衆議院

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第15号 令和6年5月17日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年五月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君

   理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君

   理事 荒井  優君 理事 山岡 達丸君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    大岡 敏孝君

      加藤 竜祥君    神田 憲次君

      国光あやの君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    冨樫 博之君

      中川 貴元君    福田 達夫君

      細田 健一君    堀井  学君

      宮内 秀樹君    宗清 皇一君

      柳本  顕君    山際大志郎君

      山本 左近君    吉田 真次君

      和田 義明君    若林 健太君

      大島  敦君    落合 貴之君

      小山 展弘君    重徳 和彦君

      田嶋  要君    山崎  誠君

      市村浩一郎君    小野 泰輔君

      山本 剛正君    吉田 宣弘君

      笠井  亮君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   国務大臣         自見はなこ君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       塚田 益徳君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      岩成 博夫君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     木村 公彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     山本 左近君

  山際大志郎君     柳本  顕君

同日

 辞任         補欠選任

  柳本  顕君     山際大志郎君

  山本 左近君     石井  拓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房審議官塚田益徳さん、公正取引委員会事務総局経済取引局長岩成博夫さん、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文さん、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦さん、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行さん及び経済産業省商務情報政策局長野原諭さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。和田義明さん。

和田(義)委員 おはようございます。自由民主党の和田義明でございます。

 本日、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。委員長、理事、そして委員各位の皆様方に心から御礼を申し上げます。

 本日は、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案の審議ということで、大変意義深い法案だと思っております。

 物価の高騰が進み、その一方で、コストの価格への転嫁ができているところ、できていないところ、これがまばらでございます。特に、中小企業におきましては、お給料もなかなか上げたくても上げられない、そういった状況下、いろいろなところの、価格の上げられるところと上げられないところの格差がかなり大きくなっており、これをすべからくしっかりと上げていく、これが大事だというふうに思っております。

 そういった意味で、今法案は、非常に今の時代に即した重要な法案だと思っておりますので、基本的に賛同しつつ、質疑に入りたいと思います。

 まずは、この法案でございますけれども、法案の概要そして意義について御説明をいただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 スマートフォンが急速に普及し、国民生活や経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要なモバイルOSやアプリストア等の特定のソフトウェアは、特定少数の有力な事業者による寡占状態にございます。競争制限的な行為によって、公正かつ自由な競争が妨げられているというふうに考えております。

 このような課題に対処するために、まず、アプリストア等を提供する事業者のうち、政令で定める一定規模以上の事業を行う者を指定し、指定を受けた事業者に対して、競争を制限するおそれのある一定の行為等を定めるとともに、規制の実効性確保のために、違反行為に対する公正取引委員会による命令等の措置を定めるということにしております。

 このような規制を定めることによりまして、国民生活や経済活動の基盤となるスマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定ソフトウェアにつきまして、セキュリティーの確保等を図りつつ、イノベーションを活性化し、消費者の選択肢の拡大を実現するために、競争環境を整備するものでございます。

 また、規制が先行する欧州では、今年三月からデジタル市場法が本格的に動き出しております。また、米国でも、今年三月に司法省がスマートフォンの独占をめぐる問題に関してプラットフォーム事業者を提訴したところでございます。

 こうした動きに我が国が遅れることなく、日米欧三極で足並みをそろえてデジタル分野における公正な競争を確保していくためにも、本法案の整備が急務であるというふうに考えております。

和田(義)委員 御説明ありがとうございました。

 まさに携帯電話のアプリストアは寡占状態にあります。アップルのiPhoneにおきましては、ほかのアプリストアは利用は不可となっております。そして、グーグルに関しては、グーグルプレーが九七・四%ということで、ほかのアプリストアの参入も認められてはいるものの、ほぼほぼ参入していないという状況でございますので、極めて典型的な寡占状態というふうに言えると思います。

 そこで、少し根本的なところからお伺いをしていきたいと思っております。

 まず、IT業界、とりわけゲームやソフトウェア開発事業の利益率、これは一般的に何%ぐらいありますでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省の企業活動基本調査によりますと、ソフトウェア業に関しまして、二〇二〇年度でございますが、売上高営業利益率が八・〇%、それから売上高経常利益率が八・九%であるというふうに承知をしております。

和田(義)委員 ありがとうございます。

 経常利益が八・九%ということでございました。ボトムライン、最終利益のところは更に下がるということでございます。

 商売は、本当に当たり前でございますけれども、売上げを立てること自体、極めて大変なことでありますし、それ以上に、やはり利益を出すということがいかに難しいか、私も商社に二十年勤めていて、この利益を出すことの難しさを本当に痛感してきた次第でございます。

 その一方で、じゃ、このゲーム業界、アプリ業界の状況を見てみますと、アップストアやグーグルプレーのアプリ内課金手数料、これは売上高の三〇%です。利益の三〇%ではなくて、売上高の三〇%です。利益率三〇%の商売というだけでもかなり割のいい商売だなと思うわけでございますけれども、売上げに対して三〇%の課金手数料がかけられているということは、非常に違和感を感じる次第でございます。年間の売上げが百万ドル以下のものに関しましては一五%ということで、多少の手心が加えられているものの、この非常に高い手数料というのが、私個人のビジネス感覚としては非常に強い違和感を感じております。

 先ほどIT業界の一般的な利益率は、経常利益で八・九%というふうにありました。手数料のパーセンテージ、それから利益の額、これを比較してみまして、公正取引委員会として、この手数料の妥当性をどのように考えられるか、お考えをお示しください。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 手数料の水準につきましては競争を通じて設定されるべきものということになりますので、現在のアップル社及びグーグル社の手数料率の妥当性につきましてお答えするのはちょっと難しい、困難であるというふうに考えております。

 なお、iOSに関しましては、アップル社のアップストア以外のアプリストアが認められていない、先生がおっしゃられたとおりでございます。また、アンドロイドに関しても、グーグル社のグーグルプレーストアが、事実上、市場を独占しているというところでありまして、手数料率に関する競争圧力がこれらのアプリストアに対して働いていないというふうに考えております。

和田(義)委員 妥当性のところは答えづらいのかもしれません。ただ、普通の商売感覚から見て、ビジネス感覚から見て、この妥当性というのはかなり疑いがあるというふうに私は個人的に思います。あと、競争が働いていないということは明確にお答えをいただきました。まさにしっかりと競争を働かせていく、そして、関係するステークホルダーがすべからく適正な利益を上げられるように努めていく、これが我々の責務だというふうに思うところでございます。

 そして、アプリ内課金の手数料のみならず、決済システムの利用が強制されている等々のこともあります。加えて、このアプリ内課金手数料に加えまして、課金データの詳細情報が開示されない、そして、それが新たなビジネスに、また新たな開発につなげられないといった不都合もあるというふうなコメントも多く寄せられております。

 これらを合わせて、アップルそしてグーグルでございますけれども、優越的地位の濫用にならないのか、そもそも、この新しい法律を作る以前に、今の法律に抵触をしないのかというところの観点でお答えをいただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、アプリストア事業者が一方的に著しく高額な手数料を決定することなどによりまして、自己の取引上の地位が他のアプリ事業者に優越しているときに、他のアプリ事業者に対して、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合でありますけれども、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題になるおそれがございます。

 また、手数料水準が高額であることによりまして、決済システムの対象となるデジタルコンテンツサービスの価格も高額となるということでアプリストア事業者と競合するアプリ事業者と消費者との取引が妨害され、当該事業者の取引機会を減少させる又は当該事業者を排除する場合でございますけれども、そうした場合には、私的独占の禁止あるいは競争者に対する取引妨害ということで、独占禁止法上問題となるおそれがございます。

和田(義)委員 ありがとうございます。その可能性について明言をいただきました。

 冒頭も申し上げました適正価格ということを今の日本で徹底をしていかなければ、この国の豊かさと、そして新たな、次の時代への進化というのはなし得ないというふうに思っております。

 そういった意味で、公正取引委員会さんの立ち位置というのは、今、特に重要な時期に差しかかっていると思いますので、是非とも頑張っていただきたいというふうに御期待を申し上げます。

 そして、違反があったというふうに認定された場合には、本法案では、厳正な措置を講じるというようなことが明記されておりまして、この意義も極めて大きいというふうに考えております。

 課徴金の算定率が二〇%というようなことも資料には記載をされておりました。まず、課徴金の計算方法について説明をしてください。そもそもの分母は何になるのか。

 そして、違反行為によって得られた売上げというものが分母になると聞いておりますけれども、この定義は何なのか。

 あと、過去何年に遡ってこの課徴金の対象となるのか。

 そしてまた、課徴金も、金額的なインパクトがなければ実効性が担保できないというふうに考えておりますけれども、過去の課徴金の事例についても御紹介をいただきたいと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案における課徴金額は、算定基礎とする売上額、これが委員御指摘の分母となりますけれども、算定基礎とする売上額に二〇%の算定率を乗じて算出することになります。

 ここで算出基礎とする売上額は、違反行為期間中の違反行為に係る商品又は役務の売上額になります。

 違反行為期間につきましては、違反行為の開始時点まで遡りますが、仮に公正取引委員会の調査開始日の十年以上前から違反行為が行われていた場合は、当該十年前の時点から違反行為終了までが算定期間となります。すなわち、最長で調査開始日から十年間遡るということになります。

 また、本法案は、我が国におけるスマートフォンの特定ソフトウェアに係る競争の促進を目的とした法律でありますので、課徴金の算定基礎となる違反行為に係る売上額は、基本的に、おのずと我が国国内における売上額になります。

 独占禁止法における課徴金納付命令の金額の規模につきまして、市場規模の大小によって異なるため、一概にこのくらいということは申し上げられませんけれども、最近では、電力分野のカルテルについて、旧一般電気事業者らに対して命じた合計一千十億三千三百九十九万円、これがこれまでの最高額となっております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 事と次第によっては非常に大きなインパクトのある課徴金のルールがあるというようなことであります。改めて、しっかりとしたチェック体制をしいていただきたいと思うわけでございます。

 違反に対する措置も、せっかくしっかりとしたルールがあっても、実効性が担保されなければ意味がないというふうに思います。そのために、法律とガイドライン等を駆使して、ルールが明確化され、実質的な解釈が確保されなければならないと思います。

 正当化事由の主張の権利濫用や迂回行為を防止するための体制をしっかりと整備しなければなりません。正当化事由の内容を具体的かつ限定的に明示する必要があると思います。権利濫用や迂回行為の事例を具体的にこれまた明示する必要もあると思います。過剰な正当化事由や迂回行為の端緒情報の把握をしっかりとしなければなりませんけれども、その把握方法も明らかにする必要があります。指定事業者の遵守状況を正確に把握する手順も明らかにしなければなりません。

 法案やガイドラインはどうなるのかというところでお示しをいただけたらと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、実効性確保の関係でありますけれども、本法案の実効性を確保するために、指定事業者が禁止事項に違反した場合でございますが、排除措置を命じる一方で、義務づけられた措置を講じていない場合の方は、まず勧告を行う、そして、当該勧告に従わない場合には、措置を講ずべきことを命じるということにしております。

 また、禁止行為や講ずべき措置のほか、セキュリティーの確保等に関する正当化事由等につきましては、公正取引委員会においてガイドラインを策定し、法が実効的に運用されるよう、考え方を明確化することとしております。

 さらに、指定事業者に毎年度提出を義務づけている各規律の遵守状況等に係る報告書のほか、必要に応じて、指定事業者や関係事業者との継続的なコミュニケーションなどを通じて情報を把握することとしておりまして、こういったことを通じて、実効的な法運用ができるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 指定事業者は今のところアップル、グーグルということでございますけれども、マルチナショナルな、本当にグローバルな、そして巨大な企業でございます。当然、強い弁護士チームを持って、いろいろな対抗措置を打ってくると思います。そういった中、しっかりとこちら側も、チェック体制、そして日本の事業者のサポート体制、こういったことを構築しなければならないと思います。当然、予算との絡みが出てくるわけでございますけれども、強固なチームを築いていただいて、日本の企業の利益、適正価格、これをしっかりとお守りをいただきたいと思います。

 この点につきまして、是非大臣の御決意を伺えればと思います。よろしくお願いします。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 デジタル分野は我が国経済の生活に不可欠であり、公正な競争環境の確保は重要な政策課題だと認識をしてございます。

 本法案は、スマートフォンが国民生活及び経済生活の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定ソフトウェアにつきまして、セキュリティー等を確保しながら公正な競争環境を整備するものでございます。

 この法案によりまして、デジタル分野の成長に伴う果実を、デジタルプラットフォーム事業者のみならず、アプリを作る日本企業を含む関連事業者が公正公平に享受できる環境の実現をしっかりと目指してまいりたいと存じます。

和田(義)委員 自見大臣、力強い御決意をありがとうございました。

 続きまして、青少年の保護の観点で御質問したいと思います。

 スマートフォン所有の低年齢化また有害コンテンツの閲覧等、様々な課題が生じている中で、この法案によって代替アプリストアが参入することによって、青少年に対するリスクが高まるリスクがなくはありません。スマートフォンのアプリストア等についての競争環境整備は重要な課題である一方、青少年のスマートフォンの利用における安全、安心をしっかりと確保する必要がございます。

 私の子供も十歳であります。タブレット、学校のものを使ったりしていて、本当に大丈夫かなと心配になっております。当然、スマートフォンが欲しいと言うんですけれども、私は大学生になるまで与えないというふうに言っておりますけれども、ただ、完全にそういったところを阻止できるものではありません。

 そういった中、青少年の安全、安心を守りながら競争環境を整備するということが必要になってきますけれども、この点における大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 セキュリティー確保やプライバシー保護、青少年保護等が図られ、スマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境が確保されることは大変重要であります。

 このような観点から、本法案においては、セキュリティーの確保等を図るため、ウェブサイトからアプリを直接ダウンロードすることまでは義務づけないこととしてございます。加えまして、他のアプリストアの参入等に関しましては、指定事業者がセキュリティーの確保や青少年保護等のために必要な措置を講ずることができるとしてございます。

 本法案は、このような対応を通じましてセキュリティー確保や青少年保護等を図りつつ、競争を通じてスマートフォンの利用者が多様なサービスを選択できるような環境整備を行うものであります。

 お尋ねの、青少年の保護の観点から更にどのような方策が考えられるかにつきましては、従前より関係省庁と意識合わせをしてきたところでもございまして、こども家庭庁におきまして問題意識をしっかりと受け止めていただいているものと承知してございます。

和田(義)委員 大臣、ありがとうございました。

 そして、この法案におきまして、今大臣からも御認識のありましたとおり、青少年保護に配慮をしっかりとしているというようなことでございますけれども、そもそも、我が国には、欧州のデジタルサービス法のような、青少年を保護する実効性のある法律がないというふうに認識をしております。本法案とは別に、スマートフォンの利用をめぐる青少年保護の在り方について、欧州でいう、いわゆるデジタルサービス法のような法制度の検討が必要ではないかというふうに考えておりますけれども、事務方の方の御認識をお伺いします。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートフォン等の利用におけます青少年保護につきましては、現在、青少年インターネット環境整備法におきまして、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本計画というものを策定することとされておりまして、現在、第五次基本計画の下、関係省庁が連携をいたしまして、例えば、フィルタリング利用率の向上ですとか、あと、青少年によるインターネット活用能力の向上、ペアレンタルコントロールの普及啓発等を推進しているところでございまして、本年夏頃をめどに、第六次計画への改定を予定しているところでございます。

 今後、スマートフォンの利用をめぐる青少年の一層の保護の観点から更にどのような方策が考えられるかにつきましては、今御紹介のありました欧州におけるデジタルサービス法を始めといたします諸外国における最近の動向なども踏まえながら、関係省庁と連携をいたしまして、現状と課題を整理し、法制上の対応の必要性の有無を含めて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

和田(義)委員 明確な御回答をありがとうございました。

 まさにこども家庭庁さんでこどもまんなか社会というものをつくっていただいているところでありまして、しっかりと子供を守るというところは、この間も日本版DBS法案を審議されまして、着実に進んでいると思います。是非とも力強くこの点も進めていただきたいと思います。

 時間が参りました。是非ともこの法案はしっかりと応援させていただきたいと思います。頑張ってください。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、細田健一さん。

細田委員 新潟二区の細田でございます。

 大臣、本当にお疲れさまでございます。

 貴重な質問の時間をいただきましたことを、委員長、また理事の先生方に改めて心から御礼を申し上げます。

 この法律案でございますけれども、今、同僚の和田議員からもお話があったとおり、アプリストア、ブラウザー、検索エンジンといったようなものは本当に我々の日常生活に深く入り込んでおりまして、これらの在り方というのは、本当に我々の日常生活にとっても強い影響を与えるものだというふうに考えております。ただ、一方で、これを提供する事業者、デジタルプラットフォーム事業者は事実上の寡占状態になっておりまして、デジタル分野での競争環境を整備しなければならないということですね。この法の趣旨は大変よく理解できるものでございます。

 特に、この分野は日進月歩でありまして、アプリ開発を含めた革新的なイノベーションに挑戦した果実がきっちりと正当に分配されるようにしなければならないということだろうというふうに思っております。その意味から、この法案の趣旨、目的というのは大変よく理解できるものでございますし、今回、この法案をまとめられて提出された、特に政府の関係者の御尽力には心から敬意を表したいというふうに思っております。

 幾つか法案について質問させていただきたいと思いますけれども、まず、そもそも、この法案の規制対象事業者の具体的などのような行為が問題であるというふうに考えているのか。できれば、類型化をして、具体的な事例を挙げて御説明をいただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 アプリストア等の特定ソフトウェアに係る市場は、先生御指摘のとおり、特定少数の有力な事業者による寡占状態でありまして、当該事業者の競争制限的な行為によって様々な競争上の問題が生じているところと考えております。

 このような課題に対処するために、本法案では、第五条から第九条までにおきまして、類型的に、独占禁止法が禁止する私的独占等に該当する行為、これは数えますと九類型になりますけれども、九類型の行為を禁止行為として規制することとしております。

 具体的には、代表的なものを少し申し上げますと、モバイルOSに係る指定事業者が他の事業者によるアプリストアの提供を妨げることでありますとか、検索エンジンに係る指定事業者が検索サービスの提供に際して自社が提供するサービスを優先的に表示することなどを禁止しているところでございます。

 それから、第十条から第十三条まででございますが、競争の促進を図るため、公正かつ自由な競争を確保するために必要な一定の措置を講ずるべきことを義務づけているところでございます。

 具体的には、こちらも代表的なものを挙げさせていただきますと、モバイルOS、アプリストア又はブラウザーに係る指定事業者は、データの取得等の条件の開示に係る措置を講じなければならないことなどを定めているところでございます。

細田委員 ありがとうございました。

 九類型あるというお話だったわけでございますけれども、競争制限的な事実上の行為が認められるので、それを規制しなければならないというふうに理解をいたしました。

 さらに、そうしますと、この九類型それぞれについて御説明いただくと大変長くなるので、今お話があった代表的なものについてお話しいただければと思いますけれども、それらを具体的にどのように規制するのか、具体的な事例を挙げて御説明いただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、先ほど申し上げたような、競争を制限するおそれのある一定の行為の禁止等をあらかじめ定めて、規制の実効性確保のために、違反行為に対する公正取引委員会による命令等の措置を定めることによりまして、迅速かつ効果的に競争環境の整備を図ることとしております。

 具体的には、先ほど申しました、他の事業者によるアプリストアの提供を妨げることでありますとか、検索エンジンに関して自社のサービスを優先的に表示することについての禁止の規定を設けておりますけれども、こういったものに関しまして、指定事業者が禁止事項に違反した場合には排除措置、当該行為を排除する措置を命じるというのがまずございます。

 その一方で、先ほど申しました義務づけられた措置を講じていない場合でありますけれども、こちらについては、まず勧告を行う、そして、当該勧告に従わない場合には、措置を講ずべきことを命ずるということにしております。

 これは、禁止事項については、類型的に独占禁止法が禁止する私的独占等に該当する違反行為でございますので、迅速かつ確実に当該違反行為を是正する必要があるということから、独占禁止法と同様に排除措置命令等を行うということにしているところでございます。

 一方で、義務づけられた措置が講じられていない場合の方ですが、直ちに独占禁止法に違反するとまでは言えない、また、指定事業者が講ずべき措置の具体的内容が一概に決まるものではないということから、まずは勧告を行う、そして、当該勧告に従わない場合に命令を行うということにしているところでございます。

細田委員 ありがとうございました。

 指定事業者に対して勧告、必要に応じて命令等の強制的な措置を行うということなんですけれども、私もこの分野はそんなに詳しいわけではございませんが、指定事業者として想定されている会社の運営の形態を拝見していますと、単なる窓口が日本の国内にあって、意思決定を行っているような、実質的な意思決定でありますとか、あるいは基本ソフトウェアの開発やその送信や販売、あるいはアプリなどを提供するサーバーの設置や、そのサーバーを利用した送信、あるいはデータの収集や移転というのは、日本国外で行っている場合が一般的なんじゃないかというふうに思います。

 日本国内には単なる窓口としての支店があり、実質的な意思決定、あるいは実際の行為、事業的な行為は国外でやるということが一般的ではないかと思うんですけれども、まず、この指定事業者については、国外のこういう本社も含まれる概念なのかということについてお伺いしたいと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案について、国外事業者にも適用される理解でよいかとのお尋ねがありましたが、委員の御理解のとおり、本法案は国外事業者にも適用されるということになります。

 まず、法案第三条におきましては、本法案の規制対象となる事業者として、国外に本社を置く事業者を指定することを排除しておりません。また、独占禁止法では、我が国の市場に悪影響を及ぼす行為が行われた場合には、海外の事業者に対しても法的措置を課し、規制することができます。

 本法案は独占禁止法を補完する法律でありますので、独占禁止法と同様に、我が国の市場に影響を及ぼす海外の事業者についても指定事業者として規制すること、すなわち、海外の事業者に対しても本法案を適用することを想定しております。

細田委員 明確な答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。海外の事業者においても適用されるということで、非常に明らかになったと思います。

 ただ、例えば、具体的にはアメリカに本社があって、そこで事業活動を行っている、あるいはアメリカの国内にサーバーを置いて、そこでデータの収集やあるいは送信を行っているというような場合に、先ほど勧告あるいは命令をというお話がございましたけれども、規制の実効性を担保するために具体的にどういう工夫をされるおつもりなのかということについて是非お伺いできればと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案においては、規制の実効性を担保するため、指定事業者からの毎年度の報告提出、関係事業者等からの情報提供、公正取引委員会による調査権限といった規定を設けております。これらの規定に基づき収集した情報なども踏まえまして、海外の事業者に対しても違反の疑いのある行為の調査を行いまして、必要な場合には法的措置を講ずるということになります。

 本法案は海外の事業者に対しても適用できることについては先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、実際に、これまでの独占禁止法の執行におきましても、グーグル社を始めとする海外事業者に法的措置を取るなどしてきたところでございます。

 これまでの独占禁止法の執行で培ってきた海外の事業者に対する法執行の経験なども踏まえ、本法案についても適切に運用してまいりたいと考えております。

細田委員 ありがとうございます。是非、海外事業者も視野に置いて法執行に努めていただきたいと思います。

 ここで、類似の事例といいますか、先行事例といいますか、まさにデジタルプラットフォームが問題になった事例についてちょっとお伺いをしたいと思いますけれども、今日、まさにタイミングよくといいますか、日経新聞の朝刊を見ておりましたら、SNSを使った投資、ロマンス詐欺の被害が二百七十九億円となり、前年の四・五倍になったというような記事が社会面に載っておりました。

 これは、我が党でも問題意識を持って、まさに成り済まし広告の対象になった著名な方に自民党の本部に来ていただいて、いろいろな経験をお話しいただいたところでございますけれども、私の理解では、成り済まし広告に対応するためにプロバイダー責任法をこの国会で改正をしていただいたというふうに理解をしております。

 全く同じように、この規制の対象になるプロバイダーあるいはプラットフォーム事業者は、日本に窓口を置いて、実質的には海外で様々な事業活動を行っているということだと思いますけれども、このプロバイダー責任法の改正法案について、いわゆる先行事例として、改正法令の実効性の確保のためには、まずは規制の対象になる企業の積極的な対応が当然必要だと思いますし、また、アメリカの本社も含めた規制対象企業との実質的な話合いというようなものが非常に重要になってくるというふうに考えております。

 総務省に、先行事例を所管しているということでお伺いをしたいと思いますけれども、これまでプロバイダー責任法に関連したこのような事業者との話合い、こういう場合の彼らの対応ぶりについてどのような評価を行っているのか、お伺いできればと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 成り済ましだとか誹謗中傷など、ネット上におけます他人の権利を侵害する情報の流通による被害が深刻化していることを踏まえまして、総務省におきましては、ネット上における権利侵害等に対処するため、今通常国会に、御指摘のありましたプロバイダー責任制限法の改正案を提出をしまして、先日、五月十日になりますけれども、成立をし、本日、公布の運びとなっているところでございます。

 委員御指摘のとおり、改正法の実効性の確保という観点のためには、プラットフォーム事業者と意思疎通をしっかり図って、積極的な対応を促すということが重要だというふうに考えております。

 総務省におきましては、これまでも有識者会議でプラットフォーム事業者からヒアリングを行ったり、あるいはプラットフォーム事業者と直接意見交換を行ったりしてきているところでございますけれども、被害者の救済、それから安心、安全なネット利用環境の整備、これがしっかり進むように、今後もそういった対応をしっかり進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

細田委員 ありがとうございました。

 先行事例として総務省さんが頑張っておられるということで敬意を表したいと思いますけれども、ある意味、今回の新しい法律も同じような構造になっているというふうに思っておりまして、まずは規制の対象になる企業が自ら独占禁止法の趣旨を踏まえて様々な対応を自主的に取っていただくということが一番望ましいというふうに考えております。

 その観点から、是非、これら規制対象企業と公正取引委員会として積極的に話合いをしていただきたいと思いますし、また、その中で、相手方に対して、独占禁止法への理解を深めていただくというようなことも必要になるのではないかというふうに考えております。

 既に様々な対応を行っていただいていると思いますけれども、これまでの、公正取引委員会と、その規制対象と現時点で想定される企業との話合いの内容、あるいはその時点での彼らの対応について、御教示をいただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、本法案の実効性を確保し、競争環境を整備するためには、規制の対象となる事業者が本法案の趣旨を理解し、問題となる行為が是正されることが重要でございます。このような観点から、これまでも、内閣官房とともに、規制対象となる事業者とコミュニケーションを取ってきたところでございます。

 本法案では、指定事業者による規制の遵守状況に関する報告書の提出等の規定を定めておりまして、これらの規定を通じて、公正取引委員会としては、指定事業者だけでなく、アプリ事業者等の関係事業者とも継続的なコミュニケーションを取りながら、問題の改善に向けて、本法案の運用を行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、本法案につきましては、公布後一年半以内の施行準備期間を設けているところでございます。

 したがって、引き続き、規制対象事業者を含む関係者とよくコミュニケーションを取りながら、下位法令の整備や運用の在り方の検討等を進めていきたいというふうに考えております。

細田委員 ありがとうございました。

 繰り返しになりますけれども、最も望ましいのは、規制対象事業者が独占禁止法の趣旨をよく理解をして、ある意味、自主的に独占禁止法の趣旨に沿った行動を取っていただくというのが、まず最も重要なことだろうというふうに思っておりまして、こういう点も含めて、是非コミュニケーションをよくして、デジタル分野での競争環境の整備、特に、冒頭申し上げたように、リスクを取ってアプリ開発をしたような方々に果実が正当に分配されるように、是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案ということで、質疑を始めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本法案、スマートフォンにおいて利用されるということで、国民生活にとって非常に必要不可欠なスマートフォンであります。私も少しデータも見ましたが、例えば二〇二〇年の数字だと約七割の国民の方がスマホを保有しているという、非常に身近なものであります。

 こうしたスマホあるいは携帯電話、まさに国民のライフラインというか、日常使うものでありますから、私ども公明党も、携帯やスマホということに関しては、いろいろな提言を今まで実はしてきたような経緯もあります。例えば、いろいろな競争を促進をして、キャリア同士で値段がなかなか下がっていかないんじゃないかですとか、そういういろいろな提言はして、施策も進めてきたんです。

 本法案は、他方で、スマホにおいて利用される特定ソフトウェアに係る利用の促進ということで、非常に国民の関心は高いスマホという分野でありつつも、OSですとか、アプリストアであるとか、ブラウザー、こういうことについて競争を促進をするという観点でありますから、少し技術的な要素もありまして、そういう意味では、この法案の狙い、あるいは国民生活にどのような影響があるのか、また何がよくなるのか、こういう点を分かりやすく、この法案審議を通じて訴えていくことが大事ではないかなというふうに思っておりますので、是非そうした観点も含めて御答弁をいただければと思います。

 かつ、今回の法案、これは世界中で同様の動きがあります。やはり、EUでありますとかあるいはアメリカでありますとか、あるいは、こういうスマホのOS、アプリストア等々も含めて、競争を促進をしないといけないという問題意識は各国共通でありまして、今世界でまさに動いている中身。かつ、今回、法案も少し、閣議決定も四月の二十六日のタイミングということで、やや、通常の法案とはちょっとイレギュラーな形で進んできているのかなという思いもあります。

 ですので、こうしたいろいろな海外の動き等々も含めてこういうスケジュールでということもあるのかと思いますけれども、まず冒頭、大臣に、本法案、まさにこのタイミングで成立をさせよう、そういう背景でありますとか、あるいはそういう大きな意義と狙いでありますとか、こういうところについてまずは御答弁いただければと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定ソフトウェアを提供する事業者は、少数の有力な事業者に限定され、寡占状態となっており、様々な競争上の問題が生じてございます。

 このような課題に対処するため、本法案は、特定ソフトウェアついて、セキュリティーの確保等を図りつつ、イノベーションを活性化し、消費者の選択肢の拡大を実現するために、競争環境を整備するものであります。

 また、規制が先行する欧州におきましては、本年の三月からデジタル市場法が本格的に動き出しており、米国でも、今年三月に司法省がスマートフォンの独占をめぐる問題に関しましてプラットフォーム事業者を提訴したところでございます。

 こうした動きに我が国が遅れることなく、日米欧三極で足並みをそろえてデジタル分野における公正な競争を確保していくためにも、本法案の整備が急務であると考えてございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣の方からはEUやアメリカでの動きということで、私も同様の思いであります。やはり日本だけ遅れるというわけには当然いかないので、これは絶対にやらないといけないというふうに思っております。

 他方で、やはり、EUのやり方あるいはアメリカのやり方、それぞれ競争政策に関して少しずつ違いもあるんだろうというふうに思いまして、そういう意味では、日本は全く同じというわけではなく、日本の考え方としてどうするかということかというふうに思っておりますので、少し具体の中身についても質問に入らせていただきます。少し今までの議論と重複する部分もあるかもしれませんが、改めてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 今回の法律の仕組みとしては、スマホの利用に必要な特定ソフトウェアを提供する事業者のうち、その種類ごとに、一定規模以上、非常に独占的なところについて特に競争を促進をする、禁止事項であるとか、いろいろな規制の措置を取るということになろうかと思います。

 具体的には、端的に言うと、iOSのアップル、iPhoneとか、あるいはアンドロイドOSを使っている携帯、グーグルのところを中心にということに基本的にはなろうかというふうに思いますが、それぞれの提供するOS、またアプリストア、あるいはブラウザー等、こういうところについて競争の促進ということであります。

 ここのところの、非常に寡占的あるいは独占的な状況になっているということで、まず、どういう弊害があるのかということもしっかりと国民の皆様にはやはり分かっていただく必要があるのかと思っています。それを解消することによって、具体的に、我々ユーザー、消費者にとってどういう便益があるのかということも分かりやすく説明をしていく必要があるんだろうというふうに思っております。

 ちょっと具体的に、どこまで今答弁できるのかということもあろうかと思いますけれども、じゃ、例えばiOSのアップル、これについて、今何が課題であるのか、そして、こうした特定ソフトウェアそれぞれのところについて、本法案の成立によって、ユーザー、消費者にとってはこの課題を解決するとどういうメリットがあるのかというところについて、今お考えがあるところを答弁いただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 アップル社は、本法案が規制対象とする特定ソフトウェアのうち、モバイルOS、アプリストア、それからブラウザーを提供しております。

 このうち、例えばアップル社のモバイルOS、iOSですけれども、これについては、他の事業者がアプリストアを提供することができず、アプリストア間の競争が働いていないという課題が生じております。

 そのため、本法案では、他の事業者がアプリストアを提供することを妨げることを禁止することによりまして、アプリストアの新規参入を促す、そして、セキュリティーやプライバシーを確保しながら、信頼あるアプリストア間の競争を通じて、ユーザーにとっての選択肢の確保でありますとか低廉なサービスの享受といったメリットが提供されることを目指しているところでございます。

中野(洋)委員 多様なそういったサービスを享受をして、そして、より低廉なというところも含めて想定をしているということかという御説明もありました。

 もう一つの、グーグル、これについて、どういうところの分野を想定をし、同様に、どういう課題を感じておられるのかというところも御説明いただけますか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 グーグルの方ですけれども、本法案が規制対象とする特定ソフトウェアのうち、こちらの方は、モバイルOS、アプリストア、ブラウザーに加えまして、検索エンジンの方も提供しているところでございます。

 このうち、例えばでございますが、検索エンジンを用いた検索サービスの提供に際して、自社が提供するサービスを検索結果画面の最上部に表示するなど優先的に取り扱う場合には、当該サービスと競争関係にあるサービスの提供を妨げ、競争環境がゆがめられるという問題がございます。

 そのため、本法案では、検索結果を表示する際に、正当な理由がないのに、自社のサービスを競争関係にあるサービスより優先的に取り扱うことを禁止することによりまして、ウェブサイト上で提供されるサービスにおける公正かつ自由な競争を確保し、ユーザーにとっての選択肢の確保でありますとか低廉なサービスの享受といったメリットが提供されることを目指しているというところでございます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 目指すところは基本的には同じ、やはり、サービスを多様化させ、そして低廉なものを享受をできるようになるということです。

 アプリストア等の話であれば、確かに、そういう競争制限的になっているために、我々が入手ができるようなアプリについて、恐らく、そういう余り競争が働かないような状況になっているんじゃないかという問題意識だということはよく分かりましたし、グーグルについては検索エンジンについても対象だということで、これも、我々、実際、競争が制限をされているのかどうかということも含めて、なかなかユーザー側にとっては正直見えてこない。我々、検索したら結果を見るという、そこしか分からないので、それがどういう形で競争がゆがめられているのかというのはなかなか分からないところではあるとは思うんですけれども、やはりそういう状況にある。そして、やはりそれを改善をしていかないといけないという問題意識の法律だということがよく分かりました。

 ちょっと質問の順番を変えまして、この法律案をやれば規制が実際に行われるということで、それを具体的にどうやって、実効性確保というか、そういうことをやっていくのかというところを少しお伺いしたいと思うんです。

 先ほどもいろいろな議論の中で、じゃ、これをどうやって守らせるんだみたいな議論はありました。課徴金ですとかそういう制裁的な部分、どういうのができるのかとか、そういう議論もありました。

 私の方は、例えば、競争を促進するために、法律によると、禁止事項とか義務づけをやっていくことにするという仕組みになっています。端的に言うと、例えば、今のiOSですと、アップルのiOSのアプリストア、これしか使えないよということになっているんだという認識です。これをもっと競争させる、ほかのところに参入をさせるということなのかなということを思います。

 EUの方でも同様に規制が始まりましたので、そうすると、アップル社の方も、じゃ、今、アプリストアで、アプリを提供するところでこういう料金を取っているんだけれども、こういう仕組みに変えていこうですとか、具体的に、いろいろな料金体系ですとか、そういう規制の体系というのが変わってくるというふうに思うんです。

 では、具体的に、どういう契約、あるいはどういう料金体系というか、どういう制度にすれば競争の妨げになるのか、あるいは、これは妨げになっていないのかというのは、きれいな線引きというのはなかなか難しいのではないかなというふうにも思っております。

 いわゆる独禁法の世界でいうと、例えばカルテルとか、何かそういう類型があって分かりやすく、これは駄目だということでしっかりやっていく世界というのは、分かりやすさというのはあると思うんですけれども、競争の妨げにならないようにやっていかないといけないというところの線引きがどういう形で制度化されていくのかというのは、制度としては非常に難しい部分もあるのかなというふうに思っております。

 かつ、海外でもう既に動き出してやっているような部分もあるというところの中で、規制の中身をどう具体化をして、どう事業者に競争の実効性を守らせるような、そういうことにしていくのか、そういう規制の在り方、こういうところについて、どういう進め方をしていく、あるいはどういう制度にしていくという想定なのかということ、今想定しているところを御答弁いただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会といたしましては、指定事業者における本法案の規制の遵守に向けた取組を促すとともに、法運用の予見可能性を確保するために、法運用の具体的な考え方を明確にすることが重要であるというふうに考えております。

 このような観点から、公正取引委員会は、本法案に定める規制に関しまして、指定事業者が適切に対処するために必要なガイドラインを公表するものとされているところでございます。今後、施行までの準備期間におきまして、禁止行為や遵守事項のほか、セキュリティーの確保等に関する正当化事由を含めて、具体的な考え方を明確にするためのガイドラインを策定し、公表してまいりたいというふうに考えております。

中野(洋)委員 ガイドラインの作成、公表という具体の手続についてお話をいただきました。

 この法律とは直接ではないんですけれども、経産省の方が、デジタルプラットフォームに対する透明性や公正性を高める法律というのを既に作られております。

 デジタル市場というのは、EUもそうなんですけれども、公正な競争環境の整備を図らないといけないよねという大きな法律を作っておりますが、やはり、独占、寡占が非常に起こりやすいというか、ネットワーク効果というのが俗に言われているとは思うんですが、利用者を抱えるサービスは更に利用者を呼び込むという、雪だるま式にどんどん大きくなるという、デジタルプラットフォーム、独占的になりやすい、どう競争させるのか、非常に根本的な問題でもあろうかなというふうには思っております。

 経産省も、こうした透明性及び公正性の向上に関する法律というのをやっているわけでありまして、これの施行状況ですとか、あるいは本法律案との関係、これについても少しお伺いができればと思います。

野原政府参考人 答弁申し上げます。

 委員御指摘の取引透明化法でございますが、これまで、特定プラットフォーム提供者、アプリストアでありますとアップルとグーグルということになりますが、の取組状況につきまして、学識経験者や利用事業者の業界団体も交えてモニタリングをし、その結果を踏まえて経産大臣の評価を二度公表しているということでございます。

 この法律は、モニタリングをして、大臣から評価を出し、それに基づいてプラットフォーム事業者の方で自主的に改善をしていただく、そういうふうなスキームになっております。

 これによりまして、一定の取組の改善が見られております。例えば、特定プラットフォーム提供者において、取引条件やその変更を分かりやすく説明する取組、あるいは、利用事業者が変更に対応するための期間をより長く確保する取組、それから、利用事業者の声をプラットフォームの運営改善に結びつけようとする取組などの改善がこれまで見られております。

 一方で、アプリストアを含むスマートフォン市場におきましては、アプリストアの参入がそもそも制限されているといった、取引透明化法では対処が難しい競争制限的な行為による弊害というのが生じていたところでございます。このため、今御審議いただいている法案によりまして、独禁法の違反と同視できる一定の行為の禁止等を定めることにより、公正な競争環境の確保を図る必要があるというふうに承知をしております。

 本法案と取引透明化法の適用関係でございますが、アプリストア分野においては規制が重複する部分が出てまいります。二重規制を防ぐ観点から、本法案において一元的にダブっている部分については規制することが適当であるというふうに考えておりまして、具体的な一元的な規制の在り方については、新法の施行後に取引透明化法の規制内容が実質的にこちらの新法の方で充足されるということを、新法の方の下位の法令や運用について公正取引委員会と密接に連携、協議した上で、取引透明化法の方の適用からこの部分を外すというふうにして進めていくということになるというふうに認識をしております。

中野(洋)委員 二つ法律があって、狙いがそれぞれあって、適用関係についても少しお話をしていただきました。

 今日は時間になりましたので、引き続きまた審議も続くということで、こうした観点も含めてまた議論を続けさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案について質問をさせていただきます。

 公正取引委員会が新法を提出するのは六十年ぶりということでございます。

 私自身は、デジタルプラットフォーマーへの適正な規制、新しい法律は必要だということを何年か前から国会で複数回取り上げてまいりました。

 デジタルプラットフォーマーはただの一企業ではない。企業ではありますが、市場のマーケットそのものを運営もしているわけでございます。したがって、伝統的な経済学では、自由に取引すれば神の見えざる手が働いて市場が最適化するというふうに言ってきたわけですが、プレーヤーとそれからマーケットが同じものでありましたら、デジタルプラットフォーマーは、その見えざる手を参加者の一企業が持っているということになるわけです。しかも、どんどん巨大になって、国家を超える存在にもなりつつあります。国境を越えているので、各国で連携して、ある程度共通したルールを作っていかなければなりません。また、今までなかった規制をつくるわけですので、ちょっとこれは失敗だったなとか、各国、試行錯誤しながらやっていかなきゃいけないものであるというふうに思います。

 まず、公取委員長に伺えればと思います。

 ヨーロッパでは、デジタル分野の規制、これはもう少し広く網をかけていると思います。今回、我が国では、スマホの利用に必要なソフトウェアのみにまず網をかけるということですが、これは第一歩であって、少しずつその網は広げていくというようなイメージでよろしいんでしょうか。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘ありましたように、今年三月から本格施行されました欧州のデジタル市場法は、スマートフォンだけではありませんで、パソコンのOSなどを含め、デジタル市場全般における重要なプラットフォームサービスを規制対象としております。アップル社やグーグル社を含む計七事業者が規制対象事業者ということで指定をされております。

 これに対しまして、本法案は、御指摘がありましたように、スマートフォンにおけるアプリストア市場において様々な競争上の問題が生じていることを踏まえまして、まずはスマートフォンに係る市場を対象に、公正な競争環境を確保するということで提案をさせていただいているものでございます。

 公正取引委員会は独占禁止法を所管しておりまして、基本的には独占禁止法を執行しながら、こういう新しい仕組みがそれを補完するものとして、両方を使って競争政策を推進していかなければならないと思っております。

 そういう意味で、御指摘ありましたスマートフォン以外のタブレットですとかパソコンといったほかのデジタル市場についても、本法案が対象としない部分は独禁法で引き続き見ていくことにはなりますけれども、今後、どういう競争上の問題が生じてくるか、引き続き注視をしていきたいと思います。

 現時点でこういうことを言うのは早いかもしれませんけれども、将来的に、本法案が問題にしているのと同じような競争上の課題があるという場合には、本法案と同様の規制の対象とするといったことも含めながら、検討を続けていきたいと思っております。

落合委員 今まで、独占禁止法の場合は、企業の合併、企業結合の分野以外は事後規制であったわけです。企業の合併の場合、合併した後にやはり駄目と言ってもなかなか、問題が起きると思いますので、事前規制というのをその分野だけ取り入れていました。しかし、今回は、事前規制というものを、企業結合ではない分野に、恐らく初めて取り入れるんだというふうに思います。

 事前規制を取り入れた意味、これをお伺いできればと思います。

古谷政府特別補佐人 デジタル市場に係る競争制限的な行為に対しましては、公正取引委員会では、これまで、独占禁止法に基づく事件審査ということで事後的に取り組んできておりますけれども、御承知のように、独占禁止法による個別事案に即した事後的な対応というのは、一定の取引分野を確定をして、競争制限効果などを立証するといったような手続になります。これは大変時間を要する重い手続でもありまして、変化の速いデジタル市場での競争の回復がなかなか難しいといったような課題を感じておりました。

 そういうことで、これまでも、公正取引委員会は、モバイルOSについて実態調査を行ったり、内閣官房でのデジタルエコシステムについての競争評価、これを踏まえまして、デジタル市場で問題になりそうな競争上の課題が類型的にかなり把握できてまいりましたので、そうしたことも踏まえまして、本法案では、指定した一定規模以上の特定のソフトウェアを提供する事業者というのに限定をいたしまして、その上で、規制の対象の捉え方についても、競争を制限するおそれのある一定の行為類型の禁止、あるいは指定事業者が講ずべき一定の措置の類型というのをあらかじめ定めることによって、迅速かつ効果的に競争環境の整備を図る、そうした新しい手法を導入をさせていただきたいということで提案をさせていただいております。

落合委員 事後規制のみですと、デジタル分野の行政処分、独禁法に基づくものとかを見ていましても、年単位で時間がかかって後から行政処分を出すということで、特に技術が進んでいる分野ですと、何年もかかっているとまた新しい問題が起きているかもしれない。どんどんどんどん、この分野の動きが速いもので、ある程度事前規制を入れていくということは重要であるというふうに思います。

 あと、今回、特徴的なのが課徴金。これは、大体売上げの六%ぐらいの課徴金をかけてきたのが今までの公取の考え方だったわけですけれども、今回は日本国内で違反に該当した分野の売上高の二〇%ということで、かなり大きいわけでございます。課徴金を大きくした理由についても伺えればと思います。

古谷政府特別補佐人 課徴金制度は、違反行為者に対して経済的不利益を与えることで違反行為の誘因を小さくするということで、違反行為の抑止を目的とする行政上の措置ということで、独占禁止法でも導入をされております。

 本法案におきましては、規制の実効性を十分に確保するという観点から、デジタルプラットフォーム事業者の利益率が高いことを踏まえまして、二〇%という課徴金率を設定をさせていただいております。課徴金は、利益率を踏まえて、違反行為によって得た不当な利得を剥奪するといったような趣旨で率を設定しておりまして、デジタルプラットフォーム事業者の利益率が高いことを踏まえて、二〇%に設定をさせていただいたということでございます。

落合委員 分かりました。

 これも、これだけパーセンテージが高ければ抑止効果はあるでしょうけれども、効果を見ていく必要があるかなというふうに思います。

 次に、大臣に伺いたいのですが、今回新たに規制を設けるということです。これによってどういう効果が生まれるかなんですが、一番言われているのは、手数料が下がるんじゃないですかと。

 例えば、スマホからダウンロードするときに、消費者がお金を払うわけですけれども、それに手数料がかかって、そのアプリを作った事業者に売上げというか、あれが行くわけです。事業者は手数料が取られているわけです。その手数料が下がっていくんじゃないかという予測もあるんですが、この効果についてどのように予測をしているか、伺えればと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案は、スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定ソフトウェアについて、セキュリティー等を担保、確保しながら、イノベーションを活性化し、消費者の選択肢の拡大を実現するために、競争環境を整備するものであります。

 一方、委員御指摘のとおり、規制が先行しております欧州におきましては、アップル社が、今年三月から本格運用が開始されたデジタル市場法に対応するため、手数料の引下げを含む新たな料金体系等を発表したと承知してございます。

 本法案における対応によりましてアプリストアの新規参入が進みますれば、競争が促進され、手数料の引下げにつながるなど、デジタル分野の成長に伴う果実を、スタートアップを含みます我が国の関連事業者、ひいては消費者が公正そして公平に享受できるようになることを期待しております。

落合委員 実際、欧州では、アップルが手数料を半額ぐらいに平均すると下げているというような調査もあるようでございます、こういう規制を入れてからですね。

 消費者の利益というのは、提供している事業者向けの手数料が下がれば、消費者の購入する金額も下がるだろうから、消費者に利益があるでしょう、あと、選択肢も増えれば消費者にとっても利益があるでしょうということで、それはそのとおりだというふうに思います。

 安全性やセキュリティーを担保した上でということで、答弁にもございましたが、やはり、物を買うのと違って、例えばアプリを購入するときというのは、基本的には、そのアプリが新しくなるまでは、完全に新しいものができるまでは、一回購入したら、そんなに何回も購入しないというふうに思います。なので、値段等も重要なんですが、アプリが使いやすいかとか、それから、おっしゃった安全性とか、セキュリティーですとか、質の部分が、やはりほかのものの取引よりはより重要だろうというふうに思うわけです。

 そこの質の部分、それから安全性、セキュリティー、これが高い方が消費者への利益があるということはデジタルの分野では特に言えると思いますので、ここはしっかりと、値段だけではなく、そして選択肢を増やすだけではなく、要は、薄利多売だったり、質が落ちるということではなく、質を高めていくような、そういう政策もしっかり頭に入れて打っていくということで、大臣、よろしいですね。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 委員の御指摘をしっかりと受け止めたいと思ってございます。デジタルプラットフォームの事業者はイノベーションの担い手でもございますので、規制を行う際には、イノベーションとそして規制の両方にバランスが、配慮が必要だと考えてございます。質の高い競争環境といったところの視点も踏まえまして、様々な関係者としっかりと協議を重ね、そしてまた、法の施行に向けて努力をしてまいりたいと存じます。

落合委員 ここは、先ほど、冒頭申し上げたように、試行錯誤しながら規制をつくっていく、あと、規制を運用していくということになるんだと思います。質の部分で問題が起きてしまえば、これは消費者にとってもマイナスになる、それからマーケットにとっても大きくマイナスになるわけですので、是非、新しい分野の新しい問題について注視をいただければというふうに思います。

 公取委員長に伺えればと思います。

 公職選挙法とかもそうなんですが、条文がこうやって書いてあります、しかし、実際にどういうふうに解釈すればいいのかとか、どう運用されるのかというのは、いろいろな読み方ができるので、ただ、余り条文に細かく書いても、がちがちに縛られて自由度がなくなってしまう。

 要は、こういう分野は、ガイドラインですとか、具体的にどうやって作成していくか、条文以外の、法令以外の部分もかなり重要であると思います。こういうふうな法案を作っているわけですので、ガイドラインについてもある程度作成をしているというふうに思います。どういう問題意識を持っているか、それから、どういう内容で今作業をしているのか等について伺えればと思います。

古谷政府特別補佐人 御指摘がありましたように、本法案も、事前規制という御指摘がありましたけれども、違反となる行為類型を定めておりますけれども、ある程度幅を持った行為類型の規定の仕方になっていることは御覧のとおりであります。

 本法案の規制の対象となる指定事業者が本法案の具体的な考え方を認識できるように、予見可能性や透明性を確保するということは大事だろうと思っておりまして、指定事業者が本法案の規制等に適切に対応できるように、禁止行為ですとか講ずべき措置のほか、セキュリティーの確保等に関する正当化事由を含めまして、法運用の基準や具体的な考え方を明確にするためのガイドライン、これを定めるということを規定をいたしております。

 ガイドラインの具体的な内容については、この法が成立した後に作業をさせていただくことになると思いますけれども、公正取引委員会の方で、施行までの準備期間がありますので、その間に指定事業者、アプリ事業者等の関係事業者など幅広く意見も聞きながら、禁止行為や講ずべき措置等についての具体的な考え方をガイドラインとして取りまとめたいというふうに思っております。

落合委員 スマホの分野もそうですけれども、デジタル分野は、どんどん技術も変わっていくとなると、状況も環境も変わっていくと思いますので、一回作ったガイドラインがすぐ古くなってしまうということもあり得ると思います。それから、特殊性もありますので、公取のスタッフの方々が、担当者の方々が考えていたのと、実際にやってみたら、あれ、ちょっと違ったということもあり得ると思います。

 これは、ガイドラインを作った後も柔軟に見直していく、それから、ヒアリングもしていくし、状況もちゃんと見ていくということでよろしいでしょうか。

古谷政府特別補佐人 まずは、各方面の意見も伺いながらガイドラインを作成することになりますけれども、その後も、デジタル市場の動きは御指摘のように大変速いですので、そういった状況も踏まえながら、弾力的に、柔軟に対応していかなければならないというふうに思っております。

落合委員 そこが重要なポイントであるというふうに思います。

 それから、この法律が施行されるまでは、今までの独禁法が何かあった場合は適用されるわけです。先ほど申し上げたように、この法案は事前規制というものを武器にある程度しているわけですけれども、今までは事後規制でございました。

 こういった中で、グーグルが先月、ヤフーとの取引で独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会から行政処分を受けました。内容は、検索技術の提供を制限して、ヤフーがスマホ向け広告を配信できなくしていたということでございます。

 こちらは事後規制の審査で動いたわけですが、この行政処分を出した意味をお聞かせいただければというふうに思います。

古谷政府特別補佐人 御指摘の事案でありますけれども、グーグルはヤフーに対しまして、検索エンジン及び検索連動型広告の技術の提供を制限するということで、ヤフーが検索連動型広告の配信に関する事業活動、これを行うことを困難にしていたという事案でございます。

 公正取引委員会は、こうしたグーグル社の行為が独占禁止法に違反する疑いがあるということで審査を行ってまいりましたけれども、先般、同社の方から、技術提供の制限をしないこと、それから、遵守状況について外部専門家の監督に基づく定期的な監査を行うことなどを内容とする自主的な競争回復のための措置の計画、確約計画と申しておりますが、これが提出をされました。

 この計画は、同社、グーグル社の行為が排除されたことを確保するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されるということが見込まれると認められたものですから、公正取引委員会として、この確約計画を認定するという行政処分を行わせていただきました。

 変化の速いデジタル市場におきましては、競争上の弊害を早期に除去するという対応が重要であると考えております。公正取引委員会としましては、今後とも、市場における有力なデジタルプラットフォーム事業者による競争制限行為に対しまして、命令だけではなくて、このような形での確約計画の活用も含めて、早期の競争回復ということに重きを置いて適切に対応していきたいというふうに考えております。

落合委員 日本では、ネットで検索するときにヤフーかグーグルか、どっちかを使うというふうに思います。世界的にはグーグルのシェアというのはかなりのものですけれども。日本人からしてみて、それだけメジャーなヤフーでさえ、検索連動型広告という技術を自前でできないということに、今回、私も驚きました。ライバルの二社なのに、相手側に検索の技術を一部頼らなければいけない、これは本当に独占が起きやすい分野なんだなというふうに感じます。

 これからは、事前規制という武器もできて、使えるようになってくるわけですので、事前規制と事後規制をうまく組み合わせて市場を見ていくことが必要であるというふうに思います。

 こういう形で、いろいろな手段を使って、いろいろな分野をうまく制御していくとか規制をしていく、健全性を保っていくために見ていくというようなことでよろしいですね。特に、事前規制、事後規制の使い方です。

古谷政府特別補佐人 公正取引委員会は、これまでも、デジタルプラットフォームに係る競争上の問題について、独占禁止法におきましても、排除措置命令といった措置だけではなくて、早めに確約計画を認定するといった措置も講じてきておりますし、いろいろな実態調査を通じて競争環境の整備にも重点的に取り組んできております。

 この法案が成立した場合には、この法案の運用を通じまして、スマートフォンの特定ソフトウェアをめぐる競争上の問題について対応していくということになると思いますが、御指摘がありましたように、多様な手法をいろいろいただいておりますので、そういったものを組み合わせて、臨機に競争上の課題に対応できるような運用を進めていきたいというふうに思っております。

落合委員 このように、新しい競争上の問題の環境がどんどん変化をしている、実態が変化をしているということで、やはり規制の在り方も、場合によっては新しいものをつくっていくということが必要であるというふうに思います。

 今後のプラットフォーマー規制の方向性、在り方なんですけれども、先ほどは冒頭に、網をどんどん広げていくこともあり得る、検討していくみたいなようなことでしたけれども、その網の広さだけでなく、プラットフォーマーに対してどのようなことを考えているか、全体的な規制の在り方の検討の方向性について、委員長に伺えればと思います。何を考えているかです。

古谷政府特別補佐人 足下でも、生成AIの急速な拡大、普及がありまして、デジタル市場自体の競争状況も新たな局面に入りつつあるような状況でもあります。こうしたデジタル経済における急速なイノベーションの進展とビジネスモデルの変化に、私どもとしてもきちんとキャッチアップをしていかなければいけないと思っております。

 そういう中で、独占禁止法、それから、今提案をさせていただいております新しい法案、さらに、経産省の方で透明化法というのを既に運用しておられますけれども、先ほどの答弁と重なりますが、そうしたいろいろな手法を使いながら、デジタル市場の動きに、私ども競争当局としてもしっかりついていかなければいけないという思いで検討を進めているところでございます。

落合委員 御答弁の中で、生成AIという言葉も出てきました。これも、新しい要素であり、重要な要素になってくると思います。これも、具体的な事例が積み上がってきましたら、私も具体的にここで取り上げていきたいと思います。

 前にも質問をしましたが、十年前、二十年前には考えられなかった状況ですので、役所というのは基本的に、新卒の人材がどんどん経験を積み上げてその分野の専門家になっていく、ただ、デジタル分野は外部から人材を確保していかないと追いついていかない、要は、人事の体系、組織の体系も変えていかなければならない状況であると思います。したがって、組織のトップのリーダーシップというのはやはり重要であると思いますので、是非、ここにも改めて注視をしていただければというふうに思います。

 一つ具体的な業界の事例として私が想像できるのは、タクシーの配車アプリです。

 ライドシェアが一部解禁になると、解禁というか、日本型ライドシェアというふうに言っていますが、その前から、タクシーの配車アプリというのは、この一、二年でかなり、流しでつかまえたりロータリーでつかまえるよりも、配車アプリで乗るという割合が増えてきました。これも、今、配車アプリというのは、一つが物すごくでかくて、あともう一つあるかなというぐらいで、かなり独占的な状況であるわけです。ただ、タクシー業界にとっては物すごく絶大な影響を与えるのがこの配車アプリの存在だというふうに思います。

 これも、ある意味、デジタルプラットフォーマーの一つになる、メジャーなものになると思いますが、この新しい分野の公平性、公正性にも、今後、公取は目を光らせていくということでよろしいですね。

古谷政府特別補佐人 私ども、これまでもいろいろな取引分野で、不当な自己優遇ですとか、競争事業者の排除とか、取引妨害など、様々な競争上の問題が起きていないかどうか監視をしてきておりますけれども、御指摘の配車アプリもそうでありますけれども、デジタル分野では新しいビジネスモデルが登場して、どんどん変化をするというのは、先ほどおっしゃったとおりであります。

 私ども、こうした新しい動きに対して、遅れることなく取引実態の把握に努めて、公正、自由な競争が行われているかどうか、引き続き注視をしてまいりたいというふうに思っております。

落合委員 特に何業界というのはおっしゃらなかったですけれども、私も具体的にここが問題だというわけではないですけれども、恐らく、タクシーの配車アプリはこれからいろいろ出てくると思いますので、是非、御注目をいただければ、注視していただければというふうに思います。

 最後になんですが、委員長になんですが、先ほど私も大臣にも更問いで伺いましたけれども、やはり参入障壁を下げるということは質が下がるのではないかという懸念は、どの業界でもあるというふうに思います。先ほど話したタクシー業界も、参入障壁を下げれば安全性とかが問題あるだろうという議論がされてまいりました。

 今回も、スマホのアプリ等で、プライバシーの問題それからセキュリティーの問題は、スマホはかつてのパソコンよりかはもっと情報が入っているわけですし、マイナンバーのあれのやり取りとかだってしているわけですので、大変重要な問題だというふうに思います。

 今回の新法を適用しても、質の問題は大丈夫なんだ、担保しているというようなことは書いてあるわけですけれども、それは委員長の口から、こういうふうになっているから大丈夫なんだというふうに分かりやすく御説明をいただければと思うんですが、よろしくお願いします。

古谷政府特別補佐人 先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、今回の法案を立案する過程でも、競争の問題と併せて、アプリストア等が開放されることに伴って、消費者、ユーザーの安全、安心の面では大丈夫なのかといった議論はたくさんしていただきました。そういう中で、御覧いただいているような、関係省庁と連携をしてそういう問題にも対処するということで、新しい法案の中にも条文が入っております。

 公正取引委員会は競争政策を所管する役所でありまして、公正取引委員会の知見だけでその辺のユーザーの安心、安全については対処できないということで、政府の中で関係の連絡会議も設けた上で、そういう点についても政府全体として連携をして対処するという体制をつくることになっております。

 そういう中で、私ども、この法案で規制をきちんと実行していく立場でありますので、関係省庁との連携や協力もいただきながら、その辺のところも遺漏がないように尽力をしていきたいというふうに思っております。

落合委員 先ほども申し上げましたが、消費者の利益という中に、アプリの質というものも入っているというふうに思います。選択肢が増えることや価格が下がることも重要なんですが、同じぐらい、消費者の利益のために質を確保する、それが健全なマーケットであるというふうに思いますので、是非、その視点はお忘れなく。

 そして、この部分こそ、やってみないと分からないという部分があります。ですから、法令ですとか、それからガイドラインも含めて、実例に合わせてルールを変えていくということも重要であると思いますので、柔軟に対応していただければと思います。

 では、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

岡本委員長 次に、山崎誠さん。

山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 大臣、よろしくお願いいたします。

 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに関する競争の促進に関する法律ということでございまして、今、落合委員からも御質問がありました。私は、最後のポイント、質の問題、消費者が、この法律ができて規制が一定強化されることで利益が本当に得られるのかという点にどちらかといえばフォーカスをして御質問をしたいと思います。

 私のスタンスとしては、指定事業者が今まで積み上げてきたビジネスをどういうふうに評価をし、それをどういうふうに、寡占状況というのは、やはり過度になりますと問題だというのは私も共通認識なんですけれども、そういう、規制と、そしてそのビジネスの有効性みたいなものをどういうふうにバランスを取っていくのか、その点、お聞きをしてまいりたいと思うんです。

 御存じのように、アップルもグーグルも、元々はもう本当にベンチャーからスタートをして、積み上げ、積み上げ、積み上げ、今のようなポジションをつくってきた会社であります。そういう意味では、商品やサービスに対する開発努力だとか、それをブラッシュアップするために、本当に長年時間をかけ、お金もかけてここまで来た、そういうビジネスモデルで、結局それが、やはり消費者にも支持をされて、これだけ広がっている。これが私は、どうしても前提としては考えなければいけないんだろうと思っています。

 これは大臣にお聞きしたいんですけれども、こうしたアップルだとかグーグルのビジネスモデルについてはどういうふうにまず評価されるのか、お聞きをしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 アップル社やグーグル社が提供する商品やサービスは、我が国において多くの消費者に利用されていると認識をしてございます。消費者にとって魅力的なサービスを提供するなど、正当な競争の結果として少数の事業者による寡占市場となること自体が競争法上直ちに問題となるものではございません。

 一方で、モバイルOSやアプリストア等の市場におきましては、これらの事業者による競争制限的な行為によって様々な競争上の問題が生じているといった現状もございます。また、加えまして、これらの市場は、いわゆる間接ネットワーク効果のほか、規模の経済が強く働くことなどによりまして、新規参入等の市場機能による改善というものが期待ができないという状況でございます。また、独占禁止法による個別事案に即した対応では立証活動に著しく長い時間を要するといった課題もございます。

 このような課題に対応するために、本法案では、類型的に独占禁止法に違反する行為を禁止事項としてあらかじめ定めるなどとして、迅速かつ効果的に競争環境の整備を図るものでございます。

山崎(誠)委員 私は、いろいろな問題が起きているんだ、そういう認識については、いろいろな事例も御紹介いただいて、把握をした、理解をしているつもりなんですけれども、一方、それが過大評価されてしまうのも私は問題ではないかと。

 要は、本当に、これはどうかなという、もちろん、独禁法上規制していかなきゃいけないという事案も起きているのは分かるんですけれども、大きな、本当にビジネスモデルとして、消費者に対して皆さんが満足するサービスを提供している、特にセキュリティーとかプライバシーとか、本当に安心を与えるためには、もうこれはすごく努力をしているわけで、そういうビジネスの大きな中のその一角の問題について、これを強い規制をかけて締めつけることというのは、それが過度であれば私は不適切だと思います。

 その辺り、本当に、規制と、安全というか消費者の利益、そのバランス、もちろん、規制することによって新しいビジネスがまた展開してきて、それは消費者の利益にもなるけれども、それに伴ってのリスクということも指摘をされている。私は、規制をするに当たっては、このバランス、過剰にならないように、抑制的にかつ効果的なこの寡占状態からの脱却というか、デメリットからの脱却というのをどう目指すかというところが非常に難しいところだと思うんです。

 大臣、やはり、過剰にならないでうまくこの指定事業者と向き合う、そういうスタンスが必要だと思うので、その辺りはこの法案を作るに当たってどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。

 もしあれだったら参考人でもいいですよ。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、公正取引委員会といたしましては、このスマートフォンにおける特定ソフトウェアに関していろいろな競争上の問題が生じているというふうに考えております。一方で、いろいろな、セキュリティーであるとかプライバシーであるとか、そういった点が懸念されるという声も聞かれているところでございます。

 したがって、一定の行為類型に関しましては、こういった競争を入れていく中で、プライバシー、セキュリティーに関しての正当化事由というものがある場合には一定の例外を設けるという措置を今回置きたいということで考えておりまして、そういった、しっかりしたバランスの取れた中での、安全、安心な環境の中での競争が促進されるということを目指したいというふうに考えているところでございます。

山崎(誠)委員 確認ですけれども、過度な規制にはなっていないし、ならないということでよろしいですか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 今回、禁止行為として挙げているものといいますのは、基本的には独占禁止法に、問題になるものが並んでいるということになります。つまり、独禁法の場合には、一定の行為要件が満たされ、かつ競争への悪影響があるという影響要件、それらが二つ満たされて違反になるというたてつけになりますけれども、この分野の特殊性に鑑みて、行為類型が満たされた場合に問題とするという構図を取っております。

 したがって、何か新しい問題、新しい規制をここで設けるというよりも、独禁法の枠内で問題になっているものを今回特出しして規律を設けるという趣旨でございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 その中で、代替のアプリのストア、第三者のアプリストアを導入をする、入れるという話があります。その中の一つの理由に、アプリ開発者に課される手数料が過大ではないかと、アップル税みたいなお話もあるのでありますけれども、これは、私は、いろいろ制度全体を見て、本当にその問題があるのかどうかというのは判断をしなければいけないと思うんですね。

 だから、このアップルの手数料制度の実際の運用はどうなっているか。簡単で構いませんので、御説明いただければと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、内閣官房に置かれておりましたデジタル市場競争会議が取りまとめたモバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告というのがございますけれども、こちらによりますと、アップル社は、手数料を支払っているサードパーティーディベロッパーは全ディベロッパーのうちの約一四%、それから、三〇%の手数料を負担しているのはiOSアプリディベロッパーの〇・三%と説明しているというふうに承知をしております。

 他方で、手数料の対象となっていない事業者の方ですけれども、個人のエンジニアのような個人の方も含まれておりまして、また、手数料一五%の対象になっている事業者もございますけれども、こちらは、売上げが百万ドル以下というふうになっている中で、売上げの百万ドルを超えて成長しようとしている事業者については、手数料三〇%というのは大きな負担になっているというような指摘もあるところでございます。こうした負担によって開発への投資に資金を回すということがなかなか難しくなっているということなど、イノベーションの阻害となっているとの声も聞かれているところと承知をしております。

山崎(誠)委員 これは、三〇%が高いか安いかというのは、いろいろな議論、技術的な検証なども含めて、しなければいけないんだと思うんです。

 ただ、例えば、私が聞いたところによると、ソニーや任天堂の手数料も三〇%で、これは一定の、業界の標準水準じゃないかというふうにも聞いています。この辺り、どうですか。

岩成政府参考人 スマートフォンのソフトウェアの分野以外のところのこういった手数料は、また別途いろいろな形で定められているというところかと思いますけれども、今回の法案の考え方といたしましては、スマートフォンという国民生活、経済活動に今非常に重要な役割を果たすようになっているものに関しまして、かつ、アプリ事業者を含めていろいろなエコシステムがそこに形成されているところに関して競争が十分働いていないというところの中で、アプリストアについての競争を促進していく、その中で、手数料というのをより低廉なものにしていくといった形が取れないかというのを目指しているものでございます。

山崎(誠)委員 この手数料を課している理由というか、これは決してそのままアップルの利益になるわけではないんですよ、当然。そのアプリのセキュリティーとかプライバシーだとか、アプリの性能というか質がちゃんと担保されているかというのを、本当に、何十万件というアプリを日々チェックをするわけですよね。安全なものをユーザーに提供しようということで、私はすごくコストをかけて取組を進めているということだと思うんです。

 だから、三〇%だから、それがそのまま利益になるわけでは決してなくて、その三〇%の利益を使って、全てのアプリストアの運営、そうやって新しいものを作っていく、例えば中小だとか、アイデアを持っているアプリ開発者も支えながら、全体のユーザーの満足度を上げるためのいろいろなアイデアを生んでいるのが私はこの仕組みだと思うんですよ。

 例えば、EUでは代替ストアのアプリに対しても手数料を課している、そんなお話がありまして、これはCTF、コア・テクノロジー・フィーというふうに呼ばれているということであります。

 代替ストアにもまた手数料をかけてけしからぬじゃないかみたいなお話を聞いたので、これも確認をすると、やはり、アップルならアップル、グーグルもそうでしょうけれども、開発のためのコストとか、その環境を使ってアプリが動く、その条件を整えるためにも相当なお金をかけているわけですよね。それはユーザーももちろん負担しているわけだけれども。

 だから、そういうビジネスチャンスを共有するためには一定のお金をいただくというのは、私は、決して不当なことではなくて、一定の理屈の上に成り立っているんだというふうには思っております。ですので、この辺りはよく慎重に検討していただきたい。これを理由にして一方的に規制をするというのは、私は合理性を欠くのではないかというふうに思っております。

 それから、アプリの運用者に対する評価でありますけれども、デジタルプラットフォーマーの運用事業者に対して支払うフィーだとか、あるいは得るサービスみたいなものについては、資料一は、これは経産省が実施をしているものの資料でありますけれども、アップルにしてもグーグルにしても、基本的には、アプリを提供しようとしている開発者の皆さんが評価しているんですね。七〇%あるいは八〇%という方は、一定、アップルやグーグルが提供している条件あるいは情報、サービスに満足をしているということなので、決して、アプリ開発者が、今の環境で全く自分たちの開発ができないと不満の声を上げているということでは必ずしもないと思います。

 もう一つ、先ほどもちょっと議論はあったと思うんですけれども、経済効果、これはどういうふうに試算できるのか、あるいは、消費者へのメリットというのはどう評価しているのか、これは政府参考人、お答えいただけますか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案に基づきまして指定事業者以外のアプリストアが参入することによる経済効果でございますけれども、こちらにつきましては、特に具体的に試算をしているものではございません。

 しかしながら、アプリストアの新規参入が進めば、アプリストア間の競争が促進され、アプリストア手数料の引下げでありますとか、それに伴う消費者向けのコンテンツ価格等の引下げにつながることが期待されるというのが一つございます。それから、価格のみならず、より多様なアプリストアあるいはアプリが開発、提供されて消費者の選択肢が増えていくということが十分期待されるものであるというふうに考えてございます。

山崎(誠)委員 例えば、アンドロイドはもう代替ストアが動いてるんですけれども、そのシェアは小さいと聞いています。アップルに、今度、iPhoneの中にも新しいそういうストアができてくるんでしょう。それは、ある意味で消費者の選択が増えるというのは歓迎すべきかもしれない。ただ、それが、例えばセキュリティーの問題だとかプライバシーの問題についてレベルを下げていくような要因になってしまっては、私は、質と利益の問題、必ずしもこの法律でいい結果がもたらされないんじゃないかなというふうにも思います。

 具体的な経済効果はなかなか難しいと思いますけれども、今の環境から劇的にアプリがばあっと伸びて、新しい開発がばあっと進むということでは私は決してないと思うんですよ。その点は過大に私は評価しない方がいいのではないかなというふうにも思っています。

 大臣には、ちょっとお聞きをしたいんですよ。これは誰のための規制なのか。本当に、ユーザー、今満足して使っているユーザーにとって、プラスの面、マイナスの面、例えばセキュリティーとかプライバシーの面、これはこの後も議論しますけれども、不安が残るという状況にもなりかねないんですよ。そういうときに、本当にこれは誰のための法改正で、何をしたいというか、誰のための規制なのかというのが一つやはり大きな問題かと思いますが、どうでしょうか。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 スマートフォンにおけます公正かつ自由な競争の促進を図ることを目的としております本法律施行後におきましても、セキュリティーの確保等が図られることにより、スマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境が確保されるということは非常に重要でございます。

 このような観点から、本法案におきましては、ウェブサイトからアプリを直接ダウンロードできるようにすることまでは義務づけをしていないこととしているほか、他のアプリストアの参入等に関しては、指定事業者においてセキュリティーの確保等のために必要な措置を講ずることができるとしてございます。

 公正取引委員会におきまして、関係行政機関ともしっかりと連携をしながら、セキュリティーの確保等に係る規定を適切に運用するとともに、代替アプリストアの運営事業者がセキュリティー確保等のために講じている措置等につきましても、消費者に寄り添った情報提供の在り方を検討していくこととしてございます。

 このような対応を通じまして、スマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境を確保しつつ、競争環境の整備を進めていくことが重要であると考えてございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 基本的にはそういう御回答なんだとは思うんですけれども、プライバシーとかセキュリティーとか安全確保というのは、私は、非常に技術的な領域が大きくて、単に外部から、何かガイドラインを決めたから高くなるとか、そういうものじゃないということだと思います。

 例えば、プライバシー保護について、これはアップルの例でありますけれども、ちょっと技術的なお話になりますけれども、アプリケーションを作るためには、API、アプリケーションインターフェースというのがあって、それを使ってアプリを開発するわけですね。聞くところによると、そのAPIというのはもう何万、何十万とあって、それぞれをどう使うか、どう管理するかというのが一つの大きな肝になると。

 使い方を誤ると、事例としては、フィンガープリンティングと呼ばれるらしいんですけれども、ユーザーが知らない間に、iPhone、いつ電源を入れたとか、どういうキーボードを使っているとか、どんな設定をしているかとか、データの空き容量があるとか、いろいろなその中の情報が、そのAPIを不正に利用することで抜かれてしまう。それを防ぐことができるのは、APIというその技術を熟知をして管理をしている、そういう人なんですね。それは、端的に言えば、iPhoneであればアップルなわけですよ。

 そういうところで、一つ一つのAPIの使用の目的なんかも明示して、アプリ開発者にルールを徹底してもらって、それをチェックしながらこのアプリを運用しているというのが実態だということです。これは、アップルに言わせれば、本当に消費者の利益を守るために徹底的にここは力を入れて、こういうOSとかハードにも関わる技術、そういうのも総動員をしてプライバシーを守っているんだという説明なんです。

 私は、こういう技術の世界を、これから、セキュリティーとかプライバシーとかあるいは安全みたいなお話、青少年保護みたいな、そういうお話で縛っていくときに、本当にこれは管理ができるのかなと。というのは、じゃ、このストアはやはりまずいです、API、こういう、こういう、こういうセキュリティー上の理由、プライバシーの理由でこれはまずいという判断を下したときに、当然、代替ストアの方は、いや、そんなことはない、うちは安全ですと言うかもしれない。でも、それは、本当に評価して、その規制について、適正化事由でしたか、そういったものを評価できるのかなというのが、私は非常に疑問に思います。

 これは後でも聞こうと思っていたんですけれども、公正取引委員会で、本当にこういう技術的なレベルの高い領域について評価をしていくことができるのか。当然、外部の方、いろいろな専門家を入れて今の体制を強化するんだというのは聞いていますけれども、ごめんなさい、ちょっと先に飛んでしまいましたけれども、そういう体制をつくって、なおこういう領域について、私は課題があるんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案でございますけれども、セキュリティーの問題も含めて、先生御指摘のとおり、専門的な知見を要するというところがございますので、本法案を実効的に運用していくためには、総務省であるとか経済産業省といった専門的な知見を有する関係行政機関との緊密な連携が必要であるというふうに考えておりまして、円滑な連携を行うための体制を構築する予定というふうにしております。

 それから、先生御指摘のあったとおりでございますが、公正取引委員会においても、いろいろな体制強化を進めていく必要があるというふうに考えております。

 セキュリティー等の専門的人材をデジタルアナリストということで登用を進めて、あるいは、実態調査においてもその知見を活用してきたところでありますけれども、引き続き、関係各方面の理解も得ながら、本法案を実効的に運用するために、質、量の両面から体制強化を進めてまいりたいというふうに考えております。

山崎(誠)委員 先ほどもちょっと長々と例をお示ししましたけれども、本気でこのセキュリティーとかプライバシーを守ろうと思ったら、やはりアップルならアップル、グーグルならグーグルのエンジニアでないと本当のところは分からないし、できないことがたくさんあるんじゃないかなと思うんです。それを規制しようとするのであれば、当然、そうした特定の事業者、指定事業者とコミュニケーションを取って、本当に、今何が行われて、そういうセキュリティーとかプライバシーの保護の問題だから、表にもできない情報がたくさんあるはずですよ。でも、それと向き合っていかないと、この領域は守ることができないと思うんですよ。

 これは端的に申し上げて、今回のこの指定を入れていくことによって、例えば、iPhoneのセキュリティーというのは上がりますか、下がりますか。

岩成政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、欧州においては今規制が先行しているわけでありますけれども、欧州においては、アップル社が、iPhoneで利用可能となる代替アプリストアについて、セキュリティー確保等の観点から認定をするということを明らかにしております。それから、代替アプリストアから配布されるものを含む全てのアプリについて、セキュリティー等のチェックを行うということも表明しているところでございます。

 本法案におきましても、他のアプリストアの参入等に関して、指定事業者がセキュリティーの確保等のために必要な措置を講ずることができる旨を規定しておりまして、このような対応がなされることによって、セキュリティーやプライバシー保護の一定の水準のレベルというのは維持されるものというふうに考えております。

山崎(誠)委員 今の御説明の中で、例えばアップルならアップルは、代替ストアから配布をされるアプリのチェックもするんですね。その手数料は取れるんですか。

岩成政府参考人 そういった、アプリのチェックに関して、あるいはほかの観点でも構いませんが、アップルなりグーグルが何らかの手数料を取ってはいけないとか、そういうことを今この法案で規定しているわけではありません。

 ただ、いわゆるアプリストア、新規のアプリストアに関して言えば、新規のアプリストアが参入することを妨げてはならないという規定を今回置こうということで考えております。したがって、そういった、妨げてはならないということに該当するかどうかというのを個別事案ごとに判断していくということになろうかと思います。

山崎(誠)委員 逆に言うと、第三者が出すアプリケーション、第三者のストアから出るアプリケーションを、例えば、アップル社がチェックをしないでも、そのまま出すこともできるんですか。

岩成政府参考人 この法案では、アプリストアに関して新規参入を妨げてはならないと。一方で、正当化事由ということで、セキュリティー、プライバシーなどの観点から、この指定事業者が一定の措置を取ることができるということを規定をしているというところでありますので、何らかの措置を取ることは可能であるというところまでをこの法案では規定しているというところでございます。

山崎(誠)委員 私の認識は、代替ストアに対して、今言った正当化事由でチェックをする、セキュリティー、プライバシー、青少年保護の観点で、このストアは駄目ですよ、このストアアプリは駄目ですよというのは、例えばアップルならアップルが言うことはできる、そこまでじゃないですか。

 そこから出るアプリ一つ一つについて、これは誰がチェックするんですか。

岩成政府参考人 アプリに関するチェックに関しては、今現在もアップル社も行っていると思いますけれども、個別のアプリのチェックに関して、この法案が直接的に何か規定しているというわけではございません。

山崎(誠)委員 これは私の認識だと、いや、第三者のストアにばんばんばんばんいろいろなものが上がってきますと。アップルの、自分のストアに上げるのであったら、それをチェックするのは当然だと思うんですけれども、どんどんどんどん第三者が上げていきますと。一定のチェックはしているんでしょうけれども、危ういものも含まれているかもしれない、そういう環境が広がるおそれはないですか。

 それを、アップルが自分のストアと同じレベルでチェックをして、その環境は安全なんだというふうに保証することが今後本当にできるのか。

 では、第三のストアアプリは、この一つ一つのアプリケーションをチェックをする責任はありますよね。

岩成政府参考人 個別のアプリの審査に関連してということになるかと思いますけれども、現在、政府として考えておりますのは、まず、一つとしては、アプリストアが担うべきアプリ審査等につきまして一定の指針を示すということで、セキュリティーの専門家団体等によるガイドラインを策定するといった形で、一定の安全性といいますか、安心を確保するということをしたいというふうに考えてございます。

 それから、代替アプリストアの運営事業者がセキュリティー確保等のために講じている措置でありますとかマルウェアの感染等のセキュリティーインシデント、そういった情報についての消費者に対する情報提供というのも行っていきたいというふうに考えているところでございます。

山崎(誠)委員 今、直接的に、もうちょっとお聞きすると、じゃ、代替アプリの責任はどこまであるんですか。どういう責任を果たさなきゃいけないんですか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 個別のアプリについて何らかの問題があった場合でありますけれども、具体的には、例えばアップルなりグーグルなりと個別のアプリ事業者との契約の中で、どういった場合にどういった責任が生じるというのは規定をされるという形になろうかと思います。

山崎(誠)委員 今の御説明、ちょっと私も、ごめんなさい、新しい知見なので。

 では、結局、どんどん、代替ストアから上がってきたアプリが複数あったとして、それは、全部アップルが契約をもう一回して、そのアプリで起こったいろいろな事象について、アップルとして責任を持つ、そういう体制になるんですか。

岩成政府参考人 お答え申し上げます。

 アップルなりグーグル、OSの事業者、それからアプリストアの事業者、これは、アップルであったりグーグルであったり、あるいは新規に参入するアプリストアがあると思います、それから、別途アプリを開発する事業者という三者がいるわけですけれども、それぞれ三者の中でどういった責任を、責任分界といいますか、どういった形でそれぞれが責任を負うかというのはいろいろな契約の中で定まっていくというのを先ほど申し上げたかったところでございます。

山崎(誠)委員 それはすごく大事なところだと思うんですよ。それは今定まっているんですか。このルールの中でこういう運用をしてもらいたいというのは定まっているんですか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状、アップルでいえば、アップル以外のアプリストアは許容されていないという状況でございますので、そこは他のアプリストアが入っているわけではないわけでございます。

 したがって、今回の法案が成立した場合に、いろいろなアプリストアが入ってきた場合にまたどうなるかというのは、その次の段階でどういった規約なり契約が結ばれるか、規定されるかというところに依存する、係ってくるというところかと思います。

山崎(誠)委員 ちょっと納得のいくお答えはいただけていないんですが、引き続き、まだ質疑は続きますので、議論したいと思います。

 質疑時間が来ましたので終わりますけれども、私は、どちらかというと、やはり、せっかく今できている信頼の仕組み、セキュリティー、プライバシー、あるいは安全、一定のレベルが保たれて、子供も大人も区別なく、いろいろな方々が安心して使っているというのが、一定今確保できていると思うんですよ。だから、これは是非とも守らなきゃいけなくて、そのためには、やはり指定事業者の力をかりないといけない領域はたくさんあるので、そこをうまくコミュニケーションを取ってもらって、是非、悪いことは悪い、でも守るべきものはきちっと守るという姿勢を貫いていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 終わります。

岡本委員長 次に、山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 スマートフォンにおける特定ソフトウェアに係る競争に関する新しい法律ということであります。今回皆様のところに資料をお配りさせていただいている一枚目は、公正取引委員会の皆様が、今回の法律の趣旨ということで概要を書いているペーパーでありますけれども、ここに、今回の法案に係る見解、公正取引委員会としての見解が記載されています。

 割と、私が、これは本当に、公正取引委員会のお立場としてはかなり踏み込んでいる書き方なのかなということも感じている部分なんですけれども、まず、スマートフォンの特定ソフトウェア、OSであったり、アプリストアであったりとか、ブラウザーであったりとか、検索エンジン、この状況はもう寡占状態であるということを断定されている。そして、当該事業者の競争制限的な行為で、公正かつ自由な競争が妨げられているということで、競争的制限も存在していて、行為があって、公正で自由な競争が妨げられているんだ、ここも断定をして、説明資料として、公的な文書として作っておられる。そしてさらに、市場機能による自発的是正は困難であるという、公取のお立場としてここまで書かれて、だから、従来の伝統的な手法じゃない新しい法案だということなんです。

 公正取引委員会の委員長に今日はお越しいただいています。

 基本的な認識としてまず伺いたいんですけれども、公のこういう文書に、寡占状態であって、競争制限的な行為があると断定して、自発的是正が困難であると書いてあるんですけれども、これはまさに、既に現状において、公取として、この特定ソフトウェアをめぐる状況は独禁法の違反の状態である、あるいは疑いが濃厚な状態である、この法案にかかわらず調査の対象の状況になっているという認識をお持ちなのかどうか、お答えいただければと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えをいたします。

 本法が規制の対象としております特定ソフトウェアに係る市場におきましては、特定ソフトウェアを提供する事業者が、競争制限的な行為によって、公正かつ自由な競争が妨げられている状態だと認識をしております。こうした行為は、独占禁止法上も問題になるおそれがあるものであるという認識でございます。

 他方で、特定ソフトウェアに係る市場につきましては、新規参入等の市場機能による自発的是正が困難でありまして、また、独占禁止法による個別事案に即した事後的対応では、速やかな競争の回復が困難であるという課題もございます。

 こうした、ある意味で、デジタル市場の特性も踏まえまして、本法案では、類型的に、独占禁止法に該当する疑いのある行為、これを禁止するために、禁止行為とか遵守行為という類型を定めまして、迅速、効果的に競争環境の整備を図る、そういう法案として提案をさせていただいているということでございます。

山岡委員 このスマートフォンをめぐる、いわゆるiPhone、iOSとか、アンドロイドとか、こうした状況が、我々の生活に欠かせない、国民生活、経済の基盤であって、しかし、そこの上に使われるソフトが、いわゆる私たちの感覚でいえば、スマートフォン側の都合でいろいろ制限されるんじゃないかという議論そのものはこれまでもあったと思うんですけれども、公的なお立場の中で、今もお話がありましたけれども、独禁法違反の疑いがあるんだということを明確にお話しいただいたわけであります。

 その上で、この後の議論にもつながりますけれども、なかなか現状では手が打てない、新しい時代の課題であるということを前提に、これから質疑を進めさせていただきたいと思いますけれども、これは国際的にも同様の状況で、EUとかアメリカとか、アメリカの場合は司法省ですけれども、同様のこうした動き、この法案と同じような動きがありますし、EUは三月七日にもうスタートしていますから、国際協調の中で日本もこの問題を何とかしていこうということなんだと思っております。

 あるOS事業者、スマートフォン上で一つのアプリストアしか存在しない、まあ、アップルですけれども、グーグルもほとんど近い状態ではあるんだろうと思いますけれども、一つしかないアップルのアプリストアの状況で、具体的にどのような問題が生じているのかということも確認させていただきたいと思います。

 私も、いろいろな方から聞かせていただくことなので、ここで確認させていただきますけれども、やはり、自社のアプリストアにいろいろな他社が作るアプリを、アプリストアはお店自体ですから、棚にいろいろな商品を並べるということで、他社のアプリを並べるわけですけれども、今回、法案でいろいろ、例えば青少年保護であったりとか、プライバシーであったりとか、セキュリティーの保護、そうした部分というのはお店側の方が裁量権を持った方がいいんじゃないかどうかとか、そうした議論もあるかもしれませんけれども、現状において、例えば、そうした理由のみならず、先進的なアプリじゃなきゃいけませんよとか、類似のものは置きませんよとか、これはいわゆるOS側のビジネス上の判断、それによって陳列の是非をコントロールしている状況もあるんだということを私たちも耳にするわけであります。

 アプリストアがそこ一つしか認められていなければ、そこで認められなければ、そこ以外の場所で、もう売る場所がなくなっちゃうわけでありますけれども、ビジネス上の都合で、商品として置かないよということが実際行われているということを公正取引委員会として認識されているのかどうか、その実態をどうお考えなのか、伺いたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、アップルの方針としてどうなのかというところでございます。

 アプリ事業者が、アップル社のアップストア、それからグーグル社のグーグルプレーストアを利用してそのアプリをユーザーに提供するためには、アップル社やグーグル社が策定するアプリストアのガイドラインに基づいて審査を受け、当該ガイドラインに適合している旨の承認を得ることが必要というふうにされております。

 例えばアップル社が策定するアップレビューガイドラインにおきましては、青少年保護、セキュリティー、プライバシー保護を理由としないアプリの却下理由といたしましては、アプリに継続的な価値や十分な有用性が不足している場合というのが挙げられているというふうに承知をしてございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 今御答弁にもありましたけれども、言うなれば、アプリストアに並ぶにふさわしいかどうかということもその中に入っていますよということなんだと思います。

 もちろんブランディングとして、自分のアプリストアは、こういう高級なものとかすばらしいもの、私たちの価値に近いものを置くんだとか、学習の関係者のためのものを置くんだとか、子供たちの喜ぶものを置くんだとか、ストアごとによっていろいろなブランディングはあると思うので、アプリストアとしてこういうものを置きたいですよという指針を示すのは、これは全然あり得ると思いますし、自由にやるべき話だと思うんですが、ただ、現状は、一つしかアプリストアが存在していないということであれば、そのブランディングに合うもの以外は世に出ていかないということであれば、やはりそこは是正されるべき話なんだろうということを強く思うわけであります。

 加えて、今お話がありましたけれども、今回の法案の中にもどう取り扱うかということで記載されております、いわゆる青少年の保護であったりとかセキュリティーやプライバシー保護に関わる、そしてまた、ほかの行為では目的が達成できないという場合においては、プラットフォーム側が、自らのアプリストアからもちろんそれは除外することもできますし、あるいは、これからこの法案が通った後、アプリストアができたとしても、ほかのアプリストアに並べられるアプリに対しても、直接的にはアプリを消すということじゃなくても、アプリストアに対して、これらの問題に対して同様の措置を求めることもできるという規定になっているわけであります。

 ここの部分を伺いたいんですけれども、これは、求めることができるということであって、義務ではないわけですよね。ですので、例えば青少年保護の観点という、見解も分かれる、疑義があるのかどうか、これはいろいろな判断があると思うんですけれども、それが、ほかのアプリストア内に存在していたときに、この法案に係る正当化事由にのっとって、これを理由に排除してもいいけれども排除を求めなくてもいいと。ここの部分というのは、まさにプラットフォーム側の恣意的運用という余地を残す、そういう部分になるんじゃないかということを感じるわけでありますが、ここの見解を伺いたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、指定事業者に対しまして、青少年保護の観点で疑義のあるアプリを排除することを義務づけるものではございません。モバイルOSやアプリストアを提供する事業者は、これまでも、セキュリティーの確保や青少年保護等について取り組んできているところかと思います。本法案において指定事業者がセキュリティーの確保等について必要な措置を講ずることができる旨を規定することによりまして、セキュリティーの確保等のために必要な措置が講じられるものというふうに考えております。

 なお、公正取引委員会では、セキュリティー確保のために必要な措置を講ずることができる旨の規定の考え方の明確化を図るために、関係行政機関とも連携してガイドラインを策定することというふうにしたいと考えております。

山岡委員 自見大臣に少し伺いますけれども、今回の法案を議論していて、私も本当に強く感じますのは、セキュリティーとかプライバシー保護の観点、極めて重要な話です。そして、青少年の保護、健全な育成、これも重要な視点でありますけれども、これらのことを法的な義務を負わない民間事業者が独自に判断するという状況、これが適正なのかどうか。

 もちろん、自由なビジネスを保障するにおいては、なるべく自由なことを保障していかなきゃいけませんが、しかし、本当に駄目な部分というのは、民間事業者が排除してもいいし排除しなくてもいいよとか、そういう余地のあるものではなくて、やはり政府として、この手のものはもうアプリとしては駄目ですという基本的なラインというのは、まずそこはきちっと考えて、裁量の余地も何もないんだと思うんですよ。

 今回、今の現状においても、例えば、先ほど、アップル社は民間の契約の中で責任を負うという話がありましたけれども、仄聞する限りにおいては、今、セキュリティー保護等もいろいろ言っておりますけれども、実際、問題が起きれば、やはりアプリ製作者側に、基本的に責任を負うという免責事項も含めて契約状況になっているような話も聞きますから、様々課題が起きたときに、じゃ、実際に何か法的な義務がかかっていて、責任を負う立場にあるのであれば、もちろんそこの判断はあると思うんですけれども、そうした部分もないのであれば、こうしたことは日本政府が独自に規定を設けていくべき性質のものじゃないかと思うんですけれども、大臣の見解を伺います。

自見国務大臣 お答えを申し上げますが、大きくは、DSAとDMA、そういった視点からの御質問かとも思ってございます。

 委員御指摘のとおり、この法律の施行後におきましても、青少年保護やセキュリティー、あるいはプライバシー保護が図られることにより、スマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境が確保されることは重要だと考えてございます。

 公正取引委員会におきましては、指定事業者がセキュリティーの確保等のために必要な措置を円滑に講ずることができるよう、セキュリティーの確保等に関する正当化事由に関しまして、法運用の基準や具体的な考え方を明確にするためのガイドラインを関係行政機関とも連携しながら策定し、公表することとしてございます。

 また、総務省になりますが、総務省のスマートフォン利用者情報取扱指針を始めといたしました関係行政機関における様々な取組が進められてきたと承知をしてございますが、それらに加えまして、本法案の施行に伴いまして、アプリストアが担うべきアプリ審査等について一定の指針を示すため、セキュリティーの専門家団体によるガイドライン等の策定や、あるいは、代替アプリストアの運営事業者がセキュリティー確保等のために講じる措置やマルウェアの感染等のセキュリティーインシデント情報などについての消費者に対する情報提供の在り方についても、関係行政機関や関係団体とも連携しながら検討をしていくこととしてございます。

 ちょっと長くなりますが、続けさせていただきます。

 さらに、政府における取組といたしましては、総務省におきまして、スマートフォンの利用者のセキュリティー確保、プライバシー保護の観点から、スマホ等のブラウザーやアプリを通じまして電気通信役務を提供する事業者に対しまして、利用者情報を外部送信するプログラムを送信する際、利用者に対して確認機会を付与する義務、また、大量の利用者情報を取得、管理する電気通信事業者に対しまして利用者情報の適正な取扱いを求める規制を令和四年電気通信事業法改正により導入するなどとしていることも承知してございます。

 加えまして、委員の問題意識も高いスマートフォンの利用をめぐる青少年保護についてでございますが、先ほどもこども家庭庁からの答弁もございましたが、こども家庭庁としても、欧州におけるデジタルサービス法を始めとする諸外国における最新の動向なども踏まえつつ、関係省庁と連携して、現状と課題を整理し、法制上の対応の必要性の有無を含めて検討してまいるという答弁もいただいたところでございます。

 このように、関係省庁におきましても様々な取組が進められているところでございまして、公正取引委員会としても、関係省庁としっかりと連携して、消費者保護とそして競争政策というこの両輪を確立してまいりたい、その一翼を担ってまいりたいと考えてございます。

山岡委員 自見大臣は内閣府にも籍を置かれていますから、本当に各省庁の中でまたそうしたリーダーシップを発揮していただきたいなと思うのは、今回、競争政策上の観点ですから、公正取引委員会の切り口から話が出ていますので、民間の自由なビジネスを保障するということになると、選択的に排除することもできるしできないこともできるよということもあるんですけれども、本質的には、その基本的な部分は政府として決めるべきであります。

 青少年保護という言葉も、聞こえはいいですが、日本には漫画等もたくさんありますけれども、何が保護に当たって何が保護に当たらない、表現の自由にも関わる様々な判断を伴うわけであります。それが、民間事業者の判断が非常に強くなってくるような状況というのが正しい姿なのかという問題意識は本当に強く持ちながら、もちろん、特定のソフトウェア、このスマートフォンの時代には、プラットフォームの知見も協力も得なければなりませんが、しかし、やはり、政府の気概として、自分たちでこれは最低限の規格はつくっていくんだということは、是非問題意識として共有させてください。

 検索の話についても伺います。

 これは委員長に伺いますけれども、今回、スマートフォンのアプリに関わるお話が中心になっていますけれども、インターネットの検索エンジンに関する制限も含まれています。先行して、既にいろいろな、この部分を実施しているEUの様々な状況もある中で、現状、まだスタートして二か月程度ではありますけれども、ユーザーの利便性も著しく失われた状況になっているんじゃないかという指摘もあるところでもあります。

 細かい違いなんですけれども、アプリというのはダウンロードして自分で使うわけでありますけれども、ネット検索は、もっとスピーディーに、私たちが国民生活の中で思ったときには検索したりして、そのレスポンスのよさとか、あるいは表示の的確さというのが非常に問われる、ユーザーの利便性というのが非常に重要だと考えます。

 もちろん、自社の都合でいろいろ操作されては困るわけでありますけれども、しかし、本法案の施行で利便性が損なわれるような結果になることは避けなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 委員が御指摘がありましたように、EUにおきましては、グーグル社がデジタル市場法に対応して検索結果の表示方法などを変更した結果、ユーザーの利便性が低下しているのではないかといった指摘が出ていることは承知をいたしております。

 本法では、検索結果の表示における自社優遇につきましては、形式的に、優先的な取扱いとなっていれば全てが禁止されるということになってしまいますと、かえって消費者の利便を害するおそれがある場合もございますので、本法案では正当な理由がない場合に禁止をするというふうにしてございます。

 この場合の正当な理由としましては、消費者の選択を阻害するような場合を想定しておりまして、具体的な考え方につきましては、欧州のデジタル市場法の施行状況も注視しながら、今後、ガイドラインを策定して、公表をしたいと考えております。

 検索結果の表示における自社優遇の禁止に係る規定につきまして、このガイドラインで示した考え方に基づいて適切な対応ができるようにしたいというふうに思っております。

山岡委員 ありがとうございます。

 消費者側の利益のことについて言及をいただきまして、是非、これから制度設計、ガイドライン等の設計の中では、そこを念頭に置いていただきたいと思います。

 もう一つ、ユーザー側の利便性ということでいいますと、これもEU等で既に事例として聞こえてきているわけでありますけれども、アプリストアからアプリをダウンロードして、ほかのいろいろな他社のアプリも入れていく中で、例えばそこのアプリにアクセスする、ダウンロードも含めてかもしれませんが、様々なアクセスにおいて、ここはプラットフォーム側の裁量で、例えばアクセスをしにくくなる、警告文を出したりとか、不当に不安な部分をあおるとか、様々あるかもしれませんが、いろいろなことを繰り返し行うことによって、やはりアクセスをしにくくすることによって、結果的に他社のアプリを使いにくくしているような事例もあるということも聞いておりますが、この点についてはどう対応されるか、伺いたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、指定事業者が他のアプリストアの提供を妨げることを禁止しております。他のアプリストアに係るユーザーの利便性を損なう行為がアプリストアの提供を妨げているというふうに評価できる場合には、本法案に違反することとなります。

 また、個々のアプリにつきまして、本法案では、指定事業者が自らのアプリと他の事業者のアプリを不当に差別するなど、不公正な取扱いを行うことを禁止しております。他のアプリに係るユーザーの利便性を損なうことが不当に差別的であるなど、不公正な取扱いと評価できる場合には、同様に本法案に違反することとなります。

 公正取引委員会としては、規制の潜脱が行われることがないよう、本法案を厳正かつ的確に運用していきたいというふうに考えております。

山岡委員 三月七日にはEUが先行してスタートしているということでありまして、そうした様々な事情も分析しながら、是非、利用者にとっても非常に使いやすく、さらに競争条件が整うということを目指していただきたいということもお伝えさせていただきたいと思います。

 そこで、委員長にまた改めて伺いますが、最初に委員長に基本的な状況というのを伺いました。独占禁止法の疑いがあるという状況であるということをお話しいただきまして、特定ソフトウェアのアプリであったりとか検索エンジンのお話があると思うんですけれども、スマートフォンの周辺機器においても同様の状況があるんじゃないかということを思うわけであります。

 例えば、スマートフォンと連動するスマートウォッチというような、そういう商品についても、その機能について、事実上自社の製品じゃないと、ほかの製品だと機能が制限されるような、そういう状況というのがあるんだとすれば、今回、同じ枠組みの中で、やはり同じ市場環境なわけでありますから、これも独占禁止法疑いのある状態ということで調査の対象にもなるんじゃないかということを思うんですけれども、この法案においての対応はどうなっているんでしょうか、伺いたいと思います。

古谷政府特別補佐人 本法案では、モバイルOSを提供する指定事業者に対しまして、他のアプリ事業者によるOSの機能の利用を妨げることを禁止をしております。具体的には第七条というところで規定をしているわけですけれども、委員から御指摘がありました、指定事業者がスマートウォッチ等のアプリに用いるOSの機能につきまして他の事業者による利用を妨げているというふうに認められる場合には、この法案の、具体的には七条二項になろうかと思いますが、それに基づいて対処していくことになるというふうに考えております。

 また、この法案に直接違反しない場合でありましても、独占禁止法に違反する疑いがある場合には、当然、独占禁止法に基づいて対処していくということになります。

山岡委員 この法案の中に該当してくるんだというお話をいただきました。

 本当に、自由で開かれた環境の中で、いろいろな事業者がいろいろな知見を持ってイノベーションが起きていくような、更にそうした環境につながっていくということは、周辺機器も含めて可能性を秘めていると思っておりますので、是非適正な運用をお願いしたいと思っております。

 皆様に今資料をお配りしている二枚目なんですけれども、これは四月十二日にインターネット上のニュースサイトで報道されています。日経新聞等でも同様の報道がされていますが、ちょっと分かりやすいのでこちらを紹介させていただきますけれども、「アップル、ユーザーによる中古純正部品を使った修理を可能に」という記事であります。

 スマートフォン、特にアップルを使っている方は、修理とかをできないわけでありまして、それを、中古純正部品を使って修理を可能にする方向に行きますよということが報道されているんですが、これは、記事の中を見ますと、現在、三十三の国と地域で予定はするけれども、日本は含まれていないんだということが書かれています。

 もちろん、スマートフォンのアプリ上の、アップストアとかそういう中の、スマートフォンの中のソフトウェアをめぐる競争環境もあると思うんですけれども、国によってサービスが変わってくるという現状、その理由は明確じゃありませんので、しかし、三十三の国と地域で対応していることが日本では入ってこないということになっているということであります。

 これは、言わせる人に言わせれば、やはり、垂直統合型でありますから、一つのOSに一つのデバイスしか認めていないという状況ですとデバイス同士の競争がないので、デバイスが複数あれば、うちは修理を皆さんにしてもらっても大丈夫ですよ、いや、そうじゃありませんよということも出てくるんですけれども、垂直統合型だからこういうことが起こるんじゃないかというふうに言う方もいますけれども、実際、国によっては実施されているところもあるわけで、日本はサービスが劣後している、サポートも。こういう状況になっています。

 総務省に確認したいと思うんですけれども、今のこの状況というのをどういうふうに考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 特定のスマートフォンメーカーが、利用者自ら純正部品による修理を可能とする取組をどの国で実施するかということにつきましては、個社の判断によるものでもございますので、総務省として評価することは差し控えたいというふうに考えておりますけれども、他方で、一般論として申し上げれば、利用者自らが端末を修理できるようになるなど修理の選択肢が拡大すること、これは消費者のメリットにつながると考えておりますので、関係事業者の対応状況などについて引き続き注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

山岡委員 様々、やはりシェアを大きく持っているところで、我々もそのサービスをいただいているわけでありますけれども、他方で、各国でそうなのに日本だけなぜなのかという理由も非常に気になるところでもあると思うんですよね。

 総務省さんは、一番そうしたところとも近いところにもおられますので、是非また機会があるときに、理由もただしていただくことがあればなということも思っておりますので、問題提起もさせていただきたいと思います。

 文科省さんにもお越しいただいております。

 学校においてタブレット端末を使って授業を進めるGIGAスクール構想というのがありますが、その関係者の皆様からも、今回、この法案に対して御意見を幾つかいただいておりますけれども、特定のプラットフォームが市場独占状態があった方が、青少年保護とか学校教育の健全性、そこに対して懸念がないのだというようなお話もされているところでありました。

 文科省に聞きますけれども、GIGAスクールの事業の推進では、まるで、これもさっきの話に通じるんですけれども、青少年の健全なネット利用について政府がその役割を果たしているのかどうかみたいな疑義を向けられているようにも聞こえるんですけれども、こういう特定のプラットフォームの裁量に依存しているというような実態が、政府の、文科省の御見解としてお持ちなのか、そこの点を伺いたいと思います。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 GIGAスクール構想で整備した一人一台端末につきましては今回の法案の対象外と承知しておりますが、様々なデジタル技術が急速に普及する中、GIGAスクール構想の推進に当たっては、インターネット上の有害コンテンツから児童生徒を保護することは重要であると考えております。

 文部科学省におきましては、一人一台端末の整備におきまして、特定の事業者に限定せず、セキュリティー対策機能や端末管理機能等によるソフトウェア管理が可能な端末の整備、一人一台端末へのフィルタリングの導入について地方財政措置を講じるとともに、フィルタリング未導入の自治体への働きかけを実施、不適切なサイトにアクセスしないことなど端末の取扱いに関する基本的な行動を含む児童生徒の情報モラル教育の推進等の取組を通じて、セキュリティーの確保に取り組んできたところでございます。

 今後とも、関係省庁と連携を図りながら、インターネット上の有害コンテンツから児童生徒を保護するための取組を進め、GIGAスクール構想を更に推進していきたいと思います。

山岡委員 今もお話がありましたけれども、まさに文科省も御自身のきちんとしたスタンスを持って臨んでいただいていると思うんです。ですので、学校教育の関係者が、そういうふうに話が出るのであれば、是非、文科省としてもっともっと前に出て、皆様と一緒に健全な学校教育現場をつくっていくということにリーダーシップを図っていただきたいということも申し上げさせていただきたいと思います。

 最後に、自見大臣にまた伺いたいと思います。

 今、実は学校教育の関係者からそうした懸念の声も聞かれるところではあったんですけれども、他方で、今回、この法案が実施されて、仮に、更に自由な環境があって、更に多くのアプリとかいろいろなものに子供たちが触れるような機会が来るのであれば、私たちの、GIGAスクールのいろいろ積んできた知見の中で、例えば、学校の教育関係者とか保護者の方とかに、どういう行為を行って、どういうリテラシーを持っていった方がいいですよとか、どういう行為をしていった方がいいですよということをもっともっと発信していきたいんだ、そういうようなお話をされる方もいらっしゃいました。

 あわせて、コンテンツの産業のいろいろなグループで今までこの問題に向き合ってきた方々も、中小の小さなアプリの事業者とかも、いろいろな声も聞いている中で、私たちが積み上げてきた知見も、これから法案施行後、ガイドラインの作成もそうですが、その後の様々なプロセスに自分たちもいろいろ意見を言っていきたいんだということを言っておられました。

 今回、もちろん、公正取引委員会からの法案ですから、競争政策としては公取なんですけれども、文科省の皆さんであったりとか、総務省であったりとか、こども庁であったりとか、経済産業省ももちろんそうですけれども、様々な、霞が関の中での連携をしていくというお話はあるんですけれども、是非、民間の皆様との連携もしっかり深めて進めていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定ソフトウェアにつきまして、セキュリティー確保やプライバシー保護、青少年保護等を図りながら競争環境を整備していくことは重要であります。委員御指摘のとおり、このような取組を進めていく上で、関係行政機関との連携に加えまして、官民の連携も重要であると認識をしてございます。

 公正取引委員会におきましては、本法案を実効的に運用していくため、セキュリティーの専門家団体とも連携をしてアプリ審査のガイドラインの策定等についても検討するなど、関係の行政機関や民間の関係の団体の皆様ともしっかりと連携しながら具体的な取組を進めていくこととしてございます。

山岡委員 質問を終わります。よりよい形にしていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 早速質問に入ります。

 まず、モバイルエコシステムにおける諸課題が顕在化して、寡占事業者による競争制限的な行為により自由競争が妨げられている現状、各種の事前規制によって公平な市場を構築しようという意図は理解するんですけれども、事前規制を行うに当たっては、やはり立法事実として規制の正当性がちゃんと担保されているかというのが大事だというふうに思っています。

 なので、本法案においては、前提条件となる事前規制が適切か、正当か、それをまず判断するところからスタートしないといけないところ、本法案が四月二十六日に閣議決定されて、このタイミングで今審議していて、来週には採決じゃないかという話があるんですけれども、これに関してはちょっと唐突感を感じているところもあります。

 施行の日が一年半後としているので、来年中が目途になるというふうに思っているんですけれども、スケジュールを考えても、足下、例えば独禁法とかデジタルプラットフォーム取引透明化法とかがありますので、既存の枠組みを使いながら、前提の議論をもうちょっとするべきだったんじゃないかなというふうにも感じているんですけれども、このタイミングでの法提出になった理由を大臣から聞きたいと思います。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 デジタル市場に係る競争制限的な行為に関しましては、独禁法、独占禁止法によります個別事案に即した対応では立証活動に著しく長い時間を要するといった課題がございます。このような課題に対処するため、本法案では、指定した事業者に対して一定の行為の禁止等をあらかじめ定め、迅速かつ効率的に競争環境の整備を図ることとしてございます。

 このように、我が国の経済の成長のエンジンとなるべきデジタル分野においては、公正な競争環境を確保していくということは喫緊の課題でございます。

 このような中で、規制が先行する欧州におきましては、今年の三月からデジタル市場法が本格的に動き出しており、米国におきましても、今年三月に司法省がスマートフォンの独占をめぐる問題に対しましてプラットフォーム事業者を提訴したと承知をしてございます。いずれも、こうした動きは、公正な競争を確保していくための取組であると認識してございます。

 デジタル市場に係ります競争制限的な行為に対しましては、これまでも公正取引委員会において独占禁止法に基づく事件の審査等を行うなど積極的に取り組んできましたが、従前申し上げたとおり、独占禁止法におきます個別事案に即した対応では立証の活動に著しく長い時間を要するといった課題があるといったところから、迅速かつ効率的に競争環境の整備を図るために本法案の提出となったということでございます。

守島委員 簡単に言うと独禁法では時間がかかるからということで、提出法案の意図は理解するんですけれども、大臣がおっしゃったアメリカの取組とかでも、日本の独禁法に当たるアンチトラスト法で対応していて、ヨーロッパは先行していると言っているんですけれども、市場に対する考え方がアメリカとヨーロッパでも異なっているし、世界が足並みをそろえているというふうにはまだ断定できなくて、日本はこの法案で比較的先行することになるのかなというふうに思っています。

 これは寡占化されたマーケットにおける根本的な考え方にも影響してくると思うので、入口の議論をもうちょっとしたかったんですけれども、そもそもEUのDMAとも法案の中身に差異があって、落合委員とかも、今回の法案はもうちょっと狭められているよねという話をしていたんですけれども、ちょっとヨーロッパとも違うということで、そもそも禁止事項とか遵守事項は現状において必要かつ十分なのか、本内容に帰結した理由というのをまず確認したいのと、加えて、今回はアプリストアと決済に着目がされているんですけれども、市場環境というのはこれからも目まぐるしく変わりますし、技術とか仕組みが変われば着目点というのも変わってくるように感じているんですけれども、附則が、この業界に関しては長いんじゃないかなと思える三年を目途に見直すというふうに書かれていまして、これで法の柔軟性が十分に担保されるのかというのを、まず公取委員長に確認したいと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 本法案に至ります政府内の検討は令和三年ぐらいから始めました。

 公正取引委員会が行いましたモバイルOS等に関する実態調査、それを踏まえました、内閣官房で取りまとめたモバイル・エコシステムに関する競争評価の最終報告によりまして、スマートフォンの利用に特に必要なモバイルOS等の特定ソフトウェアに関しては、特定少数の有力な事業者による寡占状態となっておりまして、アプリストアへの参入の制限ですとか、検索における自社サービスの優先表示など、幾つかの類型で様々な競争上の問題が生じているということが確認をされました。

 それを踏まえまして、本法案では、特定ソフトウェアをめぐる競争上の問題に迅速かつ効果的に対処するために、指定業者を定めまして、それに対して禁止行為と遵守行為という類型での義務づけを求めるという形で、デジタル市場におけます事業者間の公正かつ自由な競争を確保するための法案ということで提出をさせていただいたものでございます。

 委員が御指摘になりましたように、デジタル市場は非常に急速な状況変化やビジネスモデルの変化というのがございますので、当然、この法案は、これからガイドラインも策定をして実施に移りますけれども、実態をよく見ながら、今後、必要な対応は私どもとしても取っていかなければならないと思っております。

 法案に三年後の見直しということを書かせていただいていることは事実でございます。その時点で所要の見直しをすることも当然でございますけれども、策定をしたガイドラインの改定なども含めて、状況に柔軟に対応するようなことは今後とも検討していきたいというふうに考えております。

守島委員 公取さんとしても新法でこういうことを規制するというのはなかなかないことなので、走りながらという点は致し方ないのかなというふうに思いますので、しっかり実態を見詰めながら動いてほしいと思っているんです。

 例にない事前規制を導入するということで、今大臣とか委員長がおっしゃったスマホ事業における公正な取引市場をつくるということに関しては、日本のためというか、産業のイノベーションとか消費者の利益のためということに関して重要だというふうに思っているんですけれども、本法はこの後のビジネスにも大きな余波を残すんじゃないかなということを危惧しています。

 というのも、スマホ業界に話はとどまらず、他産業に関しても、結果として、市場で勝利して寡占的な環境を構築した事業者に対して政府が事前規制をかけることが正当化される先例になり得ると思うんですね。そうなると、例えば、商品の普及に向けて、各企業は、クリティカルマスに到達すべく、リスクを取って投資したりするわけですけれども、こうした一般的な企業でいう、競争原理の下動いている行動指針なんかが変わり得るというか、そうなったら、ビジネスの前提条件が崩れていくように思っていますが、こうした他産業への及ぼす影響という点で大臣の見解を伺いたいと思います。

自見国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、正当な競争の結果として少数の事業者による寡占市場となること自体が競争法上直ちに問題となるものではございません。

 本法案でモバイルOSやアプリストア等の市場を規制の対象とした趣旨でございますが、スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、現状、これらのソフトウェアを提供する事業者が優位な地位を利用して競争をゆがめているということにございます。これらの市場は、いわゆる間接ネットワーク効果のほか、規模の経済が強く働くことなどによりまして、新規参入等の市場機能による改善が期待できず、また、独占禁止法による個別事案に即した対応では立証活動に著しく長い時間を要するといった課題がございます。

 そこで、本法案におきましては、寡占状態そのものを問題とするのではなく、競争を制限するおそれのある一定の行為の禁止等を定めることによって、指定事業者がその有力な地位を利用して公正かつ自由な競争を妨げることを防ぐものでございます。

守島委員 業界特有というか、市場が一定、新規でイノベーションが起こりづらい硬直的なものであるということと、優越的な地位をプラットフォーマーが使っているということで、これはスマホ業界独特という話なんですけれども、裾野が広くて影響力の強い産業でもあるので、独禁法との明確な区分とか、やはり一般論との区分けとか明確な交通整理がもっと必要だったんじゃないかなというふうに思っているので、そういう点で今後の見直し等に関しても確認をさせていただいた次第です。

 今大臣の話にもあった独禁法との比較をちょっとしていきたいというふうに思っているんですけれども、先ほど来あるように、独禁法で一般的に取り扱ったら時間がかかるということで今回個別法という話なんですけれども、山岡委員からも先ほどありましたように、公取さんは、具体的に、独禁法であれば、現状のプラットフォーマーがどのような禁止行為に抵触していると考えているのか、抵触しているとみなしているのかという点に関して見解を教えてください。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 独占禁止法で禁止されている私的独占でありますとか不公正な取引方法がございますけれども、こういったものは、法律上禁止する行為を行ったかどうかという行為要件に加えまして、市場への悪影響という効果要件の立証が求められるというところでございます。

 本法案では、このような独占禁止法の私的独占でありますとか不公正な取引方法に類型的に該当する行為を禁止事項として定めております。指定事業者が、基本的に、法律上禁止する行為を行ったかという行為要件のみの立証で足りる。効果要件としての市場への悪影響でありますとか、その前提としての市場画定を違反要件としていないという点で、独占禁止法と異なっているというところでございます。

 本法案では、このように類型的に独占禁止法に該当する行為の禁止等をあらかじめ定めることによって、迅速かつ効果的に競争環境の整備を図ることとしているところでございます。

守島委員 行為要件、効果要件の具体的にどこに抵触しているとみなせるかという点に関してはちょっと分かりづらかったんですけれども、私的独占状態に感じているという考えですかね、大体。

岩成政府参考人 一定の行為が私的独占ということで禁止されている、あるいは不公正な取引方法ということで禁止をされているというところでございます。

 これらについては、先ほど申しましたけれども、一定の行為要件と、市場への悪影響ということで効果要件という両方が合わさって独占禁止法の違反になるというところでありますけれども、この法案では、前者の行為要件を類型的に定めることによって迅速な措置が取れるようにということを目指すという趣旨でございます。

守島委員 だから、先ほどの山岡委員の話ですと、現状、違反状態にあるかどうかという断定まではしていなくて、そういう行為要件、効果要件共に包含できるようにということで法を制定したという話なので、今取り締まれない可能性があるものに対して要件づけているというふうにも思っています。

 独禁法における独占状態に対抗する措置として、市場シェアが高い事業者がいることで、効果要件として、価格に下方硬直性が見られるような場合に、いろいろ公正取引委員会さんも、例えば営業の一部譲渡などの措置を命じることもあると思っているんですけれども、一般的に独禁法における独占、寡占による価格の下方硬直性があるとみなされる状態と比較して、今回の特定ソフトウェア事業者によって現状引き起こされているとみなされている価格抑制への圧力であったり下方硬直性に差異というのはあるんでしょうか。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 今回のスマートフォン分野のところでございますけれども、まず、アップル社が提供するiOSにおきましては、同社が提供するアプリストアであるアップストア以外のアプリストアを利用することができないということで、アプリストア間の競争が行われていないというところでございます。

 それから、グーグル社が提供するアンドロイドでは、同社が提供するアプリストアであるグーグルプレーストア以外のアプリストアを利用することができるわけですけれども、例えば、デフォルト設定が行われているということなどによって、ほとんどの利用者はグーグルプレーストアを利用しているというところで、アプリストア間の競争が十分に行われていないというところかと思います。

 一般的な分野との比較は難しいところはございますけれども、このようにアプリストア間の競争が働いていないというところから、一般論として、この分野では価格競争が起きにくいという状況かというふうに考えられます。

 本法案によりまして、アプリストアの新規参入が進み、競争が促進されて、手数料の引下げにつながることを期待していくところでございます。

守島委員 だから、一般と比べて価格抑制をしているかどうかということは言えないけれども、分野的に価格硬直をしているということをみなして、それを法律で一定、もうちょっと競争環境を適正化するということが意図ということなので、一般的に当てはめづらいということは認識したんですけれども。

 であれば、独禁法上の行政処分、課徴金とか排除措置命令と、今回の法案における処分内容の差異に関して、その差異と、その差異を用いている理由を教えてほしいです。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 独占禁止法と本法案につきましては、いずれも排除措置命令及び課徴金納付命令の定めを置いております。

 他方、本法案におきましては、指定事業者が禁止事項に違反した場合には排除措置を命じる一方で、義務づけられた措置を講じていない場合には勧告を行い、当該勧告に従わない場合は措置を講ずべきことを命じることとしております。

 これにつきましては、まず、本法案の禁止事項につきましては、独占禁止法により禁止されている私的独占などに類型的に該当する行為でございますので、そのような違反行為を迅速かつ確実に是正する必要があることから、独占禁止法と同様に排除措置命令を行うこととしております。

 一方、義務づけられた措置が講じられていない場合でございますけれども、これは直ちに独占禁止法に違反するとまでは言えませんので、また、指定事業者が講ずべき措置の具体的な内容が一概に決まるものではありませんので、まずは指定事業者において必要な措置を講ずべきことを勧告し、当該勧告に従わない場合に命令を行うこととしております。

 また、課徴金納付命令につきまして、独占禁止法においては、価格カルテルや入札談合などの不当な取引制限では一〇%、排除型私的独占では六%などが基本算定率となっております。

 他方で、本法案におきましては、禁止事項の一部について課徴金制度の対象としておりまして、規制の実効性を十分に確保する観点から、デジタルプラットフォーム事業者の利益率が高いことなどを踏まえ、この算定率を二〇%としているところでございます。

守島委員 独禁法の類型の中に、今回、禁止事項はみなされるだろうということで、行政処分の理由というか、たてつけは分かったんですけれども。

 今回の罰則は、今おっしゃったように対象行為も限定的で、例えば、課徴金の納付命令は、七条のアプリストアの制限とか、八条の他の課金システムの利用制限、サイドローディングに限られておりまして、例えば、検索エンジンにおける当該指定事業者の優先的な取扱いなんかは入っていません、禁止事項には入っているんですけれども。これは対象になっていないのはなぜなんでしょうか。

塚田政府参考人 委員御指摘のとおり、課徴金の対象となる行為については、一つは第七条第一号に規定するアプリストアの提供妨害の禁止、第七条第二号のスマートフォンの動作に係る機能の利用妨害の禁止、第八条第一号の支払い管理役務の利用妨害の禁止、第八条第二号のアプリ外取引の制限の禁止、以上の四つの行為類型が課徴金の対象となっております。

 これらにつきましては、本法案においては、課徴金制度がそもそも違反行為を抑止するという行政目的の下に行われるものでありまして、そのような行政目的を達成する観点から、不当利得を明確に観念できる範囲内において課徴金制度の対象としたというものでございます。

 具体的に申しますと、例えば、アプリストアの提供妨害などをお考えいただきますと、この禁止行為は課徴金対象になっておりますけれども、これは自社以外の代替アプリストアの参入を妨害、阻止する行為であります。

 もしこの行為が行われなかったとしたら、代替アプリストアが参入できたということになりますので、そうなった場合には、ユーザーが指定事業者のアプリストアから代替アプリストアに切り替えることによって、また、新たなアプリストアが参入して競争が生じた結果、アプリストア手数料の水準が下がることによって、この指定事業者のアプリストア手数料などの収入が減る可能性がございます。裏返して言えば、指定事業者は、アプリストアの提供妨害を行うことによって、代替アプリストアが参入してくることに伴う損失を免れて、不当な利得を収受できるものと考えられます。

 このように課徴金の対象となる四つの行為類型については不当利得を明確に観念できるものとなっておりまして、この点につきましては課徴金の対象としております。

 課徴金の額については、違反行為によって不当に得た利益、すなわち不当利得を剥奪するという観点から、違反行為に係る商品又は役務の売上額に一定の算定率を乗じることによって算出されるものであるからであります。

 不当利得が明確に観念できるものについては課徴金の対象としている一方で、他方で、これら以外の禁止事項につきましては、これらのように不当利得を明確に観念できるとまでは考えられなかったことから課徴金制度の対象とはしていない、このようなことでございます。

守島委員 独禁法の類型に当てはめて禁止事項を定めているけれども、課徴金の対象自体は不当利得が明確というところに絞っていて、絞っているけれども、それは明らかに不当利得だから、一般的な独禁法より課徴が強いというふうに見えるんですけれども、だから、狭い範囲で、明らかに不当利得を得ているところに対してきつく制限をかける、規制をするというのが法律の意図で、そこをまず重点的に見よう、ほかに関しては不当利得とまでは断定できないのでということなので。

 その状況は理解しましたが、どこからが利得に通じているのか、それが不当なのかというところも含めて、若干今の段階で、定量的な尺度で幾らだというところはちょっと僕自身もはっきり今分からなかったので、この対象とか罰則等はやはり今後もすり合わせていかないといけないと思うので、その見直しに当たっては、この範囲であったり罰の深さというところも含めて、やはり一般法と比べて、実際に実効性があるかというところも含めて、今後、見直しに考慮していただけたらというふうに思っております。

 残りの時間で、本法案に対して関係者から賛否いろいろな意見を聞いていますので、それに対する確認をしていきたいんです。

 まず、本法でアプリストアが自由化されても、そのアプリストアとかアプリ自体が特定ソフトウェア事業者のOS上で動くことは変わらない。その点、本法案では、OS等の機能の利用制限の禁止が定められていますけれども、今後、OS機能の利用に対して新たに利用料が課されたりする可能性がないのか。

 例えば、EUのDMAにおいては、OS機能は無料提供ということが明記されていると聞いているんですけれども、日本においても、当然、OSインフラとして無償で提供されるべきという意見も聞くことがあるんですけれども、そこまで踏み込めなかった理由を確認したいのと、逆に、無償で提供されて当然ということに対する反論もありまして、現状、OSの機能は、OS提供者が開発していて、OSを使用するためのアプリの言語とか環境そのものが、OSメーカーというか提供者が開発しているので、いわばサードパーティーと呼ばれる企業は、ここに乗っからせてもらっているという状況の中、何でも無償でOSインフラが提供されるということに関しては、ある種のフリーライドではないかというような映りもします。

 こうした矛盾に対する考え方が整理されていれば、委員会の意見を聞きたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 アプリ等におきまして、指定事業者が利用するモバイルOSの機能を他の事業者が利用することができない場合でありますけれども、他の事業者は競争上不利になることとなります。そのため、本法案では、モバイルOSを提供する指定事業者に対しまして、他の事業者によるOSに係る機能の利用を妨げることを禁止しております。

 本法案では、他の事業者によるOSに係る機能の利用につきまして、法文上は一律に無償とは規定していないところでございます。仮に、指定事業者が対価を取得する場合には、他の事業者によるOSに係る機能の利用が妨げられていると言えるかどうか、七条のところの規定でございますけれども、妨げられていると言えるかどうかについて、個別具体的な事案での判断を行っていくということにしているところでございます。

守島委員 無料とまでは限定せずに、個別具体の判断というふうになると思うんですけれども、実際にOSを提供するということにはコストとか、投資はしていると思いますし、バージョンが変わればそれなりに、プラットフォーマーも負荷はかかっているわけですね。

 OS利用に課金ができるというか、新たな料金を賦課できるということになれば、これはまた迂回料金みたいな感じになりかねないというところも危惧するので、そういう点も、個別とおっしゃっていましたけれども、適正な市場構築に向けてしっかりウォッチしていくことが重要だと思いますので、その点はお願いしたいと思います。

 残すところ、あと短い時間ですので、最後に確認します。

 手数料に関してなんですけれども、これはアップルさんの事例ですけれども、例えば、公式アプリストアにおいて、手数料三〇%が、いわゆるアップル税というように言われる悪名高いものなんですけれども、これはごく僅かな企業しか賦課されていなくて、大体一五%の手数料を支払っている。構成割合的に言うと、一五%の会社がその負担割合で、残余の八五%ぐらいのディベロッパーは手数料をほぼ払っていないというような参考資料を見たことがあるんです。かつ、例えばソニーとか任天堂のゲームコンソール等の手数料も三〇%ぐらいあって、三〇%の手数料は不当ではなく、業界の水準という意見もあるんです。

 実際に現状の手数料が不当に高い状況なのかというところに関して、見解があれば教えてください。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、一般論といたしまして、手数料等の価格につきましては、本来、公正かつ自由な競争を通じて決められるべきものというところでございますので、一概に適正な水準というのを評価するということは困難であるというふうに考えております。

 今回のアプリストアの手数料の水準でございますけれども、アプリストア間の競争が十分に行われていないという中で、アップストアとグーグルプレーストアの手数料率に関しましては、いずれも原則三〇%、一部一五%という場合もございますけれども、そういった形が取られているというところでございます。

 本法案によりまして、アプリストア間における公正かつ自由な競争を通じて手数料が設定されることが重要であるというふうに考えております。

守島委員 一概には言えないので、市場環境を構築した上で適正化に向けていこうということで、これも走りながら。一つ気をつけてほしいのは、不当にダンピングするような企業が出てきたらいけないので、それはそれでプラットフォーマー側もダメージを食らうことになるので、そうした点だけウォッチして、引き続き公取さんには頑張ってほしいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

岡本委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小野泰輔さん。

小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔でございます。

 自見大臣、古谷委員長、よろしくお願いいたします。

 午前中の議論を聞いておりまして、非常に難しい問題だなと思いました。従来の独占禁止法の趣旨、市場の競争をしっかりと保っていく、競争がちゃんと成り立つようにしていくということが、デジタルの世界になって非常に難しくなってきたんじゃないかなというふうに思います。

 特に立憲民主党さんの皆さんが、それぞれの重きを置くところが違っていて、それはどれが正解というわけでもないと思うんですね。やはり総合的にバランスだと思うんですけれども、一つは、当然、市場経済の中で競争を促していかなければいけないということと、ただ、それはセキュリティーとかユーザーの安心というものを犠牲にしていいのか、そういった相反することが課題となってくるということでありました。

 私は、この法案で大きく二つポイントなのかなと思っていまして、一つは、セキュリティーとか、正当化事由というものが、今回、公取が事前規制をする上での限界というものを一定配慮しているということでありますけれども、もう一つは、そうはいっても、今、EUで法規制が始まったわけで、その法規制がちゃんと実効性を持つのか。午前中の議論でも実効性という言葉が繰り返し出てきましたけれども、ここが、巨大なプラットフォーマーに対して、しかも技術的にかなりレベルの高いことをやっていますから、それに対して適切に歯止めをかけられるのかということが大事だと思うんです。

 まず最初にお伺いしたいのは、そもそもこの法案で、プラットフォームに大きな規制をかけていく、課徴金もかけていく、しかも事前規制だということですけれども、それをやっていくための立法事実というのが何なのかというところについてお伺いをしたいというふうに思います。

 そこで、立法事実とある意味その裏腹だと思うんですが、先行しているEUの方で、日本がEUの規制を参考にして制度設計しているわけですが、実際に、今年の三月に成立して、まだちょっと間もないということであるかもしれませんが、EUの例などで、もし、規制をかけることによって、例えば、目的の一つでもある、ユーザーの側でアプリの値段がサードパーティーの場合にはこれだけ落ちているよとか、今まで高過ぎた手数料というものがこれだけ是正されているよというようなことがあれば、是非これを教えていただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 アプリの手数料そのものという観点では具体的には承知しておりませんけれども、アプリストアという観点で申し上げたいと思います。

 現状、まず、我が国では、iOSではアップル社のアップストアのみが利用可能となっているということで、その手数料は原則として三〇%、それから、小規模事業者など一定の要件を満たす場合には一五%というふうになってございます。

 グーグル社のグーグルプレーストアでは、アプリストアの手数料は原則として三〇%、それから、小規模事業者など一定の要件を満たす場合には一五%というふうにされております。

 他方で、アンドロイド上では、我が国の内外でグーグルプレーストア以外のアプリストアが既に存在しているところでございます。その中には、手数料を二五%に設定し、そのうち一〇%をユーザーにクーポンとして還元するというものでありますとか、手数料を二〇%にするといったものもございます。そのように、グーグルプレーストアよりも低い手数料率を設定しているものが存在しているというふうに承知をしております。

 こういったアプリストアの手数料率の違いがアプリ等の価格にも反映され得るというふうに考えているところでございます。

小野委員 ありがとうございます。

 海外の現状も教えていただきましたけれども、やはりサードパーティーが入ることによって、先ほどの御答弁の中でもありましたが、例えばクーポンを発行するとか、いろいろな企業努力をして、ユーザーに選んでいただくというような努力をしているということもあったのかなと思いますから、我が国で、この法案が通った後に、同じように競争が生まれて、ユーザーのメリットになるということも期待できるところもあるんじゃないのかなとは思っています。

 ただ、とはいえ、いろいろ、先ほども午前中であった、セキュリティーをどうやって確保していくのかという問題があります。

 例えば、アップストア、アップルの場合ですと、自分のところでセキュリティーを確保した上で、そのアプリストアに載っけるような商品に関してもちゃんとチェックをしているというようなことをしっかりやっておられるということでございます。先ほど山崎委員からもお話があって、そういった努力というものも含んだ上での手数料なんだということもありました。それは、プラットフォーマー側としては、やはりそこをやらないとスマートフォン自体が売れなくなっちゃうので、当然、責務だというふうに考えていると思うんですね。

 では、サードパーティーを許したときに、そのアプリストアのセキュリティーは誰が責任を持つのかという議論、ここも午前中ちょっとありましたけれども、それは別に、行政側で何か強制する話では私はないと思うんですね。答弁の中でも、そういったことを、アップル、プラットフォーマー側に当然そういったセキュリティーの管理みたいなものもちゃんと求めていくということもできるというようなお話だったと思うんですが、ただ、私はPCとの規格もあると思うんですね。

 スマートフォンの場合には、確かにすごく、OSの寡占状態とか、あと、APIとかというのもかなりプラットフォーマー側で管理できているということで、セキュリティーの面でも、例えば、私もさっきちょっと調べたんですけれども、アンドロイドの場合でも、セキュリティーソフトを独自に入れなくてもセキュリティーはかなり高く確保されているんだというようなことがあるわけなんですが、ただ、本当にそれでいいのかということも実は考えなきゃいけない。ウィンドウズの場合だったら、皆さんのパソコンの中にも必ずサードパーティーとかそういったセキュリティーソフトも入っているわけでありまして、そういった形が実は健全な競争を促すということに資するのかもしれないわけですね。

 だから、この辺は本当は、私、この法案は、政府に対して何か話を聞くよりも、やはり参考人に聞きたいなというふうに思っていたんですね。でも、いろいろな都合で大分審議時間も短くて参考人質疑もできないということで、ちょっとそこは非常に残念なんですけれども。

 ただ、セキュリティーの責任を誰が持つかというのは結構重要で、先ほど答弁があったんですけれども、もう一回、今日は多分同じ質問がいっぱい出るだろうなと思って、通告書に番号をつけて、私、取捨選択してなるべく重複がないようにということでお聞きしたいと思いますが、七番ですね。

 そもそも、スマートフォンのセキュリティー確保というのは誰が責任を負うべきものなのか。OSを提供している指定事業者なのか、それとも、私が先ほど申し上げたように、民間のサードパーティーのセキュリティーソフト会社のようなところにユーザーが委ねるということだって、もしかしたらスマートフォンでもあるかもしれませんが、ここをもう一回、再度お答えいただきたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 スマートフォンのセキュリティーの確保でございますが、例えば、アプリを提供する事業者は、アプリ自体に脆弱性がないようにする役割、それから、アプリストアを提供する事業者は、悪意を持った不正なアプリでないかどうかというのを審査する役割、それから、OSを提供する事業者は、システム上、アプリによるセキュリティーの問題がないようにする役割というのをそれぞれ担うことになるかと考えております。つまり、OSを提供する事業者のみが担っているものではないというふうに承知をしております。

 これらの事業者間の責任分界に関しましては、通常、各ソフトウェアの利用規約等において定められることでございますので、個別具体的な事案ごとに、それらの利用規約等に基づいて判断されるものと考えております。

 公正取引委員会としては、関係行政機関とも連携しながら、セキュリティーの確保を図りつつ、セキュリティーの確保を口実として指定事業者によって規制の潜脱が行われることがないよう、厳正かつ的確に本法案を運用していきたいというふうに考えてございます。

小野委員 答弁としては本当にそのとおりだと思うんですけれども、やはり、セキュリティー確保をちゃんとある程度するということを理由にして、このサードパーティーのアプリストアはちょっと受け入れられないというようなことが今後起き得ると思うんですね。

 ちょっと正当化理由の話に移りたいと思うんですが、まず、セキュリティー確保が担保できないという理由で、いろいろと、先ほど申し上げたような、リジェクトをするということがあり得るんですけれども、プラットフォーマー側が言っている正当化理由を、どうやってその正しさを判断するのかというところについてお答えいただきたいと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えをいたします。

 本法案では、まず、指定事業者において、セキュリティー確保等について必要な措置が適切に講じられるというふうに考えておりますけれども、その前提としまして、公正取引委員会は、セキュリティー確保等に係る正当化事由の考え方の明確化を図るために、関係行政機関とも連携をしてガイドラインを策定することといたしております。

 その上で、指定事業者がセキュリティー確保等のための必要な措置を講じた場合には、毎年度提出することが義務づけられております報告書に記載を求めることを予定しております。

 公正取引委員会としましては、このガイドラインも踏まえながら、専門的な知見を有する関係行政機関と連携しながら、またさらに、公正取引委員会にも、デジタルアナリストということで、セキュリティー等の専門人材もおります、こうした知見を活用するなどして、指定事業者が取った措置が正当化事由に当たるか否かについて評価を行っていきたいというふうに思っております。

小野委員 この中身、ガイドラインですとか、あるいは、指定事業者の側にどういうことをやっているんですかということを報告させて、そのとおりになっているのかというのを不断にチェックしていくということが大事なんだろうと思います。ですから、この法律は枠組みをつくっているだけで、中身のガイドラインが本当にワークするのかどうかというのが一番大事だと思っていますので、その辺は是非、先行している欧州なんかとも連絡を取りながら、いいものにしていただきたいなというふうに思っております。

 セキュリティー確保の正当性ということと並んで、私なんかは常々グーグルプレーとかを見ていて思うんですけれども、例えば、青少年保護という目的が今回の正当化理由の中に入りましたが、ただ、出会い系のアプリとかめちゃくちゃあるわけですね。私は一個も入れていませんけれども、ただ、見ると……(発言する者あり)入れていません、インストールはしていないんですけれどもね。使っておりませんので、そこははっきりさせておきたいと思いますが。

 ただ、これは、青少年保護のために、指定事業者の側ではねるべきじゃないかというようなものもあったりするわけです。でも、今回の法案が通って、青少年保護の理由で、では、今まで入っていたものを落とすかどうかというと、結構これは難しいと思うんですね。当然、民間がつくった事業というものを、営業の自由を奪うことにもなるわけで、そこら辺の判断基準というのはやはり難しいですし、しかも、理想どおりには多分いかないだろうというふうに思います。

 同様に、セキュリティーを理由とした正当化事由というのも、これはかなり意見が対立して、うまくいかなくなるということもあろうかと思います。

 先ほど古谷委員長がおっしゃった、そういったことはやはり高い技術力が必要なので、当然、そういう技術者もプールしておくということが公取委の中でも必要でしょうし、午前中にも答弁がありましたが、他の省庁の応援なんかももらいながらやっていくということが必要だと思います。

 我が党の部会の中でもいろいろ議論があったんですけれども、ただ、やはり、高度なデジタル人材を政府の中で抱えておくというのは非常にお金がかかる。総理よりも高い給料を出しても来ないぐらいなんですね。そんな状況になっているわけなので、やはりそこは思い切った人材への投資というのを今までの常識にとらわれずにやっていく必要があると思いますので、これはもう午前中に出ましたので質問はしませんけれども、人材の面については、そういったことを是非力を入れていただきたいと思います。

 そして、あと、今度は実効性の問題についてお伺いをしたいと思うんです。

 本法案の第五条で規制が措置されていまして、指定事業者がOSやアプリストアを通じて取得したアプリの利用状況や売上げ等のデータについて、他のアプリ事業者等と競合するサービスの提供のために使用してはならないというふうになっています。

 つまり、アプリストアを通じて、どんなアプリが売れているのかとか、その利用状況は一体どうなっているのかということを見た上で、例えばグーグルとかアップルが、似たようなソフトを作って売ってしまえばもうかるんじゃないのということが分かる立場にあるということで、規制がなされているわけなんですけれども、このときに、やはり実効性が本当に問題だなと思うんですね。

 事業者の方は、そういったデータを自分の事業に有利に使いませんよと宣言はしていますが、本当に裏でどうなっているのかは確かめるすべがなかなかないんじゃないのか、これをどうやって把握するのかということがありますし、この実効性の担保と、それから、事件の端緒をちゃんと把握するということが非常に難しいんじゃないのかというふうに思いますが、この点、どのようにしていくんでしょうか。これは九番ですけれども、よろしくお願いします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 本法案の特に第十条に規定をしておりますけれども、個別アプリ事業者によるOSやアプリストアの利用に伴い指定事業者が取得する個別ソフトウェアの利用状況でありますとか売上げに関するデータ等に関しまして、指定事業者による取得や使用に関する条件の開示を指定事業者に対して義務づけております。これは、指定事業者が他の事業者が提供するサービスと競争関係にあるサービスに取得したデータを使用していないか、外部から検証することを可能とするものでございます。

 また、公正取引委員会としては、必要に応じて指定事業者に対して事実の報告を命じる、あるいは他の事業者からの情報提供を受けたりすること、そういったことによって事実関係を把握することが可能であるというふうに考えております。

 こういったことを通じて、御指摘の、取得したデータの不当な使用の禁止に係る規制について、適切に運用してまいりたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。ここは厳しくやっていただきたいと思うんです。

 山崎委員も御懸念されていた、セキュリティーの確保がおざなりになってはいけないだろうというのは当然なんだと思うんです。ただ、私は、いろいろなやり方が、民間のセキュリティーソフトでやる方法があるんじゃないか、いろいろな選択肢は、いろいろ余地は残っていると思いますが、ただ、自分しか知り得ない情報を自己のビジネスを優位に進めるために使うというのは、これは厳格にちゃんと規制しなければいけないし、しかも、それをちゃんと把握をして、そして適切な罰則を適用していくということは必須だろうと思います。

 ですから、そういう意味で、私は、正当化事由というものと、実効性というものと、それからあと、自分の立場でしかやれないようなことでほかの自分のビジネスを優位に進めていくということは、ある程度分けられるところはあると思うので、そこに関しては、やはり、厳しくやれるところとかやるべきところはちゃんと規制をかけていく、そして実効性も担保していくということをやっていただきたいというふうに思うんですね。

 ここで、今までの質問をちょっと総括するような意味合いで、自見大臣に、今回の法律をせっかく作ったんですけれども、結局のところ、サードパーティーのアプリストアとかが出てくるというような状況がないと、全く法律を作った意味がないというふうにも思います。

 もちろん、さっきの、データを利用して自分が似たようなアプリを作って売っちゃうとか、そういうところはちゃんとやるべきなんですが、サードパーティーがちゃんと出るとか、消費者がちゃんと選択肢を持てる、あるいは、アプリをどこかに載っけて売ろうという人たちが特定の寡占化されたところにしか持っていけないというような状況をちゃんと実現するためには一体どういうふうにするのか、あるいは、それができるのかということについてお答えいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案の実効性を確保することは重要な課題であり、アプリストアの参入を促進するための規定を含めまして、本法案の実効性を確保するための措置として、違反に対して排除措置命令また課徴金納付命令を行うことができることとしてございます。

 また、実効性確保の観点からは、本法案では、公正取引委員会は、指定事業者が本法案の規制に適切に対処するために必要なガイドラインを公表するものとされております。

 加えまして、公正取引委員会においては、指定事業者が提出する規制の遵守状況に関する報告書を踏まえまして、指定事業者との対話を通じて規制の遵守や改善を求めるほか、アプリ事業者間の関係事業者とも継続的なコミュニケーションを取りながら、問題の改善に向けて本法案を運用することとなると承知してございます。

 なお、規制が先行してございます欧州におきましては、複数の事業者がアプリストアへの参入を表明しておりまして、我が国でも同様の規制を整備することにより、アプリストアの新規参入が期待できると考えてございます。

小野委員 ありがとうございます。

 ポイントは、やはり対話だと思うんですね。一方的に規制を事前にかけるということじゃなくて、プラットフォーマー側の言い分ももちろんちゃんと聞いた上で、どういったところで消費者の利益あるいはアプリを開発している事業者の利益を確保しながら、そして、ちゃんと責任あるOSとかアプリストアの運営ができるようにするのかということを、やはり常にバランスを取りながら、話し合いながらやっていくことが必要だろうと思いますので、是非よろしくお願いいたします。ガイドラインを、しっかりしたものを作ればというのじゃなくて、やはり絶え間ない対話というのが一番大事なのかなというふうに私も思っております。

 残りの時間は、ちょっと、もっと根本的な課題について議論したいというふうに思います。

 今回の法案では、あくまで自由競争をちゃんと取り戻すんだ、巨大なプラットフォーマーがスマートフォンという市場で、市場を寡占化しているというような状況を本来の競争原理の方に戻していこうというような動きなんですけれども、本当にそれができるかどうかというのは、私は難しいところもあるんじゃないかなというふうに思っています。

 この法案をいろいろ勉強したり、いろいろ調べていたんですけれども、やはり、デジタル空間というのは、相当技術的な囲い込みが行われやすくて、ネットワーク効果ということもありますけれども、非常に、一遍囲われてしまうとどんどんどんどん囲い込みが進んでしまって、そこから抜けられなくなるというようなことが起こりやすい分野なんじゃないのかなというふうに思います。

 そういう意味では、今回、EUと同じような形で、ほかの第三者がちゃんと市場に参入できるというようなことを図ろうということなんですが、もしかしたらこれはうまくいかないかもしれない。その場合に、政府だけじゃなくて、人類社会全体として、公共のデジタル空間というものをやはりちゃんと定義をした上で、じゃ、その公共のデジタル空間は誰が担うのか。山岡さんのさっきの午前中のお話だと、政府がちゃんとセキュリティーについては責任を持つべきだというようなことも言及がありましたけれども、でも、プラットフォーマーにそこを任せる、公共を民間の企業に任せるというようなことをやはり許容しなければいけないような時代が来るんじゃないのかなというふうに、私は、この法案をちょっといろいろと、質問を考えるときに思っていました。

 その代わり、公共を民間企業に任せるからには、当然、公的な側面で振る舞ってもらわなきゃ困るということで、それによって得られる利益が、民間企業ということで、寡占化をいいことに、どんどんどんどんその利益を取ってしまっていいのかという議論があると思いますし、そうならないように、例えば、今度はほかの公共も支えるために、そこで生まれた過剰な利益というものはちゃんと課税という形で全ての社会の構成者に還元をしていくということももしかしたら必要になるんじゃないのかなというふうに思っています。

 今の独禁法の我々の世界の中ではそういう発想はないわけですけれども、ここはレクのときにも公取の皆さんと議論して、ただ、公取の仕事の範疇を超えているということだったんですけれども。

 自見大臣は、政治家として、今私が申し上げたような、デジタル空間を公共財として、事実上、デファクトを取っている民間企業がそういうものをしょって、そして公共的な役割をちゃんと果たしていくという世界にもしかしてなるのかもしれないなというふうに私は今申し上げたんですが、これに関して、本当に、大臣の立場を離れるわけにはいかないというようなことも皆さんおっしゃっていましたが、ただ、これに関しての何か所感があればお伺いしたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 市場支配力を有するデジタルプラットフォームの規制の在り方については、その問題に応じて様々な手法があり得るというふうに認識してございます。

 現状は、スマートフォンに関しましては、国民生活及び経済活動の基盤となる中で、モバイルOSを提供する事業者によって他の事業者が提供するアプリストアの参入が制限されているなど、様々な競争上の弊害が生じております。

 このような競争制限的な行為に対しまして、これまでも公正取引委員会は独占禁止法に基づいて対処してきてまいりましたが、独占禁止法による個別事案に即した対応では立証活動に著しく長い時間を要するといった課題があることから、今般、迅速かつ効果的に対応することができるように、法整備、本法案も整備しようとしております。

 なお、お尋ねの点でございますが、その他の観点の規制といたしましては、デジタル空間が公共という言葉がございました。例えば、デジタルプラットフォームを利用する事業者との取引関係における透明性や公正性の向上を図るために関しては、デジタルプラットフォーム取引透明化法が令和二年に整備をされたものと承知しております。また、プラットフォームにおけます違法あるいは有害情報の流通、こういった側面の問題に関しては、今国会におきまして、情報流通プラットフォーム対処法、プロバイダー責任制限法の一部改正法が成立したというふうに承知をしてございます。

 様々な法律や施策というものが合わさって、デジタル空間というものを今後どう考えていくのか、これは流れが引き続き速いところでございますので、様々な動きを注視しながら、公共という観点もしっかりと視野に入れて、私どもも対応してまいりたいと思ってございます。

小野委員 今時点で、プラットフォーマーに対して様々な適正化を求めていくという対策はいろいろやられているということではあると思うんですけれども、ただ、我々は、今の段階だと、やはり競争をちゃんと取り戻すということで、できるだけ市場をオープンにして、ほかのコンペティターにも入ってもらおうというようなことの努力をしているという段階だと思うんですね。

 でも、やはり、本当にグーグルやアップルが一遍こういう世の中をつくっちゃうと、それを打破できるのかというところは、私は一つしか打開策はないと思っていて、破壊的なイノベーションができて、今までのような検索サイトとか、あるいは、我々が毎日のように使っているスマートフォンみたいなものが要らなくなったときとかじゃないと、なかなかそういう状況は生まれないんじゃないのかなというふうに思っていますので、そうならないうち、それからそれがずっと持続する場合には、やはり何らかの手だてをこれからは考えていかなきゃいけないんじゃないのかなと思います。

 私は、今日の議論で非常に面白いなと思ったのは、我々日本維新の会は、割と、自由競争、市場を開放して、いろいろな参入者が競争することによって消費者が利益を得られるんだというような考え方を元からしているんですが、逆に、今日は立憲民主党さんがそういう方が多くて、やはりこれだけデジタルの社会が進んでいくと非常に事情は複雑になってきて、それぞれの考え方で大分目指すべきところも何か違うのかなというふうに思ったんです。

 ただ、やはり、私は、公取委というのは、今までの発想で、自由な市場で競争を促すということが前提、それはもちろん、いろいろな分野でもそれが引き続き必要だろうというふうにも思っていますが、ただ、このデジタルに関してはやはりそうならない可能性が大きいと思います。

 大臣には、そういうところも含めて幅広い視野を持って、我々がデジタルにだんだん自分の脳が組み込まれていくという感じですよね。自分でもう記憶していないですし、我々の脳のメモリーはほとんどコンピューターの中に行っちゃっている。昔は、電話帳なんかはかなり我々は記憶できていたわけですけれども、全くできていない。町を歩いていても、みんな、何かこんな変なものを持って近いところばかり見ている、こういう光景が多分普通に、私が生まれたときにはそんな時代が来るなんて誰も予想していなかったと思いますけれども、そういうことになっていますので、最後に御質問した点も是非お考えをいただきたいというふうに思っております。

 最後に、少しだけ時間がありますので、公取委の独立性についてお伺いしたいと思います。

 四十三条三項は、内閣総理大臣、総務大臣が、正当化事由に関して公取委に意見を述べることができるというふうにしているんですね。内閣の側が公取委に対して物が言える。これは、独禁法の二十八条、独立性との関係で問題があるんじゃないかと思いますが、この点をお答えいただきたいと思います。

岡本委員長 公正取引委員会岩成局長、申合せの時間が経過していますので、簡潔な答弁でお願いいたします。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 正当化事由その他の判断につきましては、関係行政機関が有する専門的知識が必要な場合もございますので、関係行政機関とも連携して対応することとしているところでございます。

 ただ、いずれにしても、排除措置命令その他の最終的な法執行は公正取引委員会の判断の下で行うということになっておりますので、公正取引委員会の独立性が損なわれるものではないというふうに考えているところでございます。

小野委員 そこをしっかり守っていただいて、公取委の独立性を保った上で仕事を進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 スマホ特定ソフトウェア競争促進法案について質問いたします。

 国内でスマートフォンが九割の世帯に普及をして、社会生活の基盤となる中で、巨大IT企業のグーグルやアップルの圧倒的な支配力は、人々の生活や産業の成長にも影響を与えると。

 そこで、まず、古谷公正取引委員会委員長に伺います。

 本法案は、禁止行為を定めて、違反には排除措置命令や課徴金納付命令を行える、そういう意味で、我が国初の巨大IT企業への事前規制となっている、そういうものだということですね。

古谷政府特別補佐人 従前から御答弁申し上げておりますとおり、アプリストア等の特定のソフトウェアに係る市場は、特定少数の有力な事業者による寡占状態でありまして、当該事業者の競争制限的な行為によって様々な競争上の問題が生じております。

 こうしたデジタル市場に係る競争制限的な行為に対しましては、これまでも公正取引委員会において独占禁止法に基づく事件審査を行うなど、積極的に取り組んできておるわけですけれども、独占禁止法による個別事案に即した事後的な対応では、なかなかデジタル市場での競争の回復が困難であるといった課題がございます。

 こうした課題に対処するため、本法案は、指定した一定規模以上の特定のソフトウェアを提供する事業者に対しまして、競争を制限するおそれのある一定の行為の禁止等をあらかじめ定める、いわゆる事前規制を導入するものでございます。

 このような法整備を行うことによりまして、迅速かつ効果的に競争環境の整備を図るということを企図した法案ということで御理解をいただければと思います。

笠井委員 独占禁止法は、第一条で、公正かつ自由な競争を促進し、そして、もって、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展を促進することを目的とするとされております。この趣旨は、少数者による経済的支配を排除して、経済活動に関して万人に平等で均等な機会を与え、多数者の意思が経済の分野においても尊重されるということであります。

 この独禁法を補完するものと位置づけられている本法案も、趣旨としては同じ趣旨ということでよろしいですね。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 本法案は、スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定のソフトウェアについて、セキュリティーの確保等を図りつつ、イノベーションを活性化し、消費者の選択肢の拡大を実現するために、競争環境を整備しようというものでございます。

 こうした観点から、本法案では、特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争の促進を図ることを第一条の目的規定に掲げております。

 特定の分野に限らず、広く公正かつ自由な競争を促進することを目的とする独占禁止法と同様の趣旨、目的の下で、独占禁止法を補完する新たな規制というふうに考えております。

笠井委員 巨大IT企業による経済的支配を排除して、多数者の意思が尊重される民主的な経済の追求が今こそ一層重要だ、独禁法の第一条の目的をしっかりと踏まえた公取委の職務が求められていると思います。

 そこで、本法案で初めて導入する事前規制を実効あるものにする執行強化が重要であります。公取委は、この間、確約手続を多く用いています。調査対象が自主改善策を盛り込んだ改善計画を提出し、公取委が認定すれば、あくまで疑いにとどまり、排除措置命令や課徴金納付命令も出されないというものであります。本法案にもこの確約手続が盛り込まれております。

 公取委は、去る四月二十二日に、デジタル広告市場を不当に独占したとしたグーグルが提出した改善計画を認定いたしました。古谷委員長、今回問題となった行為の概要について、端的に説明をお願いします。

古谷政府特別補佐人 グーグルLLCは、平成二十二年から、検索エンジン及び検索連動型広告の技術を契約によりましてヤフーに提供しておりました。グーグルLLCとヤフーは、当該技術の提供の実施後も、検索サービスや検索連動型広告事業をそれぞれ独自に行い、広告主の入札価格等の情報を完全に分離して保持するということで、引き続きお互いの競争関係を維持するということでございました。

 しかしながら、その後、グーグルLLCは、契約の変更を行いまして、遅くとも平成二十七年から令和四年までの間、ヤフーに対し検索エンジン及び検索連動型広告の技術の提供を制限することで、ヤフーが検索連動型広告の配信に関する事業活動を行うことを困難にしていたという事案でございます。

笠井委員 二〇一〇年に、公取委が独禁法違反の疑いがあれば厳正に対処すると言ったにもかかわらず、僅か四年後に公取委への約束を破って問題行為を始めた。そういう意味では、公取委の執行力というのが問われるんじゃないかと思うんですが、委員長、いかがでしょうか。

古谷政府特別補佐人 私どもは、平成二十二年に、グーグルがヤフーに対して検索連動型広告等の技術提供の実施後も、検索連動型広告等の運営をそれぞれ独自に行い、引き続き競争関係を維持する等の説明がございました。この説明を踏まえまして、当該技術の提供は直ちに独占禁止法上問題になるものではないということを、当時の相談に対して対応したという経緯がございます。

 その後、当委員会は、当該技術の提供についてフォローアップ調査を行ってきたところでございますが、その調査の過程で、グーグルLLCからは、契約の変更を行ってヤフーへの技術提供を制限したといったことについて当委員会への報告がなかったことは事実でございます。

 委員が御指摘いただいたような、公取との約束を破ったといったように法的に言えるかどうかは別といたしまして、平成二十二年の事前相談の際のグーグルとヤフーからの説明とは異なった状態となっており、当委員会のフォローアップ調査の際にこうした契約変更について報告がなかったことは遺憾であるというふうに承知しております。

笠井委員 四年間で公取委との約束を破ったと私が申し上げたら、説明とは異なったということでおっしゃったんですが、いずれにしても、その後七年間もの間、違反の疑いがあるという行為が続いたと。

 日本経済新聞四月二十二日付によりますと、審査対象になった年間百億円ほどの国内市場で、公取委が審査に着手する二〇二二年まで七年間、取引を制限する状態が続いていた。それなのに、排除措置命令も課徴金納付命令もない。これで本当に巨大IT企業を規制できるのかということは問われていると思います。

 そこで、古谷委員長に伺いますが、このグーグルの改善計画というのはどういうものだったか、簡潔に、端的に御報告ください。

古谷政府特別補佐人 私どもが審査に入りました後に、グーグルは技術の提供の制限をすぐ取りやめたわけではありますけれども、その後、グーグルLLCの方からは、ヤフーに対しまして検索エンジン及び検索連動型広告の技術の提供を制限しないこと、さらに、独占禁止法の遵守について、行動指針の作成、周知や、研修、外部専門家の監督に基づく定期的な監査を行うことなどを内容とする確約計画が提出をされました。

 公正取引委員会は、この同社から提出をされた確約計画は同社の違反被疑行為が排除されたことを確保するために十分なものであり、かつ、その内容が確実に実施されると見込まれると認められるものでありましたので、この確約計画を認定をするという行政処分を行った次第でございます。

笠井委員 このグーグルが約束した改善計画を履行しなかった場合どうするのか。再調査にまた長い時間をかければ問題行為が続くんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

古谷政府特別補佐人 御指摘のように、事業者が確約計画で定められた事項を遵守しない場合には、私どもは、決定で、認定確約計画の認定を取り消した上で、確約手続通知を行う前の審査、調査を再開することとなります。

笠井委員 そうなると、調査を開始していてもまたそういう行為が続くということになりますね、まだ。

古谷政府特別補佐人 今回グーグルから提出をされました確約計画の中には、外部の専門家を交えて、確約計画で自主的に提示をされております事項を遵守をするということが言われておりますので、私どもとしては、それをしっかりと注視をして、監視をしていきたいというふうに思っております。

笠井委員 EUには、改善計画を遵守しなければ即刻制裁が科される手続があるんじゃないかと思うんですね。どういうものか紹介してください。

古谷政府特別補佐人 EUにも、コミットメントという日本の確約計画と同様の仕組みがございますけれども、確約が決定された後に関係事業者が確約を遵守しない場合には、日本と同様に審査手続を再開するということが可能でありますし、さらに、欧州委員会は、当該事業者の直前の事業年度の総売上高の一〇%を上限とする額の制裁金を課すことができるほか、確約を履行するまで履行強制金を課すことも可能であるといったような仕組みがEUにはございます。

笠井委員 EUにはそういう仕組みがあるわけですが、日本は再調査ということでは、またやるだけだと。

 アップルは、今年一月に、EUのデジタル市場法、DMAに対応するために、EU域内ではアプリストアのビジネスユーザーの手数料を最大三〇%から最大一七%に引き下げる、こう発表いたしました。

 EUが制裁金も課して強力に規制を執行する、そういう仕組みがあるからこそ、巨大IT企業も従っているんじゃないかと思うんですが、その点は、委員長、どのようにお考えでしょうか。

古谷政府特別補佐人 御指摘のように、EUには制裁金という制度がございますけれども、日本の独占禁止法や、今回お願いをしております新しい法案の中では課徴金という仕組みがございます。それぞれ法制が違いますので、単純に比較することはできないと思いますけれども、私どもは、独占禁止法や新しい法案で与えられております私どもの権限も使って、しっかりと執行してまいりたいと思っております。

笠井委員 この課徴金対象事件では確約手続を用いないようにするなど、めり張りを利かせていかないと、違反への抑止力にならない。しっかりした規制を行ってこそ公正な市場環境を確保できて、ひいては健全なイノベーションや競争が起こるんじゃないかと思うんですが、委員長、その点、いかがですか。

古谷政府特別補佐人 私どもは、最近、デジタル分野の競争上の懸念に関しまして、確約手続も有効な手段の一つとして使わせていただいております。

 確約手続は、排除措置命令や課徴金納付命令と比べまして、競争上の問題をより早期に是正し、公正取引委員会と事業者が協調をして問題解決を行う措置でございまして、変化の激しいデジタル分野での競争の迅速な回復という面では有効な手だてであるという認識もいたしております。

笠井委員 様々な課題、問題があって、そしてまた変化が激しいということであれば、欧米との足並みもそろえる、そろえるのであれば、巨額の制裁金を課して、規制に踏み込んで、執行面でも足並みをそろえるべきだということを強く指摘をしておきたいと思います。

 そこで、新たなアプリストア事業者が参入する際、先ほど来、議論があります、セキュリティー、プライバシー、青少年保護という対策の担保が極めて重要になります。

 そこで、伺います。

 本法案では、第七条、八条で、アプリストアを自社に限定するなどを指定事業者の禁止行為としております。その上で、セキュリティー、プライバシー、青少年保護のために必要な行為なら例外とする規定を設けているわけです。しかし、現状では、アプリストアにおける対策の基準というのは、アップルやグーグルがいわば一方的に決めて、審査はやっています、ブラックボックスで、そして透明性、公正性が担保されていない。本法案によって果たして安全性が確保できるんでしょうか。

古谷政府特別補佐人 この法律の施行に当たりましては、セキュリティー確保やプライバシー保護、青少年保護等が図られることによりまして、スマートフォンの利用者にとって安心、安全な利用環境が確保されることは、競争の促進とのバランス上、大変重要だと思っております。

 こうした観点から、本法案においては、セキュリティー確保等を図るため、他のアプリストアの参入等に関しまして、まずは指定事業者がセキュリティーの確保や青少年保護等のために必要な措置を講ずることができることとしておりますが、この規定の運用に関しましては、専門的な知見を有する関係行政機関とも連携をしまして、ガイドラインでその考え方をしっかり明確化してまいりたいというふうに思っております。

笠井委員 EUは、デジタルサービス法、DSA、これは二〇二二年の十月に発効したわけですが、その中で、違法コンテンツの拡散や、人権など基本的権利、表現の自由等への悪影響に関するリスク分析、評価やリスク軽減措置の実施等を義務づけております。

 これを念頭にして、やはり日本でも実効性をきちんと確保すべきではないかと思うんですが、実効性をきちんと確保するという点では、委員長、どのようにお考えでしょうか。

古谷政府特別補佐人 私どもの法案では、関係行政機関との間で、私どもが意見を聞く、あるいは関係行政機関から意見を述べるといったような規定を入れまして、御指摘がございましたセキュリティー、プライバシー、青少年保護に専門的な知見を有する関係行政機関と連携をして、御指摘のような点について万全な対応をしていかなければいけないと思っております。

 EUのデジタルサービス法の御紹介もありましたけれども、今後、政府全体で、関係行政機関で、利用者の安心、安全を確保するという観点から様々な検討が必要になるかと思いますが、今、デジタルサービス法でのEUの取組も参考にしながら、しっかりとやらせていただきたいと思っております。

笠井委員 法案には見直し規定、三年後ということがありますが、そうしたガイドラインでしっかりと作った上で、更に必要な課題があったら、そういう、法案自身も見直すということも視野に入れて今後臨んでいくということでよろしいですか。

古谷政府特別補佐人 三年後の見直し規定を入れさせていただいております。施行後に生じますいろいろな状況に応じて適切な見直しをさせていただければと思っております。

笠井委員 今後、巨大IT企業への規制を実効あるものにしていくために、公正取引委員会の独立した職務行使が重要になっていると思います。

 そこで、自見大臣に伺います。

 独禁法の二十八条は、公正取引委員会の職権行使の独立性を規定しております。公取委の職権行使の独立性は、独占禁止法の公平かつ中立的な運用のために不可欠の保障であり、同法の施行の根幹であります。政府として、本法案に関しても、当然にも公取委の独立した職権行使を尊重するということでよろしいですね。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案に定める各規範、規律を適切に執行するためには、例えば正当化事由の判断に当たって、セキュリティーの確保や青少年の保護等に係る施策を担う関係行政機関が有する専門的知識を必要とする場合もございます。そのため、公正取引委員会において適切な法執行を行う観点から関係行政機関に意見聴取を行うなどしながら、関係行政機関と連携して対応していくこととしてございます。

 その上ででありますが、排除措置命令や課徴金納付命令等の最終的な法執行は公正取引委員会の判断の下で行うものでございまして、公正取引委員会の職権行使の独立性が損なわれるものではないと考えてございます。

笠井委員 そこで、古谷委員長に確認したいと思います。

 本法案で、セキュリティー、プライバシー、青少年保護等のために必要な行為であれば禁止行為の例外とすることに関して、第四十三条三項は、内閣総理大臣、経済産業大臣を始め関係行政機関の長が公取委に意見を述べることができると定めておりますが、なぜこのような規定を設けたんでしょうか。

古谷政府特別補佐人 ただいま大臣からも御答弁がございましたけれども、第七条及び第八条に規定する正当化事由につきましては、セキュリティーの確保等を図るため、公正取引委員会が、スマートフォンの利用に係るセキュリティーの確保や青少年保護等に係る施策を担い、専門的な知見を有する関係行政機関に意見聴取を行うなどしながら、関係行政機関と連携して対応することとしております。

 御指摘の四十三条三項では、政府でセキュリティーの確保や青少年の保護等の政策を担当することから、連携することが特に重要と考えられます内閣官房、これは、具体的には国家安全保障局、内閣サイバーセキュリティセンターを指しますが、さらに、総務省、文部科学省、経済産業省及びこども家庭庁について条文上明示した上で、先ほど申し上げた観点から、必要に応じ、これらの行政機関も公正取引委員会に意見を述べることができるということとしたところでございます。

笠井委員 非常に大事だから、関係行政機関の有する専門的な知見、情報を公取委が生かしていくということであるならば、公取委が関係行政機関の長に意見を求めればいいと思うんですね。実際に、第四十三条の一項で意見を求めることができるというふうになっております。

 公取委が求めてもいないのに、総理や経産大臣などが公取委に意見を述べることができる規定をなぜわざわざ盛り込んだんでしょうか。

古谷政府特別補佐人 今御答弁をいたしましたセキュリティーやプライバシー、青少年保護に関して、公正取引委員会は、自身として専門的な知見を有しているわけではありません。したがいまして、施策を推進する上で、それら専門的知見を有する行政機関から意見を述べていただくという形で、相互に、一項と三項両方相まって連携をするということは大事なことだと考えております。

 あくまで、これは意見聴取が義務づけられているとか協議が義務づけられるということではございませんで、お互いに意見を聞き、あるいは意見を述べることができるという規定でございますので、大臣から御答弁がございましたように、公正取引委員会は引き続き独立して職権行使ができる、そういう範囲の規定だというふうに理解しております。

笠井委員 第七条、第八条一号、二号は、巨大IT企業への課徴金納付命令の対象となる禁止行為であります。公取委が課徴金納付命令を出そうとしたのに、例えば、総理や経産大臣が、アップルの行為は正当化事由に当たるから違反の例外だ、課徴金納付命令を出すなというような形で異なる意見を述べてきた場合に、公取委としてはどうするんですか。

古谷政府特別補佐人 これも先ほど大臣から御答弁いただいたとおり、課徴金納付命令等の最終的な法執行は公正取引委員会の判断の下で行うものでございまして、公正取引委員会が職権行使の独立性を持って実施をする事務だと考えております。

笠井委員 公取委にしてみれば、巨大IT企業に対してだけじゃなくて、総理や経産大臣に対しても、正当化事由には当たらない、違反行為だと説明する、そういう立証責任を負わなきゃいけないということになるわけですね。

古谷政府特別補佐人 課徴金納付命令の執行等の判断は、公正取引委員会が独立して職権行使を行うということでございます。

笠井委員 独立して行うので、極めて重要だと。しかし非常に、立証責任というのは、相手が総理とか経産大臣となった場合に、なかなか、いろいろな問題が起こってくるのではないか。

 経産省所管の特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律、先ほど来議論がありましたが、これは、第一条で、デジタルプラットフォーム提供者の自主性及び自律性の配慮ということを述べております。そして、第三条で、国の関与その他の規制を必要最小限のものとするというふうにしております。この立場から、経産大臣が、例えば行政処分すべきでないと意見を述べてくる場合があり得るということになってくると思うんですね。

 先ほど自見大臣は、本法案に関しても公取委の独立した職権行使を尊重すると答弁されました。今、公取委員長もその旨重ねて言われたわけで、あくまでこの立場を貫くという必要があると思うんですが、そこはよろしいですね、委員長。

古谷政府特別補佐人 先ほど大臣からも御答弁いただきましたけれども、これらの規定は公取委の職権行使の独立性に反するものではないと思っております。

 関係行政機関等からの意見がある場合にも、公正取引委員会においてそれらの意見を一つの判断材料とはすることはあろうかと思いますが、独立して職権を行使するということでございます。

笠井委員 そこで、極めて新しい事前規制ということを含めて、様々な仕事をこの法律が成立するとやらなきゃいけないということになると思うんですが、公取委によるデジタル市場規制の体制強化というのも極めて必要になってくるし、重要だと思います。

 そこで、古谷委員長に伺いますが、EUそして英国、イギリスですね、それから日本の、この点での体制と人員というのは、それぞれどのようになっているでしょうか。

古谷政府特別補佐人 お答えいたします。

 ヨーロッパでは、デジタル市場法を運用する欧州委員会競争総局の人数が約百名と承知しております。さらに、御指摘がありましたイギリスですが、デジタル市場ユニットという組織がございますが、約六十名の体制になっているものと承知をしております。

 私どもの公正取引委員会におきましては、本法案の企画立案やデジタル市場の実態調査等を通じた競争環境の整備等を担当するデジタル市場企画調査室というのがございますが、現在十四名の体制となっております。また、デジタル分野の民間人材をデジタルアナリストということで採用しておりますけれども、現在七名というのが現状でございます。

笠井委員 今紹介ありました、EUの場合、欧州委員会の競争総局というのは、新たな局として傘下体制で創設をされて、人員が約百名。英国の場合には、専門部署として、デジタル・マーケット・ユニット、DMUを創設して、人員は約六十名。日本は、デジタルアナリストも含めて二十一名。私は、余りにも日本は体制も人員も少ない、これだけ大きな大事なテーマに対して、課題に対して、少ないと言わざるを得ないと思うんです。今回、新法を作って、巨大ITの知識、技術力に対峙して、まさに規制をするという新しい仕事、分野をやっていくというんだったら、それにふさわしいITリテラシーが公取委には求められていると。

 自見大臣に伺います。

 専門人材確保と併せて、公取委の抜本的な体制強化が必要ではないか、この点でどのようにお考えでしょうか。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案の運用におきましては、巨大なデジタルプラットフォーム事業者を相手にすることが想定されており、また、セキュリティー等の問題を含めまして専門的な知見を要することから、本法案を実効的に運用していくためには、公正取引委員会の更なる体制強化が必要であると考えてございます。

 公正取引委員会では、これまでもセキュリティー等の専門人材の登用を進めてまいりましたが、引き続き、関係各方面の理解も得ながら、本法案を実効的に運用するために、質、量の両面から抜本的な体制強化を進めてまいりたいと存じます。

笠井委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 巨大IT企業と対峙する上で、まさに大臣もおっしゃいましたが、実効ある規制を行って、独禁法第二十八条が規定する公取委の独立性を確保し、デジタル市場規制強化にふさわしい、やはり抜本的な体制の強化が求められている。そのことを本当にやる必要があるということも含めて、今日は申し上げて、本日の質問は終わります。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 もう今日は何人も質問に立っておりますので、前置きは外して質問に入りたいと思います。

 市場シェア率は、絶対的市場シェア率と相対的市場シェア率の二種類に大別され、アメリカの数学者は、市場シェア率と市場でのポジションを関連づけ、六段階の目標値を示しているという記事を目にしたんですね。

 そのうち、市場のシェアを独占しており、短期間におけるポジションの逆転はほとんど考えられない状態、シェア率上位二社の合計値が七三・九%以上なら二大寡占、上位三社なら三大寡占。

 次に、市場に参加する企業が自社を含めて三社以上ある場合に、自社が四一・七%以上のシェア率を獲得しているなら、業界における強者であり安定的な地位にいると判断でき、企業が戦略を立てている場合に重視する目安の一つとされ、四〇%目標と言われている。

 三つ目、市場を牽引する存在と呼ばれる最低ラインであり、二六・一%あれば事実上の業界一位であることが多い。業界への影響力も依然として大きい。ただし、順位に関しては、二位以下との逆転も十分起こり得る数値である。

 この後、四番目、五番目、六番目というふうに出るんですけれども。

 結局、政令で定める一定規模以上の事業者と位置づける、定義づけるのであれば、その根拠を、今日は朝から寡占化、寡占化、寡占化と、寡占化というのは、じゃ何%シェアを取ったら寡占化というのかというのをきちっと外に向けて言わなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。それが次の防止にもなるだろうし、それによって、私がもし、商売をやっている人間ですけれども、独占したいですよ、正直な話。だって、競争しない方が、値段を安くする必要性がない。言い値ですよ。

 だから、昔、電力事業法の改正のときに、総括原価方式というので全部コストを積み上げて、マージンを乗せて、それを経産大臣が認証するというやり方をずっとやってきたんです。総括原価方式でやれば、競争の相手がいないんだから、高いか安いかも分からないんです。

 だから、きちっとこういう規制をかけるといったときには、ここはこうですよというのをより具体的な数字を示して相手に示すことが大事だと思うんですけれども、今回想定しているのは二社と聞くんですけれども、根拠がやはり必要になってくると思うんです。ただ寡占化、寡占化と言っただけでは、業者も納得しないんじゃないかと思うんです。今後のことも含めて、大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案は、スマートフォンに係る経済活動におきまして特定の事業者が強い影響力を持つという市場構造に着目をいたしまして、当該事業者に対して類型的に他の事業者を排除し又はその事業活動を抑制する行為を禁止する等の措置を講ずるものであることから、その前提として、市場支配力を有する事業者を規制対象と指定することとしてございます。

 市場支配力の判断に当たっては、特定ソフトウェアの市場構造を踏まえまして、利用者数や売上高等によりまして一定の市場シェアとなるような数値を指定の基準といたしまして、政令で明確に定めることを想定してございます。

 また、アップル社及びグーグル社を指定することを想定しているのは、これまでに公正取引委員会が行いましたモバイルOS等に関する実態調査や、あるいはデジタル市場競争会議が行いましたモバイル・エコシステムに関する競争評価を踏まえると、これらの事業者が市場支配力を有すると考えられるためでございます。

 具体的な数値でございますが、特定ソフトウェアの市場シェアは、モバイルOSについては、アンドロイドが五四・八%、iOSが四五・二%。アプリストアにおきましては、アップストアがiPhoneのみで見ますと一〇〇%、そうでない場合は約六〇%。グーグルプレーが約四〇%、アンドロイド端末のみで見ると約九五%でございます。また、ブラウザーに関しましては、アップルのサファリは約六〇%、グーグルのクロームは約三五%。そして、検索エンジンで見ますと、グーグルは約八〇%という数字を御紹介してございます。

鈴木(義)委員 是非、そういう数値をお持ちであれば、法律が制定した後、一年六か月後にスタートするという間にはいろいろまた調査されると思うんですけれども、明確な基準を出してもらいたいなと思います。

 私は、タブレットを、最初、アンドロイドを使っていたんですね。iPadがいいのが出たのでそっちに乗り換えちゃって、がらくた携帯をずっと使って、二年半前にやっと、しようがないなと思ってiPhoneにしたんですね。そうすると、知らず知らずというよりも、使い始めちゃうと、全部が同じメーカーのものだとか同じソフトの方が使いやすいんです。操作も一緒、iPadもiPhoneも操作はほとんど一緒です。そうなってくると、知らず知らずのうちにユーザー側は便利な方に行きます。あえて複雑な方向に。

 最近、困ったなと思うんですけれども、クレジットカードじゃないけれども、いっぱいクレジットカードを持っていると、暗証番号が分からなくなってきちゃう。そうすると、今、暗証番号を覚えますよというようなサイトか何かが、それもアプリで出ているんですけれども、それは抜かれちゃったら全部分かっちゃいますよね。そのぐらい便利とリスクというのは裏腹な関係にある時代に入ってきたんだなと思うんですが。

 これも前任の方が質問されたと思うんですが、スマートフォンと同じように、今申し上げましたように、タブレットだとか従来型の携帯電話、コンテンツが載っている携帯電話は幾らでもありましたから、なぜこれが二条の定義から外されたのか、その理由をお尋ねします。

 また、これから様々、ハード、ソフトの開発がされていく中で、モバイルが今後も進化するのは想定のうち。今回は、スマートフォンという一つだけになっているんです。ウォッチは入っていない。

 二、三日前に、大学の入試でチョンボをやったというのは、眼鏡だというんだね。ここに文字が出るんだと。もっとすごい進化がしてくる、ヘルメットをかぶったら全部見られちゃうとかですね。

 今、知り合いの人が、ちょっと血糖値が高いからと、いや、鈴木さん、これ、針が埋め込んであって、ここにピッとやるとすぐ血糖値が出るんだと。一々一々、血を出さなくていいというんです。

 そういうふうに、利便性を上げるのと、お客様であるユーザーのニーズが喚起されるような商品がこれからどんどん出ていったときに、その度に法律を改正していくというふうに考えるのか。

 あと、もう一つ。車にこれをそのまま載せちゃうんです。iPadでもいいし。そうすると、ここで結局、カーナビと同じ機能がもうこの中に入っていますから、それでも使えちゃう。でも、それは、スマートフォンは規制をかけるけれどもiPadは規制をかけないといったら、全然変わらないじゃないかという考えなんです。

 だから、新しいアイテムが出たら、その都度法改正していくのか、もう後追い行政はやめましょうということを申し上げているんですけれども、いかがでしょう。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、スマートフォンでございますけれども、世帯普及率が九割を超えるということなど、我が国の国民生活それから経済活動において基盤としての役割を果たしているというところかと思います。したがって、特定ソフトウェアに係る競争環境の整備は特に重要な政策課題というふうに考えております。

 スマートフォンにおけるアプリストア等の市場におきましては、特定少数の事業者による寡占状態ということでありまして、競争制限的な行為によって様々な競争上の問題が生じているところでございます。

 一方で、デジタルプラットフォーム事業者はイノベーションの担い手でもございます。規制を行う際には、イノベーションと規制のバランスに配慮することも必要だというふうに思っております。

 このため、まずは、特に重要かつ様々な競争上の問題が生じているスマートフォンに係る市場における公正な競争環境を確保するために本法案を整備するものでございます。

 なお、タブレット、パソコン、そういった他のデジタル市場についても、競争上の問題が生じていないかなど、引き続き注視しまして、将来的に本法案と同様の規制の対象とすることを含めて検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ハードの部分じゃないんですよ、今回の件は。ソフトの部分で寡占化がされているからというのは、ハードの部分がどんどん変わっても、そこのシェアが二〇とか三〇しかなくても、その中に入っているソフトが八割、九割、十割の寡占化をされちゃっていれば、対象にしなかったらおかしいんですよ。だって、今回規制をかけようというのはソフトの部分じゃないですか。だから、ハードがどんどんどんどん、これからいろいろなものが出てくると思うんです。そうなったときに、その都度ハードの部分の占有率を決めて、それで指定をしていくのかということにつながっちゃうと思うんです。

 だから、ソフトの部分が寡占化しているからけしからぬということで今回の法律を作るんだから、ハードの部分も併せて、やはり政令で決めるとかなんとかというふうに逃げを打っておいて、法律の改正をしなくてもそこのところを手だてしていくようなことを考えないと、後追いになってしまうんじゃないかということです。もう一度。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 スマートフォンは、常時携帯をして、いろいろな方が使用されている、先ほど世帯普及率が九割を超えているという言い方もいたしましたけれども、国民生活に密接な関係を有するものになっているというところがございます。

 したがって、まずはそちらの方に焦点を当てる、競争上の問題も明らかになっているそちらに焦点を当てるということで、この法案を提出させていただいたというところであります。その他の分野ももちろん、競争上の問題等々が明らかになった場合には今後の対応が必要になってくるということで、その際の対応はまた検討していくということを考えているところでございます。

鈴木(義)委員 押し問答をしてもしようがないんですけれども、同じことを再度、形を変えて。

 ソフト面でも、OSだとか個別ソフト等の開発も日進月歩で変わっていくと思うんですね。政令で定める一定規模以上の事業者を、この一定規模というのはどれを指しているのかと。大臣から答弁をいただいたんですけれども、そうすると、そのときによってこの一定の規模がぶれちゃったんじゃ意味がないだろうということなんです。そこのところを今どう捉えているのか、お尋ねしたいと思います。

塚田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定ソフトウェアの提供等に係る事業につきましては、これまで公正取引委員会においても実態調査を行っておりまして、状況は把握してきております。また、本法案では第三条二項で、指定の要件を満たす事業者、すなわち政令で定める一定の規模以上の事業規模を有する事業者には、公正取引委員会に対して届出をさせる、届出をする義務を課すとしております。

 政令で定める規模以上であるか否かについては、これらにより得られた情報のほか、必要に応じて更に調査して得た情報に基づいて状況を的確に把握した上で、公正取引委員会において適切に判断してまいりたい、このように考えております。

鈴木(義)委員 そうすると、指定を受けた業者は、何が基準だか分からないで指定されたら、それは恣意的にやられているんだろうというふうに思われると思うんです。だから、さっき言った数字を並べてもらったんですけれども、やはり数字が前面に出てやらないと、ただ一定規模というふうに、これからいろいろなアンケートを取ったり、業界の人と話合いをして、じゃ、どこにしましょうか、どこにしましょうかとやって数字を積み上げていくのかもしれませんし、それじゃちょっと、業者側からすれば、やっていられないなというふうになるんじゃないかと思うんです。

 是非、そこのところは、透明性を確保して、情報公開していきながら、規模をきちっと想定してもらいたいなというふうに思います。

 それと、もう一つ。これも漫画チックな考えなんですけれども、特殊なOSにAIが組み込まれていて、利用者がキーワードを入力すると、人間じゃないし、事業者じゃなくて、AIがアプリを選択する場合など、人間が意図的に組み込んでいない場合は、この法律の改正で対応できるのかということですね。大丈夫ですね。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、一般論としてでございますが、指定事業者がAIを利用して、利用者の閲覧履歴であるとか行動履歴を踏まえて、利用者の嗜好に合致したアプリ等を候補として提示するような仕組みというのをつくった場合でございますが、結果として指定事業者のアプリ等が利用者に選択されたとしても、それだけでは指定事業者が他のアプリ事業者によるアプリの提供を妨げているとは言えない場合もあるというふうに考えられます。

 他方で、指定事業者がAIを利用して、指定事業者が提供するアプリ等を他の事業者のアプリよりも優先的に利用者に候補として提示する場合などにおいては、AIが間に入っている場合であったとしても、本法案の規律、第六条でありますけれども、この規律が及び得るというふうに考えております。

鈴木(義)委員 いろいろな業界でAIをどんどんどんどん使っていく時代になっていって、精度が上がっていけば上がっていくほど、出てきた答えというのは大体一緒になってくるんですよね。そういうものじゃないんですか。精度が悪いうちはばらばらな答えが出るけれども、精度が上がっていけばいくほど同じ答えになっていったときに、それがまたある意味じゃ寡占状態になっているかもしれないということですね。まあ、それはちょっと先の話になるんですけれども。

 これも前任の方が質問に使われたんですけれども、例えばアップルとかグーグルの手数料の三〇%は高いなと私は思うんですけれども、アップストアにアプリを、オーケーをもらってアプリを登録してもらって、お客様に、ユーザーに使ってもらった、そこに広告が載せられた広告料収入までこの三〇%というのは吸い上げられちゃうものなんですかね。

 要するに、アップルの手数料というのは、広告料収入まで含めて、そのサイトを使っている事業者が払う、まあ分からなけりゃ分からないでいいんですけれども、そこまで吸い上げちゃうのかということなんです。

 それで、もし吸い上げるという話になると、いや、これは、だって、ぬれ手にアワ以上だと思うんですね。ソフトを作って、アップルがいいですよと言って、このソフトを使っている、私がユーザーだったら、そこに広告を載せる、違う第三者が広告料を払って、そのうちの三〇%をアップルに取られちゃうということの解釈でよろしいんですかね。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました広告料でございますけれども、こちらについては、手数料率三〇%の計算における対象外ということになるというふうに承知をしております。

鈴木(義)委員 そうすると、逆に言えば、これで規制を厳しくしていったら、広告料からも下さいという契約になっちゃったら、もう安くならないということですね。まあ、そういうことも想定されるということです。

 それで、世の中は不思議ですね、この三〇%というのはよく聞く話で、私のところも求人広告をネットで出したときに、雇い入れる従業員の人の年俸に対して、そのサイトの業者に三〇%を払うんです。ある医療関係者の人で、ドクターをちょっと探してほしいんだといって、私が紹介したドクターを雇い入れる話になったら、私がいただくのは三〇%なんですって。これはどういうわけだか三〇、三〇。地元で、地産地消で、野菜をあるスーパーに出してくれ、手数料三〇%なの。高いと思うんですけれども、払えない額でもない。この三〇%、不思議にいろいろな業界の中で三〇%というのは使われるんですよね。

 今回の法改正で、これは規制の対象というより、お門違いな質問になっちゃうんですけれども、私は、だから、中間マージンで、何もしないで、ただペーパーだけで三〇%を取るというのは、少し、やめてもらいたいなと思う一人なんですけれども。

 あともう一つ、六番目のところの質問で、見たくもない広告が画面にぱっと出てくるんだよ、ぱっと出てくる。見たくない。でも、あなたはこのサイトをただで使っているんでしょうというのが業者さん側なんだけれども、一番最初にパソコンを使い始めて、ヤフーでも何でもただで見ていましたよ。最初のうちは広告なんか出てこない。それが、画面にぽっと出てくる。私は了解も何もしていないのに。私たちが何か物を買ったり何か検索すると、それが相手方のデータになって、それでまた、嗜好がどうだとか履歴がどうだというので、また見たくもない広告がぱっと出てくる。

 公取さんがやることじゃないかもしれませんけれども、ユーザーというのは何なのかという話なんです、突き詰めていくと。いや、もうかるんだからいいじゃないか、イノベーションが起きるんだからいいじゃないかと。いや、そこで集めたデータを自分たちで好き勝手使って、私たちには何のメリットといえば、そのサイトを使うことでメリットを出しているんですと、見たくもない広告がこう出てくる。広告を出さないようにするのに、一か月何千円か払ってくれれば広告を出さないようにしますと。それは利用料金のことを指しているんでしょうけれどもね。

 やはりそこはちょっと、過度に行き過ぎているところは、公取が指導できる範疇じゃないんだと思うんですけれども、是非、今回の法改正をすることになって、やはりちょっとユーザー側の気持ちも酌んでもらうような、指導というんですか、ものになってもらったらありがたいなと思うんですけれども、その辺をどう考えているか、お尋ねしたいと思います。

岩成政府参考人 お答えいたします。

 まず、デジタルプラットフォーム事業者は、検索サービス、SNSなど、様々なサービスを多くの場合無料で提供している、その形で多くの消費者との接点を持っているところがございます。このため、個人情報等の様々なデータを集積、利用して、消費者の関心に対応した内容の広告を様々な媒体で表示させることが可能となっているということで、デジタル広告事業は収益源として大きな存在となっているというところかと思います。

 競争政策の観点からは、広告の表示自体を規制することは困難であるというふうに考えておりますけれども、今後、デジタルプラットフォーム間の競争が活発化することによって、例えば、表示される広告の量を減らしたり、利用者の嗜好にそぐわない広告の表示を減らしたりするようなサービス競争が行われたりするなど、消費者の利益の増進につながる、あるいは消費者の選択を広げるようなサービスが進展していくことというのを期待しているところでございます。

鈴木(義)委員 一日も早くそうしてもらいたいんですね、自分の目の前にこう広告が出てこないように。

 OSやアプリストア、ブラウザーを提供する事業者は、これらの利用に関するデータが発生、蓄積することから、今私が申し上げましたように、データの利活用、囲い込みができる立場にあるというふうに定義づけされています。指定事業者の禁止行為を設けても、どのようにそれを実効性を担保するのかということですね。

 データはどんどんそこの事業者にたまっていきます。今回の法律を改正しても、寡占化が自由な競争になって、新しいアプリが入ったりなんなりはできるんでしょうけれども、そこから得られたデータはどんどんそこに蓄積していく。でも、その利活用や囲い込みができないようにするんだというふうになっているんですけれども、本当にそれは実効性が担保できているのかというのがお尋ねなんですけれども、大臣の御所見をいただきたいと思います。

自見国務大臣 お答えいたします。

 本法案では、指定事業者による取得したデータの不当な使用の禁止を定めるとともに、個別アプリ事業者によるOSやアプリストアの利用に伴い指定事業者が取得するアプリの利用状況や売上げに関するデータ等に関して、指定事業者による取得や使用に関する条件の開示を指定事業者に対して義務づけをしているところでございます。

 これは、指定事業者が他の事業者が提供するアプリ等のサービスと競争関係にあるサービスに取得したデータを使用していないか、外部から検証することを可能とするものでございます。

 また、公正取引委員会におきましては、必要に応じて指定事業者に対しまして事実の報告を命じたり、アプリ事業者等の関係事業者からの情報提供により、指定事業者による対応の状況等を把握することが可能でございます。

 これらを通じまして、御指摘の取得をしたデータの不正な使用の禁止に係る規制について、公正取引委員会において適切に運用していくこととしてございます。

鈴木(義)委員 では、大臣、もう私はあなたのサイトを使わないから、私のデータを全部抹消してくれというふうにユーザー側から申し入れたときに、消してくれるということでよろしいんですか。

岩成政府参考人 データの抹消ということになりますと、それぞれのプラットフォームとのやり取りの中で可能かどうかという話になってまいりますので、この法案の規制のお話とはちょっと別の問題ということになるかと思っております。

鈴木(義)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、ユーザー側の要望で、そういうこと、例えば何らかの事故で亡くなってしまったとか、サイトを使っていて、そのまま残っているんです。フェイスブックでも何でもそうなんですけれども、ずっと、こっちから消してくれと言わない限りは、それも、やれるのかどうか、ちょっと私は試したことはないんですけれども、そういったものも、やはり、せっかく規制をかけていくというふうな中で、プライバシーを守るとかというんだったら、守るんじゃなくて消すということも私は必要じゃないかと思うので、是非検討していただきたいと思います。

 終わります。

岡本委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十七分散会


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