大分前ですけれども、日本の大手自動車メーカーの方と話したときに、要は、高速性能はメルセデス・ベンツにはかなわないと言っていた。なぜかというと、ダイムラー・ベンツは自動車という特許の一番最初の出願者だから。
だから、一番最初の根幹が分かっていないと型式証明はできないはずなんですよ。だから、その長い背景、原子力だったらアメリカなんです、元々原潜から始まっているから。鉄鋼業だったらアーヘン工科大学だとか。だから、物事の本質、ここの本質をしっかり分かって、お互いに信頼できる関係を日本国内で構築できるかどうかが今後の、ビジネスプランは今後状況が変われば変わっていきますけれども、皆さんの部隊が一番大切だと思っているので。
MRJの開発で検査体制を今強化して、現状も維持されているのかどうか、ちょっと教えてください。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
三菱スペースジェットの開発に伴い設置した技術審査組織については、現在においても、これまで培ってきた審査能力や欧米当局との緊密なネットワークと信頼関係を生かし、ヘリコプターなどの国産航空機や我が国に輸入される旅客機などの型式証明を行っているほか、空飛ぶ車やドローンなどの型式証明なども進めているところでございます。
○大島委員 ここも更問いですけれども、国内で空飛ぶ車の開発が行われていますが、我が国で型式証明を取得し米国や欧州へ輸出する際には、改めてその国での型式証明は必要なのかについても御答弁お願いします。
○北澤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども御答弁申し上げましたとおり、一般的に、航空機を欧米等に輸出する際には、輸出先においても型式証明は必要ですが、我が国において型式証明を受けた航空機については、欧米などで型式証明を取得する際、我が国の審査を踏まえ、原則として欧米などにおける型式証明の審査が簡略化されることとなります。
空飛ぶ車については、国内のメーカーからも型式証明の申請を受理しており、これまでの知見も活用しつつ、米国や欧州と同等の基準を策定するとともに、型式証明に係る審査を進めているところです。
国土交通省としては、空飛ぶ車が輸出される際には、我が国の審査が諸外国に円滑に受け入れられるよう、型式証明に係る審査を的確に行ってまいります。
○大島委員 大臣、済みません、時間がそろそろ来たものですから、今の点を踏まえて、残余の質問はまた次回にしますので、もう一つの法律についても。これは規制が元々強い法律だと理解しているので。
経産省に伺います。
中国においては、C919やARJ―21という国産航空機を、欧米の認証を取得せずとも、国内や、ブルネイやインドネシア等のアジア圏の一部の国外に販売する方法を取っているが、こうした施策についての経産省の見解をお願いします。
○田中(一)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、中国におきまして、航空機開発におきましては、国内及び一部の国における運航を前提としまして、米国やEUでの認証を取得することなく開発を進め、既に市場に投入しているものと承知しております。
一方で、米国やEUでの認証を取得していないがゆえに市場の広がりも限定的であるため、中国産航空機の受注数は必ずしも多くなく、現時点では利益を上げるまでには至っていないという見方もございます。
こうした背景を踏まえれば、中国に比べまして市場規模の小さい我が国におきまして、米国やEUでの運航を視野に入れずに航空機開発を進めることは、事業性の観点から極めて困難であると認識しております。
○大島委員 航空機の型式証明は、前の技術、安全性を確立されたものを優先すると思うんですよ。だから、最先端の技術が入り込むよりも安全性を取るケースが多いかなとは思う。ですから、中国が十二億人以上を超えていますから、多分、事故がずっとないとすれば結構型式証明もいいんじゃないのかなと思えるかもしれない。
ですから、根源的な、航空機の原理原則とか根幹を是非各航空当局と共有していただくことをお願い申し上げまして、大島の質問は終わります。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、田嶋要さん。
○田嶋委員 おはようございます。田嶋要です。
最近もいろいろなニュースがありまして、つい最近ですと、ジャパンディスプレイさんの残念なニュースがあり、また昨日はシャープのニュースも流れておりまして、やはり本当に、日々、私も、日本の国力、産業競争力、気になる話が多いわけでございます。
昨日も、夜お話ししていた経営者の方からは、今背中にひたひた迫っているのはマレーシアだという話もありまして、韓国は抜かれて相当遠くなった、今はマレーシアだよと。ベトナムとか、そうした東南アジアの国々も日本にキャッチアップし始めているということを昨日聞きました。
そして、今日になって、また、世界最大規模の世論調査で出ていますことは、幸せを感じる国民ということで、日本の場合は激減をしているということで、調査対象の三十か国の中で下から三番目ということで、個人においても、幸福度を感じる世代、特にX世代が非常にそれを感じないということで、恐らくこれは経済的な側面が大きいということなので、円安による何となく相対的な負け感、負け組感という感が本当に強まっている感じがいたします。
そういう意味で、改めて、この経済産業委員会に課せられた役割は大きいし、ここで本当に、これまでのやり方で本当にいいのかということを常に謙虚に考えながら進まなきゃいけないというふうに思います。
齋藤大臣も経済産業省も、何というか、自信を持った存在だとは思うんですが、しかし、私はあえて、野党の立場でもありますし、本当にこれでいいんですかということを常に常に問わせていただきたいので、そこは御理解をいただきたいというふうに思っております。
まず、環境省が炎上いたしました問題に絡めて。
あれは、私は、水俣の関係で大変シンボリックだったので注目されましたが、多かれ少なかれ、いろいろなところで起きているのではないかと。経済産業省も他山の石とした方がいいのではないかなというふうに、あるいは、経済産業大臣も他山の石とした方がいいのではないかというふうにあえて申し上げさせていただきますが、環境省の失敗というよりは、私は、政治の側にもやはり課題があったというふうに思うんですね。
お隣の大臣のことではありますけれども、経済産業大臣から御覧になっていて、どういうところがやはりよくなかったというふうに受け止められているかを、もし差し支えなければ御答弁いただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、冒頭の産業競争力に関する御発言については、私は、全く同じ危機感、問題意識を持っています。大学を出て、一生の職場として通商産業政策を選んだ者として、じくじたる思いもありますし、田嶋委員には、これからもびしびし御指摘をいただければというふうに思っています。
水俣病の患者団体の皆さんとの環境大臣の対応について、私は、よその役所の行政そのものでありますので、私の立場で何かコメントすることは控えたいと思いますが、ただ一方で、私がもし大臣としてあの場にいたらどういう行動を取っていただろうかということは、私個人の問題として思い浮かべましたし、考えなくちゃいけないし、どうすべきだったかと考えます。
私だったらこうしただろうなということはありますけれども、それ以上のコメントは差し控えたいと思います。
○田嶋委員 どうしても組織というのは、過去の延長線上で、前例を基にして考えがちですから、そこはやはりびしっと、非連続な判断も政治家が腹を据えてやることが常に必要かなと、お願いをしたいというふうに私も感じる次第でございます。
そこで、経済産業省はどうかと考えたときに、常日頃から、よく大企業の方を向いているという批判もありますが、これは私が別に何党だからということじゃなくて、やはり私もそういうことを感じることがあるんですね。何か、経団連の話ばかり聞いているんじゃないかとか、大企業の方ばかり向いているんじゃないかとか、それから、供給サイドばかり意識しているんじゃないかとか、声の大きい人ばかり聞いているんじゃないかとか。これは、恐らく経済産業省という役所の任務からしてそうなりがちなのが私はあると思います、その設置法の中身を見ても。供給サイドから考えがちなので、だから消費者庁とかもあるんでしょうけれども、やはりここは、国民の目線から見たときに、バランスを欠いていないかということで、私は不断の検証が要るのではないかという思いでございます。
そこで、資料をお配りしております一番、これは民間の方々がちょっとした分析を、彼らのそれなりの基準を設けてやったものでございますが、経済産業省の関係でも、たくさんの基本計画、今度は第七次ですが、主要な会議体、本当にこれは一体何がどういう会議体かさっぱり分からないぐらい複雑なわけでございますが、これを一定の物差しで円グラフで色分けしたのがこういう状況でございます。これは事前に大臣のところにも届いていたかとは思うんですけれども。
例えば、一番右の真ん中にある燃料アンモニアの官民協議会、これは色で見ていてもちょっとほかと異質な感じがするわけでございますが、これは官民協議会だからという側面もあろうかと思うんですが、これなどは、せんだっての水素のときにも私も申し上げました、アンモニアに関しては特にリスクが大きいのではないか、要するに、五年後に今回の液晶のような話になってしまう可能性も十分考え得るからと。齋藤大臣からは、撤退するときは決断して撤退できるというような御答弁もいただいて、そこは頼みにしたいと思いますが、しかし、協議体として、いろいろな戦略や政策を策定するときの客観性、これは正解はないと思うんですが、多くの人がクエスチョンマークをつけるようでは、私は若干問題があると。
これは恐らく、例えば齋藤大臣が政治家としてどれぐらい口を挟んでいらっしゃるのかよく分からないんですが、こうやって見ると、やはりかなり業界寄りではないのかなという印象を受けるわけで、アンモニアに関しては特に心配の声、石炭火力も心配の声が多いのであれば、もっと、この赤いところ、省エネの方には消費者というのがかなりありますけれども、こうした方々が、少数であったとしても、やはり入っていないといけないのではないか、常に供給側からしか物が見られないような経済産業省であってはいけないのではないかなというふうに私は感じるわけでございます。
ちょっと時間があれなので、はしょってお伺いしますが、大臣、こうしたいろいろな有識者の会議体は、一々齋藤大臣が全部見ている暇はないんですが、こういう御指摘も民間からもいただいておりまして、ここはやはりバランスということに関してもう少し配慮が必要、これは供給だけの話じゃなく、男女の比率はどうなのかよく分かりませんけれども、恐らく九割以上男ばかりという会議体が多いんじゃないでしょうかね、分かりませんよ。
だから、そういうことも含めて、やはり、私たちが国会同意人事をするときは、私たちも基準はあるんですよ、党で。男ばかりは絶対認めないとか女性が何割いなきゃ駄目とか、そういうことも、我々としては、国会同意人事に関しては党内にある。だけれども、これは国会同意人事じゃありませんので。これは役所の中で決めている。どういうプロセスでこういうメンバーにしているのか分かりませんけれども、この辺のバランスに関して疑義が生じないようにしてほしいと思いますが、現状に関する評価と、それから今後に関して大臣から御答弁いただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まず、何を審議するかによって委員の構成というものは、それによって千差万別あると私は思っています。
私自身も、資源エネルギー庁に三回勤務をして、いろいろな審議会の委員の選定を自ら行ってきた経験が当然あるわけですけれども、その際に気を遣いましたのは、そこの審議会が出したものが世の中からどう受け止められるかということは、やはりそれは細心の注意を払っていまして、これが業界団体だけだと世の中がどう見るかなというようなことも考えながら委員構成を決めているというのは、それは私もそうだったし、その後も恐らくそういう判断をしていると思うんですね。ですから、物によって違うんだろうと思います。
私がやった、軽油にある物質を入れるか入れないかという議論をしたときは、もちろん、これは消費者がどう受け止めるかなということなので、消費者関係の団体の人も何人も入ってもらって審議会をつくるとか、そういうことをやってきているのは事実であります。
だから、物によるということでありますが、ただ、やはり世の中の人がどう受け止めるかということを考えながら、バランスの取れた人選を一つ一つの審議会でやっていかなくちゃいけないということはそのとおりだと思いますし、それから、それで終わりにしないで、また、パブリックコメントですとか、そういうこともしっかり手続をしていくということは大事だなと思っていますので、その点は委員と意見のそごはないのではないかなと思っています。
○田嶋委員 これはそうだと思うんですけれども、大臣、会議体ごとに判断するのではなくて、そこは何か固い一つの基準を作っておいた方が、例えば今言ったアンモニアに関して、いや、これは専門的だから供給側を増やさないと議論にならないよねとか、そういうことをやはり考えちゃうと思うんですよ、一個一個考えていたら。だから、常に男女は半々にする、消費者サイドと供給側も半々にする、そういうような固いルールを、基準を決めて、やはりその中で苦労しながら全国からふさわしい人を探すような姿勢にしないと、結果として、蓋を開けたら燃料アンモニアは半数以上が業界関係者になっているとなると、えっと思うわけです。だって、燃料アンモニアはCO2を本当に減らすことに貢献できるのか、コスト面も含めてと。それは消費者団体だってみんな心配していると思うんですよ。だけれども、一切出てこない、登場しないじゃないですか。
だから、これは委員だけじゃなくてオブザーバーも発言権が与えられているようなんですが、オブザーバーも全部供給側だということなんですよね。若者もいない、消費者もいない、こういう状況じゃ、やはり、ああ、やっぱりね、先に結論ありきねみたいなふうに思われると私は思います。
だから、大臣、そういう意識は一緒だとおっしゃるんですけれども、結果としてまだ途上だなということがありますので、これまではこうやっていたと先ほど冒頭申し上げましたけれども、環境省だって二〇一六年から三分と決めてやっていたそうなので、そういうことで本当にいいのか、こういうやり方で人選していて本当にいいのかということを改めて御自身がクリティカルに見ていただきたい。
大臣が役人として頑張っておられたときとは時代も変わりましたので……(発言する者あり)いや、本当にそうですよ。それはやはり常に自己反省的に考えていただきたいと思いますが、お願いいたします。
○齋藤(健)国務大臣 反論するわけじゃないんですけれども、やはり、審議会あるいは会議体によって恐らくかなり委員構成というのは千差万別だと思うので、固いルールを作るというのはなかなか難しいんじゃないかなという気は、今お話を伺っていて、直感としてしますが、一応、政府全体としては、平成十一年に閣議決定された審議会等の整理合理化に関する基本計画の中で、「委員により代表される意見、学識、経験等が公正かつ均衡のとれた構成になる」ということでありますので、それに留意はしてやっています。
ただ、今後についても、私、世の中の人に疑義を持って受け止められたり説得力がないような審議会を幾ら動かしても、これは効果に限界が出ると思っていますので、やはり委員の構成については細心の注意を払ってやっていきたいと思っております。
○田嶋委員 年齢制限もそうですし、何度同じ人が選ばれるかとか、固いルールを作っているんですよ。だから、私はやれないことはないと思いますよ。その方がフェアに映ると思います、世の中的には。
次の質問に参りますが、もう一件だけ。
若者をどう意思決定プロセスに入れていくかということで、実は、これはもう既に先例がありまして、総理大臣まで御答弁なさっていますね。公明党の先生が温暖化の方で、つまり環境省の分野でございますが、取り上げたわけでございます。
さて、経産省、いよいよ第七次エネ基が控えておるわけでございまして、多くの声をいただいているのは、環境省の方で、若者の声をしっかり反映するということで岸田総理がおっしゃっているわけでございますが、同様のことを第七次エネ基の方ではやるべきだと私は思うんですね。非常にシンボリックな意味で、象徴的な意味で、エネ基の審議のメンバーに若者の代表者を入れる、あるいは、別途かもしれませんが、声を聞く、何がしか積極的な姿勢を経産省に打ち出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 まず、私は、やはりエネルギー政策を進めていく上で必要となる学識経験者や専門家にバランスよく参画をいただきたいというふうに思っている。このため、年齢のみに着目した選定というものは行うつもりはないわけでありますが、ただ、若者を含む様々な立場の方の意見を聞きながら施策を検討することは重要だというのが基本的な考え方ではあります。
私は、事エネルギー基本計画に関しては、これは将来のことを決めるという色彩が非常に強い検討になると思いますので、若者を含む様々な意見をしっかりと伺うということをこの中でどうやって実現していくかということは考えていきたいと思っています。
○田嶋委員 年齢によっては考えていないということも言われましたけれども、二〇五〇年に現役で頑張っている世代はやはり入れるべきですよ、それは。だって、二〇五〇年の絵姿を議論するのに。我々が生きていない保証もないんですけれども、だけれども、やはり若者の方の声を聞くべきだというのは当然のことですよ。岸田総理は、「二〇二一年の地球温暖化対策計画の策定に当たって若い世代からもヒアリングを行いました。次回以降の取組プロセスにおいても、積極的にそういった若者の声を聞いてまいります。」とおっしゃっているんだから。環境省の地球温暖化対策の計画と経産省のエネ基というのは、ある意味では車の両輪のような感じがするものですから。
私たちは、未来世代法案というのを既に党内では議論をかなり煮詰めておりますし、それから、我が党の中に未来世代委員会というのをつくりまして、先んじて、環境エネルギー分野に関して、学生さんたちを始め若い世代の声を聞く会議体を一応設けているんですね。
だから、世界ではそういう動きが徐々に強まって、ウェールズとかヨーロッパの方で強まり始めておりますので、シンボリックなこの第七次に関しては、全く若者の声を聞かなかったら、ちょっと恥ずかしいんじゃないですか、これは本当に。審議会メンバーに入れるというのはかなりハードルが高そうな感じもしますが、でも、絶対これはきっちりとやっていかないといけないということを改めて申し上げさせていただきたいというふうに思います。
次の質問に移りますが、ちょっと、やりっ放しではいけませんので、過去の質問で聞いたことをお伺いします。
鴨川メガソーラーに関して。
これは鴨川メガソーラーだけの話じゃないというのは前回も言いました。日本中で更にひどい状況の、これはどこまで本当かよく分かりませんが、動画も入っていますので、釧路湿原、五島列島、それから奈良の古墳の周りとか、写真が入っているので事実なんでしょうね。だから、本当に、とんでもない業者のメガソーラーによって再エネ全体が物すごく品格を落とされているし、事業者の投資意欲が減退しているというのはゆゆしき問題だというふうに思います。
農水省、お越しいただいていると思うんですが、前回も取り上げたんですけれども、原発だけは、バックフィットという概念で、最新の基準に適合させることを事業者に義務づけている。じゃ、山崩れで人が亡くなるリスクがあるのに、同じことをやらなくていいんですかということを私は申し上げました。
改めて申し上げます。これは法改正があるのかないのか分かりませんけれども、炉規法に関して改正して原発の方はやりました。いわゆる森林法を含めて、やはり農水省が法改正を含めてちゃんとやるべきだと思いますが、いかがですか。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
一般に、審査当時の基準に照らして瑕疵なく成立した許可に対しまして、その後に見直した新しい許可基準を適用することにつきましては、事業者にとっては予見できない不利益を与えることになりまして、法的安定性を害するおそれがあることから、原則として行うべきものではなく、林地開発許可制度においても慎重な配慮が必要であると思っております。
また、見直し前の許可基準に基づき許可した開発でありましても、都道府県がこれまで用いてきた許可基準に基づいて適切な防災施設を設置することとしておりまして、このことだけをもって災害防止の観点から問題があるとまでは言えないと思っております。
なお、鴨川の件につきましては、林地開発許可の審査を行っている千葉県が、事業者に対しまして見直し後の新しい許可基準に従うよう行政指導を行っていると聞いておりまして、林野庁といたしましても、引き続き状況を注視してまいります。
○田嶋委員 余りやる気がない答弁でありますけれども、本当にこの鴨川、国会が終わりましたら、齋藤大臣、是非お越しいただきたいと思います。それから、署名に関しては、部長の方で受け取っていただくということで、今手配中でございます。また、委員長、ありがとうございます、今度お越しいただけるというふうにお伺いしておりますけれども、是非多くの皆様に、やはり一番近い千葉県でこういうことが起きている、北海道や長崎まではなかなか行けないかもしれないけれども、千葉だったら近いから是非見てほしい。
是非とも、ほったらかしにして四十三円の国民負担だけが予想されて、事業者がころころ変わったり、何にも動いていないようなことでこういうような状況が放置されるというのは本当におかしい、正義にもとると私は思っておりますので、農水省、もう一度ちょっと私もまた声をかけますので、一緒に研究して、どうやったらこうしたことが適用できるのかを一緒に考えさせていただきたいと思います。
そして、もう一点は、前回、経産省に取り上げさせてもらいました、資料の二でございます。前回と同じ資料でございますが、この分かりにくい認定失効期限の設定というやつでございますけれども、赤線を引かせていただいた。問題は、鴨川のような巨大なメガソーラーは、大規模案件に係るファイナンスの特性を踏まえた例外的措置として、実質的に失効リスクを取り除くと、要するに、一番環境破壊の大きい、でっかい案件に関しては、失効する可能性をゼロにしてさしあげているという不思議な制度になっている。
しかも、これが法律事項ではなくて、その下で行政が勝手にというか、行政がつくられた制度だということなわけでございまして、ここは経産大臣にも前回も指摘をしていただきましたけれども、これは本当に、前は、第三コーナーを回ったらもう事業が実質始まるんだから、失効させるのはちょっと無理だみたいなような感じの御答弁だったんですけれども、本当にこれは現場を見ないと分からない、現地の人の声を聞かないと分からない。これは水俣と同じですよ。
だから、そういうときに、そういうことをしっかり聞いていただければ、いかにずっとほったらかしになっているかということがよく分かりますので、これは大規模事業だけ認定リスクをゼロにする制度は間違っていると私は思っております。
ここを見直していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○齋藤(健)国務大臣 この失効制度は、制度の予見性、透明性や事業者間の公平性に鑑みて、ファイナンスの組成等を個別に事実確認する仕組みではなくて、工事計画届出の提出など、客観的に確認できる形で公平な一律の基準により進捗状況を確認すること、これが適切ではないかというふうに考えているわけであります。
このため、実際のファイナンスの組成等の状況を個別に事実確認を行う制度とはしておらず、それらがなされていないことを理由に失効する制度にはなっていないわけであります。
それで、この失効制度の導入に当たりましては、様々な意見が確かにございまして、未稼働案件の滞留を防ぎ、再エネ発電事業の早期の運転開始を促進することについて、国民負担の抑制の観点から賛成の意見もございましたし、それから、事業の予見性を確保し、再エネ導入拡大を図る観点から反対の意見もございまして、そういった様々な意見があり、パブリックコメントを経て、全体のバランスを踏まえて現在の内容を決定したというところでありますので、この経緯を踏まえて、この制度を運用してまいりたいというふうに考えています。
○田嶋委員 一年で失効する案件がある、三年で失効する案件がある、それがこの一と二ですね、資料の二の。一年で失効する案件がある、二年で失効する案件がある、ただし、でかい案件は失効させない、変ですよ、これは。
今おっしゃった、個別のファイナンスが準備されているか、そういうことは見ない。要するに、みなしですよ、これは。何でそんなに大規模案件に優しいんですか。私は、ちょっと変だと思うんですよ、本当にこれは、大臣。だから、前回と同じ答弁をなさいましたけれども、ちょっと何かバランスを欠いていると思いますよ。
例えば、三番が五年で失効とか、そういうことだったら何か分かるような気もするんですけれども、三、でっかい案件、環境破壊が深刻な案件は失効リスクがゼロにできるんですよ。これはおいしいじゃないですか、事業者から見たら。こんなこといいんですかねと私は思います。引き続き御相談させていただきたいというふうに思います。
それでは、最後、残り僅かになってしまいましたけれども、いろいろなルールの公平性ということでも、様々、私、疑問を感じることがあったり、心配しております。
賃金が上がる日本ということで、春闘を含めて、去年に続き、頑張ってきていただいています。公取さんも、そして経産省も頑張っていただきました。
かなりニュースも流れて、いいなと思うんですが、ちょっと待ってよと。よくよく考えると、大きな企業はどんどん実績が出てきているけれども、新聞で最近出ておりますのは、中小企業はなかなか実現できない。ということは、結果として、みんなで給料の上がる日本を目指していくと、平均値は相当上がるけれども、取り残された中小・小規模事業者は給料が上がらないという声を私も地元でたくさんいただいている。そんなに簡単にできないよということをたくさんいただいているんですが、この現状は、私は正義じゃないと思うんですね。フェアじゃないと思うんですね。ここで止まるわけにはいかないと思うんですが、今後どういうことを考えていけるんですか。
一番難しい労務費の部分ですが、物件費とかに比べても難しい、エネルギーとかに比べても難しいということなんですが、私は、何か、サプライチェーンが全体に平等に給料が上がるような仕組みを、やはり制度の強制性も含めて検討しなきゃいけないのかなということを感じ始めております。
つまり、公取のあの優れた指針だけではなかなか無理ですよ、これは。だって、利他的に行動しないといけないから。自分の会社の社員だけの話じゃなくて、サプライチェーンの本から、みんなが給料が上がって、みんなが幸せになるような制度というのは、なかなか制度化しないと無理かなと。
何で最低賃金ができたんですか。最低賃金ができたのは、十九世紀の終わりにニュージーランドからですからね。百年以上も歴史があって、日本が戦後に導入したのは、先進国から五十年遅れているんですよ。だから、そういう、やはりルール化して、ちょっと自由主義には反するかもしれないけれども、強制的に最低賃金を設けたというような話で、私は、みんなに平等に、格差の起きにくいような給料の上がり方ということを是非考えるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
○齋藤(健)国務大臣 これは、私も思いは共通するんですけれども、個別の経営にまさに介入をするような話であるということは間違いないんだろうと思いますので……(田嶋委員「最賃も」と呼ぶ)最賃も含めてですけれどもね。したがいまして、なかなか、そのツールというものが思い当たらない中で、今、ぎりぎりできるところを我々やらせていただいているなというふうには思っているんですよ。
要するに、これは価格転嫁ができるということが一番大きいし、最後は最終的に消費者ですから、そこができるかどうかという大問題もあるわけでありますけれども、少なくとも、BトゥーBの価格転嫁におきましては、少し宣伝になりますけれども、このアンケート調査、三十万社、毎回やりまして、二〇二一年から約三年間で延べ四百八十社の発注側の事業者に、あなたの価格交渉、価格転嫁の状況はよろしくないということで、四百八十社の社名を公表をさせていただいていますし、結果の芳しくない約百十社の経営トップに対しては事業所管大臣から指導助言を行ってきた。
私、この辺がもう相当限界な事例なんじゃないかと思いますけれども、ただ、引き続き、今実施している三十万社調査では、新たに、労務費の交渉ですとか転嫁についてもきちんと分析をしていきたいなと思っています。
また、私としても、発注側の大企業の経営トップに対しても、サプライチェーンの深い階層まで価格転嫁が浸透するように直接要請をさせていただくなど、努力をしてきていますし、それから、賃上げ促進税制についても五年間の繰越措置を創設するですとか、それから、前提となる省力化を進めるということで、省力化投資支援の新たな補助金制度をつくるなど、結構努力はしてきているというふうに思います。
ここから先どうするかについては、今やっている措置について、改めて検証をしっかりしていきたいと思っています。
○田嶋委員 努力は本当に多としたいと思っているんです。だけれども、このままいくと、恐らく相対貧困率も上がるんじゃないかと思うんですよね。だって、どんどん給料が上がっているところと、全く上がっていない人と、いっぱいいますから。
だから、ジニ係数も悪化する、相対貧困率も上がっちゃうんじゃないか、そうすると、何のために頑張ったのかなと。給料が上がった人はうれしいですよ、だけれども、そこはちょっと政治の目的とは違うんじゃないかなという感じがするんですね。
だから、私は、中途半端に終わるということは社会正義に反すると思うんですよ。だから、ここをどう、最後の最後の人までということを考えたときに、私は、制度的なことも考えないと、最低賃金というものも、市場経済にはちょっと反する仕組みを入れたわけですから、そこは考えなきゃいけないのかなというふうに思っております。
以上で終わります。ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、馬場雄基さん。
○馬場(雄)委員 おはようございます。立憲民主党の馬場雄基でございます。
質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。
本日は、全ての問いをGX、グリーントランスフォーメーションにかけたいというふうに思っております。再生可能なクリーンエネルギーに転換していくための確かな戦略を描いていく、それは、補助金を出すことが決して目的ではなく、市場を形成していくことに意義があるということを確認し、そのための質疑の時間にさせていただきたいと思います。
前提条件を確認しますと、十年間で百五十兆円の天文学的な数字があるわけですけれども、政府が二十兆、そして民間で百三十兆というふうに分けられております。ここまでの大きな戦略、政策ですから、進めて失敗しましたでは後世に申し訳が立たないわけでございまして、確かな戦略と戦術を描きながら、しっかりと汗をかいて、後世にそれを示していくということが極めて大切だというふうに思っております。
大事なのは、政府の二十兆ではなく、民間の百三十兆が確かに動いていくのかということだと思うわけでございまして、二〇二三年から十年間、政府が発行するこの二十兆は、既に昨年から発行が始まり、一・六兆が出ているわけでして、今年度としては約一・四兆ほど支出の予定があるというふうには伺っております。
一方、大事なこの民間投資ですけれども、これは十年間で百三十兆を見込んでいるわけですが、現時点でどれほどの投資が行われているか、この点を確認させてください。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、昨年実施されましたGX推進法に基づきまして、今後十年間で百五十兆円超のGX投資の実現に向けて、GX移行債による投資促進策などの関連施策を実現、実行しているところでございます。
その後の官民投資額については、現時点では具体的な実績値を把握することは困難ではございますが、今後、企業へのヒアリング、各種の統計に基づく推計等を通じまして、GX投資の進捗をしっかり捕捉していく考えでございます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
もう一度ちょっと確認したいなと思ったんですけれども、民間投資というのを定義するとどういうふうになるのか教えてください。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
民間企業による投資そのものでございまして、財源としては、例えば金融機関、あるいは投資機関等による財源、あるいは自己財源を使ったものというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
まさに、この民間投資、融資というふうなお言葉をいただきましたので、ありがとうございます。
これをしっかりと把握していくということが大事ですが、現時点では分からないというところが、これは問題じゃないかなというふうに思います。
時間がまだたっていないからということを言われたいのかもしれませんが、実際、アメリカのIRA法案はかなりもう動いています。この時間も本当に一年ないぐらいで、世界各国の企業、かなり動いていると思います。ノルウェーのフレイルバッテリーさんもそうですし、イタリアのエネルであったり、中国、国軒高科、韓国、サムスン、LG、日本でいったらホンダ、パナソニック、様々なところからアメリカに向けた動きが常に加速しているわけで、一方、日本で、それが何一つまだ効果が測れませんというのは、正直これは国益に資する回答ではないんじゃないかなというふうに思っていますが、民間投資について、いつの時点で、どのように計算し、それを取りまとめて、いつ公表されるのか、その点はお伺いできるでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
官民GX投資の進捗捕捉でございますが、基本的には、企業や業界団体への個別のヒアリング、そして予算事業等に関する実績の集計、そして統計に基づく推計等のプロセスを通じて実施していく所存でございます。
GX投資の外延、そして波及効果の勘案など、外部機関の知見も活用しながら進めてまいりたいと思っております。投資効果を把握する方策についても議論しているところでございまして、今後速やかに検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 速やかに検討いただけるということでしたので、それを御期待申し上げたいと思いますし、これは、あくまでやはり国益に資する形にならなければ意味がありませんから、ここで議論することに余り価値がなく、結果を出すことに意義があるわけで、そこは本当に見守りたいというふうに思いますし、是非ともお願いしたいと思います。
一方、GXの二十兆円という投資について、政府は十年間の計画を出しております。十年間薄く広くと、規模がでっかいので薄くはないんですけれども、全く薄くないんですが、それをずっとやっていくよりも、本来であれば、第一投資期間、第二投資期間等めり張りをつけて、しっかり分析、効果を測った上でやっていく方が、民間投資を引き出しやすいという観点で考えれば、そういうふうになるんじゃないかなというふうに思います。
一方、先日、水素、法案がありましたけれども、全体で七兆という言葉を伺っていましたが、より詳細に伺うと、政府枠、つまり補助金枠としておおよそ三兆、民間投資枠で、いわゆる融資枠で約四兆というのを大枠で考えていますというふうにありましたが、他の政策、他の分野においても、政府枠、そして融資枠というのをちゃんと明記した上でしっかりと公表していくという必要性があるというふうに思いますが、その点について動いていただけないでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
二十兆円規模のGX移行債を活用した先行投資支援については、昨年末に、専門家会合、そしてGX実行会議での議論も踏まえまして、重点分野で分野別投資戦略を取りまとめまして、それに基づいて、GXの方向性、そして投資促進策を示させていただいたところでございます。
具体的に申し上げますと、例えば、暮らし関連分野におきましては三年間で二兆円規模、鉄鋼、化学等の産業分野では十年間に一・三兆円規模、革新的な再エネ分野では十年間で一兆円規模といったような長期にわたる国による支援規模、そして規制、制度的措置の導入時期等の見通しを示させていただいているところでございます。
GX移行債による投資促進策、そして年間数兆円規模のFIT制度等による再エネ導入支援策、さらには、GX―ETS等の規制、制度的措置を組み合わせることで民間部門の予見性向上を図りまして、民間のGX投資を引き出してまいりたいというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 最後、確認したいところだけお願いしたいんですけれども、今後は、この政府枠と融資枠、しっかりと明示した上で政策を打ち出していただけるということで大丈夫ですよね。ありがとうございます。是非そのようにお願いしたいと思います。
今お話あったこの分野別ロードマップ、まさにここから議論に移りたいと思います。何となくGXじゃなくて、ちゃんとやるGXにしていかなければならないということで、資料をお配りをさせていただきました。ちょっと広範にわたる資料になりますが、水素、洋上風力、蓄電池、これが、つまり分野別ロードマップの日本版を打ち出した中で、世界各国でどういうふうに描かれているかということをまとめさせていただいた、結構気合を入れて作らせていただいた資料になります。
このところから議論に移りたいと思いますが、まず、水素、洋上風力、蓄電池、これはそのほかにも当然分野別ロードマップはあるわけですけれども、全体論から入りたいと思います。
日本に特徴があります。二点、私は思うわけでして、そのうちの一点目、他国のところと日本を比べたときに、年です。これは、よく見ていただきたいんですけれども、日本で目立つ数字は二〇四〇というのが目立つと思いますが、他国、例えばアメリカ、イギリス、そのほか、裏のEU、ドイツ、フランス、様々見ていただきたいですが、おおよそ二〇三〇を示しています。二〇三五というところもありますが、二〇五〇と書いてある国もありますけれども、基本的には二〇三〇が書いてあって二〇五〇が書いてあるというような仕組みになっています。
これをレクでお伝えしたときに、いや、日本でも二〇三〇の数字をつくっていますよ、温室効果ガス四六%削減という目標をつくっていますよと。それは分かるんです、それは全体論ですから。ただ、じゃ、個別具体的に見ていったときに二〇三〇という数字がありますかと言われると、このとおりになるのではないかというふうに思います。
国際市場、グローバル市場で我々は戦っていかなくてはならないというときに、二〇四〇を示すのはいいんです、ただ、世界標準である二〇三〇をまずはベースラインに置いた上で制度設計をすべきだというふうに思いますが、その点についてお聞かせください。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げました分野別投資戦略でございますが、委員御指摘のとおり、民間企業にとっての予見可能性を高めて、かつ投資を引き出すという観点から、GX実現に向けた重点分野ごとに、規制、制度的措置の見通しに加えまして、今後十年程度の目標として国内排出削減量と官民投資額を数字でお示しさせていただいているところでございます。
GX実現に向けては、まさにエネルギー安定供給をめぐる不確実性の高まりや経済安全保障の要請なども踏まえまして、検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 端的にお答えいただきたいんですが、二〇三〇が世界の中のいわゆるベースになっているわけですけれども、そのベースに対して、各項目全てやはり私は明記すべきだと。予見可能性を高めるといって、二〇四〇というのは余りにも遠いのではないかと。二〇四〇、描くのはいいんです、描くことに否定はしません。むしろいいことだと思うんですが、世界のいわゆるグローバル市場で戦っていくときに、二〇三〇があって二〇四〇があるという数字の明確な目標設定にすべきだと思うんですが、その点について御検討いただけるか、動き出していただけるかということを伺っています。
○小林政府参考人 先ほど少し申し上げましたが、今後十年間の見通しということで数字は示させていただいているところでございます。
一方、どのような目標設定を行うかは、個別分野の状況によって異なるところもあるため、今後、具体的かつ適切に検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 しっかりとそこは二〇三〇を目途にやればいいんじゃないかなというふうに私は思いますし、これは、結局、グローバル市場で戦わなければいけないということを、併せてやはりしっかりとお伝えしたいと思います。
もう一つの特徴です。価格です。日本は、これだけ安くなりますよ、端的に申し上げればそういうふうに書いているわけですが、各国を見たときに、それで書いている国もありますけれども、それ以上に、やはり経済安全保障の観点で書かれている国が大体だというふうに思います。
安全保障の観点に対する言及というのが私は大切だというふうに思いますけれども、その点について、価格で書くことはいいんです、価格で書くことは、先ほどと同じです、年と同じですけれども、いいんですけれども、ベースはやはり安全保障にあるべきだと私は思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員御指摘のとおり、エネルギー安定供給をめぐる不確実性の高まり、そして経済安全保障の要請など、GXを取り巻く環境変化も考慮した上で、しっかり検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 明記いただけるということで、ありがとうございます、よろしくお願いしたいと思います。
個別に移ります。水素、洋上風力、蓄電池、それぞれの特徴になります。
水素に関しては、これまでも私も経産委で取り上げさせていただきましたけれども、やはり比較すると如実に出てきたなというふうに思うのが、日本は導入量、一方、世界は製造量、生産量というところになります。目標ラインの設定として、導入量、これも別に私は否定はしないんですけれども、ベースにあるのは、やはり製造量であり生産量であるということだと思います。
加えて、ドイツがパイプラインの目標も書いていますけれども、やはり社会実装を主に具体的にイメージをしていくときにはパイプラインの目標設定も必要だというふうに思いますけれども、その点について動き出していただけないでしょうか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
水素の各国の様々な目標値は、それぞれの政策当局とかなり念入りに我々も議論してきています。ここではちょっと申し上げにくいんですけれども、それぞれ、うまくいっている部分と、なかなか、こういうところを目標の立て方で失敗したなとおっしゃっていられるところもございます。
我々、この場で水素社会推進法案を御審議いただいたおかげで、日本の企業もかなり、御指摘の国内の製造も含めて、具体的な投資活動を進めてきております。この場でもお答えいたしましたが、法律に基づく計画を各社が今検討している、我々も前に出て一緒に検討している状況でございますので、この進捗を踏まえながら、まず、国内での水素の製造目標、御指摘の点は我々としてもつくっていきたいというふうに考えております。
また、パイプラインの方も、拠点のつくり方によって違いますけれども、こちらも必要性をよく見極めながら、しっかりと野心を持って、でも、余り意味のない数字にならないように、意味ある数字を考えていきたいと考えております。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
加えて、いつも部長とも議論させていただきましたので、いつまでにというのが一歩踏み込んでいただけたらうれしかったですけれども、でも、考えていただけるというところで、これは本当に、二年間ずっとやり取りしてきたことではありますけれども、導入量も大切ですが、やはり基軸は製造量、生産量であり、社会実装をイメージするためにパイプラインの目標が必要ではないかということは、改めて御提案させていただきたいと思います。
続いて、洋上風力。見ていただければお分かりのとおり、国産審査、いわゆる国産力というのが問われています。
日本も国産化比率六〇%は書いてあるんですが、その中身がどうなのかというところになると、ううんというところであります。そこが、WTOとの関係性等々いろいろあるのは分かりますけれども、やはり大切なのは各部品のところでどれだけの国産比率を上げられるかというところが極めて大事だと思いますが、年次ごとの各部品の国産化目標、これは明記すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、産業界で二〇四〇年までに国内調達比率を六〇%とするという目標がありますが、個別の部品ごとの目標値は設けておりません。これは、外にどこまで言っていくかという問題もございますが、我々、内部では産業界とはかなり密な意見交換をしておりまして、再エネ特措法に基づく各社各事業の供給計画もしっかり拝見しております。
それらを踏まえて、どこまで日本の製品が競争力ある形で入っているのかを我々は踏まえながら全体目標の実現についてフォローアップしているという状況でございまして、二〇四〇年なんですけれども、直近で運転開始を始めている北海道の石狩湾新港では既に六〇%を達成しているところでございます。
○馬場(雄)委員 部長、ありがとうございます。
やはりしっかりと申し上げたいのは、中での議論はもちろん大切なんですが、戦っていくのがグローバル市場なわけですから、グローバル市場との対話が本来は一番大切なのではないかというところも踏まえた上で、そして戦略的に描いていくというところだと思いますので、その点は、私はむしろしっかりと打ち出していくべきではないかということを申し上げたいと思います。
最後に、蓄電池ですけれども、他国を見ていただくとよく分かるのが、かなり素材に注目しています。素材の調達率、そしてEUであればリサイクル、つまり都市鉱山の利活用ということになるわけですけれども、日本の場合、どうしてもやはりここも価格に注目されてしまうというところが、いいんですけれども、やはり土台、ベースとすべきところは素材の調達率であり都市鉱山の利用であるというふうに思います。
この点について、目標の明記をしていただくことはかないませんでしょうか。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、蓄電池は二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成に向けて不可欠な物資であり、安定供給を確保するためにサプライチェーンの強靱化を進めることは重要だと思っております。日系電池メーカー各社は、国内の部素材メーカーなど、安定的な供給が可能なサプライヤーからの部素材の調達を進めているというところでございます。
他方、委員まさに御指摘のとおり、蓄電池のサプライチェーンのうち、リチウムまた黒鉛など一部の上流資源については、引き続き特定国への依存が高い状態であるということも認識しております。
このため、経済産業省として、資源を有する有志国との連携を進めるとともに、日系企業による資源の確保に向けた投資を支援することで、特定国への依存脱却を後押ししているというところでございます。具体的に、カナダや豪州などにおいて支援をしてきている、着実にプロジェクトが進んでいると認識をしております。
こういった、現在、官民が連携してサプライチェーンの強靱化に精力的に取り組んでいるところでございますが、蓄電池産業の競争力を強化するためには、安定供給の確保だけでなく、価格競争力との両立が必要であろうと思っております。その適切なバランスは各社によって異なることから、調達比率の目標を定めることについては慎重に検討する必要があろうとも思っております。
いずれにせよ、蓄電池のサプライチェーンの強靱化に向けて、経済産業省として引き続き着実に取り組んでまいりたいと思っております。
都市鉱山の方についても、これも戦略に定め、二〇三〇年までの国内のリサイクルシステムの確立を目指してきております。具体的に、ニッケル、コバルト、リチウムを回収する技術の開発とか、リサイクル事業者が国内に拠点を立地するための設備投資等を支援してきております。
ただ、現在、足下ではまだ市中に存在するリチウムイオン電池の量が少ない、こういったことから、今後、中長期的に増えていくことが見込まれているという状況でございます。こういったことも踏まえて、再生材の原料の発生量、調達可能性、再生材の利用によって蓄電池の価格が上がる可能性等々を踏まえて、どのような目標を設定すべきかについては慎重に検討していきたいと思っております。
いずれにせよ、二〇三〇年までの国内のリサイクルシステムの確立に向けて、経済産業省としても着実に取り組んでまいりたいと思います。
○馬場(雄)委員 大臣、お待たせしました。済みません。
今までのこの議論の過程の中で、GX二〇四〇ビジョン、月曜日もあったと思いますけれども、やはりこうした議論を全て含めて具体的に動いていただきたいというふうに思っています。つまり、価格形成は、どちらも大事だと思っていますが、基本的にはやはり安全保障の観点が極めて大事だと思いますし、水素でいえば生産量のこと、そして洋上風力であれば国産審査の部分、そして蓄電池であれば素材調達そして都市鉱山、この点に対して、ほかも本当は議論したいんですけれども、抽出して三分野について申し上げさせていただきました。
是非とも、世界、グローバル市場で日本が勝ち抜いていくために、このための対話、そして政府の打ち出し方が求められていると思いますので、大臣、どうかお願い申し上げたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 一昨日に開催されたGX実行会議におきましては、我が国の経済成長と脱炭素の実現を目指す、GXを加速させ、産業界の投資を後押しするために、産業構造、産業立地、エネルギー、これを一体的に議論して、GX二〇四〇ビジョンとしてまとめる、そういう方向性についてお示しをして、有識者の皆様から御理解を得たところであります。
今回の議論は、まさに国家間の産業競争力をめぐるせめぎ合い、これが激しくなる中で、二〇四〇年頃の日本の将来の産業構造、さらには稼ぎ方はどうあるべきかなど、私はこの国の未来にとって極めて重要なものと受け止めておりまして、緊張感を持って議論を進めていきたいと思っています。
今後のGXを進める上での重要なポイントは、産業革命以来の化石エネルギー中心の社会構造を脱炭素エネルギー中心のものに変えていくということであろうと思っています。ところが、一方で、例えばAIの進展による電力需要の増加がどの程度になるんだろうか、あるいは、水素を利用した製鉄プロセスがどの程度のスピードで社会実装するかなど、脱炭素エネルギーへの転換というのは、実は、需要面、技術面での不確実性が高い中で進めていかなくてはいけないという大変難しい課題であります。これはもちろん、他国も同様に抱えているわけであります。
新たに作成するビジョンでは、各国の動向を冷静に見極めつつ、日本の技術が世界の脱炭素を牽引していけるような絵姿を是非描いていきたいと思っています。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。
まさに日本企業が世界を牽引していくためにも、まずは世界標準の、いわゆる、世界各国と比較してもやはり劣らない、むしろリードしているんだという目標設定が私は必要だと思い、この資料を作らせていただきました。どうか参考にしていただきながら、GX二〇四〇ビジョン、実りあるものにしていただきたいというふうに思っています。
加えて、最近やはり、何となくGXみたいなところも言われてしまいかねないところもありまして、GXが大事だといけばいくほど、いろいろな分野で、GX、何か使えばもうかるんじゃないかとか、そういう話になってきてしまっていますので、何となくGXに対して政府がある程度注意をしていく、やはりGXはこうだというふうに再定義していくということも私は大切だと思っていますので、その点についても織り込んでいただけたら幸いでございます。
続いて、時間の関係上、結構ぎりぎりになり始めていますが、先ほど確認した、民間投資とは融資であるというところ、そして企業投資であるということを確認いたしましたが、やはり市場を形成していくためには、補助金だけではなくて、いかにして融資を広げていけるかが肝になるというふうに思います。
この点、世界の政策を見たときに、一つ参考になったのがEUのグリーンディール投資計画でした。これは、いいか悪いかは別とします、ただ、その中にある復興レジリエンスファシリティーという政策の中には、補助金枠と融資枠を並列で、同じ額でしっかりと明記し、動かしている政策がありました。
ただ、これは、実際は、融資枠は利用割合が余り芳しくなくて、結構やはり如実に難しいんだというところのレポート分析もありましたけれども、ただ、国の描く方向性として、やはり補助金だけじゃなくて最終的には融資なんだと。だから、融資をしっかりとむしろ打ち出した政策をつくっていくということは、私は評価すべきだというふうに思っています。
財政の市場化策というところも求められている中で、今後出していく政策の中に、民間投資というのは何らかいろいろな表現ができてしまうところもあると思いますから、融資枠というのをしっかりと明記した打ち出し方を経済産業省に私はお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 GXの実現には、御指摘のように、EUと同様に、民間金融機関による積極的なファイナンス等によって官民のGX投資を実現をしていくということが重要でありまして、私は融資の果たす役割は大きいのではないかと思っています。
GX技術の社会実装には、不確実性が強い場合が確かにあります。そういう場合は、民間金融機関がリスクを負い切れないケースもあると思うんですね。このため、本年七月に業務を開始する予定のGX推進機構では、債務保証等の金融支援を通じてこうしたリスクを補完する、こういう施策によって民間金融機関による融資を引き出していくことも可能になるのではないかと考えています。
さらに、排出削減が困難な産業の脱炭素化に必要となる資金供給を行うトランジションファイナンスの促進も重要だと考えておりまして、政府では、国際的な基準と整合するクライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針の策定ですとか、鉄、化学等の多排出分野における技術ロードマップを策定することで、トランジションに係る資金供給のための環境整備、これを実施したところでもございます。その結果、この三年間で、民間による融資や債券発行は一・六兆円を突破をしてきているという実情にあります。
引き続き、民間融資を引き出すための取組を実施することで、GX実現に必要な百五十兆円超の官民投資を実現していきたいと考えています。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。
まさに御指摘の点、是非お願い申し上げたいというふうに思いますし、最終的にはやはり融資なんだと。
ただ一方で、金融機関も、いやいや、そこまで、融資、なかなかリスクは取れないよというところも実際あるわけですし、そこで、金融機関さんとの対話、そして民間企業との真剣勝負の対話というところに最終的にやはり目標の設定をした上で、その部分を、最初、民間の百三十兆をどうやって取っていくんですかというところもありましたけれども、その数字をしっかりと追っていく中で分析をしていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。
最後、ペロブスカイトに行きたいと思いますが、日本がまさに技術の生みの親であり、安い、薄い、軽いというところで、あらゆる形状に曲げられ、さらに、発電効率もよく、リサイクルのところもかなり可能性が高い、まさにこれからの太陽光……(発言する者あり)安い、薄い、軽いです。うまいではないです。来年には事業の商業化の可能性がかなり高い、これは本当にみんなで応援していきたいというふうに思っていますし、ここは御期待したいというふうに思います。
今回伺いたいのは、技能の評価方法です。
国際標準規格など、これから整備していくというふうに思っていますが、生みの親としてのやはりプライドを持たなければいけないと思いますし、開発国としての、やはり日本がこの話題をリードしていく、そのための環境整備が私は必要だと思っています。
今の現状と、そして今後の課題のところも含めて、今後の展望についても是非大臣から一押しいただけたらと思います。
○齋藤(健)国務大臣 まさに御指摘のとおり、ペロブスカイト太陽電池について、国内での実用化に加えまして、今後、海外での展開を進めていかなくちゃなりません。そのためには国際標準の策定が重要になります。
こうした問題意識の下で、経産省といたしましては、G7エネルギー大臣会合におきまして、ペロブスカイトの国際標準化の推進について合意をするなど、有志国の間での協調関係の構築に向けた取組を進めてきています。
そして同時に、米国や欧州の研究機関との規格策定に向けた連携を含め、グリーンイノベーション基金を活用して、本年三月から開始された、産総研などの関係者によります太陽電池の性能評価に関する標準規格の検討の取組、こういったものを後押ししていきたいと考えています。
私は、今後、ペロブスカイト太陽電池に関する国際標準分野で日本がしっかりと世界をリードしていかなくてはいけないと強く思っていますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。そして、経産省の皆様方もありがとうございます。
是非とも、本日の議論、何か参考にしていただきながら、GX二〇四〇ビジョンが実りあるものになっていただきたいと思いますし、最後にやはり申し上げたいのは、補助金を出すことに目的があるわけじゃなくて、市場を形成することに意義があるということ、そして、民間企業が挑戦したいというふうに思えるぐらい国益に資する明確な戦略を経産省が打ち出していくということに私は価値があるというふうに思っています。
是非ともやり遂げていただく、成し遂げていただくことを御期待申し上げ、最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、荒井優さん。
○荒井委員 ありがとうございます。立憲民主党の荒井優でございます。
今日はたくさんの方に一般質疑で経産委員会にお越しいただきまして、ありがとうございます。
まず冒頭に伺いたいのが、先ほど公明党の中野先生も御質問されていました、奨学金の企業の代理返還のことになります。少しでもこのことについて多くの方に、特に経産委員会の先生方も含めて、是非お話を聞いていただければというふうに思っております。
何か先ほど御質問もありましたが、企業の代理返還というものを、これは文科省、JASSO、日本学生支援機構という、奨学金を貸し付けている割と公的な団体が行ってきておりまして、これによって、つまり、学生が自ら返さなくても雇用した会社が奨学金を肩代わりする制度というものが進んでいるわけです。
先ほども本当に中野先生からも質問がありましたが、なかなか進んでいない現状もあるんじゃないかというふうに思いますが、まずは、文科省として今どういうふうにそれを受け取っているのか、お答えいただけますでしょうか。
○あべ副大臣 委員にお答えさせていただきます。
企業等による貸与型の奨学金の代理返納につきましては、日本学生支援機構におきまして、各企業等から送金を直接受け付けているところでございまして、令和三年四月の制度開始直後、六十五社の登録だけでございましたが、令和六年四月末時点では一千九百四十八社から登録をいただいているところでございます。
また、企業等における代理返還によりまして支援を受けた人数、令和三年度は八百十三人でございましたが、令和五年度におきましては四千四百七十七人というふうになっているところでございます。
本年度は、奨学金の返還の負担軽減の一つの方策として重要であるというふうに考えておりまして、文部科学省といたしましては、これまでも、本制度を利用した場合の税制上のメリットなども含め、大学の就職支援担当課や中小企業に対して情報提供を行ってきたところでございます。引き続き、経済産業省とも連携をさせていただきながら、周知、広報を行い、より一層の利用拡大に努めてまいりたいというふうに思います。
以上でございます。
○荒井委員 ありがとうございました。
僕も以前は文科委員会でしたので、そのときにもこの質問をさせていただきました。といいますのも、僕は元々、国会議員をやる前に高校の校長をやっていまして、そのときに、やはり生徒たち、高校生に対して、学校側は、極めて善意な気持ちで、こういう奨学金があるから、奨学金でもって大学に行くことができるよ、そういう進路指導を本当に善意な気持ちで行っています。
JASSO、日本学生支援機構、この奨学金には二通りパターンがありまして、一種、二種、つまり、利子がつくものとつかないものというものがあるんですよね。利子がつくつかないで、おおよそ、利子がつかないものを借りている学生が大体四割、利子がつくものを借りている学生が六割だというふうに受け取っていただいていいかと思います。つまり、半分以上の学生は利子がついているもの、ただ、この利子そのものは〇・三六%ぐらいで、決して高くはないものではございます。
今日お配りした資料、これは、週刊誌から取った、去年の十月のことではありますが、まさにこのことについて触れた、極めて好意的に取り扱っている記事でございます。その中でも、こういう、まさに、社員の奨学金を肩代わり、一千社超す、人材確保に向けた新たな一手なんだということを、ビジネス誌で、週刊誌というよりビジネス誌ですね、そちらの方で取り上げていて、是非もっとこういうのを押し上げていこうよという話があるわけです。
まずちょっと御覧いただきたいのが、ちょうど数字で五というふうに書いてあるところの、赤線を引っ張ってあるんですが、ちょっと線を引っ張り切れなかったので、そこの上のところの最初の段落に、「学生の半数が奨学金受給」と書いてある見出しがあるかと思うんですね。五と数字を書いた上のところに、大見出しになっているかと思います。
つまり、今、日本全国の大学生の約半分が奨学金を借りているんだということですね。そして、JASSOが全てではないんですが、そのおおよそ、先ほど申し上げたような、四割の学生は無利子、借りたお金をまま返しますが、六割の学生は有利子を返しているんだということ。
そして、五のところをちょっとお読みいただきたいんですが、足下の学生一人当たりの平均借入額は三百万円程度、平均の完済年度は約十五年となっているということになっています。つまり、二十二歳で大学を、まあ大学生が主に借りていますが専門学生ももちろんいらっしゃいます、でも、二十二歳で借りると、おおよそ三十代フルフルまで、つまり四十代ぐらいまではこの奨学金を返していくという生活が続いていくという、そんな現状なんです。
だからこそ、この奨学金の問題というのは常々ありまして、日本学生支援機構、文科省も、こういう仕組みをやはり導入するべきだと。実は、昨日レクを受けていたときにも、文科省の担当の人も、実は僕も借りていましたと。そんなお話もあって、もちろん、役所の人たちだって、借りている人は恐らく半分ぐらいはいる、そんな現状があるわけです。
そういう状況、これはもう少し細かく見ていくと、先ほど本当に中野先生からいろいろお話しいただいたので、僕もその間に少し調べました。おおよそ、三百万円を借りたら、毎月返す金額は、第二種、利子がある方だと、一万五千二百円を毎月大体返済金として払っているわけですね、一万五千二百円。これは、一年間になりますと十八万二千四百円というふうになるわけです。
厚労省が発表している賃金構造基本統計調査によると、三十代前半の男性の正規職員の賃金というのは、今三百七万円というふうに言われているそうです。これの中で、先ほど申し上げた、一年間に奨学金の返済だけで返す金額というのを割り返しますと、五・九%という数字になります。つまり、三百七万円収入を得た中の五・九%を奨学金の返済に充てているという形になるわけです。これを、非正規の男性で同じ年で見ると七・六%、やはり少し高いわけですね。女性の正職員でいうと六・七%を奨学金の返済に充てている。そして、女性の非正規の方でいうと八・六%を奨学金の返済に充てているという、そんな状況です。
僕もこの通常国会から経済産業委員会になりましたが、経産委員会では賃金をどうやって上げるかという話をまさにここずっとしていて、様々な取組もされている中、ただ、実質賃金ベースではなかなか賃金が上がっていなくて、去年に比べたら二・五%減っている、こういうことも厚労省から毎月勤労統計調査で出ているわけですが、実質賃金は下がっている。ただ、奨学金の返済に関しては、当然減ることはなく、逆に負担率は重くなっているはずじゃないかと。そういう厳しい状況があるということを、是非、文科省は当然御存じだと思うんですが、経産委員会の皆様方にもどうぞお知りおきいただきたい。そういう仕組みの中で、状況の中で、今回のこの代理返還制度があるわけです。
先ほどの資料の中で、一、二ということで書いたところも是非お読みいただければと思いますが、特に二の部分、先ほど中野先生もお話しされましたし、答弁でもありましたが、まさに今回の返還金、企業が肩代わりした分に関しては、会社は損金算入もできますし、また、これは経産省が頑張ってやっている賃上げ促進税制の対象にもなりますので、法人税としても控除されるという、そんな形になるんですよね。そういった意味では、非常にいいメリットしかない仕組みであります。
もう一つだけ。四番のところですね、この制度を使うと長く勤めることに寄与しているという、そんな企業の答えもあるわけです。
誰にとってもいい話だというふうに思いますが、それに比べると、前回の法案の審議では日本には約三百六十万の会社があるという議論をしていた中で、その中で、これだけコロナ禍から対応された政策で、それでも二千社ぐらいにしかすぎないところにしかこれが導入されていないのかというのはどうしてなんだろうというので、文科省も頑張っているんだと思う、文科委員会でも聞いてきましたから。やはりここは、経済産業省がもっともっと力を上げて、かつ、我々、特に経産委員会の国会議員は、自分の地元の、例えば企業とかそういった経営者の人たちにこういうものがあるんだと、制度をちゃんと伝えることというのは必要なんじゃないかというふうに思うんですが、是非、まずは文科省からも、そこへの思いをもうちょっとお伝えいただきたいというふうに思って。済みません。
○あべ副大臣 委員が御指摘のとおり、大変いい制度でございまして、私ども、本当に啓発にもっともっと尽力していきたいところでございまして、実は、文科省としても、各企業を回って、経団連などにもお話をさせていただいているところでございますが、更に経済産業省と連携を進めてまいりまして、しっかりとこの利用拡大に努めてまいりたいというふうに思います。
また御指導よろしくお願いいたします。
○荒井委員 この制度が広まっていくことに関しては、努力を惜しみません。
昨日も文科省の方といろいろ話をしていまして、こちらの資料にもグラフが出ていて、日本全国で何件ということで、これは、では例えば自治体ごとだとどうなんですかというふうに伺ったら、一応それは公表はしていないんです、表には出していませんが、当然数字の積み上げですからありますということなんですね。
これは僕の想像ですけれども、結構地域差もあるんだというふうに思っておりますし、多分先生方の御地元でも、思ったより少ないなというか、自分がもうちょっと声をかけたら、すぐ十倍とか百倍ぐらいになるんじゃないかという感じになっているんだと思うんです。
そして、文部科学省からすると、企業というのは経団連に見えるかもしれませんが、実質は、例えば、もちろん選挙をやっている身だとよくお分かりのように、商工会議所や、青年会議所や中小企業家同友会とか、地域でそれぞれ頑張っている組織もございますし、先ほどの経産省の答弁では、よろず支援拠点とか、いろいろな経産省の直接のところでやりますというお話はありましたけれども、もう少し各々、それぞれが、そういった会頭であり会長であるというところにこういう正しい情報を持っていって、そんなに難しい仕組みじゃないはずなので、やっていってくださいというふうに言えば、僕は、もっと広がっていく、そういったものをもう少しKPIを設けて政府として進めていっていいんじゃないかというふうに思うんです。
ここで、齋藤大臣に、是非経産省として、これは確かに経産省そのものの政策ではないのかもしれませんが、でも、これは、伺いましたけれども、予算的な措置は必要のないものだというふうに聞いていますので、別に上限が設けられているわけではないんですね。
こういった、今日お配りしたような記事とかを是非いろいろな方とかにもお見せいただいたり、資料とか、文科省が作っているものもありますので、是非いろいろな経済団体とかに、若しくは御地元にお話しいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 制度的に企業にどんなメリットがあるかという話はもう既に行われていますので、私から繰り返しませんが、私もこれは大変いい制度じゃないかなというふうに思っています。
今伺っていて考えついたんですけれども、これを、学生のための支援ではなくて人材確保策の一つだという切り口で人材対策の中に組み込んでいくということもありなのかなと、外国人をどうするかということの中に、学生を採りやすくなりますみたいなことで、そういう位置づけでPRをしていくということもありかなというふうに思いました。
いずれにしても、経済産業省が持っている組織、団体、いろいろありますので、こういうところでの周知に努めるとともに、人材確保策だということで少し強調をしていくことについてちょっと考えていきたいと思っています。
○荒井委員 ありがとうございます。
商工会議所の例えば理事会社というんですか会頭の会社だったり、今全体で千件ぐらいですから、本当に思ったより多くの会社がしていないんですけれども、しない理由というのはほとんどないんだと思います。もちろん、学生が来るかどうかというのは、それはそれぞれの個々の企業の採用努力ですけれども。
ですから、半分以上の学生は奨学金を借りているわけです。それを会社にとっては代わりに返していく。なので、それは当然十五年ぐらいかかっていく人たちもいるわけですから、少なくとも、そういった会社に長く勤めよう、そういう学生が出てくるんだというふうに思いますので、これはまさに人材確保の観点から、そして特に地域の中小企業とか頑張っている会社にとっては物すごい重要な施策だと思いますので、そういうキーな政策として進めていただきたいというふうに思います。
副大臣、本当にありがとうございます。是非、文科委員会の方でも頑張っていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
それでは続いて、DXの推進の観点から、今度は、法務省、法務副大臣にお伺いしたいというふうに思います。
実は、先日、日弁連、北海道の弁護士の皆さんからいろいろお話を伺っていた際に、遠距離接見のお話を、大変なんだというお話を伺いました。と申しますのも、北海道は国土の二二%を占めている大変広いところですが、この拘置所が、つまり、逮捕された人が最初に入る拘置所が今どんどん地方からなくなっていって札幌に集約されている、そういうお話でございました。例えば、それこそ山岡先生のいらっしゃる苫小牧からも拘置所がなくなったので札幌に行かなければいけない、そういうふうに伺っています。
そうすると、特に国選弁護士の方の場合には、当然、札幌まで行って被疑者の方と打合せ、若しくはいろいろな話をされるんだと思いますが、これがオンラインが許されていないので毎回足で行かなければいけない、自分で運転していかなければいけない、そういうことです。
僕も仕事をしていて感じますのは、北海道の、例えば苫小牧と札幌というのはおおよそ車で一時間だという感覚なんですけれども、でも、冬、雪が降ると、ほぼ倍の時間をみんな見るんですよね、約二時間ぐらいかかるだろうというふうに。そんなふうに思うぐらい、移動にかかるコストと、そしてリスクというものが内在する形になります。
これは、どうして遠距離接見に、まさにDXを推進していく中で、オンラインによる接見というものが許されていないのか、教えていただけますでしょうか。
○門山副大臣 お答えいたします。
刑事訴訟法第三十九条一項に規定する接見につきましては、被疑者、被告人が収容されている刑事施設に弁護人等が赴いた上で対面で行われるものと解釈されておりまして、いわゆるオンライン接見というのは同項の接見には含まれていないというふうに解釈されているところでございます。
オンライン接見、刑事訴訟法上の権利という位置づけではないものの、実務的な運用の措置として、従来から一部の地域においては検察庁や法テラスと拘置所等の間のオンラインによる外部交通を実施してきたところではありますが、現在、弾力的にその実施を拡大していくべく、関係機関及び日弁連との間で協議を進めているところでございます。
今後とも、関係機関と連携しつつ、スピード感を持ってその取組を進めてまいる所存でございます。
○荒井委員 ありがとうございます。
この弁護士の先生方にお話を伺っていた際に、実は、数年前に、まさに苫小牧の弁護士の先生が、若い、当時三十八歳の弁護士の先生が交通事故で亡くなっているんですが、これも遠距離接見で札幌に行く際に事故に遭ったんだというお話を、女性の弁護士先生だというふうに伺っております。こういうリスクが、つまり、それぞれの弁護士の方々の仕事上の課題にもつながっているんだなというふうに感じております。
電話による遠距離接見というのはやっているところが少しずつ出てきたりとか、それぞれ地域差があるようには伺っていますが、特に北海道の場合には、本当に広い国土で、かつ、札幌にどうしても集中しがちなものですから、是非オンラインによる遠距離接見というものがスムーズに進んでいくようお願いしたいというふうに思っております。国も挙げてデジタル化というのを取り組んでいるところでもありますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今日は本当にお忙しい中お時間をいただきまして、ありがとうございました。
三つ目について、次はライドシェアのことについてお伺いしたいというふうに思っております。
私も超党派のライドシェア勉強会というものの事務局長という形で、いろいろとこの間、去年の秋から、大変いろいろと議論がある中でさせていただいておりまして、改めてこういった政策をつくっていくことの難しさとそして大切さ、この四月からライドシェアが、タクシー会社によるライドシェアが解禁されておりますので、進んでおります。私の地元の札幌でも恐らく今月中にはライドシェアの車が走ることになりますので、期待をしているところでもあります。
一方、今、ライドシェアの現状に関しましては、既存の法律の範囲内でタクシー会社が運営する、若しくは自治体が運営するという形でやっておりますが、元々、例えば私たちの勉強会をするときからも、新法を作るかどうかという議論に関しては、これは勉強会でもずっと議論が伯仲しているところではございます。ただ、今回、今僕自身もこの政策をつくるところに関わっていて感じるのは、四月から始まったばかりのところに、今年の秋に新法を作るみたいなそういう報道が時々なされるわけですが、秋に、そもそもライドシェアがまだスタートして数か月でしかないときに、更に次の方に行く必要というのが本当にあるのかというのは、僕も事務局長みたいな立場ながら、実は大変疑問にも思っています。
これはそれぞれの政党、各党各会派で議論のあるところではありますが、でも、これもまたDXにまつわる話でもありますし、規制緩和でもあり、タクシー会社は国土交通省の所管かもしれませんが、同時に経済産業省も一つの会社として向き合っていると思いますので、このライドシェア、本当に新法が必要なのか、僕は必要ないんじゃないかというふうに思っているんですが、そこのところの国交省としての見解を教えていただければと思います。
○石橋大臣政務官 荒井委員にお答えいたします。
御指摘のとおり、自家用車活用事業、今国交省としても進めておりますけれども、これは四月の八日から東京と京都で運行が開始されまして、今現在、その後、横浜、名古屋、軽井沢等でも運行が開始をされているところでございます。
そして、各地域におけるタクシーの数と乗りたい方のマッチング率でありますけれども、タクシードライバーさんが増加をしてきているということもありますし、また、昨年の十月から十二月のデータと比較しましておおむね改善をしてきているところでありまして、そういった点では、この四月からしております自家用車活用事業ですけれども、こちらは担い手の確保や移動の足不足の対策として一定の成果を上げているのではないかというふうに認識をしているところであります。
一方、委員に御指摘をいただきました新法の件でありますけれども、度々、六月に向けまして、いわゆるライドシェア新法の必要性の議論について、国交省としても論点整理を今丁寧に進めているところでございます。ただ、六月までに結論を得るというふうに決まっているわけではございません。
国土交通省といたしましては、今後も、配車アプリ等のデータを検証しながら、地域の移動の足不足解消の状況を確認して、制度の改善に向けて不断の検証を行うことが重要だというふうに考えております。
○荒井委員 ありがとうございます。
同じように感じてはいるんですが、時々、新聞を見ていると、岸田総理が何か秋までにみたいな話をされている、いろいろな委員会、規制改革委員会とかで岸田総理が話しているみたいな感じの新聞記事とかを拝見すると、ちょっとそこまで行くと本当に、今一生懸命頑張って新しい取組をしている事業者や若しくはドライバーの皆さんだったり、その制度設計をしているそれぞれの役所や自治体の皆さんにとっても、これをどうやって進めていったらいいのかということを大変難しく感じてしまうんじゃないか、やらなかった方がいいんじゃないかと思ってしまうんじゃないかというふうに大変僕は懸念を感じているんですけれども、その辺の、国交省と総理が平仄は合っているのかどうかというのはいかがなんでしょうか。
○石橋大臣政務官 平仄は合わせてきておりますし、一つ繰り返しになりますけれども、新法を作るということが決まっているわけではございませんし、六月に向けて、今は論点整理を丁寧に進めさせていただいているということで御理解いただければと思います。
○荒井委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
超党派でしっかりと、僕もいろいろと、特に労働組合の皆さんから大変心配されていて、本当に大丈夫なのかというふうによく御質問もいただきますし、本当に安心、安全で、既存のタクシーにとっても、ライドシェアにとっても必要な政策にしていきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
こういう中で、やはりやっていて感じるのは、規制緩和をする案件というのは本当に難しいんだなというふうに感じていまして、やはり、既存の事業者の方々にとっても脅威になり過ぎたら、これはちょっと緩め過ぎると一気にタクシー会社が日本からなくなる可能性もたくさんありますし、日本が積み上げてきたタクシーのエクセレンシーというかサービスレベルの高さをどう維持しながら続けていくのかという意味では、規制緩和は大変難しいんだなというふうに思いながらやっております。
経産省は直接の所管ではないとは思うんですが、でも、ライドシェアというのもデジタル化が進展するとともに世界で出てきた新しいサービスだというふうに思っています。波に遅れ過ぎてはいけないし、でも日本の現状の状況もよく踏まえた上で進めていくべきだというふうに私は思ってやっているんですが、齋藤大臣の所感だけ伺えればと思います。
○齋藤(健)国務大臣 私も、小泉進次郎さんに言われて、超党派のライドシェアの勉強会に大臣に就任する前は顔を出していたんですが、大臣としての御答弁をいたしますと、ライドシェアは、地域交通の担い手不足への対応ですとか、地域における移動の足の確保といった社会課題の解決につながる手段として、その導入に向けた丁寧な検討、これが進められているというふうに認識していますし、こうした中で、ライドシェアの一つの形態であります自家用車活用事業については、既に四月から新たな制度が開始をされているというふうに承知をしています。
ライドシェアを含むシェアリングエコノミーの推進というものは、社会課題の解決にとどまらず、新たな技術の社会実装やビジネスモデルのイノベーションを通じて、日本経済の活性化につながっていくものだというふうに認識をしています。
経済産業省としては、AIやIoTを活用し、利用者の予約に応じて運行する交通サービス等の実証事業を支援をしているところであり、引き続き、新たなモビリティーサービスの実現に向けた取組を推進してまいりたいと考えています。
ただ、その際には、今国交省が自家用車活用事業の利用状況を調査をしていると承知しておりますので、経済産業省としても、その状況をよく注視した上で取組を進めていきたいというふうに考えています。
○荒井委員 ありがとうございます。
これは結局、ライドシェアの問題だけではなくて、本当に、地方の公共交通のバスや電車、JRといった、そういった問題にも大きくつながることだなと思います。
その中で、時間がなくなってきましたので手短に伺いますが、自動運転にこういったタクシーの経営者たちも物すごく関心を持って、先日も、知り合いのタクシーの経営者たちが、中国のベンチャー企業、スタートアップの会社のところに行って自動運転のシステムを見てきたら余りにも驚いたという話をしていました。トヨタが出資している会社ではあるんですが、まさにこの会社のシステムを入れたレクサスに乗ったら、本当に人が運転するのと同じレベル感でやっているんだなというのを若いタクシー経営者すら感じたと。日本ではまだ当然法律的に乗ることができませんけれども、でも、それだけ世界の自動運転というのが進んでいるということに本当に驚いたというふうに言って帰ってきたわけです。
この自動運転に対して日本は国としてどういうふうに向き合っていくのか、お答えいただけますでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 自動運転による移動サービス、この実現は、地域公共交通のドライバー不足解消ですとかそういった社会課題の解決手段という点に加えまして、より付加価値の高い製品、サービスを創出するという自動車産業の国際競争力強化の観点からも重要だと認識をしています。
こうした新たなサービスには、ロボットタクシーやバス型など様々な形態が想定をされるわけでありますが、地域のニーズや特性等に応じて最適なサービスが異なっているという実態もありますし、また費用、収益構造も異なるという様々な実態があります。
他国でもビジネスモデルの確立の途上であると認識していますが、早期にこうしたビジネスモデルを確立していくということは、様々な社会課題の解決に加えて、世界市場の獲得に当たっても鍵になるというふうに考えていますので、経済産業省といたしましては、関係省庁と連携しながら、自動運転システムの研究開発から社会実装まで一貫して取り組む官民プロジェクト、それから商用サービスの実現に向けた円滑な許認可取得のための関係省庁による会議体でありますレベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティの立ち上げ、運営、こういったことに取り組んでいるところであります。
これらの成果を統合していくことで、様々な形態のビジネスモデルの確立、さらには海外市場の獲得につなげていきたいというふうに考えています。
引き続き、官民連携のハブの機能を担いながら、これらの取組を一体として進めて、我が国における自動運転による移動サービスの早期の社会実装に取り組んでいきたいと考えています。
○荒井委員 ありがとうございました。
もう時間もあれですので、最後に。
この仕事をしていますと、いろいろな各地の公務員の労働組合の皆さんと意見交換する機会がございます。先日も、北海道の、本当に地域で一生懸命頑張っている二十代の若い公務員の皆さんと意見交換をしているときに言われましたのが、今、エネルギー代の高騰で、例えば通勤手当とか、あと北海道では寒冷地手当というものがあるんですが、こういったものが全く変わらずに、まさにこれも、公務員の給料もなかなか上がらない中、こういった諸手当が上がらなくて本当に苦しい生活なんですということを切々とおっしゃられた方々がいて、これは本当に僕も苦しい思いで伺ってはいたんですが。
最後に伺いますけれども、こういった公務員の通勤手当や寒冷地手当というものは上がらないんでしょうかということをちょっと最後に人事院に伺えればと思います。
○岡本委員長 人事院箕浦事務総局給与局次長、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。
○箕浦政府参考人 お答えいたします。
二つの手当について御質問をいただきました。
国家公務員が自動車を使用して通勤する場合の通勤手当につきましては、民間における通勤手当の支給状況につきまして調査を行いまして、その結果を踏まえて手当額を改定しております。今後とも、ガソリン価格の動向にも留意をしつつ、定期的に民間企業の支給状況を把握し、必要な検討を行ってまいります。
寒冷地手当につきましては、気象庁が作成する気象データの更新に合わせまして十年ごとに支給地域等の見直しを行うことを基本としておりまして、本年の勧告に向けて検討を行っているところでございます。
○荒井委員 どうもありがとうございました。
○岡本委員長 次に、山本剛正さん。
○山本(剛)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の山本剛正でございます。
前回は法案審議で、今日は久しぶりの一般質疑ということで、前回大臣から私の行動にお墨つきをいただいて、家で……(齋藤(健)国務大臣「今日はいないですね」と呼ぶ)今日はいないんですけれども、威風堂々と家におりましたら、あなたは日々の行動が悪いわけではない、態度が悪いということを言われて、やはり乗り越えなければいけない壁は高いなという思いをいたしましたが、乗り越えなければいけない壁といえば、やはり日本経済のこれからでございまして、そういった意味を込めて、今日は、先日もちょっとお話をいたしましたが、クールジャパンについて三十分一本勝負でやらせていただきたいというふうに思います。
前回もちょっと触りで申し上げましたとおり、このクールジャパン、私は、入口の考え方は非常によかったと思うんですね。ただ、余りにも多岐にわたり過ぎてしまって交通整理もなかなかできない中で、細部にやはり魂が宿らなかったというのがクールジャパンの今の現状なのかなというふうに思っております。
なかなか苦しいところに立たされているというふうに聞き及んではいますけれども、冒頭に申し上げましたとおり、入口の考え方はよかったというところに返ってみれば、私は、それならばきちっとやはり入口に戻ってやっていく必要もあるのかなというふうに考えております。
日本のポテンシャルであったり日本の様々な技術であったり考え方、そういったものはまだまだ世界に通用する。今日どなたかの質問で、韓国に大きく抜かれて、今マレーシアの足音が聞こえてきているみたいな話もありましたけれども、あくまでもそれはそれでありまして、元々持っている日本のポテンシャルにもっともっと私は光を当てていく必要があるのではないかなというふうに思っております。
例えばクールジャパンでいうと、日本にあるものをただ海外に売っていけばいい、アニメであるとかそういったもの。でも、じゃ、海外で本当にどういうアニメが人気を博しているのか。ちょっと僕はアニメのことは余り詳しくないんですけれども、近年のアニメのことはおいておいても、私がよく知っているアニメでいうと、ちょっと意外だったのが、例えばですけれども、「一休さん」というのは実はすごい海外で人気があるんですね。どこで人気があるかといったらイランなんですよ。えっ、ちょっと待てよ、イスラム圏で何で仏教のアニメが人気なんだ、こういう疑問に当たるんですが、やはりそういったところにもしかしたら大きなヒントというのがあるのかなというふうに私は思ったんですね。
私が小さい頃から慣れ親しんでいた「一休さん」の感覚というのは、とんちを使って、偉い人を目の前に、一休さんという小さな子供のお坊さんが様々な難題をとんちによって解決をしていく、その痛快さといいますか胸のすく思いみたいなものが、もしかしたら海外の人も同じような感覚を持っているのかもしれない。
例えば「ドラえもん」でいうと、スペインで大人気とかですね。スペインというのは、何か僕らの感覚では、ただただ陽気で食べ物もおいしくてというイメージですけれども、そこに例えばドラえもんの道具があったらどんな展開になっていくんだろうということを考えていくと、ちょっとわくわくして見るなというような思いがあります。
ですから、もちろん今大人気の漫画というのは実はほかにもたくさんあるんですけれども、そういった、日本で作ったから、日本のアニメが世界で売れているから、どんなものでも持っていけばいいとかという感覚ではなくて、海外の方のマインドが日本人の心をどのように捉えているのかというのをやはり考えていく必要があるんだろうなと。そこから始めて、本当に海外に売り出していく、若しくは日本の技術をもっともっと展開をしていくということが私はこれからのクールジャパンで必要なのではないかなというふうに思っております。
ちょっと初歩的なことというか、基礎的なところから伺っていくんですけれども、クールジャパン、二〇一〇年の六月にクール・ジャパン室というものができました。それ以降の予算概要をちょっと教えていただきたいというふうに思います。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府では、二〇一六年度に開催したクールジャパン関係府省連絡・連携会議から、クールジャパン戦略に関連する関係府省庁の施策に関する予算について、毎年取りまとめを行って公表しています。
具体的には、クールジャパン関連予算について、二〇一六年度から二〇一四年度当初予算まで合計いたしますと四千三百九十六億円というふうになっております。
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
これは、多分、経産省にお部屋ができて、その後、課に昇格をして、経産省の中でやっていたものが内閣府さんに行って、内閣府さんが全ての取りまとめをしていくのが二〇一六年ぐらいですかね。要は、そこからずっとどれぐらいのお金をかけてやってきたのかということをきちっと把握を、二〇一六年からは把握ができている、でも、それ以前はできていない。
やはり事業でありますから、どれだけの費用がかかったかというのは私は捉えておく必要はあるのかなというふうには思います。ですから、これは全てが、じゃ、それだけ使ったからそれを取り返さなきゃいけないとかということではなくて、やはり形にしていくためのものというのも当然あると思いますので、捉えていただいて、どれがどういうふうな形になっているのかというのは、私は今からでもやはり捉えていく必要があるんだろうなというふうに思っています。
クールジャパンは、機構をつくって、機構で今いろいろなことをやっている。株式会社海外需要開拓支援機構、これがいわゆるクールジャパン機構というものでありますが、機構への財投の措置額はどのぐらいかをちょっと教えていただきたいと思います。
○山影政府参考人 お答えいたします。
クールジャパン機構の設立以降、二〇二三年度末までのクールジャパン機構への財政投融資措置額の合計額でございますが、千二百三十六億円となってございます。
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
二〇一三年の設置時は三百億だったというふうに私も調べております。二〇二四年の四月十五日時点で千二百三十六億円。なかなかの金額だというふうに思いますし、これは、機構の例えば投資先とかを見ると、本当にこれかと思うようなものも、結構、実はやはり私が見ていてもあります。
これだけの巨額のお金を使っているわけでありますけれども、そもそもこの海外需要開拓支援機構とはどういったことをやられているのかというのを、ちょっとここで御説明をいただきたいと思います。
○山影政府参考人 お答えいたします。
クールジャパン機構は、日本の文化、地域の魅力を生かしまして、海外需要の開拓を行う事業等を支援することで、我が国経済の持続的な成長に資することを目的に設立された組織でございます。
この目的の下で、民業補完を原則といたしまして、事業リスクが大きく、回収までに時間がかかるため、民間だけでは十分に資金が供給されないような案件に対しまして、呼び水となるリスクマネーの供給等の支援を行っている、そういう機関でございます。
○山本(剛)委員 そう聞くと、なるほどなとなるわけでありますが、ただ、やはり、見てみると、ぱっと見たとき、政府でやりますよというかけ声があって、ではやっていきましょうと機構にお金ががんと下りてきて、政府、民間から入っていくわけでありますけれども、そうすると、私は、国会に議席はありませんでしたけれども、見ている中では、随分いろいろなものが群がってきているなというのが正直な思いでありました。
実際、残念ながら、これから伺うんですけれども、機構の損失額がどれぐらいなのかをちょっと教えてください。
○山影政府参考人 お答えいたします。
二〇二二年度末時点でのクールジャパン機構の累積損益額でございますが、マイナス三百五十六億円となってございます。
○山本(剛)委員 そうなんですよ。だから、出資が千二百三十六億円で、累計の損失が三百五十六億円。これは、例えば会社として、株主がこの数字を見たときにどういう反応を示すかといえば、それはもう御案内のとおり、御想像のとおりだというふうに思います。当然、リードタイムが長いですからというのもあります。だけれども、やはり、余りにも、中身を見てみますと、当然、事務的経費といいますか人件費、そういったものが結構多かったりもするんですが、本当にこの中での見込みがよかったのかどうかというのを本当に冷静に見ているのか。
二〇二五年度に黒字化をするということを言われているわけでありますが、これは二回書き換えておられるみたいですけれども、この事業を本当に黒字化できるのかという見通しとか、何でこの三百五十六億円もの損失が今ここで出てしまっているのかというその原因なんかは突き止められているのかをちょっとお尋ねをしたいと思います。
○山影政府参考人 お答えいたします。
クールジャパン機構、先ほど申し上げましたとおり、日本の文化、地域の魅力を生かしまして、海外需要の開拓を行う事業等を支援する、そのための組織でございます。
他方で、民業補完を原則と先ほど申し上げましたけれども、事業リスクが大きいもの、これにつきまして、民間だけでは十分に支給されない案件につきましてリスクマネーを供給する、そういう性格を持ってございます。
その上で、特に設立当初の投資案件を見ますと、政策的意義を重視する余り、収益性に課題があるものも多かったものと承知してございます。ゆえに、二〇一八年以降になりますけれども、政策性と収益性のバランスを追求するよう投資方針の変更をするなど、必要に応じた見直しを行ってきてございます。
他方で、これも御承知のとおり、新型コロナの感染拡大、それから長期化の影響等が加わりまして、結果として、二〇二二年度末の累積損益額は、先ほど申し上げたとおりマイナス三百五十六億円になったものと承知してございます。
現在、こうしたことも踏まえまして、二〇二二年十一月にクールジャパン機構におきまして経営改善策を打ち出しまして、これを行うことを通じまして、毎年度の投資計画における累積損益額の目標額、これを達成していくこととしてございます。
この中で、議員御指摘の二〇二五年度以降でございますけれども、投資回収が本格化いたしまして、単年度黒字化が実現することを見込んでございます。
引き続き、機構におきましては、投資先の管理と資金回収の強化、それから案件組成や投資先の支援強化並びに必要経費の効率化など、経営改善策を着実に遂行させていくとともに、経済産業省としても、これがラストチャンスであるという決意の下でしっかりと監督を行っていきたいと考えてございます。
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
いわゆる中身を見ていると、うまくいっている部分も当然あります。なかなか難しいというものもあるというお話でもございました。うまくいっているものはどんどんこれからもやはり進めていくべき、うまくいくであろうというものは全て。だけれども、やはり、もう厳しいなというものについては、ある程度の見切りをつけるといいますか、ある意味での決断をしなければいけない部分も出てくるというふうに思います。
その道はその道でいいんです、クールジャパンの中で。ただ、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、一回やはり入口のところまで立ち返って、広い道を歩んできて、いろいろな人が歩いていたのをやはりもう少し狭い道にして、成功するだけの道を歩んでいく中で、クールジャパンそのものの考え方がいいとするならば、やはりもう少し考え方を今後変えていく必要があるというふうに私は思っております。
それで、何が言いたいかといいますと、結局、この機構がやられていることは、海外でこういう需要を開拓してどんどん日本のものを売っていくんだという一つの商取引でしかないわけですよ、そういう意味では。
それを、海外の需要を開拓するのはやはりリスクも大きいし、いろいろ大変なこともあるということで、国も支援をしていきましょうということだと思うんですが、本来であれば、別にやはりこれは民間でもできるようなことでもありまして、そういう意味では、なぜ国がこれを、クールジャパンというものを、ある意味、産業といいますか柱にしてこれからやっていこうとしたのかといえば、私は、ある意味、本当にオール・ジャパン、日本の様々な技術力であったりアレンジ力であったり、そういったものをもっともっと世界で有効に使っていくことを目的としなければいけなかったのかなというふうに思います。
例えば、日本の中小企業さん、小規模事業者さんで、世界に類を見ない技術を持っておられるところは幾らでもあるわけですよね。そういった中で、でも、その人たちは、今までずっと同じことをやってこられた人だったりすると、じゃ、我々の技術をどこの誰が求めているのかとか、どこに活用できるのかとか、どうやって海外に出ていくのか全く分からないというような方たちも非常に多いわけであります。
だから、そういった方たちにやはり道しるべをしっかりとつくっていくことも私はやっていかなければならないことだったというふうに思いますし、逆に、世界の中では、もしかしたら様々なアイデアを持っている人がいて、だけれども、このアイデアをどこに出していけばこれが本当に形になるのかというのを懸念される、懸念といいますか、そういうふうに考えておられた方たちも多分たくさんおられただろうというふうに思うんですね。
そういった方々が、どこに持っていくか分からないじゃなくて、ああ、日本に持っていけばいいんだ、日本に持っていけば日本の技術で何とかしてくれるかもしれないというような、そういった感覚になっていくことが私は必要だったんだろうなというふうに思っているんです。
これは多分今からでも間に合うと思いますし、これは後から大臣にもお伺いする話なので、これは後からちょっとお話をしますが、そもそも、じゃ、今の話を前提に、現在まではこの機構をどのような方針で進めてこられたのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
クールジャパン戦略は、世界からクール、格好いいと捉えられる日本の魅力を学んで、発見し、磨き上げ、発信する一連のプロセスの中で、クリエーティブな活動やイノベーションが日本各地で生まれて、日本の経済社会の活性化やソフトパワーの強化につなげていくという非常に重要な取組でございます。
このクールジャパンについて、二〇一九年に策定したクールジャパン戦略においては、世界の目線を起点にしたマーケットインの発想で進める、それから日本の魅力の幅の広さと奥の深さを追求していく、そして関係者のネットワーク化による連携強化を進めていく、こういった方針が示されていて、これを踏まえて取組を進めています。
近年は、知的財産推進計画、これは毎年取りまとめているものでございますけれども、これに基づきまして、コンテンツ産業では、デジタル時代の構造変化に対応するため、クリエーターの活発な創造活動を促進して、我が国が持つコンテンツ資産を十分に活用できる環境の構築に向け、官民一体となって取組を進めています。
また、インバウンドなど横断的な取組においては、日本の埋もれた魅力を発掘して、地方のオンリーワンの魅力を磨き上げるとともに、クールジャパンの担い手同士のネットワーク構築、こういったところに取り組んでいるというところでございます。
○山本(剛)委員 そういうふうに聞くと、でもちょっと抽象的で、ふわっと、言うなれば、何でもかんでもですみたいな感じに聞こえなくもないなというふうに思います。
事業ですから、やはり主眼、目的は明確でなければならないと私は思うんですね。日本の魅力を発信する、日本の魅力を云々といっても、それって何だ、どうやったらそれが海外の人に受け入れられるのかと。
それで、コンテンツだとかなんとかといいますけれども、例えば、もう少し分かりやすいもので考えた方がいいと思うんです。クール、格好いいと言うけれども、格好いいの感性というのもいろいろありまして、僕は僕自身のことをすごく格好いいと思っているんですけれども、多分世間の人は全くそんなことは思っていないと思うんですよ。
だから、感性というのはいろいろありまして、その格好いいの概念も、やはり、固まっているのかなといえば、ちょっとはてなマークがつくようなところというのは今まであったと思うんです。それがアニメなのか何なのかというので、ただ漠然としている、売れているからいいや、そういうことじゃないと思うんですね。
例えば、私は今分かりやすいなと思うのは、食だと思うんですよ。皆さんも結構、海外に行かれたりされるときに、日本ほどやはり世界の料理を食べられて、しかもおいしくて、クオリティーが高くて、ある意味、ちょっと日本風にアレンジをされていたりとかというものはあるじゃないですか。
この間ちょっとお話をしていたときに、スパゲッティサラダって、今、日本で結構よく食べますよね、皆さん、何かパスタサラダというかスパゲッティサラダ。でも、イタリアでスパゲッティサラダを見たことないですよね。
だから、やはり、ああいう日本風にアレンジをして、そこには、例えば健康志向であったり、しかも、おいしいとかそういったものが、いろいろなものが入り込んで、そういった日本的感覚、テイストが入っているものが実は格好いいとかですね。ただただ売れているものが格好いい、日本のもの、どうだ、格好いいだろうといっても、それは、その人、受ける人の感覚にお任せするしかなくて、だけれども、これは結構いいものだよねといったときに、実は、この中に日本のテイストが入っている、日本の技術が入っている、そういったものを、ああ日本はやはりすごいね、格好いいね、いいよねという方が、私は、どちらかというとクールジャパンに近いのかなという感覚がございます。
ですから、日本にあるもの何でもかんでも、どうだ、日本いいでしょう、これでどうですか、クールですかといっても、さっきも言ったように、自分は格好いいと思っているかもしれない、誰からも受け入れられない、あいつ頭おかしいんちゃうかというような話になりかねない。僕は、それが多分さっきの結果にも若干つながっているところがあるのかなという思いがしています。
では、私はそういうふうに思っていますが、今まで進めてきた中で、先ほどおっしゃられたことで、その中で見つかった課題というのは何かあるかというのをちょっと教えていただきたいと思います。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
世界では、日本のコンテンツ人気が本格化したり、インバウンドにおいてリピーターが増えたりして、日本ファンが拡大、深化しているというふうに認識しております。
しかしながら、これまでクールジャパン戦略を推進してきた中では、クールジャパン全体の目標設定がなされておらずPDCAサイクルが適切に回せていないということ、それから海外展開を進めるに当たって各国・地域の消費実態など詳細なマーケット情報が収集できていないこと、デジタル化やDX化に対応したビジネスモデルに転換できていないこと、それからクリエーターへの対価還元が不十分であることやコンプライアンスが徹底されていないことなど事業活動を進める環境の整備が必要である、こういった課題が指摘されております。
○山本(剛)委員 何かよくぞそこまで言っていただいたなという思いなんですけれども、僕はそうだと思うんです、本当に。目標設定がやはりなされていなかった、されていたとは思うんですけれども、あやふやだったというのが多分私はニュアンスとしては正しいのかなというふうに思っておりますが。先ほども申し上げたように、事業ですから、やはりそこを明確にすることというのはすごく大事で、だから、ある意味、あやふやでアバウトだから、じゃ俺もいいんじゃないか、これもいいんじゃないか、あれもいいんじゃないかみたいな話になってしまったというのが私は実態だというふうに思います。
私が申し上げたクールジャパン、こういったものもあった方がよかったんじゃないのかということを踏まえてお答えをいただきたいんですけれども、要するに、今まで、やはり目標設定も甘かった、でも、クールジャパンというもの自体は、何となくイメージとして、いいもので、これを進めていけば、もしかしたら大化けするかもしれない。
でも、冒頭に申し上げたアニメでも、私もアニメは全然詳しくなかったけれども、やはりちょっと調べるだけで出てくるわけですよ。まさか「一休さん」ですよ。だから、例えば「ドラえもん」であったりとかアンパンマンだったり、そういうのが海外でも人気が出るだろうなというのは何となく分かります。だけれども、まさか「一休さん」が人気が出るなんというのはやはり思っていないし、多分、「一休さん」を作った人たちも、海外でこれは絶対売れるぜと思って作っていたわけではないと思うんですね。
だから、やはり、そういったニーズを捉えていくのはなかなか難しいとは思うんですけれども、それこそがまさに民間でできない、国がやるべきことなのではないかなという思いがしております。
こういった中で、方針の大転換といいますか、やはり新たな道をどんとつくるというおつもりはあるのかどうかというのをお聞かせいただきたいと思います。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
アフターコロナを迎えて、クールジャパンを取り巻く環境が変化しているということを踏まえまして、六月の知的財産推進計画二〇二四の決定に合わせて新たなクールジャパン戦略を策定すべく、現在検討を進めています。
その内容としては、データ駆動型でPDCAサイクルを回すためのKPI及びKGIを設定すること、コンテンツなど関連分野を基幹産業として位置づけて、国際競争力を図り、海外展開を促進するための取組を強化していくこと、高付加価値化の取組による国際水準ベースでの外貨を獲得していくこと、そして国、地域ごとの日本ファンのレベルに応じた発信を行うためのインテリジェンス機能を強化していくこと、こういった観点から具体的な施策について現在検討を進めております。
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
そうすると、やはり産業としてもっとしっかりとしていかなければならないというところだというふうに思います。
方針も、やはり新たな道をこれから検討されている、つくっていこうということですが、ここで大臣にちょっとお尋ねをしたいというふうに思います。
これは、やはり産業という捉え方をしたときに、今のスキームで、内閣府にいろいろなところが取りまとめてもらっているというような状況ではなくて、やはり、お金が発生して、これから本当に稼いでいこうと、日本がこれから何で稼いでいくのかという話をしているのであれば、私はやはり経済産業省がリードしていく話でなければならないというふうに思っています。
これは、僕は、以前プラットフォームという言い方をしたんですけれども、言うなればもうマッチングだと思っています。
これは何かというと、先ほども言ったように、世界のアイデアが様々なところにある、それで日本という国をブランディング化する。
日本のイメージというのは、ステレオタイプで、やはりアニメとかコスプレとか、侍とか富士山とか、そんな感じですよ、やはり海外に行くと。だけれども、そうじゃなくて、新たな日本のブランディング化を進めていって、日本のアレンジ力、これを本当に世界に発信をしていって、どんなアイデアでも持ってきてください、それは日本の、プラットフォームと言っちゃいけないんだけれども、そのステージに日本の中小企業がどんと乗っかっていて、いや、ようこそやってくれました、それはもう私のところでやります、私のところでやりますみたいな感じで、アレンジ力でどんどん世界に売り出していく。
新しいものを生み出す能力というのは、やはり海外の方が強いです。一方で、日本は、そのクオリティーを上げて成長させる、その才能というものは抜群に日本があるわけでありますから、このマッチングをつくる、そのステージを経済産業省が主となって私はつくっていくことが重要だというふうに思っておりますが、大臣の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 日本のブランディングを進めて、それを海外の需要獲得につなげていく、これは本当に重要だと思っています。
先ほどのお話で、「一休さん」が何でイランに入っているかというのは、私も今何でだろうと本当に思うんですね。そういう分析が必要なんだろうと思うんですよ。恐らく「一休さん」を制作した人は思いも寄らなかったところで受けているわけで、なぜそれが受けているか。
私は、それを一番把握できるのは、実は日本に来ている外国人だと思うんですね。一月三百万人が今日本を訪れて、ネットなんか見ていると、うわ、日本というのはこんなのがあるんだという外国人のコメントがあふれていますよね。これを、ああ、こういうのが受けるんだということを、せっかく彼らが日本に来て、マーケティングしなくて、勝手に来てくれて、それでデータを提供してくれているわけですよね。
その中から、こういうものをこういう形にすれば海外で受けるのではないかという、次にビジネス化、事業化をしていくというところで、相手が中小企業だったら政府がどういうお手伝いをしていくかというふうにつなげていくというのが、私は、日本の、クールジャパンの非常に大きな一つの戦略にこれからなっていくんじゃないかなとつくづく思うんですね。
この間イタリアに出張させていただいたときに、はっとしたのがあるんですけれども、おすし屋さんの店が出ていたわけですよ。そこで、もちろん握りも売っているし散らしも売っているんですけれども、タコスみたいにして皮にくるんで、丸いやつを立てて、そこに御飯を入れて、その上に具を載っけているおすしがあったんですよ。これは日本で見たことないですよ。
でも、よく考えてみれば、要するに、丼物もおすしも、例えば公園のベンチで座って食べられないですよね。このタコス風なものだったら、そういう食べ方があるわけですよね。だから、そういう売り方を、実は、日本のコンテンツを利用して海外で受けるやり方というのは、むしろ日本人が気づかないものをいっぱい外国の人が気づいて教えてくれているんだと思うんですよ、日本に来たときね。
だから、こういうものを発見をして、これはクールジャパンだということで事業化をしていくというものも一つのやり方としてあるんじゃないかなというふうに、委員のお話を伺いながら感じた次第であります。
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
これは本当に、クールジャパンと言ってしまうと、今何か、ちょっとどうなんだみたいな感じのことをおっしゃる方もいて、いや、そうじゃないんだよということをやはりもっと私は強くやっていかなければいけないと思いますし、このクールジャパン、間違いなく日本の強みを世界に押し出せる、私はすばらしい取組だというふうに思いますので、私はこれは本当に命を懸けてやっていきたいと思いますし、ホット剛正がクールジャパンを語るのは本当にずうずうしいんですけれども、しっかりとこれからも大臣とともに取り組んでいくことをお誓い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○岡本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時七分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。市村浩一郎さん。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。またよろしくお願いいたします。
今日は、大きくは二問なんですが、一つはCBDC、セントラル・バンク・デジタル・キャッシュの話と、もう一個は、いつもやらせていただいておりますが、洋上エネルギーファームの話をさせていただきたいと思います。
二つに共通していることで私が申し上げたいのは、日本国内にせっかくいい技術や考え方があるのにもかかわらず、なぜこれを使わないのかということが二つに共通していることであります。だから、やはり、先ほども議論がありましたけれども、本当にこれまでのやり方でいいのかとか、本当にこれでよいのかとかということで考えていかなければならないというふうに思います。
それで、まずCBDCなんですが、今現在、CBDCということで、我が国政府が取り組んでいる状況を教えていただきたいと思います。
○辻政府参考人 お答えいたします。
CBDCでございますが、これは世界各国でも調査、検討が進められておりまして、我が国といたしましても、社会経済のデジタル化の流れの中で検討を進めていくこととしております。
財務省では、昨年四月に有識者会議を立ち上げまして主要論点に関する議論を行いまして、年末に取りまとめを行いました。その後、本年一月以降、政府と日銀として制度設計の大枠の整理を行うために、関係府省庁・日本銀行連絡会議で議論を進めておりまして、先月、中間整理を行ったところでございます。
○市村委員 その中間整理の内容を少しかいつまんで教えていただけませんでしょうか、簡潔に。
○辻政府参考人 中間整理、非常に多岐にわたる論点について書いてございますけれども、一つは、日本銀行と実際にCBDCの発行に当たります仲介機関の役割分担をどういうふうにしていくのか、それから、セキュリティーの確保とか利用情報の取扱いについてどうするか、そういったところを定めているところでございます。
○市村委員 今、セキュリティーの状況ということがありまして、ここからが私がいつも申し上げている完全暗号の話にもなるんですが、やはりこれをやろうとすると暗号化が必要であるし、それがしかも、どう計算しても、何年かかると言われても、将来的には必ず解けるということが言われていますので、ただ、決済情報とかは瞬間的なところでいいとは思うんですけれども、情報セキュリティーという観点からいったときに、やはり完全暗号が必要だというふうに私は思っているところですが、いま一度御見解をいただければと思います。
○辻政府参考人 先ほど申し上げました中間整理でございますけれども、御指摘のセキュリティーの確保につきましては、中間整理では、まず、万全のサイバーセキュリティー対策、情報セキュリティー対策、これを講じなければいけないということを整理する一方で、それに当たっては、今後の技術面における進展等を踏まえて対応していかないといけない、そういうようなことを整理しているところでございます。
○市村委員 今日は財務省からは初めてお越しいただいていますが、この委員会だけではなくて、私はいろいろなところでこの完全暗号、この間は、あれも経産委員会でしたけれども、完全暗号の話をさせていただいているんですね。技術的なところでいうと、いつも申し上げているんですが、実は、日本人の手によって完全暗号が完成している可能性があるということを私はずっと申し上げているところなんですね。これがもう完成しているのであれば、これを使えばいいじゃないかと。もう実装も終わっている、そして実際運用もされている技術です。
じゃ、これが今どう評価されているかというところで、実はこの間、御縁があって、私もちょっと表彰式に出させていただいたんですが、ジャパン・レジリエンス・アワードというものが今あるんですね。これは総理大臣賞もあるぐらいな賞なんですが、そのジャパン・レジリエンス・アワード、要するに、ちょっと舌をかむんですけれども、これは、いわゆる国土強靱化担当大臣ができたところでこれが、レジリエンス、国土強靱化につながる意味ですから、そういうのができているんですね。
今回、十回目だったんですが、総理大臣賞は今年初めて設立されたんですね。最優秀賞というのが十八社選ばれているんですが、その中の一つが、私がずっとここで紹介し続けている完全暗号なるもの。私は今、完全暗号だと思っていますが、それがまだ本当に完全暗号かどうかは、何度も議論していますが、ちょっとCRYPTRECさんに確かめてほしいということをまた後でお願いするわけでありますけれども、これが最優秀賞の一つに選ばれています。
どういう理由で選ばれたのか。これはまさに、災害時に通信環境は非常に悪くなる、だから、いわゆる本当に守られた回線、サイバー空間を通すことができないような環境の中で情報を、サイバー空間を通じて通さなければいけないケースもあるだろうということなんですね。そのときに、私が紹介しているこの技術は、どんな劣悪なサイバー空間でも安全に情報を送れるという理由で、レジリエンス・アワード、済みません、舌をかみますけれども、アワードの最優秀賞を与えられているんですね。すなわち、もうセキュリティー空間を選ばない、いわゆるサイバー空間を選ばずに情報を安全に送れるという理由なんです、これは。これがみんなが求めているものなんですよ。これがもうあるということを前提にその賞が与えられているわけです。
だから、なぜこれをちゃんと日本で、日本人が完成させた技術ですから、日本国政府関係が、そうやって総理大臣賞まであるようなところで表彰も、最優秀賞を与えられるような技術だということになっているのにもかかわらず、まだいまだに、いや、サイバーセキュリティーをどうしようかとか、こういう話をしていることが、いや、ちょっと待ってほしい、もうそういう状況をはるかに超えたところで物事は進んでいるんじゃないでしょうかということをずっと私は伝えているんですね。
これがちゃんと、本当に本物だとなると何ができるかというと、まさに今日の議題であるCBDCができるということなんですよね。だから、このセキュリティーの問題はこれでもう終わりということです。これは、耐量子の時代、量子に耐えるという意味ですけれども、耐量子コンピューターの時代でも、完全暗号は破られないわけですよ。
これは情報理論的なものであって、今我々が考えているのは計算理論的ですから、それは一兆年かかるとも言われています、今、複雑な計算は一兆年もかかるだろうと。今、日本の最新型の「富岳」でも一兆年かかると言われていますから、そんなことばからしくて、誰もそんなのにお金を投じてできないんですね。莫大な電気も投じてやらないでしょう、そんなことは。
しかし、特に決済情報というのは、もうそれは瞬時、即時というところを求められてくるわけです、特にこのデジタルキャッシュは。つまり、我々が今使っている紙幣とか硬貨と同じ効果を持ってもらわなくちゃいけないわけでありますから、それと同じ効果を持つものがCBDCなわけですよ。もう匿名ですよ。私の千円が誰かに渡って、もうその千円が市村の千円じゃないんですよ。渡った瞬間にもう誰かさんの千円になっているわけ、これが。だから、その千円を誰かさんはこっちの誰かさんにまたすぐ渡して、もう即時に決済がそこで終わっているわけです。だから、そういう中で目指すのがデジタルキャッシュだと私は思っていますが、いかがでしょうか。そういうものだと信じています。
○辻政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、中央銀行デジタル通貨、これは、今あります銀行券とかそういうものに代わって決済の手段として用いられるものを想定してございます。
○市村委員 ですので、これは、各国がこれからまた、今、産業競争力とか全部、もう何でもしのぎを削っているんですけれども、でも、この通貨というのは、まさに基軸通貨をめぐる戦いがこの数百年続けられてきているわけでありまして、今、残念ながら、ドルが本当に安定なのかということについても大分議論があります。もうドルも危ないんじゃないかと。
いつも申し上げておりますが、今、BRICS陣営が世界の総生産の五二%を占めているという状況の中にあって、我が国の同盟というかパートナー国と言われるインドさんとか南アフリカとかブラジルがまだこっちのBRICSに入っているからいいですけれども、これがもし、ロシア、中国が結託して、この三か国も、いや、もうドルよりも元がいいんじゃないかとか言い始めた場合、また、しかも、これはデジタル通貨ですから、国境を越えますから。
しかも、日本円と中国元というのはめちゃくちゃ発音が似ているんですよ。マークも似ているんです、これは。そうすると、デジタル空間で中国がデジタルキャッシュをどんどん発行し始めたら、我々、日本円で決済していると思ったら、いつの間にか実は元決済にさせられていたということだって、これが十分考えられるような状況に今あるんです。
だから、そのときに、我々がもう率先してやっておかないと、しかも、それをやるためには完全暗号が必要であって、完全暗号があると言っているのならば、ここでもう一回、CRYPTRECさん、是非ともこれを、大臣、いま一度このCRYPTRECで、これは前も申し上げたんですが、これはすごく機微に触れる話になります、暗号の、ではどういうものかというのは。それを、論文とかももちろんないわけじゃないと思いますが、CRYPTRECしかないというのであれば、CRYPTRECでいま一度、レジリエンス・アワードも取ったというものもあるのであれば、一度真剣にちょっとこれは見てほしいんです。やってほしいんです。
その前に、是非とも財務省さんにお願いしたいのは、このCBDCに関する有識者会議の中に、構成員を見ると、この技術が分かっている人が一人も入っていないんですね。こういう技術が分かっている人が、セキュリティーの話も、サイバーセキュリティーという観点ですら入っていないわけですし、そういうところで、やはり是非とも、技術が分かる人、完全暗号とか、そういうことが分かる人を入れておかないと、多分これは全く話が進まないと私は思いますので、お願いします。
それと、今、CRYPTRECに関して、もう一度、大臣、ちょっといかがでしょうか。
○上村政府参考人 まず、一点、事実関係的なところにつきましては、委員御指摘がまずありましたジャパン・レジリエンス・アワードでありますけれども、これは、防災、減災に資する技術開発や製品開発に取り組んでいる企業を評価、表彰する一民間団体の取組であるというふうには認識をしてございます。
そして、実は、この取組については、御指摘の技術の受賞内容、選定基準などの詳細というのは、必ずしも我々も把握はできておりませんが、少なくとも、公開の場で複数の暗号技術の専門家によって審査を経たものとは認識をしてございません。
いずれにしましても、暗号というのは本当にこの経済社会の基盤に今やなっておりますので、その安全性を責任を持って担保するという観点では、これは国際的にも、また学術的にも、社会実装という観点もそうですが、この暗号化の仕組みを公開をしまして、本当に弱いところがないのかをいろいろな目でチェック・アンド・レビューする、いわゆる脆弱性、危殆性を確認をする、そういった、常に外部の確認を受けられる、そうした情報があるかというところが極めて重要であると考えているので、その点において、委員御提案の暗号技術につきましては、その事業者の方とコミュニケーションは必要に応じて取っておりますけれども、なかなかそこから先の検討が正直難しい、想定しにくい状況にあるのが現状でございます。
○市村委員 今の話は、大臣がお答えになる前に手を挙げられたのでお答えいただきましたけれども、すなわち、CRYPTRECではなかなか難しいなということでございますか。いかがでしょうか、一言。
じゃ、大臣、ちょっとお願いします。
○齋藤(健)国務大臣 私も、市村委員の御指摘なので、これはちょっと話をよく聞いてみました。
それで、御指摘の暗号技術につきましては、前回、委員からも御質問ありましたけれども、政府の暗号技術検討会、CRYPTRECの関係省庁、組織の事務方で、委員も御同席だったというのを聞いていますけれども、当該暗号技術の事業者にヒアリングをしたというふうに聞いています。
その際、技術評価に実績のある専門家により内容を確認された論文など、実態を正確に把握するための客観的な資料等の提示を、多分こちら側から求めたんだろうと思うんですけれども、それに対して詳細をまだお示しいただいていないので、現時点では更なる検討に入ることができないんだというふうに私は聞いているんですね。
CRYPTRECの検討対象となる、政府で今後活用が、推奨ですからね、推奨され得る技術につきましては、検討に当たって、その暗号化の仕組みをまず公開をして、それで、脆弱性が存在しないか常に外部の確認を受けられる状態にすることが必要なわけで、この考え方は、暗号技術の安全性を担保する上で、専門家の間でも広く認識をされているものであると承知をしています。
このため、御指摘の暗号技術についても、まずは、こうした客観的な外部からの技術的検証に耐え得るものかどうかなど、CRYPTRECを活用するための必要な前提みたいなものを確認をさせていただかなくてはいけないということでありまして、引き続き事務方からよくコミュニケーションを取らせていただきたいなというふうに思っています。
○市村委員 大臣、ありがとうございます。
是非とも引き続きと思っていますが、ただ、私が申し上げたいのは、とにかく、完全暗号があれば、今日はCBDCがテーマですから、CBDCができるということなんですね。まさに財務省さんもお答えいただいたように、そういうことなんです。
だから、是非ともCRYPTRECでお願いしたい、そこしかないとおっしゃるので、そう思っていますが、本当は、そういうものは、財務省さんのこの有識者会議に、先ほど申し上げましたように、そういう技術が分かる方を入れていただいて、その観点からもやっていただけるといいなと思うんです。
というのも、やはり暗号技術というのは、まさに機微に触れる、機密ですよ、これは。こういうのを何か一般の手続でやるのかどうかというのも、ここは考え物だということは前も申し上げたと思います。
ちょっと議論がかみ合っていないようですけれども、今日指摘したように、もう各国はこれをやっているし、中国はやっているんです、これを。いつ元がイェンということで、マークも一本線か二本線の違いしかないわけですから、いつの間にか、我々、中国の元で決済させられている可能性があるんですよ。
皆さんは分かっているからいいですよ。一般国民の方は分からないですから、イェンと言われたら。あと、一本線か二本線かと言われても、そんなの分からないですよ。いつの間にか元で決済している可能性だってあるわけですよ、今でも。
だから、そういうことを考えると、いち早く動かなくちゃいけないということが一番ポイントであります。そのために完全暗号が必要であるから、完全暗号を早く日本でも、しかも、実装し、運用されているものがあるということであれば、しかも総理大臣賞まであるような賞まで取っているということも客観的事実としてあるわけですから、検討してほしいということであります。
これで、CBDCができていくと、決済が、デジタル決済、デジタルキャッシュで決済が行われるわけですね。これは、記録といいますか、誰の千円かは残りませんけれども、決済したことは残せるわけですね、そこでこっちからこっちに移ったと。それは匿名でいいんですけれども、けれども、移ったというものは、うまく拾えば持っていけるわけですね。
そうすると、何ができるかというと、決済税というのができてくるんですね。今消費税というのがありますけれども、じゃなくて、決済です、その都度ですよ。
そうすると、ちょっとさっき調べようとしたんですけれども、日銀の資料を見ていて、なかなか計算できていませんが、今、日本でどれだけの決済が行われているかですよね。それを全部把握できれば、掛け〇・〇三ぐらいで、今消費税は一〇パーですけれども、ある方が試算したところによると、〇・〇三%で今の税収の二倍はいけると。
つまり、ほかの税を全部やめても決済税だけで、〇・〇三%掛けて、その都度〇・〇三%ということになります。ということは、千円だと三円かな。だから、それぐらいのお金を出せばいいということになりますので、それができると思いますが、今日は主税からもいらっしゃっていただいておりますが、いかがでしょうか、決済税というのは検討されているんでしょうか、これまで。
○細田政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘をいただきました決済税につきましては、既存の税制を全廃した上で、先進的な技術の実用化を前提に、あらゆる決済に対して課税することにより、今以上の税収を確保することで、簡素な税制度、手続を構築する御提言であると理解しております。
この点、前提となります技術が実用化されていない段階で御提案の新税に対する具体的な見解を申し上げることが難しいことは御理解いただきたいのですが、一般的に、税制につきましては、財源を調達する機能のほかに、所得再分配機能や、公平、中立、簡素という租税原則などを踏まえつつ、所得、消費、資産などの課税ベースを適切に組み合わせながら構築していくことが重要でありまして、御提案につきましても、そうした様々な観点を踏まえまして慎重に検討する必要があるものと考えております。
○市村委員 所得分配については、別に、決済税だけでも今の税収の二倍はいくんじゃないかという試算もありますよということだけであって、それを、じゃ、決済税だけにした方がいいという提案じゃありませんので、もし所得再分配ということであれば、例えば資産税とかいうものは残すことが必要なのかもしれませんし、所得税も、高額所得者については取らせていただきますとか、そういうこともあると思いますし。
ただ、もう一方で、今おっしゃっていたように、公平、簡素、中立ということでもありますから、やはり簡素という意味では一番楽、分かりやすいですよね。その都度〇・〇三%だとかいう話にすれば非常に分かりやすくなりますので、やはり、フラットタックスという考え方もありますけれども、是非とも決済税も、完全暗号によりCBDCがうまく回るようになれば、決済税というのも実現可能性を帯びてくるというところを今日は御指摘して、また次の話題に移らせていただきたいと思います。感謝を申し上げます。
それで、次は、しつこいようですけれども、洋上エネルギーファームでございます。
これも、GI基金があるから、グリーンイノベーション基金があるから、じゃ、そこで、洋上風力発電についてGI基金が公募しているということがありましたので、私も九州大学の皆さんとかに話をして、これを活用したらどうでしょうかという話をしていたところ、もう公募は終わりましたということで、もう動いていますということでした。それは仕方がありません、これを覆すということじゃなくて。
ですから、私は、ポリシーオルタナティブ、代替政策を提言しているわけです、ここで。もっとこっちの方がいいんじゃないですかという提言なんですね。
今私が提言するのは、ずっと申し上げているように、いわゆる九大を中心にしてできている国産風力発電システムということなんです。
しかも、集風効果、レンズを、周りに輪っかをつけて集風効果を持っていく。ですから、この前も申し上げましたが、風速の増加分の三乗に比例して発電量が伸びるということですから、輪っかをつけることによって二六%風速が伸びた場合、一・二六掛け一・二六掛け一・二六は約二になりますから、輪っかをくっつけることによって二六%風速が伸びると発電量は二倍になりますということで、ですから、いわゆる一メガについては五百キロで、一メガの今の風力発電システムは、その輪っかをくっつけることによって、五百キロワットの能力を持つやつでほぼ一メガ分のものを出せるということであります。
これは、環境省さん、今日来ていただいていますが、環境省さんが今から十四年ぐらい前からこの洋上エネルギーファームについては実は取り組んでおられるということでありまして、環境省さんからちょっと取組状況、レンズ風車も含めてお話ししていただけますでしょうか。
○神谷政府参考人 お答えします。
御指摘のレンズ風車でございますが、環境省事業において、平成二十二年度から二十五年度まで技術開発を支援をいたしました。
その成果を踏まえながら、現在、令和四年度から三年計画で、既存の数キロワットのレンズ風車を二百キロワット級に大型化するとともに、これを組み合わせた二基構成のマルチレンズ風車の開発を支援する事業を行っているところでございます。
○市村委員 もう既に十年以上の取組を、まず、マルチレンズと今おっしゃっていただきましたが、最初はシングルレンズと言っていましたが、だんだんマルチ化、一個だけじゃなくて、それを幾つか、三つとか五つとかくっつけるやつですけれども、こういうものをもう十年以上にわたって環境省さんが支援していただいて、実用化に向けて今やっているというところであります。
こういうものと、洋上風力の、洋上エネルギーファームの話もちょっとしていただけませんか。これは元々、一番最初、そうでしたので。
○神谷政府参考人 今御指摘いただきましたように、このレンズ風車以外にも、五島での洋上風力の実証実験なども行っておりまして、海洋エネルギーの事業について様々な支援を行ってございます。
レンズ風車自体でエネルギーファームの構築ができるかということについては、やはり大型化等の課題が存在しますので、まずは、今行っているこの実証実験の結果を評価した上で、実現可能性を見極めていく必要があると考えてございます。
○市村委員 済みません、ちょっと議論がかみ合っていないんですが。
環境省さんが一番最初にレンズ風車を支援したときは、レンズ風車だけじゃなかったんですね。いわゆるエネルギーファームという形で博多湾に浮体を浮かべて、その上にレンズ風車を載っけると。しかも、そこには太陽光パネルもあるというようなものを一番最初に環境省さんは支援されているんですよね。もうあれは二〇一〇年度に支援されているんですが、そこは資料をお持ちじゃないでしょうか。
○神谷政府参考人 博多湾の実験のデータは、済みません、今、手元にございません。大変申し訳ございませんが、いずれにせよ、かなり小規模で、初歩的な実証を当時行っていたものではないかと認識してございます。
○市村委員 だから、初歩。でも、何事も最初は初歩ですから。しかも、初歩が積み上がって、今、十数年たっているわけでありまして。しかも、要は、洋上風力発電という言い方で非常に盛り上がっているというか、これから、一つの切り札だとまでおっしゃっているわけです。
その洋上風力発電も、決して洋上風力発電だけじゃなくて、元々環境省さんが支援されていたように、洋上エネルギーファームという形で支援した方が、考え方を持った方がいいのではないかということをずっと私、提案させていただいているんですね。しかも、これは水素社会をつくろうという話でありましたから。
実は、先ほど議論はあったんですけれども、今、沖に造ってケーブルを引いてくるという、変電所を造って、そこからまたケーブルをつけて、そこからケーブルをまた沖に上げて系統につなぐという話なんでしょうけれども、これは安全保障上も大変問題だと私は思います。
だって、ケーブル一本切ればもうおしまいです。その電源は入ってこないわけです。入ってこないということで、極めて簡単な妨害行為ということができてくるわけですよ。一生懸命、巨大なやつを造りました、はい、発電を始めました、そのうちにぱちっと、今、残念ながら、日本近海というのは他国の原子力潜水艦が巡っているという情報もありますので、もう簡単ですよ、ぷつっと切って終わりということになるわけでありまして、やはり、そういった意味では、エネルギーも、食と同じように地産地消がいいという形で、分散型社会を構築していくべきなんだ、エネルギー分散型社会を構築すべきだという発想も元々あるわけです。
この洋上のエネルギーファームとなると、先ほどもありましたように、離島振興とか離島での電源供給とかができるし、また、これは曳航できますので、今のやつは曳航できません、もうそこにぽんと建てておいて、それをなかなか引っ張っていくのは難しいですが、そもそも曳航できるタイプですし、だから、邪魔になればほかのところに持っていけばいいわけです、曳航していけばいい。だから、そもそも沖で造れるんです。
それで、私は、産業競争力強化ということで今言っているのであれば、いいところもありますけれども、例えば造船業とか、もう畳もうか、ドックもやめてしまおうかというところもあるわけですから、そういうところと連携して、そういうところが組立てとかを担うとか、言ってくることによって、サプライチェーンは、例えば日本で羽根も造る。さっき、石狩湾新港の方は六〇%とかになっていますが、なかなか日本は、まだ国産のナセル、要するに発電機は造っていませんので、しかし、これは、私が提案しているのは全部国産なんです。オール一〇〇%国産を提案しているのですね。そうして、今斜陽になっている部分の造船業の一部もそれで復活できるし、そして、いろいろな素材産業も、サプライチェーンの供給ということでこれをどんどんやっていけば、それがまたサプライチェーンもうまく構築できると。それで、国内でお金が回る仕組みになるということになります。だから、そういう社会をやはりつくるべきだと。
そして、何といっても、やはり私は、水素社会だということを経産省さんは推奨しているわけですから、沖合にエネルギーファームを造って、そこで、再エネで起こした、これは風力も太陽光も含めて、海洋で、温度差とか潮力、波力も含めて、それで起こした電気で水を電気分解して、そして水素を起こす。
そして、それを、例えばこの間ここでも紹介しましたMCH、メチルシクロヘキサン、MCHという形で、トルエンと水素をくっつけてMCHを作って、常温常圧で運んできて、陸揚げして、三百度の熱を与えて水素だけ離して、あと水素を純化して、九九・九九ぐらいにしなくちゃいけないらしいですけれども、そして国内に、水素ステーションに運んでいくという形でしていけば、幾つか分散化しておけば、一個ケーブルを切るということよりもより安全性は高まるということになります。
だから、そういうようなことも含めて総合的に考えて、洋上風力発電も含めた洋上エネルギーファームということを、私、国家プロジェクトとしてやるべきだと思っているんですね。
昔、私は、もう釈迦に説法ですが、大臣が一番お分かりのように、まさに産業政策がこの三十年間途絶えていましたけれども、三十年以上ですね、しかし、その前は、例えば民間の持込み案件とかがあったというのを経産省の先輩方からこの間もお聞きしました。エネ庁にいらっしゃった先輩方からも、昔はそういった民間の持込み案件というのがあったよということで。
ですから、私は是非とも、この国会を通じて、私、持ち込ませていただいていますので、是非とも国家プロジェクトとして、もうグリーンイノベーション基金はあかんとおっしゃるので、それをやめるということじゃなくて、国家プロジェクトとしてこういうのを取り組んでいただきたいというのが今日の私の大臣へのお願いなんですが、いかがでございますでしょうか、これ。
○齋藤(健)国務大臣 まず、先ほど御指摘のありました環境省のエネルギーファームの実証ですが、これは、平成二十二年から二十五年度に、九州大学が、博多湾において、三キロワットのレンズ風車二基と二キロワットの太陽光パネル、これを搭載した浮体式の洋上エネルギーファームの実証をされたというふうに私がいただいている資料の中では書いてありますので、既に試験は行われているということなんだろうと思います。
洋上における再生可能エネルギーの利用については、御指摘のように、洋上風力に限るものではありません。今後の可能性としては、洋上太陽光ですとか潮力発電なども組み合わせた御指摘のような洋上エネルギーファームもあり得るというふうに考えているわけでありますが、先ほどの実証もありましたけれども、まだまだ今後の実用化に向けては様々な技術的な論点というものがあるやに聞いておりますので、その解決を進めていかなくてはいけないということなんだろうと思っています。
国によるプロジェクト、国家プロジェクトということでありますが、国家プロジェクトにする以上は、CO2の排出削減効果ですとか経済波及効果ですとか、様々な観点から、その必要性を含めて見極めていく必要があるんだろうというふうに思っています。
○市村委員 時間が来ましたので終わりますが、産業競争力強化のためにも、是非とも国プロとしてやっていただきたいと思います。また、それを申し上げて、終わります。
ありがとうございました。
○岡本委員長 次に、笠井亮さん。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
原発で出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの処分地選定に関して、佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は、去る五月十日、第一段階となる文献調査の受入れを表明しました。それに先立つ連休明けの七日、齋藤大臣御自身が脇山町長と直接面会をされています。その際に町長は、これまで議会で、自分から手を挙げることはないと発言していて、議会と自分の考え方とで板挟みになり悩んでいると心境を語られました。
齋藤大臣はこの面会の場で脇山町長に何を話されて、町長は何とそれに応じて答えられたんでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 面会の詳細についてはちょっと差し控えますけれども、五月七日の面談では、脇山玄海町長から、原発立地自治体の玄海町におけるエネルギー政策への貢献や思いについてお話を伺いました。
私からは、玄海町の長年にわたる貢献への謝意、感謝と、脇山町長と玄海町の方々に文献調査を真摯に検討いただいていることへの敬意をお伝えをいたしました。その上で、最終処分という国家的課題において、玄海町の動きは非常に重要な一石を投じるものでありまして、その場で改めて文献調査の実施に向けて前向きな検討をお願いをした、こういうやり取りでございました。
○笠井委員 脇山町長は、文献調査が処分地選定に直結するものではないという言葉、言質をいただいた、国からの要請を熟慮した結果で、今回の文献調査が日本のどこかに適地が見つかるための呼び水になればと思うというふうに言われて、受入れを決断に至ったと述べておられます。
まさに、手を挙げないと言っていた町長が、大臣から一石を投じるように強く求められて、いわば外堀を埋められて、一転、呼び水になればと受け入れた、こういうことなんじゃないでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 私の印象ではそういう印象ではなくて、淡々と私がお話をして先ほどのやり取りが行われたということでありますので、そういう受け止めがされるというふうには認識をしていません。
○笠井委員 佐賀県内の市民団体の玄海町民への電話調査というのがありまして、ここでは、最終処分場を玄海町に造ることをどう思われるかの問いに、回答者百十四名中八十三名、七二・八%が反対、賛成は三名、二・六%という数字も出ております。
文献調査の受入れは全国三例目で、原発が立地する自治体としては玄海町が初めてとなる、北海道の寿都町と神恵内村での文献調査は今報告書を待つ段階となっているということであります。
原発回帰にかじを切った岸田政権は、最終処分に関する基本方針、昨年、二〇二三年の四月の閣議決定で、北海道二町村以外に複数の地域での文献調査の実施を目指すとして、政府一丸の取組を強めてきたわけであります。
そこで、齋藤大臣、これまで経産省は、電力会社やNUMOと、全国百か所以上の自治体を共働、共に働いて訪問してきたわけですが、手が挙がらない。そんな第三の候補地を切望していた経産省にとって、ある意味で玄海町というのは渡りに船で、原発受入れ自治体ならと狙って、事実上の押しつけをやったということではないんですか。
○齋藤(健)国務大臣 最終処分場につきましては、とにかく日本全体の問題でありますし、必ず解決をしなくてはいけない問題であります。
したがいまして、日本全国で最終処分場の必要性についての認識をいかに高めていただくかという努力を我々は重ねてまいりましたので、原発立地地域だからということはございません。
○笠井委員 立地地域としては初めてということが現実あるわけで、町長は、議会の議決は民意の反映と受け止めていると述べたと報じられておりますが、町民への電話調査では、住民への説明が十分と思うかの問いに、回答者百二十五人中百十名がいいえ、一名がはいという結果だったということです。
今回の決断は極めて急だった。四月四日に町議会が受理した文献調査受入れを求める三団体のそれぞれの請願が十五日に表面化をする、そして、第一回目の審査が十七日、十日後の二十六日に本会議で採択、町長の決断はその二週間後であります。この間には住民説明会も開かれていない。
町民の方々からは、こういう声があります。テレビ、新聞で報道されて初めて知った、寝耳に水とはこのことばい、区長も知らんだった、四月になって紹介議員と会うことがあったが一言も請願の話はなかった、進め方が急過ぎる、町の将来に関わることをばたばたと決めて、原発の金で汚染されているとしか言いようがないという声もあります。
大臣は、こういう声が上がっていることについては承知されていますか。
○齋藤(健)国務大臣 本当に、最終処分事業に関しましては様々な御意見があるということ、私も様々な意見を聞いていますが、大事なことは、地域で丁寧に議論を深めていくということに尽きると思っていまして、国として、地域のニーズや状況を踏まえながら、情報提供等にしっかり取り組んでいきたいということに尽きるということであります。
○笠井委員 様々な意見があることは承知しているけれども、地域で丁寧な議論を深めていくことに尽きると言われたんだけれども、深めていないままに一気にこういうふうになったというのが現実の声で、私、玄海町、やはり原発の町ということで、まさに東京電力福島第一原発事故があってから最初に再稼働ということが問題になって、やらせメールということを私も国会で追及しましたが、それだけ本当に、原発の町ということで、そういう点では、いろいろな意味で、思っていてもなかなか言えない、諦めと不安が渦巻いている中での、なおかつそういう声が上がっている。大臣は地域で丁寧な議論を深めるということに尽きると言われたんだけれども、そうならないうちに一気にやられたということが経過だと思います。
町議会の請願採択を受けて、脇山町長が五月中にも判断を下す考えを示すと、間髪入れずに、五月一日に、松山資源エネルギー庁次長が町役場を訪問されて、文献調査の実施を求めるとする齋藤大臣からの文書を町長に手渡すという異例の申入れを行って、大臣との面会を打診されています。
国によるこの問題での申入れというのは、私も調べてみましたが、二〇二〇年、神恵内村に続く二例目ということで、極めて異例の事態でありますが、なおかつ、その上に、連休明けの七日には、上京された町長に大臣が面会して決断を迫っている。なぜそんなに急いだのか、ここが私、本当に何でかなというふうに思うわけですが。
玄海町に先立つ長崎県対馬市では、昨年九月に、この文献調査受入れ促進の請願が僅差で議会では採択されたけれども、比田勝尚喜市長はそれに対して、安全であるという市民の理解を得るのは難しい、市民の合意形成が不十分と判断したというふうに述べられて、受け入れないと表明をされたわけです。
経産省としては、そうした対馬の二の舞になりたくなかった、だから一気呵成にこうやって次々に手を打って、そして、町長、御決断をということを言ったんじゃないですか。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
私自身が、五月一日の日に玄海町の方に赴きまして、大臣からの申入れの文書をお渡ししたところでございます。
事の経緯からしますと、これは、今御指摘いただきましたように、神恵内に続く二例目なわけでございますが、四月二十六日の日に議会において請願の採択が行われてございました。この中で、その採択が議論されておりました請願の中身の状況ということをまず認識してございます。そして、その上で、その後に脇山町長の方から、民意を踏まえて議論が尽くされている、非常に重く受け止めなければいけないという御発言がございました。
今、対馬の例も御質問の中で御指摘いただきましたけれども、地域の状況ということをよくよく踏まえながら、私どもとして、より多くの地域において、この最終処分というのは国全体で取り組まなければならない事業でございます、多くの地域に御関心を持っていただくために、国としての文書の申入れということを行うべきではないかということを大臣とも御相談の上、文書を作成しお持ちした、こういう経緯でございます。
○笠井委員 今、松山次長から、大体、私が言ったようなことでの経緯ということで言われたわけですが、まさにそういう点では、ここまで来たので一気呵成にということで次々手を打ったというのが実態ではないかと、まさに、伺っていて改めて痛感したわけであります。
町民の皆さんの大きな懸念は、極めて強い放射能を持って、万年単位での管理が必要とされる、この核のごみが持つ危険性の問題であります。
そこで、一つただしたいと思うんですが、昨年十月三十日に地球科学の専門家らが、「世界最大級の変動帯の日本に、地層処分の適地はない」という声明を公表いたしました。この中では、「今後十万年間にわたる地殻の変動による岩盤の脆弱性や深部地下水の状況を予測し、地震の影響を受けない安定した場所を具体的に選定することは、現状では不可能」ということを指摘して、強調しております。
その上で、日本学術会議が二〇一二年に公表した回答を踏まえて、科学的に根拠の乏しい最終処分法は廃止し、地上での暫定保管を含む原発政策の見直しを視野に、地層処分ありきの政策を再検討すべきだとして、現在の処分計画中止と、中立で開かれた第三者機関の設置などを提案いたしております。
ちなみに、この声明には、日本地質学会の会長経験者を含む研究者、教育関係者ら三百人余りが名を連ねているわけです。
大臣、原発立地自治体に受入れを求めるのではなくて、こうした提言にこそ真剣に、科学の立場での提言にこそ真剣に耳を傾けるべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○齋藤(健)国務大臣 御指摘の、日本地質学会会長経験者ほかの方々の声明につきましては、当然承知をしております。現在、総合資源エネルギー調査会の作業部会、これは地質処分技術ワーキンググループですけれども、ここにおきまして、当該声明の呼びかけ人にも参加をいただきながら、その内容を委員にまさに議論いただいている最中であります。
したがいまして、御審議いただいているところでありますので、その内容について私からコメントすることは差し控えますけれども、最終処分事業に関しては様々な御意見があるという認識の下で、最終処分の実現に向けて、丁寧に取組を進めていきたいというふうに考えています。
○笠井委員 最終処分の取組を丁寧に進めていきたいと言われた。それで、今の提言については、エネルギー調査会の作業部会で呼びかけ人も含めて議論中ということであれば、まず、その提言の議論をきちっとやって、それから、その先どうするかということについてやるべきだと思うんですけれども、そういうふうにはならないんですか。
○齋藤(健)国務大臣 まさに、その呼びかけ人に参加いただきながら、その内容を委員に議論いただいている最中ですので、それ以上のコメントは今の段階では差し控えざるを得ないかなと思っています。
○笠井委員 いや、議論中に、一方では玄海町との関係で申入れもして、そして文献調査をやってくれという話を進めているわけですから、そこは、そういうことにならないと思うんです。
これは、やり取りの中で、局所的な問題で、実は、玄海町の地域でどれだけ炭田があるかないかみたいな議論があったりしましたけれども、そういう問題ではなくて、今提起されているのは、四つのプレートがぶつかり合う日本に長期に安定的な地層があるのか、まさに専門家からそれが疑問視されているので、地層処分は将来世代に責任を持つことにならない、安全面を第一に考えることこそ我々の世代の責任だということで、やはり拙速に判断していくことを進めるべきでないということを強く申し上げたいと思います。
山口祥義佐賀県知事は、新たな負担を受け入れる考えはない、佐賀県はエネルギー政策に十分に貢献している、こういうコメントを発表して、処分場誘致反対の考えを今回も改めて強調されています。玄海町民からも、玄海町に危険なものはもう造らないで、よそで出た原発のごみを何で玄海町で受けにゃならぬ、これまで十分国策に協力してきたっちゃなか、最終処分場誘致は絶対嫌、プルサーマルの際も漁港が封鎖された、漁に出て、ただ穏やかな生活が送りたい、Uターン予定の子供に帰ってこんでいいと言い渡した、子や孫に原発のごみの上で暮らしてほしくない、こういう数々の痛切な叫びの声が上がっています。
大臣、こういうことに真剣に耳を傾けて、文献調査の押しつけはやめるべきじゃないですか。
○齋藤(健)国務大臣 繰り返しになりますが、様々な御意見、お声があるのは、私もたくさん耳にしています。
ただ、日本では、半世紀以上にわたり、原子力発電の恩恵を享受する中で、多くの使用済燃料が発生をしてきてしまっています。これら特定放射性廃棄物の最終処分というのは、日本社会全体で必ず解決をしなければならない重要な課題なんです。私としては、将来世代に先送りすることなく、何とか我々の世代で解決への道筋をつけたいと思っているということは笠井さんに申し上げたいと思います。
○笠井委員 問われているのは、やはり原発に依存し続けていいのかということで、この問題、核のごみを解決できないうちに、これ以上新たに造っていいのかということが問われているわけですから、根本的な問題になってくると思います。
同じく原発立地、島根県の丸山達也知事も、今回の玄海町の議論を受けた五月九日の定例会見で、原子力発電所の再稼働を認めるということ自体でリスクを負っているわけですよ、他の地域が負わなくていいリスクを、それに加えて、そんなことまで引き受けなきゃいけない責任なんかないでしょう、当たり前のことだと相当語気を強めて、私も実際動画を拝見しました、仮にそんな話が上がってくれば、断固反対、知事がやることは全部やって反対すると表明しているじゃないですか。
大臣、持っていく先がない使用済核燃料は、各原発にたまって、原発の稼働継続に黄信号と、推進の立場からもそうなっている。中間貯蔵施設を関西電力と中国電力が共同で山口県上関町に造ろうとしていますが、これも問題の先送りにすぎない。原発を使い続ければ、処分困難な核のごみが増えて、問題は一層深刻になる。トイレなきマンションと言われてきて、まさにそのとおりです。核のごみ処分も原発も行き詰まりは明らか。将来世代というなら、まさに既定路線にとらわれずに、根本的にそのこと自体を見直すべきじゃないですか。
○齋藤(健)国務大臣 これから原発を動かすかどうかにかかわらず、多くの使用済燃料が既に発生をしているという現実、この現実を踏まえてどうしていかなくちゃいけないかということを考えていくと、やはり最終処分場は必要なんですね。しかし、地元の皆さんの納得というものも併せて必要でありますので、その苦しいところを我々は何とかお願いをして実現をしていきたいと思って努力をしているわけでありますので、これはもう既に存在しているものをどうしようかというお話だという点は是非御理解をいただきたいなというふうに思います。
○笠井委員 核のごみをどうするかという解決のめども見通しもなくして原発を動かし続けてきて、大量のごみを作ったという責任があるわけですから、まずそこが問われている。
関連して、原発自治体への資源エネルギー庁職員の出張問題について質問いたします。
齋藤大臣に伺いますが、この問題は、我が党の藤野保史議員、当時が、二〇二一年二月二十五日の予算委員会、三月十八日の経産委員会原子力特連合審査会、五月二十七日の原子力特で取り上げてきたことであります。資源エネ庁長官を筆頭にしてエネ庁の職員が新潟県と福井県に何度も出張をして、関西電力の老朽三原発と東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に向けて地元での地ならしをしていたことを当時追及したものであります。当時の梶山経産大臣も保坂資源エネ庁長官も、常日頃から意見交換を行っているとの答弁でありました。
その後も、全国の原発や核燃サイクル関連施設の立地十二道県を対象に、エネ庁職員の出張の実態について私自身が資料を求め続けてきました。その上で、二〇一九年四月一日から二〇二三年十二月三十一日までの四年八か月の状況を集計したのが別紙の配付資料であります。合計千百三十五回もの出張を十二道県に対して重ねている。詳しい中身を見てみますと、間を置かず連日のごとく飛び回っている、大変御苦労されている職員もおられます。
なぜこんなに出張が必要なんですか、大臣。
○齋藤(健)国務大臣 原子力の利用を進めていく上では、立地地域との御理解、共生に向けた取組が必要不可欠であります。こうした観点から、私どもは、国も前面に立って、常日頃から立地地域の関係者の下に伺って、原子力を始めとするエネルギー政策ですとか、地域振興などの地域が抱える様々な課題、実情について意見交換を行っているところであります。
こういう地域の声にしっかりと耳を傾けるということは私は大事なことではないかと思っておりますので、丹念にコミュニケーションを重ねていくことを通じて幅広い理解が得られるように、丁寧に物事を進めているということの証左ではないかと思います。
○笠井委員 前回我が党の議員がただしているのと同じ、相も変わらぬ答弁で、私は何の説得力もないと思います。
大臣、肩書別に見ますと、目立って多いのは、資料にありませんが、原子力立地政策室長が三百二十二回、原子力立地政策室企画官が百三十五回、資源エネルギー政策統括調整官が百一回ほか、数十回の職員がぞろぞろいらっしゃるわけです。出張して何をしたのか、どこに行って誰と会ってどういう意見交換をしたのかなど、記録を求めても一切提出してまいりません。復命書があるというふうに言うんですけれども、その証する記録というのはいわゆる旅費の精算書だけです。
こんなことが国家公務員の職務として、大臣、妥当なんでしょうか。
○齋藤(健)国務大臣 先ほども申し上げましたように、その立地自治体を始め関係者の声にしっかり耳を傾けて丁寧にコミュニケーションを進めていくことは私は大事だと思っていますが、一方で、個別の出張の詳細について公にすることによって、今後、率直な意見交換ですとか事務等の妨げになるということも考えられるので、お答えを差し控えさせていただいております。
実は私も資源エネルギー庁の電源開発関係の仕事をしていたことがありますけれども、やはり、日頃大変お世話になっているので、足しげく足を運んだ記憶がございます。
○笠井委員 公にすると差し支えると。できないようなことをやっているのかということに逆になります。
資源エネ庁の担当者の説明では、出張の計画書のようなものはあるが、交通手段を書いたようなものだと。ここにもありますが、そういうものです。ただし、その実物は求めても提出はしないということでやってきた。
出張に赴く際には出張計画を作って決裁を得ているはずですが、そこには具体的な目的が書かれているはずです。出張から戻れば、上司や部下、同僚などに報告するはずです。該当する資料、文書がないという理由で資料要求しても提出してこない、これで行政文書主義と言えるか。国民の前に、自分たちが公務で行っていることがやましいもので、明らかになることを恐れているからではないかという疑問も出てくる。
エネ庁職員が原発立地自治体で具体的に何を行っているか、やはりこれは明らかにすべきではないか。関係記録の提出をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど齋藤大臣からも御答弁ありましたとおり、その立地の地域等の関係者の下にお伺いして、原子力を始めとするエネルギー政策の進展や検討状況についてお話をし、若しくは御関心、御懸念をお伺いする、それに御説明をするということは大変重要な任務だと思ってございます。
同時に、地域振興などの、地域が、様々、それぞれの地域地域で抱える課題は違うわけでございますが、それぞれの課題や実情についてお寄せいただき、どうやってこれを解決していけるかということのお話をすることも大変重要な意見交換なんだと思ってございます。
そういう観点から、これまでと同様に、引き続き関係者の意見に耳を傾けるとともにコミュニケーションを取っていくわけでございますけれども、一方で、その中身につきますと、それぞれのお相手の中におけるお話の中身、それぞれの御事情によるところもございます。公にすることによりまして、今後の率直な意見交換や事務等の妨げになることも考えられるわけでございますので、その内容の開示につきましては、情報公開法の趣旨を踏まえて適切に対応していきたい、このように考えてございます。
○笠井委員 いろいろ言われているわけですが、公務や税金支出に関わるのに、要するに全くのブラックボックスではないかということになります。
具体的に聞きます。
玄海町での文献調査の受入れをめぐる経過でも、エネ庁職員が、昨年末までの四年八か月のうちに三十三回、今年は六回、計三十九回もの出張を行っています。これらのうち、原子力広報官や原子力立地政策室長らと地域経済団体関係者や自治体関係者等の面談あるいは意見交換というのがあります。
そこで、今回の請願を提出した三団体、すなわち、玄海町の飲食業組合、玄海町旅館組合、町内の建設業者で構成する玄海町防災対策協議会、あるいは三団体以外にも、玄海町の町議会議員は含まれていないのか。どうですか。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの御答弁にちょっとつながってくるんですけれども、今、玄海町につきましては、文献調査についてこちらから申入れをいたした上で、これについて是非お受けしたいという御連絡を頂戴したところではございます。
ただ、いずれにいたしましても、御提出しているものは、玄海町というのは、私どもからしますと、原子力発電所の立地の自治体でございます。最終処分のお話に限らず、元々はといえば、発電所、原子力発電そのものについて、立地の自治体として丁寧なコミュニケーションを重ねてきたところでございます。
先ほど申し上げましたように、情報公開法の趣旨にのっとりまして必要な情報の公開をしておりますけれども、公との関係で妨げになるようなものについては、対外的にお話しするものではないというふうに考えてございます。
○笠井委員 話し合って受入れに向けた周到な根回し、地ならしが行われた事実はないのかということが問われてくるわけですが、やっていないというんだったら、やっていないと言えばいいのに、それも言えないということであります。
四月二十六日の町議会での請願採択後、請願提出三団体のトップの一人が、採択された後、心苦しい部分もあると心中を吐露されていることは意味深長であります。
委員長、このエネ庁職員の出張目的、面談、意見交換先等、内容記録の委員会提出をするように理事会で協議をお願いしたいと思います。
○岡本委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○笠井委員 終わりますが、政府は原発回帰への大転換で、原子力基本法に国の責務として立地地域の振興、課題解決を盛り込みました。しかし、原発立地地域に何をしに行ったのか、ベールに包まれたまま。玄海町からも、命に関わる原発政策に民主主義はないのかという声が上がっています。いかに、原発再稼働を強行しようとしても、地元で矛盾があり抵抗を受けているかということを示していると思います。
まさにそういう点では、根本的には原発ゼロを決断して、省エネ、再エネに転換する、ここに全力を尽くすべきだし、今日から始まる第七次エネルギー基本計画の審議の中でも、そうしたことにふさわしい構成をした審議会になるように強く求めて、今日の質問を終わります。
○岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。
○鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。お疲れさまです。最後の一般質問になるんですけれども。
これも何回もお尋ねしている案件で、確認みたいな感じなんですけれども、ある識者が、コロナ禍や物価上昇により生活に苦しむ国民が増えている近年の日本、こういう本を読んだんですけれども、これまでの政府と日本銀行は、経済を回すためにお金の量を増やす政策を取ってきました。これは御案内のとおり、アベノミクスのことを指しているんだと思います。しかし、実際には、この政策によって日本経済が実に危機的な状況に陥っている。お金が膨大に発行されることでたくさんの弊害が生じたと識者が指摘しているんですね。
普通に暮らしていると実体経済にしか目が行かない。私もそうです。実体経済は金融経済とつながっていて、金融経済が膨張すれば、実体経済も活動の活発化が迫られる。しかし、お金を刷って金融経済が幾ら膨張しても、実体経済の側で増えているわけではない。両者の間の乖離はますます広がり、いつかクラッシュ、財政破綻することが目に見えている。この方がおっしゃっているんですね。
実体経済と金融経済の差は長い間、これはアベノミクスがスタートする前の話だと思います、一・四倍程度の乖離があったのが推移していたんですけれども、リーマン・ショック前の二〇〇六年には約三倍になり、この二十年間で約六・八倍に膨らんだ。その原因として、幾らお金を刷っても、都市銀行などを始めとする社会の上の階層は悲観的なためお金を流すことをせず、上の方ですね、結果的に滞留し、国民のいる下の方まで流れていかなかったからだというふうに指摘しています。
本来、産業の革新やイノベーションは階層の下側や端っこから生じる。つまり、社会階層の上側に位置する霞が関から産業が生まれるわけじゃないというふうにこの方は言っているんです。
本来重要なのは、社会階層の上から下へバケツリレーのようにお金が適切に流れつつ、それが消費でなく、生産や創造活動に使われていく新たな仕組みをつくることだとこの方は指摘しているんですけれども。
釈迦に説法になるかもしれませんけれども、大臣にまず御所見を伺いたいと思います。
○齋藤(健)国務大臣 基本的な認識は、私、鈴木委員と同じなんですけれども、要するに、企業が稼いだ資金が、一部の人にとどまらずに様々な主体に循環していって経済活動が活発化していくこと、こういうものをいかにつくり上げていくかということなんだろうと思うんです。
率直にこれまでの日本経済を振り返ってみますと、デフレが長引いていたということもありまして、企業は生み出した収益を主に海外投資に使うということで収益性を高めている、こういうのが分析をすればもう明らかに出てくるわけでありますが、したがって、国内への還流というものは限定的でありました。日本国内における設備や人への投資は諸外国に大きく後れを取りました。政府も、市場環境整備を中心としていまして、結果として、国内において新しい付加価値を生むような取組が不十分であったんだろうと思います。
こうした反省を踏まえて、将来の飯の種を生み出すということにもっと集中しようということで、賃金や成長の源泉となり得る社会課題解決型の国内投資を後押ししようということで、経済産業政策の新機軸ということで展開を始めているわけです。
既にGXやDX分野でこれまでにないレベルの取組を行ってきておりまして、引き続き、リスクを取ってチャレンジをしていくような企業を積極的に支援をして、予見性を高めることで投資を引き出していきたいと考えています。
GX、DXにしても、企業はやはり投資が必要だという空気が今出てきていますので、それをしっかり引き出していきたいと考えています。
熊本ではTSMCを支援していますが、支援先だけでなくて、そこにつながるサプライチェーンの投資、あるいは地域における人材育成、賃金上昇などにも貢献をしてきているということを認識しておりまして、政府の積極的な取組によってサプライチェーン全体での活発化に今九州ではつながりつつあるというふうに考えています。
同時に、これも何回も答弁させていただいておりますが、中小企業を含めたサプライチェーン全体での収入増に向けて、やはり、価格転嫁がしっかり行われていくこと、これが重要でありますので、経産省としては、価格交渉促進月間というのに基づいて、発注企業ごとの価格交渉、転嫁の状況を公表したり、労務費の指針の周知徹底等に加え、下請代金法の執行強化などにも取り組むことによって、何とかこの価格転嫁を通じて中小企業のより積極的な企業活動につながっていくことを今努力して行っているということであります。
こうした取組を通じて、投資も賃金も物価も上昇していく、そういうサイクルが回るような成長型経済につなげていきたいと考えています。
○鈴木(義)委員 しつこいようで申し訳なかったんですけれども、この連休のはざまが国会の委員会等がなかったので、地元回りをしました。
そのときに半導体の下請の仕事をやっている会社さんに伺ったんですけれども、去年よりも売上げが三割から四割下がっている。ベースアップはどうですかと聞いたら、三割、四割下がっているので賃金のアップはない、こういう会社もありました。
私は、製造業の場合だと何の分野の仕事をしているんですかと尋ねさせてもらいます、自動車なのか、建築関係なのか、電気なのか、そういうジャンルの中でどうなのかなというふうに思うんですけれども、押しなべて、やはり、建築関係は二極化がどんどん進んでいて、仕事が全然ないところと仕事が多いところ、こういったところが現場でありますし、やはり、コロナが明けたんですけれども、飲食店も人が入っているところとそうじゃない、そのお店のいろいろな事情もあるんだと思うんですけれども、コロナが明けて幾らか人の動きが出てきたから商売はうまくいっているのかなと思うんですけれども、意外とそうでもない。これは私の地元だけかどうか分かりません。
知り合いで、お訪ねした関西の方の建て売り業者さんの話を聞いたんですけれども、年間二千棟ぐらい建て売りを売っている業者さんの話なんですけれども、売れないんだそうです。うちの地元でもそうですけれども、建て売り業者ではすごく高い値段の売り方をしている有名な会社があるんですけれども、価格を今まで下げたことがないのに、初めて下げて売り始めたという話も出ています。
だから、国会にいるといい数字ばっかり、新聞もそうですけれども、すごく好調な数字ばっかりが散見されるんですけれども、意外と実態はそうじゃないんじゃないかなと。
製造業でも、自動車の部品の関係をやっているところにお尋ねしたら、まずほとんど残業がない、土曜日は休みだと。働き方改革でよかったんでしょうけれども、それだけ仕事がないということですね。
だから、やはり、いろいろな理由があるんだと思うんですけれども、皆さん努力していないわけじゃないんだと思うんですね。だから、今大臣がおっしゃったように、価格転嫁をどうするか、これも大臣は言っていただけるんですけれども、現場で、じゃ価格転嫁がうまくいきましたかと言ったら、鈴木さん、全然駄目、話もしてくれない、嫌だったら、この金額でできなければほかに回すから、こう言われちゃうんですね。じゃ、それを公取さんだとか経産省に相談をかけたときに、そのときはやってくれるかもしれない、その次の仕事は二度と来ないというのが現実にあります。
そこのところをどう対応していくか。これは、自分が質問していて、いや、どうやって、じゃ、価格転嫁もなかなか認めてくれない。
あとは、業種によっては、例えば熱処理をメインでやっている会社さんがあるんですね、ステンレスだとかチタンに熱をかけて表面処理をする、そこから結局、電解研磨というやり方をするんですけれども、その後にメッキをかけていく。このメッキをする会社が、水処理をするのにすごいコストがかかりますから、やめていくんですよね。
だから、サプライチェーンがぶつぶつと切れ始めちゃっているところも正直あるのかなと。だから、逆に、ほかがやめているから仕事が来ているというところもありますしね。それは、なかなか、融資をすればいいとか、人材育成すれば解決できるという話じゃないのかなと。
今、倒産件数も少しずつ、ちょっと上がってきてしまっていますし、地方に、都市部からちょっと田舎の方に行けば人がいないから、工業団地を増設しても建物を建てないんです。工業団地で何億も投資したのに何で建てないんですか、人が集まらないから建てようがないって。
これが日本各地で起きている現象だと思うんですね。だから、そこをどうやって手だてしていくかというのは、もうちょっと思い切ったやり方をしないと手遅れになってしまうのかなというふうに思います。
私なりの考え方なんですけれども、二問目、ではどうやって解決していくかという考え方です。それが、私は、物の長寿命化を奨励するように向けていった方がいいんじゃないかという考え方なんです。
例えば経産省で、いろいろな分野ごとに、部品は七年でいいですよ、十年でいいですよ、物によっては十五年でいいですよというルールを各業界に話をしていると思うんです。
この経産委員会でも質問したときに一つの例えで言ったと思うんですが、私の事務所のエアコンが壊れたんですね、天井のつり下げ型。それを直してくれと言ったら、あるメーカーさんが、見に来るだけで五万円取るんですよ。有名なところです、名前を出しちゃうといろいろあるんですけれども。じゃ、これ、部品だけ取り替えてくれと言った。そうしたら、いや、鈴木さん、これはもう十二年使っているから、これを取り替えても、外にある室外機が一、二年しないうちに壊れますよと。ちなみに幾らなんですかと、見積りをもらった。八十万。私、それは思ったんですけれども、これは何とかという有名なメーカーさんですよ。
だから、なかなか賃金も上がらないところもあるし、あとは、年金で暮らしている人が、今はまだ三〇%前後ぐらいだと思うんですけれども、四人に一人、三人に一人、二人に一人の時代がもう目の前に来るのはみんな分かっているんですね。
月十五万とか二十万もらって、年金で老後を暮らしている人がどんどん増えていったときに、八十万のエアコン、替えられないと思うんですね。いや、ローンを組めばいいじゃないか、七十、八十になってローンを組めないですよ。では、そういう人がまた困ってきたら補助金を出すんですか。
そうならないうちに、やはり、壊れたら直すということを奨励していくような形で、ちょっと高いけれども長く使えるという価値観に戻していかないと、使い捨てでどんどんどんどん安いものを買っちゃ、使い捨て使い捨て。片や、今度、リサイクルするんだと。リサイクルするのだってコストがかかりますよ。そういう循環の経済じゃないやり方にしていかないと、私は、なかなか国内の産業を、一度外に出ていって安いものを作って逆輸入するような商売で、日本の、私たちの生活を、豊かさを享受しているというより、支えてくれているのは分かるんです。でも、それじゃ、やはり国内の産業は育っていかないし、みんなやめていきます。
だから、例えば何かやるときに、車でも何でもそうなんですが、アセンブリーです。全部取り替えちゃう。
五千円の部品でも、例えばトルコンが壊れているからといって、ある外国のメーカーの車なんですけれども、見積りを出してくれと言ったら、幾らかかるか分からないと地元の修理屋さんが教えてくれたんです。それで、社長、どうしたんですかと。たまたま英語ができるのが身内でいるから、ヨーロッパのある会社に直接メールを送って部品を取り寄せて、五千円だって、部品一つで。ある日本のディーラーさんに見積りを出してくれと言ったら、百万かかるかもしれない、こういう話なんです。そこの構造をやはりちょっと変えていかないと、工賃も上げられないし、払う方も今度は払えなくなってくる。
だから、修理が可能な商品、これは前にも質問したときに、フランスで家電製品を買うときに、価格のところに、これは修理が利きますよ、利きませんよ、だから幾らですと書いてあるんだそうですね。そういう法律をフランスは作って、スタートしているというふうにも聞きます。
だから、過去の価値観を変える時期にやはり来ているんじゃないかと思うんですけれども、御所見を伺いたいと思います。
○吉田大臣政務官 お答え申し上げます。
世界では、将来的な資源制約や環境問題などを背景に、大量生産、大量消費、大量廃棄の一方通行の線形経済から、資源の効率的、循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を図る循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーへの移行が急速に進んでおります。
また、委員御指摘のとおり、消費者の価値観に訴求するとともに、企業の行動について、製品の長寿命化やそれを意識した設計などへの取組を促すことが、資源の有効利用だけでなく産業競争力の観点からも必要であると認識をしております。
そのため、経済産業省では、これまで資源有効利用促進法に基づき、製品の長寿命化に資する設計として、例えば、部品交換が容易になるように、原材料の工夫や構造を解体しやすくする工夫などを製造事業者などに求めてまいりました。
また、規制的な手法に加えて、循環型物づくりの技術開発、実証及び商用化に係る投資等を後押しする支援策も講じているところでございます。
経済産業省といたしましても、古くから日本人が育み実践をしてきたもったいないの価値観や、日本の高い品質を生かしながら、循環経済の取組を前提とする社会構造への転換を通じて、資源制約や環境制約などの社会課題を成長機会に転換をし、日本の新しい成長と社会課題の解決を同時に実現してまいりたく存じます。
○鈴木(義)委員 今そういうふうに答弁いただいたんですけれども、私が地元で聞いている中では、例えば、家電の代理店をやっているお店があってお世話になっているんですけれども、鈴木さん、昔と今は違う、昔は二十年でも三十年でも、冷蔵庫でも洗濯機でも使えたんだけれども、今七年もすれば壊れるようにできちゃっていると、その人が私に教えてくれたんです。
ある農機具屋さんに行って、社長、この農機具、ぴかぴかして新品だけれども、これは何年、部品をメーカーから調達できるのと聞いたら、いいところ十年だ、だって経産省の方で七年でいいと言っているんだよと。ただ、それじゃお客さんが困るから、自分のところでもう少しストックしておくように、エンジンのところの主要な部品だったら、自分のところで、アフターサービスということでストックします。でも、経産省が言うのは七年でいいと。
今、副大臣が答弁されましたけれども、結局、現場と言っていることが全然乖離しちゃっているんですよね。そこのところ、もう一回見直しをかけてもらいたいんです。
それで、農業はちょっと所管が違うんですけれども、農機具も、もうもたないんです、長く使えない。それで、スマート農業だとかなんとかと、まあ農水委員会でも質問にちょっと立たせてもらったんですけれども、そのときも、そういう方向に向けていこうとするのはいいんですけれども、一般の農家の人は買い切れないですよ。それが現実の話なんです。
ではどうするかといったら、ちょっと高いけれども長く乗れるもの、使えるものという方向に持っていかないと、みんなやめていくと思います。やめていった後に、外人さんを入れて、あれですか、働いてもらえばそれでいいというふうに考えているのかということですね。
では、三番目に行きます。
知識が邪魔することもあると、これも記事で読んだんですけれども、二人の天才、名前を出しちゃうとすぐ分かっちゃうので、名前は伏せておきますけれども、無知であることが武器になる納得の理由という記事なんですね。
アジアはどこもそうかもしれないけれども、日本はまず受験というハードルがある。幼稚園、小学校、中学校、高校、大学受験。幼少時から、ともかく問いに対して正解を出すトレーニングを受ける。教科書に書いてあること、先生の言うことは絶対正しくて、そのとおりに答えたらマルだし、それに逆らったらペケ。まあ、私たちも受験を何回もやってきました。それで点数が取れなかったら、希望の大学に入れない、そういうトレーニングを受けて、今の学校教育をやっています。だから、失敗を経験することなく、教科書に書いてあることをそのまま答えたら目的の大学に入れるという環境で育ってきた子が大半だというんです。
そんな子がいきなり研究の世界に入ってきて、教科書に書いてあること、先生の言うことは信じるなとか、実験結果で予想外のことが起こったときこそチャンスだというふうに言われても、それはそう簡単に受け入れられない、そういう考え方がしみついてしまっているんじゃないかというんです。
経済産業委員会では、イノベーションを起こすんだとか新しい創造を大事にしていくんだというふうに言うんですけれども、実際、文科省所管の学校では、昔から同じやり方です、多少はいじっていますけれども。それで、イノベーションを起こす人材が、いきなり社会に出てトレーニングしますといったって、受け付けないですよね。
親や学校の先生からこうしなさいと言われたことをそのとおりやっている、いわゆるいい子となり、ある意味、非常に生きやすい。逆にそこから外れると、すごくしんどい思いをして生きづらくなる。
さらに、最近は、大人が子供を叱ることを避ける傾向があります。子供たちは自分の考え方や行動様式を否定されないので、見方によっては新しい世界に踏み出す機会が失われているというふうに、この二人は指摘しているんですね。このような学生時代を過ごしてきて、イノベーションを起こせといきなり言われても無理ですねと。
国家百年の大計は教育と言われているんですけれども、経済産業政策をつかさどる立場で、まあ文科行政に言えるかどうかというのはあるんですけれども、ちょっとやり方を、今の長寿命化じゃないんですけれども、価値観を少し変えていってもらわないと、また日本で新しい産業を生み出すということを考える人が増えていかないんじゃないかと思うんです。御所見を伺いたいと思います。
○吉田大臣政務官 お答え申し上げます。
イノベーションを推進をし、産業競争力を強化する観点から、教育システムを含めた我が国の人材育成の見直しは常に重要な課題であると承知をしております。
経済産業省といたしましては、一昨年の五月に、産学官が目指すべき人材育成の大きな絵姿として、未来人材ビジョンを公表いたしました。デジタル化や脱炭素の世界的な潮流の中で、これからは、例えば、注意深さ、ミスがないことよりも、常識や前提にとらわれずにゼロから一を生み出す能力がより強く求められていることなどをお示しをし、産学が一体となってこうした人材育成に取り組んでいく必要性を発信をしたところでございます。こうした内容は、内閣官房の、総理を議長とする教育未来創造会議の提言にも多く取り込んでいただいていると承知をしております。
現在、これらのビジョンや提言に即した形で、関係省庁が対応しているところでございます。経済産業省におきましては、高等教育機関における企業による共同講座の設置支援、また、中学校や高校などにおいて民間教育事業者と連携をし、新たな学びの姿を実証する事業、いわゆる「未来の教室」実証事業などに取り組んでいるところでございます。
今後も関係省庁と連携をしながら、更に検討を進め、具体的な変革につなげていきたく存じます。
○鈴木(義)委員 要するに、入りたいときはどんどん入れちゃって、出るとき厳しくするというぐらいなことをしないと、やはり勉強もしないし、意外と今の子供さんって余り自分たちで遊ぶということをしないよね。すぐスマホだ。それで満足している。私たちが小さい頃はそういう、物もなかったから、自分たちで遊びを考えたんです。それがある意味ではトレーニングになってきたんだと思うんですね。だから、そういうものも、こういうふうにやりなさいとか何をしなさいとかと言うこと自体も、もう結局ナンセンスだという考えに基づかないと、これもやっています、あれもやっていますといっても、それは、イノベーション、特にPCDAサイクルとよく言いますよね、これをやっていたときにはイノベーションは起きないんです。平時のときの効率を求めるとかコストを下げることにはPCDAサイクルは機能するんだけれども、それを……(発言する者あり)PDCAだよね、そうだよね、大丈夫だよね。そこではやはり駄目なんだというんですね。
だから、そういうことも踏まえて、少し経済産業省の方からこういう人材が欲しいんだということをアプローチしながら、これは五年とか十年じゃできないと思います、でも、遅くはないので、是非頑張ってやってもらいたいと思います。
以上で終わります。
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○岡本委員長 次に、内閣提出、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。自見国務大臣。
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スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○自見国務大臣 ただいま議題となりましたスマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
この法律案は、我が国においてスマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤としての役割を果たしていることに鑑み、スマートフォンの利用に特に必要な特定ソフトウェアの提供等を行う事業者に対し、特定ソフトウェアの提供等を行う事業者としての立場を利用して自ら提供する商品又は役務を競争上優位にすること及び特定ソフトウェアを利用する事業者の事業活動に不利益を及ぼすことの禁止等について定めることにより、特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争の促進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、特定ソフトウェアの提供等を行う事業者のうち、当該特定ソフトウェアの提供等に係る事業の規模が、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配し得るものとして政令で定める規模以上であるものを、この法律の規制を受ける者として指定することとしています。
第二に、指定を受けた事業者に対し、個別アプリ事業者に対する不公正な取扱いの禁止等の禁止行為や、データの取得等の条件の開示に係る措置等の講ずべき措置を定めるとともに、この法律の遵守状況に関する報告書を公正取引委員会に提出しなければならないこととしています。
第三に、この法律に違反する疑いのある行為に対する公正取引委員会の調査権限や、違反行為を是正するための命令、課徴金納付命令等について定めることとしています。
第四に、セキュリティー確保、プライバシー保護、青少年保護等の観点から、公正取引委員会が関係行政機関の長に意見を求めることができるとともに、関係行政機関の長が公正取引委員会に対して意見を述べることができることとしています。
なお、この法律案は、一部を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしています。
以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○岡本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十六分散会